IS インフィニット・ストラトス 金と銀の瞳が見据えるモノ リメイクversion (フレイムバースト)
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プロローグ

かなりのブランクがあるので文章はお察し程度ですがよろしくお願いします


私の名前は磨美・アーデルハイト。

 

名前からわかると思うけどハーフです。日本とイタリアの。

 

私の目は少し他の人と変わってて、左右で目の色が金と銀で違います。

 

そのせいで日本にいた小学生から中学二年生のころは気味悪がられていました。

 

だけどそれを払拭してくれた人が中学生の頃にいました

 

─────────────────────

 

「……もうやだ…こんな気持ち……!」

 

誰もいない教室の隅っこで私は一人で泣いていた。

 

目の色が左右違うだけで、仲間外れにされたりした。

 

辛い、辛い、辛い、辛い、辛い、辛い、辛い、辛い時間しか流れなかった

 

いっそ眼を潰してしまえば、身を投げてしまえば楽になると考えたけどそんな勇気無かった

 

「どうしたらいいのさ……!」

 

頭を抱えて、しゃがみ込んだ。

 

「なにしてるんだ?」

 

「⁉︎」

 

ビクッと体が跳ねた気がした

 

「なにしてる一夏……ってどうした」

 

声のした方向をみると二人の男女がいた

 

男子のほうは一夏というらしい

 

「なんかあったのか。そんな所でうずくまって」

 

「一夏、お前は鈍いな。なんかあったからここにうずくまってるんでしょうが」

 

「それもそうか。…名前は?」

「えっ…あっ……磨美・アーデルハイトです」

 

「じゃあアーデルハイトさん」

 

「磨美でいいですよ……?」

 

「じゃあ磨美さん、なんでここでうずくまってたんだ?」

 

「驚かないんですか……?」

 

「えっ、驚くって……何に?」

 

「私の目をみて驚かないんですか?」

 

「綺麗な目だなーっとは思った」

 

唐突に言われたその言葉に私はビックリしていた

 

そしてこの人達ならわかってくれると思って、溜め込んだものをぶちまけた。

 

「はぁ……なるほどねぇ、気持ちはわかるわ」

 

篠ノ之箒さんがそう言った

 

「馬鹿馬鹿しい」

 

「へっ?」

 

「磨美は自意識過剰で自分に自信が持てない気質なんだよ。こう言っちゃ悪いけど、アンタ自分からなんかした?なんもしてないでしょ?他人からの印象なんていざ聞いて見ないとわからない」

 

「……そうだね」

 

「ただ、聞こうともしないくせに差別する奴がいたら私に任せろ!一夏がなんとかしてくれる!」

 

「はあっ⁉︎」

 

この「なんとかしてくれる」を本当になんとかしてくれたのが織斑一夏くんだった。

 

私の事を理解してもらおうと一夏くんは必死に奔走してくれた

 

おかげで、私はクラスに溶け込むことが出来た。

 

一夏くんには返しても返しきれない恩がある

 

そして

 

伝えたかった恋の感情もある

 

──────────────────────────

 

「懐かしいなぁ、日本」

 

荷物の整理をしながら私はそう言った

 

私はイタリアの代表候補生として日本のIS学園に入学することが決まっている

 

「やっぱり小さい……」

 

試しにとISスーツを着てみたらサイズが小さい

 

特に胸。下乳がはみ出ちゃってる

 

下もTバックみたいだ。まあ落ち着くからいいけど。

 

100越えの私の胸に合うISスーツはあまりなく、特注するとかなり高額(軽く30000ユーロが消し飛ぶ)になる

 

まあ女子しかいないしまあいいか。

 

ISを動かせるのは女だけ。だからIS学園には女子しかいない!……はず。

 

「テレビ見ながら作業荷造りしようかな」

 

そう思って私はテレビを点けた。

 

そして目を疑った

 

「一夏くんがISを動かしたってどういうこと‼︎?」

 

女だけがISを動かせるという常識が崩れた瞬間だった

 

しかし内心喜んでいた

 

一夏くんがISを動かしたということは保護の観点でIS学園に入学させざるを得ない。

 

私はIS学園に行くことが決まっている

 

つまり

 

一夏くんと同じ学校に行ける!

 

ということ

 

荷造りがますます捗った

 

女しかいないと思って妥協したISスーツのことなんか忘れて。




いかがだったでしょうか?小説家になろうで読んでいた方には展開が読めるかもしれないですが(笑)

こういった形で再び二次創作を書くとなると感慨深いです、んなこたぁしらねぇよって言われそうですが(笑)


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オリ主設定!

設定です

6/17、イントゥルーゾシステムに関して追記

2021/9/3 磨美のプロフィール臨海学校編時点でのスリーサイズを追記


磨美・アーデルハイト

 

年齢 15歳

 

スリーサイズ 102/60/87/cm(第一話時点)111/62/88cm(第30話時点)

 

身長 169cm

 

体重 デリケートな部分なので書かない

 

趣味 読書

 

備考

 

今作の主人公

 

 

【挿絵表示】

 

 

小学校から中学二年生までの時代を日本で暮らしていた。その時に一夏や箒、鳳鈴音と知り合っている

 

ISの操縦技術はピカイチで実戦で指揮を任されてもおかしくはないという評価を受けている

 

胸が102cmとかなりの大きさ。そのくせ未だにミリ単位で成長中。その魅力を活かして本国ではグラビアアイドルをしていた。

 

ちなみに常にノーブラ。ISスーツの締め付けられる感覚が嫌。そのため夏頃に特にラッキースケベが多発する。

 

性格は真面目だが少々抜けている。またかなり積極的な性格で一夏をものにするためには自分の体をも手段としてとる。一夏に望まれればどんなに過激なことでもやるつもりらしい。

 

本人曰く「一夏くんのためなら奴隷になっても構わない」らしい

 

ここから磨美の変態気質が見えているが本人はそれを否定していない。寧ろ指摘されると気持ちいいと言うドMである

────────────────────────────

 

IS ネーブ・テンペスタ

 

磨美の専用IS。 世代は第3世代

最大の特徴はバックパックの翼状のスラスター。

翼が動くとそれに連動してISは旋回したりできる。また防御壁としての役目を担っており攻撃をガードできる

 

武装

 

ビームレイピア

 

突く、斬る、この二点に特化した近接武装。出力を極限まであげれば刃の部分が長大になる

 

ヒートレイピア

 

ビームレイピアと同じ性質を持つ近接武装。出力を極限まであげれば刃部分の纏う熱が超高熱になり与えられるダメージも大きくなる。本機の固定武装

 

バスターライフル x2

二本のバスターライフル。メイン武装でかなりの高火力を誇る。合体させることで一点突破の絶大な火力を誇る。使用回数に制限がありフルパワーで打った場合は5発までしか打てない。またこの武装はビームレイピアとヒートレイピアと合体が可能でかなりのリーチを誇るビームランス、ヒートランスになる

 

肩部マイクロミサイル

 

肩に大量にストックされているマイクロミサイル。固定武装。操縦者の任意のタイミングで爆破できる

 

腹部メガカノン砲

 

腹部のカノン砲。連射はできないものの打鉄の耐久力の8割を持っていくことが可能。しかし射角が狭い。バスターライフルとの併用は一応できるが発生する熱量が凄まじいため火傷を負う可能性がある

 

機雷

 

本機は機雷をばら撒くことができる。牽制、誘導にもってこいである

 

イントゥルーゾシステム

 

ISのコアネットワークを介し、敵ISの装備を掌握する機能。この装備は固定武装にも影響を与え、固定武装がIS本体と一体化している武器(例、甲龍の龍砲、シュヴァルツェア・レーゲンのAIC、ラファール・リヴァイブカスタムのパイルバンカー)は使用不可能に、固定武装がIS本体から分離したり、ISの手持ち武器として登録されている場合はそのロックを強制解除し、自分の武器として装備可能。

 

しかしこの装備は使用すると耐性がついてしまい、2度も固定武装を使用することは出来ない。ただし後付武装の場合は何度でもハッキングして使用可能

 

しかしこの装備の主眼は各国代表候補生のISから次世代装備のデータ、およびその稼動方法を盗み出すことにあり、まさしく名前通り「盗人」である。




磨美のスリーサイズに関しては、とにかく育ちます。胸に関しては頭より大きい感じ


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再会、友よ、初恋の人よ。だがこれはナンセンスだ!

赤い技術者復活!今回かなり長いです!あと後書きにおまけがあります


(暇だなぁ……)

 

ぼーっとしながらSHRの時間を過ごしていく。

 

山田先生の自己紹介とIS学園の説明、寮の説明、そしてクラスメイト自己紹介。

 

今は一夏くんの番だ

 

「織斑一夏です、よろしくお願いします」

 

さてクラスメイトの視線が一気に一夏くんに向かっている。

 

これで終わりじゃないよね、とみんな目で訴えている

 

無論私もなんだけどね。

 

一夏くんは一回何処かを見たあと、さらに私の方を見てきた

 

一夏くんの目から「助けてくれ」と訴えられてくる

 

私は顔の前で腕をクロスさせ首を横に振った。ごめんね一夏くん

 

「……い、以上です」

 

がたたっ

 

某新喜劇よろしくずっこけるクラスメイトが何人かいた

 

私の左隣の人、ずっこけるのはいいけどパンツ見えてるよ。

 

私がカンペでその事を伝えると某カブトムシライダーよろしく一瞬で椅子を戻して座っていた。

 

その後担任であって一夏くんのお姉さんでありIS世界王者の織斑千冬さんが出てきたり、小学校の同級生だった篠ノ之箒ちゃんの自己紹介があったり妙に高飛車な態度の今時の女子、イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさんの自己紹介もあった

 

そして私の番が回ってきた

 

「ええと……マビ・アーデルハイトさん?」

 

「まみ、です。山田先生」

 

「ああ、ごめんなさい!では磨美・アーデルハイトさん、自己紹介お願いします」

 

「はい、磨美・アーデルハイトです。名前からわかると思うけどハーフです。イタリアの代表候補生としてIS学園に入学しました。趣味は読書でよく医学系の小説と哲学本を読んでいます。それが頭に入っている時もありますが大抵は気にしてなかったりします。他に何か聞きたいことはありますか」

 

「磨美さん胸大きいけど何センチ?」

 

唐突にきたその質問、一夏くんの方を見ると耳を塞いでいた

 

「そういうのは放課後で!」

 

私がそう返すとクラスに笑いが起きた。

 

いいね、やっぱクラスはにぎやかじゃないと。

 

「アーデルハイト、時間が押している。そろそろ切り上げろ」

 

「はい、織斑先生。とりあえず、これから一年間よろしくお願いします。」

 

そこからなんやかんやあってSHRはひとまず幕を閉じた

 

────────────────────────────

 

「一夏くん」

 

休憩時間の最中、私は一夏くんの所に寄っていた

 

一夏くんは机に持たれていて精神的に満身創痍のようだった、見てて和む

 

「ああ……磨美か……久しぶり……」

 

「覚えていてくれてたんだね、ありがとう」

 

「すまない、アーデルハイト、隣いいか?」

 

「ほーちゃんも久しぶり」

 

「その気が抜けるようなあだ名はやめてくれないか………プ」

 

ほーちゃんは我慢しているようだった、見ていて面白い

 

「よかったよ、2人がいて。2人がいなかったら俺多分イロイロと耐えきれなかったと思う」

 

「そりゃそうだよ。にしてもなんでIS学園に来たの?」

 

「IS学園と藍越学園って似てるよな。つまり、そういうこだ」

 

「……それは間抜けというものではないか一夏」

 

「……一夏くん、ちょっと間抜けだよそれは」

 

「だろうな。そう言われると思った。そう言えば磨美は代表候補生なんだよな?」

 

「うん」

 

「俺にISの知識を叩き込んでくれ。俺、ISは自分に関係ないと思ってたからよくわからないんだよ」

 

「いいよ一夏く「待て、その役目、私に譲ってくれ」えー」

 

「私にだってISの知識はある!」

 

「じゃあISの世代を第一世代から順に説明してみて」

 

「ぐ……」

 

「第一世代は兵器としてのISの完成を目標に作られた機体の事ですわね」

 

座りながら話に割り込んできたのはセシリア・オルコットさんだった

 

「あら、セシリアさんご名答」

 

「当然ですわ」

 

「とりあえず第一世代は兵器としてのISの完成を目標に作られた機体だから…例えるならなんだろう…とりあえずケータイで例えるならバブル時代にあった肩にかけるタイプの重くてでかいやつ」

 

「……なるほど」

 

「第二世代は後付武装で戦闘の多様化をはかったものね。

ケータイで例えるとインターネットに繋げたり、アプリで音楽を聞けるようになったりしたガラケーあたりかな」

 

「つまり今の俺たちが使うケータイをISで例えると第二世代なんだな」

 

「そういうこと。第3世代は操縦者のイメージ・インターフェースを用いた特殊装備の搭載を目指した実験機が多いわ。特殊装備は何かって言うと……セシリアさんの場合は」

 

「私のはBT兵器ですわね」

 

かなり不機嫌そうにセシリアさんがそう答えた。

 

「イタリアの第3世代装備は私のISにはまだ未完成で搭載されていないんだけどね。とりあえず第3世代ISは例えるなら新聞とかで話題になる近未来的な車や家具に近いかなぁ」

 

「そこだけやたらおおざっぱだな」

 

「ほーちゃんそれは言わないで。ちなみにもし第四世代のISが出来た場合はどんな戦況にも対応できる文字通りの万能機になるって各国は予想して研究しているの」

 

「なるほど……大体わかったよ。ありがとう」

 

「んで、ほーちゃんはこれでも私から役目を譲って欲しいの?」

 

「ぐぎぎ……‼︎なら特訓だ‼︎体を動かせばなんとかなるだろう‼︎」

 

「つまり実技はほーちゃんの担当ね、分かったよ」

 

これでひと段落……のはずだった

 

「それにしても最近の殿方はISに関する基本的な情報も知らないのかしら?ブリュンヒルデの弟と聞いて期待していたのが馬鹿馬鹿しいですわ。見ていて呆れますわ」

 

セシリアさんが嫌味を飛ばしてきた。ちょっとむかつくけど我慢しないと

 

「まぁまぁセシリアさん、何事も基礎は大事だよ。基礎がなってないと家なら崩れちゃうし。足元をすくわれるかもしれないじゃない」

 

「……そうですわね」

 

大丈夫かな、この人。すぐ血が上りそうだから何かあったら穏便に済ませたいな

 

「とりあえず次の授業があるし準備しなきゃ」

 

────────────────────────────

 

「ああ、授業の前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

 

授業が始まった直後、ふと織斑先生が思い出したように言う。

 

そう言えばそんなものがパンフレットに書いてあったなぁ

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあクラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点でたいした差はないが、競争は向上心を生むからな。一度決まると一年間変更はできないからそのつもりでいろ」

 

クラス長とか中学の時はやってたけど特にやること無かったんだよねぇ。あっても退屈な会議だし。

 

「はい!私は織斑くんを推薦します!」

 

あら一夏くんご愁傷さま。

 

「私はアーデルハイトさんを推薦します」

 

と思っていた時期が私にもありました。ああ残念無念。

 

その後一夏くんと私にクラスの三分の一が推薦し、内訳で私がなりかけていた時、流れが変わった

 

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

セシリアさんが立ち上がってそう言った

 

「そのような選出は認められません! イタリアの代表候補生であるアーデルハイトさんならまだ構いませんが、男が代表だなんていい恥さらしですわ! わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

女尊男卑の今らしい考えだなぁ。ちょいと癪に触るけど、我慢我慢。

 

「確かにアーデルハイトさんの方がIS適性も私よりも上の『A+++』。わたくしがクラス代表に推薦されないのは必然でしょう。しかしそれを、物珍しいからという理由で、極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって男や『純白の堕天使』とごっこ遊びをする気は毛頭ありまんわ!」

 

純白の堕天使……

 

これは私の通り名だ。私はその中二病臭のするこの通り名が嫌いだからあんまりそう呼んで欲しくはない

 

にしても一夏くんの事を猿って言った?あの女。

 

猿は豊臣秀吉だけで十分よ。

 

「いいですか!? クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ! 」

 

あーハイハイソーデスネー。全くもってソーデスネー

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛でしてよ!? イタリアのISの情報も一つも入ってこない上に第3世代装備が未完成という強いのか弱いのかわからないポンコツとが作ったガラクタと一緒に――――」

 

その時私の中で日本人としての血とイタリア代表候補生としてのプライドが燃え、滾った

 

さらに一夏くんの事を猿と侮蔑したことが火に油だけでなくガスを注いだ

 

「イギリスだって大したお国自慢なんかねぇだろうが。世界一不味い飯で何年世界王者だよ」

 

「あなたは私の両親と私に投資してくれた技術者を侮辱するというのですか。それに日本と同じ島国で王族がいてさらに古来の物を大切に残すイギリスも立場が全く同じなのではないかしら」

 

「なっ……!?あっ、あっ、あなた達ねぇ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

「先に俺の祖国を侮辱したのはどっち」「なんですかね⁉︎英国淑女さま⁉︎」

 

見事なシンクロ、しかし気にする余裕はない

 

「仮に、あなたの言うとおり日本が後退的で猿ばかりというものを1000歩譲って妥協しても、日本人である私の父をあなたはバカにした。それだけでなく私に協力してくれた技術者の事をバカにしてその結晶である私のISをガラクタ呼ばわりした‼︎」

 

それに怯んだのか私に向かってセシリアはこう言った

 

「そうですわね。未知数という事はさぞ完成度が高い素晴らしいISなのですわね。ガラクタと呼んだことは撤回しますわ」

 

あくまで日本人の男が猿というのは謝らないつもりのようだ

 

「わかったわ……あなたがバカだということが。私はセシリアさん、あなたに決闘を申し込みます。」

 

「なら私は織斑一夏に決闘を申し込みますわ!」

 

「いいぜ、四の五の言う言うよりわかりやすい。それに、同級生をバカにされてただで済む男じゃないからな」

 

「あら、殿方としてのプライドというものかしら」

 

「答える義理はないぜ」

 

「そう?何せちょうどいいですわ。イギリス代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」

 

「勝手にいってな。で、ハンデはどのくらいつける?」

 

「えっ」

 

「あら、早速お願いかしら?」

 

「逆だ逆。俺がどれだけハンデ付ければ良いかって事だ」

 

かなり挑戦的だな一夏くん。目が本気だ。

 

あの目は私のことを説明してくれていた時と全く同じ目だ。私のことを一夏くんはまだ口には出してないけど気にかけてくれているんだ

 

だけど周りの反応は不条理だった。

 

ドッと周りのクラスメートが爆笑した

 

「お、織斑君、それ本気で言ってるの?」

 

「男が女より強かったなんて大昔の話だよ?それなのにハンデって……」

 

「織斑くんは、確かにISを動かせるだろうけど、それは言いすぎだよ」

 

「じゃあ、ハンデはいい」

 

一夏くんも理解したのかハンデは取り下げた

 

「ええ、そうでしょうそうでしょう。むしろ、わたくしがハンデを付けなくていいのか迷うくらいですわ。ふふっ、男が女より強いだなんて、日本の男はジョークセンスがありますのね」

 

「セシリア、煽るな」

 

私は怒りを半分込めてセシリアに言い返した

 

「あ、あら申し訳ありませんわ」

 

「ねーねー織斑くん。今からでも遅くないよ?セシリアに言って、ハンデ付けてもらったら?」

 

その言葉が、私をプッツンさせた

 

「あなた達は黙ってなさいっ‼︎」

 

私はクスクス笑ってたりする女子に向けて叫んだ

 

「アーデルハイト、気持ちは解るが落ち着け」

 

ほーちゃんの声で私はハッとした。見れば固まってる子もいる。

 

「ごめんなさい、急に怒鳴って。でも、本人がさハンデいらないって言ってるんだから、ハンデ無しでやってみようよ」

 

「う、うん、そうだね……」

 

「さて、話は纏まったか?ならば勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑、オルコット、アーデルハイトはそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める。あとアーデルハイト、お前は後で説教だ」

 

「えっ⁉︎なんでっ⁉︎」

 

「授業時間中に怒鳴ってクラスメートを怖がらせる馬鹿がどこにいるか」

 

「あ、デスヨネー………アハハ」

 

とりあえず授業終了後に地獄が待っていることが確定した私、磨美・アーデルハイトだった

 

──────────────────────────

 

「あの説教は応えたなぁ………」

 

放課後、自室である1025室で私はシャワーを浴びていた

 

説教されたことにはされたがほとんどが昔の話だったのだが見事に黒歴史まで掘り返してくれた織斑先生許すまじ。今度織斑先生の最大の黒歴史のことを暴露してやろうかしら

 

そんなもの知らないけど。

 

 

シャワーを止めると声が聞こえてきた。

 

「誰かいるの?」

 

誰かいるんだから声がしたんだろうに。

 

私はタオルで体を拭いた後、パジャマ代りのパンツだけ履いてそのタオルを体に巻いた

 

「あ、同室の人かな。ごめんね、こんな格好で。私は磨美・アーデルハ……」

 

「よ、よう磨美……ハハ」

 

「同室の人って一夏くんの事だったんだ」

 

「聞かされてなかったのか?」

 

「全然聞いてなかったよ。まあ多分そのうち部屋の整理が入るだろうから、それまでよろしくね」

 

「ああ、よろしくな」

 

PLLLLLLLLLLLL!PLLLLLLLLLLL!

 

割と空気を読んだタイミングで私のケータイが鳴った

 

「あ、ごめん私のだ。ちょっと待ってね。……もしもし?」

 

『私だ、アーデルハイトくん。』

 

特徴のある低い声で電話越しに話しかけてきたのはうちの技術者のレミリア・アズナブルだった

 

「ああ、レミリアさん、どうかしたの?」

 

『ようやく第3世代装備が完成したよ。そちらに向かう。月曜日のの午前5時に出迎えを頼めるか?』

 

「待ちかねていたわ、じゃあ月曜日の午前5時ね。了解。仮面はつけてこないでよ?サングラスでお願いね!日本観光も兼ねるなら尚更よ」

 

『わかっている。それで織斑一夏くんとはコンタクトは取れたのかな』

 

「もちろんよ。寮の同部屋だし、今ここにいるわ」

 

『なら少し話がしたい、かわってもらえるか』

 

「いいけど……。一夏くん、うちの技術者が一夏くんと話がしたいって言ってるんだけど……」

 

「ええっ⁉︎俺イタリア語なんてわからねーよ……」

 

「大丈夫、うちの技術者達はみんな日本語が達者だから。」

 

「なら……。もしもし代わりました織斑一夏です」

 

『話が出来て光栄だよ。織斑一夏くん。私はイタリアの技術開発局のレミリア・アズナブルだ。以後覚えてくれてもらえるとありがたい』

 

「いえ、こちらこそ。それで……用件はなんでしょうか」

 

『君に渡したいものがあってだね。さしずめ、私からの入学祝いという所だ』

 

「いえ、そんな!見ず知らずの方に入学祝いを頂くなんて‼︎」

 

『君はアーデルハイトくんの小学校以来の友人なのだろう?アーデルハイトくんの友は私の友だ。遠慮することはない』

 

「は、はぁ……」

 

『もし受け取ってくれるなら無茶を言うが月曜日の午前5時にアーデルハイトくんと共に来て欲しい』

 

「じゃあ……はい、ありがとうございます」

 

『そうか、ありがとう織斑くん。入学初日で疲れているだろう。ゆっくり休みたまえ』

 

「はい、ありがとうございます、じゃあ磨美に代わりますね……。磨美、返すよ。」

 

「うん。レミリアさん入学祝いって私にはくれないの?一夏くんだけに入学祝いってずるいよ。」

 

『もちろんある。70万円きみの講座に振り込んでおいた。それで服などを買うといいさ。』

 

「ありがとう、じゃあ月曜日のの午前5時に一夏くんと一緒にくればいいのね」

 

『そうだ。では切るぞ』

 

「はーい。……面白い人でしょ、レミリアさん」

 

「面白いというか唐突な人だな」

 

「そうそう、わかるわ。」

 

怒涛の入学初日はこうして幕をとじた




千冬の説教

「まったくアーデルハイトは昔から変わらないな、自分の好きなものが馬鹿にされたり貶されたりするとすぐ激昂して、二年前にお前が名乗っていた閃光のブラックホールという名前を私がセンスがないと言った時もキレていた。多少は我慢を覚えろ。馬鹿者、これに懲りたら我慢することを覚えることだ。説教は終りだ帰っていいぞ」

磨美の黒歴史=閃光のブラックホールという肩書き


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専用ISが貰えるよ!やったね一夏くん!

