うちはイズミの原罪 (ワンコそば)
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プロローグ

がんばります


人が次々と殺されていく。

老若男女関係なく。

これは、悲劇だ。地獄だ。呪いだ。

こんなものを認めてはならない。

だけど、たった一人による少年の犯行は平和のためであった。弟のためであった。誰かのために自分の心を殺し自身の両親にすら手をかける。

そのあり方があまりにも美しく酷く歪だった。そして、その生き方に少し憧れてしまった。

だからだろうか、ただ彼にほんの少しでも幸せに生きていほしいと感じてしまうのは。

これは、きっと私のエゴだ。

どうか彼に幸福があらんことを。

 

 

 「こんちにちは、私はうちはイズミっていうのよろしくね?うちはイタチくん!」

 

 俺はうちはの自治区を散策中であった。その道中スタスタと歩いていると、とある人物に声をかけられる。振り向くと声をかけてきた人物の唐突な自己紹介がはじまる。自己紹介の中で出てきた名前に聞き覚えがあった。

 

 うちはイズミ、俺と同じ年齢であり、4つの時に写輪眼を開眼したと一時期うちはで話題の中心となった人物だ。

 目の前の人物がなぜ俺に話しかけてきたのかがわからない。

 

「フフ、そんな警戒しなくても大丈夫よ。うちはイタチくん」

 どうやら警戒していたことがバレたらしい。

 

「何か俺に用事あるのでしょうか」

「そう改まらなくていいわ。同じ年でしょ?」

「そうだな、ならもう少し砕けた話し方をさせてもらおう」

俺がそういうと何が嬉しいのか目の前の人物が花が咲いたように笑顔になる。

 

「そうね、何か俺に用事があるという質問だったね。まぁ、来週からイタチくんもアカデミーに通うのでしょ?だから同じうちはの出として挨拶をしておきたいと思ったからじゃダメかな?」

「そういうことか。なら、よろしく頼む」

 

 俺が手を差し出すと彼女は驚いたような顔をしたが、すぐにまた嬉しそうな顔をした。

 

「改めてよろしくね?」

これが彼女との出会いだった。

 

 

 うちはイズミそれはこの世に生を受けて一番最初に両親から授かった名前である。

 

 私の父は私の歳が4つの時に死んでしまった。父は忍びであった。父が死んだのは九尾の暴走によるものであった。その報告を聞いた時に、母は泣き崩れ、そして私も酷い喪失感を覚えた。その時だろうか写輪眼が開眼したのは。

 

 それから私が写輪眼を開眼したことがすぐに一族に広まった。そしてわずか4つで写輪眼を開眼したことにより一族ブワッと湧き上がりお祭り騒ぎであった。まるで父の死がなかったことのように、私が写輪眼を開眼したことの方が人一人死んだことより重要らしい。

それがひどく気持ち悪か感じた。

 

 大人たちが写輪眼を開眼したことに祝いの言葉をかけるたびに不快ではあったが、それを私が顔に出すことはなかった。私が不快そうな顔をすればうちはでの私たち家族の立場が悪くなることを理解していた。そんなことを考えれる私はどうやら、同年代の子より精神面がだいぶ老成し、地頭がいいらしい。

 

 写輪眼を開眼した以上忍びの道に進むのは明白だ。なら今のうちに忍びとして自身を鍛えておかなければという思いで修行に打ち込むこことが多くなった。そうして修行に打ち込んでいると私に異変が起きる。私は確か写輪眼を使いこなすための修行を行なっていたはずだ。なのに、脳内に流れてくるのは見たこともない映像だ。

 

これはなんだ・・・

 

頭が痛い。脳が焼き切れる。このままでは、まずい!

 

原因が写輪眼だと瞬時に理解し、すぐに写輪眼の使用を中止する。

 

「はぁ、はぁ、、、」

 

 いつの間にか息がきれ大量の汗が流れていた。あのままあの映像を見続けていたら脳が焼き切れ最悪の場合廃人になっていただろう。おそらく時間にして僅かに数秒といったところ。だが、その数秒で脳のキャパをこえる圧倒的な情報量がながれてきた。

 

 私はふと考えた。写輪眼にこのような能力はあっただろうか。少なからず私の知っている情報にはなかった。そもそも私の眼は本当に写輪眼なのか?分からないことが多すぎる。だが、あの脳内に流れた映像はなんとなく理解できた。うちは一族滅亡。そんな映像が流れてきた。しかし、うちは一族は、現在滅亡などしていない。つまり、あれは、今後起きる未来であるのではないだろうか。もちろん、うちは滅亡が起きる確証はない。しかし、私の第六感が警報を鳴らしている。これは無視できる内容ではない。これからの動きを私は考えなければならない。一族のためではなく、私が視たあの少年の為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




