【急募】狩猟笛の正しい使い方 (放仮ごdz)
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ライズ編:禍依之淵源
【急募】狩猟笛の正しい使い方【カムラの里のやべーやつ】


どうも、放仮ごです。今回は前から書いてみたかった掲示板形式の小説を書いてみました。ポケモン蟲で一度書いて楽しかったので。

3DSのモンハンでラギアクルスにトラウマを持って忌避してきたけど知り合いの作者さんに勧められて去年の12月に購入、片手剣縛りで奇しき赫耀のバルファルクをノーミスで倒すぐらいにガチハマリしたモンスターハンターライズが題材です。

一応注意点として、主人公以外の他の転生者が別作品の話題を出すことがあるのでご了承あれ。また、モンハン知識が足りないこともお許しください。では、楽しんでいただけると幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

助けて

 

2:名無しの転生者

どしたん

 

3:名無しの転生者

スレタイトルと名前からしてモンハン世界の転生者?

 

4:名無しの転生者

カムラの里言ってるし最新作のライズか?

 

5:名無しの転生者

モンハン世界とか転生しただけで死にそうなんじゃが

 

6:名無しの鬼殺隊

ふっ、大人気だからと選んだ鬼滅の世界に比べたらどんな世界もマシだぜ

 

7:名無しの49人目のマスター

人間以外が跋扈してる世界は大体やばいから…俺なんかワイバーンで雑魚扱いだぞ

 

8:名無しのくだん

基本的にラブコメだからとほうかご百物語の世界を選んで、魑魅魍魎が跋扈してて後悔したわしが通るぞ

 

9:名無しのRS

イッチと同じカプコンだけどバイオハザードの世界で普通に日本警察やってたらアメリカに転勤させられたかと思えばS.T.A.R.S.に選ばれた時の絶望感よ

 

10:名無しの転生者

>>8

ほうかご百物語とはまたコアな…くだんwww

 

11:名無しの霊媒師

>>9

同じカプコンでも逆転裁判の世界で本当によかったと思えたよ、ありがとう

 

12:名無しのギルド所属ハンター>>1

本題に入ってもよろしいか

 

13:名無しの魔導師

隙あらば自語は愚痴れる場所が少ないからしょうがないね。かくいうわいも管理局で苦労してる

 

14:名無しの鬼殺隊

>>12

また脱線する前に話してくれメンス

 

15:名無しのRS

狩猟笛の正しい使い方を急募ってどういうことや

 

16:名無しのくだん

狩猟笛、モンハンに詳しくないけど知ってるぞ。楽譜作って演奏してバフる武器よな

 

17:名無しの霊媒師

殴りまくってスタンさせ続ける武器だろ?

 

18:名無しの49人目のマスター

振打が気持ちいよな

 

19:名無しの鬼殺隊

太刀しか使ってなかったから正直わからん

 

20:名無しの魔導師

スライドビートはいいぞ

 

21:名無しの転生者

まあ死んだ時期もあるんだろうけどみんなライズの笛のこと言ってて草なんよ

 

22:名無しの転生者

昔は通向けの武器だったんだがな…で、正しい使い方を教えろってことはイッチ笛使いなん?

 

23:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>22

いや、わいはライトボウガン使い。ついでに言うとカムラの里とは何も関係ないギルド本部所属のハンター。百竜夜行の加勢としてカムラの里を訪れて困惑してる

 

24:名無しの49人目のマスター

結構なエリートで草。わいなんか補欠の補欠ぞ

 

25:名無しのRS

エリートってろくなことないぞ…

 

26:名無しのくだん

優秀すぎて百竜夜行に派遣されたと見た

 

27:名無しの鬼殺隊

柱になったら仕事量が増えたのと同じか。あれは鬼に殺される前に過労死するかと思ったぞ…

 

28:名無しの魔導師

いやほんと、エリートになったら社畜になるしかないんよ…

 

29:名無しの霊媒師

なんでライトボウガン使いが笛の正しい使い方を聞いて来たのか

 

30:名無しの転生者

あれだろ、原作主人公こと「猛き炎」が笛使いだったんだろ

 

31:名無しの転生者

>>25

>>27

>>28

哀愁漂ってて草

 

32:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>29

>>30

いや「猛き炎」は太刀使いだったんだけど、わしが困ってるのは別の事で

 

33:名無しの転生者

もったいぶらずにさっさと教えてくれメンス

 

34:名無しのRS

こっちも忙しいんだぞ、書類整理の片手間にここきてるけど

 

35:名無しの鬼殺隊

俺なんか今現在も下弦の鬼二体と戦ってるんだぞ

 

36:名無しの魔導師

転生者が助け合う脳内スレとはいえ助けてと言われたから来たんだぞ

 

37:名無しの霊媒師

>>35

下手したら死ぬやつやん

 

38:名無しのくだん

>>32

原作主人公でもイッチでもないなら何なんや

 

39:名無しのギルド所属ハンター>>1

いやこれ結構複雑で…大前提として、俺達が転生した世界は決められた大筋はあれど現実であるが故になにかしら異なることが多々ある。おk?

 

40:名無しの49人目のマスター

>>39

OK(ズドン)

 

41:名無しの霊媒師

>>39

そりゃまあ。本来いない俺達が増えただけでだいぶ変わるからな

 

42:名無しの鬼殺隊

そもそも原作じゃ語られない出来事もたくさんあるからな

 

43:名無しの魔導師

たまに原作厳守派閥とかいるけどな。わいの世界にもいるわ

 

44:名無しのRS

いやほんと、原作通りに進んでくれたらいいのにね…

 

45:名無しのギルド所属ハンター>>1

百竜夜行に参戦したわけだけど、そのとき里のハンターと協力することになったわけで。猛き炎(女)だけじゃなくその幼馴染の少女(原作にはいない子。ガンランス使い)とかいて、ああ原作とは違うんだなと思ってたんだけど。

 

46:名無しのRS

>>45

女性だらけで羨ましいなおい。ハーレムものかよ

 

47:名無しのくだん

>>45

わしなんか人面牛だから絶望的だってのに…!

 

48:名無しの魔導師

ガンランス使いの幼馴染少女いいな。詳しい情報クレメンス。ごつい武器を持つ女の子はいいぞ…!

 

49:名無しの霊媒師

>>48

君がなんでリリなのの世界に転生したのかよくわかったよ…

 

50:名無しの鬼殺隊

俺から言わせれば命かかった世界で恋愛するの難しいと思うぞ…

 

51:名無しの転生者

うん?三人だけって中途半端だし、もしかしてもう一人が問題なのか?

 

52:名無しの49人目のマスター

確かにモンハンで三人パーティはアレだな

 

53:名無しの霊媒師

マルチ?なんのことやら…ソロが一番よ、うん

 

54:名無しの鬼殺隊

安心しろ、多分ここにいる連中大体ソロしかやってないぞ

 

55:名無しのくだん

>>54

言っていいことと悪いことがあるぞ、その通りだが!

 

56:名無しのRS

転生してから嫌と言うほどチームプレイしたからもうそんな憧れてないが

 

57:名無しのギルド所属ハンター>>1

わいはむしろソロだと死ぬから援護メインのライトボウガンにしたわけだがその話は置いとく。で、お察しの通りその四人目の狩猟笛使いが問題なんだが

 

58:名無しの49人目のマスター

何か問題が?

 

59:名無しのRS

カムラの里のハンターなのに昔の使い方するとか?

 

60:名無しの霊媒師

正直転生してから10数年たってるから昔の使い方と言われてもピンとこないが

 

61:名無しの魔導師

前世のふんたーみたく猛き炎やガンランスっ娘たちをブッ飛ばしてるとか?だったら許せん

 

62:名無しのくだん

ふんたーとか久々に聞いたわ

 

63:名無しの転生者

やべーやつって言ってるぐらいだからやべーんだろうな

 

64:名無しの鬼殺隊

一人で百竜夜行を壊滅させたとかなら化け物だが

 

65:名無しのギルド所属ハンター>>1

えっとだな……ありのまま起こったことをそのまま話すぜ!『俺はいつも通り鬼人弾やら回復弾やらで援護してたんだが、その隙を突いてバサルモスが突撃してきた。やられる、そう思った次の瞬間、飛んできた笛に激突したバサルモスがトラックに撥ねられた人間の如く宙を舞っていた』

 

66:名無しの鬼殺隊

は?

 

67:名無しのRS

突然のポルナレフは草。は?5のゴリスでもそれは無理ぞ?

 

68:名無しのくだん

なにを言ってるかさっぱりわからねえぞ!?

 

69:名無しの49人目のマスター

バサルモスって岩石みたいなモンスターだよな?ゴーレムみたいな。それが宙を舞った?

 

70:名無しの霊媒師

しかも直接ぶん殴ったんじゃなくて飛んできた狩猟笛をぶつけられて???

 

71:名無しの魔導師

いやハンターは人間離れした身体能力してるけどモンスターを宙に浮かせるのは無理だよ???

 

72:名無しの転生者

狩猟笛のバフが現実仕様になってて原作より強化されてるかもだがそれでも限度あるよ??

 

73:名無しの鬼殺隊

いや岩を斬るなら俺も頑張ればできそうだけど、は?それ人間?

 

74:名無しのギルド所属ハンター>>1

な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何を起きたのかわからなかった…毒ガスによる幻覚だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。そいつは、筋肉で笛を音速で投げつけたんだ。しかも猛き炎とその幼馴染ちゃんは当たり前の様に戦闘を続行してるんだ。「カムラの里」という恐ろしいものの片鱗を味わったぜ

 

75:名無しのRS

なるほどカムラの里のやべーやつ。クリス以上のゴリラじゃねえか

 

76:名無しの霊媒師

スレ名に違わぬ。確かに狩猟笛の正しい使い方を聞きたくもなるわ

 

77:名無しの鬼殺隊

筋肉だけでその芸当を為したというのなら鬼殺隊にスカウトしたい実力者だな…

 

78:名無しの49人目のマスター

あまりにビビりすぎてベッド下から清姫が出てきたんだがどうしてくれる

 

79:名無しの魔導師

猛き炎ちゃんもガンランスちゃんもびっくり技ありそう

 

80:名無しのくだん

>>78

強く生きて

 

81:名無しの転生者

イッチも似た様なことできんの、転生者でしょ

 

82:名無しのギルド所属ハンター>>1

わい、原作にも地名が出ないぐらいド田舎出身のハンター。頑張って実績立てて最近本部ギルドに所属できただけなんや。特典もパッとしないしできるかあ!

 

83:名無しの鬼殺隊

いやギルド本部に所属できてる時点でかなり優秀なのでは…

 

84:名無しの魔導師

その優秀なハンターであるイッチがドン引きしてるカムラの里とかいう魔郷出身の狩猟笛使い

 

85:名無しの49人目のマスター

転生者にもできる事とできないことがあr待って、きよひー、俺は全然大丈夫だからベッドに入ってこないで嘘じゃないてアーッ!?

 

86:名無しのくだん

カムラの里、あのクソつよ教官やマップ兵器里長やトリガーハッピーヨモギちゃんがいるからな…

 

87:名無しの霊媒師

>>85

スレに繋いでると思考がそのままスレに反映されるからちょっと切ってもろて

 

88:名無しのRS

>>87

いや待て、面白いから放置しとこう

 

89:名無しの転生者

イッチの特典気になる

 

90:名無しのギルド所属ハンター>>1

聞きたいか?自分の体力とスタミナと残弾数やら切れ味ゲージやらが主観で表示される「ゲーム画面」だ。オンオフ切り替えられなくて鬱陶しいたらありゃしない

 

91:名無しの霊媒師

あっ

 

92:名無しの魔導師

特典は神様が選ぶからね、しょうがないね

 

93:名無しの転生者

便利だけど頑張らないといけなくて草

 

94:名無しの鬼殺隊

その特典だけでギルド本部に行けたことを誇るべきだぞイッチ

 

95:名無しの49人目のマスター

イッチも化け物で草。あっ待って今笑ったのは説教に集中してないわけじゃなくてアーッ!?

 

96:名無しの魔導師

とりあえずイッチ、本人かその周りの猛き炎ちゃんとかガンランスちゃんとかに直接聞いてみたらどうだ?

 

97:名無しのRS

>>95

余裕があるのか余裕がないのか。愉悦

 

98:名無しのくだん

>>97

こいつおまわりさんです

 

99:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>96

わかった。気は乗らないけど聞いてみるわ。やっぱり原作主人公はフレンドリーっぽくて話しやすいからいいな!

 

100:名無しの霊媒師

やべーやつから逃げてて草




狩猟笛の無限の可能性()

・名無しのギルド所属ハンター
一応主人公。ライトボウガンを主に使うギルド本部所属の実力者。サポートメインだがソロでも強い。ギルドから百竜夜行の助っ人に来たもののやべーやつに助けられる。

・狩猟笛使い
狩猟笛をぶん投げてバサルモスを宙に浮かせるぐらい吹っ飛ばしたやべーやつ。筋肉。こいつ一人でいいんじゃないかな。オリキャラ。本当ならこいつを主人公に書くつもりだった。

・猛き炎ちゃん
モンスターハンターライズの原作主人公。太刀使い。時系列的には最初の百竜夜行辺り。やべーやつがバサルモスぶっ飛ばしてても気にしない。

・ガンランス使いちゃん
猛き炎ちゃんの幼馴染。オリキャラ。やべーやつが何しても気にしない。

・名無しの鬼殺隊
特に原作知らないけど有名なんだから面白い世界なのだろうと気楽に鬼滅の刃の世界に転生した人。転生特典は「常住戦陣!!ムシブギョー」の月島流剣術。呼吸じゃないので力づくで鬼の首をぶった斬って柱になり上がった。

・名無しの49人目のマスター
Fate/Grandorderの世界に転生して49人目のマスターにされた人。サーヴァントに清姫がいる。転生特典はレイシフト適性100%。一応魔術師の生まれ。

・名無しのくだん
ほうかご百物語の世界に妖怪「くだん」として転生した人。本来は生まれてすぐ必ず当たる予言をしてから死ぬのだが、転生特典「人並みの命」で生き永らえているが、この世界のルール上、喋るだけで必ず当たる予言になるためろくに喋れず掲示板で愚痴ってばかりいる。

・名無しのRS(リアセキュリティ)
バイオハザードの世界に日本の警察として転生したがなまじ優秀だったがためにラクーンシティに転勤された上にS.T.A.R.S.に入れられてしまった人。転生特典は「狙撃の腕前」故にRS。

・名無しの霊媒師
逆転裁判の世界に綾里家家元の三女として転生した人。叔母に殺されないか戦々恐々してるが比較的平和。転生特典は「サイコ・ロック」

・名無しの魔導師
リリカルなのはの世界に転生した人。管理局に所属してるがエリートなため仕事に追われてる。転生特典は「そこそこ優秀なリンカーコア」。

・バサルモス
可哀想な幼竜。潰すつもりが異世界転生する勢いで宙を舞った。


次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【助けて】目の前で交通事故起きた【転生モンスターの会】

どうも、なんか結構お気に入り増えていたので続き書くことにしました放仮ごです。世間ではサンブレイクで熱くなってますが機械音痴のわたくしは今更ダブルクロス買ってクック先生にボコボコにされております。

今回は前回の、モンスターに転生した者達視点の話となります。楽しんでいただけると幸いです。


1:名無しの転生雌火竜

大トリとしていざ参って転生チートでハンターボコボコにしたると意気込んでたら目の前で交通事故を見た件

 

2:名無しの転生大海の王

おい陸の女王よ。情報量が多すぎるわ

 

3:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

いや草。狂竜ウイルス、いる?

 

4:名無しの転生銀嶺巨獣

>>3

やめろしゃれにならん

 

5:名無しの転生千刃竜

一つ聞きたいんだけどその交通事故あったのどこなん?

 

6:名無しの転生先生

ユクモ村の近くだったらすごい怖いんだが

 

7:名無しの転生鎌鼬竜

やべーやつばかり集まってて戦々恐々なんだが

 

8:名無しの転生ドス狗竜

なんなら古龍になり損ねたやつまでいるぞ

 

9:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

>>8

おん?喧嘩売るなら受けて立つぞ鳥竜ごときめ

 

10:名無しの転生泥翁竜

落ち着け落ち着け。どうせ序盤で倒されるような奴等じゃ

 

11:名無しの転生青熊獣

うるせえぞ害悪翁。よくもアタシの縄張りを酸で汚してくれたな!

 

12:名無しの転生傘鳥

>>11

オチケツ。多分世界が違うぞ。というか雌なのな。

 

13:名無しの転生泥翁竜

>>11

もしかしてこの間進路でサシミウオとってたから邪魔で蹴散らした熊か?それはすまんことしたのう

 

14:名無しの転生天狗獣

いや知り合いなんかーい

 

15:名無しの名無しの転生雌火竜>>1

あのー、助けて欲しいんですけど…

 

16:名無しの転生雪鬼獣

いや交通事故とか前世じゃあるまいし……

 

17:名無しの転生奇怪竜

アレかな?彼氏さんと飛んでたら彼氏さんが他の飛竜とごっつんこして落ちてったみたいな…

 

18:名無しの転生轟竜

いや大トリとか言ってるしライズの百竜夜行じゃね

 

19:名無しの転生赤甲獣

あー、集会所の最初の百竜夜行がリオレイアが大ボスだったっけ

 

20:名無しの転生殺意の波動に目覚めし金獅子

それだと交通事故ってのがよくわからんが…

 

21:名無しの転生雷狼竜

先行のモンスターたちが閃光玉で目を潰されてぶつかったとか?

 

22:名無しの転生飛雷竜

>>20

やべーのがいる…関わらんとこ

 

23:名無しの転生殺意の波動に目覚めし金獅子

>>22

同じ大社跡にいるな…?お前の気配、捉えたぞ

 

24:名無しの転生飛雷竜

タスケテ…タスケテ……

 

25:名無しの転生鎌鼬竜

世界は狭いね!俺は群れを率いて逃げるわ!チャオ!

 

26:名無しの転生青熊獣

なんで大社跡、初期ステージなのにやばいのしかいないの……この間とか血塗れに見える明らかに普通じゃないマガイマガド見かけたけど……

 

27:名無しの転生雷狼竜

>>26

なにそれkwsk

 

28:名無しの転生岩竜

それで結局何が交通事故?

 

29:名無しの転生雌火竜>>1

>>28

あなたは…!無事だったんですね…!

 

30:名無しの転生角竜

どういうことだってばよ

 

31:名無しの転生泥翁竜

バサルモスといえば百竜夜行に置いて積極的に関門を壊そうとする常連…28とは別のバサルモスがその交通事故の被害者なんじゃろう(名推理)

 

32:名無しの転生岩竜

なるほど。…じゃねーわ!?は!?俺、バサルモスに転生したからわかるけど俺の体重持ち上げるの古龍でも無理だぞ!?テオにゃん押し潰した実績あるんだからな?!

 

33:名無しの転生傘鳥

>>32

こわっ、古龍を倒す幼竜こわっ

 

34:名無しの転生天狗獣

バサルモスが被害者…?加害者じゃなくて…?(宇宙天狗獣)

 

35:名無しの転生殺意の波動に目覚めし金獅子

マガイマガドか俺の仲間が乱入したとかそんなじゃろ。リオレイアでは苦戦必至だからな(トビカガチの尻尾掴んでビタンビタンしながら)

 

36:名無しの転生奇怪竜

>>35やめたげてよー!?

 

37:名無しの転生大海の王

それで陸の女王よ。バサルモスはなににやられたのだ?

 

38:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

まさか人間に吹っ飛ばされたとかじゃあるまい?

 

39:名無しの転生雌火竜>>1

えっとその……狩猟笛使いの人間に、なんですよ…

 

40:名無しの転生大海の王

は?

 

41:名無しの転生銀嶺巨獣

なんと?

 

42:名無しの転生泥翁竜

年かのう…人間にバサルモスが吹っ飛ばされたとか書いてあった気が…

 

43:名無しの転生角竜

>>42

おじいちゃんさっきまで元気だったでしょ

 

44:名無しの転生千刃竜

>>42

信じられないからって現実逃避やめなさい

 

45:名無しの転生ドス狗竜

>>39

悪いけどもう一度言ってもらってよろしい?いや俺如きが言うのもなんだけど

 

46:名無しの転生先生

人間はバサルモスを吹っ飛ばすことは不可能。はいここテストに出ます

 

47:名無しの転生天狗獣

>>46

先生が先生みたいなことすなー

 

48:名無しの転生傘鳥

みんな大混乱。当たり前である

 

49:名無しの転生雪鬼獣

当たり前だ。モンハンモンスターとかいう人知を遥かに超えた肉体に転生して精神も引っ張られて人間見下してるのにそれが覆されるとかあってはならぬ

 

50:名無しの転生奇怪竜

ぶっちゃけ人間にそんな脅威感じない

 

51:名無しの転生轟竜

主人公でも来ない限りはな

 

52:名無しの転生赤甲獣

僕みたいな弱い個体でも転生特典でなんとかなりますしね

 

53:名無しの転生雷狼竜

そもそも主人公にすら勝てるポテンシャルのある我等は転生特典も含めて無敵になってるからな

 

54:名無しの転生岩竜

どう考えても俺の同族が人間に吹き飛ばされたというのが嘘にしか聞こえない…

 

55:名無しの転生雌火竜>>1

えっとだな……ありのまま起こったことをそのまま話すぜ!『私はいつも通り出番を待って上空で待機していたのだが、鬼人弾やら回復弾やらで援護してた隙だらけのライトボウガン使いのハンターにバサルモスが突撃していって死ぬなー、とかそう思った次の瞬間。飛んできた笛が激突したバサルモスがトラックに撥ねられた人間の如く宙を舞っていた』

 

56:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

 

 

57:名無しの転生銀嶺巨獣

 

 

58:名無しの転生殺意の波動に目覚めし金獅子

 

 

59:名無しの転生大海の王

 

 

60:名無しの転生雷狼竜

 

 

61:名無しの転生雪鬼獣

 

 

62:名無しの転生岩竜

嘘やん…そんな嘘やん…

 

63:名無しの転生鎌鼬竜

このスレの名だたる大物組が全員開いた口が塞がってなくて草(震え声)

 

64:名無しの転生雌火竜>>1

な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何を起きたのかわからなかった…毒ガスによる幻覚だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。そいつは、筋肉で笛を音速で投げつけたんだ。しかも他の連中は当たり前の様に戦闘を続行してるんだ。「カムラの里」という恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。助けて

 

65:名無しの転生傘鳥

撤収!てっしゅー!

 

66:名無しの転生怪奇竜

逃げるんだぁ、勝てるわけがない……

 

67:名無しの転生轟竜

そいつ転生者か主人公だよな?そうだと言ってくれ、頼む

 

68:名無しの転生赤甲獣

もし現地民なら絶望でしかないぞ…

 

69:名無しの転生天狗獣

あれ、そういえばアオアシラちゃんはどした?

 

70:名無しの転生ドス狗竜

ほんとや。他の人は(トビカガチの人以外)コメントしているのに消えたな

 

71:名無しの転生先生

遡ってみたら最後に見えたのは「血塗れに見える明らかに普通じゃないマガイマガド見かけたけど……」ってコメントしたところですね

 

72:名無しの転生雷狼竜

血塗れに見えるマガイマガドって何さ

 

73:名無しの転生雪鬼獣

俺、寒冷群島にすんでるけどたまにそいつ見かけるぞ。クシャルダオラを一方的にボコボコにしてた

 

74:名無しの転生奇怪竜

同じところに住んでるオロミドロおじいちゃんならなんか知ってるんでね?おじいちゃーん?

 

75:名無しの転生千刃竜

…あれ?そういや殺意の波動に目覚めしラージャンも大社跡を縄張りにしてたような…いますー?

 

76:名無しの転生雌火竜>>1

あれ?なんか私そっちのけでヤバいこと起きてます?

 

77:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

大社跡を縄張りにしてたやつ全滅か…?

 

78:名無しの転生傘鳥

俺は生きてますよ!多分別世界だからだろうけど!

 

79:名無しの転生銀嶺巨獣

そういやビシュテンゴもオサイズチも大社跡縄張りにしてなかったか?オサイズチとか殺意の波動に目覚めしラージャンの近くだろ?逃げてたし

 

80:名無しの転生天狗獣

たす、たすけ……血塗れの鎧武者が…

 

81:名無しのドス狗竜

>>80

どうした!?なにがあった!?

 

82:名無しの転生傘鳥

>>80

血塗れの鎧武者ってアオアシラちゃんが言ってたマガイマガドか!?

 

83:名無しの転生大海の王

その世界の大社跡で転生者のモンスターが次々とやられてるということか…?

 

84:名無しの転生鎌鼬竜

違う……逃げる直前、俺は見た…空をロケット噴射みたいに飛び回って見境なく獲物に襲いかかる血塗れのマガイマガドを……

 

85:名無しの転生雌火竜>>1

……もしかしてさっきから大社跡から聞こえる連続する爆発音がそれだったりします…?

 

86:名無しの転生先生

おっ、そのようだな

 

87:名無しの転生雷狼竜

強く生きてくれ陸の女王

 

88:名無しの転生岩竜

前門のヤベーイ笛使いハンター、後門のヤベーイマガイマガドか…詰んだな

 

89:名無しの転生雪鬼獣

古龍すら一方的にボコボコにする奴だから、正直ハンターと戦った方がまだ生き残れるかもだぞ。同じ世界に住んでいるみたいだけど会えなくて残念だ

 

90:名無しの転生雌火竜>>1

>>89

死んだもの扱いじゃないですかやだー!なんか笛使いが深紅の鬼火纏いしてるし絶対勝てないじゃないですかー!?

 

91:名無しの転生大海の王

ハンターが鬼火纏いするのか…?

 

92:名無しの転生怪奇竜

マガマガ装備を身に付けているんじゃなく?

 

93:名無しの転生雌火竜>>1

多分マガマガの笛持ってますけど装備は普通のカムラ装備ですけど……

 

94:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

カムラ装備なら一発でも当てれば勝てるだろ。逝って来い

 

95:名無しの転生雌火竜>>1

いやだー!?

 

96:名無しの転生鎌鼬竜

>>93

生きてたらまた会おうぜ!

 

97:名無しの転生傘鳥

>>96

それ君の死亡フラグでは…?

 

98:名無しの転生雌火竜>>1

こうなったら奥の手の転生特典、紫毒姫化で…!

 

99:名無しの転生角竜

逝ってらっしゃい

 

100:名無しの転生紫毒姫>>1

逝ってきま…なんか笛が飛んでき……ギャース!?




天高く待機してたのにそこまで飛んでくる狩猟笛の恐怖。

・名無しの転生雌火竜
今回のイッチ。リオレイアに転生した女性。前回の交通事故を目の当たりにした。転生特典は紫毒姫に変身。なお変身して目立ってしまったため笛使いのやべーやつに狙われ、普通に負けた。

・名無しの転生大海の王
ラギアクルスに転生した人。適当に海を回遊しながら戦慄していた。

・名無しのの転生渾沌に呻く黒蝕竜
渾沌に呻くゴア・マガラに転生した人。古龍になれなかったことを気にしている。

・名無しの転生銀嶺巨獣
銀嶺ガムートに転生した人。渾沌に呻く黒蝕竜と同じ世界にいる。

・名無しの転生千刃竜
セルレギオスに転生した人。実はリオレイアの人と同じ世界にいたりする。

・名無しの転生先生
イャンクック大先生に転生した人。転生前も教師だったらしい。

・名無しの転生鎌鼬竜
オサイズチに転生した人。群れでハーレムを築いている。このあと様子見に戻ったばかりに喰われた模様。

・名無しのドス狗竜
ドスマッカオに転生した人。自分の弱さを自覚して細々と生きてるが煽ってしまってゴアさんに目を付けられることに。

・名無しの転生泥翁竜
おなじみ害悪爺オロミドロに転生した人。転生前は若々しい高校生なのだが体に精神が引っ張られてる。アオアシラとは顔なじみだったが、突如空から飛来したなにかに喰い殺されてしまった。

・名無しの転生青熊獣
アオアシラに転生した人。転生前は女ヤンキーだった。オロミドロに縄張りを荒されて目の仇にしていたが、突如空から飛来したなにかに喰い殺されてしまった。

・名無しの転生傘鳥
アケノシルムに転生した人。大社跡を縄張りにしていたが別世界だったので難を逃れた。

・名無しの転生天狗獣
ビシュテンゴに転生した人。お調子者。謎のマガイマガドの存在を知らせるも喰い殺される。

・名無しの転生雪鬼獣
ゴシャハギに転生した人。古龍ともガチンコで殴り合えるやべーやつ。しかし例のマガイマガドには勝てる気がしない模様。

・名無しの転生奇怪竜
フルフルに転生した人。ゴシャハギとは顔なじみ。

・名無しの転生豪竜
ティガレックスに転生した人。強い奴と戦う気はないのでポポばかり襲ってる。

・名無しの転生赤甲獣
ラングロトラに転生した人。弱い個体ながら転生特典で生き延びてきた。ちなみに周囲に擬態できる。

・名無しの転生殺意の波動に目覚めし金獅子
ライズのイベントクエストのラージャン、通称豪鬼ラージャンに転生した人。トビカガチを嬲り殺しにしていたが襲撃され……

・名無しの転生雷狼竜
ジンオウガに転生した人。ハンターの動きを理解しているジンオウガとして恐れられている。

・名無しの転生飛雷竜
トビカガチに転生した人。豪鬼ラージャンに嬲り殺しにされていたが襲撃に巻き込まれ…

・名無しの転生岩竜
前回とは別個体のバサルモスに転生した人。テオ・テスカトルを押し潰して勝利したことがある。別個体とはいえ己の体重を吹っ飛ばしたハンターにドン引き。

・名無しの転生角竜
ディアブロスに転生した人。他人事だと思ってるがリオレイアと同じ世界にいる。

・血塗れのマガイマガド(?)
自在に空を飛び、古龍にすら喧嘩を売り、豪鬼ラージャンすら敗北させた謎のマガイマガド。バルファルク+テオ・テスカトル+マガイマガドといってもいいバケモノ。笛使いに密接に関わっている。

次回はハンターsideに戻ります。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【急募】五十年前に里を襲ったやべーやつ【対策】

どうも、放仮ごです。まさか昨日のを投稿したすぐあとにマガマガの強化個体来るとは思わなんだ。まあ別物なのでいいですけど。今回は転生ハンターたち視点です。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・・

 

 

64:名無しの鬼殺隊

新しいスレ立てて待ってるわけだが遅いなイッチ

 

65:名無しの49人目のマスター

まあヤバい奴の話を聞いてるわけだからなあ

 

66:名無しのくだん

>>65

清姫を誤魔化す時間が容易にあったぐらいだからな

 

67:名無しのRS

いやあ、嘘つき絶対焼き殺すガールは強敵でしたね…まさか転生者だということを知っている上で受け入れてるとは

 

68:名無しの霊媒師

愛、すごいなあ。春美ちゃんに教えたら喜びそう

 

69:名無しの魔導師

清姫を泣かせたら許さんからな49人目のマスター!

 

70:名無しの49人目のマスター

いやまあファーストサーヴァントだから責任とる覚悟はあるよ

 

71:名無しのガンランス使い

なになに?何の話?

 

72:名無しの鬼殺隊

!?

 

73:名無しのRS

誰!?

 

74:名無しのくだん

え、まさか猛き炎ちゃんの相方か!?

 

75:名無しの霊媒師

まさか転生者なのか!?

 

76:名無しの魔導師

わいごつい武器娘大好き侍。告白してもよろしいか

 

77:名無しのガンランス使い

え、嫌だけど?

 

78:名無しの魔導師

……

 

79:名無しの霊媒師

>>78

えーと…ドンマイ?

 

80:名無しのくだん

いや草

 

81:名無しのギルド所属ハンター

戻って来てみたらなにしてんの?

 

82:名無しの鬼殺隊

イッチ!イッチじゃないか!

 

83:名無しの49人目のマスター

遅かったじゃないか!

 

84:名無しのRS

いや待て。ガンランス使いちゃんが転生者だったのは許容範囲だ。…つまり、狩猟笛使いは転生者じゃないと?

 

85:名無しのガンランス使い

そうだよ?ヒビキは私とマシロの幼馴染でウツシ教官に並ぶ師匠だよ

 

86:名無しの転生者

ヒビキ?マシロ?

 

87:名無しの魔導師

ちょっと纏めよう。まずガンランスちゃん君の名前から教えてくれ

 

88:名無しのくだん

>>87

ナチュラルに名前聞くんじゃないよ

 

89:名無しの鬼殺隊

聞くところによると「ヒビキ」が狩猟笛使いで「マシロ」が猛き炎かな?

 

90:名無しのギルド所属ハンター

そんな感じだな。ややこしいからもう暴露するけど俺の名前は「バレット」狩猟笛使いが「ヒビキ」で猛き炎が「マシロ」そしてガンランス使いの彼女が…

 

91:名無しのガンランス使い

ナギっていいます、よろしくー

 

92:名無しのRS

はえー、カムラの里出身は和風でそうじゃないイッチが英名ってのが実にらしいな

 

93:名無しの転生者

それで、その「ヒビキ」って奴の情報はわかったんかイッチ

 

94:名無しの49人目のマスター

いや、想像つくぞ。やべーやつは怖いし猛き炎もまあやべーやつ筆頭だしで一番大人しそうなナギちゃんに声かけたな?

 

95:名無しの転生者

いやいやまさかそんな

 

96:名無しのギルド所属ハンター

い、イザクトリー

 

97:名無しの霊媒師

いや草

 

98:名無しのくだん

名前は弾丸なんだから弾丸みたいに突き進めよ!

 

99:名無しのRS

弾丸は発射する銃とかがないとただの置物だから…

 

100:名無しのガンランス使い

というわけで聞きたいことがあったら私に聞いてね

 

101:名無しの鬼殺隊

じゃあ俺から。ヒビキとやらがバサルモス吹っ飛ばしたとき驚いてなかったみたいだが、日常茶飯事なのか?

 

102:名無しのガンランス使い

>>101

そだよ。あれは「光陰(こういん)振打(しんうち)」って技で…最後に出てきたリオレイアを一撃で撃墜したのもこれだね

 

103:名無しのくだん

ん?

 

104:名無しの霊媒師

聞き覚えの無い技だけど…まさか新技を編み出した?

 

105:名無しのギルド所属ハンター

そのまさかだ。ヒビキは元々オールラウンダーで色んな武器を扱ってたんだが、音楽奏でながら戦えるという理由で狩猟笛をメイン武器にし、他の武器を参考にした技を次々と編み出したらしい

 

106:名無しの転生者

そんなアホな

 

107:名無しの49人目のマスター

それで転生者じゃないって完全にやべーやつじゃねえか

 

108:名無しの鬼殺隊

参考までにどんな技があるか聞いても?

 

109:名無しのRS

そこまで狩猟笛を自在に操るってどんだけ鍛えたんだ…

 

110:名無しのガンランス使い

>>108

いいよー。多すぎるから代表的な奴だけね。

 

まず、演奏して衝撃を溜めてからグルグルとMCUのソーのミョルニルの様に回転させた狩猟笛を投擲して遠く離れた標的にぶつける「光陰(こういん)振打(しんうち)

 

振打を叩き込み、追加で演奏を加えて相手の体内に追加ダメージを与える「振打(しんうち)残響(ざんきょう)

 

振り下ろした狩猟笛を蹴り上げて相手の顎を打ち上げる「(めつ)昇竜笛(しょうりゅうてき)

 

操虫棍のように狩猟笛を振り回してラッシュと同時に演奏してバフをかけまくる「音撃打打打(おんげきだだだ)

 

あとはー

 

111:名無しの霊媒師

ストップ!ストーップ!

 

112:名無しのくだん

え、なに、天才?

 

113:名無しの魔導師

やろうと思えばできそうな技ばかりというのが凄い

 

114:名無しのRS

ネーミングセンスにアニメや特撮を感じる

 

115:名無しの49人目のマスター

「残響」は鬼滅のOPで、「音撃打打打」は仮面ライダー響鬼とだだだだだ!とか歌ってたなんかの曲かな?

 

116:名無しの転生者

それを行使できるフィジカルが凄い

 

117:名無しのギルド所属ハンター

いやなんでこんなアホみたいに強いハンターが有名じゃなくて俺みたいなペーペーが有名なんだろうな…

 

118:名無しの鬼殺隊

しかしそこまでの技を編み出すのは並大抵の努力ではないだろう。何か理由があるのか?

 

119:名無しの転生者

モンスターに恨みでもあるんかね

 

120:名無しのガンランス使い

>>118

もちろん理由はあるよ。「憎み血塗られしマガイマガド」と決着をつけるためなんだって

 

121:名無しの転生者

なんて?

 

122:名無しのくだん

憎み血塗られし?

 

123:名無しの霊媒師

マガイマガドってライズの看板モンスターの?

 

124:名無しの49人目のマスター

まさか、特殊個体か!?

 

125:名無しの魔導師

いやもう名前からしてうちでいうならSSS級の危険度を感じるんだけど…

 

126:名無しの鬼殺隊

原作にはいなかったから転生者の影響で生まれた個体と考えるのが妥当だろうな

 

127:名無しのギルド所属ハンター

あー、もしかして百竜夜行のあとにクソデカラージャンを咥えて登場したアイツか…?

 

128:名無しの転生者

なんて?

 

129:名無しのRS

>>127

クソデカラージャンを原作のアオアシラみたいに咥えたマガイマガドが現れたってことか?こわっ。

 

130:名無しのガンランス使い

そいつだね!ぶっちゃけよく生きてたよね!バレットが咄嗟に使った閃光玉でマガマガ怯ませて斬裂弾浴びせて、逃れた瀕死のラージャンが立ち向かってるおかげで撤退できたけど!

 

131:名無しのくだん

イッチ有能じゃねーか

 

132:名無しの霊媒師

見直した

 

133:名無しの転生者

ぶっちゃけ他人任せでおこぼれもらって昇進した糞雑魚かと…

 

134:名無しの魔導師

>>133

正直俺もそう思った

 

135:名無しのRS

実は俺も

 

136:名無しの49人目のマスター

よく動けたな

 

137:名無しの鬼殺隊

判断が早い!

 

138:名無しのギルド所属ハンター

いや俺、ハンターとしての誇りとか知らないしプライドないから…

 

139:名無しの転生者

誇りで死ぬよりはマシじゃろ

 

140:名無しのガンランス使い

いやほんとにね。アレを見てヒビキは私達を守ろうとしてろくに判断できてなかったし、マシロはまだまだ経験足りなくて棒立ちしちゃってたし、私もデカすぎるマガマガにビビっちゃったし…バレットいなかったら死んでたんじゃないかな?

 

141:名無しのくだん

文句なしに有能

 

142:名無しの49人目のマスター

さすがはギルド本部に所属してるだけはあるわ

 

143:名無しの鬼殺隊

ところでその「憎み血塗られしマガイマガド」とはどんな個体なんだ?

 

144:名無しの霊媒師

それ私も聞きたかった

 

145:名無しのRS

まあろくでもないのはわかる

 

146:名無しのガンランス使い

えっとね…怨虎竜マガイマガドが突然変異した超イレギュラー個体で、50年前の百竜夜行に乱入しカムラの里を滅ぼした張本人。

 

147:名無しの霊媒師

いやちょっと待って

 

148:名無しの転生者

ストーリーで語られていた、50年前にカムラの里を滅ぼした原因じゃねーか!?

 

149:名無しのくだん

少なくとも50年生きてる個体って…

 

150:名無しの鬼殺隊

古龍級じゃないかそれは

 

151:名無しの49人目のマスター

これでまだ話の途中というのが恐ろしいわ

 

152:名無しのガンランス使い

えっと、続けるね。フゲンさんに撃退された際に右の後ろ脚の腱に刀傷をつけられ引き摺っていて、人間を明確に敵視し憤怒を表すかの如く深紅の鬼火を纏うのが特徴だよ。50年もの歳月を生き延び、古龍も含めたモンスターや人間、特にハンターを見境なく食い殺し続けてきた…ってのがウツシ教官からの話。

 

153:名無しのギルド所属ハンター

ちなみに鬼火の色は奇しき赫耀のバルファルクの龍気と同じぐらい紅くて、それが血塗れに見える。

 

154:名無しの転生者

さらっと古龍がその他大勢に含まれていて笑えない

 

155:名無しのRS

そもそもクソデカラージャンってあれじゃん。イベントクエストに出てきた最大サイズのアレってことだろ?豪鬼をモデルにした。それを咥えて登場ってどんだけでかいの。

 

156:名無しの霊媒師

なんかの考察でマガイマガドは喰らってきた獲物の怨念も溜め込んでるって話だけどどんな規模になるの…

 

157:名無しのくだん

もうなんか淵源夫婦も喰い殺してそうだな…

 

158:名無しのガンランス使い

普段は大社跡の奥地に潜んでいて、冬か涼しい時期にしか活動しないから生態系は何とか維持できてるよ

 

159:名無しのギルド所属ハンター

さすがに本部も把握しているのか、要請したらすぐ資料を届けてくれたぞ。どうやら十年ぐらい前にG級ハンターのチームが討伐しようとしたらしい。

 

古龍も相手にして餌にしてきた実力は伊達ではなく、常に全身に鬼火を纏い放出する他、全身の装甲刃を形態変化させて鬼火の爆発に指向性を持たせて、彼のバルファルクの如く自在に空を音速で飛行、隕石の如く襲撃と同時に大爆発する戦法を取る。さらに獲物に鬼火を憑かせてマーキング、近づくことで発火させ居場所を特定する。万物等しく餌でしかなく、手出し無用とのことだ。ちなみにG級ハンターのチームはオトモ一匹を残して全滅してる。

 

160:名無しの鬼殺隊

古龍より危険じゃないかそれは

 

161:名無しの49人目のマスター

えっと……ラスボスかなにか?

 

162:名無しのRS

高難易度の奇しき赫耀のバルファルクが可愛く見えてきた…

 

163:名無しの魔導師

索敵もできて大爆発するミサイルとかどんな生物だ…

 

164:名無しの転生者

どうしてこんなのが生まれてしまったんだ!

 

165:名無しの霊媒師

当時にいたであろう転生者がいらんことしたんでしょ…

 

166:名無しのくだん

多分だけど俺TUEEEEで無双しようとした結果モンハンモンスターを舐めすぎて怒らせるだけ怒らせて死んだのをフゲンさんがなんとかしたと見た

 

167:名無しのギルド所属ハンター

>>166

今フゲンさんに話聞いて来たけどまさにそんな感じだった…

 

168:名無しのガンランス使い

フゲンさん曰く人間に手傷を負わされた恨みから人間と言う種族を憎み敵視し悪意を抱いているっぽい

 

169:名無しの魔導師

俺達転生者の不始末でモンハン世界がやばい!

 

170:名無しのRS

なんでモンハン世界で俺TUEEEできると思ったのか…

 

171:名無しの霊媒師

それが人前に出て来たって不味くない?

 

172:名無しの鬼殺隊

空から来るんだろ?カムラの里、不味くないか?

 

173:名無しのガンランス使い

そこは大丈夫、フゲンさんが怖いのかカムラの里には来なくて大社跡を縄張りにしてる。年老いても滅茶苦茶強いお爺ちゃんだからねえ

 

174:名無しの転生者

マップ兵器お爺ちゃんだからな…

 

175:名無しのギルド所属ハンター

来ないうちに猛き炎ことマシロを強くして行って、俺とナギの転生者を含めたチームで行くしかないかね…ギルドからは可能ならば討伐しろって指示来たし

 

176:名無しの魔導師

>>174

えっと…ドンマイ?

 

177:名無しのくだん

いや手出し無用じゃなかったんか

 

178:名無しの転生者

ギルドとしても人間もモンスターも滅ぼす様な超危険な存在はどうにかしたいんじゃろ

 

179:名無しの49人目のマスター

カムラの里に来ないだけでユクモ村とか他に行かない根拠はないからな

 

180:名無しの霊媒師

ところで気になったんだけど……なんでヒビキって人はそんなのと因縁が?

 

181:名無しの鬼殺隊

それは気になっていた

 

182:名無しのガンランス使い

12年前の5歳の頃から笛狂いだったんだけど、ハモンさんから「禍ツ琵琶ノ幽鬼ウラザ」なる構想中の至高の狩猟笛の存在を知って、その素材となる怨虎竜マガイマガドが前回の百竜夜行以降姿を現さないことを知らずに落し物で材料を集めようと里のハンターの狩猟にこっそりついて行き迷子となって、大社跡の奥地で憎み血塗られしマガイマガと遭遇しちゃって、大爆発を受けて瀕死の重傷を負った過去があるんだって

 

183:名無しのくだん

俺なんかよりバケモノで草

 

184:名無しの転生者

というかアホというか脳筋で草

 

185:名無しのガンランス使い

狩猟笛を「演奏しながら戦えて楽しいから」という理由でこよなく愛していて、どれぐらい愛してるかというと新しい笛のためなら古龍だろうが突っ込むほど。愛用の武器は自作した「禍ツ琵琶【封】Ⅰ」ちなみにHRは5だよ

 

186:名無しの49人目のマスター

うーん、HR5で古龍に突っ込むのはまごう事なきバカぁ。

 

187:名無しの鬼殺隊

それで生きてるんだからすごいな

 

188:名無しの転生者

やっぱりやべーやつじゃん

 

189:名無しの霊媒師

死ななきゃ勝ちが座右の銘なんだろうなあ

 

190:ガンランス使い

ところで次狙われたら多分閃光玉も効かないしなにか対策ないかな?

 

191:名無しのRS

ヘビィボウガンで遠距離から狙撃?

 

192:名無しの魔導師

百竜夜行の砦まで誘き寄せて一斉攻撃

 

193:名無しの転生者

ギルド本部から一番強いG級のチームを派遣してもらう

 

194:名無しの49人目のマスター

>>192

それ、被害がとんでもないことになるぞ

 

195:名無しの鬼殺隊

真っ向勝負!

 

196:名無しのくだん

>>193

多分転生者とかもいるだろうから一番希望があるな

 

197:名無しのRS

>>195

あんたさては馬鹿だな?

 

198:名無しのガンランス使い

というわけだけどバレット、本部に要請できる?

 

199:名無しのギルド所属ハンター

そもそもこんなやばいやつがいるところに俺だけが派遣された時点でお察し

 

200:名無しのトレーナー

現実のギルド本部とかろくでもなさそう

 

 

 

・・・・・・・・・

 




実は転生者だったガンランスちゃんことナギ。こういう小説で名前明かすのはなんか違う感あるけどしょうがないね。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【やべーやつらと逝く】一狩りいこうぜ!【丸呑み力士】

どうも、放仮ごです。サンブレイク発売しましたね!当分は動画で楽しもうと思ってます。今回は主人公四人組の初狩り、大暴れ。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

というわけで憎み血塗られしマガマガ対策のために四人パーティを作ったわけですが

 

2:名無しのガンランス使い

やんややんや

 

3:名無しのゼクトルーパー

やんややんや

 

4:名無しの日向家次女

やんややんや

 

5:名無しの帝丹小学校6年生

やんややんや

 

6:名無しのドンキンタロウ

やんややんや

 

7:名無しの鬼殺隊

……コテハン勢増えたな

 

8:名無しの49人目のマスター

イッチの意向で愚痴言い合える場所になったからしゃあない

 

9:名無しのRS

いやあ、ドンキンタロウがドンモモタロウに俺はオトモじゃねえ!ゴールデンだ!と切り出すところは最高でしたね

 

10:名無しのくだん

20年以上帝丹小学校6年生やってる人はよく死ななかったな

 

11:名無しの霊媒師

ゼクトルーパーの人は強く生きて…

 

12:名無しのギルド所属ハンター>>1

話を戻すぞー

 

13:名無しの魔導師

宇宙人のトラブルに巻き込まれてばかりでついにはパワードスーツ着る羽目に次女ちゃんはいいぞもっとやれ

 

14:名無しの鬼殺隊

>>12

また脱線してたな。話を戻してくれイッチ

 

15:名無しのギルド所属ハンター>>1

とりあえずチーム組んでそれぞれができることを確認している訳だが……今回は生放送モード?を使おうと思う。ほい。

 

16:名無しのくだん

おお!…ええ?

 

17:名無しの霊媒師

なにこれ

 

18:名無しの49人目のマスター

マガマガ笛を持つカムラ装備の筋肉ダルマ→わかる

 

大剣担いで腰に太刀を備えているカムラ装備の白髪ポニテの女の子→わからない

 

ガンランスとランスを両手に持って盾が見当たらない黒髪ツインテの女の子→わからない

 

19:名無しの鬼殺隊

やべーやつは常識人だった…?

 

20:名無しの魔導師

ごつい装備を身に着けた華奢な女子……イイ…

 

21:名無しのRS

いや待てイッチ。お前、その両手に握ってるのなんだ?

 

22:名無しの転生者

使い方以外はまともなやべーやつ

 

23:名無しのギルド所属ハンター>>1

え?えーと…王牙弩【野雷】とネコ獣砲ニャノンだけど…

 

24:名無しの49人目のマスター

>>23

アイルー大砲の強化版じゃねえか!

 

25:名無しのくだん

斬裂弾死ぬほど連射マンと拡散弾をまっすぐ叩き込むマンじゃねえか!

 

26:名無しのRS

>>24

>>25

そこじゃねえ。なんで二つ持ちなんだ

 

27:名無しの鬼殺隊

女子勢が二つ持ちだったせいでまともに見えた…

 

28:名無しの魔導師

反動えげつなさそうなのを二丁持ちて…

 

29:名無しの日向家次女

しかも何気にどっちも最高強化ですね…

 

30:名無しのゼクトルーパー

うちのマシンガンみたいに持てるタイプならまだわかるけど…

 

31:名無しの帝丹小学校6年生

イッチ自分はまともだとか言ってなかった?

 

32:名無しのギルド所属ハンター>>1

いやだって、別に武器一つだけ持ち込むなんてルールないし……?

 

33:名無しの転生者

あ、駄目だこいつモンハン世界に生まれたせいで常識が麻痺しとる

 

34:名無しのドンキンタロウ

一つでも大変な武器を二つ持つなんて、ゴールデンだな!

 

35:名無しの鬼殺隊

ゴールデンとは…?

 

36:名無しの魔導師

なんかすごいの意

 

37:名無しの霊媒師

ちなみにイッチ、装備を聞いても?

 

38:名無しの日向家次女

ギロロかなってぐらいの重装備

 

39:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>37

上からプケプケSヘルム、レウスSメイル、プケプケSアーム、プケプケSコイル、プケプケSグリーヴで、もちろん全部鎧玉で最大まで強化してる。

 

40:名無しの49人目のマスター

ガチだコイツ!

 

41:名無しの帝丹小学校6年生

わかる、わかるよ…死なないために全力尽くすよね…

 

42:名無しの鬼殺隊

ちなみにランクを聞いても

 

43:名無しのガンランス使い

バレットはHR56だよー。ちなみに私とマシロはHR2、ヒビキはHR5だよ。そろそろはーじめーるよー

 

44:名無しのドンキンタロウ

イッチだけダントツじゃないか

 

45:名無しのギルド所属ハンター>>1

これでもギルド本部所属だからな…えーと、今回はヨツミワドウだったか?俺は実際に戦うのは初めてだな

 

46:名無しのRS

もうなんかフルボッコの予感

 

47:名無しのくだん

どう戦うのが想像つかねえ…

 

48:名無しの魔導師

ナギちゃんのはまあわかるな。盾の代わりにランスを握った二刀流だ

 

49:名無しの霊媒師

マシロちゃんのはよくわかんないな。まさか大剣と太刀を同時に振るったりしないよね?

 

50:名無しの帝丹小学校6年生

そんな馬鹿力じゃ……いや、猛き炎だしなんでもありかも…

 

51:名無しの転生者

絶対ヒビキってやつの影響だぞ

 

52:名無しの49人目のマスター

>>51

間違いないな

 

53:名無しのガンランス使い

ついたよー、大社跡。特に異常はないしフクズクによればヨツミワドウとオサイズチとアオアシラがいるみたい?

 

54:名無しのギルド所属ハンター>>1

始めて来たが…ヒビキが妙に警戒してるのは奴がいるかもだからか?

 

55:名無しのくだん

奴というと…血塗れマガマガか

 

56:名無しの鬼殺隊

ギルド本部が手配したG級のチームが壊滅したというやつか

 

57:名無しの日向家次女

とか言ってる傍から滝の傍に見つけたね

 

58:名無しの49人目のマスター

フクズク便利だな……カムラの里の技術力を他の国が欲しがるわけだ

 

59:名無しのRS

多分鍛冶技術とかが目的でフクズクは関係ないと思うぞ

 

60:名無しの霊媒師

ふぁっ!?

 

61:名無しの魔導師

マシロが大剣をぶん投げたあ!?

 

62:名無しのくだん

逃げようとしたヨツミワドウの行く先を遮って草

 

63:名無しの転生者

めちゃくちゃはええ。さすが主人公

 

64:名無しの鬼殺隊

全集中の呼吸を使ってると言われても信じる速さだ

 

65:名無しのギルド所属ハンター>>1

速すぎて鬼人弾撃ち込めないんだが…

 

66:名無しのガンランス使い

ありがとー!いっくよー!

 

67:名無しの日向家次女

なんか空を飛んで行ったかと思えばその勢いでヨツミワドウのお腹にランス突き刺したんだけど…

 

68:名無しのくだん

もうほとんど致命傷じゃないか

 

69:名無しの49人目のマスター

ガンランスの機動力にランス持たせたらそりゃ強いよね…

 

70:名無しの霊媒師

いや、突き刺したまま踏ん張って投げ飛ばした!

 

71:名無しの帝丹小学校6年生

吹き飛ばされても普通に翔虫で体勢立て直すのね…

 

72:名無しのゼクトルーパー

あ、やべーやつがいった

 

73:名無しの鬼殺隊

笛を操虫棍の様に使って跳躍して頭頂部に笛を叩き付けてその反動で浮かび上がって大剣の様に溜めて叩き込んで…どんな動きだ

 

74:名無しのギルド所属ハンター>>1

俺なんかよりよっぽど強いよあれ

 

75:名無しのRS

とか言いながら拡散弾を叩き込み続けるぐう畜生

 

76:名無しのドンキンタロウ

マシロが大剣と太刀を両手に持って振り回し始めたんだが…

 

77:名無しのくだん

なんで片手でどっちも振り回せるんだこの子…

 

78:名無しのガンランス使い

馬鹿力すぎて片方だけ使うと逆にすっぽ抜けちゃうからだね

 

79:名無しの魔導師

いや草

 

80:名無しの49人目のマスター

太刀を鞘に納めて大剣を引き摺りながら突進して正面に立つと大きく振り上げて、それを白刃取りで受け止めるヨツミワドウ

 

81:名無しの転生者

持ち上げられたら鯱みたいに体勢を変えて一回転して背後から大剣を叩きつけて…?

 

82:名無しの日向家次女

太刀を抜いて大剣で地面を叩いて空中で何度も回転して斬撃を叩き込み始めた…

 

83:名無しの鬼殺隊

鬼でも殺せるコンボだぞこれ。耐えてるヨツミワドウもやばい

 

84:名無しのガンランス使い

その名もマシロの必殺技「金剛大車輪斬り」

 

85:名無しのギルド所属ハンター>>1

俺、いらなくね?

 

86:名無しのくだん

マシロだけでなくヒビキも嵐の様な凄まじい乱打を叩き込んでるしな

 

87:名無しの帝丹小学校六年生

なんならナギも刺して抉ったところに弾丸撃ち込んでてえぐいんだ…

 

88:名無しのRS

容赦がないがこれぐらいしないと生き残れないのか

 

89:名無しの転生者

モンハン世界ほど過酷な世界を俺は知らない

 

90:名無しのギルド所属ハンター>>1

あ、終わった。拡散弾撃ち込むだけで終わったな

 

91:名無しの霊媒師

いやいやそれでヨツミワドウ何かしようとしてもできなかったじゃん…

 

92:名無しの魔導師

状況判断と援護射撃が上手すぎる

 

93:名無しのドンキンタロウ

前衛が強い前提もあるけどこれはいい後衛だな

 

94:名無しの鬼殺隊

うむ!彼の様な人間が後衛にいると頼もしい!

 

95:名無しの49人目のマスター

参考になるけどサーヴァント以上の動きをしているように見えたのは気のせいかな…?

 

96:名無しの日向家次女

>>95

多分気のせいじゃないと思う…

 

97:名無しのガンランス使い

戦いやすかったよ、バレットありがとー!

 

98:名無しのくだん

ん?なんか視界の端に紅いのが見えた様な…

 

99:名無しのゼクトルーパー

>>98

え?もしかして血塗れマガマガ…?そんなまさか。今のド派手な戦闘に惹かれて…?

 

100:名無しのギルド所属ハンター>>1

そのまさかだな。逃げるんだよォ!

 

 




・名無しのゼクトルーパー
仮面ライダーカブトの世界に転生して特に何事もなくゼクトルーパーとして生きてる男。転生特典は全てのゼクター適正。

・名無しの日向家次女
ケロロ軍曹の世界に日向夏美、日向冬樹の妹として転生した少女。ガルル中尉とウマが合う。転生特典は「鬼姫」のパワードスーツ。

・名無しの帝丹小学校6年生
名探偵コナンに世界に転生したはいいが20年以上も同じ一年を繰り返して辟易としている小学生の少女。転生特典は前世のスマホ。

・名無しのドンキンタロウ
暴太郎戦隊ドンブラザーズの世界に転生した男。転生特典はドンモモタロウのオトモではない戦士ドンキンタロウへの変身能力。

・ヨツミワドウ
今回の被害者。ランスに貫かれるという致命傷を負うものの奮闘した。転生者ではない。

・主人公組

バレット:王牙弩【野雷】とネコ獣砲ニャノン二つ持ち

ヒビキ:わけのわからない使い方の狩猟笛

マシロ:太刀と大剣の変則二刀流

ナギ:盾無しランスとガンランス二刀流

結論。まともなのがいない。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【急募】血塗れマガマガから逃げる方法【助けて】

どうも、放仮ごです。「取扱説明書」に掲示板関連のものがあると聞いて見てみたけどよくわからない件。今回は前回の続きからだったのでできれば次回から試してみようかなと思います。

憎み血塗られしマガイマガド襲来。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

101:名無しの霊媒師

あれ、タイトルが…?

 

102:名無しのゼクトルーパー

悠長にスレタイトル変えてる場合かあ!?

 

103:名無しのギルド所属ハンター>>1

真面目にマガマガから逃げる方法急募だからだよ!?

 

104:名無しのドンキンタロウ

あれがマガイマガドだってのか…大きすぎないか?

 

105:名無しの鬼殺隊

なんと禍々しい炎だ。しかも、速い

 

106:名無しのガンランス使い

やっぱりヒビキが狙いかな!?ラージャン食べて満足したと思ってたけどそんなわけないよね!

 

107:名無しのRS

話を聞く限り満足するわけないだろうが何も策なしか!?

 

108:名無しのギルド所属ハンター>>1

ヒビキが立ち止まって迎え撃つ気満々でさらにマシロがそれに付き合うつもりみたいなんだがどうすればいい!?

 

109:名無しの帝丹小学校6年生

私だったら2人を見捨てて逃げるけど…

 

110:名無しの日向家次女

見過ごせない!徹底抗戦!

 

111:名無しの49人目のマスター

そうだ、こうなったら安価だ!

 

112:名無しのくだん

安価だと!(よく言った!)

 

113:名無しの魔導師

こんなときになにを!(この時を待っていた!)

 

114:名無しのゼクトルーパー

安価しようぜ!(真面目に考えよう!)

 

115:名無しの転生者

ついにこのスレでも安価が!

 

116:名無しのRS

>>114

いや逆ゥ!

 

117:名無しの鬼殺隊

安価は絶対とは言うが…こいつ相手は不味くないか?

 

118:名無しのドンキンタロウ

いや逆になんとかなるかもしれない

 

119:名無しのギルド所属ハンター>>1

もうなんでもいいから!

なんとかしてくれ!

>>132

 

120:名無しの霊媒師

ちょっと早すぎる気がしないでもないけど

 

121:名無しのガンランス使い

もっと早くてもいいんだけどね!?

待って待ってヒビキ!?マシロ!?

 

122:名無しの日向家次女

安価なんて駄目だよ!下手したら死んじゃうよ!?

 

123:名無しの魔導師

次女ちゃんは転生者にしては優しいなあ

 

124:名無しの転生者

>>123

まあ滅多に見ない完全な善人だよね。環境がいいと見た

 

125:名無しのゼクトルーパー

ヒビキ一人置いて逃げてフゲンさん連れてくる!

 

126:名無しの帝丹小学校6年生

三十六計逃げるにしかず!

 

127:名無しのくだん

イッチがいいタイミングで閃光玉使って隠れる

 

128:名無しの49人目のマスター

なんか奇跡が起こしてマガマガが死ぬ

 

129:名無しのドンキンタロウ

落ちてきたところにマシロが大剣を叩き込む

 

130:名無しの転生者

潔く諦めて殺される

 

132:名無しの鬼殺隊

他のモンスターの所まで誘導して気を取られたところを逃走する

 

133:名無しの日向家次女

徹底抗戦!

 

134:名無しの魔導師

ナギちゃんだけ死ぬ気で守れ!

 

135:名無しのRS

着地場所にシビレ罠と落とし穴をありったけ仕掛ける

 

136:名無しの霊媒師

神様に祈る

 

137:名無しのガンランス使い

なかなかまともなのが来たんじゃないかな?

ストップ!マシロ!ストーップ!ヒビキ!

 

138:名無しの帝丹小学校6年生

逃げた方がいいと思うけどなあ…

 

139:名無しの鬼殺隊

なんとかぴったり当てられたぞ!

 

140:名無しの49人目のマスター

さすが鬼殺ニキ!俺なんて運任せだしなあ

 

141:名無しの魔導師

とか言ってる傍から、来たぞ!

 

142:名無しのくだん

いや、でけえ!

 

143:名無しの霊媒師

どう見積もっても2700ぐらいあるんだけど…でかすぎない?

 

144:名無しのゼクトルーパ―

わい、モンハンマニア。参考までにマガマガの最大サイズは2276.11。でかいね

 

145:名無しの日向家次女

でかーい!説明不要!

 

146:名無しのRS

もう怪獣と言ってもさしつかえないな

 

147:名無しのギルド所属ハンター>>1

とりあえず俺とマシロとヒビキで時間を稼ぐ!

ナギはオサイズチかアオアシラのところまで行って躁竜してきてくれ!

 

148:名無しのドンキンタロウ

まあ音速で飛び回る奴を誘導は無理だものな…

 

149:名無しのガンランス使い

了解!任せて!マシロとヒビキをお願いね!バレット!

 

150:名無しの鬼殺隊

しかし脳内掲示板で意思疎通できるの便利だな。鬼殺隊にも欲しいぐらいだ

 

151:名無しの転生者

おーおー、着地した血塗れマガマガに間髪一番に拡散弾叩き込んで意識を向けてる…

 

152:名無しのくだん

>>150

あー…電話もそんな普及されてないから鎹鴉でしか通達できないんだっけ。そりゃ欲しいわな

 

153:名無しの霊媒師

>>150

捜せば転生者いるかもですよ?

 

154:名無しのRS

ふぁっ!?

 

155:名無しの魔導師

は、速すぎるぞ!?

 

156:名無しの49人目のマスター

血塗れマガマガがとんでもない速さで槍尻尾を何度も刺突してきたかと思えば「音撃打打打」と思われる技でヒビキが迎え撃ってる…!?

 

157:名無しのドンキンタロウ

互角に見えるが速さが負けてるな。致命傷になってないだけだ

 

158:名無しの日向家次女

あっ、その隙にマシロが二刀流の居合斬り?を叩き込んだ?!

 

159:名無しのゼクトルーパ―

恐らく太刀の鉄蟲糸技のひとつ、桜花鉄蟲気刃斬だな。二刀流でそれやるのやばすぎるが

 

160:名無しのくだん

>>159

あー、あの飛翔蹴りと兜割りが優秀すぎて使われないやつ

 

161:名無しの帝丹小学校6年生

さらにハンティングエッジ…だっけ?を叩き込んでるマシロ果敢すぎる…

 

162:名無しの転生者

あー、普通に弾かれた。切れ味が足りないとかいう問題じゃなさそう

 

163:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>160

ちなみにだが、ゲームじゃない現実だと別に制限とかないぞ。しかし拡散弾が最初の一発以外全弾避けられるんだが…

 

164:名無しの鬼殺隊

危険だと判断した攻撃は2度目は通用しないということか、厄介だな

 

165:名無しの霊媒師

マシロさんの桜花なんとかもハンティングエッジ?もまるで効いてないように見えるね…

 

166:名無しの49人目のマスター

というかイッチの攻撃を避けながらマシロの攻撃を弾いてさらにヒビキと打ち合ってる血塗れマガマガやばない?

 

167:名無しの魔導師

なんか紅く光りだして、ヒビキが警告の声上げて全員大袈裟と言うぐらいに離れて…?

 

168:名無しの日向家次女

 

 

169:名無しの転生者

 

 

170:名無しのRS

 

 

171:名無しのゼクトルーパ―

…エリア一つ分ぐらい覆う大爆発…だと…

 

172:名無しの鬼殺隊

しかも滝から流れていた水が爆発起きた範囲が干上がってるぞ…

 

173:名無しの帝丹小学校6年生

しかも特に気にせずヒビキたちを捜してる…ヒエッ、目が合った。こわっ

 

174:名無しの49人目のマスター

イッチの目の前まで炎が広がっていたけど無事か!?

 

175:名無しのガンランス使い

こっちはようやくアオアシラ見つけて躁竜したところだけど爆発音ここまで聞こえて来たんだけど!?大丈夫なのバレット!?

 

176:名無しのくだん

あっ、イッチの視点の「ゲーム画面」によればアオアシラいたのは一番北の渓流か…そこまで響いたのね

 

177:名無しのギルド所属ハンター>>1

マシロが草むらの中にひっくり返って気絶してる以外は無事だ!回復弾撃って起こすけどできるだけ早く頼む!

 

178:名無しの霊媒師

……イッチ、モンスターの居場所もわかるならイッチがそっち担当すればよかったんじゃ…?

 

179:名無しのドンキンタロウ

気絶も治せる回復弾便利だな

 

180:名無しの鬼殺隊

>>178

ハッ!?

 

181:名無しのゼクトルーパ―

>>178

ハッ!?

 

182:名無しのガンランス使い

>>178

たしかに!?

 

183:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>178

メンバーの回復担当だから離れられなかったから…(震え声)

 

184:名無しの帝丹小学校6年生

あれ、ヒビキのマガマガ笛って継続回復なかったっけ…

 

185:名無しの日向家次女

>>184

それは黙っておくのが優しさなんじゃないかな…?

 

186:名無しのガンランス使い

とにかく!連れて来たよアオアシラ!

「おーまーたーせー!どーん!」

 

187:名無しの魔導師

滝の上から飛び降りて血塗れマガマガに組み付いたー!?

 

188:名無しの転生者

そのままナギだけ飛び降りて逃げたー!?

 

189:名無しの鬼殺隊

今だイッチ!撤退だ!

 

190:名無しのくだん

気のせいかな……アオアシラが泣き叫びながらやけくそになって噛み付いているように見える…

 

191:名無しの霊媒師

いや、まあ…遥かに格上に喧嘩売ることになったわけだし…?

 

192:名無しのギルド所属ハンター>>1

よし、マシロは起こした!ヒビキも逃げることに賛成の様だ!

 

193:名無しのガンランス使い

キャンプまで全力で逃げろー!

 

194:名無しのドンキンタロウ

キンタロウとして冥福を祈る…アオアシラ……

 

195:名無しのゼクトルーパー

イッチたちの命を救ってくれたアオアシラに合掌!

 

196:名無しの49人目のマスター

合掌!

 

197:名無しの鬼殺隊

合掌

 

198:名無しの転生者

いやー、あれどうすんの

 

199:名無しのギルド所属ハンター>>1

とりあえず真面目に本部に問い合わせてみる

 

200:名無しのRS

あっ、アオアシラの断末魔が…




実はモンハンマニアだった名無しのゼクトルーパーさん。今回のアオアシラは転生者じゃありません。一応コテハン組は名前まで決めてるけどいつか出す機会あるのかどうか。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【周知の事実】お前ら人間じゃねえ!【オマエモナー】

どうも、放仮ごです。今回は小説パート入ります。いつもに比べたら短いですけど楽しんでいただければ幸いです。


 主流な街から遠く離れた場所にあるカムラの里。百竜夜行と呼ばれる災禍に見舞われながらも力を合わせて乗り越えてきた焔燃える山紫水明の里。平和な一時に喧騒にまぎれて聞こえてきたのは、美しい旋律。

 

 俺はその旋律が聞こえてくる場所に尋ね人がいると確信し、オトモ斡旋人でありカムラの里のオトモ雇用窓口であるイオリから雇用したガルク…ダンガンにオトモアイルーであるタマと共に搭乗し、カムラの里が一望できる裏山の広場までやってきた。前世のゲームでは存在しないエリアだが、マシロやナギによると尋ね人のお気に入りの場所だと聞いた覚えがあった。

 

 

「…ここにいたか、ヒビキ」

 

「ん?どうしたんだこんなところまで。バレット」

 

 

 そこにいたのは愛用の武器「禍ツ琵琶【封】Ⅰ」の弦を張り直している、紫がかった黒髪を短く纏めている、頬に火傷の跡がある整った顔の170㎝ぐらいの少年。このカムラの里で最もツワモノだと評判のハンター、ヒビキ。転生者の俺でさえ度肝を抜く、型にはまらない邪道とも言える戦い方を得意とする猛者である。

 

 

「ギルド本部と里長のフゲンさん、ギルドマネージャーのゴコクさんからの意向を伝えにな。お前、それをそんなに弄って大丈夫なのか?」

 

「俺はハモンさんの弟子だし加工屋のライセンスも持っている。そもそも自作だしな」

 

「あー、そんなこと言ってたな…」

 

 

 掲示板でそんなことを話した覚えがあるが、ハンターで加工屋のライセンス持ってるの珍しすぎて忘れてた。

 

 

「そういやフゲンさんから聞いたぞ。一度太刀を託そうとしたけど断ったんだってな。あれは次の里長の証だろう?そんなものを断るなんてすごいな」

 

「ああ、笛にしか興味がないから全力で辞退した。そもそも俺は里長の器じゃない。「死ななきゃ勝ち」が座右の銘の、生き汚く罠や環境生物などどんな手を使ってでも勝利をもぎとる、ハンターの誇りも無い卑怯上等の外道だ」

 

「そんなことないだろう。生きるのは大事なことだし、おかげで俺達は血塗れマガマガ…憎み血塗られしマガイマガドから生還できた。百竜夜行では奇策計略で活躍する軍師だと聞いてるし、それにお前、マシロとナギを守るためなら躊躇なく死地に飛び込むだろ。本当は怖いのに憎み血塗られしマガイマガドに挑んだのがその証拠だ」

 

「…俺がアイツを怖がってるってよくわかったな」

 

「幼少期に襲われて以来付け狙われてるのは聞いていたし…なにより、あの大技の予兆を感じ取るのは怖がってないとわからないさ。ちょっとだけやつを舐めてた俺が生き残れたのはお前のおかげだ、ありがとう」

 

「いや、俺が巻き込んだんだ。悪かった」

 

 

 そう言って右頬の火傷の跡を撫でるヒビキ。そういえばそれどころじゃなかったが、火傷の跡が燃えていた気がする。百竜夜行でもリオレイアにとどめを刺す際に燃えていた気がする。

 

 

「俺には全身に奴の鬼火(マーキング)を喰らった証の火傷の跡がある。奴が近づくたびに発火するが熱さは感じないが、その気配をアイツは察知する。子供の頃は見逃されたが、今の俺は食べごろなんだろう。俺がいるとまたアイツに出くわす可能性が高い」

 

「それで?」

 

 

 まあ、既に聞いていた情報だ。10数年前討伐しようとしたG級のチームの生き残りのアイルーが持ち帰った情報は正しかったわけだ。あの爆発を浴びてもし生き残ってもマーキングされて場所が察知されると。近すぎると逆に居場所がわからないことはあの時の戦いで分かったぐらいか。

 

 

「…ギルド本部所属なんて言うエリートがマシロとナギみたいな初心者とチームを組んでくれたことには感謝してる。でも俺は……」

 

「マシロもナギもヒビキのことが好きだからチームをやめるのは諦めろ。それに俺もお前を逃がすつもりはない」

 

「なんでだ」

 

「お前と一緒にいれば死なない確信があるからさ。俺だって死にたくないしな」

 

 

 負ける気がしねえ!というやつだ。これでも経験は豊富なので、頼れるハンター、すぐ死ぬハンター、たくさん見てきた。ちなみに転生者らしいチート持ちだと油断してすぐ死ぬ。ヒビキは間違いなく頼れるハンターだ。というかHR5なのに教官みたいなこともしてる時点で経験が豊富過ぎる。絶対初期エリアの大社跡にそう簡単に行けないのがHRあげられない理由だろこれ…。

 

 

「…そうか。なら責任重大だな。三人も守らないといけないのか」

 

「おいおい。ランクは俺の方が上だぞ?背中は任せてくれ」

 

「これから任せるよ、バレット」

 

「任された」

 

 

 自然と笑いあう。ちょっとは信頼関係できたかな。本題に入るとしよう。

 

 

「それはそうと、報告だ。ギルドからG級チームが二組派遣されることになった。奴の餌になる百竜夜行を俺達カムラの里で抑えている間に憎み血塗られしマガイマガドを大社跡に誘き寄せて、G級チーム二組が叩く、という流れだ」

 

「なるほどな。囮は俺か?」

 

「いや、もっと適任がある。天狗獣ビシュテンゴの腹袋だ」

 

「ビシュテンゴって「山林の荒法師」や「慢心の権化」って呼ばれてる縄張り意識の高い奴か?」

 

「ああ、そいつだ」

 

 

 天狗獣ビシュテンゴ。前世のゲームではまあまあ厄介な、柿を投げつけ素早い動きでハンターを翻弄するモンスターだ。里クエストの緊急クエストで戦うことになるが今回のがそれだろう。

 

 

「ハモンさんの依頼で、憎み血塗られしマガイマガドを誘き寄せるカラクリのために必要らしい。なんでもビシュテンゴの腹袋は収納している食物を急速に熟成させる性質があって、この性質を利用して発酵させた食材の強い匂いを漂わせて誘き寄せるとか」

 

 

 あまりに急速に熟成するためか非常にクセが強いもので大概は人間の口に合わなくないらしいが。そんなものでもモンスターを誘き寄せるのに最適らしい。そんなことを思ってると、調整を終えたらしい「禍ツ琵琶【封】Ⅰ」を背中に背負って立ち上がるヒビキ。

 

 

「なるほどわかった。ビシュテンゴを狩猟すればいいわけだ」

 

「その狩猟を俺達のチームに任せたいんだとさ。マシロとナギにはこれから伝えに行く。一緒に来るか?」

 

「もちろんだ。ビワマル、エレキマル。行くぞ」

 

 

 己のオトモアイルーとガルクに声をかけてエレキマルなるガルクの背に乗り裏山の岩肌を駆け降りて行くヒビキ。その雄姿は前世の偉人、源義経の「(ひよどり)越えの逆落とし」を彷彿とさせた。俺は普通に山道を通ってカムラの里に向かう。いや怖すぎるわ。なんであんな涼しい顔でできるんだ。あとからナギに聞いたらナギもマシロもできるらしい。カムラの里の人間頭おかしい。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

64:名無しのギルド所属ハンター>>1

やべーやつと話したけどそんな怖い奴じゃなかった!

 

65:名無しのRS

それはそうだろうよ

 

66:名無しの鬼殺隊

むしろまだ狂人かなにかだと思ってたのか?

 

67:名無しのドンキンタロウ

血塗れマガマガとの戦いを見る限りゴールデンな魂の持ち主だぜ!

 

68:名無しのガンランス使い

ふつーにいい奴だよ。発想が頭おかしいだけで

 

69:名無しのギルド所属ハンター>>1

いや、お前らカムラ人が涼しい顔で「鵯越えの逆落とし」できるのちゃんと聞いたからな?

 

70:名無しの帝丹小学校6年生

 

71:名無しの転生者

カムラの里の人間、多分シリーズでもぶっちぎりの戦闘民族だからなあ

 

72:名無しの49人目のマスター

イッチも人のこと言えないと思う

 

73:名無しの霊媒師

それなー

 

74:名無しのゼクトルーパ―

普通の人間はライトボウガンとヘビィボウガンを二丁同時に持ったりしない

 

75:名無しの魔導師

これから来ると言うG級がこれでゲーム準拠の普通だったら笑うぞ

 

76:名無しの日向家次女

古龍と張り合える人達は普通じゃないと思う…

 

 

・・・・・・・・




牛若丸こと源義経は転生者だった説、あると思います!

次回の被害者:ビシュテンゴくん。関係ないけどライズの初見の際にこいつを狩る理由聞かされた時「ほえー」と納得して感心してました。

バレットのオトモのダンガンとタマはそれぞれ「弾丸」と「弾」で、ヒビキのオトモのビワマルとエレキマルは「琵琶」と「エレキギター」からきてます。

できればG級チーム二組は次回出したいところ。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【G級襲来】顔合わせだよ全員集合【癖が強い】

どうも、放仮ごです。ギリギリ投稿出来ました。前回から「設定集がいるかどうか」というアンケートを行っているので是非ご参加ください。

今回はG級チーム到着。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター>>1

そんなわけでG級チーム二組がカムラの里にやってくる日がやって参りました。チームノットアポリアとチームバトルクライの皆さんです

 

2:名無しのガンランス使い

というかもういらっしゃって仲良くヨモギちゃんの団子食べてます

 

3:名無しの転生者

最初から生放送モードしてもらってるわけだけど、歴戦感がすごい

 

4:名無しの鬼殺隊

老齢のハンターもいるな…リーダーか?

 

5:名無しのギルド所属ハンター>>1

いや、残念ながらリーダーではないらしい

 

6:名無しのくだん

>>5

ならあの団子20本ぐらい食べてる筋骨隆々の大男かな?

 

7:名無しのドンキンタロウ

「行き詰まりじゃない」っていい名前だな

 

8:名無しのガンランス使い

もう一人はあのクールな太刀使いのお姉さんだよ

 

9:名無しの49人目のマスター

なんかイアソン感あるイケメンがいる…

 

10:名無しの日向家次女

猫みたいな子もいるね。G級には見えないから驚き

 

11:名無しのRS

…なんか場違いなメイドもいるけど気のせいか?多分レイア装備を塗装した奴だと思うが

 

12:名無しの魔導師

スラアク装備した姉御っぽい人もいるな。何故…何故少女じゃないんだ…

 

13:名無しのゼクトルーパー

筋骨隆々の男、サングラスでスキンヘッドでまるでシュワちゃん+マクレーン刑事だな

 

14:名無しの霊媒師

お爺ちゃんほがらかに笑っていてただのお爺さんにしか見えないなあ

 

15:名無しの帝丹小学校6年生

>>13

あいるびーばっくしそう

 

16:名無しの鬼殺隊

気のせいか煉獄によく似てる雰囲気の少年もいるな…熱血と見た

 

17:名無しのギルド所属ハンター>>1

とりあえず話を聞いてみたらこんな感じだった

 

チームノットアポリア

・ミクマリ:リーダー。無口な黒髪ロングの美少女。太刀使い。

・エルヴァス:ナルシストな金髪イケメン。チャージアックス使い

・マキアナ:冷静沈着な受付嬢(メイド)。ヘビィボウガン使い。

・キョウジ:熱血な若手の少年。大剣使い。

 

チームバトルクライ

・アンテム:リーダー。ハg…スキンヘッドでサングラスをかけた色黒の男性。ハンマー使い。

・ケイマ:常に余裕に満ちた翁。弓使い。

・エスラ:猫みたいな髪型?の赤髪の小柄な少女。双剣使い。

・レエム:飄々とした姉御。スラッシュアックス使い。竜人族。

 

 

18:名無しの49人目のマスター

……今思えばノットアポリアってなんか、前世を思い出すネーミングだな

 

19:名無しの転生者

それ言うならバトルクライもたしか「ときの声、スローガン」という意味だよな

 

20:名無しのくだん

もしかして…転生者がいたりする?

 

21:名無しの日向家次女

あれ?ナギちゃんがなにか話してる…?

 

22:名無しの魔導師

無口なリーダーとネコみたいな子…まさか!?

 

 

――「名無しのG級太刀使い」が参加しました――

 

 

23:名無しのG級太刀使い

…これでいいのか?転生者掲示板なぞ初めて知ったぞ

 

 

――「名無しのG級双剣使い」が参加しました――

 

 

24:名無しのG級双剣使い

それにゃー。私だけだと思ってたにゃー

 

25:名無しのガンランス使い

そんなわけで転生者がいたから連れて来ました!

 

23:名無しの霊媒師

本当に転生者だったー!?

 

24:名無しのゼクトルーパ―

ですよね!?あんなネーミングモンハン世界だと難しいですものね?!

 

25:名無しのギルド所属ハンター>>1

なに勘違いしてるのか知らんがこっちの世界は割と前世のワードが使われてるぞ。転生者二人もいるとは思わなかったが

 

26:名無しのガンランス使い

文字が違うぐらいだよねー

 

27:名無しの帝丹小学校6年生

それは何処の世界も同じっぽいね

 

28:名無しのRS

なんなら知らない英語でも日本語に変換されてるぞ

 

29:名無しのG級太刀使い

…お初にお目にかかる。私はG級チーム「ノットアポリア」のリーダーをさせてもらっているミクマリというものだ

 

30:名無しのG級双剣使い

どもにゃー。アイルーと人間の混血種のエスラだにゃ。…掲示板でもこの口調強制されるのほんと呪いにゃ

 

31:名無しのドンキンタロウ

ご丁寧にありがとう。俺は「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の世界に転生した名無しのドンキンタロウだ!

 

32:名無しのくだん

まあ新入りさんだから名乗った方がいいか。「ほうかご百物語」の世界に転生した名無しのくだんだ

 

33:名無しの鬼殺隊

俺は!「鬼滅の刃」の世界に転生した名無しの鬼殺隊だ!ちなみに柱だ!

 

34:名無しの49人目のマスター

あ、名乗った方がいいパターン?「Fate/Grandorder」の世界に転生した名無しの49人目のマスターです。たまに清姫と会話してたりするけど気にしないでね

 

35:名無しの霊媒師

>>30

かわいいかわいいかわいいかわいい…あっ。「逆転裁判」の世界に転生した名無しの霊媒師です。よろしくエスラちゃん!

 

36:名無しの日向家次女

「ケロロ軍曹」たぶんアニメの方の世界に転生した名無しの日向家次女です!

 

37:名無しのゼクトルーパ―

>>35

えっ、こわっ。あ、「仮面ライダーカブト」の世界に転生した名無しのゼクトルーパ―です

 

38:名無しの魔導師

ちょっと待てい。アイルーと人間の混血とかいう聞き捨てならないワードがあった気がするんだが?俺は「リリカルなのは」の世界に転生した名無しの魔導師だ

 

39:名無しのRS

なんというか…とんでもない生まれだな。俺は「バイオハザード」の世界に転生した死亡確定と言っていい名無しのRSだ

 

40:名無しの帝丹小学校6年生

「名探偵コナン」の世界で20年以上中学に行けてません、名無しの帝丹小学校6年生です

 

41:名無しのギルド所属ハンター>>1

で、俺が謎の自己紹介ムーブに困惑してるイッチこと名無しのギルド所属ハンター、バレットだ。名前があるのはツッコむな?

 

42:名無しのガンランス使い

そして私が謎の直感で転生者だとバチ当てした名無しのガンランス使いことナギだよ!

 

43:名無しのG級双剣使い

>>35

こわいにゃ…お近づきになりたくないにゃ…あと私より苦労している人がいることに驚きにゃ

 

44:名無しのG級太刀使い

>>42

まさか、「転生者だよね?」と耳打ちされるとは思わなかったぞ…心底肝が冷えた

 

45:名無しの49人目のマスター

ナギはニュータイプかなにか?

 

46:名無しの霊媒師

>>43

つれないなー。あ、猫耳みたいな髪型だと思ってたのがシュンと垂れてる。本物だな?!

 

47:名無しの日向家次女

>>46

はいはい。お医者さんはあっちだよー(てきとー)

 

48:名無しの鬼殺隊

本当だ。それによく見たら腰から垂れてると思ってたベルトは尻尾だな?

 

49:名無しのドンキンタロウ

ゴールデンだな!

 

50:名無しのG級双剣使い

にゃあ~!?盗撮はやめるにゃ!生放送モード?知るかにゃ!

 

51:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>50

悪い、でも一応見せないと説明が面倒だから…

 

52:名無しのG級太刀使い

…しかし便利だなこれは。喋らずに意思疎通できるとは

 

53:名無しのゼクトルーパー

ミクマリさんの目がキラキラしてる……

 

54:名無しの転生者

喋りたくないのが沸々と伝わってくる…

 

55:名無しのくだん

まあ実際便利よね。同じ世界にいるのが前提だけど

 

56:名無しの魔導師

俺の権限を使えばこの場の全員が集まることも多分可能だが緊急事態でもないと無理だな

 

57:名無しのRS

携帯電話もあまり普及してない時代に生まれて見ろ?くっそ羨ましいからな?

 

58:名無しの帝丹小学校6年生

>>56

そうならないことを祈るよ…だって私スマホしかないんだもの

 

59:名無しの転生者

>>58

切実で草も生えない

 

60:名無しのG級太刀使い

…ところで、この場で「憎み血塗られしマガイマガド」の詳細を聞きたい

 

61:名無しのG級双剣使い

そうだね、できるだけ詳しく知っておきたいにゃ

 

62:名無しのドンキンタロウ

と言っても多分、そこの資料に載ってるので全てだぞ

 

63:名無しのギルド所属ハンター>>1

ここに書かれてるとおりだな。古龍でさえ餌にして、通常個体の最大サイズより遥かに巨体、音速で空を飛び、鬼火でマーキング、巧みに尻尾を操り、しまいにはエリア一つ焦土に変える大爆発。これ以上でも以下でもない

 

64:名無しのガンランス使い

あとはヒビキに首ったけなことぐらいかな

 

65:名無しのくだん

パツキンイケメンが「俺一人で十分だ」とかお約束言い出したな。大丈夫かこいつ。

 

66:名無しのG級太刀使い

「…お前は死ぬ気で戦えば強いんだから油断するな」…すまない、うちのチームメンバーが

 

67:名無しのRS

いや、顔を赤らめて委縮するイケメンが見れたから満足

 

68:名無しのゼクトルーパ―

ほの字なのかな?

 

69:名無しの転生者

わかりやすすぎて草

 

70:名無しの49人目のマスター

イアソンとそっくりだけどそこらへんは違うな

 

71:名無しの日向家次女

キョウジくんもマキアナさんちらちら見てるから気があるのかな

 

72:名無しの魔導師

拙者ごつい武器を持った少女大好き侍。マキアナという少女、よく見たらヘビィボウガン使いでドストライク。故にキョウジとやらを呪う

 

73:名無しの霊媒師

>>72

うわ出た

 

74:名無しの帝丹小学校6年生

もうこのスレの風物詩だよね

 

75:名無しのG級双剣使い

まあヘビィボウガンを持ったメイドさんの魅力はわかるにゃあ

 

76:名無しのゼクトルーパ―

竜人族らしいレエムの姉御もいいよね。頼りになるお姉さん

 

77:名無しのRS

スラッシュアックスでG級まで上り詰めた事実が実力を示しているな

 

78:名無しのドンキンタロウ

それを言うならエルヴァスなるイケメンもチャージアックスで上り詰めてて凄いぞ

 

79:名無しのくだん

たしかに

 

80:名無しの転生者

誰もスキンヘッドや爺さんに興味持たなくて草

 

81:名無しのG級双剣使い

え、えっと…リーダーも爺ちゃんもいい人だしとても強いにゃ!

 

82:名無しのギルド所属ハンター>>1

ケイマさんの実力はギルド本部にも轟いているぞ。なんでも天高くのリオレウスを撃ち落とした実績があるとか

 

83:名無しのガンランス使い

アンテムさんは到着するなりヒビキと意気投合してたよ。筋肉の自信があるみたいで語り合ってた

 

84:名無しの転生者

やべーやつと意気投合するのは草

 

85:名無しの49人目のマスター

筋肉は惹かれあう…うちのレオニダスやオリオンにも会わせたいな

 

86:名無しの鬼殺隊

筋肉は裏切らないぞ!(岩をつけた刀を素振り中)

 

87:名無しのG級太刀使い

アンテム殿は強いぞ。私が保証する。一撃でバサルモスの岩盤を破壊する男を私は他に知らない

 

88:名無しの日向家次女

え。そんなことできる人間がいるの…?

 

89:名無しのガンランス使い

ヒビキといいハンターはとんでもないのが多いね

 

90:名無しのG級双剣使い

え、リーダーに匹敵する馬鹿力なのかにゃ?そのヒビキとかいう人

 

91:名無しのギルド所属ハンター>>1

馬鹿力はどちらかというとマシロの方だと思うが

 

92:名無しの霊媒師

とりあえず、この人たちなら心配はいらないかな?

 

93:名無しのドンキンタロウ

邪魔さえ入らなければ8人がかりで勝てそうだな

 

94:名無しのG級太刀使い

任せてくれ。必ず討伐して見せよう

 

95:名無しの帝丹小学校6年生

なんだろう、フラグな気がする。うちの世界で死ぬ人がよく言ってるみたいな

 

96:名無しのガンランス使い

>>95

あまり洒落にならないんじゃないかな!?

 

97:名無しのゼクトルーパ―

大丈夫さ、こんなに強いんだし

 

98:名無しの魔導師

大丈夫だ、問題ない

 

99:名無しのG級双剣使い

大船に乗ったつもりでいるにゃ!

 

100:名無しの49人目のマスター

いやなんでそんなにフラグ建てるの?




名無しのG級太刀使いと名無しのG級双剣使い参戦。アイルーと人間のハーフってありなのかわからないけど転生者だからありにしました。

設定集を書くことになったらG級チームの詳細も載せる予定です。フラグ建てまくった彼らに未来はあるのか!()

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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登場キャラ・コテハン勢設定

どうも、放仮ごです。アンケートで50人超えたので今回はメイン四人とコテハン組を纏めてみました。G級チームはまたあとで纏めるつもりですが、モンスター勢も纏めた方がいいのかな?楽しんでいただければ幸いです。


主人公四人組:チーム名はまだない。元々つるんでいたヒビキ・マシロ・ナギにバレットが加わったチーム。そろいもそろって普通じゃない。

 

・バレット/名無しのギルド所属ハンター

 転生者。ギルド本部所属のライトボウガン使い…と名乗ってるだけのライトボウガン+ヘビィボウガン使い。名も知られてないド田舎の村出身だが、「ゲーム画面」という微妙に使いにくい転生特典を利用してのし上がってきたプロハンター。物語時点で19歳、HR56。167㎝で黒髪を短く切り揃えたツリ目の男。愛用している武器は王牙弩【野雷】とネコ獣砲ニャノン。上からプケプケSヘルム、レウスSメイル、プケプケSアーム、プケプケSコイル、プケプケSグリーヴで、全部鎧玉で最大まで強化してる徹底ぶり。

 百竜夜行が終息するまでカムラの里に滞在することになり、翔虫や鉄蟲糸技、操竜に新たなオトモのガルクを手に入れてパワーアップした。援護が得意だと自負しているがソロになると死にたくないとばかりに立ち回りが変わり、ピンチになると大型モンスターが侵入できないエリアに逃げ込んだりアイテム総動員で手段を択ばない「誇り」がないハンターなため必ず生還する、とギルドから信頼されている。

 

 

・ナギ/名無しのガンランス使い

 転生者。カムラの里出身のガンランス使い…と名乗ってるだけのガンランス+ランス使い。ウツシ教官の弟子でマシロの親友、ヒビキの幼馴染にして妹分。物語時点で15歳、HR2。黒い髪をツインテールに纏めている美少女。現在愛用している武器はアイアンランスⅠと骨銃槍Ⅰで全身カムラ装備と初期装備。

 147㎝で同年代よりはるかに小柄ながらもガンランスを自在に扱える天才で、「盾などいらぬ。攻撃こそ最大の防御」と盾を捨てランスに持ち替えた。デュエルバインを某蜘蛛男の如く使いこなす。前世は不治の病の患者でゲーム、特にモンハンだけが生きがいであり、転生特典は「健康な肉体」フィジカルもおまけされている。のほほんとしているムードメーカーだが、命の大切さも体が不自由でなにもできなくなる苦しみも知っており、みんなの命を守るためにハンターになった経歴持ち。

 

 

・マシロ

 カムラの里出身の大剣及び太刀使い。ウツシ教官の弟子でナギの親友、ヒビキの幼馴染にして妹分。物語時点で15歳、HR2。いわゆる原作主人公。白い髪をポニーテールに纏めている美少女。156㎝で華奢ながら大剣を片手で振り回すパワーの持ち主だが燃費が激しい大食漢。片手で大剣を振り回し、居合なしで太刀を使っていて特殊納刀を使わず、ヒビキと同じく邪道な使い方をする。戦闘センスは四人で一番。

 

 

・ヒビキ

 カムラの里出身の狩猟笛使い。ハモンの弟子で武器作りのライセンスを持っている。物語時点で17歳、HR5。紫がかった黒髪を短く纏めている、頬に火傷の跡がある整った顔の少年。170㎝の引き締まった筋肉で狩猟笛を軽々と振り回し変幻自在に操る。

 全ての武器を初見で使いこなすほどの天才だが、狩猟笛を「演奏しながら戦えて楽しいから」という理由でこよなく愛している。どれぐらい愛してるかというと新しい笛のためなら古龍だろうが突っ込むほど。愛用の武器は自作した「禍ツ琵琶【封】Ⅰ」。

 「死ななきゃ勝ち」が座右の銘であり、生き汚く罠や環境生物などどんな手を使ってでも勝利をもぎとるが、他の武器の動きを参考にした狩猟笛の新技を用いた実力は里長が一度太刀を託そうとしたほど(笛にしか興味がないので全力で辞退した)。百竜夜行では奇策計略で活躍する軍師。

 12年前の5歳の頃にハモンから「禍ツ琵琶ノ幽鬼ウラザ」なる構想中の至高の狩猟笛の存在を知り、その素材となる怨虎竜マガイマガドが前回の百竜夜行以降姿を現さないことを知らずに落し物で材料を集めようと里のハンターの狩猟にこっそりついて行き迷子となり、大社跡の奥地で本来いない筈のマガイマガド(?)と遭遇。大爆発を受けて瀕死の重傷を負った過去がある。ハンターになって以降大社跡に訪れると、とある時期のみ何故かマガイマガド(?)と高確率で遭遇。あの手この手で全力で逃亡する(その際拾った落し物で現在愛用している禍ツ琵琶を作成した)。

 マシロとナギは幼馴染で兄貴分でウツシ教官と並ぶ師匠。重症を負った際に全力で泣かれたため死なないことを誓った過去がある。二人を守るためなら死地にだろうが飛び込むぐらい溺愛しているが無自覚。

 

 

 

 

 

コテハン勢:バレットがイッチの転生掲示板でコテハン名乗ってる転生者たち。

 

・名無しの鬼殺隊

 転生後の本名、月島官兵衛。特に原作知らないけど有名なんだから面白い世界なのだろうと気楽に「鬼滅の刃」の世界に転生した人。転生特典は「常住戦陣!!ムシブギョー」の月島流剣術。呼吸じゃないので力づくで鬼の首をぶった斬って柱になり上がった。月島流剣術を名乗っていたら二代目「月柱」に任命された。

 

・名無しの49人目のマスター

 転生後の本名、一之瀬晋太郎。「Fate/Grandorder」の世界に転生して49人目のマスターにされた人。ファーストサーヴァントに清姫がいる。転生特典はレイシフト適性100%。一応魔術師の生まれ。なんとか爆弾が起爆する直前にオルガマリーを突き飛ばして即死を避けて生還させた凄い人。

 

・名無しのくだん

 転生後の本名、くだん。「ほうかご百物語」の世界に妖怪「くだん」として転生した人。本来は生まれてすぐ必ず当たる予言をしてから死ぬのだが、転生特典「人並みの命」で生き永らえているが、この世界のルール上、喋るだけで必ず当たる予言になるためろくに喋れず掲示板で愚痴ってばかりいる。

 

・名無しのRS(リアセキュリティ)

 転生後の本名、山本陣。「バイオハザード」の世界に日本の警察として転生したがなまじ優秀だったがためにラクーンシティに転勤された上にS.T.A.R.S.に入れられてしまった人。転生特典は「狙撃の腕前」故にRS。クリスとブラッド、リチャードとは親友。ウェスカーを警戒しているがそのせいであっちからも警戒されてる。

 

・名無しの霊媒師

 転生後の本名、綾里彩子。「逆転裁判」の世界に綾里家家元の三女として転生した人。叔母に殺されないか戦々恐々してるが比較的平和。転生特典は「サイコ・ロック」特に役に立たない。

 

・名無しの魔導師

 転生後の本名、紅飛翔(くれない つばさ)。「リリカルなのは」の世界に転生した人。なのはたちとは幼馴染。原作二期までの事件を終えて管理局に所属してるがエリートなため仕事に追われてる。転生特典は「そこそこ優秀なリンカーコア」。

 

・名無しのゼクトルーパ―

 転生後の本名、雨宮星(あまみや しょう)。「仮面ライダーカブト」の世界に転生して特に何事もなくゼクトルーパーとして生きてる男。転生特典は全てのゼクター適正。。ゼクトルーパーでしかないが、転生特典のためライダーの予備みたいな扱いを受けている。

 

・名無しの日向家次女

 転生後の本名、日向波留。「アニメケロロ軍曹」の世界に日向夏美、日向冬樹の妹として転生した心優しい少女。ガルル中尉とウマが合う。転生特典は武者ケロの「鬼姫」のパワードスーツ。「24時」にてギロロが敗れた後ガルルとガチンコ対決して認められた。

 

・名無しの帝丹小学校6年生

 転生後の本名、有栖川妃奈子(ありすかわ ひなこ)。名前がなんか推理物関係だなあと思ってたら「名探偵コナン」に世界に転生していた。20年以上も同じ一年を繰り返して辟易としている小学生の少女。転生特典は「前世のスマホ」で、一応コナンの事件すべてを網羅はできるためそれで生き延びてるが何故か巻き込まれる。

 

・名無しのドンキンタロウ

 転生後の本名、境田キンタロウ。「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の世界に転生した男。転生特典はドンモモタロウのオトモではない戦士ドンキンタロウへの変身能力。口癖が「ゴールデン」なところからも分かる通りモチーフはFGOの坂田金時であり、金のアンダースーツに白い羽織を羽織り、赤い尖ったサングラスが特徴。武器は「ゴールデンべアックス」。




コテハン勢は書こうとしたけど続きそうにないからボツった作品の主人公が元になってたりします。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【まさかの強敵】慢心の権化のはずが…【山林の荒法師】

どうも、放仮ごです。数が多すぎてわかりにくという低評価をいただきましたので、ちょいと工夫してみました。普段読んでる掲示板小説だとこれでも少な目だからちょっと驚いてます。

今回はビシュテンゴ戦。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

64:名無しのギルド所属ハンター>>1

えー、今現在作戦のためにビシュテンゴを狩猟してるのだが…誰か助けてクレメンス

 

65:名無しのくだん

いやあ、戦闘経験豊富な鬼殺ニキやマスターニキが柱合会議と第六特異点攻略で出払ってるからなあ

 

66:名無しの霊媒師

ついでにRSニキもついに始まった原作攻略で他のスレにいるしねえ。魔導師の人いたでしょなんとかならないの?

 

67:名無しの魔導師

>>66

俺は対人魔法戦専門だ。知らん動きをするモンスターの対処は分からん

 

68:名無しのゼクトルーパ―

俺も一応戦闘経験あるけど基本下級ワームなんで…

 

69:名無しの帝丹小学校6年生

小学生に何を求めているのかしら

 

70:名無しの日向家次女

銃を使う宇宙人の相手だったら助けになれるのに…!

 

71:名無しのドンキンタロウ

同じく、脳人やヒトツ鬼の相手なら慣れているんだけどな

 

72:名無しの転生者

いやーまさか、柿をショットガンみたく礫にして飛ばしてくるとか誰も思わんわ

 

73:名無しのガンランス使い

あーもう、誰でもいいから誰か助けてー!?

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 困ったことになった。大社跡で血塗れマガマガに警戒しながら狩猟することになった天狗獣ビシュテンゴ。血塗れマガマガを餌となる百竜夜行から遠ざけるために必要な腹袋を取るために狩猟に来たわけだが、所詮は下位に出てくるモンスターだと油断した。立ち回りが完全に上位だ。この世界に下位上位はあくまで人間の判断によるもので、今回はこいつしかビシュテンゴがいなかったからしょうがないとはいえ、強すぎる。

 

 常に一定の距離を取りながらデカデカ柿やドクドク柿を投げつけるのは序の口で、さらに性質の悪いことに木の上や石門の上など高所に常に陣取り、攻撃を届かせない。唯一有効打を与えられる俺の攻撃でさえ軽々と避けられてしまい、ヒビキの「光陰(こういん)振打(しんうち)」すら避けて一時的に無力化したほどだ。

 

 

「あの構えは…!みんな、防ぐんだ!」

 

「またあ!?」

 

「盾必要だねこれー!?」

 

「くっ…!?」

 

 

 さらには尻尾で掴んだ柿を高速で地面にぶつけて礫の様にしてショットガンの散弾の如く俺達四人に同時に攻撃する知恵まである。しかもその速さと威力は凄まじく、俺はネコ獣砲ニャノンに備えたシールドで、マシロは大剣で、ナギはガンランスとランスを縦に構えて、ヒビキは反射神経で笛で弾き飛ばしでしか耐えれない。約一名おかしいのは気にしないが、その頭おかしい奴でさえ攻めあぐねている。一方的に攻撃されるしかない。どこが慢心の権化だ。慢心せずして何が天狗獣かと言わんばかりじゃないか。

 

 

「きゃっきゃっきゃっ!」

 

「こんの…いい加減にしなさい!」

 

「むきゃー!?」

 

 

 木の上で逆立ちするビシュテンゴに煽られていると、ブチギレたらしいマシロが大剣をその場に突き刺し、居合の構えをして振り抜くとすっぽ抜けた太刀が横に高速回転して煽っていたビシュテンゴの頭部すれすれを掠り、それに驚いたビシュテンゴが体勢を崩して地面に落下。さらに頭をぶつけて、ようやくチャンスが来た。

 

 

「一斉攻撃だ!」

 

「全力握撃、ハンティングエッジ…!でやああああ!」

 

「突進…からのフルバースト!だっしゃあ!」

 

「音!撃!打!打!打!!」

 

 

 俺の王牙弩【野雷】での「扇回跳躍」で接近からのネコ獣砲ニャノンの竜撃弾が、マシロの大剣か太刀片方だけを全力で握ることで行使する「全力握撃」の大剣による「ハンティングエッジ」が、ナギのアイアンランスⅠでの突進からの骨銃槍Ⅰのフルバーストが、ヒビキの禍ツ琵琶【封】Ⅰによる猛連打「音撃打打打」が炸裂。

 

 

「うぎゃぎゃっ!?」

 

 

 禍ツ琵琶【封】Ⅰによる爆発も立て続けに起こり、吹き飛ばされるビシュテンゴだったが倒れそうになるのを尻尾で踏ん張ると尻尾で立ち上がり、柿を大量にばら撒いてきた。

 

 

「こんなもの!放散弾!」

 

「ぐっ…どこにこんなに仕舞って…!?」

 

「そう言うモンスターだからとしか言えないなあ!」

 

「むっ…奴は何処に!?」

 

 

 放散弾で弾いてシールドで防ぎ、大剣で防ぎ、ランスで薙ぎ払い、狩猟笛を回転させて防ぐ俺達だったが、目暗ましだったようでその間に姿を消してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

89:名無しのギルド所属ハンター>>1

どこにいった!?誰か見たか?!

 

90:名無しのガンランス使い

そんなことより私の知ってるビシュテンゴと全然違うんだけど!?

 

91:名無しの魔導師

木の上に逃げた様に見えたぞ

 

92:名無しのくだん

木が鬱蒼と生い茂るこのエリアで奴の動きを見切るのはほぼ不可能だな

 

93:名無しの霊媒師

昔のリオレウスを思い出すね、エリア外を飛んでて全然攻撃させないやつ

 

94:名無しのゼクトルーパー

アレと違って絶妙に攻撃できる距離にいるのがね…

 

95:名無しの転生者

尻尾をフルに活用して、滑空も利用して、さらに柿を最大限に武器にする…無理ゲーでは?

 

96:名無しの帝丹小学校6年生

一発でも当たったら致命傷の柿の散弾だけはどうしても防がないといけないわね

 

97:名無しのドンキンタロウ

どうにか地上に引きずり出してもすぐ立て直してくるのは厄介だな

 

98:名無しの日向家次女

もしかしてこのビシュテンゴも、血塗れマガマガみたいに転生者が影響してるのかな…?

 

99:名無しのガンランス使い

そうだとしたら面倒なことしてくれたね本当に!

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ぐあああああ!?」

 

「バレット!?」

 

 

 掲示板に集中してたら背後に飛び降りてきたビシュテンゴの回転突撃をもろに受けて吹き飛ぶ。ナギが駆け寄り、太刀を拾ってきたマシロが大剣と同時に握って跳躍して襲いかかるが、ぐるんと回転して尻尾攻撃を受けて弾き飛ばされてしまう。

 

 

「ぎゃっ」

 

「マシロ!こんにゃろ…変則的デュエルバイン!」

 

 

 地面に転がったマシロを見て、クナイを柄にくっ付けたランスをぶん投げるナギ。ビシュテンゴは腕の翼で軽くランスを弾き飛ばしてすぐ横の地面にランスが突き刺さるが、ランスの柄のクナイと鉄蟲糸がビシュテンゴを繋いでその場に縫い止める。

 

 

「うきゃっ!?」

 

「今だ!ブラストダッシュ!からの竜杭砲!」

 

(めつ)昇竜笛(しょうりゅうてき)!」

 

 

 縫い止められたところにブラストダッシュで一瞬で接近、竜杭砲を胴体に突き刺すナギとブラストダッシュを素手で掴んで一緒について来て、その勢いで振り下ろして頭部に叩き付けた狩猟笛を地面から蹴り上げて相手の顎を打ち上げるヒビキの「滅・昇竜笛」が炸裂。かち上げられて、さらに空中に浮かんだところで竜杭砲が爆発。背中から仰向けに倒れて上空を仰ぐビシュテンゴ。

 

 

振打(しんうち)残響(ざんきょう)!」

 

 

 さらに狩猟笛を勢いよく振りかぶって振打を叩き込み、鉄蟲糸を伸ばして演奏を加え、ビシュテンゴの体内に追加ダメージを与えてダウンさせるヒビキ。いやえぐいな。

 

 

「さすがヒビキ!」

 

「畳み掛けるよマシロ!」

 

「さすがに弱ったみたいだな。麻痺弾!」

 

 

 背骨が折れた様な気がするが、とろみとまろみがあって苦みがある回復薬にハチミツを調合した回復薬グレートを飲んでなんとか回復した俺は王牙弩【野雷】で麻痺弾を連射。太刀と大剣を握ったマシロとランスとガンランスを握ったナギにタコ殴りにされていたビシュテンゴに炸裂させ、麻痺させる。

 

 

「ひっさーつ!金剛大車輪斬り!」

 

「フルバースト!アンカーレイジ突き!」

 

光陰(こういん)振打(しんうち)!」

 

 

 グルングルンと太刀と大剣を手に大回転して連続で斬撃を叩き込むマシロと、骨銃槍Ⅰのフルバーストの反動でアイアンランスⅠのアンカーレイジを発動したナギの渾身の一突きが炸裂、二人が離れたところに高速回転させた禍ツ琵琶【封】Ⅰが投擲されてビシュテンゴの腹部に炸裂。

 

 

「ぐえっ!?」

 

 

 短い悲鳴を上げて吹き飛んでいき、岩肌に叩きつけられるビシュテンゴ。そのままぐったりとなってあと少しだとわかる。

 

 

「拡散弾!」

 

 

 そしてネコ獣砲ニャノンに装填した拡散弾LV3を顔面に炸裂。ついに天狗獣ビシュテンゴは沈黙した。

 

 

「狩猟達成、かな」

 

「憎み血塗られしマガイマガドが乱入してこなくて本当によかった…」

 

「来れない理由とかあったのかな?」

 

「なんでもいい。早く回収班を呼んで帰るぞ」

 

「ああ」

 

 

 信号弾を上空に放つ。後方の回収班に向けた回収してくれという合図だ。その後、回収班が荷車を引いてやってくるまで周囲を警戒し、俺達は帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

121:名無しのギルド所属ハンター>>1

なんとか狩ったけど…あれはなんだったんだ?

 

122:名無しの日向家次女

一応、転生者のモンスターの可能性があるかなと思ってそれっぽいスレ見て来たけどそんなことはなかったよ

 

123:名無しの転生者

サンブレイクにはビシュテンゴ亜種が出るらしいと前世で死ぬ前に聞いたけど確か爆発する松ぼっくり使うから違うはずだ

 

124:名無しのくだん

血塗れマガマガと同じ、転生者に対応して独自の進化を遂げた個体と見る方がよさそうだ

 

125:名無しの帝丹小学校6年生

あの怒涛の猛攻でようやく勝てるって相当よね

 

126:名無しの霊媒師

もしそっちの世界にいるなら私が霊媒して話を聞けたんだけど…

 

127:名無しのドンキンタロウ

これからもあんな強い個体が出てくるかもしれないな

 

128:名無しのゼクトルーパ―

>>126

便利ですね霊媒

 

129:名無しの魔導師

まさかと思うがロストロギア関係してないだろうな…?

 

130:名無しのガンランス使い

まあとりあえず、みんなお疲れ様!




こうすれば強いよなあっていうビシュテンゴでした。ライズのシステムもあるんだろうけど、XXをプレイしているとこんなことしてこないのが不思議でならない。

・ビシュテンゴ特殊個体
別に転生者でも亜種でもなんでもないが、血塗れマガマガの恐怖を知ってる故に戦い方を変えたビシュテンゴの個体。血塗れマガマガ以外を見下しているが決して油断はしない…と心がけているが性根はそう簡単に変えられず無意識に煽ってしまう。柿の礫が凶悪。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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憎み血塗れし怨虎竜 VS G級の猛者たち

どうも、放仮ごです。今回は全面小説パートです。G級チーム二組を相手に憎み血塗られしマガイマガド大暴れ。楽しんでいただければ幸いです。


 我が名はミクマリ。数少ないG級に数えられるハンターの一人でチーム・ノットアポリアのリーダーをさせてもらっている。一応転生者だ。今はハモン殿の作成したカラクリを用いて誘き寄せる憎み血塗られしマガイマガドを討伐するクエストをギルド本部から受注してチームバトルクライの面々と共闘することになった。

 古龍すら餌にする超級古龍級生物、ここが…妹を死なせた私の命の張りどころかもしれない。ギルドからの依頼を受けて守りきれずに死んでいった妹…ギルドを恨むこともあった。だが、最期まで誰かのために命を張ることで償おうと決意した。そんな矢先の今回のクエストは鴨が葱を背負ってきたようなものだ。

 

 

「ここが私の死に場所か…」

 

「おいおい。縁起でもないこと言うなよリーダー」

 

「そうですわ、わたくしたちが揃えば無敵です」

 

「死なせませんよリーダー!熱血で力を合わせましょう!」

 

「オーオー、熱いねノットアポリアの人達は」

 

「なに、心配するでない。若い頃マガイマガドをソロ討伐した老獪の力を見せてやろう」

 

「お爺ちゃんほんとに大丈夫ー?」

 

「このメンバーなら古龍が相手だろうと討伐もできると思うけどねえ」

 

 

 上から私、エルヴァス、マキアナ、キョウジ、アンテム殿、ケイマ殿、エスラ殿、レエム殿だ。大社跡に到着するなり一番戦いやすい河原の広場が見える崖の上や草むら、岩陰に陣取った我々は青空を注視。そして私は、爆発を何度も起こして空を舞う隕石に見紛う巨体を見た。

 

 

「来たぞ!マキアナ!ケイマ殿!」

 

「王牙砲【山雷】に機関竜弾セット!行けますわ!」

 

「往くぞ、禍ツ弓ノ幽鬼キューヌよ」

 

 

 遠距離担当であるヘビィボウガン使いのマキアナと弓使いのケイマ殿に伝えると崖の上に陣取った二人がそれぞれ機関竜弾を装填、竜の一矢を引き絞る。そして天高く舞った空の王者リオレウスすら撃墜した一矢がついに放たれた。ギュンギュンと凄まじい音を立てて天を駆けた矢は隕石に激突。爆発した。

 

 

「命中したぞ!」

 

 

 目のいいエルヴァスが高らかに声を上げる。自分が最強だと自負するだけあってその目は本物だ。そしてケイマ殿の弓、通称マガド弓の禍ツ弓ノ幽鬼キューヌは貫通力と爆発効果が持ち味。憎み血塗られしマガイマガドの強固な皮膚を貫いて傷を与えたはずだ。

 

 

「グオアァアアアアアアアッ!!」

 

 

 闇夜に劈く憎み血塗られしマガイマガドの咆哮と共に、隕石の一部が爆発して方向転換。こちらに向けて急速に降りてきたのを、マキアナのヘビィボウガンの機関竜弾が次々に炸裂し爆ぜて行く。兜角が折れ、鎧の様な装甲もひしゃげて行くのが見えた。

 

 

「エルヴァス!キョウジ!アンテム殿!」

 

「防御は任せろ!」

 

「アンテムさん、合わせます!」

 

「いいや、俺が合わせる!」

 

「いざ参る!」

 

 

 チャージアックス…金剛盾斧イカズチの盾を構えてマキアナを庇うように立つエルヴァス。機関竜弾を撃っていて無防備なマキアナを最低限守れるはずだ。そして、その前に陣取るのは愛用の太刀、夜刀【月影】を納刀した私と、大剣ゴシャガズバアを構えたキョウジ、轟槌【虎丸】を携えたアンテム殿。私は特殊納刀して構え、キョウジとアンテム殿はぐるんぐるんとその場で回転し己の得物を振り回して遠心力を加えて行く。

 

 

「カウンターフルチャージッ!」

 

「納刀。居合抜刀気刃斬り!」

 

「心を燃やせ!大回転!激昂斬!」

 

「大旋風!水面打ち!」

 

 

 そして、落ちてきた憎み血塗られしマガイマガドに、急降下の衝撃を受けたエルヴァスのチャージアックスの回転斬撃、私の渾身の抜刀、キョウジとアンテム殿のタイミングを合わせた強烈な一撃が炸裂。憎み血塗られしマガイマガドの巨体を大きく吹き飛ばして河原に叩き落すことに成功した。

 

 

「エスラ殿、レエム殿!」

 

「待ってたにゃ!鬼人化【獣】!鬼人空舞!」

 

「派手に行くよ!圧縮解放フィニッシュ!」

 

 

 さらに落下中の憎み血塗られしマガイマガドに跳び上がったエスラ殿のレイジネイルーによる連続斬撃が背に沿うように放たれ、地面に激突すると同時にレエム殿の横に構えたグランドカオスの回転斬りが炸裂。憎み血塗られしマガイマガドは大きくダウンした。

 

 

「今だ、たたみかけろ!」

 

「飛翔竜剣…!」

 

 

 レエム殿が翔蟲で舞い上がり急降下の突進を叩き込み、それを皮切りに憎み血塗られしマガイマガドに怒涛の猛攻撃を加える私達。しかし妙なことが起きた。確かに与えた深手が、次々と燃えたかと思えば最初から傷が無かったように再生する光景を見た。見てしまった。

 

 

「まさか…!?体力回復させないために百竜夜行から引き剥がしたってのに…!?」

 

「どういうことだ、リーダー!?」

 

「おかしいです、確かにさっき折ったはずの兜角が…!?」

 

「たった今斬ったはずの前足の刃も…!?」

 

「おいおい、どうなってやがる!?」

 

「異常な再生速度じゃ…!」

 

「斬っても斬ってもきりがない…!」

 

「攻撃は効いている、だがなかったことに…!?」

 

 

 全員が気付くほどの異常な再生能力。再生能力があるとすればおかしい。奴は足を引き摺っている。その傷は何故治らない?…いや、足の腱が切れた状態で「固定」されている…?まさかこれは、転生者の…!?いや、だが以前戦ったG級チームの報告ではここまで異様な再生能力は聞いてないぞ。最近会得した?どうやって?………いや待て、バルファルクの様に飛行し、テオ・テスカトルの様に爆発を操る…?まさか、喰らったものの力を会得する能力でも…?

 

 

「全員、離れろ!」

 

 

 私が警告の声を上げると、咄嗟に全員動いて大きく後退する。同時に、エリア一つ巻き込む大爆発が発生。何とか逃れることに成功する。このとき私は知らなかった。50年前にこのマガイマガドを倒して英雄になろうとちょっかいをかけ、無惨にも喰い殺された転生者が……よりにもよって「コピー能力」を持っていたことを。

 

 

「キョウジ!防げ!」

 

「くっ…!?」

 

 

 憎み血塗られしマガイマガドの口の中に溢れる炎が光線状に放射され、その射線上にいたキョウジがゴシャガズバアを盾に防ぐも、ゴシャガズバアがあまりの熱量に融解して溶け落ち無防備となったキョウジに憎み血塗られしマガイマガドが襲いかかる。

 

 

「そん、な…」

 

「キョウジ!?」

 

 

 頭部を噛み付かれ、体を前足で押さえつけられて上半身を引きちぎられるキョウジ。バリボリと骨まで貪る咀嚼音が聞こえ、残る七人の血の気が引く。…また、私は……身内を死なせてしまったのか。一番の若手でありみんなの弟分で、何事も熱血に根性で乗り越えて行ったキョウジの笑顔が浮かぶ。

 

 

「よくも…よくもキョウジを!」

 

「お、おい!リーダー!」

 

 

 エルヴァスの制止の声も聞かずに駆け抜ける。目前には、敵前だと言うのに残った下半身を悠長に貪る憎み血塗られしマガイマガド。跳躍と同時に夜刀【月影】を引き抜いて顔に向けて一閃。しかしそれは、眼前まで伸びた槍尻尾で防がれる。ニマッと憎み血塗られしマガイマガドが嗤った気がした。

 

 

「うおおぉおおおっ!変異抜刀(へんいばっとう)斬々舞(きりきりまい)!」

 

 

 憎み血塗られしマガイマガドの槍尻尾の乱打を、太刀で舞うようにして全て捌いて行く。相手の動きに合わせて変異する技だ。それでも防ぎ切れず、掠った傷が全身にできて血が流れて行くが気にしない。すると憎み血塗られしマガイマガドの四肢に燃え上がった紅蓮の炎が爆発し、高速で周囲の空中を駆け回り始めた。

 

 

「ならば、水神乱舞!」

 

 

 鞘と太刀を片手ずつで構え、急な水の流れに合わせるかのごとく、体当たりを逸らして弾いて行く。直撃をもらえば終わりだ。どうにか隙を見つける…!すると大きく弧を描いて突撃して槍尻尾を突き出してくる憎み血塗られしマガイマガド。その瞬間、前世で読んだことがある小説に出てきた剣技がフラッシュバック。私は納刀した鞘を握って構える。

 

 

「はああああ!」

 

「ミクマリ!?しくじったか!?」

 

 

 間合いに入っていないというのに抜刀し振り切った私に驚くアンテム殿。ガキン、と。何かが突き刺す瞬間だった槍尻尾の先端を押し上げて憎み血塗られしマガイマガドを受け止める。それは槍尻尾の下面に挿し込まれた鞘であり、続けて振り抜かれていた太刀の柄が上面から炸裂し、上下から槍尻尾を挟み込む。嗚窮璽(おきゅうじ)絶刀流剣術とかいう真のメイドしか使えないって制約があるとんでも剣術だが、真似るぐらいならできる!私の…「剣術」という転生特典ならば!

