青い悪魔と吸血姫 (mutu)
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1話 悪魔と吸血鬼

こんなのお兄ちゃんじゃないと思われましたらすぐにブラウザバックをオススメします。


       

 

 

      俺は間違っていたのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        テメンニグルの塔、

      最深部、人間界と魔界の狭間

 

 

 

 

ここに悲しき運命を背負った二人の青年がいた。

 

片方は真っ赤なコート、両腰に45口径の銃、そして背中に、見たら恐怖を覚えるドクロが入った大きな剣。

顔はすごく端正な顔立ち、髪は少し目にかかる程度の長さそして銀髪。

 

もう片方の青年は真っ青なコート、腰に普通のよりやや長い白黒の柄の日本刀、しかし顔は真っ赤なコートの男と同じ顔をしている、髪は無造作に後ろに撫で付けた銀髪、二人の青年はお互いを睨み合っている片方は感情的にもう片方は冷徹に。

 

 

 

赤、「俺たち双子なのにな」

 

青、「そうだな」

 

 

そう、この二人は双子の兄弟、赤い方が弟のダンテ、青い方が兄のバージル。

 

 

この日二人はすでに三回も殺しあいをしている、この二人の戦う理由、兄バージルは自分と弟の持っているアミュレットと父親の形見の剣(スパーダ)を使い魔界への道を開くために。

 

 

 

弟ダンテは兄を止めるために……

 

 

 

「俺たちが受け継ぐのは誇り高き魂だ!!」

 

「俺の魂はこう言っている、もっと力を」

 

 

 

 

二人の父親、魔剣士スパーダは、二千年前人間界に進行してきた魔界の住人達と戦った悪魔。

 

スパーダは、悪魔にも関わらず人間達と一緒に戦い。

 

悪魔達を圧倒的な力で魔界に追い払った英雄、そして一人の人間の女性と恋に落ち産まれたのがバージルとダンテ、二人は仲の良い兄弟だった。

 

 

だがある日、それは起こった……

 

 

 

父、スパーダが家に居ない時に悪魔が報復にやって来た。

 

母、エヴァは十にも満たない二人の子供を守るためにダンテとバージルを家の見つからないとこに隠し、エヴァは、自分を囮にして、追ってきた悪魔達によって殺されてしまった。

 

 

二人は母の亡骸を埋めるために地面を地中20メートルまで掘り悪魔に荒らされないようにした。

 

ダンテはずっと泣きじゃくっていた。

 

 

バージルは、悪魔に復讐を誓う。

 

 

それから数年父、スパーダに二人は剣の修行をつけてもらい力を着々とつけていった。

 

だか二人が12の時に父、スパーダは悪魔の頂点に君臨する、魔帝ムウンドゥスと戦いそしてスパーダ自身の命と引き換えに、ムウンドゥスを封印し、この世から去っていった。

 

 

短い間に両親を亡くした、バージルとダンテ、二人は、父が残した形見の剣。

大剣リべリオンをダンテが、妖刀、閻魔刀(やまとう)をバージルが形見として譲り受けた。

 

 

そして二人はそれぞれの道を歩いていく。

ダンテは人間を襲うに悪魔と戦う為に。

 

バージルは絶対的な力を、そして父スパーダを越えるために、母を殺した悪魔に復讐するために。

 

 

 

バージルは力を手に入れるためなら何でもした。

たとえ人間を手にかけることになったとしても……

 

 

    

    それから9年後、物語は、現代へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バージルは魔界の扉を開く役目になるテメンニグルの塔の封印を解くために多くの人間の命を生け贄にした。

 

ダンテはそんなバージルを止めるためにテメンニグルの塔に足を踏み入れる、この頃ダンテはもう昔のような泣き虫でない。

 

性格は一に、戦い、二に、ピザと酒、三に、女。

泣き虫では、無くなったが随分と楽観的な性格になってしまった……

 

だが人間を守るためなら父から受け継いだ誇り高き魂を心情に悪魔達と命がけで戦う。

 

ダンテ本人は絶対にそれを表に出さそうとしない、戦いも自分より弱い悪魔(大抵ダンテより弱いのだが)達に対して遊んでいるように戦う。

だが逃げる相手には止めを指すような真似はしない(状況によるが……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてバージルはダンテとは正反対の性格に。

 

自分より弱かろうが強かろうが全力で相手を殺す……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてバージルとダンテの戦いは終わりを迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

互いの剣と刀が交差し二人は後ろ向きになる

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅ!!!」

 

 

方膝をつくバージル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いはダンテの勝利に終わった。

 

 

バージルは傷ついた胸の傷を押さえながら立ち上がりゆっくりダンテに向き直る

 

 

そしてすぐ後方の崖に目掛けて後ろ歩きに進んでいく……

 

バージルの行動の意味に気付いたダンテは、バージルに向かって走る。

 

だがバージルは刀の切っ先をダンテの喉元に向けて近寄らせないようにする。

 

 

 

 

「来るな……俺はここでいい……親父の生まれたここで……ダンテ……強くなったな。」

 

 

 

 

その言葉を最後にバージルは倒れるように自分の体を投げ出す……

 

とっさにダンテはバージルに手を差し出そうとするがバージルの刀によって掌を切られてしまう。

 

ダンテはバージルが崖下に落ちていくのを涙を流しながら見ているしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        一話、悪魔と吸血鬼  

 

 

 

 

 

 

       俺は間違っていたのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バージルは、落ちていく中ダンテの涙を見た。

 

 

 

 

 

 

(俺はお前を殺そうとしたのになぜ涙を流す?)

 

 

 

 

 

落ちていく中ダンテの変わらない優しさに触れバージルは心の中でそんなことを思う。

 

 

 

 

(俺は間違っていたのだろうか、力を手にいれるために何でもしてきたなのにダンテ……俺は、お前に負けた……そうか…ダンテ……お前は……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  (人間の心を無くさず、悪魔としての自分を否定せず、前を向いて歩いていたのだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バージルはそこで眠るように意識をなくす。

目から一筋の涙を流しながらそして闇に包まれるように落ちていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わりここは麻帆良学園、森に囲まれた場所に一軒のログハウスが建っている。

ここの家の主の名前は、エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル、金髪の長い髪に、人形のような端正な顔立ちの少女だ、いや幼じ[何か言ったか!?]

 

 

 

      すごくきれいな少女だ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マスターどうかなさいましたか??」

 

「いや何か物凄く不愉快な言動が聞こえたきがしてな……」

 

「…マスター…耳鼻科にいかれた方がよろしいのでは??」

 

「おい!? それはどうゆう意味だ茶々丸!!!」

 

 

 

いつも道理の主従の漫才を繰り広げるエヴァンジェリンと茶々丸。

 

茶々丸はエヴァンジェリンのメイドだが人間ではない。

 

ガイドノイドといういわばロボットだ。だがロボットにしてみれば凄く天然な所があり、尚且つ人間のような感情がちらほら垣間見えたりする、何でもアリのガイドノイドなのだ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし暇だ…侵入者も来ないし坊やは今頃学校で授業中だろうしクソジジイは出掛けているから囲碁もうてん」

 

 

「ではちゃんと学校に行けばよろしいのでは??」

 

 

「……それがめんどくさいからこうやって仮病を使っているんだろうが……」

 

 

「マスターは引きこもりの鏡ですね。」

 

冷めた目で主を見る茶々丸

 

 

「…おい最近私に対しての言動ががおかしくないか」ピクピク

 

 

「?そんなことはないと思うのですが??」

 

「いや!!明らかなに可笑しいからな!!大体お前は…ッ?!…茶々丸!?」

 

「はい…侵入者の魔力反応を確認。反応は…一人です。」

 

エヴァンジェリンは茶々丸の報告にニヤリと口を端に上げる

 

 

「よし茶々丸暇潰しができた行くぞ!!」

 

「了解です。マスター」

 

 

  

 

  悪魔と吸血鬼の出会いは刻一刻と迫っている

 

 

 

 

 





こんな駄文を読んでいただきありがとうございます。

時系列などは、気にしないで下さい。

成るべく早く投稿したいと思います。


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2話 遭遇

[茶々丸、この辺りか?]

 

[はい、マスターこの辺りから魔力反応を先程よりも強く感じます]

 

[そうか。さぁてどんな自信家がきたの[しかし]

 

こんな真っ昼間に侵入者が現れるなど15年この麻帆良に縛られているエヴァンジェリンにとっては中々に異例なことだった。

 

 

 

 

 

 

うん?幼じ…いやいや少女と言っているのに15年縛られているとゆうのはおかしいだろ!?……だと?

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに少じょ…あぁもうめんどくさいから幼女でいいや[おい!!!]そうこの幼女何を隠そう実は

 

 

 

 

 

 

 

 

      吸血鬼(笑)なのである!!

 

 

 

 

 

 

[(笑)だと貴様氷漬けになりたいようだな] ピクピク

 

 

[……ま、マスター本当にどうなされたのですか??] 

 

 

 

いきなりの物言いに困惑する茶々丸、それはそうだ茶々丸に抱かれながら空を飛んでいるのにいきなり氷漬けにする、何て言われれば誰だって困惑するだろう。

 

さぁてそろそろ悪ふざけは終わりにして本編にもどろう。

 

 

 

[いや、何でもないぞ、茶々丸]

 

 

[そ、そうですか??マスター?]

 

 

[うむ、それにしてもこんな真っ昼間に侵入者とは珍しいこともあるものだな、そう言えば茶々丸?さっき何かを言いかけていたな?]

 

[はい、マスター、魔力反応は確かにさっきよりは強く反応がありますが、とても弱いのです]

 

[何??確かに言われてみれば、何だこのは魔力の感じは弱いと言うよりは、死にかけといった方がいい感じだな]

 

 

久々の昼間からの侵入者にテンションを上げたエヴァンジェリンであったが再度ちゃんと、魔力の出所を調べてみれば弱々しく、今にも消えてしまいそうな反応であった

 

 

 

 

 

[だが、何でこんな真っ昼間から死にかけのやつが現れるんだ?]

 

 

エヴァンジェリンは疑問に思った、この15年麻帆良にいるがこんな侵入者は初めてであった、しかもこの麻帆良には侵入者ようの結界があり、普通はもっと手前で反応があるはずだった、なのにこの魔力反応は、唐突に、転移魔法でも使ったような反応だった、おかしいことに、転移魔法は確かに存在するが、この麻帆良に転移するには、麻帆良が管理する、セキュリティを掻い潜るか、ここの学園長に許可をもらわないと普通は転移魔法では、麻帆良には、来れないのだ

 

 

 

[どうなさいますか、マスター?]

 

[そうだな、こんな死にかけのやつがどうやってここに来たのか気になるとこだが、それは後回しだ、こんな真っ昼間にしかも、私が管理する範囲内に死なれても、後々クソジジイや正義の魔法使いの連中にネチネチ小言を言われてもかなわん。]

 

 

 

 

このエヴァンジェリンと言う幼女は、基本的はどこに死にかけの奴がいようが、助けると言うことはしないのだ、なぜか、それは興味がないから、エヴァンジェリンは600年の時を生きる吸血鬼、しかも、真祖の吸血鬼なのだ、真祖の吸血鬼とは、人間から魔法で吸血鬼に変えられた人間のことを指すのだが。

 

 

 

 

本来吸血鬼は、昼間には行動できない、だが真祖は慣れれば昼間だろうが、銀の釘で刺されようが、火やぶりにされようが、たちどころに傷やら火傷は再生する、まぁ平たく言えば、万能型の吸血鬼と言ったところか、エヴァンジェリンはその昔、中世、ヨーロッパのある場所の領主の娘だった…

      

 

エヴァンジェリンの10才の誕生日に事件は起こった、普段だったら家族や使用人に祝われて、幸せな時間をエヴァンジェリンは過ごしていたはずだった、だが、誕生日の朝に目を覚ませば、周りは、血の海になっていた。

 

 

結果を言うと化け物になっていた、普段と違う感覚に幼いエヴァンジェリンは、混乱していた、ふと前を見れば黒いローブを着た男が目の前に立っていた、その男は心底愉快に、狂喜染みた笑みをその顔に浮かべていた、そして男は言った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        [実験は成功だ!!!]と…

 

 

 

 

 

 

エヴァンジェリンは訳がわからないと狂喜染みた男を睨み付ける。

 

この男は数日前から家に来ていた研究者だ、エヴァンジェリンはこの男のことを一目見たときから嫌いだった、それは、子供としての自分が感じたものだった。

なぜ目の前にこの男が、と疑問を持つエヴァンジェリンそして目の前の男に対して、何があったのか聞こうと口を開いた時、先に男が喋りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    [やはりこの家のもの達を使ったのは正解だったか、喜べ!!お前は自分の両親そして使用人達の命を糧として

 

 

 

 

 

 

 

     吸血鬼に生まれ変わったのだ!!!!]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今目の前の男はなんと言ったのだろうか、両親そして使用人達の命を糧に私を吸血鬼にした?

