暗黒と光道 (必殺雷撃人)
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0.リミットレギュレーション

拙作のリミットレギュレーションを公表してないなと思い公開しました。基準としては、アニメで対応する話に1番近いレギュレーションを適応しています。
 例えばセブンスターズ編では、GX第一話が公開された日に適応されていた2004年9月1日のレギュレーションを適応しています。


(リミットレギュレーション:2004年9月1日+死者蘇生、ミラーフォース制限)第一話〜第八話

 

禁止カード †

《混沌帝龍 -終焉の使者-》

《クリッター》

《黒き森のウィッチ》

《八汰烏》

《いたずら好きな双子悪魔》

《サンダー・ボルト》

《団結の力》

《ハーピィの羽根帚》

《ブラック・ホール》

《王宮の勅命》

 

制限カード †

《ヴァンパイア・ロード》

《お注射天使リリー》

《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》

《キラー・スネーク》

《混沌の黒魔術師》

《サイバーポッド》

《人造人間-サイコ・ショッカー》

《神殿を守る者》

《同族感染ウィルス》

《ドル・ドラ》

《ならず者傭兵部隊》

《ファイバーポッド》

《封印されし》シリーズ

《魔鏡導士リフレクト・バウンダー》

《魔導サイエンティスト》

《魔導戦士 ブレイカー》

《メタモルポット》

《悪夢の蜃気楼》

《押収》

《大嵐》

《苦渋の選択》

《強引な番兵》

《強奪》

《強欲な壺》

《心変わり》

《サイクロン》

《蝶の短剣-エルマ》

《手札抹殺》

《成金ゴブリン》

《早すぎた埋葬》

《光の護封剣》

《魔導師の力》

《激流葬》

《現世と冥界の逆転》

《死のデッキ破壊ウイルス》

《第六感》

《停戦協定》

《破壊輪》

《魔法の筒》

《無謀な欲張り》

《リビングデッドの呼び声》

 

準制限カード †

《暗黒のマンティコア》

《カオスポッド》

《切り込み隊長》

《処刑人-マキュラ》

《強制転移》

《増援》

《抹殺の使徒》

《ラストバトル!》

 

リミットレギュレーション:2006年3月1日+死者蘇生、強欲な壺、ミラーフォース制限)第八話〜

 

禁止カード †

《ヴィクトリー・ドラゴン》

《混沌帝龍 -終焉の使者-》

《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》

《キラー・スネーク》

《黒き森のウィッチ》

《サイバーポッド》

《処刑人-マキュラ》

《同族感染ウィルス》

《ファイバーポッド》

《魔導サイエンティスト》

《八汰烏》

《悪夢の蜃気楼》

《いたずら好きな双子悪魔》

《苦渋の選択》

《強引な番兵》

《心変わり》

《サンダー・ボルト》

《死者蘇生》

《蝶の短剣-エルマ》

《ハーピィの羽根帚》

《ブラック・ホール》

《王宮の勅命》

《現世と冥界の逆転》

《第六感》

《刻の封印》

《破壊輪》

《ラストバトル!》

 

制限カード †

《異次元の女戦士》

《お注射天使リリー》

《クリッター》

《混沌の黒魔術師》

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》

《人造人間-サイコ・ショッカー》

《神殿を守る者》

《ダンディライオン》

《月読命》

《D.D.アサイラント》

《ドル・ドラ》

《深淵の暗殺者》

《ならず者傭兵部隊》

《ネフティスの鳳凰神》

《封印されしシリーズ》

《マシュマロン》

《魔導戦士 ブレイカー》

《メタモルポット》

《闇の仮面》

《黄泉ガエル》

《王家の神殿》

《押収》

《大嵐》

《強奪》

《サイクロン》

《スケープ・ゴート》

《団結の力》

《月の書》

《手札抹殺》

《天使の施し》

《貪欲な壺》

《早すぎた埋葬》

《光の護封剣》

《魔導師の力》

《魔法石の採掘》

《突然変異》

《遺言状》

《ライトニング・ボルテックス》

《リミッター解除》

《レベル制限B地区》

《激流葬》

《死のデッキ破壊ウイルス》

《聖なるバリア -ミラーフォース-》

《停戦協定》

《はたき落とし》

《魔法の筒》

《無謀な欲張り》

《リビングデッドの呼び声》

 

準制限カード †

《暗黒のマンティコア》

《聖なる魔術師》

《魔鏡導士リフレクト・バウンダー》

《見習い魔術師》

《強制転移》

《増援》

《成金ゴブリン》

《非常食》

《抹殺の使徒》

《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》

《ゴブリンのやりくり上手》

《魔のデッキ破壊ウイルス》

 

 

リミットレギュレーション:2006年9月1日17話〜

 

禁止カード †

《混沌帝龍 -終焉の使者-》

《カオス・ソーサラー》

《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》

《キラー・スネーク》

《黒き森のウィッチ》

《サイバーポッド》

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》

《処刑人-マキュラ》

《月読命》

《同族感染ウィルス》

《ファイバーポッド》

《魔導サイエンティスト》

《八汰烏》

《悪夢の蜃気楼》

《いたずら好きな双子悪魔》

《王家の神殿》

《苦渋の選択》

《強引な番兵》

《強奪》

《強欲な壺》

《心変わり》

《サンダー・ボルト》

《死者蘇生》

《蝶の短剣-エルマ》

《ハーピィの羽根帚》

《ブラック・ホール》

《王宮の勅命》

《現世と冥界の逆転》

《第六感》

《刻の封印》

《ラストバトル!》

 

制限カード †

《異次元の女戦士》

《ヴィクトリー・ドラゴン》

《お注射天使リリー》

《クリッター》

《混沌の黒魔術師》

《人造人間-サイコ・ショッカー》

《神殿を守る者》

《聖なる魔術師》

《魂を削る死霊》

《ダンディライオン》

《D.D.アサイラント》

《ドル・ドラ》

《深淵の暗殺者》

《ネフティスの鳳凰神》

《マシュマロン》

《魔導戦士 ブレイカー》

《メタモルポット》

《森の番人グリーン・バブーン》

《闇の仮面》

《黄泉ガエル》

《押収》

《大嵐》

《サイクロン》

《スケープ・ゴート》

《団結の力》

《月の書》

《手札抹殺》

《天使の施し》

《貪欲な壺》

《早すぎた埋葬》

《光の護封剣》

《抹殺の使徒》

《魔導師の力》

《魔法石の採掘》

《未来融合-フューチャー・フュージョン》

《突然変異》

《遺言状》

《リミッター解除》

《レベル制限B地区》

《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》

《激流葬》

《死のデッキ破壊ウイルス》

《聖なるバリア -ミラーフォース-》

《血の代償》

《停戦協定》

《破壊輪》

《魔法の筒》

《リビングデッドの呼び声》

準制限カード †

《暗黒のマンティコア》

《ならず者傭兵部隊》

《見習い魔術師》

《強制転移》

《増援》

《成金ゴブリン》

《ハリケーン》

《ゴブリンのやりくり上手》

《光の護封壁》

《魔のデッキ破壊ウイルス》

《無謀な欲張り》

 

制限解除 †

《魔鏡導士リフレクト・バウンダー》

《非常食》

《ライトニング・ボルテックス》

《はたき落とし》

 

2007年9月1日適用の禁止・制限カード

 36話〜

禁止カード

《ヴィクトリー・ドラゴン》

《混沌帝龍 -終焉の使者-》

《カオス・ソーサラー》

《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》

《キラー・スネーク》

《黒き森のウィッチ》

《サイバーポッド》

《サウザンド・アイズ・サクリファイス》

《処刑人-マキュラ》

《月読命》

《デビル・フランケン》

《同族感染ウィルス》

《ファイバーポッド》

《魔導サイエンティスト》

《八汰烏》

《悪夢の蜃気楼》

《いたずら好きな双子悪魔》

《王家の神殿》

《押収》

《苦渋の選択》

《強引な番兵》

《強奪》

《強欲な壺》

《心変わり》

《サンダー・ボルト》

《死者蘇生》

《蝶の短剣-エルマ》

《天使の施し》

《ハーピィの羽根帚》

《ブラック・ホール》

《突然変異》

《遺言状》

《王宮の勅命》

《現世と冥界の逆転》

《第六感》

《刻の封印》

《破壊輪》

《ラストバトル!》

 

制限カード †

《異次元の女戦士》

《E・HERO エアーマン》

《カードガンナー》

《クリッター》

《混沌の黒魔術師》

《スナイプストーカー》

《聖なる魔術師》

《魂を削る死霊》

《ダンディライオン》

《D-HERO ディスクガイ》

《ドル・ドラ》

《深淵の暗殺者》

《N・グラン・モール》

《封印されしシリーズ》

《マシュマロン》

《魔導戦士 ブレイカー》

《冥府の使者ゴーズ》

《メタモルポット》

《森の番人グリーン・バブーン》

《黄泉ガエル》

《オーバーロード・フュージョン》

《大嵐》

《巨大化》

《サイクロン》

《地砕き》

《次元融合》

《地割れ》

《スケープ・ゴート》

《洗脳-ブレインコントロール》

《団結の力》

《連鎖爆撃》

《月の書》

《手札抹殺》

《早すぎた埋葬》

《ハリケーン》

《光の護封剣》

《封印の黄金櫃》

《魔導師の力》

《魔法石の採掘》

《未来融合-フューチャー・フュージョン》

《リミッター解除》

《レベル制限B地区》

《グラヴィティ・バインド-超重力の網-》

《激流葬》

《死のデッキ破壊ウイルス》

《聖なるバリア -ミラーフォース-》

《ダスト・シュート》

《血の代償》

《停戦協定》

《転生の予言》

《光の護封壁》

《マインドクラッシュ》

《魔法の筒》

《リビングデッドの呼び声》

 

準制限カード †

《暗黒のマンティコア》

《イエロー・ガジェット》

《グリーン・ガジェット》

《人造人間-サイコ・ショッカー》

《D-HERO ディアボリックガイ》

《見習い魔術師》

《闇の仮面》

《レッド・ガジェット》

《強制転移》

《増援》

《貪欲な壺》

《抹殺の使徒》

《王宮のお触れ》

《無謀な欲張り》

 

制限解除 †

《神殿を守る者》

《D.D.アサイラント》

《ゴブリンのやりくり上手》

《魔のデッキ破壊ウイルス》



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入学〜セブンスターズ編
1.憑依少女古神透子!


趣味で書いた小説が完成したので、区切りとして投稿します。正直完成度は高くないので、暖かい目で見守って頂けると幸いです。

 正直ルビの振り方とか仕様がよくわかってません。

また、私はマスターデュエルから入った新参で処理が間違っていたりしますので感想で教えて頂ければ幸いです。(可能なら展開が変わらないような修正も教えて頂けると助かります)


 

 

〜 自室 22:00 〜

 

??

 「これと……これと……よし!」

 

 外が闇に包まれているなか、机の上に広げていたカードを纏めてデッキケースにしまう少女の姿があった。

 

 彼女の名は古神透子(こがみとうこ)。明日にデュエルアカデミアの試験が控えている受験生である。

 

透子

 「明日は受験だし、早めに寝なくちゃ……」

 

 透子は部屋の明かりを消し、深い眠りについた。

 

 

〜 自室 0:00 〜

 

??

 「っ……くあぁぁ……知らねぇ天井だ」

 

 一先ずベッドから起きて、明かりを探す。お、あったあった。

 明かりをつけると、いかにも女子部屋って感じの部屋が目に飛び込んできた。

 

??

 「まるで状況が読めねぇ……」

 

 とりあえず状況を整理してみよう。俺は確かほぼ男子校な工業高校から帰ってきて、次の日の用意をして、(暗黒界)デッキを調整して疲れたから一眠りしてたら、この明らかに女子部屋な所に連れてこられたってところか。

 もう少し部屋を漁って見るか……

 

??

 「あ!机の上にデュエルディスクがある!」

 

 近くにデッキもあんじゃん!折角だし覗いてみよう。

 

 デッキケースを開けて、中身を見る。

 

??

 「ひっでぇ……」

 

 カードをめくって出てくるのは、少数の植物族と昆虫族の低ステータスでかつ微妙な効果モンスターと、使いどころの限られる大量の魔法罠ばかり。ホントなんで(ディアン・ケト)入ってるの?なんで(ねずみ取り)と(粘着テープの家)が3積みなんだよ?訳分かんねぇ。強いて言うなら大量の魔法·罠で相手を拘束しつつ、超低ステータスのダイレクトアタッカーでちまちま削る原始的なダイレクトアタックデッキってところか?(神宣)が1枚だけ入っているし。

 

 ん?なんか紙切れあんな……しかも文字書いてある。読んでみるか。

 

 要約するとこんな感じだった。

·あなたは紆余曲折あって、デュエルアカデミアに入学しようとしている少女「古神透子」のもう1つの人格として生きてもらう事になった。

·代わりに、あなたが最後に使っていたデッキを送る事にする。

·また、DP(デュエルポイント)を使うことで貴方がいた世界のカードを即時到着で買える様にしてある。やり方は彼女のカバンに入れてあるスマホにやり方が記されている。

·更に、そのスマホには様々なカードの活躍方法が記されたサイトにアクセス出来る上に、他のアプリで対戦動画も見れるようになっている。

 

 スマホて……確かGXが放送されてた時には普及してなかったような……いや、ARC-Vの世界ならありえるのか?

 

 まぁいいや。とにかく俺は所謂“闇透子”って感じなポジで、OCG次元のカードをDPを使って買って、透子のデッキを魔改造する必要がある。それをするためにもスマホを確認してみなきゃな……最悪(古代の機械混沌巨人)が飛んでくるのに、このデッキじゃとても耐えられない。

 

古代の機械混沌巨人

レベル10/闇属性/機械族/攻4500/守3000

「アンティーク・ギア」モンスター×4

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けず、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。

(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃でき、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

 俺の(暗黒界)なら多分どうにかなるだろうけど、お気に入りのデッキが突然悪魔なデッキになってるのは嫌だろうから植物族と昆虫族の混合デッキを組もう。となるとあのテーマを組まないとな。あれはあれで楽しそうだ。

 問題は初期DPがどれぐらいあるかで変わりそうだ。

 

 さて、頑張りますか!

 

 

〜 試験会場 〜

 

透子

 「ふぅ……ふぅ……なんとか間にあ……ってないですね」

 

 昨日はちゃんと寝たはずなのに……まさかの寝坊。そのせいで電車に乗り遅れて大幅に遅刻することになっちゃった……悲しい。

 

 試験場につくと、試験官のフィールドに出ていた機械仕掛けの巨人が、自身の身体よりも遥かに小さい人型モンスターに破壊されていました。

 

 凄い……あんな小さなモンスターでも大きなモンスターを倒せるんだ……私も頑張らないと。

 

透子

 「試験番号89番古神透子です!遅れてしまい申し訳ありませんでした!どうか対戦よろしくお願いします!」

 

クロノス

 「礼儀正しいのはよろしいーのワ認めますーが遅刻はよろしくないノーネ!少しは手加減しますから覚悟するノーネ!」

 

透子

 「はい!よろしくお願いします!」

 

クロノス·透子

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私がもらいます!ドロー!」

 

 透子 手札5→6

 

 さて……私の手札は……え?

 

クロノス

 「どうかしたノーネ?まさか手札が事故ったりしたノーネ?」

 

透子

 「い、いえ……大丈夫です。わ、私はモンスターをセット。カードを2枚セットしてターンエンドです。」

 

 透子 LP4000 手札3 伏せ2

 

セットモンスター

 

クロノス LP4000 手札5 伏せ0

 

 

 私の手札にきたのは、かわいい植物や昆虫を象った全く知らないカード。しかも……今まで私が持ってたカードよりも攻撃力が低い。高い攻撃力のモンスターもあるけど、相手フィールドに特定のモンスターがないと場に出せない。装備魔法もデメリットが大きすぎる。

 

 手札にきた罠はとりあえず伏せてあるし、壁モンスターも伏せてあるから次のターンは持つ筈。

 

クロノス

 「私のターンドロー!」

 

クロノス 手札5→6

 

クロノス

 「手札から(磁力の召喚円 LV2)を発動!手札からレベル2以下の機械族モンスター(古代の歯車)を特殊召喚するノーネ!」

 

クロノス 手札5→4

 

クロノス

 「更に(古代の歯車)の効果を発動!手札から(古代の歯車)を特殊召喚するノーネ!」

 

クロノス 手札4→3

 

クロノス

 「(古代の歯車)2体を生け贄に、現れるノーネ!(古代の機械巨人)!」

 

クロノス 手札3→2

 

 教官のフィールドに現れたのは歯車仕掛けの巨人。1ターンで最上級モンスターを出したのもそうだけど何よりも……

 

透子

 「攻撃力3000……しかも貫通持ち!?」

 

クロノス

 「それだけじゃないノーネ!このカードが攻撃するダメージステップ終了時まで相手は魔法・罠カードを発動できないノーネ!(古代の機械巨人)でセットモンスターを攻撃!アルティメット·パウンド!」

 

 機械の巨人が放った鉄槌で、セットモンスターの(ナチュル·クリフ)は抵抗する隙もなく破壊された。そして(ナチュル·クリフ)の守備力の差分、2000のダメージが入ります。

 

透子 LP4000→2000

 

 か……勝てない。せっかく……今まで頑張ってきたのに……なんだか意識が薄れて……

 

 

 

〜〜〜

 

闇透子

 「おっとっと。ここは……試験会場か」

 

 目が覚めたと思ったらもうデュエル始まってるっていうね。

 

クロノス

 「突然どうしたノーネ?いきなり黙ったりシーテ?この(古代の機械巨人)に絶望するのも分かりまスーガ、遅延行為は良くないノーネ」

 

 眼の前の試験官もといクロノス先生がなんか言ってる。とにかく盤面の把握だ。

 

闇透子

 「すいません、少し盤面の確認をさせてください」

 

 先生の盤面には、(古代の機械巨人)が棒立ち。伏せはなし。対して俺のフィールドにはモンスターなし、伏せカードも……悪くない。墓地のカードは……ふふふ。

 

クロノス

 「はやくするノーネ!」

 

闇透子

 「状況は把握しました。ドロー。フフフ」

 

 やべぇ笑みが溢れちった。クロノス先生の方を見ると、露骨に苛立っているのが分かる。

 

闇透子

 「どうやら私の勝ちが決まったようですね」

 

クロノス

 「強がりはよすノーネ!ドロップアウトガール如きが(古代の機械巨人)を倒せるなんて考えるなんておこがましいノーネ!」

 

闇透子

 「ではまずその巨人にはご退場願おうか!スタンバイ、メインフェイズに入る。このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる!ナチュルの森の怪物よ!歯向かう敵を喰い破り、我が仇となり現れろ!(粘糸壊獣クモグス)!」

 

 俺がカードを掲げると同時に、(古代の機械巨人)がギシギシと音をたてながら蹲り、完全に動かなくなると中から機械の部品を撒き散らしながら、巨大な蜘蛛が姿を現した。

 

闇透子

 「邪魔もいなくなったし、いくぜ!(ナチュル·モスキート)を通常召喚!更に(諸刃の剣)を(粘糸壊獣クモグス)に装備!」

 

粘糸壊獣クモグス 攻2400→4400

 

 フィールドに身体の所々が植物になっている巨大な蚊が姿を現し、巨大な蜘蛛にヒビの入った剣が刺さったと瞬間、観客から笑い声と罵声が沸き起こった。

 

観客A

 「あの巨人を一瞬で退かしたかと思えば、出したのが攻撃力がたった200の雑魚モンスターかよ。ふざけるのも大概にしろ!」

 

観客B

 「しかも装備魔法を相手モンスターに装備するなんてな!装備魔法の使い方も分からねぇのかよ!」

 

 そうだった。この時代はまだ攻撃力至上主義がまかり通っていた時代。そうだとしても、日をまたいで作ったデッキを雑魚なんて呼ばれれば、俺でもカチンとくる。

 

闇透子

 「お前らよく聞け!今から俺はワンキルをする!ステータスだけが全てじゃねぇ事を分からせてやる!その節穴にこの地獄を焼き付けるがいいわぁ!」

 

クロノス

 「フォフォフォ!この私をワンターンキルなんてビッグマウスにも程があるノーネ!」

 

闇透子

 「それが虚言かどうかは今分かる事だ!バトルフェイズ!永続トラップ(強化蘇生)発動!前のターンで墓地に行った(ナチュル·クリフ)を対象にして攻守100UPして特殊召喚する!対象のモンスターが破壊されると、このカードは破壊される!」

 

ナチュル·クリフ 攻1500→1600

 

闇透子

 「バトルフェイズ中に特殊召喚されたモンスターは攻撃可能!(ナチュル·クリフ)で(クモグス)に攻撃!」

 

 のっぺりとした動きで(クモグス)に体当たりする(クリフ)。(クリフ)の決死の特攻も、(クモグス)には効き目が無いようだが背中から伸びる剣から強烈な波動が放たれた。

 

クロノス

 「何がおきてルーノォォォ!」

 

クロノス 4000→-1600

 

 クロノス先生に致命的な一撃が入ると場が騒然となる。折角だし説明してやろう。

 

闇透子

 「(ナチュル·モスキート)にはこのカード以外のナチュルモンスターが受けた戦闘ダメージを相手に押し付ける効果がある。更に(諸刃の剣)は2000という絶大な上昇値を誇る代わりにお互いに戦闘ダメージを受ける効果と、自分が2000以上の戦闘ダメージを受けると自壊するデメリットがある。だが俺は戦闘ダメージをクロノス先生に全部押し付けている為(諸刃の剣)の自壊は発動しない。つまり……クロノス先生に戦闘ダメージを倍プッシュ出来るってわけだぁ!」

 

 これを聞いたクロノス先生は顔を真っ青にしているが、まだまだ終わらない!まだ俺は満足していない!

 

闇透子

 「更に更にぃ!(ナチュル·クリフ)がフィールド上から墓地へ送られた時、デッキからレベル4以下の(ナチュル)モンスターを攻撃表示で特殊召喚できる!これには同名ターン1は疎か、同名を出せないとかの制限もない!お楽しみはこれからだぁ!」

 

 オーバーキル?関係ないね!やりたい放題してやるぜ!

 

闇透子

 「(ナチュル·クリフ)の効果で(クリフ)をリクルート!特攻!効果で(クリフ)リクルート!特攻!効果で(ナチュル·ビーンズ(攻100、戦闘耐性))をリクルート!特攻!永続トラップ(ナチュルの神星樹)の効果発動!戦闘で破壊されなかった(ビーンズ)をリリースして(ナチュル·アントジョー(攻400))をリクルート特攻!」

 

クロノス

 「マ゛ン゛マ゛ミ゛ィ゛ヤ゛ァ゛!」

 

クロノス

 -1600→-7400→-13200→-21800→-25800

 

闇透子

 「ガッチャァ!楽しいデュエルだったぜぇ!」

 

 ふぅ……大☆満☆足。さて、試験官を薙ぎ倒したしそろそろ交代するかな……

 

 

 

〜〜〜

 

 ふと気づいたら、あの巨人の代わりにそれと同等の大きさをした蜘蛛がいました。

 そして、向こうにいる試験官が泡を吹きながら倒れています。私……勝っちゃったの?あの……巨人に?とっ、とにかく挨拶しなきゃ!

 

透子

 「対戦ありがとうございました!」

 

 逃げるように私が会場から出ると、同じ受験生と思われる2人の男の人がやってきました。

 

??

「君凄いね!あの(古代の機械巨人)を倒したどころかワンターンキルまでしちゃうなんて!」

 

??

「だよな!あと、最後のアレ俺のセリフだよな!リスペクトってやつ?」

 

透子

「あ、あの……」

 

??

 「おいおい、彼女も困っているじゃないか。まずは自己紹介から始めないとな」

 

 質問責めに困っていたら助け船が来ました。自己紹介する流れだし、私から……

 

透子

 「私の名前は古神透子です。受験番号は89番です。」

 

 「僕は丸藤翔。受験番号は119番ッス」

 

十代

 「俺は遊城十代!受験番号は110番だ!」

 

大地

 「俺は三沢大地。受験番号は1番だ。」

 

 青い髪をした翔さん。茶髪な十代さん。黒髪な三沢さん。覚えました。

 

透子

 「ところで……私に何か用ですか?」

 

三沢

 「君のデッキを見てみたくてね。大丈夫、盗んだりはしない」

 

透子

 「分かりました……ですが私にもこのデッキがどういうデッキなのか分からないんです」

 

 デッキを手渡しながら答えると、3人は驚いたのか眉がのびています。1番驚きたいのは私なんですけど……

 

 「自分でも分からない?それってどういうことなんすか?」

 

透子

 「はい。デュエルが始まって手札を見ると、見たこともないカードが沢山入っていたんです」

 

 十代さんと翔さんに説明していると、三沢さんがデッキを返してきました。結構早いですね。

 

三沢

「なるほど。このデッキは大量の蘇生罠を積んで相手ターン中に(ナチュル·アントジョー)を出して、相手の特殊召喚に応じてモンスターを増やしていき、出したモンスターでデュエルをコントロールする。そして機を見計らって(ナチュル·モスキート)を出して反射ダメージで相手を倒すデッキといったところか。相手の高打点モンスターを利用する事で高い戦闘力を発揮する面白いデッキだ」

 

 流石は受験番号1番の人。私ですら知らないデッキの概要を、軽く見るだけで把握してしまうなんて……

 

十代

 「なぁ……もういいだろ……そろそろデュエルさせてくれよ〜もう透子とデュエルしたくてたまらねぇよ!」

 

 十代さんが本当に待ち遠しそうに地団駄踏んでいます。でも……あのどうやって倒したかすら分からないあの巨人を倒した人です。自分のデッキがどんなデッキなのか把握していない私に、勝てるのかは怪しいところです。

 

透子

 「すみません十代さん。今の私にはこのデッキを充分に回せる自信がありません。だからアカデミアに入学できたら、いくらでもデュエルを受けます」

 

十代

 「チェー……でも分かった。その時まで我慢するよ。その時までにデッキの把握頑張れよ!」

 

透子

 「はい!それでは皆さんさようなら!」

 

 私は特に用事はないけど、駆け足で会場から立ち去りました。

 

 翌日、この謎のデッキの大まかな回し方が書かれたメモが机の上に置かれていました。このデッキは……一体誰が作ったのでしょうか?

 




ちなみに1期は書きたいことがなかったので、かなり巻きで行きます。


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2.オベリスクブルーの洗礼

 

 

〜 デュエルアカデミア 〜

 

 無事試験に合格してオベリスクブルーに所属することになった私は今、他のオベリスクブルーの女子の皆さんと歓迎会をしているところです。

 

 豪華な食事が沢山あって、どれを食べようか迷ってしまいます。

 

??

 「貴方、少しいいかしら?」

 

透子

 「は、はい!」

 

 声がした方を向くと、とてもきれいな女性がいました。大人びていて、なんだかモデルさんみたいです。

 

??

「あなたが入試デュエルでクロノス先生をオーバーキルした生徒ね?」

 

透子

 「は、はい!先生!」

 

??

 「だ、誰が先生よ!私は貴方と同学年よ!」

 

透子

 「え、えぇ〜〜!」

 

 こんなにキレイで背が高いものだから、てっきり先生なのかと……

 

明日香

 「そ、それはともかく、私は天上院明日香。あなたが試験で使ったデッキを一目見ようと思ってね」

 

透子

 「は、はい。ちゃんと返して頂けるなら……三沢さんも見せてって言ってましたし、やっぱり私のデッキは変わっているんですかね」

 

 デッキを手渡すと、明日香さんは真剣な表情でデッキを見ています。

 

明日香

 「……確かにこれは面白いデッキね。相手の打点を逆手に取って致命傷を与えるデッキ。送りつける高打点モンスターもいるし攻撃を凌ぐ手段も豊富。さらには魔法罠を完全に封殺するモンスター。隙がない厄介なデッキね」

 

 そ、そんなに凄いデッキだったんですね……一応ある程度回せるぐらいにはなったつもりだったんですが……あっデッキを返してくれました。

 

 明日香さんはお礼を言って、身を翻してどこかへ行ってしまいました。無性に気になるのでついていってみましょう。

 

 

 

〜オベリスクブルーデュエルスペース〜

 

 明日香さんにこっそりついていくと、デュエルスペースに辿り着きました。私は機械には詳しくないのですが、凄そうな装置が沢山あるのだけは分かります。

 

 そんなデュエルスペースで2人のデュエリストが戦っていました。一方は最近知り合った十代さん。もう一方は……オベリスクブルーの生徒さんでしょうか。

 

明日香

 「……もうデュエルが始まってる……挑発には乗るなと言ったのに……」

 

透子

 「確か校則では夜間はデュエルフィールドは使っちゃ駄目なんですよね?なんで……」

 

明日香

 「あ、あなた付いてきてたの!?」

 

 「あ、明日香さん!?それに透子さんも!?」

 

 翔さんもいるんですね。一体何が起きているのでしょうか?

 

取り巻きA

 「お、お前はクロノス先生を保健室送りにしたデュエリスト!おい!俺とデュエルしろ!男子と女子の力の差を分からせてやる!」

 

 ほ、保健室送り!?一体あの先生に何があったんでしょうか?と、とにかくデュエルの準備を……

 

取り巻き

 「クロノス先生を倒したぐらいで調子に乗りやがって!雑魚モンスターしか持ってないガキは大人しく小学校にでも通ってやがれ!」

 

 

闇透子

 「あ゛?」

 

 お前、今なんてった?

 俺の依代である古神透子は低身長童顔という特徴があり、よく中学生に……酷い時は小学生に間違われたりする。それだけならまだしも低ステータスモンスターを雑魚呼ばわり……こいつはライン越えたなぁ!

 

闇透子

 「上等だぁ!俺のお気に入りで、テメェを二度とデュエル出来なくなるように心を圧し折ってやる!」

 

取り巻き·闇透子

 「デュエル!」

 

 さぁ、俺のデッキに恐れ慄くがいいわぁ!

 

取り巻き

 「俺の先攻だ!ドロー!」

 

 取り巻き 手札5→6枚

 

取り巻き

 「(ゴブリン突撃部隊)を召喚!更に(魔導師の力)と(デーモンの斧)を装備!カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

取り巻き LP4000 手札2枚 伏せ1枚

 

ゴブリン突撃部隊 攻2300→4800

 

 

魔導師の力(ゴブリン突撃部隊)

デーモンの斧(ゴブリン突撃部隊)

 

闇透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 

ゴブリン突撃部隊

レベル4/地属性/戦士族/攻2300/守0

(1):このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になり、次の自分ターンの終了時まで表示形式を変更できない。

 

魔導師の力

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力・守備力は、

自分フィールドの魔法・罠カードの数×500アップする。

 

デーモンの斧

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力は1000アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

このカードをデッキの一番上に戻す。

 

ゴブリン突撃部隊 2300→4800

 

 怪しげな斧を手に取り、更に後方から魔道士達が手を掲げ魔法の様な物を唱える事で、ゴブリン達はやたらと活発になり手に持つ斧をぶんぶんと振り回している。

 

取り巻き

 「どうだ!これが俺の必殺コンボだ!今の(ゴブリン突撃部隊)の攻撃力は、あの(オベリスクの巨神兵)をも上回る!どうだ!恐ろしいだろう」

 

 なんでモンスターに装備魔法つけただけであんなにイキれるんかね……まぁいいや、テメェのその自信を少しずつ削り落としてやろう。

 

闇透子

 「俺のターンドロー!スタン……」

 

闇透子 手札5→6

 

取り巻き

 「おっとその前に永続トラップ発動!(スキルドレイン)!こいつでお前の雑魚モンスターの効果は封じた!許して欲しければサレンダーしてお前のデッキをよこしな!」

 

取り巻き LP4000→3000

 

スキルドレイン

永続罠

1000LPを払ってこのカードを発動できる。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、フィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される。

 

 突然フィールドに不気味な力場が現れた。しかし、場にいるゴブリン達にはあまり影響はなさそうだ。

 

闇透子

 「ほぅ……メタを張ってくるか……確かにコレを張られるとかなりキツイ……少し見直したわ」

 

取り巻き

 「だったらさっさとサレ……」

 

闇透子

 「だが、それは俺がナチュルデッキを使っていたらの話だ」

 

 残念ながら、俺が使うデッキに(スキルドレイン)は刺さらない。テメェのプライドを叩き割ってやる!

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズに入る!手札から(おろかな埋葬)を発動!デッキから(暗黒界の龍神グラファ)を墓地へ送る!」

 

 闇透子 手札6→5

 

おろかな埋葬

通常魔法

デッキからモンスターを1体墓地へ送る

 

取り巻き

 「ふん!モンスターを墓地に落とすだけのゴミカードか。そんな物を使うデッキなんて高が知れている!無駄な抵抗せずにさっさとサレンダーしな!」

 

闇透子

 「ほざくだけほざいてろ!カードを2枚セットして(墓穴の道連れ)を発動!お互いの手札を確認しその中からカードを1枚選んで捨てる。その後、お互いに1枚ドローする。俺は(偉大魔獣ガーゼット)を捨てる」

 

取り巻き

 「くっ!なら俺は(暗黒界の術師スノウ)を捨てる!」

 

闇透子

「その後、お互いに1枚ドローする。ドロー。」

 

闇透子

 5→3→2→1→2

 

取り巻き

 2→1→2

 

 取り巻きのもう片方は(偉大魔獣ガーゼット)。打点で殴るしか能のないデッキだな。

 

闇透子

 「捨てられた(暗黒界の術師スノウ)の効果発動!デッキから暗黒界カードをサーチする!俺は(暗黒界の龍神グラファ)をサーチ!」

 

闇透子

 2→3

 

闇透子

 「手札から(トレード·イン)発動!コストで手札のレベル8モンスター(グラファ)を墓地へ送って発動!2枚ドロー!」

 

 闇透子 手札3→1→3

 

闇透子

 「手札からフィールド魔法(暗黒界の門)発動!墓地から(スノウ)を除外する事で、1枚捨てて1枚ドロー!」

 

闇透子 手札3→2→1→2

 

 現れたのは装飾が施された巨大な門。門は半開きになっていて、そこから妖しい光が漏れていた。

 

闇透子

 「捨てられた(暗黒界の狩人ブラウ)の効果発動!1枚ドロー!」

 

闇透子 手札1→2

 

闇透子

 「よし!手札から(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(暗黒界の尖兵ベージ)の効果!墓地から特殊召喚!」

 

闇透子 手札2→1→2→1

 

取り巻き 手札2→3→2

 

 出てきたのは、骨と思われる材質で出来た鎧と槍を持つ兵士。どことなくだるそうにしているのは、俺のデッキで一ニを争う過労死枠だからだろう。

 

取り巻き

 「ふん!あんだけ回しておいて出てきたのはたった攻撃力1600のモンスターかよ。足掻くだけ無駄だったなぁ!」

 

闇透子

 「墓地の(暗黒界の龍神グラファ)の効果、フィールドの(ベージ)を手札に戻して特殊召喚する!」

 

闇透子 手札1→2

 

 ベージが大きく跳躍すると、地面から刺々しい姿のドラゴンが姿を現し、暗黒界の門から漏れる光を浴びて、力強い咆哮をあげた。

 

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

 

 「墓地から星8モンスター!?こんなのありなの!?」

 

闇透子

 「この程度で驚いていると気絶するぞ!手札から(暗黒界の援軍)を発動!墓地のレベル4以下のモンスター(ブラウ)を蘇生し、悪魔族モンスター(ベージ)を捨てる」

 

闇透子 手札 2→1→0

 

闇透子

 「捨てられた(ベージ)の効果発動!自身を特殊召喚!更に場にいる(ベージ)を手札に戻してもう1体(グラファ)を特殊召喚!」

 

闇透子 手札0→1

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の狩人ブラウ 攻1400→1700

 

 ドラゴンの様な悪魔が場に2体並ぶ凄まじい光景。取り巻きは冷や汗を流しているようだな。打点で上回っていると分かっていてもこの威圧感に押されているのだろう。

 

闇透子

 「伏せていた魔法カード(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして手札の闇属性モンスターを1枚除外する!俺は(ベージ)を除外!」

 

闇透子 手札1→3→2

 

闇透子

 「手札から2枚目の(暗黒界の取引)発動。1枚ドローして1枚捨てる。そして捨てられた(グラファ)の効果発動。(魔導師の力)を対象に破壊」

 

 墓地から漏れ出す紫色の瘴気が、魔導師達を蝕み、苦しみながら破壊された。

 

闇透子 手札2→1→2→1

 

ゴブリン突撃部隊 攻4800→3300

 

闇透子

 「俺は(ブラウ)を手札に戻して(グラファ)特殊召喚。カードをセット。ターンエンドだ」

 

闇透子 LP4000 手札1 伏せ2

フィールド魔法(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

取り巻き LP3000 手札2 伏せ0

 

ゴブリン突撃部隊 攻3300

スキルドレイン

デーモンの斧(ゴブリン突撃部隊)

 

 

取り巻き

 「俺のターン、ドロー!」

 

手札2→3

 

闇透子

 「スタンバイフェイズにトラップカード発動(闇のデッキ破壊ウイルス)、チェーンしてもう1枚発動!」

 

取り巻き

 「な、なにぃ!」

 

明日香

 「ウイルスカードを2枚も!?」

 

闇透子

 「コストとして(グラファ)2体をリリースして(闇デッキ)は罠カードを、もう1枚は魔法カードを、相手の手札とフィールド、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、その内の魔法罠カードを全て破壊する!」

 

 2体の(グラファ)が派手に弾けると、中から背中に(闇)と記されたウイルスが大量に現れ取り巻きに襲いかかり、取り巻きの手札と(デーモンの斧)、無意味な置物と化していた(スキルドレイン)を破壊していった。

 

取り巻き

 「俺の……カードが……ほぼ全滅だと……」

 

取り巻き 手札2→0

 

 いやぁたまらん。ウイルスはこれがあるからやめられない。

 

闇透子

「手札にカードは無い、あるのは打点が足りない(突撃部隊)のみ。さっさとサレンダーしな。エリートさん?」

 

取り巻き

 「た、ターンエンド……」

 

闇透子 LP4000 手札1 伏せ0

 

フィールド魔法(暗黒界の門)

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

取り巻き LP3000 手札0 伏せ0  

 

ゴブリン突撃部隊 攻2300

 

闇透子

 「俺のターン、ドロー!」

 

闇透子 手札1→2

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズに入る。(グラファ)で(突撃部隊)を攻撃!暗黒の吐息!」

 

(グラファ)から放たれる真っ黒なブレスに飲み込まれた(突撃部隊)は成すすべ無く破壊された。

 

取り巻き LP3000→2300

 

闇透子

 「カードをセット。ターンエンド」

 

 これは良いカードを引いた。楽しい事になりそうだ。

 

闇透子 LP4000 手札1 伏せ1

フィールド (暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

取り巻き LP2300 手札0 伏せ0

 

取り巻き

 「お、俺のターン……」

 

 取り巻きは荒い息遣いでデッキに指をかけたまま動かない。きっと負ける恐怖に震えているのだろう。ちょっと発破かけてやるか。

 

闇透子

 「デュエルには無限の可能性がある。降参するにしてもドローしてから考えても、遅くはないんじゃねぇか?ほら、俺に男の力を分からせるんだろ?」

 

取り巻き

 「そうだ……俺は勝たなくちゃいけないんだ!ドロォォ!」

 

闇透子

 「ウイルスの効果、相手は手札に加えたカードを公開して魔法か罠だったらそのカード1枚を捨てる!手札を見せろぉ!」

 

 取り巻きの迫真のドローカードを、どこからともなく現れたウイルスが集り、溶け落ちた。落とされたカードは(強欲な壺)。

 

強欲な壺(制限カード)

通常魔法

デッキからカードを2枚ドローする。

 

闇透子

 「フフフ……アッハハハハ!どうだい!格下だと思っていた相手に一筋の希望をはたき落とされた気分はぁ!」

 

取り巻き

 「タ、ターン……エンドォ……」

 

取り巻き 手札0→1→0

 

 取り巻きはショックが大きすぎたのか涙を流していた。それはテメェが撒いた種だ。自業自得だよ。

 

取り巻き LP2300 手札0 伏せ0

 

闇透子 LP4000 手札1 伏せ1

フィールド (暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

闇透子

 「俺のターンドロー!(ブラウ)通常召喚!(ブラウ)を手札に戻して(グラファ)特殊召喚!バトルフェイズ!(グラファ)2体でプレイヤーにダイレクトアタック!暗黒の吐息ニレンダァ!」

 

取り巻き LP 2300→−700→-3700

 

 (グラファ)の放つ真っ黒なブレスが、取り巻きのLPを焼き払った。ちなみに伏せは(強烈なはたき落とし)。アイツがモンスター引いてたらそいつでハンデスさ。

 

闇透子

 「ガッチャァ!楽しいデュエルだったぜぇ!」

 

 さて、デュエルも終わったし十代の方を見て……なんか足音が聞こえるな……

 

明日香

 「ガードマンがくるわ!アンティルールは校則で禁止されてるし、時間外で施設を使ってるし、校則違反で退学になるかもしれないわ!」

 

闇透子

 「十代の野郎そんな危険なことしてたのかよ!さっさとずらかるぞ!」

 

十代

 「い、嫌だぁ〜俺はここから動かない〜!」

 

翔「何言ってんすかアニキィ!」

 

 どうにか十代を説得して、明日香の後を追ってどうにか離脱に成功した。

 

 

〜〜〜

 

闇透子

 「な、なんとかなったぁ〜」

 

  ここまでくれば、ガードマンの哨戒範囲外らしい。いやぁ〜危なかった。

 

明日香

 「どう?オベリスクブルーの洗礼を受けた感想は?」

 

十代「まぁまぁって感じかな。もう少しやるかと思ってたけど」

 

闇透子

 「クソ雑魚だった。そのくせプライドが高いから質が悪い。でもだからこそ気持ちのいいデュエルが出来た」

 

 俺と十代が答えると、明日香は十代に歩み寄って尋ねた。

 

明日香

 「そうかしら?もし邪魔が入っていなかったらアンティルールで大事なカードを失うところじゃなかったの?」

 

十代

 「いや、あれは俺の勝ちだよ。俺が引いたのは(死者蘇生)!これで(フレイム·ウィングマン)を召喚して逆転だ!」

 

闇透子

 「いや、(死者蘇生)では(フレイム·ウィングマン)は特殊召喚出来ない。そいつは《融合召喚》でしか特殊召喚出来ないからな」

 

 俺のツッコミに驚く十代。いや、自分のカードなんだから効果ぐらい把握しておけよ。

 

闇透子

 「ところで十代。ちょっとデッキ見せてみろよ。代わりに俺のデッキ見せるからさ」

 

十代

 「お、おう……いいけどさ……」

 

 いつになく元気がない十代を後目に、彼のデッキを1枚1枚捲くっていく。

 

闇透子

 「なぁにこれぇ!こんなん事故るに決まってんだろぉ!」

 

 「と、透子さん落ち着くッス!そんなに大きな声を出したらガードマンに見つかるッス!」

 

 あぁすまない。それにしてもこれは酷い。融合素材が一組ずつしかないし、大半がバニラ。使い勝手の悪い魔法罠が何枚もある。

 

 しかしこんな事もあろうかと、十代のデッキに合いそうなカードをいくつか見繕っておいたのさ!

 

闇透子

 「とりあえず、十代のこのカードをあげる。入れるも入れないも十代の自由だが、入れてくれると嬉しいな」

 

十代

 「え……となになに……お、おぉ……」

 

 渡したカードは(沼地の魔神王)2枚、(E・HEROエアーマン)3枚、(始祖竜ワイアーム)1枚、(融合派兵)2枚、(増援)1枚、そして(フェイバリット・ヒーロー)1枚だ。いつ十代に会ってもいいようにわざわざ異世界通販で買ってきたぜ。

 

十代

 「すげぇ!いいのか?こんな強いカード貰っちゃって!」

 

闇透子

 「構わない。これでもうあんなヤツなんかにピンチにはならないな!あのいけ好かない野郎をボコボコにしてやれ!」

 

十代

 「おう!それじゃあな!透子もカードありがとうな!」

 

 「あ、待つッスよアニキィ!」

 

 さて、十代達を見送ったし俺も帰るか……

 

明日香

 「待って」

 

闇透子

 「どうした?」

 

 帰ろうとしたら、明日香に待ったをかけられた。振り返ると、明日香は凄く真剣そうな顔をしていた。

 

明日香

 「あなたに聞きたい事がいくつかあるわ。1つ、入試デュエルの時と違うデッキを使った理由。2つ、最初に会った時と口調が違う理由。それぞれ説明して欲しいの」

 

 

闇透子

 「お、おう分かった。まず1つ目については(スキルドレイン)へのメタというのは建前で、単純に気分だ。今日はウイルス使って高打点で相手を殴り倒したい気分だったから使ったってだけだ」

 

明日香

 「ま、待って!どうして?どうしてデッキを2つも持っているの?デッキはデュエリストの魂。だから1つのデッキに全てを注ぐの。あなたはデッキに絆は無いの?」

 

  凄く混乱しているようだな。だが、俺にはしっかりとした答えがあるんだ。

 

闇透子

 「愛着はあるが絆なんてない。デュエルに必要なのは、カードの構築とプレイングとなけなしの運だけだ。カードとの絆なんて入る余地は無い。それになにより同じデッキだけ回してると飽きる。違うデッキをいくつか持てば、コンセプトが合わずに余ってたカードを使えたりしてお得だし、メタを張られにくくなるからメリットが大きい」

 

 明日香は本当に信じられない様な目つきで俺を見ている。そんなに複数のデッキを持つのが信じられないのか。

 

闇透子

 「2つ目は【最初に会った時と口調が違う理由】だったか。単刀直入に言うと、本来の人格とは別に《俺》というもう1つの人格があるからだ。ちなみに、あの自爆ワンキルデッキも俺が作った」

 

明日香

 「なるほど……どうりで口調が女の子らしくないのね……分かったわ、質問に答えてくれてありがとう。この質問は他の皆に話さないでおくわ。そういえば、あなた帰り道は分かる?送ってあげる」

 

闇透子

 「おおそれは助かる。ぜひ頼む」

 

 こうして、俺は初めてエスコートされる事になった。なんか凄く恥ずかしいなこれ。

 

 ……後で透子に俺の存在を伝えなきゃな。まだ記憶は把握できても、意識を奪って強引に掌握したり語りかけたりも出来ない。そこらへんもなんとかしなきゃな。頑張れば練習出来るものなのかな?

 



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3.古神透子と月1テスト

 

〜 自室 〜

 

 私は今、教科書に書いてあることをノートを写すテスト勉強をしています。

 

 明日は月に1度のテストの日。オシリスレッドの人達みたいに落第みたいな事はないけど、それでもできるだけ良い点を取りたい。

 

 なにより……これ以上“もう1人の自分”に頼っていられないから。

 

 それはオベリスクブルーの生徒とデュエルをした次の日。私の机に置き手紙がありました。内容は私に“もう一人の自分”がいて、なんと(ナチュル)デッキを作ったのが、その人?だったのです。

 私が入試デュエルに合格したのも、オベリスクブルーに勝てたのも全部あの人のおかげだったんです。

 

 これからは、可能な限り自分の力だけでなんとか出来る様にしなきゃ!

 

 

 

〜 当日 試験終了後 〜

 

 お、終わった……後は結果を待つだけです。

 それにしても、テストが終わった瞬間みんなどこかに行ってしまいました。ご飯にしてもがっつきすぎですし……

 

 「なんの為に勉強したんだか……」

 

 あっ、翔さんに十代さん、三沢さんもいます!少し話を聞きに行きましょう!

 

透子

 「ところで、さっき走っていった皆さんは何をしに行ったんですか?」

 

三沢

 「ああ、今日は新カードが大量入荷するみたいでね。テスト前にデッキを強化したいんだろう。ちなみに僕は自分のデッキを信じているから買いにはいかない」

 

十代

 「俺は興味ある!どんなカードがあるのかワクワクするぜ!」

 

透子

 「わ、私もどんなカードがあるのか気になります!」

 

 そんなわけで購買部に言ったんですが……

 

十代

 「う、売り切れぇ!?」

 

 どうやら誰かが買い占めをしたらしいのです。あまり褒められたものではありませんね。

 

 その後、朝に十代さんが助けた購買部のおばちゃんことトメさんに、1箱分のパックを貰うことになりました。

 

 さて、私もデッキの調整をしなきゃ……

 

闇透子

 『今回は俺にやらせてくれないか?』

 

 え……まさか……もう一人の私!?

 

闇透子

 『今回はどうしても使いてぇデッキがあるんだ。だから頼む』

 

透子

 「わ、分かりました。でも、やるからには勝って下さいね?」

 

闇透子

 『おうよ!任せておきな!』

 

 「透子さ〜ん、何独り言を呟いているんすか?声が大きいッスよ」

 

透子

 「はい!今行きます!」

 

 初めてのテストは“私”に任せたので多分大丈夫でしょう。だって、あの巨人を倒した人なのですから。

 

 

 

〜〜〜

 

 さて、相手は誰かな。

 

???

 「うっ、あなたが相手ね!ま、負けないんだから!」

 

 確かあいつは《浜口ももえ》だったかな。いつも明日香の側にいる奴だった筈。

 

闇透子

 「まぁそんなキリキリすんなや。楽しもうぜ」

 

ももえ

「楽しめるわけないじゃない!あなたにはとあるオベリスクブルー生を精神破壊させて自主退学に追いやったって噂があるのよ!」

 

 まじかよそんなの身に覚え……あるわ。多分俺のナチュルモンスターを雑魚モンスターよばわりしたあのオベリスクブルー生か。2度とデュエルできなくするとは言ったが、まじで退学したのかアイツ。

 

闇透子·ももえ

 「デュエル!」

 

闇透子

 「先攻は俺だ!ド、ドロー!」

 

闇透子 手札5→6枚

 

 未だに先攻ドローが馴染まねぇな。手札はあまりよろしくねぇが、これがあるなら話は別だ。

 

闇透子

 「メインフェイズに入って、俺は(左腕の代償)を発動!手札を全て除外して、デッキの魔法カードを何でもサーチ出来る!このカードを発動するターン、俺は魔法罠をセット出来ない!」

 

闇透子 手札6→5→0→1

 

 (左腕の代償)を発動すると、目の前に左腕を鎖で繋がれた痩せたおっさんが現れた。

 おっさんが右腕で小さな宝箱を開けた瞬間、後ろに立っていた屈強な男がその手に持つ大剣で、おっさんの左腕を切り落とした。

 おっさんの腕が切り落とされた瞬間、俺の左腕に強烈な痛みが走る。

 

闇透子

 「イッテェェ!お、俺がサーチするのは(名推理)!」

 

ももえ

 「す、推理ゲート!?」

 

 推理ゲートか。確かに間違っちゃいない。だがそれが全てじゃない。いや、このデッキだとほぼ全てだわ。

 

闇透子

 「俺は(名推理)を発動!さぁ!レベルを宣言しな!モンスターが出るまでデッキを捲り、当たれば墓地へ、外れれば特殊召喚される!」

 

ももえ

 「なんてギャンブル性の高いカードを採用しているの!?私はレベル8を宣言するわ!」

 

闇透子

 「さて、君の推理は正しいか答え合わせをしてみようか!」

 

 ターバン巻いたおっさんが現れて、デッキからカードを捲る。捲られたのは(天魔神ノーレラス)。

 

ももえ

 「捲られたのは(天魔神ノーレラス)!星8のモンスター!当たっているから墓地に送られる!残念だったわね!」

 

闇透子

 「残念だが不正解だ!(名推理)は“通常召喚”出来るモンスターが出るまで処理を行う。こいつは特殊召喚モンスターだからまだまだ答え合わせは続く!更に俺のデッキには通常召喚出来るモンスターはたったの6枚!しかも俺のデッキは60枚!さぁ(名推理)よ!どんどん墓地を肥やすがいい!」

 

 俺の呼びかけに応えたのか、ターバンのおっさんはカード捲る速度を速めていく。

 どんどんとカードが捲られ、遂に答え合わせの時が来た。

 

闇透子

 「捲られたのは(ファントム·オブ·カオス)!レベル4モンスター!不正解なので特殊召喚!」

 

 現れたのはまっ黒な渦の様なモンスター。俺のデッキのキーカードだ。

 

闇透子

 「(ファントム·オブ·カオス)の効果発動!自分の墓地のモンスター(天魔神ノーレラス)を除外して!エンドフェイズまでそのモンスターと同名カードになり、元々の攻撃力と効果を得る!」

 

ファントム·オブ·カオス→天魔神ノーレラス

 

 黒い渦は(ノーレラス)を取り込み、包帯を巻いた禍々しい悪魔へと姿を変えた。

 

闇透子

 「そして(天魔神ノーレラス)の効果発動!コストで1000LPを払い、お互いの手札・フィールドのカードを全て墓地へ送り、自分はデッキから1枚ドローする!リセットウェーブ!」

 

闇透子 LP4000→3000

 

 禍々しい悪魔は自身をも巻き込む猛烈な波動を放ち、俺とももえの手札は0枚になった。まぁ俺は1枚ドローするんだけどな。

 

闇透子 手札 0→0→1

ももえ 手札 5→0

 

 

闇透子

 「俺はターンエンドだ。さぁ、たった1枚のカードで精々足掻くがいい」

 

 ああたまんねぇ。やっぱり先攻全ハンデスは決まると爽快だな。

 

闇透子 LP3000 手札1 伏せ0

 

ももえ LP4000 手札0

 

ももえ

 「わ、私のターンドロー!くっ……カードをセットしてターンエンド!」

 

ももえ 手札0→1→0

 

 伏せカード1枚でターンエンドか。まぁこの時代だとそんなもんだよな。

 

闇透子

 「俺のターンドロー!」

 

 闇透子 手札1→2

 

 ドローしたカードは……中々良いカードだ。

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズに……」

 

ももえ

 「永続トラップ発動!(グラヴィティ・バインド-超重力の網ー)!これで星4以上のモンスターは攻撃できませんわ!」

 

 なるほど、ロック系のデッキか。よくこの場面で引いたな。だが無意味だ!

 

闇透子

 「俺は永続魔法(煉獄の昇華)を発動!コストで手札を1枚捨てて効果発動!デッキから煉獄魔法罠をサーチ!俺は(煉獄の虚夢)をサーチ!」

 

手札 2→1→0→1

 

闇透子

 「こいつで君を火の洪水に沈めてやろう!永続魔法(煉獄の虚夢)発動!今のところは効果がない!」

 

ももえ

 「威勢がいいですわね。手札も0、モンスターも0。何が出来るのです?」

 

 確かにな。普通のデッキなら俺もそう思う。だが、このデッキはもうLPを削り取る準備は整ったぜ!

 

闇透子

 「だったら見せてやろう!墓地のインフェルノイドモンスター2体を除外!墓地から現われよ!醜悪のクリファ!(インフェルノイド·ヴァエル)!」

 

インフェルノイド·ヴァエル 攻2600

 

 現れたのは機械の様な見た目をした悪魔。突然の上級モンスターに場が騒然となる。

 

闇透子

 「まだだ!墓地のインフェルノイドを3体除外!墓地より現われよ物質主義のクリファ!(インフェルノイド·ネヘモス)!更に墓地のインフェルノイドを3体除外!不安定のクリファ!(インフェルノイド·リリス)!最後にインフェルノイドを2体除外!貪欲のクリファ!(インフェルノイド·アドラメレク)!」

 

インフェルノイド·ヴァエル 攻2600

インフェルノイド·ネヘモス 攻3000

インフェルノイド·リリス 攻2900

インフェルノイド·アドラメレク 攻2800

 

 湧き水の様に出てくる上級·最上級モンスター達。この異様な光景に、場が静まりかえる。

 

闇透子

 「上級(インフェルノイド)モンスターが持つ共通効果。墓地のインフェルノイドモンスターを指定の枚数除外して、手札·墓地から特殊召喚できる!(名推理)はこの展開の為の布石だったのだよ!」

 

ももえ

 「で、でも出てきたモンスターは全て星4以上!(グラヴィティ・バインド)の効果で攻撃出来ませんわ!」

 

 焦りながらも、どこか安堵した様子のももえ。だが安心していられる時間など無いのだよ。

 

闇透子

 「それはどうかな?永続魔法(煉獄の虚夢)の永続効果により、場にいる(インフェルノイド)モンスターは戦闘ダメージが半分になる代わりにレベルが1になる!これにより、(インフェルノイド)モンスターの殆どの共通効果でレベルの合計が8以上になると特殊召喚できなくなるデメリットを無視出来る!レベル1なので(グラヴィティ・バインド)の効果範囲外だ!」

 

 ももえが絶望しているのがよく見える。さぁ!覚悟は出来たか!

 

闇透子

 「バトルフェイズ!さぁ神の尖兵達よ!我に仇成す者を滅せよ!」

 

 悪魔達は各々の力を解き放ち、ももえのLPを吹き飛ばした。

 

闇透子

 「ガッチャ。楽しいデュエルだったよ。フフフ……」

 

 悪役みたいな不敵な笑みを浮かべて、フィールドを後にする。

 ちなみに(インフェルノイド·リリス)で(大嵐)する事も出来たが、敢えてそのままにした。

 

 さて、十代のデュエルでも見に行こうかな。

 

 

 

〜〜〜

 

結果を言うと、十代はいつぞやにデュエルした万丈目にリベンジを果たした。

 

先攻は十代で、初手に(融合派兵)で(E·HEROクレイマン)を呼び出し、更に(エアーマン)通常召喚して(スパークマン)をサーチ。(クレイマン)と(スパークマン)で(ワイアーム)を守備表示で融合召喚してターンを終えた。

 

 相手の万丈目も中々に凄い引きをしていた。

 

 あの専用構築が必要な(VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン)を(打ち出の小槌)、(死者蘇生)、(二重召喚)を使って強引に1ターンで出してきたのだ。

 

 しかし、本来ならそれを出す過程で(XYZ-ドラゴン・キャノン)の効果で手札1枚のコストに(ワイアーム)を破壊するつもりだったようだが、(ワイアーム)は効果モンスターには戦闘破壊されず効果モンスターの効果を受けないという鉄壁に近い耐性を持っており、どかす事が出来ず仕方なく(エアーマン)を破壊した。

 

 十代のターンに入ると、(沼地の魔神王)を捨てて(融合)をサーチ。(E·HEROフレイムウィングマン)を融合召喚。

 (フェイバリット·ヒーロー)を(フレイムウィングマン)に装備させて(ドラゴン・カタパルトキャノン)を戦闘破壊し、(フレイムウィングマン)の効果で3000バーン。残りLP700になったところで(フェイバリット·ヒーロー)を剥がしてもう一回殴ってゲームセットとなった。

 

 いやぁ俺が渡したカードが大活躍してて満足だわ。

 

 さて、テストも終わったし満足もしたし帰るか。

 

 そういえば、この後のGX原作はどうなんだろう?俺が十代のデッキに干渉したから

もしかしたら何らかの影響があるのかも。

 まぁそんな先の事を考えても分からんものは分からん。やばくなったらデュエルでどうにかなるしな。

 

 そんな事を考えながら、俺は寮に戻った。

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

 夕食を終えた私は、早速もう一人の自分に声をかけました。

 

透子

 「ねぇ、もう一人の私。あのデュエルを見て思ってたんたけど、どうしてあんなに強いの?」

 

 それに対して、もう一人の私は少し間を置いて話し始めました。

 

闇透子

 『カードが強いから……なんて答えは聞きたくないだろ?簡単に言っちまうとな……相手が嫌がる事を全力でやるから……かな』

 

透子

 「相手が嫌がる事?」

 

 全く予想だにしなかった言葉に、私はつい首を傾げてしまいました。

 

闇透子

 『話は変わるけどさ……透子。デュエリストにおいて大切な事を3つ上げてみろ』

 

 これは分かりますよ。私がデュエルを始めようと思った時に聞いた言葉ですから。

 

透子

 「最後まで諦めない事、カードを信じること、カードを大切にする事です!」

 

闇透子

 『残念20点』

 

 え……結構自信あったんですけど……

 

闇透子

 『俺が考える大切な事は、最後まで諦めない事、カードの力を最大限活かせる様にデッキを作ること、相手の展開を読んでそれを潰す事だ』

 

透子

 「え?でもプロの人達はいつもピンチの時はカードを信じてドローして、そのカードで逆転してしましたよ?」

 

闇透子

 『俺はあまりプロは見ないんだが、これだけは言える。デッキトップに頼ってるようじゃ負けたも同然だ。デュエリストはあらゆる状況にある程度対応出来る様なデッキを構築する者だ。例えば透子。こちらが後攻で、なんでも無効な罠3枚とモンスター効果無効4回撃てる打点3200のモンスターと何でも効果無効のモンスター2体の布陣を作られたらどうやって突破する?』

 

透子

 「……突破出来ないです」

 

 そもそもそんな鬼畜極める盤面なんて作れるんですかね?

 

闇透子

 『だろ?俺だってこんな盤面完成したらそうそう突破出来ないわ。どんなにカードを信じても、デッキ内に解答札が無けりゃ詰む。だからそれを捲くる対策を入れるか、そもそも盤面を作らせない妨害カードを入れたりする必要があるんだ。まぁ、対策札積みすぎると今度は事故ったりするから、そこはデュエリストの腕の見せ所ってやつだ』

 

 確かにデッキに答えが無い盤面なんて作られたら絶望しかないですね……

 

闇透子

 『そういえば、アカデミアの大半の生徒は攻撃力の高いモンスターを出して終わりみたいなデッキが殆どだよな?あれじゃあ勝てない。何故だと思う?』

 

透子

 「え……でも私。そんなデッキに何度も負けてきたんですけど……」

 

 もう一人の私は、大きなため息をつきました。

 

闇透子

 『あのデッキは酷かったな……まぁそれはそれとして、正解は除去されたら終わりだからだ。ああいうパワー系のデッキに必要なのは、相手の妨害を潜り抜けられる突破力と、出したモンスターを守る手段だ。後続を確保して次のターンに同じかそれに近い展開が出来れば最高だな』

 

 頑張って除去しても、また次のターンに同じモンスターが出てくる……考えただけで頭が痛くなりそうです。

 

闇透子

 『そんなデッキとやり合うにはどうするか。答えは俺が大切にすべき物で言った相手の嫌がる事を全力でやる事だ。相手が嫌がる事ってのは止められたら困る事、もしくは解答が少ないカードを出される事だ。相手はリカバリーする時やそのカードを退かす為に多くの手札や時間を使う。こういうのを、アド損っていうんだ』

 

透子

 「アド損?なんですそれ?」

 

闇透子

 『アドバンテージの損失。略してアド損だ。アドバンテージってのはリソースの事で、1番分かりやすいのは手札だな。どんなにLPが多くても手札が無ければ何も出来ないし、逆ならばあっという間に逆転できたりする。少ない消費で相手のリソースを削るのが勝利の近道さ』

 

透子

 「つまり……相手の嫌がる事をやって手札やフィールドを消費させて、相手が弱った所を攻める……それがデュエルのコツなんですね?」

 

闇透子

 『まぁな、だがあまり嫌な事をやりすぎるとデュエルしてくれなくなったりするからな。さっき上げた盤面作りまくるやつなんて友達居ねぇってボヤいてたからな』

 

 あの盤面例え話じゃなくて実体験だったんですね……デュエルしたら勝てる未来が見えません。

 

闇透子

 『せっかくの機会だ。このデュエル歴3年の俺が、持っている知識をフル活用して透子にアドバンテージについて深く教えてやるぜ』

 

 えっ?もう一人の私って3年しかデュエルしてないんですか!?それなのにあんなに強いなんて……一体どんな世界を生きていたのでしょうか?

 

 そんな事を考えながら、私はもう一人の私の言葉に耳を傾けました。



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4.闇のデュエル!タイタンの裏ワザ

 

 

〜 オベリスクブルー 女子寮 〜

 

 夜中にトイレに行っていると、明日香さんがトイレとは全く違う方向に歩いているのが見えました。

 何となく、嫌な予感がします。私はすぐ近くの自室に入ってデッキとデュエルディスクを持って後を追います。

 

 

〜 特待生寮前 〜

 

 暗くて寒い夜の中、私は明日香さんの光を追っています。

 

 それにしても真面目な明日香さんがこんな夜中に外出なんて珍しい。ん?ここは……特待生寮?誰も立ち入ってはいけない場所なのに……なんででしょう?

 

 明日香さんと話しているのは十代さん含めた3人。あっ寮の中に入っていっちゃいました!入っちゃ駄目な所なのに!

 

 明日香さんはしばらく寮をみてからアカデミアに戻ろうとすると、大男に捕まってしまい連れ去られてしまいました。

 

 いけない!追いかけないと!

 

 

 

〜 特待生寮 最深部 〜

 

 必死に追いかけていると、暗くて不気味な場所に着きました。そこにはさっきの大男と、棺に入れられている明日香さんの姿が。

 

????

 「貴様……何者だ」

 

透子

 「私は古神透子!明日香さんを返してください!」

 

タイタン

 「ふむ……十代ではないのか……まぁいい、我が名はタイタン。闇のデュエリスト。我を知ったからには消えてもらう」

 

闇透子

 「闇のデュエルか!上等だ、全力で叩き潰す!」

 

闇透子·タイタン

 「デュエル!」

 

タイタン

 「先攻は私だ。ドロー!」

 

 タイタン 手札5→6

 

タイタン

 「私は(インフェルノ·クインデーモン)を召喚。更にフィールド魔法(万魔殿-悪魔の巣窟)を発動」

 

 タイタン 手札 6→5→4

 

 フィールドが書き換わり、地獄の一画の様なフィールドに変化する。そのせいで、(インフェルノ·クインデーモン)の姿が大分様になっている気がする。

 

インフェルノ·クインデーモン

レベル4/炎属性/悪魔族/攻 900/守1500

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。

このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。

2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。

このカードがフィールド上に存在する限り、メインフェイズ(OCGではスタンバイフェイズ)毎に「デーモン」という名のついたモンスターカード1体の攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップする。

 

万魔殿-悪魔の巣窟

フィールド魔法

「デーモン」という名のついたモンスターはスタンバイフェイズにライフを払わなくてよい。

戦闘以外で「デーモン」という名のついたモンスターカードが破壊されて墓地に送られた時、そのカードのレベル未満の「デーモン」という名のついたモンスターカードをデッキから1枚選択して手札に加える事ができる。

 

タイタン

 「私はこれでターンエンドだ」

 

タイタン LP4000 手札4 伏せ0

フィールド(万魔殿-悪魔の巣窟)

 

インフェルノ·クインデーモン 攻900→1900→900

 

闇透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 

闇透子

 「俺のターン!ドロー!」

 闇透子 手札 5→6

 

闇透子

 「そういえば、闇のデュエルといったが特に何も変わってないな?やっぱりハッタリなんじゃねぇのか?」

 

十代

 「透子!」

 

 おっ、十代に翔、えっと……コアラ。

 

タイタン

 「来たか十代。この小娘を闇のゲームで葬ってから、貴様を倒してやろう」

 

十代

 「闇のデュエルなんてあるわけないだろ!」

 

 いやありそうだろ闇のデュエル。だって遊戯王の世界だもん。そんな類の話は出てくるでしょ。

 

タイタン

 「ならば見せてやろう!闇のゲームを!」

 

 タイタンが千年パズルのパチモンみたいなのを取り出すと、それが金色の光を放った。

 

タイタン

 「消えてゆく、お前の身体がLPに従って徐々に消えてゆく」

 

 タイタンがそう言うと、辺りに黒い霧が立ち込めてくる。

 

十代

 「……何も起きてないぞ」

 

 そりゃ何もしてないからな。

 でもこれめちゃくちゃマズイぞ。俺のデッキ(スーパードロー型暗黒界)なんだけど!(チキンレース)とか(成金ゴブリン)で圧縮するデッキなんだけど!?

 

闇透子

 「お、俺はフィールド魔法(チキンレース)を発動!1000LP払って1枚ドロー!」

 

 闇透子 手札 6→5→6

     LP4000→3000

 

 フィールドが地獄の一画から断崖絶壁の岩場に変化した。

 

 俺がドローすると、足場の一部が崩れて海へと落ちていった。

 

 それにしても、俺の記憶が正しければフィールド魔法はお互いに1枚ずつ張れた筈なのに何故かタイタンのフィールドが消えている。なんでだ?

 

十代

 「透子!お前脚が!脚が消えているぞ!」

 

 うわ、マジだ俺の両脚が透明になったみたいに消えている。これホントにまずいかも。でも止まったら殴り殺されるだけだ。

 

闇透子

 「俺は(テラ·フォーミング)を発動!このカードはフィールド魔法をサーチ出来る!俺は(チキンレース)をサーチ!」

 

闇透子 手札 6→5→6

 

 「と、透子さん!?どうして自分のLPを削っちゃうんですか!?危ないッスよ!」

 

闇透子

 「しょうがねぇだろ!そういうデッキなんだよ!(チキンレース)発動!1000LP払って1枚ドロー!」

 

闇透子 手札 6→5→6

    LP 3000→2000

 

 崩れていく俺の足場と消えていく俺の身体。頼む早く来てくれキーカード!

 

闇透子

 「(成金ゴブリン)を発動!相手を1000LP回復させて1枚ドロー!」

 

闇透子 手札 6→5→6

 

タイタン LP 4000→5000

 

成金ゴブリン(制限カード)

通常魔法

(1):自分はデッキから1枚ドローする。 その後、相手は1000LP回復する。

 

 タイタンの頭上から紙幣が降り注ぎ、俺はカードをドローする。

 

闇透子

「俺は2枚目の(テラ·フォーミング)を発動!(暗黒界の門)をサーチ」

 

 闇透子 手札 6→5→6

 

 (テラフォ)は俺がいたところでは制限だったが、ここでは無制限カードなので遠慮なく使わせてもらう!なんなら俺がいた時には禁止カードだったカードの使用も辞さない!まぁ、何故か(成金ゴブリン)が制限なんだけどな!

 

 闇透子

 「俺は(苦渋の選択)発動!デッキから5枚カードを選び、相手に選ばせる。選ばれた方を手札へ、残りを墓地へ送る!さぁ選びやがれ!」

 

闇透子 手札6→5

 

苦渋の選択(制限カード)

通常魔法

自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。

相手はその中から1枚を選択する。

相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる。

 

選んだカード

暗黒界の龍神グラファ×3

暗黒界の武神ゴルド

暗黒界の軍神 シルバ

 

タイタン

 「む……どれも上級か最上級モンスター……手札にきても出すのに時間のかかる最上級モンスター(暗黒界の龍神グラファ)を選ぶ!」

 

闇透子

 「OK……ならば(グラファ)を加えて残りは墓地へ捨てる」

 

闇透子 手札 5→6

 

 「(暗黒界)は確か捨てられると効果を発動するカード……そうか!だから(苦渋の選択)で一気に捨てたの……」

 

闇透子

 「残念だが半分不正解だ。(暗黒界)は“手札”から“効果”で捨てられないと効果を発動出来ない。俺がこれを使ったのは、単なるデッキ圧縮だ。もしこれで墓地で効果を発動するカードを落とすと、1枚で4枚以上のアドを稼げる爆アドカードに早変わりだ」

 

闇透子

 「フィールドゾーンにカードセット、カードを1枚伏せる!暗黒界の必殺コンボを見せてやる!魔法カード(手札抹殺)発動!お互いに手札を全て捨てて、捨てた枚数分ドロー!」

 

 闇透子 手札 6→4→3→0→3枚

 タイタン 4→0→4枚

 

闇透子

 「捨てられた(グラファ)をチェーン1対象は(インフェルノ·クインデーモン)!(ブラウ)を2、(ベージ)を3の順で効果発動!逆順処理により、(ベージ)を蘇生!(ブラウ)で1枚ドロー、グラファの効果で(クインデーモン)を破壊!」

 

タイタン

 「では(インフェルノ·クインデーモン)の永続効果。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。今回はサイコロの代わりにこのルーレットを使ってもらう」

 

 出た目は……5

 

闇透子 手札3→4枚

 

 (クインデーモン)が効果を発動する前に、墓地から黒い瘴気が立ち込めるが、(クインデーモン)は軽く悶えながらも、破壊されなかった。

 

闇透子

 「俺は伏せていたフィールド魔法(暗黒界の門)を発動!墓地の(ゴルド)を除外して、1枚捨てて1枚ドロー!」

 

闇透子 手札4→3→4

 

闇透子

 「俺は捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー!」

 

闇透子 手札4→5

 

 ウゲッこのタイミングで(チキンレース)……使いたくないけど……最後のキーカードさえ引ければ俺の勝ちなんだ!

 

闇透子

 「俺は……最後の(チキンレース)を発動!1000LP払って……1枚ドロー!」

 

 闇透子 手札5→4→5枚

     LP2000→1000

 

 力が……抜ける……足場はいつ崩れてもおかしくないぐらいにボロボロだ……後ろに倒れないと俺は死ぬ。

 

タイタン

 「フン……自ら命を削るとは……貴様は闇に堕ち、自らの意志で屍になるのだ!」

 

 あいつが何を言っているのか分からない。意識が……飛ぶ……

 

 

 

〜 ??? 〜

 

 ここは……どこだ?暗くて……冷たい……ここがあの世ってやつか。まだ使いたいデッキ……結構あったのにな。

 

????

 『否、主は死んでなどいない。主は眠っているだけだ。目を覚ませば、あの男とデュエルできる』

 

 誰だ?俺を主だなんて呼んでくれる奴なんていないはずだが……姿を見せてくれないか?

 

????

 『残念だが……余は完全に姿を現す力がまだない。仮に現れたとしても、そう長くは留まってはいられぬ。だが、主の身体を楽にすることは出来る。だから起きてあの闇のデュエリストを名乗る偽物を倒すのだ』

 

 そうか……じゃあ起きるか……ありがとな。知らない誰かさん……

 

 

〜 特待生寮 最深部 〜

 

闇透子

 「……確かに身体が楽になったな」

 

タイタン

 「な、なんだと!?まだデュエルを続けられるのか!」

 

闇透子

 「あぁ、名前の知らない誰かのおかげでな。もう息苦しさもない。手足もしっかりある」

 

 俺がそう答えると、タイタンは慌てた様子でパチもんくさい千年パズルを見せてきた。

 

闇透子

 「無駄だ!俺は本物の千年パズルを見たことがある!そのパズルは繋ぎ目がなさ過ぎる!それはなんらかの催眠術を出す類の装置なんだ!」

 

タイタン

 「くっ、仕掛けが効かない以上、貴様とデュエルする事は無意味!」

 

 タイタンが煙幕を出して逃げようとする。逃がすかよ!絶対にとっ捕まえてやる!

 

 タイタンを追いかけようとした瞬間。俺とタイタンは黒い渦に吸い込まれていった。

 

 

〜 闇の世界? 〜

 

 どこだここ?さっき名前を知らない奴に会った所と似ているが……

 

 辺りを見渡すと、黒いスライムみたいな奴が大量に降ってきて、タイタンの身体にまとわりついていた。

 同じ様なスライムが、俺の足元にも……やばい。俺にはカードの精霊なんて憑いていない。このままだとタイタンみたいに飲み込まれて……

 

 その瞬間、辺りに黒い瘴気が立ち込めてスライムはそれを嫌がって離れていく。

 

 これは……まるで(グラファ)を捨てた時に出てくる瘴気に似ている。とにかく助かったみたいだ。

 

 そういえば、タイタンはどうなった?

 

タイタン

 「古神透子だったか……デュエルの続きといこうじゃないか」

 

闇透子

 「おう、決着をつけてやる。俺のターンはまだ続いているぜ!」

 

闇透子 LP1000 手札5枚 伏せ1

フィールド魔法 (チキンレース)

 

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

 

タイタン LP5000 手札4枚

(インフェルノ·クインデーモン)攻900

 

闇透子

 「俺は(ベージ)を戻して(グラファ)を特殊召喚!」

 

 闇透子 手札 5→6

 

 (ベージ)が大きく跳躍すると、地面から(グラファ)が蘇る。(グラファ)は咆哮をすると、周りにいた黒いスライムをブレスで薙ぎ払った。

 

暗黒界の龍神 グラファ 攻2700

 

タイタン

 「リリースなしで最上級モンスターだと!?」

 

闇透子

「残念だが主役はこいつじゃねぇ!速攻魔法(神秘の中華なべ)を発動!(グラファ)をリリースして(グラファ)の攻撃力2700分のLPを回復する!」

 

 手札 6→5

 

 巨大な鍋が現れると、(グラファ)は様々な具材と共に料理され、最終的には禍々しい色をしたチャーハンになった。

 (グラファ)……料理にされるときめっちゃ驚いていたな……手札はあるし(グラファ)出してやろう。

 

闇透子 LP1000→3700

 

闇透子

 「手札から(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!」

 

透子 手札5→6→5

タイタン 手札4→5→4

 

 闇透子

 「捨てられた(ベージ)の効果!自身を特殊召喚してすぐバウンス!(グラファ)を特殊召喚!」

 

タイタン

 「馬鹿な!?また出てきただと!?」

 

闇透子

 「よし、キーカードは揃った!タイタン!貴様の罪を数えろ!」

 

タイタン

 「ふ、ふん!たかが攻撃力2700のモンスターを出しただけじゃないか!その程度では私のLPは尽きない!」

 

闇透子

 「いいや、お前のLPはピッタリ消えるぜ!伏せカード発動!(簡易融合)!1000LP払うことでレベル5以下の融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚できる!そのモンスターは攻撃出来ず、エンドフェイズ時に破壊される!」

 

闇透子 LP3700→2700

 

 (簡易融合)を発動すると、出てきたのは巨大なカップ麺。それに触れると強烈な脱力感が俺を襲い、カップ麺の蓋が開いた。

 

闇透子

「ッ……王の贄となるべく舞い降りよ!気高き孤高の夜鳴き鳥!(LL-インディペンデント・ナイチンゲール)!」

 

 カップ麺の蓋が開き、中から紫色の羽が綺麗な鳥人が現れた。

 

タイタン

 「ふん!そんなモンスターに何が出来る!その程度で私のLPを削ることなど出来ん!」

 

 ほぅ……どうやらタイタンはこのカードを見くびっているらしい。後悔するなよ。

 

闇透子

 「タイタン!貴様は今、神に近い究極のモンスターを見る事になるぜ!(LL-インディペンデント・ナイチンゲール)をリリース!冷たき暴君よ!孤高の贄を喰らい、究極の力を解き放て!アドバンス召喚!現れろ!(The tyrant NEPTUNE)!」

 

タイタン

 「レベル10!?なのに攻撃力1000だと!?」

 

 現れたのは鎌を手に持ち、人の様な上半身とワニの様な下半身を持つモンスター。そいつは(インディペンデント・ナイチンゲール)を豪快に食らうと、身の毛が逆立つ様な雄叫びを上げた。

 

The tyrant NEPTUNE

 攻?→1000

 

闇透子

 「こいつは1体のリリースでアドバンス召喚出来る!(The tyrant NEPTUNE)の効果発動!アドバンス召喚に成功した時、リリースしたモンスターの効果を得る!これにより、攻撃力6000!他のカードの効果を受けず、1ターンに1度5000バーンを飛ばす化け物が降臨したぜ!」

 

タイタン

 「攻撃6000だと!」

 

闇透子

 「(The tyrant NEPTUNE)の効果発動!このカードのレベル×500ダメージを相手に与える!コイツのレベルは10。よって5000ダメージだ!アルティメット·スケイルシュート!」

 

(NEPTUNE)の鱗が逆立ち射出。鱗は無数の刃となってタイタンに降り注ぐ。

 

タイタン LP5000→0

 

 LPが尽きたタイタンは、大量のスライムに飲み込まれて消えていった。

 

 やばい、こっちにも来ている!とにかく走って出口を探さねぇと!

 

????

 『その必要はないぞ』

 

 後ろを振り向くと、そこには黒いブレスを吐き、黒いスライムを蹂躪している(暗黒界の龍神グラファ)の姿があった。

 

闇透子

 「こいつ……直接脳内に……ってのは置いておいて、お前が俺を起こしたやつか?」

 

 俺がそう尋ねると、グラファは尻尾でスライムを吹き飛ばしながらテレパシーで答えつつ頷いた。

 

グラファ

 『その通り、余は俗に言うカードの精霊というものだが、如何せん生まれたばかりで実体化する力もない。だが、我々暗黒界の世界に近いこの空間なら、しばらくは実体化出来る』

 

 そうか……ところで出口はどこだ?

 

グラファ

 『主が後ろを振り向けばそこにある。だが少し、我々暗黒界の軍一同が聞きたい事を聞かせてくれ』

 

 聞きたい事だと?答えられる事なら何でも答えるぞ。

 

グラファ

 『最近、主は我々をあまり使っていない。そんなに、我々が頼りないか?』

 

 それは違う。確かに手札事故が起きたら本当に悲惨だし、(マクロコスモス)なんて打たれたらそれだけで機能不全になるし、初手に依存している感は否めない。それでも、俺が持つどのデッキよりも展開力に優れていて、派生デッキが多いのは間違いない。

 

闇透子

 「すまない、俺が色んなデッキを使うばかりに。俺には、1つのデッキだけを愛するなんて事は出来ないけど、これからはもう少し暗黒界で戦う頻度を増やしてみるよ」

 

グラファ

 『分かった。主が我々を使って戦う時は暗黒界軍一同、全力を持って戦おう。その時が早く来ることを、我々は願っておる』

 

 あぁ、ありがとう(グラファ)!近いうちに(ベージ)が過労死する程につかってやるからな!

 

 俺は一筋の光の中に飛び込んで、闇の世界から脱出した。

 

 その後は、特に何も起きる事はなく、自分の部屋に戻る事が出来たが……寮に帰る頃には朝になっていた。こりゃ今日は居眠り確定だな。



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5.制裁タッグデュエル!

 

〜 オベリスクブルー女子  〜

 

 私は訳あって明日香さんのお部屋にお邪魔しています。その理由は……

 

透子

 「制裁措置デュエル……明日香さんとすることになるなんて……」

 

明日香

 「あら?私じゃあなたのタッグは役者不足かしら?」

 

透子

 「い、いえ決してそんな……」

 

 慌てて答えると、明日香さんは小さく笑いました。明日香さんって意外と意地悪なんですね。

 

明日香

 「まぁでも……もしもう一人のあなたとタッグすることになったら役不足かもしれないわね……下手したらカイザー亮ぐらいのデュエリストじゃないと……」

 

 カイザー亮。アカデミアの帝王として名を轟かせているオベリスクブルーの3年生です。なんでも「サイバー流」の使い手で、大火力の貫通攻撃で豪快にワンキルを決める流派なんだとか。

 確かにもう一人の私は凄いデュエリストですが、学園1位の人にどれだけ戦えるのでしょうか……

 

闇透子

 「まぁそんな事は今はどうだっていい。とにかくタッグデュエルはやったことないんだし、もう一組タッグデュエルする奴等とやった方が効率的なんじゃないか?」

 

明日香

 「確かにその通りね。早速十代達の寮に行きましょう」

 

 突然動く私の身体。まぁとにかく、やっと十代さんとの約束が果たせそうです

 

 

〜 オシリスレッド寮 〜

 

闇透子

 「十代と翔はいるか!」

 

 「と、透子さん!?それに明日香さんも!?」

 

十代

 「おお、透子!お前らもタッグデュエルしにきたのか?」

 

 十代は驚きつつも、嬉しそうに俺らを出迎えた。

 

明日香

 「ええ、どうせならタッグ同士でデュエルしたほうがいいって話になってね。早速タッグデュエルをしてみましょう」

 

透子

 「ところで、タッグデュエルってどんなルールなんですか?」

 

明日香

 「LPは共有で8000、フィールドと墓地は共有でお互いに1ターン目は攻撃出来ないルールよ」

 

十代

 「よし!それじゃあ早速デュエルだ!」

 

  そういうわけでタッグデュエルが始まったのですが……

 

明日香

 「う〜ん……透子の自爆ナチュルデッキは強力だけど……私のデッキと相性が良くないのかしら……」

 

 結論を言うとほぼ私一人で戦っている様な感じでした。明日香さんの動きも悪くないとは思うのですが、やはり相性が悪いのでしょうか……。

 

透子

 「ではもう1つデッキがあるのでそっちでデュエルしてみましょう。あと翔さん、このカードを受け取って下さい。」

 

 「えっ……い、いいの?僕なんかに?」

 

透子

 「もちろんですよ。その代わり途中で逃げたりせずに、十代さんのタッグを組んで下さいね?」

 

 「うう……自信ないけど頑張るっす」

 

 渡したのは(メガロイド都市)3枚、(一時休戦)1枚、(第六感)1枚、(ミキサーロイド)3枚、(アーマロイドガイデンゴー)1枚、(エクスプレスロイド)3枚。(ペアサイクロイド)1枚です。

 

 もう一人の私曰く、(ロイド)デッキはデッキパワーが低いからこれくらいしないといけないそうです。私としては翔さんのデッキが根底から変わってしまいそうで心配なのですが……

 

 もう一回デュエルをすることになりましたが、本当に翔さんが強くなりすぎて厄介でした。

 

 突然出てくる攻撃力2700のモンスター、フィールド魔法と(第六感)の墓地肥やしと(エクスプレスロイド)が生み出す驚異の安定感。私も必死に応戦したんですが、終盤に繰り出されたダイレクトアタックモンスター(ペアサイクロイド)でゲームエンドされてしまいました。

 

エクスプレスロイド

レベル4/地属性/機械族/攻 400/守1600

(1):このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、「エクスプレスロイド」以外の自分の墓地の「ロイド」モンスター2体を対象として発動できる。

そのモンスターを手札に加える。

 

透子

 「翔さん、浮かない顔をしていますね?どうしたんですか?」

 

 「いや、このカードを引いちゃって」

 

 翔さんはそう言って、(パワー·ボンド)を見せてきました。融合召喚する機械族モンスターの攻撃力を2倍にするこのカードで(ペアサイクロイド)が出されれば、私達はもっと早く負けていたと思います。

 

 「このカードは兄さんに封印されているんだ。僕にはまだ、このカードを使う資格がないんだ」

 

 その後、翔さんはそうなった経緯を話してくれました。なんでもいじめっ子とのデュエルでこのカードを引いて勝利を確信して、かなり荒い言葉を言ってしまったそうです。それを兄さんに咎められてしまい、封印されたそうです。

 ちなみに、もしそこで兄さんが来なかったら、いじめっ子が伏せていた罠で封殺されて、(パワー·ボンド)の効果で負けていたそうです。

 

透子

 「確かに、強いカードを引いただけで、相手を暴言を吐いたり、馬鹿にしたりするのは許されることではないと思います。もしかしたら、あなたの兄さんはそういう事をあなた自身に分からせる為に封印させているのでしょうね」

 

 「確かに……そうかもしれないッス。……でもオベリスクブルー生の精神を破壊した透子さんだけには言われなくなかったッス」

 

 あれ、そんな事してたんですか?確かに……あの夜にオベリスクブルー生とデュエルをしようとしたのは覚えているのですが……もう一人の私はいったいどんなデュエルを……

 

十代

 「なぁ、翔のアニキってどんなやつなんだ?もしかして、デュエル強いのか?」

 

明日香

 「翔の兄さんはこの学園にいるわ。3年生のオベリスクブルーのトップ、丸藤亮。生徒達は彼の事をデュエルアカデミアの帝王「カイザー」と呼んでいるわ」

 

十代

 「そんな奴がいるのか!くぅぅ!こうしちゃいられねぇ!ちょっとデュエルしてくる!」

 

 「あっ!アニキ待つッス!……行っちゃった」

 

明日香

 「はぁ……仕方ないわね。私達だけでデュエルするわよ」

 

 こうして、私達は時間の許す限りデュエルをして、制裁デュエルの時を待ちました。

 

 

 

〜 デュエルフィールド 〜

 

 遂にこの時が来ました。制裁タッグデュエルの日。もう一人の私だったら1人でも勝ってしまいそうですが、これは私が撒いた種なんです。私が片付けなければならないんです!

 

 そんな事を考えていると、突然アクロバティックな動きをしながら、対戦相手がやってきました。

 

迷宮兄

 「我ら流浪の番人!」

 

迷宮弟

 「迷宮兄弟!」

 

 流浪なのに番人とは……これ如何に。

 

迷宮兄

 「お主らに恨みはないが」

 

迷宮弟

 「故あって対戦する」

 

迷宮兄弟

 「我らを倒さねば道は開けぬ、さぁ!デュエルだ!」

 

 流石は兄弟、息ぴったりです。でも、負けるわけにはいきません!

 

明日香·透子&迷宮兄弟

 「デュエル!」

 

明日香·透子 LP8000

迷宮兄弟  LP8000

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「私はフィールド魔法(湿地草原)を発動します!これで水族・水属性・レベル2以下のモンスターの攻撃力は1200ポイントアップします!」

 

透子 手札6→5

 

 フィールド魔法を発動すると、足元に水が張り巡らされ、背の低い草木が生い茂りました。足が水に浸かっていますが冷たくありません。

 

透子

「更に(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲ってそのうちの1枚を手札に加えて、残りはデッキへ戻します!このターン私は特殊召喚出来ません!」

 

捲られたカード

バージェストマ·マーレラ

バージェストマ·レアンコイリア

クリバンデット

 

透子

 「私は(クリバンデット)を手札に加えて通常召喚!カードを3枚伏せてエンドフェイズ時に(クリバンデット)の効果で自身をリリースしてデッキから5枚捲って、その中から魔法・罠カード1枚を選んで手札に加えて、残りのカードは全て墓地へ送って、ターンエンドです!」

 

落ちたカード

バージェストマ·オレノイデス

バージェストマ·レアンコイリア

バージェストマ·カナディア

バージェストマ·ピカイア

 

 

透子 手札5→4→5→4→1→2

 

 ふふ、中々良いカードが落ちました。

 

透子·明日香 LP8000 伏せ3枚

フィールド(湿地草原)

 

透子 手札2枚 

明日香 手札5枚

 

迷宮兄弟 LP8000 伏せ0

 

迷宮兄 手札5

迷宮弟 手札5

 

明日香

 「私のターン!ドロー」

 

 明日香 手札 5→6

 

明日香

 「私は(融合)を発動!手札から(エトワール・サイバー)と(ブレード・スケーター)を融合!(サイバー·ブレイダー)を融合召喚!」

 

明日香 手札 6→3

 

サイバー・ブレイダー

レベル7/地属性/戦士族/攻2100/守800

「エトワール・サイバー」+「ブレード・スケーター」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

(1):相手フィールドのモンスターの数によって、このカードは以下の効果を得る。

●1体:このカードは戦闘では破壊されない。

●2体:このカードの攻撃力は倍になる。

●3体:相手が発動したカードの効果は無効化される。

 

明日香

 「私はこれでターンエンド!」

 

透子·明日香 LP8000 伏せ3 

フィールド (湿地草原)

 

透子  手札 2枚

明日香 手札 3枚

 

 

サイバー·ブレイダー 攻2100

 

迷宮兄弟 LP8000 伏せ0

 

迷宮兄 手札5

迷宮弟 手札5

 

迷宮兄

 「私のターン、(地雷蜘蛛)を召喚。攻撃はせずにターンエンド」

 

迷宮兄 手札5→6→5

 

地雷蜘蛛

レベル4/地属性/昆虫族/攻2200/守100

このカードの攻撃宣言時、コイントスで裏表を当てる。

当たりの場合はそのまま攻撃する。

ハズレの場合は自分のライフポイントを半分失い攻撃する。

 

 攻撃しないんですね。まぁ失敗したらLPが4000も減るんですから仕方ないですね。

 

迷宮弟

 「私のターンドロー、(カイザー·シーホース)を守備表示で召喚!」

 

迷宮弟 手札 5→6→5

 

カイザー·シーホース

レベル4/光属性/海竜族/攻1700/守1650

(1):光属性モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。

 

迷宮弟

 「そして、魔法カード(生け贄人形)を発動。フィールドの(地雷蜘蛛)を生け贄に、手札からレベル7のモンスターを特殊召喚できる!現われよ!(風魔神ヒューガ)!」

 

迷宮弟 手札 5→4→3

 

 先攻で最上級モンスターを出してきました。まぁそれだけです。翔さんの強化された乗り物デッキに比べればなんてことはありません。

 

迷宮弟

 「兄者には礼をせねば気が済まぬ、魔法カード(闇の指名者)を発動!宣言するのは(雷魔神サンガ)!」

 

迷宮弟 手札 3→2

迷宮兄 手札 5→6

 

闇の指名者

通常魔法

モンスターカード名を1つ宣言する。

宣言したカードが相手のデッキにある場合、そのカード1枚を相手の手札に加える。

 

 これは面白いコンボですね。これによって、お兄さんの方の手札に(雷魔神サンガ)が加わりました。

 

迷宮弟

 「私はここでターンエンドだ。」

 

迷宮兄弟 LP8000 伏せ0

迷宮弟 手札 2

迷宮兄 手札 6

 

カイザー·シーホース 守1650

風魔神ヒューガ   攻2400

 

透子·明日香 LP8000 伏せ3 

フィールド (湿地草原)

 

透子  手札 2枚

明日香 手札 3枚

 

サイバー·ブレイダー 攻2100

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

手札 2→3枚

 

透子

 「伏せていた(バージェストマ·マーレラ)を発動!チェーンして墓地の(バージェストマ·オレノイデス)の効果発動!更にチェーンして(強欲な瓶)を発動!更にチェーンして(積み上げる幸福)発動!もっとチェーンして墓地の(バージェストマ·レアンコイリア)の効果を発動します!」

 

迷宮兄

 「チェーン5だと!?」

 

透子

 「逆順処理に入ります!チェーン5の(レアンコイリア)は墓地から攻撃力1200守備0のレベル2水属性水族の、モンスターの効果を受けない通常モンスターとして特殊召喚!チェーン4の(積み上げる幸福)により2枚ドロー!チェーン3の(強欲な瓶)で1枚ドロー!チェーン2の(オレノイデス)も(レアンコイリア)と同じステータスで特殊召喚!チェーン1の(マーレラ)は墓地に罠カード(バージェストマ·カナディア)を墓地に送ります!」

 

透子 手札 3→5→6 伏せ3→0

 

レアンコイリア 攻1200→2400

オレノイデス  攻1200→2400

 

 黒い渦から奇妙な形をしたモンスター達が2体飛び出して来ました。この世界の生き物じゃないと思ってしまうぐらい不気味です。

 

透子

 「バトル!(レアンコイリア)で(風魔神ヒューガ)を攻撃!」

 

迷宮弟

 「甘い!(風魔神ヒューガ)の効果!このカードが相手のターンで攻撃された場合、そのダメージ計算時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体の攻撃力を0にする!リフレクション·ストームバリケード!」

 

透子

 「言いましたよね?バージェストマモンスターはモンスター効果を受けない!」

 

 風魔神ヒューガは強烈な風を吐き出すも、(レアンコイリア)は破壊されずに相打ちになりました。

 

透子

 「(レアンコイリア)はバージェストマモンスターの共通効果で除外されますが、まだです!(オレノイデス)で(カイザー·シーホース)を攻撃!」

 

 体当たりで破壊される(シーホース)、これでダイレクトアタックが通りますね。

 

透子

 「私はカードを4枚伏せてターンエンドです」

 

透子·明日香 LP5600 伏せ4

フィールド(湿地平原)

 

透子 手札 6→2

明日香 手札2

 

サイバー·ブレイダー 攻2100

バージェストマ·オレノイデス 攻2400

 

迷宮兄弟 LP8000 伏せ0

迷宮弟 手札 2

迷宮兄 手札 6

 

明日香

 「私のターンドロー!バトル!(サイバー·ブレイダー)でダイレクトアタック!」

 

 サイバー·ブレイダーが水面を滑りながら迷宮兄に肉薄し、足元のブレイドで切り刻みました。

 

迷宮兄

 「くぅぅ!」

 

迷宮兄弟 LP 8000→5900

 

明日香

 「ターンエンドよ!」

 

透子·明日香 LP5600 伏せ4

フィールド (湿地草原)

 

透子  手札 2

明日香 手札 3

 

 

サイバー·ブレイダー 攻2100

バージェストマ·オレノイデス 攻2400

 

迷宮兄弟 LP5900 伏せ0

迷宮弟 手札 2

迷宮兄 手札 6

 

迷宮兄

 「私のターン!ドロー!」

 

 迷宮兄 手札6→7

 

迷宮兄

 「手札から(死者蘇生)を発動!墓地から(風魔神ヒューガ)を特殊召喚!(地雷蜘蛛)を召喚!そして、(生け贄人形)の効果で(地雷蜘蛛)を生け贄に手札から(雷魔神サンガ)を特殊召喚!カードを2枚セットしてターンエンドだ!」

 

迷宮兄 手札 7→6→5→4→3→1枚

 

 場に出てきたのは二柱の魔神。そろそろ(アレ)が来そうですね。

 

迷宮兄弟 LP5900 伏せ2

迷宮弟 手札 2

迷宮兄 手札 1

 

雷魔神サンガ 攻2600

 

透子·明日香 LP5600 伏せ4

フィールド (湿地草原)

 

透子  手札 2

明日香 手札 3

 

迷宮弟

 「私のターンドロー!」

 

 迷宮弟 手札2→3

 

迷宮弟

 「手札から(手札断殺)を発動!私とキサマは2枚墓地へ送って2枚ドローする!」

 

 迷宮弟さんと明日香さんは2枚の手札を入れ替えました。

 

迷宮弟 手札3→2→0→2

明日香 手札3→1→3

 

迷宮弟

 「私は(死者蘇生)を発動!蘇れ!(水魔神スーガ)!」

 

迷宮弟 手札 2→1

 

迷宮兄弟

 「そして、今ここに3柱の魔神が揃った!究極のモンスターを見るがいい!3柱の魔神を生け贄に現われよ!(ゲート·ガーディアン)!」

 

 迷宮弟 手札1→0

 

 出てきたのは、3体の魔神が合体したモンスター。これがかつてデュエルキングとその友人を苦しめたモンスターですか……迫力はありますが、ただの攻撃力3750です。

 

迷宮弟

 「バトルだ!(サイバー·ブレイダー)に攻撃!魔神衝撃波!」

 

透子

 「トラップカード発動!(くず鉄のかかし)!チェーンして墓地の(マーレラ)!チェーンして(第六感)、宣言は5と6!チェーンして墓地の(バージェストマ·ピカイア)の効果!チェーンして(積み上げる幸福)!チェーンして墓地の(バージェストマ·カナディア)の効果を発動!」

 

迷宮弟

 「またチェーン5だと!?」

 

 まぁ確かにチェーン5なんてそう見ませんよね。でもそんなに驚かなくてもいいじゃないですか。

 

透子

 「逆順処理です!(カナディア)を墓地から特殊召喚、(積み上げる幸福)で2枚ドロー、(ピカイア)を墓地から特殊召喚、(第六感)の効果でダイスロール、結果は3なのでデッキの上から3枚を墓地へ、(マーレラ)を墓地から特殊召喚、(くず鉄のかかし)の効果で(ゲート·ガーディアン)の攻撃を無効にしてこのカードをそのままセットします。」

 

第六感

通常罠(制限カード)

自分は1から6までの数字の内2つを宣言する。相手がサイコロを1回振り、宣言した数字の内どちらか1つが出た場合、

その枚数自分はカードをドローする。

ハズレの場合、出た目の枚数デッキの上からカードを墓地へ送る。

 

積み上げる幸福

通常罠

チェーン4以降に発動できる。

デッキからカードを2枚ドローする。

同一チェーン上に複数回同名カードの効果が発動している場合、このカードは発動できない

 

迷宮弟

 「まさか凌がれるとは!」

 

透子 手札 2→4枚

 

 罠で妨害しながら、相手ターンに墓地から罠モンスターを展開する珍しいデッキ。流石デュエルしたくないデッキランキングトップ3に入るとみんなに言わしめただけあります。

 

迷宮弟

 「わ、私はこれでターンエンドだ」

 

迷宮兄弟 LP6900 伏せ3

迷宮兄 手札1枚

迷宮弟 手札0枚

 

ゲート·ガーディアン 攻3750

 

透子·明日香 LP5600 伏せ2

フィールド (湿地草原)

 

バージェストマ·マーレラ 攻2400

バージェストマ·ピカイア 攻2400

バージェストマ·カナディア 攻2400

 

透子  手札 4

明日香 手札 3

 

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札4→5枚

 

透子

「そろそろ決着をつけましょう。(下克上の首飾り)を(マーレラ)に装備!」

 

透子 手札5→4

 

 昆虫の様な生き物に、眼を象った首飾りがつけられました。

 

透子

 「(下克上の首飾り)は通常モンスターにのみ装備できる装備魔法!装備したモンスターはダメージ計算時にのみレベル差×500分攻撃力がアップします。(ゲート·ガーディアン)のレベルは11、その差9×500で4500アップです!」

 

バージェストマ·マーレラ 攻2400→6900

バージェストマ·カナディア攻2400

バージェストマ·ピカイア 攻2400

 

迷宮弟

 「6900だと!?」

 

透子

 「バトル!(マーレラ)で(ゲート·ガーディアン)に攻撃!」

 

 (マーレラ)の体当たりが(ゲート·ガーディアン)の身体を容易く打ち壊しました。

 

迷宮兄弟 LP 6900→3150

 

透子

 「トドメです!(カナディア)と(ピカイア)でダイレクトアタック!」

 

迷宮兄

 「ト、トラップカード発動!(攻撃の無力化)!攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了する!」

 

 凌がれましたか……まぁいいです。そう長くはもちません。そもそもなんで(ゲート·ガーディアン)の時に発動しなかったのでしょう?動揺してしまったのでしょうか?

 

透子

 「カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

透子 手札 4→1

 

 

 まぁ、もし相手が切り札を出してきてもこっちには策がありますから問題ありません。

 

透子·明日香 LP3150 伏せ5

フィールド (湿地草原)

 

バージェストマ·マーレラ 攻2400

バージェストマ·ピカイア 攻2400

バージェストマ·カナディア 攻2400

サイバー·ブレイダー 攻2100

 

下剋上の首飾り(マーレラ)

 

透子  手札 1

明日香 手札 3

 

迷宮兄弟 LP6900 伏せ3

迷宮兄 手札1枚

迷宮弟 手札0枚

 

明日香

 「私のターンドロー!」

 

明日香 手札 3→4

 

明日香

 「バトル!(サイバー·ブレイダー)でダイレクトアタック!グリッサード・スラッシュ!」

 

 迷宮兄

 「グアァァ!」

 

 迷宮兄弟 LP3150→1050

 

明日香

 「これで終わりよ!速攻魔法(融合解除)!きて!(エトワール·サイバー)!(ブレイド·スケーター)!2体でダイレクトアタック!」

 

迷宮兄弟

 「ヌグァァァ!」

 

迷宮兄弟 LP1050→−650→−2050

 

 明日香さんの華麗な連撃で、迷宮兄弟のLPは削り取られました。

 

 さて、後は十代さん達のタッグですが見守らなくても大丈夫でしょう。なんせ、私達を倒したタッグなんですから。

 

 クロノス

 「制裁タッグデュエルに勝ったノーデ、退学はなしになりまスーガ、禁止区域に入ったペナルティとしてデュエル理論のレポート30枚か、50人とデュエルしてそのデュエルについての反省や感想をまとめたレポートを提出するかを選ぶノーネ!ちなみにどちらも2週間後が期限ナノーネ!」

 

 まだあるんですか。ペナルティ。じゃあ私は……

 

闇透子

 「50人デュエルの感想文だ」

 

明日香

 「私はデュエル理論のレポート30枚でお願いします」

 

クロノス

 「分かったノーネ。それじゃあ放課後に職員室にきて、プリントを取りにくるノーネ!」

 

 も、もう一人の私!?突然出てこないで下さいよ!

 

闇透子

 「てなわけだ。俺は早速デュエルしにいくから応援には行かねぇが、お前らが勝つって信じてるから出来るんだ。負けるんじゃねぇぞ」

 

十代

 「おう!待ってろよ!俺も50人デュエルしにいくからさ!」

 

 そんな事を言いつつ、私はデュエルフィールドを後にしました。



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6.セブンスターズに向けて

 

 

〜 深夜 オベリスクブルー寮 〜

 

 学校対抗戦が終わった直後、俺はある事を思い出した。

 

 そろそろ三幻魔のイベントが始まる。

 

 確か、道場破り的な奴等が来て、そいつらから大切な物を守るって流れだった筈。(七精の解門)が原作再現なんて聞いた事があるから、対象は7人。選ばれそうなのは俺以外だと、十代、明日香、三沢、丸藤亮、クロノス先生、最近帰ってきた万丈目、最後誰だ?

 

 まぁ7人目は放置して、明日香、三沢、亮、クロノス先生、万丈目。これら5人にカード配れば俺は闇のデュエルに巻き込まれずに済むはず。

 

 制裁タッグデュエル後の50人デュエルでDPは大量にある。まぁ、その為に50人デュエルを選んだんだがな。

 

 俺が透子に憑依した時からDPはかなりあった。前世でデュエルした分だけ渡されたと言われても信じられるぐらいには。

 その為、前世で俺がよく使ってたデッキを何個か作ったり、透子用に2つ作ったり、調整用のカードにプレゼント用のカードとかに使ってりしてたらいつの間にか大分減っていた。

 

 閑話休題。とにかく、今から明日香、三沢、亮、クロノス先生、万丈目の5人に強力なカードを渡して三幻魔降臨に備えよう。

 道場破りとの戦闘がショボくなりそうだがそんな事はどうでもいい。俺の目標は生きる事であって、極限のデュエルを楽しむことじゃないんだ。

 早速カードの選別に取り掛かろう。長引くと透子の身体に悪いからな。

 

 

〜 翌日 side 明日香 〜

 

 私がなんとなくデッキを弄っていると、ドアのノックが耳に入った。

 

明日香

 「誰?」

 

闇透子

 「俺だ、邪神鏡子だ。」

 

 え、えぇ……そのあだ名でいいの?……開けるけど……

 

明日香

 「ところで、用は何?別に忙しい訳ではないけど……」

 

 古神透子。見た目は年齢より幼く見えること以外は至って普通の女子高生。でも彼女には、あのデュエルキングの様にもう一つの人格がある。

 もう一人の彼女のデュエルを一言で言うなら、多彩な暴力で相手を捻じ伏せるデュエル。

 

 試しに彼女の煉獄デッキを相手にした時、全ハンデスされた挙げ句に最上級モンスターが大量に出てきて泣きそうになったわ。

 でも、デュエルが終わった後に私を頑張って慰めようとしてたから、悪い人ではないのは確かよ……デュエルの時の性格はあまり良くないけど。

 

闇透子

 「パック剝いてたら明日香の(サイバー·ブレイダー)とめちゃくちゃ相性良いカード当ててよ!分けに来たんだ。」

 

 彼女の手に持つカードを見てみると……(地盤沈下)、(おジャマトリオ)、(波動キャノン)、(ライトニング・ストーム)、(融合呪印生物·地)、(虚無空間)(終焉のカウントダウン)、(カードカー·D)、(強欲で謙虚な壺)……これって!

 

明日香

 「ロックデッキ用のカード!?」

 

闇透子

 「先攻で頑張って(サイバー·ブレイダー)を立てて、(地盤沈下)、(おジャマトリオ)を構える。そうすると、相手は完全に機能停止する。これでどんな相手でも完封出来るぜ!」

 

闇透子

 「もちろんこれは《どんな手段を使ってでも勝ちたい。勝たなければならない》って時に使ってくれ。こんなの常用したら友達がいなくなる。確実に。」

 

 た、確かに……私もこんなデッキの相手なんてしたくないわ。で、でもなんでこのカードを私に?

 

闇透子

 「特待生寮で闇のデュエルをやった事があってな。もし学校中に闇のデュエルが蔓延ったら止められるのは学園内でも数人だろう。だから少しでも戦力を増強すべく、学園で指折りの実力者を独断と偏見で決めて、手持ちの中でデッキに合いそうなカードを渡しているのさ」

 

明日香

「それにしても、あなたが私を実力者って認めているのがなんだか嬉しいわ。ちなみに他は誰が入っているの?」

 

闇透子

 「十代、三沢、丸藤亮、クロノス先生、万丈目、数合わせで俺ってところか。まぁ、万丈目はあまり話したくないから、カードはポストにでも入れておくぜ」

 

 数合わせって……あなたみたいな人が数合わせでいいはずが無いわ。あなたの実力は、間違いなくアカデミアでも最強格よ。

 

闇透子

 「それじゃあ俺は他の奴等のところに行かねぇいけねぇからおさらばするぜ。デッキ調整頑張れよな!」

 

 もう一人の透子さんは急いで私の部屋から出ていった。

 

 それにしても……この(ライトニング·ストーム)ってカード、明らかにカードパワーが高すぎる。条件付きとはいえ(サンダー·ボルト)と(ハーピィの羽根帚)を使い分けられるのは異常よ。いったいどこでこんなカードを手に入れたのかしら……数十年後の未来から持ってきたって言われても……信じられる気がするわ。

 

 

〜 ラーイエロー side 三沢 〜

 

 ビックバンの掃除が終わって、部屋の外で休憩していると、透子がこっちに走ってやってきた。

 

三沢

 「透子か。入試デュエル以来だな」

 

闇透子

 「おう久しぶり。パック剝いてたら三沢にしか扱えなさそうなカードが出たから渡しに来たんだ」

 

三沢

 「(化石調査)、(デューテリオン)、(ボンディング-DHO)、(ウォーター・ドラゴン-クラスター)……どれも俺の水デッキの大幅な強化が見込めるカードだ。いいのか、もらっても?」

 

闇透子

 「むしろ貰ってくれ。俺はあんな重いカードが入ったデッキを回せる自信が無い。だったら回せる人に渡した方がいいだろうからな。じゃ、俺はこれで」

 

 透子は僕にカードを渡すと、さっさとどこかへ言ってしまった。

 

 古神透子。(暗黒界)デッキをよく使い、先攻後攻問わずに大量の最上級モンスターを展開するデュエリスト。

 

 先攻ではウイルスカードと(マインドクラッシュ)を構えて相手の手札を破壊し、後攻では展開するついでに伏せカードを破壊して安全に後攻1ターンキルを決めるが、恐ろしいのはそこではない。

 

 彼女は僕と同じように多種多様なデッキを持ち、そのどれもが強力だ。その為、彼女のデッキを研究して対策しても別のデッキにやられる。

 

 一応学校対抗戦で誰が出場するかを決めるデュエルで、彼女と当たる事を想定して(暗黒界)デッキを対策したデッキもあるが、結局当たる事はなかった。

 

 まぁ、折角貰ったんだし、水デッキに組み込めるか考えてみようかな。

 

 

〜 職員室 sideクロノス  〜

 

 いつも通りに書類の整理をしていると、ドアがノックされたノーネ。

 

闇透子

 「クロノス先生!お仕事お疲れ様です!」

 

 出てきたのは、シニョーラ透子。デュエルのタクティクスはこのアカデミアの中でも3本の指に入る程の実力で、入試デュエルの時に、この私を初期LPの6倍ぐらいのダメージを与えてオーバーキルしたデュエリストナノーネ。

 

 ただ、先攻はドロー出来ないとか、フィールド魔法を張り替える時は“破壊”ではなく“墓地へ送られる”とか、たまにデュエル論文に“サーチ”や“リクルート”といった言葉が混じっていて再提出をさせられたり、融合デッキをエクストラデッキと言ったり、それらは15枚までしか持てないとか、なにかと抜けている所があったりするノーネ。

 

クロノス

 「シ、シニョーラ透子。どうしたノーネ?」

 

闇透子

 「カードの整理をしていたら先生にぴったりなカードを見つけまして、ぜひデッキに入れて欲しいと思いここまで来ました」

 

 仕事のペンを少し休めて、シニョーラ透子の持つカードに目を向けると、明らかにパワーが高いカードがいくつも入ってたノーネ。

 

闇透子

 「今回渡すカードは、(古代の機械熱核竜)、(古代の機械素体)、(古代の機械飛竜)、(古代の機械箱)、(古代の機械射出機)、(歯車街)、(古代の機械融合)です」

 

クロノス

 「そ、それは嬉しいのでスーガ……これと(古代の機械巨人)と適当な汎用カードだけでデッキを組めてしまいそうなノーネ」

 

闇透子

 「実際そうなんですが……肝心の(古代の機械巨人)がなかったんで挫折したんですよね。カードはちゃんと扱える人に使ってもらった方がいいですし、そろそろクロノス先生も十代に目にものを見せたいんじゃないですか?」

 

クロノス

 「た、確かにその通りナノーネ!今までは下級モンスターがなんとなく物足りないと思ってたノーデ、これは凄い助かるノーネ!」

 

闇透子

 「それでは私は失礼します。クロノス先生もお仕事頑張って下さいね」

 

 こ、このカード達の効果よく読んで見ると凄く強いノーネ!は、早く仕事を終わらせてデッキを組みたいノーネ!

