親愛なる隣人、ウマ娘と共に。 (elle/エル)
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キャラクター情報(随時更新)

更新遅れまくってすいません。
ものすごい時系列の矛盾を見つけたのでそこ含めいまプロット調整してます。
最新話は近日公開です。


ピーター・パーカー

トムホ版

23歳。

今作の主人公。

「ノー・ウェイ・ホーム」のあと生きる気力を失ったように生活していた時たまたまyoutubeで見つけたシンボリルドルフのレースを見てウマ娘の存在に一気に引き込まれる。

その後高卒認定試験を受け短大に。

そして日本に住みウマ娘の資格や知識などを持ち前の頭で取り続ける。

そして2029年。中央トレセンに就職。ダリアと出会う。

日本語が凄い流暢。外人+イケメンなので結構モテる。

身長は当時からちょっと伸びて170㎝。

現在でもスパイダーマンとしてちょくちょく活動している。

JJJからは今でも粘着されている。

誕生日は8月10日。

 

 

 

 

ブラックダリア

今作のヒロイン兼主人公

16歳。

B82W60H80

身長:163㎝

体重:優雅に成長中

黒鹿毛でショート寄りボブ。

青目。

参考画像:

【挿絵表示】

 

明るくみんなから好かれている。だがその心の裏には...?

もともと3人家族で昔から明るく家族が大好きで幸せな生活を送っていた。

2018年3月22日。

その日はトレセン入学前のパーティーを家で家族で行っていた。楽しく過ごし明日に期待し眠りにつく。

そして朝に起き、いつものようにリビングに家族がいるはずだった。

彼女がテレビをつけて見たもの、それは残酷な日付。2023年10月だった。

彼女は「インフィニティ・ウォー」でのサノスによる大量虐殺「デシメーション/The Blip」に巻き込まれ寝ている間に5年もの間消滅してしまっていた。

彼女の両親は懸命に彼女を探し続けたが、彼女が復活する1年前に交通事故に遭い死亡。

生きる意味を見失っていた時にトレセンから特例の入学措置が届き母親の言葉を思い出しトレセンに入学しピーターと出会う。

高等部1年

同室はナリタトップロード。

誕生日は後々明かされる。

 

 

 

 

 

 

アグネスタキオン

言わずと知れた研究狂。

ピーターと一緒に研究をしたりウェブシューターとスーツを作っている。

誕生日は4月13日。

 

 

 

 

神永新二

 

タキオンのトレーナー。

名前がどこかの誰かと一緒だが特に関係はない。

顔は斎藤工似。

30歳。誕生日は7月17日。

優しい性格でタキオンの研究も手伝ってあげている。

だがタキオンやピーターによるとその目は狂気が見え隠れしているとも言われていて...?

 

 

 

沖野リョウ

30歳前後。

チームスピカのトレーナーでピーターの先輩。

よく蹴り飛ばされている。

誕生日は11月18日。

リョウと言う名前は原画集に記載してある「西崎リョウ」から。

 

 

 

スペシャルウィーク

大食い

誕生日は5月2日。







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ジュニア期 
プロローグ-Home Sweet Home-


………『さらばだ、少年。』

『魔法なんて大嫌い。』

『君たち大好きだ!』

 

5年前の記憶。大切な家族。大切な兄弟。大切な親友。今はもう、何もない。

 

 

 

 

……あれから5年が経った。僕はユニバースを救うことと引き換えに全世界から忘れられた。

ドクターからも、ハッピーからも、ネッドからも。……MJからも。

 

あれから僕は必死に勉強して高卒認定試験を受けて現役で大学に行った。

 

そして、今。僕は日本に来ている。今いる場所は東京、府中。中央トレセン学園と呼ばれる場所に僕は来ていた。今は校門の前。

 

季節は春。色んな出会いがあり、色んな別れがある季節。

 

僕は今日からトレーナーとしてこの場所で仕事をすることになる。

 

ピーター・パーカー23歳、僕の新たな門出が待っていた。

 

学園の敷地内に入る。すると…

 

「初めまして。ピーター・パーカーさん。私はトレセン学園の理事長秘書をしております、駿川たづなと申します。」

 

そこには緑を基調とする服を着ていた秘書さんが待っていた。

 

「初めまして、駿川さん。よろしくお願いします!」

 

「たづな、で良いですよ。」と、にこやかにはにかむたづなさん。

 

(良い人そうだ…)

 

初めての日本で、しかも初めての職場。まあ職場みたいな、家族みたいなチームには所属してたけど…少し不安だった気持ちは、たづなさんのおかげでほぐれた。

 

「では、理事長室まで案内いたします。」

 

「はい。」

 

すたすたと歩くたづなさんに僕は付いていく。

 

すごく広い場所だ…。

 

理事長室まで歩いている間、周りの建物などを見ていた僕は、学園の広大な敷地に驚いていた。

 

アベンジャーズ基地よりずっと広いや…

 

プールや食堂、そして広大な芝生とダートのレース場。

 

ここでウマ娘たちは日々、練習に勤しんでいると言う。

 

どんな娘たちが居るんだろう…そんなことを考えていると、理事長室に着いたようだ。

 

「理事長、新任のトレーナーさんがいらっしゃいました。」

 

理事長とはどんな人なのだろうか…やっぱりこんな広大な学園を纏めている人なのだから厳格そうな人なのだろうか…だがそんな考えとは裏腹に、ドアの向こうからは幼い声が聞こえてきた。

 

「感謝!案内ありがとうたづな!ではパーカートレーナー、入りたまえ!」

 

「し、失礼します…」

 

それはそれとして緊張していた僕は、恐る恐る理事長室に入る。するとそこにいたのは、僕より一回りも二回りも小さい少女だった。

 

「え、小学生?」

 

「失礼!私は少なくとも小学生よりは上だ!」

 

「あ、すいません!」

 

思わず口からポロっと出てきてしまった言葉。すぐに僕は謝った。

 

「こほんっ、自己紹介が遅れたな。私は学園の理事長、秋川やよいだ!パーカートレーナー!これからよろしく頼む!」

 

「初めまして、ピーター・パーカーです。これからよろしくお願いします。担当と切磋琢磨していけるよう精進します!」

 

「驚嘆!パーカートレーナーは日本語が上手なのだな!」

 

「ああ、まあ…必死に勉強したので…」

 

戸籍も無いような僕は一人で生きていけるように必死に努力をした。スパイダーマンとしての活動も続けながら。

 

「それでは頑張ってくれ!パーカートレーナーの活躍を期待しているぞ!」

 

「はい!」

 

お辞儀をして理事長室から出る。たづなさんからも…

 

「学園では色々あるかと思いますが、頑張ってくださいね。応援しています。」

 

「はい!ありがとうございます!頑張ります!」

 

たづなさんとお別れして、そのままトレーナー寮へ向かう。

 

それからしばらく歩いて着いた。ここがトレーナー寮か。ここで今日から生活することになる。

 

将来への期待に胸を膨らませ、自分の部屋の扉のドアノブを回した時に僕はとんでもないことに気付いた。

 

……Oh My!!!!!Goooooooooooooood!!!!!!!!!!!!

 

「ウェブシューターあっち(・・・)に忘れてきた!!!!」




処女作なので駄文ですが、エタらないよう頑張って書いていきたいと思います。一応続きは執筆中です。反響次第でモチベ上がります。


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新たなる生活

 

 

 

いつからだろうか。ウマ娘に興味を持ち始めたのは。

 

それは多分、僕がみんなから忘れられて一人暮らしを始めてからすぐだったと思う。

 

何気なくYouTubeを見ていて、ふと気になる動画を見つけた。それは日本のウマ娘の動画で、シンボリルドルフ、と言うウマ娘の動画だった。それを何気なく見て、僕は衝撃を受けた。

 

王のような貫禄で走り抜け、相手を蹂躙していく。絶対に勝利は譲らない。"頂点"に君臨するのは私だ、と声高らかに宣言するようなそのレーススタイル。

まるでエンペラー(皇帝)の様なそのオーラ。

僕はウマ娘と言う存在に一目惚れした。

 

時は戻って_________

 

「ウェブシューターあっち(・・・)に忘れてきた!!!!」

 

「Nooooo!!何で今気付いたんだ!?今の僕にとってレゴのパルパティーンの次くらいに大事なウェブシューターを僕が住んでた部屋(・・・・・・・・)に忘れてくるなんて!!」

 

そう、スパイダーマンとしての活動にとても大事なウェブシューター。それを、アメリカの僕が住んでた部屋に置いてきてしまった!!

 

「あれが無かったら、ただの全身タイツの頑丈な蜘蛛人間と変わらないじゃん!」

 

「あーもう、スーツはしっかりと持ってきてるし…なんなんだよもう…」

 

僕が変なところに怒っていると…

「おーいそこのお前。どうしたんだ大声で焦って」

 

後ろ髪を結んで飴を舐めている男が話しかけてきた。なんか変な人だな…?

 

「あ、あなたは…?」

 

「俺は沖野。沖野リョウだ。沖野トレーナーとでも呼んでくれ。」

 

「よ、よろしくお願いします…」

 

「おーよろしく。ところでさっきからどうした。失恋でもしたか?」

 

「………」

 

そういうのは刺さるからやめてほしい。

 

「あー悪い悪い。冗談だって。どうしたんだ?何かあったんだろ?」

 

「あーえっと…その、とても大事な物を遠いとこに忘れてしまって…どうしようかなって思ってたところです。」

 

「あー、俺もよくあるよ。そう言うの。同僚とバーに飲みに行く時会計でよく金を遠いとこに忘れるんだよな…まあスピカのために消えた金だけど」

 

「あ、スピカってのは俺がやってるチームのことな。」

 

「あ、あー…」

 

「まあ、なんだ。そう言うこともある。切り替えていこうぜ。じゃあな。」

 

……結局何がしたかったんだ、あの人…?

