未来の魔王が過去のトータス蹂躙RTA? (真藤陽人)
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第一章 悲劇を捻じ曲げ偽神を討て
訪れるのは過去のトータス



 はい、思い付き企画ですが頑張っていきます・・・

 結構前ですがハジメ達が過去のトータスに迷い込む話を読んで大好きだったので作る事に
  しました

 その作品と同じ訳では無いのでご安心を

 ではどうかお楽しみをm(__)m


 その日のハジメはたまたま一人でトータスへと向かう予定だった

 

 それは別段珍しくはなく、今までも何度かあった事

 

 だがその日は少し違った・・・そしてこの日一人で開門したことをハジメは一生後悔する 

  だろう

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 恒例となったトータスへの開門

 

 扉をくぐったハジメは何時もの様に王宮に設置してある扉を出て王都を一望・・しなかっ

  た

 

 

 ハジメが最初に目にしたのは絢爛豪華な飾り、そして同じく煌びやかな服装な老人

 

 何よりも老人にハジメは見覚えがあった

 

 「(なんでイシュタルが、てかこの場はまさか・・・)」

 

 あまりにも見覚えのある光景、辺りを見渡せばそれは確信に変わる

 

 「勇者さまがた、どうか・・・」

 

 などとのたまっているイシュタルを気にせずに思考するハジメ

 

 「(ここは過去のトータス? どうなってんだ)」

 

 過去への逆行というあまりにも突飛押しもない体験にさしものハジメもすぐには動けな

  い

 

 「(確認は後だ、香織や雫たちの記憶もどうなってるか確かめねぇと)」

 

 目の前の信者に思わない事が無い訳では無いが今は確認の為に従うハジメだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それからイシュタルが事情を説明し勇者が勇者をしてほぼ全て依然と同じ結果となった

 

 

 ハジメに与えられた自室

 

 以前は豪華すぎて落ち着かなかったハジメだが今のハジメはそんな事を気にしない

 

 「とりあえず整理するか」

 

 宝物庫に閉まってあった珈琲を飲みながら思案する

 

 「我が主、私達にも説明を願います」

 

 「そうですそうです、主に構って貰おうと出てみれば何ですかこれは‼」

 

 「・・・お前らが居るだけでも感謝するべきなのか?」

 

 「そんな私だけが居ればいいだなんて・・」

 

 「誰もそんな事言っていませんよ、遂に耄碌しましたか姉さん」

 

 「お前ら喧嘩すんな」

 

 今にも取っ組み合いの喧嘩を始めそうなのは元神の使徒なノガリ&エガリ

 

 「宝物庫の中身はある、ステータスも技能も神代魔法もあった」

 

 だからこそ2人が出てきている訳である

 

 「だが香織や雫、愛子達の記憶はあの時の物・・・つまり」

 

 「タイムスリップという訳ですか‼」

 

 「あぁ・・・どうすっかなー」

 

 これがただ別世界というのならクリスタルキーと羅針盤を使って帰ればよかった

 

 だが今いるのは過去、クリスタルキーでは戻れない

 

 「ですが主は概念魔法を使えるではないですか」

 

 「俺一人だと出来ねぇんだよ」

 

 そう、元来ハジメは生成魔法以外の神代魔法は適正皆無

 

 それでも以前の様に「極限の意思」さえあれば行けるかもしれないが絶対ではない

 

 「ではどういたしましょう? この世界の奥方様たちは主との思い出がありません」

 

 「それに関しては概念魔法で行ける、昇華と魂魄を使えばな」

 

 ユエが以前やったようなステータスをいじる事は出来ないがハジメの有する記憶を共有

  することくらいなら可能だった

 

 「そうだな、まずは香織たちの記憶を共有する」

 

 「承知しました、では私どもはどのように?」

 

 「エヒトに見つかると面倒だからな、しばらくは隠れて様子を見る」

 

 なんて本物の主従の様な会話を繰り広げる

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 翌日

 

 「な、南雲くんに話があるって言われちゃったよ雫ちゃん‼」

 

 「そう・・・けどそれ私もよ」

 

 舞い上がる親友に迷いつつも告げた雫

 

 「・・・そっか」

 

 あからさまに元気のなくなる香織に仕方なかったとはいえ申し訳なさを覚える雫だった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「来たか、かお、白崎に八重樫」

 

 名前呼びになって数年が経って居た為一瞬間違えそうになる

 

 「南雲君、話って何かな?」

 

 「私も気になるわね、貴方が私達を呼び出すなんて」

 

 「それについては今から話す、だがその前に」

 

 そう言いながらハジメは宝物庫からクロスヴェルトを取り出し何十二も結界を張る

 

 「ねぇ、今のは一体何?」

 

 「今に分かる、とにかく一度俺の手を握ってくれ」

 

 「・・・え?」

 

 そんな声が漏れる雫

 

 「いきなりで動揺するのは分かる、だがそうすれば俺が何故2人を呼んだのかが分かる」

   

 

 一人称と言いその瞳と言い2人の知る南雲ハジメとは別人のようだった

 

 だが香織はその目を見て迷いなく、想い人を信じて

 

 雫は若干迷いつつも手を握る、親友を信じて

 

 二人が手を握ったのを確認してハジメは昨夜の内に作成した概念魔法を使用する

 

 

 

 

 概念魔法「最愛の貴方と記憶を共に」

 

 魂魄魔法にてハジメの記憶を読み出し、それを編成魔法で2人に付加する

 

 「うっ、これって・・・」

 

 「頭が、どうして」

 

 ハジメの方で記憶の流れは調整していたがそれでも未知の記憶は2人に相当な負荷を与える

  

 

  

 

 そうしてハジメがベルアガルタで癒しつつ待っているとようやく落ち着く

 

 「これが未来での記憶なんだね、ハジメ君」

 

 「まだ少し頭痛がするけどこれが嘘じゃない事は分かるわ、ハジメ」

 

 呼び方が普段通りになり少しだけ安心するハジメ

 

 「記憶が戻ったのは良いけどどうするの、ハジメ君」

 

 「とりあえず今は戻る事を優先する」

 

 「でもそれって今の地球じゃなくてハジメの居た世界よね、出来るの?」

 

 「俺だけじゃ無理だな・・だが」

 

 「・・・ユエが居ればできる、だよね?」

 

 「あぁ、クリスタルキーも俺一人じゃ無理だったからな」

 

 「時間を操作する再生魔法があるのだし可笑しくは無いのでしょうけどやっぱり凄いわね」

   

 

 過去再生がそうであるように過去への逆行は昔であるほどに消費魔力が増えていく

 

 「それこそ無限の魔力でもない限り・・・ねぇ、そういえば」

 

 「あぁ・・・あったな」

 

 「うん・・・もしかしてあれがあれば」

 

 永久機関、無限の魔力を生み出し続ければ時間移動も可能なのかもしれない

 

 「が、今は今やるべきことを考えるぞ」

 

 「そうだね、でも私と雫ちゃんのスペックは来た時の物なんだよね」

 

 「そうね、ハジメに何か作って貰えばベヒモスくらいは余裕でしょうし」

 

 「雫には黒刀を作る、香織は・・・」

 

 言いながらハジメは宝物庫からある物を取り出す

 

 「あ、また私の魂魄を移すんだね‼」

 

 「この体は前に香織も入ってたからな、ユエやティオがいなくても入れるはずだ、、だ

   が念には念を入れておく」

 

 「どうするのよハジメ」

 

 「忘れたのか、神山は大迷宮の一つ、そして与えられる神代魔法は」

 

 「あ、魂魄魔法‼」

 

 「念には念を入れておきたい、今から神山に乗り込んで魂魄魔法を手に入れる」

 

 「そんな簡単に言うけれど大丈夫なの?」

 

 それは勿論ハジメの心配では無く、今の香織と雫に試練をクリアできるかの物だ

 

 「大丈夫だ、神山のクリア条件は大迷宮のクリアを二つ、神を信仰していない事だからな」

   

 

 確かにそれならば香織も雫もクリアしている

 

 「それじゃあ行くぞ、あの時は隠れて行く術が無いに近かった、が」

 

 クリスタルキーと羅針盤を取り出したハジメは数瞬してゲートを開く

 

 「さっさと手に入れて明日からもっと計画を立てる」

 

 そうしてゲートを潜っていくハジメ、その後ろを付いて行く香織と雫

 

 

 その後、少し歩くとあの時の様に解放者が現れ、ハジメたちを導き無事に魂魄魔法を手に入れる2人だった。

  

 

                                    つづく





 未来のハジメが過去で無双、したかったんですが私には無理でした・・・

 魂魄魔法って迷宮二つクリアしてればほぼ確実に手に入るので割と楽ですよね

 そしてこの物語は本編で所持していなかったキャラが神代魔法を手に入れます

 たまに出てくるkライで殆ど関係ないのでお気になさらず

 そして次回なのですがユエを救出しにオルクスへ・・・て思ったんですがクリスタルキー
  で転移できるのでパパっと終わるかもです

 最後に恵理に関してなのですが個人的に恵理が好きなのと最後の最後で改心してるので救
  われてもらいます・・・檜山はともかく清水もちょっと迷ってます(アンケートかコメ
   ントで聞かせてください)


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奈落の底での再会


 今回で一気にヒロインが出そろいます

 原作通りの様で原作無視、悲劇は殆ど消し去りますよ

 それと大分適当な部分がありますが許して・・・どう書くか思いつかなかったんです


 

 魂魄魔法をあっさり入手した翌日

 

 ハジメ達は結界を張った室内で作戦会議を行っていた

 

 「ねぇハジメ君、愛ちゃんの記憶は戻さなかったの?」

 

 「愛子は俺たちの中でも目立つ、それに隠し事とか得意じゃないだろ?」

 

 「それはそうだけど・・なんだか可哀想ね」

 

 「・・・戻すか」

 

 「それじゃあリリィにもやらないとだね‼」

 

 「あぁ、リリィなら隠し通せるだろうしエヒトが何かしらの洗脳をしても抵抗出来てすぐにわかる」

   にわかる」

 

 「先生とリリィは良いとして他の皆はどうするのよ」

 

 「そうだね、この世界の人たちはともかくクラスメイトの皆はまだ何とかなるだろうし」

 

 「て言ってもな、俺が香織たちに使った概念魔法は嫁にしか作用しないだろうし」

 

 「・・・そう、それなら仕方ないわね」

 

 「…そうだね」

 

 ハジメが自分たちには記憶を共有して欲しかったという事実が単純に嬉しい2人

 

 「ともかく現状で最優先はユエを取り戻すこと、そしてミュウを攫ったゴミ共を殺す、徹底的にな」

   徹底的にな」

 

 未来でのこととは言え最愛の娘が囚われ、奴隷となる未来をハジメは見過ごさない

 

 それは香織や雫も同じ

 

 「一旦は別行動だ、雫は黒刀を使って愛子やリリィの護衛」

 

 「分かったわ、あの時通りなら何もないとは思うけれどしっかり守る」

 

 「香織はノイントの肉体を活かして偵察、エヒトが協会連中に何かしでかしたら即抹殺」

   殺」

 

 「動いてからでいいの?」

 

 香織は今すぐに抹殺しない事に驚く、それは雫も同じ

 

 「あぁ、狂信的ではあったが奴らも殺らなくて済むならそうしたい」

 

 「「ハジメ(君)・・・」」

 

 それは日本という国で常識を取り戻したからなのか

 

 「だが誰に対してもじゃない、分かってるな?」

 

 あくまで余裕があるから、救えないものまで救う気は無い

 

 その言葉に気を引き締め直し頷く二人

 

 「よし、俺はさっき言った通りオルクスに行ってユエを救出、迷宮を攻略してユエに生成魔法を習得させる」

   成魔法を取得させる」

 

 「あれ、でもシアはどうするの?」

 

 「それに関しては考えがある、帝国全域を洗脳する予定だ」

 

 国一つを洗脳、恐ろしい言葉だったがハジメは手を抜く気は無い

 

 「流石にこれは時間が掛かるからな、グリムを使って滅ぼすことも考えたがあの国には他の奴隷も居る」

   他の奴隷も居る」

 

 時間を重要視するのならば殲滅が早かったりするのだが流石にそこまでやるきにはなれなかった

  なかった

 

 「んじゃ香織、雫 作戦開始だ」

 

 「「うん(ええ)」」

 

 

 そうしてハジメのトータス蹂躙ツアーは幕を開けるのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 オルクス大迷宮、表では無く裏の五十階層

 

 ユエが封印されていた場所にハジメは転移してきた

 

 「・・・誰?」

 

 抑揚のない、ハジメの知る彼女とはまるで違う声

 

 けれどもその声はハジメにとって特別な物

 

 「本当、よくこんな場所に封印したよな」

 

 全てを知るハジメは思わず呟く

 

 「なぁ、ここから出たいか?」

 

 「・・・出して、くれるの?」

 

 「あぁ、だが条件がある」

 

 「私に出来る事なら何でもする、だからここから出して」

 

 抑揚のない声から一転、必死さを感じる声音

 

 「分かった、ならまずはここから出してやる」

 

 そう言ってハジメは封印石に手を触れ、錬成を開始する」

 

 「・・・嘘」

 

