短編集 (レイブラスト)
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その名はドラル前編

まずは第一弾、銅鑼さんとのコラボ話(前半)です。


シグナムとシャマルのお腹が大きくなり、そろそろ出産予定日が近づいた頃。とある建物の屋上から1人の男性がシグナム達が通院している病院の周囲を見渡していた。

 

???

「……この世界の、この付近にまだいるとは……狙いは大方わかってるけど、呆れるな」

 

男性の名はドラル・バーソイル。かつて神であった身で、バッドエンドを避ける為様々な平行世界を移動している。その活動はバッドエンドや全てのクズ転生者がいなくならない限り終わらない。……物凄い苦労人だと作者は思う。

 

ドラル

「ま、こっちとしても好きでやってるんでね。誰もが幸せな結末を迎えればいいのさ」

 

地の文にツッコむとは、きさま! 見ているな!?

 

ドラル

「コイツの反応だとこっちを指し示しているが……ん?」

 

スルーされた……まあいいや。

察知した反応が向かう先を見て、ドラルはあることに気づいた。

 

ドラル

「病院……やはり、他の患者ごとか!?」

 

これから起こり得る可能性に確信を持つと同時に戦慄し、ドラルは目的地に向かう為大きく跳躍した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

「クソッ……! 何であんな男がリインフォース達にモテるんだ!? 俺の方が何倍もイケメンの筈なのに!!」

 

ドラル

(彼か……)

 

ターゲットの、転生者である少年―――名を神城(しんじょう)ガイアという―――を物陰から見つめ、ため息をついた。黒樹達を見送った後に舞い込んで来た情報によれば、彼はハーレムを目指す転生者であり、既にハーレムを築いている(後に拡大するが)平田望を許せず、リインフォースとの間に産まれた子供や、シグナムとシャマルの中で誕生する瞬間を待ちわびている赤ん坊を抹殺し、彼女達を自分のものにしようと画策している。更に、彼はその過程で他の人物(所謂モブと呼ばれている)がいくら死のうと知ったことではなく、先ほどシグナム達2人が定期検査の為病院に入ったのを見て、他の患者ごと襲おうとしているのだ。

 

ガイア

「アイツとの間に産まれる子供は早く殺さないとな……でなけりゃ、俺の子供を産んでもらえないし……クククッ!」

 

ドラル

(女性にとって、好きな人との赤ちゃんはどんな物にも勝る宝物なのに、ましてや関係ない人達ごと殺めようなど……断じてさせない!)

 

強い怒りを胸に抱き、ドラルは物陰から飛び出ると同時にARX7-アーバレストの対戦車ダガーを背後から投げつけた。だが……

 

ガイア

「っ! そこかぁっ!」

 

気配を察知したガイアは、何と片手でダガーを叩き落とした。小型化されてはいるが戦車を易々と破壊できる威力を持つ対戦車ダガーを生身で防御したことには、さすがのドラルも目を丸くした。

 

ドラル

「対戦車ダガーを片手で……身体強化の類いか?」

 

ガイア

「お前が何者かは知らないが、俺を襲ったということは転生者の1人なんだろうな……この武器、アーバレストのだしな!」

 

ドラル

「(残念だけど、違うんだよね……でも思った以上に、洞察能力も高いな)本来なら一撃で仕留める筈だったんだけど、余計なことをしてくれて……」

 

身体能力もさることながら、彼の状況判断能力が高いことに感心しつつ呆れる。

 

ガイア

「ふん。ところで、俺を攻撃してきたのは俺の目的を知っているからか?」

 

ドラル

「……だとしたらどうする?」

 

ガイア

「また命を狙われたら困るからな。ここで潰させてもらうっ!!」

 

敵意をむき出しにし、ズボンのポケットから掌サイズのクリスタル状の物体を持ち真上に掲げ―――

 

 

ガイア

「テック、セッタァァァァァァアアアアアアアアアアア!!」

 

 

