親愛なる隣人、ウマ娘と共に。 (elle/エル)
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ジュニア期 
プロローグ-Home Sweet Home-


………『さらばだ、少年。』

『魔法なんて大嫌い。』

『君たち大好きだ!』

 

5年前の記憶。大切な家族。大切な兄弟。大切な親友。今はもう、何もない。

 

 

 

 

……あれから5年が経った。僕はユニバースを救うことと引き換えに全世界から忘れられた。

ドクターからも、ハッピーからも、ネッドからも。……MJからも。

 

あれから僕は必死に勉強して高卒認定試験を受けて現役で大学に行った。

 

そして、今。僕は日本に来ている。今いる場所は東京、府中。中央トレセン学園と呼ばれる場所に僕は来ていた。今は校門の前。

 

季節は春。色んな出会いがあり、色んな別れがある季節。

 

僕は今日からトレーナーとしてこの場所で仕事をすることになる。

 

ピーター・パーカー23歳、僕の新たな門出が待っていた。

 

学園の敷地内に入る。すると…

 

「初めまして。ピーター・パーカーさん。私はトレセン学園の理事長秘書をしております、駿川たづなと申します。」

 

「初めまして、駿川さん。よろしくお願いします!」

 

「たづな、で良いですよ。」と、にこやかにはにかむたづなさん。

 

(良い人そうだ…)

 

初めての日本で、しかも初めての職場。まあ職場みたいな、家族みたいなチームには所属してたけど…少し不安だった気持ちは、たづなさんのおかげでほぐれた。

 

「では、理事長室まで案内いたします。」

 

「はい。」

 

すたすたと歩くたづなさんにピーターは付いていく。

 

すごく広い場所だ…。

 

理事長室まで歩いている間、周りの建物などを見ていたピーターは、学園の広大な敷地に驚いていた。

 

アベンジャーズ基地よりずっと広いや…

 

プールや食堂、そして広大な芝生とダートのレース場。

 

ここでウマ娘たちは日々、練習に勤しんでいると言う。

 

どんな娘たちが居るんだろう…そんなことを考えていると、理事長室に着いたようだ。

 

「理事長、新任のトレーナーさんがいらっしゃいました。」

 

理事長とはどんな人なのだろうか…やっぱりこんな広大な学園を纏めている人なのだから厳格そうな人なのだろうか…だがそんな考えとは裏腹に、ドアの向こうからは幼い声が聞こえてきた。

 

「感謝!案内ありがとうたづな!ではパーカートレーナー、入りたまえ!」

 

「し、失礼します…」

 

それはそれとして緊張していた僕は、恐る恐る理事長室に入る。するとそこにいたのは、僕より一回りも二回りも小さい少女だった。

 

「え、小学生?」

 

「失礼!私は少なくとも小学生よりは上だ!」

 

「あ、すいません!」

 

思わず口からポロっと出てきてしまった言葉。すぐに僕は謝った。

 

「こほん。自己紹介が遅れたな。私は学園の理事長、秋川やよいだ!パーカートレーナー!これからよろしく頼む!」

 

「初めまして、ピーター・パーカーです。これからよろしくお願いします。担当と切磋琢磨していけるよう精進します!」

 

「驚嘆!パーカートレーナーは日本語が上手なのだな!」

 

「ああ、まあ…必死に勉強したので…」

 

戸籍も無いような僕は一人で生きていけるように必死に努力をした。スパイダーマンとしての活動も続けながら。

 

「それでは頑張ってくれ!パーカートレーナーの活躍を期待しているぞ!」

 

「はい!」

 

お辞儀をして理事長室から出る。たづなさんからも…

 

「学園では色々あるかと思いますが、頑張ってくださいね。応援しています。」

 

「はい!ありがとうございます!頑張ります!」

 

たづなさんとお別れして、そのままトレーナー寮へ向かう。

 

それからしばらく歩いて着いた。ここがトレーナー寮か。ここで今日から生活することになる。

 

将来への期待に胸を膨らませ、自分の部屋の扉のドアノブを回した時に僕はとんでもないことに気付いた。

 

……Oh My!!!!!Goooooooooooooood!!!!!!!!!!!!

