雷神の末裔として生きていく (チート大好きマン)
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過去編
チュートリアル


今回初投稿です。今までずっと読む側でしたが、自分の中の妄想をどうしても文章にして読みたいと思い投稿しました。全力を尽くして書きましたが、全然ダメダメなので、批評はアドバイスという形で頂けたら嬉しく思います。ではお楽しみください。クロスオーバー、チート、主人公最強、原作改変、が苦手な方はブラウザバックをお願いします。文才がなさすぎてヤバい...


第一話

 

 

「えっと…‥どういう状況?」

 

俺の名前は鳴神雷都、ただの大学生だ。今日も今日とて講義とバイトを終えて帰る時、横断歩道で信号が変わるのを待っていたら一台の大型トラックが突っ込んできた。突然のことで反応出来なかった俺はそのままトラックと衝突。視界は真っ暗になった。

体の感覚を感じ目を開けると、俺は真っ白な空間にいた。最初は呆然としていたが、しばらくするとなにやら女性が慌てた様子でやって来た。来ただけならまだ良かったが、その女性が勢いそのままにスライディング土下座をしてかれこれ五分ぐらい経ってる事に困っている……

 

「あの、そろそろ頭を上げてほしいんですけど」

「いえ、今回のあなたの死はこちらの責任です。簡単に頭を上げるわけにはいきません」

「いや…さっきから謝ってばっかで会話が進まないので、説明して頂けるとありがたいんですが…」

「…そこまで言われるのであれば」

 

そう言って女性は頭を上げて現状の説明をし始めた。まずここは輪廻転生の間という場所で、俺はあの突っ込んできたトラックと衝突して死んでしまった。そしてその原因が、神様たちの喧嘩による余波で俺の生命の蝋燭の火が消えてしまったこと。なので喧嘩をした神様の上司である彼女が「部下の失態は上司である私の責任です!」と謝りに来たらしい……あんたすげーよ、世の上司の鏡だよ。もうその心意気だけでいい人っていうか神様?なのが分かるよ。あんたみたいな上司を持ってる部下の人が羨ましいよ。で、今回ここに呼んだのは、失態のお詫びに転生させてくれるからと言うことだ。テンプレですね。ザ・王道って感じで好きよそういうの。くれるものは有り難く戴かないとね。

 

「ちなみに行き先は決まってるんですか?」

「そうですねー、本来なら特典の中に含まれるのですが今回はこちらに非があるため行き先は別枠で大丈夫ですよ。なので特典はやらかした部下と私の分で4つまで選べます」

 

ほー4つもか、よく聞くのは3つとか1つなんだが。ありがたく選ばせてもらおう

 

男性考え中

 

「決めました。まず行き先は『魔法科高校の劣等生』でお願いします。次に特典はONE PIECEの覇気三種類、六式、ミホークとゾロの技と刀、ゴロゴロの実、この4つでお願いします。…大丈夫ですかね?」

「なかなかのチートっぷりですね。ですが大丈夫です。少しだけ行動にルールを課しますが、大方あなたの自由にできますので」

「そのルールとは?」

 

「それはその力を人のために使うこと。破った時は一定時間手足のどれかが動かせなくなります。これから行く世界は完全隔離世界なので、世界の修正力が及ぶことはありません。なので原作を改変しても大丈夫です。キャラの救済にハッピーエンド、何でもござれですね」

 

「そんな感じですか。分かりましたその条件で構いません」

「ではこの書類にサインを……はい、確認しました。では転生開始…といきたいところなんですが、能力や刀の練習なしにいきなりは事故に繋がるので、今から能力の確認を兼ねてある女の子を助けてもらいます。ここまで言えば後は分かりますよね?」

「ええ、四葉真夜ですね」

「その通りです。では特典のゴロゴロの実と刀をお渡しします。覇気と六式は現地についたら使えるようになりますので…準備はよろしいですか?」

「フゥ。お願いします」

「分かりました。ではいってらっしゃい」

 

神様がそう言うと、俺は黒い穴に落ちていった

 

*************************************

 

「おっと。どうやら着いたみたいだな。さてと四葉真夜は何処かなと」

 

そういって辺りを見回しても木しか見当たらなかったので早速見聞色の覇気を使うことにした

 

「(……あの建物だけ人が多いな。あの横になっているのは周りより体が小さいな…!てことはあれが四葉真夜か!)ちくしょう!!急がないと!!『剃』!!」

 

俺は『剃』を使って高速で移動した。そして男の持っている注射器が彼女に刺さる前に

 

「その子から離れやがれ!!」

 

「なに!?ぐぁぁ!!」

 

なんとか間に合い、注射器を持っていた男を切り捨てた

 

「誰だお前!!一体どうやって侵入した!!通路には武装した兵士がいたはずだ!!」

 

「ああ彼奴等な。今頃寝てるんじゃないか?一生起きることはないだろうがな。てか、てめーらこんな小さい女の子に大の大人が寄って集って何してんだよ。もちろん、覚悟できてんだよなぁ?」

 

「ほざけ!そいつは我らの実験材料。どう扱おうとこっちの勝手だろう。お前こそ、この人数を前に勝てると思ってるのか?」

 

「....フフ。勝てるかだと?勝てるか勝てないかじゃない。俺がここにいる時点でお前らの死は決まってんだよ。見せてやるよ俺の力を。行くぞ『和同一文字』」

 

そう言って俺は異空間に収納していた『和道一文字』を取り出して腰に差して、居合の型を構える。これがゴロゴロの実の雷の速度と死・獅子歌歌を合わせた俺のオリジナル技!

 

「武装色!雷速居合・一発雷!!!」

 

スッ...キン.........ズバァァァァァン!!!!

 

雷の速度は音さえ置き去りにする。故に彼が放った居合は、納刀する音が最初に聞こえて後から遅れて斬撃音が聞こえるのだ

 

「よし、依頼完了。彼女は...ありゃ、気絶してる。おーい起きろー怖い大人はもういないぞー」ユサユサペチペチ

 

「うぅん...ん..ここは...。あれ、彼奴等は..あなたが助けてくれたんですか?」

 

「お、起きたなお嬢さん。気分はどうだい?」

 

「はい、実験される前でしたので睡眠薬を打たれただけです。助けてくれてありがとうございました。それで、あなたは一体...」

 

「俺か?俺は鳴神雷都。(知ってるけど)君は?」

 

「私は四葉真夜と言います。改めて今回は助けていただいてありがとうございました」

 

「そうか、じゃあ真夜と呼ばせてもらっても?「構いません」分かった。とりあえずここを出よう。さっきの騒ぎでこちらに人が向かっている。動けるか?」

 

「動けはしますが、激しい動きはちょっと....」

 

「そうか。では失礼するぞ」

 

「え?ちょっと、なにを、きゃっ!」

 

俺は真夜をお姫様抱っこで抱えながら5割の力で剃を使い施設の外まで移動した

 

「よし、ここまで来ればひとまず安心できるだろう」

「あの!今の速度は自己加速術式を使っていたんですか!?」

「いや?俺は魔法はほとんど使えないから。あれは俺の純粋な身体能力だ。まぁ5割ぐらいの力だがな」

「そ、そうですか(嘘でしょ!?あれで5割!?ほとんど瞬間移動レベルだったわよ!!)。ほ、他にもないか出来ることはありますか?」

「ああ、そうだなぁ何から話すか.....」

 

それからは他言しないという約束のもとで能力の詳細を話した。六式と覇気は努力、剣技は我流、ゴロゴロの実は存在改変の魔法ということにした。最初はあまり納得いってなかったが、そこはゴリ押しで納得させた。だって「自分は雷人間です」なんて言ったら実験動物(モルモット)まっしぐらだし。それは勘弁願いたい。俺の紹介が終わり、他愛のない話をしていると、見聞色でこちらに向かって来る一団を察知した

 

「しっ、誰か来る....あれは」

 

「!私の父です!助けに来てくれたんです!お父様ーー!!」

 

「!真夜!「お父様!」ああ良かった!直ぐに助けに行けずに済まなかった!大丈夫か!?怪我はないか?何もされてないか?」

 

「はい!睡眠薬で眠らされて直ぐに彼が助けてくれましたので。そうですよね雷都さん?」

 

「そうだな。さて、初めましてですね。俺は鳴神雷都と言います。あなたは真夜の父親、ということでいいんですね?」

 

「そうか君が....真夜の父親で四葉元造だ。この度は娘を助けてくれてありがとう。君がいなければどうなっていたことか、四葉家を代表してお礼を言わせてくれ。所で、君はどうしてこんなところに?」

 

「(どうしよう!その質問の答えを考えてなかった!『聞こえますか?』その声は神様!?『こちらで決めたあなたの設定を頭に直接送ります。それで乗り切ってください。あとで世界の常識としておきますので』........これか!)」

 

「どうした?「雷都さん?」」

 

「実は鳴神家は古から武御雷の末裔として裏から日本国を守っていました。俺はその中でも最高傑作と言われていまして、日本や日本国民に何か良からぬ事が起きる時は決まって頭の中に起きる事件の内容と場所のお告げがあるのです。今回のこともお告げで把握して行動したということです」

 

「うーむ、にわかには信じがたいが君が今ここに居ることが何よりの証拠か。でも鳴神家という名前は聞いたことがないのだが...」

 

「それはそうでしょう。一族は俺を除いて全員亡くなってますから。日本の守護ですからね、みんな覚悟はできていましたよ」

 

「そうだったのか。言いづらいことを聞いてしまって済まない。して君はこれからどうするのかね?」

 

「大漢を地球上から消します。奴らは俺が護るべきものに手を出した。その報いを受けなければならない」

 

俺は覇王色の覇気を少し発動しながらそう言った。今後を考えても今ここで消したほうがいい。原作でもどうせ消えるし。やる規模と人が変わるだけだ

 

「っ!それ程の迫力で言われては頷くしかないな。その代わりそれを見届けさせてはくれないか?こちらも被害者なのでな」

 

「それは構いません。ですが危ないので離れていてください。あと今から見るのは他言無用でお願いします」

 

「分かった」

 

四葉元造からの許可も出たので俺は月歩を使い崖の上まで行った

 

「今回は出血大サービスだ。精々華々しく散ってくれ」

 

武装色を乗せた黒い雷と覇王色を乗せた赤い雷を施設の上に発生させる。そしてそれを合わせて・・・

 

「覇王武装・雷霆の裁き(ゼウス)

 

カッ!....ビシャァァァァァン!!!!

 

そして発動した覇王武装・雷霆の裁き(ゼウス)は的確に施設のみを消し飛ばした。雷迎でも良かったが、流石に関係ない一般人を巻き込むとルールに引っかかりそうだったのでやめといた。真夜たちの方を見てみると全員口を開けて呆然としている。あんな物見せられたらそうなるか。はぁ説明が面倒だな

戻ってきた俺は案の定彼らからの質問攻めに遭っていた。あれは魔法なのかとか、崖の上までどうやって行ったのかとか。面倒だったので事情を知っている真夜に説明を任せて俺は覇気の回復に専念していた。いやぁ疲れた。初めてあんなに覇気を使ったけど疲労がすごいな。これは覇気の修行は必須かな。......お、説明終わったみたいだな

 

「雷都君、君は魔法を使いたいとは思わないのか?その力に加えて魔法も扱えるようになったら文字通り世界最強の地位を得ることが出来るが」

 

なんか元造さんの俺の呼び方が「君」から「雷都君」に変わってるんだが...ん?なんか真夜の顔赤くない?こっち向かずにずっと下向いてるし。風邪か?とりあえず質問に答えるか

 

「思いませんね、もう十分強いですし。自分なりに魔法への対抗手段は持っているので。それに俺は別に世界最強になりたいわけじゃなくて、死んでしまった両親や一族の代わりに鳴神家の役目を果たしたいだけですから」

 

「.....フッ、そうか。清々しいな雷都君は。ではせめて今回の件のお礼を兼ねて四葉本邸へ来てくれないか?」

 

「そうですね、『雷都さん聞こえますか?そろそろ時間ですが(もう少し待ってくれ。終わったらこっちから声かけるから)分かりました』...お誘いは嬉しいですがまだやることがあるので今回は遠慮させて頂きます」

 

「なら仕方ないな、恩人に無理を言うわけには行かない。では私達は戻るとしよう。真夜、帰るぞ」

 

そう言って帰ろうとした四葉一行だが、真夜が俺に抱きついてきた

 

「嫌です!離れたくありません!私を、四葉を救ってくれたヒーローに恩返しもできないまま離れるなんて!私にはできません!」

 

「真夜、雷都君にも事情が「嫌です!」はぁ、どうしたものか...」

 

「....真夜、なにももう会えないわけじゃないんだ。今は一刻も早く帰って無事な姿を他の人達にも見せないと。お母さんも心配してるんじゃないか?」

 

「それはそうですが....」

 

まだ納得しないか。なにかいい方法は...ここはあの名場面のオマージュといこう

 

「真夜、約束する。いつになるかわからないが、必ず真夜に会いに行くよ。その証としてこの刀《和道一文字》を君に預ける。俺の大事な刀だ、次に再開した時返してくれ」

 

「大事な刀を私に…分かりました。大事に保管して次会った時に必ずお返しします」

 

いやー!気持ちいいものですね!絶対言うことがないと思ってたセリフをこんな最高なシチュエーションで言うことが出来るなんて!神様ありがとーーー!

 

「ああ、頼んだよ。元造さん、今この場にいない人たちへの説明はお願いします」

 

「任せてくれ、今日のことも伝えるが構わないかな?」

 

「それで納得してもらえるならば」

 

そして今度こそ彼らは帰っていった。真夜はずっと手を振っていたので、俺も彼らが見えなくなるまで手を振っていた……よし、周りに人はいないな。

(神様、お願いします)

『分かりました。では始めます』

 

そして俺はもう一度あの空間へ戻った

 

*************************************

 

「お疲れさまでした。どうでしたか?」

 

「特に問題はなかったです。最初から自分のものだったかのように扱えました」

 

「なら良かったです。最後にあんな約束もしてましたし(笑)」

 

「うっ、いやあれはですね?ちょっとテンションが上った故の結果と言いますか、なんと言いますか…」

 

いやだってあれはしょうがないじゃん。女の子にあんな顔で抱きつかれながらあんなこと言われたらそうなっちゃうじゃん。あの時の真夜、なんかいい匂いしたな、柔らかかったし...はっ!何を考えてるんだ俺は!相手は12歳の少女だぞ!?落ち着けぇ、落ち着けぇ。俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない……ブツブツ

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「俺はロリコンじゃない、俺はロリコンじゃない…は!すいません。もう大丈夫です。そういえばあの施設に向かって能力を使ったのはセーフなんですか?」

 

「あれは四葉真夜を助けるための行動なのでオッケーです。あのままだと再び襲われていたかもしれませんから」

 

「なら良かった。で、今回こそ本当の転生ですよね」

 

「その通りです。では改めて、今回は申し訳ありませんでした。こんなこと言えたものではありませんが、第二の人生であなたが楽しく生きていけることを願っています」

 

「今までありがとうございました神様。向こうの世界でも頑張ってきます」

 

神様にお礼を言った俺はまた黒い穴に吸い込まれていった。今後の人生で起こるであろうこととあの約束を思いながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。書いていて、自分でもおかしいと思ったところはたくさんありましたが、そこを修正できるほどの文才がないのです。もっと上手く書く方法があると思いますのでコツなんかを教えて欲しい今日このごろ。いろんなss読み漁って勉強していきます。まだ書いてませんが次回もよろしくおねがいします。書くのって楽しいですね。


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再会と実力の一端

初回を読んでくださった方ありがとうございます。とても温かいコメントで書いてもいいよと言われている感じがして、やる気が出てきました。ということで追憶編を投稿していこうと思います。今回も安定のチートっぷりで救っていきます。
質問にありましたが、今回のヒロインに女神は入れない予定です。仕事の依頼人という立場ですので。その他にもこうした方がいいんじゃね?といった意見がありましたら、是非コメントにお願いします。

今回深雪出てきてるのにほとんど喋ってない…


再会と実力の一端

 

転生した俺は気がついたら何処かの家の中にいた。周りを見渡しても特におかしいところはない。強いて言えば家の中にものが何一つないことだけ。内装がないそうです

 

「ん゛ん゛、見た目は普通の一軒家だけど、なんにもないのはなんでだ?…取り敢えず構造を把握しないとな」

 

〜探検中〜

 

しばらく歩き回ってこの家の大体の構造は把握できた。基本的には庭付きの二階建て一軒家。外にはガレージがあり、中には黒と赤と青のバイクが一台ずつ完璧な状態で置いてあった。…え?免許持ってんのかって?もちろん持ってるよ。バイクの座席の上に置いてあったよ。取った記憶はないけど。興味本位で跨ってみたけど、操縦方法は大丈夫だった。使うかどうかは分からんけど(フラグ)

 

「いやー凄いわ。こんないい家を一人で使えるのか。まぁ設定が設定だからだろうけど。取り敢えず家具と家電を揃えないとな…そう言えばお金ってどうすんだ?歩き回ってた時も見なかったけど……もしかして無一文か?こんな家に住んでんのに?新品のバイク3台も持ってんのに?…いや落ち着け、もう一度家の中を見て回ろう。そしたらなんか見つかるかもしれない」

 

そして再度家の中を隅々まで見て回ってなんとか通帳と印鑑は見つけることができた…普通に引き出しの中に入っていたけど通帳に記載されていた金額を確認すると、なんと20億もの大金だった……よかった、これで生活面は大丈夫だな。無駄遣いは極力しないようにしないと。取り敢えずお金の心配は無くなったし、予定通り家具家電を買いに行くとしますか。あ、丁度いいからバイクで行こう(フラグ回収)

 

 

 

 

スーパースポーツタイプのバイクで駅前の家具屋と家電量販店で買い物を済ませ、家具と大きめの家電は後日家まで送ってもらうことにして、帰り道のスーパーで食材を買って家に帰った。家電量販店で今の年代を確認したが2090年と表示されていた。つまり司波深夜と桜井穂波が死ぬ要因となる沖縄・佐渡への侵攻が起きる2年前ということになる。まぁその件は神様から依頼があるだろうから置いておくとして、今後の予定を決めていこう…沖縄・佐渡侵攻が起きるまでに一度真夜に会っておきたい。預けた《和同一文字》を受け取りに行きたいし、司波深夜や司波達也・深雪兄妹にも会っておいたほうが今後動きやすくなるだろうし……よし決まった。したら今日のところは一旦帰って諸々の準備を終えた後に行こう。てことで(つ∀-)オヤスミー

 

数日後には注文した家具家電が到着して内装が出来上がった…我ながら普通中の普通だな。モデルハウスですかってぐらい普通だ。HARも店員さんから勧められたが、家事は自分でやらないと落ち着かないので遠慮した。その話はここまでで、この数日で新たにこの家の秘密が出てきた。それは「地下室」と「武器庫」だ。地下室には、この国に関する様々な文献や資料が丁寧にファイリングされて仕舞ってあった。勿論十師族とそのスポンサーに関するものも。後のスペースは修練場になっていた。試しに武装色で強化した拳で殴ってみたが強度も申し分ない。武器庫は地下室とはまた別のとこにあって、まあまあ広くて中には銃火器、ナイフ、刀等の様々な武器が置いてあった。ちなみに俺が持っている刀もここにあった。思いがけない物を見つけた俺は、早速地下の資料に書いてあった四葉本邸に行くことにした…四葉の家分かんなかったから良かったぁ。

 

〜バイクで移動中〜

 

あの資料に書いてあった四葉家の住所に向かう途中のトンネルで男性が立っていたので、俺はバイクを止めて近づいていった

 

「鳴神雷都様でよろしいですか?」

 

「そうだが、そうゆうあんたは誰だ」そう言うと

 

「申し遅れました。私、現当主の四葉真夜様の執事で葉山と言います。この度はおいで下さいまして感謝いたします。早速ですが真夜様がお待ちです。申し訳ありませんが会話は移動しながらでよろしいですか?」

 

「そうでしたか、構いませんよ。所で乗ってきたバイクはどうすればいいですか?」

 

「大事なものでしょうし一緒で構いません。では行きましょう」

 

それから俺は葉山さんと共にトンネルの中を進みながら会話をしていた。と言うより俺が質問して、葉山さんがそれに答えてくれていただけだが。現在の日本の状況、四葉の現状、世界情勢などとにかく「今」を知るための情報を交換していった。勿論葉山さんからの質問にも答えていった

 

「改めて28年前は真夜様を助けていただき本当にありがとうございました。あなた様のお陰で奪われる筈だった真夜様の将来を、四葉家の未来が守られました。当時の状況は元造様から皆聞いております。能力のことも家柄のことも。勿論これは四葉以外のものには伝えておりません」

 

「そうでしたか。まぁ家の役職的に遅かれ早かれ知られますから。そう言えば、真夜は渡した刀はまだ持っていてくれてますか?」

 

「確か《和道一文字》でしたか。はい、まるで家宝のように大切に扱っております。手入れもプロの方に聞いて自分でやっておりました」

 

「ハハッ、それはありがたい。あの刀は両親の形見なので」

 

「そんな大事なものを真夜様に……とっ、話している間に到着しました。ようこそ四葉の村へ」

 

おっと話をしているうちに着いたようだ…へぇーのどかなところだなぁ。畑、家畜、水、生活に必要なものが揃ってるな。だからこんな閉ざされても大丈夫なのか

 

「こちらでございます。真夜様がお待ちです」

 

「あ、ああ、はい。すいません今行きます」

 

葉山さんと廊下を歩いていくと、ある部屋の前で立ち止まった

 

「葉山でございます。鳴神雷都様をお連れしました」

 

「入ってください」

 

そう声がかかって入っていくと、部屋の中にいた女性が抱きついてきた

「雷都さん!!」

 

「おっと…久しぶりだな真夜。まだ甘えん坊は治ってないのか?」

 

「雷都さんにだけです…//お久しぶりですね雷都さん!約束通り会いに来てくれて嬉しいです!」

 

「ああ、真夜との約束を違うわけには行かないからね。そう言えば真夜、俺が渡した刀はまだ持っていてくれてるみたいだね。しかも手入れまでして家宝みたいに扱っていたって聞いたよ。ありがとな、俺も刀も嬉しいよ」

 

「うっ//葉山さんから聞いたんですね…//」

 

「ああ、とても嬉しそうに話してくれたよ。話を聞いているこっちまで嬉しくなりそうだったけど」

 

「うぅ//だって!私と雷都さんとの唯一の繋がりで、思い出の品ですから!あの夜のことは忘れたことがありません!それに!あなたが自分の大事なものを預けたということは、私にはそれを大切に保管する義務がありますから!」

 

「真夜様は子供の頃、眠れない夜はあの刀を抱きまくらのようにして眠っておりましたよ。その度に危ないからと元造様に怒られておりましたが」

 

「ちょっと葉山さん!?その話は秘密にしといてってあれ程言ったのに!!」

 

「おや?そうでしたかな?なにぶん年も年なもので忘れてしまいましたな」

 

「……葉山さん、あなたそんなキャラでしたか?」

 

「いえ、いい加減真夜様は正直になられたほうがいいかと思いまして」

 

なんか、女の子とその近所に住んでる寡黙な老人の言い合いみたいで微笑ましいな。バチバチいってるし。俺蚊帳の外だけど

そのままおてんば娘と紳士の睨み合いは続き、果ては子供の喧嘩みたいな低レベルな口喧嘩になってしまった。このままでは話が進まないので、間に入って仲裁してようやく収まった。

 

「はぁ…はぁ…葉山さん、紅茶を二人分入れてきて頂戴」

 

「ふぅ…畏まりました」

 

落ち着いたところで、葉山さんは紅茶を淹れに部屋を出ていった

 

「さて雷都さん、まだ再会を喜びたいですがこれからの話し合いは四葉家当主として聞きます。いいですね?あ、でも答えたくない質問には答えなくて結構です」

 

さっきとは部屋の空気が一変した。さすが世界最強と言われる魔法師、ここまでとは

 

「…いいだろう。ここからは俺も鳴神家の当主として答えれる範囲で答えよう。その前に1つだけいいか?」

 

「あの刀のことですよね、ご安心ください。手入れは毎日完璧にして、厳重に保管してあります。何なら見ますか?」

 

さすがだな、俺が聞きたかった事に的確に答えてくれた…もしかして心読まれてる?

 

「いやその言葉が聞けただけで十分だ。葉山さんからは聞いていたが、真夜の口から直接聞きたかっただけだから」

 

「そうでしたか。では質問の方に移りましょう。まずは……」

 

それからは真夜からの質問に答えていった。見た目が初めて会ったときと全く変わっていないこと、どうやって四葉に来たのか、どうやって四葉の情報を知ったのかなど。流石に見た目については正直に話すことはできないので、存在改変の副作用ということにしといた。俺の能力についてはもう話してあるので聞かれなかった。後は四葉と鳴神で同盟を結ばないかと提案も受けたが、これは受け入れた。そうやって質問に答えていき、ちょうど話し合いが終わった所で葉山さんが戻ってきた

 

「真夜様、紅茶をお持ちしました。それとお客様がいらっしゃったので合わせてお連れしました」

 

「お客?誰かしら。いいわ。入って頂戴」

 

「あなたが真夜を助けた鳴神雷都さん?初めまして、四葉真夜の姉の司波深夜よ。名字が変わっているのは結婚してるからだけど、れっきとした四葉の人間よ。後ろにいるのは私の子供。ほら二人とも挨拶なさい」

 

「初めまして娘の司波深雪です」

「同じく息子の司波達也です」

 

はいまさかの司波一家でした…いや確かに関係が持てれば後々楽になるなぁとは考えてたけどさ、さすがに早すぎない?深夜さんはともかく、司波兄妹が誰だこいつみたいな目で見てくるし。そりゃそうだよね、知らない男の人が自分たちの叔母と一対一で話してんだから…分かってるからその目やめて!心にダイレクトアタックになるから!ライフゼロになっちゃう!やめろ!そんな目で俺を見るなーーー!!

 

「姉さん!?どうしてここに!?」

 

「葉山さんから連絡もらってね、面白そうだったから来ちゃった。それより真夜、あなたちゃんと思いは伝えたの?折角のチャンスじゃない

 

ちょっとやめてよ!雷都さんに聞かれたら恥ずかしいじゃない!…それに私は四葉の当主。方や雷都さんは武御雷の最後の末裔。立場的に難しいの。もし私が嫁に行くといたら次の当主を決めなければいけない、四葉の当主の決め方は姉さんも知ってるでしょ?でももし雷都さんが婿に来るなら、鳴神家は途絶えてしまう。分かるでしょ?

 

しょうがないわねぇ。雷都さん」

 

「は、はい、なんでしょうか」

 

「あなた、真夜のことどう思ってる?「ちょっと姉さん!」あなたは黙ってなさい。それでどうなの?」

 

「…好ましくは思っています「そうじゃなくて、恋愛感情があるのかってことよ」……無いと言えば嘘になります。あの夜、別れる時の真夜の涙と笑顔は忘れたことがありません」

 

「なら「ですが」」

 

「……ですがそれだけではだめなんです。俺は一族を復興しなければならない、これは亡くなった両親への親孝行でもあるんです。そのためには重婚も厭わないつもりです。俺の代で鳴神を途絶えさせるわけにはいかないんです…そうなると彼女に苦労をかけることになってしまう。それだけはなんとしても避けたい。彼女にも立場がありますから」

 

「雷都さん……」

 

「……はぁ、立場というのはほんとに碌なものじゃないわね、恋愛すら自由にできないんだから。分かったわこの話はこれでお終い。それでいい?」

 

「…ありがとうございます」

 

「話題を変えましょうか。そうねぇ…雷都さん、あなた普通の魔法が使えないと聞いたけどそれは本当?」

 

あれ、なんか自然な流れで深夜さんが話を回している…あ、真夜がちょっと不機嫌そう、というか葉山さんがいつの間にかいない…さては姉妹揃ってカオスになること分かった上で出てったな。

 

「ええ、それは本当ですよ。俺は自分の体を雷そのものに変える事象改変より上の存在改変の魔法しか使えません。まぁその副作用で成長が止まってこんな事になってんですけどね…」

 

「存在改変ねぇ…そんな魔法聞いたことないわ。もしかして自分で作ったの?」

 

「俺にそこまでの頭脳はありませんよ、これは生まれながらに備わっていたものです。言うなれば一種のBS魔法ですね」

 

「へぇー変わったBS魔法ね。それと身体能力も規格外だと聞いたけど」

 

…この流れは全部話さないと終わらないパターンだな…司波兄妹がスゲー暇そうにしている。フォロー入れるついでに仕掛けるか。

 

「あの、俺の実力の確認がてら模擬戦をやりませんか?四葉なんだからそれぐらいの施設はあるでしょう?…達也くんがいいのならですが」

 

「「「「!!!!」」」」

 

「……なぜそこで私の名前が挙がるのでしょうか」

 

「ああ、俺に対しては素で接していいよ。君の立場は分かっているが、俺より年下にそんな口調で喋られるとなんかむず痒い」

 

「!…分かりました。改めてなんで俺なんですか?俺より魔法力が高い人は四葉の中にごまんといるはずですが」

 

「だってこの中で一番実戦に慣れてるの達也くんでしょ?俺が言ってる模擬戦は殺し以外何でもありの実戦形式だ…と言っても、俺と君では年齢と経験の差がありすぎる。だからハンデとして、俺は片手しか使わないし雷化も片手しかしない。そっちはCADも使っていい、これでどう?」

 

「……いいでしょう。やります」

 

いい感じに煽りに乗ってくれたな。いくら大人しくて達観していると言ってもまだ子供だ、さて何割まで出そうか。

そして俺たちは四葉家の地下にある修練場にやって来た。

 

「ここなら雷を使っても大丈夫です。この模擬戦は私葉山が仕切ります、よろしいですね?」

 

俺と達也くんは黙って頷く

 

「では両者構えて…始め!!」

 

達也くんは特化型CADを俺に向け、サイオンの塊を撃ち出してきた。その程度なら問題は無いので、雷化した手で弾いていく

 

「達也くーん、その程度じゃ無いでしょー?分解使ってもいいよー多分照準合わせられないから(笑)」

 

「!!(そのことまで!…いいだろう、そこまで言うなら使ってやろう)」

 

お、やっとやる気になったかな?それじゃあこっちも本気で行きますか。

それからは達也くんが標準を合わせる度に最速の剃で翻弄していく。達也くんもそろそろ慣れてきたか…決めに行こう。剃で一度背後に回り濃密な殺気を放ち、後ろを向く動作をした瞬間に前に回り

 

雷華崩拳(らいかほうけん)

 

「ぐぁあ!?」

 

その拳を受けて達也くんは壁まで吹き飛んでいった。そのまま追撃しようと追っていき、拳を放とうとした瞬間

 

「そこまで!!」

 

葉山さんの終了の合図が掛かり、勝負は俺の勝ちとなった。

 

「ふぅ…大丈夫かい?達也くん」

 

「はい、大丈夫です…強いですね」

 

「まあね。本来なら全距離から攻撃可能だけど、今回は身体能力を見せる為だったから近づいたけどね」

 

「そうなんですね…完敗です」

 

それからは深夜さんや深雪さんからあの移動方法やなぜ分解のことを知っていたのかの質問攻めにあったり、真夜が「さすが雷都さん!!」を繰り返して止まらなかったり、達也くんに戦闘に関するアドバイスをしたりしながらもといた部屋まで戻った。それからは、もう時間も遅いということで夕飯をご馳走になった。さすが十師族、出てくるご飯は絶品だった。後でレシピ聞いとこ。で、今現在何処にいるかと言いますと、真夜と添い寝をしています

 

「どうしてこうなった…チラッ」

 

「スゥ……スゥ……」

 

「寝れそうに無いな…ナデナデ」

 

「んぅ…らいとさん…エヘヘ」

 

それから結局一睡もできずに朝を迎えた。というかあの状況で眠れるやつがいるなら連れてきて欲しい。背中に柔らかい感触を感じながら、寝言で俺の名前を読んでいる女の子が隣で寝ている状況で寝れるだろうか、いや寝れない(反語)

起きた後は朝ごはんまでご馳走になってしまった。朝食も美味い。そんなこんなで帰る時間になった。

 

「帰っちゃうんですね…折角また会えたのに」

 

「そりゃあ俺は四葉の人じゃないから、長居するわけにはいかないさ」

 

「でも…」

 

「ハハ、真夜、あの時と同じようだな。そんな君にこれを贈ろう」

 

そう言って俺は再び《和同一文字》を真夜に渡した

 

「…どういうことですか?」

 

「これがここにあれば、確認のために来るという口実が出来るだろう?そうすればいつでも会える。例のごとくいつ会えるかはわからないけどな」

 

「…そうですね!!手入れは完璧にしておきます!なので…また会いに来てくださいね?」

 

「ああ、必ず行くよ。約束だ」

 

そして俺は自分のバイクに乗って家に帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか。進むのが遅すぎてヤバいなとは思いましたが、書きたいことが多くて…。次回からはちょっと時間を飛ばします。
技名に関してなにか使ってほしいものがあればコメントで教えて下さい。漫画やアニメの技、自分で考えた技などなんでも構いません。では次回もよろしくおねがいします。

真夜が駄々こねるの絶対かわいい…かわいくない?