―――その言葉を叫んだ。

 

体の表面に強固な外殻が形成され、続いてアーマーやバーニア等強力な装備が組み込まれていく。

 

ランス

「テッカマァァァァァァン! ラァァァァァンスッ!!」

 

自身の名前を盛大に叫び、ガイアは変身形態―――テッカマンランスになった。

 

ドラル

「そうか、君の能力はテッカマン系列のものか。道理で生身で攻撃を防げる訳だ」

 

ランス

「ご名答。ではテッカマンの外装はテッカマンの武器以外で傷付かないことも知っているな? フフフ……さあ、どうする?」

 

テックランサーを肩に担ぎ、挑発するような口調で言った。が、対するドラルは何の迷いも動揺も見せていない。

 

ドラル

「そうだな……生身じゃちょっとハンデがあるから、これを使わせてもらうぜ」

 

ドラルは右手首に装着してあるモーフィンブレスに酷似したブレスを構え、モニター部に『G6』と入力した。

 

ドラル

「変身」

 

『システム起動(オンライン)。ジェネレーション6(シックス)アーマー、転送』

 

入力後、ブレスの『Change』スイッチを押すと音声と共にドラルの服装が一度全身が白で統一されたスーツに変化する。そして転送されて来た赤いアーマーが装着され、頭部も完全にマスクで覆われた。

 

この姿が、ドラルの技術(と趣味)の結晶である、仮面ライダーG6だ(より詳しい設定は銅鑼さんの小説に載っているから、そちらでチェックだ!)。

 

ランス

「仮面ライダー? それもオリジナル……特典か、もしくは自作といったところか」

 

G6

(凄いな、後者は大正解だ)

 

再び感心しつつ、右手に専用ブレードGB-09スキュラ(形状はオーガンランサー連結状態)を持ち、ランスにゆっくりと、しかし一歩一歩確実に近づいていく。

 

ランス

「だけど無駄だな。いくらオリジナルライダーに変身できたとしても、テッカマンの装甲の前には「うるさいな」ごはっ!?」

 

腹部に走った激痛にランスは体をくの字に曲げ、自分の腹を見る。そこには、G6がスキュラで腹を切り裂いていた。

 

ランス

「がっ、は……!? な、何故だ!? 何故テッカマンである俺にダメージを!?」

 

よろめいて後退しながら、G6に問いかける。

 

G6

「悪いね。こんなこともあろうかと、対テッカマン用にチューンしてあるんだよ」

 

G6の各種能力と武装はドラルによって大幅に強化されており、そのスペックは凄まじい。何せ、ハイパーデュートリオンエンジンを搭載してる程なのだから(これ以外にも色んな技術が使われているが、銅鑼さんの方に詳しく書いてあるので割合する)。

 

G6

「それじゃ、手早く決めさせてもらおうか」

 

スキュラに着いた血を払い、再度接近していく。

 

ランス

「や…やめろ! 来るなァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!」

 

恐怖に駆られ、テックランサーを投擲するがスキュラで防がれ、触れたところから崩壊していった。

 

ランス

「う、嘘だろ!? ……! こうなったらァァァァァ!」

 

G6

「? ……っ! 何!?」

 

突如として向きを変え、クラッシュイントルードで加速したランスを目で追うと、病院から、勤務を終えた医師らしき女性―――石田幸恵がこちらに向かって歩いていた。

この道は人気こそ少ないが、彼女の家へ通じる帰路であり、いつもここを通って通勤をしているのである。

 

幸恵

「はぁ…シグナムさんもシャマルさんも、幸せで羨ましいなぁ……私も、好きな人ができたら毎日がもっと楽しく「おい、女ァ!」へ!? きゃあああ!?」

 

ランスはここで戦闘が起きているなど知らない彼女に接近すると、左腕で首を絞めるように抱き寄せ、G6を睨み付けた。

 

ランス

「動くな! 動けばコイツの命はないぞ!!」

 