 

「ウェブシューターあっち(・・・)に忘れてきた!!!!」




処女作なので駄文ですが、エタらないよう頑張って書いていきたいと思います。一応続きは執筆中です。反響次第でモチベ上がります。


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ニューホーム

 

 

 

いつからだろうか。ウマ娘に興味を持ち始めたのは。

 

それは多分、僕がみんなから忘れられて一人暮らしを始めてからすぐだったと思う。

 

何気なくYouTubeを見ていて、ふと気になる動画を見つけた。それは日本のウマ娘の動画で、シンボリルドルフ、と言うウマ娘の動画だった。それを何気なく見て、僕は衝撃を受けた。

 

王のような貫禄で走り抜け、相手を蹂躙していく。絶対に勝利は譲らない。"頂点"に君臨するのは私だ、と声高らかに宣言するようなそのレーススタイル。

まるでエンペラー(皇帝)の様なそのオーラ。

僕はウマ娘と言う存在に一目惚れした。

 

時は戻って_________

 

「ウェブシューターあっち(・・・)に忘れてきた!!!!」

 

「Nooooo!!何で今気付いたんだ!?今の僕にとってレゴのパルパティーンの次くらいに大事なウェブシューターを僕が住んでた部屋(・・・・・・・・)に忘れてくるなんて!!」

 

そう、スパイダーマンとしての活動にとても大事なウェブシューター。それを、アメリカの僕が住んでた部屋に置いてきてしまった!!

 

「あれが無かったら、ただの全身タイツの頑丈な蜘蛛人間と変わらないじゃん!」

 

「あーもう、スーツはしっかりと持ってきてるし…なんなんだよもう…」

 

僕が変なところに怒っていると…

「おーいそこのお前。どうしたんだ大声で焦って」

 

「あ、あなたは…?」

 

「俺は沖野。沖野リョウだ。沖野トレーナーとでも呼んでくれ。」

 

後ろ髪を結んで飴を舐めている男が話しかけてきた。なんか変な人だな…?

 

「よ、よろしくお願いします…」

 

「おーよろしく。ところでさっきからどうした。失恋でもしたか?」

 

「………」

 

「あー悪い悪い。冗談だって。どうしたんだ?何かあったんだろ?」

 

「あーえっと…その、とても大事な物を遠いとこに忘れてしまって…どうしようかなって思ってたところです。」

 

「あー、俺もよくあるよ。そう言うの。同僚とバーに飲みに行く時会計でよく金を遠いとこに忘れるんだよな…まあスピカのために消えた金だけど」

 

「あ、スピカってのは俺がやってるチームのことな。」

 

「あ、あー…」

 

「まあ、なんだ。そう言うこともある。切り替えていこうぜ。じゃあな。」

 

……結局何がしたかったんだ、あの人…?

 

僕がとりあえず部屋に入ろうとした時、

 

「ああそうだ、忘れてた。お前さん、名前は?」

 

「…ピーター。ピーター・パーカーです。親愛なるトレーナーとして、これからよろしくお願いします」

 

ガチャ、とドアを閉める。

改めて、新しい生活のスタートだ。

 

 

 




沖野トレーナーの名前は原画集に書いてある「西崎リョウ」にしようと思いましたが分かりづらいと思ったのでみんなが慣れ親しんでいる沖野の苗字と原画の名前を混ぜました。
一応沖野リョウって名前を出すのはこれっきりだと思います。これからは普通に沖野さん、か沖野トレーナーって名前でピーターにも呼ばせます。


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ホームイン

 

 

…さて。どうしようか。

 

部屋に入り気持ちを落ち着け冷静になった僕は、これからのことを考えていた。

 

スパイダーマンとしての活動で最も重要な糸とシューター。

 

5年前は元々使ってたシューターがあったし糸も作れてたけど、今は設備が一切無い。どう作れば良いんだ…

 

そう言えば、別の世界の僕と一緒に戦った時、1人はシューター無しでそのまま糸出してたっけ…

 

うう、羨ましいよ…

 

でも、まあ。とりあえずは大丈夫だろう。日本は治安が良い国だと聞いている。アメリカみたいにポンポンヴァルチャーとかミステリオみたいな奴らが出る国では無いだろう。

 

幸いスーツはあるし僕は普通の人とは運動能力が違う。近接戦闘でも日本の人たちに負けることはないだろう。

 

万が一銃を使われても僕にはムズムズがあるし。

 

今はウマ娘のことを考えよう。まずはスカウトからかな。

 

もう新入生の入学式も終わっているし、模擬レースで僕の担当を探そう。

 