 

 

「――――“御盆返し”ッッッッ!!」

 

 

 相手の必殺の一撃の威力を、運動エネルギーごと己が刀に乗せて吸収し力に換える。あたかも飲み物を限界まで載せたお盆をひっくり返すが如く、後の先の攻防一体の極致が炸裂。槍尻尾を叩き折ることに成功する。よし、奴の攻撃の手を一つ封じた!これならば…!

 

 

「待て、ミクマリ!ここは退避だ!敵の能力が未知数すぎる!ケイマの爺さん!エスラ!レエムの姉御!」

 

「心得ておる!」

 

「落ち着いてミクマリさん!」

 

「少しでも気を引くよ!

 

 

 このままたたみかけようとすると、アンテム殿に手を掴まれて止められる。同時にケイマ殿の矢が放たれて右目を潰し、憎み血塗られしマガイマガドの足元をちょこまか走り回るエスラ殿が搖動し、さらに飛びかかったレエム殿が突き刺したグランドカオスがパンパンパンパンと脇腹で火を噴く光景を見て、正気に戻る。そうだ、私は冷静じゃなかった。エルヴァスとマキアナもキョウジの死で動揺している。作戦を続けられる精神状態じゃない。撤退するしか、ない。そんなことにも気づかないとは……。

 

 

「奴の炎に当てられると正気じゃなくなるらしい。キョウジも正常な判断ができなくなっていた。二の舞になるわけにはいかない、ぞ!」

 

 

 グランドカオスとレエム殿が脇腹に突き刺さり、右目から矢が取れて再生しながらエスラ殿を蹴散らしてこちらに突進してきた憎み血塗られしマガイマガドの顎を轟槌【虎丸】でかち上げるアンテム殿。しかし憎み血塗られしマガイマガドはかち上げられた状態で四肢の紅蓮の炎を爆発させて上空に舞い上がり、急降下の構えを取る。手負いなのにあんなに動けるだと…!?

 

 

「アンテム!ミクマリ殿たちを連れて逃げろ!ここはわしが…!」

 

「爺さん!駄目だ!」

 

「往け!あれはわしの知るマガイマガドではない……別の何かだ!」

 

「くっ…!エスラ!」

 

 

 矢を何度も上空に向けて乱射し、全身を燃やさせて爆発の向きを変えさせるケイマ殿の光景を見ながら、気絶したエスラ殿を左手で抱えたアンテム殿に右腕で俵持ちに抱えられて遠ざかって行く。見ればエルヴァスとマキアナも撤退を始めていた。

 

 

「これ以上、失わせるものかぁああああああ!」

 

 

 レエム殿が意地でも離れず零距離属性解放フィニッシュを何度も叩き込んでいる。なんて根性だ。元は船乗りで仲間をモンスターに殺されてハンターになったらしいが、仲間を失いたくないという思いがあそこまでさせるのか。ケイマ殿の矢がレエム殿を避けて何発も炸裂し、憎み血塗られしマガイマガドの余裕が消える。…ん?自分の全身が紅蓮の炎に包まれるのを嫌がっている…?まさか、自らの炎で我が身も焼いているというのか…?

 

 

「グオアアアアアアアッ!」

 

「「!?」」

 

 

 瞬間、信じられないことが起きた。憎み血塗られしマガイマガドが尻尾を天高く上げたかと思うと放電し、ドーナツ状の電気の環を発生させたのだ。あれはまさか、前世で見たモンハンライズのラスボス、雷神龍ナルハタタヒメの…!?マガイマガドでは絶対にありえない光景に、レエム殿がグランドカオスを引き抜いて退避。ケイマ殿も視界を塞がれてたまったものではないのか翔蟲で垂直に飛び上がり矢を放つが手ごたえというか当たった音が聞こえず……爆発音が聞こえて右を向くと、高速で突進してくる奴がいた。

 

 

「ケイマ殿!右だ!」

 

「な、に…!?」

 

 

 警告の声は遅く。胴体の大部分を鋭い前足の腕刀で抉られ、血を噴いて倒れ伏すケイマ殿。間髪入れず咀嚼し始める憎み血塗られしマガイマガドの姿を見て、ごろごろ転がっていたレエム殿は激昂し翔蟲で垂直に飛び上がった。

 

 

「き、さまぁああああ!飛翔竜剣…!」

 

「駄目だレエム殿!」

 

 

 急降下突進を繰り出すレエム殿だったが、分かっていたかのようにその勢いを利用されていつの間にか再生していた槍尻尾がその胸を刺し穿つ。

 

 

「がっ、は……生きてくれ、アンテム…エスラ……」

 

 

 貫かれたレエム殿はグランドカオスを手放して力なく手を伸ばし、そのまま力尽きると無造作に投げ捨てられる。二人の死体を眺めた憎み血塗られしマガイマガドはこちらを見てにんまりと嘲笑した様に見えたかと思えば空に舞い上がり、空中を駆って追いかけてきた。人間を殺すことがそんなに愉しいというのか。

 

 

「アンテム殿、下ろしてくれ!迎撃しなければ…!」

 

「くっ、仕方がないか…!」

 

「ちいっ、やるしかないか!」

 

「一人でも多く!」

 

 

 気絶したエスラ殿を守るべく、私とアンテム殿、エルヴァスとマキアナが並び立つ。しかし憎み血塗られしマガイマガドは地上すれすれに飛来して全員を吹き飛ばし、体勢を崩した上で隕石の如く落下してこようとしていた。

 

 

「鉄蟲糸技、水月の構え…!」

 

 

 私は何とか立ち上がり、所持している翔蟲二匹を使い、鉄蟲糸の網を張り迎え撃つ。そして、落下してきた憎み血塗られしマガイマガドに振り上げ斬りを叩き込み、弾き飛ばす。だがしかし。

 

 

「ぐあぁああああああ!?」

 

 

 至近距離で爆発を浴びて大きく吹き飛ばされ、痛み分けとなりその場に転がる。全身に焼けるような激痛が走る。くっそ…化け物過ぎないか憎み血塗られしマガイマガド……。

 

 

「インパクト…クレーター!」

 

「高圧廻填斬りィ!」

 

「竜撃弾!」

 

 

 同じく怯んで転んでいた憎み血塗られしマガイマガドに、アンテム殿、エルヴァス、マキアナの一斉攻撃が炸裂。燃えてる箇所が小爆発を起こした憎み血塗られしマガイマガドは口惜しそうに一声吠えると爆発で天に舞い上がり、青空を飛び去って行った。

 

 

「…なんてことだ」

 

 

 力なく拳を地面に打ち付けるアンテム殿。ギルド本部が勝利を確信していた作戦は、G級ハンター三名死亡、そして私が重傷を負うと言う大敗北で幕を下ろしたのだった。




まさかの三人死亡。一気にキャラが増えたのは実質そんなに増えないからです。

ミクマリが使った「お盆返し」及び「嗚窮璽(おきゅうじ)絶刀流剣術」は電撃文庫「ご主人さん&メイドさま」に登場する、メイドが持つ未知の力「命努力」を利用した剣技です。突進に対しては僕の知る限りもっとも効果的な技だったりします。

そしてコピー能力持ちのマガイマガド。その弱点は…?

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【後始末】通常マガマガ討伐【悪逆無道】

どうも、放仮ごです。一応ライズ本編でこの小説は終わろうと思ってますがエルガド編もいるかな。どうだろう。

今回は前回の惨劇の後、血の匂いに引かれやってきたマガマガと主人公四人組の対決です。ナギが主役、かな?楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

まさかこんなことになるとは…

 

2:名無しのガンランス使い

まさか百竜夜行撃退から帰ってくるなりお通夜とはね…

 

3:名無しのG級双剣使い

めんぼくないにゃ…

 

4:名無しのG級太刀使い(元)

あれだけ大口叩いてこの様だ…

 

5:名無しの転生者

いやあ、よくやった方だと思うよ?

 

6:名無しの鬼殺隊

リアルタイムでエスラの開いた掲示板で状況を見ていたが……相手が強すぎた、それに限る

 

7:名無しの魔導師

追い返して生還しただけでも褒められるべきだ

 

8:名無しのくだん

まさか若い頃にマガマガ討伐してマガド弓を完成させていたケイマお爺ちゃんがあんな最期を遂げるとは…

 

9:名無しの日向家次女

命を賭して惹き付けたレエムさんもすごかった…

 

10:名無しの49人目のマスター

俺、リアルタイムで見れなかったんですけどスレの阿鼻叫喚で察した…

 

11:名無しの霊媒師

熱線とかいう初見殺しにやられたキョウジ君も強かったけど、唯一弱点属性の武器持って来てたから真っ先に狙われたんだよね…

 

12:名無しのドンキンタロウ

まさか十分も経たず半壊されるとは思わなかったぜ

 

13:名無しのRS

>>11

ゴシャガズバアが融解して溶け落ちた時の絶望感たるや…

 

13:名無しのゼクトルーパ―

>>11

キョウジ君の死にざまは見ていてきつかった…

 

14:名無しの帝丹小学校6年生

ミクマリさんの傷はどんなものなのかしら?戦えるの?

 

15:名無しのくだん

>>10

リアルタイムは助言しようにもすぐ覆してきてそれはもう地獄だったぞ

 

16:名無しの鬼殺隊

>>14

至近距離でもろにあの爆発を受けて軽傷とは思えないな

 

17:名無しのG級太刀使い(元)

>>14

私はまだ戦える、そう思っているが(元)と書いているのが現実だ。装備は半壊し全身焼けただれて麻痺している。回復薬グレートをぶっかけてもこれだ。掲示板こそ可能だが、日常生活にも支障が出るだろうとの話だ

 

18:名無しのガンランス使い

火傷はヒビキのものと同じみたい。血塗れマガマガが接近すると燃えるアレ…

 

19:名無しのギルド所属ハンター>>1

ギルドの意向でハンター引退、遠出も体に障るからカムラの里で療養することになった。フゲンさんがいる里が一番安全だからな。百竜夜行を食い止められれば

 

20:名無しのG級双剣使い

私達生き残りで比較的軽症だった四人だけど、改めてアンテムをリーダーにでこぼこチームを結成してカムラの里に残って奴対策と百竜夜行に尽力することにしたにゃ。チーム名は私に決めて欲しいと言われたにゃ…責任重大過ぎて毛玉吐きそうにゃ

 

21:名無しのドンキンタロウ

50年前奴に滅ぼされたカムラの里が今や一番安全とは皮肉だな

 

22:名無しの帝丹小学校6年生

>>20

えっ、吐くの…?(ドン引き)

 

23:名無しの霊媒師

>>20

その毛玉ちょうだい!

 

24:名無しのG級双剣使い

>>22

>>23

吐かないにゃ!吐きそうな気持ちってだけにゃ!あと吐いたとしてもあげないにゃ!

 

25:名無しのくだん

人外って大変だよな…(遠い目)

 

26:名無しのRS

それで本題なんだがイッチよ。通常マガマガと戦うってマジ?

 

27:名無しの日向家次女

それ!気になってました!

 

28:名無しの転生者

後始末ってどういうことやねん

 

29:名無しのギルド所属ハンター>>1

後始末だよ。あの激闘で大社跡の血の匂いが凄まじいことになってる。血塗れマガマガは観測班によると何故か大社跡から寒冷群島に逃げたらしいから心配はないんだが、代わりに通常個体のマガイマガドが血の匂いに惹かれて現れた。それを討伐してほしいと言うクエストだ。もう受注して大社跡まで来てるところだ

 

30:名無しのRS

ああ、原作のマガイマガドか

 

31:名無しの49人目のマスター

大丈夫?ビシュテンゴみたくやばくなったりしてない?ただでさえ強いのに

 

32:名無しの魔導師

寒冷群島に逃げた…か。それにあの時の反応……

 

33:名無しの鬼殺隊

>>32

どうした、なにか思いついたのか?

 

34:名無しのG級太刀使い(元)

我々の戦いに何か不備が…?

 

35:名無しのG級双剣使い

私が気絶しなければもう少し何とかなったかもってことでしょにゃ…

 

36:名無しの魔導師

いや、寒い所に逃げた、全身に再生による炎を纏うのと嫌っている様に見えたことと、活動時期が秋から春ということからもしかしてと思ったんだが…あいつ、暑さに弱いんじゃないか?

 

37:名無しの日向家次女

身体が火照って逃げ出したということ?

 

38:名無しのギルド所属ハンター>>1

そうか、そういうことか。片足を引き摺っていることから移動には常に爆発を利用する。攻撃にも爆発を使い、そしてあの大爆発。あの鎧の様な肉体に熱が籠るのか。だから夏だと活動できない…そういうことか

 

39:名無しの転生者

さすが名無しの魔導師だ!

 

40:名無しのくだん

夏に引きずり出せれば勝機があるかもな

 

41:名無しの帝丹小学校6年生

…いや、多分あいつ、50年前に喰い殺した転生者のコピー能力持ってるよ

 

42:名無しG級太刀使い(元)

>>41

なんだと?

 

43:名無しのガンランス使い

>>41

そんな情報どこから?フゲンさんもその転生者の特典までわかってなかったのに

 

41:名無しの帝丹小学校6年生

話は簡単。毎年同じ授業でいい加減覚えたから私、授業適当にボイコットしてるんだけど、暇だから私のスマホで昔のスレまで遡ってみたらそれっぽいのがあった。その転生者は「星のカービィ」のコピー能力を持っていて、剃刀とか食べるとカッターを、みたいに食べた物をコピーする能力があったらしい

 

42:名無しのゼクトルーパ―

剃刀食べるって考えたくもないけど…

 

43:名無しのドンキンタロウ

意外と使い勝手が悪い特典だと見た

 

44:名無しの帝丹小学校6年生

で、英雄になろうとしたけど上位の捕食者のマガイマガドには通用せず無惨にも喰い殺された…で、ここで気になることがあった。その時のマガイマガドは特に普通のマガイマガドと何も変わらなかったのよ

 

45:名無しのガンランス使い

つまり……コピー能力を持つ転生者を喰ったことで、食べたモンスターや人間の能力をコピーする術を得たと…?

 

46:名無しの鬼殺隊

あの再生能力やナルハタタヒメを思い出すドーナツ電撃もそれか。あの爆発攻撃と大爆発はテオ・テスカトルのスーパーノヴァか…

 

47:名無しのRS

再生能力ってもしかしてあのしぶとかった豪鬼ラージャンなんじゃ…ミクマリ曰く以前のG級チームが戦った時はそんなことなかったんだろう?

 

48:名無しのギルド所属ハンター>>1

辻褄は合うな。………いや待て。ナルハタタヒメの電撃だと…?まさか

 

49:名無しのG級太刀使い(元)

あいつは雷神龍ナルハタタヒメが既に喰われているということか…?だが、百竜夜行は…!

 

50:名無しのG級双剣使い

忘れたのかにゃミクマリ。百竜夜行の原因はナルハタタヒメと巡り合おうとしている風神龍イブシマキヒコにゃ

 

51:名無しの鬼殺隊

つまり…ナルハタタヒメが喰い殺されたと知らないイブシマキヒコが捜して暴れ回ってるのが今の現状という事か

 

52:名無しの日向家次女

原作ブレイカーすぎない!?

 

53:名無しの転生者

…ナルハタタヒメの能力あるってことはイブシマキヒコ喰わせたら不味くね?淵源になるんじゃないか?

 

54:名無しの49人目のマスター

憎み血塗られし淵源マガイマガドとか考えたくないんだけど……

 

55:名無しの魔導師

それだけはさせては駄目だな。要警戒だ

 

56:名無しのガンランス使い

それはそうと、見つけたよマガイマガド。高台の上

 

57:名無しのギルド所属ハンター>>1

あ、ほんとだ。拡散弾で誘き寄せるからナギ、マシロ、ヒビキ。頼んだ

 

58:名無しのゼクトルーパ―

うわ。顔に当たった。痛そう

 

59:名無しのドンキンタロウ

心なしか、血塗れマガマガに殺された仲間の怨みをぶつけている様にも見えるぜ

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「グオアァアアアアアッ!!」

 

 

 高台から飛び降りてきて、古い家屋を踏み潰して咆哮を上げる怨虎竜マガイマガド。だけど、怖くない。アイアンランスを強化したシルムズランシアⅠと、骨銃槍を強化したボルボローダーⅠを構える。ヒビキに私に合わせて強化してもらった物だ。これがあるのもあるけど、憎み血塗られしマガイマガドに比べたら全然怖くない。

 

 

「わかっているな?憎み血塗られしの様な個体を生まないために、捕獲はなし。討伐だけだ」

 

「もちろんわかってるよバレット。…もう犠牲者は出させない!」

 

「生かしちゃ帰さん…!」

 

 

 やる気に満ちてるバレット、マシロ、ヒビキ。だけど私は違った。滞在中に仲良くなったキョウジ君の死に様を知らされた。必要以上に食い荒らして尊厳すら破壊した。許さない、許さない許さない許さない。

 

 

「ウアァアアアア!」

 

「ナギ!?」

 

 

 マガイマガドの突進と同時に突き出された槍尻尾とシルムズランシアⅠを激突。大きく弾き、吹き飛ばされる中でボルボローダーⅠを向けてフルバースト!マガイマガドの顔面を爆ぜさせてから着地する。すると怒りのままに紫炎を纏った前足を叩きつけてくるマガイマガド。

 

 

「ナギに続け!」

 

「さ!せ!る!かぁああああ!」

 

 

 しかしその一撃は飛び込んできたマシロが大剣でガードし、抜刀と同時に柄を爪に叩きつけて割ることで怯ませる。うわ、えぐっ…いつものマシロじゃない。私だけじゃないんだ、マシロも憤ってるのか。

 

 

「俺の笛の糧となれ」

 

 

 顎の下に禍ツ琵琶【封】Ⅰを滑り込ませ、馬鹿力で振り上げてマガイマガドをひっくり返すヒビキ。引っくり返した勢いでマガイマガドの巨体を殴り飛ばして岩肌に叩き付けた。相変わらずとんでもない力だ。倒れ伏すマガイマガドに、拡散弾が連続で叩き込まれて爆発に包まれる。バレットだ。

 

 

「…ナギ。怒ってるのはお前だけじゃない」

 

「ごめん。…来るよ!」

 

 

 起き上がると連続で紫炎の爆発を起こし、私達四人の周囲の空中を駆け回るマガイマガドに対し、私達四人は背中を合わせて構える。するとヒビキが演奏を始めた。

 

 

「バフかけるぞ」

 

―――――【攻撃力&防御力UP】

―――――【音の防壁】

―――――【体力継続回復】

 

「ありがとうヒビキ!」

 

「助かる!」

 

「これならいける!」

 

 

 三種類のバフがかかり、力がみなぎる。マガイマガドが空中に跳び上がり、急降下攻撃を仕掛けてくるが、ヒビキが禍ツ琵琶【封】Ⅰを立てて横に回転させる気炎の旋律で弾き返し、爆発も音の防壁で無力化。それに気付いたマガイマガドは逃走を試みたのかモンスターだけが入れる抜け道に逃げようとしたので、無防備となったマガイマガドの右肩に飛び乗り、二本の槍を思いっきり突き刺した。

 

 

「グガァアアアア!?」

 

「竜杭砲!竜撃砲…!」

 

 

 シルムズランシアⅠを突き刺して抉って固定しながら、暴れるマガイマガドに乗ったままボルボローダーⅠで竜杭砲、竜撃砲、砲撃、溜め砲撃と次々と叩き込んでいく。タイミングよくリロードするのも忘れない。引っ付き続ける体力も継続回復のバフがカバーしてくれている。

 

 

「ナギ!避けろ!」

 

「っ…!?」

 

 

 マガイマガドも私が離れないことに気付いたのか、岩肌に私を背中から叩き付けた。あまりの衝撃に吐血するが、離れない。レエムさんだって離れなかったんだ、離れてなるものか!

 

 

「グオアァアアアアアッ!」

 

「ぐっ、がっ、うあぁああああ!」

 

 

 暴れ回り何度も何度も右肩にいる私を岩肌に叩きつけるマガイマガド。逃がさない、絶対に逃がさない。逃がさなければマシロが、ヒビキが、バレットが、倒してくれる。あ、回復弾。バレットが的確に狙ってくれたらしい。感謝だ。掲示板でそれを伝える暇もないけど。

 

 

「どうしようバレット、ヒビキ、あんなに暴れられたら迂闊に攻撃できない…」

 

「マシロ、打つぞ!」

 

「うん!…え?ええぇええええ!?」

 

 

 すると信じられないものが飛んできた。マシロだ。後ろには禍ツ琵琶【封】Ⅰを振りかぶった様子のヒビキ。マシロを乗せて打ったらしい。滅茶苦茶だ。それに合わせて無傷のマシロも、滅茶苦茶だけど…一生懸命に大剣と太刀を構えた親友の姿が、かっこよく見えた。

 

 

「突き刺し太刀!」

 

 

 適当なネーミングの太刀の突きが、マガイマガドの背中に深く突き刺さる。左手で刺さった太刀を握り、ロデオの様に振り回されながら右手で大剣を大きく振りかぶるマシロ。振り回された衝撃すらも溜めた一撃が振り下ろされた。

 

 

「真・滅・激昂斬ッ!」

 

「グアガアァアアアア!?」

 

「今だ2人とも、退避しろ!」

 

 

 振り下ろされたその一撃はマガイマガドの背中を粉砕し、マガイマガドの悲鳴が上がるとそこにバレットの麻痺弾が何発も撃ち込まれて身体が麻痺し、動けなくなったマガイマガドから私とマシロは退避。禍ツ琵琶【封】Ⅰをまるで、前世で見たアベンジャーズのソーのミョルニルの如く高速て回転させたヒビキが身動きが取れないマガイマガドに迫る。

 

 

「気炎万丈・昇竜笛!」

 

 

 気炎の旋律と滅・昇竜笛を合わせた様な一撃がマガイマガドの頭部を下から粉砕。下顎を失ったマガイマガドは白目をむいてその巨体を倒れ伏した。

 

 

「やっ、た……」

 

「ちょっ、ナギ!?」

 

 

 討伐達成したと確信した私はそのまま気が抜けてバタンと力尽きる。さすがに無茶したな…マシロやウツシ教官から叱られるだろうけど甘んじて受けよう…ぐう。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

90:名無しのギルド所属ハンター>>1

俺、いらなくね?

 

91:名無しのくだん

>>90

え、援護は的確だから…(震え)

 

92:名無しの鬼殺隊

イッチがいなければナギも死んでいたし、必要だぞ

 

93:名無しの日向家次女

逃がしたらまた被害が増えると思ったのは分かるけど無茶しすぎだよ…

 

94:名無しのゼクトルーパ―

次は原作通りに行くなら恐らくヌシアオアシラですね…

 

95:名無しの帝丹小学校6年生

大丈夫?ビシュテンゴですらああなのにヌシとか

 

96:名無しの49人目のマスター

G級の人達もいるからどうだろう

 

97:名無しのG級太刀使い(元)

私も百竜夜行では裏方で手伝うつもりだ

 

98:名無しのRS

ヌシアオアシラって俺の記憶じゃ上位装備じゃないと普通にツーパンじゃなかったか…?

 

99:名無しのギルド所属ハンター>>1

ナギはひとまず無事だ。次の百竜夜行は気を引き締めることにするが…ヒビキがいるからあんまり心配はしてない

 

100:名無しの魔導師

血塗れマガマガがモンスターのやべーやつならヒビキはハンターのやべーやつだからな




特に異常はないけど形勢不利と見たらすぐ逃げだす普通のマガイマガドでした。掲示板組も転生者事情を探ったりただのにぎやかしじゃなかったり。

相変わらずのやべーやつ、本領発揮。頭がおかしい。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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寒冷群島の怪獣大決戦、雪夜叉VS血塗れ幽鬼

どうも、放仮ごです。感想欄で「星のマガマガ」が浸透していて草なんだ。凶星ではあるけどバルファルクと被るのよね。

今回は久々に転生モンスターサイドの話となります。以前のスレにも出てきたゴシャハギとフルフル、「この世界」の寒冷群島に棲む二体のお話です。楽しんでいただければ幸いです。


 雪鬼獣ゴシャハギ。寒冷群島といった寒冷地域に生息する、獲物を求めて雪原を徘徊する牙獣種のモンスター。カムラの里に一番近い寒冷地域である寒冷群島に生息するモンスターの中では轟竜ティガレックスと並んで最強と謳われるモンスターであり、人間の様に氷の刃や槌を武器にする様はさながらハンターの様である。

 

 そんなゴシャハギに転生した女がいた。神により与えられた理不尽に憤怒の産声を上げた。最初は人間と仲良くなろうと試みたがその人相の悪さと通常と異なり紫色をした肉体は不気味さを醸し出してから悉く逃げられ、孤独に苛まれた彼女はモンハンモンスターいう人知を遥かに超えた肉体、さらに性別の異なる雄に転生した影響もあって精神も引っ張られて一人称は「俺」の男口調となりさらには人間を見下し、見かけるたびに目障りに思い惨殺して捕食していくようになった。

 特にハンターを相手にするときは転生特典「剛力無双」で地盤を引っくり返すわ身の丈以上の氷塊を振り回すわ、一歩踏み出すだけで地震を発生させるわで一蹴。女であった影響か他の個体と異なり頭部の髪に当たる雪色の毛を長く伸ばしているため、その姿は【雪夜叉】と恐れられ、寒冷群島の頂点にして守護者として生息しているモンスターたちに崇められている。ギルドでも要警戒モンスターとしてG級専用クエストがあるほどの、転生モンスターでは断トツの猛者である。

 

 

「暇だ…あいつとチェスでもしにいくか…」

 

 

 のしのしと寒冷群島を我がもの顔で闊歩し、氷漬けにしたポポの肉を貪りながら洞窟を目指す(便宜上)彼女。しかし時折きょろきょろと見渡す姿は何かを恐れている様にも見える。

 

 

「あれ以来、奴は姿は見せないが大社跡で激闘があったと逃げてきたヨツミワドウから聞いたな…警戒しておいて損はないか」

 

 

 それは、以前の掲示板でも話題に出した、自身が目撃した文字通りの怪物。極稀に寒冷群島を訪れ、自身と互角の激闘を繰り広げる古龍、鋼龍クシャルダオラと、天彗龍バルファルクの変異体である奇しき赫耀のバルファルク。寒冷群島を好き放題荒す彼らを撃退するのも彼女の仕事だったが、ここのところご無沙汰だ。それもそのはず。嵐を巻き起こすクシャルダオラを一方的に叩きのめし、奇しき赫耀のバルファルクに至っては絶命させて捕食してしまった怪物がいた。クシャルダオラこそ逃走したが鋼皮をズタズタに引き裂かれているので当分は姿を見せないだろう。人間世界では「憎み血塗られしマガイマガド」と呼ばれ、掲示板では「血塗れ幽鬼」と呼ばれている怨虎竜マガイマガドこそ、彼女が唯一恐れる存在だった。

 

 

「兄貴ー」

 

「なにしにいくんで?」

 

「兄貴言うな。暇つぶしだ」

 

 

 ウルクススやイソネミクニといった舎弟(?)をシッシッと追い払いながら水辺を歩く。すると空から「覚悟ぉおおお!」とか言いながらなにかが舞い降りてきたので、雪夜叉は慣れた動きでパンチで迎撃。

 

 

「ぐっ…なぜ勝てない…」

 

 

 人間たちに「迅速の騎士」や「零下の白騎士」の異名で呼ばれる氷牙竜、ベリオロスは殴られた顔を前足で擦りながら雪夜叉を睨みつけると、雪夜叉は溜め息を吐きながら一本指を立てる。

 

 

「勝ちたいなら不意打ちにしろ。あんな叫ばれたら嫌でも気付く」

 

「いやだが正々堂々打ち勝ってこそ我がこの寒冷群島の覇者であると…」

 

「ならもう少し力を鍛えるんだな」

 

「ぐぬぬ…」

 

 

 去って行くベリオロスを見送る。いつもの日常。いつもの光景。ただ騒ぎを聞きつけて出てくるはずの親友が姿を見せないことに訝しみ、寝ているのかと納得した雪夜叉は歩を進めた。その時点で何か嫌な予感がしていた。

 

 

「フルフルのー。チェスしようぜー」

 

 

 寒冷群島北にある大洞窟。友であり同じ転生者であるフルフルが住まうそこにやってきた雪夜叉。氷で作りだしたチェス盤を置きながら寝ているであろう親友に話しかける。しかしそこにあったのは、想像だにしなかったもの。洞窟の暗闇に浮かぶ紅き鬼火だった。

 

 

「フルフルの!?」

 

「…食事中に五月蠅いぞ」

 

 

 目を凝らして見れば、そこにいたのは件の血塗れ幽鬼。見れば兜角が折れ、体のあちこちから血が流れているが、友である奇怪竜フルフルだったものを貪るたびに紅蓮の炎に包まれて再生していく。再生に消費するエネルギーをフルフルを喰らうことで補充したらしいことに気付くと、紫色の肉体が怒りにより赤黒く染まり、両腕に冷気の息吹を噴きかけて殺意むき出しの三枚刃の鉈の爪と棘鉄槌を作り出して構える。

 

 

「傷も癒えた…腹ごなしに付き合ってくれると言うのか?」

 

「貴様は俺を怒らせた」

 

 

 恐怖などいざ知らず。大地を踏みしめることで地震を起こしながら突進。地震により鍾乳石を落下させてダメージを与えながら肉薄し、強固な氷の棘鉄槌を顔面に叩きつけると大きく吹き飛ばされる血塗れ幽鬼。しかし折れた牙をペッと吐き出した怪物は嘲笑する。

 

 

「古の龍でもあるまいにこの力…貴様も“外れた”獣か。面白い、先の人間どもより愉しめそうだ…!」

 

「っ!」

 

 

 血塗れ幽鬼の口内が赤熱し、熱線が放たれて雪夜叉は咄嗟に横に回避して突進。三枚刃の鉈爪で血塗れ幽鬼の脇腹に突き刺してそのまま洞窟の壁に叩きつけるも腹部を槍尻尾で穿たれて痛み分け。だと思った矢先に槍尻尾に紅蓮の炎が灯り、爆発。雪夜叉は大きく吹き飛ばされ、受け身を取る。

 

 

「まるで人間の様な動きだな?」

 

「人間らしくて悪かったな?お前こそ人間みたいな悪知恵だ」

 

「我が人間みたいだと?笑止!」

 

 

 咆哮と共に全身に紅蓮の炎を纏い、爆発。爆発。また爆発。体当たりをもろに受け、天井に開いた穴から天空へと舞い上がった血塗れ幽鬼に連れられ、天高く投げ出される雪夜叉。咄嗟に両腕の三枚刃の鉈爪と棘鉄槌を遠心力で外して投擲するも、自由自在に空を駆る血塗れ幽鬼には当たらず。その動きに、奇しき赫耀のバルファルクが重なった。

 

 

「人間がこうまで自在に飛べるものか!」

 

 

 空中で大爆発。とんでもない速度で急降下してきた血塗れ幽鬼は落下するしかない雪夜叉の腹部に体当たりをかまして共に落下。勢いよく雪夜叉を雪原に叩き付け、さらに紅蓮の炎を纏った右前足を雪夜叉の顔に押し付け爆破。雪夜叉の頭部が雪に埋まり、血塗れ幽鬼は勝ち誇る。

 

 

「お前を喰らえば我が火照った肉体も冷めるかもしれぬな…」

 

 

 そう、はらわたに喰らい付こうとして。己が唯一の弱点だと自負している熱を溜めこむ肉体を補強せんとした、その時だった。

 

 

「ぬぐあっ!?」

 

 

 横からの拳に思いっきり殴り飛ばされた。完全な不意打ちに血塗れ幽鬼はキリモミ回転するも、爆発を起こして姿勢を整えて空に立つ。そして、頭を振りながらのっそりと起き上がる雪夜叉を見据えた。

 

 

「喧嘩は不意打ち上等だ。ルールもへったくれもない自然界の喧嘩なら猶更なあ!本気で行くぞ!」

 

 

 そう言って近くの木を軽々と片手で引っこ抜く雪夜叉。その先端に冷気を浴びせると棘氷球のついた簡易的な大槌ができあがった。

 

 

「ハンマー使わせたら俺の右に出るやつなぞ、いねえ!」

 

「笑わせるな!獣の分際で人間の様な武器を使う軟弱物が!」

 

 

 爆発。紅蓮の炎を纏って突撃する血塗れ幽鬼だったが、雪夜叉がその場で四股を踏むと地盤がひっくり返って頭から激突。地盤を粉砕して雪夜叉に槍尻尾を突き出すが、そこに雪夜叉はおらず。

 

 

「どこに…?」

 

「右だ」

 

「ぐああ!?」

 

 

 右で雪夜叉が振り被った氷槌が脇腹に突き刺さり、怯んだところに頭に勢いよく振り下ろされ雪原に埋まる血塗れ幽鬼。しかしエリア一つ分を飲み込む大爆発を起こして雪を溶かしながら立ち上がると、やはり雪夜叉の姿は見えず。

 

 

「飛べるからって上がおろそかになっているな!」

 

「ぬう!?」

 

 

 「剛力無双」による怪力で天高く跳躍して逃れていた雪夜叉は急降下と同時に氷槌を振り下ろし、血塗れ幽鬼は咄嗟に槍尻尾で受け止め鍔迫り合いとなる。

 

 

「ただの獣ではないと思っていたがこれほどとは…我の喰らってきた中で最も強いぞ、お前は」

 

「それは光栄、だ!」

 

 

 槍尻尾を押し付けられるのと合わせて後退。氷槌を手にして回転させ、振りかぶってゴルフの様にスイングすると氷塊が発射され、さらに手にした木の先端に氷の棘氷球を形成すると回転させて次々と氷塊をミサイルの如く発射。次々と飛んでくる氷塊を紅蓮の炎を纏って対処しようとする血塗れ幽鬼だったが、溶けきる前に紅蓮の炎を突破して次々と炸裂。その衝撃に負けて後退していく。

 

 

「なんの…!?」

 

「地に降りれば俺には勝てん」

 

 

 そのまま両前足と左後ろ足で踏み込んで突撃しようとしたが、再びの四股で地震を起こして体勢を崩させ、勢いが死んでよろよろと近づいてきたところに強烈な氷槌のアッパーを叩き込んで吹き飛ばした。

 

 

「お前が怖かったが…親友を殺されてそんなもん吹き飛んだ。完膚なきまでに叩き潰してやる…!」

 

「叩き潰すか、大きく出た物だ…我も己の力のみを使うのはやめようか」

 

「なに…!?」

 

 

 バチバチと口の中で稲妻が走ったかと思えば三つに分かれる巨大な電気のブレスが放たれる。それは雪夜叉の親友のそれと全く同じもので、困惑した雪夜叉にクリーンヒット。大放電が起きて崩れ落ちて木を杖代わりになんとか立ち上がる。

 

 

「(…くっそ、両手が痺れて得物が持てない…ならば!)」

 

 

 再び両腕に冷気の吐息を吹きかけて再び三枚刃の鉈爪を両手に武装、さらに両足に冷気の吐息を吹きかけて棘鉄槌を靴の様に形成、さらに右掌に振りかけて氷の鬼の仮面を形成して頭部に被り、完全武装。血塗れ幽鬼が立てた尻尾からドーナツ状の電撃を放ってきたのを両腕を交差して防御。

 

 

「その凍てつく冷気…欲しい、欲しい、欲しいぞぉ!」

 

 

 紅蓮の炎と電気を纏った槍尻尾を振り回し、螺旋状の稲妻を纏った炎の渦を放つ血塗れ幽鬼。雪夜叉は両腕を交差して防御しながら突進、天高く跳躍して急降下。棘鉄槌を身に着けた足による飛び蹴りを叩き込む。血塗れ幽鬼は大きく飛び退いて槍尻尾に紅蓮の炎を灯して融解させ鎌状にするとグルングルングルンと回転して連続斬りを叩き込む。

 

 

「この動きはオサイズチ…!?」

 

「隙ありだぞ」

 

 

 ビシュテンゴの様にグルンと回転して尻尾を勢いよく叩きつけて雪夜叉を薙ぎ倒す。さらに地面を槍尻尾をひっかけて泥状にするとオロミドロの如く津波にして雪夜叉は防戦一方となる。

 

 

「こいつ、他のモンスターの能力を…怪物じゃないか」

 

「奴から得たのは再生能力だけではないぞ…!」

 

 

 爆発と同時に跳躍してグルグルと回転しながらローリングアタック。ついに四肢の氷装備が砕け散って吹き飛んだところに、がっしりと両前足を踏みしめた血塗れ百鬼の口から電撃の光線が放たれて咄嗟に受けた右半身が黒焦げで痺れてたまらず蹲る。重症だ。なにかを喰って治癒に時間をかけなければいけない傷だ。

 

 

「ぐっ、あっ…」

 

「雷の獣の力は獲物を狩るのに便利で好きだ…お前の力ももらうとしよう」

 

「…ここまでか」

 

 

 一目で勝てるはずも無いことはわかっていたはずなのに。親友を殺されたことで頭に血が上ってしまったことを恥じる雪夜叉は最期を幻視して目を瞑る。しかし最期の時は訪れなかった。

 

 

「なん、だ…これは…」

 

 

 どこからともなく漂ってきた霧状の物が血塗れ幽鬼に纏わりついて睡魔に誘い。動きが鈍ったところに腹ばいに滑走してきたそれが真横から激突、大きく仰け反らせると空から巨体が飛来。血塗れ幽鬼に急降下体当たりを仕掛けてダウンさせると。雪夜叉の前に三体のモンスターが陣取る。舎弟を名乗るウルクススとイソネミクニ、そして自分の地位を狙っているはずのベリオロスだった。

 

 

「兄貴はやらせねえ!」

 

「怖くないぞお前なんか!」

 

「奴を倒し寒冷群島の覇者となるのは我だ。お前なんぞに殺されてたまるか」

 

「お前ら…やめろ、そいつには勝てない…」

 

「有象無象共が…!」

 

 

 ウルクススが腹ばいに体当たりし、イソネミクニが首を絞めるように巻き付て睡魔を誘うブレスを零距離で吹き付け、ベリオロスが血塗れ幽鬼の両前足とがっつり組み合う。

 

 

「今だ、逃げてくれ兄貴!」

 

「兄貴ならこいつに勝てるはずだ!」

 

「今は傷を癒せ我がライバル!なあに、倒してしまっても構わんのだろう?」

 

「…ぐっ、ここは、任せた……」

 

 

 重症の体に鞭打ってその場から足を引きずりながらねぐらへと歩を進める雪夜叉。背後で友人たちの悲鳴と怒号が轟くが、その思いを無駄にはできず逃げることに全力を向ける。そして逃げ延び、安全なねぐらで涙を流すしかなかった。

 

 

「グオアァアアアアアアッ!!」

 

 

 そして、寒冷群島の新たな覇者の咆哮が上がる。血塗れ幽鬼、憎み血塗られしマガイマガドは新たに熱への耐性を手に入れた。




モンスター掲示板では血塗れ幽鬼と呼ばれてる血塗れマガマガ。ベリオロスを喰らって熱をすぐさま冷められるようになって無敵なのかと思いきや…?

・雪夜叉ゴシャハギ
元女現雄の転生者で寒冷群島の支配者。「剛力無双」の特典と類まれな戦闘センスにより古龍とも渡り合える、転生モンスターの中でもトップクラスの戦闘力を誇る。氷のハンマーを操ったり、四肢に武装したりと通常のゴシャハギとは大違い。血塗れ幽鬼を追い詰めるも、喰らってきたモンスターの能力を前に敗れた。一応生存はしている。

・転生者フルフル
ゴシャハギの次くらいに強かった転生者の奇怪竜。通常より硬い鋼の様な皮膚を持つ。

・ウルクスス&イソネミクニ
雪夜叉の舎弟。命を懸けられるぐらいに慕っているが敗れた。

・ベリオロス
寒冷群島の覇者になろうと努力していた氷牙竜。正々堂々が信条だったが血塗れ幽鬼の前に不意打ちで攻撃を喰らわせた。ウルクススとイソネミクニの援護もあり何とか渡り合うもやむなく敗れた。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【ヌシは楽勝】荒ぶる風神龍来たる【青いヌシ+】

どうも、放仮ごです。夜の嵐(?)のせいで寝不足でようやく書き終わりました。

今回は一足早いアイツとの対決。【急募】狩猟笛の正しい使い方 本領発揮です。楽しんでいただければ幸いです。


 ヌシモンスター。モンスターハンターライズに登場する特殊な個体であり、百竜夜行を率いる力を備えた極めて強力なモンスター。まるで嵐に巻き込まれたかのような傷跡と黒ずんだ体色が特徴。罠には掛からず、操竜も不可とかいう古龍以上のチート性能を有している上に、咆哮によって自身の怒りと恐怖を周囲に波及させて百竜夜行そのものを活性化させるとかいう傍迷惑な能力も持っている厄介極まりないモンスターだ。ぶっちゃけ、ゲームでもヌシ素材で作れる百竜武器のため以外には絶対戦いたくないモンスターだ。アホみたいに強い。

 

 ゲームに置いて初めて顔を出すのが今戦ってるヌシ・アオアシラ。ラージャンと並ぶ牙獣種最強格のモンスターで、前足が発達していて凄まじく硬く最上位の強咆哮でこちらを拘束してくる。その火力はほとんどの攻撃で確定気絶、ガンナーなら2、3発食らえばほぼ即死。怖すぎる。まあ拡散弾で怯ませまくればなにもさせずに倒せるのだが。

 

 

「ヌシが行ったぞ!アンテム殿!エスラ!」

 

「タイミングさえわかれば!」

 

「にゃにゃにゃにゃにゃー!」

 

 

 逃げるために、逃げ道を阻む大扉を破壊せんと大技を放たんとしていたヌシ・アオアシラ。しかし跳躍した先には大きく轟槌【虎丸】を振りかぶったアンテム殿と、飛び込むエスラがいて。勝利を確信すると同時に討伐。勝鬨が上がった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

64:名無しのギルド所属ハンター>>1

いやー、ヌシアオアシラは楽勝でしたね

 

65:名無しのRS

いや、うん…あんなに拡散弾を頭に叩き込まれたらそりゃなにもできずに死ぬよ…

 

66:名無しの日向家次女

情け容赦なくて可哀想だった…

 

67:名無しのゼクトルーパ―

彼もイブシマキヒコから逃げてここまで来た被害者なんですけどね…

 

68:名無しの帝丹小学校6年生

もう記憶は薄れてるけど…ここでイブシマキヒコが顔見せだっけ?

 

69:名無しの49人目のマスター

たしかそうだね。ヒノエさんだかミノトさんだかが共鳴して…

 

70:名無しの魔導師

>>69

たしか姉のヒノエの方だな、イブシマキヒコは

 

71:名無しのドンキンタロウ

しかしマシロが族長の継伝の太刀【無銘】とマガド大剣手に入れたからか滅茶苦茶強くなったな

 

72:名無しのくだん

おっ、原作イベント……なんか様子が可笑しくないか?

 

73:名無しの霊媒師

なにか、風が…?

 

74:名無しのG級太刀使い(元)

なんだ、何が起こっている?

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

「どうにか守り切れたな。ヒビキたち里のハンターやバレット殿、G級チームの皆のおかげだ。憎み血塗られしマガイマガドが乱入しそうな中、皆よく耐えてくれた!」

 

 

 そう高らかに笑う里長フゲンさん。いや、多分貴方がいたから血塗れマガマガ乱入しませんでしたよ…。しかし今回は大変だった。マップ兵器フゲンを始めとして、トリガーハッピー団子屋のヨモギに、ガルク達を自在に操るオトモ斡旋人のイオリ、槍を弓を武器にするヒノエとミノト姉妹、範囲内のモンスターを全て躁竜待機状態にするウツシ教官とカムラの里オールスターズだった。それほどヌシとヌシが操る群れは強大だった。G級がいたから楽勝だったが。

 

 

「なあに里長。俺はいつも通り笛を鳴らしてただけだ」

 

「ヨツミワドウ二体を相手にパワーで押し勝ってた奴がなにを言う」

 

「そうだよヒビキ。もっと自分が強いことを認めてよ」

 

「マシロも人の事言えないと思うけどね」

 

「ナギ、お前も空を飛んでアケノシルムやプケプケを叩き落としてたの見過ごしてないからな?」

 

「バレットも中々だったぞ。二丁ボウガンはすごいな」

 

「にゃー、リーダーも大暴れだったにゃー」

 

「百竜夜行…クッソ忙しがったな!なあ、マキアナ!」

 

「そういうもんじゃないですよエルヴァス」

 

 

 まあ手練れのハンターが八人もいたんだ。負ける理由がないか。司令塔も優秀だしな、と崖内の拠点を見やると包帯を巻いたミクマリが手を振っていた。可愛いな。

 

 

「百竜夜行…此度は何時まで続くのでしょう?やはり憎み血塗られしマガイマガドが影響しているのでしょうか…」

 

「いいや、あやつは50年前からたびたび姿を見せているが百竜夜行は50年ぶりだ。あまり関係はないだろう」

 

「うーむ、原因が分からん以上何とも言えんでゲコねえ。…こう言い続けてはや数百年。過去最強の戦力が揃っている今解決したいところでゲコが…」

 

 

 そう言うのはヒノエさんとフゲンさん、ギルドマネージャーのゴコクさん。すると突如暴風雨が吹き荒れ始め、ミノトさんが上空を見やって「あれは…」と声を出し全員がつられてそれを見た。

 

 

「始めて見るやつだ……!」

 

「グオアァアアアアアッ!!」

 

 

 上下逆さまの状態で空に浮かぶ不可思議な、巨大な龍。そう、龍。アレは古龍だ。灰色を基調としたゴム質の皮膚と甲殻に覆われ、各部位に「風袋」と呼ばれる器官が存在する、風を操る古龍。その名を転生者の俺達は知っている。百竜夜行の原因の一つである禍群の息吹、風神龍イブシマキヒコ。

 

 

「っ…!?」

 

「姉様!?」

 

「ヒノエ、どうした!?」

 

 

 すると頭を押さえて蹲るヒノエさん。共鳴現象か。だが、周囲に巻き起こってる突風はなんだ?原作とは違うぞ…!?

 

 

「……“対は何処(いずこ)”……“対は何処(いずこ)”……“約束の地来たれり”……“血塗れ幽鬼に巡り合う前に”……“()く疾く出でて、いざ眷属で以て天地を治めん”……“我は狂飆”……“並べて薙ぎ”………“楽土が辻の淵と成らん”」

 

「グオアアァアアアッ!!」

 

 

 原作よりも長い台詞をヒノエさんが述べると同時にイブシマキヒコが咆哮。さらに強烈な突風が吹き荒れて、バリスタや大砲に速射砲、固定式竜炎砲台に竹爆弾、撃龍槍の土台や最終兵器と言ってもいい破龍砲が巻き上げられる。嫌な予感がしたと同時にヒノエさんが正気に戻って警告の声を上げた。

 

 

「この孤独と焦燥は、あのモンスターの衝動……!来ます!」

 

「来ますって何が…!?」

 

 

 バリスタなどの引き金や撃龍槍や破龍砲の起動の為のレバーが浮かび上がった岩が飛んできて激突。悉く作動し、次の瞬間百竜を撃退するための兵器が一斉放射。さらには高威力の砲撃と回転する巨大槍の雨が降り注ぎ、俺達は慌てて退避する。

 

 

「なんて力だ…風を操る古龍、か…?」

 

「まさに風神龍…!」

 

「里長とギルドマネージャーは下がってください!」

 

「里守たちも全員下がれ!巻き込まれるぞ!」

 

「ミノトさんもヒノエさんを連れて逃げるにゃ!」

 

 

 俺に続いて、こいつの危険性に気付いたヒビキとエスラが警告の声を上げる。残ったのは俺、ヒビキ、マシロ、ナギ、エスラ、アンテム殿、エルヴァス、マキアナ。上空から迫りくるは怒り狂った風神龍。兵器を巻き上げ、岩を巧みに操り再び作動させて一斉砲火するイブシマキヒコ。

 

 

「そこ、にゃあ!」

 

「ぶっ飛べー!」

 

 

 動力源から外された撃龍槍と破龍砲は作動せず、エスラが鬼人化して跳躍して破龍砲の砲身に飛び乗り、ナギがガンランスで空を飛び撃龍槍の土台を足場にしながらイブシマキヒコに迫る。

 

 

「叩き落とすにゃ!鬼猫乱舞!にゃにゃにゃにゃ、にゃああっ!」

 

「くーらーえー!」

 

 

 砲身を駆け上ったエスラの、イブシマキヒコの背を沿う様な斬撃の嵐が炸裂。さらに撃龍槍の土台を大きく踏み込んでガンランスのブラストダッシュで加速したランスの一撃が風袋の一つにぶっ刺さってもぎとるナギ。たまらずイブシマキヒコは落下して地面に激突した。

 

 

「音撃打打打!」

 

「全力握撃、真・滅・激昂斬ッ!」

 

「ダッシュブレイカー!」

 

「高圧廻填斬りィ!」

 

「貫通電撃弾!」

 

 

 ヒビキの滅多打ち、全力でマガド大剣を握ったマシロの斬撃、アンテム殿のスピードを乗せた打撃、エルヴァスの回転する斬撃、マキアナさんの貫通電撃弾が炸裂、同時にナギとエスラが着地する。

 

 

「やったか!?このデカブツめ…!?」

 

「エルヴァスの馬鹿!フラグ建築という奴だとリーダーから言われてたでしょう!?」

 

 

 しかしイブシマキヒコはビクともせず起き上がり、口から青白く発光するブレスを放射しながら風の力を帯びた龍属性のエネルギー弾をばらまき、爆発。一発で森林を薙ぎ払って更地に変える威力の突風を打ち付けられて俺たち身体が浮き上がり、その巨体で全員纏めて薙ぎ払われる。

 

 

「こんのおお!」

 

「負けてたまるかあ…!」

 

「にゃんのこれしき…!」

 

 

 俺達のほとんどは壁に打ち付けられたが、見ればマシロ、ナギ、エスラが己の得物をそのゴム質の皮に突き刺してくっ付いており、もう片方の得物である大剣、ガンランス、双剣の片割れを何度も叩き込んでダメージを与えていた。岩盤に身体を打ち付け破壊しながら暴れ狂うイブシマキヒコ。

 

 

「グオアァアアアアッ!!」

 

「二度も同じ手を喰らうかよ!」

 

「怖くなんかねえからなあ!」

 

「今度こそ守る!」

 

 

 大暴れするイブシマキヒコから再びばら撒かれるエネルギー弾を俺とエルヴァス、マキアナがシールドで防御、シールドを斜めにずらして天空に受け流す。まともに受けたら死ぬ。

 

 

「アンテム、頼む!」

 

「行くぞヒビキ!どっせい!」

 

 

 さらにアンテム殿のハンマーで打ち上げられたヒビキが狩猟笛を振りかぶり、強烈な一撃をイブシマキヒコの右腕の爪にブチ当てて叩き割りバランスを崩すも致命傷には至らない。

 

 

「エスラあ!嬢ちゃん方!そいつをこっちに誘導できるか!?」

 

「やってみるにゃ、リーダー!」

 

 

 するとアンテム殿がヒビキとエルヴァス、そして俺とマキアナに目配せしてから叫び、マシロとナギ、エスラは攻撃する箇所を一定方向に纏めて暴れ狂うイブシマキヒコをまっすぐ俺達の方に向かわせ、俺とマキアナさんは麻痺弾をセットして乱射。勢いそのまま麻痺しながら突っ込んでくるイブシマキヒコに、アンテム殿とエルヴァスが飛び上がり、まるで居合の様にヒビキが構える。

 

 

「インパクトォ…クレーター!」

 

「アックスホッパー!空中高出力属性解放斬り!」

 

 

 飛び上がった二人の打撃と斬撃が炸裂し、顎から地面に叩きつけられたイブシマキヒコは、マシロたち三人が飛び降りてなお突っ込んできた勢いのままずりずりと土煙を上げながら直進し、その前方でヒビキが居合の構えから振り抜いた。

 

 

「擬似・特殊納刀。居合抜笛(いあいばっぴょう)気炎旋律打(きえんせんりつだ)

 

 

 クルクルクル!と気炎の旋律を奏でるようにしながら居合の如く高速で振り抜くトンデモ技がイブシマキヒコの鼻面に炸裂、吹き飛ばす。

 

 

「ヒノエは俺の、カムラの里の家族も同然だ。苦しめたお礼の演奏だ、たっぷり聞いて逝け」

 

 

 そんな怒りに満ちたヒビキの言葉と共にダダダダダン!という連続する打撃音と爆発が遅れて響き渡り、イブシマキヒコは吹き飛ばされた勢いのまま天高く昇り、雲の中に消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

106:名無しの鬼殺隊

いや、なんだ今の技

 

107:名無しのくだん

巨大な古龍を打ち上げた!?

 

108:名無しのギルド所属ハンター>>1

【急募】狩猟笛の正しい使い方【震え】

 

109:名無しのガンランス使い

さすがの私も開いた口がふさがらないよ…

 

110:名無しのRS

>>108

原点回帰なんだけど震えしか出ないぞ

 

111:名無しのG級太刀使い(元)

なんであのヒビキという男はG級じゃないんだ…?

 

112:名無しのG級双剣使い

ぶっちゃけ私達より強くないかにゃ?

 

113:名無しの帝丹小学校6年生

それはそう

 

114:名無しの魔導師

転生者でもないのにあの力…何か理由があるとしか考えられないな…

 

115:名無しのゼクトルーパ―

>>111

まだハンターになりたてだかららしいですよ

 

116:名無しの49人目のマスター

しかしイブシマキヒコがこの段階で襲ってくるとはな…

 

117:名無しのドンキンタロウ

何故、あそこまで荒ぶっていたんだ?

 

118:名無しの霊媒師

……ナルハタタヒメの能力を持つ血塗れマガマガ…まさかね

 

119:名無しの鬼殺隊

ナルハタタヒメ捜索が必要かもしれないな

 

120:名無しのギルド所属ハンター>>1

対の存在がいるって言う情報はあるからそれで調査を頼むしかないな




荒ぶるイブシマキヒコ。なにがあったんじゃろね(すっとぼけ)それすら撃退するヒビキの化け物っぷりよ。本当にただの現地民なんですかね。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【転生リオ夫婦】溶岩洞の大空中戦【転生モンスターの会】

どうも、放仮ごです。今回は二話ぶりの転生モンスター掲示板です。別に人間転生者も見れるんだけどモラルが違うからあまり来ようとは思わないのだ。

雪夜叉に続く各地の覇者が勢ぞろい。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しの雪夜叉

以前陸の女王のスレで名無しの転生雪鬼獣を名乗っていた者だ…人間との接触で異名を知ったのでこう名乗ることにする

 

2:名無しの転生轟竜

お前だったのか。雪夜叉と呼ばれる鬼強いゴシャハギ

 

3:名無しの滅雷刃

なら俺も異名を名乗ろう。名無しの転生雷狼竜こと滅雷刃だ。一応水没林の覇者をやらせてもらっている。故にわかる。大社跡と寒冷群島で何かが起きたと

 

4:名無しの転生大海の王

もしやあの血塗れ幽鬼のいる世界の話か

 

5:名無しの塵魔帝

名無しの転生角竜名乗らせてもらってたものだ…一応砂原の覇者をやらせてもらってる。多分同じ世界で他人事じゃない

 

6:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

名だたる者達が偶然にも集っていたわけだ

 

7:名無しのドス狗竜

あと溶岩洞と大社跡の覇者とかいないものかな

 

8:名無しの転生先生

溶岩洞はともかく大社跡はいるのだとしたらアシラネキやらが死んだときになにしてたんだとなりますが

 

9:名無しの毒牢姫

それは本当にごめんなさい…夫と新婚旅行に行っていて留守だったのです…

 

10:名無しの灼翼王

新大陸に行っていて、まさか我らの世界のこととは…間が悪かったのだ…

 

11:名無しの転生銀嶺巨獣

お前たちだったのか…!

 

12:名無しの転生傘鳥

知らない奴に説明しよう!他のスレではラブラブ夫婦と知られる転生モンスターカップルだ!

 

13:名無しの転生鎧竜

白黒コンビの世界だったか、世界は狭いな

 

14:名無しの転生赤甲獣

はえー、知らんかった。ちなみにわいは塵魔帝の舎弟である

 

15:名無しの転生千刃竜

あれ、もしかして「その世界」の大社跡、寒冷群島、水没林、砂原、溶岩洞の覇者が揃ったのかこれ?

 

16:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

そんなのがいるのに猛威を振るっているその世界ヤバくないか

 

17:名無しの雪夜叉

事実、俺はそいつと戦って敗北した…友人たちが加勢してれくれなければ死んでいただろう。そして、名無しの転生奇怪竜こと俺の親友だったフルフルが死んだ。恐らく大社跡の転生者が軒並みいなくなったのは奴の仕業だと考えていい

 

18:名無しの毒牢姫

それは聞き捨てなりませんね。オロミドロのおじいちゃんやアオアシラちゃん、私に挑んできては返り討ちにされていたラージャンくんにハーレムだと喜んでいたオサイズチくん、マガイマガドに勝つんだと意気込んでいたトビカガチさんにお調子者のビシュテンゴくん……帰ってきてみんなの姿が見えないと思ったら…

 

19:名無しの灼翼王

我が嫁の友を殺すとは許さん……溶岩洞には一度も姿を見せない臆病者めが…!?

 

20:名無しの滅雷刃

血塗れ幽鬼は大社跡と寒冷群島でしか姿を現さないからな…

 

21:名無しの塵魔帝

奇しきバルファルクみたく自在に飛べるはずなんだがな

 

22:名無しの転生轟竜

共通点としては比較的暑い、もしくは熱い地域ってことか

 

23:名無しの転生傘鳥

まさかと思うけど熱が弱点だったりしてね

 

24:名無しの転生銀嶺巨獣

ありえない話ではないぞ。あの鎧みたいな身体だ、熱が籠るとしてもおかしくない

 

25:名無しの雪夜叉

そのことなんだが確定事項がある…奴は喰らったモンスターの能力を己のモノにできる。そして我が友、ベリオロスを喰らったことでその熱への耐性も得たと考えてもいいと思う

 

26:名無しの転生先生

なんだって!?それは本当かい!?

 

27:名無しの転生ドス狗竜

じゃあ弱点なくなったじゃん。どうすんの

 

28:名無しの毒牢姫

>>19

待ってください!我が夫!どうしたのですか!?返事をしてください!?

 

29:名無しの転生鎧竜

いやあの灼翼王に何が起きたって…まさか!?

 

30:名無しの灼翼王

そのまさかだ。血塗れ幽鬼が我が領土に現れた。今戦闘中だ

 

31:名無しの転生大海の王

熱耐性を得たから活動範囲を広げたってことか…!?

 

32:名無しの転生赤甲獣

えっ。どうするんですか塵魔帝!僕らの所にも来るかもってことですよね?!

 

33:名無しの毒牢姫

>>30

こうしてはおられません!加勢に行きます我が夫よ!

 

34:名無しの雪夜叉

気を付けろリオレウスの。そいつは炎だけじゃない、雷も…恐らく冷気も使ってくるぞ

 

35:名無しの塵魔帝

>>32

サボテンでも食って落ち着け臆病者。構えるしかないだろう。弱い奴等は隠れておけ

 

36:名無しの滅雷刃

こうしてはおれん。溶岩洞は結構近場だ。俺も加勢に行く!

 

37:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

なんか遠くから爆発の音が立て続けに聞こえてくるけど気のせいだよな…?

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 溶岩洞。玉水と灼熱が彩る、蒼紅の巌窟。カムラの里の近くにある火山帯であり、炎を操ることに長けたモンスターが好む溶岩の流れる上層と、冷水の流れた下層の地下水脈目的で水棲モンスターも住み着く炎と水の土地。時は丑三つ時。そこの象徴である大火口近くの広場で、二匹の竜が空を舞い激突していた。

 

 

「ここは我の縄張りぞ!血塗れ幽鬼よ!とっとと地獄に帰るがいい!」

 

「血塗れ幽鬼…なるほど、この鬼火のことか。この炎は今まで喰らってきた獣共の血肉で燃えていると知るがいい!」

 

 

 灼熱の紫炎を纏った両翼を振るって叩きつける【灼翼王(しゃくよくおう)】と呼ばれる漆黒のリオレウスの攻撃を、巧みに爆発を駆使して避けて紅蓮の炎を纏った槍尻尾による突きで叩き落さんとする【血塗れ幽鬼】と呼ばれるマガイマガド。古龍すら退けるこの世界屈指の実力を誇るモンスター二体の激突は、子供たちと共に来ていたこの土地でも上位に入る妃蜘蛛ヤツカダキも慌てて逃げ出すほどだ。余波で飛び散った紫炎と鬼火で山岳地帯が更地と化している。

 

 

「我が伴侶の為にも負けられぬ!」

 

「ぬう!?」

 

 

 伸ばされた槍尻尾を横に避けて両足で掴み、グルングルンと振り回して岩肌に叩き付け地面に埋める灼翼王。血塗れ幽鬼が地面に沈み込んで勝利を確信するも、次の瞬間背後の地面を突き破って出てきた血塗れ幽鬼に尻尾を噛み付かれ、地面に叩き落される。

 

 

「油断したな空の王よ」

 

「これは…バサルモスの掘削能力か…!?なんの!」

 

 

 紫炎を纏った翼のビンタで血塗れ幽鬼を吹き飛ばし、口に灼熱の業火を蓄えて紫色の超高熱火炎ブレスを放つ灼翼王。しかし血塗れ幽鬼は涼しい顔で受け止め、ブレスが終わるとにやりと笑う。

 

 

「凍てつく古龍の墓場で供物を喰ろうてきた我にはもはや、そのような攻撃は通じぬ。例え貴様が“外れた”獣であろうとも、な!」

 

「ぬううう!?」

 

 

 大きく息を吸い込み、血塗れ幽鬼は飛び上がって口から氷塊を飛ばし、それは冷気の竜巻となって溶岩を冷やしながら灼翼王を打ち上げる。血塗れ幽鬼の体内に新たに生成された凍結袋の冷気が大気中の水分と結合する事で放たれる超低温の氷塊ブレス、ベリオロスの必殺技である。

 

 

「我が翼に冷気は…ぐぬう」

 

「だろうな。だが混入した眠り粉は効いただろう?」

 

 

 血塗れ幽鬼の体内に形成されたのは凍結袋だけではない。フルフルの電撃袋の他に、昏睡袋と呼ばれるイソネミクニの体内器官から生成される眠り粉も混ぜられた氷塊ブレスは灼翼王の眠気を誘い、墜落させて夢の世界へと誘ってしまった。

 

 

「喉笛を噛みちぎり、我が力にしてやろう…そして、我は必ずあの人間にこの傷の復讐を遂げる…!」

 

 

 未だに引きずる右足を見やってほくそ笑む血塗れ幽鬼。思い浮かぶは50年前。目障りな古龍夫妻の逢瀬の煽りを受けて住処を移動する獣たちを襲うべくとある里を襲撃したあの時。双剣を手にした男に全身切り刻まれ、右足に決して治らぬ深手を受けて恥も外聞もなく逃走した、あの屈辱の戦。小さき者の癖して抵抗するばかりかこの己の身に癒えぬ傷を与えた、人間という種への憤怒。人間への憎悪で紅蓮の鬼火が燃え滾る。そして深き眠りについた灼翼王の喉笛に噛み付かんとして、研ぎ澄まされた嗅覚が危険を察知してその場から飛び退いた。

 

 

「今のを避けるとは、さすがは血塗れ幽鬼……ですがこれ以上、我が伴侶への手出しはさせません!」

 

 

 そこに現れたのは、特に変哲もない緑の飛竜。今無様に惰眠を貪ってるリオレウスの(つがい)であり陸の女王と謳われるリオレイア。だが血塗れ幽鬼の嗅覚が、ただの飛竜ではないと察知する。見れば、その深き緑色の体からシューシューと煙が立ち上っている。あれは血塗れ幽鬼でも喰らいたくはない古龍、霞龍オオナズチも有する猛毒の放つ煙と同じ物だった。さらによく見ればその緑色の鱗はドロドロと崩れて、零れ落ちた雫は容易く大地を溶かして見せた。

 

 

「猛毒を纏った飛竜か、気付かず噛み付けば我の方が死んでいたであろうな」

 

「初見で我が毒牢に気付くとはさすが悪食。ですが…!」

 

 

 グルンとリオレイア…毒牢姫(どくろうき)が空中で一回転。その全身から飛び散った緑色の猛毒の雫は周囲をドロドロに融解させて見せ、咄嗟に跳躍して後退した血塗れ幽鬼の刃と鎧の皮膚が溶け落ちゾッとする。そして現れた毒牢姫は、漆黒の鱗を持つ灼翼王とは対極的に純白の姿をしていた。すぐに緑色の猛毒が鱗の隙間から沁み出して覆い尽くす。彼女は灼翼王と同じく転生者であり、その転生特典は「毒の娘」。汗から唾液に吐息まで、全てが全て致死性の猛毒である。

 

 

「この私の堅牢な毒鎧、略して毒牢を突破することは不可能と知りなさい!」

 

「ぬうう!?」

 

 

 バサリと翼を羽ばたかせて飛来し、毒液を纏った尻尾を振るう毒牢姫。血塗れ幽鬼は咄嗟に避けながら槍尻尾を振るうも触れた個所から溶け落ちて行き通じず、さらに飛び散った猛毒の雫が背中にかかり激痛に動きが止まる。そこに翼のビンタが二連続で炸裂、さらに両足で上から押さえつけて背中に口に溜めた猛毒の吐息を吹きかけてその鎧みたいな背中をドロドロに融解。露出した背中の肉を毒のついたかぎづめで何度も抉る猛攻を叩き込む毒牢姫。伴侶を殺されそうになった怒りは凄まじい物だった。

 

 

「調子に乗るな…!」

 

 

 しかしぐじゅぐじゅに溶けた肉と装甲は紅蓮の鬼火に包まれ再生していき、尻尾が立つとドーナツ状の電撃を放つ血塗れ幽鬼。毒牢姫は電撃が完全に形成しきる前に空に退避。空中から翼を羽ばたかせて毒滴の雨を降らすが血塗れ幽鬼は物ともせず爆発と共に再生しながら突撃、組みついた。

 

 

「ぐっ…夫以外に抱かれる趣味はありません…!?」

 

「奇遇だな。我もだ」

 

「っ…!?」

 

 

 そして血塗れ幽鬼の全身が紅蓮に輝いて大爆発(スーパーノヴァ)。全身の毒滴が全部蒸発した毒牢姫は純白の身体を黒く焦がしてなす術もなく落下。着地した血塗れ幽鬼は勝ち誇る。

 

 

「毒は嫌いだが喰らえば我が力に……ぐぬ!?」

 

 

 次の瞬間、血塗れ幽鬼は吹き飛ばされ岩盤に叩きつけられる。翼の炎をさらに燃やし、首を限界まで下に伸ばして放った火炎放射の勢いで音速で突撃した灼翼王が激突したのだ。毒牢姫が近くに落下したことで目を覚ました空の王者にふさわしい炎の飛竜は伴侶を守るように滞空し、立ち上がって体勢を立て直した血塗れ幽鬼を睨みつける。彼もまた転生者。その転生特典は「愛する者を守れる力」。愛した者が毒の娘なら毒への耐性を獲得し、近くに伴侶がいることでその力を遥かに増す。

 

 

「ははは、いいぞいいぞ!その力もいただこう!」

 

「俺の女に手を出した罪は重いぞ悪食野郎」

 

 

 両翼の紫炎を炎上させ、羽ばたかせて加速した灼翼王の振るった剣状の尻尾と、グルングルンと振り回した血塗れ幽鬼の槍尻尾が激突。その衝撃で後退した灼翼王と血塗れ幽鬼は同時に火炎放射と熱線を放ち、相殺。血塗れ幽鬼の放った電撃のブレスを回避した灼翼王はそのまま上空に舞い上がり、血塗れ幽鬼も爆発と共に舞い上がり肉薄。互いに尻尾に噛み付いてグルグルと回転して一度離れると、もう一度肉薄して両翼と前足を振るって殴り合い取っ組み合う。

 

 

「体力勝負でこの我に勝てるとでも…!?」

 

「思っていない。だが、貴様とて古龍ではない古龍級生物…!」

 

 

 がっしりと両足のかぎ爪で血塗れ幽鬼の腹部を掴み上げる灼翼王は燃える翼を羽ばたかせ、北に向かって飛んでいく。

 

 

「貴様、まさか…!?」

 

 

 思惑に気付いた血塗れ幽鬼に引っ掻かれ、殴られ、爆発を受けても何度も軌道を調整しながら、槍尻尾が突き刺さり血を吐きながらも飛んでいく。その先にあるのは溶岩洞の象徴、大火口だ。

 

 

「血塗れ幽鬼、お前ほどの怪物でも、溶岩に落ちればただではすむまい!」

 

「きっさまぁあああああ!?」

 

 

 血塗れ幽鬼の咆哮と共に、灼翼王は大火口に向けて急降下。爆発しても勢いを殺しきれない速度で血塗れ幽鬼を火口に放り投げ、血塗れ幽鬼は四肢をバタバタとさせて暴れながら火口に落ちて行き、巨大な溶岩の飛沫が上がった。

 

 

「…奴に殺されたモンスターも人間も同胞も……仇は取ったぞ」

 

 

 沈んで行った血塗れ幽鬼を見届け、伴侶の元に飛んでいき降り立つ灼翼王。顔を近づけ、安否を確かめる。

 

 

「息はしているようだな…奴が怪物だとわかっていただろうに、無茶をするな」

 

「貴方の為なら火の中水の中…ですよ、我が王よ」

 

 

 頬をすり合わせて笑い合う二匹の飛竜。しかし、次の瞬間大噴火が起きて絶望が降ってくる。全身焼けただれた傷が再生していく紅蓮の鬼火を纏いしマガイマガド…血塗れ幽鬼だった。

 

 

「咄嗟に溶岩を泳ぐ獣を見つけて喰わなければ危なかったぞ。残念だったな」

 

「…アグナコトルか…」

 

「良い匂いだ。血の焼けた匂い、さぞかし美味いだろうな」

 

「くっ…!?」

 

 

 満身創痍でそれぞれを庇い合う動きを見せるリオ夫婦に嘲笑を浮かべる血塗れ幽鬼。そして喉笛に喰らいつこうと突撃せんとして、その右前足がスパンと断ち斬られ、バランスを崩して倒れ込んだ。疑問符が脳裏に浮かぶ血塗れ幽鬼の前に、岩肌を駆け抜けてきたそれは現れた。

 

 

「なに…?」

 

「どうやら間に合ったようだな」

 

 

 それは、銀色の刃の様な装甲を身に着けた群青色の狼の様な牙竜種だった。通称「無双の狩人」と呼ばれる雷狼竜に転生したジンオウガ、その異名は【滅雷刃】。【絶対切断】の転生特典を持った悉くを滅ぼす雷の刃である。

 

 

「新手か…」

 

「やるなら相手になるぞ」

 

「いいや…生憎と腹が減った。ここまでだ」

 

 

 威嚇する滅雷刃を前に、血塗れ幽鬼は己のエネルギーが尽きかけていることに気付くと、切断された右前足を咥えると爆発して跳躍。ねぐらである大社跡方面に向けて飛んでいく。見送った滅雷刃はリオ夫婦に向き直った。

 

 

「間に合ってよかった。…恐らく雷耐性も持ち合わせているはずだ。戦うとなると不利だったから逃げてくれてよかった」

 

「礼を言うジンオウガ…だが、我等だけで奴に勝つのは難しい。火耐性に氷耐性、雷耐性…溶岩まで。ほぼ全ての耐性を得ていると言っても過言じゃないだろう」

 

「毒には弱いと思いますが今回の件で耐性を獲得しようとするはずです…」

 

「…ならばもう、獣の誇りなどと言っている場合ではないな」

 

 

 そんな滅雷刃の言葉に頷く灼翼王と毒牢姫。そして夜は更けて行く。




※7/11テオさんでも溶岩は無理みたいなのでアグナコトルに修正しました


もう怪獣映画のつもりで書いてました。血塗れマガマガが強すぎる。

外天種(明らかに通常の範疇を外れた天に立つ個体のギルドが決めた総称)

毒牢姫(どくろうき)リオレイア:外側が全身から沁み出して形成された触れた物を融解させる緑色の毒膜に包まれた純白の個体。大社跡の覇者。毒をどうにか剥がさないと攻撃がまともに通らない堅牢な姫。転生特典は「毒の娘」

雪夜叉(ゆきやしゃ)ゴシャハギ:頭部の毛を伸ばした、数多の氷の武具をハンターの様に操る紫色の個体。寒冷群島の覇者。大地を揺らし、氷槌を手に圧倒的な戦闘力で襲いかかる。転生特典は「剛力無双」

滅雷刃(めつらいじん)ジンオウガ:群青色で全身に刃の様な装甲が付いた個体。水没林の覇者。放つ雷に斬撃属性が付与されてなんでも焼き切る他、電撃を剣の様にして叩きつける。転生特典は「絶対切断」

塵魔帝(じんまてい)ディアブロス:咆哮を上げることで砂嵐を発生させる角が銀色な全身金色の個体。砂原の覇者。砂嵐を自在に操り砂の刃として扱い、縦横無尽に蹂躙する。転生特典は「砂操作」

灼翼王(しゃくよくおう)リオレウス:常に翼に灼熱の紫色の炎を纏った、毒牢姫レイアと対で夫婦の漆黒の個体。溶岩洞の覇者。紫色の超高温の火炎を操る他毒耐性も持つ。転生特典は「愛するものを守れる力」


※転生特典以外はギルドが現在把握してる情報
全員G級でも討伐できないギルド要注意モンスター共です。一応古龍級生物となってます。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【調べてみた】神話の戦い【狂瀾怒濤の雷神龍】

どうも、放仮ごです。前回のテオさん喰ったから溶岩耐性があるはさすがに無理があったので、ちょっと修正しました。

 ところで「50年あったならいっそ100や200の特典を持っていて、転生モンスター乱獲等もあり、全ダメージ無効かつ無敵、触れたら即死、視界に入れても即死などといった惨状になっていないことが不思議」「敵も味方も無理にバランスを破壊させて滅茶苦茶になってから、ご都合主義的に解決するんだろうなと感じ、冷めてしまった」という評価をいただきましたがとんでもない。そう感じさせてしまったのなら申し訳ない。

 私はご都合主義は嫌いです。フラグ建てしてから説明しようかと思ってましたがちょうどいいので説明回にしてみました。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

31:名無しのギルド所属ハンター>>1

とりあえず一度ギルドに戻って調べてみた。転生者だと思われる異常なハンターやモンスターが現れたのはここ20年程の話で、50年も前となると例の馬鹿だけだったみたいだ

 

32:名無しの日向家次女

だよね、50年間も転生者を喰らい続けたらとんでもない怪物になっているはずだもの

 

33:名無しのG級双剣使い

私もついていって憎み血塗られしマガイマガドの情報を調べたんにゃけど、多分50年近く休眠していたんだと思うにゃ。ヒビキが出くわしたのが12年前。その時爆発を受けただけで喰われなかったのはきっと休眠状態だったから。でも時々目覚めて見境なく喰らっていたのが目撃されて、憎み血塗られしマガイマガドと呼ばれるようになった…ということらしいにゃ

 

34:名無しの鬼殺隊

>>32

つまりこういうことか。五十年前ならイブシマキヒコもマガイマガドも弱いだろうから倒して英雄になろうっていう馬鹿で愚鈍なアホが返り討ちにあったせいであの化け物が生まれたと

 

35:名無しのくだん

いや、カービィのコピー能力とかいうチートがあったらそりゃ慢心するよ…

 

36:名無しの49人目のマスター

50年前に転生したから転生者仲間も多分掲示板ぐらいで、現地のハンターも今ほど戦力が充実もしてなかった…そりゃ負けるよね

 

37:名無しの帝丹小学校6年生

>>33

休眠していたところに今回の百竜夜行が発生して目覚め、餌を喰らっていたらコピー能力のせいでどんどん強くなっていった…ってのが真相かしらね

 

38:名無しのRS

>>37

つまり、奴が強くなったのはここ一ヶ月近くがほとんどってことか

 

39:名無しのドンキンタロウ

ならまだ勝ち目があるぜ。50年も喰らい続けていたらさすがに勝機が無かったが!

 

40:名無しのG級太刀使い(元)

カムラの里にいるミクマリだが今、集会所にとんでもない情報が転がり込んできた。ギルド本部が「外天種」だと定めている超強力なモンスター…灼翼王リオレウス、毒牢姫リオレイア、滅雷刃ジンオウガが溶岩洞にて邂逅、憎み血塗られしマガイマガドと戦闘したと観測班からの報告が入った

 

41:名無しのガンランス使い

一匹だけでもG級チームが勝てないほどのモンスターなのにそれが三体も集まって、そのうちリオ夫婦を血塗れマガマガが返り討ちにしたらしいよ。その前も寒冷群島で雪夜叉ゴシャハギと戦って返り討ちにしたとかいう情報も滅茶苦茶遅れてやってきたけどそれがどうでもいいぐらいの悪い報せもあって…

 

42:名無しのゼクトルーパ―

外天種とか気になるワード聞こえたけど続けてください

 

43:名無しの魔導師

十中八九転生者だろうな…そんな個体ゲームにはいなかった

 

44:名無しのG級太刀使い(元)

溶岩洞に現れたということは熱耐性を獲得したと言う事。それだけではない、以前見せたナルハタタヒメの電撃の他に、氷塊ブレスに眠り粉、地中を掘り進む力に……溶岩への耐性まで手に入れていたらしい

 

45:名無しの霊媒師

ふぁっ!?

 

46:名無しの49人目のマスター

溶岩に耐えうる装甲を手に入れたという事…?

 

47:名無しの鬼殺隊

なんだその悪夢…

 

48:名無しの名無しのギルド所属ハンター>>1

ちなみにこれがカムラの里近辺の「外天種」一覧だ

 

毒牢姫(どくろうき)リオレイア:外側が全身から沁み出して形成された触れた物を融解させる緑色の毒膜に包まれた純白の個体。大社跡の覇者で灼翼王のつがい。毒をどうにか剥がさないと攻撃がまともに通らない堅牢な姫。

※追記:下記の灼翼王の助けに現れるも血塗れマガマガに返り討ちにされて毒を出す器官に支障が出てる模様。

 

雪夜叉(ゆきやしゃ)ゴシャハギ:頭部の毛を伸ばした、数多の氷の武具をハンターの様に操る紫色の個体。寒冷群島の覇者。大地を揺らし、氷槌を手に圧倒的な戦闘力で襲いかかる。

※追記:血塗れマガマガと対決したのち重傷を負いどこかに雲隠れした模様。

 

滅雷刃(めつらいじん)ジンオウガ:群青色で全身に刃の様な装甲が付いた個体。水没林の覇者。放つ雷に斬撃属性が付与されてなんでも焼き切る他、電撃を剣の様にして叩きつける。

※追記:血塗れマガマガと交戦する外天種リオ夫婦の助太刀に現れて血塗れマガマガの右前足を断ち切り撤退させる強さを見せた。

 

塵魔帝(じんまてい)ディアブロス:咆哮を上げることで砂嵐を発生させる角が銀色な全身金色の個体。砂原の覇者。砂嵐を自在に操り砂の刃として扱い、縦横無尽に蹂躙する。

※追記:砂原でモンスターの群れを形成し明らかに警戒している模様

 

灼翼王(しゃくよくおう)リオレウス:常に翼に灼熱の紫色の炎を纏った、毒牢姫レイアと対で夫婦の漆黒の個体。溶岩洞の覇者で毒牢姫のつがい。紫色の超高温の火炎を操る他毒耐性も持つ。

※追記。血塗れマガマガに返り討ちにされ瀕死の重傷を負って毒牢姫と共にどこかに雲隠れした模様。

 

 

49:名無しのRS

間違いねえ、転生者だこいつら

 

50:名無しの日向家次女

助けに来たのも掲示板を使って、かな?

 

51:名無しの霊媒師

転生者ならスレを捜せばあるかも…?共闘できないかな…?

 

52:名無しのドンキンタロウ

やめとけやめとけ。モンスターや怪人やら人外に転生した奴等は独自の価値観を持っているから話が通じねえさ

 

53:名無しのくだん

悪かったね人外なのにこんなところにいて

 

54:名無しの魔導師

ん…?お前だよ名無しのくだん!お前なら奴等と話ができるんじゃないか!?

 

55:名無しのG級太刀使い(元)

なるほど、我らハンターよりも穏便に話せるかもしれないな!

 

56:名無しのゼクトルーパ―

以前起きた、転生モンスターと転生ハンターのいがみ合いはとんでもなかったですからね…そりゃあ暗黙の了解になるよね

 

57:名無しのくだん

俺っすか!?いやいや、いやだよ!?世界は違うけど俺、単なる人面牛だからね!?

 

58:名無しのG級双剣使い

…私が外天種のモンスターと接触して意思疎通を試みてみるにゃ。アイルーとの混血だからもしかしたら…

 

59:名無しの帝丹小学校6年生

>>58

やめておきなさい。彼らモンスターからしたらアイルーも等しく餌でしかないわ

 

60:名無しのガンランス使い

同じ転生者で同じ血塗れマガマガに被害を受けてるんだからわかりあえるよね…

 

61:名無しの鬼殺隊

人外に転生した転生者は人間だったという事実すら忘れて人間も当たり前に害するのが転生者の恐ろしいところだからな…俺のところにもそんな鬼がいたよ

 

62:名無しの49人目のマスター

掲示板という意思疎通手段はあるんだからまだマシなんですけど、価値観の違いがね……

 

62:名無しのギルド所属ハンター>>1

とりあえずこれからカムラの里に帰還する。イブシマキヒコとナルハタタヒメの存在が知られて捜索しているからそろそろみつかるかもしれない、雷神龍の亡骸が

 

63:名無しのガンランス使い

あ、上位タマミツネ狩猟依頼が来てるから急いでね

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「風神龍イブシマキヒコの対となる雷神龍ナルハタタヒメの行方が分かったでゲコ!」

 

 

 タマミツネやヤツカダキを狩猟しながら四日の時が過ぎ。イブシマキヒコ撃退から一週間してからその報がギルドマネージャー・ゴコクに届き、集められたカムラの里に留まっている八人のハンターに通達された。亡骸になっていたかと思っていたがまさか生きていたとは。

 

 

「観測班が龍宮砦跡にて休眠中の見たことのない古龍…ナルハタタヒメを発見。討伐のためにギルド本部から何人も送られたハンターを悉く蹴散らしたため、イブシマキヒコを撃退したカムラの里のハンター宛に討伐依頼がきたでゲコ」

 

「つまり…ヒビキですか?」

 

「正確にはヒビキとそのチーム四人だゲコ。G級チームがもしもなにかあった時のために里で待機命令が出たでゲコ」

 

「妥当だな。もし百竜夜行が起きても対処できるだろう」

 

 

 頷くヒビキにマシロ、ナギだが待ってほしい。俺もやるのか…いややるけどさ。古龍か…古龍かあ。イブシマキヒコでやむなく戦ってしまったけど、できれば戦いたくない相手だ。そもそも俺の武器のひとつ、王牙弩【野雷】は雷属性メインで雷神龍には通りにくい。ネコ獣砲ニャノンメインで行くしかないか…とか考えていると、驚くべきことが知らされた。

 

 

「ナルハタタヒメの全身が傷だらけで右腕が異様に小さいという報告から、その右腕を憎み血塗られしマガイマガドが喰らわれ再生している可能性があるゲコ。ギルドが定めた名前は狂瀾怒濤のナルハタタヒメ」

 

「憎み血塗られしマガイマガド、奴が乱入してくる可能性もあるから十分に気を付けてくれ!」

 

 

 …右腕を失って再生途中のナルハタタヒメ。また原作にないモンスターだ。…厄介なことにならなければいいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、なにがくる!?」

 

「全員、緊急回避!」

 

 

 ヒビキの叫びに、同時に飛び退いて回避。瞬間、今の今までいた場所に電撃を集束したビームが放たれ、大地を斬り裂いた。雷のレーザービーム。それを行ったのは、異様に小さい右腕にとんでもないエネルギーを集束させながら周囲に磁場を発生させ、周囲の岩を浮かび上がらせてそれを飛ばしてくる雷神龍、ナルハタタヒメ。…ギルドから通達された個体名、狂瀾怒濤のナルハタタヒメ。時折悲痛の咆哮を上げて怒り狂っている。イブシマキヒコを呼んでいるとでもいうのか。

 

 

「ヒビキ、早く倒さないと、なんかヤバいぞ!」

 

「だが一撃でも喰らうと痺れて致命的だ…!」

 

「ナギ、壁までアイツを誘き寄せて!」

 

「マシロ!?え、あ、うん!」

 

 

 マシロが壁に向かって走って行って、なんか岩に向けてマガド大剣と伝統の太刀を振りかぶり、ナギがクナイを投げつけてデュエルヴァインで繋げると無理やり引っ張ってマシロのいる岩壁まで引き寄せる。

 

 

「いっせーのーでっ!鉄蟲糸技、二刀流・桜花鉄蟲気刃斬!」

 

 

 壁際の岩に向けて斬撃を二連撃。岩が崩壊すると同時に現れたレバーが作動する。瞬間、壁に埋め込まれた巨大な三本の撃龍槍が起動して狂瀾怒濤のナルハタタヒメの左腕、胴体、尻尾を貫いた。

 

 

「グギャァアアアアアアア!?」

 

「ナイスだマシロ!」

 

「岩を斬撃で破壊したのはツッコまないからね!」

 

 

 突き刺され、磔にされた状態でグルグルと回される狂瀾怒濤のナルハタタヒメが絶叫を上げながら小さい右腕をかざし、レーザービームと口からの電撃ブレスでところ構わず破壊していく。やけくそとでも言わんばかりの猛攻。

 

 

「やけくそじゃ俺達には当たらんぞ!」

 

 

 すると砕かれ飛び散った瓦礫を、ヒビキが振りかぶった狩猟笛でかっ飛ばして何度もホームランを狂瀾怒濤のナルハタタヒメの顔面に叩き込み、突き刺されたままダウン。そのまま撃龍槍が引っ込んで地べたに叩きつけられる狂瀾怒濤のナルハタタヒメが浮かび上がり、電撃を纏った左腕で地面を引っ掻いて俺達に攻撃。拡散弾を掌に叩きつけて弾き飛ばして隙を作ったところに、雷袋に向けてナギが投げつけたランスが突き刺さり、それを飛び上がったヒビキが狩猟笛で杭打ちの如く叩き込んだ。

 

 

「グッ、ギャア……!?」

 

「二刀流、兜割!」

 

 

 さらに大剣と太刀を握って飛び上がったマシロが急降下斬りを胴体に叩き込み、血飛沫が舞って狂瀾怒濤のナルハタタヒメは浮かび上がった岩の山に頭を叩き付けてダウン、崩れ落ちたのだった。そこで気付く、こいつ…最初から弱っていた?弱っていたのになんで、姿を現して……そう思った次の瞬間、突風が俺達を襲って上空に巻き上げた。

 

 

「んなっ…!?」

 

「風神龍…!?」

 

「イブシマキヒコ…!?」

 

「なんだってここに…!?」

 

 

 突如海からやってきたのは風神龍イブシマキヒコ。三メートル浮かび上がらされて勢いよく岩肌に叩きつけられ、動けなくなる俺達。するとイブシマキヒコが弱ったナルハタタヒメを巻き上げて、自らの身をその口に差し出さんとする。まさかここで、百竜の淵源ナルハタタヒメを顕現させるつもりか…!?

 

 

「させたら駄目だ…!」

 

 

 ゲームでさえそう簡単に勝てる気がしない古龍だぞ…!?現実で勝てる気がしない、勝てるわけがない。痛む身体に鞭打って近くに転がったネコ獣砲キャノンに手を伸ばす。駄目だ、届かない。他の三人も立ち上がれそうにない。万事休すか…!?

 

 

「グオアァアアアアアッ!」

 

 

 その時、咆哮と共に空に奇妙な軌道を描く流星があった。深紅の流星は直線状に何度も折れ曲がって加速し、こちらに向けてまっすぐ飛んできたと思った瞬間。大爆発の音と共に流星がイブシマキヒコに直撃。大きく吹き飛ばして海面に叩き付けた。

 

 

「まさか…本当に…?」

 

「最悪だよ…」

 

「ナルハタタヒメにイブシマキヒコ、そして…」

 

「憎み血塗られしマガイマガド……!」

 

 

 イブシマキヒコを吹き飛ばし、龍宮砦跡に降り立ったのは憎み血塗られしマガイマガド。狂瀾怒濤のナルハタタヒメはそれを見るなり咆哮を上げて威嚇し、小さな右腕のレーザービームを放つも血塗れマガマガは宙返りで回避。そのまま空中で爆発して突撃し、ただでさえ小さい右腕に噛み付き、引きちぎった。

 

 

「グギャァアアアアアアア!?」

 

 

 逃げようとする狂瀾怒濤のナルハタタヒメの尻尾に噛み付き、地面に引きずり下ろす血塗れマガマガ。そのまま高速で槍尻尾を振るって斬撃。まるでハンターの兜割の様な動きで左腕の肘から先を斬り落とし、そのまま尻尾に噛み付いたまま振り回して岩壁に叩き付ける。そして爆発と共に飛び上がって狂瀾怒濤のナルハタタヒメの顔面に右前足を押し付け、爆発。黒焦げになったナルハタタヒメは完全にダウンし、血塗れマガマガは馬乗りになるとその喉笛を噛みちぎった。

 

 

「まるで、ハンターみたい…」

 

「こ、こわい…」

 

「こうなればここで…!」

 

「駄目だ!モドリ玉で撤退だ、もうここは…」

 

 

 マシロとナギは完全に戦意をそがれ、ようやく立ち上がって戦おうとするヒビキを俺は止める。見ればつがいを殺された怒りからかイブシマキヒコは暴風を発生させて海の水を巻き上げていくつもの竜巻を形作り、ナルハタタヒメの遺骸を食い荒らしていた血塗れマガマガは尻尾を立たせて上空に雷雲を発生させ、落ちてきた雷で磁場を発生させて地盤を浮かび上がらせている。

 

 

「俺達には手に負えない、戦場だ」

 

 

 モドリ玉でキャンプベースに戻り、船で帰路につく俺達が見たのは、神話の戦い。そして崩壊していく竜宮砦跡の姿だった。




たまに目覚めて餌を食べていた休眠期間。本格的に活動し始めたのは百竜夜行が再度発生してから。転生者もそもそも50年前に現れるのが異常。転生モンスターと心を通わせられるかもしれない可能性。

ちなみに本格的に活動を始めたのは本編第二話の大社跡での襲撃事件がそれです。事の真相は「50年前ならイブシマキヒコもマガマガも弱いだろうから倒して英雄になれる」そう思いこんだカービィのコピー能力持ち転生者が馬鹿やらかしたせいです。こいつが大体悪い。

そして登場同時に死亡、狂瀾怒濤のナルハタタヒメ。右腕だけ捕食されたナルハタタヒメがイブシマキヒコに会うべく姿を現した状態です。小さいからエネルギーを集束しやすい右腕をメインウェポンでレーザービームを放てます。原作主人公には勝てなかったよ。

そして現れたイブシマキヒコと血塗れマガマガの神話決戦。竜宮砦跡は犠牲となったのだ。もうそろそろ最終決戦かな?

次回、史上最大の絶望がカムラの里を襲う。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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G級組+転生モンスター設定、そして

どうも、放仮ごです。次回から最終決戦なのでその前に設定回いれます。最後には…?楽しんでいただければ幸いです。


・チームノットアポリア

ミクマリをリーダーとしたチームでミクマリを中心にG級を寄せ集めた流浪のチーム。元々はミクマリの妹が所属していたが死亡し、代わりに専属受付嬢だったマキアナが入った。名付け親はミクマリ。

 

・ミクマリ

リーダー。無口な黒髪ロングの美少女。「剣術適正」の特典を持った転生者。夜刀【月影】を愛用する太刀使い。異界の剣術やオリジナルの剣技で巧みにモンスターと渡り合っていたが、血塗れマガマガとの対決で重傷を負い一線を退いた。モチーフはゼノブレイド2の体型がミクマリなセオリ。

 

・エルヴァス

副リーダー。ナルシストな金髪イケメンだが、ここぞという時は進んで盾役になる肝心な時にしか役に立たない男。ミクマリに惚れている。チャージアックス使いで金剛盾斧イカズチを愛用する。モチーフ及び性格はFGOのイアソン。

 

・マキアナ

冷静沈着な元専属受付嬢のメイド。ヘビィボウガン使いで王牙砲【山雷】を愛用する。昔自分を助けてくれたミクマリに心酔しており、ミクマリ離脱後は彼女の代わりに自分が守るんだと豪語している。モチーフはポケモンのマギアナ。

 

・キョウジ

熱血な若手の少年。大剣使いでゴシャガズバアを愛用する。血塗れマガマガに敗北し死亡した。一応モチーフとイメージは未熟な鬼滅の刃の煉獄さん。

 

 

 

 

・チームバトルクライ

アンテムをリーダーとしたチームでギルド本部直属のエリートチーム。ベテランばかりで構成されている。名付け親はエスラ。

 

・アンテム

リーダー。ハゲでサングラスをかけた色黒の男性。G級でも屈指のベテラン。ハンマー使いで轟槌【虎丸】を愛用する。モチーフはシティハンターの海坊主。

 

・ケイマ

常に余裕に満ちた翁。過去にマガイマガドを倒したことがある弓使いで禍ツ弓ノ幽鬼キューヌを愛用する。血塗れマガマガに敗北し死亡。モチーフは神のみぞ知るセカイの主人公、桂木桂馬のお爺さん。

 

・エスラ

猫みたいな髪型の赤髪の小柄な少女。「特別な才能」の特典でアイルーとハンターのハーフとして生まれた転生者。語尾に「にゃ」を付けてしまう。母親がハンターで父親はそのオトモアイルーだった。双剣使いでレイジネイルーを愛用し、アイルーであることを利用した特殊な鬼人化や剣技で華麗に舞う。モチーフはなし。

 

・レエム

飄々とした姉御の竜人族。元は船乗りで仲間をモンスターに殺されてハンターになった。スラッシュアックス使いでグランドカオスを愛用する。血塗れマガマガに敗北し死亡した。モチーフは東方の博麗霊夢+FGOのフランシス・ドレイク。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・名無しの転生雌火竜

第二話のイッチ。リオレイアに転生した女性。第一話の交通事故を目の当たりにした。転生特典は紫毒姫に変身。なお変身して目立ってしまったため笛使いのやべーやつに狙われ、「光陰(こういん)振打(しんうち)」で撃墜され普通に負けた。

 

・名無しの転生大海の王

ラギアクルスに転生した人。別世界にいる。

 

・名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

渾沌に呻くゴア・マガラに転生した人。古龍になれなかったことを気にしている。実は「この世界」にいたりする。モンスター掲示板でもトップクラスの実力。

 

・名無しの転生銀嶺巨獣

銀嶺ガムートに転生した人。渾沌に呻く黒蝕竜と同じ「この世界」にいる。

 

・名無しの転生千刃竜

セルレギオスに転生した人。実はリオレイアの人と同じ「この世界」にいたりする。つまりは…

 

・名無しの転生先生

イャンクック大先生に転生した人。転生前も教師だったらしい。一応別世界にいる。

 

・名無しの転生鎌鼬竜

オサイズチに転生した人。群れでハーレムを築いている。様子見に戻ったばかりに血塗れマガマガに捕食された。

 

・名無しの転生ドス狗竜

ドスマッカオに転生した人。自分の弱さを自覚して細々と生きてるが煽ってしまってゴアさんに目を付けられることに。先生と同じ世界にいる。

 

・名無しの転生泥翁竜

おなじみ害悪爺オロミドロに転生した人。転生前は若々しい高校生なのだが体に精神が引っ張られてる。アオアシラとは顔なじみだったが、突如空から飛来した血塗れマガマガに捕食されてしまった。

 

・名無しの転生青熊獣

アオアシラに転生した人。転生前は女ヤンキーだった。オロミドロに縄張りを荒されて目の仇にしていたが、突如空から飛来した血塗れマガマガに喰い殺されてしまった。実は目覚めて最初の犠牲者(血塗れマガマガのねぐらが渓流近くだったため)。

 

・名無しの転生傘鳥

アケノシルムに転生した人。大社跡を縄張りにしていたが別世界だったので難を逃れた。

 

・名無しの転生天狗獣

ビシュテンゴに転生した人。お調子者。血塗れマガマガの存在を掲示板に知らせるも喰い殺されてしまった。

 

・名無しの転生奇怪竜

フルフルに転生した人。ゴシャハギとは顔なじみで親友。寒冷群島でも屈指の実力者だったがG級との戦いの回復に訪れた血塗れマガマガに捕食されてしまった。

 

・名無しの転生轟竜

ティガレックスに転生した人。別世界にいる。強い奴と戦う気はないのでポポばかり襲ってる。

 

・名無しの転生赤甲獣

ラングロトラに転生した人。弱い個体ながら転生特典で生き延びてきた。ちなみに周囲に擬態できる。塵魔帝の配下。

 

・名無しの転生殺意の波動に目覚めし金獅子

ライズのイベントクエストのラージャン、通称豪鬼ラージャンに転生した人。「再生能力」の転生特典を血塗れマガマガに与えた張本人。トビカガチを嬲り殺しにしていたが血塗れマガマガに襲撃されるも、噛み付かれたまま百竜夜行のあとにやって来たときまでは生きており、バレットの助けで拘束から逃れ反撃するもバレットたちが逃げる時間を稼ぐことしかできなかった。

 

・名無しの転生飛雷竜

トビカガチに転生した人。豪鬼ラージャンに嬲り殺しにされていたが襲撃に巻き込まれ喰い殺される。

 

・名無しの転生岩竜

第一話とは別個体のバサルモスに転生した人。テオ・テスカトルを押し潰して勝利したことがある。別世界にいる。別個体とはいえ己の体重を吹っ飛ばしたヒビキにドン引きしていた。

 

 

 

 

 

 

 

・外天種

明らかに通常の範疇を外れた天に立つ個体のギルドが決めた総称。作中では転生者の五体が紹介されたが、血塗れマガマガも外天種に該当する。

 

毒牢姫(どくろうき)リオレイア

外側が全身から沁み出して形成された触れた物を融解させる緑色の毒膜に包まれた純白の個体。大社跡の覇者。毒をどうにか剥がさないと攻撃がまともに通らない堅牢な姫。転生特典は「毒の娘」大社跡のモンスターたちに女王として愛され、彼女もまた愛していた。

 

雪夜叉(ゆきやしゃ)ゴシャハギ

頭部の毛を伸ばした、数多の氷の武具をハンターの様に操る紫色の個体。寒冷群島の覇者。大地を揺らし、氷槌を手に圧倒的な戦闘力で襲いかかる。転生特典は「剛力無双」寒冷群島では兄貴として敬愛される。

 

滅雷刃(めつらいじん)ジンオウガ

群青色で全身に刃の様な装甲が付いた個体。水没林の覇者。放つ雷に斬撃属性が付与されてなんでも焼き切る他、電撃を剣の様にして叩きつける。転生特典は「絶対切断」ハンターの動きを理解し返り討ちにする孤独な一匹狼。

 

塵魔帝(じんまてい)ディアブロス

咆哮を上げることで砂嵐を発生させる角が銀色な全身金色の個体。砂原の覇者。砂嵐を自在に操り砂の刃として扱い、縦横無尽に蹂躙する。転生特典は「砂操作」砂原のモンスターの守護者として君臨するが実は臆病。

 

灼翼王(しゃくよくおう)リオレウス

常に翼に灼熱の紫色の炎を纏った、毒牢姫レイアと対で夫婦の漆黒の個体。溶岩洞の覇者。紫色の超高温の火炎を操る他毒耐性も持つ。転生特典は「愛するものを守れる力」外天種の中でもトップクラスの実力者であり、絶対的な溶岩洞の覇者として君臨している。

 

 

 

・憎み血塗られしマガイマガド

 怨虎竜マガイマガドが突然変異した、外天種の中でも超イレギュラー個体。50年前の百竜夜行に乱入しカムラの里を滅ぼした張本人。フゲンに撃退された際に右の後ろ脚の腱に刀傷をつけられ引き摺り、人間を明確に敵視し憤怒を表すかの如く深紅の鬼火を纏うのが特徴。その様子から血塗れと称される。50年もの歳月を休眠しながら生き延び、たびたび目覚めて古龍も含めたモンスターや人間、特にハンターを食い殺し続けてきた。

 人間に手傷を負わされた恨みから人間と言う種族を憎み敵視し悪意を抱いており、大社跡の奥地(マップ外)を縄張りとしわざと鬼火を見せることで誘き寄せ迷い込んできた人間やモンスターを標的とし執念深く追い詰め、さらに見かけた獲物は片っ端から襲いかかり貪って行く悪逆無道。

 12年前に迷い込んできたヒビキを子供だからとマーキングして瀕死にするだけで逃がし、成長したヒビキが近づく気配を感じ取ると襲撃してくるが毎度の如くあの手この手で逃げられてしまい執着している。

 

 古龍も相手にして餌にしてきた実力は伊達ではなく、常に全身に鬼火を纏い放出する他、全身の装甲刃を形態変化させて鬼火の爆発に指向性を持たせてバルファルクの如く自在に空を音速で飛行、隕石の如く襲撃と同時に大爆発して大ダメージを与える戦法を取る。気に入った獲物には鬼火を憑かせてマーキング、近づくことで発火させ居場所を特定する。彼にとって万物等しく餌でしかない。

 50年前に自分を殺して英雄になろうとした転生者を返り討ちにして「コピー能力」を獲得しており、上記のバルファルクの飛行能力やテオ・テスカトルの大爆発、ナルハタタヒメの電撃にベリオロスの凍結袋といった、色んなモンスターの特色を操る。さらにはハンターを喰らいその技術をコピーすることも。

 

 弱点は右の後ろ脚が潰されてるため地上では右側からの攻撃への対処が遅れることと、あまりの高熱を発生させる紅い鬼火は鎧の様な鱗と相性が悪く、寒い時期じゃないと活動できないこと。夏などは通常のマガイマガドとあまり変わらないため大人しくしている。ただしベリオロスを喰らったことで熱への耐性を獲得している。そして致命的な弱点として●●●●までコピーしてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クエスト名【百竜夜行・ヌシ大乱】

 

 

終極、終局、終曲

 

人を、竜を、龍を、生きとし生けるもの全てを喰らいし凶星(まがいほし)

 

我が妄執、我が怨念、我が憎悪、百竜集いて禍群とならん

 

夜明けを喰らう黒き太陽、嵐を背負って降臨せし

 

―――――禍依之淵源(まがいのえんげん)淵虎竜(えんこりゅう)マガイマガド




ラスボス降臨。琵琶法師のそれっぽくして見たけどどうだろうか。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【助けて】百竜夜行・ヌシ大乱【最終決戦】

どうも、放仮ごです。この小説を監修してもらっている蒼ニ・スールさんが「タチグルイ〜太刀に狂いし女〜」なるモンハン小説を投稿したのでぜひごらんくださいませ。

今回はついに来たれり最終決戦。イブシマキヒコを制して復讐の手段を手に入れた憎み血塗られし改め淵虎竜マガイマガドの脅威が迫る。楽しんでいただければ幸いです。


 竜宮砦跡から命からがら逃げ出して一週間。ヌシ・リオレイアやヌシ・タマミツネ、ヌシ・リオレウスにヌシ・ジンオウガ、ヌシ・ディアブロス。何故かやたらとヌシが率いる百竜夜行を連日撃退する日々。貫通電撃弾を調合していると、ウツシ教官が屋根を走って行くのが見えて、嫌な予感がした。そしてカムラの里の人間全てが集会所に召集された。ギルドマネージャーのゴコク様と里長のフゲンさんが並んでいた。

 

 

「…ナルハタタヒメの死亡、イブシマキヒコと憎み血塗られしマガイマガドの決戦、そして連日のヌシ率いる百竜夜行。色々あったが、それ以上にとんでもないことが起きたでゲコ」

 

「本来は一匹だけいてモンスターを統率するはずのヌシモンスターが大量に群れで押し寄せてきた。そしてその最奥にいるのは、イブシマキヒコと同等の巨体となった憎み血塗られしマガイマガド。ギルドはこれを禍依之淵源(まがいのえんげん)淵虎竜(えんこりゅう)マガイマガドと名付けた。その全長は3875.05cmにまで肥大化しており、今までの様な爆発による自由自在な飛行こそできなくなったが、磁場を発生させてその巨体を浮かばせ海を渡り、カムラの里まで侵攻してきた。今は獄泉郷に陣取りヌシモンスターを扇動している。里守とハンター以外は最寄りの村に避難してくれ。…カムラの里が終わる時がついに来たかもしれん」

 

 

 そう悲観に暮れた表情で述べるフゲンさん。ヌシモンスターの群れ。淵虎竜となった憎み血塗られしマガイマガド。いやもう洒落にならん。スレの知恵袋の名無しのゼクトルーパ―が百竜ノ淵源ナルハタタヒメと同等の体格だと言っているマガイマガドとか洒落にならない。ヌシの群れ、ということはモンスターがいる限り傷と恐怖を与えてヌシを永遠に生み出せるということだ。マシロは震える手で拳を作り、ナギは命を守るべく意気込み、俺は頭を抱えながら溜め息を吐く。その時俺は見た。不敵に笑むヒビキの顔を。

 

 

「…ヒビキ?」

 

「相手にとって不足無しだ。マガイマガドは俺が一人で引き受ける。お前らはヌシの百竜夜行を任せた」

 

「いくらヒビキでも無茶だよ!? 」

 

「でも……里守のみんなとG級四人だけじゃヌシの群れはきついよね。私とマシロとバレットもいた方がいいのはわかる……」

 

 

 止めるマシロと納得するナギ。…そうだな。もしヌシの群れを相手にしてる時に奴が来たら間違いなく全滅だ。ヒビキ一人なら恐らく生き残ることはできる。時間稼ぎしている間に片づけて救援に駆けつける、これしかないか。それに気付いたのか神妙な顔でヒビキに尋ねるフゲンさん。

 

 

「やってくれるのか、ヒビキ」

 

「アイツも俺に執着してる様だからな。適任だろう。任されたよ、里長。俺が死んでもマシロがどうにかしてくれるだろう。それに、切札もある」

 

「待て。俺も行く」

 

 

 名乗り出る。掲示板の皆が驚いたコメントがどしどし来る。そうだ、死ぬほど嫌だが。…俺はこいつに借りがあるんだ。あの日、俺は死ぬはずだった。バサルモスに轢き殺されるとかいう最高に無様に死ぬはずだった。それを救われたんだ。この借りを返さないで何時返す?

 

 

「バレット殿…貴殿はカムラの里のために命を懸ける必要は…」

 

「俺はギルドから百竜夜行が終息するまで尽力する様に言われてきた。淵虎竜マガイマガドを倒すまで終わらないんだ。お前に死なれたら勝ち目がない、なら俺が行くしかないだろ」

 

「なら、私も!」

 

「私も行くよ!」

 

 

 かっこつけてそれっぽいことを言うと案の定マシロとナギもついてくると言い出したので嗜める。

 

 

「駄目だ。マシロはカムラの里が誇る猛き炎だ。お前がいるだけで里守のみんなや教官にヨモギちゃんとかのやる気が増すだろ?お前は要だ。ナギはそんなマシロを守る盾だ。どちらも欠かせない」

 

「それは…」

 

「そうだけど…」

 

「…いいのか?」

 

「誰が一人でお前を行かせるかよ」

 

 

 申し訳なさそうなヒビキにそう言ってやると安心したような笑顔で頷いた。

 

 

「…わかった。淵虎竜マガイマガドの相手はヒビキとバレット殿に任せる!…ヒビキ!バレット殿!」

 

 

 そうまとめあげたフゲンさんに呼びかけに視線を向けると、フゲンさんは神妙な顔で頷いて。

 

 

「ヒビキはもとより、バレット殿もカムラの里の家族だ。必ず生きて帰って来い!帰る場所は我々が守り抜こう!」

 

「おう!マガイマガドの相手は任された!」

 

「里長たちこそ死なないでくださいよ」

 

 

 そして俺達はアイテムの準備を終えると、オトモを連れて早速旅立つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

66:名無しのギルド所属ハンター>>1

そんなわけで助けてくれみんな

 

67:名無しのガンランス使い

あんなにかっこよかったのに!

 

68:名無しのG級太刀使い(元)

あの時の感動を返してくれ

 

69:名無しのG級双剣使い

まったくだにゃ

 

70:名無しの鬼殺隊

それでこそ我らがイッチだ

 

71:名無しの49人目のマスター

いい嘘だったぞ。…いや清姫、俺が嘘ついたわけじゃ…ぎゃー!?

 

72:名無しの帝丹小学校6年生

あれぐらい虚勢張ってでも借りを返したいって馬鹿ね

 

73:名無しの霊媒師

そんなイッチに私達は集まったわけだし…

 

74:名無しの転生者

コテハンはないけどいつも応援してるで

 

75:名無しのくだん

それはそうと、とんでもないことになったな

 

76:名無しの魔導師

間違いなく過去のモンスターハンターでも類を見ないバケモノだな。抑止力仕事しろ

 

77:名無しのRS

近いのはWIBのアルバトリオンか?

 

78:名無しのゼクトルーパ―

やめてください、何しても勝てなかったトラウマがががが

 

79:名無しの日向家次女

エスカトンジャッジメント…うっ、頭が…

 

80:名無しのドンキンタロウ

ぶっちゃけあのスーパーノヴァもどきの大爆発がエスカトンジャッジメントみたいなもんだな!

 

81:名無しのG級太刀使い(元)

いや、血塗れマガマガ…もとい淵虎竜の爆発はそこまで威力はないぞ。確かにすごいが、人間を一撃で殺せるほどじゃない。あくまで瀕死にして追い込む奴の性格の悪さの象徴だろう

 

82:名無しのガンランス使い

>>81

そうなんだ?

 

83:名無しのギルド所属ハンター>>1

それでも喰らえば終わりなのは変わらないのか…

 

84:名無しの鬼殺隊

……思ったんだが、抑止力は仕事していると思うぞ

 

85:名無しのG級双剣使い

私の存在が抑止力とか言ったら怒るにゃよ?

 

86:名無しの帝丹小学校6年生

>>84

どういうことかしら?

 

87:名無しの鬼殺隊

実は俺の世界に転生者の鬼がいてだな。首を斬ろうが血鬼術で生きてるどころかパワーアップするって言うパワーバランスも糞も無い奴だったんだが……そいつと対峙した時、今までにない力を出せたんだ。主に膂力だな。そいつの身体丸ごと叩き潰すことで勝利したわけだが、そんな力を出せたのはその時だけだったんだ

 

88:名無しの魔導師

なるほどつまりそういうことか

 

89:名無しのRS

>>88

わかったのか雷電!じゃない、名無しの魔導師!

 

90:名無しの49人目のマスター

抑止力、なるほどそうか。ヒビキか

 

91:名無しの魔導師

マスターニキもわかったようだな。転生者すら喰い殺し力を増していく憎み血塗られしマガイマガドの出現に伴い、因縁を持っていたヒビキに抑止力が力を貸してあのとんでも膂力を与えたと、そう言いたいわけだな?鬼殺ニキ

 

92:名無しのドンキンタロウ

それは一理あるな!あれはどう考えてもモンスター並の怪力だ、人間が鍛えたぐらいで得られるとは思えん

 

93:名無しのガンランス使い

ヒビキがああなの、多分原作開始からだけど……それまではあそこまでじゃなかったからそうなのかな?

 

94:名無しのG級太刀使い(元)

ヒビキが我らの最後の希望か。希望が見えたな

 

95:名無しのギルド所属ハンター>>1

あれ、じゃあ俺いらなくね?

 

96:名無しのくだん

>>95

借りは返すんだろ

 

97:名無しのG級双剣使い

>>95

今更帰ってきたらお仕置きにゃ

 

98:名無しのゼクトルーパ―

>>96

あんなこと言って行かないとかかっこ悪いですよ

 

99:名無しのガンランス使い

ヒビキのこと、任せたからね!

 

100:名無しのギルド所属ハンター>>1

わかったよ!?逝ってきます!

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局ヒビキを援護するしかないってことか…」

 

「見えて来たぞ。奴のいる、獄泉郷だ」

 

 

 

 アプトノスに引かれた馬車(?)に乗って二時間ほど。見えてきたのは、災禍の郷、冥府の泉、運命の獄とも称される、禍々しい土地のキャンプベース。ゲームでは高難易度クエストの舞台として登場する獄泉郷。血のような色をした真っ赤な川があまりにもおどろおどろしい。薄雲に覆われた空に太陽が昇っており、黄色っぽい光を注がせていて不気味なそこの高台に、奴はいた。

 

 

「グゴアァアアアアアアッ!!」

 

 

 俺達、いやヒビキを見つけて咆哮を上げる淵虎竜マガイマガド。以前見た時とは見違えるほど超巨大な巨体の下には適当に食い荒らされたリオレウスやティガレックスなど決して弱くないどころか上位に位置するモンスターたちの死骸が乱雑して山の様になっている。いや本当に淵源ナルハタタヒメと同じぐらいデカいな。

 

 

「…ちょっと待ってろゲス野郎」

 

 

 奴のマーキングによる紅蓮の鬼火に包まれながらも物ともせず鬼人薬グレートと硬化薬グレート、強走薬の蓋を纏めて開けて三本纏めて一気飲みし、武者兜を被ったヒビキに続き、一本ずつ一気飲みしてゴーグルを下げる。

 

 

「行くぞ」

 

「おう」

 

 

 そうだ、俺はいつものプケプケ+レウス装備だが、今までカムラ装備だったヒビキは一味違う。秘密兵器を用意してきた。先日倒した通常マガイマガドを使える部分全部使い、さらにG級チームやミクマリが叩き折った血塗れマガマガの兜角や槍尻尾も材料にした禍鎧・覇…通称マガドシリーズだ。

 

 

 

「行くぞ、マガイマガド!」

 

 

 大翔蟲を使って一気に急接近、改良した愛用の狩猟笛である禍ツ琵琶ノ幽鬼ウラザで淵虎竜の顎をかち上げるヒビキに続く。頭部をかち上げられた淵虎竜は右前足を地面に押し付けて地面を引っ掻き、引っ掻いたところに残った鬼火が爆発。しかしヒビキは物ともせずに突進し、左前脚に叩きつけてバランスを崩す。

 

 

「グゴアアア!?…グオアアッ!」

 

 

 困惑しながら尻尾を高速で振り回して、螺旋状の鬼火の渦を放ってくる淵虎竜だがヒビキには通じず、突き出された槍尻尾を弾き返している。やはりか。禍鎧・覇を身に着けたヒビキにはスキル:鬼火纏が作用してる。鬼火による爆発が効かないんだ。俺は普通に効くから距離を開けて援護するけど。

 

 

「槍尻尾を破壊すれば少なくとも串刺しにはならない筈…!」

 

 

 斬裂弾をタイミング見て連射しつつ、普通に爪の一撃を受けて吹き飛ばされるヒビキに回復弾を撃ち込む。いける、ただのマガイマガドならこれでいけるが……こいつはただのマガイマガドじゃない。

 

 

「グゴア…グオアアアアアッ!」

 

 

 その巨体が紅蓮に輝き黄色い稲妻が走り、大爆発と共に雷の雨が円形に降り注いでいくのを、狩猟笛で弾き飛ばすヒビキ。抑止力が働いてるのは確かっぽいな。人間が雷を弾けてたまるか。さらに淵虎竜を中心に吹き荒れる風と冷気の渦が岩を巻き上げ、岩を氷塊と共に天高く打ち上げて流星群の様に落としてくるのをカウンターチャージで受け止める。当たり前に流星群してくるのか…(汗)

 

 

「グゴアァアアアッ!」

 

 

 再び地面を引っ掻いて爆発で巻き上げられる岩が、暴風に乗って高速で振り回されてぶつかってくる。殺意が凄い。狩猟笛を振り回して演奏ついでに「音の防壁」で防ぐヒビキ。その巨体で動くだけで脅威なのにそれを弾いていなしているヒビキ。

 

 

「!?」

 

 

 とかヒビキの雄姿に思わず半笑していた時だった。ビリビリと地面に稲妻が走ったかと思えば地盤が持ち上がり、それに飛び乗ってどんどん上に向かっていく淵虎竜。途中自ら発生した暴風に乗り、磁場で浮かび上がり天高く舞い上がって行く。

 

 

「ヒビキ!多分、大技来るぞ!」

 

「ならこっちも…擬似・特殊納刀…!」

 

 

 瞬間、雲の向こうまで行ったかと思うと、暗雲が吹き飛ぶほどの大爆発が起きた。まるでもう一つの太陽だ。そして逆光に隠れるようにして、その巨体が高速で落ちてくる。それはまさに、生きた巨大隕石。

 

 

「冗談じゃないぞ…!?」

 

居合抜笛(いあいばっぴょう)気炎旋律打(きえんせんりつだ)!」

 

 

 たまらずモドリ玉でベースキャンプに撤退した俺が最後に見たのは、背中を下にして落ちてきた淵虎竜と回転する狩猟笛で鬩ぎ合うヒビキの姿だった。




そういうわけでヒビキとバレットの二人で挑みます。真面目に百竜夜行の方の戦力が足りない。

抑止力が働いていることが判明したヒビキ。怪獣サイズになったマガイマガドを相手に普通に渡り合ってるって言うね。

攻撃全てが大技級の淵虎竜マガイマガド。その大技は巨大隕石。バレットがやったみたいにモドリ玉で逃げるぐらいしか回避方法ないです。カウンターすら潰す圧倒的質量攻撃。それとまともにぶつかったヒビキの安否や如何に。

次回はカムラの里sideを描きたい。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【我ら転生者掲示板】転生者の誇りにかけて【呉越同舟】

どうも、放仮ごです。だいぶ前に建てていたフラグを今こそ回収する時。ヌシだらけの百竜夜行を相手に総力戦。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのガンランス使い

バレットを見送ったのはいいけど、そんなわけで新しいスレを立ててみました

 

2:名無しのG級双剣使い

真面目にこっちどうするかにゃあ

 

3:名無しのG級太刀使い(元)

せめて私が万全であれば…私は今回里守として参戦する。速射砲を上手く扱えるとよいが…とりあえず私の視点から生放送モードにするぞ

 

4:名無しの日向家次女

バレットさんからなにもないってことは忙しいんだろうなあ

 

5:名無しの49人目のマスター

うわあ、黒ずんだ傷だらけのモンスターの大群が押し寄せて来てる……

 

6:名無しのドンキンタロウ

正に絶体絶命、だな

 

7:名無しの霊媒師

ナギちゃんエスラちゃん、本当に気を付けてね…?