 

 

 

 

幼い頃からエヴァンジェリンは頭が回る賢い子供だった。

もっと普通の子供としての脳の持ち主だったら、目の前の現実に追い付いて行けず、もっとあとになってその事実に気いずいていれたかもしれない、だがエヴァンジェリンは気いずいてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    自分は化け物になったのだと……

 

 

 

 

それからのことを話すとエヴァンジェリンはその男を殺した、泣きながら、叫びながら、男は魔法使いだった、男は飛びかかってくるエヴァンジェリンに対し杖を抜き、そして魔法の矢と言う、攻撃呪文を唱えた、真っ直ぐにエヴァンジェリンに飛んでいき、肩、胸、足をその攻撃によって貫かれたが、エヴァンジェリンは、止まらない、例え血を吐こうともたちどころに傷は塞がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてエヴァンジェリンは吸血鬼の身体能力で男の目の前に到達した

 

 

 

 

 

男を殺した両腕を引きちぎり、両足を砕き、そして頭を潰した何度も何度も何度も何度も何度も、笑いながら、泣きながら、そして自分は本当に化け物になってしまったのだと、自覚しながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        話は現代に戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エヴァンジェリンと茶々丸は、広大な森の上を茶々丸の飛行能力で飛んでいた、エヴァンジェリンは茶々丸に、抱えられながら

 

 

 

 

魔力反応がある場所に到達し、ゆっくり降下した、そしてエヴァンジェリンと茶々丸は、発見した、血まみれのコートの男を

 

 

 

エヴァンジェリン達は男の治療をするために、自分の家まで運んだ

 

 

 

 

 

[ケケケ、ゴシュジンナンダソノ血マミレノ、ヤロウハ]

 

 

 

 

家についたエヴァンジェリンと茶々丸はリビングのソファーに血まみれの男を寝かしたそしてふと無機質な声が聞こえた……

 

 

 

彼女?の名前はチャチャゼロ、エヴァンジェリンが初めて作ったキリングドール(殺戮人形)この人形可愛い顔をしているがその実中身は、どうやって自分の持っている刃物で敵を切り刻んでやろうかと、いつも考えている、危ない人形なのだ、大きさはエヴァンジェリンの膝したぐらい。

エヴァンジェリンは終始この人形チャチャゼロに悩まされている、別に命令を聞かないからとかではなく、600年間悩んでいるのは、エヴァンジェリンに対しての言動の数々、隙あらばエヴァンジェリンをからかうように、時に上から目線から、エヴァンジェリンは心の中で頭を抱える、まぁこの600年間何度となくその事を注意した、だが一向にそれを改める気配がない……

 

 

 

だかエヴァンジェリンは別にチャチャゼロの事を嫌いな訳ではない、その言葉遣いを除いては、本当によくエヴァンジェリンのサポートをしてくれる、頼もしい、家族なのである、エヴァンジェリンは毎回のことに(はぁ…)と心の中でため息を吐く

 

 

 

 

[なに、ただの死にかけの侵入者だよ]

 

 

[オ?コンナヒルマカラ、侵入者?メズラシイコトモアルンダナ、ジャア、キリキザンデイイカ?]

 

[何がじゃあ、だ…]

 

エヴァンジェリンはため息を吐きながらツッコミを入れるそして、[こいつはダメだ聞きたいことがあるからな]とチャチャゼロに言う、チャチャゼロは、[ケッ]とつまらなそうに舌打ちをする、エヴァンジェリンはチャチャゼロを抱え血まみれのコートの男のそばに歩みよる。

 

 

[どうだ?茶々丸]

 

と治療を始めていた茶々丸に傷の具合を聞く

 

[はい、軽い傷は腕、足に何か刃物のような物での切り傷、そして一番致命傷なのは、肩から脇腹まで斜めに伸びる傷、これも先程報告しました。同じ物での傷です、そして驚くべきは、その切り傷が段々と塞がってきていることです。]

 

[何?傷が塞がってきているだと?]

 

[はい。]

 

 

ここまでの事を聞いてエヴァンジェリンは、茶々丸に[そいつの血を少し抜いておけ]と茶々丸に指示を出す、そして小瓶を茶々丸に向かって投げ渡す、茶々丸は、[了解です、マスター]と返事を返す、エヴァンジェリンは茶々丸が抜いた血の入った小瓶を受け取り、地下の研究所にチャチャゼロと向かうべく、階段を降りていく、それを見届けた茶々丸は

血まみれのコートの男の看病に戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     エヴァンジェリン邸、地下研究所

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早速エヴァンジェリンはさっき受け取った血を調べはじめる、最初にエヴァンジェリンはその血を指に少しだけつけひと舐めする、[な!?]と驚きの表情を浮かべるエヴァンジェリン、驚いた理由は、自分の魔力が全盛期の半分以上に戻ったことに、エヴァンジェリンは、15年前、魔法世界の英雄、千の呪文使い(サウザウントマスター)ナギと戦い、負け力を封印されてしまっていた

 

 

 

まぁ戦いとは名ばかりのものなのだが、簡単に説明するとエヴァンジェリンはナギが仕掛けた落とし穴に落ちそしてエヴァンジェリンが嫌いな、ニンニクや葱をエヴァンジェリンが落ちた穴の中にナギがホイホイっと投げ入れそしてエヴァンジェリンはたまらず降参したと言う、なんともアホらしい戦い(笑)であった。

 

 

ナギとの戦いに負けたエヴァンジェリンは、負けた代償としてナギに登校地獄というふざけた魔法で、ここ麻帆良に封印されることになった、麻帆良の結界は侵入者に反応するだけではなく、エヴァンジェリンの力を封印する機能もついている、そうしてエヴァンジェリンは、15年この麻帆良に縛られる形となった。

 

 

 

 

 

 

だからこそエヴァンジェリンは、驚いた前に坊や(ナギの息子のネギ)の血を指先から少し吸ったときはこんなにも魔力は回復しなかった、ニヤリと口の端を上げるそしてエヴァンジェリンは、[おもしろい]と

 

 

 

 

茶々丸サイド

 

 

 

 

一方茶々丸はさすがにずっとソファーに寝かせて置くのは体によくないと思い血まみれのコートを傷口に触れないようのに慎重に脱がしはじめる。

 

そして男をお姫さま抱っこで運ぼうとする、そして茶々丸は思う、この男は、やはり凄く身長が高いと、それもそのはずこの男(バージル)の身長は、推定188以上、もし第三者が見ていたら、か弱い女の子が大男をお姫さま抱っこしているなんて凄くシュールに思うだろう。

 

 

そして茶々丸は男の体に負担が掛からないように二階の寝室に運ぶ。

 

 



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3話 夢

          

 

 

 

 

その頃茶々丸にベットへ運ばれたバージルは、夢を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[俺強くなって母さんを守ってあげるんだ!]と幼いダンテ

 

 

[頼もしいわね、母さん凄く嬉しいな]と母、エヴァ

 

 

[いえ、僕が母さんをお守りします!]と幼いバージル

 

 

[あらあら、バージルまで守ってくれるの、母さんは幸せものね]

 

 

[だったら二人一緒に母さんを守れば良かろう]と二人の言葉を聞いて無表情の上に少し微笑みを浮かべる父、スパーダ

 

 

[[二人で(ですか)??]]

 

 

[そうだ、これから先どんな苦難が待っているともしれん、一人より二人で力を合わせたほうが良かろう、お前達は兄弟なのだからな。]

 

 

父の言葉を聞いたバージルとダンテはお互いの顔を見てニコッと笑い合い、父に向き直り、元気よく[[はい!!]]と返事をした

 

 

 

 

 

 

その光景を見ていた青年バージルは(フッ)と自嘲ぎみに笑う

 

 

 

[どこで道を外れてしまったんだろうな。母さんが死んでしまった日からだろうか、やはり俺は…間違っていたんだな…、力だけではどうにもならないのに力に溺れ、最愛の弟、ダンテまでおも、力を手にいれるために、殺そうとしてしまった。(俺たちが受け継ぐべきは誇り高き魂だ!!!)、やはりダンテが正しかったのだな、殺そうとした俺に対して助けようとし、涙まで流し、フッ…俺は本当に救いようがないな、こんなやつは死んでしまって正解[まだ死んで何ていませんよバージル]…!?]

 

 

 

 

 

[か、母さん?]

 

[ええ、大きくなったはね。バージル]

 

[な、なぜ]

 

[ここにって?] ニコ

 

コクリとバージルは頷く

 

[そうね、バージルが心配だから、かしらね。あなたは一人で何でも抱え込む性格だから、一人で抱え込むより誰かにこれからは、相談しなさい。]

 

[だが、俺はもう死んで[だから死んでないって言ったでしょ]

 

[ここはあなたの夢のなか、だから私はバージル、貴方に会いに来れたのよ。]

 

[俺の夢の中??]

 

[そう、貴方はまだ生きているのよ。私が死んでしまった、為に貴方に苦労をかけて[違う!!俺は母さんを守れなかった、約束したのにッ、俺は母さんを見殺しにしてしまったたんだッッ]

 

[俺がしっかりしていれば、こんなことにはならなかたんだッ、俺はダンテまだでおも、この…、この手で!![ほら]…?

 

[また一人で抱え込もうとしている。母さんは、貴方のことこれっぽっちも恨んでなんかいないわよ。もちろんダンテもね。ダンテは貴方のことを恨むような子じゃないわよ、むしろバージルの事を救えなくて落ち込んでいるでしょうね、あの子は優しい子だから、確かに貴方は取り返しのつかないことをしてしまった、だからって卑屈になったって何も始まらない、後悔しているなら前を向いて歩いて行きなさい、貴方が殺めてしまった人たちの分まで、辛い道になる、それでも前を歩いて行けばきっと光が見えてくるから。]

 

バージルは知らぬまに涙を流していた。

 

 

[俺は……変われるだろうか?]

 

[ええ、バージルが前を向いて歩いていればね。それにダンテに謝りたいなら会いに行けばいいんですもの、ケンカしたら謝る、仲直りの基本よ。] ニコ

 

 

あのような戦いを繰り広げても母、マリアにしてみれば兄弟ゲンカ、やはり母は強と改めて思うバージル。

 

[そうですね、ケンカしたら謝る…全くもってその通りですね]

 

[あら、いつもの調子に戻ってきたわ

ね、いい傾向ね]と言いバージルに抱き付く、マリア。

 

[そろそろお別れの時間ね、短い時間だったけど貴方に会えて母さんはうれしかたわよ。]

 

[俺もですよッ、母さんッ]

 

[ほら泣かないの、これじゃ昔のダンテね]

 

マリアはバージルと少し距離を開けバージルの頭をよしよしと撫でる。

 

[それじゃ、母さんは帰るはね。…あ、そうだ、スパーダから伝言を預かっていたんだわ]

 

[父さん…から??]

 

[ええ、[強く生きろバージルお前は俺の自慢の息子だ]、ですって。] ニコ

 

 

あんな行いをした自分に対して父、スパーダはまだ俺の事を自慢の息子だと思ってくれていた、その言葉はバージルの胸を強く打った、バージルは涙を拭い力ずよく

 

[はい!]