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救出と本音

ということで三話目です。多くのコメントありがとうございます。書くための励みになっています。基本この小説はいきあたりばったりで書いているので主人公の容姿は決めていません。ざっくりとクール系高身長イケメンとイメージしていただければと思います。第三話もお楽しみください。二人目の登場です


救出と本音

 

四葉家から帰ってきた俺を待っていたのはいつもの日常…とはいかなかった。どこから嗅ぎつけてきたのか知らないが、軍やら政府のお偉いさんたちが代わる代わる家を訪ねてきたのだ。軍からは佐伯とか言う人が来て、政府からは総理大臣の側近が来た。名前は…えっと…忘れた。そこは置いといて、どちらも話し合いの内容は「有事の際はぜひともお力をお借りしたい」というものだった。そこでちょっと見栄を張りたかった俺は、相手が気絶しない程度の覇王色を出しながら「いいだろう武御雷の名の下に力を貸そう」と言ってしまった。

その場はそれだけで帰っていったが、その時の相手の顔と言ったら…イタイやつを見るような目で見ていた。はぁあ、黒歴史作っちゃった…てなわけでして、気分転換がてらお散歩をしております。

 

「あの人達なんでこのタイミングで来たんだろ…表ではああ言ってたけど、裏の意図は俺が持ってる四葉との繋がりだろうな。やっぱ十師族との繋がりは大きいか…あの夜のことも知ってたし、さすが日本政府」

 

そう、軍も政府もあの時のことを知っていたのだ。まぁ当然といえば当然か。日本の守護者の立場である鳴神が本来護るはずの日本を離れて一人の女の子を助けに行った挙げ句、他国を滅ぼすほどの攻撃を放ったのだから。どうやらその時の魔法が雷霆の裁き(ゼウス)として「戦略級魔法」に認定されたらしい…魔法というか異能なんですけどね。それもあり軍とは有事の際の大佐の地位を、政府からは総理専属の私兵としての地位を受けた。最初は渋ったけど覇王色出したのが効いたかな。そんな事を頭の中で考えながら、夕飯に使う食材を買いつつブラブラ歩いていると久々のアレがきた。

 

『依頼:七草真由美を救出せよ!

 内容:七草真由美が何者かに拉致されました。犯人グループが向かっているのは〇〇港の廃工場です。至急向かってください

 報酬:七草真由美が惚れるかも』

おいおい!急すぎるだろ!なんかやけに警察じみた言い回しだし!あとその報酬はなんだ!やかましいわ!…今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ!早くしねぇと!取り敢えず今持ってる荷物を家に置いて、刀取ってきて…クソ!時間がない!…仕方ない使うか!食材には武装色を纏わせて守って

 

「疾風迅雷!!」

 

文字通り一瞬で家に帰り、救出の準備を整えて疾風迅雷を使い言われた〇〇港の廃工場のに向かった

 

「あそこか!!(間に合ってくれよ)」

 

************************************

 

「あなた達何者ですか!こんな事をしてただで済むと思っているのですか!」

 

「んなこと言ってもなぁ、こっちも仕事なんでよ。黙らなねぇと襲っちまうぞ?」

 

「兄貴それいいすっね!クライアントからは攫ってこいとしか言われてませんし!」

 

「そうだよなぁ。少しぐらい楽しんでも文句はいわれないよな。てことで、ヤッちまうか」

 

「いや!来ないで!(お父様!誰か助けて!)」

 

ガシャァァァァァァン!!!「ふぅ、間に合ったか」

 

「だ、誰だテメェ!!何しにきやがった!!」

 

「俺の名は鳴神雷都。武御雷の名のもとに日本を、日本国民を守護する者だ。そんな俺の前で誘拐、更には強姦未遂まで…ゴミクズ共、覚悟は出来てんだろうなぁ!?」

 

「雷神の末裔…ほんとにいたのか…いや、いくら雷神の末裔でもこの人数差には敵わないだろ!行くぞお前ら!やっちまえ!!」

 

犯人グループが一斉に持っていた銃を乱射してきたが、俺はそれを見聞色で予知して銃弾を真っ二つに斬っていく

 

「…今度はこっちから行くぞ」

 

そう言って、自分の周りに雷で作った無数の針を展開していく。そのまま両手を前に突き出し

 

雷通し(かみなりどおし)

 

シュシュシュシュシュシュシュシュ!!

 

雷の針は的確に男たちの心臓部に打ち込まれ、電気ショックを与えて心臓を止めた。その場に立っているのは俺とボスらしき男のみとなった

 

「……さて、残るはお前だけだが…何もせず投降するなら殺しはしないが、どうする?」

 

「クソ!!「キャッ!」…う、動くんじゃねぇ!この女がどうなってもいいのか!?」

 

「…答えはそれでいいんだな?」

 

「何が答えだ!いくらお前でもこの距離で攻撃を当てるのは無理だろ!」

 

「いいやいける。だが横に彼女がいる状況で遠距離技を使うわけにはいかないな」

 

「分かってんならその刀を地面に置け!」

 

「分かったよ。置けばいいんだろ カチャ ほら、置いたぞ」

 

「よし次は…おい!何してる!」

 

「何って…指鉄砲だよ。知らない?これでお前を撃ち抜いてやるよ」

 

「はっ!何を言うかと思えば!いいぜ、やってみろよ!出来るんならな!!」

 

「いいぜ…指銃・線雷(しがん・せんらい)

 

ビシュン!!!

 

指銃・線雷は指先から一直線の雷を放つ技。雷といっても縮小版のレーザービームに近くて、周辺への影響は全く無い。なので近くにいた七草真由美には当たっていない。指銃・線雷で頭を撃ち抜かれた男はそのまま後ろに倒れていった

 

「フゥ、君、怪我はないかい?」

 

「ポー……は、はい、助けてくれてありがとうございます!私は七草家の長女、七草真由美と言います!あの、あなたが武御雷の末裔と言われている鳴神雷都さん、ですか?」

 

「ああその通りだよ七草さん「私のことは真由美と呼んでください」…真由美ちゃん「はい!」…護衛の人はどうしたんだい?」

 

「実は…護衛の人を撒いて一人で買い物をしていたんです。そこを奴らに捕まってしまいまして、魔法を使おうにも怖くて体動かなくて…」

 

そう語る彼女の体はプルプルと震えていた。見かねた俺は彼女を優しく抱き締めて、頭を撫でながら言葉を掛ける

 

「よく頑張ったね。もう大丈夫、ここには俺と真由美ちゃんしかいないから」ナデナデ

 

「…こわかったです…急に連れてこられて…何されるかも分からなくて…」

 

「泣きたかったら泣いてもいいんだよ」

 

「グスッ…うわぁぁぁぁぁん!!…」

 

真由美ちゃんは警察が到着するまで泣き続けていた。警察の事情聴取を受けたが、十師族の長女と武御雷の末裔というの知っていたのか軽く事の顛末を聞かれただけで、お咎めなしとなった。それからは七草家の護衛の人が真由美ちゃんを迎えに来てその場は解散になった。因みに刀はちゃんと回収したよ。その際に一度七草家に来て欲しいと言われ遠慮しようと思ったが、真由美ちゃんの上目遣い+涙目の精神攻撃に負けて、行くと約束してしまった。あの顔はずるいよ、合わせて「雷都さん…」なんて悲しそうな声出されたらさぁ…無理じゃん?

家に帰ったら帰ったで、真夜から電話が来て今回のこと聞かれたし…いや真夜、どうして俺の番号を知っている。四葉にいた時は教えていないはずだが…え?愛のなせる技?…なら仕方ないか(激甘)。それからは夕飯を食べ、七草家に行った時のことを考えながら眠りについた。

 

************************************

 

七草真由美誘拐事件から2日後、四葉家の住所を調べた時と同様に、地下のファイルで七草家に関するある程度の情報を頭に入れた後、七草家に向けてバイクを走らせていた。七草家の住所は四葉とは違い秘匿されているわけではないので、調べる必要はない。

そうこうしているうちに七草家に到着…誰もいないのか、インターホン押してもいいのかな、このまま待ってる?いやでもずっとこうしてると不審者と間違われるかもしれないしどうするか………押すか。ピンポーン

『どちら様でしょうか』

 

「鳴神雷都です。先日の事件でそちらの長女の真由美さんから来て欲しいと言われたので伺ったのですが」

 

『鳴神様でしたか。失礼いたしました。今開けますので少々お待ち下さい』

…ガチャ

「ようこそいらっしゃいました鳴神様。私真由美様のボディガードの名倉三郎と言います。先日は真由美様を助けて頂きありがとうございました」

 

「いえいえ、あれも私の役目なのでお礼を言われるようなことでは…」

 

「左様ですか。立ち話もなんですから中へお入りください。当主の七草弘一様が奥の部屋でお待ちです」

 

そう言って名倉さんと一緒に奥の部屋に歩いていく

 

コンコン「名倉でございます。鳴神雷都様をお連れしました」

 

「鳴神さまだけお入りください。名倉は真由美を呼んできてくれ「かしこまりました」」

 

えぇー、一対一で話すの?気まずいんだけど…

 

ガチャ「失礼します」

 

「ようこそいらっしゃいました。七草家当主の七草弘一です。娘の件に関してはなんとお礼を言ったらいいか」

 

「やめてくださいよ弘一さん、やるべきことをやっただけですから。あと敬語も取ってもらって構いませんよ」

 

「いえそう言うわけにはいきませんよ。見た目は年下に見えますが、精神年齢は私より上でしょう。何より神の末裔に対してそのようなことは出来ません」

 

「…なるほど、俺のことは全部知ってるって訳ですか。じゃあせめて様付けはやめてください、なんか落ち着かなくて」

 

「分かりました鳴神さん。これでいいですか?」

 

「それでお願いします。で、なにか聞きたいことがあるんですよね?答えれる範囲で答えますよ」

 

「そうですね。では今回の事件のことから…」

 

それから俺と弘一さんは今回の事件の顛末と、今後の鳴神と七草の関係、俺自身の話をした。勿論28年前の事件についても。話の内容自体は真夜の時とあまり変わらなかった。でもなんか話の節々に真夜に対する申し訳無さが見えるんだよなぁ…ちょっと突っ込んでみるか

 

「弘一さん、あなた実は真夜に謝りたいんじゃないんですか?」

 

「………なにを言いたいのか分かりかねますが」

 

「いいや、あなたは分かっているはずだ…今のあなたの心の内を当ててあげましょう。…28年前彼女を守れなかったことを今も悔いている「!やめてください」あの時自分が彼女を守れていれば今の十師族もいい状態になったのではないか「やめてください!」彼女の事を愛していたのに「やめろと言っている!!」…弘一さん、あなたが何を恐れているのか教えてくれませんか?」

 

「……私は何も恐れてなどいませんよ」

 

「それも嘘ですね。俺の能力を聞いたあなたなら分かってるでしょう、今のがあなたの本心ですよ。弘一さんもう一度聞きます、あなたは何を恐れているのですか?」

 

「…流石は神の末裔ですな……真夜本人からの拒絶ですよ。当時、婚約解消は本人の口から言われたわけでありませんが、何故なのか理解できませんでした。理由には納得できましたが、だから何度も真夜を訪ねましたが、全て門前払いで取り付く島もない。何回も繰り返していくうちに真夜に対する怒りが込み上げて来ました。何故俺がこんな目に合わなければ行けないのか、全部アイツのせいだ、と。それからですね四葉を目の敵のように扱うようになったのは…国のために動くのが魔法師です。四葉はその大きすぎる力を国のためにどころか自分たちのためだけに使っている…国か子かの二択を迫られれば私は国を選びます。それが十師族の役目ですから」

 

「…そうでしたか、話してくれてありがとうございます…弘一さん、もう一度やり直してみませんか。当時とは違い今は俺がいます。国か子かなんて選ぶ必要はありません。あなたが国を選ぶなら俺が子を選びます。あなたが子を選ぶなら俺が国を選びます。真夜への謝罪も俺が協力します。これから始めればいいんです。ここから変えていきましょう」

 

「……はい、ありがとうございます。よろしくおねがいします」

 

俺と弘一さんは互いに握手をしてこの話は終わった…さて、部屋の外で盗み聞きをしている悪い子を呼びますか

 

「真由美ちゃん、もう話し合いは終わったから入ってきていいよ」

 

「!?…バレてたんですね」

 

「まあね。何かお父さんと話したいことがあるんじゃないのかい?」

 

「…そうなのか?」

 

「…うん」

 

「…じゃあ俺は帰りますね、あとは親子でごゆっくりどうぞ。それとこれ、俺の携帯と家の電話番号とアドレスです。何かあったらいつでも掛けてきてください」

 

「…何から何までありがとうございます。真夜と話し合ったら報告します。真由美もお礼を言いなさい」

 

「はい。ありがとうございました。父とじっくり話し合ってみます」

 

「二人とも頑張ってくれ。じゃあ」

 

そう言って俺は乗ってきたバイクで七草家を後にした。今日も疲れたなぁ、主に精神的に。それに「四葉」に「七草」と関係を持ってしまった。この噂を聞きつけて他の十師族からの接触もあるかもしれないな…それで救われる人がいるのなら構わないが、あまりにも面倒になるようなら考えないとな。

後日、真由美ちゃんからメールが来た。ある程度は弘一さんと分かり合えたこと、弘一さんと真夜がお互いに理解し合えたことが書いてあった。これで四葉と七草の溝はある程度無くなった。あとは2年後の沖縄だな。そこでどう動くかによって未来が大きく変わっていく。気を引き締めようと俺は地下の修練場に行き、トレーニングと技の開発に励んだ。六式のさらに上に行くために

 




如何でしたでしょうか。七草家の詳細は分からないのでインターホンは自分の勝手なイメージです。弘一の内心もこれまた多分こんな負い目を感じているんじゃないかなと想像で書きました。第一高校での主人公の立場をどうしようか迷っている生徒か、顧問か、はたまた教師か。悩みますねぇ。では次回も是非読んでやってください


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沖縄と司波一家

4話目です。今回は沖縄海戦までは行かずにパーティーでの一幕を書きました。真夜と深夜のキャラ崩壊が凄まじく、穂波さんがほとんど登場しませんがそこは自分の文才が無いということでご容赦ください。
アンケートの結果深雪はヒロイン枠に加えることにしました。他にも藤林響子さんと深夜さんも加えて欲しいと要望が来ているのでちょっと考えてます。流石に親子はねぇと謎に自重しようとする心が生まれました。
本編での主人公の立場は魔法科高校の外部顧問という形に落ち着きそうです。では第4話お楽しみください


沖縄と司波一家

 

時は2092年8月4日。七草の一件から今までの二年間、俺が動くよう事件はあまり起きなかった。そのお陰というべきか、俺はこの二年間自分のことに集中できて充実した日々を送っていた。これまで刀しか武器は使ってこなかったが、いい機会なので色々試してみた。槍、薙刀、双剣、棍棒、手甲などの近接武器から中距離武器を主に試した。遠距離武器は能力を使えば出来るので取り敢えずやめといた。さらには俺自身のレベルアップも忘れずにやっていた。六式はかなり重点的に特訓した。具体的には剃を擬似瞬間移動位の速さまで、「天断」を片足で打てるくらい、「六王銃」を片手で連発出来るくらいまでは鍛えた。「ゴロゴロの実」は最大ボルトを2億から4億まで上げることに成功した。ここまでは順調だったが、一番悩んだのが武器の持ち運びの問題。今回の沖縄に向けて「夜」・「秋水」・「閻魔」をどうにか持ち運べないかと悩み続けていた。「夜」は少し改造して、長さを一般的な日本刀の長さまで縮めることは出来た。しかしこの魔法が全盛期の時代、腰に刀三本も差していたら確実にヤバいやつ認定待ったなし。即通報即逮捕の変質者になってしまう。ただの武器ならば雷冶金(グローム・パドリング)でどうとでもなるが、流石に大業物以上の刀を溶かすのは気が引けるし、なにより元に戻らなかったら泣く。で考えた結果、プライベートジェットを買った。よく買えたなって?俺の職業を忘れたか?武御雷の末裔で日本の守護者だぞ?といっても軍、政府の人間として罪人やテロリストを排除した時の収入だけどな。数は少ないが一回の金額が大きいんだよ。それを二年間も使わずに貯めていればプライベートジェットを買えるぐらいまではすぐに貯まったよ。そんな事もあり、今現在俺はプライベートジェットに乗って沖縄へ向かっている。こうなったのも昨日の真夜との会話にある。

 

************************************

 

「こんにちわ雷都さん。一昨日ぶりですね」

 

「ああそうだな真夜。今日はどうした?いつもは夜に電話してくるのにこんな昼間に」

 

「あら、夜以外に電話してはいけないのですか?」

 

「いや、そういう意味で言ったんじゃないよ…」

 

うだるような7月の昼間、俺は真夜とテレビ電話で話をしていた。真夜が連絡してくるのは決まって夜だ。興味本位でなんでか聞いてみたら「…雷都さんの声を聞かないと眠れないの」と顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに言われた。まったくもって……可愛すぎる!!あれで三十代だと!?年齢詐称もいいところだ!二十代前半と言っても通用するぞ!おい誰だ今三十代はオバサンとか言った奴!!それは真夜と深夜さん以外に適用される言葉だ!!次言ったら4億Vの雷で文字通り消し炭にするからな!

 

「ふふふ、冗談です。ちょっとイジワルしただけですから」

 

「やめてくれよまったく。で、今日の本題は?」

 

「実は明後日の8月4日に沖縄でウチの分家の人が主催するパーティーがあるのですが、それに参加しませんか?」

 

「いいのか?俺は関係ないと思うんだが…」

 

パーティーって言うとあれか、確か…黒羽貢の主催するやつだったような気がする

 

「あら、四葉家現当主の恩人というのでは足りない?」

 

「…十分すぎるな」

 

「でしょう?…それに姉さんからも誘うよう言われているし」

 

「へぇ深夜さんが。それはまた、益々行かないとだめになったな…」

 

「そうなのよ、だから行ってくれるわよね?」

 

「分かった、行くよ。4日の昼前に着くようにするから、深夜さんにも伝えといてくれ」

 

「分かったわ、それじゃあまた今日の夜電話するから。さようなら」

 

「ああ、じゃあな」ピッ

 

************************************

 

てなことがあったので、俺は自分の名前と地位を全力で使ってホテルを取り、プライベートジェットで沖縄へ向かっているのだ。三振りの刀と大きな鉄の塊も持ってきているが空港の検閲には「鳴神家の活動で必要なもの」と言ってあるので止められることはないだろう

 

ポーン『鳴神さま、まもなく那覇空港に到着します』

 

お、もうそんなかやっぱり東京から沖縄はすぐだな

 

「分かりました」

 

ちなみに今操縦してる人は国防軍の人だ。今回のことを佐伯さんに言ったら、沖縄にある軍の駐屯地に顔を出すことを条件に貸してくれた。あの人こういうところはホントしっかりしてるよ。

それから程なくして那覇空港に到着。いやー暑いね、俺暑いの苦手なんだよなー、あの汗かいて肌に服が張り付くあの感じがホントに苦手でさぁ、ただ歩いてるだけで滝のような汗をかいた時のあの気持ち悪い感じ、はぁ…昼間の観光は程々にしてホテルに引きこもるか。あ、深夜さんたちだ…逃げるか

 

それから予約していたホテルに向かい滞在の支度を済ませて、今夜行われるパーティーの準備をしておく。時刻はまだ昼、かと言って外に食べに行く元気も無いのでルームサービスを頼んでそれを食べることにした。食べ終わってからすぐに昼寝をして、起きたのは午後5時50分近くだった。

 

「ヤバい!寝すぎた!」

 

パーティーが始まるのは午後6時、あと10分しかない。幸いにも会場はここから歩いていける範囲なので急いでスーツを着て髪型を整えて会場へ向かう。

 

 

「危ねー…なんとか間に合ったか」

 

なんとか間に合った俺はもう一度スーツと髪型を整えて会場に入る、すると入ってすぐに主催者の黒羽貢がこちらに歩いてきた。

 

「ようこそいらっしゃいました。鳴神雷都様でしょうか?」

 

「鳴神家当主の鳴神雷都です。黒羽貢殿ですね。今回はお招き頂きありがとうございます」

 

「今日は楽しんでいってください。あと深夜様が探していましたよ?」

 

うげ、早速かよ。このまま避けて…たら後で何言われるか分かったもんじゃないな。

 

「…分かりました、後で声を掛けておきます」

 

「そうなさってくれるとこちらも助かります。不機嫌になるとあとが面倒なので」

 

…この人も苦労してるんだな。そんな分家の本音を聞いた気がした黒羽貢と別れて会場を歩いていると深夜さんを見つけた…というより見つかった。

あの、深夜さん?無言で肩を掴まれると怖いんですけど。いや、空港でのあれは別に逃げたわけじゃなくてですね、家族の団欒を邪魔しちゃ悪いかなぁという俺なりに気を遣った結果でして、あ!ちょちょっと何処に連れて行く気ですか!!深雪ちゃん!助けて!あのその笑顔は!?は!達也くん!君なら助けてくれるよね!?深夜様には逆らえません?クソ!味方がいない!分かりました行きますから後ろの般若を仕舞ってくださいお願いしますから!!……何をするだァーッ!!

 

〜深夜さんお仕置き中〜

 

あ"ーーー酷い目に遭った。流石は忘却の川の支配者(レテ・ミストレス)、的確に俺に精神的ダメージを与えてきた。精神干渉魔法って危険だな。アレずっと食らってたらいつか自殺する……椅子に座って休もう。

そして俺は酒ではなく水を受け取りしばらくの間座って傷つけられた心を休ませていた。しばらく休んでいると、達也くんが二人の子供を連れてきた。

 

「雷都さんお疲れさまでした」

 

「…ホントだよ、あそこで助けてくれればこんな事にならなかったのに」

 

「あれは雷都さんの自業自得です。そんなことより「そんなことって…」紹介しますこの二人は…」

 

「ああ知ってるよ、黒羽貢の子供で黒羽文弥と黒羽亜夜子だろ?」

 

「……流石ですね。その通りです、二人とも挨拶を」

 

「黒羽貢の息子の黒羽文弥です」

 

「同じく娘の黒羽亜夜子です。私達のことご存知だったのですか?」

 

「そりゃもちろん。文弥君はダイレクトペイン、亜夜子ちゃんは疑似瞬間移動に極致拡散。とんでもない姉弟だと認識してるよ。君たちこそ俺のことは達也くんから聞いてるんだろ?」

 

「そんなことまで…勿論聞いていますわ。鳴神家の当主にして達也兄様に模擬戦で勝つ程の実力者だと」

 

「なんだい達也くん、まだ根に持ってたのか?」

 

「分解まで使って勝てなかったのはあなたが初めてでしたから、かなり根に持ってますよ。勿論今でも」

 

「そこまでか…あまり気にしなくていいのに。俺が魔法師とはレベルどころか到達している次元が違うことは知っているだろうに」

 

「それでもです。何ならまた模擬戦しますか?文弥くんも亜夜子ちゃんも気になってるみたいですし」

 

「別に構わないよ。俺だってトレーニングはあれからずっと続けてるから、何だったら三対一でも勝てる自信がある。ま、やるかどうかは深夜さんと貢さんに許可を貰えたらだろうけどね」

 

「……許可が貰えたらやってくれるんですね?」

 

「君たちに嘘は言わないよ」

 

その場はそれで解散になった。それぞれ許可が貰えたら連絡するように携帯の番号だけ教えて彼らが行って少ししたら今度は深雪ちゃんがこっちに来た…なんか浮かない顔だな。

 

「雷都さんお久しぶりです」

 

「やぁ深雪ちゃん久しぶり。どうしたんだい浮かない顔して」

 

「…分かりますか?実は兄のことで少し…」

 

デリケートなやつ来たーこのまま行けばどうせ沖縄海戦のあとに和解するし、そっとしときたいんだけど、ここで聞かれたかーどうやってうまく逃げ…言い聞かせるか。

 

「…深雪ちゃん、悪いけどそれに関して俺はアドバイスしてあげれない」

 

「そうですか「でも」…」

 

「でも今君が思っていること、考えていることは間違いではない。誰しも理解できないことは持っている。魔法が一般的になった現代なら尚更だ…達也くんにも事情があるんだよ。君の兄として隣に立てない理由が。でもどんなに理解できなくても彼は君の兄で、君は彼の妹であることは不変だ。時間はたっぷりあるから自分なりによく考えてみるといいよ、いつの日かお互いに理解し合える事ができたら君たちはほんとうの意味で兄妹になれるから…ごめんね?的確なアドバイスでもしてあげれればよかったんだけど」

 

「…いえありがとうございました。私なりによく考えてみようと思います」

 

「…そうか、頑張ってね。あっ、これ俺の番号とメールアドレス。達也くんにも渡したけど深雪ちゃんにも一応渡しておくよ」

 

「ふふ…ありがとうございます。では私はこれで」

 

「次は深夜さんを止めてくれると助かるな」

 

「あれは雷都さんの自業自得です。では」

 

そう言って深雪ちゃんは離れていった…まったく、兄妹で同じこと言ってくるとは。

その後は帰ろうとしていたところを深夜さんとガーディアンの桜井穂波さんの二人に捕まり、パーティーが終わるまで付き合わされた。ホテルに帰る頃には日を跨いでいた。翌日起きた俺は二日酔いで一日中ダウンしていたので、達也くんたちとの模擬戦は延期してもらった。

 

 




如何でしたでしょうか。書いていてここまで崩壊していていいのかと思いました。今後のために深雪の主人公に対する好感度を少し上げておきました。次は沖縄海戦を書きたいと思います。次回も是非よろしくおねがいします。

・百獣の惣右介さん
・覇道神さん
メッセージ下さってありがとうございます。今後の参考にさせて頂きます。


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特尉と大佐

ということで第5話です。今回で開戦から終結まで一気に行きます。次回はまだ考えていませんが別のやつを投稿すると思います。一応一区切りなので。前置きはこの辺にして第5話、お楽しみください


特尉と大佐

 

あのパーティーで深夜さんと穂波さんにこれでもかと言う位飲まされ泥酔してから今まで、毎日深夜さん達の別荘に呼ばれている。主にお酒の相手として。あの一件以来俺が深夜さんのお願いを断らないと味をしめたのかそれはもう毎日飲んでいる。酔っている時の話を聞いてると、真夜の自慢話、夫に対する愚痴、子どもたちへの愛情、四葉家への愚痴など、いつものクールで凛としている印象とは一転してただのシスコンで親バカに早変わり。どうやら立場的に色々溜まっているらしい。初日に「深夜さんってシスコンで親バカなんですね」ってうっかり言ってしまった時は、俺ですら見えない速度で顔面に拳が飛んできて見事にクリーンヒット。一撃でソファに沈められた。それからは言動に気をつけ、一日に一回は何かしら飛んでくるような殺伐とした飲み会をなんとか生き抜いたのが昨日。今は2092年8月10日。沖縄海戦が始まる一日前に俺が何処にいるかと言いますと、沖縄の軍の駐屯地にいます