 

8:名無しのG級双剣使い

リーダーもエルヴァスもマキアナもいるから大丈夫にゃ!新生チーム「ラストホープ」の力を見せてやるにゃ!

 

9:名無しのガンランス使い>>1

私も、マシロがいるから大丈夫。ヒビキ達の分まで守るんだから!

 

10:名無しのG級太刀使い(元)

ハンターは私を入れても七人か。里守とフゲン殿たちがいるとはいっても、きついな。一方向から来るのが救いだが

 

11:名無しの帝丹小学校6年生

きついというか無謀ね

 

12:名無しのRS

ああ、加勢に行ければスナイプで援護できるんだが……

 

13:名無しのゼクトルーパー

世界の破壊者じゃないんだから無理ですよ……

 

14:名無しの魔導師

加勢か…

 

15:名無しの鬼殺隊

来るぞ!二時の方向、ヌシ・リオレウスだ!

 

16:名無しのG級太刀使い(元)

私が撃ち落とす!

 

17:名無しのガンランス使い

いきなり大技はやめてよね!

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉおおおおおっ!」

 

 

 まだヌシの群れが到達するまで猶予があると油断していた時だった。一匹の恐怖に駆られたヌシ・リオレウスが飛来し、邪魔な関門を破壊しようと特大火球を放たんとするのを、速射砲を全弾当てて撃ち落とすミクマリ。そこにアンテムとマシロが突撃し、インパクトクレーターと真・溜め斬りで撃破する。続けてバリケードを乗り越えてやってきたヌシ・アオアシラの横っ面にナギのガンランスのフルバーストが叩きつけられて吹き飛ばすも健在のアオアシラの一撃で殴り飛ばされてしまう。

 

 

「さすがヌシ、しぶとい…!」

 

「里守のみんな、気を引き締めてにゃ!一気に来るにゃよ!」

 

「ヌシ以外にもちらほら通常モンスターもいる…ウツシ教官!イオリくん!」

 

「任せてくれ!愛弟子!任務開始だ!よっしゃ、逃がさないぞ!」

 

「皆、頑張ろう!配置について!」

 

 

―――――ウツシ、出陣!

 

―――――イオリ、出陣!

 

 

 ナギがヌシ・アオアシラと鍔競り合いオトモアイルーとガルクの加勢で退ける中、マシロが狩猟設備で里のツワモノ達…ウツシ教官と、オトモ斡旋屋イオリとアイルーとガルクを召喚。ウツシ教官が構えの後、一瞬で広範囲に鉄蟲糸を張り巡らせてヌシではないモンスターたちを操竜待機状態にしてハンターたちが搭乗、ガルクとアイルーに翻弄されるヌシ・モンスターたちに一斉攻撃を仕掛ける。

 

 

「ヌシだろうがうちらをにゃめんなよ!」

 

「俺達はG級ハンター!手に負えないモンスターを狩るのが仕事だ!」

 

 

 ナルガクルガを駆るエスラと、ベリオロスを駆るエルヴァスがヌシ・タマミツネを叩き伏せる。

 

 

「ハンターの誇りにかけて!」

 

「元受付嬢の力を見せてやりましょう!」

 

 

 ラージャンを駆るアンテムと、ヤツカダキを駆るマキアナがヌシ・リオレイアを引き摺り下ろす。

 

 

「カムラの里は私達が守る!」

 

「ヒビキとバレットの帰る場所を守るんだ!」

 

 

 ティガレックスを駆るマシロと、オロミドロを駆ったナギがヌシ・ジンオウガを吹き飛ばす。

 

 

「次!ヒノエさん!ミノトさん!」

 

 

―――――ヒノエ&ミノト、出陣!

 

 

「「我ら姉妹、加勢致します!災禍を…払う!」」

 

 

 ウツシとイオリが撤退しハンターたちが躁竜を終えると、次に出てきたのはヒノエとミノトの受付嬢姉妹。ミノトが突風を巻き起こす突きを放ってヌシ・モンスターを怯ませていき、そこを里守たちのバリスタと大砲、ハンターたちの一撃が叩き潰す。しかしまだまだ溢れてくる。バリケードが今にも突破されそうだ。それを見かねたマシロは、危険を承知で暴れるヌシ・モンスターたちの間で放置されている狩猟設備を起動した。

 

 

「里長ーッ!」

 

 

―――――フゲン、出陣!

 

 

「よく呼んだ、マシロ!助太刀するぞ!我が太刀の前に平伏せ!」

 

 

 出てきたのは里長、フゲン。太刀を手に一閃し、いっせいに突入しようとしていたヌシ・モンスターたちを飛ぶ斬撃で斬り伏せる。掲示板で散々マップ兵器と呼ばれた所以である。

 

 

「里へは通さん!焔が如く、闘志を燃やせ!百竜夜行何するものぞ!!」

 

 

 しかしそれでも途切れずやってくるヌシ・モンスターたちに、今度は百竜刀を手にしたフゲンが周囲に斬撃を複数回放ち、最後に一際強力な一撃を浴びせて斬り伏せると、体力を消耗したフゲンとヒノエ、ミノトは帰って行った。

 

 

「よし、だいぶ減った!」

 

「いや、マシロ!今度は上だ!」

 

「なら…!」

 

 

 フゲンから狩猟設備の全権を預かっているマシロ。咄嗟に呼び出したのは最後の里のツワモノ。茶屋のヨモギだ。

 

 

―――――ヨモギ、出陣!

 

 

「おっまたせー!さぁさぁ!大暴れしちゃうよ!おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃ!」

 

 

一緒に出てきた愛用の速射砲で猛烈な勢いで攻撃するヨモギがヌシ・リオレウスとヌシ・リオレイアの大群を撃ち落とし、ハンターたちと里守が攻撃。しかし地響きと共にヌシ・ディアブロスとヌシ・ジンオウガが群れで現れ次々と狩猟設備を破壊していき次々と里守たちが撤退していく。万事休すだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

64:名無しのガンランス使い

いや無理!凄く無理!

 

65:名無しのG級太刀使い(元)

掲示板のみんなのおかげで敵の居場所は分かるが、数が足りない!

 

66:名無しのG級双剣使い

ツワモノたちも夢の跡だしにゃ!

 

67:名無しの帝丹小学校6年生

いくらなんでも多すぎるわ、どれだけヌシにしたのよあのマガイマガド…

 

68:名無しの転生者

それよりなんか人少なくない?

 

69:名無しの霊媒師

あれ、ほんとだ。なんで?

 

70:名無しのガンランス使い

もう駄目、第一関門が突破される…!?

 

71:名無しの魔導師

どうやら間に合ったみたいだな!

 

72:名無しのG級太刀使い(元)

なんだと!?

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、ヌシ・リオレウスの放った特大火球が何かに撃ち抜かれて爆散する。さらに上空から金色の斧を手にした金色の戦士が飛び降りてきてヌシ・リオレウスの頭をかちわり叩き落とし。

 ヌシ・タマミツネの放とうとしていた鬼火入り巨大泡を四角いバリアの様な物が囲って被害を押し止め、月が描かれた羽織を羽織って刀を手にした剣士が突進して刀でヌシ・タマミツネの頭部を叩き潰し。

 ヌシ・ジンオウガを和風のパワードスーツを身に纏ったまだ幼い少女のビームサーベルが叩き斬り、高速で動く何かが連続で体当たりを叩き込んで、一人の白い洋服を身に着けた少年の指示で炎の蛇がとぐろを巻いてヌシ・ジンオウガを燃やし尽くして撃破した。

 

 

「お前、たちは…」

 

 

 一部始終を間近で見ていたミクマリが反応すると、助っ人たちは背中を向けてヌシ・モンスターたち相手に構える。見れば崖の上にも何人かいた。

 

 

「名無しのRS(リアセキュリティ)…援護は任せろ!」

 

「名無しの~あっゴールデン!ドンキンタロウ!ゴールデンに行くぜ!」

 

「名無しの魔導師。コネを全部使ってなんとか次元転送でみんなを送り届けたぜ」

 

「名無しの鬼殺隊!月島流、月柱だ!」

 

「名無しの日向家次女!鬼姫がいざ参る!」

 

「名無しのゼクトルーパ―改めザビー。弱点部位を狙うなど朝飯前です」

 

「名無しの49人目のマスター!とそのサーヴァント、清姫!俺達(転生者)の責任だ、手伝わせてくれ!」

 

 

 元々はバレットの元に集った、戦えるスレ民が名無しの魔導師の力を借りて救援に駆け付けた。希望を胸に、ミクマリは速射砲を握る手に力を込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ライダースティング!」

 

《RIDER STING》

 

《ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイッ!カモォーン!キーンタロ斬♪キンタロ斬♪キーンタロ斬♪キンタロ斬♪》

「ゴールデンべアックス・釜底抽金!」

《必殺奥義!キン・タロ・斬!!》

 

 

 黄金の特撮ヒーロー二人の一撃がヌシ・ジンオウガを打倒する。

 

 

「月島流…富嶽鉄槌割り!」

 

「転身火生三昧!」

 

 

 月柱がヌシ・ディアブロスの角を叩き潰し、清姫が焼き尽くす。

 

 

「にゃにゃにゃにゃにゃ~!」

 

 

 その光景を横目にレイジネイル―を手にしたエスラが砦を駆け抜け、すれ違い様にヌシ・モンスターを斬り刻んでいく。転生者たちが加勢した者の数の差は未だ歴然。罠にすらかからない理不尽極まりないモンスターが数の暴力で攻めてきているのだ。まだ生きてるのが奇跡である。

 

 

「エスラ!無事か!」

 

「リーダーこそ、って…?」

 

 

 一番信頼している声に応えて振り向くと、スキンヘッドの頭から左目にかけて爪痕が付いてダラダラと血を流しているアンテムの姿を見て血の気が引くエスラ。

 

 

「生きて帰れたら眼帯が必要だな…」

 

「生きて帰すにゃ!絶対に死ぬんじゃないにゃ!お爺ちゃんや姉御の様なのはもう、沢山だにゃ!」

 

「だが実際問題…お前の増援だというあのおかしな連中がいても押し止めることができないぞ」

 

「それは…」

 

 

 転生者が加勢して幾分か楽になったが、ヌシ・ディアブロスとヌシ・ジンオウガが強すぎた。ハンターたちは秘薬で何とか耐えている状態だ。視界の端でドンキンタロウとヌシ・アオアシラが斬り合って互角の戦いを繰り広げているのが見える。転生者二人でヌシ一匹と戦える、そんな計算だ。あまりにも無理があった。

 

 

「せめてもう少し戦力があれば、な!」

 

 

 言いながらヌシ・タマミツネをハンマーで殴り飛ばすアンテム。空から襲ってきたヌシ・リオレイアはエスラが鬼人空舞で叩き落とす。もう限界だ、と肩で息をするエスラが自らに差した影に不思議に思い見上げると、翼に炎を纏った巨体のリオレウスが舞い降りてくるところだった。

 

 

「灼翼王…そんな、ここまで来て…」

 

「それだけじゃない、雪夜叉に滅雷刃…毒牢姫に塵魔帝まで…!?」

 

 

 ヌシ・モンスターに続くように現れた外天種に絶望するエスラ達。しかしエスラの脳裏に浮かんだのは、希望だった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

95:名無しのくだん

あっちのスレに行ってどうにかこうにか説得して連れて来たよ

 

96:名無しのG級双剣使い

にゃあああああああああああああああ!よくやったにゃあああああああああああ!?

 

97:名無しのガンランス使い>>1

すごい、ヌシを圧倒してる…

 

98:名無しのG級太刀使い(元)

これならば…!

 

99:名無しのくだん

なんでも、ヌシにされたモンスターには友人だった奴等もいるんだって。それを止めるために協力するって

 

100:名無しの灼翼王

淵虎竜は我らの仇敵、助太刀するぞ。今だけはな!




転生者参戦、外天種参戦。これでようやく互角です。転生者参戦させるのに苦言を呈す人もいると思いますが、バレットの人となりと築いてきた信頼関係の結果できた奇跡みたいなものだと思ってください。あともうひと戦力参戦させたいところさん。さすがに次に移します。

まさかのMVP名無しのくだんさん。人外には人外。

次回はヒビキ&バレットside。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【俺にできること】逃げるんだよぉおおおお!【最終決戦】

どうも、放仮ごです。いつの間にかUA2200行ってましたありがとうございます。今回は転生者と外天種大暴れ。ヒビキも淵虎竜も大暴れ。大暴れ尽くしの中、バレットは…?楽しんでいただければ幸いです。


 百竜夜行を食い止める翡葉の砦。ヌシモンスターの群れが押し寄せるそこは今、ハンターと里守のみならず、転生者と外天種モンスターまで入り混じるカオスとなっていた。ミクマリとナギとエスラにより味方だと知らされた外天種モンスターの暴れっぷりは圧巻だった。

 

 

「バインド!」

 

「シャアァアアッ!」

 

 

 名無しの魔導師がバインドの魔法で動きを止めたヌシ・ディアブロスに飛来し、角による攻撃を巧みに避けて両翼を両翼爪で押さえつけることで拘束、馬乗りになると口づけして猛毒の唾液を体内にめぐらせて融解させる毒牢姫リオレイア。

 

 

「やらせません!」

 

「ガアァアアアッ!」

 

 

 ヌシ・タマミツネの鬼火入り泡を名無しのゼクトルーパー改めザビーが針を飛ばしてひとつ残らず相殺させていき、氷の槌を手にしてヌシ・タマミツネをボコボコに叩きのめす雪夜叉ゴシャハギ。

 

 

《ぃよぉーっ!ドン!ドン!ドン!ドンブラコ!ロボタロウ~!ドン!ブラボ~!ドン!ブラボ~!》

 

「アバターチェンジ!ロボタロウ!」

 

《ドン!ロボキンタロウ~!よっ!ゴールデン!!》

 

「ええ!?と、とりあえず斬る!」

 

 

 突進してくるヌシ・アオアシラに対し、名無しのドンキンタロウが手にしたドンブラスターにドンロボタロウギアを装填して撃つことでメカ装甲に包まれ赤い尖ったサングラスをかけた黄金の熊のロボの様な姿「ドンロボキンタロウ」になるとまるで相撲を取るようにヌシ・アオアシラと力比べを始め、その隙をついて「戦国パワードスーツ鬼姫」を身に纏った名無しの日向家次女が手にした日本刀型ビームサーベルでヌシ・アオアシラに一閃、退ける。

 

 

「狙い撃つぜ!」

 

「ウォオオオオオン!!」

 

 

 ヌシ・リオレイアが尻尾を振るって毒棘を振りまこうとするが、名無しのRSが全て撃ち落とし、その隙をついて咆哮を上げて斬撃の雷を落としてヌシ・リオレイアの両翼と尻尾を斬り落として撃墜、斬撃の雷で胴体を貫いて沈黙させる滅雷刃ジンオウガ。

 

 

「清姫、宝具だ!竜種なんかに負けるな!」

 

「それでは御覧ください、わたくしの一世一代の晴れ姿!」

 

「グオアァアアアアッ!!」

 

 

 ヌシ・リオレウスが特大火球を放とうとするも、名無しの49人目のマスターの指示で清姫が炎の蛇となって巻き付いて阻止、飛び退いたそこに咆哮と共に砂嵐がヌシ・リオレウスを包み込むように発生し、切り刻みながら包み込み砂像にして叩き落とす塵魔帝ディアブロス。

 

 

「月島流富嶽山嵐!」

 

「ゴアァアアアアアッ!」

 

 

 突進してきたヌシ・ジンオウガに対し、名無しの鬼殺隊は刀を下から斜め上に切り上げることで竜巻のように衝撃波を発生させて打ち上げ、そこに限界まで下げた頭部の口から火炎放射を放ち、高速で炎を纏った翼を叩きつけてヌシ・ジンオウガを叩き落とす灼翼王リオレウス。

 

 

 そんな圧倒的な光景にハンターたちも負けじとツーマンセルを取って連携でヌシモンスターたちを蹴散らし、里守たちもそれに続いていく。しかしそれでも互角。何時まで経ってもヒビキとバレットの増援に行けない。そこに声が響いた。

 

 

「王国騎士フィオレーネ及び王国騎士部隊!此度のカムラの里の未曽有の危機に、エルガドより盟勇として助太刀に参った!」

 

 

 参戦と同時に滅・昇竜撃でヌシ・ディアブロスをかち上げるフィオレーネと名乗った女性を皮切りに、ハンターが数人加勢する。里で待機していたロンディーネが姉に救援を送った結果だった。こうして戦況はこちらに有利へと傾いていく。そしてヌシモンスターを扇動する張本人がいる獄泉郷では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決戦の高台に戻ってみれば、爆発はノーダメージですんだのか、未だに鬩ぎ合っているヒビキがいた。あの威力と鬩ぎ合うって…いや、それと鬩ぎ合っている淵虎竜がおかしいのか。

 

 

「くっ…!?」

 

「ゴアッ…!」

 

 

 バキンッ!という音と共に双方飛び退く。そして絶望的な光景が目に入ってきた。ヒビキの得物、禍ツ琵琶ノ幽鬼ウラザの弦が切れて壊れてしまっていた。相棒の損傷にそちらに気が取られてしまうヒビキ。

 

 

「しまっ…」

 

「させるか!閃光玉!タマ!ダンガン!」

 

 

 襲いくる淵虎竜の巨大な爪に、俺は咄嗟に閃光玉を投げつけ強烈な閃光に淵虎竜の狙いが逸れる。そこにオトモアイルーのタマが大タル爆弾を投げつけて怯ませ、オトモガルクのダンガンが反対方向で吠えてタゲを逸らしている間に、なにやら地面に仕掛けたヒビキのオトモのビワマルとエレキマルがヒビキを(比較的)安全圏であるこちらまで避難させる。

 

 

「大丈夫か、ヒビキ!」

 

「俺は大丈夫だ、だが相棒が…修理したい。時間稼ぎを頼めるか?」

 

「死ななきゃいいんだろ?それは誰よりも得意だ。行って来い!」

 

「頼んだ、恩に着る!」

 

 

 そう言ってモドリ玉を使いオトモと共にキャンプベースに戻るヒビキを見送り、さてとと向き直る。ヒビキはハモンさんに師事した武器づくりのライセンスを持っている、そう時間はかからないだろう。タマとダンガンが時間稼ぎをしてくれているが、閃光玉の効果が切れれば人間が憎いアイツは俺を最優先で狙うだろう。どうしたものかな。

 

 

「…そういや」

 

 

 さっきヒビキが大暴れしてた時、なんか違和感を感じたんだけどなんだったかな……俺だけが分かる違和感。それは特典のゲーム画面……装弾数や体力やスタミナ、地図にダメージまで全部がゲームの様に映る視界…………待てよ?この目は通常のゲーム画面と違って他人が出したダメージまでわかる。違和感は、ヒビキが当てた時のダメージだ。思い出した。何故か、全ての攻撃が三桁…100以上のダメージ、爆発属性のダメージを叩き出していた。そんなこと、まずありえない。爆発属性ってのは蓄積して大ダメージを与える属性攻撃だ。あんな毎回出せるもんじゃない。

 

 

「…まさか」

 

 

 ある可能性に行きついた俺は王牙弩【野雷】に貫通電撃弾を装填。閃光弾から解放されてこちらに向いた淵虎竜に撃ってみる。なんかめちゃくちゃダメージ出て大きく怯んだ。……今まで脳死で拡散弾ばかり撃ってて気づかなかったけど、そういうことか!

 

 

「お前、喰らったモンスターの属性値までコピーしてるだろ!?プラスにもなってるが多く喰いすぎたせいでプラマイゼロじゃなくてマイナスになってるんだ。だから爆発属性が一瞬で溜まり爆発する。全部の属性攻撃に凄まじく弱いな、お前!」

 

 

 つまりこいつのコピー能力は、長所だけじゃなくて弱点までコピーしてしまうんだ。ただ問題が一つ。俺のライトボウガン、王牙弩【野雷】は貫通電撃弾だけ、ネコ獣砲ニャノンに至っては毒弾ぐらいしかない。なにせ斬裂弾死ぬほど連射マンと拡散弾をまっすぐ叩き込むマンだ。属性専門じゃない。結局ヒビキが来るまで耐えるしかないわけだ。

 

 

「グゴアァアアアアアッ!」

 

「まあキレるよね。ん?」

 

 

 咆哮を上げて踏込んで槍尻尾を突き出してくるのを横にスライディングで避けつつ王牙弩【野雷】で斬裂弾を叩き込む。薙ぎ払いを咄嗟にしゃがんで回避、ネコ獣砲ニャノンで毒弾を叩き込む。連続お手攻撃を鉄蟲糸技を駆使して回避していく。息吐く暇もないが、ある事に気付く。そうか、こいつはヌシでも古龍でもないんだ…なら!

 

 

「それが効くよなあ!」

 

「グゴアアァアアア!?」

 

 

 俺の放った貫通電撃弾を嫌がって大きく飛び退いた淵虎竜の足がさっきまでヒビキがいた場所に接触。仕掛けられていたシビレ罠を踏んで全身に電撃が駆け巡って苦悶の声を上げる淵虎竜。そういえばヒビキが言っていた。何度もこいつと出くわしたけど、閃光玉やこやし玉といったアイテム、シビレ罠に落とし穴やシビレ生肉に眠り生肉といった罠の類、クグツチグモにボムガスガエルやシビレガスガエルにネムリガスガエルに子泣キジとマキムシに閃光羽虫といった環境生物等を使って逃げに徹したそうだ。

 

 

―――――「最終的に生きた奴が勝ちだ」

 

 

 そうよく言っていた。ヒビキが生き残ったのは運もある。子供の頃に見逃されなければヒビキは生きていない。だけどその幸運があったからこそ命の大事さを実感し、奴に対する恐怖を感じ続けたからこそ、プライドも外聞もなく生き続け、いつか倒すべく鍛え続けて新技を編み出し続けて、あのやべーやつがそこにいる。

 

 

【急募】狩猟笛の正しい使い方

 

 

 そんな題名で掲示板始めたけど、正しい使い方なんてないよな。あれは奴が編み出した「正しい使い方」だ。憎み血塗られしマガイマガド、いや禍依之淵源・淵虎竜マガイマガド。奴を倒すために磨き続けてきた技術の結晶を否定などできようはずもない。奴を倒すためには必要だ。俺にできる事、それは。

 

 

「逃げるんだよぉおおおお!」

 

 

 ライトボウガンとヘビィボウガン二つで撃って興味を引きながら狭いエリアを逃げ続ける。奴の巨体の陰に隠れるように、鉄蟲糸技で高速で滑走しながら奴の攻撃を避け続ける。爆発が発生する踏み潰し、上空に向かって放たれ落下してくる氷塊の雨、奴を中心に発生するドーナツ型の電撃に岩を巻き上げる竜巻、一回転しながらの火炎放射、とにかく攻撃の当たらない場所を一瞬で見極めて逃げに徹する。弾に限りある俺には絶対に勝てない。できるのは、ヒビキが来るまで逃げ続けて時間を稼ぐことぐらいだ。

 

 

「ギルドでは危険には絶対手を出さないことで定評あったんだけどな!友や里のために命かけることになるとは!第二の人生どうなるかわかったもんじゃねえ!」

 

「グオアァアアアッ!?」

 

 

 今度はヒビキの仕掛けていた落とし穴に淵虎竜の右前足を突っ込ませて、その隙に斬裂弾を撃ち込む。頭はいいんだろうが、所詮は獣。特に俺はゲーム画面で罠の位置とかも把握できるんだ。小細工じゃ負けないぞこの野郎。

 

 

「っ、やばいっ!?」

 

 

 しかし淵虎竜は隙を潰す様に巨体を赤熱させて大爆発。体勢が崩れてたから全方向とまではいかなかったが、余波で水辺を転がり滝の流れる石壁に叩きつけられびしょ濡れになる。タマとダンガンは…隅っこで落ちそうになってるが生きてる、か。

 

 

「あ、熱かった…水に突っ込まなかったら不味かったな…」

 

 

 爆発で燃えた装備を水で鎮火させ、立ち上がると目の前には落とし穴から出て俺を見下ろす淵虎竜の姿。逃げ場は、ない。すると淵虎竜の背後から希望の声が聞こえた。

 

 

「待たせたな…!」

 

 

 大翔蟲に掴まったヒビキが空中に飛び上がり、そのまま演奏しながら急降下と共に狩猟笛を勢いよく叩きつける。俺に火炎放射を浴びせようとしていた淵虎竜は顎から地面に叩きつけられ、口からボフンと黒煙を漏らして折れた角が地面に突き刺さると同時に着地したヒビキを睨みつける。

 

 

「生きれば勝ちだ。よく生き残ったバレット。さすがは俺が見込んだ男だ」

 

「そりゃどうも。…お前に助けられた借りぐらいは返せたかな?」

 

「馬鹿野郎。あんなのは借りにも入るかよ。…そんな理由なんかで来てくれたわけじゃないだろ?」

 

「…お前には絶対敵わないな。アイツは属性攻撃に弱い。とにかく殴れ。怪我ぐらいは気にするな、俺が治してやる」

 

「そりゃ俺好みの作戦だ!」

 

 

 跳躍、同時に淵虎竜も右前足を振り上げ、振り下ろしたのとヒビキの振り上げた狩猟笛が激突。大きく弾き飛ばしてその反動で飛び上がったヒビキはまるで操虫棍の如く、演奏しながらクルクルと回して連続で打撃をその巨体に叩き込んでいき、背後まで回り込むと操虫棍の「降竜」の如く急降下。腰に強烈な打撃を叩き込んで強制的にダウンさせる。この怪獣並みの巨体をダウンさせるなんてすごいな。

 

 

「ならさらに火力を上げてみるか!」

 

 

 そのとき弾けた電撃でダメージを受けた様なので、回復弾と一緒に鬼人弾、硬化弾を撃ち込むと、ヒビキはダウンしている淵虎竜の上で何度も何度も狩猟笛を叩きつけて振り回し、演奏。今宵限りのライブに、オトモ達もやんややんやと盛り上がり、バフのかかった武器を振り回して淵虎竜にダメージを与えて行く。俺も貫通電撃弾でそれに続いた。

 

 

「ナイスだバレット!さあ淵虎竜よ!俺の曲を!聞きやがれえ!」

 

 

 さらに勢いを増していく演奏。ついに淵虎竜は立ち上がり、体を震わせてヒビキを叩き落とすと全身の装甲刃を展開、電気を帯びてドーム状に電撃のバリアを展開。俺とヒビキ、オトモ達は慌てて避ける。

 

 

「旦那さん!奴は疲弊してるにゃ!」

 

「一気に叩くチャンスだにゃ!」

 

 

 モンスターの体力を見極めることができるオトモアイルーたちの台詞が響くが、俺は知っている。モンスターは怒ると、形態変化することを。そしてそれはすぐに来た。

 

 

「グゴアァアアアアアッ!」

 

 

 電気と冷気を帯びた大爆発を、咄嗟に猟犬具の護り番傘を展開してオトモガルク達が防御してくれてやりすごすと、奴の姿が一変した。全身の刃が電撃を纏って逆立ってまるで剣山…というよりは針山地獄の様で、全身を覆うようにして紅蓮の鬼火を纏った風が渦巻いている。口からは溢れんばかりの紅蓮の炎を燃え滾らせ、目がギラギラと輝き殺意に染まる。これがこいつの鬼火纏…なんて悍ましいんだ。

 

 

「グオアッ!」

 

 

 一声吠えたかと思うと、飛び上がって尻尾が一薙ぎされて、オトモ四匹が薙ぎ倒され転がって行く。そして着地したかと思えば間髪入れず突進して来て、咄嗟にヒビキがタイミングを合わせて打ち上げるも空中で体勢を立て直され、鬼火を纏った竜巻を二つ飛ばしてきて咄嗟に鉄蟲糸技で回避。今の今までいた場所が爆発と竜巻で抉れたことで冷や汗が流れる。

 

 

「…さすがにきついか?」

 

「だよなあ」

 

 

 ヒビキの弱音に頷くしかない。これは、やばい。




フィオレーネ参戦。逃げるバレット。タイトル回収。本気を出す淵虎竜。

転生者と外天種でヌシの群れを圧倒しているところですが、逆に言えば外天種と転生者が力を合わせてようやく渡り合えてる感じです。外天種だけじゃ圧倒できても数の差で押し負ける、それを補ってるのが転生者です。ギルドのハンター呼べば…ともなりますが、カムラの里はギルド本部からしても辺境で、ヌシの百竜夜行は通常と違い凄まじい速さで接近していたので増援を頼む暇もなかったので、転生者と外天種の両勢力が参戦しないと全滅必至でした。フィオレーネの場合はロンディーネという連絡員がいたから遅れて参戦できた形。

弱点がついに判明。「長所だけじゃなく弱点までコピーしてしまう」故の「異常な属性値」となっております。無属性にはめっぽう強いけど属性攻撃にクッソ弱い。だから弱点属性を持ってたキョウジを真っ先に狙ったし、ケイマの矢で撃ち落とされていたわけです。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【これが本当の】狩猟笛の正しい使い方【最終決戦】

どうも、放仮ごです。今朝から怒涛の評価が入りまして。とりあえず低評価は気にしないことにするとして、どうやらコテハン組が乱入するのがお気に召さなかった人もいるようで。これは好き嫌いなのかなあとと思いました。今回の戦いだけだから許して。

禍依之淵源・淵虎竜マガイマガドとの最終決戦、終幕。楽しんでいただければ幸いです。


 全身の刃が電撃を纏って逆立ってまるで針山地獄の様で、全身を覆うようにして紅蓮の鬼火を纏った風が渦巻き、口からは溢れんばかりの紅蓮の炎を燃え滾らせ、目がギラギラと輝き殺意に染まっている姿…暫定「鬼火纏」に形態変化した禍依之淵源・淵虎竜マガイマガドの苛烈な攻撃が襲いかかる。

 

 

「グゴアアアアアアアッ!!」

 

 

 奴の回転する尻尾に影響された空からは鬼火か雷か冷気を纏った風の砲弾が絶え間なく襲いかかり、さらに淵虎竜本体が何度も何度も前足を叩き付けて防御不可の電撃の衝撃波を発生させ、雷を帯びた炎を溢れさせた牙で噛み付かんとし、さらに身体を横に高速回転させてシュレッダーの如く地形ごと切り刻んできたのを、翔蟲を駆使して回避する。

 

 

「全部ガード不可の攻撃とかふざけんな…!?」

 

「くっ、攻撃の隙が…!?」

 

 

 空中で貫通電撃弾を放ってみるも、電気のドーム状のバリアを発生させて無効化され、ヒビキが高速回転させた狩猟笛を投げつけてバリアを突破するも風の膜で受け止められて弾かれてしまう。タマが仕掛けた地雷を踏んでも怯まず、ダンガンの放った手裏剣も弾いてしまう。

 

 

「攻撃できても無力化か…」

 

「なんとか隙を作るしかないな」

 

 

 高速回転シュレッダー攻撃を、全力で飛び退いて回避する。しかし円を描くように回転を続け、獄泉郷の高台が削られていく。今の自分には狭いから広げようってことか…!?

 

 

「こうなったら…!」

 

 

 グルグルと円を描いて高速回転シュレッダー攻撃を続けて勢いを増していく淵虎竜の眼前で、狩猟笛を大剣の様に構えるヒビキ。

 

 

「奴の攻撃に耐えながら渾身の一撃を叩き込む…!」

 

「無茶だ、死んでしまう!」

 

「信じてるぞバレット!激昂打・奏(げっこうだ かなで)!」

 

 

 大剣の入れ替え技、激昂斬。敵の攻撃を耐え抜き、そのダメージすらも火力に変えて叩き込む諸刃の剣の動きでシュレッダー攻撃を真正面から受け止め、傷だらけになりながらも俺が回復弾を叩き込んで無理やり回復、シュレッダー攻撃のダメージすら上乗せした一撃が、ちょうど頭部に炸裂して淵虎竜を叩き飛ばした。そうだ、マガイマガド特有の特殊ダウンか!

 

 

「やった…がふっ」

 

「無茶だって言っただろ!?回復弾だって治せる傷には限りがある!」

 

「心配するな、致命傷だ」

 

「馬鹿野郎!?」

 

 

 ビシッと指を立てて倒れそうになったヒビキのポーチから秘薬を取り出して無理やり飲ませて回復させる。死ぬ気か馬鹿。だが今のは大打撃に……と見てみたら、顔面に紅蓮の炎を纏いつつモンスターの死骸を喰らいこちらを睨む淵虎竜がいた。…再生能力があったなあ、今畜生。

 

 

「だけど餌が限られてるから完全回復は無理みたいだな」

 

「むしろ隙だらけだ!振打(しんうち)残響(ざんきょう)!」

 

「そうか、竜撃弾を喰らいやがれ!」

 

 

 右前足に振打を叩き込み、演奏を加えて相手の体内に追加ダメージを与えるヒビキに続いてネコ獣砲ニャノンで竜撃弾を叩き込む。500近くもダメージが出た。火属性も効くみたいだな。

 

 

「鬼火を纏っているところを優先的に狙え!ダウンしやすい!」

 

「了解だ!音撃!打!打!打!打!打!打!打!打!」

 

 

 起き上がる淵虎竜に音撃打打打を叩き込み続けるヒビキ。すごい、的確に鬼火があるところに叩き込んで怯ませて攻撃させない。もう音が笛というか琵琶というかバスドラムみたいだ。それに続いて貫通電撃弾を撃ち込み続けていると、ついに弾切れした。やばい、貫通弾に切り替え……あっ。ポーチのなかにあったこれは…。

 

 

「虎の子だ、喰らえ!」

 

 

 淵虎竜に青い着弾煙が浮かび上がる。そういや持って来てたんだったな、これ。上からの鬼火か雷か冷気を纏った風の砲弾の雨を掻い潜りながら当てて行く。淵虎竜は少ないダメージにあまり気にしていないが、目に見えて疲弊して来ていた。

 

 

「バレット、それは…?」

 

「モンスターからスタミナを奪う弾丸、減気弾だ…!材料がクッソ貴重なんだが持ってきてよかった!」

 

「よし、決めるぞ!」

 

 

 スタミナが無くなってその巨体を動かせなくなった淵虎竜に、俺はネコ獣砲ニャノンに特殊弾を装填。ヒビキも居合の様に構える。行くぞ!

 

 

「狙撃竜弾…!」

 

「擬似・特殊納刀。居合抜笛(いあいばっぴょう)気炎旋律…打打打打打(きえんせんりつ だだだだだ)!!」

 

 

 俺は狙撃竜弾を撃ち込み、クルクルクル!と気炎の旋律を奏でるようにしながら居合の如く高速で振り抜き、振り抜いた勢いでまた居合の構えを取り振り抜き、を五回連続で繰り返すヒビキ。兜角が叩き折られ、左目が潰れ、牙の欠片が宙を舞い、そして禍依之淵源・淵虎竜マガイマガドが元の形態に戻るとそのまま倒れ伏した。

 

 

「やったか…?」

 

「むしろオーバーキルだろアレ…」

 

 

 たまらず尻餅をついて大きく息を吐く。やったか、やったのか。あまりに無茶をし過ぎたのか、淵虎竜に背を向けて狩猟笛の調整を始めるヒビキを横目にやってきたタマを乗せたダンガンの顎を撫でる。しかしあっけなかったな………そう思いながら信号弾を取り出して討伐したことを伝えようと背を向けた時だった。ん?どうしたダンガン、そんなに唸って。不思議に思っていると、視界の端っこにあるゲーム画面の地図を見てある事に気付く。

 

 

「地図に倒したマークがついてない…?まさか!」

 

 

 振り返ると、そこには右目をガン開きにして無防備なヒビキを睨み形態変化していく禍依之淵源・淵虎竜マガイマガドの顔があって。死んだふりでスタミナを回復していたとでも…?不味い…!?と思った瞬間、爆発と共に淵虎竜が吹っ飛んてきた。

 

 

「ヒビキ…!」

 

「なに…!?」

 

 

 ヒビキを突き飛ばし、同時に身を引いて淵虎竜の攻撃を避けようとするが、次の瞬間喪失感と一緒に左腕があった(・・・)箇所から激痛が走って。

 

 

「ぐあぁああああっ!?」

 

 

 見れば、左腕の肘から下が淵虎竜に食いちぎられていた。この程度ですんで運がよかったと言うべきか、否。激痛で動けない。足手まといでしかないぞ、と見れば残りも食おうとしたのか大口を開けて突進してくる隻眼の淵虎竜がいて。

 

 

「バレット!」

 

 

 横っ面からヒビキが殴り飛ばしてくれたおかげで淵虎竜の突進が逸れて助かったが、もうヒビキも肩で息をしていて限界だ。タマが包帯と回復薬で応急処置してくれているが、間に合いそうにない。くそっ、油断した。こんなあっさり決着がつくわけないのに……ゲーム画面の弊害か、「意外とあっさり決着がつくゲームのモンハン」と混同してしまった。こんなに悪辣な奴が死んだふりをしない保障なんてなかったのに!

 

 

「くそがぁああああああっ!」

 

 

 愚かな自分と、性格が悪すぎる淵虎竜への憤りで吠える。すると淵虎竜が何故か怯んで大きく距離を取った。…俺の圧を恐れたとかそういうわけじゃないよな?

 

 

「シャーッ!」

 

 

 次の瞬間、空から舞い降りたのは一件変哲のないリオレイアだった。しかし淵虎竜は大袈裟なぐらいに回避、そんな淵虎竜に翼を羽ばたかせて鱗?を飛ばして白い体躯を見せるリオレイア。鱗?が落ちた場所がシューシューと音を立てて溶けて行く。まさかあれは、毒牢姫…!?

 

 

「グオオォオオオッ!」

 

 

 すると今度は獄泉郷の高台を乗り越えて、口に葉っぱとか枝とかを取り除いた木を咥えた紫色の体色のゴシャハギが出現。咥えた木を手に取って吐息を浴びせて氷塊をくっつけてハンマーにすると回転させて淵虎竜の横面を殴り飛ばした。雪夜叉か?

 

 

「ウォオオオンッ!」

 

 

 槍尻尾をリオレイアとゴシャハギに振るおうとする淵虎竜だったが、落ちてきた雷が槍尻尾を切断。獄泉郷の高台を乗り越えてきた紺碧のジンオウガが手にした電撃をまるで剣の様にして淵虎竜の背中の刃を斬り裂いた。こいつは、滅雷刃…?

 

 

「グゴアァアアアッ!」

 

「グオアァアアアアッ!!」

 

 

 先端を切断された尻尾を振り回して鬼火か雷か冷気を纏った風の砲弾を降らして蹴散らさんとする淵虎竜だったが、咆哮と共に発生した砂嵐で全て防がれ、さらに地面の下から突き上げてきた黄金のディアブロスの角が胸に突き刺さり、その巨体がひっくり返される。塵魔帝…!

 

 

「グゴアァアアッ」

 

「ゴアァアアアアアッ!」

 

 

 立ち上がろうとする淵虎竜に、舞い降りた漆黒のリオレウスがダメ押しで炎を纏った翼を叩きつけてダウンさせる。灼翼王か。そしてその巨体の背中から飛び降りた三人が一斉に淵虎竜に向けて各々の得物を構えて急降下する。それに気付いたヒビキは咄嗟に演奏してバフをかける。それは正しく、狩猟笛の正しい使い方だ。

 

 

―――――【攻撃力&防御力UP】

―――――【音の防壁】

―――――【体力継続回復】

 

「二刀流、兜割!」

 

「薙ぎ払い!竜撃砲…!」

 

「鬼猫乱舞!にゃにゃにゃにゃ、にゃああっ!」

 

 

 降りてきた三人と、モンスター五体にバフがかかった譜面の様なエフェクトが見えた。強力な大剣と太刀の斬撃と、ランスで薙ぎ払って一瞬浮いてからのガンランス必殺の一撃、猫の爪の様な双剣による全身を駆け巡るような斬撃が炸裂。さらに外天種五体の体当たりが炸裂し、淵虎竜は岩壁に激突してダウンした。

 

 

「ごめん、バレット!ヒビキ!遅れた!」

 

 

 そう言ってきたのはマシロだった。ナギとエスラも一緒だ。よく見れば、滅雷刃の背にはミクマリもいた。

 

 

「王国から援軍が来たんだ!私達が何とか来られた!」

 

「二人だけに任せてごめん、でもここからは任せて!」

 

「バレット、酷い傷…!ここは私達が!休んでいて!」

 

「ヒビキ!躁竜、いくにゃ!」

 

 

 そう言って、背中の毒を引っ込ませた毒牢姫の背に飛び乗るエスラ。マシロは灼翼王に、ナギは塵魔帝に飛び乗る。

 

 

「…こいつを貸す。力を貸してくれるか、雪夜叉」

 

「グオオォオオオッ!」

 

 

 そして愛用の狩猟笛を雪夜叉に渡したヒビキがその背に飛び乗り、外天種を躁竜するハンターたちの図が完成した。中身が転生者とはいえ、ハンターとモンスターが相互に了承を取ってる躁竜はすごいな。息が合っていてまるで一心同体だ。

 

 

「どりゃあああああ!」

 

「うおぉおおおっ!」

 

 

 灼翼王の翼を叩き付け、火炎ブレスを叩き込むマシロと、狩猟笛を振り回した雪夜叉に攻撃させるヒビキだったが、ダウンから起き上がった淵虎竜は前足の刃を振るって迎撃。雷を落とそうとした滅雷刃とミクマリに氷塊を飛ばして動きを止めさせると滅雷刃の顔を思いっきり踏み潰し、尻尾を振るって電撃を纏った鬼火の渦を発生させ突進していた塵魔帝を迎撃、飛び上がって毒牢姫と灼翼王の頭部を両前足で踏み潰して地面に叩きつけると、口から火炎放射を放って雪夜叉を牽制する。これだけの戦力が集まっても駄目だってのか…!

 

 

「不味い、大技だ…!」

 

 

 ヒビキの警戒の声が上がる。ビリビリと地面に稲妻が走ったかと思えば地盤が持ち上がり、淵虎竜が飛び乗ってどんどん上に向かっていき、自ら発生させた暴風に乗り、磁場で浮かび上がり天高く舞い上がって雲の向こうまで行ったかと思うと、暗雲が吹き飛ぶほどの大爆発が発生。そして逆光に隠れるようにして、その巨体が高速で落ちてくる。それはまさに、生きた巨大隕石だ。もう一つの太陽を思わせるそれは回避不可能。…だがしかし。

 

 

「お前、俺を喰っただろ。そろそろ馴染んだか?お前にもやるよ、俺の特典…ゲーム画面を」

 

 

 しかし落ちてくる直前で淵虎竜の動きがおかしくなり、爆発を繰り返してじぐざぐに落ちてくると地面に激突。大ダウンする淵虎竜。いきなりあんなものを見せられて、正常でいられるはずがないんだよ。

 

 

「行って、灼翼王!」

 

「斬り裂け、滅雷刃!」

 

「毒牢姫さん!」

 

「決めるにゃ、塵魔帝ッ!」

 

「今だ雪夜叉ァ!」

 

 

 躁竜大技のために離脱した五人の声が響き渡り、限界まで下げた頭部の口から火炎放射を放って高速で繰り出された灼熱の炎を纏った翼と、雷光を纏った全身を一つの太刀として尻尾を叩きつけて繰り出した斬撃と、大きく翼を振るって全身を覆った毒膜をもう一匹の自分として飛ばした毒の塊と、砂の渦を纏った黄金の角をドリルの様にした突撃と、大きく飛び上がって氷に覆われた両手に握った狩猟笛を勢いよく両手ごと叩きつける一撃が、炸裂。

 

 

「ぐごあぁああああああッ!?」

 

 

 絶叫が上がり、淵虎竜の全身が次々と小爆発。最後に巨体の中心から燃え広がった鬼火が大爆発し、今度こそ禍依之淵源・淵虎竜マガイマガドは崩れ落ちて沈黙した。ゲーム画面のマップも✕マークがついていた。

 

 

「俺達の勝ちだ、マガイマガド」

 

 

 そうヒビキが勝ち誇り、大獲り物は終幕を下ろしたのだった。




決まり手は外天種躁竜と、バレットがの左腕が持ってかれたこと。悪食がその身を滅ぼすこととなりました。なんでもかんでも食べたら駄目なのだ。あと地味に減気弾が効いていた。

まだにわかなのだけど死んだふりするモンスターはいるのかな?淵虎竜は悪知恵が働くのでこうしてみました。ラスボスがこんなことしたらコントローラーぶん投げる自信がある。

狩猟笛はまあ味方にバフかけるのが仕事よね、と。正しく、狩猟笛の正しい使い方、でした。

次回はライズ編エピローグかな?次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【急募】やべーやつから逃げる方法【助けて】

どうも、放仮ごです。モンスターハンターライズ編の終わり、エピローグ。バレットは元々ギルド所属のフリーのハンターなんだよね、と原点回帰。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

というわけで一日で退院しました。左手は義手になるかも

(生放送モードで右手でピースを見せる)

 

2:名無しの鬼殺隊

英雄の帰還だ。左腕一本失ってそれで済むとは強い世界だな

 

3:名無しのガンランス使い

バレットが入院している間大変だったんだからね…特に助けてくれたあの謎の連中は何者だーって

 

4:名無しの魔導師

ハンターには見えない上に飛んでる輩もいたからな…

 

5:名無しのくだん

飛んで光弾撃ってたアンタが言う台詞じゃねえ

 

6:名無しのG級太刀使い(元)

私がいろんな場所で出会った風変わりなハンターたちで救援を求めておいたと誤魔化しておいたから安心しろ

 

7:名無しの灼翼王

俺達の事はどう説明したのだ?

 

8:名無しのくだん

あっ、灼翼王こんにちは

 

8:名無しの毒牢姫

我々も攻撃されることを覚悟の上で参戦したわけですが…

 

9:名無しの雪夜叉

血塗れ幽鬼にリベンジできればそれでよかったからな

 

10:名無しの塵魔帝

気は乗らなかったが放っとく訳にもいくまいて

 

11:名無しの滅雷刃

俺としてはミクマリとやらから剣技を学べたからよかったがな

 

12:名無しのドンキンタロウ

外天種が勢ぞろいだな!

 

13:名無しの霊媒師

価値観は違うけど話せばわかる人…モンスターたちだったね

 

14:名無しのザビー

掲示板のおかげでもありますけどすんなり共闘できましたからね

 

15:名無しのガンランス使い

あのマガイマガドはモンスターたちにとっても敵だから共闘しようってことでまとまったよ。マシロはもうなんか直感で味方だって確信してたよさすがだよね

 

16:名無しのG級太刀使い(元)

今は戦えない私が躁竜で再び太刀を振るえるとは思わなかった、恩に着る滅雷刃

 

17:名無しの帝丹小学校6年生

それで?このタイトルは何?

 

18:名無しのG級双剣使い

にゃははは…自業自得というか…

 

19:名無しのRS

やべーやつってヒビキだろ?一緒に淵虎竜を乗り越えた戦友じゃないか

 

20:名無しの49人目のマスター

あっ、もしかして……

 

21:名無しのギルド所属ハンター>>1

左腕失わせたことに責任感じたヒビキがついてくると言って離れません。助けて

(生放送モードで視線をずらせばなんか弾き語りしているヒビキの姿が)

 

22:名無しの日向家次女

自分のせいだと思ってるんだから好きにやらせてあげたら?

 

23:名無しの雪夜叉

お前のためにもと狩猟笛を俺に手渡すぐらい怒ってたからな。受け入れろ

 

24:名無しの毒牢姫

愛ですね!受け入れましょう!

 

25:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>24

俺にそう言う趣味はないし一人の方が気楽だ!

 

26:名無しの鬼殺隊

単純に恩返しのつもりなのだろうな

 

27:名無しのガンランス使い

>>25

本当に?私達と一緒にいて、楽しくなかった?

 

28:名無しの魔導師

ナギちゃんにここまで言わせるのか!イッチ!

 

29:名無しの灼翼王

女を泣かせるのは最低だぞ

 

30:名無しの49人目のマスター

そうだぞ。最低だぞ

 

31:名無しのくだん

ラブコメするのは俺の世界の主人公たちでいいよ

 

32:名無しのギルド所属ハンター>>1

いやラブコメしてるわけでも泣かせてるわけでも…あっ

 

33:名無しのG級太刀使い(元)

一人の方が気楽だとか言ったら仲間だと思ってるナギは泣くに決まってるだろう

 

34:名無しのG級双剣使い

あーあ、泣かせたにゃー。マシロが怖い顔で向かってくるにゃ

 

35:名無しの雪夜叉

そんなこと言ってると、後悔するぞ。俺は後悔した

 

36:名無しのドンキンタロウ

ゴールデンに謝ることだな!

 

37:名無しのギルド所属ハンター>>1

いや待ってマシロちょっと待って峰打ちは痛い…ギャー!?

 

38:名無しの霊媒師

南無三!

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 ギルドに帰還するために旅支度をしていたところにやってきた、マシロにもらったたんこぶを擦りながらナギに向き直る。マシロはヒビキが「怪我人になにやってんだ」って怒られてるからまあいい。とりあえずナギに謝ろう。

 

 

「ごめんナギ。俺は元々ソロでチームをどんどん変えて行った男で……便利とは言われたことはあっても泣かれるなんてなかったんだ」

 

「私達とチームなのは嫌だった?」

 

「そんなことはない。カムラの里にいる間、楽しかった。それは確かだ。だけどな、俺は簡単に仲間のために命を張って大怪我して心配させてしまう人間だ。転生前もそんな感じに死んだんだ。お前たちを悲しませない自信がない」

 

「じゃあせめてヒビキを連れて行って。私達の誰よりも強いから、バレットの命をまた助けてくれるはず」

 

「…また?」

 

「淵虎竜との戦いの時、私達が駆け付けるまで重症のバレットを守ったのはヒビキでしょ?」

 

 

 そう言われて思い出す。腕を喰われて動けないでいた俺に襲いかかる淵虎竜に、その身一つで狩猟笛を振るいあの巨体を殴り飛ばして危機を救った姿。そのあとが怒涛過ぎて忘れていた。

 

 

「今まではバレットの背中を預けられる人はいなかったけど、ヒビキはどうかな?」

 

「…そう、だな。…もう少しカムラの里にいることにするよ。俺が背中を預けられるのは何も、ヒビキだけじゃない」

 

「それじゃあ!」

 

「ああ。正式にお前たちとチームを組むことにするよ。即席じゃなく、な」

 

 

 満面の笑みを浮かべるナギに頷く。そうと決まれば2人にも伝えないとな。正座をしているマシロと、真剣に説教しているヒビキの元に向かっていき正式にチームになることを伝えると喜んでくれた。

 

 

「片腕がないお前が入れるチームなんて俺達のところぐらいだろうしな!」

 

「ヒビキ、不謹慎だよ。嬉しいけど!」

 

「この義手は特別性らしいから一人でもなんとかなるんだけどな」

 

「なにはともあれ、この四人でチームだなんて嬉しいよ!チーム名はどうする?」

 

「…そりゃあ、まあ」

 

 

 百竜ノ淵源ではないが、淵虎竜マガイマガドを倒したのだから名乗ってもいいだろう。

 

 

「チーム猛き炎。これしかないだろ」

 

「だね!」

 

「うん、しっくりくる!」

 

「文句なしだ」

 

 

 そう頷き合い再スタートを切ることを決めていると。視界を何かが横切った。

 

 

「…うん?」

 

 

 …緋色の燐光の鳥…いや蟲、か?飛んできたのは…獄泉郷の方角か?でも獄泉郷の方にこんな環境生物いたかな?

 

 

「大変にゃ大変にゃ!」

 

「一大事だ!」

 

 

 すると慌ててやってきたのはエスラとミクマリ。ミクマリの傷の具合はよくなって走れるまでは回復しているようだ。やはり淵虎竜の存在が傷の回復を妨げていたのだろう。

 

 

「討伐後に持てるだけ素材を剥ぎ取って一度放置していた淵虎竜の死骸なんだけどにゃ…」

 

「…回収に向かったアンテムさんとエルヴァス、マキアナとエスラが見たのは、干からびてミイラの様になった淵虎竜の死骸だったらしい。一日しか経ってないのに、だ」

 

「どういうことだ…?」

 

「まるでなにかに命を吸われたかのようだったにゃ…」

 

 

 そう語るエスラはまるでこの世のものではないものを見たかのように顔を青ざめさせていた。転生者である故に、想像だにしないことが起きてパニクっていると見れる。俺達の知らない何かが起きているという事か…?いや待て、モンスターハンターライズのストーリーが終わったみたいなものだということはまさか、あれか?考え込んでいると、何か言おうとして迷っていたミクマリが意を決してその内容を伝えたことで確信する。

 

 

「…これは未確認の情報だが、ギルドに「獄泉郷のある方角の空に爵銀龍メル・ゼナを見た」という報告も届いている。…バレット。恐らくこれは」

 

「…ああ。俺達の未知の狩猟、サンブレイクだ…」

 

 

 もう一つの太陽を降した次は太陽を砕けってか。…掲示板の誰もが知らない未知の狩猟が始まる。




義手になったバレットに、チーム猛き炎結成、緋色の蟲?に干からびてミイラになってしまった淵虎竜の死骸、そしてメル・ゼナ。当初はライズ編しか構成を考えてなかったので、もしかしたら次回は期間が開くかもしれません。一応どんなストーリーにするかは決めているんですけど細かい所が。特に強豪モンスターたちをどう描くかを検討中。


???「滅べ亡べ、滅亡せよ!呪いあれ!奴らに、全ての人間に呪いあれ!」


次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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ミクマリ小話【首狩り稲妻旋風】

どうも、昨日はエヴリンアカデミアを更新してました放仮ごです。今回はアンケートに基づきミクマリの話です。ミクマリで話すことと言えば妹の事しかないのでシリアス注意報発令です。楽しんでいただければ幸いです。


 私の名はミクマリ。モンスターハンターの世界に転生した転生者だ。生前は木刀を片手に漫画の剣術を真似ていたただの女子高生だったが、交通事故で死亡。神からの特典(ギフト)「剣術」をもらって転生し、よりにもよってモンスターハンターの世界で、さらには妹もいたので死に物狂いで戦う日々を送った。

 

 妹の名はセツオリ。私の「ミクマリ」が水の分配を司る「水分神(みくまりのかみ)」を思わせることから、祓い浄める水の女神「瀬織津姫(せおりつひめ)」なのだろうか、と特に必要ないのに覚えてしまった知識で考える。そうだよ元中二病だよ悪いか。共にハンターとなり、妹とコンビを組んでモンスターを狩ること幾星霜。

 

 

「特殊納刀。居合・水竜閃(すいりゅうせん)!」

 

「特殊納刀。小太刀・壱百閃廻(ひゃくせんかい)

 

 

 私は敵の流れを受け流し利用する柔の剣。セツオリは太刀を改造したオリジナルの武器、小太刀を用いた連撃の数にものを言わせた力ずくの剛の剣。対照的な私たちは力を合わせて数々の狩猟を達成した。私が守り、セツオリが攻める。そうすることで私達は無敵だった。

 

 リオレウスにティガレックス、ゴシャハギにディアブロス、タマミツネにナルガクルガ、ラギアクルスにジンオウガ、ガムートにライゼクスにセルレギオス、果てには古龍のテオ・テスカトルにナナ・テスカトリ夫妻まで討伐してきた。そして私達はG級ハンター姉妹として知られ、エルヴァスやキョウジと言ったG級ハンターと組んでチーム「ノットアポリア」として知られることになるのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大陸首都、ギルド本部。最近は新大陸とやらへの調査で結構空いてきたものの人の多いその集会所に私とセツオリ、エルヴァスとキョウジはやって来ていた。何故か首都近くの山間に出没していた古龍級生物、ラージャンの討伐が完了したのでその報告に来たのだ。

 

 

「あー疲れた!おうキョウジ、奢ってやるから付き合え。ここの酒場の姉ちゃんがいい女なんだがお前みたいな若者が好みなんだと」

 

「エルヴァス殿、チームメイトの女子が近くにいながらよくそんなこと言えますね…」

 

「あ、気にしなくていいよキョウジ。むしろ姉さんに興味持ったら許さないから」

 

 

 私の四つ年下の妹と二つしか違わないチーム一若手のキョウジをエルヴァスが誘って酒場に繰り出そうとしていたようだが、セツオリにいい笑顔で脅されてげんなりするエルヴァス。よく見る光景だ。チャージアックス使いのエルヴァスに、大剣使いのキョウジ。近距離しかいないがいいチームだと思ってる。

 

 

「…な?チームメイトの女子二人が望みないんだから酒場に繰り出すしかねえんだよ…チームの要の盾役なんだからちょっとはサービスしてくれても…」

 

「おい、妹に手を出すなら容赦しないぞ」

 

「冗談だって」

 

 

 エルヴァスがセツオリに色目を使おうとしてたので睨んでおくとすごすごとキョウジと共に酒場に向かって行った。セツオリと二人で受け付けに行くと、ガラスの向こうで私達の専属受付嬢が気が付いて早足でやってきて一礼した。

 

 

「ご苦労様です、ミクマリさん。セツオリさん。今回の相手はラージャンでしたが怪我はありませんでしたか?私も現役ならこう、ゴンッと角を叩き折るんですけどねえ」

 

 

 無表情で拳を握った手で角を叩き折る様な動きをするのは専属受付嬢のマキアナ。ギルド本部のギルドマスターのメイドにして、若い頃はG級ハンターとしても活躍した元ベテランハンターだ。新人時代にリオレウスに襲われて、その際に私が助けたことがある後輩でもある。

 

 

「マキアナさん、ヘビィボウガンは殴る武器じゃないです」

 

「いつも通り怪我はないから安心しろ。マキアナも復帰すればいいのに」

 

「元G級ハンターと言っても今はメイドの身。ご主人様の命令を無視できませんよ」

 

 

 なんでも悪徳商人に騙されて借金を負った際にギルドマスターに助けられてその恩を返すためにメイドとして働いてるらしい。見た目は完璧なメイドなのにポンコツと言うか何というか…。

 

 

「今はミクマリさんへの恩を返すためにこうして専属受付嬢として働けてるので十分です。……はい、確かに金獅子の尖角と金獅子の鋭爪、確かに確認しました。討伐したラージャンの死骸の回収を確認してすぐに報酬の素材をお送りしますね」

 

 

 ラージャンを討伐した証である剥ぎ取った素材を渡すと、確認して頷き丁寧に梱包するマキアナを尻目に、集会所の一番目に止まるところに貼りだされたクエスト一覧を確認する。初心者ハンター用の納品クエストから、上位ハンターからしか認められないリオ夫婦の討伐依頼、果てにはG級専用の特殊個体討伐依頼に、外天種と呼ばれる特に特殊な個体の生態調査クエストまでよりどりみどりだ。

 

 

「…うん?」

 

 

 その中で目にとどまったのは、首都に繋がる街道に出没するという「首狩り稲妻旋風」というクエストだ。上級以上G級推奨で、稲妻を伴う旋風が吹き荒んだかと思えば断頭された死体が転がる怪奇現象を調査してほしいとのこと。発生する直前に鳥の様な鳴き声がするのでモンスターの可能性が高い、か。モンスターにしては妙だな。まるで人を殺すことだけを愉しんでる様な。気になったので聞いてみることにした。

 

 

「マキアナ、この「首狩り稲妻旋風」は今どんな具合だ?」

 

「あ、それはやめておいた方が。当初は上級なりたてのハンターでも受けられたんですけど、調査に向かったハンターの死体が見つかって。G級推奨に跳ね上げられたんです。モンスターにしては妙だしもしかしたらはぐれハンターが犯人の可能性も高いので…」

 

「いや、稲妻を伴う旋風を発生させるだなんてモンスターしかありえないだろう。街道ということは被害が広がる一方だ。我々が出向こう」

 

 

 そう真剣な目で告げると、少し考え込んでいたマキアナがカウンター下に頭を下げて資料を取り出してきた。

 

 

「わかりました。ギルド本部としてもどうすればいいかわからない案件だったので助かります。ミクマリさんたちなら無事に帰ってくると信じていますから!」」

 

 

 そう言ってくれたマキアナに手を振り、私とセツオリはエルヴァスとキョウジのいる酒場に伝えるのとついでに腹ごなししようと向かう。そのとき私は調子に乗っていたんだと思う。我々の行くところに敵なしだと。まさかあんなことになるとは思いもしなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 件の【首狩り稲妻旋風】が出ると言う街道までやってきた。普段は人通りの多い街道なのだが、噂が広まっているのか人っ子一人いない。それもそのはず、石造りの街道には夥しい血の跡が所々に飛び散っていた。

 

 

「警戒しろ。直前に鳥の様な甲高い声が聞こえるはずだ」

 

「しっかし仰々しい名前だな」

 

「そうとしか言いようがないのでしょう」

 

「人々を恐怖のどん底に突き落としていたモンスター…必ず退治します!」

 

 

 

 四人で背中合わせに構えてどこからでも、と警戒していた時だった。甲高い鳴き声と共に旋風が発生したのは。

 

 

「来たぞ!」

 

「っ、あれは!」

 

「そんなまさか…!」

 

 

 

 どうやら私の背後側から現れたらしく三人の声を聞いて振り向く。そこにいたのは、予想だにしないモンスターだった。

 

 

「オサイズチだと…!?」

 

 

 尻尾を高速で振り回すことで旋風を発生させ、さらに風との摩擦で稲妻まで発生させている、白色の毛並みのオサイズチの鎌が、エルヴァスの盾と拮抗していた。よく見れば高速で回転させている鎌はとんでもない鋭さで、死神の鎌と言われても納得するほど血に塗れて紅く染まっていた。

 

 

「どっせい!」

 

 

 エルヴァスが耐え凌いでいるところにキョウジがゴシャガズバアを振り下ろすも、オサイズチは素早い身のこなしで回避。尻尾をさらに高速回転させたかと思えば稲妻を伴った旋風を飛び道具の様に飛ばしてきて、咄嗟にゴシャガズバアを盾にしたキョウジを弾き飛ばした。

 

 

「ぐう!?」

 

「キョウジさん!この…!」

 

「セツオリ、気を付けろ!」

 

 

 尻尾を高速回転させるオサイズチに、セツオリが小太刀を手に斬りかかる。ギンギンギンギンギン!と連続で刃が激突する音が聞こえ、弾き飛ばされるセツオリを庇うように前に立つ。セツオリの高速の斬撃と互角だというのか…!?

 

 

変異抜刀(へんいばっとう)斬々舞(きりきりまい)!」

 

 

 オサイズチの斬撃を太刀で舞うようにして全て捌いて行く。相手の動きに合わせて変異する技で防御に特化している。それでもギリギリだ。するとオサイズチは距離を取って稲妻を伴った旋風を連続で何度も飛ばしてきた。

 

 

「水神乱舞!」

 

 

 鞘と太刀を片手ずつで構え、急な水の流れに合わせるかのごとく、旋風を逸らして弾いて行く。しかし旋風を飛ばしている間にも鳥の様な鳴き声を上げるオサイズチ。何事かと思っていれば、ぞろぞろと二十は優に超えるイズチの群れがやってきた。こいつの配下か…!

 

 

「セツオリ、エルヴァス、キョウジ!そいつらは頼んだ!」

 

「リーダーは!」

 

「こいつを抑える!なに、一人で倒せると思っていないさ!」

 

 

 旋風を発生させながらも斬りかかってくるオサイズチの攻撃を必死に捌くが、捌き切れない刃が掠って全身に切り傷がつけられていく。こいつ、嗤っている。自分の攻撃に耐えるしかない私を嗤っているとでもいうのか。まさか、喰いもしないで首を断たれた被害者たちは……こいつの愉悦心を満たされるためだけに…!?

 

 

「きっさまあ!」

 

 

 オサイズチの斬撃を右に受け流し、返しの刃で左から斬りつける。腕を斬られたオサイズチが悲鳴を上げる。そのまま受け流した返しの刃で反撃。奴から余裕の笑みが消えて行く。怒涛の猛反撃を邪魔したのは、一匹のイズチだった。

 

 

「ぐっ…!?」

 

 

 斬り弾いて奴の頭部を断たんとしたとき、甲高い鳴き声と共に一匹のイズチが顔に飛びかかってきたのだ。慌ててもがいて取り外そうとするも、その隙を突かれて腹部を大きく裂かれてしまう。

 

 

「ぐあああああっ!?」

 

「姉さん!」

 

 

 なんとかイズチを殴り飛ばすも、斬り裂かれた腹部を押さえて蹲る。このまま首も断たれんとしたとき、割り込んできたのはセツオリだった。

 

 

「姉さんに手出しはさせない!」

 

 

 小太刀を手に、オサイズチの斬撃を斬り弾いて行くセツオリ。しかし守りの太刀である私と違い攻撃型のセツオリでは捌ききれていない。

 

 

「駄目だ、セツオリ…!」

 

 

 止めるが聞き耳を持ちやしない。エルヴァスとキョウジはイズチの群れの相手で手いっぱいだ。セツオリが抜けた分まで相手にしているから当然だ。私が抑えると言ったのに、全うできなかった…何がリーダーだ、私はリーダー失格だ。

 

 

「私だって、守られてばかりじゃない…!」

 

 

 オサイズチの刃を弾いてその肩口に小太刀を深々と突き刺すセツオリ。しかしオサイズチはセツオリと己の間に尻尾を滑り込ませて薙ぎ飛ばしてしまった。小太刀を手放したセツオリが地べたに転がり、それを見るなり私目掛けて走り、尻尾を振り回すオサイズチ。まずは私から、ということかと太刀を握って立ち上がろうとするが間に合わない。すると、私とオサイズチの間に割り込むセツオリが目に入った。

 

 

「駄目だ、セツオリ…!」

 

「…姉さん。ごめん。これしか思いつかなかった」

 

 

 そして、私の首を断つはずだった稲妻を伴った旋風の刃は、セツオリの胸を穿っていた。ごふっとその口から血が滝のように流れ落ちる。

 

 

「セツオリーー!」

 

 

 怒りのままに立ち上がる。両手で握った太刀を、力の抜けて行く身体の全力を振り絞り、先刻セツオリが貫いたオサイズチの肩口に太刀を突き刺し、力を込めるとめきめきめきと音が鳴って、たまらず暴れたオサイズチの鎌が背中に突き刺さる。

 

 

「クギャーッ!?」

 

「うおぉおおおおおっ!」

 

 

 背中に突き刺さった鎌に血を吐きながらも渾身の力を持って斬り裂いて行き、そして。オサイズチを斜め真っ二つに斬り裂き、私の背に突き刺さったオサイズチの下半身がべちゃっと音を立てて地面に叩きつけられ、ポーンと打ち上がった上半身がボトリと落下した。それを見て蜘蛛の子散らして逃げていくイズチ達。

 

 

「…セツオリ、セツオリ…!」

 

「リーダー!アンタも重症だ!」

 

「セツオリさんは、もう…」

 

 

 慌てて駆け寄るが、エルヴァスとキョウジに止められる。抱えたセツオリの身体は異様に重くて、息をしていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、倒れた私はギルド本部に運び込まれて治療を受けた。セツオリは手遅れだった。ちゃんと調査せずハンターに丸投げしたギルドを恨んだし、当然正義感の元に何も考えず受注した私も憎々しかった。

 だが、私のためにギルドマスターに頭を下げて復帰したマキアナや、エルヴァスとキョウジの説得もあって私は復帰した。それから半年後、セツオリの為にも死に物狂いでクエストを受けて人助けをしていた私達は、あのオサイズチをも越える怪物を相手することになるのだが、それは別の話。




ミクマリも結構やべーやつ。

・セツオリ
ミクマリの妹。オリジナル武器「小太刀」を使い、モンスターの全身を切り刻む。重度のシスコン。剣術のイメージは転スラのハクロウだがこちらは力づく。元ネタは言わずもがなゼノブレイド2のセオリ。


・首狩り稲妻旋風オサイズチ
セツオリの命を絶った張本モンスター。全身が白い鎌鼬竜オサイズチの特殊個体であり、己の鎌の切れ味を試す為だけに街道を通る人間を殺害していた。己の鎌が全てのナルシストで、それに敵わない人間を見て愉悦することが趣味。その際稲妻を伴う旋風が巻き起こるのが特徴で属性は雷。氷属性に弱い。鎌の部位は最高硬度であり切れ味が白であろうが弾く。身に纏う皮も同様かなりの硬度を誇り、本編ではセツオリの穿った傷口に太刀を挿し込むことでようやく勝利できたほど。20体もの群れを率いており、人間にとっては厄災そのもの。首狩りの元ネタは仮面ライダークウガのメ・ガリマ・バ。妖怪イメージは鎌鼬と死神。


次回はエスラかな?とりあえずG級組軒並み書いたらサンブレイク編に行く予定。

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エスラとアンテム小話【毒蝋翁(どくろおきな)

どうも、放仮ごです。今回はエスラとアンテムの小話となります。チームバトルクライの生き残りコンビですね。この二人は纏めた方がいいと判断しました。マガイマガド戦の後日談となります。楽しんでいただければ幸いです。


 私の名前はエスラ。母親がハンター、父親がそのオトモアイルーと、混血種して生まれた転生者だ。いやまあ、最初は軽蔑したよね。そういう愛の形もあるって今は納得してるけどにゃ。「特別な才能」の特典をもらったがこんな形になるとは聞いてないんだけどにゃあ。いやまあ確かにアイルーの等身大みたいな身体能力はあるけど耳とか尻尾とか語尾とかが邪魔過ぎるにゃ。

 

 

「にゃあ、ここですにゃ」

 

「…初めてきたな、共同墓地」

 

 

 オトモアイルーのナガグツに案内されてやってきたのは、巨大な石の前。憎み血塗られしマガイマガド改め禍依之淵源、淵虎竜マガイマガドを皆と協力し討伐して数日。私はギルド本部の共同墓地に訪れていた。死体も残っていないことが当たり前なハンターたちの共同墓地だ。その墓碑に一番新しく刻まれているキョウジ、ケイマ、レエムの名前。淵虎竜の犠牲者である私達の仲間。これ以上犠牲者が出なかったのが奇跡と言っていい強大なモンスターだった。特にケイマは本当のお爺ちゃんみたいな、レエムはお姉ちゃんみたいな存在だった。悔しさに拳を握り、歯ぎしりする。油断はにゃかった、それは確かだ。だけど私達転生者が生み出した怪物は予想の上を行った。

 

 

「大丈夫ですにゃ、ご主人…?」

 

「うん、大丈夫…大丈夫にゃから」

 

 

 心配の声をかけてくるナガグツに応えながら考える。なにが特別な才能だ。家族にも等しい人たちを救えなかったじゃにゃいか。結局G級でもなんでもにゃいバレットとヒビキ、そして外天種の加勢のおかげで勝てたようなものだ。私は、なにかできただろうか。

 

 

「…勝てたよ、爺ちゃん。レエム姐さん。キョウジくん。…私は何もできにゃかった」

 

「そんなことはないだろう」

 

 

 聞きなれた声に顔を上げると、そこにはスキンヘッドでサングラスをかけた色黒の男性がいた。元チーム「バトルクライ」のリーダーにして新生チーム「ラストホープ」リーダーでもあるアンテムだった。側にはオトモアイルーの「タンサン」が控えている。

 

 

「リーダー、にゃんでここに?」

 

「おいおい。ケイマとレエムは俺のチームメイトでもあるんだぞ?墓参りに来るのがおかしいことか?」

 

「おかしくはないけどにゃ…」

 

「お前はよくやったよ。外天種のモンスターたちと意思疎通していたんだろ?」

 

「あれは…私の力じゃないにゃ…」

 

 

 掲示板のことは言えないので押し黙る。いくらリーダーでも私が転生者で、あのマガイマガドもその転生者の愚行のせいで生まれたことは言えない。後ろめたさから下を向いていると、頭をポンポンと撫でられた。

 

 

「マガイマガドに関してはお前は力不足でもなんでもない。立派に戦い、カムラの里をヌシモンスターの群れから守り抜いた。誇るべきことだ」

 

「でも…!」

 

「奴との戦いは終わったんだ。今は泣け。ケイマもレエムもそんな顔は見たくないだろうが…今は特別だ」

 

 

 言われて気付く。いつの間にか泣いていたらしい。いくら切っても鋭い爪が目立つ指で涙をぬぐうと、リーダーがまたポンポンと頭を撫でてきたので毛恥ずかしくなって振り払う。

 

 

「もういいにゃ!親ですかにゃリーダーは!」

 

「…お前は、ケイマやレエム…俺達にとって大事な娘っ子だよ」

 

「っ…」

 

 

 駄目だった。涙腺が決壊して、リーダーの胸にすがりついてわんわんと泣いた。文句も言わずに泣き終るのを待ってくれたリーダーの胸板はなんだか心地よかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エスラが泣き終わるのを待って、ひたすら撫でてやっていると、我に返ったエスラにフシャーッと威嚇される。ようやくいつものお前に戻ったな。生暖かい目で見守っているオトモアイルー二匹の視線もこそばゆいのだろうか。

 

 

「い、今のは忘れるにゃ!」

 

「忘れられたらな」

 

「忘れる気がないにゃ!?」

 

「あっはっは」

 

 

 ポコポコと背中を殴られながらギルド本部の集会所への道を進む。新たにエスラ命名「ラストホープ」を組んだ俺達だったが、エルヴァスとマキアナはミクマリの療養を待つことにしたらしく、俺達は憎み血塗られしマガイマガド改め禍依之淵源、淵虎竜マガイマガドを討伐したことで、二人でギルド本部に戻って来ていた。バレットも誘ったがあいつはカムラの里に残ることにしたらしい。その気持ちもわかるいい里だった。

 

 

「気晴らしになにかクエストやるか?」

 

「そうするにゃ…」

 

 

 G級推奨のクエストが貼られた壁を眺める。特殊個体が多いな。外天種の生態観察…これとかよさそうだな、と手に取りエスラに見せようとすると。

 

 

「にゃー……」

 

 

 エスラがジーッと一つのクエストの書かれた張り紙を見て唸ってる。何事かとその視線の先を見てみれば、「毒蝋翁(どくろおきな)」という物騒なクエスト名が書かれていた。

 

 

「なになに…山間村一帯を猛毒の蝋で飲み込み全滅させ我がもの顔で支配しているオロミドロを討伐してほしい…?なお泥ではなく蝋を操る特殊個体なためG級推奨……俺達がカムラの里に行っている間にこんなモンスターが現れていたのか。これがどうかしたか?」

 

「…山間村一帯を全滅させたって、淵虎竜には負けるけど凶悪だと思ってにゃ…レエム姐さんなら見過ごせないだろうなって」

 

「ああ…なるほどな」

 

 

 レエムは元は船乗りで仲間をモンスターに殺されてハンターになった経歴の持ち主だった。そのため人を襲うモンスターを積極的に討伐し、俺達もそれに付き合った。あいつなら即決で選ぶだろうな。

 

 

「じゃあこれをやるか」

 

「にゃ!?で、でも特殊個体にゃよ…?」

 

「どうした?受けたかったんだろう?それとも俺が死ぬとでも?」

 

「うぐっ…」

 

 

 図星か。尻尾と耳の反応で分かりやすい。ケイマやレエムと同じように俺が死ぬかも、と思ったから受けるかどうか迷っていたのか。

 

 

「いいかエスラ。俺は死なない。約束する、お前の前からも居なくならない」

 

「本当かにゃ…?」

 

「本当だ。お前を置いて死んでも死にきれないからな」

 

「…うん、リーダーは死んでも生き返りそうにゃ」

 

「それ人間か?」

 

 

 そう笑い合いながら俺たちは張り紙を剥ぎ取り、受付嬢に受注に向かい、ネコタクに乗って件の山間村があったエリアに向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へー、お客さんもアイルーの血を引いてるのかにゃー」

 

「そうなんにゃよ。珍しいよね」

 

「気にすることはないと思うがな」

 

「そうにゃそうにゃ、ご主人は凄いハンターにゃ!」

 

「…そうにゃ。身のこなしはうちのご主人より上にゃ」

 

「タンサン、言っていいことと悪いことがあるぞ」

 

 

 ネコタクを運転しているアイルーと会話を楽しみながらネコタクで揺られること二時間。山道を乗り越えて、私達は山間村があったらしい場所までやってきた。ハンター二人とオトモアイルー二匹で警戒しながら白い大地を歩いて探索する。アイルーの血筋由来の鼻が独特な臭いを感じて鼻を押さえた。

 

 

「なんだろう、嫌な臭いがする」

 

「たしかに、独特な臭いにゃ…でもどこかで嗅いだことあるようにゃ?」

 

「しかし白い大地だな。村があったとは思えん。ここはカルデラってわけでもないよな?」

 

「…ご主人。エスラ殿、あれを見るにゃ」

 

 

 タンサンが何かを見つけたようで指を差した方向には、地面から突き出た三角形の何かがあった。瓦が付いていて、窓の様な物が見えるような…?

 

 

「これってまさか、家屋にゃ!?」

 

「ってことはこの白い地面の下に村ひとつ埋まってるってことかにゃ!?」

 

「…毒蝋ってこういうことか。タンサン!」

 

「承知。来るにゃ…!」

 

 

 べリオ装備を身に着けたナガグツと、ナルガ装備を身に着けたタンサンと共に私はレイジネイルーを、リーダーは……えっと、とらまる?とかいうハンマーを手にして構えると、白い地面が波打ってそれは現れた。

 

 

「グリュアァアアアアッ!」

 

「オロミドロ…でも、なんか青い…!?」

 

 

 現れたのは全身が青く変色したオロミドロ。全身から滴り落ちる白い液体が地面に落ちて固まって行く。これは蝋…!

 

 

「酸の代わりに自分の体から流れる体液と地面を混ぜた蝋を泥の代わりに操るらしい、気を付けろ!」

 

「先手必勝にゃ!」

 

「にゃにゃにゃっ!」

 

 

 オトモアイルー二体が駆け出してその立派な髭目掛けて斬りかかる。しかしオロミドロはその場でとぐろを巻いて高速回転して蝋の渦を形成。渦はオトモアイルーたちを飲み込むと渦のまま固まって拘束してしまう。

 

 

「う、動けにゃい…」

 

「不覚にゃ…」

 

「ナガグツ!」

 

「タンサン…くっ、ハンマーでも壊せん…!」

 

「グリュアァアアッ!」

 

 

 今度は尻尾を筆の様に使って白い地面をかき混ぜると巨大な蝋の塊を尻尾にくっ付けて振り下ろしてきて、咄嗟に後退してその蝋塊にレイジネイル―を突き刺しくっついた。

 

 

「うにゃああああああ!?」

 

「エスラ!」

 

 

 ぐるんぐるんと尻尾ごと振り回される。すると視界の端でハンマーを手にしたリーダーが突貫、顎目掛けてアッパーを叩き込んで殴り飛ばし、蝋塊は地面に叩きつけられて砕け散り私も地面に転がる。

 

 

「助かったにゃ、リーダー」

 

「気を抜くな、次が来るぞ」

 

 

 するとオロミドロは私達の周りの白い大地を溶かしながら蝋の海を泳いで取り囲み、蝋の波が四肢にまとわりついて固まって行く。これじゃ私の機動力でも抜け出せない…どうしよう、と思っていたら。

 

 

「恨むなよエスラ!うおらぁああああっ!」

 

「にゃあぁあああああっ!?」

 

 

 すると同じく蝋の波に拘束されていたリーダーが叫ぶと私のお尻をハンマーで殴り飛ばして蝋の波を突破させて外に脱出させた。白い地面を転がり、「ぎにゃっ」と短い悲鳴を上げて激痛の走るお尻を突き上げて顔から地面に叩きつけられる。

 

 

「なにするにゃ!リー…ダー…?」

 

 

 文句を言いながら振り向くと見えたのは、巨大な蝋の塔が聳え立ちそれに巻き付いて私を見下ろすオロミドロの光景で。……リーダーの姿は、どこにもなかった。オロミドロが勝ち誇った咆哮を上げて塔の周りを回転し、私の目の前に落ちてきて蝋の飛沫を上げて小さな私を見下ろす。その背後で聳え立つ蝋の塔を見て、私の何かが切れた。

 

 

「…鬼猫化【獣】」

 

 

 …私の全身は蝋でべたべたで固まってしまっているが、関係ない。全身の筋力を増強させ、蝋の拘束を崩壊させて突進する。私の耳と尻尾の毛が炎の様に逆立ち、目がネコの様に瞳孔が細くなり「シャー」と小さな鳴き声を絞り出す。私専用の鬼人化。ただでさえスペックが等身大のアイルーな私のスペックは飛躍的に跳ね上がる。

 

 

「グリュアァアアアアッ!」

 

「鬼猫乱舞【豹】」

 

 

 私の履いているブーツから鋭い爪が飛び出し、私はオロミドロの顔にしがみ付き、四足歩行でその長い体を駆け巡り斬撃を浴びせて切り刻んでいく。全身から蝋を噴き出し私を吹き飛ばそうとするが、そのたびに蝋の波を引っ掻いて必死になって戻り、尻尾には重点的に斬撃を浴びせて破壊する。

 

 

「逝ねにゃあぁああああっ!!」

 

 

 私の身体への忌避感からなのか、ブチギレないと本気を出せないのが私の欠点だった。やっぱり私が悪いにゃ。何時も手遅れで大事な物を取りこぼす。そんな私への怒りも込めて、下から蝋の塊で打ち上げられたのを利用して、奴の脳天にレイジネイルーを二つとも叩き込んだ。

 

 

「グリュアアアアアアッ……」

 

「フーッ、フーッ…!」

 

 

 四つん這いで地面に着地すると、全身から蝋の様な液体を垂れ流して崩れ落ちるオロミドロ。なんとか落ち着かせて爪も逆立った毛も引っ込め二本足で立ち上がる。倒しても達成感などなかった。

 

 

「…うあっ、あああああっ!」

 

 

 膝から崩れ落ち、恥も外聞もなく泣き喚く。また、私のせいで仲間が死んだ。死なないって約束したじゃにゃいか。嘘つき!ウソつきにゃ!

 

 

「リーダーの嘘つきィ!」

 

「…誰が嘘つきだって?」

 

 

 そんな声が聞こえてきたのと同時に、何かを叩くような音が聞こえる。振り返ると、何かを叩くような音が連続して響くと共に蝋の塔が罅割れて崩れ落ちて行く。そして。

 

 

「どっせい!」

 

 

 蝋の塔の壁がぶち抜かれて、ハンマーを手にした蝋まみれのリーダーが顔を出して。漢方薬を口に含むリーダーのお腹に私は飛び付いていた。

 

 

「リーダー!?死んだんじゃ…」

 

「いや確かに全身拘束されたがな?硝酸剤で柔らかくなったんだ。あとはハンマーで脱出よ」

 

 

 そう言って取り出した硝酸剤をオトモアイルーたちが拘束されている蝋にも振りかけてハンマーの一撃で粉砕するリーダーに、涙が出てくる。

 

 

「よかったにゃあ、よかったにゃああああ!」

 

「言っただろ。俺は死なないって。…いやまあさっきのは本当に死ぬかもしれなかったが」

 

「もう二度とやるなにゃ!お尻もすごく痛かったにゃ!」

 

「わかったわかった、もうやらない」

 

 

 リーダーと一緒なら私はどこまでもやれる、心底そう思った。




実はチート級だったエスラさん。アンテムも馬鹿力がヒビキに匹敵します。


毒蝋翁(どくろおきな)オロミドロ
全身から地面と混ぜて蝋にする液体を垂れ流した青い体色の特殊個体。蝋をかき混ぜて好きな形で固めることで拘束したり武装したりすることが得意技。固まった蝋の硬度は鉄と同じであり、そう簡単には壊せない。山間村を襲い、まるまる蝋で飲み込んで自分のテリトリーにしてしまったが人間への悪意はない。また、蝋は毒性であり飲み込まれたら毒に蝕まれることになる。その致死性は「毒蝋(どくろ)」と呼ばれるだけはあり、村人や生息していた大型含めたモンスターは全滅した凶悪な個体。悪意なき災害。


次回はエルヴァスとマキアナを纏めることになるかも?

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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エルヴァスとマキアナ小話【雪よ降れ傘が舞う】

どうも、放仮ごです。評価してくださる方も増えてきてありがとうございます。UAも30000越えました、読んでいただきありがとうございます。

特殊個体が多いという感想もいただきました。マガイマガドを止めるために転生者が増える→逆に転生者喰われて強くなったので抑止力で何とかする→転生者を調子づかせないために特殊個体が増える、と自浄作用が働いている形となっております。

今回はまだ書いてないサンブレイク編に当たる時系列の話になります。ミクマリ回が過去編で今回は本編の後日談みたいな。楽しんでいただければ幸いです。


 俺の名はエルヴァス。結構大きな港町を牛耳る貴族一家出身のG級ハンターだ。子供の頃からハンターに憧れ、金に物を言わせて現役ハンターから手ほどきを受けたり装備を整えて、ロマンが詰まっているという理由だけでチャージアックスを使いソロでG級まで上り詰めた俺だが、本当の才能というものに出くわして衝撃を受けた。

 

 型にはまらない太刀筋の太刀使いのミクマリと、前例がない武器である小太刀を扱うその妹のセツオリの姉妹。先生に教えられたとおりの定石で動く俺には輝いて見えた。感銘を受けた俺は初めて金を頼らずに仲間になりたいと申し出て、通りすがりのG級なり立てだった大剣使いのキョウジも巻き込んでチームになることに成功した。俺にとって絶対に忘れられないチーム、ノットアポリアの誕生だ。遠距離武器が一切いなかったが、圧倒的な戦闘力で名だたるモンスターたちをねじ伏せた。古龍ですら倒した。二人の美しさと剣技に惚れていた。絶対に守り抜こうと誓っていた。

 

 しかし程無くして、セツオリが死んだ。俺もキョウジも、ミクマリも。奮闘したが、モンスターの群れというごく単純な脅威を前に助けることができなかった。ミクマリも重傷を負って入院した。才能があってもこうなるのか、と現実を味わった気がした。一時期、ハンターをやめようとも思った。だけど気持ちが沈んでしまったミクマリを放っておけなくて、キョウジと一緒に説得して復帰させた。…今思えばここで止まっていればああはならなかったかもしれない。

 

 元専属受付嬢のマキアナが新たに加入して、俺達は仲間を失わないように守りを重視にするようになった。メインの盾役は俺だ。これまでは怖くて使いこなせなかったカウンターフルチャージが一番の得意技になり、ミクマリを守ることもできるようになった。それは自信となり油断していた。本当の理不尽の前に、俺はなにもできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミクマリ、怪我の具合はどうだ?」

 

「火傷の跡が引いてきた。これなら復帰もできそうだ」

 

 

 憎み血塗られしマガイマガドとも呼ばれていた淵虎竜マガイマガド。G級八人も集まって太刀打ちできずキョウジも殺されてしまった理不尽の権化を撃退するために重傷を負ったミクマリは、奴が倒されたあともカムラの里で療養していた。マガイマガドから受けた火傷はバレットたちが奴を倒すと共に症状が良くなり、ゼンチと言う名の医者アイルーが全力で治療してくれたおかげか自由に歩けるようになるまで回復していた。それでも包帯が痛々しいが。彼の医院の病室にて。マキアナがお茶を淹れに行っている間に、言おう言おうとしていたことを意を決して言ってみることにした。

 

 

「…なあ、本当に復帰するのか?」

 

「セツオリの分も戦い続けると私は誓った。お前も以前、説得してくれただろう」

 

「それとこれとは別だ。淵虎竜の様なバケモノが他にもいないとは限らない。…俺は、お前にだけは死なれたくないんだ」

 

 

 淵虎竜との最後の対決の時、ヌシモンスターを抑えることに精一杯で滅雷刃ジンオウガに乗って行ってしまったミクマリを止めれなかった。重症の想い人を行かせてしまったと気付いたときには血の気が引いたものだ。

 

 

「私を守ってくれるんじゃなかったのか?私はハンターを続けるぞ」

 

「っ…ああ、誓った。だけど俺じゃあ、守りきれない」

 

「そう言うな。お前は死ぬ気で戦えば私達チームの誰よりも強い。そんなお前を私は信用してるんだ。事実、憎み血塗れしマガイマガドを相手にしたときも、お前は守ってくれたじゃないか」

 

「惚れた奴を重症にさせて置いて守れたとは言えねえよ…」

 

「……そういうことをさらっと言うのはやめないか?」

 

 

 色恋沙汰が苦手なミクマリが顔を赤らめている姿に、何も言えないでいると。扉を開けてマキアナが入ってきた。

 

 

「お茶を淹れて来ました……こら、エルヴァス!抜け駆けは許しませんよ!」

 

「なんの抜け駆けだ!?」

 

「…この光景がまた見れてよかったよ」

 

 

 ギャーギャー騒ぐマキアナにツッコんでいると、ミクマリが笑っていた。それを見て俺とマキアナは顔を見合わせ、頷く。この笑顔は守らねばなるまいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はマキアナ。元受付嬢で恩義あるミクマリさんに尽くしているメイド兼ハンターだ。里守さんたちの手当てもしていて忙しい医院の方に代わって、ミクマリさんの身の回りの世話をしている今現在、本懐を遂げている現状に私はちょっと満足していた。キョウジくんとかが死んでなければもっとよかったのですが。ミクマリさんが元気になってよかった。

 

 

「エルヴァス殿、マキアナ殿はいらっしゃるでしょうか?」

 

 

 ミクマリさんに何やら告白したっぽい雰囲気のエルヴァスに文句を言っていると、扉が開いて双子の受付嬢の片割れ…髪飾りから見てミノトさんだろうか?が顔を出して私達がいることに安堵すると続けた。

 

 

「どうしたのですか?」

 

「実は大社跡に厄介なモンスターが出現したとの報告が入りまして。エルガドに向かったマシロさんたちはもとより村のハンターは出払っていて、貴方達しか頼れるハンターがいないのです…」

 

「厄介なモンスター?」

 

「アケノシルム亜種、と断定された豪雪を操る雪傘鳥です。瞬く間に大社跡を雪で埋めてテリトリーを広げていて、このままでは生態系が滅茶苦茶に…」

 

 

 アケノシルム。巨大な鶏冠を持った鳥竜種のモンスターですね。戦ったことがありますがその亜種ですか。エルヴァスと顔を見合わせ頷き合うと武器を手に取るべく部屋を出ようとして。

 

 

「待て、私も行く」

 

 

 話を聞くなり不安げなミクマリさんが声をかけてきた。ミクマリさんは全てのモンスターを熟知しているかの如く、滅多なことでは狼狽えない。狼狽えることがあるとすれば、稲妻旋風の様な…一部の「亜種」や「特殊個体」に出くわした時だけだ。この反応は自分の知らないモンスターだから私達が心配、だろうか。心配性ですね。

 

 

「それには及びません。ミクマリさんは休養を続けてください」

 

「俺はミクマリも守る、と誓った狩人だ。負けねえさ。油断もしねえ」

 

 

 こういうときのエルヴァスは頼りになる。なにやらあったのか、覚悟が決まってる。

 

 

「だ、だが…」

 

「では行ってまいります」

 

「大人しく寝とけよ!」

 

 

 止めようとしてくるミクマリさんを振り払ってエルヴァスと共に武器と装備を置いてある、集会所の自分たちの客室に向かう。これ以上悲しませないためにも、負けられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 憎み血塗られしマガイマガドと戦った以来の大社跡は様変わりしていた。滝や川は凍り、一面雪だらけで漂白されている。さすがに奥地はそうなってないが、河原は真っ白だ。その中で優雅に舞う鳥竜種がいた。本来は赤い部分が緑色の、優雅に舞い翼を振るうと共に螺旋状に雪が発生して広がって行く。体内で冷気を生み出してそれを翼に乗せて放出している形か。これは確かに亜種だ。

 

 

「行きますよエルヴァス」

 

「援護は任せたぞマキアナ」

 

 

 愛用している王牙砲【山雷】に機関竜弾セット。キャンプベースのある高台から凍り付いた河原に飛び降りて、先手必勝とばかりに連続で炸裂させる。あの憎み血塗られしマガイマガドすら牽制した特殊弾だ。さすがに効いたようで視線がこちらに向き、口から雪の砲弾を発射してきた。それをシールドで受け止めて反撃で弾丸を撃ち込んでいると、横から回り込んでいたエルヴァスが背後からチャージアックスの剣撃を叩き込んだ。

 

 

「クエーッ!」

 

 

 悲鳴を上げ、クルクルと空に舞い上がって翼を羽ばたかせ、翼から吹雪を発生させてエルヴァスに叩きつけるアケノシルム亜種。瞬く間に雪の山に埋もれてしまうが、アックスモードにしたチャージアックスを振り回して雪山を吹き飛ばした。

 

 

「アックスホッパー!」

 

 

 そのまま鉄蟲糸技を利用して飛び上がり、高速回転する盾の斬撃を叩き込むエルヴァス。アケノシルム亜種は打ち落とされて雪の積もった地面に叩きつけられ雪煙が舞った。…通常のアケノシルムは炎を操るだけあって強かったが、殺傷能力の低い雪を操るだけのこの個体はむしろ弱くなっている、と思うのは気のせいだろうか。

 

 

「クエーッ!」

 

 

 すると地上でバサバサと羽ばたき、雪煙を広げるアケノシルム亜種。雪煙の波がこっちまで来て、完全に姿が見えなくなる。くっ、やみくもに撃っても当たりませんか…!

 

 

「マキアナ!気を付けろ!」

 

「わかっています!」

 

 

 呼びかけあっていると、「ぐあっ」とエルヴァスの短い悲鳴が聞こえた。声を出した瞬間狙われた。こちらの声で居場所を察知しているのか、頭はいいな。ならば、とヘビィボウガンを振りかぶる。すると雪煙が異様に動いて、そこから変な体勢で翼を振りかぶって滑るように接近してきたアケノシルム亜種が見えた。これにエルヴァスはやられたのか。だが、わかっていれば!

 

 

「オラアッ!」

 

「グエッ!?」

 

 

 男勝りな声を出して思いっきりヘビィボウガンでぶん殴る。悲鳴を上げてダウンするアケノシルム亜種に近寄り、顔面に何度も何度もヘビィボウガンを叩きつける。すると嘴が罅割れて部位破壊できた。

 

 

「やはりこちらのが性にあってますね!」

 

「クエーッ!」

 

 

 羽ばたきで私を吹き飛ばし、飛んで逃げようとするアケノシルム亜種。羽ばたきで雪煙が吹き飛ばされていく。まずい、趣味にかまけて次弾を装填していなかった。逃げられる…!

 

 

「逃がすかあ!」

 

 

 すると金剛盾斧イカズチの盾をぶん投げるエルヴァスの姿があった。クルクルと回転して投擲された盾がアケノシルム亜種の足に激突。バランスを崩して落下させ、凍り付いた川に激突して痛そうに呻いた。

 

 

「殴ることにかまけて次弾装填してなかったんだろ!」

 

「う、うるさいです!」

 

「なんでもいいから決めるぞ、逃がしたら厄介だ!」

 

「わかってます!」

 

 

 チャージショットを撃ち込んで逃げるのを止めながら走って接近。普通ヘビィボウガン使いは構えながら走れないらしいですが私には関係ない。そのままぶん殴ってスタン。そこに駆け寄ったエルヴァスが剣で斬撃を叩き込む。

 

 

「クエーッ!」

 

「っ…!?」

 

 

 すると怒ったのか口から吐き出した雪の玉が氷の玉となって私に向かってきた。死にはしないだろうが顔面直撃だろうと考えて諦めて目を瞑る。しかし、何時まで経っても衝撃は来ない。

 

 

「…なに諦めてるんだ馬鹿メイド。俺がいるだろうがよ」

 

「……ふふっ、さすがは我がチームが誇る盾ですね」

 

 

 目を開けると、口の端から血を垂らしたエルヴァスが立ち塞がって強がっていて。その胸部で衝撃まるごと引き受けたのだと察して指摘せずに礼を言う。これを最高の仲間と言わずになんという。

 

 

「クエーッ!」

 

「させません!」

 

 

 激怒して嘴を叩きつけようとしてくるアケノシルム亜種。さすがにあれを喰らったらエルヴァスでも死ぬと確信した私は足元に落ちていた盾を蹴り飛ばして迎撃、エルヴァスが宙を舞った盾を回収して合体、回転する斬撃を叩き込み、私もとっておきを装填して引き金を引いた。

 

 

「高圧廻填斬りィ!」

 

「竜撃弾!」

 

 

 頭部の冠をめちゃくちゃにされたところに、とどめに竜撃弾を叩き込み大爆発。アケノシルム亜種は沈黙した。

 

 

「…憎み血塗られしマガイマガドに比べると、あれですね」

 

「あれと同等クラスがそんなにいてたまるかよ」

 

「これからもミクマリさんのために一緒に戦いましょう」

 

「…当たり前だっ」

 

 

 アケノシルム亜種が沈黙したからか暖気が帰ってきて雪が解け始めた河原で拳を掲げてみると、そっぽを向きながらもエルヴァスは拳を合わせてくれた。




 盾をぶん投げたり、ヘビィボウガン構えながら走ったり、彼らもやっぱりG級でした。ボウガンで殴るの気持ちいよね(オールラウンダーの感想)

・雪傘鳥アケノシルム亜種
赤い部分が緑色で冷気を操る特殊個体ではなく亜種(サンブレイクに出てこなかったので亜種にした)。炎の代わりに雪を吐き、羽ばたきで吹雪を発生させて大社跡を寒冷群島の如く漂白しようと目論んでた。マガイマガドがいなくなったため姿を現した狡猾な個体。なお炎を使う方が普通に強いので亜種と言っても火力は弱体化してるが、目暗まししたり雪で足を取ったり小手先を使うのが得意。怒ると口から吐く雪玉が氷塊になって危険。

次回はサンブレイク編。今回の少し前の話になるかな?

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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サンブレイク編:深淵ノ百蟲夜行
【急募】強すぎる盾蟹対策【サンブレイク(多分)】


どうも、本日でハーメルン九周年を迎えた放仮ごです。10年近くここで小説投稿してたそうです。これからもよろしくお願いします。

今回からサンブレイク編。まずはダイミョウザザミ戦です。ヒビキに異変が…?楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

ダイミョウザザミ出たんだけど助けて

 

2:名無しのザビー

ライズには出てこなかったモンスターが出ましたか。サンブレイクですね間違いなく

 

3:名無しのRS

淵虎竜がサンブレイクで追加された説もワンチャンあったが

 

4:名無しのドンキンタロウ

あんなのがゲームに出て来たらたまんねえぜ!

 

5:名無しの日向家次女

私ライズから始めた初心者なんだけどダイミョウザザミってどんなモンスター?

 

6:名無しの帝丹小学校6年生

私もあんまりよく知らないのけど…名前からして殿様?

 

7:名無しの鬼殺隊

ダイミョウザザミはモンスターハンター2(dos)に登場する盾蟹とも呼ばれるモンスターだ。わかりやすくいうとでっかいヤドカリだな。背中にモノブロスの頭骨を背負っていて、地中潜行が得意で打ち上げが厄介だ。

 

8:名無しのくだん

説明乙

 

9:名無しの霊媒師

でもそんな強くなかったはずだよ?

 

10:名無しの49人目のマスター

淵虎竜に勝っているのにザザミに苦戦するわけが…

 

11:名無しの魔導師

多分G級なんだろうけどさすがにな?

 

12:名無しのガンランス使い

本来の生息域ではない大社跡に何故かダイミョウザザミが出没して、それを私達のチーム「猛き炎」が倒しにきたわけなんだけど

 

13:名無しのギルド所属ハンター>>1

ボコボコにされてキャンプまで何とか逃げてきたところなんよね…

 

14:名無しの鬼殺隊

…それは本当にダイミョウザザミか?

 

15:名無しのドンキンタロウ

猛き炎の四人がボコボコだと…?

 

16:名無しのザビー

相性もあると思いますけど…でも斬撃、刺突、打撃、射撃が揃ってるんですよねえ

 

17:名無しのガンランス使い

いやもう強かった。青切れ味なのにヤドに弾かれて…連続潜航突き上げでお手玉にされて…距離を十分詰めた所で一気に反転、反対側の爪で思いっきり殴りかかってくる知らない動きがあるし…

 

18:名無しのギルド所属ハンター>>1

なにより拘束からのハサミでツンツンされて水ブレスを吹きかけられ、解放されたところに押し潰しとかいう凶悪コンボがマジで無理

 

19:名無しの49人目のマスター

ヒビキの馬鹿力で叩き割れないのか?

 

20:名無しのくだん

出た、抑止力の膂力

 

21:名無しの霊媒師

抑止力で叩き割れないとか転生者疑うけど

 

22:名無しのギルド所属ハンター>>1

いやその、ヒビキなんだが……まあ人並み以上の怪力はあるんだけど…

 

23:名無しのガンランス使い

多分淵虎竜を倒してからかな?バサルモスを吹っ飛ばせてたあの怪力はなくなっちゃった

 

24:名無しの魔導師

それはゆゆしき事態だな

 

25:名無しのザビー

つまり相応のハンター並になったってことですかね

 

26:名無しの日向家次女

淵虎竜を倒したから抑止力の影響が消えたのかな?

 

27:名無しのRS

まあとんでもないパワーバランスブレイカーだからな…

 

28:名無しの帝丹小学校6年生

それでいきなり落ちた力に本人が困惑していると

 

29:名無しのガンランス使い

投げた狩猟笛がぶつかったのに吹っ飛ばなくてみんなが驚いたよね

 

30:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>28

そういうわけだな。俺達もあいつのパワーを頼りにしてたからなあ

 

31:名無しの転生者

それはそうと聞く限りかなり強化されてるっぽいなザザミ

 

32:名無しの鬼殺隊

まあサンブレイクはG級だろうと言われてたからな…その入り口なのだとしたらかなりの関門だ

 

33:名無しのザビー

現実だから強い理由も何かあると思いますけど、そこのところどうですか?

 

34:名無しのギルド所属ハンター>>1

異様な傷はついていたな。ヌシとは違うけど似ている

 

35:名無しのRS

またイブシマキヒコの影響か?別個体がいるのか知らんけど

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…休んでもいられん。回復もできた、いくぞ」

 

 

 キャンプ内でそう言いだしたのはヒビキ。俺とマシロとナギは一回ダウンし、ヒビキだけダウンはしてないがかなりボコボコにされていた。それでも無理を通して行こうとするのは不安だからだろうか。

 

 

「ヒビキ。力が下がって焦るのもわかるが落ち着け。作戦を考えよう」

 

「だが…!」

 

「最終的に生きた奴が勝ち、なんだろ?」

 

「ううむ…」

 

 

 俺の言葉に納得して座り直すヒビキ。ぐでーっと俯せに横になりナギに氷を幹部に乗せてもらっていたマシロが手を上げる。

 

 

「あの骨が厄介。どうにか壊せないかな」

 

「無理だな。あれはモノブロスの頭蓋骨だ、そう簡単に壊れんからヤドにしているんだろう」

 

「そうだねー、ガンランスのフルバーストも竜撃砲も効かなかったぐらいだもん。大タル爆弾Gでも難しいんじゃない?」

 

「今までの俺のパワーがあればあるいは…」

 

「ない物はしょうがない。別の策を考えよう」

 

 

 無難なのは罠だが、あんなピョンピョン跳ねられたらなあ…。掲示板のみんなもなにも思いつかないしどうしたものか……と、ゲーム画面を視線で動かして仲間の装備とアイテム、入れ替え技を眺めていた時だった。

 

 

「うん?」

 

「どうしたのバレット。アレを壊せる方法を思いついた?」

 

「…いや、壊せないなら壊さなきゃいい」

 

「どういうこと?」

 

「ヒビキ。お前…振打以外も使えるよな?」

 

「そりゃあ、まあな。……ああ、なるほど」

 

「ああ。演奏会でもしようか。ナギ、ランスとガンランスじゃなくて片方にできるか?」

 

「「??」」

 

 

 疑問符を浮かべている女性陣にも説明する。リベンジ開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギギギギッ…!」

 

 

 滝が目立つ水場にて、シャカシャカと歩き回っていたダイミョウザザミはこちらに気付いて両腕を広げて威嚇する。俺はライトボウガンを置いて来て、淵虎竜に切断された左腕に取り付けられた器具にくっ付けた新調した妃蜘蛛派生のヘビィボウガン「ルスタ・ド・フィネラ」に貫通火炎弾を装填。撃ちまくってタゲを取る。鋏の振り下ろしはシールドで防御。同時にカウンターチャージで強力な一撃を返す。

 

 

「こっちこっち!」

 

 

 怯んだダイミョウザザミはピョンピョン大剣と太刀を手に飛び跳ねるマシロに向けて突撃。大剣を投げつけられたのを後ろを向いてヤドで弾いてもう一度振り返りその勢いで鋏を叩き込むという巧みな動きを見せるが、そこには特殊納刀したマシロがいて。カウンターの斬撃をヤド以外の全身に受けるが防御体勢を取って防ぎきるダイミョウザザミ。

 

 

「そーい!」

 

 

そこに背後からブラストダッシュで飛んできたナギが叩き付けと同時にフルバースト。ダイミョウザザミは先程の様にカウンターで鋏を振り下ろすも、盾を手にしたナギに受け止められる。

 

 

「盾なら防げるみたいだね?」

 

「どうしたの?こっちこっち!」

 

「いや、こっちだ!」

 

「ギギギギギッ!」

 

 

 右を向けば俺の弾が、左を向けばナギの突きが、前を向けばマシロの斬撃が襲いかかり、巧みに防御していくダイミョウザザミ。盾や特殊納刀のカウンターで敵の攻撃を防ぎつつタゲを取って混乱させる。作戦の第一段階。そしてその喧騒の裏で、ダイミョウザザミの背後に鉄蟲糸の繭を形成して設置し、高台に陣取るヒビキ。準備ができたことを確認すると囮の俺達三人は頷き合い、一斉に攻撃してダイミョウザザミの後退…繭の上に移動させた。

 

 

「共鳴音珠・奏葬…!」

 

 

 そして愛用の狩猟笛…笛というか琵琶をまるでエレキギターの様に高速で弾き鳴らすヒビキ。共鳴音珠。振打が強力すぎてあまり使われない(俺調べ)狩猟笛の入れ替え技だ。繭を設置し、遠方から弾くことで衝撃波を発生させてダメージを与える技だ。ジャンジャンジャカジャカジャンジャンジャカジャカと小気味いいリズムの琵琶の音色が響き渡り、弦が鳴り響くたびに繭から衝撃波が発生してダイミョウザザミの内側に攻撃を与える。

 

 

「ギギッ、ギッ、ギエッ!?」

 

「逃がすな!」

 

「攻撃来なければ!」

 

「怖くない!」

 

 

 悲鳴が上がり、ぐわんぐわんと身体を揺らして退避しようとするダイミョウザザミを、俺はヘビィボウガンを右手で抱えて左腕を振るって殴りつけ、ナギは盾を押し付け、マシロは大剣で打ち付けてその場に留める。さっきやられた恨みを込めて、全力で抑え込む。

 

 

「ギギギッ、ギギーッ!?」

 

 

 ジャカジャーンとノリに乗ったヒビキの演奏に反応した強烈な一撃が叩き込まれ、ついにダイミョウザザミは倒れ伏した。

 

 

「淵虎竜より厄介だった…」

 

「「やったー!」」

 

「ふぅ、いい演奏できた」

 

 

 俺達は喜びを分かち合い、拳を合わせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 掲示板の皆にも報告していると監視班から伝えられたのだろう回収班とその護衛だろうウツシ教官がやってきてダイミョウザザミの遺体を運び込む準備をし始める。荷車に乗せてロープで縛りつけるのを眺めているとウツシ教官が駆け寄ってきた。

 

 

「おお、お疲れ!愛弟子コンビ、ヒビキ、バレット!もう倒してしまったか!」

 

「大苦戦でした…」

 

「疲れたよ…」

 

「なんなら一回負けてます」

 

「面目ない」

 

「そんなことないさ!一日もかからず狩猟できるハンターは本当に貴重だ!さすがはカムラが誇るツワモノたちだ!」

 

 

 いやツワモノと呼ばれる程じゃないです。力不足を実感した。淵虎竜も外天種たちの助けで倒せたようなものだしなあ。そうだ、ウツシ殿に聞けば傷のことなにかわかるかもしれない。

 

 

「それよりウツシ殿、この傷どう思います?」

 

「どうかしたかい?これは……イブシマキヒコによるヌシとも違う妙な傷跡だな。心当たりはあるかい?」

 

「いや、マシロの馬鹿力でもろくな傷を与えられなかった。これは元々ついていたから、恐らくは他のモンスターに襲われてここまで逃げてきたのだと…」

 

 

 ヒビキがそう言っていた時だった。突如、傘鳥アケノシルムが吹っ飛んできてダイミョウザザミを乗せた荷車に激突、倒れ込んだのだ。力なく吠えて倒れ伏すアケノシルム。

 

 

「アケノシルム!?どうして突然…」

 

「ラージャンでもいるの…!?」

 

「…バレット。ナギ、違う。ラージャンじゃないよ」

 

「…ああ、マシロ。見たことないモンスターだ…!」

 

 

 俺とナギ、転生者であるためメタ読みしてしまう俺達とは別に、純粋に殺気を感じて己の得物を構えるマシロとヒビキに、ルスタ・ド・フィネラを構えながら高台に振り向く。同時にマップを確認。見たことないアイコン、見たことのないモンスターがそこにいた。

 

 

「ウォオオオン!」

 

 

 素早い動きで俺達の間を駆け抜け、俺達を止めようとして無防備だったウツシ殿を狙う見知らぬ狼のようなモンスター。咄嗟に一番後ろにいた俺が貫通火炎弾を撃ち込んで牽制、ウツシ殿が飛び退くとそのまま荷車を押しのけてアケノシルムに喰らい付くモンスター。

 

 

「ウォオオオン!」

 

「来るぞ…!」

 

「里の者に近づけさせるな!」

 

「了解!」

 

「やるぞー!」

 

 

 アケノシルムのはらわたを食いちぎって貪っていたモンスターは振り向いて咆哮。飛びかかってきたのを狩猟笛を振り上げたヒビキが迎撃。マシロとナギが飛び込んで斬撃と突きを叩き込む。くっ、非戦闘員の回収班を守りながらはきついぞ…!

 

 

「里の者を避難させる。閃光玉を…」

 

「ナギ!ウツシ殿を援護しろ!」

 

 

 ウツシ殿が閃光玉を取り出したのでナギに守るように指示。俺達三人で暴れるモンスターを相手取る。するとモンスターはアケノシルムの亡骸に喰らい付くと首を振って投げつけてきて、咄嗟に避けると盾で防いだナギがよりかかってしまったウツシ殿が閃光玉を取り落としてしまう。

 

 

「しまっ…」

 

「ナギ!」

 

 

 体勢が崩れたナギに喰らい付こうとするモンスター。そこに、走ってきた誰か…騎士っぽい女性が割り込んで片手剣の盾で防いだ。

 

 

「何者…!?」

 

「ロンディーネさん?違う…フィオレーネさん」

 

 

 掲示板が「PVでいたサンブレイクの看板モンスターの一体だ」「PVに映ってた人だ」などうるさい。俺はそのPV見てないんだよ。確かに商人のロンディーネに似ている、血縁か?ナギは知ってるのかその名前を呼ぶ。

 

 

「ここは任せてもらおう。お前たちは仲間を」

 

「一人で相手はさせないよ」

 

「俺達も戦わせてもらう」

 

 

 俺がナギを助け起こし、ウツシ殿と共に回収班を守るために構えているとその人物にマシロとヒビキが加勢する。冷気を吐きだす氷属性らしいモンスターが飛びかかって来て、マシロが大剣のガードで受け止めヒビキが打撃。謎の女性が滅・昇竜撃をその顎に叩き込む。

 

 

「ウォオオオンン!!」

 

「…バレット、これ!」

 

 

 すると怒ったらしいモンスターが全身に氷の刃を纏い、尻尾で三人を蹴散らすと追撃しようとする。咄嗟にウツシ殿が取りこぼした閃光玉を拾ったナギが俺にパス、受け取ったそれを奴の顔面に叩き付け閃光が爆ぜる。

 

 

「ウォオオン!?」

 

 

 悲鳴と共に水場を走って行く大きな足音。閃光が晴れたとき、奴はもういなかった。視界を奪われたはずなのに匂いを嗅いでこの場を立ち去ったってのか…。

 

 

「怪我はないか!?」

 

「ああ、そちらこそ無事か?」

 

「大事ない。…お前たちが猛き炎か」

 

 

 そう納得した女性は自らを王国騎士フィオレーネと名乗った。




抑止力終了のお知らせ。それでも普通にルナガロンを殴り飛ばせるパワーはあるって言うね。筋肉は正義。

ロックバスターみたいにボウガンを左腕にくっつけれるようになったバレット。さすがにネコ獣砲ニャノンの弾種じゃきついのでヘビィボウガン新調です。妃蜘蛛系列の武器結構好き。蟲好きだからかもしれませんが。

今回のダイミョウさんは特に転生者でもないけど臆病でとにかく防御が堅いイメージで書きました。狩猟笛メインのストーリーだから共鳴音珠書けてよかった。

次回から猛き炎、エルガドへ。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【嵐の前の静けさ】眠い、寝る【エルガドへ】

どうも、放仮ごです。ちょっと「王国」とバレットが所属していた「首都」を同一視しようかどうかで迷ってたんですがとりあえず別にすることにしました。モンハン世界の情勢を詳しく知りたい。

今回は戦闘無しの回となります。あと短いですが楽しんでいただければ幸いです。


 里に帰還した俺達四人とフィオレーネ殿に、ロンディーネ殿と里長のフゲン殿を交えて状況確認を行う。フィオレーネ殿はロンディーネの姉君らしい。王国騎士ではあるが調査隊としてカムラの里に赴いたという。やっぱりロンディーネさんどっかの国のお偉いさんの関係者だったか。

 

 調査しに来たのは王国の領域にいたモンスターの侵出、急速な縄張りの拡大。その一体が突如襲来し戦った氷狼竜ルナガロン。王国の領域を脅かさんとする最重要ターゲット「王域三公」の一角とのことだ。その原因は「大穴」。なんとあの憎み血塗られしマガイマガドが襲った百竜夜行と同じ50年前に、王国に面する沿岸部に出現したものと説明され、絶対イブシマキヒコとナルハタタヒメ関係してるやんけと思ってたらその大穴と同じものが王国の王都付近にもあり、それは数百年前に突如現れ王都を崩壊寸前まで追い込んだ古龍…この間名前を聞いたばかりのメル・ゼナが巣窟とした大穴らしい。

 

 50年前に現れた方の大穴はメル・ゼナの姿を確認できただけで巣窟にはせず、メル・ゼナは行方知れずで「観測拠点エルガド」で調査と監視を王国が行っているという。まあ何か別のがいるんだろうな。例えばオストガロアとかラスボス系の古龍。……いたら困るな。

 

 

「そのメル・ゼナが王国ではなく獄泉郷の空を飛んでいたのが観測された。なにかが動き出したと見ていい。王国の誇りを傷つけたヤツめを倒すことは我等騎士の悲願、再来すると言うのならこの命に代えても、必ず倒さなくては!」

 

「…メル・ゼナねえ」

 

「バレット、どうしたの?」

 

「淵虎竜の事を思い出してな」

 

 

 まあ気になってはいたのだ。干からびた淵虎竜の死骸。あの日俺が見た謎の紅い蟲。そして同時期に目撃されたメル・ゼナ。関連性がないとは思えない。するとフゲン殿がなにかしら決めたようでこちらに顔を向けてきた。

 

 

「命に代えても…か。マシロ、ヒビキ、ナギ、バレット。猛き炎よ。淵虎竜を討伐したお前たちに俺から任務を与えたい。フィオレーネ殿の王国に協力し、この状況を打開してくれ。淵虎竜の時でああだったのだ、王国のモンスターがこのまま縄張りを拡大すれば、このカムラの里の周辺のみならず各地の生態系が狂ってしまう。百竜夜行と言う里の災禍が終結した今、人の住む領域すべてに影響を与えかねない大穴の件は我等としてもなんとかせねばならん」

 

「おお、禍依之淵源を討伐した名高きチーム、猛き炎が我が王国に…!これほど心強いことはない」

 

「力になれるのなら、喜んで!」

 

 

 マシロがフィオレーネ殿の手を握って笑い、俺達三人も頷く。まあ行くしかないだろうな。

 

 

「ありがとう…騎士として、里長殿のご決断と貴殿等のお力添えに敬意と感謝を…」

 

 

 そうして俺達は王国の観測拠点エルガドへ向かうことになったのだ。

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

64:名無しのギルド所属ハンター>>1

というわけでこれが現状だ

(生放送モード。青い海が映ってる)

 

65:名無しのザビー

新本拠地エルガド!氷狼竜ルナガロン!古龍メル・ゼナ!燃えますね!

 

66:名無しの鬼殺隊

百竜夜行と同じ50年前に王国で起きた災禍か…考察に、50年前のイブシマキヒコとナルハタタヒメは子供を産んでいた可能性、というのもあったな。それか?

 

67:名無しの霊媒師

文書かなんかで溶岩洞の地下でなんか蠢く音がして、ナルハタタヒメの骨があったから子供説もあったね

 

68:名無しのRS

で、今は船旅と

 

69:名無しのガンランス使い

前世の程じゃないけど快適だよ。変に進んでるよねモンハン世界の技術

 

70:名無しのドンキンタロウ

アイルーやガルクも一緒に乗せてくれるなんてゴールデンに太っ腹だぜ!