執筆て難しいですね。


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一話

多機能フォームの使い方がわかりません。


 「こんにちは、私はうちはイズミって言うのよろしくね?うちはイタチくん!」

 

 私が視た未来のうちは壊滅の原因となる彼とさっそく接触を開始したはいいが、いきなり声をかけたからかこちらを警戒しているようだ。しかし、同じ里に住む同い年の女の子に声をかけられるくらいで警戒するなんてどうやら彼は、根っからの忍びらしい。

 

「フフ、そんな警戒しなくても大丈夫よ?うちはイタチくん」

 私の言葉に反応したのか、見た限りではこちらを警戒しているようには見えない。これで話が進められる。

「何か俺に用事があるのでしょうか?」

 いいきなりここで、将来あなたがうちはを弟一人残して壊滅させるなんて言えば、頭がおかしいのかと言う目で見られ、病院を紹介されるだろう。生憎私もそんな目で見られたくはないからここは普通に答えることにしよう。

 

「そう改まらなくていいわ、同い年でしょ?」

 しかし、こう話している5歳の子供には見えない。私自身、かなり大人びている自覚はあるが彼も大概らしい。

「そうだな、ならもう少し砕けた話し方をさせてもらおう」

 本当に、こういったところが子供に思えない。今の会話ですぐに相手の意図を読み取って対応を変えてくるあたり本当に子供かと疑ってしまう。悪いことではないがもう少し子供らしくしていた方が可愛げがあるというのに。しかし、こうは思うも彼がフランクに話してかけてくれると言うのはどうも嬉しいらしい。口角が上がっているのが自分でも分かる。

 

「そうね、何か俺に用事があるという質問だったね。まぁ、来週からイタチくんもアカデミーに通うのでしょ?だから同じうちはの出として挨拶をしておきたいと思ったからじゃダメかな?」

「そういうことか。なら、よろしく頼む」

いや意外だ、まさかあちらから握手を求めてくるとは。もう少し、ツンが強いイメージがあったが、自分のイメージなんて全く当てにならないものだと彼とのやりとりで学んだ。

 

 うちはイタチとの出会いから1週間が過ぎ、アカデミーに無事入学を果たしたわけだが、ぶっちゃけてしまうとこのアカデミーで学ぶことなんかほとんどない。

 

 理由は、この学校で学べる忍術はランクEとされているが、忍に最低限必要な忍術のランクはDである。ランクEの忍術なんて戦闘でまったくもって役に立たないだろう。しかし、学べることはなくてもやることはある。それは、うちはイタチと親睦を深めることだ。うちはイタチと親睦を深めることによってうちはイタチの父であるうちはフガクとパイプをもつことができる。うちはが壊滅したのは、うちはフガクにも原因がある。うちはフガクが主導で木の葉の里に対してクーデターが行われそうになったため木の葉側は、うちはイタチにうちは一族皆殺しを指示した。他にも要因はあるが、やはり一番大きなものはクーデターを企てたことによるものだろう。まぁ、何はともあれうちはイタチとの親睦を深めることに当面の間は時間を使うことになるだろう。

 

 しかし、私の写輪眼?から得られる未来の情報量の多さには驚かされる。いつか知らなくていい情報まで知ってしまって里の方から消しにくるのでないかと思うと今すぐにでも手放したい気持ちではあるが、この写輪眼はうちはの未来のためにまだ手放せない。

 

「ご機嫌よう!先週ぶりねうちはイタチくん」

彼女のニコニコととした顔がこちらに向けられる。

「あぁ、先週ぶりだな」

すると、彼女はこちらに距離を詰めてくる。彼女の俺に対しての距離感はまだ2回ほどしか会っていないのにかなり近い。

「会えてうれしいわ」

本当に嬉しそうにそう言う。

「俺もだ」

簡素にそう返す。

「本当にそう思ってる?」

 すると彼女は、少しムッとした顔をした後、またニコニコとした顔に戻る。表情の変化が目まぐるしいなと見ていると彼女は後ろに腕を組み顔の位置を下げ俺を上目遣いで見つめてくる。彼女のそんな様に不覚にも少しドキリとしてしまった。