後半気持ち重めにしました。


朝のSHRの時間、織斑先生から一夏くんに対し連絡事項があった

 

「ところで織斑、お前のISだが準備まで少々時間がかかる」

 

「え?」

 

ここまではただの報告だった

 

「予備機がない。だから少し待て。お前の機体は学園で用意するようだ」

 

これを聞いた途端私を含めた周囲がざわめいた

 

「せ、専用機!?一年の、この時期に!?」

 

「つ、つまりそれって政府からの支援が出るって事で……」

 

「ああ~。いいなぁ……私も早く専用機欲しいなぁ」

 

そんな中一夏くんは、状況が飲み込めていないようだった

 

「一夏くん、ISのコアの数は知ってるよね」

 

「アーデルハイト、説明はいらん。自分で読ませる。織斑、教科書6ページを音読しろ。読み間違えた場合は広◯苑で頭を叩く」

 

それは脅しだよ、織斑先生。広辞◯で叩いたら脳震盪起こしかねないよ

 

「冗談でも笑えないぜ、織斑先生。え、えぇと『現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、そこ中心たるコアを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS467機、その全てのコアを作る技術は篠ノ之博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状態にあります。

しかし博士はコアを一定数以上作る事を拒絶しており、各国家・企業・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取り引きする事はアラスカ条約第七項に抵触し、全ての状況下で禁止されています』って書いてあるんですがつまり俺は限られたコアの中の一つを使わせてもらえるということですか」

 

「その通りだ。つまり政府などの期待を請け負うことになる」

 

まさにその通りだ。イタリアに至っては軍の期待もかかっているし、プロパガンダにもってこいな存在だもの。専用機持ちって。

 

「あ、あの先生。篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関けむごぉっふ!?」

 

私はほーちゃんのタブーに触れようとした人の口を塞いだけど話の八割は言われてしまった

 

篠ノ之束、彼女は世界の秩序を一瞬にして変えてしまった張本人。

 

白騎士事件の一件で世界は狂ったのか、それとも新たな段階に進んだのか、それはわからない

 

「ああ、篠ノ之はヤツ―――篠ノ之束の妹だ」

 

案の定ざわつき始めるクラスメイト達。有名人の身内、天才の妹だの言う人がいた

 

そして案の定ほーちゃんがキレた

 

「あの人は関係ない‼︎」

 

触れられたくない部分にズケズケと入り込まれたらそれはだれでも激怒するだろうに。

 

「……いきなり大声を出してすまない。しかし私はあの人じゃない。教えられるようなことはなにもない」

 

「ねぇ……みんなは触れられたくないものとかないの?心に土足で入り込まれると嫌でしょ?」

 

「アーデル、いいんだ。放っておいてくれ」

 

「でも」

 

「今はなにも考えたくない」

 

授業のムードがかなり下がってしまった

 

「お前達が罪悪感をかんじる必要はない。しかし以後気をつけるんだな。篠ノ之。すまない、私の軽率な発言で不快にさせてしまったな。」

 

「いえ、構いません」

 

「そうか。山田先生、授業の続きを」

 

山田先生の授業に入ったけれどなんだかどんよりした感じは消えなかった




出来の良い兄弟や姉妹がいると大変ですよね(ー ー;)


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ついに月曜日

なにかとチートな装備がついに登場します

そして伏線引いておきます


月曜日の早朝、私は一夏くんと校門で人を待っていた

 

レミリア・アズナブル

 

イタリア技術開発局の中では驚異的なカリスマと天才的な頭脳で人を集め、技術開発に取り組んでいる。二つ名は『赤い技術者』

 

イタリアの技術開発局にはレミリアを含め突出した技術をもつ5人がいる。五人はそれぞれ武装、アーマー、推進力、新兵器の発案、エネルギー管理において突出している。しかしレミリアは一人で全てこなすのだ。

 

しかしレミリアは全ての道を極めた結果器用貧乏になっているのでレミリアが武装を設計する場合は武装専門家の技術者が付きレミリアと二人一組で開発する。

 

しかし、この「レミリア」と言う名前。女みたいだ

 

「待たせてしまったな。アーデルハイトくん、織斑一夏くん」

 

「予定時刻の2分オーバーぐらいどうってことないわ。それで?次世代装備ってどんなの?」

 

「そう急かさないで欲しいな。ISを貸してくれたまえ」

 

「ん、わかった」

 

私は制服のボタンを外し、へそ辺りまでぶら下がっている待機状態のISを出した。

 

私のISの待機状態は中心に赤いクリスタルがはめ込まれた雪の結晶の形をしている

 

六角形の頂点には円いくぼみがあるのだがここに何かはまりそうだ

 

「磨美どこにしまってるんだよ……」

 

「授業中ぶらんぶらんされちゃ気が散っちゃうから服の中に仕込んでるの」

 

「純情を弄んですまないね。織斑くん」

 

そう言いながらレミリアは私のISにデータを移送し始めた。

 

「次世代兵器の説明はここではできない。実際に使って確かめてほしい」

 

「わかったわ」

 

「さて、織斑一夏くん、会えて光栄だよ」

 

「い、いえ。こちらこそ」

 

「君に渡したいものがあると言ったな。それがこれだ」

 

レミリアはポケットから黒い腕輪のような何かを取りだした

 

「これは君を守る御守りだ。君が願えば、これは力を貸してくれるだろう」

 

「……はぁ……ありがとうございます」

 

「私から貰ったことは秘密だ。そうだな、アーデルハイトくんから貰ったということにしておいて欲しい」

 

「私から貰ったことに?」

 

「その方が君にとっても好都合だろう?愛しの織斑一夏にプレゼ「わーっ⁉︎」『インストールが完了しました』」

 

「?」

 

よかった、一夏くんは気づいていない。いや、良くないけど。

 

いきなり何を言い出すんだ、この赤い技術者は。

 

「では私は立ち去るとしよう。アーデルハイトくん。この装備のデータ測定を頼むぞ」

 

「了解しました。日本観光いってらっしゃい」

 

「ハハハ。楽しんでくるよ」

 

「はい。…………はぁ。疲れた。」

 

「俺もだよ。……にしてもわざわざこれだけのために日本に来たのかな……」

 

「明らかに公私混同ね。別に構わないけど」

 

「だな……。そ、それにしてもさ、磨美?」

 

「何?」

 

「いつまで服のボタンを開けっ放しにしておくんだよ」

 

「っ⁉︎見てたの‼︎」

 

「う、うん。すまないが……見てた」

 

「……エッチ」

 

「返す言葉が見つかりません」

 

────────────────────────────

 

「箒に稽古をつけて貰って、磨美にISの知識を叩き込んで貰ったし、正直負ける気がしない」

 

「これで負けたら蹴り飛ばすぞ、一夏」

 

「物騒なこといわないでくれ」

 

「でも、負けたら何かしてもらおうかな」

 

「それはいいな。蹴る代わりに何かしてもらおう」

 

「おいおい、勝手に話を進めるなよ」

 

そんな談笑を私たちがしていると、山田先生と織斑先生がやって来た

 

「織斑くん織斑くん織斑くんっ‼︎」

 

いつも慌てがちな山田先生だが今回はいつにも増して慌てている

 

「山田先生、落ち着いて深呼吸です」

 

「はい、す〜……はぁ〜……」

 

「はい、そこで止めてください」

 

「うっ……」

 

なんとなくノリで言ったら山田先生は本気で息を止めた。おそらく天然なのだろう

 

「ぶはっ!アーデルハイトさんまだですかぁ⁉︎」

 

「はい、まだまだです!」

 

パァン‼︎

 

快音と共に私の頭に衝撃が走る。それをやったのはもちろん織斑先生だった。

 

「目上のものには敬意を払え、アーデルハイト」

 

「はい…でなんでやって来たんですか先生?」

 

「それがですね、織斑くんのISの到着が遅れていて、先にアーデルハイトさんとオルコットさんの試合を始めることになりました。ですのでアーデルハイトさんはハッチに向かってください」

 

「織斑はアーデルハイトとセシリアの試合を観戦し作戦を立てておけ」

 

「わかりました。じゃあ一夏くん、先いってるねー。」

 

「わかったよ、じゃあまた後でな」

 

私は一夏くんに手を振りハッチに向かった

 

────────────────────────────

 

「展開」

 

ハッチでそう呟き、私はISを展開した。

 

ミサイルポッドのような肩、青いボディの中心に輝く赤いセンサー。手脚を半分覆うアーマー、額に装着されるセンサーバイザーは私の視界にレーダーを表示する

 

そして背中についた天使の翼のようなウィングが一秒もかからず展開される

 

背中のウィングに格納されていたヒートレイピアと合体状態のバスターライフル2挺を持ち、私は発進した。

 

錐揉み回転しながら私は上昇しセシリアさんと同じ高度に来た時私は武器を構え、銃口をセシリアさんに向けた

 

「あら、初戦は貴女ですのね。アーデルハイトさん」

 

「ええ、でも未完成だったものが完成したから、相手としては悪くないはずだわ?」

 

「ええ、もちろん……その通りですわ‼︎」

 

セシリアさんはロングライフル、スターライトMk-IIIを発射。すかさず私はバレルロールで回避した。青い光の矢は

私がいたところを通り抜け、地面に着弾した

 

「あら、初撃をよけましたか」

 

「今のは牽制ね?じゃあこっちもバンバン撃っていくわよ‼︎」

 

私はバスターライフルのパワーを45%に設定し、発射した

 

山吹色の光がセシリアに向かっていく

 

「当たりませんわ!そんな水鉄砲には‼︎いきなさい‼︎ブルー・ティアーズ‼︎」

 

セシリアのISから四機のビットが射出される

 

ビットから発射されるレーザーを回避しながら私は旋回し、セシリアさんに接近した

 

「はあああああああああああっ‼︎」

 

「くっ‼︎」

 

交差したその瞬間、セシリアさんのIS、ブルー・ティアーズの装甲を傷をつけた。

 

「っ……!よくも‼︎」

 

「感情的になったら負けるよ。セ・シ・リ・ア・さん」

 

「馬鹿にしてっ‼︎いきなさい‼︎ブルー・ティアーズ‼︎」

 

再びセシリアさんのISから四機のビットが射出され、こんどは四機のビットが順番にレーザーを発射し弾幕を張る。

 

そしてレーザーが私のISの脚部に直撃した。

 

「くっ‼︎……」

 

「被弾しましたわね‼︎続けなさい!ブルー・ティアーズ‼︎」

 

再び接近しようとすればレーザーに遮られ、迂闊に接近できない。

 

逆にバスターライフルを構えればそれに被弾する可能性が高い。主戦力であるバスターライフルを失うのはここでは痛い。

 

「これならどうっ!?」

 

私は肩のマイクロミサイルをオープンし、発射しようとした

 

「そうはさせませんわ‼︎」

 

ブルー・ティアーズから発射された弾道型ビットがが私の剥き出しの肩装甲で炸裂した

 

「しまっ……!」

 

両肩のミサイルが誘爆し、私は自分自身の兵器で自分のシールドエネルギーを減らしてしまった

 

「くううううっ‼︎」

 

「所詮、イタリアのISもその程度というわけですわね。終わらせて差し上げましょう……ブルー・ティアーズ‼︎」

 

「フフフ……」

 

「⁉︎止めなさい!……アーデルハイトさん、この圧倒的不利な状況でなぜその不敵な笑みを浮かべられるのです」

 

「わからない?ならば教えてあげるわ。あなたは私に敗北している」

 

「な、何をっ……!やってしまいなさい‼︎ブルーティアーズ‼︎」

 

しかし、ブルー・ティアーズは反応しない

 

「ブルー・ティアーズ⁉︎どういたしましたの⁉︎撃ちなさい!ブルー・ティアーズ‼︎」

 

「無駄よ、無駄無駄。あなたのブルー・ティアーズは既に、私の支配下にあるわ」

 

「何を言い出すかと思えば、笑えない冗談ですわね、こちらの気も知らずに………これは!?……ブルー・ティアーズの使用者ロックが解除されている⁈」

 

次世代装備によるハッキングは成功したようだ。

 

次世代装備 イントゥルーゾ。

 

この装備は戦闘中いかなる時でも相手の装備システムにハッキングしそれをこちらのものにできる。

 

凶悪なのはそれが後付け武装だけでなく固定武装にも及ぶということ。

 

この装備システムは現行ISの装備をほぼ全て扱えると言っても過言はない。

 

「ようやく気がついたようね。……ブルー・ティアーズ、反逆しなさい‼︎」

 

ブルー・ティアーズが反転し、セシリアにレーザーを放つ

 

「私がわかりませんの⁉︎ブルー・ティアーズ‼︎」

 

ブルー・ティアーズがセシリアを壁際に追い込む

 

「牽制ありがとう、ブルー・ティアーズ」

 

私は合体させたバスターライフルを構え、チャージを開始した。

 

その間私の従者達はレーザーを浴びせ続ける。

 

それを見たセシリアさんは多少驚いた気がした

 

「私の装備を甘く見たのが貴女の敗因よ、セシリア・オルコットさん」

 

山吹色の光の柱にセシリア・オルコットは呑まれた。

 

そしてブザーが鳴り響き、私の勝利が伝えられた

 

 




ビットが乗っ取られるシーンを見てガンダムUCを思い出したあなた、あなたは決して間違っておりません。

ちなみに、セシリアには連戦してもらうことになります。酷ですがね


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武器は頂いていく!

後半お色気シーンになります。あとフライングで楯無さん登場


イタリアの代表候補生、磨美・アーデルハイトに敗北したセシリアは考え事をしていた

 

あの試合はビットが強奪されなければ勝てただろうか。

 

答えは否だ。

 

おそらくあちらも、ブルー・ティアーズの操作中はこちらは動けないということを悟っているはず。

 

もしブルー・ティアーズが強奪されずとも彼女はブルー・ティアーズを全て破壊していただろう。

 

そしてあっという間に追い詰められ、敗北。

 

武器を強奪して見せたのは私の動揺を誘うため。そして私はそれにまんまと乗せられてしまった

 

次、彼女と再戦するならば冷静な判断力を得なければならない。

 

「アーデルハイトさん……次は負けませんわ」

 

 

そう呟きセシリアは再び修復されたISで空に舞い戻った

 

──────────────────────────

 

「アーデルハイト、見事だった」

 

ハッチに帰還した時に声を掛けてくれたのはほーちゃんだった

 

「新装備がなかったら負けていたわ」

 

「見え透いた嘘だな。アーデルハイト」

 

織斑先生がそう言った。

 

「あらら、ばれてましたか」

 

「お前ならビットを全て破壊する事が可能だったはずだ。それをあえて放置していたのはオルコットに揺さぶりをかけるためだろう」

 

「それだけじゃありませんよ。後から戦う一夏くんのためにセシリアさんの装備をほぼ全て出させただけです、ところで一夏くんは?」

 

「ああ、おかえり。磨美」

 

声がした方向を見ると一夏くんは真っ白なISをまとっていて、今から出撃のようだった。

 

「届いたんだねIS。なんて名前なの?」

 

「白式って名前だ、見た目通りだろ」

 

「うん。見た感じ最適化がまだ終わってないみたいだけど白式は十分やれるって意気込んでるみたい」

 

「わかるのか?」

 

「わかるよ、ISにも意思はあるもの」

 

そう言ったらほーちゃんが「付喪神のようだな」と言った

 

「なにそれ?」

 

「付喪神は日本の古い伝承にある物に宿る神様のことだ。だから物を大切にしないと罰があたるとかいわれるのだろうな」

 

「へぇ、そんなのあるんだ」

 

「磨美、箒、そろそろ出撃するよ」

 

「ん、わかった、負けたらなにかしてもらうからね!」

 

「わかったなんでもしてやるよ!」

 

今なんでもしてやるって言ったね、じゃあ考えておこう。

 

「さて、弾薬を補給しないと!」

 

私はセシリアさんと一夏くんの試合を観戦しながら肩のミサイルの補給を始めた

 

データバンクに登録された武装やその弾薬はISの設定で補給ができるのだが初期の第一世代ISでは自力で補給していたらしい。技術の進化って素晴らしい。

 

「時間がかかりそうだね。じゃあ観戦しよう」

 

────────────────────────────

 

「やりました・・・。やったんですよ!必死に!その結果がこれなんですよ!!ISに乗って、バトルをして、今はこうして敗北している!これ以上なにをどうしろって言うんです!!どう戦えって言うんですか!!

 

「くだらん御託はよせ。ISの特性を理解しなかったお前がアホなのだ」

 

試合終了後、私はほーちゃんと一緒に織斑先生と一夏くんの話を聞いていた。

 

なんだろう。妙に一夏くんが言ったことが言われるべきことであったように聞こえる。どうしてだろう?

 

試合の流れは大雑把に整理すると

 

まず一夏くんがセシリアさんのビットを破壊

 

調子に乗った一夏くんはセシリアさんに接近

 

セシリアさん、ミサイルビットで迎撃。

 

一夏くん、ミサイルの直撃を受けるも最適化の終了という運に恵まれファーストシフトを完了

 

発射されたミサイルビットも難なく破壊

 

セシリアさんを切り込もうとしたその時に試合終了、勝者はセシリアさんに。

 

という感じだった。

 

そしてそうなった原因も今、織斑先生のおかげでわかった

 

一夏くんのISは第一形態にも関わらずワンオフアビリティー『零落白夜』を使えるのだ

 

その『零落白夜』は攻撃が擦りでもすれば強力な一撃になるがはずしてしまったら自身のシールドエネルギーを無駄遣いしてしまう結果になるのだ。まさに諸刃の剣。

 

一夏くんのISが相手ならそれに気をつけないといけない。

 

────────────────────────────

 

「さて、出ますか」

 

一夏くんが最後の対戦相手だ。もちろん私は能力を出し惜しみするつもりはない

 

セシリアさんとの試合と同じように出撃する

 

そしてヒートレイピアを構え、会話を始めた

 

「果たして一夏くんは私相手にどう戦ってくれるのかな?」

 

「俺の武器はこの雪片一つだからな。正々堂々、真っ正面からいくよ」

 

「そう。じゃあこの勝負、私の勝ちね」

 

唐突な勝利宣言に一夏くんは焦った

 

「どうやって勝ちを確信したのか知らないが、そんなのやってみないとわからないだろ」

 

「そうかな?私にははっきり、私の勝利が見えるわ‼︎」

 

開幕の一撃は私のバスターライフルだ

 

『イントゥルーゾシステム、起動。敵ISの装備を確認、検索中……』

 

「当たらないぜ!白式、斬り込むぞ‼︎」

 

「おっと!そうやすやすと攻撃は喰らわないよ‼︎」

 

私はヒートレイピアで攻撃をいなしながら、ビームレイピアで一夏くんのISを斬りつけた

 

「ちっ‼︎」

 

『敵IS装備、雪片弐型と確定、続いてコアネットワークを介してのハッキングを行なう』

 

「ところでさ!一夏くん‼︎」

 

私はミサイルを発射し、プライベート・チャンネルで話しかけた

 

「なんだ、よっと‼︎」

 

「さっき負けたら私になんでもするって言ったよね‼︎」

 

 

「なっ、あれは言葉の文だ‼︎」

 

「なんでもするなら、毎日一緒にご飯食べよう‼︎」

 

「わかったよ!……ってなんだこれっ⁉︎」

 

『雪片弐型、装備ロック解除』

 

『ハッキング完了、武装アンロック』

 

「どうしたのかなっ⁉︎」

 

私は接近し雪片に向かって思いっきり蹴りを入れた

 

雪片は一夏くんのISの手から離れ、地面に落下していくところを私がキャッチし、それを構えた。

 

「しまった⁉︎雪片が‼︎」

 

「雪片は借りるよ!」

 

まず私は一夏くんのISに二つのレイピアを投げつけスラスターに突き刺した

 

「ちくしょう‼︎なにも出来ねぇっ‼︎雪片を取り返さないとなにも出来ねぇ‼︎」

 

「次にこれをあげるわ‼︎」

 

私は腹部のメガカノン砲を発射した。

 

打鉄のシールドエネルギーの八割を抉り取るそのビームに一夏くんは直撃した。

 

「じゃあ、雪片は返すねっ‼︎」

 

雪片が白式の脚部に突き刺さると数秒後に試合終了のブザーがなった。

 

「そ、そんなのありかよぉぉぉぉぉ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

 

────────────────────────────

 

試合終了後、織斑千冬と山田摩耶はコーヒーを飲みながら今日の試合について話し合っていた

 

「全く、イタリアはとんでもない物を開発してくれたな。これでは武装の少ないISならサンドバッグ、ラファールならば単なる武器庫にしかならんぞ」

 

「ですね……。」

 

「それにしてもだ。バカな弟だ。エネルギー切れで負けるわ、武器は雪片だけとバラすやつがどこにいる」

 

はぁ、と溜息をついた千冬の顔は姉としての顔で、少なくとも姉としての織斑千冬は一夏に勝利して欲しかったのだろう

 

「本当は織斑くんに買って欲しかったんですね、織斑先生も」

 

「山田先生、いますぐそのカップにハバネロを仕込んでもいいんだぞ?」

 

「ひっ、す、すいません‼︎私はアーデルハイトさんのISが気になりますね。本来ISは後付武装のみアンロックで他人に貸与できるはずですが、セシリアさんのビット、織斑くんの雪片弐型は固定武装ですよね。なにかハッキングをしているようにも見えませんし……」

 

「もしかしたらその逆かもしれんぞ?IS自身にハッキング能力があると考えた場合、コアネットワークからいじり倒すのは容易だ。恐らく固定武装にまで及ぶ強力なハッキングなのだろう」

 

「なんというチート装備なんですかそれは……。そう言えばアーデルハイトさんはライフルのチャージをしながらビットのレーザーをうっていましたね。あれは見ていてびっくりしました」

 

「確かBT兵器はオルコットの場合、それの操作に集中するために他の動作ができなくなっていたな。アーデルハイトはあの操作であっさりオルコットよりも上だと示したな」

 

「どうしましょう、アーデルハイトさんのISに制限をかけますか?」

 

「確証が持てん。アーデルハイトのISに制限をかけることはまだできないな」

 

「ですね」

 

「にしても気になるのは織斑のしていた黒い腕輪だ。あれはなんなんだ?」

 

「そのことなら織斑くんに聞きましたよ。なんでも、アーデルハイトさんからもらったお守りなんだとか。いいですねぇ」

 

「お守り……か」

 

────────────────────────────

 

「ふぅ〜、疲れた疲れた!疲れた体にはシャワーが最高!」

 

試合のあと私は更衣室でシャワーを浴びていた

 

「スッとしたわ」

 

私はISスーツのパンツを履いてロッカーに置いてある制服のところに向かった

 

「あれ……制服ここじゃなかったっけ」

 

「あなたの制服ならここにあるわよ」

 

「あ、ありがとうございます!「御免‼︎」うっ……」

 

私は気を失い、その場に倒れこんだ。

 

────────────────────────────

 

「ん……」

 

目を覚ますと私は気を失った時のままの姿で拘束椅子に乗せられていた。

 

「ごめんなさいね、手荒な方法で拉致しちゃって」

 

私はその声に聞き覚えがあった。

 

自身のISの完成のために次世代装備開発をしていたイタリアの技術者を持って行かれたのをよく覚えている。完成と同時に帰ってきたけど、その顔はわがままな子供からようやく解放されたという感じの顔だった

 

「更織楯無さんですか、またなにか企んでいるんですか?」

 

「半分正解、半分不正解ね。まずはイタリアの技術者さんの提供ありがとうございました。おかげで私のISは完成したわ」

 

「はいはいどーいたしまして」

 

「そして、こちらから要求があるのだけれど、もうすぐアメリカから代表候補生がやってくるのよ、その子の転入試験の相手をあなたがしてくれないかしら?」

 

「なんで私が……」

 

「先生方も業務に忙しくてね、かといって私が出ると東西冷戦の文句を本国から言われそうだし、だからあなたに白羽の矢が立ったのよ。推薦状も出しておくわ」

 

「悪くない話ですね。私はアメリカのISとの戦闘データを得られて楯無さんは自分が推薦したと言える。………わかりました。承ります」

 

「そう、交渉成立ね!」

 

「で、もう一つ聞きたいんですけどなんで私は拘束されてるんです?」

 

「ウフ、最近欲求不満でねぇ〜、自分だけじゃものたりないのよ〜、ていっ」

 

そういって楯無さんは私の胸を揉み始めた

 

「ちょ、ちょっと待って、え、なにが始まるんです?」

 

「大惨事大戦よ。さあ、おねーさんの発散に手を貸しなさい」

 

あ、これ逃げられないやつだ。

 

「じっくり、躾けてあげるわね、夜はこれからよ〜」

 

その日の晩、私は楯無さんのおもちゃにさせられた。多分楯無さんの気まぐれでこれからそういう日が増えていくんだろう

 

クラス代表決定戦で全勝したのに、私を待っていたのはセクハラゲームだったとさ




ちなみになにをされたかは小説で書こうと思っています。(おもっているだけ)


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再燃、愛の炎

妙に千冬が優しい今回。たまには先生らしいところを。


朝のSHR、ありえない事が俺、織斑一夏に起きていた

 

「では、一年一組代表は織斑一夏くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね‼︎」

 

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 

「おれはクラス代表にならないですむと

思ったら いつのまにかクラス代表になっていた」

 

な… 何を言っているのかわからねーと思うが 

俺も何をされたのかわからない…

頭がどうにかなりそうだ…催眠術だとか幻覚だとか

そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

もっと恐ろしいものの片鱗を味わっているぜ…

 

それでも山田先生は嬉々として喋っている。クラスの女子も大いに盛り上がっている

 

「先生、質問です」

 

「はい、織斑くん」

 

「俺は昨日の試合で負けたんですが、なんでクラス代表になってるんでしょうか」

 

「それは本人達の口から聞いた方が早いですね。アーデルハイトさん。オルコットさん」

 

「そうですね、山田先生。私がクラス代表にならなかったのは、セシリアさんに丸投げしたからで、」

 

「そしてそのわたくしがクラス代表を辞退したからですわ!」

 

なんという連携だろうか。それにしても磨美の声が疲れているように聞こえるのは気のせいだろうか。昨日もすごく部屋に戻るのが遅かったし。

 

「理解不能だぞ!そうなった過程の説明を求む!」

 

「勝負は確かに一夏くんの負けだったけど、それは私が理不尽かつなにもできないただのカカシのような状態にしたからで、本来なら一夏くんは連戦ということを踏まえてもセシリアさんを敗北寸前まで押し込んだ潜在的な才能があるんだよ。理解した?」

 

「……理解した」

 

「そしてISの操縦に実戦が何よりですわ。そのため、私はアーデルハイトさんと話し合い、一夏さんにクラス代表を譲る事にしましたわ」

 

「私達は一夏くんのために譲ったんだから、ありがた迷惑だなんて思っちゃだめだよ?」

 

見事に考えていたことを言い当てられた。磨美は心を読む第3の目でも持っているのだろうか。

 

「ぐ、わかったよ……」

 

ただ褒められて、悪い気はしない。この辺り俺って単純なんだろうな。

 

────────────────────────────

 

クラス代表決定から数日後、私達は外でISの授業を受けていた。

 

しかしさっきから一夏くんが私のほうを見ては目を逸らし、また見ては目を逸らすのを繰り返してる

 

理由はわかってるんだ。でも敢えて聞こうじゃないの。

 

「一夏くん、さっきからチラチラこっち見てるけど、どうしたの?」

 

私は小声で一夏くんに尋ねた

 

「え、あ、見てねぇよ。何言ってるんだよ磨美は。ハハハ」

 

明らかにドギマギしている。そしてその間もチラ見。そして凝視。

 