 ユエにとって何よりも苦痛を与えて来た封印が見る見るうちに解かれていく

 

 「生成魔法だけでも、変性魔法だけでもダメとは、本当お前の叔父さんは過保護だよ

   な」

 

 最初の頃は言うに及ばず、神話決戦前の成長によりさらに鮮やかに封印を解いていく

  ていく

 

 そうしてユエの封印は解かれた

 

 「・・・ありがとう、それで私は何をすればいい?」

 

 「簡単だ、俺の手を握ってくれ」

 

 「ん、分かった」

 

 疑問を感じつつも恩人であるハジメの願いを聞き、手を握るユエ

 

 そうして発動する概念魔法

 

 

 「これ、なに・・・ハジメ?」

 

 天性の才覚というべきか香織たちは時間のかかった記憶の定着がユエは一分もせずに終了した

  了した

 

 「あぁ、久しぶり、てのも変だが大体わかったか?」

 

 「ん、全部分かった・・・でも神代魔法、全部使えない」

 

 「あぁ、だから今から取りに行く。ミュウも助けないといけないから最速でな」

 

 「ん、でも私の魔力全然ない」

 

 「それも大丈夫だ、ほらっ」

 

 そう言いながらハジメが投げたのは魔晶石、これで魔力は十分

 

 「それじゃあ行くか」

 

 「何がくるかは分かってる、私とハジメなら余裕」

 

 

 そうしてハジメとユエは本当に休むことなく(再生魔法で回復しつつ)オルクス大迷宮を怒涛の勢いで攻略したのだった

  怒涛の勢いで攻略したのだった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 生成魔法を入手してそのままハジメとユエはライセンにやってきていた

 

 その理由は勿論二人にとって掛け替えの無い存在であるシアに合うため、そして本来なら亡くなるハウリア族を救う為だ

  ら亡くなるハウリア族を救う為だ

 

 「確かここらへんのはずなんだがな・・・おっ」

 

 「ん、見つけた」

 

 だがハジメたちが探すのはシア達ではなく彼女たちを襲った帝国兵

 

 その世界に染み付いた文化を否定するきはなかったハジメだが流石に彼らの言動には目に余るものがある

 

 

 何よりもシアを悲しませた時点で帝国兵の運命は決まり切っている

 

 

 天より振り下ろされる魔王の権威

 

 相手と顔を合わせることなく、彼らの生涯は幕を閉じる

 

 

 

 

 そうして帝国兵を排除したハジメたちはハウリア族を探し、見つけた

 

 そこからはユエの時と同じように近づき、記憶を定着させる

 

 「ハジメさん‼」

 

 本来なら失われるはずだった仲間たちが生き残り、感謝の気持ちと一緒に抱き着くシア

 

 「気にすんな、それよりも今はミュウだ」

 

 「そうでしたね、それじゃあちゃちゃっと飛びましょうよ」

 

 「だな、レミアにもケガさせたくねぇし」

 

 結局の所ミュウもレミアも大事で仕方ないハジメ、内心を知るユエとシアは微笑ましそうに眺める

  うに眺める

 

 「そういえばミレディさんの所にもいくんですよね、どうするんですか?」

 

 「どっちにしてもエヒトは殺すからな、話すさ」

 

 「そうですか、でも今の私達なら以前の様にはなりませんよね」

 

 「ん、もう絶対アレに乗っ取られたりしない」

 

 「当然だ、魂璧はあるし他にも念を入れる」

 

 成長し、油断のないハジメたちに果たしてエヒトは勝てるのか

 

 なんて会話をしつつ三人は転移する

 

 

 

 そしてとんだ場面では丁度ミュウが攫われるという所だった

 

 「いや、助けて・・ママ」

 

 そんな声は空しく彼女は捕まる、はずだった

 

 ドパンッ

 

 電磁加速させたドンナーがミュウに襲い掛かる男たちを殺しつくす

 

 「大丈夫だったか、ミュウ」

 

 「みゅ。誰?」

 

 目の前での殺戮現場に動揺しつつも最低限受け答えは出来るミュウ

 

 「俺はたまたま通りすがっただけだ、それよりも本当に大丈夫なんだな?」

 

 「う、うん・・・お兄ちゃんが助けてくれたおかげで」

 

 「そ、そうか・・・じゃあ早く母親の所に連れて行かないとな」

 

 呼ばれ慣れていない呼び方に動揺しつつハジメはミュウをレミアの所に連れて行く

 

 娘が知らない人間と戻ってきたことに一瞬不信感を抱くレミアだったが理由を聞くと一

  遍、涙ながらに感謝を伝えた

 

 そこからは今までと同じ、ミュウとレミアと手を繋いだハジメは概念魔法を使用、

 

 「パパーーーーーーー」

 

 「あらあらミュウったら・・だけど貴方、私も」

 

 勢い抱き着くミュウ、ミュウを窘めつつも自分もそっと寄り添うレミア

 

 「なんだか前にもこんな感じでしたよね」

 

 「ん、あの時よりも凄い」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 レミアとミュウの記憶を定着させてからしっかり帝国も洗脳、上手く行っているかに見えた

  えた

 

 だが事はそう上手くはいかない・・・

 

 

 神域、肉体無き偽神は命じる

 

 「我が眷属ノイントよ、我が世界を変革するイレギュラーを排除せよ」

 

 そうしてこの場にはいない眷属が頷いたことを確認する

 

 

 

 「イレギュラーよ。貴様の好きにはさせんよ」

 

 そうして嗤う魂

 

 だがこれは知らない、自らの思考すらも魔王の誘導である事を

 

 

 

                                    つづく

 

 





 一気に話が進みましたね・・・

 矛盾を感じられる方も多いと思いますがハジメは正義の味方では無いと私は思っています

 救いたい物を救うし救う価値の無い物は救は無い、労力や感情的な面もある

 そして最後をご覧になってくださった方は分かると思いますがノイント(香織)vsノイン
  トの魔王の眷属と偽神の眷属の戦いです

 帝国の変化でエヒトは本来よりも早く動いているのが悪影響、になる事はありません

 ですのでどうか皆さんはお楽しみくださいm(__)m


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魔王の使徒vs偽神の使徒


 予告通りにノイントvsノイントです

 ただ再生も昇華も変性も使えない香織だと苦戦するのでもう一人います・・・そう、あ
  の人です

 それと時間軸なのですが本来ならハジメ達がステータスプレートを貰ってハジメが図書
  館に籠っていた頃です

 生成、魂魄、昇華、再生

 現時点で使える神代魔法ですが既に大分揃ってますね・・・重力はミレディとの話をや 
  るので一番最後になって変性は魔族の国を亡ぼす時にやります(空間はサクッとやる
   もです)

 それでは魔王の使徒vs偽神の使徒、御楽しいください


 

 シアとミュウにとって本来起きるはずだった悲劇を消し去ったハジメたち

 

 ついで感覚でメルジーネ海底遺跡を攻略していた

 

 「うぅ、流石にちょっと見てられないですね」

 

 ハジメとユエは特に何も感じなかったがシアは多少気味悪がる

 

 と言っても別段苦戦することもなく、ユエとシアは再び再生魔法を手に入れた

 

 そして脱出・・・すれば奴がいる

 

 「アレは確か悪食、っでしたっけ?」

 

 「ん、魔物ご先祖様」

 

 クリオネの様な見た目の化け物、以前のハジメ達を多少苦戦させた相手だ

 

 以前いたティオと香織はいない、ユエも神代魔法は使えないに等しい

 

 が、そんな事は関係ない

 

 天より降り注ぐ魔王の一撃、太陽光収束兵器「バルスヒュベリオン」

 

 膨大という言葉ですら足りない熱量が悪食に降り注ぎ、崩壊しては再生を繰り広げる

 

 だがそれも一瞬、魔王の兵器はまだまだ余剰を残している

 

 「第二、第三圧縮炉 解放」

 

 威力が三倍に膨れ上がりさしもの悪食も再生が追い付かずに滅び去る

 

 「うへぇ、やっぱりヒュベリオンは凄いですねー」

 

 「シアの言う通り、撃たれたらひとたまりもない」

 

 確かにユエにとっては天敵ともいえる兵器だった

 

 「それでどうするんですか?このままミレディさんの所に行きますか?」

 

 「あー、その前に一旦王都に戻る」

 

 「ということは香織さんや雫さんのお迎えに?」

 

 「それもなくはないんだがな、俺の予想が正しければそろそろあのクソ神が動く」

 

 「クソ神ってエヒトですよね? 確かに目立ってますけどそんなに早く動くんです?」

 

 「恐らくな、まずは城の連中を洗脳して俺を異端者認定にでもするんだろう」

 

 「全部お見通し」

 

 エヒトから魔力や力を奪っただけあって行動はお見通しらしい

 

 「あれ、でも今の香織さん達だけだと危なくないですか?」

 

 「確かに今の香織たちは強くない」

 

 「大丈夫だ、念には念を入れて香織たちにおまけをつけてるからな」

 

 「おまけって・・もしかして」

 

 シアの中である予想が経つ、ハジメさんニッコリ

 

 「ハジメ、あくどい」

 

 「いいじゃねぇか、見てみたくなったんだよ」

 

 そんな会話を繰り広げつつハジメ達は王都に転移した

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ハイリヒ王国王都、ある一室にて

 

 「まさかハジメさんが過去にやってくるなんて・・信じられません」

 

 「そうね、私達もあまり実感は無いの、だけど」

 

 「ハジメくんとのつながりを感じる、だよね」

 

 リリィと雫、香織が優雅にお茶を飲んでいた

 

 ハジメがオルクスに向かう以前にリリィと愛子の記憶はハジメと同期してある

 

 その愛子もこの場に参加したかったのだが、未だに慌てている生徒を放っておけるわけもなく、現在は安心させるために奔走している

  もなく、現在は安心させるために奔走している

 

 「それで上の人たちはハジメの事をどうする気なの?」

 

 神の使徒の1人が行方不明、あまり外見がいいとは言えない

 

 「・・・そんな人間は居なかった、という事にするそうです」

 

 最愛の相手の存在を否定されリリィはとても不機嫌で、悲しかった

 

 「でも私達にとっては良いよね、複雑だけど」

 

 「そうね、私達の目的としては悪くないはずよ」

 

 なんて会話をしつつ香織と雫はリリィにハジメの計画を説明する

 

 「・・・なるほど、確かにあの力を使えば可能性がありますね」

 

 「うん、だけど時間を巻き戻すなんて事があったから慎重にいきたい」

 

 「けれどまずはユエに全ての神代魔法を覚えて貰わないと、話はそこからよ」

 

 「うん、オルクスだから生成魔法と樹海で昇華魔法、ミュウちゃんとレミアさんを助けるなら再生魔法も手に入るから後は重力と魂魄、空間に変性魔法だね」

   るなら再生魔法も手に入るから後は重力と魂魄、空間に変性魔法だね」

 

 「私は詳しくないのですが随分早いですね」

 

 「そうね、以前はかなり時間が掛かったみたいだけれど、今のハジメはフル装備だから」

 

 神殺しの魔王にとって一度攻略した迷宮は簡単すぎる

 

 そうしてのんびりとお茶会しているとある二つの影が

 

 「皆さん、ノイントが動き出しました」

 

 「主の言う通り本来より早かったですね」

 

 アラクネに憑依して今では機械の体と妖精の肉体を手に入れたノガリさんとエガリさんだ

  だ

 

 「ようやく来たんだね、それじゃあリリィ、雫ちゃんちょっと行ってくるよ」

 

 「ええ、気を付けてね」

 

 「ほ、本当に大丈夫なのですか?」

 

 リリィの心配はもっともで今の香織のスペックは使徒と同じだが神代魔法は殆ど使えない

  い

 

 得意としている再生魔法が使えるならば彼女もここまで心配しなかった、だが

 

 「ご心配なく、香織さまと共にこのノガリも戦いますので」

 

 「そして私は先生の護衛です」

 

 確かに元神の使徒が居れば安心だ、そう確信したリリィは一息つく

 

 「それじゃあノガリさん、早く倒さないと洗脳されちゃう」

 

 「そうですね、と言っても以前は私も彼女でしたから洗脳を解くくらいは朝飯前なのです」

   す」

 

 なんて意味のない自慢をしつつも香織とノガリは飛び立った

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 神山上空

 

 丁度ハジメが愛子を救出してノイントと対決した時と同じ場所

 

 そこにエヒトの遣わした人形は居た

 

 「これより、我が主の命令を実行します」

 

 まるでプログラムの様に抑揚のない声で言いきるノイント、そしてそこに

 

 「うわー、以前の私ってばあんなんだったんですか? ドン引きですよ」

 

 「じ、自分にそこまで言えちゃうんだ・・でもこの体の元になった人はこんな感じだったんだー」

   たんだー」

 

 ノイントの声とは一転、和やかな声が響く

 

 「・・・何故、私が」

 

 場違いな話ではなくノイントは香織の体に驚きを隠せなかった

 

 そして一度落ち着こうとしたがもう一度驚くことになる、何故なら

 

 「あなたも、私なのですか?」

 

 そう言って香織ではなくノガリに声を掛ける

 

 「半分正解、いえこの中に居る姉妹の事を考えれば一点ですね」

 