 

 

〜 デュエルフィールド side 丸藤亮 〜

 

 オベリスクブルーのデュエルフィールドでクラスメートの一人とデュエルが終わった時、一人の少女が息を荒げてやってきた。

 

 古神透子。アカデミアの入試デュエルでクロノス先生の(暗黒の中世)デッキに勝つどころか、初期LPの6倍の戦闘ダメージを与える。最初の月1デュエルで相手の手札を全て捨てさせ、手札0の状況で大量の最上級モンスターを展開する。そして、制裁デュエル後のペナルティ「50人デュエル」で積極的にオベリスクブルーの生徒にデュエルを仕掛け、その暴力的なデュエルを以て大部分の生徒を体調不良にさせ、そのうちの25人は自主退学をしたりと多くの伝説を持つデュエリストだ。

 

 そんな彼女についたあだ名は【邪神】。アカデミアの女王なんて呼ばれる事もある明日香とは定期的に話すが、彼女も勝てる気がしないと洩らしていた。

 

闇透子

 「カイザー。そろそろあんたとデュエルしてみたいと思っていたんだ……そろそろ俺も敗北を知らないといけないからさ」

 

 「敗北を知る?デュエルについては構わん。早速やるとしよう」

 

闇透子

 「あぁ、挑戦を受けてくれて感謝する。勝利の圧力は最初は無いに等しいが、勝ち続ける事でどんどんと大きくなり、重圧となって自身を苦しめ、やがて潰れてしまう。そうならない様に、どこかで本気で戦って負ける様にするのさ」

 

 なるほど、確かに分からなくもないかもしれない。今になるまで無敗を貫いている俺にも、常に勝つ事への圧力がかかっている。

 だが、まるで俺に言い聞かせているように聞こえるのは気の所為だろうか。

 

闇透子·亮

 「デュエル!」

 

闇透子

 「先攻は俺が貰おうかな、ドロー」

 

闇透子 手札 5→6枚

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズに入って、手札から(暗黒界の取引)発動。お互いに1枚ドローして1枚捨てる」

 

 闇透子 手札 6→7→6

 亮   手札 5→6→5

 

闇透子

 「捨てられた(スノウ)の効果で(門)をサーチして発動。(門)の効果で(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー。捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー。2枚セットして(墓穴の道連れ)発動。お互いに手札を公開して1枚捨てて1枚ドロー」

 

闇透子 手札6→7→6→5→6→7→5→4

 

 「……俺は(暗黒界の狩人ブラウ)を捨てる」

 

闇透子

 「俺は……そうだな(融合)を捨てておこうか。手札に(サイバー·ドラゴン)が1枚もないとは、運がよかったな」

 

闇透子 手札 4→3→4

亮   手札 5→4→5

 

闇透子

 「捨てられた(ブラウ)の効果でドロー。やべーカード引いたわ、手札から(生還の宝札)発動。これで墓地から蘇生する時に発動して1枚ドローできる。」

 

闇透子 手札4→5→4

 

 (生還の宝札)?確かに強力なカードだが、墓地から蘇生できるカードはそう多くはないはずだが……いや待て、透子が使うエースモンスターは自己蘇生効果を持っていたはず!

 

闇透子

 「カードをセットして手札から(手札抹殺)発動!お互いに手札を全部捨ててその枚数分ドロー!これにより、俺の暗黒界達は莫大なアドを生み出すぜ!」

 

闇透子 手札 4→3→2→0→2

亮   手札 5→0→5

 

闇透子

 「捨てられた(ベージ)、(ゴルド)の効果をチェーン組んで発動!墓地から(ゴルド)を蘇生、墓地から(ベージ)を蘇生!そして(宝札)で2枚ドロー!」

 

闇透子 手札 2→3→4

 

闇透子

 「伏せていた(墓穴の道連れ)発動!さぁ選べ」

 

 「……俺は(暗黒界の龍神グラファ)を捨てる」

 

闇透子

 「俺は(プロトサイバー·ドラゴン)を捨てて、お互いにドロー。(グラファ)の強制効果が発動するが対象がいないので不発」

 

闇透子 手札 4→3→2→3

亮   手札 5→4→5

 

闇透子

 「手札から(おろかな埋葬)を発動。(グラファ)を墓地へ」

 

 闇透子 手札 3→2

 

闇透子

 「(ゴルド)と(ベージ)を手札に戻して(グラファ)2体蘇生。(宝札)で2枚ドロー」

 

闇透子 手札 2→4→6

 

闇透子

 「手札から(神秘の中華なべ)発動。(グラファ)リリースして3000回復。手札から(取引)を発動して1枚ドローして1枚捨てる。捨てられた(ベージ)の効果で蘇生、(宝札)でドロー。更に(ベージ)戻して(グラファ)。(宝札)でドロー」

 

闇透子 手札 6→5→4→5→4→5→6

    LP 4000→7000

 

闇透子

 「2枚目の(おろかな埋葬)で(グラファ)を墓地へ。最後の(取引)を発動して1枚ドローして1枚捨てる。捨てられた(スノウ)で(門)をサーチ。(門)を張り替えて、(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー。捨てられた(ゴルド)の効果で蘇生。(宝札)で1枚ドロー。(ゴルド)戻して(グラファ)。(宝札)でドロー」

 

闇透子 手札 6→5→6→5→6→5→4→5→6→7→8

 

闇透子

 「そろそろソリティアは終わりだ。(闇の誘惑)で2枚ドローして(ゴルド)除外。(大欲な壺)で、除外されている3枚のモンスター、(スノウ)、(ブラウ)、(ゴルド)をデッキに戻して1枚ドロー。2枚伏せてターンエンドだ」

 

闇透子 手札8→7→9→8→7→8→7→5

 

闇透子 LP 7000 手札5枚 伏せ4

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600→1900

 

生還の宝札

 

 こ、これが……邪神の実力……場には攻撃3000のモンスターが3体。伏せが4枚。それでいて、あれだけ回したのに手札が5枚もある。

 

 とにかくドローしてあれを引けさえすれば、勝機はある。

 

 「俺のターンドロー!」

 亮 手札5→6

 

 「俺は(強欲な壺)を発動!デッキから2枚ドローする!」

 

亮 手札 6→5→7

 

 来た!これなら邪神に勝てるかもしれない!

 

 「俺は手札から(サイバネティック·フュージョンサポート)を発動!ライフを半分払う事で、1度だけ機械族の融合モンスターの素材を墓地から除外する事ができる!俺は(パワー·ボンド)を発動して、(サイバネティック·フュージョンサポート)の効果で墓地の(サイバー·ドラゴン)を3体ゲームから除外!現れろ!(サイバーエンド·ドラゴン)!」

 

パワー·ボンド

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、機械族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。

このカードを発動したターンのエンドフェイズに自分はこの効果でアップした数値分のダメージを受ける。

 

 亮 手札 7→6→5 LP4000→2000

 

サイバー·エンド·ドラゴン 攻4000→8000

 

闇透子

 「このタイミングで出すって事は(リミッター解除)があるって事!俺はトラップカード(バージェストマ·ディノミスクス)を発動!効果で手札を1枚捨て、(サイバー·エンド·ドラゴン)を対象にとって除外!」

 

闇透子 手札6→5

 

 「な、何!?そ、速攻魔法(融合解除)!これで(サイバー·ドラゴン)3体に分離する!」

 

 なんとも形容出来ない奇妙な生き物が、(サイバー·エンド·ドラゴン)に絡みつき、そこからどんどんと腐食して破壊されそうになるが、どうにか(サイバー·ドラゴン)3体に分離することが出来た。

 

亮 手札5→4

 

 危なかった……まさかこうも簡単に(サイバー·エンド)が倒されるとは……彼女が数多くの手札交換を行っていなかったら危なかったかもしれない。

 

闇透子

 「ここで、捨てられた(暗黒界の軍神シルバ)の効果で自身を墓地から蘇生。(宝札)の効果で1枚ドロー」

 

闇透子 手札 5→6

 

 「俺は(サイバー・ジラフ)を召喚。このカードを生け贄にすることで、エンドフェイズまで俺が受ける効果ダメージは0になる。俺はカードを2枚セットしてターンエン……」

 

闇透子

 「じゃあエンドフェイズにトラップカード発動!(魔のデッキ破壊ウイルス)!コストで(グラファ)をリリースして俺は罠カードを宣言!これにより、相手フィールドの罠カード、相手の手札、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、罠カードを全て破壊する!」

 

 ウイルスカード!?来るとは分かってはいたが、いざ来られるとかなり厳しい。

 

 「タ、ターンエンドだ」

 

 だ、だが(サイバー·ドラゴン)が3体いるんだ。次のターンはどうにかなる……いやおそらくならないな。

 

亮 LP2000 手札 3枚 伏せ0

 

サイバー·ドラゴン 攻2100

サイバー·ドラゴン 攻2100

サイバー·ドラゴン 攻2100

 

闇透子 LP 7000 手札6枚 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の軍神シルバ 攻2300→2600

 

生還の宝札

 

闇透子

 「俺のターンドロー!」

 

闇透子 手札 6→7

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズ。とりあえず(シルバ)を戻して(グラファ)蘇生。(宝札)で1枚ドロー。そしてトラップカード(貪欲な瓶)を発動。(取引)3枚と……(墓穴の道連れ)、(手札抹殺)を戻して1枚ドロー」

 

闇透子 手札 7→8→9→10

 

闇透子

 「う〜ん。トラップカード発動(マインドクラッシュ)発動。宣言は……(クリボー)」

 

 奴がそう宣言すると、俺の手札に一筋の光が走るが、特に何も起こらなかった。

 

闇透子

 「外したので、ランダムに選ばれた(ゴルド)を捨てる。捨てられた(ゴルド)は蘇生。(宝札)で1枚ドロー」

 

闇透子

 「俺はさっき引いた(取引)を発動。お互いに1枚ドローして1枚捨てる。捨てられた(シルバ)を蘇生。(宝札)で1枚ドロー」

 

 闇透子 手札 10→9→10→11→10→12

 

闇透子

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の武神ゴルド  攻2300→2600

暗黒界の軍神シルバ  攻2300→2600

 

 罠のデメリットを利用してさらなる展開をしてくるとは……俺にはもう止めるものがない。

 

闇透子

 「バトルフェイズに入る。(グラファ)3体で3体の(サイバー·ドラゴン)を攻撃。そして(シルバ)と(ゴルド)で攻撃。金銀連撃!」

 

 3体の龍によって(サイバー·ドラゴン)が破壊され、2体の悪魔によって俺のライフは削り取られた。

 

 亮 LP 2000→-700→-5900

 

闇透子

 「対戦、ありがとうございました」

 

 「まさか……この俺が負けるとはな……」

 

闇透子

 「(生還の宝札)やべーな……まさかここまで増えるとは思わなかった。これからは積極的に採用しよ」

 

 透子は、恐らく試験的に入れたのだろう(生還の宝札)の効果に驚いていた。俺もあそこまで手札が増えるとは思わなかった。

 

 闇透子

 「カイザー。戦ってくれたお礼だ。是非受け取って欲しい。」

 

 透子に渡されたのは、(一時休戦)、(サイバー·ドラゴン·コア)、(壊星壊獣ジズキエル)1枚、(サイバー·ドラゴン·ネクステア)、(サイバー・ファロス)1枚、(サイバー·ドラゴン·ヘルツ)、(エマージェンシー・サイバー)、(サイバーロード・フュージョン)。殆どが(サイバー·ドラゴン)に関する効果も持っている。

 

 それにしても……(壊星壊獣ジズキエル)。それは透子が入試デュエルで使っていたモンスターに通じるものがある。相手のモンスターを喰らい現れる怪物……リスペクトを掲げるサイバー流には中々認められないカードだ。

 

 亮

 「これは……俺の知らない(サイバー·ドラゴン)関係のカード……どうしてこのカード達を持っているんだ?」

 

闇透子

 「秘密だ。女には隠したい秘密の一つや2つぐらいあるもんなんだよ」

 

 そういうものなのか……女心はよく分からない。

 

 「それにしても、本当に素晴らしいタクティクスだった。本当に対抗デュエルに推薦出来なかったのが悔やまれる」

 

闇透子

 「一応理由を聞かせてもらってもいいか?」

 

 「なんでも、リスペクトの精神が足りないとかで……まぁ分からなくもない。透子のデッキがやっている事は、相手の行動の一切を封じ、火力で蹂躪する事だからな。このカードも……俺には似合わないカードだ」

 

 俺が(壊星壊獣ジズキエル)を見せながらそう言うと、透子はどこか不満げな表情をして、話し始めた。

 

闇透子

 「俺にとって、デュエルはアドバンテージによる殴り合いだ。相手の展開を阻害する事は、自分のアドバンテージを守り、相手のアドバンテージを失わせる事に繋がる。それを否定したら、ロック系のカードや制圧効果モンスターの存在意義を否定する事と同義だ」

 

闇透子

 「デュエリストにとって大切なのは対戦相手を過剰に煽ったり罵倒したりしないこと。リスペクトもそこに繋がるものだと思う。それ以外なら、特にカードの効果ならば基本的には許される。カイザーが貪欲に勝利を求める時、このカードはきっと力を貸してくれるだろう」

 

闇透子

 「それじゃあ、俺はこれで失礼するよ。デッキ構築頑張ってくれよな」

 

 透子はそう言って、デュエルフィールドを後にした。

 

 古神透子……こんな強力なカードを、いったいどこから……

 

 

 

〜 オベリスクブルー寮 side 闇透子 〜

 

 さて、飯も食ったしカードも配ったし、今日のやる事は全部やった。これで、他の6人に闇のデュエルを丸投げ出来るぜ。

 いや待て、結局最後の7人目は分からないままだな。下手したら俺は闇のデュエルに巻き込まれる。ぶっちゃけ闇のデュエルなんてやりたくねぇぞ。

 

 デュエルはカードゲーム。楽しくやるものだ。確かに競技としてやるなら真剣にやるものだが、文字通り命をかけるものじゃない。

 

 そんな事を考えながら、俺は眠りについた。



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7.錬金デッキとの戦い

 

 セブンスターズとの戦いが始まってはや十数日、鍵はクロノス先生が人質を取られて敗れた時と、三沢がハニトラにやられてから減っていない。つまりまだ鍵は5つ残っている。だが、最近鍵の守護者の1人である大徳寺先生が行方不明になっているのが気がかりだ。

 

 そろそろ最後のセブンスターズも出てきていいと思うんだが……

 

 そんな事を考えていると、明日香が凄い勢いで走っているのが目に入った。

 

闇透子

 「明日香があんなに焦るなんて相当だぞ。デッキ持って追いかけよう」

 

 俺はデッキをいくつか持って、窓から飛び降りて明日香の後を追う。もし十代達に会ったら明日香を見なかったか聞いてみよう。

 

 

 

〜〜〜

 

 深い森の中、必死に明日香を追いかけていると、明日香が倒れていた。

 そして巨大な木の下に、露出度が非常に低い謎のデュエリストが……

 

 

闇透子

 「お前が明日香を倒したセブンスターズか。ロックが完成する前に明日香を倒すってやるじゃねぇか。ここは俺のお気に入りで……」

 

 俺が(暗黒界)デッキに手を伸ばすと、強烈な悪寒に襲われた。まるで、デッキが使われるのを嫌がっているような……なんとも言い表せないけど、そんな感じ。

 仕方ねぇからもう1つのデッキで戦おう。回すの久々だけど、暗黒界が回せねぇから仕方ない。

 

闇透子

 「いや、このデッキで相手をするぜ。俺の名前は透子。お前の名前はなんだ?」

 

??

 「……アムナエル」

 

 アムナエルと名乗ったセブンスターズもデュエルディスクを構え、アムナエルの先攻でデュエルは始まった。

 

 アムナエルは謎の永続魔法(錬金釜カオス·ディスキュル)を発動して、見たこともない3枚の魔法カードによって3体のダイレクトアタックモンスターを呼んでターンを終わらせた。

 

アムナエル LP4000 手札0 伏せ1

 

錬金獣・鉄のサラマンドラ  攻500

錬金獣・銅のウロボロス   攻500

錬金獣・鉛のレオーン    攻500

 

錬金釜カオス·ディスキュル

 

闇透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 本当に見たこともねぇカード達だな。(カオス·ディスキュル)に至っては(次元の裂け目)の下位互換じゃねぇか。

 

闇透子

 「俺のターンドロー!スタンバイ、メインフェイズに入る!」

 

闇透子 手札5→6

 

闇透子

 「俺は(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲ってその内の1枚を手札に加えて残りをデッキに戻す!」

 

捲られたカード

メタファイズ·ラグナロク

メタファイズ·アセンション

アシンメタファイズ

 

闇透子

 「俺は(アシンメタファイズ)を手札に加えて残りをデッキに。このターン俺は特殊召喚出来ない」

 

闇透子 手札6→5→6

 

闇透子

 「俺は(奇采のプルフィネス)を通常召喚して効果発動!コストで(メタファイズ·アセンション)を除外してレベルを上げる!」

 

 奇采のプルフィネス レベル4→5

 

 現れたのは仮面を身に着け、長剣と立派な翼を持つ悪魔。その姿は禍々しさよりも気品の方を強く感じる。

 

闇透子

 「(メタファイズ·アセンション)の効果発動!このカードが除外された場合にメタファイズカードをサーチ!俺は(メタファイズ·ダイダロス)をサーチ!」

 

闇透子 手札6→5→6

 

闇透子

 「永続魔法(アシンメタファイズ)を発動!効果を発動して(ダイダロス)を除外して1枚ドロー!」

 

闇透子 手札6→5→4→5

 

(アシンメタファイズ)を発動すると、上空に半透明な美しい膜が張られた。

 

闇透子

 「カードを2枚セット、永続魔法(魂吸収)と(次元の裂け目)を発動してターンエンドだ」

 

闇透子 LP4000 手札1枚 伏せ2 

奇采のプルフィネス 攻1800

 

魂吸収

次元の裂け目

 

アムナエル LP4000 手札0 伏せ1

錬金獣・鉄のサラマンドラ  攻500

錬金獣・銅のウロボロス   攻500

錬金獣・鉛のレオーン    攻500

 

 

 アムナエルが何も言わずにカードを引いた。そんなに喋るのが嫌か。

 

アムナエル 手札0→1

 

闇透子

 「スタンバイフェイズに俺は永続トラップ(メタファイズ·ディメンション)を発動!効果は使わない」

 

闇透子

 「続いて俺は(ダイダロス)の効果発動!除外されているこのカードをデッキに戻し、デッキからカードを除外できる!俺は(メタファイズ·ネフティス)を除外!」

 

闇透子

 「そして、(アシンメタファイズ)の強制効果。相手ターンにメタファイズカードが除外された場合、メタファイズ以外のモンスターを全て守備表示にする」

 

 (ネフティス)が透明な膜に飛び込むと眩い光が放たれ、錬金獣達は守りの体勢に入った。

 

錬金獣・鉄のサラマンドラ  守500

錬金獣・銅のウロボロス   守500

錬金獣・鉛のレオーン    守500

奇采のプルフィネス 守0

 

闇透子

 「まだもう少し処理するぜ。(メタファイズ·ディメンション)の効果発動!メタファイズカードが除外されたのでお前の伏せを除外!」

 

 透明な膜の向こうから紫色の塊が放たれ、除外されたのは(エレメンタル·アブソーバー)。なんだこのカード。防御札か?

 

闇透子

 「そして最後!(魂吸収)の強制効果!カードが除外される度に500LPを回復!本当は処理が終わる度に回復するが、このタイミングでさせてもらう。アムナエルと俺はカードを1枚ずつ除外したから1000LPを回復!」

 

闇透子 LP4000→5000

 

 自分のターンなのに軽くソリティアされたせいか、不満げなアムナエル。ようやくカードに手をかけた。

 

アムナエル

 「3体の錬金獣を攻撃表示に変更、3体でダイレクトアタック!」

 

 3体のモンスターから放たれる攻撃で周囲が爆発。俺の身体に刺すような痛みが走る。

 

闇透子 LP5000→3500

 

 痛えまじで痛ぇ。こんなん続けてたら気ぃ失いそうだわ。

 

アムナエル

 「私は(黒の過程-ニグレド)を発動!このカードは場に(錬金釜-カオス・ディスティル)が存在し、手札が0枚の時に、自分フィールド上の全ての「錬金獣」モンスターをゲームから除外する。この効果で除外したモンスター1枚につき、私はデッキからカードを2枚ドローできる!」

 

 つまり3体除外して……6枚ドロー!?場にいた錬金獣達が炎に包まれ、アムナエルは6枚のカードをドローした。

 

アムナエル 手札1→0→6

 

闇透子

 「な、なら(魂吸収)の効果!お前のカードが4枚除外されたから、合計2000回復!」

 

 闇透子 LP3500→5500

 

アムナエル

 「そして、私は(錫の魔法陣)、(水銀の砂時計)、(銀の鍵)を発動して、手札またはデッキから(錬金獣・錫のアエトス)、(錬金獣・水銀のエケネイス)、(錬金獣・銀のムーンフェイス)を特殊召喚!」

 

 炎柱と共に現れたのは、攻撃力500のダイレクトアタッカー。だが魔法カードが除外されたなぁ!

 

闇透子

 「魂吸収の効果!カードが3枚除外されたので1500回復!」

 

闇透子 LP5500→7000

 

 アムナエル

 「ターンエンドだ」

 

アムナエル LP4000 手札3枚 伏せ0

 

錬金獣・錫のアエトス    攻500

錬金獣・水銀のエケネイス  攻500

錬金獣・銀のムーンフェイス 攻500

 

闇透子 LP7000 手札1枚 伏せ2 

 

奇采のプルフィネス 守0

 

魂吸収

次元の裂け目

 

 

闇透子

 「俺のターンドロー!」

 

闇透子 手札1→2

 

闇透子

「スタンバイフェイズに(ネフティス)の効果。このカードをデッキに戻してメタファイズカードをサーチ。俺は(ダイダロス)をサーチ」

 

闇透子 手札2→3枚

 

闇透子

 「メインフェイズに入って(アシンメタファイズ)の効果発動。(ダイダロス)除外して1枚ドロー。(吸収)で500回復」

 

闇透子 手札3→2→3 LP7000→7500

 

闇透子

「(アシンメタファイズ)の強制効果、チェーンして(ディメンション)の効果。逆順処理により、まず(ディメンション)で(錫のアエトス)を除外。次に(アシン)の効果で自分のターンにメタファイズカードが除外されると、メタファイズモンスター以外の攻守を500下げる。」

 

奇采のプルフィネス 攻1800→1300

錬金獣・水銀のエケネイス  攻500→0

錬金獣・銀のムーンフェイス 攻500→0

 

 (ダイダロス)が薄い膜に入ると、再び眩い光が放たれ、今度は場にいるモンスターの動きが鈍くなった。

 

闇透子

 「(封印の黄金櫃)を発動。デッキからカードを除外する。俺は(ネクロフェイス)を除外。2回目のスタンバイフェイズに手札に加わる。そして(ネクロフェイス)の効果でお互いに5枚除外」

 

 (ネクロフェイス)が黄金櫃に入ると、櫃越しに禍々しい光を放ち、デッキの上から5枚がディスクから出てきた。デュエルディスクって除外を処理出来ないからポッケに入れる必要があんだよな。それにしても落ちがあんまり良くねぇな、メタファイズモンスターが1枚も落ちなかったわ。

 

闇透子

 「(吸収)の効果で2500が2回と500が1回で5500回復。除外された(アセンション)の効果発動。デッキから(アセンション)を加える」

 

 闇透子 手札3→2→3 LP7500→13000

 

 とうとうOCGの初期LP越え。(魂吸収)はホントいい仕事するわ。

 

闇透子

 「バトルフェイズに入る。(プルフィネス)を攻撃表示に変えて(錬金獣・水銀のエケネイス)を攻撃!」

 

 (プルフィネス)はその自慢の長剣で、金属質な魚を両断した。

 

アムナエル 4000→2700

 

 闇透子

 「メインフェイズ2、カードを1枚セットしてターンエンド」

 

闇透子 LP13000 手札2枚 伏せ1

 

奇采のプルフィネス 攻1300

 

メタファイズ·ディメンション

アシンメタファイズ

魂吸収

 

アムナエル LP4000 手札3枚 伏せ0

 

錬金獣・銀のムーンフェイス 攻500

 

 

アムナエル

 「私のターンドロー!」

 

アムナエル 手札3→4

 

闇透子

 「スタンバイフェイズに除外されている(ダイダロス)の効果。自身をデッキに戻して(ネフティス)を除外。そして(吸収)で500回復。相手ターンに除外されたので(アシン)の効果発動!メタファイズモンスター以外は守備表示!」

 

錬金獣・銀のムーンフェイス 守500

奇采のプルフィネス 守0

 

アムナエル

 「わ、私は(白の過程アルベド)を発動!この効果で(黄金のホムンクルス)を特殊召喚する!」

 

アムナエル 手札4→3

 

 アムナエルがカードを発動すると、何もない所に火柱が上がり、金の塊で出来た巨人が姿を現した。

 

アムナエル

 「このカードは通常召喚出来ないが、このカードの攻撃力·守備力は自分の除外されているカードの数×300で決定する。私の除外されているカードは18枚!よって攻撃は5400!」

 

黄金のホムンクルス 攻5400

 

闇透子

 「発動タイミングはここだ!トラップカード発動!(メタファイズ·アセンション)!コストで(メタファイズ·タイラントドラゴン)を捨てて、1枚ドロー!その後デッキからメタファイズモンスターを除外。俺は(ダイダロス)を除外!」

 

闇透子 手札2→1→2

 

闇透子

 「そして、メタファイズカードが除外されたので(メタファイズ·ディメンション)の効果発動!(黄金のホムンクルス)を対象に除外!」

 

 空から落ちてきた紫色の塊が(ホムンクルス)に直撃し、(ホムンクルス)は無残に砕け散った。

 

 この瞬間、パキパキと軽快な音と共にアムナエルの仮面に亀裂が入った。

 

十代

 「透子!」

 

 十代に翔、万丈目も来たようだ。これでもし俺が負けても相手の手の内を広める事が出来るな。まぁ、負ける気は無いがな。

 

 おっ、オシリスレッドの塾長である大徳寺先生の飼い猫、「ファラオ」だ。あ、おいそっちに行くな。あいつは危険人物だぞ!

 

 あっという間にファラオはアムナエルに足元に、そしてファラオはアムナエルの足に頬を擦っていた。

 

 あいつ、見るからに危ない奴にも懐くのか……今度モフってみよ。

 

十代

 「知らない人……いや、まさか!」

 

アムナエル

 「そう、その通りだ十代。私の正体は……」

 

 アムナエルが割れた仮面を外すと、そこには行方不明になっていた大徳寺先生の顔があった。

 

闇透子

 「まじか……鍵の守護者が実はセブンスターズの一角だったなんて、そんな出来すぎた話あるのかよ」

 

 その後の大徳寺の話を聞くと、なんでも大徳寺先生はマジモンの錬金術師で、「賢者の石」を作る為にずっと昔から研究をしていたらしい。

 しかし、そのせいで身体がボロボロになった為、人造生命体であるホムンクルスに魂を移植して生き延びているそうだ。それでも、もう身体が限界に近くなっているがなんとしても賢者の石を完成させたい。

 そこで、三幻魔の力を使う事によって、賢者の石が完成させる事が出来るらしい。

 

 大徳寺先生の発言に、十代は激しい怒りを露わにしていた。まぁ身内だし、そうなるわな。

 

大徳寺先生

 「デュエルを再開しよう。私は(強欲な壺)を発動。デッキから2枚ドローする」

 

大徳寺先生 手札 3→2→4

 

 出たな(強壺)。俺も土壇場で壺使いてぇよ。

 

大徳寺先生

 「私はカードを3枚セットしてターンエンドだ」

 

大徳寺先生 LP2700 手札1 伏せ3

 

錬金獣・銀のムーンフェイス 守500

 

闇透子 LP13000 手札2枚 伏せ0

 

奇采のプルフィネス 攻1300

 

メタファイズ·ディメンション

アシンメタファイズ

魂吸収

 

 

闇透子

 「俺のターン!ドロー!」

 

闇透子 手札2→3枚 黄金櫃1

 

闇透子

 「スタンバイフェ……」

 

大徳寺先生

 「透子さん、そして十代!よく見ておけ!これが私が行き着いた、究極錬金術!永続トラップ(マクロコスモス)!このカードは自分フィールドの(錬金釜-カオス・ディスティル)を除外して発動する!」

 

 大徳寺先生の後ろの錬金釜が蒸気を吐き出しながら真っ赤になり、凄まじい光を放ち大爆発を起こした。

 

 ふと気がつくと、そこは宇宙だった。まるで意味が分からないんだが、どうやら先生が説明してくれるらしい。

 

大徳寺先生

 「今我々のデュエルは、人間の世界を飛び越えて宇宙へと転化された。私は(マクロコスモス)の効果により、(原始太陽ヘリオス)を特殊召喚!」

 

 現れたのは、頭が太陽で出来た、全身に包帯を巻いた細身な巨人だった。

 

原始太陽ヘリオス 攻?

 

大徳寺先生

 「私の除外されているモンスターは10枚よって攻撃力は1000!」

 

 (マクロコスモス)の(1)の効果使われているの初めて見た。ん?(マクロコスモス)?

 

闇透子

 「あっっっぶねぇぇ!暗黒界に(マクロ)撃たれたら即死だったわぁ!」

 

 デッキとった時の悪寒の正体はこれか。いやぁ気づいてよかった。暗黒界で(マクロコスモス)張られると捨てたカードが除外されて、効果が発動出来なくなって動けなくなるんだよ。

 

闇透子

 「ようやく俺のスタンバイフェイズだ!除外されている(ダイダロス)をデッキに戻して効果発動して(ネフティス)を除外!(吸収)で500回復!(アシン)の効果でメタファイズ以外の攻守500ダウン!(タイラント)をデッキに戻して手札から(メタファイズ·ラグナロク)を特殊召喚!」

 闇透子 手札3→4

 

 奇采のプルフィネス 攻1300→800

 メタファイズ·ラグナロク 攻1500

 

 大徳寺先生

 

 原始太陽ヘリオス 攻1000→500

 

闇透子

 「(メタファイズ·ラグナロク)の効果発動!召喚·特殊召喚された場合、デッキトップからカードを3枚除外してその中のメタファイズカードの数×300攻撃力をアップさせる!幻界勧誘!」

 

 (ラグナロク)が咆哮を上げるとデッキからカードが3枚除外される。落ちたのは(ダイダロス)1枚か。お、(ネクロフェイス)あんじゃん。

 

メタファイズ·ラグナロク 攻1500→1800

 

闇透子

 「(吸収)で1500回復!更に除外された(ネクロフェイス)の効果!お互いに5枚除外!(吸収)の効果で合計5500回復!そして(ディメンション)の効果で(錬金獣・銀のムーンフェイス)を除外!そして更に500回復!」

 

 闇透子

 LP13000→13500→15000→20500→21000

 

 とうとうLPが2万の大台に乗った。(魂吸収)が仕事し過ぎてるな。これは大徳寺先生の猛攻を食らってもLPは尽きないが、その前に俺の精神が尽きそうだな。

 

 あっ、ヘリオスの攻撃力が上がってる。(ネクロ)でモンスターが5枚除外されたのか。運いいな。俺なんて(マクロ)3枚と(裂け目)と(強謙)だぞ。1枚ぐらいメタファイズカードが落ちて欲しかった。

 

ヘリオス 攻500→1000

 

闇透子

 「バトルフェイズに入る!(ラグナロク)で(ヘリオス)を攻撃!」

 

大徳寺先生

 「トラップ発動!(威嚇する咆哮)!君はバトルフェイズを行うことが出来ない!」

 

 (ラグナロク)が放った光線は謎の鳥人の甲高い咆哮にかき消された。

 

闇透子

 「メインフェイズ2、カードをセットしてターンエンドだ」

 

十代

 「すげえ!もうLPが2万を超えたぜ!これで透子は殆ど負けないぜ!」

 

闇透子

 「いや、そうでもない。これは闇のデュエル。LPが残っていても、意識を失えば俺の負けだ」

 

闇透子 LP21500 手札3枚 伏せ1枚

 

メタファイズ·ラグナロク 攻1500

奇采のプルフィネス 攻800

 

次元の裂け目

アシンメタファイズ

メタファイズディメンション

 

大徳寺先生 LP2700 手札1枚 伏せ2枚

 

原始太陽ヘリオス 攻1000

 

マクロコスモス

 

大徳寺先生

 「私のターン、ドロー!」

 

大徳寺先生 手札1→2

 

闇透子

 「スタンバイフェイズ!除外されている(ダイダロス)の効果で自身をデッキに戻して(ネフティス)を除外、(吸収)で500回復。そして(ディメンション)の効果で伏せカードを除外。そして500回復!更に(アシン)の効果でメタファイズ以外守備表示!(ネフティス)の効果で自身をデッキに戻して(ダイダロス)をサーチ」

 

 除外されたのは(攻撃の無力化)。GX当時としては優秀な防御カードだ。

 

奇采のプルフィネス 守0

 

闇透子 LP21500→22000→22500

 

大徳寺先生

 「私は(黄色の過程-キトリニクス)を発動!自分フィールド上に存在する(原始太陽ヘリオス)を1体生け贄にして、デッキまたは手札から(ヘリオス・デュオ・メギストス)1体を特殊召喚する!」

 

 現れたのは、頭が太陽で出来た(ヘリオス)よりも太り気味の巨人。太陽の周りにはとても小さな太陽が漂っている

 

大徳寺先生

 「(ヘリオス・デュオ・メギストス)の攻撃力と守備力は、除外されているモンスターカードの数×200ポイントになる。よって攻撃力は3000だ!」

 

 打点高けぇな。こんな事なら先に(ヘリオス)を潰せばよかった。なんで残したんだか。

 

大徳寺先生

 「いよいよ私の錬金術は最後の過程を迎える!私は(赤色化-ルベド)を発動!これにより、(ヘリオス・デュオ・メギストス)を生け贄にして、デッキまたは手札から(ヘリオス・トリス・メギストス)を特殊召喚!」

 

 大徳寺先生 手札2→1→0

 

 現れたのは、(ヘリオス・デュオ・メギストス)に似た姿をした3体のモンスター。前のヘリオスとは違い、強い威圧感がある。

 

大徳寺先生

「(ヘリオス・トリス・メギストス)は除外されているモンスターカードの数×300ポイントになる。よって攻撃力·守備力は4800だ!」

 

 攻撃力4800。初期LPを一撃で消し飛ばすダメージを、闇のゲームで喰らいたくはない。だが(ディメンション)は使ったし、俺のフィールドには攻撃力1800の(ラグナロク)と守備力0の(プルフィネス)がいる!

 

大徳寺先生

 「バトルだ!(ヘリオス・トリス・メギストス)で(メタファイズ·ラグナロク)を攻撃!フェニックスプロミネンス!」

 

闇透子

 「通すしかねぇ!カ゛ア゛ァ゛ァァ!」

 

闇透子 LP22500→19200

 

 凄まじい業火が俺の身体を焼く。脚に力が入らず、膝を折った。

 

十代

 「透子!大丈夫か!」

 

透子

 「すまん、立ち上がれねぇ。だから寝ころんでデュエルするわ」

 

 うつ伏せになると、万丈目が声を荒げてきた。

 

万丈目

 「寝ながらデュエルだと!貴様!デュエルする気があるのか!?」

 

透子

 「デュエルする気がなかったら戦ってなんかいない。所で翔、そんなにチラチラ見てないで、スカート覗きたかったら見てもいいぞ。ただ捲くるのは無しな」

 

 「うっ……そ、そんな事は……」

 

大徳寺先生

 「随分と余裕だな。私は(ヘリオス・トリス・メギストス)の特殊効果により、もう一度攻撃!(奇采のプルフィネス)を攻撃!」

 

 (プルフィネス)が灼熱の業火によって生まれた不死鳥によって、焼かれて破壊された。

 

闇透子

 「(プルフィネス)が相手に破壊された場合の効果発動!除外されている自分の通常罠を選んで自分フィールドにセットする!俺は(メタファイズ·アセンション)をセット!」

 

大徳寺先生

「これで君を守るモンスターはもういない。これでターンエンドだ」

 

大徳寺先生 LP2700 手札0枚 伏せ1

 

 

ヘリオス・トリス・メギストス 攻4800

 

マクロコスモス

 

闇透子 手札3 伏せ2

 

次元の裂け目

アシンメタファイズ

メタファイズディメンション

 

闇透子

 「俺のターンドロー!」

 

 闇透子 手札3→4枚 黄金櫃2

 

闇透子

「スタンバイフェイズに入って、(封印の黄金櫃)の効果により(ネクロフェイス)を手札に加える。そして、除外されている(ネフティス)の効果で自身をデッキに戻して(タイラント)を手札に加える」

 

闇透子 手札4→5

 

闇透子

 「メインフェイズに入って(アシン)の効果発動!手札の(タイラント)を除外して1枚ドロー!」

 

闇透子 手札5→4→5

 

闇透子

 「そして(アシン)の第2の効果により、自分のターンにメタファイズが除外されたのでメタファイズ以外のモンスターの攻守は500下がる!」

 

ヘリオス・トリス・メギストス 攻5100→4600

 

闇透子

 「メタファイズカードが除外されたので(ディメンション)の効果で(ヘリオス・トリス・メギストス)を対象に除外!そして500LP回復!」

 

 降り注ぐ紫色の塊によって、太陽の化身は異次元へと飛ばされた。

 

闇透子 LP19200→19700

 

大徳寺先生

 「くぅ……まさか(ヘリオス・トリス・メギストス)がこうも簡単に除去されるとは……」

 

闇透子

 「俺は(ネクロフェイス)を通常召喚!そして効果発動!召喚に成功した場合、お互いの除外されているカードを全てデッキに戻し、戻したカードの数×100攻撃力がアップする!」

 

 不気味な顔のモンスターは禍々しい光を放ち、異次元から大量のカードをデッキに戻していき、その光を強めた。

 

闇透子

 「俺の除外されているカードは14枚!大徳寺先生は31枚をデッキに戻す事で(ネクロフェイス)は攻撃力4500アップ!」

 

ネクロフェイス 攻1200→5700

 

 「攻撃力5700!?」

 

十代

 「凄ぇ!この攻撃力なら万が一(ヘリオス・トリス・メギストス)が残っていたとしも破壊出来る!」

 

闇透子

 「いや、そもそも(ヘリオス・トリス・メギストス)は除外されているモンスターの数で攻守が決まる。だが(ネクロフェイス)によって除外されているモンスターはデッキ戻されているから攻守は0になる。万が一(ディメンション)が除去されていたとしてもワンショットキルだ」

 

大徳寺先生

 「流石だ透子さん。本当は十代とデュエルするつもりだったが、これは凄いデュエリストを見つけたかもしれない」

 

闇透子

 「それは違う。俺は強力なパワーカードの力に頼っているだけだ。もしミラーマッチなんてしたら、俺は十代に手も足も出ないだろう」

 

大徳寺先生

 「その考え方は違うよ透子さん。デュエリストとは自分のデッキとカードを信じて戦うものだ。だからどんなに強いカードがあったとしても、それは透子さんの力なんだ。卑下することはない」

 

 デッキは俺の力か……もし俺が、手持ちのデッキの殆どが借り物だなんて言ったらなんて言うんだろうな。

 俺が自力でデッキを組んだ事は、(湿地バジェ)ぐらいしかない。それ以外は偉大なる先人達の構築を模倣して、現在のレギュレーションに合わせて調整しただけに過ぎない。でも、それを言う必要は無いし、説明する手段も持っていない。

 

闇透子

 「そうか……その言葉、ありがたく受け取っておくぜ。(ネクロフェイス)でダイレクトアタック!異次元タックル!」

 

 ネクロフェイスの強烈な体当たりを受けて、大徳寺先生のLPは一瞬で削り取られた。

 

 大徳寺先生 LP2700→-3200

 

 

 強烈な衝撃を受けたせいか、大徳寺先生は力なく膝をついた。それに対して、十代達は慌てて大徳寺先生に駆け寄った。

 

十代

 「大徳寺先生!」

 

大徳寺先生

 「十代。よく覚えておいてくれ。錬金術の真髄は、人の心をより純粋で高貴な物に変えることなのだ。十代には錬金術の才能が眠っている。これからこの島には多くの災いが降り注ぐだろう。その災いを振り払う力を持ったデュエリストを育てるのが私の目的だった」

 

 大徳寺先生は、重々しい動きで十代に(エメラルドタブレット)という本を手渡した。

 

大徳寺先生

 「十代、大いなる災いを防げるのは君だ……」

 

 そう言い残し大徳寺先生は砂となって消えてしまった。

 

 それにしても、あんだけメタメタにしても大徳寺先生は十代を推すのか……流石原作主人公。やっぱスゲー力が眠っているんだろうな。

 

 それにしても……未だに立ち上がれないんだが……立ち上がろうとすると、膝がかなり笑うんだが……LPが大幅に残っていてこれとなると……これからやってられないな。

 

 よし決めた、明日から無差別辻デュエルをしよう。そうすれば俺の暗黒界デッキや他の3つのデッキも洗練されたものになる筈。

 

 ついでに透子と1人デュエル(迫真)すれば透子のプレースキルも上がるかな?透子が体の主導権握ってる時は考えている事は読めないから、心の目?を瞑ればいけるだろ。

 

 そんな事を考えながら、俺は体が起き上がれる様になるまで寝転ぶのだった。




書く気が無い部分だったのでまるまるスキップ。よって三沢君に渡されたカードが使われる事はもう無いです。三沢スキーの皆さん、申し訳ありません。


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光の結社編
8.傲慢エリートの鼻を折れ!


 

〜 オシリスレッド寮 〜

 

 結論だけを言うならば、セブンスターズの事件は終息した。俺が渡したカード達で、他のみんなが頑張って七精門の鍵を守った事で、鍵はクロノス先生が人質を取られて負けたのと三沢がハニトラにかかった2つのみで道場破り事セブンスターズは7人とも撃破した。

 

 最後のセブンスターズがオシリスレッドの寮長である大徳寺先生だったり、俺が辻デュエルをしまくったせいでセブンスターズを全て倒したのに七精門が開いたり、それによって三幻魔のカードを手にした影丸理事長と十代がデュエルしたりしたが、結果は十代の勝ち。三幻魔のカードが再封印されたことで、この騒動は終わりを告げた。

 

 さて、問題はここから。影丸理事長が三幻魔のカードを3体並べた時、俺のデッキから光が放出された。

 三幻魔はカードの精霊の力を吸い取るという力を持っているらしいのだが、俺はカードに精霊が憑いているのをその時になるまで知らなかった。

 

 そこで2年生になる前に、精霊が見えるであろう十代に相談して、どのカードに精霊が憑いているのか知ろうとオシリスレッド寮に来ているのである。

 

闇透子

 「十代いるか?」

 

 「アニキ!呼ばれてるっすよ」

 

十代

 「透子じゃねぇか!どうしたんだ?」

 

 十代もやってきたし、早速要件を言おう。

 

闇透子

 「俺の暗黒界デッキに精霊が憑いているか調べる事は出来るか?」

 

十代

 「出来るけど……どうして?」

 

闇透子

 「暗黒界デッキだけ引きが良すぎるんだ。暗黒界デッキは手札が事故った時に何も出来なくなるデッキなんだが、最近それが全くない。それどころか1枚しか入れてない(生還の宝札)がかなりの確率でデッキの上の方に来る。これはもしかして精霊の力的な何かなのではと思い、ここまで来たんだ」

 

十代

 「お、おう……とりあえずハネクリボーに調べさせてみるぜ。デッキを少し借りるぜ。報酬はドローパン1個な」

 

 俺にドローパンを奢らせるとはな……後悔するなよ。

 

 十代にデッキを預けている間、少し翔とデュエルして遊んでいようかな。最近組んだデッキがあるし。あれ?なんか1人足りないような気がするな。

 

闇透子

 「そういえば、この寮には3人いたよな?でかけてるのか?」

 

 「隼人くんすか?隼人くんはカードデザイナーになる為に海外に渡ったッス」

 

 そうなのか……まぁいいや。とにかく翔とデュエルして暇でも潰すか。

 

 

〜〜〜

 

十代

 「終わったぞー!」

 

闇透子

 「サンキュー!今丁度デュエルが終わった所だ!」

 

 「うう……負けたッス……」

 

 翔は終始俺の手の中で踊らされてたな。(光の護封剣)に苦戦したり、(ミキサーロイド)から(アーマロイドガイデンゴー)を出そうとして(虚無空間)に阻まれたり、折角出した(ペアサイクロイド)を、(安全地帯)をつけられてバウンスされて退かされたり。

 

 結局翔は殆ど何も出来ずに(霞の谷のファルコン)のダイレクトアタックを食らって負けた。翔が苦戦するあまり、2枚積みの(強化蘇生)が2枚共にフィールドで腐っていた。

 

 そう、俺が使ったデッキは(ファルコンビート)。永続魔法·罠を使い回して盤面をコントロールしてじっくり殴るデッキだ。後で透子にあげようと思っている。彼女はコントロールデッキ結構好きそうだしな。

 

 「ア、アニキィ〜僕、手も足も出なかったよぉ〜」

 

十代

 「と、透子。お前何やったんだ?」

 

闇透子

 「なにって……翔の(融合)に合わせて特殊召喚封じたり、(光の護封剣)を3ターン目に回収したり、翔の切り札に(安全地帯)くっつけて退かしたりしただけだよ。」

 

光の護封剣(制限カード)

通常魔法

このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。

(1):このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て表側表示にする。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。

 

安全地帯

永続罠

フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、その表側表示モンスターは、相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されず、相手に直接攻撃できない。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。

 

十代

 「透子は相変わらず嫌らしいデッキを使うよな……そんなんだから(邪神)とか(魔王少女)なんて呼ばれるんだぞ」

 

 邪神はまだしも魔王少女は聞いたことないわ。

 

透子

 「それはそうとして、精霊的な物は見つかったのか?」

 

十代

 「ああ、いたぜ精霊。それも4枚も」

 

 十代はそう言って、(暗黒界の狩人ブラウ)と(暗黒界の尖兵ベージ)3枚を見せてきた。

 

 こいつらは……俺の暗黒界デッキの中核を担うモンスターだ。俺もカードの精霊が見えたなら、こいつらにお礼が言えるのにな。

 

十代

 「それじゃあ、約束としてドローパン奢ってくれよな」

 

透子

 「ああ、約束だからな。折角だし翔もどうだ?」

 

 「ありがたく貰うッス!」

 

 その後、十代と翔にアカデミア名物のドローパンを奢ったが、十代は「くさやジャム味」を、翔は「シュールストレミング味」をドローした。

 ちなみに、試しに俺も責任を感じて腹括ってドローしてみたが「納豆味」だった。やべぇ超ラッキー、今日か明日にはいい事あるわ。

 

 とまぁこんなわけで、俺こと闇透子の奢りで買ったドローパンはほぼ必ずゲテモノになってしまうのだ。納豆も中々ゲテモノだが大分まし、初めて買ったドローパンが「マーマイト味」、口直しにもう一個買ったら醤油せんべいが丸々入った「せんべい味」だった時は地面を強打したものだ。

 

 さて、約束も果たしたし、寮に帰って(セルリ)入れた暗黒界でも組もうかな。

 

 

 

〜 校長室 〜

 

 2年生になってすぐに、クロノス先生に呼ばれて来たのですが……

 

透子

 「中等部の生徒とデュエル……ですか」

 

クロノス

 「そうなノーネ。明日から中等部上がりのエリートタチーが、このアカデミアにくるノーネ。そこで、アカデミアでもトップのデュエリストであるシニョーラ透子に先輩の力を見せて欲しいノーネ!」

 

透子

 「つまり、天狗になっているエリート達に2年生の力を見せつける……そういう事ですね?分かりました。微力ながら力になります」

 

クロノス先生

 「ま、まぁそう思っていいノーネ。それじゃあ、よろしく頼むノーネ」

 

 クロノス先生に一礼して校長室を出る。

 

 それにしても、中等部のエリートですか……いったいどれほどの力を持っているのでしょうか。もう一人の私ぐらいだったら割とやってられないんですけど……

 

闇透子

 「いやそれはねぇだろ。俺らの時に入ってきたオベリスクブルー生は(ゴブリン突撃部隊)に装備魔法つけてイキリ散らす程度なんだぜ?お前の壊獣投げつけたり(カナディア)でひっくり返せば終わりだよ。胸を張ってエリートの心を叩き潰してやろうぜ」

 

 そう……ですね。私の2つのデッキなら……大丈夫なはず。でも一応、もう一人の私とデュエルして試してみましょう。

 

闇透子

 「あっそうだ。俺最近面白いデッキ組んでさ。そいつでエリートの心折ってくれよ!」

 

 それは……デュエルしながら考えます。

 

闇透子

 「ああ!今思い出した!今日発表された制限改定見たか?(天使の施し)が制限復帰するんだとよ!俺の時代が来ているぜ!」

 

 これは……しばらくもう一人の私が大暴れしそうですね……大分前から暴れてましたけど。

 

 その後、私達?は制限改定の話をしながら寮に戻りました。

 

 

〜 翌日 デュエルフィールド 〜

 

 

 ついに来てしまいました。とりあえず調整は十分、後はどんな相手がくるのか……

 

??

 「あなたが私の対戦相手?随分と弱そうな見た目してるわね」

 

 そう言ってやってきたのは、随分と気の強そうな女性。ザ·エリートって感じですね。名前の紹介もないので、エリートさんでいいですよね。

 

エリート

 「私の戦士デッキであなたに敗北をくれてやりますわ」

 

 本当に傲慢な人。こんな人にはさっくり倒してあげません。もう一人の私が言ったとおりに、じっくり心を折ってやりましょう。

 

透子

 「随分と余裕なんですね。その余裕を崩してあげます」

 

エリート·透子

 「デュエル!」

 

エリート

 「先攻は譲りますわ。精々足掻いて下さいな」

 

透子

 「なら先攻は貰います。ドロー」

 

透子 手札5→6

 

 私に先攻を譲った事を後悔させてあげます。

 

透子

 「私は(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲って、その中から1枚手札に加えます」

 

捲ったカード

強欲で貪欲な壺

命削りの宝札

神の宣告

 

透子

 「私は(命削りの宝札)を加えて残りをデッキに戻します。そしてこのターン、私は特殊召喚を行えません」

 

透子 手札6→5→6

 

透子

 「私は(霞の谷のファルコン)を召喚。カードを4枚セット、(命削りの宝札)を発動。3枚になるようにドローします」

 

透子 手札6→5→1→0→3

 

透子

 「私は(光の護封剣)を発動してターンエンド。エンドフェイズに(命削りの宝札)の効果で残りの手札を全て墓地へ送ります」

 

透子 LP4000 手札0  伏せ4

 

霞の谷のファルコン 攻2000

 

光の護封剣

 

エリート LP4000 手札5 伏せ0

 

エリート

 「私のターンドロー!」

 

 エリート 手札5→6

 

エリート

 「私は手札から(増援)を発動!(切り込み隊長)を手札に加えまして、そのまま召喚!(切り込み隊長)の効果でもう一体(切り込み隊長)を特殊召喚!」

 

エリート 手札 6→5→6→5→4

 

エリート

 「(切り込み隊長)はこのカードかいる限り、このカード以外の戦士族モンスターを攻撃出来ませんわ!そのモンスターが2体いる!この意味が分かります?」

 

透子

 「切り込みロック……それだけで自慢出来るなんて随分と周りは弱かったんでしょうね。」

 

エリート

 「ええ、この盤面を構築するだけで、相手は無様にデッキに手を置くんですもの。ですが私は更に(二重召喚)を発動!増えた召喚権で(切り込み隊長)を召喚!そして(切り込み隊長)の効果で(コマンド・ナイト)を特殊召喚ですわ!(コマンド·ナイト)の効果で、自身は自分の戦士族モンスターの攻撃力は400アップしますわ!

 

コマンド・ナイト 攻1200→2800 

 

 凄い手札の偏り方ですね。積み込みを疑いますね。

 

 

エリート

「(光の護封剣)の効果でバトルできませんわ……ターンエンドですわ」

 

エリート 手札 4→3→2→1

 

エリート LP4000 手札1 伏せ0

 

切り込み隊長 攻1200

切り込み隊長 攻1200

切り込み隊長 攻1200

コマンド・ナイト 攻1200→2800

 

透子 LP4000 手札0  伏せ4

 

霞の谷のファルコン 攻2000

 

光の護封剣

 

 さて、困りましたね。前の私のデッキだったらモンスターの除去手段に乏しいので少し大変だったのですが……このデッキは一味違います!

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

 透子 手札 0→1

 

透子

 「手札から速攻魔法(月の書)発動!(切り込み隊長)を対象に裏側守備表示にします!それにチェーンして(バージェストマ·カナディア)!もう一体の切り込み隊長を対象に裏側守備表示にします!」

 

 私のカードから奇妙な生き物と魔法書が2体の(切り込み隊長)をカードに戻しました。これにより、(コマンド・ナイト)の効果が弱まり、(コマンド·ナイト)が大幅に弱体化します。

 

コマンド·ナイト2800→2000

 

エリート

 「そ、それでも(コマンド·ナイト)は攻撃力2000!(霞の谷のファルコン)では相打ちですわ!」

 

透子

 「そう焦らないで下さい。私のカードはまだあるので。伏せていた永続トラップ(安全地帯)を(コマンド·ナイト)を対象に発動。このカードの対象になったカードは、戦闘·効果で破壊されず効果の対象になりません」

 

 半透明なバリアが(コマンド·ナイト)を包むと、エリートさんが高らかに笑い始めました。

 

エリート

 「オォホッホッホ!私の切り込みロックを突破したのは褒めて差し上げますが、そのトラップ、明らかに味方に使うものでしょう?そんなの素人でもしないわ!」

 

透子

 「そうでしょうか?それは私のターンが終わってから言って下さいね?バトルフェイズ!(霞の谷のファルコン)で(切り込み隊長)を攻撃する攻撃宣言時、自身の永続効果で自分フィールドの(安全地帯)を手札に戻します!」

 

 (ファルコン)が背中の翼を大きくはためかせると、私のフィールドにある(安全地帯)が風に飛ばされて手札に戻ってきました。そして、(安全地帯)は中にいた(コマンド·ナイト)もろとも消滅しました。

 

エリート

 「な、何が起こって……」

 

透子

 「(安全地帯)のデメリット効果です。このカードがフィールドから離れた時、対象のモンスターを破壊します。この為に(安全地帯)を張ったんですよ。戦闘続行!(ファルコン)で(切り込み隊長)を攻撃!」

 

 (ファルコン)は開いた翼で飛翔して、高所から強襲。(切り込み隊長)を両断して破壊しました。

 

エリート LP4000→3200

 

透子

 「カードを伏せてターンエンドです。さぁ精々足掻いて下さい。既にあなたは、私の戦術に呑み込まれています」

 

透子 LP4000 手札0 伏せ4

 

霞の谷のファルコン 攻2000

 

エリート

 「わ、私のターン!ドロー!」

 

エリート 手札1→2

 

エリート

 「(強欲な壺)発動!2枚ドローして、裏側になっている(切り込み隊長)2体を攻撃表示に。(魔導師の力)を切り込み隊長に装備!(サイクロン)を発動して(光の護封剣)を破壊!

 

魔導師の力(制限カード)

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力・守備力は、

自分フィールドの魔法・罠カードの数×500アップする。

 

エリート 手札2→1→3→2→1→0

 

透子

 「いいでしょう。効果を受けます」

 

 光で出来た剣が強風で破壊されました。これでファルコンへ攻撃出来ますね、エリートさん。

 

エリート

「カードを1枚セットしますわ。これにより、(切り込み隊長)の攻撃力は2200!(霞の谷のファルコン)を突破出来ますわ!バトル!(切り込み隊長)で(霞の谷のファルコン)を攻撃!」

 

切り込み隊長1200→2200

 

透子

 「その(切り込み隊長)、他の(切り込み隊長)の効果で特殊召喚したものでしたね?トラップカード発動(迷い風)!これで特殊召喚したモンスターは攻撃力が半分になり効果は無効になります!返り討ちです!(ファルコン)!」

 

 黒い風を受けて満足に動けない(切り込み隊長)。そこに(ファルコン)が上空から襲いかかり、容易く撃破されました。

 

エリート 3200→2300

 

エリート

 「ターン……エンド」

 

エリート LP2300 手札0

 

切り込み隊長 攻1200

 

透子 LP4000 手札0  伏せ3

 

霞の谷のファルコン 攻2000

 

 

 随分と弱っているようですね。ササッと仕留めますか。

 

透子

 「私のターンドロー!(強欲で貪欲な壺)を発動!10枚裏側除外で除外して2枚ドロー!」

 

 透子 手札0→1→0→2

 

透子

 「私はもう一体(ファルコン)を召喚。バトル!セットカードを戻して(ファルコン)で最後の(切り込み隊長)を攻撃!」

 

 カードを戻して強襲する(ファルコン)。あっさりと(切り込み隊長)を粉砕した。

 

透子

 「トドメです!伏せカードを戻してもう一体の(ファルコン)でダイレクト!」

 

エリート

 「そ、そんな……こんな……はずじゃ……」

 

エリート LP 2300→1400→-600

 

透子

 「対戦、ありがとうございました。あなたはまだ未熟そのものです。だからこのアカデミアで熱心に勉強して、もう少し賢くなる事をおすすめします」

 

??

 「ふざけるな!こんなのデュエルじゃねぇ!」

 

 そう言ったのは観客席の男の子。多分私が罠で相手を封殺していたのが気に食わなかったのでしょう。少しお仕置きしてあげましょう。

 

透子

 「そんなに気に食わないのなら、こっちに降りてきてください。相手をしてさしあげます。他に私の相手になりたい人はこっちに来てください。一人一人プライドを破壊してあげますから」

 

 さぁ!お楽しみはこれからです♪

 

 その後もう一人の私も乱入した結果、新入生の半数が自信を喪失し、その内の二割程が自主退学を選ぶ事になりました。

 一度くらい負けた程度で情けない。本当に強くなれる人は、ここからデッキを見直してメタを張る人だと思います。それこそ、ストレージを漁ってでも。

 

 周りで地面を叩き、涙している新入生を見ながら、そう思うようになりました。



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9.レッド寮を防衛せよ!

 

〜 保健室 〜

 

透子

 「十代さんがどうかしたんですか?」

 

 明日香さんに連れられて保健室に入ると、十代さんが保健室のベッドに座り込んでいました。

 

 明日香さん曰く、最近プロで活躍しているエド·フェニックスというデュエリストに負けてから、カードが白く見える様になってデュエルが出来なくなってしまったそうです。

 

透子

 「十代さんがそうなった経緯はわかりました。でもそれはどれぐらいかかるか解りませんが時間が解決してくれる筈です。だから皆さんは十代さんの事を優しく見守る事が、十代さんの為だと思います」

 

 私がそう言うと、十代さんは私に静かにお礼を言ってどこかへ行ってしまいました。

 

 その後私は明日香さんに連れられて、私達はレッド寮に行く事になりました。

 

 

〜 新設レッド寮 〜

 

 万丈目さんによって、自身が所属する大財閥である万丈目グループの力を使って作られた新しい部屋に私、明日香さん、万丈目さん、翔さん、三沢さん、そして最近十代さんの子分になったティラノ剣山さんの合計6人が集まっています。

 

 なんでも、最近クロノス先生はエリート政策を推し進めていて、レッド寮を取り潰す事を計画しているらしいのです。

 しかも、アイドル養成コースなんて計画もあり、明日香さんはそこから脱出してきたそうです。なんでも、私もそれに入れられようとしているみたいです。

 

 私……歌を歌うのは人並みには好きですが、人前で歌うのは……恥ずかしくて出来る気がしません。

 

 十代さんがいなくなったせいでどんよりとした空気の中、万丈目さんが活を入れた事で場にいる全員が活気付き、なんとしてもこのオシリスレッド寮を守る事で団結することになりました。

 

 ん?何でしょうか?まるでエレキギターのような……とにかく外に出てみましょう。

 

 

〜 オシリスレッド寮前 〜

 

 寮を出ると、そこにはギターを持った明日香の兄こと天上院吹雪がいた。

 

 なんでも明日香をブルー寮に帰したいらしい。まぁ自分の妹がいないと不安だよな。

 

明日香

 「兄さん……まさか!?」

 

????

 「そのまさかナノーネ!」

 

 そのあまりにも独特な語尾。あいつしかいねぇよな。木製のボートを背負いながらそいつは現れた。

 

闇透子

 「クロノス“臨時”校長!」

 

クロノス

 「そんなに臨時を強調するんじゃないノーネ!シニョーラ明日香にはアイドル養成コースに戻ってもらうノーネ!」

 

明日香

 「お断りします。私達はオシリスレッド寮を守ると決めているので」

 

闇透子

 「ところで、なんで明日香をアイドルなんかにしようとしてるんだ?」

 

 俺がなんとなくそう聞くと、吹雪さんは少し声を荒げてきた。

 

吹雪

 「何を言っているんだ!明日香はアイドル界の金の卵だ!」

 

 まぁ確かに明日香は綺麗だけど……アイドルねぇ……。

 

闇透子

 「いや、明日香はアイドルなんて柄じゃねぇだろ」

 

吹雪

 「な、僕の1番の妹が可愛くないとでも!?」

 

闇透子

 「単純にそんなキャラじゃねぇってだけだ。どっちかと言うと、凛々しい女騎士とか冷酷な女王とかの威圧的な役の方が様になると思うぞ」

 

 吹雪さんは少し考えると、笑顔でサムズアップしてきた。

 

吹雪

 「確かにそれも悪くはないかもしれないな……」

 

明日香

 「……期待した私が馬鹿だったわ」

 

 がっかりした様子の明日香。周りもなんとなく引いている。あっ、でも万丈目はありだと思っているらしい。サムズアップしたら明日香に叱られた。

 

明日香

 「こういう時はデュエルで決着をつけましょう」

 

吹雪

 「望むところだ!」

 

 こうして、兄妹デュエルが始まる事になった。さて、俺も明日香のデュエルに見に行……

 

クロノス

 「ちょっと待つノーネ!」

 

 クロノスが待ったをかけると、全員がその足を止めた。

 

闇透子

 「どうしたんです?クロノス“臨時”校長」

 

クロノス

「だから臨時を強調するんじゃないノーネ!シニョーラ透子も、アイドル養成コースに入ってもらうノーネ!拒むならデュエルで決着つけるノーネ!」

 

闇透子

 「は?おいおい、それこそ柄に合わねぇぞ」

 

クロノス

 「いいや!意外な事に一部の男子生徒ニーハ!強烈なギャップがウケているらしいノーネ!だからワンチャンあるノーネ!」

 

 えぇ……つまりそいつらは、小柄で童顔なところと俺の草木も残らない苛烈なプレイスタイルか、透子の穏やかに全てを否定するプレイスタイルにギャップ感じてる訳か……マゾヒスト拗らせすぎてねぇか?

 

闇透子

 「アイドルには興味ねぇ。まぁ、ヒール役なら考えなくもないがな」

 

 隣を見ると、どうやら明日香はここで吹雪と事を構えるらしいな。俺もさっさとルーレット回してデッキを決めるかな。あっそうだ。折角だしヒールになりきってデュエルしてみるかな?

 

 使うデッキは決まった。久々に使うデッキだけど、まぁなんとかなるだろ。

 

 

闇透子·クロノス

 「デュエル!」

 

クロノス

 「先攻は私ナノーネ!ドロー!」

 

 クロノス 手札5→6

 

クロノス

 「私は(機械街)を発動!そして(古代の機械射出機)を発動するノーネ!」

 

 クロノス 手札6→5→4

 

 機械仕掛けの町が出たかと思ったら、小型のカタパルトによってそれを破壊され、瓦礫から2体の機械仕掛けのモンスターが姿を形作り始めた。

 

クロノス

 「これにより、(古代の機械射出機)の効果で(機械街)を破壊して(古代の機械巨人)を召喚条件を無視して特殊召喚するノーネ!更に、破壊された(機械街)の効果で(古代の機械飛竜)を特殊召喚するノーネ!」

 

 セブンスターズで吸血鬼の野郎に見せた展開。古代の機械デッキの常套手段だ。

 

クロノス

 「そして(古代の機械飛竜)の効果!デッキから古代の機械カード(古代の機械融合)を手札に加えるノーネ!」

 

クロノス 手札4→5

 

 おお、結構回ってんな。ここまではセブンスターズの吸血鬼と戦った時と同じムーブだな。

 

クロノス

 「私は入試デュエルの汚名を挽回するノーネ!魔法カード(古代の機械融合)を発動するノーネ!このカードはフィールドに(古代の機械巨人)がいればデッキのモンスターも融合素材に出来るノーネ!」

 

 「デ、デッキから融合素材を墓地に送る!?そんなのありなの!?」

 

 まぁそうなるな。俺も初めたばっかの時、友人に(影依融合)使われた時に「は?」ってなったし。だが今では稀に使う(インフェルノイド)でよくお世話になるんだよな。

 

クロノス

 「私はフィールドの(古代の機械巨人)とデッキの(古代の機械巨人-アルティメット·パウンド)と(古代の機械箱)を墓地に送って現れるノーネ!(古代の機械超巨人)!」

 

 現れたのは非常に大きな六足歩行の巨人。その異様な姿とステータスに、場にいる全員が大小問わず声を上げた。

 

クロノス 手札5→4

 

剣山

 「攻撃力……3300ドン!?」

 

クロノス

 「本来ーワ私の奥の手中の奥の手ナノデスーが、シニョーラ透子に手加減していると瞬殺されるノーデ、本気を出させてもらうノーネ!私はこれでターンエンドナノーネ!」

 

クロノス LP4000 手札4枚 伏せ0

 

古代の機械超巨人 攻3300

 

闇透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

(古代の超巨人)はフィールドを離れるとEXデッキから(古代の究極巨人)を出す効果がある。そしてその(究極巨人)も破壊されると墓地の(機械巨人)を出す。次のターンに巨人が残ってればまた(古代の機械融合)でデッキ融合してくる。

 

 当時のカードプールでは完全に突破するのは困難極める(超巨人)を少ない手札消費で出したのは流石と言うべきものだろう。

 

 いや待て、(古代の機械超巨人)なんて渡してないぞ?どこで手に入れたんだ?

 

闇透子

 「私のターンドロー!」

 

闇透子 手札5→6

 

闇透子

 「私は(強欲で金満な壺)を発動!EXデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

闇透子 手札6→5→7

 

闇透子

 「(ワンフォーワン)を発動!手札の(kozmoフォアランナー)を捨ててデッキからレベル1(kozmo-フェルブラン)を特殊召喚!更にレベル4、(kozmo-ダーク·ローズ)を召喚!効果発動!自身を除外して、レベル4以上のkozmoモンスターを手札から特殊召喚!いでよ!レベル8!(kozmo-ダーク·シミター)!」

 

  フィールドの黒いローブを纏った女戦士が消え、装甲が黒く輝く巨大な宇宙戦艦が現れる。その大きさは凄まじく、俺等の立っている場所が影で覆われる程だ。

 

闇透子 手札7→6→5→4

 

闇透子

 「(ダークシミター)の効果発動!フィールドのカードを対象にして破壊する!私は(古代の機械超巨人)を破壊!」

 

 そしてその戦艦は、艦首から二門のビーム砲からレーザーを放ち、(古代の機械超巨人)は木っ端微塵に破壊された。

 

クロノス

 「まさかこんなにも早く(古代の機械超巨人)が破壊されるとは思わなかったノーネ!(古代の機械超巨人)の効果発動!このカードがフィールドを離れた場合にEXデッキの(古代の機械究極巨人)を召喚条件を無視して特殊召喚するノーネ!」

 

 破壊された部品から(古代の機械究極巨人)が組み上がり、機械の4足巨人がゆっくりと立ち上がる。

 

古代の機械究極巨人 攻4400

 

剣山

 「こ、攻撃力4400だドン!?」

 

闇透子

「これ以上は動けませんね……私はカードを2枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに(フェルブラン)の効果発動!自分·相手エンドフェイズに500LPを払い、デッキから3枚kozmoカードを選ぶ。そして相手はそれらをランダムに選び、選ばれたカードは手札に加わり残りは墓地へ送られます。俺が見せるのは(ランドウォーカー)、(エナジーアーツ)、(エメラルドポリス)を見せます」

 

クロノス

 「ムムーム、それなら真ん中のカードを選ぶノーネ!」

 

 ブリキの小さな人形が頭部から蒸気を吐き出しながら、3枚のカードを抜き出した。そしてそのうちの1枚(ランド·ウォーカー)が俺の手札に収まり残りは墓地へ消えていった。

 

 

闇透子 LP3500 手札3 伏せ2

 

kozmo-フェルブラン 守0

kozmo-ダークシミター 攻3000

 

クロノス LP4000 手札4枚 伏せ0

 

古代の機械究極巨人 攻4400

 

クロノス

 「私のターンドロー!」

 

 クロノス 手札 4→5

 

闇透子

 「スタンバイフェイズに(フェルブラン)の効果発動!除外して手札のレベル1以上のkozmoモンスター、レベル6の(kozmo-ランドウォーカー)を特殊召喚!」

 

闇透子 手札3→2

 

クロノス

 「私は(古代の機械飛竜)を召喚!効果……」

 

闇透子

 「トラップ発動(激流葬)!召喚·特殊召喚に成功した時に発動!お互いのモンスターを全て破壊します!」

 

 大空に届く大津波がフィールドを飲み込み、波が引く頃にはフィールドには何も残っていなかった。

 

クロノス 手札5→4

 

クロノス

 「わ、私は(古代の機械融合)を手札に加えるノーネ!そして破壊された(古代の機械究極巨人)の効果発動!墓地の(古代の機械巨人)を召喚条件を無視して特殊召喚するノーネ!」

 

闇透子

 「チェーンして破壊された(ダークシミター)と(ランドウォーカー)の効果発動!破壊された場合に墓地から除外し、それぞれレベル7以下とレベル5以下のkozmoをデッキから特殊召喚!私は(ダークシミター)からレベル7の(フォアランナー)を、(ランドウォーカー)からレベル4の(ダーク·ローズ)を特殊召喚!」

 

 巨大なスクラップから現れる4つのアームを持つ船に、黒いローブを纏い、素肌を包帯で覆う魔女。

 

クロノス 手札4→5

 

クロノス

 「ま、まだナノーネ!手札から(古代の機械融合)を発動!フィールドに(古代の機械巨人)がいるノーデ、フィールドの(古代の機械巨人)、デッキから(古代の機械箱)、(古代の機械騎士)を融合!現れるノーネ!(古代の機械究極巨人)!」

 

クロノス 手札 5→4

 

 再び現れた四足歩行の機械巨人。てか(超巨人)じゃないのか。一枚しか無かったのか?

 

クロノス

 「バト……」

 

闇透子

 「スタートステップにトラップ発動!(竜嵐還帰)!除外されているモンスターを特殊召喚!現われろ!(kozmo-ダーク·シミター)!効果発動!(古代の機械究極巨人)を対象に破壊!」

 

 空が鼠色に淀み、空から巨大な戦艦が飛来する。そして放たれるビーム砲で四足歩行の巨人を焼き払った。

 

クロノス

 「破壊された(古代の機械究極巨人)の効果発動!墓地の(古代の機械巨人)を召喚条件を無視して特殊召喚するノーネ!バトルフェイズ中に特殊召喚されたモンスターは攻撃出来るノーネ!(kozmo-ダーク·ローズ)を攻撃!アルティメット·パウンド!」

 

 再びガラクタから起き上がる機械の巨人。右腕を振り絞り、その拳を振り下ろす。

 

闇透子

 「(ダークローズ)の効果発動!1000LPを払い、このカードは戦闘効果で破壊されない!フォースシールド!」

 

 しかし包帯魔女が薄いバリアを張り、衝撃波が俺を襲う。

 

闇透子 LP3500→2500→1400

 

クロノス

 「ターンエンドナノーネ……やっぱり一筋縄ではいかないノーネ」

 

闇透子

 「(竜嵐還帰)で特殊召喚された(ダークシミター)はエンドフェイズに手札に戻る」

 

クロノス LP4000 手札5枚 伏せ0

 

古代の機械巨人 攻3000

 

闇透子 LP1400 手札3 伏せ0

 

kozmo-ダーク·ローズ 攻1900

kozmo-フォア·ランナー 攻2700

 

 

闇透子

 「私のターン、ドロー」

 

闇透子 手札3→4

 

闇透子

 「良いカードだ。スタンバイフェイズに(フォアランナー)の強制効果を発動。自分スタンバイフェイズに私は1000LPを回復します。そしてメインフェイズ開始時に(強欲で金満な壺)を発動。融合デッキから6枚を裏側で除外する事で発動。カードを2枚ドローする」

 

闇透子 LP1400→2400 手札4→3→5

 

 トップが壺ってのはツエーわ。しかもドローも良好だ。

 

闇透子

 「フィールド魔法(kozmo-エメラルドポリス)を発動!」

 

 世界が書き換わり、エメラルド色のビルが立ち並ぶ未来都市へと姿を変える。

 

闇透子 手札5→4

 

闇透子

 「(ダーク·ローズ)の効果発動!除外して手札の(ダーク·シミター)を特殊召喚!効果発動!(古代の機械巨人)を破壊します!」

 

 包帯魔女が消え、再び襲来する巨大な戦艦。艦首のビーム砲二門が機械仕掛けの巨人を打ち砕いた。

 

闇透子 手札4→3

 

闇透子

 「(エメラルドポリス)の効果発動!除外されているkozmoモンスター(ダーク·ローズ)を加えて、そのモンスターのレベル×100のLPを失う。よって400LPを失う」

 

闇透子 LP2400→2000 手札3→4

 

 「これでクロノス先生のフィールドはガラ空き!透子さんの勝ちッス!」

 

闇透子

 「(ダーク·ローズ)を召喚してバトルフェイズ!(フォアランナー)でダイレクトアタック!砲撃開始!」

 

 上部と下部に埋め込まれたビーム砲が露出し、2基4門のビーム砲がクロノス先生を焼く。

 

 

クロノス LP4000→1200

 

闇透子 手札4→3

 

クロノス

 「こんなところで終われないノーネ!手札の(冥界の使者ゴーズ)の効果発動!相手の攻撃でダメージを受けたノーデ、その戦闘ダメージ分の攻守を持ったトークンを特殊召喚するノーネ!よって攻守2800の(カイエントークン)を特殊召喚するノーネ!」

 

 土煙が上がると、そこには黒い鎧を纏った戦士と、剣を携えた女戦士の姿があった。

 

 クロノス 手札5→4

 

 ゴ、ゴーズ!?Y○UTUBEの解説動画でしか見たことのないカード!まさか実際に使われるとは……こんなことなら(ダーク·ローズ)から殴ればよかった。

 

三沢

 「(冥界の使者ゴーズ)!?確かそれは超がつくほどのレアカード!なんでそれを先生が!?」

 

クロノス

 「私がシニョーラ透子と試験デュエルで過剰な戦闘ダメージを受けて保健室で3日程寝込んで起き上がった時、あまりのショックにカードを見ることが出来なくなる程自信をなくしたノーネ。翌日、使い古されたのかボロボロだった(冥界の使者ゴーズ)をオークションで見つけて、それに希望を見出したノーネ。今でも、このカードをお守り代わりに入れているノーネ」

 

カイエントークン 攻2800

冥界の使者ゴーズ 攻2700

 

闇透子

 「だがバトルフェイズはまだ続く!(ダークシミター)で(ゴーズ)を攻撃!(フォアランナー)で(カイエントークン)を攻撃!」

 

 ビーム砲で焼かれる黒い鎧を纏う戦士。

 

 (フォアランナー)はビームやミサイルを次々に発射するも、女性的な騎士は巧みに回避して一瞬の隙を突いて動力部をその手に持つ剣で貫いた。しかし(フォアランナー)の4つのアームに拘束され、爆発に巻き込まれて破壊された。

 

 しかし、(ゴーズ)か……ワンキルできなくなっちまったよ。

 

闇透子

 「破壊された(フォアランナー)の効果発動!墓地から除外してレベル6以下のKozmo、レベル5の(kozmo-デルタシャトル)を特殊召喚!ダイレクトアタック!」

 

スクラップから飛んできたのは、明らかに旅客機みたいな航空機。地面を巻き込みながらクロノス先生に突っ込もうとするが、寸前でカカシに弾かれた。

 

クロノス

 「手札から(速攻のかかし)の効果を発動させたノーネ。直接攻撃宣言時にこのカードを捨てる事でその攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了するノーネ」

 

クロノス 手札5→4

 

闇透子

 「メインフェイズ2、カードを3枚セットしてターンエンドです」

 

 それにしてもクロノス先生……そんなに気が滅入っていたのか……まぁ入試だったから許してくれたまえ。

 

 闇透子 LP2000 手札0枚 伏せ3

フィールド(kozmo-エメラルドポリス)

 

kozmo-ダークシミター 攻3000

kozmo-ダーク·ローズ 攻1900

kozmo-デルタシャトル 攻2000

 

クロノス LP1300 手札4 伏せ0

 

カイエントークン 攻2700

 

闇透子

 「さぁ足掻くがいい!そして、この絶望的な状況をひっくり返してみせろ!」

 

クロノス

 「わ、私のターン、ドロー!」

 

クロノス 手札5→6

 

クロノス

 「私は(貪欲な壺)を発動!墓地の(古代の機械超巨人)、(古代の機械究極巨人)、(古代の機械飛竜)、(古代の機械巨人)、(古代の機械巨人-アルティメット·パウンド)をデッキに戻して2枚ドローするノーネ!」

 

クロノス 手札6→5→7

 

 この土壇場で壺を引くとは右手強すぎかよ。

 

 ……なんでクロノス先生はあんなににやけているんだ?

 

クロノス

 「私は(機械街)を発動するノーネ!」

 

 エメラルド色の都市は消え、すぐに投石機で粉砕されるだろう都市が姿を現した。

 

闇透子

 「は、破壊された(kozmo-エメラルドポリス)の効果発動!デッキからkozmoカード二枚目の(kozmoダークシミター)を手札に!」

 

 闇透子 手札0→1

 

 クロノス 手札7→6

 

この時代ではフィールド魔法はお互いに1枚しか存在出来ず、新たにフィールド魔法が貼られると前のフィールド魔法は“破壊”される

 

クロノス

 「そして(古代の機械射出機)を発動するノーネ!これにより、(古代の機械射出機)の効果で(機械街)を破壊して(古代の機械巨人)を召喚条件を無視して特殊召喚!更に破壊された(機械街)の効果で(古代の機械素体)を特殊召喚するノーネ!」

 

 再び現れる小型のカタパルトとそれによって破壊される機械仕掛けの町。そこから生み出された瓦礫から2体の機械仕掛けのモンスターが姿を形作る。

 

クロノス 手札6→5

 

 まじかよ引きが良すぎとかそんな次元じゃねぇよ、ドロー力十代かよ。

 

 クロノス

 「そして(古代の機械素体)の効果!1ターンに一度、手札の(古代の機械巨竜)を墓地へ送ーリ、デッキからテキストに(古代の機械巨人)と記されたカード、(古代の機械融合)を手札に加えるノーネ!そして発動!フィールドの(古代の機械巨人)とデッキの(古代の機械巨人)、(古代の機械巨人-アルティメット·パウンド)を墓地に送ーリ、現れるノーネ!(古代の機械超巨人)!」

 

 3体の機械巨人が交わる事で爆誕した6足歩行の巨人。驚異の3回攻撃可能なその威圧感に、少し後ずさりしそうになる。

 

クロノス 手札5→4→5→4

 

クロノス

 「更に(古代の機械要塞)を発動!これにヨーリ、このターンに召喚·特殊召喚された古代の機械モンスターは効果の対象にならず効果で破壊されないうえーニ、アンティーク・ギアカードの効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できないノーネ!」

 

 築きあげられた機械仕掛けの要塞。厄介なカードが来たな。

 

クロノス 手札4→3

 

クロノス

 「これで逆転ナノーネ!バトル!(古代の究極超巨人)で(kozmo-ダーク·シミター)を攻撃!ギガンティック·パウンド!」

 

闇透子

 「待った!スタートステップにトラップ発動!(デストラクト·ポーション)!自分フィールドのモンスターを対象に破壊してそのモンスターの攻撃力分LPを回復する!俺は(ダークシミター)を破壊!」

 

 突然爆散する巨大戦艦。そして(ダーク·シミター)と同じぐらいの巨大な赤いフラスコ。それに触れた瞬間にフラスコは消え、身体が一気に軽くなった。

 

闇透子 LP2000→5000

 

闇透子

 「破壊された(ダーク·シミター)の効果発動!除外してレベル7以下のkozmo、レベル5(kozmo-スリップライダー)を守備表示で特殊召喚!効果発動!その(要塞)にはご退場願おうか!」

 

 空から舞い降りた戦闘機。機首のビーム砲の連射によって要塞は崩壊。瓦礫から機械が蠢き始める。

 

クロノス

 「破壊された(古代の機械要塞)の効果発動!手札·墓地の古代の機械モンスターを特殊召喚するノーネ!墓地から現れるノーネ!(古代の機械巨竜)!」

 

砕かれた要塞から飛び出したのは、

(古代の機械飛竜)を成長させたようなドラゴン。正直アドバンスされているのを見たことがない。

 

クロノス 手札2→1

 

クロノス

 「だったら(古代の超巨人)で(デルタシャトル)を攻撃するノーネ!ギガンティック·パウンド!」

 

闇透子

 「(ダーク·ローズ)の効果発動!除外して手札の(ダーク·シミター)を特殊召喚!効果発動!(超巨人)を対象に破壊!」

 

 再び襲来する巨大戦艦。艦首の二門のビーム砲が6足歩行の巨人をスクラップへと変えた。

 

闇透子 手札1→0

 

クロノス

 「ま、まだナノーネ!フィールドから離れた(超巨人)の効果発動!EXデッキから(古代の機械究極巨人)を特殊召喚するノーネ!そのまま(デルタ·シャトル)を攻撃!アルティメット·メガパウンド!」

 

 振り回される剛腕を躱し切れなかったシャトルは瞬く間に粉々に砕かれた。そしてその衝撃が俺に襲いかかる。

 

闇透子 LP5000→2600

 

闇透子

 「破壊された(デルタシャトル)の効果発動!除外してデッキからレベル4以下のkozmoを特殊召喚!レベル2の(フォルミート)を特殊召喚!」 

 

クロノス

 「(古代の機械巨竜)で(スリップライダー)を攻撃!アルティメット·クラッシュ!」

 

 (古代の機械飛竜)を巨大化させたようなモンスターは、超高速で動く戦闘機の動きに最小限の機動変更で追いつき、その牙でエンジンを噛み砕き墜落させた。

 

闇透子

 「破壊された(スリップライダー)の効果発動!除外してデッキからレベル4以下のkozmo(kozmo-グリンドル)を特殊召喚!」

 

 (スリップライダー)の残骸から飛び出したのは、若干緑がかった肌を持つ耳が長い人。ビーム刃で構成された剣を構えて(古代の機械素体)を睨んでいた。

 

クロノス

 「攻撃力1800ーニ、守備力1800……バトルを終了シーテ、ワタクシーはカードをセットしてターンエンドナノーネ!」

 

クロノス  LP1300 手札3 伏せ1

 

古代の機械素体 攻1600

古代の機械究極巨人 攻4400

古代の機械巨竜 攻3000

 

闇透子 LP2600 手札0 伏せ2

フィールド(kozmo-エメラルドポリス)

 

kozmo-フォルミート 守1800

kozmo-グリンドル 攻1800

kozmo-ダークシミター 攻3000

 

闇透子

 「私のターンドロー!」

 

闇透子 手札0→1

 

闇透子

 「クロノス先生、これがラストターンです。」

 

クロノス

 「ゲロゲーロ!ワタクシのフィールドには攻撃力3000を誇る(古代の機械巨竜)に、破壊されても後続を残せる(古代の機械究極巨人)がいるノーネ!破れるものならやってみるノーネ!」

 

闇透子

 「(kozmo-エメラルドポリス)の効果発動!除外されている(ダーク·シミター)を回収して800LPを失う。そして(フォルミート)の効果発動!自身を除外して(ダーク·シミター)を特殊召喚!効果発動!(古代の機械巨竜)を対象に破壊!」

 

 細い機械人形は消え、再び飛来する巨大戦艦。二門のビーム砲が機械の飛竜をスクラップに変えた。

 

闇透子 LP2600→1800 手札1→2→1

 

闇透子

 「処理後にトラップ発動!(kozmo-エナジーアーツ)!フィールドのkozmoモンスター(kozmo-ダークシミター)を破壊して(古代の機械究極巨人)を選んで除外する!」

 

 巨大戦艦は粉砕されフィールドが不気味なエネルギーで包まれる。そして(古代の機械究極巨人)は曲がってはいけない箇所が曲がりはじめ遂に破壊された。

 

闇透子

 「(古代の機械究極巨人)は破壊され墓地へ送られないと効果が発動しない!よって(古代の機械巨人)は出てこない!そして破壊された(ダーク·シミター)の効果発動!除外してレベル7以下のkozmoモンスター、レベル4の(kozmo-ドロッセル)を特殊召喚!」

 

 巨大戦艦の残骸から脱出してきたのは、赤い髪をした素朴な少女、しかしその手には拳銃が握られ機械の猟犬も後ろに控えている。

 

闇透子

 「バトルフェイズ!(グリンドル)で(古代の機械素体)を攻撃!フォーススラッシュ!」

 

クロノス

 「トラップ発動!(ダメージ·ダイエット)!これにより、このターン受けるダメージは半分になるノーネ!」

 

 耳長の淑女はビーム刃を振るい、細い機械の人形を両断した。しかし、その際に発生した爆風は薄い膜に衝撃を和らげられた。

 

クロノス LP1300→1200

 

 

闇透子

 「(ドロッセル)でダイレクトアタック!フォースショット!」

 

 赤髪の少女はその手に握る拳銃の引き金を引き、クロノス先生を撃ち抜いた。

 

クロノス 手札1200→450

 

クロノス

 「これで……なんとか凌ぎきったノーネ……」

 

闇透子

 「何言ってるんですか……まだ私のバトルフェイズは終了しちゃあいませんよ!トラップ発動!(異次元からの帰還)!LPを半分払い、除外されているモンスターを可能な限り特殊召喚!いでよ!(ダークシミター)2体!」

 

闇透子 LP1300→650

 

 次元の裂け目が現れ、降り立った巨大戦艦。その砲門は既にクロノス先生に照準を合わせていた。

 

闇透子

 「これでトドメです!(kozmo-ダークシミター)2体でダイレクトアタック!」

 

 何度も放たれたか分からないビーム砲がクロノス先生を直撃、派手にふっ飛ばされた。

 

クロノス

 「マンマミィヤァ!」

 

クロノス LP450→-2550

 

闇透子

 「クロノス·デ·メディチ。貴方の戦術は実に見事な物だった。少ない手札消費でエースを生み出す展開、そしてどんな絶望的な状況でも諦めずに戦い続けた。しかし、私には勝てなかった。それでも大型モンスターの飛び交う楽しいデュエルだった。リベンジは受け付けよう。尤も、まだデュエルする気持ちがあったらの話だがね」

 

 モンスターが消えてゆくなか、俺はクツクツと作り笑いしながらそう言い残して、翔達の元へ戻った。

 

闇透子

 「どうだ?試しに悪役っぽい言葉遣いでデュエルしてみたぞ」

 

 「いや……あれは悪役通り越して魔王ッスよ……勝てる気がしないッスよ」

 

闇透子

 「まぁ俺の他のデッキにはもっと強いカードが入っている。それも、アカデミアで完全に突破出来るカードは三幻魔ぐらいしかないじゃないか?ってぐらいに強い奴が。あと魔王やめろ、俺なんか地元だとそこまで強くなかったんだぞ」

 

明日香

 「そんなに強いの?貴方がいた地域のデュエリストって」

 

闇透子

 「(デビル·フランケン)のライフコスト踏み倒して(ナチュル·エクストリオ)みたいなエグイ効果持った融合モンスターでフィールド埋めて制圧する奴に、先攻で手札0枚にしながらぶん回して先攻ワンキルや先攻8妨害以上構える奴、デッキ融合で墓地肥やしながらアドバンテージを稼いでアドバンテージの暴力で捻じ伏せる奴がいたな。そいつらは多分全員LP4000なんてすぐに削り飛ばすパワーはあるぜ」

 

万丈目

 「そんな事が出来るデュエリストなら大会で名を残していてもおかしくはない。冗談も大概にしろ!」

 

 まぁ、俺の前世の話だから当然だな。適当に誤魔化そ。

 

闇透子

 「アイツら揃いも揃って恥ずかしがりやだからな。大会に出たがらないんだ」

 

明日香

 「ま、まぁこれでオシリス寮は守られたわね。でも……」

 

剣山

 「アニキ……」

 

 俺を含めた全員が、気を病んだ十代に思いを馳せた。



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10.斎王襲来!

 

〜 ?? 〜

 

 誰もいない部屋で、1人の男がテーブルに座り、タロットカードを捲っていた。

 

斎王

 「正位置の(運命の輪)……意味する物は予想外の結果。確かにその通りだ」

 

 彼は本来なら、エド·フェニックスに持たせたカードで十代を洗脳して光の結社と呼ばれる組織の尖兵とするつもりだった。

 しかし、十代は洗脳されず精神に重大なダメージを与えるのみに留まった。

 

 彼は再びカードを捲った。結果は(愚者)の正位置。放浪を意味するカードだ。

 

斎王

 「十代はもうすぐこの島を出る。ならば別の……」

 

 そんな事を考えていると、船員からもうすぐ島に着くと告げられた。

 

 斎王はカーテンを捲り、デュエルアカデミアを漠然と眺めるのであった。

 

 

 

〜 崖 〜

 

 私は今、十代さんを探しています。理由は、十代さんがどこかへ行ってしまったから。

 

??

 「貴方が古神透子さんですね?」

 

透子

 「誰ですか?」

 

 眼の前にいたのは、白い服を着た男性。

 

斎王

 「斎王、斎王琢磨。貴方の事は、万丈目さんから凄腕のデュエリストであると聞いています」

 

透子

 「いえいえそんな……」

 

斎王

 「ところで、ここであったのも何かの縁。ここでデュエルをしませんか?」

 

 どこか強引なデュエルの誘い。別に拒む理由もありませんが……

 

透子

 「ええ、別に構いませ……」

 

 次の言葉を口にしようとした瞬間、意識が一瞬消えて、手足を動かせなくなりました。だからいきなり変わるのはやめて下さいよ……

 

 

〜〜〜

 

 斎王。それはギャンブルなカードで、絶対に都合のいい効果を引き当てるやべーやつ。それを透子に任せる訳にはいかない。

 

闇透子

 「解った。別に断っても後々やるだろうし、やってやるぜ」

 

斎王

 「貴方はこの瞬間から、運命をカードに導かれる!」

 

斎王·闇透子

 「デュエル!」

 

 デュエルを宣言した瞬間、辺りが霧に包まれ、斎王はどこからともなく丸テーブルを取り出し、デッキを中央に置いた。

 

闇透子

 「……随分変わったデュエルディスクだな」

 

斎王

 「私はデュエルディスクを持っていないので、タロットカードの要領でプレイさせて頂きます。」

 

 嫌味で言ったつもりだったが、斎王は特に気にすることもなくカードを5枚並べて、更にデッキから1枚追加で並べた。先攻は斎王ってことかい。

 

 斎王は伏せているカードを魔法·罠ゾーンに出した。

 

斎王

 「私はマジックカード(幻視)を発動。デッキからカードを引く」

 

斎王 手札6→5→6

 

 斎王が引いたカードは、(アルカナフォースXII_THE HANGED MAN)。

 

 斎王だからやっぱ(アルカナフォース)だよな……(カップ·オブ·エース)も3積みされてるんだろうなぁ……

 

幻視(アニメオリジナル)

通常魔法

デッキからカードを1枚ドローして相手に見せる。その後、ドローしたカードをデッキに戻してシャッフルする。

そのカードがプレイされた時、相手に1000ポイントのダメージを与える。

 

斎王

 「その後、このカードをデッキに戻してシャッフルします。透子さん、貴方がデッキをシャッフルして下さい」

 

斎王 手札6→5

 

闇透子

 「解った。(ハングドマン)がデッキボトムに行くように願いながら、丁寧にシャッフルしてやるよ」

 

 斎王のテーブルに近寄り、ファローシャッフルとディールシャッフルを混ぜながら、丁寧に混ぜる。

 

斎王

 「随分と変わったシャッフルをするのですね」

 

闇透子

 「こうすると均等に混ざるのさ。ほら、シャッフル終わったぞ」

 

 そんなにファローとディールは広まってないのか?他の奴らがよくやるヒンドゥーシャッフルはカードが固まりやすいんだよな。

 昔(ヘル·テンペスト)を決めた後モンスターと魔法が完全に分離して、ヒンドゥーだけでシャッフルしたら地獄を見たからな。身を持って理解している。

 

斎王

 「ちなみに、さっきドローした(ハングドマン)がプレイされた時、貴方は1000ポイントのダメージを受ける事になります」

 

闇透子

 「効果の説明感謝する。続けてくれ」

 

斎王

 「では私は(ナイト·オブ·ペンタクルス)を守備表示で召喚」

 

斎王 手札5→4

 

 現れたのは、槍を持った異形な戦士。その頭上で、カードが回りだす。

 

ナイト·オブ·ペンタクルス(アニメオリジナル)

レベル3/地属性/戦士族/攻1000/守1000

召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時にコイントスを1回行う。表の場合は正位置の効果を、裏の場合は逆位置の効果をこのカードは得る。

●正位置:このカードは戦闘で破壊されない。

●逆位置:このカードは相手モンスターが攻撃してきた時、破壊される。このカードは攻撃を行う事ができない。

 

闇透子

 「……コイントスじゃないのかよ」

 

斎王

 「ストップの合図をして下さい。正位置ならこのカードは戦闘では破壊されません。逆位置ならこのカードは攻撃出来ず、相手が攻撃してきた時、破壊されます」

 

闇透子

 「ストップ!」

 

 どうせ正位置に止まるんだろうけど、とりあえず合図しておく。

 

 頭上のカードは正位置で止まった。うん、知ってた。

 

斎王

 「正位置なので(ナイト·オブ·ペンタクル)は戦闘では破壊されません。私はカードを1枚セットしてターンエンド。さぁ、貴方のターンですよ」

 

斎王 LP4000 手札3 伏せ1

 

ナイト·オブ·ペンタクルス 守1000

 

闇透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 随分と消極的なフィールドだな。さて、ササッと蹴散らしますか。

 

闇透子

 「俺のターンドロー!」

 

闇透子 手札5→6

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズに入る。俺は(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー!更に(暗黒界の門)を発動!墓地の(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)の効果で(グラファ)をサーチ!そして(天使の施し)ぃ!3枚ドローして2枚捨てるぅ!」

 

天使の施し(制限カード)

通常魔法

自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚選択して捨てる。

 

 闇透子 6→5→8→6

 

 よし!ドローが最高だぜ!

 

闇透子

 「捨てられた(グラファ)をチェーン1、(ゴルド)をチェーン2で効果発動!(ゴルド)を蘇生!そして(グラファ)の効果で (ナイト·オブ·ペンタクルス)を対象に破壊!」

 

 墓地から吹き出す瘴気に苦しみながら、異形の戦士は破壊された。

 

闇透子

 「俺は(生還の宝札)を発動!これでモンスターが蘇生された時に1枚ドローできる!(ゴルド)を手札に戻して(グラファ)を蘇生!1枚ドロー!」

 

闇透子 手札6→5→6→7

 

闇透子

 「(暗黒界の門)を張り替えて、(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)の効果で自己蘇生!更に(宝札)でドロー!」

 

闇透子 手札7→6→5→6→7

 

闇透子

 「(おろかな埋葬)発動して(グラファ)を墓地へ!そして(ベージ)を戻して(グラファ)!(宝札)でドロー!更に(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー!」

 

闇透子 手札 7→6→7→8→7→8→7→8

斎王 手札 3→2→3

 

闇透子

 「(成金ゴブリン)を発動!相手を1000LP回復させて1枚ドロー、更に(成金ゴブリン)でドロー!」

 

闇透子 手札8→7→8→7→8

斎王 LP 4000→6000 

 

斎王

 「いいんですか?こんなに私のLPを増やしても」

 

闇透子

 「このデッキはLP8000を1ターンで削り取れるように作られている。それぐらいはくれてやる。まだまだソリティアするからな、俺は3枚カードをセットして(手札抹殺)を発動!お互いに手札を全て捨ててその枚数分だけドロー!」

 

闇透子 手札8→5→4→0→4

斎王 手札 3→0→3

 

闇透子

 「捨てられたのはモンスター4体!(ゴルド)をチェーン1、(シルバ)をチェーン2、(ベージ)をチェーン3、(暗黒界の導師セルリ)をチェーン4!逆順処理に入る!(セルリ)が相手フィールドに特殊召喚、(ベージ)が自己蘇生、(シルバ)も自己蘇生、(ゴルド)も自己蘇生だ!そして(宝札)で1枚ドロー!」

 

 ワラワラと墓地から蘇る暗黒界達。その視線は、敵陣に居座る(セルリ)に向けられていた。

 

闇透子

 「相手フィールドにいる(セルリ)の効果発動!このカードが暗黒界カードの効果によって特殊召喚に成功した時、相手は手札を1枚選択して捨てる!よって俺は(ブラウ)を捨てる」

 

 (セルリ)が何やら呪文の様なものを唱えると、俺の手札にある(ブラウ)が消えた。

 

闇透子

 「捨てられた(ブラウ)の効果でデッキから1枚ドロー、そして相手の効果で捨てられたので追加で1枚ドロー!」

 

闇透子 手札4→ 5→6→7

 

闇透子

 「俺は(ゴルド)と(シルバ)を手札に戻して(グラファ)を2体蘇生!そして(宝札)の効果を2回発動して2枚ドロー!」

 

闇透子 手札8→10→12

 

闇透子

 「伏せていた(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして闇属性モンスターを1体除外する!俺は(ゴルド)を除外する」 

 

闇透子 手札 12→14→13

 

闇透子

 「更にもう1枚伏せていた(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(シルバ)を除外!」

 

闇透子 手札13→15→14

 

闇透子

 「(トレード·イン)を発動!手札の(グラファ)を捨てて2枚ドロー!」

 

闇透子 手札14→13→12→14

 

闇透子

 「(ベージ)を手札に戻して(グラファ)蘇生!1枚ドロー!」

 

闇透子 手札14→15→16

 

闇透子

 「バトルフェイズ!(グラファ)で(セルリ)を攻撃!」

 

 (グラファ)のブレスがセルリに触れようとした瞬間、透明なバリアに阻まれた。

 

斎王

 「トラップカード(攻撃の無力化)を発動!その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」

 

闇透子

 「しょうがねぇな……カードを5枚セット、モンスターをセットしてターンエンド。手札制限で6枚になるように、手札を4枚捨てる」

 

闇透子 16→11→10→6

 

闇透子 LP4000 手札6  伏せ5

暗黒界の門

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

斎王 LP4000 手札3 伏せ0

 

 

斎王

 「クッ!私のターンドロー!」

 

闇透子

 「スタンバイフェイズ!(貪欲な瓶)を発動!(暗黒界の取引)2枚と(天使の施し)、さっき捨てた(ベージ)、(手札抹殺)をデッキに戻して1枚ドロー」

 

闇透子 手札6→7

斎王 手札 3→4

 

斎王

 「私は(カップ·オブ·エース)を発動!正位置なら2枚ドロー。逆位置なら、貴方が2枚ドローする」

 

 斎王の頭上でカードが周り、正位置で止まった。

 

斎王

 「正位置の効果により、私は2枚ドロー!そして私は(スート·オブ·ソードX)を発動!正位置なら貴方のモンスターを全て破壊、逆位置なら自分のモンスターを全て破壊します」

 

斎王 手札4→3→5→4

 

闇透子

 「チェーンして(神秘の中華なべ)を発動!(グラファ)をリリースして攻撃力3000分のLPを回復する!」

 

闇透子 LP4000→7000

 

スート·オブ·ソードX(アニメオリジナル)

通常魔法

コイントスを1回行い以下の効果を適用する。

●表:相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。

●裏:自分フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 

 (グラファ)が鍋で炒められている間に、斎王の頭上のカードは正位置で止まった。

 

斎王

 「正位置の効果で貴方のモンスターを全て破壊します!」

 

 俺のフィールドで大爆発が起き、モンスターが全滅した。まぁ魔法罠が残ってるから大した事じゃない。

 

斎王「私は(アルカナフォースVI-THE LOVERS)を召喚!正位置なら2体分の生贄になり、裏側なら私は生贄召喚出来ない!」

 

斎王 手札4→3

 

 相変わらず不気味な宇宙人の様な姿をしたモンスターの頭上で、カードが正位置で止まった。

 

斎王

 「私は(二重召喚)を発動!そして……

 

闇透子

 「待った!トラップ発動!(マインドクラッシュ)!カード名を1つ宣言して発動。宣言したカードが相手の手札にある場合、相手は手札のそのカードを全て捨てる。外した場合、俺は手札をランダムに1枚選んで捨てる。 俺が宣言するのは、(アルカナフォースXXI-THE WORLD)!」

 

 一筋の光が斎王の手札に直撃し、斎王の手札から(アルカナフォースXXI-THE WORLD)がこぼれた。

 

斎王「な、何ぃ!くっ!私は(THE LOVERS)を生贄に、現われろ!(アルカナフォースXV_THE DEVIL)!」

 

 現れたのは、どう形容すればいいのか分からない異形の怪物。そんな怪物の頭上でもカードは回る。

 

斎王 手札3→2→1→0

 

アルカナフォースXV_THE DEVIL(アニメオリジナル)

レベル7/光属性/天使族/攻2500/守2500

召喚時にコイントスを1回行う。

表の場合は正位置の効果を、裏の場合は逆位置の効果をこのカードは得る。

●正位置:このカードが攻撃する時、フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊する。破壊しない場合、このカードを破壊する。

この効果で破壊されたモンスターのコントローラーは500ポイントのダメージを受ける。

●逆位置:このカードが攻撃する時、フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 

 止まったのは……逆位置。

 

斎王

 「逆位置の効果により、(THE DEVIL)は攻撃した時に相手のモンスターを全て破壊する効果を得る!バトル……」

 

闇透子

 「だったらこうだ!トラップカード(バージェストマ·ディノミスクス)を発動!効果で手札を1枚捨てて、フィールドのカードを1枚対象に除外!俺が除外するのは(THE DEVIL)だ!」

 

 (THE DEVIL)に無数の触手で絡みつく(ディノミスクス)。(THE DEVIL)は絡みつかれたところからどんどんと腐食していき、ドロドロの液体へと姿を変えた。

 

闇透子

 「そして捨てられた(ベージ)の効果で自己蘇生。(宝札)で1枚ドロー!」

 

闇透子 手札7→6→7

 

斎王

 「こんな……こんな筈では……(暗黒界の導師セルリ)でダイレクトアタック……ターンエンドだ」

 

 (セルリ)が申し訳無さそうに俺を杖で殴ってきた。暗黒界の門の力で強化されていてもそこまで痛くはなかった。

 

闇透子 LP7000→6600

 

斎王 LP4000 手札2

暗黒界の導師セルリ 攻100→400

 

闇透子 LP6600 手札7 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

闇透子

 「俺のターンドロー!」

 

闇透子 手札8→9

 

 おっさっき瓶で戻したカードが来た。まぁ残りデッキが7·8枚だし、ありえない話ではないか。

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズに入る。俺は(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てる。捨てられた(ベージ)をチェーン1、(セルリ)をチェーン2で発動!(セルリ)をそちらのフィールドに特殊召喚、(ベージ)を自己蘇生して(宝札)で1枚ドロー。そして(セルリ)の効果、相手は手札を選んで捨てる。俺は(ゴルド)を捨てる」

 

闇透子 手札9→8→11→9→10

 

闇透子

 「捨てられた(ゴルド)の効果発動!自己蘇生して、更に相手の効果で捨てられると相手のカードを2枚対象にして破壊する。(宝札)はタイミングを逃す」

 

 (ゴルド)が墓地から飛び出して、手に持つ巨大な斧で以て(セルリ)達を両断し、破壊した。

 

闇透子

 「(ベージ)と(ゴルド)を手札に戻してグラファを2体蘇生、(宝札)で2枚ドロー。(暗黒界の取引)でお互いに1枚ドローして1枚捨てる。捨てられた(ゴルド)を自己蘇生して(宝札)でドロー」

 

闇透子

 「(貪欲な壺)を発動!(ブラウ)、手札制限で捨てた(スノウ)2枚、(ベージ)、(セルリ)をデッキに戻して2枚ドロー」

 

 闇透子 手札 10→12→14→13→15

 

闇透子

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の武神ゴルド 攻2600

 

闇透子

 「バトルフェイズ!3体でダイレクトアタック!」

 

 2体の(グラファ)と金色の悪魔によって、斎王のLPは一瞬で溶けた。

 

斎王 LP6000→3000→0→-2600

 

 それにしても、あんまりセルフハンデス出来なかったな。もうちょっと一人回しするか、そういえば(暗黒界の洗脳)入れてないじゃん!帰ったら早速入れなきゃ。

 

 斎王はよほどショックだったのか膝をついている。そういえばこいつタロット占いで使いそうなテーブル持ってんな……占ってもらおうかな。

 

闇透子

 「対戦、ありがとうございました。そういえばお前タロット占い出来るんだよな?折角だし占ってくれよ。」

 

斎王

 「……まぁ良いでしょう。尤も、私が見た運命に逆らった者に、先の運命を見せても何の意味もないような気もしますが」

 

 斎王はデッキを片付けて、タロットカードを円状に並べた。

 

斎王

 「さぁ、貴方はこのカードをシャッフルして、3つの束をお好きな順番に並べて下さい」

 

 俺は占いについては何も知らないから、感性のままにシャッフルして、そして3つの束に纏めた後、カードを1つの束に並べ直した。

 

斎王

 「では、貴方がカードを引いてください。そこに貴方の運命が描かれています」

 

 俺がカードを引くと、そこには上層で火事と雷が起きている塔が描かれていた。

 

斎王

 「それは(塔)のカード。今回は正位置なので災害、災難、事故、崩壊を意味します」

 

闇透子

 「つまり……俺はこれからとんでもない災難に見舞われるわけか。本当なら信じないけど、(アルカナフォース)で有利な効果を連発しまくったアンタが言うなら信憑性は高いな」

 

斎王

 「これを信じるも信じないもあなた次第です。それでは、私はこれにて……」

 

 斎王は瞬きする間もなくテーブルを片付けて、立ち去っていった。

 

 それにしても災難ねぇ……アニメの世界だからあり得ない話じゃねぇが、それにあたりそうなシナリオが思いつかん。まぁ多分デュエルでどうにかなるだろう。そろそろ十代が見つかってほしいもんだが……もう暗い。そろそろ寝ねぇと明日に支障が出るからな。




というわけで、運命力が足りてない斎王戦でした。運命力フルパワーだったら闇透子でも勝てませんので、今のうちにやらせておきました。


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11.遭遇!光に誓いをたてる者

〜 午後 レッド寮 〜

 

 気づいたら、もう十代さんがいなくなって何日も経っています。いつの間にかラーイエローになった翔さんと情報交換していますが、未だに情報が無いのでとても心配です。それよりも……

 

万丈目

 「さぁ!貴様も光の結社に入るのだ!」

 

 最近万丈目さんは「光の結社」なるカルト宗教に入ってしまい、いつもの黒の制服ではなく、真っ白な制服を着て執拗に勧誘を仕掛けてきます。

 

 万丈目さんと口論していると、明日香さんがこっちに来ています。明日香さんもなにか言ってくだ……え?

 

明日香

 「あら、透子はまだ光の結社に入っていないの?貴方も光の洗礼を浴びれば、素晴らしい世界が見えるのに」

 

 「え、えぇ〜!明日香さんもおかしくなったんすかぁ!」

 

 嘘……嘘だと言って下さいよ。ブルー寮に友達がいない私に唯一声をかけてくれる明日香さんが、不気味なカルト宗教に入ってしまうなんて……

 

 もう……何も信じられない。

 

 「と、透子さん!?どこ行くんスかぁ!」

 

 

〜???〜

 

 あれ?ここは……どこですか?私は確か自分の部屋のベッドで泣いていた筈……

 

 目の前には雲1つない晴天の空、足元には雲が……なんで足元に雲があるんでしょうか?

 

???

 「誰だ!」

 

 声がした方を向くと、そこには金の装飾が施された、白い鎧を纏った戦士の姿がありました。

 

透子

 「と、透子……古神透子です!ここはどこなんですか?」

 

ガロス

 「ここはジャスティスワールド!貴様のいるべき場所ではない!立ち去らなければ、この(ライトロード·ウォリアーガロス)が貴様を成敗してくれる!」

 

 騎士さんこと(ガロス)さんは、洗練された動きで背中の槍を抜き、こちらに槍を構えています。多分……いや絶対に私を殺すために。

 

透子

 「嫌……まだ私は死にたくない……」

 

 気づけば私は、(ガロス)さんの剣幕に押されて尻もちをついていました。

 まだやりたい事は無いけど、それでもすぐに死んでいい理由にはならない。もう一人の私の事も、まだ殆ど知らないのに。

 

????

 「待て!早まるな!まだ彼女が侵入者か決まっていないだろう!」

 

 声がした方を向くと、そこには2振りの金の短剣を腰に差した中東風の男性がいました。彼はゆっくりとこっちに近づいて来て、手を差し伸べてきました。

 

ライデン

 「失礼。私の名は(ライトロード·アサシンライデン)。君はどうやってここに来たんだい?」

 

透子

 「……分かりません。友達が光の結社っていうカルト宗教に入っちゃって、自分のベッドで泣いてたらここに……」

 

ガロス

 「光の結社……なるほど。君は破滅の光の被害者ってわけか……それはすまなかった」

 

 ライデンさんの手を借りて立ち上がると、(ガロス)さんは槍をしまって頭を下げてきました。

 

ライデン

 「(ガロス)。君はいつもそうだ、いつも自己解決して行動に移す。それがプラスになる事もなくないが、もう少し冷静に物事を見るべきだよ」

 

透子

 「あの……私は大丈夫ですから、彼を許してあげて下さい」

 

ガロス

 「すまない、恩にきる。折角だし我々のところで休んでいかないか?そこで破滅の光についての話をしよう」

 

透子

 「えっいいんですか?じゃあお言葉に甘えて……」

 

 本当は知らない人について行っちゃいけないんですけど、帰り道を知っているのが彼らだけなので、ついていくしかありません。

 

〜 本殿 〜

 

 彼らについていくと、そこは白い建材で作られた西洋風の美しい建物がいくつも立ち並んでいました。

 その豪華な建物郡の1つに入ると、金で装飾した短い杖を持った長い黒髪の女性が現れました。

 

???

 「あら(ガロス)に(ライデン)。パトロールお疲れ……その子誰?」

 

ガロス

 「あぁ(ライラ)、彼女は透子。なんでもここに迷いこんできたらしい。彼女も破滅の光の被害にあっているんだ」

 

ライラ

 「人間界にもう破滅の光の影響が……分かったわ、(ルミナス)に伝えてみるわ」

 

 真剣そうな表情で、(ライラ)さんはゆっくりとした足取りでどこかへ行ってしまいました。

 

ガロス

 「さて、後は待つだけだ。透子、特にもてなせるものも無いがゆっくりしていってくれ……おっ、ちょっと待っていてくれ」

 

 ガロスさんは何かに気づくと、真っ白い毛並みのワンちゃんを抱えてやってきました。

 

???

 「な、何をする(ガロス)!は、離さんか!」

 

ガロス

 「まぁそう言うなよ(ライコウ)、ほら透子。犬を連れてきたから、他の皆が集まるまで抱いててもいいぞ」

 

透子

 「あっ、ありがとうございます。私犬派なので、お言葉に甘えさせていただきますね」

 

ライコウ

 「だ、抱くだと!待て、私はそんな趣味などない!まぐわうなら同じ種族と……」

 

 ライコウさんは激しく抵抗していましたが、特に問題なく私の腕の中へ。私に抱かれると、途端に大人しくなりました。ところでまぐわうってなんでしょうか?

 

 そんな事を考えながら、私は(ライコウ)さんのふわふわな毛を堪能しました。

 

〜〜〜

 

???

 「待たせたね、その透子さんはここにいるんだね?」

 

ライラ

 「ええ、今は(ガロス)が対応してますね」

 

 (ライラ)さんと一緒に来たのは、白いローブを身に纏った短い金髪の男性。ところでなんでおへそ周りだけ出ているのでしょうか。寒いと思うのですが……

 

 あっ、よく見るとたくさんの人が集まっています。文字通りの犬顔で屈強そうな戦士に、長剣と盾を握る騎士に、長い杖を持った天使に、金毛のペガサス。小さな白猫も……

 

ルミナス

 「君が古神透子だね?僕は(ライトロード·サモナールミナス)。ここでライトロードの隊長をさせてもらっているんだ」

 

透子

 「は、はい。わざわざどうもありがとうございます。なんでここに呼ばれたのか未だによく分からないんですけど……」

 

ルミナス

 「そうだね。そろそろ本題に入ろう」

 

 ルミナスさんが言葉を切ると、静かな口調で話し始めました。

 

ルミナス

 「透子さん。君は友人が光の結社なる組織に入ってしまい、その事で涙を流していた時、気づいたらここに来ていた。そういう事だね?」

 

透子

 「は、はい。光の洗礼なんてなんとなく物騒な事を言い出して、凄く怖かったんです。」

 

ルミナス

 「光の結社を語る前に、破滅の光について説明しないといけないんだ。難しい話だと思うけど、心して聞いて欲しい」

 

 ルミナスさんはそういうと、破滅の光についてを話してくれました。

 

透子

 「ええと……スケールが大きすぎてよく分からないんですけど……要するに宇宙で命を育む優しい闇と全てを滅ぼす破滅の光というものが対立していて、破滅の光の影響を受けた人が光の結社に入ってしまう……そういう事ですね?」

 

ルミナス

 「まぁそういう解釈でだいたい間違いないよ。ところで、その友人が光の結社に入ってしまった場所は分かるかい?」

 

透子

 「私が通っている学校……デュエルアカデミアです。そこには百何十人のもの生徒が白い制服を着て、光が云々言うなんて噂があるんです……」

 

 私がそう言うと、ルミナスさんは凄く深刻そうに眉をひそめました。

 

ルミナス

 「これは……思ったよりも重大だね……これは本格的に我々が介入しないといけないかもしれない」

 

ライラ

 「でも(ルミナス)。私達(ライトロード)は人間界に姿を維持するには膨大な魔力が必要。私達はつい最近介入をしたばかりだから、そんな長時間の介入は難しいわよ」

 

 えっ、人間界?魔力?何を言っているんですか?