「えーっと、模擬レースの日程は…」

 

…Wow. 今日の夕方からか。タイミング良いね。

 

とりあえず、部屋に色々置くか…

 

______________________

 

 

私は、幸せだった。父さんと母さんと3人で毎日楽しく生活してきた。

私は走るのが好きだった。強いウマ娘さん達のレースを見て研究して、同じ走り方で走ってみたり、自分だけの走り方を作って走ったりしてた。

 

だから、トレセン学園に凄く入りたかった。

 

毎日勉強頑張って、誰にも負けないような脚で毎日トレーニングして、紆余曲折。ようやくトレセン学園に合格できた。

 

それは突然だった。

 

今でも覚えてる。あれは確か2018年の…

 

_______

____________

______________________

 

「はぁ…明日からトレセン学園の生徒かぁ…へへへ…」

 

にやけが止まらない。自分の努力が報われた。達成感とワクワクで頭がパンクしそうだ。

 

中央トレセン学園。ウマ娘の中でもトップクラスのエリートが集まる日本でトップのウマ娘のウマ娘によるウマ娘の為の学園。

 

私はそこに明日から生徒として行くのだ。

 

今日は家族と入学前夜祭として家でパーティをしていた。

 

にんじんいっぱい食べて、学園での生活の楽しみとか、色々両親に話した。両親はずっと笑顔でそれを聞いていた。

 

あぁ…私は幸せ者だなぁ…

 

学園に入ったら、いっぱい友達作って、競い合って……もしかすると、良い出会いとか…!?

 

「〜〜〜〜〜っ!いや〜!楽しみですなー!!」

 

自室で枕に顔をうずめて1人未来に盛り上がる私。いやぁ、楽しみだ。

 

「さて、入学式には健康な状態で行かないと!なので早寝しましょー早寝!」

 

と、そのままバッ、と布団を自分に被せてグースカピー、と…

 

「あぁ…にんじんがいっぱい…」

 

そのまま私は眠りに付いた。

 

ピピピピ…

「おはよう!!!!」

 

6時のアラームで覚醒し、布団を吹っ飛ばした私。そのまま朝の体操をして、歯磨きして…

 

そこからいつものように、リビングには両親いて、朝食を作ってくれていて、「おはよう」って…

 

「あれ?」

 

そこには誰も、いなかった。

 

「お父さーーん、お母さーーーん、どこーー??」

 

あれー?おっかしいなー。2人とも今日は仕事が朝早かったのかな?

 

まあいいか。料理は自分だけでも出来るし。

 

「〜〜〜〜♪」

 

鼻歌をしながら料理をしていく。

 

「とりあえずニュースっ、と…」

 

ポチ、とリモコンのボタンを押してテレビを付ける。

 

『緊急ニュースです!緊急ニュースです!5年前消えてしまった人々がたった今!続々と復活してきています!2018年の騒動から5年ぶりに!消えた人々が戻ってきました!!』

 

「は…?」

 

どういうことだ…?

 

急いで私は持ってたスマホで日付を見る。

 

「2023…年……?」

 

私の人生の5年は、たった一晩で消え去っていた。

 

 

 

 



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ホームシック

 

結論から言うと、両親は死んでいた。交通事故で。

 

いやいや、何なの。ほんとに。

 

そして私はどうやら謎の宇宙人に消された全宇宙の生命の半分に選ばれてしまった哀れなウマ娘、らしい。

 

それを知ってからしばらくは家の中で何をすることもなく空を見つめるだけ。

 

どうやら両親は消えた私が行方不明だと思い込んで外でビラ配りとかをして必死に私を探していたらしい。

 

私が戻ってくる1ヶ月くらい前、だったかな。母さんが抱えていたビラを交差点に落としてしまって急いで取ろうとした時、もう、すぐ近くにトラックが来てて、父さんが急いで助けに行ったけど、逆に2人一緒に…って。

 

「ウマ娘って頑丈だと思うんだけどなぁ…」

 

はは、1人で何言ってんだろ。私。

 

薄暗い部屋の中、何も無い私の声が反響する。

 

そんな時だった。

 

ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。

 

ああもう、出るのもめんどくさい。

 

でも体は勝手に動いてた。まるで何かの運命に引き寄せられるかのように。

 

配達員さんから手紙を受け取った。

 

「トレセン学園入学書類…?」

 

何で、今…?もう5年経ってるし。え…?