G6

「貴様…!」

 

幸恵

「え? え? な、何? 何なの!?」

 

自分の身に起きたことを把握しきれず、混乱状態になる幸恵。

 

ランス

「黙れ女! でなければ、こうするぞ!」

 

右肩部からテックレーザーを放ち、付近のコンクリート壁を破壊する。それだけでも幸恵にとっては自分の状況下を理解させるに十分であった。

 

幸恵

「ひっ…!(こ、殺される!)」

 

G6

「彼女は無関係だ! 解放しろ!」

 

ランス

「なら武装を捨ててこちらに来い! そうすれば女を離そう!」

 

G6

「(クッ、まさかこんなことに発展するなんて……!)わかった……言うとおりにしよう」

 

スキュラを離し、慎重にランスへと近づく。途中で何度か右手を握り、スキュラを確認するがランスは気にも止めなかった。やがて、ある程度近づくとランスは「止まれ!」と命じた。

 

G6

「……次はどうしたらいい?」

 

ランス

「……いや、もう十分だ。人質を解放しよう」

 

一瞬何か考えた後、ランスは幸恵を乱暴にG6へと突き飛ばした。

 

幸恵

「きゃっ!」

 

G6

「っと、大丈夫か?」

 

幸恵

「は、はい―――」

 

ランス

「今だ! 食らえぇええええ! ボルテッカァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

幸恵を受け止め、G6が安全を確認した直後、トサカを盛り上げたランスは首元のボルテッカ発射口から、近距離でボルテッカを放った。G6も幸恵も、反物質エネルギーの波に飲まれた。

 

ランス

「フッ…いくら対テッカマン用に調整したといえど、この至近距離からのボルテッカではひとたまりも……」

 

勝ち誇った様子で言葉を並べるランスだが、次の光景を見て逆に戦慄することになった。

 

G6

「…………」

 

ランス

「な、何!? まさか!?」

 

何とG6は背後に幸恵を庇う様に防御姿勢で立っており、しかも無傷だった!

実は、G6は右手のワイヤーでスキュラを回収した後、それに搭載されている小型のベクトル操作装置(今回は『受け流す』に設定した)で自身と幸恵を守ったのだ。

 

G6

「騙し討ちで、それも民間人ごと……こうされた以上、こっちも遠慮しなくてもいいよな?」

 

ランス

「な、何を言って……」

 

G6

「アーマー展開……!!」

 

了解(ラジャー)。展開シマス』

 

スキュラを仕舞い、音声入力をすると両肩と胸部の装甲が展開し、その中にある丸い物体にエネルギーが収束されていき余波で周囲の景色が歪んで見える。それを見たランスは、何が起きるのかを速攻で理解した。

 

ランス

「や、やめろ……やめろぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

G6

「ぐ、ううぅぅぅ……! ボルテッカァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

凄まじい叫びと共に各発射口から必殺武器、『ボルテッカ改』が放たれた。

 

ランス

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ランスは悲鳴を叫びながらG6のボルテッカ改に飲まれた。ボルテッカ改は通常のボルテッカより威力が高められており、例えテッカマンの装甲でも耐えきることは不可能だ。

死ぬことはなかったものの、ランスは変身が解除、システムボックスが破損した状態となり前のめりに倒れ気絶した。

 

G6

「ふむ……出力を最大にするのは止めておいて正解だったな。肉体どころかDNAの一片まで完全消滅しかねん……」

 

ふぅ、とため息をつき変身を解除すると、ガイアを担ぎ上げる。

 

ドラル

「さて、と……」

 

担いだ後、ドラルはふと自分の後ろを見た。そこでは、幸恵が気絶して倒れていた。死の恐怖とボルテッカの撃ち合いは刺激が強すぎたのだろう。

 

ドラル

「……こうなったのは俺にも責任があるし、せめて家までは送っていくか」

 