 

ガロス

 「少人数で行くにも規模が大きい。しかし見逃す事は我々の信念に反する。一体どうすれば……」

 

 ここにいる全員が何やら悩んでいます。このタイミングで言っていいんでしょうか?でも……聞かないと話についていけません!

 

透子

 「あ、あの!ライトロードってそもそもどんな集まりなんですか?」

 

ルミナス

 「あ、あぁ……我々ライトロードは、悪しき行いをする者を滅する為に天界から派遣される集団なんだ。基本的には大規模な悪事を働く上に、人間の手に負えないほど強力なカードの精霊が主だね」

 

透子

 「カードの精霊?そんなものが存在するんですか?」

 

ライラ

 「えっ?貴方カードの精霊が見えないのにここに来たの?カードの精霊は普通の人には見えなくて、ほんの一握りの人間にしか見えないのよ。カードの精霊には実体化したり幽霊の様に半透明に……はっ!」

 

 ライラさんは私にカードの精霊なるものを説明していると、何やら閃いた様な表情を浮かべました。

 

ライラ

 「(ルミナス)!私いい考えがあるわ!彼女に私達のカードを与えて、彼女自身に光の結社を相手してもらうのよ!」

 

ガロス

 「な、何を言っているんだ(ライラ)!破滅の光との戦いに、ごく普通の少女を巻き込むのか!」

 

 私も確かにそう思います。私なんかに宇宙を破滅させる存在がどうこうできるとは思えません。でも……

 

透子

 「私!やります!友達を助ける為に、私は戦います!」

 

ルミナス

 「彼女はそうは言っても……僕は正直……」

 

???

 「少し待ってくれ!」

 

 ルミナスさんが難色を示していると、突然本を持った初老の男性が駆け込んできました。他の人達曰く(ライトロード·ドイルドオルクス)という名前らしいです。

 

オルクス

 「さっき透子くんの事を調べていたら、とんでもない資料を発見したんだ!これを見てほしい」

 

 彼が本を開くと、そこから光が飛び出してきて、真っ平らな壁に当たりました。これは……つい最近の月1デュエルの映像ですかね……。あの本は映画の映像を映す装置みたいなものなのでしょうか?

 

 そこにはもう一人の私が(暗黒界の門)の下で3体の(暗黒界の龍神グラファ)を並べて、バトルフェイズに突入していました。

 しかし、相手のLPは4000な上に守備表示モンスターが2体います。“普通”なら、このターンでは勝敗はつかないでしょう。

 実際に相手は1000LPが残り、相手は僅かに安堵しています。

 

 しかし、もう一人の私はトラップカード(マインドクラッシュ)を発動。わざと宣言を外して暗黒界モンスター(暗黒界の武神ゴルド)を捨てて、(ゴルド)の効果で自己蘇生して追撃、ゲームエンドに持っていきました。

 もうひとりの私の背中には、何やら顔色の悪い兵士と強面な狩人の姿がうっすらと……

 

オルクス

 「以上の事から、透子くんは要注意集団暗黒界のスパイではないかと、私は愚考致します」

 

 えっ!?(暗黒界)ってそんなに危険な集団だったんですか!?

 

 はっとなって周りを見ると、場にいる殆どの人が己の武器を持ってこっちを睨んでいます。お願いですから殺さないで……

 

???

 「おっはよ〜。ん?みんなどうしたの?」

 

 緊迫した空気のなか現れたのは、弓矢を持った猫耳な緑髪の女の子。あくびをしているので、多分さっき起きたばっかりなのでしょう。

 

ガロス

 「(フェリス)か……相変わらず気まぐれな奴だな。今暗黒界のスパイと思われる人間が侵入してきたんだ」

 

フェリス

 「ふ〜ん。ねぇ君、何のデッキ使ってるの?暗黒界のスパイなら暗黒界を使ってるんでしょ?」

 

透子

 「わ、私が使っているデッキは(自爆ナチュル)と(メタファイズ)、(ファルコンビート)に(湿地バージェストマ)です」

 

ライラ

 「あなた、複数のデッキを持っているのね?じゃあさっきの(暗黒界)は何なの?」

 

 正直痛い娘扱いされそうで話したくはないんですが……死ぬよりはまし……

 

透子

 「それは……信じられないかもしれませんが、私にはもうひとりの私がいて、彼女が(暗黒界)をよく使っているんです。私が持っているデッキは全て、もう一人の私が作ってくれたものなんです」

 

 私がそう答えると、ルミナスさんは深く考えこんで、言いました。

 

ルミナス

 「……決めた、彼女に我々のカードを託し、光の結社を破壊してもらう」

 

 ルミナスさんの言葉に、場にいる殆どの人々(人なのかはさておいて)が騒然となりました。

 

ガロス

 「しょ、正気なのか(ルミナス)!?敵かもしれない存在に、我々のカードを渡すなど!」

 

ルミナス

 「理由はいくつかある。1つは背後にカードの精霊がいないこと。もし彼女が暗黒界達のマスターだと仮定すると、そもそも大切なマスターを単身敵地に送り込むのは余りにも不自然で無謀すぎる。2つ目に、我々が側にいる事で暗黒界の面々の動きを抑制できる。もしなにか不自然な動きをしたら、即座に増援を呼んで戦闘を始める事が出来るからね」

 

 ルミナスさんがそう言うと、大半の人達が納得した様子で大きく頷いていました。

 

ルミナス

 「というわけだ。君なら光の結社から、君の友人を救う事が出来る筈だ。頼めるかい?」

 

透子

 「は、はい!私なんかで世界を守れるなら頑張ります!」

 

 私が答えると、(ルミナス)さん達は私に自身を象ったカードを渡してきました。これでデッキを組んでくれ……ってことなのでしょうか?

 

ルミナス

 「さて、これで君は光の結社との戦いが始まるわけだね。(ライコウ)。彼女を人間界まで案内してあげて」

 

ライコウ

 「分かった。彼女を先導してみせよう」

 

 (ライコウ)さんはそう言って部屋から出ていきました。私も後を追わなきゃ。

 

 

〜 天界 〜

 

 大きな建物から出て体感で20分ぐらい経った頃、もうすぐ出口だと言う(ライコウ)さんの後ろを歩いていると、背中の方から大きな足音が。

 振り向くと、そこには文字通り犬顔の大男と、その上に乗る私と同じくらいの身長の女の子の姿がありました。

 

ライコウ

 「(ウォルフ)に(ミネルバ)!ついてきたのか!」

 

ウォルフ

 「(ミネルバ)が新しいマスターに渡したいものがあるって言ってきてね。肩車してきたんだ」

 

 (ウォルフ)さんはそう言いながら(ミネルバ)さんを下ろすと、(ミネルバ)さんが緊張した様子で……葉っぱで出来た冠と白い服を手渡してきました。

 

ミネルバ

 「あの……私達のマスターになるので……その……友好の証として受け取って下さい!」

 

透子

 「あ、ありがとうございます。折角ですし着てみたいんですけど……お手伝いして頂けますか?」

 

 私がそう尋ねると(ミネルバ)さんは快く頷いて、(ウォルフ)さんと(ライコウ)さんはすぐに背中をこっちに向けました。

 判断が早いですね(ウォルフ)さんと(ライコウ)さん。見られるのは恥ずかしいので助かります。

 

 (ミネルバ)の助けを得ながら、10分ぐらいかかって、ようやく着替え終わりました。

 

 この服……私が着ていいものなのか迷ってしまう程に綺麗なんですが、袖がないです。冬は寒そうですね。

 

ミネルバ

 「その服は私の物と同じなんです。マスターとお揃いの服が着れて、私は嬉しいです!」

 

 (ミネルバ)さんの眩い笑顔、とても素敵です。同じぐらいの年齢の筈なのに、どうしてこんなに違うのでしょうか。

 

透子

 「(ミネルバ)さん。素敵なプレゼントありがとうございます。皆さんを使うときには積極的に着てみようと思います」

 

ミネルバ

 「はい!気に入って頂いて嬉しいです!今度はフィールドで会いましょう!」

 

 (ミネルバ)さんと(ウォルフ)さん、(ライコウ)さんに見送られて、私は目の前にある巨大な門を潜った瞬間に意識を失いました。

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

透子

 「ここは……私の部屋……」

 

 気づいたら、私は自分の部屋の机で眠っていました。目の前の机には……大量の(暗黒界)カードが。

 

闇透子

 『ってぇ……暗黒界組み直してたら突然意識を失ったんだが……何がどうなってんだ?あれ?透子の服がライトロードみてぇになってる!?』

 

 後ろを振り向くと、そこにはオベリスクブルーの制服を着ている私の姿をした幽霊がいました。これがもうひとりの私なのでしょうか。

 

透子

 「もうひとりの私はライトロードを知っているんですか!?」

 

闇透子

 『おうよ、地元の小さな非公認大会でライトロードを使っている奴とデュエルした事があってよ。その時はまだ始めたばっかなのもあって攻めあぐねてな。あれよあれよという間に墓地を肥やされて(裁きの龍)っていうでかいモンスターでフィールド更地にされて、その後にモンスターしこたま並べられてゲームエンドさ』

 

 始めたばかりとはいえ、もうひとりの私を翻弄してしまうデッキ……(ライトロード)。もうひとりの私なら、このデッキについて教えてくれるかも。

 

???

 『(ライトロード)……主がまさかそんな忌々しいカードを使うとは……』

 

 恨めしそうな声がした方に視線を動かすと、そこには厳つい顔をした狩人の姿がありました。

 

闇透子

 『まぁそうカッカすんな(ブラウ)。暗黒界がライトロードに恨みがあるのは分かっているが、奴らの動きを見れると考えれば悪くないだろ?』

 

透子

 「あ、暗黒界!?(ブラウ)さんは、あの要注意集団と言われていた暗黒界の人なんですか!?」

 

闇透子

 『ん?あぁそういえば何故か(ブラウ)が見えてるし喋れてんな……まぁいいや。俺が会ってきた暗黒界の連中は、顔は怖いが結構良いやつだぞ。要注意集団なんて言われるのが想像出来ない』

 

闇透子

『それはそうとして、透子。お前のライトロードに相性が良いカードを見繕ってやるからさっさと寝ててくれ』

 

 (ブラウ)さんが、凄く驚いた様子でもうひとりの私に声をかけています。

 

ブラウ

 『な、主!何故敵である(ライトロード)に力を貸すのですか!?』

 

闇透子

 『単純に遊び相手が欲しいからかな。アカデミアの連中の大半が弱いからさ。透子と俺で一人デュエルしてた方が緊迫したデュエルが出来るんだよね。それとも、君達は敵が少し強くなっただけで負ける程軟弱なのかい?』

 

ブラウ

 『ま、まさか!我々がライトロードに負けるなんてあるわけありません!』

 

 (ブラウ)さんが焦り気味に答えると、もうひとりの私は満足げに頷いていました。

 

 もうひとりの私の言う通り、少し疲れたので寝ましょう。今日は少し色々な事が起こりましたからね。

 

 

 

〜〜〜

 

闇透子

 「寝たか……」

 

ブラウ

 『ええ……もうひとりの主は完全に睡眠状態に入ったようです』

 

 それにしても、透子がライトロードねぇ……エクシーズやシンクロがないライロって強いのかねぇ?とりあえず調べてみるか。

 

 スマホを取り出してライトロードについて調べていると、(ブラウ)が不思議そうに尋ねてきた。

 

ブラウ

 『あの……主。その装置は一体……』

 

闇透子

 「これは俺の切り札、こいつには色んなカードの活用方法が記されている。ついでにそのカードの設定も少し載っている。おっ、あったあった」

 

 ライロは昔の環境上位テーマだったのか……それも(光の援軍)無しでか……

 

 ふと視線を机に向けると、そこにはライロのモンスターカードが1枚ずつ。こんなんだけじゃデッキ組めねぇよ。ハイランダーで組めってか?

 

闇透子

 「ええと……あれ?(裁きの龍)入ってないじゃん。使うなってことなのか?」

 

ブラウ

 『ふん!(裁きの龍)のないライトロードなど、我々暗黒界の敵ではありません!』

 

 ほらそこ、ドヤるんじゃない。ライロの利点は高い柔軟性。色んなテーマと混ぜ物出来るんだよな。まぁとりあえずオーソドックスに純ライロを組ませようかな。ライロモンスターをスマホで調達して、墓地効果持ちの魔法·罠を数枚、(超電磁タートル)とか(妖精伝記-シラユキ)もピンで入れて……あぁ、(ソーラーエクスチェンジ)と(光の援軍)も入れなきゃ……

 

闇透子

 「まぁ、即席だけどこんなもんか、回せるかは透子の運次第だな。もし構築がやばくても精霊パワーでなんとかなるだろきっと」

 

 あぁ〜疲れた。明日から透子のデッキ調整を手伝わないとな……遊び相手が増えるんだからそれぐらい頑張るんだけどさ。

 

 あっそうだ、そろそろ十代が帰ってきた時用のカードを用意しとかないと。う〜んでもどんなデッキか分からんからな……(ネオス)を使うデッキなのは分かるんだが。

 

 う〜ん全部3枚買おうとするとDPがカツカツだな。どこかで大規模なデュエルイベントがあればいいんだがな……。




ようやくタイトルの一角を回収出来ました。


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12.帰ってきたHERO!遊城十代!

 

〜 夜 オベリスクブルー寮 〜

 

透子

 「(光の援軍)を発動!コストでデッキトップから3枚墓地に送って、レベル4以下のライトロードモンスター(ライトロード·サモナールミナス)を手札に加えます!そしてさっき墓地に送られた(ライトロード·ビーストウォルフ)を2体特殊召喚します!」

 

闇透子

 『おいおいおい、墓地の落ち方がエグイって!しかも(超電磁タートル)も落ちてんじゃん!』

 

透子

 「更に(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ライトロード·メイデンミネルバ)を墓地に送って2枚ドローして、デッキトップから2枚を墓地に送ります。その後手札から墓地に送られた(ミネルバ)の効果でデッキトップから1枚墓地に送ります。そして(ミネルバ)の効果で墓地に送られた(ライトロード·アーチャーフェリス)の効果で自身を特殊召喚します」

 

闇透子

 『がん回りじゃねぇか!あー(ギャラクシー·サイクロン)まで落ちてる!もうめちゃくちゃだぁ!』

 

 もうひとりの私に組んでもらった(ライトロード)デッキの感触を、もうひとりの私とテーブルデュエルして確かめていると、窓からノックの音がしました。

 

 「透子さん僕ッス、丸藤翔ッス!お願いだから開けて欲しいッス!」

 

闇透子

 『あの臆病な翔が女子寮に入ってくるなんて相当だぞ、入れてやれ』

 

 た、確かに……私は見てないのですが女子寮に入ろうとして捕まった事のある翔さんが、同じ轍を踏むとは思えません。

 

 そう考えた私は、窓を開けて翔さんを迎えました。

 

 「夜遅くに申し訳無いッス……でもそれどころじゃない……ッス……」

 

 私の姿を見て身体を強張らせる翔さん。あれ?私は今白い服を着ています。そして光の結社が着るのも白い制服……導き出される答えは……

 

 「そんな透子さんまで……光の結社に入ってたなんて……僕には透子さんを倒す事は出来ない……このままじゃ僕も!」

 

 あぁ待って下さい!窓から出ようとしないで下さい!少し説明する時間を下さい!

 

透子

 「待って下さい!私は光の結社に入った訳じゃないんです!これは……そう、光の結社を倒す為の服なんです!」

 

 「と、とにかく……透子さんは光の結社に入っていないんすね?」

 

透子 

 「はい。ところで、翔さんはどうしてこんな夜中に私の部屋に来たんですか?」

 

 「明日、レッド寮の取り壊しを賭けたデュエルが行われるッス。だから応援でもいいから来てほしいって思って来たッス」

 

 え?レッド寮の取り壊し?クロノス先生を倒したからもうその話は立ち消えになったと思っていたのですが……

 

 闇透子

 『クロノス先生まだその計画進めてたのかよ……だったらまたデュエルで叩き潰せばいい話だよな』

 

闇透子

 「ほぉ、そいつは大変だな。ならこの俺がデュエルに出ようか?まぁ俺は部外者だし、断られても何も言えないがな」

 

 「ほ、本当ッスか!?もし本当ならこれ程頼もしい事は無いッス!」

 

闇透子

 「決まりだな。それじゃ明日にまた会おうな」

 

 翔さんはホクホク顔で窓から出ていきました。

 

透子

 「も、もうひとりの私!勝手に決めないで下さいよ!別に……反対する訳ではありませんけど……」

 

闇透子

 『ならいいじゃねぇか。あ、そうだ。いちいち“もうひとりの私”なんて言うのもしんどいだろうから俺に名前つけようぜ?』

 

透子

 『まぁ……確かに言いづらいですけど……何か案はあるんですか?』

 

闇透子

 『(邪神鏡子)ってのを考えている。俺の渾名が由来さ』

 

 まぁ……私ともうひとりの私は鏡合わせなので間違いではありません。

 

鏡子

 『そんなわけで……明日は頼むぜ透子?あぁそうだ、十代にもし会うことになったらこれ渡しといてくれ』

 

透子

 「う、うん解ったよ。明日は任せてね鏡子」

 

 渡されたカードは(融合派兵)。融合を軸とする十代さんにはとても合っているカードです。

 

 私はもうひとりの私、鏡子にお休みして眠りにつきました。

 

 そういえば鏡子に正体を聞くのを忘れました。それはまぁ、また別の機会にすればいいですよね。

 

 

 

〜 アカデミア前 〜

 

 朝食をとって、レッド寮で翔さんと合流して向かったのは、オベリスクブルーのデュエルフィールド。少し待っていると、プロデュエリストであるエド·フェニックスが現れました。

 

エド

 「君が僕の相手か……随分とふざけた格好をしているが……」

 

 この人から、少しですがどこか異質な光を感じます。多分、(ミネルバ)さんから貰ったこの服が反応しているのでしょう。

 

透子

 「色々深い事情があるんです。聞かないでください」

 

 エドさんと私は、素早くデュエルディスクを構えてお互いを睨みます。すぐにでもデュエル出来るように。

 

??

 「ちょっと待ったぁ!」

 

 お互いがデュエルを宣言しようとした瞬間。行方不明になっていた十代さんが姿を現しました。

 

十代

 「そのデュエル、俺にやらせてくれ!ところで……透子はなんでそんな変わった服を着てんだ?」

 

透子

 「そ、それは……聞かないで下さい。後これを!私からのプレゼントです!」

 

十代

 「これは……(融合派兵)!このカードには結構助けられてたんだ!……サンキュー透子!」

 

 十代さんは何の迷いもなく3枚のカードをデッキに入れてエドさんを見つめています。私はそそくさとフィールドから降りました。

 

エド

 「ふん!何度やっても結果は同じだ!」

 

十代

 「俺は前とは違う!俺は新たなヒーローの力でお前を倒す!」

 

エド·十代

 「デュエル!」

 

ライラ

 『それにしても……あのエドっていう男。デッキに破滅の光の影響を受けたカードが入っていますね。十代さんは勝てるのでしょうか?』

 

ブラウ

 『まぁ、なんとかなるでしょう。なんせ我が主が「奇跡を呼ぶ男」と呼ぶのですから』

 

 私の後ろで顔を合わせず会話している(ライラ)さんと(ブラウ)さん。もし顔を合わせたら喧嘩が始まってしまう仲の悪さです。仲良くできないのでしょうか?

 

エド

 「僕の先攻だ!ドロー」

 

エド 手札5→6

 

エド

 「カモン!(D‐HERO·ダイヤモンドガイ)!」

 

鏡子

 「あっ裁定がやたら面倒くさい(ダイヤモンドガイ)だ!」

 

エド

 「(ダイヤモンドガイ)のエフェクト発動!デッキの1番上のカードを確認し、それが魔法カードだったらその効果を次のターンに発動する!僕が引いたのは(天使の施し)。僕のターンは終了だ」

 

エド 手札5枚 LP4000 伏せ0

 

D‐HERO·ダイヤモンドガイ 攻1400

 

鏡子

 「おいおい、伏せもなしって……事故ってんのか?」

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

十代

 「俺は新しいヒーローを呼ぶぜ!来い!(N·アクアドルフィン)!」

 

十代 手札6→5

 

鏡子

 「あ!キモイルカだ!ワクワクを強要するキモイルカだ!」

 

十代

 「と、透子!俺のヒーローを馬鹿にしないでくれよ!俺は(フェイク·ヒーロー)を発動!手札から(E・HERO)と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。その代わり、この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、このターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る!いでよ!(エッジマン)!」

 

十代 手札5→4→3

 

十代

 「そして(アクアドルフィン)の効果を発動!手札を1枚捨てて発動、相手の手札を確認し、その中からモンスター1体を選ぶ。選んだモンスターの攻撃力以上の攻撃力を持つモンスターが自分フィールドに存在する場合、選んだモンスターを破壊し、相手に500ダメージを与える!エコーロケーション!」

 

 キモイルカが超音波を放つと、エドの持つ(ダイハードガイ)は粉砕された。

 

エド LP4000→3500 手札5→4

 

十代 手札3→2

 

十代

 「俺はカードを2枚セットしてターンエンド。そして(エッジマン)は手札に戻る」

 

十代 LP4000 手札1枚  伏せ2枚

N·アクアドルフィン 攻600

 

エド LP3500 手札4 伏せ0

D‐HERO·ダイヤモンドガイ 攻1400

 

エド

 「僕のターンドロー!」

 

エド 手札4→5

 

エド

 「この瞬間、(天使の施し)のエフェクト発動!3枚ドローして手札から2枚捨てる。そしてフィールド魔法(死皇帝の陵墓)を発動!」

 

エド 手札5→8→6→5

 

 フィールドが黒い霧に一瞬覆われ、霧が晴れるとそこには大量のハニワが立ち並ぶ古墳の様な場所に変わっていた。

 

エド

 「(死皇帝の陵墓)のエフェクト発動!これにより、1000ポイントを払う事で生贄無しで上級モンスターを召喚できる!いでよ(D‐HEROドレッドガイ)!」

 

 空から降ってきたのは、四肢に鎖が付けられた巨人。どこか禍々しい気配を感じる。

 それにしても(死皇帝の陵墓)ってそんな効果だったっけ?確かOCGだとトークンも出さない代わりに、2体リリースするには2000LPが必要だったような……

 

ライラ

 『あのカード!破滅の光の影響を受けています!力はそこまで強くはありませんが一体どこでそんなものを……』

 

 まじか……とりあえず十代に伝えておくか

 

鏡子

 「気を付けろ十代!(ドレッドガイ)は破滅の光の影響を少しばかり受けているらしい!ここで負けたらまたカードが白紙になっちまうぞ!」

 

エド

 「(ドレッドガイ)のエフェクト発動!(ドレッドガイ)が特殊召喚された時、墓地からD‐HEROモンスターを2体特殊召喚出来る!来い!(ダイハードガイ)、(デビルガイ)!」

 

D‐HEROダイハードガイ 攻800

D‐HEROデビルガイ 攻600

 

エド

 「(ドレッドガイ)はこのカード以外のD‐HEROの攻撃力の合計となる!」

 

D‐HEROドレッドガイ ?→2800

 

 その後、エドは(ドレッドガイ)で攻撃を仕掛けたが、十代の(攻撃の無力化)に阻まれてターンを渡した。

 

エド LP2500 手札4 伏せ0枚

フィールド(死皇帝の陵墓)

 

D‐HERO·ダイヤモンドガイ  攻1400

D‐HEROダイハードガイ   攻800

D‐HEROデビルガイ     攻600

D‐HEROドレッドガイ    攻2800

 

十代 LP4000 手札1  伏せ1

 

N·アクアドルフィン 攻600

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札1→2

 

十代

 「俺もお前のフィールド魔法を使わせてもらう!1000LPを払って現れよ!(E·HEROネオス)!」

 

 宇宙から現れた存在に、場が騒然となる。

 

十代 LP4000→3000 手札2→1

 

 このタイミングで来るのか(ネオス)。

 

十代

 「今、(ネオス)の力を見せてやるぜ!(ネオス)!(アクアドルフィン)!コンタクト融合!(アクア·ネオス)!」

 

 (アクアドルフィン)と(ネオス)が交わって、ムキムキなキモイルカが姿を現した。

 

E·HEROアクアネオス 攻2500

 

鏡子

 「おお!キモイルカがムキムキになって余計にキモくなったぞ!」

 

十代

 「だから俺のヒーローを馬鹿にするなって!(アクア·ネオス)の効果発動!手札を1枚捨てる事で、相手の手札をランダムに2枚破壊する!エコーバースト!」

 

 ムキムキな変態が目から光線を放つと、エドの手札が2枚消えた。

 

エド 手札4→2

 

 ていうか手札を“捨てる”じゃなくて“破壊”かよ。(暗黒界)で相手する時は気をつけないとな。

 

十代

 「伏せていた(H·ヒートハート)を発動!これで(アクア·ネオス)の攻撃力は500ポイントアップする!」

 

E·HEROアクア·ネオス 攻2500→3000

 

十代

 「いけ!(アクア·ネオス)!ラピットストーム!」

 

 (アクア·ネオス)が放った水の渦が(ドレッドガイ)を貫き、破壊された。

 

 エド LP2500→2300

 

 エドのエースが破壊され、場が歓喜に沸き上がり押せ押せムードになるが、(アクア·ネオス)に異変が起こる。

 

十代

 「お、おい(アクア·ネオス)!なんでデッキに戻ったんだよ!」

 

 (アクア·ネオス)が虹色の光に包まれたと思ったら十代のデッキに戻っていったのである。

 

鏡子

 「これがコンタクト融合体のデメリットだ十代!多分ターンが終わると融合デッキに定時帰りするんだ!」

 

十代

 「そ、そんなぁ〜」

 

十代 LP3000 手札0 伏せ0

 

エド LP2500 手札2 伏せ0

フィールド(死皇帝の陵墓)

 

D‐HERO·ダイヤモンドガイ  攻1400

D‐HEROダイハードガイ   攻800

D‐HEROデビルガイ     攻600

 

 手札も伏せも無くなり、何もする事の出来ない十代。ターンを渡し、エドのフィールドの3体のモンスターの一斉攻撃を食らい残りのLPが200に。俺だったら絶望のあまりデッキに手を置くぐらいのピンチだが、まだ十代は諦めていないようだ。

 

十代

 「俺のターンドロー!俺が引いたのは(E·HEROバブルマン)!このカードは手札にこのカードしかない時、特殊召喚出来る!そして場に他のカードがない時、カードを2枚ドロー出来る!更に(強欲な壺)を発動!デッキから2枚ドロー!」

 

十代 手札0→1→0→2→1→3

 

 うっわ引きやがったよ強欲な泡男。しかも(強欲な壺)まで引きやがって。強欲が過ぎるぜ十代!

 

十代

 「俺は(バブル·ショット)を(バブルマン)に装備させて、(N·エアハミングバード)を召喚!」

 

十代 手札3→2→1

 

E·HEROバブルマン   攻800→1600

N·エアハミングバード 攻800

 

ハミングバード

 「さぁ十代!共に戦おう!」

 

闇透子

 「キモイルカの次はキモドリか!よっ!キモチュッチュ!」

 

十代

 「だ~か~ら~!俺のヒーローを馬鹿にするなっての!(エアハミングバード)の効果発動!ハニー·サック!」

 

 エドの手札が緑に光り、そこから鮮やかな花が3つ咲いた。

 そこに(ハミングバード)は突進し、花の蜜を吸っていく。

 

十代

 「(エアハミングバード)は相手の手札1枚につき、500ポイントのLPを回復する!よって俺は1500LPを回復する!」

 

十代 LP200→1700

 

 その後、十代は(バブルマン)で(ダイハードガイ)を、(ハミングバード)で(デビルガイ)を破壊してカードを1枚伏せてターンを終了した。

 

十代 LP1700 手札0 伏せ1

 

E·HEROバブルマン   攻800→1600

N·エアハミングバード 攻800

 

エド LP1300 手札3 伏せ0

フィールド(死皇帝の陵墓)

 

D‐HERO·ダイヤモンドガイ  攻1400

 

エド

 「僕のターンドロー!」

 

エド 手札3→4 

 

エド

 「どんなにE·HEROを探して来ようともD‐HEROを超えるHEROはいない!僕はフィールド魔法(ダークシティ)発動!」

 

 古墳が消え、現れたのは大量のビル群。十代が持ってる(スカイスクレイパー)みてぇだな。

 

エド

 「(ダークシティ)はD-HEROモンスターがその攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターを攻撃した場合、攻撃モンスターの攻撃力は1000アップする。そして僕は(ダイヤモンドガイ)を生贄に(ダブルガイ)を召喚!」

 

D‐HEROダブルガイ 攻1000

 

 出てきたのは、黒いスーツを決めた紳士。こいつがヒーローなのか?どっちかというと初老の紳士の様な気がするんだが……

 

エド

 「(ダークシティ)のエフェクトで(ダブルガイ)の攻撃力は戦闘時のみ1000ポイントアップ!そして(ダブルガイ)は2回攻撃を行う事が出来る!行け!1回目で(バブルマン)を、2回目で(エアハミングバード)を攻撃!デスオーバーラップ!」

 

 紳士はその手に持つ杖で(バブルマン)の(バブル·ショット)を、返しの杖で(エアハミングバード)を粉砕した。

 

 その後、エドはカードを1枚セットしてターンを終えた。

 

エド LP1300 手札2 伏せ1

フィールド(ダークシティ)

 

D-HERO ダブルガイ 攻1000

 

十代 LP1500 手札0 伏せ1

 

E·HEROバブルマン   攻800

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札1→2

 

十代

 「(天使の施し)発動!3枚ドローして2枚捨てる!そしてトラップカード(堕天使の施し)を発動!このターンに魔法カードの効果で手札から捨てられた枚数分だけ、墓地のカードを手札に加える事が出来る!」

 

十代 2→1→4→2→4

 

堕天使の施し(アニメオリジナル)

通常罠

このターンに魔法カードの効果で手札から捨てられた枚数分だけ、墓地のカードを選んで手札に加える。

 

(天使の施し)で捨てた分を補うのか……捨てると効果が発動するカードを引けなかったのかな?

 

十代

 「俺は永続魔法(魂の共有-コモンソウル)を発動!この効果で、手札の(N·フレアスカラベ)を特殊召喚!」

 

 炎を纏って現れたのは、真っ黒な甲殻を持った戦士。

 

十代 手札4→3→2

 

N·フレアスカラベ 攻500

 

鏡子

 「おお!今回のヒーローはキモイルカやキモチュッチュよりかはカッコいいぞ!」

 

十代

 「お、おう……でも(アクアドルフィン)と(エアハミングバード)もカッコいいんだからな!(フレアスカラベ)の効果発動!フレイミング·イリュージョン!」

 

 (フレアスカラベ)の全身が炎に包まれると、エドの魔法罠ゾーンから炎が……

 

鏡子

「ま、まさか相手のカードを文字通り焼却する効果だと!?鬼畜モグラよりも鬼畜してるじゃねぇか!この鬼畜フンコロガシィ!」

 

十代

 「そ、そんなわけ無いだろ!(フレアスカラベ)の効果!(フレアスカラベ)は相手フィールドの魔法·罠の数×400攻撃力がアップする!エドの魔法罠は2枚、よって(フレアスカラベ)の攻撃力は800ポイントアップ!」

 

N·フレアスカラベ 攻500→1300

 

 

十代

 「そして、(コモンソウル)があれば、ネオスペーシアンは他の仲間にも力を与える!」

 

 十代がそう言うと、(コモンソウル)から白い魂魄の様な物が飛び出てきて、(バブルマン)に飛び込んで行った。

 

E·HEROバブルマン 攻800→2100

 

 その計算でいくと……(コモンソウル)はネオスペーシアンの攻撃力分、他のモンスターを強化するカードってわけか。

 

 その後、十代は(バブルマン)で(ダブルガイ)を破壊し、(フレアスカラベ)でダイレクトアタックを仕掛けるも、エドの罠(D‐シグナル)が発動され、(D-HEROディフェンドガイ)の守備力2700の壁に阻まれて、十代はターンを終えた。

 

 エド曰く、「(ディフェンドガイ)は高い防御力の代償に、相手のターンに1枚のドローを許してしまう」とのことだが……

 

十代 LP1500 手札2 伏せ0

 

E·HEROバブルマン 攻2100

N·フレアスカラベ 攻1300

 

魂の共有-コモンソウル

 

エド LP200 手札2 伏せ0

 

D-HERO ディフェンドガイ 守2700

 

エド

 「僕のターンドロー!」

 

エド LP200 手札2→3

 

エド

 「墓地に送られた(ダブルガイ)のエフェクト発動!次の自分のターンに(ダブルガイトークン)を2体特殊召喚する!」

 

 現れたのは(ダブルガイ)と姿形が全く同じ攻撃力1000のトークン。これでフィールドにモンスターが3体。これは(Bloo-D)来るんじゃね?

 

エド

 「僕は(サイクロン)を発動!そのカードが無ければ、お前のヒーローも役に立つまい!」

 

 猛烈な強風が(コモンソウル)を破壊し、(フレアスカラベ)が手札に消えていった。

 

エド 手札3→2

 

十代 手札2→3

 

E·HEROバブルマン 攻2100→800

 

 これが(コモンソウル)のデメリットか。

 

エド

 「バトルだ!(ダブルガイトークン)で(バブルマン)を攻撃!そしてもう一体の(ダブルガイトークン)でダイレクトアタック!」

 

十代 LP1500→1300→300

 

鏡子

 「エド!お前は小さな、そして致命的なプレミをした!もし攻撃力100の(ディフェンドガイ)を攻撃表示にして(バブルマン)に攻撃していたら(ダークシティ)の効果で300の貫通ダメージと(ダブルガイトークン)2体のダイレクトでゲームエンドだったぞ!十代のフィールドに伏せは無いから守りを気にする必要も無かっただろうに!」

 

エド

 「し、しまった!くっ……僕はこれでターンエンドだ!」

 

エド LP200 手札2 伏せ1

 

ダブルガイトークン 攻1000

ダブルガイトークン 攻1000

D-HEROディフェンドガイ 守2700

 

十代 LP300 手札3 伏せ0

 

鏡子

 「十代!歯ぁ食いしばれ!エドが恵んでくれた1ターンで!ヒーローらしく勝利をもぎ取ってみせろ!」

 

十代

 「ああ!俺のターンドロー!更に、(ディフェンドガイ)の効果で更にドロー!」

 

十代 手札2→3→4

 

十代

 「これが透子のプレゼントだ!魔法カード(融合派兵)発動!融合デッキから(E·HEROアクアネオス)を見せる事で、デッキから現われろ(E·HEROネオス)!」

 

十代 手札4→3

 

十代

 「そして俺は(N·フレアスカラベ)を召喚して(ネオス)とコンタクト融合!現れろ!(E·HEROフレアネオス)!」

 

 (ネオス)と(フレアスカラベ)が宇宙で交わり、新たなヒーローが姿を現した。

 

十代

 「(フレアネオス)はフィールドの魔法罠の数×400ポイントアップする!フィールドの魔法罠は2枚!よって攻撃力は3200!」

 

E·HEROフレアネオス 2500→3200

 

十代

 「更に、フィールド魔法(ネオスペース)を発動!これで、(E·HEROネオス)とその融合モンスターは攻撃力が500ポイントアップする!更に魔法罠カードが増えた事で(フレアネオス)の攻撃力も上がるぜ!」

 

 十代 手札3→2

 

E·HEROフレアネオス 3200→3700→4100

 

十代

 「バトルだ!(E·HEROフレアネオス)で(ディフェンドガイ)を攻撃!バーン·トゥ·アッシュ!」

 

 (フレアネオス)の放つ強烈な熱線が鉄壁の守りを持つ戦士の壁に襲いかかり、塵1つ残さず焼き払った。

 

エド

 「くぅ!だ、だがこれで全てのモンスターの攻撃は終わった!ここからは僕の反撃が……」

 

十代

 「速攻魔法(コンタクト·アウト)発動!このカードは自分フィールド上に存在する「ネオス」と名のついた融合モンスター1体を融合デッキに戻し、さらに、融合デッキに戻したモンスターに記された融合素材モンスターが、一組分自分のデッキに揃っていれば、その一組を自分フィールド上に特殊召喚できる!来い!(N·フレアスカラベ)!(E·HEROネオス)!」

 

手札 2→1

 

 (フレアネオス)が虹色に輝きデッキに戻ると、そこから(フレアスカラベ)と(ネオス)が戦場に舞い戻ってきた。

 

E·HEROネオス 攻2500→3000

N·フレアスカラベ 攻500→1000→1800

 

十代

 「行けぇ!(ネオス)で(ダブルガイトークン)を攻撃!ラス·オブネオス!」

 

エド

 「まだデュエルは終わっていない!トラップ発動!(D‐シールド)!このカードは対象のモンスターを守備力表示にし、戦闘では破壊されない!(ダブルガイトークン)を守備表示だ!」

 

 (ダブルガイトークン)は強烈な磁場に包まれ、(ネオス)の打撃を防いだ。

 

十代

 「(フレアスカラベ)の攻撃力は下がるがこれで終わりだ!(フレアスカラベ)でもう一体の(ダブルガイトークン)を攻撃!フレイムバレット!」

 

 攻撃力が1400となった(フレアスカラベ)が放った無数の火炎弾によって黒服紳士は粉砕され、エドのLPは燃やしつくされた。

 

エド LP200→-200

 

十代

 「ガッチャ!良いデュエルだったぜ!」

 

 十代はいつもの決め台詞を決めて、デュエルは終わった。

 それにしても(コンタクト融合)か……頑張って(ネオスペーシアン)関係のカード集めねぇとな。

 

 

 

〜 深夜 ??? 〜

 

ハネクリボー

 「クリクリィ!クリクリィ!」

 

  真夜中に相棒の(ハネクリボー)が騒いでいた。こんな夜中に何やってんだよ……

 

十代

 「ってうわぁ!なんだぁ!」

 

 目の前にいたのは、骨で出来た槍と鎧を身に着けたゾンビ。そいつはデッキを1枚1枚眺めていた。そいつの足元には……(ヒーロー見参)と(E·HEROバーストレディ)があった。

 

十代

 「お、俺のデッキ!返してくれよ!」

 

???

 「ま、待て!あともうちょっとで全部見終わ……」

 

????

 「(暗黒界の尖兵ベージ)!貴様の悪行はここまでだ!」

 

 夜にしては暗すぎる空に一筋の亀裂が現れて、(ネオス)と(ネオスペーシアン)達が姿を現した。

 

ベージ 

「くっ!きたか(ネオス)とネオスペーシアン!とりあえず仕事はこなした!後は我が主にデッキの内容を報告して休暇を申請するだけだ!」

 

ネオス

 「待て!絶対に逃がさん!」

 

 (ベージ)が俺のデッキを置いて逃げようとするも、(ネオス)や他の皆に追いかけられていた。あ、(グランモール)に逃げ道を塞がれて囲まれた。

 

ベージ

 「く、くそぅ……俺の休暇の夢が……これが成功すれば1週間だけ自由の身になれたのに……1週間寝て過ごせたのにぃ……」

 

アクア·ドルフィン

 「さぁ、なんでこんな事をしたのか言ってもらおうか……」

 

ベージ

 「くっ!だが俺はこれでも暗黒界の一員だ!この程度で漏らすとは思うな!」

 

 ん?暗黒界?どこかで聞いたような……あっ!思い出した!

 

十代

 「暗黒界って透子が使っているデッキだよな?」

 

ベージ

 「あ、いや違う!俺はこことは別の世界からやってきた尖兵だ!我が主はお前の事を異常に警戒している!主は俺にお前のデッキを偵察する事を命じ、成功したら報酬として俺に1週間の休暇を与えると約束したんだ!」

 

 別の世界?それなら透子は関係なさそうだな……

 

エア·ハミングバード

 「ああそうか……確かに君は異常な程に使われているからね……」

 

ベージ

 「そのとおりだ!俺はデュエルに出るたびに手札と墓地とフィールドを反復横跳びさせられるんだ!今はまだ3人でどうにかしているが……もし俺がここで主の名を漏らしたら……デッキに俺が1人しかいない状態で30人とデュエルするって脅されているんだ!そんなことしたら俺の腰と足が死んじまうよ!」

 

 ひ、酷え……こんなの拷問じゃないか。こいつの主は、なんて残酷な奴なんだ!

 

フレアスカラベ

 「十代。(ベージ)をどうするのか?今なら生かすも殺すも自由自在だぞ」

 

十代

 「う〜ん……別に大した事はされてないし……(ベージ)が働きっぱなしなのが可愛そうだし……許す!」

 

ベージ

 「あ、ありがとう十代!これで俺はしばらく自由だぁ〜!」

 

 (ベージ)は喜々とした様子で走り出し、(ネオス)達が現れた時の亀裂に跳んでいった。

 

ネオス

 「十代。本当にいいのか?一度デッキにカードがあるか確認してみてくれ」

 

十代

 「あ、あぁ……解った」

 

 ええと……38、39、40、41、42、43 、44、45、46、47、48、49、50……寧ろ増えてる。

 

十代

 「デッキは減ってない……でも何故かカードが増えているんだ」

 

ネオス

 「どれどれ……(ネオス·フュージョン)、(ミラクルコンタクト)、(コンバート・コンタクト)、(NEXT)、(スペーシア・ギフト)……どれも我々ネオスペーシアンに関する効果を持っているカードだ」

 

 デッキ融合に墓地融合、手札交換に墓地のネオスペーシアンを大量に呼び出す罠、そしてフィールドのネオスペーシアンの数だけドローするカード。そのどれもが強力なカード。

 そんな強力なカードがたくさんあると……ワクワクが止まらない!

 

エア·ハミングバード

 「これは……恐らく(ベージ)が持っていたものなのだろう。僕達は謎の結界に阻まれて十代と合流するのに少し時間がかかっていたけど、十代のデッキに触れていたのは間違いなく(ベージ)だけだったからね」

 

十代

 「難しいことは分かんないけど……とりあえず強いカードが貰えたんだし、早速これでデッキ組もうぜ!くぅ〜ワクワクが収まりきらないぜ!」

 

 いつの間にか結界が消えて、いつものレッド寮の中で俺はウキウキとデッキを組み始めた。

 

 この日から、(ネオス)達は何故か透子を警戒するようになった。なんでだろうな?



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13.ジェネックス開幕!神砕くデュエル

 

 

〜 大講義室 〜

 

 いつの間にかホワイト寮なるものが出来ていたり、修学旅行でお買い物したのも、もう何日も前の話です。

 

私は(ライトロード)の皆さんの力を借りて、そのホワイト寮の生徒を救出したりして毎日を過ごしています。

 

(ライトロード)……間違いなく強力なデッキなのですが、罠を殆ど入れられないのが残念です。

 

 まぁそれはさておいて、なんでも目の前で話している鮫島校長先生曰く、今日から「ジェネックス」というイベントが始まって、この学園に大勢のデュエリストがやってきて、1日に必ず1回は、事前に配布されるメダルを全て賭けてデュエルをするそうです。

 

 先生の話を聞いている時、午前中は鏡子がまだノルマを達成していないデュエリストを狙い、午後に私がホワイト寮から生徒を救出するという一日の流れを鏡子が提案してきました。

 

 私は(ライトロード)デッキを使って、光の結社の影響を受けてしまったホワイト寮の生徒達を救わなければなりません。よって断る理由はありません。

 

 そんな事を考えていると、校長の話が終わり、メダルが配られた人から他の生徒が大講義室から出ていきました。

 それにしても、白い制服を着た生徒がまだまだ多いです。私が頑張らないと……

 

 

〜 大講義室前 〜

 

 大講義室から出ると、そこには階級問わず大量の生徒が集まっていた。えぇと十代達は……お、いたいた。なんかやたら他の生徒が固まってんな。

 

鏡子

 「退け退けぃ!この俺とデュエルしたい奴は俺の前に立て!」

 

 俺がそう言いながら歩くと生徒達は恐れを抱いて道を開ける。

 まぁこの時代に攻撃力3000を3体並べられる奴はそう多くないだろうし、その上ウイルスやスキドレで制圧もしてくるから、さぞかし恐ろしいのだろう。

 

十代

 「お、透子!お前が俺とデュエルするのか?楽しみだぜ!」

 

鏡子

 「んにゃ。お楽しみは最後まで取っておくものだろ?だから最終日に会ったらやろうぜ?まぁちょっと挨拶でもしようかなって思っただけだ。ほんじゃお互いに頑張ろうぜ?おいお前、俺とデュエルしろ。拒否権はない」

 

 十代達とさよならしたあと、すぐ近くにいたブルー生にデュエルを仕掛ける。この近くにはデュエリストがまだ多くいる。もうDPは底をついたし、荒稼ぎさせてもらう。

 

鏡子

 「さぁ、宴の始まりだ!」

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

 ジェネックス開始からはや数日。午前中は俺がアカデミア生やプロデュエリストにデュエルを仕掛け、午後は透子が(ライトロード)で光の結社の構成員に洗礼を浴びせている。

 

 さて、俺もそろそろデュエルに行くとするか。

 

 飯を食べ終えた俺は、黒いマントに黒いコート、そして不気味な黒い蝶の仮面を身に着けデュエルディスクを装着する。

 

 なんでこんな気味悪い格好しているかというと、俺が邪神鏡子だとばれないようにする為と、ヒールの練習をするためだ。

 

 俺は将来ヒール系デュエリストになろうと思っている。その為にまずは形から入ろうと、わざわざ修学旅行の時にこの服を買ってきたのだ。この服を着たら、悪役の幹部みたいな振る舞いをするようにしている。

 

 ちなみに透子は趣味が悪いと難色を示した。なんでだよお前のデッキも中々に陰湿だろうに。(自爆ナチュル)然り(メタファイズ)然り。

 

 そんな事を考えていると、突然校内のアナウンスが。なんでも神のカードのコピーを持ったデュエリストがこの学園にいるらしく、大人しく校内で待機しろとのこと。

 

 神のカードか……面白い!神のカードの力に取り憑かれた愚か者を処しに行くとしよう。

 

透子

 『き、鏡子!?どこに行く気なんですか!?』

 

鏡子

 「決まっている。神の力に溺れる不届き者を滅するのだ。それとも、透子は神のカードを拝みたくはないのか?」

 

透子

 『それは……見てみたいですけど……』

 

鏡子

 「なら決まりだ。早速探しに行くぞ。(ベージ)、先行して捜索を手伝ってくれ。くれぐれも十代には気をつけるのだぞ?」

 

ベージ

 『へーい。肝に命じておきますとも』

 

 後ろに呼んだ3人の(ベージ)達は気だるげに一礼し、素早く窓から飛び降りていった。

 彼らは休暇明けだし、やる気は十分だろう。

 

鏡子

 「さて、私も急ぐとしよう」

 

 俺は黒いマントを翻しながら、とりあえず森に歩みを進める。

 

 

〜 森 〜

 

 森に入って数分すると、(ベージ)が不審な男を発見したようだ。

 

 その不審者に向けて案内させると、開けた場所に男の姿があった。

 

???

 「誰だ!」

 

鏡子

 「私は暗黒世界への案内人パスカ。貴方が神のカードを手にしていると聞き、デュエルしようと思い駆けつけてきました」

 

フロンツ

 「私の名はフロンツ。お望み通り神の力を見せてやろう」

 

鏡子·フロンツ

 「デュエル!」

 

フロンツ

 「先攻は私だ、ドロー」

 

フロンツ 手札5→6

 

フロンツ

 「私は(ラーの使徒)を召喚!そして(ラーの使徒)の効果発動!このカードが召喚·特殊召喚した時、デッキから同名カードを2枚手札に加える」

 

フロンツ 手札6→5→7

 

 あれ?特殊召喚じゃないんだ。結構効果しょぼいな。

 

フロンツ

 「私は速攻魔法(トラップ·ブースター)を発動!手札を1枚捨てて、手札からトラップを発動出来る!私は(血の代償)を発動!」

 

トラップ·ブースター(アニメオリジナル)

速攻魔法

手札を1枚捨て、手札の罠カード1枚を選択して発動できる。

選択したカードを発動する。

 

フロンツ 手札7→6→5→4

 

 やべぇなあのカード。あのカードさえあれば先攻で(マジカル·エクスプロージョン)とか(チェーン·マテリアル)とかを発動出来るからやりたい放題出来るじゃん。手札コストが2枚だったとしてもお釣りがくるぞ。

 

フロンツ

 「(血の代償)の効果を発動!500のLPを2回払い、(ラーの使徒)を2体召喚!」

 

 ラーの使徒 攻1100

 ラーの使徒 攻1100

 ラーの使徒 攻1100

 

 モンスターが3体……くるぞ遊馬!

 

フロンツ

 「私は(血の代償)の効果を発動し、3体の(ラーの使徒)を生贄に……」

 

フロンツ 手札2→1 LP4000→2500

 

 フロンツのフィールドから(ラーの使徒)が消えると、天候が悪化し雷鳴が轟いた。

 

フロンツ

 「眠りし神の魂よ!今その姿を蘇らせ、神に歯向かう愚かしさを知らしめるのだ!いでよ!(ラーの翼神龍)!」

 

 鼠色の雲から舞い降りたのは、黄金で身を形作る不死鳥。やっぱり本物の神からは凄まじい覇気を感じる。ヲーとは訳が違うな。

 

十代

 「ラーの翼神龍!?」

 

 おっ、十代が来たのか。少し遅かったな。

 

フロンツ

 「(ラーの翼神龍)の攻撃力は生贄に捧げたモンスターの攻撃力の合計となる」

 

ラーの翼神龍 攻?→3300

 

ペガサス

 「やめるのデース!(ラーの翼神龍)を操れるのは、神に選ばれたデュエリストのみ!ユーでは神の怒りを買ってしまいまーす!」

 

 おっ、ペガサス会長。このデュエルに勝てたら……いやそれは死亡フラグだ。

 

フロンツ

 「その神をも操れるカードを私は遂に完成させたのだ!怒るがいい!猛り狂うがいい!そして私を憎むがいい!だが私がお前の主なのだ!私は手札から(神縛りの塚)を発動!」

 

フロンツ 手札1→0

 

 フロンツが発動を宣言すると、地面から大量の鎖が伸び、(ラーの翼神龍)を縛り付けた。

 

ペガサス

 「まさか!神を操るカードを作ったとでも言うのですか!?」

 

フロンツ

 「見るがいいペガサス会長。これが最強最悪と呼ばれた神を操るこの私を……私はこれでターンエンド」

 

フロンツ 手札0 LP2500 伏せ0

フィールド (神縛りの塚)

ラーの翼神龍 攻3300

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡子

 「ふむ……確かに神のカードは強力です。しかしこの私、パスカは悪魔の住まう暗黒世界の案内人。ここは悪魔らしく、華麗に神を否定して見せましょう!私のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「とても良い手札です。メインフェイズに入り、私はまず(強欲で金満な壺)を発動。このカードは融合デッキのカードをランダムに6枚裏側で除外して2枚ドロー出来ます。但し、このカードを使うと私はこのターンドローする効果が使えなくなってしまいますがね。さぁ!取引の時間です!」

 

 俺がそういうと、どこからともなく後ろ面がやたらに豪華な(強欲な壺)が姿を現した。

 俺はその壺に融合デッキのカードを投げ込むと、壺が膨張してバラバラに砕け、そこから2枚のカードが飛び出してきた。

 

鏡子 手札6→5→7

 

鏡子

「(名推理)を発動。さぁ1〜12のレベルを宣言してください。通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキをめくり、当たれば墓地へ、外れれば特殊召喚します。そして残りを墓地へ送ります」

 

鏡子 手札7→6

 

フロンツ

 「神に小細工は通じぬ!私はレベル7を宣言!」

 

鏡子

 「なるほどそれでは答え合わせです。1枚目、(インフェルノイド·ヴァエル)。レベル7ですが、特殊召喚モンスターなので効果処理は続きます」

 

十代

 「(インフェルノイド)!?それって透子のカードじゃ!?」

 

 十代の言葉を聞き流しつつ、その後も墓地にカードが落ち、15枚程落ちた時に遂に答え合わせの時が来た。

 

鏡子

 「捲られたのは (インフェルノイド·デカトロン)。レベル1!不正解なので特殊召喚されます」

 

 現れたのはあちこちに真空管を生やした機械的な悪魔。実はこいつ、とあるモンスターの頭なんだよね。

 

鏡子

 「(デカトロン)の効果発動!デッキからインフェルノイドモンスターを墓地へ送り、その能力をコピーしつつレベルをそのモンスター分上げます。私は……そうですね……レベル2(インフェルノイド·ベルゼブル)を墓地に送りましょうかね」

 

 (デカトロン)の頭部にある真空管に、灰色の光が灯った。

 

インフェルノイド·デカトロン レベル1→3

 

鏡子

 「では、早速神に一太刀浴びせてみましょう。(ベルゼブル)の効果を得た(デカトロン)の効果発動。相手フィールドの表側表示のカードを対象にして、そのカードを手札に戻します。対象はもちろん、(ラーの翼神龍)」

 

 (デカトロン)が(ラーの翼神龍)めがけて灰色の光線を放つが、その黄金の身体に触れた瞬間、光線は霧散した。

 

フロンツ

 「無駄だ!(ラーの翼神龍)は幻神獣最強最悪の神!この程度の効果ではびくともしない!」

 

鏡子

 「そうですか……ではもっと墓地を肥やしましょう。手札から(モンスターゲート)を発動!通常召喚可能なモンスターが出るまでカードを捲り、捲られるとそのモンスターを特殊召喚し、残りを墓地へ送ります」

 

鏡子 手札6→5

 

 頭上に大きな魔法陣が現れ、(デカトロン)が吸い込まれるとそこからカードが溢れ始める。10枚ぐらい落ちた時、四肢に千切れた鎖を付けたドラゴンがゲートから落ちてきた。

 

鏡子

 「特殊召喚されたのは(闇黒の魔王ディアボロス)。守備表示で特殊召喚します」

 

闇黒の魔王ディアボロス 守2000

 

闇透子

 「私はカードを2枚セットしてターンエンド。さぁ神の力を見せていただきましょうか?」

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ2

 

闇黒の魔王ディアボロス 守2000

 

フロンツ LP2500 手札0 伏せ0

フィールド (神縛りの塚)

 

ラーの翼神龍 攻3300

 

フロンツ

 「私のターンドロー!」

 

 手札0→1

 

フロンツ

 「(ラーの翼神龍)の効果発動!1000ポイントのLPを払い、相手モンスターを全て破壊する!燃やし尽くせ!ゴッドフェニックス!」

 

フロンツ LP2500→1500

 

 (ラー)を縛っていた鎖が千切れ、(ラー)は空高くへ飛翔した。そして黄金色の炎を纏う不死鳥となって地面に突入し、大地を炎で埋め尽くした。

 

フロンツ

 「さぁ(ラーの翼神龍)よ!お前以外の雑魚モンスターなど、焼き尽くしてしまえ!フハハハ!」

 

十代

 「お前、会長や隼人と一緒にカードを作っているんだろ?どうしてカードに、雑魚なんて言うんだよ!」

 

フロンツ

 「雑魚を雑魚といって何が悪い!弱いカードは強いカードに食われ消滅する運命なのだ、時代は強いカードを求めている!なのに会長は……」

 

 フロンツは怒気を孕んだ口調で語り始めた。なんでも、フロンツが出した強力なカードは採用されず、新入社員である隼人のカードが採用されたのが気に食わなかったらしい。

 

鏡子

 「1人のデュエリストとして言わせてもらうなら、フロンツさんの言う事はもっともです。デッキの枠は40ないし60枚、その枠に使い勝手の悪いカードを入れる余地はありません」

 

フロンツ

 「ほぉ……なら!」

 

鏡子

 「しかし、デュエリストとは、その手に握るカードを、カード名、レベル、種族、属性、攻撃力や守備力。あらゆる数値を利用して、様々なカードと組み合わせて戦う生き物です。カード単体だけを見て雑魚というのは、いささかせっかちが過ぎますね」

 

フロンツ

 「言わせておけ!私は神を超える力を得たのだ!(ラーの翼神龍)の効果発動!自分のLPを1だけ残し、(ラー)の攻撃力に変換する!」 

 

 フロンツが紫色の光を放つと、(ラー)との一体化を果たしていた。

 

フロンツ LP1500→1

 

ラーの翼神龍 攻撃力3300→4799

 

フロンツ

 「この瞬間、私は神をも超える存在するになったのだ!私の前では全てが無力、全てが無意味と化すのだ!喰らえ!ゴッドブレイズキャノン!」

 

鏡子

 「やれやれ、神を崇めるならまだしも、自らを神と勘違いするとは、呆れたものですね。その考えを正して差し上げます。バトルフェイズ開始時にトラップカード(煉獄の狂宴)を発動!手札の(煉獄の虚夢)を捨てて発動し、レベルの合計が8になるようにデッキからインフェルノイドモンスターを3体まで特殊召喚します。この効果で、レベル1の(シャイターン)、レベル3の(ルキフグス)、レベル4の(アスタロス)を一体ずつ守備表示で特殊召喚します」

 

闇透子 手札3→2

 

インフェルノイド·シャイターン 守0

インフェルノイド·ルキフグス 守0

インフェルノイド·アスタロス 守0

 

フロンツ

 「ふん!そうは言ってもただ壁を出しただけではないか!(ラー)よ!(シャイターン)を粉砕せよ!ゴッドブレイズキャノン!」

 

 (ラー)が放った強烈な熱線が、(シャイターン)を焼き尽くし、その余波が俺の方にも飛んでくる。

 

フロンツ

 「(神縛りの塚)の効果発動!戦闘で相手のモンスターを破壊し墓地へ送った時、相手に400のダメージを与える!」

 

 あれ?1000バーンじゃないの?まぁいいけど。

 

鏡子 LP4000→3600

 

フロンツ

 「私はカードを1枚伏せてターンエンド。さぁ!神の力に屈するがいい!」

 

フロンツ LP1 手札0 伏せ1

神縛りの塚

ラーの翼神龍 攻撃力4799

 

鏡子 LP3600 手札2 伏せ1

 

インフェルノイド·ルキフグス 守0

インフェルノイド·アスタロス 守0

 

鏡子

 「私のターンドロー!」

 

鏡子 手札2→3

 

鏡子

 「メインフェイズ開始時に2枚目の(強欲で金満な壺)を発動!融合デッキを6枚裏側除外して2枚ドロー!そしてトラップカード(火霊術-「紅」)を発動!炎属性モンスターである(アスタロス)をリリースして、その元々の攻撃力分のダメージを与える。(アスタロス)の元々の攻撃力は1800、よって1800のバーンダメージを相手に与えます!」

 

鏡子 手札3→4→5

 

フロンツ

 「な、何!?速攻魔法(融合解除)発動!」

 

 フロンツが慌てた様子で、(融合解除)を発動すると、(ラー)からフロンツが分離して(ラー)は力なく地面に横たわった。でも、破壊されたわけではなさそうだな。というか(融合解除)にそんな効果はないはずなんだがな……

 

フロンツ

 「融合を解除した事により、私は(ラー)の攻撃力分のLPを回復する」

 

フロンツ LP1→4800→3000

ラーの翼神龍 攻4799→0

 

十代

 「(ラー)を犠牲にして自分のLPを回復!?お前!いったいどれだけ酷いことをすれば気が済むんだ!(ラー)はお前の下僕なんかじゃない!(ラー)は伝説のデュエリスト達が恐れ敬った、最強の神なんだぞ!」

 

フロンツ

 「間違えるな、(ラー)は神などではない。私こそが神なのだ!」

 

鏡子

 「ふん、傲慢ここに極まれりですね。(ラー)もこんな主では辛いでしょう。少し待っていて下さい、楽にして差し上げます。フィールド魔法(闇黒世界一シャドウディストピア)を発動!このカードの永続効果で、フィールドのモンスターは全て闇属性になります」

 

 俺がフィールド魔法を発動すると、辺り一面に岩が転がり、怨霊のような物体が漂う不気味な世界へと姿を変えた。このフィールドの力によって、神は1ターンだけ“闇属性”になる。

 

鏡子 手札5→4

 

鏡子

 「本当ならこのまま(ルキフグス)を起こして殴り倒してゲームエンドですが、私の目的は神の全能を否定する事。なので墓地のインフェルノイド2体を除外して、墓地から醜悪のクリファ(インフェルノイド·ヴァエル)を特殊召喚!」

 

 墓地から湧き出たのは、単眼で身体に黄色の真空管を備えた機械的な悪魔。コイツが神を殺す存在になる。

 

鏡子

「(インフェルノイド·ヴァエル)の効果発動。自分フィールドのモンスターを一体リリースして相手の墓地のカードを除外する……のですが、(シャドウディストピア)の効果により1ターンに1度、自分がコストとして自分フィールドのモンスターをリリースする場合、代わりに相手フィールドの闇属性モンスター1体をリリースできます。リリースするのは当然闇属性になった(ラーの翼神龍)!そして墓地の(ラーの使徒)を除外します」

 

フロンツ

 「馬鹿め!(ラー)は無敵の神なのだ!そんな効果は……」

 

 フロンツがあざ笑っている間に、(ラー)は無数の怨念に取り込まれどこかへ消えてしまった。

 

フロンツ

 「ば、馬鹿な!」

 

鏡子

 「確かに(ラー)にカードの効果は通用しないでしょう。しかし、これはカードの効果を発動する為の“コスト”なのです。よって(ラー)は為す術なく墓地に行ったのですよ。本来ならこのまま殴れば終了なのですが……間違って(ヴァエル)を守備表示で出してしまいました。よって私はこれでターンエンドです」

 

鏡子 LP3600 手札3 伏せ0

フィールド(闇黒世界一シャドウディストピア)

 

インフェルノイド·ルキフグス 守0

インフェルノイド·ヴァエル 守0

 

フロンツ LP3000 手札0 伏せ0

 

ラーの翼神龍 攻0

 

フロンツ

 「クッ……私のターンドロー!」

 

フロンツ 手札0→1

 

フロンツ

 「ま、まだだ!(死者蘇生)を発動!これで(ラーの翼神龍)を復活……」

 

鏡子

 「チェーンして(ヴァエル)の効果発動。フィールドの守備表示の(ルキフグス)をリリースして、墓地の(ラー)を除外!これにより、対象を失った(死者蘇生)は不発となります」

 

フロンツ

 「そんな……私の神がそんな馬鹿な……」

 

鏡子

 「そして墓地の(闇黒の魔王ディアボロス)の効果を発動。このカードが墓地に存在し、自分フィールドのカードがリリースされた場合、このカードを特殊召喚します」

 

闇黒の魔王ディアボロス 攻3000

 

鏡子

「さぁ、ターンを終了して下さい。フィールドは更地、手札は0。精々生き残れる様に神に祈って下さい。尤も、その神は私が除外したのですけどね」

 

 フロンツは絶望の中、ターンエンドを宣言した。

 

フロンツ LP3000 手札0

 

鏡子 LP3600 手札3 伏せ0

フィールド魔法(闇黒世界一シャドウディストピア)

 

闇黒の魔王ディアボロス 攻3000

インフェルノイド·ヴァエル 守0

 

 

鏡子

 「私のターンドロー」

 

鏡子 手札3→4

 

鏡子

 「少し味気ないですが、ここで幕引きとさせて頂きましょう。(ヴァエル)を攻撃表示にして(ディアボロス)と(ヴァエル)でダイレクトアタック!闇の魔王よ!神の尖兵達よ!神の力に溺れる愚か者を滅するのです!」

 

 魔王とインフェルノイドはそれぞれが持つ真空管や口から光線を放ち、フロンツのLPは一瞬で焼ききれた。

 

フロンツ LP3000→400→-2600

 

鏡子

 「対戦。ありがとうございました。貴方が己の力に向き合い、再びデュエル出来る日を、楽しみにしていますよ?」

 

 

〜〜〜

 

 ペガサス会長の説教が終わったタイミングで、十代が楽しげに話しかけてきた。

 

十代

 「お前すげぇな!あの(ラーの翼神龍)をあんなにあっさりと倒すなんて!」

 

鏡子

 「私は悪魔として、神に縋る愚か者に裁きを下したまでです」

 

ペガサス

 「ノンノン。貴方のタクティクスは実に素晴らしいものでした。お礼として何か出来ればいいのですが……」

 

 お礼か……ならペガサス会長にしか出来ない事をやってもらおうかな。

 

鏡子

 「お気遣いありがとうございます。では、しがない高校生のアイディアを聞いて頂けますか?」

 

十代

 「お、お前高校生だったのか!確かに身長は低いけど……雰囲気は悪役のそれだったぜ」

 

ペガサス

 「アイディアは大歓迎デース!」

 

鏡子

 「考えたのは、融合·儀式に続く第3、第4の召喚方法です。第3の方は簡単に言えば足し算召喚で、フィールドの表側表示で存在するモンスターのレベルの合計と同じモンスターを融合デッキから特殊召喚する方法です。」

 

 俺が説明を終えると、十代は眉間にシワを寄せて難色を示した。

 

十代

 「それだと……適当なモンスターが並ぶだけで強力なモンスターが出まくるから危ないんじゃないか?」

 

鏡子

「もちろんそれだけだとゲームバランスが危ないので、(チューナー)という特殊なモンスターを使う事で召喚難易度を少し上げてバランスを保ちます。名前は……【シンクロ召喚】でどうでしょう」

 

ペガサス

 「シンクロ召喚……とても良い響きデース」

 

 ペガサス会長はいつの間にかメモを取っていた。掴みどころの少ない会長だが、こういうところは真面目なんだな。

 

鏡子

 「次に行きますね?シンクロ召喚を足し算召喚とするなら、第4の召喚法は掛け算召喚です。フィールドの表側表示のレベルが同じモンスターを、融合デッキから特殊召喚したいモンスターの下に“置いて”特殊召喚します。」

 

十代

 「カードの下に置く?どういうことだ?」

 

鏡子

 「そのままの意味です。そのモンスターは下に敷かれている素材を墓地に送る事で、強力な効果を使う事が出来ます。後、そのモンスターはレベルとは違う『ランク』という階級を持ち、(レベル制限B地区)や(強者の苦痛)といった効果を受けない……なんてのも考えています。命名は【エクシーズ召喚】でどうでしょう」

 

ペガサス

 「なるほど、確かにそれらのロック系のカードの影響を受けずにデュエル出来るのは素晴らしいデース」

 

 ペガサスがペンを止めると、屈託のない笑顔で話してきた。

 

ペガサス

 「私が帰国したら、すぐにでも検討してみまショウ。とても有意義な時間でしたよパスカボーイ」

 

 ボーイか。まぁ前世は男だし問題ないな。

 

鏡子

 「こちらこそ、1デュエリストの戯言を聞いて頂き、有難うございました」

 

 俺が会長に頭を下げると、十代が興奮した様子で話してきた。

 

十代

 「な、なぁ!俺ともデュエルしようぜ!神のカードを破ったデュエリストと戦ってみたいんだ!」

 

 今ここでデュエルをすると原作に少なくない影響を与える。ここは適当に煙に巻こう。

 

鏡子

 「すまないが、神とデュエルをしたせいか疲れていてね。本調子じゃないんだ」

 

十代

 「そっか……残念だな」

 

鏡子

 「だが、世界は広いようで狭い。もしかしたら、どこかでまた会えるかもしれない。その時にデュエルをしましょう」

 

十代

 「……あぁ!約束だぜ!」

 

 こうして、神のカード騒動は終わりを告げた。

 でもこれだとこの格好でデュエル出来ねぇな。しゃあねぇ。暫くはこの服を着ないか、透子に役を譲るしかねぇな。




ようやくシンクロとエクシーズのフラグが立ちました。シンクロとエクシーズはまだ少し先です。


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14.光の道は氷の姫を溶かせるか?

 

〜 ホワイト寮 〜

 

明日香

 「お呼びですか?斎王様」

 

 明日香が部屋に入ってくると、斎王は椅子から立ち上がり向き直った

 

斎王

 「目覚めよ。光の使徒、天上院明日香」

 

 突然の発言に驚く明日香。斎王は明日香が次の発言をする前に行動し、瞳を紫に輝かせると、明日香の瞳から光が消えた。

 明日香を目を閉じ、再び目を開けた。

 

明日香

 「おはよう御座います斎王様」

斎王

 「天上院明日香。選ばれし者よ。今宵、白夜の元で結城十代を、そして古神透子を叩き潰すのだ」

 

明日香

 「十代を……そして透子を叩き潰す」

 

斎王

 「そして……我らの光の鍵を取り戻すのだ。新しき世界を取り戻す尊い鍵を」

 

明日香

 「仰せのままに……鍵を……」

 

 明日香は機械的に答え、部屋を後にした。

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

透子

 「(ライトロード·エンジェルケルビム)でダイレクトアタック!ジャッチメントフラッシュ!」

 

ホワイト生

 「光を……もっと光おぉぉぉ!」

 

 (ケルビム)の放つ光を浴びて歓喜の声を上げるホワイト生さん。まぁいつものことです。

 光が収まると、生徒さんは正気を取り戻し、白い制服に嫌悪感を感じるのもよくあることです。

 

ケルビム

 『よくやってるわね。貴方の活躍で、ホワイト生は少しずつ数を減らしているわ。でもまだまだ数が多いから、気張りなさい』

 

透子

 「はい、さっきは(次元の裂け目)、(閃光の追放者)を出されましたから、とても頼りになりましたよ?」

 

 私の側で大きな羽をパタパタさせているのは、(ライトロード·エンジェルケルビム)さん。腰まで伸びる長くて透き通った青い髪と、私が両手を伸ばしても届かないぐらい大きな翼が特徴の天使さんです。

 

 どうやら最近のパックに除外関係のカードが入っていたらしいです。ライトロードには逆風ですね……まぁ、たくさん出会うようだったら(メタファイズ)を使いましょう。

 

ライコウ

 『主!光の結社の構成員を発見した!姿は主がよく言っている明日香なる者と一致する!』

 

透子

 「っ!分かりました!案内して下さい!」

 

 (ライコウ)さんの後を追うと、そこにはこちらに背を向けて歩く明日香さんの姿が……

 

透子

 「明日香さん!」

 

明日香

 「透子……予定変更。まずは貴方から先に潰す」

 

 眼の前にいるのは、冷たい目をした明日香さんと似た別の何か。でも、必ずどこかに本当の明日香さんは眠っているんです。

 

透子

 「明日香さん……貴方を破滅の光から救ってみせます!」

 

 

 

〜 デュエルフィールド 〜

 

 明日香さん……私はあの日から、ずっと明日香さんを救う機会を待っていました。私のデッキを毛嫌いせずに見てくれたのはオベリスクブルーでは明日香さんだけなんです。だから助けます!絶対に!

 

透子·明日香

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私です!ドロー!」

 

透子 手札5→6 

 

透子

 「私はまず(ジャスティス·ワールド)を発動!そして(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ガロス)さんを墓地に送って2枚ドロー!そしてデッキトップから2枚カードを墓地に送ります。」

 

透子 手札6→5→4→3→5

 

 フィールドに眩い光に包まれて、光が収まると、そこには足場が雲で出来た世界が広がり、私の後ろには西洋風のお城が……これこそが(ライトロード)の皆さんの本拠地です。

 次の瞬間、お城の周りに光球が1つ灯りました。

 

透子

 「(ジャスティス·ワールド)の効果!デッキからカードが墓地へ送られる度にシャインカウンターを置き、ライトロードモンスターの攻撃力をカウンターの数×100アップさせます」

 

透子

 「そして(ライトロード·サモナールミナス)を守備表示で召喚して効果発動!手札を1枚捨てて、レベル4以下のライトロードモンスターを蘇生します!来て!(ライトロード·ウォリアーガロス)!」

 

透子 手札5→4

 

ルミナス

 『さて、僕の仕事を始めるよ!』

 

 (ルミナス)さんが魔法陣を構築すると、そこから(ガロス)さんが飛び出してきました。

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

 

透子

 「私はこれでターンエンド。エンドフェイズにライトロードモンスターの強制効果発動!(ルミナス)さんは3枚墓地へ送り、そして(ジャスティスワールド)にシャインカウンターを1個のせます。」

 

 私がデッキからカードを墓地に送ると、お城の周りに更に1つの光球が浮かびました。

 

透子

 「(ガロス)さんの効果発動!フィールドのライトロードモンスターの効果によって自分のデッキからカードが墓地へ送られた場合に追加で2枚デッキから墓地へ送り、送られたライトロードモンスターの数だけカードをドローします!送られたのは(ライトロード·シーフライニャン)と(ギャラクシー·サイクロン)!よって1枚ドロー!更にシャインカウンターを1個のせます」

 

透子 LP4000 手札4→5 残デッキ26 伏せ0

 

フィールド

(ジャスティス·ワールド)カウンター3

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850→2150

 

明日香 LP4000 手札5 伏せ0

 

明日香

 「私のターンドロー!」

 

明日香 手札5→6

 

明日香

 「私は(雪の妖精)を召喚。このカードがある限り、相手は魔法カードをセットしなければ発動できず、セットしたターンに発動することもできない。」

 

雪の妖精 攻1100

 

 現れたのは、人形の様に生気を感じない妖精。それにしても、鏡子が(バージェストマ)に入れるよう勧めてた(魔封じの芳香)みたいなカードですね。あれはお互いに効果を及ぼすものでしたけど……

 

明日香

 「そして永続魔法(白夜城-ホワイトナイツ・フォート)を発動!」

 

 明日香さんの背後に、氷柱で出来たお城が姿を現しました。

 

ルミナス

 『う、うぅ……寒い……』

 

ガロス

 『確かにこの寒さは少し堪えるな……』

 

 ライトロードの2人も言っていますが……寒い。ミネルバさんの薄い服では凍えてしまいそう……あれ?でも刺すような寒さはありませんね。この服には不思議な力があるのでしょうか……

 

明日香

 「このカードによって、お互いのプレイヤーは、相手のターンに罠カードを発動する事ができないわ」

 

 今度は罠封じですか……まぁ私のデッキに罠はほぼ入っていません。本当はたくさん入れたいんですけどね……

 

明日香

 「バトル!(雪の妖精)で(ライトロード·サモナールミナス)を攻撃!」

 

 (雪の妖精)は空を舞い、指先から冷凍ビームを放ち、(ルミナス)さんを氷漬けにして破壊してしまいました。おへそを出している分余計に寒そうでした。

 

明日香

 「私はターンエンド」

 

明日香 LP4000 手札4枚 伏せ0

 

雪の妖精 攻1100

 

白夜城-ホワイトナイツ・フォート

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

   残デッキ26

フィールド

(ジャスティス·ワールド)カウンター3

 

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850→2150

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

 透子 手札5→6

 

 う〜ん。相手の伏せはなし、鏡子曰く、相手ターンに手札から発動するカードはまだ多くはないらしいから、ここはそのまま攻撃してメインフェイズ2で展開しましょう。

 

透子

 「バトルフェイズ!(ガロス)さんで(雪の妖精)を攻撃!」

 

 (ガロス)さんは一瞬で(雪の妖精)との距離を詰め、たった一突きでそれを粉砕してみせました。

 

明日香 LP4000→2950

 

透子

 「メインフェイズ2!(光の援軍)の効果発動!コストでデッキトップから3枚墓地に送って、レベル4以下の(ライトロード)モンスター(ライトロード·アサシンライデン)を手札に加えます!そして(ジャスティス·ワールド)にシャインカウンターを1つ置きます」

 

透子 6→5→6

シャインカウンター3→4

 

 私の背後で城に光球が灯り、光のゲートから犬顔の戦士が……

 

透子

 「墓地に送られた(ライトロード·ビーストウォルフ)の効果発動!デッキから墓地へ送られた時に墓地から蘇生します!」

 

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100→2500 

 

ウォルフ

 『ん?あぁ任務か……気づいたらフィールドに居たよ』

 

 (ウォルフ)さん……寝ぼけているんですかね?とても攻撃力2100あるとは思えません。

 

透子

 「私は(死者転生)を発動!手札のモンスターを1枚捨てて発動して、墓地の(ルミナス)さんを手札に加えてそのまま守備表示で召喚。効果を発動して、コストとして手札の(ライデン)さんを捨ててそのまま(ライデン)さんを対象に蘇生!」

 

透子 手札6→5→4→5→4→3

 

ルミナス

 『さ、寒い……でも頑張らないと!』

 

 (ルミナス)さんは身体をブルブル震わせると、両手に紫色の光を滾らせて、地面に手を付けて地面に魔法陣を構築し、(ライデン)さんを呼び出しました。

 

 ちなみに、コストで捨てたモンスターをそのまま蘇生出来るのは昨日初めて知りました。これをするだけで展開力が凄いことに……

 

透子

 「(ライデン)さんの効果発動!効果でデッキからカードを2枚墓地に送ります。この効果で墓地へ送ったカードの中に(ライトロード)モンスターがあった場合は更にこのカードの攻撃力を、相手ターン終了時まで200アップします!そして(ジャスティスワールド)にシャインカウンターを1個のせます」

 

 (ライデン)さんの効果で送られたのは……(パラディンジェイン)さんと(光の援軍)。

 

ライトロード·アサシンライデン 攻1700→1900→2300

シャインカウンター 4→5

 

透子

 「(ガロス)さんの効果発動!追加で2枚墓地に送り、送られたライトロードモンスターの数だけカードをドロー!」

 

 送られたのは……(ライコウ)さんと(ライトロード·モンクエイリン)。

 

透子

「墓地に送られた(ライトロード)モンスターは2枚なので2枚ドロー!更にシャインカウンターをのせます!」

 

透子 手札3→5

シャインカウンター5→6

 

透子

 「私はこれでターンエンド。エンドフェイズ時にフィールドの(ルミナス)さん、(ライデン)さんの効果発動!(ルミナス)さんは3枚、(ライデン)さんは2枚デッキから墓地に送ります!そしてシャインカウンターを2つ置き、(ガロス)さんの効果が2回発動!合計4枚を追加で墓地に送ります!」

 

 送られたライトロードモンスターは……1枚!

 

透子

 「ライトロードモンスターが1枚落ちたので1枚ドロー!更にシャインカウンターを2個置きます!」

 

透子 LP4000 手札5→6

   残デッキ5

フィールド

ジャスティスワールド カウンター8

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850→2650

ライトロード·アサシンライデン 攻1900→2700

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100→2900

 

ガロス

 『中々いいフィールドだ。だが気をつけろ透子。何か嫌な予感がする』

 

 そ、そういうのはターンを終える前に言って下さいよ……まぁ何か出来る訳ではありませんが……

 

明日香

 「こ、これは……確かにこんなフィールドを作られては、並のデュエリストでは歯が立たないわね。私のターンドロー!」

 

明日香 手札4→5

 

明日香

 「私は(強欲な壺)を発動。カードを2枚ドロー。(サイクロン)を発動して(白夜城-ホワイトナイツ・フォート)を破壊!」

 

明日香 5→4→6→5

 

 自分のカードを破壊!?これで明日香さんのフィールドがガラ空きに……ん?ガラ空き……まさか!?

 

明日香

 「流石に貴方が渡したカードだから知ってるわよね?手札から魔法カード(ライトニング·ストーム)を発動!自分フィールドに表側表示のカードが存在しない場合、相手フィールドのモンスターか魔法罠のいずれかを選択して、全て破壊する!私は当然モンスターを選択!」

 

明日香 手札5→4

 

 最悪の予想が命中し、猛烈な雷で私のフィールドが一瞬で吹き飛ばされました。不味いです、このままだとまともな展開が出来ずに負けるか、ライブラリアウトで負けてしまいます!

 

明日香

 「私は(生贄の氷柱)を発動!自分のモンスターゾーンを1つ使用不能にして、自分のフィールドに氷柱トークンを特殊召喚するわ」

 

明日香 手札4→3

 

生贄の氷柱(アニメオリジナル)

通常魔法

自分のモンスターカードゾーンから1ヵ所を指定して発動する。

指定したモンスターカードゾーンはこのデュエル中使用できない。

その後、自分フィールド上に(氷柱トークン)(水族・光属性・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。

モンスターのアドバンス召喚する場合、このトークンは1体で2体分のリリースする事ができる。

 

明日香

 「そして私は2体分の生贄になれる氷柱トークンを生贄に、(青氷の白夜龍)を召喚!」

 

明日香 手札3→2

 

 出てきたのは、氷で出来た竜。なんとなく、(青眼の白龍)に似ている気がします。

 

明日香

 「バトル!(青氷の白夜龍)でダイレクトアタック!」

 

 氷の龍から放たれる氷の光線が私を貫くと、全身が凍える感覚に襲われました。

 

透子 LP4000→1000

 

 ソリッドビジョンにしては寒さが強すぎます……全身の感覚が無くて立つのすらやっとですよ……

 

明日香

 「私はこれでターンエンド」

 

明日香 LP2950 手札2 伏せ0

 

青氷の白夜龍 攻3000

 

透子 LP1000 手札6 伏せ0

   残デッキ5

フィールド

ジャスティスワールド カウンター8

 

 残りデッキはたった5枚、体もボロボロ。一体何を引けば勝てるのでしょうか?とにかくドローしないと……

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札6→7 残デッキ5→4

 

くっ……(ソーラーエクスチェンジ)……でも逆転するには使うしかない!

 

透子

 「(ソーラーエクスチェンジ)を発動!手札の(ライトロード·プリーストジェニス)さんを捨てて2枚ドロー!その後、自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送ります!」

 

 このドローに、私の……明日香さんの運命が決まっている!

 

透子

 「お願い!運命のドロー!その後にデッキから2枚墓地に送り、シャインカウンターを置きます」

 

透子 手札7→6→5→7 残デッキ4→2→0シャインカウンター8→9

 

 退路は断たれた……でもカードは揃った!墓地の落ちもとても良い!

 

透子

 「私は墓地に送られた(ウォルフ)さん2体を特殊召喚!(ウォルフ)さん1体を生贄に……」

 

 (ウォルフ)さんが光に包まれ、私の最大火力が姿を現しました。

 

透子

 「光の天馬よ!聖なる光の元で、悪しき光を払い大空を制せ!(ライトロード·ドラゴングラゴニス)!」

 

ライトロード·ドラゴングラゴニス 攻2000→2900

 

明日香

 「シャインカウンターが乗っていても、攻撃力は2900!(青氷の白夜龍)には届かないわ」

 

透子

 「まだです!(グラゴニス)さんの永続効果!このカードの攻守は、自分の墓地のライトロードモンスターの種類×300ポイントアップします!私の墓地にはデッキに入っているほぼ全てのライトロードモンスター15種類が眠っています!つまり15×300アップとシャインカウンターの効果で攻撃力7400!」

 

 (グラゴニス)さんは背中に大量の光球を取り込み、甲高い咆哮を上げました。

 

ライトロード·ドラゴングラゴニス 攻2000→6500→7400

 

透子

「バトル!(グラゴニス)さんで(青氷の白夜龍)を攻撃!ジャッチメントキャノン!」

 

 (グラゴニス)さんの放った巨大な光弾は、(青氷の白夜龍)を容易く飲み込み、後ろの明日香さんも膨大な光で包み込んでしまいました。

 

明日香 LP2950→-4450

 

透子

 「明日香さん!」

 

明日香

 「あれ……私は何を……」

 

 頭を抱えながら立ち上がる明日香さん。よかった……自力で立ち上がれたんですね。4000もオーバーキルしたからてっきり立ち上がれないのかと……

 

透子

 「明日香さんは少し眠っていただけなんです何も心配する事はありませんよ。さぁ、ブルー寮に帰りましょう?」

 

明日香

 「え、えぇ……分かったわ」

 

 私は明日香と共に寮に戻り、今までの明日香さんの事を話すことになりました。

 

 それにしても……まさかここまで回るとは思いませんでした。このままではライブラリアウトを気にしなければ戦えません。折角ですから……10枚ぐらい増やしてみましょうかね。



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15.ジェネックス最終戦!予期せぬ来客

 

〜 アカデミア前 〜 

 

 ジェネックスも終盤に突入し、残っているデュエリストはプロ含めてあまり多くない。まぁ原因は俺が根こそぎ暗黒界で轢き潰したせいなんだけどな。

 

 さぁーて次の相手は……お!万丈目じゃん!

 

鏡子

 「万丈目!早速だがデュエルを……」

 

万丈目

 「鏡子か……すまないが俺はメダルが無いからデュエルが出来ない……」

 

 エクシーズないとはいえ、現代おジャマ握ってる万丈目を倒せる程のデュエリストは中々いない筈なんだが……手札が事故ったのか(魔封じ)撃たれたのか……

 

??

 「ねぇ、そこのあなた。私とデュエルをしない?」

 

 そこにいたのは、俺と同じぐらいの身長の女の子。デュエルを誘われたら、断る理由は無い!

 

鏡子

 「もちろん受けてたつ。俺は邪神鏡子。自分で言うのもあれだが、このアカデミアでは(邪神)や(魔王少女)なんて渾名で呼ばれている」

 

レイ

 「私は早乙女レイ!あなたの噂は聞いた事があるわ。目の前のデュエリストを問答無用に叩き潰して、デュエリストの魂を砕く悪魔のデュエリストってね!それでも私はジェネックスで優勝して、オシリスレッドに入るんだから!」

 

 周りからそんな風に言われてたのかよ……まぁその通りなんだがな。

 

鏡子·レイ

 「デュエル!」

 

レイ

 「先攻は僕だよ!ドロー!」

 

 レイ 手札5→6

 

レイ

 「私は(マンジュゴッド)を守備表示で召喚して効果発動!デッキから儀式モンスター(占術姫タロットレイ)を手札に加えて儀式魔法(聖占術の儀式)を発動!手札からレベル9の(禁忌の壺)を生贄にレベル9の(占術姫タロットレイ)を儀式召喚!」

 

レイ 手札6→5→6→5→3

 

 え?(占術姫)?確かそれってARC-Vのテーマだったよな?なんでそんなものを持ってんだ?

 

鏡子

 「なぁ、つまらない事を聞くが、そのカードはどこで手に入れた?」

 

レイ

 「私がこのジェネックスに参加する時にお父さんがプレゼントしてくれたの。このデッキで、十代様の心を撃ち抜いて見せます!」

 

 プレゼントねぇ……まぁいいか。俺というイレギュラーもいるしな。少しぐらい未来のカードが混じっている事もあるだろう。

 

レイ

 「僕はこれでターンエンド!そしてエンドフェイズに(タロットレイ)の効果発動!墓地の(禁忌の壺)を裏側守備表示で特殊召喚!」

 

レイ LP4000 手札3 伏せ0

 

占術姫タロットレイ 攻2700

マンジュ·ゴッド 攻1400

セットカード

 

 占術姫……リバーステーマである事と(タロットレイ)が(太陽の書)と(月の書)内蔵しているぐらいしか知らねぇんだよな……まぁなんとかなるだろう。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

 (禁忌の壺)は確か(強欲な壺)と(サンボル)、(羽根箒)の効果を選んで使う効果があった筈。どうにかリバースされる前に効果破壊しないとな……

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー!そして(トレード·イン)を発動して(グラファ)墓地送って2枚ドロー!」

 

鏡子 手札6→5→6→5→6→5→4→6

 

 見せてやろう。俺の新しい(暗黒界)を!

 

鏡子

 「カードを2枚セットして(未開域のサンダーバード)の効果発動!相手は俺の手札を選び、俺はそれを捨てる。捨てられたのが(サンダーバード)ならそのまま捨てられて、違かったら手札からこいつを特殊召喚して1枚ドローする!さぁ選べ!」

 

レイ

 「凄く変わった効果ね……私は右から2番目を選ぶわ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(スノウ)!不正解なので(サンダーバード)を特殊召喚して1枚ドロー!そして(スノウ)の効果で(暗黒界の門)をサーチ!」

 

鏡子 手札6→4→3→4→5

 

鏡子

 「(暗黒界の門)発動!墓地の(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー。よし!(未開域のビッグフット)の効果発動!(サンダーバード)と効果は同じだ!」

 

鏡子 手札5→4→3→4→5

 

レイ

 「また!?……私は右端を選ぶわ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(ベージ)!(ビッグフット)を特殊召喚して1枚ドロー。そして捨てられた(ベージ)は自己蘇生する!」

 

 うんざり気味なレイ。すまないな。このデッキはそれなりにソリティアするデッキだからな。

 

鏡子

 「(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(ゴルド)を除外!よしきた!(生還の宝札)を発動!効果は知ってるな?(ベージ)をバウンスして(グラファ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札5→4→5→4→6→5→4→5→6

 

鏡子

 「来たぜ(天使の施し)ぃ!3枚ドローして2枚捨てるぅ!そして捨てられた(ブラウ)は1枚ドローして(スノウ)は(暗黒界の門)をサーチ!」

 

鏡子 手札6→5→8→6→8

 

鏡子

 「(おろかな埋葬)を発動して(グラファ)を墓地へ送って(暗黒界の門)を張り替えて、墓地の(ブラウ)を除外して発動!1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は蘇生して(宝札)でドロー!(ベージ)をバウンスして(グラファ)!(宝札)でドロー!」

 

鏡子 手札8→7→6→5→6→7→8

 

鏡子

暗黒界の門

 未開域のサンダーバード攻2800

 未開域のビッグフット 攻3000

 暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

 暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

 

 

 除去が来なかったか……仕方ない。(壺)は放置して、リバースモンスター増やしてくる(タロットレイ)を潰すか。残したらリバースモンスターを表側表示にされてアド稼がれるからな。

 

鏡子

「バトルフェイズ!(グラファ)で(タロットレイ)を攻撃!」

 

レイ

 「この瞬間を待ってたよ!(タロットレイ)の効果発動!(禁忌の壺)を表側攻撃表示にする!これによって(禁忌の壺)のリバース効果発動!私はあなたのモンスターを全て破壊する効果を選ぶ!サンダーポッド!」

 

 姿を現したのは、禍々しさを漂わせる壺。壺から猛烈な雷が迸り俺のモンスター達を焼き払った。

 

鏡子

 「まじかよ!(タロットレイ)の効果誘発即時効果かよ!しょうがねぇなメインフェイズ2!手札の(ビッグフット)の効果発動!さあ選べ!」

 

レイ

 「ま、まだ動けるの!?右から3番目!」

 

鏡子

 「手札が8枚もあるんだ!通常召喚を殆どしないのだから動けない道理など無い!捨てられたのは(BF-精鋭のゼピュロス)!(ビッグフット)を特殊召喚して1枚ドロー!そして墓地の(ゼピュロス)の効果発動!デュエル中に1度、表側表示の(暗黒界の門)をバウンスして自己蘇生して400のバーンを受ける。(宝札)でドロー!」

 

鏡子 4000→3600 手札8→7→8→9→10

 

鏡子

 「さっきバウンスした(暗黒界の門)を発動!(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられたのは(ベージ)!自己蘇生して(宝札)でドロー!更にバウンスして(グラファ)蘇生!(宝札)は使わない」

 

鏡子 手札10→9→8→9→10

 

鏡子

 「カードを2枚伏せて(サンダーバード)の効果発動!ババ抜きの時間だ!」

 

鏡子 手札10→8

 

レイ

 「うぅ……真ん中のカードを選ぶ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは……あらら、(サンダーバード)だ。今までよく引かれなかったなと言うべきだな。(サンダーバード)は捨てられると伏せを破壊するんだが、伏せがないので効果は使わない」

 

 ホッと安堵の息を吐くレイ。だがそんなんで止まると思わない方がいいぞ。

 

鏡子

 「こんだけぶん回したが、俺はまだ通常召喚をしていない。(ベージ)を通常召喚してバウンスして(グラファ)。(宝札)でドロー。伏せていた(魔法石の採掘)を発動。コストで手札を2枚捨てて、墓地の魔法カード(天使の施し)をサルベージ。カードを2枚セットしてターンエンド」

 

鏡子 手札8→7→8→9→7→8→6

 

鏡子 LP3600 手札6 伏せ5 残デッキ9

 

BF-精鋭のゼピュロス 守1000

未開域のサンダーバード 攻2700

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

 

レイ

 「まさかフィールドを更地にしても巻き返してくるなんて……僕のターンドロー!」

 

レイ 手札3→4

 

 「くっ……(強欲な壺)を発動!カードを2枚ドロー!」

 

レイ 手札4→3→5

 

 おう、さも当然の如く壺を引くんじゃないよ。俺も(メタファイズ)に入れてるが、専ら(抹殺の指名者)の除外用なんだぞ。

 

レイ

 「来た!モンスターをセット。カードを1枚セットして(タロットレイ)の効果で(メタモルポット)をリバース!」

 

レイ 手札5→4→3

 

鏡子

 「暗黒界相手に(メタポ)とは血迷ったか!……いやまて、まさかライブラリアウト狙いか!」

 

レイ

 「その通り!(メタモルポット)の効果でお互いの手札を全て捨てて5枚ドロー!」

 

鏡子

 「チェーンして(貪欲な瓶)!逆順処理で墓地の(暗黒界の取引)2枚、(暗黒界の門)、(未開域のビッグフット)、(未開域のサンダーバード)をデッキに戻してシャッフルして1枚ドロー!そして(メタポ)の効果で手札交換だ!」

 

鏡子 手札6→7→0→5 

残デッキ9→14→13→8

 

レイ 手札3→0→5

 

鏡子

 「フィールドが埋まってるので捨てられた(ベージ)3枚は特殊召喚しないが、(ブラウ)は1枚ドロー(スノウ)2枚の効果は対象がいないので発動しない!」

 

鏡子 手札5→6

残デッキ 8→7

 

レイ

 「躱された……流石は邪神だね。だったらこうだよ!速攻魔法(月の書)を発動!(メタモルポット)を裏側守備表示にして、墓地の(ADチェンジャー)を除外して発動!(メタモルポット)を攻撃表示に……」

 

鏡子

 「トラップカード(バージェストマ·ディノミスクス)発動!効果で手札1枚捨てて、表側のカード(タロットレイ)を除外!手札交換だぁ!」

 

鏡子 手札5→0→5 残デッキ7→2

レイ 手札4→0→5

 

鏡子

 「そして捨てられた(ビッグフット)の効果発動!(メタモルポット)を対象に破壊だぁ!他は発動しない!」

 

 (タロットレイ)は腐食して破壊され、墓地から飛び出した巨大な猿の様な生き物は、(タロットレイ)を張り手一発で粉砕して墓地に帰っていった。

 

レイ

 「まさかひっくり返されるなんて!私はカードを1枚セットして、これで……ターンエンド!」

 

レイ LP4000 手札5 伏せ1

 

鏡子 LP3600 手札5 伏せ0 残デッキ2

 

BF-精鋭のゼピュロス 守1000

未開域のサンダーバード 攻2700

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6 残デッキ2→1

 

鏡子

 「決めるならここしかねぇ!(暗黒界の取引)を発動!1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(サンダーバード)の効果発動!その伏せカードを破壊!」

 

鏡子 手札6→5→6→7→6

   残デッキ1→0

 

 レイのフィールドに放たれた無数の雷で、伏せられていた(聖なるバリアーミラーフォース)を砕いた。

 

レイ

 「ミ、(ミラーフォース)が!」

 

鏡子

 「よし!(ゼピュロス)をリリースして(シルバ)をアドバンス召喚!バトルフェイズ!3体目の(グラファ)を先陣に、全員でダイレクトアタックだ!」

 

 (グラファ)3体の放つ濃密な闇の瘴気で、(シルバ)の神速の剣技で、(サンダーバード)の雷で、レイのLPは一瞬で消し飛ばされた。

 

レイ LP4000→-5000→-7600→-10400

 

 

鏡子

 「ガッチャァ!白熱した良いデュエルだったぜ!」

 

 それにしても危ねぇ……危うくライブラリアウトされるとこだったわ。あの場面で(スキドレ)があったらさっくり倒せたのに……ウイルスカードがあればもっと楽に盤面を荒らせたのに……

 

 こんな事をぼやいているのは、今日の朝に原因がある。

 

 

〜 校長室 〜

 

 それは朝飯が終わってすぐの出来事。校内アナウンスで校長室に招かれて、鮫島校長の話を受ける事になった。

 

鏡子

 「で?俺に何か用があるんですか?」

 

鮫島

 「来たかね透子君。君は、デュエルについてどう考えているかね?」

 

 その時の俺は突然の哲学的質問に困惑しながらも、デュエルの戦術について聞かれているのだと察した。まぁ、リスペクトデュエルを信念とする校長に呼ばれるということは“そういう”事だからな。

 

鏡子

 「カイザー……いや、今のヘルカイザー亮にも言いましたが、デュエルとは手札とフィールド……ある時は墓地の枚数の合計。所謂アドバンテージを元に戦っていくゲームだと考えています。自分のアドが多ければ多い程、相手のアドが少なければ少ない程有利になる。だから私は如何に少ないリソースの消費で、相手の選択肢を潰すかに力を注ぎ今まで勝利を収めてきました」

 

鮫島

 「そうですか……ではあなたは相手、そしてモンスターをリスペクトした事はありますか?」

 

 相手ならまだしもモンスターを?無いね。シビアに言えば、モンスターはリソースの一種。それ以上でもそれ以下でもない。まぁ仲間意識が無いと言えば嘘になるが。

 

鏡子

 「相手のリスペクト……まぁデュエルは置いておいて、悔しいからリベンジしたいと思わせる程度には心がけています。相手を過度にバカにする、相手のカードを侮辱する。そんな事をした事はありません。モンスターには……考えた事すらありませんね。モンスターはリソースの一部。それを別のアドバンテージに変えるのに、何の躊躇いがいるんです?」

 

 俺がそう答えると、鮫島校長は残念そうにため息をついた。

 

鮫島

 「まぁそうですね……そう考えていなければ、あんな事は出来ませんよね」

 

 鮫島校長は、インフェルノイドモンスターをリリースして(火霊術-「紅」)でバーンしたり、(グラファ)をウイルスの媒体にしたりしている事に強い不審感を抱いている事を伝えてきた。

 

鏡子

 「俺にとってデュエリストとはありとあらゆる方法で勝利を模索し、手持ちのカードの持ち味を最大限に活かす生き物であると考えています。(グラファ)は簡単に自己蘇生出来るんだからそれを活かす為にウイルスで墓地に送って、自己蘇生させればさらなるアドが稼げるんです。使わない手は無いでしょう?」

 

鮫島

 「本当に……ヘルカイザー亮と同じ事を言うのですね」

 

 鮫島校長は、ヘルカイザー亮について語り始めた。何でも勝利を渇望したヘルカイザーは、サイバー流の闇に葬られた裏デッキを鮫島師範から奪い取ってしまったんだそうだ。それ以降、ヘルカイザーは裏デッキを使い大会で活躍しているそうだ。

 

 ヘルカイザーの活躍は知っている。その時は普通に(サイバー·エンド)を出していたけど、あのデュエルには勝利への執念を感じる、デュエリストとして最適な姿勢を感じられたから俺は強く評価している。弟の翔はそうは感じなかったようだけど。

 

鮫島

 「私は、ここの生徒達がヘルカイザーの様に、相手をリスペクトしないデュエリストにはなって欲しくないのです。それは多くのプロデュエリストを蹂躪し、引退に追いやったあなたにも当てはまります。せめてジェネックスの最終日だけは、妨害を少なくして、相手をリスペクトしたデュエルをして欲しいのです」

 

 鮫島校長の静かな願い。それを聞いた俺の感想は「下らない」。それだけだった。

 

 俺がいた元の世界。それはこことは文字通り次元の違う修羅の世界。まともな妨害を残さずにターンを返せば、捲られて制圧されるか後攻ワンキルの2択を突きつけられたりする。その世界で長く生きてきた俺にとって、リスペクトなんて戯言でしかなかった。

 

鏡子

 「お言葉ですがリスペクトなんてものは、展開が遅く強力な妨害を敷けない人達の言い訳にしか聞こえませんね。デュエルは勝利を目指すのが目的のゲーム。仲間達とワイワイやるならその限りではありませんが、このジェネックスは大会であり勝利を目指す場所です。貪欲に、そして姑息に勝利を求めて何が悪いんですか?」

 

鮫島

 「リスペクトを否定するのですか……ならば仕方ありません。アカデミアの理念を否定するデュエリストはここにいるべきではありません……ここは退学を……」

 

 くそ!ここで権力を振るうか!流石に退学は困る!

 

鏡子

 「くっ……わかりましたよぉ!やってやりますよこの野郎!」

 

 こうして、校長の目の前で(スキドレ)と(ウイルス)類を抜く羽目になったのだった。

 

〜〜〜

 

 くそ……今思い出しても腹がたつ。何が何でもあの校長に1杯食わせてやる。

 

 そういえば……ジェネックス優勝者にはなんか貰えるんだよな……それでなんかしてやろう。

 

 考えを纏めた俺は、視線を前に向けると未だに倒れたままのレイの姿があった。

 

鏡子

 「おいレイ!大丈夫か!」

 

レイ

 「う、うぅ……大丈夫……流石は邪神だよ。まるで歯が立たなかった。余りにもキレイに負けたから、逆に清々しいよ」

 

 フラフラなレイを立たせると、レイは軽く笑ってきた。

 

鏡子

 「いや、俺がデッキを大量に消費する事を知ってデッキ破壊を仕掛けてきたんだから大したもんだよ。デュエリストは相手のデッキにメタを張る生き物だからな……まぁ、ウイルスとか(スキドレ)があったらもっと楽だったのにさ……あの校長の野郎がよぉ……」

 

レイ

 「つまり手加減されてた状態だったのね……悲しいわ……」

 

 そんなこんなを話していると、ジェネックスが終了のアナウンスが鳴った。

 

 結果は、俺が1位で優勝となった。まぁメダルが持ちきれないぐらいあるし当然だよな。

 

 

〜 大講義室 〜

 

 そして一位になった俺は、何か欲しい物があるかと鮫島校長に聞かれた。その時、俺の耳に“何でも”という魔法の言葉が耳に入った。ここで、1杯食わせてやる!

 

鏡子

 「ん?今なんでもって言ったよな?それじゃあ……(神炎皇ウリア)をくれ!」

 

 その瞬間、場は沈黙で包まれた。そりゃあ三幻魔のカードが欲しいなんて言えば場は凍りつくよな。

 

鮫島

 「し、(神炎皇ウリア)ですか……一応理由を聞かせて下さい」

 

鏡子

 「理由?そんなん(ウリア)を使いこなす為に決まってんだろ!俺だって影丸理事長のデュエルは見ていた。たがらこそ理事長以上に使いこなしてみたいと思った!(名推理)で大量の永続罠を肥やし、どうにか特殊召喚して1万超えの大打点でパンチ!最高じゃねぇか!チェーン不可の伏せ除去効果も悪くないしな!」

 

鮫島

 「し、(神炎皇ウリア)の活用方法は分かりました。でも、流石に三幻魔のカードを渡すわけには……」

 

 まぁ知ってた。その為の第2プランを用意してあるのだよ。

 

鏡子

 「だったらドローパン10個!校長の奢りで!」

 

鮫島

 「そ、そうですか……まぁ三幻魔よりはマシです。閉会式が終わり次第、買いに行きましょう」

 

 こうしてジェネックスは閉幕し、俺と透子は(イチゴジャム味)や(カレー味)といったまともな味のドローパンにありつけてささやかな幸せを噛み締めた。

 

 後日十代と出会ったが、なんでも斎王と世界を賭けたデュエルをしていたらしい。その時透子は役目を果たせなかったと悲しんでいたが、面倒な事は避けられたと俺は思っている。

 

 俺はただデュエルを楽しむだけ、面倒な事は原作主人公である十代に押し付けてやればいいのさ。

 



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異世界編
16.新たな召喚法!新学年に備えて


〜 オベリスクブルー寮 〜

 

 2学年の最後の授業が終わってはや数日。私は(ライコウ)さんを撫で回しながらゆったりソファーで寛いでいると、明日香さんからメールが来ました。

 

 なんでも新しい召喚方法「シンクロ召喚」というものが実装され、シンクロ召喚で出せるシンクロモンスターと、シンクロ召喚に必要なチューナーという種類のモンスターが、3日後に発売される次のパックに入っているという情報が入ってきたそうです。

 そして、シンクロ召喚の概要は、職員室の前の掲示板に貼られているそうです。

 

 更に新たな召喚方法も近々発表するらしく、そのやり方とカードの仕様の一部も職員室に貼られているらしいです。

 

透子

 「シンクロ召喚ですって。(ライコウ)さん、面白そうな召喚方法ですね」

 

ライコウ

 「クゥ〜ン……確かにぃ……我々は融合召喚や儀式召喚は使えないからなぁ〜〜もしそのシンクロモンスターに強力なモンスターが出せる物があるなら……ぜひ活用したいものぉ〜〜」

 

 普段は真面目で凛としている(ライコウ)さんですが、一度アゴ周りか頭を撫でるとトロトロのフニャフニャになってしまいます。そこが可愛いんですよね。

 

ライデン

 「あぁ、透子。(ライコウ)と遊んでいる時にすまないが、これを見てくれないか?」

 

 (ライデン)さんはそう言って、私にカードを手渡して来ました。

 

透子

 「これは……(ライデン)さんのカード……チューナー?」

 

 (ライデン)さんのカードには、戦士族の文字の横に(チューナー)の文字が。これって……

 

ライデン

 「ええ、何故かは分かりませんが私のカードにチューナーの文字が入っていたんです。理由はともかく、私を使う事でシンクロ召喚を無理なく実行できるという事になりますね」

 

 まさかこんなにあっさりと新召喚法を試せる時が来るなんて……シンクロ召喚のルールをはやく把握して、シンクロモンスターを用意出来れば、すぐにシンクロ召喚の波に乗れます。

 

透子

 「フフフ……楽しみですね。(ライデン)さん、(ライコウ)さん」

 

 私は一旦(ライコウ)さんを撫でるのを辞めて、職員室前へ足を運びました。

 

 

 

〜 3日後 〜

 

透子

 「はぁ……はぁ……疲れたぁ……」

 

 どうにか……パック争奪戦を制して3パックだけ買うことが出来ました。早速開けてみましょう。

 

 結果は、とりあえずシンクロモンスターは入っていました。ただ……

 

入手したシンクロモンスター

·(大地の騎士ガイアナイト)

·(ナチュル・ガオドレイク)

·(スクラップ・デスデーモン)

·(蘇りし魔王 ハ・デス)

·(浮鵺城)

 

 ……どれも私の(ライトロード)デッキに合いそうにありません。(ガイアナイト)と(ガオドレイク)、(スクラップ・デスデーモン)は効果のないモンスターですし、(ハ・デス)は専用のチューナーとアンデットモンスターが必要ですし、(浮鵺城)に至ってはそもそも蘇生対象であるレベル9のモンスターが墓地にいないと効果を発動出来ないのでデッキに入りません。まぁ、(ガオドレイク)は(ナチュル)デッキに入れておきますけど……

 

ミネルバ

 「き、気にしないで下さい透子さん!何が入っているか分からないのがパックなんですから仕方ないですよ!そ、そもそも目玉であるシンクロモンスターが5枚も出たんですよ!寧ろラッキーですよ!」

 

 た、確かにそうなんですけど……こう……ねぇ?なんか残念な気持ちです。せっかくワクワクしてたのに……人にもみくちゃにされて疲れたので一眠りしましょう。

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「よっと、今日の見張りは(ミネルバ)ちゃんか。相変わらず可愛いな」

 

ミネルバ

 「ほ、褒められるのは嬉しいですけど……褒めても何もでませんよ?」

 

 意識を奪って辺りを見回すと、正面に(ライトロード·メイデンミネルバ)の姿があった。なんとなく褒めてみると頬を赤らめた。かわいい。

 

 さてと……シンクロが解禁されたと聞いたが……おっ、パックじゃん。透子のやつは何を開けたんだ?

 

透子

 「うわぁ……大ハズレじゃん。5枚のうち3枚がバニラ、(ハ·デス)はサポートが無いと効果が使いづらいカード。(浮鵺城)はまぁ9シンクロを使うデッキなら入るけど持ってないしな……」

 

 よし、せっかくだし異世界ショッピングでカードを揃えてやろう。その為にはそこの可愛こちゃんには静かにしてもらわないとな。

 

透子

 「(ベージ)、(ミネルバ)を拘束して目と耳を塞いでおいて」

 

ベージ

 「承知」

 

ミネルバ

 「な!何をするんですか!や、やめて下さい!」

 

 (ベージ)に後ろから目と耳を塞がれて身じろぎしている(ミネルバ)。これで気にせずスマホ起動できるな。

 

鏡子

 「あっ、そうだ。残りの(ベージ)2人!周囲の索敵を頼む!」

 

ベージs

 「ヘ〜イ」

 

 とりあえずライロに合いそうなシンクロは……とりあえず4種類と……せっかくだし(バルブ)も入れるか。あっそうだ!(ナチュル)もシンクロ使えたからなんか探してやろっと。えぇと……

 

ベージ

 「旦那!奴らが来ましたぜ!」

 

 はっや!まだライロ用のカードを買ったばかりだぞ!はやくすり替えないと!

 

ガロス

 「暗黒界の手下共!(ミネルバ)への悪事はそこまでだ!」

 

ミネルバ

 「(ガロス)さん!来てくれたんですね!」

 

鏡子

 「よし!任務完了!総員撤収!ほとぼり冷めるまで外で待機するぞ!」

 

暗黒界s

「了解!強行突破します!」

 

 ベージ三人衆の不意打ちタックルを食らって(ガロス)が怯んだほんの一瞬で、霊体と化した俺と暗黒界達はオベリスクブルー寮を脱出に成功した。

 

 

〜〜〜

 

透子

 「んん……ふぅ〜〜」

 

ミネルバ

 「透子さん……おはようございます」

 

 ソファーで寝ていた筈なのに机から起き上がると、(ミネルバ)さんが悲しげな表情で挨拶してきました。

 何があったのか尋ねると、どうやら鏡子は暗黒界の人達に指示して(ミネルバ)さんに目隠ししたそうです。

 

 (ガロス)さん曰く、私の知らない間にライトロードと暗黒界の間で協定のような物が組まれていて、その内容は互いに干渉せず、アカデミア内で精霊化するのはレベル4以下のモンスター3体までという決まりがあるそうです。

 

 つまり、今回は暗黒界の人達は『互いに干渉しない』というルールに違反してしまう形になります。

 

 そもそも、そんな協定知りませんでした……多分鏡子も知らなかったと思います。

 

透子

 「まぁ私も知りませんでしたし、今回は多めに見てあげませんか?」

 

ミネルバ

 「透子さんが言うなら……」

 

 ライトロードの人達を宥めた私は、なんとなくデッキを調整するべく机に目を移すと、そこにはシンクロモンスターの姿がありました。

 

透子

 「あれ?シンクロモンスター達が……変わってる!?」

 

 そこには、あまりにも使いにくすぎるシンクロモンスターの姿はありませんでした。カードテキストを読んでみると、明らかに可笑しい事が書かれていました。

 

透子

 「シンクロ召喚で出せるカオスモンスターに、除外されているカードを戻せて、何時でも相手の手札を一時的に除外出来るモンスター。更には手札·フィールド·墓地のカードを対象取らずに除外!?いったいこんなカードはどこから……」

 

ミネルバ

 「これは予想なんですけど……もう一人の透子さん……確か鏡子さんでしたっけ?彼女に何か秘密があるんじゃないかと……」

 

ガロス

 「確かに、彼女は謎が多すぎる。ここで真実を明らかにするべきだ。早速(ルミナス)に具申してくる」

 

 光に包まれて消える(ガロス)さん。鏡子とデュエルする事になりそうなので、早速このシンクロモンスターを使って(ライトロード)デッキを強化しましょう。でもこの(氷結界の龍トリシューラ)ってカードはちょっと出すのが難しそうですね……

 

 そんな事を考えながら、なんとなく(自爆ナチュル)を広げると、1つのカードが目に止まりました。

 

透子

 「(ナチュル·チェリー)……このカードもチューナーになってる……」

 

 もしかしたら他にもチューナー化しているものがあるかもと思って手持ちのデッキを見てみましたが、(チェリー)以外でチューナーになっているモンスターは(ナチュル·バタフライ)くらいしかいませんでした。でも、パックの近くには見た事のないチューナーが置かれていました。

 

 そもそも自爆ナチュルは展開力が相手依存なので微妙。やっぱりシンクロモンスターはライトロードに挿しておきましょう。

 

 久々の鏡子とのデュエル……楽しみですね。

 勝率は鏡子が7割ぐらい勝っているイメージです。今度こそは……勝ってみせます。

 

 

〜 森 〜

 

 木漏れ日が気持ちの良い森の中。俺達はその森の中にいた。

 

鏡子

 「はぁ……(ベージ)。ライロの奴らは追ってきてないか?」

 

ベージ

 「異常なし。追ってはいないですぜ旦那」

 

鏡子

 「それにしても、なんで(ガロス)がやってきたんだ?やっぱりロリコンだからか?あいつ(火霊使いヒータ)見て鼻の下伸ばしてたしな」

 

ブラウ

 「おそらく協定違反に反応して、駆けつけて来たのでしょう。【(ベージ)が(ミネルバ)に干渉した】として」

 

鏡子

 「協定?そんなの俺聞いてねぇぞ」

 

ブラウ

 「申し訳ありません。実は決まったのが昨日の深夜でしたので……昨日の協定により、互いに干渉せず、アカデミア内で一度に精霊化するのはレベル4以下のモンスター3体までと決まりました」

 

鏡子

 「まぁいい。次からは報告·連絡·相談はしっかりするようにな」

 

ブラウ

 「ハッ!」

 

 それにしてもシンクロ召喚解禁、そしてエクシーズ召喚が秒読み段階か……エクシーズ解禁したら、俺の(宝札入り未開域暗黒界)に透子以外で勝てる奴いねぇよ。シンクロ解禁したから(インフェルノイド)が安定したリソース回復出来る様になるし。

 

鏡子

 「(ブラウ)、(ベージ)三人衆。俺は今からここでデッキ調整するから辺りを見張っていてくれ」

 

暗黒界s

 「了解!」

 

 木陰に隠れてスマホを起動。DPは大分溜まってるから、インフェルノイドと相性の良いシンクロモンスターを思いついただけ買っていく。あとついでにさっきすり替えられなかった(ナチュル)用のシンクロモンスターも用意しよう。具体的には(ナチュル·ビースト)とか。

 

 仁王立ちオメガは……ここぞという時だけ使おう。余りにも害悪すぎる。フリチェ妨害が無いと無限にロックし続けられるからな。

 

 それにしても、最近習得した幽体離脱。壁抜けられるし物も触れるしで便利だな。やろうと思えば誰かに取り憑いて透子とデュエル出来るのかな?夢が広がりんぐだぜ。

 

ベージ

 「ライトロードの接近を確認!先陣は……(ルミナス)!これは本格的な攻撃をしてきまっせ!」

 

 ま、まじかよ……確かあいつ(ライトロード)の隊長やってるとか透子が言ってたからガチの衝突あり得るぞ!