 

71:名無しの日向家次女

いい天気だね。嵐とかじゃなくてよかった

 

72:名無しの魔導師

お、見えたな。アレがエルガドか

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

「あれか…!」

 

 

 魔導師ニキが気付いて窓から見えたのでナギと頷き合い、寝ていたマシロとヒビキを叩き起こして一緒に甲板に出る。見れば見る程立派な木造船だ。

 

 

「慣れぬ船旅で疲れが出たのではないか?ご一同」

 

「いいえ、心地いい揺れで寝ちゃってました!」

 

「それを疲れてたって言うんだよマシロ…」

 

「よく寝れてたな、マシロもヒビキも」

 

「小気味いい波の音が気持ち良くて寝ていたな」

 

 

 上から階段で降りて来ながら声をかけてきたのはフィオレーネ殿に応える。気配りもできるいい人だな。

 

 

「それは良かった。間もなく到着するぞ。私達の拠点、エルガドだ」

 

 

 山々が聳える陸地の海辺に浮かぶ中世ヨーロッパのような雰囲気の活気ある港町。ハンターらしき人間が沢山いる。なんかトロッコ?もあるな。茶屋もある…だと…

 

 

「すっごい!」

 

「カムラの里から出たことない田舎者だってよくわかった…」

 

「圧倒されるな…」

 

「首都もすごかったがここもすごいな」

 

「気に入ってもらえたようでなによりだ。ゆっくりと案内したいところだが…先に紹介したい方がいる。行こうか」

 

 

 四人で見て回っているとフィオレーネ殿が船からやってくる。楽しそうに笑っている。田舎者三人いて申し訳ない。

 

 

「この拠点のリーダー、ガレアス提督だ。さあ、紹介しよう」

 

 

 案内されてついていくと、髭の濃い威厳ある風貌の男性が現れフィオレーネ殿が一礼したのでそれに続いて礼をすると他の三人も続く。カムラの里では礼儀なんて必要最低限だっただろうからしょうがないか。俺は首都で活動してたから慣れているが。

 

 

「カムラより、あの淵虎竜を討伐したチーム「猛き炎」をお連れしました」

 

「…猛き炎の武勇は私も聞いている。…歓迎する」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

 

 緊張して一礼するマシロに続くと、調査の中枢である「騎士団指揮所」という施設だと言うエリアまで案内されてついていく。…しかし広いな、迷子になりそうだ。

 

 

「…遠路、ご苦労だったな。…提督のガレアスだ」

 

「ガレアス提督がこの観測拠点エルガドにおいて総指揮をとっておられる。そして私は副官としてお傍で提督の補佐をする立場だ。君達も提督の指示に従ってほしい。故に任務は提督の指示を受けて私が貴殿等に伝える。これからよろしく頼むぞ。マシロ殿、ナギ殿、ヒビキ殿。バレット殿」

 

 

 …うーん。ギルマスやフゲンさんの指示にこれまで従っていただけに、なんか不安だな。

 

 

「君達にとっても拠点となる場所だ。施設を把握しておいてほしい。ああ、休眠を取るためのゲストハウスは男と女の二つ用意した。自由に使ってくれ。悪名高き淵虎竜を討伐したツワモノが来ると聞いてみんな楽しみにしている、話をしたいだろうから相手をしてもらえると嬉しい」

 

「了解です。…ヒビキ、先に行って寝とくわ。快適だったが船の中じゃろくに寝れんかったからな」

 

「おう。マシロたちのことは任せてくれ」

 

 

 眠い。だが掲示板で情報整理しないとな…しかし眠い。思ったより疲れてたみたいだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

84:名無しのギルド所属ハンター>>1

Zzz…

 

85:名無しの帝丹小学校6年生

おかえりイッチってお疲れみたいね

 

86:名無しの魔導師

船に乗っている間ずっと掲示板で話してたからな

 

87:名無しの49人目のマスター

しかし生放送モードで見れたけど…クッソ怪しかったな。レフ程じゃないけど

 

88:名無しのガンランス使い

そうかな。そんなに怪しく見えなかったけど…あ、ウツシ教官だ

 

89:名無しのRS

ウツシ教官もいるのか!?

 

90:名無しのくだん

他の拠点に来た気がしねえ

 

91:名無しの日向家次女

ずっと枕しか見えないんだけど喧騒は聞こえるね

 

92:名無しのザビー

どんなモンスターがいるかワクワクしますね!

 

93:名無しの鬼殺隊

戦うのは弱体化したヒビキも含めたイッチたちだがな

 

94:名無しの転生者

ザザミとルナガロン?の時点でヤバかったもんなあ

 

95:名無しの霊媒師

死なれるのは嫌だなあ……成歩堂さんについていってよく見るけど、慣れないもの

 

96:名無しのくだん

ここにもカプコン作品の世界の犠牲者が……

 

97:名無しのRS

わかる、わかるぞ…署長本当に許さんからな…

 

98:名無しのガンランス使い

あ、受付嬢のチッチェってお姫様と話したんだけど最初にやってほしいクエストは密林ってエリアで暴れるヨツミワドウだって

 

99:名無しの魔導師

待て待て待て待て情報が多い!え、姫様が受付嬢!?チッチェって名前マジか!?

 

100:名無しのザビー

密林マップまさかの復活ですか!?




実はラギアクルスかなんかに襲われるんじゃないかと気を張ってて眠れなかったバレット君、安眠の地を得る。

ヨツミワドウさんMRの関門に抜擢って結構いいポテンシャルをしてますよね。でも普通のとは戦ってますし、ねえ?(にっこり)

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【知ってた】対決ヨツミワドウ亜種【轟雷童の通せん坊】

どうも、放仮ごです。まず謝罪を。淵虎竜戦でバレットの腕がなくなって、その代替え案を書くつもりだったのに完全に忘れて描写を忘れていて慌てて書き足しました、申し訳ない。
 現在バレットは通常時は動かない見せかけだけの義手、戦闘時は専用の器具を取り付けた左腕の切り口に同じく専用の器具を取り付けたヘビィボウガンを装着してロッ●バスターみたくなってます。基本はヘビィボウガンを支えて使うけど時には右手だけでライトボウガンを扱う形。同時撃ちは無理になりました。

そして今回は大半の方が予想したであろうヨツミワドウ、その亜種戦となります。楽しんでいただければ幸いです。


 エルガドとカムラの里の往来を安全な物にするため、密林に現れたヨツミワドウ、その亜種を討伐してくれ。そうナギから伝えられたのは翌日だった。いきなり亜種か、こんなに特殊個体や亜種が多いのも転生者の影響か?

 

 

「どんなやつだ?」

 

 

 密林に向かう船の中で、淵虎竜に切断された左腕の義手を取り外しつつヘビィボウガンを取りつけながら確認を取る。受付嬢のチッチェ姫から聞いたのはヨツミワドウなのだけどヨツミワドウじゃない、今の密林を牛耳っている怪物とのことだが。

 

 

「えっと…フィオレーネさんからもらった資料によると轟雷童ヨツミワドウ亜種ってあるね」

 

「いや河童ですらないんかい!?」

 

「ヨツミワドウといえば私達が初めて四人で戦った相手だね。その亜種かあ」

 

「名前からして雷属性なのはわかるが…ヨツミワドウなら何回も狩ってるからなあ」

 

 

 ナギから説明された異名に思わずツッコむ。同感だヒビキ。だがザザミであれだったんだ。油断はできん。

 

 

「ここが…」

 

「密林か。水没林とはまた違うな」

 

「…うわ、すっご」

 

「気持ちは分かるぞナギ」

 

 

 テロス密林。モンスターハンター2(dos)、モンスターハンターポータブル2nd、モンスターハンターフロンティアオンライン、モンスターハンターポータブル2ndG、モンスターハンターダブルクロスに登場するマップだ。広がりやまぬ、樹と蹟の秘境。水棲系モンスターが数多く棲息し、飛竜も巣を作っていたりする。

 

 

「…まさかと思うけど棘竜(いばらりゅう)とかいないよね?」

 

「そんなまさか。……まさかな」

 

 

 そうぼそっと問いかけてくるナギの心配げな顔に、頭を撫でて落ち着かせる。ナギ、フロンティアもやっていたのな。…棘竜エスピナス。かつて古龍種と樹海で縄張り争いをしていたモンスター。普段は大人しいのだが手を付けられず、毒棘の生えた身体を使った各種物理技が驚異の一言だ。なによりこいつは樹海や密林の奥地に棲息している。だからナギは心配しているのだろう。……いや、フロンティア産モンスターは本家に出てくることはまずないから大丈夫だろう、うん。フロンティアには、割とどうにもできない一撃即死級の特技を持つモンスターが多く存在していて、とにかく強い。アホみたいに強い。ライズで言うと奇しき赫耀のバルファルクが山ほどいると言えばわかりやすいか。ゲームでそれなのだ。現実で戦うとなったら冷や汗も出ない。

 

 

「どうしたの二人とも?」

 

「船酔いか?」

 

 

 先行していた、大剣を背負い太刀を腰に差したマシロと、狩猟笛を担いだヒビキが動いてない俺達二人を見て心配の声をかけてくる。…心配し過ぎもよくないよな。なにはともあれ新天地だ、気楽に行こう。

 

 

「いや、なんでもない」

 

「行こうか、轟雷童を倒しに!」

 

 

 背中にかけたライトボウガンをかけ直し、左腕のヘビィボウガンを確認する。ナギもザザミの一件から必要だと感じてハモンさんに改造してもらった盾つきランスと槍だけのガンランスを抱え直して、二人を追いかける。この密林を支配しているとかいう雷蛙を討伐しようか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあ」

 

「いや、その、なに?」

 

「ラージャンの間違いじゃないのか」

 

「いや、あのフォルムはヨツミワドウで間違いない…はずだ」

 

 

 30分後。鬱蒼と茂った高低差激しい密林を進んでいると、ダイミョウザザミと件のヨツミワドウ亜種…黒っぽい緑に体色に黄色いラインが走った様な個体の縄張り争いに遭遇、草むらや木陰、岩陰から覗き見ていたのだが、四人揃って青い顔をしていた。想定以上に強かったのだ。

 ダイミョウザザミは弱くないことは前回の戦で痛感した。防御に徹されるとマジでどうしようもなかったヤド。俺達では歯が立たなかったそれを、前回とは別個体とはいえヨツミワドウは電撃を纏った拳で一撃粉砕して見せた。グロテスクな中身を見せたダイミョウザザミは盾の様な鋏を駆使して戦うが、ボクシングスタイルの様なフットワークのヨツミワドウ亜種の拳で防御を外されて口から吐かれた電撃ブレスの直撃を受けて焼き焦げた所にアッパーカットを受けてノックダウン。そのまま踏みつけられて絶命した。つまりは少なくともダイミョウザザミより強いってことだ。イメージは重量級のボクサー、しかも雷属性ときた。スタンしやすそうなパンチが主体の様だしきつくないか?

 

 

「…俺が先制攻撃をする。電撃だけは受けるな、気絶したら終わるぞ」

 

 

 左腕の器具に取りつけたヘビィボウガンに貫通火炎弾を装填しながらライトボウガンを右手で持ちつつ、三人に小声でそう言うと頷いて散開した。行くぞこの野郎。

 

 

「油断はしないぞ…!」

 

 

 乱射して寸分たがわず全弾当てる。するとこちらを向いて、カモノハシだった原種とは違う鬼を思わせるこわもての顔で睨んでくるヨツミワドウ亜種。なにをするのかと左腕のヘビィボウガンのシールドを構えて警戒していたら、大きく両腕を背後に振りかぶってその場で四股を踏む。なにを、と思った次の瞬間。電気の衝撃波が円形に発生して俺だけじゃなく側面から近づこうとしていた三人まで痺れさせてきた。

 

 

「う、動けん…!?ぐはああっ!?」

 

 

 そこに跳躍して目の前に着地してきたヨツミワドウ亜種のストレートパンチが腹部に直撃し、えづきながら殴り飛ばされたところに拳から放たれた電撃も受けて転がる。きっつ…なんつー威力だ。電撃で筋肉を強化してるとかそんなだろうか。あと流れてる電気をそのまま飛ばせるとかいうジンオウガみたいなやつだ。

 

 

「このっ…バレットから離れろ!」

 

「隙あり!」

 

「っ、駄目だマシロ、ナギ!」

 

 

 跳躍したナギとマシロが背後から襲いかかるが、ヒビキの制止虚しくヨツミワドウ亜種は振り返りざまにラリアットを繰り出し、二人とも殴り飛ばされてしまう。肉弾戦全振りのヨツミワドウって感じだな。

 

 

「音撃打打打!」

 

 

 甲羅の裏がポケットになってるのかそこから取り出したウリナマコを貪り、お腹を大きく膨らませるヨツミワドウ亜種。こうなると原種は厄介だった。電撃を纏ったお腹を前面に突き出し拳を振るいながらの体当たりがヒビキに迫り、連続で振るわれる狩猟笛と激突する。

 

 

「うおぉおおおっ!」

 

「グゴアアアアアッ!」

 

 

 拮抗していた両者だが、得物が一本のヒビキと両腕とお腹が武器のヨツミワドウ亜種の差が出て、ヒビキが殴り飛ばされ木に激突する。不味い、今のうちに回復できたし回復弾…!

 

 

「させるかあ!」

 

 

 体が痺れて動けないヒビキに向けて突進してとどめを刺そうとするヨツミワドウ亜種の前に立ちはだかったのは、大剣を地面に突き刺して盾にしたマシロ。そのまま左手を鞘に納められた太刀に触れ、右手に大剣を握ったマシロは地面を鞘代わりにして引き抜いた大剣と太刀を振るいヨツミワドウ亜種の背後に立つ。

 

 

「桜花鉄蟲・大気刃斬!」

 

「グゲアァアアアッ!?」

 

 

 そして大剣と太刀を背中と腰に納めると、斬り付けた箇所に連続で斬撃が発生し、お腹を切り刻まれたヨツミワドウ亜種はウリナマコを吐きだしてお腹がへこんだ状態で大ダウンした。

 

 

「今だ、竜杭砲!」

 

「金剛大車輪斬り!」

 

 

 そこに飛び込んだナギが頭部に竜杭砲を撃ち込み、再び大剣と太刀を引き抜いたマシロが宙を舞って連続で斬撃を叩き込んでいく。ヒビキに回復弾を撃ち込んで回復させた俺も貫通火炎弾で加勢。そこに、翔蟲で跳躍したヒビキが大剣で溜めるように狩猟笛を構えて、着地と同時にヨツミワドウ亜種の背中に叩き込んだ。

 

 

「グゲェエエエッ!」

 

 

 すると放電して取り囲んでいた三人を吹き飛ばし、立ち上がるヨツミワドウ亜種。大きく息を吸い込んで口から電撃のブレスを放出しながら四股を踏みつつ拳を振りかぶり、電撃ブレスと電撃の衝撃波と電気の塊が同時に襲いかかって来て弾幕の様だ。ナルハタタヒメかお前は。

 

 

「そんなもん効くかああ!」

 

 

 すると大剣を盾にしたマシロがそのまま全ての攻撃を受け止めながらガードタックル、肉薄すると大剣を振り上げてヨツミワドウの顔を殴りつけ、体勢を崩すとそこにヒビキが投げつけた狩猟笛が頭部に直撃。吹き飛びはしなかったもののよろよろと後退させる。

 

 

「こいつはおまけだ!振打(しんうち)残響(ざんきょう)!」

 

 

 さらに狩猟笛を回収したヒビキの振打に、拳を合わせて弾き飛ばすヨツミワドウ亜種。しかし繋がった鉄蟲糸から衝撃波を受けて怯み、そこに俺の狙撃竜弾が背中の甲羅に炸裂。大爆発して部位破壊させた。

 

 

「グゲッグゲッ!」

 

 

 電撃を纏った拳でヒビキとマシロを殴り飛ばしたヨツミワドウ亜種。今度は標的をナギに見据えて電撃を纏った拳を振り下ろし、ナギは盾付きランスでジャストガード。連続で振るわれる拳に合わせてガードを繰り返し、最後に大きく溜めて振り下ろされた拳を、アンカーレイジで受け止め返しの突きを勢いよく叩き込み、左手の平を串刺しにする。

 

 

「ここに縫い止めたよ!って、うわああああ!?」

 

 

 そのまま踏み込んで拘束しようとしたナギだったが、突き刺した左腕から電流を流されてダメージを受け、さらに左腕を動かされ逆に振り回されてしまう。ぐったりしながら振り回されるナギを避けて後退する俺達。右手だけでしがみついているがあの勢いで投げ出されたらヤバいぞ…!?

 

 

「ゲッゲッゲ」

 

「こんの……調子に乗るな!フルバースト!」

 

 

 嗤うヨツミワドウ亜種にカチンと来たのか根性で左手に握ったままだったガンランスを開いている口に突っ込んで砲撃。ヨツミワドウ亜種はたまらず引っくり返り、ナギは空中に投げ出されるもガンランスを振り上げて急降下。

 

 

「ヘイルカッター!」

 

「グゲエエ!?」

 

 

 強烈な振り下ろしを腹部に受けたヨツミワドウ亜種はそのまま大ダウン。ナギはガンランスをリロードし、マシロは大剣を振り上げ、ヒビキは居合の構えをして、俺はライトボウガンの鉄蟲糸技「旋廻跳躍」を発動しヨツミワドウ亜種の顔面に突撃して左腕に取りつけたヘビィボウガンを振りかぶる。

 

 

「もう一発!フルバースト!」

 

「真・溜め斬りィ!」

 

「擬似・特殊納刀。居合抜笛(いあいばっぴょう)気炎旋律打(きえんせんりつだ)!」

 

「ヘビィボウガンパンチ!」

 

 

 四人の最大火力が炸裂。ヨツミワドウ亜種は沈黙し、黒焦げで髪も跳ねている俺達はそれぞれの惨状を見て思わず笑うのだった。

 

 

「…グゲッ」

 

「なに?」

 

 

 しかし鳴き声が聞こえ、振り返る。そこには隠し持っていたウリナマコを食べて回復したのかお腹を膨らませているヨツミワドウ亜種がいて。至近距離であの体当たりを喰らったらやられる、と誰もが覚悟したその時。空から雷光が舞い落ちてヨツミワドウ亜種に直撃した。

 

 

「うわああああ!?」

 

 

 発生した衝撃波で地面を転がる俺達。ヨツミワドウ亜種の頭部を押し潰してそこにいたのは、思いもよらないモンスターだった。

 

 

「ライゼクス…!?」

 

 

 金色と黒の鋭利な甲殻に刃の様なトサカ、ステンドグラスや昆虫の翅を思わせる透明の翼、先端が二股に分かれた尻尾が特徴の飛竜で、生態系を破壊させかねないその凶暴性から「(いなずま)の反逆者」「空の悪漢」等の異名を持つモンスターハンタークロスの四大メインモンスターの一角。電竜ライゼクス…!

 

 

「グルルルッ…」

 

 

 なんとか四人とも立ち上がり構えていると、何かに怒っているような赤い眼光がこちらを捉え、右の翼爪で踏み潰していたヨツミワドウ亜種の頭部を押し潰して咆哮。緑色の雷エネルギーを飛ばしてきたので咄嗟に避ける。するとトサカが前後に肥大化し緑色に光るラインが入って眼光も赤から明るい緑色に変わった姿……電荷状態へと移行。トサカから放出される電撃を巨大な剣のように集束、振り回してきた。通称ゼクスカリバー。ライゼクスの必殺技だ。

 

 

「っ!?」

 

「ぎゃっ!?」

 

「ぐっ!?」

 

「があ!?」

 

 

 ライゼクスは俺達四人を纏めて薙ぎ払い、痺れた上に大ダメージで呻くしかない俺達を見やると勝利の勝鬨かの如く咆哮を上げ、興味を失ったのかそのまま飛び立っていった。

 

 

「…ライゼクスまでいるのか」

 

「た、助かった…」

 

「棘竜も嫌だけどあれも嫌だなあ…」

 

「いつか狩ることになるんだろうな…」

 

 

 何とか立ち上がり、回復してからヨツミワドウ亜種から素材を剥ぎ取れるだけ剥ぎ取り回収班を待つことにする。…しかしナギの言う通り棘竜も嫌だがあれも強敵だ。掲示板によるとPVの最後に出てきて出てくることは知られていたらしいが。しかし俺達は気付いていなかった。密林の奥深くにある飛竜の巣にて、件の棘竜が眠っていたことを。サンブレイクのモンスター選抜がかなり殺意の高いものだと気付くのだが…それは後の話だ。




現実になったらヤバい奴等がいっぱいいるサンブレイク。


・ヨツミワドウ亜種
通称「轟雷童」体内に発電器官が存在する雷属性のヨツミワドウで密林の支配者だった。全身に駆け巡る電流で筋肉を活性化させ、相撲ではなくボクシングスタイルで戦う。電撃ブレスや電撃を纏った拳、四股による雷の衝撃波とナルハタタヒメの様な攻撃をする。ウリナマコを食べることで腹部を膨張させ電気を纏って突進するのが脅威。コンセプトはラージャンみたいなヨツミワドウ。電流で心臓を活性化させたり隠し持ってるウリナマコで体力を回復させることもできるのでしぶとい。


上記の通り強敵でしたがさすがに飛竜には勝てなかったよ。相変わらずモンスターとパワー勝負をしているヒビキ。パワーダウンしてもそれができるやべーやつ。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【幕間】強くなろう【現実が非情すぎる】

どうも、放仮ごです。今回は幕間回。掲示板無しで息抜きです。

新装備、新技導入。楽しんでいただければ幸いです。


「ヘビィボウガンパンチ結構強いよね、名前ダサいのに」

 

「気にしてるんだからそれは言うな」

 

 

 茶屋で団子を頬張りながらそんな会話をナギと交わす。エルガドに戻ってきて、フィオレーネ殿に「さすがだ」と褒められたり、カムラの里との行き来が格段に安全になって連携が強くなり、ヒノエさんとミノトさんとウツシ教官が俺達に会いに早速来ることも知らされた。いつもの面子過ぎてカムラの里を出た気がせん。

 

 

「二人も熱心だな…」

 

「私達と違って少年漫画のキャラみたいな人たちだからねえ」

 

 

 視界に見えるマシロとヒビキは力不足を痛感して、エルガドの一角を借りて刃を潰した大剣と狩猟笛を交わして手合わせしてる。エルガドには修練場がないらしく、修練したいならカムラの里まで戻った方がいいそうだ。

 

 

「…やばいよなあ」

 

「やばいねえ」

 

 

 団子を一個ずつ頬張りながらそうのほほんと話すが事態は急を要する。ダイミョウザザミの異様な強さ。それすら屠るヨツミワドウ亜種。そして圧倒的な強さを見せつけたライゼクス。ゲームでもとんでもない強さだったが現実になったことで拍車をかけてる。というか現実の雷属性がとんでもなくえぐいのだ。雷やられの痺れが生む隙は致命的だ。雷やられでなりやすい気絶ともなると死に直結する。

 

 

「…とりあえず掲示板で知り得るサンブレイクのPVでの情報を聞いたけど」

 

「あのルナガロンにメル・ゼナの他に炎と水を使うゴーレムかフランケンシュタインみたいなやつ、ビシュテンゴ亜種にナルガクルガ希少種…セルレギオスにイソネミクニ亜種、オロミドロ亜種に……で、ここまではPV2で。一番最新のPV3を見てから死んだという転生者が偶然いて曰く」

 

「…いるって確定したなエスピナス。しかもダイミョウザザミだけじゃなくショウグンギザミまでいて、ヤツカダキ亜種に、終いには悪名高きゴア・マガラ。ってことはシャガルマガラもいるじゃん…無理じゃん…」

 

「掲示板が阿鼻叫喚だったねえ」

 

「控えめに言って地獄だからな」

 

 

 フロンティア産モンスターのエスピナスがいることも絶望だが、黒蝕竜ゴア・マガラ。モンスターハンター4のメインモンスターで、狂竜ウイルスを撒き散らす分類不明のモンスター。特筆すべきは古龍シャガルマガラの幼体だということだ。ラスボスを務めただけあって強い。あれが現実になるとか悪夢過ぎる。

 

 

「しかもヨツミワドウもそうだけど、亜種の人選…モンスター選がやばい。よりにもよって厄介な動きの奴ばかりだ」

 

「オロミドロ亜種とかどう考えてもヤバいよねえ」

 

「俺達も強くならないといけないわけだが…パンチと同時に弾を撃てるように改造してもらうか…」

 

「ボウガン系は技の変えようがないからねえ」

 

 

 一応、エルガドにやってきたウツシ教官から新しい技を教えてもらった。ライトボウガンは、反動の大きい弾で後方に跳ね、翔蟲を使い急停止する「反撃竜弾」鉄蟲糸により精製された弾を装填し、怒涛の20連射を行える「機関鉄蟲弾」ヘビィボウガンは、原理はよく分からんが鉄蟲糸で円を描いてその中を通すことで威力が上がる「鉄蟲円糸【鈍】」同じく円を作るがこちらは弾速が速くなり適正距離を伸ばす効果が得られる「鉄蟲円糸【迅】」がある。正直ライトボウガンはともかくロッ●バスターみたくしてるヘビィボウガンは咄嗟に使えないだろう。

 ナギのランスだと飛び上がって急降下する「昇天突き」防御しながら突撃し技に繋げる「シールドタックル」ガンランスだと「爆杭砲」「フルバレットファイア」など。ヒビキとマシロにも教えたらしい。こんなに技を生み出せるウツシ教官天才だと思う。

 

 

「装備も関係あるのかな…」

 

「エルガド、素材がいいのかカムラの里とはレベルの違う装備を作れるからな…」

 

「まあバレットはいいよね。ヨツミ装備がガンナーとあってるし」

 

「そうだな」

 

 

 今は着ていないが装備はヨツミX【轟雷】装備に一新した。射撃関係のスキルの他に気絶耐性と雷耐性ついているのマジで神。現実だと本当に神。

 

 

「今私はザザミ装備にしてはいるけど……あんなに頑張って集めた装備がまさか通用しないなんてねえ」

 

「G級ってゲームでもそんなもんだろ…武器が通用しているのはありがたいが」

 

「上級でも最上位の武器だから通用しないはやめてほしい」

 

 

 そう言いながらタマミツネを狩って制作したランス「きみがきる笠槍の突刺」と淵虎竜の素材で作ったゲームにはないガンランス「禍ツ砲槍ノ幽鬼レコル【凶星】」を磨くナギ。そうなのだ。ヨツミワドウ亜種を倒したことで晴れてG級ハンターとギルドに認められた。つまり古龍も相手しろってことである。シャガルマガラ確定じゃねえか!

 

 

「……今来てるクエストで狩れるやつなんだっけ」

 

「ロアルドロス、アケノシルム、ラングロトラ、ボルボロス、ドスフロギィ二体、ウルクススとドスバギィ…かな?ライゼクス倒せはさすがにないね」

 

「それは本当によかった。あと小型モンスター狩りもあったな」

 

 

 さっきミノトさんに、大社跡に出たアケノシルム亜種を滞在していたエルヴァスとマキアナが倒してくれたとも言ってたな。それに比べたら弱いんだろうが、密林の環境のせいかそこで育った大型モンスターは強いとエルガドの人達から聞いた。

 

 

「…とりあえず鉱石とか骨とか欲しいな。密林にロアルドロス狩りに行くか。狂走エキス欲しいわ」

 

「わかる。スタミナほんと大事」

 

 

 マシロとヒビキはスタミナお化けだが俺達はそうじゃない。なのに関わらずガードを多用するからスタミナは最重要といえよう。その点、ロアルドロスから採取される素材で作れる強走薬は有用だ。

 

 

「安定して狩れるようになるまではアイテムの力を頼るしかないよなあ」

 

「そだねー」

 

 

 最後の団子を頬張りながら受付嬢のチッチェ姫の元に向かいクエストを受注。なんか異次元の戦を繰り広げていたマシロとヒビキを呼びに行く。いや大剣や狩猟笛を片手で振り回すのは慣れたが高速で切り結ぶな。やっぱりこの二人別格だ。さすが原作主人公とその師匠のやべーやつ。

 

 

「おーい、マシロー、ヒビキー」

 

「狩りに行くぞー」

 

「「がっ!?」」

 

 

 そう言った瞬間、タイミングがずれてそれぞれの頭に得物が激突し悶絶する二人。いやあれ痛いじゃすまんだろ。つくづくハンターは頑丈だなと痛感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 密林にやってきた俺達四人。俺のゲーム画面で見えるマップを頼りに(マシロとヒビキの二人には事前に調べてきたと言っておいた)鉱石や骨塚を巡り採掘しつつロアルドロスの元に向かう。このマップあればライゼクスが現れても気付けるしゲーム画面やっぱり便利だわ。…そういやヨツミワドウ亜種の時気付かなかったけど「?」がついてたモンスターがいたな…なんだったんだろう。一度出会わないと正体が分からないのがなあ。

 

 

「いたな」

 

「じゃあ私から行くよ!」

 

 

 標的のロアルドロスを見つけるなり太刀は腰に差したまま、大剣を片手に握って凄まじい速さで駆けて行くマシロ。気付いたロアルドロスが水の塊を吐きだして攻撃してきたが、マシロは大剣を振り回して打ち消して肉薄。大剣を両手でがっちりと構えながらロアルドロスの前足の叩き付けをステップで回避していき、それに気を取られたところに俺の狙撃竜弾が顔面に炸裂。マシロの振り下ろしと共に爆発したところにその上空に舞い上がったヒビキの大剣の様に構えた狩猟笛と、ナギの構えたランスとガンランスの急降下攻撃が背中に炸裂。

 

 

「グルアァアアッ!?」

 

「オラオラオラオラッ!」

 

 

 背中にランスとガンランスが突き刺さったロアルドロスは暴れ、ナギはその背中で槍二本を掴んでバランスを保ち、ガンランスを連射。爆発が体内で連続し、ばたばたと暴れ回るロアルドロスの顔面にヒビキの狩猟笛の投擲が炸裂。

 

 

「ゴガア!?」

 

「貫通火炎弾喰らいやがれ!」

 

 

 すると俺に向かって突進してきたので、目の前に鉄蟲円糸【鈍】を展開して左腕のヘビィボウガンを突き出し、ちょうど鉄蟲円糸を通るようにヘビィボウガンで殴りつけ同時に貫通火炎弾を発射。体内を突き抜けた高威力の弾丸に自慢の鬣が水分を失いしなびて行くロアルドロスはようやくナギを振り払い、逃げようとする。

 

 

「そい!」

 

「グルアアッ!?」

 

 

 そこに、宙を舞った大剣が落ちてきて尻尾が切断。その勢いで突進してしまったロアルドロスの先には太刀をゆっくりと納刀した鞘を手に力を溜めるマシロがいた。

 

 

「特殊納刀、威合。おーわーりーだー!」

 

 

 そして抜刀と共に舞うような強烈な連続斬りが炸裂。ロアルドロスは力尽き、倒れ伏したのだった。

 

 

「連携もとれるようになってきたな」

 

「ナギ!さっきの飛び上がり串刺しすごかったね!」

 

「昇天突きって技だよ。マシロこそ凄い技だね!」

 

「投げ方もなんとなくわかってきた。やはり遠心力、そして筋力だな」

 

「狩猟笛は投げる武器じゃないけどな」

 

 

 新しい技も何とか使いこなせてきたし、このまま順調に狩れればいいんだが……シャガルマガラどうするんだマジで。いないことを祈るしかないか…




ロアルドロス君は犠牲となったのだ。実際便利な強走薬。…強走薬グレートとかないかな。(最近弓にはまってる)


・ヨツミX【轟雷】:ヨツミワドウ亜種の装備。往来の物に気絶耐性と雷耐性が付いている。
ヨツミXヘルム【轟雷】早食いLv.1 通常弾・連射矢強化Lv.2 気絶耐性Lv.1
ヨツミXメイル【轟雷】通常弾・連射矢強化Lv.1 回避距離UPLv.1 雷耐性LV.2
ヨツミXアーム【轟雷】腹減り耐性Lv.1 特殊射撃強化Lv.2 火事場力Lv.2
ヨツミXコイル【轟雷】回避距離UPLv.2 火事場力Lv.2 雷耐性Lv.1
ヨツミXグリーヴ【轟雷】腹減り耐性Lv.2 早食いLv.1 気絶耐性Lv.2


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【完成必殺技】慢心の権化どこいったあ!【緋色天狗の大社詣で】

どうも、放仮ごです。ライズだけでいいから舞台の位置情報が載ってる地図が欲しい(切実)

今回はビシュテンゴ亜種戦。ヨツミワドウ亜種といい、第一部で戦ったモンスターの亜種が偶然ながらも登場してますね。楽しんでいただければ幸いです。


 砂原でボルボロスの頭部を破壊し尻尾を切断し危なげなく狩って帰ってくると、緊急クエストが入ったと報せが来たので提督のもとに直行するとフィオレーネ殿と共にいた。

 

 

「…来たか、猛き炎。カムラの里より急報が入った。フィオレーネ」

 

「はい。「大社跡でビシュテンゴ、その亜種が暴れている」との報告が入った」

 

「ビシュテンゴ、亜種…!」

 

「ヨツミワドウ亜種に引き続き、か」

 

 

 事前に掲示板で情報をもらっていたモンスター…なんでも爆発する松ぼっくりを投げてくるとか。ちょっと前に大社跡で戦ったビシュテンゴを思い出す。柿を礫にしてきた強敵だった。アレの段違い上が相手か。

 

 

「本来ビシュテンゴ亜種は砂原などを生息域とし、大社跡にはまず現れない。だとすれば王域生物が及ぼす生態系の変化の影響を受けた可能性が高い」

 

「なるほど、調査も兼ねてですか」

 

「…それでだ。提督。此度は私も猛き炎と共に出陣したく思います。推測が正しければ責任は王国にあります。騎士の誇りに駆けてこの命に代えてもカムラの里を護り抜く。許可を願いたい」

 

 

 そう言いだしたフィオレーネ殿に度肝を抜く俺達。ルナガロンの時見たく共闘してくれるって言うのか。……いやまあ、八人パーティーで百竜夜行を撃退したりしたから五人目とか今更なんだけども。

 

 

「…フィオレーネ。熱意は買うが、お前の存在は猛き炎の連携を崩すかもしれん。まずは了承をとれ」

 

「はっ、確かに。…バレット殿、よろしいか?」

 

 

 一応ハンターランクが一番高いため便宜上猛き炎のリーダーってことになっている俺に問いかけてくるフィオレーネ殿。マシロ、ナギ、ヒビキと順番に顔を見て行く。不服な者は誰もいない。だろうな。俺としては前衛が増えるのは心強いしフィオレーネ殿の強さはよく知っている。

 

 

「心強い。よろしく頼む、フィオレーネ殿」

 

「堅苦しく呼ぶのはやめてくれバレット殿。これから共に戦う仲間で、友になるのだから」

 

「ならそちらもだ。フィオレーネ、よろしく」

 

「ああ、バレット」

 

 

 敬称を失くし、握手する。気持ちのいい人だ。

 

 

「…フィオレーネ。王国随一の剣技を持つお前なら心配はないだろう。だが誇り、正義、忠誠、使命。護るべきもののために全てを投げうつ心構えは、騎士として美しきことである。しかしその美徳のために命を軽く扱うな。お前の危険なところだ。…わかったか」

 

「安心して提督。私達がいる限り、もう、誰も死なせない」

 

「マシロ殿、いや、マシロ…しかと心得ました…!」

 

 

 宣言するマシロに三人で頷く。淵虎竜の傷跡は今だ俺達の心に残っている。あんな悔しい思い、もうたくさんだ。すると、気になるワードが聞こえた。

 

 

「乱れた人心に引き寄せられ国を喰らいに現れる「深淵の悪魔」のお伽話を思い出せ。美徳に酔う騎士の心もかの悪魔にとっては餌でしかない。ゆめゆめ、忘れてはならぬ」

 

「深淵の悪魔…?」

 

「王国に伝わるお伽話だ。気にしないでくれ」

 

 

 …そう言うフィオレーネだが、深淵の悪魔とかいうワードが出て来たってことはそう言うことなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

31:名無しのギルド所属ハンター>>1

深淵の悪魔と言うワードが出てきたがどう思う?

 

32:名無しのRS

十中八九ラスボスだろ

 

33:名無しの鬼殺隊

クトゥルフとかにいそうだな

 

34:名無しのザビー

そんな異名のモンスターは過去作にもいませんしラスボス濃厚ですね

 

35:名無しの帝丹小学校6年生

大穴絶対関係あるじゃない深淵とか…

 

36:名無しの霊媒師

「サン」と呼ばれてるんでしょ大穴って。サンブレイクって…ねえ?

 

37:名無しの転生者

悪魔って言うぐらいだから強いんだろうなあ

 

38:名無しのドンキンタロウ

悪魔といえばゴア・マガラだがティガレックスを容易く倒せるからな…

 

39:名無しの魔導師

当時は賛否両論だったけど古龍の幼体ってわかったら納得したよな

 

40:名無しの49人目のマスター

メフィストフェレスみたいな自称悪魔でもアレだからなあ、悪魔はなあ

 

41:名無しのくだん

そういや魔神柱だけど悪魔倒しの専門家がいたわ

 

42:名無しの転生者

マスターニキはもう新宿なんだっけ。魔神柱殺してきた身としてどう?

 

43:名無しの日向家次女

お伽話になるぐらい恐ろしいみたいだけど…

 

44:名無しのガンランス使い

私達ハンターより凄いよね、世界を救ってるもの

 

45:名無しのギルド所属ハンター>>1

専門家の知恵を貸してくれマスターニキ、頼む

 

46:名無しの49人目のマスター

世界を救ったのは藤丸で俺はその援護をしただけなんだが…というかモンスターなら悪魔といっても違くないか

 

47:名無しのRS

それはそう

 

48:名無しの鬼殺隊

そもそも何をしたのかもよくわかってないから情報が出るのを待つしかないな

 

49:名無しのザビー

そうですね。生体からどのモンスターが近いか分かるかもしれません

 

50:名無しの帝丹小学校6年生

サンブレイクってライズの追加コンテンツならワールドみたいにライズのラスボスを彷彿とする奴が出てくるんじゃないかしら?

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 一度カムラの里を経由してネコタクに乗り、ナギの横で掲示板で時間を潰しながら右手だけでヘビィボウガンの整備をしているとついたというアイルーの声を受けて降りる。大社跡。いつぞや来た時の血の匂いが無くなってる。なんか異様に濡れてる気がするが。

 

 

「火を噴き緋色の毛並みを持つ嘲笑う道化、緋天狗獣ビシュテンゴ亜種か…目立ちそうなやつだな」

 

「火属性で松ぼっくりを使うんだっけ」

 

「柿礫がトラウマだけど松ぼっくりなら恐くない!」

 

「相手にとって不足無しだ!」

 

「カムラの里のため…騎士としての務めを果たす!」

 

 

 五人で大社跡を進んでいく。そして大木の前に差し掛かった時、異変が起きた。

 

 

「うん?上だ!」

 

 

 咄嗟にヘビィボウガンを上に上げてシールドで防ぎ、他の四人も各々の得物で頭を守る。シールドに弾かれ、その場に転がったのは巨大な松ぼっくり。それがいくつも、十個以上も転がる。

 

 

「退避だ!」

 

 

 なにかに気付いたフィオレーネの警告に、その場から円形に飛び退いて離れると空から降ってきた火球が松ぼっくりに触れて大爆発。破片をなんとか防いだ俺達の中心、炎上しているそこに滑空して舞い降りたのは、炎の様な緋色の毛並みの天狗獣。

 

 

「ビシュテンゴ、亜種…!」

 

「ここで必ず退けるぞ!」

 

「キャッキャッキャッ!」

 

 

 ビシュテンゴ亜種は腹袋から松ぼっくりを取り出すと空中に放り投げ、口から火球を放つとそれに当たった松ぼっくりが空中で爆ぜて破片の雨が落ちてくる。

 

 

「大・廻・転・奏!」

 

 

 するとそれらはヒビキが上に掲げて回転させながら奏でた狩猟笛からの衝撃波で相殺。マシロとフィオレーネが飛びかかると、ビシュテンゴ亜種は逆立ちしてクルクルと回転しながら突進。尻尾を振り回して二人を弾き飛ばしてしまう。

 

 

「こいやあ!」

 

 

 そこにシールドタックルを発動したナギが正面衝突。ビシュテンゴ亜種は空中に吹っ飛ばされるも滑空してナギを押し倒してキャッキャッキャッと手を叩いて煽ってきたので遠慮なく貫通弾を叩き込む。

 

 

「ウーキャッ!」

 

 

 すると怒ったビシュテンゴ亜種が取り出した赤熱する松ぼっくりを連続で投擲。シールドで防ぐが爆発で体勢が崩れた所に直撃。吹き飛んだ挙句炎やられになったので慌ててローリングで消火していると、視界の端でヒビキが殴りかかったが松ぼっくりを地面に投擲して破裂させその破片に炎を灯して焼野原にしてヒビキの動きを止めた所に尻尾の振り下ろしが炸裂。とんでもない勢いでヒビキが木に背中から激突してダウンした。

 

 

「こんのお!」

 

 

 ナギが槍二本を手に突進するもビシュテンゴ亜種は尻尾で払いのけ、岩壁に張り付いて口から火球の雨を降らし、攻撃を避けて転がってきたフィオレーネが俺の安否を確認する。

 

 

「無事かバレット!」

 

「なんとかな!」

 

「攻撃が苛烈すぎるよ!」

 

「ヒビキの無事を確認することもできない!」

 

「私に任せろ、大粉塵!」

 

 

 フィオレーネが取り出した袋から粉を周囲に撒き散らす。大粉塵、パーティ全員を回復させることができるアイテムだ。するとふらつきながらも立ち上がるヒビキ。壁に引っ付き火球の雨を降らし続けるビシュテンゴ亜種に狩猟笛を回転させてから投擲、激突させて大ダウン。チャンスだとばかりに五人でたたみかける。

 

 

「貫通弾Lv.3!」

 

「特殊納刀、威合!どっせい!」

 

「ジャストラッシュ!」

 

「フルバレットファイア!」

 

「音撃打打打!」

 

 

 五人分の一斉攻撃が炸裂。するとビシュテンゴ亜種は翼を広げてその場で尻尾立ちして立ち上がり、回転して俺達を吹き飛ばし、手にした松ぼっくりを尻尾に持たせると勢いよく振り下ろし、広範囲の爆発が襲って咄嗟に防御。そこに五人纏めて逆立ちしてからの尻尾を振り回す体当たりで吹き飛ばされ、上空に放り投げられる松ぼっくり。

 

 

「させるか!」

 

 

 咄嗟に取り出したライトボウガンに鉄蟲糸により精製された弾を装填、怒涛の20連射を行い松ぼっくりを粉砕すると度肝を抜いたようにアホ面を晒すビシュテンゴ亜種。機関鉄蟲弾…初めて使ったがいいなこれは。

 

 

「ナイス、バレット!」

 

「ウキャキャッ!」

 

「ナギ、貸せ!」

 

「え、ヒビキ?」

 

 

 また何かを行おうと腹袋を漁るビシュテンゴ亜種に、ヒビキがナギのランスを手に取り渾身の力で投擲。まっすぐ飛んだランスは松ぼっくりを取り出して振りかぶったビシュテンゴ亜種の翼に突き刺さり、背後の壁に縫い止める。

 

 

「ウキャッ!?」

 

「真・溜め峰打ち!」

 

「キャキャッ!?」

 

 

 目に見えて狼狽え、ランスを引っこ抜こうとするビシュテンゴ亜種に、逆手持ちした大剣を勢いよく顔面に叩きつけてスタンさせるマシロ。せっかくヒビキが作ったチャンスだ、無駄にするか!

 

 

「さすがだ猛き炎!私も負けてられないな…風車(かざぐるま)!」

 

「気炎万丈・昇竜笛!」

 

「竜撃砲…!」

 

 

 鉄蟲糸で繋がれた剣を振り回して目を回しているビシュテンゴ亜種の尻尾を切り刻み部位破壊するフィオレーネ。腹部に向けて回転させた狩猟笛を下から叩き込むことで腹袋の松ぼっくりを爆砕させるヒビキ。顔面にガンランスの切っ先を突きつけて高威力の砲撃を叩き込んでランスを引き抜くナギ。

 

 

「扇回移動、ヘビィボウガンパンチ改めヘビィナックル!」

 

 

 そして、ライトボウガンに繋がった鉄蟲糸で大きく弧を描いて滑走し、遠心力を乗せたヘビィボウガンの拳を、スタンから回復しこちらに気付いて口から火炎放射を繰り出していたビシュテンゴ亜種に、火炎放射を突き破りながら顔面に叩き付け、ノックアウト。キリモミ回転したビシュテンゴ亜種は岩壁に背中から激突し、力尽きて倒れ伏した。

 

 

「騎士たる者、日々の経験あるのみ。今日を糧としよう。…猛き炎、君達の型にはまらない戦い方は素晴らしかった。また共に戦おう」

 

「ああ、フィオレーネ。色々助かった。礼を言う」

 

「なにを言うバレット。こちらこそだ。素晴らしい一撃だった」

 

 

 フィオレーネと健闘を称え合う。実際素晴らしいハンターだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エルガドに帰還すると、提督がお茶を用意して出迎えてくれた。いや熱かったから本当に助かる。

 

 

「…一部始終をカムラの里の監視員から聞いた。皆、ごくろう」

 

「カムラの里の監視員は何て言ってたの?提督」

 

「相変わらず見ていて気持ちよい狩りだったと聞いている。どういう狩りか何時かじかに見たいものだな。…さて、例のビシュテンゴ亜種だが王域生物もしくはそれに準ずるものの影響を受けて大社跡に現れたのは間違いないようだ」

 

 

 マシロの問いかけに律儀に応えてくれる提督。悪い人じゃないな、不器用なだけだこの人。…今気になるワードが聞こえたな?

 

 

「王域生物はメル・ゼナやルナガロンだと聞いているが準ずるものとは…?」

 

「それらに匹敵する正体不明の何かだ。各地で巨大な足音だけが聞こえる謎の存在がいるとの報告も受けている」

 

「謎の存在…」

 

 

 初耳だ。巨大な見えない何かが各地に出没している…それが「深淵の悪魔」か…?

 

 

「王域生物の発見と狩猟。そして拡大の阻止が急務だ。報告によると王域三公の痕跡は見つけて現在捜索中だ」

 

「王域三公はいずれも手強い。エルガドの団結が欠かせません。猛き炎、君達ももちろんエルガドの仲間だ。頼りにしている」

 

「いやあ、それほどでも」

 

「頼られると悪い気しないね」

 

「だな」

 

「任せてくれ」

 

 

 フィオレーネの言葉に頷く。猛き炎、エルガドの仲間、か。…フリーだったときが思い出せないぐらい、かけがえのない仲間ができて行くな。今度は絶対失ってなるものかと拳を握るのだった。




謎の存在現る。巨大な足音だけを鳴らし、姿を見せない。一体何者なんでしょね。

掲示板でも考察いっぱい。実は一番勘が鋭い帝丹小学校6年生。

新必殺技、ヘビィボウガンパンチ改めヘビィナックル完成。旋廻移動を利用して遠心力を溜めての一撃はとんでもない威力です。シールドも付いてるから防ぎながら殴れるっていう。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【深淵の悪魔?】新たな因縁【奇しき赫耀】

どうも、放仮ごです。UA40000突破、ありがとうございます。これからも頑張らせていただきます。【急募】狩猟笛の正しい使い方サンブレイク編のメインモンスターがついに登場。ライズ編のマガイマガドに当たります。

今回は再び現れた奇しき赫耀のバルファルク戦。再びと言っても前のはマガイマガドに喰われた個体のことですけど。楽しんでいただければ幸いです。


 俺達は砂原に来ていた。モンスターハンターライズの裏ボス、古龍バルファルクの特殊個体である奇しき赫耀のバルファルクを狩猟しにきたのだ。二刀流ばかりの俺達の中で武器一つだけを用いるヒビキだったが、二つあれば単純に二倍強くなるんじゃねと言うことで現状最高クラスの攻撃性能を誇る「龍天笛ホルマゼンタ」を作るべく、ちょうど姿を現したらしい「大地を災厄に陥れん」と古文書に記される絶望の凶星を叩き落としてくれというフゲン殿からの要請を受けて、各地を飛び回っている奴を追ってここまで来たわけだ。

 

 

「古龍かあ。ナルハタタヒメ以来だね!」

 

「規格外な強さを持つらしいから要警戒だな」

 

「…バレット、地図はどう?」

 

「ああ、元気に飛び回ってるよ。まるでワープだな」

 

 

 ナギがこそこそと話しかけてきたことにそっと答える。視界端のマップ画面では「?」がすごい勢いでマップを縦横無尽に凄まじい速度で移動していた。奇しき赫耀のバルファルクはエスピナスの時も語った通り、とんでもない強さ、なにより速さを誇る古龍だ。通常個体はモンスターハンターダブルクロスにメインモンスターの一体として登場、その際もまるでジェット機と言わんばかりのフォルムと飛行速度を見せて人気も高い。

 

 最大の特徴は変幻自在の翼脚。音速で飛ぶための翼としても凄まじい勢いで伸びる槍としても活用できる変形機構を有している。そして胸部に空気を吸い込んで生成する「龍気」と呼ばれるエネルギーを用いることも忘れてはならない。特に一度空に飛び立ち、超高速で落ちてくる「彗星」攻撃はとてつもない威力を誇る。

 

 奇しき赫耀のバルファルクは龍気に飲み込まれて暴走状態のバルファルク、だったはずだ。本来超高空域にしか姿を現さず地上に現れるのは千年周期らしいのだが、暴走状態となったことで目に映るものを手当たり次第に攻撃するほどに凶暴化。固定砲台となって放つ極太ビームは度肝を抜いた記憶がある。

 

 

「あ、オロミドロだ。砂原にもいるんだね」

 

 

 砂原では貴重な水源に来ると水浴びしているオロミドロを見つけてそんなことを言うマシロ。そうだな、と頷こうとすると見慣れない文字が視界右に浮かび上がった。「襲撃」…?まさか!耳を澄ませば聞こえてくる、あの特徴的な飛行音。

 

 

「みんな、飛び退け!」

 

「「「え?」」」

 

 

 咄嗟に呆けて動けてなかったマシロを抱えて跳躍。ナギとヒビキも同時に跳躍した瞬間、一瞬で空から急降下して現れた赤い燐光に包まれた漆黒の鋭利なフォルムの古龍がとんでもない衝撃波と共にオロミドロを叩き潰していた。こちらを向いて咆哮を上げ、臨戦態勢を取る、目に入った物全てを叩き潰すその凶暴性は間違いなく、奇しき赫耀のバルファルク…!実物を見れた感動も凄いがそんなことを言ってる場合じゃない。

 

 

「油断するな!」

 

「こいつがバルファルク…かっこいいけど、なんか怖い…」

 

「淵虎竜の大技と似ていたな…」

 

「多分真似てるのは淵虎竜の方だと思うな!」

 

 

 キュイーン!という何かを溜める音と共に、ジェット噴射で突撃してきたバルファルクの突撃をランスに取り付けたシールドで防いで吹き飛ばされるナギ。着地したところにマシロが大剣を尻尾に振り下ろすが、瞬時に変形した翼を一回転することでぶつけられて転がり、振打を叩き込もうと振りかぶっていたヒビキに目ざとく翼を叩きつけてダウンさせるバルファルク。一瞬のうちに三人が蹴散らされた…!?

 

 

「この!」

 

 

 狙撃竜弾を放つが、空に舞い上がられることで回避され、龍気が放たれそれは赤い稲妻と共に爆発。シールドで防ぐも、バルファルク自身の突撃を受けて無様に転がる。つ、強い…だが!

 

 

「エルガドで作った装備のおかげか割と耐えられてるな…!」

 

「うん、軽傷!」

 

「吹っ飛ばされてぶつけた頭が痛いけど!」

 

「生きてるなら俺達の勝ちだ!」

 

「キュアアアアアッ!」

 

「させない!」

 

 

 翼を前方に変形させて固定砲台となり、エネルギーを溜めて極太ビームを放ってくるバルファルクに、シールドタックルで真正面から龍気を受け止めながら突撃するナギ。そのままガンランスを頭部に突き刺して竜杭砲。頭部で爆発した杭に怯んだバルファルクが空気を胸部に取り込み始め、太刀も抜いて二刀流になったマシロがグルングルンと太刀と大剣を手に大回転して連続で斬撃を叩き込んだ。

 

 

「ひっさーつ!金剛大車輪斬り!」

 

 

 すると胸部の龍気が暴発。大きく怯んで転倒するバルファルク。マシロとナギは尻尾を部位破壊しようと重点的に攻撃。俺は突進しながらヘビィボウガンに貫通弾Lv.3をセット。鉄蟲糸を前方に伸ばして引き寄せられ滑走しながらヘビィボウガンを、奴の身体が一番長くなるポイント…鼻面に叩き込んで右腕で引き金を引く。

 

 

「貫通ヘビィナックルファイア!」

 

「キュアァアアアッ!?」

 

 

 貫通弾がまっすぐ全身を突き抜けて行き、さらにヘビィナックルを真面に受けたことでスタンするバルファルク。

 

 

「新技…!」

 

 

 すると狩猟笛に括りつけた鉄蟲糸を付けた翔蟲を飛ばして動けないバルファルクを雁字搦めにするヒビキが狩猟笛を立てて演奏。バフを発生させながら溜めて行った衝撃を、最後に纏めて鉄蟲糸に叩き込み、衝撃が伝った鉄蟲糸は斬撃属性のダメージを発生させてバルファルクの全身を切り刻み、同時に尻尾も斬り落とした。

 

 

「キュアアアアアンッ!?」

 

「音撃斬・共鳴!」

 

「うわ、えぐっ」

 

 

 音の振動を利用した斬撃だから古龍の皮膚すら貫くのはやべえ。技づくりの天才かヒビキ、俺にもなんか考えてくれ。

 

 

「キュアァアアアッ!」

 

 

 ボロボロのバルファルクは何とか立ち上がり、回転して変形した翼で俺達を薙ぎ払う。そして全身を紅く滾らせたかと思えば衝撃波と共に一瞬で飛び立っていった。

 

 

「逃げた…!?」

 

「いや、これは…バレット!」

 

「ああ、ナギ。「襲撃」だ…気を付けろ!」

 

「なるほど、マガイマガドのアレと同じか。ならば擬似・特殊納刀…!」

 

「「「え?」」」

 

 

 慌てて高台に退避しようとする俺達三人を余所に、一人だけ残り居合の構えをするヒビキ。淵虎竜との決戦がフラッシュバックする。だけど、抑止力はもう…!手を伸ばした時、空で大きく弧を描いた紅き彗星は落ちてきた。

 

 

居合抜笛(いあいばっぴょう)気炎旋律…打打打打打(きえんせんりつ だだだだだ)!!」

 

 

 クルクルクル!と気炎の旋律を奏でるようにしながら居合の如く高速で振り抜き、振り抜いた勢いでまた居合の構えを取り振り抜き、を五回連続高速で繰り返してバルヴァルクと激突。五回目の振り抜きでバルファルクを殴り飛ばし、地面に叩き付けた。

 

 

「一回で足りなきゃ足せばいい。今だ!」

 

「新技ァ!大!回!転!真!溜め!斬りィ!」

 

 

 グルングルンと大剣を振り回して独楽のように回転したマシロが肉薄。ギャリギャリギャリと斬撃を浴びせながら遠心力を溜めて一撃を叩き込み、翼を部位破壊するマシロ。

 

 

「バレット、掴まって!ブラストダッシュ!」

 

「うおおっ、合体技か…!」

 

 

 ランスをしまったナギがガンランスを片手に持って俺に鎧を掴み、ぶっ放して空を舞う。飛ばされながら狙撃竜弾を装填した俺は、ナギに叩きつけられる形でバルファルクの顔面に上から叩きつける。

 

 

「ブラストヘビィナックル!」

 

「キュアアアン!?」

 

 

 バルファルクは殴り飛ばされ、さらに炸裂していた狙撃竜弾が爆発。エネルギーが霧散していき、バルファルクは崩れ落ちたのだった。

 

 

「古龍、敗れたり」

 

「さすがヒビキ!」

 

「…抑止力戻ってなくてこれかあ」

 

「さすがヒビキとしか言いようがないね」

 

 

 言いながら死骸から素材を剥いでいく。ここには塵魔帝もいるんだ、出くわす前に取れるだけとって帰ってあとは回収班に任せよう。取れるだけ取り終えて一息ついていた時だった。

 

 

「?」

 

 

 一瞬、風景が動いた気がした。特に違和感のなかった風景がそのまま、移動して違和感のない風景に切り替わったのだ。なんとなしにじっと見ていたから気付けた違和感。それが、近づいてくると共に音が聞こえてくる。一瞬だけ違和感ある風景のシルエットはとてつもなく巨大で山が動いている様だった。

 

 

「…みんな、ここから離れた方がよさそうだ…」

 

「なんで?」

 

「塵魔帝の痕跡でも見つけた?」

 

「いや、この足音は…まさか、バレット!」

 

「そのまさかだ…正体不明の巨大なナニカって奴だ…!」

 

 

 それはまっすぐとこちらまで歩いて来たらしい。ズシンズシンと言う足音を響かせ、のっそりと動く風景。一瞬だけ歪んだところがまるでなにもなかったかのように修正するのを繰り返す。細長い足をいくつも動かして歩くその巨体のシルエットは、近づけばはっきりとわかる。巨大な、蜘蛛。サイズは淵虎竜に近い。

 

 

「っ!?」

 

 

 突如、虚空から煌めく何かが伸びてきて俺を拘束する。それは良く見れば鋼色の糸。光沢が風景を鏡のように映している。これを使って姿を隠した巨体で各地を回っていたってことか…!

 

 

「おらあ!」

 

 

 マシロが糸を断ち切ってくれて解放されると、巨大なナニカは足を振り下ろしてきて、それはナギが盾で防御。ヒビキが跳躍してそれの顔と思われる部分を殴りつけるとそれの全身に巻き付いた糸がほどけて行き、姿を現した。

 

 

「こいつは…!?」

 

「ヤツカダキ…!?」

 

「いや、それにしては…」

 

「でかい…!?」

 

 

 姿を現したのは鋏角種の大型モンスター、俺が今使っている妃蜘蛛派生のヘビィボウガン「ルスタ・ド・フィネラ」の素材元である妃蜘蛛ヤツカダキそのものだった。だがサイズが桁違いで、蒼い体色で銀色の鋼の様な糸で花嫁装束の様に覆っており、折りたたんでいる首を持ち上げて俺をじっと睨んでいる。…もしかして、このヘビィボウガンのせいか?

 

 

「キシャアアアアアアアッ!」

 

 

 咆哮を上げた巨大ヤツカダキが土がこびりついている糸に覆われた腹部を震わせる。するととんでもないことが起きた。本来なら幼体のツケヒバキがいるはずのそこから、通常サイズのヤツカダキがわらわらと大量に出てきたのだ。ざっと数えて10体以上いる。

 

 

「なあ!?」

 

「きもちわるっ!?」

 

「ヤツカダキのマザーってことか…!?」

 

「さすがにこの数は…!?」

 

 

 ヤツカダキに取り囲まれ、背中合わせに構えて迎撃する俺達。マシロが大剣で触覚を弾き、ナギが火炎放射を防ぎつつ突き刺し、ヒビキが殴り飛ばし、俺はひたすらに撃つ。無理だ、こんな大量の大型モンスターを同時に相手できるわけがない…!すると巨大ヤツカダキは俺達をヤツカダキたちに任せると、バルファルクの死骸に首を伸ばすと糸を伸ばしてグルグル巻きにすると引っ張り上げ、自分の腹部にくっ付けた。ああやって餌を集めるために各地を回ってるってことか。いやそんなこと考えている場合じゃない。

 

 

「くそっ、くそっ、くそっ!」

 

 

 ヤツカダキたちに一斉に糸に巻かれて四人纏めて拘束されてしまいじりじりと追い詰められる。こんなところで終わるのか、こんなところで…!するとマップからバルファルクが消えたのと入れ替わりに出てきたアイコンがあった。というか地図、ヤツカダキのアイコンだらけで気持ち悪いな!?

 

 

「グオアァアアアアッ!!」

 

 

 咆哮と共に突如発生した砂嵐が吹き荒れる。それは刃の様に俺達を拘束している糸を切り刻んでヤツカダキたちを切り刻み、慌てて巨大ヤツカダキの腹部に戻って行く。そして砂嵐の向こうから現れたのは、金色の巨体に銀色の角を持つ角竜。塵魔帝ディアブロス…!?砂原を支配する外天種…!

 

 

「グオアァアアアッ!!」

 

「キシャアアアアッ!!」

 

 

 咆哮を上げ、威嚇し合う両者。ヤツカダキの方がはるかにデカいがディアブロスも迫力は負けてない。これをチャンスと見て俺達は無言で頷き合い、向こうが見えない砂嵐の中をゲーム画面の地図を頼りにかき分けて逃亡。「縄張り争い」という文字を見ながら背後で激突する音を聞こえてきて、思わず振り向けば塵魔帝の全身に取りついて牙を突き立てる大量のヤツカダキが見えて。それを眺める巨大ヤツカダキと視線が合ってしまい、恐ろしくなって必死になって逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 命からがら逃げかえったエルガドで提督に伝えると神妙な顔で頷いた。

 

 

「…報告ご苦労。恐らくそのヤツカダキが各地でモンスターを攫う正体不明の存在で確定だろう。正体がわかったのはでかい。我々は特殊個体と定め、大地母蜘蛛(だいちぼぐも)ヤツカダキと呼ぶことにする。大穴との関連性も調査していくが……」

 

 

 大地母蜘蛛ヤツカダキ。ヒビキにとっての淵虎竜の様な感覚がある。ああ、認めよう。俺に再び仲間を失うのかと絶望を与えたあいつは………俺の、天敵だ。




※塵魔帝はこっぴどくやられたけどなんとか生き延びました

諸君。私は蟲が好きだ。愛してる。だからこの愛を以て証明する。蟲はかっこよくてかわいくて美しくて最高で最強なのだと(by別作品の主人公

蟲好き(現実のはあんまり好きじゃないけどメカニズムが大好き)なのにこいつをメインにしないわけがないよね。


・大地母蜘蛛ヤツカダキ
超巨大な鋏角種でヤツカダキが突然変異した特殊個体。今回のメインモンスターにしてバレットの宿敵。蒼い体色で銀色の鋼の様な糸を操る。最大の特徴は腹部に通常のヤツカダキを巣食わせていて、配下としている。普段は全身を覆う糸に鏡の様に風景を映して擬態することも可能。巨体を隠しつつ各地を巡り餌を集めている。大穴と関連があるらしく、深淵の悪魔と思われているが…?種族の繁栄を第一としており、ヤツカダキで作ったヘビィボウガンを有しているバレットは敵だと認識している。


ライズ編がヒビキ編ならサンブレイク編はバレット編って感じかな。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【大丈夫だ】大地母蜘蛛について話をしよう【問題ない(震え)】

どうも、放仮ごです。遅くなりました申し訳ない。

今回は久々の掲示板オンリー回です。楽しんでいただければ幸いです。

※07/31/0:54
さすがに皇冰龍と蛇王龍は不味いと言われたんでそれなりのに変更しました申し訳ない


・・・・・・・・

 

 

21:名無しのギルド所属ハンター>>1

とまあそんなわけでヒビキの「龍天笛ホルマゼンタ」を作る時にやべーやつと出くわしたって話でした

 

22:名無しのRS

いいよなホルマゼンタ。装備もそうだけど攻撃に全振りしてるの好き

 

23:名無しの日向家次女

奇しき赫耀のバルファルクは強敵だったね…

 

24:名無しの49人目のマスター

かっこいいよなバルファルク。奇しき赫耀のデザインほんと好き

 

25:名無しの鬼殺隊

現実逃避してないで対策練るぞ

 

26:名無しの転生者

でも悪夢過ぎるでしょ10体のヤツカダキを使役する巨大ヤツカダキって

 

27:名無しの霊媒師

じ、実際に見なくて本当によかった…

 

28:名無しのドンキンタロウ

あの塵魔帝を退けるなんてなあ

 

29:名無しの帝丹小学校6年生

古龍すら餌にするのは淵虎竜を思い出すわね

 

30:名無しのガンランス使い

あれとは別の意味で勝てる気しないよ…

 

31:名無しの魔導師

未だ本体の能力も未知数だからな

 

32:名無しの塵魔帝

見事にボコボコにされた。本体もかなり強いぞ

 

33:名無しのギルド所属ハンター>>1

塵魔帝!?無事だったのか!なんでここに!?

 

34:名無しのくだん

>>33

あっちのスレに行って連れて来たよ

 

35:名無しの転生者

さすがくだんニキ仕事が早い!

 

36:名無しのRS

人外関係はもはや一任だな!

 

37:名無しの日向家次女

無事でよかった。共闘してるから心配してたんだ

 

38:名無しの塵魔帝

面目ない。古龍にも負けない自信があったのだが……まさか淵虎竜以外に勝てる気がしない奴がいるとは思わなかった

 

39:名無しの霊媒師

確か刃になる砂嵐を操れるんでしょ?むしろ的がでかいから楽勝だと思ったのだけど

 

40:名無しの鬼殺隊

制圧力なら一番強いと聞いたが

 

41:名無しの塵魔帝

いや、奴を倒せる助けになると思うから開示するが…あの糸の装甲、アホみたいに硬いぞ。傷一つついてなかった

 

42:名無しのガンランス使い

>>41

なんて?

 

43:名無しの転生者

>>41

え、外天種が傷一つ付けられなかかったとか冗談だよな?

 

44:名無しのドンキンタロウ

そいつぁゴールデンすぎないか?

 

45:名無しの塵魔帝

冗談でもなく奴本体は難攻不落の要塞…いや、移動城塞だ。雑魚だけでもいくら倒しても回収して別のヤツカダキが溢れ出てくるんだからどうしようもなかった。砂原の王だと言うのに面目ない

 

46:名無しのガンランス使い

その雑魚が成体のヤツカダキってことも問題なんだよねえ…ゲームでも最大大型三体じゃん?それが10体だよ?無理ィ!

 

47:名無しのギルド所属ハンター>>1

なのに本体も強いって反則過ぎる…

 

48:名無しの49人目のマスター

あれだな、うちの世界で言うティアマトだ

 

49:名無しの転生者

>>48

それだと完全に勝ち目がないのですがそれは

 

50:名無しの塵魔帝

ぶっちゃけ俺もティアマト思い出した。本体が難攻不落で出す雑魚も強いのまさにそれだわ

 

51:名無しの帝丹小学校6年生

なんなの?そのティアマトって。そんなにヤバいの?

 

52:名無しの転生者

説明しよう!Fate/Grandorderに登場する人類悪ビーストの一体で古代メソポタミア神話創世の神のひとりである大地母神、一言で言うと魔獣を無限に生み出す移動する生体工場。具体的な例を言うと目覚めてすぐに1億を超えるとある魔獣を生み出してプレイヤーを絶望させた。あと色々でかい。怪獣クラス。

 

53:名無しの魔導師

とある管理世界にも現れて管理局総動員で何とか対処したバケモンだ

 

54:名無しのくだん

偶然にも大地母蜘蛛って名付けられたヤツカダキはまさにそれだな。サイズはさすがにあれほどじゃないけどヤツカダキがツケヒバキみたいにくっ付いてるって十分に怪獣サイズ。

 

55:名無しのRS

マスターニキよくあれで生還できたな主人公でもないのに

 

56:名無しの転生者

FGO世界に転生したらあれがいるからみんな絶望するよね

 

57:名無しの49人目のマスター

そりゃ知ってたからな。牛若丸を死守して茨木童子をスカウトしたら幾分か楽になった

 

58:名無しのギルド所属ハンター>>1

俺も原作プレイして絶望した1人なんだけどそんなのと戦わんのならんの?

 

59:名無しの帝丹小学校6年生

FGO、FGO……もしかしてと思ったけどダウンロードできたからやってみましょう

 

60:名無しのG級太刀使い(復活)

復活したことを伝えようと来てみれば大変なことになってるみたいだな

 

61:名無しの霊媒師

>>59

「前世のスマホ」凄いね!?繋がってるんだ!?

 

62:名無しの日向家次女

って!ミクマリさん!復活したんだ!?

 

63:名無しの鬼殺隊

再起不能の重傷じゃなかったのか?

 

64:名無しのG級双剣使い

大火傷は何でか知らんけど淵虎竜倒した後から引いてったにゃ。お久しぶりにゃ

 

65:名無しのガンランス使い

ミクマリもエスラもおひさー。そっちはどう?

 

66:名無しのG級太刀使い

カムラの里が快適すぎて地獄見てる

 

67:名無しのG級双剣使い

同じく。あそこに療養に来てたアヤメさんの気持ちもわかるにゃ…

 

68:名無しの帝丹小学校6年生

そんなにいいところなのね。一度行ってみたいわ

 

69:名無しのドンキンタロウ

俺達は一度行ったけど砦しか見れなかったからなあ

 

70:名無しのRS

うさ団子食べたかったです(迫真)

 

71:名無しのG級太刀使い

とりあえずスレを遡って状況は分かった。私達も私達で厄介なのと戦うからすぐにはいけないが上層部に掛け合って救援に行けるようにする

 

72:名無しの魔導師

お前たちほどのハンターが厄介って何と戦ってるんだ

 

73:名無しのくだん

G級苦戦するってことは二つ名個体か古龍か…

 

74:名無しのG級太刀使い

今ラヴィエンテと戦う準備してる

 

75:名無しのG級双剣使い

うちはディオレックスにゃ

 

76:名無しのザビー

フロンティアァアアアアッ!?

 

77:名無しの転生者

>>74

>>75

フロンティアのやべーやつしかいねえ

 

78:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>74

>>75

えっとそれは……むしろこっちが救援に行かないとやばくないか?

 

79:名無しのガンランス使い

こっちもやばいっちゃやばいんだけどね。今もバハリって人捜してるし

 

80:名無しの帝丹小学校6年生

話が逸れてたから言うけど、結局大地母蜘蛛どうするのかしら?

 

81:名無しのRS

それな

 

82:名無しの鬼殺隊

まとめるぞ。超巨大で、各地を周っていて、擬態できて、全身の糸の装甲は凄まじい防御力のまるで城塞で、ヤツカダキを少なくとも10体使役できて(まだ出せる可能性がある)、外天種すら退ける、例えるならティアマトみたいな怪物…こんな感じか。

 

83:名無しの日向家次女

>>82

うーん、無理では?

 

84:名無しの霊媒師

>>82

真面目に考えるとカムラの里まで誘き寄せて百竜夜行のときみたいに迎撃する…?

 

85:名無しのドンキンタロウ

ハモンさんの力を借りてこっちも超巨大カラクリで立ち向かうとかどうだ!

 

86:名無しのガンランス使い

>>84

できればカムラの里に行かせたくないかなあ

 

87:名無しのくだん

>>84

百竜夜行ならぬ百蟲夜行だな!

 

88:名無しの49人目のマスター

ハンターの数を揃えるしかないんじゃないかなあ…

 

89:名無しのG級太刀使い

>>88

同感だ。現実的に考えるとそれしかないだろう

 

90:名無しのG級双剣使い

とりあえずエルガドにすぐ行けるようにするにゃ

 

91:名無しの魔導師

そもそもヤツカダキ以外にも王域三公がいるのを忘れてないか

 

92:名無しの転生者

逆に糸を剥げば頑丈な装備作れるんじゃね

 

93:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>91

そういやそうだ!?

 

94:名無しのガンランス使い

むしろそっちが本命だった!?

 

95:名無しの鬼殺隊

結論。ヤツカダキについては今は放置。こうではないか?

 

96:名無しの霊媒師

異議あり!…じゃない、異議なし!

 

97:名無しのRS

>>96

逆転裁判転生者なだけはあるな

 

98:名無しの帝丹小学校6年生

そうだ、誰かは忘れたけどFGOっていう暇つぶし教えてくれてありがとね

 

99:名無しの塵魔帝

そういや忘れてたがなんか糸の部分が紅く光ってた気がする

 

100:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>99

そういうのはもっと早く言ってくれ

 

 

・・・・・・・・




というわけで大地母蜘蛛のモチーフはFGOのティアマトとなります。名前の時点で察せた人も多かったと思われ。あと分かる人に分かるように言うとアトラク=ナクア(巨体とか体色とか)

次回はバハリさん登場。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【バハリは見た】この手の人間は大体有能【ヤブをつついて蛮顎竜を出す】

どうも、放仮ごです。FGO七周年見てたり某月の姫を引き当てて育成してたりでこんな時間になってしまいました申し訳ない。

バハリ登場。奴との遭遇。楽しんでいただければ幸いです。


 王域三公と正体不明の存在もとい大地母蜘蛛の痕跡を追って水没林に向かったのにまったく無関係のモンスターに遭遇し追われてるらしいバハリという研究員を救出してくれという緊急クエストを受けた俺達。しかしフィオレーネ曰く好奇心を人の形にしたような、研究にのめり込むと周りが見えなくなる変わり者らしく、アンジャナフから逃げながら痕跡を捜している異様な光景に出くわした。

 

 

「ひっひー!?ああクソッ、光蟲使った即席の閃光玉の効果すぐ切れやがるな!お?お?なんだまたハズレかよ、クソッ!」

 

「……なにあの人」

 

「変わり者とは聞いていたけど…」

 

「大型モンスターが傍にいるのに別の事に気を取られるとはな」

 

「とりあえず助けるぞ」

 

 

 とりあえず拡散弾を撃って気を引くとアンジャナフはこちらを向いて咆哮する。すると同時に俺達に気付いたバハリと思われる男が手を振った。

 

 

「ん?キミら、もしかして…おっ?おおお?」

 

「うわっ、危ない!?」

 

 

 マシロを押しのけるようにして俺達の背後に歩いて行くバハリ。アンジャナフがそれを見て追いかけてきたのでとりあえず殴りつけて怯ませるとヒビキとナギも続く。マシロはバハリがなにを気にしているのか気になった様で構えながらもそっちを向いていた。

 

 

「どうしたんですか?」

 

「ほぉ!これは興味深い!どうしたって、わからないのかい!?ここ!これ!」

 

 

 そういうバハリの足元にはでかくて重そうな引き摺った様な足跡があった。…なんかのモンスターの足だということぐらいしかわからない。

 

 

「わかるだろう!?」

 

「わかりません。ここは危ないのでとりあえず安全な場所に…」

 

「強烈な力で地面を抉り…なにかを引き摺った跡もある…結構広いな」

 

「危ない!?ここは危ないんですって!?」

 

 

 アンジャナフの放った火炎放射からバハリの手を引いて回避させるマシロ。

 

 

「おおっと、助かったよ。君達ひょっとしてカムラの里から来た助っ人のハンターさんたち?そう、あの淵虎竜を討伐した?確か名前は…そう、猛き炎だ!そうだろ?」

 

「そうですけどバハリさんあなた状況わかってます!?」

 

 

 マシロが度肝を抜かれている。なんてマイペースなやつだ。するとバハリは楽しげに頷くとアンジャナフそっちのけで足跡を観察し始めた。

 

 

「やーっぱり、そうだろう?知ってるかもしれないが俺はバハリ。モンスターの調査とモノ作りのエキスパートだ。よろしく」

 

「私はマシロです!でもよろしく言ってる場合じゃないんですって!?」

 

 

 バハリに飛びかかろうとするアンジャナフをナギがデュエルヴァインで引っ張り、そこにヒビキが顎をかち上げたところに貫通弾を叩き込む。もうバハリはマシロに任せて俺達はこっちに集中しよう。

 

 

「さて、この跡だが…間違いない、ガランゴルムだ。この辺りに現れたんだ」

 

「ガランゴルム…?それって確か」

 

「王域三公の一体、剛纏獣だ。とはいえ、あまり縄張りを離れないと言われているガランゴルムがこんなところに現れるって言うのは…なにかが起きている、かもしくは」

 

「もしくは?」

 

「なにかを追いかけて来たかってことだ。こりゃあ調べて置かない手はない」

 

 

 そう言ってバハリがこりずに跡を調べようとしゃがんだ時だった。

 

 

「危ない!」

 

 

 それに気付いたのはふと背後に振り返ったマシロだった。ブオンッと風を切って吹っ飛んできた巨体から、バハリを掴んで翔蟲を使ってその場を飛び退く。ドゴシャアッと地面に激突してなお勢いは殺せず滑走しアンジャナフに横から激突してダウンさせたそれを見たバハリが驚いた顔をした。

 

 

「なにかと思えばガランゴルム、だって…!?」

 

「なに!?」

 

 

 緑色のゴツゴツとした苔むしたかの様な甲殻で覆われた猿やゴリラのような重厚かつ強靭な身体が特徴的な巨体で、右腕に溶岩のように溶けた岩石を、左腕にみずみずしい苔を纏わせている牙獣種であろうモンスターが立ち上がって自分が吹っ飛んできた方向を睨みつける。見てみるがそこにはなにも……いや、このデジャヴは…!

 

 

「ナギ、ヒビキ、マシロ、バハリ!隠れるんだ!」

 

 

 そう言うなり瞬時に木々や岩陰に隠れる俺達。バハリは離れたくなさそうだったがマシロが無理やり横になってる丸太の陰に引きずり込んだ。そして、それはズシンズシンという足音と共に何もない木々の間に足跡を付けながら、擬態を解いて姿を現した。

 

 

「大地母蜘蛛…」

 

 

 息を呑み全力で隠れる。大地母蜘蛛は鋏角と呼ばれる顎をカチカチと鳴らして周囲を見渡し、己に突進してきたガランゴルムを文字通り一蹴するとアンジャナフを見つけて歩み寄った。折りたたんでいる首を伸ばしてダウンしているアンジャナフをじろじろと観察する大地母蜘蛛はなにかを確かめるように大きな節足でつんつんとつついた。

 

 

「グオアァアアっ!」

 

 

 その衝撃によりアンジャナフはダウンから立ち直るなり、口から炎を溢れさせて大地母蜘蛛の顔に向けて放射するも、銀色の糸には燃え移らないどころか焦げ跡すら付かず、大地母蜘蛛が頭上まで振り上げて振り下ろした節足に喉仏を貫かれてあっさりと絶命。糸に巻かれてグルグル巻きにされてしまう。

 

 

「あのアンジャナフを一撃で…」

 

 

 あまりにも一方的な攻防に戦々恐々していると、引っくり返っていたガランゴルムが立ち上がり右腕の溶岩を爆発させて跳躍。大地母蜘蛛の首に馬乗りになるとその頭部に水を纏った左腕の拳を叩きつけてから連続でタコ殴りにする。

 

 

「ガランゴルムはあいつに縄張りを荒されてここまで追いかけて来たのか…」

 

 

 バハリがそんなことを言っているのが聞こえる。しかし猛攻を与えるガランゴルムだが、糸で頭部を覆っている大地母蜘蛛は全く意に介しておらず、煩わしいと言わんばかりに首を伸ばして頭突きを頭部に浴びせて怯ませるとカチカチと顎を鳴らし、腹部からわらわらとヤツカダキがたくさん登場。

 

 

「「「キシャアアアッ!」」」

 

 

 ガランゴルムに数体がかりで飛びかかって引っ付き噛み付こうとするが硬い皮膚には歯が立たず、ならばと火炎を放出して火達磨にすると、引き摺り下ろす様にしてガランゴルムを地上に叩き落した。そのまま水没林に着地し、眺めながらカチカチと音を鳴らす大地母蜘蛛に従うようにガランゴルムを壁際に追い詰めたヤツカダキ五体は一斉に糸を放出してガランゴルムを拘束。引っ張って土下座させるように地面に頭から叩きつける。

 

 

「キシャア!」

 

 

 すると大地母蜘蛛が折りたたんでいた首を伸ばしてその牙をガランゴルムの首筋に突き刺す。すると紅い光が胴体の一部で小さく輝いたかと思えば表面から糸を伝うようにして頭部に移動、ガランゴルムになにかが注入される。なにをしてるんだ…?

 

 

「ウガァアアアアッ!」

 

 

 するとガランゴルムは悶え苦しんだかと思えば糸の拘束を引きちぎり咆哮。その圧にヤツカダキたちは大地母蜘蛛の胴体に戻って行き、ガランゴルムは理性があった先程までとは異なるように獰猛に光らせた瞳で大地母蜘蛛を睨みつけると再び右腕を爆発させて跳躍。首を伸ばして振り回してチェーンアレイの様に頭突きを繰り出した大地母蜘蛛の一撃と左拳を空中で激突。弾かれると何かに堪えるように四つん這いでその場を去って行ってしまった。

 

 

「…何だったんだ今の」

 

 

 思い出すのは塵魔帝ニキの言っていたこと。糸の一部が紅く輝いていたって今の奴か?すると大地母蜘蛛は改めて糸を口から伸ばすとアンジャナフの簀巻きに括りつけて引っ張り上げ、遠心力で胴体にくっ付けると気がすんだのか再び周囲の風景に擬態し、足音を鳴らしながら去って行った。十分離れた所で五人全員で顔を見合わせ集まる。

 

 

「…九死に一生を得たな」

 

「まさかヤツカダキが生息しない水没林にまで出てくるなんて…」

 

「でもガランゴルムが暴れてる原因っぽいのは見れたな」

 

「バハリさん、ひやひやしましたよ…なにしてるんです?」

 

 

 マシロが尋ねたので見てみると、バハリは先程豹変したガランゴルムに引きちぎられた糸の欠片を回収して大事そうにケースにしまいながら笑って見せる。

 

 

「…今回の異変なんだがな。さっきのあれを見てピーンときた。こいつを持ち帰って研究すればなにかわかるかもだぜ」

 

 

 …やっぱり優秀だな?こいつ。




ガランゴルムもこういう感じにルナガロン見たく顔見せしてから戦えばあんな影が薄くならないんじゃないかなって。

前回のとあるシーンが「ここすき」されてて気付いていた人もいたんだなって。色々見えてきた大地母蜘蛛の生態。この時点でこいつがどういう存在なのか気付いた人もいることでしょう。ティアマトがモチーフなだけあってケイオスタイドを思わせる要素もあります。

バハリは多分アンジャナフに襲われながらも研究を優先すると思うんだ。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【やはり天才か】採取クエストもたまにはいいよね【油断大敵】

どうも、放仮ごです。昨日の投稿したあとFGOで月姫二人目とガラテアさんとクィリナス引いて育成に時間費やしてました。月姫育てて思ったけどでかい蜘蛛でやべー奴は型月にもいたなあって思ったり。

今回はバハリの大地母蜘蛛考察。そして新たな脅威。


「よーっす、フィオレーネ。提督。喜んでくれ、成果があったぜ」

 

 

 護衛しながら連れ帰ったバハリはエルガドに到着するなりそう笑顔で手を振った。すると提督とフィオレーネは溜め息を吐く。

 

 

「…バハリ。てっきり猛き炎の皆を無視して研究を続行すると思っていたのだが、珍しいな」

 

「あ、フィオレーネさん。この人アンジャナフと私達が戦ってる横で研究続行してました」

 

「おいおいマシロちゃん?そいつは黙っていてくれてもよかったんだぜ?」

 

「散々無視した仕返しです」

 

 

 頬を膨らませてちくったマシロの言い分にうんうんと頷く俺達。焦るバハリ。こめかみをピクピクさせるフィオレーネ。溜め息を吐く提督。

 

 

「…無謀だな、バハリ。それで、成果とは?お前が帰ってくるということは相当なものを見つけたのだろう?」

 

「ああ、成果は上々だ。恐らく王域三公の凶暴化には大地母蜘蛛が一枚噛んでいる。なにせガランゴルムに直接なにかしていたのを見たからな」

 

「なんと、ガランゴルムが水没林に…!?」

 

「俺達も確認しました。恐らく大地母蜘蛛に縄張りを荒されてそれに怒り追いかけて来たんだと思います」

 

 

 あの様子から推察できることを言ってみるとバハリが大きく頷いた。

 

 

「大地母蜘蛛の生態は見ていた限り大きく分けて二種類ある。直接出向いて殺したモンスターを捕縛する「餌集め」と、ガランゴルムに対して行った「モンスターの凶暴化」だ」

 

「凶暴化、だと…?」

 

 

 あの謎の行動か。何かを流し込まれてから凶暴化し、それまで拘束されていた糸を引きちぎるぐらいにパワーアップしていたな。

 

 

「悶え苦しんでいたことから恐らく強力な猛毒…神経毒の類だと推察できる。王域三公が獰猛になっていた原因は恐らくこの毒だ」

 

「大地母蜘蛛はなんのためにそんなことを?」

 

「これは推察だが……大地母蜘蛛の第一の生態「餌集め」これはモンスターの死骸もしくは弱っている必要がある。理由は多分、自分に巣食っている配下のヤツカダキ達が簡単に餌を摂取できるようにだろう。恐らく本質はハンターに近い。多数でモンスターを追いたてて弱らせ、仕留める。だがそのためにはモンスターを弱らせる必要がある…そのために使っているのがあの「モンスターの凶暴化」だ」

 

「他のモンスターを凶暴化させて暴れさせ、疲弊したところを襲う。そういうことか?」

 

 

 フィオレーネの問いかけに頷いたバハリは掌を広げて握り込む動作をした。

 

 

「まるで蜘蛛の巣の上に絡め取られたモンスターたちを掌の上で操り、己の網に引っ掻けて確実に貶める。姿を消せることといい、中々に悪辣な性格をしているな。人間並みの知能があると見ていい。戦い方もかなり理性的だった。間近で観察して気付けたことだ、これだからフィールドワークはやめられないねえ!」

 

 

 そう聞いて思い出したのはこの世界にはない彼の有名な推理小説に出てくる悪の権化である教授だ。脳裏に浮かんだのはFGOのアラフィフだが、確かにイメージは近い。ヤツカダキ達にガランゴルムを追い詰めさせてそれを後方で見てたのはまさにそうだ。

 

 

「それとこいつ。思わぬ収穫だ」

 

「それは?」

 

「大地母蜘蛛の糸?」

 

 

 大地母蜘蛛の糸の欠片が入ったケースを取り出したバハリは得意げに見せつけ叩くとコンコンと鉄を叩いたような音が鳴った。

 

 

「そう、大地母蜘蛛の吐き出した糸さ。ガランゴルムが凶暴化して拘束を引きちぎった時に運よく残ってくれた。で、帰還する時に軽く調べたんだけどこいつはやばい。今の音から想像つくと思うけど、下手な鋼鉄より硬い。マカライト鉱石を始めとした鉱石類の欠片が繊維として編み込まれて、心眼でも斬るのは難しい。糸を通して胴体に蓄えていた毒を流すこともできる繊細な造りになっている。これに捕まったらハンターじゃ逃げることは不可能だろうな。ガランゴルムは破ることで脱出したため、恐らく引っ張られる力には弱いと考えられる」

 

「うわっ」

 

 

 この世界に置けるダイヤモンドであるマカライト鉱石より硬いは洒落にならん。それを引きちぎったガランゴルムもやばいが。

 

 

「で、だ。ガランゴルムみたいな例は恐らく今回だけじゃない筈だ。提督、フィオレーネ。猛き炎の彼等を使わせてくれ」

 

「…お前の護衛にか?」

 

「バハリ、彼らはあくまで協力してくれているだけであってお前のわがままには…」

 

「いや、協力させてくれ」

 

 

 反論しようとするフィオレーネを手で制す。提督とフィオレーネとバハリを一瞥し、俺はチームメイトに確認すると頷いてきたので続けた。

 

 

「奴を倒す足がかりになるなら俺達はなんでもするさ。雑用でもな」

 

「そいつは助かる。そう、雑用なんだ。俺は今からこの糸の分析に取り掛かる。水没林と砂原の奴がいた痕跡は調査済みなんだが、大量に餌を集めている関係上、大地母蜘蛛は他の狩場にも赴いているはずだ。大社跡、寒冷群島、溶岩洞、密林。その四つの狩場で奴の痕跡…糸とか足跡、焦げ跡とかを探してほしい、というわけさ。それで活動域をある程度把握してどこを起点としているのかわかるかもしれない」

 

 

 なるほど、納得だ。奴の生息地域を知ることができたらある程度こちらも活動しやすくなるしな。

 

 

「…四つか。調査だけなら一人ずつでも何とかなるな」

 

「急ぎの様だし分かれるか。…大人びているナギはともかくマシロ、大丈夫か?」

 

「失礼な!一人前だって認めてくれたじゃん!」

 

「マシロを一人にするのは心配だよね…」

 

 

 四人で顔を見合わせ、頷くとフィオレーネが提督と何やら話しあってこの場を離れて行く。

 

 

「わかった。チッチェ姫にクエストとして手配してもらう」

 

「頼んだ」

 

「引き受けてくれるか!さすがは猛き炎だ!頼れるねえ!」

 

 

 バンバンと背中を叩いてくるバハリ。ちょっとうざい。

 

 

「普通のマガイマガドがいるかもしれないから大社跡は俺が行く」

 

「俺は密林だ」

 

「私は寒冷群島!」

 

「溶岩洞は私が行くね!」

 

 

 話し合い、それぞれが行くべき地域を決める。ヒビキが大社跡、俺が密林、ナギが寒冷群島、マシロが溶岩洞だ。密林は念のために地理に明るい(ゲーム画面でだけど)俺が行くことにした。何かやばいのがいてもすぐ逃げられるはずだ。決めるなり準備を整えてから出発する。ただの採取クエストだと安心しきっていた。この時はまさかあんなことになるとは思わなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後。翔蟲を駆使して密林を駆け回っていると気になるものを見つけた。

 

 

「にゃー、ご主人様こっちにゃ!」

 

「…これは…?」

 

 

 オトモガルクのダンガンに乗ったオトモアイルーのタマの呼びかけでやってきた密林の結構な高さの高台。そこに奴の足跡を見つけた。すぐ傍の押された様に曲がっている木から見てもここを歩いたのだろう。ここにも来るのか。反対側の高台にも移動するとそこにも足跡が。高台を経由しているな。高台の上から見下ろしてモンスターを攫っていたってことなのだろうか。

 

 

「足跡の深さから見てここで踏ん張ったらしいな」

 

 

 となると…この崖の下辺りに痕跡がありそうだ、と躊躇なく飛び降りて受け身を取る。あの高さから落下してもビクともしない我が体にもさすがに慣れた。と、飛竜の巣か?端に銀の糸がこびりついているな…ここで眠っていた飛竜も捕縛された、ということだろうか。

 

 

「引っかかってちぎれてるのを見るにバハリの考察は正しいみたいだな。引っ張る力には弱い」

 

 

 ナイフを手に取り、カリカリカリと時間をかけて削り取って行く。地図で大型モンスターがどこにいるか把握できる俺だからできる悠長な作業。だがなるべく丁寧に綺麗に削り、剥がしていく。これはいくつもの土地を巡って様々なクエストを行ってきたからわかるが、研究者にとって正確なサンプルと言うのはとにかく価値があるのだ。できるだけ綺麗に持ち帰ってバハリに恩を売ろうという魂胆である。

 

 

「ふふふっ…恩を売って専用の装備を作ってもらうんだ…」

 

「ご主人、みみっちいにゃあ」

 

「ワオン」

 

 

 うるさいぞそこ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マシロ!マシロ!しっかりして!」

 

 

 完璧なサンプルを手にエルガドに帰還するとなにやら慌ただしい。ナギの声?マシロがどうしたって?なんだなんだと人ごみをかき分けて声の下に来ると、担架に乗せられたマシロがナギに付き添われて運ばれているところだった。マシロは全身が切り傷だらけで血塗れで、頭から血を流し胸元に巻かれた包帯が紅く染まり荒い息を吐いている。

 

 

「マシロ!?どうしたんだ!?」

 

「バレット!私も、私もわからなくて…帰ってきたらちょうど運ばれてきたところでなにがなんだかわからなくて…」

 

 

 混乱している様子のナギが縋りついてきたので落ち着かせるために頭を撫でる。するとやってきたのは血塗れ…恐らくマシロの返り血…ながらも元は真っ白だったと分かるアイルーだった。

 

 

「バレット様、ナギ様、申し訳ありませんにゃ…」

 

「お前は確かマシロのアイルーの…」

 

「ユキと申しますにゃ。マシロ様を護れなかったどころか守られて…一生の不覚。なんとか応急処置してここまで帰ってくることしかできず…」

 

「いや、よくやった。おかげでマシロは今も生きている。…一体何があった?」

 

「…見た目を報告したら提督からは特定の住処を持たない外天種、極断刀(きわみだち)ショウグンギザミだろうと…」

 

 

 ユキによれば、通常より数倍大きい体格で触れる者すべてを斬り裂きそうなほど鋭角的な甲殻で背中に鉱石を大量に積み上げた甲羅を背負った、逆刃の太刀の様な鎌を持つショウグンギザミがマシロをあんな風にしたのだと言う。外天種、まだいたというのか。あの五体と淵虎竜以外にもいたとは…油断していた、ちゃんとギルドで調べておくべきだった。

 

 

極断刀(きわみだち)ショウグンギザミ…仲間をやられた恨みは覚えて置くぞこの野郎」




採取クエスト中にボス級に出くわした様な物である。マシロの戦いは次回にて。


極断刀(きわみだち)ショウグンギザミ
この小説作成に協力してくれている人考案の外天種。鉱石を食べて独自の甲羅を形成しているやべーやつ。マシロに遭遇して瀕死にした。詳しくは次回以降。


大地母蜘蛛についてバハリがかなり考察しました。大きく分けて二つの生態を持ち、ガランゴルムに流し込んでいたのは毒。その効果から正体もわかるかと。糸もかなり硬いという厄介揃い。

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【マシロが逝く】極断刀(きわみだち)ショウグンギザミ【太刀激突】

どうも、放仮ごです。FGOでやらかしてダウンしてましたがなんとか書けました。Fate/Ibという新作も出したのでそちらもぜひ。

今回はマシロVS極断刀。楽しんでいただければ幸いです。


 溶岩洞にやってきた私はすぐ側に溶岩が流れる地表を調べていた。あの巨体で歩くなら少なくとも地下の水脈洞窟には入れないと思ってのことだ。

 

 

「足跡らしきものはあるからここにも来てるんだなあ」

 

 

 そんなことをぼやきながら大翔蟲で溶岩を挟んだ反対側のエリアに飛んでいく。水が溢れる地下洞穴の真上だ。糸の残骸があるかもと辺りを見渡していると、地面がボコッと盛り上がりアイルーとガルクが飛び出してきた。どちらも真っ白な体色が特徴だ。

 

 

「ご主人、一通り走って来たけどやっぱり地下洞穴には痕跡らしきものはなにもなかったにゃ」

 

「ワウッ!」

 

「うん、お疲れ。ユキ、ヴァイス」

 

 

 私のオトモアイルーのユキとオトモガルクのヴァイス。チームで戦う時は基本お留守番だがソロでやる時は頼りになるオトモだ。私が上部を探っている間に念のために地下を探らせていたのだ。ちょうどいいのでヴァイスの背にユキと共に乗って西側上部を駆け抜ける。

 

 

「…うーん、糸の痕跡は全然見つからないなあ」

 

「ここら辺は大型モンスターもあまり来ないから、あるとしたらもう少し広い場所にあると思うにゃ」

 

「お、さすがユキ。じゃあ一回降りてみようか」

 

 

 ユキの助言を受けて地下洞穴に繋がっている水場にヴァイスを飛び降りさせる。ヨツミワドウとかティガレックスとかがたまに寝ている場所だ。今は何もいないようだが…うん?

 

 

「なにかな、あれ?」

 

「すごくキラキラ輝いている鉱脈塊にゃ!でもこんなところにあったにゃ?」

 

 

 いつもはティガレックスなどが寝ている場所に、いろんな色で複雑に輝く鉱脈が山の様に存在していたのだ。不思議に思いながらもピッケルを取り出して近づく。鉱石は装備を作るのにも重要だ。レアな鉱石が手に入るかもしれない。そう近づいたその時だった。

 

 

「っ!?ユキ、離れて!」

 

「ご主人様!?」

 

 

 殺気を感じて咄嗟に大剣を背中から抜いて手にしてガード。ヴァイスがユキを乗せて離れて行くのを横目にガギギギギギン!と硬い何かが連続でぶつかり、大きく弾き飛ばされて水場を転がされ、びしょ濡れになる。そこにあったのは異様な光景。三メートルを優に超える鉱石の山の両端から逆刃の太刀の様な物が天に向かって伸びていた。それは地鳴りと共にググンと伸びて甲殻に包まれた腕が現れ、鉱石の山の下からいくつもの甲殻に包まれた足が現れ、甲殻種のモンスターが姿を現して振り返る。殺意に満ちた黒い目がこちらを睨みつける。

 

 

「ダイミョウザザミ…?」

 

「あれは!なんか微妙に違うけどあのフォルムは、ショウグンギザミにゃ…!」

 

「ダイミョウザザミと違うの!?」

 

 

 ティガレックスなどの通常でも強力なモンスターを優に超える大きい体格で触れる者すべてを斬り裂きそうなほど鋭角的な甲殻に包まれ、背中に鉱石を大量に積み上げた甲羅を背負った、逆刃の太刀の様な鎌を持つダイミョウザザミみたいなやつ。ユキが言うにはショウグンギザミというらしい。

 

 

「ギシャシャシャッ!」

 

ジャキンジャキンジャキンッ!

 

 

 ショウグンギザミは特徴的な鎌をすり合わせてまるで砥石の様に砥ぎ、金色の輝きに包まれた両手の鎌を振り上げてきたので、こちらも大剣と太刀を構える。やばい、こいつはやばい。百竜夜行の時に感じた、外天種と同等の異様な力を感じる。あの砥がれた鎌は、不味い気がする!

 

 

「来い…!」

 

「ギシャア!」

 

 

 跳躍するショウグンギザミが左腕の鎌を縦に構えて急降下してきたので見切りで回避。大剣を振り上げて弾き、太刀の斬撃を叩き込むが体勢を沈めて低くして鉱石の甲羅で弾かれ、地面を抉り取るように右の鎌を振るってきた。大剣を地面に突き刺して受け止めるも、とんでもない衝撃で痺れる。

 

 

「ギシャア!」

 

 

 そのまま両手の鎌を振り回し、まるで気刃大回転斬りの様な軌道で刃が襲いかかってきたので、大剣を地面に突き刺したまま手放して太刀を両手に握り、防いでいく。なんだろう、これ。まるでたまに特訓に付き合ってくれた里長の様な、太刀だけに全てを捧げた生粋の太刀使いの動き…!

 

 

「まるでハンターみたい…!?」

 

 

 今度は二連抜刀の様な動きでガギィン!と、太刀が弾かれ宙を舞う。そのまま私の腹部を狙って横に振るわれた鎌に、咄嗟に太刀の鞘を手に取り上から刃の腹に叩きつけることで防御。そのまま走って地面に突き刺した大剣を手に取り、突進してきたショウグンギザミに対して引き抜いた勢いで叩き付けた。

 

 

「大地納刀・抜打激昂斬!」

 

「ギシャア!?」

 

 

 顔面を大きく斬り裂かれたショウグンギザミは怯んで後退。ブクブクと泡に包まれ再生されていく傷に目を向けて怒ったかのようにジャキンジャキンジャキン!と鎌同士をぶつけ合って砥いでいったショウグンギザミは甲羅の隙間から水流を噴き出して私を怯ませると、鎌で地面を掘り進んで地中に潜航、大地を隆起させて私の足元まで移動してきたので翔蟲で飛び退いて回避、同時に地面を突き破って回転しながら現れ、そのまま回転斬り。斬り裂かれた空気が刃の雨となって私に襲いかかり、全身を切り刻まれる。

 

 

「ああっ!?」

 

「ご主人!?こいつぅ!」

 

 

 水場に叩きつけられ、血が流れて行く。それを見たユキがヴァイスを駆って駆けつけ、ヴァイスにショウグンギザミの鎌を噛み付かせて自身はマガド製の槍を手に取り鉱石の甲羅に飛び乗り引っ付いて、下の甲殻を突き刺して爆発させていく。ショウグンギザミは鬱陶しがって身体を振るい、ヴァイスを水場に叩き付け、ユキを吹っ飛ばし、手にかけようと歩み寄って行く。

 

 

「させるかぁああああ!」

 

 

 大剣を右手に握り、走りながら太刀を回収。跳躍してグルングルンと振り回して何度も何度も鉱石の甲羅に後ろから叩きつける。金剛大車輪斬りだ。するとショウグンギザミは振り返るのと同時に鎌の刃じゃない方を頬に叩きつけてきた。殴り飛ばされて水切りの様に水場を転がって行き、岩肌に背中から激突してようやく止まった。手放してしまった大剣と太刀がその場を転がって行く。

 

 

「い、痛い…」

 

 

 今のが刃だったら死んでいた。そう確信するほどの衝撃だった。大剣と太刀を握りよろよろと立ち上がると、ショウグンギザミは天高く跳躍していて。

 

 

「っ!?」

 

 

 咄嗟に横に転がって避ける。その瞬間、太刀の兜割を彷彿とさせる斬撃が岩肌を叩き斬る。とんでもない切れ味だ。さっきから切れ味が一切落ちてない…まさか、剛刃研磨?

 

 

「こ、のおお!」

 

 

 全身から血が流れていつもの怪力が使えない。太刀を腰に納めて大剣を両手で握り、引き摺って疾走し、勢いよく振り上げようとする。しかしショウグンギザミは甲羅から水流を噴射して水場を滑走。鎌を振るいながらすれ違い、壁に激突しながら振り返る。掠った、だけ?一瞬のこと過ぎて振り上げられなかった、と思った瞬間。

 

 

「うあぁああああっ!?」

 

 

 掠った4か所に連続で斬撃が発生。装備ごと全身が切り刻まれ、さらには通常マガイマガドで作った大剣が同じように連続で斬撃が入って真っ二つに叩き斬られてしまい、私はその場に倒れ伏す。全身の鈍痛が凄い。急所を避けて、血が大量に流れるところだけを斬ってる…人体を理解しているんだ。それに今の技は……。

 

 

「桜花鉄蟲気刃斬…?」

 

 

 なんで、鉄蟲糸技の動きを完璧に……。ジャキンジャキンと鎌を擦り合わせて砥ぎながら、余裕の動きで歩み寄ってくるショウグンギザミ。私は何とか立ち上がり、回復薬をかけた右腕で一度抜いた太刀を特殊納刀する。もう体力がない、血を流し過ぎた。カウンターで奴の刃を叩き折るしか、ない!

 

 

「ギシャシャアッ!」

 

「うおぉおおおっ!」

 

 

 奴の斬撃に合わせて引き抜く、がしかし直前で奴の刃が止まる。フェイント!?と思った瞬間、既に振り抜いてしまった太刀に鎌を叩きつけられ、刀身を粉砕されてしまった。

 

 

「そんなっ…がっ!?」 

 

「ご主人!?」

 

 

 そして、呆然としていた私の腹部に突き立てられる鎌。突き刺されたまま持ち上げられ、こちらに駆け寄ってくるユキが今にも閉じそうな視界に入る。駄目、こっちに来たら……。そう、手を伸ばした瞬間振り回されて鎌が引き抜かれ、私は投げ出されて水場に叩きつけられる。どくどくと腹部から流れる血が現実を嫌でも実感させる。ああ、私、死ぬんだ。

 

 

「…太刀を失った、私には…もう興味がない、ってこと…?気に入らない、なあ……」

 

 

 そのまま私には興味もくれず背を向けて去っていくショウグンギザミに言いようもない怒りを感じながら、私は意識を手放した。




殺意が高い極断刀君。大体の方がお察しであろう通り転生者です。

・極断刀ショウグンギザミ
鉱石を食べて生み出した唯一無二の虹色の鉱石の甲羅を背負った、逆刃刀みたいな鎌が特徴のショウグンギザミの外天種。転生者であり、「永続剛刃研磨」という特典を持って転生したギザミと太刀が大好きな男。ひたすら生きるため斬り裂き続けたらテリトリーに入った物を見境なく斬り裂く凶暴な性格となった。たいていの相手は一刀両断できる。

こうしてマシロが一時離脱。次回から王域三公編です。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【まさかの弊害】狩猟中に余所見はやめましょう【暴走する怪力の化身】

どうも、放仮ごです。現在右足の親指を液体窒素で治療してるのですが、今度は昼寝から起きたら右脚の裏を家族の落とした裁縫用の針を踏んで突き刺さって血が流れるとかいう右足が呪われてるんじゃないかと思ってる今日この頃。

今回はようやく王域三公の一体との対決です。楽しんでいただければ幸いです。


極断刀(きわみだち)ショウグンギザミを追うなってどういうことですか提督!」

 

 

 マシロが一命を取り留め、目を覚ますまでエルガドで待機していた俺、ヒビキ、ナギ。ヒビキが奇しき赫耀のバルファルクから剥ぎ取った素材から作成した新たな狩猟笛「龍天笛ホルマゼンタ」を完成させて狩猟笛二刀流を試していたところに提督に呼ばれて駆けつけてみれば、開口一番伝えられたことに物申す。

 

 

「…追うなとは言っていない。奴は神出鬼没でどこにでも出没する、追跡は不可能だ。発見したら即報告するが、バハリから急報が入ったからそちらに対応してほしい」

 

「大地母蜘蛛の研究と並行して行っていた調査で、王域三公ガランゴルムを発見。追跡中とのことだ」

 

「…あの人研究の合間に調査もしてるんです?」

 

 

 ナギが呆れた様にそう言うとフィオレーネは苦笑する。

 

 

「バハリは自分の趣味を優先しながら仕事ができる奴だ、勘弁してやってくれ」

 

「バハリの報告では近隣の集落を襲いながら移動しているため、速やかに倒さねばならない。恐らく例の大地母蜘蛛の毒によるものだろう。王域生物が縄張り拡大し始めた理由を解き明かす足がかりにもなるかもしれない。大地母蜘蛛だけが原因ではないだろう」

 

「此度はマシロの代わりに私も同行する。王国の騎士として王域三公を貴殿等に任せる訳にもいかない」

 

「気にしなくてもいいのに」

 

「騎士と言うのはそういうものなのさ、ナギ。よろしく頼む。バハリのせいであんな重傷を負ったマシロの分まで使い潰してくれ」

 

 

 そう手を差し出してくるフィオレーネの手を握り返す。チームが一人欠けてたから助かる。

 

 

「…いやあれはバハリのせいじゃないです、俺達の責任だ」

 

 

 あんなショウグンギザミがいるのだと事前に調べてなかった俺のミスだ。少なくともバハリのせいじゃない。

 

 

「バレット。そう引き摺るな。マシロの分まで、やるぞ」

 

「ああ、ヒビキ。マシロに心配させるわけにもいかないしな」

 

「泣いてばかりじゃいられないもんね」

 

 

 ヒビキとナギの言葉に頷く。アイツの分まで、やりとげてみせるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 船でやってきたのは城塞高地。かつて城塞都市のあった場所が廃墟と化し、自然の一部となりつつある狩場。緑豊かな森林や寒冷地帯、崩壊した石造りの城塞で構成されている。ここの森林地帯がガランゴルムの本来の縄張りらしい。と、始めて来た狩場のマップを視界のゲーム画面で眺める。やっぱり雲に隠れて見えないな。モンスターもガランゴルム以外は?表示だ。三体いることぐらいしかわからない、が…ガランゴルムと?の一つがなにやら何度も接触している。これは…?

 

 

「…大型モンスター二体がぶつかっている気配がする」

 

「それは本当か?どっちだ、バレット」

 

「ああ、恐らくだが間違いないフィオレーネ。こっちだ」

 

 

 マップ情報を勘と言うことにして、扇動する。地図が次々と更新されていく中を突っ走っていく。そして道なりに広場の様に出た所で、俺達はそれを見てすぐ物陰に隠れた。同時に?が更新される。ダイミョウザザミのそれに似たアイコン。ショウグンギザミ、それも普通のじゃなく七色の鉱石の甲羅を背負った逆刃刀みたいな鎌の個体。極断刀ショウグンギザミだ。

 

 

「城塞高地にショウグンギザミが出るなど聞いたことないぞ…!?」

 

「あいつはどこにでも出没するって話は本当だったのか…」

 

「乱入する?」

 

「いや、あれは巻き込まれたら不味そうだ。決着を待とう」

 

 

 フィオレーネの驚きの声が上がり、ヒビキの案に全員頷き観察を続けるが、今にも飛び出したい衝動でいっぱいだ。アイツがマシロを……!

 

 

「ギシャシャッ!」

 

「グルオオオッ!」

 

 

 ショウグンギザミが鎌を振るい、ガランゴルムが刃を左拳で地面に挟み込んで押さえたところを溶岩を纏った右拳で殴りつける。鉱石の甲羅で拳を受け止めたショウグンギザミがもう片方の鎌を振るって牽制。ガランゴルムは大きく飛び退いて、ショウグンギザミは自由になった両鎌を太刀の如く振るいながら突進。拳に纏った苔や溶岩で刃を受け流しながら後退していくガランゴルムは防戦一方で。

 

 

「グルオオアッ!」

 

 

 するとガランゴルムが思わぬ手に出た。溶岩を纏った右拳を爆発させると跳躍してショウグンギザミの背後に回り込み、その両手でショウグンギザミの鎌…は触れたら斬れるとわかっているのかその付け根の腕を掴んで拘束した。

 

 

「ギシャシャアッ!?」

 

 

 暴れるがガランゴルムの怪力はビクともせず、そのまま何度もヘッドバットを甲羅に叩きつけられて本体が地面に押し潰され、足を押し付けられて腕を引っ張られるショウグンギザミ。そればかりか右腕に掴まれた腕は熱で焼かれていき怒号の様な咆哮が上がる。

 

 

「ギシャーッ、シャアアアッ!!」

 

 

 するとブチギレたショウグンギザミが無理やり関節を折り曲げて腕を振り下ろして鎌を引き抜き、その時掌を斬り裂かれたガランゴルムが後退。ぶつけ合わせて砥いだ鎌を横に構えたショウグンギザミがグルグルと高速回転して連続で斬撃を叩き込み、溶岩と苔に包まれた両腕でガードしていたガランゴルムだがガードを吹き飛ばされ、胴体の岩の様な肉体を切り刻まれていき、最後にはショウグンギザミが跳躍。兜割の様な急降下斬りを受けてガランゴルムに縦一文字の切り傷が走り、そのまま崩れ落ちた。

 

 

「ギシャシャシャッ…」

 

 

 ショウグンギザミはそれで気がすんだのか鎌を砥ぐと地面を掘り進んでその場をいなくなる。マップを見る限り地下に出たらしい。水脈でもあるんだろうか。

 

 

「…ガランゴルムが、倒されたのか…?」

 

「どうだろ、相当な大ダメージ受けたと思うけど」

 

「気絶はしてるみたいだが…」

 

「待て、近づくな!」

 

 

 俺がマップに気を取られている間にガランゴルムに近づく三人に気付いて慌てて呼び止める。ガランゴルムのアイコンはまだ、討伐どころか瀕死の表示も出ていない…!その瞬間、目を開いて両手を押し付けて地面から立ち上がるガランゴルムの怒りに囚われた瞳が俺達を見据えた。ショウグンギザミにやられた怒りも混じってるな…まるで、ヌシの様な覇気だ。

 

 

「グゴガァアアアッ!」

 

 

 咆哮と共に両手を地面に突き刺し、大人の男の等身大程はある岩石を飛ばしてくるガランゴルム。ナギが盾ランスで防ぎ、ヒビキが咄嗟にマガド笛で弾き飛ばすが俺とフィオレーネは退避。バラバラになった俺達に、拳の乱打を叩き込んでくるガランゴルム。一撃一撃で小規模なクレーターを作り上げて行くそれからなんとか避けていく。

 

 「怪力の化身」や「剛力の怪物」などとも評されるほどの剛腕の持ち主は伊達じゃないな。しかも殴りつけた傍から尻尾が触れた個所が緑に溢れて行く。体表から分泌される「体肥液」と呼ばれる黄土色の液体で植物の成長を促すとは聞いていたが、本来は大人しい気性なのも相まって無垢なる巨影と呼ばれてるのも納得だ。フィオレーネとナギの二人が盾で受け流している光景を見ながらその恐ろしさを痛感する。右腕に火属性を、左腕に水属性を纏っている。アンジャナフと戦ってた時にもしやと思ったが二属性持ちか。

 

 

「しかしまあ、火属性と水属性を同時に使ってくるとは…ヒビキ!」

 

「任せろ…!」

 

 

 ライトボウガンで貫通弾を撃って注意を引きながらヒビキに指示。背後から、専用のX型のホルダーに斜めに納めていたもう一本の狩猟笛…龍天笛ホルマゼンタを禍ツ琵琶ノ幽鬼ウラザと共に両手に構えたヒビキが跳躍。まるで双剣を扱うの様に打撃をその頭頂部から足まで叩きつけて行き、着地。繋げていた鉄蟲糸から、両手の狩猟笛をぶつけ合って演奏する離れ技で衝撃を与えるヒビキ。絶対狩猟笛の正しい使い方じゃねえ。

 

 

「ん?」

 

 

 俺も負けてられないとばかりに左腕のヘビィボウガンを右手に握ったライトボウガンと共に構えた時だった。マップのショウグンギザミがもう一体のモンスターである?と接触。激突し始めたのだ。好戦的とは聞いていたがここまでとは……

 

 

「なにをしている、バレット!」

 

「え?」

 

 

 フィオレーネの叫びに正気に戻る。すると目の前には突進してくるガランゴルムが。マップに気を取られて気付かなかった、この特典の弱点だなと痛感した直後。とんでもない衝撃が横から襲って、俺は宙を舞うのだった。




次回に続く。王域三公と外天種の縄張り争いでした。凶暴化したことで外天種とも張り合える強さになってるという。大地母蜘蛛の毒はなんなんでしょうね?

狩猟笛二刀流を披露したヒビキ。やっぱりこいつ頭おかしいです。

実はこのショウグンギザミと戦い始めた?モンスター、バレットは会ったことないけど既に登場しているモンスターだったりします。

最近ご無沙汰でしたが次回は掲示板要素入ります。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【急募】明らかにやべー蟹撃退方法【星雲龍】

どうも、放仮ごです。久々にモンスターサイド掲示板となります。前回の裏側が明らかに。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜

なんか寝てたらめちゃくちゃトゲトゲした蟹(多分)に襲われた件について

 

2:名無しの転生大海の王

いきなりどうした?多分って何

 

3:名無しの転生銀嶺巨獣

お前ほどの名高き実力者なら蟹程度軽く捻れるだろ

 

4:名無しの転生ドス狗竜

まさか蟹程度に後れを取る?古龍になれなかった奴は違うね

 

5:名無しの転生先生

>>4

きみ、その蟹程度にも勝てないでしょうよ

 

6:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

>>2

俺目が見えないから多分蟹

>>4

お前この世界で見つけたら優先的に殺すと決めたからな。

いやこの蟹異様に凶暴で強いんだが。静かでひんやりしてるから近くに城塞跡がある狩場の地下洞窟でお昼寝してたらなんでこんなことになるん?こちとらただでさえシャガルのクソ野郎のせいで脱皮できなくて寿命短いんじゃが?

 

7:名無しの転生千刃竜

その蟹どんなやつなん?

 

8:名無しの滅雷刃

待て心当たりがあるぞその蟹。虹色の鉱石みたいな甲羅背負ってないか?いや見えないんだったか

 

9:名無しの灼翼王

俺も心当たりがあるぞ。水を飲みに降りたら襲われたから火炎放射を浴びせてやった

 

10:名無しの転生傘鳥

おや「血塗れ幽鬼」のいた世界の猛者が続々と

 

11:名無しの転生轟竜

そういやゴアニキもその世界にいるっぽいって前の爆発云々で言われてたな

 

12:名無しの転生赤甲獣

もしかしてあいつかなあ、塵魔帝に喧嘩売って互角に渡り合ってたショウグンギザミ…

 

13:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

>>8

そいつだ多分。触覚で感じるシルエットがなんかごつごつしてる

>>12

こいつギザミか!その割に異様に強いが!

 

14:名無しの毒牢姫

たまに大社跡にも来て暴れたので毒で追っ払ったやつですかね

 

15:名無しの塵魔帝

ああ、あの時の……砂嵐をぶった切るから滅雷刃の仲間かと…

 

16:名無しの雪夜叉

ああ、あの蟹か。俺は面倒そうだから関わったことないが奇しき赫耀のバルファルクと居合みたいな動きで渡り合ってたのを遠目で眺めたりしたな

 

17:名無しの転生岩竜

なんだっけ、共闘してたハンター曰く外天種?全員と関わって生きてるとかその世界での悪名高くて草

 

18:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

外天種と互角って俺勝てなくね?

 

19:名無しの転生銀嶺巨獣

なにいってんだお前。渾沌に呻くゴア・マガラの戦闘力は折り紙つきじゃろがい

 

20:名無しの転生ドス狗竜

むしろ外天種の仲間でしょうよアンタ

 

21:名無しの転生大海の王

通常個体に生まれた俺達からしたら羨ましい限りだぞ

 

22:名無しの転生岩竜

まあ特典あるから通常個体かと言われたら微妙だが

 

23:名無しの雪夜叉

前世のトラウマだぞお前。今でも勝てるビジョンが浮かばないぞ

 

24:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

お前ら好き勝手言うけどなあ!?俺、生まれつき目が見えないのに古龍になれなかった上に寿命がクソ短いんだよ!?脱皮できなかった時の絶望わかります!?ただ近くに同種の勝ち組がいたってだけでこれだぞ!?その時点で負け組ですがなにか!?

 

25:名無しの転生先生

落ち着けイッチ。それはゴア・マガラに転生した奴しかわからないし人…モンスターそれぞれに悩みがある

 

26:名無しの毒牢姫

心中お察しします…私も転生特典が「毒の娘」だから生まれた時から両親を殺すわ同種からは避けられてボッチになるわで……

 

27:名無しの転生赤甲獣

強者のモンスターたちにも悩みがあるんですねえ

 

28:名無しの転生千刃竜

思ったよりゴアニキの現状が悲惨で泣ける

 

29:名無しの転生轟竜

>>27

毒牢姫はリア充だがな

 

30:名無しの転生傘鳥

ところでイッチの特典ってなんなん?

 

31:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

おん?俺の特典か。………なんだっけ?なんとか化とか言ってた気がする

 

32:名無しの塵魔帝

いや覚えてないんかい。重要だぞ特典は

 

33:名無しの灼翼王

俺みたいに他者依存の特典もあるが「○○化」なら自己強化系だな

 

34:名無しの滅雷刃

もしくはなにかに変わるタイプだな。一時的に変身するか、それか進化とか?

 

35:名無しの毒牢姫

それはそうとイッチさん大丈夫なんですか?

 

36:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

(大丈夫じゃ)ないです。めっちゃ刺されて斬られてる

 

37:名無しの転生岩竜

そんな目に遭ってるのに呑気に掲示板やってるのすげえわ

 

38:名無しの転生ドス狗竜

さすがというか頑丈やな

 

39:名無しの転生大海の王

古龍の幼体は伊達じゃないな

 

40:名無しの塵魔帝

よく生きてるな。あいつの鎌は相当な切れ味だったが

 

41:名無しの転生先生

ふむ?外天種と互角に渡り合うことからそのショウグンギザミも外天種に定められていると思うが…それで耐えてるのは異常だな

 

42:名無しの雪夜叉

同じ外天種に該当していたらしい血塗れ幽鬼が豪鬼ラージャンボコボコにしてたからな…

 

43:名無しの転生銀嶺巨獣

外天種俺でも比べ物にならないからなあ…

 

 

――「名無しの極断刀」が参加しました――

 

 

44:名無しの転生轟竜

ふぁっ!?