申し訳なさそうに幸恵を見つめると、ガイアをワイヤーで雁字搦めにして猿ぐつわを噛ませ、発生させた灰色のオーロラの中に放り込み、幸恵をそっと抱き上げた。

 

ドラル

「住所検索」

 

了解(ラジャー)

 

ブレスで住所を調べると、ドラルはゆっくりと歩いていった。



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その名はドラル後編

後半です。


幸恵

(ん……あれ? 私……)

 

ドラルが家に向かっている途中で、幸恵は目を覚ました。

 

幸恵

(確か、変わった格好をした人に捕まって、助けられて、それから……あ、私、気絶しちゃったんだ……)

 

意識がだんだんとはっきりしていき、同時に視界も鮮明になっていくとドラルの顔が写り、目線が合う。

 

ドラル

「気がつきましたか?」

 

幸恵

「(この声……もしかして、さっき助けてくれた……)は…はい。あの……」

 

ドラル

「今、貴女の家に向かっている途中なのですが、気絶されていたので……その、こういう体勢なのには目を瞑っていただけませんか?」

 

幸恵

「体勢? どういう……え!?」

 

言葉の意味がわからず、自分の周囲を確かめるとようやくわかった。彼女は現在、ドラルに抱きかかえられていた―――お姫様抱っこの状態で。

 

幸恵

(う、嘘! 私、初対面の、それも男の人にお姫様抱っこされてる!? まだ付き合ったこともないのに……はぅぅぅ~!)

 

ドラル

(いかん……気絶している時は何ともなかったが、今更ながら恥ずかしくなってきた……こんな所、クロ達に見られたら何て言われるか……)

 

互いに顔を赤くして、目線を逸らしてしまっていた。

 

ドラル

「(気まずい…どうにか話題を変えないと!)あ…もう家に着いたか」

 

立ち止まった家には『石田』の表札が掛けられていた。ここが彼女の家で間違いはなさそうだ。

 

ドラル

「では、よっと」

 

幸恵

「あ……」

 

身を屈め地面に幸恵を降ろすが、その瞬間彼女はどこか緊張が抜けたような、残念がるような声を出した。

 

ドラル

「それでは、俺はこれで」

 

幸恵

「(え…もう行ってしまうの? まだ私、貴方のこと何も知らないのに……)ま、待ってください!」

 

ドラル

「?」

 

幸恵

「その、もしよかったら、ですけど……上がって行きませんか?」

 

ドラル

「……いいんですか?」

 

面食らったかのように、ドラルは驚いた表情で尋ね返した。

 

幸恵

「助けてくれたお礼をしないといけませんし。それに…………」

 

ドラル

「何か?」

 

幸恵

「な、何でもありません! とにかく、上がって行ってください!」

 

ドラル

「あ、ああ。なら、お言葉に甘えて……」

 

若干困惑しつつ、ドラルは幸恵の家に上がることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸恵

「先ほどは、本当にありがとうございました。…粗茶ですが、どうぞ」

 

ドラル

「どうも。……む。これは中々……」

 

リビングに案内され、椅子に座ったドラルはテーブルの上に出された緑茶を口に含んだ。結果は反応の通りだ。

 

幸恵

「本当ですか? よかった。私、こう見えて茶道の経験があるんですけど、あまり自信がなくて……」

 

ドラル

「謙遜することはありませんよ。少なくとも、俺の口にはぴったりです。……これなら、いい嫁さんになれるな(ボソッ」

 

幸恵

「ふぇえええ!?」

 

目の前から聞こえた悲鳴の様な声に何事かと身構えるドラルだったが、すぐに自分の小声が原因だと気づくと「あっ」と声を漏らした。

 

ドラル

「失礼、つい……」

 

幸恵

「い、いえ。気にしてませんから(嫁さんって……確かにカッコイイし、優しそうだし、何より私を助けてくれたし……って、私何でこの人を基準に考えてるの!?)」

 

ドラル

「っと、そう言えば名乗るのが遅れました。俺の名前はドラル。ドラル・パーソイルです」

 