 

「それで今回は"大佐"としてということですが、何かありましたか?風間さん」

 

「は!実は先日とある方たちが乗っていたクルーザーに向けて発泡魚雷が発射されました。幸いにも何者かが途中で撃ち落としたお陰で怪我人、行方不明者はいません。当事者の方に事情聴取を行った結果、我々は今回の一件を最近領海に侵入している大亜連合の仕業であると考えています。つきましては佐伯少将からの伝言で有事の際は大佐として動いてほしいとのことです」

 

「了解した。その時は力を尽くそう」

 

「ありがとうございます。報告はここまでにして…元気だったか?司波深夜にかなりやられてたらしいが」

 

「何故その事を…もうお酒は見たくないですね」

 

「ハハハ!彼女もあれで難しい立場だからな。そう言えば彼女の息子が今日ここに来るみたいだぞ」

 

「おお、それはまたどうして?」

 

「実はな、昨日ジョーがやらかしてな、そのお詫びとしてこの基地を見学してもらうことになったんだ」

 

ジョセフさんか〜。あの人軍人としてはいいと思うけど気が短いからなぁ。どうせ歩いてる時に肩がぶつかっただけで喧嘩ふっかけたんだろ

 

「いいんじゃないですか?俺も達也くんとは模擬戦の約束してましたし」

 

「…彼と知り合いなのか?」

 

「理由は分かるでしょう?」

 

「…そうだったな。で、勝てるのか?」

 

「勿論です。前回も俺が勝ちましたから」

 

「ほんとに…規格外で次元が違うな」

 

それからしばらくして真田さんが達也くんを連れてきた。どうやら馬があったようでCADの話で盛り上がったようだ。それからは風間さんとともに達也くんに付いて施設を紹介して回った。その後達也くんが訓練に参加して無双ゲームが始まった…ほんとに中学生だよね?大の大人が紙切れのように飛んでいってんだが…あ、全員やられた。みんなすげー俺の方を見てるんだが、やらなきゃだめ?…分かりましたよやりますよ。

 

「やぁ、本命の登場だよ。覚悟はいい?」

 

「とっくに出来てますよ。あの時のリベンジですから」

 

「じゃあ早速始めようか。俺に勝とうなんざ二万年早えぇってことを教えてやるよ。風間さん、審判お願いします」

 

「分かった。それでは…始め!」

 

 

 

結論から言うと訓練は俺の勝利で終わった。達也くんも格段にレベルアップしていたが、まだ中学生。中学生に負けるほどヤワな鍛え方はしていない。剃の高速移動で翻弄しつつ死角から攻撃、を繰り返して削っていった。え、卑怯だろって?勝てばよかろうなのだぁーーー!!!…達也くんには「恥ずかしくないんですか?」ってゴミを見るような目で見られたが、気にしてはいけない。俺が勝った、それが全てであり事実なのだから。

達也くんの機嫌が悪くなった所で今日のところは解散になった。いよいよ明日は沖縄海戦が始まる日。帰って武器の確認と手入れをしておこう…一応の知識があるが念には念を入れといたほうがいい。

 

************************************

 

そして沖縄海戦当日、朝起きた瞬間に女神様から依頼が頭に流れ込んできた。内容は勿論大亜連合の壊滅、司波深雪、司波深夜、桜井穂波、を守ること、この三つである。そろそろかなと思っているとニュースの緊急速報で大亜連合の宣戦布告が流れてきた。さて、家族の未来を守りに行きますか。そう思い部屋を出ると、風間さんから連絡が来た

 

『鳴神大佐!!』

 

「落ち着け、状況は把握している。俺はこれから上陸した兵士を片付けながらシェルターに向かう。昨日明らかに怪しい奴らを基地内で見た。おそらく謀反だろう。よって地上の指揮はお前が執れ。俺はシェルター内の安全を確保したら戦線に加わる。それまでどうか持ちこたえてくれ。頼んだぞ」

 

『は!私にお任せください!大佐もご武運を』ピッ

 

 

風間大尉との連絡を終えた俺はシェルターに向けて全力で走っていく。行く途中に大亜連合の兵士を片付けているが、やはりというか数がかなり多い。予想より侵攻が早いな。国防軍は押されているようだ。急いだほうがよさそうだな。

それからは速度を上げてシェルターに向かった。近くまで来た時に見聞色で中の気配を感知したが、あの金城とか言う兵士のグループはすでに中にいて、ジョーと何やら話していた。その時金城は一団の中に指輪を付けている者を見つけた。電磁波を飛ばしいて調べるとアンティナイトだと判明した。まさか使うつもりか!?そんなことされたら深夜さんが危ない!そう考えていると金城が深夜さんたちに向けて銃を向けた。

 

「クソがァァァァァ!!」ギュン

 

俺はゴロゴロの実能力を最大限使い、持っていた鉄塊を棍棒の形に錬成しながらシェルターまで行く。銃弾が発射される瞬間、間に合わないと判断した俺はそのスピードのまま技を放つ。

 

「雷鳴八卦!!!」ドゴォォォォォン

 

「なっ!?ぐあぁぁぁぁ!!」

 

「鳴神大佐!!」「「「雷都さん!!」」」

 

「ジョー!深夜さん達!話はあとだ!貴様ら!最早理由は聞かん!!日本を、日本国民を害そうとするなら命はないと思え!!」

 

「くっ、ただでやられると思うな!アンティナイトを使え!」

 

「させるか!!金剛鏑!!!

 

「「「がぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

覇気で攻撃範囲を増大した金剛鏑を放ち、三人纏めて倒した

 

「なんとか間に合ったか「「「雷都さん!!!」」」おっと、怪我はありませんか?」

 

「もう!なんでもっと早く来てくれなかったのよ!」

 

「いや深夜さん、これでも全力で来たんですけど「罰として頭撫でなさい!」…」

 

「雷都さん!怖かったです!」

 

「ゴメンね深雪ちゃん。もう大丈夫だよ「私も撫でてください!」…」

 

ほんとにこの親子は……

 

「雷都さん、助けて頂きありがとうございます」

 

「穂波さんも無事で良かったです」

 

その後深夜さんと深雪さんの頭を撫でるのは彼女たちが満足するまで続いた。その光景を達也くんに見られた時には、気付いたら頭に特化型CADが殺気全開で向けられていた。あの、達也くん、小声でブツブツ何いってんの?聞き間違いでなければ「死ね」って聞こえたけど!?ねぇあの、聞いてる?ジョ、ジョー!助けて…おいちょっと!聞いてる!?助けて欲しいんだけど!?ちょっと!目をそらさないで!誰か助けてーーー!!!

 

このカオスな状況は風間さんが来るまで続いた。その後は原作通り深夜さんの安全の確保と達也くんが戦線に加わることが決定した。

 

「では風間大尉、俺も事前に言った通り戦線に復帰する。達也くんは任せた。俺の周りには兵士を向かわせるなよ?」

 

「承知しました。こちらはお任せください」

 

「よし、では私は一足に先に向かおう」

 

「は!ご武運を!」

 

それからは達也くんと俺の二手に別れて大亜連合の兵士を殲滅して回った。雷というのは戦いにおいてかなり優秀なものだ。情報が重要な戦いにおいて電子機器の妨害はかなり有効な手段となる。それも含めて俺一人でやったほうが被害が少なくて済むのだ

 

「我が先祖が創造した日の本の土を踏み荒らして貴様ら、ただで済むと思うなよ?」

 

その一言から俺の蹂躙劇が始まった。手当り次第に雷を落としまくり、兵士を炭に変えていく。アンティナイトを使われようと俺の雷はそもそも魔法ではないので効果はない。あらかた殲滅し終わったところで達也くんたちと合流する

 

「風間大尉、達也くん、そっちは終わったか?ってどうした?」

 

「ああ鳴神大佐、彼が降伏宣言をした敵兵に対して攻撃をしようとしたので押さえているところです」

 

「ははは、さすが達也くんだな。そこが君のいいところでもあるがな。そうしたいならそれなりの地位を得てからだな」

 

「……分かりました」

 

「司令部より伝令!高速巡洋艦2隻、駆逐艦4隻がこちらに向かって進軍中とのこと!」

 

「そうか。風間大尉、お前たちは捕虜を連れてここより内陸へ避難しろ」

 

「いえ、自分は残ります」

 

「…その目は本気だな。分かった、許可する。達也くんは?」

 

「勿論残ります」

 

「だろうな。ここにいる風間大尉、司波達也特尉以外に伝える!総員直ちにここより内陸へ撤退せよ!これは命令だ!責任は全て俺がとる!直ちに撤退せよ!繰り返す!直ちに撤退せよ!」

 

「鳴神大佐、感謝します」

 

「気にするな、それに君には艦隊を撃退する方法があるのだろう?」

 

「…ほんとにあなたは何処まで規格外なんだか」

 

「ハハハ!今更だな、では行こうか」

 

それから俺たちは達也くんが艦隊を狙撃できる地点まで移動してきた。途中で真田さんに射程伸張術式組込型を頼んでおいた。いま達也くんはそれを握り射程を確認していた

 

「…駄目ですね、二十キロしか届きません。射程範囲に入ってくるのを待つしかないです」

 

「それではこちらも敵艦隊の射程範囲に入ってしまう!」

 

「落ち着け。風間大尉、真田中尉、お前たちは一旦退避しろ。ここは俺と達也くんでどうにかする」

 

「…いえ、我々には結末を見届ける義務がありますので」

 

「そうか。達也くん、飛んでくる砲弾は俺がなんとかするから君は射撃の準備を」

 

「分かりました」

 

「我々が彼の代わりは出来ないのでしょうか?」

 

「無理だな。彼の持つ眼を使ってやっと二十キロまで伸ばしたんだ。それがない俺達がやってもより状況が悪化するだけだ」

 

こればっかりは俺でもどうしようもない。それに今後の展開的にこれは必要なことなんだ。

 

それからすぐに艦隊の砲撃が始まり、沖合にいくつもの水柱が上がりはじめた。達也くんは射撃に集中しているため風間さん、真田さん、俺の三人で砲弾を撃ち落としていく。本当ならそろそろ穂波さんが加勢に来るはずだが、今回は深夜さんたちと一緒に行かせたので来ない。従って、魔法の酷使で衰弱死することもない。

どれくらいの時間が経ったかわからないが、遂に【マテリアルバースト】が発動された。

 

「ほぉー、これまた凄まじいな」

 

「敵艦隊の無力化完了」

 

そう言って皆が安堵したのも束の間

 

「津波です!」

 

「あれだけの威力で撃ったらそうなるか」

 

「何呑気なこと言ってるんですか!早く退避を!」

 

「いや、大丈夫だ。俺が斬る」

 

そう言って俺は「閻魔」を出す

 

「達也くん、俺に津波の情報を見せてくれ」

「分かりました」

 

……なるほど。結構範囲が広いな。が、問題はない。

 

「お前たちは下がっていろ、巻き込まれるぞ。あと目を閉じておけ、失明するかもしれないからな」

 

「閻魔」に雷を纏わせて居合の型で構える。そのまま覇王色で強化して放つ技その名も

 

「雷速居合・黒閃雷光」

 

津波は切れ目が入ったところから衝撃波によって押し返されていく

 

「任務完了。さて、帰ろうか仲間たちのもとへ」

 

それからは基地に戻り今回の件について政府と話し合っていた。俺が出ていって大亜連合を壊滅する案も出たが、今回は諸外国と連携して厳重な抗議で留めた戦後処理を終えた。俺と達也くんは深夜さん達のもとへ向かい無事を確認し合った。深雪ちゃんは深夜さんから達也くんに関して全てを聞いたようで、達也くんへの態度が前より柔らかくなっていた。その後の流れは原作通り達也くんが「大黒竜也」の名前で軍に所属することになり、【マテリアルバースト】が非公式戦略級魔法に認定された。ホテルの予約日が今日までで、空港が閉鎖されているため帰れないことに困っていると深夜さんが別荘の一室を貸してくれた。有り難く使わせてもらい今日のところは眠りについた。

翌日目が覚めると何故か隣に深夜さんが寝ていた。数秒のフリーズ後、なんとか再起動した俺は布団をめくって確認するがどうにか服は着ていた。そっと布団から出ようとした時深夜さんの目が覚めたようで

 

「んん...ふぁあ…」

 

「えっと…お、おはよう御座います。深夜さん。どうして俺の布団に?」

 

「あら…おはよう雷都さん。どうしてって、入りたかったから?」

 

「なぜ理由が疑問形…じゃ、じゃあ俺はシャワー浴びるので」

 

とにかくここを離れなければ。この状況を見られたら色んな意味で命の危険が。

 

「ちょっとまって」

 

そう言われて振り返った俺の目の前には深夜さんの顔があり、唇に柔らかい感触があった

 

「ん…私あなたのことを好きになっちゃったみたいなの。私をこんなふうにした責任取ってくれるわよね?」

 

彼女はそう言い残して部屋を出た。俺はしばらく呆然としたあとこんな事を考えていた

 

(真夜に殺される!!)

 

こうして沖縄での一幕は最大の勝者は深夜さんだったというオチで終了したのだった

 

後日、四葉家では極東の魔王とレテ・ミストレスの大喧嘩があって、屋敷が半壊したそうな。元造さん、葉山さん本当にすいません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか。ちょっと雑になった感は否めませんが、精一杯頑張ったので許してください。深夜さんはキャストジャミングを受けていないので至って健康です。何かありましたらコメント、メッセージをお願いします。ではまた次回お会いしましょう。


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真夜と深夜

前回別のを投稿すると言ったな。あれは嘘だ。ということで続きです。今仮面ライダーと魔法科のクロスを書こうとしているのですが中々うまくいかなかったので、こっちの続きを書きました。今回は少し短いですが、キリが良かったので。新作に関して何かアドバイスやご意見ありましたらよろしくお願いします


真夜と深夜

 

大亜連合による沖縄侵攻から三年経った2095年、色々なことがあった。達也くんが九重八雲との稽古を始めたり、大黒竜也として独立魔装大隊に入隊したり、深雪ちゃんが超絶ブラコン妹にジョブチェンジしたり、達也くんとニブルヘイム習得して帰ってきたり。でも一番驚きだったのは深夜さんの離婚だろうな。達也くんと深雪ちゃんはそこまで驚いてなかったけど。むしろ「やっとですか」なんて言っていた。どうやら相手の男性のサイオン目当てで望まない結婚だったようで、更に相手には元々想い人がいたらしい。元造さん…あんたなんてことしてるんですか…その事で毎夜話し相手になって、飲んで、泣かれて、慰めてを何回か繰り返して気づいたらなんか同棲していた。いや…展開早すぎだろ、なんでだ?なんでこうなった?何故俺の家にいる?…駄目だ、全くわからない。いや別に嫌なわけじゃないよ?むしろこんな綺麗な人居たらそれだけで家が華やかになるし、家族が出来たみたいで嬉しいし「じゃあホントになる?家族に」・・・・え?

 

「えっと…冗談、ですよね?俺には真夜がいるのは知ってるでしょう…」

 

「あら、あなた言ってたじゃない。重婚も厭わないって」

 

「確かに言いましたけど…真夜に知られたら確実に流星群(ミーティア・ライン)で穴だらけですけど」

 

「真夜はもう知っているわ」

 

「…それはまた何故?」

 

「もう言ったから」

 

「・・・・・・え?」プルルルルルルル プルルルルルルル

 

突然俺の携帯端末が鳴り出した。画面に表示された名前は『四葉真夜』。しかもテレビ電話。この時俺は思った、俺死んだな。取り敢えず今でないとより死期が近づくので出ておく。

 

ピッ「も、もしもし?」

 

『もしもし雷都さん?お久しぶりですね。沖縄での一件では姉さんたちがお世話になりました』

 

「い、いえ、こちらこそ、間に合ってよかったですハイ」

 

『姉さんは魔法特性上感受性が高いから、アンティナイトのキャストジャミングなんて浴びたら命に関わりますから』

 

「そ、そうなんですね…それで今回はどのようなご要件で?」

 

『いえね、雷都さんが姉さんと婚約したと聞きましてね。他でもない姉さん本人から』

 

そう言われて深夜さんの方を見ると、物凄いいい笑顔で微笑んできた。くそっ、いい笑顔しおって。可愛いから許す!

 

『雷都さん?今姉さんのこと可愛いって思ったでしょ?』

 

「な、なぜわかった!?(そんな事思ってないさ)」

 

『雷都さん、本音と建前が逆になってますよ。そんなの愛の為せる業に決まってるじゃないですか』

 

おお、さすが真夜、俺のツボを把握してやがるぜ。

 

「そう言って貰えると嬉しいな」

 

『ふふ、嬉しいわ…で、どうするの?…婚約、するの?』

 

「…正直あんな事言われて嬉しかったよ。今まで一人で生きてきたからな。ここ数日は家族が居たあの時みたいに楽しかったよ…でもここで婚約すると真夜を裏切ることに「あら、私は別に駄目とは言ってないわよ?」・・・は?」」

 

『先程日本政府から十師族に向けてある通達が来ました。内容は《鳴神雷都の重婚を認める。ただし本人の同意が得られた者のみ。強制は許されない》というものでした』

 

なにその通達、俺知らないんだけど。何勝手なことしてくれちゃってんの?絶対面倒なことになるじゃん。

 

「……俺そんな事があったの知らないんだけど」

 

『でしょうね。十師族のみの通達ですから。でもこれで姉さんと私のどちらかを選ぶ必要がなくなりましたね』

 

「…真夜はそれでいいのか?」

 

『構いませんよ?あなたが私を愛していて、私が貴方を愛している。状況は関係ありません。あなたが私を愛してくれているならそれでもう十分です。たまに甘えさせてくれるならなおよし。むしろ姉さんと婚約しないと四葉総出で外堀埋めに行きますから』

 

怖いよ。四葉総出って、想像しただけで背筋がゾクッとするわ…これは覚悟を決めるしかないか。そもそも選択肢が実質YES一択だし。

 

「…分かった、深夜さんと婚約させてもらうよ。四葉が後ろ盾になるのも良い条件だし」

 

『そう、良かったわ。じゃあ要件はそれだけだから。私との婚約の話はまた後日で』

 

あ、その話はするんだ

 

「ああ、そうだな」

 

『それじゃあ雷都さん、またね。近々報告することがあるかもだから。じゃあさようなら』

 

「ああ、さようなら」ピッ

 

そう言って真夜との電話を切った俺は、ずっと後ろで黙って聞いていた深夜さん親子の方をゆっっっくり向いて。

 

「えぇっとぉ、そんな感じになったんですが、何かご意見ございますか?特に達也くんと深雪ちゃん…」

 

「俺は別にありませんね。母さんが決めたことですし、あなたが父親になるのも嫌ではありませんし。深雪はどうだ?」

「私も賛成です。あの人より断然雷都さんのほうがいいですし。なによりかっこいいですし。自慢のお父様になってくれそうです」

 

「はぁ…外堀どころか内堀が既に埋められていたか。分かったよ。深夜さん」

 

「なにか?」

 

「こんな俺で良ければ、婚約してくれますか?」

 

「…ええ、喜んで」

 

俺と深夜さんはそのまま近づいていき、軽く唇に触れるようなキスをした。そのままの距離でお互い抱き締めあった。その時横を見ると、深雪ちゃんが涙ぐんでいたので手招きして三人で抱き合っていた。達也くんは側で優しそうな目で見守っていた。いい空気のまま終われると思った矢先。

 

「ああ、深雪さんともしてもらうから」

 

とんでもなく特大のダイナマイトをぶち込んできた…達也くん?その手に持っているCADは何かな?いやいや「どういうことですか?」と聞かれても。ちょっと深雪ちゃん?あの、顔を赤くしてないで何か言って欲しいんだけど「…よろしくお願いします」いや違くて!達也くんに何か言ってって意味で!『バシュン』危なッ!ちょ、達也くん!?当たったらどうすんのさ!「いえ、当てようとしたんです」より駄目だわ!ちょ深夜さん!息子さん止めてください!「達也ったら、深雪が大好きなんだから」いやあの!そんなにほのぼのしてないでさ!助けてくれませんか!?あ、逃げ道が!…達也くん?話せば分かるからさ、ね?だから一旦話を聞い「問答無用」…アッーーーーーー!!!

 

そんなこんなで本日の鳴神家は幸せそうな笑い声と悲鳴が絶えなかったそうな。めでたし、めでたし。




如何でしたでしょうか。取り敢えずこれで深夜と深雪はハーレムに一応入りました。かなり強引ではありますが、こうでもしないと自分の文才では長くなるのでご容赦ください。なにかありましたらコメント、メッセージでお願いします


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入学編
入学式と特別外部顧問


入学編です。とりあえずは入学式までです。よろしくお願いします。後でアンケートも行いたいと思うのでよろしくお願いします


入学式と特別外部顧問

 

2095年4月3日、今日は達也くんと深雪ちゃんの国立魔法大学付属第一高校の入学式がある。二人は深雪ちゃんが新入生総代の答辞をするということで、打ち合わせのため、ついさっき出ていった。俺と深夜(敬語は無しと言われた)は入学式に出席するために色々準備をしている。

 

「あんだけ達也くんから来るなって念押しされてるのに大丈夫?」

 

「子供たちの晴れ舞台を見に行かない親なんてこの世に存在しないわ。来るなって言う達也の気持ちが理解できないわ」

 

「まぁ、深夜は有名人だからな。親だって分かったら四葉の関係者ってバレるから来てほしくなんだよ。達也くんは穏やかに高校生活を送りたいようだし」

 

「…男の子って難しいものねぇ」

 

「ぶっちゃけると恥ずかしいんだろうな」

 

そんな感じで他愛ない会話を楽しんでいると突然携帯端末が振動した。表示された名前は『七草弘一』

 

ピッ「もしもし弘一?おはよう。珍しいな電話してくるなんて、それもこんな時間に。何かあったか?」

 

『おはようございます雷都さん。朝早くにすいません』

 

俺が弘一の対応がタメ口に変わっているのは、これも深夜同様頼まれたからなのだ。

 

「いや構わないよ、これから深夜と二人で達也くんと深雪ちゃんの入学式に行こうとしてたから。それで?要件は?」

 

『はい、実は私と真夜の連名で雷都さんを第一高校の特別外部顧問として師族会議で推薦したところその案が先程通りまして。急ではあるんですが今から入学式に出てほしいんです、保護者ではなく新任の教師として』

 

あぁー真夜がこの前言ってた事ってこの事かぁ、にしてもさー、急すぎないー?

 

「まぁ別にいいけど、何やるの?その特別外部顧問ってのは」

 

『簡単に言うと非常勤講師と同じですね。雷都さんが気に入った生徒や将来性がある生徒に対して直接指導する。といった内容になると思います。まぁ細かいところは雷都さんに任せますが』

 

「オーケー、大体理解した。で、俺は何時に行けばいい?」

 

『式が始まるまでに会場に居てくれれば大丈夫です。真由美が案内してくれるでしょうから。なんせ生徒会長ですから』

 

「ははぁー、真由美ちゃんが生徒会長ねぇ、流石だな」

 

『そうですね、自慢の娘です。また家にいらしてください。真由美の妹の双子も紹介したいですし』

 

「おう、今度行くよ。じゃあ切るぞ」

 

『はい、娘をよろしくお願いします』

 

弘一との電話を切ってからは、さっき話したことを深夜に伝えると一緒に舞台袖まで行って見るという形に落ち着いた。それなら周りから来ていることがバレないだろうし。まぁ達也くんにはバレるがな。

 

「深夜準備できたか?」

 

「ええ、できてるわ」

 

「じゃあ行きますか」

 

深夜とバイクに跨り第一高校に向かう。春の風が気持ちいなぁ。

 

 

 

そのままバイクを走らせること十数分、校門前に到着すると真由美ちゃんが手を振って待っていた。

 

「雷都さーん!!」

 

「よっと、やぁ久しぶりだね真由美ちゃん。大きくなったねえ。なんか感動するよ」

 

「おじさん臭いこと言わないでくださいよ。お久しぶりです雷都さん。そちらが四葉深夜さんですね?七草弘一の娘の七草真由美と申します」

 

「ご丁寧にどうも。"雷都さんと婚約している"四葉深夜です。よろしくね真由美さん」

 

おい、なんで"雷都さんと婚約している"の部分を強調したんだ。真由美ちゃんが黒いオーラ出しながら睨んでんじゃねーか。

 

「…私もいずれ雷都さんと婚約しますから」

 

「いや、真由美ちゃん?よく考えたほうが「いいですね!?」……お父さんに許可貰えたらね」

 

「言質取りましたよ!?今すぐに父から許可取ってきますから!!」

 

「待って待って!今から入学式だから!生徒会長不在はまずいって!」

 

「そんなことはどうでもいいです!今大事なのは雷都さんとの婚約です!」

 

「いや今じゃないでしょ!取り敢えず入学式やろう!?遅れちゃうから!新任の先生が初日に遅刻はシャレにならないって!」

 

「…もしもしお父さん!?雷都さんとの婚約を認めて欲しいんだけど!」

 

「真由美ちゃーーん!!帰ってきてーーー!!]

 

それからなんとかして真由美ちゃんの暴走を止めた俺たちは、入学式をやっている会場までやって来た。今は舞台袖で深雪ちゃんの答辞を聞いている。時たま『魔法以外でも』とか『皆等しく』とか差別意識の高い第一高校では禁句レベルの文言が聞こえた気がしたが気にしないことにした。実際生徒たちも気にしてないし。全員深雪ちゃんの美しさに見とれている。でもこの後俺が喋るんだけど、喋りづらくなったなぁ。どうしよ。

そんな事を考えていたら深雪ちゃんが舞台袖に帰ってきた。俺らがここにいるのに驚いたようだ。

 

雷都さんとお母様!?何故ここにいるんですか!?