 

45:名無しの滅雷刃

んんん?

 

46:名無しの極断刀

久々に使うが至急知りたいことがあってここにきた。誰か目の前のクソしぶとい黒いクズの正体を教えろ

 

47:名無しの転生千刃竜

本人が来て草

 

48:名無しの灼翼王

>>46

お前鉱石の甲羅背負ってるギザミか?

 

49:名無しの転生先生

ここは貴方対策のための掲示板なんですけど気付きませんでした?

 

50:名無しの極断刀

知らん。とりあえず人がいそうな掲示板に来ただけだ。ちょうどいい、ここのイッチとやらについて教えろ。モンスターの癖して斬られて死なないこいつは転生者だろう

 

51:名無しの転生岩竜

なんというか傲岸不遜だな

 

52:名無しの灼翼王

危険思想持ちなのはわかった。次溶岩洞に来たら覚悟しておけ

 

53:名無しの極断刀

上等だ。我が鎌の錆にしてやる

 

54:名無しの転生先生

つかぬことをお聞きするが、イッチは渾沌に呻くのはずだがそうじゃないのか?

 

55:名無しの転生ドス狗竜

その口ぶりだと正体が分からないみたいだけど

 

56:名無しの毒牢姫

ん?……渾沌に呻くゴア・マガラって半分シャガルだったような……黒いの?

 

57:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

え、違うの?あと掲示板使ってるなら一時休戦じゃボケ刺すなこら

 

58:名無しの極断刀

>>54

ん?渾沌に呻くだと?そんな訳があるか。(オレ)が今斬り裂いているのは、漆黒のシャガルマガラみたいなやつだぞ。有象無象の雑種なら斬り捨てられる俺の剛刃でも先端しか刺さらない無粋な雑種だぞ

>>57

(オレ)のお気に入りの寝床にいたのが悪い。どけ貴様

 

59:名無しの雪夜叉

漆黒のシャガルマガラだと?

 

60:名無しの転生轟竜

なんかどこぞの英雄王みたいなやつだな

 

61:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

>>58

なんだとこの野郎。俺にとってもお気に入りの寝床だぞ体が火照ってしょうがないんだこっちは。お前こそどけこら

 

63:名無しの転生傘鳥

もしかしてだけど、もしかしてだけど、イッチって渾沌に呻くゴア・マガラじゃない…?

 

64:名無しの滅雷刃

本人の目が見えてないから勘違いしてただけっぽいな

 

65:名無しの極断刀

>>61

貴様、(オレ)の甲羅を掴んで飛ぶのは卑怯だぞ!?

 

66:名無しの転生大海の王

もしかして「○○化」って特典、「進化」関係か?

 

67:名無しの転生千刃竜

俺も同じ世界にいるっぽいから城塞跡があるって情報から探しに来たけど……なんか上空にやべーのがいる

 

68:名無しの転生先生

>>67

それ詳しく

 

69:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

>>65

そっちこそいい加減突っつくんじゃない鬱陶しい!

 

70:名無しの転生千刃竜

>>68

えっと………鉱石の甲羅をつけたショウグンギザミを抱えた夜空みたいにキラキラしている漆黒のシャガルマガラが口から黒炎を吐いて地面に叩き落してるんだけど…なにあれ?こわっ

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「あの、提督。バハリからもう一枚報告が来てたんですが…」

 

「…なんだと?」

 

 

 エルガドにて、部下から報告書を渡されたガレアス提督は内容を見て目を見開く。

 

 

「ガランゴルムが到着する直前、外天種、星雲龍ネグレマガラが飛来するのを目撃した、だと…?」

 

 

 シャガルマガラに脱皮せず突然変異してゴア・マガラのまま進化した外天種に該当する古龍、星雲龍ネグレマガラが、猛き炎とフィオレーネが向かった城塞高地にいる。その情報に、ガレアス提督は嫌な予感を感じて城塞高地の方角に目を向けるしかなかった。




外天種に該当する古龍、星雲龍ネグレマガラ。ついに半オリジナルモンスターを出すこととなりました。


・星雲龍ネグレマガラ
名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜を掲示板で名乗っていた転生者の正体。目が見えない上に転生者が周りにいなかったため自分が渾沌に呻くゴア・マガラだと勘違いしていた。シャガルマガラの亜種みたいな存在で、人間からはとっくに認知されて城塞高地のモンスターを圧倒する様から外天種に該当され名付けられたが当の本人は知りもしない。列記とした古龍種であり、星雲の様な体表は「あるもの」に覆われており白切れ味でも歯が立たない。名前の由来はネビュラ(星雲)とゴア(gore)やガル(garu)に近い発音から。転生特典は「変容進化」


次回、ガランゴルムと戦うバレットたちの下に…?

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【四つ巴決戦】もうめちゃくちゃだよ【暴走する怪力の化身】

どうも、放仮ごです。今回は前回と前々回の続き。バレットたちハンター、ガランゴルム、極断刀ショウグンギザミ、星雲龍ネグレマガラの四つ巴となります。楽しんでいただければ幸いです。


「ぐっはあ!?」

 

 

 横からの衝撃に殴り飛ばされる。次の瞬間、今の今までいた所にガランゴルムの溶岩を纏った拳が炸裂。大爆発する。痛みに悶えながら何なんだと見てみれば、龍天笛ホルマゼンタがあった。それが飛ばされできたであろう方向を見れば、なにかを投げた様な体勢のヒビキが。

 

 

「よそ見をするな!猛き炎のリーダーだろ、お前!」

 

「わ、悪い!でも投げることはなくないか!?」

 

「投げてなかったらお前死んでたぞ!」

 

「死ぬほど痛かったんだが!?」

 

 

 駆け寄ってホルマゼンタを回収して離れて行くヒビキにいつぞやのバサルモスを交通事故の如く吹っ飛ばし、天高くのリオレイアを叩き落とした光景を思い出したが、今はあの時と違って抑止力消えてて本当によかった。骨が折れた気がするがまあ命には変えられない。

 

 

「しかしまあ…」

 

 

 地面に埋まった右腕を引き抜こうとしているガランゴルムに貫通弾を叩き込みながらちらっとマップを見る。なんかショウグンギザミと「?」がすごい移動して……この表示はどちらも飛んでる?たまらず上を見る。そして、それを見つけた。

 

 

「バレット!さっきからよそ見をして、どうした!?」

 

「……おいおい、マジかよ。全員、ガランゴルムから離れろ!」

 

 

 俺をカバーしに駆けつけてくれたフィオレーネを抱えて飛び退く。同時にヒビキがナギの首根っこを掴んで飛び退き、同時に黒炎に包まれたショウグンギザミが落下して来てガランゴルムに激突。さらに黒い巨体が落下して来て黒炎に翼を叩きつけると大爆発を起こしてその爆風の煽りを受け、俺達ハンターはゴロゴロと転がる。なんて威力だ。憎み血塗れしマガイマガドの大技の比じゃないぞ。

 

 

「…嘘でしょ、ゴア・マガラだなんて…!?」

 

 

 落下してきた「?」の正体はナギがぼやいた通り、モンスターハンター4のメインモンスターにしてラスボスである古龍、天廻龍シャガルマガラの幼体である黒蝕竜ゴア・マガラ。だがなんか違う。体格がかなりの巨体であり触覚がシャガルマガラの物によく似た角になっていて青く輝き、全身が星空の様にキラキラ輝いている夜を思わせる黒色をしていた。それはまるで。

 

 

「黒い、シャガルマガラ…?」

 

「違う、奴はゴア・マガラでもシャガルマガラでもない。ゴア・マガラが脱皮することなく肉体を変容させる突然変異を果たした外天種、星雲龍ネグレマガラだ…!」

 

「外天種だと…!?」

 

 

 フィオレーネの言葉にヒビキの驚く声が聞こえる。全く知らない名前が出てきた。シャガルマガラの亜種かなにかか。おいおい、確か極断刀ショウグンギザミも外天種だろ…!?ガランゴルムの暴走に加えて外天種の縄張り争いだと…!?

 

 

「キシャアアアアッ!」

 

「ゴアァアアアアッ!」

 

 

 するとネグレマガラとガランゴルムでサンドイッチにされていたショウグンギザミが鎌をネグレマガラの胴体に突き刺して持ち上げて投げ飛ばし、着地。上空に投げ飛ばされたネグレマガラは名前の通り星雲を思わせる暗幕の様な翼を広げて滞空し、口から蒼く輝くレーザーの様なブレスを放射しさらに翼を羽ばたかせて鱗粉を撒き散らしシャガルマガラお得意の地雷を地面に設置。ショウグンギザミの周囲で大爆発が発生して吹き飛んだところに急降下し、巨大な右翼腕で地面に顔を押し付けるネグレマガラ。

 

 

「グゴアアアアアッ!」

 

 

 そこに、ダウンしている間に纏わせたのか右腕に二倍ほどの冷えた溶岩の様な柱を装備したガランゴルムのフルスイングがネグレマガラに炸裂。首に当てて殴り飛ばし、そのままショウグンギザミに振り下ろそうとするとジャキンと言う音と共に柱が残骸となって崩れ落ちたかと思えばショウグンギザミの袈裟切りがガランゴルムに炸裂。

 

 

「キシャアアアッ!」

 

「グゴアアッ…」

 

「ゴアァアアアッ!!」

 

 

 よろよろと後退させたところに殴り飛ばされていたネグレマガラが飛来し両肩を掴んで岩壁まで押し込み、口から零距離のレーザーの様なブレスを放って追撃。その背後からショウグンギザミがネグレマガラの背中を斬り裂いて、尻尾のビンタの反撃を受けて引っくり返る。

 

 さらにガランゴルムに殴り飛ばされたネグレマガラの巨体がのしかかって立てなくなったらしいショウグンギザミは鎌をぶつけ合わせて砥ぐと地面に穴を掘って抜け出し、ガランゴルムの背後から飛び出して背中にくっ付き鎌を何度も振り下ろしてガランゴルムの装甲を斬り裂いてく。

 

 

「わ、割り込めん…」

 

「なんて攻防だ…」

 

「これが外天種の縄張り争い…」

 

 

 岩陰に隠れたフィオレーネと俺とナギがぼやいている間にも、空に舞い上がったネグレマガラが甲羅を掴んで一本背負いの様にショウグンギザミを空中に放り投げ、空中で鱗粉を飛ばして大爆発。舞い降りた所をガランゴルムに尻尾を掴まれて地面に引きずろ下ろされジャイアントスイングされて落ちてきたショウグンギザミにぶつけられてダブルノックダウン。追撃しようとするガランゴルムがさっき鱗粉をばら撒いた時に設置されていた地雷を踏んで大爆発を受けて吹き飛ばされる。…あの仕掛け方。ネグレマガラも転生者っぽいな。

 

 

「あれ、ヒビキは?」

 

「え?」

 

「おい、あそこだ!」

 

 

 ナギの疑問の声でヒビキがいないことに気付き、慌てて探すとフィオレーネが三体が縄張り争いしている傍の崖の上を指差し、そこに狩猟笛二本を構えたヒビキがいるのが見える。飛び降りて狩猟笛を二本ともグルグルと回しながら落ちて行く。その下にはガランゴルムを押さえつけているネグレマガラが。おいおいまさか…!?

 

 

「躁竜、行くぞ!」

 

 

 回転した狩猟笛二本が無防備なネグレマガラの背中に炸裂。翔蟲が周りを飛んで鉄蟲糸で両翼腕を縛り上げ、狩猟笛二本を背中に交差して納刀したヒビキが糸を握って動かす。ネグレマガラを躁竜した…!?

 

 

「そうか、縄張り争いで隙ができた時を狙えば躁竜できる…!」

 

「ヒビキは、命知らずかなにかなのか?」

 

「…いいや、あいつは何が何でも生き延びる…生存の天才だよ」

 

 

 ネグレマガラを操り、翼腕によるアッパーカットや尻尾のスイング、口から放つ蒼色のレーザーでショウグンギザミとガランゴルムを同時に相手取るヒビキ。ショウグンギザミは見切りの様な動きで回避しつつ背中のヒビキを狙うが、巧みに回避をぶつけられて怯み、さらにはネグレマガラを大きく退避したことで背後にいたガランゴルムに一撃を与えた隙をついてアッパーカットで引っくり返される。ガランゴルムも負けじと再び石柱を右腕に装備してスイングするもネグレマガラの両翼腕で受け止めて押し返し、レーザーを当ててダウンさせる。

 

 

「俺とコイツの二重唱(デュエット)を聞きやがれ…!」

 

 

 そして躁竜大技を発動するヒビキ。ネグレマガラは二体に身体を捻りながら体当たりを浴びせて纏めて壁際に吹き飛ばすと空に舞い上がり、大技であろう口から黒炎の火球を放って包み込むと急降下して両翼腕を押し付け、鱗粉を送り込んだのか大爆発。

 

 

「やったか!?」

 

「フィオレーネさん、それフラグ」

 

「…アイツは倒せなかったか」

 

 

 全身焼けただれたガランゴルムは崩れ落ちていたが、ショウグンギザミは見切って地中に潜り回避していたのかガランゴルムの傍の地面から無傷で姿を現し、ヒビキが飛び降りて空から舞い降りてきたネグレマガラと睨み合う。

 

 

「…ガランゴルムは倒せたが、どうする?」

 

「…いや、どちらとも気がすんだらしい」

 

 

 駆け寄ってきたヒビキにそう返す。二体は吠えることなく通じ合ったのか、ショウグンギザミは再び地面に潜行し、ネグレマガラは俺達を一瞥すると空に舞い上がって飛び去って行った。…おそらくどちらも転生者で、掲示板を通じて密約でもしたんだろうな。

 

 

「…イレギュラーもあったが、ガランゴルムは無事討伐できたな」

 

「ああ、お疲れ様フィオレーネ、ナギ、ヒビキ」

 

「私今回なにもできなかったなあ」

 

「もっと鍛えなきゃな」

 

 

 全員の無事を確認し、ガランゴルムの剥ぎ取りにかかる。…極断刀に、星雲龍、そして大地母蜘蛛。厄介なの揃いだが……とにかく目先の事を解決していくしかないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

82:名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜>>1

速報:通りすがりの人間によると俺、星雲龍ネグレマガラと呼ばれてるらしい。やったぜ短命じゃなかった!

 

 

・・・・・・・・

 

 

111:名無しの星雲龍>>1

おい蟹。一匹やられたし痛み分けと言うことでもうやめにするぞ。どっちが勝っても疲弊した状態でハンターと戦うことになる。あの寝床は譲るから

 

112:名無しの極断刀

だったら最初から譲れ貴様。…(オレ)としても負ける気はないが疲弊した状態でこいつらと戦うのは御免こうむる

 

113:名無しの星雲龍>>1

下手(したて)に出ればなんだとこの野郎。次会ったら覚えてやがれ

 

 

・・・・・・・・




大怪獣決戦でした。以前も言ってた通りモンスター掲示板の中では屈指の実力者なマガラさん。必殺技は鱗粉を集束させた黒炎の火球を飛ばして包み込んでから両翼腕の鱗粉を押し付け大爆発させるというもの。淵虎竜と戦っても結構いい勝負ができます。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【なるほど】よく分かるバハリ教室【わからん】

どうも、放仮ごです。最近激闘が多かったので羽休め回となります。皆さま気になっているであろう「あの生物」と大地母蜘蛛の関係性がちょっとわかります。楽しんでいただければ幸いです。


 ガランゴルムの死骸の回収班を待っている間にダメージを負ったらしいバレットとその護衛にヒビキをその場に残して私とフィオレーネさんで周囲を探索していると、ガランゴルムが付けたであろう傷跡がついている木や苔むしている足跡を見つけた。こんな狭い所にあるなんて、かなり暴れていたらしい。

 

 

「フィオレーネさん、これもそうかな?」

 

「ああ、恐らくな。多少なりとも手がかりが残っているのはありがたい。縄張りがどれぐらい変化したのかのヒントになる。他のモンスターへの影響も調査しなければ…」

 

「なるほどなあ。縄張りなんて考えたことなかったな」

 

「王域では顕著なだけだ。特にこの城塞高地ではな」

 

 

 なるほどなー。勉強になる。一応G級にはなったけどそういう知識は全然だ。一応過去作はやってるんだけど基本的に古龍がもたらす災害でしかないし。そうだ、古龍といえば。

 

 

「えーと、ネグレト……」

 

「ネグレマガラのことか?」

 

「ネグレマガラがいたのは偶然なんですかね?」

 

「偶然じゃないさ。ここにはゴア・マガラもよく訪れるからな。ネグレマガラもその中の一体が進化を果たしたものだ。人を襲ったことがない温厚な古龍なのだが、その力はあまりにも絶大で警戒せざるを得ない」

 

「どんな力があるの?見た所凄い爆発していたけど」

 

「濃厚な狂竜ウイルスをまるで粘膜の様に全身を覆っていて刃が通らず、それを攻撃に転用しているのが最大の特徴だ。ただし触れても感染はせず、完全に攻撃と防御に転用しているようだ。逆に言えば手を出さなければ害はない」

 

「なるほど?」

 

 

 よく考えたらヒビキが乗ったの危なかったじゃん。あぶなっ。ネグレマガラでよかった。

 

 

「バレットが気付かなければあの攻撃に巻き込まれて浸食されていただろうな。あの直感はすごいな」

 

「わかる。欲しいよね、あれ」

 

 

 健康な肉体と言う特典の私には結構羨ましい特典だ。ゲーム画面。今回はそのせいで怪我したっぽいけど。

 

 

「あの予知とも言える直感はリーダーとして実に頼もしい。いいチームにいるな、ナギは」

 

「うん、自慢のチームだよ!今はフィオレーネさんもその一員だよ!」

 

「ふっ。嬉しいことを言ってくれるな」

 

「っ!?危ない!」

 

 

 咄嗟にランスに取りつけている盾を構えると、凄まじい突風が炸裂してフィオレーネさんを押しのけてゴロゴロと転がり、そのまま嵐の様な暴風が吹きつけて背後の木が砕け散って残骸が私にのしかかってきた。痛い、けどすぐ治る。私の特典は「健康な肉体」いかなる病魔も外傷も私には通じない。生前の私が渇望した肉体だ。でも押し潰されるのはちょっと非力すぎて出れないね!

 

 

「ナギ、無事か!?今、出すからな!」

 

「ありがとー…」

 

 

 フィオレーネさんが倒木を持ち上げてくれて脱出する。足が潰れてたけどすぐ治るのを見てちょっと引いたけど便利だし気にしないことにした。

 

 

「今の風は一体…」

 

「なにか強い憎悪の様な物を感じるけど……また、極断刀かな!?」

 

「いや、奴も縄張り争いで疲弊していた。ううむ……」

 

「あ、あれ!」

 

 

 それを見つけて指差すとフィオレーネさんもそれを視界に入れた。上空に浮かんでいたのは一見蟲の様な、でもよく見たら金魚か蝙蝠みたいなヒラヒラした、羽の生えた淡く緋色に輝く小型の生物だった。もしかして、バレットが以前淵虎竜を討伐した後に見たって言う蟲…?それは城塞跡の方角へと飛び去って行った。

 

 

「今のは一体……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガランゴルムを討伐して剥ぎ取ってから、フィオレーネとナギが周辺を探索した後に、俺達はエルガドに帰還した。すると出迎えてくれたのは提督とバハリだった。

 

 

「……よくぞ無事に戻った。ネグレマガラだけでなく極断刀までいたとは…本当に、よくぞ任務を果たした」

 

「いいや。今回は運がよかった。ガランゴルムを倒せたのはその二体の乱入が大きい」

 

「提督にも見せたかったです、ヒビキの操竜捌き」

 

 

 俺に続いてフィオレーネがそう言うと、提督の傍に立ったバハリが拍手を送る。

 

 

「いやぁ、フィオレーネに猛き炎、お見事でした!俺の計算外なことばかりだったのによくもまあ、無事にすんだものだ!」

 

 

 そう言うバハリの視線が俺の肋骨…多分折れてるところに向く。隠してたのに見ただけで気付いたのか。

 

 

「…約一名無事とは言い難いみたいだけどね?」

 

「そうなの、バレット?」

 

「名誉の負傷だから気にするな」

 

 

 ナギが問いかけてくるが、まさかヒビキに殴り飛ばされた傷が一番重症とは言えない。

 

 

「バレット、バハリが鬱陶しくてすまない。鬱陶しいがモンスターの研究に置いて右に出る者はない研究主任でもある。エルガドにある数々の設備もこの男が造り出した。それで、なにかわかったのか?」

 

 

 なんでもエルガドができる前から大穴とメル・ゼナについても調べているらしい多忙なバハリにそう問いかけるフィオレーネ。

 

 

「まず聞きたいんだけど。前提として猛き炎の三人とフィオレーネ。今回のガランゴルムの一件、率直にどう思った?」

 

「どうって……異様に強かったな」

 

「話には聞いてなかった石柱攻撃もしてきたし」

 

「理性は完全に飛んでいたな」

 

「大地母蜘蛛に毒を流されたとはいえ、臆病な性質で温厚なガランゴルムらしくはなかったな」

 

「そう、フィオレーネの言う通り王域三公に数えられているが本来は大人しく俺達に害を与えないモンスターだ。大地母蜘蛛に縄張りを荒されたから追いかけてきた、と推理していたがそもそもが間違いだと思う。ガランゴルムは大地母蜘蛛を追いかけてくる前から好戦的になっていた原因があると思うんだ」

 

 

 なるほど。確かに、あんな明らかに別格な奴を温厚な奴が追いかけるってのも妙な話だ。

 

 

「そこでガランゴルムの死骸を調べたが、あちこちに小さな傷がついているのを発見した。大地母蜘蛛に噛まれた跡とは別にね」

 

「モンスターは活発だ。小さな傷ぐらいは珍しくないだろう」

 

「そうだよ、傷なんてハンターでも日常茶飯事だよ?」

 

「フィオレーネとナギ、落ち着いて。前のめりになるとコケちゃうよ?急かずに聞いてくれ。その傷は、小動物に噛みつかれたかのような傷だった。だけど妙なことに、潤沢なサンプルを揃えているのだけど傷の形に一致するサンプルがない。だけど成分はあるものと一致した。それが問題でねえ、頭を悩ませている」

 

「あるもの…?」

 

「大地母蜘蛛の糸から摂取された神経毒と思われる成分さ」

 

 

 妙な話だ。同じ毒を、謎の小動物と大地母蜘蛛それぞれから二度も流し込まれたっていうことか。

 

 

「それでその小動物の正体だけど……ナギ、フィオレーネ。その顔、心当たりがあるんじゃないかな?」

 

 

 バハリがそう言ったので振り向くとフィオレーネとナギはそんなまさかと口を押えていて。探索した時になにか、見たのか?

 

 

「…バレットたちには言っていなかったが、ガランゴルムを討伐した後に探索中に突風が発生した直後に上空で妙な生物を見つけた」

 

「多分、バレットが以前見たって言う紅い蟲みたいなやつ。それが噛み付いたってこと?」

 

「恐らくそうだ。大地母蜘蛛に毒を打ち込まれる前からその小動物に毒が流し込まれて狂暴化していたんだろう、あくまで仮説だけど。もしかしたら大地母蜘蛛が母体でその配下かもしれないけど…そうなると別々に毒を入れるのもおかしい話だよねって」

 

「…その毒はガランゴルムから見つかったのか?」

 

「それなんですけどね提督。おかしいことにガランゴルムの死骸からは傷口以外から毒が検出されなかった。恐らく完全に血液中に溶け込んでしまう性質があると思われる。傷口から採取できたのもわずかな成分だけでまるで参考にならない。これじゃ研究は難しいね。もっと量が欲しい所なんだけど」

 

 

 そうお手上げのポーズをとるバハリ。しかしモンスターに打ち込まれたら溶け込む毒の現物をどうやって手に入れろと。

 

 

「…そうか。大地母蜘蛛の糸の方はどうだ?心眼でも斬るのは難しいと言っていたが、突破口は見えたか?」

 

「そっちも無理ですね。武具屋に協力を頼んで青切れ味、白切れ味、紫切れ味の武器を用意して試したが駄目だ、まるで歯が立たない。一撃で即赤切れ味って言うとんでもな硬度だ。古龍のそれよりはるかに硬い。この世界で最高の硬度と言っていい。今んところモンスター並の怪力で引っ張ってちぎるぐらいしか対抗策がない。仮に無限に切れ味を保ち続けているなんていう武器があれば別ですけどねえ」

 

 

 つまりあの糸を攻略するのは現状無理ってことか。…無限に切れ味を保ち続ける、か。なんだろう、なんか頭の隅っこで引っかかった様な。

 

 

「…とにかく、ガランゴルムの討伐ご苦労だった。ゆっくり休んでくれ」

 

 

 とりあえず、お言葉に甘えて休むことにしよう。とりあえず回復薬を飲んで肋骨の回復を急がないとな。




ネグレマガラは粘菌による防御力と攻撃力特化型というシンプルな性能です。極断刀の刃が通じてなかったのもこのせい。

地味に判明、ナギの特典の効果。常時「健康な肉体」っていう地味チート。毒にもかからなければ狂竜ウイルスも通じません。以前マガイマガド戦で重傷を負ってたのにピンピンしてた理由がこれです。即死じゃなければなんとかなるからタンク役に最適。

そして謎の小動物と大地母蜘蛛の関係。使っている毒は全く同じ物なんだそう。つまり…?

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【持つべきものは】逆転して見えるもの【転生掲示板】

どうも、放仮ごです。前回に引き続き推理パートとなります。僕は結構カプコンのゲームはやってまして、逆転裁判も123のDS版をやってるのでこういう推理の仕方が好きですって回。逆転するって発想は結構大事ですよね。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

誰か知恵を貸してくれ。問題しかない

 

2:名無しのガンランス使い

もう私達じゃわけがわからなくて

 

3:名無しのくだん

なにがあったし

 

4:名無しの霊媒師

大地母蜘蛛の件を調べてて、極断刀ショウグンギザミにマシロがやられたところまでは聞いたけど

 

5:名無しの鬼殺隊

ガランゴルム討伐の時に集中できるようにと掲示板は切っていたのだったな。なにがあった?

 

6:名無しのドンキンタロウ

また誰かやられたのか?

 

7:名無しのギルド所属ハンター>>1

あ、俺が骨折したぐらいでフィオレーネ含めて誰もやられてないんだけど…

 

8:名無しのガンランス使い

ガランゴルムと極断刀ショウグンギザミとゴア・マガラが突然変異したらしい古龍の外天種ネグレマガラが縄張り争いして大怪獣決戦になったんだよね

 

9:名無しの日向家次女

えっと……つまり大地母蜘蛛の毒で暴走しているガランゴルムと外天種二体の縄張り争いに巻き込まれたってこと?

 

10:名無しの帝丹小学校6年生

よく生きてたわね

 

11:名無しのザビー

ネグレマガラ…!ディオレックスのシャガルマガラ版でしょうか…!詳しく……!

 

12:名無しのRS

でもそれ、わけがわからない、じゃなくないか?

 

13:名無しの49人目のマスター

ゆっくり話せているってことは切り抜けたんだろうしな

 

14:名無しのガンランス使い

>>11

ネグレマガラはゴア・マガラの突然変異種でシャガルマガラの亜種なんだって。基本的に城塞高地にいるみたい。星空みたいな黒いカラーリングのシャガルマガラみたいな見た目で、狂竜ウイルスを粘膜の様に全身に纏っていて刃が通じなくて、それを防御と攻撃に転用しているとか。狂竜ウイルスを撒き散らさないから手を出さない限り無害なんだってフィオレーネさんが言ってた

 

15:名無しの魔導師

古龍なのに被害少ないのは珍しいな

 

16:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>12

まあ三体の縄張り争いは運が悪かったですむんだが…問題は倒したガランゴルムの方でな

 

17:名無しのくだん

打ち込まれてた毒がなんかあったとか?

 

18:名無しの鬼殺隊

感染症の類だったとか?

 

19:名無しのギルド所属ハンター>>1

いや逆で、毒が検出されなかった。血液に溶け込んだっぽい。で、大地母蜘蛛以外にも謎の空飛ぶ小動物も同じ毒を持ってるらしくて二回ガランゴルムは打ち込まれてたっぽい

 

20:名無しのドンキンタロウ

なるほどわからん

 

21:名無しの日向家次女

種族も違うのに同じ毒?たしかにわけわからんってなるね。クルルに聞いてこようかな

 

22:名無しの帝丹小学校6年生

普通に考えればその小動物は大地母蜘蛛の配下なんじゃないの?

 

23:名無しのRS

同じ毒を持つ生物二種がバラバラに毒を投与しているってのが引っかかっているのか

 

24:名無しのザビー

過去作で言うと……ジンオウガと雷光虫みたいな関係でしょうか。あれは共生関係でしたが

 

25:名無しの49人目のマスター

新宿のアヴェンジャーとは…また違うよなあ

 

26:名無しの転生者

>>24

しかし共生関係なら同じ獲物に二度も打ち込むのは違和感があるぞ

 

27:名無しの霊媒師

私の世界も人の事言えないけどなんかの推理物?そういう時はね、成歩堂さん曰く「逆転」させれば突破口が開くんだって

 

28:名無しのガンランス使い

>>24

見た目は虫っぽいんだよね

 

29:名無しの魔導師

>>27

この場合の逆転ってなに?ってなるが…

 

30:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>27

逆転か……

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 ヒビキに武器の整備をしてもらっている間が暇だったので、ナギと共に茶屋で団子を食べながら掲示板に潜っていた。霊媒師ネキに言われたことが引っかかる。

 

 

「逆転、ねえ」

 

「逆転裁判だと最初考えられていたことが実は逆で逆転すれば答えが分かるとかあったっけ」

 

 

 そうナギが言ってくるが、俺は生憎逆転裁判は……すごい前に123をやったことをぼんやり覚えてるぐらいの知識だ。4以降はやったことすらないから記憶が朧気だが……たしかに逆転させることは大事だと思う。

 

 

「つまり、同じ毒を持つ奴が二種類いるのじゃなくて……?」

 

「逆転させたら……毒はどちらか一種類の持つもので、もう片方はそれを流用してる…ってことかな?」

 

「…そうなると怪しいのは小型の方だな。大地母蜘蛛は腹部に溜め込んだ毒を糸を伝って流し込んでたから体内で生成したとは言えない気がする」

 

「視点を変えると新しいことが分かるね」

 

「小型の情報が欲しいな…バハリに手がかり見つかってないか聞いてみるか」

 

「そうだね。今は研究所かな?」

 

 

 勘定をポイントで支払い、茶屋のすぐ傍にあるバハリの研究室に向かうが誰もいない。散歩がてらエルガドを周ることにした。

 

 

「しかし活気立ってるね」

 

「港町でもあるらしいからな。邪魔はしない様にしないと」

 

「邪魔はしない様にって……もしかして前世、社畜だった?」

 

「………今の発言でわかるのか」

 

「仕事の邪魔をしないで円滑に進めるようにってことだよね?」

 

「邪魔をしたら自分にも響くからな…書類の束をぶつけて落とした時なんか地獄だぞ」

 

「私は病気で学校もろくに通えず病院で最期を迎えたからちょっと羨ましいな」

 

「今世も社畜ハンターしてたから羨ましがるもんでもないけどな」

 

 

 言いながら賑わう商業区域を抜け、比較的静かな住居区域に来ると診療所の病室に向かう。バハリ捜すついでにマシロの様子を見にだ。

 

 

「…でも、だからわかるんだよね。ベッドの上で何もできない辛さ。…マシロ、大丈夫かな」

 

「俺もすっかり忘れてたがマシロは主人公だ。さすがに死ぬことはないと思うが」

 

 

 そう言って病室の扉を開けると、全身に包帯を巻いて点滴を打たれた状態でベッドに横になり眠っているマシロがいた。王国がかつて50年前に病魔が蔓延したとかで医療技術が発展していてよかった。治療が間に合わなければ間違いなく死んでいたほどの傷だったそうだ。たまに意識が浮上するらしく順調に回復しているとのことだ。

 

 

「……ん?」

 

「どうしたのヒビキ?」

 

「いや…」

 

 

 50年前、王国、病魔?あれ、何が引っかかったんだろう。50年前と言えばカムラの里で百竜夜行が起きてカムラの里が壊滅し、王国ではサンと呼ばれる大穴が開いた時期だが……そういえば最近またもや大穴が発生して、それから王域三公が縄張りを広げ始めたと………うん?

 

 

「……その病魔が何かしらの毒の類だとしたら……」

 

「バレット、何の話?」

 

「全ての鍵は大穴か……?」

 

 

 大穴が出現するのと同時にあの毒をばら撒く何かが現れるとしたら。今回の異変の説明がつく気がした。だがエルガドが大穴を調査・監視しているらしいから関係はない………いや、大地母蜘蛛は擬態で姿を隠せる。そもそもあの巨体がどこから現れどこに消えて行くのかわかってないのが不自然だ。バハリが俺達の集めた糸や足跡からねぐらを探しているらしいが……そもそも見つからないことが一番不自然じゃないか?

 

 

「ナギ。バハリのもとに急ぐぞ」

 

「なにかわかったの?」

 

「突破口が見えた気がした!」

 

 

 エルガド中を駆け抜け、バハリの居場所を道行く人に聞いていくと提督にもとにいるのが分かって駆けつけると、走って駆けつけた俺とナギに目を丸くする提督とバハリ。俺は気にすることなくバハリに駆け寄る。

 

 

「バハリ、大穴だ!大穴の中は見たか!?」

 

「なになに!?落ち着いてバレット。今俺はあの小型生物の目撃情報があったから君達を呼ぶところだったんだけど?」

 

「大地母蜘蛛は多分、大穴の中だ!確か、上部だけを監視していて中の確認はしてないだろ!?」

 

「…大穴はなにがあるかわからん。段階を踏んで調査するべきだ」

 

「奴のねぐらを確認できれば、いくらか対策も立てられるはずだ!」

 

「…むう」

 

 

 俺の言葉に唸る提督。…なにか大穴について隠していることがあると見た。まるで何かを刺激したく無いみたいに。

 

 

「…バハリ。猛き炎と共に大穴の下の調査を命じる。猛き炎、特にバレット。決して無茶をするな。無事に帰る事だけを考えろ」

 

 

 その提督の言葉に頷く。やっと大地母蜘蛛に反撃ができる。とどめは刺せなくても突破口の手がかりは見つかるはずだ。




深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ byニーチェ

逆転裁判の世界に転生した人がいたからの突破口。毒の出どころは…?名無しの霊媒師はマヨイちゃんの妹なので成歩堂くんは身内です。

次回、バレットたちが見たものは……?

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【其処は地獄】大地母蜘蛛の城砦巣【深淵の悪魔】

どうも、放仮ごです。今作では「大穴全ては「奴」の眠っているところに繋がっている」という仮説を前提に書いております。最終決戦の穴が三つ目の穴って情報あるけどマジか。

今回は大地母蜘蛛の真実解明回。戦慄せよ。楽しんでいただければ幸いです。


「いいかい、猛き炎の三人。大穴の下は淵劫の奈落と呼ばれている未知の領域だ。落ちたら最後だと思った方がいい」

 

 

 そう言うのは船の上でなにやら準備をしているバハリ。俺は同乗しているナギとヒビキに目を向け、頷く。

 

 

「ああ、わかってる」

 

「確認するだけだからね」

 

「戦力が足りないのは重々承知している」

 

「それならいいけど…十分に注意してくれ。あれが大穴……『サン』大地に穿たれた漆黒の太陽さ」

 

 

 訪れたのは城塞高地のすぐ傍にある大穴だ。監視されているエルガド近くの大穴に異変はなし、なにかあるとすればこちららしい。配備されているベースキャンプで支給品のモドリ玉や応急薬グレートを受け取り、淵劫の奈落とやらを覗き込むためにギリギリまで歩いて行く。バハリも気になっているのかついてきた。

 

 

「鬼が出るか蛇が出るか…」

 

「この場合蜘蛛なんだけどね」

 

(ラージャン)の方がまだ可愛いだろうな」

 

 

 端っこまでたどり着いたので覗きこむ。真っ暗で何も見えないが、なにかが蠢いている影が見える。なにかが、いる。それを見たバハリは「こんなこともあろうかと」と弾丸を取り出した。

 

 

「それは?」

 

「船の上で準備してたものさ、ヘビィボウガン専用に閃光玉を改造した閃光弾だ。最大まで溜めて発射すればこの大穴の下を照らすことができる光源になる」

 

「助かる」

 

 

 左腕のヘビィボウガンの特殊弾を装填する弾倉に渡された弾丸を装填。最大までチャージし、真っ暗で何も見えないそこへ撃ち出す。結構な距離を下降し、太陽の様な閃光が放たれる。そして姿を見せたのは、地獄だった。

 

 

「うげっ…おいおい、マジか」

 

「蜘蛛の巣だとは思ってたけど…」

 

「ここまでとは…!」

 

「こいつは俺でも予想外だ!」

 

 

 光に照らされたのは、超巨大な蜘蛛の巣。遥か下、大穴の中腹で蓋をする様に展開された、ところどころが紅く淡く輝いている巨大な銀色の蜘蛛の糸で隙間なく敷き詰められていて、まるで釜の底にも見え、蓋の様に網の様に穴が開いた天幕が大地母蜘蛛を中心に広がっている。あれは大地母蜘蛛がすっぽり埋まるようにできているな、まるで人間の建築だ。

 

 その中央で陣取る大地母蜘蛛の周りを無数のヤツカダキとヤツカダキ亜種、ツケヒバキやハゼヒバキが忙しなく動き回り自身の糸で壁との繋がりを補強していて、岩肌がやはり紅い淡い光がところどころで輝く糸に覆われて要塞の様になっている。双眼鏡で見る限り、恐らく色が違うヤツカダキ亜種の糸も計算されて張り巡らされており、侵入者がいれば即導火線として発揮される他、巣自体には影響がないようだ。

 

 ここまではいい、大地母蜘蛛がここに巣を作っているのは想像ついていた。問題はその数だ。十数体いればいいと思っていたその数は、どう数えても100を優に超えている。原種も亜種もその幼体も大地母蜘蛛の周りでワラワラしている光景は見る人が見れば絶叫モノだろう。閲覧注意って奴だ。しかもその周りを大地母蜘蛛が集めたであろう奇しき赫耀のバルファルクやテオ・テスカトル、クシャルダオラにオオナズチ、マガイマガドにリオレウスと言った強力なモンスターの死骸が糸に絡まって幼体たちに貪られているのだから目にも当てられない。それはまさに、ヤツカダキの王国だった。

 

 

「こいつは提督に報告しないとねえ…この数が一斉に王国を襲えば、簡単に壊滅する。…まさか、大地母蜘蛛が深淵の悪魔…?」

 

「バハリ、深淵の悪魔はお伽話じゃないのか?」

 

「いや、実は実在するのは提督から………いや、なんでもない。とにかく俺は報告してくる、何か動きがあったら教えてくれ!」

 

 

 ヒビキの問いをはぐらかし、ばたばたと駆けて行くバハリ。…やっぱり、提督は深淵の悪魔の実在を知っていたのか。あるとすれば五十年前か?

 

 

「…バレット!あの紅い光、よく見たらあの小型生物だ!」

 

「なんだって!?」

 

 

 怖気づくことなく双眼鏡を手に見ていたナギの言葉に、俺は双眼鏡の倍率を上げて確認する。紅く輝いていた光源の正体は、羽の生えた蛭の様な小型生物。あのとき、俺が猛き炎に入ることを決めた時に見たあいつだ。それが無数も糸に囚われて蠢いている。

 

 

「大地母蜘蛛とあの生物は共生関係じゃない、むしろ捕らえてなにかに利用している様に見えるな」

 

「それって…毒を取り込むため?」

 

「…いいや」

 

 

 観察していると、大地母蜘蛛の口から糸が伸びて、見るからに弱っている小型生物の一匹を絡め取り捕食した。今まで、大地母蜘蛛は奇しき赫耀のバルファルクやアンジャナフといった獲物を亡骸にして糸で絡め取り運んでいたが、捕食はしていなかった。恐らく子供たちのための餌なんだろう。あの小型生物が大地母蜘蛛の主食か…?

 

 

「…よくわからないがあの小型生物は栄養もしくはエネルギーが多分に含まれていて、それを巣で絡め取り捕食し続けた結果があの大地母蜘蛛、ということか…?」

 

「いやでも、こんなところで巣に捕まる生物って何…?」

 

「この大穴の下があの蛭みたいな奴等の住処なんだろうな。捕食ついでに毒を溜めこんでそれを狩猟に利用していると見た」

 

 

 ナギの問いかけにヒビキがそう答える。大地母蜘蛛の正体も見えて来た。もう少しなにかわからないかと見ていたが閃光弾の効果が消えたようでまた真っ暗になってなにもわからなくなる。…この暗闇のせいであの生物たちもまんまと巣に捕まったのか、なるほどな。

 

 

「でも、エルガドが監視している大穴に異変は見られないって…大穴下が住処ならこっちじゃなくあっちからいくんじゃない?」

 

「忘れたのかナギ。恐らくこの小型生物は知性がある。監視されているんだ、人間に見られることを恐れて人気(ひとけ)の少ないこっちに来るのは自明の理だ」

 

「そっか……さすがヒビキ」

 

「とにかく大地母蜘蛛の住処もカラクリもわかった。俺達も戻って……って、バレット!?」

 

「え?」

 

 

 ヒビキの推察に納得していると、ナギとヒビキが何かに気付いて武器を構えた。穴に背を向けていた俺も嫌な予感がしながらも左腕のヘビィボウガンを振り向きざまに突き付ける。そこには、ヤツカダキ亜種の顔があった。

 

 

「何時の間に…!?ヘビィナックル!」

 

 

 恐らく死角の真下の壁を登って来たんだろうが…!勢いよく振りかぶりヘビィボウガンで殴りつける。同時にヒビキのスイングとナギの突きも炸裂、体勢を崩したヤツカダキ亜種はそのまま落ちようとして。

 

 

「な、ん、だ、とぉおおおおお!?」

 

 

 落ちる直前、糸を俺の胸にくっ付けて引っ張って道連れにしてきた。やばいやばいやばい!マップが書き換わる。表示されたヤツカダキの数が100もあってバグっている様にしか見えない。ボフンと柔らかいものに落ちて助かったが、恐らくは奴等の寝床なのだろう糸のハンモックで横にはさっきのヤツカダキ亜種がひっくり返っていた。無数の複眼が俺を捉え、大地母蜘蛛が咆哮を上げた。

 

 

「キシャアァアアアアアッ!!」

 

「うわぁあああああっ!?」

 

 

 次々と糸を伸ばし、炎を放射してくるヤツカダキの群れ。地獄も地獄過ぎるだろ!?グラッと地面…いや、糸の足場が揺れる。それはあの巨体が動き出したということで。侵入者の俺を許す気はないらしい。

 

 

「キシャアアッ!」

 

「旋廻跳躍!?」

 

 

 鉄蟲糸技を駆使して、大地母蜘蛛の横に振るわれた長い首による噛み付きを回避。しかし空中に逃れた俺に向けて次々と糸が伸びてきて、咄嗟にライトボウガンで斬裂弾を撃ち込み雁字搦めになったところを斬撃で解放。ヤツカダキに囲まれた糸の足場を駆け回る。まずいまずいまずいまずい!なんとかモドリ玉を使う隙を見つけないと…!

 

 

「いっけえええええええ!」

 

 

 すると情報からナギの声が聞こえてきて、なにかが落ちてきた。大タル?とそれを認識した途端、糸の足場に激突してその中身が見える。それは、鉄蟲糸でできた玉だった。ダイミョウザザミの時の戦いがフラッシュバックして俺はモドリ玉を取り出す。

 

 

「観客も大勢いるな、俺の曲を聞いて逝きな!共鳴音珠…!」

 

 

 瞬間、大音量の音撃が放たれてヤツカダキ達を怯ませる。大地母蜘蛛は怯まず近づいてこようとするが、足元のヤツカダキたちを踏まないようにしていて慎重になってて間に合わない。俺はモドリ玉を使ってキャンプベースまで帰還した。

 

 

「し、死ぬかと思った……」

 

「バレット!よかったよお!」

 

「咄嗟に思いついた手段としては上手く行ったな。こんな静かなところにいるんだ、大音量は応えたはずだ」

 

「報告してきたけど…あれ、どうしたの?」

 

 

 三人でゼーゼーと息を吐いていると、バハリがやってきて首を傾げるのでその肩を掴んで船に直行する。

 

 

「話は後だ!とりあえず…逃げるんだよぉおおおおおっ!」

 

 

 なんかいつも逃げてばかりの気がするが三十六計逃げるにしかずだろう。




というわけで大地母蜘蛛の正体は「偶然大穴に巣を作ったヤツカダキが、偶然捕まった小型生物を餌にしてそのエネルギーを栄養に肥大化した突然変異個体」となります。つまり「奴」に渡る筈だったエネルギーのほとんどを横取りして吸収してます。強いはずである。

この地獄を相手にしないといけないバレットたち。お先真っ暗とはこのこと。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【クエスト名決定】これからのこと【百蟲夜行】

どうも、放仮ごです。FGO水着イベントの星5三騎情報で無事死んで遅れました。いやほんと、刹那主義とはいえなんで気の迷いで闇鍋に70連ぐらい放り込んだんだろうね…ガラテアと項羽(三人目)来たからよかったと言い聞かせてたらこれだよ。

今回は前回の続き。対抗策を皆で考えよう。実は原作だとまだ半分も行ってないというね。楽しんでいただければ幸いです。


 あれから、キャンプベースを踏み潰して海のギリギリまで追いかけてきたヤツカダキの群れから命からがら逃げだした俺達はエルガドに帰還。ことの顛末と、大地母蜘蛛が生まれたであろう原因を伝えた。

 

 

「…報告は確かに受け取った。まさか大地母蜘蛛があそこに潜んでいたとは……」

 

「提督、全戦力を持って叩きましょう。報告通りなら王国が狙われたら終わりだ。これ以上増える前に…!」

 

「…ならぬ。奴の糸を突破する手段がいない今、迂闊に刺激して人間を標的にされればそれでこそ一巻の終わりだ」

 

 

 フィオレーネの進言を一蹴する提督だが同感だ。勝てる見込みもないのに迂闊に刺激するのはやばい。俺が落ちてしまったのは影響ないと信じたい。

 

 

「不可抗力とはいえ、俺が落ちたのは大丈夫だろうか」

 

「……恐らく大丈夫だろう。今までの反応から見て、奴等の視界に入らない限りは襲ってこない筈だ。事実、一度出くわしたお前たちを奴はより強大な獲物に気を取られて見逃している。恐らく人間のことを脅威と見ていないのだろう」

 

「くっ……敵と見られていないことに救われるとはなんたる屈辱…」

 

 

 悔しげに拳を握りしめるフィオレーネ。単に狩猟できる相手じゃないからなあ。100を超える大型をどうにかする手段とか無理だろ。

 

 

「その推測は正しいと思います。俺が落ちた時も、単なる餌としか見ていなかった」

 

「腹ペコなのか追いかけてきた奴等も私達を見るなり血相を変えていたよね」

 

「さすがに海を渡れないみたいだが地上からのルートがあるからな…」

 

 

 俺の言葉にナギとヒビキも頷く。どうしたもんかね。すると一度研究所に向かったバハリが書類の束を抱えてやってきた。

 

 

「やーやーお待たせ!提督、フィオレーネ。現状は把握できてるみたいで何より!」

 

「この非常事態に何をにやついているバハリ」

 

「いや笑わないとやってられないでしょあんなの!ヤツカダキの群れに追いかけられるなんて体験二度としたくないね!」

 

「お、おう…悪かった」

 

「バハリさんでもあれはトラウマ級なんだね…」

 

 

 顔を青くしてまくしたてるバハリにドン引くフィオレーネと、同情するナギ。あんなのトラウマにならない奴はいないだろうよ。

 

 

「とりあえずですね、今できることを考えて来ました!まず、あの小型生物の研究!ぜひとも捕獲したい!現在寒冷群島で暴れているイソネミクニ亜種の付近で見たという報告があるのでその狩猟を頼むよ!亜種は手強いからね、君達にしかできないんだ!」

 

「…先刻、報告していたものだな。次の緊急クエストだとチッチェ姫に伝えておこう」

 

 

 まあ同感だ。あのよくわからん生物の正体が分からんことにはな。

 

 

「第二に、糸を斬る方法。実体のある刃で駄目ならライゼクスの電撃の刃で焼き切るのはどうかな?」

 

「ライゼクス……」

 

 

 言われて思い出した。そういやアイツがいたわ。俺とナギは顔を青くする。…いや大地母蜘蛛ヤツカダキと極断刀ショウグンギザミと星雲龍ネグレマガラだけでもお腹いっぱいなんじゃが?

 

 

「可能性はあるのか?」

 

「いや導電性は良好なのは一応検証で判明してるから、一つの手段としてね。ちなみに炎はまるで通じないことが判明している。水も然り。試してないのは冷気と電気。電気はライゼクスのメカニズムを知るために捕獲してほしい」

 

「捕獲か……討伐は?」

 

「できれば捕獲が望ましいね。あの大技の雷の斬撃を参考にしたい」

 

 

 なるほどな。確かに奴の特性を考えても、有効的な手段だろう。ライゼクスが異様に強くなければの話だが!

 

 

「冷気は王域三公の一体を捕獲すればいいかも?ほら、君達も出会ったらしい奴さ」

 

「確か…ルナガロンか?」

 

 

 思い出す。確かにあいつは氷属性だった。王域三公と呼ばれるだけあって歴代メインモンスターと同格なんだろうな。

 

 

「ああ、奴は氷の刃を全身に纏うことができる、うってつけだ!」

 

「ルナガロンを見つけ次第すぐに報告する様に伝達しておこう」

 

「つまり……ライゼクスとルナガロンを捕獲することが当面の目的ってことでいいか?」

 

「正確には何時逃げ出すか分からないイソネミクニ亜種傍の小型生物から、だね。糸の対抗策は後回しでいい。あれは俺の予想が正しければ………早急に対策を立てないとヤバい」

 

 

 真面目な顔でそう言ってくるバハリ。…あのちっこいのがそんなにヤバいとは思えないが……いや、あの小さな体にどれだけエネルギーを溜めこんでるのかって話か。

 

 

「メル・ゼナはどうする?」

 

「それも見つけ次第、かな。大穴と関係あるのはほぼ間違いないし……バレット。たしか小型生物を見たのと同時期に、あの決戦があった獄泉郷でメル・ゼナを観測したって情報があったんだろう?小型生物ともなにか関係がある可能性が高い」

 

「なるほどな。道理に叶ってる」

 

 

 ……あの干からびた淵虎竜マガイマガドの死骸も関係があるとしたら、俺達にとっては後片付けにもなるな。

 

 

「そして第三になんだけど。提督、集められるだけ戦力を集めて欲しい。最悪全面戦争になる。特に、早めに手練れのハンターを見張りとしてあの大穴の傍に置きたい」

 

「……そちらは手を打っている。淵虎竜討伐に協力して生き残ったG級ハンターたち他、カムラの里とこの観測拠点に常駐している手練れの盟勇を集っているところだ」

 

「ミクマリ達が…!」

 

 

 嬉しそうなナギの声。そうだな、掲示板でも連絡していた通り、あちらの問題が片付けばすぐにでも駆けつけてくれるだろう。それでも足りないぐらいなんだがな。……また掲示板のみんなの助けを借りようにも、魔導師ニキ曰く「持ってるコネ全部使った荒業だから二度はできない」ってことだったし……。可能性があるとしたらくだんニキに頼んでまたモンスターの掲示板の転生者たちに助けを乞うぐらいか。

 

 

「まさか淵虎竜と百竜夜行・ヌシ大乱以上の脅威があるとはなあ…」

 

「あの時も実際100体いたわけじゃないんだよね……」

 

「ヤツカダキは間違いなく100体以上いたからな。しかもそれぞれツケヒバキ等幼体が付いている上に亜種までかなりいるときた。下手なヌシの群れより厄介だ」

 

「名付けるとしたら百蟲夜行だな。…穴から湧き出てくるから深淵ノ百蟲夜行、か?」

 

「フィオレーネ、名前はどうでもいいと思うよ?」

 

「…いや、分かりやすくしておいた方がいい。この大地母蜘蛛絡みの異変を以降、百蟲夜行と呼ぶことにする!フィオレーネ、各所に伝えておいてくれ」

 

「わかりました」

 

 

 宣言する提督に敬礼して走り去っていくフィオレーネ。ちょっと嬉しそうだったな。「深淵ノ」ついてないけどいいのだろうか。

 

 

「さて、猛き炎の諸君。体調はどうだい?」

 

「心的障害というかトラウマ以外は大丈夫だ」

 

「バレットは特にトラウマに残ってそうだね…」

 

「無理もない話だ。ゆっくり休むべきだが…急いだ方がいいのか、バハリ」

 

 

 俺を心配してくれるナギとヒビキに嬉しく感じる。仲間っていいな。マシロも早く完治してくれるといいが…腹ぶち抜かれたからなあ。

 

 

「そうなんだよね。さっそくで悪いがさっき言ってたイソネミクニ亜種の狩猟をお願いできるかい?討伐でも捕獲でもどちらでもいい。例の生物の捕獲は俺がやるよ。……というか、やらせてくれ。俺以外の人に、やってほしくないんだよね」

 

「その理由は?」

 

「いやあ、あれは扱いを間違えたらやばそうなんだ。研究主任としての責任感さ。間違っても、触れないでくれよ?あの毒が人間にどんな作用をもたらすかわかってないんだから」

 

「了解だ」

 

 

 そんなこんなで、大地母蜘蛛は後回し。まずはイソネミクニ亜種の狩猟か。………亜種?ヤツカダキは他の地方にもいたから戦ったことあったがイソネミクニの亜種ってどんなだ?




というわけで最重要狩猟目的としてイソネミクニ亜種、ライゼクス、ルナガロン、メル・ゼナが決まりました。バハリ的に糸を切れる可能性があるのは某千の刃とかもいるんだけど、現状物理が全然歯が立たないので一番可能性があるのが「電気」「冷気」ということでまずはこの面子。ただでさえ強力な面子だから追加するのは、ね?

大地母蜘蛛に喧嘩を売るのはやめとこうというのは総意。そして今章のタイトル回収「百蟲夜行」フィオレーネは上手い事言ったつもりでご満悦である。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【キュリアの脅威】亜種よりやべーやつ【凍える海から手招くもの】

どうも、放仮ごです。FGOで駄目もとで単発したら水着じゃなくてジャンヌが来ました。なんでなの…。

今回は新しいコテハン登場です。以前ちょっとだけ話題に出てた人ですね。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

21:名無しのギルド所属ハンター>>1

で、小型生物と呼ぶのもややこしいので、バハリとハンターズギルドで協議した結果、噛生虫キュリアと命名したらしい

 

22:名無しの鬼殺隊

キュリアか。呼びやすくていい名前だな

 

23:名無しのザビー

それで今、イソネミクニ亜種が暴れていてキュリアも近くにいるという寒冷群島に向かってるんでしたっけ

 

24:名無しの魔導師

まあキュリアの毒の仕業だろうな

 

25:名無しの帝丹小学校6年生

だけど、巣に突入する時に掲示板やってなくて助かったわ。巨大な蜘蛛の群れとかどこのハリポタよ

 

26:名無しのドンキンタロウ

ハリポタのあれよりよっぽどでかいぜ!よくナギは泣き叫ばなかったな!

 

27:名無しのガンランス使い

>>26

いや、その……嫌すぎて悲鳴が出なかったんだよね……

 

28:名無しの日向家次女

しょうがないよ、女の子なんだもんね

 

29:名無しの49人目のマスター

今回のマシロはお留守番か?

 

30:名無しのギルド所属ハンター>>1

腹に穴が開いているから無茶をさせるわけにもいかず……近いうちに回復するらしいが

 

31:名無しのくだん

一週間足らずで回復しそうとか俺なんかよりよっぽどバケモンだなハンターって人種は

 

32:名無しの霊媒師

まさに「逆転そしてサヨナラ」だったみたいだね大地母蜘蛛の巣は……

 

33:名無しの転生者

でもおかしいなあ。俺の見たPVだと穴から飛び出す巨大な手が描かれたけどヤツカダキのそれじゃなかったんだよなあ……

 

34:名無しのRS

>>33

おっ、もしかしてこの間のサンブレイクのPVの新しいところまで見てから死んだっていう転生者か?

 

35:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>33

情報助かるけどややこしいからコテハンしてもろて

 

36:名無しのドンキンタロウ

>>33

恥ずかしがらずにゴールデンに名乗りなあ!

 

37:名無しのSOS団の異世界人

どうも、サンブレイクのPVを第四弾まで見た名無しのSOS団の異世界人です…

 

38:名無しの日向家次女

まさかのSOS団!

 

39:名無しの鬼殺隊

>>37

SOS団?とはなんなんだ?

 

40:名無しのガンランス使い

>>37

ある晴れた日にダンスしてそう

 

41:名無しのザビー

>>39

月柱さん、鬼滅のみならずSOS団も知らないとはオタクじゃなさそうですね。SOS団とはライトノベル「涼宮ハルヒの憂鬱」の主人公、涼宮ハルヒが立ち上げた「S:世界を O:大いに盛り上げる為の S:涼宮ハルヒの団」の略称で、「宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶこと」を目的とする面白集団のことです

 

42:名無しの帝丹小学校6年生

ちなみにメンバー五人のうち三人が宇宙人と未来人と超能力者だということを当の団長の涼宮ハルヒは知らなくて、しかも世界を思い通りに歪めて空想を現実にする力を持ってる神に等しい存在だから心の底から世界が滅べとか望んだら本当に世界が滅んじゃうっていう私の「名探偵コナン」の世界よりハードモードな世界ね。私より不幸な転生者がいたなんて…

 

43:名無しのRS

名前だけ知ってて内容は全然知らんかったけどヤバいのは分かった

 

44:名無しのSOS団の異世界人

お察しの通りその世界に異世界人として前世の名前と見た目そのままで転生して、普通の世界だと思ってたらあれよあれよと巻き込まれて団員にされました。ちなみに時間がループしてるっぽいから「ハルヒちゃん」の世界っぽいので少し安心してます

 

45:名無しのくだん

それでPVの穴から出てきた巨大な手について詳しく

 

46:名無しの49人目のマスター

キュリアとなんか関係あるかもだしね

 

47:名無しのSOS団の異世界人

第四弾のPVだったんですけど、たしかイケボで「人々の心が闇に染まり国が乱れる時…大地より深淵の悪魔が現れる」女の声で「死力を尽くしここを標に殺到する。獣は己が生存のため、人もまた己が生存のため」って語りの後にシャガルマガラ、激昂したラージャン、なんか異様に長い腕刀で隻眼のマガイマガドの暴れっぷりを見せられて、多分キュリアなのかな?紅いひらひらした生物が集うようにして「彷徨える焔は……深淵の悪魔の贄となって…闇に還る。消えては結び、還るべきはいずこ。彷徨える焔よ…還るべき場所を見つけたか」って語りと共に水が流れ落ちて行く大穴から龍の様な真っ黒い手が出てきて、そこで終わり…だったかな?

 

48:名無しのザビー

ラインナップが殺意高すぎな件。過去作のラスボスに、ヤバいにもほどがあるラージャンの個体に、マガイマガドの特殊個体とかアイスボーンを思い出すヤバさ

 

49:名無しの霊媒師

よくそんな細かく覚えてたね?

 

50:名無しのSOS団の異世界人

俺の特典「メモリーレコード」って言って目を瞑ると一度見たことある光景をビデオの様にいつでも見れるって特典でして……

 

51:名無しのRS

なんだそのうらやま特典

 

52:名無しのドンキンタロウ

しかしゴールデンな内容だな。なんで人の心が闇に染まると深淵の悪魔が現れるのかまるでわからん!

 

53:名無しのガンランス使い

彷徨える焔ってのがキュリアのことかな?深淵の悪魔の贄ってのはまさに大地母蜘蛛との関係だし

 

54:名無しのギルド所属ハンター>>1

還るべき場所がバハリの言ってたように穴の下だと言うのなら、そこにいるのが深淵の悪魔とならないか?

 

55:名無しのSOS団の異世界人

PVの構成からしても深淵の悪魔は龍の様な真っ黒い手…前足?の持ち主だと思いますけど

 

56:名無しの鬼殺隊

大地母蜘蛛が古龍みたくなる可能性はないか?

 

57:名無しのザビー

それはないですね。古龍でもない種族が古龍になった前例はなかったはずです。ゴア・マガラは幼体ですし

 

58:名無しの帝丹小学校6年生

単純に考えるとその手の持ち主のもとに集ろうとしていたキュリアを横取りしているのが大地母蜘蛛なんじゃない?

 

59:名無しの49人目のマスター

ワールドとアイスボーンの前例から考えるとイブシマキヒコかナルハタタヒメによく似た古龍がいるってことかな

 

60:名無しのギルド所属ハンター>>1

あ、寒冷群島についたから俺はいったん落ちるな。好き勝手考察を置いといてくれ

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「…あれがイソネミクニ亜種か」

 

「バギィの群れが酷い目にあってますね」

 

「あの感じはガランゴルムの時と一緒だな。例の毒か?」

 

 

サブキャンプのある高台から、水辺を滑って冷気を撒き散らして大暴れしているイソネミクニ亜種を眺める。つまり睡眠攻撃が全部冷気攻撃になっただけっぽい。正直アイツの厄介なの眠らせてくることだけだったからむしろ弱体化してる様な……まあいいや。

 

 

「俺は援護に徹する。ナギが防いでヒビキが攻めるいつもので……」

 

「氷の歌姫よ!俺の演奏で歌ってみろ!」

 

「あ、馬鹿ヒビキ!?」

 

 

 マガド笛とバルファルク笛を両手でグルグル回転させながら高台を駆け降りて突撃するヒビキにナギがランスとガンランスを手に慌てて続く。とりあえず氷属性っぽいし貫通火炎弾撃っとくか。

 

 

「そんなもん効くかあ!」

 

 

 イソネミクニ亜種の尻尾の振り下ろしを回転させた狩猟笛で弾き返してもう片方の狩猟笛で顎にアッパーを叩き込むヒビキ。薙ぎ払うように放たれた冷気の光線をナギがシールドで防いでガンランスのフルバーストを叩き込み、怯んだところにまるで銅鑼のバチを振るうように軽々と狩猟笛二本を振り回して連続で打撃が顔面に叩き込まれて、一回後退してからの飛びかかりも狩猟笛で叩き落す。あ、スタンした。

 

 

「…まあ所詮イソネミクニだよな」

 

 

 まあ弱くはないんだろうが相手が悪い。手数の増えたヒビキは構想中で技こそ減ったが火力が桁違いだ。バルファルク笛が攻撃特化ってのもあるが。この間にバハリがキュリアを捕らえているのかな、と周りを見渡す余裕があるほどだったのだが…その時、それを見た。

 

 

「グゴアアァアアアアッ!!」

 

「…嘘だろ?」

 

 

 ドドドドドッと爆音の如き足音を鳴らしながら丸太を片手に駆けてきたのは、紫色の体色をした通常のより巨体な体格を持つゴシャハギ……淵虎竜にヒビキと共にとどめを刺した張本人…張本モンスターである、雪夜叉だった。雪夜叉はイソネミクニ亜種を見つけると丸太の先端の片方に冷気を吹きかけてから跳躍、胴体を突き刺す様に丸太を杭の如く振り下ろして串刺し。ただの一撃でその命を絶つと咆哮を上げる。

 

 

「グゴアァアアアアアッ!」

 

「…え、私?」

 

 

 そしてナギを見下ろすと拳を振り下ろしてきて、咄嗟にランスに付けた盾で受け止めたナギが殴り飛ばされて水切りの様に水場を跳ねて壁に背中から激突、崩れ落ちたので飛び降りて慌てて駆け寄る。

 

 

「雪夜叉は前に共闘したことがある筈だろ!?なんで……」

 

「……ここでキュリアが発見された以上ありえたかもしれないことを俺達は考えないようにしていた」

 

「…おいヒビキ、それってまさか……」

 

「外天種に毒が流されるとどうなるかってことだ…!」

 

「グゴアァアアアアッ!!」

 

 

 狩猟笛二本を構えるヒビキの眼前で咆哮を上げる雪夜叉。その目に、以前感じた理性は感じられなかった。




イソネミクニ亜種を瞬殺して乱入してきた雪夜叉、キュリアの餌食に。ついに外天種VS主人公組勃発です。キュリアが外天種だろうが容赦なく凶暴化させる事実も発覚です。

涼宮ハルヒちゃんの世界に転生した転生者、SOS団の異世界人くん参戦。名無しのザビー君に並ぶ知恵袋として活用してもらいます。

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【雪夜叉攻略】いや洒落にならない【凍える海から手招くもの】

どうも、放仮ごです。好きな外天種アンケートを始めました。一番になった外天種は特殊なことがあるかも?

今回は初めての外天種(理性を失った状態)との対決。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

81:名無しのザビー

>>79

いやいや悪魔と呼ばれてるぐらいだからもっとこう禍々しい奴だと思いますよ

 

82:名無しのギルド所属ハンター>>1

たすけっ、たすけ

 

83:名無しのドンキンタロウ

うん?

 

84:名無しのガンランス使い

すぐ治るけど滅茶苦茶痛い…

 

85:名無しの鬼殺隊

どうしたなにがあったバレット、ナギ

 

86:名無しの日向家次女

バレットさんに限っては意識が逸れたのか途切れてるし!

 

87:名無しの霊媒師

でも戦ってたのってイソネミクニの亜種でしょ?そんなに強いの?

 

88:名無しのガンランス使い

いやイソネミクニ亜種の狩猟は順調に進んでたんだけど雪夜叉が乱入して来て……ヒビキが言うにはキュリアの毒で暴走してるっぽい。顔見知りなのにいきなりぶん殴られた。今ヒビキとバレットが必死に戦ってる、私も復帰しないと

 

89:名無しのRS

なん……だと……?

 

90:名無しの49人目のマスター

雪夜叉ってあれでしょ?大半が当たり特典を持ってる転生者な規格外モンスターのゴシャハギ

 

91:名無しの魔導師

確かに奴等もモンスターである以上キュリアの毒に影響されるのか……

 

92:名無しのくだん

お、俺、あっちの掲示板に行って止めれる奴がいないか聞いてくる!

 

93:名無しのSOS団の異世界人

さすがに転生者と分かってるモンスターを倒すのは気が引けますしね…

 

94:名無しの帝丹小学校6年生

それもあるけど今のイッチたちじゃ殺されかねないんじゃない?

 

95:名無しの鬼殺隊

ヒビキが抑止力があれば…とは思うが

 

96:名無しのガンランス使い

私が身体を張って時間稼ぎするからなんか攻略法考えて!

 

97:名無しのギルド所属ハンター>>1

ナギ!?そんな無策に突っ込むな!

 

98:名無しの日向家次女

いくら健康な肉体の特典持ってても即死したら多分駄目って前言ってたのに!

 

99:名無しの魔導師

イッチ、ナギちゃん死なせるなよ絶対だぞ!

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「言われなくてもな…!」

 

 

 無策で突進で突っ込んで行って丸太で殴り飛ばされたナギを尻目に、ヘビィボウガンに火炎弾を装填しながらヒビキと殴り合ってる雪夜叉に突撃する。ヒビキも雪夜叉の攻撃は全部避けるか弾いて防いでいるが、そう持たないぞ…!

 

 

「グゴアァアアッ!」

 

 

 ヒビキの二本がかりの狩猟笛の一撃で丸太を大きく弾かれ、それに気付くと体勢を立て直して振りかぶった丸太を叩きつけてくる雪夜叉。咄嗟に一歩引いて回避し、目の前に叩きつけられた丸太に銃口を突き付け火炎弾を連射で叩き込む。

 

 

「グゴア?」

 

「ナイスだバレット!」

 

 

 得物が燃え落ちてそれに怪訝な視線を向けて首を傾げる雪夜叉の背後から、まるで双剣の様な動きで殴りつけるヒビキ。その様子から、転生者特有の人間に近い知能を有しているとは思えない。戦闘力はそのまま獣同然になっているとみていいだろう。ならつけ入る隙はある筈だ。

 

 

「グゴアァアアアアアッ!」

 

 

 すると怒ったのか紫色の肉体が赤黒く染まった姿となった雪夜叉は両腕を勢いよく振り下ろして大規模な地震を発生。地盤が叩き割られて俺達の足を取って転倒させ、崖が崩れて落石が降りかかってきたのをすぐに立ち上がって駆けつけたナギが盾でパリィして防御。なんて力だ、拳を叩きつけるだけで地震を起こせるパワーとは…。

 

 

「これが雪夜叉と言われる所以か……」

 

「と、とんでもない…」

 

「…っ、避けろ!」

 

 

 何とか立ち上がると、目の前で雪夜叉は大きく溜めて冷気のレーザーを発射。某怪獣王の放射熱線の如く真っ直ぐ細く放たれたそれは俺達が咄嗟に避けた背後にあった岩壁を、縦に振り下ろされて真っ二つに粉砕。さらに一呼吸すると空に目掛けて横に薙ぎ払いつつ冷気のレーザーを放ち、空気中の水分を凍らせて氷柱を生成、落下させてきたので咄嗟に武器で防御する。

 

 

「こいつ、ゴシャハギなんだろうが練度が桁違いだ。まるで人間が鍛えた技の様な…!」

 

「威力が凄すぎる、盾じゃ防げないよアレ!」

 

「…しかもそれか。最悪だ」

 

 

両腕に冷気の息吹を噴きかけて殺意むき出しの三枚刃の鉈の爪と棘鉄槌を作り出して構える。…うーん、殺意高い。

 

 

「ヒビキ、奴を正気に戻すことは可能か?!」

 

「はあ?……モンスターだぞ、何時かは戦うかもしれない敵だ。一度共闘したとはいえ手心を加える必要があるか?」

 

「アイツだって暴れたくないのにあの毒で苦しんでるんだ、キュリアの呪縛から解放してやりたい」」

 

「私も!百竜夜行・ヌシ大乱で危ない所を助けられた恩があるし、恩返しがしたい!」

 

 

 俺とナギがそう訴えると、ヒビキは大きく溜め息を吐く。俺より年下なのに悪いが、ヒビキならなんとかできると信じられるんだ。

 

 

「…そもそも俺達はイソネミクニ亜種を討伐しに来たんだしな。一文にもならない狩猟をする理由もないか。毒で頭がおかしくなってるんだろ?ならぶん殴って正気に戻すぞ」

 

「それでいけるのか?」

 

「知るか。駄目でもともとだ。正気に戻らなくても知らん」

 

「上等!」

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

 

 振り下ろされた棘鉄槌をヒビキが狩猟笛を振り上げて弾き返して罅割れさせる。そのまま薙ぎ払うように振るわれた三枚刃の鉈爪はナギがアンカーレイジで受け止めて返しの突きで破壊。さらに駆け寄って顔面を左腕のヘビィボウガンで殴りつけ、装填していた火炎弾を叩き込むと怯んで後退した雪夜叉は闇雲に両手の残骸を投げつけてきて、咄嗟にシールドで弾く。

 

 

「グゴアァアアッ!」

 

 

 すると雪夜叉は通常種のゴシャハギじゃ考えられない大跳躍。なんと寒冷群島に点在する船の残骸に飛び乗るとマストを引っこ抜いてまた跳躍して戻ってきた。おいおいマジか…!?

 

 

「それを振り回すとかどんなパワーだ!?」

 

「剛力無双すぎないかなあ!?」

 

「グゥッゴアァアアアアッ!」

 

 

 さすがに長大なそれを振り回すのは難しいのか、先端を持って勢いよく叩きつけるとそのまま横に大きく振るって俺達三人は纏めて薙ぎ払われて、水辺をゴロゴロと転がって行く。雑だが強力だ。そのまま引っ張ってちょうど真ん中を持ってグルングルンと頭上で回転させる雪夜叉。持ち手に冷気を吹きかけてマストに氷を這わせて両端が槍の様に鋭く尖る。ゴシャハギは武器の扱いが得意なモンスターだが限度があるだろ!?

 

 

「あぶなっ!?」

 

 

 氷を這わせたことで扱いやすくなったのか自在に振り回し、突きを繰り出してくる雪夜叉の攻撃をシールドで受け止めながら弾かれることで回避。背中のライトボウガンを右手で取り出し通常弾を乱射。しかし雪夜叉はマストを振るって弾を打ち消し、そのまま連続で振るって穂先で斬撃を繰り出してきたのを、ナギがランスに付けた盾とガンランスで弾いて行く。

 

 

「衝撃が凄い……」

 

「ナギ、大丈夫か!?」

 

「私の身体はどんなことがあっても健康だから大丈夫…少し痺れるけど」

 

「相変わらず妙に頑丈だな!」

 

 

 そう言うヒビキだが、ナギは隠していたようだが一回骨折してるのが治された様だ。驚異的な回復速度だが痛いじゃすまないだろこれ。長期戦は不味い。

 

 

「あれをどうにかするからヒビキ、頼んだぞ!」

 

「お、おいバレット!?」

 

 

 ライトボウガンにとある弾を装填してから背中に戻し、左腕のヘビィボウガンを右手である弾を装填するとそのまま抱えて駆け出す。連続で突いては引いてを繰り返す雪夜叉の攻撃をシールドでパリィしながらゆっくり近づいていく。

 

 

「うおおおおっ!」

 

「グゴアッ!?」

 

 

 驚く雪夜叉は目いっぱいマストを引いて、渾身の突きを繰り出してきた。そいつを待っていたあ!

 

 

「貫通火炎ヘビィナックル!」

 

 

 マストの穂先の中央にぶつけるようにしてヘビィボウガンを叩き付け、そこに貫通火炎弾を発射。全弾撃ち尽くしたそれはマストをぶち抜いて粉砕し、雪夜叉の腕にも貫通させて大きく怯ませる。スロットに弾道強化しまくっといてよかった。

 

 

「ヒビキィ!」

 

「おう!光陰二閃・振打(こういんにせん・しんうち)!」

 

 

 そこに、ヒビキが両手でグルグルとソーのミョルニルの如く回転させていた狩猟笛二本を連続で投擲。無防備な雪夜叉の顔面に一発目が炸裂したところに重なるようにもう一撃炸裂、その巨体が引っくり返る。

 

 

「グゥ……ゴア?」

 

 

 頭を押さえながら立ち上がる雪夜叉。体の色も紫色に戻っており、その目には理性の光が宿る。正気に戻ったか。

 

 

「グゴアアッ……」

 

 

 雪夜叉は弱々しく吠えると結構な重症だったのか頭を押さえながらゆっくりと歩いて去って行った。それを確認するなり俺達は濡れるのも構わず水場に腰から崩れ落ちる。

 

 

「…ふう、死ぬかと思った」

 

「怖かったあ…」

 

「あれで正気に戻せるのか、これからも使えそうだな」

 

 

 …いや、あれは転生者って言う自我が強かったから戻せたんだと思うぞ。そんなことを考えたが言う元気もなく、俺達は休息するのだった。




理性を失っても戦闘技術はそのままどころかむしろ手加減がなくなった状態の雪夜叉でした。転生者の意識があれば殴れば正気には戻る模様。闘争心がちょっと強くなりますが。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【幕間】VS雪夜叉その後【意外な事実】

どうも、放仮ごです。最近は三千字縛りにしてるんですが全然進まねえ。楽しんでいただければ幸いです。


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45:名無しのくだん

というわけでキュリアに気を付けてください

 

46:名無しの灼翼王

情報感謝する。いきなり雪夜叉と音信不通になったと思ったらそんなことになってるとは…

 

47:名無しの転生先生

サンブレイクに入ったとは想像ついてましたがまさかそんな脅威があるとは

 

48:名無しの星雲龍

あの時のデカブツ……ガランゴルムもその影響を受けてたのか。まあ確かに普段見かけた時は大人しそうだったからどうしたのかと思ったが

 

49:名無しの転生ドス狗竜

あのギザミは別にキュリア関係なかったっぽいの笑える

 

50:名無しの滅雷刃

大地母蜘蛛と呼ばれてるクソデカいヤツカダキが恐らくその元締めで、モンスターを暴走させて疲弊したところを餌として回収することも承知した

 

51:名無しの転生大海の王

その世界ではないはずだが…俺達の世界にも出てくる可能性があるから用心しないとな

 

52:名無しの毒牢姫

私は多分毒牢で大丈夫だと思いますけど他の外天種の皆さん気を付けてくださいね…?

 

53:名無しの雪夜叉

ぐう…頭が痛い……虫に刺されたと思ったらいつぞや共闘してたやつらにぶん殴られてたんだがなにがあった…?

 

54:名無しの転生千刃竜

>>53

おおっ、雪夜叉、正気に戻ったか!

 

55:名無しの塵魔帝

無事でなによりだ!理性無くなるらしいから最悪弱体化して討伐されるかもと心配してたぞ!

 

56:名無しの転生赤甲獣

俺達転生者ならある程度抗える、……だといいなあ

 

57:名無しの雪夜叉

何の話だ……ぐう、あの狩猟笛使い思いっきりぶん殴りおってからに。手も火傷してるし体は昂ぶってるし本当になんなんだ

 

58:名無しのくだん

キュリアって言うモンスターの理性を飛ばして凶暴化させる毒を持つ小型モンスターがいて、雪夜叉さんはその餌食になったっぽいのだけどなにか心当たりあります?

 

59:名無しの雪夜叉

んあ?……あの虫刺されがそうか?チクッて感じただけで特に気にしてなかったんだが

 

60:名無しの転生傘鳥

気付かれずに暴走させてくるって恐ろしい事この上ないな

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあ、三人とも無事でよかった!暴走した雪夜叉ゴシャハギが乱入してきたときは肝が冷えたよ!」

 

 

 雪夜叉との死闘を制してエルガドに帰還するなり提督の下に向かうと、一足早く帰ってたらしいバハリが笑顔でそう言ってきた。テンション高いがなんかあったのか?

 

 

「変にテンションが高いがまさかキュリアを取りのがしておかしくなったわけじゃないだろうな?」

 

「まさか。キュリアも騒ぎにかこつけて逃げようとしていたけど無事捕獲完了だ!俺がこんな興奮しているのは暴走していたとはいえこの目で雪夜叉の戦いを目撃できたからさ!外天種の戦闘は貴重なんだよ。なにせ出くわしたら運よく見逃してもらえるか気が立っていて瞬く間に殺されるのかのどちらかだ。見逃された人間からはろくに情報を聞けない!やはりあれほどの力を持つモンスターは素晴らしい!いつか捕獲してじっくり調べたいね!」

 

「お、おう」

 

 

 オタク特有の早口でまくしたてるバハリにドン引きする。…まさか転生者だとは言えないよなあ。するとナギが何かに気付いたようでおずおずと尋ねる。

 

 

「あ、もしかしてギルドにある外天種の生態調査クエストって…」

 

「もちろん俺の依頼さ!王国上層部に直談判でかけあって、危険性を説いて調査を依頼したんだ!いやあ、まさか実際に見られるとは思わなかったけどね!」

 

 

 あのギルド本部にある危険度MAXなG級専用クエストこいつの差し金か。納得。

 

 

「現在早速、キュリアから毒を抽出して研究しているよ。外天種さえ暴走させるほどの毒だ、どんな効果があるのかちゃんと調べないといけない。特に人間に対してどんな作用があるのか調べないとね。人体実験するわけにいかないからかなり時間かかるけど!ああ、ウキウキワクワクが止まらない!しばらく眠れない日々が続きそうだ!ああ、生きてるってスバラシィー!」

 

「…バハリ。それもいいが、報告がある。猛き炎とフィオレーネよ。ルナガロンが城塞高地にて捕捉された。速やかに倒さねばならん」

 

 

 ルナガロン。その名前にぴくっと反応する俺達猛き炎。二体目の王域三公にして俺達が最初に出会った王域三公、ついに来たか。

 

 

「ルナガロン…大社跡で相見えて以来だな。覚えてるか、バレット」

 

「ああ、結構色々あったがフィオレーネと初めて出会った狩猟だ。覚えてないわけがない」

 

「…付近にてキュリアが飛んでいたのと、巨大な足音が聞こえたと報告が入っている。十中八九、大地母蜘蛛もいる可能性が高い。用心してくれ」

 

「あ、忘れないでおくれよ。大地母蜘蛛に対抗するためにもルナガロンは捕獲してほしい。最悪狩猟でもいいけどね!」

 

 

 バハリの言葉に頷く。忘れてないさ。ライゼクスと共に最重要ターゲットのひとつだろう。するとフィオレーネがなにか気になってたのかバハリに問いかける。

 

 

「…バハリ。今更だが、王域生物の縄張り拡大の黒幕はメル・ゼナではないのか?キュリアが異変の中心だと確信していいのだな?」

 

「いや、そこまではわからない。俺は大地母蜘蛛とキュリアだけが原因だとはとても思えない。メル・ゼナも無関係とは思えないし、もしかしたらキュリアを使役している元締めがメル・ゼナの可能性もある。なにせキュリアは有している毒やエネルギーが規格外とはいえ虫の域を出ないからね」

 

 

 メル・ゼナ…俺はまだ見ていないが、王域三公の中で唯一の古龍。獄泉郷で観測されて以来姿を見せてないらしいが……。キュリアが還ろうとしていたあの大穴の下にいるのがメル・ゼナの可能性もあるのか。

 

 

「キュリアは単体ではやはり弱いのか?」

 

「うん、バレット。キュリアがこれまで生き残ってきたことには必ず宿主が存在するはずなんだ。その可能性が一番高いのはメル・ゼナ。そしてそれを利用しているのが大地母蜘蛛と考えるのが適切だろう。とにかくそれを探るためにもルナガロンの捕獲を頼むよ。俺も赴いてキミたちが狩猟している間にキュリアのサンプルを取るからさ」

 

「…バハリ。悪いな」

 

「気にしないで下さいよ提督。俺は現場に出る方が元気になるので」

 

「…うむ。猛き炎とフィオレーネよ、ルナガロンの狩猟…捕獲を頼む。バハリはキュリアのサンプルを」

 

 

 …提督とバハリ、やはりなにか特別な関係を感じる。なにかしら秘密を共有してるっぽいがそれゆえの信頼関係だろうか。

 

 

「そうだナギちゃん。城塞高地に行く前にちょっと血のサンプルくれない?」

 

「ふえっ?」

 

 

 するといきなりバハリに話を振られて間抜けな声を出すナギ。なんのつもりだ?

 

 

「いやね、盾で受け止めたとはいえあの一撃を受けてすぐ復帰できる肉体は興味深いなあって。あれ普通なら粉砕骨折じゃすまないよ?君のプロフィールを見た限り「何故か頑丈。病気にかかったことがない」ってウツシ教官の評価にもあったからさ。研究者として気になってね」

 

「いや、その・・・ごめんなさい。注射はちょっと…」

 

「そっかー。無理強いはしないよ、ごめんね」

 

 

 生前病院にいたからかそれを思い出すものがトラウマになってるんだったか。しかしナギの「健康な肉体」の特典…は調べてわかるものなのだろうか。

 

 

「私よりヒビキを調べた方がいいと思う…」

 

「それはそうだね!ヒビキ、君もあの猛攻を受け流すなんてどんな身体してるのさ?血のサンプルくれない?」

 

「断る」

 

「君もか、注射は嫌いかい?」

 

「断る」

 

「……ヒビキね、瀕死の時にゼンチさんに点滴されてから注射が怖いらしくて……」

 

「…あのやべーやつに淵虎竜以外に怖い物があるんだな」

 

「案外かわいいやつだな」

 

 

 バハリとヒビキの問答(?)を眺めながらナギがこそこそとフィオレーネと共に教えてくれた話に苦笑いを浮かべる。真面目にヒビキは一度調べた方がいいと思うけどな、うん。




ミクマリ回の時にちらっと出てた外天種関連のクエストはバハリの依頼だったという話。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【VSルナガロン】這い寄る蜘蛛と降り注ぐ星雲【赤月に吠える氷狼】

どうも、放仮ごです。FGOとかFE青獅子ルートやらモンハンやら執筆やら動画鑑賞やらで時間が、時間が足りない…!

今回はVSルナガロン。楽しんでいただければ幸いです。


 城塞高地にルナガロンを捕獲しにやってきた俺達。俺のマップ(フィオレーネとヒビキには「勘」と伝えている)を頼りに瑠璃色の甲殻が特徴的な氷狼竜を探していると、すぐ見つかった。雪山エリアの手前でベリオロスに喰らい付いており、背中に飛び乗り爪を肩に突き刺し固定、喉笛を噛みちぎって絶命させたベリオロスを捕食している。その姿はまさに上位捕食者、ハンターだ。

 

 

「見つけたぞ、ルナガロン!もう逃がしはしない!」

 

「ナギ、ヒビキ!フィオレーネをカバーするように展開!」

 

「「了解!」」

 

 

 見つけるなり高速で駆けて行ったフィオレーネの声に振り返り、遠吠えの様な咆哮が上がる。冷気を纏っての飛びかかりをフィオレーネが片手剣の盾でいなし、いなされた方向に移動していたヒビキが一本だけ…ホルマゼンタを手に取ってフルスイングするが、ルナガロンは体勢を変えて飛び越えるようにして回避。俺がヘビィボウガンで火炎弾を叩き込むも、見切られて避けられる。

 

 

「こいつ…!?」

 

「こっちを観察している…?」

 

「のろまさん、こっちだよ!」

 

 

 ナギが槍で突き刺しながら挑発してルナガロンのタゲを取る。すると連続で噛み付きを繰り出し、ナギは巧みに盾で防いでいく。その隙にヒビキとフィオレーネが取り囲む。今がチャンスだとばかりに特殊弾を装填、腰だめに構える。

 

 

「狙撃竜弾!」

 

「ウォオオオン!」

 

「避けさせんぞ!」

 

「上も無駄だ!」

 

 

 ルナガロンはすぐに気付いて振り向き、回避行動をとるとするが両サイドはヒビキとフィオレーネが阻み、背後ではナギが竜撃砲を撃ち込もうとガンランスに炎を溜めていて。ならばとルナガロンは跳躍して回避しようとするがヒビキが狩猟笛をぶん投げて顔面にぶつけて地面に叩き落とし、俺の狙撃竜弾と竜撃砲が炸裂。ルナガロンは咆哮を上げて冷気を発生させ、四肢と背中に氷の装甲を身に纏って後ろ足で立ち上がった。話に聞いた形態変化か!

 

 

「気を付けろ…!?」

 

 

 すると右腕を振り被って高速で踏み込んで氷の爪による斬撃を繰り出してきて、咄嗟にシールドで防御。しかしそのままシールドを蹴り上げられて無防備になったところに左腕の氷の爪を振り下ろしてきて、咄嗟に右手に握った閃光玉を顔面に叩きつける。

 

 

「ウォオオオン!?」

 

「ぐう!?」

 

 

 目暗ましには成功するが振り下ろすことは止められず、右肩に引っ掻き傷を受けてゴロゴロと転がる俺。ルナガロンは視界を潰されながらも冷気を溢れさせた口を下に向けて冷気を放出。地面がパキパキと凍り付いていき、避け損ねた俺とナギの足が拘束されてしまう。

 

 

「バレット、ナギ!」

 

「フィオレーネ、二人を頼む。こいつは俺が…!」

 

「ウォオオオン!!」

 

 

 目が見えないながらも連続で爪を振りまわして突進するルナガロンの攻撃を狩猟笛で受け止め弾き返すヒビキ。なんか痛みを感じて斬り裂かれた傷を見ると、浅い傷口が徐々に凍り付いていっていた。…厄介な。どこかで身体を温めないと不味いか。

 

 

「バレット、その傷は……」

 

「気にするなフィオレーネ。ナギを頼む」

 

「あ、ああ……無茶はするなよ?」

 

 

 激昂して目と口を緋色に光らせるルナガロンは跳躍してその軌道上で冷気を放出、氷柱を落とす様に冷気の塊を地面に落として凍結させていき、ヒビキが足をとられたところを地面ごと抉って吹き飛ばす。やはりキュリアの毒を受けているのか。ルナガロンの四肢と尻尾を駆使した格闘攻撃の猛攻に、ヒビキも狩猟笛二刀流で対抗。ガギンガギンと笛と爪がぶつかる音が響き渡る。

 

 

「こいつでもくらっとけ…!」

 

 

 肩が凍り付いてしまった右腕じゃ背中のライトボウガンを手に取れない。凍り付いてひしゃげてしまったシールドも取り外してヘビィボウガンにポーチから取り出した弾を装填。撃ってみるがやはり、見切られて回避されてしまう。

 

 

「狼だけあって耳と鼻が敏感なのか…なら!」

 

「バレット、なにを!?」

 

 

 火炎弾を装填。避けられるとわかっていて、ルナガロンの足元に撃ち込んでいく。フィオレーネが気でも狂ったのかと言いたげな声を上げるがまあ見ていろ。凍てついていた足場。残留した炎は氷を溶かし、下にあった草も燃やし……黒煙を発生させる。

 

 

「ウォオオン!?」

 

「あれ、当たった?」

 

 

 すると闇雲に突撃してガンランスの砲弾を叩き込んでいたナギの攻撃が炸裂。ルナガロンは鼻と片耳を両手で押さえながらよろよろと後退する。

 

 

「パチパチパチ。人によっては心地よく聞こえる音だがお前にとっては不快な不協和音だろう。煙たいか?だろうな、その鼻にこの黒煙はきついだろうよ。…で?俺達がなにをしようとしているか、それでわかるのか?」

 

「ウォオオオオオン!」

 

 

 立ち上がりながら煽ってやるとルナガロンは発狂。闇雲に噛み付いて尻尾を振り回して爪で虚空を斬り裂きながら突進する。でもそんな単調な攻撃、もう当たらない。ヒビキが弾き返し、ナギが砲弾を叩き込み、フィオレーネが盾で殴り飛ばす。顎を殴られてよろよろとふらつくルナガロンに俺は死力を振り絞って駆け寄り、火炎弾を装填しているヘビィボウガンをつけた左腕を腹部に炸裂。呻いたルナガロンに、振り上げられないまでもまだ動かせる右手でトリガーを引いて灼熱の炎を叩き込んだ。吹き飛び、転がるも立ち上がれそうにないルナガロン。

 

 

「ウォオオオン……」

 

「よし、瀕死だ。誰か捕獲を……!?」

 

 

 ゲーム画面でアイコンの下に青いものがピコンと言う音と共に現れたのでそう指示するが、同時にマップを見て絶句する。バグった様な表記のうじゃうじゃしたアイコンが近づいて来ていた。足音が聞こえないのに何時の間に…!?

 

 

「大地母蜘蛛だ、隠れろ!」

 

「「「!」」」

 

 

 俺が言うなり隠れる三人。俺も右腕を気にしながらも木陰に隠れる。するとビシュッと言う音と共に銀色の糸が飛来。石橋に二本くっ付くと、それに乗って空に擬態していた大地母蜘蛛が姿を現した。糸の上を移動することで足音も消せるのは聞いてないぞ…!?

 

 

「ギギギギギッ……」

 

 

 低い鳴き声を上げながらきょろきょろと辺りを見渡し、燃えている地面と倒れ伏したルナガロンを複眼に納める大地母蜘蛛。ずしんと足音を鳴らして燃える地面を踏み潰して鎮火。腹部からヤツカダキを五体出すと散開させ、「キシャッ」と声を上げて索敵させたらしい大地母蜘蛛は折りたたんだ首を伸ばしてルナガロンをじろじろと眺めると、ガブッと牙を突き刺した。食べようとするのではなく毒を送り込んでるらしい。あんなに弱っているのにまだ酷使するつもりか。

 

 

「くっ……最悪だ(小声)」

 

「見つかったら終わりだ……(小声)」

 

「来ないで来ないで来ないで…(小声)

 

「むうう…(小声)」

 

 

 …このゲーム画面、皆の台詞も横にポップアップされて便利だなとか現実逃避する。すぐ目の前にヤツカダキがいる…木陰を見られたらアウトだ……。

 

 

「…ここまでか」

 

 

 諦めかけたその時だった。ゲーム画面横に新たなモンスターが現れたと表示が出る。マップを見ればそのアイコンは高速でこちらまで迫ってきて。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

59:名無しのくだん

間に合った!あっちの掲示板に行って救援を頼んできました!

 

60:名無しの日向家次女

ナイスゥウウウウ!

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 一瞬だけ掲示板に意識を向けるとそんな会話が。と認識した瞬間。俺の目の前のヤツカダキに空から降ってきた黒炎が炸裂して包み込んで拘束、高速で飛来してきた黒い巨体がそのまま両前足を押し付けて大爆発させて爆散させた。俺はその衝撃でゴロゴロと隠れ場所から飛び出してしまったが、ヤツカダキは大地母蜘蛛含めてこちらには目もくれず。乱入者に意識を向けていた。

 

 

 

「星雲龍、ネグレマガラ…!」

 

「グオオォオオオッ!」

 

 

 俺の声に嬉しそうに咆哮を上げたネグレマガラが近場のヤツカダキに飛びかかる。ヤツカダキは抵抗するがいつの間にかばら撒かれた地雷で動きを止められ、ネグレマガラは翼腕と前足で抑え込み、折りたたんである首を無理やり広げて地面に押し付け、喉笛を噛みちぎって即死させる。なんて手際だ。

 

 

「ギギギギギッ、キシャアアアアッ!」

 

「グオオオアアアアッ!」

 

 

 すると怒りに燃えた大地母蜘蛛がどしどしと凄まじい勢いで駆けてきてネグレマガラを岩壁まで蹴り飛ばす。しかしネグレマガラは岩盤を突き破って空に舞い上がり、そのまま大地母蜘蛛に飛びかかって腹部の糸を引きちぎろうと暴れ回る。

 

 

「なんで、ネグレマガラが…」

 

「…気に入らなかったんだろうな、縄張りで好き勝手するアイツが」

 

「…それよりバレット」

 

「俺達も、見てるだけじゃすまなそうだ…」

 

 

 ナギとヒビキの声に振り向く。そこには明らかに凶暴になったルナガロンがネグレマガラと大地母蜘蛛の縄張り争いを横目にこちらを睨んでいて。あっちは任せてこっちに集中するしかなさそうだ…!




冷静に見切ったり傷を凍結させたり地面を凍結する能力を得たルナガロン。あえなく瀕死に。そこに足音も立てずにやってきた大地母蜘蛛。本人的に隠密モードなのでバレットの特典が無かったら襲撃されて終わってました。

そこに参戦、ネグレマガラ。危険も知らされてるため自分で始末しに来ました。ネグレマガラと呼んでもらえるのが嬉しいと言う結構可愛い所も。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【外天種大決戦】降り注ぐは流星雲群【赤月に吠える氷狼】

どうも、放仮ごです。アンケートのネグレマガラが予想と違って大人気でこうなるのかと結構驚いてます。やはり人気モンスターの亜種は違うのか。このアンケートの結果どうなるかは本当にお楽しみに。

今回は大規模攻撃が得意同士の規模が桁違いな外天種対決となります。楽しんでいただければ幸いです。


 気に入らん。気に入らん。俺自身が狂竜ウイルスという病原菌を有しているというのもあるが、キュリア(他種族)の毒を利用して自分の種だけ覇権を握ろうとは気に入らん。くだんから知らされた掲示板仲間、雪夜叉の暴走。ハンターたちの手で正気に戻ったが、その毒をばら撒いているこの大地母蜘蛛と呼ばれている虫けらは許せん。

 

 

グオオオオアアアッ!(その糸ひきちぎってやる!)

 

ギギギギギギギッ!(妾に触れるな下郎!)

 

 

 女王気取りの奴の腹部に取りついて前足と牙で糸を引っ張る。斬撃には滅法強いがモンスターのパワーで引きちぎることはできるとくだんニキから聞いている。体格差は圧倒的だが、逆に取りつくことで奴に手出しは……む?

 

 

グゴア?(なんだ?)

 

「「「ギギギギッ……」」」」

 

 

 両前足と首に何かを巻き付かれて振り向く。見ればさっき二体潰した残りのヤツカダキが口から恐らく糸を伸ばして引っ張っていた。マザーを護ろうってか。面白い。蟲如きが古龍に勝てると思うなよ?

 

 

グゴアアアアアッ!(その程度で勝てると思うな!)

 

 

 鱗粉をばら撒き、俺の両前足を拘束しているヤツカダキの足元に地雷を設置して爆散。大地母蜘蛛から飛んで離れながら首を動かして残ったヤツカダキを空中に引っ張り上げ、喉笛に噛み付き砕くことで即死させて残骸の上に乗って地面に着地。

 

 

キシャアアアアアアッ!(我が子等をよくも、よくも!)

 

グゴアアアアッ!(なら子供をけしかけるな!)

 

 

 瞬間、咆哮と共に口に熱を溜めて行く大地母蜘蛛。見えないが炎を溜めている?嫌な予感がして空に逃れると、凄まじい勢いで細く収縮されたらしい熱線が放射。避けた先の岩盤に当てて融解させたのを感じる。アレを喰らったら俺の防御力でもやばそうだ。

 

 

ギギギギッ!(逃がさん!)

 

 

 さらに口から赤熱されているらしい糸が幾重にも放たれ、空中を舞って回避すると巨岩が細切れにされて崩れ落ちる。ならばと空中から奴の顔に目掛けて飛び付き、俺の胴体程の大きさはある顔に零距離でレーザーを放つも、その糸の防御は貫けない。なんて防御力だ、引きちぎってやるとばかりに前足で顔面を覆っている糸を剥がそうと試みる。

 

 

グゴアアアアッ!(ここで殺す!)

 

ギギギギギッ!(調子に乗るな!)

 

 

 すると俺が引っ付いたまま折りたたんだ首を伸ばして、俺を背中から岩盤に叩きつける大地母蜘蛛。たまらず離れてしまい地面に崩れ落ちる。そこに襲いくる槍の様な節足のストンプ。身を捩って回避し糸に包まれている足に噛み付いて引きちぎり、爪の一撃を叩き込んでバランスを崩すも、そのまま大地母蜘蛛は足を振るって俺をまた蹴飛ばしてきて、空に吹き飛ばされて翼を広げ急制止。

 

 

ゴアアアアッ!(喰らえ!)

 

 

 こちらも空から再びレーザーを放射。すると大地母蜘蛛は足をバネの様に縮めてなんとその巨体で跳躍して回避。思わず見上げれば、大地母蜘蛛は急降下して来てその腹部に押し潰され、地面に叩きつけられる。

 

 

「グゴアアアアッ!?」

 

ギギギギギッ…(このまま子供たちの餌となれ)

 

 

 さらに糸に囚われて身動きが取れず、大地母蜘蛛の腹部に磔にされて振り回され、岩盤に叩きつけられる。これは不味い。全身を覆っている狂竜ウイルスの粘膜が薄くなってる。ここまで強いか。デカさは強さだな。だが殺されてたまるか。

 

 

グゴアアアアッ!(これでも喰らえ!)

 

 

 粘膜にしている狂竜ウイルス全てを地雷化。大爆発の勢いで糸を引きちぎり脱出し空に舞い上がる。こうなったら必殺技で勝負だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 傍らで大地母蜘蛛とヤツカダキ軍団相手に星雲龍ネグレマガラが大立ち回りをする中、俺とナギ、ヒビキとフィオレーネは復活したルナガロンと対峙する。ゲーム画面を見ると瀕死マークが消えている。なんか知らんが回復もしたらしい。

 

 

「どうするヒビキ。もし捕獲できたとしても奴らが暴れている中では自殺行為だぞ」

 

「最悪こやし玉を使うが、ネグレマガラを今は信じる。俺達は俺達ができることをするしかない!」

 

「モンスターを信じるとかぶっ飛んでるなバレット!」

 

「でも、それしかないね!」

 

「ウォオオオオオン!!」

 

 

 構える俺達に対してルナガロンは咆哮を上げ、二足歩行形態になって華麗なステップで突進。爪を振り下ろしてきたのを、ナギが受け止めフィオレーネが滅・昇竜撃を顎に叩き込み殴り飛ばす。

 

 

「ウォオオン!?」

 

「こいつも喰らっとけ!」

 

 

 さらにふらついて後退したルナガロンの顔面をヒビキが渾身の振り下ろしで殴りつけてスタン。その隙をついて貫通火炎弾を叩き込む。するとルナガロンはスタンから回復するなり地面を爪で抉りながら高速で突進。同時に岩盤に熱線が炸裂して溶け落ちる。大地母蜘蛛か、危ない。

 

 

「ウォオオオン!!」

 

「散開!」

 

 

 咄嗟に散開の指示を出してタゲを散らせることでルナガロンの攻撃を受け流す。そのまま俺達はすれ違いざまに攻撃、俺も火炎弾を叩き込んで反撃。すると立ち止まって冷気を放出しながら跳躍し、上空から氷柱を落としてくるルナガロン。鋭く尖った殺意だらけのそれを回避する俺達だったが、ルナガロンはその隙を突いて再び大地を抉りながら突進。

 

 

「っ!?」

 

「バレット!」

 

 

 俺の装備に噛み付いて背中を地面に引きずりながら突進するルナガロン。拘束技だと!?やばいやばいやばい、ゲーム画面の俺の体力バーがどんどん削れていく。くっそ、さっきの仕返しってわけか。怒りに身を任せている状態か。

 

 

「な、め、る、なあ!」

 

「ウォオオン!?」

 

 

 パンチ。パンチ。パンチ。パンチ。ヘビィボウガンでとにかく顔面を殴りつける。ルナガロンは怯みながらも俺を離さず、俺も負けじと殴りつけて行く。すると癒される感覚と共に体力バーが回復する。これは大粉塵、フィオレーネか。ありがたい、まだやせ我慢できる!

 

 

「回復は任せろ!」

 

「バレット、耐えてくれ!」

 

「こっちこっち!」

 

 

 ゲーム画面の地図を見れば突進する先に罠の表示。しかし少しずれている。どうしたものかと考えていたら進路方向に先回りしていたナギがシールドバッシュ。無理やり進路方向を変えてくれた。このまま俺ごと罠にかけようってことか、上等!空いている右手でポーチから捕獲用麻酔弾を取り出し、ルナガロンの鼻面に腕を置いて無理やりヘビィボウガンに装填。撃ち込んでいく。

 

 

 

「ウオォオオオオッ!」

 

「ウォオオオオンッ!?」

 

 

 そしてルナガロンは、落とし穴に落ちて俺を解放。もがいているところにヒビキとフィオレーネが「音撃打打打」と「ジャストラッシュ」を叩き込んで瀕死に追い込み、ルナガロンは麻酔が効いたのか眠りに落ちた。

 

 

「や、やった…」

 

「バレット、大丈夫か!?」

 

「大丈夫じゃない…かな」

 

 

 フィオレーネに弱弱しく応える。さすがにきつい。よろよろと立ち上がりながらネグレマガラと大地母蜘蛛の対決を見やる。レーザーと熱した銀の糸が飛び交う派手な戦いを繰り広げている。すると大地母蜘蛛はまさかの大跳躍。あの巨体を跳躍させるってどんなパワーだ。そのままネグレマガラを押し潰して腹部に拘束してしまう。アレは不味いか!?

 

 

「助太刀を…ぐっ」

 

「無茶だバレット!」

 

「やめとけ。手を出したら標的は俺達だぞ、バレット」

 

「助けたいけど私達じゃどうしようもないし…」

 

 

 もがきながら岩盤に何度も叩きつけられるネグレマガラを見ていることしかできない。くそっ、あの糸を斬る手段さえあれば……と思っていたら全身が星雲の名の通り煌めいて爆発し空中に逃れるネグレマガラ。上空で翼を広げて、そこから燐粉を圧縮したらしい流星群みたいな攻撃を降らして、大地母蜘蛛の巨体に次々と炸裂。

 

 

「すごい…」

 

「とんでもないな」

 

 

 流星群は黒炎の様に大地母蜘蛛の全身に残留し、そこ目掛けてレーザーを放ち続けて大爆発させるネグレマガラ。

 

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

 

 空中で勝利の勝鬨の如く咆哮をを上げるネグレマガラ。だがしかし爆発が晴れると、そこには無傷の大地母蜘蛛が健在だった。するとボトボトと腹部から落ちて行く数匹のヤツカダキ。大地母蜘蛛本体はともかく腹部に潜んでいたヤツカダキ達までは耐えれなかったらしい。

 

 

「ギギギギギッ…!」

 

 

 それを見て悲しげな声を上げると口を上に向けて火炎放射。炎の雨を降らす大地母蜘蛛。俺達がその対処に駆られている間に、そのままヤツカダキたちの死体を首を伸ばして噛み付いて腹部に回収していくと大地母蜘蛛は姿を消した。擬態で撤退したか…。

 

 

「グゴアアッ…」

 

 

 ネグレマガラもそれを確認したのか俺達を一瞥すると翼を羽ばたかせて飛び去って行き、俺達は緊張状態が切れて一息つくのだった。……味方だと分かっていても古龍のプレッシャーはとんでもないな。それにあの技、恐らく必殺技だ。……敵対したら勝てるビジョンが見えないから考えない様にしよう、うん。




地味に大地母蜘蛛が糸や肉弾戦以外の攻撃を披露。熱線だったり熱した糸の斬撃だったり人間が喰らったら即死のものばかり。しかも身軽って言うね。

ネグレマガラの必殺技。名付けて狂竜星雲群。狂竜ウイルスの塊を流星群の様に飛ばし、それを起点にレーザーを当てることで大爆発させる技となっています。大地母蜘蛛の防御は貫けなかったものの子供ヤツカダキを倒すことに成功。死骸を回収した大地母蜘蛛はどうするんですかね?

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【緊急事態】襲来、爵銀龍メル・ゼナ【王域最強の力】

どうも、放仮ごです。メル・ゼナ、歴代でもかなり強い古龍だと個人的に思ってます。多彩なトリッキーな攻撃に瞬間移動はずるい。

そんなわけで原作イベント、メル・ゼナ襲来です。楽しんでいただければ幸いです。


「いやいや、すごいね!さすがは猛き炎とフィオレーネだ!」

 

 

 ルナガロンを捕獲、周辺の安全も確保したという信号弾を撃って一時間ほど休息していると、夜になりたての頃にエルガドの回収班であろう数人に荷車を引かせたバハリがやってきて落とし穴で眠っているルナガロンを見るなり感嘆の声を上げる。

 

 

「俺の見間違いじゃなければ大地母蜘蛛とネグレマガラが縄張り争いしていたから全力で逃げたってのに。よく生き残れたね?いや、別に君達の能力を疑ってるわけじゃないんだよ?よし、慎重に荷車に乗せてくれ」

 

「まったく…仕事はしたんだろうな?」

 

「もちろんさフィオレーネ。ちゃんとキュリアは捕獲したとも。先にエルガドに帰って待っていてもよかったんだけどさ、黙って果報を待つっていうのもね」

 

「バハリさんはそういう人だよね」

 

「そ。さすがナギちゃん、わかってるぅ」

 

 

 ナギの言葉に笑顔で返すバハリ。するとボロボロの俺を見て何かを思いついたように怪しく笑う。おい嫌な予感がするぞこら。

 

 

「バレットも重傷みたいだし、一緒に荷車に乗せて運ぼうか?」

 

「…ルナガロンと一緒ってのが癪に障るが、助かる。ろくに歩けないからな」

 

「だろうね。装備越しでも背中がズタボロだ。凍傷と裂傷もできてるかな?よく意識保ってるね?」

 

「もっとひどい怪我を淵虎竜の時に負ったからな」

 

「ああ、その腕か……もっと性能のいい義手作ってあげようか?」

 

「本当か!?」

 

 

 思わず反応する。バハリの技術力はエルガドにいる間、存分に堪能した。恐らくこの世界でも屈指の技術屋だろう。その技術で作られる義手とか期待しかない。カムラの里製の今の義手も中々いいのだが、如何せん精密すぎて戦闘に耐えきれないからヘビィボウガンを左手に直接くっ付ける暴挙に出た訳で。

 

 

「もちろんさ。というかなんで俺に頼まなかったの?」

 

「いや、王国随一の技術者に頼むのはさすがに金がかかるかと…装備と武器で金使いすぎてだな…」

 

「そんな!俺達友達だろ?お安くしとくよー?」

 

「そこは無料(ロハ)じゃないのな」

 

「まあこっちも商売なんでね?」

 

 

 まあそっちの方が信用できるか。無料(ただ)程怖い物はないと言うしな。……うん?バハリの真後ろにあるのは…。

 

 

「あの紅い光は…?」

 

「うん?どうしたんだい?」

 

「バハリ!調査は中断だ!バレットを頼むぞ!行くぞ、ヒビキ、ナギ!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

「え、どうしてー!?」

 

 

 状況が分かってないバハリに、その背後を指差して促す。振り返るバハリ。そこには、キュリアの大群が舞い降りてきている光景があった。その中心で背中合わせに構えるフィオレーネとヒビキとナギ。くそっ、参戦したいが今の俺は足手まといだ。バハリ達非戦闘員に襲いかかるキュリアがいたら撃ち落とすぐらいしかできないな。って、なに!?

 

 

「三人とも、上だ!避けろ!」

 

「「「!」」」

 

 

 それが見えた途端、考える間もなく回避を指示。キュリアの大群の上空から急降下してきたそれを、散開して回避する三人。現れたのは、白銀の甲殻が美しい気品漂ういわゆる“ドス古龍”骨格の王道スタイルのドラゴンの様なモンスター。顔全体が白い甲殻のようなものに覆われており髑髏でできた仮面を被っている様にも見える。紅く輝く翼と蝙蝠の様なキュリアを侍らせているのも相まって、まるで吸血鬼の様だ。

 

 

「グルルルアァアアアッ!」

 

 

 着地するなり三人を見下ろして咆哮を上げるそのプレッシャーは間違いなく古龍。そしてキュリアを侍らせているということは、奴が例の爵銀龍か…!

 

 

「メル・ゼナ……嘘だろ、戦力が低下している時に出くわすなんて最悪だ!急げ、急いで離れるんだ!早くしろ!」

 

 

 慌ててバハリが指示を送り、荷車を移動させんとする中。メル・ゼナは咆哮すると姿勢を固めたかと思えば高速で突撃。咄嗟に防御したナギとフィオレーネを弾き飛ばし、ヒビキの振るった狩猟笛と激突。天高く弾かれたかと思えば素早い動きで尻尾を叩きつけ、さらに地面に沿わせて尻尾を刺突する攻撃が咄嗟にヒビキが防御した狩猟笛を貫き吹き飛ばす。なんてトリッキーな動きだ。

 

 

「ヒビキ!?この…!」

 

 

 ガンランスのブラストダッシュを使って舞い上がり、ランスで刺突攻撃を繰り出すナギ。しかしメル・ゼナは空中で翼を閉じたかと思えば勢いよく広げて衝撃波を発生させてナギを叩き落とし、尻尾と翼を槍の様に突き刺し、薙ぎ払い、叩き付けるコンボを繰り出して咄嗟に突きだけは防いだナギを叩きのめす。

 

 

「くっ…非戦闘員に手を出すのは、騎士の名にかけてやらせん!」

 

 

 ナギとヒビキがやられたのを見て、俺達を守るように荷車に駆けつけて構えるフィオレーネ。するとそれを一瞥したメル・ゼナは侍らせたキュリアから球体のエネルギー弾を放たせてフィオレーネを吹き飛ばし、キュリアの群れを荷車に飛ばしてきた。やっぱり奴がキュリアの元締めか!?

 

 

「させるか!」

 

 

 咄嗟に取り出したライトボウガンに鉄蟲糸弾を装填、乱射してキュリアを撃ち落としていくが焼け石に水。これまでにない数のキュリアを駆逐するのは誰の目から見ても無理だった。

 

 

「バレットが頑張ってるんだ、負けてられん!」

 

 

 フィオレーネは何とか立ち上がり、キュリアを止めるのは無理だと悟ったのかその元締めであるメル・ゼナに突撃。メル・ゼナもそれを悟ったのか再び姿勢を固めて高速で突撃。フィオレーネはギリギリ回避して片手剣で腕に斬撃を浴びせた。

 

 

「グルルルルッ…」

 

 

 するとメル・ゼナは怒ったのか尻尾の先端を紅く光らせて三つの鍵爪状に展開。振り返って構えたフィオレーネの斬撃を宙返りで回避すると尻尾で刺突を繰り出して咄嗟に身を捩ったフィオレーネの手から剣を弾き飛ばし、体勢が崩れたフィオレーネに追撃で尻尾の刺突を腹部に炸裂させて吹き飛ばすメル・ゼナ。

 

 

「ぐああああああっ!?」

 

「フィオレーネ!」

 

 

 そのままメル・ゼナが追撃しようとしているのを見て、右手でライトボウガンを乱射してキュリアを撃ち落としながら、バハリにセットしてもらった狙撃竜弾を左手のヘビィボウガンを向けて発射。刺されたのだろう腹部を押さえて崩れ落ちたフィオレーネの頭上をスレスレで飛んで行き、狙撃竜弾はメル・ゼナの顔面に炸裂して爆裂。大きく怯ませる。

 

 

「グルルルルルルッ!」

 

 

 すると目を紅く輝かせたメル・ゼナは口から炎のようなエネルギーを発射し、前方扇状に炸裂した地面を連鎖爆発を起こすブレスで荷車は破壊され、俺とバハリは吹き飛ばされて地面を転がる。

 

 

「がはっ、なんて強さだ…」

 

「ぐふっ…あれが王域最強の古龍、メル・ゼナの強さだよ…キュリアを使うのは初めて見たけど…」

 

 

 動けない俺達の前で、ルナガロンに群がるキュリアの大群。眠っていたルナガロンも目を覚まして抵抗しようとするが麻酔が効いているのかロクに動けず何かを吸い取られてぐったりと倒れ伏し、キュリアは天高く飛び立っていきメル・ゼナもそれを見届けると空に舞い上がってキュリアを侍らせて飛び去って行った。

 

 

「なんとか助かったみたいだけど……みんな、無事かい?」

 

 

 よろよろと立ち上がったバハリの呼びかけに回収班の人達が反応し、俺も手を上げて無事を知らせるも、肝心の三人から返事が聞こえない。慌てて見やればフィオレーネはなんとか立ち上がっているが返事する元気はないらしく、残りの二人は倒れたまま動かない。気を失っているようだ。

 

 

「っ…バハリ!」

 

「ああ、至急救護班を呼ぶんだ!ルナガロンは後回しにしてキャンプに運ぶぞ!」

 

 

 バハリの指示で回収班が俺達をキャンプまで運んでいく中で、俺はなにがあったのか聞いてくる掲示板の皆に応える。完敗だ、と。




まさかまさかの全滅。ルナガロンとの連戦に加え、大地母蜘蛛とネグレマガラのプレッシャーを受けて疲弊していた彼等にはさすがに相手が悪かった。

メル・ゼナはある理由から外天種と同格みたいな強さとして描いてます。使ってる技は全部原作のなんですけどね。

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【キュリアの謎】敗北の後に【復活の白】

どうも、放仮ごです。XXの操作になれなくて先生にボッコボコにされてる今日この頃。今作でも転生先生として出てるけどいつまでたっても頭を上げられねえ。

メル・ゼナ相手に全滅したバレットたちがどうなってるか描きます。楽しんでいただければ幸いです。


 船の上で救護班の手で治療してもらいながらエルガドに帰還。フィオレーネとナギとヒビキはマシロと同じ診療所に運ばれ、一人無事だった俺はバハリと共にガレアス提督の下に報告に向かう。背中の傷は回復薬をしみこませた包帯で巻いて、まだ痛んでいるがまあよくなった。

 

 

「…メル・ゼナの被害報告を」

 

「猛き炎とフィオレーネがメル・ゼナを引きつけてくれたおかげでかすり傷の俺以外の調査隊員は被害なしです。ヒビキとナギは打ち身で現在も気を失っていて、フィオレーネは軽傷だと言い張ってますが結構な深手で無理矢理鎮静剤で安静にさせてます」

 

「…ならばよし。バレット殿だけでも無事で何よりだった」

 

「無理はさせないと約束していたのにフィオレーネがあんなことに……申し訳ない」

 

 

 礼儀として頭を下げる。エルガドに所属しているフィオレーネに助けてもらいながら護りきれなかった。これは借りだ。

 

 

「…あれも覚悟の上だろう。なに、フィオレーネは頑丈だ。すぐにでも戦線復帰するだろう。気にしないでくれていい」

 

「だが…」

 

「…貴殿も仲間をやられているのだろう。そちらの心配をしてやるといい」

 

「…恩に着る」

 

 

 ガレアス提督、怪しいところはあるができた人間だと思う。

 

 

「…では本題だ。ルナガロンの暴走、大地母蜘蛛とネグレマガラの縄張り争い、そしてキュリアを従えてついに現れたメル・ゼナ。大地母蜘蛛は対抗策なし、ネグレマガラは手を出さなければ無害だが、メル・ゼナは王域生物の拡大を阻止するためにも一刻も早く討伐せねばならん」

 

「待ってください、提督。俺は現段階でメル・ゼナを討伐するのは反対します。キュリアの研究がまだだ。まだメル・ゼナが元締めだと確定したわけじゃない。今回の異変、全ての始まりは「サン」が発生し王域生物が縄張りを拡大し始めたことです。原因は狂暴化。そのうち王域生物以外のモンスターにも影響が出始めた。キュリアの毒が原因なのは明白ですが、なにが犯行を行ったか?ではなくなぜ犯行を行ったか、が重要なのだと思うんです。大地母蜘蛛は明白だが、キュリアが何故サンの発生と同じくして活動を始めたのかが分からない」

 

 

 バハリはフーダニット「Who done it=誰が犯行を行ったか」じゃなくてホワイダニット「Why done it=なぜ犯行を行ったか」を重要視するか。

 

 

「…だがメル・ゼナがキュリアを従えているのは明白だ。奴を倒せばキュリアも大人しくなるんじゃないか?」

 

「いや、バレット。君は知らないんだろうけど爵銀龍メル・ゼナは本来、キュリアを従えていない筈なんだ」

 

「…その通りだ。私が知っているメル・ゼナは、キュリアを従えてなどいなかった。記録にも残ってない」

 

「そう、そこなんです提督。キュリアを従えているなら以前からキュリアを知れていたはずなのに、今回初めてキュリアを従えて現れた。繋がりは見えたが残された謎が多すぎる。俺はここに答えがあると思ってる」

 

「キュリアを捕食してエネルギーを得てあそこまで大きくなった大地母蜘蛛と、今になってキュリアを使役し始めたメル・ゼナか……」

 

 

 …どちらもサンができてから、なのだとしたら確かに、キュリアが発生した原因がある筈だな。いや穴の下に潜んでいたというのなら穴を生み出したなにかがあるってことか?わからんな。

 

 

「今回ようやく姿を現したメル・ゼナが従えてきたどころか自在に使役していたキュリアという存在…あいつが一体なんなのか。これを解明しなければ討伐できても安心できない。それでは意味がありません。幸い、十分なサンプルは確保しています。なにぶん似ている生物もいないので調べるのはかなり時間がかかりますけど…」

 

「…バハリはキュリアの生態の解明を急げ。難題ではあるがお前でなければ成し遂げることはできないだろう。第一に、キュリアの生態解明。第二に、メル・ゼナの討伐。第三に、大地母蜘蛛とその群れの駆逐。この順序で行く。回復次第、引き続き猛き炎とフィオレーネは狂暴化したモンスターの調査をしつつ大地母蜘蛛攻略の糸口を掴んでくれ」

 

 

 提督の指示に頷く。優先順位はそれだろう。その合間に大地母蜘蛛への対抗策を見つけなければ…。

 

 

「バハリ。大地母蜘蛛の討伐についてだが、ライゼクスは未だに未発見として、ルナガロンはどうだったんだ?生け捕りにした奴がキュリアに襲われていたが…」

 

「それなんだけどね。ルナガロンは息絶えていた。瀕死だったとはいえ確かに生きていて反撃もしていたルナガロンは干からびた死骸にされていた。キュリアは毒を送るだけじゃなく生命力も奪い取るらしい」

 

「…そのためこんだ生命力を得て大地母蜘蛛は大きくなった…?」

 

「多分そうだね。なんにしても冷気を試すことはできなくなった。別のモンスターで代替するかなあ…」

 

「…だとするとライゼクスは逃がせないな」

 

「よろしく頼んだ、バレット。俺は俺のできることを頑張るからさ。義手もいいもの作ってやるから待っていてくれよ?」

 

 

 そう笑顔で言ったバハリに頷く。……話は終わったしみんなの見舞いに行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

51:名無しの霊媒師

だけど、イッチたち大丈夫かな…?