「うんうんイタチくん、君はもう少しうれしいならそれなりの表情をした方がいいと思うのよ?少し無愛想すぎるよ?」

彼女がずいっと顔をいきなり近づける。いきなりのことに驚いていると彼女がクスクスと笑う。

「うん!いい表情ね。こうやってほら、驚いた顔ができるんだから笑った顔も見せてよ」

あぁ、してやられたなと思っていると彼女が人差し指を両頬に当ててていた。何をするのかと見ていると、両頬を人差し指で吊り上げる。

「ほら、イタチくんもやるの。練習よ練習」

彼女に急かされて俺も両頬に人差し指を当てて吊り上げる。すると彼女がクスクスと笑い出す。何がおかしいのかと少しムッとする。

「いや、ごめんね?あまりにもイタチくんが不器用だからそれが面白くて」

そう言うと彼女は、俺の顔に触れ、頬を吊り上げる。彼女のそんな行動に少し顔が熱くなるのを感じる。

「これから練習していこうね?」

「あぁ」

俺は彼女にそう返すことしかできなかった。

 

アカデミーでイタチくんと2回目の会合を果たした私は、同級生数名に詰め寄られている。

「ねぇ、えっとイズミちゃんだったかな?」

「うん、イズミで合ってるよ」

私はニコニコと完璧な外面を維持しつつ同級生の女の子の質問に答える。

「さっきの男の子って彼氏?」

この子達は私達のさっきのやり取りを見ていたのかそんな質問をしてくる。

「違うよ」

営業スマイルで否定の言葉を言う。

年頃の女の子だからか、男女のやり取りを見ただけで変な勘ぐりをしてしまうのだろう。

「じゃあ、どう言う関係?」

彼女達は興味津々といった様子で私たちの関係を聞いてくる。彼女達の様子を見ているとしばらく解放してくれそうになさそうだ。

「私が大切に思ってるだけよ」

 

すると、キャーと女の子数名が黄色い声を上げる。どうやら私は言葉選びを間違えたらしい。

それから、何分か拘束されはしたが、女子達は担任の先生が来て退散した。助かった、ありがとう先生。

 

それから先生の説明が全て終わったら先程の女子の集団に捕まらないように足速に教室から去り自分の家に帰る。その道中に本日二度目の会合を果たす。

 

「イタチくんまた会ったね?」

「そうだな」

相変わらず子供のくせして無愛想である。もうちょい顔に変化がほしい。

「イタチくん朝も言ったでしょ?スマイル、スマイル」

私は、お手本として笑って見せる。だてに、外面を鍛えてるわけではないのだ。

「そうだったな」

そう言うと、イタチくんは笑って見せてくれた。まだ、ぎこちなくて面白いがそれを指摘したら拗ねられるのは目に見えてるので私は指摘しない。

「うん、いい感じよ」

イタチくんを褒めちぎっていたら、さっきのぎこちない笑顔が嘘のように真顔になり、真剣に私を見つめくる。

「なぁ、ひとつ聞かせてくれ」

おやおや、どうやら質問があるらしい。

私は猫撫で声で可愛らしく「なぁに?」と言ったら、なぜかすごい微妙な顔をされた。解せぬ。

「なぜ、そこまで俺に構う?俺とお前はこの間まで初対面だったろ?」

いきなりの質問にどう答えるか戸惑ってしまう。当然の疑問と言えば当然ではある。たかだか数回話した程度の相手にここまで、ベタベタされたら不思議に思うのも仕方がない。どうやら私は急激に距離を詰めすぎたようだ。そこは反省しなければならない。

「嫌だった?」

上目遣いで、目をうるうるさせてこの質問内容をうやむやにしようと試みる。

「い、嫌ではなんだが、やはり気になる」

僅かに、効き目を感じたんだが質問を流す事はできないらしい。適当にそれらしいことを言えばいいか。

 

「それはあなたを識ってしまって、顛末を視てしまったからね」

「それはどう言う・・・」

「きっと今のあなたに言っても理解できないわ。もしかしたら一生できないかもしれない。ねぇイタチくん私が仲良くしたいからじゃダメ?」

すると、イタチくんは黙ってしまった。どうやら追求を諦めたらしい。意味ありげに言って正解だった。

 

「ねぇイタチくん、私はあなたが好きよ。イタチくんは?」

わざと勘違いさせるように言ってみたが、どうやらイタチくんは聡い子なので、この好きな意味合いが男女の関係ではなく、友人としての関係での意味で言ってることとを分かってるらしい。さすがは天才。

「よくわからない」

「そう、今はそれでもいいわ。」

そもそも私はこんな短期間でイタチくんに好かれるとは思っていない。警戒心が何故か猫のように強い。時間はまだあるから私はイタチくんのお友達ですよアピールでもしていけばいつか友達になってくれるはず。

 

 

 

 

 

 

 



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