 

その話はこの後の俺の話を聞けば分かるから。因みに深夜は保護者としてきた。ここにいるのは達也くんにバレたくないから

 

なるほど。でもお兄様にはバレてると思いますが…

 

本人も薄々気づいているから言ってあげないで

 

『続きまして今年度より新しく赴任してきた先生の紹介です。鳴神雷都先生、お願いします』

 

呼ばれたから行ってくるね

 

俺が舞台袖から出てくると、今まで静かだった会場がザワザワし始めた。当然の反応だろう。忘れているかもしれないが、俺は一応神の末裔で日本の守護者という立場の人間だ。そんな日本にとって重要な人間がこんな高校にいる事自体がおかしいのだ。

 

「えー先程紹介に預かりました鳴神雷都です。今回は七草家と四葉家の推薦でこの学校に特別外部顧問として赴任してきました。ここでは鳴神家当主鳴神雷都ではなく、一新任教師の鳴神雷都として接して貰えると有り難いです。何か質問のある生徒いますか?」

 

「特別外部顧問とは何をするのでしょうか」

 

「俺が気に入った生徒や見込みある生徒に個人的に指導ができる。らしいんだが、そこら辺は俺も決めてないから分からないな。見つけるのが面倒くさくなったら生徒の方から募集をかけて選ぶことになるかな」

 

「その募集は一科生二科生関係なく出来るのですか?」

 

「もちろん。俺のもとに来る生徒は一科生二科生問わない。そもそも俺から言わせればお前ら全員二科生以下だから。十師族も例外じゃない」

 

「なんだって!?」「俺たちが二科生と同じだと!?」「ふざけるな!」

 

…ここまで差別意識が根付いているのか、酷いな。仕方ない、少し脅かすか。

 

「黙りやがれクソガキども」ドウッ

 

覇王色を発動してうるさかった会場を黙らせる。見ると殆どの生徒は怖さで震えているが、何人かはこちらをジッと見ている…ほう、今のを浴びてそんなに力強い視線を向けられるのか。

 

「…今俺が出した殺気は全力の一割にも満たない程度のものだが、見たところほとんどの者が怯んでいたな。特に一科生の諸君、分かったか?どれだけ今の制度が馬鹿げていて役に立たないのか、そんな優越感に浸る暇があったら自分の力を磨けバカ共が。で、他になにかあるか?…ないな。では俺の話はここで終わりだ、これからよろしく」

 

入学式を終えた俺はその場に残らされ、真由美ちゃんと深雪ちゃんに叱られた。深夜はその光景を笑いをこらえながら見ていた。

 

「ちょっと雷都さん!急にあんな殺気出すなんて!心臓が止まるかと思いました!」

「そうですよ!生徒たちも震えてたじゃないですか!私はお兄様と雷都さんの訓練で慣れてはきましたがそれでも怖かったです!」

 

「いやぁーごめんごめん、ちょっとイラッときちゃってさ。お詫びに俺が出来る範囲で何かしてあげるけど」

 

「「じゃあ頭を撫でてください!!」」

 

「おおう、食い気味…」

 

それから数十秒間二人の頭を撫で続けた。二人とも嬉しそうな顔をして目を細めていたがあれでいいのだろうか。もっとこう、ブランド物を買わされるかと思ったんだが、今の女子高生は分からない。あと深夜、そろそろ笑うのをやめろ。温かい目で俺を見るな、他の先生が来るのが遅い俺達を呼びに来るまでこの光景は続いた。

 

 




如何でしたでしょうか。バイク登校は完全に私のイメージです。あんだけ広ければ駐車場ぐらいあるだろという事です。次回もよろしくお願いします。


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模擬戦と期待

最近文字数が少なくなっている。もう少し頑張ります。今回は次回に向けての準備回です。次回は主人公の無双ゲームですので。十師族だろうと知ったこっちゃないです。ボコボコにします。(女子以外)


模擬戦と期待

 

入学式が終わった後、真由美ちゃんから生徒会室に来ないかと誘われたが、今は深夜がいるので明日行くことを約束して今日のところは帰ることにした。達也くんと深雪ちゃんは友達と一緒に帰るとメールが来たので二人で帰ることにした。家についてからは俺が作った炒飯を食べながら今日のことについて話し合っていた。

 

「雷都さん、あの殺気はやり過ぎなんじゃない?」

 

「何人か失神寸前の奴もいたな」

 

「私達は慣れてるから大丈夫だったけど、一般の生徒には厳しいわよ」

 

「今度から気を付けるよ」

 

「そうしないと嫌われちゃうからね。ところで、見た感じ良い生徒はいた?」

 

「うーん…達也くんの隣にいた赤髪の女子生徒かな?あの殺気にもなんとか耐えてたし。女子であれに耐えれる人は深雪ちゃんだけだと思ってたよ」

 

「あの子ね。確かに周りの生徒とは反応が違ったわね。他には?」

 

「その子以外はいなかったなぁ。あとは実力で判断することになりそうだ。明日模擬戦でもしてみようかな?」

 

「やりすぎないようにね」ニコッ

 

「善処するよ」ニコッ

 

それからは深夜の体の調子やFLTの話をしたり、真夜が会いたくて拗ねて十師族の仕事が出来ていないことなど普通の夫婦の会話を楽しんだ。昼食を食べ終わりのんびりしていると、二人が帰ってきた。

 

ガチャ「「ただ今帰りました」」

「「おかえりなさ~い」」

 

それから二人は着ていた制服を脱いで部屋着に着替えて来てから俺たちの前に座った。

 

「さて二人とも、早速話があります…何故あの入学式に居たのですか?何故雷都さんは教員に?」

 

「ほら深夜、だから言っただろ絶対バレるって」

 

「あら、子供の入学式に親が行ってはいけない?」

 

「…母さんは世間的にも有名人なんだから、出てきたら式どころではないだろう」

 

「ふふふ、ごめんなさいね」

 

(((あ、全然反省してないな)))

 

「ハァ…で、雷都さんは何故教員に?それも『特別外部顧問』なんて今まで聞いたことがないような役職に」

 

「実はね、達也くんたちが家を出た後、弘一から連絡があってね」

 

「弘一ってあの『七草弘一』?なんでまたそんな大物が雷都さんに…」

 

「あそこの家とは昔に色々あってね、それ以来交流を持っているんだよ。因みに長女の真由美ちゃんとも知り合いだから」

 

「だからあんなにニコニコしてたのか」

 

「なんで?」

 

「多分というか絶対雷都さんと会えるからだと思いますよ。そうですよねお兄様」

 

「ああ、あの顔は本当に嬉しいことがあった時の顔だろうな」

 

「そんなことがあったのか」

 

「そうです、ホントに何人落してるんですか。あれですか、女の敵ってやつですか?」

 

「いや人聞きの悪いこと言わないでくれる!?」

 

「まぁこの話はもういいです「自分で振っといて!?」で、雷都さんは何を担当するんですか?」

 

「切り替えが早すぎて心が痛い…俺が担当するのは勉強じゃないよ」

 

「?では何を?」

 

「俺が担当するのは…」

 

それからは達也くんたちに特別外部顧問がなんなのかを説明した。何度も言ってるので会話の内容は省くが言い終わった後の達也くんは頭を押さえて「俺の平穏な生活が…」なんて言って項垂れた。深雪ちゃんは「雷都さんのかっこいい姿が学校でも…」なんて言って目をキラキラさせていた。二人で反応が違うな、明暗がはっきり分かるぐらいに。

 

「それで明日希望者全員で模擬戦やるつもりだけど、どうする?参加する?」

「「遠慮します」」

 

「だろうね」

 

「やるとしても、もっと師匠と修行を重ねてからです」

 

「私も魔法の制御を出来るようになってからですね」

 

だろうね。達也くんは九重寺ってところで修行を続けている。昔に比べれば格段に強くなっているが、俺にはまだ及ばない。九重八雲とも一度やってみたが、これも圧勝。深雪ちゃんは感情が高ぶると魔法のコントロールが上手くいかない。こればっかりは俺も専門外なのでどうしようもない。

 

「そう言えば達也くん、入学式の時に隣りにいた赤毛の女の子誰?」

 

「赤毛…ああ、千葉エリカですね。あの『千葉家』の者みたいですが、彼女がどうかしました?」

 

「彼女さ、俺の出した殺気に物怖じしてなかったじゃん?だから興味があってさ」

 

「彼女は好戦的な性格ですからね。雷都さんからの直接指導なら喜んで行くんじゃないですか?」

 

「そうか、情報ありがとう」

 

それからは入学式の後にあったことなどを話していた。達也くんたちは楽しそうに困ったように話を続けた。

あ、真由美ちゃんに明日のことで連絡しないと。

 

「……もしもし真由美ちゃん?」

 

『雷都さん?どうかしましたか?』

 

「実は、特別外部顧問として生徒の力を把握しておきたくて明日模擬戦をやろうと思うんだけど、どこかいい場所ない?」

 

『うーん…大人数となると校庭しかないですね…それって全学年とやるんですか?』

 

「そりゃあね。あ、でも魔工技師志望の生徒とはやらないかな」

 

『ですよね、分かりました。こちらで学校側に進言しておきます』

 

「悪いね。ありがとう」

 

『今度なにか奢ってくれればいいですよ。それではまた明日』

 

「それが本命だろ。まぁいいか、また明日」

 

取り敢えずこれで明日の問題は解決だな…そういえば入学式の時千葉エリカって子ともう一人女の子がいたな。あの眼鏡の子、どこかで見たことある気がするんだけどなぁ〜、ま、明日になれば分かることだし今日はいいか。

それから俺は明日に少し期待しながら眠りについた。




如何でしたでしょうか。そろそろ息抜きに魔法科で他の最強モノも書きたいと思います。ある程度考えは纏まっているのでそのうち投稿します


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揉め事とお話

今回は試験的にセリフの行間を詰めてみました。見にくいなどの意見が多ければ元に戻そうと思います


揉め事とお話

 

達也くんに怒られてから数日後、学校に行った俺はまず校長室に向かった。

 

コンコン「百山校長、鳴神雷都です。入ってもよろしいでしょうか?」

 

「どうぞ」

 

ガチャ「失礼します」

 

「鳴神様、この度は我が校へ顧問として赴任いただき誠にありがとうございます。こちら教頭の八百坂です」

「初めまして鳴神様、教頭の八百坂です。今回の赴任、誠にありがとうございます」

 

「やめてくださいよ様付けなんて。ここではあなた達の方が上なんですから。鳴神先生でお願いします」

 

「では鳴神先生、今回はどのようなご要件で?」

 

「放課後の校庭の使用許可を頂きたいなと思いまして」

 

「あなたの目的のためですな?」

 

「その通りです。流石ですね」

 

「今朝生徒会長が来ましてな、事前に校庭の使用許可を申請していったのですよ」

 

おお、流石真由美ちゃん。急な話にも対応してくれるとはホント出来た子だなぁ。

 

「そうですか。で、許可は?」

 

「勿論構いませんよ。ただし、くれぐれも校庭を壊さないようにお願いしますよ。生徒に怪我させるのも厳禁です」

 

「えぇっとぉ…ぜ、善処しま「確約してください」……確約します」

 

「宜しい。では放課後、私達も楽しみにしていますよ」

 

 

脅迫による強制確約と謎の期待を受けた俺はそそくさと校長室を出て、校内把握の為に歩き回っていた。にしても広すぎないか?敷地面積どんだけだよ。施設多すぎだろ。せめて食堂と実技棟と闘技場の場所は把握しとかないと。ウロウロ ウロウロ、は!そう言えば真由美ちゃんに生徒会室来てって言われてたんだった!うわぁ~怒られるよ〜やだなぁ〜行きたくないなぁ〜。

 

「どこに行きたくないんですか?」

「それは勿論生徒会室にだよ」

「なんでですか?」

「真由美ちゃんに怒られるから・・・・え?」

「どうも雷都さん、あなたの会いたくない真由美ちゃんですよ〜」

 

あはは、死んだなこりゃ。諦めて……いいやまだだ!まだ終わらんよ!!ここからどうにか逆転しないと色々ヤバい!具体的には社会的な意味で!

 

「や、やぁ真由美ちゃんこんにちは」

「こんにちは。雷都さんはここで何を?」(^^)

「ちょ、ちょっと校内の散策にね。ま、真由美ちゃんは?」

「私は人との約束を破って校内でウロウロしている人にお灸を据えに来ました。なにか言うことはありますか?」(^^)

「え、え、えっと「ありますか?」約束を忘れていて誠に申し訳ありませんでした」

 

ヤベェェェェェ!!!美女の目が笑ってない笑顔超コエェェェェェ!!!何だあれ!?深雪ちゃんが怒った時と同等の寒さを感じたんだけど!?もしかしてコキュートス使えるのか!?

 

「あの、真由美ちゃん?なんで俺がここにいるのが分かったの?」

 

「私の得意魔法忘れました?」

 

「…マルチ・スコープか」

 

「その通り。じゃあ行きますよ、みんな待ってますから」

 

「え?行くってどこに?みんなって誰?」

 

「生徒会室に決まってるじゃないですか」

 

デスヨネーー

 

 

 

「てことで連れてきましたー!」

「連れてこられましたー」

「なにやってるんですか会長…」

 

そんなわけでドナドナされて生徒会室にいます

 

「雷都さん、何してるんですか?」

 

「やっほー深雪ちゃん。達也くんも」

 

「お二人は鳴神さんと知り合いなんですか?」

 

「知り合いというか、同じ屋根の下で暮らしてます」

「ちょ達也くん!それ言ったら『ええええぇぇぇぇえぇぇぇぇ!!!!』…ほら〜」

 

それからもう阿鼻叫喚がぴったりなくらい収集がつかなくなった。理由を聞く人もいれば何故か気絶する人もいたし。それからは気絶している生徒会長を叩き起こして再起動させてから、いつものように説明タイム。

 

説明中

 

「へぇ〜そんなことがあったんですね」

 

「そうなんだよ。それで真由美ちゃん、そろそろ皆さんを紹介して欲しいんだけど」

 

「あ、そうでした。じゃあみんな自己紹介して」

 

「そこは投げるんですね。会計の市原鈴音です「通称リンちゃん」……」

「しょ、書記の中条あずさです「通称あーちゃん」ちょっと会長!やめてくださいよ!」

「副会長の服部範蔵です」

「私は生徒会ではありませんが、風紀委員長の渡辺摩利です」

 

「どうも、特別外部顧問の鳴神雷都です、以後よろしくね。それで今何してたの?」

「深雪さんを生徒会に勧誘していたんです」

「へぇー、じゃあ達也くんは?」

「俺は深雪の付き添いです」

「納得」

 

それからはチャイムが鳴ったので一旦お開きになった。その後俺は食いそこねた昼を食べに食堂へ行き腹を満たした後、各学年の各クラスを外から見て回った。と言っても基本はガイダンスや説明ばかりでワケわからないが、暇するよりはいいだろうと言うことだ。そのまま放課後になるまで校内を散策した。

 

 

 

放課後になって校庭で待っていると、校門の方から何やら言い争っている声が聞こえた。気になったので見聞色を使って気配を見てみると達也くんたちの気配を察知した。しばらく観察していると、徐々にヒートアップしていき、遂に互いにCADを取り出した。

 

「流石に止めるか」

 

【剃】を使い攻撃を加える前に二人の間に割って入っった

 

ガキィィン「はいそこまで」

「「なっ!?」」

「君たち、自衛目的以外での魔法の使用は犯罪だよ?分かってるね?」

「「…………」」

「君たち名前は?」

「……森崎駿です」

「千葉エリカです」

「仮にも百家に名を連ねる者がこんな醜態を晒すとは。貴様らにその自覚はあるのかバカ共が」ゾワァァァァ!!!

『!!!!!!』

 

しばらく覇王色を発動していると達也くんに止められた

 

「そこまでです雷都さん。皆怯えてます」

「……おっと、済まないね…さて君たち、特にナンバーズの諸君。俺が誰だか分かるよな?」

「「はい…」」

「お望みなら俺が"本気で"相手してあげるけどどうかな?」

「い、いいえ!結構です!」

「そ、そうですよ!貴方様の本気なんて命がいくつあっても足りません!」

「だったらこんな下らねぇことしてんじゃねぇよ」

「「!!申し訳ありません!!」」

「ふぅ…それじゃあ真由美ちゃん、渡辺さん、後は任せるよ」

 

そう言って校舎の影になってる方を見る。するとそこから真由美ちゃんと渡辺さんが出て来た。

 

「やっぱりバレていましたか」

「だから言ったじゃない摩利、雷都さんからは隠れられないって」

「そうは言ってもな真由美…」

「二人とも?後はお願いね?」

「「はい!!了解しました!!」」

 

帰ろうとした時、後ろから声をかけられた。

 

「あの!!」

「ん?」

「わ、私のこと、お、覚えていますか?前に男性に襲われそうなところを助けて頂いたんですが…」

「あ〜〜〜…あ!あの子か!確か名前は…」

「柴田美月です!!」

「そうそう美月ちゃん!いやー久しぶりだね。あの後は大丈夫だった?」

「はい!無事に家まで帰れました!あの時はありがとうございました!」

「何もなかったなら良かったよ」ナデナデ

「あ!//…えへへっ//」

 

美月ちゃんはあの時から頭を撫でられるのが好きなようで、何かあったらこうすると落ち着いてくれる。くすぐったそうに目を細めているのがなんとも可愛らしい。あとどことは言わないが立派なものを持っている。これは深雪ちゃんにも深夜にも無いものだ。男のロマンだね!…ん?なんか寒いな?あ…

 

「み、深雪ちゃん?魔法が垂れ流れてるけど…」

「私もあれくらいあれば雷都さんに…ブツブツ」

 

…触らぬ神に祟りなしか、ここは戦略的撤退だな。

 

「じゃ、俺帰るから!」

 

そう言って駐車場まで行ってバイクに跨がり最速で家に帰った

 

 

「おかえりなさい雷都さん。ちょっとお話があるのだけどいいかしら」

「…誰から連絡を受けて?」

「深雪です。あの子が帰ってきたら三人でお話しましょうね」

 

……ハハハ、逃げられなかったよ

 

 




最近全く戦闘してないな


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予定外と巻き込み事故

今回少し文字数が少ないです。
これを読んでくれた皆様にお願いなのですが、今「魔法科×オバロ」と「魔法科×仮面ライダー」で主人公最強モノを考えているのですが、いまいち納得いくものが出来なくて困っています。なので「こんな流れで書いて欲しい」、「こんなものが読んでみたい」などアドバイスを頂けたらと思います。何かありましたらメッセージボックスにお願いします。皆様のご協力お願いします。


予定外と巻き込み事故

 

「で、なんでまた達也くんが模擬戦をやることに?そしてなんで俺はここに?放課後生徒集めて実力の確認しようと思ってたのに。また校長に怒られるよ」

 

「鳴神先生すいません。服部くんが司波くんの風紀委員入りを認めないもので、こういう形で白黒つけようとなりまして…すいません」

 

「ああ、別に怒ってる訳じゃないんだよリンちゃん。風紀委員入りを認めないってのは二科生だからかな?まぁどうせ勝つのは達也くんだから」

 

「…一応服部くんも二年生では負け無しですけど」

 

「まぁ見てれば分かるよ」

 

両者の準備ができたところで摩利ちゃんの合図で模擬戦が始まったが、結果は達也くんの勝利。一瞬で背後にまわりサイオン波で酔わせてゲームセット。終わってから皆に説明して誤解を解いて、服部くんが深雪ちゃんに謝ったところでここは終わり……となるはずだったのだが。

 

「鳴神先生、私と模擬戦をしてくれませんか?」

 

突然の摩利ちゃんからの申し出に驚きながらも何故か問うと

 

「単純に私が興味があるのと、一年だけですが先生の指導を受けてみたいのです。先生の仕事にも繋がるので構いませんよね?」

 

「仕事を持ち出されたらノーとは言えないね。いいよ、やろうか。ルールは?」

 

「さっきのと同じです。いいですか?」

 

「いいけど、俺が魔法を使ったら確実に怪我するからなぁ…じゃあさ、俺は魔法無しで木刀のみでやるよ。それでどう?」

 

「先生の本気が見れないのは残念ですがいいでしょう。それでお願いします。真由美、審判を頼む」

 

そんな訳で急遽俺と摩利ちゃんの模擬戦が決まった。服部くんに木刀を取りに行ってもらい、軽く素振りをする。

 

「……こんなもんかな。待たせたね」

 

「いいえ構いませんよ。それじゃあ真由美、頼む」

 

「分かったわ。それでは・・・始め!!」

 

「っ!!」

 

摩利ちゃんは一直線に向かってきた。それを見聞色で予測していた俺は焦らずに木刀を腰に持っていき、居合の構えをとる

 

「一刀流居合・獅子歌歌(ししそんそん)

 

「がぁ!!」

 

摩利ちゃんがCADを振り下ろす前に居合で上半身を縦に打ち、摩利ちゃんは倒れる

 

「勝者、鳴神先生!!」

 

久しぶりに刀でやったけど、まだ鈍ってないな。っと、今は摩利ちゃんが優先か

 

「摩利ちゃん、大丈夫かい?手加減したつもりなんだけど」

 

「くっ、大丈夫です。やはり強いですね」

 

「そりゃあね。くぐり抜けた修羅場の数と実戦経験の差があるからね」

 

「…ですね。私もまだまだですね」

 

一言二言会話を交わしたあと、今度こそ帰ろうとしたその時、嫌な予感がした。

 

「十文字くん!?どうしてここに!?」

 

はぁ、またか。デジャブだな、帰ってしまおうかな。そんな事を考えていると十文字くんと呼ばれた生徒が俺のもとに来て。

 

「鳴神様、私とも模擬戦をしてくださいませんか?魔法ありで」

 

「様はやめてくれ。ここでは一介の先生なんだから」

 

「失礼しました。改めて鳴神先生、俺と全力で模擬戦をしてくれませんか?」

 

「正直やだ。君の怪我の責任は負いたくない。それにこの施設が俺の全力に耐えられない」

 

「怪我に関しては自己責任で構いません。施設が耐えられないのでしたらせめて魔法を使っては貰えないでしょうか」

 

「……理由は?」

 

「単純に興味があるからです。日本の守護者と謳われるあなたの実力が」

 

「……どうせ俺が了承するまで言い続けるんでしょ…はぁ、分かりましたよやればいいんでしょ」

 

「ありがとうございます」

 

またまた真由美ちゃんに審判をお願いして位置につく。お互い位置についたのを確認して、真由美ちゃんが合図を出す

 

「始め!!」

 

合図と同時に十文字くんは【ファランクス】と呼ばれる障壁魔法を展開して俺に突進してきた。それを【剃】で躱して背後に回る

 

「次は正面から打ち砕いてあげるよ」

 

「出来るもんならやってみてください」

 

再度ファランクスを展開して突進してくる十文字くんに対して、俺は右足を後ろに下げて踏ん張る体勢にして左腕を前に伸ばしてそのまま掌を十文字くんの方に向け、右腕を引き絞って右手を握りパンチを打つ構えを取り、タイミングを待つ

 

まだ  まだ  まだ  今!!

 

「雷華崩拳!!」

 

その一撃がファランクスを突き破り、十文字くんを後方の壁に激突させた。ちょっと力を込めすぎたかな。

 

「くっ、まさか本当にファランクスを破るとは。完敗です」

 

「十文字くんはもう少し攻撃のバリエーションを増やすのがいいだろうね。ファランクスは十文字家の魔法だが、それに頼りっきりなのは実戦ではよろしくないから」

 

「そうですね、考えてみます」

 

今度こそは本当に皆で生徒会室に戻り解散になった。はぁーあ、また出来なかったよ。いつになったら出来るのか分かったもんじゃないな。もういっそのこと希望した人だけでやってしまおうか。でもそれだと達也くんみたいな隠れた才能は見つけられないからなー。あーあ、どうしよ…考えるのはやめてはやく帰って深夜たちとおしゃべりしよう。

 

「「「ただいまー」」」

 

「おかえりなさい」

 

「ああ穂波さん、ただいまです」

 

「深夜様がリビングでお待ちですよ」

 

「ありがとうございます。二人とも、行こうか」

 

リビングに行くと深夜がお茶を飲んでいたので俺も同じのを穂波さんにお願いして深夜の隣に座る。達也くんと深雪ちゃんはコーヒーを貰う。穂波さんも椅子に座り、一家団欒の時間が流れていく。やっぱり家族は一緒が一番だよな

 

 




如何でしたでしょうか。穂波さんを出すのをすっかり忘れていました。穂波さんファンの方申し訳ありませんでした。今後もっと出していきます。では次回もよろしくお願いします。


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指導と七草家

今後、今の小説の更新が止まります。理由としては、今新しいものを書いていましてそれの制作をある程度形になるまでそっちをやろうかなと思った次第です。期間は決めてませんが気長にお待ち頂けると幸いです。


指導と七草家

 

魔法科高校にも部活動はある。そんな部活動が新学期に行うものと言えばそう、新入部員の勧誘である。一般の高校とは違い、第一高校の勧誘はかなり熱烈というかしつこい。この期間は一般の生徒もCADの携帯を許されている。一応魔法の確認もされるが、形式的なもので終わっている。故にこの時期の風紀委員は大忙しである。だが、今回はそれを一時的に停止して俺の目的のために校庭を使っている。周りには希望した多くの生徒がいる。想定より多くいるから纏めて相手をしているが、イマイチピンとこない。

 

「一科生と言っても所詮はこんなものか…次、誰が来る?」

 

「はーい」

 

「君は確か…千葉エリカくんだったかな?」

 

「覚えててくれたんですね。あの時はご迷惑をおかけしました」

 

「過ぎたことだ。今後は気をつけてくれよ。で、刀での一対一がお望みかな?」

 

「その通りです。純粋に剣だけで戦ってください」

 

「いいねーその闘争心。嫌いじゃない」

 

お互いに位置について準備をする

 

「千葉さんのタイミングでどうぞ」

 

「では遠慮なく。フウー…シッ!!」

 

突っ込んできた千葉さんを木刀で受け止め押し返す。そのまま迫り横一閃。受け止められ反撃。そのまま剣撃を繰り出しながら間合いを測る。

 

「流石千葉家の剣術だね!下手な訓練兵より強いな!」

 

「それを軽くあしらう先生の方がヤバいと思いますけどね!」

 

「そんなことないさ!でもそろそろ決めさせてもらおうかな!」ガンッ

 

力をいれて千葉さんを弾き返し、距離を取る

 

「十文字くん、周りに障壁魔法を張ってくれ。校舎を傷つけたら怒られるから…ありがとう。さて千葉さん、君は飛ぶ斬撃を見たことがあるかい?」

 

「…見たこと無いですけど」

 

「じゃあ見せてあげよう。魔法ではなく純粋な力で刀を振るとどうなるか。手加減はするから、ちゃんと捌いてよ?」

 

「!!(雰囲気が変わった!今までの攻撃とは桁が違う物が来る!)」

 

「一刀流・厄港鳥(ヤッコウドリ)

 

木刀を下から上に斬り上げて地を這う飛ぶ斬撃を放つ

 

「なっ!?ホントに飛んできた!?(避けれない!受けるしか無いか!)ぐっうう!!おおおりゃぁぁぁ!!」

 

「おお、あれを弾いたか」

 

「ハァ…ハァ…な、なんですか今の、ホントに、魔法使って、ないん、ですか」

 

「ああ。純粋な身体能力さ。まだまだ威力のあるやつはあるけど、ここで使うと死人が出るから」

 

「あれよりも上があるんですか……私の負けです。ありがとうございました」

 

「こちらこそいいものを見せてもらったよ。俺の指導受けてみる?」

 

「いいんですか?私負けましたけど」

 

「それが目的だからね。将来有望な生徒を育てるのが俺の仕事だから。どうする?」

 

「是非お願いします!」

 

「こちらこそよろしく」

 

そんな事で俺の指導する生徒はほぼ決まった。千葉エリカ、沢木碧、服部範蔵、渡辺摩利、十三束鋼、十文字克人の計六人に決まった。その中で千葉エリカは家の方でも皆に稽古をつけて欲しいと言ってきたので、それも了承した。いやあ、なんとか決まりました。後で校長にお礼を言わなきゃな。

 

「鳴神先生お疲れ様でした」

 

「ああ真由美ちゃん。校庭の許可取ってくれてありがとう」

 

「構いませんよ。見てて楽しかったですし」

 

「じゃあ行きましょうか」

 

「えっと、どこに?」

 

「私の家です。ついでに奢りの件も」

 

・・・・忘れてたー!そう言えばそんな事言ってた!ここで忘れてたなんて言ったら俺の財布が軽くなるどころか空になってしまう!どうにかしないと!

 

「そう言えば、奢りの場には摩利もあーちゃんもリンちゃんも来ますから」

 

嘘だろ!?いつの間にそんなに増えてんだよ!最初は真由美ちゃんだけのはずじゃなかったか!?

 

「私がいつ一人だけって言いました?」

 

心を読まれただと!?てかそれは言い方の問題だろ!頓知してんじゃねぇよ!…笑顔のまま迫ってこないで!断る道が絶たれるじゃん!

 

「……分かったよ俺の負けだ。先にバイクで行って席確保しとくから。駅前のカフェでいい?」

 

「うん!じゃあ皆呼んですぐ行くから!」

 

「気をつけて来なよ」

 

 

 

女の子って甘いものになると人格変わるんだね。学んだよ。スゲー食うんだもん。そんなに食べて夕飯入るのってぐらい食べてた。その分俺の財布も軽くなったけど。そんな悲しい事があり、今は真由美ちゃんを乗せて七草邸に向かってます。道は覚えてるからそんなに時間はかからずに着いた。

 

「ただいまー」

「お邪魔しまーす」

 

「「お姉ちゃん(お姉様)おかえりなさーい」」

 

「香澄ちゃん、泉美ちゃんただいま」

 

「お姉ちゃん、この人は…」

 

「第一高校の教員の鳴神雷都です。よろしくね香澄ちゃん、泉美ちゃん」

 

「鳴神って…あの鳴神雷都様!?なんでそんな方が家に」

 

「質問は後でね。お父様は部屋にいる?」

 

「いるけど…」

 

「後で話してあげるから。ね?」

 

「…うん」

 

流石はお姉ちゃんだな。彼女たちも真由美ちゃんを信頼してるっぽいし。いい姉妹関係が築けてるようで安心した。弘一ともうまくいってるようだし。お出迎えを受けた俺たちは弘一がいる部屋に行った

 

「お父様、真由美です。雷都さんをお連れしました」

 

「入ってきなさい」

 

ガチャ「こうして顔を合わせるのは久しぶりだな弘一」

 

「お久しぶりです雷都さん。急に呼び出してすいません。どうぞお座りください」

 

「お言葉に甘えて。それで?今日はどうしたんだ?」

 

「はい、実はブランシュの活動が活発化してまして、第一高校の生徒に下部組織のエガリテの構成員がいることが分かりました。その報告に」

 

「あの反魔法国際政治団体か。社会的差別の撤廃を掲げてはいるが、実態はただのテロリスト。そういや生徒の中にトリコロールのリストバンドをしてる奴らがいたな」

 

「詳細はご存知でしたか。十分に気をつけてください。生徒にも構成員がいるとなると、迂闊に手が出せませんので」

 

「確かにな。生徒が相手じゃ無力化以外の選択肢がとれないからな。忠告ありがとう。こっちでも気を付けるよ」

 

「そうして頂けると幸いです」

 

「それだけで呼んだんじゃないんだろ?」

 

「ええ、玄関で会ったと思いますが香澄と泉美をちゃんと紹介しようと思いまして」

 

「あの二人か。そこのドアの外にいるぞ」

 

「やっぱりですか。二人とも入ってきなさい、聞き耳を立ててるのは分かってるぞ」

 

弘一に言われて俯きながら二人が部屋に入ってきた

 

「…なんで私達がいるって分かったんですか」

 

「気配でね。二人の気配は似ているからわかりやすいし」

 

「そこまで分かるんですか…改めまして七草泉美です」

「七草香澄です」

 

「改めまして鳴神家当主鳴神雷都です。よろしくね泉美ちゃん、香澄ちゃん」

 

「それで…お姉ちゃんと鳴神さんはどんな関係なの?」

 

「これは…真由美ちゃんからのほうがいいか。真由美ちゃん、頼んだ」

 

「ここで私に振りますか。ハァ…いい二人とも、私と雷都さんの初めての出会いはね…」

 

それから真由美ちゃんは俺たちが出会った頃の話を二人に聞かせた。その間俺と弘一は他愛ない世間話をしながら話が終わるのを待っていた。

それから数分後、聞き終わった二人は目をキラキラさせて俺の方を見ていた。何故か呼び名が「雷都さん」から「雷兄」、「雷都お兄様」に変わっていた…悪い気はしない。むしろいい。達也くんと深雪ちゃんは家でも学校でも「雷都さん」だから新鮮で心に響くようだ。俺のオアシスはここにあった、ありがとう七草家。

 

「雷都さん今回の話とは別なんですが」

 

「なんだい弘一、今は気分がいいからある程度なら聞いてあげるよ」

 

「真由美の婚約の件なんですが、認めて頂けませんか?」

 

「お父様!?そんな急に…」

 

「……深夜に電話してもいい?」

 

「お願いします」

 

それから電話を掛けて真由美ちゃんとの婚約の件を話すと『あなたがいいのなら構わないわ。重婚が認められているのだし、いずれ真夜も婚約するしね』と許可を貰えたので弘一にいいと返事をする。

 

「ありがとうございます。これからも真由美をよろしくお願いします」

 

妹ができて、婚約者が出来て、女性関係で色々あった夜だった。

 

 

 

 




ちょっと急展開過ぎましたね。はやく真由美との関係を進展させないと、と思いましてこんな形になってしまいました。お許しください。香澄と泉美は妹ポジションです。


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小競り合いと今後の心配

最近モチベーションが上がらない…投稿止まるかもです


小競り合いと今後の心配

 

真由美ちゃんと婚約して妹が出来たあの日、家に帰ったら深夜と深雪ちゃんにコッテリ絞られました。達也くんはいつも通りの我関せず。俺が帰ったらすぐに自室に帰っていった。危機管理能力高いな、さすが「シルバー」、会社員はしっかりしてるよ。

翌日、弘一に聞いたブランシュの話を達也くんたちとしたら、あっちも知ってたらしい。情報源は九重八雲と真夜の両名。何か新しい情報がないか聞いたが、何も無いとのことだった。アジトの場所も、構成人数も今だ謎のまま…少し警戒度を上げるか。そんな事を話していたら学校に到着した。二人は授業のためそれぞれの教室へ、俺は暇。

 

「(何して暇潰しするかな〜)」

 

聞きたいことがあったから達也くんたちと一緒に登校してきたけど、外部顧問だから今の時間はすることがない。また校内の探検でもするかな。

 

徘徊中

 

あてもなく校内を歩いて数分、後ろから声を掛けられた

 

「あ、鳴神先生、こんにちわ」

「ん?ああ、小野先生。こんにちわ」

 

声を掛けてきたのはカウンセラーの小野遥先生。年齢は二十四歳だが、一部が凄い。何処とは言わないが…見た目が年齢よりかなり幼いがデカい。生徒からは「遥ちゃん」なんて愛称で親しまれているが、凄い揺れる。

 

「珍しいですね、鳴神先生がこの時間に学校にいるなんて」

「達也くんたちと一緒に登校しましてね、特にすることもありませんでしたし」

「なにか聞けました?」

「教えません。知りたいなら自分で聞いて下さい」

「ぶー…流れで聞けると思ったのに」

「そこまで甘くありませんよ『ミス・ファントム』」

「ここでその名前は言わないで下さいよ!」

「どうせすぐバレますよ」

「あと私の胸見てるのバレてますからね」

 

……なん………だと!?完璧に誤魔化せていた筈だ!視線を向けずに間接視野でしか見ていないのに!…流石はミス・ファントム、侮れないな。

 

「かっこよく言ってますけど、ガッツリ視線向いてましたよ?奥さんに電話します?」

「申し訳ありませんでしたそれだけは勘弁して下さいそんな事されたら死んでしまいます」

 

美月ちゃんの一件で身体と心で女性の怖さを思い知ったあの時から、深夜に女性関係の情報が行くのは必ず阻止している。精神干渉魔法と流星群(ミーティア・ライン)のコンボなんて死んでも喰らいたくない。いくら身体が雷とは言え、痛いものは痛い。この前はそこに深雪ちゃんの『インフェルノ』まで加わったこともあった。

 

「…あまりにも酷いと本当に連絡しますから。深雪ちゃん経由で」

 

死刑宣告頂きました。これは気をつけないと自分の死期を早めることになりそうだ。

 

 

 

その後は何にもないまま終了。今この時間は部活動勧誘の時間なので校庭も校舎の中も生徒でごった返している。時折見かける行き過ぎた勧誘を偶に注意(物理)しながら、活気溢れる生徒たちの様子を見守っている。さながら孫を見るおじいちゃんのような優しい瞳で。

 

「何年寄みたいなこと言ってんですか。まだそんな年齢じゃないでしょうに」

「いいじゃないか達也くん」

「そうよ、そこはノッてあげなきゃ」

 

今は達也くんとエリカと共に第二小体育館に来ていた。今は剣道部が実演の見せ稽古みたいな事をしている。エリカは退屈そうだが、理由は「見え見えの一本はつまらない」かららしい。彼女は生粋の武人気質だからそう思うのも仕方ないか。それからしばらく剣道部を見ていると男子生徒が乱入してきた、どうやら順番を待っていた剣術部の主将らしい。なんか言い争っていたら、男子生徒のほうが高周波ブレードを展開して女子生徒に切りかかっていった。

 

「達也くん」

「分かってます」

 

ここは風紀委員の出番、ということで達也くんを行かせる、すぐに危なげなく男子生徒を制圧した。流石だな。

 

「おい!なんで桐原だけなんだ!壬生も同罪だろ!」

「魔法の不正使用と申しましたが?」

 

あーあ、そんな事言ったら

 

「一年のくせにふざけんじゃねぇ!」

 

ほらやっぱり。達也くんは言葉足らずな事が多いからこうなると思ったよ。達也くんなら大丈夫だろうけど、教員だし一応行っといた方がいいかな。

 

雷光!