 

僕がとりあえず部屋に入ろうとした時、

 

「ああそうだ、忘れてた。お前さん、名前は?」

 

「…ピーター。ピーター・パーカーです。親愛なるトレーナーとして、これからよろしくお願いします」

 

ガチャ、とドアを閉める。

改めて、新しい生活のスタートだ。

 

 

 




沖野トレーナーの名前は原画集に書いてある「西崎リョウ」にしようと思いましたが分かりづらいと思ったのでみんなが慣れ親しんでいる沖野の苗字と原画の名前を混ぜました。
一応沖野リョウって名前を出すのはこれっきりだと思います。これからは普通に沖野さん、か沖野トレーナーって名前でピーターにも呼ばせます。


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始まり

 

 

…さて。どうしようか。

 

部屋に入り気持ちを落ち着け冷静になった僕は、これからのことを考えていた。

 

スパイダーマンとしての活動で最も重要な糸とシューター。

 

5年前は元々使ってたシューターがあったし糸も作れてたけど、今は設備が一切無い。どう作れば良いんだ…

 

そう言えば、別の世界の僕と一緒に戦った時、1人はシューター無しでそのまま糸出してたっけ…

 

うう、羨ましいよ…

 

でも、まあ。とりあえずは大丈夫だろう。日本は治安が良い国だと聞いている。アメリカみたいにポンポンヴァルチャーとかミステリオみたいな奴らが出る国では無いだろう。

 

幸いスーツはあるし僕は普通の人とは運動能力が違う。近接戦闘でも日本の人たちに負けることはないだろう。

 

万が一銃を使われても僕にはムズムズがあるし。

 

今はウマ娘のことを考えよう。まずはスカウトからかな。

 

もう新入生の入学式も終わっているし、模擬レースで僕の担当を探そう。

 

「えーっと、模擬レースの日程は…」

 

…Wow. 今日の夕方からか。タイミング良いね。

 

とりあえず、部屋に色々置くか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、幸せだった。父さんと母さんと3人で毎日楽しく生活してきた。

私は走るのが好きだった。強いウマ娘さん達のレースを見て研究して、同じ走り方で走ってみたり、自分だけの走り方を作って走ったりしていた。

 

だから、トレセン学園に凄く入りたかった。

 

誰にも負けないような脚で毎日トレーニングして、私は11歳にしてトレセン学園に合格できた。

 

そしてトレセンに通う、はずだった。

 

 

 

 

 

 

…それは突然だった。

 

今でも覚えてる。あれは確か2018年の…

 

 

 

 

_______

____________

______________________

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…明日からトレセン学園の生徒かぁ…へへへ…」

 

にやけが止まらない。自分の努力が報われた。達成感とワクワクで頭がパンクしそうだ。

 

中央トレセン学園。ウマ娘の中でもトップクラスのエリートが集まる日本でトップのウマ娘のウマ娘によるウマ娘の為の学園。

 

私はそこにもうすぐ生徒として入学するのだ。

 

しかもちょっとした飛び級で11歳で入学することになる。

 

今日は家族と入学記念祭として家でパーティをしていた。

 

にんじんいっぱい食べて、学園での生活の楽しみとか、色々両親に話した。両親はずっと笑顔でそれを聞いていた。

 

あぁ…私は幸せ者だなぁ…

 

学園に入ったら、いっぱい友達作って、競い合って……もしかすると、良い出会いとか…!?

 

「〜〜〜〜〜っ!いや〜!楽しみですなー!!」

 

自室で枕に顔をうずめて1人未来に盛り上がる私。いやぁ、楽しみだ。

 

「さて、入学式には健康な状態で行かないと!なので早寝しましょー早寝!」

 

と、そのままバッ、と布団を自分に被せてグースカピー、と…

 

「あぁ…にんじんがいっぱい…」

 

そのまま私は眠りに付いた。

 

ピピピピ…

「おはよう!!!!」

 

6時のアラームで覚醒し、布団を吹っ飛ばした私。そのまま朝の体操をして、歯磨きして…

 

そこからいつものように、リビングには両親いて、朝食を作ってくれていて、「おはよう」って…

 

「あれ?」

 

そこには誰も、いなかった。

 

「お父さーーん、お母さーーーん、どこーー??」

 

あれー?おっかしいなー。2人とも今日は仕事が朝早かったのかな?

 

まあいいか。料理は自分だけでも出来るし。

 

「〜〜〜〜♪」

 

鼻歌をしながら料理をしていく。

 

「とりあえずニュースっ、と…」

 

ポチ、とリモコンのボタンを押してテレビを付ける。

 

『緊急ニュースです!緊急ニュースです!5年前消えてしまった人々がたった今!続々と復活してきています!2018年の騒動から5年ぶりに!消えた人々が戻ってきました!!』

 

「は…?」

 

どういうことだ…?

 

急いで私は持っていたスマホで日付を見る。

 

「2023…年……?」

 

私の人生の5年は、たった一晩で消え去っていた。

 

 

 

 



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ホームシック

 

結論から言うと、両親は死んでいた。交通事故で。

 

いやいや、何なの。ほんとに。

 

そして私はどうやら謎の宇宙人に消された全宇宙の生命の半分に選ばれてしまった哀れなウマ娘、らしい。

 

それを知ってからしばらくは家の中で何をすることもなく空を見つめるだけ。

 

どうやら両親は消えた私が行方不明だと思い込んで外でビラ配りとかをして必死に私を探していたらしい。

 

私が戻ってくる1年くらい前、だったかな。母さんが抱えていたビラを交差点に落としてしまって急いで取ろうとした時、もう、すぐ近くにトラックが来てて、父さんが急いで助けに行ったけど、逆に2人一緒に…って。

 

「ウマ娘って頑丈だと思うんだけどなぁ…」

 

はは、1人で何言ってんだろ。私。

 

薄暗い部屋の中、何も無い私の声が反響する。

 

そんな時だった。

 

ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。

 

ああもう、出るのもめんどくさい。

 

でも体は勝手に動いてた。まるで何かの運命に引き寄せられるかのように。

 

配達員さんから手紙を受け取った。

 

「トレセン学園入学書類…?」

 

「何で、今…?もう5年経ってるし。え…?」

 

そこに、また1枚。書類が封入されてた。

 

「……あぁ。特例措置ってことか。」

 

つまり私は5年間消えていたが、年齢も容姿も当時のそのままなのでそのまま今年度からの入学が特例で決まった、と言うことだ。

 

当然と言えば当然か。消えてしまったのは本人の責任では無いし、外見も精神年齢も当時から変わっていない。だからこれは当たり前のこと。当たり前のこと、だが。

 

「今の私は、私の生活は…私の大事な家族は…あの時と…何1つ、違うじゃん…」

 

涙が溢れて止まらない。今の私に、あの時みたいな、希望は…もう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのままひとしきり泣いて、泣いて、泣いて。

 

私は覚悟を決めた。

 

母さんに昔言われたことがある。

 

『見ているみんなに勇気を与えられる、希望を見出してあげれる。そんなウマ娘になってほしい。』

 

だったら、だったら…!

 

「なる。私はなるんだ…勇気と希望の、ウマ娘に。」

 

ちっぽけな惑星(ユニバース)のちっぽけな部屋。そこで空っぽの私は、大いなる覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時刻は17時辺り。

 

事務作業を終わらせ、僕は模擬レースがあるトラックに来ていた。

 

たくさんのウマ娘がこの広大なトラックで並んでいる。

 

それぞれがそれぞれの信念を持ち、トレーナーに選ばれるために、自分の未来を決めるために、たくさんの想いが張り巡らされている。

 

覚悟が決まっている目をしている者もいれば、まだ迷いがあるような子もいる。

 

ふと、1人の娘に目が行った。

 

その子の目は、何かこう、上手く言い表せないけど、覚悟は決まっていた。でもその瞳の奥に、何か引っかかるものがあるかのような…

 

準備運動はしながら、視線は一極に集中していた。ただ前を、見ていた。

 

見ていると、全員がゲートに入ったようだ。

 

何か感じるようなものがあるな、と思っていたら。

 

「おー、よう。さっきぶりだな、ピーター。」

 

「ああ、沖野さん。さっきぶりです。」

 

話しかけてきたのは、さっきの飴男さん。

 

彼もどうやら、僕みたいにスカウトをしにきたようだ。

 

「お前もスカウトだろ?今んところ誰が一番良いと思う?」

 

「うーん、まだよく分かりませんが、強いて言うならあの子、ですかね。」

 

僕が指を指した所にいるウマ娘を沖野さんも見る。

 

「あーあのボブの子か?えーっと、あの子の名前は確か…ブラック…」

 

ガチャン、とゲートの扉が開く。名前は聞き損ねたが、とりあえず今はレースに集中しよう。

 

「まあとりあえず、俺も見て決めるかな…」

 

___________________________________

 

「ふーーー…ふーー…」

 

気持ちを落ち着かせる。あれから私は学園に入学して、友達を作ったりして、ある程度クラスに馴染むことも出来た。

そして自主トレもしたりした。

来る模擬レースに備えて。

 

ここでスカウトが来るか来ないかで、私の何かが終わってしまう、と思う。だから勝つために。

今、できることをしよう。

 

準備運動をして、今はゲートに入って深呼吸をしている。どうしても緊張はしてしまう。

 

周りのみんなも目をギラギラ輝かせてスタートを今か今かと待ち望んでいる。

 

私も負けてられない。

 

走り出すフォームを構える。

 

『Are you ready!?』

 

『いっくよー!』

 

他の子たちのやる気も伝わってきた。

 

さあ、行こう。

 

ガチャン、とゲートが開く。そのまま私は駆け出した。

 

焦らず、自分のペースで。

 

 

 

 

 

 

今の立ち位置は中団辺り。まだ息は続いている。

 

既に掛かってしまっている子もいる。

 

まだ行けるぞ、と言う顔もあれば、既に顔が歪んできている子もいる。

 

よし。良いペースだ。もうすぐ最後の直線に入る。ここで…

 

芝を蹴る。そのまま駆け出していく。

 

どんどん前を追い抜いていく。

 

もうすぐ先頭にも追い付く。残り200mっ…

 

ガクン、と減速する。

 

「っあ」

 

何で…っ

 

何で。

 

負けたくない…いやだ…っ

 

学園に入れて、それで終わり?他の子に並ぶことも出来ず、ただ入って終わり…?