「わかった、私のおっぱいみてたんだ。心配しないでも部屋で見せてあげるのに」

 

「いきなり何を言い出すんだよ、その……磨美のISスーツ、少し過激じゃないか……?」

 

「そうかな?でも、特注となるとかなり高くつくんだよね。軽く三万ユーロは消し飛ぶよ?」

 

「さ、三万ユーロ⁉︎あだぁっ⁉︎」

 

「馬鹿そんな大声だしちゃ、ぎゃうん⁉︎」

 

「うるさいぞ、織斑、アーデルハイト。罰としてお前らは今すぐ校内を三周しろ。さっさと進めたいのでISの使用は構わん。」

 

「校内一周ですかっ⁈確かこのIS学園、外周10kmあるはずですよ⁉︎」

 

「無茶を言うなよちふ……織斑先生」

 

「だからISの使用を許可したのだ。そして織斑、教師に私語は控えろ」

 

「あ……すいませんでした」

 

「待ってください織斑先生‼︎一夏さんが受ける罰なら私も受けますわ‼︎」

 

「お前は飛行の実演をしろオルコット。それでもと言うなら織斑とアーデルハイトの罰が加算され、それにお前が加わるのみだ」

 

「くっ……」

 

おそらくセシリアさんの脳内では一夏くんと一緒にいられることと、一夏くんの負担をこれ以上増やしてはならないという気持ちがせめぎあっているだろう。

 

私と一夏くんは負担を控えたいので、もちろん後者に一票が二つ、だ

 

「わかりましたわ、飛行実演をさせていただきます」

 

私達の想いが通じたのかセシリアさんは私達の負担を増やすような事はしなかった。

 

「二人は武器を置いていけ、そして使用するな。あんな馬鹿みたいな光線を発射されては困るからな。」

 

「はい」

 

私はバスターライフルと二つのレイピアを地面に置き、そして腹部メガカノン砲の使用を制限し、肩のミサイルも封印した。

 

一夏くんも雪片を地面に突き刺し準備完了

 

「せっかくだ、先に早く三周できたら私の持っている食券をやろう。これで張り合いが出るだろう」

 

なんだか織斑先生が妙に優しい。不気味だ。何かありそうで怖い。

 

「どうした、さっさと配置につけ」

 

「は、はい」

 

織斑先生に急かされ私達は配置に着いた

 

「山田先生、ホイッスルを」

 

「は、はい‼︎では…3、2、1」

 

甲高いホイッスルの音が鳴り響くと同時に一夏くんがスタートダッシュを掛けた。

 

「イグニッションブースト⁉︎いつのまにそんな技術を覚えたの⁉︎」

 

私は少し遅れて、ようやく一夏くんの後ろに着いた。そして同じ事を尋ねた

 

「ちょっと前、自主練してたら偶然できたんだ。使えるって思ってな」

 

考えてみると雪片の展開がかなり早くなっている。そしてISのコントロールがクラス代表決定戦の時と比べて格段に上達している

 

やはり一夏くんには潜在的なセンスがある。それは宝石の原石のように、埋れているけど強い輝きを放っている。

 

このままだと私は一夏くんに技術面で追い抜かされるだろう

 

私も負けじと翼で風を捉え、急上昇して滑空を始めた

 

「うお、すげぇな、それどうやるんだ?」

 

「私のISのウィングは風を捉えやすい設計になっているの。だからこれは私にしかできないんだよ。ごめんね、一夏くん」

 

「へぇ、磨美のISって自然も利用するんだな」

 

「まあね。技術者の研究の賜物よ」

 

「羨ましいぜ、何せエネルギーを消費せずに飛行し続けられるんだしな」

 

そんな談笑をしていたらもう一周目だ

 

「二周目は本気だすわよ‼︎着いて来られるかな⁈」

 

「着いていってみせるさ!行くぞ白式‼︎」

 

──────────────────────────

 

「先ほどオルコットに急降下からの姿勢制御をしてもらったがこれは今すぐ出来るようになる必要はない。今アーデルハイト達がしているのは高速飛行の実演だ。これは後々キャノン・ボール・ファスト前の授業でお前達にもやってもらう。いいな?」

 

「「「「はい‼︎」」」」

 

「ここからは技術について話そうか。先ほど、織斑がスタートダッシュをかけたのを見ていたな。あれはイグニッション・ブーストと言い、スラスターから発生するエネルギーを取り込み、爆発的に噴出させることであの加速を生み出している。ただし、シールドエネルギーを使用するため、多用は禁物だ。次に、アーデルハイトがしていることだ。アーデルハイトは今、何のエネルギーも消費せずに長距離を飛行している。ここで問題だ。アーデルハイトはとあるものとほぼ同じ原理で飛んでいる。それが何か答えろ。相談しても構わんぞ」

 

生徒達が相談を始める。ざわつきのなかで、様々な解答が聞こえてくるが、正解に近いものはあるのだろうか

 

「時間だ。解答を聞こう。相川、お前はどう考える」

 

「えっ、私は、ええとその、鳥と同じではないかと思います」

 

「その根拠はなんだ?」

 

「え、アーデルハイトさんのISについている翼が鳥のように見えたからです」

 

なるほど、正解には程遠いが正しい解釈だ。

 

「残念だが正解には程遠いな。次、鷹月」

 

「私は飛行機かと思います」

 

「ほう、飛行機と言っても戦闘機からセスナ機まで幅広くあるぞ?」

 

「えっ、あ……そこまで考えていませんでした」

 

「やれやれ、次、谷本」

 

「私は鳶かと思います‼︎」

 

「根拠は?相川と同じ場合は答えなくていい」

 

「鳶は空で八の字を描くように滑空飛行しますよね、アーデルハイトさんはそれと同じ原理で飛行しているんだと思います」

 

「なるほど、では次。布仏」

 

「ふぇ、あ、私はグライダーだと思いますねぇ」

 

「その根拠はなんだ?」

 

「えっと〜、グライダーって確か風を受けて、重心の移動をしながらぁ、滑空していますよねぇ、アーちゃんもそんな感じなのかなぁって」

 

「なるほど。谷本、布仏。正解だ。アーデルハイトは二人の言ったように滑空をしている。グライダーと同様、重心移動で曲がり、体を上体にそらすことで風を捉え上昇している。逆に体を地面に向けて傾ければ下降、さらに加速する。アーデルハイトの場合はスラスターによる姿勢制御をしているためかなり自由度が高い旋回が出来る。あれは彼女のISの特性を上手く利用している飛行だ、……っとそろそろ三周だな。どちらが先に着くか」

 

見えてきたのは翼だった。アーデルハイトが先に三周をするようだ

 

────────────────────────────

 

「やった一番乗りっ‼︎織斑先生、記録は?」

 

「13分45秒56だな。まずまずだ」

 

「ありがとうございます‼︎」

 

私がそう言った直後、センサーに写り込んだのは一夏くんだった

 

「あああああ‼︎止まれねえっ‼︎磨美‼︎そこどいてくれえええ‼︎」

 

「え、きゃあっ⁉︎」

 

私は一夏くんの白式と見事に激突した。

 

かなりのスピードで、こちらが押しつぶされそうだ。

 

私はスラスターを全開にして、地面を背に、白式を上の態勢にした

 

地面にぶつかる衝撃がくると土煙りが舞い上がり、その数秒後私と一夏くんは止まることができた

 

やっと止まれたと、言おうとすると口が開かない事に気がついた

 

「ん、んんぅっ⁉︎」

 

むにゅっ、むにゅっ

 

胸を揉まれる感覚。そして唇に被さる柔らかなもの

 

もしや、と思い、私はカメラ付き機雷を飛ばした

 

そして、そこから送られてきた映像は

 

一夏くんが私に覆いかぶさって、キスをし、さらに胸に手が当たっているという状況だった

 

「⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

 

私は目を見開き、じたばたした。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっーー‼︎死ぬかと思った‼︎」

 

一夏くんの唇が離れる、それは若干虚しい気分にさせられた。

 

土煙りが晴れ、山田先生と織斑先生が駆け寄ってくる

 

大丈夫とか聞かれたけどうわの空で大丈夫ですと答えた。

 

私は一夏くんとキスをしたのだ。

 

不可抗力とはいえ、キスをしたのには変わらない。

 

胸も揉まれた。2回も揉まれた。

 

一回目は手を付くためだったのだとしても2回目は明らかに揉んでいた

 

この時、私は再認識した。

 

私は一夏くんのことが、

 

 

 

 

やっぱり好きなんだ

 

 

 

 

 




千冬が賞品としてだした食券

高級黒毛和牛のステーキ、春の野菜を添えて

ビターチョコレートサンデー

ストロベリーチョコレートサンデー




ステーキ以外から溢れる女子感


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アメリカからの転校生

サフィ復活。兄貴も復活させないと

あと今回原作キャラが山田先生しか出てません

──────────────
設定

サフィ・マーキス

肩書き アメリカ代表候補生

専用機 トライデントドラゴン

スリーサイズ 104/63/85/cm

概要

アメリカからの転校生であり磨美の新たなルームメイト

頭はいいもののその頭脳をいたずらに利用するためタチが悪い

またピストルや小型銃の扱いに秀でており、速射と高速リロードを特技とする。

見たことのない武器や知らない兵器に遭遇すると防戦しながらその兵器に対する攻略法を考えようとする。端から見れば防戦一方だが、サフィ本人はいたって大真面目である。また、兄が本国にてIS技術者をしておりその兄からの依頼で各国の代表候補生のISとの戦闘データを集め、それを秘匿回線で送信している。本国の発展には兄妹共々手段を惜しまず、愛国者である。友人のISのデータを送ることにはそれが私に与えられた仕事だと思っていて、大してためらいはない模様。仕事と私情は完全に割り切っているように装っているが、実は情に流されやすく、迷子になっていた子供を迷子センターに預けるぐらいには優しい

ただし磨美のことを友達兼自身のためにいる慰みものと見ているあたり性格は少し変態。ちなみに兄のほうは技術的な意味で変態



IS トライデントドラゴン

サフィの専用機で武装が外装型。またちゃんと収納された武装もある。

ウェポンバインダー

背中、両足に取り付けられた四つのウェポンバインダー。中にはガトリング、ミサイルランチャー、ヘビースナイパーライフル、ショットガンが搭載されている。使用時はサブアームで取り出す

ビームセイバー

ビームを発する近接武器。本体と直接ケーブルで繋がれており、突き刺してエネルギーを逆流させることで敵ISにダメージを与える。アンカーとしても利用可能

カタナ

文字通り日本刀型ブレード。驚異的な斬れ味を誇り、対IS用に職人が作り上げた。作成者は日本人。普段は収納されている

高出力全自動補正ライフル

高出力のビームライフル。相手に向けるだけで敵をロックし発射した時に必ず当たるようにIS自体が射角などの補正を行う。高出力と銘打っているものの威力は低め。二丁用意されている


「アーデルハイトさん部屋替えですよー」

 

「へっ?」

 

突然やってきた山田先生によって私と一夏くんとの同棲生活(寮)は終わりを告げた。

 

「あ。もしかしてアメリカから転校生来るから私に相部屋になって欲しいって事ですか?」

 

「よく知ってますねー。それにこの時期に男女を同じ部屋にすると何か事案が発生しそうですから」

 

満面の笑みでそう言う山田先生。事案は私なら起こしかねないものね。

 

私はここにはいない織斑先生の陰謀に見事にはまってしまった。

 

おのれ、織斑先生。

 

「あれ?そういえばアメリカの転校生の実技試験はどうしたんですか?確か生徒会長から聞いた話だと私を推薦するとか……」

 

「え?そんな話ありませんでしたよ?実技試験は私がやりましたし……」

 

「あれ、そうなんですか」

 

あの生徒会長、私を釣ったな……‼︎今度会ったら縛り上げて海に捨ててやろうかしら!

 

「それじゃあ一夏くん、一緒に部屋で過ごせて楽しかったよん!これはお礼!」

 

私は一夏くんの唇にキスをした。

 

「え?」

 

「外国では挨拶がわりにキスをするから普通でしょ?」

 

「そ、そうだな!まあ寮で会えなくても教室で会えるし!」

 

荷物を整理した後、山田先生の指示した1573号室に向かった。

 

これで一夏くんのファーストキスは私のものだ‼︎

 

 

 

 

 

その後一夏くんが真剣にさっきのキスの事を考えていたのを浮かれていた私は知らない。

 

─────────────────────

 

「それでは朝のHRを始めますよ‼︎今日は転校生を紹介します‼︎」

 

案の定ざわめく教室。そして入ってくる転校生

 

その転校生を見て私は思わず

 

「お……」

 

と口から音を漏らした

 

その理由は見事なボディにあった

 

私と同じぐらい大きくて、歩くたびに揺れる胸。

 

見事に引き締まったくびれと腹筋。

 

ぷりっと、ハリのありそうなお尻と太もも。

 

そしてそれらを強調する魔改造された制服だ。

 

明らかに小さめに作られた上着は胸を強調し、上半身にぴっちり張り付いている。さらにショートパンツ風のものに改造されたスカート改め、ズボンはお尻のラインをはっきりと表している

 

なんて扇情的なんだろう。

 

「サフィ・マーキスです‼︎アメリカから来ました‼︎これからよろしくお願いします‼︎ええと……とりあえずサッちーって呼んでちょーだい‼︎」

 

「サッちーね……」

 

とりあえず私は今日一日、サフィさんの観察をすることにした

 

─────────────────────

 

一通り授業が終わった放課後、私はトレーニングをするためにアリーナにいた。

 

サフィさんの観察はしたものの特にこれといった変わった所は見当たらなかったし、凡人と見ておいても良いのか

 

でも、楯無さんが直々に教えてくれた辺り、ただの人じゃないんだろう。

 

「うーん……サフィさんはどういう人なんだろう……」

 

私はそう考えながらアリーナに向かい、ISのデータとにらめっこしながら歩き出した

 

「この前のブルー・ティアーズと雪片弐型のデータは送ったから、そのうちレミリアが作ってくれるでしょ……うーん、でももっとISの武器データ欲しいなぁ…………ひゃん⁉︎」

 

突然後ろから抱きつかれてISスーツの下に直接手を潜り込まされ私の胸を揉みしだかれる。

 

「うん、やっぱり巨乳さんは揉み応えがあるねぇ〜」

 

「ちょ……やめ…ひゃ……‼︎」

 

後ろに視野を回すと、ISスーツを着たサフィさんがにまにまと無邪気な笑顔を見せていた

 

サフィさんは私から離れた後、腰に手を当て、足を肩幅ほど開いたポーズをとった。

 

にしても変わったISスーツを着てるなぁ。

 

横隔膜から腰までが黒っぽい透けたもので覆われていて、胸元はバニーガールが着る衣装のようなデザインで明らかに胸が収まっていない、さらに脇腹は左右対称に1本のISスーツのラインがあるのみで、かなり露出している。

 

極めつけは背中で、首の後ろにあるホックだけででISスーツを止めているため、背中も丸出しなのだ。その上お尻はTバックのようになっているため露出は高い。後ろから見たら裸に見えるが最低限隠す所は隠している。

 

それと肘から先を覆うISスーツのおかげでまるでSMものの女王様のような雰囲気がサフィさんから溢れ出していた

 

「いやぁ私と同じぐらい巨乳の子が同じクラスにいるとは思わなかったよ!おかげでオカズには困らなさそうだし‼︎」

 

「えぇと……サフィさん……」

 

「あ、名前なんだっけ?あなたイタリアの代表候補生でしょ?」

 

「磨美・アーデルハイトだよ。まだサフィさんには自己紹介してなかったね。昔磨美りんって呼ばれてたからそう呼んでくれる?」

 

「ん、磨美りんね‼︎確かあなたアタシと相部屋だよね、1573号室」

 

「うん、そうだよ〜。これからよろしくね、サフィさん……あ、サッちー!」

 

「うん、よろしくねん!にしても私に負けず劣らず露出度の高いISスーツだねぇ」

 

「あはは……一気に身長伸びたせいでサイズ合わなくて……」

 

「私のはこういう仕様なのよね。肌に直接ISを装着した状態での動作実験とか言われて渡されたんだけど背中なんかヤバイでしょ。このISスーツをつくったデビンヘインズ社は男の欲望に正直な企業だから露出度の高いISスーツばかり作るのよね」

 

「うん。丸出しだね……」

 

「一応透明な素材で後ろは繋がってるんだけどね。触って見たらわかるよ」

 

「ん……じゃあ遠慮なく……」

 

私はサフィさんの背筋を手の平でなぞると、ところどころに肌とは違った感触があった

 

「ほんとだ……」

 

「でしょ?」

 

「ねぇ、このISスーツ、デビンヘインズ社で作られたんだよね?その会社のカタログとかある?」

 

「あるよ。部屋にだけどね」

 

「ちょっと……見せてもらっていいかな?」

 

「ん〜変態さんだねぇ〜」

 

「あはは、下心見え見えだよね」

 

「下心なんてあってトーゼンよ。あとでちゃんと見せたげるね!それよりも射撃訓練で勝負しようよ‼︎私も専用IS持ちだからさ!」

 

「うん、やろやろー、せっかくだし負けた方が勝った方の命令をなんでも聞くってことにしよ!」

 

「お、それじゃあ負けられないねぇ‼︎」

─────────────────────

 

「準備いい?」

 

隣のいるサッちーが私の方に向かってそう言ってきた

 

「こっちもOK!じゃあISを展開しよ!」

 

「OK!……起きなさい!トライデントドラゴン‼︎」「ネーブ・テンペスタ、展開っ!」

 

私は手にバスターライフルを握り、サフィさんは手に小型のライフルを持っていた

 

トライデントドラゴンは赤と青と白のアメリカンなカラーリングされた機体で、特徴的なのは背中と脚に装着されたスラスターとしての役目を果たす武装懸架バインダーだった。

 

対IS用ガトリング砲や対IS用SMG、対IS用ロケットランチャー、背中には実弾兵器がてんこ盛りに積まれており、それらはサフィさんの手に届くようにサブアームなどで懸架されていた

 

また脚のアーマーには一つのコードが伸びた剣の柄が装着されていた

 

まるで弁慶のように立つそれは威圧感を十分に与えるものだった

 

「じゃあ先に私からやるね」

 

私は表示された5つのターゲットに向かってバスターライフルを照射、そして薙ぎ払うように砲口を移動させた

 

19秒ほどかかったものの、私は五個のターゲットを破壊することができた。

 

「へー、一点突破の大火力だね。よし、次はアタシだね」

 

そう言ってサフィさんはハンドガンのロックを解除し、構えた

 

そしてターゲットが出現する

 

「はっ‼︎」

 

ターゲットの出現と同時に繰り出された速射でターゲットを3つ破壊

 

「せいっ‼︎」

 

そしてサフィさんはハンドガンをターゲットに投げつけ、残る二つのターゲットを破壊。その時間は7秒。圧倒的な速さだった

 

「よーし私の勝ちぃ‼︎約束どおりなんでも言うこと聞いてもらうよ!」

 

「へ!あれはじょう「なんでも言うこと聞いてもらうよ?」えー……」

 

「ん〜じゃあね、命令!私の命令を三ヶ月はなんでもしてもらおうかしら」

 

「えっ……」

 

ものの見事に私は自分の蒔いた種で自滅した。

 

これは明らかに三ヶ月たつギリギリでまた引き伸ばされるパターンだ。

 

「ま、これからよろしくね、磨美りん」

 

「う、うん……。サッちーもよろしく」

 

とりあえずアメリカからの転校生がやってきた初日はこうして過ぎて行った。これからやな予感しかしないけどね




磨美のものの見事な自滅、これでサフィ>磨美のいろいろな意味の主従関係が出来上がり



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ISスーツなんて飾りです

やはり鈴を出すところがかなり難産。


ちなみに磨美のISスーツが新しくなります


「ん……」

 

朝日が差し込むベッドの上、柔らかなその光で私は目を覚ました

 

「……サッちー、起きて」

 

そして私と同じベッドで生まれたままの姿で寝ているサッちーを揺らす

 

ちなみに私もサッちーと同じ格好だ。つまり何も着てないし履いてないし着けてない。

 

サッちーに命令されたからこんな格好なんだけどまぁそもそも私は一夏くんの前でしかパジャマ姿を見せる気は無いし、普段から何も着ずに寝てるから問題はない。それに布団が擦れて気持ちいいし

 

消灯時間ごろの山田先生の訪問の時はパンツ一枚で応対している。正直な話、私の胸が収まるサイズのブラはあるのだがダサいし、みっともないので使いたくないのだ

 

ただ、サッちーが寝ぼけて変なことしてくるのが厄介だし、サッちーが許可しない限り素っ裸に近い状態なのは少し恥ずかしいものがある。今更だが。

 

それにしても最近また、胸が膨らんだ気がする。後ではかっておこう

 

「……ふぁ……?」

 

どうやらサッちーも起きたようだ。現在の時刻は朝の6時30分。

 

サッちーは起き上がった後、寝ぼけながらISスーツを着た

 

しかし、きちんと首筋のホックが止まっておらず、すぐ外れてしまう。

 

胸を抑えきれなかった布が弾け飛び、サッちーの胸が揺れる

 

「……shit.ごめん、磨美りん、ちょっとホック止めてくれない?」

 

「ん、わかったー…」

 

私のサッちーのISスーツをしっかりと留めた

 

「ありがと。磨美りん服着てもいいよん。そういやデビンヘインズから届いたんでしょ?それみせてよー」

 

「うん」

 

サッちーが見せてくれたデビンヘインズ社のカタログで注文した、新しいISスーツがつい昨日届いた。

 

私は動きやすさを重視しているからその引き換えに露出が高くなっても構わないし、むしろ肌が出ているほうが落ち着く

 

「よしっ……。胸が抑えられなくてスッキリするなぁ。まるでつけてないみたい」

 

私が注文したISスーツは全体の色が胸は蛍光ピンク色のバンドのみで最低限隠しているが、今まで使っていたやつと比べるとかなり露出が増えているのだが、バンド特有の締め付けがない

 

そして首から一筋のラインが伸びて、それが股間をTバック状に隠す。

 

下向きの矢印が私の体に浮き上がっていると考えたらわかりやすいデザインだ。

 

とても露出が増えているがスーツ自体の性能はかなり上がっていて、ISへの動きの伝達がかなりのスピードで上がっている

 

ちなみにさらに性能が良いものがあるが、それは透明な素材で作ってあるものだ。要するに事実上の素っ裸。

 

「デビンヘインズは作るものの性能は良いからね」

「露出が増えてるけど、結構動きやすくて良いね!特に胸が締め付けられないのがかなりいいよ!」

「デビンヘインズ社の作るISスーツはエロスを感じさせるデザインが多いのよね。ビキニ型ISスーツとか、ブラジル水着風のISスーツもあるんだよね。まぁ、私は一回パンツ以外透明なISスーツで、テストしたことあるんだけどね。よーするにパンイチでテストよ。」

「え、なにもされなかったの?」

「んー技術副主任のレズっ気のある人に危うく調べられた後で体に教え込まれそうになったなぁ。いや、もう教え込まれてたなぁ」

 

さらっとすごい事を言っているサッちーの話を聞いて私は苦笑いしかできなかった

 

要するにプレイをされそうになったってことだもの

 

「……ん?時間が時間だしさっさと着替えて朝食取るよ。遅刻はやだし。」

 

部屋にあるデジタル時計はすでに朝の7時10分を示していた

 

「あっ、ほんとだ」

 

その後、私とサッちーは急いで着替えて朝食を取り、教室に向かった

 

そこで私は懐かしい親友と巡り会えることなんてまだ思いもしなかった

 

─────────────────────

 

「サフィさんにアーデルハイトさんおはよー。二人は転校生の話聞いた?」

 

教室に入ると転校生の噂で教室が賑やかだった。

 

「あ、噂は聞いたよ。中国の代表候補生でしょ?」

 

「はてさて、どんな子なのかしらん。アタシの好みかしら」

 

「サッちー、何言ってんの……」

 

私は苦笑しながら、サッちーに突っ込んだ。

 

サッちーは同性と意味深な関係になりたがる所があるから私がストッパーにならないと多分いろんな意味で大変な事になるだろう

 

一夏くんの方を見ると、セシリアさんとほーちゃんにクラス代表戦のことで気合いを入れろとか言われていた。

 

「クラス代表戦は余裕でしょ、たしか専用機持ちは四組だけだし……」

 

「その情報古いよ」

 

「!」

 

私は聞き覚えのある、挑戦的な声を聞いて、その声がした方向を見た

 

そこには、小柄な体格で幼さを感じさせるつり上がった瞳を持ったツインテールの女子がいた

 

「鈴ちゃん……?鈴ちゃんだよね?」

 

私はその子に近づいて、そう確認した

 

「……あ!磨美りん!磨美りんだよね‼︎」

 

「やっぱり‼︎久しぶりぃ〜‼︎」

 

私は鈴ちゃんに抱きつき、友人との再会をただ喜んだ。

 

だけど私はまだ気がついていない

 

鈴ちゃんの登場で、一夏くんの取り合いがますます加熱することを。




新しいISスーツはだいたいこんな感じです
【挿絵表示】


まあサフィの前でしかつかえないでしょーけど・・・


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他愛のない日常その1

お久しぶりです。

最近、めっきり日常パートを書く気力がなくて、せめて無人機までたどりつければと思う次第です。

あと最近アーマードコアにお熱です。VDやfaをやっています。コジマは偉大。有沢グレも偉大。レザスピは飽きた


「……でかい」

 

授業が終わり、各々が自由な時間を楽しむ中凰鈴音は目の前に並ぶ友人の胸をみて、眉を潜めていた。

 

彼女自身、小柄で細身であるためか胸も小さい。

 

対して目の前にいる友人は高校生とは思えぬ胸を持っている。

 

なぜこうも発育の差が出るのか。万人が等しく成長するというのなら、私の胸も今頃、目の前にいる友人ほどではないが大きくなっているはずだ

 

そんなことを考えていたら、その友人が凰鈴音に話しかけた。

 

「本当に驚いたなぁ、鈴ちゃんにまた会えるなんて」

 