 

両掌を向かい合わせてその間で一瞬雷を起こして目眩しをする。いわば俺しか出来ないスタングレネードだ。その場にいた全員漏れなくワーキャー騒いで目を押さえている。その間に襲いかかってきた剣術部の部員を、指をピースの形にして首筋に押し当てスタンガンを使うように気絶させていく。

 

 

 

その後部活連本部に呼ばれ、十文字君と摩利ちゃんに今回の事の顛末を質問された

 

「鳴神先生…やってくれましたね。あの場であんな魔法を使うなんて、関係ない生徒にまで被害が出てるじゃないですか」

「いやー申し訳ない。ちょっと張り切りすぎちゃった」

「失明や鼓膜が破れる等の怪我人が出なかったのでまだ良かったですが、今後は気を付けてください。魔法の使用は桐原と鳴神先生以外居ないんだな?」

「はい、いません」

「分かった。鳴神先生には罰として今回被害に遭った関係者に食堂のスイーツを一人一個奢ってもらおう」

「ちょっと摩利ちゃん!?それはあんまりじゃないかな!?何人いると思ってんの!?」

「もちろん私達も貰いますからね」

「それ摩利ちゃんが食べたいだけじゃん!」

 

そんな訳で急な出費に陥った俺は、家に帰ってすぐに深夜から怒られ、その横で達也くんと深雪ちゃんはニコニコこちらを見てご馳走様なんて言ってきた。汚い!さすが四葉汚い!と言ってやりたい。言わないが…勘違いするなよ!"言えない"んじゃなくて"言わない"んだからな!そこんとこ重要だからな!だから俺は尻に敷かれてない!

 

いい感じに気持ちが沈み、財布は浮くくらい軽くなったとこで部活動勧誘は終わった。達也くんが風紀委員に入った事でおそらく一科生からの業務妨害が入るだろうな…そろそろブランシュの拠点探しとくか。剣道部の部長と壬生って女子高生が関わってるのは確かなんだよな…どう攻めるか。

 

 

 



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怒りと蹂躙

なんの報告も無くこれ以外の小説を消してしまい、申し訳ありません。もう少し構想をしっかりと練ってから改めて投稿したいと思います。

今回で入学編は終了になります。次回は九校戦編に移ります


剣道部と剣術部の騒動があった日の翌日、いつも通り俺は校内の見回り(暇潰し)を終えて、目をつけた生徒の個人指導をしていた。

 

「迷うなエリカ!お前の持ち味はどんな相手でも恐れないその気持だ!格上相手は止まったら死ぬと思え!決定打を与えられなくてもいいから攻め続けろ!」

「はい!」

 

エリカには剣術を

 

「渡辺!確かにドウジ斬りは強力な技だが、それ頼みの戦術では勝てない!まずは自分の剣技だけで相手を追い詰められるようになれ!彼氏に自慢したいんだろ!」

「それは今言わなくていいです!」

 

「沢木!十三束!魔法を使っての近接戦闘は時間との勝負だ!サイオン切れを起こした瞬間にお前らは死ぬ!短期決戦を仕掛けて常に急所を狙っていけ!」

「「はい!」」

 

沢木碧と十三束鋼はマーシャル・マジック・アーツを使っての組み手。

 

で、問題は…

 

「十文字、正直お前のファランクスは俺の専門外なんだ。だから適切なアドバイスはしてやれない。と言うか、お前の戦闘スタイルと戦闘力はかなり完成している。そこに俺が余計な事を言っても、返って邪魔になるだけだ。それは分かるな?」

「はい。我が十文字家のファランクスは【技】と言うより【力】で押し切るものですから」

「そこでだ、お前は俺の攻撃をファランクスで只管受け続ける。それでファランクスの発動間隔を限りなくゼロに近づけるのがお前への指導だ。他の者とは比べ物にならないぐらいキツイが、いいか?」

「…お願いします。日本の為に」

「いい目だ。では早速始めよう」

 

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

「…よし、今日はここまでだ。お疲れ」

「「「「「は…い…ありが…とうござ…い…ました」」」」」

 

指導を終えた彼等は、床に倒れ込んで肩で息をしながらなんとか答えた

 

「皆ヘロヘロだな。まだ一時間しかやってないぞ」

 

「…嘘でしょ…あれだけ…やって…まだ…一時間?」

 

その一言に愕然としたエリカが言う

 

「…どんだけ濃密な修行なんだ…」

 

そんな沢木の問に答える

 

「そりゃあ長時間ダラダラやっても意味ないからな。短い時間でみっちりやった方が効率はいいし、君たちの時間も取らないからな」

「俺たちの時間って言っても…体ガクガクでロクに動かせないですけど…」

 

十三束が言うが、勿論こうなることは分かっていた

 

「そうなると思って車を用意してある。俺が運転して家まで送ってやるから。準備出来たら校門まで来いよ」

「「「「「はい…」」」」」

 

それからは、車でエリカ、沢木、十三束の三人を送って車内には摩利ちゃんと十文字君が残った。こうしたのも理由がある

 

「…一高の中にエガリテのメンバーがいることは知っているな?」

「!何故その事を!」

「情報源は七草家、ですね?」

「流石十文字家当主代理、分かってるね」

「何故その事を私達に?」

「剣道部の主将と壬生紗耶香が関わっている可能性が大きい、と言うか確定で関わっている」

「なっ!本当ですか!?」

 

摩利ちゃん…さっきから驚きすぎだよ。

 

「ああ、俺は相手の考えてることが分かるからな。どうやら達也くんを引き入れるつもりらしい。無駄だと思うけどな。今頃カフェで話し合いでもしてるんじゃないか?」

「彼はその様な事に靡く程心は弱くありませんからね」

「摩利ちゃん…分かってるね、流石風紀委員長」

「…そろそろ我々に話をした理由を教えてくれませんか?」

 

十文字くんは真面目だねー、ホントに高校生?老成しすぎでしょ。

 

「近い内に一高に襲撃してくる可能性がかなり高い、真由美ちゃんにこの事を知らせて出来る限りの準備をしてくれ。数が多いと俺一人では対処出来ないかもしれない」

「そういう事でしたか、分かりました」

「頼んだよ、頼りにしてるからね」

 

話を終えて二人を家まで送り届けたときには、もう外は暗くなっていた。

 

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

次の日、俺が居ない間に二科生の放送室占拠があったが、壬生紗耶香のアドレスを知っていた達也くんが無事解決。その時の深雪ちゃんの目からハイライトが消えていたことは当然の結果だろう。後日買い物に行くとういことでなんとかハイライトは戻った。何故か俺もついて行く事になったが…解せぬ。

 

そんで更に次の日、今度は生徒会、と言うより真由美ちゃん一人と有志同盟の公開討論会が開かれる事になった。

 

「良かったの?一人でなんて」

「大丈夫ですよ、私の護衛には摩利が付きますから。それに、危なくなったら助けてくれるんですよね?」

「当たり前だよ。婚約者を放置する程クズじゃないよ」

「だから大丈夫です」

「そっか…じゃあ俺は俺の仕事をするよ」

「ええ、お願いしますね」

 

真由美ちゃんとの話を終えた俺は、今度は達也くんと深雪ちゃんのグループと話をする。

 

「二人とも、俺が言いたいこと、分かるね?」

「はい、討論会の会場内は任せて下さい。深雪と二人で守ります」

「だから雷都さんは外をお願いします」

「流石だね二人とも。俺のことよく分かってるね。そっちは任せたよ」

「「はい」」

「エリカや他の子達も、無理せずヤバいと思ったらすぐ逃げること。いいね?」

「先生、私が逃げると思ってます?」

「エリカは逃げずに絶対立ち向かうから気にしてない」

「ですよねー」

 

それから時間が経って、討論会開始の時間になった。と言っても有志同盟の意見を逆に利用して真由美ちゃんが演説をしている状態だったけど。

 

ドオォォォォン!!!

 

「(爆発…始まったな)」

 

すると案の定、目の前に数台の軍用車両が止まった。中から大勢武装した兵隊が出てくる。

 

「おいあれ!雷神の鳴神だぞ!」

「知るか!人数ではこっちが上なんだ!行くぞ!」

 

おいおい、そんな考えで大丈夫か?

 

「俺の前に人数差なんて存在しないと等しいことを教えてやるよ。来い」

「「「「「「うぅおぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」

 

ご丁寧に突っ込んできてくれちゃって

 

「貫通型・飛雷針!」

 

…ドサササッ

 

「…こんなもんか。ホントは今すぐにでも殺してしまいたいんだが、流石にここで殺るほど狂ってないんでな。そこで暫く寝とけ」

 

さて、こっちは片付いた。校内の様子は…あれは!演習場に!達也くんと一緒に居た女の子か!

 

「クッソ!逃げ遅れたのか!」

 

やばいやばいやばい!急がないと取り返しのつかないことになる!頼むから刺激してくれるなよ!

 

そんな願いも虚しく、襲撃犯が引き金にてを掛ける。その状況に怯える女子生徒たち。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

襲撃犯が持っていたライフルから銃弾が放たれた。

 

キンキン!

 

しかしその凶弾が彼女たちに届くことはなかった。直前で全て真っ二つに斬られたからである。勿論、今の状況でそんな芸当が出来るのはただ一人。

 

「てめぇら…ウチの生徒に手ぇ出して生きてここから出れると思うなよ。一方的なまで い蹂躙して、骨どころかチリ一つ残さねぇからな」

「ヒッ!」

 

殺す、絶対殺す。

 

「武装色・絶雷」

「ギャアァァァァァァ!!」

 

襲撃犯は一瞬で真っ黒になって、原型を留められず崩れていった

 

「…クズが」

 

威圧を解いて後ろを振り返る

 

「君たち、無事か?怪我は無いか?」

「…はい。ありがとうございました」

「ここは危険だ。いま達也くんを呼ぶからそこに居てくれ」

 

持っていた無線で達也くんを呼ぶと、何故か深雪ちゃんまで来た

 

「雷都さん」

「…達也くん。それに深雪ちゃんまで」

「これは…」

「済まないが、彼女たちを安全な場所まで頼む」

「雷都さんは…」

 

そんなの決まっている

 

「ブランシュをアジトごと消し飛ばす」

「…トップだけは残してくださいね」

「必要ない。俺が心を読めば十分だ」

「何を言っても無駄ですね。ただし、()()()()()()()()()()()

 

達也くんのその問いかけには答えずに、ある人のもとに向かう。行き先は、カウンセラーの小野遥

 

「…小野先生」

「…分かってますよ。アジトの場所ですよね」

「ええ、奴らはやってはならないことをした。神の裁きを下します」

「奴らのアジトはここからすぐの廃工場よ」

「感謝します」

「どうするつもりですか?」

「…言葉では言い表せないような事をします」

 

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

「ここか。行こう」

 

覇王色を出しながら雑魚どもを気絶させていきながらボスらしき奴がいるところまで行く

 

「ほぅ、これはこれは」

「お前がリーダーか」

「いかにも、私がリーダーの司一だ。歓迎しますよ、鳴神雷都様」

「黙れ。貴様に名前を呼ばれる筋合いはない。周りの雑魚には少し寝ていて貰おう」

 

そう言ってまた覇王色を発動し、周りに居た奴らだけを気絶させる

 

「なっ!貴様何をした!」

「ただ威圧しただけだ。さて、貴様には死ぬ前に聞いておきたいことがあるんだ」

 

それからは只管に質問を投げかけて、答える司一の心を読んで他の拠点も目処をつけた

 

「フム、こんなところか。もう用はない。さらばだ」

「何!?ただで帰すとでも思っているのか!?」

「貴様の部下は一人残らず気絶させた。お前一人では何も出来まい」

「巫山戯るなぁぁぁ!!」ドンッ!

 

司一が俺に向けて拳銃を撃ってきた。しかし、勿論体から血が出ることはない

 

「なっ!?」

「…俺に遠距離攻撃が効かないことを知らないのか?」

 

どうやら知らなかったらしいな

 

「そこで大人しくしとけ。すぐ楽にしてやるから」

 

雷速で外に出た俺は建物の方を向き掌を空に向けて伸ばす

 

「雷神の怒りを知れ、天雷槌(あめのいかづち)

 

降り注いだ太い雷の柱は、廃工場を跡形もなく消し飛ばした

 

その後、日本の各地でこれと似た雷が観測された。そのどれもがブランシュのアジトであることが後に判明した。これでブランシュ日本支部は完全に壊滅した。この情報はすぐに世界各国に流れて、世界は改めて雷神の末裔の恐ろしさを知った。

 

 



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パーティーと姉妹

今回は取り敢えずパーティーまでです。次回は模擬戦と一日目の様子を書こうと思っています


あのブランシュ襲撃事件から数日経ったが、今では何事も無かったかのように日常は進んでいた

 

そんな今日、九校戦のメンバーが選ばれた。達也くんがエンジニアとして選出されていたが、恐らく色々あったんだろうなと思いながら今は目の前のことに集中している。何故なら、今俺の家に、俺の目の前に、真夜と巷では"老師"と呼ばれている九島烈が揃って座っているのである

 

「…今日はどの様なご要件で?」

「今回は私ではなく、先生の方が用があるんです」

「初めまして。九島烈と申します。今回はこの夏行われる九校戦についてのお願いに参りました」

「そのお願いとは?」

「九校戦でのデモンストレーションに出て欲しいのです」

 

・・・デモンストレーション?

 

「そんな事今迄やってましたっけ?」

「いえ、今回が初の事です。是非とも雷神の末裔の力を見せて頂けないかと思いまして」

「俺CAD持ってませんけど」

「絶対に使わなければいけないルールはありません」

「…そうなるとアイス・ピラーズ・ブレイクしか出来ませんが」

「構いません」

 

逃げ道無いじゃねーか

 

「ハァ…分かりましたよ。やります。対戦相手は?」

「十師族当主、もしくは私がやります」

「そうですか。日にちはいつに?」

「そうですね…開会式の最初にやるのはどうですか?」

「それで皆のモチベーションが上がるならいいですね」

「ではそれでお願いします」

 

そんな訳で、その日の内に九校戦の参加校にデモンストレーションを開会式として行うことが通達された。内容は

 

『鳴神家当主鳴神雷都VS十師族』

 

今回の九校戦は何か例年とは違った、荒れる予感がした

 

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

九校戦へ出発する日、本来一高のバスに乗るはずだった俺は真由美ちゃんを後ろに乗せて、バイクで会場に向かっている

 

こうなる数十分前、真由美ちゃんから電話が掛かってきた

 

「もしもし真由美ちゃん?どうしたのこんな時間に。バスに乗ってるんじゃないの?」

『すみません雷都さん。本来ならそうなんですが、ちょっと家の用事で遅れてまして』

「十師族も大変だねー」

『そうなんですよ。それで私一人のために時間を遅らせる訳にはいかないので、雷都さんのバイクで送ってもらおうかと思って連絡したんですが』

「そういう事なら構わないよ。俺も会場に行くから。今は家?」

『はい』

「じゃあ準備して待ってて。すぐ向かうから」

『ありがとうございます。それでは』

「また後でね」

 

そんな訳で真由美ちゃん用のヘルメットや寒かった時用に羽織るものを用意して、バイクで七草邸に向かう

 

七草邸に着くと既に真由美ちゃんが外に出て待っていた。香澄ちゃんと泉美ちゃんも一緒に

 

「お待たせ。ゴメンね待たせちゃって。それと…」

 

目線を二人に移し

 

「久しぶりだね。香澄ちゃん、泉美ちゃん」

「雷兄久しぶりー!」「お久しぶりです、雷都お兄様」

「二人とも元気そうで良かったよ」

 

香澄ちゃんは飛びついて来て、泉美ちゃんはひしっと抱き着いてきた

 

「こら!香澄ちゃん泉美ちゃん!雷都さんが困ってるでしょ!」

「そう言ってお姉ちゃんも抱き着きたいくせにー」

「そうですよお姉様。自分に素直になってみては?」

「うぅー//」

 

仲のよろしい姉妹だことで

 

「はは…おっと真由美ちゃん、そろそろ行かないと」

「はっ!そうですね!遅れたら摩利にどやされちゃいます!」

「そういう事だから二人とも、そろそろ離れてくれるかな?」

「「ぶぅー…」」

「また今度遊んであげるからさ。ね?」

「「それなら…」」

 

なんとか約束をして離してもらった

 

「真由美ちゃん、準備はいい?」

「はい!」

「それじゃあ行くよ」

 

バイクのエンジンを吹かし、九校戦の会場に向けて走り出した。そして場面は冒頭に戻る

 

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

今俺は九校戦が行われるホテルに向かう道路の途中にいる。お互いに無線を身に着けているので、会話も出来る

 

「寒くない?」

「渡された羽織があるので大丈夫です」

 

会話をしながら走る。暫くすると今回泊まるホテルが見えてきた。そこに一高のバスも停まっていた。バスの横にバイクを停める

 

「ありがとうございました雷都さん。お陰で間に合いました」

「いいって。早く行かないと摩利ちゃんに小言言われちゃうよ」

「ふふ…そうですね。ではこれで」

「ああ、いってらっしゃい」

 

ホテルのボーイにバイクを任せて、俺も部屋の鍵を受け取りにフロントに向かう

 

「第一高校の鳴神雷都ですが」

「ようこそいらっしゃいました鳴神様、お部屋でお連れの方がお待ちですので」

「え?連れって…もしかして…」

 

フロントの人に言われた部屋に行き、ドアを開けると

 

「「あら、遅かったじゃない」」

「……なんでさ」

 

部屋に居たのは四葉姉妹。既に持ってきた荷物を片付けて、二人で優雅に寛いでいた

 

「一応聞いておくけど、二人ともなんでここにいるの?」

 

そんな俺の問いかけに、二人は何を言っているんだと言わんばかりの顔で

 

「子供の応援に来ちゃ駄目?」

「甥と姪の応援に来ちゃ駄目?」

「…いえ、駄目じゃないです…」

 

やっぱりか!この親バカと甥バカ兼姪バカは!自分たちがどんな立場の人間か分かってんのか!?

 

「…この事を葉山さんは?」

「勿論知ってるわ」

 

葉山さん!止めてくださいよ!あなた第一執事でしょ!「それは無理でございます」……今葉山さんの気持ちが理解できた気がする

 

「流石に達也くんと深雪ちゃんは知ってるよね?」

「勿論知らないわ」

 

最悪だよ!一番知らせないといけない人に知らせてないよ!また達也くんに小言言われる!深雪ちゃんにハイライト消えた目で迫られる!

 

「ハァ、もういいや…そう言えば、穂波さんは?」

「彼女もいるわよ。今はパーティーの準備の手伝い中」

 

…彼女も苦労してるんだな。こんな自由奔放な人に振り回されて

 

そんな訳で九校戦が終わるまで、俺はこの二人と穂波さんの計三人と一緒の部屋で過ごすことになった。胃痛と周りへの気遣い(主に達也くんと深雪ちゃん)と一緒に

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

あれから暫く部屋で過ごし、パーティーの時間になった。真夜と深夜は九島さんと一緒にステージに出るとの事で一旦別れることに。俺はキッチリと真っ黒のスーツを着て会場に行った

 

会場には九校戦に参加する各校の生徒が一堂に会して、相当な人口密度になっていた。生徒の輪の中に入るのは流石に気が引けるので、隅の方で料理とドリンクを飲みながら生徒たちの楽しげな雰囲気を楽しんでいた

 

すると突然会場の照明が落ちて、スポットライトに照らされているステージから女性が現れた。その後ろには九島さんがいるが、周りの生徒の大半は分かってないようだ。その後、女性と入れ替わりで出てきた九島さんの演説が始まった。長かったので割愛するが、簡単に言うと「技を磨け」と言うことらしい。ちなみに最初に出てきた女性は深夜だった。その時横目で達也くんの方を見たが、すっごい睨まれた。…違うんですよ、俺が知ったときにはもう全て終わってたんですよ

 

九島さんの次に真夜がステージに上った

 

『学生の皆さんこんばんは。四葉家当主四葉真夜です』

 

思わぬ人物の登場に会場に居た生徒全員が驚いている中、またしても達也くんがこっちを睨んでいた

 

「(だから違うんだって…俺じゃないんだよ)」

 

そんな事を心のなかで思ってもどうにもならないので、後で達也くんに言う言い訳を考えながら彼女の話を聞いた

 

『九校戦はお互いの学校のバトルであり、自分の見聞を広めてくれるものです。試合を見て学び、楽しみ、大いに盛り上がって下さい。それと開会式は十師族の当主と鳴神家当主の鳴神雷都様との模擬戦を行いますので、興味のある方は是非会場にいらして下さいね。皆さんの健闘を祈ってます』

 

言い終わった真夜はお辞儀をして下がっていった

 

「「雷都さん、説明して下さい」」

「いや…説明と言われましても…」

「「説明して下さい」」

「…だから…」

「「説明して下さい」」

「……はい」

 

いい感じで終わったパーティーの後、俺は達也くんと深雪ちゃんに捕まって今回の件を語るまで部屋に帰してくれなかった

 

「全部四葉のせいだーーーー!!!」

 

 



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九校戦編
模擬戦と一日目


懇親会のパーティーも終わり、生徒たちはそれぞれ明日に備えて各自の部屋に戻っていった。しかし明日早速出番の生徒のCADを調整する担当エンジニアは、夜遅いにも関わらず作業をしていた

 

「二人とも、もう夜遅いからそろそろ切り上げなよ」

「司波君は戻ったら?君の担当は四日目以降なんだから」

「そういうお前もだぞ五十里。もう十二時回ってるんだからな。無理してたって千代田に言いつけるぞ」

「すぐに終わらせます!」

 

女には勝てない男の図。将来尻に敷かれてそうだな。…今の俺が言えたことじゃないか

 

「達也くんは先に帰ってな。俺は五十里が終わるまでここにいるから」

「分かりました。ではお先に失礼します」

「しっかり休めよー。寄り道したら深雪ちゃんに言うからなー」

 

苦笑いを浮かべながら達也くんは作業車を出ていった

 

 

 

「お待たせしました鳴神先生」

「お、終わったか?」

「はい、バッチリです」

「よし、なら帰ろう。もう一時になりそうだ」

 

五十里の作業が終わったので、ホテルまで帰る。その道を歩いている途中で知らない気配を感じた

 

「(この気配…九校戦参加者のものじゃないな…三人か…あ、消えた…達也くんと…もう一人は誰だ?)」

「先生?どうかしましたか?」

「…いや、なんでもない。少し考え事をね(あの苦笑いはそういう事か。これは後で聞く必要があるな)」

 

そんな事もあったが、無事にホテルまで到着して五十里とは別れた。俺も明日の模擬戦に備えて早く寝よう

 

ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

『それではこれより、全国魔法科高校親善魔法競技大会の開会式を行います。今年は十師族の当主と鳴神家の当主による模擬戦を開会式の儀と致します。では皆様、あちらを御覧ください』

 

司会者に言われて会場にいる全ての人が見た先では、二人の男が向かい合って立っていた

 

『今回の模擬戦はアイス・ピラーズ・ブレイクになります。左サイドには爆裂魔法の使い手、一条剛毅様!』

 

ワアァァァァァァァァ!!!

 

大歓声の中、一条剛毅はそれに応える様に手を振る

 

「親父ーーー!!負けるなよーーー!!」

「剛毅さーーーん!!頑張れーーー!!」

 

彼の息子の一条将輝と、一条家で暮らしているカーディナル・ジョージこと吉祥寺真紅郎も応援に気合が入っている

 

『そして右サイドには、武御雷の末裔であり、我ら日本国の守護者、鳴神雷都様!』

 

キャアァァァァァァァァ!!!

 

下からせり上がってきた彼はピシッとした真っ黒のスーツを着て、腰に刀を下げていた

 

「「雷都さーーん!頑張ってーー!」」

「「「カッコイイ…」」」

 

婚約者でもある真由美と深雪は揃って顔を赤くしながら大きな声援を送り、他の女子生徒はあまりのカッコ良さに叫ぶしか出来なかった。さながらアイドルのコンサートの様に

 

 

 

「やっぱりお前が出てきたか、剛毅」

「申し訳ありませんが、今回は勝たせて頂きます。息子とその親友が見てるんでね」

「やれるもんならやってみろ。雷の速度を教えてやるよ」

 

最初から一条が来ることは分かっていた。俺の雷の速度に唯一対抗出来る可能性があるのが爆裂魔法だからな。だが、俺の雷速の剣撃を越えるには光速レベルの攻撃速度で来ないと超えられない

 

『それではカウント!5・4・3・2・1…スタート!』

 

ビシャァァァァァァン!!!

ドガァァァァァァァン!!!

 

ほぼ同時に鳴った音。爆発で起きた煙が徐々に晴れていき、そこには氷柱を全て砕かれた剛毅と二本の氷柱を残した俺がいた

 

「…やはりまだ届きませんか」

「当たり前だ…と言いたいところだが、正直焦ったよ。情報強化を会得しといて正解だった」

「情報強化を二本に絞って掛けて、強度を上げたんですね」

 

『しょ、勝者は鳴神雷都様ーーー!!!』

 

ワアァァァァァァァァ!!!