 

と母、マリア、そして何処かで見守ってくれている偉大な悪魔にして英雄の父、スパーダに返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    そしてバージルは目を覚ます

 

 

 

[……ここは]

 

 

[目を覚まされましたか]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バージルの止まった時は動き出す、これから始まる新しい時に向かって……

 




なんか……本当にすいませんッ!!m(__)m


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4話 対面

目を覚ましたバージルは声のした方に首を向ける、そこにいたのは黒を基調にしたメイド服を着た女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お前は?」

 

 

バージルは警戒しながら女に喋りかける

 

 

「私の名前は茶々丸ともうします、ここは私のマスターの家でございます。」

 

「マスター?」

 

「はい。私の主の名前はエヴァンジェリン・A ・K ・マクダウェル様です。」

 

茶々丸はマスター、エヴァンジェリンの名前を言って相手の反応を伺うことにした。

人間誰しも知っている名前を聞けば顔には出さなくとも、体温などを感知できる茶々丸にとっては、反応があるかどうかなども、簡単にわかること、相手が人形ではない限り……

 

 

 

 

「そうか。……その主様には、世話になったようだな。」

 

茶々丸は、反応がないのを少し不思議に思った。

エヴァンジェリン・A ・ K ・マクダウェルと言えば、魔法世界では知らないもののいない、恐れられた人物だ。

だがバージルは、その名前を聞いてもなんの反応を示さなかった。

 

 

 

 

「いえ。ですがマスターが貴方様に「バージルだ。」…え?」

 

「俺の名だ。」

 

「はい、ではバージル様に[…様はいらない」…畏まりました。…では、バージルさんにマスターがお聞きひたいことがあるそうです。」

 

「…聞きたいこと?」

 

「はい。ではマスターを呼んで参りますので少しお待ちください。」

 

と茶々丸は、言うと一礼し部屋を後にしようと後ろに向き。

ドアに手をかけ、出ようとしたところで後ろから「待て」と声が聞こえバージルに向き直り「何でしょうか?」と首を少し傾けた。

 

 

「ここは、イタリアか?」

 

 

「いえ。日本の麻帆良学園と言う、ところです。」と答え今度こそ部屋を後にした

 

 

 

 

 

「……日本?」とバージルは困惑した。

それもそのはず、バージルは、さっきまでイタリアにいたのだから。

ダンテと戦った場所、テメンニグルの塔はイタリアにしかないはずなのだ。

バージルは、考える。

自分が落ちた先は、魔界に繋がっているはずだったのに、だがしかし蓋を開けてみれば、日本、この矛盾にバージルは、(まさか、母さんが?母さんもしくは父さんが何かしらの力を使い。俺をここ日本まで飛ばしたのか?)とバージル心の中で思った。

そして次に疑問に挙がったのは、バージル自身が日本語を話していることだった。

バージルは日本に来たことなのど21年間生きていて一度もないはずなのだから。

(これも母さん達が?)と考えていると、不意にドアがノックされた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エヴァンジェリン、サイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。バージルさん。こちらが私のマスターである。エヴァンジェリン様です。マスターこちらの方の名前は、バージルさんです。」

 

と茶々丸が簡単にお互いの自己紹介をしてくれた。

そしてエヴァンジェリンは、バージルの顔を見る。

家に運んできた時のバージルは、顔も血で汚れていて素顔をちゃんと確認できなかった。

バージルの顔を見たエヴァンジェリンの感想は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……き、綺麗な顔をしているな…)

 

と面食らっていた。

確かにバージルは、綺麗な顔をしているだろう。

だがそれは、女顔と言うことでもない。

男に対して綺麗ななどと使うのは、間違えであるかもしれないが…

バージルの顔は、まるで絵の中から出てきたような、そんな錯覚を覚えるほど、端正な顔立ちをしていたのである。

 

 

 

「怪我の治療をしてくれたと聞いた。」と不意にバージルから話しかけられ、エヴァンジェリンは、心の中で頭を振り。

バージルに[ああ、そうだ]といつも道理の感じで返す。

 

 

 

 

 

 

「それで、バージルとか言ったか?……お前に聞きたいことがある。」

 

「なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は悪魔だな。」とニヤリと笑いエヴァンジェリンは、そう切り出した。

 

 

だがバージルは、何時もの調子で[ああ]と返した。

随分あっさりとした感じで返されてしまったのでエヴァンジェリンは、想像してた反応と違って肩透かしにあう。

だが今度は、バージルからの言葉でエヴァンジェリンは、少し驚く。

 

 

    「お前は吸血鬼だな?」

 

 

 

[…ほぅ、よくわかったな]とエヴァンジェリンは、少しだけ間を開けて答えた。

 

こっちが驚かせようとしたのに逆にこちらが驚かされてしまったことにエヴァンジェリンは、少し悔しい思いをした。

 

(だが茶々丸からは、私の正体を知らないと、聞いていたのに……なぜこいつは、わかったんだ?)とエヴァンジェリンは、考える。

茶々丸がミスを犯すなどないと自負しているエヴァンジェリンは、バージルに対して警戒した。

バージル見るに人形などではないなど、一目瞭然だ。

そんなことを考えているとバージルから声がかけられる。

 

 

 

 

「なに、ただ魔力の反応が吸血鬼に似ていたから言ったまでだ。それと俺は悪魔だが半分は人間だ。」

 

「何?ハーフデビルだと?」

 

エヴァンジェリンは、内心(やはりか)と思う。

バージルがハーフデビルだとエヴァンジェリンは少なからず予想はしていた。

 

ハーフデビル、即ち半人半魔。

ハーフデビルに会うのは、別に初めてではない。

エヴァンジェリンのクラス。

3-A の生徒の中にもハーフデビルは、いる。

それに半妖も、正真正銘の悪魔だっている。

(だとするとこいつは、相当に高等のそして最上位の悪魔の息子となるわけか。)エヴァンジェリンは、「これで納得がいった。」とバージルに言葉を掛けた。

 

 

 

「……何にだ?」とバージルは少し目を薄めて聞き返す。

 

「いやなに、お前を治療している時に少し血を抜かせて貰ってな。試しに少し舐めてみたのだよ。」

 

「…それが何だ?」

 

「私は、この場所に力を封印されている身でな。普段は、日常生活に支障がないくらいに力を押さえ込まれていてな。だが人間の血を吸うことでほんの少しは、魔力が回復するんだ。もし私の魔力を全快に回復させるのなら、魔力量が多い者の血を吸うのが一番でな。お前が知っているかどうか知らないがここの学園には、英雄の息子がいて[……英雄の息子…]…うん?何だ?」

 

「いや、何でもない。続けろ。」

 

バージルの物言いに少しカチンときたがエヴァンジェリンは、グッと我慢して話の続きを始めた。

 

「英雄の名前は、ナギ・スプリングフィールド。息子の名がネギ。

この二人の魔力量は、えらく多くてな一般の魔法使いにくらべ少なく見積もっても10倍の魔力がる。坊…ネギの血を吸う機会が少し前にあってな。ネギの血を指先から少し貰っんだ。そして私は確かに魔力が全盛期の半分以上回復した。だがお前の血を私は、自分の指に少し付けそして一舐めだけしたんだ。……それがどうだ!!それだけで魔力が半分以上も回復した!!これは、お前が英雄やその息子以上に魔力があると言うことだ!![何が言いたい?]…なにただ私が聞きたいのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   お前は誰の息子だ?」 ニヤリ

 



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5話 対談

「……聞いてどうする?」

バージルはエヴァンジェリンを睨む。

寝てる体制とはいえバージルの殺気は衰えたりはしない。

睨みだけで相手を失神させることなどバージルにとっては、容易いこと。

だがエヴァンジェリンは、汗1つかいていない、逆に睨まれてる訳でもないのに茶々丸のほうが動揺していた。

例え機械だとしてもバージルの殺気は堪えるものだと思える。

 

「そんな怖い顔をするな。綺麗な顔が台無しだぞ?。なにただの興味本意だ。聞いたところでそれを誰かに告げ口したり利用したりなどしないさ。」

 

そう言うエヴァンジェリンの目をバージルは睨みながら見つめる、(…嘘を言っている目ではないようだな)とバージルは思った。

 

バージル程の者になると相手の目を見れば嘘をついているかどうかなど直ぐに見破ってしまう。

まぁ大抵のやつは、バージルにちょっと睨まれただけで逃げるか、失神するかのどれかなので余り意味はないのかもしれないが……

ただ希にそれに耐えれる人間もいる。

そうゆう奴には、殺気を込めた睨みに変え有益な情報を得るために尋問を開始する。

だがバージルは、冷静に見えて実は、結構短気な所があるためになかなか喋らなければ即座に閻魔刀で致命傷に成らない程度に切ったり刺したりしてしまう。

それで助かりたい為に嘘など吐いたりしてしまえば命の保証は、ないだろう。

 

 

 

だからバージルは、エヴァンジェリンの目を見て確信したこいつは、嘘など吐かない人物なのだと(……この小娘。相当高貴な吸血鬼なのだろう)とバージルは、思った。

そしてエヴァンジェリンに興味を持ち始めた。

この女は、何年生きてこれ程の精神力を鍛えたのだろうかと、そして女性に対して聞いては、いけないことをバージルは、興味本意で聞いてしまう……

 

 

「どうだ言う気に「……その前に」…?」

 

 

「貴様歳は幾つだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間ビキリと何か血管がキレた音がした……

 

 

 

 

 

「……歳は、幾つ、だと……?] 

 

 

ついにバージルの言動に耐えかねたエヴァンジェリンは、バージルをキッと睨み付ける。

それに対してバージルは

 

 

 

[ああ]この態度である。

いち早く危険を察知した茶々丸がエヴァンジェリンを羽交い締めにした。

 

「離せッ!!!!!!茶々丸ッ!!!!!こいつ、こいつだけはッ!!!!!!」と怒り心頭である。

その様子を見ていたバージルは、[?]と何を怒っているんだこの小娘は、見たいな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[フーーッ!!!!!フーーッ!!!!!フーーッ!!!!!]と

鼻息が荒いエヴァンジェリン。

 

茶々丸に羽交い締めにされて手足をバタバタさせたのが疲れたのか落ち着き始めていた。

どんな風に暴れていたかは想像にお任せします(ーー;

そして茶々丸が

「どうどうです。マスター、」

などと言いそれに対してエヴァンジェリンは、「私は馬じゃないぞ!!!このボケロボ!!!!」とツッコミを入れていた。

それで頭が冷えたのか鼻息も正常に戻っていった。

 

一方バージルは、終始[?]この状態だった。

 

 

「何故そんなに暴れたのか知らんが。気がすんだようだな。」とバージルのせいにも関わらずそんな言葉をエヴァンジェリンに向かって言いきった。

 

バージルは、天然の称号をてに入れた、テレッテテレ~~♪

 

「ッッ本輪と言えばきさ「で、幾つだ。」とエヴァンジェリンが喋っているのにも関わらず食いぎみでバージルは、再度同じ質問をする。

エヴァンジェリンは、このままでは、イタチごっこだなとバカらしくなったのか「はぁ~~」と盛大なため息を吐き

 

 

 

 

 

 

          そして……

 

 

 

 

 

 

 

「…ろ…じゅ…さい。」

 

「?…聞こえん。」

 

「だからッ!600歳だッ!!ハンッ!そう言う貴

様こそ!!!歳は、幾つだ!?!?600か700か!?!?」

ヤケクソ状態なエヴァンジェリンは、ヤケクソにバージルの年齢を聞く。

だがこれが今までバージルと話したの中で一番驚くことになるエヴァンジェリンであった……

 

 

 

       

 

         「21だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?????」

 

「だから21だ。」

 

 

 

……

 

…………

 

 

「に!?に!?に!?に!?に!?に!?21!?ぃぃぃぃぃ!!!!」

 

「そうだ?だからどうした?」

 

エヴァンジェリンの頭は、パニックになっていた。

それもそのはずエヴァンジェリンは、ずっとバージルの歳を600から700の間だろうと予想していてたからだ。

なぜかと言うとバージルの殺気と眼光を感じた時のエヴァンジェリンは、これ程の殺気と眼光を人間が生きている内には、絶対に体得などあり得ないと思っていたからだ。

長い年月を掛けなければこれ程の殺気、眼光を身に付けるのは、不可能だとエヴァンジェリンは、思っていたのだから。

 

 

だからエヴァンジェリンは、益々バージルに興味をしめす。

そして誰の息子だと質問をしていたのを思いだし再度聞いた。

 

 

「そうだ!!!貴様の父親は、誰かと話をしていたところだった!!!……それで結局貴様の父親は、誰だ!?!?」

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       「……魔剣士スパーダ」

 

 

 



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6話 記憶

 

 

今、この男なんと言ったんだ……「……魔剣士スパーダ」確かにそう言った。

 

 

エヴァンジェリンは、ベッドに横たわっている男、バージルの目を嘘を吐いていないか確認の為に注意深く見つめた。(…………嘘では、ないのか。)

エヴァンジェリンは、今日何回目の驚きだったのだろうか……

 

 

 

(知っている、私はその名前を、伝説の英雄スパーダ……)

 

 

エヴァンジェリンは、昔自分がまだ吸血鬼にされる前に何度も使用人に読んでもらった本。

題名を人間を救った悪魔。

 

この話が小さい頃のエヴァンジェリンは大好きだった。

人間の味方をする魔剣士スパーダ。

 

そして人間達と一緒に魔界から来た悪魔達と勇敢に戦いそして人間達を勝利に導いた英雄スパーダ。

本の終わり方はスパーダが旅に出て終わる。

エヴァンジェリンは、驚きと懐かしさが込み上げてきた。

 

 

「……お前が魔剣士スパーダの息子か、何とも懐かしい名前が出てきたものだな。なるほどお前の魔力が高いのはそう言う事か。」

 

「マスター、失礼ですが魔剣士スパーダとは、私のプログラムにも載っていない人物なのですがどういった方なのですか?」

 

「まぁ、茶々丸。お前が知らなくても当然か……何せもう1000年も前の話だからな。そうだな簡単に説明すると魔界から進行してきた悪魔達を人間達と一緒になって戦った。人間界の英雄様だよ。」

 

「そのお方のご子息様がバージルさん何ですね?」

 

「そうゆう事だ」

 

「ですが何故私のプログラムの中には、その英雄の話が入っていなかったのでしょうか?その様な話なら本になって残っていてもおかしい事は、ないんでは、ないでしょうか??」

 