「んー?そりゃこっちもよ、2年振り?記憶がおぼろげだから思い出せないけどさ。……久々に会った友人がこんなに成長しているとは思わなかったしさ」

 

「私は嬉しかったよ、2年前と変わらない鈴ちゃんとまた会えて」

 

グサリ

 

無意識につきたてられた、成長していないという言葉の槍が凰鈴音の心を貫く

 

顔には出さないものの、凰鈴音は心の中で涙を滝のように流し、ハンカチを口に加えていた。

 

「実を言うとさ、磨美りんだって最初はわかんなかったんだよね。その、昔は磨美りんの胸、結構控えめだったじゃん」

 

「あー、うん、まぁ、なんていうかね、自分でもびっくりするぐらいおっきくなってて……」

 

凰鈴音の言葉に偽りはない。彼女が今話している友人こと磨美の胸は、少なくとも凰鈴音と交流のあった時期では控えめな方であった。それなのに何故巨乳という言葉すら生温いほどに育ったのかは、磨美には心当たりなんてなかった。ただ、昔から磨美はよく食べる子であったということは凰鈴音は覚えている。

 

よく食べて、脂肪を胸に貯めればいいと試したことは何度かあったが、鈴はその度にお腹や二の腕についてしまう脂肪を気にしてしまい、結果的に長続きはしなかった。

 

そもそも胸にはこだわる必要なんてないのかもしれないと、薄々鈴も気がついていたが、それでも、片思いの相手がもし巨乳派だったりしたらと、考えてしまうだけで、自分の胸にため息をつきたくなってしまうのが事実である

 

「アンタを見てるとねーまだまだ私も捨てたもんじゃないって思えるのよね。」

 

「それは嬉しい言葉だね、私でも誰かの支えになれているってことだから」

 

「えっ、あー……そうね、そういうこと」

 

自分の胸も、もしかしたら磨美のように成長するかもしれない、そんな希望を含んだ言葉は、磨美の天然とも呼べる返答で一蹴された。

 

「んじゃ、私は寮の方に戻るからまた明日ねー」

 

「うん、鈴ちゃんまた明日」

 

簡単な挨拶をして、磨美と別れた鈴は磨美に背を向けながら親指の爪を噛み、磨美の胸に嫉妬するのであった

 



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再戦の契り

今回はリハビリがてらにサフィと凰鈴音のバトルを書いてみようかなときまぐれで思い立ち、書いてみた次第。
あとサフィの設定ですがあまりにもお粗末すぎたので改稿するつもりです

どーでもいいけど霞食ってるやつはやばいよね


「ふぃー……」

 

IS学園のアリーナのベンチに腰掛けながらサフィは目の前のグラウンドで躍動する凰鈴音の専用IS『甲龍』の武装を眺めていた。

 

まずサフィが視線を奪われたのは、甲龍の非固定ユニットである物体。

 

球体を尖らせたようなその物体は鈴に追従して動き、鈴が構えを取ればそれは一直線に同じ方向を向き、その先で衝撃波が起こる

 

目に見えないなにかが放たれている、ということをそこからサフィは察し、シャープペンを走らせながらメモに残す。アナログな方法だが、データ消失の危険がある電子媒体より、確実にデータを残せるメモ帳を彼女は愛用していた。

 

続いて凰鈴音は二対の剣を展開した。

 

二対の剣はとても大きく、質量兵器としてもおそらく優秀だろう。あの質量が高速で振り回された場合、ISのシールドは役に立たず、おそらく絶対防御が発動、エネルギーをごっそり持って行かれるとメモし、顔を上げた矢先、ISアリーナにいる凰鈴音とサフィの目が合ってしまった。

 

「やば……」

「さっきからなーにしてんのアンタ!」

 

アリーナと客席を隔てる壁を挟んでサフィと鈴が向かい合う。鈴は挙動不審な行動を起こしていたサフィに気がついていたようで少しうざったそうに話しかけてきている。

 

「あ、あはは、まぁちょっと、ベンキョーをさ?」

「ここでベンキョーをするぐらいなら自室でやったほうが静かで捗ると思うけど?」

「それもそうね。じゃっ、失礼しまーす」

 

面倒なことになる前に、サフィは立ち上がり、アリーナを去ろうとした

 

「待ちなさいよ、アンタ」

「……はぁ」

 

面倒なことになった、とサフィはため息をつき、鈴に向き直る。

「……そのメモ帳、見せなさいよ」

「ダメ」

「ただのベンキョーなら見せれるはずでしょ?見せなさいよ」

「ダメなものはダメ」

 

しばしのにらみ合いが続き、そして二人はその間口を開かなかった。

お互い、大国の代表候補生である。妙な意地というものがあるのだろう。

そして話しても埒があかないと察したサフィは、自ら上着を脱いでいきスカートを下ろして、ISスーツ姿になる。周りの感嘆の声……おそらくサフィのボディライン、奇抜なデザインのISスーツが目を引いたのだろう。それらに対する興味と感嘆の声に包まれながら彼女はグラウンドに降りた

 

 

「……私面倒は嫌いなんだよね」

 

腕を組み、鈴へ向かい合う。サフィの豊満なバストは腕組みしたことで持ち上げられ、強調されていた

 

「……あんたさっきからウザったいなぁって思ってたけど、今私は、あんたに対してカチンときてるわよ……」

「そう?じゃあ私にその怒りをぶつけてみなよ?サンドバッグになってあげるからさ」

「アンタのその態度、なんか気に入らないわねぇっ!」

 

大剣が八つ当たり気味にグラウンドに突き刺さる。

 

今の鈴は冷静さを欠いている。そう判断したサフィはISを展開する。

展開されていく青と赤と白の装甲。その装甲色はアメリカの所属であることをわかりやすく示していた。

「あー、アンタ、一組にいるアメリカの代表候補生ね?」

「そうだけど?それが何か問題?」

「じゃあアンタを前哨戦代わりにギッタンギッタンにして、一筋縄じゃいかないことを教えてあげるっ!」

 

鈴の甲龍とサフィのIS、トライデントドラゴンが宙に浮き向き合うと、合図もなく2人は近接戦闘を始めた。

 

近距離でサフィのピストルから放たれるビームは甲龍のシールドを減衰するに留まり、突っ込んでくる凰鈴音とすれ違う。

 

「やっぱこれじゃあ減衰が関の山かっ!」

ビームピストルを収納し、代わりにサブアームを用いてミサイルランチャーを手に持つ。

「させないわよっ!」

放たれた見えない物体が、サフィのミサイルランチャーに直撃、大きく凹めばそして誘爆を起こし、彼女が凰鈴音にそれを投げつけると同時に一気に爆散した。

「……ちっ」

何を撃たれたのか分からないまま、サフィは一つ武装を失なった

舌打ちをしてガトリングガンを取り出せば弾幕を張り、何を打たれたかを必死に考える

 

あの球体から弾薬を補給、そしてレールガンの要領で高負荷をかけて、そして発射する。

 

問題は弾薬はなにを用いているかが分からないことだ。何を用いればミサイルランチャーはあのようにひどく凹むのか。まるでボーリングの球をぶつけられたダンボール箱のようにミサイルランチャーは凹んでいた

あの球体には弾薬を蓄えているようには見えない。あの球体は高負荷を与える存在なのだろう。

 

では何に?何に高負荷の圧力を与えていた?無から有を作り出したのか?それはありえない。収納を利用して弾薬を貯めたとしても、弾切れは避けられない。しかしあの球体から放たれる見えないものは、一定時間ごとにバコン、バコンとそこにある無を放っている。必死に避けながら敵の武装をじっくりと観察し、逃げ回る。

 

「あぁっもう!鬱陶しいわね!コバエみたいに飛び回って!」

「あぁっもう考えんのめんどうっ!ぶちのめして尋問して見えない砲弾について吐いてもらうわよ!」

サフィは本体に直結したケーブルを引っ張りアメリカのレーザー技術と、職人たちのロマンの結晶であるビームセイバーを抜剣した

 

「近寄らせなんてしないわよっ!」

 

凰鈴音もサフィが近接戦闘にシフトしたことを確認して二対の大剣を連結し、それをブーメランのように放り投げる

 

連結した大剣はサフィへ回転しながら向かっていくが、サフィはビームセイバーを構え、迎え撃つ

 

ヴォン、ヴォンと重低音の風切り音を立てながら近づく大剣

 

 

 

ここだ!

 

 

 

「……せいっ!」

 

野球のフルスイングの要領で振られた光の剣は連結された大剣を溶断し勢いのままアリーナの地面に突き刺す。

 

「なっ……!」

 

自身の装備が地面に突き刺さるさまを見た凰鈴音は呆然として口を開けたまま、サフィを見つめていた

 

「……これであなたには奇妙なカラクリしか武器はないはずだよ」

 

ビームピストルを構え、引き金を引こうとした瞬間、アリーナに3人の利用者が来ていたことにサフィはハイパーセンサー気がつき、銃を降ろし、地面に着地した

 

「おー、織斑一夏くん、びっくりさせたねー、ごめんごめん。怪我はないー?」

 

「あ、あぁっ……死ぬかと思った……マジで死ぬかと思った……」

「一夏くんったら……トレーニングに熱心なのはいいけど、気をつけてよね……」

「全く、無用心というか、何というか……試合中のランプがついていたろうに……」

 

織斑一夏、世界唯一の男性IS操縦者。地面に突き刺さった大剣の目の前で尻餅をつき、震えている彼の様はどことなく情けない。

 

そしてその周りにいる磨美・アーデルハイト、篠ノ之箒。同じクラスの友人と篠ノ之束の妹。前者を失うことはサフィにとって悲劇であり、後者を失うことは篠ノ之束のいる場所を暴き出す鍵を失うことを意味する。

 

自身の考えていることを表に出さないよう仮面を被り3人のクラスメートにサフィは話しかけた

 

「磨美りんも箒さんも悪いねー、びっくりしたでしょ?二組のクラス代表、結構やるから織斑一夏くんも覚悟して挑みなよー」

「へっ、あっ、そうよ、あたし、このアメリカの候補生に防戦一方の戦いをさせれたんだから!」

「いやぁ楽しかった楽しかった。えーと、凰鈴音さん?またやり合いましょ。今回みたいに喧嘩の流れみたいな感じじゃなくて、正々堂々とね?」

「へっ、あー、そーね!またやりあおうじゃないの。今度は横槍が入らないようにしてさ」

 

軽く持ち上げてあげただけで嬉しそうにする凰鈴音と再戦の約束をするとサフィはそのままグラウンドからアリーナの客席へ戻り、制服を持って更衣室へ向かうのであった。




……シールドエネルギーを取り込んで一気に放出することで衝撃波を生む機構とかいうのを思いついたけど、深刻なコジマ汚染を私は知らぬうちに羅患していたようです。

もともとはガンダム機体を混ぜて、磨美とサフィのISを出すつもりだったんですが

磨美はガンダム機体

サフィはアーマードコアシリーズ

って感じでわけようかなと思う次第。

ちなみに下手くそながらACVDでムラクモをふるっております。本業は重量二脚なんですがね。


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約束は紙に書こう

原作における部屋の1幕をアリーナでやるならセシリアも出そうとしたんですが、ごちゃごちゃするのでやめました。




サフィが立ち去ったアリーナで磨美、篠ノ之箒、織斑一夏、そして凰鈴音は談笑をしていた

 

「しっかし、まぁ……磨美りんのそのISスーツさあ、過激すぎない?」

 

凰鈴音はISスーツを身に纏った磨美の姿を見てそう言った。

それもそうだろう、磨美のISスーツは、本来ならばバンドのようなもので胸を覆うタイプなのだが、磨美の発育の良い胸はそれに収まりきらず下乳が露出している。

それだけならまだしも、本来尻を覆うはずのISスーツもTバックのようになって、尻を隠しきれていない、というよりは隠すつもりなど更々ないように凰鈴音や箒には見えていた。

 

「そうだぞアーデルハイト……お前は少し、恥じらいを覚えろ」

「あんたのそのISスーツを見てるとさ、その……こっちまで恥ずかしくなるっていうか……ねぇ一夏ぁ?」

 

「なんでそこで俺に振るかな鈴は……。でも仕方ないんじゃねーの?確か前、磨美が特注したら50000ユーロ消し飛ぶって言ってたし……」

「うん、鈴ちゃんもほーちゃんも、特注しなきゃいけない身をわかってほしいよ……山田先生に話したらすごくわかってくれたのに」

 

磨美は唯一理解をしてくれた想い人である一夏に軽く抱きつき、胸をその背中に押し付けた。その行動が友の嫉妬の炎に油を注いでしまうことを承知の上である

 

「あー、ハイハイ、特注じゃなくてわるーございましたねー」

「あぁ、ごめん、語弊があったね。特注を強いられる身をわかってほしかっただけ」

 

ジト目で睨みつけてくる鈴から、おそらく胸関係の殺気を感じた磨美は苦笑いしながらお茶を濁しつつ、それでも尚一夏からは離れず、顔を一夏の耳元に近づけていく。その行動で2人の嫉妬の炎に油がトクトクと注がれていく

「まーまー、俺たちだってまだ学生だし、金には余裕がないしさ……少しは妥協しようぜ?な?」

「そーだよ、お金ないんだし……」

「へ?磨美りんあんた代表候補生なのに政府からお金もらってないの?」

「もらってるけど今月は給料の約半分を技術者集団に投資してるの」

「へー、ISの専門技術者集団がついてるとか羨ましいな」

「いや、どいつもこいつも、誰かに頼まれない限り自己満足のために技術を使う上に若干世間離れした人達だからなぁ……」

「ふーん、磨美りんもいろいろ大変なのね……あ、そーいえば、話逸らすけどさ、一夏」

「うん?」

「約束、覚えてる?」

 

鈴が一夏に向き合い、そのまま照れくさそうに話しかけ始めた。

磨美はその約束の内容を軽く知っていたため、一夏の横で少し不機嫌そうな顔になる。箒は鈴と一夏の約束を知らないため、怪訝な表情で、磨美に約束とはなんだ、あの二人はなぜあぁも親密なのだと小声で愚痴り始めた

 

鈴が一夏と交わした約束。それは磨美だけでなく一夏に想いを寄せる者全てにとって、地雷になりうるものだった。一夏がそれを覚えていなければ、その地雷は鈴をも傷つけると、磨美は理解していた

 

「約束?えぇっと……あぁ、確か、俺に酢豚を……」

「そうっ!それそれ!」

 

どうやら一夏は約束を覚えていたようだ、と磨美が安心した矢先、地雷に衝撃が入った

「毎日奢ってくれるってやつか?」

「……は?」「……あちゃー」

「確かに毎日酢豚を奢ってくれるのはありがたいが流石に毎日は飽きそうだ……」

 

 

地雷が爆発するまでの一瞬のタイムラグ、火に油を注ぐように付け足される一夏の言葉。そして凰鈴音の怒りは爆発した。

 

「あ、あんたねぇ……!私がそんなつもりで約束すると思うっ⁉︎」

「えっ、あ⁉︎間違っていたならスマン、謝るって!」

「間違ってないわよ!間違ってないけど意味が違うのよっこのバカ!最っっっ低!女の子の約束をちゃんと覚えてないやつなんか、犬に噛みちぎられて死ね!」

 

そこから凰鈴音は装備していたISを収納し、一夏を突き飛ばしてそのままアリーナの更衣室に消えていった。

「……一夏」

 

箒も一夏の言葉に呆れかえっていたようだ。彼女は一夏と凰鈴音の約束の内容から告白のようなものだと察していた様子であり、そして不機嫌な声でこう言った

 

「お前はいつか、馬に蹴られて地獄に堕ちるぞ」

 

そのまま箒は、萎えてしまったように引き返していった

 

「な、なぁ、なんで俺、2人を怒らせたかな……」

「一夏くん……一度、少女漫画を読んだほうがいいと思うよ……」

 

磨美は頭を抱えながら、そう言って一夏の肩を持った。

 

その後、磨美と一夏は2人きりでトレーニングをするも、お互い雑念が入り込んで集中できず正面衝突などのトラブルが頻発し、早々にトレーニングを中止してお互いの部屋に帰っていった。






多分セシリアはアリーナの更衣室でサフィに捕まってセクハラされてます。


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団結

あかん、セシリアのキャラ忘れかけてる。


あれから一夏くんと鈴ちゃんの仲は日に日に悪くなる一方で、私がかすがいになって取り持とうとしても鈴ちゃんの方から離れていくことが多かった。

 

どうにも、友達同士で喧嘩していてその板挟みになると辛いものがある。2人に仲直りしてもらいたいけど、それに至らせようとするといたずらな神様の邪魔が入って、失敗を重ねてしまう。

 

「はぁ……」

 

溜息をすれば幸せが逃げていくっていうけど、それでも溜息をつかざるをえない。

 

「おー、おー。溜息すると幸せ逃げるぞー」

 

溜息をついていると相部屋であり、友人のサッちー、もといサフィが話しかけてきた。どこか楽観的なサッちーはいつも私が凹んでいるとこうして話しかけてくれる。ありがたい友達、いや親友だ。私は勝手にそう思ってる。

 

「あ、サッちー……わかってるんだけどね……まぁ一夏くんと二組の」

「あー、あの可愛い中国の子?それがどしたのさ?」

「まぁその2人、幼なじみなんだけどね、この前喧嘩して、それ以来仲が険悪というか……」

「ふーん……」

 

そのままサッちーは週刊誌の漫画を読みながら私の話を聞いてくれた。サッちーは愚痴も何も言わずに私の悩みを聞いてくれる。

 

「つまり、磨美りんは織斑一夏くんと二組の凰鈴音さんの仲を取りもちたいって、考えてるのが、だいたいわかった」

「そう、なるのかな?」

「まぁ、こっから私の持論なんだけどさ、共通の友人だからって、仲を取り持てるとは限らないよ?私の母国では大統領同士の仲を取り持った精神科医が大昔いたけど、彼が2人の仲を取り持てたのは、2人を納得させる話を展開できたからだと私は思うんだ。2人の仲を取り持てるのはその2人を納得させることができる人だけだと思うのよ。……で、何が言いたいかっていうと……凰鈴音さんを納得させることができないなら、織斑一夏との仲を取り持つことは無理じゃないかなぁ」

「うー……でもそれだとこっちも納得いかないっていうか」

「だいたい、他者の喧嘩の介入なんか、うまくいくとは限らないんだしさ……凰鈴音さんの性格も考えたら、いっそぶつけてしまえばガス抜きになって自然修復するんじゃない?」

「自然修復を待つしかないのね……やっぱり……」

「そーそー、時間の修正力って絶大だからね。ああいう直情的な2人なら修正力が働いてくれるし、多分そのうちどっちかからコンタクトをとるはずだよ」

そう言ってサッちーは制服を脱ぎ、肌着をシャワールームに放り込んだ。多分今からシャワーでも浴びるのだろう

 

「あ、サッちーシャワーするなら先いっていいよ」

「ん?磨美りんも一緒にシャワーを浴びるんだよ?ほーら、早く服脱いで脱いでー」

 

「へ……ちょ、まって、待って、自分で脱ぐからぁっ!」

サッちーの手が私のスカートを下ろし、中途半端に羽織っていた上着を脱がせていく。私はとっさにワイシャツの裾を抑えて抵抗するも、サッちーの魔の手からは逃れられず、脱がされていく

「待ちませーん、それに相談料はまだもらってないもんねー」

「んもー!こんなんだったらほーちゃんに相談するんだったー!」

 

ひん剥かれた私はそのままシャワールームに連れ込まれ、サッちーにひたすら弄ばれた。

 

─────────翌日──────────

「……はぁ」

「ふっふーん……」

私の隣で心なしかつやつやと輝いているサッちー。よほど昨日のシャワータイムが楽しかったのだろう。実を言うと私も楽しかったのだがいかんせん妙に疲れている。

私たち2人が並んでいる様を見たほーちゃんが「生気をサフィに吸い取られたようだ」と言うぐらい、オーラが違うらしい。

 

いま私たちが何をしているかというとアリーナの更衣室でISに収められた凰鈴音ちゃんの戦闘のリプレイをサッちーが見せてくれたので、お互いに顔を1つの画面に近づけながら、戦闘のリプレイを見ていた。

 

サッちーから、なぜ突然武器が爆散したのか、凰鈴音は何を隠し持っているのか、という研究をしていた。貼り出されたクラス対抗リーグ戦のトーナメント表には一夏くんと鈴ちゃんが一回戦でぶつかり合う事が書かれていたので、少しでも一夏くんの助けになれば、クラス全体への貢献になると思ったからだ。

 

「ここっ。ここで明らかになんかにロケランが撃たれたのよ」

「鈴ちゃんは射撃武器を持ってる様子じゃないし、IS自体に何か仕込んでるのは明らかでしょ……」

「……あと、決まって、凰鈴音の動きが止まると、非固定部位が動いて放熱してた。その直後に、何か撃たれるの」

「……もしかしたら空気砲ってやつじゃないかな」

「空気砲……?空気砲っていったら、ポンッて、空気の塊が出るやつ?」

「そう。非固定部位が放熱した高温の蒸気を圧縮して撃っているって───────」

 

ドガァァン!

 

 

アリーナの方から妙な音が聞こえたと同時に、私たちの思考は停止し、そのままアリーナの方を見ていた。

 

「なんかあったのかな……」

「見に行ってみる?」

 

サッちーはニヤニヤと笑いながらじゃじゃ馬根性を見せていた

「サッちーがいいなら、ついてくよ、うん」

 

私はサッちーについていくようにアリーナへ向かった。

そこでみえたのはほーちゃん、セシリアさん、そして一夏くんと鈴ちゃんの姿だった

 

「おーい、なんかあったのー?」

 

ISを脚部に展開し、そのままアリーナへ着地する。

 

近づいていくと、のんきではいられないことを示す箒ちゃんの睨み顏が飛んできた。

「……あー……」

鈴ちゃんは一夏くんの目の前の地面を部分展開したISで殴りつけていた。

 

「アンタ、言っちゃいけないことを言ったわね……」

 

鈴ちゃんがすごく怖い顔で一夏くんを見ている。一夏くんは口を押さえたまま、やってしまったというような顔をしている。

 

間違いない。一夏くんは鈴ちゃんの最大のNGワードを口走ったんだろう。

「……貧乳で悪かったわね。そんなに巨乳が好きならそこの人たちにでも慰めてもらいなさいよ……アンタ、絶対許さないから」

 

「わ、わるか……」

「うっさい!喋りかけるな!アンタはクラス対抗戦で徹底的に叩き潰すから!首を洗って落とされる準備でもしとくのね!」

そのまま鈴ちゃんは走り去っていった。いまの様子を見る限り、鈴ちゃんの怒りは並大抵のことではなく、サッちーと私が来たせいで、火に油を注いだようだ。

 

「……一夏くん。鈴ちゃんに何言ったの」

 

わかってるけど、私は一夏くんに何を言ったのかを聞いた

 

「……貧乳って、つい……ちくしょ……」

 

売り言葉に買い言葉、たまたま出てきた言葉が鈴ちゃんのNGワードなんだろう。口喧嘩なら、仕方ない。うん仕方ない。仕方ないんだ……仕方ない、仕方ない……

 

「……」

 

ダメだった。私は怒りを抑えきれなかった。

 

振り上げた右手は一夏くんの頬を叩き、そしてそのままふるふると震えていた。

 

周りの人も驚いている。箒ちゃんは目を見開いていて、セシリアさんは若干怯えながら口を手で隠している。サッちーは空気に耐えられなかったのか、離れた場所でISの武装を振り回している

 

「女の子の体型を、コンプレックスを、罵倒するために使うって、どういうこと!」

「……」

一夏くんは黙ったまま何も喋らない。このままだと、私は、私が恋した一夏くんは幻想だと思ってしまいそうになる

「何かいってよっ……幻滅させないでよ……」

「……悪い」

「私に謝っても意味ないでしょ!鈴ちゃんに、鈴ちゃんに……あやま……」

 

私が恋した一夏くんは幻想だと。そう言うのか神様。これが現実だと見せつけて愉悦に浸るのか。違う、こんなの現実じゃない。こんなの現実だと認めてたまるか。

 

怒り、悲しみ、いろんな感情がこんがらがって、混乱していると、箒ちゃんが肩に手を置いてきた。

 

あとは任せてくれないか、箒ちゃんの目はそう言っていた。

 

スッと、混乱していたさっきまでの感情は消え、涙で視界がぼやける。

 

「……ごめん、頭冷やす。」

 

私はそのままセシリアさんに連れられてアリーナから出て行くことにした

 

──────────────────────────

 

「磨美さんは、お友達想いですのね」

 

アリーナの廊下でセシリアさんが話しかけてくる

 

「違うよ……私は……ただ」

私はただ、幻想を壊されるのが怖かっただけだ。私の最初の友達になってくれて、私の初恋の人である、一夏くんを壊されるのが怖かっただけだ。

 

「……誰しも、つい熱くなってしまうものですわ。確かに今回の一夏さんの発言はわたくしたち女子からすれば、とても傷つく発言でした、ですが……一夏さんはあの二組の凰鈴音とかいう方相手なら、砕けた、そのままの一夏さんになれるのでしょう。だから、喧嘩もするし、罵倒しあったりもする。だけど、心の底から嫌いなわけじゃない。わたくしたちの前ではあまり見せない一夏さんの姿でしたから、びっくりしたのですよ」

 

「……だろうね……」

「……磨美さんが一夏さんを先ほどのように怒るのは決して、悪いことではありませんし、むしろ私から見れば羨ましいぐらいですのよ。ああやって、悪いことに毅然と立ち向かおうとする姿は並大抵の心の持ち主ができることではありません」

「……だけど……私は…」

「磨美さん、そうやって自分を責めないでくださいまし。自分を責めてしまうと、キリがありませんもの。ただ責めるよりも、前をみれば必ず光明はあるはずですし……」

 

私は何も言わずセシリアさんに抱きついた。今の私にとってセシリアさんは癒しの理想卿のようなものだった。

「ごめん、こうさせて……」

「ふふ、磨美さんったら……構いませんよ。話を続けますが……私も一夏さんを想う身。磨美さんのように、積極的にアピールはできませんが……、対抗してくれる方がおらず、張り合いがないのは楽しくありませんもの、どうか、また明日からはいつも通りの磨美さんを見せてくださいね?」