 

そこに、また1枚。書類が封入されてた。

 

「……あぁ。特例措置ってことか。」

 

つまり私は5年間消えていたが、年齢も容姿も当時のそのままなのでそのまま今年度からの入学が特例で決まった、と言うことだ。

 

当然と言えば当然か。消えてしまったのは本人の責任では無いし、外見も精神年齢も当時から変わっていない。だからこれは当たり前のこと。当たり前のこと、だが。

 

「今の私は、私の生活は…私の大事な家族は…あの時と…何1つ、違うじゃん…」

 

涙が溢れて止まらない。今の私に、あの時みたいな、希望は…もう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのままひとしきり泣いて、泣いて、泣いて。

 

私は覚悟を決めた。

 

母さんに昔言われたことがある。

 

『見ているみんなに勇気を与えられる、希望を見出してあげれる。そんなウマ娘になってほしい。』

 

だったら、だったら…!

 

「なる。私はなるんだ…勇気と希望の、ウマ娘に。」

 

ちっぽけな惑星(ユニバース)のちっぽけな部屋。そこでちっぽけな私は、大いなる覚悟を決めた。

 

_____________________________________

 

 

 

時刻は17時辺り。

 

事務作業を終わらせ、僕は模擬レースがあるトラックに来ていた。

 

たくさんのウマ娘がこの広大なトラックで並んでいる。

 

それぞれがそれぞれの信念を持ち、トレーナーに選ばれるために、自分の未来を決めるために、たくさんの想いが張り巡らされている。

 

覚悟が決まっている目をしている者もいれば、まだ迷いがあるような子もいる。

 

ふと、1人の娘に目が行った。

 

その子の目は、何かこう、上手く言い表せないけど、覚悟は決まっていた。でもその瞳の奥に、何か引っかかるものがあるかのような…

 

準備運動はしながら、視線は一極に集中していた。ただ前を、見ていた。

 

見ていると、全員がゲートに入ったようだ。

 

何か感じるようなものがあるな、と思っていたら。

 

「おー、よう。さっきぶりだな、ピーター。」

 

「ああ、沖野さん。さっきぶりです。」

 

話しかけてきたのは、さっきの飴男さん。

 

彼もどうやら、僕みたいにスカウトをしにきたようだ。

 

「お前もスカウトだろ?今んところ誰が一番良いと思う?」

 

「うーん、まだよく分かりませんが、強いて言うならあの子、ですかね。」

 

僕が指を指した所にいるウマ娘を沖野さんも見る。

 

「あーあのボブの子か?えーっと、あの子の名前は確か…ブラック…」

 

ガチャン。ゲートの扉が開く。名前は聞き損ねたが、とりあえず今はレースに集中しよう。

 

「まあとりあえず、俺も見て決めるかな…」

 

___________________________________

 

「ふーーー…ふーー…」

 

気持ちを落ち着かせる。あれから私は学園に入学して、友達を作ったりして、ある程度クラスに馴染むことも出来た。

そして色々ちょっとした運動もしたりした。

来る模擬レースに備えて。

 

ここでスカウトが来るか来ないかで、私の何かが終わってしまう、と思う。だから勝つために。

今、できることをしよう。

 

準備運動をして、今はゲートに入って深呼吸をしている。どうしても緊張はしてしまう。

 

周りのみんなも目をギラギラ輝かせてスタートを今か今かと待ち望んでいる。

 

私も負けてられない。

 

走り出すフォームを構える。

 

『Are you ready!?』

 

『いっくよー!』

 

他の子たちのやる気も伝わってきた。

 

さあ、行こう。

 

ガチャン、とゲートが開く。そのまま私は駆け出した。

 

焦らず、自分のペースで。

 

今の立ち位置は中団辺り。まだ息は続いている。

 

既に掛かってしまっている子もいる。

 

まだ行けるぞ、と言う顔もあれば、既に顔が歪んできている子もいる。

 

よし。良いペースだ。もうすぐ最後の直線に入る。ここで…

 

芝を蹴る。そのまま駆け出していく。

 

どんどん前を追い抜いていく。

 

もうすぐ先頭にも追い付く。残り200mっ…

 

ガクン、と減速する。

 

「っあ」

 

何で…っ

 

何で。

 

負けたくない…いやだ…っ

 

学園に入れて、それで終わり?他の子に並ぶことも出来ず、ただ入って終わり…?