 

静寂の後、司会者の一言で会場が一気に湧いた。俺と剛毅はお互いに握手をして、会場にいる人達に手を振りながら帰っていった

 

『それでは2095年度九校戦の開幕です!!』

 

生徒たちにとって負けられない夏が幕を開けた

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

模擬戦を終えた俺は着替えるため一度部屋に戻った

 

「お疲れ様雷都さん」

「ああ、ありがと真夜」

 

部屋には真夜がいた

 

「相変わらず規格外に速いですね。そのくせ威力も申し分ない」

「それが俺の強みだからね。でもやっぱり競技には向かないな」

「魔法の性質が雷ですからね。圧倒的に対人戦が向いてますから」

「深夜は?一緒に居ないなんて珍しいじゃないか」

「何時も一緒にいるわけではありませんよ。姉さんは穂波さんと一緒に第一高校の観戦してます」

「…会場で?」

「いえ、先生のところです」

 

その一言で安心した。会場に出られたんじゃ、また達也くんに詰め寄られる

 

「真夜も行くのか?」

「ええ、そろそろ行こうかと。雷都さんは?」

「俺は会場だな。一応教員だし。真由美ちゃんの活躍見ないと怒られるから」

「…一緒に見てくれないのですか?」

 

ん"ん"っ!…その顔はやめてくれ。あまりの可愛さに死んでしまうところだった

 

「真由美ちゃんのが終わったら行くから、それまで我慢してくれ」

 

俺は真夜の頭を撫でながら優しく言った

 

「…約束ですよ//」

「ああ、約束だ」

 

真夜を説得して、真由美ちゃんがスピード・シューティングをやっている会場に行った。予想通り結果は真由美ちゃんの圧勝で終わった

 

「真由美ちゃん、お疲れ様」

「雷都さん」

「やっぱり凄いね。ワンサイドゲームだったよ」

「これも父のお陰です」

 

いい関係が続いてるようで何よりだ

 

「この調子なら優勝はできそうだね」

「ええ、頑張ります」

「じゃあ俺はこれで。達也くんと深雪ちゃんによろしくね」

 

そう言って会場を離れて、真夜たちがいるVIPルームに向かった

 

「鳴神雷都ですが」

「お待ちしておりました。中でお待ちです」

 

扉の前に立っていた護衛の人が扉を開けて、中に入っていく

 

「お待たせしました」

「雷都さん、遅いですよ」

「ごめんごめん」

 

真夜の横に座り、一緒に観戦する

 

「今年はどうですか?」

「やはり第一高校が優勝候補ですな」

「十師族が四人に、それに匹敵する実力者がいますからね」

「渡辺か。あいつの実力は相当だからな。なんせ俺が指導してるんだから」

「確か、千葉家の道場の子ですね。バトル・ボートに出てましたよ」

「結果は?」

「勿論圧勝。自分とボートを硬化魔法で固定して勝ちました」

「ほう、流石摩利ちゃん」

「摩利ちゃん?」

 

怖いよ真夜。その顔はやめてくれ。怒ってもいいからせめてハイライトは戻して

 

「そう言えば、深夜は?」

「ああ…彼女は…」

「まさか…」

「はい…会場に座ってます」

 

話題を変えるために振った話だったが、九島さんから告げられた衝撃の真実

 

「はは……また達也くんの小言が始まる…今度は深雪ちゃんも参加するなぁ…」

 

明日からはここで観戦しよう。そう心に決めた瞬間だった

 

 

 



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二日目

たいへんお待たせしました!ようやっと書けました!そう言えば二日目って特に先生活躍する瞬間なくね?と思って中身考えてたらこんなに時間たってました!本当すいません!

今回は文字数少ないですがキリが良かったのでここで切ります。では次回も気長にお待ち下さい

重ね重ね本当に申し訳ありませんでした


二日目の朝、俺は自室で達也くんと深雪ちゃんから昨日の深夜の暴走について説教を受けている。隣には同じく正座をした深夜がいるが、顔が物凄く笑っている。そんなに俺が怒られている姿が面白いか?

 

「お母様も!聞いておられるのですか!?」

「もちろん、しっかり聞いてるわよ?」

 

深雪ちゃんが深夜に怒るがどこ吹く風、全く効果は無い。で、深夜がこうなると……

 

「もうお母様は……雷都さんも何故注意してなかったのですか!」

「いや、そんなこと言われても………」

「何か?」

「………はい、すいませんでした」

 

ちくしょう!何で俺が怒られているんだ!怒るなら止められなかった穂波さんだろ!俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!それと深夜!俺が怒られている時のその笑顔を止めろ!

 

「……深雪、もういいだろう。雷都さんは悪くない。今回は母さんと穂波さんに非がある、その辺で許してやれ」

「………お兄様がそう仰るのでしたら。ですが二人とも!次はありませんからね!」

「は~い」

「…以後気を付けます」

 

深夜の気の抜けた返事に俺は『あ、またやるな』と感じ、見聞色でより一層注意して深夜の気配を察知しておこうと決めた。今後の俺の精神の安定のために

 

 

 

 

 

ようやく魔王と女帝から解放された俺たちは、九島さんや真夜がいるVIPルームに向かい一緒に試合を観戦していた

 

「雷都さん、顔色が悪いですが大丈夫ですか?」

「ああ真夜、ありがとう。大丈夫だから心配しないでな……」

 

まだあの説教のダメージがの残っていたか、いかんな、切り替えて試合を見ないと今度は真由美ちゃんの説教が待っている

 

「二人とも、そろそろ女子クラウド・ボールが始まるぞ」

「七草家の長女が出るんでしたよね」

「真由美ちゃんね、まぁどうせ彼女の事だからなにかやって……」

 

登場した真由美ちゃんの服装はただのテニスウェアだった。本来激しい運動をするクラウド・ボールの服装としては…その…ね?まぁでも

 

「予想通りと言ったらそうなんだけどなぁ……」

「あら雷都さん、あんな女子高生の服装が予想通りとは…」

「いや違うから。そういう意味で言ったんじゃないから!だから引かないで!」

 

危うく真夜にあらぬ誤解をされそうになったところで競技スタート

 

三セットマッチの女子クラウド・ボールだが、相手選手が移動魔法を技術的に使って攻めてくるが、彼女はコートの中央で祈るように立っているだけ。魔法も高度なものではなく、ただボールを相手コートに打ち返してるだけ。それも一歩も動かずに。そのまま無失点で第一セットは終了

 

「九島さん、真由美ちゃんがやったのって懇親会で言ってたやつですよね」

「そうですな。使い方が雑な大魔法に工夫を凝らした小魔法が勝った瞬間です」

 

その後、順調に勝ち進んだ真由美ちゃんは女子クラウド・ボールを全試合無失点で優勝を飾ったのだった

 

 

 

 

 

二日目の競技が終了した夜、真由美ちゃん他九校戦メンバーと一緒にホテルで夜ご飯を食べていた

 

「真由美ちゃん、優勝おめでとう。凄かったね、全試合無失点なんて」

「ありがとうございます雷都さん」

「雷都さんにいいとこ見せたかったんだよな、真由美」

「ちょっと摩利!」

 

ココぞとばかりに真由美ちゃんをイジっている摩利ちゃん。ほんとこの二人は仲良いんだから

 

「ははは、そう言えば総合優勝の方はどう?聞いた話だと男子の方があまり良くないらしいけど」

「そうなんですよねぇー、男子のクラウド・ボールは一回戦、二回戦、三回戦でそれぞれ敗退。さっきリンちゃんたちとポイント計算したんですけど、女子バトル・ボード、男子ピラーズ・ブレイク、ミラージ・バット、モノリス・コードで優勝すれば安全圏に入れるんですけど……

 

その条件はなんとも

 

「なかなか厳しいな。男子の方は克人くんぐらいしか優勝候補と言える実力者がいないし」

「そうなんですよねぇ。だから明日のバトル・ボードでは絶対摩利に優勝して貰わないと」

「おいおい真由美、あまりプレッシャーをかけるなよ」

「何言ってるの、摩利なら大丈夫でしょ♪」

「全く、お前と言うやつは……」

 

真由美ちゃんの言葉は摩利ちゃんを信じてるからこその言葉だった。さすが三年間の友情は伊達じゃないな

 

「そう言えば雷都さん、なんで天幕に居なかったんですか?」

「え!?いや、それはですね…」

「お部屋でゆっくりお話伺いますからね?うふふ♪」

「雷都さん、頑張って下さい。骨は拾います」

「ちょっと摩利ちゃん!?」

「さぁ行きましょうか♪」

「いーーやーーだーー!」

 

なんでこうなるんだよぉぉぉぉぉ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




評価、感想、コメントありましたらよろしくお願いしますm(_ _)m


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三日目

大変お待たせしました。リロメモやってたら遅くなりました。水着イベの真由美は当たりましたが、深雪が全く当たりません。まぁ水着キャラ漏れなく全員可愛いんでいいんですけどね!!(ヤケクソ)


九校戦三日目の今日はピラーズ・ブレイクとバトル・ボードが行われるが

 

「正直ピラーズ・ブレイクは結果見えてるんだよなー」

「何でですか?」

 

横にいた深雪ちゃんが聞いてくる

 

「だってそりゃそうでしょ。千代田さんはまた地雷原で防御捨てて攻めるだろうし、十文字君はファランクスで攻める。千代田さんはともかく、十文字君が負ける姿想像できる?」

「……出来ませんね」

「だろ?だったらこっちを見てたほうが楽しいよ。いつの時代もレースっていうのは盛り上がるものだしね」

「そう言えば達也くんは?」

「……会長に連行されました」

「……真由美ちゃんの強気な行動力に敵う男はいないからね」

 

レースが始まる直前、ようやく達也くんが帰ってきた

「お兄様、もうすぐスタートですよ!」

「おかえり達也くん。ようやく開放されたね」

「雷都さん、深雪」

 

そんなこんなで話していると一回目のブザーが鳴り、選手が準備に入る。会場が一気に静まり返る

 

「摩利ちゃんのあの顔…ちょっと獰猛すぎない?」

「周りはあんなに緊張しているのに、流石ですね」

 

パァン!!

 

一斉にスタートをきった選手たち。その中で先頭に立っているのはやはり摩利ちゃんだった

 

「おおー、流石摩利ちゃん」

「ですが二番手の選手がピッタリついてますね」

「手強いですね」

 

互いの差が埋まらないまま蛇行ゾーンを抜けてコーナーに差し掛かる。ここからは観客席からは見えないのでスクリーンでの観戦になるのだが、その時俺の見聞色が強制発動し数秒先の未来を見た

 

「!(これは…摩利ちゃんと七高の選手の事故!?)」

 

未来の状況を見たその直後

 

「オーバースピード!?」

 

誰かが言ったその声で視線を向けると七高の選手のボードは減速せずに水の上を進んでいる。このまま行ったらフェンスに激突するのは明らかだった。前に摩利ちゃんがいなければ

 

「くっ!」

 

摩利ちゃんも事態を察したようで七高の選手をどうにかしようと魔法やボードの技術を駆使して受け止めようとする。しかしその時摩利ちゃんの下の水面が不自然に沈み込んだ

 

「ちょっと行ってくる!みんな後頼んだ!」

 

あまりの光景に反応が遅れてしまい、二人の衝突は回避できなかったが、最悪の事態だけは回避しようと立ち上がる

 

「(どうにかフェンスへの衝突は回避しないと!)」

 

雷速でフェンスと二人の間に入って、雷化を解除。ここで感電騒ぎなんて起こしてられない。フェンスへの衝突は避けられないなら俺が壁になればいい

 

「ぐぅ!」

 

どうにか二人への負担を最小限にしながらフェンスに激突する瞬間、鉄塊を使い自分へのダメージも最小限にしておく

 

ガァーーン!!

 

フェンスを突き破り地面に投げ出される

 

 

「二人とも!大丈夫!」

 

二人の無事を確認するが、見たところ外傷は見当たらない。どうやら気絶しているようだ。とりあえず二人を寝かせて救護班の到着を待つ間、崩れたフェンスを見て一言

 

「……あれフェンスってよりロードブロックだろ。硬すぎ」

 

 

 

 

 

 

救護班が到着して二人は病院に搬送された。俺も一緒にと言われたがどこも怪我してないので断って二人だけ迅速に送ってもらった

 

競技は一時中断、その間真由美ちゃんは摩利ちゃんが搬送された病院へ、達也くんと深雪ちゃんは部屋に戻りさっきの事故の解析に、俺はVIP席に戻りあの三人のもとへ

 

「「雷都さん!」」

「おおっとぉ、どうした真夜、深夜」

 

扉を開けた瞬間、二人が抱きついてきた

 

「なんであんな危ないことしたんですか!」

「真夜…あの場面はああするしかなかったんだよ」

「予めフェンス壊しとけばよかったじゃない!」

「深夜…あれはフェンスがあったからアレで済んだんだよ。フェンスがなければあのスピードで壁に激突してもっと大惨事だったよ」

 

とまぁそれっぽく言ってはみるが、二人は未だ納得出来ないような顔で見てくる

 

「……九島さん」

「……満足するまで付き合ってあげて下さい。事故の瞬間この世の終わりのような顔をしてたんですから」

「……穂波さ「無理です」」

 

助けが無くなったところで観念して二人の頭を撫でながら子供をあやすように慰める。その際今日の夜の添い寝を要求されたが致し方ないだろう

 

「それで、何があったか上から見てて分かりました?」

「七高の選手は雷都さんが見てた通り、一高の彼女が百八十度回転して魔法を発動、七高選手のボードを弾き飛ばして受け止めようとした時、明らかに一高選手が乗ってたボードが沈みました」

「やっぱりか。あのタイミングでボードが沈むなんてあり得ない。明らかに第三者の介入があったと考えるべきか」

「この九校戦に限ってそんな事あり得ない…と言いたいところですが、そう考えざるを得ませんな」

「さて、どうするか……というかお前ら、いつまで俺の腕に抱きついてんだよ」

「「今日一日ずっとです!!」」

「「はぁ〜〜〜……」」

 

その日の夜、真由美ちゃんから端末に連絡があった

 

『もしもし雷都さん?』

「真由美ちゃん?なんかあった?摩利ちゃん大丈夫?」

『ええ、雷都さんが壁になってくれたおかげで大怪我は免れました』

「それは良かった。それで、要件は?なんかあった?」

『その事なんですが、ちょっとミーティングルームまで来てくれませんか?』

「いいけど」

『では今から来て下さい。待ってますから』

「オッケー、それじゃ」

 

そう言って通話を切って顔を上げた先にいたのはあのお転婆姉妹。明らかに不満そうな顔をしている

 

「あの、そういう訳だから……」

「いいんじゃないですか?行ってくれば」

「そうです。私達との約束が先でしたが生徒からの呼び出しなら先生は行かなければいけませんからね」

「(めちゃめちゃ不機嫌だ…)そんな顔しないでくれよ。すぐ帰ってくるからさ」

「「ツーーーン」」

 

最早そっぽを向く二人、その光景に呆れながらも二人の前まで行き顎クイをして視線を自分に向ける

 

「ら、雷都さん!?何を…」

 

焦っている深夜と顔を真っ赤にして黙っている真夜を無視して言う

 

「俺はお前らの事を愛してる。確かに約束を破ってしまう形になったが、俺は先生でもある。そこら辺は分かってくれてるよな?」

「「コクコク//」」

「なら待っててくれ、俺は必ずお前たちが寝る前に帰ってくるから、な?」

 

最後に笑顔で問い掛けると、二人は真っ赤な顔を下に向けながら

 

「分かったわ、待ってる」

「早く帰ってきて下さい」

「ああ、じゃあ行ってくるよ」

 

そのまま部屋を出てミーティングルームに向かう

 

「ねぇ真夜……」

「そうね姉さん……」

「「私の旦那様、カッコいい……」」

 

 

 

 

 

 

ミーティングルームに着いてドアを開けて入るとそこには何故か達也くんと深雪ちゃんがいた

 

「あれ二人とも、どうしてここに?」

「俺と深雪は会長に呼ばれて。雷都さんもですか?」

「うん、なんか話してたの?というか摩利ちゃん、怪我大丈夫?」

「はい、あの時はありがとうございました。雷都さんがいなければどうなっていたことか」

「気にしなくていいよ、あんまり酷くなくてよかったよ」

 

立ち話も程々に、取り敢えず空いてる椅子に座って話を聞く。リンちゃんの話の内容をまとめると、摩利ちゃんのアクシデントもあったがポイント自体は当初の予想通り、でも三高が間を詰めてきてるので深雪ちゃんに摩利ちゃんの代わりでミラージ・バットに出て欲しいとの事。新人戦を捨てるとは、なかなか思い切った事するな〜

 

「いいんじゃないの?」

「!ですが雷都さん」

「深雪ちゃんの言い分も分かるよ。確かに先輩を差し置いて一年生が出場する事に思うことはあるだろうね、でもさ、全く練習もなんもしてない上級生と少しでも練習してる一年生のどっちを使うかなんて聞くまでもないじゃん?」

「……確かにそうですが」

 

まだ渋ってるか…それじゃあここは

 

「達也くん、深雪ちゃんなら本戦であっても優勝なんて軽いもんだと思わない?」

「勿論です」

「なら達也くんがすることは一つだよね?」

「そうですね。エンジニアとして全力を尽くすまでです」

「だってさ深雪ちゃん。ここまで言われてるけど」

「……はい!全力で頑張ります!」

 

達也くんの言葉に恥ずかしがるような顔をしているが声には確かな気迫が感じられた

 

話し合いは終わり、二人は部屋に戻って行った

 

「真由美ちゃん、このために俺を呼んだんだろ。摩利ちゃんがいるなら俺いらなかったんじゃない?」

「いえ、雷都さんからの言葉だからこその効果ですよ」

「そうだな、私ではあんなにすんなりいかなかっただろう」

「そんなもんかねぇ。じゃあまたなんかあったら呼んでくれ、暇人だから」

「はい、頼りにしてます」

 

ミーティングルームを後にしてお転婆姉妹が待つ部屋に戻る。その日の夜は二人に腕を占領されたが、不思議とぐっすり眠れた

 

 

 




評価、コメント、感想宜しくお願いします。この九校戦の最後にオリジナルの話入れる予定なので、どうなるかは作者にも分かりません


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四日目

お待たせしました。四日目です。やはり主人公が活躍しないのは書くのが難しいですね。下手ですが宜しくおねがいします。


九校戦四日目、本戦は一旦お休みで、この日から五日かけて新人戦が行われる。今の所第一位が一高、第二位が三高、三位以下は団子状態で混戦している。三連覇を狙っている一高としては二位にいる三高は無視できない。そして今日行われるのはスピード・シューティングとバトル・ボード。だが、スピード・シューティングは午前に女子、午後に男子と一日で決勝までやる強行スケジュールになっている。それは選手もエンジニアも同じ、つまりどういう事かと言うと

 

「私のレースは午後なので、午前のスピード・シューティングとは被りませんよ!」

「……雷都さん」

「そんな懇願されても、こればっかりはどうしようも無いよ。潔く諦めるんだね」

 

ニコニコ笑顔でプレッシャーを放っている光井さんに一歩引いてる達也くん、それに面白半分に乗っかる俺の図が完成する

 

達也くんは女子のスピード。シューティング、ピラーズ・ブレイク、ミラージ・バットの三種目の担当エンジニア。全て女子なのは一年生男子のやっかみと極々一部の女子による強い要望からだ。誰とは言わない。ここで言ったら何されるか分からないから

 

「まぁしょうがないんじゃない?光井さんは達也くんに試合を見て欲しい」

「その通りです!」

「でも達也くんが深雪ちゃんを担当するのは何があっても決定事項」

「はい」

「なら深雪ちゃんと時間が被ってない種目を選ぶのは当然じゃないか」

「そうですよね!」

 

作戦スタッフの生徒たちが出した第一案を変えてまで見て欲しいとは、相当ご執心だな

 

「ここで言う一言は決まってるだろ?」

「はぁ…CADを診る事は出来ないが、試合は脇で見てるよ」

「本当ですね?約束ですよ!」

「ああ、約束だ」

 

言質を取った光井さんは嬉しそうな表情で、軽くスキップしながら戻っていった

 

「よく言った、それでこそ達也くんだ」

「絶対楽しんでるでしょ……」

「そりゃ勿論、数少ない達也くんが気圧された瞬間だからね」

「……はぁ」

 

珍しく深雪ちゃんも黙って見守ってたし、今後が楽しみだな

 

それから達也くんは北山さんのスピード・シューティングがあるため控え室に、俺はVIP席に戻った

 

 

 

 

 

 

「雷都さんはこの試合、どう見ますか?」

 

右隣に座ってる真夜に聞かれる

 

「一高の選手、確か北山家のご令嬢のはずよね」

「北山雫さんだね、彼女は確か中間テストの実技試験で深雪ちゃんに次いで二位になった実力者だよ」

「ほう、それはなかなかですな」

 

深夜、俺、九島さんと順に答えていく

 

「しかも彼女の担当エンジニアは達也くんだ。正直言って圧勝する以外の未来が見えないね」

「そこまでなの?」

「ああ、見てれば分かるだろうが、おそらく圧倒的な差をつけて勝つよ」

 

開始のブザーが鳴りランプが点いていく。全てのランプが点いた所で一斉にクレーが飛び出る。飛び出たクレーは得点有効エリアに入った瞬間、砕けた。その後も両端、中央など広範囲に渡り様々な場所でクレーが粉砕される

 

「ほう、有効範囲全域で魔法が作用するようにしたか。発想が素晴らしい」

「クレーに振動波を与えて粉砕しているようですね」

「流石私の息子ね」

 

一人親バカ発言している人がいるが、他二人は使われた魔法式に驚いているようだ

 

試合はそのまま順調に得点を重ねていって無事決勝トーナメント進出。アレだけの魔法式使ったんだから当然っちゃ当然だが

 

時間を置いて決勝トーナメントが行われる。北山さんが観客に注目される中、彼女が持っていたCADは大きな動揺を巻き起こした

 

「彼女が持ってるアレは……」

 

九島さんが明らかな動揺を見せる。あの爺さんも驚くことあるんだな

 

「アレは汎用型のCADをに照準補助機能をつけた達也くん自作のCADですよ」

「アレが使われたんじゃこのトーナメントは彼女の勝利で決まりね。雷都さん、お昼いかない?」

「ちょっと姉さんずるい!私も行きたい!」

「はいはい、じゃあ三人で行きましょ。穂波さんも行きません?」

「お供させて頂きます」

 

試合が決まった瞬間興味をなくし、トントン拍子で話を進める彼女たち。ホント、女性は強いな

 

「てことなんで九島さん、ちょっと行ってきます」

「教え子がすいません。宜しくお願いします」

 

九島さんに断りを入れて四人で会場外の屋台に向かう。何食べよっかなー

 

 

 

 

 

 

屋台で九島さんの分も色々買い、部屋に戻って食べながら試合を観戦している。俺一応先生なんだがこんな事してていいのだろうか

 

しばらくすると女子バトル・ボードの予選が始まった。相変わらずみんな自分が加速することしか考えてない

 

「この競技って他の人の妨害とかってルール違反なの?」

「ええ、他の選手に直接魔法で干渉することは禁止されています。危ないので」

 

素朴な疑問に九島さんが答えてくれた

 

「そうなんですか。なら間接的に妨害するのはいいんですね」

「確かにそれは禁止されていませんが……」

 

なかなか悪いことを考える俺に九島さんは苦笑い。だってそっちのほうが一斉に妨害できて楽じゃん

 

「そろそろ第六レースか、光井さんの出場するレースだったはず」

「光井っていうとあの光のエレメンツですか」

 

出てきた光井さんは何やら濃い色のゴーグルをしていた

 

「あのゴーグル、視界が悪くなってこの競技には不向きではありませんか?」

「水…光…あのゴーグル……なるほどそういう事か」

「何か分かったんですか?」

 

真夜が不思議そうに聞いてくる

 

「ああ、さっき俺が言ったことが実現されるらしい。皆さん、レース開始と同時に目を何かで覆っといた方がいいですよ」

 

選手がスタートラインに並び、開始の合図を待つ

 

パァン!

 

「「きゃっ!!」」

 

スタートの合図と同時に水面が光った。バランスを崩す選手たち、その中で一人スタートダッシュをきれた人がいた。あの色の濃いゴーグルを着けていた光井さんだ

 

「まさかあんな水面に光学魔法を打つなんて」

「だから言っただろう」

「流石にアレは予想出来ませんよ」

 

それはそうだろう。あの行為はフェアプレーとは言い難い反則ギリギリのラインを行く行為だ。だが反則を示すイエローフラッグは上がっていない

 

崩れた態勢で万全の光井さんに追いつける訳もなく、圧倒的な差をつけて光井さんの一位通過が決まった

 

「これたぶん達也くんの案だな」

「でしょうね。あの子はこういう事考えるのうまいですから」

「やはり姉さんの子ですね。しっかり遺伝子を受け継いでいる」

 

ニヤニヤ顔で深夜をイジる真夜

 

「まぁ子供のいない真夜には分からないでしょうね」

 

こちらもニヤニヤ顔で反撃する深夜

 

「「ぐぬぬぬぬぬ!!」」

 

相変わらず仲が良いのか悪いのか、だが見てて微笑ましい光景だった

 

「いつも通りだな」

「これも雷都さんがいるからこそですがね」

 

そうですか?なんて軽口を叩きながら姉妹喧嘩をする横で楽しく話をする俺達だった

 

新人戦一日目、第一高校女子が圧倒的な力を見せて終了した

 

「達也くん、明日から苦労するだろうな」




感想、評価、是非お願いします


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五日目

難しい


九校戦五日目、新人戦二日目の今日の俺の注目は、なんと言っても女子アイス・ピラーズ・ブレイクだ。恐らくこれまでの九校戦史上類を見ないものが見れるだろう、そんな事を考えながら会場準備をしている大型機械アームを見ながら思う

 

「……あれカッコいいなー。大型機械アーム積んだ車両なんて男のロマン満載だな」

「そうですか?効率は悪いので俺には分かりませんね」

「私もお兄様と同じ意見ですね」

 

隣にいる達也くんと深雪ちゃんが最も彼等らしい事を言う

 

「そうじゃないんだよ達也くん。大事なのはロマンとカッコよさ、効率は二の次三の次。大型の機械ってだけで大抵の男はみんなカッコいいと思うのさ」

「……やっぱり俺には分かりませんね」

「そうですね」

 

まぁ達也くんは性能と効率最重視な生粋のエンジニアだからね。いつも隣りにいた深雪ちゃんも然りか

 

「それじゃ感動もそこそこにして、そろそろ行こうか」

「そうですね」

「はい」

 

重機鑑賞はやめて櫓の根本にある選手控え室に向かう

 

 

 

 

 

 

俺達が控え室に着いた時はまだ試合開始の三十分以上前だったが、

 

「おはようございます!」

 

既に先客がいた

 

「おはよう……待たせてしまったみたいだな」

「いいえ、私が早く来すぎただけですから」

 

先客の名は明智英美、ルビー色の髪が特徴的で元気ハツラツな女の子だ

 

「おはようエイミィ、私達より早いなんて」

「おはよう深雪、昨日の興奮がまだ抜けてなくて、ちょっと目覚ましより先に目が覚めちゃってね…」

 

流暢に日本語を使ってる彼女だが、実は彼女はイングランド系のクォーターで、フルネームは英美=アメリア=ゴールディ=明智。深雪ちゃんが呼んだ「エイミィ」の愛称は「英美」よりも「アメリア」の英国名に由来している

 

「おはよう明智さん、こんなに早くて体調大丈夫?」

「おはようございます鳴神先生。ちょっと早く起きすぎましたが体調に問題はありませんよ!あと、先生もエイミィって呼んで良いんですよ?」

「そう?じゃあこれからはエイミィって呼ばせてもらうよ。俺も雷都でいいから」

「分かりました雷都先生!」

 

先生という立場の俺とも気さくに話せる彼女のコミュニケーション能力はかなり高い。だからこそ周りに友達が多いのだろう

 

俺と深雪ちゃんとエイミィが何でも無い挨拶代わりの軽口を交換している傍らで、達也くんは大会用CADの外回りをざっと見回して彼女に手渡す。渡されたのは全長五十センチのショットガン形態の特化型CAD、彼女は自分の体格に合わないそれを受け取りガンマンよろしく回して窓に向ける

 

銃口を窓に向けたままサイオンを流す彼女、いつセーフティ外したのだろうか

 

「どうかな?」

「……雫が言ってたことが分かりますね」

 

何を言ってたのか分からないので、本人に聞いてみた

 

「達也くん、北山さんに何言われたの?」

「俺のCAD調整が気に入って雇うって言ってきたんです。勿論お断りしましたが」

「へぇー、そんな事が」

 

確かに彼の腕前はそこいらのプロより何倍も良いが、雇いたい程気に入ったのか

 

「問題は?」

「無いに決まってます。バッチリですよ!」

 

無邪気な笑顔を向けるエイミィ、クールな女の子もいいけど元気な女の子も素敵だよね

 

その様子を見ていた達也くんが口を開く

 

「エイミィ…もしかして早起きしたんじゃなくて、夜あまり寝てないんだろう」

 

突然言われた言葉に彼女も驚く

 

「……何で分かったんですか?」

「なんとなく、無理に元気に振る舞ってる感じがしたからだ」

「分かります?司波君、私の親より鋭いですね」

 

どうやら当たったようだ、遠足前日に眠れなくなる小学生か君は

 

「仕方ない、CADの調整するからヘッドセット着けてくれ」

「はーい」

 

ここは素直に従うエイミィ、測定が始まりデータが画面に表示されていくにつれて達也くんの顔が徐々に険しくなる

 

「…もしかしてエイミィも安眠導入機を使わない人か?」

「そうだけど、司波君も使わないの?」

「ああ、ちょっと気持ち悪くてな」

「おお、お仲間ですね。分かります、あのウェーブが気持ち悪くて」

 

安眠導入機はその名前通り人を安眠に導く機械だ。カプセル型で、その中で眠りにつくと安眠出来るらしい。俺も使わないから分かんないけど

 

「だが、大事な試合がある前日はしっかり睡眠を取らないと駄目だぞ」

「は〜い、すいませでした〜」

 

……この子ホントに高校生か?なんか小学生に見えてきたんだが

 

寝不足を負けの言い訳にさせないため、フィードバックを強めに設定すると言うとみんなにイジられたくないのでお願いします!と返事をするエイミィ

 

「じゃあ俺は安眠導入機の手配してくるよ」

「お願いします」

 

ここにいても何も出来ることは無いので、安眠導入機使用の手配をするために運営本部に向かった

 

 

 

 

 

 

若干ドーピング気味の第一試合はエイミィの勝利で終わった。その本人は今頃カプセルの中で熟睡中だろう

 

「次の第五試合は誰が出るんだっけ」

「雫ですね。というか雷都さんは何で観客席に居るんですか?」

「ここで見たほうか熱気が伝わって楽しいじゃん」

 

俺は今一高の観客席にいる。隣には深雪ちゃんと光井さんが座っている

 

「そう言う深雪は達也さんのところに行かないの?」

「ピラーズ・ブレイクは個人戦だもの。いずれ対戦する雫の手の内を知るのはフェアじゃないわ」

「ふーん」

 

確かにそうかもしれないけど、正直なところ北山さんの力を持ってしても深雪ちゃんには敵わないだろう。魔法師としての「格」が違うからな。言わないけど

 

台がせり上がってきて第五試合の選手が登場した。このアイス・ピラーズ・ブレイクは選手が着ている衣装も注目ポイントだが、北山さんはエメラルド色の振袖で対戦相手は昔の軍服にマントと前身黒ずくめで口に葉っぱを咥えている。顔がそこまで良くないからあの葉っぱすごくダサい。お前はポケモンか?