 

 実際に見てみると、そこには精霊化したライトロード数名と先頭に立つ透子の姿があった。

 

透子

 「鏡子。ここにいるんですよね?鏡子には聞きたい事があるの」

 

 ライトロード達より前に出て、尋ねてくる透子。その視線は俺が隠れている木に向いていた。

 

鏡子

 「質問に質問を返すようでわりぃが、なんで俺がここにいるのがわかった?」

 

ルミナス

 「それは僕が答えるよ」

 

 透子に並列する精霊状態の(ルミナス)。彼女の腕の中には、一匹の真っ白な子猫が。

 

鏡子

 「可愛いな、おい。そいつが俺達の位置を、(ブラウ)達の哨戒をすり抜けて探ったと?ライトロードは相当優秀な偵察員を持ってるんだな」

 

ルミナス

 「そう、僕の自慢の飼い猫だよ。でもあと少しのところで(ベージ)に追い返されちゃってね。君がどうやってカードを調達しているのかまでは分からなかったよ」

 

 グッジョブ(ベージ)。これで最重要機密は守られた。

 

透子

 「話が反れましたね。鏡子。あなたはどうやってこんな強力なカードを手に入れたの?このカード達は、明らかに強すぎる。ねぇ、このまるで未来から持ってきたみたいなカード達を、どこから持ってきているの?」

 

 透子の目は普段の優しげな瞳は息を潜め、鋭い目つきになっていた……でも答えるわけにはいかない。

 

鏡子

 「それは答える訳にはいかねぇな。どうしても教えて欲しけりゃデュエルで決着つけようか。俺のインフェルノイドと透子の自爆ナチュルでな」

 

ガロス

 「何故だ?この流れはライトロードと暗黒界が対決する流れじゃないのか?」

 

 僅かな怒気を孕んで尋ねる(ガロス)に、(ルミナス)が割って入る。

 

ルミナス

 「いや、鏡子の判断も間違いじゃない。もしここで精霊同士のデュエルが始まった場合、この森周辺が大変なことになる」

 

鏡子

 「そうだ、もしここで(裁きの龍)が暴れてみろ。ここら一帯が更地になるぞ」

 

ガロス

 「な!何故貴様が(裁きの龍)の事を知ってる!」

 

鏡子

 「(裁きの龍)。攻撃力3000で守備力2600。墓地にライロが4種類以上落ちてると手札から特殊召喚でき、1000LP払うと自身以外のフィールドのカードを全破壊する(ライトロード)の切り札。そりゃ(ライトロード)といえば(裁きの龍)だろ?こちとら初めての大会で(裁きの龍)に焼かれてんだから忘れるわけねぇだろ」

 

ルミナス

 「おかしいな。僕達ライトロードがカードを託したのは透子が初めてだよ?君がいつ大会に出たのかは分からないけど、透子以外のデュエリストがライトロードを持っている訳がない。これはますます君の事を聞かなければならないね」

 

透子

 「そうですね。鏡子には聞かなければならない事がありますから、そのデュエルを受けましょう」

 

 そうこなくちゃな。俺は木陰から飛び出して、いつの間にかついていたデュエルディスクを構えてデュエルを始める……前に俺はカードを投げた。

 

鏡子

 「餞別だ!受け取れぇ!」

 

透子

 「わわ!これは……(ナチュル·ビースト)と(ガオドレイク)?とりあえず融合デッキに入れておきますね……では気を取り直して……」

 

透子·鏡子

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私です!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(おろかな副葬)を発動!デッキから(ナチュルの神星樹)を墓地に送って、墓地に送られた(神星樹)の効果発動!デッキから(ナチュル·マロン)を手札に加えてそのまま守備表示で召喚!効果を発動してデッキから(ナチュル·クリフ)を墓地に送ってカードを3枚セットしてターンエンド!」

 

透子 手札6→5→6→5→2

 

透子 LP4000 手札2 伏せ3

 

ナチュル·マロン 守700

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ0

 

(ナチュル)デッキとしては好調な滑り出しだな。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(隣の芝刈り)を発動!このカードは俺のデッキと透子のデッキの差分だけデッキトップを墓地に送る!俺のデッキは54枚!透子のデッキは31枚!よって合計23枚墓地へ送る!」

 

 鏡子 手札6→5 墓地0→23→24

 

 俺の足元に大量の芝が生え、どこからともなく暴走した芝刈り機が現れ芝を刈りとった。

 

鏡子

 「俺は、(左腕の代償)を発動!手札全除外して魔法カード(名推理)をサーチ!」

 

 また左腕を斬られるおっさん。流石に可哀そう。そして走る左腕への激痛。どうしてカードの発動に痛みを伴わなければならないのか?これが分からない。

 

鏡子

 「(名推理)発動!さぁレベルを宣言しな!」

 

透子

 「(インフェルノイド)で出せるモンスターは……レベル1か4。私はレベル1を宣言!」

 

 捲られたカードは……え?

 

鏡子

「捲られたのは(インフェルノイド·デカトロン)。レベル1なので墓地へ送られる」

 

 墓地に落ちる(デカトロン)。なんとなくターバンのおっさんが申し訳なさそうに項垂れている。まぁこれに関しては項垂れろ。

 

鏡子 手札1→0 墓地24→25

 

鏡子

 「ま、まぁ墓地も大分肥えてるし行くぜ!インフェルノイドを2体除外!墓地より現われろ!色欲のクリファ!(インフェルノイド·ヴァエル)!

 

透子

 「ここでトラップ発動!(リビングデッドの呼び声)!これにより、墓地から(ナチュル·クリフ)を攻撃表示で蘇生します」

 

 なんかリクルーター出してきたな。ならば……

 

鏡子

 「だったらそいつごと潰してやる!墓地のインフェルノイドを2枚除外して墓地より現われろ!貪欲のクリファ!(インフェルノイド·アドラメレク)!」

 

鏡子 墓地25→23→20

 

透子

 「貴方がそのカードを出すのは読めていました!トラップカード(激流葬)発動!モンスターが召喚·反転召喚·特殊召喚された時に発動してお互いのフィールドのモンスターを全て破壊します!」

 

 そのための(クリフ)かぁ!(煉獄の使徒)も落ちてねぇし!してやられた!

 

 猛烈な激流がフィールドを覆い、そこには(クリフ)の姿しか残っていなかった。

 

鏡子

 「(ナチュル·クリフ)の効果。破壊された時、デッキから(ナチュル)モンスターを攻撃表示で特殊召喚できます。私は2体目の(ナチュル·クリフ)を特殊召喚!」

 

鏡子

 「くっそぉ!俺は墓地のインフェルノイドを3体除外!墓地より現われろ!不安定のクリファ!(インフェルノイド·リリス)!(リリス)の効果……」

 

透子

 「それは通しません!カウンタートラップ(神の宣告)!LPを半分払い、モンスターのルールに基づく特殊召喚を無効にして破壊します!」

 

 白のローブを来たおっさんが現れて、出てきたばっかの(リリス)に雷を浴びせて破壊した。

 

鏡子 墓地20→22→18→19

透子 LP4000→2000

 

透子

 「くっそ!これで俺はターンエンド!」

 

鏡子 LP4000 手札0 墓地19

 

透子 LP2000 手札2 伏せ0

 

ナチュル·クリフ 攻1500

 

 最近(芝刈りノイド)してなかったからプレイングが雑いし落ちも悪い!もっと集中しないと!

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札2→3

 

透子

 「うぅ……私はモンスターをセットしてバトルフェイズ。(クリフ)でダイレクトアタック!」

 

 (クリフ)ののっぺりした体当たりが俺に炸裂。実体はないけど風圧で吹っ飛びそうだ。

 

鏡子 LP4000→2500

 

透子

 「カードを1枚セットしてターンエンドです」

 

透子 LP2000 手札3→0 伏せ1

 

ナチュル·クリフ 攻1500

セットモンスター

 

鏡子 LP2500 手札0 墓地19

 

 あんまし良い手札じゃなかったみたいだな。それとも(チェリー)伏せたのか。どっちにせよ(ナチュル)は(モスキート)と(ナチュル)モンスター並んでないとラッシュかけられないからな。このターンを逃したのは痛いだろうな。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札0→1 墓地19

 

鏡子

 「インフェルノイドを2体除外!現われろ!(インフェルノイド·ヴァエル)!バトルフェイズ!(ヴァエル)でセットモンスターを攻撃!」

 

鏡子 墓地19→16

 

 放たれた緑色の光線がセットカードに直撃し、煙が晴れるとそこには2体のセットモンスターの姿が……やっぱり(チェリー)だったか。

 

透子

 「(ナチュル·チェリー)の効果。相手によって墓地に送られた場合、デッキから同名モンスターを可能な限り裏側守備表示で特殊召喚します」

 

鏡子

 「ではバトルフェイズ終了時、(ヴァエル)の効果発動。フィールドのカードを選んで除外する。俺は(チェリー)と思しきカードを除外。ターンエンド」

 

鏡子 LP2500 手札1 墓地19 伏せ0

 

インフェルノイド·ヴァエル 攻2600

 

透子 LP2000 手札0 伏せ1

 

ナチュル·クリフ 攻1500

セットモンスター

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札0→1

 

透子

 「(ナチュル·チェリー)を攻撃表示にして、行きます!トラップ発動!(ブービートラップ·E)!手札の(ナチュルの神星樹)をコストに、墓地の永続トラップ(ナチュルの神星樹)をセット、そして墓地に送られた(神星樹)の強制効果発動!デッキから(ナチュル·マロン)を手札に加えて、そのまま通常召喚して効果発動!デッキから(ナチュル·アントジョー)を墓地に送ります」

 

透子 手札1→0→1→0

 

透子

 「(ナチュル·マロン)の効果発動!墓地の(ナチュル·チェリー)、(ナチュル·マロン)をデッキに戻して1枚ドロー!」

 

透子 手札0→1

 

透子

 「そして(死者蘇生)を発動!墓地の(ナチュル·クリフ)を蘇生します!」

 

 レベルの合計は9……やるのか?

 

透子

 「私はレベル3の(ナチュル·スティングバグ)とレベル4の(ナチュル·クリフ)とレベル1のチューナー(ナチュル·チェリー)をチューニング!聖域に踏み込む者が現れし時、愚者を切り裂く力が目覚める!咆哮せよ!シンクロ召喚!大自然の力、(ナチュル・ガオドレイク)!」

 

 光球が光の輪に包まれて現れたのは、体毛が木の葉で、たてがみが花びらで構成されたライオン。だが、バニラモンスターである。

 

透子

 「これが……シンクロ召喚。そして墓地へ送られた(クリフ)の効果発動!デッキからレベル4 以下の(ナチュル)モンスターを……あれ?発動しない?」

 

鏡子

 「おい透子。(ナチュル·クリフ)は【時、〜出来る】と書かれた所謂タイミングを逃す効果だ。墓地に送った後に特殊召喚を行うシンクロ召喚では、発動するタイミングが存在しないから発動できないぞ。ちなみにコストで墓地へ送られたり、その後に別の処理を挟む効果で墓地へ送られるとタイミングを逃すから注意な」

 

透子

「う……い、行きます!バトルフェイズ!(ガオドレイク)で(インフェルノイド·ヴァエル)を攻撃!ナチュラル·チャージ!」

 

 影しか残らない程の高速移動。直撃した(ヴァエル)は粉砕され、(ガオドレイク)が走った軌跡に背の低い草花が咲いた事が、ただの体当たりであった事を物語っていた。

 

鏡子 LP2500→2100 墓地19→20

 

透子

 「そして(ナチュル·クリフ)でダイレクトアタック!」

 

 再びかまさせる体当たり。ナチュルって本当に体当たり好きだなおい。

 

鏡子 LP2100→600

 

透子

 「これで形勢逆転です!(インフェルノイド)で攻撃力3000を超えられるのは(ネヘモス)だけ、でも今までの展開を見るに(ネヘモス)は落ちてない!私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

透子 LP4000 手札0 伏せ1

ナチュル·ガオドレイク 攻3000

ナチュル·クリフ 攻1500

 

ナチュルの神星樹

 

鏡子 LP600 手札1 墓地19 伏せ0

 

インフェルノイド·ヴァエル 攻2600

 

 確かに俺の墓地にも、手札にも(ネヘモス)はいない。このままだとジリ貧だな……てかいつの間にかLPがやばいことになってんな。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札1→2

 

鏡子

 「……ハハ。トップ解決だ、(煉獄の虚夢)を発動!」

 

透子

 「(煉獄の虚夢)?墓地の(インフェルノイド)を大量展開しても、(ガオドレイク)は越えられない筈……でも一応(戦線復帰)を発動、(アントジョー)を蘇生します」

 

 いい判断、いや直感かな?まぁ止まらんがな。

 

鏡子

 「透子。お前にはこのアカデミアでは初めて、(煉獄の虚夢)のもう一つの効果を見せてやるぜ!(煉獄の虚夢)の効果発動!このカードを墓地へ送り、手札·フィールドのモンスターを墓地に送って融合召喚を行う。その際に相手フィールドに融合デッキから特殊召喚されたモンスターが存在する場合、6体まで“デッキ”から墓地へ送ることが出来る!」

 

透子

 「デッキから融合素材を墓地に送る効果!?」

 

鏡子

 「俺は(ネヘモス)3枚、(リリス)1枚、その他インフェルノイドモンスター2体で融合!数多の業を背負う者よ!今こそ一つに混ざりあい、神へと近づく礎となれ!融合召喚!現われよ!未完なる破壊神!(インフェルノイド·ティエラ)!」

 

鏡子 墓地20→21→27

 

 現れたのは、とてつもなく巨大なモンスター。(インフェルノイド·リリス)を彷彿とさせる蛇の様な脚部。異彩を放つ光の翼。想像以上のデカさに、身体の殆どが森を突き抜けている。

 

透子

 「攻撃力3400!?な、(ナチュル·アントジョー)の効果発動!デッキから(ナチュル·スティングバグ)を特殊召喚します!これで攻撃してきてもバトルフェイズを強制終了です!」

 

鏡子

 「さて、(インフェルノイド·ティエラ)の効果発動!こいつは融合素材にしたモンスターの数で効果を適応していく!まずは3種類融合の効果!お互いに融合デッキから3枚墓地へ送る。俺は(旧神ヌトス)3枚を墓地へ送る!

 

透子

 「私は融合デッキが1枚だけなので(ナチュル·ビースト)を墓地へ送ります」

 

鏡子

「その後に融合素材5種類の効果によりお互いにデッキトップから3枚墓地へ送る。その後、墓地へ送られた(旧神ヌトス)3枚の効果発動!(ガオドレイク)、(アントジョー)、(スティングバグ)を対象に破壊!」

 

鏡子 墓地27→33

 

透子

 「チェーンして(ナチュルの神星樹)の効果発動!(アントジョー)を生贄に(ナチュル·マロン)を守備表示で特殊召喚!」

 

 墓地から放たれた雷に、(ガオドレイク)と(スティングバグ)は成す術なく破壊された。

 

 チッ、サクリファイス·エスケープされたか。まぁいい。そのまま潰すだけだ。

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(ティエラ)で(マロン)を攻撃!」

 

 (ティエラ)の極太レーザーが(マロン)を包み、見事な消し炭になった。

 

鏡子

 「俺はこれでターンエンド」

 

鏡子 LP600 手札1 墓地33 伏せ0

 

インフェルノイド·ティエラ 攻3400

 

透子 LP4000 手札0 伏せ0

ナチュル·クリフ 攻1500

 

ナチュルの神星樹

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「ふふ、勝利のビジョンが整いました!私は(ナチュル·モスキート)を通常召喚!バトルです!ずっとフィー ルドに残っていた(ナチュル·クリフ)で攻撃!」

 

 勝ち誇った顔をしている透子。残念だが勝利はお預けだ。

 

鏡子

 「墓地の(妖精伝姫-シラユキ)の効果発動!墓地のカードを7枚除外して、特殊召喚!そして効果発動!(ナチュル·モスキート)を対象に裏側表示にする!」

 

鏡子 墓地33→26

 

透子

 「えっ!?それじゃあ……このターンには決着がつかない……バトルフェイズを終了。ターンエンドです」

 

透子 LP2000 手札0 伏せ0

 

ナチュル·クリフ 攻1500

セットモンスター

 

ナチュルの神星樹

 

鏡子 LP600 手札1 墓地26 伏せ0

 

インフェルノイド·ティエラ 攻3400

妖精伝記シラユキ 攻1850

 

鏡子

 「俺のターン。ドロー!」

 

鏡介 手札1→2

 

鏡介

 「バトル!(ティエラ)で(クリフ)を攻撃!」

 

 (ティエラ)の放った一撃で(クリフ)は粉砕。強烈な風圧が透子に襲いかかる。

 

透子 LP2000→1100

 

透子

 「破壊された(クリフ)の効果発動!デッキから最後の(クリフ)を特殊召喚します」

 

鏡子

 「カードを1枚セット。ターンエンドだ」

 

鏡子 LP600 手札1 墓地26 伏せ1

 

インフェルノイド·ティエラ 攻3400

妖精伝記シラユキ 攻1850

 

透子

 「私のターン、ドロー!」

 

鏡子

 「スタンバイフェイズにトラップ発動(火霊術‐紅)!フィールドの炎属性モンスター(インフェルノイド·ティエラ)をリリースして元々の攻撃力、3400分のダメージを相手に与える!これでトドメだぁ!」

 

 超巨大なモンスターが光の粒子となって消え、凄まじい爆炎と化して透子を呑み込んだ

 

透子 LP1100→-2300

 

透子

 「うぅ……(ライトロード)の皆さんすみません。勝てませんでした」

 

ガロス

 「まさか、鏡子があんなにも強力なモンスターを出せるデュエリストとは……これはより一層警戒しなければな」

 

ルミナス

 「そうだね……かなり強いデュエリストだとは思っていたけどここまでとは……(裁きの龍)を投入しても勝てるかどうか……」

 

鏡子

 「そもそも(暗黒界)は墓地から自己蘇生する(グラファ)が主力なんだからフィールド焼き払っても効き目薄いだろう。まぁでもそっちがやる気なら、こっちはいくらでも相手になるぜ?」

 

ルミナス

 「うぅ……とにかく一度撤退して作戦を練らないと……総員退却!ここは一旦引くよ!」

 

 ルミナス達は光に包まれて、どこかへ消えてしまった。

 

透子

 「次こそは……勝ってみせます」

 

 透子もそう口にして、立ち去っていった。

 

 とりあえず凌いだか……3年目は大変なことになるのは分かっているが、先が思いやられるな。

 確か(ユベル)が暗躍して(超融合)で云々するんだっけな?まぁ頑張るしかないな。とりあえず、オベリスクブルー生しばき倒しながら新学年を迎えようかな。

 

 それにしても……透子少し強くなったな。いや、単に俺が芝刈りノイドを扱いきれていなかっただけかな?

 

 ライトロードとナチュルは元々シンクロテーマ。これからもっと強くなるだろう。もっと頑張らないとな。




最後の諸刃の剣とモスキートの処理ってどうなるのでしょうか?

追記
そもそも攻撃の待ち戻しでバトルを中断してるので自爆してドローは不成立ですね。


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17.3学年突入!権力の暴力

 

〜 大講義室 〜

 

 春休みも終わり、遂に始まった3学年。最近飛び級で入学してきた早乙女レイが宣誓を行うと、先生が各アカデミアから優秀な転入生を新たに迎える事を発表した。

 

 転入生は(アモン)、目つきが明らかに学生のそれじゃない(オブライエン)、何故かワニを背負っている(ジム)、大分遅れてやってきた(ヨハン)、そして教師の(プロフェッサーコブラ)。

 

 そして、プロフェッサーコブラの口からエキシビションマッチを行うとして、十代と宝玉獣を使うヨハンがデュエルを行い、十代の勝利で終わった。

 

 それにしても宝玉獣か……どうやら(究極宝玉神レインボードラゴン)入ってないようだな……なんでもまだカード化すらしてないらしい。

 

 その事を言った瞬間観客の大ブーイング。“下級だけのデッキとか舐めてんのか”とか言っている。今度下級オンリーのデッキで轢き潰して回ろうかな?妖仙獣とかワイトとか。

 

 エキシビションマッチの後、コブラは明日からデスクロージャーデュエルというイベントを行う事を宣言した。なんでも全学年の生徒が毎日デュエルをする、所謂ジェネックスみたいなイベントらしい。違う所は変な腕輪を身に着けてデュエルを行うところだけだ。

 

 面白い。DPはジェネックスからあまり使ってないから大分余ってるけど、デュエルが出来るならなんでもいい。暗黒界で轢き潰すだけだからな。

 

鏡子

 「楽しみだな、(ベージ)。しばらく仕事は尽きそうにないぞ」

 

ベージ

 『勘弁して欲しい……と言っても聞かないでしょうに。腹は括りますよ、旦那』

 

 (ベージ)は少ししんどそうに答えるもあまり嫌々さは感じない。(ブラウ)曰く、昔は仕事熱心な奴だったらしく。今でもその名残りを見れるのだとか。

 

 閉会式が終わると、肩に(ルビー·カーバンクル)を乗せた青年、さっき十代とデュエルしていたヨハンが俺の前にやってきた。

 

ヨハン

 「なぁ、お前もカードの精霊が見えるのか?」

 

鏡子

 「あぁ、こいつは(ベージ)。俺、邪神鏡子の暗黒界デッキで2番目の働き者さ」

 

ベージ

 『働き者なんてそんな柄じゃねぇッスよ。俺だってサボれるならサボりたいッスよ』

 

ヨハン

 「へぇ〜じゃあ1番の働き者は誰なんだ?」

 

鏡子

 「それはこいつ。(暗黒界の龍神グラファ)。部下を手札に戻しつつ何度でもフィールドに出勤する社長の鑑みてぇなモンスターだ。こいつを媒体にウイルスばら撒いたり(スキドレ)で制圧したりしながらビートダウンするのが俺の(暗黒界)デッキさ」

 

ヨハン

 「暗黒界デッキ……噂で聞いた事がある。そのデッキの相手をしたデュエリストは魂を砕かれて二度とデュエルが出来なくなるどころか、カードを見ることすら出来なくなる恐ろしいデッキだって……」

 

 ヨハンが警戒した様子で(グラファ)のカードを見ていると、横から角の生えた白馬が姿を現した。

 

サファイアペガサス

 『ヨハン気をつけろ。彼女からは、何か危険な気配を感じる』

 

鏡子

 「失礼なやつだな。宝玉獣のメインエンジン。次会ったら(ディノミスクス)で除外してやるから覚悟しておけ」

 

 そんな会話をかわした後、俺とヨハンは別れた。

 

 

〜 アカデミア前 〜

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(グラファ)で(海竜-ダイダロス)を攻撃!そして残りの(グラファ)2体と(ゴルド)でダイレクトアタック!」

 

ブルー生

 「そんな……このエリートの俺が……馬鹿なぁ……」

 

 ふぅ……フィールドを大掃除された時はどうなるかと思ったが、なんとかなったぜ。

 

ブラウ

「それにしても、つくづく思うのですが、(生還の宝札)の力は凄まじいですな。我々暗黒界一同もここまで力を発揮出来るとは初めは思いませんでした」

 

鏡子

 「そうだな、正直いつ禁止にぶち込まれてもおかしくないぜ」

 

 デスクロージャーデュエルが正式に始まった次の日。俺は支給された腕輪をつけて、目についたオベリスクブルー生を暗黒界と時々メタファイズとkozmo、稀にインフェルノイドで捻じ伏せていた。

 

 オベリスクブルーには、もう(ゴブリン突撃部隊)に装備魔法付けてイキる奴は残っていない。そろそろラーイエローの生徒にも目を向けて見ようかな?最近身体が少し重いけど。

 

ブラウ

 「おっ、主。どうやらどこかで主を呼んでいるようです」

 

鏡子

 「校内放送か。俺が校長室に来いだと?」

 

 突然校内放送が流れ、俺は指示通りに校長室へ向かった。嫌な予感しかしねぇよ。

 

 

〜 校長室 〜 

 

鏡子

 「は?……今なんて?」

 

鮫島

 「信じたくないのも分かります。ですがこうでもしないと、貴方は暴れ続けるでしょう。貴方はこれから(kozmo-エメラルドポリス)、(kozmo-ダークシミター)、(kozmo-ドロッセル)、(暗黒界の取引)、(暗黒界の門)、(名推理)、(モンスターゲート)、(隣の芝刈り)を1枚以下、(暗黒界の術師スノウ)、(暗黒界の龍神グラファ)を2枚以下でデュエルに臨んでもらいます。当然、(ウイルス)カードは入れてはいけません」

 

 鮫島校長は真剣な顔つきで、こちらを見ている。

 

鏡子

 「どうして……俺の事がそんなに嫌いかよ……」

 

鮫島

 「別にこれは私の私怨ではありません。透子さん、貴方の実力は余りにも高過ぎるのです。本来ならば喜ばしい事なのですが、そのせいで貴方と対戦したデュエリスト……特にオベリスクブルーの生徒は自信を喪失し、酷い者はカードに恐怖心を抱くようになってしまいました。貴方が入学して今日に至るまでに、貴方のデュエルを直接的な理由として自主退学を選んだ生徒は実に300人にも登るのです」

 

 鮫島校長に挙げられたカードを制限されると、冗談抜きに今の(暗黒界)と(インフェルノイド)そして(kozmo)が死ぬ。でも間違いなく、断ると退学をちらつかせてくるだろう。

 

鮫島

 「きっと貴方の事です。この制約を乗り越えて活躍することでしょう。貴方が相手をリスペクトするデュエルをする事を、楽しみにしていますよ」

 

 鮫島校長は書類を手に持ち、笑顔で校長室を後にした。

 

ブラウ

 『これは……酷いですね。ここまでされると我々は……』

 

鏡子

 「それ以上言うな、とにかくデッキを再構築するぞ。愚痴はそこからだ」

 

 俺はふらつく足でしっかり地面を踏みしめながら、自室に戻った。

 

 リスペクトなんてするものか。俺は……純粋なカードの力でデュエルに勝つ。

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

鏡子

 「回らねぇ……」

 

 とりあえず(シルバ)や(ゴルド)を増やしては見たが、全盛期と比べると全然回らない。とにかく手札交換が弱くなったのが非常に効いている。無理やり動かす為に(陽気な葬儀屋)を3積みするぐらいには効いている。でもまだ(グラファ)が2積みできるだけましか……とりあえず先攻ソリティアは諦めて、中低速でアドバンテージを稼いでいこう。

 

陽気な葬儀屋

通常魔法

自分の手札から3枚までのモンスターカードを墓地へ捨てる。

 

鏡子

 「とりあえず(墓穴の道連れ)と(未開域)、(暗黒の瘴気)を入れて……手札補充も兼ねて(便乗)と(カップ·オブ·エース)でも入れてみるか。相手にドローさせるカード多いな……折角だし(魔宮の賄賂)も入れよ」

 

ブラウ

 『これで……我々も今までのように戦う事が出来ますか?』

 

鏡子

 「まぁ、全盛期までとはいかないが、そこらのデュエリストには負けない程度には仕上げたつもりだ。明日になったら早速そこらのデュエリストしばきに行こうぜ」

 

 ひとまず、透子に意識譲ってやるか。あいつもデッキの調整はしたいだろうし。

 

 デッキをデッキケースにしまい。無駄にでかいベッドにダイブして眠りについた。

 

 

〜〜〜

 

透子

 「ん……ふぅ〜〜!」

 

ライラ

 『おはよう、透子。随分と寝たわね』

 

 ベッドから起きると、そこには長い黒髪で(ライトロード)特有の金の装飾をあしらったローブを着た女性。(ライトロード·マジシャンライラ)さんがいました。

 

透子

 「そうですね。まぁ、鏡子が長く身体を動かしていたせいなんですけどね。確かデスクロージャーデュエルなんてものの最中なんですよね?」

 

 腕につけられた変な腕輪を見ながら、(ライラ)さんに問いかけます。

 

ライラ

 『その事なんだけど……その腕輪、何か仕掛けがあるって(ライニャン)から報告があったのよ』

 

透子

 「仕掛け?」

 

 私のオウム返しに、(ライラ)はゆっくりと頷きました。

 

ライラ

 『報告によれば……デュエリストのエネルギーを少量吸い取ってどこかへ飛ばす装置らしいわ。どこに集められているのかは今(ライニャン)と(ライコウ)に捜索させているわ』

 

透子

 「デュエリストのエネルギーって何なんですか?」

 

ライラ

 『俗に言う(闘気)というものね。デュエリストが戦う時に溢れる気迫……鏡子とデュエルし終わった時に強い倦怠感を感じるでしょ?あれは闘気を出しすぎたせいで疲労してしまうの』

 

透子

 「そんなものがデュエルしている時に出ているんですか……なんか嫌なので、どうにかそのエネルギーを抑える事は出来ないんですかね?」

 

 私の問いに、(ライラ)さんは眉を顰めました。

 

ライラ

 『感情を殺せばどうにか……でもそう簡単にはいかないわ』

 

 そんな事を話していると、(ガロス)さんが部屋に入ってきました。

 

ガロス

 『たった今(ライデン)がアカデミアの上に立つものが鏡子のデッキに強力な制裁を与えたと報告が来た。それがこの音声だ』

 

 (ガロス)さんが持ってきた本から鮫島校長と鏡子の声が出てきて、鏡子は(kozmo-エメラルドポリス)、(kozmo-ダークシミター)、(kozmo-ドロッセル)、(暗黒界の取引)、(暗黒界の門)、(名推理)、(モンスターゲート)、(隣の芝刈り)を1枚以下。(暗黒界の尖兵ベージ)、(暗黒界の術師スノウ)、(暗黒界の龍神グラファ)を2枚以下というデッキを維持するのが厳しいレベルの制限を受けてしまいました。

 

ガロス

 『なぁ、(ライラ)。これはチャンスじゃないか?あっちのデッキは壊滅。こっちは被害なし。今なら下級ライトロードの我々だけでも倒せるんじゃないか?』

 

透子

 「まだです。鏡子はそんな制限に屈する程弱くはありません。確かに暗黒界特有の大量展開は見れなくなるでしょうけど、それでも形を変えて戦う筈です。それにもし暗黒界を封印したとしても、鏡子にはメタファイズを筆頭とした強力なデッキがいくつかあります。私達だけではとても……」

 

 私がそう反論すると、(ガロス)さんはションボリした様子で頭を下げてきました。

 

ガロス

 『そうか……しかし、魔力を貯めるためとはいえ実体化出来ずに見張る事しか出来ないのは……歯痒いな』

 

透子

 「ところで……そもそもなんでライトロードは暗黒界と敵対しているのですか?」

 

ライラ

 『それについては私が答えるわ』

 

 (ライラ)さんの説明を要約すると、なんでも暗黒界は約3年前から政権が交代し、十二個ある世界を1つにしてしまう恐ろしい魔法カードを開発しているらしいのです。当の暗黒界は知らぬ存ぜぬで通しているらしいですが、(ルミナス)さん曰く、間違いなく開発しているとのことです。

 

 その恐ろしい魔法カードの情報を得るために、ライトロードの皆さんが監視、時には強行偵察をしているそうです。

 

透子

 「とは言っても、私にはあまり関係ない話ですね……でも何か役に立てる事があれば言って下さい、そんな危険な事を見逃す訳にはいきません」

 

ライラ

 『それなら……鏡子に少し鎌かけてみて欲しいの。そのカードについて話してくれればよし、話さなくても何か分かる事がある筈よ』

 

 なるほど……機会があれば話して見ましょう。

 

透子

 「さて、そろそろデュエルしに行きますか。変なエネルギーが出ているのは癪ですが、やらないといけませんからね。あっ、もしライトロードが規制されたら嫌なのでファルコンビートとバージェストマ、自爆ナチュルでデュエルしましょう」

 

 私は3つのデッキを持って、部屋を出ていきました。

 

 

 

〜 翌日 アカデミア前 〜

 

鏡子

 「さて、新生暗黒界の初陣だ。適当なデュエリストの相手してやるぜ」

 

??

 「おいお前!俺とデュエルだ!俺のサイバー流でお前を倒す!」

 

 目の前に立ちふさがるのは、何の変哲もないオシリスレッドの男。どうやらカモがやってきたらしい。しかもサイバー流か。憂さ晴らしにはちょうどいい。そこの門下生君には潰れてもらおう。

 

鏡子

 「いいだろう。お前の師範にエグい制約を受けたが、それで落ちぶれる俺じゃない」

 

門下生·鏡子

 「デュエル!」

 

門下生

 「先攻はお前だ。制限を受けたお前など取るに足らない」

 

 どうやら俺が食らった制約の内容を知っているようだな。舐められたものだ。

 

鏡子

 「その言葉、終盤まで覚えておく事だ。俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ。俺はカードを3枚セットして(未開域のビッグフット)の効果発動。手札を選べ、当たれば墓地送り、外れれば特殊召喚して1枚ドローだ」

 

門下生

 「真ん中だ!」

 

鏡子

 「残念捨てられたのは(セルリ)。(ビッグフット)を特殊召喚して1枚ドロー。そして(セルリ)の効果発動。相手フィールドに特殊召喚され、再び強制効果発動。相手は手札を選んで捨てる。俺は(ブラウ)を捨てる」

 

門下生

 「ふん!自ら手札を減らすなんて落ちぶれたもんだな!」

 

鏡子

 「ほざけ、捨てた(ブラウ)の効果発動。1枚ドローし、相手に捨てられたので追加でドロー」

 

鏡子 手札6→3→2→3→2→3→4

 

鏡子

 「モンスターをセット。そして伏せていた(墓穴の道連れ)を発動。お互いに手札を見せて、その中からカードを1枚選んで捨てる。その後1枚ドローする。ほら、手札を見せろ」

 

門下生

 「ほらよ……うげっ全部暗黒界モンスターじゃねぇか!俺は(暗黒界の術師スノウ)を捨てる!」

 

鏡子

 「なら俺は(融合)を捨てる。なんで(サイバー·ドラゴン)が2枚揃ってんだよ?積み込みか?とりあえずドローそして捨てられた(スノウ)の効果発動。(暗黒界の龍神グラファ)をサーチ」

 

鏡子 手札4→3→4

門下生 手札5→4→5

 

鏡子

 「カードを1枚セットしてターンエンド」

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ3 

残デッキ29

 

未開域のビッグフット 攻3000

 

門下生

 「あんな制限食らっても攻撃力3000のモンスターを出せるなんて……流石魔王とか邪神なんて呼ばれるだけはある。俺のターンドロー!」

 

門下生 手札5→6

 

門下生

 「クソ!(セルリ)が邪魔で(サイバー·ドラゴン)を特殊召喚出来ない!俺は(セルリ)を生贄に(サイバー·ドラゴン)を召喚!バトル!(サイバー·ドラゴン)でセットモンスターを攻撃!エヴォリューションバースト!」 

 

鏡子

 「破壊されたのは(メタモルポット)だ!お互いに手札を全て捨てて5枚ドロー!」

 

門下生

 「そ、そんな!手札の(サイバー·ドラゴン)が!」

 

鏡子

 「更に捨てられた(ベージ)、(ブラウ)、(グラファ)の効果発動!(グラファ)で(サイバー·ドラゴン)を破壊して、(ブラウ)で1枚ドロー、(ベージ)は自己蘇生!」

 

鏡子 手札3→0→5→6

門下生 手札6→5→0→5

 

門下生

 「クソォ!俺はカードを3枚セットしてターンエンドだ!」

 

門下生 手札2 伏せ3

 

鏡子

 「俺のターンドロー」

 

鏡子 手札6→7  残デッキ21→20

 

鏡子

 「さて、ここは運試しといこう。(カップ·オブ·エース)を発動!表が出れば2枚ドロー、裏ならお前が2枚ドローする」

 

コイントス 裏

 

鏡子

 「残念。2枚ドローしな、だが相手がドローした時に発動出来る永続トラップ(便乗)を発動!」

 

鏡子 手札7 残デッキ20

 

門下生 手札3→5

 

鏡子

 「手札から(陽気な葬儀屋)を発動!俺は手札を3枚捨てる!」

 

門下生

 「チェーンしてトラップ発動!(リビングデッドの呼び声)!蘇れ(サイバー·ドラゴン)!」

 

 痩せ気味な男が現れ、男は抱えている棺桶に、俺が持つ3枚の手札を入れて墓地へと飛び降りていった。

 そしてそのそばで(サイバー·ドラゴン)が墓地から這い上がっていた。

 

鏡子

 「(グラファ)の効果チェーン1!対象は(サイバー·ドラゴン)!(ゴルド)をチェーン2、(ベージ)をチェーン3!」

 

門下生

 「ならばチェーンしてトラップカード、(アタックリフレクターユニット)を発動!(サイバー·ドラゴン)を生贄に(サイバー·バリア·ドラゴン)を特殊召喚!」

 

鏡子

 「ならば逆順処理に入る!チェーン4に(サイバー·ドラゴン)がリリースされて(サイバー·バリア)特殊召喚。チェーン3に(ベージ)が、チェーン2に(ゴルド)が蘇生。最後に(グラファ)の効果が不発」

 

鏡子 手札7→4

 

鏡子

 「はぁ……お前の師範がこんな制限をしなければ、俺は今頃(グラファ)3体とウイルス2種類と(スキドレ)と(マイクラ)構えて満足してたのにさ!」

 

門下生

 「なんだよその世紀末盤面は!?やはり邪神だな!今のうちに俺がお前を倒して、リスペクトの精神を叩き込んでやる!」

 

鏡子

 「出来るものならしてみるといい。俺は永続魔法(生還の宝札)を発動して(墓穴の道連れ)を発動!俺は……(サイバー·ジラフ)を捨てる」

 

門下生

 「俺は……クッ、(暗黒界の狩人ブラウ)を捨てる!」

 

鏡子

 「その後、お互いに1枚ドロー。そして(便乗)で2枚ドローして(ブラウ)でドロー」

 

鏡子 手札4→3→2→3→5→6

 

鏡子

 「ようやく来たか。(暗黒界の門)を発動!墓地の(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー。捨てられた(シルバ)の効果を発動して自己蘇生。(宝札)で1枚ドローして(ベージ)戻して(グラファ)。(宝札)でドロー!」

 

鏡子 手札6→5→6→7→8→9

 

鏡子

 「墓地の(ゼピュロス)の効果発動!(門)をバウンスして墓地から蘇生して400バーンを受ける。(宝札)でドロー!(門)を発動!(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)を蘇生し……たいがフィールドが埋まっていて蘇生出来ない。(ゴルド)戻して(グラファ)!(宝札)でドロー!」

 

鏡子 手札9→10→11→10→9→10→11→12

 

 

鏡子 手札12  残デッキ8枚 伏せ1

暗黒界の門

 

未開域のビッグフット 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の軍神シルバ 攻2600

BF-精鋭のゼピュロス 攻1600

 

便乗

生還の宝札

 

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(ビッグフット)で(セルリ)に攻撃!」 

 

門下生

 「まだだ!(サイバー·バリア·ドラゴン)の効果発動!一度だけ戦闘を無効にする!」

 

 (サイバー·バリア)の頭部からバリアが形成され、(ビッグフット)の張り手は防がれた。

 

鏡子

 「まだだ!(ゼピュロス)で(セルリ)を攻撃!」

 

門下生

 「こんな……デッキが崩壊してもおかしくない規制を受けても戦えるなんて……でもまだ負けない!トラップカード(聖なるバリア-ミラーフォース)!これでお前のモンスターは全て破壊だぁ!」

 

鏡子

 「カウンタートラップ発動!(魔宮の賄賂)!相手の魔法·罠が発動した時に発動出来て、その発動を無効にし破壊!そして相手はデッキから1枚ドローする。ほれ、山吹色のお菓子だ!受け取れぇ!」

 

 弾けようとする光の壁に悪代官が小判を投げつけて無効化した。それでいいのか(ミラフォ)。

 そして(ゼピュロス)の一突きで、(セルリ)が粉砕された。

 

門下生 LP4000→ 2400

 

鏡子

 「相手がドローしたので(便乗)の効果で2枚ドロー!もうお前を守るモンスターはいない!暗黒界軍!総攻撃だ!」

 

門下生

 「う、うわぁぁぁ!」

 

門下生 LP2400→-200→-3200→-6200

 

鏡子

 「対戦。ありがとうございました。意外と回るもんだな。まだ(抹殺)も(施し)も撃ててないし結構行けるもんだな」

 

ブラウ

 『はい、主が異常に強かっただけで、弱体化しても他を圧倒出来る力は残っているようですね』

 

鏡子

 「俺が強いんじゃない。お前らの元々の力が優れていて、俺はそれを最大限引き出す構築を考えているだけさ」

 

ブラウ

 『主はいつもそうおっしゃいますが、主の構築と主のタクティクスがあって初めて我々は戦えるのです。そこはもっと誇っていいと、私は思います』

 

 (ブラウ)はそう言うが、俺の世界ではちょっと強めなファンデッキなんだよな……(宝札)入れてるから異常に強いだけで……まぁでも褒められて悪い気はしない。

 

鏡子

 「さて、ウォーミングアップも済んだしこのアカデミアにいるサイバー流の門下生を潰しにいくか!昨日の鬱憤を晴らしまくってやるぜ!」

 

 これからも困難はあるだろう。でも、それを俺は(グラファ)と、そして暗黒界達と乗り越えて行ける。今はそう思えてならない。



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18.奪われた満足。渇望する充足

 

 

〜 校長室 〜

 

 次の日の朝、また校長室に呼ばれた。今度は何を規制する?(墓穴)か?(未開域)か?それとも大穴で(宝札)か?どんなカードが規制されても、(グラファ)がいる限り俺は暴れ続けてやる!

 

鮫島

 「本当に申し訳ないのですが、生徒達を、そしてサイバー流の生徒を守るために、アカデミア内での(未開域)モンスターと(暗黒界の龍神グラファ)、(メタファイズ·ディメンション)を使用禁止とし、(暗黒界の導師セルリ)を1枚以下でデュエルをしてもらいます」

 

 ……は?

 

鏡子

 「おい……(グラファ)は暗黒界の生命線なんだぞ……そんな事をしたら俺はデッキを崩さないといけなくなる……」

 

鮫島

 「分かっています。でもこうでもしないと貴方は暴れ続け、多くのデュエリストを引退に追いやってしまうでしょう。私だってこんな事はしたくはありませんでした。辛いとは思いますが、これ以上の規制をかけるつもりはありませんのでどうか……理解して頂きたい」

 

 目の前が暗くなる錯覚に襲われる。1番好きなテーマが……使えなくなるなんて……

 

鏡子

 「こんなの……理解してたまるかよぉ!」

 

 俺は扉を乱暴に開けて、部屋へと駆け出した。

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

鏡子

 「クソ……クソォ……」

 

 どうして……どうしてこんな事をされなければならない。確かに俺は数多のデュエリストの精神を破壊しまくった。でも……これはあんまりじゃないか。

 

 リミットレギュレーションなら少しは納得できた。実際にこの時代なら自己蘇生できる2700打点ってだけで強い。ウイルスの媒体に出来るし(スキドレ)の影響を受けないから中々突破されない。なんなら突破されても、除外されてなければすぐ戦線復帰出来る。

 

 (未開域)の禁止もキツイ。アドを失わずに捨てられるカードの殆どが規制された。(グラファ)がいない中、マトモな打点を維持できる奴らだったのに。

 

ブラウ

 『今度こそ……我々は戦えなくなってしまうのでしょうか?』

 

鏡子

 「そうなのかもな……頼りない主ですまない」

 

 心配そうに声をかけてくる(ブラウ)。今度こそ(暗黒界)を崩さなきゃいけないと思った時……1つのカードが浮かんだ。

 

鏡子

 「いや、ある!今まで忘れていたけど、(暗黒界の洗脳)を搭載すれば……」

 

ブラウ

 『なっ!それだけは……それだけは……』

 

ベージ

 『そのカードだけはアカン!首をハネられてもいい!ストレージに投げられてもいい!そのカードだけは使わないでくれ旦那ぁ!』

 

 突然反発する暗黒界達。理由を聞こうと思ったが、どうでもよくなってしまった。

 

鏡子

 「そうか……(ブラウ)、(ベージ)達。俺はしばらく暗黒界を崩す。身勝手だと思うが、長い休暇だと思ってゆっくりしていて欲しい」

 

 俺がそう言うと、(ブラウ)達は悲しげな目で俺の部屋を出ていった。

 

 俺はベッドに寝転び、デッキを考える。

 

鏡子

 「はぁ……なにか満足出来るデッキはないものか……相手に反射ダメージを与えるデッキにしたいなぁ……」

 

 (ナチュル)……は透子がもうやっている。(アマゾネス)……はなんかパッとしない。

 

鏡子

 「(ユベル)……そうだ。(ユベル)組もう」

 

 早速俺はスマホを起動して、(ユベル)とその進化体を購入した。

 すると、手元に3種類のカードが瞬間移動してきた。最初は驚いたが、今は慣れたものだ。

 

 (ユベル)デッキに必要そうなカードを考えていると、妖艶な声が脳内に響いた。

 

???

 「君は随分と怒り、悲しんでいるようだね?話を聞かせてくれないか?」

 

鏡子

 「誰だお前。まぁ、いいや。俺の好きだったテーマを、上が使えない様にしたんだ。それで途方にくれてさ……デュエルは他のデッキで出来るけど、それで満足できるのかな……ってさ」

 

 俺がそう言うと、声は不思議な音と共に、答えを提示した。

 

???

 「それなら話は簡単じゃないか。その他のデッキで復讐すればいい。だって、君はその“上の事情”に踊らされた犠牲者なんだから、それぐらいは許されるよ。もしその気がなければ、目に映るデュエリストに問答無用でデュエルを仕掛ければいいんじゃないかな?そうすれば、少しは気も晴れるよ」

 

 確かに……俺はただデュエルをしていただけだった。それなのに、どうしてリミットレギュレーションでもないのに規制をされなければならないのか。そう考えると、心の奥から感情がグラグラと湧き上がってきた。

 

鏡子

 「あぁ……確かにそのとおりだ。俺はレギュレーションにしか縛られない!俺は、俺のカードでデュエルに勝つ!」

 

 早速俺は手に持つカード達をポケットに詰め込んで、今まで自重していたデッキを組み上げ始めた。普通なら反感どころか、下手したらリアルファイトに突入しそうなデッキ達。今なら、もう何も怖くない。

 

鏡子

 「名前も知らない誰かさん。ありがとうな。おかげで吹っ切れたよ」

 

 ストレージに眠っていたとっておきをとあるデッキに挿入して礼を言うと、誰かさんは艷やかに笑った。

 

???

 「気にすることは無いよ。ただ、僕に心の闇を食べさせてくれるなら」

 

 最後の言葉は聞こえなかったが、そんなことは関係ない。俺は新たに作った3つのデッキを持って部屋を飛び出した。

 

 そういえば、今夜は(アモン)とかいう奴がオベリスクブルー寮でパーティを開催するんだったっけ。今の俺は飯が喉を通る気がしないから、別に関係ないか。

 

 

 

〜 森 18:00 〜

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(真竜導師マジェスティM)でダイレクト!マジェスティトルネード!」

 

ラーイエロー生

 「ギィヤアァァ!」

 

 (マジェスティM)の暴風を受けて吹っ飛ぶ生徒。とっておきを出すまでもなかったな。

 

 寮を出てから今に至るまで、ひたすらにデュエルをしているが全く満たされない。というか(真竜)の罠に耐えられるデュエリストがいない。10期初期で環境とったのは伊達じゃないな。

 

鏡子

 「それにしても……満たされないな」

 

 あぁ、(グラファ)を出してビートダウンしてた時には、こんな気持ちにはならなかったのに。心の穴が埋まらない。

 

 そういえば、オベリスクブルーでパーティやってんだよな……少しぐらいなら腹に入るかな?

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

 日も完全に沈んだ夜。オベリスクブルー寮に帰ってくると、寮の中でデュエリストの声が多く聞こえてきた。

 

 デュエリストの声が聞こえる。この中にならきっと、俺を満たしてくれるデュエリストがいるはずだ! 

 扉を乱暴に蹴り開けて中に入ると、案の定沢山のデュエリストがデュエルをしていた。

 

鏡子

 「フッハハハ!誰か俺とデュエルしろ!いないのならば、俺がこっちから出向いてやるぞ!」

 

 おっ一瞬目があった。あいつにしよう。

 

鏡子

 「おっ、そこの目があったお前。俺とデュエルだ。拒否権はない」

 

オベリスクブルー生

 「い、嫌だぁぁぁ!」

 

鏡子·ブルー生

 「デュエル!!」

 

 はは、随分やけくそなデュエルの宣言だな。俺を少しは満足させてくれよ。

 

ブルー生

 「ぼ、僕のターンドロー!」

 

ブルー生 手札5→6

 

ブルー生

 「僕は(ジェスター·コンフィ)を攻撃表示で特殊召喚!このカードは手札から条件無しで特殊召喚出来る!そして僕は(ジェスター·コンフィ)を生贄に(エレキテルドラゴン)を召喚!カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

ブルー生 LP4000 手札3 伏せ1

 

エレキテルドラゴン 攻2500

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 攻守0だが有能な(ジェスター·コンフィ)を入れるとは……今までねじ伏せてきたイキリブルー生とはちょっと違うって感じだな。

 

鏡子

 「いくぜ!ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(おろかな埋葬)を発動!デッキから(エーリアン·ソルジャー)を墓地へ送る!そして(成金ゴブリン)発動!相手を1000LP回復させて1枚ドロー!フィールド魔法(チキンレース)を発動!1000LP払って1枚ドロー!」

 

鏡子 手札6→5→4→3→4→3→4

   LP4000→3000

 

ブルー生 LP4000→5000

 

鏡子

 「来た!(エーリアンモナイト)を通常召喚して効果発動!墓地から(エーリアン·ソルジャー)を蘇生!レベル4の(エーリアン·ソルジャー)にレベル1の(エーリアンモナイト)をチューニング!集いし破滅の細胞が、新たな世界を作り出す!侵略の道となれ!シンクロ召喚!(宇宙砦ゴルガー)!」

 

鏡子 手札4→3

 

 現れたのは、巨大で不気味なモンスター。至るところに先端に目がついた触手をうねらせ、下部に謎の穴があるその姿は、不気味という言葉以外で表現出来そうにない。

 

ブルー生

 「こ、これがシンクロ召喚。成功させるデュエリストがいるなんて……でもただではすまさないよ!永続トラップ発動!(銀幕の鏡壁)!これで元々の攻撃力が半分になるから、君のモンスターでは僕の(エレキテルドラゴン)では突破出来ないよ!」

 

鏡子

 「それはどうかな?俺は装備魔法(妖刀竹光)を(ゴルガー)に装備!そして(黄金色の竹光)を発動!俺のフィールドに竹光カードがあると2枚ドロー!永続魔法(端末世界)を発動!お互いにメインフェイズ2がスキップされる!」

 

鏡子 手札3→2→1→3→2

 

鏡子

 「(ゴルガー)の効果発動!任意の枚数フィールドの表側表示のカードを対象にして手札に戻し、表側表示のモンスターに手札に戻したカード分Aカウンターを置く。俺は(チキンレース)、(銀幕)、(妖刀竹光)、(端末世界)を手札に戻して(ゴルガー)にAカウンターを4つのせる!」

 

鏡子 手札2→5

 

ブルー生 手札3→4

 

 (ゴルガー)が目から光線を放ち、フィールドのカードを巻き上げていった。そして下部の穴から不定形な紫色の塊を4つ覗かせる。

 

ブルー生

 「ぎ、(銀幕)が!」

 

鏡子

 「再び(チキンレース)発動!1000LP払って1枚ドロー!ついてるぜ!(ゴルガー)に(燃え竹光)を装備して更に(妖刀竹光)を装備!(燃え竹光)の効果を発動!このカードが表側表示で存在する時に竹光カードが発動した場合に発動!次の相手メインフェイズ1をスキップする!」

 

鏡子 LP3000→2000

   手札5→4→5→4→3

 

ブルー生

 「ま、待って!手札の(端末世界)と合わせるとメインフェイズを両方ともスキップするの!?」

 

鏡子

 「御名答!更に(ゴルガー)の効果発動!Aカウンターを2つ取り除き、フィールドのカード(エレキテルドラゴン)を対象に破壊!」

 

 (ゴルガー)の下部の塊が2つ取り除かれると、(エレキテルドラゴン)はその謎の塊に包まれて爆散した。

 

鏡子

 「(端末世界)を発動!バトル!(ゴルガー)でダイレクトアタック!ゴルガービーム!」

 

 うねらせる触手から放たれる怪光線が、ブルー生の身体を素早く焼いた。

 

ブルー生 LP5000→ 2400

 

鏡子

 「俺はこれでターンエンドだ」

 

鏡子 LP2000 手札3枚 伏せ0

フィールド(チキンレース)

 

宇宙砦ゴルガー 攻2600

 

燃え竹光(ゴルガー)

妖刀竹光(ゴルガー)

端末世界

 

ブルー生 LP2400 手札4  伏せ0

 

ブルー生

 「こんな……こんなのってないよ……僕のターンドロー……ターンエンド」

 

ブルー生 LP2400 手札5  伏せ0

 

鏡子 LP2000 手札3枚 伏せ0

フィールド(チキンレース)

 

宇宙砦ゴルガー 攻2600

 

燃え竹光(ゴルガー)

妖刀竹光(ゴルガー)

端末世界

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札3→4

 

鏡子

 「俺は(ゴルガー)の効果を発動して竹光2枚を回収してAカウンターを2個(ゴルガー)にのせる!そして再び(燃え竹光)と(妖刀竹光)を発動!バトル!(ゴルガー)でダイレクトアタック!ゴルガービーム!」

 

 無数の触手から放たれた光線が、深く絶望するブルー生を無慈悲に貫いた。

 

ブルー生 LP2400→-200

 

鏡子

 「ハハハ……やっぱり満たされねぇな。ッグゥ!?」

 

 全てのギミック使ってないせいなのかとか考えていると、身体から力が一気に抜けた様な感触に襲われ、膝を地面に強打した。

 

 あぁ……前だったら極悪ロックを決めて満足していたのに、今は虚無感しか感じない。

 

鏡子

 「(グラファ)……またお前と……デュエルを……」

 

 再び脳裏によぎる暗黒界のエース。(グラファ)のイメージが霞んだと同時に、俺の意識は途絶えた。

 

 

〜 医務室 〜

 

鏡子

 「ここは……医務室か?」

 

十代

 「透子!目が覚めたのか!」

 

 ベットから身体を起こすと、そこには十代と(ブラウ)の姿があった。

 

鏡子

 「(ブラウ)……なんでここにいるんだ……自由に過ごせと言った筈だ」

 

ブラウ

 「確かに私は、一時的に透子の下で自由に過ごしています。ですが、主が倒れたと聞いて居ても立っても居られなかったのです」

 

十代

 「おいおい透子、せっかく駆けつけて来てくれたのに、それはないんじゃないか?」

 

 (ブラウ)の毅然とした応答に、十代は便乗してくる。

 

鏡子

 「すまない。最近の俺はデュエルに満足出来なくてな。気が立っていたんだ」

 

十代

 「満足出来ない?何かあったのか?相談にのるぜ?」

 

 こちらに寄る十代。せっかくだし相談にのってもらおう。

 

鏡子

 「あれは昨日の出来事だった。アナウンスで校長室に呼ばれた俺は、校長から(グラファ)と未開域モンスターその他諸々の使用を禁じられたのさ。十代で言うところの(融合)と(ネオス)あとは……(バブルマン)が禁止されて、E·HEROモンスターが全部制限カードになるぐらいのダメージかな?」

 

十代

 「そ、それってほぼデッキが保てないじゃないか!それで鏡子はどうしたんだよ」

 

鏡子

 「俺はあれから暗黒界を崩して、沢山デッキを作ってデュエルをした。バージェストマを混ぜたチェーンバーン、“とっておき”を入れた真竜デッキ。そしてパーティで使った相手のターンをスキップしまくる(超越エーリアン)。でも、どれたけ相手を蹂躪しても、俺の心は満たされなかったんだ」

 

十代

 「デュエルは相手がいてこそだぜ?相手に何もさせないんじゃ満足出来ないのも当たり前じゃないか?お前のデッキはどれも殺意が高過ぎるしさ」

 

 確かにな……でも前世なら、厳しいのは間違いないがこれぐらいで封殺されるデッキは少なかったのにな。真竜には(魔封じ)も(虚無空間)も入ってないし(ボーダー)を入れてない純構築なのにな。普通の真竜なら入れない(ドライアスⅢ世)もピンで入れてるけど未だに負けなしだ。 

 

鏡子

 「まぁ確かに十代の言ってる事も間違いじゃない。余りにもソリティアが長いと”壁とやってろ“なんて言われるよな」

 

 俺が項垂れていると、十代が思いついた様に言ってきた。

 

十代

 「なぁ、そういえばさっき暗黒界を崩したっていってたよな?カードは信じていれば応えてくれる。だから頑張って組めばきっと……」

 

 実に十代らしい答えだ。でも……俺には通じない。

 

鏡子

 「いや、おれはカードに愛着はあるが絆なんてものはない。それに来てほしいのはアド損をせずに捨てられるカード。暗黒界モンスターは来ないと困るが、初期手札に沢山来ても困るんだ。デッキを構築する核も暗黒界達に反発されたし、デッキの構築が不可能になったのさ」

 

ブラウ

 『主……』

 

鏡子

 「(ブラウ)……こんな身勝手な主でごめんな。俺にとってデュエルは満たされる為の手段、趣味の1つなんだ。満たされないデッキを使う事じゃないんだ」

 

 なんか……辛気臭くなっちまったな。

 

鏡子

 「十代、今は(ブラウ)と二人きりにさせてくれ。話し相手になってくれてありがとうな」

 

 十代は寂しそうな目つきで一瞥したあと、医務室を後にした。

 

鏡子

 「……久しぶりだな、(ブラウ)。元気にしてるか?」

 

ブラウ

 『ええ、先程話しましたが、透子の元で生活をさせて頂いています。最近は(ライトロード·アーチャー·フェリス)と弓矢対決で汗を流し、昼になったら(ベージ)3人衆と(フェリス)と共に昼寝をする日々を送っています』

 

鏡子

 「そうか……割と充実した生活をしてるようで安心したぜ。」

 

 これ……もしかしたら俺と一緒にいる時よりも充実してるんじゃないか?

 

ブラウ

 『ただ……やはり主と共に戦えないせいか……どこか物足りないのです』

 

鏡子

 「俺も……出来るならお前らと共にデュエルがしたい……でも(グラファ)と手札を捨てるカードがいないとデッキが回らないんだ。(暗黒界の洗脳)があれば(ゴルド)や(シルバ)、(便乗)エンジン使ってかろうじて戦えるんだがな……(洗脳)は駄目か?」

 

ブラウ

 『駄目です。我々は(暗黒界の洗脳)に散々な目にあっているのです。今使われるのはちょっと……』

 

 そうか……理由は聞かないでおいてやろう。

 

ブラウ

 『そういえば主。(フェリス)が流してくれた情報なのですが、どうにもその腕輪からデュエリストのエネルギーを吸い取り、森の方へ飛ばしているそうです』

 

 (ブラウ)が俺のデスベルトを指さした。

 

鏡子

 「デスベルトを渡したのはプロフェッサーコブラだから……コブラが黒幕とみた。てゆうかデュエリストのエネルギーってなんだよ」

 

ブラウ

 『詳しくは私も分からないのですが、デュエリストはデュエルをしている時に闘志という形で放出するものらしいです』

 

 つまりは闘志を殺す……無感情脳死プレイをすればいいんだな?

 

鏡子

 「とりあえず、動けるようになったらその森を探してみるか。尤も、(ライトロード)達が探してて既に見つかってたりしてな」

 

 こうして、俺は一眠りつく為に、毛布を深くかぶり力を抜いた。



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19.貪欲なる遊戯、責任無き力

〜 森 〜

 

 私は今(ライコウ)さん、(ライニャン)さん、(ガロス)さんといった(ライトロード)の皆さん。そして(ブラウ)さん、(ベージ)3人衆の皆さんの誘導の元、デュエリストのエネルギーが集まると言われている場所に向かっています。本来なら授業があるのですが……事態が事態なのでおサボりです。ちょっと罪悪感が……

 

透子

 「ここは……研究所?」

 

ガロス

 『ええ、ここにエネルギーが入っているのを確認している。間違いない』

 

 目の前に見えるのは、所々塗装が剥がれている緑色の研究所。ここに……エネルギーが集められているのでしょうか……

 

 それにしても、入口が見当たらないのですが……

 

ガロス

 『こういう時は、(ライニャン)の出番だ』

 

 (ガロス)さんがそう言うと、(ガロス)さんが抱えていた(ライニャン)さんがあっという間に入口を見つけて扉を開けてしまいました。

 

 何が起きたのか全く分かりません……何をどうやったら扉を一瞬で開けられるのでしょうか。

 

ガロス

 『(ライニャン)は今までに数々のミッションをこなした、とても優れた偵察員だ。ロックのかかった扉を開けることなど造作もない。ただ、猫だからか魚に目がないのが玉に瑕だがな』

 

 中に入りながら、(ライニャン)さんの活躍を語る(ガロス)さん。ところで……ここから地道に探すしかないのでしょうか。

 

ライコウ

 『この研究所の1階部分は我々(ライトロード)が捜索を完了させている。こっちだ』

 

 先頭の(ライコウ)さんについていきます。

 

透子

 「それにしても……皆さん仕事が早いですね……エネルギーが集まる場所を特定したばかりか構造まで把握してしまうなんて……」

 

ガロス

 『戦いのプロは伊達ではない。これくらい出来なくては、強力な精霊の鎮圧なんて出来ない』

 

 そんな会話を交わしていると、エレベーターの前で(ライコウ)さんが立ち止まりました。

 

ライコウ

 『この先は広大なジャングルになっている。ここから先は(ベージ)達に案内してもらう』

 

ベージ

 『へいへい、任されましたよぉ〜』

 

 やる気がなさそうな(ベージ)さん。スイッチを押してエレベーターの扉が開きました。

 私達は何も言うことなくエレベーターで下へと降りていきます。

 

 

〜 廃研究所 地下 〜

 

 エレベーターを降りると、そこは鳥が囀り木が鬱蒼と生え茂るジャングルがありました。

 

透子

 「それでは(ベージ)さん。案内よろしくお願いします」

 

ベージ

 『その件なんだが……怪しい所は見つけたが、ここ余りにも広すぎてさ……大まかな道しか分かってねぇんだ』

 

ガロス

 『なんだと!?……ふん!所詮は暗黒界!どうやら我々ライトロードの足元にも及ばない能力しかないようだな!』

 

ブラウ

 『な、何を言うか!こっちは一階よりも遥かに広いジャングルを夜通し!4人で捜索したのだぞ!』

 

 火花を散らす(ガロス)さんと(ベージ)さんと(ブラウ)さん。あの、立ち止まっていないで早く進みたいのですが……

 

ライコウ

 『(ガロス)!今はそんな事を言っている場合か!すまない暗黒界諸君。(ガロス)に替わってお詫びしよう』

 

ブラウ

 『確かに……我々はこのデスクローザーデュエルを終わらせる為にここに来たのであってライトロードと戦争する為ではない。そろそろ行こうか』

 

 ようやく終わった口論。(ベージ)さんを筆頭に、先へ進んでいきます。

 

 

〜〜〜

 

 鬱蒼と茂る草木をのけながら進んでいると、私は(ライラ)さんのお願いを思い出しました。

 

透子

 「そういえば、暗黒界の皆さん。確か皆さんは“12個ある世界を1つにしてしまう恐ろしい魔法カード”を開発しているって聞いたのですが……それは本当ですか?」

 

ブラウ

 『我々は……(グラファ)様と共に暗黒世界から逃げてきた身です。詳しい事はよく分かりませんが、(ブロン)がその様な融合魔法を作る様に指示を出していたと、他の(ベージ)達が言っておりました』

 

ライコウ

 『(グラファ)は3年前まで暗黒界の指導者だった。嘘は言ってないだろう』

 

 どうやら暗黒界の皆さんには訳アリの事情があるようです。でも上の人が逃げるって……相当な事が起きたのでしょうね。

 

ベージ

 『よし、後はここを真っ直ぐ進めば石橋がある。そこに何かあるかもな。俺らは他の探してない場所を見てくる。行くぞ(ブラウ)』

 

 (ベージ)さんと(ブラウ)さんはそう言って森の中へ消えていきました。

 

 言われた通りに進むと、そこには人が……更に近づくと、その人物は佐藤先生である事が分かりました。

 

 佐藤先生の背には扉が、でもとても固そうです。私では開けそうにありません。

 

ライコウ

 『どうやら(ライニャン)でも開けられない扉らしい。あの扉は相当に強力だぞ』

 

 つまり私は佐藤先生に扉を開けさせる必要がありそうですね。話しかけてみましょう。

 

透子

 「佐藤先生。どうしてこんな所にいるんですか?」

 

佐藤

 「透子さん。私はここで色々と研究をしていてね。丁度帰ろうと思っていたところなんだ」

 

 佐藤先生はフッと笑みを浮かべて答えを返します。では話を変えてみましょう。

 

透子

 「話を変えましょう。私はプロフェッサーコブラを探しています。佐藤先生はどこにいるか知りませんか?」

 

 私がそう言うと、佐藤先生は僅かに眉を顰めました。

 

佐藤

 「えぇ、確かにプロフェッサーコブラはこの扉の先にいます。ですが、この扉は特別でね。私にデュエルで勝たないと開かないのですよ」

 

透子

 「そうなんですか……ところで佐藤さん。どうしてプロフェッサーコブラに手を貸しているのですか?」

 

佐藤

 「私は……生徒の皆さんに失望したのですよ。やる気のない態度、適当なデュエルっぷり、勝負への甘さ。貴方はそこには該当しませんでしたが……貴方は模範にするには余りにも異質過ぎました。だから責任を取ってもらいます」

 

透子

 「よく分かりませんが、分かりました。デュエルで決着をつけて……」

 

 私が言葉を言い切ろうとした瞬間。私の意識は途切れました。

 

 

 

鏡子

 「デュエルか……俺を満足させろ!」

 

 目の前を見ると、そこにはデュエルディスクを構えた佐藤先生の姿があった。

 

 佐藤先生。彼は俺から見てもデュエルに熱心な人だった。だが、授業はあまり面白いものではなかった。教科書に書かれた事をただ読み上げる授業。

 

 そのせいか授業を真面目に受ける生徒は日に日に減ってゆき、ついにはサボる生徒が出てきて、どんどんとサボりが増えていった。

 

 同情はする。だがそれだけの先生だった。

 

 適当なデュエルケースからデッキを取り出しディスクにセットして構える。

 

鏡子·佐藤

 「デュエル!」

 

 おっ、このデッキを引いたか。それにしても後攻か。まぁ別にいいや。

 

佐藤

 「私のターンドロー」

 

佐藤 手札5→6

 

佐藤

 「私は(スカブ·スカーナイト)を通常召喚。カードを1枚……いや2枚セットしてターンエンド」

 

佐藤 手札6→4→3

 

佐藤 LP4000 手札3 伏せ2

 

スカブ·スカーナイト 攻0

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 出てきたのは某機械っぽい生物が、変な使徒と戦うアニメに出てきそうなモンスター。それにしても攻撃力0……何かあるかもな。

 

鏡子

 「俺のターン。ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は手札から(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲ってその中から1枚サーチ。残りはデッキへ。そして俺はこれを使ったターン特殊召喚出来ない」

 

捲られたカード

八咫烏の骸

荒魂

帝王の烈旋

 

鏡子

 「う〜ん。俺は(荒魂)を手札に加えて通常召喚。効果を発動してスピリットモンスター(和霊)をサーチ。」

 

 突如現れた真っ赤な人魂。その人魂は火の玉を1つ生み出し、火の玉はカードとなって俺の手札に加わった。

 

鏡子 手札6→5→6→5→6

 

鏡子

 「俺はメインフェイズ2に入って……あれ?なんでバトルフェイズに入って……」

 

 突然(荒魂)が荒ぶり、(スカブ·スカーナイト)に突撃。(スカーナイト)の身体の一部を欠けさせた。そして、欠片が(荒魂)にくっつき佐藤先生のフィールドへ移った。

 

佐藤

 「ふふふ……(スカブ·スカーナイト)は攻撃表示の時戦闘では破壊されない。そして攻撃表示で存在する相手モンスターは、このカードに攻撃しなければならない。更に攻撃表示のこのカードと戦闘を行ったモンスターにスカブカウンターを1つ乗せ、バトルフェイズ終了時、スカブカウンターの乗ったモンスターのコントロールを得る事ができる……尤もスピリットモンスターはエンドフェイズに手札に戻ってしまうので、私とのデッキ相性は最悪ですけどね」

 

佐藤 LP4000→3200

 

 なるほど、先生はこの(スカブ·スカーナイト)で永続的なコントロール奪取を行い、奪ったモンスターで戦うデッキといったところか。いい趣味してるじゃねぇか。それなら(トーチ·ゴーレム)や(和睦の使者)とかにも注意しないとな。

 

鏡子

 「しょうがねぇな。カードを2枚セットして、エンドフェイズに佐藤先生のフィールドにある(荒魂)は俺の手札に戻ってターンエンド」

 

鏡子 手札6→4→5

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ2

 

佐藤 LP3200 手札3 伏せ2

 

スカブ·スカーナイト 攻0

 

佐藤

 「ふふ、先攻で大量展開をするあなたらしくない展開ですね?まぁいいでしょう。ところで透子さん。貴方にとって、デュエルとはなんですか?」

 

 随分と哲学的な質問だな。俺の語録の中に、この質問にぴったりな言葉がある。ちょっとアレンジすれば、俺の心情とマッチするしな。

 

鏡子

 「遊びだよ。本気でやれるわけないじゃん。俺の攻撃と制圧に耐えられるデュエリストが少なすぎる。だから俺にとって、相手はハンティングゲームの獲物でしかないんだよ!」

 

 俺の迫真の言葉に、佐藤先生がクツクツと笑った。

 

佐藤

 「やはり貴方も十代と同じく背負うものの無い人間でしたか。ならば私は負けません。私は私の為に、デュエルをしたことが無いのだから」

 

 その後、佐藤先生は先生の過去を語った。彼は貧しい家に生まれて、どうにかプロのデュエリストになり、ファイトマネーの殆どを実家に仕送りして身を切る様な生活をしていたらしい。

 

鏡子

 「なるほど、確かに負ける事が出来ない重圧ならば、自身を磨かざるを得ない。それはまぁ分からなくはない。だがな、デュエルモンスターズはどんなに進んでも所詮はカードゲーム。楽しむ為に作られた物だ。俺はプロの世界で生きてないから分からないが、“楽しい”と思えなければ続ける事が出来ないんじゃないか?」

 

佐藤

 「ふふふ……どうやら話は平行線のようですね。私がその考えを正してあげます!私のターンドロー!」

 

佐藤 手札3→4

 

佐藤

 「私は(リマンドマン)を召喚。バトル。(リマンドマン)でダイレクトアタック」

 

リマンドマン(アニメオリジナル)

レベル3/炎属性/戦士族/攻撃800/守備0

相手のフィールドの守備表示のモンスターの表示を攻撃表示にする事が出来る。

 

 呼び出されたトカゲは高く跳躍し、俺の体に体当たりをかました。

 

鏡子 LP4000→3200

 

佐藤

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

佐藤 LP3200 手札2 伏せ3

 

リマンドマン 攻800

スカブスカーナイト 攻0

 

鏡子 LP3200 手札5 伏せ2

 

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(和霊)を召喚!こいつはスピリットモンスターの召喚権を増やすので速攻魔法(帝王の烈旋)を発動!1ターンに1度だけ相手のモンスター1体をアドバンス召喚の素材としてリリース出来る!俺は(リマンドマン)と(和霊)をリリース!」

 

 俺のフィールドに突風が吹き荒れ、(和霊)と(リマンドマン)が巻き込まれて吹き飛ばされた。

 

鏡子

 「8つの尾を持つ大蛇よ!その巨体を以て大地を耕し、我に恵みを齎し給え!アドバンス召喚!現われろ!(八俣大蛇)!」

 

鏡子 手札6→5→4→3

 

 出てきたのは、周りの木を見下せるぐらいの大きさをした八首のドラゴン。

 

 召喚口上で言った割には小さいな。てっきり(ティエラ)ぐらいはあるのかと思っていたが……まぁいい。

 

 ちなみに、リリースを(リマンドマン)にした理由は単純にダメージとリソースを稼ぎたかったのと、そもそも奪われてもスピリットだから対して損害がないからだ。

 

鏡子

 「(和霊)の効果発動!墓地に送られて、自分フィールドにスピリットモンスターがいる場合に発動!カードを1枚ドローする!カードを1枚セットして……バトルフェイズ!(八俣大蛇)で(スカブ·スカーナイト)を攻撃!」

 

 巨体に相応しくない程の高速で(スカブ·スカーナイト)に接近し、それぞれの首で噛み付……こうとした時に薄い膜が勢いをいくらか削いだ。

 

 そして(スカブ·スカーナイト)から剥がれた大量の欠片が(八俣大蛇)にくっつき俺のフィールドから離れた。

 

佐藤

 「トラップカード(ダメージダイエット)!このターンに受ける私のダメージを全て半分にします!そして(スカブ·スカーナイト)の効果で(八俣大蛇)は私の元にやってきます」 

 

佐藤 LP3200→1900

 

 あれ?これ効果発動出来ない?まじかぁ……だったらこうだ!

 

鏡子

 「トラップ発動!(八咫烏の骸)!こいつは普段は1枚ドローするだけだが、相手フィールドにスピリットモンスターがいると2枚ドローになる!ドロー!」

 

鏡子 手札3→5

 

鏡子

 「カードを2枚セットしてターンエンド!エンドフェイズに(八俣大蛇)は手札に戻る!」

 

 手札補充出来なかったのは少し痛いな……まぁ致命傷ではないけど。

 

鏡子 LP3200 手札4 伏せ3

 

佐藤 LP1900 手札2 伏せ3

スカブスカーナイト 攻0

 

佐藤

 「クッ……厳しいですね……ですが勝つのは私です!ドロー!」

 

佐藤 手札2→3

 

佐藤

 「来ましたね。私はトーチトークンを2体特殊召喚して透子さんのフィールドに(トーチ·ゴーレム)を特殊召喚!」

 

 佐藤先生のフィールドに小型のロボットを残して、俺のフィールドに大型なロボットが姿を現した。

 

トーチトークン×2 攻0

トーチゴーレム 攻3000

 

鏡子

 「このタイミングで出すって事は……(レインボー·ライフ)があるようだな。発動してトークン2体に自爆特攻させれば合計6000回復。更に(スカーナイト)で攻撃すればバーンデッキとかの相手でも高打点を確保しつつ更に3000回復。LP消費の激しい(スカーナイト)に合っているな」

 

佐藤

 「確かにその様なカードは伏せてあります。しかし(スカブ·スカーナイト)の瘡蓋は、周りの生命を枯れさせる。LPを回復する効果はお互いに無効になってしまいます。ですがその着眼点は評価に値しますね」

 

 佐藤先生のやつれた顔が、僅かに緩む。

 

佐藤

 「透子さん。貴方は本当に優れたデュエリストです。私がこのカードを出すと、他のデュエリストは舐められていると感じ罵声を浴びせてきました。このカードを真髄を見抜き、冷静な評価を下せる貴方は、この学園の模範になり得るデュエリストでした」

 

 その言い方だと、どうやら俺は模範にはなれなかったようだな。

 

佐藤

 「透子さんは……余りにもデュエリストとして異質すぎました。先攻1ターン目の怒涛の展開、ここまでは問題ありません。問題は次の相手ターンに放たれる苛烈を極める妨害。まさに“相手に何もさせない”デュエル。勝利を突き詰めるとそれが正しいのでしょうが、それを模範にするわけにはいかないのです」

 

 そういえば、この時代に先攻制圧という概念はあるのだろうか。あるとしたら(お触れホルス)か(ジャマキャン)ぐらいだろうか。もし俺の真似して、みんな(ジャマキャン)と(お触れホルス)を握ったらアカデミアが地獄と化すな。

 

佐藤

 「私はアカデミアに惰性を撒き散らした十代と同じぐらいに、貴方を許す訳にはいかないのです!バトル!(スカブ·スカーナイト)で(トーチゴーレム)を攻撃!攻撃宣言時にトラップカード(和睦の使者)を発動!これで私のモンスターは戦闘で破壊されず、私が受けるダメージは0になります!そして(トーチゴーレム)は(スカブ·スカーナイト)の効果によりコントロールを得ます!」

 

 上手い。流石はプロデュエリスト。でもトークンはどう処理するんだろう。(トーチ·ゴーレム)の効果外テキストでもう通常召喚できないし。

 

佐藤

 「バトルフェイズはまだ続いています!(トーチ·ゴーレム)でダイレクトアタック!」

 

鏡子

 「流石に打点3000は食らいたくないな!トラップカード(くず鉄のかかし)を発動!これにより俺は(トーチ·ゴーレム)の攻撃を無効にしてそのままこのカードをセットし直す!」

 

 トーチゴーレムの右腕の鋸が俺を切り裂こうとするが、ボロボロな機械のカカシが突然起き上がりそれを防いだ。これリアルだったらスゲー怖いんだけど。

 

佐藤

 「防がれましたか……。私はこれでターンエンドです」

 

佐藤 LP1900 手札2 伏せ2

 

スカブ·スカーナイト 攻0

トーチ·ゴーレム 攻3000

トーチトークン×2 攻0

 

鏡子 LP3200 手札4 伏せ3

 

 トークン処理しなかったな。アカデミアの先生がそんなヘマするとは思えないが……いや待て、確か(スカブ·スカーナイト)は自身へ攻撃を強制させる効果があるって言ってたな?なら別にトーチトークンを残していても問題ないのか。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(荒魂)を召喚!効果を発動してデッキから(木花咲弥)をサーチ。(木花咲弥)はフィールドにスピリットモンスターがいる時特殊召喚出来る!そしてスピリットのお供(二重召喚)を発動!増えた召喚権で(荒魂)と(木花咲弥)をリリース!再び現れろ!(八俣大蛇)!」

 

鏡子 手札5→4→5→4→3→2

 

 最近の異世界ショップで入荷していたカードを生贄にして、再び地に降り立つ八首のドラゴン。こいつで(スカーナイト)を殴ればゲームエンドだが……伏せ2枚が怖いな……(ミラフォ)だったらやばいが……臆さず攻める!

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(八俣大蛇)で(スカブ·スカーナイト)を攻撃!」

 

佐藤

 「させない!トラップカード(スカブ·スクリーム)を発動!自分フィールド上の(スカブ・スカーナイト)が攻撃力2000以上の相手モンスターの攻撃対象になった時に発動する事ができ、自分が受ける戦闘ダメージは0にして攻撃モンスターを破壊する!」

 

 (スカブスカーナイト)は身に纏う殻をパージさせ、(八俣大蛇)を破壊した。(スカブスカーナイト)のいた場所には、(スカブスカーナイト)よりも遥かに小さく、武器にも鎧にも傷の入ったボロボロの戦士が立っていた。

 

クライングスカーナイト 攻0

 

佐藤

 「こいつは私と共に戦い続けたモンスターだ。負けないよ透子さん。君のような心の闇を……心に背負うものを持たないデュエリストには」

 

 心の闇?感情はデュエルに少なくない影響を与えるが、闇は関係ないと思うのだが……

 

鏡子

 「俺はこれでターンエンド。こんなに緊迫したデュエルは久々だな」

 

 あぁ……この1手間違えば敗北する様な緊張感。本当に久しぶりだ。

 

鏡子 LP3200 手札2枚 伏せ3

 

佐藤 LP1900 手札2 伏せ1

 

佐藤

 「私のターンドロー。私は(終末の騎士)を召喚して効果発動!デッキから2枚目の(スカブ·スカーナイト)を墓地へ送ります。そしてトラップカード(ナイトメア·デーモンズ)を発動!(終末の騎士)を生贄にして、透子さんのフィールドに攻守2000の(ナイトメアトークン)を3体攻撃表示で特殊召喚します。そして、このトークンが破壊されると、透子さんは800ポイントのダメージを受けます」

 

鏡子

 「もしかして……その(クライングスカーナイト)はフィールドのモンスターを全破壊してその枚数分ダメージを与えるカードだったりするのか?もしそうなら、トークンのダメージだけでも2400のバーン。大打撃だしダメージ倍率によるが俺は焼き殺される」

 

 手口が(ハネクリボーワンキル)と同じなんだが……というか(ナイトメア·デーモンズ)の使い道なんてそれくらいだろ。

 

佐藤

 「本当に優秀ですね透子さん。このコンボを見せたのは私がプロの時でも数回。アカデミアに来てからは1度も見せてないコンボを一瞬で見破ってしまうなんて。ですがもう遅いです。エンドフェイズに(クライングスカーナイト)の効果発……」

 

鏡子

 「待った!チェーンして速攻魔法(神秘の中華なべ)を発動!コストで(ナイトメアトークン)をリリースしてその攻撃力2000分のLPを回復!その後800のバーンを受ける!」

 

鏡子 LP3200→5200→4400

 

 まさか(血の代償)のコスト軽減用のカードがここで生きるなんてな。

 

血の代償

永続罠(制限カード)

500ライフポイントを払う事で、モンスター1体を通常召喚する。

この効果は自分のメインフェイズ時及び

相手のバトルフェイズ時にのみ発動できる。

 

佐藤

 「では(クライングスカーナイト)の効果により、お互いのフィールドのモンスターを全て破壊して、お互いのプレイヤーに破壊されたモンスターの数×500ポイントのダメージを与えます。私は2000ポイント、透子さんは1000ポイントのダメージの後に合計1600ポイントのダメージです」

 

鏡子

 「そ、それじゃあ元々俺を道連れにする為にこのコンボを仕掛けたのか!」

 

佐藤

 「ええ、ですが防がれてしまいましたね。貴方の様な素晴らしいデュエリストと心中出来るなら本望だったのですけどね」

 

 佐藤先生の顔を見ると、中々に晴れやかな顔をしていた。後悔は無いという事なのだろうか。

 

鏡子

 「そうだ!先生は十代を憎んでいたな?何か伝言があれば、機会がある時に伝えようか?」

 

佐藤

 「そうですね……なら十代にこう伝えて下さい。“力には大きな責任を伴う。力を持っていながら責任を果たさない十代は愚か者だ”……とね」

 

鏡子

 「……了解。しっかり忘れずに伝えておきます」

 

 俺がそう口にしきった瞬間。お互いのフィールドで大爆発が起きた。

 

佐藤 LP1900→-100

鏡子 LP4400→3400→1800

 

 ゲホッゴホッ……痛え……背中を木にぶつけたから超痛いんだけど。

 

鏡子

 「そうだ!佐藤先生は!」

 

 目の前に目を向けると、佐藤先生は立っていた。しかし、石橋に落ちていた(クライングスカーナイト)を拾うと突然身体が燃え始め、意識を失い石橋から落ちて奈落の底へ落ちていった。

 

鏡子

 「先生!う……ぐあぁ!」

 

 俺の身体も燃え始めた。いや、これはデュエリストのエネルギーが漏れているのか、クッ……意識が……

 

鏡子

 「(グラファ)……俺はお前で……」

 

 再び脳裏に現れる(グラファ)。霞むと同時に、俺の意識は途切れた。




この話を書いていた時に、ちょうどパックに木花咲耶が登場したので上級スピリットデッキ組ませたいなと思い書いていたら、たまたま相手がコントロール奪取の佐藤先生だったのです。よってご都合主義ではない……筈。


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20.毒蛇を喰らう幻竜達

 

 

鏡子

 「ハァ……ハァ……」

 

 目が覚めた俺は扉を開け、なんか立ちふさがってきた精霊ハンターを(バジェバーン)でぶち転がし、覚束ない足取りで一本道を進んでいる。

 

 キツイ……足が本当に重い。一歩一歩踏みしめて動くのがやっとだ。でも……

 

鏡子

 『俺はまだ……満足していない!』

 

 佐藤先生とのデュエルは中々楽しかった。でも、足りない。暗黒界を回していた時にはまだ及ばなかった。

 だから俺は満足する為にコブラを叩き潰す。

 

 ッ……駄目だ……足がもう限界だ。もうしばらくは歩けない……でもあと少し!

 

 持てる全ての力を込めて地面を蹴ると、まるでここでデュエルをしろと言わんばかりの広い空間に出た。

 

鏡子

 「ッハァ!ハァ……ハァ……ハァ……」

 

 力を使い尽くした俺は、大の字になって寝転がる。しばらく動けそうにないわ。早く体力を回復する為に……寝るか。

 

 俺は重い目を閉じて、眠りについた。

 

 

〜〜〜

 

??

 「子……透子……しっかりしろ透子!」

 

 目を開けると、そこには必死な表情の十代がいた。視界にはヨハンや剣山、明日香や翔にジムも映っている。

 

鏡子

 「おう十代。久しぶりだな。お前らどうしてそんなに焦ってるんだ?」

 

ヨハン

 「そんな事を言っている場合か!とにかく走るぞ!」

 

 あっという間にお姫様抱っこされる俺。ヨハンの胸の鼓動を微かに感じる。ヨハンをよく見ると結構美青年だし、もし俺が前世女だったら惚れてたのかな。まぁ俺にはそんな趣味ないけど。

 

 ヨハン達が走る方を向くと、そこには扉がゆっくりと降りてきて閉まろうとしていた。なるほど、ヨハン達が焦っていたのはそういうことか。

 

 てかあれ間に合わなくね?俺らここから出られるのかな。

 

 そんな事を考えていると、上のガラス床が砕けてオブライエンが華麗に着地。よく分からない紐付きの道具を二組投擲して扉の閉鎖を妨害した。

 

鏡子

 「オ、オブライエン!助けに来てくれたのか!」

 

オブライエン

 「いいから行け!コブラを止めろ!このロープも長くは持たないぞ!」

 

 

 オブライエンは扉に近づき、扉の間に入り持ち上げようとしている。少しでも時間を稼ごうとしているのか。

 次々に扉を潜る一同。剣山が手伝おうとしたが断られ、渋々扉を潜っていった。

 

ヨハン

 「透子。動けるか?」

 

鏡子

 「おう、問題無いぜ。さっきまでありがとうなヨハン」

 

 俺はヨハンに降ろしてもらい、さっさと扉を潜った。

 

十代

 「オブライエン!お前は俺達の敵じゃなかったのか!?」

 

オブライエン

 「世の中には、間違った出会いもある」

 

 十代とオブライエンが短い会話を交わしていると、奥の扉も閉まり始めた。これ十代間に合うのか?

 

鏡子

 「早くこい十代!間に合わなくなるぞ!」

 

十代

 「クソォ!恩に着るぜオブライエン!」

 

 オブライエンが抑えていた扉は土煙と共に完全に閉じた。十代は華麗なスライディングで、俺らのいる扉へぎりぎり滑り込んだ。

 

ヨハン

 「十代!大丈夫か?」

 

鏡子

 「クッ、まさかデスクローザーデュエルで二人も死者を見ることになるなんて!」

 

十代

 「許さねぇ、許さねぇぜコブラ!」

 

 目の前で生徒が死んだんだ。そりゃあ十代だって怒るわな。

 

明日香

 「そういえば……透子。さっき貴方死者は二人目って言ってたわよね?一人目は誰なの?それになんで一人でこの研究所に来てたの?」

 

鏡子

 「逆順処理で答えるぜ。俺がここに来たのは、暗黒界と愉快な仲間達がここにエネルギーが集まっているのを察知したからだ。ここに来るまでに2回デスデュエルしてさ。精根尽き果ててたからあそこで寝てたのさ」

 

 「に、2回も!?透子さんは大丈夫なの!?」

 

鏡子

 「逆順処理中に効果は挟めない。後で説明するからな。さっきの話とも繋がるが、俺はここに来るまでに佐藤先生とデュエルをした。中々良いデュエルだったけどデュエルが終わったら佐藤先生が気を失って奈落の底に落ちちまってさ。間違いなく彼は助からないだろう」

 

 さて、逆順処理も終わったし翔の疑問を解決するとしよう。

 

鏡子

 「翔の疑問に答えるが、正直大丈夫じゃなかった。足がすげー重くてさ、歩くのがしんどくてしんどくて。気力振り絞って、さっき扉が閉まったあの部屋に入って、体力回復の為に寝たんだ。まぁ今は問題なく動けるぜ」

 

 そんな事を話していると、近くのエレベーターが動き出した。そこから、コブラがデュエルディスクを付けて上へ登っていった。

 

ヨハン

 「どうやらコブラは、俺達を誘っているらしい。いくぞ!」

 

 俺はヨハン達についていく為に、足を早くした。

 

 

〜〜〜

 

 長い長い階段を登ると、そこはヘリポートだった。

 

コブラ

 「よく来たな。遊城十代」

 

ヨハン

 「貴様!何を企んでいる!デスデュエルを即刻中止しろ!」

 

 ヨハンを筆頭に明日香達はデスデュエルを中止するように求めたが、コブラは含み笑いをして一蹴した。

 

コブラ

 「今頃デスデュエルを止めても無駄な事。デスデュエル計画は最終段階に入ったのだ!ここで中止しようとしまいとこの学園に未来はない!」

 

 コブラがスイッチを押すと、ヘリポートがせり上がり始めた。

 

 ヘリポートはぐんぐん登り、天井まで届こうかというタイミングで天井が開き、ついに廃研究所の天井も開いてアカデミアのてっぺんと同じぐらいの高さまで上がってしまった。なんだこのロマン装置。

 

コブラ

 「これなら誰にも邪魔されまい。さぁ十代、俺とデュエ……」

 

鏡子

 「その前に俺とデュエルしてもらおうか。一度はデスクローザーデュエルの開催者とデュエルしたいと思っていたんだ」

 

コブラ

 「ふぅん。確かに透子のデュエルエナジーは劣悪だが、量だけは十代にも勝る……良いだろう。前座には丁度いい」

 

 「む、無茶ッスよ!さっきまで動けなかったのに!」

 

 翔はそんな事を言って俺を止めようとする。だが、俺は止まるつもりは毛頭ない。俺はとにかく満たされたいんだ!

 

鏡子

 「関係ないね!さぁコブラ!デュエルの始まりだ!」

 

鏡子·コブラ

 「デュエル!」

 

 おっ、掴んだデッキはこれか。少し楽しくなりそうだな。

 

鏡子

 「先攻は俺か。ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズに入る!俺は(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲り、その中から1枚サーチして残りをデッキに戻す。そして俺はこのターン特殊召喚出来ない」

 

捲られたカード

奇采のプルフィネス

メタファイズ·タイラント·ドラゴン

封印の黄金櫃

 

鏡子

 「良いカードばかりで悩むぜ。俺は(奇采のプルフィネス)をサーチして通常召喚して効果発動!コストでカードを除外してレベルを1つ上げる。俺は(メタファイズ·アセンション)を除外してレベルを上げる!」

 

鏡子 手札6→5→6→5

 

奇采のプルフィネス レベル4→5

 

鏡子

 「除外された(アセンション)の効果発動!デッキからメタファイズカードをサーチ出来るので永続魔法(アシン·メタファイズ)を手札に加えて発動!1ターンに1度メインフェイズに発動出来て、手札のメタファイズカードを除外して1枚ドロー出来る。よって俺は手札の(メタファイズ·ダイダロス)を除外して1枚ドロー」

 

 上空に薄い膜が張られ、そこに(ダイダロス)が飛び込んでいき俺は1枚ドローする。

 

鏡子 手札5→6→5→4→5

 

鏡子

 「(アシン·メタファイズ)の強制効果発動。お互いのフィールドのメタファイズ以外のモンスターは攻守が500下がる。俺はさっき引いた(魂吸収)を発動。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ1

 

奇采のプルフィネス 攻1800→1300

 

魂吸収

アシン·メタファイズ

 

ジム

 「なんてbeautifulなモンスターなんだ!」

 

明日香

 「透子が使うデッキはメタファイズデッキのようね。彼女が持つデッキで最も持久力に優れたデッキよ。再利用が困難な除外を利用して、自分は少しずつアドバンテージを稼ぎながら相手の盤面を荒らす。相手するととてつもなく厄介なデッキよ」

 

 「うぅ……僕はあのデッキとはもうデュエルしたくないッス」

 

剣山

 「そういうデッキなのはわかっているドンが……やっぱり毎ターンカードが除外されるのはキツすぎるドン」

 

 観客はメタファイズデッキを見て思い思いの事を語る。まぁデュエルしたことが無い転入生組以外良い印象はなさそうだな。

 

コブラ

 「私のターンドロー」

 

コブラ 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイフェイズに前のターンに除外されている(ダイダロス)の効果発動!除外された次のスタンバイフェイズにコストでこのカードをデッキに戻して、メタファイズカード(メタファイズ·ネフティス)を除外!そして(魂吸収)の効果が発動してLPを500回復する!そして(アシン·メタファイズ)の強制効果発動!相手ターンに発動したのでメタファイズモンスター以外のモンスターの表示形式を変更する」

 

鏡子 LP4000→4500

 

奇采のプルフィネス 守0

 

コブラ

 「私のターンなのだが……まぁいい。私は(ヴェノム·スネーク)を召喚!1ターンに1度相手に毒を植え付ける……のだが守備力0では関係ないな。バトル!(ヴェノム·スネーク)で(奇采のプルフィネス)を攻撃!」

 

コブラ 手札6→5

 

 (ヴェノム·スネーク)が毒液の塊を吐き出すと、(奇采のプルフィネス)に着弾。(プルフィネス)は瞬く間に破壊された。

 

鏡子

 「(奇采のプルフィネス)の効果発動!相手によって破壊された場合に発動して除外されている罠カード(メタファイズ·アセンション)をセット出来る」

 

コブラ

 「まぁ良いだろう。私はカードを2枚セットしてフィールド魔法(ヴェノム·スワンプ)を発動!」

 

 (ヴェノム·スワンプ)が発動された瞬間。ヘリポートは真っ赤な血の池地獄の様な物へ姿を変えた。

 

コブラ

 「この沼に立つ限りは、(ヴェノム)モンスター以外は互いのエンドフェイズに毒を受ける。そして毒を受けたモンスターは毒を受けた箇所につき500ポイント攻撃力が下がり、この効果で攻撃力が0になると破壊される。私はこれでターンエンド」

 

コブラ 手札5→3→2

 

コブラ LP4000 手札2枚 伏せ2

フィールド(ヴェノム·スワンプ)

 

ヴェノム·スネーク 攻1200

 

 なるほど、フィールドに長い間モンスターは居られないってわけか。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!スタンバイフェイズに除外された(ネフティス)の効果発動!自身をデッキに戻してメタファイズカード(ダイダロス)をサーチ!」

 

鏡子 手札3→4→5

 

鏡子

 「メインフェイズ!俺は(アシン)の効果発動!手札の(ダイダロス)を除外して1枚ドロー!そして(魂吸収)で500回復」

 

鏡子 手札5→4→5

   LP4500→5000

 

 おっ、良いカードだ。

 

鏡子

 「手札から(封印の黄金櫃)を発動!デッキからカードを除外して2ターン後のスタンバイフェイズに手札に加える。俺は(ネクロフェイス)を除外する。そして除外された(ネクロフェイス)の効果発動!除外された場合に発動してお互いにデッキを5枚除外する。そして(魂吸収)の効果で500と2500×2で5500回復」

 

 (ネクロフェイス)が黄金櫃に納まると櫃から禍々しい空気が漏れてディスクから5枚のカードが排出される。

 

 除外されたのは(マクロコスモス)2枚、(強謙)、(魂吸収)そして(ダイダロス)。うん、これはひどい。

 

鏡子 LP5000→5500→8000→10500

   手札 5→4

ジム

 「What!?LPが10000を超えた!?」

 

 「まだまだこれからッス。デュエルが長引くと2万に届く事もあるッス」

 

剣山

 「ここまで行くと、サイバー流でもないと中々削りきれないドン」

 

 LPが1万超えて驚く転入組。まぁこのデッキだともっと上を行くんだけどな。

 

鏡子

 「流石にやることないか。俺はこれでターンエンド」

 

鏡子 LP10500 手札4 伏せ2

 

魂吸収

アシンメタファイズ

 

コブラ

 「まさかLPが1万を超えるとは……だが問題ない。私のターンドロー!」

 

コブラ 手札2→3

 

鏡子

 「前のスタンバイフェイズに除外された(ダイダロス)の効果発動!自身をデッキに戻して(ネフティス)を除外。(魂吸収)で500回復。もう一体の(ダイダロス)もデッキに戻して(ネフティス)を除外!(魂吸収)でまた500回復!」

 

鏡子 LP10500→11000→11500

 

コブラ

 「私は(スネーク·レイン)を発動!手札の(ヴェノム·ボア)を墓地へ送り、デッキから爬虫類族のモンスターを4枚。(ヴェノム·スネーク)、(ヴェノム·ボア)、(ヴェノム·サーペント)、そして(毒蛇王ヴェノミノン)を墓地に送る!」

 

コブラ 手札3→2→1

 

 出たな。強そうで最近まで強くなかったカード。よくよく考えると4倍おろ埋は頭おかしいよな。爬虫類族だから許されてた感あるな。

 

コブラ

 「私は永続トラップ(リミット·リバース)を発動!これにより、攻撃力1000以下の(毒蛇王ヴェノミノン)を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

 毒沼から、両腕が無数の蛇で構成された毒蛇の王が姿を現した。

 

十代

 「これが切り札?攻撃力1000以下なら大したことないか?」

 

鏡子

 「低ステータスを軽視するのは3流デュエリスト以下だぞ十代。低ステータスはそれだけで利点になる。例えば(キラー·トマト)とかのリクルーターや(ダメージ·コンデンサー)で簡単に特殊召喚出来るし、今は禁止になっているが(クリッター)とか(黒き森のウィッチ)でサーチも出来る。それに、高レベルともなると採用されるに足る理由がある筈だ。例えば戦闘で破壊されない上に戦闘ダメージを0にして、(魔法の筒)するとかな」

 

コブラ

 「分かっているではないか透子。この(毒蛇王ヴェノミノン)の攻撃力は、自分の墓地の爬虫類族モンスターの数×500ポイントアップする。墓地の爬虫類モンスターは4枚。よって攻撃力2000!」

 

毒蛇王ヴェノミノン 攻0→2000

 

コブラ

 「バトル!(毒蛇王ヴェノミノン)でダイレクトアタック!ヴェノムブロー!」

 

 毒蛇の王は両腕の蛇に毒の塊を吐かせて、俺に浴びせてくる。

 

 浴びせられた液が肌に触れ、焼けるような感触が襲いかかる。

 

鏡子

 「クッ!LP2000ぐらいくれてやる!」

 

鏡子 LP11500→9500

 

コブラ

 「私はカードを1枚セットして、これでターンエンド。(毒蛇王ヴェノミノン)は(ヴェノム·スワンプ)の効果を受けない。さぁ、貴様のターンだ」

 

コブラ LP4000 手札0 伏せ2

フィールド(ヴェノム·スワンプ)

 

毒蛇王ヴェノミノン 攻2000

 

リミット·リバース(毒蛇王ヴェノミノン)

 

鏡子

 「俺のターンド……」

 

ヨハン

 「待て!プロフェッサーコブラ、ターンを終える前に聞かせてくれ。お前の目的は何なんだ!俺には見える。コブラの背後に、ドス黒く恐ろしい精霊が取り付いているのが!」

 

 そうなのか。残念ながら、今の俺にはその気配すら感じない。どうやら今まで俺が精霊を見れたのは暗黒界の皆の力があったからなのかな。

 

コブラ

 「いや、私は何も企んではいない。ただ、私は奇跡を起こそうとしているだけだ。この御方の力でな」

 

 コブラはそういって左腕の袖を捲った。そこには、黒に近い紫の鱗で覆われた左腕があった。

 

 コブラが語るには、彼は元々某国の特殊部隊で、任務遂行中に事故にあって単独で作戦行動中に、生きた左腕を発見。

 その左腕が喋り、コブラの生き甲斐だったが事故で亡くした息子を蘇らせる代わりに力を貸せと言われて協力しているらしい。

 

ヨハン

 「貴方の気持ちはよく分かる。でもそんな事の為に学園の生徒を巻き込む理由にはならないし、死者が蘇る訳がない!」

 

 ヨハンの声に便乗する翔達。剣山は翔を連れて裏側に回ろうとするが、剣山達の周りに紫色の蔦が生えて剣山と翔の足を絡め取り、更に赤い毒沼から無数の蛇が這い出てきた。

 

 ソリッドビジョンだから問題ないと言い張る剣山。しかしジムがそれを否定してワニを投下。蛇を追い払った。

 しかし、気づけばヨハン達の周りにも蔦が生えていて見動きは取れそうにない。

 

コブラ

 「ふふふ……言っただろう。あの御方の力は奇跡を起こすとね」

 

鏡子

 「これほぼ闇のデュエルじゃねぇか。俺のターンドロー」

 

鏡子 手札4→5

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ。除外された(ネフティス)2体をデッキに戻して効果発動。1体目で(タイラント)を、2体目で(メタファイズ·ファクター)をサーチ。そして(アシン)の効果を発動して、手札の(タイラント)を除外して1枚ドロー」

 

鏡子 手札 5→6→7→6→7

 

鏡子

 「うぅん……メインフェイズに伏せていた(アセンション)を発動。手札のメタファイズカード(アシン)を捨てて1枚ドロー。そしてデッキから(ダイダロス)を除外。モンスターとカードを1枚ずつセットして(メタファイズ·ファクター)を発動!ターンエンド!」

 

 血の池地獄の様な風景は消え去り、現れたのは、雷が轟く暗雲の中。俺の背後に亀裂が生じ、中からメタファイズモンスター唯一のバニラ。(メタファイズ·アームドドラゴン)がその姿を覗かせている。

 

鏡子 LP9500 手札4 伏せ3

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

セットモンスター

 

アシン·メタファイズ

魂吸収

 

明日香

 「透子大丈夫かしら。いくらあまり展開しない(メタファイズ)デッキでも流石にそろそろ(ディメンション)で1枚ぐらい除外しそうなものだけど……」

 

鏡子

 「(ディメンション)?あぁ、そもそも鮫島校長から禁止食らってるから入ってねぇよ」

 

 明日香の問いに俺がそう答えると、ヨハンが明日香に尋ねた。

 

ヨハン

 「(ディメンション)?それってどんなカードなんだ?」

 

明日香

 「(メタファイズ)カードが除外されると発動して、1ターンに1度相手のカードを除外するカードよ。永続トラップだから相手ターンにも発動出来るから、メタファイズデッキを最も厄介たらしめるカードね。(メタファイズ·ネフティス)で簡単に手札に加えられるし、このカードが発動されると毎ターンこちらのカードが除外されるから、ジリ貧な戦いを強いられるわ」

 

ジム

 「毎ターンの除外……そんな事をされるならかなりhardだ……by the way tomorrow girl。その(ディメンション)以外に透子ガールのデッキに除去カードはあるのかい?」

 

 ジムの英語交じりな問いに、明日香は首を横に振った。

 

明日香

 「見ている限りは無いわ。(ディメンション)は強力なカードだけど、(メタファイズ)デッキは除去をそれに頼っているから、それがないとなると……かなり苦しいと思うわ」

 

 実際にすげー苦しい。だが俺のコンボは完成直前。それがブッパ出来ればほぼ勝てる。

 そういえば、(毒蛇王ヴェノミノン)には進化体があったような……なんだっけ?

 

コブラ

 「私のターンドロー!」

 

コブラ 手札0→1

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!除外されている(ダイダロス)をデッキに戻して、(ネフティス)を除外!そして(アシン)の強制効果!相手の表示形式を変更!」

 

 上空の膜から光が放たれると、(ヴェノミノン)は防御の姿勢をとり爆散した。

 

コブラ

 「この瞬間を待っていた!トラップカード(蛇神降臨)を発動!(毒蛇王ヴェノミノン)が効果で破壊された時に発動!手札·デッキから(毒蛇神ヴェノミナーガ)を特殊召喚する!」

 

 (毒蛇神ヴェノミナーガ)!?お、思い出した!やべー奴出しちまった!

 

 毒沼から出てきたのは、下半身が蛇な邪神。その威圧感は、(ラーの翼神竜)にも引けをとらない。

 

十代

 「な、なんで(毒蛇王ヴェノミノン)が破壊されたんだ!?」

 

明日香

 「(リミットリバース)の効果ね。この効果で特殊召喚したモンスターは守備表示になると破壊される。まるで(アシン·メタファイズ)の効果を知っていたかの様なコンボね」

 

 困惑する十代と、それを冷静に分析して回答する明日香。いや多分コブラはメインフェイズに守備表示にして自壊させるつもりだったぞ多分。

 

鏡子

 「(毒蛇神ヴェノミナーガ)。こいつは(毒蛇王ヴェノミノン)と同じ打点強化能力に、破壊された時に墓地の爬虫類除外して自己蘇生する上に、他のカードの効果の対象にならないし、効果を受けない。更にオマケであいつに3回殴られると、コブラはデュエルに勝利する効果モリモリモンスターだ」

 

十代

 「そ、そんな!そんな無敵なモンスター突破出来るのか!?」

 

コブラ

 「本当によく知っているな。だが少し訂正だ。このカードが戦闘ダメージを与えたプレイヤーは毒を注入され、3ターン後に貴様はデュエルに敗北する」

 

 まじかよ。戦闘したらすぐに決着つけないといけないじゃねぇか。低速デッキなメタファイズにはキッツイぞ。

 

コブラ

 「(ヴェノミナーガ)の攻撃力は2500!バトルだ!そのセットモンスターに攻撃!アブソリュート·ヴェノム!」

 

(ヴェノミナーガ)の下半身の蛇の口から単眼の蛇が伸びて、セットモンスター(奇采のプルフィネス)に食らいつき爆散した。

 

コブラ

 「私はこれでターンエンド。さぁ、この蛇神を倒せるなら倒してみるがいい」

 

コブラ LP4000 手札1 伏せ0

 

毒蛇神ヴェノミナーガ 攻2500

 

鏡子 LP9500 手札4 伏せ3

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

アシン·メタファイズ

魂吸収

 

十代

 「透子!負けるな!もしお前が負けたら俺達は、学園の皆はどうなる!諦めなければデッキは必ず応えてくれる!」

 

透子

 「とても十代らしい応援だな。だがデュエルは水物。負けるときもある。その時は十代が頑張りな!俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5 黄金櫃0→1

 

 ……良いカードだ!

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!除外された(タイラント)と(ダイダロス)をデッキに戻して効果発動!(タイラント)で手札の(メタファイズ·ラグナロク)を特殊召喚!(ラグナロク)の効果発動!デッキトップを3枚除外!幻界勧誘!」

 

除外されたカード

封印の黄金櫃

左腕の代償

メタファイズ·ファクター

 

 まぁ……うん。ここまで展開すれば十分だから問題ないな。 

 

鏡子

 「(魂吸収)で1500回復!(ダイダロス)は(ネフティス)を除外!そして(アシンメタファイズ)の強制効果でメタファイズ以外のモンスターの攻守が500下がるが関係ない。更に(魂吸収)の効果が発動して500回復!」

 

鏡子 LP9500→11000→11500

   手札5→4

 

鏡子

 「俺は(金満で謙虚な壺)を発動!融合デッキから3枚又は6枚除外して除外した枚数分だけデッキを捲り、その中から1枚を手札に加えて残りをデッキの下に戻す!俺は6枚除外!」

 

捲られたカード

ネクロフェイス

諸刃の剣

次元の裂け目

次元の裂け目

ヘル・テンペスト

トーチ·ゴーレム

 

鏡子

 「俺は(トーチ·ゴーレム)手札に加える。そしてこのターン。俺はカードの効果でドローが出来なくなり、相手に与えるダメージは半分になる。そしてカードが6枚除外されたので3000回復!」

 

鏡子 LP11500→14500 

   手札4→3→4

 

鏡子

 「俺はフィールドにトーチトークンを2体生成して、コブラのフィールドに(トーチ·ゴーレム)を特殊召喚!」

 

鏡子 手札4→3

 

 俺のフィールドに2体の小型のロボットが生まれ、コブラのフィールドで大型ロボットが大地を踏みしめた。

 

 「と、透子さん!?どうしてコブラに攻撃力3000のモンスターを送りつけたんスか!当然そのトークンで上級モンスターを召喚するんスよね!」

 

鏡子

 「残念ながら(トーチ·ゴーレム)を特殊召喚したターン、俺は通常召喚出来ない。いくぜバトルフェイズ!トーチトークンで(トーチゴーレム)に攻撃!」

 

 ヨタヨタした動きで突撃するトーチトークンだが、あっという間に(トーチ·ゴーレム)の鋸によって粉砕された。

 

鏡子 LP14500→11500

 

コブラ

 「ふん、貴様はこれで3000の戦闘ダメージを……うん?3000ダメージ……まさか!」

 

鏡子

 「そう!そのまさかだよ!伏せていた速攻魔法(ヘル·テンペスト)発動!このカードは3000以上の戦闘ダメージを受けた時に発動出来る!お互いのデッキ·墓地からモンスターを全て除外する!」

 

ヨハン

 「デッキ·墓地のモンスターを全て除外!?なるほど、その為の(トーチ·ゴーレム)か!」

 

明日香

 「3000ものLPの消費も(魂吸収)で簡単に賄えるし、(メタファイズ)モンスターは除外されて効果を発揮するモンスターばかり。無駄がない本当にキレイなコンボね!」

 

 目をキラキラさせている明日香。俺もこのデッキを見つけた時は、どうして思いつかなかったんだと感嘆したものだ。

 

 俺の頭上から超巨大な隕石が飛来してデュエルフィールドの中心に落下。猛烈な衝撃波がデッキと墓地のカードを吹き飛ばした。

 

鏡子

 「俺が除外されたモンスターは12枚。コブラが除外されたモンスターは……18枚。そして除外された2体の(ネクロフェイス)がチェーンを組んで発動!お互いに5枚ずつが2回。合計10枚除外してもらう!そして(魂吸収)の効果をチェーン組んで発動!30枚と10枚が2回。合計で……17000LPの回復だ!」

 

鏡子 LP11500→28500

 

ジム

 「wonderful!まさかLPが2万まで回復するなんて!」

 

コブラ 残デッキ38枚→10枚

 

コブラ

 「クッ……墓地の爬虫類が全て除外されたら……」

 

毒蛇神ヴェノミナーガ 攻2500→0

 

十代

 「そうか!(毒蛇神ヴェノミナーガ)は墓地の爬虫類モンスターで攻撃力が決まるから、全部除外すれば攻撃力は0だし自己蘇生も出来ない!」

 

鏡子

 「そういう事だ!バトルフェイズ!(ラグナロク)で(ヴェノミナーガ)に攻撃!攻撃力はメタファイズカードが1枚除外されたから1800だ!」

 

 (ラグナロク)の放つ光のブレスが蛇神を呑み込み、いとも容易く粉砕した。

 

コブラ LP4000→3200

 

鏡子

 「戦闘ダメージを与えた(ラグナロク)の効果で、デッキからレベル7以上のメタファイズモンスターを特殊召喚……出来るんだが全部除外されているから発動出来ない。俺はこれでターンエンドだ」

 

 

鏡子 LP28500 手札3枚 伏せ2枚

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

メタファイズ·ラグナロク 攻1800→1500

トーチ·トークン 攻0

 

魂吸収

アシン·メタファイズ

 

コブラ LP3200 手札1 伏せ0

 

トーチ·ゴーレム 攻3000

 

コブラ

 「私は負けん!愛するリックの為にも!私のターンドロー!」

 

 コブラは右腕のデスベルトを爛々と輝かせ、カードをドローした。

 

コブラ 手札1→2

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!除外されているメタファイズモンスター6枚の効果発動!(タイラント)を戻して手札の(ラグナロク)特殊召喚。効果で3枚除外する」

 

除外されたカード

諸刃の剣

次元の裂け目

マクロコスモス

 

鏡子

 「(魂吸収)で1500回復。(ネフティス)1体をデッキに戻して(アセンション)をサーチ。(ダイダロス)を戻して(ネフティス)除外。そして500回復。もう1枚の(ネフティス)を戻して(ダイダロス)をサーチ。もう1枚の(ダイダロス)で(タイラント)を除外。500回復。最後の(タイラント)をデッキに戻して手札の(ダイダロス)を特殊召喚。このカードは次のターンのエンドフェイズに除外される」

 

鏡子 LP28500→30000→30500→31000

   手札3→5→4

 

メタファイズ·ダイダロス 攻2600

 

鏡子

 「メタファイズモンスターの効果で特殊召喚された(ダイダロス)の効果発動!相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て除外!タイダルウェイブ!」

 

 (ダイダロス)が放つ光り輝く奔流に呑まれた(トーチ·ゴーレム)は光り輝く粒子となって崩壊した。

 

コブラ

 「むぅ……私は(異次元からの埋葬)を発動!除外されている(毒蛇王ヴェノミノン)、(ヴェノム·スネーク)、(ヴェノム·ボア)を墓地に戻す!そして(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てる!」

 

コブラ 手札2→1→0→3→1

 

コブラ

 「くぅ……私は……カードを1枚セットして……ターンエンド!」

 

コブラ LP3100 伏せ1

 

鏡子 LP31000 手札4 伏せ2

 

フィールド(メタファイズ·ファクター)

 

メタファイズ·ダイダロス 攻2600

 

アシン·メタファイズ

魂吸収

 

 ……勝ったな。一応全力でぶん回すか。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5 黄金櫃1→2

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!まずは(黄金櫃)の効果で除外された(ネクロフェイス)を回収。(ネフティス)を戻して、(タイラント)をサーチ。除外された(タイラント)を戻して手札の(タイラント)を特殊召喚!」

 

鏡子 手札5→6→7→6

 

コブラ

 「トラップカード発動!(激流葬)!召喚·特殊召喚に成功した時に発動!お互いのフィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

 猛烈な濁流が幻竜達を飲み込むが、(タイラント)だけは平然と大地に立っていた。

 

コブラ

 「な、何故……」

 

鏡子

 「メタファイズモンスターの効果で特殊召喚された(タイラント)は、罠の効果を受けない。そして同じ条件で特殊召喚された(タイラント)はモンスターを攻撃した場合、2回攻撃が出来る。まぁモンスターいないから意味ないけどな」

 

コブラ

 「だ、だが(タイラント·ドラゴン)の攻撃力では私のLPは削りきれ……」

 

鏡子

 「さっき(黄金櫃)が回収した(ネクロフェイス)を通常召喚して効果発動。お互いの除外されたカードをデッキに戻し、戻したカード×100ポイント攻撃力を上げる。コブラが除外されたカードは33枚。俺の除外されたカードはさっきの(トーチ·ゴーレム)含めて14枚。合計4700ポイント攻撃力が上がる!」

 

 不気味な触手付き顔面が禍々しい光を放つと、除外されているカードがデッキに戻り、更に光を強めた。

 

鏡子 手札6→5

 

ネクロフェイス 1200→5900

 

十代

 「攻撃力5900!?」

 

鏡子

 「バトル!(ネクロフェイス)でダイレクトアタック!異次元タックル!」

 

 不気味な顔面の超高速体当たりを食らったコブラは派手に吹っ飛ばされ、ヘリポートぎりぎりまで後退した。

 

 未だにコブラが起き上がれていないなか、デスベルトが光り輝き、俺とコブラのデュエルエナジーを抜き取った。

 

 抜き取られたエナジーは足元の昇降機を伝い、ヘリポートが猛烈な光に包まれた。

 そして、ようやく立ち上がったコブラの前に、全身オレンジ色で右腕がコブラみたいになっている子供ぐらいの身長の人型が現れた。

 

 その物体は約束と称してコブラにドラゴンクローをかまし、ドラゴンクローから解放されたコブラはうわ言を言いながらヘリポートから転落した。

 

 俺の方も全く無事じゃない。身体に全く力が入らずヘリポートに倒れ込んだ。

 

十代

 「透子!」

 

???