 

「ふー……うん。約束……」

私はセシリアさんから離れて、深呼吸をし、向き合った

 

「あら、もう大丈夫なのですか?」

「うん、ありがとうね、セシリアさん」

「いえいえ……感謝は不要ですのに」

「そうかな……じゃあ……一夏くんに謝ってくる」

「そうですか、なら私も同行しましょう。なにせ箒さんに任せていると一夏さんに何かされてしまうのではないかと心配なので……もちろん、冗談ですのよ?」

 

その言葉に私はおもわず吹き出し、笑いがこぼれた。

 

そしてそのまま2人でアリーナに戻ってみれば、一夏くんと箒ちゃんが待ってくれていた

 

サッちーはというと、ISの武装であるビームの剣を振り回しながらこっちを見てウインクをしてきた

 

「……あの、ね、一夏くん」

「……ああ、わかってる」

「……さっきは、叩いたり、無茶苦茶な怒り方してごめんなさい。」

「こっちこそ、磨美が怒ってくれなきゃ、歯止めが利かなかったかもしれない。辛い想いをさせて、本当にすまなかった。」

 

お互い、謝罪の言葉を重ね、とりあえず私と一夏くんの喧嘩は治った。

 

「2人の喧嘩は治まったならいーけどさー……凰さんはどうするのさ」

「鈴とはクラス対抗戦で決着をつけるさ、というか、それしか方法がない」

一夏くんがそう言うと、サッちーはISのコンソールをいじりはじめた

「じゃあ、私もちょっと協力しますか……」

 

一夏くんの白式、私のネーヴ・テンペスタ、セシリアさんのブルー・ティアーズに映像データが送られる。箒ちゃんは受け取ることができないので、一夏くんに送られた映像データを覗いていた。

 

「この前、私が凰さんとやりあった時の映像データなんだけど、これ見て対策練ろうよ」

 

サッちーの提案にみんな無言で賛同し、それからは鈴ちゃんの戦法や、動きのクセを探していた。そしてサッちーの武器を消しとばしたものが何であるかも、セシリアさんのおかげで判明した。……クラス対抗戦で、一夏くんが苦戦することはこれでなくなるだろうと、私には妙な確信があった

 




これわけたほうがよかったかなぁ……


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クラス対抗戦-開幕-

言葉は不要か……


とうとうクラス対抗戦、この日がやってきた。

 

一夏くんはIS射出ハッチで自分のISを装備しており私を含めた専用機持ちと箒ちゃんに見守られていた。

 

「……じゃあ、頑張ってくるよ」

 

「アンタに投資した時間に見合う対価を、あげてきなよ」

 

一夏くんにサムズアップしながら、サッちーは笑っている。

 

「一夏さん、これまでの間に積んだ鍛錬は、決して無駄にはなりません、今の一夏さんならば彼女を倒すことも現実的に可能なはずですわ」

 

セシリアさんも同じように、一夏くんにエールを送る。セシリアさんは一夏くんが勝つことを確信しているようでもあった

 

「……勝てよ、一夏」

 

一言、箒ちゃんは、飾りっ気のない、その言葉で一夏くんを送り出す

 

つぎはわたしの番だと、箒ちゃんが首を動かす。

 

私が言いたいことはみんな言ってくれた。何か言おうと、考えたけど、何も浮かばない。何も浮かばない……いや、むしろ、何も浮かばないならこう言ってしまえばいい

 

「言葉は、不要だね」

 

その言葉は一夏くんに対する私の期待、信頼やその他もろもろの気持ちを1つにまとめた言葉。

 

そして一夏くんは頷き、発進口を強い意志を秘めた目で見据えた

「あぁ、みんなの気持ち、確かに受け取った!勝ってくるさ!必ずな!」

 

一夏くんはそういってハッチからアリーナへ飛び出していく。私達はそれを見送った。

 

─────────────────────

 

アリーナの空中で、一組のクラス代表の一夏と、二組の代表の凰鈴音が向かい合う。

 

「一夏、今謝るんなら手加減してあげてもいいわよ?」

 

向かい合った凰鈴音が一夏に向けて挑発をするも、おそらくそれは通じなかったようだ。

 

「確かに、あの時の発言は俺が悪かった。鈴、怒らせて本当にすまなかった」

 

「はっ、手加減して欲しーの?」

「それとこれとは話は別だろ。ここでやりあうなら、お互い本気でやらないと無礼に当たる。来いよ、鈴。お前とぶつかってやる」

「あー、そう……アンタのそういう所、嫌いじゃないけど、その選択を後悔させてあげるっ!」

 

試合開始のブザーが響く。2人は同時に接近、そしてお互いの得物で鍔迫り合いを起こす

 

「へー、なかなかやるじゃない。言っとくけど、シールドエネルギーを貫通させる事が出来たらアンタ本体にもダメージが行くのよ」

「あぁ、それは磨美から聞いたさっ」

「そう、じゃあ説明が省けるわねっ!」

 

凰鈴音の発言。それは一夏を死なさない程度にいたぶることが可能であることを示していた。

「よく初撃を塞ぐじゃない、じゃあっ、これはどう⁉︎」

 

ズドン!

 

絶対防御を貫通した痛みは一夏にダメージを与え、地面に叩きつけた。しかし、叩きつけられた一夏はよろめきながらも起き上がり、追撃の大剣の叩きつけをかわす

 

「ぐっ……へぇ、今のが、衝撃砲って、やつか」

「……よ、よくわかったわね。少なくとも真面目に勉強してるのは褒めたげるわ」

「覚悟はしてたが食らってみるとなかなか痛いな……だけど、次は食らわないからな」

「強がってんじゃ、ないわよ……!」

 

凰鈴音はズドン、ズドンと両肩のユニットから衝撃砲を放つも一夏の宣言通り、それはかわされ、地面を凹ませるだけだった

 

ギリギリと、凰鈴音は歯軋りをする。目の前にいる敵である織斑一夏に、衝撃砲と見抜かれた挙句、煽られるように次は食らわないと宣言され、それを実行されたのだから無理はない

 

「あぁ、もうっ、なんで当たらないのよっ!」

 

剣の腕は一夏の方が上、だから衝撃砲を使いながら追い込むつもりだったはずが、今こうして一夏は連発される衝撃砲をかわし続けている。

 

「あぁもうっ、キリがない!」

 

凰鈴音が衝撃砲を閉じ、両手に持った、双天牙月を振りかぶりながら急加速を行い、間合いを詰めようとした時、凰鈴音は警告アラームに驚いて減速した。

 

そして次の瞬間、凰鈴音の目と鼻の先すれすれには高熱の光の柱がそびえ立ち、しばらくするとそれは細くなって消えた

 

「な、なに、今の……⁉︎」

「……なんだ、あれ……」

 

光の柱が立っていた地面は焦げており、その中央部分には全身を装甲で覆った、手足が長い異形の人形が鎮座していた




言葉は不要か……(ファミチキください……)

などとふざけてないで真面目に後書きをば。

まぁ今回、一夏と鈴の立場を軽く逆転させてみました。

あと、一夏メインにしようとしたのですが、思ったより短いものになってしまいました、申し訳ない。


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クラス対抗戦-乱入者-

あかん、ぐだぐた……


後書きにおまけ付きです。


アリーナの管制室では突如乱入してきた不明ISの対応策で慌しく声が飛び交っていた。

 

そんな中、織斑千冬は臨時の指揮をとり、各員に指示を行っていた。

 

「所属不明機に告ぐ、貴公の所属とISのコアナンバーを提示、後に武装解除せよ、さもなくば、こちらは貴公を強制排除する。繰り返す強制排除する」

 

所属不明機からの返答はなし。千冬は教員部隊に配備されたISの前で待機することを命じた

 

「無駄だ、まるで話が通じていない。……というより、こちらが攻撃をできないことを知っている」

 

先ほど渡されたタブレットにはアリーナの遮断シールドがレベル4に設定されていることを示していた。つまりこちらは逃げることも応戦することもできない。

さらに不幸なことに遮断シールドのレベル4は本来想定している使用状況は火災鎮火。隔壁で火災ブロックを遮断し、炎によって酸素の量を減らすことで炎の勢いを弱めるためのもの。それが何を意味するかというと、この状況が長引けば長引くほど、観客席にいる生徒たち、及び管制室の自身たちの命も危ない。

 

そんなことをしうる人物を千冬は1人知っていたが、確証が持てない以上なにも、語ることができなかった。

 

「山田先生。アリーナ内部にいる2人に戦闘許可を」

「えぇっ⁉︎織斑先生、自分で何を言っているかわかっているんです⁉︎」

「わかっているさ、わかっているとも……この状況が長引けば、ここにいる生徒、そして私たちも全滅だということもな」

「そ、それはそうですが……」

「守ってみせるさ、おまえたちも、生徒全員もな。責任は私が持つ。山田先生、2人に戦闘許可を」

「織斑先生…貴女という方は………」

山田真耶は少しのためらいのあと、眉間にしわを寄せながら所属不明機のすぐ近くに2人へプライベートチャンネルを繋いだ

 

「白式パイロットの織斑一夏くん、甲龍パイロットの凰鈴音さん。今からお2人へ大事な話をします。聞き逃しのないように。お二人には、そこにいる所属不明機と交戦して、いただきます」

 

山田麻耶は2人が所属不明機と交戦している間に教員部隊による生徒の救出作戦を実行、その後にアリーナ内部に突入して所属不明機に加勢する旨を伝えていく。

 

「いいですか、これは皆さんの命を守るための戦いです。気を引き締めて、あらゆるイレギュラーな事態を想定して所属不明機と交戦してください。いいですね……」

 

「2人からの返答は」

「緊急事態だからなりふり構っていられない、と了承してくれました」

「そうか……。ふむ……山田先生。アーデルハイトとマーキスにも連絡をとれ。あいつらの武装ならば、隔壁に穴を開けるていど余裕なはずだ」

 

「了解しました。」

 

織斑千冬はアリーナ内部にいる、自身の弟にすさまじい重荷を課してしまったことに対し苦虫を噛んだような表情で怒りながらも、その弟にかけることしかできない自身の立場を呪った。

 

──────────────────────────

 

「よしっ……。みんな離れたね?」

 

磨美はアリーナの観客席でISを装備し、目の前の隔壁に向けて燐光の漏れるバスターライフルを構えていた。

 

「……発射!」

 

バスターライフルから放たれた光は扉を貫き、さらにアリーナの外壁をも貫いたことで酸素の供給口を作り上げた。

 

ざわつく観客席もすぐに静かになり、安心からかへたり込む生徒の姿もあった

 

「よし、サッちー、いくよ」

「りょーかい。隔壁程度ならビームセイバーでぶったぎってあげるからねっ」

「みんなはここで先生がくるまで待機!」

 

観客席から脱出した2人は途中で教員部隊に合流し、隔壁を破壊する作業に取り掛かりはじめた

 

通路への隔壁は2人が破壊。観客席への隔壁は教員部隊が溶断し、解放された出口へと観客席の生徒を誘導する。

 

管制室の指示を受け、手際よく磨美とサフィはハッチに通じる隔壁を破壊した。が、そこで教員部隊から連絡が入る。

 

磨美とサフィを除く2名、一組の生徒が見当たらないという連絡は2人を焦らせた。一名はセシリア・ウォルコットだが、管制室が事態を把握し、セシリアに対しISを装備して待機するように命じた。もう1人は、篠ノ之箒。

 

指示を受け磨美はハッチの出撃口を閉じる隔壁に対しバスターライフルを放ち、隔壁を蒸発させると、独断でアリーナに突入し、内部にいる2人へと合流した

 

──────────────────────────

 

「一夏くん!鈴ちゃん!」

私はアリーナ内部に突入し、一夏くんと鈴ちゃんに合流した。目の前にいる異形の全身に装甲をまとったISは、私を感知したのかその頭をじっと私に向けている。

「磨美⁉︎いったいどこから……って避けろ!」

発射されたビームを避けながら、私は一夏くんと鈴ちゃんのそばに近寄った。2人とも、かなり消耗している様子で、一夏くんは雪片弐型の使用でかなりジリ貧のようだった

 

「……とりあえず、アリーナのハッチは開放したから、一夏くんたちはもう、下がっても大丈夫なはずだから……」

「……いや、下がるわけにはいかない。というより、あいつに勝てる道筋が見つかった」

「え…?」

「あー、磨美りん……なんか、こいつがね、あのヘンなのに対して、無人じゃないかって言ってんの。で、こいつは、無人なら勝ち筋はあるって言ってて……」

 

「無人……?無人じゃ、ISは動くはずがないのに……?」

 

「磨美りんは見てないからわからないけどアイツの動き、プログラムじみててさ……なんていうんだっけ、一夏」

「人の呼吸や、肩の動きが感じられないんだよ。ただ、アイツの中にあるなにかが、俺たちの動きに対応して、攻撃を繰り返してくるんだ……8回もな」

「8回も……?」

 

人間が複雑な行動を反復して行うと、多少の乱れが生じるものだが、一夏の言葉通り、異形のISにはそれがなかった

。複雑な行動を寸分狂わず実行し、さらにそれを対応する行動が来るたびに繰り返す。このようなことができるのはプログラムぐらいだ

 

「……一夏くんの予測は間違いないっていう確証はないけど、そのアイデアにかけてみるのも悪くないと思うよ」

「サンキュー、磨美。じゃあ、やってやるさ…」

一夏くんが武器を構え、突撃姿勢をとったその瞬間、アリーナの中継室から聞き馴染みのある声が聞こえた。そしてそこにいたISはその声の主に意識を向ける。

「一夏!」

「箒ちゃん…ちっ…救出部隊各員に報告します、行方不明の生徒をアリーナ中継室に発見。大至急向かってください。いつ所属不明機の攻撃が向くともわかりませ───────」

 

私が報告をしていると、所属不明機が腕のビーム砲を中継室を向けはじめる

 

「……!一夏くん、箒ちゃんは私に任せて!」

 

私はブースターを全力でふかし、そのまま中継室へと突撃し、ガラスを突き破りながら箒ちゃんを地面に押し倒した。その次の瞬間、私のISの真上を短時間であるがビームがかすめ、ビームが直撃した壁をみれば、そこは赤熱して溶けていた。アリーナ内部の不明機に意識を向けると一夏くんのが不明機の腕を切断。しかしカウンターをもらって吹き飛んでいた

 

「一夏くん!くっ、バスターライフル!」

 

私は咄嗟にバスターライフルを手に持つが発射までのラグがあり、先に青い光の矢が不明機を貫き、私のバスターライフルから放たれたビームが、不明機の頭をもいだ

 

「……今のは、セシリアさんか……ふうっ……」

 

私が押し倒したせいで伸びてしまった箒ちゃんを肩に担ごうとしたとき、私は不明機が再起動する瞬間と、一夏くんがそれに突っ込んでいくのを見てしまった

 

「なっ、あ……あれだけのダメージを受けて、再起動、だなんて……!」

 

私は呆然とし、そこにへたり込んでしまった。直後にショートするような音が聞こえ、覗きこむと、一夏くんが教員部隊に運ばれていくのがみえた

 

 

 




───────懲罰書

篠ノ之箒

避難指示を無視、命を顧みぬ行動により現場の混乱を招いたため、謹慎五日。謹慎明けに原稿5枚分の反省文の提出。

セシリア・ウォルコット

避難指示を無視。独断の行動により現場の混乱を招いた。ただし、不明機の無力化は彼女がいなければ成しえなかったという評価を受け、厳重注意処分に処す

磨美・アーデルハイト

作戦行動中に離脱し、小隊の作戦行動を乱した。しかし行方不明者の発見、及び救出作戦への協力を評価し、厳重注意処分に処す


──────────────────────────




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騒動の終わりと……

すこしえちぃ。さぁ、腹はくくったぞ。勧告なんざ怖かねぇっ!やろう投稿してヤラァァァァ


「……」

 

頭を抱えながら、私は一夏くんがいるという部屋に向かっていた。

一夏くんが運ばれるのを見てしまったせいで、最悪のイメージが頭の中でグルグルと掻き回される。そうでないことを望みたいが、そんな余裕は私にはなかった。

頭を押さえながら前を見ずに歩いていると黒いスーツを着た人とぶつかった

「おっと……。アーデルハイトか、ちゃんと前を見て歩け……」

目の前には面倒くさそうな顔をしている織斑先生がいて、私と同じように、頭を押さえていた。

「あ……、すいません、織斑先生……」

「……いや、私も前方不注意だったな。……一夏のことが心配か」

当たり前のように織斑先生は私の心を見透かしてくる。この人はあらゆるものを見通す千里眼でも持っているのだろうか。

「あ……えぇと、まぁ、心配しています。運ばれるのを見てしまったので……」

「そうか。まぁ、仕方あるまい。……なぁアーデルハイト、あのIS、おまえはどう感じた」

「えっ……あぁ……なんだか、私たちを試しているような気がしました」

 

唐突に向けられた話題にびっくりしながら、適当に言葉を選んでそれを返す。

 

「そうか。……まぁ、実際に、試されたな。誰に試されたのかはわからんが」

「そう、ですね。今回一回きりだといいんですが、試されていたのなら、次もありそうですよね……」

 

私たちが試されたのなら、次は今回以上の容赦ない武力が私たちを再び試すだろう。何時になるかはわからない。だけど、2度目はあるだろうという妙な確信は私の中にあった

 

「そうだな、まぁ、あんなシロモノ、潤沢な資金がなければそうそう作れるものでもあるまい。……すまないな、くだらんことで話をさせて。……これは救出部隊への協力の礼だ。とりあえず今日は良いものでも食べておけ」

そう言って織斑先生はポケットから食券を取り出し、私の制服のポケットにねじ込んだ。

「あ、ありがとうございます」

「それと、先の戦闘で一夏は疲れている。死んだような面で寝ていても起こすんじゃないぞ」

「……はいっ、わかりました、織斑先生」

 

織斑先生は遠回しに一夏くんは生きているから安心しろと言ってくれた。そのおかげか、頭をしめつけていたネガティブな思考は消え、肩も少し軽くなったような気がした

 

「よし、と……。」

 

一夏くんがいる病室の扉を開けると、まず目に入ってきたのは、鈴ちゃんが一夏くんに顔を近づけている様子だった。

 

「……へぇ、鈴ちゃんってば大胆だねー……」

「なっ!へっ!?磨美りん⁉︎いつの間に!?」

「今さっきだよ。扉を開けたら鈴ちゃんが一夏くんに顔を近づけてるものだから……まぁ、別にそういうのじゃないのならいいんだけど?」

「べ、べべべべ、別に!たまたま一夏の髪の毛にゴミが付いてたから取ろうとしただけだし!」

「そう?それなら私の気にすることじゃない、か」

「そーよ!磨美りんは気にしなくていーから!」

 

顔を真っ赤にしててきとうな言葉を並べる鈴ちゃんはどことなく猫のようで可愛らしい。

 

「……んん……なんだ……?少しうるさいぞ……」

騒ぎ過ぎたせいか、一夏くんを起こしてしまった。織斑先生に無理はさせるなと言われたのだが、まぁ、一夏くんが起きてしまったのなら仕方ない。

「あ、一夏くん、気がついた?」

「んぁ……あぁ……磨美と鈴か……おはよ……」

まだ寝ぼけ眼の一夏くんはぼうっとしながら私たちの方向を見る。

「ごめんね、起こしちゃって。……生きてて良かったよ。運ばれたの見たせいで、少し怖かったんだから」

「あぁ……うん、心配させて、わるかったな」

「ほんっと、あんたって周りを心配させてばっかね、一夏。誘拐された時だって確か磨美りん泣きじゃくって一夏のこと心配してたし。」

「待って鈴ちゃん、それは今言うことなのかな。今バラすことなのかな。」

 

鈴ちゃんが唐突に私たち3人の中学の時の事件を槍玉に挙げてきたことで、私はどきりとして、悪戯な笑顔を浮かべている鈴ちゃんに慌てて突っ込んだ。

鈴ちゃんの話していた事件は、ISの競技大会で織斑先生の二連覇がかかっていた時のこと、一夏くんが誘拐されてしまい、結局織斑先生が、競技大会への出場を辞退してドイツからもたらされた情報をもとに一夏くんを救出した事件のことだ。私はそのとき鈴ちゃんと一緒に一夏くんの身を案じることしかできず、そして一夏くんにもしものことがあったらという想像をしてしまい泣きじゃくることしかできなかった。事が収まった後、私は泣きじゃくっていた事を一夏くんには内緒にしておいて欲しいと鈴ちゃんに頼んだのだが、その約束はたった今、反故にされた。まぁ、気にするほどのことでもないが。

 

「……あぁ、うん、そこはわかってるし直そうとしてるよ」

「わかってるなら最初から心配させるような真似しないでよね、衝撃砲フルパワーで撃てなかったじゃない。」

「え、アレでフルパワーじゃねぇの……マジかよ……」

一夏くんの顔が青ざめる。どうやら一夏くんは衝撃砲を利用してなんらかの行動を起こし、そしてその際に全身に激痛を感じていたのだろう。そしてそれが全力でないと知り、まだ上の痛みがあることにびっくりしている。

「……そういえば、鈴、おまえが言ってた酢豚を毎日ってやつ」

「うぇっ⁉︎そ、それがどしたのさ!」

「もしかして、毎日味噌汁を食べてくれってやつじゃ───」

「あー!違う違う違う!うん、ごめん、アレ、作ってあげるから味見してって意味!毎日でも作っちゃうからさ!酢豚!」

「あ、あぁ……さすがに、毎日はいいけど、今度また、作ったら食べさせてくれよ、久々に鈴の料理食べたいしさ」

私の中のセンサーが、反応した。このままでは鈴ちゃんに一夏くんを取られてしまうのではないか。それだけは避けねば。

「あっ、私も食べたい。鈴ちゃんの料理すごく美味しかったし……」

私は咄嗟にそう言って一夏くんと鈴ちゃんの会話に割り込んだ。

「んもー……仕方ない客ねぇ……今度作ったげるから、不味くても絶対残さないでよね!それまでに胃袋空けときなさいよ!」

 

鈴ちゃんはそう言って、何処と無く嬉しそうにして病室を去っていった。

 

「……鈴ちゃん、何事もなかったみたいに行っちゃったね」

「あ、あぁ……喧嘩してたのが嘘みたいだ」

「……そうだね……。そうだ、一夏くん」

「ん?なんだ、磨美」

「一夏くんはさ、今日、とっても頑張ったから……」

鈴ちゃんが出て行った今、この部屋に訪れる人はいないだろう。ならば、今の内に私を一夏くんにアピールしておかねばならないと、私は直感的に感じ、上着とスカートを脱ぎ、Yシャツのボタンを外し始めた

「お、おい……磨美?」

一夏くんは少しびっくりしているようだ。まぁ、当然か。

「一夏くんは、今日とっても頑張ったから、ご褒美に、私の身体、好きなだけ触っていいからね……?」

ISスーツだけの姿になって、一夏くんの右手をとり、胸に当てる。好きな人に、自分の体を触ってもらうのは少し勇気がいるし、恥ずかしいけど、してほしいことでもある。

 

ゴクリ、と一夏くんが生唾を飲む音が聞こえた。

 

「ま、磨美……本気、か……?」

「本気もなにも、一夏くんが私のこと、何度も見てたの知ってるんだからね?男の子だもん、そーゆーのは、仕方ないってわかってるし……」

「そ、そうか……、そうなんだな……?」

 

その日、私は一夏くんが満足するまで、周りの物音を気にしながら、身体を一夏くんに捧げた。

 

この日は私にも、一夏くんにとっても、忘れられない日になるように。一夏くんの脳に、私のありのままを焼き付けてもらうために。私は数時間、一夏くんと共に過ちを犯した。

 

 




正直に言おう。


めちゃくちゃ怖い

一応、性行為はしてないとフォローだけしておきます。ただのボディタッチ!ボディタッチだからセーフ!セーフだよね⁉︎カープが優勝したから許してくれるよねっ!(


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代表候補生をやるための原動力

なにかをするためには原動力が必要ですよね。

エンジンに火を灯さないと誰だってストップしたままです

ところで磨美とサフィのISスーツを新調しようかなと。

半透明のビニールが、女体にぴっちり張り付いてるのって何とも言えないフェチシズムを感じますよね


「んー……またきつくなったような……」

「あー……れっ……胸が入らない……やだ、お尻も……」

 

休日の朝、私とサッちーはISスーツを着て鏡の前に立っていた

 

お互い、体の成長にISスーツがついていけないのか、鏡の前で困り顔になっている。

 

私は胸元の締め付けが明らかに強くなったほか、下乳が以前より露出してしまっている。

以前サッちーに買わされたISスーツも試してみたが胸元を隠すバンドが引き伸ばされてしまい意味をなさないものとなった。

 

サッちーは今まで使っていたISスーツに下乳が収まらず、尻もすこし出ている状態。また、ガーターベルト状の装飾があるため、娼婦(ハーロット)のような姿だった。実際、サッちーがふざけ半分に開脚したのだが、その艶めかしさはもはや学生が出すような雰囲気ではなかった

 

「磨美りんは買い替えかもねー、私はもう少し持ちそうだけど……」

「デビンヘインズのISスーツはくたびれちゃったし……どうしたものかなぁ」

そう言って私はサッちーを見やるとサッちーはデビンヘインズ社のISスーツカタログを見ながらベッドで足を組んでいた。

 

「潔く買い替えなよ、今度はもっとセクシーなの選んであげるからさ、ほら、こんなのとか」

サッちーが指差したカタログの写真のISスーツは俗に言うモノキニのような形状をしているが胸元の生地が少なく、また背中が丸出しになるというもの。内心欲しい気持ちはあるがこんなものを着て授業に出たものなら織斑先生にげんこつを食らうだろう。

「欲しいけど、織斑先生が怖いんだよねぇ……」

「ははー、わからないわけではないけど反骨心は大事よ磨美りん?」

 