 

52:名無しの帝丹小学校6年生

生放送モードで見てた限りは死んではないと思うけどフィオレーネって人はかなり手痛いのをもらってたわね

 

53:名無しのギルド所属ハンター>>1

ただいま。なんとか無事にエルガドまで帰還できた。今は自宅スペースで休みながらここを覗いてる

 

54:名無しのくだん

心配してたんだぞイッチ!

 

55:名無しの鬼殺隊

他の三人はどうだ!?

 

56:名無しのSOS団の異世界人

まさかと思うが死人が出たなんてことは……

 

57:名無しのギルド所属ハンター>>1

運がよかったことに死人はいない。フィオレーネは重傷と言うほどじゃないが傷は受けたんで鎮静剤で落ち着かせたらしい。ナギとヒビキは今だに意識を失っているが怪我は大したことないらしい

 

58:名無しのRS

モンハン世界の「大したことない」傷は信用できねえんだよ!?

 

59:名無しのドンキンタロウ

全身に重傷を負うか片腕失うとか腹を貫通されてようやく重傷扱いだったろ?

 

60:名無しの魔導師

前の世界基準でどうなんだ?

 

61:名無しの日向家次女

見てた限りフィオレーネさんとか刺されてたよね?

 

62:名無しのギルド所属ハンター>>1

えっと……フィオレーネは多分ナイフで腹部を深々と刺された傷で、ヒビキは棍棒の打突を腹部に喰らって内臓が潰れている状態で、ナギは全身打撲で腕の骨に罅が入ってた…かな、多分。ナギは怪我自体は治ったけど

 

63:名無しの49人目のマスター

重傷じゃねえか!?うちの婦長が見たらブチ切れるぐらいに重傷じゃないか!?

 

64:名無しのザビー

まあハンター、ゲームだと明らかに自動車よりも勢いの凄い奴に吹き飛ばされても体力三分の一ぐらいですむぐらい頑丈なのでその世界だと軽傷なのかも…?

 

65:名無しの霊媒師

なんで同じ会社のゲームなのにこんな死生観違うの……

 

66:名無しのSOS団の異世界人

今、ハルヒちゃんの世界に転生して初めてよかったと思えた…

 

67:名無しの帝丹小学校6年生

>>65

そっちはそっちで死体ばっかでしょうよ

 

68:名無しの星雲龍

俺が去った後にまさかあの銀ピカ野郎が来るとは……なんかすまない

 

69:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>68

いやいやそんなこと……んんんん!?

 

70:名無しの鬼殺隊

星雲龍ネグレマガラか!?何故ここに!?

 

71:名無しのくだん

俺が呼んだ。あっちの掲示板にも情報共有しておいた方がいいと思って

 

72:名無しのRS

>>71

いや、お前本当に縁の下の力持ちだな

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「…こんなもんか」

 

 

 とりあえず掲示板のみんなと情報共有した。なにかわかるといいが……50年前のメル・ゼナのことも調べた方がいいかもしれないなあ。

 

 

「……クソッ、すまない。ナギ、ヒビキ……」

 

 

 こんな俺を信用してチームを組んでくれたってのに、肝心なピンチに何も助けてやることができなかった。リーダー失格だ。最年長だから引き受けたとはいえ、やっぱり別の奴が……

 

 

「こんな俺はリーダーに向いてない、とか思ってる?」

 

「当たり前だ。俺は自分一人生還する事しか能がない……お前は!?」

 

 

 何時の間に侵入していたのか目の前から話しかけてきた人物の声に、驚いて俯いた顔を上げる。そこにいたのは美しい純白の髪をポニーテールに纏めた、背中に大剣を、腰に太刀を携えている美少女。

 

 

「っ、マシロ…?」

 

「…ごめん。私がいない間、いろいろあったみたいだね」

 

 

 この世界の原作…モンスターハンターライズの主人公であろうチームメイト、マシロがそこに立っていた。




極断刀に重傷を負わされて戦線離脱していたマシロ、ついに復活。代わりに…?フィオレーネも何気に原作よりダメージがデカい。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【突っ込め猪】もうやめたげてよお!【朽ちた城に、王は眠る】

どうも、放仮ごです。今回の題名はゼノブレイドとポケモンネタ。名言製造機ダンバンさんもいいけどディクソンさんの台詞も妙に印象に残るよね(ゼノブレイドプレイしてないと分からない話)

今回は復活のマシロ大暴れ。リオレウス君は犠牲になったんや……楽しんでいただければ幸いです。


 落ち込んでいたところをついに復活したマシロに連れられてチッチェ姫からクエストを受けて二人でやってきた城塞高地。ここを観光名所にしてツアーしたいエルガド観光協会員からの依頼で、リオレウスが居座ってるので安全のため狩猟をお願いします、とのことらしい。

 

 

「二人だけで狩猟するのは初めてだな」

 

「そうだねー」

 

「厳密には二人じゃないのにゃ!」

 

「今度こそ守って見せますにゃ!」

 

「「ワオン!」」

 

 

 今回は俺のオトモアイルーのタマとオトモガルクのダンガン、マシロのオトモアイルーのユキとオトモガルクのヴァイスもついてきた。やっぱりガルクいると移動が楽だな。

 

 

「バレットはヒビキやナギとはよくコンビ組むけど、私…バレットに嫌われること、なんかしたかな?」

 

「いや嫌いってわけじゃないんだが……」

 

 

 原作主人公は古龍すら倒せる化け物って認識がなあ……こればかりは説明できない。

 

 

「やっぱり大剣と太刀を両手で振り回す女って怖いかな?」

 

 

 背中から引き抜いた大剣をぶんぶん振って悲しそうな顔をするマシロ。…まあ普通の人からしたらそうだろうな。

 

 

「いや、それはマシロの持ち味だろう。俺はそれを使いこなせるお前を尊敬しているよ」

 

「そ、そうかな?初めて言われたな、えへへへ…」

 

 

 嬉しそうにガルクの上で大剣をぶんぶん振り回すマシロ。あぶっ、あぶない。やめて。

 

 

「あ、ごめん」

 

「死ぬかと思った……そういやなんでリオレウスなんだ?」

 

「バハリさんから話しは聞いたけどライゼクスといつか戦うんでしょ?だったらライバルのリオレウスと戦っておけば予習になるかなって」

 

「動きも技もだいぶ違うけどな……」

 

 

 ゲーム的にはライゼクスの方が強いイメージなんだが、レウスは戦い慣れてるのもあるからなあ。灼翼王?勝てる気しません。翼に炎纏ってる上にブレスを利用して超高速で突撃してくるとかなに。どこぞの怪獣王かお前は。……転生者らしいし色も黒だし怪獣王参考にしたんかね。知らんけど。

 

 

「まあ空飛ぶ相手はガンナー以外は戦うの辛いから予習しといて損はないな」

 

「でしょ?それで、どこにいるのかな?飛んでたらすぐわかると思うんだけど」

 

俺の勘(マップ)によると城塞の中だな」

 

「本当に便利だね。さすがこれまで生き残ってきたプロハンター」

 

「クエスト達成より命を優先して逃げ出すのはプロハンターとは言わないのよな」

 

「そんなバレットだから私達は貴方にリーダーになってもらったんだけどね」

 

「???」

 

 

 腰抜けだから俺をリーダーにした?いや本気で分からんが。考えながら苔むした石橋を歩いて行く。しかし立派な造りだな。モンスターが闊歩してるのにほぼ原形を残しているのは先人の知恵故かな。っと、眠っている奴が見えて来たな。

 

 

「まあいい。いたぞ」

 

「ほんとだ。よーし。復帰戦だあ!じゃあ突っ込むからカバーよろしく!」

 

「お、おい!?」

 

 

 大剣と太刀を一息で引き抜き、軽々と逆手で構えながら突撃するマシロ。ずっと寝たきりだってのに衰え無しか、さすが主人公。こちらに気付いたリオレウスの放った火炎弾を、交互に大剣と太刀を振るって相殺しながらノンストップで突き進んだマシロはそのままリオレウスの目の前で跳躍、双剣の鬼人空舞の様な動きで乱舞を叩き込む。俺の援護いらなくない?

 

 

「ギャオアアアアッ!」

 

 

 するとリオレウスは空に舞い上がり、急降下して爪の一撃を繰り出す。マシロは太刀を納めて大剣を盾にして防御。大きく弾かれてゴロゴロと転がったところに追撃しようとしたリオレウスに狙撃竜弾をブチ当てて怯ませる。やっぱりザザミの時も思ったが通常個体より幾分か強いな。

 

 

「「ガウッ!」」

 

「喰らうにゃ、ネコ式撃龍槍!」

 

「閃光爆弾の技、にゃ!」

 

 

 立ち上がるマシロをカバーする様にガルク二匹が飛びかかって翼に噛み付いて高度を無理やり下げさせ、そこにタマが閃光弾で撃墜し、ユキが小型の撃龍槍を叩き込んで腹部を抉るとそのままオトモ達は各々の武器を手にたたみかける。

 

 

「いいぞオトモたち!電撃貫通弾だ喰らえ!」

 

 

 ライトボウガンを手に取り乱射。全身に撃ち込んで動きを鈍らせたところに、大剣と太刀を振り回して連続で斬撃を叩き込んでいくマシロ。リオレウスはオトモ達を振り払い一回転してマシロを薙ぎ倒すと飛翔。地面を炎上させる薙ぎ払い空中火炎放射を放って来てマシロは吹き飛ばされたので、咄嗟に回復弾を装填して撃ち込んで治癒する。

 

 

「あちちちち…ありがとう、バレット!」

 

「強化咆哮の術、にゃ!」

 

「ネコ式鉄蟲糸縛りにゃ!」

 

 

 ユキがバフをかけてくれて、タマが糸で拘束してリオレウスを逃げられないようにする。ならばと突進。大剣を両手でガッシリと握って構えて力を溜めるマシロに攻撃しようとするリオレウスを遮るように左腕のヘビィボウガンで殴りつける。

 

 

「貫通ヘビィナックル!」

 

「ゴアアアアッ!?」

 

 

 殴りつけると同時に撃ち込んだ弾丸が全身を貫いてリオレウスは絶叫を上げる。装甲の様な皮膚に普段包まれている内部を貫かれるのは効くだろ?

 

 

「いっくぞー!今出せる全力を……!」

 

「グギャアッ!?」

 

 

 するとマシロは勢いよく大剣をリオレウスの顔面に振り下ろし、その反動で飛び上がると太刀も抜いて回転、何度も何度も斬撃を叩き込む。

 

 

「金剛大大大車輪斬りィ!」

 

「ゴアアアアアッ……」

 

 

 頭部、背中、翼、尻尾を縦横無尽に回転しながら駆け巡り斬撃を叩き込み続けるマシロ。マシロのオリジナル技、金剛大車輪の強化版か。もうリオレウス反抗する意思も失って走り回って逃れようとするぐらい可哀想なほどボコボコにされてる。オトモアイルーたちのドン引きしてる視線が笑える。

 

 

「…さすがに捕獲にしてやるか」

 

 

 暴れ回るリオレウスの進路上にシビレ罠を設置。未だに上で回転し続けるマシロを乗せてよろよろと歩いてきたリオレウスは見事にシビレ罠を踏み抜いて身体を痺れさせ、マシロが新体操の如く着地するのを確認してから捕獲用麻酔弾を撃ち込んで眠らせる。見れば下は撃龍槍でぶち抜かれた傷跡が、上は端から端まで切り刻まれてズタボロだ。可哀想に。南無南無。

 

 

「あまり突っ込むな、また怪我したらどうする?」

 

「もうあんな不覚は取らないから大丈夫!……うん。私達のリーダーはやっぱりバレットしかないよ」

 

「いきなり、なんだ?」

 

「だって私達のことを第一に考えるじゃん。アヤメさんから実績が欲しくてチームメイトに無理させるリーダーも多いって聞いたよ。チーム全員が生き残る事を第一としていて、極力怪我させないようにサポートしてくれて、仲間を守るために身を差し出せるバレットみたいな人だから。私達は、バレットとチームになりたいって思えたんだよ」

 

「………お前がいない間、ヒビキとナギを守れなかったのに?」

 

「むしろ二人とも、バレットや他の人達も守れたから満足してると思うよ?フィオレーネさんはわからないけど…」

 

 

 原作主人公と一緒にいるのだからそう簡単に死ぬことはないと思ってた。だけどマシロが簡単に重傷を負って、現実だと思い知って、主人公のマシロの代わりに俺が守らないとって思ってた。…でもその必要はなかったんだな。

 

 

「守り、守られ……か。助け合うのが仲間だもんな」

 

「うん、そうだよ。さあ、どうせ二人とも頑丈だからもう起きてるだろうしエルガドに戻ろうか」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 そんなこんなでエルガドに戻るなり、無事な姿で出てきたナギとヒビキにツッコんだのはしょうがないだろう。「健康な肉体」のナギはともかくヒビキは内臓潰れてたはずなのに回復薬飲んだだけで治ったってマジか。俺の腕も生えてこんかな。無理か。




相変わらずヒビキに次ぐ規格外っぷりなマシロ、完全復活。この子、どてっ腹に穴が開いてたはずなのに数日で復活してるって言うね。メル・ゼナ戦もマシロがいれば何とかなった説。

オトモ達いると結構有利になるんですけど、小説にすると描写が滅茶苦茶難しいからハンター一人か二人じゃないと出せないという裏事情。ゲーム的には一匹×4だけどそれでもむずい。

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【共生関係】フィオレーネを救え【スゴウデ薬師の捜索】

どうも、放仮ごです。タイトルから分かる通り狩猟笛推しなんですけど(使用率一番高いのは太刀)、最近スラッシュアックスにもはまっててレエム死なせたのを今更ながら悔やんでます。いや小説にすると難しいのだけども。

今回はまた説明回です。サンブレイク謎解き要素が多いから戦闘ない回がどうしても増える。どうにかせねば。楽しんでいただければ幸いです。


 マシロと共にリオレウスを狩猟してエルガドに帰還し、目を覚ましていたナギとヒビキと合流。バハリが作ってくれるらしい義手が完成するのを待ちながら、破壊された狩猟笛を修理するヒビキに三人で付き合ってると提督に呼ばれたので駆けつけると、神妙な顔をしていた。

 

 

「…久しく猛き炎が全員集結した祝うべき時にすまぬ。緊急事態だ。安静に休ませていたフィオレーネの容体が悪化した。意識不明だ。原因は分かっているのか?バハリ」

 

「はい。ヒビキは狩猟笛を盾にして、ナギは打撃だけを喰らっていたから比較的無事でしたが、フィオレーネはあの紅い光を纏った尻尾の一撃を真面に喰らっていたことが原因です。あの紅い光の正体は「キュリアの毒」それがメル・ゼナに負わされた傷から入り込んだことでフィオレーネの容体が悪化したんだと思われます」

 

「キュリアの毒ってモンスターを狂暴化させるだけじゃないのか?解毒薬や漢方薬は……」

 

「…解毒できていないということはただの毒ではないのだな」

 

「人体実験をしてなかったから気付くのが遅れました。フィオレーネが負傷してすぐ、鎮静剤を打って治療と精密検査をさせていたのですが、そのときはキュリアの毒はおろか何も異常は検出されず、単純に深手を負っただけだと思っていたのですが……今回改めて調査したところ、サンプルのキュリアの牙から採取していた成分と全く同じもの…つまりキュリアの毒がフィオレーネの体内から多量に検出されました。メル・ゼナも大地母蜘蛛と同じくキュリアの毒を扱えるらしい。恐らくメル・ゼナの体内がキュリアの毒で満たされていると見て間違いない」

 

 

 つまり狂竜ウイルスを有するゴア・マガラみたいな状態か。そりゃ直接攻撃をもらえばただではすまない、か。

 

 

「つまり、他のモンスターが狂暴化するはずのキュリアの毒を、大地母蜘蛛と同じように…?」

 

「いや、毒を使うだけの大地母蜘蛛と違って完全に己の力に変えているのが異なるね。それに、キュリアを餌としている大地母蜘蛛とは真逆で、その強大な力を餌としてキュリアはメル・ゼナに寄生していると思われる」

 

「それって……」

 

「そうとも、バレット。つまりは最初、大地母蜘蛛がそうだと思っていた存在がメル・ゼナだった。例えるならジンオウガと雷光虫だね。どちらにも利がある関係性、共生関係がメル・ゼナとキュリアの関係だ。持ちつ持たれつで共にある…というわけだ」

 

「フィオレーネさんから検出されていなかった毒がなんでいきなり?」

 

 

 ナギの問いかけにバハリは頭痛がするのか額を押さえながら答えた。

 

 

「前にも説明した通り狂暴化したモンスターからは血液に溶け込んでしまっていてキュリアの毒は検出されていて調査のしようもなかったんだけど、ふざけていることに人間であるフィオレーネの場合、最初は無害な成分として浸透し血液と混じりきらず、浸食を広げようと毒が増殖、容体が悪化…とこういうわけさ。人体実験するわけにいかなかったとはいえ、こんな事態になるまで気付けなかった自分が情けないね」

 

「バハリのせいじゃない、俺がフィオレーネに無茶をさせたから……」

 

「そうだ、俺もあっさりと負けてしまった」

 

「私も太刀打ちできなかった・・・」

 

「私なんて寝ていてその場にいなかったし…」

 

 

 バハリの言葉に猛き炎全員で落ち込む。いや俺が、いや私が、俺が、私が、と延々ループするのをばっさり断ち切ってガレアス提督がまとめる。

 

 

「…傷を受けたことはフィオレーネの不覚、発見が遅れたことはバハリの不覚だ。猛き炎の(みな)はできることをやり遂げて動けなかっただけだ、責任を感じる必要はない。責任は、ここにいたるまで異変を察知できなかった私にある」

 

「異変に気付けないのがキュリアの最大の強みであり厄介なところです。モンスターは血液に溶け込んで検出されない、例え毒に犯されても狂暴化する瞬間までモンスター自身もわかっちゃいないでしょう。人間でも当初は無害。増殖すれば人体に悪影響を及ぼし意識を失う、最悪の毒だ」

 

「…どうすればいい。フィオレーネを救う手立てはないのか、バハリ」

 

「…バレット、マシロ、ナギ、ヒビキ。「タドリ」という名の竜人族の薬師(くすし)がいる。かつて、メル・ゼナにやられてボロボロになった王国に、疫病が追い打ちをかけていた時期があってね…」

 

「疫病?」

 

 

 あれ、なにが引っかかったんだ。なんか、歯車と歯車がかみ合ったようなそんな感覚がした。

 

 

「そう、国が壊滅しかかっていたところをその疫病の薬を開発して、多くの王国民を救った実績があるスゴウデさ。その後は各地を旅していて行方知れずなんだけど、君達なら……」

 

「どういう意味だ?」

 

「君達…正確にはバレット以外の三人の故郷、カムラの里に長らく滞在している行商人、雑貨屋のカゲロウって人と古い知り合いらしいんだ。カゲロウさんに、タドリの居場所を知らないか聞いて来てくれるかい?」

 

 

 カゲロウさんか。あの人顔が見えなくて苦手だからカムラの里に滞在していた時もろくに話さなかったんだよなあ…いやゲームの方でいい人なのは知ってるんだけどさ。

 

 

「…俺はあんまり知らない人だな。頼めるか、三人とも」

 

「いや、私が行ってくるからマシロとヒビキとバレットはエルガドで準備していて。体を休めたり狩猟笛を直したりしないとでしょ?」

 

「でもナギも目覚めたばかりじゃ……」

 

「大丈夫、私、生まれつき健康だからね!」

 

 

 そう笑って言うナギに、俺達三人は顔を見合わせて頷く。待ってる間に準備を終わらせよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カムラの里に戻ったナギを見送った俺達。マシロは休息という名の筋トレ、ヒビキは壊されたホルマゼンタの修理をする中、俺はできることを探していた。

 

 

「バハリ、頼んでた義手はどうだ?」

 

「キュリアの研究の方にかかりきりでね…もう少し待ってもらえるかな?」

 

「だよな。ボウガンも新調したいけど金がないからなあ…」

 

 

 うーむ、ヨツミ轟雷シリーズを揃えて堅鎧玉で防御力を最大まで高めたら今まで貯めてた金が溶けたからな。G級装備は本当に高い。強いからいいけどさ。

 

 

「むしろ君達、上級に該当する武器でよく戦えてるよね?」

 

「ボウガンは弾で補えるからな。マシロとかナギとかヒビキは知らん」

 

「やっぱり君達規格外だよね。あのバルファルクの特殊個体倒しちゃうし」

 

「……奇しき赫耀のバルファルク、か」

 

 

 そう言えば。メル・ゼナ、確かに速かったが奇しき赫耀のバルファルク程じゃなかったな。どちらかというと瞬間移動にも見えたが、それでも理不尽なまでの速さは感じなかった。トリッキーな動きを多用していたが、逆に言えば地力はそんなでもないんじゃなかろうか。いや古龍だから弱いはずがないし、王域三公最強とまで呼ばれてるから別格なんだろうけど、奇しき赫耀のバルファルクに比べたらましなんじゃないかと思えてきた。…いやよく考えたら元々最強だったのがキュリアと共生してさらに強くなってるのか……

 

 

「…近いうちに古龍か古龍級生物と戦って慣らしておけばあるいは……ネグレマガラは無理だけど、ゴア・マガラがあの地域に生息しているとかフィオレーネが言ってたな……」

 

「簡単に古龍と戦うとか言い出すハンター、俺は初めて見たよ」

 

「いや何度も戦ってるし今更……あ」

 

 

 バハリがすごい信じられないものを見てくる視線を向けてきた。違うて。前世のゲームも合わせてで今世ではクシャルダオラとイブシマキヒコとナルハタタヒメと奇しき赫耀のバルファルクとしか戦ってないから………いやラインナップ地獄だな。そりゃ信じられないわ。




こういうとき便利なナギ。次回、久々の猛き炎全員での戦闘。

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【結晶皇】星雲龍がいるならまあいるよね【スゴウデ薬師の捜索】

どうも、放仮ごです。以前ネグレマガラが最後と言った気もしますが訂正、まだ密林の外天種を出して無かった。というわけで今回は何時もより1000字多い4000字越えであります。

今回はライゼクスとのリベンジ戦。楽しんでいただければ幸いです。


 エルガドにナギが帰還。再び猛き炎とガレアス提督、バハリが集まって会議することとなった。

 

 

「カゲロウさんによればタドリさんとは今でも手紙でやりとりしていて、今は密林にいるそうです」

 

「密林か……ちょうどいいといえばちょうどいいかな」

 

「ちょうどいいとは?」

 

「……監視班から密林にライゼクスが現れたと報告があった。ライゼクスは極めて凶暴な生態だ。自らの縄張りに侵入するすべからくを攻撃対象とし、リオレウスの様な大型飛竜すら視界に入っただけで襲い掛かるばかりか同族同士ですら共食いする、一度暴れ出せば周辺の生態系を破壊しかねない「空の悪漢」……奴が居座る限り、密林には近づけないと見ていいだろうな」

 

 

 前世でもモンハンモンスターでもトップクラスに狂暴と言われていたがこの世界でもやっぱりそういう認識なんだな。この間出くわしたときに生き残れたのは本当に運がよかった。

 

 

「ちょうどいいというのは、君達も知っている通り俺達もライゼクスを探していたからだ。フィオレーネを救うのが第一だが、同時に大地母蜘蛛への対抗策にぜひともライゼクスを捕獲してほしい」

 

「医療班によればフィオレーネの容体は刻一刻と悪くなっているという。わずかな時間も惜しい……猛き炎よ、頼む。ライゼクスを狩猟し、タドリを見つけ出してくれ」

 

 

 そんな提督の言葉に頷くとマシロたちも続く。何時かは戦わないといけない敵だ。やってやる。

 

 

「あ、そうだ。今はまだ確認されてないけど、密林にはたまに外天種が来ることもあるから気を付けて」

 

「外天種?極断刀じゃなくて?」

 

「…奴は野良の外天種だ。本来、外天種とは規格外な力を有した、その生息地に君臨する異常個体。星雲龍ネグレマガラは城塞高地に君臨する外天種だ。そして密林の外天種の名は結晶皇(けっしょうおう)。外天種の中ではトップクラスに凶暴だ、十分に注意してくれ」

 

 

 そんなことを去り際に二人が言っていたのが気になった。……なんでそんなフラグみたいなことを言うんですかね?本当に出くわしたらどうしてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなわけでやってきた密林。大地母蜘蛛の痕跡探し以来だな。轟雷童ヨツミワドウ亜種の時はライゼクスの気まぐれで助かったが、そのリベンジの時だ。

 

 

「っ!?退避だ!」

 

 

 ゲームでは安全なベースキャンプでアイテムを整えていたら、羽音が聞こえて咄嗟に指示して四人でベースキャンプから脱出。次の瞬間、緑に輝く雷が落ちてきてベースキャンプを木端微塵に吹き飛ばし、その残骸を踏みつけるようにして奴は現れた。

 

 

「ライゼクス…!」

 

 

 金色と黒の鋭利な甲殻に刃の様なトサカ、ステンドグラスや昆虫の翅を思わせる透明の翼、先端が二股に分かれた尻尾。いつぞやの個体と同固体かわからないが、こいつが今回密林に現れ悪逆の限りを尽くしているという奴だろう。俺達はそれぞれの武器を抜いて構えるとライゼクスは「逃げないのか?」とでも言いたげに首を傾げて嗤った様に口元を歪める。俺達を知っている?……間違いない、こいつ……以前ヨツミワドウ亜種を瞬殺して俺達が蹴散らされていたのを嘲笑っていた、あの個体だ。

 

 

「キィアァアアアッ!」

 

「来い、(いなずま)の反逆者。あの時の俺達じゃないぞ」

 

 

 右の翼が振り上げられ、勢いよく叩きつけられるのに合わせて左腕のヘビィボウガンを振るい、翼爪と激突。シールドで大きく鍔迫り合ったところに、散開したマシロが右、ヒビキが背後、ナギが左から同時に得物を振り下ろす。

 

 

「グルルルッ!」

 

 

 しかしそれは分かっていたとばかりに俺を左の翼で薙ぎ払うとそのままグルンと回転して尻尾で攻撃。三人を弾き飛ばすと空に舞い上がるライゼクス。

 

 

「ちい!」

 

 

 そのまま雷光ブレスと呼ばれる、柱状の緑色の雷が二つ放たれ、それは地面を張って複雑な軌道を描くと言う滅茶苦茶な動きで俺達を吹き飛ばす。くっそ、ヘビィボウガンで撃って反撃するがやすやすと回避されてしまう。人を嘲笑って遊んでいやがる。

 

 

「キィアアアアアアッ!」

 

「っあああ!?」

 

 

 そのままライゼクスは急降下して低空飛行。棘が生えた鋏の様な形状の尻尾を突き出し、ナギの腕を挟み込むとその勢いで尻尾を振るってナギを岩壁に叩き付け、ぐったりしたナギをぶん投げると何とか受け止めたマシロの目の前に尻尾を突き刺し周囲に放電。ナギごとマシロを吹き飛ばしてゴロゴロと転がすと牙をかち合わせてケタケタ笑う。

 

 

振打(しんうち)残響輪唱(ざんきょうりんしょう)!……なに!?」

 

 

 背後からヒビキが不意打ちで狩猟笛を二本突き込もうとするが、ライゼクスは易々と舞い上がって回避すると空中から地面に体を叩きつけるように急降下、咄嗟に狩猟笛で防御したヒビキを押し潰した。「ぐあっ」とヒビキの苦悶の声が上がる。

 

 

「「ヒビキ!?このお!」」

 

 

 それを見て何とか立ち上がり、慌てて助けようと大剣と太刀、ランスとガンランスを両手に持ってライゼクスに斬りかかるマシロとナギ。しかし両翼を羽ばたかせてその風圧で二人を吹き飛ばし、そのままジリジリとヒビキを踏みつけている足を執拗に動かして爪を胸部に喰い込ませ、苦しむヒビキの顔に顔を近づけて口の端を歪めて嗤うライゼクス。性格が悪い奴だ、だがこちらはチームだ。

 

 

「ヒビキ、なんとかしろ!」

 

 

 言いながらヘビィボウガンに装填した鬼人弾とライトボウガンに装填した回復弾を同時に撃ち込むと怪訝そうに鎌首をもたげてこちらを赤い眼光で睨みつけたライゼクスは口を開けて雷光ブレスを放とうとして。

 

 

「なんとかしろって言うぐらいならさっさと手を貸せ、バレット!」

 

 

 いきなり力を増して自身を持ち上げたヒビキに翼を羽ばたかせて慌てふためき、そのまま噛み付こうとしたら避けられた上にトサカを掴まれ、一本背負いで背中から地面に叩きつけられるライゼクス。鬼人弾の効果もあるとはいえとんでもないな、さすがヒビキ。

 

 

「キィアァアアアッ!」

 

 

 すると怒ったのか羽ばたいて体勢を立て直したライゼクスの姿が、トサカが前後に肥大化し緑色に光るラインが入って眼光も赤から明るい緑色に変わった姿……電荷状態へと移行。トサカから放出される電撃を巨大な剣のように集束、振り回す。

 

 

「キィアアアアアッ!!」

 

「ぐあっ!?」

 

「ぎゃっ!?」

 

「ぐう!?」

 

 

 通称ゼクスカリバーと呼ばれるライゼクスの必殺技でヒビキを薙ぎ払うとそのまま翼爪を闇雲に叩き付け、マシロとナギを吹き飛ばして空に舞い上がり、俺目掛けて長く鋭利な尻尾を叩きつけて放電。

 

 

「があっ…負けるかあ!」

 

 

 咄嗟にシールドで尻尾を防ぎ、放電を装備の雷耐性で耐えながら突撃。下に向けた左腕のヘビィボウガンから火炎弾を地面に撃ち込んでその反動で跳躍。空中から勢いよくヘビィボウガンを振り下ろしてトサカに叩きつけて破壊することに成功する。

 

 

「キィアアアアッ!?」

 

「今だ、みんな!」

 

「「「おう!」」」

 

 

 トサカを破壊された激痛からか全身から大規模な電撃を放出しながら縦横無尽に暴れまわるライゼクスを取り囲む俺達。

 

 

「私流威合!威風刀々(いふうどうどう)!」

 

 

 手にした鞘に太刀を納めて力を溜めながら、ステップではなく跳躍してライゼクスに接近したマシロは、その接近に気付いて振るった尻尾に鞘を激突。その衝撃を利用して太刀を引き抜いて袈裟斬りを叩き込んで尻尾を斬り落とした。さすがだ、主人公。

 

 

「でやあ!ブラストダッシュ!」

 

 

 ライゼクスの下に潜り込んでガンランスの穂先を地面に向けてまるでロケットの如く、もう片方の手に握ったランスに取り付けられた盾でライゼクスの体勢を崩しながら、天高く空に舞い上がったナギはランスとガンランスを下に構えて急降下。

 

 

「流星昇天突き!」

 

 

摩擦で炎を纏った二撃はライゼクスの背中に突き刺さり、さらにガンランスの砲弾がフルバーストで撃ち込まれ大爆発を起こしてライゼクスは倒れ込むがその先には駆け寄っている俺がいて。

 

 

「昇撃竜弾!」

 

 

 アッパーカットの様にヘビィボウガンの銃口を顎下に潜り込ませ、殴りつけながら右手で引き金を引いて狙撃竜弾を撃ち込み爆発。ライゼクスはたまらずナギを振り落として空に舞い上がり、雷を纏いながら急降下して俺達三人を翼で叩き潰そうとする。確かあれは、大技か。

 

 

「させん!光陰二閃・振打(こういんにせん・しんうち)!」

 

「キィアアアッ!?」

 

 

 そこに、ヒビキが両手でグルグルと回転させていた狩猟笛二本を連続で投擲。急降下していたライゼクスの顔面に一発目が炸裂したところに重なるようにもう一撃炸裂。ライゼクスは撃墜され、ピクピク動く。

 

 

「よし、捕獲を……」

 

 

 マシロとナギが駆け寄ってシビレ罠と捕獲用麻酔玉を取り出す。これで終わりか、きつかったな。と何気なく、最近癖になっている行為である地図を眺めると、高速で動く「?」がここまで接近しているのが目に入った。思わず見上げる。とんでもない大放電を放つ何かが急制止して、翼を羽ばたかせて傍に浮かばせた煌めく何かを落としてきて・・・?

 

 

「逃げろお!?」

 

 

 落ちてきたそれ……巨大な結晶の塊は、地面に激突するなり纏っていた虹色の電撃を周囲に放出。咄嗟に俺の声で回避した俺達の背後でライゼクスを巻き込むように地面を大きく抉り取ったそれは、電撃の爆撃だった。

 

 

「ギィアアアアアアアッ!!」

 

 

 そして急降下してきた襲撃者が、ライゼクスの頭部を踏み潰しながら着地。今しがた倒したライゼクスの三倍はある体格を有する、周囲に結晶の塊を複数浮かばせた、本来緑色の部分が虹色に輝かせたライゼクスが全身に虹色の電撃を纏い、ライゼクスの死骸を踏みつけて自身が支配者であると言わんばかりに、通常個体より低い咆哮を上げた。……なんであのタイミングで外天種の事を言い出すのかと思ったけどこういうことか。

 

 

「…外天種のライゼクス、結晶皇……」

 

 

 ……ただでさえ縄張り意識の高く、弱って逃げ出した相手だろうと執拗に追いかけて甚振るライゼクスの外天種だと?しかもこいつをどうにかしないとタドリを探せずフィオレーネを救えない?ふざけてるなクソッたれ!




地味にパワーアップしてライゼクスを打倒した猛き炎の前に降臨、結晶皇ライゼクス。極断刀と同じく掲示板に滅多に出没しない一匹狼系の転生者です。さすがに外天種はこれで最後、のはず。詳細は次回にて。


・各地の外天種一覧
大社跡:毒牢姫リオレイア
寒冷群島:雪夜叉ゴシャハギ
水没林:滅雷刃ジンオウガ
砂原:塵魔帝ディアブロス
溶岩洞:灼翼王リオレウス
密林:結晶皇ライゼクス(NEW)
城塞高地:星雲龍ネグレマガラ
未所属:極断刀ショウグンギザミ
獄泉郷:淵虎竜マガイマガド
淵劫の奈落:大地母蜘蛛ヤツカダキ


次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【結晶の迷宮】電流デスマッチは聞いてない【スゴウデ薬師の捜索】

どうも、放仮ごです。アンケートに結晶皇を入れるべきなんだろうけどネタバレになるだろうから迷っている今現在。

今回はVS結晶皇。楽しんでいただければ幸いです。


 結晶皇ライゼクス。虹色の電撃を撒き散らして威圧する外天種は、虹色に輝く結晶を空中に複数形成してばら撒くと放電は結晶に当たって分散、連鎖放電していき周囲を破壊しつくし、俺とナギ、マシロとヒビキに分かれて回避する。

 

 

「常時電荷状態みたいなものか…なんて攻撃範囲だ」

 

「……特典は結晶生成とかそんなところかな?」

 

「多分な!」

 

「ギィアアアアアアッ!」

 

 

 咆哮と共に虹色に煌めく翼に結晶を纏い、地面に叩きつけると結晶の棘を周囲の地面から生やして罠の様に展開。拡散する雷光ブレスを放って来て、それは結晶に当たると分散してさらに複雑で滅茶苦茶な軌道を描いて大地を砕き、俺達はこれ以上ベースキャンプ付近を破壊しないために密林の中央部へと移動していく。すると自身の顔の前に結晶の塊を生成する結晶皇。凄まじい電撃を集束させて電磁砲の様に撃ってきた。

 

 

「こんのお!」

 

 

 それを見て振り返りざまに背中に交差して納刀していた狩猟笛を一本手に取り、両手で振りかぶって踏み込むヒビキ。そしてバットの様にスイングして電磁砲となった結晶を打ち返し、ホームランだと言わんばかりの軌道で結晶皇に激突。砕け散った煌めく破片が周囲を舞う。

 

 

「ギィアアアアッ!」

 

 

 するとモノレールの様に電気を纏って低空飛行で突撃してくる結晶皇ライゼクス。そのまま凄い勢いで尻尾をヒビキに突き出し、咄嗟に飛び退いて回避するヒビキを追従する様に地面から結晶の刃が生えて、さらにそこからゼクスカリバーが発生。ヒビキの右肩を斬り裂いてしまう。攻撃範囲が凄まじい、逃げられない。

 

 

「がっ…」

 

「ヒビキ!?今、回復を…」

 

「危ないバレット!があああっ!?」

 

 

 ヒビキを治癒しようと回復弾を撃とうとして、転生者故なのかそれを目ざとく見るなり結晶を纏った翼を叩きつけると地面を這うように結晶の刃が次々と導火線が巻き戻る様に生成されて俺を庇って受け止めたナギが全身串刺しにされて吐血する。いくら健康な肉体の特典を持っていても出血死は免れんぞ!?

 

 

「私の親友に何してくれてんだおらー!」

 

 

 するとマシロが大剣を地面に叩きつけてその反動で跳躍。太刀も抜いて高速で縦回転して斬撃を繰り出すも、それを一目見た結晶皇は間に結晶の盾を生成して防御。しかし隙が生まれたのでその間にヒビキとナギに回復弾を当てることに成功した。

 

 

「ギィアアアアッ!」

 

「うぐっ!?」

 

 

 空に舞い上がった結晶皇はマシロと鍔競り合っている結晶盾を蹴りつけて結晶ごとマシロを地面に叩き付け、空中から虹色の雷光ブレスを放ってマシロを押し潰している結晶にぶつけて連鎖放電させてマシロを感電させて苦悶の声が上がる。咄嗟に鉄蟲糸弾を装填。鉄蟲糸で円を描いてその中心に撃ち込む「鉄蟲円糸【鈍】」で威力を上げた機関鉄蟲弾を全弾叩き込んで空中から撃墜した。

 

 

「ナイスだバレット!滅・昇竜笛!」

 

 

 そこに復活したヒビキが駆け寄り、ホルマゼンタを手に取って勢いよく振り下ろすも結晶皇は鎌首をもたげて回避して周囲に結晶の塊を複数形成してそれらに電気を纏わせヒビキ目掛けて撃ちこむもヒビキは幽鬼ノウラザを手に取り殴り飛ばし、そのまま結晶皇の頭部の下にあるホルマゼンタを蹴り上げて顎に叩き込み大きく仰け反らせ、そこにブラストダッシュで空に舞い上がったナギのランスの突きが翼に炸裂。覆っていた結晶を砕け散らせてから着地する。さすがだ。その間にマシロを回復弾で回復させる。

 

 

「いくらなんでも相手が悪すぎる、とにかくダメージを与え続けて撤退させる!最悪タドリを見つける時間が稼げればそれでいい!」

 

「ライゼクスが獲物を残して去るかなあ!?」

 

「よく知らんがライゼクスってそんなにやばいのか?」

 

「提督が言ってただろ?同族だろうが共食いする凶暴な種だ。イビルジョーに次ぐと言っても過言じゃない」

 

「それはやばいね。私でも知ってるもんその名前」

 

「ギィアアアアアアアッ!」

 

 

 四人で取り囲んで牽制しながらちまちまダメージを与えていると、結晶皇ライゼクスはキョロキョロと周りを見渡して咆哮をあげると頭上に自分の体と同じくらい大きな結晶の塊を形成。頭部の結晶のトサカに展開した電撃の刃…ゼクスカリバーを首を巧みに動かして結晶を五十近くの結晶の柱に分割すると落ちてきたそれは電撃を帯びて周囲に飛び散り、結晶皇は舞い上がって雷光ブレスを放ってそれは結晶柱の一本に当たって分散。

 

 

「んなっ…!?」

 

 

 電撃は次々と結晶の柱に当たって分散を繰り返してまるで迷路の様な電磁網を形成。俺達は完全に分断されてしまう。

 

 

「がああああっ!?」

 

「ぐぅうう!?」

 

「あぁあああ!?」

 

「ガハッ!?」

 

 

 それを確認した結晶皇ライゼクスは次々と舞い上がっては急降下の尻尾突きを繰り返し、俺達は吹き飛ばされて電磁網にぶつかって感電してその場に縫い止められてしまう。雷耐性がある俺はそのまま尻尾で腕を挟み込まれて持ち上げられ、天高くから叩き落とされて大ダメージに呻く。

 

 

「…ぐはっ。こいつ……とんでもない知能だ。常時電荷状態だと思うがその影響で頭脳の回転が速いのか…?」

 

「…」

 

「そんなの、どうすれば…ヒビキも気絶しちゃったし…」

 

 

 滞空して俺達を見下ろす結晶皇。どうやら倒れ伏している俺達が死んだものと思ってるらしい。倒れたまま小声でナギと会話して状況把握していると、立ち上がる者がいた。マシロだ。太刀を納めた鞘を手に力を溜めて構える。威合の構えだ。

 

 

「頭がいいから、なすすべもないから、どうした!手も足も出ないなんて認めない……私はもう二度と、外天種相手だろうが……いや、外天種にだけは負けられないんだから!」

 

「マシロ、お前でも無茶だ…!」

 

「立ち上がったら狙われるよ…!」

 

 

 慌てて止めるが時すでに遅く。結晶皇は頭部の虹色に輝く結晶のトサカからゼクスカリバーを再び展開。急降下してマシロに振り下ろさんとする。するととんでもない勢いで宙を舞った大剣が結晶皇の結晶状の翼を抉って体勢を崩す。マシロがぶん投げたらしい。

 

 

「私流威合………竜刀打尾(りゅうとうだび)!」

 

 

 そして体勢を崩しながらも虹色のゼクスカリバーを振り下ろす結晶皇に合わせてマシロは太刀を抜刀。迸る電撃を刀身で受け流しながら流れに乗るように引き抜いた勢いのまま渾身の振り下ろしを叩き込み、結晶皇の結晶のトサカを叩き割ることに成功した。

 

 

「ギィアアアアッ!?」

 

「…さすがに、限界…」

 

 

 さすがに予想外だったのか絶叫を上げて頭から倒れ込む結晶皇。マシロも全身全霊を使ったのか倒れ伏す。痛み分けか、このままだと激昂した結晶皇の手でマシロが殺されてしまう、と奮い立たせて立ち上がる。せめてこちらにタゲを……

 

 

「…ギィイアアッ!」

 

 

 しばしマシロを恨めしそうに睨み付けていた結晶皇だったが、突如なにかを感じたのか首を別の方向に向けてジーッと睨み付けて咆哮。周囲に結晶の塊を生成してそのまま結晶を再生させた翼を羽ばたかせ、北へ向かって行った。何事だ…?と視界の端に映るマップの北を見やってその理由に気付いた。

 

 

「ナギ、動けるか?」

 

「まだ痺れてるけどなんとか…?」

 

「ヒビキとマシロをベースキャンプ……は壊されてしまったから船に運んで回復させといてくれ。俺はタドリを探してくる」

 

「二人は休ませて、私も行くよ?また襲われたら…」

 

「いや、大地母蜘蛛がここに現れた。結晶皇はその迎撃に向かったんだ」

 

 

 そう伝えると顔を青くするナギ。言わんとしたことは分かった様だな。

 

 

「そのうち更地になるからその前にタドリを……」

 

「おや。激しい戦闘の音が聞こえたので様子を見に来てみれば……」

 

 

 そこに姿を現したのは、大きな荷物を担いで饅頭笠を被った妙に頭に残るいい声の男。バハリから聞いてる特徴を一致している。

 

 

「あんたがタドリ、さんか?」

 

「如何にも。私の名はタドリ、動植物を調査して回る薬師です。もしや君達はカムラの里の名高き猛き炎ですか…?」

 

「ああ、そうだ。エルガドのフィオレーネがメル・ゼナから受けたキュリアの毒で苦しんでいる。貴方の助けを借りたい」

 

 

 タドリに事情を話している間に二人を船に運び込み、今の内とばかりにライゼクスの死骸から素材を持てるだけ剥ぎ取るナギ。北から落雷の音が連続して聞こえて気が気でないのだろう。気のせいじゃなければ見る見るうちにマップに見えるヤツカダキの数が減って行く。恐ろしいほどの殲滅力だな。

 

 

「なるほど…メル・ゼナから受けた傷ともなれば一刻の猶予もありますまい。消えては結び…これが終わりか始まりか…私も微力を尽くしましょう。エルガドに向かう間お仲間の治療もさせていただきます」

 

「それは助かる」

 

 

 こうして俺達は、落雷の音が絶え間なく聞こえる密林からタドリを連れて脱出した。ライゼクスの死骸は諦めるしかないだろう。残ってれば回収できるだろうが。どうか潰し合ってくれるといいが……最悪毒に犯された結晶皇と戦わないといけないのか、憂鬱だ…。




知能の高いライゼクスとかいう地獄。


結晶皇(けっしょうおう)ライゼクス
特典「結晶生成」を得て転生したライゼクスの雌個体。転生前も女。結晶の影響による虹色の体と虹色の電撃が特徴。電流をよく通す結晶を電池代わりに扱い常時電荷状態を維持しているが、その弊害で理性が蒸発している代わりに、電流で活性化している脳の働きが速く知性が高いため特典を活用した広範囲攻撃で瞬く間に周囲の外敵を殲滅する。掲示板などに現れた場合叫んでばかりで意思疎通が難しい。また結晶を用いているトサカや翼は部位破壊されても再生が可能。
 ライゼクスの生態通りの生き方して来たが、その圧倒的な力で生き延びてきたため凶暴では無い。しかし理性蒸発していてテンションが高過ぎるため獲物を見つけるとじゃれつく様に遊ぶのだが、加減を知らないため被害がとんでもない。手に負えないバーサーカーもとい暴君。ちなみに名前は結晶皇后の略。


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【対策会議】結晶皇ライゼクスは妹属性【転生モンスターの会】

どうも、放仮ごです。結晶皇ライゼクスが雌で度肝を抜いた人が感想で多かったですね。今回深堀りするでよ。

ある日の転生モンスター掲示板の一幕。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しの星雲龍

さすがにこちらの世界のモンスター被害がとんでもないことになってるから会議するぞ。関係ない世界の奴も知恵を貸してくれ

 

2:名無しの転生大海の王

アンタが今回のイッチか。極断刀以来だな

 

3:名無しの転生銀嶺巨獣

俺も星雲龍と同じ世界に住んでるから他人事じゃない。とりあえず報告だ。俺のいる雪山エリア近辺でもキュリアの物と思われる被害が数多く出てる。メル・ゼナの仕業か…?

 

4:名無しの転生先生

大地母蜘蛛が転生者じゃないってのが未だに信じられません。あそこまで知能が高いとは

 

5:名無しの転生千刃竜

俺も同じ世界に住んでるからなあ。先日も友達が大地母蜘蛛っぽいのに襲われたらしいけど返り討ちにしたって話聞いたよ

 

6:名無しの転生ドス狗竜

正直俺らみたいな狗竜は餌にされるしかないから別の世界で本当によかった

 

7:名無しの転生傘鳥

>>5

なんて?大地母蜘蛛に襲われて返り討ちにしたってま?

 

8:名無しの灼翼王

>>5

俺達ですら手を焼く相手を返り討ちだと?

 

9:名無しの転生轟竜

このスレでもトップクラスの実力者であろう外天種より強いってま?

 

10:名無しの転生千刃竜

マジだぞ。俺をお兄ちゃんって呼ぶ虹色の雌ライゼクスだ。じゃれつくのは可愛いんだが滅茶苦茶強くて俺がこの特典持ってなかったら多分数えきれないほど殺されてる

 

11:名無しの転生岩竜

何その妹属性ライゼクス

 

12:名無しの星雲龍

いやいや。ライゼクスの雌ってだけでも珍しいのに色も違う上に滅茶苦茶強いってそれ外天種じゃないのか

 

13:名無しの滅雷刃

おい千刃竜の。そいつ、結晶をばら撒いてくる奴か?なら知ってる、たまに現れて暴れて満足したら帰って行く問題児だ

 

14:名無しの転生赤甲獣

>>10

そんなのから逃げられる特典ってなんぞ?

 

15:名無しの塵魔帝

俺がボコボコにされたのに返り討ちにするのは素直に凄いが掲示板で見たことないってことはコミュ症なのか?

 

16:名無しの転生千刃竜

>>14

「弾道操作」って特典で飛ばした刃を誘導ミサイルみたいに操れる。これを利用して避雷針みたく使ってる

>>15

いや俺が掲示板に来るのは止めてる。え、なに?参加したい?ええ……お前会話できる…?

 

17:名無しの毒牢姫

ああ、モンスターの場合会話がそのまま反映されるから傍にいるんですね。仲良しなのはいいことです

 

18:名無しの雪夜叉

いや掲示板に来るの止めてるって嫌な予感しか……

 

 

――「名無しの結晶皇」が参加しました――

 

 

19:名無しの結晶皇

ウェーイ!見えてるー?ヨロシクネー!

 

20:名無しの星雲龍>>1

え、なに、この…なに?

 

21:名無しの転生千刃竜

俺の自称妹分だ。ある程度意思疎通できるけど頭ぶっ飛んでるから気にするな。でもなに?その名前?

 

22:名無しの結晶皇

なんかー?この間遊んだハンターさん達がー!アタシをそう呼んでたからちょうどいいかなーって!

 

23:名無しの塵魔帝

外天種で間違いなさそうだな…

 

24:名無しの毒牢姫

私以外に雌の外天種がいるとは嬉しいです!

 

25:名無しの雪夜叉

いや俺も……なんでもない、うん

 

26:名無しの転生ドス狗竜

あっ、雪夜叉ってたしか……

 

27:名無しの転生先生

触れないで上げましょう…

 

28:名無しの滅雷刃

>>22

覚えてるか結晶皇とやら。この間はよくも水没林を荒して行ったな

 

29:名無しの傘鳥

仲良くしましょうよ…

 

30:名無しの転生大海の王

自分の縄張りを荒されたら許せないのはわかるがな。…モンスターに染まって来たな俺ら

 

31:名無しの結晶皇

>>28

あ、もしかしてゴエモンくんー?!アタシはおさなかくんとかタマミッチと遊んでただけだよ?

 

32:名無しの転生岩竜

えっと…ゴエモンは滅雷刃としてジュラトドスとタマミツネのことか?おさなかって……

 

33:名無しの転生千刃竜

お前また俺が見てない時に荒したのか

 

34:名無しの灼翼王

ゴwエwモwンwくwんw

 

35:名無しの滅雷刃

誰がゴエモンだ!今度会ったら真っ二つにしてやろうか!?

 

36:名無しの転生銀嶺巨獣

いかんw不意打ち過ぎて笑ったせいで雪崩がー!?

 

37:名無しの星雲龍>>1

喧嘩してる場合じゃないんだって。対策会議だぞ?大地母蜘蛛について話を聞きたい

 

38:名無しの結晶皇

>>33

荒してないよ!遊んだだけだよ!

>>35

えー!だってアタシの結晶流星群をスパスパ斬ってたじゃん!

>>37

大地母蜘蛛ってあのでっかい説明不要のことかな?!

 

39:名無しの塵魔帝

なるほどこれは問題児

 

40:名無しの転生赤甲獣

余所とはいえ外天種同士で喧嘩しないでください洒落にならないんだから

 

41:名無しの転生千刃竜

>>38

いちいちリアルで叫ぶんじゃありません。思考するだけでいいんだから。ほら、ダイミョウザザミがビビって逃げてるじゃないか。今日の飯だぞ

 

42:名無しの毒牢姫

可愛いですねこの子

 

43:名無しの灼翼王

ぶっちゃけ雌でよかったと心の底から安堵してる。寝取られる心配がないからな

 

44:名無しの雪夜叉

いや呑気か!?

 

45:名無しの転生ドス狗竜

強者の余裕か単に天然なのか

 

46:名無しの転生先生

>>38

そうです、大地母蜘蛛とはそのデカブツのことです多分。返り討ちにしたのなら話を聞きたい

 

 

――「名無しの極断刀」が参加しました――

 

 

47:名無しの極断刀

その話、(オレ)にも聞かせろ。あの虫けらめ、でかい顔しやがって許さん

 

48:名無しの星雲龍>>1

なんだ寝床泥棒じゃないか何しに来たんだ

 

49:名無しの塵魔帝

辻斬りの蟹じゃないかまた来たのか大概暇人…暇蟹だな

 

50:名無しの灼翼王

俺の縄張りに勝手に陣取りやがって。力づくで追い出してもいいんだぞ貴様

 

51:名無しの滅雷刃

お前俺達の縄張りで好き勝手暴れて置いてよく顔を出せたな

 

52:名無しの毒牢姫

オロミドロのお爺ちゃんを嬲り殺しにしていたの許してませんからね。次、大社跡に来たら覚悟なさい!

 

53:名無しの雪夜叉

お前寒冷群島で俺の仲間を斬るだけ斬って去ったの許さんからな

 

54:名無しの極断刀

>>48

あの寝床なら一日で飽きたから捨てたぞ勝手に使え

>>49

(オレ)を馬鹿に出来る立場か暇竜が!

>>50

やれるものならやってみろ。(オレ)がどこにいるかは(オレ)が決める

>>51、53

(オレ)がどこで暴れようと(オレ)の勝手だ文句があるか

>>52

飲み水を汚染されたら誰でもキレるだろうが

 

55:名無しの転生赤甲獣

ええ…なんで喧嘩売れるのこの蟹……

 

56:名無しの結晶皇

まあまあまあ!タチバサミくん!キラキラくん!チリチリ!しゃっくん!ゴエモンくん!どくろちゃん!せっちゃん!おちけつ!おちけつ!喧嘩するならアタシとしようゼ!

 

57:名無しの転生轟竜

こいつ止めるかと思いきや全員に喧嘩売りやがった

 

58:名無しの転生傘鳥

頭ぱっぱらぱーなのかな?

 

59:名無しの転生千刃竜

何してんだお前はー!!!???

 

60:名無しの結晶皇

あだー!?い、いきなり背中蹴り飛ばすのはひどいー!

 

61:名無しの転生銀嶺巨獣

セルレギオスの蹴りは痛そう(小並感)

 

61:名無しの転生千刃竜

うるさいお馬鹿!喧嘩売るなら相手を選べといつも言ってるだろ!?いやお前古龍相手でもボコボコにするけどさ!

 

62:名無しの灼翼王

いや、しゃっくんて……我人間にも王と呼ばれてるんだぞ?威厳も欠片もないんじゃが?

 

63:名無しの毒牢姫

あの、どくろじゃなくてどくろうきです、毒の牢の姫……どくろちゃんだと別のになるといいますか…

 

64:名無しの塵魔帝

チリチリはひどくない?我ディアブロスぞ?じんまてい、とまで言われてるんだぞ?

 

65:名無しの雪夜叉

いやあの俺、せっちゃんじゃなくてゆきやしゃ…女の子みたいに呼んでくれるのはちょっと嬉しいけどさ…でもなんか今回のゼンカイジャーはー!って叫びたくなるのは何故?

 

66:名無しの極断刀

誰がタチバサミだ貴様、頭が沸いているのか?

 

67:名無しの星雲龍>>1

文字通りのキラキラネームで思わず笑ってしまった

 

68:名無しの転生千刃竜

いやほんとすいません……おいこら、大地母蜘蛛の情報なんかないのか返り討ちにしたんだろ?

 

69:名無しの転生ドス狗竜

一触即発過ぎてさっきからビビってる俺

 

70:名無しの転生傘鳥

>>69

わかる。わかりみ

 

71:名無しの結晶皇

>>68

大地母蜘蛛ってあの山みたいにでっかい奴の事ー?!えーっと、ちっさいのが寝ていたナッスーに群がろうとしていたから片っ端から結晶で頭を叩き潰して!でっかいのが怒ってビーム撃って来たからー!楽しくなってお返しに結晶流星群してあげたら逃げちゃったんだよね!もっと遊びたかったー!

 

72:名無しの転生先生

ナッスー…エスピナス?ところで転生千刃竜氏、彼女の特典は?

 

73:名無しの転生千刃竜

>>72

多分「結晶生成」雷撃を通電させて電磁石にしたり電磁砲にしたり電磁網にしたりまあ色々できる。じゃれつくんだけど火力が高すぎてよく死なせてる

 

74:名無しの灼翼王

チートなのはよく分かった

 

75:名無しの毒牢姫

私の毒の娘より使い勝手よさそうですね

 

76:名無しの星雲龍>>1

結晶皇ちゃん、また大地母蜘蛛と出会ったら遊ぶ?

 

77:名無しの結晶皇

>>76

むしろ探して続きをしたい!あのハンターたちとももっと遊びたかったのに邪魔したんだから責任とってもらう!

 

78:名無しの塵魔帝

あれとまた戦おうと言える胆力が凄い

 

79:名無しの雪夜叉

キュリアの毒は本当にヤバいから気を付けろ

 

80:名無しの転生轟竜

結晶皇ちゃんに大地母蜘蛛を任せるつもりかまさか

 

81:名無しの滅雷刃

まあ相性はいいんだろうが名無しのくだんによればこの世界で最も硬い糸があるから俺も手伝った方が…

 

82:名無しの星雲龍>>1

>>80

そんなまさか。外天種全員(一部除く)で迎え撃ってやるんだよ。マガイマガドの時と違ってこの世界全ての生物の危機だからな。転生千刃竜くん、そのときは報告を頼む

 

83:名無しの転生千刃竜

え、こいつと四六時中一緒にいるの?

 

84:名無しの転生大海の王

何か問題が?

 

85:名無しの結晶皇

お兄ちゃんとずっと遊んでてもいいの!?やったー!

 

86:名無しの転生赤甲獣

え、うらやま

 

87:名無しの転生銀嶺巨獣

妹属性ライゼクス……ありだな

 

88:名無しの転生先生

あれ、でもセルレギオスの耐性って…

 

89:名無しの転生千刃竜

>>85

やめて!?俺、雷属性が一番苦手なんだぞ!?…というわけで一緒にいると遊びをせっつかれるんです…こいつが出会って生きてたの、外天種以外に俺ぐらいしかいないから……

 

90:名無しの滅雷刃

一度会ったから言えるがあのバーサーカーを四六時中相手にするのはきついと思うぞ

 

91:名無しの極断刀

話を聞いていれば気に入らん。結晶皇といったか!?お望み通り遊んでやる!どこにいる!こちらから出向いてやるぞ!

 

92:名無しの塵魔帝

ややこしくなるからやめろや蟹

 

93:名無しの結晶皇

遊んでくれるの?!タチバサミくん大好き!密林にアタシは棲んでるよー!

 

94:名無しの極断刀

タチバサミ言うのやめろ貴様!?密林だな、首を洗って待っていろ!

 

95:名無しの転生千刃竜

あ、今密林はライゼクスのせいで気が立ってるエスピナスいるから来るのはやめた方が……

 

96:名無しの毒牢姫

そういえばメル・ゼナはどうするのです?

 

97:名無しの灼翼王

そう言えば忘れてたなキュリアを使う古龍

 

98:名無しの星雲龍>>1

メル・ゼナは俺が見つけたらなんとかするつもりだ

 

99:名無しの転生轟竜

強いのは知っているが目が見えないんだろ?一匹で大丈夫か?

 

100:名無しの結晶皇

大丈夫だ!問題ない!多分!イェーイ!




ウェイウェイ系ライゼクス。あだ名のセンスが独特。強面だけど可愛く思えるのは気のせいだろうか。実は結構重要ポジだった名無しの転生千刃竜くん。


・名無しの転生千刃竜
ギルドからの通称、千刃の追跡者セルレギオス。結晶皇ライゼクスの「遊び」からたびたび生き延びて懐かれてしまった苦労人系飛竜。「弾道操作」の特典で飛ばした刃を誘導ミサイルのごとく操ることが可能で、外天種には及ばないものの首狩り稲妻旋風などと同格の実力者。ネグレマガラの姿を確認したり結晶皇のストッパーだったり縁の下の力持ち。


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【結晶皇に千刃竜】控えめに言っても地獄が過ぎる【極断刀に棘竜】

どうも、放仮ごです。妹属性ライゼクスが感想で受け入れられていた様で何より。

今回はタドリを含めた会議、そして?楽しんでいただければ幸いです。


 結晶皇ライゼクスが大地母蜘蛛とヤツカダキの群れの対処に向かった隙を突き、タドリを連れて命からがらエルガドに帰還した俺達。雷撃の直撃を受けてダウンしていたマシロとヒビキも帰りの船の上で治療してくれたタドリのおかげで復活、仮死に近い状態だったらしく危なかったという。本当にタドリがいてくれてよかった。危険だと分かっている密林に探しに来たせいでもあるがまあ気にしないでおこう。

 

 

「…バレット、マシロ、ナギ、ヒビキ。よくぞ、タドリ殿を見つけて連れて来てくれた。礼を言う。タドリ殿には今フィオレーネの容体を診てもらっているところだ」

 

「しかし猛き炎は凄いねえ。結晶皇ライゼクスと出くわしてよく生き残れたもんだ。よくて見つからないで帰還すると思ってたよ」

 

 

 おい聞き捨てならないことを言ったなバハリ?

 

 

「いや待て。あのバケモノと出会って誰も生き残った者はいないのか?」

 

「ああ、アレの存在が露見したのも縄張り争いを偶然隠れて目撃したハンターが報告したことでギルドに知らされてるからね。アレに殺されたであろう感電死したハンターやモンスターの死体が結晶の破片と一緒にたびたび密林で見つかって外天種に該当されたらしいよ」

 

「…結晶皇ライゼクスは見つかれば死あるのみの、最も凶暴な外天種。目撃情報があるとはいえまさか出くわすことになるとは……本当に、よく生き残って戻ってくれた」

 

「私がいなければマシロ殿とヒビキ殿は死んでいてもおかしくなかったでしょう。見逃してもらえたのも含めて本当に運がよかった」

 

 

 そこにやってきたのはタドリ。いや本当に運がよかった。マシロと言う主人公がいたからこそ、だと思うことにしよう。

 

 

「やあやあ、久しぶりだねぇ、タドリ!大ピンチのエルガドへようこそ。さあ、助けてくれ!」

 

「相変わらずですね、バハリさん。元気すぎるようで、何よりです。病気にかかったこともないのでは?」

 

「それは言いすぎだよ。それはそこのナギのことさ!」

 

「え」

 

「ほう。ナギ殿が…そう言えばバレット殿とも異なり汚れはあれど傷もありませんでしたね」

 

「いやただ健康なだけです、ははは……」

 

 

 技術者&薬師コンビに見られて苦笑いを浮かべるナギ。神の特典ってメカニズム解明できるんだろうか。

 

 

「話は船の上でバレット殿から聞きました。貴方がまとめた大地母蜘蛛ヤツカダキ及びメル・ゼナとキュリア、それらが有する毒についての報告書も確認済みです」

 

「いいねえ、さすが仕事が早い!それで、どうだい?フィオレーネを治す薬は作れそうかい?いつぞやのメル・ゼナにやられた後の疫病とはわけが違う。キュリアの毒はそう簡単に治らないと思うけど…」

 

「いえ。疫病の時と同じ薬で治せるはずです」

 

「………ん?ん?な、なんだって?」

 

「それはつまり、バハリの言う疫病もキュリアの毒だったということか?」

 

「ええ、そういうことです」

 

 

 ヒビキの問いかけに頷くタドリ。関係はあると思ったがまさかの下手人だったか。

 

 

「フィオレーネ殿を苦しめている毒は、疫病が起きた際に蔓延していた毒と同じ物です。何の毒かはわかっていなかったのですが今回判明した。毒というのも間違いか。近い構造なのはゴア・マガラ及びシャガルマガラ、ネグレマガラの有する狂竜ウイルス。つまりはウイルスの類です」

 

「ちょっと待ってタドリ。君が頭いいのはわかってるけど君以外…君とヒビキ以外は理解が追い付いていない。急に脳みそやられちゃったのかと思ったよ俺!なあタドリ、君はこう言うんだね?フィオレーネを侵している毒…いやウイルスはキュリアから検出され大地母蜘蛛やメル・ゼナに息づいていたもので、それが50年前の疫病の原因だと!でも当時メル・ゼナは確認されてるけどキュリアなんてものは今になって初めて目撃されたんだぜ?」

 

「…いや待てバハリ。50年前だぞ。姿形が変わっていてもおかしくない年月だ」

 

「あ……」

 

 

 俺が指摘するとその発想はなかったと言わんばかりに口を開けて呆けるバハリ。ちなみに俺とヒビキはなんとかわかってるが女性陣はなにもわからないのかぼけーっとしてる。

 

 

「その通り。今のキュリアと当時のキュリアが同じ外見だったという先入観は捨てるべきです」

 

「…まだ幼体だったという事か。我々でさえ気づかぬほどに小さな……」

 

「なるほどね。やっと理解した。当時のメル・ゼナと共生関係になり損ねたキュリアの幼体ちゃんがとりあえず人間を噛みまくったせいでウイルスにやられた国民がバタバタ倒れた、それが疫病の正体か。皮肉だね、フィオレーネがやられたおかげでようやくわかるだなんて」

 

「無論、キュリアの養分は人間ではない。メル・ゼナに共生できなかったキュリアは自然に滅びて行き、そのせいでこの五十年発見もできなかったのでしょう。ともかく私の役目はフィオレーネ殿を助ける薬を作ることですね。用意はすぐにできるかと思いますが少々時間をいただきたい」

 

「えっとつまり…フィオレーネさんは治るんだよね!?」

 

「そうだよね!?」

 

「ああ、そういうことだな」

 

 

 マシロとナギが捲し立ててきたのでとりあえず頷いておく。二人は安心しで胸を撫で下ろした。

 

 

「あ、そうだ。通常個体のライゼクスの死骸だけど回収班が何とか回収できたらしい。あまり参考にはならなそうだけど」

 

「大地母蜘蛛対策は何も進展なしということか。結晶皇が大地母蜘蛛と一戦交えてたっぽいけど勝敗も不明だしな…」

 

「正直外天種の規格外の力を参考にできれば早いんだけどねえ。毒牢姫とか効きそうじゃない?」

 

「俺達を殺したいならいいと思うぞ」

 

「冗談だって」

 

 

 まあ外天種の力を借りられればいいんだけど……雪夜叉には借りがあるけどそれが通用するか、だよなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから三日。今日も今日とて猛き炎でオロミドロ亜種とかいう鬼畜にも程があるモンスターを狩猟して帰ってくると、提督の所にバハリとタドリがいたので気になったので、三人には休息してもらって俺一人で話を聞きに行ってみる。

 

 

「おやバレット殿。いいところに」

 

「ちょうどよかったよバレット!他の三人は休息中かな?まあいい、今君達を呼びに行こうとしてたところさ!」

 

「俺達が必要ってことは…まさかフィオレーネ関連で?」

 

「そうなんです。実はフィオレーネ殿が受けたウイルスに対する薬を服用させたのですが意識が戻らず、思っていたほどの効果が出ていないのです」

 

「キュリアの毒は疫病の物と同じはずでは?」

 

「考えられる理由は一つ。キュリアが巨大化している分、ウイルスも予想以上に強くなっていました。故に、薬も強くせねばありません」

 

「なにか方法が?」

 

 

 なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。

 

 

「そこで……エスピナスの毒を用いてみようかと」

 

「エスピナス…!?」

 

 

 前にも話したフロンティア産のバケモン飛竜じゃないか!?え、いるの?ライゼクスといいゴア・マガラといいサンブレイク、殺意高すぎない?

 

 

「エスピナスって、かつて古龍種と樹海で縄張り争いをしていた(いばら)竜だっていう…!?」

 

「おや、もしや戦ったことが?」

 

「いや戦っているというか、知ってるだけだけど……いやいやいや、エスピナスはやばいぞ!?」

 

「…なるほど、毒をもって毒を制す、というわけか。エスピナスであればちょうど狩猟の依頼が来ていたはずだ」

 

「いやなるほどじゃなくてですね提督!?」

 

 

 さすがにあれと戦うのは御免こうむる。他に方法はないのか。タドリを捜すためにライゼクスを狩猟するのとはわけが違うぞ!?

 

 

「おお、それは好都合です。バレット殿。猛き炎にエスピナスの狩猟をお願いしてもよいでしょうか?カゲロウも認める貴方方なら安心して頼めます」

 

「だめです!」

 

「どうしたんだバレット。古龍どころか淵虎竜を倒した男が飛竜を恐れるなんて」

 

「バハリ、お前はアレの危険度を知らん。何回死んだかわからないぐらいなんだぞ?」

 

「何回死んだか…?」

 

 

 あ、やばい。失言した。

 

 

「いや何人のハンターがって意味だ。とにかく、俺はできれば戦いたくない」

 

「フィオレーネの為なんだ。頼むよバレット。苦労ばかりあけてすまないとは思ってる、だけど俺達が頼れるのは君達だけだ。狩猟してくれれば毒の採取は俺とタドリでするから、さ」

 

「………わかった。ナギを説得するのに時間がかかるだろうけど」

 

「ナギってカムラの里の出身だろ?エスピナスと出会ったことが?」

 

「詳しいことは知らんがトラウマなんだそうだ」

 

 

 しぶしぶ引き受けて誤魔化しながらナギの下に向かう。案の定ガチ泣きされた。だよな、気持ちは分かる。だけどフィオレーネの為なんだと説得したら頷いてくれた。……ただし、俺はこの時なにがなんでも断っておくべきなんだと心の底から思う。密林に向かう船の上からでも聞こえる破砕音に咆哮。上陸した俺達が遭遇したのは………。

 

 

「私、帰る」

 

 

 踵を返して逃げようとしてヒビキに襟を掴まれじたばたするナギ。

 

 

「相手にとって不足無し、だから…(震え)」

 

 

 震えながらも気丈に振る舞うマシロ。

 

 

「淵虎竜と一人で戦う方がまだマシだ」

 

 

 ひきつった笑いを浮かべてるヒビキ。

 

 

「控えめに言っても地獄がすぎる」

 

 

 そして絶望するけどこっちに向かって突撃してくる虹色に輝く雷を全身から迸らせる飛竜を見て構えるしかない俺。

 

 

 棘竜エスピナス。結晶皇ライゼクス。千刃竜セルレギオス。極断刀ショウグンギザミ。その四体が入り乱れる縄張り争いが密林で発生していた。帰っちゃ駄目ですかねこれ。え、フィオレーネが危ない状態?あ、そうですか。やってやるぁあああああああっ!(白目)




極々、地獄。これまで何度も難関を乗り越えてきた猛き炎の全員が絶望する地獄。前回の掲示板の続きが行われてるだけですね。

※バレットとナギは前世でフロンティアプレイした時にエスピナス相手にフルボッコにされてトラウマ持ち。

「だめです!」は某プロテインの貴公子から。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【這い寄れカオス】悪夢のような大狩猟【眠れる密林の棘竜】

どうも、放仮ごです。フロンティアのエスピナスの大暴れとかを動画で見たんですけどやばいですね、うん。よくライゼクスセルレギオスエスピナスの三大狂暴飛竜をぶっこんだなサンブレイク。

今回はその三大狂暴飛竜+バーサーカーの極断刀同時狩猟。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

マジで誰か助けて

 

2:名無しのくだん

どしたん。外天種とでも出くわしたか

 

3:名無しの鬼殺隊

この間結晶皇ライゼクスとかいう密林の外天種と出くわしたばかりだろうに

 

4:名無しのガンランス使い

お願い名無しの魔導師さん!コネでもなんでもいいから本当に助けに来て!?

 

5:名無しの魔導師

ええ……いや前のでコネ全部使ったから後五年はしないと無理ぞ

 

6:名無しのドンキンタロウ

そこまで助けを求めるって何があったんだ

 

7:名無しのギルド所属ハンター>>1

エスピナス狩猟しに来たら結晶皇ライゼクスとセルレギオスと極断刀ショウグンギザミが一緒にいて縄張り争いしてるんだよ

 

8:名無しのRS

はい解散

 

9:名無しのSOS団の異世界人

また転生できるといいですね?

 

10:名無しのザビー

えーと…逃げるのは駄目なんですか?

 

11:名無しの帝丹小学校6年生

馬鹿正直に戦う必要もないでしょ

 

12:名無しのガンランス使い

フィオレーネさん救うために大至急エスピナスの毒がどうしてもいるんだって

 

13:名無しの霊媒師

はい詰んだーつんだ餅ー

 

14:名無しの49人目のマスター

さながらビーストを複数同時に相手してるみたいな?

 

15:名無しの日向家次女

とりあえずサポートはするから生放送にしてくれると…

 

16:名無しのギルド所属ハンター>>1

恩に着る!ってなんだあの飛び回る刃!?

 

17:名無しのG級太刀使い

そいつは千刃の追跡者だな。見た目は通常種と変わらない癖に危険度がバカ高いセルレギオスだ

 

18:名無しのG級双剣使い

とりあえずディオレックス倒してエルガドに来たんだけど向かった方がいいかにゃ?

 

19:名無しの鬼殺隊

おおっ!その二人が行けばワンチャン!

 

20:名無しのガンランス使い

エルガドから密林まで船で来るの一時間はかかるんだけど!なんでもいいから助けてー!?

 

21:名無しのドンキンタロウ

しかしこんな時に悪いが虹色のゼクスカリバー綺麗だな…

 

22:名無しの魔導師

実際に戦わなければ綺麗ではあるんだがな

 

23:名無しのザビー

あれゼクスカリバーは通称で、正式名称はライトニングブレードって言うらしいですよ

 

24:名無しのくだん

ちょっとあっちの掲示板行って説得してきまっす

 

25:名無しのRS

いやほんと転生人外の掲示板は行くだけで精神汚染されるから名無しのくだんは貴重だな…

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 大空を舞う虹色の(いなずま)竜から降り注ぐは結晶と虹色の雷撃。宙を舞うのはその主以外の全てを斬り裂く千の刃。大地を蹂躙するは棘に包まれた暴走飛竜。その全てを斬り伏せるは鉱石の甲殻に包まれた甲殻種。逃げるは俺達猛き炎。いやね、無理。果敢に突っ込んだまではよかったがとんでもない速さで爆走するエスピナスに普通に轢き飛ばされた。前世だったら死んでた。

 

 

「こんの…うぎゃっ!?」

 

「そのリーチで二本使えるのは卑怯だろ…!?」

 

「居合で……速すぎるぁああああっ!?」

 

「撃ち落としても撃ち落としても襲ってくるのやめてくれないかなあ!?」

 

 

 結晶皇の虹色の雷撃を纏った結晶弾をシールドで受け止めるも踏ん張れず吹き飛ばされるナギ。狩猟笛二本でエスピナスの放つ火炎弾を避けながらも極断刀ショウグンギザミの鎌と上手く刃以外を狙い打ち合うヒビキ。居合でエスピナスを斬り伏せようとするも怒り時ティガレックス以上の速度で突進してきたエスピナスに吹き飛ばされるマシロ。上空を旋回し、モンスターだけでなく俺達も狙って降り注いでくる刃の雨を鉄蟲糸弾と通常弾でなんとか撃ち落とすもその数に文句を垂れながらエスピナスに轢き飛ばされる俺。カオスにも程があると思うんだ。

 

 

「回復持つかなこれ…」

 

 

 ヘビィボウガンのシールドで刃を叩き落としながら片手で回復薬をがぶ飲みする。猛速度なお且つ予備動作無しの癖に高威力に加えドリフトまでしてくるエスピナスの突撃と炎+毒+麻痺とかいうふざけたブレスをまずなんとかしないとロクに戦えない。

 あと上!縄張り争いしながら空から蹂躙してくるライゼクスとセルレギオスが邪魔過ぎる!特に落ちた結晶で複雑に軌道を変える雷光弾と、標的目掛けて誘導する上に避雷針みたく電撃を誘き寄せてくる千の刃!何故か知らんけどセルレギオスにも極断刀にもエスピナスにも攻撃しているライゼクスのおかげで共闘はしてない様だけど!

 

 

「セルレギオスはライゼクスばかり攻撃してるけど、なんか因縁でもあるのか?」

 

「ガオアアアアアッ!」

 

「こうなったら一か八かだ、ヘビィナックル…!」

 

 

 真正面から火炎+毒+麻痺ブレスを放ちながら突撃してきたエスピナスに、シールドでブレスを防ぎながら真正面からヘビィボウガンの一撃を叩き込むが、飛竜随一の突進と相殺できるわけもなく簡単に吹き飛ばされ、その先にいたセルレギオスに邪魔だと言わんばかりに軽めに蹴り飛ばされ、そんな俺に気付いたライゼクスが雷撃を纏った結晶の塊を飛ばしてきて追撃。グエッと短い悲鳴を上げながらキリモミ回転して地面に激突。さらにライゼクスの雷撃を避けて後退してきた極断刀の足に蹴り飛ばされてごろごろ転がり小さな洞窟にゴールインしてようやく止まる。装備がヨツミ轟雷じゃなかったら死んでた。

 

 

「なんかセルレギオスからは殺意を感じないんだよな…」

 

 

 あんな受け身もとれない空中で本気で蹴り飛ばされたら間違いなく死んでる。そもそもセルレギオスはもう少し好戦的なはずだ。狩場にいる大型モンスターが相手でも一切怯まずに攻撃してくるとかいうライゼクスにも負けない暴れん坊のはず。

 いや、あれはあの能力からして転生者ならそうじゃない可能性もあるのか。ライゼクスばかり攻撃している姿はまさにそうなんだが、でも刃の雨は全員に降り注いで………いや、俺が撃ち落とせずに喰らってるマシロはそんなにひどい傷じゃない。もしかして俺達を追っ払おうとしてるのか?殺させないように?意思疎通できないとはいえ不器用な優しさだな?

 

 

「でも悪いな、エスピナスの毒が必要なんだ…!」

 

 

 洞窟から出ながらとっておきの弾をヘビィボウガンに装填する。ヒビキを薙ぎ飛ばしてこちらに気付いた極断刀ショウグンギザミが突進してくる。俺が生きてたことに気付いて興味を持ったのかセルレギオスをゼクスカリバーで薙ぎ払った結晶皇ライゼクスが急降下してくる。ナギが受け止めてマシロが叩き斬っていたエスピナスもそれらに気付くと尻尾を振るって二人を吹っ飛ばして、飛び立つと怒り狂いながらブレスをばらまきながら突撃してきた。一発逆転の切札、受けやがれ!

 

 

「全員目を瞑れ!バハリ特製、閃光弾!」

 

 

 パシュッと音を立てて、黄色く輝く弾が発射。極断刀ショウグンギザミの目の前で眩い閃光を放ち、遠く離れていたセルレギオス以外のモンスターの視界を塞ぐことに成功。結晶皇ライゼクスとエスピナスは顔から正面衝突して撃墜。

 

 

「ギィアアアアアッ!?」

 

「ガオガァアアアッ!?」

 

「キシャァアアアッ!?」

 

 

 閃光で弾道が逸れたエスピナスのブレスを受けたばかりか絡み合って落ちてきた二体に押し潰された極断刀は闇雲に鎌を振るって二体を吹き飛ばすも毒を受けたのか明らかに弱った様子だ。そこにセルレギオスが急降下して来て飛び蹴りを極断刀ショウグンギザミに叩き込み岸壁まで蹴り飛ばし、エスピナスと結晶皇にも素早い身のこなしで二段蹴り。すると真っ先に閃光から我に返ったエスピナスが舞い上がり、二体は空中でブレスと誘導する刃をばら撒きながら激突。さらに我に返った結晶皇ライゼクスがそれを見て何を思ったのか果敢に突っ込んでいき三つ巴。俺達四人は何とか集まれた。結晶皇は戦闘狂かなにかか?

 

 

「うっわ……すごっ。飛竜同士だと迫力凄いねえ」

 

「えっと……セルレギオスは味方、なのかな?」

 

「味方と言うか戦いを止めたい様には見える」

 

「俺達以外にタゲが行ってよかったよ。…さて」

 

 

 振り返る。そこには極断刀ショウグンギザミが怒った様子で近寄ってジャキンジャキンと鎌同士を擦り合わせていた。俺達猛き炎にとってはマシロをやられた仇だ。それにこいつはところ構わず現れて襲撃を繰り返している戦闘狂だとも聞いている。

 

 

「とりあえずエスピナスを狩るためにもこいつを倒すぞ」

 

「今度は負けない、だって四人揃ってるからね!」

 

「私の親友をやってくれた恨みは忘れてないんだからね!」

 

「俺の妹分をやってくれた決着を付けようか、極断刀ショウグンギザミ…!」

 

「キシャアアアアッ!」

 

 

 そして俺達の、マシロの為のリベンジマッチが始まった。……上から落ちてくる雷撃と火炎弾と刃の鱗が気にしながらはさすがにきついけどな!




全然死なない遊び相手ができてはしゃいでる結晶皇ちゃん。

なんか紛れ込んできた可哀想なハンターを逃がそうと奮闘する千刃の追跡者。

喧嘩しに来たけど邪魔する奴しかいないから片っ端から斬りまくってる極断刀。

寝てたら周りで戦闘されて「うるせえ!」とブチギレてるエスピナスさんことナッスー。

大体こんな感じ。まさにカオス。


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【極み断ち斬る太刀使い】極まりし太刀、激突【眠れる密林の棘竜】

どうも、放仮ごです。エスピナスの大暴れを描いた直後に公式で亜種参戦が通達されるのは聞いてない。本当に殺意高いねサンブレイク。

今回はマシロの因縁の怨敵、極断刀ショウグンギザミとの決着戦となります。楽しんでいただければ幸いです。


 脚を高速で動かして突撃、すれ違いざまに鎌を振るう極断刀ショウグンギザミ。俺達はそれぞれ武器と盾で防御。マシロの話から防御は難しいと言われていたがそれは刃の部分だけ。刃の腹の部分を上手く下から払うようにパリィすることで防げた。振り返りざまに斬裂弾を鎌の付け根に連続で当てる。

 

 

「よし、よし!これなら、いける!」

 

「作戦通り行くから時間稼ぎは頼んだぞ!」

 

「時間稼ぎはいいけど、倒してしまっても構わないよね?」

 

「同感だ。外天種、今まで淵虎竜しか討伐例がない、歴代ハンターたちが太刀打ちできなかったバケモノ……相手にとって不足はない」

 

「キシャシャシャシャッ!」

 

 

 俺達が無事なばかりか勝つと宣っていることが気に入らないのかジャキンジャキンジャキンと鎌を擦り合わせて砥ぐと、足を高速で動かして高速で回転しながら独楽の如くとんでもないリーチの斬撃を繰り出してくる極断刀ショウグンギザミ。それは同じく大剣を振り回した勢いで高速回転したマシロが太刀と大剣を連撃でぶつけて相殺。大きく弾かれ俺達は距離を取り、弾かれた隙を突いて斬裂弾を撃ち込む。

 

 

「キシャシャア…!」

 

 

 すると極断刀ショウグンギザミ気刃無双斬り連携の様な動きで二本の鎌を振るって距離を詰めてきた。その一撃は俺達が避けた先の大地を両断と同時に衝撃波を発生させて地盤を捲り上げる。とんでもない剛剣だ。地面から引き抜こうとしているところにすかさず斬裂弾と貫通弾を叩き込む。煩わしそうに鎌を引き抜いて俺を睨みつける極断刀ショウグンギザミ。

 

 

「音撃…打打打打打打打ッ!!」

 

 

 するとその背後から狩猟笛二本で凄まじい連撃を繰り出すヒビキ。まるでどこぞの奇妙な冒険のオラオララッシュだ。鉱石の甲羅に受けて衝撃に堪えながら押されつつ、横から襲いかかるマシロの斬撃を斬り弾いて行く極断刀ショウグンギザミ。その合間に貫通弾を撃ち込む俺を煩わしそうに睨んでいる。鬱陶しいだろうな、転生者のモンスターの強みである集中力が途切れるだろう、嫌だろう。その目の前から挟み込むようにナギがランスとガンランスの切っ先を前方に向けて串刺しにせんと突進する。

 

 

「キシャシャアアッ!」

 

 

 それを見た極断刀ショウグンギザミは受けるものかと言わんばかりに真下の地面を鎌で掘ってヒビキの音撃打打打打打打から逃亡。ヒビキにぶつかりそうだったナギは急制止、マシロとヒビキと三人で背中合わせになって周りを見渡す。俺も特殊弾をヘビィボウガンに装填しながら警戒するが、降り注ぐ虹色の雷と毒と麻痺を帯びた火炎弾と刃の鱗で地中を掘り進む音も聞こえない。もうちょっと静かに暴れてくれないな上の凶暴飛竜トリオ!

 

 

・・・・・・・・

 

 

61:名無しのくだん

あ、セルレギオスさんには事情を話しておいたよ。協力はしてくれるそうだけど幼馴染妹系ライゼクスを抑えるので精一杯で迷惑かけたらごめん、だそう

 

62:名無しのギルド所属ハンター>>1

待って幼馴染妹系ライゼクスって何!?

 

63:名無しのザビー

雌のライゼクスは珍しいですね

 

64:名無しのガンランス使い

エスピナスと極断刀はどうかな!?

 

65:名無しの鬼殺隊

幼馴染妹系ライゼクスを遠慮なく蹴飛ばしてるのやっぱり転生モンスターの闇は深いな

 

66:名無しのくだん

極断刀は応答不能、エスピナスはそもそも転生者じゃないそう。なんでも寝てるところを起こされてキレてるんだとか

 

67:名無しの日向家次女

え、つまり通常種で特典持ちと外天種二体と互角に立ち回ってるってこと?

 

68:名無しの魔導師

これだからフロンティア産は……

 

69:名無しのRS

あ、結晶皇ライゼクスを翼で殴り飛ばした。こわっ。

 

70:名無しの49人目のマスター

イッチ!二時の方向!地面が蠢いてる!

 

 

・・・・・・・・

 

 

「そこか!」

 

 

 マスターニキに言われた方向を見るとちょうど盛り上がってきたところで。咄嗟に狙撃竜弾を撃ち込むと爆発と共に極断刀ショウグンギザミが飛び出してきて、何故気付かれたのかと驚きでじたばたしているので遠慮なく斬裂弾を叩き込んでやる。

 

 

「空中なら!」

 

「避けられまい!」

 

「ふんぬぁああああっ!」

 

 

 そこに、ナギ、ヒビキ、マシロがそれぞれランス、ホルマゼンタ、マガド大剣を投擲。極断刀ショウグンギザミは鎌を振るってランスはなんとか弾くも、ホルマゼンタが顔に激突して怯み、さらにマガド大剣が腹部に突き刺さって爆発。その衝撃で吹き飛んだそれぞれの武器が、咄嗟に通常弾に切り替えたライトボウガンで撃って弾いて持ち主の手に戻らせて、極断刀ショウグンギザミは背中から地面に激突、引っくり返る。

 

 

「よし、このまま…!」

 

 

 弾き飛ばされた大剣をキャッチし軽々とくるくる回して構え直して突撃せんとするマシロ。しかし掲示板で警告の声が上がる。上で動きがあった。セルレギオスに蹴り飛ばされた結晶皇ライゼクスがエスピナスに激突して、もみくちゃになりながら落ちてきていたのだ。

 

 

「マシロ、止まれ!」

 

「え?」

 

「先走るな、馬鹿…!」

 

 

 俺が警告の声を上げるとマシロはちょうど結晶皇ライゼクスとエスピナスの真下で静止してしまい、咄嗟にヒビキが飛び出してマシロの手を掴むと渾身の力でナギの方にぶん投げ、代わりにヒビキが結晶皇ライゼクスとエスピナスに押し潰されてしまった。

 

 

「ヒビキ!?」

 

「ナギ、躁竜だ!」

 

「了解!」

 

 

 マシロは狼狽えるも、俺はナギに目配せしてエスピナスに飛び乗り躁竜。ナギも結晶皇ライゼクスに飛び乗って続く。その間にも立ち直る極断刀ショウグンギザミの姿が見えた。

 

 

「この、大人しく…しろ!」

 

「結晶皇!今だけ、言う事を聞いて…遊ばせてあげるから!」

 

 

 二体は暴れていたが、掲示板でくだんニキから情報を聞いていたナギがそう言うと結晶皇は大人しくなり、ナギの操縦で極断刀ショウグンギザミに突撃。エスピナスはまだまだ暴れるのでこうなったらと突進させて壁に激突させ、さらに反対側の壁に激突。

 

 

「喰らいやがれ!」

 

 

 そのまま極断刀ショウグンギザミに突進離脱。俺が跳躍して離れた瞬間にエスピナスは体勢を立て直していた極断刀ショウグンギザミに正面衝突、さらに結晶皇ライゼクスが雷光弾を炸裂させ、それに続く様にセルレギオスが飛び蹴りを叩き込む。翔蟲が極断刀ショウグンギザミに纏わりつこうとするも鎌を振るって追い返される。さすがに躁竜はさせてくれないか、プライドの塊みたいな奴だもんな。でもエスピナスはダウンした。今のうちに決着をつける!

 

 

「セルレギオス、味方なら手伝って!行くよ結晶皇!私の事は気にせず存分に放電して!」

 

「ギィアアアアアアッ!」

 

 

 するとナギは「健康な肉体」なのをいいことに結晶皇に全力を出させて放電し続ける虹色の雷撃に耐えながら翼爪を連続で叩き込み、セルレギオスが援護するように翼を羽ばたかせて刃の鱗を飛ばして自在に操り極断刀ショウグンギザミの死角から奇襲。さらに気絶したヒビキを避難させたマシロも果敢に挑みかかり、三方からの攻撃に対処しないといけない極断刀ショウグンギザミは徐々に追い込まれていき、俺も斬裂弾を、これまでずっと当ててきた右の鎌の付け根の部位に炸裂させていく。

 

 

「キシャシャシャッ!」

 

 

 鎌を振るい刃の鱗を叩き落として跳躍、甲羅から水流を噴射して空を舞った極断刀ショウグンギザミは鎌を振るってマシロと結晶皇ライゼクスとセルレギオスを牽制すると、着地と同時に両腕を交差して鎌を甲羅との隙間に納めて構える。それはまるで特殊納刀のそれだ。

 

 

「その構え、もしかして威合?なら……ナギ、バレット!手は出さないで!」

 

 

 大剣を地面に突き刺して同じく特殊納刀した鞘を手に構えたマシロに、ナギは結晶皇ライゼクスを空中で制止させるとエスピナスに向かわせ、二人の太刀使いはプレッシャーを放ちながらジリジリとステップで距離を詰めて行く。

 

 

「マシロ!狙いは、作戦通りあそこだ!」

 

「キシャアアアアアアアッ!」

 

「威合抜刀…!」

 

 

 引き抜かれる両者の太刀は凄まじい勢いで交差する。しかし鞘がある分、マシロが一枚上手だった。マシロは太刀を引き抜いた鞘をその勢いのまま左の鎌に下からぶち当てて衝撃を鎌の方に打ち返し、右の鎌は完全に見切って首を逸らして回避していた。

 

 

「ミクマリさん直伝、お盆返し。+気刃解放斬り!」

 

 

 その勢いのまま、振り抜いた太刀を勢いよく振り下ろすマシロ。その一撃は、極断刀ショウグンギザミの右の鎌を付け根から分断、斬り裂かれた鎌がグルングルンと宙を舞って地面に突き刺さる。信じられない、と言わんばかりに泡を吹いて目を見開く極断刀ショウグンギザミ。

 

 

「気付いてなかったか?ずっと同じところに撃ち込んでいた斬裂弾を。どんなに硬くても同じところに一点集中すれば壊せないものはないんだよ」

 

「私はバレットを信じた。仲間がいたから貴方に勝てたんだ」

 

「キシャッ、シャアアアアアアアッ?!」

 

 

 極断刀ショウグンギザミは絶叫を上げて、残った鎌と尖っている甲羅を駆使して地面を掘削して逃亡。俺とマシロは掴んだ勝利に笑みを浮かべた。が、忘れていた。

 

 

「ねえ、お二人さん!そろそろ……無理いいい!?」

 

 

 ナギが吹っ飛んできて俺とマシロの間に激突する。見てみれば雷撃を纏った結晶と火炎弾を撒き散らしながら空中戦を繰り広げる結晶皇ライゼクスとエスピナス、それを追いかけながら刃の鱗を飛ばしているセルレギオスがいて。目の前に落ちてきた雷撃を纏った結晶に驚いて目を覚ましたヒビキが慌てて構える。

 

 

「蟹は倒したみたいだがあれはどうするんだ」

 

「早く止めないと密林が更地になっちゃうねこれ」

 

「よし、ブラストダッシュで逝って来いナギ」

 

「いくら私でも死ぬからね!?」

 

 

 冗談だって。さてどうするか。あ、エスピナスと目が遭った。さっきの怒ってらっしゃる?鬼の形相で突っ込んできた。ですよね!(白目)




今回のモンスターたちの内心↓

まさか人間に自慢の鎌を斬られるなんて信じられるか!屈辱だ!byプライドめちゃくちゃ高い蟹

操られて遊ぶのたのしー!あ、タチバサミくん何で逃げるのもっと遊ぼうよナッスー遊んでくれるの?上の人邪魔ー!by自由な妹系電竜。

寝させてくれないし勝手に背中に乗って頭をぶつけてくるし絶対許さんあの人間!by怒れる棘竜

助けるのはいいんだけどなんでエスピナス怒らせるの…(困惑)by苦労人千刃竜


 お盆返しは以前憎み血塗れしマガマガ戦でミクマリが見せた奴。カウンターとしては最強の技。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【密林の覇者】結晶皇ライゼクス【眠れる密林の棘竜】

どうも、放仮ごです。最近遅れることが多いですが意地でも毎日投稿は続ける所存。

今回はVSエスピナス。楽しんでいただければ幸いです。


 俺の顔を見るなり結晶皇ライゼクスを押しのけて火炎弾をばらまきながら急降下してくるエスピナス。それを見るなりヒビキは演奏してバフをかけ、エスピナスの全身を覆った強固な毒棘を押し付けてくる体当たりを、鉄蟲糸技で跳躍して回避。

 

 

「よしっ!…なっ!?」

 

 

 回避して上から見下ろしたところに咆哮で上に吹き飛ばされ、縦に一回転して尻尾を叩き込まれて地面に凄まじい勢いで叩きつけられて呻く。そこに地面に着地して二回角で地面を抉るように前進してくる攻撃を、前に飛び出したナギがランスに取りつけた盾で防御。ガンランスのフルバーストを顔面に叩き込む。その間に尻尾を叩き切ろうとマシロが金剛大車輪斬りを炸裂、ヒビキが爆煙に包まれている顔面に勢いよくフルスイングで狩猟笛を叩き付けた。

 

 

「これなら…うそっ!?」

 

 

 しかしエスピナスは不動。一切動じず、爆煙から出てきた顔はなにかしたか?とでも言わんばかりに鼻息を鳴らしており、尻尾の一振りでマシロとヒビキを薙ぎ倒すと、角でナギのシールドに引っ掻けるとそのまま頭部を振り上げてナギを天高く投げ飛ばし、落ちてきたところに翼でビンタで吹っ飛ばし、なんとか立ち上がった俺にはリオレウスの様なジャンプ踏みつけで攻撃。咄嗟に構えたシールドで弾くも押し返される。技特化だからつけ入る隙があった極断刀ショウグンギザミと違い、凄まじい攻撃力と防御力にものを言わせた攻撃は対処の仕様がない。いわば究極のごり押しだ。

 

 

「ガオガァアアアッ!」

 

 

 状態異常物質の可燃物とかいう設定がある火炎ブレスをばらまくの本当にやめてくれんかな。直撃もらったら+突進で即死コースだからシールドで受ける事しか出来んのじゃが。

 

 

「こうなったらライゼクスの方に誘き寄せる…エンエンク!」

 

「あ、馬鹿!?」

 

 

 ナギがモンスターを誘き寄せる効果がある環境生物エンエンクを使って空でセルレギオスと争っている結晶皇ライゼクスに誘導しようと試みたようだがブレス中にそれは悪手だ。

 

 

「ほえ?うぎゃっ!?やめっ!?あぐっ!?」

 

「ナギ!?」

 

「継続回復でもあれは間に合わないぞ!?」

 

「とりあえず、硬化弾!」

 

 

 いくら健康な肉体でも一瞬は麻痺してしまうのが災いして、ブレスで吹っ飛ばされて麻痺するナギ→遠距離だから再度ブレスを撃つエスピナス→吹っ飛ばされて麻痺する上にじわじわスリップダメージが蓄積するナギという地獄と言うしかないループになってしまってる様子に見かねて硬化弾をなんとか当ててナギの防御力を上げる。ヒビキも継続回復のバフをかけたから死ぬことはないはずだ。

 

 

「でりゃああああ!」

 

 

 しかし囮の役割はしっかりこなしたナギに気を取られているエスピナスの尻尾を太刀と大剣を振り上げたマシロが叩き切り、それに気を取られて振り返ったエスピナスの顎にヒビキが狩猟笛で「滅・昇竜笛」でかち上げたことで、解放されたナギはゴロゴロと転がり俺が受け止める。

 

 

「大丈夫か、ナギ」

 

「エスピナスに距離取るのは悪手だね…血を吐きながら続ける悲しいマラソンだったよ」

 

「無駄口叩けるなら大丈夫だな。お前結構古いネタ知ってるのな。ああなるのは容易に想像ついただろ」

 

 

 そうなのだ、こいつ下手に距離を取るとブレスしかしてこないのだ。つまり近づかないといけない、でも近づいたら圧倒的なパワーで蹂躙される。フロンティアが魔境と言われる由縁の一つだろう。ただ尻尾を部位破壊できたのはでかい。そう言えば怒ってるときは肉質が軟化するとかいう弱点があったな。それでも硬いのだが。

 

 

「うわぁあああっ!?」

 

「うおぉおおおっ!?」

 

 

 尻尾を斬って顎を殴り怯ませたものの、エスピナスの代名詞であるノーモーション突進に吹き飛ばされているマシロとヒビキ。ナギも果敢にシールドタックルで突撃するもトラックに轢かれた人間の如く軽々と吹っ飛ばされていた。そのままドリフトしつつ俺目掛けて突進してくるエスピナス。どうするんだこれ。逃げたいところだが狩らないとフィオレーネを救えないからなあ……ちらっと、セルレギオスに飛び付いて蹴り飛ばされている結晶皇ライゼクスを見やる。気が進まないが、目の前からエスピナスが迫って来ていて時間がない。

 

 

「やるしかないか!」

 

 

 左腕のヘビィボウガンのシールドを構えつつ、右手で握ったライトボウガン……王牙弩【野雷】で徹甲榴弾を結晶皇ライゼクスに向けて発射。弾道強化Lv.3を装飾品でつけてる効果もあって無事着弾する。次の瞬間エスピナスの突進をシールドで受け止めて吹き飛ばされた、瞬間。

 

 

「ギィアアァアアアッ!」

 

 

 俺の徹甲榴弾の1ダメージが癪に障ったのかそれともこっちに興味が移ったのか、結晶皇ライゼクスが結晶の塊を四つ形成して電撃を纏わせ高速で射出。エスピナスと俺を取り囲むように四方の地面に着弾し、放電して電磁網を作り上げて動きを封じる。雷耐性無かったら俺も巻き込まれていたな、とか思いながら受け止めた衝撃でゴロゴロと安全圏まで転がる。

 

 

「ギィァアアアアッ!」

 

「ガオガァアアアッ!?」

 

 

 そのまま結晶皇ライゼクスは急降下、鋭利な結晶を纏って槍の様にした尻尾でエスピナスの胴体を背中からぶち抜き、貫通と同時に尻尾に着弾していた徹甲榴弾がエスピナスの体内で爆発。しかし結晶皇ライゼクスは物ともせずに結晶が返し(・・)の様になって持ち上げると飛翔、宙づりにされたエスピナスは翼を羽ばたかせて暴れるも、一緒に浮かび上がった四つの結晶に結晶皇ライゼクスの放った虹色の雷光弾が結晶を伝って電磁網となり感電させて黙らせると、高速で飛翔。結晶皇ライゼクスは様子を見守っていたセルレギオスにぶつけたり、岩壁や木々や地面にわざわざぶつけてエスピナスが見る見るうちにズタボロとなり弱って行く。圧倒的だった。

 

 

「すごい…これが外天種の力……」

 

「あのエスピナスを、あんな簡単に…」

 

「…極断刀ショウグンギザミに勝てたのって本当に幸運だったんだね」

 

「そうだな」

 

 

 次にああなるのは俺かもしれないなあ、と戦々恐々しながらその光景を眺めていると、キリモミ回転しながら急降下した結晶皇ライゼクスはその勢いのままエスピナスを地面に叩き付け、轟音が響き渡る。見てみれば1エリアの半分を飲み込む巨大なクレーターが生まれ、その中心でエスピナスは結晶皇ライゼクスのゼクスカリバー…ザビーニキ曰くライトニングブレード?で胸を穿たれて絶命していた。あれだけ傷ついていながら完全勝利か、末恐ろしいな。

 

 

「ギィアア?」

 

 

 飛翔してエスピナスの死骸をジッと眺めていたかと思いきやこちらを見て口角を吊り上げて笑う結晶皇ライゼクス。準備はいい?と言われた気がした。

 

 

「…マシロ、ヒビキ、ナギ」

 

「な、なに…?」

 

「応戦するなら死ぬまで付き合うぞ」

 

「そう簡単に死にはしないよ!」

 

「死ぬ気になるな。俺が数十秒稼ぐから、エスピナスの首を斬って尻尾と一緒に船に運んでくれ。一分稼げるかはわからん」

 

 

 俺がそう言うと何か言おうとして頷くマシロとヒビキとナギ。同時に結晶皇ライゼクスは虹色の電撃をばら撒き結晶を飛ばしながら飛来。俺はヘビィナックルで結晶を殴り返して迎撃する。

 

 

「ギィアァアアッ!」

 

 

 自身の結晶を顔面に受けた結晶皇ライゼクスは嬉しげに吠えると結晶と共に雷光弾を連続発射。雷撃は複雑な軌道を描いて四方八方から俺を貫いていく。俺に釘付けにするんだ、あと十数秒は…!視界の端でエスピナスの首を斬り落として尻尾と共に担いで船に持っていくマシロたちを見やる。そして空にも視線をやり、頷く。

 

 

「ギィアァアアアアッ!…!?」

 

 

 キャッキャッと愉しむように翼を叩きつけて俺を吹き飛ばして弄んでいた結晶皇ライゼクスの背中に突き刺さる、セルレギオスの飛び蹴り。こいつに一番効いていたのは不意打ちの飛び蹴りぐらいだった。俺に気を取られれば、耐えることもできまい。

 

 

「今だ、出航しろ!」

 

 

 鉄蟲糸技で宙を舞い、船に転がり込みながら船頭に船を出航させ、俺達は密林から脱出した。……頭部と尻尾から十分な毒が得られるように祈るしかない。




バレットたちが大苦戦したエスピナスを蹂躙し絶命させた結晶皇ライゼクス。動機は「せっかく遊んでくれるハンターたちなんだから独り占めは駄目!」という子供じみた物という恐ろしさ。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【新たな左腕】別の武器も試してみよう【金欠が辛い】

どうも、放仮ごです。もうすぐ誕生日なのでそのための小説構想してたらこっちを書くのを忘れてて遅れました申し訳ねえ。

今回はちょっとテコ入れ。楽しんでいただければ幸いです。


 エスピナスの頭部と尻尾を、棘に刺さらない様に抱えてエルガドに帰還した俺達。到着するなり駆けつけた医療班の持って来た首桶と桐の箱に入れて医院のタドリのもとに運んでもらい、提督とバハリが待っているいつもの場所に四人揃って行くと歓迎してくれた。

 

 

「…エスピナスの狩猟、お見事。さすがの腕前だ」

 

「報告は聞いたよ。エスピナスだけじゃなく、結晶皇に千刃の追跡者に極断刀までいたんだって?よく五体満足で戻ってこれたもんだね。俺とタドリも待機してたんだけど、その報告を聞いて震え上がったよ」

 

「正直何度死んだかと思ったことか」

 

「酷い目に遭いました…」

 

「極断刀にはリベンジできたけど…」

 

「バハリ一発殴らせろ」

 

「いや待ってバレット。観測班が見誤っただけだから!俺悪くないから!?」

 

 

 その弁明も確かだったので殴るのはやめておく。ヘビィナックルぶちかますつもりまんまんだった。命拾いしたな。

 

 

「…エスピナスだけでなく、極断刀ショウグンギザミに勝利したと聞いたがまことか?」

 

「倒したって言うか、鎌を叩き折って追い返したが正しいな」

 

 

 そう言えば戦利品の鎌は持ち帰れなかったな。あそこに突き刺さったままだろうか。

 

 

「叩き折ったって鎌は後で回収させるよ。いやー、今から研究するのが待ちきれないね!外天種の一部だなんて史上初めてだからね!しかし機転で頭部と尻尾を持ち帰るのはよく思いついたね。おかげで、薬を作るのに必要な毒も十分に確保できるだろう」

 

 

 そう言ってると医院の方からタドリがやってきた。

 

 

「よくやってくれました猛き炎の皆さん。想定の50倍は作れる量がありました。正直そこまでは必要ないのですが、まあ少ないよりは多い方が安心ですのでこれはこれで。ナギ殿の血をいただけたら血清もできそうなんですけどね?」

 

「それは本当に勘弁してください。注射、大嫌いなんです!」

 

「冗談ですよ」

 

 

 本気で嫌がるナギに苦笑するタドリ。いやまあナギも俺も外天種の仲間みたいなもんだからそれは正しいとは思うが。

 

 

「ともあれ、あとは私にお任せください。調合に取り掛かります。迅速な対応のおかげでフィオレーネ殿も助かるでしょう」

 

「よし。それじゃ、薬ができるまでの間、猛き炎のみんなにお願いがある」

 

「なんだ?外天種と戦うのはもう勘弁だぞ」

 

「さすがに外天種と戦えと言うほどひどくはないさ。爵銀龍メル・ゼナの居所については補足しつつあるんだけど……大地母蜘蛛とメル・ゼナとキュリアは順調にウイルスの浸食を広げているらしく、ウイルスの感染を受けたらしきモンスターたちは元気に暴れ回ってらっしゃる」

 

「結晶皇ライゼクスに追い返されたのに懲りずに暴れているのか、大地母蜘蛛」

 

 

 しかも本人は暴れず毒…改めウイルスを感染させたモンスターを暴れさせている辺り、蜘蛛を思わせるかのホームズの仇敵、犯罪界のナポレオンことジェームズ・モリアーティを思い出す。やけに高い知能も奴の特異性のひとつだろう。

 

 

「状況は切迫している。だけど拠点内の騎士は防衛のために動けず、出払っている騎士にも限界が来つつある……君達が狩猟している間にエルガドに訪れていたミクマリ、エルヴァス、マキアナ、アンテム、エスラといったハンターたちに対処を頼んだんだが、はっきり言って数が足りない!」

 

「あ、だから…」

 

「しっ」

 

 

 ナギが合点がいったとでも言うように納得の声を出そうとしたのですかさず止める。掲示板の連絡網でしか知らないミクマリたちが訪れていることを知っているのはあまりにも異質だ。

 

 

「どうしたんだいバレット、ナギ。なにか思うところでも?」

 

「いや、なんでもない。つまりこれまで通りと言う事だな?」

 

「そういうこと!引き続き力を貸してほしい!エスピナスと結晶皇ライゼクスと千刃の追跡者セルレギオスと極断刀ショウグンギザミとかいう前代未聞な大狩猟を終えた直後で無茶を言っているのは承知の上なんだけどさ…」

 

「……ギルド本部から腕の立つG級ハンターを派遣してもらったが、今、ここの主戦力は間違いなく貴殿等だ。その実力は、今回の狩猟達成で疑いようのない領域まで来た。この世界でも屈指の猛者たちだ。提督として、私からも助力を請いたい」

 

 

 そんな提督の言葉に頷く俺達。もとよりそのつもりだからな。

 

 

「任せてくれ提督。…数がいるなら俺達も別れた方がよさそうだな」

 

「えっ。…マシロが心配なんだけど…」

 

「もうあんなへまはしないって!心配性だなナギは!」

 

「似たようなこと言って重傷を負って帰ってきたのはどこのどいつだマシロ」

 

「あ、ちょっと待ってくれバレット」

 

「ん?…先に行っててくれ」

 

 

 わいわいと話しながらその場を離れようとすると呼び止められたため、三人を先にチッチェ姫の元に向かわせ、呼び止めたバハリに向き直る。もしかして……。

 

 

「例の義手ができたのか?」

 

「ご明察。今回出向かなかったことでようやく余裕ができたからね。俺の研究室までついて来てくれ」

 

 

 そう言われて素直について行き中に入らせてもらうと、そこには予想以上のものがあった。

 

 

「木…いや、鉄…いやこの質感は皮か…?」

 

「残念、正解は加工したモンスターの骨さ。下手な鉄より頑丈だからね。ちなみに外の皮はジャギィノスだね」

 

「まさかの有機」

 

「ネジとか使ってるから純粋な有機でもないけどね。指の骨は苦労したよ、小型モンスターから厳選して……まあいいや。どうだい?」

 

「確かにこれなら、前の腕みたいに使えそうだな。見た目も装備を付けたときと大差ないから目立たないし。でもそんな細かいなら自由に使えなくないか?」

 

 

 今の日常生活用の義手を慣らすのも一ヶ月ぐらいかかったんだが。

 

 

「一応筋肉の運動で動かせるようにはしてるけど、まあ時間をかけて慣らせるしかないね」

 

「だよなあ……あ、頼みがあるんだ」

 

「なにかな?」

 

「この盾を今の義手に固定してくれないか?」

 

「え、なんで?ヘビィボウガンを付けるならいらないよね?」

 

「これにはやむを得ない事情があるんだ…」

 

 

 決戦に向けて準備もしないといけないのだがひとつ問題があった。色々ヘビィボウガンやライトボウガンを作成してもらい、必要そうな装備を揃え、弾も毎回雑貨屋で買い揃えていたのだが……金がついに切れた。前世の頃から気に入ったら何も考えずに即買いしてた悪癖がここにきて裏目に出た。マスターランクの装備と武器、高すぎて泣ける。その旨をバハリに伝える。

 

 

「えーと、弾代の節約のために別の武器を試したいってこと?」

 

「ああ。片手剣なら今の腕でも使えると思って」

 

「それはいいけど……君、ボウガン使いじゃなかった?」

 

「いやこれでも、昔は色んな武器を試したから心得はある」

 

 

 大剣に太刀。片手剣に双剣。ランスにガンランス。スラッシュアックスにチャージアックス。躁虫棍にライトボウガン。ヘビィボウガンに弓矢。転生してからハンターになれた当初はせっかくだから色んな武器を試してみようと思い至り節操なく試して、ハンターの師匠を困らせた物だ。普通のハンターは一つの武器を極めることからで複数の武器を扱えるのは相当の天才だと言う話だった。

 

 それでもある程度いくつかの武器を扱えたのは前世で色々試してたからだろう。その中でしっくりきたのがライトボウガンで、火力を求めてヘビィボウガンも使い始めて、後は初心者用の片手剣と、型を習えば技ができる双剣が一番扱えた。大剣はタイミングが難しいし、太刀は居合が下手、ランスとガンランスはそもそも片手であの重さをろくに扱えず、スラッシュアックスとチャージアックスは変形をスムーズにできず、操虫棍はあんなでかい虫が駄目で論外、弓矢はろくに引き絞れない。

 

 

「まあいいけど…武器を変えたからって死なないでくれよ?」

 

「死なない自信だけはあるから任せろ」

 

 

 そう言ったら呆れられた。解せぬ。

 

 

 

 

 三人と合流し、チッチェ姫からクエストを聞いて話し合った結果。はぐれヤツカダキ亜種の討伐を大地母蜘蛛の予行練習として俺が、ティガレックスの討伐を居合を鍛えたいマシロが、ゴア・マガラの討伐を狂竜ウイルスが効かないナギが、ルナガロンとガランゴルムの同時討伐をヒビキがやることになった。一人だけなんかおかしい気がするが、まあ本人希望だから大丈夫だろう。さて、片手剣でどこまでいけるかね。




新しい左腕(出ただけ)。片手剣使うバレットは本当はライズ編で使う予定だったけど出す暇がなかったのでようやく参戦できました。転生者でも力がないと大概の武器使うの難しそうよね。

金欠はボウガン使いあるあるだと思う。特に全武器を使う僕みたいな人間は。

最後は実際にあるクエストから合いそうなのを選別。ゴア・マガラとナギは相性抜群なのは周知の事実。ヒビキは自分でやる辺り結構ストイック。全部書くべきかアンケートしようかと思います。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【師匠の技で】片手剣使いバレット参る【噴煙うずまく妃の御前】

どうも、放仮ごです。ライズの奇しき赫耀のバルファルク討伐まで片手剣縛りでやったことがきっかけで書き始めたこの小説、ある意味本懐を遂げることができました。ヤツカダキも最推しモンスターなのである意味夢の対決。

今回は片手剣逆持ちバレットVSヤツカダキ亜種。楽しんでいただければ幸いです。


 溶岩洞に訪れた俺は噴煙吹き上げる火口を見上げる。マシロはここで極断刀ショウグンギザミに出くわしてズタボロにやられたようだが、まさかいないよな?外天種最強と謳われる灼翼王の生息地でもあるし気を付けないと……。

 

 

「はぐれヤツカダキ亜種ね……」

 

 

 まあ大地母蜘蛛との邂逅前にも戦ったことはある。最近だと大地母蜘蛛の巣となっていた大穴「サン」で引きずり込んできた奴だな。熾妃蜘蛛(しきぐも)ヤツカダキ亜種。万糸焚く御前の異名を持つ、衛蜘蛛ハゼヒバキが成長し、大型化したものが純白の外殻に赤黒い糸を纏った個体のことを指す。通常個体とは異なり、体内に爆発性の強いガスを蓄えていてそれを攻撃に転用してくる。いわばマガイマガド+ヤツカダキみたいなもんだ。

 

 

「大地母蜘蛛からはぐれたらしい個体が暴れている、ねえ」

 

 

 そんなやつがいるなら灼翼王が対処してる気もするが。えーと、マップによるとこの辺りにいるはず…だが見渡した限りどこにもいないぞ?

 

 

「おかしいな、ゲーム画面だとここに……!?」

 

 

 一応剣を抜いて右手に握り、左腕に固定している盾と共に構える。普通のとは持ち手逆なんだよなあとか思いながら周りを見渡していると、背後でヒュー、ポトッと言う音が。振り返ると、俺の足元にハゼヒバキがいつの間にかいて。赤黒い糸がなにもない空中に繋がっていて……いや待て、デジャヴを感じる。今回の熾妃蜘蛛は、あの擬態を得意とする大地母蜘蛛の子供だぞ…?

 

 

「擬態、か…!」

 

 

 なにもない空中でなにかが爆発、それが糸を伝ってハゼヒバキに導火線のごとく伝導し、大爆発。爆轟が咄嗟に構えた盾にぶつかり大きく吹き飛ばされ、転がった俺が見たのは擬態を解いた、赤黒い糸の羽織の上に銀色の糸の羽織を被さっているヤツカダキ亜種が姿を現し、洞窟の入り口の上から飛び降りるとその際に硬質な爪と岩肌がぶつかり生じた火花で爆発。砕けた岩肌が礫としてショットガンの様に俺に襲いかかる。

 

 

「シールドバンプ!」

 

 

 ウツシ教官から一応教わっておいた鉄蟲糸技である、鉄蟲糸を飛ばして盾を構えながら前方に突進する技で防ぎながら距離を詰める。すると腹部を振るって大量のハゼヒバキをばらまくヤツカダキ亜種。子供たちに完全に任せることなく自ら先陣を切って突撃し、赤熱する鉤棘を叩きつけてきたので片手剣を振るって応戦。

 

 

「うぐっ…重い…どらぁ!」

 

 

 なんとか弾いて体勢を崩そうとするも残りの足を動かして巧みに体勢を立て直し、周囲に展開したハゼヒバキに糸を伸ばすと次々と引っ張って滑走。四方八方から次々と体当たりをかましてくるヤツカダキ亜種。なんとか盾で弾いて行くが、原種より糸が強靭だからか巧みな動きが知能の高さを窺える。

 

 

「タイミング見て…滅・昇竜撃!」

 

 

 何度も喰らうとタイミングが見えてきて上手く避けきれないであろうタイミングに合わせて、体当たりにぶつける様に鉄蟲糸技のどこぞの昇竜拳の様な一撃を叩き込むが、盛大に空ぶって隙を晒してしまう。

 

 

「なっ…!?」

 

 

 空に飛び上がって見えたことだが、奴は当たる直前で糸を使い急制止していた。俺が何かするのを察知して、直前で制止したとでも言うのか…?着地した俺目掛けてハゼヒバキを群がらせてくるヤツカダキ亜種。すぐさま繋げた糸から爆轟を伝導させて、何発もの爆撃を至近距離から浴びせてきて、多方向からの爆発をもろに浴びてもみくちゃにかき回されて天高く打ち上げられる。いたっすぎる……でも下を見れば、ヤツカダキ亜種にハゼヒバキが群がり一か所に集まっている。チャンスだ。回復は後回し…!