 自分と全く同じ姿形をした存在

 自分と同じ反応をする存在

 

 あまりにもあんまりな展開に神の使徒とは思えない声を出しそうになる

 

 だがそれも抑え、彼女は自身の目的を実行に移す

 

 「あなた達がどのような存在なのか知りませんが、私は主のご命令を実行します」

 

 邪魔をするならば消す、静かな殺気と共にそう伝える

 

 「最初からそのつもりだよ、私達は貴方を倒すために居る」

 

 「そうです、そして貴方も私達と同じように主に仕えましょう」

 

 「そうですか、ではこれより貴方達を排除します」

 

 

 そう言ってノイントは敵を排除に移った

 

 

 

 

 そうして始まった戦闘も数分が経過した

 

 ノイント、香織は双大剣での鍔迫り合い

 

 ノガリは液体金属を利用したサポートに分解攻撃

 

 神域から供給される無限の魔力を使った疑似的な限界突破を使用しなければ即終了していただろう

  いただろう

 

 だがそれでも勝負は香織たちが有利となっていく・・・

 

 「くっ、何故私の攻撃をここまで読めるのですか・・・」

 

 「あなた達とは何度も戦ったからね‼」

 

 神話決戦時に戦った神の使徒と大差はない、無論力が使えない香織だけでは厳しかった事だろう

 

 

 「あんまり時間も無いからこれで終わりだよ‼」

 

 「何を、言って・・・」

 

 その言葉を最後にノイントは動かなくなり、香織とノガリは一息つく

 

 「なるべく傷つけたくないって言ってたけどあんな罠で良かったの?」

 

 「勿論です、ですがこれで彼女も私の妹・・・」

 

 香織とノガリが使用したのは対神の使徒用のトラップだった

 

 本来は万が一、ノガリたちが暴走した時用の物だったのだが今の今まで出番はなく、今日お披露目となった

  日お披露目となった

 

 「でもこの子が簡単に忠誠を誓うかな?」

 

 「誓いますよ、何故なら我が主は全ての私達が忠誠を誓っているのですから」

 

 「あ、うん・・・確かにハジメくんに忠誠を誓ってる人たちっているよね」

 

 先ほどまでの激戦が嘘に思えてしまう会話をしながら香織とノガリはリリィたちの待つ王宮に戻った

  王宮に戻った

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 神域にて、肉体無き偽神は考える

 

 「ノイントとのつながりが切れた、次なる眷属を・・・いや」

 

 そこでエヒトはある事を思い抱く

 

 「そうだ、奴に指揮をを取らせ人間族を滅ぼせばよい」

 

 エヒトにとって右腕ともいえる眷属アルヴ、その力は自分も認める所

 

 「はははっ、見ているが言いイレギュラー。いくら貴様とて奴には勝てまい」

 

 先の敗北などなかったかの様に肉体無き意思は笑う

 

 そのイレギュラーにとって偽神の考える事など手に取るように知られている事など知らずに…

  ずに・・・

 

 

                                    つづく





 ・・・疲れた

 かなり無茶な話になりましたがどうしてもノガリさんではなく「ノイント」が欲しかった

 ノガリも嫌いじゃないんですがクールに命令を実行、無表情なノイントが大好きなんです

 そんな訳でノイントの体と精神はそのままに魔王の配下となってもらいます・・・ハジメ
  の主力ならいける‼

 次回は書いてある通り魔人族VSハジメ

 悪魔付きグリムと(元)神の使徒が大暴れします

 


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忠誠と蹂躙、そして咲き誇る花々は


 檜山アンチタグ付いてますけど現状は微塵も出てこない訳でして・・・面倒だし無視しよ
  うかな?なんて思ってる次第です

 それはさておきノイントと恵理を嫁~ズに追加したくて仕方ないです

 なのでまずはノイントから・・・恵理は全部片付いてからおまけとしてやろうと思います

 現在の時間ってまだハジメが落ちる前ですからね


 

 ノイントを撃破した香織たちが戻ってきた時、ハジメ達も戻って来ていた

 

 「我が主、ノイントの体を無傷で、精神も残した状態で獲得しました」

 

 「おう、よくやった」

 

 そんな風に主従する、が

 

 「偉いですか?偉いですよね? もっと褒めてくださっても良いんですよ‼」

 

 「調子に乗んな」

 

 流れるようなアッパー、どこぞの変態で手馴れているからか実に無駄がない

 

 「ハジメ、まだメイドを増やすの?」

 

 「本当、ハジメさんはメイドスキーですね~」

 

 「え、もしかしてハジメ君がノガリさんに命令したの⁉」

 

 「・・・言っとくが俺は命令してないからな、ノガリが勝手にやっただけだ」

 

 「ですが主、彼女の体と精神は有用です」

 

 あまりにも自然な入り込み、できる秘書感が凄い

 

 「姉さんの言う通りですよ、決して私は姉妹を増やして主の兵器としての地位を盤石にしようだなんて思ってませんからね!?」

  しようだなんて思ってませんからね⁉」

 

 なんて分かりやすい言い訳、全員がそう思いつつも話が進まないので気にしない

 

 「エガリさんの言う通りハジメさんの役に立つでしょう、問題は・・・」

 

 「どうやって彼女をハジメさんに忠誠を誓わせるか、ですよね」

 

 「・・・洗脳、する?」

 

 「あ、確かにユエが神山で魂魄魔法手に入れたら出来そうだよね」

 

 「そうね、だけど幾ら今のハジメでもエヒトから奪えるのかしら」

 

 偽とはいえ神として崇められるエヒトの使徒、そう簡単に洗脳は出来ないと誰もが思った

 た

 

 だがそれを否定する声が二つ

 

 「ご心配は無用です、主が少し説得し力を示せば忠誠を誓うでしょう」

 

 「それに私達が元アレの使徒であったことをお忘れなく」

 

 エガリ&ノガリが自信満々に言いきる、根拠はないが出来そう感が凄い

 

 「まぁ、やるだけやってみるか」

 

 ハジメとしてもウザくない上に忠実に命令を実行するメイドは欲しい所だった

 

 決して自分のメイドにしたいとかではない、宝物庫を渡してメイド服から戦闘服にコスチュームチェンジが見たいなんてことは絶対にない

 チュームチェンジが見たいなんてことは絶対にない 

 

 「んじゃあちょっくら話してみるか・・・」

 

 

 

 そうしてエガリ&ノガリ主導の元ノイントを再起動、力の全てを封じる空間で面接は始まった

 まった

 

 「貴方も私達の様に主に使えましょう‼」

 

 「お断りします」

 

 最初は断固として認めないノイント・・・だったのだが

 

 

 

 数時間後、アワークリスタルと同じくその空間では時間の流れがひどく遅い

 

 そのため現実ではまだ一時間も経って居ないのだがそれは置いておく

 

 まず現状を見せよう

 

 「ハジメ様、どの様なご命令でも承ります」

 

 そう言って家臣の礼を取るノイント

 

 「あ、あぁ。何かあれば頼む」

 

 「はい、私は貴方様の忠実な部下。以下様なご命令でも熟して見せます」

 

 先に言ってしまうなら洗脳はしていない、ハジメとの会話やノガリ&エガリの誘導でこうなったのだ

 うなったのだ

 

 その事実に流石のハジメもドン引き、命じれば迷わず命すら捧げそうな忠誠にはもっとビックリ

 ビックリ

 

 「ではどういたしましょう? エヒトを亡ぼしますか?それとも苦しめて滅ぼしますか?」

  か?」

 

 「あ、うんもうちょっと待っててくれ(エヒトへの殺意が高い)」

 

 「私は貴方様に忠誠を誓う身、ですがどうかエヒトの最後には同行の許可を」

 

 今まで通り無表情だというのに殺意や怒りが凄まじく以前よりも強く見える

 

 なんて思いつつハジメはノイントに最初の命令を下す

 

 「最初の命令だ、覚悟は良いな」

 

 「はい、勿論でございます」

 

 そう言って再び例をするノイントとハジメはある場所に向かった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ハイリ比王国の国境沿いに、ある集団が居た

 

 「うへぇ、魔人族だけじゃなく魔物に使徒もいっぱいいますよ」

 

 「神話決戦の時ほどじゃないけど多いね」

 

 「あんな数の敵に蹂躙されれば我が国所か帝国も合わせて人間は滅ぶでしょうね」

 

 等と数には驚いているが微塵も恐怖を感じていない嫁~ズ

 

 「それだけエヒトも本気という事でしょう、我が主」

 

 「自分の眷属であるアルヴが居ればイレギュラー如き叩き潰せる、ついでに勇者を手に入れる気なんでしょう」

  入れる気なんでしょう」

 

 「確かにアレなら考えるでしょう、どういたしましょうか?」

 

 ノガリ&エガリにノイント、元神の使徒が揃ってハジメを見る

 

 「敵って言うなら容赦なく潰す、それだけだ」

 

 別段気負うことなくハジメは言いきる

 

 「ハジメ君、私達も手伝おうか?」

 

 「ん、まだ重力と空間は無いけど潰せる」

 

 物騒極まりない香織とユエの発言にハジメは少し考えて

 

 「いや、この戦いはエヒトも見てるだろうからなるべく力は見せたくない」

 

 見せた所でゴリ押し出来る訳なのだが油断は禁物

 

 「ここは俺が一人でやる・・・出てこい」

 

 そうハジメが宣言すると同時に宝物庫が赤く光り輝く

 

 ユエ達でさえ多少気圧される威圧感、風圧

 

 それは魔王軍が出現する時の合図

 

 現れるのは様々な外見をした機械の獣、大亀に大鷲、研究段階で会ったドラゴン型も居る

 る

 

 無数の兵器を搭載した死神が声にならない咆哮を上げる、グリムの中に潜む悪魔たちが暴れられると分かり、高揚してしまったらしい

 暴れられると分かり高揚してしまったらしい

 

 一体で人間の軍隊を容易く滅ぼせるグリムリーパーの数は5000

 

 それだけでも魔族にとっては死を覚悟することだった・・・だがそれだけでは無い

 

 

 血を食らう獣の様な外見をした死神と正反対の見た目、雰囲気の天使たち

 

 かつてエヒトに作り出され、無数の敵を屠ってきた彼女たち

 

 妖精界で手に入れた権限をフル活用、グリムに負けない数の使徒が降臨する

 

 

 地獄に居そうな外見をした死神

 

 天界より遣わされ、神の意志を代行するような外見をした天使

 

 正反対とも言える2つの上に立つ者、それこそが神殺しの魔王 南雲ハジメなのだ

 

 

 悪魔と天使を従える魔王は彼らにただ一つ指示を下す

 

 「・・・蹂躙しろ」

 

 その言葉を受けた悪魔と天使は動き出す

 

 これより始まるのは戦では無い、蹂躙である

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 エヒト直属の眷属であるアルヴヘイトは自らの力をこの世で最も強いと自負していた

 

 無論神域におられるあのお方と比べれば塵にも等しい、だがあの方は今だあの場に囚われている

 われている

 

 だからこそ自らはこの世に生きるものの誰にも負けない・・・そう思っていた

 

 

 だがそれは幻想でしかなかった

 

 目の前に映るのは蹂躙されていく配下たち、そして主が作り出した使徒たち

 

 自分と比べれば塵に等しいとはいえこの数、何よりも使徒が敗れるなど予想だにしていなかった

 なかったこと

 

 「・・・あぁ」

 

 普段のアルヴは幾ら兵が散ろうと自分が生きてさえいれば、自らが出向けば解決する

 

 そう思っていた、だが現在のアルヴにそれはない・・・つまり

 

 「何故、神の眷属たる我が・・・」

 

 アルヴ自身が出陣し、神代の魔法を使用しても尚このありさまなのである

 

 「貴様は…なんなのだ。イレギュラー」

 

 主の言った最優先目標、手を抜きなどしなかった

 

 自らの放つ神代の魔法も、主には及ばずとも命令を実行させる神言すらも。あのイレギュラーは破った

 ギュラーは破った

 

 「わ、我は神である‼」

 

 虚勢、神であるはずの自分が恐怖を感じない為にそんな発言をした

 

 「うるせぇよ、お前に最初から用は無い。俺が用があるのは・・・」

 

 そうしてハジメはアルヴを注意深く見通す、明確な隙だったが今のアルヴに反撃する力はない

 はない

 

 死神と天使の総攻撃、神域から供給されるはずの魔力を断ち切る弾丸

 

 その他あらゆる方法にてアルヴは痛めつけられ、ハジメの指示1つで滅びる所であった

 

 「・・・何故滅ぼさない?」

 

 死にたくない、滅びたくない

 

 そんな初めて感じる感情に支配されるがそれを押さえつけてアルヴはハジメに問う

 

 だが当のハジメはまるで無視・・・そして呟く

 

 「・・・見つけたぞ、お前の核」

 

 「貴様何を言って・・・」

 

 意味も分からず聞き返すアルヴの言葉は途中で途切れる・・・それがアルヴヘイトの最後の言葉になる

 後の言葉になる

 

 「・・・ハジメ、ありがとう」

 

 「気にすんな、けどやっぱり魂の方は無理だった・・・悪い」

 