 「十代。さぁ行こう。新しい世界へ!」

 

 オレンジ色の子供は猛烈な光を放ち、目の前が何も見えなかった。

 

鏡子

 「(グラファ)……」

 

 最後の光景は、3体並ぶ(グラファ)と暗黒界達だった。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「ッ………アッ……」

 

 目が覚めると、俺は十代に抱きかかえられていた。女だったら役得だったんだけどな。

 

 十代が俺を降ろすと、ヘリポートの端へ向かい、すぐ近くにあるアカデミアを眺めた。

 

十代

 「なんだ……ここは」

 

 俺も這々の体でアカデミアを眺めると、そこには砂漠の中にポツンと佇むアカデミアの姿があった。



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21.悪魔との取引、暴走する欲求

 

 

 俺らはとりあえずヘリポートから降りて、何故か生きていたオブライエンを救出してアカデミアに戻ってきた。

 

 途中に(ハーピィレディ)が襲いかかってきたが、ヨハンが(サファイアペガサス)を実体化させて撃退した。ナイスヨハン。

 

 精霊が実体化か……ここは異世界ってやつかな?

 

 デュエルで疲労している俺はそんな事を考えながら、十代とヨハンに両肩を担がれて保健室へ運ばれる事になった。

 

 

〜 翌日 保健室 〜

 

鏡子

 「クッ……ふぅ〜〜!」

 

鮎川先生

 「あら、起きるのが随分と遅かったわね透子さん。はい、今日の朝ごはんよ」

 

 俺の目覚めを出迎えるのは、保健室の先生、鮎川先生。そして渡されるコッペパンとペットボトル1本。とても満足できたもんじゃないが……非常事態だし仕方がない。

 

 味気ないコッペパンを水で流し込みごちそうさますると、横でレイがうなされていた。レイの腕には、黄色に輝く傷がその存在を主張していた。

 

鏡子

 「鮎川先生。レイがうなされているんですけど何があったんですか?」

 

鮎川先生

 「透子さんは寝ていたから分からなかったのね……レイちゃんは昨日の夜、何者かに襲われちゃってね。保健室にある薬品じゃ治療出来ないから、十代達に三沢くんが見つけた潜水艦に行って薬品を取りに行ってるの」

 

 なんで異世界に、しかも砂漠の中に潜水艦があるんだよ……まぁいいや。

 

鏡子

 「ところで、俺はもう動いても問題ないのか?」

 

鮎川先生

 「えぇ、特に問題は無いわ」

 

 さて、先生の許しも出たし、適当に学園内をぶらつくか。

 

 俺は鮎川先生に一礼して、保健室を出た。

 

 

〜 廊下 〜

 

鏡子

 「俺のターンドロー!俺は(ドラゴニックD)を発動!効果を発動して手札の(マジェスティM)を破壊して(真竜剣皇マスターP)をサーチ!永続トラップ発動(真竜皇の復活)!効果を発動して墓地の(マジェスティM)を蘇生!(真竜皇の復活)と(マジェスティM)をリリース!真なる竜剣士よ!数多の同胞の力を受けて今ここに覚醒せよ!アドバンス召喚!(真竜剣皇マスターP)!

 

 現れたのは、純白の鎧を纏った竜剣士。神々しく美しいモンスターだが、その見た目に反してエグい制圧能力を持つ。

 

鏡子 

 「こいつはリリースしたカードの種類、今は罠とモンスターの効果を受けない!(ミラフォ)を発動しても無駄だぜ!更に墓地の(復活)の効果を発動してお前の(ジェミナイ·エルフ)を対象に破壊!(マスターP)でダイレクト!俺のフィールドには(一族の結束)と(ドラD)がある。よって攻撃力合計1100アップ!合計攻撃力4050でワンショットキルだ!」

 

レッド生 LP4000→-50

 

 (マスターP)の一撃を受けて崩れ落ちるレッド生。すかさず俺はデュエルディスクからデッキを抜き取る。

 

 起き上がるレッド生だが、デュエルディスクを構えてカードを引く仕草をして崩れ落ちた。

 

鏡子

 「全く。デュエルゾンビの処理はめんどくさいぜ」

 

 あれは少し前の話。保健室から出てしばらくすると口調が覚束ず目に隈をこさえた、さながらゾンビの様なレッド生3人が立ちふさがりデュエルを仕掛けてきた。

 

 たまたま掴んだ真竜デッキでレッド生の1人を圧殺したが、そいつがムクリと起き上がりデュエルに乱入してきた。

 

 仕方なく俺は再びレッド生を叩き潰し、気乗りはしなかったがデッキを奪い取った。するとデュエルゾンビは立ち上がるも、デュエル出来ずに崩れ落ちた。

 

 後はもう消化試合で、ほぼ完全耐性と化した(マスターP)と真竜の罠でねじ伏せた。

 

鏡子

 「ハァ……足りないな。(グラファ)がいれば、この状況でも楽しかったのに」

 

 デュエルが終わる度に脳裏をよぎる(グラファ)の姿。もっとデュエルすれば、気も紛れるのかな。

 

 デュエルゾンビがこれっきりな訳がない。今回は3人だったけど次は10人、最悪100人と同時にバトルロワイヤルルールでデュエルする事になるかもしれない。

 

 バトルロワイヤルルール。サッと説明すると、お互いの1ターン目は攻撃出来ず、お互いのLP·フィールド·墓地は別というルール。

 【プレイヤーは】という文言のカードの効果は、発動者以外の全員に届くというルール。つまり(デス・メテオ)を発動したら相手全員に1000バーンが入る。

 

 もし相手が全員バーンデッキだったら即死だが、アカデミアでバーンデッキ使うやつは殆どいないから除外する。まぁそもそも100人同時にやってたら、間違いなくデッキのリソースが死ぬ。

 

 となると(チェーンバーン)か?でもそれを使うと、全員が沈黙してもデッキを回収しきれず2戦目が始まりエナジーが足りなくなる。

 

 リソースが足りないなら無限にリソースを供給し続けられるテーマを使えばいい。そう、真竜とエルドリッチだ。真竜は(使徒)でカード戻せるし妨害効果はこの時代ではオーバーパワーそのものだ。

 

 エルドリッチも墓地の罠を除外して別の罠セットできるし、最悪事故っても真竜のリリース素材にしてしまえばいい。LPを半分にする罠もあるから馬鹿に出来ない。そうと決まれば早速デッキ組むか。

 

 俺は適当な部屋に入って。スマホを起動。異世界からカードを買ってデッキを組み始める。

 

 さぁゾンビ共。俺が満足する為の糧になってもらおうか。

 

 

 

〜〜〜

 

 俺達は潜水艦から薬を取ってきて、モンスターに襲われつつもどうにかアカデミアに帰ってきた。

 

ヨハン

 「おかしいな。バリケードの中に見張りが誰もいないぞ」

 

十代

 「明日香や剣山達もいないなんて……いったい何が起こっているんだ?」

 

 俺達が潜水艦を目指して出発する前、明日香達はまた精霊が襲ってくるかもしれないとして、生徒達と協力してアカデミアにあるものでバリケードを構築して、監視をしていた。それなのに誰もいないのは不自然すぎる。

 

 不審に思いながらも、俺達はアカデミアに入るけど中には生徒の姿が無かった。

 

ヨハン

 「おい!あそこに生徒がいるぞ!」

 

 ヨハンが指差す方を見ると、そこにはヨタヨタとした足取りでこっちに来ているブルー生が。

 

十代

 「お〜い!なんで誰もいないんだ?」

 

ブルー生

 「ウゥゥ……デュエルゥ……」

 

十代

 「う、うわぁ!なんだぁ!?」

 

 ブルー生の目の下には隈が出来ていて、口調がまるでもうすぐ死んでしまいそうな様子で苦しそうだ。

 

ヨハン

 「十代。周りを見ろ」

 

 ヨハンに言われるままに辺りを見渡すと、そこには同じく目に隈を作った生徒達が。

 

ジム

 「Wow……まるでゾンビだな」

 

ヨハン

 「ゾンビって……あの死体が歩き回ったりするやつか?」

 

 俺達がそう言っている間にも、生徒達は少しずつ距離を詰めてきている。

 

ヨハン

 「十代!今は保健室に行くことが先決だ!行くぞ!」

 

 方針は決まった。でもそうは言ってもこの生徒達は通してくれそうにない。

 

十代

 「こうなったらデュエルで!」

 

??

 「おい」

 

 俺がデュエルでケリをつけようとしたとき、生徒達の向こう側から短い言葉が耳に入ってきた。

 その声の主を俺は……いや、場にいる全員が知っている。

 

鏡子

 「デュエルしろよ」

 

 声の主、透子はデュエルディスクを構えて準備万端。でも……

 

明日香

 「デュエルしちゃ駄目ぇ!」

 

 台車を引く剣山と共に走ってくる明日香。台車は生徒の塊に突入して、生徒を吹き飛ばしはしなかったが道を開けることに成功した。

 

 俺達は保健室へ向かうために、道を作った剣山について走っていった。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「さて、邪魔もいなくなったし俺の糧になれゾンビ共」

 

 俺がデュエルディスクを構えると、ゾンビ共もディスクを構えてくる。数は……80くらいはいそうか?今までよりも遥かに数は多いが、早速殺戮をしよう。

 

鏡子·ゾンビ’s

 「デュエル!」

 

 ハハ、こんなくぐもったデュエルの宣言は初めてだ。

 

鏡子 

 「俺が先攻をもらう。ドロー」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「俺は(金満で謙虚な壺)を発動!俺は融合デッキを6枚裏側除外してデッキトップを6枚捲ってその内の1枚を手札に!残りをデッキの下に戻す!」

 

捲られたカード

強欲で謙虚な壺

サベージ・コロシアム

真竜拳士ダイナマイトK

ドラゴニックD

紅き血染めのエルドリクシル

 

鏡子

 「俺は(サベージ・コロシアム)を手札に加えて残りを好きな順番でデッキの下に戻す。そして俺はこのターンカードの効果でドロー出来ず、与えるダメージは半分になる!」

 

鏡子 手札6→5→6

 

鏡子

 「俺はフィールド魔法(サベージ・コロシアム)を発動して永続魔法(呪われしエルドランド)を発動!効果発動!800LPを払って(黄金郷のワッケーロ)を手札に!(黄金郷エルドリッチ)の効果発動!手札の魔法罠カード(黄金郷のワッケーロ)と共にこのカードを墓地へ送り(エルドランド)を墓地へ!」

 

 禍々しい空気が漂う中世的なコロシアムの中。黄金で出来た城が現れるが、すぐに消滅した。

 

鏡子 LP4000→3200 手札6→5→4→5→4→3

 

鏡子

 「墓地へ送られた(エルドランド)の効果発動!デッキから(白き覚醒のエルドリクシル)を墓地へ送る!カードを3枚セットしてターンエンド!エンドフェイズに墓地の(ワッケーロ)の効果発動!墓地から除外してエルドリクシルカード(紅き血染めのエルドリクシル)をセット!更に(白き覚醒のエルドリクシル)の効果発動!デッキから黄金郷魔法罠(黄金郷のコンキスタドール)をセット!」

 

鏡子 LP4000 手札0枚 伏せ5

フィールド(サベージ·コロシアム)

 

 レッド生がドローした後、俺はリバースカードを開く。

 

鏡子

 「ドローフェイズにトラップ発動!(紅き血染めのエルドリクシル)!デッキ·墓地からアンデッドモンスターかエルドリッチモンスターを特殊召喚!よって俺はデッキから(黄金郷エルドリッチ)を特殊召喚!」

 

 空に浮かぶ赤い宝石。それが赤い光をバラマキ、気づいたら黄金で出来た高貴なモンスターが現れた。

 

鏡子

 「更にスタンバイフェイズに(幽麗なる幻滝)を発動!デッキから幻竜族モンスター(真竜導師マジェスティM)をサーチ!」

 

鏡子 手札0→1

 

 レッド生は(グレイブスクワーマー)を召喚。こいつは戦闘破壊されるとモンスターを破壊する効果があるから先に潰す!

 

鏡子

 「永続トラップ発動!(黄金郷のコンキスタドール)発動!守備1800の通常モンスターとして特殊召喚!更に(エルドリッチ)がいるので更に表側表示のカードを選んで破壊!よって(グレイブスクワーマー)を破壊!」 

 

 魔法罠ゾーンから飛び出してきた黄金ゾンビの騎兵が飛び出してきてミイラのようなモンスターを貫いた。

 

鏡子

 「更に永続トラップ(真竜の黙示録)を発動!相手ターンにアドバンス召喚を行えるので(コンキスタドール)をリリースして(真竜導師マジェスティM)をアドバンス召喚!」

 

鏡子 手札1→0

 

 その後は長い長いデュエルだった。序盤に召喚した魔法罠耐性(マスターP)と、自分以外の真竜モンスターに効果の対象にならず効果で破壊されない耐性を与える(ドライアスⅢ世)を突破出来ずに自爆を繰り返すデュエルゾンビ達。

 装備魔法で突破を狙う者も居たが、彼らは(コンキスタドール)や(ガーディアン)、(黙示録)に阻まれる事になる。

 

 特に(黙示録)は(復活)で特殊召喚した真竜モンスターを使えば毎ターン攻守半減を撃てるため、こちらのターンになる頃には攻守が一桁になっていることもザラだった。

 

 運よくバック破壊カードを引けたとしても(永久に輝けし黄金郷)が破壊から守る。

 

 こちらのターンになったら(使徒)で真竜魔法罠をデッキに戻して、何人かのゾンビを撃破してデッキを奪う。自分のエンドフェイズにも(サベージ·コロシアム)が発動するが真竜達は(ドライアスⅢ世)によって守られているから破壊されない。まぁ、(ドライアスⅢ世)自体は破壊されるが(復活)で何度でも蘇る。

 

 エルドリクシルや黄金郷罠が枯渇してくるが、(黄金の征服王)でリソース回復しつつゾンビ達のLPを半減または全破壊。更に(貪欲な瓶)で(黄金の征服王)と(貪欲な瓶)等を戻してリソースを途切れさせない。

 

 いくらゾンビが弱くても、最初は80ターン凌ぐ頃にはデッキから真竜カードが無くなってる事もあったが、どんどんとゾンビが減り余裕が生まれるようになり、遂に最後のゾンビが倒れ伏した。

 

 最後のゾンビを倒した瞬間に尋常じゃない程の倦怠感が襲いかかってきた。これもしんどいけどそれよりも……

 

鏡子

 「虚しい……あれだけ考えてデッキを組んだのに……(グラファ)……」

 

 最高の回りだった。エルドリッチと真竜の相性は悪くない事は知ってたけど、食料庫周りのデュエルゾンビを潰していた時でもここまでキレイに回ったことはなかった。

 60枚構築にしたせいで真竜だけ、エルドリッチだけで戦ってた事もあった。カードが噛み合わず死を覚悟したことすらあった。まさにあのデュエルは奇跡と言ってもいい程回っていた。

 

 それなのに、胸に溜まるのは高揚感ではなく虚無感。そして今まで(グラファ)と戦ってきたデュエルの記憶だけだ。

 

 もしかして……このデッキの満足感を、今までに回してきた暗黒界が邪魔をしているのか?もし暗黒界に関する記憶が消えれば、俺は満足できるんじゃないか?

 

???

 「随分苦しんでいるようだねぇ?」

 

 目の前に、オレンジ色の光で構成された子供が目の前に現れた。

 

鏡子

 「お前は確か……俺らを異世界に放り込んだ奴だな?それにその声……もしかして俺を吹っ切れさせた奴か?」

 

子供

 「まぁ、そんなとこだよ。ところで、どうしてそんなに苦しんでいるんだい?」

 

鏡子

 「どんなにエグいコンボをしても、どんなに相手を制圧しても満たされないんだ。今までは……暗黒界を回してた時にはこんな事はなかったのに……」

 

 俺の思いを語ると、子供は軽く笑って言った。

 

子供

 「ハハッ、なるほどね。ならば僕に協力してみないかい?僕はアカデミアに眠る三幻魔のカードが欲しいんだ。協力してくれれば、君に三幻魔のカードをしばらく貸してあげるし、ついでに君を精霊化させて、もう一人の君と戦える様にしてあげる」

 

 三幻魔のカード。それは十代が(賢者の石-サバティエル)とかいう3回まで毎ターン何でもサーチと、最後に攻撃力超倍加という頭のネジが全部吹っ飛んだ壊れを使ってどうにか倒したモンスター。現代遊戯王なら(ヴェーラー)とか有象無象のモンスター除去で容易く卸せるけど、この時代なら出せれば脅威そのものだ。

 

 それにあれは精霊の力を奪う能力の持つカード。それをこの世界でやったらどうなるか。少なくともただではすまないだろう。

 だが……今の俺は、満足する為なら悪魔に魂を売れるぐらいに満足に飢えていた。

 

鏡子

 「あぁ、分かった。だが1つ頼みたい事があるんだ。俺の暗黒界に関する記憶を……全部消してくれないか?」

 

 俺がそういうと、子供は心底驚き困惑した様子で問いかけてきた。

 

子供

 「本当に……いいのかい?その暗黒界はきっと君を愛している。そんな彼等との絆を断つなんて……もし僕がその立場なら2度と立ち直れないよ」

 

鏡子

 「俺も暗黒界は愛……かどうかは分からないけど大切にしてきたカード達だ。でも今は俺の満足を邪魔する存在なんだ。頼む」

 

子供

 「よかれと思って君の暗黒界のカードと関連カードを持ってきてたのに……まぁいい、後悔しないようにね。それじゃあ早速やろう。僕はこう見えても高位な精霊、記憶操作や洗脳なんかは意のままさ。まずは目を閉じて」

 

 子供は手に持つカードの束を足元に起き、手をかざす。俺は言われた通りに目を閉じると、今まで戦ってきた暗黒界達との思い出が浮かんでは消えていく。

 

 ごめんな暗黒界達。こんな浮気性なご主人で。

 

 最後に見た光景は、悲しげにこちらを見つめる(グラファ)の姿だった。

 

 

 

〜〜〜

 

透子

 「うっ……あれ?ここは……アカデミアですか?」

 

ライコウ

 「目が覚めたようだな」

 

 目が覚めると、そこはアカデミアのロビーのど真ん中でした。それにしても身体を動かすのが久しぶりです、最後に動かしたのは……佐藤先生に会った辺りでしょうか。

 

ライコウ

 「状況を飲み込めていないだろうが、時間がないから簡潔に説明する」

 

ライコウさんの言葉を纏めると

 

·アカデミアが異世界に飛ばされ、実体化した精霊が襲ってくる。

·デスベルトは健在で、デュエルしたりカードをデュエルディスクに読み込ませて実体化させるとエナジーを抜かれる。

·現在アカデミアにはゾンビ化した生徒が跋扈していて危険な状態である。

·鏡子さんが何者かについていき、行方不明になる

·ライトロードは高レベルなモンスターほど実体化するのに多大な魔力を消費する為、救援はあまり期待出来ない。(本当は説明係をライコウさんではなくライニャンにしたかったが、喋れない為妥協したらしい)

·十代達は体育館を拠点にしていて、食料庫をゾンビに占領されていて食料不足に喘いでいる。生徒たちも我慢の限界で、そろそろ暴動が起きそうである。

 

 

透子

 「なるほど。ならば食料庫を確保しに行きましょう」

 

ライコウ

 「それは危険じゃないか?我々ライトロードは短期決着が求められる。倒しても蘇るゾンビとの相性は最悪だ」

 

透子

 「それなら(ライニャン)さんはどうでしょう。(ライニャン)さんなら見つかりにくいルートを見つけてくれるはずです。レベルも2ですから消費も少ないと思います」

 

ライコウ

 「むぅ……確かにそうだが(ルミナス)から精霊化は相当な緊急時以外は出来ないと言われている出すわけには……うん?これは……」

 

 何かを見つけた(ライコウ)さん。近づいて見ると、それはそのままデッキを組めそうな暗黒界のカード達でした。

 

 手に取ると、(ベージ)3人衆と(ブラウ)さんが姿を現しました。

 

ブラウ

 「うっ……身体が……実体化している?」

 

ベージ

 「まさか暗黒世界に帰っちまったのか?」

 

ライコウ

 「残念だが、ここは別の世界。暗黒世界ではない」

 

 困惑する暗黒界達と、それを説明する(ライコウ)さん。あれ?これ問題解決したのでは?

 

透子

 「あの、暗黒界の皆さん。お願いがあるんですけど……アカデミアの食料庫が悪いデュエリストに占領されているんです。奪還する為に悪いデュエリストがいない、もしくは少ないルートを探して欲しいのです」

 

ブラウ

 「ん?あぁ了解した。元より透子殿には恩がある。主が行方不明の間、しばらく世話になる」

 

ライコウ

 「では、私はそろそろ失礼する。元より透子の説明をする事が目的だったからな。我々は透子をジャスティス·ワールドから見守っている。健闘を祈る」

 

 そういって、光に包まれ消える(ライコウ)さん。魔力の為とはいえ少し薄情な気がします。

 

透子

 「行きましょう。皆がご飯を待っています」

 

 私は(ベージ)3人衆を先行させて、(ブラウ)さんを用心棒にして先へ進みます。

 

 

〜〜〜

 

 (ベージ)さん誘導の元、食糧庫前まで辿り着きました。

 

 一度だけデュエルゾンビに遭遇しましたが、ゾンビ側がカードが引けずに崩れ落ちました。不審に思ってディスクを見るとデッキが入っていませんでした。

 

 もしかして……デュエルでゾンビを倒した後にデッキを奪えば復活しないのでしょうか。これをやったのは、きっと鏡子風に言うならリアリストのしわざなのでしょう。

 

 食料庫前には何故かゾンビがいません。早速中のダンボールを、先行させるベージさん以外の暗黒界達に持たせて出発です。

 

 勿論私も持ちますよ。少し小さめですけど。

 

透子

 「(ブラウ)さん2箱もですか。無理しないでくださいね?」

 

ブラウ

 「これくらいなら問題ありません。鍛えているので。それにもしゾンビが来ても走って逃げられます」

 

 (ブラウ)さんは私が両手を広げても届かないぐらい大きいダンボールを抱えてもなんの問題もなさそうに答えました。

 

 それなら問題ありませんが……さっそく私達は同じルートで帰路につきました。

 

 何度かゾンビに遭遇しましたが、ディスクを構えるとすぐに崩れ落ちてしまいました。

 

 な、何が起きているのやら……こんなにゾンビが無力化されているなんて……誰がこんな事を……

 

 

 

〜 体育館 〜

 

透子

 「ふぅ……ふぅ……なんとか体育館に着きましたね……あれ?なんで暗いのでしょうか?」

 

 ひとまず体育館の真ん中に荷物を置くと、脳内に声が響きました。

 

ライコウ

 『透子、聞いてくれ。十代達はどうやらアカデミア前で謎の仮面3人とデュエルをしているようだ』

 

 ッ……直接脳内に……まぁそれはさておきアカデミア前ですか……行きましょう。

 

 それしても、鏡子は今何をしているのでしょうか。無事だといいのですが……

 

 

 

〜〜〜

 

 俺はあの悪魔が取り憑いているイエロー生(確かマルタンとか言われていた)についてきていた。

 

子供

 「そういえば君。確かカードを虚空から生み出していたね?どんな手品だい?」

 

 正直誰にも話したくない話題が来たな……ヘソ曲げられると困るからしかたない。話そう。

 誰もついて来ていないを確かめて、俺は話を始める。

 

鏡子

 「誰にも話さないでくれよ。実は俺、全くの別世界からカードと魂だけやってきたんだ。んで、その別世界からカードを購入している」

 

子供

 「へぇ……ちなみに君がいた世界ではどんなデュエルが繰り広げられていたんだい?」

 

鏡子

 「この世界から見たら世紀末そのものだぜ?ソリッドビジョンはおろかデュエルディスクもないけど、カードプールが広すぎてほぼ何でも出来る。先攻が作ったライフコストのない(神の宣告)が3枚以上伏せられているような制圧盤面を、後攻がそれを崩すゲームさ。(羽箒)も(サンボル)も制限だし、(ミラフォ)や(リビデ)、(ブラックホール)は無制限なんだが、採用しないデッキも多いぐらいにインフレしている」

 

神の宣告

カウンター罠

(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。

●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。

それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

子供

 「ほ、本当に世紀末だね……デュエルゾンビをたった1人で3割無力化したのは伊達じゃないわけだ」

 

 そんな事を話しながら歩くと、発電所近くで子供が止まった。

 

鏡子

 「ここは……発電所か?」

 

??

 「マルタン!」

 

レイ

 「マルっち!」

 

 子供を見て叫ぶレイとナポレオン教頭。その近くには、十代と透子の姿もある。

 

十代

 「な、なんで透子が2人いるんだ!?」

 

透子

 「鏡子!なんでマルタン君と一緒にいるの!」

 

鏡子

 「まぁ紆余曲折あって彼に身体を精霊化させてもらってね。見返りとして協力しているんだ」

 

 俺がそう答えると、子供は唐突に禍々しい右腕を地面に突き刺しオレンジ色の光を放つ。

 

 そして地面が裂け、辺りに七精門が生える。

 

十代

 「こ、これは七精門!?なんで!?」

 

 近くにいたファラオが口を開けると、そこから大徳寺先生が霊となって姿を現した。

 

大徳寺先生

 「十代君。ここは三幻魔のカードが封印された場所なのにゃ」

 

子供

 「面白い友達がいるねぇ十代。でも今は邪魔だよ、消えて」

 

 子供が瞳を光らせると、大徳寺先生はビビってファラオの口に収まった。

 

鏡子

 「それじゃあ。俺が三幻魔のカードを取ってきてもいいのか?」

 

子供

 「いや、君では三幻魔を覚醒させる事は出来ない。でもついてきてもらうよ」

 

 俺と子供は、裂け目に飛び込んで階段を降りていく。くぅ〜足がビリビリするのに走るのキツイんだが!

 

 

 

〜〜〜

 

十代

 「透子!マルタン!クソォ……」

 

 十代さんはもう一人の透子とマルタンを追いかけようとしますが、デュエルゾンビが後ろから迫ってきてて逃げ道がなくなりそうです。

 

十代

 「ナポレオン教頭、レイ、透子!俺はマルタンを追う!皆のところへ逃げるんだ

!」

 

ナポレオン教頭

 「ムッシュ十代……頼むでアール……息子を!」

 

 ナポレオン教頭の悲哀に満ちた言葉に、十代さんは頷いて裂け目へ飛び降りていきました。マルタンさんはナポレオン教頭のお子さんだったのですね。

 

 後ろを振り向くと、もう手が届くぐらいに近づいたゾンビ達。足元にいた猫ちゃんことファラオがゾンビの群れに飛びかかり、道を開きました。

 

ナポレオン教頭

 「我に続けぇ!テヤアァァァ!」

 

 ナポレオン教頭が手を広げて更に道を広げ、私達はアカデミアへと走り出しました。

 

 

〜 アカデミア 〜

 

 私達が帰って来たとき、生徒たちの我慢が限界になっていました。

 

 レイさんが明日香さん達に、十代さんが三幻魔が眠る地下洞窟へと向かうマルタン君を追っていった事を話すと、うっかりクロノス先生がこのアカデミア前でやっていたらしいデュエルが囮だった事を漏らしてしまいました。

 

 これにより生徒たちの我慢は限界を超えてしまい、アカデミア内部の食料庫へ突入しようとしてしまいます。

 

透子

 「待って下さい!食料なら体育館に置いてきました!だから皆さんは体育館へ行って下さい!」

 

 持ってきて良かった食料品。これにより、生徒たちは我先にと体育館へと駆けていきました。

 

透子

 「ヨハンさん、ジムさん。彼らの誘導をお願いします。私が持ってきた食料は、全員分あるかすら怪しいので上手くまとめて下さいね?」

 

ヨハン

 「あ、あぁ……」

 

 ちなみに、私が食料庫から持ってきたのはなんとドローパンでした。見つけた生徒たちは我先にと袋を開けたのですが、中身が(せんべい味)、(チョコミント味)、(クサヤジャム味)、(世紀末激辛カレー味)、(ドリアン味)etc.とゲテモノのオンパレードだったので生徒たちは阿鼻叫喚し、飢餓を極めた生徒のみが摘まむものになってしまいました。

 

 私って……運が無いのでしょうか?

 

ベージ

 「いや、これに関しては運で片付けられる問題じゃないと思いまっせ?」

 

 (ベージ)さんの返事を聞いて、生徒たちが普通のパンを笑顔で頬張るなか、私は未だに余っているドローパンをただ眺めるのでした。

 

〜〜〜

 

鏡子

 「ハァ……ハァ……フゥ〜」

 

 子供を追いかけてどれくらい経ったか分からない頃。ようやく最深部にたどり着いた。

 そこでは、竜の唸り声の様な音が響いていた。

 

 子供が三幻魔が封じられていそうな装置に手をかけると、俺以外の足音が鳴る。

 

鏡子

 「お前は確か……アモンだったか?顔を合わせるのは初めてだな」

 

アモン

 「透子か……今はそんな事はどうでもいい!お前は三幻魔のカードで何をするつもりだ!」

 

 アモンは子供を指さして問いただす。

 

子供

 「さらなる力を手に入れる為さ」

 

アモン

 「なんの為に力を求める」

 

子供

 「あの人に……喜んで貰うため」

 

アモン

 「クッ……俺はマルタン、いやお前の真意を探ってやる!デュエルで!」

 

 こうしてアモンと子供とのデュエルが始まった。

 

 結論だけを言うと、デュエル中に(ラビエル)が現れ、子供がそれを抑える形でゲームは持ち越しとなった。

 

 子供の手には、エクゾディアパーツが4枚揃っていて、謎のトラップカードを使えば最後のパーツが揃う状況だったようだ。

 手札交換を2枚しかしてないのに、なんで揃えられたんだよ。悪魔の所業だよ。

 

 てか、“君の中の神は君には崩せない。神を崩すのは悪魔の仕事だ”ってかっこよすぎんだろ。

 

 子供はオレンジのオーラを放ち、(ラビエル)の闇の瘴気の様な物を払い、三幻魔のカードをデュエルディスクに取り込んだ。

 

子供

 「はい、これが三幻魔のカード。君には約束通り少しの間だけ三幻魔のカードを貸してあげるよ」

 

鏡子

 「ああ、これで俺は満足出来る筈だ」

 

 子供から手渡された三幻魔のカード。俺は早速、こいつらが輝けるデッキを作り出そう。

 

 待ってろよ、十代。そして透子。俺はお前らとデュエル出来る時を楽しみに待っている。

 

 でもなんでだろうな。何かが足りない気がしてならないのは。




ゲテモノ枠にチョコミントが入っていますが、私は普通に美味しいと思います。


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22.怒りの炎

マスターデュエルの方でシンクロフェスティバルが始まりましたね。私はガスタとかシンクロジェネレイドとかを事前に用意してましたが、普段ランクマで愛用している真竜が結構使えることを知り、急遽調整して潜っています。やはり使い慣れているデッキが1番ですね。

 シンクロフェスティバルに集中するため、投稿が遅れるかもしれません。ご了承ください。


 

 

〜 アカデミア図書室 〜

 

鏡子

 「フフフ……楽しいなぁデッキを組むのが。こんな楽しいデッキ構築は初めてだぜ」

 

 俺は異世界ショッピングで大量のカードを揃えてカードを吟味していた。

 

 俺が目をつけたのは(神炎皇ウリア)。墓地の永続罠の数×1000の攻撃力という、デッキの殆どを永続罠にすれば1万超えの脳筋打点を出せるモンスター。オマケで伏せを割れる。何故かOCGと違い伏せは罠しか割れないしチェーンされるけど。

 

 つまりこのデッキは、序盤はトラップモンスターと永続罠で粘り、(名推理)使って墓地を肥やして(ウリア)の超打点で吹き飛ばすデッキだ。幻魔ストラクのカードも入れたから安定感も悪くない。状況によっては(失楽園)で増やした手札をコストに(ブービートラップE)で罠を再利用したりする。

 

 一応他の幻魔も入っている。悪魔族が3体も必要になる(ラビエル)は出せなくは無いがめちゃくちゃ重いし、永続魔法が3枚必要な(ハモン)は出せる気がしない。(アーミタイル)用だよこんなもの。

 

鏡子

 「後はドロソで(失楽園)と(マジック·プランター)入れて出来上がりかな」

 

 出来上がったカードの束をケースに入れて、俺は外で待っている子供のところへ向かう。

 

 それにしてもなんだこの胸の痛みは。大切な物をなくしたけど、それを思い出せないような感覚は。

 

鏡子 

 「キィィ!腹立つなぁ!こんな時は脳筋してスッキリするに限る!待ってろ十代!叩き潰してやる!」

 

 俺はダンダン足を踏みしめながら、図書室を出た。

 

 

〜 地下 〜

 

剣山

 「ここまでくればとりあえず大丈夫だドン」

 

 発電所に着いた私達は、元の世界にいるツヴァインシュタイン博士という人から、近々(レインボー·ドラゴン)が完成しそうだという報を受けました。

 

 そこで私達はクロノス先生やオブライエンさんが連れてきた軍人さん達といった多くの犠牲を払いながら、唯一異次元とデュエルできる場所に到着しヨハンさんとヘルカイザー亮がデュエルをしました。

 

 中々の接戦をした後、デュエルによって生まれたデュエルエナジーによって時空の歪みが生まれ、そこから赤い流星が降ってきました。

 

 デュエルが中断されると同時に入口からデュエルゾンビが乱入。

 

 退路を絶たれて絶対絶命の中、十代さんが(ネオス)さんと一緒に床を突き破って登場。突き破った床から脱出して今に至ります。

 

 十代さんの話を聞くと、ナポレオン教頭とクロノス教頭は既にゾンビになってしまい、アモンさんも見ていないそうです。

 

ベージ

 「報告!アカデミアの外に巨大な楼閣を発見!そこにマルタンと……主らしき影を確認しました!」

 

 (ベージ)さんが報告をすると、切実な様子で別の(ベージ)さんが頭を下げて懇願しました。

 

ベージ

 「十代の旦那!お願ぇします!どうか俺達暗黒界を使って、旦那に俺達の事を思い出させてくだせぇ!」

 

十代

 「ど、どういうことだよ!?」

 

 十代さんと私含めた全員が困惑するなか、別の(ベージ)さんが詳しい説明を始めました。

 

ベージ

 「俺達が楼閣と主を発見した時、あいつは任務を忘れて主を説得しにいったんだ。でも“誰だお前?俺はそんなモンスター知らない”って帰されちまってさ。やんなっちまうよ」

 

 やさぐれておっさん寝しているもう一人の(ベージ)さん。もしライトロードの皆さんも、私がそんな事言ったらグレるのでしょうか。

 

ブラウ

 「幸いな事に暗黒界のパーツは全て私が持っています。デッキの構築は主の側でずっと見てきたので、アドバイスする事が出来ます」

 

十代

 「で、でも……」

 

 返答を躊躇う十代さん。そこに(ネオス)さんが実体化して背中を押します。

 

ネオス

 「我々は特に気にしないぞ十代。確かにもう一人の透子は怪しい存在だ。でもカードに罪は無い。それに、人助けはヒーローの仕事だ」

 

十代

 「確かに……それにヒーロー以外のデッキを使ったのは初めてじゃない。分かった。(ブラウ)、デッキを組むのを協力してくれ!」

 

ブラウ

 「分かりました。それではカードを渡します。暗黒界デッキは……」

 

 (ブラウ)さんは暗黒界デッキの簡単な回し方とそれに必要なカードを紹介していきます。十代さんはそれを聞いて、珍しく真面目な表情でカードを並べています。

 

 十代さんが暗黒界デッキを組んでいると、どこからマルタンさんの声が聞こえてきました。

 

子供

 「遊城十代に告ぐ。君達がこの学園のどこかにいるのは分かっている。アカデミア外にある砂上の楼閣で決着をつけよう。三幻魔を手にしたもう一人の透子が相手をするよ。僕が勝てば君達は永遠に僕の下僕になり、君達が勝てばデュエルゾンビになった生徒職員を全員解放しよう。もし30分以内に来なかったら、デュエルゾンビを全て始末する」

 

 マルタンさんはそう言った瞬間。マイクが砕けた音がして放送が終わりました。

 

十代

 「三幻魔か……なら(フォース)と(受け継がれる力)を入れよう!」

 

ブラウ

 「(フォース)ですか……暗黒界は墓地から特殊召喚される(グラファ)様が複数並ぶデッキ。(受け継がれる力)で生贄にされてもすぐに蘇るので、確かに相性は悪くありませんね」

 

 十代さんがメタを張っている!?いつもの十代はなんとかなる精神でデッキを組むって明日香さんが言ってたのに!

 

明日香

 「十代らしくないわね……相手のメタを張るなんて。でも相手はアカデミアでも最強クラスのデュエリスト。そんな彼女が最強最悪な三幻魔のカードを使うのだから、これぐらいしないと勝てないわね」

 

透子

 「その通りです。きっと鏡子の事だから、きっと三幻魔の力を限界以上に引き出すに違いありません。むしろこちらが3人でデュエルに臨まないと勝てないかもしれません」

 

十代

 「よし出来た!待ってろマルタン!お前を……助け……られるのかな……」

 

 デッキケースにデッキを入れて立ち上がる十代さん。しかし、すぐに不安そうな表情を浮かべ、身体を震わせました。

 

十代

 「俺……このデュエルに……勝てないかもしれない」

 

剣山

 「アニキ……」

 

 場がしんと静まり返る中、十代さんは続けます。

 

十代

 「俺は今まで透子……いや、確か鏡子って言うんだっけ。鏡子とデュエルした事は1度もない。でも何度かデュエルは見たことがある。そのデュエルを今思い返すと、俺は勝てないかもって思ったんだ。当然の様に出てくる高打点のモンスター。それを守る強力な罠を展開しつつ後続を出せる体制を整えるタクティクスを持ったデュエリスト。そんなデュエリストがあの三幻魔を手にしているんだ!」

 

剣山

 「俺も確かに鏡子は物凄く強いデュエリストだとは思うドン。でも、十代のアニキは1度三幻魔に勝ってるザウルス!」

 

十代

 「あの時勝てたのは、大徳寺先生がくれたカードのおかげだ。もし、俺が負けたら皆は!」

 

 恐怖で震える十代さん。それだったら……

 

透子

 「だったら私、十代さんと一緒に闘います!元を辿れば鏡子は私の分身。私にも責任はあります」

 

 私がそう言うと、三沢さんが何か閃いたかのように目を見開き立ち上がりました。

 

三沢

 「そうか!分かったぞ!博士の言おうとした事が!(レインボー·ドラゴン)を覚醒させるには巨大なエネルギーがいる、ならば巨大なエネルギーそのものな三幻魔をぶつければ、(レインボー·ドラゴン)は覚醒するはずだ!そして、覚醒した(レインボー·ドラゴン)の力を使えば、俺達は元の世界に帰れる!」

 

ヨハン

 「そうと分かったら早速俺は(レインボー·ドラゴン)のカードを探してくる!待っていてくれ、俺は必ず帰ってくる」

 

オブライエン

 「護衛は任せろ」

 

 オブライエンさんが銃の形をしたデュエルディスクを構えると、ジムさんと剣山さんがデュエルゾンビの存在に気づきました。

 

剣山

 「囲まれたドン!汚ないドン!最初から十代のアニキを無事にたどり着かせる気ないザウルス!」

 

 結束が強まる皆さん。お互いに背中を預け、強行突破の意志を固めます。

 

 剣山さん、明日香さん、ジムさんの3人がモンスターを召喚し、地面を砕いて煙を撒き目をくらましました。

 

 私達はその間に、必死に走って外を目指します。

 

 

〜〜〜

 

 外に出ると、そこには巨大なデュエル場がありました。いつの間に作ったのでしょうか?

 

剣山

 「アニキ危ないドン!」

 

 突然現れる(古代の機械兵士)。それを剣山さんは恐竜族のモンスターで対抗します。

 

 十代さん、レイさん、私、そして三沢さんがドンドンと先へ進むたびに、大量のデュエルゾンビが道を阻んできます。それを明日香さん達が必死になって除去しています。

 

 しかし、流石に量が多いせいか囲まれてしまいました。仕方ありません。こうなったら(メタファイズ)で!

 

三沢

 「待て!十代と透子は力を温存する必要がある!ここは俺が!」

 

 こうして始まるモンスター同士の戦闘。あちこちで爆発が起き、何が何やら分かりません。

 

 5分ぐらい走ったでしょうか?会場は近くなりましたが、そろそろ明日香さん達も限界が近いようです。

 

 私達が階段を登り始めた時、突然空から大量の隕石が飛来してきました。誰ですかそんな危ないカードを使った人は!

 

 隕石によりあちこちで大爆発が起こり、私とレイさんは爆風に吹き飛ばされる形で会場に辿り着きました。

 そこにはマルタン君と、その前でデュエルディスクを構える鏡子の姿が。

 

鏡子

 「待ってたぜ十代、鏡子。俺を満足させてくれよ」

 

十代

 「鏡子!お前は何をやっているのか分かっているのか!」

 

 十代さんの言葉に、鏡子は顔色も変えずに答えました。

 

鏡子

 「ああ分かっているとも。仲間に牙を向くなんてってことだろう?でも俺は充足に飢え、乾いているんだ。だから俺は悪魔に魂を売った!これで満足出来なけりゃ俺はデュエリスト辞めるぞ!文句があるなら鮫島の野郎に言うんだな!」

 

十代

 「マルタン……いや、お前か!鏡子をこんな風にしたのは!俺が勝ったら約束を守るついでに鏡子を元に戻してもらうからな!」

 

マルタン

 「これに関しては僕の管轄外なんだけどねぇ……でも約束は守るよ。君と違ってね」

 

透子

 「どうやら貴方はマルタンさんじゃないみたいですね……どっちにしろ、鏡子は私が止めます!」

 

鏡子·十代·透子

 「デュエル!」

 

鏡子

 「俺のターンドロー……うへぇ」

 

 鏡子 手札5→6

 

 さて、私の手札は……え!?

 

透子

 「なんで私のデッキがライトロードになっているのですか!?」

 

ライコウ

 「三幻魔が相手という異常事態だ。本来ならやりたくないが、備蓄を削ってライトロードを使ってもらう」

 

 まぁ……いいですけど。

 

鏡子

 「お喋りは終わりか?スタンバイ、メインフェイズ!俺は(暗黒の招来神)を通常召喚。効果を発動してデッキから三幻魔のカード名が記されたカード。永続魔法(七精の開門)をサーチして発動!発動時の効果処理としてデッキから(暗黒の召喚神)をサーチ」

 

 鏡子が(七精の開門)を発動すると、会場の周りに七精門が現れて、中からカードが浮いて出てきました。

 

鏡子 手札6→5→6→5→6

 

鏡子

 「(暗黒の招来神)の永続効果によって増えた召喚権を使って、(暗黒の招来神)をリリース!アドバンス召喚!現われろ!未完なる幻魔!(暗黒の召喚神)!」

 

鏡子 手札6→5

 

 現れたのは(幻魔皇ラビエル)のなりそこないの様なモンスター。攻守も0。一体どんな効果を持ったモンスターなのでしょうか。

 

鏡子

 「(暗黒の召喚神)の効果を発動!このカードをリリースして発動!手札·デッキから三幻魔1体を召喚条件を無視して特殊召喚出来る!雷の皇よ!その絶大なる力を以って我に仇なす者を焼くがいい!手札から降臨せよ!(降雷皇ハモン)!」

 

 鏡子がカードを掲げた瞬間。暗雲が立ち込めて、辺りに無数の雷が落ちてくるなか(降雷皇ハモン)が姿を現しました。

 

鏡子

 「まさかデッキのオマケであるハモンを呼び出せるとは思わなかったぜ」

 

十代

 「(ハモン)が……オマケ?あんな強力なカードがオマケだと!?」

 

鏡子

 「このデッキの主役は別にいる。影丸理事長が上手く扱えていなかったカードがこのデッキの主役さ!俺はカードを4枚セットしてターンエンドだ」

 

鏡子 LP4000 手札0枚 伏せ4

 

降雷皇ハモン 攻4000

 

七精門の開門

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6 

 

鏡子

 「スタンバイフェイズに永続トラップ発動!(魔封じの芳香)!これによりこのカードがある限り魔法はセットしないと発動出来ず、セットしたターンは発動出来ない!」

 

透子

 「うっ……かなり厳しいカードが来ましたね。私は(ライトロード·サモナールミナス)さんを守備表示で召喚!効果発動!手札の(ライトロード·マジシャンライラ)さんを捨ててそのまま特殊召喚!効果を発動して自身を守備表示にして(魔封じの芳香)を破壊します!」

 

鏡子

 「永続トラップ(宮廷のしきたり)発動!これによって、このカードが存在する限り、このカード以外の永続トラップは戦闘·効果で破壊されない!」

 

 (ライラ)さんの放つ光弾が、怪しいお香を破壊しようとしましたが謎の光に守られてしまいました。

 

透子

 「うう……私はカードを2枚セットして、ターンエンド。エンドフェイズに(ライラ)さんと(ルミナス)さんは3枚、合計6枚デッキトップを墓地へ送ります」

 

デュエルディスクにカードを6枚入れると、(光の援軍)の様な門から(ウォルフ)さんが出てきました。

 

 

鏡子 LP4000 手札0枚 伏せ2

 

降雷皇ハモン 攻4000

 

七精門の開門

宮廷のしきたり

魔封じの芳香

 

 

透子 LP4000 手札2 伏せ2

   残デッキ44枚

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·マジシャンライラ 守200

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

十代

 「くぅ……俺は(未界域のビッグフット)の効果発動!鏡子は俺の手札をランダムに選ぶ、それが(ビッグフット)なら特殊召喚して1枚ドローする。外れれば特殊召喚されない」

 

鏡子

 「じゃあ右から2番目だ」

 

十代

 「選ばれたのは(ビッグフット)。捨てられるが効果発動!表側表示のカードを対象に破壊!俺は(ハモン)を破壊!」

 

十代 手札6→5

 

 墓地から湧き出た大猿の一撃によって、(ハモン)は破壊されました。なんか呆気ないです。

 

十代

 「くっ……俺はモンスターをセット、カードを2枚伏せてターンエンド!」」

 

鏡子

 「エンドフェイズに永続トラップ(メタル·リフレクトスライム)発動!チェーンして(苦紋様の土像)発動!逆順処理により、(土像)はレベル7の攻0守2500の地属性岩石族として、(リフレクトスライム)はレベル10の攻0守3000の水属性水族として特殊召喚!」

 

 魔法·罠ゾーンから、巨大で金属質なスライムと不気味な紋様の入った四足歩行の人型埴輪が現れました。

 

鏡子

 「そして(土像)の効果発動!このカードがモンスターゾーンにいる時に、他の魔法·罠ゾーンのカードがフィールドに特殊召喚された場合に発動!フィールドのカードを1枚対象にとって破壊!俺は(ルミナス)を対象にとって破壊!トラップカーズ!」

 

 (土像)から禍々しいオーラが放たれ、(ルミナス)さんは苦しみながら破壊されました。

 

 それにしても、喋らないと言うことは多分精霊化してないですね。魔力の節約に余念がないですね。

 

 

十代 LP4000 手札2 伏せ2

 

セットモンスター

 

 

鏡子 LP4000 手札0枚 伏せ1

 

メタルリフレクトスライム 守3000

苦紋様の土像 守2500

宮廷のしきたり

七精の開門

 

 

透子 LP4000 手札2 伏せ2

   残デッキ44枚

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·マジシャンライラ 守200

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札0→1

 

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は(強欲で金満な壷)発動!融合デッキ6枚除外して2枚ドロー!このターン俺はカードの効果でドロー出来ない!」

 

 現れたのは、やたら豪華な壺。融合デッキのカードを6枚取り込むと、破裂して2枚のカードが飛び出してきました。

 

鏡子 手札1→0→2

 

十代

 「永続トラップ(便乗)を発動!これは相手がドローした時に発動できて相手がドローする度に俺は2枚ドローする!」

 

鏡子

 「むぅ……(ギャラクシー·サイクロン)発動!これで十代の伏せを破壊!」

 

十代

 「させない!カウンタートラップ(魔宮の賄賂)!相手の魔法·罠カードを無効にして破壊。その後、相手に1枚ドロー!そして(便乗)でドロー!」

 

 御代官様が小判を投げつけて、迫りくる竜巻を掻き消しました。御代官様強いです。

 

鏡子 手札2→1→2

十代 手札4→6

 

鏡子

 「キッツイなぁ……俺は(メタルリフレクトスライム)1体を再構築!鋼鉄の細胞よ!今こそ偽りの神となりて、我を護る盾となれ!変身召喚!(神·スライム)!」

 

十代

 「オ、(オベリスクの巨神兵)!?」

 

透子

 「色が違うので偽物でしょうけど、迫力がすごいです」

 

 (メタルリフレクトスライム)が変身して、鉛色の(オベリスクの巨神兵)に姿を変えました。

 

鏡子

 「(神·スライム)は戦闘では破壊されず、相手はこのカード以外の自分フィールドのモンスターを、攻撃対象に選択できず、効果の対象にもできない。こいつで少し時間を稼がせてもらう!俺は2枚カードをセットしてターンエンド!」

 

鏡子 LP4000 手札0枚 伏せ2

 

神·スライム 守3000

 

 

苦紋様の土像 守2500

宮廷のしきたり

七精の開門

 

透子 LP4000 手札2 伏せ2

   残デッキ44枚

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·マジシャンライラ 守200

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

十代 LP4000 手札6 伏せ0

 

セットモンスター

 

便乗

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札2→3

 

透子

 「(死者転生)を発動!手札の(ライトロード·ドルイドオルクス)さんを捨てて、(ルミナス)さんをサルベージして守備表示で召喚。効果を発動して手札の(ライトロード·モンクエイリン)さんを捨ててそのまま特殊召喚!バトル!(エイリン)で(神·スライム)を攻撃!」

 

鏡子

 「何度ライトロードと戦っていると思っている!永続トラップ(デモンズ·チェーン)発動!これにより、(エイリン)は攻撃出来ず、効果も発動出来ない!」

 

 (エイリン)は(神·スライム)に蹴りかかろうとしますが、無数の鎖に拘束されてしまいました。

 

 私は十代さんの方を見ます。すると彼は大きく頷きました。許可が出たので行きます!

 

鏡子

 「続いて(ウォルフ)さんで十代さんのセットモンスターを攻撃!」

 

 (ウォルフ)さんが手に持つメイスでセットモンスター(メタモルポット)を粉砕すると、砕けた(メタモルポット)からカードが溢れてきました。

 

十代

 「破壊された(メタモルポット)の効果発動!お互いに手札をすべて捨てて5枚ドロー!そして(便乗)の効果を2回適応して4枚ドロー!」

 

鏡子 手札0→0→5

透子 手札1→0→5

十代 手札8→0→5→7→9

 

 これが……(便乗暗黒界)。ドロー力が(生還の宝札)並みです。

 

十代

 「更に捨てられた(ゴルド)、(グラファ)、(ベージ)3体の効果発動!(ゴルド)、(ベージ)3体は墓地から特殊召喚。(グラファ)は(神·スライム)を破壊する!」

 

 墓地から湧いてくる(ベージ)さん達。墓地から湧き出る瘴気によって悶えて破壊される(スライム)。

 

透子

 「私はこれでターンエンドです。エンドフェイズに(ルミナス)さん、(ライラ)さん、(エイリン)さんの効果発動!合計9枚墓地へ!」

 

透子 LP4000 手札5 伏せ2

   残デッキ29枚

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·マジシャンライラ 守200

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

ライトロード·モンクエイリン 攻1600

 

十代 LP4000 手札9 伏せ0

 

暗黒界の武神ゴルド 攻撃2300

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

 

便乗

 

鏡子 LP4000 手札5枚 伏せ1

 

 

苦紋様の土像 守2500

宮廷のしきたり

七精の開門

デモンズ·チェーン(モンクエイリン)

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札9→10

 

十代

 「(ベージ)を戻して墓地の(グラファ)を特殊召喚!バトル!(グラファ)で(苦紋様の土像)を攻撃!暗黒の吐息!」

 

 (グラファ)さんから放たれる黒いブレスが四足歩行の土偶を飲み込みましたが、破壊されることはありませんでした。

 

 十代 手札10→11

 

鏡子

 「(宮廷のしきたり)の効果により、表側表示の罠カードは戦闘·効果では破壊されない!よってコイツは破壊されない!」

 

十代

 「ッ……俺はカードを3枚セットしてターンエンド。手札制限により、手札を2枚捨てる。」

 

十代 LP4000 手札6枚 伏せ3

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

 

便乗

 

鏡子 LP4000 手札5枚 伏せ1

 

 

苦紋様の土像 守2500

宮廷のしきたり

七精の開門

デモンズ·チェーン(モンクエイリン)

 

 

透子 LP4000 手札5 伏せ2

   残デッキ38枚

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·マジシャンライラ 守200

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

ライトロード·モンクエイリン 攻1600

 

鏡子

 「なるほど、十代のデッキは捨てられると効果を発動するデッキか。十代らしくない、よく考えられたデッキだな!俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「フフフ……アッハハハ!」

 

十代

 「な、何がおかしい!」

 

 突然笑い出す鏡子。いったいどんなカードを引いたのでしょうか?

 

鏡子

 「このデュエルが楽しくてなぁ!心の底から湧き出る感情。これが心地よくてたまらない!こんな気分はあの時……あの時ってなんだ?」

 

 突然頭を抱える鏡子。何かを……暗黒界について思い出そうとしているようです。思い出してくれれば、このデュエルが終わるかもしれません。

 

透子

 「鏡子!貴方が初めて組んだデッキは何でしたか?それが、きっとそれが答えです!」

 

鏡子

 「(命削り真竜)……友人に勧められて、安かったから組んだけどこんな感情になった事はない。じゃあ……この記憶はなんだ?手札を捨てるカード?まるで十代が持っているような……ええいそんな事はどうでもいい!俺のとっておきを見せてやる!俺は(デモンズ·チェーン)、(苦紋様の土像)、(宮廷のしきたり)をリリース!」

 

 次々と消える永続トラップ。この召喚条件はまさか!

 

鏡子

 「神炎の皇よ!今こそ究極の炎を身に纏い、我に勝利を齎し給え!降臨せよ!(神炎皇ウリア)!」

 

 巨大な火柱に包まれて現れたのは、(オシリスの天空竜)に似た幻魔。確か効果は墓地の罠の数×1000……まさかそんな!

 

鏡子 手札6→5

 

鏡子

 「(ウリア)の攻撃力は墓地の永続罠×1000打点が上がる!墓地には永続罠が4枚ある!よって攻撃は4000!だがもっと打点を盛るぜ!(名推理)発動!レベルを宣言しな!透子!」

 

透子

 「私ですか……残りの(ラビエル)は特殊召喚モンスターだから出てこない。ああもう勘です!レベル1!」

 

鏡子

 「ならば答え合わせだ!」

 

 そうして始まるターバンのおじさんによるカード捲り。カードが10枚落ちた頃に、答え合わせの時が来ました。

 

送られたカード

七精の開門×2

ブレイク·スルースキル×1

苦紋様の土像×1

覚醒の三幻魔×2

スキルドレイン×2

碑像の天使-アズルーン×2

 

鏡子

 「捲られたモンスターは(混沌の召喚神)!レベル1なので墓地へ送られる。だが問題ない!墓地の(混沌の召喚神)を除外して効果発動!デッキから(失楽園)を加えて発動!」

 

 会場の背後に現れるのは、巨大な枯れ木。木の洞には黄色い目をした何かが潜んでいます。

 

鏡子 手札5→4→5→4

 

鏡子

 「(失楽園)の効果発動!三幻魔か(混沌幻魔アーミタイル)がフィールドに存在する場合に発動!1ターンに1度デッキから2枚ドロー!」

 

十代

 「(便乗)で2枚ドロー!」

 

鏡子 手札4→6

 

十代 手札6→8

 

 枯れ木から小振りなリンゴが1つ、鏡子の手に落ちました。鏡子がそれを食べきると、リンゴの芯が2枚のカードへと変化しました。

 

鏡子

 「あぁ……蘇るよ、あの時の怒りが。鮫島校長に、俺が愛していたデッキを解体させられたあの時の怒りが!」

 

透子

 「ならば覚えている筈です!どんなカードが規制されたのかを!」

 

鏡子

 「ああ覚えているとも!(メタファイズ·ディメンション)に(名推理)に(モンスターゲート)、(隣の芝刈り)に……(暗黒界の取引)、(未界域)のカード達!どれも俺がよく使っていたデッキのキーパーツだった!」

 

 ……本当に、暗黒界に関する記憶が全て消えているのですね。(取引)が残っているのは汎用カードだからでしょうか。

 

透子

 「鏡子!あなたは規制されたカードをいくつか忘れているようですね!貴方がかつて組んだデッキ。それを十代さんは回しているんです!」

 

鏡子 

 「忘れるわけが無いだろう!あの時の怒りを……あれ?確かに一部のカードが霞んで……ッ!今はデュエルに集中する!今の(ウリア)の攻撃力は11000!そして(失楽園)の効果で効果の対象にならず効果で破壊されない!(ウリア)の効果発動!十代にフィールドにセットされた罠を破壊!トラップ·デストラクション!」

 

 (ウリア)が光線の様な炎を吐き、セットカード(バージェストマ·ディノミスクス)を破壊しました。

 

十代

 「くっ……(ディノミスクス)が!」

 

鏡子

 「いいカードを撃ち抜いたな。いけ(ウリア)!(暗黒界の尖兵ベージ)に攻撃!ハイパーブレイズ!」

 

十代

 「トラップ発動!(ガード·ブロック)!戦闘で受けるダメージを0にして、俺は1枚ドローする!」

 

 (ウリア)が放つ猛烈な業火は、十代さんに届く前に薄い障壁によって弾かれました。

 

十代 手札8→9

 

鏡子

 「ふん。まぁこれぐらいで決着がついたら面白くないか。俺は墓地の(ギャラクシー·サイクロン)を発動。このカードを墓地から除外して(七精の開門)を破壊。カードを4枚セットしてターンエンドだ」

 

鏡子 LP4000 手札2枚 伏せ5

フィールド(失楽園)

 

神炎皇ウリア 攻11000

 

透子 LP4000 手札5枚 伏せ2 

   残デッキ38

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·マジシャンライラ 守200

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

ライトロード·モンクエイリン 攻1600

 

十代 LP4000 手札8枚 伏せ0

   残デッキ18枚

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

 

便乗

 

 攻撃力が1万を越え、更に対象にならず効果で破壊されないモンスター。この強敵を、どうやって倒せばいいのでしょうか?

 



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23.混沌と絶望と

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

手札5→6 残デッキ38→37

 

 さて、この堅固な耐性を持つ(ウリア)をどう処理すれば……ん?何やら足音が……

 

ヨハン

 「十代!」

 

十代

 「ヨハン!」

 

ヨハン

 「無事に手に入れて来たぜ!(レインボー·ドラゴン)を!」

 

十代

 「ヨハン!お前なら必ずやると信じていたぜ!」

 

 足音の正体はヨハンさんでしたか。それにしても鏡子の後ろにいるマルタンさんが、凄く殺気立った顔をしています。怖いです。

 

ヨハン

 「このデュエル、俺も参加させて貰う。俺が参加する分。つまり鏡子のLPは4000加算される。これでいいか?」

 

鏡子

 「ヨハンがドローする分。つまり5枚ドローさせてくれるならいいぞ。順番は十代の次、バトルロワイヤルルールに変更な」

 

ヨハン

 「話が分かるじゃないか」

 

ヨハン LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡子 LP8000 手札2→7 伏せ5

 

鏡子に5枚もドローさせるのはかなり危ないと思うのですが……(レインボー·ドラゴン)が異世界脱出の鍵なのですから仕方ありません。

 

透子

 「スタンバイ……メインフェイズ!わたしは(光の援軍)を発動!コストでデッキトップを3枚墓地に送り、デッキから(ライトロード·アサシンライデン)さんをサーチして召喚!効果発動!カードを2枚墓地へ送ります!」

 

 送られたのは……(シラユキ)と(ライトロード·ドルイドオルクス)さん。

 

透子

 「私はレベル4の(エイリン)さんとレベル4の(ライデン)さんでチューニング!光と闇が交わりし時、混沌の脅威が舞い降りる!シンクロ召喚!来て!混沌の支配者!(混沌魔龍カオス·ルーラー)!」

 

 光の輪に包まれて現れたのは、黒色の甲殻に包まれた竜。その胸には、宝石がキラリと赤く輝いています。

 

ヨハン

 「これが……シンクロ召喚か!」

 

十代

 「スゲー!初めて見た!カッコイイぜ!」

 

 シンクロ召喚に感嘆するヨハンさんと、(カオス·ルーラー)の姿を見て興奮する十代さん。そういえば、今までシンクロ召喚を成功させたデュエリストを見たことがないですね。チューナーを当てられなかったのでしょうか?

 

透子

 「(カオス·ルーラー)の効果発動!シンクロ召喚に成功した場合に自分のデッキの上からカードを5枚めくります。その中から光・闇属性モンスター1体を選んで手札に加え、残りのカードは墓地へ送ります」

 

捲られたカード

BF·精鋭のゼピュロス

ライトロード·エンジェルケルビム

ライトロード·アーチャーフェリス

超電磁タートル

グローアップ·バルブ

 

透子

 「私は(ケルビム)さんを加えて残りを墓地に送ります」

 

透子 手札6→5→6→5→6 デッキ26枚

 

 私がカードを墓地に送ったと同時に、光の門から猫耳の射手が現れました。

 

透子

 「十代さん達に効果を説明します。(ライトロード·アーチャーフェリス)は通常召喚出来ない代わりに、モンスターの効果で墓地ヘ送られると自己蘇生出来る効果があります」

 

鏡子

 「相変わらず運が良いな。しれっと(フェリス)出しやがった。しかも捲られたカードの多くは墓地効果持ち。運命力なんてもんじゃねぇな。んじゃあ効果処理後にトラップ発動!(碑像の天使-アズルーン)、チェーンして(死霊ゾーマ)、(苦紋様の土像)!(土像)を特殊召喚して(ゾーマ)はレベル4・攻1800守500、(アズルーン)はレベル4・攻守1800のモンスターとしてどちらも守備表示で特殊召喚!」

 

土像と一緒に出てきたのは大きな弓を持った女性を象った石像と、やたら顎が大きい悪魔。石像の方からは不思議と神々しさを感じます。

 

鏡子

 「魔法·罠ゾーンから2体モンスターが特殊召喚されたので(土像)の効果が2回発動!(暗黒界の武神ゴルド)と(暗黒界の尖兵ベージ)を破壊させてもらう!トラップカーズ!」

 

(土像)から放たれる禍々しいオーラを当てられた(ベージ)と(ゴルド)さんは、為す術もなく破壊されました。

 

鏡子

 「これで4チューナーと3か4の非チューナーが揃ったけど……やるのか?」

 

透子

 「私は墓地の(BF·精鋭のゼピュロス)の効果発動!フィールドの(ルミナス)さんを手札に戻して特殊召喚して400ダメージを受けます!そして私は(ゼピュロス)と(フェリス)さんでチューニング!眠りし屑鉄の魂よ!今こそ竜の姿となりて動き出せ!シンクロ召喚!レベル8(スクラップ·ドラゴン)!」

 

 光の輪から飛び出したのは機械の配線が所々露出したドラゴン。最近パックを剝いたら出てきたモンスターです。

 

鏡子

 「ここで(アズルーン)の効果発動!トラップモンスターである自身をリリースして(スクラップ·ドラゴン)の特殊召喚を無効にして破壊!スタチューアロー!」

 

 屑鉄の竜は石像の放つ矢に射抜かれて容易く爆散しました。せっかくだしたのに……

 

透子

 「うぅ……バトル!(カオス·ルーラー)で(苦紋様の土像)を攻撃!カオスシュート!」

 

 黒い竜から放たれた光線によって土像が爆散しました。

 

透子

 「私はこれでターンエンド!エンドフェイズに手札を1枚捨てます」

 

透子 LP3600 手札6枚 伏せ1

   残デッキ26枚

 

混沌魔龍カオス·ルーラー 攻3000

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

ライトロード·マジシャンライラ 守200

 

十代 LP4000 手札8枚 伏せ0

 

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

 

便乗

 

ヨハン LP4000 手札5枚

 

鏡子 LP8000 手札7枚 伏せ2

フィールド(失楽園)

 

神炎皇ウリア 攻11000

 

死霊ゾーマ 守500

 

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札8→9

 

十代

 「俺は(魔法石の採掘)を発動!手札を2枚捨てて、墓地の(天使の施し)を回収!そして捨てられた(グラファ)と(シルバ)の効果が……あれ?発動しない?」

 

透子  

 「十代さん。暗黒界のカードは手札から効果で捨てられないと発動しません。(魔法石の採掘)の捨てるは発動する為のコスト。よって発動しません」

 

十代

 「マジかぁ……でも気を取り直して行くぜ!俺は(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして手札を1枚捨てる!そして(便乗)の効果が3回適応!6枚ドロー」

 

鏡子 手札2→3→2

 

十代 手札9→8→6→7→6→7→6→12

残デッキ10

 

透子 手札6→7→6 

残デッキ25

 

ヨハン 手札5→6→5

 

鏡子

 「永続トラップを捨てたので、(ウリア)の攻撃力は12000となる!」

 

十代

 「まさか攻撃力1万を超えるなんてな……捨てられた(スノウ)の効果発動!デッキから(暗黒界の門)を加えて発動!これで(失楽園)は破壊される!」

 

 巨木が粉々に砕け散り、代わりに巨大な門が現れました。その門からは白い霧が漏れています。

 

十代

 「まずは(ベージ)を戻して(グラファ)を特殊召喚!そして(暗黒界の門)の効果を発動!墓地の(シルバ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)を特殊召喚!」

 

十代 手札6→7→6→5→6

残デッキ10→9→8

 

十代

 「(おろかな埋葬)を発動して(グラファ)を墓地へ、そして(ベージ)を戻して(グラファ)!」

 

十代 6→5→6

残デッキ8→7

 

鏡子

 「(グラファ)の効果処理後にトラップ発動!(ブービートラップ·E)!手札の(土像)を捨てて墓地のもう1枚をセット!」

 

 (ブービートラップ·E)……私も(自爆ナチュル)で愛用していたカードです。確かセットしたターンでも発動出来た筈……

 

鏡子

 「そして永続トラップ(苦紋様の土像)、(死霊ゾーマ)!(土像)を守備表示で特殊召喚して、(ゾーマ)を守備表示で特殊召喚。そして(土像)の効果を発動して(グラファ)を破壊!」

 

 (土像)の呪いで破壊される(グラファ)。

 

十代

「カードを2枚セットして行くぜ!(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てる!」

 

十代 手札 6→7→5→4→7→5

残デッキ6→3

 

 ようやく回り始めましたね。これで鏡子が思い出してくれればいいのですが……

 

十代

 「捨てられた(ベージ)、(ゴルド)の効果発動!(ゴルド)と(ベージ)を特殊召喚!(ベージ)を戻して(グラファ)!これが俺の切り札だ!伏せていた(フォース)発動!(ウリア)の攻撃力を半分にして、(グラファ)にその分の攻撃力を加える!」

 

十代 手札5→6

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000→9000

神炎皇ウリア 攻12000→6000

 

ヨハン

 「(ウリア)の攻撃力を超えた!」

 

十代

 「行くぜバトル!(グラファ)で(ウリア)を攻撃!」

 

 (グラファ)が向こう側が見えない程に真っ黒なブレスを吐くと、(ウリア)も負けじと炎のブレスを放ちました。

 一瞬拮抗しましたが(グラファ)のブレスが(ウリア)を飲み込み、(ウリア)を破壊しました。

 

鏡子 LP8000→5000

 

十代

 「よし!2体目の(グラファ)で(苦紋様の土像)を攻撃!(ゴルド)で(死霊ゾーマ)を攻撃!」

 

 (グラファ)のブレスが(土像)を飲み込み、(ゴルド)が持つ大斧によって顎の大きな悪魔が両断されました。

 

鏡子

 「(死霊ゾーマ)の効果発動!戦闘で破壊されると、このカードを破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!2600のバーンを喰らえ!」

 

十代 LP4000→1400

 

 砕かれた(ゾーマ)から大量の怨念が吹き出し、十代さんに襲いかかりました。

 

十代

「ッ……流石にもうLPを削れない!(貪欲な壺)を発動!(スノウ)2枚、(未界域のビッグフット)1枚、(ベージ)2枚を戻して2枚ドロー!カードを3枚セットしてターンエンドだ!」

 

十代 手札6→5→7→4

 

十代 LP1400 手札4 伏せ4

   残デッキ3→8→6

フィールド 暗黒界の門

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の武神ゴルド 攻2700

 

便乗

 

ヨハン LP4000 5枚 伏せ0

 

鏡子 LP5000 手札7枚 伏せ0

 

死霊ゾーマ 守500

 

 

透子 LP3200 手札6枚 伏せ1

   残デッキ29枚

 

混沌魔龍カオス·ルーラー 守2500

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

ライトロード·マジシャンライラ 守200

 

鏡子

 「打点3000の同名モンスターが3体。アカデミアじゃ中々見れない光景なのに……既視感を感じるのはなんだ?まるで何かを……忘れているような……」

 

 だんだん思い出そうとしていますが、まだ足りませんね。

 

十代

 「思い出せ鏡子!これはいつもお前が作ってきた盤面だ!お前はいつもこのフィールドを作って、いつもデュエルに勝ってきたじゃないか!」

 

鏡子

 「これを……俺が?確かに手札交換が上手く行けば俺でもいけそうなカードだ。ッ!とにかくヨハン!お前のターンだ!」

 

ヨハン

 「俺のターンドロー!」

 

ヨハン 手札5→6枚

 

十代

 「トラップ発動!(貪欲な瓶)!俺は(暗黒界の取引)3枚、(暗黒界の門)2枚をデッキに戻して1枚ドロー!そしてもう1枚発動!(ブラウ)2枚、(貪欲な瓶)、(暗黒界の援軍)、(天使の施し)を戻して1枚ドロー!」

 

十代 手札4→5→6

   残デッキ6→11→10→15→14

 

 いつの間にデッキを殆ど引ききっていたのですね……というか未界域カードが(ビッグフット)だけなんですね……どうして……

 

ヨハン

 「永続魔法(宝玉の樹)を発動!このカードは魔法·罠ゾーンに宝玉獣モンスターが置かれる度にジェムカウンターを乗せる」

 

ヨハン 手札6→5

 

 出てきたのは、実の生っていない小さな木。これからジェムカウンターという実が付くのでしょう。

 

ヨハン

「そしてこれがペガサス会長が作ってくれた俺の新しい力だ!(虹の架け橋)を発動!デッキから宝玉魔法·罠カード、(宝玉の絆)を手札に加えて発動!デッキから宝玉獣モンスター(サファイア·ペガサス)を手札に加えて、加えたモンスターとカード名が異なるモンスターを魔法罠ゾーンに置く!俺は(エメラルド·タートル)を宝玉にする!」

 

手札5→4→5→4→5

 

 

 場に置かれたのは、緑色のキレイな宝石。ヨハンさんのデュエルを見たのは、実は初めてです。その時は鏡子が見てましたからね。

 

 そして、木の実が1つ生りました。

 

ジェムカウンター0→1

 

ヨハン

 「俺は(宝玉獣サファイア·ペガサス)を召喚!このカードは召喚に成功した時にデッキから宝玉獣モンスターを魔法·罠ゾーンに置く。俺は(ルビー·カーバンクル)を置く。サファイアコーリング!」

 

ヨハン 手札5→4

ジェムカウンター1→2

 

 置かれたのは、赤色の宝石。これで更に木の実が1つ生りました。

 

ヨハン

 「バトルだ!(サファイア·ペガサス)で(死霊ゾーマ)を攻撃!攻撃宣言時に、手札の(究極宝玉獣レインボー·ドラゴン)の効果発動!宝玉獣モンスターが攻撃する時にこのカードは手札から特殊召喚出来る!」

 

ヨハン 手札4→3

 

 出てきたのは、白を基調として所々に宝玉が散りばめられたドラゴン。とてもキレイなモンスターです。

 

 モンスターの数が変わり、戦闘の巻き戻しが起こります。

 

ヨハン

 「十代すまない!俺は(究極宝玉獣レインボードラゴン)で(グラファ)を攻撃!レインボーフラッシュ!」

 

 え?なんで(グラファ)を狙ったんですか!?攻撃力も互角だし相打ちですよ!?

 

 実際、(レインボー·ドラゴン)は(グラファ)とのブレスの撃ち合いで相打ちになりました。

 

ヨハン

 「破壊された(究極宝玉獣レインボードラゴン)の効果発動!破壊されると宝玉になる。そしてジェムカウンターが1つ乗る。

 

ジェムカウンター2→3

 

ヨハン

 「(レア·バリュー)を発動!永続魔法となった(エメラルド·タートル)を墓地に送って2枚ドロー」

 

十代

 「(便乗)で2枚ドロー!」

 

ヨハン 手札3→2→4

 

十代 手札6→8

   残デッキ14→12

 

ヨハン

 「宝玉となった(究極宝玉獣レインボードラゴン)の効果発動!このカードを除外して、デッキから宝玉獣モンスターを効果を無効にして特殊召喚!そして(究極宝玉神レインボー·ドラゴン)を手札に加える!こい!(コバルト·イーグル)!」

 

ヨハン 手札4→5

 

 ダイヤモンドの様な結晶が砕け散ると、中から、青色の鷹が出てきました。

 

ヨハン

 「(宝玉の契約)を発動!魔法·罠ゾーンから宝玉獣モンスターを特殊召喚!来い!(宝玉獣ルビー·カーバンクル)!」

 

ヨハン 手札5→4

 

 赤い宝石から出てきたのは、尻尾に赤い宝石を付けた猫の様な生き物。かわいいです。

 

ヨハン

 「(ルビー·カーバンクル)の効果発動!このカードが特殊召喚された時、宝玉を可能な限り特殊召喚する……んだけど永続魔法の宝玉獣はいない」

 

ヨハン

 「(宝玉の樹)の効果発動!このカードを墓地に送り、ジェムカウンターの数ぶん宝玉を置く!カウンターは3個。よって3枚置く!(アメジスト·キャット)、(トパーズ·タイガー)、(アンバー·マンモス)を置く!」

 

 これで、宝玉獣が6枚揃いました。後1体どうやって揃えて、(レインボー·ドラゴン)を出すのでしょうか?

 

ヨハン

 「七体の宝玉獣が揃った時、世界を繋ぐ光がこの地に蘇る!見ろ!宝玉獣の軌跡! 蘇れ!(究極宝玉神 レインボー・ドラゴン)!」

 

ヨハン 手札4→3

 

 現れたのは、さっきの(レインボー·ドラゴン)と姿が殆ど同じなドラゴン。でも威圧感は段違いです。(レインボー·ドラゴン)って墓地の宝玉獣カードもカウントするんですね。

 

ヨハン

 「光栄に思いな!お前はこのカードにやられる。初めての相手になるんだからな!」

 

鏡子

 「確かに1ターンでクッソ重い(レインボー·ドラゴン)を出したのは凄い。だが耐性が何1つないモンスターなど瞬きする間に粉砕してくれる!」

 

ヨハン

 「俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

ヨハン LP4000 手札1 伏せ1

 

究極宝玉神レインボー·ドラゴン 攻4000

宝玉獣コバルト·イーグル 守800

宝玉獣サファイア·ペガサス 攻1800

宝玉獣ルビー·カーバンクル 守300

 

宝玉獣アメジスト·キャット

宝玉獣トパーズ·タイガー

宝玉獣アンバー·マンモス

 

鏡子 LP5000 手札7枚 伏せ0

 

死霊ゾーマ 守500

 

透子 LP3600 手札6枚 伏せ1

   残デッキ29枚

 

混沌魔龍カオス·ルーラー 守2500

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

ライトロード·マジシャンライラ 守200

 

十代 LP1400 手札8 伏せ2

   残デッキ12

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の武神ゴルド 攻2700

 

鏡子

 「俺のターンドロー!ッフハハハハ!」

 

鏡子 手札7→8

 

ヨハン

 「な、何がおかしい!」

 

鏡子

 「いや、最高の引きをしてしまってね!見せてやる!これが幻魔の力だ!俺は(次元融合殺)を発動!手札·フィールド·墓地の幻魔を除外して融合召喚する!」

 

十代

 「幻魔の融合だってぇ!?それに(ラビエル)なんていつの間に!」

 

鏡子

 「(メタモルポット)の時に落ちたのさ!初手で(ハモン)と(ラビエル)が来たときは、どうしたものかと思ったぜ!炎よ!雷よ!鉄拳よ!今こそここに交わりて、混沌の道を突き進め!次元融合殺!顕現せよ!(混沌幻魔アーミタイル)!」

 

 暗雲の中降臨したのは、3体の幻魔を混ぜ合わせた様なモンスター。まさか三幻魔を融合素材にするモンスターがいるなんて……

 

鏡子

 「(次元融合殺)で出した(アーミタイル)は戦闘で自分が受けるダメージは0となる!ついでに(失楽園)を発動!2枚ドロー!」

 

十代

 「(便乗)で2枚ドロー!」

 

鏡子 手札8→7→9

十代 手札8→10

   残デッキ12→10

 

 再び落ちる小振りなリンゴ。完食し2枚のカードに変化します。突然、鏡子が苦しそうな様子で口を開きました。

 

鏡子

 「なんでだ……なんでこんなに悲しいんだ!(グラファ)を見ている時に感じる、何か大切な事を忘れている様なこの悲しみはなんだ!この悲しみの正体は、きっと十代とのデュエルにある!まずはヨハン!貴様を消し飛ばしてやる!」

 

 (グラファ)さんを漠然と思い出したのでしょうか。でもマズイです。このままだとヨハンさんが負けて、異世界から脱出出来なくなってしまいます!でも私には(超電磁タートル)があります!これで1度は凌げます!

 

鏡子

 「墓地の(ブレイク·スルースキル)の効果発動!このカードを除外して(レインボー·ドラゴン)の効果を無効にする!ついでに(禁じられた聖槍)を発動!対象のモンスターは攻撃力が800下がり、このカード以外の魔法·罠の効果を受けない!対象は(レインボー·ドラゴン)!ちなみに(ブレスル)の効果は適応される!」

 

鏡子 手札9→8

 

キレイな装飾が施された槍が(レインボー·ドラゴン)に刺さると、苦しそうに呻き声をあげました。

 

究極宝玉神レインボー·ドラゴン

攻4000→3200

 

鏡子

 「(アーミタイル)の効果発動!相手に10000の戦闘ダメージを与える!対象はお前だヨハン!」

 

 い、1万!?桁が1個ズレているんじゃないですか!?しかも攻撃じゃないから(タートル)が使えない!

 

レイ

 「1万なんて……そんな攻撃耐えられない!マルっち!本物なら辞めさせて!」

 

 デュエル中に、マルタンさんに駆け寄るレイさん。危険ですよ!

 

子供

 「そんなにこの体が心配かい?まぁもう元の身体は十分に回復したし、いいよ返してあげる」

 

 子供がそういうと、オレンジ色の光に包まれて、まるで脱皮するかの様にマルタンさんが崩れ落ちて翼を生やした女性が姿を現しました。

 

子供

 「これで、引き裂かれた僕の身体はようやく元に戻った。もうこの身体に用はない。望み通り返してやる」

 

 乱雑にマルタンさんを放り投げる女性。マルタンさんを受け止めきれずに、レイさんは倒れてしまいました。

 

鏡子

 「ゆ、(ユベル)!?なんでぇ!?」

 

十代

 「ゆ、(ユベル)だって!?」

 

 鏡子が驚いた顔を、十代さんが何かを思い出した様な顔をしています。何があったのでしょうか?

 

ユベル

 「思い出してくれたんだね?十代」

 

十代

 「嘘だ……そんな馬鹿な……」

 

ユベル

 「そう、我が名は(ユベル)。十代、君はどんなに離れていても、どんなに時が流れても永遠に僕の物だ」

 

 (ユベル)……十代さんへの執着が凄いです。いったい何があったのでしょうか?

 

ユベル

 「もう一人の透子、遠慮は要らない。十代を苦しめるんだ。彼が僕にやってきた仕打ちのようにね」

 

鏡子

 「仰せの通りに。まずは退路を断つ!いけ!(アーミタイル)!全土滅殺転生波!」

 

 (アーミタイル)からブラックホールの様な物が放たれ、(レインボー·ドラゴン)を容易く飲み込んでしまいました。

 

ヨハン

 「すまない……十代……」

 

 ヨハンさんは苦しげに息をつきながら、倒れてしまいました。

 

ヨハン LP4000→-6800

 

十代

 「そんな……俺達の希望が……」

 

鏡子

 「これでしばらくデュエルは続く!俺はカードを4枚セットしてターンエンド!」

 

鏡子 LP3600 手札5 伏せ4

 

混沌幻魔アーミタイル 攻0 *戦闘ダメージ0

 

死霊ゾーマ 守500

 

 

透子 LP3600 手札6 伏せ1

   残デッキ29枚

 

混沌魔龍カオス·ルーラー 守2500

 

十代 LP1400 手札10 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

十代

 「……許せねぇ……許せねぇぜ透子!勝つぞ!ヨハンの為に!皆の為に!」

 

 でも……もし私達が勝っても……私達が帰れる唯一の手段が……これじゃあ皆が……ずっと……この世界に……食料が尽きて皆……みんな……

 

 私の目から熱い何かが溢れてきて、デュエルディスクを濡らしました。

 

ライコウ

 『透子、諦めるな。今デッキに我々の“切り札”を投入した。それさえ引ければ我々は帰れる』

 

 切り……札?でもデッキの枚数は28枚。その中からたった1枚を引き当てるなんて……引けなかったら、みんな砂漠の中に消えてしまう。

 重い……デッキの上が、まるで巨大な岩の塊になったような感覚がします。

 

十代

 「透子!引くんだ!カードは信じれば必ず応えてくれる!デッキを、カードを信じるんだ!」

 

 十代さんの応援を聞いて、少し軽くなったような気がします。まだデッキトップは重い。でも、ここで引かなければ……どっちにしろ未来はありません!

 

透子

 「このドローにはアカデミアの、皆の命がかかっています。だからこそ私は引きます!この指が、真っ二つに折れたとしても!私のターン!ドロォー!」

 

透子 手札6→7

 

 引いたカードは(ライトロード·ドラゴングラゴニス)。やっぱり私には……学園を救う事なんて……え?

 

 私の脳裏に走馬灯の様な景色が流れると、(グラゴニス)が眩い光を潜ったと思ったら全く別のカード。純白の美しいドラゴンのカードへと変化していました。

 

鏡子

 「馬鹿な!カードを書き換えただとぉ!」

 

 私だって何が起きたのかさっぱりですよ。でもそんな事はどうでもいいんです!とにかくこのカードを使えば(アーミタイル)を突破出来る!

 

十代

 「トラップ発動!(バージェストマ·ディノミスクス)!手札の(ブラウ)を捨てて(失楽園)を除外!(ブラウ)の効果で1枚ドロー!」

 

 奇怪な行き物が巨木を腐食させて液化させました。これで(アーミタイル)の耐性が無くなりました!このカードによって巻き添えになっても十代さんなら……いや暗黒界なら立て直せる!

 

十代 手札10→11

 

透子

 「このカードは墓地にライトロードモンスターが4種類以上いる時に手札から特殊召喚出来る!光の使者が集いし時、白き巨龍が全てを裁く!飛来せよ(裁きの龍)!」

 

 神々しい光と共に舞い降りたのは、さっきドローした白い巨龍。重厚感ある咆哮がアカデミアに、いやこの世界に響き渡っています。

 

 これがライトロードの切り札。その称号に相応しい威圧感を、このドラゴンは備えています。

 

透子

 「(裁きの龍)の効果発動!1000のLPを払う事で、フィールドの(裁きの龍)以外のカードを全て破壊する!ジャッジメント·タイム!」

 

 (裁きの龍)が天高く飛翔すると、上空から光の雫を落としました。それがフィールドの中心に触れた瞬間。膨大な光が私達を包み込みました。

 最後の景色は、(ユベル)さんが勢いよくヨハンさんに近寄っていく景色でした。




コメント欄に、「シンクロ実装されたけどイリアステルはなにやってるの?」というコメントがありました。

 本編には出せそうにないですが、確かに面白そうなので全ての話を投稿し終えたらifルートで少し考えて見ようと思います。期待しない程度にお待ち下さい。


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第二次異世界編
24.相棒の名前と新たな力


お久しぶりです。本来ならそのままボンボンと連続投稿すればいいのですが、読み直していると手札枚数ミスとかがちょくちょく見つかったりするので投稿が不定期になります。ご了承ください。


 

〜〜〜

 

鏡子

 『ここは……アカデミア……か?』

 

 実体のない身体を起こして立ち上がると、目の前に海が広がっていた。どうやら俺達は元の世界に帰ってこれたらしい。

 

ブラウ

 『主!』

 

ベージ3人衆

 『旦那ぁ!』

 

 寄ってくる4体のモンスター。敵意は無さそうだがなんでだろう、見ていて胸が痛む。

 

ブラウ

 『主。我々の事。覚えていますか?』

 

鏡子

 『いいや。でも、お前らを見ていると、苦しくて……悲しくて……もう少しで、何かが思い出せそうなんだ』

 

 俺がそう言うと、ブラウはどこからか本を取り出して開いた。すると、特徴的なドラゴンのビジョンが姿を現した。

 

鏡子

 『お前は……(グラファ)!十代が使ってたエースじゃねぇか!』

 

グラファ

 『あの似非闇のデュエリスト以来だな。だが、その言い方。どうやら余の事は覚えていないのか。余は悲しいぞ』

 

 なんだ。まるで頭が掻き回されている様なこの感覚は。(グラファ)の言葉一つ一つが、ボンヤリとした物が少しずつ鮮明にさせていく……もう少しで……あと少しで何かが思い出せそうな……

 

グラファ

 『別に余は捨てられた事は怒っていない。デュエルしていればいつもの事だからな。だが、忘れられるのは流石に悲しいぞ。我々が、何か悪い事をしたのか?』

 

 蘇る一筋の記憶。その言葉が脳裏で木霊する。

 

 最近、主は我々をあまり使っていない。そんなに、我々が頼りないか?

 

鏡子

 『うっ……ッ……ゥア……』

 

 全部……思い出した。鮫島に暗黒界を解体させられた事。それに絶望して、身勝手な理由で暗黒界を崩した事。そして色んなデッキで暴力を振るい、しまいには三幻魔に手を出して暗黒界の皆を傷つけた事。

 

鏡子

 『ごめんな……ごめんな……全部思い出したんだ。こんな……こんな身勝手な主人でごめんよ!俺なんか……俺にお前らを扱う資格なんて!』

 

 気づけば、俺は膝を突いて涙を流していた。俺はあんなにも酷い事をした。罵倒されて、縁を切られても文句は言えない。あんなにも……愛していたのに……

 

ブラウ

 『顔を上げて下さい主。我々は今までも、そしてこれからも主の側に居続けます。例え、主が嫌と言ったとしても』

 

鏡子

 『ありがとう……それでも俺はやっぱり、1つのデッキだけを愛する事はできないんだ。それでも……俺についてきてくれるのか?』

 

 どんなに暗黒界を愛していたとしても、やっぱり除外が怖い。除外をメタるには、どうしても他のデッキが必要なんだ。

 

 それに俺は……OCG次元のデュエリストだ。面白そうなカードやデッキを見つけたら、真似してそのデッキを組んでしまう浮気者だ。この世界の住民みたいに、1つのデッキに魂を注ぐことなんか出来やしない。

 

ブラウ

 『ええ、例え我々が他のデッキのオマケであったとしても、我々を使ってくれる。それだけで我々は十分です。それが、カードの精霊というものなのですから』

 

 前にいる(ブラウ)を見上げると、普段見せない不格好な笑顔を見せていた。

 

鏡子

 『お前ら……お前らあぁぁ!俺はもうお前らの事を忘れない!忘れてなるもんか!』

 

 気づけば俺は、(ブラウ)に抱きついて涙を滝のように流していた。

 

 

 

鏡子

 『ふぅ……本当にありがとうな。これでまたお前ら暗黒界と共に戦う事が出来るようになった。でも、デュエルする前にやらなければならない事がある』

 

ブラウ

 『やる事……なるほど鮫島校長に我々を使える様にする許可を得るのですね?』

 

鏡子

 『あってるにはあっている。だが正解は三幻魔を盾に脅す事だ』

 

 早速俺は透子の元へ合流する為に、自室へ向かう。借りパクしてしまった三幻魔のカードを手にしながら。

 

 

 

〜〜〜

 

透子

 「凄い物を見てしまいました」

 

 異世界から帰ってきたのに気づいた直後に鏡子の声が聞こえたので盗み見していたら、ドラマのワンシーンにありそうな感動的な会話を聞くことが出来ました。

 

 もし私がライトロードの皆さんを意のままに呼び出せたなら、(オルクス)さんに録画してもらいたかったぐらいに感動的でした。

 

 ッ!こっちに来てる!まさか聞かれているのがバレたのでしょうか?早く遠くへ……

 

鏡子

 『よぅ透子!さっきぶりだな!所で少し身体貸してくんねぇかな?鮫島校長に用があるんだ。大丈夫だってすぐ終わる』

 

透子

 「アッハイ」

 

 鏡子の殺意に満ちた表情にビビってつい2つ返事で返してしまいました。

 

 一瞬意識が飛び、身体の主導権を奪われてしまいました。

 

 

 

〜 校長室 〜

 

 俺は扉を乱雑に開け開き、中に入った。

 

鏡子

 「鮫島ぁ!俺の用件は唯一つぅ!俺の暗黒界と未界域返せぇ!」

 

鮫島校長

 「と、透子さんノックしないのはまぁ良いとして、そんな事をしたら生徒達が」

 

鏡子

 「実際俺は多くのデュエリストを引退に追いやった!だがそれだけの為に1人の満足を奪うのがお前の“リスペクト”かぁ!」

 

 リスペクトに触れられたのか、鮫島の眉が動く。

 

鮫島校長

 「リスペクトとは、如何に相手の全力を……相手の妨害を含めた上で、それを乗り越える事。別にバーンやコントロール奪取、ロック効果を否定するものではありません。しかし透子さん、貴方の場合その妨害する力があまりにも強すぎた。相手に文字通り何もさせない。デュエルモンスターズを根底から否定し得るそれを可能にする貴方を、黙って見ている訳には行かなかったのです」

 

 なるほどねぇ、ただ強い奴を杭叩きする為じゃなかった訳ね。だが俺が求めるのは未界域暗黒界の復活。そんなものは関係ないしどうでもいい。

 

鏡子 

 「なるほど、今までただサイバー流だけが満足するためだけのクソみたいなルールだと思っていたが、これが真意か。確かにそれができたら楽しいよなぁ。だが関係ない!」

 

 俺は3枚のカードを鮫島校長に見せる

 

鮫島校長

 「それは三幻魔のカード!いったい何故!」

 

鏡子

 「紆余曲折あって借りたんだが借りパクしてしまってね。まぁそれはいい、選択肢は2つに1つ。1つ、大人しく制限を解除する。2つ、拒否してここで三幻魔を3体召喚するか。さぁ選べ!」

 

鮫島校長

 「三幻魔を出したらどうなるかわかっているのですか!?」

 

鏡子

 「あぁ痛いほど理解しているさ!さぁ!早く俺の暗黒界を解放しろ!そうすれば、俺は2度とこの脅しをしない!」

 

 鮫島校長が苦悶の表情をしている。校長は俯き、重々しく口を開いた

 

鮫島校長

 「……分かりました。私が今まで貴方に課した制限を全て解除します。ただし、授業や月一テストでは別の、妨害能力がそこまで高くないデッキでデュエルして下さい。これ以上は妥協出来ません」

 

鏡子

 「取引成立だ。これで俺は今までのデュエルが出来るんだ。三幻魔はこちらできっちり持ち主に返しておくよ」

 

 俺は三幻魔をポッケにしまい、校長室を後にした。本来ならここで返したかったけど、これは(ユベル)からの借り物。又貸しは良くないからな。

 

 

〜 廊下 〜

 

鏡子

 「よぉ〜し暗黒界も復活したし、もう満足だぜ〜」

 

 俺が職員室前を歩いていると、1つの張り紙が目についた。

 

 新弾発売!ワクワクエクシーズパック!新たな召喚法“エクシーズ召喚”実装!エクシーズ召喚をサポートするカードも多数収録!これでみんなもエクシーズ使いだ!

 

 この張り紙を見た瞬間、身体中の血が一瞬にして湧き上がり爆発した。

 

鏡子

 「キッッタゼエェェ!」

 

ブラウ

 『主!一体どうしたのですか!』

 

鏡子

 「ブラウ!パック5枚ぐらい買いに行くぞ!透子の為になぁ!俺は神になる!いや、神を超えるぅぅ!」

 

ブラウ 

 『お労しや主……』 

 

 なんか(ブラウ)がなんか言ってんなぁ。そんな事は気にも止めずに俺はパックを求めて購買へ走る。

 

 

〜 自室 〜

 

透子

 「ハァ……ハァ……どうして走らなければ行けなかったんですか?」

 

鏡子

 『済まねぇな。つい気が昂り過ぎてな。なんでか知らねぇが購買には誰もいなかったな。早速パック剥こうぜ』

 

使えそうなモンスター一覧

·交響魔人マエストローク

·ジェムナイト·パール

·竜巻竜

·恐牙狼ダイヤウルフ

·始祖の守護者ティラス

·EMトリック·クラウン

 

 他にも(ゴブリンドバーグ)や(ブリキンギョ)などのレベル4を展開できるモンスターが多く当たりました。

 

透子

 「……強いカードがいっぱいですね」

 

鏡子

 「当たりとしては(サイクロン)内蔵した(竜巻竜)、エクシーズ版(スクラップ·ドラゴン)の(ダイヤウルフ)。墓地に行くと1000バーン受けて自己蘇生する(トリッククラウン)だな。大目に見てそこそこ場持ちのいい(ティラス)。」

 

 け、結構厳しめですね……(マエストローク)と(パール)には目もくれません。

 

鏡子

 「(ティラス)以外のカードは透子にやるよ。ライトロードはレベル4が並びやすいからな」

 

透子

 「本当に……いいんですか?」

 

鏡子

 「良いんだよ。俺は後でカードを調達するからさ。ささ、走って疲れただろ?早く寝てくれよ」

 

 な、なんだか急かされている気がしますが……確かに疲れたので眠りましょうか。

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「寝たな?」

 

ブラウ

 『ええ。深い眠りを確認しました』

 

 俺は早速スマホを開き、カードを購入していく。透子は結構良いエクシーズ引いてたけど、追加で(彼岸の旅人ダンテ)、(ガガガガンマン)を入れてやろう。あと(サウザンドブレード)と(ゾンビキャリアー)と(ジェット·シンクロン)も入れてやろう。

 

ブラウ

 『主、やたらレベル……いやランク8が多いですね?ここは出しやすいランク4を選ぶのでは?』

 

鏡子

 「フッフッフ……ここで問題だ。我らがエースである(グラファ)のレベルはいくつだ?」

 

ブラウ

 『れ、レベル8……まさか!』

 

鏡子

 「そう!沢山ランク8が作れる!そして効果を発動する為に使う素材は墓地に行くから(グラファ)が自己蘇生出来る!そして一部の未界域モンスターはレベル8!こいつらも素材に使える!(宝札)を絡めれば60枚全部引ききる事だって不可能じゃない!」

 

ブラウ

 『た、確かにこれは……凄まじい事です。もしかしたら、(ブロン)の野望も打ち砕けるかもしれません!』

 

鏡子

 「(ブロン)?誰だそいつ」

 

ブラウ

 『(暗黒界の狂王ブロン)です。彼は今(暗黒界の洗脳)を用いて暗黒界軍をほぼ全てを掌握し、(超融合)を作ろうとしているのです』

 

 (超融合)。それはストーリーに関わる重要なカード。(暗黒界の洗脳)はわりと最近のカードだし、もしかしたらそのせいで十代が負けるかもしれない。何かしらの介入が必要だ。

 

鏡子

 「(超融合)だって!?とにかく困っているなら主である俺も協力するぞ!お前らに恩返しをしなければならない!」

 

ブラウ

 『ありがとうございます。その為には、我々の故郷である異世界へ行く必要があります。そこへのルートはもう確保してありいつでも行けます』

 

 早速乗り込もうと思った瞬間。腹の音が激しくなった。

 

鏡子

 「……腹減ったな。まずは昼飯にしてからだな。そういえば、ヨハンは見なかったか?」

 

俺の問いに対して、(ブラウ)は首を横に振った。

 

鏡子

 「十代達はきっとヨハンを助けに行くだろうな。あいつらのデッキで異世界に耐えられると思うか?」

 

ブラウ

 『彼等はきっと大丈夫です。何故ならもう異世界を生き抜いたのですから』

 

鏡子

 「杞憂だったか。それじゃあ早速飯に行くか」

 

 俺は自室から出て、食堂へ向かった。

 

 そして、俺は部屋に戻ったあとに荷物を纏めて異世界へ足を踏み入れた。十代の部屋の前にカードを入れた手紙を置きながら。

 

〜〜〜

 

 

鏡子

 「ここが……異世界か」

 

 異世界の裂け目を抜けると、穴の開いた岩山が四方に立ち並ぶ薄暗い世界。そして暗黒界達の世界でもある。

 

ブラウ

 「主。我々の拠点へ案内します。少し長くなるのでお覚悟を」

 

 まじかぁ……しゃあない。腹くくって行こう。

 

 先頭を(ブラウ)が歩き、俺はそれについていく。実体化していた足で大地を踏みしめながら

 

 

 

〜 オシリスレッド寮 〜

 

ハネクリボー

 『クリクリィ〜クリクリィ!』

 

 俺がベッドで寝ていると、(ハネクリボー)が騒いでいた。なんでも異世界の扉が開いたみたいだ。

 

十代

 「それは本当か!よし!すぐに行く!待ってろよヨハン!」

 

 俺はすぐに荷物を纏めて部屋を出ると、足元にカードが入った手紙が落ちていた。

 

 十代へ。

 この手紙を読んでいるということは、俺はもう異世界へ行った頃だろう。俺は紆余曲折あって暗黒界達と共に、遺跡に存在する次元の裂け目から異世界へ飛んだ。多分裂け目が残っているから十代も行けるだろう。

 だが、異世界に行く時に考えて欲しい事がある。それは力を持つものには責任が伴うと言うことだ。

 十代が異世界に行ったら周りはどう動くか。冷静に考えて行動する事を勧める。

 

十代

 「鏡子も異世界に……力ある者には責任が伴う?と、とにかく異世界に行ける機会があるんだ!考えてる暇はない!一刻も早くヨハンを助けないと!」

 

 俺はカードを素早く抜き取って手紙を投げ捨てて、遺跡へ走る。デッキの調整は時間があったらやろう。

 

 

〜 ジャスティス·ワールド 〜

 

 西洋風の建物の真ん中で、私は目を覚ましました。周りには、(ライトロード)の皆さんの姿がありました。

 

透子

 「ここは……ジャスティス·ワールドですか?」

 

ルミナス

 「そうだよ。僕が君を呼んだんだ」

 

 起き上がると、少し顔色が悪そうな(ルミナス)さんが手を差し伸べてきました。私は手をとって立ち上がります。

 

透子

 「どうして私を呼んだのですか?」

 

ルミナス

 「ライトロードデッキの主として、今後の事を話さないと行けないからね」

 

 (ルミナス)さんは激しく咳き込むと、話を始めました。

 

ルミナス

 「単刀直入にいうと、とうとう暗黒界との衝突が避けられない領域に突入した。(超融合)の物と思われるエネルギーは留まる事を知らず、完成は時間の問題だろう。だからこそ暗黒界と遅延戦闘を行い、それと平行して(超融合)を破壊する!」

 

ライラ

 「作戦は分かったわ。でも、魔力はどうするの?異世界の時に(裁きの龍)を実体化させたから、作戦の大規模な縮小は避けられないわよ?」

 

 (裁きの龍)ってあれ実体化してたんですね……あの存在感なら納得です。

 

ルミナス

 「そうなんだよ……本来なら僕達ライトロードが戦闘を行い、期を見計らって(裁きの龍)を投入して短期間で殲滅。引導を渡す所なんだけど……介入が長引くと(裁きの龍)を投入出来ない可能性、いや最悪強制撤収する可能性すら出てきたんだよね。(ソーラー·エクスチェンジ)で太陽光から魔力を抽出しているとはいえども、流石に暗黒界相手に(裁きの龍)無しではかなり苦しい」

 

 ま、魔力ってそうやって抽出してたのですね。あと(ルミナス)さんがふらついているのはなんででしょう。

 

ガロス

 「かといって介入しなかった場合、(超融合)が完成し世界が滅ぶ可能性が高まる。それだけは避けないといけないが……」

 

 (ガロス)さんが悩ましそうに口にすると、(オルクス)さんが駆け込んで来ました。

 

オルクス

 「報告!遺跡に存在する次元の裂け目が拡張!暗黒界のしわざである事が確認出来ました!更に十代君が遺跡に近づいています!」

 

ルミナス

 「それはつまり、鏡子を異世界に入れようとしているということ!透子!異世界に乗り込んで!鏡子が暗黒界の指揮をとったら……もう僕達だけじゃ手がつけられなくなるかもしれない!」

 

透子

 「わ、わかりました。ところで(ミネルバ)さんがいませんけど、どうしたんですか?」

 

 私がそう言うと、(ライラ)さんが口を開きました。

 

ライラ

 「彼女は今守護天使になるために、試練の練習をしているわ。まだ始めたばかりだから上手くは行ってないけど……」

 

 試練……あんなに小さい子でも試練を受けるんですね……私も頑張らないと。

 

 それに、十代さんはとにかく無茶をする人です。止められるといいのですが……

 

ルミナス

 「頼むよ透子さん。鏡子を止められるのは君だ……うっ」

 

 突然(ルミナス)さんが大きくふらついて倒れてしまいました。慌てて近くにいた(ケルビム)さんが抱きかかえます。

 

透子

 「(ルミナス)さん!大丈夫ですか!?」

 

ルミナス

 「最近ちょっと働きすぎたかな……鏡子と戦ってからしばらくこの調子で……(ジェニス)にも止められたけど、隊長として欠席する訳にもいかなかったんだ。透子、僕の事は気にせずに行くんだ!」

 

透子

 「は、はい!(ウォルフ)さん!案内お願いします!」

 

ウォルフ

 「ほいほい。せっかくだし乗せていくよ」

 

 私は(ウォルフ)さんの肩に乗って人間世界への扉へ向かいます。

 

 それにしても、精霊にも過労ってあるんですね。(ルミナス)さんは多分(ベージ)さんと気が合うんじゃないでしょうか?

 

〜〜〜

 

 

 視界が一瞬霧に包まれたと思ったら気づけば夕暮れになっていました。

 

 なんとなく机を見ると、そこにはカードがおいてありました。

 

透子

 「これは……(H·Cサウザンド·ブレード)と(BF精鋭のゼピュロス)……(彼岸の旅人ダンテ)?」

 

 効果を読んでみると、(サウザンドブレード)はダメージを受けると墓地から蘇生出来るレベル4モンスター。(ダンテ)はコストでデッキトップからカードを3枚まで墓地に送れるランク3エクシーズモンスター。どれも強力なカードです。

 

 きっと鏡子が置いておいたのでしょう。墓地肥やしが捗りますし、(トリッククラウン)と(サウザンドブレード)でランク4が立てやすくなるのはいい事です。(ゼピュロス)は(ルミナス)さんを使いまわせますし闇属性なので、効果を使った後も(カオス·ルーラー)のコストに出来ます。

 

 後は……何か(ミネルバ)さんに何か手伝える事があればいいのですが……まぁ今考えても仕方ありません。一先ず異世界の裂け目がある遺跡に向かいましょう。

 

 

〜 遺跡 〜

 

 古代のロマン漂う夜の遺跡に行くと、そこには十代さんが裂け目に足を踏み入れようとしていました。

 

透子

 「本当に……行くんですね?」

 

十代

 「……ああ。俺はヨハンを助け出さないといけない。それが俺の責任だ」

 

 十代さんの表情は見えませんが、後ろ姿だけでも覚悟を感じる事ができます。止めることはできないでしょう。

 

透子

 「では行きましょうか。私も異世界に用があるのです」

 

 私は十代さんを抜いて、異世界へと飛び込みました。

 

 きっと明日香さん達も異世界に来ることでしょう。その時、十代さんはどう動くのでしょうか。彼女らを無視して、ヨハンさんを助けに行くのでしょうか。

 

 

 

 裂け目を潜ると、そこは薄暗くて不気味な岩山が点在する世界。どうやら砂漠の世界とは別の異世界に来た様ですね。

 

ライコウ

 『どうやら暗黒界の本拠地から遠いところに飛ばされたようだ。残念だが我々は案内は出来るが先導は出来ない』

 

 まぁ想定内ですけど……案内があるだけマシと思いましょう。でもやっぱり守ってくれる人が欲しいです。

 

ライコウ

 『そんな寂しそうな顔をするな。そうだな……まずは我々の代わりに透子を守る存在を確保しよう。確か透子は(霞の谷のファルコン)を持っていた筈。彼女はこの近くにある鳥獣族が支配する地域にいるだろうから連れて行くと良いだろう。こっちだ』

 

 私は(ライコウ)さんの案内を頼りに先へ進みます。まさか(ファルコン)をお供にするなんて……どんな人?なのでしょうか。

 

〜〜〜 

 

 地下なのに異常に明るくて、岩で出来た建物で構成される都市。私はその下層の方に降りてきました。

 

透子

 「ここが……鳥獣族の集落ですか……ッ!」

 

 下に降りると、そこには(はにわ)を嬉々として鞭を振るい強制労働させている鳥獣族の姿がありました。

 

 思わず辞めさせようと飛び込みそうになりましたが、(ライコウ)さんの制止の後が頭に響きました。

 

ライコウ

 『よせ。心苦しいが今の我々には時間がない。急いで(ファルコン)を探すんだ』

 

 確かに私にはあまり時間が残されていません。でも虐げられている精霊を見殺しにするのはかなり心にきます。

 

 見ていられなくて目をそらしかけた瞬間に、周りと比較して鞭を多くは振るっていない(霞の谷のファルコン)を発見しました。

 

 慎重に建物の隙間を縫って近づくと、(ファルコン)さんの悲痛な声が聞こえてきました。

 

ファルコン

 「ごめんなさい……ごめんなさい……僕なんかが生きる為に……皆を傷つけてごめんなさい……」

 

 (ファルコン)さんの頬には微かに涙が浮かんでいました。そして身体の所々に打撲の痕が見えます。とにかく(ファルコン)さんを呼び出さないと……

 

 とりあえず、周りの鳥獣族に気づかれない様に慎重に声を絞りながら手招きすると、こっちに気付いて近寄って来ました。

 

ファルコン

 「貴方……人間?どうしてここにいるの?」

 

透子

 「私は透子って言います。ところで(ファルコン)さん。貴方はどうして泣いているのですか?」

 

 私がそう尋ねると、(ファルコン)さんは胸に手を当てて俯き、ポツリポツリと話し始めました。

 

 要約すると、1週間ほど前に彼女は別の世界からうっかり迷い込んでしまい、この都市に来てしまったそうです。

 そして彼女はレベルの低いモンスターを強制的に働かせる場所で暮らすことになってしまい、本来なら弱き物を守るための力を、虐げる為に使う自分に苦しんでいたそうです。

 身体の痣は、この仕事に抵抗した時に上司に付けられた物らしいです。

 

透子

 「なるほど……それじゃあ私の所に来てみませんか?私、デュエリストなので貴方のカードを持っているんです」

 

 私が(霞の谷のファルコン)を見せると、(ファルコン)さんはとても驚いた表情を浮かべました。

 

ファルコン

 「本当に……いいんですか?僕……他のカードを戻しちゃうんですよ?」

 

透子

 「戻すから良いんですよ。それに貴方の強さは私が1番知っています。貴方の力が、私には必要なんです」

 

ファルコン

 「……ありがとうございます!」

 

 私が手を差し伸べると、(ファルコン)さんは涙を拭い、手を取りました。

 

???

 「(霞の谷のファルコン)!こんな所で何をやっている!」

 

 どこからともなく響く羽ばたきの音。その正体が私の目の前に降り立ちました。

 

ファルコン

 「か、(カラス天狗)様!?」

 

 えっ……誰ですか?この和服を身に纏った鳥人は?

 

カラス天狗

 「(霞の谷のファルコン)。何故人間と共にいる。まさか儂の杖の味を忘れたとは言うまいなぁ?」

 

 手に持つ杖を手の上でポンポンさせる天狗。この人が(ファルコン)さんを傷をつけたのでしょうか。

 

カラス天狗

 「人間。何故お前はこの低レベルモンスターの区域にいる。今の内に逃げおおせれば生きて帰れるかもしれんぞ?」

 

透子

 「私は(ファルコン)を連れて帰りに来たんです!私は(ファルコン)さんと一緒に貴方を倒します!」

 

 私がデュエルディスクを起動して構えると、天狗が大きな声で笑い出しました。

 

カラス天狗

 「レベル5の儂にレベル4の(ファルコン)が勝てるとでも?だが良いだろう。その無謀なデュエルを受けてやろう!」

 

 天狗は暴風を生み出し、デュエルディスクを形作りました。

 この闘い。負ける訳にはいきません。

 

ファルコン

 「透子!僕の故郷の切り札!受け取って!」

 

 私の側にいた(ファルコン)さんは、1枚のカード(霞の谷の神風)を手渡してきました。

 

 私はこれをデッキに入れてデュエルディスクを構えます

 

カラス天狗·透子

 「デュエル!」




エクシーズ召喚実装。これにより、暗黒界·ライトロード共にパワーが爆上がりしました。

 また、デュエルターミナルでは霞の谷のファルコンが明らかな男声ですが、拙作ではボクっ娘女子として描きます。


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25.神の風と暗黒界

 

カラス天狗

 「儂が先攻じゃ。ドロー!」

 

カラス天狗 手札5→6

 

カラス天狗

 「儂は(サモン·ストーム)を発動!800のLPを払い、レベル6以下のモンスターを手札から特殊召喚出来る!来い!(暴風小僧)!」

 

カラス天狗 LP4000→3200

      手札6→5→4

 

 フィールドに突風が巻き起こり、人間の子供の様なモンスターが姿を現しました。

 

カラス天狗

 「(暴風小僧)は風属性モンスターの生贄に使う時、2体分の生贄として扱う。そして儂は(暴風小僧)を生贄にして、(神鳥シムルグ)を召喚!」

 

カラス天狗 手札4→3

 

 現れたのは、緑色の羽で身体を覆うとっても大きな鳥。

 

カラス天狗

 「儂はカードを1枚セットして永続魔法(レベル·タックス)を発動!儂はこれでターン終了じゃ。エンドフェイズに(神鳥シムルグ)の効果発動!お互いに1000ポイントのダメージを与える!ゴットトルネード!」

 

 巨鳥が翼を広げ、強い風が私に襲いかかります。

 

透子 LP4000→3000

 

カラス天狗 LP3200 手札3 伏せ1

 

神鳥シムルグ 攻2700

 

レベル·タックス

 

 天狗は何故かLPが減っていません。あの永続魔法の効果……いえ、カード名的に考えてそれはないとすると、伏せカードの枚数でダメージが軽減されるのでしょうか。

 

カラス天狗

 「(神鳥シムルグ)の攻撃力は2700。そして(レベル·タックス)はレベル5以上のモンスターが場に出た時に、そのモンスターの攻撃力分LPを払ってもらう!このフィールドを突破するには相当命を削らなければならぬぞ?何故なら、下級モンスターが最上級モンスターを破壊するなどありえんのだからな!」

 

レベル·タックス(アニメオリカ)

永続魔法

このカードが表側表示で存在する限り、お互いのプレイヤーはレベル5以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する時、そのモンスターの元々の攻撃力分のライフを払う。

 

透子

 「なるほど、その永続魔法の効果が分かれば十分です。私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

 うっ……モンスターが無い。

 

透子

 「スタンバイ、メインフェイズ!私は(強欲で金満な壺)を発動!エクストラデッキから6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

 今回のエクシーズ召喚の実装に伴ってルールの改訂が行われ、融合デッキがエクストラデッキに、生贄召喚がアドバンス召喚へ、生贄はリリースへと名称が変更され、更にエクストラデッキの枚数が15枚までに制限されました。

 

 鏡子はそれよりも前からアドバンス召喚やリリースって言ってた気がします。偶然でしょうか?