 

試合開始の合図がなって、互いに魔法を使って氷柱を壊しにかかる。と言っても誰とも分からない奴が、達也くんが調整したCADと高い魔法力を有する北山さんに勝てる訳もなくあっさりと勝敗は着いた

 

一回戦最終ゲーム、ここには深雪ちゃんが出場する。俺は達也くんと一緒に控え室にいる

 

「真由美ちゃんと摩利ちゃんも来たの?本部は大丈夫?」

「はい、男子ははんぞーくんに任せてますし、私達が引退した後の事も考えて経験を積ませておこうと」

「なるほどね」

 

経験を積ませるという名目でコッチが見たくて丸投げした訳か。にしても五十里に千代田も来るとは

 

「圧が凄い応援団だね。深雪ちゃん緊張してない?」

「はい、お兄様がついているので大丈夫です」

「それにしても、深雪ちゃんそれで出場するの?」

「そうですけど、何処かおかしいですか?」

「いやすげー似合ってるんだけど…」

 

深雪ちゃんが着ている衣装は白の単衣に緋色の女袴、見たまんま巫女さんだ

 

「なんか神様が降臨してきそうな程神々しいからさ。これ相手選手可哀想だなー」

「神様は雷都さんですけどね」

「俺は末裔で本物じゃないから」

 

ツッコミを入れてくる摩利ちゃん。軽口叩けるなら傷は大丈夫か

 

「そろそろ時間だ、頑張ってきなさい深雪」

「はい、行ってまいります」

 

達也くんの一言で送り出された深雪ちゃんは櫓に向かう。彼女と相対した相手は、あまりのオーラに完全に呑み込まれている。無慈悲に試合開始の合図がなると深雪ちゃんが本気を出した。彼女が使った魔法は

 

氷炎地獄(インフェルノ)……?」

 

真由美ちゃんの呟きは誰も答えなかった。深雪ちゃんが使った氷炎地獄は高難易度の魔法としてよく知られている。大人でも使えないその魔法を高校一年生が使ったのだ。会場の驚きは凄いものだろう

 

「これってあれかな、達也くんが側にいるから舞い上がったのかな」

「かもしれませんね」

 

達也くん本人には聞こえないように真由美ちゃんと話す。だって一回戦でこの魔法使うのおかしくない?もう対戦相手心折れてるし、南無三

 

試合は勿論深雪ちゃんの勝利、終わった後の彼女の顔は微かに笑っていた

 

その日の夕食はボロクソに負けた男子と、快勝した女子で明らかに温度と光の強さが違った。どっちがどっちかは言うまでもないだろう

 

 

 

 

 



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六日目

UA数が11万を超えました。今まで読んで下さった方々、誠にありがとうございます。いつ終わるかは分かりませんが、投稿は今後も不定期ですが、何卒『雷神の末裔として生きていく』をよろしくお願いします。


九校戦六日目、新人戦三日目の今日もピラーズ・ブレイクが行われるため達也くんと深雪ちゃんと一緒に控え室に向かう

 

だがその途中で第三高校の制服を着た生徒が二人立っていた

 

「誰だ彼等、達也くん知ってる?」

「いや全く知らないですね」

「深雪ちゃんは?」

「背の高い方は懇親会で見かけた事がありますが名前までは」

「そうか」

 

話し声に気付いたのかコッチに歩いてきた二人、なんか俺の事見てびっくりしてるが

 

「……第三高校一年の一条将輝だ」

「……同じく一年の吉祥寺真紅郎です」

 

一条、てことは剛毅の言ってた息子って彼のことか

 

「第一高校一年司波達也だ。『クリムゾン・プリンス』と『カーディナル・ジョージ』がこんな所までなんの用だ?」

 

達也くんも名前を名乗り返す

 

「確かに、君たち試合あったっけ?」

「いえ、俺達の試合はありませんが、大会始まって以来の天才の顔を見ておこうかと」

「試合前に失礼かと思ったのですが、どうしても顔を見ておきたくて将暉と一緒に来たんです」

「なるほど、宣戦布告と敵情視察ってわけね。あ、俺は鳴神雷都。まぁ知ってると思うけど」

 

ここで名乗らないのは失礼に当たるので一応名乗っておく

 

「深雪ちゃん、ちょっと先に行って準備しててくれない?少ししたら達也くんと向かうからさ」

「分かりました。ではお先に」

 

長くなる未来が見えたので、深雪ちゃんを先に行かせておく。準備不足で負けることは無いだろうが念の為に

 

「一条君はあの剛毅の息子さんだよね?」

「……あ、はい。まさかこの目で自分の父親が負けるところを見るとは思ってませんでした。流石雷神の末裔です」

 

去っていく深雪ちゃんを目で追っていたがすぐに意識をこらたに向け直す一条くん。君、深雪ちゃんのこと狙ってるの?

 

「それで、吉祥寺君だっけ、俺君のこと知らなくて分からないんだけど、カーディナルって何か意味あるの?」

「彼は弱冠十三歳で基本コードと言われる『カーディナル・コード』見つけたんです。カーディナルはそこから来てるんですよ」

「なるほど、俺雷しか使えないから知らなかった」

 

達也くんの有り難い説明で理解したが、雷しか使えないって言った後の吉祥寺くんの顔が凄いことになってんだけど

 

「……失礼です鳴神様、雷しか使えないとは」

「雷都でいいよ、様付けもいらないから。雷しか使えないってのはね、俺自体が雷だからだよ」

 

いや、そんなに目見開かなくても

 

「一条君なら知ってるんじゃないの?」

「ええ十師族の中では常識ですから。いいかジョージ、雷都さんには物理的にダメージを与えられないんだ。雷に何をしてもダメージは無いだろう?それと一緒さ」

「身体の雷化は俺の自由だからね。全身でも一部だけでもどっちも出来るから」

「……本当に人間ですか?」

 

そこまで言う?意外と容赦無いな、髪型ピッチリしてるくせに

 

「まぁ神様の末裔だからね、おっと時間だ。達也くんそろそろ行かないと」

「分かりました」

「じゃあね二人とも、頑張って」

 

そのまま歩いて行こうとした時、吉祥寺くんが声を上げる

 

「僕達は明日のモノリス・コードに出ます。いずれ対戦する時が来たらよろしくお願いします。勝つのは僕達ですが」

「……言うねぇ」

 

思わず感心してしまう程の宣戦布告だが、達也くんはあくまで冷静に何も答えない

 

「時間を取らせたな、次の機会を楽しみに待っている。雷都さんもありがとうございまいた」

「ああ、剛毅によろしく言っといてくれ」

 

今度こそお互いに反対方向へ歩いて行った

 

控え室に着いたら深雪ちゃんはさっきのやり取りについて聞いてきた

 

「結局彼等は何をしに来たんですか?」

「宣戦布告と敵情視察だろうね」

「俺は偵察だけだと思いますが……」

 

達也くんの意見にクスッと笑って深雪ちゃんが答える

 

「ふふっ、雷都さんの言う通り私は宣戦布告だと思いますよ?お兄様」

 

その言葉に分かってはいるが納得は出来ないような顔をしている達也くん

 

「達也くん、自分なんかにあの二人が宣戦布告するはず無いって思ってるね」

「だって、魔法師の世界で確かな地位にいるあの二人が俺なんかを敵視しますか?」

「したからあそこで待ってたんだけどね」

「そういうことですよお兄様。お兄様は自身の過小評価が目立ちますが、ここでは戦況の誤認に繋がります。もう少し客観的に自身を評価して下さい」

 

深雪ちゃんには珍しいストレートな忠告に達也くんも驚いていた。彼も将来尻に敷かれるタイプだな、俺と同じだ

 

始まった深雪ちゃんの試合は特に言うことはない。初戦と同じように容姿と魔法力で蹂躙して相手の心を折って終わり。まさに氷の女帝のような振る舞いだった

 

 

 

 

 

 

「それで風間、奴らの動きはどうだ?」

「はい、今の所目立った動きはありません。これと言って問題はありませんが、この前のバトル・ボードの件は未だ調査中です」

「そうか、何かあったら直ぐに連絡してくれ」

「分かりました」

 

俺は今、風間から無頭龍の情報を聞くために部屋にいる

 

「雷都さん、達也はどうですか?」

「達也くんはよくやってるよ。彼のCADに対する知識と技術は他の高校とは次元が違うからね」

「でしょうね。なんてったって天下の『シルバー』ですからね」

「あと女子に人気が高くてちょっとしたハーレム状態になってる。深雪ちゃんがよく嫉妬してる」

「ははは、あの兄妹は相変わらずですな」

 

報告はそこそこに話題を司波家に変える

 

「深夜さんはどうですか?数日前に会場にいるのを見かけましたけど」

「……深夜は一生変わらないよ。あいつ絡みでどれだけ達也くんと深雪ちゃんに説教されたか」

「……心中お察しします」

 

なんかお通夜みたいな空気になったな

 

「雷都さんは今日の競技は見ないんですか?」

「ん?ああ、残ってるのはピラーズ・ブレイクだろ。対戦カードは深雪ちゃんと北山さん、達也くんはどちらかと言えば恐らく北山さんにつく。彼女は振動系が得意だからその系統で高難易度の魔法を達也くんは彼女に伝授するはず。まぁまぁ拮抗するだろうけど、最後は深雪ちゃんが勝って終わるよ」

「……そこまで分かるんですか?対戦カードはともかく、あの達也が妹の方につかないと?」

「語弊があったな、つくではなく、若干北山さん寄りになると言ったところか」

「それは何故?」

「達也くんが彼女の熱意に協力するからさ。CADの調整はどちらもするが、深雪ちゃんはすでに『インフェルノ』を見せている。それに対抗出来る振動系魔法は」

「『フォノンメーザー』」

 

言いたかった事を風間が言ってくれた

 

「そう。それを伝授するために達也くんは北山さんに助言をするだろう。だから北山さんにつくって言ったんだ」

「そこまで想定できるんですね……」

「一高で教員をやってるからこそだね」

 

その後行われた決勝、結果は俺が言った通りになったが唯一の誤算は深雪ちゃんが『ニブルヘイム』を使った事だ。まさかこんな試合であの魔法を使うとは思わなかった。大方北山さんへの礼儀だと思うが、深雪ちゃんらしいな

 

その日の夜は何故か深夜と真夜が俺の部屋に居て、寝るまで達也くんと深雪ちゃんの良いところを語っていた。床を見ると日本酒とワインの瓶が転がっていた。ベットには酔い潰れたのか、ぐっすり寝ている穂波さん。明日は昼間で起きれない事を覚悟して流れのまま一緒に飲み明かした



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七日目

九校戦七日目、新人戦四日目の今日はいよいよモノリス・コードの予選が始まるのだが観客のほとんどはミラージ・バットに注目していた

 

「いやー、凄い観客の数だね、見る限り人ばっか」

「まぁこれまでの事を考えればこうなりますよね」

 

今日の俺は深夜、真夜、九島さんと一緒にVIPルームで観戦している

 

「確かに、一高の一年生、それも二科生があそこまでやるなんて誰も予想出来ませんでしょう」

「それに担当した選手が全員入賞しているのも大きいですね」

「魔法大学の関係者も中にいるようですね」

 

あそこまで魔法で大暴れしてちゃこうなるよね。彼が望んだ穏やかな学校生活は無くなったんや

 

「それより、雷都さんはモノリスの方には行かなくていいんですか?一応実践形式で教えていたんでしょう?」

「……それなんだけどね、どうも出場する彼等には危機感が無いというか緊張感がないというか、まぁどうにかなんだろみたいな空気だったから途中で指導やめたんだ。だから俺は行かないよ」

「……雷都さんの指導を蔑ろにするなんて」

「これは私のミーティア・ラインが火を吹いても致し方ないですよね」

 

なにやら物騒なことを言っているが、相手は高校生だから。思春期反抗期真っ只中の彼等に大人の言葉は響かないんだよ。あと軽々しく必殺技使うな

 

「何を言っているんだ、たかが学生だぞ」

「先生、雷都さんが舐められないようにガツンと言っとかなくては」

「それをするのはお前達ではなく雷都さん本人だ」

「深夜と真夜の言葉は嬉しいけど、俺は気にしてないから」

「……雷都さんがそう言うなら」

「分かりました……」

 

どうにか魔王とその姉の一高襲撃を未然に防ぐことが出来たところで、第二試合が終了。一高の選手は予選突破、誰もが予想した通りの結果に落ち着いた

 

そのまま他の選手のミラージ・バットも観ていたが、突然携帯端末に着信があった

 

「雷都さん、端末鳴ってますよ」

「あ、ホントだ……もしもし?」

『雷都さん!今何処ですか!?』

「真由美ちゃん?今VIPルームだけど」

『すぐ来て下さい!モノリス・コードで大きな事故があって大変なんです!』

「分かった、すぐ行くよ」

 

真由美ちゃんの鬼気迫った声に只事ではないと判断し、真夜たちに断って真由美ちゃんたちのところへ向かった

 

真由美ちゃんから事故の概要は聞けた。市街地フィールドの廃ビル内で四高が試合開始直後に『破城槌』を使ったらしい。この魔法は屋内で使う場合、殺傷ランクAに値する魔法だ。モノリス・コードではオーバーアタックになる。攻撃を受けた一高の選手は全員重傷らしい

 

「……達也くん、どう思う?」

「今の段階では何とも言えませんが、なにか不自然な気がします」

「だよね、ここで四高が故意に『破城槌』を使う理由が分からない。仮にバトル・ボードの仕返しだとしても最悪の事態だけは防いだ」

「はい、あの場に雷都さんがいなければその可能性もありましたが、多少の怪我で済んでいる時点で復讐の理由がない」

「達也くん、雷都さん、ちょっといいかしら」

 

同じく天幕に来ていた達也くんと今回の件の簡単な話し合いと分析をしていたところで真由美ちゃんに二人揃って呼ばれた

 

天幕の奥に布で仕切られた部屋があり遮音性はないが、そこは十師族である真由美ちゃんが軽々遮音フィールドを展開した

 

「見事な遮音障壁ですね」

「あらそう?ありがと」

 

達也くんに軽く礼を言い、みんなが席に着いた

 

「早速なんだけど達也くん、雷都さん、今回の件……」

「誰かの妨害工作かもって事でしょ?」

「その通りです雷都さん、達也くんは摩利の件でCADへの細工の可能性を指摘していたから。今回の手口も同じなら四高の暴挙も説明がつくんだけど……」

「細工の現場を押さえるしかないでしょうね」

「だよね、現行犯なら言い逃れ出来ないし」

 

確証の無い状況でやってないの一点張りされたら真犯人でも捕まえられないし

 

「四高からCADを借りれても…だめ?」

「痕跡が残っていればいいんですが、七高が黙秘している以上そっちの望みも薄いでしょう」

「そうよね……雷都さんの心を読む力でも無理ですか?」

「うーん……真犯人の判別は出来るけど、それは証拠にならないよ」

「ですよね……」

 

思った通りには行かない事態にしばしの沈黙が流れる。真由美ちゃんは視線を落としたまま再度聞いてくる

 

「……もし達也くんがこの前言ってた一高への妨害なら、目的はなんだと思う?遺恨?それとも春の一件の報復?」

 

明らかに疲れた顔をしている真由美ちゃんに本当の事を言ってもいいかな、と思ったがここで新たな疲労の種を増やすのも良くないと思ったのか、達也くんはある事だけ明らかにした

 

「……春の一件とは別口ですよ」

 

あくまでも「ブランシュ」は関係ないと一応の情報を渡すことにした

 

「え?何故そう言い切れるの?」

「開幕直前日の真夜中に銃持った不審者が三人ホテル内に忍び込もうとしててね、そこを偶々散歩していた達也くんが対処したってこと」

「……知りませんでした」

 

あの時聞いた事を俺が多少脚色して答えた。ここで吉田くんの名前を出すわけにもいかないし

 

「……苦労してるのね」

「……巻き込まれる側ですがね」

 

何処か同情した眼差しを達也くんに向けて言った

 

「教えてくれてありがとね、口止めされてたんでしょ?」

「その代わり他言無用でお願いします」

「分かってます、約束します」

 

片手を上げて宣誓の真似ごとをする真由美ちゃん

 

「じゃあ俺はこれで」

「この後も頑張ってね、達也くん」

 

達也くんは試合があるため先に退室する。残ったのは俺と真由美ちゃん

 

「雷都さんもすいません、時間取ってもらって」

「気にしないでよ、先生である俺はこの会場ではやること無いし」

 

一応笑顔で振る舞うが、真由美ちゃんはまだ沈んでる様だ

 

「……つらい?」

「……はい、こんなに色々起こるなんて初めての事ですし。何より摩利の事故がかなり響いてます」

 

数少ない親友と呼べる同級生があんな事故に巻き込まれたんだ、それなりに精神的ダメージは大きい

 

「……ここには俺しかいないからさ、弱いところ見せてもいいんじゃない?十師族でもなく、生徒会長でもなく、一人の女子生徒としてさ」

「……すいません」

「謝らなくていいから、おいで」

 

それから真由美ちゃんは数分の間泣き続けた。あらゆる重責から開放されて、恥も外聞も気にせずに泣いた

 

未来ある子供にここまでのダメージを与えたんだ、お前たちには死が救済に思えるほどの罰を与えるからな。覚悟しておけよ無頭龍

 

その後泣き止んだ真由美ちゃんはしばらく俺にべったり張り付いて、それを知った真夜と深夜からとんでもない嫉妬の念を当てられたのは言うまでもないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 



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八日目①

九校戦八日目、新人戦五日目の今日は朝から驚きの連続だった。どうやら最初は捨てていた新人戦の優勝を獲りにいくらしい。そのためにはモノリス・コードに出場しなければならないのだが、なんとそこに達也くんが出るというのだ

 

「何でそうなったの?」

「俺にも分かりませんよ」

 

溜息を吐きながら言う達也くん、明らかに心労が窺える

 

「でも十文字会頭にあそこまで言われたら出ないわけにはいきません」

「まぁあの顔と威圧感で言われたら下手なことは言えないよね。他のメンバーは誰になったの?」

「同じクラスのレオと吉田幹比古です」

 

……流石達也くん、人選がちゃんと攻守揃っている

 

「そのメンツなら心配ないね。三高の一条くんと吉祥寺くんにさえ気をつけていれば」

「その点も問題ありません」

「だよね」

 

俺が指導するまでもないな、結局最後に物を言うのは自分の気持ちだからな

 

「じゃあ頑張っておいで、俺たちは上から見ているから」

「はい、母さんをよろしくお願いします」

「……そこは穂波さんに任せようよ」

 

ここで達也くんとは別れてVIPルームに向かう

 

 

 

 

 

 

「それにしても九島さん、よく一高のモノリス出場を許可しましたね」

「あれはどう見ても四高に非がありましたから、そのまま一高も棄権扱いにするのは良くないと思いましてね」

「……本音は?」

「……彼の活躍をもっと見たいからですな」

 

自分の息子と甥を褒められてご満悦の姉妹は置いといて今行われている八高vs一高に目を向ける

 

「八高相手に森林ステージですか、本来なら一高の不利なのだが」

「一高にも身体能力お化けで森の中が得意な人がいるしその不利は無いようなものですね」

 

予想通り達也くんは森林の中を駆け抜けて八高の選手に片膝を着かせていた

 

「速いな、自己加速を使っている様子も無いのだが」

「カメラでも追いきれてませんね」

「「流石私の息子(甥)ですね」」

 

「今のは、術式解体(グラム・デモリッション)か」

「まぁ使えますよね、彼なら」

「「流石私の息子(甥)ですね」」

 

「彼の腰にあるあれは剣か?直接攻撃は禁止だが…」

「あれは『小通連』らしいですよ。剣ではなく打撃武器に分類されるようです。硬化魔法の応用だって言ってましたね」

「……彼は本当に面白い事を考えますな」

「「流石私の息子(甥)ですね」」

 

ホントにこの姉妹は……

 

一高優勢のまま、試合は一高の勝利で終わった。次の試合は三十分後、次の対戦相手は二高になる

 

 

 

 

 

 

 

予定通り三十分後、二高vs一高の試合が開始された。ステージは「市街地」、あのような事故があった後で大丈夫かと思ったがステージ選択は完全ランダムに行われているようで、コンピューターもあの事故は考慮していないようだ

 

「この試合も一高の勝利で終わるな」

「ですね、俺ちょっと腹減ったので表の露店でなんか買ってきますね」

「それならばここに運ばせますが」

「いや、こういう時でしか買えないのが屋台の食べ物なので、なんかいります?」

「いや私は大丈夫です」

「真夜と深夜は?」

「うーん…まだ大丈夫ですかね」

「私も大丈夫です」

「分かった、じゃあ行ってくる」

 

会場外の露店に行く間、多くの高校生とすれ違ったがどの子も一高の話題で持ちきりだった。今大会始まって以来の天才エンジニアなんて呼ばれていたが、実際は柔軟な発想が為せる技である。戦闘技術は俺もたまに教えているのでかなりのものだが、こと発想に関しては俺より何倍も凄いのは事実だ。学生が敵う相手じゃない、そんな事を考えながら買い物を終え、部屋に向かう。フランクフルトうま

 

「ただいまー」

「おかえりなさい……雷都さん、買い過ぎじゃないですか?」

「そんな事ないよ、欲しいんだったら真夜にもあげるからさ。それより試合はどう?」

「一高の勝利で終わりました。圧倒的ですね」

「決勝トーナメントは第一試合が三高vs八高、第二試合が一高vs九高になりました。私にも焼きそば下さい」

「深夜、欲しいならあの時言えばちゃんと買ってきたのに……てことは今日はもう競技なし?」

「いえ、一旦の休憩です。この後も試合はありますよ」

「そうなんだ、じゃあ俺は達也くんのところに行ってくるよ」

 

そう言って俺はVIPルームを後にして達也くん達が来るであろうホテルのロビーに行くことにした

 

ロビーに着いたが窓際の席で何やら言い争っているような声が聞こえた。その近くに達也くんと深雪ちゃんがいたので状況を聞いてみた

 

「達也くん、深雪ちゃん、お疲れ様」

「雷都さん、お疲れ様です」

「どうにか勝てましたよ」

「達也くんが言うと嫌味にしか聞こえないな……それよりもあれ、なに?」

 

指差した先にいたのは、摩利ちゃんとエリカちゃん、それにどこかで見たことがある男性が一人

 

「男性の方は千葉修次です、エリカの兄上らしいです」

「あー、千葉の麒麟児とか言われてる」

「エリカはそのお兄様が仕事を投げ出して渡辺風紀委員長に会いに来たと思っているらしいです」

「で言い争いになっていると」

 

言い争いってより嫁と姑に挟まれた夫みたいな絵面になっているが……このままでは人が集まって来ちゃうな

 

「ちょっと行ってくるから二人は早く休みな、特に達也くんはこの後決勝トーナメントなんだろ?」

「分かりました」

「お兄様はお任せ下さい。しっかり休ませます」

「頼んだよ」

 

深雪ちゃんに監視をお願いして痴話喧嘩の渦中に歩いていく。こちらに気がついたのか千葉修次は驚いたような顔でこちらを見ている

 

「エリカちゃんストップ、ここでそのボリュームは視線を集めるから」

「……雷都さん」

「ここは俺に任せて部屋に戻りな?」

「…………」

「エリカちゃん」

「………はい」

 

最後に二人の方を睨みつけてエリカちゃんは帰って行った

 

「さて、会うのは初めてだな。知っていると思うが、鳴神雷都だ。会えて嬉しいよ麒麟児」

「こ、こちらこそお会いできて光栄です!千葉家次男千葉修次と申します!」

「緊張しなくていいよ、それにしても……」

 

一度摩利ちゃんと千葉修次を見て

 

「摩利ちゃんも隅に置けないね」

「「!!」」

 

ニヤニヤしながら言うと、二人とも顔を赤くして俯いてしまった。初心だねー

 

「ここまでにして、千葉の麒麟児、今日は何故ここに?」

「摩利の応援です」

「なるほど、仕事は?」

「タイ王国での剣術指南でしたが、許可を取って帰国しました」

「なるほど」

 

言っていることに嘘はないか

 

「彼女が何故あんなに怒っているか分かるよな」

「はい……」

 

ここからは声のトーンを落として言う

 

「日ノ本の守護神としてこの国の主要な家の事は把握している。勿論お前らのことも」

「…………」

「俺から正直に言おう。悪いのはお前たちの父親だ、あいつが愛人なんか作らなければこうはなっていない」

「…………」

「エリカのお前に対する情は最早依存に近いものだ。小さな頃の疎外感や劣等感をお前が側にいた事で軽減できたのだろ。確かな意志、優しさを向けてくれたお前が他の人にそれを向けている。彼女はそれが許せないのだろう、好きだった兄が他の女に取られた。そう思っているのかもな」

「…………」

 

彼は黙って話を聞いていたが、ここで口を開いた

 

「……僕は、どうすればいいのでしょう」

「知らん」

「え………」

 

間髪入れずに言った言葉にポカンとする千葉修次

 

「雷都さん、それは」

「一番確実なのはお前が摩利ちゃんと正式に別れることだ」

「それは出来ません!」

「だろうな、だから知らんと言ったのだ。お前たち兄妹の話だ、話し合いぐらい出来るだろう」

「……素直に聞いてくれるか」

「だったら戦いだな」

「戦い、ですか?」

「そうだ、話し合えないなら出来るのは戦闘のみだ。それでお互いが思っている事を吐き出せ。勿論摩利ちゃんも連れてな」

 

手っ取り早く兄妹喧嘩を提案してみたがなんか考え込んでるな

 

「……分かりました、やってみます」

「そうしろ、じゃあ俺は戻る。二人で楽しめよ」

「あの、摩利を助けてくれてありがとうございました」

「構わないよ、俺の大事な生徒でもあるんだ」

 

話し合いが終わり部屋に戻って昼寝を挟む。達也くん達の試合は第二試合、多少の時間的余裕はあるだろう。そう思いながらもそのまま眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 




ここで一旦切ります。次回はいきなり決勝戦から始めます


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八日目②

ついに始まるモノリス・コード決勝戦、対戦カードは一高vs三高の下馬評通り。制限のある中で達也くんがどうやってプリンスと天才を相手取るか見ものだな

 

「雷都さんは一高の控室に行かなくていいんですか?」

「俺が行くと絶対なんかアドバイスしちゃうから、この場は生徒主体で乗り切って欲しいからね」

「確かに、これまでの成長を見せて欲しいものね」

 

いつも通りVIPルームで真夜と深夜とモニター観戦をするつもりだったのだが

 

「もっと近くで見たいな…」

 

この九島さんの呟きを見逃さなかった姉妹は

 

「「では観客席に行きましょう先生!」」

 

自分たちの大事な子供が出場する決勝戦、待ってましたと言わんばかりの息の合った発言

 

「…どうしましょうか」

「いいんじゃないですか?彼女たちも近くで見たいらしいですし」

「…そうですね」

 

もうどうなってもいいや、後のことは未来の自分に任せた。胃痛には気をつけろよ

 

 

 

 

 

 

「九島先生!どうしてこのようなところへ!如何なされました!?」

「モニターで見ているのも飽きてな、たまにはここで見ようかと。それと、今回は私だけではないぞ」

 

どうしてそんな意味ありげに言うんですかね。そう思いながらも九島さんの後ろから横に並ぶ

 

「な、鳴神雷都様!?それに四葉真夜様に深夜様!?」

 

突然のビッグネームの登場にざわつく観客席、そりゃあこんだけのメンバーがいたんじゃね

 

「座ってもらって構わないよ、俺たちは決勝を見に来ただけだから。ここに座ればいいかな?」

「はい…構いませんが」

 

空いていた席に四人並んで腰を下ろす

 

「いよいよ始まるね。どうなることやら」

「きっと面白いものが見れますね」

「ええ、『爆裂魔法』の一条と『カーディナル・ジョージ』を相手にどこまでやるか」

「見ものだな」

 

俺たちが座ってから数分、互いの選手が出てきたが達也くんたち一高の選手はプロテクターの上からマントを羽織っていた

 

「あのマントは何でしょう?刻印魔法でもあるのでしょうか」

「この決勝で着てるんだ、なにかあると見て間違いないな」

 

なんの対策なのかは分からないが、達也くんの発案なのは確実。意味があって着ているのだろう

 

 

 

 

 

 

開始の合図とともに両者の撃ち合いが始まった。特化型CADを持ち防御無視で攻撃全振りの一条君に対して、達也くんは二丁拳銃スタイルで相手の攻撃を捌きながらの射撃だ。いい感じに拮抗しているようにも見えるが

 

「このまま押し切られたら彼らは負けるな」

 

九島さんの言う通り、相手はただでさえ火力が高い一条、その彼が攻撃に専念しているという事は防御に回すサイオンも攻撃に使いさらに火力を上げているという事、対して達也くんは右手のCADで捌きながら左手のCADで攻撃、二つのCADに交互にサイオンを流している。明らかに達也くんのほうが火力が低い

 

そして両者が近づいていくごとに達也くんは魔法を防御に回さざるを得ない状況に追い込まれている。不利な状況がさらに不利になっていくだろう

 