「なに、もう2000年も前の話だからな。しかもそんな話、普通は、お伽噺だとおもってしまうから、誰も信じないだろう。600年前でさえ私が読んでもらっていた本だって、ボロボロの状態だったんだ残って無くてもまぁ不思議では、ないだろう。この話を知っている奴なんてこの辺だったらクソジジイ位だろうよ。何にせよ、バージル貴様はやはりおもしろい奴だな……今の私は、すごく気分がいい、もし行く当てがないのならこの家に好きなだけ泊まっていけ。私が許可してやる。」

 

 

「アーハッハハハ!!!」とエヴァンジェリンは、ものすごい高笑いを始める。

 

そしてその事を聞いたバージルは、それも有りかもなと思い始めた。

バージルは、まだどう人間達と接していいかと、そしてダンテに会うのを渋っているのだ。

バージルのプライドは、まぁバージルの言動を聞けば分かるとうり、もすごく高い方だろ。

多分エヴァンジェリンといい勝負かもしれない(/ー ̄;)

そんなバージルが今すぐイタリアに帰ってダンテに謝るなど、悪いことをしたとはいえプライドが高い、そして兄バージルとしては、到底無理な話なのである。

それにバージルは、ここを拠点に人間の事を知ることもいいんじゃないかと考え始めている。

 

 

「ならその言葉に甘えさてもらう、俺の目的のためにな。」

 

と言ったバージルにエヴァンジェリンは、「目的?」と聞いた。

エヴァンジェリンは、バージルが英雄の息子とわかった時点から出てきた新しい疑問。

それは、バージルがどうやってここに来たことと、誰がバージルにこれ程の傷を負わせたのか。

エヴァンジェリンは、バージルが強いことなどバージルと話始めたときから気づいていた。

エヴァンジェリンは、睨まれた時に心の中で(……今の状態のこいつと戦っても確実に負けるだろう。だがもし私の魔力が戻ったとして、そしてこいつの傷が治って戦うことになったら、負けるのは、どちらだろうな……)と内心で楽しそうに笑みを浮かべていた。

 

 

 

話は、戻り

 

 

 

「目的とは、何だ?」

 

「人間の事を知ることだ」

 

「人間の事を知る?何故だ?」

 

エヴァンジェリンは、疑問符を浮かべた。

バージル程の人物に人間ごときが太刀打ち出来るはずがないと思っていたエヴァンジェリンは、更に興味を示す。

そしてエヴァンジェリンは、「まさか人間に負けたから、人間の事を知りたいんじゃないんだろうな?」と顔をニヤつかせ、挑発気味にバージルに言った。

 

 

「……半分は正解だな。」

 

「半分?」

 

「このキズは弟に負けて付けられたものだからだ。」

 

「弟!?貴様弟がいるのか!?」とエヴァンジェリンは、今日何回目かわからない程の驚きを示した。

 

(……こんなバグがもう一人居るとは、世界も案外広いものだな。此れほどの奴なんて魔法世界の英雄赤き翼の中でもナギやラカンと言ったやつでもない限り釣り合わないだろうな……まぁナギやラカンでもこいつに勝つのは、厳しいと思うがな……) 

 

エヴァンジェリンは、唐突にこんなことを切り出した。

 

「貴様の記憶を覗かせてくれないか?」

 

「……何故?」

 

「…なにこれも興味本意だ。貴様ほどの奴を倒した相手を見てみたいと思ったから、話を聞くより見たほうが早い、とな。なに別に全ての記憶を見るなんて事は、絶対にしないから安心しろ。」

 

上から目線全開のエヴァンジェリン。

 

そんなエヴァンジェリンの発言に、バージルは、内心で(……相談できる相手を見つけろか。母さんは、この小娘の事を言っていたのだろうか。確かに話すより見せる方が信憑性も上がる……この小娘が俺がやった行いに対して誰かに告げ口したりしないのは、さっき目を見て確信したところだ。まぁ誰かに言われた言われたらで、逃げるのは、本意ではないが目的のためには、仕方ない事だな…)とバージルは、思う。

 

辛い道、前を向いて歩く、母、エヴァの言葉、ダンテの言葉、父スパーダの言葉を心情にバージルの、力こそ全てと言った思いは、間違えであると段々と気づき始めていた。

 

だからバージルは、人間の事を知りそして極力人間を殺さないこと(状況によるが)を家族の言葉に誓いをたてていた。

 

バージルは、エヴァンジェリン対して「…好きにしろ」とぶっきらぼうに答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        バージルの記憶

 

 

 

 

 

 

エヴァンジェリンは、早速魔法で、バージルの記憶を見ている。

 

 

 

エヴァンジェリンは、それは、もう驚きまくっていた。

スキンヘッドの司祭、塔、大量の悪魔、白い二足歩行で歩く十メートル位の獣型の巨大な悪魔、強大な魔力を発するこれまた巨大な青いうねうねした化け物、そして……

 

 

 

 

 

 

   バージルと同じ顔で真っ赤なコートを着た大男…………

 

 

 

 

 

(……凄まじいな…それに、バージルの力は、ここまでものだったとはな…)

 

エヴァンジェリンは、バージルと弟(ダンテ)の戦いを見て面食らう。

それは、そうだろうここまでは、説明しなかったがバージルとダンテは、人間の姿の他にもう1つ、悪魔に変身できる能力を持っている。

姿は、バージルの方がコートをそのまま青い外装の甲羅のように、そしてバージルの人間の時と変わらない大きさ。

ダンテの方も赤いコートを外装にしたバージルと色違い(所々は、微妙に違うが)

の姿、この姿の事をバージルとダンテは、魔人化と言っている。

この魔人化かは、凄く魔力を使ってしまうので余り長い時間は変身できない。

だが、人間の姿のときより身体能力や攻撃力が凄まじい程に上がる。

これは言うなれば切り札と言ったところだろうか。

 

 

そして場面は、人間界と魔界の狭間、バージルとダンテの最後の戦いの時……

 

 

 

エヴァンジェリンは、その戦いの光景を目に焼き付けていた。

お互い人間の姿で凄まじい速度で大剣、刀をふるう。

 

時より離れダンテは、腰の二丁の45口径のハンドガン(大きさ的には、ハンドガンではないが)で、あり得ない連写速度でバージルに向かって撃つ。

そんな銃撃をバージルは、刀を手首で回す運動で目の前で回し始める。

 

エヴァンジェリンは、(そんなことで銃弾を防げるか!!!!!)と内心でツッコミを入れる。

だがそんなエヴァンジェリンの思惑は、当たらない。

銃弾は面白いようにバージルの刀に防がれていた。

だがどっかに銃弾を弾いてるのではなく刀の遠心力をうまく使い刀に銃弾を張り付かせている。

イメージ的には、水の入ったバケツを振り回す感じだろうか?そして一頻り撃ったダンテは、撃つのをやめた。

無駄だと感じたんだろう。

それを見たバージルは、刀を回すのをやめ刀の側面を上に向けた。

(なッ!)とエヴァンジェリンは、驚愕した何故なら、ダンテが撃った七発の銃弾が綺麗に刀の側面に並んでいたからだ。

 

バージルは、刀を真横に下げピッと地面なぞるように刀を引いた。

そして面白いように銃弾がバージルの横にたて一列に並んだのだ。

ダンテは、ニヤりと笑い次に来るバージルの攻撃を予測した。

バージルは、相も変わらず無表情のまま一列に並べた銃弾を刀でダンテに向かって飛ばした。

銃弾の速度は、ダンテの銃と同じ速度でダンテに飛んでいった。

 

それを見たダンテは、背中の大剣を抜き放ち銃弾が縦に並んだ瞬間を見極め、大剣を縦一閃。

銃弾は、すべて綺麗に切れダンテの両サイドに別れて飛んでいった。

ここまでの戦いを見せられたエヴァンジェリンは、一瞬息を吸うのを忘れてしまっていた。

 

そして戦いは最後の時を迎える……

 

バージルが崖から体を投げエヴァンジェリンが見ていた景色が真っ暗になる。

 

(……これて終わりか…)とエヴァンジェリンは、バージルの記憶から抜け出そうとしたとき不意に後ろから声が聞こえた……

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

「お前がエヴァンジェリンだな。」と……

 



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7話 伝言

 

 

 

 

 

「!?……貴様何者だ?……何故私の名前を知っている?」

 

声を掛けてきたのは、知らない男だった。

 

髪は、バージルと同じ髪色、同じ髪型、顔も瓜二つそして、貴族が着るような胸元にフリルの付いたワイシャツ、紫のコートを着ていて身長もバージルと同じくらいな大男。

 

一瞬(……バージルか?)と思ったエヴァンジェリンだったが威圧感が、バージルとは、比べ物にならないくらいに違う。

 

エヴァンジェリンは、冷や汗を流す。

 

そして直感的に全盛期の自分の力でも、到底敵わないと悟った。

 

「私の名は、スパーダ。バージルの父親だ。……それでお前がエヴァンジェリンか?」

 

エヴァンジェリンは、(……やはりか)と。

 

さっきまで見ていたバージルの記憶でダンテの姿を始めて見たエヴァンジェリンは、こいつもバグたなと思った矢先今度は、そのバグ二人よりも強いバグが現れたのでエヴァンジェリンは、予想で(まさか、魔剣士スパーダか?)と思っていたので余り驚きは、しなかった。

 

 

 

「確かに私は、エヴァンジェリン・A・ K ・ マクダウェルだ。……それで?伝説の英雄様が私に何のようだ?」

 

落ち着きを取り戻したエヴァンジェリンは、いつもの感じで、スパーダの質問に答える。

 

だが警戒を怠るようなことは、しないように……

 

「そう警戒しなくても言い。ただ礼を言いたくてな。……驚かせたことは、謝ろう。」

 

スパーダそう言うと胸元に手を置き、優雅な一礼をする。

 

その姿は、まるで貴族と思わせるようなそのような振る舞いだった。

 

「うん?……礼だと?別に私は、お前に礼を言われる覚えは、ないぞ?」

 

と腕を組ながら答えるエヴァンジェリン。

 

「息子の治療をしてくれただろう。その事を親として礼を言いたかったんだ。ありがとう。」

 

「治療をしたのは、茶々丸だ。私ではない。」

 

ふんッ!っとエヴァンジェリンは、照れ隠しをする。

 

エヴァンジェリンは、人にお礼を面と向かって言われることに余りなれては、いなかった。

 

ましてやまさか自分が好きだった本の中の伝説の英雄にお礼を言われたのだ照れてもしょうがない事だろう。

 

「でわ。私は元いた場所に帰るとしよう。」

 

いきなりスパーダは、そんなことを言い始めた。

 

そして後ろに向き。歩きだそうとする。

 

とっさにエヴァンジェリンは、「待てッ!」と声を描ける。

スパーダは、足を止めエヴァンジェリンに向き直り「何だ?」と答えた。

 

 

「……それだけか?」

 

「?何がだ?」

 

「私を呼び止めた理由だ!!!」

 

「そうだが?」

 

とスパーダは、答えた。

どんだけ律儀なんだあなたは!!!おっと暴走してしまった。ごほんごほん

 

 

 

 

そしてそう言われたエヴァンジェリンも「……律儀な奴だ」とため息混じりに呟いた……

 

「……そういえば、まだ言う事があったな。」

 

「……今度は何だ?」

 

「息子と会ってまだ一日もたっていないのにこんなことを言うのも可笑しな話だが……息子の事を……よろしく頼む。」

 

「ふんッ!そんなの私の知ったことではない!……だが奴が居る間ぐらいなら面倒を見てやらんこともないがな…」

 

「フッ…それで十分だ。……そうだ……バージルに伝言頼まれてくれるか?」

 

「…何だ?……さっさと言え。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        「……頑張れ……と」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      エヴァンジェリン底、寝室

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、マスター。」

 

目を開けると茶々丸がそう声をかけてきた。

 

「ああ、ただいま……それにしてもなんだかドット疲れてしまったぞ……」

 

「お疲れ様です、マスター。」

 

「ああ」

 

エヴァンジェリンは、バージルの記憶で見た内容を思い返す……

壮絶、正にその言葉がしっくりくるだろう……

 

「そうだ。バージル……お前の父親から伝言だ。」

 

「…何だと?親父からだと?貴様……親父に会ったのか?」

 

「ああ、何でお前の中に居たかは、知らんがな…伝言をつたえるぞ?」

 

「……ああ」

 

「…頑張れ。だとさ」

 

「……フッ……頑張れか…親父らしいな。」

 

ここに来て始めてバージルは、無表情の上に微笑みを浮かべた。

知っている者が見ればこう言うだろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        父親にソックリだと……

 



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8話 新入り

 

 

 

「ところで俺の刀は、何処にある?」

 

バージルは、ふと辺りを見渡し、自分の刀がないことに気づいた。

 

「安心しろ。ちゃんと保管してある。」

 

「……そうか」

 

「お持ち致しますか?」

 

「いや、あるなら別に構わない。」

 

「あ、そう言えば……こちらもバージルさんのですか??」

 

茶々丸は、そう言ってポケットからある物を取り出した。

 

「ッ!……お前が持っていてくれたのか、すまないな。」

 