幸恵

「…はっ! ド、ドラルさんって言うんですか。私は、石田幸恵と言います。よろしくお願いします」

 

ドラル

「こちらこそ、よろしくお願いします。石田さん」

 

幸恵

(……むぅ……)

 

互いに自己紹介したのはいいが、名字で呼ばれたことに何故か幸恵は少しむっとした。

 

幸恵

「……名前で」

 

ドラル

「え?」

 

幸恵

「私のことは名前で呼んでください。それから、話す時は助けてくれた時みたいにタメ口で構いませんから」

 

ドラル

「は、はあ。わかり……わかった」

 

幸恵

「すいません、無理言って」

 

そう謝ったが、自分でも何故ムキになったのかはわからなかった。あれこれ考えながらドラルを見やると、彼の服装に目がいった。

 

幸恵

「もしかして……ドラルさんも医師なんですか?」

 

ドラル

「え?(ああ、白衣着ているからか)いや、医者ではない」

 

幸恵

「じゃあ、何か研究開発を?」

 

ドラル

「……そんなところだ」

 

実際G6他様々なアイテムやメカを開発しているので、あながち間違いではない。

 

幸恵

「そうなんですか。……なら、アレも手作りなのかな(ボソッ」

 

ドラル

「アレとは?」

 

幸恵

「へっ!? い、いや別に、あの赤いロボットみたいなのは貴方が作ったんじゃないかなんて、思って……はっ!」

 

物凄い勢いで口を滑らせたことに気づいて口を押さえるが、時既に遅かった。

 

ドラル

「(勘が鋭いな、この人は……)まあ……そうだが」

 

幸恵

「え…ええええ!? やっぱり!? でもあんな凄い技術なら、メディアが取り上げてもおかしくないのに……研究成果として発表しなかったんですか?」

 

ドラル

「するも何も、G6は俺が趣味で作ったものだけど……」

 

幸恵

「あ、そっか―――って趣味!? てことは1人で……どうやったらアレを、誰にも知られずに作れたんですか?」

 

ドラル

(……いよいよ誤魔化せなくなって来たな……ここはどうするか―――)

 

幸恵

「……ひょっとして、どこか別の世界から来た、とか?」

 

ドラル

「ブフォッ!?」

 

考えてる矢先、幸恵が言った予想の斜め上を突っ切る言葉に思わず茶を噴いた。

 

ドラル

「な、何でそう考えた……!?」

 

幸恵

「少し前にはやてちゃんの家に行ったんだけど、その時偶然にも……戦艦? を見ちゃいまして。それで初めて知りました。異世界から来た人達を」

 

ドラル

(戦艦って……丸っきりシュウトさん達じゃないかぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!)

 

心の中で叫び、思わず頭を抱えたくなった。

 

幸恵

「それで、どうなんです?」

 

ドラル

「…………合ってます、それで。彼らとは違う世界(とこ)だが(しかも元とはいえ『神』だし)」

 

幸恵

「なるほど……これで色々と辻褄が合うわね……」

 

顎に手をやりながら、何度か頷き思考し始めた。それを見たドラルにある疑問が生まれた。

 

ドラル

「? 別世界の話を聞いたりしないのか?」

 

幸恵

「私が? そんなことしませんよ。あんまり根掘り葉掘り聞いたら失礼じゃないですか。……異世界出身でもそうでなくても、ドラルさんが私を助けてくれたのは事実だし」

 

ドラル

「そうか……」

 

幸恵の言葉に笑みを浮かべて返す。単に嬉しかったからではない。どうしてか、彼女といると気持ちが安らぐのだ。それは彼女も同様だった。

 

幸恵

(さっきから何だろう……胸がドキドキして、落ち着かない……)

 

ドラル

「(妙だ……初対面の筈なのに、どうしてこうも安らぐんだ? クロなら何か知ってるか?)ん…なくなったか……」

 