 何故ハジメがアルヴを中々殺さなかったのか、それは依り代とされていたユエの叔父とアルヴの魂を分離し、アルヴの魂だけを滅ぼす為であった

  アルヴの魂を分離し、アルヴの魂だけを亡ぼす為であった

 

 「ううん、助けられなくても叔父様の体を埋葬できるだけ幸せ」

 

 以前は暴走したハジメによって滅ぼされた、だからこそ今回は救いたかった

 

 「叔父様の気持ちを私は知ってる、それに叔父様の願い通り私は幸せ」

 

 「・・・そうか」

 

 そうしてアルヴの消滅を機に魔人族は瓦解、全て滅びた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 かつてユエが治めていた国の跡地

 

 そこに一つの墓標があった

 

 「・・・どうか安らかに」

 

 ハジメたち全員が静かに黙祷を捧げる

 

 「・・・ハジメ、帰ろう?」

 

 まだ居たい気持ちを抑え込み、ハジメに手を伸ばすユエ

 

 「・・・そうだな」

 

 ユエの手を取り、香織たちが便乗してさりげなくノイントがハジメに寄り添ったり

 

 そんな賑やかな場所、そこには無数のデュランタの花が咲いていた

 

 

                                    つづく





 デュランタの花言葉「何時までも見守っています」

 叔父様は復活√も考えてたんですがユエの治めていた国の跡地で安らかに眠り、ユエ達を
  見守っていて欲しいと思い止めました
 
 次回は残りの神代魔法を手に入れてミレディとの話、そして神域に突入ってなると思いま
  す

 紹介にハジメたちがどれだけ早く帰れるか、蹂躙できるかをお楽しみください
 と書いてあるので恵理とかノイント、ミレディがヒロインになる話はエヒト倒してからや
  ります


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大迷宮攻略と使徒の気持ち

 大迷宮を一気に攻略‼

 と考えて居たんですが思いのほかやりたいことが出来たので火山と氷雪洞窟を攻略します

 そしてノガリ&エガリを超えていくノイントをお楽しみに

 コメディ要素を入れたいんですが私にそう言った才能が皆無なのでイチャイチャでお許し
  を

 私のノイント愛が爆発したので少しだけハジノイがあります


 魔人族が滅んでから数日後

 

 人間たちは当初、ついに戦争が始まると覚悟を決めたりなんだりと悲壮な面持ちだった

 

 だが魔人族は国の国境付近で消息を絶ち、2度と現れない

 

 その事に不気味さを覚える市民たちに教会関係者たちは言った

 

 「これはエヒト様の力である、神が我らをお救いになったのだ」

 

 その信託は瞬く間に広まり、一転し喜びに打ち震えた

 

 

 魔人族を率いたのはエヒトの眷属であり命令した張本人であるという事など知らずに

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ハイリヒ王国上空

 

 様々な仕掛けで隠された一隻の船が浮かんでいた

 

 その船の名はアーヴェンスト、かつて亡国の女王とその民を乗せて戦った戦艦

 

 その一室で作戦会議が行われる

 

 「一旦整理するぞ、いつも通りトータスへの扉を開こうとした俺が出たのは数年前のトータスだった」

   トータスだった」

 

 「うん、ステータスや宝物庫の中はそのままにハジメ君だけが、だよね」

 

 「何でもありよね、ハジメの概念魔法のお陰で私達は何とかなったけど」

 

 「ですねー、ハジメさんのお陰で誰も死なずに済みました‼」

 

 「シアお姉ちゃんの言う通りなの‼ パパが助けてくれたお陰でミュウは捕まらなかったし、ママも怪我をしなくて済んだの‼︎」

   て、ママも怪我をしなくて済んだの‼」

 

 エリセンにて待機していたミュウとレミアも現在はハジメたちと共に行動している

 

 「ん、叔父様の事ありがとう。ハジメ」

 

 「気にすんな、俺もあの時は救えなかったからな」

 

 全てにそうする訳では無い、大切な人の大切もハジメは大切にしたかった

 

 「ですがハジメくん、これからどうするんですか?」

 

 「愛子さんの言う通りです、やはり神代魔法を最優先で?」

 

 ようやくクラスが落ち着いた為に合流した愛子と割と国を見限りかけているリリィ

 

 「リリィの言う通り迷宮攻略を最優先にする、ノイントを倒してアルヴも滅ぼしたとなれば流石の奴もしばらくは動かないだろう」

   なれば流石の奴もしばらくは動かないだろう」

 

 例え使徒を何千、何万と送り込んだとしても無意味だと知らしめた訳だ

 

 そしてその撃たれた使徒は

 

 「はい、私は主様に倒されそのメイドとなりました」

 

 今まで通り無表情、なはずなのに少しだけ恍惚として頬が赤いのは気のせいだろう

 

 「とにかくだ、ここにいる全員が神山を攻略して魂魄魔法を手に入れた」

 

 そう、リリィも遂に神代魔法を手に入れたのだ

 

 「残りは空間と変性、そして重力魔法の3つ」

 

 「どこから行きましょうか、以前4人で攻略した時も簡単だったグリューエンにします?」

  

 

 常に死と隣り合わせの大迷宮で簡単? 

 

 そう誰もが思ったが口にはしない、だって攻略した全員がバグってるから

 

 「まずはそうだな、次に変性で最後にライセンでミレディに合う予定を組んでる」

 

 「そっか、ミレディさんの念願だもんね・・・」

 

 「最初の時と違ってハジメさんも協力的ですから色々お話しできるかもしれませんねー」

   ねー」

 

 「ん、腕が鳴る」

 

 

 「空間魔法も持っておいて損は無さそうですけど私の力では・・・」

 

 「私は更に戦う力がありませんからね、魂魄魔法だけでも嬉しいです」

 

 意気込む面々と残念がる愛子、神代魔法を手に入れて少し浮かれているリリィ

 

 そんなカオスな空間を少しほっこりしながら眺めつつ、ハジメは

 

 「行くぞ、ゲートはもう開いた」

 

 そう言って先にゲートを潜るのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 グリューエン大火山

 

 攻略するメンバーはユエ、シア、香織、雫の4人

 

 「やっぱりハジメさんのアーティファクトはチートですぅ」

 

 「そうね、最初に黒刀を貰った時から思っていたけどチートだわ」

 

 なんて微笑ましそうに会話しつつ魔物をぶった切るシアと雫

 

 「うぅ、ハジメ君のくれたこれが無かったら絶対に途中で集中切れてたよ」

 

 「ありえる、香織は注意が散漫」

 

 「そうだよね、だからハジメ君も取られちゃうし」

 

 「それは違う、ハジメは生まれた時から今までずっと私の物だった」

 

 「あはは、ユエは面白い事を言うねー、ブンカイッ‼」

 

 「甘いっ‼」

 

 ハジメの居ない現状では致命傷所では無い分解攻撃、だが慣れた様に躱し迫って来ていた魔物に当てるユエ

  ていた魔物に充てるユエ

 

 会話を聞いていなければ完璧なコンビネーションだったことだろう

 

 以前攻略した大迷宮、ハジメが用意した強力な武器に体感温度を調整するアーティファクト

 

 

 それだけあれば負けるはずもなく、ユエ達一行はショートカットする必要もなく恐ろしい速さで攻略していった

  い速さで攻略していった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 グリューエン大火山上空、アーヴェンストは滞空していた

 

 「ユエさん達はどのくらいで戻ってきますかね?」

 

 「私達に出来ることが無いとはいえ、やはりこうしてただ何もせず寛ぐのは抵抗がありますね」

 

 

 「それでは私達3人でユエさん達が返って来た時用のご飯を作りましょうか」

 

 「いいですね、流石はレミアさんです」

 

 残っていた愛子、リリィ、レミアは艦内の一室でそんな話をしていた

 

 「それはそうとハジメ君、中々出てきませんね」

 

 「そうですね、ミュウも眠って大分たちますけど」

 

 「ノイントさんと二人だけで一体何を・・・」

 

 ユエ達を大迷宮に送ってから別室に籠ったハジメが気になる3人はハジメの入った一室に視線を向ける

  に視線を向ける

 

 それから数分、意識を逸らそうと別の話をしてみるがやはりその場所から視線が離れない

  い

 

 そしてハジメの声は聞こえてくる、ちょっとヤバい感じで

 

 「できたーーーーーーーーーーーこれこそ俺が求めていた理想そのもの‼」

 

 「「「っっっ⁉」」」

 

 明らかに異常なテンションなハジメ、普段は落ち着いているレミアも流石に引き攣る

 

 先ほどとは逆に出て来て欲しくないと思っていると、ハジメは扉を開き現れる

 

 傍らにメイド服を着たノイントを引き連れて

 

 「悪い、煩かったか? つい声を荒げちまった」

 

 詫びつつソファーに腰かけるハジメ、腰掛はしないがハジメの傍らに佇むノイント

 

 「・・・どうしたんだよ」

 

 ハジメを見てはノイント、もう一度ハジメを見てはまたまたノイントを見る愛子達

 

 そんな3人に疑問を抱くハジメに代表してリリィが問う

 

 「ハジメさん、どうしてノイントさんがメイド服を?」

 

 「どうしてって従者と言ったらメイドだろ?」

 

 何を当たり前の事を、とちょっと腹の立つ返しをするハジメ

 

 「あらあら、ハジメさんの好みが前面に出ていますね・・・」

 

 「否定はしない、だがこれはノイントが望んだことでもあるんだぞ?」

 

 そうなの⁉ と今度はノイントに視線を向ける3人

 

 「はい、私が主様に忠誠を誓う以上は主様の望む格好をするべきだと思ったのです」

 

 きっぱりと言い切るノイント、とりあえず忠誠心どうこうよりも思想が恐ろしい

 

 

 ノイントの着ているメイド服は露出度の多い物ではなく一般的なイメージ通りのメイド服と殆ど同じ

  服と殆ど同じ

 

 だが随所に紅い模様が入っており、見る人が見れば誰が主なのか丸わかりである

 

 他にも細かい所が違う、メイドスキーなハジメの力作だった

 

 「そうですか、ノイントさんが望んだことなら・・・」

 

 「そうですね、ですけど・・・」

 

 「あらあら、ハジメさん・・・」

 

 「「「ユエさん達が戻ったらOHANASIしましょうね?」」」

 

 「・・・うっす」

 

 普段からは感じないオーラにたじろぐハジメだった

 

 「・・・主様が用意してくださった服」

 

 無表情なノイントがほんの少し頬を赤らめた事は誰も知らない

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それから空間魔法を手に帰還したユエ達が事情を聴きハジメとOHANASIした後

 

 ハジメ達は氷雪洞窟にやってきていた

 

 精神と物理、どちらも攻めてくる迷宮な訳だが挑む全員が攻略している

 

 つまりグリューエン以上に楽勝、という事で同じくハジメは愛子達と一緒にお留守番

 

 「さてと、なにするかな」

 

 これまた同じくユエ達が帰って来た時の為にご飯を作るとキッチンに向かった3人

 

 ハジメはそこには同行せずに設置した工房でアーティファクトを制作していた

 

 「弾は十分ある、兵器類の調整も万全でグリムや使徒も不具合なし」

 

 念には念を入れるハジメ、当然だが油断は無い

 

 「あの時奴には魔法を行使する上で最高の肉体があった、だが奴の魔法も油断できねぇ」

 

 

 エヒトにはユエの肉体が無く、ハジメには以前投入できなかった兵器類が山ほどある

 

 何よりハジメには最強とも言える力がある、使用したことはなく理論上でしか知らない兵器

 

 

 現在乗っているアーヴェンストをフルパワーで使いこなせれば間違いなく神域ごとトータスを吹き飛ばせる事だろう

  トータス丸々吹き飛ばせることだろう

 

 「ま、これは最終手段だな。他にも手を考えねぇと・・・」

 

 エヒト決戦時に使用したアーティファクトを作り直そうとしたその時…

 

 「主様、少しよろしいでしょうか?」

 

 「ノイントか、どうした」

 

 ノイントには視線を向けずアーティファクト製作に意識を向けるハジメ

 

 集中して居る為なのでそれは珍しい事では無い、だがノイントはそれを少しだけ寂しいと感じた

 

 

 「特に御用があった訳では無いのですが、その・・・申し訳ありません」

 

 「・・・そうか」

 

 おざなりな返答、以前は感じる事の無かった悲しいという感情に支配されあノイントは…

 

 

 「・・・ノイント?」

 

 作業するハジメの背中に抱き着き、自らの肉体を押し付けた

 

 「申し訳ございません、後ほど罰は受けます・・・ですがどうか、今だけはこのようにさせて頂きたいのです」

   させて頂きたいのです」

 

 「・・・好きにしろ」

 

 普段なら知った事では無いと振りほどき、無視しただろうハジメ

 

 何故この時はそうしなかったのか、それを今の二人は知らない

 

 けれど拒絶されなかったノイントは更に力を込めてハジメに抱き着く、自らの胸の感触をハジメに感じて貰うかのように

  をハジメに感じて貰うかのように

 

 作業するハジメと後ろから抱き着くノイント、それはユエ達が帰ってくるまでの間続いた

  

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そんなハジメとノイントを覗く影が3つあった

 

 「ノイントさん大胆です‼」

 

 「わ、私の胸ではあのような事は・・・羨ましいです」

 

 「ハジメさんの方もまんざらではない様子ですし、これは決まりでしょうかね?」

 

 愛子は頬を赤らめ、リリィは嫉妬の中に羨みを宿して、レミアは未来の事を考えていつも通りに笑った

 

 

 

                                     つづく




 ・・・本当はミレディとの話もやって一緒に神域突入、予定だったんですが無理でした

 どうしてノイントがこんな行動をとるようになったかについてはエヒト滅ぼしてからの話
  で判明します

 今回で時間も少し進んでホルアド行く直前くらいですかね?