 

透子

 「私は(光の護封剣)を発動!カードを4枚セットしてターンエンドです」

 

カラス天狗

 「(神鳥シムルグ)の効果発動!エンドフェイズ時にお互いに1000ポイントのダメージを受ける!」

 

 (シムルグ)は暴風を巻き起こしますが、フィールドのカードが盾になりダメージはありませんでした。私の予測は正しかったわけですね。 

 

透子 LP3000 手札2枚 伏せ4

 

光の護封剣

 

カラス天狗 LP3200 手札3 伏せ1

 

神鳥シムルグ 攻2700

 

レベル·タックス

 

カラス天狗

 「(光の護封剣)とは……小癪な。儂のターンドロー!」

 

カラス天狗 手札3→4

 

カラス天狗

 「儂は(トルネード·バード)を召喚して(翼の恩返し)を発動!このカードは儂のフィールドに元々のカード名が異なる鳥獣族が2体以上存在する場合に600のLPを払う事で、カードを2枚ドロー出来る!」

 

カラス天狗 LP3200→2600

      手札4→3→2→4

 

 条件が凄く緩いドローカードですね。鏡子が欲しがりそうです。

 

カラス天狗

 「儂はカードを2枚セットしてターンエンド。そして(シムルグ)の効果発動!」

 

 吹き荒れる暴風。しかし被害はありません。

 

カラス天狗 LP3200 手札2 伏せ3

 

神鳥シムルグ 攻2700

トルネード·バード 攻1100

 

レベル·タックス

 

 

透子 LP3000 手札2 伏せ4

 

光の護封剣(1)

 

カラス天狗

 「不味いのぅ……このまま時間を稼がれると、いつ最上級が呼び出されてもおかしくないわい」

 

透子

 「先に言っておきます。このデッキのモンスターは、全てレベル4か3の鳥獣族です」

 

 私がそう言うと、天狗はカツカツと笑い声を上げました。

 

カラス天狗

 「まさかそんな貧弱なデッキで儂に勝とうとは!おかしくって腹が痛いわぁ!サッサとターンを回せ!そのようなデッキで儂に勝てるわけがない!」

 

 貧弱。そのような言葉が聞こえた瞬間。私の中で何かが切れた気がしました。

 

透子

 「そうですか……ならば貴方をこのデッキで地に這い蹲らせてあげます。私のターンドロー!」

 

透子 手札2→3

 

透子

 「伏せていた2枚目の(強欲で金満な壺)を発動!エクストラを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

透子 手札3→5

 

 モンスターが来ない!やはり1桁しか入っていないのがいけないのでしょうか?

 

透子

 「まだです!伏せていた(強欲で謙虚な壺)を発動!3枚捲ってその内の1枚を手札に加えます!」

 

捲られたカード

BF精鋭のゼピュロス

スワローズ·ネスト

ゴッドバードアタック

 

透子

 「う〜ん!私は(スワローズ·ネスト)を加えて他をデッキに戻します。このターン私はモンスターを特殊召喚出来ません」

 

 不味いです。かなり事故っています。ここまで(命削りの宝札)が来ないなんて!

 

透子

 「私はカードを2枚セットしてターンエンドです!」

 

カラス天狗

 「ならばトラップ発動!(ゴッドバードアタック)!(トルネード·バード)を生贄に貴様のセットカードを2枚破壊する!」

 

透子

 「チェーンしてカウンタートラップ発動!(大革命返し)!フィールドのカードを2枚以上破壊するモンスター効果・魔法・罠カードが発動した時に発動でき、その発動を無効にして除外します!」

 

 赤い鳥を生贄に放たれた暴風は突如現れた鉄壁によって弾かれました。

 

透子 LP3000 手札3枚 伏せ3

 

光の護封剣(1)

 

カラス天狗 LP3200 手札2枚 伏せ2

 

神鳥シムルグ 攻2700

 

レベル·タックス

 

カラス天狗

 「儂のターンドロー!」

 

カラス天狗 手札2→3

 

カラス天狗

「ぐぬぬ……儂は(強欲で貪欲な壺)を発動!デッキを10枚裏側で除外して2枚ドロー!これでターンエンドじゃ」

 

 (シムルグ)によって暴風が巻き起こされますがあまり関係ありません。

 それにしても……(強欲で貪欲な壺)なんてどこで手に入れたのでしょうか。

 

カラス天狗 LP3200 手札4 伏せ2

 

神鳥シムルグ 攻2700

 

レベル·タックス

 

透子 LP3000 手札3 伏せ3

 

光の護封剣(2)

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札3→4

 

 違う!モンスターじゃない!でも良いカードです。

 

透子

 「私は(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てます」

 

 ……最高のドローです!

 

透子

 「フィールド魔法(霞の谷の神風)を発動!そして(ドラグニティ·ブラックスピア)を召喚!そして墓地の(BF·精鋭のゼピュロス)の効果を発動して、(ブラックスピア)を手札に戻して自身を特殊召喚して400ダメージです!」

 

透子 LP3000→2600 手札4→3→6→4→3→2→3

 

カラス天狗

 「フン。所詮はレベル4。この(シムルグ)を超えることなど……なんだこの風は」

 

透子

 「(霞の谷の神風)の効果発動!自分のモンスターが手札に戻った場合にデッキからレベル4以下の鳥獣族モンスターを特殊召喚出来ます!来て!私のエース!(霞の谷のファルコン)!」

 

 暖かな風に乗って舞い降りて来たのは、中性的で腹部の筋肉が目立つ鳥人の戦士。このデッキのキーカードです。

 

ファルコン

 「(カラス天狗)!今まで我慢してきましたが、それも今日までです!この僕の剣で叩き斬ってみせます!」

 

カラス天狗

 「攻撃力2000……だが(シムルグ)を超えることなど出来はしない」

 

 やる気に満ちている(ファルコン)さん。対してカラス天狗は余裕そうです。

 

透子

 「超える必要なんてありません!永続トラップ(安全地帯)!対象は(神鳥シムルグ)!」

 

 私が(安全地帯)を発動すると、(シムルグ)が透明なバリアに覆われました。まぁ、そのバリアはすぐに棺桶に変わるんですけどね。

 

透子

 「バトルです!(ファルコン)で(シムルグ)に攻撃!する時に(ファルコン)さんの永続効果により、カードを1枚、(安全地帯)を手札に戻します!」

 

 (ファルコン)が翼を羽ばたかせると、(安全地帯)は(シムルグ)諸共どこかへ消滅しました。

 

カラス天狗

 「バ、バカな!(シムルグ)が破壊されただと!?」

 

透子

 「(安全地帯)のデメリット。このカードがフィールドから離れると、装備していたモンスターは破壊されます。バトルフェイズはまだ続きます!(ファルコン)で攻撃!続いて(ゼピュロス)で攻撃です!」

 

カラス天狗

 「が、(ガード·ブロック)を発動!(ファルコン)の攻撃を無効にして1枚ドローする!ぐぅぅ!」

 

 ファルコンさんの急降下しながらの一撃は薄い障壁に阻まれましたが、(ゼピュロス)の槍は防ぎきれずに天狗の身体を貫きました。

 

カラス天狗 LP3200→1600

      手札4→5

 

透子

 「私はこれでターンエンド。さぁ、精々足掻いてくださいね?」

 

 

透子 LP2600 手札4 伏せ3

フィールド(霞の谷の神風)

 

BF·精鋭のゼピュロス 攻1600

霞の谷のファルコン 攻2000

 

光の護封剣(2)

 

カラス天狗 LP1600 手札5 伏せ1

 

カラス天狗

 「クッ!儂のターンドロー!」

 

カラス天狗 手札5→6

 

カラス天狗

 「儂は(ライトニング·ボルテックス)を発動!手札を1枚捨てて、貴様のモンスターを全て破壊する!」

 

 まさかの(ライボル)!?猛烈な雷が辺りを焼き、私のフィールドは空にされてしまいました。

 

カラス天狗 手札6→5→4

 

カラス天狗

 「そして(ダブル·サイクロン)発動!貴様の(光の護封剣)と儂の(レベル·タックス)を破壊!」

 

 (レベル·タックス)を割りましたか。これで上級がだせますね?

 

カラス天狗 手札4→3

 

カラス天狗

 「墓地の(サモン·ストーム)の効果発動!このカードを除外してレベル4以下の風属性モンスターを手札から特殊召喚!来い!(暴風小僧)!そして(暴風小僧)を生贄に儂、(カラス天狗)を召喚!」

 

 天狗がそう言うと、まさかの自分がモンスターゾーンに足を踏み入れました。そんなことってあるんですか?

 

カラス天狗 手札3→2→1

 

カラス天狗

 「装備魔法(フォロー·ウィンド)を儂に装備!バトルじゃ!ダイレクトアタック!」

 

カラス天狗 手札1→0

 

透子

 「させません。トラップ発動(強化蘇生)。墓地から(ファルコン)を守備表示で蘇生してレベルを1、攻守を100上昇させます」

 

ファルコン

 「透子さんは僕が守ります!」

 

 墓地から赤いオーラを纏った(ファルコン)さんが飛び出しました。(カラス天狗)の攻撃力が1300を超えてなければ凌げます。まぁ超えてくるとは思いますが……

 

カラス天狗

 「無駄じゃ!(フォロー·ウィンド)の効果を受けた儂の攻撃力は2150!儂の一撃を受けるがいい!」

 

 追い風を受けたカラス天狗が(ファルコン)に吶喊。(ファルコン)さんはその攻撃を受けきれずに破壊されてしまいました。

 

 ……そもそも装備魔法つけて攻撃力2150ってどういうことですか?装備魔法の強化値は知りませんが、どうあがいても上級モンスターとは思えない打点になってしまいます。

 

フォロー·ウィンド

装備魔法

鳥獣族のみ装備可能。 装備モンスター1体の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。

 

カラス天狗

 「儂はこれでターンエンドじゃ」

 

カラス天狗 LP1600 手札0 伏せ1

 

カラス天狗 攻2150

 

フォロー·ウィンド(カラス天狗)

 

透子 LP2600 手札4枚 伏せ2

霞の谷の神風

 

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札4→5

 

透子

 「私は(ドラグニティ·ブラックスピア)を召喚。効果発動!自身をリリースして墓地の鳥獣族モンスターを蘇生します!蘇って!(ファルコン)!」

 

ファルコン 

 「ッ……少し疲れが……でもまだまだ!」

 

 肩で軽く息をしている(ファルコン)さん。(ベージ)さんが見ていたら鼻で笑いそうです。

 

透子

 「私は(カラス天狗)に(ビックバン·シュート)を装備!」

 

透子 手札5→4→3

 

カラス天狗

 「フハハハ!血迷ったか!(ビックバン·シュート)は貫通効果を付与する装備魔法。何の意味もないわ!」

 

 さっき何を見ていたんですかね……まぁいいです。終わりにしましょう。

 

透子

 「バトルフェイズ!(ファルコン)で(カラス天狗)を攻撃する時に、(ビックバン·シュート)を手札に戻します!」

 

 (ビックバン·シュート)が戻された瞬間。(カラス天狗)が派手に爆発し大きく後ろにふっ飛ばされました。

 

カラス天狗

 「カ……ハッ……何が起きた?」

 

透子

 「(ビックバン·シュート)のデメリット効果です。このカードが離れると装備モンスターは除外されます。(ファルコン)さんでダイレクトアタック!」

 

 空高く飛翔した(ファルコン)さんは一気に降下。重力を味方につけた気迫の籠もった一撃でLPを刈り取りました。

 

カラス天狗 LP1600→-400

 

 LPが0になり項垂れるカラス天狗。その身体が光に包まれ始めました。

 

透子

 「何が……起こって……」

 

カラス天狗

 「バカな……星の数が全てのこの世界で……レベル4に負けるじゃと……おのれ……おのれぇ!」

 

 怨嗟の声を上げながら、(カラス天狗)はどこかへ消えてしまいました。

 

ファルコン

 「ありがとう透子さん。これでもう僕を縛る者はいなくなりました。他の鳥獣族に見つからないうちに早く行きましょう。どこか遠くへ」

 

透子

 「あの……さっき消えた(カラス天狗)はどこかへ消えたんですか?」

 

 私がそう尋ねると、(ファルコン)さんは首を振って答えました。

 

ファルコン

 「(カラス天狗)はさっき死にました。この世界ではデュエルは命のやり取り。負けたものは死んでしまう。それがこの世界の常識なんです」

 

透子

 「嘘……それじゃあ私は……人を……殺した?」

 

 気づけば、私の眼から熱い雫が伝っていました。

 (カラス天狗)が悪いモンスターだと思ってはいました。それでも初めて人を殺したその事実が、私の心を締め付けます。

 

 それに対して(ファルコン)さんは、その大きな翼で私を包み抱き寄せました

 

ファルコン

 「はい。でも透子さんは悪くありません。(カラス天狗)は低レベルモンスターを虐げる事を強要した悪党ですし、負ければ透子さんは死んでいたんです。咎める人なんていません。それに、殺すように仕向けたのは……僕なんです。その罪は、僕も償います」

 

透子

 「ありがとう……ございます。でも少し、現実を受け止める時間を下さい。終わったら……(ライトロード)の皆さんの指示する場所へ……」

 

 私は(ファルコン)さんのフサフサした羽に包まれながら、しばらく人を殺した罪悪感に苦しみました。

 

 どれくらい経ったか分からない中、どうにか立ち直った私は脳裏に届く(ライコウ)さんの声を頼りに歩き始めました。

 

 

 

〜〜〜

 

ブラウ

 「ここが、今の我々の拠点です」

 

鏡子

 「なんの変哲もない洞窟じゃねぇか。案内ありがとな(ブラウ)」 

 

 辿り着いたのは、なんの特徴もない大きめな洞窟。ここが暗黒界の拠点なのか。

 

 (ブラウ)が魔法か何か分からないが紫色の光を空中に浮かべて中へ入っていく。

 

鏡子

 「(ブラウ)って魔法使えるんだな」

 

ブラウ

 「まぁ初歩的なものならば。本業は弓矢ですけどね」

 

 魔法。それは物理法則に囚われない不思議な力。ファンタジーではお馴染みの力に、俺は軽く胸をときめかせた。

 

鏡子

 「駄目もとで聞くんだけど……俺も魔法使えるかな?」

 

ブラウ

 「私には判断出来ませんね……(スノウ)なら判断出来るかと」

 

 そんなこんな話していると、目の前に(暗黒界の門)のような扉が姿を現した。

 

ブラウ

 「この先が我々の拠点です。どうぞ」

 

 (ベージ)二人が門を開けると、中で1体のドラゴンが鎮座していた。

 

鏡子

 「こうして面と向かって顔を合わせるのは初めてだな(グラファ)」

 

グラファ

 「うむ。今までも主の事は目にしておった。我々暗黒界の事を思い出せたようで安心したぞ」

 

鏡子

 「その件についてはごめんな。俺、あの件でお前らを愛していた事に気づけたんだ。これからは、ずっと一緒だからな」

 

 普段なら恥ずかしくて言えない言葉が暗黒界の前ならスラスラ言える。そんな言葉を聞いて、(グラファ)は嬉しそうに笑う。

 

グラファ

 「そう言われるなら、主に従ってきて良かったと思えるものだ。それはさておき、そろそろ本題に入るとしよう」

 

 まぁ、確かに俺もそろそろ本題に入りたいと思っていたんだ。話のネタ無いし。

 

グラファ

 「単刀直入に言おう。主の手で(ブロン)を止めてくれないか?」

 

鏡子

 「(ブロン)の話は(ブラウ)から軽く聞いている。確か(暗黒界の洗脳)を使って軍部掌握したんだったけ?そして(超融合)を作ろうとしていると」

 

 確認の為に口にすると、(グラファ)はそれに大きく頷いた。

 

グラファ

 「うむ。(ブロン)はどうやら(超融合)を使って(カラレス)様を呼び出そうとしているらしい」

 

鏡子

 「(カラレス)様?聞いたことないぞ?」

 

グラファ

 「(カラレス)様はこの暗黒世界を作り、我ら(暗黒界)を創造したお方だ。きっと(ブロン)は再び(カラレス)様を降臨させてこの国を豊かにしようとしたのだろう。しかし(超融合)は報告によると極めて危険な代物らしい。下手したら世界が崩壊するそうだ」

 

 そりゃあ(ユベル)が十二次元を融合しようとした代物らしいしなぁ……

 

鏡子

 「俺は暗黒界に恩がある。当然受けさせてもらう。どこへ向かえばいいんだ?」

 

グラファ

 「(ブロン)はアリーナに陣取っているらしい。場所は(スノウ)が近くに結界通路をつなげる。彼女も護衛につけてもらう」

 

 (グラファ)がそう言うと、(グラファ)の影から白いマントを羽織った魔道士がやってきた。

 

スノウ

 「そなたが我らの主か。(グラファ)様のおっしゃる通り、わらわは(スノウ)。こんな若造に指示されるのは些か癪じゃが、その実力はよく知っておる。アリーナまでの道案内は任せてもらうぞ」

 

 ず、随分プライドが高いのな。まぁ認められているだけマシか。

 

 そんな事を考えていると、突然(スノウ)が呻き、ふらついた。

 

グラファ

 「だ、大丈夫か(スノウ)!」

 

スノウ

 「すみませぬ(グラファ)様。(カラレス)様から天啓を受けてのぅ」

 

 そう言うと、(スノウ)はその内容を話し始めた。

 

·ジャスティス·ワールドから我々暗黒界を滅すべく使者がやってくる。国民を守るべく戦いの準備をせよ。 

 

·異世界から人間の戦士が多数やってきた。中でも(遊城十代)を名のる男は強大な人格が影に眠っている。

 

·そう遠くない未来に、破滅がやってくる。それを回避する鍵は十代という少年である。彼を絶望に叩き落とす事で、内に眠る裏の人格を呼び覚まし、元よりある人格と重ね合わせる事が重要である。

 

 ええと……つまりライトロードと十代達がこの異世界にやってきたって事か。ライトロードはともかく十代は来ちまったか……しかも仲間たちも連れてか。せっかく警告したのにな。

 

 にしても破滅ってなんだ?(超融合)になにか関係するのだろうか。それを回避する為に十代を闇落ちさせる必要がある……と。

 

グラファ

 「十代……我ら暗黒界を1度だけ使った少年だな。初めてだったはずなのによく使いこなしていた。彼を絶望に追いやるのは心苦しいが(カラレス)様の予言は外した例がない」

 

 まじかぁ……退路断たれちまったよ。内心所詮予言だし外れたりもするだろとか思ってたのに。

 

グラファ

 「なぁに余を含めて我ら暗黒界はやたら顔が怖い連中ばかりだ。ちょっと演技すれば大丈夫だ」

 

 大丈夫かねぇ……根は優しい連中だしボロが出るんじゃないか?

 

鏡子

 「俺も協力するよ。(ブロン)を倒したら(超融合)を回収しつつ十代を待ち構える。なにかあったらすぐ報告するよ」

 

 その瞬間、俺の頭に閃きという名の電流が走った。

 

鏡子

 「あっそうだ。(ベージ)。もし俺の世界に戻れるなら、俺の部屋にあるクローゼットから黒いコート一式がまとめておいてあるからとってこれるか?」

 

ベージ

 「まぁいけますけど……何に使うんです?」

 

鏡子

 「ヒールにはヒールに相応しい衣装というものがあるんだよ。(ブロン)を転がすまでには持ってきてくれると嬉しいな」

 

 俺はそう言い残して、結界通路へ足を踏み入れた。



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26.新たなる光と超融合

 

私は異世界と異世界を繋ぐ扉を開くと、そこは岩でできた道で、目を凝らすと、薄っすらと寂れた雰囲気を漂わせる施設が見えました。

 

透子

 「あれは……牢屋ですか?」

 

ライコウ

 『いや、あれは収容所。世界中の戦士を集めている場所だ』

 

ファルコン

 「なんだか……恐ろしい事に首を突っ込んじゃった気がします……」

 

 私達が数歩進むと、後ろにあった扉がどこかへ消えてしまいました。これで退路は絶たれました。

 

透子

 「取り敢えず収容所に向かってみましょう」

 

 それにしても、(ミネルバ)さんの試練の内容が気になって仕方ありません。ここは(ライコウ)さんに聞いてみましょう。

 

透子

 「(ライコウ)さん?(ミネルバ)さんの訓練ってどんな内容なんですか?」

 

ライコウ

 「透子が知る必要は無い……がまぁ知られても問題はないか。簡単に言ってしまえば、(ミネルバ)と別の魂を重ね合わせる儀式だ。最近は全く進歩がないからか、かなり落ち込んでいるようだ」

 

 魂を重ね合わせる……エクシーズ召喚みたいなものですかね。やってみる価値はありそうです。

 

 私はファルコンビートから(強化蘇生)を抜いてライトロードデッキに挿しました。

 

???

 「誰だ!」

 

 ッ!見つかった!

 声がした方を向くと、そこには長剣を携えたモンスターが立っていました。

 

透子

 「私は古神透子!ライトロードの使い手!あなた達暗黒界を滅する為にやってきました!」

 

ズール

 「私の名前はズール。私達は戦士の運搬で忙しい。さっさと始末してやる」

 

 (ズール)は左腕をデュエルディスクへと変化させました。いったいどういう仕組みなんですか。

 

透子·ズール

 「デュエル!」

 

ズール

 「私の先攻だ。ドロー!」

 

ズール 手札5→6

 

ズール

 「私は(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる」

 

 やはり暗黒界ですか……(スキドレ)もウイルスも食らうと致命傷です。(グラファ)も相当展開しないと突破は難しいから厳しい戦いになりそうです。

 

ズール 手札6→5→6→5

透子 手札5→6→5

 

ズール

 「捨てられた(暗黒界の武神ゴルド)の効果発動!墓地から特殊召喚!来い!(暗黒界の武神ゴルド)!」

 

 墓地より飛び出したのは全身が金色で大斧を持った悪魔。初手(ゴルド)……(ベージ)を握れなかったのでしょうか。

 

ズール

 「私は(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てる。捨てられた(シルバ)と(ブラウ)の効果発動!1枚ドローして、(シルバ)を墓地より特殊召喚!」

 

 出てきたのは二振りの剣を握る銀色の悪魔。攻撃力は(ゴルド)と同じ2300です。

 

ズール 手札5→4→7→5→6 

 

ズール

 「私はモンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

……え?これだけ?どれだけ事故っているんでしょうか……

 

ズール LP4000 手札3 伏せ2

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

暗黒界の軍神シルバ 攻2300

セットモンスター

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ミネルバ)さんを捨てて2枚ドロー!そして2枚墓地へ!そして墓地へ送られた(ミネルバ)さんの効果で1枚墓地へ送ります!墓地へ送られた(ウォルフ)さんの効果発動!自身を墓地から特殊召喚!」

 

透子 手札6→5→4→6

 

ズール

 「攻撃2100……まぁ(ゴルド)と(シルバ)には及ばん」

 

透子

 「永続魔法(ライトロードの神域)を発動!このカードはデッキからカードが墓地に送られる度にシャインカウンターを乗せます」

 

 光に包まれて現れたのは、清潔感溢れる台座。人が1人立てそうなスペースがあります。

 

透子

 「私は(ライトロードの神域)の効果を発動!手札の(ライトロード·モンクエイリン)さんを墓地に送り、墓地の(ルミナス)さんを手札に加えて、(光の援軍)を発動!デッキから3枚墓地へ送り、2枚目の(ルミナス)さんを手札に加えます!そしてシャインカウンターが(神域)に乗ります。

 

透子 手札6→5→4→5→4→5

シャインカウンター 0→1

 

透子

 「(ルミナス)さんを守備表示で召喚!効果を発動して手札の(ルミナス)さんを捨ててそのまま特殊召喚!二人目の(ルミナス)さんの効果発動!手札の(ガロス)さんを捨ててそのまま特殊召喚!」

 

 

透子 手札5→4→3→2

 

 ここでエクシーズ召喚したいところですが……今回はドローが目的なのでしません。それにしても……私のデッキ墓地からの蘇生が多いですね……私も(生還の宝札)が手に入ったら入れてみましょうかね?

 

透子

 「バトルです!(ウォルフ)さんでセットモンスターを攻撃!」

 

 破壊されたのは、(聖なる魔術師)。砕かれた魔術師の足元に魔法陣が浮かびました。

 

ズール

 「破壊された(聖なる魔導師)のリバース効果発動!墓地の(天使の施し)を回収する」

 

 ズール 手札3→4

 

透子

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド。2人の(ルミナス)さんの効果発動!デッキから3枚墓地へ送ります!そしてシャインカウンターが2個のり、(ガロス)さんの効果発動!追加で2枚落としてライトロードの数だけドロー!それを2回行います!さらにシャインカウンターが2個のります」

 

 カードの落ちは……(グローアップ·バルブ)ほかライトロードカード3枚。結構ドロー出来ますね。

 

透子 手札2→1→4

 シャインカウンター 1→5

 

 (神域)の周りには、授業で習った原子核の周りを回る電子のように回っています。なんだかもっとカウンターをのせたくなりますね。

 

透子 LP4000 手札4 伏せ1

   残デッキ30

 

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

ライトロードの神域 カウンター5

 

ズール LP4000 手札4 伏せ2

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

暗黒界の軍神シルバ 攻2300

 

ズール

 「私のターンドロー!」

 

ズール 手札4→5

 

ズール

 「私はさっき手札に加えた(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てるそして捨てられた(暗黒界の刺客カーキ)2枚の効果発動!(ルミナス)を2体破壊する!(カーキ)!その忌まわしき魔術師を滅するのです!」

 

透子

 「(ライトロードの神域)の効果発動!シャインカウンターを破壊されるモンスター1体につき2つ取り除く事で破壊を免れます!」

 

 墓地から背丈の小さな悪魔が現れ、凄まじい速さで(ルミナス)さんに迫りますが、(神域)に乗っていたカウンターが4つ離れて(カーキ)の凶刃を防ぎました。

 

ズール 手札5→4→7→5

透子  シャインカウンター5→1

 

ズール

 「小癪な真似を……バトル!(ゴルド)と(シルバ)で(ルミナス)2体を攻撃!」

 

 (ゴルド)の大きな斧で、(シルバ)の目にも留まらぬ剣撃で、(ルミナス)さんは破壊されました。まぁ(神域)で回収出来るんですけどね。

 

ズール

 「私はモンスターをセット。これでターンエンドだ」

 

ズール LP4000 手札4 伏せ2

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

暗黒界の軍神シルバ 攻2300

セットモンスター

 

透子 LP4000 手札4 伏せ1

   残デッキ30

 

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

ライトロードの神域 カウンター1

 

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札4→5

 

透子

 「(神域)の効果発動!手札の(ライトロード·シーフライニャン)さんを捨てて墓地の(ルミナス)さんを回収!」

 

ズール

 「効果処理後にトラップ発動!(ダスト·シュート)!」

 

透子

 「は、ハンデス!?」

 

ズール

 「(ダストシュート)は相手の手札が4枚以上ある時に発動でき、手札を確認して1枚捨てさせる!さぁ手札を見せろ!」

 

透子の手札

ライトロード·サモナールミナス

光の援軍

ライトロード·エンジェルケルビム

死者転生

H·Cサウザンドブレード

 

ズール

 「ふ~む。私は(ライトロード·サモナールミナス)を捨てさせる。そして再びトラップ発動(マインドクラッシュ)!私が宣言するのは(ライトロード·エンジェルケルビム)!」

 

 ズールの手から1筋の光が飛び出すと、(ケルビム)さんを撃ち抜き、墓地へ落ちていきました。まさか2枚ハンデスを仕掛けて来るなんて!

 

透子 手札5→3

 

透子

 「まだです!(死者転生)を発動!(サウザンドブレード)を捨てて、墓地の(ルミナス)さんを回収!(光の援軍)を発動!3枚墓地へ送り、(ライデン)さんを手札に加えます!そしてシャインカウンターが1つ乗ります」

 

透子 手札3→2→1→2→1→2

   シャインカウンター1→2

 

透子

 「(ルミナス)さんを守備表示で召喚!効果で(ライデン)さんを捨ててそのまま蘇生!(ライデン)さんの効果でデッキから2枚墓地へ送ります!」

 

 送られたのは、(ゼピュロス)と(フェリス)さん。

 

透子 手札2→1→0

   シャインカウンター2→3

 

透子

 「モンスターの効果で墓地へ送られた(フェリス)さんの効果で自身を特殊召喚!更に(ガロス)さんの効果で追加で2枚墓地へ!(ガロス)さんの効果で1枚ドロー!シャインカウンターが1つ乗ります!

 

送られたのは……(死者転生)と(ライラ)さん。

 

透子 手札0→1 シャインカウンター3→4

 

透子

 「そして(フェリス)さんの効果発動!このカードをリリースして(シルバ)を破壊!その後3枚墓地へ送ります」

 

 (フェリス)さんの放った矢は正確に(シルバ)の心臓周りを撃ち抜き破壊。その後(フェリス)さんはバク転を決めながら墓地へ入っていきました。いつも昼寝してる(フェリス)さんとは思えないぐらいアクロバティックですね。

 

 透子 シャインカウンター 4→5

 

透子

 「私はレベル4の(ウォルフ)さんとレベル4の(ライデン)さんでチューニング!屑鉄の魂よ!今こそ竜となりて動き出せ!シンクロ召喚!レベル8(スクラップ·ドラゴン)!」

 

ズール

 「何が起きた!攻撃力2800だと!?」

 

 驚いているズール。この世界ではシンクロ召喚はない、もしくは珍しいのでしょうか。

 

透子

 「(スクラップドラゴン)の効果発動!自分フィールドの(神域)と(ゴルド)を対象に破壊します!」

 

 蒸気を(神域)に浴びせながら(スクラップドラゴン)は(ゴルド)に突進して破壊しました。(神域)は自身の効果で無事です。

 

透子 シャインカウンター5→3

 

透子

 「バトルです!まずは(ガロス)さんでセットモンスターを攻撃!」

 

ズール

 「破壊されたのは(闇の仮面)!効果で(ダスト·シュート)を回収!」

 

 (ガロス)さんの槍による一撃を受けてバラバラになる不気味な仮面。そこから黒い靄が吹き出し、靄が晴れるとズールの手にカードが収まっていました。

 

ズール 手札4→5

 

 う……またそのカードですか。今は手札が少ないので影響はありませんが……

 

透子

 「(スクラップ·ドラゴン)でダイレクトアタック!スクラップチャージ!」

 

 (スクラップ·ドラゴン)の錐揉み回転しながらの突撃でズールは大きくふらつきました。

 

ズール

 「手札の(冥府の使者ゴーズ)の効果発動!このカードは自分フィールドにカードがない時に戦闘ダメージを受けたとき、手札から特殊召喚!そして受けた戦闘ダメージ分の攻撃力を持つカイエントークンを特殊召喚する!」

 

ズール LP4000→1200

 

 えっ!(ゴーズ)!?まさか持ってたなんて!これじゃ決めきれません。

 

透子

 「私はこれでターンエンドです!エンドフェイズに(ルミナス)さんの効果発動!3枚墓地へ送り、そして(ガロス)さんの効果発動!追加で2枚!その後カウンターが2つのります!」

 

 送られたのは……(ゾンビキャリア)と(ジャスティス·ワールド)。なんですかこのカード?いつの間に入っていたんでしょうか。まぁいいです。

 

透子 LP4000 手札1 伏せ1

   残デッキ12

 

スクラップ·ドラゴン 攻2800

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

ライトロード·サモナールミナス 守1000

 

ライトロードの神域 カウンター5

 

ズール LP1200 手札4 伏せ0

 

冥府の使者ゴーズ 攻3000

カイエントークン 攻2800

 

ズール

 「私のターンドロー!」

 

ズール 手札4→5

 

ズール

 「私は(浅すぎた墓穴)を発動!お互いに墓地のモンスターをセット出来ます!私は(聖なる魔導師)をセット!」

 

透子

 「なら私は(ライコウ)さんをセットします」

 

 墓地肥やしが得意なライトロードに(浅すぎた墓穴)は愚策だと思うのですが……

 

ズール

「(太陽の書)を発動!セットモンスター(聖なる魔導師)を攻撃表示にしてリバース効果発動!墓地の(天使の施し)を回収して発動!3枚ドローして2枚捨てる!捨てられた(ゴルド)、(シルバ)を特殊召喚!」

 

ズール 手札5→4→3→4→3→6→4

 

ズール

 「更に私、(暗黒界の騎士ズール)を召喚してフィールド魔法(ダークゾーン)を発動!これで私のモンスターの攻撃力は500ポイントアップ!」

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300→2800

暗黒界の軍神シルバ 攻2300→2800

冥府の使者ゴーズ 攻2700→3200

暗黒界の騎士ズール 攻1800→2100

カイエントークン 攻2800

 

 鏡子の暗黒界には及びませんがかなり不味い状況です。次のターン巻き返せるでしょうか。

 

ズール

 「バトル!まずは(カイエントークン)で(スクラップ·ドラゴン)を攻撃!(ゴルド)で(ルミナス)を、(シルバ)で(ガロス)を攻撃!」

 

 (カイエントークン)の鋭い一閃で屑鉄の竜が相打ちに、暗黒界の金銀コンビによってライトロードの皆さんは破壊されそうになりましたが(神域)が守りました。

 

透子 LP4000→3050

   シャインカウンター 5→1

 

ズール

 「面倒な聖域だな!だがもう使えまい!私でセットモンスターを攻撃!」

 

 そして(ズール)がセットモンスターを攻撃した時、白い猟犬が姿を現しました。

 

透子

 「(ライコウ)さんのリバース効果発動!(ゴーズ)を対象に選んで破壊!その後カードを3枚墓地へ!そしてシャインカウンターが1つのります!」

 

 (ライコウ)さんは赤い光を纏いながら勇猛果敢に(ゴーズ)に挑み、相打ちになりました。攻撃力が低いのにどこからそんな力がでているのでしょうか。

 

 送られたのは……(ウォルフ)さん、(グラゴニス)さん、(プリーストジェニス)さん。

 

透子 シャインカウンター 1→2

 

透子

 「墓地に送られた(ウォルフ)さんは特殊召喚されます!」

 

ズール

 「小癪なぁ!私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

ズール LP1200 手札3 伏せ1

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300→2800

暗黒界の軍神シルバ 攻2300→2800

暗黒界の騎士ズール 攻1800→2100

 

透子 LP3050 手札1 伏せ1

   残デッキ8

 

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

ライトロードの神域 カウンター2

 

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

 手札1→2

 残デッキ8→7

 

透子

 「(ミネルバ)さん。見ていますか、身勝手かもしれませんが、私は貴方の儀式を再現してみます!私はずっと伏せていた(強化蘇生)を発動!墓地の(ミネルバ)さんを蘇生してこのカードを装備、レベルを1つ上げます!」

 

ライトロード·メイデンミネルバ レベル3→4

 

ミネルバ

 「わわ!私……本当に出来るのかなぁ?」

 

 実体化しているミネルバさん。すぐに(神域)に登り、祈りを捧げる姿勢を取りました。

 早速儀式していきましょう。そろそろデッキがピンチです。最悪失敗しても(マエストローク)出せば良いですし。

 

透子

 「私はレベル4になった(ミネルバ)さんと(ウォルフ)さんでオーバーレイ!」

 

 私がそう宣言すると、(神域)で祈りを

捧げる(ミネルバ)さんに、光の玉と化した(ウォルフ)さんが取り込まれていきました。

 なんとなく(ガロス)さんが羨ましそうにしているのは何故なんでしょうか。

 

透子

 「守護天使の卵よ!今こそその翼を広げ、英霊の魂を導いて!エクシーズ召喚!」

 

 彼女の背中に生えていた小さな翼は大きく成長し、その手にキレイな金属製の杖を持ち、あどけない表情だった彼女は慈愛に満ちた表情で笑みを浮かべます。

 

透子

 「進化せよ!ランク4!(ライトロード·セイントミネルバ)!」

 

 進化した(ミネルバ)さんは(神域)から軽い足取りで飛び降りて、私のフィールドへとやってきました。

 

ミネルバ

 「ありがとうございます。透子さんのお陰で、私は守護天使へと成長する事が出来ました。さぁ!私の力を存分に使い、悪しき悪魔を滅しましょう!」

 

ズール

 「ふん!何を出したかと思えば攻撃力2000のモンスター!出したところで私のモンスターを倒す事は出来ない!」

 

透子

 「(セイント·ミネルバ)さんの効果発動!素材である(ウォルフ)さんを取り除き、3枚墓地へ送ります。その内のライトロードモンスターの数だけドローします!そして(ガロス)さんの効果が強制発動して2枚!」

 

透子 残デッキ7→4→2

 

 送られたのは……(シラユキ)、(フェリス)さん、(ギャラクシー·サイクロン)。(死者転生)と、このデッキの最大打点の切り札。

 

透子

 「送られたライトロードモンスターは1枚!よって1枚ドロー!シャインカウンターを1個乗せます!そして(フェリス)さんの効果で自己蘇生!」

 

透子 LP3950 手札2→3

   シャインカウンター4→5

 

透子

 「さぁ!貴方に裁きを下します!墓地にライトロードモンスターが4種類以上存在する時、手札のこのカードを特殊召喚出来る!光の使者が集いし時、白き巨龍が全てを裁く!飛来せよ(裁きの龍)!」

 

 暗雲から降りてきたのは、純白の巨龍。精霊が入っていないのか存在感が少し薄いですが、それでも頼もしさを感じます。

 

ズール

 「攻撃力……3000だと!?」

 

透子

 「(裁きの龍)の効果発動!1000LPを払う事でこのカード以外のフィールドのカードを全て破壊します!ジャッジメント·タイム!」

 

 空高く飛翔した(裁きの龍)は、上空から光の雫を落とし、地上に触れる少し前に炸裂。膨大な光が辺りを呑み込みました。

 

 光が納まると、そこには(ミネルバ)さんと(裁きの龍)のみが残っていました。

 

ズール

 「バ、バカな!私のモンスターが全滅だと!?それに何故貴様のモンスターが残っ……ハッ!(神域)か!」

 

透子

 「その通りです!さぁ、今までの罪を悔い改めて下さい!(裁きの龍)でダイレクトアタック!ジャッチメントフレア!」

 

 (裁きの龍)から放たれた光の奔流が(ズール)を呑み込み、(ズール)は塵すら残らず消えてしまいました。

 

ズール LP1200→ -1800

 

透子

 「これで戦士達は解放され……え?」

 

 光の奔流が消えると、そこには収容所の大半が消し飛んでいました。私達の周りには岩の道があった筈ですが、それすらも残っていません。もしかして……

 

ガロス

 「その事を考えるのは後だ!この場は我々が鎮圧する!透子は(グラゴニス)にのって(ブロン)の元へ行くんだ!」

 

(ガロス)さんに言われるままに(グラゴニス)に乗って空へと飛び上がりました。

 

 高い!高いです!もし落ちたら私は生きていられません!

 

 私はさっきまで考えかけていた事を忘れて、必死に(グラゴニス)の背中に掴まりました。

 

 

 

〜〜〜

 

十代

 「な……な……」

 

 俺は(暗黒界の斥候スカー)というモンスターとデュエルして、なんとか勝利した。

 

 そして(フリード隊長)と呼ばれていた戦士に、この世界では暗黒界がこの地域を支配している事を。

 隠れ家に這々の体でやってきた隊員に、デュエリストは街の外れにある収容所と呼ばれる場所に集められている事を教えてもらった。

 

 明日香に止められたけど、俺は居ても立っても居られなくなってここに来た。でも、そこには4分の3ぐらい消し飛んだ建物があった。

 

 もしかしたら……ヨハンも巻き込まれたかもしれない。そう考えていると、白い服に金の装飾を施した黒髪の槍兵がいた。確かライトロードのモンスターだったはず!

 

十代

 「なぁ、ヨハンを見なかったか?」

 

ガロス

 「ヨハン?あぁ、あの宝玉獣使いか。彼はここには居なかった。だが、もしかしたら(ブロン)のいるアリーナにいるかもしれない」

 

十代

 「そのアリーナはどこにあるんだ?」

 

ガロス

 「ここから道なりだが、かなり遠くにある。この(音速ダック)に乗るといい。これなら相当早く砦に辿り着けるんじゃないか?」

 

 槍兵がそう言うと、バケツを被った変な鳥を引っ張ってきた。なんだかダサいけど、ヨハンを一刻も早く助ける為に手段は選んでられない!俺はどんな手段を使っても、どんなに犠牲を払ってもヨハンを助けるんだ!

 

 俺は(音速ダック)に跨がり、猿真似で鞭を打ち、(音速ダック)を走らせた。

 

 俺は行く。お前を連れ出すためならどこへだって。信じてる、お前が必ずこの世界で生きてくれるって!



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27.悪魔の力と決意

 

 

 無数の穴が空いている空間から1つの穴へ飛び込むと、そこには巨大な闘技場があった。

 

鏡子

 「うわっとと!ここがアリーナか」

 

スノウ

 「うむ。本来ならここで兵士が訓練する様を見れる場所なのじゃが……今は(ブロン)がここで(超融合)を作っておる」

 

 (スノウ)が恨めしそうに吐き捨てた。

 

鏡子

 「あっそうだ。(スノウ)、俺って魔法の才能とかあったりしないか?」

 

スノウ

 「あの世界に才能を持つ人間はそう多くは……む?お主意外と素質あるぞ?簡単な魔法ならちょっと教えれば出来そうじゃ」

 

 う、嘘!?まじでぇ!?

 

鏡子

 「じゃあ俺(マインド·クラッシュ)やりたい!」

 

スノウ

 「流石に精神破壊はかなりの練習が必要じゃが……1分ぐらい気絶させる程度なら道中で教えられるじゃろう」

 

 その後俺達は(マインド·クラッシュ)の練習をしながらアリーナの門を潜った。そこには観客席に暗黒界のモンスターを含む多くの悪魔族モンスターがやんやんやと騒ぎ立て、台座のような場所に座る(ブロン)の姿があった。

 

鏡子

 「俺の名は古神鏡子!(グラファ)の勅命を受け、(ブロン)の野郎を転がし、(暗黒界の洗脳)を破壊する為に来た!臆病者じゃないならば、デュエルで決着つけようぜ!」

 

ブロン

 「ほぅ?この俺に用とな?デュエルを売られたら、買うのが俺の信念。良いだろう。そのデュエルを買おう」

 

鏡子·ブロン

 「デュエル!」

 

ブロン

 「先攻は俺だ。ドロー!」

 

 デュエル吹っかけたのは良いが……暗黒界ミラーか……地獄だな。後攻で安心したぜ。なおウイルスと墓穴。

 

ブロン

 「俺は(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる」

 

ブロン 手札6→5→6→5

鏡子 手札5→6→5

 

ブロン

 「捨てられた(ゴルド)の効果発動!墓地から特殊召喚!」

 

鏡子

 「相手にハンデスされた(ブラウ)の効果発動!合計2枚ドロー!」 

 

鏡子 手札5→7

 

ブロン

 「な、貴様も暗黒界か……いや、確か貴様は(グラファ)の命令を受けてきたとか言ってたな?」

 

鏡子

 「ああ、(ブロン)!なぜ(暗黒界の洗脳)を使って軍を掌握してこんな侵略をしている!」

 

 俺がそう尋ねると、(ブロン)はゲス声で笑い声を上げて話し始めた。

 

ブロン

 「戦争をする為だ。(グラファ)の政権になってから戦争する機会が全くなくなった。それが嫌で嫌でたまらなくてなぁ。(超融合)を作るという口実をでっち上げて、楽しく戦争してるんだよぉ!」

 

 戦争を……楽しむ?資源を浪費し、多くの傷を生み出す戦争を遊びだと?

 

鏡子

 「(ブロン)……貴様だけは……貴様だけは絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛!」

 

ブロン

 「ふっ、そうだ!殺気をぶつけてこい。殺気だっている相手を潰すのが面白いんだからな!」

 

ブロン

 「俺は(天使の施し)を発動!3枚ドローして2枚捨てる。捨てられた(ブラウ)、(シルバ)の効果発動!(シルバ)を特殊召喚し、(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

ブロン 手札5→4→7→5→6

 

ブロン

 「俺はモンスターをセット。フィールド魔法(ダーク·ゾーン)を発動してカードを1枚セット。ターンエンドだ」

 

ブロン LP4000 手札4 伏せ1

フィールド (ダークゾーン)

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300→2800

暗黒界の軍神シルバ 攻2300→2800

セットモンスター

 

鏡子 LP4000 手札7 伏せ0

 

 え?ショボ。こんだけかよ。セットモンスターは(メタポ)だろうし効果破壊してやればいい。

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札7→8

 

ブロン

 「貴様に絶望をくれてやる!永続トラップ発動!(暗黒界の洗脳)!」

 

 早速来たか(洗脳)。効果は俺も知っている。あのカードは手札が3枚以下だと発動出来ないし、フィールドに暗黒界がいないと発動出来ない。

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ。俺は手札の(未界域のビッグフット)の効果発動!手札を選んで、そいつが(ビッグフット)ならそのまま墓地へ、外れれば特殊召喚して1枚ドロー!」

 

ブロン

 「(洗脳)の効果発動!(シルバ)を手札に戻し、俺の手札をランダムに捨てる!捨てられたのは(暗黒界の策士グリン)!魔法罠を破壊できるが破壊するものが無い」

 

ブロン 手札4→5→4

 

 

鏡子

 「さて、キリがないからそろそろ動こうか。(天使の施し)発動!3枚ドローして2枚捨てる!捨てられた(グラファ)をチェーン1対象は(洗脳)、(ベージ)をチェーン2で組む!」

 

鏡子 手札8→7→10→8

 

ブロン

 「ならば(洗脳)を発動!(ゴルド)を戻して効果を書き換える!」

 

鏡子

 「逆順処理に入る。まずは(洗脳)で(ベージ)の効果が書き換わる。チェーン2の(ベージ)でランダムハンデス。そしてチェーン1の(グラファ)で(洗脳)を破壊!」

 

 墓地から黒い瘴気が勢いよく吹き出し、(洗脳)を破壊した。

 

ブロン

 「な!何故だ!何故(グラファ)の効果を書き換えられぬ!」

 

鏡子

 「俺は(施し)で同時にモンスターを2体落とした。同時に発動タイミングが同じ効果を発動した場合、ターンプレイヤーは好きな順番でチェーンを組める。(洗脳)は前のチェーンの効果しか書き換えられない。よって俺は(ベージ)を盾にして(グラファ)の効果を通したってわけだ。そろそろ(洗脳)でハンデスしたモンスター効果発動していいぞ」

 

ブロン

 「俺が捨てたのは(暗黒界の魔神レイン)!墓地から特殊召喚して効果を発動したいが……そっちにカードが無い」

 

 出てきたのは、三叉の槍を持った魔神。威厳たっぷりなモンスターだが、こいつは相手にハンデスされた時の効果しか持ってないから基本的に(セルリ)でハンデスしないと使えないんだよな。まぁ効果は(サンボル)か(羽根箒)選べるから悪くはないんだがな。

 

ブロン 手札4→5→4

 

 さて、邪魔もなくなったしソリティアするか。

 

鏡子

 「(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(スノウ)を除外。そして(魔界発現世行きデスガイド)を通常召喚。効果発動!手札·デッキからレベル3のモンスターを効果無効にして特殊召喚!来い!(魔サイの戦士)!」

 

鏡子 手札8→7→9→8→7

 

 現れたのは、左手に小さな旗を持ったバスガイド。彼女の背後でバスが到着し、中からサイの戦士が出てきた。

 

ブロン

 「何かと思えばレベル3の貧弱モンスターではないか。そんなモンスターで何が出来る!」

 

鏡子

 「こうするんだよ!俺はレベル3の(バスガイド)と(魔サイの戦士)でオーバーレイ!異次元の海蛇よ!今こそこの世界に舞い降りて、異次元の架け橋となれ!エクシーズ召喚!ランク3、(虚空海竜リヴァイエール)!」

 

 ガイドとサイの戦士が紫色の玉に変化して銀河の渦のような物へ入っていく。

 銀河の渦が爆発し、その中から、2つの玉を周囲で回転させている水色の海蛇が飛び出した。

 

ブロン

 「な、なんだこのモンスターは!」

 

鏡子

 「こいつはエクシーズモンスター。それ以上知る必要性はお前には無い!(リヴァイエール)の効果発動!素材である(魔サイの戦士)を墓地へ送り、除外されているレベル4以下のモンスター(スノウ)を特殊召喚!」

 

 周りに浮かぶ素材を取り込んだ(リヴァイエール)が異次元の裂け目を作り出すと、そこから(スノウ)が飛び出してきた。

 

鏡子

 「素材として墓地へ送られた(魔サイの戦士)の効果発動!墓地へ送られた場合、デッキから悪魔族モンスター(グラファ)を墓地へ送る!そして(スノウ)を手札に戻して来い!暗黒界の頂点に立つものよ!(暗黒界の龍神グラファ)!」

 

 (スノウ)が天高く飛び上がると、地面から(グラファ)が咆哮を上げ飛び出してきた。

 

鏡子 手札7→8

 

グラファ

 「(ブロン)。さっきの話は聞かせてもらった。自身の娯楽の為だけに軍を動かすなど言語道断!私がこの手で裁きを下す!」

 

 珍しく怒ってんな。そりゃそうか。勝手に国の一部を動かしたんだもんな。

 

鏡子

 「ああ、俺も同じ気持ちだ(グラファ)!だが少し辛抱してくれ、俺は今から全力でデッキをぶん回す!手札の(ビッグフット)の効果発動!さぁ手札を選べ!」

 

ブロン

 「1番左だ!」

 

鏡子

 「選ばれたのは(未界域のモスマン)!(モスマン)捨てて(ビッグフット)特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(モスマン)の効果発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!」

 

鏡子 手札8→7→6→7→8→7

ブロン 手札4→5→4

 

ブロン

 「ならば俺は(カーキ)を捨てる!捨てられた(カーキ)の効果発動!(グラファ)を破壊する!やれ(カーキ)!腰抜けの首を掻き切れ!」

 

 墓地から飛び出して来た(カーキ)は一瞬で(グラファ)の背後に回り、うなじをその手の短剣で切断して(グラファ)を破壊した。

 

鏡子

 「無駄だ!(ベージ)を戻して(グラファ)蘇生!(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(ブラウ)を除外!よし来た(生還の宝札)を発動!そして(暗黒界の門)発動!墓地の(魔サイの戦士)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)の効果発動!(暗黒界の門)をサーチ!」

 

鏡子 手札7→8→7→9→8→7→6→5→6→7

 

鏡子

 「(門)を張り替え!効果発動!(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)を蘇生!(宝札)でドロー!戻して(グラファ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札7→6→5→6→7→8

 

鏡子

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!効果は(ビッグフット)と同じだ!」

 

ブロン

 「ならば右から2番目だ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(セルリ)!(サンダーバード)を特殊召喚して1枚ドロー!そして(セルリ)の効果発動!相手フィールドに特殊召喚して強制効果発動!俺は手札を1枚捨てる!捨てるのは(ゴルド)だ!」

 

 相手フィールドに降り立つ(セルリ)は、不気味な魔法を放ち、俺の手札にある(ゴルド)を撃ち抜いた。

 

鏡子 手札8→7→6→7→6

 

鏡子 

 「相手にハンデスされた(ゴルド)の効果発動!蘇生して相手のカードを2枚対象に破壊!俺は(レイン)と(ゴルド)を破壊!こいつは一連の効果処理なので(宝札)でドロー出来ない!」

 

 墓地から飛び出してくた(ゴルド)はその大斧を振るい豪快に2体のモンスターを両断してみせた。

 

鏡子

 「(ゴルド)戻して(グラファ)!(宝札)でドロー!俺はレベル8の(ビッグフット)と(グラファ)でオーバーレイ!真なる騎士よ、その神秘なる力を以て我を守護する盾となれ!エクシーズ召喚!ランク8(真竜騎士フェルグラント)!」

 

 大猿と(グラファ)は紫色の玉となって銀河の渦へ飛び込んでいく。そして渦は爆発し、長剣を握る騎士が姿を現した。

 

鏡子 手札6→7

 

鏡子

 「まだだ!俺は(サンダーバード)と(グラファ)でオーバーレイ!大いなる龍よ、その身に聖なる力を刻み込み、我に盾突く愚者を焼け!エクシーズ召喚!ランク8(聖刻神竜エネアード)!」

 

 銀河の爆発により生まれたのは淡い赤色をした、神秘的な雰囲気を纏うドラゴン。

 

鏡子

 「(フェルグラント)の効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送り、自身を対象にとる。(フェルグラント)はこのターン効果を無効にする代わりに完全耐性を得る!」

 

 (フェルグラント)は半透明な膜に覆われた。これで(フェルグラント)は効果で外部に干渉できないし、されないってわけか。

 

鏡子

 「(暗黒界の援軍)発動!墓地の(ベージ)を蘇生して1枚捨てる。捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー!すぐさま戻して(グラファ)!(宝札)でドロー!」

 

鏡子 手札7→6→5→6→7

 

鏡子

 「(聖刻神龍エネアード)の効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送り効果発動、手札を2枚リリースする。送った枚数分カードを対象に選んで破壊する!俺はセットモンスターと(セルリ)を破壊!」

 

鏡子 手札7→5

 

 龍は周囲の玉を取り込み、光輝くブレスをセットモンスターめがけて放った。

 

 対象だったセットモンスター(聖なる魔術師)と(セルリ)は抵抗することもなく破壊された。

 

鏡子

 「俺は最後の(暗黒界の門)を張り替え!効果発動!(セルリ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!(宝札)で1枚ドロー!(ベージ)戻して(グラファ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札5→4→3→4→5→6

 

鏡子 LP4000 手札6 伏せ0

フィールド(暗黒界の門)

 

真竜騎士フェルグラント 攻2800

聖刻神龍エアネード 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

虚空海竜リヴァイエール 攻1800

 

ブロン

 「な、な、な……」

 

 どうやら攻撃力合計が8000超えの布陣にビビっているようだ。だが手札にはまだ未界域モンスターがあるし、手札交換カードも数枚あるから展開自体は出来る。だがもう十分だ。一思いに吹き飛ばしてやる。

 

鏡子

 「行くぜバトルフェイズ!(エアネード)で攻撃!ヒエラティックシュート!」

 

 (エアネード)の放つ光弾が、(ブロン)の身体を包み込む。

 

ブロン LP4000→1000

 

鏡子

 「おまたせ(グラファ)!ダイレクトアタック!暗黒の吐息!」

 

グラファ

 「覚悟しろ(ブロン)!これが私の冥府への土産だ!」

 

 普段より遥かに濃い黒い瘴気が(ブロン)を飲み込み、(ブロン)は力なく膝をついた。

 そして、青筋を立てて胎動する白紙のカードが(ブロン)の足元に落ちた。

 

ブロン LP1000→-2000

 

鏡子

 「どうだ!これが暗黒界の真の力だ!(超融合)なんて作らせないぞ!」

 

ブロン

 「クッカッカ!もう手遅れだ!今ここで完成間近の(超融合)を破壊すれば、ここら一帯が更地になる程のエネルギーがこのカードから解き放たれる!精々絶望するがいいわ!」

 

 ウッソ爆発!?ライトロードはもうすぐここに辿り着くだろうし、やべえ問題押し付けやがって!

 

 (ブロン)は甲高い笑い声を上げながら、粒子となって消えていった。

 

グラファ

 「未完成の(超融合)がこんなにも危険な物だとは……む、丁度今(ベージ)達が(超融合)の資料を発見した。どうやら最後の工程には、(怒)、(憎)、(苦)、(悲)、(疑)の感情を強く持つデュエリストが必要なのだそうだ。早速そのデュエリストを(ゴルド)と(シルバ)に探してきてもらう。幸い……心当たり自体はあるからな」

 

 そうか……そういえば(洗脳)のカードが(ブロン)の立っていた台座に刺さっているな。一先ず抜いておくか。

 

 俺が台座から(洗脳)を抜き取ると、紫色の波動のような物が広がり、俺が認識しきれない程遠くまで伝播していく。これで(暗黒界)にかかっていた洗脳がとけたな。観客席の(ベージ)達が困惑した様子だ。

 

グラファ

 「(暗黒界の洗脳)を解除出来たようだな。早速4神に連絡を取ってみる。彼らがおればライトロードも侵攻に相当手間取る事だろう」

 

 4神?あぁ(ゴルド)、(シルバ)、(ケルト)、(ラチナ)か。

 

 (ゴルド)と(シルバ)のゴルシコンビは良いんだが、(ケルト)と(ラチナ)はどれ程の実力なんだろうか?

 (ケルト)はハンデスされると暗黒界リクルートだから強いけど、(ラチナ)は悪魔族に500の単体強化だから弱いんだよなぁ……しかもターン終了時までだし。

 

 せめて永続か全体に付与してほしかった。いや、暗黒界全体にターン中の対象耐性+破壊耐性とかが欲しい(強欲)。

 

鏡子

 「そういえば、5つの感情を持つデュエリストの心当たりがあるって言ってたな?誰なんだ?」

 

グラファ

 「今丁度(ゴルド)と(シルバ)が5人の確保に成功した。正直苦しいとは思うが、心して見てほしい」

 

 (グラファ)が心苦しそうに口にすると、そこには

 

鏡子

 「う、嘘だろ!?」

 

 捕まって欲しくなかったメンツが揃っていた。

 

 

 

〜 収容所前 〜

 

剣山

 「これは……凄まじいドン」

 

万丈目

 「これを十代一人でやったのか?だとしたら無茶しすぎだ」

 

吹雪

 「確かに。でもこれじゃぁ十代の手掛かりが掴めそうに無いねぇ」

 

 明日香達は十代が向かったと言う収容所に来ていた。しかしその場所は酷く損壊しており、建物の8割が消し飛んでいた。

 

 「向こうには道があるッスけど相当長そうッス……」

 

明日香

 「十代はそこまで遠くには行けない筈だけど……苦しい道のりね」

 

 向こう側に見える遠い道。それを見た明日香がため息をつくと、崖の方から豪快な笑い声が響く。

 

ゴルド

 「そこの兄ちゃんと姉ちゃん達!お困りのようやなぁ!ワイ等が目的地に送り届けたるわ!」

 

万丈目

 「なに!暗黒界のモンスターだと!天上院君!下がるんだ!」

 

 崖から飛び降りてきた(ゴルド)と(シルバ)に、万丈目は勇敢にデュエルディスクを構える。

 

ゴルド

 「人の親切は受けるもんやでぇ?まぁデュエルをしたいのなら相手をしてやりたい所なんやが……生憎兄ちゃん達を生きて連れてくるのが仕事やからな。悪く思わないでくれや。行くでぇ(シルバ)!」

 

 (ゴルド)は一瞬で万丈目の背後に周り、手に持つ大斧の柄で万丈目の首を打ち据えた。

 

 その後、残る4人も為す術もなく(ゴルド)と(シルバ)に意識を奪われ地面に倒れ伏した。

 

ゴルド

 「張り合いがないのぅ。腕の立つデュエリストらしいからどんなもんかと思ったら……不完全燃焼や」

 

シルバ

 「兄者……それも仕方のない事だと思いますぜ?彼らが来た異世界はただのカードゲーム。我々がする死と隣り合わせで痛みを伴うデュエルとは無縁なのだからな」

 

ゴルド

 「ガッハハハ!それもそうか。仕方ない、一先ずこの5人を主の元へ運ぼう。おおそうだ、この玉をひっつけなあかんかったな」

 

 (ゴルド)は懐から5つの玉を取り出し、万丈目達にくっつける。玉はすぐに万丈目達の皮膚に溶け込み消えてなくなった。

 

 今度こそ(ゴルド)達は5人を抱えて駆け出していった。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡子

 「生贄って……万丈目達の事かよ……」

 

 (超融合)完成の生贄は、まさかの明日香達だった。仲間思いの十代の事だ、きっと烈火の如くキレるだろう。でも、(超融合)を今ここで破壊したら暗黒界は再起不能レベルでダメージを受けるだろう。

 

 もし、明日香達を生贄にしたら、きっとどこかで原作が崩壊してしまうだろう。でも(超融合)が完成してないと、ユベルと十代が超融合しないという特大の原作崩壊を起こしてしまう。オマケで暗黒界が物理的に破滅する。

 

鏡子

 「俺は……俺はどうしたらいいんだ。どちらかを選べば、どちらかが消えて戻らない。片方は世界。もう片方は……大切な友人が……」

 

グラファ

 「やはり……決められないか。それも仕方のない事だろう。主も人の子だ、我々がとやかく言う事は出来ぬ。主が決めると良い。その選択を、我々は尊重する」

 

 俺の意志で……か。俺は何をしたいんだ?なんの為にこの世界に来たんだ?友達を助ける事か?違う。名誉の為か?これも違う。暗黒界を……助ける為。

 

 そうだ。俺は(ブラウ)に頼まれて、(ブロン)によって洗脳された暗黒界を助ける為に来たんだ。その目的を忘れちゃいけない。

 

 俺は友人5人の命とこの世界の命運を天秤にかけた。結果は、世界の方に天秤が僅かに傾いた。

 

鏡子

 「(グラファ)、俺決めたよ。俺は……」

 

 俺が揺らぎかけている決意で口にしようとすると、(ベージ)が駆け込んできた。

 

ベージ

 「報告です!ライトロードと(ラチナ)と(ケルト)が小さな集落周辺で衝突!流れ弾で多くの死者が出ています!」

 

 映し出されるビジョン。そこには(パラディンジェイン)と(ケルビム)、(フェリス)の攻撃を捌く(ラチナ)と攻撃を放つも回避され有効打にならない(ケルト)の姿があった。

 

 (パラディンジェイン)の剣戟をいなしていた(ラチナ)は(ケルビム)の放つ光弾に気づかず直撃コースになってしまったが、(ケルト)が割り込み拳1つで弾き飛ばすと、側にあった小さな家をチリも残らず消し飛ばした。

 

 上級モンスターですらこれなんだ。きっと(ベージ)とかの下級しかいない場所では蹂躪が起きてるに違いない。

 

 この瞬間。俺の中の迷いはキレイに消え去った。

 

鏡子

 「(グラファ)!俺は決めた!必ず(超融合)を完成させて、暗黒界をライトロードの魔の手から守って見せる!」

 

グラファ

 「本当に……いいのだな?友を失う覚悟は出来たのだな?」

 

鏡子

 「ああ!俺は……おまえ達とデュエル出来るのなら、悪魔にでもなってやる!その為に(洗脳)を使う!デッキを新しく作るぞ!暗黒界の全ての力を使う新たな暗黒界デッキを!」 

 

 (洗脳)には暗黒界の皆を操れるだけの力があるんだ。俺の悲しみの感情を消すぐらいの力はあるだろう。てか無かったら涙でキャラを演じきれない。

 

 早速俺はスマホを起動して手元のデッキを見つつカードを揃えていく。今回は暗黒界全ての力を注ぐデッキにするから暗黒界モンスターは全種入れたい。(カーキ)とか(グリン)とかを有効活用する為の(洗脳)だ。尚(ブロン)は追放したからハブる。

 他にも(レンジ)や(ズール)が入っているが、これは結束を強める他に、十代が持つ(ワイアーム)を突破する為のカードでもある。

 

エクストラが中々埋まらねぇな……ランク8の殆どはナンバーズだからなぁ……ランク5もちょっと入れて埋めるか。

 

ベージ

 「旦那ぁ。戻りましたぜぇ」

 

鏡子

 「ご苦労さま。丁度デッキが仕上がった所なんだ。そうだ、ヨハンってここにいるか?もし居たらここに運んできて欲しいんだ」

 

ベージ

 「ここは戦士達を収容する場所。そりゃあいるでしょうけど……何するんです?」

 

 俺は(ベージ)が持ってきた服を着ながら、それに答える。

 

鏡子

 「(カラレス)様が言うには十代を絶望させる必要があるらしい。ならば、十代が探し求めていたそれを目の前で死んだ様に見せてやればいい」

 

 その時のことを考えると、俺は胸が張り裂けそうになる。それでも俺は暗黒界の皆の為に悪魔にもなるって言ったんだ。やってやる。伊達にヒールの練習はしてないぜ。

 

 俺は着替え終えて、十代が来るその時を待った。



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28.傷だらけのヒーローと友だったヒール

 

 

 (音速ダック)から降りた俺は数分歩いて、(ブロン)が待つという砦にやってきた。

 

 観客席には誰も居なくて、正面の台座には黒いコートを着て、黒い蝶を象った仮面を着けた男が立っていた。その人物を、俺は見たことがある。

 

十代

 「お前は……パスカ!」

 

パスカ

 「お久しぶりですね。ジェネックス以来でしょうか。本当なら私は観光客を導くガイドなのですが、故あって貴方の前に立ち塞がせていただきます」

 

十代

 「ここにヨハンは居るんだよな?俺がデュエルに勝ったら、ヨハンを返してもらうぞ!」

 

パスカ

 「ヨハンという人物を私は存じ上げませんが、ここは異世界の戦士達が集められていた場所。きっと貴方が求める人もいることでしょう。尤も、それをするのはデュエルの後になりますけどね」

 

 パスカはあの神のカードを一瞬で除去してみせたデュエリストだ。油断しているとあっという間に負ける。だが俺は負けない!俺はヨハンを必ず助け出す!

 

十代·パスカ

 「デュエル!」

 

パスカ

 「先攻は頂きます。ドロー!」 

 

パスカ 手札5→6

 

パスカ

 「私はモンスターをセット。(暗黒界の取引)を発動してお互いに1枚ドローして1枚捨てる。捨てられた(ブラウ)の効果で1枚ドロー。2枚セットしてターンエンド」

 

 パスカは暗黒界使いか……暗黒界にしては地味な立ち上がりだ。もっと(グラファ)が並んで来るんだと思ってた。

 

パスカ LP4000 手札3 伏せ2

 

セットモンスター

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

 暗黒界でセットするモンスターなんて(メタモルポット)しかいない。3枚もカードをセットしているんだ。間違いない。

 

十代

 「俺は(コンバート·コンタクト)を発動!俺のフィールドにカードがない時に発動でき、手札の(エアハミングバード)とデッキの(グランモール)を墓地へ送り2枚ドロー!そしてカードを2枚セットして(融合)発動!手札の(E·HEROスパークマン)と(フレイムウィングマン)として扱える(沼地の魔神王)を融合!来い!(E·HEROシャイニング·フレア·ウィングマン)!バトル!(シャイニング·フレア·ウィングマン)でセットモンスターを攻撃!シャイニングシュート!」

 

 (シャイニング·フレア·ウィングマン)の放つ閃光に飲み込まれたのは、壺ではなく手がやたら大きな番人。(メタポ)じゃない!?

 

鏡子

 「引っかかりましたね?私がセットしたのは通常モンスター(暗黒界の番兵レンジ)!本当なら(スパークマン)とか出してきて2100の守備力で返り討ちにする算段だったのですが、まぁいいです」

 

十代

 「グッ……(シャイニング·フレア·ウィングマン)の効果発動!モンスターを戦闘で破壊して墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!(レンジ)の攻撃力は100!よって100のダメージを与える!ターンエンドだ!」

 

 (シャイニング·フレア·ウィングマン)が強い光を発するけど、パスカは微動だにしない。

 

十代 LP4000 手札1 伏せ2

 

E·HEROシャイニング·フレア·ウィングマン 攻2500→2800

 

パスカ LP3900 手札3 伏せ2

 

 ブラフに引っかかったのは悔しいが、(シャイニング·フレア·ウィングマン)は墓地のE·HEROの数×300攻撃力が上がる。パスカが手札交換を連発すれば、どんどん攻撃力が上がる。ついでにネオスペーシアンも墓地へ送れる。

 破壊が怖いけど、今の手札なら最善の選択だと思う。

 

パスカ

 「融合モンスターが棒立ちですか。さぞ強力な罠を構えているのでしょうね?私のターンドロー!」

 

パスカ 手札3→4

 

パスカ

 「……所で十代さん。ヒーローショーにおいて、大事な物はなんだと思いますか?」

 

十代

 「なんだよ急に、やっぱりヒーローが戦う舞台が必要だ」

 

パスカ

 「確かにあれば盛り上がりますが、別にそこらへんの河川敷でも設定次第でヒーローショーは出来るでしょう。本当に必要なのは残虐非道な悪役と、悪役に捕まりヒーローの助けを待つ一般市民です!永続魔法(邪心教典)発動!」

 

 現れたのは、禍々しい雰囲気を纏う1冊の本。パスカはそこに、白紙のカードを投げた。

 

パスカ 手札4→3

 

十代

 「なんだこのカードは!」

 

 考える暇もなく、突然響く地鳴り。地鳴りが止むと左側から気を失っていて、鎖に繋がれた万丈目達が姿を現した。

 

十代

 「万丈目!剣山!明日香!吹雪さん!翔!俺の友達をどうするつもりだ!」

 

パスカ

 「彼らはあの白紙のカードの生贄です。彼らはこの残り50枚近くのデッキに眠る5枚の(邪心教義)のカードが墓地へ送られると(邪心教典)に取り込まれます。」

 

パスカ

「ちなみに(邪心教典)は私が戦闘ダメージを受けるとデッキから(邪心教義)のカードを1枚墓地へ送ります。つまり、十代さんは一発で私のLPを削り取れば、取り込まれなかった生贄を救う事が出来ますね。尤も、貴方にターンが回った時点でどれくらい残っているかは保証できませんがね」

 

 そ、そんな……LP4000を一撃で削るなんてそうそう出来ない。それに、最悪俺のターンが回ってくる前にみんな生贄にされてる可能性すらある。でも一人でも多く助けるためにも頑張らないと!

 

パスカ

 「さぁ、ソリティアの始まりです。カードを1枚セットして伏せていた(墓穴の道連れ)を発動。お互いに手札を見せて捨てさせて、1枚ドローします」

 

十代手札

E·HEROバーストレディ

 

パスカ

 「私は(バーストレディ)を捨てます」

 

十代

 「……(BF·精鋭のゼピュロス)を捨てる」

 

パスカ

 「その後お互いにドローします。そして永続トラップ(便乗)を発動!このカードは相手がドローフェイズ以外でドローした時に発動出来るカード。効果は分かりますね?相手がドローする度に2枚ドローする単純な効果です。残念ながら今回は効果は発動出来ません。そして沼地マンの攻撃力が上がりますね」

 

パスカ 手札 4→3→2→3

 

十代 手札1→0→1

 

シャイニングフレアウィングマン 攻2800→ 3100

 

 沼地マンって……確かに名前長いけどそれはあんまりだろ……

 

パスカ

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!さぁ手札を選んで下さい」

 

十代

 「うぅ……1番右だ!」

 

パスカ

 「選ばれたのは(ゴルド)!特殊召喚して1枚ドロー。そして捨てられた(ゴルド)は自己蘇生します」

 

パスカ 手札2→1→2

 

パスカ

 「(暗黒界の取引)を発動。お互いに1枚ドローして1枚捨てます。私が捨てたのは(スノウ)なので(暗黒界の龍神グラファ)を手札に加えます。そして(便乗)で2枚ドロー」

 

十代

 「俺が捨てたのは(フェザーマン)!攻撃力は3400となる!」

 

パスカ 手札2→1→2→4

 

パスカ

 「まぁ関係ないんですけどね。(暗黒界の門)発動!墓地の(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー。捨てられた(グラファ)によって沼地マンを対象に破壊します」

 

十代

 「くっ……(シャイニング·フレア·ウィングマン)!」

 

 (シャイニング·フレア·ウィングマン)は墓地から吹き出す瘴気に飲まれて破壊された。(スノウ)ってモンスターも手札に加えられるんだ。

 

パスカ

 「(ゴルド)を手札に戻して(グラファ)蘇生。私はレベル8の(サンダーバード)と(グラファ)でオーバーレイ!現われろランク8!(神竜騎士フェルグラント)!そのまま効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送って自身を対象に発動、このターン中の完全耐性を得る代わりにこのターン効果は無効化されます」

 

 黒い渦から出てきた騎士は、自身に半透明の膜を張った。

 

 どうして自分のモンスターの効果を無効にしたんだ?そうか、墓地に自己蘇生できる(グラファ)を送るのが目的か。

 

パスカ 手札4→3→2→3→4

 

パスカ

 「カードを1枚セットして伏せていた2枚目の(墓穴の道連れ)を発動。手札を見せて下さいね」

 

十代

 「うっ……お、俺は(ベージ)を捨てる」

 

十代手札

E·HEROネオス

 

 パスカの手札には邪心教義というカードがあった。あれが万丈目達を取り込むカード。捨てる訳にはいかない。

 

パスカ 手札4→3→2→3

十代 手札1→0→1

 

パスカ

 「(便乗)でドロー。捨てられた(ベージ)の効果が強制発動して墓地から蘇生。(ベージ)を手札を戻して(グラファ)蘇生。最後の(暗黒界の取引)発動。お互いに1枚ドローして1枚捨てる。(便乗)でドロー」

 

パスカ 手札3→5→6→5→6→5→7

 

十代 手札1→2→1

 

パスカ

 「捨てられたのは(邪心教義_怒)!これにより、(邪心教典)に怒の文字が刻まれる!」

 

 パスカがそう宣言すると、倒れていた万丈目が起き上がり、自分自身に起きている異常に気がついた。

 

十代

 「万丈目!待っていろ!すぐに助けてやるからな!」

 

 俺が声をかけると、万丈目が苛立った様に声を荒らげてきた。

 

万丈目

 「十代の馬鹿野郎!お前、俺達とヨハンを助けるんじゃなかったのかよ!勝手に一人で燃え上がって!最初から俺たちの事なんか考えていなかったんだろ!」

 

十代

 「ち、違う!そんなんじゃ……」

 

万丈目

 「お前はそう言う奴だ!お前の王国の中には最初から自分しか居なかったんだよ!そんなお前に友情なんか感じて、やる気になっちまった俺達は馬鹿だったんだ!」

 

 突然万丈目の首から「怒」の文字が消えて、万丈目は光に包まれて粒子となって消滅した。

 

 そして(邪心教典)が見開き、万丈目の姿と共に「怒」の字が刻まれた。

 

十代

 「そ、そんな……万丈目が消えた……」

 

パスカ

 「私がこの世界で十代に出会った時、どうして仲間達が居ないのかと思ったらそう言うことだったんですね。ならば私は捕らわれた仲間達の為に、十代。貴方を裁くことに致しましょう。本気で来なさい、次のターンで決めきれるぐらいに。私は(ベージ)通常召喚して戻して(グラファ)。カードを1枚セットしてターンエンド」

 

パスカ LP3900 手札6 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 守1600 素材1

暗黒界の龍神グラファ 守1600→1900

 

便乗

邪心教典

 

十代 LP4000 手札1 伏せ3

 

 バトルをしない?もしかして(ミラー·フォース)を警戒したのか?これはチャンスだ。一気に仕掛ける!

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札1→2

 

十代

 「トラップ発動!(NEXT)!墓地のネオスペーシアンと(ネオス)を可能な限り特殊召喚!来い!(グランモール)、(エアハミングバード)、(フレアスカラベ)、(アクアドルフィン)、(E·HEROネオス)!」

 

 墓地から飛び出してくるネオスペーシアン達とネオス。その光景は中々に壮観だ。

 

十代

 「伏せていた(NEX)を発動!フィールドの(アクアドルフィン)を墓地へ送り、エクストラデッキからレベル4の同名モンスターを特殊召喚!来い!(N·マリンドルフィン)!」

 

 (アクアドルフィン)が進化を遂げ、新たなネオスペーシアンへと生まれ変わる。

 

十代

 「伏せていた(スペーシア·ギフト)を発動!フィールドのネオスペーシアンの種類だけドロー出来る!俺のフィールドにはネオスペーシアンが4種類と(アクアドルフィン)としても扱える(マリンドルフィン)がいる!よって5枚ドロー!」

 

パスカ

 「5枚ドローとは豪快ですね。(便乗)で2枚ドロー」

 

十代 手札 2→7

 

パスカ 手札6→8

 

十代

 「2枚目の(スペーシア·ギフト)!5枚ドロー!」

 

パスカ

 「またですか、(便乗)でドロー」

 

十代 手札 7→12

 

パスカ 手札8→10

 

十代

 「(エアハミングバード)の効果発動!相手の手札×500のLPを回復する!ハニーサック!」

 

 パスカの周りに10個の花が咲き誇り、(エアハミングバード)は一つ一つ蜜を吸っていく。

 

十代 LP4000→9000 

 

パスカ

 「随分とLPを回復しましたね?しかし暗黒界は高打点が並ぶテーマ。LP1万ぐらいなら1ターンで容易に削れますよ?」

 

十代

 「関係ない!(マリン·ドルフィン)の効果発動!手札を1枚捨てて、相手の手札を確認する。そして自分フィールドにいるモンスターカード以下の攻撃力を持つモンスターを破壊して500のダメージを与える!俺が破壊するのは攻撃力1600の(未界域のモスマン)!俺のフィールドにいる攻撃力2500の(ネオス)より攻撃力が低いから破壊!そして500のダメージだ!エコーロケーション!」

 

 (マリン·ドルフィン)の放つ超音波によってパスカの手札にある(モスマン)は粉砕された。

 

十代 手札12→11

パスカ LP3900→3400 手札10→9

 

パスカ

 「せっかく展開出来るカードが来たのに……残念です」

 

十代

 「行くぞ!俺は(ネオス)と(グランモール)と(フレアスカラベ)でトリプルコンタクト融合!来い!(E·HEROマグマ·ネオス)!」

 

 宇宙の元で融合を遂げたヒーロー。こいつの攻撃は痛いぞ?

 

パスカ

 「では特殊召喚成功時に(フェルグラント)の効果発動。素材である(サンダー·バード)を墓地へ送り、(マグマ·ネオス)の効果を無効にして完全耐性を付与します」

 

 薄い膜を貼られる(マグマ·ネオス)。その膜は(マグマ·ネオス)の炎が漏れ出さずに閉じ込めている。相手のターンにも使えるのか。

 

パスカ

 「効果処理後に(暗黒界の洗脳)を発動。効果はまだありません」

 

 なんだあの禍々しい雰囲気を放っているカードは。なにかやばそうな気配を感じる。

 

十代

 「まだだ!伏せていた(融合派兵)発動!エクストラデッキの(E·HEROマリンネオス)を見せて、(ネオス)を特殊召喚!俺は(ネオス)と(エアハミングバード)と(アクアドルフィン)としても扱える(マリン·ドルフィン)でトリプルコンタクト融合!来い!(E·HEROストーム·ネオス)!」

 

 こいつは(大嵐)の効果を使えるモンスター。こいつで伏せ諸共あの不気味なカードを破壊する!

 

十代

 「(ストーム·ネオス)の効果発動!1ターンに1度、お互いのフィールドの魔法·罠カードを全て破壊する!アルティメット·タイフーン!」

 

パスカ

 「流石に通すと不味いので、(洗脳)の効果発動。フィールドの暗黒界モンスター(グラファ)を手札に戻し、その効果は【相手は手札をランダムに1枚捨てる】となります」

 

 (ネオス·ストーム)の放った嵐はフィールドの魔法·罠じゃなくてパスカの手札を1枚吹き飛ばした。

 

パスカ 手札9→10→9

 

パスカ

 「捨てられたのは(暗黒界の鬼神ケルト)!特殊召喚して、相手に捨てられた効果により、デッキから悪魔族モンスターを自分又は相手のフィールドに特殊召喚!私の場にいでよ!(暗黒界の龍神グラファ)!」

 

 墓地から飛び出してきた肩が透けている悪魔は、大きな叫び声を上げた。すると(グラファ)が地面を割りながらやってきた。

 

暗黒界の龍神グラファ 守1600→1900

 

十代

 「伏せを割れなかったか……仕方ない!俺は(ミラクル·フュージョン)を発動!墓地から(フェザーマン)と(バーストレディ)を除外して融合!来い!(E·HEROフレイムウィングマン)!(ネオスペース)を発動してバトルだ!(マグマ·ネオス)で(フェルグラント)を攻撃!スーパーヒートメテオ!」

 

 (マグマネオス)は巨大な隕石を(フェルグラント)に投げつけ破壊した。

 

十代 手札11→10→9

 

十代

 「続いて(ストームネオス)で(ケルト)に攻撃!トルネード·シュート!」

 

 (ストームネオス)が投げ放った竜巻によって(ケルト)は粉砕された。

 

十代

 「行け!(フレイムウィングマン)!(グラファ)に攻撃!フレイムシュート!」  

 

 (フレイムウィングマン)の炎が(グラファ)を焼き尽くし破壊した。そして(フレイムウィングマン)の効果が発動する!

 

十代

 「(フレイムウィングマン)の効果発動!戦闘でモンスターを破壊して墓地へ送られた場合に発動し、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!2700のダメージを喰らえ!」

 

パスカ

 「ガア゛ァ゛ァ゛ァ゛」

 

 (フレイムウィングマン)の炎に包まれて絶叫するパスカ。あれ?声が鏡子と似てたような……気のせいか?

 

パスカ LP3400→700

 

十代

 「俺はカードを3枚セットして、ターンエンドだ。(ネオスペース)の効果により、本来エクストラデッキに戻るコンタクト融合体はデッキに戻らない」

 

十代 LP4000 手札6 伏せ3

フィールド(ネオスペース)

 

E·HEROマグマ·ネオス 攻3000→3500→4300

E·HEROストーム·ネオス 攻3000→3500

E·HEROフレイムウィングマン 攻2100→2600

 

パスカ LP700 手札9 伏せ1

 

便乗

暗黒界の洗脳

邪心教典

 

パスカ

 「私のターンドロー!」

 

パスカ 手札9→10

 

十代

 「パスカ!お前を倒したら、明日香達を助け出し、この世界にいる鏡子も救い出してやる!その為に!お前を倒す!」

 

パスカ

 「ククク……アッハッハ!」

 

 突然笑い出すパスカ。仮面で目つきは見えないが、俺を憐れんでいるのが見なくても分かる。

 

十代

 「何がおかしい!お前のLPは残り700!次のターンでケリがつく。俺のフィールドには高打点のコンタクト融合体が3体!返せるものならやってみろ!」

 

パスカ

 「手札じゃなくLPを見るとは!どうやら貴方はまだ未熟のようですねぇ!そんな貴方に全てを託した友人の皆さんには、深く同情しますよ。見せてやるよぉ!今明かされる衝撃の真実をぉ!括目せよ十代イィィ!」

 

 突然仮面を乱雑に外すパスカ。その顔を俺は見たことがある。そんな……こんな事って……

 

鏡子

 「ジャンジジャ〜ン!我が名は鏡子!暗黒界を危機から救い出し、貴様を絶望に叩き落とす者だぁ!」

 

十代

 「そ、そんな……どうして……どうしてこんな事をするだよ!お前は……俺達の仲間じゃなかったのかよぉ!」

 

 鏡子の顔が歪み、更に邪悪な笑みで笑い、声を荒らげてきた。

 

鏡子

 「仲間?ヒァッハッハァ!おかしくって腹痛いわぁ!俺がこの世界に帰ってきたのは偶々(ブロン)の野郎が謀反したから粛清しにきただけにすぎない。俺達は待ってたんだよぉ!お前達がこの世界にやって来ることをなぁ!本来なら誰か誘拐して囮にするところだったが、手間が省けたわぁ!」

 

十代

 「そんな……そんな事して何になんだよ!悪い冗談はやめてくれよ!」

 

鏡子

 「ざぁんねん!冗談じゃないんだなぁこれが!俺はお前達を生贄にして(超融合)を作り出す!我々暗黒界の繁栄の糧になるんだがら感謝するんだなぁ?楽しかったぜぇ?お前との友情ごっこぉ!」

 

 そんな……鏡子はそんな事をする訳がない。確かにデュエル中はハンデスとか(スキドレ)とかウイルスとか性格が悪いとしか言えない戦術を仕掛けてくるけど、デュエルが終わればなんだかんだ気を遣ってくれていた。そんな鏡子があんなになるのは……あの(洗脳)のカードの仕業か!

 

十代

 「待ってろ鏡子!次のターンその(洗脳)のカードを破壊して、元の鏡子に戻してやるからな!」

 

鏡子

 「心を守る為に嘘を作るか。まぁそれも良いだろう。それでも展開は緩めることはしない!スタンバイ、メインフェイズ!伏せていた(闇の誘惑)発動して2枚ドロー!よし!効果で手札の(スカー)を除外!手札から(未界域のビッグフット)の効果発動!手札を選べ!」 

 

十代

 「右から3番目だ!」

 

鏡子

 「選ばれたのは(邪心教義ー憎)!特殊召喚して1枚ドロー!墓地に(邪心教義)が送られたことにより、(邪心教典)に(憎)の字が刻まれる!」

 

 再び(邪心教典)が見開き、剣山の姿と共に憎の字が刻まれた。

 

鏡子 手札10→12→11→10→9→10

 

剣山

 「ウァァ!アニキ!どうして……何故俺達を犠牲にしてまでヨハンを助けるドン!なんで1人の為に5人も犠牲にしなきゃならないドン!」

 

 そ、それは違う!違うんだ剣山!

 

 俺の言葉が剣山に届くことはなく、粒子となって消えてゆく。

 

鏡子

 「説教は後だ!(暗黒界の門)を発動して効果発動!墓地の(ズール)を除外して手札を1枚捨てて1枚ドロー!捨てられたのは(ベージ)!自己蘇生!戻して(グラファ)!(天使の施し)発動!3枚ドローして2枚捨てる!捨てられた(ベージ)と(カーキ)の効果発動!逆順処理により、(カーキ)で(マグマネオス)を破壊!(ベージ)は自己蘇生!」

 

 墓地から寸胴な悪魔が飛び出してきて、目にも留まらぬ速さで(マグマネオス)の首を斬りつけ破壊した。

 

鏡子 手札10→9→8→9→10→9→12→10

 

鏡子

 「(ベージ)を戻して(グラファ)!俺は(ビッグフット)と(グラファ)でオーバーレイ!大いなる龍よ、その身に聖なる力を刻み込み、我らに盾突く愚者を焼け!エクシーズ召喚!ランク8!(聖刻神龍エネアード)!」

 

 銀河の渦から現れたのは、金と赤色の甲殻に身を包んだ神々しい龍。

 

鏡子 手札10→11

 

鏡子

 「(神龍エネアード)の効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送る事で、手札·フィールドのカードを任意の枚数リリースする!そしてリリースしたカードの数分カードを選んで破壊する!俺は手札を3枚リリースして、(ストーム·ネオス)と伏せ2枚を破壊だ!」

 

十代

「3枚も破壊!?速攻魔法発動!(コンタクトアウト)!(ストームネオス)をエクストラデッキに戻して、デッキにコンタクト融合の素材があれば特殊召喚できる!」

 

鏡子

 「壁が3体追加か。このカードは対象を取らないので、対象変更。(ストーム·ネオス)の素材達を破壊!」

 

  神々しい龍の放つ猛烈な閃光に、俺のヒーローの多くは消滅してしまった。

 

鏡子 手札11→8

十代 手札6

 

鏡介

 「(カップ·オブ·エース)を発動!コイントス!」

 

 止まったのは……正位置!

 

鏡子

 「正位置なので2枚ドロー!(手札抹殺)を発動!お互いの手札を全て捨ててドロー!」

 

 暗黒界の(手札抹殺)はマズイ!でも止める手段がない!

 

鏡子 手札8→7→9→8→0→8

十代 手札6→0→6

 

鏡子

 「捨てられたのは(ベージ)、(グリン)、(ゴルド)、(シルバ)、(ラチナ)そして邪心教義(苦)、(悲)、(疑)!これにより邪心教典に3つの文字が刻まれる!」

 

吹雪

 「く、苦しい……肉体だけじゃない。友に裏切られ、魂が引き裂かれるような痛みだ!」

 

明日香

 「貴方に裏切られて葬られる。そんな悲しみを抱くことになるなんて……」

 

 「どこかで助かるかもって思ってたけど、やっぱり駄目だったんすね……」

 

 3人は身体のどこからか(苦)、(悲)、(疑)の文字を抜かれて粒子となって消えていった。

 

十代

 「違う……違うんだ……俺はこんな結末を求めてなかったのに……」

 

鏡子

 「逆順処理は終わらない!墓地から(暗黒界の闘神ラチナ)を蘇生!さらに(シルバ)と(ゴルド)も蘇生!(グリン)によってそこのセットカードを破壊!(ベージ)蘇生!」

 

 墓地からどんどんと湧いてくるモンスター達。そして、墓地から(グリン)がやってきて、(暗黒界の騎士ズール)達を指揮し華麗な連携で俺の(ガード·ブロック)を破壊した。

 

鏡子

 「これで……ようやく(超融合)が完成する。(邪心教典)と墓地の(邪心教義)を全て除外!(超融合)よ!我が手に舞い降りよ!」

 

 鏡子の頭上で胎動している白紙のカードに色が付いていく。そして、全てを吸い込みそうなイラストのカードが姿を現した。

 

鏡子 手札8→9

 

鏡子

 「(超融合)は一先ずお預けだ!(おろかな埋葬)を発動!デッキから(グラファ)を墓地へ送り、(シルバ)、(ゴルド)、(ベージ)を戻して(グラファ)を3体蘇生!(ガガガガンマン)飛んできたら困るな……一応(神秘の中華なべ)を発動。(グラファ)リリースして3000回復。(ラチナ)戻して(グラファ)蘇生」

 

鏡子 手札9→8→11→10 LP700→3700

 

鏡子 LP3700 手札10 伏せ0

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

聖刻神龍エネアード 攻3000 素材1

 

便乗

暗黒界の洗脳

 

 墓地から蘇る不死身のモンスター。あのセットカードがあるとはいえ、俺はもうここまでなのか?

 

鏡子

 「バトルフェイズ!まずは(エアネード)で(フレイムウィングマン)を攻撃!ヒエラティックシュート!」

 

 神々しい龍の放つブレスに(フレイムウィングマン)は耐えきれずに破壊されてしまう。

 

十代 LP9000→8100

 

鏡子

 「まだだ!(グラファ)でダイレクトアタック!暗黒の吐息!」

 

十代

 「トラップ発動!(ヒーロー見参)!俺の手札を選び、それがモンスターなら特殊召喚される!」

 

鏡子

 「左端だ!」

 

 よし!まだ可能性はあるかもしれない!

 

十代

 「選ばれたのは(ハネクリボー)!頼むぜ相棒!」

 

十代 手札6→5

 

鏡子

 「攻撃の巻き直しにより(グラファ)で(ハネクリボー)を攻撃!暗黒の吐息!」

 

 真っ黒なブレスが(ハネクリボー)を飲み込み破壊した。

 

十代

 「破壊された(ハネクリボー)の効果発動!このカードが破壊された場合に発動!このターンに受ける俺への戦闘ダメージは0になる!」

 

鏡子

 「関係ない!(暗黒界の洗脳)の効果発動!攻撃した(グラファ)を手札に戻し、その効果は手札をランダムに捨てるとなる!」

 

 嘘だろ!?墓地の効果にも対応しているのか!

 

鏡子

 「捨てられたのは……(墓穴の道連れ)!捨てられた時の効果はない」

 

 よかった……とにかくLPは残りそうだ。

 

鏡子 手札10→11→10

 

鏡子

 「残りの(グラファ)でダイレクトアタック!暗黒の吐息ニレンダァ!」

 

十代

 「グアァァァ!」

 

十代 LP8100→2100

 

 あんなにあったLPがたった1ターンでこんなに削られるなんて。分かってはいたけど、これが暗黒界の本当の力か。

 

鏡子

 「メインフェイズ2、俺はカードを2枚セットして(ベージ)召喚。ターンエンド」

 

 

鏡子 LP3700 手札6 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

聖刻神龍エアネード 攻3000 素材1

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の尖兵ベージ 攻1900

 

便乗

暗黒界の洗脳

 

十代 LP2100 手札5 伏せ0

 

十代

 「どうして……どうして(超融合)なんてカードを作ろうとしたんだ……俺の仲間達を犠牲にしてまでこんな!」

 

鏡子

 「簡単だよ、暗黒界の繁栄の為だ。いやぁ苦労したんだぜ?お前らが闇のゲームとかで死なない様に手持ちの強力なカードを渡して、つまらない協力もしてさ。まぁお陰でこんなにも生贄が釣れたんだ。感謝するぜぇ?十代さんよぉ!」

 

 こんな……こんな事ってあるのかよ。今ままで信じてきた仲間の一人が裏切るなんて……

 

十代

 「くぅ!俺のターンドロー!」

 

 十代 手札5→6

 

十代

 「俺は(貪欲な壺)を発動!(フレイムウィングマン)、(シャイニングフレアウィングマン)、(ハネクリボー)、(ストームネオス)、(マグマネオス)をデッキに戻して2枚ドロー!そして(ミラクル·フュージョン)を発動!墓地の(クレイマン)と(スパークマン)を除外して融合!来い!(始祖竜ワイアーム)!」

 

 十代 手札6→5→7→6

 

十代

 「俺はお前の思い通りにはならない!俺は俺の仲間達の仇を取り、ヨハンを助けるんだ!俺はカードを2枚セットしてターンエンド!」

 

 融合召喚される(ワイアー厶)。これで時間を稼いで逆転を……

 

鏡子

 「フフフ……残念だが貴様はここで終わりだ!伏せカード発動!究極至高!その絶大なる力を解き放て!(超融合)発動!」

 

 (超融合)って速攻魔法なのか!だがどんなモンスターが出たところで、この(ワイアーム)には届かない!次のターンで巻き返して……

 

鏡子

 「このカードの発動にはチェーンを挟む事は出来ない。俺はコストで手札を1枚捨てて、自分と相手のフィールドで融合召喚を行う!」

 

 相手フィールドのモンスターと融合!?そんなカードありなのか!?

 

鏡介 手札6→5

 

鏡子

 「召喚条件はレベル7以上の暗黒界モンスター2体と闇属性モンスター2体!俺はレベル8の(グラファ)2体と闇属性の(ワイアーム)、(ベージ)を融合!二柱の黒き龍神よ、群青の飛竜よ、祖国を護る尖兵よ!今こそ大いなる渦で交わりて、新たな世界を生み出し給え!融合召喚!現われろ!我らが世界の創造主!(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

 鏡子が融合召喚をした瞬間。辺りが真っ暗な闇に包まれた。

 

 目を開けると、そこは何色なんて形容する事すら出来ない色で出来た紋様で埋め尽くされた世界が広がっていた。

 

十代

 「な、なんだ……これ……」

 

鏡子

 「これが……(カラレス)様か。まぁ何もない所に世界を作ったお方なんだ。本人が不定形なのも当然か」

 

 も、もしかしてこの空間そのものがモンスターなのか!?いや、そんなことより俺のフィールドがガラ空きに……俺の手札のモンスターは全部(洗脳)で効果を封じられて使えない。壁にしてもLPは簡単に消えてしまう。

 

鏡子

 「何故こんな目に合わなきゃないないんだ?といった目をしているな?理由は唯一つ。今までの仲間を放ったらかしにしてここに来たからだ。もし5人皆で固まって行動していたら、我々もそうそう手出しは出来なかったし、もしヨハンが死んでいても皆で脱出の手段を探せただろうに。たった1人の為に5人も犠牲にするなんて、これをアド損と言わずになんと言うか」

 

鏡子

 「あぁそうだ。死ぬ前に今は亡き佐藤先生の遺言を聞かせないとな。“力には大きな責任を伴う。力を持っていながら責任を果たさない十代は愚か者だ”……とさ」

 

 そうか……そういうことか……鏡子が残した手紙の意味を、ようやく理解できた。

 

 俺は今になるまで、俺に人を引き寄せる力があるのを知らなかった。もし俺がどこか違う世界に行って、そこに行ける手段があったら皆はどう動くなんて考えもしなかった。

  俺は……なんでこんな事にも気づかなかったんだ……

 

鏡子

 「さぁ!懺悔の用意は出来てるか!ターンを回せ!トドメを刺してやる!」

 

 手を組み、懺悔をしたら皆は許してくれるだろうかと考えていると1つの光弾が飛び込んで来て、天使が光の天馬に乗って舞い降りた。



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29.光の道と混沌王

ちなみに私の中での(カラレス)のイメージは、mother2のギーク第2形態以降のイメージです。


 

 

 (グラゴニス)さんに必死に掴まっていると、何やら不気味な空間を見つけました。

 

ライコウ

 『あそこがブロンがいる砦の場所だ。あの不気味な空間は、おそらく暗黒界が作り出した結界か何かだろう。(グラゴニス)のブレスで穴を開けて突入するぞ!』

 

透子

 「了解!お願いします!(グラゴニス)さん!」

 

 (グラゴニス)さんは大きく頷いて、急降下しながら光のブレスを放ちました。

 しかし、放たれたブレスは空間をすり抜けて中へと入っていきました。

 

 ちょっと!?ブレーキ!ブレーキ!このままだとぶつかってしまいます!

 

ライコウ

 『(グラゴニス)は急旋回出来ない!突っ込むから衝撃に備えろ!』

 

 ちょっと待って下さい!(グラゴニス)さんにシートベルト付いてないんですけど!?どうやって衝撃に備えるんですか!

 

 なんの策を打つことも出来ずに私達は不気味な空間に突入し、形容出来ない色をした世界に足をつけました。

 

鏡子

 「来たかライトロード!」

 

十代

 「透子……来てくれたのか!」

 

 場には疲労困憊の十代さんと黒いローブを身に着けた鏡子。あ〜なるほど、完璧に理解できました。鏡子と十代がデュエルしていて、どうやら鏡子はあの不気味な永続トラップによって洗脳されているといったところでしょうか。

 

透子

 「鏡子。私は貴方をライトロードの皆さんと十代さんと共に裁いて見せます。バトルロイヤルルールで私も参加します」

 

鏡子

 「良いだろう。十代のターンはもう終わりだから、すぐに透子のターンだ」

 

鏡子 LP3700 手札5 伏せ1

フィールド(暗黒界の門)

聖刻神龍エアネード 攻3000 素材1

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200→3500

 

便乗

暗黒界の洗脳

 

十代 LP2100 手札6 伏せ2

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

十代

 「気をつけろ透子。あの(洗脳)のカードはモンスター効果を封じる。魔法か罠で除去しないと突破出来ない」

 

 え?それ私のデッキには大分刺さってますよ?(マクロコスモス)程ではありませんが……とにかく展開出来るだけやってみましょう。

 

透子

 「私は(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ライトロード·パラディンジェイン)さんを墓地へ送って2枚ドローして2枚墓地へ!

 

鏡子

 「(便乗)で2枚ドロー」

 

透子 手札6→5→4→6

鏡子 手札5→7

 

 墓地へ送られたのは……(サウザンドブレード)と(ルミナス)さん。(神域)で回収しておきましょう。

 

透子

「(ライトロードの神域)を発動!効果を発動して、手札の(ライトロード·スピリットシャイア)さんを捨てて(ルミナス)さんを手札に加えます」

 

透子 手札6→5→4→5

 

 ドローしたカードの中に、なんとなくで入れた鏡子メタのカードが来ました。もしかしたら、もしかするかもしれません。

 

透子

 「私はモンスターをセット。カードを3枚セットしてターンエンドです」

 

透子 LP4000 手札1 伏せ3

 

セットモンスター

 

ライトロードの神域

 

鏡子 LP3700 手札7 伏せ1

フィールド(暗黒界の門)

聖刻神龍エネアード 攻3000 素材1

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200→3500

 

便乗

暗黒界の洗脳

 

十代 LP2100 手札6 伏せ2

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札7→8

 

鏡子

 「まずは露払いだ。(エネアード)の効果発動!素材の(サンダーバード)を取り除き、効果で手札を3枚リリースして3枚選んで破壊!」

 

透子

 「させません!トラップ発動(迷い風)!これで(エネアード)の効果は無効になり打点も半分になります!」

 

聖刻神龍エネアード 攻3000→1500

 

鏡子

 「伏せ使わせたから良しとしよう。(暗黒界の混沌王カラレス)の効果発動!1ターンに1度メインフェイズに発動出来る。お互いのプレイヤーは墓地又は表側表示で除外されているカードを任意の枚数デッキに戻し、戻したカード5枚につき1枚ドローして、その後ドローした枚数分手札を選んで捨てる!俺は墓地の18枚と除外された3枚をデッキに戻す!そして4枚ドローして4枚捨てる!」

 

十代

 「俺は墓地のカード26枚と除外されている2枚を戻して5枚ドローして5枚捨てる!」

 

透子

 「私は(ソーラー·エクスチェンジ)だけ戻します」

 

鏡子

 「(便乗)で2枚ドロー。そして捨てられた(シルバ)、(ケルト)、(ブラウ)、(グラファ)の効果発動!(グラファ)で十代のセットカードを破壊!(ブラウ)で1枚ドロー!墓地から蘇れ!(シルバ)、(ケルト)!」

 

十代

 「チェーンしてトラップ発動!(威嚇する咆哮)!相手は攻撃宣言を行えない!」

 

 どこからか現れた(暗黒のマンティコア)が黒い瘴気に咽ながら甲高い叫びを上げました。それを合図にするかの様に、2体の暗黒界モンスターが無から現れました。

 

鏡子 手札8→12→8→10→11

 

十代 手札6→11→6

 

透子 手札1

 

鏡子

 「フィールドの(門)の効果発動!墓地の(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!そして(ベージ)と(シルバ)、(ケルト)3体を戻して(グラファ)3体蘇生!」

 

鏡子 手札11→10→11→14

 

透子

 「鏡子!これが私の必殺カードです!トラップ発動(大暴落)!相手の手札が8枚以上の時に発動出来、相手は手札を全てデッキに戻して2枚ドロー!」

 

鏡子

 「お、お前なんてカードをぉ!」

 

鏡子 手札14→0→2

 

透子

 「アッハハハハ!14枚が2枚に!ディスアドォ!暗黒界は手札が多くないとまともな展開は出来ません!ターンエンドをしてください!」

 

 我ながらテンションが少しおかしくなってしまいました。でも仕方ないと思います。3∶15交換が決まって気持ちよくならない訳がありませんから。

 

鏡子

 「……まだだ!まだ終わらない!(生還の宝札)を発動して(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!(便乗)が2回発動して4枚ドロー!捨てられたのは(カーキ)!透子のセットモンスターを破壊!」

 

鏡子 手札2→1→0→1→0→4

透子 手札1→0→1

十代 手札6→7→6

 

 そして墓地から寸胴な刺客が飛び出して、セットモンスターだった(ライコウ)さんは破壊されました。

 

鏡子

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!手札を選べ透子!」

 

透子

 「真ん中です!」

 

鏡子

 「選ばれたのは……(サンダーバード)!捨てられて効果発動!このカードは捨てられた時に、相手のセットカードを対象にとって割ることが出来る!同名ターン1付いてるけどな」

 

(サンダーバード)にそんな効果が!いえ、(ビッグフット)にも似たような効果がついてたのでこれが未界域の特徴なのでしょうか。

 

 フィールドに無数の雷が降り注ぎ、十代さんのセットカード(ミラーフォース)が破壊されてしまいました。

 

鏡子 手札4→3

 

鏡子

 「(神秘の中華なべ)を発動!(グラファ)をリリースして3000回復!」

 

鏡子 LP3700→6700

 

鏡子 手札3→2

 

鏡子

 「(未界域のビッグフット)の効果発動!選べ透子!」

 

透子

 「……左です!」

 

鏡子

 「よし!捨てられたのは(ラチナ)!(ラチナ)捨てて(ビッグフット)特殊召喚1枚ドロー!(ラチナ)は自己蘇生!(宝札)でドロー!戻して(グラファ)!1枚ドロー!」

 

 

鏡子 手札2→1→0→1→2→3

 

 レベル8が3体……きますね。

 

鏡子

 「俺は(グラファ)と(ビッグフット)でオーバーレイ!エクシーズ召喚(神竜騎士フェルグラント)!」

 

透子

 「ここで墓地の(迷い風)の効果発動!相手がエクストラデッキからモンスターを特殊召喚した時、このカードをセット出来ます!」

 

鏡子

 「……まぁこのターン発動出来ないから関係ないな。(フェルグラント)の効果発動!素材である(グラファ)きって自身に完全耐性を付与する!」

 

 薄い膜が貼られる騎士。(グラファ)を墓地に送って再利用する為ですね。

 

鏡子

 「(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(ズール)除外!そして(門)を張り替え効果発動!墓地の2枚目の(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ラチナ)は自己蘇生!(宝札)でドロー!戻して(グラファ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札3→2→4→3→2→1→2→3→4

 

鏡子

 「(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てるそして(便乗)で4枚ドロー!捨てられたのは(スノウ)!(シルバ)を手札に!」

 

 ま、またですか。1枚で4枚ドローは頭がおかしいです。

 

鏡子 手札4→3→4→3→7→8

 

透子 手札1→0→1

 

十代 手札6→7→6

 

鏡子

 「(エネアード)をリリースして(シルバ)をアドバンス召喚!戻して(グラファ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札8→7→8

 

鏡子

 「ちっ……バトルフェイズは行えないから……俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

鏡子 LP6700 手札6 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の混沌王カラレス 攻3500

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

暗黒界の洗脳

便乗

生還の宝札

 

十代 LP2100 手札6 伏せ0

 

透子 LP4000 手札1 伏せ1

 

ライトロードの神域

 

 (大暴落)喰らわせたのにもう手札が6枚に……本当に(生還の宝札)と(便乗)が強いですね。

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札6→7

 

十代

 「俺は(大嵐)を発動!これで魔法罠カードを全て破壊する!」

 

鏡子

 「通したら終わる!カウンタートラップ発動!(魔宮の賄賂)!魔法罠の効果を無効にして相手は1枚ドロー!そして(便乗)でドロー!」

 

 十代さんの前に現れた強烈な嵐に、御代官様は小判を投げつけて掻き消しました。その小判ってどんな素材で出来ているのでしょうか?

 

十代 手札7→6→7

 

鏡子 手札6→8

 

十代

 「俺は速攻魔法発動!(サイクロン)!これで(洗脳)を破壊だ!」

 

 ここで(サイクロン)!?やっぱり十代さんの引き運は凄まじいです。

 

十代 手札7→6

 

 突風が鏡子を襲い、(洗脳)のカードを破壊しました。これでモンスター効果が使えます!

 

十代

 「さぁ、(洗脳)は破壊した!こっちに戻って来るんだ!鏡子!」

 

鏡子

 「俺は……俺は……!」

 

 涙で頬を濡らして頭を抱えて呻く鏡子。これでデュエルが終わり……

 

鏡子

 「俺は暗黒界の為に悪魔にもなるって決めたんだよぉ!見せてやる!これが俺のお前らへの決別の証だ!(ベージ)!例のアレをもってこい!」

 

 鏡子が荒々しく言うと、(ベージ)が2人がかりで大分弱っているヨハンさんを抱えてきました。

 

十代

 「ヨハン!生きていてくれたんだな!鏡子お前!ヨハンに何をする気だ!」

 

鏡子

 「ヨハンはあの収容所から持ってきた!けっこうピンチだったんだぜ?あと十数秒移動が遅れてれば(裁きの龍)のブレスで塵も残らず消し飛んでたんだからな!まぁそんな事はどうでもいい!お前らには特等席で見せてやるよぉ!俺自身の手で行われるヨハンの公開処刑をよぉ!」

 

 こ、公開処刑!?鏡子あなたどれだけ罪を重ねようとしてるのか分かってますか!?

 

 唖然としていると、ヨハンさんが一瞬だけ(ベージ)の拘束から逃れて1枚のカードを十代さんへ投げました。

 

ヨハン

 「十代!このカードを君に託す!だからこの狂った鏡子を止めるんだ!」

 

鏡子

 「遺言は済まさせたか!喰らえ!マインド·クラッシュ!」

 

 鏡子の指先から放たれた閃光は後ろからヨハンさんの頭を貫き、ヨハンさんは小さく呻いて力なく倒れ伏しました。

 

鏡子

 「ハ……ハハハ……やってやったぞ。(ベージ)。その死体は研究所へ持っていけ……デュエリストの死体は……ッス……まだ使い道が多いからな」

 

 鏡子の目の端からは、涙の線が走っていました。これは洗脳なんかじゃない……鏡子自身の意志でやったのでしょう。まさかここまで外道に堕ちるとは思いませんでした。

 

十代

 「許さない……友を生贄にし生まれた悪魔を……目の前でヨハンを弄び殺したお前を……生か゛し゛て゛お゛く゛か゛ぁ゛!」

 

 十代さんの目が突然黄色く染まりました。まるで別の人格に乗っ取られでもしたような変わりようです。

 

十代

 「鏡子!お前のくれたカードでお前を倒す!(ネオスペース·コネクター)を召喚!効果発動!手札·デッキからネオスペーシアンか(ネオス)を特殊召喚する!来い!(ネオス)!」

 

 出てきたのは、小さなネオスとでも言うべきモンスター。そのモンスターが電波を発信し、(ネオス)を呼び出しました。

 

十代 手札5→4

 

十代

 「更に(コネクター)の効果発動!このカードをリリースして墓地のネオスペーシアンか(ネオス)を蘇生出来る!来い!(エア·ハミングバード)!」

 

 (コネクター)がフィールドから消えると、(コネクター)のいた場所に、鳥人間が立っていました。

 

 (エア·ハミングバード)……取引で落としていたのですね。

 

十代

 「(ネオス)、(エア·ハミングバード)!コンタクト融合!来い!(エアーネオス)!」

 

鏡子

 「そいつの攻撃を通すと負けるから(フェルグラント)の効果発動!素材をきって(エアーネオス)に完全耐性を付与する代わりに効果を無効にする!(コンタクト·アウト)も使えないぞ!」

 

 宇宙で交わり、羽毛で身を包んだ(ネオス)は薄い膜に覆われました。(エアーネオス)ってどんな効果でしたっけ?

 

十代

 「まだだ!(融合)発動!手札の(ワイルドマン)と(エッジマン)で融合!来い!(E·HEROワイルドジャギーマン)!そして(摩天楼−スカイスクレイパー−)発動!」

 

 不気味な門は砕け、相変わらず不気味な紋様に満ちた空にも届きそうなビルが次々と伸びていきます。そして、その中で1番高いビルの上には筋骨隆々で左腕と右脚に金の装甲を装着した戦士が立っていました。

 

十代 手札4→3→1→0

 

十代

 「(ワイルドジャギーマン)はモンスターに1回ずつ攻撃出来る!バトルだ!グラファ1体目に攻撃!インフィニティ・エッジ・スライサー!」

 

 えっ?(ワイルドジャギーマン)の攻撃力は2600。(グラファ)の素の打点は2700で破壊されますよ?