 

ここで負けてるようじゃ、これからも…勝てない…!!

 

ぐっ…っ、いきなり息が上がり始めた…

 

ペースを間違えた…?

 

でも、でもッ!!

 

「負けるわけには行かないんだァァァっ!」

 

「「でやあああああああ!」」

 

え?

 

今一緒に叫んだのは、誰。

 

そんなことを考えているうちに。

 

私の足は、ゴールを越していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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スカウト







 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……」

 

「か…勝て、た…?」

 

結果は、1着だった。

 

良い、結果だとは思う。でも。

 

「もっと…もっと…!」

 

ウマ娘の本能と言うべきか。私の中のウマソウルが、もっと、もっと上に、と。語り掛けてくる。

 

すると…

 

「あのっ!さっき一緒に叫んでた子ですよね!」

 

私が振り向くとそこには。

 

「あなたの走り方、すっごく良かったです!私、勝つことはできなかったけど、すごく、すごく満足できました!」

 

「…ありがとう…」

 

「あの、私、スペシャルウィークって言います!」

 

「あなたの名前、教えてください!」

 

「…私は、ブラック…」

 

「ねぇ君!僕の担当にならない!?」

 

「あなたには凄く伸び代があります。私ならそれを伸ばすことができる。私の担当になりませんか」

 

「あなた、私のチームに来ませんか!?」

 

「わ、ちょ…」

 

いきなり押し寄せてきたスカウトの大群。や、やばい、埋もれる…

 

誰を選ぼうか、と考えてた時。

 

「ねぇ!君!僕の担当にならない!?」

 

柵の向こうから大声でスカウトをしてきたトレーナー。

 

あの人の顔を見た瞬間、私は吸い寄せられるかのように彼の元へ行った。

 

「「ねぇ」」

 

「「えっ」」

 

「「あ、お先にどうぞ」」

 

3回連続でタイミングが一語一句被った。

 

「あー、じゃあ、えっと…君、僕の担当にならない?」

 

……

「私の、トレーナーになってほしい。」

 

「よし!じゃあまずは自己紹介から。僕の名前はピーター・パーカー。これからよろしく。君の名前は?」

 

「私の、名前は…ブラック…」

___________________

 

レースが始まった。僕の目は始まってからずっとあのボブの子に向いていた。

 

沖野さんは隣でストップウォッチでタイムを測っている。

 

あの子は今は掛からないように安定したペースで中団の位置で走っている。

 

ゴールまではあと半分。

 

最後の直線に入った。彼女はそのタイミングでスパートを掛けた。

 

ぐんぐん前に上がっていく。このペースなら1着も狙えるだろう。

 

だが…残り200m地点で、彼女はガクン、と減速した。

 

ペースを間違えたか、足の調子が悪かったか。体が限界だったか。いずれにしても、彼女は後続にどんどん追い越されていった。

 

「ダメか…」

 

そう思った矢先。彼女がまた加速していった。追い越した子たちを追い越し返して、彼女は必死に前に上がっていく。

 

そして…「「でやああああああああ!!」」

 

彼女の後ろにいた子と一緒に彼女たちは叫ぶ。負けてたまるか、と言っているかのように勝利に貪欲で。

 

絶対に諦めたくない意志を感じた。

 

そのまま彼女はゴールした。結果は1着だった。

僕は絶対にあの子を担当にしようと思った。

 

その横で沖野さんはストップウォッチを凝視しながら。

 

「スペシャルウィーク、か…へぇ…」

 

すぐに彼女の方にスカウトのトレーナーが集まる。

 

まずい、取られる…!

 

僕はその場で彼女に呼びかけた。

 

「ねぇ!君!僕の担当にならない!?」

 

すっ、と彼女がこちらを見る。そのまま彼女はこちらに近づいてくる。

 

これは…

 

声を出そうとした時。

 

「「ねぇ」」

 

被った。

 

「「えっ」」

 

また。

 

「「あっ、お先にどうぞ…」」

 

...What!?

 

「あー、じゃあ、えっと…君、僕の担当にならない?」

 

一瞬の沈黙のあと。

 

「私の、トレーナーになってほしい。」

 

……よっし!