 恵理も救ってハジメ落ちして貰いたいのでさっさと偽神を亡ぼします

 次回は書いてある通りミレディとの会話、神域突入で・・・

 エヒト戦も入るかは未定です


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神域突入、解放者たちの誇りと共に

 遂にミレディが登場します・・・長かった、というつもりだったんですがまだそんなに
  立ってませんでした

 それとタグにも追加しましたが最初の目的だったエヒト討伐して概念魔法で帰還までの話
  よりもノイントや恵理との話が長くなりそうです(本編よりも弱いエヒトに負ける訳が
  無いですから)

 そして追加ヒロインとの話が終わってからもなろうのアフターみたいな本編後の話を作る
  予定です

 ただ別枠で更新している物語も作りたいので更新ペースは落ちますm(__)m

 それでは解放者たちの夢と誇り、優しさの物語をご覧ください


 世界を支配する悪い神様を倒して真の平和な世界を作る

 

 ミレディ・ライセンにとってかけがえの無い約束

 

 いつの日か現れるであろうエヒトを倒しうるイレギュラー、その誕生を彼女は待ち続けた

 

 何百、何千、何万・・・数えるのも馬鹿らしくなるくらいの年月が経った

 

 そうして何度も諦めそうになりながらも仲間たちとの約束を胸に待ち続けた彼女の願い 

  は叶った

 

 ここで手に入る重力以外の全ての神代魔法を所持している、それを感じ取った時ミレ 

  ディは泣きそうになった

 

 無論ゴーレムの体であるから涙は流れない、けれど

 

 「・・・待ってるよ、早く来てね」

 

 他6つの迷宮を攻略しているなら物理的な攻撃も、精神的な攻撃も効きはしない

 

 自分が信頼する仲間たちが作った迷宮の事を攻略した少年少女に向けるミレディにとっ

  て最大限の称賛

 

 けれど手を抜きはしない、唯一意思ある自分がこの目で見て確かめなければならないの 

  だから

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ライセン大迷宮

 

 トータス旅行で訪れた場所にハジメたちはやってきていた

 

 エヒト討伐でミレディとも話したい、それが全員の総意であり今までは待機していた愛

  子やリリィ、ミュウも後ろではあったがともにやって来ていた

 

 戦闘はユエとシアに香織、雫にノイント

 

 既に重力魔法を持っているハジメは念の為4人の護衛を担当

 

 「わ~懐かしいですね、あの鉄球も懐かしいです」

 

 そう言ってまた手に入れた変性魔法で強化、迫りくる鉄球を叩き潰すシア

 

 「王道ッて感じのトラップだよね~」

 

 何かを纏った鉄球を分解する香織

 

 「・・・成長」

 

 「そうね、以前も同じことをしていたけど変わったわ」

 

 親友の成長に感慨深くなるユエと雫

 

 「・・・今度作るダンジョンはこれも居れるか」

 

 「ハジメ君、お願いですから危険のない物にしてくださいよ⁉」

 

 「アトラクションパークですか、地球は本当にそういったお金、経済関連が素晴らしい

   です」

 

 マッドなハジメ、相変わらずな愛子、金の亡者みたいになっているリリィ

 

 「パパ~、今度はミュウも遊びたいの」

 

 「ミュウ、お願いだからハジメさんかお姉ちゃん達の誰かが居る時にするのよ?」

 

 本当にテーマパークに遊びに来たような感じだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それから騎士ゴーレムとの戦闘があり(チート集団に一瞬で滅される)

 

 またまた最初に地点に戻され、煽られるという展開に3度も会うハジメたち

 

 等々ありつつも神代魔法を殆ど入手したユエ達の敵ではなく、圧倒的スピードで攻略し

  ていく

 

 そして遂にたどり着く、ボスステージへと

 

 「やっほー、皆大好きミレディちゃんだぞ♡」

 

 「「「「「「「「ウザッ」」」」」」」」

 

 全員の言葉が一致した

 

 「初対面の人にそれは酷くないかな? もしかして礼儀も知らないのぉ?」

 

 煽る、ひたすら煽ってくる

 

 「上手い挑発、乗ってあげる」

 

 「ですね~、このミレディさんは覚えて無いとはいえあの時の辱め、絶対仕返しで

   すぅ」

 

 「あんまり魔力は使いたくないけどあの時のリベンジだよ、雫ちゃん‼」

 

 「私達が勝てなかったのはハジメが改造した奴だけどそうね、せっかくだし挑みましょ

   う」

 

 「解放者ミレディ・ライセン、貴方の生前を私を知っています・・・ですがそれはそ

   れ、これはこれです」

 

 普段からは考えられない殺気、少しだけ気圧されながらハジメは戦えない4人を守る為

  クロスヴェルトによる結界を何重にも張る

 

 「なんだかよく分からないけどいいや、けどその前に」

 

 あの時と同じく彼女は問う、挑んでくる少年少女の目的を

 

 「君たちの目的は何? ここ以外の神代魔法を持ってるって事はあのクソ野郎の所業は

   知ってるよね」

 

 成長したハジメ達でさえ圧倒される冷たい声

 

 以前のハジメは帰還するため、神殺しなど興味は無いと言った

 

 だが今のハジメは違う

 

 「一番の目的は元の世界に帰る事だ、だがエヒトは絶対に殺す。生きている事を苦痛に

   感じる程徹底的に、な」

 

 ミレディ程ではないが冷たく、けれど獰猛な声音と雰囲気で返す

 

 「・・・そっか、そうなんだ」

 

 「御託は良い、さっさと倒されて重力魔法をよこせ」

 

 「もぅ、せっかくいい雰囲気だったのに・・・けどそうだね、君たちの願いは分かった

   よ」

 

 それで雑談は終了、全員が戦闘態勢に入る

 

 「それじゃあ、行くよ‼」

 

 先制ジャブとばかりにその腕を振るった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ユエ達vsミレディゴーレム

 

 ミレディに油断はなく挑み騎士ゴーレムを召喚

 

 その相手を刀群を召喚した雫が対処

 

 本体の相手をユエ、シア、香織、ノイントが担当

 

 「あのゴーレムの弱点は心臓の核。香織、ノイント‼」

 

 ユエの指示によって飛び立つ2つの影

 

 黒い髪と白い髪

 

 魔王の使徒2人の合わせ技

 

 「「分解っ‼」」

 

 双大剣から放たれた二撃は見事ミレディゴーレムを守る防壁を消し飛ばし、最奥のアザ

  ンチウムすら打ち砕く

 

 「えっ⁉ 鉱石の中でもめちゃくちゃ固いはずなのに、ていうかその攻撃弱まってそれ

   なの⁉」

 

 何でもない場所であればそれで終わっていた、さしものミレディも呆然自失

 

 「こうなったらっ‼」

 

 以前も見せたミレディ必殺の天井落とし、回避は極めて困難

 

 だがそもそも当たらなければどうという事はない

 

 「・・・天球」

 

 空間魔法を昇華魔法で引き上げて放つ最上級魔法

 

 落ちてくる天井を空間魔法で別の場所に転移する

 

 言うは易し行うは難し

 

 日々の鍛錬とユエの圧倒的才能があってこそできる離れ業である

 

 そして必殺の天井落としを防がれ、呆然とするミレディの隙を逃しはしない

 

 「ミレディさん、これで終わりですぅ‼」

 

 身体強化と変性魔法、昇華魔法に再生魔法と持てる技の全てを使って接近

 

 そうしてミレディの核に叩き込まれる一撃

 

 「・・・もう、可笑しいでしょ」

 

 思わず素に戻ったミレディの言葉だった

 

 

 

 「・・・やられちゃったね、それじゃあさようなら」

 

 光の粒子となって消滅するミレディゴーレム、しんみりとした空気になると彼女は思っ

  た

 

 「ん、また後で会う」

 

 「そうですねー、今もしんみりした空気をぶち壊して驚く私達の顔を想像してるんで

   しょうか」

 

 「・・・ねぇ、どうして全部知ってるの?」

 

 今までの余裕はなく、問うミレディ

 

 「それも合わせて後で話すさ、まずはお別れだ」

 

 そう言って何とも閉まらない感じで戦いは終わった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ミレディ本体が過ごす空間

 

 「はい、これで重力魔法と概念魔法が使えるよ」

 

 「ん、やっぱり重力魔法が無いと困ってたから助かる」

 

 「ふふんっ、だよねミレディさんの魔法ってば超優秀だから‼」

 

 「調子に乗んな、さっさとお前の持ってる神殺しの概念の宿った短剣を持ってこい」

 

 「ねぇ、ずっと思ってたけどどうして君だけ全部の神代魔法持ってるの? 概念魔法の

   事はともかく形が短剣だなんて誰も言ってないはずだし・・・」

 

 「俺が未来からやって来てとっくの昔に神代魔法コンプも神殺しもやってるからに決

   まってるだろ」

 

 「そっかー、そうなんだ・・・って本当にあのクソ神を殺したの⁉ていうか未来からっ

  てそんなのあり⁉」

 

 「落ち着け、お前が短剣を持ってきたら全部話す」

 

 そう言われては仕方ないと思いいそいそと短剣を持ってくるミレディ

 

 

 それからハジメたちの知る未来、現状を話した

 

 「そっか、未来の私はクソ神を倒した世界で君たちを助けられたんだね」

 

 嬉しそうな、誇るような感じで呟くミレディ

 

 「あぁ、あんた達解放者は立派だった」

 

 「ん、誇り高い最後だった」

 

 掛け値なしの賞賛と敬意、ハジメとユエから滅多に出ない言葉

 

 それは香織たち全員も同じこと、

 

 「それで、君たちの話を聞いてると神域にはもういけるんだよね?」

 

 「あぁ、何なら今からでも行けるがどうする?」

 

 「・・・少しだけ、待ってもらってもいいかな」

 

 「分かった、ユエ達も疲れてるだろうししばらく休む。お前も俺たちの船に来るか?」

 

 「ううん、ここでやりたい事があるから」

 

 「そうか、先に言っておくが死ぬことはない。だから準備や覚悟を決めるだけで良い

   ぞ」

 

 言外に遺書など書く必要はない、そう伝えるハジメ

 

 「・・・分かった、それじゃあまた後で」

 

 そうしてハジメ達とミレディは一度別れた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ハジメ達が去った数分後

 

 「・・・そっか、私達の夢は叶ったんだ」

 

 人の身を捨て待ち続けたその時がもう間もなくとなった

 

 「それにしても、皆似てたなー」

 

 記憶の彼方、けれどミレディ・ライセンにとって掛け替えの無い仲間たち

 

 「ハーちゃんはオーくんに似てる所があって、皆楽しそうだった」

 

 久しく忘れていたあの賑やかさ、それがミレディに当時の光景を連想させた

 

 「それに遺書は書かなくていいなんて言われちゃった・・・」

 

 傲岸不遜で自分のからかいを全く相手にしない少年

 

 「全部終わったら絶対にハーちゃんをからかってやる」

 

 エヒトを倒した後の世界

 

 平和になった人々を見守ること以外にミレディに夢は無かった

 

 けれどこの時、何万年ぶりに彼女に新たな夢が出来た

 

 「・・・皆、もしかしたら私がそこに行くのは先になっちゃうかも」

 

 心の支えとなっていた写真を眺めながらそんな事を呟くミレディ・ライセンであった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ミレディと別れたハジメたちはアーヴェンストで思い思いに過ごしていた

 

 ハジメ以外まとももエヒトと戦ったことはない

 

 ユエの体を使っていたとはいえあのハジメをギリギリまで追いつめ、一瞬でも気を抜け

  ば敗北していた

 

 そんな神を相手にすると考える香織と雫は戦闘には参加しない愛子やリリィと過ごして

  いた

 

 ユエとシアの二人は敗北は無くとも万が一が無いよう油断なく、精神を集中させる

 

 そしてハジメはミュウとレミアと過ごす

 

 「パパ、なるべく早く帰って来てね?」

 

 「あぁ、さっさと殺して帰って来るさ」

 

 ミュウの中にハジメが、大好きなお姉ちゃん達が負ける姿など微塵もない

 

 「ハジメさん、どうかご無事で」

 

 「分かってる、レミア達がみて悲しむような怪我はしないさ」

 

 流石に怪我は避けられない、けれど体の一部を失うような怪我はしないと誓うハジメ

 

 「ノガリにエガリ、ミュウ達を絶対に守れ」

 

 「承知しました、主」

 

 「妹たちが襲ってきても同じく捕まえて主の元に持ってきますので」

 

 「あ、うん頼んだ」

 

 エヒトへの対策は万全、使徒に対する機能停止も対策済み

 