 

十代

 「ここで(スカイスクレイパー)の効果発動!相手より攻撃力が低いE·HEROモンスターが攻撃する時、その攻撃力はダメージ計算時のみ1000ポイントアップする!インフィニティ·エッジ·スクレイパー!」

 

 ビルを縦横無尽に駆け巡る(ワイルドジャギーマン)。ギザギザした長剣を一気に振り下ろし、(グラファ)を破壊して見せました。

 

十代

 「(ワイルドジャギーマン)の攻撃はまだ終わらない!行け!皆の仇を取ってやれ!」

 

 機敏に動き回り、次々に鏡子のフィールドのモンスターを破壊していく(ワイルドジャギーマン)。そして遂に、1番高いビルの頂上から飛び上がり、謎の空間を破壊して見せました。

 

鏡子 LP 6700→5800→4900→3800→3000→2600

 

鏡子

 「やってくれるじゃねぇか!相手によって墓地へ送られた(カラレス)の効果発動!相手によってフィールドから離れた場合に(手札抹殺)する!(カラレス)様はこの世界を作ったお方だ!死してなお我らに希望を遺して下さるのだ!」

 

 不気味な世界が消える間際に激しく世界が胎動し、瞬く間に手札が変わっていました。

 

鏡子 手札8→0→8

 

透子 手札1→0→1

 

鏡子

 「(便乗)で2枚ドロー!捨てられた(カーキ)、(セルリ)、(シルバ)、(ベージ)、(ラチナ)、(グリン)の効果発動!(グリン)で透子のセットカードを破壊!(セルリ)以外を守備表示で蘇生!(セルリ)は十代のフィールドに特殊召喚され、(カーキ)の効果で(ワイルドジャギーマン)を破壊!」

 

 墓地から湧いてくる暗黒界達。墓地から大量に現れた(ズール)が私の(迷い風)を破壊し、十代さんのフィールドに小柄で杖を持った悪魔が現れ、墓地から飛び出してきた刺客に裂かれた(ワイルドジャギーマン)は悶え苦しみながら破壊されました。

 

鏡子 手札8→10

 

鏡子

 「そして(セルリ)の効果で俺は手札を1枚選んで捨てる。捨てられたのは2枚目の(ケルト)!効果発動!特殊召喚して、相手によって捨てられたのでデッキから(ゴルド)を特殊召喚!」

 

鏡子 手札4→8→7

 

 

 

フィールド

暗黒界の軍神シルバ 守1400

暗黒界の尖兵ベージ 守1300

暗黒界の鬼神ケルト 守0

暗黒界の武神ゴルド 守1400

暗黒界の闘神ラチナ 守2400

 

十代

 「クッソォ!俺は(エアーネオス)で(ケルト)を攻撃!ターンエンドだ!本来(エアーネオス)はターン終了時にエクストラデッキに戻るが効果が無効になっているから戻らない」

 

十代 LP2100 手札1 伏せ0

フィールド(摩天楼−スカイスクレイパー−)

 

E·HEROエアーネオス 攻2500

暗黒界の導師セルリ 守100

 

透子 LP4000 手札1 伏せ0

 

鏡子 LP2600 手札7 伏せ0

 

暗黒界の軍神シルバ 守1400

暗黒界の尖兵ベージ 守1300

暗黒界の武神ゴルド 守1400

暗黒界の闘神ラチナ 守2400

 

生還の宝札

便乗

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札1→2

 

透子

 「私は(おろかな埋葬)を発動!デッキから(EM·トリッククラウン)を墓地へ送り効果発動!墓地へ送られた場合に墓地から特殊召喚して1000ダメージを受ける!そしてダメージを受けた事で(H·Cサウザンドブレード)の効果が発動して自己蘇生!これが、クラウンブレードです!」

 

 透子 手札2→1 LP4000→3000

 

透子

 「私はレベル4の(トリッククラウン)と(サウザンドブレード)でオーバーレイ!エクシーズ召喚!私達を勝利に導いて!ランク4!(ライトロード·セイントミネルバ)!そして効果発動!(サウザンドブレード)を墓地へ送り、3枚墓地へ送ります。そしてその中にライトロードカードがある場合にその枚数分だけドロー!」

 

 送られたのは(フェリス)さん、(ライニャン)さん、(ライラ)さん。落ちが凄いです。

 

透子

 「3枚落ちたので3枚ドロー!そしてカードの効果で墓地へ送られた(フェリス)さんの効果発動!墓地から特殊召喚!」

 

鏡子

 「(便乗)でドロー」

 

透子 手札1→4

 

鏡子 手札7→9

 

透子

 「(光の援軍)を発動!コストで3枚墓地へ送り(ルミナス)さんを手札へ!」

 

透子 手札4→3→4

 

 墓地へ送られたのは……(ウォルフ)さん、(ケルビム)、(グラゴニス)さん。これ(カオスルーラー)立てられますね。

 

透子

 「墓地へ送られた(ウォルフ)さんの効果で自己蘇生して、(ルミナス)さんを守備表示で召喚。手札の(ガロス)さんを捨てて効果を発動!(ライラ)さんを蘇生!効果発動!守備表示にして(宝札)を破壊します!」

 

透子 手札4→3→2

 

鏡子

 「(宝札)が破壊されたか……まぁこれだけアド取れれば十分だ」

 

透子

 「私レベル4の(ウォルフ)さんとレベル4の(フェリス)さんでチューニング!光と闇が交わりし時、混沌の脅威が舞い降りる!シンクロ召喚!来て!混沌の支配者!(混沌魔龍カオス·ルーラー)!そして効果発動!デッキから5枚を捲り、その中から光か闇のモンスターを加えて、残りを墓地へ送ります!」

 

捲られたカード

死者転生

ライトロード·ドルイドオルクス

グローアップ·バルブ

BF·精鋭のゼピュロス

ライトロード·パラディンジェイン

 

透子

 「私は(ジェイン)さんを加えて残りは墓地へ送ります!」

 

 う〜ん。鏡子の墓地には(グラファ)が3体。これを放置してはまた湧いて来ます……ん?そういえば、私のエクストラデッキには墓地のカードを除外するモンスターがいましたね。レベルも合わせられますし、やりますか。

 

透子 手札2→3

 

透子

 「墓地の(グローアップ·バルブ)の効果発動!デュエル中に1度、デッキトップを墓地へ送り自己蘇生します!」

 

 墓地へ送られたのは……2枚目の(ルミナス)さん。そして地面から1つ目の球根が生えてきました。

 

透子

 「私は(ゼピュロス)の効果発動!(ルミナス)さんをバウンスして自己蘇生して400のダメージを受けます。私はレベル4の(ガロス)さんとレベル4の(ゼピュロス)、そしてレベル1の(グローアップ·バルブ)をチューニング!」

 

透子 LP3000→2600 手札3→4

 

 私がそう言い放った瞬間。私の周りの空気が、真冬の夜ぐらいまで一気に冷え込みました。

 

 何……この冷たい空気。シンクロ召喚を宣言した以上、止めることは出来ません。

 

透子

 「封印されし氷龍よ……今こそその封印解き放ち、絶対零度の吐息を以て時すらも凍らせよ!シンクロ召喚!レベル9!(氷結界の龍トリシューラ)ァ!」

 

 光の輪から現れたのは、三つの首を持ち、氷の様な甲殻で身を包んだドラゴン。

 私のフィールドに降り立った瞬間、私のフィールドが霜に包まれ始めました。

 

ファルコン

 「ト、トト(トリシューラ)!?なんで(トリシューラ)が出てくるんですか!?」

 

透子

 「え?そんなに危険なカードなんですか?」

 

 私の隣で慌てている(ファルコン)さん。確かに恐ろしい力を持っているカードですがそこまで慌てるものでしょう?

 

ファルコン

 「危険も何も、僕達の世界では世界を滅ぼしかけたモンスターですよ!?今は氷結界の人達が厳重な封印を幾重にもかけて封印している筈なのに!」

 

鏡子

 「(トリシューラ)来ちまったか……これはちょっと不味いかもな」

 

 世界を滅ぼしかけたカード!?……ハッ!早く効果を発動しないと!タイミングを逃してしまいます!

 

透子

 「(トリシューラ)の効果発動!シンクロ召喚に成功した時、相手のフィールド、手札、墓地のカードを1枚ずつ選んで除外します!私は手札の1番右のカードと、フィールドの(シルバ)、墓地の(グラファ)を除外!フラッシュ·フリーズ!」

 

 (トリシューラ)から放たれる猛烈な冷気が(シルバ)を、墓地の(グラファ)を、そして鏡子の手札を1枚を凍結させ……バラバラに砕きました。

 その演出だと全部凍らせてしまいそうなんですけどね。

 

透子

 「バトルです!(トリシューラ)で(ゴルド)に攻撃!アブソリュートフリーズ!」

 

 三つ首から氷のブレスが放たれ、(ゴルド)は氷像に変えられ粉々に砕けました。

 

透子

 「続いて(カオスルーラー)で(ラチナ)を、(ミネルバ)さんで(ベージ)を攻撃!」

 

 黒い龍の光弾が、(ミネルバ)さんの放つ魔法が次々と暗黒界のモンスターを打ち倒しました。

 

透子

 「私はこれでターンエンド!さぁ鏡子!次のターンに裁きを下して見せます!」 

 

十代

 「エンドフェイズに(エアーネオス)はEXデッキに戻る」

 

透子 LP2600 手札4 伏せ0

 

混沌魔龍カオスルーラー 攻3000

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000

氷結界の龍トリシューラ 攻2700

 

十代 LP2100 手札0 伏せ0

フィールド(摩天楼−スカイスクレイパー−)

 

暗黒界の導師セルリ 守100

 

鏡子 LP2600 手札9 伏せ0

 

暗黒界の闘神ラチナ 守2400

 

便乗

 

鏡子

 「俺は……諦めない!俺は暗黒界が滅ぶ姿なんて見たくない!俺は掴む!暗黒界との新たな未来を!俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札9→10

 

鏡子

 「俺が引いたのは(貪欲な壺)!そのまま発動!墓地の(ゴルド)、(ビッグフット)、(ケルト)、(フェルグラント)、(エネアード)、(カラレス)を戻して2枚ドロー!」

 

鏡子 手札10→9→11

 

鏡子

 「(暗黒界の門)を発動!効果発動して、墓地の(ベージ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられたのは2枚目の(ゴルド)!蘇生して(ゴルド)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札11→10→9→10→11

 

鏡子

 「俺はエクストラデッキの(スターダスト·ドラゴン)を除外して、(sin·スターダスト·ドラゴン)を特殊召喚!こいつはフィールド魔法がないと自壊するレベル8のモンスターだ!俺は(グラファ)と(sinスタダ)でオーバーレイ!現われろランク8!古代技術の結合魔神!(宵星の機神ディンギルス)!」

 

 鏡子の遥か後方に出てきたのは、モノアイな機械仕掛けの騎士。相当後ろにいるのに大きさが普通のモンスターと同じぐらいに見えることから、その大きさがわかります。

 

鏡子 手札11→10

 

鏡子

 「(ディンギルス)の効果発動!特殊召喚に成功した場合に2つの効果があるが、今回は相手フィールドのカードを選んで墓地へ送る効果を適応する!失われし古代の力に屈するがいい!(ミネルバ)!」

 

 機械の騎士が青いモノアイを光らせると、(ミネルバ)さんが光となって消滅してしまいました。

 

鏡子

 「(ミネルバ)の破壊効果は自身が戦闘か効果で破壊されないと発動出来ない!つまり、墓地へ送ればその効果を封じ込めるって訳だ!」

 

 なんで最近手に入れた(ミネルバ)さんの効果を知っているんですか!(ミネルバ)さんは無事なのでしょうか……

 

ミネルバ

 『私は大丈夫です。特に痛みもありませんでしたし……それよりも魔力の貯蓄が持つかどうか……』

 

 えっ!?もう魔力が足りなくなってるんですか!?早すぎますよ!

 

鏡子

 「(天使の施し)発動!3枚ドローして2枚捨てる!捨てたのは(カーキ)と(ラチナ)!(ラチナ)は自己蘇生して(カーキ)は(ディンギルス)を破壊!」

 

 墓地から湧き出る刺客は瞬時にワープして機械の騎士のうなじに斬りかかりますが、あまり効き目がなさそうです。

 

鏡子 手札10→9→12→9

 

鏡子

 「(ディンギルス)はフィールドのカードが戦闘効果で破壊される場合に自身の素材を墓地へ送れば破壊を免れる事が出来る。よって俺は(グラファ)を墓地へ!そして(ラチナ)戻して(グラファ)!」

 

 その為に(カーキ)で破壊したのですか!

 

鏡子 手札9→10

 

鏡子

 「墓地の(ゼピュロス)の効果発動!(門)バウンスして自己蘇生して400ダメージ!」

 

鏡子 LP2600→2200 手札10→11

 

鏡子

 「(門)を発動!効果を発動して墓地の(カーキ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられたのは(ラチナ)!自己蘇生して戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札11→10→9→10→11

 

鏡子

 「(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(レンジ)を除外!透子!括目しろ、究極の融合を!コストで1枚を捨てて(超融合)発動!俺は(グラファ)2体と(ゼピュロス)、透子の(カオスルーラー)で融合!二柱の黒き龍神よ!黒き翼よ!混沌なる黒よ!今こそ1つに交わりて、新たな世界を生み出し給え!融合召喚!二度現われよ!我らが世界の創造主!(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

 相手を巻き込む融合があるのかと驚く間もなく押しつぶされそうな濃い黒に飲み込まれると、そこは極めて不気味な空間が広がっていました。

 

鏡子 手札11→10→12→11→10

 

鏡子

 「(カラレス)の効果発動!1ターンに1度お互いのプレイヤーは墓地又は表側表示で除外されているカードを任意の枚数戻して、5枚につき1枚ドローしてドローした分捨てる!俺は墓地の25枚と除外されている10枚をデッキに戻して、7枚ドローして7枚捨てる!この効果に対して相手はカードの効果をチェーン出来ない!」

 

ファルコン

 「墓地のカードを再利用しながら7枚もドロー!?インチキ効果もいい加減にして下さい!」

 

十代

 「俺は墓地の10枚を戻して2枚ドローして2枚捨てる!」

 

透子

 「私は……墓地の8枚と除外されている(迷い風)を戻して1枚ドローして1枚捨てます」

 

鏡子 手札10→17→10

 

透子 手札3→4→3

 

十代 手札1→3→1

 

 

鏡子

 「(便乗)で4枚ドロー!捨てられた(ベージ)、(ラチナ)、(スノウ)2枚、(グラファ)、(セルリ)、(ブラウ)の効果発動!1枚ドローして、(セルリ)を十代のフィールドに特殊召喚、(グラファ)で元々いた(セルリ)を破壊、(スノウ)2枚で(シルバ)と(取引)をサーチ。(ラチナ)と(ベージ)は蘇生!」

 

 不気味な世界からヌルリと湧いてくる暗黒界のモンスター。そして吹き出す瘴気によって破壊される(セルリ)。

 

鏡子 手札10→14→15→17

 

鏡子

 「(セルリ)の効果発動!俺は手札を1枚捨てる!俺が捨てたのは(ゴルド)!特殊召喚して、追加で俺は(トリシューラ)と(セルリ)を破壊!」

 

 墓地から飛び出した(ゴルド)は巨大な斧を振るい、氷の龍と小柄な魔道士を粉砕しました。

 世界を滅ぼせる龍を一撃で破壊出来る(ゴルド)の斧強すぎませんか?もしかして(トリシューラ)って大したことないんじゃ……

 

鏡子 手札17→16

 

鏡子

 「俺は(ベージ)と(ラチナ)、(ゴルド)を戻す!舞い戻れ!(グラファ)!」

 

鏡子  手札16→19

 

鏡子フィールド

(暗黒界の門)

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200→3500

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

宵星の機神ディンギルス 攻2600 素材1

 

十代

 「クッソォ!ぶっ倒しても!ぶっ倒しても!まだ湧いてくるのか!」

 

ファルコン

 「合計攻撃力……15100!?このままじゃ二人ともワンキルですよぉ!?」

 

鏡子

 「これが俺達暗黒界の力だ!バトルフェイズ!(ディンギルス)で透子にダイレクトアタック!スパイラルシェイバー!」

 

 それ(暗黒騎士ガイア)の攻撃名ですよね!?

 

透子

 「通しません!墓地の(超電磁タートル)を除外して効果発動!バトルフェイズを強制終了させます!」

 

 墓地から放たれる強烈な磁気により、攻撃が放たれずにフィールドが静かになりました。

 

鏡子

 「凌がれたか。俺はカードを4枚セットしてターンエンド。手札制限で9枚捨てる」

 

 手札を9枚捨てるとか聞いたことが無いんですけど……

 

鏡子 LP2600 手札6 伏せ5

フィールド(暗黒界の門)

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200→3500

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

宵星の機神ディンギルス 攻2600

 

便乗

 

十代 LP2100 手札0 伏せ0

 

透子 LP2600 手札3 伏せ0

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札0→1

 

十代

 「ヨハン!俺に力を貸してくれ!俺は(ネオス·フュージョン)を発動!デッキの(ネオス)と(究極宝玉神レインボー·ドラゴン)で融合!現れろ!(レインボー·ネオス)!」

 

 宇宙が突然輝き、降りてきたのは(ケルビム)さんよりもずっと大きな翼を持ったヒーロー。

 

十代 手札1→0

 

ファルコン

 「攻撃力……4500!?」

 

鏡子

 「(レインボー·ネオス)か!だが(カラレス)を潰したとて俺は負けないし、(レインボー·ネオス)のモンスターバウンス効果を使えばお前のフィールドは空になる!」

 

 なんで目にしたばかりの(レインボー·ネオス)の効果を知ってるんですか!?

 

十代

 「関係ない!俺はお前が死ねばそれでいい!俺は(レインボー·ネオス)の効果発動!(レインボー·ネオス)自身を墓地へ送り、鏡子のモンスターを全てデッキに戻す!ビヨンド·ザ·レインボーホール!」

 

 (レインボー·ネオス)が強烈な光を放つと、そこには不気味な世界はなく、鏡子のフィールドには何も残っていませんでした。

 

鏡子

 「迷わずモンスターバウンスを仕掛けてくるか。(カラレス)はデッキに戻ったら効果は使えない!」

 

十代

 「俺はこれでターンエンド!透子!決着を着けろ!」

 

十代 LP2100 手札0 伏せ0

 

鏡子 LP600 手札7 伏せ5

 

透子 LP2600 手札3 伏せ0

 

 鏡子は手札も伏せも潤沢。ここでやらなければ私達がやられます!

 

透子 

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札3→4

 

鏡子

 「トラップ発動!(マインド·クラッシュ)!俺は(グローアップ·バルブ)を宣言!」

 

 放たれる閃光は私の手札を貫きましたが、手札が落ちることはありませんでした。

 

鏡子

 「外れたので手札をランダムに捨てる!捨てられたのは(ラチナ)!守備表示で特殊召喚!」

 

 なるほど。壁を作るためですか。 

 

透子

 「私は(光の援軍)を発動!3枚墓地へ送って(ルミナス)さんを加えます!」

 

送られたのは、(ウォルフ)さん、(ゾンビキャリアー)、(エイリン)さん。

 

透子

「(ウォルフ)さんを特殊召喚!(ルミナス)さんを召喚して効果発動!手札の(ガロス)さんを捨てて(ルミナス)さんを蘇生!更に手札の(シャイア)さんを捨てて(ルミナス)さんを蘇生!更に(ルミナス)さんの効果で手札を捨てて(ライデン)さんを特殊召喚!」

 

透子 手札4→3→4→3→2→1→0

 

透子

 「私はレベル3の(ルミナス)さん2人でオーバーレイ!来て!地獄の旅人!ランク3(彼岸の旅人ダンテ)!効果発動!(ルミナス)さんを墓地へ送り、3枚墓地へ送って発動!送ったカードの枚数×500攻撃力を上げます!」

 

 落ちは……芳しくありませんね。まぁここまで送れば大丈夫ですね。後は手札があれが……

 

透子

 「私は(ライデン)さんと(ウォルフ)さんでオーバーレイ!来て!(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!(ライデン)さんを墓地へ送り、3枚墓地へ!送られたのはライトロードカード3枚!3枚ドロー!」

 

 来ました!これでワンショットです!

 

透子

 「墓地にライトロードモンスターが4種類ある時、このカードは手札から特殊召喚出来る!光の使者が集いし時、白き巨龍が全てを裁く!飛来せよ(裁きの龍)!」

 

 空から光と共に降り立ったライトロードの切り札。重厚な咆哮が暗黒世界中に轟きます。

 

透子

 「まだです!墓地にモンスターが10体以上いる時手札から特殊召喚できる!無は無限となり無限の光から生まれる究極の天使!(究極時械神セフィロン)!!」

 

 光と共に降り立つのは中央におじさんの顔が鎮座する巨大な天使。これでも攻撃力が4000なんですよね。

 

透子

 「バトルです!まずは(ダンテ)で(ラチナ)を攻撃!攻撃力は2500です!」

 

 (ダンテ)の巧みなナイフ術を捌ききれずに(ラチナ)は切り刻まれました。

 

透子

 「さぁ!裁きの時間です!(裁きの龍)!(セフィロン)!ダイレクトアタック!ジャッチメントフレア!アカシックストーム!」

 

  放たれる膨大な光。それを見た鏡子は上に何かを投げて、何かを言った様な気がしましたが聞こえませんでした。

 

鏡子 LP2600→-400→-4400

 

 

 

 

鏡子

 「うっ……ぐぉ……」

 

 呻き、力なくふらつく鏡子。俺は……仇は取ったんだ。

 

ブラウ

 「主!」

 

 倒れる直前に(ブラウ)に抱きかかえられて、観客席の暗黒界と共にどこかへと走り去っていった。

 

透子

 「待ちなさい!鏡子!クッ……ライトロードの皆さんと繋がらない!とにかく追いかけますよファルコンさん!」

 

ファルコン

 「わ、分かりました!」

 

 それに続く透子。闘技場の中には、俺だけが立っていた。

 

十代

 「俺が……俺が全部悪かったんだ!」

 

 俺はただ(ヨハン)を助けたかった。大切な、とても大切な仲間を助けたかった。

 

 だが、俺はヨハンを助けようとするあまり、今まで大切に思っていた仲間の事を忘れてしまった。

 それを教えてくれたのは、俺達を騙すために来ていた鏡子だった。そして仲間達を生贄にされるという、余りにも高い代償を払う事になった。

 

 力ある者には責任が伴う。それに気付けなかったばかりに、俺は取り返しのつかない大切な物を失った。

 

十代

 「クソォ、クソォ、クソォ!俺が……俺が馬鹿だったばっかりにぃ!」

 

 俺が天に叫んだ時、空から1枚のカードが落ちてきた。

 

十代

 「これは……(超融合)?」

 

 カードを手に取った瞬間。辺りが暗くなった。そして、俺と同じぐらいの体格の人が目の前に立っていた。

 

??

 「遊城十代。お前はその(超融合)のカードを使ってこの弱肉強食な世界を支配しなければならない。それを可能にできるだけの力がそのカードにはある」

 

十代

 「お前は……お前は何者なんだ」

 

??

 「我が名は……覇王。この世界を統べる者だ」

 

 覇王がそう言った瞬間。俺の意識は途絶えた。




というわけで、アニメ本編では名前しか登場しなかった(カラレス)様が拙作にて登場致しました。効果はこちらです。

暗黒界の混沌王カラレス(ほぼオリカ)
レベル12/闇属性/悪魔族/攻3200/守2700
レベル7以上の暗黒界モンスター2体+闇属性モンスター2体
このカードは超融合の効果でのみ特殊召喚できる。
このカード名の③の効果は1ターンに1度しか発動出来ない。
①1ターンに1度、メインフェイズに発動出来る。お互いのプレイヤーは墓地又は表側表示で除外されているカードを任意の枚数デッキに戻し、戻したカード5枚につき1枚ドローして、その後ドローした枚数分手札を選んで捨てる。このカードの効果の発動に対して、魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。
②このカードがフィールドに存在する限り、手札·フィールドの暗黒界モンスターは効果の対象にならず、効果で除外されない。
③このカードが相手によってフィールドを離れた場合に発動出来る。手札があるプレイヤーは手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 ちなみに②の耐性は(ダークロウ)や(マクロコスモス)なんかの対抗策として採用しました。(まぁ、超融合で出す関係上先出しされたら相変わらず詰みですけど)

 出張性能は無いとは思いますけど、もしこのままOCG化されたらどれぐらい暴れられるか是非感想をお願い致します。


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30.神の風と覇王征伐

コメントにて、“カラレスの効果盛り過ぎだろ”と感想を頂いたので、カラレスの効果を1つ削りました。削ったあとのものがこちらになります。

暗黒界の混沌王カラレス(ほぼオリカ)
レベル12/闇属性/悪魔族/攻3200/守2700
レベル7以上の暗黒界モンスター2体+闇属性モンスター2体
このカードは超融合の効果でのみ特殊召喚できる。
①1ターンに1度、メインフェイズに発動出来る。お互いのプレイヤーは墓地又は表側表示で除外されているカードを任意の枚数デッキに戻し、戻したカード5枚につき1枚ドローして、その後ドローした枚数分手札を選んで捨てる。このカードの効果の発動に対して、魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。
②このカードがフィールドに存在する限り、手札·フィールドの暗黒界モンスターは効果の対象にならず、効果で除外されない。
③このカードが相手によってフィールドを離れた場合に発動出来る。手札があるプレイヤーは手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 魔法罠の書き換え効果を消しました。執筆中何度もデッキ切れになりかけてるので①は絶対に消せません。

 その後も何枚かオリカを出す予定なので、その度に感想をお願いします。


 

 私は(ファルコン)さんと共に(ブラウ)さんを必死に追いかけていると、(ジャスティスワールド)のお城もかくやな大きなお城にたどり着きました。

 

 急いで城に入ると、エントランスには(ゴルド)や(シルバ)、(グラファ)を筆頭に大量の暗黒界が揃っていました。

 

ゴルド

 「よぅ!透子の姉ちゃん!(超融合)の件では世話になったなぁ!」

 

 ッ!不味い気づかれた!今ここで戦闘になれば勝ち目がありません!

 

ゴルド

 「おうおう、そんなに邪険にせんでもええんやで?ワイらは今葬式の準備の真っ最中やからなぁ」

 

透子

 「葬式……鏡子のですか」

 

 暗黒界の皆様でよく見えないのですが、目を凝らすと棺桶の様な物が見えます。

 

シルバ

 「透子……アンタは確か鏡子の元の人格……だったな?アンタにとって主はどんな人物だったんだ?」

 

 鏡子は……私が知りうる限り最も強いデュエリストでした。2人がかりでデュエルしたのに、私達をワンキルしそうになったその実力は、間違いなく世界にも通じる事だったでしょう。

 

透子

 「鏡子は私の憧れであり目標でした……でも、もう追いつく事は出来なくなってしまいました。まだ聞きたい事……いっぱいあったのに……」

 

 特にあの未来から来た様な強力なカード達。いったいどこから持ってきたのかだけは知りたかったです。

 

 漠然と棺桶を見ていると、突然棺桶の蓋が開きました。中には私より高い、165cmぐらいの身長。短い黒髪、私と同じオベリスクブルーの制服を身に纏った鏡子の姿がありました。

 

透子

 「鏡子!」

 

 暗黒界の皆様を必死に掻き分けて、鏡子の元へ駆け寄りました。

 

鏡子

 「あれ……透子?デュエルで負けたのになんで俺生きて……」

 

カラレス

 「それは私の力ですよ。鏡子君」

 

 突然お城の中が不気味な紋様で出来た世界に包まれました。そういえば(カラレス)を融合してた時に“世界の創造主”って言ってましたね。創造主ならデュエルに負けた者は死ぬという法則を捻じ曲げる事も出来るのでしょう。

 

グラファ

 「おぉ(カラレス)様。そんなお姿になって……生贄が足りなかったのでしょうか?」

 

カラレス

 「確かに姿は不完全ですが、力自体は完全に取り戻しました。ありがとう。我が子等よ、そして鏡子よ」

 

 お礼の声を聞いて照れくさそうにしている鏡子。何故か突然下半身を触り出しました。

 

鏡子

 「俺……精霊じゃなくなってる?それに……ブツもついてるから男になってんな……よし、前よりちょっと大きい」

 

 えっ?ブツ?男のって……えええ!?

 

透子

 「鏡子!貴方男の子になっちゃったの!?」

 

鏡子

 「みたいだな……今思うともう少し女の身体堪能したかったな……まぁ堪能できる物は無いけどな」

 

透子

 「もう!なんでそんなこと言うの!私だって……いつか大きくなりますから!」

 

 ほら!(スノウ)さんが凄い蔑んだ目で見てますよ!

 

カラレス

 「まぁそれはそうとして、我々を危機から救ってくれた礼として実体を与える事にしました。ついでに力も与えて、攻撃力2450のモンスターと互角に戦えるだけの力を与えておきました。気に入ってくれましたか?」

 

鏡子

 「おうよ!ありがとう(カラレス)様!とりあえずこれで俺らの世界でもデュエルが出来るな!」

 

グラファ

 「葬式は撤回!即席ですが、(カラレス)様と主の復活を祝うパーティを致しましょう!余は(ジェノサイドキングサーモン)を捕りに参ります」

 

(ジェノサイドキングサーモン)……確か攻撃力2400のモンスターですよね?確かに(グラファ)さんしか取りに行けませんね。

 

鏡子

 「透子!俺らは椅子でも運ぼうぜ!(ファルコン)も協力してくれ!」 

 

ファルコン

 「は、はい!」

 

 私は鏡子に言われるままに、手を引かれて(ケルト)さんの元へ引っ張られました。あれ?胸が苦しい……なんだかドキドキするような……

 

 

 

〜 翌日 〜

 

 パーティは中々に楽しい物でした。出される物は簡素な料理でしたがとてもボリュームがあるのに飽きが来なくて満足出来る物でした。

 

 そして、ある時に出された(ジェノサイドキングサーモン)の刺身は絶品の一言でした。

 とても美味しかったのですが……私の語彙力が足りないせいでこれ以上この感動を伝える事が出来ません。これ程までに自分の語彙を恨んだことはありません。

 

鏡子

 「おはよう透子。早速だが、付いてきてくれ。話さなきゃならない事があるそうだ」

 

 私はまた鏡子に引かれて走り出しました。

 

 

〜〜〜

 

(カラレス)の影響により不気味になった部屋で(ゴルド)、(シルバ)、(ケルト)、(ラチナ)、そして(グラファ)と(カラレス)が大きな部屋に集まっていました。

 

 カラレスさんの話を纏めると、パーティが終わって3時間後に【覇王軍】なる勢力が現れ、暗黒世界各地で暴れ回っているそうなんです。しかもその侵攻速度が桁違いで、私達がいる南側の土地以外は殆ど掌握されてしまったそうです。

 

 そして、北側に謎の建物。覇王軍の勢力内に作られたので便宜上(覇王城)と呼ぶことになりましたが、その覇王城に親玉がいるのではないかと(カラレス)は考えているようです。

 

 戦略としては3日かけて部隊を再編成して、(グラファ)さんや4神と呼ばれる(ゴルド)さん達が先頭に立って暗黒界総出で軍勢を抑えて、その間に鏡子が覇王城に乗り込んで親玉を倒すという流れのようです。

 

鏡子

 「作戦はよく分かった。だが……覇王城には透子に乗り込ませて欲しいんだ」

 

透子

 「へ?なんで私?」

 

 咄嗟に私が口にしたら、3枚のカードを見せてきました。

 

透子

 「三幻魔のカード!?まだ持ってたんですか!?」

 

鏡子

 「俺はコイツをユベルの奴に返すついでにデュエルしたい。この件は断ってくれても構わない。覇王城制圧したらすぐ行けばいい話だしな」

 

 覇王城の制圧がどれ程大変かは分かりませんが、(ユベル)は恐らく相当強力なカードの精霊。疲れた身体でデュエルさせる訳には行きません。それに、鏡子には聞きたい事が沢山あります!ここで倒れてもらったら困ります!

 

透子

 「私!やります!頑張って覇王城の親玉を倒して見せます!」

 

鏡子

 「そう言ってくれると嬉しいぜ。じゃあ、護衛で(ベージ)を3人つけて覇王城へ向かってくれ。あぁそうだ。この会議が終わったら俺の部屋に来てくれないか?」

 

透子

 「は、はい……」

 

 お、男の子とふたりきり!?鏡子は私の分身!いけないことです!でも……真剣そうな目つきで言われたら断われません。

 

カラレス

 「………まぁいいでしょう。決行は3日後の昼に行います。皆さんの奮闘を期待します」

 

 (カラレス)さんの締めの言葉を聞いて、私達は鏡子が寝ていた部屋へ向かいます。

 

 

〜〜〜

 

 透子を連れて、俺はさっきまで寝てた部屋までやってきた。目的は今透子が使ってるであろう(ファルコンビート)の強化をする為。

 

 それにしても……透子ってよく見ると地味だけどかわいいな。いや俺がほぼ男子校出身だから、女子はみんなかわいいというバイアスかかってるだけか?

 

 それに一応自分自身だし、遺伝子的に相当近いから多分近親相姦になっちまうだろう。将来は望み薄だなぁ……自分で自分を犯す?なんか頭が変になりそうだ。

 

透子

 「あの……要件ってなんですか?私……結構緊張してて……」

 

 なんで緊張してんだ?まぁいいや。

 

鏡子

 「おうすまねぇ。要件ってのは透子の今のデッキについてだ。どうだ?(ファルコンビート)に満足してるか?」

 

透子

 「(ファルコンビート)ですか?まぁ手札にモンスターが来ないし打点が少し不足気味ですが、使っていて楽しいですよ」

 

鏡子

 「そうか……多分覇王ってのは相当強いんだろう。きっと今のままでは相当しんどいと思う。そこで、俺の手持ちにいいカードがあるから渡しておこうと思ってな」

 

 俺が渡すのは(霞の谷の雷神鬼)、(A・ジェネクス・バードマン)、(霞の谷の神風)、(早すぎた埋葬)、(ハリケーン)、(マジカル·シルクハット)。前世では禁止or制限になってるカードもあるがこの世界では無制限なので使わせてもらおう。まぁ、(早すぎた埋葬)と(ハリケーン)はこの世界でも制限だがな。

 

ファルコン

 「ら、(雷神鬼)様!なんでそのカードを持ってるんですか!しかも3枚も!」

 

 げ、(ファルコン)。いつの間に精霊化させてたんだ。ちょっとマズイなぁ……

 

鏡子

 「……カードは拾った」

 

 とりあえず某メ蟹ックの名言を打っておく。これで濁せればいいが……

 

透子

 「……この戦いが終わったらどこから手に入れてるのか教えて下さいね?他にも聞きたい事、たくさんありますから」

 

 ……退路は絶たれたか。まぁどうにか誤魔化すさ。

 

鏡子

 「じゃあ俺は(ベージ)3人衆と(ブラウ)連れてユベル探してくるから。頑張れよ」

 

透子

 「はい、鏡子も……頑張って」

 

 なんとなく流れる気まずい雰囲気。こういう時はデュエルで誤魔化そう。

 

鏡子

 「そ、そうだ。折角だし2、3回ぐらいテーブルデュエルしようぜ。透子も渡されたカードの調整したいだろ?」

 

透子

 「え、ええ……確かに……でも手加減して下さいよ?今の鏡子に……勝てる気がしませんから」

 

 随分な評価だな。まぁ(宝札)と(施し)入った未界域暗黒界なんてこの時代じゃオーバーパワーもいいところだからな。現代でも回りだせれば環境にワンチャン食い込めるかもしれないレベルだと思うし。

 

鏡子

 「おう、まぁ手加減はしてやるよ。俺も調整したいしな」

 

 俺は不要なカード並べて即席のプレイマットを作って、透子とデュエルを始めた。

 

 そして昼食を済ました俺は(ブラウ)と(ベージ)3人衆といういつものメンツを連れて城を後にした。

 

 

〜〜〜

 

 3日後、4神の皆さんの活躍を遠目に見ながら、長い長い迂回道を通って辿り着いたのは廃墟みたいにボロボロで窓の様な穴が、所々に空いている岩でできた砦。その下には、犠牲になったデュエリストがいたのかデュエルディスクが1つ落ちています。

 

ベージ

 「さて、この門をどうやって突破するんだ?俺らでは突破する手段がねぇですぜ?」

 

透子

 「実は(ゴルド)から貰った道具があるんですけど……これ……」

 

 

〜〜〜

 

 それは覇王城へ向かう直前。偶々遅刻した(ゴルド)さんに会いました。

 

ゴルド

 「おう透子の姉ちゃん!また会うたなぁ」

 

透子

 「あっ(ゴルド)さん。これはどうも」

 

 体が金色な悪魔(ゴルド)。豪快な悪魔でとても気前がいいです。

 

ゴルド

 「そういえばアンタ覇王城へ入るんやろ?だったら門はどうやって突破するんや?」

 

 あっ!門!そうでした。門を開けないと入れないじゃないですか!

 

ゴルド

 「ならこいつを使うとええで!ワイのお手製や!」

 

 渡されたのは菜箸ぐらいの長さをした金色の針10本と鉛色の袋。なんか針が少しビリビリしてるんですけど……

 

ゴルド

 「コイツを投げつければ大抵の物はドカンやで!ガッハハハ!」

 

 

 

〜〜〜

 

透子

 「って事があったんです」

 

ベージ

 「うっへそれ“ゴルドの雷針”じゃねぇか。(ゴルド)様が暇つぶしで雑に作った魔法具で、威力が高いからよく部下に配られるんだが偶に爆発するんだよ。よく爆発しなかったな」

 

 そんな危険物渡されたんですか……まぁこれで門を開けるならやる価値はあります。

 

 一本だけ取り出して、ダーツみたいに構えて門めがけて投げると、猛烈な轟音が響いて、煙が晴れると門が大破していました。

 

 触っている間少しピリピリして手が痛くなりますが……威力は確かに高いですね。でもそんな大きな音を出したら中のモンスターに気づかれてしまいます!

 

 私と(ベージ)3人は、慌てて覇王城へ入っていきました。

 

 

 水晶の様にキラキラとした廊下のなか、行く手を阻むモンスターには(ベージ)3人衆と(ファルコン)さんで対応して、攻撃力が2000を超える上級モンスターが出てきたらゴルドの雷針を投げつけて弱らせて4人が対処していきます。私は(ファルコン)さん用にセットカードを敷いて援護しています。

 

 針は残り一本。物陰に隠れながら少ない戦闘で、どうにか登って居ましたが……

 

モンスター二人組

 「見つけたぞ!儀式魔法(エンド·オブ·ザ·ワールド)を発動!我らを生贄に現われろ!(終焉の王デミス)!」

 

 自分自身を生贄ってどういうことですか!でも不味いです!最後の一本を使うしかありません!

 

 慌てて投げた針は(デミス)の頬を横切り、後ろの壁を粉々に砕きました。

 

ベージ

 「透子!手持ちの罠カードを使え!」

 

 慌ててカードを5枚引きます。相手を破壊できるカードは……無い!守れそうなのはこれしか無い!

 

透子

 「(ベージ)の皆さんごめんなさい!トラップ発動!(強制脱出装置)!(ファルコン)さんを手札に戻す!カードをセット!」

 

デミス

 「無駄だ!我の効果発動!我以外のフィールドのカードを全て破壊だ!」

 

 放たれる闇の波動に飲み込まれて、私は派手に吹き飛ばされて壁に叩きつけられてしまいました。

 

透子

 「は……破壊されたのは……(やぶ蛇)!来て!(霞の谷の雷神鬼)!」

 

 藪の中から出てきたのは脚が鳥の足の様な色をしている大きな鬼。彼に……全てを託すしか……

 

ファルコン

 「(雷神鬼)様!どうか私のマスターを助けて下さい!」

 

 その言葉に応えるように、(雷神鬼)はその巨体をに見合わない速度で(デミス)に接近して殴りかかり、数度の打ち合いの末殴り勝ちました。

 

ファルコン

 「(雷神鬼)様、ありがとうございました」

 

 (雷神鬼)さんは何も言うことなく、消えていきました。これは……精霊は入っていないみたいです。

 

ファルコン

 「透子さん。大丈夫ですか?」

 

透子

 「大……丈夫……です」

 

 膝に手を付きながらなんとか立ち上がりました。でも……

 

透子

 「ごめんなさい……(ベージ)さん達。私……皆を守る事が……出来ませんでした……」

 

ファルコン

 「透子さん……マスターは悪くありません。手札は運に左右されます。(強制脱出装置)を僕に使ってくれただけで……とても嬉しかったんです。もうすぐ頂上です。僕が休めそうな所に運びますので、ゆっくりお休みして下さい」

 

 (ファルコン)の翼に抱きかかえながら撫でられる私。なんだか……眠く……

 

 

 

〜〜〜

 

 気づけば、私は階段の1番上に寝かされていました。

 

ファルコン

 「透子さん。動けますか?」

 

透子

 「はい……どうにか。この先に覇王がいるのですね?」

 

 果たして……私は勝てるのでしょうか。前の(ファルコンビート)よりも遥かに強くなってるのは分かるのですが、それでも不安を拭う事が出来ません。

 

ファルコン

 「大丈夫です。透子さんは強い人です。もし負けても、僕が付いていってあげますから」

 

透子

 「ありがとう……ございます。それでは……行きましょうか」

 

 私は勇気を振り絞って、目の前の扉を開け放ちました。

 

 そこにいたのは、襟が立っているような装飾が印象に残る黒い鎧で身を包んだ人。

 

覇王

 「よくここまで来れたな」

 

 冷酷な声色で振り返る覇王。私はその顔を見たことがありました。

 

透子

 「まさか……十代さん!待っていて下さい!すぐにデュエルで正気に戻して差し上げます!」

 

覇王十代

 「デュエルか。良いだろう。受けて立つ」

 

覇王十代·透子

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私です!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(強欲で金満な壺)を発動!エクストラデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!そして(霞の谷のファルコン)を召喚!フィールド魔法(霞の谷の神風)を発動してカードを3枚セットしてターンエンド!」

 

透子 LP4000 手札2 伏せ3

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷のファルコン 攻2000

 

覇王十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

ファルコン

 「うぅ……あの人凄く怖いです……でも逃げません!」

 

 確かに今の十代さんの覇気は凄まじいですね。少し気を抜いたら逃げてしまいそうです。

 

覇王十代

 「俺のターン。ドロー」

 

覇王十代 手札5→6

 

覇王十代

 「俺は(E·HEROエアーマン)を召喚。効果を発動」

 

透子

 「永続トラップ発動!(デモンズ·チェーン)!この効果で(エアーマン)はこのカードがある限り効果を発動出来ず攻撃出来ません!」

 

覇王十代 手札6→5

 

 風のヒーローは鎖によって動きを封じられました。初動は止めたので、これ以上の展開は出来ない筈……

 

覇王十代

 「……ターンエンドだ」

 

透子

 「エンドフェイズにトラップ発動(強制脱出装置)!これで(ファルコン)さんを戻します」

 

覇王十代

 「自分のカードを手札に戻すだと?」

 

 (ファルコン)さんが凄まじい勢いで空高く弾き飛ばされると、暖かな風が城の中に通り始めました。

 

透子 手札2→3

 

透子

 「(霞の谷の神風)の効果発動!風属性モンスターが手札に戻った場合、デッキからレベル4以下の風属性モンスターを特殊召喚!来て!(ハーピィ·ダンサー)!」

 

 暖かな風に乗ってやって来たのは、布の面積がとても少ない鳥人。ちょっとハレンチです。

 

覇王十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

E·HEROエアーマン 攻1800

 

透子 LP4000 手札3 伏せ1

フィールド(霞の谷の神風)

 

ハーピィ·ダンサー 攻1200

 

デモンズ·チェーン(エアーマン)

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「(ハーピィ·ダンサー)の効果を発動!このカードを手札に戻して風属性モンスターを召喚します。来て! (ファルコン)!」

 

 (ハーピィ·ダンサー)が空高く飛翔すると、そこから(ファルコン)さんが飛び込んで来ました。そして、再び風が吹いてくる。

 

透子 手札4→5→4

 

透子

 「そして(神風)の効果発動!デッキから風属性モンスター。チューナーモンスター(ドラグニティ·ブラックスピア)を特殊召喚!そして私はレベル4の(ファルコン)さんにレベル3の(ブラックスピア)をチューニング!来て!霞の谷に住まう鬼神!(霞の谷の雷神鬼)!」

 

 光の輪に包まれてあらわれるは、ついさっき(やぶ蛇)で出した(雷神鬼)。

 

透子

 「(雷神鬼)の効果発動!フィールドの(デモンズ·チェーン)を手札に戻して攻撃力をターン終了時まで500アップします!」

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600→3100

 

透子 手札4→5

 

透子

 「バトルフェイズ!(雷神鬼)で(エアーマン)を攻撃!」

 

 (雷神鬼)はその剛腕を持って(エアーマン)を粉砕しました。

 

覇王十代 LP4000→2500

 

透子

 「メインフェイズ2、モンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンドです」

 

 ここで(ダンサー)を召喚して追撃する事も考えましたが、攻撃力1200で追撃するより次の展開に使った方が得策だと思い、出しませんでした。その代わりに、墓地に送りたい(ゼピュロス)をセットしました。

 

透子 LP4000 手札2 伏せ3

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600

セットモンスター

 

覇王十代 LP2500 手札5 伏せ0

 

覇王十代

 「俺のターンドロー」

 

覇王十代 手札5→6

 

覇王十代

 「(天使の施し)を発動。3枚ドローして2枚捨てる」

 

 ここで(施し)ですか。今引いたのでしょうか?

 

覇王十代 手札6→5→8→6

 

覇王十代

 「俺のフィールドにモンスターがいない時、(E-HERO ヘル・ブラット)は攻撃表示で特殊召喚出来る」

 

覇王十代 手札6→5

 

 攻撃力300。生贄か融合素材のいずれかでしょうね。

 

覇王十代

 「更に俺は墓地の(E−HEROシニスター·ネクロム)を効果発動。このカードを除外してデッキからE−HEROを特殊召喚。来い、(E−HEROマリシャス·エッジ)」

 

 闇に包まれて現れた長い爪を持つ悪魔。

 

覇王十代

 「俺は(ダーク·フュージョン)を発動。フィールドの(マリシャス·エッジ)と(ヘル·ブラット)でダークフュージョン。(E−HEROマリシャス·ベイン)」

 

 黒い渦に2体の悪魔が吸い込まれると、禍々しい姿をしたダークヒーローが立っていました。

 

覇王十代 手札5→4

 

覇王十代

 「(マリシャス·ベイン)の効果を発動。このカードの攻撃力以下のモンスターを全て破壊する。そして破壊したモンスターの攻撃力×200攻撃力が上がる。(ダーク·フュージョン)で特殊召喚された(マリシャス·ベイン)はこのターン効果の対象にならない。行け!アルティメット·ペイン!」

 

 効果の対象にならないモンスター!?このデッキだと対処に困ります!

 

 悪魔から放たれた闇の波動で(雷神鬼)は破壊されてしまいました。でも、手が無い訳じゃありません!

 

E−HEROマリシャス·ベイン 攻3000→3400

 

透子

 「破壊された後、トラップ発動!(リビングデッドの呼び声)!墓地の(雷神鬼)を攻撃表示で蘇生!このカードがフィールドから離れると(雷神鬼)は破壊されます!」

 

覇王十代

 「まぁいい。(E−HEROヘル·ゲイナー)を召喚、効果発動。このカードを除外してフィールドに悪魔族モンスターに2回攻撃を付与する」

 

 さ、3400の2回攻撃!?あのカードのライフコスト残りますかね……

 

覇王十代

 「バトルだ。(マリシャス·ベイン)で(雷神鬼)に攻撃!」

 

透子

 「ダメージ計算時に(雷神鬼)の効果発動!(リビングデッドの呼び声)を手札に戻して攻撃力を500アップ!そして(雷神鬼)は自壊します!」

 

透子 手札3→4

 

覇王十代

 「血迷ったか!やれ!(マリシャス·ベイン)!ダークネス·ペイン!」

 

 ダークヒーローは覇王の指示に従う事なく、ただ呆けています。

 

透子

 「デュエルモンスターズの細かいルール!攻撃の巻き直しが起こるのはバトルステップのみ!ダメージ計算時では発生しません!」

 

覇王十代

 「小癪な真似を!(マリシャス·ベイン)2回目の攻撃!ダークネス·ペイン!」

 

透子

 「きゃあぁぁ!」

 

 放たれる強烈な闇の波動に吹き飛ばされて、壁に叩きつけられる私。ここに来てから壁によく叩きつけられるんですけど……

 

透子 LP4000→600

 

覇王十代

 「俺はカードを1枚セット。これでターンエンド」

 

覇王十代 LP2500 手札3 伏せ1

 

E−HEROマリシャス·ベイン 攻3400

 

 

透子 LP600 手札4 伏せ1

 

 うぅ……ライフコストが足りません……それに身体中が痛い……

 

覇王十代

 「もう終わりか?随分と早いもんだな」

 

 身体のあちこちが痛い……もし私がアカデミアに入る前だったらこのまま倒れていたかもしれません。

 でも、私には鏡子に聞きたい事があるんです。ここで終わる訳には行きません!

 

透子

 「勝負は……まだこれからです!私のターンドロー!」

 

透子 手札4→5

 

透子

 「メインフェイズ開始時に、(強欲で金満な壺)を発動!エクストラを6枚裏側で除外して2枚ドロー!そして(ハーピィ·ダンサー)を召喚、効果発動!自身をバウンスして(ドラグニティ−ブラックスピア)を召喚。そして(神風)の効果発動!デッキから2枚目の(ファルコン)さんを特殊召喚!」

 

透子 手札5→4→6→5→6→5

 

 踊り子は天高く飛翔し、降り立つのは顔が槍の様に長い黒竜。そして暖かな風が(ファルコン)さんを呼んできました。

 

透子

 「私はレベル4の(ファルコン)さんにレベル3の(バードマン)をチューニング!来て!(霞の谷の雷神鬼)!」

 

覇王十代

 「またそいつか。効果を使っても攻撃力は3100。(マリシャス·ベイン)の3400には届かない。もし何らかの方法で攻撃力を上げようとも、(マリシャス·ベイン)は戦闘·効果では破壊されない」

 

透子

 「ならば破壊せず退かせばいいだけです!装備魔法(ビックバン·シュート)を(マリシャス·ベイン)に装備!そして(雷神鬼)の効果発動!(ビックバン·シュート)を手札に戻して500アップ!そしてフィールドから離れた(ビックバン·シュート)の効果により(マリシャス·ベイン)は除外されます!」

 

透子 手札5→4→5

 

 (マリシャス·ベイン)は強烈な爆風に飲み込まれて除外。これで終わりです!

 

透子

 「バトルフェイズ!(雷神鬼)でダイレクトアタック!」

 

覇王十代

 「クッ!トラップ発動!(攻撃の無力化)!その攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させる!」

 

 力の渦が現れて、(雷神鬼)の拳が弾かれました。

 

透子

 「厄介ですね……私はカードを4枚セットしてターンエンド!」

 

透子 LP200 手札1 伏せ5

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600

 

覇王十代 LP2500 手札3 伏せ0

 

覇王十代

 「(マリシャス·ベイン)を突破するか。俺のターンドロー!」

 

覇王十代 手札3→4

 

覇王十代

 「俺は(エアーマン)を召喚。効果……」

 

透子

 「永続トラップ(デモンズ·チェーン)!効果は止めます!」

 

 再び鎖により拘束されるヒーロー。これで詰みな筈……

 

覇王十代

 「今ここで見せてやろう。心の闇が生み出した究極の力を。絶対無敵、究極の力を解き放て!発動せよ、(超融合)!」

 

覇王十代 手札4→3→2

 

 ここで(超融合)ですか!?

 

 (超融合)が発動された瞬間。猛烈な嵐が雷と共に現れて強烈な突風が吹き荒れます。

 

覇王十代

 「このカードはフィールドのモンスターのみならず、フィールド上のあらゆるカードを融合素材に使うことが出来る!俺は(エアーマン)と(雷神鬼)で融合!(E·HERO Great TORNADO)!」

 

 (雷神鬼)を吸って現れたのは、緑のマントが印象的な風のヒーロー。

 

透子

 「トラップ発動!(リビングデッドの呼び声)!チェーンして(強化蘇生)!(強化蘇生)で(ファルコン)さんを、(呼び声)で(雷神鬼)を蘇生!」

 

覇王十代

 「無駄だ!(Great TORNADO)の攻撃力は2800!(雷神鬼)は無理だが(霞の谷のファルコン)を攻撃すれば貴様は終わりだ!バトル!(Great TORNADO)で(霞の谷のファルコン)を攻撃!」

 

透子

 「トラップ発動!(マジカル·シルクハット)!(ファルコン)さんを、デッキから攻守0のモンスターとして特殊召喚される魔法罠と共に裏側守備表示してシャッフル!私は(光の護封剣)と(安全地帯)をセット!」

 

 (ファルコン)さんは手品師が被ってそうな黒いシルクハットに隠れると、シルクハットが3つに増殖。高速でシャッフルされてフィールドに鎮座します。

 

覇王十代

 「かのデュエルキングのマジックコンボか。だが関係ない!(Great TORNADO)で真ん中のシルクハットを攻撃!スーパーセル!」

 

透子

 「破壊されたのは(光の護封剣)!その後に(雷神鬼)の効果発動!残った(安全地帯)を手札に加えます!」

 

 風のヒーローの右腕より放たれる強風が中央のシルクハットを貫き、別のシルクハットが(雷神鬼)が放つ咆哮によって不自然に宙を舞いました。

 

透子 手札2→3

 

覇王十代

 「クッ!ターンエンドだ!」

 

覇王十代 LP2500 手札2 伏せ0

 

E·HERO Great TORNADO 攻2800

 

透子 LP200 手札3 伏せ2

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600

セットモンスター

 

リビングデッドの呼び声(雷神鬼)

強化蘇生

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「(ファルコン)さんを反転召喚。そして(ハーピィ·ダンサー)を召喚。効果発動!このカードを手札に戻して再度召喚!(神風)の効果発動!デッキから3枚目の(ファルコン)さんを特殊召喚!(雷神鬼)の効果発動!(強化蘇生)を手札に戻して攻撃力を3100に!」

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600→3100

 

ファルコン

 「うぅ……もう一人僕がいるのが……変な感じです」

 

 ……それ(グラファ)さんの前でそれ言えますか?あの人3体並ぶんですよ?

 

透子

 「これで終わりです!バトルフェイズ!(雷神鬼)で(Great TORNADO)を攻撃!ライジングパンチ!」

 

 電光石火の早業でヒーローの腹部に鉄拳を叩き込む(雷神鬼)さん。本当にその巨体のどこからそのスピードが出ているのでしょうか。

 

覇王十代 手札2500→2200

 

透子

 「(リビングデッドの呼び声)とセットカードを戻して(ファルコン)さん二人でダイレクトアタック!(雷神鬼)は自壊!」

 

 (雷神鬼)が粉砕されるなか高く飛翔して急降下を仕掛ける(ファルコン)さん。その攻撃は通り、十代さんを切り裂きました。

 

覇王十代 LP2200→200→-1800

 

 十代さんのLPが尽きた瞬間。十代さんから黒い瘴気が吹き出して、十代さんは倒れてしまいました。

 

 ここではデュエルに負けた人は粒子となって死んでしまう。なのに今十代さんは形を残して倒れています。それはつまり、十代さんは元通りになったということです。

 

透子

 「なんとか……勝てましたけど……これどうしましょう」

 

ライコウ

 「どうやら覇王を倒し終えた様だな。後は我々ライトロードが後始末をしよう」

 

 そう言って現れたのは、(ガロス)さん、(ライラ)さん、(ライコウ)さんの3人。彼らはベランダで十代さんが着けていた兜を掲げて声を上げました。

 

ガロス

 「覇王は死んだ!直ちにここから立ち去れ!」

 

 ここからでも分かる程に動揺しているモンスター達。蜘蛛の子を散らすように逃げ去って行きます。

 

透子

 「ライトロードの皆さん。どうして私と連絡が取れなくなったんですか?」

 

ライコウ

 「鏡子とのデュエルが終わった瞬間に丁度魔力が底を尽きてな。強制送還されてから全員総出でソーラー·エクスチェンジを回して、何とか我々3人が1時間程降臨できるだけの魔力を作れたから早速降臨したら、丁度覇王とのデュエルが終わったと言う訳だ」

 

 そういう事だったのですね。ならば仕方ありませんね。

 

透子

 「それにしても……この後どうしましょう。取り敢えず暗黒界のお城に戻りましょうか?」

 

ライコウ

 「その必要は無い。もうじきここにエドとヘルカイザーと呼ばれている青年が来る。合流して共に行動するんだ」

 

透子

 「分かりました。今は十代さんを見守っていますね」

 

 私は眠りについている十代さんを見て、かつて笑顔でデュエルした十代さんを思い出しました。



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31.痛みの悪魔と暴力魔王

 

 

 

 暗黒界の城から出て丸3日。出発前に渡された干し肉を齧り、無くなったらブラウと共に狩りをして、どうにか砂漠地帯にたどり着いた。

 

鏡子

 「それにしても……広いな。ここ彷徨ったら死ねるよな」

 

ブラウ

 「ええ、ここから先はひたすらに砂の世界。方向感覚は期待できないでしょうね」

 

 ……そうだ!だったら(ユベル)を直接召喚しちまえばいいんだ!

 

 取り敢えず手持ちのデッキにユベルを出せそうなカードを詰め込んでデュエルディスクを起動した。

 

 初手は……うん。これでいいや。

 

鏡子

 「モンスターをセット。さぁ(ベージ)。このセットカードを破壊してくれ」

 

ベージ

 「ヘイヘイ。やってやりますよーだ」

 

 シンドそうに槍を握る(ベージ)。瞬きする間にセットモンスター(キラートマト)が粉砕された。

 

鏡子

 「あっという間に粉砕しちまったよ。(キラートマト)の効果発動!戦闘で破壊されると攻撃力1500以下の闇属性モンスター(ユベル)をデッキから特殊召喚!」

 

 トマトが真っ赤な果肉をばら撒くと、そこには(ユベル)が不満そうな顔をして立っていた。

 

ユベル

 「久しぶりだねぇ鏡子。僕に復讐でもするつもりなのかい?」

 

鏡子

 「そんな大層な事はするつもりは無い。借りパクしちまった三幻魔を返そうと思ってね。それに、その件については俺は逆にお礼を言いたいね」

 

 俺が3枚の幻魔を手渡すと、ユベルは凄く驚いた顔をしていた。

 

鏡子

 「俺は、あの件で自分が暗黒界を愛している事に気付けたんだ。感謝するよ(ユベル)。ささやかなお礼だ、このカード達もやるよ」

 

 渡したのは(七精の開門)を筆頭にした幻魔ストラクのカードの一部。地味に(ユベル)とシナジーがあったりする。

 

ユベル

 「ほぅ……愛ねぇ……あの時に心の闇は頂けなかったけど、これを貰えたなら悪くないかもしれないねぇ」

 

 貰ったカードを見て不敵な笑みを浮かべる(ユベル)。そろそろ目的の為に動くとしよう。

 

鏡子

 「折角だしデュエルでもしようぜ?お前だってデッキの調整はしたいだろう?」

 

ユベル

 「まぁ確かに、このカードを入れると大幅にデッキが変わるだろうねぇ。でも君だって分かるだろう?この世界のルールを。きみには何一つメリットが無いよ?」

 

鏡子

 「メリットならある。それは、デュエルに勝ったらお前を手中に収められる事だ」

 

 ゾッとした表情を浮かべるユベル。しかし、すぐに呆れた様子で首を振った。

 

ユベル

 「この身体は十代の物だ。絶対に君には堕とされはしない。でもいいよ、そのデュエルにのってあげる」

 

鏡子

 「別に心まで俺に染まれとは言うつもりは無い。ただ俺の暗黒界の素敵なゲストになってもらうだけさ。準備が出来たら言ってくれ、すぐにデュエルを始めよう」

 

 30分後、ユベルが準備できたようなので、デュエルが始まった。意外と早いな。

 

鏡子·ユベル

 「デュエル!」

 

ユベル

 「先攻は僕が貰うよ。ドロー!」

 

ユベル 手札5→6

 

ユベル

 「僕は(暗黒の招来神)を召喚。効果発動!デッキから幻魔か幻魔が記されたカード、永続魔法(七精の開門)を加えて発動!デッキから三幻魔かそのカード名が記されたモンスター(暗黒の召喚神)を手札に加えるよ」

 

ユベル 手札6→5→6→5→6

 

ユベル

 「そして(ワン・フォー・ワン)を発動!手札コストとして僕、(ユベル)を墓地へ送りレベル1モンスター(混沌の召喚神)を特殊召喚!そして(暗黒の招来神)の永続効果で攻守0の悪魔族モンスターを1度だけ追加召喚出来る。よって(暗黒の招来神)を生贄にして(暗黒の召喚神)を召喚!」

 

ユベル 手札6→5→4→3

 

 (ワン・フォー・ワン)が発動されると、(暗黒界の斥候スカー)の死体が現れ、その上から(混沌の召喚神)が出てきた。

 そして(アーミタイル)のなり損ないの様なモンスターが消えて、(ラビエル)のなり損ないの様なモンスターがその姿を現す。

 

 それにしても……(混沌の召喚神)が(スカー)の死体から湧いてくるのは暗黒界使いとしては複雑な気持ちだ。

 

ユベル

 「そして僕は(暗黒の召喚神)の効果を発動!このカードを生贄にして、デッキから三幻魔を呼び出す!我が心の闇よ、秘めた思いを今こそ解き放つがいい!出でよ!(幻魔皇ラビエル)!」

 

 (暗黒の召喚神)が闇の霧に消え、地面を割って出てきたのは(オベリスクの巨神兵)に酷似した悪魔。だがこれだけじゃ終わらない。

 

ユベル

 「墓地の(暗黒の召喚神)の効果を発動!このカードを除外して三幻魔を手札に加える!僕が加えるのは(降雷皇ハモン)だ!」

 

ユベル 手札3→4

 

ユベル

 「そして(混沌の召喚神)の効果発動!このカードを生贄に、手札の三幻魔を召喚条件を無視して降臨させる!いでよ!(降雷皇ハモン)!」

 

ユベル 手札4→3

 

ユベル

 「そして墓地の(混沌の召喚神)を除外して効果発動。デッキから(失楽園)を手札に加えて発動!三幻魔か(混沌幻魔アーミタイル)が存在する場合、2枚ドロー!」

 

ユベル 手札3→4→3→5

 

 ユベルの真後ろに聳える枯れ木、ユベルはそこからリンゴをもぎ取り食し、不敵な笑みを浮かべる。

 

ユベル

 「更に僕は(失楽の霹靂)を発動。カードをセットしてターンエンドだよ」

 

ユベル LP4000 手札3 伏せ1

フィールド(失楽園)

 

幻魔皇ラビエル 攻4000

降雷皇ハモン 攻4000

 

失楽の霹靂

 

 鏡子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 (失楽園)で幻魔達は効果の対象にならず効果で破壊されず、(失楽の霹靂)で魔法罠を1回妨害して(ハモン)を守備にして攻撃誘導。オマケに(七精の開門)の第2の効果で(ユベル)蘇生出来る準備も完了している。これホントに30分しか回してない奴の盤面か?

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

 鏡子 手札5→6

 

ユベル

 「スタンバイフェイズに永続トラップ(覚醒の三幻魔)を発動。このカードは三幻魔の数によって効果が増えていく。僕のフィールドの幻魔は2体。よって相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功する度に、

そのモンスターの攻撃力分だけLPを回復する効果と君のフィールドのモンスターが発動した効果は無効化される効果が適応されるよ」

 

 まじかよ。まぁ3体目の(裂け目)効果が適応されないだけマシか。

 

鏡子

 「メインフェイズに入る!俺は1枚セットして(未界域のモスマン)の効果発動!手札を選べ!外れればこいつが特殊召喚されて1枚ドロー!当たればマリガンだ!」

 

ユベル

 「左から2番目だ!」

 

鏡子

 「外れ!捨てられるのは(スノウ)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!そして捨てられた(スノウ)は……(グラファ)を手札に!」

 

鏡子 手札6→5→4→3→4→5

 

ユベル LP4000→5800

 

鏡子

 「(闇の誘惑)発動!2枚ドローして手札の(sin·スターダストドラゴン)を除外!よし!そしてフィールド魔法(暗黒界の門)を発動!これで(失楽園)は破壊される!」

 

 ユベルの背後の枯れ木は粉砕され、代わりに俺のフィールドに巨大な門が建った。

 

鏡子 手札5→4→6→5→4

 

ユベル

 「チィ!でも門の効果により悪魔族モンスターである(ラビエル)の攻撃力は4300にアップする!」

 

幻魔皇ラビエル 攻4000→4300

 

鏡子

 「さて、どんどん制圧盤面を剥がしていこうか。(カップ·オブ·エース)を発動!コイントスして当てると2枚ドロー。外すとお前が2枚ドロー。どうする?」

 

ユベル

 「……ここは止めさせてもらうよ。(失楽の霹靂)の効果発動!(降雷皇ハモン)が存在する時、魔法·罠が発動した時に発動出来る!その発動を無効にして、その後に(ハモン)を守備表示にする!」

 

 現れた黄金の盃は無数の雷によって焼き払われた。これで妨害は使い切った。

 

鏡子 手札4→3

 

鏡子

 「これで門が使える!(門)の効果発動!墓地の(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられたのは(ブラウ)!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札3→2→3→4

 

 あっ、揃った。爆アドコンボするぜ。

 

鏡子

 「俺はモンスターをセット。(強制転移)発動!お前のモンスターと俺のモンスターを入れ替える!」

 

ユベル

 「クッ……僕は(降雷皇ハモン)を選ぶ」

 

鏡子

 「俺はさっきセットしたセットモンスターと交換だ」

 

 突如として時空の渦が現れ、(ハモン)とセットモンスターを吸い込んで相手のフィールドに飛ばされた。

 

鏡子

 「(ハモン)を攻撃表示にしてバトルフェイズ!(ハモン)でセットモンスターを攻撃!失楽の霹靂!」

 

 上空から放たれる雷の雨あられ。セットモンスター(メタモルポット)は粉砕された。

 

鏡子

 「(メタモルポット)の効果発動!お互いに手札を全て捨てて5枚ドロー!チェーンして(ハモン)の効果!モンスターを戦闘破壊した場合相手に1000バーンを与える!地獄の贖罪!」

 

ユベル

 「暗黒界は手札を捨てると発効果を発動し、そして相手に捨てられるとさらなる力を発揮する。それを狙っていたのか!グウゥゥ!」

 

ユベル LP4800→3800 手札3→0→5

 

鏡子 手札2→0→5

 

鏡子

 「捨てられたのは(グラファ)と(ケルト)!効果発動!(ケルト)は自己蘇生して更に(グラファ)をリクルートする!(グラファ)は相手フィールドのカード(覚醒の三幻魔)を破壊して、更に相手の手札を1枚見て、それがモンスターなら俺のフィールドに特殊召喚する!俺は1番左をピーピングする!」

 

ユベル

 「(覚醒の三幻魔)の効果でLPを合計8700回復!暗黒界はどれも墓地で効果を発動する……2つ目の効果が薄いのか」

 

ユベル LP4800→13500

 

 地面に降り立つ(ケルト)と、地面を割って出る(グラファ)。そして辺りに瘴気が立ち込める。(覚醒の三幻魔)は破壊され、ユベルの1番左の手札からは(カオス·コア)が見えた。

 

鏡子

 「選ばれたのは(カオス·コア)!だがフィールドが埋まって特殊召喚出来ない!……俺はカードを3枚セットしてターンエンド」

 

鏡子 LP4000 手札2 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の鬼神ケルト 攻2400→2700

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

降雷皇ハモン 攻4000

未界域のモスマン 守400

 

ユベル LP13300 手札5  伏せ0

 

幻魔皇ラビエル 攻4300

 

七精の開門

 

ユベル

 「僕のターンドロー!」

 

ユベル 手札5→6

 

ユベル

 「僕は手札を1枚捨てて(七精の開門)の効果発動!墓地の攻守0のモンスターである僕、(ユベル)を特殊召喚!」

 

ユベル 手札6→5

 

 ユベルの後ろで聳える斜めに傾いた7つの柱の中心から黒き翼を持つ悪魔が大地に降り立った。

 

ユベル

 「僕は(カオス·コア)を召喚。そして(混沌の召喚神)を除外して(失楽園)を手札に加えるよ」

 

ユベル 手札5→4→5→4→6

 

(メタモルポット)で落ちていたか。

 

ユベル

 「バトルだ!(ラビエル)で(ハモン)を攻撃!天界蹂躪拳!」

 

 (ラビエル)より溢れる膨大なエネルギーを湛えた平手が(ハモン)に炸裂。粉砕された。

 

鏡子 LP4000→3700

 

ユベル

 「(失楽園)を発動。そして効果発動だよ。フィールドに(ラビエル)が存在するから2枚ドローする!」

 

鏡子

 「永続トラップ発動!(便乗)!これで俺はお前がドローする度に2枚ドロー出来る!」

 

 ユベルがリンゴを齧っていると、俺のフィールドに金貨が詰まった袋を持ってニヤける二人のおっさんが現れた。なんか腹立つな。

 

ユベル 手札6→5→7

 

 

ユベル

 「僕は(七精の開門)の効果発動。フィールドにレベル10のモンスターがいるので、永続魔法2枚目の(七精の開門)を回収!」

 

 後続もバッチリだな。

 

ユベル 手札7→8

 

ユベル

 「僕はカードを2枚セットして、エンドフェイズに僕の効果が発動。僕がこの場に留まる為に(カオス·コア)を生贄にする」

 

ユベル LP13300 手札5  伏せ2

フィールド(失楽園)

 

幻魔皇ラビエル 攻4000

ユベル 攻0

 

七精の開門

 

鏡子 LP3700 手札2 伏せ2

 

暗黒界の鬼神ケルト 攻2400

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

未界域のモスマン 守400

 

便乗

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札2→3

 

鏡子

 「(カップ·オブ·エース)を発動!コイントス!」

 

コイントス 表

 

鏡子

 「よっしゃ!2枚ドロー!」

 

鏡子 手札3→2→4

 

鏡子

 「俺は1枚セットして(墓穴の道連れ)を発動!お互いに手札を見せて、1枚捨てさせて1枚ドローする!」

 

ユベル手札

·暗黒の招来神

·混沌の召喚神

·失楽の霹靂

·七精の開門

·ハイパー·ブレイズ

 

鏡子

 「俺は(暗黒の招来神)を捨てる」

 

ユベル

 「僕は(暗黒界の狩人ブラウ)を捨てる」

 

鏡子

 「その後お互いに1枚ドロー。そして(便乗)でドローして(ブラウ)で1枚ドロー」

 

鏡子 手札3→2→1→2→4→5

ユベル 手札5→4→5 

 

鏡子

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!当てるとセットカードを破壊だ!」

 

ユベル

 「左から2番目だ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(グラファ)!特殊召喚して1枚ドローして(グラファ)の効果で(失楽園)を破壊!」

 

鏡子 手札5→4→3→4

 

 墓地より吹き出す瘴気によって枯れ木は破壊され、代わりに雷を身に纏う大鳥が姿を表した。

 

鏡子

 「俺はレベル8の(サンダーバード)と(グラファ)でオーバーレイ!現れろ!聖域を守る守り神!ランク8!(森羅の守神アルセイ)!」

 

ユベル

 「見たことのない召喚法……でも関係ないよ!トラップ発動!(爆導索)!このカードと同じ列にあるカード。僕と君の伏せカードと(アルセイ)を破壊する!」

 

鏡子

 「ば、(爆導索)だとぉ!」

 

 ユベルの後方から放たれた爆導索はフィールドで炸裂し、(ユベル)と(アルセイ)とセットカード(手札抹殺)が破壊された。欲張って手札貯めようとしたのが仇になった!

 

ユベル

 「(ユベル)が自身の効果以外で破壊された時、僕の愛は深化する!(ユベル-Das Abscheulich Ritter)!」

 

 (ユベル)が砕けて現れたのは双頭の禍々しい龍。あいつユベルのエンドフェイズに(ブラック·ホール)してくるんだよなぁ……にしても本当に(抹殺)が逝ったのが辛い。

 

鏡子

 「くぅ!俺は(モスマン)をリリースして(ゴルド)をアドバンス召喚して戻して(グラファ)!更に(ケルト)戻してグラファ!」

 

鏡子 手札4→3→4→5

 

鏡子

 「伏せていた(取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!(便乗)でドロー!」

 

鏡子 手札5→6→5→7

ユベル 手札5→6→5

 

鏡子

 「捨てられたのは(スノウ)!デッキから(門)を加えて発動!墓地の(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!」

 

鏡子 手札7→8→7→6→7

 

鏡子

 「捨てられた(ゴルド)は自己蘇生する!フィールドにフィールド魔法がある時、エクストラデッキから(スターダスト·ドラゴン)を除外する事で(sin·スターダスト·ドラゴン)を特殊召喚!」

 

鏡子 手札7→6

 

 天高く飛翔して、俺のフィールドに降り立つのは、縁が黒みがかった銀色の竜。

 

鏡子

 「俺は(グラファ)とレベル8の(sin·スターダスト·ドラゴン)でオーバーレイ!現われろランク8!古代技術の結合魔神!(宵星の機神ディンギルス)!効果発動!このカードが特殊召喚に成功した場合に相手のフィールドのカードを1枚選んで墓地送り!」

 

 (ディンギルス)の単眼が青く輝くと、禍々しいドラゴンは光となって消えた。

 

鏡子

 「(ユベル)が進化出来るのは破壊された時!墓地へ送れば破壊されない筈!」

 

ユベル

 「まだだよ!(ユベル-Das Abscheulich Ritter)がフィールドを離れた時、愛は究極の姿へ深化する!見せてあげるよ!僕の究極進化態を!(ユベル-Das Extrmer Traurig Drachen )!」

 

 ウッソ!?(ユベル)第2形態は非破壊貫通するのかよ!

 

 双頭の龍はさらなる進化を遂げ、胴体に顔が出来、四肢の関節に目が生えるというおぞましい姿へと変化した。

 

鏡子

 「とりあえず(神秘の中華なべ)を発動!(ディンギルス)リリースして2600回復!(ゴルド)を戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札7→6→7 LP3700→6300 

 

鏡子

 「(未界域のビッグフット)の効果発動!当たると表側のカードを対象に破壊!」

 

ユベル

 「真ん中だ!」

 

鏡子

 「選ばれたのは(ゴルド)!捨てて(ビッグフット)を特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(ゴルド)は自己蘇生!」

 

鏡子 手札7→6→5→6

 

鏡子

 「俺はレベル8の(ビッグフット)と(グラファ)でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現われろランク8!我を守る聖なる盾!(神竜騎士フェルグラント)!そしてすぐ効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送り、(ユベル)第3形態の効果を無効にする!セイントバリア!」

 

 おぞましい悪魔を透明な膜が包み込み、(ユベル)第3形態の戦闘耐性は無力化された。

 

鏡子

 「(ゴルド)を戻して(グラファ)!俺は(グラファ)2体でオーバーレイ!大いなる龍よ!今ここに聖なる傷を刻み込み、我に仇なす悪魔を祓え!エクシーズ召喚!(聖刻神竜エネアード)!効果発動!素材である(グラファ)を墓地へ送り、手札を1枚リリースする。リリースした分だけ俺はカードを選んで破壊!俺は(ラビエル)を破壊!」

 

 赤き神竜から放たれた光のブレスは、青い悪魔をチリ1つ残さず消滅させた。

 

鏡子 手札6→5

 

鏡子フィールド

暗黒界の門

 

聖刻神竜エネアード 攻3000 素材1

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(グラファ)で(ユベル)第3形態に攻撃!暗黒の吐息!」

 

 半透明な膜に包まれた悪魔は、(グラファ)のブレスに呑まれてなすすべなく破壊された。

 

ユベル LP13500→10500

 

鏡子

 「攻撃反応はないな?攻撃続行!(エネアード)、(フェルグラント)でダイレクトアタック!」

 

ユベル

 「ぐわぁぁ!」

 

ユベル LP10500→7500→4700

 

鏡子

 「制圧は十分!俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

鏡子 LP6700 手札4 伏せ3

 

フィールド(暗黒界の門)

 

聖刻神竜エネアード 攻3000 素材1

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

 

便乗

 

ユベル LP4700 手札5 伏せ1

 

 次のターンで決着がつく。なのにどうしてユベルはあんなに恍惚とした笑みを浮かべているんだ?

 

ユベル

 「この僕をここまで愛するか……僕には十代がいるけど……僕もその愛に応えないとね!僕のターンドロー!」

 

ユベル 手札5→6

 

 いや、別に愛してはないッス。あっ、そういえば確かコイツ痛みを分かち合う事が愛と勘違いしてるんだっけ。だったら仕方ない。

 

ユベル

 「墓地の(混沌の召喚神)を除外して最後の(失楽園)を手札に加えて発動!見せてあげるよ!これが僕の切り札だ!(次元融合殺)!墓地の幻魔を全て除外して(混沌幻魔アーミタイル)を特殊召喚!」

 

 巨大な闇の渦が3体の幻魔を呑み込み、幻魔の特徴を継いだ悪魔が顕現した。(取引)で(ウリア)落ちてたか……でも対処は出来る!

 

鏡子

 「トラップ発動!(バージェストマ·ディノミスクス)!効果で手札を1枚捨てて(失楽園)を除外!捨てたのは(ベージ)!特殊召喚!」

 

 不気味な生き物が枯れ木に絡みつき、枯れ木は腐食していった。そして墓地から飛び出すやさぐれた槍兵。

 

鏡子 手札4→3

 

ユベル

 「……まぁいい。(混沌幻魔アーミタイル)は1ターンに1度、相手に10000ポイントの戦闘ダメージを与える!対象は(グラファ)!全土滅殺転生波!」

 

鏡子

 「そんな愛はお断りだ!(神竜騎士フェルグラント)の効果発動!素材をきってこのターン(アーミタイル)の効果を無効にして完全耐性を付与!セイントバリア!」

 

 混沌の悪魔は薄い膜に包まれ、おぞましい波動は膜から出ることはなかった。

 

ユベル

 「クッ……僕の愛を受けないなんて!お互いに傷つけ合うのが愛し合うということじゃないのか!」

 

鏡子

 「生憎と俺がいたところは傷つけ合うというより押さえつけ合うデュエルが主流だからな。それにお前がどういう仕打ちを受けたのかは知らないが、その愛は人間には受け入れ難いよ」

 

 先攻制圧という概念が薄いこの世界では、やはり受け入れ難い物があるんだろう。

 

ユベル

 「クッ……(七精の開門)の効果発動!手札を1枚捨てて、墓地から僕を特殊召喚!(キラー·トマト)を召喚。カードを2枚セットしてターンエンドだよ。エンドフェイズに(キラー·トマト)を生贄にするよ」

 

ユベル LP4700 手札2 伏せ3

 

ユベル 攻0

混沌幻魔アーミタイル 攻0

 

鏡子 LP6700 手札3 伏せ2

 

フィールド(暗黒界の門)

 

聖刻神竜エネアード 攻3000 素材1

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材0

暗黒界の尖兵ベージ 攻1900

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札3→4

 

鏡子

 「(エネアード)の効果発動!素材を取り除き、手札を2枚リリース。伏せを2枚破壊する!」

 

 (エネアード)の放つ光の奔流が伏せ2枚を飲み込んだ。

 

鏡子

 「(貪欲な壺)を発動!墓地の(サンダーバード)、(ビッグフット)、(アルセイ)、(モスマン)、(ディンギルス)を戻して2枚ドロー!」

 

鏡子 手札4→2→1→3

 

鏡子

 「良いカードが来た!(ベージ)を戻して(グラファ)!(ベージ)通常召喚して更に(グラファ)!究極至高!その絶大なる力を解き放て!速攻魔法(超融合)発動!手札を1枚(ベージ)を捨てて発動!お互いのフィールドのモンスターで融合!」

 

ユベル

 「僕を融合!?でもそんなのは通さない!トラップ発動!(神の宣告)!これで無効にして……発動出来ない!?」

 

鏡子

 「無駄だ!(超融合)の発動に対して相手は効果をチェーン出来ない!俺は(グラファ)3体と(ユベル)で融合!3柱の龍神よ、痛みに歪んだ悪魔よ!今こそ大いなる力で交わりて、新たな世界を生み出し給え!融合召喚!現れろ!我らが世界の創造主!(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

鏡介 手札3→2→1

 

鏡介 

 「(カラレス)の効果発動!お互いのプレイヤーは墓地と除外されているカードを任意の枚数デッキに戻して、戻した枚数5枚につき1枚ドローしてドローした数捨てる!俺は墓地の12枚と除外されている3枚をデッキに戻して3枚ドローして3枚捨てる!」

 

ユベル

 「僕は墓地の10枚と除外されている2枚を戻して2枚ドローして2枚捨てるよ」

 

鏡子 手札1→4→1

 

ユベル 手札2→4→2

 

鏡介

 「(便乗)でドローして、捨てられた(ベージ)、(ゴルド)の効果発動!それぞれ特殊召喚して(グラファ)2体!」

 

鏡子

 「チェックメイトだぜ!(カラレス)で(アーミタイル)を攻撃!カラーレスワールド!更に(グラファ)2体で攻撃!暗黒の吐息ニレンダァ!」

 

 形容不能な空間の中にいた(アーミタイル)の身体が歪み粉砕、更に真っ黒なブレスに呑まれた(ユベル)は断末魔を上げながら地面に倒れた。倒れた瞬間。ユベルは元の体に戻った。

 

ユベル LP4700→800→-2200→-5200

 

ユベル

 「フフフ……負けた……か。でも、お前なんかの下僕になるなら……死ぬのも悪くは……?」

 

 倒れて不敵な笑みを浮かべてクッ殺的発言をするも、消えずに困惑するユベル。 

 

鏡子

 「そう簡単に死ぬなんて言うな。(カラレス)様の力で法則を歪めてもらった。さっき言った通り、別に心まで屈しろなんて言うつもりは無い。ユベル。君は、君が十代と魂の融合をする為の餌になればいい」

 

ユベル

 「魂の……融合?」

 

鏡子

 「君にも利がある話さ。十代は知っての通り正義感が強く、困ってる人は見過ごせないだろう。そこで仲間を5人殺し、彼の1番の友人を目の前で殺したように“見せかけた”極悪非道の俺と、彼らを異世界に放り込んだが俺に哀れにも捕らえられたユベルという構図を作ることで、十代はきっと(超融合)で君を巻き込んで助け出してくれるだろう。君も十代と1つになれてWin-Winさ」

 

ユベル

 「な、なるほどねぇ。でもそれをする君の利点はなんだい?恩返しだけではないだろう?」

 

鏡子

 「全てはカラレス様の意のままに。俺はカラレス様が予知した破滅から逃れる為に動くのさ」

 

 ユベルは顎に手を当て、思考を深めると、不敵な笑みを浮かべた。

 

ユベル

 「いいよ、乗ってあげる。でも、今までに言った通り、これは契約的な付き合いだ。心まで君の物にはなったりはしない」

 

鏡子

 「十代の前では少しぐらい演技してもらいたかったが……まぁいい。でも、気をつけな。俺はお前の使いは荒々しいからな」

 

 さて、(ユベル)と接触する事は出来た。後は十代を待つだけだな。

 

ユベル

 「十代と会う前に、デュエルしたい相手がいるんだ」

 

鏡子

 「ほぅ?それはどちらで?」

 

ユベル

 「アモン·ガラム。僕が今まで育てたご馳走さ。ついてきてくれ。いい場所を見つけたんだ」

 

 ユベルはそう言って、付いてくる様に促した。俺はそれに従い、砂漠の中へと進んでいった。



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32.砕かれたヒーロー

 

 

 

 その後、私はカイザーとエドさんと合流して、小高い丘の下で交代しながら十代さんの看病をしています。

 

十代

 「ウワァァァ!」

 

 叫び声を上げながら起き上がる十代さん。ようやく起きましたか。

 

十代

 「ジムは……ジムはどうしたんだ!」

 

透子

 「分かりません。ただ、デュエルディスクがあの城の前に落ちてたのでもう……」

 

十代

 「そうだ……俺は……俺はこの手で……ジムを……皆を!」

 

エド

 「落ち着け十代。全ては覇王の力がそうさせた」

 

 エドさんが励まそうと口にしますが、十代さんは首を振って聞く耳を持ちません。

 

十代

 「俺は……これから何をすればいいんだ。死んだみんなはもう戻らない。せめて……鏡子を倒して……償わないと……」

 

 そう言って気を失った十代さん。エドさんが慌てて介護に入ります。

 

 きっと十代さんは今までの行いを引きずっているのでしょう。

 

 十代さんは……焦り過ぎたのでしょう。ヨハンさんを助けたい。その事で頭がいっぱいになって、万丈目さん達の事を忘れてしまった。だから鏡子によって心を砕かれて覇王へと堕ちた。

 

透子

 (鏡子……どうして十代さんの目の前でヨハンさんを殺すなんて事をしたんですか?)

 

 考えても仕方のない事を考えていると、どこからか地響きが聞こえてきました。

 音の方を向くと、そこには赤い牛の大群に追われるクロノス先生と旅人の様な服を着た女性が走ってきました。

 

 助けなきゃと思ったのも束の間、牛の大群の前に(サイバー·ドラゴン)と(D·HEROダイアモンドガイ)が現れて、彼らから放たれた光線によって牛の大群は吹き飛ばされました。

 

クロノス先生

 「たっ、助かったノーネ……」

 

 クロノス先生曰く、旅人の様な女性はエコーという人で偶々この世界に巻き込まれてしまったらしいのです。

 

 その後、クロノス先生とエコーさんは私達と合流して一夜を過ごしました。

 

 寝る前に、クロノス先生へもう一人の私が明日香さん達を生贄にしてしまった事、それが原因で十代さんが闇堕ちした話、闇堕ちした十代さんがジムさんを殺してしまった事を話しました。

 

 その時のクロノス先生の、焚き木越しに見せたやるせなさそうな顔は……しばらく忘れられそうにありません。

 

 

 

〜〜〜

 

透子

 「ふぅ……ふぅ……どうしてこうなったのでしょう?」

 

 私は今、砂漠の真ん中で十代さんがカイザーとデュエルする様子を見ています。

 

 ここまで来るのは結構長く説明する必要があるので、掻い摘んで説明します。

 

 まず、エドさんに起こされるとそこは薄暗い洞窟でした。エドさん曰く、突然白い霧で辺りが包まれて、気付けばここに飛ばされていたらしいです。

 

 状況確認を済ませた時、右腕が鱗質に変容したアモンさんがやって来ました。なんでも【王】になる為に異世界に自ら残っていたそうで、エコーさんを(エクゾディア)の生け贄にすべく連れて行こうとしました。

 

 そうはさせないとデュエルディスクを構えるエドさん。アモンは場所替えを要求し、中央に水溜りがあり奥に鎖で封印された大きな扉のある空間でアモンさんとエドさんがデュエルを始めました。

 

 結論を言うと、エドさんは負けました。エドさんは(D-HERO Bloo-D)を筆頭としたカードで応戦しましたが、アモンがエコーさんを生け贄にして出したエクゾディアを止めることが出来ずに消滅してしまいました。

 

 そして気づけば私達は高い崖上に飛ばされ、その後はただ十代さんに付いて行きました。

 

 そしてたどり着いたのは、巨大な砂漠地帯。砂塵の大竜巻に巻き込まれながら行き着いたのは、かつてセブンスターズの一人が使った(幻魔の扉)を思い出させる大きな扉。

 十代さんが導かれる様にその扉を潜ろうとすると、カイザーが首輪の様な物を投げて道を阻み、デュエルを仕掛けて今に至ります。

 

十代

 「お、俺のターン……ドロー」

 

十代 手札5→6

 

 それにしても……十代さんは大丈夫でしょうか。まるで……戦う意思を感じられません。

 

十代

 「くっ……(E·HEROクレイマン)を召喚……カードを3枚セットしてターンエンド」

 

 え?これだけですか?しかも攻撃力800の(クレイマン)を攻撃表示って……十代さんの様子が変です。

 

ヘルカイザー

 「いいのか?壁モンスターである(クレイマン)を攻撃表示で出して。その行動には、何か理由があるんだろうな?」

 

 ヘルカイザーに言われてハッとする十代さん。あの十代さんが手札事故を起こす筈がありませんし、攻撃表示で出すというミスもした事を見たことがありません。一体どうしたのでしょうか……

 

十代 LP4000 手札2 伏せ3

 

E·HEROクレイマン 攻800

 

ヘルカイザー LP4000 手札5 伏せ0

 

ヘルカイザー

 「俺のターンドロー!」

 

ヘルカイザー 手札5→6

 

ヘルカイザー

 「貴様からは戦う意志が見えん。ここで叩き潰してくれる!俺は手札の(サイバードラゴン·ネクステア)の効果発動!このカード以外のモンスター(サイバードラゴン·ヘルツ)を捨てて手札から特殊召喚!」

 

ヘルカイザー 手札6→5→4

 

ヘルカイザー

 「そして(ヘルツ)の効果発動!(ヘルツ)は墓地へ送られた場合、デッキ·墓地からこのカード以外のサイバードラゴンモンスターを選んで手札に加える!俺が加えるのは(サイバードラゴン·コア)!」

 

ヘルカイザー 手札4→5→4

 

 墓地と手札から湧いてきた機械龍。そのどれもがテレビで見た(サイバードラゴン)よりも小柄です。

 

ヘルカイザー

 「ここで攻撃力が500以下の(ネクステア)を対象に(機械複製術)を発動!デッキから(サイバードラゴン)を2体まで攻撃表示で特殊召喚!」

 

ヘルカイザー 手札4→3

 

 突然場に躍り出る2体の(サイバードラゴン)。(ネクステア)はフィールドで(サイバードラゴン)として扱える効果があるのでしょうね。

 

ヘルカイザー

 「(パワー·ボンド)発動!フィールドの(ヘルツ)、(ネクステア)、(サイバードラゴン)で融合!見せてやる!これが俺の新たな力だ!(キメラテック・ランページ・ドラゴン)!」

 

 現れたのは、身体の中央に金属塊を据え、3頭のサイバードラゴンの頭が出ているモンスター。

 そのモンスターを見て、十代さんは気圧されているようです。

 

ヘルカイザー 手札3→2

 

ヘルカイザー

 「(パワー·ボンド)の効果により(ランページ)の攻撃力は倍の4200!そして(ランページ)の効果発動!融合素材のモンスターの数だけ魔法·罠カードを破壊!融合素材は3体!よってセットカードを3枚破壊!」

 

 3頭の機械龍の口から放たれた光線によって(威嚇する咆哮)、(E-エマージェンシーコール)、そして(融合)が破壊されました。

 

ヘルカイザー

 「(威嚇する咆哮)を発動さえしていればこのターンは凌げた。(エマージェンシーコール)を使えば何らかの通常モンスターを手札に加えて、(クレイマン)と(融合)していれば最低限(ワイアーム)を守備で出せたはずだ」

 

 場には4200のモンスターに、(サイバードラゴン)が2体。勝負はつき、十代さんは力なく膝を突きました。

 そもそもヘルカイザーは召喚権を使ってません。こんなに展開出来るんですねサイバー流。

 

ヘルカイザー

 「なんだその腑抜けたデュエルは!戦う意志の無い貴様に鏡子を倒す事など出来ん!」

 

十代

 「……俺は沢山の罪を犯して来た。(融合)のカードで沢山の人を傷つけた……それなのに、俺は心の奥で見ているしか出来なかった。俺は……消えるべきなんだ」

 

 ボソリと溢す様に口にする十代さん。なるほど、どうやら十代さんはかつて覇王だった自分の行いが枷になって、融合を自身で封じているといったところでしょうか。

 

ヘルカイザー

 「この……消えろ十代イィィィ!」

 

 怒りがピークに達して叫ぶヘルカイザー。次の瞬間。突然ヘルカイザーが膝を突き、苦悶の声を漏らし始めました。

 

透子

 「大丈夫ですか!?」

 

 慌てて駆け寄ると、彼は苦しげに胸を鷲掴みにして押さえていました。昔見たテレビの情報だと、確か胸を強く押さえていると内側で何か問題が起きている筈……つまり心臓が異変を起こしているって事!

 

透子

 「心臓マッサージに入ります!痛いですけど我慢して下さいね!」

 

 ヘルカイザーを優しく寝かせて、すぐに心臓マッサージへ移行。保健の授業でやった事を思い出しながら3回ほど胸骨圧迫を行うと、ヘルカイザーは呼吸を取り戻しました。

 

ヘルカイザー

 「……俺には分かっていた。地下での過酷なデュエルが、いつの間にか俺の身体を蝕んでいたようだ」

 

 カイザーさん……プロで低迷してた時にそんな事を……

 

クロノス先生

 「シニョール亮……十代を目覚めさせる為に……そんな身体で……」

 

ヘルカイザー

 「フン。俺はそんな善人じゃない」

 

透子

 「私は十代さんを追います。クロノス先生。ヘルカイザー亮をお願いします」

 

 私は踵を返して、いつの間にかかなり遠くに行ってしまった十代さんを追いかけました。

 

 

〜〜〜

 

 長い長い旅路の末に辿り着いたのは、かつて鏡子と戦った場所。そこで、十代さんは罪の償いを求めて叫び声を上げていました。

 

 その瞬間、小さな突風が吹き荒れ(ガーディアン·バオウ)が姿を現しました。

 

バオウ

 「お久しぶりです覇王様。いや、十代。貴様は俺が成り上がる為の生け贄になってもらう。デュエルだ!」

 

十代

 「そうか……それが万丈目達の答えか。やってやる!」

 

バオウ·十代

 「デュエル!」

 

バオウ

 「ドロー!」

 

バオウ 手札5→6

 

バオウ

 「(デビルスライム·モールド)を召喚。カードを1枚セットしてターンエンド」

 

 召喚されたのは紫色のスライム。あまりにも静かな立ち上がりです。

 

バオウ LP4000 手札4 伏せ1

 

デビルスライム·モールド 攻500

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

デビルスライム·モールド(アニメオリカ)

レベル3/闇属性/水族/攻 500/守1000

自分のスタンバイフェイズ時、このカードが攻撃表示で自分フィールド上に存在する場合、500ポイントのライフを払う事でデッキから(デビルスライム・モールド)1体を特殊召喚する事ができる。

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

 十代さんは僅かに眉をひそめ、モンスターを場に出しました。

 

十代

 「(E·HEROバーストレディ)を召喚!バトルだ!(バーストレディ)で(デビルスライム・モールド)を攻撃!」

 

十代 手札6→5

 

バオウ

 「単調な攻撃だ、(融合)が使えないのは本当らしいな。永続トラップ(レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-)を発動!これにより、レベル4以下のモンスターは攻撃できない!」

 

 火球を放とうとする(バーストレディ)でしたが、場に現れた罠により、攻撃を中断せざるを得ませんでした。

 

バオウ

 「(融合)が使えなければ、貴様のデッキは雑魚モンスターばかりのクズデッキ!お前は攻撃すら出来ずに終わるのだ!」

 

十代

 「くっ……ターンエンド」

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

E·HEROバーストレディ 攻1200

 

バオウ LP4000 手札4 伏せ0

 

デビルスライム·モールド 攻500

 

 

レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-

 

レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-(アニメオリカ)

永続罠

このカードが表側表示で存在する限り、レベル4以下のモンスターは攻撃できない。

自分のターンのスタンバイフェイズ時に、自分フィールド上のモンスター1体をリリースする。

また、自分フィールド上のモンスター1体をリリースせずにこのカードを破壊する。

 

バオウ

 「ドロー!」

 

バオウ 手札4→5

 

バオウ

 「スタンバイフェイズに(デビルスライム·モールド)の効果発動!スタンバイフェイズに、500LPを払う事でデッキからもう一体(デビルスライム·モールド)を特殊召喚!更に500LPを払いもう一体!そして(グラビティ·ゲイン)の維持コストとして(デビルスライム·モールド)を一体生け贄にする!そして(デビルスライム·モールド)を1体生け贄に(ツインヘデッド・ビースト)を召喚!」

 

バオウ LP4000→3500→3000

    手札5→4

 

 増殖するスライム。それをリリースして出されたのは、たてがみが炎で出来た双頭の獅子。レベルは6。あの永続罠を超えて攻撃できます。

 

バオウ

 「バトルだ!(ツインヘデッド・ビースト)で(バーストレディ)を攻撃!ファイヤーバンキング!」

 

 炎の獅子が放つ火の玉が(バーストレディ)を焼き払い破壊しました。

 

十代

 LP4000→3500

 

バオウ

 「(ツインへデットビースト)は2回攻撃が出来る!ファイヤーバンキング!そして(デビルスライム·ホールド)の攻撃!」

 

十代 LP3500→1800→1300

 

バオウ

 「ターンエンドだ!」

 

バオウ LP3000 手札4 伏せ0

 

ツインへデットビースト 攻1700

デビルスライム·ホールド 攻500

 

レベル包囲網-グラビティ·ゲイン-

 

十代 LP1300 手札5 伏せ0

 

 (融合)が使えなければ、十代さんのデッキの能力は大幅に低下します。しかも(グラビティ·ゲイン)のせいで攻撃すらままなりません。この状況を突破できる手段はあるのでしょうか。最悪介入も視野に……

 

三沢

 「透子」

 

透子

 「ひゃ!み、三沢さん。それに……タニヤさん……でしたっけ?」

 

 肩に手を置かれたので、肩を震わせて振り向くと、そこには三沢さんとかつてセブンスターとして立ち塞がったアマゾネス。タニヤさんがいました。

 

三沢

 「覇王の噂は聞いたよ。でも、今の十代にはそんな激しさは感じない」

 

タニヤ

 「ああ、まるで昔戦ったあいつと同じ人間だとはとても思えない」

 

 タニヤさんはセブンスターズ戦で十代さんとデュエルしていました。だからこそ、その違いに気づく事が出来るのでしょう。

 

透子

 「覇王は私が倒しました。今の十代さんはここで明日香さん達を、自らの過ちで犠牲にしてしまった事と、覇王として自ら犯した罪の呵責に苛まれて(融合)を使う事が出来ないんです」

 

タニヤ

 「もしそれが本当なら、十代はこの状況を突破出来ずに死ぬ」

 

 あっ、私が倒した所はスルーするんですかそうですか……まぁいいんですけど。

 

三沢

 「十代!(融合)を使うんだ!責任を取らなきゃならないなら、こんな形じゃない!お前にしか出来ない、本当の敵を倒すことだ!」

 

十代

 「本当の……敵。鏡子……お前だけは……お前だけは絶対に゛倒す゛!」

 

 背中から湧き出る異常な闘気。この雰囲気……もしかしたらもしかするかもしれません。

 

三沢

 「これが……覇王の覇気か。こんなのと対峙したのか透子は……」

 

透子

 「ええ……ターン数は多くありませんでしたが、激闘でした」

 

十代

 「俺のターンドロー!俺は手札の(融合)を発動!手札の(フェザーマン)と(ワイルドマン)で融合!(E・HERO ワイルド・ウィングマン)!」

 

 融合によって現れたのは、緑の翼を生やした筋骨隆々な褐色戦士。プロレスラーにこういう人いそうです。レベルも8なので(グラビティ·ゲイン)効果外ですね。

 

 十代 手札5→6→4→2

 

十代

 「バトルだ!(ワイルド・ウィングマン)で(ツインへデットビースト)を攻撃!ウィング·インパルス!」

 

 翼を駆使した加速による水平突進によって炎の獅子を粉砕しました。

 

バオウ LP3000→2800

 

 

十代

「手札を1枚(融合破棄)を捨てる!絶対無敵!究極の力を解き放て!発動せよ!(超融合)!」

 

 やっぱり(超融合)でしたか。覇王の意志を消しきれなかったのでしょうか……まぁこちらに敵意を向けるようでしたら再び鎮圧しましょう。

 

十代 手札2→1→0

 

バオウ

 「ちょ、(超融合)だと!融合を使えないのではないのか!?」

 

十代

 「そんな事はどうでもいい。俺はお前のフィールドの(デビルスライム·モールド)と俺の(ワイルド·ウィングマン)で融合。来い、(E·HEROエスクリダオ)!」

 

 強烈な風圧を撒き散らしながら現れたのは、全身が真っ黒な細身なヒーロー。

 

十代

 「(エスクリダオ)は墓地のE·HEROの数×100攻撃力が上がる。墓地のヒーローは4体。よって攻撃力は2900となる。ダークコンセントレイション!」

 

 細身な黒いヒーローに黒い闇の様な何かが纏わりつき、僅かに肉付けされました。

 

十代

 「バトルフェイズ中に特殊召喚されたモンスターは攻撃出来る!(エスクリダオ)でダイレクトアタック!Dark diffusion!」

 

 細身のヒーローは右腕から無数の黒い礫を広範囲に射出して、バオウを打ち抜き吹き飛ばしました。

 

バオウ LP2800→-100

 

バオウ

 「フハハハ……震える子羊のフリをしても……貴様の本性は覇王のまま。むしろ覇王そのものだ!」

 

 倒れ、笑いながら消えてゆくバオウ。これで命の危機はさりました。

 

三沢

 「十代。大丈夫か?」

 

十代

 「ああ、それで本当の敵はどこにいるんだ?鏡子はどこにいる!」

 

三沢

 「鏡子の場所は知らないが……別の敵を見つけたんだ。そしてこの世界についてもな」

 

 掻い摘んで説明すると、三沢さんはユベルが元々12個あった次元を無理やり1つにして支配しようとしている事を説明し、止められるのは特別な力を持つ十代のみだと締めました。

 

十代

 「確かに俺には少しだけど覇王の力が眠っている……でもまたみんなを傷つけでもしたら俺……」

 

 ……今の十代を見ていると無性に腹が立ってきます。

 

透子

 「ヨハンさんを助ける為に明日香さん達をほっぽりだして、そのせいで明日香さん達を犠牲にして、力の使い方を誤って覇王に堕ちて、今度はその力から逃げる。そんななりでよくヒーローなんて言えますよね」

 

三沢

 「と、透子……なにもそこまで言わなくても……」

 

 私の冷たい言葉にドン引きの三沢さん。正直自分にこんな声がだせるんだと驚いています。

 

透子

 「貴方は逃げずに償うべきなんです。自分の身を滅ぼすんじゃなく、みんなを傷つけ焼き払った覇王の力で世界を救うべきなんですよ」

 

十代

 「覇王の力……そんな闇の力なんて……やめてくれ!そんな……グァ!」

 

 尻もちをつきながらも、覇王と聞いて拒絶する十代さんの首根っこを、私は掴んで引き寄せました。

 

透子

 「力のない正義なんて戯言にすぎないんですよ?貴方には力がある。その力が怖いのなら、私が何千、何万回でも鎮圧してあげます。貴方は力を持つものとして、その力を正しく使って皆を導く責任と義務があるんですよ」

 

十代

 「……力のある者には責任が伴う……か。行こう透子。ユベルの所へ」

 

 私の手から離れた十代さんの目にはまだ決意は見えません。でもそこには、さっきまでの気弱な姿はどこにもありませんでした。

 

 

〜 砂漠 sideヘルカイザー 〜 

 

ヘルカイザー

 「俺には分かる。俺はもう長くはない」

 

クロノス先生

 「諦めちゃダメナノ〜ネ!人間は最後まで充実して生きなければない。それが人間の義務であり権利ナノ〜ネ!」

 

 権利……か。ならば、近い内に鏡子かユベルとデュエルがしたい物だ。2年前のリベンジか強大な精霊か。それで死ねるなら未練は無い。

 

 そんな事を考えていると、頭の中の何かが強く反応した。

 

ヘルカイザー

 「来る……奴が来る!」

 

 扉の方を向くと、音を立てながら扉が開いた。

 

鏡子

 「ふぅ〜!たまには外に出ないとな……あっ」

 

ヘルカイザー

 「お前は……透子!」

 

クロノス先生

 「シ、シニョーラ透子!その裏人格ナノーネ!」

 

 透子がクロノス教諭に話していた透子の裏人格。間違いなく2年前に俺を倒したデュエリスト。最後のデュエルに相応しい相手だ!

 

ヘルカイザー

 「教諭はここに居てくれ。俺はコイツと最高のデュエルをする!」

 

クロノス先生

 「シニョール亮!何を言い出すノーネ!」

 

ヘルカイザー

 「たとえ未来が無くとも、今この瞬間は充実して生きなければならない。そうだろ?」

 

クロノス先生

 「そ、それはそうだケード。未来が無いなンーて」

 

 どうやらクロノス先生は俺の身を案じて止めようとしているらしい。

 

ヘルカイザー

 「今でもクロノス教諭は最高の先生だよ。俺に生きる目的を思い出させてくれたんだからな」

 

鏡子

 「まじかぁ……俺のデッキ調整しようと思ってたんだが……カイザー。お前確か心臓がヤバいんだろ?待たせるのは無粋ってもんだ。良いデュエルをしようぜ!」

 

ヘルカイザー

 「クロノス教諭。離れて下さい。このデュエルはかなり激しくなるぞ」

 

 クロノス教諭が離れたのを確認して、俺はデュエルディスクを起動する。

 

鏡子

 「透子の裏人格なんて言うのも面倒だろうから自己紹介だ。俺の名は古神鏡子!お前と最期のデュエルをする者だ!」

 

鏡子·ヘルカイザー

 「デュエル!」

 




透子の説教シーンは結構難産でした。


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33.魂焦がすデュエル!

 

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

 う〜ん珍しく手札がよろしくない。でもこれがあるから事故ではないな。

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!(天使の施し)発動!3枚ドローして2枚捨てる!そして捨てられた(シルバ)と(ケルト)は特殊召喚!更に(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(ブラウ)を除外!」

 

鏡子 手札6→5→8→6→5→7→6

 

鏡子

 「(魔界発現世行きデスガイド)を召喚!効果発動!手札·デッキからレベル3の悪魔(魔サイの戦士)を効果無効で特殊召喚!そして(デスガイド)と(魔サイ)でオーバーレイ!エクシーズ召喚!ランク3、(虚空海竜リヴァイエール)!効果発動!素材となった(魔サイの戦士)を取り除き、除外されているレベル4以下のモンスター(ブラウ)を特殊召喚!そして墓地へ送られた(魔サイの戦士)の効果発動!デッキから悪魔族モンスター(グラファ)を墓地へ送る!すぐに(ブラウ)を戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札6→5→6

 

鏡子

 「(暗黒界の門)を発動!効果発動して墓地の(魔サイの戦士)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で(取引)サーチ!カードを2枚セットして(未界域のサンダーバード)の効果発動!ババ抜きだ!」

 

鏡子 手札6→5→4→5→6→4

 

ヘルカイザー

 「右から2番目だ!」

 

鏡子

 「危ねぇ!捨てられたのは(ブラウ)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡子 手札4→3→4→5

 

鏡子

 「(おろかな埋葬)発動!デッキから(グラファ)を墓地へ送り、(シルバ)戻して(グラファ)!俺は(グラファ)と(サンダーバード)でオーバーレイ!ランク8(神竜騎士フェルグラント)!効果発動!素材の(グラファ)を取り除き自分に完全耐性と効果無効を付与!セイントバリア!」

 

 銀河の渦より現れる騎士。自身に薄い膜を張り、守りを固める。

 

鏡子 手札5→4→5

 

鏡子

 「(ケルト)戻して(グラファ)!伏せていた(取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!」

 

鏡子 手札5→6→5→6→5

ヘルカイザー 手札5→6→5

 

鏡子

 「捨てられたのは(ケルト)!蘇生して戻して(グラファ)!2枚目の(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(シルバ)除外!」

 

 鏡子 手札5→6→5→7→6

 

鏡子

 「俺はエクストラデッキの(スターダスト·ドラゴン)を除外して(sin·スターダスト·ドラゴン)を特殊召喚!そしてレベル8の(sinスタダ)と(グラファ)でオーバーレイ!大いなる龍よ!今こそその身に聖なる傷を刻み込み、我が敵を阻む障壁となれ!エクシーズ召喚!ランク8(聖刻天龍エネアード)!カードを2枚セットしてターンエンドだ!」

 

鏡子 手札6→5→4→5→3

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

聖刻天龍エネアード 攻3000 素材2

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材1

 

ヘルカイザー LP4000 手札5 伏せ0

 

ヘルカイザー

 「2年前と比べると些か弱い盤面だな」

 

鏡子

 「あれは(宝札)というぶっ壊れの力で上ブレまくった結果だからな。これぐらいが本来の暗黒界の力さ。ちなみに(聖刻天龍エネアード)は俺のカードを対象に取る効果をターン1で無効に出来る」

 

ヘルカイザー

 「それでも先攻と考えれば十分な展開か。俺のターンドロー!」

 

ヘルカイザー 手札5→6

 

十代

 「カイザー!」

 

 声がした方を向くとそこには十代と透子、三沢とタニヤが居た。どうやら覇王は倒せたみたいだな。ところでなんで三沢とタニヤがいるんだ?

 

十代

 「鏡子!俺とデュエルだ!カイザーとのデュエルは俺が引き継ぐ!」

 

 十代の目は爛々と黄色く輝いていた。……透子さてはやらかしたな?覇王を完全に解除出来てねぇぞ。

 

ヘルカイザー

 「邪魔をするなぁ!十代、お前なら分かるだろう。俺は残り少ない人生で最高の充実感を味わおうとしている。この大事な一瞬を、邪魔はさせん!」

 

 残り少ない?ヘルカイザーは心臓関係で余命宣告食らってるんだろうな。まぁデュエルは手を抜かないが。

 

ヘルカイザー

 「俺は(サイバー·リペアプラント)を発動!墓地にサイバードラゴンモンスターが存在する場合、2つの効果から1つ、今回は光属性機械族モンスターを手札に加える!俺の墓地には墓地で(サイバードラゴン)として扱う(サイバードラゴン·コア)がいるので発動可能!加えるのは(壊星壊獣ジズキエル)!そして(天龍エネアード)をリリースして鏡子のフィールドに特殊召喚!」

 

 金色に輝く龍が呻いたと思えば、腹が食い破られ中から機械仕掛けの竜が俺のフィールドに降り立った。

 

ヘルカイザー 手札6→5→6→5

 

ヘルカイザー

 「墓地の(サイバードラゴン·コア)の効果発動!相手フィールドにのみモンスターが存在する時にこのカードを除外してデッキから(サイバードラゴン)を特殊召喚!さらに手札の(サイバードラゴン)を捨てて(サイバードラゴン·ネクステア)を特殊召喚!そして(ネクステア)の効果を発動!攻撃力か守備力が2100のモンスター(サイバードラゴン)を墓地から特殊召喚!」

 

ヘルカイザー 手札5→4→3

 

 俺が渡して言うのもなんだが現代サイバーな動きだな。まぁエクストラは貧弱だろうから耐えられる筈。

 

ヘルカイザー

 「そしてフィールドの(サイバードラゴン)2体、(ネクステア)、そして鏡子の(壊星壊獣ジズキエル)をリリース!エクストラデッキから現われろ!(キメラテック·フォートレス·ドラゴン)!」

 

 突然4体のモンスターが消え巨大な身体が数珠繋がりになったモンスターが現れた。壊獣とフォートレスのコンボだと!?

 

ヘルカイザー

 「まだだ!(オーバーロード·フュージョン)を発動!墓地の(サイバードラゴン)2体を除外して融合!(キメラテック·ランページ·ドラゴン)!」

 

 場に並んでいく融合体。てか(ランページ)!?そんなんどこで手に入れたんだよ!

 

ヘルカイザー 手札3→2

 

ヘルカイザー

 「(ランページ)の効果を発動!融合素材の数、2枚の伏せカードを破壊する!」

 

鏡子

 「それは通したくないね!(フェルグラント)の効果発動!素材の(サンダーバード)を取り除き、(ランページ)を無効にする!セイントバリア!」

 

 薄い膜が金属塊から首を出す機械竜を覆い、ブレスを未然に防いだ。

 

ヘルカイザー

 「まさか相手ターンにも使えるとはな……(サイバー·ヴァリー)を召喚してバトルだ!(フォートレス)で(フェルグラント)を攻撃!(フォートレス)の攻撃力はこの効果でリリースしたモンスターの数×1000。4体リリースしたので攻撃力4000だ!エヴォルーション·リザルト·アーティレリー!」

 

 放たれる超音波を受け切れなかった(フェルグラント)は爆散。その衝撃が飛んでくる。

 

鏡子 LP4000→2800

 

ヘルカイザー 手札2→1

 

ヘルカイザー

 「続いて(ランページ)で(リヴァイエール)を攻撃!」

 

 薄い膜を貫通して放たれる光線を受けて爆発する海蛇。だが衝撃は飛んでこない。

 

ヘルカイザー

 「俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

ヘルカイザー LP4000 手札0 伏せ1

 

キメラテック·ランページ·ドラゴン 攻2100

キメラテック·フォートレス·ドラゴン 攻4000

サイバー·ヴァリー 攻0

 

鏡子 LP2800 手札3 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

さ、(サイバー·ヴァリー)?確か【ドグマブレード】のパーツだよな?(ヴァリー)とフィールドの他のカード除外して2枚ドローっていう。なんで棒立ちさせたんだ?