 

ここで負けてるようじゃ、これからも…勝てない…!!

 

ぐっ…っ、いきなり息が上がり始めた…

 

ペースを間違えた…?

 

でも、でもッ!!

 

「負けるわけには行かないんだァァァっ!」

 

「「でやあああああああ!」」

 

え?

 

今一緒に叫んだのは、誰。

 

そんなことを考えているうちに。

 

私の足は、ゴールを越していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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スカウト







 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……」

 

「か…勝て、た…?」

 

結果は、1着だった。

 

良い、結果だとは思う。でも。

 

「もっと…もっと…!」

 

ウマ娘の本能と言うべきか。私の中のウマソウルが、もっと、もっと上に、と。語り掛けてくる。

 

すると…

 

「あのっ!さっき一緒に叫んでた子ですよね!」

 

私が振り向くとそこには。

 

「あなたの走り方、すっごく良かったです!私、勝つことはできなかったけど、すごく、すごく満足できました!」

 

「…ありがとう…」

 

「あの、私、スペシャルウィークって言います!」

 

「あなたの名前、教えてください!」

 

「…私は、ブラック…」

 

「ねぇ君!僕の担当にならない!?」

 

「あなたには凄く伸び代があります。私ならそれを伸ばすことができる。私の担当になりませんか」

 

「あなた、私のチームに来ませんか!?」

 

「わ、ちょ…」

 

いきなり押し寄せてきたスカウトの大群。や、やばい、埋もれる…

 

誰を選ぼうか、と考えてた時。

 

「ねぇ!君!僕の担当にならない!?」

 

柵の向こうから大声でスカウトをしてきたトレーナー。

 

その人の顔を見た瞬間、私は吸い寄せられるかのように彼の元へ行った。

 

「「ねぇ」」

 

「「えっ」」

 

「「あ、お先にどうぞ」」

 

3回連続でタイミングが一語一句被った。

 

「あー、じゃあ、えっと…君、僕の担当にならない?」

 

……

「私の、トレーナーになってほしい。」

 

「よし!じゃあまずは自己紹介から。僕の名前はピーター・パーカー。これからよろしく。君の名前は?」

 

「私の、名前は…ブラック…」

___________________

 

レースが始まった。僕の目は始まってからずっとあのボブの子に向いていた。

 

隣の沖野さんはストップウォッチでタイムを測っている。

 

あの子は今は掛からないように安定したペースで中団の位置で走っている。

 

ゴールまではあと半分。

 

最後の直線に入った。彼女はそのタイミングでスパートを掛けた。

 

ぐんぐん前に上がっていく。このペースなら1着は余裕だろう。

 

だが…残り200m地点で、彼女はガクン、と減速した。

 

ペースを間違えたか、足の調子が悪かったか。体が限界だったか。いずれにしても、彼女は後続にどんどん追い越されていった。

 

「ダメか…」

 

そう思った矢先。彼女がまた加速していった。追い越した子たちを追い越し返して、彼女は必死に前に上がっていく。

 

そして…「「でやああああああああ!!」」

 

彼女の後ろにいた子と一緒に彼女たちは叫ぶ。負けてたまるか、と言っているかのように勝利に貪欲で。

 

絶対に諦めたくない意志を感じた。

 

そのまま彼女はゴールした。結果は1着だった。

それを見て僕は絶対にあの子を担当にしようと思った。

 

その横で沖野さんはストップウォッチを凝視しながら。

 

「スペシャルウィーク、か…へぇ…」

 

僕はそれを気にせず彼女の方へと向かう。

 

すぐに彼女の方にスカウトのトレーナーが集まる。

 

まずい、取られる…!

 

僕はその場で彼女に呼びかけた。

 

「ねぇ!君!僕の担当にならない!?」

 

すっ、と彼女がこちらを見る。そのまま彼女はこちらに近づいてくる。

 

これは…

 

声を出そうとした時。

 

「「ねぇ」」

 

被った。

 

「「えっ」」

 

また。

 

「「あっ、お先にどうぞ…」」

 

...What!?

 

「あー、じゃあ、えっと…君、僕の担当にならない?」

 

一瞬の沈黙のあと。

 

「私の、トレーナーになってほしい。」

 

……よっし!

「よし!じゃあまずは自己紹介からかな。僕の名前はピーター・パーカー。これからよろしく。君の名前は?」

 

「私の名前は…」

 

と、なぜか。その時急にMJとの思い出が脳裏に浮かんだ。

 

スタークさんがいなくなってしまってから少し経った夏休み。僕とMJとネッドと、友人たちと一緒にヨーロッパ旅行に来ていたのを覚えてる。

 

そこで僕はベック…ミステリオやニック・フューリーと会ってそれから色々あったのも覚えてる。

 

そう言えばあの時、MJにネックレスをプレゼントしたんだっけ。

 

あのネックレスの名前は確か…

 

「ブラックダリア」

 

「えっ?」

 

「私の名前は、ブラックダリア。」

 

彼女の名前は、僕の大切な想い出。大切な人を思い出させる名前だった。




アニメとゲームとMCUごちゃ混ぜの世界ですので色々設定や原作イベントの時期に矛盾が出たりしますがご容赦ください。
今回はアニメ1期序盤のリギル入部レースを使いました。
ただ、色々設定は変えていて、まずリギルの入部レースではなく普通の模擬レースに変えています。リギルに入られたらピーターがトレーナー出来ないので。
一応おハナさんも見に来ているってだけです。
それ以外は特に変えてないのでエルもウララもスペもいます。


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ブラックダリア

 

「…え」

 

あの時の記憶が脳裏に蘇ってくる。

 

『これ…』

『ブラックダリア…』

『殺人事件の!』

 

急に懐かしくなって。

あれ、最近懐かしむことも無くなってきたはずなのに、な。

戻りたくても戻れないあの頃。そう思うと頬に何かが伝わって。

 

「…ナーさん…レーナーさん…!トレーナーさん!」

 

「…あっ、え。あっ、そっか、ごめん。えーっと、今日からデビュー戦へ向けてトレーニングを始めていくよ。改めてよろしく。ブラックダリア。」

 

「あっ…は、はい。よろしくお願いします、トレーナーさん。」

 

彼女の名前を聞いてからのことをあまり覚えていない。

ふと、思い出してしまって。

ボーッとした気持ちで過ごして、気付いたら職員としての事務作業も終えていて、気付いたら1日経ってて、今は学園のトラックで、トレーニング初日と言うことで、改めて挨拶を交わしていた。

 

…まだ、MJとのことは乗り越えられていない。

ずっと引きずってしまってるんだなってことを自覚してしまった。

そして、これからもずっと引きずるんだろう。

 

…ずっとこんな気持ちでいたらダメだ。切り替えないと。とりあえず…

 

「ダリア。じゃあまずはこのトラックを一周してきて。」

 

「はい。」

 

ここ、トレセン学園の芝・ダート合わせたトラックは広大で、芝の一周だけでもかなり広い。

 

そんな場所をトレーニングで毎日走り抜けるんだからウマ娘のスタミナはとんでもないものだと言うのを改めて思う。

 

この上にアーマーとかを付けたらまた地球に脅威が迫った時とか、かなり強いんじゃないか…?

 

…っと、いけないいけない。僕はもうアベンジャーズには入っていないただの親愛なる隣人なんだ。こう言うことを考えても意味無い、か。

 

考えるのをやめて、トラックを走っているダリアに目を向ける。

フォームは綺麗で、一定のペースで走っている。

そのままどんどんこちらに近づいてきて…

 

芝の1800mのトレーニングコース。さて…

「タイムは1:49.8。平均より少し早いね。このペースでどんどん上げていこう。」

 

「はい…!」

 

走り終わりすぐ息を整え、次のトレーニングの指示を待つダリア。

 

「じゃあ、次のトレーニングは…」

 

それから陽が落ちる前くらいにトレーニングを辞め、僕はトレーナー室に。ダリアは寮に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「それでねダリアちゃん!そのオペラオーちゃんって子が何かこう、すごくてね!」

 

「へー、どんな風に?」

 

「えっと…うーん、すごくて、すごいんだけど……あー、そう!すごく自分にすごく自信持ってて、すごく良い子なんだ!」

 

「へー…私も話してみたいな…」

 

今私がいるのは私の部屋がある栗東寮の私たちの部屋。

そこで同室になったナリタトップロードと友達になった子のことをお互い話していた。

 

トップロードはテイエムオペラオーって子のことを熱く語っていた。それだけすごい子なんだろう。私も話してみたい。

 

「それで、ダリアちゃんは、何か友達になった子で面白い子はいた?」

 

「あー、私は…」

『『でやああああああああああ!!』』

 