 

 

「急転直下!フォールインパクト!!!」

 

 

 ノリで決めた技名を叫びながら、構えた右手の片手剣に全体重を乗せてキリモミ回転しながら急降下。ヤツカダキ亜種の頭部に強力な振り下ろし斬撃を炸裂させて、大地に亀裂ができるほどの衝撃波を発生させハゼヒバキの群れを吹き飛ばす。強烈な一撃にダウンするヤツカダキ亜種の頭部から身を捩って宙返りして背後に飛び降り、取り出した回復薬グレートを一気に飲み干す。

 

 

「ぷはあっ、くそまじいけど生き返った…」

 

 

 良薬口に苦しなのはわかってるがミントを入れるとか工夫してほしい。ついでに携帯砥石を取り出してしっかり時間をかけて砥ぐ。あんな無茶したんだ。いくら淵虎竜の素材でハモンさんに作ってもらった「禍ツ剣の淵魔アフティ」といえどもちゃんと手入れしないと。普段ライトボウガンとヘビィボウガンだから砥石握る手がすっぽ抜けそうだけど。

 

 

「ギギギギギッ……!」

 

 

 するとダウンから復活するヤツカダキ亜種。頭部を覆っている赤黒い糸には亀裂ができていて、あそこが弱点になりそうだ、とか思ってるとヤツカダキ亜種は俺に背を向けながらもハゼヒバキを散開させて再び爆轟を伝導、広範囲に爆炎を広げて俺の退路を塞いできやがった。この熱は炎を使うモンスターならともかく人間に突破は無理だな、と盾を構える。何が来てもガード強化Lv.3で受け止めてやると言う意気込みだ。

 

 

「ギギギギァ!」

 

「っ!?」

 

 

 するとヤツカダキ亜種はとんでもないことをしてきた。ガスの充満した灯腹を俺目掛けて突き出したかと思えば、奴から見て後方…つまり俺の方へと地面を抉りつつ大質量で突撃してきたのだ。左右後方は爆炎に囲まれていて逃げられない、ならば今度こそと翔蟲を上空へ飛ばす。

 

 

「滅・昇!竜!撃!」

 

「ギギギィ!」

 

 

 奴の突撃してきた灯腹と、俺の上に構えた盾の一撃が激突。ガガガガガガン!と心地いいヒット音を響かせて空に舞い上がる。上手くいなすことができた。

 

 

「フォールバッシュ!」

 

 

 さらに急降下して盾の一撃を頭部に叩き込んで眩暈を起こさせ、着地。群がってきたハゼヒバキを片手剣を振り回して斬り捨てて行く。風車を使いたいけど今少しでも手放したらそのまますっぽ抜けそうだ、慣れてないのが裏目に出てる。さらに眩暈から回復したヤツカダキ亜種が畳んだ首を伸ばしてきて、頭部の鬼のものを想起させる形状の角で頭突きが咄嗟に胴体の前に構えた盾に炸裂。爆炎を突き破って岩壁まで吹き飛ばされて背中から叩きつけられ、跳ね返ってダウンしてしまう。

 

 

「般若の面みたいな顔やめろ…普通にビビるわ」

 

 

 開発元としてはモチーフなのかな?とか考えながら、呻きつつ手放してしまっていた片手剣を手に取って何とか立ち上がり、奴の姿を確認する。いない。爆炎の先に奴はいない。ハゼヒバキがわらわらと近寄ってくる。…お前ら爆炎効かないのか羨ましいなこの野郎。

 

 

「どこに……」

 

 

 壁に背を向け、ジャストラッシュでハゼヒバキの軍勢を迎え撃つ。くっそ、迎え撃ちながら奴の居所を探らないといけない。大地母蜘蛛はでかすぎて「風景が動く」形でわかるけど、あの大きさだと普通に超絶優秀な擬態すぎる。オオナズチの擬態がお遊びに見えるぐらいだ。判別方法は、足音か他には…すると足元に転がってきた小石が靴に当たって音を立てた。上を見る。俺が背にしている岩壁の上、高台から赤熱する大口が開いて噛み付かんとばかりに近づいて来ていた。捕食行動か…!

 

 

「オラア!」

 

「ギギィアアァアア!?」

 

 

 咄嗟に片手剣を上に向けて振り上げ、口の中に切っ先が突き刺さると同時に爆発。壁にくっ付いていたヤツカダキ亜種がハゼヒバキたちを押し潰しながら目の前に引っくり返る。このチャンス、決めないと男が廃る…!師匠直伝…!

 

 

「9連撃、ブレイドダンス……!」

 

 

 八回連続で片手剣を振り回して斬撃を与え、最後に回転も加えた渾身の突きを亀裂の入った奴の頭部に炸裂。蓄積した爆発が炸裂する。双剣の乱舞の片手剣版。片手剣使いである俺の師匠の奥義にして、生前ダブルクロスで死ぬほど使った狩技だ。

 

 

「ギギギギギッ……」

 

 

 長い脚をわきわきと動かしてもがいていたが、力尽きて崩れ落ちるヤツカダキ亜種。マップを見る。討伐を示す表示になっていた。安心して尻餅を付き、壁に背中を預けてもたれかかる。

 

 

「…ははっ、片手剣まだまだ使えるじゃないか……サブウェポンとして使うのもありかもなあ」

 

 

 …さて。マップを見る限り灼翼王っぽいアイコンが結構近場にいるからさっさと剥ぎ取って帰るか。




バレットの師匠、一応設定だけはあるんだけどいつか出すべきかな。

大地母蜘蛛の子供である個体のヤツカダキは大体賢い。はっきりわかんだね。機転で何とか突破です。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【今の私は】負ける気がしねえ!【黒き衣を纏う竜】

どうも、わたくし九州在住なので台風直撃したら家がヤバそうと戦々恐々しております。多分毎日更新途絶えるかもしれない。

今回はナギVSゴア・マガラ。ちょっとだけ過去も語る。楽しんでいただければ幸いです。


 バレットとは別の船に乗り城塞高地にやってきた私とマシロ、ヒビキ。いやー、一時のお別れだねと思ってたらチッチェ姫から私達三人は城塞高地ですよ?とか言われて目が点になったよね。全員クエストでいく狩場の名前を見てなかったらしい。笑える。

 

 

「暴れてる場所はバラバラだけど、バレット以外全員城塞高地なんてね」

 

「フクズクによればティガレックスは北、ルナガロンとガランゴルムは南、ゴア・マガラは中央にいるみたいだな」

 

「じゃあマシロとは途中まで一緒だけどヒビキとはここでお別れかな?」

 

「本当に大丈夫?ルナガロンもガランゴルムもどっちも強いよ?」

 

「いい修行になる。まだ二刀流に慣れてないからな」

 

「いや一本で戦うのが普通……いや私もマシロも人の事言えないけどさ」

 

 

 なんか子供の頃に、ウツシ教官の教えに反発して私とマシロは似た武器種を二種類使って二刀流を始めたんだよね。二本あった方が最強だー!って。実際強いんだけどさ。マシロは人並み外れた怪力を持ち合わせてるからよかったけど、私とヒビキは訓練メニューを越えて鍛え続けた。ヒビキはただの筋肉馬鹿だけど私は「健康な肉体」のおかげで限界を超えて頑張れたおかげで、ランスとガンランス二刀流できている。盾を追加してちょっと重くなったけど問題はない。

 

 

「というわけでヒビキと別れて北に向かってるわけだけど」

 

「ヤツカダキの残骸がところどころにあるね…」

 

 

 荷車を引きながら周りを見る。ヤツカダキの脚の一部やもがれた頭部、それに引きちぎられた糸がところどころに転がっている。大地母蜘蛛のヤツカダキ軍団と、城塞高地に生息するモンスターで大規模な縄張り争いが起きたらしい。それでもヤツカダキ以外の残骸が見当たらないのは大地母蜘蛛が回収して餌にしてるのだろう。

 

 

「じゃあ私はここで。マシロも気を付けてね」

 

「ナギこそ気を付けてね!」

 

 

 ゴア・マガラがいるという中央に辿り着くとマシロを見送る。…さて。正直言って負ける気はしない。ゴア・マガラと私の相性は最強に抜群だ。私はこの世界で唯一のマガラ系統の天敵だろう。

 

 

「…見当たらないってことは城塞の中にいるのかな?」

 

 

 石橋を歩きながら、バレットのゲーム画面羨ましいなあとぼやく。転生して思ったことだが、ゲーム故のマップとか体力ゲージやスタミナゲージ、アイテム一覧とかショートカットとか滅茶苦茶ありがたいのだ。それ無しで狩って来たからもう慣れたけど、あるとないとではかなり違う。特にモンスターの居場所が分かるライズからのマップは非常に便利だ。

 

 

「あ、いた」

 

 

 城塞跡の中に入ると、眠っている黒蝕竜ゴア・マガラの姿が。……丸まって寝息を立ててるから多分、寝てる。目がないから判別しにくいけど。ちょっとかわいい。

 

 

「よいしょっと」

 

 

 念のため荷車に乗せて持って来た大タル爆弾G一個と大タル爆弾一個をゴア・マガラの頭部にこそこそと静かに設置。ゲームと違ってこの大きさのものはさすがにポーチに入れることはできなかったが、この世界ではギルドに申請しておくとキャンプベースに申請した数の大タル爆弾と荷車を用意してくれるのだ。

 

 

「よっこいせ。…ちょっとじじくさいかな」

 

 

 最後の一個である大タル爆弾Gを抱える。エルガドで申請した時は「え、大タル爆弾G二個だけじゃなく大タル爆弾もですか…?」と係りの人に困惑されて思わず苦笑した。確かにライズ以前の過去作なら大タル爆弾Gを最大二個セットして、ガンランスの竜撃砲なり大剣の真・溜め斬りなりの大火力技を叩き込むのが、寝ているときダメージが二倍になるモンスターへの最大火力だろう。だがライズからは翔蟲があるため、カムラの里のハンターはこれができる…!

 

 

「どりゃあぁあああ!」

 

 

 翔蟲を使ってゴア・マガラの頭部の上に飛び上がる。そのまま抱えた大タル爆弾Gを真下に叩きつけ、設置していた大タル爆弾と大タル爆弾Gにぶつけて大爆発を起こさせ、私はその爆風で吹き飛んでゴロゴロと転がる。

 

 

「あいたたたた……お目覚めの時間だよゴア・マガラ。少々手荒い目覚ましでごめんね?」

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

「あはは。君の咆哮の方がよっぽどうるさいや」

 

 

 背中に背負った槍二本を引き抜く。右手に盾がついたランスを。左手にガンランスを。

 

 

「さあ、勝負しようか災厄の黒き蝕」

 

 

 今の私は、負ける気がしねえ!

 

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

 

 咆哮と共に紫黒色のオーラ…狂竜ウイルスの鱗粉をばらまき、赤黒い鉤爪の付いた巨大な一対の暗幕のような黒翼、翼脚を連続で叩きつけてくるゴア・マガラ。盾で受け止め、ガンランスのフルバレットファイアを発動、砲撃全弾と竜杭砲と竜撃砲をまとめて叩き込む。怯んだ隙にリロードしている間もランスで追撃。頭部を重点的に狙うとゴア・マガラはたまらず空に舞い上がり、禍々しい漆黒のブレスやそれを利用した粉塵爆破を繰り出してきた。ブレスを盾で受け止めるとそれに宿る狂竜ウイルスが周囲にばらまかれ、吸ってしまう。

 

 

「げほっごほっ…くっ、狂竜症か…でも私は健康なんでね!」

 

 

狂竜症。自然回復力が0になってしまい、更に狂竜ウイルスを伴った攻撃によるダメージが大幅に増加するデバフ。だけど瞬時に克服。本当は感染源のモンスターをひたすら攻撃したりしないといけないのだけど、特典でそれをスキップ。武器の会心率が15%上昇する「狂撃化状態」となった私はリバースブラストという後方に瞬時に離脱する技でゴア・マガラの突進を回避。そのままブラストダッシュで距離を詰め、ランスで胸部を貫くことに成功する。

 

 

「グゴアァアアッ!!」

 

 

 するとゴア・マガラは空を覆い隠すほどの大量の鱗粉を漆黒のオーラの如く放出、私を吹き飛ばすと頭部に二本の触角が展開され、翼脚の爪も展開して地に降ろし六足歩行の形態、狂竜化状態へと移行、鱗粉のせいで空が毒々しい紫色へと変貌して黒い靄がかかったかのようにエリア全体が暗くなる。ゴア・マガラの鱗粉を用いた感知能力がピークに達した状態で、さながら神話に登場する龍の姿をした悪魔の様だ。モンハンライズに参戦したってことは妖怪モチーフもあるんだろうけど、単純に悪魔、なのかな?

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

 さすがにこの形態になったらパワーも段違いで、翼脚を使った突進攻撃で弾き飛ばされ、地面を隆起させるほどの破壊力を持つ土下座にも見える翼脚叩き付けで空に打ち上げられ、鱗粉に反応し連鎖爆発を起こすブレスを真面に喰らって薙ぎ払われる。

 

 

「あいたたた……いやー、すごいね。でも結晶皇に比べたら全然怖くないや」

 

「グゴアァアアッ!」

 

 

 煽ってみると巨大な翼脚を用いた拘束してくるゴア・マガラ。言葉は通じないけど癪に障ったのかな。まあいいや。自分から近づいてくれてありがとう。

 

 

「当てるの難しいんだよね…竜杭砲!」

 

 

 拘束によるダメージをものともせず、無理やり左腕を動かしてガンランスをゴア・マガラの右肩突き刺し竜杭砲を発射。連続でダメージを与える杭を打ち込まれたゴア・マガラは痛みに悶えて後退、爆発が起きてダウンする。ナルガクルガのようなステップ回避もするし、攻撃力も飛躍的に上昇した一撃一撃が非常に重い上に縦横無尽に動き回りながら矢継ぎ早に攻め立ててくるゴア・マガラは地味に前世の私のトラウマだ。だからそれをさせなければいいという結論に至った。

 

 

「よし、ゲーム画面ないから弱ってるかわからないし、このままガンガンいくぞ!」

 

 

 ガンランスをリロードし、翔蟲を使って天高く飛び上がる。

 

 

「ヘイルカッター昇天突き!」

 

「グゴアァアアアア……」

 

 

 ランスで勢いよく突き刺しながらガンランスを叩きつけてフルバーストを撃ち込み、そのまま竜杭砲を再度突き刺す。今の私の最大火力だ。すると咆哮を上げてゆっくりとダウンするゴア・マガラ。やったか?やったかな?

 

 

「念のため罠仕掛けて捕獲を試みるか…」

 

 

 角とか翼膜とか光ってるからまだ生きてると結論付けて、ポーチを探っていると、目を覚ました(目がないけど)らしいゴア・マガラが大きく翼脚を羽ばたかせて飛翔、風圧で私を転がすと北へと逃げて行ってしまった。

 

 

「まずい、そっちにはマシロが…!」

 

 

 慌てて立ち上がり、武器をしまって翔蟲を使い最高速度で追いかける。そして雪山エリアに入って少し進むと、眼が赤く発光し、体色も黒みがかった色に染まった全身からおぞましい色のオーラを吹き上げ、体のあちこちに毒々しい模様を浮かび上がらせたティガレックスが、生物とは思えないおぞましい咆哮を上げながらいつもより更に激しく暴れ回りながらマシロに襲い掛かる光景があった。遅かった…狂竜症だ。

 

 

「ゴア・マガラの前に手伝うしかないか…!」

 

 

 マシロのピンチに私はたまらず助太刀すべく飛び込むのだった。




相性の差とハンター知識でもはや相手にならないゴア・マガラ。さすが転生者ずるい。そもそも重傷もちょっと時間をかければ治る無理ゲー。でも拘束と即死には弱い。

ティガレックスはちょっとPV参考にしました。

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【貴方には技がない】超高度襲撃(ハンター)【絶対強者】

どうも、放仮ごです。台風が迫ってるせいかパソコンがすぐ落ちてまるで執筆時間を得られない件。

今回はマシロVSティガレックスと、前回の続き。楽しんでいただければ幸いです。


 ナギと別れて雪山エリアに入った私は翔蟲を駆使して雪を乗せた岩肌の中を飛び回っていた。うーん、いつもながらバレットの直感に助けられてたんだなあと直感する。匂いである程度わかるオトモガルクのヴァイスを連れてきてもよかったかな。カムラの里幼馴染組揃ってたからいつもの感じで連れてくるの忘れたんだよなあ。

 

 

「ユキ怒ってるだろうなあ」

 

 

 世話焼きなオトモアイルーの怒鳴る声を思い出して思わず震える。なんか出発前にごちゃごちゃ言ってたの今思えば一人じゃ危険だってことだったんだろうなあ。

 

 

「よっと。あ、いた」

 

 

 一番北の広場まで来ると、我が物顔で闊歩するティガレックスがいた。傍らに食い荒らされたイソネミクニ亜種の死骸があるけど一戦交えたところなのかな?とりあえず奇襲からしようかな。背中の大剣を引き抜き、翔蟲を斜め上に飛ばして糸を掴む。行くぞ!

 

 

「ハンティングエッジ!」

 

「ゴアァアアアアッ!?」

 

 

 跳躍し、糸に引っ張られて舞い上がり両手で大剣をがっしりと握りしめて弧を描いて空を舞い、急降下。クルクルクルと回転して遠心力を加えながらティガレックスの背中に大剣を叩きつける。大きく背中を抉られ背骨を露出したティガレックスは絶叫を上げてどかんどかんと前足を振り上げ地団太を踏む目の前に私は着地。右手に握ったマガド大剣を背中に戻し、左手で腰の太刀の柄を握って引き抜いて両手で切っ先を下げて構える。

 

 

「じゃあ悪いけど、私の太刀の練習に付き合ってよ」

 

 

 外天種とはいえ、モンスターに太刀の技量で負けていたのが気に喰わない。また極断刀ショウグンギザミと戦うかもしれない、その時に一人で引き受けられるぐらいに強くならなきゃね。

 

 

「ゴアァアアアアアッ!」

 

 

 大地を踏み荒らしながら突進してくるティガレックス。私は見切って横にずれる様にスライドして回避、ティガレックスの左前足の翼を斬りつける。ドタバタと暴れる様にして方向転換してきたティガレックスの突進を前にして、集中。左手に握った鞘に太刀を納刀し、深呼吸。目前にティガレックスが大口を開いて迫ってきたところで身をよじりながら太刀を引き抜いた。

 

 

「居合斬り!」

 

「ガアァアアッ!?」

 

 

 すれ違った瞬間、斬撃がティガレックスの上半身を襲った。胴体を幾度も斬りつけられて絶叫を上げながら体勢を崩して滑りながら倒れ込むティガレックス。ダウンしているその間に何度も尻尾を斬りつけて部位破壊を試みる。いつ起き上がるかわからない相手に高威力の威合を仕掛けるタイミングが掴めないためひたすら斬りつけて行くしかない。

 

 

「ゴアァアアアッ!」

 

 

 立ち上がり、体を大きくその場で回転させて尻尾を叩きつけてくるティガレックス。咄嗟に見切って背後に軽くスライドして後退しながら太刀を振り上げ、もう一発とばかりに振り下ろす。…………もうすぐ、かな?

 

 

「よっと、ほっ!」

 

「ゴアァアアアアアッ!」

 

 

 ティガレックスのダメージを伴う咆哮、地団太の様な連続の踏み潰し、噛み付き、回転しての尻尾の一撃を、居合を繰り返して回避しつつダメージを与える。タイミングが掴めてきた。それにバレットが言ってた通り、ティガレックスは居合の鍛錬にちょうどいい。動きが他のモンスターより実直で分かりやすい。それにそろそろ、こう!

 

 

「せいっ!」

 

「ゴアァアアアアアッ!?」

 

 

 見切りで突進を回避してからの返しの刃で尻尾を斬り落とし部位破壊を行う。うん、やっぱり。なんとなく、斬った感触でどれぐらいダメージが蓄積しているのかわかってきた。太刀の呼吸っていうのかな、掴めてきた。

 

 

「絶対強者と呼ばれてるだけはあるよね。圧倒的なパワー、スピード。でもね、貴方には技がない」

 

 

 私がズタボロにされて敗北した極断刀ショウグンギザミの怖い所は、人間とは身体の造りも違うのに太刀使いを彷彿とさせる動きを見せてきたどころか使いこなしていたところだ。パワーもスピードも防御力すごかったが、巧みな動きをされて対応できずに負けてしまった。

 

 

「だから、怖くない」

 

「ゴアァアアアアッ!」

 

 

 太刀を納刀した鞘を手に笑って宣言してやると、ふざけるな負けるかとでも言わんばかりに突進してくるティガレックス。怒り状態の動きは単調だから対応できる。

 

 

「私流威合」

 

 

 手にした鞘に納めた太刀に力を溜めながら、跳躍して自ら飛び込むように接近。ティガレックスはそれに気付くと撃墜すべく突進の勢いのまま右前足を振り上げて叩き落とさんとする。

 

 

威風刀々(いふうどうどう)!」

 

 

その右前足に振りかぶった鞘を激突。その衝撃を利用して空中で太刀を引き抜いてキリモミ回転。袈裟斬りを叩き込んで頭部をかち割り、くるりと一回転して背後に着地。ティガレックスは崩れ落ちた。

 

 

「よし、とどめ!」

 

 

 背中の大剣を右手に握り、左手の太刀と共に構えてラストスパートを決めんとするとさっきから何故か薄暗かった空に巨大な影が差す。見上げると、ネグレ……じゃない、ゴア・マガラが上空を飛んでいてなにかが降りかかってきたので、それが件の狂竜ウイルスだと断定した私は咄嗟に手拭いを取り出し目元から下を覆う。ナギになんかあったのか?と心配もつかの間。

 

 

「ゴアァアアアアアアアッ!」

 

 

 咆哮を上げて復活するティガレックス。その姿は一変し、眼が赤く光り輝き体色も黒みがかった色に染まった全身からおぞましい色のオーラを吹き上げ、体のあちこちに毒々しい模様を浮かび上がらせた姿に変貌、生物とは思えないおぞましい咆哮を上げて襲いかかってきた。

 

 

「があっ!?速い…!?」

 

 

 居合で対処しようとするも、ティガレックスの突進を真面に受けて打ち上げられ、高所から地面に背中から叩きつけられる。いったあ……

 

 

「なに?これ……狂竜ウイルスの力…?」

 

 

 ドカドカドカと大きな足音を鳴らしながら地形を変形させるように暴れまわるティガレックス。その迫力に、たまらず方向転換。翔蟲を使って急いで逃げるがどこまでも追いかけてくる。不味いって、不味いって!?

 

 

「どおらぁああああっ!」

 

 

 すると南の方からナギがブラストダッシュで飛んできて、その勢いでティガレックスにフルバレットファイアを叩き込んで急制止、私の傍に着地した。

 

 

「やったか!?大丈夫、マシロ!」

 

「うん、だけどその台詞、前にふらぐとか言ってなかった?」

 

「あ、やべ」

 

 

 指摘すると冷や汗をかきつつガンランスをリロードしていたナギに襲いかかる巨大な岩。どうやらティガレックスがさっきよりも力を増した剛腕で地盤を抉り飛ばして打ち上げてきたものらしかった。

 

 

「うえっ!?狂竜症ティガレックスでもここまでじゃないでしょ!?もうそれ荒鉤爪ティガレックスだからあ!?」

 

 

 シールドで受け止め吹き飛ばされながらそう絶叫するナギ。荒鉤爪って前にウツシ教官に授業で名前が出ていた二つ名個体のティガレックス…だっけ?

 

 

「まさか、キュリアのウイルスと狂竜ウイルスが相乗してめちゃくちゃ強くなってるのかな?マシロ、私が受け止めるから…」

 

「私が攻撃ね、了解!」

 

 

 バレット程じゃないがバレットが来るまで私達の司令塔だったナギの指示は信用できる。地面をごりごり抉るとんでもない威力の突進を踏ん張って受け止めるナギの横から周って大剣と太刀の二連撃を叩き込む。さっきの時点で瀕死だったんだ、このまま攻め立てれば…!

 

 

「グゴアァアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 すると空気が張り裂けるほどの咆哮を放ち、轟音で辺り一面を吹き飛ばして破壊するティガレックス。それに私達は巻き込まれ、天高く打ち上げられると、ランスを背中に直したナギはガンランスを握ってない方の手を私に伸ばしてきたので、こちらも手を伸ばしてそれを手に取る。

 

 

「そーらを自由に、飛びたいなっと!マシロ、掴まって!これで決める!」

 

「任せたよ、親友!」

 

 

 眼下にはこちらを見上げるティガレックスと、最初にティガレックスと戦った広場で眠って体力を回復しているらしいゴア・マガラ。やりたいことはわかった。

 

 

「「うおぉおおおおおっ!!」」

 

 

 ナギはガンランスのブラストダッシュを無理やり身体を捻って方向転換、縦横無尽に飛び回って上手く制御すると急降下、地面にぶつかる直前で横に曲がり、地面すれすれを飛んで突っ込んでいく目の前には大口を開けて迫るティガレックスが。

 

 

「いっけえええええっ!」

 

 

 超高速を維持しながら私を投げつけ、そのままティガレックスの上を飛んでいくナギ。そちらに気を取られて首を上に向けたティガレックスの隙だらけの喉仏に、投げつけられた勢いのまま鞘に納めていた太刀を引き抜いてすれ違いざまに斬撃を叩き込んだ。

 

 

「ゴアァアアアッ!?」

 

 

 予想外の一撃に、首を斬られたティガレックスは絶叫を上げて倒れ伏し、私はゴロゴロと勢いのまま転がってびたーんと大の字に叩きつけられる。痛い。

 

 

「ロケット突きィ!」

 

「グゴアァアアッ!?」

 

 

 起き上がってみれば、視界の先でちょうどナギが、手にしたランスでゴア・マガラのどてっ腹をぶち抜いている光景があった。不意打ち過ぎて対処しきれなかったらしい。ナギの自分のことを考えない猪突猛進が功を奏したな。

 

 

「あー、疲れた!」

 

 

 仰向けに寝っころがって、暗かったのが嘘の様な青空を見上げる。いい天気だな。




ブラストダッシュで仲間と一緒に飛んで高速奇襲とかできないかなーとかいう願望からできた今回の合体技。

キュリアのウイルス+狂竜ウイルス=二つ名みたいな強さ。デメリットで体が崩壊しかかる模様。だからティガレックスの首を断てたわけですね。

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【正しい使い方?】狩猟笛のやべーやつ【城塞高地に悪霊のウワサ】

どうも、放仮ごです。誕生日な明日用の小説書きたいので今日は早めに書き上げることができました。

今回はヒビキVSルナガロンVSガランゴルム。一人だけ頭おかしいのはご愛嬌。楽しんでいただければ幸いです。


 なんか北から爆発音が聞こえたが、ナギがゴア・マガラと戦い始めたのか?今の音でルナガロンとガランゴルムが刺激されてないといいが……

 

 

「えーと、クエストの依頼内容は…」

 

 

 エルガドのクエスト一覧から持って来た依頼内容が書かれた紙を眺めながら歩く。依頼人はビビりな夜警団員。 城塞高地に霊が出るって噂が合って幽霊なんて信じちゃいないし怖くなんてないけど団長には秘密で代わりに様子を見てきてくれ、というちょっとわけのわからない内容だった。で、前任者が確認しに来たところ、ルナガロンとガランゴルムが縄張り争いしていたのが原因らしく逃げるしかなかったという。

 

 

「一匹だけでも厄介なのは事実だからな」

 

 

 極断刀ショウグンギザミとネグレマガラと結構渡り合ってたガランゴルム、バレットを戦闘不能に追い込んだルナガロン。その二体が相手。バレットとマシロとナギには止められたが、相手にとって不足無しだ。歩くたびに聞こえてくる轟音と咆哮。そして吹き荒ぶ冷気と熱気。近づいている。わかりやすくてなにより。

 

 

「いたな?」

 

 

 背中の器具に交差して挿し込むことで背負っている禍ツ琵琶ノ幽鬼ウラザと龍天笛ホルマゼンタを引き抜いてくるくる回して構える。目の前には、飛び付くルナガロンとそれを受け止めて地面に叩きつけているガランゴルム。ホルマゼンタをジャーンと鳴らすと二体はこちらに気付いて咆哮を上げる。

 

 

「俺の演奏を聞いて逝け!」

 

 

 駆け出す。同時にガランゴルムが溶岩を纏った拳を振り上げ、叩きつけてきたのとホルマゼンタを合わせて相殺。ガランゴルムの巨体を大きく弾き飛ばすと、その隙間を縫うようにルナガロンが四つん這いで駆けてきて噛み付いて来たのに幽鬼ウラザを顎に叩きつけて殴り飛ばす。

 

 

「おらよっ!」

 

「キャイン!?」

 

 

 幽鬼ウラザを振り上げた勢いで、勢いよく振り下ろしてルナガロンの頭部に叩きつけるとガルクの様な悲鳴を上げた。やはり振り上げた勢いで振り下ろすのは強力だな。同時にバフもかけることができた。

 

 

「グルオオアッ!」

 

 

 するとルナガロンを踏み潰した溶岩を纏った右拳を爆発させると跳躍して空に舞い上がり、勢いよく急降下してくるガランゴルム。咄嗟にホルマゼンタをクルクルと高速回転させて気炎の旋律と滅・昇竜笛を合わせた様な一撃を下から叩き込んでその巨体を殴り飛ばして引っくり返す。

 

 

「気炎万丈・昇竜笛!からの振打(しんうち)残響輪唱(ざんきょうりんしょう)!」

 

 

 引っくり返ったガランゴルムの横から体勢を立て直したルナガロンが飛び込んできたので、狩猟笛二本を同時に横に構えてルナガロンの頭部と胴体に叩き込んで殴り飛ばし、鉄蟲糸を繋げて衝撃波を送り込んでダウンさせる。翔蟲が反応して集るってことは躁竜できるな。試してみたかったことやってみるか。

 

 

「躁竜、始めるぞ!」

 

 

 翔蟲が伸ばしてきた鉄蟲糸を掴み、ルナガロンに搭乗する。暴れるので片手で鉄蟲糸を纏めて握ったままもう片手で握ったホルマゼンタで何度もボコボコと殴りつけて大人しくさせて操縦する。よしよし、最初から言うことを聞いておけばいいんだ。

 

 

「グルオアァアアアッ!」

 

「ウォオオオン!(涙目)」

 

 

 ガランゴルムの突進からの拳の振り下ろしを、グイッと引っ張り身をよじらせて回避。爪の一撃をお返しに見まい、顔に引っ掻き傷を刻んでやり、二本足形態になると足を動かして蹴り付け、立ち上がろうとしていたガランゴルムを蹴り飛ばし尻餅をつかせて胴体に噛み付かせる。

 

 

「突進離脱!」

 

 

 さらにルナガロンを突進させてガランゴルムに激突させ離脱、空中でガランゴルムに翔蟲が集ったのを確認して伸ばされた鉄蟲糸を掴み、今度はガランゴルムに搭乗。無理やり立たせてダウンしているルナガロンに向かわせる。

 

 

「オラア!」

 

 

 拳を何度も振り下ろし、ルナガロンを打ちのめす。ルナガロンは立ち上がることもできずボコボコにされ、頭を下げて地面を抉りながら迫る突進から片腕を思いっきり叩きつけ、トドメに両腕で叩きつける連続攻撃という大技が炸裂。離脱するとガランゴルムはそのままルナガロンの尻尾を掴みビタンビタンと地面に叩きつけ振り回す中で砥石で狩猟笛二つの切れ味を戻す。…打撃武器の笛の切れ味ってなんだろうな。

 

 

「グルオアァアアアッ!」

 

 

 ズタボロのルナガロンを足元に叩き付け踏みつけていると俺に気付いて咆哮を上げたガランゴルム。両腕のみならず頭も地面に突っ込み頭部にも溶岩と苔を纏った姿へと変貌、目が真っ赤に光り、口から蒸気を上げながら周囲に拳や頭突きを繰り出し水蒸気爆発を発生させながら迫りくるその姿は恐ろしいが、狩猟笛二本を振るって迎え撃つ。

 

 

「グルオアァアアアッ!」

 

 

 すると水蒸気爆発で怯んだ俺を頭部でかち上げて、そのまま俺をを圧し潰しにかかるかのように力任せに両腕を打ち付け水蒸気爆発を発生させるガランゴルム。咄嗟に打ち上げられた時に狩猟笛を振るって演奏、攻撃力&防御力アップをかけて幽鬼ウラザを盾に受け止める。重い、が……。

 

 

「この程度で負けていたら俺は淵虎竜に勝利を収めていないんだよ」

 

 

 力づくで押し上げて立ち上がると、ガランゴルムはそれに合わせて跳躍。急降下して両腕を同時に叩きつけてくるのでスライドビートで避けながら演奏する。

 

 

「グルオアァアアアッ!?」

 

「おい五月蠅いぞ。演奏は静かに聞きやがれ」

 

 

 吠えて邪魔してきたので二連撃で狩猟笛を叩き込んで黙らせる。目に見えて怒り出すガランゴルムの拳を、気炎の旋律×2で弾き飛ばす。無駄だ、力任せに負ける程弱いつもりはない。

 

 

「うん?」

 

 

 殺気を感じて見てみれば、ルナガロンも復活して物陰から俺とガランゴルムの隙を窺っている様だった。もしガランゴルムを倒せてもその瞬間を狙われたら困るな。同時に倒すか。ホルマゼンタと幽鬼ウラザの弦をぶつけ合い、相乗演奏を行う。

 

 

―――――【攻撃力&防御力UP】

―――――【音の防壁】

―――――【体力継続回復】

―――――【属性攻撃力UP】

―――――【攻撃力&会心率UP】

―――――【高周衝撃波】

 

 

 全てのバフを一緒に行うと同時に高周衝撃波でガランゴルムにダメージを与えるのと同時に耳がいいルナガロンを刺激してこちらに突っ込ませる。バレットがやってた挑発方法だ。怒ったガランゴルムが拳を振り下ろして水蒸気爆発を発生させたのを利用し、天高く飛び上がる。

 

 

「―――双笛空舞(そうぴょうくうまい)

 

「グルオアァアアッ!?」

 

 

 ガランゴルムの全身に鉄蟲糸をまとわりつかせてそれに沿うように、双剣を扱うがごとく打撃をその頭頂部から足、尻尾まで叩きつけて行き、ガランゴルムは撃沈。最後に勢いよく地面に打ち付けて宙に舞い上がるとこちらに突っ込んできていたかと思えば呆気にとられているルナガロンに鉄蟲糸を伸ばし、それに引っ張られるように回転しながら空中から突撃する。

 

 

螺旋演奏打打打弾(らせんえんそうだだだだん)!」

 

「ウォオオオオオンッ!?!?」

 

 

 まるで大砲の砲弾の如く、撃龍槍の如く。狩猟笛二本を突き出して回転、弦をぶつけ合って演奏しバフをかけ続けながら高周衝撃波を放ちつつ、怒涛の猛打撃を叩き込んで着地する。

 

 

「俺の演奏を聴いて逝けたんだ、光栄に思うんだな」

 

「グルオアァ……」

 

「ウォオオオン……」

 

 

 ガランゴルムとルナガロンは一声吠えると倒れ伏し、俺は絶命したことを確認すると信号弾を撃ちあげて回収班を待つ。おっ、他の二人も撃ち上げたっぽいな。無事に狩猟を終えたらしい。さすがは俺の幼馴染たちだ。ゴア・マガラとティガレックスだったか。難なく倒せたならメル・ゼナ相手でもいい勝負はできるだろう。リベンジ、果たさないとな。




これで弱体化してるそうです(白目)

バレットは情報系悪知恵の強さ。ナギはメタ系フィジカル強さ。マシロは才能系強さ。ヒビキは 筋 肉 系 圧 倒 的 強 さ 。そんなイメージで書いてます。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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サンブレイク編:最終決戦
【緊急事態】誰かこの問題児を止めて【転生モンスターの会】


どうも、放仮ごです。昨日は誕生日だったので代表作エヴリンレムナンツを投稿してました。今回からそろそろ終盤。考えうる限り最悪な事態の一つを起こして引っ掻き回しまっせ。

セルレギオスからのSOS。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しの転生千刃竜

誰か外天種の方、助けてください

 

2:名無しの星雲龍

どしたん。ライゼクスちゃんのご機嫌斜めか?

 

3:名無しの転生傘鳥

押さえられるのセルレギオスくんだけなんだからがんばってもろて

 

4:名無しの毒牢姫

男なら責任もって女の子を護りなさい

 

5:名無しの転生千刃竜>>1

むしろ元気すぎてだな

 

6:名無しの結晶皇

みんなからもお兄ちゃんに放してって言ってよー!今からエルガドってところに乗り込んであの強いハンターたちと遊んでもらうんだからー!

 

7:名無しの塵魔帝

やめなさい(白目)

 

8:名無しの転生大海の王

あっ(察し)

 

9:名無しの雪夜叉

おいそいつ絶対エルガドに行かせるな、ハンター共と全面戦争はさすがに不味い

 

10:名無しの転生銀嶺巨獣

俺は嫌だぞ、外国の不祥事のせいでたくさんのハンターに襲われるとか。返り討ちにするの面倒だ

 

11:名無しの転生先生

百竜夜行が原因ならともかくモンスターが自分から人の集まるところを襲うとか均衡が崩れてしまいますからね

 

12:名無しの転生ドス狗竜

大地母蜘蛛と爵銀龍とキュリアの脅威があるのに今同士討ちするのは洒落にならんぞ

 

13:名無しの灼翼王

ちょっと待ってろ、今すぐ飛んで行ってやる。どこだ?

 

14:名無しの結晶皇

え、遊んでくれるのー?名前は分からないけど竜宮城みたいなところだぜい!きてきてー!

 

15:名無しの毒牢姫

密林じゃなくて竜宮砦跡にいるんですね……私もいきます

 

16:名無しの転生千刃竜

これでも押さえてるんだよ、頑張って押さえてここに押しとどめてるんだよ…(助けて)

 

17:名無しの雪夜叉

がんばれ(ひとごと)

 

18:名無しの滅雷刃

お前ならやれるよ(ひとごと)

 

19:名無しの転生轟竜

君達他人事すぎない…?

 

20:名無しの転生赤甲獣

最悪、俺達の世界でハンターとモンスターの全面戦争になるんですが?

 

21:名無しの雪夜叉

いや今更ハンター相手で負ける気ないし暇つぶしになるだろ

 

22:名無しの滅雷刃

キュリアの毒に操られた雪夜叉はともかく俺は不敗だし?

 

23:名無しの転生岩竜

もしかしなくても戦闘狂ですね、わかりません

 

24:名無しの星雲龍

俺もいくわ。悪い事なんもしてないのに襲われるのはごめんこうむる

 

25:名無しの転生傘鳥

ところでなんでそんな目つけられてるのそのハンターたち?

 

26:名無しの転生大海の王

この間の大立ち回りが原因か?最後までスレが続かなかったからどうなったか知らないが

 

27:名無しの転生千刃竜

>>25

こいつと俺と極断刀とエスピナスの四体を同時に相手して、俺がライゼクスの相手して手助けしたとはいえエスピナスを倒して極断刀の鎌を切断して退けて、アイツから逃げたもんだから気に行っちゃったのよ…件のくだんが言ってた猛き炎の四人…あ、まってちょまっ

 

28:名無しの塵魔帝

ええ…ついに外天種に勝っちゃったのあの四人……

 

29:名無しの転生銀嶺巨獣

その四体と戦ってエスピナス討伐したってバケモンだな

 

30:名無しの転生先生

手加減を知らないライゼクスちゃんをセルレギオスくんが押さえていたとはいえエスピナスと戦闘狂の極断刀を相手にして勝ったのはさすがとしか……

 

31:名無しの転生ドス狗竜

ライズの主人公ちゃんいるらしいけどそれでもバケモンすぎて笑う。俺の世界にいなくてよかった

 

32:名無しの灼翼王

到着したぞ千刃の。どこだ?

 

33:名無しの毒牢姫

我が夫と合流しました。でも見当たらないのですが…

 

34:名無しの雪夜叉

そういや千刃の、変な終わり方のあとに喋ってないな

 

35:名無しの転生赤甲獣

なんかあったんですかね?

 

36:名無しの転生轟竜

まさかついにやられたとか?

 

37:名無しの滅雷刃

いやあの女の性格なら泣き叫んで報告してくるだろ

 

38:名無しの転生岩竜

たしかに

 

39:名無しの星雲龍

感覚からして下にいるみたいだぞ。見えないからわからんけど地下でもあるのか?

 

40:名無しの転生傘鳥

あー、原作のナルハタタヒメが落ちたあれかな。地盤がゆるいんだってねアレ

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 竜宮砦跡上空で結晶皇ライゼクスを押し止めていた千刃の追跡者セルレギオスは雷やられで麻痺した体をどうにかこうにか動かそうともがいていた。天上の光は遥か上、見上げると太陽光を受けて結晶を纏った翼とトサカを煌めかせた結晶皇ライゼクスが面白そうにこちらを眺めていて嗤っている。

 

 

「お兄ちゃん、それで終わりー?エルガドに行っていいってこと?!」

 

「そんなわけ…ぐうう」

 

 

 上空で戦っていたのはいいのだが、もみくちゃになって地面に激突。さらに結晶皇ライゼクスの飛び蹴りを避けた際に弾けた雷をまともに受けてしまったばかりか、地盤が崩れてここまで落ちてきてしまった。痺れて身動きが取れず、飛べずに勢いよく地下に激突したダメージで自慢の刃鱗が全部はがれてしまい生やすのにも時間がかかる上に、特典が「弾道操作」なため落ちてしまった鱗は操れない。万事休すだ。千刃の追跡者セルレギオスには結晶皇ライゼクスは止められない。しかし、結晶皇ライゼクスの上に影が差した。

 

 

「およ?」

 

「悪いがいかせんぞ結晶皇」

 

「殺しはしませんけど再起不能にはさせてもらいます」

 

「あのクソ蟹よりバーサーカーとは思わなんだ」

 

 

 空から舞い降りてきたのは灼翼王リオレウス、毒牢姫リオレイア、星雲龍ネグレマガラ。その三匹を見てきゃっきゃと喜ぶ結晶皇ライゼクス。

 

 

「本当に来てくれた!遊ぼう遊ぼう!みんなならハンターさん達より楽しませてくれるよね!ウェーイ!」

 

「っ!?」

 

 

 バチバチバチと虹色の雷を纏いながら空を舞い、突撃する結晶皇ライゼクス。電気で活性化している肉体を駆使したその速度は凄まじく、咄嗟に毒牢姫リオレイアを押しのけた灼翼王リオレウスと組み合い、その速度のまま岩壁に背中から激突させた。

 

 

「があっ…このっ!」

 

「ぎゃあっ!?熱い熱い!やったなあ!」

 

 

 灼翼王リオレウスは灼熱の紫炎を纏った両翼を振るって迎撃、空で体勢を立て直すが結晶皇ライゼクスは周囲に展開した結晶弾を次々と発射して攻撃。それらは、間に割って入った毒牢姫の緑の毒を纏った肉体に触れて融解することで防がれる。

 

 

「すごいすごい!」

 

「隙あり!」

 

 

 それを見てやんややんやと喜ぶ結晶皇ライゼクスにネグレマガラが飛びかかり、空中で六本の手足を駆使して殴りつけて行く。結晶皇ライゼクスも結晶を纏った翼を叩きつけて反撃、空中に展開した結晶を適当にばらまいてその一つに雷光弾を放ち、自分を守るように電磁網を展開してネグレマガラを弾き飛ばす。地下の暗闇を虹色の雷が照らしてまるでミラーボールの様だ。近づこうとした毒牢姫が弾き飛ばされて灼翼王に受け止められる。

 

 

「ぐっ…毒牢が消し飛ぶほどの雷撃とは…」

 

「我が伴侶を傷つけたな?」

 

 

 毒牢姫の剥がされて露出した白い鱗が黒く焦げているのを見て、怒りに燃える灼翼王リオレウス。「愛する物を守れる力」の特典が発動。雷耐性を会得して翼の炎をさらに燃やし、首を限界まで下に伸ばして放った火炎放射の勢いで音速で突撃、咄嗟に結晶で作られた盾をぶち抜いて結晶皇ライゼクスに真正面から激突、地下のセルレギオスの傍まで激突させ、ネグレマガラが追いかけて組み伏せた。

 

 

「よし、これで大人しくなるまで…」

 

「はなしてよー!重いー!!!」

 

「……うん?ライゼクス、その目…」

 

「え?…どうかした?」

 

 

 目の前まで落ちてきた結晶皇ライゼクスの目を見てある事に気付くセルレギオス。いつも紅い眼光を持っているから気付かなかった。目が全て真っ赤に染め上がっている。それは偶に見かけた、暴れているモンスターたちと同じで。

 

 

「お前まさか。キュリアに…?」

 

「なに?エルガド襲おうとしているのもそれか!?」

 

「うるさいなー、いい加減に離れろー!!」

 

「っ!?」

 

 

 すると結晶を周囲に展開して帯電させるとそれを増幅装置の様な役目にして放電する結晶皇ライゼクス。なんとか立ち上がっていたセルレギオスと組み敷いていたネグレマガラだけでなく、地上への道中に滞空して様子を窺っていたリオ夫婦二体をも巻き込む、地下全体を崩壊させる特大放電となって地盤を更に崩し、盆地の様な形状となってしまった竜宮砦跡の上空に舞い上がった結晶皇ライゼクスは真っ赤に染まった瞳で周りをキョロキョロと見渡す。

 

 

「あれ?お兄ちゃんも外天種のみんなもどこ!?」

 

 

 見渡すがどこにも見当たらない。それもそのはず。特大放電で気絶し瓦礫に埋まってしまったなどと露とも思わない結晶皇ライゼクスは、凶悪な顔をさらに凶悪に歪ませて嗤った。

 

 

「……まあいいや!あのハンターさん達なら満足させてくれるよね!」

 

 

 そして結晶皇ライゼクスはエルガドの場所も知らないまま飛び立ち、混乱の極みに陥っている各狩場の生態系がさらに荒されることになるのだった。




暴れ足りないけど理性で遊ぶ程度に納めてた結晶皇ライゼクス×モンスターを凶暴化させるキュリアのウイルス=(すべてが)ヤベーイ!(出力が)モノスゲーイ!

元々バーサーカー気質だからキュリアのウイルスで理性が吹っ飛んで(少しはあった)遠慮がなくなっている状態となります。外天種でも戦闘力トップクラスの灼翼王、毒牢姫、星雲龍の三体をまとめて蹴散らすぐらいには強いです。エルガドがヤバいけどアホだから場所が分からないおかげで首の皮一枚繋がってる。

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【王域最強V】勝った方が我々の敵となるだけです【S外天種最強】

どうも久しぶりです、放仮ごです。エヴリンレムナンツの方に集中してました。

今回は結晶皇ライゼクスVS爵銀龍メル・ゼナ。楽しんでいただければ幸いです。


「アハハハッハッハッハッ!」

 

 

 紅い月が照らす静かな月夜に、ギィアアァアアアッ!!と低く、愉しげな咆哮が劈く空を高速で飛翔する巨影がいた。周囲にいくつも侍らせた結晶体を紅い稲光と共に轟雷を迸らせて、ドゴーンズゴーンズドゴーン!という爆音と共に大地を砕きながら、目を紅く光らせた飛竜は空を舞う。

 

 

「楽しい!愉しい!(たの)しい!(たの)しい!(たの)しいよォオオオオッ!」

 

 

 無意識にセーブしてきた自身の力を存分に発揮して歓喜の咆哮を上げているのは、異界からの転生者が大部分を占める外天種最強の一角。転生モンスターたち随一の問題児にして、特典「結晶生成」を得て転生した電竜(いなずまりゅう)ライゼクスの雌個体。本来なら虹色のはずの結晶や雷を紅く光らせるそれに付けられた異名は結晶皇后。略して結晶皇、ライゼクス。

 

 

「エルガドどこー!?どこなのー!」

 

 

 噛生虫キュリアのウイルスにいつの間にか侵され、兄貴分の千刃(せんじん)の追跡者セルレギオスや、止めに来た灼翼王(しゃくよくおう)リオレウスや毒牢姫(どくろうき)リオレイア、星雲龍(せいうんりゅう)ネグレマガラらを一蹴して、好敵手のいるエルガド求めて蹂躙を続ける結晶皇ライゼクス。とりあえず人がいそうなところを目指し、城塞高地にやってきた彼女だったが、突如キュリアの群れに襲われて撃墜されてしまう。

 

 

「うぎゃあ!?いててて……」

 

 

 翼爪で頭部を擦る結晶皇ライゼクスの目の前に舞い降りたのは、白銀の甲殻が美しい気品漂ういわゆる“ドス古龍”骨格の王道スタイルのドラゴンの様なモンスター。紅く輝く翼と蝙蝠の様なキュリアを侍らせているのも相まって、まるで吸血鬼の様なそれの名は王域三公の一角にして王域最強、爵銀龍メル・ゼナ。

 

 

(われ)の縄張りに何用(なによう)だ、“外れた”飛竜よ。これ以上荒すのならば容赦はせぬぞ」

 

「アタシと遊んでくれるの!?いいね、イイね、イイネ!お兄ちゃんたち弱いしいなくなっちゃってつまらなかったんだ!」

 

「っ!来るか、ならば相手をしてやろう!」

 

 

 突撃してくる結晶皇ライゼクスに、メル・ゼナは咆哮して姿勢を固めたかと思えば高速で突撃して、結晶皇ライゼクスの振るった紅く輝く虹色の結晶でできた鶏冠と、紅く光らせて三つの鍵爪状に展開した尻尾を激突。あまりの威力に天高く弾かれたかと思えば素早い動きで尻尾を叩きつけ、回避した結晶皇ライゼクス目掛けて地面に沿わせて尻尾を刺突するトリッキーな攻撃を繰り出した。

 

 

「アハハハッ!面白い動きぃ!」

 

「ぐぬう!?」

 

 

 しかし結晶皇ライゼクスは尻尾の穂先を噛み付くことで受け止め、そのまま首を大きく動かしてメル・ゼナを振り回し天高く投げ飛ばすと、翼を羽ばたかせて追走。結晶を生やした翼による斬撃を叩き込む結晶皇ライゼクスだったが、メル・ゼナは空中で翼を閉じたかと思えば勢いよく広げて衝撃波を発生させて結晶皇ライゼクスを地面に叩き落とし、翼を再び閉じて瞬間移動でその傍に現れる。

 

 

「古き龍である我に「遊ぼう」などと身の程を弁えろ!」

 

「ギィアアアアッ!?」

 

 

 尻尾と翼を槍の様に突き刺し、薙ぎ払い、叩き付けるコンボを繰り出して叩きのめすメル・ゼナ。結晶皇ライゼクスは悲鳴を上げるが結晶の鶏冠から虹色の雷電でできた刃を作り上げると振り回し、メル・ゼナの顔に一閃の傷を刻んで後退させる。

 

 

「痛い、痛いよお……ここまで痛めつけられたのは初めてだあ…!」

 

「っ!」

 

 

 結晶皇ライゼクスの異様な覇気に怖気づき、空に舞い上がったメル・ゼナは侍らせたキュリアから球体のエネルギー弾を放たせる。しかし結晶皇ライゼクスが周囲に展開した結晶塊に電磁波を纏わせて衛星の様に自身の周囲を回転させたことで防がれてしまう。

 

 

「そんな小手先じゃなくてさあ!本気で来てよお!」

 

 

 翼を羽ばたかせて空に舞い上がり、バサッと振るうことで結晶塊を全て細く鋭く尖った氷柱状に変形させ、自身と結晶塊に纏わせた電磁波をプラスとプラスに切り替えて勢いよくミサイルの如く射出する結晶皇ライゼクス。

 

 

「ぬう!なんたる技か、異郷の魂のなせるものか!しかし我には通じぬ!」

 

「吸血鬼さんこちら!(いかずち)鳴る方へ!」

 

 

 メル・ゼナは巨大な翼を羽ばたかせて音速飛行、自在に紅い月が照らす夜空を舞い踊り回避するがしかし、結晶皇ライゼクスは自身に纏った電磁波のプラスマイナスを切り替えて自在に結晶塊を操りメル・ゼナを追わせて背中から炸裂させ撃墜する。

 

 

「ぐおおおおおおっ!?そんな、馬鹿な…!?」

 

 

 なんとか体勢を立て直して滞空するメル・ゼナは上空を見上げて絶望の咆哮を上げる。夜空を埋め尽くし、紅い月光に照らされるのは万を超える結晶塊。翼を広げて滞空し、鶏冠から生えた雷の刃をバチバチバチと光らせた結晶皇ライゼクスから螺旋を描く様に展開されたそれは例外なく虹色の雷を纏っていて、如何に古龍と言えど耐えきれないのは明白で。

 

 

「あーめあーめふーれふーれ!母さんがー!蛇の目でお迎え!愉しいナア!!…アタシ、生まれた時から母さんいないけど!くーらえー!」

 

 

 イソネミクニでもなかろうに物悲しい歌声を響かせながら鶏冠の雷の刃を振るって結晶塊の雨霰、ならぬ流星群を降らせる結晶皇ライゼクスに対し、メル・ゼナは巨大な翼で自身を覆い隠して瞬間移動で対抗。落ちてきた先から次々と移動して回避していくが、避けきれずに何度も直撃を受けてしまい悲鳴を上げる。ハンターには脅威でしかない瞬間移動も格上相手では意味をなさなかった。

 

 

「ぐっ、ぬっ、ぐあああっ!?」

 

「それそれー!」

 

 

 広場に叩き落されたメル・ゼナに結晶塊を誘導して集中攻撃する結晶皇ライゼクス。メル・ゼナは回避を諦めて翼や尻尾、前足で迎撃を試みて弾き飛ばしていく。

 

 

「殴り合いも愉しいよね!」

 

 

 メル・ゼナが対処に駆られている隙を突いて勢いよく急降下して着地し、地面を凄まじい速さで駆け抜けて結晶を纏った翼で殴りつける結晶皇ライゼクスの攻撃に対し、目を紅く輝かせたメル・ゼナは口から炎のようなエネルギーを発射し、前方扇状に炸裂した地面を連鎖爆発を起こすブレスで迎撃。結晶皇ライゼクスは爆煙に巻き込まれて見えなくなり、メル・ゼナは勝利を確信する。

 

 

「如何に“外れた”飛竜といえど、これを喰らえばひとたまりもあるまい…!」

 

 

 勝ち誇り、嘲笑を浮かべるメル・ゼナ。しかしその確信は油断に繋がった。爆煙を突き破るように伸びてきた結晶の刃が、メル・ゼナの胴体に深々と突き刺さったのだ。

 

 

「な、に…ぐあぁああああっ!?」

 

 

 さらに虹色の放電が襲い、とてつもない衝撃に痙攣して崩れ落ちたメル・ゼナは結晶の槍で貫かれたまま吊り上げられ、勢いよく振り回されて城塞跡の壁に叩きつけられて破壊、瓦礫に埋もれてしまう。

 

 

「もうおしまい?つまらない、つまらない、つまらない!」

 

 

 爆煙が晴れたそこにいたのは、結晶の鎧を顔から肩まで纏い、尻尾の先端に結晶の槍を身に着けた結晶皇ライゼクスの姿。翼を広げてメル・ゼナに近づいた結晶皇ライゼクスに集う紅い光があった。

 

 

「ま、まて……我はまだやれる……」

 

 

 必死に呼び止めるメル・ゼナから移動しているのは、かつてとは比べ物にならない強大な力の源でありメル・ゼナを宿主として共生していた噛生虫キュリアたち。“本来の宿主”を除いたもっとも強きものに宿る性質を持つ彼らは、今の宿主であるメル・ゼナを一方的に叩きのめした結晶皇ライゼクスを新たな宿主と認め集って行く。

 

 

「あははっ、くすぐったいよー!」

 

 

 けらけらと笑いながらそれを受け入れる結晶皇ライゼクス。その身体に止まったキュリアは宿したウイルスをその身に流し込んでさらに力を強化した上で紅い結晶となって全身にくっ付いて行き、結晶皇ライゼクスは虹色の結晶で纏った全身の上からキュリアが変質した紅い結晶を纏った、地獄から舞い降りた悪魔の如き凶暴な姿に変貌していく。

 

 

「遊んでくれないならもういいや。…お兄ちゃんが言っていた、捕食者として自分が殺した相手は責任を持って食べろって」

 

「ぐ、ぬう……ここまでか。口惜しくは大蜘蛛を野放しにし、地下深きモノと会いまみえることなく潰えることか……」

 

 

 メル・ゼナを押し潰す瓦礫を雷撃で消し去り、大口を開けて舌なめずりする結晶皇ライゼクスに、王域最強とまで呼ばれた古龍は己の末路を幻視し目を瞑った。

 

 

「いただきます」

 

 

 捕食者の矜持として、喉笛に噛み付きはらわたを食いちぎり、決して柔らかくはないその肉を咀嚼する。そうしていくうちに結晶皇ライゼクスの姿が変容していく。

 

 

 尻尾の先端は三つの鍵爪状に展開して紅い結晶を鉤爪の様に纏い。

 

 

 その翼はネグレマガラの物に近い暗幕の様に広がり翼爪も鋭く大きく。

 

 

 胴体にはメル・ゼナを思わせる銀色の甲殻が紅い結晶を押しのけるようにして生成されプレートアーマーの様に輝き。

 

 

 その顔は鶏冠が鋭く伸びて、角の様に鶏冠を挟むように二つ隆起してマズルも伸びて、まるで三本角の悪魔の様に三日月の如く頬が裂けて弧を描く。

 

 

「強くなれば、ハンターさん達の方から来てくれるよね!アハハハハハハッ!!」

 

 

 そして生まれたのは淵虎竜マガイマガドと同じく例外の怪物(イレギュラー)超級古龍級外天種(ちょうきゅうこりゅうきゅうげてんしゅ)。その名も【結晶皇】爵電龍(しゃくでんりゅう)メル・ゼクスだ。




ネグレマガラに続く半オリジナルモンスター、【結晶皇】爵電龍(しゃくでんりゅう)メル・ゼクス降臨。大地母蜘蛛と並ぶ二大ラスボスとしてバレットたちの前に立ちはだかります。ナルハタタヒメといい、原作古龍は犠牲となったのだ……。進化したのはキュリアとメル・ゼナの影響です。

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【爵電龍メル・ゼクス】迷宮の結晶城【虹に染むる夜宴】

どうも、放仮ごです。とりあえずこのクエストが終わるまでは連続投稿する予定なり。

今回はメル・ゼクスの脅威。楽しんでいただければ幸いです。


「緊急事態だ」

 

「フィオレーネも復帰して、反撃の時間と行きたかったんだけどねえ…それすらできなくなってしまった」

 

 

 エルガドにて、ヘビィボウガンとライトボウガンに加え、ヘビィボウガンのシールドを盾代わりに腰に片手剣をサブウェポンとして備えたスタイルを確立すべく、俺と同じく休暇だったナギやマシロ、ヒビキと…タドリの作った薬で復帰したフィオレーネと共に鍛錬をしていたところ、呼び出された俺達に提督の口から伝えられたのはとんでもない内容だった。

 

 

「城塞高地にして確認された爵銀龍メル・ゼナが、突如として飛来した結晶皇ライゼクスの襲撃を受けて捕食されてしまった」

 

「なんだって!?」

 

「メル・ゼナが……」

 

 

 結晶皇って転生者で外天種のあいつか。くだんニキ曰く理性蒸発している結晶使い…。

 

 

「しかも、メル・ゼナを捕食したライゼクスは適応してしまったのかメル・ゼナと結晶皇ライゼクスの特徴を併せ持つ新たなモンスターへと進化を果たしてしまった。キュリアの群れを従え、紅き稲妻を背負い他を蹂躙するそれをギルドは超級古龍級外天種(ちょうきゅうこりゅうきゅうげてんしゅ)【結晶皇】爵電龍(しゃくでんりゅう)メル・ゼクスと呼称した」

 

「メル・ゼクス……それが、我々が倒すべき敵か」

 

「血塗れマガイマガドと同じ扱いってことは古龍以上だってことか…メル・ゼナを殺したのなら当たり前か」

 

 

 …正直転生者仲間を手にかけたくないが、こればかりはしょうがないな。覚悟を決めよう。

 

 

「メル・ゼクスは城塞高地を拠点にしつつ周囲の村や街を破壊して周っているようだ。まるでなにかを探す様に…このままではエルガドやカムラの里まで被害に遭うのは時間の問題だろう。それはなんとしても阻止せねばならん。そこで最大戦力で狩猟を挑むことにした」

 

「呼びましたか、ガレアス提督」

 

「帰ってきた途端に呼び出されるとはニャア」

 

「文句を言うなエスラ。仕事だ」

 

「ふっ、俺が来たからにはもう安心……」

 

「寝言は寝て言ってくださいエルヴァス」

 

 

 提督の手を上げる合図と共にやってきたのはミクマリ、エスラ、アンテム、エルヴァス、マキアナを始めとした、エルガドに集められたハンターたち。知らない顔が多いが、ヘルブラザーズの様な過去作でも見た顔もいる。

 

 

「猛き炎の四人と、フィオレーネ及びミクマリ、エスラ、アンテムのG級2チームに狩猟を頼みたい。エルヴァス、マキアナを含めた残りのハンターはエルガドの護りを担当してもらう」

 

「しかし決戦の地が城塞高地とは皮肉なもんですね提督。かつてメル・ゼナに滅ぼされた提督の故郷でメル・ゼナは屠られ、その張本人が我がもの顔で居座っているとは」

 

「城塞高地が、提督の故郷…!?それは初耳でした……」

 

「…そうか、提督は50年前の災厄の当事者だったんだな」

 

「誰にも言ってないからね。俺も長生きだから当時を知っているだけでね。そんなことよりメル・ゼクスだ。何故か大地母蜘蛛が活動を自粛している今がチャンスだ」

 

 

 それも気になるんだよな。俺が戦ったはぐれヤツカダキ亜種。あれ以来影すら見せないのはなにかあるだろ、絶対。

 

 

「…皆、無事に帰ってこい。これも任務とする、いいな」

 

「ハッ!やるぞバレット、猛き炎。それにミクマリ殿、エスラ殿、アンテム殿。よろしく頼む」

 

「相手にとって不足はない。血塗れマガマガの時の様な無様は見せんとも」

 

「誰も死なせない、にゃあ!」

 

「そういうことだ」

 

 

 ガレアス提督の言葉に頷く。やってやる!

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

21:名無しのギルド所属ハンター>>1

と、いうわけで転生者の結晶皇ライゼクスが爵電龍メル・ゼクスに変貌したらしい

 

22:名無しのザビー

なんで飛竜が「龍」に進化してるんです…?メル・ゼクスはしっくりくる名前だけど

 

23:名無しのG級太刀使い

メル・ゼナの特性をそのまま引き継いでるから分類上古龍になるらしいぞ

 

24:名無しのSOS団の異世界人

ただでさえ外天種最強クラスが古龍の力を得たってことでおk?

 

25:名無しのガンランス使い

多分そう言うことでおk

 

26:名無しのくだん

事情を聴いてきたぞい

 

27:名無しのRS

お、終身名誉通訳じゃん待ってたぞ

 

28:名無しの転生千刃竜

お初にお目にかかる……ライゼクスの兄貴分をしていた千刃の追跡者とか呼ばれてるセルレギオスだ…メル・ゼクスってなにそれえ

 

29:名無しの灼翼王

不甲斐なし……止めれなかった

 

30:名無しの毒牢姫

まさかあそこまで強いとは……

 

31:名無しの星雲龍

頼むから、全面戦争だけは…全面戦争だけは…!

 

32:名無しのG級双剣使い

外天種でもトップクラスの面子が纏めて泣き言を言うのやめてくれにゃい?

 

33:名無しの鬼殺隊

で、なにがあったんだ?

 

34:名無しのくだん

なんでもキュリアのウイルスに侵されてたらしく、バレットたちと遊びたいがため暴れ回ってたそうで…

 

35:名無しの霊媒師

ああ……理性蒸発しているやつにさらにキュリアのウイルスで……

 

36:名無しの49人目のマスター

そりゃ外天種トップクラスが三体集まっても勝てんわな…

 

37:名無しの帝丹小学校6年生

他にも外天種いたでしょ?なにしてるのかしら

 

38:名無しの魔導師

まさか喋れないぐらいボコボコにされてるとか…?

 

39:名無しの灼翼王

>>37

いや、塵魔帝は俺らがやられたあとにボコボコにされたらしいが、雪夜叉と滅雷刃の奴は大地母蜘蛛の方を警戒していて動く気はないらしい

 

40:名無しの星雲龍

あと蟹はハンターに負けて憤慨してどっか行った

 

41:名無しのドンキンタロウ

塵魔帝と極断刀は頼りにならないのはよくわかったぜ!

 

42:名無しの日向家次女

ということは外天種の助けは借りれないのかな?

 

43:名無しのギルド所属ハンター>>1

もとよりそんな期待はしてなかったが……とりあえず、全面戦争は俺達もごめんだ。なんとかするから力を貸せ

 

44:名無しのG級太刀使い

我等は今からメル・ゼクス狩猟に向かう。できれば助太刀願いたい。…できれば同胞を死なせたくない

 

45:名無しの雪夜叉

そういうことならば

 

46:名無しの滅雷刃

我等も力を貸そう

 

47:名無しの塵魔帝

俺も仲間のためなら死力を振り絞るぞ…!

 

48:名無しの転生千刃竜

あんたら…!できればこうなる前に助けて欲しかった…!

 

49:名無しのG級双剣使い

話を聞いた限り遅かれ早かれこうなってたと思うにゃ…キュリアは神出鬼没だって話だし

 

50:名無しのギルド所属ハンター>>1

よし、メル・ゼクスの狩猟、できれば捕獲。いくぞ!

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……なにごとだ?」

 

 

 城塞高地、だった場所に辿り着いた俺達八人は入り口で驚愕して固まっていた。フィオレーネが俺達全員の問いかけを代弁する。城塞高地は、結晶の城砦へと姿を変えていた。入り口の港ですら巨大な船は停泊できない様に結晶で狭められていて、ベースキャンプの先は人間が2人ギリギリ通れるぐらいの幅の通路が伸びていた。行動が制限されるわけだ。

 

 

「…メル・ゼクスの前進であるライゼクスは結晶で雷電を増幅して身体機能を上げることができたらしい。…もし脳にも及んでいた場合、理性も消し飛ぶ代わりに高速回転する頭脳を得たとしてもおかしくない」

 

「つまり奴は強大な力と凄まじい知能を備えた怪物という事か…!」

 

「厄介だな。見ろ。この結晶の壁、翔蟲を使ってもつるつる滑って駆け上がることは難しい上に迷宮の様に複雑で、上からは丸見えだ。しかもたしかこの結晶は通電性も高く、一瞬で電流の檻へと様変わりだ。メル・ゼクスからしたら恰好の獲物だろう」

 

 

 スレで千刃の追跡者から聞いた情報を噛み砕いてみんなに伝えると、ヒビキが気付いたことを伝えてくれた。策士にも程がある。理性蒸発しているアホじゃなかったのか。俺達がどうするべきか意見を出し合ってると、咆哮が聞こえてきて構える。

 

 

「…なんだ?」

 

「総員、構えろ!」

 

 

 フィオレーネの指示に武器を構える俺達。奴が待ちきれなくて来たのか?と思ったが違った。

 

 

「なあ…!?」

 

「グオアアアアアッ!」

 

 

 悲鳴の様な咆哮を上げながら空から舞い降りてきたのは、空の王者リオレウス。灼翼王ではない通常の個体だが、その全身は虹色の結晶が拘束具の様に包み込んでいて。さらにルナガロンやガランゴルムも同様の姿で、そして。

 

 

「シャガルマガラだと…!?」

 

 

 古龍で過去のモンスターハンターではラスボスまで務めたシャガルマガラが、虹色の結晶で全身を覆われた姿で現れた。結晶獣とでも呼称してやろうかこの野郎。どうやらメル・ゼクスは他のモンスターに結晶を覆わせて意のままに操ることが可能の様だ、クソッたれ。頭のいい馬鹿ほど厄介なものはいない。

 

 

「やるぞ…!」

 

「「「「「「「おう!」」」」」」」




メル・ゼクスとその配下軍団(古龍含む)VSバレット、ナギ、マシロ、ヒビキ、フィオレーネ、ミクマリ、エスラ、アンテム。

陣地を組み立ててわくわくと待ってたのに、住処を荒されてブチ切れて乱入してきたモンスターたちを邪魔しないでよちょうどいいやと玩具の様に操り人形にするメル・ゼクスちゃんの図。もはや迷宮の結晶城と呼ぶべき別エリアと化してます。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【キュリア集結】結晶皇后の優雅な遊び【虹に染むる夜宴】

どうも、放仮ごです。ダブルクロスにて弓使いに目覚めました。ワイヤー楽しい。あと新たに人気モンスターアンケートを始めました。ぜひご参加あれ。

今回はメル・ゼクスVSバレット。楽しんでいただければ幸いです。


 城塞高地が変貌した迷宮の結晶城の最奥、最北部の広場でメル・ゼクスは疲れたのか眠りについていた。その周りには、結晶に覆われ物言わぬ躯と化したジンオウガやガランゴルム、ラングロトラといったモンスターたちが転がっている。キュリアの赤い粒子が漂い、小型モンスターや環境生物の影すらない不気味な光景。今この城塞高地に存在する生物は、キュリアを総べるメル・ゼクスと、愚かにも立ち向かってしまい結晶の傀儡にされたモンスター「結晶獣」たちのみ。

 

 

「ギィアア…」

 

 

 むにゃむにゃと大きな欠伸をするメル・ゼクス。エリア全体を覆い尽くす結晶の迷宮を組み立てるのに脳を行使し、天廻龍シャガルマガラを撃退するので力を使い果たした彼女は自動的に自身にエネルギーを集めてくれるキュリアに居心地の良さを感じながら安眠していたが、そこに誰かが近づくのを感じて目を開ける。

 

 

「ギィアアアアッ!」

 

 

 歓迎する様に翼を広げて紅い雷撃を放電して周囲を破壊しながら飛び立ち、迎え撃つメル・ゼクス。対するは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グゴアァアアアアアッ!」

 

「ヘビィナックル!」

 

「滅・昇竜撃!」

 

 

 飛びかかった、虹色の結晶に包まれながらも黄金の輝きを損なわないシャガルマガラの顎を、フィオレーネと二人揃って殴り飛ばして迎撃する。

 

 

「グオアアアアッ!」

 

「ぶん投げブーメラン!」

 

「ハンティングホイッスル!」

 

 

 炎を吐きながら急襲する結晶を身に纏ったリオレウスに、エスラがレイジネイル―を投げつけてぶつけることで体勢を崩し、ヒビキが笛を操虫棍の様に使って跳躍して頭頂部に笛を叩き付けてその反動で浮かび上がって大剣の様に溜めて叩き込む。

 

 

「グルオオアッ!」

 

「水面打ち!」

 

「大地納刀・抜打激昂斬!」

 

 

 結晶の壁の上から右腕を伸ばして掴もうとしてきた結晶で覆われたガランゴルムの拳をアンテムが打ち付けて怯ませ、大地に勢いよく突き刺した大剣を鞘代わりに引き抜いて叩きつけるマシロ。

 

 

「遅い!」

 

「ウォオオオン!?」

 

「昇天突き!」

 

 

 迷路を駆け抜けて爆走してきた結晶を纏ってごつくなったルナガロンの爪をミクマリが太刀で叩き折り、頭部を地面に叩きつけて倒れ伏したルナガロンに翔蟲で飛び上がったナギが刺突を脳天に繰り出してとどめを刺した。

 

 

「ミクマリさん!」

 

「ああ、シャガルマガラの相手だろう?!」

 

「じゃあいくよ、変則的デュエルヴァイン!」

 

 

 さらにナギはミクマリの構えた太刀の刀身に乗り、勢いよく振り払われたそれを踏み台にして俺とフィオレーネが殴り飛ばしたシャガルマガラに向けて跳躍、鉄蟲糸を繋げたクナイを突き刺し、それが繋がったランスを結晶の壁に突き刺して繋ぎ止める。

 

 

「バレット!フィオレーネさん、行って!」

 

「ここは我らが引き受ける!」

 

「わかった、頼んだぞ!」

 

「行こうバレット!」

 

 

 背後でミクマリとナギがシャガルマガラに飛びかかっているのを見届けながらフィオレーネと一緒に結晶の迷宮を走り抜ける。…いやまあ、リオレウスとガランゴルムならすぐにでも倒してシャガルマガラも鎮圧されるんだろうな。

 

 

「迷路を抜ける方法は簡単だ!」

 

「なに、乗り越える以外に何かあるのか!?」

 

「ヒビキが乗り越えるのは無理って言ってただろ……右の壁を辿るんだ。それで出口のある迷路なら出ることができる」

 

 

 …転生者ならなおさらその「お約束」は守ってるはずだしな。

 

 

「バレットは博識だな、急ぐぞ!」

 

「ああ、あいつらが来る前に終わらせよう」

 

 

 …そんな強気な発言をしてみるが俺達二人で勝てればいいんだけどな。正直勝てる気しねえ。外天種が味方してもどうかってレベルだ。とにかく時間を稼がないと…。

 

 

「ギィアアアアッ!」

 

 

 っと、咆哮ってことは来たか。咄嗟に左腕のヘビィボウガンを構えると、それは来た。

 

 

「奴か!」

 

「ギィアアアアアアアッ!」

 

「…淵虎竜程じゃないがでかいなこの野郎」

 

 

 どう見ても3000以上はある、虹色の結晶の上から紅い結晶に覆われた煌めく巨体。三つに増えた結晶の鶏冠…というより角が禍々しく広がり、前に見た時よりマズルが伸びていて印象はメル・ゼナの方が近い。三日月の如く頬が裂けて弧を描く顔は相変わらず凶悪だ。

 

尻尾の先端はメル・ゼナと同じく三つの鍵爪状に展開して紅い結晶を鉤爪の様に纏っていて悪魔の手の様で、ネグレマガラの物に近い暗幕の様に広がり翼爪も鋭く大きな翼はジャンボジェットを思い出すぐらいに雄大で、威圧感が凄い。

 

 背中は結晶が盛り上がっていてステゴサウルスの様な剣がいくつも生えてる様な凶悪なものになっていて、胸部は紅い結晶を押しのけるようにしてメル・ゼナを思わせる銀色の甲殻がプレートアーマーの様で女騎士に見えなくもない。…いや、どちらかというと武装した皇后陛下、といったところか。結晶皇后にふさわしい高貴さを感じる姿となっていたメル・ゼクスは歓喜の咆哮を上げていた。明らかに喜んでいる。

 

 

「ギィアア……ギィアアァアアアッ!」

 

「っ!?」

 

 

 メル・ゼクスが周囲に展開した、虹色のトゲトゲした結晶塊……例えるならあれだ、FGOの聖晶石をさらにごつくしたような。それ二つに、全身から放出した紅い雷撃を集束させると結晶を変形させて星形の砲口にすると深紅のビームを放って爆撃を仕掛けてきた。例えるならエヴァンゲリオンのラミエルのあれだ、マジであんな感じに変形してる。

 

 

「「っ!」」

 

 

 咄嗟に俺はヘビィボウガンのシールドを、フィオレーネは片手剣の盾を構えて防御の構えで受け止めるがしかし、ビームは盾に当たると跳ね返って結晶の迷宮の壁にぶつかり、さらに反射。フィオレーネは防いだはずのビームを背後から受けて呻く。

 

 

「があ!?」

 

「嘘だろ…!?」

 

 

 俺も横から跳ね返ってきたビーム……受けて分かったが超圧縮された雷撃……を受けて吹き飛ばされ、さらにビームは反射。何度も何度も俺とフィオレーネを四方八方から襲うと反射角度がずれたのか斜めに空に向かって飛んでいきようやく解放された。

 

 

「がはっ…小手先でこれか…」

 

「いいや、フィオレーネ。小手先じゃない…」

 

 

 ただ解放されたんじゃないと気付いたのが遅かった。俺達は反射に追い込まれて、結晶の迷宮の直線状の道まで誘い込まれていた。目の前から地面を引き裂きながら迫るのはメル・ゼクスの悪魔の手の様な尻尾だ。考えられるのはただ一つ。

 

 

「あいつは最初から本気で、俺達で遊ぶつもりらしい」

 

「あんなもの、避けられん…!」

 

「…上等だ」

 

 

 俺は背中のライトボウガンを右手で構えて翔蟲を斜め上の前に飛ばしてその糸を掴み舞い上がる。旋廻跳躍だ。目の前まで迫っていたメル・ゼクスの頭上に飛び上がり、俺はライトボウガンをしまって代わりに腰から片手剣を引き抜いた。

 

 

「存分に遊んでやるよ!メル・ゼクス!」

 

「ギィアアアアアアッ!」

 

 

 驚愕と歓喜の混じる咆哮を上げるメル・ゼクスの背中の結晶の隙間に片手剣を突き立ててしがみ付き、ヘビィボウガンで殴りつけてバランスを崩すことでフィオレーネを救い、俺達は紅く染まった夜空に舞い上がる。

 

 

「ギィアアアアッ!ギィアアアアアアッ!」

 

 

 メル・ゼクスはこそばゆいのか悶えながら空を縦横無尽に凄まじい速度…雷速と言っても過言じゃないスピードで飛び回り、全身から放電して俺を引き剥がそうとするがさらに結晶に突き立てた刃を抉らせて固定ししがみ付く。遊んでやるからちょっと加減しろ!

 

 

「オラア!」

 

「ギィイアアアッ!?」

 

 

 貫通火炎弾を装填したヘビィボウガンの銃口を結晶の合間に見える奴の皮膚に突きつけて連射、乱射と撃ちまくる。貫通した内部で爆ぜる炎はさすがに効いたようで苦しげに暴れ、急降下。メル・ゼクスは地面に激突し、俺は投げ出されて転がるが受け身を取り立ち上がる。

 

 

「…ここは、迷宮の出口か。決戦の場ってか?」

 

「ギィアアアアッ!」

 

 

 明らかに怒った様子で大地を踏みしめたメル・ゼクスが放電して大地を破壊していき、俺は片手剣を構えた。フィオレーネかヒビキ達が辿り着くまで……手加減願いたいもんだなあ!




実質、メル・ゼナ討伐「月光染めし紅」、シャガルマガラ討伐「黒の中の白」悪名高き「キュリア集結」同時攻略。無理ゲーである。

お疲れのメル・ゼクスちゃん。バレットにひどいことされておこモード。

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【これが本当の】結晶化の脅威【虹に染むる夜宴】

どうも、放仮ごです。わたくし九州在住。最大級の台風の進路が思いっきり自宅に被るそうです。明日音沙汰無かったらそういうことです、はい。

今回はメル・ゼクスVSバレットその2。楽しんでいただければ幸いです。


「うおおおおっ!?」

 

 

 メル・ゼクスの翼を広げての突進を、鋭い結晶の翼爪を片手剣で鍔競り合いながらなんとか斬り弾く。体勢が崩れた俺に対して旋廻しつつ結晶塊をばら撒いてくるメル・ゼクス。さらに放電し、俺を取り囲んだ結晶塊に伝導させて電磁網の檻を作り上げる。逃がす気はないってことか。

 

 

「ギィイアアアアッ!」

 

「貫通ヘビィナックルファイア!」

 

 

 両足を振り上げて飛びかかってくるメル・ゼクスに対し俺はヘビィボウガンに貫通弾を装填。蹴りの一撃を避けながら足の間にヘビィボウガンを突き付け、胴体を貫通する様にアッパーカットと共に貫通弾を叩き込む。

 

 

「ギィアアアアッ!?」

 

「炎が弱点らしいな!」

 

 

 メル・ゼクスが撃墜されると右手に片手剣を握って飛び込み、ジャストラッシュを叩き込んでいく。ヘビィボウガン+ライトボウガン+片手剣(盾なし)。上手く使えてるな!

 

 

「うおっ!?おおおおおおっ!?」

 

 

 するとメル・ゼクスは足の間の地面を抉りながら尻尾を突き出してきて、咄嗟にヘビィボウガンのシールドで防御。しかし三つの鉤爪が動いてガッシリとヘビィボウガンを掴んできて、そのままメル・ゼクスは俺の頭上を飛んでいき、それに掴まれたまま引っ張られ空に舞い上げられる。

 

 

「この、放せ!」

 

 

 左腕のヘビィボウガンをガッシリ掴まれているので、右手で背中のライトボウガンを掴んで装填していた斬裂弾をメル・ゼクスの胴体に照準を定めて連射。一拍置いてから斬裂弾が破裂して斬撃がいくつも炸裂、体勢を崩れるメル・ゼクスだが特に気にせず翼を羽ばたかせ、勢いよく俺を掴んでいる尻尾を山肌に叩きつけてきた。

 

 

「がああああっ!?」

 

 

 咄嗟にライトボウガンを撃ってその反動で向きを変えて背中から激突。とてつもない衝撃が襲って口から溢れてきた熱い液体を吐きだす。真っ赤だ。内臓潰れたか骨が折れて刺さったか…どっちでもいいか。

 

 

「ギィアア?ギィアアアアッ!」

 

 

 口から赤い液体を垂れ流している俺を見て興味を失ったのか、雑に尻尾を振るって俺を地面に向けて投げつけるメル・ゼクス。俺は咄嗟にライトボウガンを左脇に抱えて、空いた右手でポーチから取り出した回復弾をライトボウガンの弾倉に装填。ライトボウガンを逆さに持つとヘビィボウガンで下から押し上げて固定し、銃口を自らの胸部に突きつけて引き金を引いて回復。痛みが引いたと同時に地面に激突、バウンドしてライトボウガンを手放し、片手剣が地面のでこぼこに引っかかって弾け飛び、俺自身は結晶の迷宮の壁に激突して止まる。

 

 

「よし!」

 

 

 ハンターという人種がとくせい:がんじょうでよかった!本当によかった!死んだかと思った!とか全力で生を実感していると、空からメル・ゼクスが目の前に舞い降りてきた。どうやら俺が生きてると気付いて興味を持ったらしく、首を傾げて睨み付けてくる。…睨み付けて来てるから怒ってるのかと思ったが本人的にはそんな気はなさそうだがな、聞いた話通りの性格なら。片手剣を拾い上げるのを待ってくれるのを見てそんなことを思う。正直、討伐はしたくないんだよなあ。

 

 

「ギィアアアアッ!」

 

「ちっくしょう……こい!」

 

 

 覚悟を決めて右手に片手剣を、左手のヘビィボウガンを構える。メル・ゼクスの翼爪による連続引っ掻きを、巧みに両腕を動かして捌いて行く。素人丸出し、いやまだ野生の方が厄介ってレベルで拙い動きだ。全身に迸っている雷電の影響か凄まじく速いが対処は容易い。

 

 

「ギィアアアアッ!」

 

 

 接近戦では埒が明かないと見たのか、翼を羽ばたかせて空に舞い上がり、首を仰け反らせて振り上げた三つの鶏冠の間に、深紅の稲妻で形成された二本のゼクスカリバー……もといライトニングブレードを展開するメル・ゼクス。そのまま叩きつけてくるのかと思いきや、二本のライトニングブレードを中心に拳大の結晶塊をいくつも展開、∞を描く様に高速で回転させて勢いを上げて行く。

 

 

「なにをするのか知らんが隙が大きすぎるぞ、喰らえ!」

 

 

 隙だらけだったのでライトボウガンを回収、斬裂弾を貫通火炎弾を撃ちまくり全身に切り傷と、炎によるダメージを与えて行く。しかしメル・ゼクスは止まらない。∞を描く結晶塊の勢いを強めて行き、赤色の雷電を迸るまでになると、空に順番に打ち上げていき、それらは赤い雷電を纏った流星群の如く降り注がせてきた。いちいち頭のいい戦い方だなあ!

 

 

「うおおおおっ!?」

 

 

 直撃しそうなものだけ片手剣とヘビィボウガンで斬りつけ殴りつけ弾き飛ばしていく。しかし大部分は当たらず地面に激突し粉々に破裂して粉塵が充満していく。なんだ、ノーコンか?

 

 

「ギィアァアァアッ!」

 

「っ!?」

 

 

 瞬間、メル・ゼクスが嗤ったかと思えば衝撃的なことが起こった。俺の足が、動かない。ガクッといきなり動きが止められてつんのめり、肩に流星群の結晶塊の一撃を受けて吹き飛び転がるが妙に足が動かない。何事かと見てみると、足が虹色の結晶に徐々に覆われていって既に膝上まで覆われていた。

 

 

ギィアアァアアアッ(人に直接は無理だけど)

アアッ(砕けた)ギアアアアアアアッ(結晶を操ってくっ付けることはできるよ!)!」

 

「なんて言ってるかわからんがとんでもないなクソッたれ!」

 

 

 まるで石化したかのように動けない。ならばと片手剣の柄を叩きつけて砕こうと試みるが、片手剣を握っている右腕まで固まって動かせない。見れば四肢がほぼ完全に結晶に覆われてしまっていた。

 

 

「ちっくしょう……」

 

 

 モンハンフロンティアにいたな、結晶化する液体を飛ばすアクラ・ヴァシムとかいうやつ。あとガルバダオラとかアクラ・ジェビアとか黒狐竜ミ・ルが使える「結晶やられ」状態。アレはスタミナ最低値まで減少、移動以外の行動封印、アイテム使用不可、一定時間後に自身と周囲に即死級ダメージの爆発発生という極悪極まりない効果だったが。確か解除方法は攻撃を受ければいいんだったか。だがこの「結晶化」は文字通り結晶で固めてしまう、例えるなら石化みたいなもんで別物だ。単騎で挑んだ場合どうしようもなく詰んでいるのが笑えてくるが。

 

 

「俺はお人形扱いかよクソッたれ……」

 

 

 そしてついには胴体まで結晶に覆われ、首から上も固められて完全に身動きが取れなくなってしまう。傍から見れば結晶像にしか見えないだろう。意識だけ残っているがなにもできない。

 

 

「無事か、バレット?!」

 

 

 そこに、結晶の迷宮の出口からフィオレーネが飛び出してきた。駄目だ、一人じゃこいつには絶対に勝てない。そう伝えたくても口も動かない。くそがっ……!

 

 

「なんだこれは?バレットの結晶像…?いや、本人は何処に…まさか!」

 

「ギィアアアアアアッ!」

 

 

 待ってましたと言わんばかりにメル・ゼクスが翼で自身を覆うとフィオレーネの目の前に瞬間移動して翼爪を振るう。反射的に盾でパリィするフィオレーネ。さすがだ。

 

 

「この…バレットの仇だ!」

 

 

 いや俺死んでないが。そのままくるりと宙返りして尻尾を叩き付け続けざまに雷光ブレスを放つメル・ゼクスの攻撃を避け、すぐさま飛び込んでジャストラッシュを叩き込むフィオレーネだったが、フィオレーネとメル・ゼクスの間に結晶の壁が形成されて防がれ、メル・ゼクスは壁を貫いて尻尾で攻撃。

 

 

「しまっ…があっ!?」

 

 

 フィオレーネは片手剣を持ってる手を掴まれて振り回され、破壊された壁の残骸である結晶の粉塵の中に叩きつけるメル・ゼクス。どうやら気絶しているらしいフィオレーネの四肢も固まって行き、フィオレーネも意識を取り戻すことなく完全に結晶像に変えられてしまった。

 

 

「ギィアアア?」

 

 

 俺達の間に降り立ち、交互に眺めて何が楽しいのか嗤うメル・ゼクス。不味い、不味い、不味い。こんな身動きが取れない状態で致死ダメージを受けたら、さすがのハンターの肉体でも…!?

 

 

ァァァァアアアアアッ!

 

 

 うん?なにか聞こえた。なんだ?風の音…いや、違う。首が動かないので目だけ動かして空を見る。黄金の輝きがちらっと見えた。

 

 

ァァァアアアアアアアッ!!

 

 

 

 メル・ゼクスも首を傾げて夜空を見上げる。それはさながら夜空を駆る彗星。声が、否咆哮が聞こえてきた。視界を埋め尽くすのは黄金の煌めき。

 

 

 

「グゴアァァアアアアアッ!」

 

「ギィアアアアッ!?」

 

 

 そして空から落ちてきた、結晶から解放されたシャガルマガラがメル・ゼクスを押し潰して激突。その背から五人の影が飛び降りる。シャガルマガラの背には、交差した狩猟笛二本を担いだ男が鉄蟲糸を掴んで操っていた。

 

 

「よしっ!無茶苦茶だったがなんとかなったな!」

 

「も、もう二度と尻尾に掴まるなんてごめんにゃ…」

 

「俺なんて翼脚だぞ……」

 

 

 太刀使いが満面の笑みを浮かべ、双剣使いのアイルーのハーフとスキンヘッドのハンマー使いが青い顔で溜め息を吐く。

 

 

「で、なにこれ?」

 

「まさか結晶やられ!?いや、違うか…とにかく助けないと!」

 

 

 慌てて白髪ポニーテールの少女と黒髪ツインテールの少女という対照的なコンビが俺達に駆け寄る。

 

 

「よし、シャガルマガラ!手伝ってやるから仕返しするぞ!」

 

 

 そして相変わらず狩猟笛使いが楽しそうに吠えていた。相変わらずだなお前。なんか安心したわ。負ける気がしねえ!ってやつだ。




メル・ゼクスの脅威、結晶化。粉塵状になった結晶を操って対象を固めて硬化させるもので、結晶やられとは別物です。ソロで挑むと絶対勝ち目がないというものになってます。雷電と結晶生成とキュリアの力を同時に行使できるのはどう考えても強い。

バレットのヘビィボウガン+ライトボウガン+片手剣で応戦したけど一歩及ばず。フィオレーネに関しては薄いなにかでありそうですね。

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サンブレイク編キャラ設定、そして

どうも、放仮ごです。現在台風に怯えながらいつものパソコンじゃなくてスマホで書いてます。とりあえず18時を乗り越えれば、うん。

今回はろくに書けないので設定となります。最後には……?楽しんでいただければ幸いです。


結晶皇(けっしょうおう)ライゼクス/爵電龍(しゃくでんりゅう)メル・ゼクス

 特典「結晶生成」を得て転生したライゼクスの雌個体。名前は結晶皇后の略で転生前も女。密林の頂点に位置する外天種。最後に参戦しているが今回のメインモンスター二匹のうちの一体。

 結晶の影響による虹色の体と虹色の電撃が特徴。電流をよく通す結晶を電池代わりに扱い常時電荷状態を維持しているが、その弊害で理性が蒸発している代わりに、電流で活性化している脳の働きが速く知性が高いため特典を活用した広範囲攻撃で瞬く間に周囲の外敵を殲滅する。掲示板などに現れた場合叫んでばかりで意思疎通が難しいが某なぎこさんの口調で喋る。また結晶を用いているトサカや翼は部位破壊されても再生が可能。

 ライゼクスの生態通りの生き方して来たが、その圧倒的な力で生き延びてきたため凶暴では無い。しかし理性蒸発していてテンションが高過ぎるため獲物を見つけるとじゃれつく様に遊ぶのだが、加減を知らないため被害がとんでもない。手に負えないバーサーカーもとい暴君。

 兄貴分で能力ゆえに対抗できる千刃の追跡者セルレギオスぐらいしか制御できなかったのだが、キュリアのウイルスに感染し少しだけは有していた理性のストッパーが外れて自身から生き延びたハンターたちと遊ぶために暴走。外天種を退けた挙げ句にメル・ゼナを討ち倒して捕食し爵電龍メル・ゼクスへと変貌を果たした。

 メル・ゼクスに変貌すると3000以上の巨体を誇るパワーファイターで全身に迸る雷電で古龍以上のパワーを発揮し、往来の能力にプラスしてメル・ゼナの能力も行使可能で、自分の体に宿らせているキュリアのウイルスで出力を上げた雷電や結晶生成も使いこなして「遊ぶ」ことに全力を尽くす。

 

 

 

 

 

大地母蜘蛛(だいちぼくも)ヤツガタキ

 超巨大な鋏角種で、ヤツカダキが偶然大穴に巣を作ったことで引っ掛かったキュリアを餌にしていくうちにその膨大なエネルギーを溜め込んで突然変異した特殊個体。今回のメインモンスター二匹のうちの一体にしてバレットの宿敵。

 蒼い体色で銀色の鋼の様な糸を操る。最大の特徴は腹部に通常のヤツカダキや亜種を何体も巣食わせていて、配下としており大穴の中腹である淵劫の奈落に巨大な巣を作り一族の繁栄に全力を尽くしている。そのため深淵の悪魔と思われてるが……?

 普段は全身を覆う糸に鏡の様に風景を映して擬態することも可能で、これは糸を分配することで配下のヤツガタキたちも同様に可能。巨体を隠しつつ各地を巡り餌を集めている。種族の繁栄を第一としており、ヤツカダキで作ったヘビィボウガンを有しているバレットは敵だと認識している。

 長い節足を用いて格闘戦も可能で、体内の炎を熱線として用いたり巨体を利用して凄まじい戦闘力を誇る。キュリアのウイルスを流し込むことでモンスターを狂暴化することが可能で、それを用いてモンスターを疲弊させることで巣まで連れ帰り子供たちの餌にする。

 現在は大人しくしておりなにかを待っているようだが……?

 

 

 

 

 

千刃(せんじん)の追跡者セルレギオス

 結晶皇ライゼクスの「遊び」からたびたび生き延びて懐かれてしまい兄貴分となった苦労人系飛竜。「弾道操作」の特典で飛ばした刃を誘導ミサイルのごとく操ることが可能で、それを用いて雷撃を誘導することで結晶皇ライゼクスに対抗できる。外天種には及ばないものの首狩り稲妻旋風などと同格の実力者。ネグレマガラの姿を確認したり結晶皇のストッパーだったり縁の下の力持ち。

 

 

 

 

 

星雲龍(せいうんりゅう)ネグレマガラ

 名無しの転生渾沌に呻く黒蝕竜を掲示板で名乗っていた転生者の正体で城塞高地の外天種。目が見えない上に転生者が周りにいなかったため自分が渾沌に呻くゴア・マガラだと勘違いしていた。シャガルマガラの亜種みたいな存在で、人間からはとっくに認知されて城塞高地のモンスターを圧倒する様から外天種に該当され名付けられたが当の本人は知りもしない。

 列記とした古龍種であり盲目でありながらも凄まじい戦闘力を誇る。星雲の様な体表は爆発やエネルギーに変換可能な濃縮された狂竜ウイルスに覆われており白切れ味でも歯が立たない。文字通り星雲の様な全身から放たれる狂竜ウイルスを用いた爆撃がメイン武器。名前の由来はネビュラ(星雲)とゴア(gore)やガル(garu)に近い発音から。転生特典は「変容進化」

 

 

 

 

 

極断刀(きわみだち)ショウグンギザミ

 鉱石を食べて生み出した唯一無二の虹色の鉱石の甲羅を背負った、逆刃刀みたいな鎌が特徴のショウグンギザミの外天種。結晶皇と色合いが似てるがあちらは結晶、こちらは鉱石。

 転生者であり、「永続剛刃研磨」という特典を持って転生したギザミと太刀が大好きな男。ひたすら生きるため斬り裂き続けたらテリトリーに入った物を見境なく斬り裂く凶暴な性格となった。たいていの相手は一刀両断できる。

 

 

 

 

 

・ヨツミワドウ亜種

 通称「轟雷童(ごうらいどう)」体内に発電器官が存在する雷属性のヨツミワドウで、結晶皇ライゼクスが支配しようとしない密林を代わりに制していた支配者だった。

 全身に駆け巡る電流で筋肉を活性化させ、相撲ではなくボクシングスタイルで戦う。電撃ブレスや電撃を纏った拳、四股による雷の衝撃波とナルハタタヒメの様な攻撃をする。ウリナマコを食べることで腹部を膨張させ電気を纏って突進するのが脅威。コンセプトはラージャンみたいなヨツミワドウ。

 電流で心臓を活性化させたり隠し持ってるウリナマコで体力を回復させることもできるのでしぶとい。実力的にはエスピナスをも越えて密林No.2。バレットたちに倒されてなお不意打ちしようとしたものの、最期は結晶皇ではないライゼクスに急襲されて息絶えた。そのため密林は支配者のいない無法地帯と化していた。

 

 

 

 

 

クエスト名【蠢くは百蟲夜行、嗤うは結晶皇后、目覚めるは深淵の悪魔】

 

 

終曲極まれり、終局来たれり、黒き太陽で巻き起こるは個と群の大戦争

 

人を、竜を、龍を、自らの種を脅かす生きとし生けるもの全てを喰らいし百蟲夜行

 

集えよ遊べ、命を懸けて、お転婆皇后のお膝元に

 

唸り響く黒き太陽から目覚めしそれは天上の陽を喰らわん

 

―――――空亡くす暴君大地帝、●●●●●●




深淵の悪魔となるのは誰だ!(すっとぼけ)

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【極限化】強すぎる奴の弱点【虹に染むる夜宴】

どうも、放仮ごです。無事台風を乗り越えられました。うん、無事(玄関の窓にひびが入ったり風で開いた倉庫を閉めるためにずぶ濡れになったりした)。

今回はメル・ゼクスとの対決一応の決着。楽しんでいただければ幸いです。


「いくぞシャガルマガラ!」

 

「グゴアアァアアアッ!」

 

 

 ヒビキがその背の上で鉄蟲糸を引っ張り、シャガルマガラが咆哮をあげて一度後退。勢いをつけて突撃してメル・ゼクスと取っ組み合い、体格差をものともせず殴り付けていく。

 

 

「ギィアアァアアッ!」

 

 

 メル・ゼクスも負けじと蹴りつけて怯ませると結晶を纏った翼を連続で叩きつけてしっちゃかめっちゃかにシャガルマガラとヒビキをタコ殴りにする。よくも邪魔してくれたな!と言わんばかりの猛攻だ。

 

 

「それ以上させるか!模倣剣術、炎の呼吸()ノ型、盛炎のうねり!」

 

 

 するとその間に飛び込んで特典の「剣術適正」を発動し自身を中心にして夜刀【月影】を渦巻く炎のように振るってメル・ゼクスの攻撃を薙ぎ払うミクマリ。創作の剣技を模倣できるのいいなあ。

 

 

「ナイスだミクマリ!いっせーのーで!」

 

「グゴアアァアアアッ!」

 

「鬼猫乱舞【豹】、にゃあああああ!」

 

「インパクトクレーター!」

 

「大地納刀・抜打激昂斬!」

 

「ギィアアアアッ!?」

 

 

 ミクマリに防がれたばかりか弾かれて大きく体勢を崩したメル・ゼクスに、演奏でバフをかけたヒビキと極太レーザーを放つシャガルマガラ、履いているブーツから鋭い爪が飛び出させて四足歩行でその巨体を駆け巡り斬撃を浴びせて切り刻んでいくエスラと大きく跳躍してハンマーを叩き付けたアンテムの一斉攻撃が炸裂。メル・ゼクスは空中から叩き落とされて、さらに地面に突き刺した大剣を手に取り引き抜いた勢いで叩き付けたマシロの一撃を受けて悲鳴を上げる。

 

 

「よっと。二人とも、大丈夫?」

 

「ああ、助かった」

 

「恩に着るぞナギ」

 

 

 そうこうしている間に俺とフィオレーネもナギがランスの柄で表面の結晶を小突いたことで砕け散り解放され、各々の武器を構える。結晶やられを知っているナギがいてよかった。

 

 

「二人とも掴まって、ブラストダッシュ!」

 

 

 ランスを背中に担ぎ、ガンランスを構えたナギの言葉に頷いてフィオレーネと二人でしがみ付くとガンラスで空をかっ飛ぶナギ。その先には飛翔して雷電を纏った結晶弾の流星群を降り注がせて結晶化で固めて行くメル・ゼクス。ナギは勢いのまま俺達をメル・ゼクスの頭上から飛び降りさせた。

 

 

「いっけえ!」

 

「先程のお返しだ!フォールバッシュ!」

 

「外天種相手に手加減はなしだ!貫通火炎ヘビィナックル!」

 

「ギィアァアアッ!?」

 

 

 急降下したフィオレーネが盾を勢いよく背中を殴りつけて体勢を崩し、顔をこちらに向けたメル・ゼクスの鼻面にヘビィボウガンを叩き付け、そこに貫通火炎弾を連射。全弾撃ち尽くした反動で銃口が離れたそれでさらに殴りつけ鉄蟲糸を括り付けた片手剣を手放してグルグルと頭上で回転させる。

 

 

「手紙越しの師匠直伝!風車(かざぐるま)糾嗣鳴(ぎゅうづめ)!」

 

 

 片手剣も使うことを決意した時に、手紙で師匠に翔蟲を使ったオリジナル技はないかと打診したところ返信で伝授された必殺技、回転して遠心力を加えた片手剣をぶん投げて敵の体に巻きつけて上手く引っ掻けることで固定し縛り上げる、斬撃の如き締め付けを浴びせる。メル・ゼクスがでかいせいで右翼の肩口しか巻きつけられなかったが十分だろう。

 

 

「ギッ……ギィアアアアッ!?」

 

 

 まるで泣き喚くかのような悲鳴を上げながら翼を羽ばたかせることができずに落下し、地面に激突した衝撃で放電し結晶の欠片を散乱させるメル・ゼクス。激突直前に拘束を解いて飛び降りた俺は、ナギに助けられた面々と共に並び立つ。シャガルマガラはさっきの攻撃のあと解放されたのか姿は見えない。…しかしまあ、ゲーム画面上の「弱った」という青いマークを見てちょっと考えていたことだが確信に変わる。メル・ゼクスこと結晶皇。こいつ、多分他を蹂躙することが得意なせいで痛みに慣れてない。強すぎた弊害だな、激痛で動きが止まる。そう分析しているとバンバンと背中を叩く者がいた。マシロだ。

 

 

「すごい、さすがバレット!」

 

「めちゃくちゃ痛そう(小並感)」

 

「なんだ今の技、あと教えろバレット」

 

「お前、片手剣用の技を狩猟笛で再現する気か…」

 

「さて、捕獲でいいんだったか?」

 

「キュリアのウイルスの影響を研究できるのもあるが、なにより外天種たちのバランスが崩れることでなにか起こるかもしれないから極力殺さない方がいい、とはバハリの談だ」

 

「…個人的に討伐はしたくにゃいし捕獲にしてくれると嬉しいにゃ」

 

「珍しいなエスラ。大体容赦なく討伐してるのに」

 

 

 会話しながらそれぞれ捕獲の準備を始める俺達。捕獲できるラインには到達しているはずだ。念のためシビレ罠、落とし穴に加えて毒毒落とし穴を特例で、全員が持って来た。これだけあれば……っ!?

 

 

「ギィア……ギィアァアアッ!」

 

 

 深手を負った翼を気遣うように二本の足で立ち上がったメル・ゼクスが咆哮を上げる。すると砕け散って粉塵と化していた結晶が渦を巻く様にメル・ゼクスを覆いつくし、翼の羽ばたきと共に霧散するとメル・ゼクスの右翼の深い傷は結晶に覆われて特に問題なく動いていた。前世のコールドスプレーみたく細かな結晶を吹きつけて応急処置したってのか!?

 

 

「ギィアアアアアアアッ!」

 

 

 咄嗟に構えた俺達を襲う人数分の鋭い結晶塊、をそれぞれ避けた所に間髪入れず襲いくる雷撃。先に撃たれた結晶塊が避雷針の役割となって俺達に雷撃が直撃し、スタンさせる。そのまま地面を両足で踏みしめて莫大な放電を行いながら翼を振るい、まるで竜巻の如く結晶の粉塵を操って俺達に叩きつけてきた。

 

 

「ぐううっ!?」

 

 

 シールドで防御することも敵わず、全身切り刻まれて身体の前面も結晶で固められてしまう。まだ足は動くが、手が動かない。全員だ。不味い、この状態で奴の一撃を受けたら耐えきれるか分からんぞ!?ただでさえ奴の操る結晶は電導性がいいのに…!

 

 

「ギィギアァアアアッ!」

 

「…一瞬の油断で敗北か、モンハンしてやがる……」

 

 

 これで終わりだ、と言わんばかりに咆哮して、頭上に∞を描く結晶塊を形成して回転させるメル・ゼクス。例の流星群だ、万事休すか……そう諦めかけたその時だった。空から凄まじい勢いで嵐が如き刃の雨がメル・ゼクスに降り注いできたのは。

 

 

「ギィアァアァァッ!?」

 

「なんだ…?」

 

 

 鋭く長い刃は返しが付いていてメル・ゼクスの翼すら貫いて地面に縫い付けている。そして雲を突きぬけたかと思えば何かが飛来して、メル・ゼクスの鋭い結晶の生え揃った背中へと流星の如く飛び蹴りを叩き込んで砕け散らせた。

 

 

「ギィ…アァ……」

 

「グルグオアアアアアアッ!」

 

 

 完全に気絶したメル・ゼクスを両足で踏み潰してこちらを一瞥して咆哮を上げたのは、眼が赤く発光し、黒みがかった色に染まった刃の様な鎧を紅い月光に煌めかせる千刃竜セルレギオス。鳴き声も生物とは思えないおぞましいものになってる。これは、メル・ゼクスの兄貴分のセルレギオスなんだろうが……

 

 

「…極限、化?」

 

 

 固まっているものの頑丈な身体のおかげか口を動かせたナギが俺達の代わりに声を絞り出す。狂竜ウイルスに感染したモンスターが、ウイルスを克服して己の力とした姿が極限状態モンスターだ。ウイルスを完全に支配した上で己の力として取り込んでいて、強化された自身の力に加え、シャガルマガラの力も使えるというふざけた、それこそ「謎」「ありえない」「反則」の領域に達している存在である。

 

 

「グルグオアアアッ…」

 

 

 そんな理不尽極まりない存在であるセルレギオスだが、俺達に興味がないのか一瞥するとメル・ゼクスの砕け散った背中を両足で掴むと翼を羽ばたかせてその場を去って行った。…助かった、のか?結晶化して動かない俺達は少し経ってから救出に来たエルガドのハンターたちに助けられ、おめおめと帰還するしかなかった。……逃がしてしまったわけだがこれからどうなるかねえ。

 

 

 

 しかし俺達はその時気付いていなかった。メル・ゼナ及びメル・ゼクスに、外天種の大半。強力なモンスターたちが軒並みいなくなったor弱体化した機を見計らって、蠢く奴らが動き出したということに。




重傷も即再生できる上に大技連発するメル・ゼクス。勝てるわけないと言わんばかりの大暴れに、極限化した兄貴分到着により撃墜。ネグレ君の協力で極限に至りました。結構リスキーだけどメル・ゼクスを止められる外天種級の力を手に入れました。

というわけで引き分けです。最初は捕獲するつもりだったけどネグレいるんだしということで。そして、ついに動き出す奴等。待っていたのは「機」でした。実はメル・ゼナやメル・ゼクスや外天種たちに睨みを利かせられていたのだ。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【お兄ちゃんはバーサーカー】溢れだした深淵の災厄【最強兄妹】

どうも、放仮ごです。今日は用事ばかりで20時まで書けませんでしたがなんとかなりました。

今回は前回の舞台裏と…?楽しんでいただければ幸いです。


数刻前

 

 

・・・・・・・・

 

 

61:名無しの転生千刃竜>>1

だれか俺達の世界の奴、へるぷみー

 

62:名無しの星雲龍

不覚ぅ……

 

63:名無しの転生傘鳥

どうしたんライゼクスちゃん止めに行ったんじゃないの?

 

64:名無しの毒牢姫

あれから数日たっているのですが、我等外天種が三体もいてこの様とは…

 

65:名無しの灼翼王

あそこまで強いとは……正直なめてた

 

66:名無しの滅雷刃

まさかライゼクスの奴に負けて逃がしたのか?

 

67:名無しの転生千刃竜>>1

ライゼクスのやつ、キュリアのウイルスに感染していた…あの馬鹿でも考え無しに暴れる訳がないと思ったらこれだ…現在岩盤に押し潰されていて全員動けない。一応あちらに赴いて状況は伝えたんだが……メル・ゼナを倒した上で喰らってメル・ゼクスとかいうのに進化したらしい

 

68:名無しの転生大海の王

メル・ゼクスとかなにそれやばくないか?いやハンター側の転生者が事情を知ってるならまだマシだけどさ

 

69:名無しの雪夜叉

経験者として言うがとにかく暴れたくてしょうがなくなる上にいつも以上に力を出せる。そりゃ勝てないわな

 

70:名無しの転生銀嶺巨獣

ただでさえ戦闘狂なライゼクスがそうなった上に進化した…ってことぉ?

 

71:名無しの転生先生

未知の存在な上に見境なく暴れるなら早く止めないと不味いですよ!

 

72:名無しの転生ドス狗竜

最悪、人里を襲ってハンターとの戦争になるぞ

 

73:名無しの塵魔帝

砂原に来たら俺が止めるが……灼翼王やネグレで駄目なら無理そうだな

 

74:名無しの星雲龍

ぐう…こうなれば奥の手……

 

75:名無しの毒牢姫

なにをする気ですかネグレさん、爪に狂竜ウイルスを集めて…?

 

76:名無しの星雲龍

さすがに外天種は危険だがセルレギオス!お前に狂竜ウイルスを感染させる!上手く行けば極限化して脱出できるはずだ!覚悟はあるか!?

 

77:名無しの転生千刃竜>>1

俺はあいつの兄貴分…いやお兄ちゃんだからな。当たり前だあ!

 

78:名無しの転生轟竜

英雄の紛い物か海賊王になりそうな台詞だあ

 

79:名無しの転生赤甲獣

自分から狂竜ウイルス受けるとか

 

80:名無しの星雲龍

その意気やよし!喰らえ毒突き!

 

81:名無しの転生千刃竜>>1

ぐうあああ!?

 

82:名無しの灼翼王

いやあの、尋常じゃないほど苦しんでるんじゃが…具体的に言うと我が伴侶の毒を受けたモンスターが如く

 

83:名無しの転生岩竜

そりゃ狂竜ウイルスの、ネグレのはたしか濃縮したやつだろ?死なないだけすごいわ

 

84:名無しの毒牢姫

私の毒は苦しませないタイプと苦しめるタイプの毒に変えれるので私の方が凄いです

 

85:名無しの転生傘鳥

なんであんたが自慢げなんです…?

 

86:名無しの転生大海の王

その毒牢姫を退けた結晶皇とかいうやばいやつ。いや今はメル・ゼクスか

 

87:名無しの星雲龍

正直あれ以上強いとか止めれる気がしないからセルレギオスがそれと同等かそれ以上に強くなるのを願うしか…

 

88:名無しの塵魔帝

最悪、外天種全員集まるしかなくない?

 

89:名無しの転生赤甲獣

ただでさえ大地母蜘蛛の一派を見張ってて忙しいんですけどねえ

 

90:名無しの転生先生

そうだ蜘蛛の連中もいましたね

 

91:名無しの転生ドス狗竜

俺その世界にいなくて本当によかった

 

92:名無しの灼翼王

とはいっても我らの傷も深い。治癒には時間がかかるだろう

 

93:名無しの毒牢姫

毒を生成する器官の一部が雷電を受けて機能しませんし…

 

94:名無しの雪夜叉

なに、任せておけ。俺が一人で何とかしてやろう

 

95:名無しの滅雷刃

寝言は寝て言え。俺一人で十分だ

 

96:名無しの転生轟竜

最高戦力が喧嘩しないでくれよ……

 

97:名無しの狂竜化千刃竜>>1

どけ!!!ネグレマガラ!!!俺はお兄ちゃんだぞ!!!

 

98:名無しの転生岩竜

え、なにごと?

 

99:名無しの星雲龍

やばい。極限化したはいいけどバーサーカーになってる、やめて、蹴らないで

 

100:名無しの極限千刃竜

今行くぞライゼクス、いやメル・ゼクス!全力でお兄ちゃんを遂行する!!

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 前回の直後。密林に向けて、自分以上に巨大な古龍もどきを両足で掴んで運んでいる飛竜がいた。その飛竜もまともには見えないが。泣き喚き暴れる巨体の妹分メル・ゼクスを物ともせず、千刃の追跡者セルレギオスは怒鳴り散らす。

 

 

「ビエエエエエンッ!ごめんなさいー!ゆるしてお兄ちゃん!」

 

「こんのお馬鹿!もうちょいで転生者仲間とこの世界の主人公殺すところだったんだぞ!?最悪原作のラスボス倒せなくて詰むんだぞ!?お前頭いいからわかってたはずだよなあ!?」

 

「だってアタシから逃げれるぐらい強いのが悪いんだもんー!いだぃいいいいっ!?」

 

 

 ギィアアァアァァアッ!?と悲鳴を上げるメル・ゼクス。セルレギオスが瞬時に飛ばしてミサイルと化した鱗がおでこに直撃したためだった。結晶の鶏冠に罅が入ってメル・ゼクスは涙目だ。ただでさえ痛みには弱いのだ。

 

 

「お前がキュリアのウイルスに侵されていたのはわかっているがなあ、メル・ゼナを殺して取り込むのはやりすぎだ!てかどうやって取り込んだ!?お前そんな特典じゃないだろ!?