サッちーの織斑先生に対する反骨心はここ最近、顔を覆いたくなるほど見てきた。露出の高いISスーツで一夏くんを自分の特訓に付き合わせたりするのならともかく、制服の予備を買ったかと思えばそれを魔改造して胸元の大きく開いたワンピース状にし、それをわざわざ織斑先生に見せに行っては呆れられていたりする。ひどい時にはニプレスとホットパンツだけで寮を徘徊し、それを織斑先生に見つかっては説教されている。おそらくサッちーは織斑先生にそろそろ本格的にシメられるだろう。

 

「サッちーの場合反骨心が突き出てるよね。特に織斑先生に対して」

「まーねー。私あの先生弄るの楽しいし。あの先生いちいち反応してくれるからこちらとしてもやりがいがあるんだよ」

 

確かに、織斑先生は生徒の衣服の乱れとか、素行に関してはかなり敏感に反応している。実際私も、胸元がきつくてYシャツを第二ボタンまで開けていたらそれを無理やり閉じさせられた。

 

「……サッちー、織斑先生からそのうち仕返しが来るよ」

「あぁ、その仕返しとやらの時間が今来たぞ」

 

背筋に寒気が走る。私はブリキ人形のように後ろを振り返れば、頭を押さえながら、覇気のある視線をサッちーに突き刺している織斑先生がいた。

 

「サフィ・マーキス。日頃からよく私の世話を焼かせてくれた礼だ。私から厄介かつ面倒な頼みごとをしてやろう」

「マジですか織斑先生〜……私は面倒が嫌いなんですが」

 

サッちーはベッドの上で横になりながらその話を聞き流す。うん、サッちーは全く懲りてないし、織斑先生の前でここまで肝の座った聞き方をする人がいるとは思わなかったな。

 

「アーデルハイトには迷惑をかけるが、サフィの相部屋である連帯責任ということで、納得して欲しい。この部屋にエクストラベッドとエクストラテーブルを追加し、3人部屋とする」

「連帯責任なら仕方ないんです。サッちーがもっとちゃんとしてくれればいい話ですから」

「何よ磨美りん、まるで私が普段ちゃんとしてないみたいじゃない」

「マーキス、おまえは日頃の行動を省みろバカモンが。……で、なぜベッドとテーブルを追加するかの話をするぞ。まず、フランスとドイツから代表候補生が来るのだが……フランスの方は訳ありで一夏……んんっ、織斑の部屋に配置した。ドイツの方は現状物置を部屋に改装するしか手がなくてな。改装が終わるのは秋ほどになると業者から報告もあり、それまでの間、この部屋にエクストラベッドとテーブルを追加し、相部屋になってもらうつもりだ」

 

フランスの方が一夏くんと相部屋なのは妙に引っかかるが、訳ありであると聞くとますます勘ぐってしまう。なんせ肉体関係を共にした仲である一夏くんと他所のフランスの女が相部屋になることなど、私的には到底容認できるものではなかった

 

「織斑先生、フランスの方は訳ありと言いましたがどう訳ありか説明してください」

「……まぁ、イレギュラーとだけ言っておこうか。話を続けるぞ、おまえ達2人と相部屋になるドイツの候補生だがな……少し性格に難がある。それを改善する意味でも、コミニュケーションを取って欲しい」

 

「はいはーい。そーゆーことなら私も喜んでやりまーす。」

サッちーは部屋のパートナー、もとい自分のおもちゃが増えることにご満悦のようだ

「織斑先生の言うことですもん。私も喜んでやりますよ。」

 

まぁ、私も部屋のパートナーが増えることは素直に嬉しい。性格に難があっても私たちになら任せられると織斑先生に信頼されていると、勝手に思うことにした。

 

「それでは頼んだぞ。ベッドと机の搬入は転校生が来たその日の授業中に済ませる予定だ。それまでに、せいぜいベッドの取り合いでもしておくんだな」

 

そう言って織斑先生は部屋から立ち去っていった。

 

「転校生かぁ……最近多いね。」

「保有国は代表候補生の選出に時間がかかっているんじゃない?確かまだうちの国は、2人目の候補生を選出したばかりだし、それに合わせた専用機作るつもりだし」

「あー……サッちー?それは口外していい情報なの?」

「大丈夫。名前と技術を口に出さなきゃ怒らないってお偉いさんと兄さんが言ってくれてる」

「ふうん……サッちーはお兄さんがいるんだ。どんなお兄さんなの?」

「変態技術者。この一言に尽きる。まぁその変態技術がわたしの助けになってるしありがたいんだけどね……」

 

サッちーは頭を抱えながらお兄さんに関することをダラダラと愚痴り始めた。

 

まずサッちーのお兄さんは何のツテもなく自身の技術力だけを武器に女性が優遇されやすいIS技術開発部の採用面接に突入して内定をもらい、さらに古典的な一点突破主義に囚われている米国のIS技術開発部の改革に乗り出して古い体制を排除した後、アメリカのIS技術力を一段階上へと引き上げた功労者であり、最早今のアメリカに必要不可欠な人物だという。そしてサッちーは代表候補生をやろうとした動機は兄に対して負けたくないという対抗心から来るものだと話してくれた。

 

サッちーはお兄さんに対する対抗心が代表候補生をするための原動力になってるのがわかったのはいいのだが、それを聞いて私は自分が代表候補生するための原動力となったものは何だったのだろうと思い始めた。

 

この疑問が解決するのは、当分先になりそうだ。




一夏いないから次の話で思う存分ラウラに打ってもらおう


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王子とウサギ

本格的にシャルルとラウラが話し出すのは次以降になります。


IS学園に入学して、様々な波乱があった。

 

一夏くんに再会したり、セシリアさんと喧嘩したり。サッちーことサフィさんに賭けで負けて服従したり、鈴ちゃんにまた会えたけど一夏くんが地雷を踏み抜いてまた大喧嘩。未確認ISの襲撃。命を省みぬ箒ちゃんへのお説教。

 

ドタバタした日常は終わりを告げ、みんなも一夏くんがいる生活に慣れたのかあまり騒がなくなった。平和な日常がこのまま続けばいいのにと思っていた。

 

しかし、フランスからやってきたイレギュラーとドイツからやってきた訳あり娘はそんな平和をいともたやすく破壊してしまうのだった

 

「今日から皆さんと一緒に勉強する、転校生のシャルル・デュノア君とラウラ・ボーデヴィッヒさんです。皆さん、仲良くしてくださいね」

 

そう言ってにこやかに説明する山田先生。そして皆立ち上がり、驚きの言葉を口にする。当然だろう、なぜならそのフランスからのイレギュラーは───────

「ふ、2人目の」「男っ⁉︎」

───────2人目の男子IS操縦者だったのだから

 

「2人目の男子、ねぇ……」

後ろの席にいるサッちーが私に抱きつきながら、フランスからやってきた男子IS操縦者を見て、怪しそうにそう言った。実際、私も彼に対して怪しい目で見るしかなかった。

「サッちー、彼を怪しいと思ってるの?」

「当然だよ。なんの前情報もなく、いきなり2人目の男子IS操縦者が出てくるなんておかしいと思わない?」

真面目な考察をサッちーはしているが、どさくさにまぎれて私の制服を緩め始めている。なんなんだこの子は。私を恥ずかしい目にあわせたいのか、それとも私で遊びたいだけなのか。

「うーん、どうだろう。政府が保護のために情報をシャットアウトしていたとかはないの?」

 

サッちーの手を軽くあしらいながら、フランスの男子に対する私なりの考えを述べる。しかしサッちーは聞いているのか聞いていないのか、私のワイシャツのボタンを外してその中に手を突っ込もうとしていた。

 

「わかんない。まぁ、後で接触してみようよ。性別なんて一発で見分ける方法、私知ってるし」

「ふーん……で、サッちー。私の服を緩めて何がしたいの」

「磨美りんの胸を揉んでたいだけだから気にしなくていいよ?」

「そーゆーのは寮でやろうよ……」

 

黄色い声の中サッちーが私に対し淫行を働きそうだったのをすんでのところで止めた後、私はもう1人の転校生を見た

 

ちんまりとした小柄で華奢な体。可愛らしいその顔はつけられた眼帯と、常に苛立っているような眼で厳しい雰囲気を纏っていた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ。彼女はそう名乗ったあと、教室を軽く見回し、そして一夏くんに近寄ったかと思えば

 

 

パァン!

 

 

平手打ちの快音が、黄色い声で溢れていた教室を静まらせた。

 

平手打ちをしたのは、ラウラ・ボーデヴィッヒ。そして平手打ちをされたのは一夏くんだった。

 

一夏くんが打たれたという目の前で発生した事件は私を感情的にするのには十分な衝撃だった

 

「あいつっ……!」「ちょっ、まっ、磨美りん⁉︎」

 

私は咄嗟に立ち上がりラウラさんに掴みかかり、その頬に平手打ちを叩き込んだ

「……何をする」

「目には目を、歯には歯をっていうでしょ?」

「……ふん、貴様はこいつがお気に入りらしいな?普通の人間なら、私には手を出さずに見て見ぬ振りをするだろう」

「お気に入りを傷つけられたら誰だって怒るでしょう?ラウラさん」

「あいにく、私のお気に入りは傷つくことがないのでな。そんな気持ちはわからない。そしてもう一つ言っておくぞ、貴様は胸をさらけ出すことに慣れた雌牛か」

「へ?」

 

ラウラさんから胸をさらけ出すことに慣れた雌牛と言われ、私は思わず胸元を見る。

 

「磨美、半裸の幼馴染が目の前にいる俺の気持ちも考えてくれ」

 

一夏くんによるとどめの一言が私を正気に戻した

 

制服は緩み、ワイシャツのボタンはちぎれ飛んで、胸元が全開になっていた。

一夏くんを見ると平手打ちされた場所を押さえながら目を閉じていた。

 

「……っぅぅぅ⁉︎」

 

咄嗟に服を押さえ、申し訳なさそうな顔をしているサッちーを睨みながら自分の席に逃げるように戻った。

 

「……アーデルハイトはあとで購買に行くように。デュノアとボーデヴィッヒは席につけ」

 

織斑先生が頭を押さえながら、ホームルームを締める。

 

 

転校生がやってきたこの日、私は友人の手で公衆の面前で半裸になってしまった。おそらく私はこの日を一生忘れないだろう。

 




磨美のワイシャツはサフィが悪戯していて、注意されたのに懲りずに胸に手を突っ込もうとしたせいで破れました。そのため、制服の上着が無ければ磨美は危うく上半身裸になるところでした。


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緑色の風

ラウラメインのストーリーになるので、シャルの出番が著しく減る可能性大。シャルロッ党の皆さんごめんなさい。

あとトーナメントですが少しルール改変を行います。


「まったくもー、サッちーのせいでひどい目にあった……」

 

ショートホームルームの後私はISスーツ姿で購買に向かっていた。

後ろから財布を持ったサッちーが付いてきているが、なにをされるかわからない。警戒しておこう。

「悪かったってー……シャツ代はちゃんと出すから!」

「むー……それならいいけどさ……サッちーはなんで私だけじゃなく、女の子を玩具にしたがるのかな」

 

前々から気になっていた、サッちーの周りの子たちへの変態じみた振る舞い。中にはサッちーに躾けられ、新たな性壁に目覚めてしまった子もいるという。なぜ、そういった他者を巻き込むことをサッちーが好むのか私は気になって仕方がなかった。

 

「んー?まぁ、自分の影響で人が変わる様を見るのが好きだからだよ。人と人が触れ合えば新たな発見があるっていうじゃない?」

「だからって性壁すら歪めるのはどうかと思うよ……」

 

「それは知らない事かなー。私が軽くイタズラしたらそっち方面に目覚めちゃったんだし。私は目覚める刺激を与えただけであって、その性癖を開花させるのは本人の勝手だし。」

「そんな無茶苦茶な……。ん……?」

どうやらサッちーの性癖もとい趣味の領域となった女の子に対するセクハラは私には止める事ができないようだ。無茶苦茶すぎるサッちーの理論を聞いて私は止める事を諦めたが、一つそれを利用した悪巧みを思いついてしまった

 

「じゃあさ、サッちー……今日のドイツからの転入生、躾けてみてよ。織斑先生がせっかく相部屋にしてくれたんだし、それを利用しない手立てはないよ」

 

今朝のいざこざの元凶であるドイツからの転入生にして代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒ。とげとげしい態度と他者からの干渉を鬱陶しく思っているような目。それがサッちーの手によって少しでも軟化するのであれば試してみる価値はあるかもしれない。織斑先生に、なんと言われるか分かったものではないけど。

 

「いいね、いいね、磨美りんも私の扱いがわかってきたかな?」

 

サッちーは愉快そうに笑いながらそれを了承する。そのサッちーの態度からして、もともと躾ける気はあったようだ。この子は本当に侮れない。下手に隙を見せたらそこにつけこんでくる。些細な事すら見逃さないからつけこまれたが最後、ゆっくりとサフィという沼の虜にされ、呑み込まれるだけだ。

 

私はそう思いながらサッちーに制服を弁償してもらい、そのまま授業が行われるグラウンドに向かった

 

──────────────────────────

 

「では、授業を開始する」

 

よろしくお願いします、と号令の声をみんなに合わせて出す。これがないと授業は始まらない。あっても声が小さいとやり直しがかかる。まぁ、ここにいる人たちはみんな織斑先生に憧れている人ばかりだから、早々やり直しになることはない。

 

それはそうと隣で一夏くんが鈴ちゃんに蹴られたり、セシリアさんにジト目で睨まれたりしているのだが一夏くんは何を考えたのだろう。鈴ちゃんの直感は考えていることを見抜いてくるから、また鈴ちゃんの機嫌を逆撫でする事でも考えたのかなと思うと、溜息が出る

 

「今日はまず、IS同士の戦闘を実演。そして実際にISを装着して、その感覚を覚えてもらう。ISを装着した感覚がお前たちの将来を決めるかもしれんから、しっかり覚えておくように。」

 

ISを装着した時の感覚が、将来を決める可能性の一つになるというのはよくある話。実際、イタリアの変態技術者の中に女性の技術者がいるのだが、その人は昔第一世代ISを装着していたが、自身が兵器になる感覚に恐怖を覚え、パイロットの道を諦め、代わりにISのブースターなどのメカニックの道に転向した人がいる。

 

「さて、実戦の相手はそこでソワソワしているイギリスと中国の代表候補生にやってもらおうか」

 

「な、なぜ私なのです!?磨美さんとかサフィさんもいるというのに!」

「アーデルハイトのISの機能を思い出せオルコット。武装コントロールを奪われると戦闘のバランスが崩壊するのは身に染みているだろう」

 

げ、これ間違いなくイントゥルーゾシステムの事を言ってる。武装コントロール権を強制的に奪い取り同時に運用データを抜き取るこのシステムの存在はとっくに織斑先生にバレていたようだ。

 

まぁ、戦闘のバランスを崩壊させるこのシステムは当然実戦以外では封印しておくのが好ましいだろう。

 

「そ、それも、そうですね。とりあえず相手はどちらに?鈴さんとやりあってもよろしいのですが」

「ふふん、上等上等!返り討ちにしてあげるわよ」

 

「そう焦るな、お前たちの相手は今から来──ん?」

 

空を裂く音を聞いて織斑先生がふと空を見る

私もつられて空を見ると緑色のISがこちらに向かっているのが分かったのだが、空を裂く音がするということはそれなりのスピードを出しているということ。スピードを出しているとその制御も難しいものになる。つまりあの緑色のISはこちらに高速で向かいながらもスピードを制御できず落下している、と形容できる。

 

「ああぁぁぁ‼︎どいて!織斑先生どいてくださぁぁぁい!」

「馬鹿者っ……⁉︎」

「千冬姉っ!」「教官!」

一夏くんがISを展開して織斑先生を庇おうと飛び出していきその数秒後、織斑先生と一夏くん、そしてラウラさんのいた場所に土煙があがった

 

「一夏くん!織斑先生!」

 

私も思わずISを展開してその土煙へと近寄り、背中の翼状のスラスターを羽ばたかせて土煙を払う

 

「あいたたたた……すいません……織斑先生、ボーデヴィッヒさん」

 

「盛大な出落ちをかましてくれたな山田先生……一瞬走馬灯が見えたぞ……織斑とボーデヴィッヒがいたから助かったようなものだ……」

「よ、よかった、ギリギリ間に合った」

「…………くっ」

一夏くんが織斑先生を突き飛ばし、それをラウラさんがワイヤーで受け止めたことでなんとか事なきを得た様子だった。

「教官、お怪我は」

「心配無用だ。さて、授業を再開するぞ」

 

服についた土を払いながら織斑先生は立ち上がり、また、山田先生もISを装備した状態で再び浮遊し始めた

 

「……オルコットと凰の相手は山田先生にして貰う。今の醜態を見たお前たちには想像できんかもしれんが、山田先生は代表候補生までに上り詰めた実力を持っている。お前たち2人がかりでもすぐ終わるだろう」

 

さっきあわや大事故だったというのに織斑先生は冷静に山田先生と鈴ちゃんとセシリアさんの戦闘がどうなるか予測している

 

「は、はーん、今の見たら信じられないけど」

「そんなもの、藪を突けば分かる話ですわ!」

 

セシリアさんがレーザーライフルによる先制攻撃を仕掛けるもそれはあっさり避けられ、そして3機のISは中空で攻防を繰り広げる

 

その間、地上では織斑先生に指示されてシャルルくんが山田先生の使うIS、ラファール・リヴァイヴについて説明していたが、私の関心は織斑先生を助けた一夏くんとボーデヴィッヒさんに向けられていた

 

「ボーデヴィッヒ。さっきは千冬ね、織斑先生を受け止めてくれてありがとな」

「……私は教官のためだけに動いた。貴様に感謝される筋合いはないし、感謝されたくもない。」

「そんなこと言われたって、感謝するさ。1人しかいない俺の姉貴を助けてくれたんだから」

「お前はつくづく私の神経を逆撫でするな。私は今朝お前を殴った相手だろう?それは根に持たないのか」

「それは今関係ないだろ。とりあえずありがとな。あんたがどう思っていようと俺はこれを言わなきゃ気が済まない」

「ふん……勝手にしろ」

 

会話に聞き耳をたてる限り、一夏くんも、ラウラさんも似たような理屈で動いているのだろう。故に同族嫌悪のような感情を一方的にラウラさんから一夏くんに送りつけている。

 

しかし、一夏くんのコミニュケーション能力には目を見張るものがある。相手がたとえ今朝自分を殴った相手だろうと感謝しているあたり将来一夏くんは大物になると予感させてくれる。

 

そんなことを考えていたらISの戦闘実演が終わっていたようで、目の前では鈴ちゃんとセシリアさんが墜落、山田先生は無傷でニコニコと笑いながら降りてきた。

 

「さて、それでは専用機持ちが、アーデルハイト、織斑、オルコット、凰、ボーデヴィッヒ、マーキスか……マーキスとボーデヴィッヒ、アーデルハイトと凰は共同でグループの指揮をしろ。他は8人グループに別れ、実習を行う」

 

その後、一夏くんとシャルルくんに他の生徒が群がる予想通りの事態が起きたものの織斑先生の一喝によってグループは綺麗に別れ、実習をスムーズに行う事ができた。

 

私はというと鈴ちゃんの感覚論をフォローしながらみんなをISに乗せていただけなのだが、一夏くんとラウラさんの和解に繋がりうる鍵を見つけたような気分で、とても高揚していた。サッちーの方はラウラさんが無愛想過ぎるのをフォローしながらISに乗せていたのだが、時折セクハラをかましていたため、織斑先生にげんこつを飛ばされていた。

 

そうしてISの実習授業は平和に終わったのでした。




磨美は胸が大きすぎるからスレンダーな子が少しだけ羨ましい。サッちーは巨乳好き。

そんな感じのイメージがあったりします。


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三人部屋での生活

サフィのいろんな面が炸裂する。


「……なんだ、相部屋とはお前のことか」

 

非常に、気まずい。

 

夕食を終え寮の自室に帰ってきたら、ラウラさんがエクストラベッドに荷物を置いて私達を迎えたのだ。

 

今朝の一件があって、私にぶたれたラウラさんは少なからず、私に対して警戒心を持っているはず。というより、持ってなかったら聖人だ。

 

「あー……うん、ボーデヴィッヒさん、今日からよろしく……」

「ああ」

「……」

話が続かない!まったく話が続かないし、雰囲気も相まってギスギスし始めた!

「ラウラっちはもう少しコミニュケーションとろーねー?」

「お前は……確かアメリカの。授業では世話になったな。よくもまぁ、ああやって指導できるものだ。」

見かねたサッちーが耐えきれずにラウラさんに抱きついて話を作ろうとする。

「ラウラっちの場合は無愛想過ぎてみんなが怖がっちゃうんだって。もーすこし、態度を柔らかくしよーねー」

「やめんか……」

ラウラさんの頬をサッちーがつまんで無理やり笑顔を作らせる。サッちーはこうやって絡みに行くときはどんどん絡みに行くからそういう所を見習いたい

「……あ、あのね、ボーデヴィッヒさん」

私も勇気を出したボーデヴィッヒさんに話しかけてみた。

「なんだ、露出狂」

「ろっ、露出狂なのはサッちーが私の制服を破いたせいだし……。それはそれとして、今朝、殴っちゃったことなんだけど……」

「あぁ、あの程度、気にするな。本国で上官に殴られるのと比べたら猫が撫でるようなものだ」

「そ、それでも謝らないといけないなって思って……」

「気にしていないことを謝られても私には知らない事にしかならない」

朝の一件の事をラウラさんは本当に気にしていないようだった。一夏くんに対する何かが、ラウラさんを突き動かしているのかはわからないし、触れたら私にも被害が飛ぶ事がわかりきっているから聞かないでおこう

「それにしても、見事な脱ぎっぷりだったな、露出狂よ。普段から脱ぎ癖が付いているのか?」

「だからあれは事故だってば……」

「確かにあれは事故だったけど、私と磨美りんはいつも寝るとき裸じゃん」

「サッちーはともかく、あれは服を着るのがめんどくさいのと擦れる感覚が好きだからで……」

「ほう、二人は寝るときは裸なのか。奇遇だな。私も裸で寝る事が多い。防御を捨てる分、いざという時に動きやすいからな」

「へぇー……ラウラっちも裸……」

 

サッちーが悪いことを考え始めた。これはきっとラウラさんにナニカスルためなんだろう。だが、私に止める気はない。私も共犯者なのだから。

 

「とりあえず、先にシャワーを浴びてくる」

「あ、いってらっしゃい、ラウラさん」

 

シャワールームにラウラさんが向かったのを確認すると、サッちーもシャワールームに向かう。その瞬間のサッちーの顔はとても愉悦を感じているようだった。

 

「おっ邪魔するよーん!」「なんだ……っ狭いぞ」

サッちーがシャワールームに入る声とラウラさんの少し窮屈そうな声が聞こえた。さあサッちーはどこまでラウラさんを玩具にできるのだろうか

 

 

「身体洗ってあげるからさー!そんな露骨に嫌がんないでよー」

「ええい、触るな!ただでさえ窮屈だというのに!」

「んもー、ラウラっちたら恥ずかしがり屋さんだね」

「恥ずかしがってなどいない!自己防衛のためだ!」

「自己防衛なんて硬いこと言わないで、さーさー、サッちーに任せなさーい」

「貴様っ、どこを触っ……!」

 

 

「やってるやってる……私も加勢しよーっと」

ラウラさんとサッちーの激しい攻防を聞きながら私もその攻防に加勢するために制服を脱ぎ、シャワールームへと向かったのだが、そこからのことはぼんやりとしか覚えていない。

 

ただ、小一時間ほど経っていた事は確かだった。そして、シャワールームでの攻防を経たラウラさんはというと……

 

「ははは……ここまで体の洗い合いが気持ちの良いものだったとはな……ん、すぅ……」

 

私とサッちーの胸に挟まれて、気持ち良さそうに、寝息を立て始めていた。

サッちーはしたり顔で笑っている、私はラウラさんを抱えながら苦笑いをするしかなかった

 

 



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ガンジャンキーデュノア

とある日の放課後。私は一夏くんに付きっ切りで指導をするはずだった。指導内容は銃器の扱い方。二人とも男子だからISのあれこれを教えようとしたのだが、シャルル君が本国から与えられたISはラファール・リヴァイヴのカスタム機で、銃撃戦を最も得意とするタイプのものだった。

 

「……じゃあ一夏、これ、使ってみようか」

 

そう言ってシャルル君は一夏くんにアサルトライフルを手渡しターゲットを指差していた。

 

私はというとシャルル君の的確なアドバイスに説明することを全て奪われてしまってとても付け入る隙がない。なんとも由々しき事態である。

 

私は手に持ったバスターライフルのトリガーを引き、一夏くんとは別に表示されたターゲットにビームを照射、その余波で一夏くんのターゲットを巻き込む形で消しとばしていた。

 

「……っ、あ、アーデルハイトさん?」

「ごめん、出力間違えちゃった」

「じゃあ次は気をつけてね?絶対だよ?」

「うん」

 

シャルル君に注意されて、私はバスターライフルを収納する。しかし妙なイラつきが先ほどからずっと私を覆っている。

 

このままだと一夏くんをシャルル君に奪われそうだ。頭の中ではそれを考えることでいっぱいだった。男同士なら奪われることもないと最初は安心していたが、いざ目の当たりにすると一夏くんとシャルル君はいいパートナーのようで、私の居場所をはじき出された気がしてならなかった。

 

一夏くんがアサルトライフルを撃っているのを眺めながら私はアリーナを飛び回っていたらサッちーが近寄ってきて隣についてきた

 

「らしくないじゃん。磨美りんが織斑君から離れるなんて」

「なんか、シャルル君に全部持ってかれちゃった感があってね。ムカムカするの」

「ふーん……つまり妬いてるんだ。」

サッちーは仰向けになって飛行しながら、そう言った

「妬いてる……?そんな馬鹿な話あるわけ……」

「……シャルル君に全部持ってかれそうで、それが嫌なんでしょ?つまり、シャルル君に対して自分の仕事を奪わないでと。自分を居場所から追い出さないでという感じでしょ。」

「まぁ、そうかもね。……シャルル君、私よりわかりやすい説明をするから、羨ましくて。」

「じゃあシャルル君には出来ないことを磨美りんがやればいいだけの話だよ」

「……うん」

 