「…あー、スペシャルウィークって子。私と模擬レースで一緒に走って一緒に叫んだ。」

 

「あはは!楽しそう!」

 

「うん、楽しい。」

 

「…多分、オペラオーちゃんにもトップロードにも負けないくらい、凄く強い子になるって、私は思う。」

 

「私たちも負けてられないね。」

「そうだね。」

 

そのまま他愛も無い話を続けて、そのまま布団に就き、次に目が覚めたのは小鳥のさえずりが聞こえて来る朝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…とりあえずひと段落、かな…」

自分に割り当てられているトレーナー室で、ある程度仕事を終わらせた僕。

とりあえず休憩を挟んでいた。

 

「…学園の中、色々見てみるか…」

 

思えば入学してからあまり詳しくは学園の内部を見ていない。

見取り図などを見て大まかな位置を知っているだけだ。

少し色々見てみよう、と思い、学園の施設に足を運ぶことにした。

 

まずはプール。

今もトレーニングをしている子たちがまばらにいる。

クロールや背泳ぎなど、色々な泳ぎ方でみんな頑張っている。

少し見ていたら、すぐ近くでバシャン、と音が鳴り1人の子がプールに飛び込んだ。

 

「Wow...!」

水しぶきが飛んできて、それをギリギリで避ける。

「危なかった…」

 

そのままそそくさと他の施設にも足を運んだ。

 

図書室。

トレセン学園と言うこともあって、トレーニングに関する本、レースに関する本、走り方に関する本など、ウマ娘に関する本が大量に置かれている場所。

 

そこで僕は走り方についての本を読んでいた。

今のダリアの走り方を見るに、恐らくあの子はマイル、中距離向けの脚を持っていて、走り方は多分先行が合っていると思う。

 

少し読み耽って、他の本も見てみることにした。

 

ウマ娘の本以外にも、小説や図鑑や伝記など、色々揃っている。

 

並んでいる本を見てみて、少し気になるものがあった。

 

『図鑑:世界を救ったアベンジャーズの英雄たち』

『伝記:トニー・スターク/アイアンマン』

 

やっぱりスタークさんはずっと昔から。

そう、スタークエキスポの時に僕を助けてくれた時から、命を懸けてサノスを倒して、それからも、これからもずっと。僕のヒーローなんだろう。

 

図鑑を読んでいて、ふと自分がどう言う書かれ方をしているのか、と気になって、自分のページを開いてみた。

 

『図鑑No.17 スパイダーマン:正体が不明の神出鬼没のヒーロー。2018年のスナップ騒動や2017年の現在収監中のエイドリアン・トゥームスによるヴァルチャー騒動で主に活躍していた。

だが、2023年に起こした伝説のヒーロー、Q・ベック、通称ミステリオを殺害した事件※と自由の女神で起こした騒動でしばらくの間姿を消していた。

現在はニューヨークなどで「親愛なる隣人」として活動していると言う噂が立っている。

※ミステリオ殺害事件は、証拠が不十分な点や、ミステリオ殺害時の映像が、合成可能であるとして、現在犯人はスパイダーマン以外にもいるかもしれないとされている。』

 

「…」

まあ、予想は付いていたけど、こういう書かれ方をされると凹む。

 

でも"あれ"は自分で選んだ道だから、当時を懐かしく思っても、後悔はしていない。あれで色んなユニバースが救えたんなら、それでいいと思う。

 

とりあえず何冊かウマ娘の本を借りて、研究しよう。

 

「すいません、これ借ります。」

 

「本の貸出ですね。…はい、どうぞ。またご利用してくださいね〜。」

司書のゼンノロブロイからそんな言葉を受けて、図書室を出る。

 

「疲れたし、そろそろ帰るか…」

 

それから少し歩いていて。

キィィィィィィィィーーーーーーン……______________

 

いきなり、スパイダーセンス(第六感)が反応した。

「…!」

 

意識を集中させる。そして…

 

ガラララ、とすぐ近くにあった部屋の扉が開き。

「やばい!!!!」

と、男が1人出てきて。

 

ドカァァァァン!!!

と、爆風が部屋から吹き荒れ、その衝撃で僕も吹き飛ぶ。

だが頑丈だからすぐ立ち上がり。

「大丈夫ですかッ!!!」

すぐに男の元へ駆けつけ、言葉を掛けた。

 

「あ、あぁ…大丈夫です…すいません、心配お掛けしました。それより…」

警報が鳴り響く中、中には倒れている1人のウマ娘がいた。

 

「…!」

ダッ、と彼女の元へ駆け寄り、容態を確認する。

「大丈夫、ただ気絶してるだけだ。早く保健室に連れて行って!」

 

「あ、ありがとう…本当に…!」

そのまま彼女を保健室に連れて行く彼。

心なしか、狂気を持つような目をしていたような気がする。

まるでゴブリンの様な…

 

 

 

 

それから少し経ち、彼女も回復して、今は爆発で残骸と化している部屋の前で僕とウマ娘とそのトレーナーと3人で話していた。

 

「本当に、ご迷惑をお掛けしました…!」

「私も、すまないと思っている。本当に助かったよ。」

「ああ…まあ、僕自身に傷は無いので。お2人に怪我が無いんだったら無問題ですよ。」

「所で、どうしてこんなことに?」

 

「ああ、それを説明する前に、私たちの自己紹介をしましょうか。まずはこの子から。」

「私の名前はアグネスタキオンだ。よろしく頼むよ。ヒーロー君。こちらの人は私のモルモ…トレーナー君だ。」

「タキオンのトレーナーの神永新二です。」

「ヒーローはやめてください…では僕も。僕の名前はピーター・パーカー。ここにはいませんが、ブラックダリアと言うウマ娘のトレーナーをしています。よろしくお願いします。」

 

「ふぅン。ピーター、か。顔立ちから分かってはいたがやはり外国の方か。ではよろしく頼むよ、ピーター君。」

「よろしくお願いします、ピータートレーナー。」

 

「よろしくお願いします…!」

 

他愛もない挨拶を交わし。

 

「そして、どうしてこんな事になっていたか、だが…」

「私はウマ娘の無限の可能性を信じていてね。それが夢でもあるんだ。だからここの今は残骸と化している研究室で毎日研究を重ねていた。だから、今日もいつものようにトレーナー君と研究をしていたんだが…」

 

 

 

 

『タキオン。この赤いやつと緑のやつを混ぜれば良いんだな?』

『そうだ、やってくれ、モルモット君。』

『よし、入れたぞ。次はどうすればいいんだ?タキオン。』

『あぁ、次は………ん?いや待てよ。赤いやつと緑のやつ…?いや待てモルモット君、その成分の名前は…』

『え?あぁえっと、確か、『ウマニウム』と『ホーススター』…』

『モルモット君!!!!それから今すぐ手を離すんだ!!!!』

『えっ』

液体が入ってるフラスコが手から落ち、割れずに衝撃が伝わる。

『逃げるんだ!!!!今すぐ爆発するぞ!!!!』

『なッ…!?』

2人一斉に走り出し。

ガラララ、と扉を開け。

『まずい!!!!!』

 

 

 

「そしてドカァァァァン、と。そう言う訳さ。」

「ほんとに何と言うべきか…」

「いえいえ、まあ大丈夫ですので…」

 

「ああ、そう。助けて頂いたお礼に、何かしたいな、と思っているのですが…」

「えぇ、そんな!そこまでして頂かなくても…」

 

「私なら何か作って欲しいものがあれば作れることも可能だが。」

「いやいやそんな……ん?」

 

いや、待てよ。スパイダーマン活動として使う。蜘蛛糸。ウェブシューターはホームセンターや工具店で材料を集めれば作れる。だが糸はそう言うわけにはいかない。

物質や素材を集めて少し設備も作って作らなければいけない。トレーナーをしながらそれは、かなり負担が掛かる。それに今目の前にいる彼女は相当頭が良いはず。それでいて設備もある。なら…!

 

「じゃあ、作って欲しいものがあるんですが…!」

 

 

 

 




お久しぶりです。
いざ書いてみたら筆が進んだので書いてみました。
タキオンの実験関連は適当です。
覇王世代が好きなのでどう絡ませれば良いのか考えて、トップロードは同室が不明なので使えると思ったのでダリアと同室になりました。
時系列はごっちゃです。
出てくるウマ娘のトレーナーにはそれぞれ名前を付ける予定です。タキオンのトレーナーの名前は神永新二です。
ウルトラなマンとは特に関係は無いです。


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ニューウェブ

 

「遠くの物を引き寄せられる程飛ぶ伸縮性とぶら下がったりしても千切れない強度。そして出して数時間で消える特性を併せ持つ蜘蛛糸状の物質、かい?」

 

「ええ、まあ信じがたいだろうけど。」

「君はそれを1人で?」

「まあ、色々試行錯誤して。」

「…そしてその物質をかなりコンパクトなサイズにして、それを収納する専用カートリッジ、かい?」

「ええ、まあ…」

彼女は渋い顔をして…。

「…かなり厳しいと思うが、まあ良いだろう。やってみようじゃないか。」

「ありがとう、僕も協力します!」

 

あれから少し時間が経ち、研究室も少しずつ修理されてきていた頃、僕はアグネスタキオンに蜘蛛糸の製作を依頼していた。

彼女の頭脳とここの設備があれば、蜘蛛糸とシューターが作れる。

なので僕も協力して、糸を共同で作ることにした。

 