「いえ、気にしないでください。どうぞ。」

 

「…ああ」

 

そう言って、バージルは、赤い宝石が付いたアミュレットを受け取った。

 

「ほう?そのアミュレット、結構な魔力を秘めているな。それは、何かのマジックアイテムか?」

 

「そうだ。これとあともう1つ同じ物があるんだが、それは、弟が持っていてな。このアミュレットをある剣に翳すとその剣を、本来の姿に戻すことが出来るんだ……まぁその剣も弟のところにあるんだがな……あとこれは、母の形見でもあるんだ。」

 

[…そうか]

 

[フッ、すまんな。つまらん話をした。]

 

エヴァンジェリンは、どう言えば言いか迷っていた。

バージルは、この数時間前まで、弟と壮絶な殺し合いをしていたばかりである。

 

エヴァンジェリンは、思う(……こいつは、私に似ているな)と、全部の記憶を見た訳では、ないが、テメンニグルの塔でのバージルとダンテの掛け合いを聞いていれば何故バージルが魔界を開こうとしたのか位は、わかったつもりだった。

バージルの母親は、悪魔に殺されてしまったんだと……エヴァンジェリンは、家族を魔法使いに……

 

「バージルさん、お食事ほうは、どうなさいますか?宜しければご用意させて頂きますが?それと傷のほうは、大丈夫ですか?」

 

エヴァンジェリンがどう言葉を掛けるか迷っていると茶々丸がそう切り出した。

 

バージルの今の格好は、肩から脇腹にかけて包帯が巻かれている状態だ、もちろん腕や太ももにも巻かれている、だがちゃんとズボンは、履いている。

 

「傷の方は、心配ない。寝ていれば治る。動くだけなら支障もない。食事もとれる。」

 

「それは、良かったです。時間も時間ですし私は、食事の準備に取り掛からせていただきます。」

 

茶々丸にそう言われ、エヴァンジェリンは、壁にかけてある時計を見る。

昼の一時過ぎにバージルを家に連れてきてからもう夕方の5時過ぎになっていた。けっこう話混んでしまったと思うエヴァンジェリン。

茶々丸は、「失礼します。」と部屋を出ていった。

 

 

[……]

 

[……]

 

(…き、気まずい…)

 

今この部屋には、エヴァンジェリンとバージルの二人だけしか居ない。

 

まぁさっきどう言葉を掛けて言いか迷っていたエヴァンジェリンにしてみればこの状況は……最悪である……

 

いつものエヴァンジェリンであれば大丈夫であったかもしれないが……

バージルの記憶を覗いた身としては、下手なことは、言えないと思ってしまうエヴァンジェリンであった。

こんなエヴァンジェリンを見れるのは、凄く希かもしれない。

 

「マクダウェル」

 

バージルは、エヴァンジェリンの名を呼んだ。

またもや先を越されたエヴァンジェリン……

 

「な、なんだ…」

 

いきなり呼ばれたことにちょっと動揺してしまう。

 

「ここは、魔法使いしか居ないのか?」

 

「?……何故そんなことを聞く?」

 

「さっき茶々丸は、ここは、学園だと言っていたからな、日本の魔法学校だと推測したまでだ。違うか?」

 

「確かにここには、魔法使いや私みたいなもの達もいるが。一般人の方が圧倒的に多いな。」

 

「そうか…そうなると余りこういったことは、伏せた方がいいと言う事だな?」

 

「まぁ……必然的にそうなるな。下手に一般人を巻き込んでしまうと正義の魔法使い達がうるさいからな……」

 

「正義の魔法使い?」

 

「何だ?知らないのか?簡単に言えば魔法世界、出身の奴等のことを指すのだがな。」

 

「魔法世界なんて物が存在するのか?」

 

「なッ!?魔法世界も知らんのかッ!?」

 

「…知らんな……そうかそう言った世界も存在するのか…面白いな。」

 

エヴァンジェリンは、もう今日だけで何回驚けばいいのやら。

そうバージルが知っていることと言えば、どうやって魔界に行く事が出来るか。

それだけにしか興味がなかった。

 

だから他の魔法使いや魔法世界の事等眼中に無かったので調べたりもしていなかったのである。

言うなればバージルは、魔法使いや魔法世界のことは、完璧に初心者であった。

 

「しかし貴様ッ!は、さっき魔法世界の英雄やその息子の話をしてもなんの反応もなかったではないかッ!」

 

[?何をそんなに興奮しているか知らんが…魔界があるんだ。他の世界があっても不思議では、なかろう。」

 

「うッ?!」

 

エヴァンジェリンは、心の中で(私がッ!!!!お前の話を聞いたり見たりして驚いたのがアホみたいじゃないかッ!!!)と今日一番の心の叫びをあげた。

 

バージルは、年の割には、すごく冷静に物事を考える事が出来る性格で逆にエヴァンジェリンは、頭の回転やすごく物知りなとこもあるが自分が知らない物でそれが一定の範囲を越えると物事を冷静に考えることができないタイプなのである。

言うなれば子供が知らないものを見たり聞いたりしてテンションが上がるみたいな。

……どっちが年上かわからんな……

 

「もう1つ聞きたいことがある。」

 

「…………何だ?……」

 

エヴァンジェリンは、自分より年下の奴になんか負けた気がしてテンションがガタ落ちてしまっていた……

 

「ここには、裏の仕事と言うものは、あるか?」

 

エヴァンジェリンは、テンションを戻すために心の中で(はぁ~~~)と盛大なため息を吐いた。

 

「あるには、あるが…それがどうした?」

 

「何、ただ住まわせてもらう身でただ飯をもらうのは、どうかと思ってな。金を稼ぐために普通の仕事より裏の仕事の方が効率がいいと思ってな。」

 

バージルがアルバイトとか想像できん!!!!!

 

エヴァンジェリンは、バージルの言葉を聞いてニヤリと笑う、俗に言う悪い顔である……

多分エヴァンジェリンは、バージルが裏の仕事に関われば確実に麻帆良で最強になる。

そうすれば自分の仕事が減って楽が出来るとでも思っているのだろう……

 

「そう言うことなら紹介してやろう!!」

 

「?すまんな。」いきなりのテンションの上がりように一瞬疑問符を浮かべるバージル。

 

とそんな話をしてるところに茶々丸が[食事の用意ができました。」と報告に来たのであった。

 

 

 

 

 

 

       

 

ご飯を食べるためにリビングに降りてきたバージルとエヴァンジェリン。

 

五人掛けのテーブルには、上座にエヴァンジェリン。

その左斜めにバージルが座った。

バージルの正面には、茶々丸。

そしてご飯を食べようとしたバージルに何処からか声が聞こえてくる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オウ、オマエガ、バージルカ?」

 

「……そうだが、貴様は?」

 

声の正体は、チャチャゼロだった。

 

「ナニ、コレカラ一緒に住む新入リニ、挨拶ト思ッテナ。」

 

チャチャゼロは、バージルから後ろのたなの上にいた。

 

[……]

 

[……]

 

お互いに無言、そしてスッとバージルが立ち上がりチャチャゼロを見下ろす。

エヴァンジェリンは、何故か重苦しい空気なる二人を黙って見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッとバージルがチャチャゼロの手を指でつまみ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…世話になる。」

 

「オウ、世話シテヤルヨ。」

 

 

と仲良く握手?をするバージルとチャチャゼロだった。

まぁバージルは、終始無表情だったが。

それにしても人形と大男の握手中々にシュールな光景だろう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そんな二人を見たエヴァンジェリンは、ズコっと椅子から転けていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、マスターが楽しそうです。」

 

「全然楽しくないは!!!このボケロボ!!!!」

 



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9話 出会いの予兆

 

 

 

バージルがエヴァンジェリン達に拾われてから3日がたった。

 

ふと昨日の事を思い返すバージル。

 

昨日は、体を休めるために大半は、ベットで横たわっていた。

 

エヴァンジェリンや茶々丸は、学校に行っていると茶々丸に聞いたバージルは、少し驚いていた。

 

何せ600年も生きているエヴァンジェリンが今更学校に行っていると聞いたからだ。

 

話を聞いてみれば、ナギと言う奴と戦いそして負けて、負けた代償として登校地獄と言うふざけた名前の魔法を掛けられてしまい15年も学校に通う羽目になってしまったらしい。

 

その説明をしていたエヴァンジェリンは、終始「私はッ!これっぽっちも負けたなんて思ってないからなッ!」と息巻いていた。

 

落とし穴に落とされ自分の嫌いなものを穴に入れられ降参、(……何ともふざけた戦いだ)、とバージルは、心の中で呟いた。

 

そしてその事で息巻いているエヴァンジェリンに哀れみの目を向けるバージルであった。

 

エヴァンジェリンと茶々丸が学校に行っている間は、エヴァンジェリンがバージルの寝ている寝室にチャチャゼロを持ってきて「こいつと話でもしていろ」と、チャチャゼロをバージルの枕元に置いた……絶対に嫌がらせである。

 

しかしエヴァンジェリンの思惑は、また外れる事になる。

 

なぜかと言うとバージルとチャチャゼロは、刃物談義で盛り上がっていたからだ。

 

あーでもないこーでもないと終始盛り上がっていたと言う。

 

そしてエヴァンジェリンと茶々丸が帰って来てエヴァンジェリンは、すぐにバージルの部屋に向かう。

 

内心笑いを堪えながら……

 

だが蓋を開けてみれば盛り上がっているバージルとチャチャゼロ。

 

エヴァンジェリンは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。

 

そして止めにバージルと、チャチャゼロから「有意義な時間を過ごせた。礼を言う」、チャチャゼロも「オレモ楽シカッタゼ。アンガトナ、ゴ主人」とお礼まで言われてしまう始末だった。

 

哀れエヴァンジェリン……

 

エヴァンジェリンがバージルの部屋に来てから少しして今度は、茶々丸が部屋に訪れた。

 

放心状態のエヴァンジェリンを見た茶々丸は、「……大丈夫ですか?マスター?…」と心配していた。

 

それに対してエヴァンジェリンは、[……大丈夫だ。……気にするな]

 

とテンションガタ落ち状態で返事をした。

 

その返事に対し茶々丸は、「そうですが」とあっさりッとした感じで返事を返した。

 

 

「何か用か?」とバージル

 

「はい。バージルさん、採寸をさせていただいてよろしいですか?」

 

「…何故だ?」

 

「はい、バージルさんは、服を1着しか持っておられないので採寸して服を買いに行こうかと思いまして」

 

「……そんなことまでしてもらわなくてもいい…」

 

「気にしないでください。マスターの許可は、先ほど取っていますので、それにバージルさんは、まだ寝てないといけませんから。何かと替えの服を持っていた方がいいと思いまして。」

 

「……わかった。だが金は、必ず返す。」

 

「はい、それでは、申し訳ありませんが少しの間立っていただいても構いませんか?」

 

「わかった。」

 

採寸終わって。 

 

「それでは、マスター、姉さん、バージルさん、行ってきます」ペコリ

 

「……ああ」

 

「オウ、行ッテコイ」

 

「ああ」

 

上から、エヴァンジェリン

チャチャゼロ

バージル

 

こうして買い物に出掛けた茶々丸だった。

 

部屋に残されたバージル達。

 

「…………で貴様らは、何の話をしていたんだ?」

 

ふと、エヴァンジェリンがそんなことを聞いてきた。

 

余程バージルとチャチャゼロが仲良く話しているのが予想外だったらしい。

 

その質問に対してチャチャゼロは、「始メハ、バージルノ刀ノ事ダッタナ」とバージルの方を向いて言うチャチャゼロ

 

「そう言えばそうだったな」

 

[あの刀についてか…]

そう聞いたエヴァンジェリンは、バージルの記憶を思い出す。

「確か斬撃を飛ばしたり複数の奴に対して真空状態の斬撃を叩き込んだりとむちゃくちゃな刀だったな…、あれは、空間も一緒に切っていなかったか?」

 

「ああ。あの刀の名は、閻魔刀、親父が作りそして親父の形見でもある」

 

「サッキモ、言ッテイタナ、確カアノ刀ハ、次元ヲ切ル刀ッテ言ッテタヨナ?」

 

「…じ、次元を切る?……なんて出鱈目な…」

 

「ああ、チャチャゼロが言うように、確かに閻魔刀は、次元や空間、結界の類いを切るのに最適な武器であるが、結局それは、最適な、と言うだけであって刀を扱う奴の技量がなければ普通の日本刀と変わらんがな……それにあの技は、一定以上の魔力がなければできん技でもあるから、……まぁ要は、鍛練しだい…と言うことになる」

 

「……それにイメージも含まれる……では、ないか?」

 

「ほう…良くわかったな、マクダウェ」

 

「ふふん♪それくらいの事容易にわかるぞ」

 

予想が当たって上機嫌なエヴァンジェリンである。

 

「そう、マク「エヴァ」??」

 

「エヴァでいい、マクダウェルだと長いだろう?」

 