そう言ってサッちーは私と共にのんびりとした飛行を楽しみはじめた

 

「ところでさ、磨美りん。あれラウラさんよね」

「うん?」

 

のんびりとした飛行をして5分ぐらい経った頃、サッちーに指差さす方向を見ればラウラさんがISを展開し、左肩に装備された実弾砲を一夏くんにむけていた

 

「ちょ……!」

 

私は急いで急降下して一夏くんとラウラさんの間に割り込み、左肩の実弾砲の射線を切った

 

「む、アーデルハイト。そこをどいてくれ。射線が確保できない」

「ごめん、ルームメイトでもその行動は看過できない。ラウラさんは一夏くんに何の因縁があって敵意を向けるの」

 

「……お前が知るようなことではないさ。いいからどいてくれ、でないとお前ごと撃つぞ。アーデルハイト」

「退かない。理由の分からない敵意を一夏くんに向けるわけにはいかないから」

「チッ……ならばお前ごと撃つ。退かなかった貴様の責任だ。悪く思うなよ」

 

左肩の実弾砲が火を噴く。私はそれをバスターライフルで迎撃し、放たれた砲弾を圧倒的な熱量で溶かす。

 

「ほう、素晴らしい火力だな。祖国で埃をかぶっているドーラを思い出す」

「このバスターライフルはドーラの火力を再現するために作られたものだからね。……今は引いてラウラさん」

「……ふむ。仕方あるまい。織斑一夏。貴様には何度でも戦いを仕掛けてやる。貴様が戦いを受け入れなければ、私はあらゆる手段を用いて貴様を戦わせるまでだ。覚えておけ」

 

ラウラさんは一夏くんにそう宣言した後、サッちーにつままれてアリーナを退場していった。

 

「大丈夫?一夏くん」

「あぁ、磨美が話をつけてくれたおかげで何とかなったよ。悪いな」

 

なんだか久しぶりに一夏くんと話す気がする。三人部屋でごちゃごちゃ騒ぎまくって時間感覚が狂ってしまったのだろうか。

 

久しぶりに聞いたような気がする一夏くんの声はやっぱり私にとって癒しであった。くすんだガラスが磨かれるように、私を覆っていたイライラが消え去っていくのがわかった。

 

「ううん、気にしないで。ラウラさんはたぶん気難しいだけだから」

「気難しいだけ、か。そうだといいな。ところでさ……さっきからシャルルの様子が変なんだが……」

「え?」

 

一夏くんがシャルル君を見るのに合わせて私もシャルル君を見ると、彼は目を輝かせて私のバスターライフルを見ていた

 

「ねぇ、アーデルハイトさん、そのバスターライフル、さっきドーラ砲の再現って言っていたけど本当?」

「あー、うん、二挺を横に合わせた状態で発射すればドーラ砲の火力の80%は再現できるよ?」

「ほんと!?ねえ、触らせてもらっていいかな!分解していいかな!このサイズにドーラを縮こめるこの超技術!すごいよイタリアは!」

「だーめ!分解して使えなくなったらどうするの!」

「弁償するよ!デュノア社負担で!」

バスターライフルがどうやらシャルル君のロマンに触れてしまったらしく、その後数分間、彼はマシンガントークを続けて私たちを呆れさせた。どうやら彼にとって、ドーラのような超火力はロマンの塊らしく、思わず語りたくなってしまう代物のようだ。マシンガントークの最中、銃火器に頬ずりをする彼の姿はどことなくかわいらしく思えた。




後半のシャルルの豹変。

彼の目はシイタケのように十字の輝きを放っていた。


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Amore traboccante 1

リハビリがてらの前後編。クソ文章でごめんね。


 IS学園での生活もすっかり慣れ、サフィやラウラさんと武器談義に花を咲かせていた祝日の昼間に私を待っていたのは織斑先生による呼び出しだった

 

 なにか私がやらかしただろうか、もしかして保健室で一夏くんにサービスをしたのがバレたのか、とにかく心当たりがあるが故に私は挙動不審にならざるを得なかった

 

「アーデルハイト」

「は、はいっ…!」

「お前の専用機を開発した部門から連絡があった。どうやらお前の専用機の運用データに不可解な点があり話を聞きたいということだったのだが─────」

 普通、運用データは秘匿回線でIS学園のサーバーを経由して本国に送る。IS学園のサーバーには秘匿回線で送られたデータには厳重なプロテクトと一定時間ごとにデータファイルを削除する機能がついているため電子攻撃に怯える必要はないとは山田先生の弁。ぶっちゃけこの前の無人機の一件でその言葉は怪しいものとなっているがそれはまた別の話だ。

「本国から出向できるものが一人もおらず、また多角的な面で運用データを調べるためにもアーデルハイト本人に本国へと出向させて欲しいということだった」

 

「え…なんでわざわざ今行かなきゃならないんですか…出向できるようにあちらが合わせればいいのに」

「それについてはおまえが発注した装備品の受け渡し及びテストも兼ねる、ということだったのだが?」

 …忘れていた。入学間近の時期に私が長物の武器が欲しいと言って投資していた。そして一夏くんにはお金がない理由としてそれを話していた事も思い出した。

 だがそれでもまだ私が本国に行く理由にはならない、私が嫌だと言おうとするよりも先に織斑先生が口を開いた

「発注した本人も完成したらすぐに触らせろと言っていたと聞いたぞ」

 本国で発注した時にしていた、今となっては完全に忘れていた発言。新しい武器が完成する度にすぐに触らせろと。IS学園から私が出向してもいいとも私は言ったことを思い出した。まさに墓穴を掘るとはこのこと。

「うぅ…はい…それらの話は事実でございます…本国への出向のために長期外出及び外泊許可証の発行をお願いします」

「そうか。次似たような事例が起きた場合はどうするつもりだ」

「意地でも出向させます」

 しばしの沈黙、織斑先生は頭を抱えたあとため息をついた。

「…とりあえず要求の物は発行しておこう。さっさと仕度をしてさっさと出向してさっさと帰ってこい。怪我はするなよ」

「ありがとうございます!」

 ゴリ押しに近いが、なんとか許可は下りた。当たり前だがもう次はないだろう。そう肝に銘じながら私は織斑先生のいる職員室を後にした。

 大急ぎで自室に向かっている途中、私を見つけたのかサっちーが駆け足で近寄ってきた

 

「磨美りーん、そんなに急いでどこいくのぉ?」

「ちょっと本国に出向しにね、しばらくラウラさんのこと任せるねー」

「磨美りんも大変だねぇ。本国に出向だなんて…」

 サっちーは私に密着し、その手をゆっくりとわたしの胸や尻に這わせてくる。はっきり言うと邪魔だがもうサっちーはそういうものだと私は割り切ることにした。

「ま、帰ってきたら色々驚かせてあげるよ。イタリアの超技術の集大成とも言える私のISのための装備の受領だから」

「へぇ…それはそうと、磨美りん。織斑くんにそのこと話さなくていいの?」

一夏くんのことを出されたら私も思わず反応せざるを得なかった。割り切っていたつもりだったが密着して痴漢じみた行為を働くサっちーにはそろそろ私からも灸を据えなければならないと痛感した

「今から話にいくのー!いいかげんサっちーは離れてちょーだい!」

 

私はサっちーを巴投げの要領でぶん回して振りほどいた後、一夏くんの元へと向かった。そのぶん回されたサっちーが、日本の代表候補生と激突したのを知るのは帰国した後になる

 

───────────────────────────────────

 

「一夏くん、いるー?」

 

一夏くんのいるであろう部屋の扉にノック。そうすれば一夏くんが出迎えてくれる───

 

「あ、アーデルハイトさん。こんにちは」

シャルルくんが出迎えてくれた。一夏くんではないのが残念だが、ここは仕方ない

「シャルルくん、一夏くんはいる?あとちょっと2人で話しがしたいから席を外してくれたら嬉しいんだけど…」

 

ちょっとだけ意地悪をしたくなりシャルルくんを一夏くんから引き離そうと席を外してほしいと言う。シャルルくんに対する嫉妬の感情は消えたわけでもないし、今の私なら好きか嫌いかで問われたら嫌いな方と答えてしまうだろう

「あぁ、うん、ちょっと待っててね。一夏、アーデルハイトさんがお話ししたいって。僕はちょっと図書室に行ってくるからね」

そう言ってシャルルくんは部屋の扉を開けたまま図書室に向かっていった

 

「あ…一夏くん」

「ん、どうしたんだ磨美。何かあったのか?」

「えーと、ね。ちょっと明日から私、イタリアにISの装備品を受け取りに行くんだけど…その間の授業とかで、課題が出たら一夏くんのノート見せてもらってもいい?」

「んぁ、まぁいいけど…サフィさんとか箒はダメだったのか?」

「サっちーはちょっと頼み事をしたら報酬を求めてくるし、箒ちゃんはその、ノートがぎっしり書き詰められてて読み辛いから…」

「あぁ…まぁ箒のノートは読み辛いよな、余白がないし」

「うん、そういうことだから何かあったら一夏くんのノートを見せてくれる?」

「あぁ、そういうことならいくらでも見せてやるよ。それにしてもイタリアまでわざわざ取りに行かなきゃいけないなんて代表候補生は大変なんだな…」

「大変、というか私の場合は本国の研究者たちに早く来いって急かされてるだけなんだけどね…」

 

頬を指先で掻きながら、私は一夏くんと話をした。普段は気軽に話しかけているのに、意識をするとどうしてもボソボソとしか喋れなくなってしまう。

 

ちょうど戻ってきたシャルルくんと入れ違いになるような形で私は部屋を後にした。ああ、一夏くんと話をしたはずなのにその内容が頭に残ってない。残っているのは心臓の高鳴りと、心を埋め尽くして溢れてしまいそうな一夏くんへの愛だった




(磨美とサフィの膨乳調教ヴァーチャル体験とかいう自己満メモを書くぐらいならこっち書けって話ですよほんと。)


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Amore traboccante 2

感想、お待ちしております


「む、無駄話しかなかった…」

 

イタリアでの装備の受領後私は個人用飛行機の中でぐったりとうなだれていた。

新装備は間違いなく最高の出来なのだが、それを作る連中が気が狂ったかのように頼んでもいない新しい装備のテストとそれに関する無駄話しかしていないのだ。

せっかく家族に顔を見せようと思ったのに、それもできないままIS学園へ直行する高速チャーター機に乗る羽目になってしまった。家族に会わせてあげようという心遣いや土産を買わせるための余裕を作る時間を与える気はあの技術者共にはないと見るしかない。

 

「…まぁ、すっごいの作ったし情熱は認めるかなぁ…」

無駄話は確かに多かった。だが要望したものは私に合うように設計されていたし、ちゃんと彼らは仕事をこなしてはいたのだからそれには感謝しなくてはいけない。

「…つかれた…寝よう」

私はそのままIS学園まで一眠りすることにした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

夢を見た。

私の周りが焦土と瓦礫の山になっている夢。まさに地獄の具現とも呼べるような光景。

私は赤い衣服を纏い、黄金の盃を持った美しい女性に抱かれ、そして七つの首を持つ竜の背に乗せられてその光景を見つめることしか出来なかったが、目の前で繰り広げられる破壊の光景にうっとりとしていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

時刻は日本時間午後八時、私はようやくIS学園に帰投した。

寮舎で織斑先生に頭を下げ、そのまま自室に向かっている途中で一夏くんと鉢合わせた。

「あ、一夏くん…」

「おかえり、磨美」

一夏くんに名前を呼ばれるだけで、イタリアにいた間、ずっと感じていた妙な虚しさが消え去り、そしてただ愛おしい気持ちが湧き上がる。ああ、許されるなら今すぐここで一夏くんを抱きしめたい。許されなくても一夏くんを抱きしめたい。もう、抑えきれない。

「一夏くん、ちょっとだけ、私のワガママに付き合って」

私はそう言うと、一夏くんの返事を待たずにその体に抱きついた。筋肉質なその体は抱きしめているだけで私の心を満たしていく。髪を撫でればシャワーでも浴びていたのか、少し湿り気を感じた。

「ちょ…磨美…苦しい」

「ごめんね、一夏くん。イタリアにいた間ずっと寂しかったから…」

一夏くんが苦しいと言えば私はすぐに離れ、そのまま人差し指を口元に持ってきて、内緒にしてね、とジェスチャーをし、そのまま自室に向かった

ああ、やっぱりイタリアよりIS学園(ㅤこㅤこㅤ)に居る方が私は充実している。そう思いながら自室のドアを開けると

 

「さー、ラウラちゃん、今日も楽しみましょうね〜」

「やめろ!これ以上私の純潔を汚さないでくれ!教官に言うぞ!」

「教官にありのままのことを言えるのかなー?磨美りんがいなくて寂しいからって私に抱かれてまんざらでもない顔してたくせに〜」

 

自室では、悪夢のような光景が広がっていた

ゴミで散らかった部屋、乱雑に置かれた教科書、乱れたベッド、その上にサっちーとラウラさんが激しい攻防を繰り広げていた。

「二人とも…」

私はボストンバッグを投げて帰ってきたことを告げながら二人の頭を掴み、そのままベッドに押し付ける。たった1日、私がいないだけで何故こうも散らかるのか。そして何故サっちーは裸でラウラさんに組みついているのか。

「私がいない間、随分好き勝手したみたいだね…」

「あっ…磨美りん…アハ、アハハハハ…」

「離してくれ、アーデルハイト!私はこの変態の被害者だ!」

サっちーは乾いた笑いを浮かべ、ラウラさんはじたばたとしながら私の腕から逃げようとしていた。

「今すぐ、この散らかった部屋を片付けなさーい!」

 

どうやら、私の周りには変人しか集まらないらしい。今回の本国への出向の結果一夏くんが私の唯一の癒しだと言うことを再認識した




新装備のお披露目はもうちょっと後なんじゃ。

あとサっちーとラウラにキレるシーンは脳内でEXCITEを流しながらお楽しみください


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空っぽの仔ウサギ

すこし修正したのと改めて物書きとしてこの話を完結させたいので再投稿


「さー、一夏くん、今日も特訓特訓特訓だよー」

「わかったから磨美…少し離れてくれ…」

織斑一夏は幼馴染兼友人であるイタリアの代表候補生、磨美・アーデルハイトに頭を抱えていた。

先日のイタリアへのたった1日の出向の後からずっと彼から離れようとしないアーデルハイトは一夏の特訓に久々に付き合えることを喜んでいるのか、先程から上機嫌である。一夏の腕に抱きつきながら磨美はちゃっかり胸に触らせて、「一夏くんのエッチ」と言ってからかっていた。その瞬間、一夏とシャルルが固まったが周りは大して気にしていない。

 

それを後ろで呆れ顔で見るのは同じく幼馴染である篠ノ之箒とアーデルハイトの友人であるサフィ・マーキスだった。

箒はアーデルハイトが一夏にベッタリ貼り付いている状態をあまりよく思っていないが自身も幼馴染なのだからあのように一夏にべったりと貼りつくのも悪くないのかもしれない、と雑念を浮かべていた。その雑念をサフィは感じ取ったのか、箒の肩を持ち、変なこと考えていたでしょ、と彼女をおちょくっていた。

シャルル・デュノアはそれらを一歩引いた場所で見ていたが、周りの慌ただしい様子に違和感を感じていた。

 

「今日は何の特訓をしようか、一夏くん。近接戦?射撃戦?回避運動のれん『ドゴォン!』…今の音は…鈴ちゃんかラウラさんかな」

騒がしくしていた五人は砲撃の音に反応して、アリーナへと向かう。以前サフィが鈴とやりあう前に偵察に使っていたグラウンドに降りれる観客席へ向かいグラウンドの様子を確認しようとするが土煙でよく見えない、だがその煙を切り裂いて、3機のISが1vs2の試合を繰り広げていた。数的不利を押し退けて黒いISが二機のISを翻弄する様に呆気に取られている人がちらほらといる。

 

「ちょ…ラウラさん!?」

磨美は慌てながらISを部分展開し試合をしている黒いラウラのISに回線を繋ごうと試みるもあちらから拒否しているのか繋がらない。

「多分無理だよ。あの子織斑に戦線布告してるんだと思う」

サフィが椅子に腰掛けながら頬杖をつき、一夏を指差しながらそう言い、そしてラウラの顔を見ろと言う。

その顔は笑っていた。暴力を楽しんでいた。ラウラと相対する鈴とセシリアの攻撃を受けてもそれがどうしたと言わんばかりに掌底を突き出して見えない壁で受け止め、砲撃を食らわせる。たった今鈴の衝撃砲が破壊された。

「ならなおさら止めないと!」

シャルルがグラウンドに降りれば彼専用のISを身に纏い、三人の間に入り込もうとする。一夏もそれに続くようにISを展開して、ラウラへ突っ込んでいく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「サっちー、何か知ってるでしょ」

「さぁ、何のことかなー」

アタシに向けられた親友の質問を適当にはぐらかし、私はグラウンドの戦闘を見つめていた。ラウラが行なっている、暴虐に等しい戦闘スタイルを観察し続ける。

磨美りんがイタリアに行っている間に、ラウラさんに織斑一夏と戦う為にどうすれば良いかと相談を受けた、それに私は織斑一夏に近しい人と盛大にやりあえば彼は見てくれるんじゃないかな、とだけ答えた。

まさかそれを実行に移してしまうとはどれほど単細胞なのだろう。下手をすれば織斑一夏の方が賢いまである。

私の中でラウラさんはもはや利用のしがいがある存在であり、何の疑いもなく私の言うことをすんなりと受け入れてしまう忠犬のような存在だ。可愛がれば可愛がるほど私に対して信頼の感情を向けていく。

だが、それではつまらない。彼女には何もない。強いて言うなら傾倒する存在である織斑千冬に対する狂信しかない、かわいそうな存在だ。

「サっちー、もしかしてラウラさんを焚きつけた?」

嗅覚の鋭い親友だ。私が何をしてもすぐに嗅ぎつけるその能力は一種の才能だろう。ワタシのした事が露呈して嫌われる前に私もあの可哀想な子ウサギを止めに行こう。

「あの子に焚きつけたとしても、行動を起こしたのはあの子の勝手だから私を責めないでよね、まーみりんっ」

「…っまったく!」

ISを展開してラウラさんの元に飛び立つ。掌底を突き出している彼女に飛びかかることなど容易である。しかし派手にやったものだ、イギリスと中国の代表候補生をぼこぼこにするだけならともかく、武装を破壊して生命危険領域にまで追い込むとなると流石に唆した私も気分が悪い。

「はーい、ラウラさん、そこまで」

「サフィか、邪魔をする気か?邪魔をするならお前も…」

「織斑くんの気を引くことが目的なら、それはもう達成済みだと思うんだけど?現に彼はあなたに刃を向けたし」

「気を引くだけではない。奴を叩き潰す。」

「それをするにはまだ早いと思うけどなー。ほら、近々学年別トーナメントもあるし…いろんな人が集まる公の場で勝てば自分をアピールできて一石二鳥じゃない?織斑くんもさ、こんな私闘で自分の友達を傷つけたくないでしょ?」

「まぁ…そうだな、やるなら正々堂々、真っ正面からぶつかりたいし」

「ラウラさんはどう思うのよ?」

「余計な真似をするなと言いたいが…お前の言うことも確かに間違っていない」

そう言うとラウラさんは織斑くんから離れ、そのままカタパルトへと戻っていった。

「ふぅ…狂信者の相手は疲れるわー…」

私は本音を漏らしながらグラウンドの端でシャルルくんに守られている二人を医務室に運ぶお手伝いをすることにした。



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行き場のない熱情

リハビリ兼磨美と一夏の絡み。




怒られそう


ラウラさんがセシリアさんと鈴ちゃんを完膚なきまでに叩きのめしてから数日、当然この行動は職員会議に挙げられたらしく、専用機持ち達は一切の私闘、訓練をトーナメントの終了まで禁止されてしまった。

 

私闘ができないのはともかく訓練すらできないのは私にとって一夏くんと一緒にいる時間の減少に繋がっていた。それは私にとってご飯をお預けされた状態で目の前でステーキを食べる様を見せつけられているようなもの。

座学は教えてあげられるが、その時間も微々たるもの。…私の胸に目がいってシャルルくんが困ってしまうらしい。生まれて初めて私は自分の発育の良さを恨んだ。

今日、一夏くんの座学を教えてるのはシャルルくん。デュノア社の御曹司なだけあってその知識量は誰にも引けを取らない。何より男同士だから遠慮がいらないんだろう。

 

私は空いてしまった時間でショッピングモールに出向き、"女の子らしく"服を見繕っていた。

 

サっちーにはラウラさんが余計なことをしないようにお目付け役になってもらった。つまり今私は1人で買い物をしている。お一人様ですが何か?

 

「……あー、学年別トーナメントが終わったらもうすぐ臨海学校…」

 

ショッピングモールに特設された水着売り場を見て、夏の臨海学校の存在を思い出す。

ビキニ、競泳水着、ワンピース型、パレオ…いろんな水着が陳列されているのを見つめているだけで時間を潰せる。そうしてると店員と思しき人が話しかけてきた

「何かお探しですか?」

「いえ、ただ臨海学校が近いので水着を見ていただけです…」

「臨海学校…その制服からするとIS学園の臨海学校ですか!いいですねぇ、同級生たちとお洒落な水着見せあったり…」

 

同級生に水着を見せあう。それはきっと楽しいことなのだろう。セシリアさんならどんな水着を着てくるんだろう。鈴ちゃんなら遊ぶものとかたくさん持ち込みそう、水着より水鉄砲を選んでいたりするかもしれない

一夏くんは───────

 

「…あ」

その時、私の中に住まう淫魔が邪な考えを私に耳打ちした。一夏くんを呼び出して、自分の水着姿を見せつけてやれば…

 

普段のISスーツ以上の露出を一夏くんの目に焼き付けさせる。一歩間違えればそれは痴女だが私の中で渦巻く寂しさを埋めるのには手っ取り早い。

「……店員さん、自慢じゃないんですが、私ってかなり胸大きいんですよね」

「えぇ…その着衣の上からでもわかる膨らみでなんとなくそうは思っていましたが…?」

「…誰もの目を釘付けにできるぐらい、大胆で、それでいて脱ぎやすい水着はありますか」

「え、えぇ…なくはないですがお客様のサイズに合うか…おそらくキツくなってしまいますよ?」

「…大丈夫です」

それを聞いた店員さんは小走りでその商品を私に見せ、そして私はその場の勢いに任せるがまま、その危険なほどに大胆な水着を購入した。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ただいまー。お菓子買ってきたよー」

「…助かる」「おかえり、磨美りん」

 

寮に戻り、相部屋の2人にお土産兼買収のためのお菓子を出す。

 

「サっちー、ラウラさん、このお菓子に免じてちょっと頼みごとがあるんだけど…」

「珍しいな、お前が頼みごととは…」

「磨美りんのことだし、織斑一夏のことでしょ」

私のことをよーく知っているサっちーは私が一夏くんのことを考えているのなんかお見通しなんだろう。だが、私が何をするかまでは見抜けていないと信じたい

「それなら私も黙っておれんな、何をすればいい。サフィ、お前も手伝うのだ。異論は認めん」

「はいはい、ラウラ様に従いますよっと」

一夏くん絡みと察したラウラさんは強引にサっちーを協力させる。この子がいればサっちーは扱いやすい。例えるならお互いの首にリードをつけ、引っ張りあっているような関係だろう。

 

「2人には一夏くんが1人になるように、箒ちゃんとシャルルくんを引き離して欲しいの」

 

もう歯止めが効かない。だが私の行き場を失った感情…もといストレスは今からなされる行動で発散されるのだろう

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…シャルのやつ、ボーデヴィッヒのやつに引き止められてたけど何話してるかわからねぇし先に戻るか…」

 

シャルがボーデヴィッヒに引き止められて何かを話している、箒のところに行こうと思ったけど、箒は箒でサフィさんにお風呂に誘われている…仕方なく俺は自分の部屋に戻ることにした、その矢先

 

「あっ、一夏くん」

 

たまたまバスローブ姿の磨美とエンカウントした。…改めてバスローブ姿の磨美を見てその胸の大きさに生唾を飲み込んだのはここだけの話だ。

 

「おっ、磨美、ちょうどよかった、すこし話し相手になってくれるか?」

「いいよ一夏くん…せっかくだし一夏くんの部屋で話そっか…。見てもらいたいものもあるし」

部屋の扉を開いて磨美を招き入れようとしたがすこし散らかったベッドを整理するために扉の前ですこし待たせることになってしまった

「わりぃわりぃ、ちょっとベッドの上が散らかってたからきれいにしてきた…」

そして磨美を招き入れるために、扉を開ける。そして部屋の中に招き入れると

 

ガチャン!

 

扉の鍵が閉まる音がした。

「へ…?」

思わず素っ頓狂な声が出てしまった。磨美はこちらを見たままニマニマと笑っている…がその目はどこか、男の俺でさえ危機感を感じるものだった

 

「ごめんね一夏くん…シャルルくんと箒ちゃんがここに入ってこれないように鍵、かけちゃった」

そう言いながら磨美はバスローブの紐を解き始める…思わず俺は顔を背けてしまった

「私を見て!」

磨美の滅多に聞けない大声。それに思わず従ってしまった俺が見たのは

「ま、磨美…そ、その格好…」

紐とも呼べる水着を身体に食い込ませながらこちらに近寄ってくる磨美の姿だった。

「んふふっ…一夏くん…一夏くん…私をもっと見て…!」

 

そこから先のことは一応思い出すことはできる。だけどお互い恥ずかし過ぎてお互い合意の元黒歴史ということにした。磨美はただ勢いに任せていたらしい

 

 

ただ一つ言えることは…いろんなことがあったとはいえ、磨美を放ったらかしにし過ぎた俺が悪かった気がする。




R指定版、需要ある…?