「そんな物質、よく1人で作れたねぇ。所でその使用用途は?」

「…あー、えっと、まあ仕事で使いますね。」

「ふぅン、そうかい…」

「…所で、"蜘蛛の糸"と言えば…スパイダーマンを思い出すねぇ。」

「知ってるの?」

「ああ。私はテレビは見ない方だがあのアベンジャーズの一員であり、その後も良くも悪くも騒動を起こしているからね。日本でも話は伝わってくるよ。私は彼のしたことについて何も思わないが、どうやらずっと行方が分からず仕舞いのようだしねぇ。メディアに追い込まれた者の末路は怖いねぇ。」

「あー、はは…」

ちょっとグサッと来る。

 

「あのスナップで世界は随分と変わってしまったよ。前よりも悲しみや憎しみ、怒りが増えた社会になってしまっている。私は巻き込まれなかったがね。」

「君の担当のブラックダリアは、"被害者"なんだろう?」

「ええ、話は一応聞いてます。そのことについて本人の前では触れませんが。」

 

『ピーターさん。』

『ああ、たづなさん。どうしましたか?』

『一応伝えておくべきと思って…あなたの担当になったブラックダリアさんは、スナップの被害者です。』

『…ああ…。分かりました、ありがとうございます、たづなさん。』

 

「僕も消えてたから、気持ちは分かる。」

「ほぉ。君も例のスナップに巻き込まれたのかい。こう言うのを聞くのは失礼と承知で聞くが、スナップでの消滅時の感覚を教えて欲しい。」

「感覚…と言っても。本当に気絶したみたいに一瞬で。次に起きたら5年経ってたんだ。」

「そうか、やはり一瞬か…。すまない、辛いことを聞いてしまったね。」

「まあ、もう終わったことなので、気にして無いですよ。それよりも、今はこっちを。」

「そうだね、早速取り掛かるとするか。」

「よし、じゃあまずはこれを…」

 

 

 

 

 

あらかた製作の目処が立ち、今日はウェブとシューターの設計図を書いて解散した。

 

「っ〜〜…疲れた…」

そのままトレーナー室へ戻る。これから1週間後にダリアのメイクデビューだ。

その為のトレーニングと対策を考えてまとめていた。

 

ダリアの模擬レースを見て分かったが、彼女の同期にはかなりの強者が揃っている。

恐らく今後とんでもない伝説を残すような逸材が何人もいた。

あの模擬レースの着順は1着にダリア、2着に僅差でエルコンドルパサー、3着にスペシャルウィーク。

 

ダリアがG1で勝てるレベルになったら、エルコンドルパサーやスペシャルウィークとは確実に大激戦になる。

そこで負けないために。

僕はまたレースの本に目を置いた。

 

ふと、カレンダーを見る。

2029年4月。日付はそう示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三日が経った。今日も僕はダリアとトレーニングに励んでいた。

「ダリア、シミュレーショントレーニングをしよう。」

「シミュレーション…トレーニング?」

 

「うん、1人で実際のレースみたいなのをシミュレーションして走る。まあ1人模擬レースだね。」

 

「どういう風に…?」

 

「簡単だよ。走る、ただこれだけ。走りながら自分の周りに他の子たちを想像するんだ。」

 

「どんな子を置いてもいい。逃げだったり、追込の子だったり、何でも。」

 

「とりあえず、やってみよう。」

「はい。」

 

そのままダリアがスタート地点に立ち、フォームを構える。

「設定は…そうだな、芝2000天気晴、バ場状態良。これで行こう」

そのまま僕は手を上げ…

「よーい、ドン!」

 

 

 

 

 

 

 

どんな子を想像しよう。私が苦手なタイプの子だったり、いろんな脚質、攻め方の子。

う〜ん、よく分かんないけど。

とりあえずスペちゃんとトップロードは置いてみよう。

「設定は…そうだな、芝2000天気晴、バ場状態良。これで行こう。」

 

目の前の景色にレース場を作る。今の私はゲートの中。

たくさんの観客がゲートの私たちを見ている。

「よーい、ドン!」

ゲートが開いて。

足を飛ばした。

 

 

 

 

 

今の立ち位置は中段辺り。

今度は前みたいにいきなり力が抜けるようなことにはならないように、慎重に体力を使う。

 

"周り"を見る。

"スペちゃん"は後ろから私を伺っている。

"トップロード"は私の近く、少し先で走っている。

 

そのままペースをキープして今の着順は4着あたり。

そして第4コーナーに入り…。

そこで土を踏みしめ、私は駆け出した。

少しずつ追い抜かしていき、トップに躍り出た。

そのままゴールが近付き…

…そうになったところで、異様なプレッシャーと聞こえないはずの足音を感じた。

後ろを見ればすぐそこにスペちゃんはいた。

 

いないはずなのに、ただの幻なのに。

私を追い抜いていきゴールをするスペちゃんを、私はただ見ているしかなかった。

 

 

 

 

「どうだった?」

息を切らして酸素を吸っている私のもとにトレーナーが来て、聞いてきた。

 

「…負けた。スペちゃんに。」

 

「それはどうして?」

「…分かんない。でも、何か決定的に足りないものがあって、それを直さないときっと勝てないと思う。」

悔しそうに言う私にトレーナーは。

「それをこれから一緒に考えていこう。」

と言いはにかんだ。

 

 

 

 

 

 

「ピーター君、そのフラスコにこの薬品とそこの薬品を入れて混ぜてみてくれたまえ」

「こう、かな…?」

慎重に薬品同士を混ぜ合わせる。すると…

「…おぉ、出来た。」

出来た液体を触って伸ばしたりして確かめてみる。

「凄いね、ちゃんと糸だ。」

「私に出来ない事は無いさ。」

そう言ってタキオンはおどけるように笑う。

 

「じゃあ次はカートリッジだ。材料はホームセンターで買ってきた。作ろう」

「もちろんだとも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…よし、完成!」 

 

「……あ"ぁ"~疲れたぁ…」

 

「本当にありがとうタキオン、助かったよ。」

 

時刻は昼過ぎ。空き時間に少しずつ作っていたウェブシューターが遂に完成し、いつでも使える状態になった。

 

「どういたしまして。それじゃあ、私は少し眠ることにするよ。また会おう、ピーター君」

 

「また、タキオン。それと神永さんも。」 

 

「私は出来ることをしただけだ。礼には及ばない。」

 

「それでは、2人ともまた…」

と、出ようとしたところで。

 

「次はブラックダリアのところにでも行くのかい?ピーター君。」

その問いに僕は。 

 

「……いや、"仕事場"ですよ。」

そう言って僕は後ろからタキオンが神永さんにマッサージを催促する会話を聞きながら急ぎ足で学園を出た。

 

学園から出て、スーツに着替えた僕。

そのままシューターを腕に付けて飛び上がる。

 

時刻は昼。街中をスイングして、僕は飛んでいる。

 

「日本はやっぱり治安が良いね」

と、思わず呟くほど街は活気に満ちていてほんわかしていた。

だが、どんな場所にも悪党(ヴィラン)はいる。

 

「キャーー!!!!ひったくりーー!!!」

 

「!」

 

すぐ下を見ると、そこにはおばあさんからバッグを奪って全力疾走している黒ずくめのひったくりがいた。

 

「お手本みたいな悪党だ!」

 

シュ、とひったくりのところに糸をスイング。

 

「はっ…!はっ…!ここまで逃げりゃぁ!」

 

「逃げりゃぁ?」

 

「うぉおぉ!?!?」

 

いきなりひったくりの頭上に現れた謎の覆面ヒーローの僕。

 

「て、てめぇ!誰だコスプレ野郎!」

 

「僕?僕は…」

 

「Friendly neighborhood…いや、親愛なる隣人の方が伝わるか。」

 

「僕は…」

 

 

「僕はスパイダーマン。」

今、ここに親愛なる隣人が再誕した。




ラストまでの構想はあるのでエタらせる気だけは毛頭ありません。
(ちょくちょく前の話の展開とか変えたりしてるので良かったら目を通してください)


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メイクデビュー

 

 

 

OK?じゃ、もう一度だけ説明するよ?

 

僕はピーター・パーカー。

放射性の蜘蛛に噛まれてから14年、厳密に言えば5年消えてたから9年。

ベックによればアース616の、この世にたった一人だけの...

 

スパイダーマンだ。

 

後はもう説明しなくてもいいよね?ベンおじさんを亡くして...スタークさんと会ってキャプテン・アメリカと戦って紫の石好きのエイリアンと戦って5年間消えてスタークさんを失って...最終的にはユニバースを救うために全世界から忘れ去られて日本でウマ娘のトレーナーになった。

 

まあ、そんなところだ。

 

そんな僕は今...