「フッ、エヴァの言うとうり、あの技、名は、次元斬りは、イメージも必要だ。斬る対象物、何処を斬りたいかどう斬りたいかなどをイメージしなければならい」

 

「何度聞イテモメンドイ技ダナ」

 

「……驚くべきは、それを戦いの時に瞬時にやってしまう、お前何だがな、バージル」

 

「さっきも言ったが、鍛練しだいでどうとでもなる」

 

「…それも生半可な鍛練では、身に付かない…か?」ニヤリ

 

「ああ、……それに他の刀でもやろうと思えば出来たりするんだがな、只威力は、格段に落ちるだろうが。」

 

「なるほどな。だがこれじゃ神鳴流の奴等は、形無しだな、我流の奴にここまでやられてしまえば。」

 

「神鳴流?何だ?それは?」

 

「ああ、お前は知らくて当然だな、京都発祥の退魔特化の剣術を得意とする。奴等ことだよ。」

 

「…そんな流派があるのか…興味深いな。」

 

「ここの学園にもその使い手は、いるぞ。」

 

「…ほう。」

 

「学園の教師、葛葉刀子、そして私と同じクラスの桜咲刹那、……女の使い手二人がな。」

 

「どんな技か一度手合わせしたいものだな。」

 

「オレモ誰カト斬リ合イタイゾ、オ…ソウダゴ主人」

 

「何だ?チャチャゼロ?」

 

「バージルノ奴ニ、別荘をヲ使ワセテヤラナイカ?」

 

「ふむ…それは、面白いな(ニヤリ)バージルと戦いたい…と言いたいんだな。」

 

「ケケケ、アア」

 

「バージルは、構わないか?勿論私も参加するぞ?チャチャゼロは、私の従者だからな。」

 

「?別荘とは、何かわらんが…ああ、手合わせぐらいなら構わん。俺もお前らがどのくらいやるのか興味がある。」ニヤリ

 

「じゃあ……決まりだな。」ニヤリ

 

こうしてエヴァンジェリン、チャチャゼロ、バージルの手合わせが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バージルは、朝早くに起きている。

 

時間で言うと朝方4時。

 

昨日茶々丸に買ってきてもらった運動用の上下黒のジャージに着替る。

 

そして手を握ったり開いたりして体の調子を調べる。

 

「…もう大丈夫だな。」と完治したことを確認したバージルは、買ってきてもらった刀袋に刀をいれ一階に降りこれまた買ってきてもらった運動靴を履いて玄関から外にでる。

 

「バージルさんおはようございます。」

 

と茶々丸が玄関前の掃除をしていた。

 

「ああ…おはよう。」と返事を返すバージル、内心で(……フッ俺が、またあいさつ何ぞとはな。)と9年間、1人で生きていたバージルにとっては、少し照れ臭い事なのである。

 

「もう体は、大丈夫なのですか?」

 

「ああ、もう心配ない、世話になったな。」

 

「いえ、気にしないでください。それにこれからは、一緒に暮らしていく仲です。助け合いは、基本ですよ。」

 

バージルは、本当にロボットなのか?と思ってしまうほどに茶々丸は、人間臭かった。

 

「……フッ、それもそうだな、それと1つ聞きたいんだが、どこか人目につかない広い場所はないか?」

 

「そうですね…この時間帯ですと、世界樹広場がよろしいかと思われます。」

 

「世界樹?」

 

「はい、あちらに見えますのがそうです。」

 

と言って指を何処に指す茶々丸、その指を目で追っていくバージル。

 

「……あれか。」

 

バージルが見た先には、ここから少し遠くにあるにも関わらず、その樹の存在感は、すごいものだった。バージルは、(…推定300メートルくらいか。)と樹の大きさを推測していた。

 

「はい、あちらの樹の根本の近くが、広場になっております。」

 

「そうか、すまない、助かった。」

 

と言って世界樹広場に行こうとするバージルに、茶々丸が「食事の時間は、7時位になります、行ってらっしゃいませ。」と一礼をした。

 

バージルは、「……行ってくる。」と返事を返した。

 

バージルは、いい意味で変わってきているみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          世界樹広場

 

 

バージルは、ものすごいスピードで人目につかないように走り、あっという間に世界樹広場に来ていた。

 

そして早速刀袋から刀を出し、居合いの構えをとるバージル。

 

そしてキンッと鍔なりの音が聞こえる。

 

端から見ればバージルの手は、動いてないように見えるだろう。

 

バージルの居合いは、まさに神速。

 

もし本気の居合いを上位クラス以外の奴でもなければ鍔なりの音が聞こえた時点でもうこの世には、いないだろう、それほどバージルの居合いは、速かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          刹那サイド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……これでは、ダメだッ…」

 

バージルのところから少し離れた場所に背の小さい女の子が自分の身長くらいある長い刀、野大刀(のだち)を振るい鍛練をしていた。

 

彼女の名は、桜咲刹那、神鳴流の剣士だ。

刹那は、同じクラスの関西呪術協会、長の娘、近衛このかの護衛を任されている。

 

そんな彼女は、上手く鍛練ができず悩んでいた。

 

 

「…お嬢様を守るためには、これでは、ダメだ。もっと力をつけなくてわ……」

 

刹那は、焦っていた。

 

何故かと言うと後1ヶ月以内に修学旅行があるからだ。

 

場所は、京都。

 

何故、自分の故郷に里帰りするのに焦っているかと言うと、刹那の所属する関西呪術協会には、2つの派閥がある。

 

1つは、西洋魔術、関東魔術協会と仲良くやっていこうと主張し、長を中心とする穏健派(刹那は、穏健派)、もう1つは、日本から西洋魔術を追い出さそうとする、過激派、この2つの派閥は、今一触即発の状態だ。

 

こんな状態の組織がある、場所に長の娘、このかを連れていけば人質にしてくださいと言っているようなものだ。

 

しかも、このかには、あの英雄ナギの息子、ネギよりも、魔力をその体に多く持ち合わせている。

 

確実にこのかを過激派が何かしら利用するのが見て取れる状態だ。

 

だから刹那は、焦っていた……

 

 

 

「…どうすれば…」と悩んでいた刹那の耳にキンッと音が聞こえた。

 

「!?……この音は、鍔なり?何処からだ?…」

 

と辺りを見渡す刹那、そしてまたキンッ

と聞こえ、その音のほうに向かい歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半人半魔と半妖、この出会いがどう二人の運命を動かすのか……

 



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10話 半人半魔と半妖

      

 

 

刹那は、目の前の光景に言葉を失っていた。

 

鍔なりの音が聞こえた方に歩き出し、音を出している人物を見つけた。

 

その人物は、物凄く背が高く、銀の髪に、上下黒色のジャージを着た男だった。

 

刹那達、魔法関係者は、昨日、学園長から報告を受けていた。

 

何でも一昨日、死にかけの人物をエヴァンジェリンが、助けたらしくそれを昨日になってエヴァンジェリンが学園長に報告したらしい。

 

そしてエヴァンジェリンの報告によると、昼間、結界に反応があり、反応があった場所に行ってみれば血まみれの男が倒れていた。

 

そしてエヴァンジェリンは、その男の素性を調べるために記憶を覗いたらしい。

記憶を見るのは、規則として禁止されている魔法であるが、

相手の素性が分からない時や侵入者の場合は、使ってもよいと、なっている。

 

で、結果は、白だった。

 

その男は、ある人物と戦いそして負けて、気を失い気付いたら、麻帆良にいたらしい。

 

何とも信じがたい話では、あるが、学園長は、その報告に「…そうか。」とだけ言ってそれ以上聞かなかった。

 

男の特徴は、190cmで銀色の髪、そして青いコートを着ていて、物凄く端正な顔をしていると報告を受けている。

何でも男は、帰る場所がなく暫くエヴァンジェリンの家でやっかいになるらしい。

 

刹那は、(……あのエヴァンジェリンさんが……珍しい事もあるものだ…)と心の中で呟いた。

 

それもその筈、エヴァンジェリンは、気まぐれで、めんどくさがりやで通っている。

 

そしてその男は、近い内に私と同じ警備員をするとも報告受けている。

 

情報では、刀を使うと聞いている。

刹那は、どんな刀を使いどんな剣術を使う相手なのかちょっとワクワクしながら男と会うのを楽しみにしていた。

 

 

 

 

刹那は、待望のその男、バージルと体面した。

その男が今自分の前で刀を振るっている。

 

刹那が見ていて10秒くらいで、バージルは、刀を振るのを止め「…何かようか?」と刹那に喋りかけた。

 

「!?…あ…いえ……えっと…」

 

刹那は、焦った。

まさかこんなにも早く自分に気づかれるとは、思っていなかった。

 

刹那は、確かにバージルを見ていたが、場所は、バージルの後ろ、そして気配を消しながらである。

 

刹那は、一応バージルに対して警戒をしていた。

 

理由は、近衛このかの敵なのか、只それだけである。

 

お嬢様loveな刹那にとっては、理由としては、充分である。

(……もしお嬢様の敵ならここで…)と刹那は、気配を消しながら刀の鞘を強く握りしめ何時でも刃を出せる状態にしてバージルを見ていたのである。

 

だがバージルの振るう太刀筋を数秒見た刹那は、

 

(……)

 

言葉を失っていた。

 

そして見とれているところにバージルから喋り掛けられたのだから焦ってもしょうがない事だろう。

 

「……は、初めまして、さ、桜咲刹那と申します…」

 

吃りながら自己紹介をした。

 

 

「……」

 

無言で刹那に振り向くバージル、そこで初めてバージルの顔を間近で見る刹那。

 

「……きれい…」

 

「?」

 

「い、いえッ!?何でもあり…ません…」

 

バージルを見た刹那は、咄嗟にきれいと口にしてしまい、慌てて誤魔化した。

 

「…それで、俺に何のようだ?」

 

常に無表情のバージル。

 

「あ、いえ、鍔なりの音が聞こえてきたので誰かいるのかと見に来た、だけです…邪魔をしてすいません…」

 

刹那は、ペコリと頭を下げるその言葉にバージルは、少し目を細め刹那なにこう切り出した。

 

「……そうか…俺は、てっきり襲われると思ったんだがな。」

 

「ッ!?」

 

刹那驚愕した。バレている……と

 

「……私は、魔法関係者の者です。それで昨日学園長から貴方の事を聞いておりまして、もし貴方がこのかお嬢様に危害を加えるような方ならここで排除しようと思っておりました……]

 

この人に嘘は、通じないと直感的に思った刹那は、正直に話した。

 

それに今の自分では、この人の足元にも及ばないと言うことも。

 

だが刹那は、今この男に襲われても一太刀ぐらい浴びさてみせると、自分を奮い立たせていた。

 

「……その、お嬢様と言うのは、知らんが。だがいいのか?そんな簡単に自分の護衛対象の名前を言っても?」

 

「え?……あッ!?」

 

刹那の天然炸裂!!!!

 

「う~……」

 

刹那は、自分の失態に気づき頭を抱えながらしゃがみこんでしまった。

 

「フッ、殺気を出したり、落ち込んだり忙しい奴だな。お前は」

 

「ウッ!?……」

 

「何、安心しろ。俺は、この学園をどうこうするつもりなど、微塵もないからな。」

 

刹那は、バージルの言葉を聞き顔を上げた。

 

「それに、俺は、エヴァのところで厄介になっている身だ。それと俺の命の恩人でもある。迷惑をかけるつもりもない。」

 

そう言ったバージルは、刹那に手を差し出す、差し出された手に刹那は、「?」疑問符を浮かべる。

 

「……あ」と何故バージルが手を出しているのか気づきオズオズと手を掴む。

 

「……すいません」

 

「フッ、気にするな、……1つ聞きたいんだが……お前は、神鳴流の使い手か?」

 

「…そうですが、何故それを?」

 

「エヴァから聞いたまでだ。」

 

「そ、そうですか、あ、あの私も1つお聞きしてもいいですか?」

 

「何だ?」

 

「あなた「バージルだ」え?」

 

[さっき名乗られたからな、俺のことは、バージルでいい。まぁ報告がきていると言う事は、俺の名前などとうに知っていると思うがな。」

 

「は、はいでは、バージルさんと…では、私の事も刹那とお呼びください。」

 

「わかった、すまないな話の腰を折ってしまって。で聞きたいこと言うのは?」

 

「はい、さっきのは、居合いですか?」

 

「ああ」

 

「…あのいきなりで申し訳ないんですが…居合いを見せて頂いてもよろしいですか?……」

 

刹那は、バージルの剣術に興味を持っていた。

 

さっき見たバージルの太刀筋あれは、自分なんかで到底できるものでは、ないと刹那は、思っていた。

 

(……バージルさんの太刀筋を見れば何が私に足りないのか解るかも知れない。)

 

「……」

 

「…あ、あのやっぱり無理でしょうか?」

 

「いや、良いだろう。」

 

「あ、ありがとうございますッ!」

 

刹那は、行き良いよくお辞儀した。

 

「だが…見えるかは、保証しないぞ…」

 

バージルの言葉に刹那は、?疑問符を浮かべた。

さっき後ろから見ていたが普通に見えていたからだ。

 

(…何故そんことを?)