【挿絵表示】


追記 まぁイメージの一助にしたってください


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熱情の代償

学年別トーナメント、磨美とサフィを組ませますが戦わせる気はないと先に宣言しておきます


私による一夏くんへの夜這いから一夜明け、私は顔を真っ赤にしながら昨晩のことを全力で後悔していた。

間違いなく変態って思われただろう。一夏くんが私を見る目が一気に変わってしまったに違いない。今日顔を合わせたけれど一夏くんは顔を合わさずに話をするぐらいしかしてくれなかった。とんでもないミスをやってしまった。

 

そして上の空で1日を過ごしていたら「困ったら私がもらってあげるから」と言われた。今の心境ならサっちーに貰われるのもアリかもしれないと考えてしまうほどには私は凹んでいた。自業自得とはいえ凹む時は凹むしかない。

 

「そういえば磨美りん…学年別トーナメントのチームどうするのさ。織斑はシャルル君と組むらしいけど磨美りんまだ誰とも決まってないよね」

「…もう誰とでもいいかなってー…サっちー組んでー…」

「織斑に何か言われたのか知らないけどさぁ…もうちょっとなんか考えて口に出しなよ…。別に組んであげるけどさぁ」

「なんにも言われてないよー…なあんにも…」

「というかさ、織斑に何しにいったのさ。わざわざいつもは着ないバスローブなんかに着替えて。夜這いでもしにいったの?」

「……!」

思わず身体が固まる。身体だけじゃない。思考も固まる。たぶんサっちーは冗談めかして言ってるんだろうけど、私のしたことを的確に言い当てるのは恐ろしさすら感じる。

「え、マジで夜這いしたの…?」

私の反応を見てサっちーも目を見開き、困惑した顔でこっちを見ながら小声で話しかけてきた。

 

「磨美りん、夜這いしたの…?」

コクコク。首を縦に振る。

「…まさかそれで織斑から変なこと思われてないかって思ってんの…?」

コクコク。首肯という返事要らずのジェスチャーを生み出した人は天才だ。

 

「……あのね磨美りん…ここだけの話だけどさ。磨美りんは隠せてると思ってるか知らないけど、…磨美りんがドスケベなの、織斑はしっかり認知してると思うよ。…保健室で」

突然のキラーワード、「保健室」を聞いてブフゥっと思わず咳き込んでしまい、周りを見た後人気の少ない廊下へと移動しながら会話を続けることにした。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってサっちー!?なんでサっちーがそのこと知ってるの!?」

あれは私と一夏くんだけの秘密だったはずだ。なぜサっちーがそれを知ってるのか、問い詰めなければならない。

「なんでって…くぐもってたけど声、したし。たまたま通りかかったらそんな声がするもんだから少し覗いたよ」

「へ…」

 

 

ボフン。私の顔面が真っ赤に染まる。恥を知れ俗物と脳内で轟き叫ぶ。

 

私は頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。よりにもよって一番知られてはいけない人物に知られてしまったのだから。

 

「まー私が言いたいのはね…磨美りんが襲ったぐらい織斑は受け入れてくれると思うよ。そりゃ織斑も男だし思い出しちゃうからまともに話せなくなるかもだけどさ」

 

その言葉を聞いて、保健室でのことを思い出した。あの時一夏くんは私の身体を触る前に私が本当にいいのかと、何度も聞いてきた。一夏くんは私のことを考えに考えて、私のことを気にかけてくれていた。

昨日の晩のことを思い出すと、私に大丈夫かと言ってくれていた。あの時の私は最早本能に突き動かされていたケダモノだったが、ケダモノの私を落ち着かせようと一夏くんはしてくれていた

 

「仮に今後磨美りんがまた夜這いしたとして…」

「サっちー、もうわかった、もうわかったからもうこの話は止めにしてください…」

「えー?…まぁいいけどさぁ。…話戻すけど、学年別トーナメントの相方、本当に私でいいんだね、磨美りん」

「うん。…とりあえずサっちー…保健室のことはホント秘密にしてね。でないと私の命も危ないから」

 

万が一保健室での事を箒ちゃんや鈴ちゃん、セシリアさんに知られたら一夏くん共々命の保証はない。良くてミンチ、最悪遺灰になってしまうだろう。

 

「別にいいけどさ。…まぁ磨美りんが織斑を本気で射止めに行くならさ…私も磨美りんが織斑好みの女になれるように手伝ってあげるからさ♡」

「ひゃうんっ!?」

ヘラヘラ笑いながら私の後ろに回ったサっちー、そこから伸びた手は私の胸をしっかり手に収めていた。

「その分、口止め料は貰うからね…磨美りん♡」

「も、もう…!!ふざけすぎないでよ…?」

 

…やっぱり、一番知られてはいけない人物に私の秘密を知られてしまったのかも知れない。胸を揉まれている私は口止め料が安く済む事を祈るしかない。





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磨美とサフィのイラストでも載っけておきましょう。巨乳百合好き



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そしてこちらには約半年かけて何度もボツを生み出しながら作り上げた磨美のIS、ネーブ・テンペスタを貼っておきます


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学年別トーナメント-観戦-

ふと気になったんですけど、うちの磨美にみんなは何求めてるかな。感想で聞きたいわ


IS学園アリーナ、ロッカールームは今日、いつも以上の喧騒に包まれていた。

学年別トーナメントの開幕でか着替える生徒たちがそこかしこで話し合いやイメージトレーニングに励んでいる。

 

「…わっ、見て見て…サフィさんとアーデルハイトさん…すごい大きい…」

「ほんとだ…まるでスイカ…」 

私たちの着替えを見た生徒たちが小声で話してるのが聞こえて恥ずかしい。確かに大きいし、スイカとか言われるのはいいのだが、それを聞いてしまうとどうにもモジモジとしてしまう。

「へー、そこのお二人さん、何が大きくて、何がスイカなのかな…よかったらシャワールームで語り明かさない…?」

「さ、サフィさん…、ち、近いです…!」

「ほわぁぁぁ…‼︎大迫力…どうやったらこんなに育つのか教えてぇぇ…‼︎」

 

サっちーはいつもどおり女の子に絡みに行っている。口振りはナンパに近いが、その距離は密着と言っていい。小声で私たちの胸を話していた生徒たちを自分の胸に埋めながらニマニマと笑っているが、サっちーには恥じらいというものがないのだろうか。

 

「ねね、アーデルハイトさん…普段別のクラスで話せないから聞きたいんだけど、いつぐらいからそんなに大きくなったの」

他所のクラスの子に話しかけられてもその話題は大概胸である。私は箒ちゃんのようにコンプレックスに感じてるわけでないが、それでも聞かれると疎ましく感じてしまう

「もう…あんまり人にそういうの聞くもんじゃないよ…?中3の夏ぐらいに胸だけ太った感じだけどさ…」

「食べたものが全部胸にいっちゃった感じかー…」

「…今も大きくなってるからね…?」

「え゛っ…⁉︎」

私のカミングアウトに別クラスの生徒は思わず顔を引きつらせる。ただ大きくなったのは事実であり、止まらない成長で制服のボタンを留められなくなったりしている。

 

「おーい、シャルルくんと織斑くんたちの試合始まるよー」

 

モニター前にいた生徒の呼びかけに他の生徒たちもぞろぞろとモニター前に集まっていく。

 

学年別トーナメントの様子はアリーナ各所に配置されたカメラとドローンで中継される。その様子は下手なスポーツ番組のカメラ切り替えよりも迫力があり、ドローンが攻撃に巻き込まれて撃墜されることもある。

 

「さて、一夏くんの相手は…」

 

トーナメント表を見ながら一夏くんの相手を見ると、よりにもよって箒ちゃんとラウラさんの二人組であった。あまりにも出来すぎた対戦カードに私は思わず眉を潜め、頭を押さえてしまった

「うわー、ラウラさんと初戦でかち合うなんて織斑は運がいいんだか悪いんだか」

両腕に生徒を抱えたサっちーが苦笑いしながらぼやく。実際サっちーの言う通り、運がいいのか悪いのかわからない。一夏くんはラウラさんに意趣返しができるかもしれないし、ラウラさんは一夏くんを叩きのめすことができるかもしれない。

「始まった…」

開幕の白式の瞬時加速。近接武装しかない一夏くんは突撃、撹乱することでしか有利にはなれないだろう。だがラウラさんが手をかざせば、一夏くんと白式の動きは強制的に止められる。

動きを止められた一夏くんに対してラウラさんのISの砲口が向けられるが、一夏くんの後ろから飛び出してきたデュノアくんのマシンガンの斉射を受けたラウラさんは飛び退いていく。

その様を見ていたサっちーが両脇に女の子を抱えたまま何か気がついたかのように話し始めた

「…ふうん、ラウラさんの使ってるよくわかんない動きを止めるやつ、アレ意識外のものには対応できないんだ…」

「…箒ちゃん狙いの流れ弾を利用すればダメージの蓄積はできそう?サっちー」

「いや、無理ゲー。いくら意識外でも相手がそれを狙っているって気づかれた時点で対応されるし、そもそも私たちの武器じゃ流れ弾を装えない」

「そっか…じゃあ先に箒ちゃんを倒して数の利を作らないと難しいかな」

「織斑とデュノアもそのつもりっぽいよ?」

その言葉を聞いて私はモニターに目を戻すと、デュノアくんが箒ちゃんを、一夏くんがラウラさんを個別に分担して対応しており、一夏くんは時間稼ぎ、デュノアくんは箒ちゃんを片付けようと一方的な攻撃を加えていた。

「あー、篠ノ之さんもう無理だわ、もう攻め込めない」

「あそこまで銃撃を受けたらまぁ…シールドエネルギーがなくなっても無理ないよね」

そう言った直後に、箒ちゃんの打鉄から煙が吹き上がり、動きが鈍くなる。シールドエネルギーが枯渇した箒ちゃんの打鉄は戦闘能力を失い、ただの置き物と化した。

そして一夏くんはラウラさんの攻撃を受けて吹き飛ばされてはいたものの、デュノアくんと合流、体勢を立て直し、手に持った武器からエネルギーの刃を展開する

 

「零落白夜!きた!」

「織斑は決めに行くつもりだね、数の利もあるから行けるかも…!」

 

ラウラさんは二人の迎撃のためにワイヤーブレードを射出するもデュノアくんの正確な射撃で狙いを逸らされ一夏くんが距離を詰める

その一夏くんの動きを止めようと手をかざすラウラさん、しかしそれは一夏くんに意識を向けなければ使えない代物。意識外の存在となったデュノアくんがそれを見逃すはずもなく、ラウラさんの主武装であるレールカノンを狙い撃ち、爆砕する。

その隙を突いて一夏くんがラウラさんの懐に潜り込み雪片を振り下ろす──

しかし、雪片から展開されていたエネルギーの刃…零落白夜はエネルギー切れを示すように消えていく。ラウラさんは空振りに終わったその隙をワイヤーブレードで攻撃しようとするも、割って入ったデュノアくんに阻まれ、届かない

 

そこから先はデュノアくんの独壇場だった。

 

ライフルを放り投げ、サブマシンガンを撃ちながら「瞬時加速」による急接近。予想外の攻撃にラウラさんは再び手を翳そうとする。

しかしそれを阻む撃鉄。デュノアくんが放り投げたライフルを一夏くんが受け取り、完全なマニュアル操作でラウラさんに命中させたのだ。

そして一夏くんに代わって懐に潜り込んだデュノアくんのラファール・リヴァイヴカスタム。その腕にはパイルバンカーが装着されていた

 

『盾殺し』(シールドピアース)!!決まった!!」

 

一撃、二撃、三撃、重低音の衝撃音がモニターから響く。

 

四撃、五撃、その場にいた誰もが二人の男子の勝利を確信した

 

そして六撃目を振り上げた瞬間、紫電がラウラさんのISから放たれ、ラウラさんを取り込んでいく

 

ISに呑み込まれていく相部屋の仲間(ラウラさん)を見て私は思わず走り出していた。



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学年別トーナメント…逆転

ちょっと読み直して、磨美に対して自分が感じた事を詰め込んだ話。


「磨美りん!磨美りん待ちなって!」

「サっちーも来て!相部屋の女の子が減るのは嫌でしょ!」

「嫌だけどさ!あれはどう見ても普通じゃないじゃん!」

「わかってる!」

「わかってるなら止まって!誰かぁー!この子止めてぇー!」

 

アリーナのカタパルトへと向かう廊下を走る少女が二人。一人は焦った様子で前を見ずに駆け、もう一人はそれを追う形で走っている

「サっちー、止めないでよ!」

「普通じゃないからってだけで止めてるんじゃないよ!!磨美りんは口ではラウラさんのこと言ってるけどその目と頭が織斑一夏でいっぱいだろうから止めてんの!」

「だから何!」

「今の磨美りんがなんかしたら余計な被害が出て、ラウラさんか織斑一夏のどっちか…いやどっちも犠牲になるかもしれないんだって!」

その言葉を聞いて、前方を走っていた少女は立ち止まった。

「磨美りんのISの火力、どう見たって過剰火力の体現でしょ。そんな武器で暴走したラウラさんのISを撃ったらラウラさんごと消し炭にしかねないし、下手に介入したら織斑一夏のことだから磨美りんを庇おうとして致命傷喰らうかもしれないんだよ」

「じゃあ…じゃあどうしろって言うのよ」

「…織斑先生と山田先生のところ行こう、とりあえず今磨美りんは落ち着くべきだよ」

「ぐぅぅぅ…」

歯痒さと無力感を滲ませる唸り声を出しながら磨美は壁を殴りつけ、サフィはそんな磨美を引っ張りながら織斑千冬と山田真耶がいる管制室へと向かっていく。

 

「管制室ー!開けてくださいー、サフィ・マーキスが磨美・アーデルハイトを引っ張ってきました!」

サフィが管制室の扉を叩きながらそう言うと、管制室の扉が開き、その中でオペレーター業務をしていた山田真耶と織斑千冬から視線が飛んでくる。

 

「マーキス、待機命令が出ていたはずだが…その様子だと問題児を捕まえて連れてきてくれたようだな。ご苦労」

「ちょっと磨美りんが今熱くなってて普通の判断ができないんで先生の近くに置かせてくださいね。」

「構わん。二人とも適当な椅子に座っておけ。…さて、アーデルハイト。わかってはいるがなぜ飛び出したか聞かせて貰おうか。…相部屋の仲間が心配だったか。それとも一夏が心配だったか。他にも理由があるなら言え。」

「………一夏くんが心配で、援護に回りたくて…」

 

磨美は織斑一夏が世界で初めてISを動かしたことを知った後、彼を狙うマスコミや研究者が彼個人の生活を侵害したことへ怒り、ISを動かしたことで自由を失った織斑一夏に対する心配、そしてIS学園の生活で一夏が苦労していることへの憐み。それらが彼女の中で恋愛感情と共に肥大化し、彼女を織斑一夏に深く依存させていた。一夏を助けようとしたのもラウラのためではなく磨美自身の自己満足だった。

 

「ほう、自分の力で一夏を助けようとしたか。…なら、ボーデヴィッヒはどうする気だった」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒの事をまともに考えていなかったなどと言えるはずもない。彼女は口では心配することができても、心から気持ちを送れる相手が織斑一夏以外に存在しないのだから。そしてそれをようやく自覚した彼女は自身の行動の気味の悪さに頭を抱えて黙り込む。

 

「……」

「答えられんか。……ふむ、まぁナントカは盲目とはよく言ったものだな…。いいかアーデルハイト。誰かの力になりたいのなら自分の力を理解しろ。理解しないまま力を振るえば目的は為せても別の何かを失うぞ。私からの忠告だ」

「………はい」

「…それともう一つ言っておくが、あいつはお前が思っているほどヤワでもない。しっかり見ておけ」

「へ…まさか織斑先生、織斑一夏にアレ対処させるつもりですか!?」

「私はそのつもりじゃなかったが、アイツは本気でやるつもりだぞ。…まぁ…アレが私の猿真似なら私をしっかり見ていた人間なら対処は容易い。…所詮過去の記録だ、成長し続ける者たちにはその武器は届くまいさ」

 

その言葉を聞いた四人がモニターを注視する。片腕だけにISを展開した織斑一夏と、織斑千冬を模倣した存在がほぼ同じ得物を持って向かい合う

 

そして模倣した存在が斬りかかったところを織斑一夏は切り払い、そして生まれた隙に、相手の前面を斬り払う。

 

「……す、すごい…」

 

日本武道を思わせる一瞬の剣戟で決着がつき、そのまま機能停止したISから解放されるラウラ・ボーデヴィッヒを受け止める織斑一夏を見て、サフィは口を開けて驚き、磨美はその様を見届けた後に頭を抱えて管制室から退出した。

 

───────────────────────────────────

 

 

何もわかってなかった。

 

私は一夏くんが大変だろうから、助けてあげたい一心で今まで動いていた。

一夏くんを守ってあげるのが私の役割だと、勝手に思っていた。

実際は一夏くんは誰かを助けられるほど強くなっていて、私が過剰に助ける必要なんてなかった。

私は、私だけが一夏くんだけを見ていられればいいと知らないうちに思い込んでいた。

そのために誰かが犠牲にしようと、誰かを踏み台にしようとしていた。

それで私は幸せになれても一夏くんが幸せになれるはずがない。私は一夏くんの事を想っていたつもりだったが、それは私が一夏くんで幸せになるための自己満足で、手段と目的が入れ替わってしまっていた。

 

「馬鹿にしてた…」

 

そこから何も考えずに私は更衣室に戻り、着替えを確保した後寮の自室へと戻ってただ無気力な状態で過ごした。




善意は時として無差別に傷つける危険物になる



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大浴場での大混乱

二話連続投稿。はっきり言うと書きたい話を書くためにハイペースで進めているだけです。


「ん…んぅ…」

 

戻ってきた寮で無気力なまま過ごしているうちに眠っていたらしい。

 

学年別トーナメントは一般生徒は模擬戦を行って実技の成績に加算するという形で一応は行われるという通達があったらしい。

「…お風呂入ろう…」

少し遅くなっているだろうがいつもどおりなら入浴時間に間に合うだろう、そう思いながら、扉を開けバスローブと下着を片手に大浴場へと向かう。

やけに静かだが、多分あらかたの生徒はお風呂を終えてしまったのだろう、なら1人風呂を満喫するとしよう。

 

浴場の更衣室の扉を開け、ロッカーにバスローブと下着を置き、上着を脱いで突っ込んでおく。身に付けていた肌着を脱ぎ洗濯機に放り込む…そのままバスタオルで胸元を隠しながら浴場の扉を開く。

 

「え…?」

浴場の扉を開いた先にいたのは一夏くん…だったのだろうか。もしかしたら一夏くんに申し訳なさを感じすぎて私が幻覚を見ているだけなのかもしれない。そう思いながらもう一度浴場の扉を開けると────

「え…?」

「え゛…磨美…!?」

────間違いなく一夏くんがそこにいた

「…なんで一夏くんがここに…?」

「えっ、まさか磨美大浴場の話聞いてなかったのか…?」

一夏くんから大浴場の話と言われて思い出す。

一夏くんとシャルルくんが使うからと、女子の大浴場が使える時間が少し短くなったという事。

私は無気力で過ごすあまり、聞いた話すら忘れて、今までどおりの時間感覚で大浴場を使っていた

「あ…あわぁぁぁあああ!?」

 

そして私は思わず持っていたバスタオルで一夏くんの頭を簀巻にして視界を遮った。

水着姿で迫ったりしておきながら今更だが、何も着ていない姿を見られるのは流石に私も気持ちの整理がついてない状態では恥ずかしい。

 

「あっ、あっ…一夏くん、見た!?」

「見てない!何も見てない!…いやすごく大きかったのは見えたような…」

「わぁぁぁ!?」

一夏くんに大きかったと言われるだけでいつもとは違う恥ずかしさがこみ上げてくる。

 

「は、早めに済ませるから一夏くんしばらくそのままで!ごめんね!」

そういいながら私は大慌てで身体と髪の毛を洗い、まとめて全身についた泡を流した後再び一夏くんの方を見ると一夏くんが浴槽で伸びかけていた

「磨美…そろそろ外させてくれないとやばい…」

「い、一夏くんどれくらい入ってたの、逆上せかけてるし…」

一夏くんを浴槽から引っ張り出しながら脱衣所に戻り、近くの椅子に寝かせた後バスローブを羽織る。そして逆上せかけてる一夏くんにスポーツドリンクを渡しながら、隣に座る

「シャルが入ってきて、先に上がってったから軽く20分入ってたのか…わかんねえけど…」

「長風呂するのはいいけど、体に毒になっちゃ…って私のせいか…ごめんね一夏くん」

「次から気をつけてくれよ…」

「うん…」

 

しばしの沈黙。あまりに気まずい。裸をお互い見てしまったんだから仕方ないとは言え、かける言葉が出てこない。…だが、かける言葉が出てこないなら、話さなきゃいけない事を話せばいいと思い立ち私は思い切って自分のしていたことを一夏くんに尋ねることにした

 

「あ…一夏くん、少し話したいんだけどさ」

「どうしたんだよ、急に改まって…」

「あのね…私、一夏くんのためにって思っていろんなこと教えたりしてたと思うんだけど…一夏くんが最近シャルルくんにいろんなことしてもらってるのを見て、すごくモヤモヤしてたの」

「…それで、私はシャルルくん以上に一夏くんにもっといろんなことをしてあげようとしてたんだけど…」

「私だけが一夏くんを独り占めしたくて、他の子のこと、何にも考えてなかったの。…それに一夏くんの事を軽く見てた。」

「えっ、そんな風には感じた事なかったけど…」

「…今日一夏くんがラウラさんを助けたのを見て、いつの間にか一夏くんは強くなって、私が思ってたほど弱くないって…。ごめんね…一夏くん、私は私の自己満足のためだけに一夏くんを弱いと思ってた」

 

一夏くんはそれを聞いて顎に手を当てながら何か考えているようだった。

 

「…なあ磨美。いつかさ、サシでまた勝負しないか?」

「…えっ」

「磨美が俺を弱いって思ってたなら、俺は正面からぶつかって磨美に強くなったって示したい。磨美たちのおかげで強くなれたって証明したい」

「…もう一度、一夏くんと…」

「…だからさ、一緒に強くなろうぜ。磨美」

「うん、わかった。…私も強くなる、一夏くんに負けないようにね」

 



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朝の心労

知り合いがなろうで頑張って月間ランキング入ってるの見たらなんかやる気出たのでアングラな感じでゆるくやっていこうと思います


「ええと、ですね、今日は皆さんにお知らせがあるというか…なんというか」

 

朝のホームルーム、いつもならば連絡事項を伝えたのちに授業のための準備が始まるはずなのだが、教室のざわめきが今日のホームルームがいつも通りではない事を物語っていた

 

「シャルロット・デュノアです、皆さん改めてよろしくお願いします!」

山田先生の隣に立つのはデュノア…くんではなく、デュノアちゃん。

もう1人の男子が女子だった、という事実に震えるのも無理はない。デュノアさんが転校してきた初日にサっちーが「前情報もなしに2人目の男子が出てくるのは怪しい」と言っていたがそれがずばり的中した形になる

「……」

その光景を見て私は昨日の大浴場でのことを思い出して固まっていた

昨日、一夏くんはお風呂にデュノアさんが入ってきた、ということを確かに話していた。

だがしかし、男だと思っていたデュノアさんは、実際は女の子でデュノアちゃんだったわけで、つまり昨日の夜、一夏くんとデュノアちゃんは混浴を…

 

グァシャァァァァァァンン!!!!

「い・ち・か・ァァァァァァ‼︎」

私が結論に辿り着いた時には、同じ結論に辿り着いたであろう鈴ちゃんが隣のクラスからわざわざドアを蹴破って入ってきた

 

そして箒ちゃんも立ち上がって詰め寄られる一夏くんを見て私は冷や汗を流す

 

男女同じ部屋にいれば変なことしてないかという質問が飛んでいくのは当然。一夏くんのことだから何もしてないだろうけど、それの引き合いに私の名前が出されようものなら、私が一夏くんにしたことがバレるかもしれない。…が一夏くんから私に手を出したのはクラス別トーナメントの一件だけ、それも私がストレートに誘惑したから出来たことである。

 

私は一夏くんに詰め寄る箒ちゃんと鈴ちゃんの肩に手を置いて

「一夏くんは何にもしないよ。同室だった私は(・・)何にもされてないから…」

一夏くんは何もしていない(私は色んなことをした)と言って、二人の説得に入る。

「相部屋だった磨美がそう言うのなら…」「そうなんだろうけどさぁ…」

二人を納得させた後一夏くんの方を向いた私たちが見たのは一夏くんの唇を奪う、小柄な銀髪…ラウラ・ボーデヴィッヒだった

「あっ…あっ…あっー…!?」

 

思わず絶句。そして絶叫。目の前で行われた蛮行は一夏くんに想いを寄せる者たちを立ち上がらせるのに十分すぎた。

「い、いきなり何すんだ!?」

思わず動揺を隠せない一夏くんの口からある種私たちの代弁とも取れる言葉が飛び出す。それに対してラウラさんはいつも通りキリっとした、だけど嬉々とした顔で一夏くんを指差して…

「お前を私の嫁にする!決定事項だ、異論は認めん!」

高らかな宣言。しかしあまりにもツッコミどころのある言葉に再び私たちの言葉を代弁するかのように一夏くんの口が開く

「嫁…?婿じゃなくて?」

「日本では気に入った相手を『嫁にする』と言うのが一般的だと聞いた!故にお前を私の嫁にする‼︎」

…思わず崩れ落ち頭を抱える。この哀れな子ウサギにこんな知識を植え付けたのは誰だろうか。サっちーは爆笑しながら椅子から転げ落ちている

 

 

「お い」

 

本能が震える。ギギギと後ろを振り向くと腕を組んだ織斑先生が私たちを睨みつけている。その姿に私は不動明王を幻視した。

 

「貴様ら、そんなに実技がしたいのならばかかってこい。したくないならさっさと教室から出て頭を冷やせ」

 

この言葉を聞いた私たちは戦慄して逃げるように教室の外に出て廊下で正座したのだった。




最近磨美の落書きするたびに胸を大きく描く癖がついてしまって、最近描いたやつでは頭よりも大きく描いていました。多分バスト102cmじゃ収まらないぐらいにデカくなってるんで、もしかしたら臨海学校編終わったらプロフィール更新を入れるかも

ちなみに今話の没プロットでは磨美が一夏に対して乳ビンタするものがありました


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