 

 

 

 

「て、てめぇ!誰だコスプレ野郎!」

 

「僕?僕は…」

 

「Friendly neighborhood…いや、親愛なる隣人の方が伝わるか。」

 

「僕は…」

 

「スパイダーマンだ。」

 

ひったくりといつもの挨拶を交わしたところだ。

 

それを聞いた強盗は見る見るうちに顔を赤くし...。

 

「あァ!?スパイダーだかタランチュラだか知らねぇがァ!俺の邪魔ァするんなら、死にやがれェ!」

 

そのまま懐からナイフをシュッと出して僕に突きつける。

 

だけど...。

 

「Ooh!ナイフ!怖いけど…!アメリカで銃だったり暗殺術だったり、魔術だったり…!もっと恐くて強いものに触れてきたから…!」

 

強盗を蹴り、壁の方に飛ばす。

そしてウェブをシュっと出し強盗に巻き付ける。

 

「うがぁああ!」

と、強盗は壁にくっつき暴れるけど離れれず更に激昂。

 

「そこでゆっくり寝てて!直にお迎えが来るから!じゃあね!」

僕はそのまま携帯で警察に通報して立ち去る。

 

「くっそおオお!!!覚えてやがれエええ!!!コスプレ野郎おおお!!!!」

 

そんな叫びをバックに僕はまた街に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

夢を見た。自分とトレーナーがレース場で向き合って何かを話している。そんな夢。

会話の内容は聞き取れない。だけど私の顔付きは今の私には出来ない顔をしていた。

 

___なんで、そんな顔を…

私の疑問は天井とのにらめっこでかき消えた。

 

時刻は6時。平均的な起床時間だ。

よだれが...。

ぼさぼさの髪を整えて、顔を洗い歯を磨く。

「明日、か...」

デビュー戦がすぐそこまで迫っている。

前日から緊張してしまう。

一球入魂。初戦が決勝。頭の中で復唱する。

 

 

「起きてトップロード」

隣人を揺らす。

「...ん...」

耳をぴょこ、と立てゆっくり体を起こす。

「...ぉはようダリ...アちゃん」

「おはよトップロード」

うとうとのまま挨拶を交わす。

「朝ごはん、行こ。」

「うん...」

そのまま二人とも制服に着替えて部屋を出る。

「「いってきまーす」」

私たちの声は部屋の奥にゆっくりと染みた。

 

 

 

食堂は早朝から開いている。

割と席は埋まっていた。

並んでいる長テーブルの一つに二人並んで座る。

私の今日の朝食は生姜焼き、ご飯(縦長)、みそ汁、サラダ。

う~む、健康的。

 

トップロードはさんまの塩焼き、だし巻き卵、豆腐、納豆、みそ汁。そしてご飯(縦長)

ザ・和食、クールジャパンだね。

「「いただきます」」

二人で手を合わせる。

 

 

「んむ...はむ...うん、美味しい。」

生姜がよく染み込んでいる。肉も良い。生命の神秘を感じる。このタレも良い...。こってり濃厚に甘さが良い。

サラダはシャキシャキしてる。まずはそのまま食べて、飽きたらドレッシングをかける。最初からドレッシングはもったいない。一度に二種類の味が楽しめるからお得だ。

次にみそ汁...いや、なんで食事でこんな深くなっちゃってんだ。孤独のグルメみたいになってる。

 

 

ふとトップロードの方を見る。

「おいしくて、おいしい...」

...。トップロードらしいか。

 

 

早く食べ終わろうとご飯をかき込もうとしたとき。

「あ、ダリアちゃん!トップロードちゃんも!二人ともおはよう!」

ドン引きするくらいのご飯の量を持って現れたのはスぺちゃん。

「お、おはよスぺちゃん...一緒食べる?」

「うん、食べよ!」

横にスぺちゃんが座る。

「いただきまーす」と言った同時に異次元の速さでご飯が口の中に吸い込まれていく。

「...」

ブラックホールか。

 

まあそれは置いといて自分の食事に戻ろうとした時。

「やあトップロードさん!君も朝食かな?うむ、今日もボクの存在で太陽がより一層輝くッ!」

「オペラオーちゃん!おはよう!」

「みなさんおはようございますぅ~」

「ドトウちゃんもおはよう!」

 

うぉ、一気にざわざわしてきた。みんな個性強い..。

「と、そこのサファイアの原石のような子は誰かな?」

「...ブラックダリアです...よろしくっ」

ダブルピースを掲げ自己紹介。

「黒蝶...花言葉は「優雅」「威厳」「華麗」「感謝」か。ボクに負けず劣らずの光を持っているようだね。」

「ドトウちゃんもよろしく」

「よろしくお願いしますぅ~」

うん、やっぱ個性強いね。

 

 

「アヤベさんはまだ来てないか」

「カレンちゃんと一緒に来るんじゃない?」

 

「それじゃあ、ボクたちも相席していいかな?」

「カモンアンドウェルカムです」

私たちとは対面になる形でオペラオーちゃんとドトウちゃんが座る。

 

「いただき「いただきます」ますぅ~」

二人一緒に食べ始める。

ワイワイガヤガヤ、と食卓を進める。

自分の初戦の話だとか、トレーナーの話だとか、話せば止まらない。そのまま私たちは校舎に向かう。

 

学園の時間割は、午前中まではレースや走りについての知識や基本五教科だったりを学ぶ。そこから昼休みを挟んでチームや専属トレーナーとトレーニングに入る。

 

 

昼休みが終わる。そのまま私はジャージに着替えてトレーニングコースに向かう。

「ダリア、今日は初戦に向けて、やれることをやろう。」

「うん。」

そこにいるのは勿論トレーナー。

 

 

「今日はどんなトレーニング?」

「今日は……何もしない。」

「…」

えっ…

「やれることをやろう。そのやれることがこれだ。今日はなにもしない。」

「いや、今日なにもしないのは流石にまず」

「僕を信じて。」

私の言葉を遮ってトレーナーが言う。 

意図が分からない。トレーニングをしないにしても何か対策とか作戦とか色々やることはあるはず。

私は困惑したまま、トレーナーに言われるがままに寮に帰った。

 

 

「……」

ダンベルを上げ下げしながら明日のことについて考える。

大丈夫だろうか。とりあえず夜に走りにでも…

『今日はなにもしないで』

トレーナーに言われたことを思い出す。

なにもするなって、結構きついよ…

足がうずうずする。今すぐ走りたい。

「ダリアちゃん、貧乏ゆすり凄いよ…」

「おっと」

横になる。目を開けたり閉じたりする。

 

よく分からないままそのまま眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

「大事な初戦だ、ダリア。でも気楽に。「強気に、冷静に。」で行こう。」

「うん。頑張ってくる。」

 

ゲートに行くまでの通路。そこで僕とダリアがスタート前最後の話をしていた。

「昨日何もしなかったのがなぜなのか、それは走れば分かる。」

「…分かった」

 

 

「…魅せてくれ、君の走りを。」

ダリアの後ろ姿を見送りながらボソっ、と言う。

言葉は届かなかった。

 

 

 

 

芝1600m、天気晴、バ場状態良。

うん、三種の神器だ。

「…勝つ。」

 

ゲートイン完了。周りを見る。みんなまだ慣れていない。デビュー戦だし。もちろん私も。

 

『全員、ゲートに入りました。』

ガチャン、とドアが開き。

『さあ、一斉にスタートしました。』

 

まずは落ち着いて、中団に入り込む。

駆け引きとか、そう言う次元にはまだ達していない。

だから、ひたすら走る。

 

『現在、先頭に立っているのは10番ムーンナイター。しっかりとしたペースで走っています。』

『安定したスタートですね。』

 

今の着順は5番。

このまま行く。

『おっと、ここで後方から上がってきたのは4番アイアンメイト。少し焦っているのでしょうか。』

 

みんな少し早いけどペースを入れ始めてる。私も行くべきか…?

なんで昨日レースに向けて話さなかったんだ…

…いや、ダメだ。今それを考えても意味ない。今は目の前のことに…

 

『さて、残り1000mを切っています。誰が仕掛けるか!?』

後ろで土が弾ける音がする。誰かが仕掛けた。

…いや、早すぎる。多分今の子は失速するはず。

『残り800m。』

『先頭は依然変わらず8番ムーンナイター。』

『既にバテているウマ娘もいますね。』

今か、今行くべき…?いや、まだか…?

『第三コーナー回り残り600m。ここで7番レガシーユニバース仕掛ける!それに続き9番イーグルアイも仕掛けた!』

…ああもう!

ダッ、と土を踏み締め足を飛ばす。ここで全員抜き去って勝ちを取る!

「はぁぁっ!」

 

そのまま少しずつ前を追い抜いていく。

「待て…!」

後ろにいる子が私に続く。

負けない…!

…そうか。分かった気がする。トレーナーがなんで昨日トレーニングしなかったか。

 

 

「第四コーナー通過、残り400m!」

焦る時だからこそ、出る力。

トレーニングで集中させるんじゃなくてあえてトレーニングせずにがむしゃらにやらせる。

これは今だからこそ出来ること。クラシック級やシニア級になって駆け引きやらが全員し始めた時にはもう出来ない。

「火事場のバ鹿力ぁぁァぁ!」

足をもっと飛ばす。…決める!

 

 

『残り200mを切った!先頭1番、ブラックダリア!』

『このまま決めるでしょうか。』

 

「決めてやる!」

体がゴールに近づいていく。後ろからどんどん他の子が近づいてくる。

でも、取らせない。

「"勝利は私のものだ…!"」

 

貪欲に突き進む。そして、ゴールを抜いた。

デビュー戦、デビューの栄光を掴んだのは私だ。

オオオオオオオォォォォォォォォーーーーーッッッッッ_________!!!!!!!!!!!!!!!!