「よし!じゃあまずは自己紹介からかな。僕の名前はピーター・パーカー。これからよろしく。君の名前は?」

 

「私の名前は…」

 

なぜか、その時急にMJとの思い出が脳裏に浮かんだ。

 

スタークさんがいなくなってしまってから少し経った夏休み。僕とMJとネッドと、友人たちと一緒にヨーロッパ旅行に来ていたのを覚えてる。

 

そこで僕はベック…ミステリオやニック・フューリーと会ってそれから色々あったのも覚えてる。

 

そう言えばあの時、MJにネックレスをプレゼントしたんだっけ。

 

あのネックレスの名前は確か…

 

「ブラックダリア」

 

「えっ?」

 

「私の名前は、ブラックダリア。」

 

彼女の名前は、僕の大切な想い出。大切な人を思い出させる名前だった。




アニメとゲームとMCUごちゃ混ぜの世界ですので色々設定や原作イベントの時期に矛盾が出たりしますがご容赦ください。
今回はアニメ1期序盤のリギル入部レースを使いました。
ただ、色々設定は変えていて、まずリギルの入部レースではなく普通の模擬レースに変えています。リギルに入られたらピーターがトレーナー出来ないので。
一応おハナさんも見に来ているってだけです。
それ以外は特に変えてないのでエルもウララもスペもいます。


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ブラックダリア

 

「…え」

 

あの時の記憶が脳裏に蘇ってくる。

 

『これ…』

『ブラックダリア…』

『殺人事件の!』

 

急に懐かしくなって。

あれ、最近懐かしむことも無くなってきたはずなのに、な。

戻りたくても戻れないあの頃。そう思うと涙が。

 

「…ナーさん…レーナーさん…!トレーナーさん!」

 

「…あっ、え。あっ、そっか、ごめん。えーっと、今日からデビュー戦へ向けてトレーニングを始めていくよ。改めてよろしく。ブラックダリア。」

 

「あっ…は、はい。よろしくお願いします、トレーナーさん。」

 

彼女の名前を聞いてからのことをあまり覚えていない。

ふと、思い出してしまって。

ボーッとした気持ちで過ごして、気付いたら職員としての事務作業も終えていて、気付いたら1日経ってて、今は学園のトラックで、トレーニング初日と言うことで、改めて挨拶を交わしていた。

 

…まだ、MJとのことは乗り越えられていない。

ずっと引きずってしまってるんだなってことを自覚してしまった。

そして、これからもずっと引きずるんだろう。

 

…ずっとこんな気持ちでいたらダメだ。切り替えていかないと。とりあえず…

 

「ダリア。じゃあまずはこのトラックを一周してきて。」

 

「はい。」

 

ここ、トレセン学園の芝・ダート合わせたトラックは広大で、芝の一周だけでもかなり広い。

 

そんな場所をトレーニングで毎日走り抜けるんだからウマ娘のスタミナはとんでもないものだと言うのを改めて思う。

 

この上にアーマーとかを付けたらまた地球に脅威が迫った時とか、かなり強いんじゃないか…?

 

…っと、いけないいけない。僕はもうアベンジャーズには入っていないただの親愛なる隣人なんだ。こう言うことを考えても意味無い、か。

 

考えるのをやめて、トラックを走っているダリアに目を向ける。

フォームは綺麗で、一定のペースで走っている。

そのままどんどんこちらに近づいてきて…

 

芝の1800mのトレーニングコース。さて…

「タイムは1:49.8。平均より少し早いね。このペースでどんどん上げていこう。」

 

「はい…!」

 

走り終わりすぐ息を整え、次のトレーニングの指示を待つダリア。

 

「じゃあ、次のトレーニングは…」

 

それから陽が落ちる前くらいにトレーニングを辞め、僕はトレーナー室に。ダリアは寮に戻った。

____________________________

「それでねダリアちゃん!そのオペラオーちゃんって子が何かこう、すごくてね!」

 

「へー、どんな風に?」

 

「えっと…うーん、すごくて、すごいんだけど……あー、そう!すごく自分にすごく自信持ってて、それでいてすごく良い子なんだ!」

 

「へー…私も話してみたいな…」

 

今私がいるのは私の部屋がある栗東寮の私たちの部屋。

そこで同室になったナリタトップロードちゃんと友達になった子のことをお互い話していた。

 

トップロードちゃんはテイエムオペラオーちゃんって子のことを熱く語っていた。それだけすごい子なんだろう。私も話してみたい。

 

「それで、ダリアちゃんは、何か友達になった子で面白い子はいた?」

 