 「いざとなればこの戦艦の力で潰せ」

 

 そう言ってハジメは宝物庫からグラスプグローリアを取り出し、ミュウに預ける

 

 他にもノガリとエガリには使徒権限の許可を出しているので準備は万全

 

 「主様、願いをかなえて頂き有難く思います」

 

 ハジメ作のメイド服を着たノイントが話す

 

 「気にすんな、奴の終わりを見せるって約束だからな」

 

 「何故でしょう、元は同じはずなのにどうしてここまで差が・・・」

 

 なんて愕然とあうるノガリを無視してハジメはノイントを傍らに歩き出す

 

 

 

 そうして予定の時間、ミレディも合流しハジメがクリスタルキーと羅針盤で神域への扉

  を開く

 

 「皆、行くぞ」

 

 短く、けれど意志の籠った声でハジメは先陣を切ったのだった・・・

 

 

                                    つづく




 楽しい、楽しすぎる

 天井落としは黒天球つかって対処したかったんですがユエさん重力魔法使えなかった

 そして今回の香織とノイントの同時分解みたいな話はやります

 次回は遂にエヒトとの決戦・・・使徒とアーヴェンストはありませんが、それでも魔王軍
  のチートをお楽しみに

 という訳で次回「決戦、そして・・・」お楽しみに‼


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偽神を討て、エヒト蹂躙ツアー開幕

 ついにエヒト蹂躙ですよ

 そしてすっかり忘れてたあの兵器が登場します・・・

 負ける要素0なのでひたすらボコります

 勇者に憑依して戦う展開も考えたんですが勇者(笑)如きが居ても居なくても変わらないか
  なーと
 
 


 神域

 

 以前とは違い完全な状態なクリスタルキーに羅針盤がある現状でハジメたちが別の場所に

  転移することはない

 

 その為ハジメたちはエヒトの居座る空間に直接転移することが出来た

 

 「よく来たな、イレギュラー」

 

 転移してきたハジメたちの前に肉体の無い魂のような存在が現れる

 

 「あれが肉体の無いエヒト・・・」

 

 誰かがそう零す、ハジメとユエ以外は始めてみる事になる為仕方もない

 

 「まさかその娘を自ら連れてくるとは、愚かな事を・・・」

 

 そう言って肉体無き魂はユエに向かっていく

 

 最高の肉体であるユエを手に入れてこの場に居る全員を抹殺する

 

 そんな事を考えて居るのだろう、と誰もが思った

 

 

 

 が、無論そんな事態は起きない

 

 「何故だ、何故我が魂を拒絶する⁉」

 

 自らの力が十全に発揮されるその空間で自分は無敵、そう確信して疑いもしなかったの

  だろう

 

 そんなエヒトにユエは言い放つ

 

 「・・・霊爆」

 

 「な、なにをっ」

 

 茶番にすら見える光景、けれどユエがエヒトに放った技の威力は絶大

 

 魂魄魔法「霊爆」

 

 肉体を持つ者には殆ど効果を及ぼさない代わりに霊的な物に対しては甚大なダメージを

  与える上級魔法

 

 「出来るならばその肉体を手に入れてからにしたかったのだがな、仕方あるまい」

 

 苦痛が響くのか苛立ちながらエヒトは召喚する

 

 「来たれ、我が眷属たちよ」

 

 その言葉と共に現れるのは無数の神の使徒

 

 「ははははっ、アルヴを倒した時点で油断しているのだろうが甘いわ。これは我が秘術

   により更なる改良を施され、以前の数倍の力が・・・」

 

 「だからどうした、数が多いだけなら簡単だろうが」

 

 長話に付き合う気は無いハジメは最後まで言わせずに宝物庫を輝かせる

 

 「こい、死神共」

 

 中に本物の悪魔を宿したグリムリーパー 五〇〇〇体

 

 「おまけだ、これもくれてやる」

 

 天空に現れる無数の太陽

 

 太陽光収束兵器バルスヒュベリオン 一〇機

 

 全てを蹂躙する魔王の眷属が神の使徒を粉砕する

 

 全てを消し去る魔王の権威が神の使徒を消滅させる

 

 その間僅か数十秒、エヒトの繰り出した眷属は召喚された瞬間に撃滅する

 

 

 「・・・貴様はなんなのだ、イレギュラー」

 

 あっけにとられる、様に見せて内心一瞬のスキをついて滅しようとするエヒト

 

 ・・・無論そんな考えはバレバレである

 

 「貴様の望みは何だ? 我に出来る事ならば・・・」

 

 命乞いをするかの如く提案する、そして心の内で倒す手段を模索する

 

 それは神と呼ぶにはどうしようもない位に不完全で、愚かだった

 

 「俺が今望んでいる物はただ一つ、お前の死だ」

 

 「貴様、それは我が神と知っての言葉か⁉」

 

 「自分の世界を亡ぼしたから別の世界に転移して仲間たちが散っていく理由すら気づか

   ずに神様気取りしてるごみクズの間違いだろうが、さっさと死ね」

 

 「なっ、貴様は何処でそれを知った‼」

 

 「さぁな、だが創世神を自称しておきながら奈落の底すら見通せない奴よりは神だとだ

   け言っておく」

 

 「ふざけるな、ふざけるな‼」

 

 これまでの全ての行動をしのがれた事、ここに着ての侮辱に神としての威厳を捨てて激

  情するエヒト

 そしてそれこそハジメの狙い、以前の様なギリギリの戦いでは無く圧倒的な蹂躙

 

 「お前は今日この場で人間に負ける、惨めに哀れにな」

 

 「貴様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 精神体から放たれる魔法の嵐、その全てがアルヴとは比べ物にならない物ばかり

 

 「その程度か? 香織、ノイント」

 

 「「了解(いたしました)‼」」

 

 二人の手から放たれる分解砲撃、それにエヒトの放った魔法は全て消し去られる

 

 「ノイント、貴様なぜ裏切った‼」

 

 「私はただ主様に忠誠を誓い、好みの全てを捧げるだけ‼ 消えなさいくそ上司‼」

 

 私怨マシマシな一撃は他の使徒を遙かに凌駕する威力となる

 

 「エ、エヒトルジュエの名において命ずる 動くな‼」

 

 「死ね」

 

 そう言ってハジメは魔力弾を討ちまくる

 

 「我は、我は神なのだ‼」

 

 「お前は神じゃない、それを死ぬまでに理解するんだな・・・こいつと」

 

 ようやく準備が出来たと呟くのと神域に激震が走るのは同時の事

 

 「ようやく、ようやくおまえを倒せる」

 

 その声の主は解放者ミレディ・ライセン

 

 だが今彼女が憑依しているのは以前のミレディゴーレムでは無い

 

 「スーパーミレディゴーレムversionⅣの乗り心地はどうだ?」

 

 「もう最高だよ‼ まだ全部は使いこなせないけどこいつを殺すまでには全部使ってみ

   る」

 

 「そうか、なら好きなだけやれ」

 

 バトンタッチ、この世界で最もエヒトに恨みを抱く存在がその場に立つ

 

 「皆あの日の約束、遅くなっちゃったけど果たすよ」

 

 「貴様は、解放者の・・」

 

 「クソ野郎の癖に覚えてたんだね、まぁ死ぬ前に覚えて言ってよ。今から叩き潰すから

   さっ‼」

 

 そういってミレディはゴーレムの力をフル活用して攻撃を仕掛ける

 

 因みに精神体でもダメージを与えられる様に改造済みだ

 

 

 そうしてエヒトとミレディ・ライセンの戦いは幕を開けた・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 戦いが始まって数分後

 

 ミレディの方にも傷などがありつつも遙かにエヒトは弱っていた

 

 「我は神である我は神である我は神である。我は神なのだ‼」

 

 死を体感したからなのか必死になって抵抗するエヒトの姿に神の面影は微塵も存在しな

  い

 

 「お前は所詮他所から来た化け物だ、神なんかじゃない」

 

 エヒトのプライドを徹底的に叩き折り

 

 「だがこれで終わりだ、行くぞ」

 

 「「「「「「っっっ‼」」」」」」

 

 ハジメの言葉と共にユエ達全員はハジメに力を集結させる

 

 そうして力は膨れ上がっていき、その一撃は放たれる

 

 概念魔法「巻き散らした苦痛を貴方の元へ」

 

 あの日ハジメとユエがエヒトを倒した概念魔法

 

 けれどその力はこの場にいる全員の気持ちと合わさり威力を何倍にも引き上げる

 

 エヒトがこれまで行ってきた所業だけでも相当な物、その痛みが二倍、三倍と服あれ上

  がっていくのだ

 

 「がっ、ぎざま、いれぐらーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 あの日以上の苦しみを受けたエヒトはそうしてこの世を去った

 

 

 

 「・・・やったの?」

 

 それフラグ、と南雲家に染まった殆どの面々が思ったが本当に消滅したので口にしない

 

 「あぁ、お前たちは勝ったんだ。ミレディ」

 

 「ん、これで貴方は生きる英雄」

 

 掛け値なしの賞賛、それにミレディは

 

 「そっか、やったんだ・・・」

 

 力が抜けたかのように膝をつき、涙が流れているように見える

 

 その光景に誰もが何も言えずにいた、ハジメ以外は

 

 「何言ってんだ、お前の未来はこれからもあるんだぞ?」

 

 「・・・クソ神を倒したら満足、だったんだけどな」

 

 困ったような、嬉しそうな声音で話すミレディ

 

 「お前が望むなら人間だった頃の姿にも戻れる。どうするかはお前が決めればいい」

 

 「・・・君は本当に何でもありだね」

 

 そうしてしんみりとした空気は終わりを告げる

 

 「それじゃあさっさと戻ってミュウ達と飯食おうぜ」

 

 あくまでも軽く、そう言ったハジメに誰も何も言う事は無く全員で戻るのだった

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そうして悪い神様は倒され、ハジメたちは最後の目的を目指す

 

 時間を超越しての帰還、エヒト討伐以上の難度を秘めたそれをハジメたちは突破できる

  のか

 

 そしてその間に行われる救済は、誰の為に?

 

 恋する少女達の想いは届くのか

 

 

 全ては謎の中、これから分かる事なのです

 

 

                                ~第一部、完~




 ・・・やっぱり私に戦闘系は無理です

 次回からはミレディ、ノイントそして恵理との恋愛です・・・

 ただ恵理はヒロインにするかかなり迷ってます(タグから消えてたらごめんね)

 ミレディとノイントに関しては書いてて楽しいので絶対やります

 ではでは皆様、次回またお会いしましょう


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第二章
停滞と今後の方針


 今まで順番はともかく原作内の話でしたがここからは完全にオリジナルです・・・

 方針は決まってるんですが今までの様にはいかないと思いますm(__)m

 恵理と優花ヒロイン追加したいんですが展開が微塵も思いつかないのが現状です

 悪い事ばかり書きましたが頑張って書いたので楽しんで貰えると嬉しいです


 エヒト討伐から一週間後

 

 神域から戻ったハジメ達は帰りを待っていたレミア達の作った手料理を満喫した

 

 そして休むことなく翌日からはハジメの居た世界に戻る為に動き出した

 

 魔法のエキスパートよも言えるユエ、そして現在は何万年も生きたミレディも居

  る

 

 概念魔法を託した解放者の協力があればなんとかなるかに思われた

 

 だが結果は芳しくなく・・・

 

 「ダメ、物の時間に干渉できても・・・」

 

 「だよね、ユエちゃんが居れば世界規模の行使も出来るかもしれないけど」

 

 「それじゃ意味がない、この世界の時間だけを進めても・・・」

 

 日夜ユエとミレディの余人には入り込む事の出来ない会話が繰り広げられる

 

 だがこの2人をして未来への転移は容易ではなく、時間は流れていくばかりだった

 

 「2人とも今日はそのくらいにしたらどうだ?」

 

 「そうですよ、根を詰めすぎても良い事はありません」

 

 ハジメとシアが2人にそう提案すると受け入れ、休憩となる

 

 「ハジメ、ごめんなさい・・・」

 

 「ユエが悪い訳じゃないだろ、気にしなくていい」

 

 「そうですよ、ユエさんは毎日頑張って考えてくれてます」

 

 「あのぅ、ミレディさんも一緒に頑張ってるからね?」

 

 「「そうか(そうですか)」」

 

 「対応が違いすぎない⁉」

 

 スーパーミレディゴーレムは動きずらいのでまた魂魄魔法により以前の小さなミレディ

 

 「なんていうかこれが日常になってきちゃったね」

 

 「そうね、ハジメ達もなんだかんだ言ってミレディの事は嫌っていないしミレディの方

   も楽しんでるみたいだし。不思議ね」

 

 「最初はひやひやしてましたが仲良くなるのは良い事ですね」

 

 香織、雫、愛子の3人は戻れない事へのもどかしさを感じつつも今の日常を楽しんでい

  た

 

 「あなた、少しずつでも模索行けばいいでは無いですか」

 

 「そうだな、ミュウも楽しんでるみたいだし」

 

 「みゅ?愁お爺ちゃんが言ってたの、今を楽しめない人間は未来もダメだって」

 

 「父さん・・・今は助かってるから感謝しとくか」

 