観客の歓声が響く。

「はっ…!はぁ…!」

息を吸って吐いて。そのまま観客席にいるトレーナーに向けて。

「…ピース。」

 

満面の笑みと共にピースを向けた。

 

 

 

 

 

 

「トレーナー、意味がわかったよ。…ありがとう。勝てた。」

「火事場のバ鹿力、今だからこそ出来ることだ。気付いてくれてよかった。」

ウイニングライブまで終えた帰り。2人で勝利の喜びを分かち合っていた。

「でも、まだまだ序章だ。」

「うん、分かってる。これからも勝ち続けよう。」

「もちろん。全力でサポートさせてもらう。」

 

「…とりあえず、お腹空いた。」

「言うと思った。じゃあ今日は焼肉でも食べようか」

「いぇーい」

 

 

 

 

2人で焼肉を食べていると。

『次のコーナーです。J・ジョナ・ジェイムソンの出張ジャパンビューグルです、どうぞ。』

テレビからそんな声が聞こえてくる。思わず顔を向けた。

 

『やあリスナーの皆さん、今日もJJJのファクトニュースへようこそ。今回はとんでもない特ダネだ!なんと、あのミステリオ殺しのマーダーメナス、全身タイツの蜘蛛悪魔、スパイダーマンが!今、日本で活動していると言う情報が入ってきた!こちらの映像を見たまえ!」

 

『大丈夫、奥さん?はい、ひったくりされたバッグ!次は気をつけなよ!』

『あ、ありがとう…本当に助かりました…!』

『じゃ、僕はこれで!あなたの親愛なる隣人をこれからもよろしく!』

 

 

『…おいおい何のジョークだ?まだあのスパイダーメナスはのこのこと偽善活動を続けているようだ!懲りない奴め!何をしようともお前の罪は一生消えないぞ!お前が完全にいなくなるまで私はお前を忘れない!今度は日本で政治家でも殺すのか!?いい加減正体を見せろ!国民の皆さんも騙されないでくれ!彼は正真正銘の人ごろ…』

 

ポチ、とリモコンのボタンを押しテレビの電源を切る。

「ちょっとトレーナー。私見てたのに。」

「…ああ言うのは教育に悪いよ。」



















自分でもよく分からない展開だなぁと思いながら書いてました


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マルチユニバース

 

 

 

 

「ピーター君、突然だがこれを飲んでほしい。」

「何この…眩しい色してる薬品は…」

シューターを作ってからなんだかんだ親交が深まって今じゃたまに研究室でタキオンの手伝いをしている。

今日は研究室に入るなり謎の薬品を飲んでくれと頼まれた。

 

「まあまあ、とりあえず騙されたと思って。毒では無いよ?」

「それは分かるけど…何か、色が…」

「これは別に何でも無いさ。ほら、よくあるだろう?「品質に問題はありません」ってやつさ。ささ、ほら…」

そのまま渡される。

 

「まあ頼まれたからには飲むけど…」

ちょっとずつ口に含んでいく。

「…っ、甘、甘すぎこれっ」

「カルピスの原液みたいなものさ。美味しいだろう?」

仕方ないのでグイ、と口から喉に薬品を押し込む。

 

流し込まれたそれはゆっくりと喉を通って胃に着地した。その感触が伝わってくる。

 

「これを飲んだらどうなるの?」

「飲んだ後に聞くかい?まあ、もう後30分待てば効果は出るさ。今日はもう手伝いはしなくて良い。君はダリア君の元に。」

「あー、うん…」

 

ダリアとトレーニングしている時、なぜかダリアが頑なに目を合わせてこなかった。と言うか歩いているとなぜか視線が突き刺さってくる。

僕何かしたか…?

 

そしてトイレに行って気付いた。

洗面台の鏡の前で自分を凝視する。

…顔が、めちゃくちゃ光ってる。ペカーって。

 

 

「……」

少し早歩きで研究室に向かう。流石に恥ずかしい。色々タキオンに問い詰めないと。

そして歩いていると…。

「あ、神永さ…」

「あぁ、ピーターく…」

目が合う。そして顔を見合わせる。

 

「…何で下半身が光ってるんですか?」

「そっちこそ、何で顔がそんな光ってるんだ、凝視できないんだけど。」

 

「…めっちゃ甘い薬、飲んだ?」

「…ああ。」

 

「ピータートレーナー、怒るのはわかるが。これもタキオンの実験に必要なことだから。」

 

まあ仕方ないか、と2人で歩いていると、道行くウマ娘がこちらを見てみんな吹き出していた。

 

 

 

 

 

 

「初めまして、マンハッタンカフェです。よろしくお願いします…」

「初めまして、ピーター・パーカーです。よろしく。」

 

今日は研究室に見知らぬウマ娘がいたので挨拶を交わした。

「カフェには私の実験に良く付き合ってもらっている。色々言ってはいるがなんだかんだ私が好きなんだろう。」

「…そういうのじゃないです。」

「じゃ、どういうのだい?」

「なんなんですかもう…」

「ははは…」

2人のイチャイチャみたいなのが目の前で始まった。

 

「これからはカフェやピーター君も一緒に実験を手伝ってもらう。ありがたいねぇ。」

「手伝うとは言ってませんが。」

「なんだかんだ言ってそばにはいてくれるだろう?」

「…」

 

「…あぁ、少し注意だが、そこのカフェのスペースには近付かない方が良い。色々非科学的なことが起きるんだ。私は棚に置いてあった薬品入りのフラスコが次々と爆発し流石に腰を抜かした。」

「こわ」

 

…と、そんな話をしている時、なぜか奇妙な感覚になった。

頭がムズムズする。なぜか、スパイダーセンス(第六感)が反応していた。

この感じは、敵が近くにいると言うか…そう言う感じじゃなくて。

虫の知らせと言うか…

 

「…?」

「どうしたんだいピーター君?」

僕が不思議がっていると、タキオンが心配してきた。なので思い切って言ってみる。

「いや、勘違いかも知れないんだけど…もしかしてもう1人、ここにいる?」

 

「「!」」

と、2人が驚いた顔でこちらを見る。

あ、なんかまずいこと言ったかな…?

 

「…なぜ、もう1人いる、と?」

タキオンが怖い顔で聞いてくる。

「あ、あー、そうだね。霊感があるんだよ霊感が、うん。」

怖くなってきたので霊感のせいにする。僕には全く霊感は無いけど。

「霊感…そうかい。」

タキオンが微妙な顔で話を終わらせようとした時。

「…?突然どうしたの…」

カフェがいきなり何もないところと話しだした。

 

「…え、彼に霊感は無い?何でわかるの?と言うよりじゃあ何で…」

「あぁ、ピーター君。彼女にはどうやら"おともだち"が見えているみたいでねぇ。君が感じたものもそれだよ。私も半信半疑だったが、どうやら確かに存在はしてるみたいだ。」

「で、だ。君に霊感は無いようだが?」

「いや、なんていうか…」

「ふぅン…実に興味深いねぇ。」

タキオンが興味津々な顔でこちらを見てくる。

 

僕のムズムズ、なんで説明すればいいんだ…?

 

スパイダーセンスとバ鹿正直に言ったら「スパイダー…?」と思わぬ方向に話が進みそうだから言いたくない。

ムズムズもそれはそれでどういう原理か色々問い詰められそうのがめんどくさい。

 

…いや、まあスパイダーマンってバレるよりはマシか。

 

「そうだね…ええと、僕の能力って言うか…僕はピータームズムズと呼んでるけど。」

「それは具体的に?」

「例えば敵が近くにいる時とか、もうすぐ何か危険なことが起きる時とか、そう言う時にキーン、って頭に響くんだ。」

「それで霊も感知できるのかい?敵意が無くても?」

「いや、霊が感知できたのは初めてだ。僕も驚いてる。」

「ほぉ、そうかそうか…どう言う原理なのか気になるな…」

「まあそこはあんまり詮索はしないで…」

「そうだね、ささ、君たちにはぜひ飲んでほしいドリンクがあるんだ。なに、危ないものじゃない。美味しいものだ。」

「ドリンクじゃなくて薬品でしょ」

「まあまあ。」

 

結局その日は声がめちゃくちゃ高くなって更に両足が光って笑われながらダリアとトレーニングをした。

 

 

 

 

 

「今日はカフェ一人か。」

いつものようにタキオンの研究室に来た僕は、座っていたカフェに声を掛けた。

だが、返事は帰ってこない。

 

「...カフェ?」

何も返事がない。心配になって彼女に近づけた僕の手は彼女によって振り払われた。

 

「どうしたんだ、カ…」

そしてそこにいるのがカフェではない(・・・・・・・)ことに気づいた。

 

「…誰だ?カフェの姿で何をしてる?」

 

聞いたことがある。スクラル星人という宇宙人は特定の人間にそっくりそのまま擬態できるらしい。

それに魔術にも擬態の魔術があると聞いた。

ただ、今目の前にいるカフェはまさしく本物だ。敵だったら僕のムズムズが反応するはず。

 

…と、考えていると、カフェが椅子からゆっくりと立ち上がった。

そしてゆっくり、自分の存在を確かめるように名前を言った。

「俺か?俺は...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はサンデーサイレンスだ。」

「サンデー...サイレンス?」

「この学園の生徒なの?それよりカフェの姿で何をしてる…?いや、それよりまず…」

 

「君はカフェなのか?」

問いを投げかけると、彼女はクク、と笑いながら言う。

「まあ、そうとも言えるしそうじゃないとも言える。」

「…二重人格?」

 

「いや、違う...この体に元々いたわけじゃない。まあ信じがたいとは思うが...」

 

「俺は別の世界から来た。」

 

「!」

いや、まさかそんなことが…あり得ない。

 

「平行世界って知ってるだろう?お前は頭が良いだろうからな。()()目で見てた。」

 

「...いや、平行じゃない。多元だ。」

 

「...どうやらそういうのに馴染みがあるみたいだな。」

 

「並列じゃないんだ。それぞれの宇宙が一つ一つ無限に散りばめられてる。多元宇宙(マルチバース)だ。」

「君はなんの世界から来た?」

 

「あぁ、そんな怖い顔するなって。…まあ何というか…ここと全く変わらない世界から来たよ、私は。ただ一つ大きな違いがあるとするならば…」

 

 

 

 

 

「私の世界にはウマ娘なんてそんな存在は一切いなかった。」

 

「…まあマルチバースには無限の可能性があるからそういう世界もあるとは思ってたけど、実際にあるとは…正直想像がつかない。」

 

「いや、私の世界にはお前らで言うウマ娘のようなものがいた。馬ってやつだ。」

 