「このままでは厳しいな」

「確かに、このままなら、ですけどね」

「…それはどういう意味でしょう?」

「まぁ見ていれば分かりますよ。あの二人は彼が選んだ選手です、絶対になにかやってくれますよ」

 

しばらく撃ち合いの後、三高の吉祥寺君が動き出した。達也くんは一条君に任せて他の二人を狙うようだ。そのことに気が付いた達也くんもこれまでの歩くような迫り方から疾走してはやく距離を詰めに出た。そんなことも関係ないと言わんばかりに的確に対処する一条君、試合は中盤に差し掛かってた

 

「動きましたね」

「ああ、さすが三高、相手を格下と油断していない。全力で潰しにかかっているな」

「まず狙われるのはあの二人でしょうね。ガタイの大きい子は武器を持っていて、もう片方は古式魔法の使い手」

「直接攻撃をする方を狙うか、それとも援護射撃をする方を狙うか」

 

実際に狙ったのは『小通連』を持った西城君の方だった。彼お得意の不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)を放つが、羽織っていたマントに硬化魔法を掛けて盾のように扱いそれを防ぐ

 

「あのマントは不可視の弾丸対策だったか」

「あれは目標を視認しなければ発動しませんからね。あのマントは視界を遮るためだったのか」

 

無理だと判断すると、すぐに西城君の後ろにいた吉田君に照準を合わせるが、なぜか打たない

 

「どうしたんだ?もう照準は向いているはずなのに」

「おそらく幻術でしょう。彼の視界が相手を認識できていないのでは」

「なるほど、幻術ですか」

 

九島さんの解説のおかげで理由が分かった。やっぱり詳しい人がいると見てて楽しな。疑問が残らないから

 

幻術でできた一瞬の隙を逃さず『小通連』で頭上から攻撃を仕掛けた西城君だが、横からきた空気弾に弾き飛ばされた。どうやら一条君の援護だったようだ。その瞬間連携が崩れた吉田君は加重増大魔法で地面に貼り付けられた。その光景を見た達也くんはマズいと思ったのか雰囲気をがらりと変え、歴戦の兵士のような気を放ちながら一条君に迫っていく

 

これに動揺を隠しきれず恐怖に似た感覚を覚えた一条君はレギュレーションを超えた威力の空気弾を反射的に放ってしまった。軍事機密によって『分解』が使えないため明らかに間に合わないと分かっていながらも、『術式解体(グラム・デモリッション)で対応。十四発は防げたが、残りの二発が達也くんに着弾した。観客には分からないが、魔法師ならば誰もが分かっていた

 

「あれは過剰攻撃(オーバーアタック)だ」

「ですね。あの威力を二発も受けたら骨どころか内臓も危ないです」

 

会場では各高校の生徒たちがあれはやっちまったか?と声が上がるが、俺たちはそんなことは思っていない

 

着弾して倒された次の瞬間には達也くんは立ち上がっていた。なぜ立ち上がっているのか、どうして傷も血も流れてないんだ、そんなことを考えているのだろうか立ち尽くす一条君の顔の右側を達也くんの右手が通り過ぎて耳元で止まると、とてつもない轟音が鳴り響いた

 

「………」

 

会場中が静まり返る中、一条君は倒れ達也くんは膝をついた

 

「…あれは、音響増幅魔法、か…まだ耳がよく聞こえない」

「…なんか頭で揺れてる気がします…おえっ」

 

意外な勝負の付き方に一番動揺したのは吉祥寺君だった。信頼していた、信じていた相棒がまさか倒されるなんてと考えているのだろう。それからは圧倒的に一高有利になった。達也くんは戦線に復帰できていないが、一条を撃破したことが二人の力を、パフォーマンスをより高めている。全盛期のころの実力を発揮している吉田君にいくら天才でも勝てるはずもなくそのまま脱落、最後は復帰した西城君が『小通連』を振り回し残りの三高選手に当て勝利

 

勝敗が決してから会場は拍手に包まれた

 

「どうでした?」

「いや素晴らしいですな。一時はどうなるかと思いましたが」

 

ふと視線を横に向ける

 

「真夜、深夜、二人ともどうしたんだ?試合が始まってからやけに口数少なかったけど……」

 

彼女たちは

 

「「ぐすっ…うぅぅ…」」

 

泣いていた

 

「達也…大きくなったわね…お母さんは嬉しいです…」

「さすが私の甥です…」

「…仕方ないな」

 

新人戦モノリス・コードは一高優勝で幕を閉じた

 

 

 

 

 

 

その日の夜、俺はホテル外にいた

 

「お待たせしました」

「お疲れ様です、響子さん」

 

現れた車から出てきたのは、国防軍独立魔装大隊の藤林響子さん。彼女は九島さんの孫娘にあたり、何度か軍以外でも顔を合わせている

 

「夜遅くにすいません。残業手当は出しますので」

「やった!その言葉待ってましたよ!」

 

この通り、彼女は意外と自分の欲望には忠実なのだ

 

「お話は車の中で、向かいながら話しましょう」

「そうですね」

 

車に乗り込み目的地に向かう。今回の標的は無頭龍の幹部、場所は彼らが集会をしている「横浜ベイヒルズタワー」あそこは複合施設という建前の元、国防海軍と海上警察が共同で出入りする船舶を監視する目的で置いている

 

「本来なら今の時間帯、正面には鍵が掛かっているので入れませんが」

「俺の能力で開けます」

「…ですよね」

「奴らから情報を引き出した方がいいですか?」

「そうですね、裏取りの意味も込めてお願いします」

「分かりました」

 

ほどなくして車はタワー近くで停車、藤林さんには周りの警戒をお願いして一人タワーの裏口に向かう。雷の力で軽い電気ショックを機械に与えてショートさせて開ける。そのまま見聞色を使い人の多い部屋を探し階段をのぼらずに雷になって真上に飛ぶ

 

着いたのは最上階の部屋、景気よく扉を粉微塵に切り部屋に入る

 

「だ、誰だ!!」

「夜分遅くに失礼、無頭龍の諸君」

「貴様は!雷神!なぜお前のような大物がここにいる!?」

「お前らが賭けの対象にした九校戦、あれに私の生徒たちが出場していてな。今回はその返礼に来た」

 

そこまで言うと、逃げようとしていた幹部の一人に右人差し指から出した雷でダウンさせる

 

「ああそれと言い忘れていたが、ここから逃げるような素振りを見せた場合貴様らには死んでもらうので、そのつもりで」

「くそっ!十四号、十六号、やれ!」

「排除シマス」

 

向かってきた二体のジェネレーターを横一閃で胴体を半分に斬る

 

「な!?ジェネレーターが半分に……」

「今のがジェネレーターか、他愛ないな。で?まだ抵抗するか?」

「………!!!」

 

まだ抵抗の意思が残っているのか、ならば次は「恐怖」だな

 

今度は覇王色の覇気を気絶しない程度に当てた

 

「「「ひっっ!!」」」

「今から貴様らに質問する。正直に答えろ。貴様らのボスの名はなんだ」

「「「…………」」」

 

長年組織にいて刷り込まれたボスへの恐怖と忠誠心は固いようだ。刀を抜き一番近くにいた男の首を飛ばす

 

「っ!ジェームス!」

「こいつがジェームス=朱だったか。国際警察には後で謝っておかないとな」

「……待ってくれ!」

「なんだダグラス=黄、次はお前がいか?」

「私はボスの拝謁を許されている!それに私たちはもう九校戦に手は出さない!」この国からも撤退する!西日本支部も同様だ!」

「だから殺さないでくれ、と?」

「そうだ!」

「だったらボスの名前を言え」

「……リチャード=孫」

「表の名は」

「……孫 公明」

 

ボスの名前を言わせそのままボスに関する全ての情報を吐かせたところで、端末越しに聞いていた響子さんから確認完了のメッセージが届いた

 

「確かにお前は側近のダグラス=黄らしいな」

「信じてくれるのか!?では」

「お前らは用済みだ、死ね」

 

黄を残し、他の連中は全て首を飛ばす

 

「なぜだ!見逃してくれるのではないのか!」

「俺がいつそんなことを言った」

「な!?」

「いつ俺の口から見逃すなんて言葉が出たと聞いているんだ」

 

俺は見逃すなんて一言も言っていない

 

「さらばだ、日ノ本を汚す者よ」

 

残ったダグラス=黄も首を飛ばして殺す。残った遺体と血痕が見つかると面倒なので、絨毯に遺体を包んで持って帰り、人気のない港で炭にして海に流した

 

「お疲れさまでした」

「響子さんこそ、色々ありがとうございます。残業代は口座に振り込んどきますので」

「ありがとうございます。では戻りましょうか」

 

翌日ニュースに横浜ベイヒルズタワーの最上階の部屋にあったはずの絨毯と人が一夜にして消えたなんてニュースが流れた結果、達也くんにこっぴどく叱られた上、真夜と深夜からも魔法協会の近くで何やってんだと怒られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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最終日

申し訳ありませんが、「雷神の末裔として生きていく」はここで一旦区切りにさせて頂きます。ちょっと書くのが辛くなってきまして……魔法科高校の劣等生で他のものを書いて気分転換では無いですが、書き進めていきたいと思います

自分勝手な決定で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。


事態の大元を粛清した翌日の九校戦九日目、新人戦六日目の今日はこれまでの晴天から打って変わって曇天の空模様になった

 

「なんか雨が降りそうだね」

「ですが今日やるミラージ・バットに関しては良い条件と言えますね」

 

ミラージ・バットでは強い日差しは競技の邪魔になりかねない、今回ばかりはこの天気は好天と言える

 

「確かにそうだね。それにしても……」

 

視線をフィールドに向ければ、緊張した面持ちで立っている二年生の小早川景子がいた

 

「彼女、随分緊張しているようだけど」

「そうですね、気合十分に感じます」

 

一緒にいた深雪ちゃんも感じているようだった

 

「そう言えば深雪ちゃん、試合はいつになったの?」

「第二試合に決まりました」

「第二試合かー、まだ時間あるな。どうする?達也くんも呼んでスタッフ席で見る?」

「いいですね、そうしましょう」

 

そうと決まれば早速と席に座る

 

しばらく彼女の試合を見ていたが、ここでも見聞色が発動。彼女が競技の途中で落ちていくのが視えた

 

「……達也くん、深雪ちゃん」

「後は任せて下さい」

「お願いします」

「ありがと」

 

事態を察してくれた二人にお礼を言いながら足早に競技フィールド側まで行く

 

フィールドの足場に着地しようと魔法を起動しようとした彼女だが、何故か魔法が起動せずにそのまま一直線に落下していく

 

「よっと、今回は間に合ったかな」

「せんせい……」

「もう大丈夫だよ」

 

空中でキャッチした彼女を地上に降ろし担架を持ってきた運営委員に任せて搬送してもらう。彼女が運ばれるのを見送って、スタッフ席にいる達也くんたちのもとに戻った

 

「どうだった?」

「さっき幹比古から連絡がありました。美月が小早川先輩の付けてるCADの辺りで精霊が弾けたのが視えたそうです」

「なるほど、精霊が弾けたね」

「はい、これから深雪のCADの検査もありますし実際に行って現場を押さえようかと」

「俺がもうちょい早くシメてればこうもならなかったんだろうけど」

「雷都さんの責任ではありません」

「……ありがとう。君たちはそろそろ第二試合の準備だろ、行っておいで」

 

二人を控え室に行かせる。おそらく犯人は深雪ちゃんのCADにも細工をするだろう。そうなったら達也くんを止める方が難しくなる。何かあったときのために俺は部屋で待ってるか。別に暑いからとかそういう理由ではないから

 

それから部屋で待機(休憩)していてそろそろ深雪ちゃんの試合だなと思い、部屋を出ようとしたその時持っていた端末が鳴った

 

「もしもし?」

『ああ鳴神さん、私です、九島です』

「ああ九島さん、何か御用ですか?」

 

九島さんから連絡が来るなんて、一体何があったんだろうか

 

『実はですね、一高の彼が大会委員と揉め事を起こしまして』

 

oh……

 

「……申し訳ありません。すぐに行って止めますので」

『ああ別に抗議の電話という訳ではないんですよ』

「…そうなんですか?」

『はい、彼が言うには大会委員が自分の妹のCADに何か細工をしたのが見えたので引き倒したと言っていて。実際に私が確認しましたが、CADに『電子金蚕』という電子機器を無力化する魔法が入っていました』

「そんなものがあるんですね」

『はい、その大会委員はこちらで拘束してあります。今回も午前中のような事故が起きないとも限らないので、鳴神さんには出来れば会場で何かあった時のために待機してもらえないかと』

「分かりました。任せて下さい」

『すみません。よろしくお願いします』

 

とりあえず達也くんのところに行くか

 

 

 

 

 

 

「達也くん、聞いたよ。なかなか強引なことしたんだって?」

「深雪のCADに細工されたら黙って無いのは知っているでしょう」

「まぁ別に責めてるわけじゃないから。でも次はもう少し穏便にね」

「肝に銘じます」

 

一応注意しておいて、深雪ちゃんの試合に目を向ける。彼女が今回のミラージ・バットで身に着けているのは魔法少女風コス。まぁ良いと思う、うん……一応聞いておくか

 

「ねぇ達也くん、あの深雪ちゃんの衣装ってさ、達也くんの推薦?」

「?いえ深雪の意思で着ていますが」

「そうだよね、よかった」

「??」

 

試合が続いていくなかで、観客が声を上げて驚く事があった。それは一高選手、つまり深雪ちゃんの飛行魔法の使用だ

 

「あれは深雪ちゃんの意見?」

「はい、深雪には事前に練習してもらいました」

「それは良いんだけどさ、これ運営側から絶対何か言われるよ。違反してないか調べるからCAD貸せとか」

「そうなったら雷都さんがどうにかしてくれますから」

 

なるほど、俺が出ていくのを見越しての飛行魔法の使用か

 

「出来る限りの事はするよ」

「お願いしますね」

 

いい笑顔で言いおってからに……

 

試合の方では、飛行魔法を使った深雪ちゃんに他校の選手が勝てるはずもなく試合は深雪ちゃんの圧勝に終わった

 

一旦昼休憩を挟んで決勝戦は午後から行われるため、今は達也くんと共に昼食を取っている

 

「なんか視線感じない?」

「きっと先輩たちのものでしょう。この手の輩は関わらないのが吉ですよ」

「輩って」

 

厳しい言いように苦笑いしながらも、昼食を食べ進めていく

 

「達也くんはこの後は?」

「深雪のところに行こうかと、しっかり休息をとって欲しいので」

「そうなんだ。じゃあ俺も部屋でゆっくりしてるかな」

 

昼食を食べ終えた俺たちはそのまま別れて各々目的の部屋に向かった

 

そして時間通りの午後、ミラージ・バット決勝戦。選手たちが続々と会場入りしていく。そして始まる決勝戦、ここで驚くべき事が起きていた

 

「他校も飛行魔法を使っているな」

「ぶっつけ本番で扱えるほど易しい魔法では無いんですがね」

 

と、シルバー本人の話

 

「でも安全装置が付いてるんでしょ?一応安全なんじゃない?」

「シルバーの発表した術式をそのまま使っていればですけどね」

 

ひょっとすると拮抗するかと思われたものの、一人、二人、三人とサイオン切れで棄権して深雪ちゃんを含む残った三人で最終ピリオドで争われる事になった。この時点で深雪ちゃんが棄権しない限り、一高の今大会総合優勝は決まっていた。普通だったらその場に留まるだけの安全策を取るのだが、一高側も深雪ちゃんもその案は出さなかった。個人優勝と総合優勝をとってこその完全勝利であるからだ。深雪ちゃんは自分のポイントを伸ばそうと空中を舞う

 

結果、一高は最終日を待たずして総合優勝が決まり、深雪ちゃんはミラージ・バット新人戦を優勝で飾った

 

 

 

 

 

 

その日の夜、珍しく弘一から連絡が来た

 

「もしもし弘一?どうしたんだこんな時間に」

『夜分遅くにすいません。少しお伝えしたいことがありまして』

「師族会議でなんかあったか?」

『そうなんです。九校戦で一条君が一高の選手に負けたじゃないですか。それでですね、日本魔法師界の頂点である十師族が一高校生に負けるのはいかがなものかとなりまして』

 

ここまで言われてようやく気づいた

 

「……まさか明日の十文字君の試合でそれをやると?」

『はい、真由美にはもう伝えてありますが、一応雷都さんにも』

 

そこまで外面が大事なのか

 

「お前たちも大変だな」

『……ありがとうございます』

「そういう事なら分かった、香澄ちゃんと泉美ちゃんによろしくな」

『言っておきます。ありがとうございました』

「おう、じゃあ」

 

……力があるってのも楽じゃないなー

 

 

 

 

 

 

そして迎えた九校戦最終日、今日は一日中モノリス・コードを予選から決勝まで行う。この試合の大本命はなんと言っても

 

「どうせ十文字君たちが圧勝するんだろうなー」

「でしょうね」

 

鉄壁の異名を取る十文字家の次期当主がいて、一高での模擬戦最強の服部君がいて、剣術部の桐原君がいる。ここまで攻防揃った彼等ならむしろ負けるほうが難しいまである

 

そんな事を考えているうちに、一高の勝利で試合は終了

 

「じゃあ俺はちょっと真由美ちゃんと十文字君のところに行ってくるから。このお金でアイスでも食べてきな」

「ありがとうございます」

 

達也くんにお小遣いを渡して真由美ちゃんのところに行く

 

「真由美ちゃんお待たせ」

「雷都さん、待ってましたよ」

 

朗らかに笑いながら待ったなんて言ってくる真由美ちゃん

 

「ごめんごめん、じゃあ行こっか」

「そうですね」

 

控え室にいる十文字君のもとに向かう

 

「十文字君、入っても大丈夫?」

「今行く」

 

インターホン越しに問い掛けると直ぐに返ってきた

 

少し間をおいて上半身タンクトップ、下半身競技用のプロテクション・スーツで出てきた。……いやなんか、何処かの美術館にある彫刻みたいだな

 

「鳴神先生もいたんですか。こんな格好で申し訳ありません」

「やっ、十文字君。お疲れ様」

 

彼から少しアルコールの匂いがするのは消臭剤に含まれているものだろう。さすがは十文字君、ジェントルマンだな

 

「何かあったのか?」

「決勝ステージが決まったのと合わせて伝えたいことがあって。それは真由美ちゃんから」

「決勝ステージは「渓谷ステージ」に決まって、後は師族会議からの通達があって」

「……内容は?」

「一条くんが達也くんに負けたでしょ?それで、日本魔法師界の頂点である十師族が例え高校生のお遊びでも負ける事は許されないと」

「力を誇示するような勝ち方をしろということだな」

「ごめんなさいね、関係ないのにこんな事頼んじゃって」

「構わん、俺も十師族の一員だ。任せろ」

 

自信満々だな自分の実力に微塵も疑問を持ってない。この姿勢が彼の強さの一端でもあるのか

 

「鳴神先生はどのような用件で?」

「いや、俺は特になにも。強いて言うなら激励と真由美ちゃんの付き添い」

「そうでしたか。ありがとうございます」

「じゃあ決勝も頑張ってね」

 

行われた決勝、彼は予選で一歩一歩踏み出すことを途中でやめ、自分から敵陣地に突っ込んでいった。障壁を展開したまま。その結果、相手の三高の選手はふっ飛ばされた。そのまま止まること無く進路を次の選手に変え突進を続ける。三人目の選手がふっ飛ばされてモノリス・コード決勝と今年の九校戦は一高の優勝で幕を閉じた

 

 



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EXステージ いや聞いてませんが!?

モチベが戻ったので書きました。ここからオリジナル展開になります。御注意下さい


これまでの九校戦の各校殺伐とした空気感とはうって変わって、今行われている九校戦後夜祭パーティーでは第一から第九の垣根を超えて皆思い思いの交流に勤しんでいる。ここでの主役はあくまで学生、引率であり大人である雷都は部屋の隅の方で静かに料理を食べている

 

「……ふぅ、いつもの家庭的な料理もいいけど、偶に食べる高級料理もいいな」

「雷都さん」

 

雷都の隣に来たのは深雪、さっきから大人や他校の生徒達に囲まれていたがようやく開放されたようだ

 

「お疲れ深雪ちゃん、まるで芸能人になったみたいな人気っぷりだね」

「声を掛けて頂けるのは嬉しいのですが、流石にあの人数は疲れますね」

「まぁあそこまで目立っちゃね、仕方ないね」

「……今更ながら少し後悔してます」

 

疲れた表情を見せる深雪に飲み物を渡す雷都、しばらく談笑してると深雪が同級生に呼ばれたので行っておいでと送り出す。そんな深雪と入れ替わりで今度は真由美が雷都の所に来た

 

「雷都さん、引率お疲れ様でした」

「真由美ちゃんこそ、生徒会長の責務お疲れ。色々トラブルあって去年より働いたんじゃない?」

「本当ですよ、なんか今年の一年生が入学してから一気に忙しくなった気がします」

「確かに、こりゃまだ卒業出来ないね」

「私に留年しろって言ってるんですか?」

「そうなったらどうする?」

「変なこと言わないで下さいよ」

 

楽しげな笑い声が響く。傍から見れば親子と言われても納得出来る年齢だが、その実二人は婚約関係にある。雷都に至っては国から重婚が認められている為、まだ相手の数は増える可能性がある。だが今この場では二人だけの空間、真由美は自分の頭を雷都の肩に乗せ、雷都は真由美の肩を優しく片手で抱きしめる。それを見た主の女子生徒から羨ましがるような声や、顔を赤くしてキャーキャーと声が上がるが今の二人はそんなこと気にせず、ただ二人の時間に集中するのだった

 

「お前たち…少しは場所を考えたらどうだ?」

「あ、摩利」

「摩利ちゃんよっす」

「ああどうも…じゃなくて、ちょっとは周りの視線も気にして下さいよ雷都さん。他校の生徒も見てるんですから」

 

摩利の登場でやっと離れた二人、それに合わせて周りの生徒達も散っていく

 

「恥ずかしげもなくイチャついて……」

「たぶんあれだね、自分も彼氏とイチャつきたいからこっちに嫉妬してるね」

「摩利って武道系ですけど、ああ見えてかなりの乙女ですからね」

「お前ら聞こえてるからな!?」

 

赤面しながら言う摩利、その表情さえも彼等には格好の弄りの的になってしまった

 

「ハァ…ハァ…真由美、他校の生徒会長が集まってる、後はお前だけだ」

「そういう事は早く言ってよ」

「お前が弄り倒してきたから言えなかったんだろ!?」

 

摩利は結局最後まで真由美の手の上で転がされながら歩いて行った

 

「良いように扱われてるなぁ……」

 

そこで雷都は視線を真由美たちから自分の左側にある柱に移す

 

「いつまでそんな所で見てるんだい?別に見られたぐらいで怒ったりしないから出ておいで」

「!……バレてましたか」

「そりゃああんなに視線向けられたらね」

「一色愛梨と申します。不躾な視線お許し下さい」

「一色愛梨と言えば……『エクレール』の異名で知られているあの」

「はい、雷神様の末裔である貴方様の前で『稲妻』なんて言うのも恥ずかしいですが」

「そこは別に気にしなくてもいいよ、異名を付けられるって事はそれだけ実力がある証拠さ」

「……そう言って頂けるとこちらも自信が持てます」

 

雷都からの心からの称賛に俯きながらも笑顔を見せる一色。立ってるのも疲れるだろうから座りなさい、と雷都が持ってきた椅子を自分の隣に置きそれに腰掛ける。それからは互いに話題を出しながら話していた。と言っても基本は九校戦の内容なのだが

 

「へぇー、そんな事が」

「はい、なのでミラージ・バットで対戦した時は絶対に負けるものかと思ったのですが」

「深雪ちゃんの強さは彼女一人で積み上げたものじゃ無いからね」

「……エンジニアの司波達也さんという兄の存在ですね」

「勿論、この世には一人の力で強くなった強者もいる、俺みたいにね。でも、彼等は違う」

 

視線をレオ達と話している達也と、同級生に囲まれて笑顔の深雪の順に見てからもう一度言葉を発する

 

「戦う時は一人、だけど時には離れている仲間や大事な人の存在が大きな力になる事もあるのさ。君にもいるんじゃないか?」

「…………」

「今すぐ理解する必要は無いさ、君はまだ先が長いんだからゆっくり考えなさい」

「……貴重なお話、ありがとうございます」

「構わないよ」

 

お辞儀をしながら礼を言って、一色は三高の仲間の元に帰って行った

 

「さてと、俺はそろそろ部屋に『お集まりの各校生徒の皆さん、これより九島烈先生から大事なお話があります。静聴の程宜しくお願い致します』、なんだ?」

『生徒の諸君、突然の事で驚いているだろうが少し聞いて欲しい。本来なら九校戦は今日で終了なのだが、今年はある余興をやることにした』

 

舞台上に上がった九島の話をここまで聞いて、雷都は嫌な予感がしていた。この言い方はまるで九校戦初日にやった一条剛毅との親善試合の前置きと同じだった

 

『明日の午前中、そこにいる鳴神家当主鳴神雷都と君たち希望する生徒諸君とで…模擬戦をしようと思う

「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇえええ!!!」

 

雷都もこれには流石に声を荒らげた

 

「ちょっと待って下さいよ!何言ってるんですか九島さん!そんな事したら」

『なおハンデとして鳴神雷都は魔法の使用禁止、過度な直接攻撃を禁止、さらに両手両足に10kgの重りを着けてもらう』

「いやそこまでします?」

『さらに、生徒側は殺傷ランクA相当の魔法の使用を許可する』

「それ食らったらタダじゃ済まないじゃないですか!!」

『何か質問はあるかね?」

「はい!」

『何かあるかね?』

「無視してんじゃねぇーよ!!」

 

徹底して雷都の意見はガン無視される中、千葉エリカが手を挙げる

 

「あのー、それって九校戦参加者以外でもここにいる生徒なら誰でも参加可能ですか?」

『勿論だ、いればいるだけ人数有利が出来るぞ』

「なるほど、ありがとうございます」

『他にはないか?……無いようだな、では明日、希望者はロビーに集まるように。男女は問わないからな、では楽しみにしている』

 

言いたいことだけ言って帰って行った九島を見送る生徒達と開いた口が塞がらない雷都

 

『あ、そうそう、当日は十師族当主達も見に来る予定だから頑張ってくれたまえ』

 

「「「「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」

 

その場にいた全員から絶叫を受けて九島はしてやったり顔で今度こそ会場から出ていった

 

 

 

 

 

 

その後会場にいた生徒たちは各部屋に戻って寝る準備をしている者や、明日の模擬戦に参加するかどうかを話し合っている者と様々見える。一高生徒の一部は明日の模擬戦の話し合いをある生徒の部屋に集まってしていた

 

「何故俺の部屋でやるんだ……」

「だってー、司波君の部屋が一番広いし」

「機材があるとは言え、確かに広ですね」

 

集まったのは達也の部屋、メンバーは達也、深雪、エリカ、レオ、幹比古、美月、ほのか、雫のいつものメンバー

 

「それでどうする?私は勿論参加するけど」

「俺も参加するぜ」

「私は参加しないかな」

「僕もやめておくよ」

「何言ってんのよミキ、モノリスで勘取り戻したんだから参加しなさいよ」

「僕の名前は幹比古だ。力が戻ったのは嬉しいんだけど、ここで鳴神先生相手に出来るほどじゃないから」

「ねぇ美月、美月もミキの活躍する姿見たいわよね?」

 

エリカの質問に顔を赤くする美月と幹比古、この時点で二人はお察しだ

 

「あら〜顔真っ赤にしちゃって〜」

「……なんかお前近所のオバサンみたいになってるぞ」

「誰がオバサンですって!?」

「お前だよ!」

「なんですって!?」

「喧嘩はやめなよ二人とも!」

「はぁー…相変わらずだな」

「いいではありませんか、賑やかで。お兄様も楽しんでるでしょう?」

「……否定はしないな」

「達也さんが笑ってる……カッコいい…」

「ほのか……」

 

喧嘩するエリカとレオ、それを止める美月、まだ顔が赤い幹比古、楽しそうに談笑する達也と深雪、笑顔の達也をうっとりした表情で見ているほのかにそのほのかを残念そうな目で見ている雫、彼等の夜は賑やかに過ぎていった

 

達也たちの部屋で彼等が楽しく過ごしている同時刻、雷都は深夜、真夜から今回の模擬戦について話を聞いていた

 

「さて、説明して貰おうか。特に真夜」

「説明も何も、先生が言った通りですよ」

「なんでこうなった?」

「一条の倅が負けた時にその話が出まして、折角雷都さんに十師族の娘や息子がいるのだからそのまま模擬戦でもしてはどうかと」

「……なんでそうなった?」

「会議終わりでみんなお酒入ってましたから」

 

大事な会議の時に酒を飲むとは、いくら何でもそれは止めるべきだろと思った雷都だったが、言っても無駄なのは目に見えてたので声には出さなかった

 

「……まぁ決まった事だし今更何言っても無駄だよな」

「そうですよ、諦めてやりましょ?」

「なんでお前が楽しそうなんだよ……」

「真夜ったら雷都さんのカッコいい姿が見て貰えるってすっごい喜んでましたから」

「ちょっ!姉さん!それは言わないでって……」

 

自身の姉から突然暴露を食らった真夜は顔を真っ赤にして深夜と言い争いを始めた。そんな二人を肴に雷都は穂波とお酒を飲むことにした

 

「あの二人ってなんで突然幼くなるんですかね」

「お二人共過去に色々すれ違いがありましたから、今が楽しくてしょうがないんじゃないですかね?」

「そうなんですね…まぁ見てる分には面白いので構いませんが」

「ええ、お酒が進みますね」

「「………ふぅ」」

 

しばらくして幼い喧嘩をしていた深夜と真夜も参加して四人での酒盛りが始まった。まぁ明日の事は明日の自分に任せよう、そう思って雷都は今この時間を楽しむ事にした

 

 



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