 

「いだだだ……それはあ、キュリアのみんながアタシの身体を作り変えて……」

 

「それを受け入れたのかお前は……」

 

「だってそっちの方が楽しそ……いだぁあいい!?」

 

 

 全然反省してないのでメル・ゼクスのおでこに再度ウロコデコピンを叩きつけるセルレギオス。溜め息を吐いていると目的地が見てきた。メル・ゼクスの生まれ故郷にして縄張りである密林だ。

 

 

「ほら、ついたぞ。当分大人しくしておけ」

 

「はーい。…遊び相手になってくれる?」

 

「当たり前だ、俺はお兄ちゃんだからな!」

 

「ありゃ?いつもと違ってすぐ認めてくれた……変なの!お兄ちゃん大好き!」

 

「ぐわあ!?しがみつくなあ!?……うん?」

 

 

 背中を鷲掴みにされたまま器用に翼と尻尾を回して抱き着いてくるメル・ゼクスに暴れるセルレギオスだったが、異変を感じ取る。いつもは生物が満ちているはずの密林に、気配がまるでしない。メル・ゼクスもそれに気付いたのかふざけるのはやめて臨戦態勢となり、二体揃って高台に着地する。

 

 

「…なんだろ、これ?」

 

「環境生物やヒトダマドリすらいないのは妙過ぎるぞ、警戒しろ」

 

「じゃあ、キュリアのみんなに探索してもらうね!お願い!」

 

 

 メル・ゼクスが翼を羽ばたかせると、全身に紅い結晶としてくっ付いていたキュリアが10体ほど分離して密林に飛び散って行く。便利だな、とそれを眺めながら掲示板で情報を得ようとするセルレギオス。だいぶ前の己の醜態は見なかったことにした。

 

 

「…ふむふむ。あれ、一匹消えた?あれ?あれ?あれあれあれ!?」

 

「外天種のみんなや赤甲獣ニキと連絡つかないな……どうした?」

 

「斥候に飛ばしたキュリア達が、みんないなくなった……なんでえ!?」

 

 

 頭を抱えて泣き喚くメル・ゼクスとは対照的に考えるセルレギオス。気配すら感じない突如として消えた生物、次々と消えて行ったキュリアたち。導き出される答えは……。

 

 

「そこだ!」

 

「ギシャアァアアアッ!」

 

 

 バサッと翼を広げて飛び散った刃の鱗をミサイルの如く射出するセルレギオス。捕らえたのは、崖の下から這いよって不意打ちしようとしていた、たった今擬態に使っていた糸を斬り裂かれて存在を露見したヤツカダキ。ただし通常と異なり本来の二倍ほどの大きさで。

 

 

「お前の仕業かあ!」

 

 

 赤雷に包まれ目の前まで瞬間移動したメル・ゼクスが巨大ヤツカダキを蹴り落とし、そのまま地表に激突。本来は飛竜の巣であるエリアに叩き落す。絶命した巨大ヤツカダキを踏み潰してふんすっ!と鼻息を鳴らすメル・ゼクスの背後から襲いかかる動く景色に刃の鱗が突き刺さり粉砕する。

 

 

「はえ!?」

 

「気を付けろメル・ゼクス!囲まれているぞ!」

 

 

 傍に着地したセルレギオスが警戒し、メル・ゼクスが見渡すとたった今倒したヤツカダキ二体の他に、擬態していたのかワラワラと姿を現す巨大ヤツカダキ達。完全に囲まれた。

 

 

「いけるな?」

 

「もちろん!」

 

 

 二体揃って咆哮を上げ、飛翔するメル・ゼクスとセルレギオス。最強の飛竜兄妹誕生の瞬間であった。




全力でお兄ちゃんを遂行する!!!私の好きな言葉です。

最強バーサーク兄妹誕生。そして溢れだすは様子がおかしいヤツカダキ軍団。ただのヤツカダキじゃないぞ。

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【ヒキサキマクリ極】百蟲夜行の幕開け【極クルスタツォ】

どうも、放仮ごです。必要な資料が集まったのでそろそろエヴリンアカデミアとかも更新したいけどどうしてもこちらを優先してしまうジレンマ。

今回はついに大地母蜘蛛との最終決戦開幕!楽しんでいただければ幸いです。


 あとから来たエルヴァスたち待機組ハンターに救出され、帰還した俺達。傷を癒し、メル・ゼクスの情報を待っていたところ、例にもよって呼び出された。今回はエルガドにいるハンター全員がいた。

 

 

「…メル・ゼクスの狩猟失敗で士気が下がっているところすまない、諸君らの力を借りざるを得ない事態が起きた。王国並びにこの世界全ての危機だ」

 

 

 そんな提督の言葉にどよめく一同。そこにフィオレーネとバハリがやってきた。

 

 

「各地の観測班からの報告だ、メル・ゼクス撤退から程無くして……大社跡、寒冷群島、水没林、砂原、溶岩洞、密林、城塞高地を始めとした、“サン”から一定区域内の狩場に次々と未確認のヤツカダキと思われるモンスターが大量に出現、瞬く間に大型小型問わずモンスターや環境生物が捕食されてしまったとのことだ」

 

「同時に“サン”の淵劫の奈落で大人しくしていた大地母蜘蛛も動き出した。正確には巣で繁殖させていた通常の二倍の大きさを持ち大地母蜘蛛と同じ銀色の糸を操り擬態できる未確認のヤツカダキ……通常種や亜種と区別するために特殊個体、銀蜘蛛ヤツカダキを次々と出撃させているようだ。彼らを中心に古龍でさえ餌にされている。その数、銀蜘蛛が50体以上、通常種が500体以上、亜種が200体以上…正直言って数えきれない。このままでは生態系が完全に破壊されてしまうだろう」

 

 

 バハリの説明にハンターたちがざわざわとざわめき出す。気持ちは分かる。そんな数の大型モンスター、それも通常種でさえ上位が担当するヤツカダキの軍勢を倒せというのだ。ギルドからしても承知の上での無茶振りだろう。

 

 

「ギルドはこの現象を「百蟲夜行」と呼称し、動けるハンターすべてに対処してもらう事となった。目的は大地母蜘蛛の討伐及び大地母蜘蛛が率いるヤツカダキの軍勢の駆除、及びそれ以外のモンスターの保護だ!」

 

 

 提督の号令に頷く俺達。ついに恐れていたことが起きたという訳だ。ここ最近大人しくしていた大地母蜘蛛とその一団。メル・ゼクスの影響で強者たちが弱り切ったところを狙ってきたか。野生の勘か単に賢いのか……まあどちらでもいい、倒すだけだ。

 

 

「提督、私達は大地母蜘蛛本体を…」

 

「…ああ。フィオレーネと猛き炎の四人には淵劫の奈落に居座っている大地母蜘蛛を討伐してもらう。何度か交戦したお前たちが適任だとギルドも判断した。もう少し増やしたいところだが人手が足りない。いいな?」

 

「奴の糸に関しては秘密兵器がある。バレット、マシロ。来てくれ」

 

 

 そう言うバハリに連れられて、準備に向かうフィオレーネ達三人と別れた俺とマシロがやってきたのはバハリの研究室。中に入れられると、机の上に二つの武器が並んでいた。虹色の光沢を持つ太刀と片手剣だった。太刀の方には炎の様な鍔が付けられており、照明を受けて輝く白い鞘が並んでいる。

 

 

「素材の問題で二人の分しか作れなかった。極断刀(きわみだち)ショウグンギザミの鎌を材料に作成した『ヒキサキマクリ(きわみ)』と、『(ごく)クルスタツォ』だ。俺とハモンさん、そしてヒビキの合作さ」

 

「ハモンさんとヒビキの…」

 

 

 ヒビキ最近どこか行ってると思ったがそんなことしてたのか。

 

 

「これらには『永続剛刃研磨』というスキルが付与されている。どんなに硬い糸だろうが決して刃毀れせず、一回砥ぐごとに切れ味を上げて行って斬り裂ける代物だ。大地母蜘蛛の糸を斬れることはサンプルで実証済みだ。斬ったのが太刀の達人のミクマリだってのが不安点だけど」

 

「それなら大丈夫だ、マシロだって負けてない」

 

「あ、でも純鉱石製で重いから気を付けて…」

 

「よっと」

 

「そういや太刀と大剣を二刀流で使う子だったね…」

 

 

 軽々と片手でヒキサキマクリ極を持ち上げたマシロに苦笑いするバハリを尻目に俺も極クルスタツォを持ってみる。…なるほど、ちょっと重いな。形も剣と言うよりは刀に近い。でも重さを利用して勢いよく斬り裂けそうだ。

 

 

「頼んだよ猛き炎。でも無茶はしないでくれ。俺達も深淵の悪魔対策は用意しているからね」

 

「深淵の悪魔対策?もしかして「船」のことか?」

 

 

 噂話で聞いた。新型の狩猟船が完成したと。でもラギアクルスみたいな大型の海を泳ぐモンスターも近くにいないのになんに使うかと思えば…深淵の悪魔、つまり大地母蜘蛛用だったわけか。

 

 

「ご明察だバレット。まあそれは最後の手段だ、使わせないでおくれよ?」

 

「任せろ、メル・ゼクスは逃がしたが奴は必ず仕留める…!」

 

「カムラの里のハンターの名に懸けて!まっかせて!」

 

 

 そう言い残して俺達はその場を去り、船に乗って旅立つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わらわらわらと、穴から這い出てくる蜘蛛の群れを監視員たちがライトボウガンやヘビィボウガンで撃って押し止めている光景が見える。しかし銀の糸を纏った二倍のサイズのヤツカダキ…銀蜘蛛に瞬く間に返り討ちにされ、ヤツカダキは海を上を歩いて散開していく。あれは……糸が海面に張り巡らされているのか。それで移動を……厄介な。エルガド方面以外の海は糸に覆われ全滅していると言っていいだろう。

 

 

「ベースキャンプは既に破壊されている。奴等がいる中を突っ切ることになる。覚悟はいいな!ついてこれるか?」

 

「ついてこれるか、じゃないよフィオレーネさん。そっちこそついてきやがれ、だ」

 

「右に同じ」

 

「左に同じだ」

 

「今更あの程度で恐怖を抱くほど弱くはないさ」

 

 

 嘘だ。正直言って全滅間近まで追い込まれた大地母蜘蛛はトラウマになっている。あの数となると当然だ。だが負けない、負けてたまるか。

 

 

「さすがだ猛き炎。行くぞ!」

 

 

 フィオレーネの掛け声と共に船が“サン”の淵である陸地に乗り上げ、俺達は各々の武器を手に飛び降りる。目の前には視界を埋め尽くすほどの数で海を渡る順番待ちをしていたヤツカダキたち。通常種と亜種がわらわらと俺達に視線を向け、大穴の前である奥には三体の銀蜘蛛が監督する様に控えている。

 

 

「いくぞおお!シールドタックルァアアアッ!!」

 

 

 次々と吐き出される糸の斬撃を盾で受け止めながらガンランスを振り回して突撃するナギに続き俺達。ナギは振り回したガンランスが当たるたびに砲撃を繰り出して怯ませていき、そこを盾で殴りつけて押し返していく。

 

 

「鉄蟲糸弾装填、機関竜弾装填。二丁ボウガン乱れ撃ち!」

 

 

 それに続くは俺。ライトボウガンに鉄蟲糸弾を装填し、ヘビィボウガンの弾倉には特殊弾を装填。連射力に長ける二種類の弾丸を撃ちまくって横から襲ってくるヤツカダキを迎撃する。近づきすぎた奴にはヘビィナックルをお見舞いだ。

 

 

疾走風車(しっそうかざぐるま)!」

 

 

 フィオレーネも走りながら風車を発動して片手剣と繋がった鉄蟲糸を振り回して迎撃。通常種や亜種の糸を斬り刻みつつ、横から首を伸ばしてきたヤツカダキにはシールドバッシュが叩き込まれる。

 

 

「共鳴音珠・走奏葬(そうそうそう)!」

 

 

 ヒビキは鉄蟲糸で玉を作って背後に転がしながら演奏し続け、背後から襲いかからんとするヤツカダキたちを吹き飛ばしていく。ナギが前方、俺とフィオレーネが左右、ヒビキが後方を担当するこの陣形は船の中で話し合った物だ。そしてその中心にいるマシロは、威合の構えを維持したまま走り続けていた。

 

 

「っ、見えた!マシロ!」

 

「頼んだぞ!」

 

「切り刻め!」

 

「いけえ!」

 

 

 そして銀蜘蛛三体が本腰を上げて大地母蜘蛛譲りの銀の糸を伸ばしてナギの盾を貫き始めると俺達は陣形を変えて、俺とフィオレーネも前方の防御に加わりナギは急制止、その背後でヒビキが右肩に担ぐように狩猟笛を構え、その上にマシロが飛び乗ると勢いよく振るって投擲するのと同時に走り出す。

 

 

 

「私流威合…!」

 

 

 キリモミ回転するマシロは空中でヒキサキマクリ極を握った手に力を込めて勢いよく引き抜き、摩擦で赤熱するそれを逆手に構えて横に回転した勢いで三体を纏めて薙ぎ払うように斬り裂いた。

 

 

倶利伽羅凪斬(くりからなぎ)ッ!!」

 

「「「ギシャァアアアアッ!?」」」

 

 

 首を断たれた三体の銀蜘蛛が崩れ落ち、俺達はそのまま大穴に飛び込んだ。眼下には全身に大量のヤツカダキをしがみ付かせて鎧のようにした巨体でこちらを見上げる大地母蜘蛛ヤツカダキと、その巣の全貌。

 

 

「決着を付けるぞ大地母蜘蛛ッッッ!!」




最後のシーンはゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの最終決戦の城の地下へ降りるシーンをイメージ。アイツも蜘蛛みたいで好きです。

大地母蜘蛛と通常種、亜種の間みたいな言うなればラフム的存在、銀蜘蛛ヤツカダキ登場。前回登場した二倍個体です。簡単に言えば大地母蜘蛛と同じ糸を操れる精鋭個体。

オリジナル武器、ヒキサキマクリ極と極クスルタツォ。戦利品から作成したものです。その威力は銀蜘蛛相手に折り紙つき。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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ある一匹の蜘蛛の独白

どうも、放仮ごです。今日は早めにできました。

今回は今まで謎に満ちていた大地母蜘蛛視点の話。どんな悪にだって理由はあるのだ。楽しんでいただければ幸いです。


 私は、弱かった。悔しかった。憤慨した。日夜縄張り争いを行う竜や凶暴な猿どもが我がもの顔で支配する砂原で私は生まれた。当時は人間どもからツケヒバキと呼ばれていた時代、母親が餌を集めに離れた隙を突いて姉妹がみな、人間どもに駆逐された。私は運よく駆除を免れた。

 

 

「ツケヒバキを駆除する依頼の数はこれで合ってるよね?兄者」

 

「そうだな。倒し過ぎると環境に影響を与えるからこれ以上やるのは駄目だ。帰るぞ弟者」

 

 

 その理由は、依頼された数の駆除を終えたからなのだと人間たちは言っていた。その後、帰還して私しか子供が残ってないことに怒り狂った母親が暴れたが、それを理由として母親も残りの姉妹ごと人間どもに殺された。

 

 

「暴れなければ殺す必要はなかったんだがな」

 

「安らかに眠ってくれヤツカダキ」

 

 

 ふざけるなと思った。お前たちのせいなのに、お前たちが殺すのか。だが私は弱かった。母親に加勢せず、糸で作った繭に土を被せてその中に隠れていた私は弱かった。必死に隠れながら糸で罠を作って狩りをして餌を確保して捕食し、長い年月をかけて成長していった。母と同じ体躯…人間から言わせればヤツカダキとなり、子供も得て砂原で大人しく過ごしていたところ、奇跡的に生き延びていた姉と出会った。

 

 

「そうか、母は…人間どもに……」

 

「私はなにもできなかった、すまぬ…」

 

「いや、お前が生きていただけでも私は嬉しい。これからは共に生きよう」

 

 

 嬉しかった。孤独で寂しかった心が埋まって行く感覚がした。だがそれは、長くは続かなかった。塵魔帝ディアブロスと古き龍クシャルダオラがどちらが砂原を制するかで縄張り争いを始めたのだ。それは苛烈だった。奴らの激突と重なるように砂嵐と竜巻が吹き荒れて、それに巻き上げられた巨岩の直撃を受けて姉は死んだ。力ある者にとって我等は視界にも入らぬ虫けらだと言わんばかりに、無惨に、無意味に殺された。それを機に、あんな奴等の支配を受けてなるものかと私は子供たちと共に砂原を出て旅することにした。

 

 

 住み心地のいい溶岩洞や、体質に合わない水没林や寒冷群島、大社跡に城塞高地。人間たちにそう呼ばれていた地を転々とし、どこもかしこも飛竜を中心に縄張り争いを行っていて弱い者は淘汰され、安寧の地はないのだと悟った。ならば作るしかない、そのための場所を探そう。

 

 

 そして私は赤い光に誘われるように、城塞高地近くの穴に潜り込んだ。巨大な穴を壁伝いに移動していくうちに、ここは静かで外敵がいないと悟って巣を作ることにした。下に何かいる気配はしたが、特に気にならなかった。できるだけ広く、快適に、狭く暗くとも我が子も過ごせる住処を。

 

 

「母、母。変なものを見つけた!」

 

「どうした、我が子よ?」

 

 

 そんな思いでせっせと巣を作っていたところ、なにかが引っかかっていたのを子供の一人が見つけた。それは赤い光だと思っていた小さな生物だった。体は小さいが大きな力を感じる不思議な生物だ。世は弱肉強食、一思いに食ってみると凄まじい力が体に漲った。見れば、何匹も馬鹿正直にその生物は巣に引っかかってくる。私はあることを思いついた。この力を集めれば、飛竜どもすら駆逐してあの大地を我らのものにできるのじゃなかろうかと。

 

 

 私は早速外に出て、強くなった力を行使して次々と獲物を狩って巣に持ち帰った。子供たちには飛竜や獣竜の死骸を与え、私はひたすら赤い光の生物を喰らう。そうしていくうちに我が肉体は巨大に、強靭に育っていき、かつて怯えていた塵魔帝など話にもならない肉体と、かつての繭がそのまま進化したかのような景色を映して擬態できる銀の糸、赤い光の生物らが宿していた毒を溜めこみ行使する力をを手にした。

 

 

 子供たちもヤツカダキへと育ち、せっかくなので故郷を見せてやろうと腹部にくっ付かせて砂原に向かうと、ちょうどよく古き龍であるバルファルクを仕留めた人間たちを見つけた。それを横取りしてやろうと忍び寄ると、嫌な物を見た。同族で作った、武器を持った人間。姉妹たちが、母が殺されていく光景を思い出す。怒りが込み上がった。こいつだけは許してなるものかと襲いかかった。人間達の様に子供たちを散開させて取り囲み嬲り殺していたが、塵魔帝に邪魔されたので腹いせにボコボコにした。かつて恐れた相手はそこにはいなかった。

 

 

 狩りを続けるうちに赤い光の生物の毒を用いれば飛竜どもを始めとした我ら以外の種は勝手に弱って狩りやすくなることを知ったので、飛竜や古き龍相手にいろいろ試しながら餌集めをしつつ、その死骸で巣を補強することを続けていたところ、巣に帰還していたタイミングであの人間が巣に入ってきた。我が家族をまた殺すのかと怒りのままに追い詰めたが逃げられてしまった。奴だけは許さん、いずれくびり殺してやる。

 

 

 城塞高地にて戦闘の音を聞きつけたので死骸の回収にくると件の人間がいた。隠れているがわかる、お前の匂いは覚えた。ここで殺すべく子供たちを差し向けると、ネグレマガラと人間に呼ばれていた古き龍が割り込んできた。迎え撃つが我が子らを殺され、怒りのままに猛攻を仕掛けるも、奴の大技を前に我が子らを殺され、悲しみのままに撤退した。奴も許さん。何時か殺して見せる。

 

 

 海を渡る術を身に着けたので密林と呼ばれる場所に行ってみると、異様に強い稲妻の飛竜に出くわし始めてまた何の成果も無く撤退させられた。あのままでは我が子たちが皆殺しにされるところだった。奴をどうにかするのも目標の一つとなった。

 

 

 ただでさえ強力な古き龍だと言うのに私と同じ赤い光の生物から力を得ているメル・ゼナとかいう奴が現れたと言う報告を孫から聞いたので当分の間は大人しくおくことにした。そのうち、メル・ゼナは例の稲妻の飛竜に倒されたが稲妻の飛竜がその力を得たという情報も得て、一匹たりとも殺されてたまるかと溜め込んだ食料で子供を増やすことを続けた。

 

 

 もう十何層にも広がった巣には数えきれない数の我が子、我が孫たちでひしめき合っている。我が力を受け継いだ子供たちもいる。壮観だ。だがこんな窮屈なところにいさせるのは忍びない。必ずや地上を我が種族のものとして、太陽の下に出させてやる。我等を底辺だと侮っていた他種どもめ。今に目に物見せてくれる…!

 

 

 それぞれの地で見張らせていた子供たちや孫たちから、強力な飛竜どもやあの稲妻の飛竜が弱っていることを知った。好機だ。人間どもも古き龍も、飛竜も海竜も、獣竜も牙獣もなにもかも滅ぼして、地上を支配し、我が種族の手に……!

 

 

「――――滅ぼせ。悉くを踏みにじれ。いらぬ、我ら以外の命はいらぬ。満たせ、我等で満たせ。我が子らよ、我が孫らよ、地上を支配すべき至高なる種は我等だと知らしめるのだ……!!」

 

 

 我が号令に、次々と巣から出て行く我が一族。地を這い、海を渡り、蹂躙しつくしてくれるだろう。次々と送り出していく。その間にも新たな子供を産み、急速に栄養を与えて成長させて送り出していく。たしかに我等は弱いかもしれぬ、だが数なら負けぬ。どんな生物だろうが数には勝てぬ。それが道理だ。

 

 

「決着を付けるぞ大地母蜘蛛ッッッ!!」

 

 

 すると上から騒いでいる声が聞こえていたかと思えば、あの人間が仲間を引き連れて飛び降りてきた。いい度胸だ。ここで殺してやる。私は鎌首をもたげて迎え撃つ、仇敵を。まずはお前から八つ裂きにして、ネグレマガラや稲妻の飛竜をも殺して我らが天に立つ…!




自分たちを踏みにじる人間や飛竜種、多種族への怨み嫉み僻みと太陽の下を自由に歩ける憧れ。「サンブレイク」にふさわしい敵となります。

要注意モンスターだった塵魔帝とネグレマガラと現メル・ゼクス。やはり外天種はそれ以外からすると別格なのだ。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【呉越同舟】女王蜘蛛謁見、クーデター【百蟲夜行】

どうも、放仮ごです。家を掃除してたら「七色いんこ」や「ミッドナイト」などのコミックという宝の山が出てきてそれを読むのに時間を取られました。

今回は大地母蜘蛛との最終決戦!そしてついに……楽しんでいただければ幸いです。


 以前と異なり、全身に子供であろうヤツカダキをしがみ付かせていかつい花嫁装束を身に纏ったような姿の大地母蜘蛛が巣の中心にすっぽり隠れていた巨体を動き出させる。四つの巨大な脚を立たせてその巨体を持ち上げ、巣の上に着地した俺達をまるでゴミでも見るかの様に見下ろして一瞥する大地母蜘蛛ヤツカダキ。

 

 

「女王謁見とはよく言った物だな。…陛下に首を垂れる時のプレッシャーと同じものを感じる」

 

「奇遇だな、俺も頭を下げてみたくなってしまった。死んでもごめんだが」

 

 

 こいつが女王で、今や支配され奴等の国にならんとする世界を考えればクーデターみたいなもんか。左手のヘビィボウガン……妃蜘蛛派生のヘビィボウガン「ルスタ・ド・フィネラ」を構え、右手を腰の後ろにやり極クルスタツォを引き抜く。フィオレーネも片手剣を、マシロも「禍ツ大剣ノ幽鬼ムダン改」ことマガド大剣とヒキサキマクリ極を引き抜いて構え、ナギは「シールドofアーネスト」ことゴアランスと「轟銃槍【虎砲】改」ことティガガンランスを、ヒビキは「禍業物・大幽鬼ウラザ」ことマガド笛と「龍天笛ホルマゼンタ」ことバルファルク笛を構える。事実上の最高戦力だ。

 

 

「ギシャァアアアアアッ!!」

 

 

 大地母蜘蛛の咆哮を合図に開戦。周囲に控えていたヤツカダキが通常種亜種銀蜘蛛選り取りみどりで襲いかかってくるのを、ナギとヒビキとフィオレーネが押し止める。大地母蜘蛛の巨体が邪魔で左右後方の三方向からしか襲いかかれないならせき止めることは可能だ。今回の要は俺とマシロだ。三人にはとりまきの排除をお願いした。

 

 

「マシロ、足場を!」

 

「うん!斬り裂けえ!」

 

 

 大地母蜘蛛のストンプを回避しながら、俺は逆手持ちした極クルスタツォで、マシロは下に構えたヒキサキマクリ極で大地母蜘蛛の周りの足場である糸を円を描く様に斬り裂いていく。炎を噴いて脚を動かし暴れる大地母蜘蛛。だがその巨体が逆に子供たちを巻き込まない様にしているため好きに動けてない。今のうちに子供たちの大半と奴を切り離す。

 

 

「ギィギシャアァアアッ!」

 

「あぶねえ!」

 

 

 巣に脚を押し付けてそのまま引きずって薙ぎ払って行く攻撃を、ヘビィボウガンのシールドで受け止め弾き飛ばされるが、その間にマシロが円を描き斬っていた。みしみしと音を立てて巣が円形に斬り抜かれ、大地母蜘蛛の重さに耐えきれず落ちて行く。

 

 

「ギシャァアアアアッ!?」

 

「よし!」

 

「第二ラウンドだ!」

 

 

 俺達も斬り抜かれた穴から飛び降りて大地母蜘蛛を追って下の巣に着地する。ツケヒバキたち幼体の遊び場なのか巨大な広場が広がっていた。大地母蜘蛛が倒れ伏していた巨体を起こして咆哮を上げる。……子供たちの大半から引き剥がせたはいいが奴の体にまだ引っ付いてるし、好き勝手暴れられる広い場所に出てしまったし、これプラマイゼロだな?いやプラスかもしれん。

 

 

「ギシャァアアアッ!」

 

 

 対峙する俺とマシロに対して、体を震わせて引っ付いているヤツカダキ一体をぶん投げてくる大地母蜘蛛。ぶん投げられたヤツカダキは岩壁に引っ付き、大地母蜘蛛と繋がった糸を巻いて引き寄せることでその巨体がこの広場全体を薙ぎ払うようにスライド、俺達は端っこによって回避する。なんちゅう攻撃範囲だ。そのままヤツカダキを回収する大地母蜘蛛を見て、子供たちの助けを借りないと高速移動はできないことはわかった。

 

 

「マシロ!」

 

「よしきた!」

 

 

 俺はしゃがんでヘビィボウガンを構えて固定。その銃口にマシロが大剣を立てかけてその上に柄を掴んでサーフィンの様に乗り込むと、俺は引き金を引いて斜め上に大剣を射出。クルクルクルと大地母蜘蛛の頭上に吹っ飛んで行ったマシロはそのまま大剣を背に背負うとヒキサキマクリ極を両手で構える。

 

 

「だーらっしゃああ!」

 

「ギシャァアアアッ!?」

 

 

 そのまま巨大な腹部に向けてクルクル横に回転して勢いをつけて斬撃を叩き込み、糸の装甲を斬られた大地母蜘蛛は腹部に引っ付けていた子供たちをばら撒いてダウン、糸の足場が大きく揺れた。

 

 

「牙突…!」

 

「ギィイイイッ!?」

 

 

 ダウンした大地母蜘蛛の頭部目掛けて、片手剣を顔の前に構えて猿真似の刺突を繰り出して貫くと分厚い糸の装甲に突き刺さって悲鳴が上がる。そのまま大地母蜘蛛は頭部を持ち上げて振り回すが、俺は突き刺さった片手剣に引っ付いてさらに突き刺して固定、左腕のヘビィボウガンに装填した貫通弾を零距離で叩き込んでいく。

 

 

「うおおおおっ!」

 

「みんな引っ付いて叩き込むの好きだなあ。私もだけど!」

 

 

 斬り裂いた反動で飛び上がり大剣を岩壁に突き刺していたマシロもそのまま大剣を引き抜いた勢いでクルクル回り一撃を頭部、それも首に叩き込む。窒息したのが「ギェエ」と小さな悲鳴が上がり、俺達は離れたところに着地する。

 

 

「糸が斬れればそんなに脅威じゃない?」

 

「いや、気を付けろ。大地母蜘蛛の名は伊達じゃないぞ」

 

 

 すると隅っこに移動した大地母蜘蛛が体を震わしたかと思えば二体のヤツカダキと一体のヤツカダキ亜種が展開。さらに二体のヤツカダキと一体のヤツカダキ亜種が身体を震わしてツケヒバキとハゼヒバキをそれぞれ五体展開。大地母蜘蛛、ヤツカダキ二体とヤツカダキ亜種一体、ツケヒバキ十体とハゼヒバキ五体で火炎放射と爆発を繰り出してきて、俺達は咄嗟に防御するが吹き飛ばされて岩壁に叩きつけられる。

 

 

「がはっ……」

 

「数の暴力すぎる……ぐうっ」

 

 

 崩れ落ちた俺達を前に、ツケヒバキハゼヒバキがヤツカダキたちに収納され、さらにヤツカダキたちを己が身に引っ付けながら歩み寄ってくる大地母蜘蛛。そのまま首を伸ばして俺達を値踏みするかの様に顔を寄せてカチカチと顎を鳴らす。くっそ、ここまでか……!

 

 

「ギィアアァアアアアアッ!」

 

「グルグオアアアアアアッ!」

 

「「!」」

 

 

 すると円形にくり抜かれた天井から重なる咆哮と共に赤い雷を纏った飛竜と、どす黒い飛竜のコンビが飛来。赤い雷を纏った飛竜……メル・ゼクスが周囲に展開した赤い雷電を纏った結晶弾を飛ばして大地母蜘蛛の表面のヤツカダキたちを吹き飛ばし、糸の装甲だけ纏った丸裸の大地母蜘蛛へどす黒い飛竜…極限化した千刃の追跡者セルレギオスがライダーキックと言わんばかりの見事な飛び蹴りを背中に炸裂。大地母蜘蛛はその巨体を崩れ落ちさせた。

 

 

「ギィアァアアッ!」

 

「グルグオアアッ!」

 

「ギィアァアアッ!?」

 

 

 大地母蜘蛛がダウンしてお気に召したのかメル・ゼクスは俺達を見てこの前の続きだと言わんばかりに襲いかかろうとしたが、セルレギオスに蹴り飛ばされ岩壁に叩きつけられて泣き喚く。調教されてるな……(汗)

 

 

「手伝ってくれるのか?」

 

「グルグオアァアッ!」

 

 

 俺の問いかけに咆哮で応えるセルレギオス。掲示板を見なくともわかる了承の意。ありがたい…!

 

 

「え、味方、なの?」

 

「そうらしい。いくぞマシロ!」

 

 

 俺はセルレギオスに、マシロはメル・ゼクスに飛び乗って操竜開始。起き上がった大地母蜘蛛はヤツカダキたちを回収。己の口と全身のヤツカダキやツケヒバキたちから全方向に向けて火炎放射で迎え撃って来たので、こちらも操竜で対抗。セルレギオスのミサイルの如き鱗飛ばしでヤツカダキたちを次々と黙らせていき、メル・ゼクスに乗ったマシロが結晶流星群で叩きのめしていく。行ける、これなら…そう思った、その時だった。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 地の底から響いてきた咆哮に、俺とマシロとセルレギオスとメル・ゼクスは反応。弱っている大地母蜘蛛の真下、結晶流星群やミサイルウロコでズタボロになった糸の足場の下から、大きな「手」が現れて大地母蜘蛛の胴体を引っ掴んだ。

 

 

「ギッギシャアッ!?」

 

 

 驚愕の声を上げながらじたばたと暴れる大地母蜘蛛の真下から足場を割いて現れた大口が噛み付き、大きな「手」で引きちぎりバラバラにしてグチャグシャと貪って行く。瞬く間に大地母蜘蛛は「それ」の餌にされて命を潰えた。さらに不思議なことが起こる。

 

 

「ギィアァアア…?」

 

 

 メル・ゼクスの体から赤い結晶になっていたキュリア達が離れて「それ」の大地母蜘蛛を優に超す巨体にくっつき結晶の鎧として纏われていくのだ。赤い結晶が消えた姿となったメル・ゼクスはその巨体を浮かばせるエネルギーがなくなったのかマシロごと落ちそうになり、セルレギオスに掴まれ難を逃れる。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 咆哮と共に足場を突き破り、その姿を現したのはイブシマキヒコやナルハタタヒメと酷似した怪物。青白い舌を伸ばした下顎が四叉に分かれる口に、赤黒い巨体。そして翼脚が変化したのだろう巨大な一対の腕。こいつこそが“サン”の下に眠っていた、キュリアの本当の主…つまり。

 

 

「こいつが……そうか、こいつか……!深淵の悪魔……!」

 

 

 深淵の悪魔は俺達を一瞥すると興味を失ったのか、岩壁を掴んで地上を目指し始めた。あんなのが地上に出たら、不味いぞ…!?




 自分の過去を語るのは死亡フラグ過ぎた。というわけで真のラスボス、原作ラスボスことガイアデルムついに参戦です!ラスボス候補だった大地母蜘蛛とメル・ゼクスを簡単に退け、地上を目指す黒き太陽がここに!

 駆けつけたセルレギオスとメル・ゼクス兄妹に大地母蜘蛛も申し分のない強さだったのだけど、本当の強者を前には意味がなかった。ただの餌でしかなかったのだ。

 巣の蓋で閉じ込められていた上にキュリアを奪われて断食していたけど隙を見て脱出してきたガイアデルム。原作とは一味違う災厄が降臨です。

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【深淵の悪魔】会心の一撃を見舞わせる【決戦型狩猟船】

どうも、放仮ごです。正直このシーンを書きたいがためにサンブレイク編やっていたまであるよね。

今回は深淵の悪魔始動。楽しんでいただければ幸いです。


 指を岩肌に突き刺して、深淵の悪魔が俺達が裂いた巣を突き破りながら登って行く。崩れた巣からフィオレーネ達三人が落ちて来て合流した。傍にはぐったりしたメル・ゼクスを掴んで羽ばたいているセルレギオスがいる。

 

 

「バレット!なんだあれは!?大地母蜘蛛はどうなった!?」

 

「あ、さっきのやっぱりメル・ゼクスとセルレギオスだったんだ。…メル・ゼクスだよね?」

 

「なんか違くないか?」

 

「多分アイツが深淵の悪魔だ。いきなり現れたかと思えば大地母蜘蛛を惨たらしく捕食し、メル・ゼクスからキュリアを奪い取ると登り始めた。どうにかして止めないと不味いぞ!」

 

「私が行く!セルレギオス!」

 

 

 マシロの言葉に頷くセルレギオス。マシロが鱗の一枚を掴むとそれを高速でミサイルの如く射出。マシロはそれに掴まって勢いよく上昇、軌道が操作され深淵の悪魔の頭上まで飛び上がった。

 

 

「私流居合!竜刀打尾(りゅうとうだび)…!」

 

 

 鱗を足場にして蹴り飛ばし、さらに翔蟲を飛ばして鉄蟲糸を伸ばすと引っ張られるように抜刀して流れに乗るように引き抜いた勢いのまま首目掛けて渾身の振り下ろしを叩き込むマシロ。しかし深淵の悪魔はビクともせず、気にせずに登って行く。嘘だろ、結晶皇の結晶のトサカを叩き割った一撃だぞ!?

 

 

「くそっ、逃がすか…狙撃竜弾!」

 

 

 落ちてきたマシロはヒビキがキャッチ。俺も特殊弾をヘビィボウガンに装填、奴に照準を向けて撃ち込む。しかし、奴の体にへばりついてた大地母蜘蛛の巣の残骸が鎧となって受け止め、狙撃竜弾は爆ぜるもビクともしない。蜘蛛糸鎧とでも呼んでやろうか。くそっ、ただでさえマシロの攻撃が効かないぐらい硬いのにさらに硬くなってやがる。

 

 

「くそっ、どうしようもないのか…!」

 

 

 セルレギオスもメル・ゼクスを掴んだまま鱗をミサイルの様に飛ばして攻撃するがやはり蜘蛛糸鎧に受け止められ気にも留めない。またもや万事休すか。すると見知った顔が上から深淵の悪魔の横を素通りして飛び降りてきた。

 

 

「伝令!伝令にゃ!」

 

「エスラ!?なんでここに?」

 

「身軽でヤツカダキの討伐を一足早く終えて暇だから提督に言われて伝令を伝えに来たのにゃ!【もし「深淵の悪魔」が現れたのなら大地母蜘蛛が討伐されていてもいなくても一度地上まで撤退、退避せよ!】とのことにゃ!」

 

「退避だと!?これを放っておけと言うのか提督は!?」

 

「違うにゃ!提督は確信を持って深淵の悪魔が現れることを見越した上で準備していたにゃ!早く逃げるにゃ!」

 

「よしみんな、モドリ玉で地上まで戻るぞ」

 

 

 俺達はモドリ玉を取り出し、ベースキャンプ跡地に移動する。あんなに群がっていたヤツカダキ達は深淵の悪魔の気配に当てられたのか文字通り蜘蛛の子を散らす様に姿を消していた。

 

 

「あれは…そうか、そういうことか!バレット、みんな!急いで離れるぞ!」

 

 

 沖合を見て何かに気付いたフィオレーネが先導して小舟に乗りその場を離れる。俺も見てみれば、沖合には巨大な外輪式蒸気船…通称パドルシップがあった。その上空を、メル・ゼクスを掴んだセルレギオスが飛んでいく。あの方角は密林かな。

 

 

「あれはまさか、噂の新型船、決戦型狩猟船か!?」

 

「そうだ!どうやら間に合ったらしい!さすが提督だ!この事態にいち早く気付いてアレを持って来るとは!」

 

「とにかく急ぐにゃ!巻き込まれるにゃ!」

 

 

 エスラに急かされて、六人乗った小舟を急いで“サン”から離れると、ちょうど深淵の悪魔が大穴の淵に手をかけてその巨体を乗り出してきたところだった。見れば各地にいたであろうキュリアが奴に次々と集って行ってる。

 

 

「…帰巣本能か」

 

「なんだって?ヒビキ」

 

「つまり大地母蜘蛛はもとよりメル・ゼナやメル・ゼクスは仮の宿にすぎなかったってことだろう。還るべき主が現れればそちらを選ぶ、道理だ。しかもメル・ゼクスめ、力を根こそぎ持っていかれた様だ。見ろ」

 

 

 ヒビキに言われて深淵の悪魔を見てみれば、一対の腕にバチバチと輝く紅い稲妻を纏っていた。メル・ゼクスの雷電か。

 

 

「キュリアの結晶がそのまま蓄電器官になってるようだな」

 

「ただでさえ厄介な奴の力をヤバそうな奴に奪われたってことかにゃ…最悪にゃ」

 

「そいつは厄介だね。……危ない、バレット!」

 

「ちい!」

 

 

 沖合から眺めていたら、こちらに気付いたのか深淵の悪魔がその場の地面を抉り取って巨岩を手にし、雷電を纏ってぶん投げてきた。ナギの言葉でそれに気付いた俺は咄嗟に通常弾を装填したヘビィボウガンで迎撃。衝撃で波が揺れる。

 

 

「うおおおっ!?え、さっきは眼中になかったじゃん!」

 

「登るのに夢中だったんだろう。で、登り切ったら目障りな俺達がいたから処そうとしたわけだ」

 

「分かりやすくて何よりだ、逃げるぞ!」

 

 

 そのまま決戦型狩猟船の方に逃げると、その中心にガレアス提督が立ち、周りにミクマリ、アンテム、エルヴァス、マキアナが待機しているのが見える。奥にはバハリやタドリの姿もあった。全員集合、まさに最終決戦だ。

 

 

「…よし、フィオレーネと猛き炎達は退避したな」

 

「ほーっ!こいつぁデカい!提督の悪い予感、当たっちゃいましたね!しかもあの様子、大地母蜘蛛も奴に屠られたと見た!メル・ゼクスを連れた例のセルレギオス逃げちゃいましたけどどうします!?」

 

「メル・ゼクスは今は放っておいていい。今は“深淵の悪魔”だ。取り舵!」

 

「「「とーりかーじ!!」」」

 

 

 俺達が退避したのを確認すると、ガレアス提督の指示で深淵の悪魔に向けて突っ込んでいく決戦型狩猟船。すごいな、なんて迫力だ。

 

 

「一戦交えるおつもりか…!!」

 

「様子見じゃすまないってことだろうな」

 

「ああ、アレを逃したら、王国が終わるんだろう」

 

 

 今はガレアス提督たちに託すしかないか。

 

 

「最大船速!!」

 

「「「さいだいせんそくーー!!」」」

 

 

 ガレアス提督の指示で煙突から凄まじい量を排煙し、スピードを上げる決戦型狩猟船を深淵の悪魔が捉え、再び雷電を纏った腕で抉り掴んだ巨岩を投擲。決戦型狩猟船を襲うその脅威の前に、四人のハンターが立ちはだかる。

 

 

「いけえ、ミクマリィ!」

 

「模倣剣術、水の呼吸壱ノ型―――水面斬(みなもぎ)り!」

 

「アックス…ホッパー!!」

 

 

 アンテムがハンマーで打ち上げたミクマリと、翔蟲を使い跳躍したエルヴァスの、横と縦の斬撃が巨岩に炸裂。四等分に斬り裂いた。

 

 

「機関竜弾…!」

 

 

 四つに分割されてそのまま飛んでいく岩も、マキアナが撃ち落として迎撃。決戦型狩猟船は無傷で深淵の悪魔を眼前に捕捉、前方についている穴に見覚えのある巨槍が2本、現れた。

 

 

「撃龍槍!! 1番!2番!」

 

「撃龍槍!1番!2番!備えーーっ!」

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 しかし深淵の悪魔もただ見てるわけではないらしく、凄まじい圧の咆哮を上げるとキュリアを空中に集めて形成した結晶に雷電を纏わせるというメル・ゼクスの攻撃を発動。流星として飛ばしていくが、ミクマリ、アンテム、エルヴァス、マキアナが対処していくが押され気味だ。

 

 

「提督…!G級4人でもさすがに持ちません!」

 

「わかっている……!撃て!!」

 

 

 バハリの訴えに頷いた提督の指示で回転しながら放たれる撃龍槍2本。一本はキュリアの結晶を盾に防がれるも、もう一本は左肩に突き刺さったが、口で器用に咥えてあっさりと抜かれてしまう。ダメージはまるでないらしい。

 

 

「まだまだぁ!とっておきをくれてやる!」

 

「三番用意…!機関逆進、艦尾注水!」

 

 

 すると前進をやめてどっしりとその場に構える決戦型狩猟船。中央が開くと3つ目の撃龍槍が現れる。

 

 

「撃てー!」

 

 

 凄まじい反動と共に放たれる一撃はキュリアの結晶による防御もいくつも貫いて行き、深淵の悪魔の胸部に深々と突き刺さり、さらに後部が爆裂して連鎖爆発が先端まで伝わって行き大爆発。炎上した深淵の悪魔はその衝撃で足場が崩れ落ちていくが、一対の巨腕で支えて落ちるのを防いでいた。なにくそっ!

 

 

「っ、待てヒビキ!バレット!」

 

 

 咄嗟に、俺とヒビキは浅瀬の岩を次々と飛び移り、翔蟲をフル活用で使って飛び込んでいた。考えることは同じ、だよな!会心の一撃を見舞わせてやる!

 

 

「そこは素直に!」

 

「落ちやがれ!」

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!?!?」

 

 

 ヘビィナックルと音撃打打打が炸裂し、深淵の悪魔はその巨体を腕だけでは支えきれず落下していった。俺とヒビキはたまらず浅瀬の岩をまた飛び移って近づいて来ていたフィオレーネの先導する小舟に飛び乗る。

 

 

「馬鹿かお前たち!無茶をするな!」

 

「…まあ馬鹿だったが、なんとか押し込めたな。あの感触だと死んでなさそうだが」

 

「ああ、だがさすがだバレット。我が戦友」

 

「半アイルーの私でもドン引く動きだったのにゃ二人とも」

 

「…だけどあんなのと戦うのかあ」

 

「大地母蜘蛛を倒したことには礼を言うけどね」

 

 

 俺達はそんな会話をしつつ、決戦型狩猟船に合流した。提督とバハリにさっきの行動を褒められ、一時撤退し見張りを置いてエルガドに帰還することになった。……大地母蜘蛛と決着をつけれなかったことだけは残念だな。こういうとき、ゲームで再戦できるのを少し羨ましく感じる。




 大地母蜘蛛の巣を身に纏い、メル・ゼクスの雷電を使い、キュリアを結晶にして攻防に転用するガイアデルム。まだまだ序の口ですが攻防兼ね備えた悪魔と化してます。

 最大のピンチに動くのはやはりこの二人。G級組の活躍も書けてよかったです。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【空亡くす暴君大地帝】冥淵龍ガイアデルム【勇気の証明】

どうも、放仮ごです。昨日はエヴリンアカデミア投稿したけど余り感想がないのがちょっと悲しい。FGOで金の狂きて利休かとぬか喜びしたらエルバサさんでさらに悲しい。

今回は深淵の悪魔の事情。楽しんでいただければ幸いです。


 エルガドに戻った俺達。提督、バハリ、フィオレーネ、猛き炎の四人に加えてG級組も揃っている。

 

 

「…6人とも、無事で何よりだ。特にバレット、ヒビキ。よくやった」

 

「提督、あの船が王都で建造してたという決戦型狩猟船なのか?もう少しかかるはずだったんじゃ」

 

「…うむ、カムラの里の方々が協力してくれたおかげでどうにかあの場に間に合った。どうしても使う気がしたのだが……まさか本当に出るとはな」

 

 

 そうか、カムラの里のみんなが……そりゃあんなすごい撃龍槍を作れるわけだ。兵器制作は専売特許だからな。

 

 

「お力添え感謝します。しかしわからないことだらけです。大地母蜘蛛を捕食し、メル・ゼクスからキュリアや力を奪い取ったあの巨大モンスター……いったい、どういう……」

 

「あれが『深淵の悪魔』さ。バレット辺りは気付いていたかな?」

 

「ああ。前に話していた奴だな、王国のおとぎ話に登場する、地中から現れて国を喰らうバケモノ。それがアレなんだろ」

 

「おとぎ話では…なかったのか?」

 

「……実は実在している可能性は前々から示唆されていた。「地中から唸り声が聞こえる」大昔、王国でそういう現象が相次ぎ、それを元にできたのが件のおとぎ話さ」

 

「そういうことか……」

 

 

 おとぎ話は実話をもとにするのは珍しいことじゃない。すぐに納得もいった。

 

 

「提督は幼い頃、今は城塞高地と呼ばれている旧城塞都市という故郷で、メル・ゼナの襲撃を受けた。実は地中の唸り声はその時も確認されている。…そうですよね、提督?」

 

「…うむ。そして、唸り声が響いている間、メル・ゼナは空中で「何か」を待っている様に見えた。十中八九奴だろう。結局その関係は証明されなかったが私が深淵の悪魔は実在する、という事実と、悪魔とメル・ゼナの因縁を確信するには十分だった。故に、提督となってから女王陛下とバハリにそのことを伝え、大型船を用意して備えていたという訳だ。まさかそれでも不十分とは思わなかったが、まさかかつての淵虎竜と同じように大地母蜘蛛やメル・ゼクスの力まで吸収しているとは」

 

「深淵の悪魔がキュリアの真の主と見て間違いない。今回の一件で全ての疑問が解けたよ。そもそも大地母蜘蛛にキュリアが捕食されたのは、力を蓄えて深淵の悪魔のもとに還ろうとしていた個体が偶然巣に引っかかったのが原因だ、つまり大地母蜘蛛が深淵の悪魔が得るはずだったエネルギーを横取りしていたわけだ」

 

「それが今回、俺達が追い詰めた隙を狙って奪い返したわけか」

 

「また、メル・ゼナが現れた大穴“サン”もメル・ゼナが開けたと思われていたがそうじゃない、あれも深淵の悪魔が開けたものだ。メル・ゼナは王域を総べる龍だった。深淵の悪魔が出現するとそれを嗅ぎ付け、王域から排除すべくすっ飛んできて縄張り争いを始めた。君達も経験しただろう、強力な個体同士の縄張り争いは決着がつかない」

 

 

 言われて思い出すのは星雲龍ネグレマガラと極断刀ショウグンギザミと剛纏獣ガランゴルム、結晶皇ライゼクスと千刃の追跡者セルレギオスと極断刀ショウグンギザミと棘竜エスピナスの、大規模だった縄張り争い。拮抗して決着がついていなかった、あの状態と同じだろう。

 

 

「ハタ迷惑な縄張り争いは決着がつかず、深淵の悪魔は地底に、メル・ゼナは空に還った。深淵の悪魔が地上に現れないものだから、大穴はメル・ゼナによるものだと思われていた…。まあ無理もない話だよね」

 

「理解した。つまりキュリアは、深淵の悪魔が地底に還る間際にメル・ゼナに放ったものということだな」

 

「メル・ゼナだけじゃない、王国に蔓延したという病からしても人間や大型モンスターも含めた付近の生物すべてに、だろうな。50年という長い時間をかけてたっぷり養分を吸い取って、キュリアは目覚めようとしていた真の宿主の元に還った。それが今回の一件か」

 

「それでわかった。淵虎竜マガイマガドが干からびていた現象も、付近で見かけられたメル・ゼナとキュリアが養分を奪い取った状態だったということだな。しかもあいつは大地を抉る隕石攻撃を多用していた、地底に眠っていたガイアデルムを目覚めさせる土壌はできていたわけだ」

 

 

 転生者が原因の淵虎竜という災厄が、さらに別の災厄を目覚めさせる…か。最悪だな。

 

 

「そういうことだね。軽く見積もっても淵虎竜マガイマガド、大地母蜘蛛ヤツカダキ、爵銀龍メル・ゼナ及び爵電龍メル・ゼクス、さらにガランゴルム、ルナガロン、雪夜叉etc.それだけの数のモンスターの養分を大量に得た今の深淵の悪魔は無敵状態だね」

 

「…さらに厄介なことに、深淵の悪魔の付近には母親の仇討ちのつもりなのかヤツカダキが群がっていて、またもや要塞の如き有様だ」

 

「それに最悪なことに、メル・ゼナも既に死してその力を受け継いだメル・ゼクスも力を軒並み奪われてしまったっぽいから深淵の悪魔を止めることができる奴が存在しない。決戦型狩猟船の攻撃も、時間稼ぎにしかならなかった。…どころか耐えられちゃってたね。じきに地上に出てくる……そうなれば、王国は今度こそおしまいだ。何度目だって話だけど。メル・ゼクスは「個」としての脅威、大地母蜘蛛は「数」としての脅威だったけど、キュリアを従える深淵の悪魔は「個」であり「数」の脅威だ。もうお手上げさ」

 

 

 そう言って頭を抱えるバハリに、淵虎竜やメル・ゼクス、大地母蜘蛛の恐ろしさを知っている俺達ハンターも押し黙ってしまう。無理ゲーとはこのことだろう。まだ大地母蜘蛛の方がマシだったかもしれないレベルだ。すると口を開いたのはフィオレーネだった。

 

 

「……悪魔ごとき、何を恐れることがある。我等はどんな困難でも猛き炎の(みな)と共に乗り越えてきたじゃないか。カムラの里が、淵虎竜や百竜夜行・ヌシ大乱をそうして乗り越えた様に」

 

 

 そう言って何も疑わない目でこちらを見てくるフィオレーネ。少し勇気が出てきた。ああそうだ、もうスレ民の助けを借りることはできない。俺達しかいない、だけど俺達は力を合わせて淵虎竜を倒した、それは事実だ。

 

 

「猛き炎。バレット、マシロ、ナギ、ヒビキ。その炎を業火に変えて、共に深淵の悪魔から王国を救ってほしい」

 

「……言われなくても、だな」

 

 

 俺が振り向くと、マシロもナギも、ヒビキも、ミクマリもエスラもアンテムもエルヴァスもマキアナも頷き、フィオレーネに向き直って頷く。やってるさ、これまでもそうしてきたんだ!

 

 

「…深淵の悪魔は【空亡くす暴君大地帝】冥淵龍(めいえんりゅう)ガイアデルムと名付けられた。奴が地上に出てくる前に、穴の底で決着を付ける。決戦型狩猟船を出陣させよ!我等も全力で援護する。頼んだぞ、ハンター。ガイアデルムを必ず討伐してくれ。いざ、出陣だ!今こそ、地面に穿たれた漆黒の太陽を砕き、王国に光を!」

 

 

 そうして俺達はガイアデルムを討伐するために、決戦型狩猟船で海に出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大穴“サン”の地上付近の沈んだ部分…ガイアデルムが乗っていた部分に、群がっていたヤツカダキの群れを蹴散らして仮のベースキャンプを作ったそこで作戦会議。猛き炎である四人と、フィオレーネとミクマリ、エスラとアンテムの四人が交代で降りて戦い、エルヴァスとマキアナは念のためにここで待機してヤツカダキを退治しつつ最後の砦になる事となった。誰か一人でもダウンしたらもう一つのチームと交代、回復に努めると言う流れだ。最初は俺達猛き炎が乗り込むこととなった。

 

 

「覚悟しろガイアデルム…!」

 

「何度でも地底に叩き落して……あれ?」

 

「なに…あれ?」

 

「翼、だと?」

 

 

 ガイアデルムの登ってきた中腹の広場……大地母蜘蛛の巣の残骸までやってきた俺達が目にしたのは、予想外の光景だった。ナルハタタヒメとイブシマキヒコに似ているゴア骨格と言っても、翼脚が退化して完全に地上しか動けない形態、というのが大前提だった。しかし今のガイアデルムは、糸の鎧の両端に大地母蜘蛛の残骸と思われる巨大な脚をくっつけ、それを軸に糸とキュリアの結晶で巨大な翼を形作っていたのだ。

 

 

「まさか飛ぶつもりか…!?」

 

 

 次の瞬間、翼の付け根の結晶部分を変形させて飛翔、浮かび上がるガイアデルム。明らかに不味い光景がそこにあった。




 大地母蜘蛛の残骸で翼を作ったガイアデルム君、空を飛ぶ。さあ無理ゲーの始まりだあ。

今作では淵虎竜の隕石攻撃が原因で目覚めたガイアデルム君。何から何まで転生者って奴の仕業なんだ。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【絶対冥淵龍戦線エルガド】規格外VS規格外【勇気の証明】

どうも、放仮ごです。飛んだガイアデルムを見て感想欄が阿鼻叫喚で笑いました。そうだよね、あんなのが飛んだら絶望よね。

今回は空飛ぶガイアデルム君VS相変わらず規格外なヒビキ他。楽しんでいただければ幸いです。


 外付け(アタッチメント)の大地母蜘蛛の脚を利用した結晶と糸で膜を作った翼を羽ばたかせてゆっくりと飛翔していくガイアデルム。イメージはあれだ、エヴァンゲリオンの天に昇って行くシーン。神みたいに神々しい光景だ。

 

 

「飛んだ…!?」

 

「行かせるか!」

 

 

 変形させたヘビィボウガンに特殊弾を装填。翼の膜に撃ち込み爆発、バランスを崩させて落下させた。しかしガイアデルムは落下することなく。両腕を伸ばして岩肌に引っかかっている巣の残骸である糸に手をかけるとそのままゆっくりと着地。掴んだ糸を勢いよく引っ張り、岩雪崩を起こしてきた。

 

 

「私流威合…!滅多斬り!」

 

 

 岩壁そのものが崩れてきたと言ってもいいとんでもない質量の岩雪崩に、納刀している太刀と大剣に手をかけたマシロがヒキサキマクリ極とマガド大剣を引き抜くと同時に振り回して細切れにして粉砕。ナギが鉄蟲糸を繋いだクナイをぶん投げてガイアデルムの頭部に突き刺しデュエルヴァインを発動、引っ張って天高く舞い上がる。

 

 

「流転突き+フルバレットファイア!」

 

 

 さらに翔蟲を飛ばして伸ばした鉄蟲糸に引っ張られる形でランスの青いオーラを纏った刺突とガンランスの砲撃、竜杭砲、竜撃砲を全てを放出して大爆発でガイアデルムの頭部を覆って着地するナギ。しかしてガイアデルムは不動。キュリアだった赤い結晶が散らばっただけでまるで効いていなかった。

 

 

「私の最大火力なのに…!」

 

「危ない!」

 

 

 するとガイアデルムは掴んだままだった糸の先端にキュリアを移動させて結晶のトゲトゲに覆われた鞭を形成してまるで前世のゴーストライダーの鎖の様に振り回し、次々と地面を抉りながら俺達を襲う。ナギなんかはヒビキが狩猟笛で殴って吹っ飛ばしてなかったら危なかった。

 

 

「ぐっ!?」

 

「翼を治す時間稼ぎ…!?」

 

「防ぐので精一杯だよ…!」

 

「ならこいつだ!」

 

 

 縦横無尽に動く蛇の様な結晶鞭を、俺とナギは盾で防ぎ、マシロは斬り弾いていたが、ヒビキは紙一重でひょいひょいと避けて行きながらグルグルとソーのミョルニルの様に回転させたホルマゼンタを投擲する。

 

 

光陰(こういん)振打(しんうち)!」

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 投擲された必殺の狩猟笛。しかしガイアデルムは咆哮すると勢いよく結晶鞭を持っていない左腕を地面に叩き付け、真っ赤なエネルギーを爆ぜさせて吹き飛ばしてしまう。クルクルと回転して弾かれたホルマゼンタは跳躍したマシロがキャッチ、ヒビキに投げ渡した。

 

 

「キュリアから得たエネルギーか、なんて圧だ…!」

 

 

 それに気圧されている間にも結晶を動かして糸と繋げて膜を形成していくガイアデルムがまたもや浮かび上がる。そして大きく息を吸い込み始め、俺達は踏ん張って耐える。吸い込まれていった落ちていた結晶が風の勢いのまま翼に張り付いて強固にしていった。

 

 

「大技か!?」

 

「あの結晶を吸い込んでくれれば自滅するかと思ったけどそんな間抜けじゃないか!」

 

「むしろ散らした結晶で翼を強化しちゃってるね!」

 

「なに、引いてダメなら押すべきだ!」

 

「は?」

 

 

 思わず呆けると、馬鹿なことを言いだした張本人であるヒビキは踏ん張るのをやめて跳躍、自分から奴の口に突っ込んでいきながら狩猟笛二本を構える。

 

 

「グルオア?」

 

「今更止めようと遅い!」

 

 

 さすがに予想外だったのか呆けて吸い込むのをやめたガイアデルムの顔に向けて鉄蟲糸を伸ばし、それに引っ張られるように回転しながら空中から突撃、まるで大砲の砲弾の如く、撃龍槍の如く、狩猟笛二本を突き出して回転、弦をぶつけ合って演奏しバフをかけ続けながら高周衝撃波を放ちつつ、怒涛の猛打撃を叩き込むヒビキ。とんでもない技だ。

 

 

螺旋演奏打打打弾(らせんえんそうだだだだん)!」

 

「グルルルルオオオアアアッ!!?!?」

 

 

 浮かんでいたことで露わにしていた胴体にまともに受けて吹き飛び、翼を羽ばたかせるも虚しく背中から叩きつけられるガイアデルム。そのままガシッと岩壁を抉り取って巨岩を投げつけてくるが、ナギが一突きで粉砕。生じた隙を狙って貫通弾を叩き込むと返しにストンプしてきて、爆発をマシロが大剣で受け止めた。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 怒り心頭のガイアデルム。再び壁に垂れかかっている巣の残骸である糸を掴むと結晶鞭に変え勢いよく叩きつけて咄嗟に避けた俺達の中央、大地を両断する。凄まじい威力だ、と思っていたら結晶鞭の先端にキュリア達が変形した結晶がくっ付いたのか巨岩を引っ張り出してきて、ブンッと振り上げると壁の巣の残骸にくっ付き固定。ガイアデルムが腕を振り上げた隙だらけの体勢なので俺達が攻撃を叩き込む中、空中に待機していたキュリア達が巨岩に集い真っ赤な結晶の塊に変貌。

 

 

「グルアァアアオオオオオオオンンンンッ!!!!」

 

 

 ガイアデルムは勢いよく結晶鞭を引っ張るとズポンッと巣の残骸から抜け出た巨岩だった真っ赤な結晶の塊が勢いよく急降下。俺達の中心に叩きつけると衝撃に連鎖する様に連続して紅く煌めき、核爆発の様な大爆発が俺達を襲い、四人纏めて岩壁に叩きつけられた。

 

 

「ぐああぁああっ!?」

 

 

 血反吐を吐いて倒れ伏す俺は、普通に耐え抜いたらしいナギ以外のマシロとヒビキもダウンしているのを見てヘビィボウガンに回復弾を装填。近場のマシロに撃って回復させる。ヒビキは…右側か、重傷の体に鞭打って体勢変えるよりライトボウガンの方が速いな。

 

 

「どりゃああっ!」

 

「金剛大車輪斬り!」

 

 

 巨岩が外れた結晶鞭を振り回すガイアデルムの攻撃を一人でランスとガンランスを振るって耐え抜くナギにマシロが加勢し、結晶鞭をヒキサキマクリ極で真っ二つに斬り裂くも、ガイアデルムはそのまま六本脚を駆使して突進。二人を巻き込んで吹き飛ばしてしまう。なんてパワーだ今畜生。だけど、ヒビキは回復させたぞ。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 再び翼を羽ばたかせて宙に舞い上がると、転がった二人と俺を大きく息を吸い込んで眼前の空中に引き寄せ、赤熱しさらに帯電した両掌を合掌せんとするガイアデルム。しかしその眼前に、吸引を利用して走り高跳びで跳躍していたヒビキが、まるで居合の様にマガド笛を構えながら飛び出す。

 

 

「擬似・特殊納刀。居合抜笛(いあいばっぴょう)気炎旋律…打打打打打(きえんせんりつ だだだだだ)!!」

 

 

 空中でクルクルクル!と気炎の旋律を奏でるようにしながら居合の如く高速で振り抜き、振り抜いた勢いでまた居合の構えを取り振り抜き、を五回連続で繰り返す、人間業とは思えない猛攻を叩き込むヒビキ。連続で頭部を殴りつけられたガイアデルムは力を失ったかのようにダウン、地面に叩きつけられ、普通に自己回復したナギとヒビキが俺とマシロをそれぞれ横抱きで受け止めた。

 

 

「ヒビキ、この傷じゃさすがに不味い。フィオレーネ達と交代だ」

 

「了解だ」

 

 

 そういって閃光玉を取り出し、顔を上げたガイアデルムの眼前で発光させたヒビキは、モドリ玉でベースキャンプに四人揃って帰還した。すると待機していたフィオレーネ、ミクマリ、エスラ、アンテムが駆け寄ってきた。

 

 

「バレット!マシロ!酷い傷だ…」

 

「削れるだけ削った、俺達が回復している間は頼んだぞフィオレーネ」

 

「…ああ、任せろ!」

 

「別に倒してしまっても構わんのだろう?」

 

「「それはフラグだ(にゃ)!」」

 

 

 余裕たっぷりのアンテムと、それに怒るミクマリとエスラを引き連れて翔蟲を使い降りて行くフィオレーネ。…いやさすがに限界だ。頼んだ。……傷が癒える間、スレでも覗いて鬼殺隊ニキたちになんか使えそうな手を聞くかなあ。




相変わらずぶっ壊れすぎるヒビキ。防御力チートなナギ。斬撃の鬼マシロ。サポート得意なバレット。

実は身体が重すぎてゆっくりとしか上昇できない飛翔能力。そもそも結晶を動かして翼を羽ばたかせてるから筋力依存でもないのだ。

空亡ガイアデルムくんの特徴
・キュリア結晶から発電した雷電を纏う能力
・キュリアによる結晶生成
・巣の残骸にくっついてた大地母蜘蛛の足を結晶で一体化して糸を膜にした翼にして飛ぶ飛翔能力
・飛翔能力+吸引能力による、落ちた結晶での翼の補強
・飛翔能力+吸引能力による、回避不能の合掌攻撃
・巣の残骸を被って偶然得た蜘蛛糸鎧による防御力
・巣の残骸を利用しての落石、岩雪崩
・巣の残骸を利用しての結晶鞭(エリアを両断する程度の威力)
・結晶鞭と巨岩を使った巨大結晶爆弾(エリア一帯を飲み込む大爆発)

と、このように大体巣の残骸があるこの場ありきでの強化となっています。大体大地母蜘蛛のせい。

次回はフィオレーネ達のターン。次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【全員集合】絶対冥淵龍戦線掲示板【勇気の証明】

どうも、放仮ごです。ゼノブレイド3を購入しました。世界観がシビアすぎるけど知ってる用語出てくるの好き(大のゼノブレイドファン)。

フィオレーネ達のターンと前回言ってましたが今回は超絶久々の掲示板回となります。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

19:名無しの日向家次女

ねえヒビキさんって人、抑止力もうないんだよね?なにあの強さ

 

20:名無しの鬼殺隊

やはり筋力、筋力は全てを解決する……!

 

21:名無しのRS

いや鍛えただけでああなるわけが………それしか説明つかないかあ

 

 

・・・・・・・・

 

 

31:名無しのザビー

どんな威力ですか淵虎竜並じゃないですかやだー

 

32:名無しの魔導師

ナギちゃんだけ戦闘不能になってないのさすがだがさすがに無茶だって!

 

33:名無しのSOS団の異世界人

即時に回復入れるのさすがイッチ、終身名誉援護役だあ

 

 

・・・・・・・・

 

 

41:名無しのギルド所属ハンター>>1

そんなわけで誰かなんかいい案があったら言ってくれ

 

42:名無しの鬼殺隊

いや、開いた口がふさがらないんだが

 

43:名無しのザビー

あれ本当にモンスターなんです…?

 

44:名無しのドンキンタロウ

なんでバレットたちはそんな冷静なんだ?

 

45:名無しのガンランス使い

いやね、淵虎竜、メル・ゼクス、大地母蜘蛛と続いてのガイアデルムだから正直慣れた

 

46:名無しの49人目のマスター

わかる。もうなんかインフレが続くとね…

 

47:名無しの帝丹小学校6年生

駄目だこいつら、早く何とかしないと…

 

48:名無しのくだん

千刃の追跡者曰く、メル・ゼクスは形態を保ってるけど力が出なくて食事中らしい

 

49:名無しのRS

他の外天種は今だ暴れるヤツカダキ軍団の相手だったか

 

50:名無しの霊媒師

千刃の追跡者さんとメル・ゼクスさんだけ瞬く間に蹴散らして大地母蜘蛛討伐の助けに来てくれたんですけどね……

 

51:名無しの魔導師

まさか大地母蜘蛛もろともメル・ゼクスの力が奪われるとはなあ

 

52:名無しの日向家次女

ガイアデルムは本当に予想外だったよ…

 

53:名無しのSOS団の異世界人

俺が見たPVの最後に出た奴ってのは間違いないけどなあ

 

54:名無しのギルド所属ハンター>>1

まあ現実逃避してもどうにもならないからな…武器を使うモンスターとかハンターじゃん

 

55:名無しのザビー

まあ武器使うのはゴシャハギとかいるんで……

 

56:名無しの霊媒師

力任せに振るだけであの破壊力と対応力だからなあ

 

57:名無しの鬼殺隊

今はミクマリ達が戦ってるんだったか。さすがにこっちにくる余裕はないみたいだな

 

58:名無しのくだん

生放送モードだとキャンプの中しか見えないんじゃが、なんとか様子見れない?

 

59:名無しのガンランス使い

無理。爆発の衝撃で落ちたりしたらさすがに死んじゃう

 

60:名無しの魔導師

今回はナギちゃんがカメラ主だがいくら頑丈でも即死したら無事ですむか分からないもんなあ

 

61:名無しのRS

ぶっちゃけさ、下にいるなら上から一斉砲撃すればいいんじゃね?俺的に狙撃しやすいと思うんだけど

 

62:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>61

無理だ。大地母蜘蛛の巣の残骸がいい感じに壁になってて、決戦型狩猟船による援護も見込めない

 

63:名無しのガンランス使い

よりにもよって、奥側だけ穴が開いてこちら側の巣だけ残っちゃったからね……

 

64:名無しの49人目のマスター

じゃあ俺からも作戦。叩き落ちしたところに罠を張って動けなくなったところにボコボコにする、うちのティアマトに対してやった作戦。できればマーリンの庭レベルの欲しいけど

 

65:名無しのSOS団の異世界人

>>64

もう完全にティアマト扱いじゃないですかやだー

 

66:名無しの日向家次女

さながら絶対冥淵龍戦線だね!

 

67:名無しの霊媒師

>>64

古龍だから罠が効かないんじゃ……

 

68:名無しの49人目のマスター

>>67

あっ……

 

69:名無しのドンキンタロウ

じゃあこれだ。決戦柄狩猟船はパドルシップなんだろ?某海賊漫画の頂上決戦みたいに乗り上げてそのまま落下、直接攻撃する!さながら巨大戦だ!ゴールデンだな!

 

70:名無しのガンランス使い

>>69

いや普通に考えて落ちたら壊れちゃうよ

 

71:名無しの鬼殺隊

こんなのはどうだ。大地母蜘蛛の巣の残骸に岩を集めて、まとめて落として押し潰すのはどうだ?もちろん、戦っている人間がちゃんと避難してから

 

72:名無しのRS

>>71

いいんじゃね?

 

73:名無しのザビー

>>71

落石は割と有効かと。モンスターと言えど生物ですからね

 

74:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>71

伝令に伝えてガレアス提督に聞いてみるわ

 

75:名無しのくだん

>>71

その岩どこから集めるん?

 

76:名無しの魔導師

岩ならそこら辺にあるからマシロに切り崩してもらうなりかな?

 

77:名無しのガンランス使い

質量で押し潰すのはナイスアイデアだね!

 

79:名無しの49人目のマスター

アレがティアマトと同じならその程度で死ぬ気はしないけどなあ

 

80:名無しの帝丹小学校6年生

私としては>>69の意見を参考に、パドルシップ一隻を犠牲にする勢いで乗り上げて巣の残骸に設置、撃龍槍をブチ込むのを推奨するわ。あれ結構効いてたでしょ?

 

81:名無しの霊媒師

>>80

それ失敗した場合とんでもない額が無駄金になるのですが……

 

82:名無しのドンキンタロウ

>>80

他人事だと思ってやけくそになってないか?

 

83:名無しの帝丹小学校6年生

>>82

そうよ!ついにラム候補まで出てきて泣きたくなってるその腹いせよ!?悪い!?

 

84:名無しのSOS団の異世界人

>>83

えっと……ドンマイ?

 

 

――「名無しの灼翼王」が参加しました――

 

 

85:名無しの灼翼王

ヤツカダキ退治が終わったから状況を見に来たぞどうなってる?

 

86:名無しのガンランス使い

おっ、灼翼王さん。えっと、大地母蜘蛛を喰い殺してメル・ゼクスのエネルギーを根こそぎ奪ったガイアデルムってのが出てきました。キュリアの主人らしいです

 

87:名無しのくだん

正直猫の手も借りたい状況

 

88:名無しの灼翼王

………なぁにそれえ?

 

 

――「名無しの毒牢姫」が参加しました――

 

 

89:名無しの毒牢姫

なるほど。私が出向きましょう。どんな相手だろうが殺し尽くして見せますとも

 

 

――「名無しの雪夜叉」が参加しました――

 

 

90:名無しの雪夜叉

いや俺が出る。キュリアの主ならお返ししないと気が済まん

 

 

――「名無しの滅雷刃」が参加しました――

 

 

91:名無しの滅雷刃

こっちも終わったからとりあえず向かうわ

 

 

――「名無しの星雲龍」が参加しました――

 

 

92:名無しの星雲龍

誰かこっちに援護来れない?近いからか数が多すぎるんよ。しかも増えたし

 

93:名無しのガンランス使い

ああ、さっきから少し聞こえる爆音ってそれかあ

 

 

――「名無しの塵魔帝」が参加しました――

 

 

94:名無しの塵魔帝

>>92

そのガイアデルムとかいうのが出たからじゃね。親殺されたんだろ?あ、こっちも終わったぞ

 

 

――「名無しの結晶皇」改め「名無しの爵電龍」が参加しました――

 

 

95:名無しの爵電龍

>>92

迷惑かけたお詫びにー!助けに行きたいけどー!まだエネルギー充電中につきー!

 

 

――「名無しの転生千刃竜」が参加しました――

 

 

96:名無しの転生千刃竜

>>92

すまん、メル・ゼクスのやつ弱体化しすぎてダイミョウザザミにやられてる始末だからもう少し待って

 

97:名無しのRS

どんどん参加してて草

 

98:名無しのギルド所属ハンター>>1

本来相容れないはずなんだけどなあ…あ、提督からOK出たぞ。準備でき次第やってみる

 

 

――「名無しの極断刀」が参加しました――

 

 

99:名無しの極断刀

>>92

ふん、仕方ない。力を貸してやろう黒いの。貸しだぞ

 

100:名無しの星雲龍

お、お前は!?

 

 

・・・・・・・・




全員集合。怒涛の「参加しました」は書いてて楽しかった。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【此処が命の張りどころ】蜘蛛の子を散らす様に(物理)【勇気の証明】

どうも、放仮ごです。ここ2日はオリジナル仮面ライダーとかヒロアカとか投稿してました。

今回はミクマリ視点、フィオレーネ達のターン。楽しんでいただければ幸いです。


「行くぞ!」

 

「ああ!」

 

 

 着地するなり先陣を切ったフィオレーネに続く。後ろからはエスラとアンテムが左右に分かれて挟撃の構えだ。フィオレーネの堅実な防御、私の技、エスラの身軽さ、アンテムの怪力というバランスのとれたチームならば!

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

「「「ギシャアァアアアアアッ!!!」」」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 ダウンしていたガイアデルムが立ち上がり咆哮を上げる。瞬間、その身体に組み付いたのは透明になっていた銀蜘蛛ヤツカダキと、上から降り注ぐように落ちてきたヤツカダキたち。とんでもない数だ、100体はいるぞ。大地母蜘蛛の仇討ちのつもりか!?

 

 

「グルルルルオオアアアアッ!」

 

「ギシャァアアアアッ!?」

 

 

 グシャリ。振り落とされたヤツカダキが数体、雷を纏い爆発を発生させる巨腕に纏めて踏み潰されたその破片と体液が飛び散る。そのまま大地母蜘蛛の巣の残骸の糸を引っこ抜き、結晶鞭にすると振り回して群がるヤツカダキを蹴散らしていくガイアデルム。私達はそれを好機と見て、顔を見合わせて頷き合うと駆け出した。

 

 

「セツオリ、借りるぞお前の技…!太刀・壱百閃廻(ひゃくせんかい)+因幡流【(にじ)り】!」

 

「いくぞ、滅・昇竜撃!」

 

 

 前世で読んだことのある「ケンガンアシュラ」という漫画で出てきた足の指の力のみを使って移動し、歩幅と速度をばらけさせて動きを読みにくくする歩き方でガイアデルムを翻弄しながら妹の技である百連撃、連撃の数にものを言わせた力ずくの剛の剣で奴の全身を斬り刻み、それに気を取られた隙に下に潜り込んだフィオレーネが翔蟲で飛び上がって強烈な一撃を顎に叩き込む。私たちの役目は搖動、火力はあの二人に任せた。

 

 

「天を仰いでいる暇はないぞデカブツ!インパクトクレーター・(かい)!」

 

「グルルルルオオオアアアッ!!?!?」

 

 

 フィオレーネに顎をかち上げられたガイアデルムの頭上に飛び上がり、左斜め縦に高速回転しながら連撃を叩き込むアンテム。そのままガイアデルムを攻撃したまま顎から地面に叩きつけてアンテムは着地。そそくさと離れ、そのままヤツカダキに群がられて何とか立ち上がって巣の残骸を引っ張って岩雪崩で大半を押し潰したガイアデルムの頭上、見上げた眼前にエスラが跳躍して三日月の様な笑みを浮かべていた。

 

 

「お初にお目にかかります、にゃ。じゃあ――死ね!!鬼猫化(おにねこか)(ケモノ)】。連獅子ノ(れんじしの)――――」

 

 

 勢いよく斜めに急降下して横に高速回転、その空気抵抗が獅子の鬣の様に形作られ凄まじい勢いでガイアデルムの背中に飛び込んだ。

 

 

双剣空舞刺咲裂斬(そうけんくうまいざざざざん)!ニャアアアアアッ!!」

 

 

 そのままドリルの様にガイアデルムの大地母蜘蛛の脚翼の間、背部中央を刺して抉って行き、最後に花弁が咲く様に大きく、大の字に斬り裂くエスラ。奴の大技中の大技だ。「鬼猫化」と奴が呼んでいる、全身をアイルーの身体能力の、肉体の限界ギリギリまで筋力を底上げした強化状態による渾身の一撃。アンテムの一撃に続いてそれを喰らったガイアデルムもさすがに倒れ込み、銀蜘蛛を始めとしたヤツカダキが今が好機と言わんばかりに群がり噛み付いて行く。

 

 

「やったか!?」

 

「ヒビキたちのに加えてこれだけの攻撃を喰らえばさすがにやっただろう」

 

「「あっ、バカ」」

 

 

 フィオレーネとアンテムが露骨にフラグを建ててしまって私とエスラは口を揃えて頭を抱える。次の瞬間、ガイアデルムに結晶と化して宿っていたキュリア達が次々と元の姿に戻り、周囲のヤツカダキ全てに群がりつつ天高く飛翔し、大穴の上空まで至るとそこで待機していたキュリア達と共に四方八方に散って行った。

 

 

「な、なんだ!?」

 

「これは…!?」

 

「嫌な予感がビンビンするにゃ!」

 

「見ろ、ヤツカダキ達が…!?」

 

 

 エスラが尻尾を逆立てて最大限警戒し、視界を覆うほどのキュリアの数に近づけないでいる中、ヤツカダキ達が見る見るうちに萎れて行った。エネルギーを吸い尽くされたのか。完全に干からびたヤツカダキ達から離れたキュリアはガイアデルムに再び集って行って赤い結晶を形作って行き、さらに上空からも大量のキュリアが飛来。この間、実に五分程度。上空を仰いで空気を吸い込んでいくガイアデルムに集い、その姿が先程とは異なる形状に変わって行く。

 

 

「さらに悍ましい姿に……!」

 

「まさか。各地からモンスターたちのエネルギーを集めてきたというのか…!」

 

「にゃ、にゃあ…アイルーの血が恐怖を叫んでるにゃあ、怖いにゃあ…」

 

「弱るどころかパワーアップしやがった…!」

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 赤い結晶が爆発して熔け落ちる様に赤黒い炎のような形でエネルギーを纏った姿に変貌したガイアデルム。第二形態かライゼクスやジンオウガみたいな一時的な強化形態か……前者っぽいな。そして咆哮を上げると赤黒い光を口から溢れだしたかと思えば、赤黒いエネルギーのビームブレスを吐いてきた。咄嗟に横に回避する私達を、ビームが薙いだ跡地を襲った大爆発が背中を襲い、地面に叩きつけられる。

 

 

「があああっ!?」

 

「にゃあああああっ!?」

 

「なんて強さだ…」

 

「っ、まずい…ぐあああああっ!?」

 

 

 さらにガイアデルムは大きく吸引、したかと思えば傍らのヤツカダキの死骸から伸びた糸をむんずと摘み上げ、振り上げてチェーンアレイの様に干からびたヤツカダキの死骸を叩きつけつつ、巨腕で薙ぎ払ってきた。私とフィオレーネは薙ぎ払われ、ヤツカダキの死骸の直撃を受けたアンテムが押し潰され、咄嗟に爪を出して地面にしがみ付いていたもののそれに反応したエスラが助けようと駆け寄る。

 

 

「アンテム!大丈夫かにゃ!?」

 

「馬鹿、エスラ!後ろだ!」

 

「え…?がっ、にゃあああっ!?」

 

 

 アンテムが警告の声を上げてエスラが振り向いた瞬間、ガイアデルムに伸びた糸を引っ張られてゴロゴロとタイヤの様に回転したヤツカダキの死骸がガイアデルムを中心に綺麗な弧を描いてエスラは地面とヤツカダキの死骸に挟まれ動けなくなってしまった。

 

 

「くそっ…よくも!」

 

「駄目だ、フィオレーネ!」

 

「ぐっ、うああああっ!?」

 

 

 激昂したフィオレーネが駆け出して突撃するも、今までと同じ大地母蜘蛛の脚と結晶と糸で構成された翼が羽ばたかされて動きを止められ、そこに爆発を発生させながら突進してきたガイアデルムに轢き飛ばされてしまい地面に叩きつけられるフィオレーネと、止めようとして巻き込まれた私。

 

 

「すまない、ミクマリ……無念、だ…」

 

「フィオレーネ!くそっ、また私は失うのか…!?」

 

 

 気を失ってしまったらしいフィオレーネに、セツオリと首狩り稲妻旋風オサイズチの出来事を思い出しながら駆け寄る。息はしている、大粉塵を取り出して使用し体力を回復させる。目を覚ますには時間がかかるか…?

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 そんな私達を見下ろしたガイアデルムは咆哮を上げて口からエネルギーを吐きだして空に向けて撃ち出し、空中高高度で渦を巻くように燃え盛ってキュリアをばら撒いた後、漆黒の太陽の様な真っ黒なエネルギー球となって収束して消え、キュリアが結晶化して雨のように降り注がせてきた。このままでは全滅だ、どうにかこれを全て防ぐしかない。どうする?…いや、手はある。あるが……

 

 

「くっ…足が壊れるかもしれないが、やるしかない。もってくれよ、私の足!」

 

 

 太刀を納めた鞘を手に取り、腰だめに構えて大きく沈み込んで独特な体勢で両足を踏み込む。私の知る、最速の剣技と鉄すら斬り裂く剣技の合わせ技。私が編み出した、諸刃の威合。

 

 

「模倣剣術、威合。雷の呼吸壱ノ型―――霹靂一閃・神速(へきれきいっせん しんそく)+一刀流居合、獅子歌歌(ししそんそん)!」

 

 

 瞬間、太刀を振り抜いて目にも留まらぬ速度で空中に飛び出す私。結晶を斬り裂きながら岩壁を蹴り、ジグザグと稲妻を描きながら次々と一瞬にも満たぬ間に斬り裂いて行く。誰一人、死なせてなるものかぁああああ!

 

 

「ふう、ふう、はあ、はあ……」

 

 

 そして、私は落ちてきた全てを斬り裂いて、着地…もできずに膝から崩れ落ちる。駄目だ、もう動けない。そんな私を見て好機と見たのか口を開いて赤黒いエネルギーのビームブレスを放たんとするガイアデルム。ここまでか……。

 

 

「グゴアァアアアアアアッ!」

 

 

 そして私が見たのは赤黒いエネルギーではなく、黒炎の火球でガイアデルムを包み込み、急降下してきて押し潰す……星雲の様な煌めきだった。




NEW!ヤツカダキの死骸武器。ミクマリの最後の技は鬼滅とワンピースから。

そして人気投票に基づきアイツが登場。いいところを持ってくモンスターを決めるために人気投票でした。まさか連携しようと思ってたのに二回連続で一位とは思わなかったけどね。

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【全員集合】外天種大決戦【勇気の証明】

どうも、放仮ごです。ゼノブレイド3に熱中しすぎて遅くなりました……面白いからしょうがないよね。

今回は外天種全員集合。ガイアデルムと対決です。楽しんでいただければ幸いです。


 城塞高地、その城塞跡にて。俺こと星雲龍(せいうんりゅう)ネグレマガラはヤツカダキの群れに追い詰められていた。城塞高地のモンスターのほとんどは、見えてないがやられてしまったことがわかる。まともに動けるのは俺だけだ。

 

 

「くっ……ここまでか」

 

 

 鱗粉をばら撒いてその爆発で蹴散らすが、爆発耐性を持つ亜種を始めにそもそも炎属性で効きが弱いヤツカダキ達は気にせず進軍してくる。万事休すだ。掲示板で助けを求めるもあとずさり、壁に後ろ足が付いてそれ以上後退できなくなり、諦めかけたその時だった。

 

 

「ふっ、この程度の軍勢で諦めるのか。それでも我がライバルか」

 

「お前は…!?」

 

 

 掲示板で出現したと同時に地面が盛り上がり、俺とヤツカダキ達の間にグルグルと回転しながら現れたのは、トゲトゲとしていて一対の(・・・)鎌が逆刃刀(さかばとう)の形をしているシルエットの甲殻種。極断刀(きわみだち)という大層な名前で呼ばれているショウグンギザミ、奴だった。

 

 

「大地母蜘蛛でもない雑兵など相手にもならん・・・!」

 

 

 そう言って鎌がついている両腕を交差させて腕組みすると節足を素早く巧みに動かしてグルグルグルとその倍で高速回転、ベーゴマの様に縦横無尽に移動して、反撃しようと突撃してきたヤツカダキたちをすれ違いざまに切り刻んでいく極断刀ショウグンギザミ。爆発に耐性があるため俺はロクに倒せなかったヤツカダキ達が瞬く間にバラバラに切り刻まれていくのを感じて、俺は感嘆するしかなかった。こいつ、同格との相手は拮抗するが格下相手には無双できるタイプだったか。

 

 

「ははは!この感触!奴の、大地母蜘蛛の糸か!お前が銀蜘蛛というやつだな!(オレ)に、斬れないものはない…っ!!」

 

 

 他のヤツカダキより大柄な三体…奴の言うところの銀蜘蛛が立ちはだかるが、極断刀ショウグンギザミは鎌を横に構えて瞬く間に切り刻んで輪切りにする。しかし無尽蔵だと言わんばかりに群がってくるヤツカダキ。前衛が切り刻まれている間に四方八方から糸の伸ばし、鎌ではなく腕部分や節足に巻きつけて雁字搦めにしてしまう。

 

 

「し、しまっ…」

 

「あの馬鹿…!この…ぐううっ!?」

 

 

 たまらず助けるべく動こうとするが、背後から伸びてきた糸に首と触角と翼脚を締め付けられてしまい、力なくもがく。何時の間に背後に……極断刀ショウグンギザミの動きに気を取られた時か…!?まずい、酸素が……意識が遠のく……。

 

 

「呼ばれて飛び出てー!ウェイウェーイ!」

 

「そこはジャジャジャジャン!じゃないのかよ!?」

 

 

 瞬間、降り注いだ雷がヤツカダキたちを薙ぎ払い、瞬間移動の様な動きで次々と雷電の剣で斬り裂いていくメル・ゼクスと、俺の首を絞めつけるヤツカダキを飛び蹴りで蹴り潰したかと思えば鱗を上空に飛ばしてミサイルの如く降り注がせて俺と極断刀ショウグンギザミを糸の拘束から解放、残りのヤツカダキを殲滅するセルレギオスのコンビが現れた、のを感じた。

 

 

「お待たせ!キラキラくん!タチバサミくん!」

 

「こいつがやっと回復したから駆けつけられたぞ。危なかったな」

 

「そういやお前ら、キュリアの力と極限化してるんだったな……強いはずだ」

 

「フン…!(オレ)ひとりでも十分だった…!礼は言わん!」

 

「そこは素直になろう…?」

 

 

 ヤツカダキの気配がなくなったことを感じつつ、強がりで憎まれ口を叩く極断刀ショウグンギザミにげんなりしてそうぼやく。すると次々と強大な気配がいくつも近づいてくるのを感じた。次に感じたのは灼熱の炎と禍々しい猛毒を放つ空からの感じと、大地を唸らせる振動と大気すら裂く雷鳴、吹き荒れる砂嵐の地上の感覚。

 

 

「なんだ、急いで飛んで来たのにもう終わったのか」

 

「我が夫、まだド本命が残っています」

 

「よかったよ。俺を侵したキュリアの元締めがまだ倒されてなくて」

 

「俺にしか斬り裂けないと思っていたが蟹風情にもできるとはな」

 

「ライゼクス…じゃないわ、メル・ゼクスたちが先だったかあ…しかし全員集まるのは初めてじゃないか?」

 

 

 溶岩洞の魔王、灼翼王リオレウス。大社跡の魔姫、毒牢姫リオレイア。寒冷群島の覇王、雪夜叉ゴシャハギ。水没林の剣王、滅雷刃ジンオウガ。砂原の帝王、塵魔帝ディアブロス。密林の皇后、結晶皇ライゼクスもといメル・ゼクスとその兄貴分にして極限化個体、千刃の追跡者セルレギオス。城塞高地の大王(らしい)、俺こと星雲龍ネグレマガラ。そして未所属の仁王、極断刀ショウグンギザミ。ちなみにセルレギオスは極限化してメル・ゼクスを撃退したことで外天種扱いされるようになったらしく、外天種と呼ばれている転生モンスターたちがここに、初めて勢揃いした。

 

 

「ガイアデルムの奴は結構近場の大穴の中だ。俺が先陣を切る、お前たちも続いてくれ」

 

 

 そう言って翼を広げ、勢いよく上空に飛び立つ。そして触角で感じて目撃するは、気配が変わったガイアデルムにハンターたちが追い込まれているところ。それを見た俺は口から特大火球を放ってガイアデルムを包み込むと、急降下。

 

 

「空亡くす暴君大地帝ガイアデルムがなにするものぞ!我、理から外れた古龍なり!」

 

 

 そして燃え盛るガイアデルムの頭上から両翼腕を押し付け、鱗粉を送り込んで大爆発。奴が纏っていた炎を吹き飛ばし、頭上に翼を広げて滞空。様子を見守ると巨大な腕…にも見える翼脚が伸びてきた。

 

 

「……この程度で古き龍を名乗るかあ!」

 

「ぐっ!?」

 

 

 がっしりと首を掴まれ、背部の糸の装甲が焦げて一部剥がれているものの軽傷のガイアデルムの腕を伝ってなにかが流れ、俺を大爆発が襲って岩壁まで吹き飛ばされ背中から叩きつけられる。今のがキュリアのエネルギー、というやつか…俺と同じで爆発に転用するのか、鱗粉が無かったら死んでた。

 

 

「我が寝ている間に、弱くなったものだな…矮小な物共!」

 

 

 むんずと傍らに転がっているヤツカダキから伸びている糸を掴み、振り回して俺に叩き付けんとするガイアデルム。しかしその間に、雷鳴が轟いて巨腕を斬り裂いて勢いを殺し、シューシュー言いながら飛竜が遮りヤツカダキの死骸は溶け落ちた。滅雷刃ジンオウガと、毒牢姫リオレイアだった。

 

 

「ちっ、断てなかったか…なんて太い腕だ。だが聞き捨てならんぞその言葉」

 

「ほう、私の毒を喰らっても同じことを言えますか?!」

 

「…雷の刃と猛毒か。強力だが、ちょうどいいものがあるぞ…!」

 

 

 そう叫んでガイアデルムが掴んだのは、大地母蜘蛛のであろう巣の残骸。両腕に身に着けたそれぞれを手袋の様な形と、結晶の鞭の様な物にしたガイアデルムは同時に振るう。手袋の様に巣の残骸を身に着けた巨腕が伸びてきて毒牢姫リオレイアは掴まれ、滅雷刃は雷の刃を飛ばして結晶鞭を斬り裂くも、結晶が自ら伸びてくっ付くことで元通りになり何度も鞭打ちされて叩きのめされる。ならばと俺も掴みかかるが、毒牢姫リオレイアを掴まれた腕を押し付けてきて、猛毒で焼かれて撃墜される。

 

 

「ぐあああああっ!?」

 

「くっ……溶けるのに時間がかかる…どんな素材ですかこの糸…!」

 

「があっ…ただの糸じゃない、キュリアの結晶か……?」

 

「ガイアデルム、キュリア。それは我らのことか?呼び名などどうでもいいが……勝手に決められるのは癪だな」

 

 

 そう言って大口を開いてなにかを溜めて行くガイアデルム。不味い、まだ戦闘不能なハンターたちもいるのに……!すると急降下してきた二つの影が突き刺さり、ガイアデルムは悲鳴を上げる。

 

 

「お兄ちゃん直伝、ライダーキーック!」

 

「いや俺達むしろ乗られる側だから!?」

 

 

 仲良く同時に飛び蹴りを叩き込んだメル・ゼクスとセルレギオスだった。さらに足場が盛り上がり、大地が砂と化してガイアデルムの下半身を埋めらせて毒牢姫リオレイアを解放、飛び出してきた角と鎌がガイアデルムの肩口に突き刺さる。塵魔帝ディアブロスと、極断刀ショウグンギザミだ。

 

 

「マスターニキとやらの言った通りだな…デカブツは足場を崩されると弱い…!」

 

「お前にとっての死神が首を獲りに来てやったぞ、デカブツ…!」

 

 

 そう言った二人の頭上、上空から急降下してくるのは灼熱の熱気と、凍てつく冷気という相反したもの。

 

 

「お前ら!ハンターたちを護れ…!」

 

「これは、我らが試行錯誤していたとっておき…!」

 

 

 飛び降りてきた、寒冷群島から持って来たらしいマストが変化した氷の槍を構えた雪夜叉ゴシャハギと、炎のブレスを頭上に吹いて加速する火球と化した灼翼王リオレウス。その二つがガイアデルムに重なり、熱膨張が発生。凄まじい爆発が大穴の中を襲い、足場がついに瓦解して崩れ落ちたのだった。




いつの間にか外天種扱いされていたセルレギオスくん。新しい名前を決めるべきかな?

初めて会った者達なりの連携でした。ガイアデルムの口調は老害のイメージ。50年前からいて今更侵攻するとかまあ老害よね。

感想でも言われていたのですが、最終決戦は某バビロニアを模しています。大地母蜘蛛はティアマト(ファム・ファタール)、メル・ゼクスはティアマト竜形態及びイシュタル、ガイアデルムはティアマト最終形態、ヤツカダキたちはラフム、キュリアはケイオスタイド、星雲龍がケツァルコアトル、塵魔帝がマーリン、極断刀が山の翁。他にもあるけどこんな感じ。

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【大技ラッシュ】モンスター×ハンターライズ【勇気の証明】

どうも、放仮ごです。仕事が始まって地味に執筆時間が消えましたが私は元気です。

今回は外天種+フィオレーネチームの大猛攻となります。楽しんでいただければ幸いです。


 星雲龍ネグレマガラを筆頭に、毒牢姫リオレイアに滅雷刃ジンオウガ、塵魔帝ディアブロスに極断刀ショウグンギザミ、結晶皇ライゼクスもといメル・ゼクスに千刃の追跡者改め追躁射(ついそうしゃ)セルレギオスと、次々と参戦してきた外天種…それも転生者のモンスターたちによりガイアデルムと互角の戦いに持ち込めそうだった直後、落ちてきた灼翼王リオレウスと雪夜叉ゴシャハギによる熱膨張で足場が崩落。

 

 

「グルルルルオオオアアアッ!!?!?」

 

「「うわぁあああああっ!?」」

 

「にゃあああああああ!?」

 

「うおおおおおおおおっ!?」

 

 

 私達はネグレマガラ達に守られ無事で済んだが、ガイアデルムや外天種たちと一緒に落下してしまった。

 

 

「こうなったら……フィオレーネ!エスラ!アンテム!躁竜だ!」

 

「そうか、それなら…!」

 

「やけくそにゃー!」

 

「せっかく助けてくれたのに怒らないといいがな!」

 

 

 なんとか空中で回復薬を飲んで回復した私は咄嗟に近くを落下していたネグレマガラに翔蟲を飛ばして鉄蟲糸を掴みその背中に飛び乗ると、ネグレマガラも気を使ってくれたのか体勢を上手く立て直して私に瓦礫が当たらない様にして降下していった。フィオレーネは追躁射セルレギオスに、エスラは滅雷刃ジンオウガに、アンテムは塵魔帝ディアブロスと、比較的大人しい面子を躁竜し、私とフィオレーネは翼で滑空して降下、エスラとアンテムは壁を伝って上手く下降していき、私達はガイアデルムが背中から激突した、下に存在していた足場へと躁竜を解いて着地した。

 

 

「助かった、ネグレマガラ。…奴は健在の様だ、手伝ってくれるか?」

 

 

 そう尋ねてみると、ネグレマガラは頷いた。他の外天種もやってきて、飛び上がったネグレマガラと爵電龍メル・ゼクスと追躁射セルレギオスに灼翼王リオレウスと毒牢姫リオレイアが頭上に滞空し、雪夜叉ゴシャハギと滅雷刃ジンオウガ、塵魔帝ディアブロスに極断刀ショウグンギザミが地上で、私達四人と共に取り囲むように、引っくり返っているガイアデルムに油断なく構える。ヤツカダキの死骸がボトボトと落ちてきて、さらに崩落した岩にくっ付いた巣の残骸が転がる。…まだ利用してきそうだな。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

「っ…行くぞ!」

 

 

 するとガイアデルムは巨腕を四本の脚と共に器用に動かして体勢を立て直し、私達を見やると咆哮を上げレーザーを放ってきたので、私は号令をかけ突撃した。

 

 

「模倣剣術、草薙流忍術…!秘剣、鏡飆(きょうひょう)唐竹割(からたけわり)!」

 

「ギシャシャシャッ!」

 

「ウォオオオオオン!」

 

「ギィアアアアアアアッ!」

 

 

 レーザーを全員で回避して先陣を切ったのは、斬撃に長けた私、極断刀ショウグンギザミ、滅雷刃ジンオウガ、爵電龍メル・ゼクス。跳躍してガイアデルムの背負う糸の装甲の隙間に太刀を突き刺して、背を向けて勢いよく抉るように振り上げる斬撃と共に、両手の鎌をぶつけ合って砥いで威力を増した上で放つ回転斬り、連続で爪を振るって飛ばした雷の斬撃、鶏冠二本を虹色の結晶で覆って二本の剣にしたうえで赤い雷電を纏った斬撃が炸裂。奴の防御力を底上げしている源だった巣の残骸の装甲を斬り裂き、バラバラにすることに成功する。

 

 

「今だ!…エスラ!」

 

「にゃあああ!鬼猫化【獣】!からの、鬼猫乱舞【豹】ッ!」

 

「シャアァアアッ!」

 

「グオアァアアアアッ!!」

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

 

 防御の蜘蛛糸鎧が剥がれ落ちたガイアデルムに、毒牢姫リオレイアの猛毒液のシャワー、塵魔帝ディアブロスの指向性を持つ砂嵐、ネグレマガラの狂竜星雲群とも言うべき狂竜ウイルスの塊を流星群の様に飛ばしてそれを起点にレーザーを当てる攻撃がガイアデルムに降り注ぎ、履いているブーツから鋭い爪が飛び出したエスラが四足歩行で範囲攻撃を全て避けながらその巨体を駆け巡り斬撃を浴びせて切り刻んでいき、着地。全身の傷口から赤いエネルギーを垂れ流したガイアデルムの巨体が大きくぐらつく。

 

 

「よし、俺達の番だ!行くぞ雪夜叉!」

 

「ガアァアアアッ!」

 

 

 そこに、ティガハンマーを手にしたアンテムと、その手に氷の棘鉄槌を身に着けた雪夜叉ゴシャハギが走って来て、ガイアデルムの顎に二人揃ってアッパーカットを叩き込みその頭部を大きく揺さぶる。脳震盪が起きたんじゃないか?

 

 

「「「フィオレーネ!!」」」

 

「ゴアァアアアアアッ!」

 

「グルグオアアアアアアッ!」

 

「まさか、モンスターと肩を並べて戦う時がこようとは、な!」

 

 

 そして私達三人の叫びと共にフィオレーネが跳躍。空気を読んだのかフィオレーネを中心に灼翼王リオレウスと追躁射セルレギオスが並び、一斉に突撃する。限界まで下げた頭部の口から火炎放射を放って急降下する灼翼王リオレウスの炎を纏った翼と、鱗ミサイルを上空に飛ばして凄まじい勢いで自分に当てることで加速したセルレギオスの流星の如き飛び蹴りと共に、フィオレーネの急降下斬りがガイアデルムに炸裂、大きくダウンするガイアデルム。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 すると再起したガイアデルムの姿がまた変わる。全身の至る所から赤いエネルギーを吹き出したおぞましい形相となり、大地母蜘蛛の脚の翼に翼脚や背中からエネルギーを迸らせながら咆哮する様はまさに悪魔そのもの。全力で邪魔者を排除せんと襲いかかってきた。

 

 

「くっ… 鉄蟲糸技、水月の構え!」

 

 

 翔蟲二匹を使って鉄蟲糸の網を張り迎え撃つカウンター技を使用するも、突進しながら赤いエネルギー溜まりを大量に生成して最後に一斉に爆発させる攻撃に巻き込まれ、カウンターも虚しく空振りして私達は吹き飛ばされる。さらに大地母蜘蛛の脚翼に赤い光が集まり、そこにキュリアが集い結晶を纏って全方位にレーザーを放ち、私達ハンターとモンスターを殲滅せんとするガイアデルム。しかもレーザーの当たったところがエネルギー溜まりとなって爆発し、苛烈な攻撃だ。私も爆発に巻き込まれて岩壁に叩きつけられる。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 さらに残骸の糸を掴み、結晶を纏わせて、なんと脚翼と同じくレーザーを全方向に放ちながら振り回すガイアデルム。器用なことに自分に当たりそうなときはレーザーを消して、通り過ぎるとまた出すと言う行動もしており、私達はなすすべなく吹き飛ばされる。空に逃れようとした灼翼王リオレウスと毒牢姫リオレイア、爵電龍メル・ゼクスと追躁射セルレギオス、星雲龍ネグレマガラも撃ち落とされて地に落ちる。

 

 

「グルルルルルルルオアアアアッ!!」

 

 

 そしてガイアデルムは目の前に翼脚を叩きつけると翼脚からエネルギーを噴出し推進力として突進してきて、その巨体もあって避けることもできない、不味い、もう目を瞑るしか…!?

 

 

「お願い、バレット!」

 

「鬼人弾と硬化弾だ!」

 

「私達が、止める!」

 

「ああ、頼んだぞ三人とも!」

 

 

 すると頭上からそんな声が聞こえてきて、轟音と衝撃波がここまで飛んでくるが、ダメージはない。目を開けると、とんでもない光景が目に入ってきた。ガイアデルムの突進を、たった三人の人間が各々の武器で受け止めて防いでいたのだ。その光景に隣の極断刀ショウグンギザミも「ギシャア!?」と泡を吹いて驚いている。気持ちは分かるが、私はこの安心感に慣れてしまったよ。

 

 

「ミクマリ、フィオレーネ、みんな!」

 

「待たせたな、終曲の時間だ」

 

「外天種も参戦していたのはビビったけど、見捨てられないよね!」

 

「いや、普通ちょっとしたバフで止めれるわけないと思うんだが……まあいいや」

 

 

 煌めく太刀と淵虎竜の大剣を手にしたマシロ。それぞれ淵虎竜と奇しき赫耀の天彗龍の狩猟笛を手にしたヒビキ。黒蝕竜のランスと轟竜のガンランスを手にしたナギ。そして三人に続いて翔蟲を使って飛び降りてきた、妃蜘蛛のヘビィボウガンと煌めく片手剣を手にしている、隻腕なのに実力が最初に出会った頃とは比べ物にならなくなっているバレット。今やこの世界トップレベルのハンターチーム、猛き炎がそこにいた。

 

 

「その姿、まさに悪魔だな。悪魔だったら大人しく退治されろ。絶滅タイムって奴だガイアデルム!」




※草薙流忍術 秘剣、鏡飆(きょうひょう)唐竹割(からたけわり)は「トキワ来たれり!!」の草薙カナタの技です。「針金の男は踊る」や「金の力」とかも好き。

外天種と息の合った連携するフィオレーネ達。共通のピンチの前では力を合わせることができるのが生物なのです。

最終形態まで追い込みましたが原作よりパワーアップしたガイアデルムの猛攻に大苦戦。そこに到着、猛き炎。次回、決着。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【太陽を降せ】モンスター×ハンターライズ、サンブレイク【勇気の証明】

どうも、放仮ごです。執筆の合間にプレイしているゼノブレイド3の圧倒的展開に押されております。ウロボロスがかっこよすぎるんじゃ。

今回は終幕、ガイアデルム。楽しんでいただければ幸いです。


「その姿、まさに悪魔だな。悪魔だったら大人しく退治されろ。絶滅タイムって奴だガイアデルム!」

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 俺の宣言に、咆哮で返すガイアデルム。見た目がだいぶ変わってる、最終形態ってところか。両手でヤツカダキの死骸をむんずと掴み、結晶を纏わせて結晶のチェーンアレイにすると二本のそれを縦横無尽に振り回し、さらに大地母蜘蛛の脚翼とチェーンアレイの赤い結晶にキュリアのエネルギーを溜めてレーザーをでたらめに放ってきた。お前はシンゴジラかなにかか!?

 

 

「あぶねっ」

 

 

 ヘビィボウガンのシールドでレーザーを受け止めて逸らしながら片手剣を右手に握り突撃。周りでも避けたり防いだりで凌いでいる中、ヘビィボウガンを左腕の義手にしていてタイムラグなく防げる俺だけが動けたらしい。いや、俺だけじゃないか。

 

 

「メル・ゼクス!乗らせろ!」

 

ギィイアアアッ(いいよ!)!」

 

 

 結晶を展開してレーザーを反射する盾にしていたメル・ゼクスの背に、地面にヘビィボウガンを撃った反動で跳躍して飛び乗ると片手剣を背中の結晶の間に突き刺して固定、メル・ゼクスは反射したレーザーの向かう先にさらに結晶を展開。

 

 

「オラオラオラオラッ!」

 

ギィイイアアアアアッ!(いくぜいっ)!」

 

 

 それを繰り返してレーザーを加速させ反射することでガイアデルムに返しながら突撃するメル・ゼクス。その上から貫通弾を乱射して全身を撃ち抜いて行き、赤い光が全身から溢れて悶え苦しむガイアデルム。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

グルグオアアアアアアッ(俺の妹分に手を出すな)!」

 

「インパクトクレーター・廻!」

 

 

 俺達目掛けてガイアデルムの左腕が伸びてきたが、自分が飛ばした翼を推進力として受け止めた追躁射セルレギオスの飛び蹴りと、その背に乗っていたアンテムの回転を加えた急降下打ちが炸裂、巨腕を蹴り砕いてくれたので、俺達はそのまま飛びつつレーザーを跳ね返しながら結晶のチェーンハンマーを弾いて行く。しかしアンテムと力を合わせたとはいえなんて威力だ、メル・ゼクスのお兄ちゃんはすごいな。

 

 

ガアァアアアッ(お前のそれ、いいな)!」

 

「どおおりゃああああっ!」

 

 

 そこに雪夜叉ゴシャハギがガイアデルムと同じようにヤツカダキの死体から伸びた糸を掴んで凍らせた氷の巨大ハンマーを振り回して下顎に砕け散る勢いで叩き付け、さらにレーザーの爆発跡から飛び出してきた黒焦げのナギがブラストダッシュで吹っ飛んできてランスを勢いよくガイアデルムの右目に突き刺してから引き抜き、着地した。

 

 

「グルルルルウオアオオアアアアッ!?」

 

「…なんでもありだなそのキュリア」

 

 

 左腕が折れて、下顎は凍り付き、右目が潰れて赤い光を溢れさせ悲鳴を上げたガイアデルムはじりじりと後退。しかしキュリアの群れを左腕と右目に集らせると結晶にして纏わせることでギブスと義眼を作るガイアデルム。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

シャアァアアッ(させません)!」

 

グオアァアアアアッ(愛の炎で燃えろ)!!」

 

「にゃにゃにゃにゃあああ!」

 

 

 咆哮したガイアデルムは今度は義眼からレーザーを放って来て薙ぎ払わんとするが、猛毒に覆われた体を盾にした毒牢姫リオレイアの後ろから飛び出してきた、エスラを乗せた灼翼王リオレウスの炎に包まれた翼の斬撃と四肢から鋭い爪を生やしたエスラの引っ掻き攻撃をギブス結晶に覆われた腕で受け止め口から放出した炎の様なエネルギーを結晶ギブスを通して叩きつけて吹き飛ばした。

 

 

ウォオオオオオオン(我が雷に斬れぬものなし)!」

 

「模倣剣術、始末剣…!私は!剣の!天!才!だぁあああああっ!!」

 

 

 すると走ってきたのは何故か太刀を目の前に置いて正座してその背に乗っているミクマリと四肢から雷を溢れさせながら突進する滅雷刃ジンオウガ。ガイアデルムは結晶ギブスを広げて刃の形にすると大きく振るい、滅雷刃ジンオウガの雷を爪に集束させた巨大な雷電の剣と激突。さらにその背に乗ってたミクマリがいつの間にかガイアデルムの背に移動、その大地母蜘蛛の脚翼の付け根に太刀を突き刺すと、大きく引き抜いて高らかに叫んだ。さすがに土佐弁は恥ずかしかったか…。さらにもう一つの翼も一瞬のうちに斬り落とされたばかりか切り刻まれる。見れば、二刀流の剣士二人がいがみ合っていた。

 

 

「あーもう、邪魔するな、極断刀!」

 

ギシャシャシャシャーッ(お前こそ邪魔するな)!」

 

 

 アホなのかそれともライバルと認識してるのか、ルーツを同じくする太刀で斬り結びながらガイアデルムに突撃していくマシロと極断刀ショウグンギザミ。そのままマシロはマガド大剣の爆発で跳躍、極断刀ショウグンギザミもそれを追いかけて体勢を低くして跳躍し、口からまたエネルギーを放射しようとしているところに突き進んでいくもんだから驚愕するガイアデルム。

 

 

「グルルルルオオオオオ…オアアアアッ!?」

 

「邪魔だ(ギシャシャアッ)!」

 

 

 瞬間、両肩を大きく斬り裂かれてその巨体を転倒させるガイアデルム。そこにメル・ゼクスが結晶を降り注がせて結晶でその巨体を固めて行く。

 

 

「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

 

 

 すると力づくで結晶固めを崩しながら突進してその跡にエネルギー溜まりを作って爆発させ、さらに岩盤崩落を起こして俺達を迎撃するガイアデルムは、壁に巨腕をかけてさらに他の脚にも結晶でストッパーを作って、凄まじい勢いで登って行く。翼を失ったのにこのまま地上に出るつもりか!?させ……あぶねえ!?全身の結晶からレーザーをばら撒いて妨害してきやがった。

 

 

「メル・ゼクスでも無理か…?」

 

ギィアアアアアアッ(弾幕厚すぎて無理)!」

 

「逃がすかよ!」

 

「グオアァアアアアッ!!」

 

 

 すると共鳴音珠を生成し、それを狩猟笛をバットの様にして打ち上げるヒビキ。打たれた共鳴音珠は塵魔帝ディアブロスの砂嵐でさらに高く打ち上げられてガイアデルムに炸裂。ほどけて網になるとヒビキの演奏に合わせて鉄蟲糸が動いて絡み付きその場に縫い止める。さすがだヒビキ。ガイアデルムは鉄蟲糸をほどこうと暴れる。

 

 

「待たせたな!」

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

 

 すると天高く上空からネグレマガラに乗ったフィオレーネが戻ってきた。ネグレマガラが上空に狂竜ウイルスの煌めく塊を撃ち上げるとそれを合図にしたのか撃龍槍が降って来てガイアデルムの背中に突き刺さり、連鎖爆裂。しがみ付いていた岩盤も崩れて落下するガイアデルムの無防備な腹に向けて急降下するネグレマガラとフィオレーネ。その真下で構える俺達。

 

 

「いざ、いざ!気炎万丈!!!!」

 

「グゴアァアアアアッ!」

 

 

 黒炎を纏い突撃するネグレマガラから飛び降りて己も渾身のシールドバッシュを叩き込むフィオレーネ。それに押されて急転直下してくるガイアデルムに、俺達も各々の技を叩き込んだ。

 

 

「曇天は何時か晴れる!大地納刀・抜打激昂斬!!」

 

「夜は必ず明ける!竜激砲!!」

 

「永遠に続く闇など存在しない!気炎万丈・昇竜笛!!」

 

「お前は世界にとっての敵だ!狙撃竜弾……ヘビィナックルファイア!!」

 

 

 外天種やミクマリ達と共に、俺達猛き炎は深淵の悪魔にとどめを刺し、夜明けを迎える。全身から赤い光を漏らして崩れ落ちたガイアデルムの群がるキュリアたちもまた次々と絶命していくなかで、一匹のキュリアが強い光を放って空へと登っていくのを見て俺は咄嗟にヘビィボウガンを向けてそいつを撃ち抜いた。

 

 

「これ以上の厄ネタは御免こうむる、大人しくしておけ」

 

 

 ひらひらと最後の一匹も堕ちて行き、俺は眩しい空を見上げた。




ハンター8人+外天種9体の数の暴力。究極の群にして究極の個でも勝てなかったよ。

メル・ゼクス×バレット。追躁射セルレギオス×アンテム。雪夜叉ゴシャハギ×ナギ。毒牢姫リオレイア×灼翼王リオレウス×エスラ。滅雷刃ジンオウガ×ミクマリ。極断刀ショウグンギザミ×マシロ。塵魔帝ディアブロス×ヒビキ。ネグレマガラ×フィオレーネといった組み合わせ。撃龍槍も見せ場がありました。

もはやティアマトのモデルらしいシンゴジラみたくなるガイアデルムよ。怪獣王には怪獣オールスターズで挑まないとね、しょうがないね。

ちゃんと後顧の憂いも始末したバレット。逃がしたらヤバいのに見逃す手はない。次回はエピローグ、最後の掲示板の予定です。

次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。


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【急募】狩猟笛の正しい使い方【怨嗟滾る激昂した希少種】

どうも、放仮ごです。ついにこの作品も完結までやってまいりました。これまで感想などで応援してくださった方々、ありがとうございます!機会があれば新たにモンハン小説も書いていきたい所存。
※続編投稿しました。外道女ハンターは噛生虫と共に よければどうぞ。

今回でエピローグとなります。楽しんでいただければ幸いです。


・・・・・・・・

 

 

1:名無しのギルド所属ハンター

誰か助けて

 

2:名無しの灼翼王

どうした英雄

 

3:名無しの雪夜叉

我等と戦う気になったか英雄

 

4:名無しの滅雷刃

我等はいつでもいいぞ英雄

 

5:名無しの爵電龍

また遊んでくれるの!?えーゆー!

 

6:名無しのギルド所属ハンター>>1

がはあっ!?(吐血)

 

7:名無しのガンランス使い

やめたげてよお!?

 

8:名無しの鬼殺隊

猛き炎のリーダーとして一人だけ英雄扱いされてストレスマッハなんだから勘弁して差し上げろ

 

9:名無しのG級双剣使い

実際バレットの采配で勝ったようなものだから諦めるにゃ

 

10:名無しの帝丹小学校6年生

それで、何を助けて欲しいのかしら。いやまあタイトルで想像つくけど?

 

11:名無しのザビー

狩猟笛ならヒビキがいるじゃないですか

 

12:名無しのギルド所属ハンター>>1

問題はそれだ。俺とナギは比較的まともに扱えてるからいいんだが、猛き炎…特にヒビキとマシロに憧れて同じ戦い方をしようとするハンター見習いが多くてだな

 

13:名無しのRS

>>12

まともなやつはランスガンランス二刀流や二丁ボウガン+片手剣なんてしないぞ

 

14:名無しの霊媒師

失った片手にヘビィボウガンつけるのはまともではないかと……

 

15:名無しのガンランス使い

>>13

>>14

ぐうの音も出ないね

 

16:名無しのドンキンタロウ

まあヒビキとマシロはぶっ飛んでるからいいたいことはわかるぜ!

 

17:名無しの塵魔帝

俺に咄嗟に砂嵐で共鳴音珠を打ち上げろとか言えるのはまともじゃないよな

 

18:名無しの日向家次女

抑止力ない筈なのにとんでもパワーを出せてた謎は分かったの?

 

19:名無しのG級太刀使い

いや、単なる筋力としか説明がつかん。今ではバサルモス程度なら軽々と殴り飛ばしてるぞ

 

20:名無しのSOS団の異世界人

ヒビキは永遠の謎過ぎる……

 

21:名無しの追躁射

なんで雑魚の俺が極限化しただけで追躁射とかいう名前で外天種扱いされている謎よりかはわかりやすいぞ(白目)

 

22:名無しの星雲龍

雑魚だったらメル・ゼクスを抑えられないんだよなあ

 

23:名無しの魔導師

全身からミサイルを飛ばすような奴が外天種扱いされないわけないだろ

 

24:名無しの毒牢姫

メル・ゼクスと並んで我らの中でも最強クラスですよ

 

25:名無しの49人目のマスター

それはそう

 

26:名無しのくだん

あちらの掲示板でも特に疑問も抱かれてなかったな

 

27:名無しの爵電龍

お兄ちゃんがアタシたちの仲間なことに文句ある奴はアタシが痺れさせちゃうぜい!

 

28:名無しのギルド所属ハンター>>1

話を戻したいんだが、そもそも狩猟笛の使い方ってどんなだっけ?

 

29:名無しの鬼殺隊

そりゃあお前……投げてバサルモスを吹っ飛ばすんだよ

 

30:名無しの霊媒師

地面に振り下ろした狩猟笛を蹴り上げて顎に叩きつける…?

 

31:名無しの灼翼王

操虫棍の様に振り回してラッシュと同時に演奏してバフをかけまくるんだろ?

 

32:名無しの日向家次女

振打を叩き込んで、伸ばした糸を伝って演奏を加えて相手の体内に追加ダメージを与えるんじゃなかったかな?二本でもできるよね

 

33:名無しの毒牢姫

>>31

そうそう、二本版もありましたね

 

34:名無しのドンキンタロウ

グルグルとマイティーソーのミョルニルの様に回転させた狩猟笛を投擲するんだぜ!二本だと連続で投擲して、一発目が炸裂したところに重なるようにもう一撃炸裂させるゴールデンだ!

 

35:名無しの雪夜叉

高速て回転させた狩猟笛を気炎の旋律と滅・昇竜笛を合わせた様な一撃で下から叩き込むのもあったな

 

36:名無しのG級太刀使い

居合の様に構えてからクルクルクル!と気炎の旋律を奏でるようにしながら居合の如く高速で振り抜く擬似・特殊納刀もあるぞ

 

37:名無しの追躁射

振り抜いた勢いでまた居合の構えを取って振り抜いて、を五回連続で繰り返すのも見たな

 

38:名無しのSOS団の異世界人

笛を操虫棍の様に使って跳躍して頭頂部に笛を叩き付けてその反動で浮かび上がって大剣の様に溜めて叩き込むのがお気に入り

 

39:名無しの爵電龍

宙に舞い上がって敵に向けて鉄蟲糸を伸ばし、それに引っ張られるように回転しながら空中から突撃、まるで大砲の砲弾の如く、撃龍槍の如く、狩猟笛二本を突き出して回転、弦をぶつけ合って演奏しバフをかけ続けながら高周衝撃波を放ちつつ、怒涛の猛打撃を叩き込むやつすき!

 

40:名無しのザビー

敵の攻撃を耐え抜き、そのダメージすらも火力に変えて叩き込む諸刃の剣の動きで狩猟笛を振るう、敵の攻撃の威力すら上乗せした一撃もいいですよねえ

 

41:名無しのG級双剣使い

>>39

知的なのかそうじゃないのかどっちかにするにゃ!?あ、私は全身に鉄蟲糸をまとわりつかせてそれに沿うように、双剣を扱うがごとく打撃をその頭頂部から足、尻尾まで叩きつけて行く技が好きにゃ!

 

42:名無しの49人目のマスター

狩猟笛をエレキギターの様に高速で弾き鳴らし、繭を設置して遠方から弾くことで衝撃波を発生させて内部にもダメージを与える技とか脱帽だった

 

43:名無しの滅雷刃

上に掲げて回転させながら奏でた狩猟笛からの衝撃波とか対応力高いよな

 

44:名無しのRS

狩猟笛に括りつけた鉄蟲糸を付けた翔蟲を飛ばして雁字搦めにする狩猟笛を立てて演奏、バフを発生させながら溜めて行った衝撃を、最後に纏めて鉄蟲糸に叩き込み、衝撃が伝った鉄蟲糸は斬撃属性のダメージを発生させて全身を切り刻む、音の振動を利用した斬撃とか必殺仕事人を思い出して好き

 

45:名無しのギルド所属ハンター>>1

>>29~>>44

それ全部ヒビキのオリジナル技だからあ!?

 

46:名無しの星雲龍

演奏でバフをかけて味方を援護する武器だぞ

 

47:名無しの魔導師

それだけじゃなくスタン値を溜めて気絶させるのも役割だな

 

48:名無しの塵魔帝

笛とは言うが銅鑼とか太鼓とか色々あるぞ

 

49:名無しの太刀使いT

太刀よりは劣りますがバフは便利です

 

50:名無しの

ギルド所属ハンター>>1

>>49

え、誰?

>>46

>>47

>>48

まともすぎてびっくりした!でもこれ教えても普通過ぎてがっかりされそうだな……

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

「ねえねえ、緊急クエスト来てたから受けてきたよ」

 

「なんだって?」

 

 

 ナギと二人で俺に宛がわれたカムラの里の自宅でゆっくりと相談がてら掲示板を覗いていると、マシロの声が聞こえてきて意識を浮上させる。入り口を見てみるとマシロと共にヒビキもいた。

 

 

「ヒビキ。見習いに教えるのはどうした」

 

「お前が何か考えてくるって言ったっきりだったからとりあえず筋トレさせておいた」

 

「見習い時代からヒビキのメニューさせたら最強の世代ができそうだね…」

 

「それで暇そうにしてたからヒビキも連れてきたんだ。はいこれ」

 

 

 そう言って手渡された依頼書をナギ、ヒビキと共に覗きこむ。そこには、【怨嗟響めくマガイマガド、激昂したラージャン、タマミツネ希少種、紅蓮滾るバゼルギウスが縄張り争いしているので同時討伐してくれ】とあった。………推奨ランクがHR500とあるんだが?俺達せいぜいHR324ぐらいなんだが?

 

 

「マシロ、俺達を殺す気か?」

 

「マシロ、親友だから言いたくないけど頭いかれた?」

 

「え、いいじゃん。一人で一体ずつ倒せば」

 

「だな。相手にとって不足無し」

 

 

 真顔でそういうマシロと、好戦的な笑顔を浮かべるヒビキ。駄目だコイツら、相手にしてきた面子がひどすぎて麻痺してる…気持ちは分かるが。

 

 

「誰がどれの相手をするんだよ…」

 

「私がタマミツネ、バレットがバゼルギウス、ナギがラージャン、ヒビキがマガイマガドでよくない?」

 

「よくなっ……いや相性は確かにそれがいいだろうが」

 

 

 たしかこいつらラージャンとバゼル以外は新発見されたばかりの新種のはずだが。…はあ、しょうがない。

 

 

「危険に首を突っ込まないのがモットーだったはずなんだがな…」

 

「今更じゃない?」

 

「むしろ猛き炎の名に懸けて強い奴と戦って行かないと!」

 

「死ななきゃ安いもんだ。そうだろ?」

 

「その死ぬかもしれない相手ってのが問題なんだがな?」

 

 

 溜め息を吐く。マシロもヒビキも、誰かが死ぬことなんて疑いすらしてない。俺とナギは転生者故なのかどうしても臆してしまうが、強い相手にわくわくしているのも否定できない。淵虎竜や大地母蜘蛛とかガイアデルムほど危険じゃないならいいや、と許容してしまってる。

 

 

「気炎万丈、か。行くとしようか」

 

 

 そう言って己の得物を手にして、仲間を引き連れ外に出る。俺のハンターライフはまだまだ続くらしい。




バレットに毒された掲示板民や外天種たち。まあしょうがないね。見習いハンターから沢山英雄生まれそう。

バレットたちと戦いたい外天種さんたち。共闘して強さをひしひしと味わったら戦いたくもなる。

名無しの太刀使いTは以前宣伝した蒼ニ・スールさんの「タチグルイ〜太刀に狂いし女〜」から友情出演。特に意味はないです。

最後の敵は怨嗟響めくマガイマガド、激昂したラージャン、タマミツネ希少種、紅蓮滾るバゼルギウス。これが縄張り争いしているから討伐して来てくれと言う頭の悪いクエストです。無理ゲーだけどバレットたちならどうかな?

よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。
続編とはちょっと違うけど、世界観を同じにして転生者関係ない主人公で、外天種も登場するオリジナルストーリー・オリジナル舞台なモンハンも書きたいのでこうご期待。


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