「あー、私は…」

何か記憶に残っている子は…

『『でやああああああああああ!!』』

 

「…あー、スペシャルウィークちゃんって子。私と模擬レースで一緒に走って一緒に叫んだ。」

 

「あはは!楽しそう!」

 

「うん、楽しい。」

 

「…多分、オペラオーちゃんにもトップロードにも負けないくらい、凄く強い子になるって、私は思う。」

 

「私たちも負けてられないね。」

「そうだね。」

 

そのまま他愛も無い話を続けて、そのまま布団に就き、次に目が覚めたのは小鳥のさえずりが聞こえて来る朝だった。

______________

 

「ふぅ…とりあえずひと段落、かな…」

自分に割り当てられているトレーナー室で、ある程度仕事を終わらせた僕。

とりあえず休憩していた。

 

「…学園の中、散策してみるか…」

 

思えば入学してからあまり詳しくは学園の内部を見ていない。

見取り図などを見て大まかな位置を知っているだけだ。

少し色々見てみよう、と思い、学園の施設に足を運ぶことにした。

 

まずはプール。

今もトレーニングをしている子たちがまばらにいる。

クロールや背泳ぎなど、色々な泳ぎ方でみんな頑張っている。

少し見ていたら、すぐ近くでバシャン、と音が鳴り1人の子がプールに飛び込んだ。

 

「Wow...!」

水しぶきが飛んできて、それをギリギリで避ける。

「危なかった…」

 

そのままそそくさと他の施設にも足を運んだ。

 

図書室。

トレセン学園と言うこともあって、トレーニングに関する本、レースに関する本、走り方に関する本など、ウマ娘に関する本が大量に置かれている場所。

 

そこで僕は走り方についての本を読んでいた。

今のダリアの走り方を見るに、恐らくあの子はマイル、中距離向けの脚を持っていて、走り方は多分先行が合っていると思う。

 

少し読み耽って、他の本も見てみることにした。

 

ウマ娘の本以外にも、小説や図鑑や伝記など、色々揃っている。

 

並んでいる本を見てみて、少し気になるものがあった。

 

『図鑑:世界を救ったアベンジャーズの英雄たち』

『伝記:トニー・スターク/アイアンマン』

 

やっぱりスタークさんはずっと昔から。

そう、スタークエキスポの時に僕を助けてくれた時から、命を懸けてサノスを倒して、それからも、これからもずっと。僕のヒーローなんだろう。

 

図鑑を読んでいて、ふと自分がどう言う書かれ方をしているのか、と気になって、自分のページを開いてみた。

 

『図鑑No.17 スパイダーマン:正体が不明の神出鬼没のヒーロー。2018年のスナップ騒動や2017年の現在収監中のエイドリアン・トゥームスによるヴァルチャー騒動で主に活躍していた。

だが、2023年に起こした伝説のヒーロー、Q・ベック、通称ミステリオを殺害した事件※と自由の女神で起こした騒動でしばらくの間姿を消していた。

現在はニューヨークなどで「親愛なる隣人」として活動していると言う噂が立っている。

※ミステリオ殺害事件は、証拠が不十分な点や、ミステリオ殺害時の映像が、合成可能であるとして、現在犯人はスパイダーマン以外にもいるかもしれないとされている。』

 

「…」

まあ、予想は付いていたけど、こういう書かれ方をされると凹む。

 

でも"あれ"は自分で選んだ道だから、当時を懐かしく思っても、後悔はしていない。あれで色んなユニバースが救えたんなら、それでいいと思う。

 

とりあえず何冊かウマ娘の本を借りて、研究しよう。

 

「すいません、これ借ります。」

 

「本の貸出ですね。…はい、どうぞ。またご利用してくださいね〜。」

司書のゼンノロブロイちゃんからそんな言葉を受けて、図書室を出る。

 

「疲れたし、そろそろ帰るか…」

 

それから少し歩いていて。

キィィィィィィィィーーーーーーン……______________

 

いきなり、スパイダーセンス(第六感)が反応した。

「…!」

 

意識を集中させる。そして…

 

ガラララ、とすぐ近くにあった部屋の扉が開き。

「やばい!!!!」

と、男が1人出てきて。

 

ドカァァァァン!!!