空になった湯飲みを見て、ドラルはぽつりと呟いた。

 

幸恵

「じ、じゃあ、おかわり垂れて来ま―――あっ!?」

 

慌て気味に席を立った幸恵だが、足がつっかえたのか転びそうになった。

 

ドラル

「っ、危ない!」

 

咄嗟に席を立ち、素早く幸恵の前に移動するとぽふっと受け止めた。

 

ドラル

「大丈夫……あ」

 

幸恵

「ご、ごめんなさ……あ」

 

体をくっつけた状態で目が合い、互いの顔が赤くなる。2人の心臓の鼓動が速くなり、それが互いに伝わって来た。

 

ドラル

(っ、そうか……そういうことか……どういうことかわかった………わかってしまった……)

 

幸恵

「(ああ……そうだったんだ…だから私、さっきから……)ドラルさん……」

 

ドラル

「…!」

 

熱の籠もった目線と言葉に、ドラルは自分の想いに尚更確信を持ち、同時に幸恵の想いも察した。

そして―――

 

幸恵

「私、ドラルさんのこと…………す…好き……です……!」

 

ドラル

「!!(やっぱり……!)」

 

幸恵

「助けて貰って、一緒に話して……初めて会ったのに、気持ちが高ぶって……私「幸恵さん!」!」

 

ぎゅっと手の力を強め、幸恵を抱き寄せる。

 

ドラル

「俺も、好きだ……貴女といると、何故だか安心できる。ずっと一緒にいたいと、心から思えた」

 

幸恵

「ドラルさ「だが!」」

 

一度顔を合わせ、目をじっと見つめる。

 

ドラル

「俺は……俺は普通の人間じゃない。信じられないかもしれんが…………俺は、神に近い存在だ。寿命も全然異なる。それでも……いいのか?」

 

ドラルの言葉に最初は目をぱちくりしていた幸恵だったが、少ししてクスッ、と微笑んだ。

 

幸恵

「ええ。好きな人に何があっても愛し続けろって、教え込まれてますから。それに、神様に近いってことは仕事の内容も大変ですよね? だったら私が、疲れた時のケアをしてまげます! 得意なんですよ? だって、医者ですから♪」

 

満面の笑みを見せながら言う彼女にドラルは驚くと同時に、「やはり、この人だな……」と思いフッと笑った。

 

ドラル

「なら、付き合うのに悩む必要もないか……」

 

幸恵

「え、それじゃあ……」

 

ドラル

「こんな俺でよければ、傍にいてほしい。これから、ずっと」

 

幸恵

「……はい! ずっと、一緒です!」

 

想いを伝え合い、再度抱き合う。今日が初対面ながら、2人は厚い愛情で繋がっていた。

 

ドラル

(俺に、こんなにかわいい彼女ができるなんてな……悪いなクロ。先越させてもらったぜ)

 

心の中でドラルは、別世界の少女達を救いに行っている青年を思い浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、縛られたままどこかに飛ばされた神城ガイアは、あの後フルパワーの真ゲッターを易々と超えるスピードの戦闘機に乗せられ、凄まじい難易度のシミュレーション(最初にグレートゼオライマーとイデオンとネオ・グランゾンと超銀河グレンラガンを相手にし、それに勝ったら天元突破グレンラガンを相手にする)を何度も何度も体感し、格の違いを散々見せつけられた上で虚無戦記に放り込まれた……らしい。

 

 

 

ガイア

「もう嫌だぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!! ここから出せぇぇぇぇぇえええええええええええええ!! 出してくれぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ!!」

 

 

?1

「チェェェェェェェェェェェェェェェンジ!! エェェンペラァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!! ゥワンッ!!!!!」

 

?2

「行くぜ……邪鬼王ッッ!!!!」

 

?3

「極道兵器と呼ばれたワシの力、じっくりと見せたるでぇ!!!!」

 

?4

「全てを爆烈させる時が来ましたね……!!」

 