 

[……はい、わかりました。]

 

刹那がそう言うと、バージルは、刹那に刀が届かない距離まで移動していった。

 

バージルの持つ刀は、刹那が持つ刀より圧倒的とまでは、いかないが刹那の刀よりは、短い。

 

 

 

 

バージルは、居合いの体制に入り、そして丁度よくヒラヒラと世界樹の葉っぱがバージルの一メートル先に落ちてきた。

 

そして……

 

 

「!?」

 

 

キンッと音がバージルの刀から聞こえた。

 

目の前の葉っぱは、綺麗に横一文字に切れていた。

 

(……ま、全く見えなかった…手が動いたのも…)

 

「これで良いか?」

 

「……はい、ありがとうございました…」

 

刹那は、やっとさっきのバージルの言葉に気がついた。

 

本気では、なかったと……

 

「…なに、気にするな」

 

「……はい」

 

「…俺からも1つ頼みを言っても言いか?」

 

「え?は、はい何でしょうか?」

 

「俺と手合わせしてもらえないか?」

 

いきなりの申し出に驚く刹那、まさかバージルから誘いが来るとは、思っていなかったからだ。

 

「…でも私では、役不足なのでは?」

 

「いや、ただ…神鳴流がどうゆう剣術か興味があってな、それを見て見たいんだ。」

 

「…わかりました。その申し出受けさせて頂きます、でも今からですか?」

 

「いや、もう朝食の時間だからな、戻らなければならない。……今日は、学校か?」

 

「あ、はい」

 

「では、すまないが、学校が終わったあとエヴァの家まで来てもらえないか?」

 

「え?でも…エヴァンジェリンさんの迷惑になるんでは?」

 

「なに気にするな。俺からエヴァの方に言っておく。」

 

「…わかりました。学校が終わり次第向かわせて頂きます。」

 

「ああ、よろしく頼む……それとそんな畏まったしゃべり方じゃなくても良いぞ。」

 

「…で、ですが」

 

刹那は、普段からこんなしゃべり方なので別に気にしていなかった。

 

それにバージルからは、何かこうちゃんとした言葉遣いじゃないといけない雰囲気を感じていた刹那は、バージルの言葉に困惑した。

 

しかも刹那は、バージルの年齢は、完全に30は、過ぎてると思っていた。

 

「気にするな、若い内からそんな言葉遣いじゃ疲れてしまうだろ?。だからもっと砕いて喋れ。」

 

「…はい、わかりました!」

 

「フッ、それでいい、それでは、またな。」

 

「はい。」

 

そう言って二人は、帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさいませ、バージルさん。」

 

「ああ…ただいま。」

 

「食事の準備が出来ています。」

 

「わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

バージルは、椅子に腰掛け朝食を食べ始める。

 

すると「…おはよう~茶々丸」とエヴァンジェリンが欠伸しながら茶々丸に挨拶をしていた。

そしてバージルにも

 

「おはよう、バージル。」

 

「…おはよう。」

 

と挨拶を交わす二人。

 

するとチャチャゼロが後ろから

 

「オイ、ゴ主人トバージル、オレニハ挨拶ナシカ。」

 

「ああ、そうだったな。おはよう、チャチャゼロ。」

 

「……おはよう。」

 

「オウ、オハヨウダ。ゴ主人、バージル。」

 

 

何ともほのぼのな雰囲気だろう。微笑ましい。

 

 

挨拶を終えたエヴァンジェリンは、椅子に座り朝食を食べ始める。

 

「そうだ、エヴァ」

 

「何だ?」

 

「今日、刹那が家に来る。」

 

「なに?刹那なとは、桜咲刹那の事か?」

 

「ああ。」

 

「いつの間にそんな仲になったんだ……」

 

「朝、茶々丸に教えてもらった、世界樹広場で鍛練していたらたまたま会っただけだ。」

 

「…それで何で家に来ることになるんだ?」

 

「手合わせを頼んだからだ。」

 

「な、なに!?今日は、私とチャチャゼロだろ!?それに桜咲刹那では、お前の相手は、つとまらんだろ!?」

 

「務まる務まらないなど関係ない。ただ神鳴流がどんな技を出すのか気になっただけだ。それにちゃんとお前らの相手もするさ。」

 

「…まぁ、それならいいが」

 

「そう言う事だ、よろしく頼む。」

 

「ふん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     まだまだ1日は、長そうである……

 



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11話 狸と髭

朝食を食べ終わりエヴァンジェリンと茶々丸は、学校に向かった。

そしてバージルは、チャチャゼロとまた刃物談義を繰り広げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         10分後……

 

 

 

 

 

 

チャチャゼロがふと「アレ?」と言い出した。

 

 

「どうした?」

 

「イヤ、……ナンカ忘レテルキガシテナ」

 

 

 

チャチャゼロがそう言い終わると、リリリンと電話が鳴った。

 

「ア、思イ出シタ。バージル電話ニ出テクレネェカ」

 

バージルは、疑問に思いながらも電話にでる。

 

 

「…もしもし」

 

「おお~君がバージル君か?」

 

「…そうだが…お前は?」

 

「おお、これは、失礼したな。ワシの名は、近衛近右衛門。今日バージル君と話をしようと思っていたのじゃが……エヴァンジェリンから聞いておらんかの?」

 

「ここの、学園長とは、聞いては、いるがそれは、初耳だな」

 

「……あやつめ、ついにボケおったな……まぁ、その事については、もう良い。すまぬが今から学園長室に来てもらえんかの?仕事についても話しておきたいんじゃ」

 

「…行くのは、構わんが俺は、場所を知らないぞ」

 

「ホ?そうかそれは、困ったのう」

 

どうするかバージルが考えていると不意にチャチャゼロが

 

「オレ知ッテルゾ」

 

「…チャチャゼロが知っているようだ。今から向かおう」

 

「ホ?そうかそうか、では、待ってるぞい」

 

と話が終わり電話を切るバージル。

 

「行くぞ」

 

「イヤ、行クノハ、イインダガヨ、オレハ、コノトウリ動ケネェゾ」

 

「…それもそうだな、なら俺の頭の上でいいだろう」

 

バージルそう言うとチャチャゼロを持ち上げ頭の上にうつ伏せの形で乗っける

 

「では、行くぞ」

 

「オー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       学園、女子校エリア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とか女子校エリアまで着いたバージルとチャチャゼロは、中等部の校舎の仲に入って行く。

 

校舎の仲を歩いているとたまに廊下を歩く女子生徒達とすれ違う。

 

バージル達は、女子生徒達とすれ違うたんびに女子生徒から「あの人カッコいい」「頭に人形乗っけてる、それもいい~」と黄色い声援を上げる女子生徒達でいっぱいだった。

 

やっと学園長室にたどり着いた、バージル達。

 

そしてバージルは、ドアをコンコンとノックをした。

 

「入りたまえ。」

 

「それで話とは、何だ?」

 

「…いきなりじゃの~、話に聞いているとうりじゃな。」

 

「そんなことは、どうでもいい、早く話せ。」

 

「うむ、そうじゃな。魔剣士の息子殿。」

 

「フッ、エヴァから聞いたのか?」

 

「そうじゃよ、いやまさかあの魔剣士の息子に会えるとはの。長生きしてみるもんじゃな。」

 

「ご託は、いい。さっさと本題に入れ。」

 

「本当にせっかちじゃなお主わ。まぁ良かろう……話は、裏の仕事についてじゃ。バージル君には、警備員をしてもらいたい。」

 

「内容は、何だ?」

 

「簡単に言えば、侵入者の排除、及び捕獲かの、勿論給料も言い値を出すぞい。それから今日の夜に魔法関係者達と顔合わせと手合わせをして欲しいのじゃ。」

 

「…関係者達が見てる前で実力を見せろと言う事か?」

 

「そう言うことじゃ。中には、お主の事をよく思ってない連中も居るからの、まぁそこら辺は、上手くやってくれると有り難いがの。」

 

「安心しろ。仕事を貰うんだ、問題を起こす積もりはない。…話は、それだけか?」

 

「いや、まだあるんじゃ。」

 

「マダアンノカヨ。早クシロヨ、ジジイ」

 

話に飽きたのかチャチャゼロがそんな事を言い出す。

 

「…相変わらず口が悪い人形じゃのう。主人ソックリじゃな、…まぁ良い。……バージル君お主教師になってみんかの?」

 

「……教師だと?」

 

「うむ、お主の事は、粗方エヴァンジェリンの奴から聞いておるからのお主の目的の為にも良い話だと思うんじゃがどうかの?」

 

「……別に構わん」

 

「ホ?そうかそうか。それならばバージル君は、ネギ君と一緒のクラスの副担任兼英語のそれもネギ君の補佐をしてもらおうかの。」

 

「魔法世界の英雄の息子と一緒にか。……なるほど、あわよくばその息子の護衛と言うところか?」

 

「何そんな物騒な話では、ないよ。ただネギ君のサポートをしてほしいんじゃ。それに護衛の話になるなら、ワシの孫娘の方を頼みたいの」

 

「近衛このかか?」

 

「ホ?知っておったのか?」

 

「…ああ昨日、桜咲刹那に会ってな。その時に刹那の方から近衛の名前を言っていた。アイツの場合近衛の事となると冷静さを無くすところが有るらしいからな。護衛としては、致命的だ。」

 

「ホホホッ刹那君は、よくやってくれとるよ。しかし昨日会っただけでよくそこまでわかったの?」

 

「…フッそんな事アイツの言動を聞いていれば誰にでもわかる……しかしあいつは、危ないな。このまま行けば[君のようになるかもしれない…かの?]……ああ」

 

「……そうならないように刹那君を導いてやってくれんかの??」

 

「お前に言われるまでもない。」

 

「ホホホッそうかそうか……では、バージル君、早速教室にいってくれるかの。ネギ君や、他の教師には、伝えてあるからの。」

 

「……最初から貴様の手の平の上…と言う事か。狸ジジイ」

 

バージルは、少し殺気を込めて近右衛門を睨み付ける。

 

「ヒョ!?そんな顔しないでくれるかの?老いぼれの体には、応えるでの?」

 

「白々しい。このくらい大したことないだろう?」

 

「ホホホッバージル君が手加減してくれてるお陰じゃ」

 

「…本当にタヌキだな。それで俺は、そこに隠れている奴に案内して貰えばいいのか?」

 

「……ほう、気付いておったか。さすがじゃの」

 

[余り俺を舐めるなよ?大方俺を試したってところか。]

 

「ホホホッいや、すまんかったの……高畑君。もう出てきても良いぞ」

 

出口とは、違う、応接室からてできたのは、白髪頭で眼鏡をかけ、髭をはやし、白いスーツを着たダンディーな男だった。

 

「…まさかバレていたとは、ね。何時から気付いていたんだい?」

 

「始めからだ。言った筈だぞ?舐めるな、と」

 

「はは、そうか始めからか。本気で気配を消して居たんだけど、まだまだ精進が足りないか。いやすまなかったね。僕の名前は、高畑・T・タカミチ。タカミチって呼んでくれ。よろしくね、バージル君あとチャチャゼロも、久しぶりだね」

 

「オウ」

 

タカミチは、そう言うと握手を求めてきた。

バージルは、無表情で握手に応じる。

 

「じゃあ、学園長バージル君をクラスに案内して来ますね。」

 

「うむ、よろしく頼むタカミチ君……それとチャチャゼロ君は、ワシが責任持って家に送り届けよう。」

 

「ああ、頼む」

 

バージルは、頭の上に居たチャチャゼロを近右衛門に手渡す。

 

「うむ、確かに、ちゃんと送り届けるぞい」

 

「バージル手合セノ事忘レルナヨ」

 

[分かっている、心配するな]

 

[…手合わせってのは、エヴァも一緒にかな?]