と、爆風が部屋から吹き荒れ、その衝撃で僕も吹き飛ぶ。

だが頑丈だからすぐ立ち上がり。

「大丈夫ですかッ!!!」

すぐに男の元へ駆けつけ、言葉を掛けた。

 

「あ、あぁ…大丈夫です…すいません、心配お掛けしました。それより…」

警報が鳴り響く中、中には倒れている1人のウマ娘がいた。

 

「…!」

ダッ、と彼女の元へ駆け寄り、容態を確認する。

「大丈夫、ただ気絶してるだけだ。早く保健室に連れて行って!」

 

「あ、ありがとう…本当に…!」

そのまま彼女を保健室に連れて行く彼。

心なしか、狂気を持つような目をしていたような気がする。

まるでゴブリンの様な…

 

 

 

 

それから少し経ち、彼女も回復して、今は爆発で残骸と化している部屋の前で僕とウマ娘とそのトレーナーと3人で話していた。

 

「本当に、ご迷惑をお掛けしました…!」

「私も、すまないと思っている。本当に助かったよ。」

「ああ…まあ、僕自身に傷は無いので。お2人に怪我が無いんだったら無問題ですよ。」

「所で、どうしてこんなことに?」

 

「ああ、それを説明する前に、私たちの自己紹介をしましょうか。まずはこの子から。」

「私の名前はアグネスタキオンだ。よろしく頼むよ。ヒーロー君。こちらの人は私のモルモ…トレーナー君だ。」

「タキオンのトレーナーの神永新二です。」

「ヒーローはやめてください…では僕も。僕の名前はピーター・パーカー。ここにはいませんが、ブラックダリアと言うウマ娘のトレーナーをしています。よろしくお願いします。」

 

「ふぅン。ピーターか。顔立ちから分かってはいたがやはり外国の方か。ではよろしく頼むよ、ピーター君。」

「よろしくお願いします、ピータートレーナー。」

 

「よろしくお願いします…!」

 

「そして、どうしてこんな事になっていたか、だが…」

「私はウマ娘の無限の可能性を信じていてね。それが夢でもあるんだ。だからここの今は残骸と化している研究室で毎日研究を重ねていた。だから、今日もいつものようにトレーナー君と研究をしていたんだが…」

 

 

 

『タキオン。この赤いやつと緑のやつを混ぜれば良いんだな?』

『そうだ、やってくれ、モルモット君。』

『よし、入れたぞ。次はどうすればいいんだ?タキオン。』

『あぁ、次は………ん?いや待てよ。赤いやつと緑のやつ…?いや待てモルモット君、その成分の名前は…』

『え?あぁえっと、確か、「硫黄」と「硝酸銀」…』

『モルモット君!!!!それから今すぐ手を離すんだ!!!!』

『えっ』

液体が入ってるフラスコが手から落ち、割れずに衝撃が伝わる。

『逃げるんだ!!!!今すぐ爆発するぞ!!!!』

『なッ…!?』

2人一斉に走り出し。

ガラララ。

『まずい!!!!!』

 

 

 

「そしてドカァァァァン、と。そう言う訳さ。」

「ほんとに何と言うべきか…」

「いえいえ、まあ大丈夫ですので…」

 

「ああ、そう。助けて頂いたお礼に、何かしたいな、と思っているのですが…」

「えぇ、そんな!そこまでして頂かなくても…」

 

「私なら何か作って欲しいものがあれば作れることも可能だが。」

「いやいやそんな……ん?」

 

いや、待てよ。スパイダーマン活動として使う。蜘蛛糸。ウェブシューターはホームセンターや工具店で材料を集めれば作れる。だが糸はそう言うわけにはいかない。

物質や素材を集めて少し設備も作って作らなければいけない。トレーナーをしながらそれは、かなり負担が掛かる。それに今目の前にいる彼女は相当頭が良いはず。それでいて設備もある。なら…!

 

「じゃあ、作って欲しいものがあるんですが…!」

 

 

 

 




お久しぶりです。
いざ書いてみたら筆が進んだので書いてみました。
タキオンの実験関連はあまり上手く描写出来てないです。すみません。
覇王世代が好きなのでどう絡ませれば良いのか考えて、トップロードは同室が不明なので使えると思ったのでダリアと同室になりました。
時系列はごっちゃです。
出てくるウマ娘のトレーナーにはそれぞれ名前を付ける予定です。タキオンのトレーナーの名前は神永新二です。
ウルトラなマンとは特に関係は無いです。


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