?5

「さあ行くぞ!! 戦いはこれからだッ!!!!」

 

全員

『『『おうよッ!!!!!!!!!!』』』

 

ガイア

「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

続…かない(虚無る)




という訳で第一弾は終了です。続きません(断言)。
ちなみに転生者が放り込まれた世界は故石川賢先生が執筆された(ある意味凄まじい)作品です。わからない人は検索してみて下さい。


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予告

現在制作している小説の予告です。公開するのは大分先ですが、他作者様のキャラが何人かゲスト出演するので「こんな内容で行こう」的な感じでとりあえず書きました。
それではどうぞ。


速報! あの男はまだ死んでいなかった!!

 

???

「まだだ、まだ足りない。いずれは全ての平行世界を絶望させてやる……!」

 

 

 

 

存在しない筈の脅威に全てを支配され、絶望に染まっていく世界。その中で、1人の青年―――杉原拓斗が立ち上がる!

 

拓斗

「コイツを使って、今まで虐げられてきた人達の怒りをお前等に叩き付けてやる!」

 

『ドリル・アーム!』

 

 

 

 

支配された世界を救う為、その世界で初めて誕生した仮面ライダーに変身した拓斗。劣勢になりながらも孤軍奮闘する彼の元に、次元を超えて戦士達が駆けつけた!

 

「今の俺なら勝てるだって? そいつはどうかな?」

 

 

 

ほむら

「私は諦めない。必ずまどかを救ってみせる!」

 

ドモン

「流派東方不敗、その身でしかと受けてみろ!!」

 

浅倉

「不運だったな。今日の俺はとても気分が悪い!」

 

 

 

智哉

「行くよ、シュロウガ! 奴らを蹴散らす!!」

 

 

 

彰人

「ゼロの予測では、お前等に未来はない」

 

一夏

「この場で消えて貰うぞ!」

 

 

 

一真

「たとえ果実の力が無くても、俺は戦う!」

 

 

 

 

 

更に! 様々な他作者様の作品から、時空を超えて最強の戦士達がここに集う!!

 

早苗

「そ、そんなことが……私達だけではなかったんですね……」

 

紀斗

「どうやら思った以上に、厄介なことになっているようだな……」

 

 

 

のび太

「僕達の力を―――」

 

ドラえもん

「甘く見てたら、痛い目に遭うよ!」

 

 

 

光輝

「こうなりゃ、俺達も力を貸すぜ!」

 

ヒカル

「ああ。乗りかかった船だしな」

 

「この状況だと心強いわね」

 

慎司

「だが急いで行かないと。どうも嫌な予感がする……」

 

 

 

 

狂った未来。破壊された明日。愛する人と平和を取り戻すため今、ヒーロー史上最大の戦いが幕を開ける!!

 

 

 

拓斗

「俺は……俺は決して絶望しない! お前を倒して希望を取り戻すと……そう彼女と約束したんだ!!」

 

 

 

 

 

イメージソング……松岡充『time』

 

 

 

 

 

 

世界を絶望させる為に次々と迫り来る強敵。平和を望む彼らは勝つことができるのか!?

 

???

「奴らの愛する者達は心の支えでもあり、同時に大きな弱点でもある。これを利用しない手はない」

 

そして彼らの前に立ち塞がる新たな仮面ライダー、エンドレスとは!?

 

???

「我が主の野望成就の為に、貴様等にはここで絶望してもらう!」

 

『ENDLESS!』

 

「お前を止めるのは……俺だ」

 

『ETERNAL!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒーロー一大集結! 『スーパーNOVEL大戦IMPACT』!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星夜

「おいおい、俺も忘れて貰っちゃあ困るぜ……?」

 

『トランス・サイン!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制作開始!!

 




いかかでしたでしょうか? 実際の台詞と内容は上記とは若干変わるかもしれないのと、前書きの通り本編を公開できるのはかなり後になりますのでご了承下さい。


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