 レミアとミュウと会話してからハジメたちは休憩の為にティータイムにすることにした

 

 

 

 「それで、今後の事なんだが」

 

 お茶とお菓子を楽しんで全員がリラックスした頃、ハジメが切り出した

 

 「ユエとミレディは帰る為に動けない、訳だがやり残した事なんかを片付けようと思

   う」

 

 「勇者さんたちを元の世界に戻すんですね?」

 

 「メインはそれだ、エヒトも魔人族も居ないこの世界に残しても意味がない」

 

 「その言い方だと他にもあるみたいね」

 

 「雫の言う通りだ、このままアイツらを帰しても問題がある・・・」

 

 「檜山くん達とか? この世界ではまだだけど気持ち悪いし殺しちゃうの?」

 

 「そうしてやってもいいんだが今は恨みはないしな、勇者と一緒にこの世界に残すくら

  いで済ます予定だ」

 

 あまりにも物騒な発言に誰もが驚いたが檜山に殺された香織からしてみれば無理もない

 

 「雫たちは気に病むかもしれないがどっちにしても勇者は異世界に召喚されるし

   な・・・」

 

 「そうね・・・」

 

 この世界で生きれるだけマシ、頑張ってそう割り切る雫

 

 「それでだ、清水は俺が殺す訳だがそもそも俺は落ちてないし愛子もここにいる」

 

 「そうですね、ということは清水君は・・・」

 

 「俺も多少は分かるからな、何かやらかさない限りはそのまま返す」

 

 「つまりハジメさんのやりたい事というのは本来なら亡くなった方々を救うということ

   ですか?」

 

 「そんな所だな、檜山たちは残して清水は返す。そして一番面倒なのが・・・」

 

 「恵理ちゃん、だよね」

 

 香織と雫、愛子の間に何とも言えない空気が流れる

 

 「けどハジメ、恵理を救ったのは鈴よね」

 

 「あぁ、だからどうするかなんだよ」

 

 ハジメとしては恵理に恨みはない、余裕もあるので救えるなら救いたい

 

 だが恵理を救った鈴にハジメの概念魔法は効果が無い、つまり

 

 「ハジメ君が恵理ちゃんを助けるの?」

 

 「・・・そうなるよな」

 

 勇者にゾッコン中の恵理に何かを言って通じるとはハジメも思わないしハジメは恵理の

  過去を詳しく知っている訳では無い

 

 だが救わないというのはなんとも寝覚めが悪い

 

 「頑張るしかないわね」

 

 「だね、頑張って。ハジメ君♪」

 

 「そうですね、私達も出来る限りはお手伝いしますから」

 

 「・・・分かったよ」

 

 あの恵理がハジメの影響で改心すれば間違いなく依存する対象はハジメに映る

 

 そんな物がハジメに聞くかは置いておいてまた新たな少女が増えることに変わりはな 

  く、それは香織たちにとって許容できるものでは無い

 

 そんな打算があったりなかったりしたのだが帰ってきた答えは全力の声援

 

 「まぁいい、ついでにオルクスで神結晶とか貴重な鉱物も取って来る」

 

 それでハジメの話は終わり、次は各々どうするかを考えだす

 

 気になる場所に出かけたい物、残って過ごすものと様々な中で彼女が声を上げる

 

 「主様、氷雪洞窟に挑戦して来てもよろしいでしょうか?」

 

 「ん? いきなりだな、何かあったのか?」

 

 「いえ、ただ私の中での気持ちを理解したいのです」

 

 「そうか、まぁ変性魔法は便利だからな、行ってこい」

 

 「ありがとうございます、無事に戻ってきますので」

 

 そう言って一瞬で姿を消すノイント、もう出たらしい

 

 

 

 そうして全員がこれからの行動方針を決めた

 

 「しばらくは別行動だがスマホさえあれば何かあっても大丈夫だ」

 

 そう言ってハジメたちは帰還までの時間を好きに過ごしだした

 

 

                                  つづく




 短くてすいませんm(__)m

 そして活動報告にてお報せしたのですがこのシリーズの更新をしばらくの間休止させてい
  ただきます
 理由としましては今後のシナリオを考える為です

 ただ打ち切りでは無く休止ですのでどうかお待ちくださいm(__)m


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化け物との出会い

 お待たせしました、今回から復帰していきます
 恵理との話は思いついたのですがミレディやノイントの時も少し間が空くかもしれません

 という訳で頑張って書いたので楽しんで行っても会えると嬉しいです


 すいません、もしかしたら本来なら可笑しい点があるかもしれませんがお目こぼしくださ
  いm(__)m


 魔人族が滅んだ

 

 エヒトの力だと歓喜した教会はそれを盛大に広めた

 

 長年続いてきた戦争の終焉を人々は歓喜した

 

 帝国という別国があるものの長年の戦争が幕を下ろしたことにハイリヒ王国全体が安堵と

  これからの平和な日常に涙を流す

 

 だがそこで一つ問題になってくる事案があった、それは異世界より召喚された勇者たちの

  処遇

 本来ならば魔人族を亡ぼす使命をおびていた彼らだったのが既に魔人族は存在しない

 

 「エヒトさまが魔人族を亡ぼしてくださったのなら彼らは何の為に召喚された?」

 

 一部の者はこれから不穏な事が起こるのではないかと考えたが殆どの関係者は「勇者たち 

  に力が無かったから」などと考え始めた

 無論そんな考えが広まったのには原因がある、召喚された勇者たちの態度が敬虔すぎる信

  者には忌々しく感じたのだ

 

 エヒト様が召喚した以上は「神の使徒」として扱いつつも裏ではよく思われなくなってい

  く

 

 教会関係者は言葉にしなかったがその視線や向ける感情まで抑えられる訳もなく・・・

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 オルクス大迷宮がある町、ホルアド

 

 扱いに困っていた勇者たちに教会陣は本来の予定通りオルクスで経験を積ませ魔物を

  狩らせる選択をとった

 

 そんな経緯でホルアドにやってきた勇者一行は翌日に迷宮攻略を控えてその日は休む事

  となった

 

 だが1人だけ宿を抜け出し外に出るものが居た

 

 「あの老害共、絶対に殺して僕の人形にしてやる」

 

 普段の彼女を知る者が見聞きすれば呆然とするような言葉、そして纏っている空気は常

  人のそれでは無い

 殺意と狂気を孕んだ声を発しながら少女は目的の為に実行する

 

 「今はこんな弱そうな動物しかできないけど絶対に光輝くんを僕の物に・・・」

 

 中村恵理、勇者である光輝に恋をしてしまった少女

 

 「降霊術なんて光輝くんに嫌われるかもしれないけどこれで僕だけのものになるならい

   いよね♪」

 

 「本当にラッキーだったな、まさか香織だけじゃなくて雫まで南雲に付いて行っちゃう

   なんて」

 

 異世界召喚された南雲ハジメはクラスメイトである香織と雫、教師である愛子も連れて

  逃げ出した

 誰が言い出した事かは分からない噂だったが光輝がそれを信じた事で誰もがそうである

  と認識した

 

 「けどお姫様も連れて行くなんて漫画の読みすぎでしょ、オタクの夢ってやつなのか

   な?」

 

 香織がハジメを好いていた事は誰もが知っていた事なので機会があれば取引をし香織を

  光輝から離す算段を立てていた

 だが現実は香織だけでなく同じく目障りであった雫まで退場した

 

 「光輝くんは悲しんでいたけど僕は絶対に離れないって教えてあげれば・・・あはは」

 

 「これで光輝くんの近くにいる女は僕と鈴だけど鈴如きじゃ僕には勝てないしこれはも

   う光輝くんの隣は僕で決まりかな?」

 

 これから起こる未来を想像して歓喜する恵理、だがそれが致命的なミスだった・・・

 

 「きゃっ・・・どうして?」

 

 先ほどまで恵理の思うがままだった獣たちが突然恵理を襲った

 

 グルルルと低く呻く獣たち

 

 「うそ、僕の魔法は完璧だったはずなのに、どうして」

 

 確かに恵理の魔法は完璧だった、だが光輝との妄想をした一瞬に隙が生まれ恵理の支配

  から逃れた

 最大の壁となっていた香織と雫が消えた事で油断があった、のかもしれない

 

 そんな理由を考える間もなく恵理は獣たちに囲まれていく

 

 「くるな、くるな‼ 僕に手を出したら光輝くんがただじゃおかない、から」

 

 この獣を殺したのは恵理自身だったのだが殺害する為の魔法、降霊術の使用で彼女の魔

  力は殆ど残っていなかったのだ

 

 「嫌だ、こんな所で終わりたくない。光輝くん、助けて」

 

 そんな悲痛な叫びも空しく勇者は現れない

 

 そしていよいよ獣たちが一斉に恵理を襲った・・・

 

 「・・・これで、終わりかなんて」

 

 自らの最後を覚悟しつつも目を開くことは出来ず、恵理は生涯を終える・・・事は無

  かった

 

 

 ドパンッ

 

 そんな音が響き数秒、恵理には何の痛みも襲ってこなかった

 

 「・・・なんで?」

 

 間の抜けた声を発しながら再び目を開く恵理、そうして広がっているのは獣たちの死体

  だった

 

 「たく、羅針盤がなかったらマジで危なかったぞ」

 

 そんな悪態をつく声に恵理は聞き覚えがある、否先ほどまで感謝していた相手の声だ

 だが同じ声でも恵理の知る呑気なものではない、年配の人間が纏う覇気ともいえる圧

 

 そんな事を考えている恵理に声を掛けてくる

 

 「よぉ、久しぶりだな中村」

 

 「やっぱり、南雲なの?」

 

 「それ以外の誰に見える、今の俺は髪も腕も正真正銘人間の物だろ」

 

 「嘘でしょ、でも僕の知ってる南雲は・・っていうかお前が持ってるその武器‼」

 

 「お互い様だ、お前だってそんな雰囲気じゃなかったし一人称も違っただろ」

 

 「それは・・・はぁ、こっちが素だよ」

 

 驚くほどあっさり認めた事にハジメは内心で驚く

 

 「随分素直に認めるんだな」

 

 「それはそうさ、君は僕の目的の為の手助けをしてくれたんだからね」

 

 「香織と雫を勇者から離したからか?」

 

 「っっ⁉・・・よくわかったね」

 

 「お前の目的は大体知ってるからな」

 

 「・・・例えばどんなことかな?」

 

 「あ?そうだな・・・」

 

 そう言ってハジメが語る計画は恵理が本来計画していた物だった

 ハジメが語り終わった後、恵理は

 

 「ねぇ、君の天職って予言者?」

 

 「ただの錬成師だ」

 

 「錬成師って確か何十人もいるっているハズレじゃないか」

 

 「あぁ、全く持ってその通りだ」

 

 「・・・どうして僕の前に現れたの?」

 

 「さぁな、特に理由なんてない」

 

 「嘘だね、だって君は香織たちを連れて逃げたなんて言われてるのに態々こんな所に着

   て話す意味が分からない」

 

 「逆に聞くがどうしてお前はそれほど気になるんだ?」

 

 「なんでだろうね、死にそうなところを助けられたからかな?」

 

 「心にもない事を言うな、お前は勇者にぞっこんだろ」

 

 「そうだね、僕は光輝くん一筋・・・だよ」

 

 「そうか、まぁそうだよな・・・こりゃあ時間かかるな」

 

 「なにそれ、意味わかんないんだけど」

 

 「聞えてたのか、気にすんな・・・じゃあな」

 

 そういってハジメは恵理に背を向けてオルクス大迷宮のある方向に歩き出す

 

 「どこ行くのさ」

 

 「オルクスに潜って鉱石を掘る、ついでにあそこの魔物の素材は使える」

 

 「へぇ、まるでいった事があるみたいな言い方だね」

 

 「あるからな、まぁお前らと会う事はないだろうがせいぜい気を付けろ」

 

 そうして本当に立ち去ろうとするハジメの背中を見ながら恵理は考える

 

 「(もしオルクスの魔物を支配出来たら)」

 

 ハジメの口ぶりと騎士団の話からして先ほど殺した獣とは比較にならない強さを持って

  いる事だろう

 

 だがもしそんな魔物を殺して支配出来れば?

