寒さと羞恥。貴方はどっち? (ゴールド@モーさん好き)
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1話
喫茶翠屋、そのロビーでは高町家男衆である士郎と恭也、そしてそこにユーノとクロノが加わり4人が壮絶な戦いを繰り広げている。
「「「「あいこでしょ!!!」」」」
──じゃんけんで
時は遡り数十分前。
今日はクリスマスイブ、喫茶翠屋も例に漏れず大忙しの予定だった。その事をなのはから聞いていたユーノとクロノは日頃のお礼にとバイトとしてヘルプに入らして欲しいと志願していたのだ。
業務内容は主に二つ、外でお持ち帰りの商品を受け渡しする業務と、店内で接客する業務である。
だが、これから制服に着替えようという段階で問題が発生した。
制服が足りない……いや、正確には防寒用の制服二着に、『女性用制服』しかないのだ。ご丁寧に女性用の制服は少年用青年用大人用とよりどりみどりだ。
元々女性職員が多い職場だった為男性用制服も予備が少なく他に回っていた。かくして普段なら嫌われる冬の寒空の中接客する為の『防寒用制服』を男4人で奪い合う構図となってしまった訳だ。そして──
「勝ったァァァァァァ!!!!」
「すまない少年達よ、大人気ないと罵ってくれ!」
「「………………」」
この勝負は喫茶翠屋レギュラー陣が勝ち取って幕を落とした。
「えぇ! 恭也勝っちゃったの?! せっかくノエルにカメラ持ってきもらったのに……」
「忍はなに怖い事言っているんだ」
「あら、残念だわ。士郎さんの可愛らしい所も見てみたかったんだけど」
「勘弁してくれ、いい歳した割と筋肉質な男の女装は需要がないぞ」
「私にはあります♪」
「今度他の事で埋め合わせするから本当に勘弁してくれ」
「ゆ、ユーノくん……大丈夫?」
「あはは、大丈夫かどうかで聞かれたらやばいけど大丈夫だよなのは。ちょっとフリルがフリフリでミニスカートがヒラヒラした服が制服なだけだ。きっと多分恐らくは平気だよ」
「全然平気そうじゃないよ?!」
「いやぁクロノくん災難だったねぇ」
「わらわ……いや、もういっその事笑ってくれエイミィ、せっかく背も伸びて男らしさが増えたと思ったのに。クソ」
「まぁまぁ、クロノくん可愛いしきっと似合うよ」
「そ、そうだよユーノくん! ユーノくんも結構可愛いし、体もまだ私とそんなに大差ないからきっと似合うよ!」
「寧ろ似合ってる方がダメージでかいからね?!」
「ほら、喚くなユーノ。ボクらもさっさと着替えて接客マニュアルの最終チェックだ」
「クロノはなんでそんな受け入れきれてるの?!」
「過去にやったバニーの潜入よりは気が楽だ」
「マジで何があった!」
「うるさい! さっさと着替えてお前も慣れろ!」
♢
「おおぉ……」
「なのはちゃんから聞いてたけどコレは中々……」
「あの、フェイトにはやて。そんな露骨に視線向けられると恥ずかしいんだけど」
「あっご、ごめんねユーノ!」
「いやごめんねユーノくん、見たら悪いかなぁって思ったけどかなり可愛くてびっくりしてもうた。その感じやと他のお客さんからも好評でしょ」
「そ、それはえ〜っと」
「悲しい事に大好評だ」
「お、お義兄ちゃん?!」
「フェイト、頼むからこの姿のボクをそんな風に呼ばないでくれ……本当にたのむ」
「あっうん」
「そんで? 大好評って具体的には?」
「ボクらを呼ぶ時は基本的に『お姉さん』か『お嬢ちゃん』だったり」
「あと偶に写真を一緒に撮って欲しいと言われたりだな……全く、潜入捜査の時とは遥かにマシとはいえ自分の事を女性扱いされるのはやはり慣れん」
「しっかりしろクロノ、それは慣れなくていい事だ。落ち着け、正気を保て後はやては口抑えながら笑うな。抑えるなら何とかボクらにバレないようにしろ」
「ふふっいやごめんな? 想像以上の似合ってて且つ全然男子って気づかれてないのが面白くて面白くて」
「もうはやてダメだよ笑っちゃ」
「はぁ、それにしてもなんで男性用制服あんなに少なかったんだ?」
「ん? それは元々男性職員が少ないから」
「だとしても予備はもうちょっとあってもいいと思うんだがな……」
ギクッ
「〜〜♪ 〜〜♪」
その後露骨に口笛し始めたなのはちゃんとエイミィさんと一緒にユーノくんとクロノくんはみゆきさん達とバトンタッチする形で裏の方へ消えてった。その後二人が男の子達に何をされたかは、考える余地がないのは自明の理である。
「ごめんなさーい!」
「出来心だったんですー!」
めでたし、めでたし♪
「今日は一段と冷えるな」
「そうだね、父さん」
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