 

「ああ、あと刹那もだな」

 

「刹那君もか。…見に行っても良いかな?」

 

「好きしろ、エヴァには、俺から言っておく。」

 

「ありがとう……しかしエヴァとは、もうそんなに仲良くなったんだね?」

 

「さぁな。」

 

「ホホホッ、真相の吸血鬼と魔剣士の息子の手合わせか。それは、さぞかし見ものじゃろうな。」

 

「フッ、どうだろうな。」

 

「それでは、そろそろ、向かうとしますね学園長。」

 

「うむ」

 

「それじゃあバージル君。行こうか。」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はてさて、どうなるじゃろう。」

 

「取リ敢エズ。ゴ主人ガ驚クノハ、間違エネェナ。ケケケッ」

 



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12話 教師

     

 

 

      3-A 、教室前

 

 

 

 

タカミチに案内されて教室の前まで来たバージル。

教室ないは、授業中なのか静かだ。

 

「それじゃあ、ちょっと待っててね。」

 

そう言ってタカミチは、教室のドアをコンコンとノックした。

 

すると中から「は~い」と幼い声が聞こえてくる……

 

バージルは、(……まさか)と頭の中でこれから出て来る人物の歳を予想した。

 

そして教室のドアがガラガラっと開いた。

 

「あ!タカミチどうしたの?」

 

中から出てきたのは、スーツを着た赤い髪の子供だった。

 

また教室内から女子生徒の「え!?タカミチ先生!?」と驚いている声も聞こえてきた。

 

それにしても子供が教師、そう子供……

 

(……やはりか)とバージル。

 

バージルの予想は、見事的中していた。

 

「ネギ君、新しい先生を連れてきたよ」

 

「?……あ!?そっか今日新しい副担任の先生が来るって学園長が言ってたんだっけ!?…えっと…初めまして!!。ネギ・スプリングフィールドです!!…バージルさんですよね?」

 

ネギは、バージルへと顔を向け笑顔で自己紹介をした。

 

「ああ、これから宜しく頼む。ネギ先生」

 

バージルは、ネギのその問いにたいして無表情で返し手を差し出した。

 

「はい!!此方こそ宜しくお願いします。バージル先生!」

 

そんなバージルの素っ気ないともとれる返しにネギは、気にした様子もなく笑顔でバージルと握手をした。

 

「じゃあ僕の役目は、これで終わりだね。じゃあね、ネギ君。それと、バージル君頑張ってね」

 

そんな二人にタカミチは、顔に微笑みを浮かべていた。

 

「またね!タカミチ」

 

「ああ」

 

ネギとバージルは、タカミチの言葉に反応した。

 

「それじゃ」

 

そう言ってタカミチは、廊下の先に歩いて言った。

 

 

 

「それじゃあバージル先生クラスの皆に説明して来ますので少し待っていてください。説明が終わったら呼びますので」

 

「ああ……ちょっといいか?」

 

「はい?」

 

「俺は、こんな格好のままで大丈夫なのか?」

 

バージルの今の格好は、青いコートに中に黒いシャツを着てる状態だ。

 

勿論刀は、刀袋に入れて持ち歩いている。

 

「初日ですんで大丈夫ですよ!!……後事情があることを学園長から聞いていますんで」

 

「そうか、呼び止めてすまないな」

 

「いえ、気にしないでください!それじゃ少し待っていてくださいね」

 

「ああ」

 

そうしてネギは、教室に入って行く。

 

ネギが教室に戻り教壇に立つ。

教室内は、生徒達がザワザワしていた。

 

「なんやろね?」

 

「さぁ~?…あ!!そうだ!朝倉何か聞いてないの?」

 

「いや、それが全く情報がないんだよ。…麻帆良の新聞部の私がなんたる不覚!!」

 

ザワザワザワザワ

 

「皆さ~~ん静かにしてくださ~~い」アセアセ

 

パンパン)

 

「皆さん!ネギ先生が困っているでは、有りませんか!静かになさい!……さ、ネギ先生どうぞ」

 

「あ、ありがとうございます!雪広さん!……えっとここで皆さんに報告があります。えっと急遽、源先生に変わって新しい副担任の先生が我がクラスに配属になりました」

 

「「「「「おおーーー!!」」」」」

 

「それでは、お呼びしますね…どうぞ入って来て下さい」

 

呼ばれたバージルは、教室のドアを開け教室に入る。すると後ろの席の方で「ブフォッ!!」とどこかで聞いた事のある声が聞こえた。

バージルは、ネギに「自己紹介をお願いします」と言われ教壇の真ん中に立つ。

 

「新しく副担任になったバージルだ。教える教科は、英語だ。ネギ先生の輔佐としてな。短い間だがよろしく頼む」

 

自己紹介を終えると教室内は、シ~ンと静まり返った。 

 

バージルは、(何か間違えたか?)と頭に疑問符を浮かべる。

 

だがそれは、杞憂に終わる。

 

「「「「カ…カッコイイィィィィ~!!!!」」」」

 

いきなりの第絶叫である。

そして。

 

「どっから来たんですか!?!?」、「趣味は何ですか!?!?」、「好きな人は、居ますか!?!?」、「何かすごく強そうアル!!勝負するアル~!!」、「フム、強そうな、御仁でござるな。ニンニン」と等々質問攻めに合う、バージルであった。

 

……あと質問とは、関係ない事まで聞こえるのは、気のせいか? 

すると一人の女子生徒が、

 

「皆ストップ!!!ここは、新聞部の朝倉に任せなさい!!……コホン…バージル先生幾つか質問良いかな?」

 

バージルは、ネギの方を見て。

 

「良いのか?」

 

「えっと…はい!!!大丈夫です。今日の範囲は、終わってますので!!」

 

「わかった…で、質問とは、何だ?」

 

「では、まず、出身は?」

 

「イタリアの片田舎だ」

 

「なるほどなるほど。年齢は?」

 

「21だ」

 

バージルが、年齢を言った途端、バージル以外のほぼ全員が(ある二人を除いて)が。

 

「「「「…………えええぇぇぇーーーーー!!!!!!!!!」」」」の大合唱であった。

 

 

前から二列目、バージルから見て左から二番目の席に座る生徒は、「すいませんすいません!!」とブツブツ呟いていた。

 

刹那であった。

 

まぁ刹那が居ると言うことは、必然的にエヴァンジェリンと茶々丸も居ることになる。

 

それから年齢を聞いた生徒プラス担任は、口々に、「嘘でしょ!?」「……絶対30以上だと…」や「見掛けより若いんやな~~」…と失礼な言葉の連続であった。

 

「?」

 

だが当のバージル本人は、何時もの無表情に疑問符を浮かべていた。

 

そして朝倉がもう一度同じ質問をする。

 

「ほ、本当に21なの?」

 

「?ああ…何か可笑しいか?」

 

「あッ!?いえいえ、そんな事は、ありませんッ!……コ、こほん。では、気を取り直して……バージル先生ってスゴく大きいですよね?身長は、何センチなんですか?」

 

「190だ」

 

「なるほどなるほど、……このクラスで一番大きいと(メモメモ)……次に、趣味と特技?」

 

「ふむ……趣味は、読書と料理だ」

 

バージルが趣味は、料理と言った途端座っていたエヴァンジェリンが「貴様!?それは、本当か!?」と聞いてきた。

 

それにバージル、「ああ…嗜む程度にな」とだけ返した。

 

それを聞いたエヴァンジェリンは、「……ま、また負けた」と席に項垂れた。

 

隣の席に座っている茶々丸に「ドンマイです。マスター」と背中をよしよしされていた。

 

 

その一連のやり取りを聞いた。朝倉は目を光らせ

 

「エヴァちゃんと知り合い何ですか?」と質問してきた。

 

その質問にバージルは、咄嗟に

 

「ああ、エヴァとは、昔からの知り合いでな。今は、エヴァの家に住んでいる」

 

「えッ!?それはそれは」ニヤニヤ

 

「…何を勘違いしているか知らんが。俺とエヴァは、恋仲では、ないぞ?、ただ今、教員寮の空きがないらしく、それで昔からの知り合いのエヴァの所に厄介になっているだけだ」

 

「……な~んだ…そうなんですか」朝倉は、残念そうに項垂れる。

 

「次は、特技だったな?」

 

「あ、はい、そうです」

 

「特技は、武術と剣術だ」

 

バージルが武術と言った時にまた一人の生徒がガタッと立ち上がり突然笑顔で「やっぱり強そうアル~!勝負アル~!!」と勢いよく言ってきたのである。

 

「……確かお前は、…出席番号12番のクーフェイだな?」

 

バージルは、自分の持っている出席名簿を見ずにクーフェイの出席番号と名前を言ったのであった。

 

バージルは、さっきタカミチから出席名簿を渡されていた。

 

渡された時に流し見しそれだけで名簿内にある生徒全員の出席番号と名前を覚えたのである。

 

「アレ?どっかで会ったアルカ?」

 

当然クーフェイは、まだ名前を言った覚えがないのに、自分の名前を当てられた事に疑問符を浮かべた。

 

「いや、会った事は、ない。たださっき渡された名簿を見て覚えただけだ」

 

バージルは、さも当たり前のようにそう答えた。

その事を聞いていた、生徒達とネギは、驚きの表情を浮かべる。

 

誰でも驚いて当然である……

 

「ソナコトどでもいいヨ!勝負するアル~!」

 

クーフェイにとってそんな事は、二の次であった。

クーフェイは、強い人と戦うのが好きなのであるのだから。

 

「…ネギ先生どうすればいい?」

 

クーフェイの対応にどうすればいいか迷ったバージルは、担任のネギに聞いてみた。

 

「…え!?え~と?と、取り敢えずクーフェイさん。せ、席に座ってください~」アセアセ

 

「むりヨ!」バッサリである。

 

ラチが、明かないとバージルは、さっさと終わらせるためにクーフェイに提案をする。

 

「…わかった。勝負してやろう」

 

「じゃあさっそく!「しかし」?」

 

「条件付きだ。俺は、動かないからお前は、全力で自分の最大の技を俺に撃ってこい。それを当てられたらお前の勝ち、防がれたら俺の勝ちだ。勝っても負けても席に着くのなら、勝負を受けてやる。どうだ?」

 

バージルの発言に皆が押し黙る。

 

クーフェイは、これでも麻帆良で開かれる武道大会での優勝者だ。

 

バージルのことを知っているエヴァンジェリンと茶々丸は、何の心配もしてないが。

 

その他は、別だ。

 

朝倉は、バージルを心配して「…せ、先生?危ないよ?」

 

「小娘に負けるほど柔な鍛え方は、していない」

 

クーフェイは、小娘発言にカチんときた。

 

そして……

 

「……わかたヨ…その条件でいヨ…怪我してモ。知らないアルヨ?」

 

「ご託は、いい。さっさとしろ」

 

生徒達は、こう言うのを見慣れているのか。

テンションを上げだし。

 

机や椅子を端に寄せ始める。

 

それから口々に「クーフェイに食券三枚!」、「じゃあ私は、バージル先生に食券一枚」と何やら賭けを始める始末だった……

 

中には、常識ある何人かの生徒がバージルに「危ないですよ?」と言いに来たが、バージルは、「心配ない」と何時もの無表情でそう言っていた。

 

刹那は、この勝負でバージルの強さを確認できると。

 

静かに二人を見つめていた。

 

そしてエヴァンジェリンも記憶の中でバージルの戦いは、見ていたがこうしてバージルが間近で闘うのは、初めてであるため興味深そうに二人を見つめていた。

 

担任のネギは、終始ワタワタしていたが……

 

 

教室の真ん中に移動した二人は向き合う。

 

そうして向き合っている二人に茶々丸が近付き。

ふとバージルに

 

「刀、お持ちいたしましょうか??」と言ってきた。

 

「ああ頼む」

 

「かしこまりました」

 

そう言って茶々丸は、バージルの刀を持って下がって行く。

 

「いつでもいいぞ」

 

「…行くアル!」

 

バージルの言葉でクーフェイは、左半身になり左腕と左足を前に出し右腕を腰に置き。

そして右足に重心を預け勢いよく地面を蹴りその反動を使い瞬時に左半身から右半身に切り替え、前に飛ぶそして腰を捻る反動を使い一気に右拳を前につき出す。

 

狙いは、鳩尾…

今クーフェイが出せる最高の突き。

中国拳法、ポン拳である。

クーフェイの突きは、早かった。

到底一般人には、見極めることの不可能な動きだ。

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

 

バージルは、クーフェイの腕を左手で掴んでいた。

 

 

「ッ!?!?」

 

クーフェイは、驚愕した。

自分は、全力を出した。

クーフェイは、そこら辺の男より倍以上の力を持っている。

 

その力で全力の突きを放てばいくら男と言えど避けるしか手段は、残っていない(クーフェイの動きを見えてるのが前提だが)

 

 

その突きをバージルは、いつもの無表情を崩さず、顔色さえ変えなかった。

クーフェイの惨敗である。

バージルは、掴んでいた腕を離した。

 

「アイヤ~~……まさか左手一本で止められるとは、思わなかたヨ…私の負けアル…まだまだ修業がたりなかたヨ……しかし先生強いアルナ!!また強くなって出直して来るアル!!」

 

「…わかったからさっさと机を戻して席に着け」

 

勝負が終わりクーフェイは、落ち込んだと思ったらすぐに元気になりバージルに再戦を要求していた。 

 

 

二人の戦いを見ていた生徒達とネギは、大歓声を二人に上げていた。

 

 

二人の勝負を見ていたエヴァンジェリンは、(…流石に勝負ならないか)と思い。

 

逆に刹那の方は、(……やはりバージルさんは、すごい…私も全力で手合わせに望まなくては)と今日学校終わりにあるバージルとの手合わせに対して燃える刹那であった。

 

バージルとクーフェイの勝負が終わって少ししたら授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り出した。

 

    



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