 

 きっと大戦力になる、だがそれを殺す術を恵理は持ち合わせていない

 

 「(・・・賭けてみるか?)」

 

 その考えは普段なら絶対にしない考えだと自覚はある

 だが恵理は圧倒的な力と覇気を持った南雲ハジメという人間が気になった

 

 「・・・ねぇ、南雲」

 

 そうして彼女は提案する、自信の持てる全てを賭けて

 

 「オルクスに、僕も連れて行ってくれないかい?」

 

 

                                   つづく




 ・・・どうしてこうなった

 自分でもよく分からないんですがなるようになるはずです


 勇者loveな恵理をどう攻略するかかなり迷いました・・・その結果がこれなので期待しないで読んで貰えると嬉しいです

 次回は一章で飛ばしたオルクス攻略ですよ


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鉱石蒐集と理解


 今更ですが魔王なハジメと恵理の組み合わせって見たこと無いんですよね

 「ハジメの悪だくみに付き合える」嫁が一人くらい居てもいいと思うんですよ・・・

 因みに蒐集にした意味は特にありません(何となくカッコよかったのと好きなので)

 正直勇者(笑)大好きな恵理をハジメに惚れさせるのは簡単なんですがハジメが受け入れる
  方が問題なんですよね(笑)


 とにもかくにも楽しんで読んで貰えると嬉しいです


 

 真のオルクス大迷宮

 

 クリスタルキーと羅針盤を使いハジメは恵理を連れてやってきていた

 

 「ここが、オルクス大迷宮?」

 

 「あぁ、ていっても一般的に知られている階層よりもさらに下、百層よりも下の本来の

   大迷宮だがな」

 

 「どういうこと?」

 

 「今から説明してやるよ・・・」

 

 そうして恵理に説明しつつハジメはどうしてこうなったのかを考える

 

 「(あの勇者にぞっこんだった中村が簡単に心を開くとは思ってなかったがまさか一緒

   に来るとはな)」

 

 ハジメとしてはあの時点で顔を合わせる、自分の力を示せれば最低限は出来ていた

 だからこそ恵理がハジメに付いてきた理由に納得しつつもかなり驚いていたりする

 

 「とりあえずはこんな所だ。てかお前の方こそ勇者に付いていなくてよかったのか?」

 

 「光輝くん?・・・どうせ今の光輝くんに私が居なくなったことを伝えても香織や雫の

   事が優先で気にしないよ」

 

 「・・・かもな」

 

 「あ、でも南雲が香織や雫だけじゃなく僕も連れ去ったって考えるかな? 勇者な光輝

   くんと囚われのお姫様な僕、きゃっ♡」

 

 「・・・」

 

 妄想に浸る恵理を見てハジメは無言になった

 

 勇者から「過去の自分が恵理を助けた、けれど自分はそれで救った気になって何もしな

  かった」とさわりだけ聞いているのだがどうして恵理が自殺を決心したのか、その理

  由は聞いていない

 

 「・・・はぁ」

 

 「あれ、もしかして僕の惚気で疲れちゃった?」

 

 なんてとんでもない勘違いをする恵理、ハジメはこれを救うのかと気が重くなるが香織

  たちと約束した手前投げ出すわけにもいかない。

 

 「中村、ついてくるのは勝手だしお前に死なれたら(俺の目的的に)困るから守ってやる

   があまり勝手に動くなよ」

 

 「分かってるよ、けどさっき南雲に貰った薬のお陰で魔力は満タンになって足手まとい

   にはならないと思うよ?」

 

 「・・・それはどうだろうな」

 

 自分たちが勇者として召喚されこの世界の人間とは文字通り次元が違う事を感じていた

  恵理は何処か油断していた

 

 そうして歩いているとハジメの気配感知にある物が入って来る

 

 「おい中村、来るぞ」

 

 「え、どこに・・・は?」

 

 二人の視界に入ったのは一匹の兎

 

 一般的な兎とは言い難いがモンスターと言いきれるほどでもない、はずなのに

 

 「嘘、なんでこんな化け物が・・・」

 

 それが他の生徒だったのならばまず油断しただろう、だが恵理は知っている。本物の憎

  悪と敵意、殺意と呼べる負の感情を

 母親から、光輝を狙う女たちから感じる悪感情・・・知っているからこそ理解できた

 

 これは化け物だと

 

 「こんなのに、どうやって勝てば・・・」

 

 今にも発狂してしまいそうな恵理、そんな彼女を無視してハジメは

 

 ドパンッ

 

 そんな一瞬の銃声と一条の光が現れ、先ほどまで恵理が恐怖していた蹴り兎は

 

 「あんな化け物を一発で、倒したの?」

 

 「当たり前だ、あんなのに怯えてたらこの先は無理だぞ」

 

 「・・・はは、まさか南雲がそんな強気な事を言うなんてね」

 

 紛れもなく死を感じていた所からの安堵、やはり付いてきて正解だったとあの時の選択

  を心の底から絶賛したい気持ちになる

 

 「それでそいつを操ってみるか?」

 

 「・・・やってみるよ」

 

 ハジメに言われて本来の目的を思いだした恵理は死んだ蹴り兎に近づき詠唱を始める

 その場にユエかティオのどちらかが居ればほぅと一目置きそうなほどに彼女も降霊術は

  異世界から召喚されて日が経って居ないようには思えないレベルだった

 

 「(なるほど、油断が無ければこの時点でここまで出来るのか)」

 

 魔法の適性が皆無なハジメが見ても恵理の練度は中々の物だった

 あの時点で不意を突かれたのは本当に偶然だったらしい

 

 「これで、どうだ‼」

 

 詠唱が完了し死んだはずの蹴り兎が起き上がる

 

 そして蹴り兎はフラきつつも恵理に対して・・・跪いた

 

 「やった、あんな化け物が僕に‼」

 

 思わず声を上げて喜ぶ恵理

 だがそれも無理はない、今まで魔物に試したことは無かった上にこれまでの獣たちとは

  次元が違う強さだったのだ

 だからこそ自分を超える力を持った存在を支配したことは恵理にとって初めての達成感

  を感じさせた

 

 「落ち着け、それでまたコントロールを失ったらどうする」

 

 歓喜する恵理の頭に少し強めにチョップするハジメ

 

 「痛いな、もう少し加減してよ」

 

 と不満を零しながらも確かに油断せずにしっかりと意識する恵理

 

 「死んでも生き返らせるがそれも俺の近くに居ないと無理だ。離れるなよ」

 

 「分かってるよ。あぁあ、そんな台詞は光輝くんに行ってほしかったのに」

 

 「あの勇者なら言うだろうな、香織か雫に」

 

 「・・・へぇ、やっぱり君は分かってるんだ」

 

 勇者の本質、恵理も理解していない訳では無い・・・だが理解していても自分だけと

  願っているのだ

 

 「俺としては心底どうでもいいがな、それよりも行くぞ」

 

 「ちょっと待ってよ、こんな所で一人は流石に嫌だからね‼」

 

 気にせず我が道を行くハジメの後をなんやかんや言いながら付いて行く恵理

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そうしてハジメは目的の場所にたどり着き、立ち止まる

 

 「ここだな」

 

 「ここって何もないよ?」

 

 「見てろ、、錬成」

 

 実は言わなくても使えるのだがせっかくなので言ってみるハジメ、何時だってかっこを

  付けたいのだ

 

 そんなこんなハジメは錬成を続けていき、遂に目的の物を発見する

 

 「なに、これ・・・」

 

 「神結晶、クソ神が伝承で人を救う時に使った伝説の遺物だ」

 

 まぁあのクソ野郎がそんな殊勝な事をしたとは思わないハジメ

 

 「なんかすごい力を感じる、ていうかさっき渡された奴と同じ?」

 

 「よく分かったな、この石から出る水は傷も魔力も回復させる。そして力が亡くなって

   も魔力を蓄える力がある」

 

 適当に説明しつつハジメは神結晶を宝物庫に収納する、中で神水をためる用意は出来て

  いる

 

 「宝物庫って言ってたけど便利だね、それも南雲が作ったの?」

 

 「あぁ、元は別の人間が使っていたのをパクったんだが今は俺も作れる」

 

 「神代魔法、かー 凄い力だよね」

 

 恵理には既にある程度の説明を済ませている

 

 「ねぇ、僕にもその宝物庫つくってよ」

 

 「断る」

 

 「なんでさ、君が欲しい女を用意するよ?」

 

 「そんなもんはいらん、今の時点で十分だ」

 

 「ふぅん、香織に雫だけじゃなくて先生にお姫様だもんね。そりゃあいらないか」

 

 「・・・分かったら諦めろ」

 

 実は更に倍の嫁が居るとは言えないハジメ

 

 

 そんな形容しがたい関係の二人の大迷宮攻略は幕を開けた





 何とも言えない所で終わってしまってすいませんm(__)m

 それとこれも今更ですがここからは今までの様なテンポよくとは行かないと思いま
  す・・・

 「こんな展開が見たい」等々あれば是非とも感想でお書きください


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暗闇の中で見た光の輝き


 ・・・大っ変長らくお待たせいたしましたm(__)m

 リアルが忙しかったのとモチベがありませんでした


 私の半生何てどうでも良いと思うのでどうか楽しんで行って貰えると嬉しいです


 

 全てに絶望していた彼女にとって彼は救世主だった

 

 「普通の人生からどん底に落ち、死を選ぼうとしていた少女の前に現れた王子様の様な

   人物」まるでお伽噺の様な始まり・・・けれどそれは始まりだけだった

 

 

 

 

 真のオルクス大迷宮

 

 大迷宮の中でも戦闘面を強く求めるその迷宮を破竹の勢いで進む影があった

 

 既に攻略を済ませ、全ての神代魔法を所持する者にとってそれはただの作業

 

 そしてハジメと共に歩む少女、中村恵理もまた日に日に力を増していた

 

 元より彼女は愛する人を手に入れるべく修練に身を窶し、その才能は単独で神代魔法も 

  足を踏み入れる程の物なのだから

 

 ハジメの殺した手ごろな魔物を降霊術により使役することの繰り返し

 

 当初こそ恵理の未熟さから失敗することもあったがそれも昔の事

 折り返しの50階層に到着する頃には既にハジメの知る恵理の力すら超越していた

 

 

 「ねぇ、少し休まない?」

 

 人外気味なハジメはともかく未だ普通の人間である恵理が汗をながしながらハジメにそ 

  う提案した

 

 「再生魔法と魂魄魔法で疲れて無いだろ」

 

 「それでもなんか疲れてる気がするんだよ、少しは女の子に気を使って欲しいな」

 

 そう不満をぶつける恵理なのだが何故かその雰囲気は穏やかに見えた

 

 「ちっ、仕方ねぇな」

 

 ハジメとしても再生魔法と魂魄魔法によって疲労しないからこそ休息を取っていなかっ

  ただけで時間には余裕がある、むしろ恵理と話すならこうした時間を作るべきだった

  はずなのだ

 

 「確かアレがあったよな・・・よっ」

 

 宝物庫の中から出てきたのは何の変哲もない普通の扉だった

 

 「なに、それ」

 

 「ここら辺で良いな、んじゃ入るぞ」

 

 手ごろな壁を見つけそこに扉を取り付けて迷わずにハジメはその扉を開いた

 

 そしてハジメと共に扉の先に入った恵理が見た物は・・・

 

 「ねぇ、どうしてただのドアを開けたら普通の部屋があるの?」

 

 「空間魔法、宝物庫と同じ原理で空間を広げてんだよ」

 

 「へぇ、本当に神代魔法ってなんでもありだよね・・・ねぇ、南雲」

 

 「なんだー中村」

 

 恵理の不穏な空気も何のその、設置してあるソファーに座り込み雑に返事するハジメ

 

 そんなハジメにムカつく、事は無く恵理はある質問をした

 

 「神代魔法の力があればさ、死んだ人間を蘇らせる事もできるのかな?」

 

 「その人間が死んですぐなら可能だ」

 

 「・・・そっか、やっぱり死んで何年も経ってる人は南雲でも無理だよね」

 

 「そうだな、神代魔法だけなら不可能だ」

 

 「なんだか含みのある言い方だね、じゃあ神代魔法じゃなくて南雲の力ならさ、できる

   の?」

 

 「・・・どうだろうな、試した事が無いから分からん」

 

 嘘では無い

 

 概念魔法を使え、何よりも無限の魔力を使えるハジメならば遺骨であっても蘇生は可能

  なのかもしれない

 

 だがハジメはそんな実験はしていないし今後する予定もない

 

 「できない、とは言わないんだね」

 

 だんだんと恵理の瞳に微かな希望が宿る

 

 「先に言っとくが中村、俺は手を貸さない」

 

 「・・・分かってるよ」

 

 実行できるかもしれないハジメに期待しなかったかと言えば嘘になる

 

 だが恵理はこのハジメの考えを何となくだが理解して来ていた

 

 ハジメは魔物に対して慈悲を与えるようなことは絶対にない、だが甚振って悦に浸る

  ような外道でもない

 

 必要ならば手段は択ばないがそれ以外では人の道理を最低限重んじる男

 

 「きっと光輝くんなら僕のお願いをきいてくれるはず、それにこの魔物たちがいれば他

   の迷宮だって・・・」

 

 そうして希望を奥底に秘めながら闇に支配されている少女を眺めながらハジメは想う

 

 「(面倒そうだが糸は見えたな)」

 

 恵理を救うにあたってハジメは彼女の多くを知らない、最初にやるべきは知り理解する

  こと

 

 力押しの通じない事に面倒を感じていたハジメだったがこの時微かであったが攻略の糸

  口が見えたのだ

 

 恵理をハジメに依存させずに救い出す、そんな荒唐無稽な結末が本当にできるの

  か・・・ハジメは面倒に思いながらもそんなくだらない事は考えずにただ行動するの

   だった

 

 

 

                                   つづく





 光輝とお父さんってどっちが優先何ですかね?

 ある方の物語で若干ファザコン気味な恵理を見ているのでこの作品ではお父さんゆうせん
  でいきます

 恵理編でスランプに陥っていたのですが私にも攻略の糸口が見えてきたので頑張ります

 因みにサブタイは皮肉も入ってます


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