「ウ、マ…?ウマ娘と何が違うの?」

そう言うと彼女は声を荒げ。

 

「娘なんて付いてねぇんだよこっちは。そもそも俺たちはヒト型じゃなかったんだ。それがどうしたものやら。あの辛い足の痛みから解放されたと思ったら、気付いたらこの世界にいて、なぜか俺はカフェの中に存在していた。馬は存在しないし、その代わりウマ娘なんて奇妙な存在もいやがる。カフェを動かすこともできないし、ただこちら側からカフェの生活を見ているだけ。拷問だよ、ただの。」

自分を哀れむように彼女はまくしたてる。

 

「そうか…うん、君の苦しみは分かった。でもカフェに戻ってくれないか?その体は君の物じゃない。」

そう言うと彼女は不服そうに。

 

「…はいはい、分かったよ。」

「…ただこれじゃ終わらない。俺は必ず体を取り戻す。」

そう言うと彼女の目の色は赤から金に戻って、フッ、と倒れた。

「カフェ!」

 

「…っ…ピ、ピーターさん…わ、私…?」

「大丈夫、落ち着いて…一時的に乗っ取られていただけだ。」

「…何でいきなりこんな…」

 

…多分、僕に接触するメリットがあるから。口から出かけた言葉を心の中にしまった。

 

 

それに、僕が1番気になるのはまたスティーブンが魔術を失敗した可能性がある、ってことだ。

僕の時はスパイダーマンの正体=僕の存在を世界から消すと言う魔術を失敗して逆に僕の正体を知るものを様々なユニバースから召喚してしまった。

それが今の生活に繋がってるわけだけど。

 

ただ、スティーブンがウマ娘に関する魔術とかすると思えない。バ鹿らしすぎる。

 

ただそれ以外にマルチバースの扉を開ける人物の見当がつかない。

まあ僕が知らないだけで現れてはいるんだろうけど。

ただそれで別世界から他の動物の魂を呼び寄せてウマ娘に憑依させるなんてそんなこと、わざわざするような人物がいるのか?

 

考えられるとしたら転生、か。

魂だけがなぜかこのユニバースに呼び寄せられカフェの中に入った。

 

…何かが、起きている。

 

 

 

 

 

 

 

その不吉な予感は、少し先の未来。

"あんな形"で的中するとは、今の僕には想像も付かなかった。

 

 

 

 
















既に"何か"は起きている。



カフェやスパイダーセンスの設定が結構変わってます。
カフェの一人称がグチャグチャなのはサンズのオイラと俺みたいなもんです。


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ライバル

少し短いです。


 

 

 

カフェとの一件から少し経ち、色々考えることはあるけどダリアに集中しないといけない。今は昔みたいに学生生活とスパイダーマンとしての生活を両立…とかそんなこと言っている余裕はない。

 

何かは確実に起きている。とんでもないことが起きてからじゃ遅い。でも今の自分に対策する術はない。スティーブンの所に行ったとしても不審者として追い払われるのがオチだろう。

…悩んでばかりじゃダメだ。一旦考えるのはやめよう。

そう思いながら歩いていると…

「おー、ピーター。そっちのブラックダリア、初戦勝てたんだってな。」

と、沖野さんが話しかけてきてきた。

「お陰様で…ありがとうございます!」

「こっちのスペシャルウィークも初戦、勝てたよ。やっぱり見込んだ程の素質を持ってる。いずれぶつかるだろうからその時はよろしくな?ピーター。」

「臨むところです」

ニヤリ、と互いに表情を緩める。

互いの思いがぶつかる。

それは未来。いずれ来る戦い(スペシャルウィークvsブラックダリア)を予期しているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダリアとのトレーニング中、話しかけてきたウマ娘がいたので生徒と思ったらトレーナーサポートの方だったみたいだ。

名前は…「初めまして、ベルノライトです!最近この学園に入ってきた新人トレーナーです!まずはトレーナーサポートとしてサポートの立場に回って、そこからサブトレーナー。そしてトレーナー、みたいな感じです。」

 

「初めまして、ピーター・パーカーです。…ベルノライト、って、あのオグリキャップを陰で支えていたって有名な人ですよね。」

 

「ああ、まあ…北原さんと六平さんと一緒にオグリちゃんを歴史上に残るウマ娘にのし上げた…って言われてますけど…私は別に…」

 

「いや、あなたも凄いですよ。僕、結構オグリキャップ好きでインタビューとか見てるんですけど、ベルノさんのことよく語ってますよ。有馬記念でタマモクロスとぶつかった時とか、新しい走り方を考え抜いてそれでオグリはタマモクロスに勝ったんですよね。」

 

「ああ、あの時の…ふふ、懐かしいなあ…オグリちゃんは特別なんです。あの時も私が頑張って考えた走り方をすぐ覚えて…でもそれで、あの有馬記念が出来たって考えると、やっぱ私もすごいですかね?」

ベルノさんが笑いながら言う。

 

「とても凄いですよ、オグリキャップを支えた三人の一人でも欠けていたらあのドラマは完成していなかったと思います。オグリキャップの引退レース、凄く感動しました。」

 

「そのオグリちゃんも今や大食いタレントとして色んな方面で活躍してて…最近あまり連絡が取れてなくて…」

ベルノさんが少し悲しそうに言う。

 

「…どんなに離れていても、きっと心は繋がってますよ。」

 

「…ですよね。…ああ、そうでした。今日来たのは担当ウマ娘であるブラックダリアちゃんの初戦を勝てたって言うことでこれからの激励の言葉を送ろうと思ってきたんです。まずは一勝、おめでとうございます!これからも勝てるのを祈ってます。二人三脚で、頑張ってくださいね!」

「ありがとうございます、頑張ります!」

と、ベルノさんと別れた後、こちらを少し睨むダリアを見てすぐそっちに駆けていった。

 

 

 

 

 

 

私が歩いていると。ずきゅんどきゅん走り出し〜、と携帯が鳴る。

「あ、電話だ。誰からだろう…」

画面に映る名前を確認して、思わずニヤけてしまった。

「タイムリーだな…まるで心を読んでるみたい。」

そのままボタンをタップし電話に出る。

「もしもし、オグリちゃん?久しぶり、元気してた?」

 

「あぁベルノ。久しぶり、いきなり連絡してすまない。急にベルノを思い出してな。少し時間が空いているから電話を掛けた。忙しかったか?」

 

「うんうん、全然!…って程でも無いけど…でも久しぶりにオグリちゃんと話したい」

 

「ベルノ…やっぱり優しいなベルノは。いきなり連絡掛けたから話と言っても何を話すかは考えてなくてな…そうだな、最近キタハラと会ったんだが…」

オーイオグリーナニヤッテンヤー?モウCMアケルデー?

「あ、分かった今行く…すまないベルノ。また後で掛け直す。少しでも喋れてよかった。」

「うん、また後で。じゃあねオグリちゃん。」

ツー…ツー…と携帯から音が鳴る。

「…離れていても、心は繋がっている、か…」

空を見上げて、ふと呟く。

青空は果てしなく広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダリアちゃん初戦勝ったんだって?おめでとう〜」

「ありがとう〜」

クラスでスペちゃんと並んで祝われる。

ここ最近、トレーナーを持った子たちの祝いが毎日のように起こっている。昨日はスカイちゃんとキングちゃん。

ウララちゃんは勝ってないけどみんなで祝った。

と、言った感じでここ最近はずっとお祝いムードだ。

 

みんな口々に祝いの言葉を言ってくれる。それが少し心地よかった。

隣でスペちゃんは照れているのか顔を赤くしてちょっと俯いた感じになってる。

「嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいべ〜…」

方言混じりの独り言が耳に入ってきた。

「お互い良いスタートだね」

そう言って笑いかける。

「うん!でもまだまだスタート。お母ちゃんに頑張ってるところ見せられるように、これからもけっぱるべー!」

方言が出て少し笑われているスペちゃんの横で、私は少し暗い気持ちになった。

 

…お母ちゃん、か…。あの日消えていなかったら、今の私にも心の底から褒めてほしい人がいただろうか。

…トレーナーはまだあまり信頼できていない。そりゃそうだ、出会ったばかりだし…。でも外国の人だから、やっぱり顔立ちは整ってるよね…。てか普通にめちゃくちゃイケメンだよね…。

 

……って、いやいやいや!まだ早すぎるし!流石にチョロすぎない私!?ちゃんと内面っ!内面まで深く触れていって…ある時初めて「好き」って気持ちに気付く、とかそんな感じのが普通じゃない!?

でも声もかっこいいし〜…あぁちょっと考えすぎちゃっ…

「ダリアちゃ〜ん、ダリアちゃ〜ん?どうしたのさっきから暗い顔したりニヤニヤしたり…」

 

「ああ、いや別に何でもないよ!?にんじんのこと考えてた!」

 

「にんじん…お腹空いてきちゃったかも…」

「まだ2時間目だよ〜」

アハハ、と和やかなムードになっていく。

…私も、お母さんとの約束を叶えて、見ている人に勇気を与えられるウマ娘になれるように…。

 

…でも、このまま勝ち続けたらいつかはスペちゃんとぶつかることになる。私はその時にスペちゃんに勝てることはできるのだろうか?

今は心の中で自称ライバルを名乗っている。

…どんな結果になろうとも、私はスペちゃんに立ち向かう。

 

 

 

その後、授業中にお腹のオーケストラが始まったりしてスペちゃんのお腹事情に凄いと思った。

 

 








毎日投稿を維持したいので急いで書き上げました。
と言うことでシングレ組からベルノライトの登場です。
時間軸としてはシングレ完結後です。


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