 

鏡子

 「大分荒らされちまったな。俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札3→4

 

鏡子

 「まずは運試し!(カップ·オブ·エース)を発動!表なら2枚ドロー。裏ならお前が2枚ドロー!」

 

 回りだす聖杯のカード。回転がどんどん鈍くなり、それは逆位置で止まった。

 

鏡子

 「逆位置なのでお前が2枚ドロー!そしてこの瞬間に(便乗)を発動!2枚セットして(墓穴の道連れ)発動!」

 

鏡子 手札4→3→1

 

ヘルカイザー 手札0→2

 

ヘルカイザーの手札

サイバードラゴン·コア

サイバー·ファロス

 

鏡子

 「俺は(コア)を捨てる」

 

ヘルカイザー

 「俺は(メタモルポット)を捨てる」

 

鏡子

 「その後にお互い1枚ドロー!そして(便乗)の効果で俺は2枚ドローする!」

 

鏡子 手札1→0→1→3

ヘルカイザー 手札2→1→2

 

鏡子

 「(門)の効果発動!(デスガイド)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた2枚目の(スノウ)で(グラファ)サーチ!伏せていた(取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!(便乗)で2枚ドロー!捨てられた(グラファ)で(ランページ)を破壊!」

 

 墓地から吹き出す黒い瘴気によって機械の龍は破壊された。

 

 鏡子 手札2→1→2→3→4→3→5

 

 ヘルカイザー 手札2→3→2

 

鏡子

 「1枚セットして(未界域のビッグフット)発動!ババ抜きだ!」

 

ヘルカイザー

 「1番右だ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(ケルト)!特殊召喚して1枚ドロー!そして(ケルト)の効果発動!自身を蘇生してすぐ(グラファ)!」

 

鏡子 手札5→4→3→2→3→4

 

鏡子

 「伏せていた(暗黒界の援軍)を発動!レベル4以下の悪魔族モンスターを蘇生して1枚捨てる!(スノウ)蘇生して(ケルト)を捨てる。(ケルト)自己蘇生!(スノウ)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札4→3→4

 

鏡子

 「(ビッグフット)と(グラファ)でオーバーレイ!ランク8(森羅の守神アルセイ)!」

 

銀河の渦より出でたるは、角に注連縄を巻いた牛か獅子の様なモンスター。

 

鏡子

 「(アルセイ)の効果発動!デッキトップを当てる!当たるとそれを加える!宣言するのは(手札抹殺)!」

 

 デッキトップを捲ると、あったのは(魔轟神レイヴン)。旨いカード落ちたな。

 

鏡子

 「外れたので墓地送り。ここで(アルセイ)の効果発動!デッキからカードが墓地へ送られた時、素材である(グラファ)を取り除き、(フォートレス)を対象にデッキバウンス!」

 

 (アルセイ)が重厚感溢れる咆哮を上げると、(フォートレス)はバラバラに砕けてデッキへ帰っていった。

 

鏡子

 「(ケルト)戻して(グラファ)!バトルフェイズ!(グラファ)で(ヴァリー)を攻撃!暗黒の吐息!」

 

ヘルカイザー

 「(サイバー·ヴァリー)が攻撃対象にされた時、このカードを除外してバトルフェイズを終了させて1枚ドロー!」

 

  (グラファ)がブレスで小型の機械竜を飲み込もうとするが(サイバー·ヴァリー)が弾け、強烈な磁気が撒き散らされ攻撃が止んだ。

 (ヴァリー)ってそんな効果あったんだ。

 

 鏡子 手札4→5

 

ヘルカイザー 手札2→3

 

鏡子

 「(便乗)でドローして……カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

鏡子 LP2800 手札5 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

森羅の守神アルセイ 守3200 素材1

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

便乗

 

ヘルカイザー LP4000 手札3 伏せ1

 

ヘルカイザー

 「俺のターンドロー!」

 

ヘルカイザー 手札3→4

 

ヘルカイザー

 「(未来融合-フューチャー・フュージョン)を発動ぉ!エクストラデッキから(キメラテック・オーバー・ドラゴン)を相手に見せて、その融合素材を墓地へ送り、2回目のスタンバイフェイズに融合召喚する!」

 

ヘルカイザー 手札4→3

 

ヘルカイザーの後方に、空高くそびえる高層ビル群。その中心部に位置する1番高いビルに光が集まっていく。

 

鏡子

 「エ、エ、エラッタ前だぁ!」

 

未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)(制限カード)

永続魔法

自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。

発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

ヘルカイザー

 「俺が墓地へ送るのはデッキの機械族全て!合計15枚だ!」

 

 やべぇって。これの恐ろしい所は、ありとあらゆるカードを即座に墓地に落とせる所なんだよ。まぁヘルカイザーのデッキにはないとは思うけど、あるシンクロ体を用いてフィールドの(未来融合)を無限に手札に回収出来れば無限墓地肥やしになる。

 

ヘルカイザー

 「墓地の全ての機械族を除外して現れろ!(サイバー·エルタニン)!そして効果発動!特殊召喚に成功した時に発動!鏡子のフィールドのモンスターを全て墓地へ送る!コンステレイション・シージュ!」

 

ヘルカイザー 手札3→2

 

 墓地の全ての機械族が吸い上げられて、巨大な龍の顔をした機械が飛来する。さらに(サイバー·エルタニン)は周囲に浮遊する19個ものファンネルを飛ばし、俺のフィールドをほぼ更地にした。やっぱ対象取らない墓地送りは強いわ。

 

(サイバー·エルタニン)は自身の効果で除外した機械族の数×500アップする。よって攻撃力は9500。通ればOCGでもワンキルだぞこれ。

 

ヘルカイザー

 「バトルだ!(サイバー·エルタニン)でダイレクトアタック!ドラコニス・アセンション!」

 

鏡子

 「トラップ発動(マインド·クラッシュ)!宣言は……(ユベル)!」

 

 地面から生えてきた手より放たれる光の筋。しかし手札は落ちず、代わりに俺の手札のカード(暗黒界の鬼神ケルト)が零れ落ちた。

 

鏡子

 「捨てられたのは(ケルト)!効果で守備表示で蘇生!」

 

鏡子 手札5→4

 

ヘルカイザー

 「生き延びたか。そうでなければつまらん!(サイバー·エルタニン)で(ケルト)を攻撃!ドラコニス・アセンション!」

 

 無数の光線を受けた(ケルト)は為す術もなく消滅した。もしヘルカイザーの手札に(サイバーロード·フュージョン)があったら俺の負け。ターンエンドしてくれぇ……

 

ヘルカイザー

 「俺はカードを1枚セット。ターンエンドだ」

 

ヘルカイザー LP4000 手札1 伏せ2

 

サイバー·エルタニン 攻7500

 

未来融合-フューチャー・フュージョン-

 

鏡子 LP2800 手札4 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

便乗

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5

 

 ヘルカイザーには申し訳ないが、少しお茶を濁させてもらおうか。

 

鏡子

 「(一時休戦)発動!お互いに1枚ドローして次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる!そして(便乗)でドロー!」

 

鏡子 手札5→4→7

ヘルカイザー 手札1→2

 

鏡子

 「(門)の効果発動!墓地の(ケルト)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)の効果発動!(門)を手札に加えて発動!(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ゴルド)は自己蘇生!戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札7→6→7→8→7→6→7→8

 

鏡子

 「(取引)発動!お互い1枚ドローして1枚捨てる!(便乗)でドロー!そして1枚セットして2体目の(ビッグフット)発動!」

 

鏡子 手札8→7→8→7→9

 

ヘルカイザー 手札2→3→2

 

ヘルカイザー

 「右から3番目だ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(ゴルド)!特殊召喚して1枚ドロー!(ゴルド)は蘇生して戻して(グラファ)!エクストラの(スタダ)除外して(sin·スタダ)を特殊召喚!(カップ·オブ·エース)発動!コイントス!」

 

 カードは周り、逆位置で止まる。よってカイザーに2枚ドローを与える

 

鏡子 手札9→8→7→8→9→8→7

 

ヘルカイザー 手札2→4

 

鏡子

 「(便乗)でドロー!そして伏せていた(墓穴の道連れ)を発動!お互いピーピングして1枚捨てて1枚ドロー!」

 

ヘルカイザー手札

サイバー·ファロス

融合

サイバー·ドラゴンフィーア

サイバネティク·フュージョン·サポート

 

鏡子

 「俺は(融合)を捨てる」

 

ヘルカイザー

 「俺は……(セルリ)を捨てる」

 

鏡子 手札7→9→8→9

 

ヘルカイザー 手札4→3→4

 

鏡子

 「(便乗)でドロー!更に(セルリ)発動!相手フィールドに特殊召喚して強制効果!俺は手札を1枚捨てる。捨てられた(ゴルド)の効果発動!特殊召喚してセットカードと(エルタニン)を破壊!」

 

 墓地から飛び出した(ゴルド)は手に持つ大斧を豪快に振るい、セットカード(異次元からの帰還)と(エルタニン)を粉砕してみせた。

 

鏡子 手札9→11→10

 

(異次元からの帰還)……あれはLP半分払って除外されているモンスターを可能な限り特殊召喚するパワーカード。除外ギミックはあるけど、サイバー流に帰還させて旨みのあるカードはあるのだろうか?再利用だけなら(サイバー·ロードフュージョン)があるし。エクシーズあるならまだしも……

 

鏡子

 「そして(貪欲な瓶)発動、(門)、(取引)2枚、(施し)、(天龍エネアード)を戻して1枚ドロー!(ゴルド)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札10→11→12

 

 よし、出せる舞台は整ったし見せてやるぜ!

 

鏡子

 「手札コストとして(ゼピュロス)を捨てる。究極至高!その絶大なる力を解き放て!発動せよ!(超融合)!」

 

十代

 「鏡子!なんでお前がそのカードを持っている!」

 

鏡子

 「忘れたのか?(超融合)は我々暗黒界が作り出したカード。ならばコピーだって出来るだろうさ!尤も、生け贄を捧げてないから世界の融合とかは出来ないけどさ!俺は(グラファ)3体とヘルカイザーの所の(セルリ)で融合!3柱の黒き龍神よ!仇なす空よ!今こそ大いなる渦の元でひとつになりて!新たな世界を生み出し給え!融合召喚!(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

 強烈な嵐に巻き込まれた4体のモンスターが闇の世界を作り出し、気づけばいつもの不気味な世界へと変容していた。

 

鏡子 手札12→11→10

 

三沢

 「これが……(超融合)の力……なんて凄まじいパワーなんだ!」

 

透子

 「(一時休戦)でダメージは与えられないとしても、このフィールドを巻き返せるのでしょうか?」

 

 (超融合)の力に冷や汗を流す三沢とヘルカイザーを憂う透子。まぁ、まだ止まらないんですわ。

 

鏡子

 「(カラレス)の効果発動!お互いのプレイヤーは墓地か表側で除外されているカードを好きなだけデッキに戻して、戻したカード5枚につき1枚ドローしてドローした分だけ捨てる!この効果には相手はチェーン出来ないぜ!俺は墓地の18枚と除外されている6枚を戻して4枚ドローして4体捨てる!」

 

ヘルカイザー

 「俺は除外されている11枚と墓地の4枚を戻して3枚ドローして3枚捨てる」

 

鏡子 手札10→13→10

 

ヘルカイザー 手札4→7→4

 

鏡子

 「(便乗)でドローして、捨てられた(ゴルド)、(ベージ)、(スノウ)、(セルリ)の効果発動!(セルリ)をヘルカイザーの場に特殊召喚!(スノウ)で(取引)サーチ。(ゴルド)と(ベージ)は自己蘇生!そして(セルリ)の強制効果発動!俺は手札を1枚捨てる!捨てられたのは(ブラウ)!2枚ドロー!」

 

鏡子 手札10→12→13→12→14

 

鏡子

 「(ゴルド)と(ベージ)戻して(グラファ)2体!俺は(グラファ)と(sinスタダ)でオーバーレイ!ランク8(神竜騎士フェルグラント)!効果で(グラファ)を取り除き完全耐性付与!更に(ビッグフット)と(グラファ)でオーバーレイ!(森羅の守神アルセイ)!効果発動!(グラファ)を取り除き、カード名を宣言。当たれば手札へ!宣言は……(無限の手札)!」

 

 捲られると、あったのは(無限の手札)。まじか当てたよ。

 

鏡子 手札14→16

 

鏡子

 「あ、当たったので手札に加える!(暗黒界の援軍)発動!墓地のレベル4以下の悪魔族モンスターを蘇生!来い!(魔轟神レイヴン)!その後手札を1枚捨てる。捨てられた(ゴルド)は自己蘇生!」

 

鏡子 手札16→17→16→15

 

 結界通路から出てきたのは、赤眼で翼を生やした悪魔。このデッキ唯一のチューナーだ。

 

鏡子

 「(ゴルド)戻して(グラファ)!俺はレベル8の(グラファ)にレベル2の(レイヴン)をチューニング!天よ!運命よ!事象の理よ!巡る天輪に乗せ此処に結実せよ!シンクロ召喚!(天穹覇龍ドラゴアセンション)!」

 

 光の輪から飛び出したのは、(レインボー·ドラゴン)もかくやといった美しさと力強さを持ったドラゴン。手札が増えまくるから試験的に入れてみた。

 

鏡子 手札15→16

 

鏡子

 「(ドラゴアセンション)はシンクロ召喚に成功した時に俺の手札×800アップする。俺の手札は16枚!よって攻撃力12800!」

 

ドラゴアセンション 攻0→12800

 

十代

 「攻撃力……12800!?」

 

鏡子

 「俺は永続魔法(無限の手札)を発動。このカードの効果により、俺は手札制限がなくなった。(ベージ)召喚して戻して(グラファ)。カードを2枚セットしてターンエンド」

 

 (セルリ)を破壊することも出来たけど、サイバー流はフィールドにモンスターがいると不都合だから敢えて残した……というのは言い訳で、本当は(アルセイ)の効果が当たったので除去出来ずに放置しただけだ。

 

 (フェルグラント)でモンスター効果無効の妨害と大量の3000打点モンスターに1万超えのモンスター。この時代の並のデュエリストなら即サレもんだが……ヘルカイザーはどう動く?

 

鏡子 LP2800 手札13 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の混沌王カラレス 攻3500

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

森羅の守神アルセイ 守3200 素材2

天穹覇龍ドラゴアセンション 攻11200

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

便乗

無限の手札

 

 

ヘルカイザー LP4000 手札4 伏せ1

 

暗黒界の導師セルリ 守300→ 700

 

ヘルカイザー

 「俺のターンドロー!」

 

ヘルカイザー 手札4→5

 

ヘルカイザー

 「……ふん。墓地の機械族モンスターを全て除外して現れろ!(サイバー·エルタニン)!そして効果発動!貴様のフィールドのモンスターを全て墓地へ送る!」

 

ヘルカイザー 手札5→4

 

 ウッソォ!さっき戻したカードを引くってどう言うことぉ!?

 

鏡子

 「そんなん通すか!(フェルグラント)の効果発動!(sinスタダ)を取り除き、(エルタニン)の効果を無効!」

 

 再び飛来した龍の顔面。今度は4つのファンネルを発進させてフィールドを焼こうとするが、母艦から離れる直前にバリアが張られて未遂に終わった。

 

ヘルカイザー

 「俺は(サイバードラゴン·コア)を召喚。効果発動!サイバーかサイバネティック魔法罠を手札に加える!加えるのは(サイバー·リペアプラント)!」

 

ヘルカイザー 手札4→3→4→3→4

 

 ヘルカイザーの表情が僅かに歪む。嫌な予感するからさっさと打つか。

 

鏡子

 「その処理後にトラップ発動(マインド·クラッシュ)発動!宣言は(壊星壊獣ジズキエル)だ!喰らえ!」

 

 俺の指から閃光が放たれ、(壊星壊獣ジズキエル)は墓地へとはたき落とされた。良し!

 

ヘルカイザー 手札4→3

 

 さて、妨害は使わされた。ここからどうするのか……

 

ヘルカイザー

 「俺は(コア)を対象に(機械複製術)を発動!デッキから(サイバー·ドラゴン)を2体特殊召喚!」

 

ヘルカイザー 手札3→2

 

 なるほど、(一時休戦)を利用して(パワー·ボンド)で(サイバー·エンド)を降臨させるって流れか。

 

ヘルカイザー

 「俺は(サイバー·ドラゴン)2体でオーバーレイ!」

 

 ………ん?オーバーレイ?

 

ヘルカイザー

 「超新星の煌めきよ!その瞬光を以て俺に勝利をもたらせ!エクシーズ召喚!ランク5!(サイバードラゴン·ノヴァ)!」

 

 銀河の渦より現れたのは、赤く装飾され、胸部にオレンジ色のコアが輝く(サイバードラゴン)。まさかのエクシーズ……(ノヴァ)があるって事は“アレ”を想定しないといけないよなぁ……

 

ヘルカイザー

 「(ノヴァ)の効果発動!素材の(サイバードラゴン)を1つ取り除き、墓地の(サイバードラゴン)を特殊召喚!そして(サイバードラゴン·ノヴァ)で再びオーバーレイ!ランクアップ!エクシーズチェンジ!」

 

 (ノヴァ)が光の玉となり、空に出来た銀河の渦に飛び込み爆発する。

 

ヘルカイザー

 「瞬光は死の闇を振り払い、瞬間は永遠となる!現れろランク6!(サイバードラゴン·インフィニティ)!」

 

 爆風が晴れ、そこにいたのは禍々しい色へと変化した(サイバードラゴン·ノヴァ)。出ちまったか9期の闇が。

 

ヘルカイザー

 「(インフィニティ)の効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスターを1体対象に、そのモンスターをこのカードの下に重ねる!俺が対象にするのは(暗黒界の混沌王カラレス)だ!」

 

鏡子

 「残念だが、(カラレス)は手札·フィールドの暗黒界モンスターに、効果の対象にならず効果で除外されない耐性を与える効果を持つ!よって他のモンスターを対象にするんだな!」

 

ヘルカイザー

 「くぅ……ならば(天穹覇龍ドラゴアセンション)を重ねる!インフィニティゲイン!」

 

 美しい龍は光の珠へと変化して、(インフィニティ)の周囲を周る光球の1つになった。

 

ヘルカイザー

 「(インフィニティ)は素材の数×200ポイント攻撃力が上がる!素材は3つ。よって攻撃力は2700だ!」

 

鏡子

 「だが俺のモンスターの打点は超えられない。ターンエンドか?」

 

ヘルカイザー

 「まだだ!(パワー·ボンド)発動!俺はフィールドの(コア)と(サイバードラゴン)で融合!現れろ!(キメラテック·ランページ·ドラゴン)!」

 

 大いなる渦で2体のサイバードラゴンモンスターが混じり合う。それにより、鉄塊を胴に据えた機械竜が姿を現した。

 そしてその機械竜は、蒸気を吐き出しながら俺を睨む。

 

ヘルカイザー 手札2→1

 

キメラテック・ランページ・ドラゴン 攻2100→4200

 

鏡子

 「(パワー·ボンド)で攻撃力倍加。そして(ランページ)は最大3回攻撃可能なモンスター。ホント、サイバー流は脳筋で笑えるね」

 

ヘルカイザー

 「あぁそうだ!(ランページ)の効果発動!融合素材の数魔法罠を破壊!俺が破壊するのは(便乗)とそこの伏せカードだ!」

 

 放たれた2筋の光は(便乗)と(おろかな埋葬)を塵も残さず破壊したが、まぁ損害軽微だ。

 

ヘルカイザー

 「(ランページ)の効果発動!デッキから光属性機械族のモンスターを2体まで墓地へ送り、通常攻撃に加えて送ったカードの数まで攻撃出来る!送るのは(ヘルツ)と(超電磁タートル)!これで3回攻撃が可能となる!そして墓地へ送った(ヘルツ)の効果発動!デッキ·墓地から、墓地で(サイバードラゴン)として扱う(コア)を回収する!」

 

ヘルカイザー 手札1→2

 

ヘルカイザー

 「バトルだ!(ランページ)で(アルセイ)を攻撃!エヴォリューション·ランページ·バースト!第1打ァ!」

 

 放たれる一筋の光線が森羅の守神を焼き払い破壊する。

 

ヘルカイザー

 「続いて(フェルグラント)を攻撃!エヴォリューション·ランページ·バースト第2打ァ!」

 

 再び放たれる光線は騎士を呑み込み消滅させる。だがダメージは(一時休戦)により0だ。 

 

ヘルカイザー

 「最後は(カラレス)を攻撃!エヴォリューション·ランページ·バースト第3打ァ!」

 

 三度撃たれる光線は禍々しい世界を撃ち抜き消滅させる。

 

鏡子

 「相手によってフィールドを離れた(カラレス)の効果発動!(手札抹殺)する!」

 

ヘルカイザー

 「させん!(インフィニティ)の効果発動!素材の(ノヴァ)を取り除き、(カラレス)の発動を無効にして破壊する!」

 

鏡子

 「させないぜ!永続トラップ(スキルドレイン)発動!1000LPを払う事で、このカードがある限りフィールドのモンスター効果を無効にし続ける!」

 

ヘルカイザー

 「くぅ!(貪欲な瓶)を発動!墓地の5枚のカード(融合)、(ノヴァ)、(サイバードラゴン)2枚、そして(パワーボンド)を戻して1枚ドロー!」

 

(インフィニティ)が強烈な放電を放とうとするも謎の力場に阻まれた。そして、不気味な世界は胎動を始める。

 

鏡子 LP2800→1800 手札13→0→13

 

ヘルカイザー 手札2→3→0→3

 

鏡子

 「捨てられた暗黒界モンスターは7枚!(ベージ)、(ケルト)(ゴルド)、(シルバ)、(グラファ)、(ブラウ)、(スノウ)の効果発動!(スノウ)で(門)サーチ!(ブラウ)で1枚ドロー!(グラファ)で(インフィニティ)を破壊!そして他4体を蘇生!」

 

 墓地から湧き出す瘴気が(インフィニティ)を呑み込み破壊した。

 

鏡子 手札13→14→15

 

ヘルカイザー

 「くっ……だがただでは死なん!(サイクロン)発動!(スキルドレイン)を破壊!更にフィールドの(サイバー·エルタニン)をリリースして、手札の(サイバー·ファロス)を特殊召喚!俺はこれでターンエンド!(パワー·ボンド)のデメリットで本来は(ランページ)の攻撃力分、2100のダメージを受けるが(一時休戦)によりダメージを受けない!」

 

ヘルカイザー LP4000 手札1 伏せ1

 

キメラテック·ランページ·ドラゴン 攻4200

暗黒界の導師セルリ 守400

サイバー·ファロス 守2100

 

未来融合-フューチャー・フュージョン(1)

 

鏡子 LP1800 手札15 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の尖兵ベージ 攻1900

暗黒界の武神ゴルド 攻2600

暗黒界の軍神シルバ 攻2600

暗黒界の鬼神ケルト 攻2700

 

無限の手札

 

(超電磁タートル)落とされたか……面倒な。それにしても……1on1でこんなデッキのカードフル回転させて戦ったデュエルは……この世界では初めてか。まぁ(宝札)が引けてないけど。

 

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札15→16

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!まずは(ベージ)、(シルバ)、(ゴルド)を戻して(グラファ)!(門)の効果発動!墓地の(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ゴルド)は自己蘇生!(グラファ)2枚でオーバーレイ!(聖刻神竜エネアード)!効果発動!素材の(グラファ)墓地へ送って、フィールドの(エネアード)と手札2枚をリリース、(ランページ)と(ファロス)、伏せカードを破壊!」

 

ヘルカイザー

 「速攻魔法(融合解除)発動!(ランページ)をエクストラに戻し、墓地の融合素材一組(コア)と(サイバードラゴン)を特殊召喚!」

 

鏡子

 「この効果は対象に取らないので対象変更。(ファロス)と(セルリ)、(コア)を破壊する」

 

 自身を生け贄にして放たれた閃光は(ランページ)を呑み込み破壊しようとしたが(ランページ)は分離した為、代わりに(ファロス)と(セルリ)、(コア)を消滅させた。

 

鏡子 手札16→19→18→19→17

 

鏡子

 「(ケルト)、(ゴルド)戻して(グラファ)!1枚セットして(未界域のサンダーバード)発動!」

 

鏡子 手札17→19→18

 

ヘルカイザー

 「右から3つ目だ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(シルバ)!特殊召喚して1枚ドロー!(シルバ)自己蘇生!」

 

鏡子 手札18→17→16→17

 

鏡子

 「(カップ·オブ·エース)発動!コイントス!」

 

 カードは周り、逆位置で止まる。今日は少しついていないみたいだ。

 

鏡子

 「逆位置なのでヘルカイザーが2枚ドロー!(サンダーバード)と(グラファ)でオーバーレイ!(神竜騎士フェルグラント)!効果発動!(グラファ)きって、効果無効にして完全耐性付与!(シルバ)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札17→16→17

 

ヘルカイザー 手札1→3

 

鏡子

 「伏せていた(取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(ケルト)は自己蘇生!」

 

鏡子 手札17→18→17

 

ヘルカイザー 手札3→4→3

 

鏡子

 「エクストラから(スタダ)除外して(sinスタダ)特殊召喚!(グラファ)と(sinスタダ)でオーバーレイ!(聖刻天龍エネアード)!更に(貪欲な壺)発動!(カラレス)、(ドラゴアセンション)、(アルセイ)、(フェルグラント)、(神竜エネアード)を戻して2枚ドロー!」

 

鏡子 手札17→16→15→17

 

鏡子

 「まあ、こんな物か。バトルフェイズ!(エネアード)で(サイバー·ドラゴン)を攻撃!ヒエラティックシュート!」

 

ヘルカイザー

 「墓地の(超電磁タートル)を除外して効果発動!デュエル中に1度、その攻撃を無効にしてバトルを終了させる!」

 

 亀から放たれる強烈な電磁波によって聖なる光弾は弾かれて、バトルフェイズが終わった。

 

鏡子

 「まぁそうなるな。俺はカードをセットしてターンエンド。さぁ、この盤面をどう返す?」

 

鏡子 LP2800 手札16 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

聖刻神龍エネアード 攻3000 素材1

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の鬼神ケルト 攻2700

 

無限の手札

 

ヘルカイザー LP4000 手札3 伏せ0

 

サイバードラゴン 守1600

 

未来融合-フューチャー・フュージョン(2)

 

 

ヘルカイザー

 「俺のターンドロー!」

 

ヘルカイザー 手札3→4

 

ヘルカイザー

 「この瞬間、(未来融合-フューチャー・フュージョン)の効果が適応される!現れろ(キメラテック·オーバー·ドラゴン)!」

 

 1番高いビルの光が弾けて現れたのは、胴を金属塊で構成された15の頭を持つ機械龍。しかし、着地の衝撃で後ろのビルが粉砕され、姿を消した。

 

透子

 「え、ええ?何がどうなって……」

 

鏡子

 「(未来融合)はフィールドを離れると、この効果で出したモンスターが破壊されるデメリットがある。そして(オーバードラゴン)は特殊召喚すると自分のフィールドのカードを根こそぎ墓地送りにするデメリットがある。よって自滅したってわけだ。まぁフィールドが空になったし、展開できるな」

 

ヘルカイザー

 「その通りだ。(サイバー·リペアプラント)を発動!墓地に(コア)が存在することで、デッキから光属性·機械族の(壊星壊獣ジズキエル)を手札に加えて、(フェルグラント)をリリースして鏡子のフィールドに特殊召喚!墓地の(コア)を除外して効果発動!相手にのみモンスターが存在する時、デッキから(サイバードラゴン)を特殊召喚!」

 

ヘルカイザー 手札4→3→4→3

 

ヘルカイザー

 「(サイバネティック·フュージョン·サポート)を発動ぉ!LPを半分払い、一度だけ墓地融合を可能にする!そして俺が信じる究極の融合(パワー·ボンド)発動ぉ!フィールドの(サイバードラゴン)と墓地の(サイバードラゴン)として扱う(ネクステア)、(ヘルツ)を除外して融合!現れろ!(サイバー·エンド·ドラゴン)!」

 

 場に躍り出た(サイバー·エンド·ドラゴン)。重厚な咆哮が、吐き出される蒸気と共にこの世界に響き渡る。

 

ヘルカイザー LP4000→2000 手札3→2→1 

 

ヘルカイザー

 「(パワーボンド)で特殊召喚した(サイバー·エンド)は攻撃力8000!バトルだ!(サイバー·エンド·ドラゴン)で(聖刻神竜エネアード)を攻撃!エターナル·エヴォリューション·バースト!」

 

三沢

 「(エネアード)の攻撃力は3000、(サイバー·エンド·ドラゴン)の攻撃力は8000!5000の貫通ダメージでワンショットキルが成立する!」

 

鏡子

 「残念だったなぁ!トラップ発動!(バージェストマ·ディノミスクス)!手札を1枚捨てて(サイバー·エンド)を除外!」

 

 (サイバー·エンド)が3つの頭から光線を放とうとしたが、未知の生物が纏わりつき、身体がどんどんと腐食して液化した。

 

ヘルカイザー

 「……俺はこれでターンエンド。強き力にはリスクが伴う。エンドフェイズに融合召喚したモンスターの元々の攻撃力分の……ダメージを受ける……」

 

ヘルカイザー LP2000→-2000

 

 ヘルカイザーは力なく倒れ、デュエルは決着した。

 

 結構消耗したなぁ……けど良いデュエルだった。

 

十代

 「カイザー!」

 

 倒れ伏したカイザーによる仲間たち。今ここで戻ってもいいが、少しだけ待ってみるか。

 

十代

 「待て鏡子!なんでこんな事をした!」

 

鏡子

 「俺はただデュエルに応えただけだ。彼もきっとこの結末を望んでいたんだろう。十代、扉を潜ってきな。素敵なプレゼントを用意しておくからさ」

 

 伝えたい事を伝えた俺はそう言って扉を潜った。

 

 

 

透子

 「待って鏡子!」

 

 私の制止の声に耳も貸さないで扉の向こうへ行った鏡子。追いかけるよりも、ヘルカイザーの様子を……

 

 ヘルカイザーは抉れそうなぐらい強く胸を握りしめ、苦しそうにしていました。

 

ヘルカイザー

 「これが……強さだけを求めてデュエルしてきた者の末路だ。瞬間の喜び、それが地獄まで見て辿り着いた俺の結論だった。笑うなら笑え」

 

クロノス

 「バカ言うんじゃ無いノーネ!先程のデュエルを笑うものなど誰もいないノーネ!」

 

 確かに笑える人などいないでしょう。確かにヘルカイザーは鏡子を大分追い詰めていましたが、それでも鏡子の力の底を見る事は出来ませんでした。なにせ、まだ彼は(生還の宝札)を使っていないのですから。

 

三沢

 「カイザー!しっかりしろ!きっと十代はカイザーの様に輝いて……」

 

ヘルカイザー

 「同じでは許さん……」

 

 確かに最期の(パワー·ボンド)を発動したヘルカイザーは確かな輝きを放っていました。きっと……十代さんも鏡子を相手にすればあれ以上の輝きを見せてくれるでしょう。

 

十代

 「俺は……カイザー以上に輝いて……奇跡を起こしてみせる!」

 

ヘルカイザー

 「あぁ、消えてしまった仲間達も……それを望んでいるだろう……」

 

 十代さんの覚悟を決めた表情を見て安堵したのか、ヘルカイザーが淡い光に包まれて、遂に光の粒子となって散って行きました。

 

 ヘルカイザー……いえ、カイザー亮。貴方とは1度、デュエルして見たかったものです。あの鏡子と拮抗してみせたデュエリストとして……

 

 偉大なる先輩の、生徒の死を見た十代さん、三沢さん、クロノス先生の涙を流す姿を見て、私は静かに哀悼の意を表するのでした。



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34.悪魔に墜ちた者、悪魔を従えし者

 

 

 ユベルに付いていった俺はやたら近未来的な塔に入りデッキを調整して、どうしょうもなく暇だったので外に出てみたらヘルカイザーと出くわしデュエルして、ヘトヘトになって帰ってきたあと、頂上で十代を待ちぼうけしていた。

 

鏡子

 「暇だな。もうデッキを調整しちまったしやることねぇぜ」

 

ユベル

 「たしかにね。でも、今ここのタイミングで十代とデュエルは出来ない。何故なら、さっき君とやったデュエルで僕はかなりダメージをうけたからねぇ。回復しないといけないんだ」

 

 そうかぁ……じゃあ暫くは浮遊する玉座に座るユベルを見ているしか出来ないのか

 

鏡子

 「そういえば、ユベルって心の闇を食うんだよな?前に俺へちょっかい出したのも心の闇関係か?」

 

ユベル

 「まぁね。僕は暗く深い闇の方が好みなんだけど、君が抱えていた浅くとも煮えたぎる様な闇もたまには悪くはないと思って育ててたんだ。でも君はそれを克服しきってしまった。全く、浅い闇は足が早い事を忘れていたよ……待て。どうやらご馳走がやってきたようだ」

 

 闇にも味があるんだなと漠然と考えていると、アモンがこっちにやってきた。

 

ユベル

 「僕との証が……エクゾディアを手に入れたのか」

 

 証?そんなものをアモンと交わしてたのか。それにエクゾディアだって!?まずいな(ドロバ)入れないと。でも(ドロバ)は……手持ちにないな。ここでスマホ調達なんて出来ないしな。しかたない代わりに(暗黒の瘴気)を入れよう。

 

ユベル

 「そうか……君は愛する者を犠牲にエクゾディアを……すごいじゃないか。君は自らの固い意志を食い破った。これが剥き出しの、本当のアモンなんだ」

 

 話に全然ついてけねぇ……固い意志ってなんだよ。てか愛する者いたんだアモン。

 

アモン

 「そうだ。そして僕は王になる。お前を倒して!」

 

ユベル

 「ふん!笑わせるな……っと言いたいところなんだが僕は相当消耗していてね。代理として鏡子を相手にしてもらうよ」

 

 おっ、ようやく話に混じれるようだ。早速俺は前に出て、デュエルディスクを構える。

 

アモン

 「確かにどこで遊んでいたのか相当ダメージを負っているようだ。だがエクゾディアを手にした僕に負けは無い!」

 

アモン·鏡子

 「デュエル!」

 

鏡子

 「先攻は俺だ!ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「カードを2枚セットして(墓穴の道連れ)を発動!お互いに手札を見せて相手に捨てさせてお互いにドロー!」

 

アモン

 「…………」

 

さて、奴の手札は……

 

アモン手札

封印されし右腕

封印されし左足

封印されし右足

封印されし左腕

究極開放儀式術

 

エクゾディアパーツが……4枚!?一周回って事故ってるけど下手したらワンキルされてたかもしれねぇ!

 

鏡子

 「お、俺は(右足)を捨てる」

 

アモン

 「僕は(ベージ)を捨てる」

 

鏡子

 「そしてお互いにドロー」

 

鏡子 手札6→4→3→2→3

アモン 手札5→4→5

 

 手札が悪いが……とりあえず回せるだけ回そう。このターンでエクゾ揃うことはまず無いし。

 

鏡子

 「(捨てられた(ベージ)は自己蘇生。そして(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(スノウ)除外。(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる。捨てられた(ブラウ)で1枚ドロー。」

 

鏡子 手札3→2→3→2→3

 

アモン 手札5→6→5

 

鏡子

 「よし、俺は(魔界発現世行きデスガイド)を通常召喚。効果発動!デッキから(魔サイの戦士)を効果無効で特殊召喚!そしてこの2体でオーバーレイ!ランク3(虚空海竜リヴァイエール)!」

 

アモン

 「見たことのない召喚法。僕が異世界にいる間に発表されたのか」

 

鏡子

 「まぁそんなとこだ。(リヴァイエール)の効果発動!素材の(魔サイの戦士)を取り除き、除外されているレベル4以下のモンスター(スノウ)を特殊召喚!そして墓地へ送られた(魔サイの戦士)の効果発動!悪魔族モンスター(グラファ)を墓地へ送る。そして暗黒界モンスター(スノウ)を手札に戻す事で墓地の(グラファ)は特殊召喚出来る!」

 

 (スノウ)が空高く跳躍すると、地面が割れて(グラファ)が姿を現した。

 

鏡子

 「伏せられていた(カップ·オブ·エース)を発動!コイントス!」

 

コイントス 裏

 

鏡子

 「……裏だ。2枚ドローしな」

 

アモン 手札5→7

 

鏡子

 「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

鏡子 LP4000 手札2 伏せ2

 

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材1

暗黒界の尖兵ベージ 守1300

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

 

アモン LP4000 手札7 伏せ0

 

アモン

 「僕のターン。ドロー」

 

アモン 手札7→8

 

ユベル

 「墓地にエクゾディアが落ちてしまった以上勝利は消えた!残念だったねぇ。でも大したものだよ、ここまでエクゾディアを掌中のものとしていたなんて。これも愛する者を犠牲にしたおかげだぁ……」

 

 いや、一応墓地で揃えると特殊勝利出来る奴もいなくは無いし、(闇の量産工場)で2枚サルベージ出来るから油断出来ないんだよなぁ。

 

アモン

 「くっ……僕は(究極封印開放儀式術)を発動!手札・墓地の封印されしと名のつくカードが5枚存在する時のみ発動する事ができる! 墓地に存在する封印されしと名のつくカードを全てデッキに戻し、その後に手札から封印されしと名のつくカードを2枚まで墓地に送り、 デッキ・手札から(究極封印神エクゾディオス)1体を特殊召喚する ! 」

 

アモン 手札8→7→5

 

 出た!OCGではランク10の下敷きになる奴だ!

 

 強烈な風圧を撒き散らしながら現れるのは、黒光りする鎧を装着したエクゾディア。

 

ユベル

 「攻撃力が……決まってないだと!」

 

アモン

 「(究極封印神エクゾディオス)は墓地の封印されしと名のつくモンスターの数×1000ポイントの数値となる!よって攻撃力2000!更に僕は(強者の苦痛)発動!相手フィールドのモンスターの攻撃力は、そのモンスターのレベル×100ダウンする!」

 

鏡子

 「だがエクシーズモンスターである(リヴァイエール)はレベルを持たないので効果を受けない。よって今の所影響を受けるのは(グラファ)だけだ」

 

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→1900

 

アモン

 「バトルだ!(エクゾディオス)は攻撃する時、デッキから(エクゾディア)パーツを墓地へ送る。よって攻撃力は3000!いけ!(暗黒界の龍神グラファ)へ攻撃!天上の雷火 エクゾードブラスト!」

 

 (エクゾディオス)が右腕を地面に擦りながら放たれた業火は(グラファ)を貫き俺にも飛び火した。

 

 鏡子 LP4000→2900

 

 熱い。前世だったら間違いなく即死して異世界転生出来る代物だが、1年の時に宇宙で食らった不死鳥に比べれば熱湯の様な物だ。火傷とかもしないし。

 

アモン

 「(エクゾディオス)の効果で墓地にエクゾディアパーツが5枚揃った時、エクゾディアが完成し、僕はデュエルに勝利する!」

 

ユベル

 「あくまでエクゾディアに拘るつもりなんだね?」

 

アモン

 「あぁ。僕はこれでターンエンド」

 

アモン LP4000 手札5 伏せ0

 

究極封印神エクゾディオス 攻3000

 

強者の苦痛

 

鏡子 LP2900 手札2 伏せ2

 

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材1

暗黒界の尖兵ベージ 守1300

 

ユベル

 「大丈夫かい?鏡子。君のエースの打点はフィールド込みで3000。越えられるのかい?」

 

アモン

 「無駄だ。(エクゾディオス)は戦闘で破壊されず相手の魔法·罠·モンスター効果を受けない!」

 

 まじかよ!?壊獣ねぇから詰みじゃん!でも……特殊勝利だけはさせねぇぜ!

 

鏡子

 「(エクゾディオス)は退かせねぇが負けてやるつもりは無い!俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札2→3

 

鏡子

 「とりあえず(ベージ)を戻して(グラファ)蘇生!今引いた(天使の施し)発動!3枚戻して2枚捨てる!捨てられた(グラファ)、(スノウ)の効果発動!(スノウ)で(門)サーチして、(グラファ)で(苦痛)を破壊!」

 

鏡子 手札2→3→2→5→3→4

 

鏡子

 「(門)発動して効果発動!墓地の(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!(リヴァイエール)の効果発動!素材の(デスガイド)を墓地へ送り除外された(スノウ)を特殊召喚!戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札4→3→2→3→4

 

 キーパーツ来ねぇ……やべぇぞこれ。

 

鏡子

 「伏せていた(おろかな埋葬)を発動!(グラファ)を墓地へ!そして(ベージ)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札4→5

 

鏡子

 「俺は2枚セットしてターンエンド!」

 

鏡子 LP2900 手札3 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材0

 

アモン LP4000 手札5 伏せ0

 

究極封印神エクゾディオス 攻3000

 

アモン

 「無駄だ。どんなにモンスターを並べた所で、この(エクゾディオス)には届かない!私のターンドロー!」

 

アモン 手札5→6

 

アモン

 「バトルだ!(エクゾディオス)で(グラファ)を攻撃!そして攻撃する時にエクゾディアパーツを墓地へ送り、攻撃力は4000!天上の雷火 エクゾードブラスト!」

 

再び放たれる業火。火傷しないとはいえ痛いものは痛いんだよ。

 

鏡子 LP2900→1900

 

アモン

 「あと1枚、次のターンの(エクゾディオス)の攻撃で、エクゾディアが完成する」

 

ユベル

 「フフフ……そして晴れて君は王になる。君の願いが叶うんだ。良かったね、でもそれを誰が喜んでくれるんだい?君が君らしくある事を喜んでくれるのは、エコーという女性じゃないのかい?でも君は彼女を死なせてしまった。彼女が喜ぶ姿を見ることは出来ないんだ。それっておかしくないかな?」

 

アモン

 「黙れ」

 

ユベル

 「僕なら耐えられない。愛する者のいない世界など。十代がいるからこそ痛み、苦しみ、そして喜びがあるんだよ」

 

 諭す様に己の考えを説くユベル。う〜ん、意外とユベルって愛にまっすぐなんじゃないかって思えてきた。痛み云々取り除けばしっくりくる。きっと方法が歪んでるだけなんだろう。

 

アモン

 「エコーはいる。ここに」

 

 アモンの目は真面目だ。苦し紛れじゃない。きっと心の奥底までそう思っているんだろう。

 

アモン LP4000 手札5 伏せ0

 

究極封印神エクゾディオス 攻4000

 

鏡子 LP1900 手札3 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材0

 

鏡子

 「自分の為に殺しておいてよく言うよ。俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札 3→4

 

 それにしてもいつになく引きが悪い!やっぱり60枚は事故るなぁ!

 

鏡子

 「(門)の効果発動!墓地の(魔サイの戦士)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で(取引)サーチ!(取引)発動!お互い1枚ドローして1枚捨てて捨てられた(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡子 手札4→3→4→5→4→5→4→5

 

アモン 手札6→7→6

 

鏡子

 「1枚セットして(墓穴の道連れ)発動!手札を見せろ!」

 

アモン手札

·カードガンナー

·成金ゴブリン

·手札抹殺

·手札断殺

·鳳凰の羽根

·マッド·リローダー

 

鏡子

 「俺は……(カードガンナー)を捨てる」

 

アモン

 「(BF·精鋭のゼピュロス)を捨てる」

 

鏡子

 「そしてお互い1枚ドロー。そしてこの瞬間(便乗)発動!お前がドローフェイズ以外でドローした時発動できる!お前がドローフェイズ以外でドローする度に俺が2枚ドローする!」

 

鏡子 手札5→4→3→2→3

 

鏡子

 「最後の(取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!(便乗)でドローして(ベージ)蘇生!(貪欲な瓶)発動!(墓穴の道連れ)と(取引)3枚、(天使の施し)を戻して1枚ドロー!」

 

鏡子 手札3→2→3→2→4→5

 

アモン 手札6→7→6

 

鏡子

 「(ベージ)戻して(グラファ)!伏せていた(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(ベージ)除外!よし来た!カードを2枚セットして、(リヴァイエール)をリリースしてアドバンスセット!みんな守備表示にしてターンエンド!」

 

鏡子 手札5→6→8→7→5→4

 

ユベル

 「このままだと(エクゾディオス)の効果でエクゾディアが完成してしまう。手立てはあるのかい?」

 

鏡子

 「ああ、手札交換の成果が出た。ここから反撃開始だ」

 

鏡子 LP1900 手札4 伏せ4

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 守1600→1900

暗黒界の龍神グラファ 守1600→1900

暗黒界の龍神グラファ 守1600→1900

セットモンスター

 

便乗

 

アモン LP4000 手札5 伏せ0

 

究極封印神エクゾディオス 攻4000

 

 

アモン

 「僕のターンドロー」

 

アモン 手札5→6

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ!永続トラップ(暗黒の瘴気)発動!効果発動!手札を1枚捨てて墓地のエクゾディアパーツ(左腕)を除外!」

 

アモン

 「な、何ぃ!」

 

 墓地から吹き出す瘴気により、(エクゾディア)の左腕は霧散した。

 

鏡子 手札5→4

 

鏡子

 「エクゾディアデッキは基本的に除外を回収するギミックは搭載しない!俺の勝ちだぁ!」

 

ユベル

 「フッハハハハ!これで(エクゾディア)が完成する事はない!君の愛する者を生贄にしたエクゾディアはもうその力を発揮することはない!残念だったねぇ!」

 

アモン

 「まだだ……まだエコーは生きている!僕は諦める訳にはいかない!バトル!(エクゾディオス)で(グラファ)を攻撃!攻撃する時に最後のエクゾディアパーツを墓地へ送り、攻撃力は4000となる!天上の雷火 エクゾードブラスト!」

 

 放たれる業火。だが(グラファ)が守りの姿勢を固めていた事で、こちらには風圧しか来なかった。

 

アモン

 「カードを2枚セット。ターンエンドだ」

 

アモン LP4000 手札4 伏せ2

 

究極封印神エクゾディオス 攻4000

 

鏡子 LP1900 手札4 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 守1600→1900

暗黒界の龍神グラファ 守1600→1900

セットモンスター

 

便乗

暗黒の瘴気

 

 エクゾディオスの守備力0じゃねぇか。でも戦闘で破壊されないんだよな……

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「伏せていた最後の(カップ·オブ·エース)を発動!コイントス!」

 

コイントス 裏

 

鏡子

 「裏なのでお前は2枚ドロー。そして(便乗)で2枚ドロー」

 

鏡子 手札4→6

アモン 手札4→6

 

鏡子

 「(門)の効果発動!(デスガイド)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(シルバ)は特殊召喚!戻して(グラファ)!墓地の(ゼピュロス)の効果発動!コストで(門)を手札に戻してデュエル中に一度蘇生!」

 

鏡子 手札6→5→6→7→8

 

 ドローカードが良いな。いっちょ見せてやるか!

 

鏡子

 「究極至高!その絶大なる力を解き放て!発動せよ!(超融合)!」

 

アモン

 「(超融合)だと!?そのカードは覇王の象徴の筈!」

 

鏡子

 「元々(超融合)は俺達暗黒界が生み出したカード。コピーなど造作もない!コストで手札を1枚捨てて、(グラファ)2体と(ゼピュロス)、(シルバ)で融合!黒き二柱の龍神よ!黒き翼よ!銀色の軍神よ!今こそ1つとなりて!新たな世界を作り出せ!融合召喚!現れろ!我らが世界の創造主!(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

 猛烈な暴風が雷と共に吹き荒れて、4体のモンスターを吸い込んでいく。そして世界は変容し、不気味な紋様で構築された世界へと生まれ変わった。

 

鏡子 手札8→7→6

 

鏡子

 「(ゴルド)を反転召喚して戻して(グラファ)!(門)を発動!墓地の(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!そして捨てられた(ゴルド)は自己蘇生して戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札6→7→6→7→8

 

鏡子

 「満を持して(カラレス)の効果発動!1ターンに1度、お互いのプレイヤーは墓地又は表側表示で除外されているカードを任意の枚数デッキに戻し、戻したカード5枚につき1枚ドローして、その後ドローした枚数分手札を選んで捨てる!この効果に相手はカードの効果をチェーン出来ない!俺は墓地の14枚と除外されている3枚をデッキに戻して3枚ドローして3枚捨てる!」

 

アモン

 「僕は除外されているエクゾディアパーツ1枚と墓地の3枚のカードを戻す」

 

鏡子

 「そして捨てられた(セルリ)、(ベージ)、(シルバ)の効果発動!(シルバ)、(ベージ)を蘇生して(セルリ)を相手フィールドに特殊召喚!そして(セルリ)の効果発動!相手は手札を1枚捨てる。よって俺は(ゴルド)を捨てる!」

 

鏡子 手札8→11→8→7

アモン 手札6→7→6

 

鏡子

 「相手に捨てられた(ゴルド)の効果発動!特殊召喚してお前のセットカード2枚対象に破壊!」

 

墓地から湧いてきた(ゴルド)はその手に握る大斧を振るい、(ミラーフォース)と(ガード·ブロック)を破壊した。

 

鏡子

 「(ベージ)、(シルバ)を戻して(グラファ)!伏せていた速攻魔法(神秘の中華なべ)を発動!(グラファ)リリースしてLPを3000回復!そして(ゴルド)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札7→8→9→10

   LP1900→4900

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(カラレス)で(セルリ)を攻撃!カラーレスワールド!」

 

アモン

 「手札から(バトル·フェーダー)の効果発動!このカードを手札から特殊召喚してその攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了させる!」

 

 突然飛び出しやじろべえの様なモンスター。そいつが奏でる鐘の音により、モンスターの動きが止まった。

 

アモン 手札6→5

 

鏡子

 「意外とやるじゃねぇか。俺はカードを1枚セット。ターンエンドだ。手札制限により、俺は手札を3枚捨てる」

 

 

鏡子 LP4900 手札6 伏せ3

暗黒界の門

 

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200→3500

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

アモン LP4000 手札6 伏せ0

究極封印神エクゾディオス 攻4000

 

アモン

 「……ドロー」

 

アモン 手札6→7

 

 どうやらアモンは諦めてないらしい。まぁ確かにエクゾディアはデッキに戻したしな。可能性はあるのか。

 

アモン

 「フィールド魔法(霧の王城)を発動!そして(エクゾディオス)と(フェーダー)を生け贄に(霧の王)を召喚!このカードは(霧の王城)がある時、生け贄無しで召喚出来る。だが、今回は生け贄召喚させてもらった」

 

 (暗黒界の門)が砕けて現れたのは、霧に包まれた巨大な王城。そしてその楼閣の上に、一人の騎士が立っていた。 

 

アモン 手札7→6→5

 

アモン

 「そして(霧の王)に(王家の剣)を装備!」

 

霧の王 攻0

 

 騎士の前に現れた、刀身に5つの穴が開いた剣。それを騎士は握りしめて構える。

 

アモン 手札5→4

 

アモン

 「このカードを装備したモンスターが戦闘を行ったターンのバトルフェイズ終了時、このカードに紋章カウンターを1つ乗せる。そして、このカードに乗っている紋章カウンター1つにつき、装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする」

 

 手間暇かける割にはショボいなぁ……

 

アモン

 「バトルだ!(霧の王)よ!あの混沌王を亡き者にしろ!ミスト·ストラングル!そして(霧の王)効果発動!(カラレス)と(霧の王)の攻撃力を1にする!」

 

 霧を放ちながら突進する騎士。相討ち狙いだと!?

 

霧の王 攻0→1

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200→1

 

 (霧の王)がなにもない空間に刺突を放つと即座に飛び去り、さっきまで立っていた別の楼閣へ移動した。

 次の瞬間、不気味な世界が霧となって霧散した。

 

アモン

 「(霧の王)に声をかける事は許されない。(霧の王城)の効果により、(霧の王)が戦闘で破壊される場合にフィールドのモンスターゾーンを1つ使用不能にする事で破壊を免れる。ちなみに、(霧の王)が場に存在する限り、王以外の効果は無効となる。そして戦闘を行った(王家の剣)に紋章カウンターが1つ乗る」

 

霧の王 攻0→800

 

 なるほど、生きる(スキドレ)って訳か。まぁ暗黒界には元々(スキドレ)は効かないんだよな。

 

鏡子

 「だがフィールドを離れた(カラレス)の強制効果発動!(手札抹殺)する!」

 

鏡子 手札6→0→6

アモン 手札4→0→4

 

鏡子

 「捨てられた(ゴルド)と(ベージ)の効果発動!守備表示で自己蘇生!」

 

アモン

 「僕はこれでカードを3枚セットしてターンエンド」

 

アモン LP900 手札1 伏せ3

フィールド(霧の王城)

 

霧の王 攻800

使用不能

 

王家の剣(霧の王)

 

 

鏡子 LP3900 手札6 伏せ3

 

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

暗黒界の龍神グラファ 攻2700

暗黒界の尖兵ベージ 守1300

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

 

便乗

暗黒の瘴気

 

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札6→7

 

ユベル

 「アモン……凄いねぇ。(エクゾディア)が駄目でもちゃんと別の戦術を用意してるなんて抜け目ない」

 

 いや、それするぐらいならエクゾディアに全振りして先攻で揃えたほうがよっぽど強いと思うんだが……

 

ユベル

 「そうだ君は強かったんだ、あのアカデミア最強と呼ばれている鏡子と拮抗できる程にね。ならばどうしてエコーは死ななくちゃいけなかったんだろう?無駄死にだね」

 

 煽る(ユベル)。そうやって心の闇を味付けしてるのだろうか……まぁデュエルに集中しよう。

 

 さて……(スキドレ)状態で実質破壊耐性のモンスターをどう処すか……非破壊効果 は(ディノミスクス)以外は全部エクストラのカードしかねぇしなぁ……待て?フィールド魔法の張替えすればいいじゃん!まずは手札交換だ!

 

鏡子

 「とりあえず(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(ケルト)除外!よし来た!(暗黒界の門)発動!」

 

 ご立派な楼閣は消え失せて、荘厳な門へと姿を変える

 

鏡子

 「これで(スキドレ)は消えたぜ!折角だし見せてやるぜ!(グラファ)2体でオーバーレイ!(聖刻神竜エネアード)!そしてトラップ発動!(リミット·リバース)!墓地より現れろ!(ユベル)!」

 

 墓地から光と共に現れたのは(ユベル)ご本人。

 

鏡子

 「(ユベル)を守備表示に!それにより(リミット·リバース)の効果で(ユベル)自壊!(ユベル)は痛みで深化する!ユベル第2形態!(ユベル-Das Abscheulich Ritter)!」

 

 ユベルは悲鳴を上げて、禍々しい龍へと深化する。だがそれでも攻撃力0、(門)込みで300である。

 

鏡子

 「ここで(エネアード)の効果発動!素材を取り除き、手札·フィールドのカードをリリースしてリリースした数だけカードを選んで破壊!俺は(エネアード)自身をリリースして(ユベル)第2形態を破壊!少女の愛はさらなる次元へ昇華する!(ユベル-Das Extremer Traurig Drachen )!」

 

 再び上がる(ユベル)の叫び。それに呼応する様に身体は深化し、醜悪な悪魔へと変貌を遂げた。それでも攻撃力は0で、門込みで300である。自爆ダメージ足りねぇなぁ……しゃあねぇ。そのまま殴るか。

 

鏡子

 「(ゴルド)と(シルバ)を戻して(グラファ)2体!チェックメイトだ!(ユベル)第3形態で(霧の王)に攻撃!アルティメット·ナイトメア!」

 

 悪魔の目が怪しく光ると、騎士は黒い何かに取り憑かれ惹かれる様に、仇敵を見つけたかの様に剣を抜き悪魔を一閃。次の瞬間に猛烈な爆発が発生して衝撃がアモンを襲う。 

 

アモン LP4000→3200

 

鏡子

 「(ユベル)第3形態の効果、このカードは戦闘で破壊されず、俺が受けるダメージも0になる。しかし相手と戦闘した時、攻撃したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えてそのモンスターを破壊する!よって800のバーンダメージを与えた!止めだ!(グラファ)3体でダイレクトアタック!暗黒の吐息サンレンダァ!」

 

 3体の(グラファ)から放たれる真っ黒な瘴気に呑まれたアモンは、光の粒子となって消え去った。

 

鏡子

 「ふぅ……どうだ?腹は満たされたか?」

 

ユベル

 「まぁね。アモンの心を読んでいたけど、どうやら彼はエコーを犠牲にして、この世界で誰も貧困に困らず誰も羨まれない豊かな世界を作ろうとしたらしいね。全くバカバカしい。空っぽの王国で絵空事を並べるくらいならエコーと共に世界を作る方がよっぽど有意義だよ」

 

 吐き捨てる様に言い放つが、突然ユベルは満足げに笑みを浮かべた。

 

ユベル

 「その代わり、デッキに残っていたエコーの闇はそれはそれは美味だったよ。僕の前世含めても一二を争える程にね。おかげで僕は完全回復さ」

 

 お、おう。とりあえずユベルが完全回復したなら何よりだ。

 

ユベル

 「それにしても……僕の究極形態を1ターンで出してみせたのは驚いたね……アカデミア最強は伊達じゃないねぇ」

 

鏡子

 「まぁな。序盤の引きが悪かった時はどうなるかと思ったわ」

 

 後は十代を待つのみ。俺は不気味な笑みを浮かべるユベルを一瞥して、ただ十代を待った。



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35.お見合いデュエル!前世からの因果

遊戯王の小説で一進一退の攻防を描ける作者さんは凄いですよね。自分はどうも主人公側を上手く窮地に追い込めないので、主人公を追い込める作者さんは凄いなと、読みながら思います。


 

 

 俺はアモンとデュエルが終わってすぐに、疲れを癒やす為に眠りについた。

 

 十数分は寝てられるだろうと考えていた。ユベルの魔力による波動で吹っ飛ばされるまでは。

 

鏡子

 「イッ……テェ……随分荒々しい目覚ましだなホント」

 

 辺りを見渡すと、そこには十代、透子、クロノス先生の姿があった。

 

ユベル

 「数分だけどよく眠れたかい?早速だけど十代とデュエルしてもらうよ」

 

 数分かぁ……まぁいい。俺には使命があるからな。ユベルと十代を、十代の手で超融合させるという使命がな。

 

十代

 「鏡子……お前だけは絶対に倒す!カイザーや万丈目達の仇を取るためにな!」

 

鏡子

 「仇討ちは大いに結構。御託はいい、早速デュエルだ!」

 

鏡子·十代

 「デュエル!」

 

鏡子

 「俺の先攻!ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

やべぇ……下手したらワンキルされるかも。なんか最近手札が少し事故る。60枚とはいえ流石にこれは……

 

鏡子

 「スタンバイ、メインフェイズ!(未界域のビッグフット)の効果発動!」

 

十代

 「右から3番目だ!」

 

鏡子

 「捨てられたのは(ブラウ)!特殊召喚して1枚ドロー!更に(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡子 手札6→5→4→5→6

 

鏡子

 「よし!(手札抹殺)発動!お互いに手札を捨てた枚数分ドロー!」

 

鏡子 手札6→5→0→5

 

十代 手札5→0→5

 

 よしよし、一気に手札が良くなったぜ!

 

鏡子

 「捨てられたのは(ケルト)、(シルバ)、(グラファ)、(スノウ)!(スノウ)で(門)をサーチして(ケルト)、(シルバ)蘇生!(ケルト)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札5→6→7

 

鏡子

 「(門)発動!(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(セルリ)の効果発動!相手フィールドに特殊召喚されて(セルリ)の強制効果で俺は(ケルト)を捨てる。そして捨てられた(ケルト)は蘇生して、相手にハンデスされたので、デッキから悪魔族モンスター(グラファ)特殊召喚!」

 

鏡子 手札7→6→5→6→5

 

鏡子

 「俺は(グラファ)と(ビッグフット)でオーバーレイ!(神竜騎士フェルグラント)!効果発動!(グラファ)きって(フェルグラント)の効果を無効にして完全耐性!(シルバ)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「フィールドが足りねぇなぁ……仕方ない。(グラファ)2体でオーバーレイ!(聖刻神竜エネアード)!そして(デスガイド)を召喚!効果発動してデッキから(魔サイの戦士)を特殊召喚!このままオーバーレイ!ランク3(虚空海竜リヴァイエール)!効果発動!素材の(魔サイ)を取り除き、除外されている(スノウ)を帰還!そして(魔サイの戦士)の効果発動!墓地へ送られると悪魔族を墓地へ送れるので(グラファ)を墓地へ!」

 

鏡子 手札6→5

 

鏡子

 「ここで(エネアード)の効果発動!(グラファ)をきって自身をリリース。(リヴァイエール)を破壊!」

 

 赤き龍の放つブレスが海蛇を呑み込み、消滅した。これでフィールドを開けつつグラファを3体墓地へ送る事が出来た。

 

鏡子

 「(ケルト)と(スノウ)戻して(グラファ)!(取引)発動!1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(スノウ)で(門)サーチ!(暗黒界の援軍)発動!さっき捨てた墓地の(スノウ)蘇生して1枚捨てる。(スノウ)戻して(グラファ)!」

 

 呼び出された(スノウ)はすぐに跳躍して(グラファ)が蘇る。

 

鏡子 手札5→7→6→7→6→7→6→5→6

 

鏡子

 「(門)を張替え効果発動!(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で(門)をサーチ!フィールド魔法が俺のフィールドにあるので(スタダ)を除外して(sinスタダ)を特殊召喚!(sinスタダ)と(グラファ)でオーバーレイ!(聖刻天龍エネアード)!カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

鏡子 手札6→5→4→5→6→3

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

聖刻天龍エネアード 攻3000 素材2

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

十代 LP4000 手札5

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

 十代 手札5→6

 

 十代がカードを引いた瞬間。奴の眉がピンと伸び、そして動かなくなってしまった。

 

鏡子

 「どうした十代?何かマズイ物でも引いたのか?(レインボー·ドラゴン)とか」

 

透子

 「まさか……(融合)を引いたんですか!?あんなにキツく言ったのに何を迷っているのですか!」

 

 透子が言ってる事の要領が掴めんなぁ……

 

十代

 「……俺は(E-エマージェンシーコール)発動!デッキから(エアーマン)を手札に加える!」

 

鏡子

 「止めさせてもらう!カウンタートラップ(魔宮の賄賂)発動!魔法罠の発動を無効にして相手は1枚ドロー!そして相手がドローフェイズ以外でドローした時に発動出来る永続罠(便乗)発動!」

 

十代 手札6→5→6

 

十代

 「俺はもう迷わない!(融合)発動!フィールドの(セルリ)と手札の(バーストレディ)で融合!来い!(エクスリダオ)!」

 

 現れろのは細身な黒いヒーロー。後ろで透子達が感嘆してるけど、普通だよなぁ?

 

十代 手札6→5→4

 

十代

 「(エクスリダオ)は墓地のE·HEROの数×100攻撃力が上がる!墓地にはヒーローが4枚!よって攻撃力は2900だ!」

 

鏡子

 「でも打点が足りないぞ?」

 

十代

 「まだだ!(エスクリダオ)を対象に(魂の共有−コモンソウル)を発動!これにより手札の(グランモール)を特殊召喚して、その攻撃力分、900アップして3800になる!バトルだ!(エスクリダオ)で(エネアード)を攻撃!Dark diffudion!」

 

十代 手札4→3→2

 

鏡子

 「(フェルグラント)の効果発動!(ビッグフット)を取り除き、(エスクリダオ)の効果を無効にしてこの効果以外の効果を受けなくする!セイントバリア!」

 

 薄い膜が闇のヒーローを覆い、力を発揮出来ずに光の龍のブレスによって破壊された。

 

十代

 「何故だ!(フェルグラント)の効果を受けても攻撃力は400下がるだけの筈!」

 

鏡子

 「言っただろう?他のカードの効果を受けないとな。つまり(コモンソウル)の効果が適応されなくなったんだよ!」

 

十代

 「くぅ……(グランモール)で(天龍エネアード)を攻撃!そして(グランモール)の効果発動!このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。その相手モンスターとこのカードを持ち主の手札に戻す!ドリル·モグル!」

 

 ドリルをつけたモグラが地面を割りながら(天龍エネアード)に接近し、お互いの手札に帰っていった。まぁ(エネアード)はエクストラデッキだが。

 

十代 手札2→3

 

十代

 「そしてフィールドにモンスターが存在しないので、(コンバート·コンタクト)発動!デッキから(ブラックパンサー)を、手札から(グランモール)を墓地へ送って2枚ドロー!」

 

鏡子

 「(便乗)でドロー!」

 

十代 手札3→2→ 1→3

 

鏡子 手札3→5

 

鏡子

 (融合派兵)発動!エクストラデッキの(エアー·ネオス)を見せて、デッキより現れろ!(エアハミングバード)!更に(ネオスペースコネクター)を召喚!効果発動!デッキから(N·アクアドルフィン)を特殊召喚!更に(コネクター)をリリースして墓地から(N·グランモール)を蘇生!」

 

十代 手札3→2→1

 

 場にどんどんと並ぶネオスペーシアン。(スペーシア·ギフト)でも握ってるのか?

 

十代

 「(スペーシア·ギフト)を発動!ネオスペーシアンの種類の数だけドロー出来る!俺の場にはネオスペーシアンが3体よって3枚ドロー!」

 

鏡子

 「(便乗)でドロー!」

 

十代 手札1→0→3

 

鏡子 手札5→7

 

それにしても……ドローしまくるな。(便乗)を見てないのか?

 

十代

 「俺は(エアハミングバード)の効果発動!相手の手札×500LPを回復する!鏡子の手札は7枚よって3500回復!カードを3枚セットしてターンエンドだ」

 

 おいおい、随分と消極的なデュエルだな?このままだとワンキルだぜ?

 

十代 LP7500 手札0 伏せ3

 

N·エアハミングバード 守600

N·アクアドルフィン 守400

N·グランモール 守300

 

魂の共有−コモンソウル−

 

 

 

鏡子 LP4000 手札7 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材0

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

便乗

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札7→8

 

鏡子

 「(取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる。(便乗)でドロー!捨てられた(ケルト)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札8→7→8→7→9→10

 

十代 手札0→1→0

 

十代

 「喰らえ!これが透子からもらった必殺カード(大暴落)!相手の手札が8枚以上ある時発動出来る!相手は手札を全てデッキに戻して2枚ドローする!」

 

鏡子

 「透子貴様アァァ!」

 

 俺の手札の価値が暴落し、手札が2枚に……ん?でも手札は悪くはねぇな。

 

鏡子 手札10→0→2

 

鏡子

 「俺は(悪夢再び)を発動!墓地の守備力が0の闇属性モンスター、(スノウ)と(ビッグフット)を手札へ!(門)の効果発動!墓地の(セルリ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で最後の(取引)サーチして発動!お互い1枚ドローして1枚捨てる!(便乗)でドローして捨てられた(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡子 手札2→1→3→2→3→4→3→4→3→5→6

 

十代 手札0→1→0

 

鏡子

 「俺は(スタダ)を除外して2枚目の(sinスタダ)を特殊召喚!(グラファ)と(sinスタダ)でオーバーレイ!現れろランク8!古代技術の結合魔神!(宵星の機神ディンギルス)!効果発動!(コモンソウル)を墓地へ送る!そして(ビッグフット)の効果発動!」

 

 超巨大な機械人形の単眼が青く輝き、(コモンソウル)が消滅した。

 

鏡子 手札6→5

 

十代

 「(大暴落)喰らわせたのにもう手札が5枚に………俺は1枚右を選ぶ!」

 

鏡子

 「選ばれたのは……げ、(ビックフット)。だが捨てられた場合の効果発動!相手の表側のカードを対象に破壊!俺が選ぶのは(エアハミングバード)だ!」

 

 墓地から湧いてきた大猿は、キモチュッチュに張り手食らわして破壊した。

 

鏡子 手札6→5→4

 

鏡子

 「さて、そろそろこのデッキの素敵な来賓を呼び出そう。永続トラップ(リミット·リバース)発動!墓地の攻撃力が1000以下のモンスターを蘇生させる!現れろ!(ユベル)!」

 

 墓地より蘇ったのは、黒き翼を携えた妖艶な悪魔。そして、十代の因縁の相手でもある。

 

十代

 「(ユベル)!?なんで鏡子のデッキに(ユベル)が入っているんだよ!」

 

鏡子

 「デュエルで倒して力ずくで仲間にした。結構ユベルの効果は面白いんだぜ?もし(ユベル)を救いたいって思ったなら、(超融合)で魂ごと融合してやればいいんじゃないか?」

 

ユベル

 「十代……助けて……僕の愛しい十代……」

 

 悲痛な声で助けを呼ぶユベル。結構いい演技するじゃん。

 

十代

 「ユベル……俺の仲間を傷つけた元凶。ユベルを許す事は出来ないが……それ以上に鏡子!お前は絶対に許さない!例え、俺の中の覇王を蘇らせてでも、お前を倒す!」

 

 十代の目が金に輝く。これが覇王の力ってやつか。

 

鏡子

 「お怒りの所で申し訳ないが、まだ俺のターンだ。(ユベル)を守備表示に。そして(リミットリバース)の効果で、特殊召喚されたモンスターが守備になると破壊される!愛は痛みと共に深化する!ユベル第2形態!(ユベル-das abscheulich ritter)!」

 

 ユベルが断末魔を放つと、黒き甲殻で覆われた双頭の龍が姿を現した。

 

鏡子

 「バトルだ!(フェルグラント)で(グランモール)を攻撃!セイントスラッシュ!」

 

十代

 「(グランモール)の効果は……発動しない!すまない(グランモール)!」

 

 何を狙ってるんだ?まぁいいや。

 

鏡子

 「(グラファ)で(アクアドルフィン)を攻撃!」

 

十代

 「速攻魔法(クリボーの呼ぶ笛)!デッキから(ハネクリボー)を特殊召喚!」

 

鏡子

 「攻撃の巻き直しにより、(グラファ)で(ハネクリボー)を攻撃!暗黒の吐息!」

 

 黒の瘴気が(ハネクリボー)を蝕み破壊した。

 

鏡子

 「(グラファ)で(アクアドルフィン)を攻撃!暗黒の吐息!」

 

 濃厚な黒いブレスが(アクアドルフィン)。呑み込み、破壊された。

 

十代

 「トラップ発動(ヒーローシグナル)!モンスターが破壊された時、デッキからE·HEROモンスター1体を特殊召喚出来る!現れろ!(E·HEROバブルマン)!そして特殊召喚された(バブルマン)の効果発動!俺の手札·フィールドに他のカードが無ければデッキから2枚ドロー!」

 

鏡子

 「ちぃ!(便乗)でドロー!(グラファ)で(バブルマン)を攻撃!暗黒の吐息第2打ァ!」

 

 (グラファ)の放つ黒いブレスは(バブルマン)を包みそれを破壊した。

 

十代 手札0→2

 

鏡子 手札4→6

 

鏡子

 「(ハネクリボー)でダメージ入らないから、カードを1枚セットしてターンエンド!エンドフェイズにユベル第2形態の効果発動!お互いのフィールドのモンスターを全て破壊する!ネローサクリファイス!しかし(ディンギルス)の効果により素材の(グラファ)を取り除く事で俺のフィールドのカードは破壊を免れる!」

 

 ユベル第2形態からとてつもない波動が飛んできたが、(ディンギルス)の素材が1つ消えた事でフィールドのモンスターは無事だ。

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材0

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

宵星の機神ディンギルス 攻2600 素材1

ユベル-das abscheulich ritter 攻300

 

便乗

 

十代 LP4200 手札2 伏せ0

 

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札2→3

 

十代

 「俺は2枚目の(コンバート·コンタクト)を発動!デッキから(フレアスカラベ)と手札の(グローモス)を墓地へ送り2枚ドロー!」

 

鏡子

 「(便乗)でドロー!」

 

十代 手札3→2→1→3

 

鏡子 手札5→7

 

十代

 「手札からトラップカード(NEXT)を発動!このカードは俺のフィールドにカードが無ければ手札から発動出来る!墓地のネオスペーシアンと(ネオス)を可能な限り効果を無効にして特殊召喚する!来い!(エアハミングバード)、(グランモール)、(アクアドルフィン)、(フレアスカラベ)!そして(ネオス)!」

 

 墓地から次々湧いてくるネオスペーシアン達とネオス。手札交換したとはいえ都合よく来すぎでは?ハンドレスならぬカードレスの(ヒーローシグナル)からの(バブルマン)といい。

 

十代 手札3→2

 

十代

 「そして(NEX)を発動!(アクアドルフィン)を墓地へ送り、同名モンスターをエクストラデッキから特殊召喚!来い!(マリンドルフィン)!」

 

十代 手札2→1

 

十代

「そして(スペーシア·ギフト)発動!俺のフィールドには3体のネオスペーシアンと(アクアドルフィン)としても扱える(マリンドルフィン)の5種類いるので5枚ドロー!」

 

鏡子

 「び、(便乗)でドロー!」

 

 なんでこう都合よくカードが引けるかなぁ……

 

十代 手札1→0→5

 

鏡子 手札7→9

 

鏡子

 「俺は(マリンドルフィン)と(ネオス)でコンタクト融合!(マリンネオス)!効果発動!1ターンに1度、相手の手札をランダムに破壊する!」

 

 放たれる超音波。撃ち抜かれたのは……(ユベル)。セーフセーフ。(誘惑)抜かれたらどうしようかと思ったわ。

 

鏡子 手札9→8

 

十代

 「そして2枚目の(ネオスペースコネクター)を召喚して効果発動!デッキから(ネオス)を特殊召喚!さらに(コネクター)の効果発動!このカードを墓地へ送り、墓地の(アクアドルフィン)を特殊召喚する!そして(ネオス)と(アクアドルフィン)、(エアハミングバード)でトリプルコンタクト融合!来い!(E·HEROストームネオス)!効果発動!1ターンに1度、フィールドの魔法罠を全て破壊する!アルティメット·タイフーン!」

 

十代 手札5→4

 

鏡子

 「チェーンして(神秘の中華なべ)、更にチェーンして(貪欲な瓶)発動!墓地の(手札抹殺)、(取引)、(暗黒界の援軍)、(悪夢再び)、(魔宮の賄賂)を対象に発動してそれらを戻して1枚ドロー!(中華なべ)は(フェルグラント)リリースしてLPを2800回復!そして残りは全て破壊される!」

 

 強烈な暴風が俺の(便乗)と伏せカード(バトルマニア)が吹き飛ばされた。攻撃を強制するカードは使い勝手が悪いのばっかりだよホント。

 

鏡子 LP4000→6800 手札8→9

 

十代

 「(融合派兵)発動!(マグマネオス)を見せて、その融合素材となるモンスター(ネオス)を特殊召喚!」

 

 何度特殊召喚されたんだ(ネオス)……まぁウチの(ベージ)よりはマシか。

 

十代 手札4→3

 

十代

 「(ネオス)と(グランモール)、(フレアスカラベ)でトリプルコンタクト融合!現れろ!(マグマネオス)!」

 

 コンタクト融合体が3体並ぶ姿は圧巻だな。

 

十代

 「(マグマネオス)の攻撃力はフィールドのカード×400アップする!カードは9枚!よって攻撃力6900!バトルだ!まずは(マリンネオス)で(ディンギルス)を攻撃!」

 

鏡子

 「(ディンギルス)の破壊は素材の(sinスタダ)を取り除き免れる」

 

鏡子 LP6800→6600

 

鏡子

 「確か(ユベル)はお前の少年時代の切り札なんだよな?覚えて無いかもしれないが、(ユベル)は攻撃を受ける時、破壊もダメージも受けず、相手にそのダメージを押し付ける。(マグマネオス)で殴ったら逆ワンキルだからな?」

 

十代

 「……(マグマネオス)で(グラファ)を攻撃!スーパーヒートメテオ!」

 

 (マグマネオス)は巨大な隕石を(グラファ)に投げつけ破壊した。

 

鏡子 LP6600→2700

 

十代

 「(ストームネオス)で(ディンギルス)に攻撃!アルティメット·タイフーン!」

 

 凄まじい強風とそれに含まれる大量の瓦礫郡が機械の身体をボコボコに破壊した。

 

鏡子 LP2700→2300

 

十代

 「速攻魔法(コンタクト·アウト)発動!(マグマネオス)をエクストラデッキに戻してデッキから融合素材モンスターである(ネオス)、(フレアスカラベ)、(グランモール)を特殊召喚!」

 

 十代 手札3→2

 

鏡子

 「フィールドのカードは9枚だから(フレアスカラベ)の攻撃力は500+3600で4100か……」

 

十代

 「ああ!(フレアスカラベ)で(グラファ)を攻撃!フレイム·バレット!」

 

 放たれる膨大な火球に耐えきれず、(グラファ)が爆散した。

 

鏡子 LP2600→1500

 

十代

 「俺は(ネオス)と(グランモール)でコンタクト融合!(グランネオス)!効果発動!1ターンに1度、フィールドのモンスターを手札に戻す事が出来る!俺はユベル第2形態を手札に!」

 

鏡子

 「だがユベルは愛を受け、さらなる進化を遂げる!手札から現れろ!(ユベル-Das Extreme Traurig Drachen)!」

 

 ユベル第2形態が咆哮を上げながら光に包まれると、胴体に顔が出来、四肢の関節に目が生えるというおぞましい姿へと進化した。

 

鏡子 手札9→8

 

十代

 「俺はこれでターンエンド。だが(ストームネオス)の効果発動!このカードをエクストラデッキに戻して、お互いのカードを全てデッキに戻す!」

 

 (ストームネオス)がエクストラデッキに戻った時、先程の強風とは比較にならない程の暴風が放たれ、全てのモンスターがデッキに戻った。(ストームネオス)エグいって……

 

十代 LP4200 手札1500 手札2 伏せ0

 

鏡子 LP1500 手札8 伏せ0

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札8→9

 

鏡子

 「(闇の誘惑)発動!2枚ドローして手札の(ゴルド)除外!」

 

 よしよし、動ける手札だぁ……

 

鏡子 手札9→8→10→9

 

鏡子

 「(天使の施し)を発動!3体ドローして2枚捨てる!捨てられた(ベージ)、(ケルト)を自己蘇生!2体を戻して(グラファ)2体!(おろかな埋葬)で(グラファ)を墓地へ!(門)を発動!墓地の(セルリ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!戻して(グラファ)!」

 

 このまま殴ればワンキル成立だけど……俺の目的は十代に勝つことじゃなく十代とユベルを超融合させる事。その為には(ユベル)を立てないと……

 

鏡子 手札9→8→11→9→11→10→9→8→9→10

 

鏡子

 「墓地の(ゼピュロス)の効果発動!(門)バウンスして蘇生して400ダメージ!(門)発動!(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は蘇生!」

 

鏡子 LP1500→1100 手札10→11→10→9→10

 

鏡子

 「俺はコストとして手札を1枚捨てる。究極至高!その絶大なる力を解き放て!(超融合)!俺は(グラファ)3体と(ゼピュロス)で融合!現れろ!新たな世界の創造主!(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

 世界が変容し、不気味な空間へと変化する。

 

 鏡子 手札10→9→8

 

鏡子

 「(カラレス)の効果発動!お互いに墓地と表側で除外されているカードをデッキに戻して、戻した数5枚につき1枚ドローして、ドローした分だけ捨てる!俺は墓地の16枚と除外されている6枚をデッキに戻して4枚ドローして4枚捨てる!」

 

十代

 「俺は墓地の22枚を戻して4枚ドローして4枚捨てる!」

 

鏡子 手札8→12→8

 

十代 手札2→6→2

 

鏡子

 「捨てられた(シルバ)、(セルリ)、(スノウ)、(ブラウ)の効果発動!1枚ドローして、(スノウ)で(門)をサーチして(シルバ)を特殊召喚!そして(セルリ)を相手に送りつけて俺は手札を1枚捨てる!捨てられたのは(ケルト)!特殊召喚して相手によって捨てられたのでデッキから悪魔族モンスター(ユベル)を特殊召喚!(ベージ)、(ケルト)戻して(グラファ)!」

 

鏡子 手札8→9→10→9→11

 

鏡子

 「(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(ベージ)除外!(グラファ)2体でオーバーレイ!(聖刻神竜エネアード)!そして(門)を張り替え効果発動!(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!(暗黒界の援軍)を発動!さっき捨てた(レイヴン)を特殊召喚して1枚捨てる!捨てられた2枚目の(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡子 手札11→10→12→11→10→9→10→9→8→9

 

鏡子

 「(レイヴン)の効果発動!手札を1枚捨てて、レベルを1上げる!そして捨てられた(スノウ)の効果発動!(セルリ)を手札に!俺はレベル5の(シルバ)とレベル3になった(レイヴン)でチューニング!集いし星が新たに輝く星となる!光差す道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ!(スターダスト·ドラゴン)!」

 

 光の輪から飛び出すは、銀色の翼を輝かせるドラゴン。次回作5D'sではエースを務めていたが今回はユベルを叩き割るドラゴンだ。

 

鏡子 手札9→8

 

鏡子

 「(エネアード)の効果発動!素材の(グラファ)を取り除き、自身をリリースして(ユベル)を破壊!」

 

 自身を犠牲にした光のブレスが(ユベル)を呑み込み破壊した。そして、少女は痛みを受けて新たな姿へ深化する。

 

鏡子

 「少女は痛みを受けて深化する!墓地より蘇れ!(ユベル-das abscheulich ritter)!俺は(ベージ)召喚して戻して(グラファ)!カードを5枚セットしてターンエンド!エンドフェイズにユベル第2形態の効果発動!お互いのモンスターを全破壊!しかし(スターダスト·ドラゴン)の効果発動!カードを破壊するカードの効果が破壊した時、このカードをリリースしてその発動を無効にして破壊!ヴィクティム·サンクチュアリ!」

 

 放たれる真っ黒な波動。しかしそれを(スターダスト·ドラゴン)が自身を生け贄にバリアを構築して弾き、ユベル第2形態が消滅する。そして、ユベル第2形態が立っていた場所に黒い瘴気が立ち込め、醜悪な禍々しい悪魔が姿を現した。

 

鏡子

 「少女は痛みを受けて新たな次元へ昇華する!ユベル最終形態!(ユベル-Das Extreme Traurig Drachen)!そして(スターダスト·ドラゴン)の効果発動!自身の効果でリリースされた場合、エンドフェイズに蘇生する!」

 

鏡子 LP1500 手札3 伏せ5

フィールド(暗黒界の門)

 

ユベル-Das Extreme Traurig Drachen 攻300

暗黒界の混沌王カラレス 攻3500

スターダスト·ドラゴン 攻2500

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

 

十代 LP4200 手札2 伏せ0

 

鏡子

 「ユベル。これが恐らくラストターンだ。頑張って十代を説得するんだ。じゃないと勝負がついてタイミングを逃すぞ」

 

ユベル

 「そうだね……頑張るよ。ならば……少し昔話に付き合ってもらうとするよ」

 

 突如として周囲に黒い霧が立ち込め、視界を覆った。

 

 ユベルの回想を頑張ってまとめると、十代は前世では王国の王子で、今と同様覇王の力を持っていた。

 来る破滅の光との戦いの鍵となるだろう十代を、大人になるまで守る役目を果たすために、ユベルは誰にも傷つけられない身体へと改造される。

 現在の姿となったユベルを見た十代は、永遠の愛をユベルに誓った所で回想が終わった。

 

ユベル

 「あの時は、あんなにも愛を向けてくれたのに……今じゃあ僕は邪魔者で……ヨハンやネオスペーシアン達との友情の方が……ずっと大事なんだね?」

 

 涙を流して静かに訴えるユベル。俺としては前世の話を持ち出すのはどうかと思うんだよな……ユベルは違うのかもだけど、俺達人間からしたらどうでもいい話だし。

 

鏡子

 「ユベル。きっと十代は若すぎて【愛】という感情が理解出来ないんだ。だから前世の記憶の無い十代にとって、ユベルは大切な仲間を傷つけた悪い奴なんだ。ここは謝って、自分はもう改心したんだとアピールしてみてはどうだ?」

 

 小声でユベルにアドバイスをしてみる。頼む。丸く収まってくれ……

 

ユベル

 「確かに十代は僕の記憶を消して、ネオスペーシアンや仲間達との友情を育んでいたんだと思う。でも、僕には十代君しか愛せないんだ!今までも、そしてこれからも!だから十代!僕の愛を受け取って!十代の為ならば、今の愛だって変えて見せる!だから……」

 

十代

 「ユベル……前世が絡んでいるとはいえ、お前をこんなにしてしまったのは俺の責任だ……ならばその責任を果たさなければならないな。俺のターンドロー!」

 

十代 手札2→3

 

十代

 「俺は手札を1枚捨てて(超融合)を発動!融合するのは……俺とユベルの魂だ!」

 

 ようやく……ここまで来たか。ありったけの犠牲を払い、なんとかここまでたどり着いた。後は十代が大団円に持ち込んでくれるだろう。

 

 突如放たれる強烈な閃光と暴風。近くのユベルの気配が無くなったが、それを目で見ることは叶わない。

 

 デュエルが終ったら……とっておきのプレゼントを用意しないとな。かつて十代が全てを犠牲にしてでも取り返そうとした者を。

 

 閃光は輝きを極め、ついには何一つ見えなくなり俺は意識を手放した。

 

 

 

透子

 「っ……ここは?」

 

 目を開けるとそこは青々とした空がありました。どうやら異世界から戻って来れたようです。

 

 十代さんと鏡子の死闘を見ていたら突然十代さんと鏡子がデュエルしていた場所が黒雲に呑まれて見えなくなってしまいました。そして気づいたら青い空です。まるで意味が分かりません。

 

透子

 「……!あれは!」

 

 なんとなく辺りを見渡すと、そこには本来いない……死んでしまっている筈の人達の姿がありました。

 

透子

 「明日香さん!万丈目さん!剣山さん!吹雪さん!翔さん!生きていたんですね!?」

 

 万丈目さん達に声をかけた瞬間。空が強く輝き、ヨハンさんが降ってきました。

 

 咄嗟に駆け寄りキャッチしようとしましたが、他の誰よりも小さい私の身体では受け切ることが出来ずに倒れてしまいました。

 

明日香

 「と、透子!大丈夫!?」

透子

 「い、いえ……お尻が痛いです……それよりヨハンさんは大丈夫ですか?」

 

ヨハン

 「あ、あぁ……それよりこれを……」

 

 ヨハンさんが手渡したのは1枚の手紙。そこには少し汚い字で字が綴られていました。

 

拝啓 異世界から帰ってきた透子へ

 

 この手紙を見ているという事は、きっと異世界から帰ってきているに違いないだろう。

 

 聞きたい事は山ほどあるだろうが、ここでは3つ。何故ヨハンが生きているか。何故ヨハンを殺した様に見せたか。何故明日香達を犠牲にしてまで(超融合)の作成に取り掛かったのかを説明する。

 

 まず、ヨハンが何故生きているかについて。答えは簡単、あのマインドクラッシュに人を殺傷出来る程の力がないからだ。あれは人を1分気絶させる程度の威力しかない。まぁ付け焼き刃であれなら上々だろう。

 

 2つ目。何故ヨハンを殺した様に見せたか。これは十代の中に眠る覇王の力を引きずり出す為に講じた迫真の三文芝居だ。明日香達を犠牲にしたのも偶然だがそれに入っていた。十代を覇王にさせた理由は3つ目で語らせてもらう。

 

3つ目。何故超融合の作成を急いだか。まず、前提としてブロンって言う悪い奴が独断で土台を作っていた事は理解して欲しい。

 俺が暗黒世界でブロンをぶっ殺した時には既に超融合がほぼ完成していた。ここで超融合を破壊すると世界が吹っ飛ぶ程のエネルギーが発生すると言われ、やむを得ず完成させざるを得なかった。

 

 超融合作成後。暗黒世界を作り暗黒界を生み出した神様であるカラレス様の天啓により、近々破滅が訪れるらしく、それから逃れる為には十代の闇人格と元の人格を融合させる必要があった。その為に無理やり闇人格を引きずりだし、透子に覇王城で覇王と死闘を繰り広げてもらったわけだ。

 

 最後に透子に話すべき事があるから。自室に戻っていて欲しい。出来るだけ早くこの世界に帰ってくる。

 

 急ピッチで手紙を書いた男 鏡子より

 

透子

 「………ようやく話されるわけですね?鏡子の秘密が……」

 

 後ろで万丈目さん達が手紙を見つめている中、私は痛みが引きつつあるお尻をさすりながら私の部屋へと歩き始めました。

 



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ダークネス編
36.異世界からの帰還。破滅に備えて


この話はマスターデュエルが始動する前に書いた物の為、トワイライトロードの設定に違いがあります。ご了承ください。


〜オベリスクブルー女子寮〜

 

 自室に戻って数分待っていると、真っ黒な球体が部屋の真ん中に出てきて、中から鏡子が出てきました。

 

鏡子

 「ただいま。待ったか?」

 

透子

 「ええ、数分程」

 

鏡子

 「それは悪かったな。それじゃあ……何から話すべきかな?」

 

 本当に聞きたい事は沢山あるのですが……まずは……

 

透子

 「貴方が持っていた未来から持ってきたかの様な強力なカード。あれはどこから持ってきたんですか?」

 

鏡子

 「ウッ、早速ぶっこんできたな……しゃあない。腹くくるか」

 

 鏡子はポケットから、片手に収まる程の、液晶画面がついた機械を取り出してきました。PDAよりは大きいですね……

 

鏡子

 「これが俺のカードの種。こいつを使う事で、俺が元いた世界からカードを手に入れる事が出来る」

 

透子

 「えっ?ちょっと待ってください。元いた世界?鏡子って別の世界から来たんですか!?」

 

鏡子

 「あぁすまん。そこからだよな。俺は別の世界から魂とデッキとこの機械……スマホを持って透子の身体に入ってきた。聞きたければ俺のいた世界のデュエルについて話そうか?」

 

 鏡子のいた世界のデュエル。鏡子レベルのデュエリストがゴロゴロいる世界は確かに凄く気になります。

 

透子

 「はい。確かに気になります。デュエル歴3年のデュエリストある鏡子があんなに力があるんですから、それよりももっと凄いデュエリストがいっぱいいるんですよね?」

 

鏡子

 「まぁな。それじゃあちょっとスマホで1つの動画を見てもらおうか」

 

 鏡子がスマホという機械の画面を起動して、数年前に投稿されたらしき1つの対戦動画を見せてきました。

 

 結論を言うと、鏡子が説明してくれても、何が起きてるのか理解できませんでした。

 

 たった1枚の手札から何度もサーチとドローを繰り返して手札を補充しながらモンスターを大量展開するデュエリスト。それに対し相手側は手札から罠やモンスター効果を発動させて妨害しますが、それでも高い制圧力を持った高レベルのシンクロモンスターが2体並びました。

 

 相手側も巧みに妨害を踏み抜き、ドローとサーチを連打して、正気を疑いそうな程に殺意の高い融合モンスターを連続で出して場を一掃し、LPが8000もあったのにワンキルまで持っていきました。

 

透子

 「これが……鏡子がいた世界のデュエル……」

 

鏡子

 「まぁな。LP4000なんて容易に消し飛ぶ世界なんだぜ?俺の世界は。セットエンドなんてリバーステーマぐらいしかしない、4か5ターンあれば決着し得る高速なデュエルさ」

 

 確かに……こんな展開されたら並のアカデミア生徒は……いえプロでも歯が立ちません。

 

透子

 「最後に手紙に書かれていた破滅について話してくれませんか?」

 

鏡子

 「そうだな……ぶっちゃけ分からん」

 

 え?分からないんですか?

 

鏡子

 「ああ、俺は今までユベルがトチ狂って超融合で十二次元融合とかするんだと思ってたんだが……どうやら違うみたいなんだよな」

 

カラレス

 「その疑問には私が答えよう。ライトロードの諸君にも聞いてもらうべく、ジャスティス·ワールドに来てもらう」

 

 声がしたかと思ったら突然辺りが真っ暗になり、気づいたらジャスティス·ワールドに来ていました。

 突然空が形容不能な色に染まり、ガロスさんがあわてて飛び出してきました。

 

ガロス

 「何事だ!……な!(グラファ)!まさかジャスティス·ワールドを侵攻しに来たとでも言うのか!」

 

 (ガロス)さんの指差す方を見ると、突然場が変化して困惑しているのか凄まじい速さで瞬きしている(グラファ)の姿がありました。

 

カラレス

 「私の名前は(カラレス)。安心してくれ、敵意は無い。今後訪れる【破滅】について情報を交換したいと思い、ここを訪れた。隊長であるルミナス君はいるかね?」

 

ガロス

 「(カラレス)だと!?これは俺だけでは手に余るか……隊長は休日で深い眠りについているからすぐには出られない。準備が終わるまでは我々のエントランスで待機してくれないか?」

 

カラレス

 「分かった。それでは案内をお願い出来るかな?」

 

ガロス

 「……あぁ、こっちだ」

 

 複雑な表情を浮かべて先導する(ガロス)さん。それについていくように、(グラファ)さんや私が後をついていきます。

 

 

〜 エントランス 〜

 

 15分程待っていると、少し不機嫌そうなルミナスさんが他のライトロードの皆さんを連れてエントランスにやってきました。

 

カラレス

 「貴方がライトロードの隊長ルミナスさんですね?本来ならば事前に連絡を入れるべきなのでしょうが、連絡先を持っていなかった故、突然の来訪になってしまいました」

 

ルミナス

 「うん……大丈夫、気にしないで。それよりも話はなんだい?」

 

カラレス

 「私の予言によると、近々……具体的には4月から破滅との戦いが始まると出ている。その為に、諸君と協力関係を築きたい」

 

ルミナス

 「破滅……その予言は頼りになるのかい?破滅が本当ならば協力は惜しまないけど……」

 

 不審げに不気味な空間を見つめる(ルミナス)さん。まぁ確かに予言なんて胡散臭いですもんね。

 

カラレス

 「私は何度か予言を残した事があるが、そのどれもが的中した。これでどうにか納得していただけないだろうか?もちろん、そちらで何か要望があるならば、こちらも手を尽くそう」

 

ルミナス

 「……分かった、信じるよ。その代わり、そちらの下級の暗黒界モンスターを何人か派遣してソーラー·エクスチェンジの手伝いをして欲しい。それが条件だ」

 

 ソーラーエクスチェンジってライトロードの皆さんだけが使える技術じゃなかったんですね……

 

カラレス

 「感謝する。明日にでも(ベージ)達を派遣しよう。あと、これは余談なんだが、ここから南の方向に(裁きの龍)に酷似した黒いモンスターがいたんだが、あれは何かね?」

 

ルミナス

 「あぁ……あれは(戒めの龍)といってね……強力な力は持っているものの、僕らでは使役できなくて放置されているんだ」

 

鏡子

 「ならば俺にいい考えがある。(戒めの龍)の召喚条件は(裁きの龍)と違ってライロが4種類以上除外されていることなんだ。つまりライロに除外関係の力を与えれば飼いならせる筈だ」

 

透子 

 「でもライトロードは除外が天敵のテーマ。どうやって手に入れるんですか?」

 

 私がそう尋ねると、鏡子は1枚のカードを見せてきました。

 

鏡子

 「(暗黒界の洗脳)。こいつをかけてライロをトワイライトロードに進化させる!」

 

 ……え?……いや、え?

 

 訳も分からずに辺りを見ると、多くのライトロードの皆さんが困惑し、(ガロス)さんは槍を向けていました。

 

鏡子

 「まぁそんな反応になるだろうとは思っていたよ。俺は別世界の人間でね、俺がいた世界には(グラファ)の放つ(洗脳)によって(ライコウ)が(トワイライトロード·ファイター·ライコウ)へ変化したというバックストーリーがあるんだ。ちなみにトワイライトロードは4体確認されている」

 

 鏡子がそう言うと、ポケットから4枚のトワイライトロードのカードを見せてきました。

 

ルミナス

 「別世界の人間……それなら君が初見で(裁きの龍)や(ミネルバ)の効果を知っていたのに辻褄が合うわけだ。でももし失敗したら……」

 

 ルミナスさんは凄く悩んでいるようです。私もこの件は中々難しいと思っています。

 

鏡子

 「もし失敗したら責任もってどうにかしてやる!オラァ!喰らえぇい!」

 

 鏡子が前にいた(ライコウ)さんに(洗脳)を発動すると、(ライコウ)が苦しげな咆哮を上げて黒い光に包まれました。

 

 光が収まると、黒のローブを纏い赤い刀身のナイフを咥えたライコウさんがいました。

 

透子

 「あの……(ライコウ)さん?大丈夫ですか?」

 

ライコウ

 「……意識はしっかりしているから問題ないが……何かモヤモヤす……」

 

鏡子

 「もし想定通りだ!よかったなソフ○バ○クのお父さん」

 

 鏡子がそう口にした瞬間。(ライコウ)さんは声にならない叫びを上げながら鏡子に飛びかかりました。

 

 焦った様子で、(ライコウ)さんを両手で抑えようとする鏡子。(ライコウ)さんの頭をガッチリ掴み、(ライコウ)さんの頭からギシギシと鳴ってはいけない音が鳴っています。

 

ジェイン

 「(ライコウ)……ステイ」

 

 静かな口調で口を動かす(ライトロード·パラディンジェイン)さん。その言葉を聞いて、どうにか(ライコウ)さんは怒りを鎮める事が出来ました。

 

ジェイン

 「理由はわからないけど、(ライコウ)は“お父さん”というと怒り出すの、気をつけて」

 

 (ライコウ)さんを優しく抱きかかえ、物静かな口調で告げる(ジェイン)さん。

 

鏡子

 「なるほど、トワイライトロードになると心に秘めてる何かを拗らせるって訳か。でも戦闘や日常生活には支障をきたさないだろうな」

 

ルミナス

 「そう……かもしれない。でも少し時間が欲しいんだ。時間は……1週間ぐらいは欲しいかな」

 

鏡子

 「俺等はもうすぐ冬休みの時期。時間はまだあるから構わねぇぜ」

 

 鏡子がそう答えると、(カラレス)が声を発しました。

 

カラレス

 「鏡子君。さっきの(ライコウ)君の騒動を見ていて思ったのだが、どうやら君はまだ自分の中に眠る力を引き出しきれていないようだ」

 

鏡子

 「えっ?そうなのか?」

 

カラレス

 「ああ。今の君は攻撃力900相当といったところかな?そこで、戦闘のプロが集うライトロード達に稽古をつけてもらうのはどうだ?」

 

 攻撃力900がどれくらいすごいのか……よく分からないです。

 

 そういえば、最新の科学兵器で武装したなんてフレーバーテキストを持ってる(科学特殊兵)の攻撃力は800でしたね。そう考えると結構強いですね。こんなところで授業の成果が生きるとは思いませんでした。

 

科学特殊兵

レベル3/闇属性/戦士族/攻 800/守 800

未知の生物に対抗するため、最新の科学兵器を装備した兵士。背中のコンテナにはさまざまな兵器が収納されている

 

ガロス

 「我々としては問題はない。教えると言うことは、それだけで我々の成長に繋がるからな。こちらには空いている寝床や食堂がいくつか存在する、充分な生活は送る事が出来るだろう」

 

鏡子

 「住み込みで訓練ってわけか、了解。しばらく世話になる。朝と昼は訓練、夜は透子とデュエル。充実極まる冬休みになりそうだぜ」

 

 え?なんで私がジャスティス·ワールドに残る流れになっているんですか?まぁ冬休みの宿題ぐらいしかやることないのでいいんですけど……

 

透子

 「【破滅】に備える為のデュエル合宿ってところですね。お互い頑張りましょう!」

 

 こうして数日後、宿題を配られた私は早速ジャスティス·ワールドへ向かいました。

 

 

 

〜 透子の部屋  〜

 

透子

 「バトル!攻撃力8000の(ライトロード·ドラゴングラコニス)で(グラファ)を攻撃!ジャッチメントキャノン!」

 

鏡子

 「うわぁ〜負けたぁ〜!」

 

 鏡子のフィールドの妨害の何とか潜り抜けて、圧倒的な大打点で勝負を決める事が出来ました。

 

 鏡子がジャスティス·ワールドで住み込みで訓練し始めて、はや3日。私の宿題は鏡子の手伝いもあって初日で全て終わり、昼は(ライラ)さん監修の元(ベージ)さんと共にソーラーエクスチェンジのお手伝い。夜は鏡子とテーブルデュエルをして日々を過ごしています。

 

 鏡子が異世界から持ってきたトワイライトロードのカードや様々な墓地肥やしカードによって、私のデッキは格段に強くなっています。ですが、(生還の宝札)が発動されたデュエルでは太刀打ちすら出来ません。エクゾディアを揃えられた事もあります。

 

鏡子

 「くっそ~悔しいぜ。あ、そろそろ夕飯時か。食堂行くぞ〜」

 

 私は鏡子に連れられて食堂へ向かいました。

 

〜 食堂 〜

 

 私と鏡子は、西洋風の料理に舌鼓を打ちつつも黙々と食事をしていると、突然鏡子がこう切り出してきました。

 

鏡子

 「なぁ、俺は男になっちまったんだし、鏡“子”って名前はおかしいよな?」

 

透子

 「え、えぇ……確かにそうですね」

 

鏡子

 「だよな。そこで、俺はこれより古神鏡介に改名する事にするぜ」

 

 突然そんな事を口にする鏡子、改め鏡介。これから呼び間違いに気をつけないとと思っていたら、料理を持ったジェインさんがやってきました。

 

鏡介

 「お、(ジェイン)じゃん。服を見るにどうやらトワイライトロード化出来たようだな」

 

ジェイン

 「うん。口がとても軽くて、今なら色んな事でお話出来そう」

 

 あれ?(ジェイン)さんがよく喋ってる……光の結社との戦いで出したときもほとんど喋らなかったし、鏡介の稽古相手してる時もあまり喋らなかったから無口な人だと思ってたのに……これもトワイライト化の効果なのでしょうか。

 

ジェイン

 「私、今までライトロードの皆と話す時ですら怖かったの。私が変な事を口にしたせいで、皆との関係が壊れちゃうんじゃないかって。そのせいか、どこか皆と距離が出来ちゃって。でも……」

 

 ジェインさんの声色と表情が読み取りづらい顔から、今まで感じていた不安が滲んでいました。

 

ジェイン

 「それも終わり。トワイライトロードになってからはそんな事を感じなくなった。ありがとう鏡子。私、これで皆と仲良く出来る」

 

 ジェインさんの表情はまだ固いですが、僅かに微笑みながら鏡介にお礼を言いました。

 

鏡介

 「分かるぜ、自分が喋ったらどうなるかとか考えすぎる時ってたまにあるよな。あと、俺はこれから古神鏡介って名乗るからよろしくな」

 

ジェイン

 「うん。よろしく、鏡介」

 

 あとさっき気づいたんですけど、しれっと私の名字と被せてきましたね……結婚とかしてるわけでもないのに……あれ?なんだかドキドキして……

 

ジェイン

 「透子?大丈夫?顔、赤い」

 

透子

 「え?そ、そんなことないですよ!別にドキドキなんて……」

 

鏡介

 「そ、そうだぜ!?お、俺が恥ずかしいなんて……ゲホッゴホッ!ゴハァ!」

 

 無理やり残りのご飯を掻き込み派手に咽る鏡介。慌ててごちそうさまをして、食器を抱えて片付けに行ってしまいました。

 

透子

 「ご、ごちそうさまでした……私はとりあえず部屋に戻ります」

 

ジェイン

 「うん。無理はしないで、相談なら頑張ってのるから……」

 

 不安そうに私を見るジェインさんを尻目に、私は軽く胸を抑えながら部屋へ戻っていきました。

 

〜 夜 〜

 

 部屋に戻ったはいいものの、結局ドキドキは収まらず、夜風に当たって落ち着いてみることにしました。

 

 それにしても……なんでなんなにドキドキしたんでしょうか……デュエルしている時以外で鏡子……いや鏡介と一緒にいるといつもこんな風に……

 

 そんな事を考えていると、訓練所の方から空気を裂く音がしました。

 

 訓練所の方に向かい、ライラさんに教わった視力強化魔法を使うと、そこには弓矢を持って400mぐらいは先の的を次々に狙撃しているブラウさんと、縦横無尽に駆け回り様々な姿勢で正確に的を射抜く(フェリス)さんの姿がありました。

 

 どうやら音の正体は(ブラウ)さんと(フェリス)さんだったようです、しかも何かを話しているみたいです。

 

 せっかくなので聴力強化魔法も試してみましょう。体内の魔力を耳に集めて……

 

ブラウ

 「ふぅ……いつ見ても(フェリス)さんの機動力には感嘆するばかりですよ」

 

フェリス

 「ニャハハ、照れるねぇ……でも(ブラウ)の射撃精度には勝てないよ、流石のアタシでも400m先の頭を撃ち抜くのは厳しいから。ところで……(ブラウ)。少し変な事を聞いていいかな……って」

 

 顔は見えませんでしたが……少し震えている声色からして(フェリス)さんは何やら大事な話をしそうです。

 

フェリス

 「はっきり言って私の事……面倒くさい奴とか思ってない?こんな夜に呼び出して訓練に付き合ってなんて言ってさ」

 

 (フェリス)さんが恐る恐る聞くと、(ブラウ)さんは含み笑いして返事をしました。

 

ブラウ

 「何を言うのかと思えば……私はそんな事を思ったことは1度たりともありません。私にとって(フェリス)さんは同じ弓矢を持つ仲間です。私は哨戒という仕事上夜に活動する事もあるので、これくらいなんて事もありません。でも確かに夜に訓練しようとする理由は気になりますね。理由を聞いても?」

 

フェリス

 「……そう言ってくれるとアタシも安心出来るよ。私、実は人に努力する姿を見せるのが恥ずかしくて……だから皆が訓練してる間は昼寝をして、夜にひっそりと的あてしてるの」

 

ブラウ

 「それなら何故私と共に訓練を?」

 

フェリス

 「そ、それは……(ブラウ)になら……いいかな……って」

 

 なるほど……つまり(フェリス)さんが怠けてたのは面倒くさがりってだけじゃなかったのですね。これはちょっと申し訳ない事を聞いてしまいましたね。あと(ブラウ)さんなら訓練を見せてもいいってどう言う事なの……あっ……鼻が疼いて……

 

透子

 「クチュン!」

 

 私がくしゃみをした次の瞬間、私の右頬を鋭い何が掠めました。

 

 痛みに気づいた時、更に首の皮を削ぐ程近くに何かが飛んできました。

 

 そして、飛んできたものが矢であると理解した時には 目の前には猫耳の狩人が……

 

フェリス

 「誰だ!って……なんだ透子ちゃんかぁ……びっくりしたぁ……あれ?お〜い返事出来る?」

 

 翌日、私は医務室で起床し、(ライトロード·プリーストジェニス)さんに簡単な治療をされて、朝食を食べに向かいました。昨日何があったのでしょうか……夜風に当たりに行ったのは覚えているのですが……

 

 

 

〜 ジャスティスワールド南部 〜

 

 約束の1週間が過ぎた。(ルミナス)は腹を括ってトワイライト化を果たし、既にカード化されている(ジェイン)、(ライラ)、(ライコウ)、(ルミナス)の4人がトワイライトロードになった。

 

 トワイライトロードと化した(ルミナス)が実は女だったり、それを口にしてしまった俺は(ルミナス)の逆鱗に触れて全力の魔法攻撃を受けたがなんか上手く捌けてしまったりしたが、まぁ些細な事だろう。

 

 そして、(戒めの龍)の捕獲は……なんとか成功した。

 

 俺も戦闘に参加する事になったが、いくら才能があるとはいえ1週間程度の訓練でライトロード達と同等に戦える筈も無く、致命傷を受けた(ガロス)から(戒めの龍)の気を逸らす為に全力の魔力パンチをぶつけたぐらいしか戦果はなかった。

 

 ライトロード側も(戒めの龍)に有効打が与えられずジリ貧状態。1度撤退して(裁きの龍)連れてこようなんて話も出たが、ここで空から(裁きの龍)に乗った戦士、(ライトロード·アークミカエル)が登場して(戒めの龍)に強襲。

 

 (ミカエル)が登場してから一気に場が好転し、弱らせた所をトワイライトロード4人が放った魔法でどうにか封印もとい捕獲に成功した。

 

鏡介

 「ぜぇ……ぜぇ……なんとか捕獲出来たな……」

 

 オレが息を整えていると、(ミカエル)がライトロード達の労を労っていた。

 

ミカエル

 「よくやった。ライトロード諸君」

 

ライデン

 「ミカエル様。お久しぶりですね、私がライトロードに入った時以来ですね」

 

 (ライデン)を筆頭に懐かしげに頷くライトロード達。(ミカエル)がライトロードを勧誘した感じなのかな。

 

ミカエル

 「うん?君は誰かな?ライトロードに導いた覚えはないのだが……」

 

鏡介

 「俺は古神鏡介。暗黒界の使い手だ。訳あって(戒めの龍)捕獲に協力していた。まぁあまり役にはたてなかったけど。部外者の俺が言うのもあれだけど、ありがとうな(ライトロード·アークミカエル)」

 

ミカエル

 「どうして私の名前を知っているのかな?私が降臨したのはついさっきなのだが……」

 

 なるほど、どうりで今まで姿を見なかった訳だ。どうにか誤魔化さないとな……

 

鏡介

 「(カラレス)様から聞いたんだ、ライトロードは一人の戦士が創設し、名を(ミカエル)というってね。まぁ何はともあれ本殿に戻ろうぜ?そこでマスターが待ってるからさ」

 

ミカエル

 「(カラレス)……か。その名前を聞いたのはいつだったかな?まぁいい。総員!本殿に帰還する!」

 

 ミカエルの一声により、俺達の作戦は成功で幕を閉じた。

 

 

 

 (戒めの龍)を捕獲して1週間、俺達の春休みが今日を以て終わりとなる。あの日から変わらず訓練した結果、効果を発動していない(ジェイン)とぎり互角ぐらいには力をつけることが出来た。つまり攻撃力1750相当だな。

 

 (戒めの龍)の管理はトワイライトロードである(ライラ)と(ジェイン)が交互にするらしい。(ルミナス)は激務のせいで万年睡眠不足だし、(ライコウ)は犬だから妥当だな。

 

 俺と透子は、ジャスティス·ワールドと俺達の世界を繋ぐ門の前で、ライトロード達に出迎えられていた。

 

鏡介

 「今日で俺達は元の世界へ帰る。今まで世話になったな」

 

ルミナス

 「ううん。君たちのおかげで、魔力も相当溜まった上に新たな戦力も手に入れる事が出来た。お礼を言うのはこっちだよ」

 

ミカエル

 「明日からは破滅を齎す存在。ダークネスとの戦いが始まるだろう。気をつけるんだよ?」

 

 カラレスから聞いていた破滅とは、【ダークネス】という存在らしく、普段は世界の隅っこに居座っているだけなのだが、静かに精霊世界と人間界の一部を侵食しているらしい。

 

 しかもデュエルに負けると何もない世界に取り込まれてしまい、2度と元に戻らないらしい。(ミカエル)はこの事を伝える為にジャスティス·ワールドに再び降臨したそうだ。

 

 事実確認が取れたライトロード側は、1週間前に正式に暗黒界との同盟を決定。破滅ことダークネスとの戦いに備え、さっきまで合同訓練をしていた。

 

透子

 「はい、正直どれだけ立ち向かえるかは不安ですが、やれるだけやってみせます」

 

鏡介

 「それじゃあ、次はフィールドで会おうぜ」

 

 俺はそう言って透子と共に門を潜る。視界が光に包まれて、気づけばいつもの自室へと帰っていた。

 

 

〜 自室 〜

 

透子

 「……戻ってきましたね」

 

鏡介

 「あぁ……そうだな。そういえば俺、授業受ける時どうなるんだ?」

 

 なんとなく口にした言葉。それに答えようとするも首を捻るのみの透子。

 

鏡介

 「しゃあねぇな。校長に聞いてみるか。透子、ついてきてくれ」

 

透子

 「は、はい……」

 

 そして俺達は校長室へ向かい、鮫島校長に事態の説明をしに行った。

 

 最初は信じられていなかったが、デュエルをしたら一発で分かってくれた。やっぱデュエル脳は偉大。はっきりわかんだね。

 

 その後、俺は他のアカデミアの先生を全抜きしたらなんとかすると言われたが、特に苦も無く全抜きした。

 

 その結果俺は古神鏡介として、オベリスクブルーの3年生として生活できる事になった。デュエルは問題無いけど普通の学科大丈夫か?工業高校出身だから数学Bとか物理は無理ぞ?まぁ、なんかあったら透子に頼ろうそうしよう。

 最近透子見てると恥ずかしくなるけど背に腹は代えられない。

 

 やることも無いので、オベリスクブルー寮のクッソフカフカなベッドに寝転びながら今までに習った魔法を反芻しながら眠りについた。



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37.開幕、破滅との戦い

ダークネス編突入です。遊戯王GXの小説でダークネス編まで書き上げた作品って少ないですよね。拙作はかなり端折ってしまいましたが、セブンスターズ編を濃く書ける作者さんは凄いなと強く感じます。


 

 

〜 オベリスクブルー女子寮 〜

 

 始業式が終わり、暇だった私は机にライトロードを広げて一人回しをしていました。

 

 それにしてもトワイライトロードのカードが本当に強い。(ガロス)さんと揃えるとどんどん墓地が肥えますし手札も増えます。

 

 回せるだけ回して終了。背中を伸ばしていると、1つのデッキケースが落ちてきました。

 

 これは……メタファイズですね。鏡介と違って(メタファイズ·エグゼキューター)を切り札に据えたデッキ。しかし除外系のデッキを使ってくる相手が少なく、お蔵入りになっていました。

 

 ん?なんかこのカードが黒ずんで……

 

 黒ずみに気づいた次の瞬間、カードが突然宙を舞い、一人の男の人へと変化しました。

 

??

 「私の名はトゥルーマン。まぁ、ミスターTと呼んでくれたまえ」

 

透子

 「カードが人の姿に……それはそうとミスターTさん。私に何かようですか?」

 

ミスターT

 「君は真実に近づき過ぎている。よってこの世界から消えてもらう。君達得意のデュエルでね」

 

 さも当然の様に存在を抹消しようとしないで下さい。

 

透子

 「最近知った真実……ダークネス関係の人ですね!ならば生きて鏡介に伝えなければいけません!」

 

透子·ミスターT

 「デュエル!」

 

ミスターT

 「先攻は私です。ドロー!」

 

ミスターT 手札5→6

 

ミスターT

 「私は(ダーク·アーキタイプ)を召喚。カードを2枚セットしてターンエンド」

 

ミスターT LP4000 手札3 伏せ2

 

ダーク·アーキタイプ 攻1400

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

ダーク·アーキタイプ

効果モンスター(アニメオリカ)

レベル4/闇属性/魔法使い族/攻撃力1400/守備力400

このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時に発動できる。

デッキからその戦闘で自分が受けた戦闘ダメージの数値と同じ攻撃力を持つモンスター1体を選択し、選択したモンスターとレベルの合計が同じになるように手札のモンスターカードを墓地へ送る。

選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

 なんですかあのモンスター。聞いたことないモンスター。何か強力な効果を持っているのでしょう。

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ライコウ)さんを捨てて2枚ドロー!そしてデッキトップ2枚を墓地へ送ります!」

 

 送られたのは……(セフィロン)と(死者転生)。でもドローカードが良いですね。

 

透子 手札6→5→4→6

 

透子

 「(ジャスティス·ワールド)を発動!そして(隣の芝刈り)を発動!自分と相手のデッキ差分だけ墓地送り!デッキ差は50-34で16枚墓地へ!そして墓地に送られる度にシャインカウンターを(ジャスティス·ワールド)に1つのせます!」

 

送られたのは……(ライラ)さん、(ガロス)さん、(グラゴニス)さん、(ライコウ)さん、(裁きの龍)、(トワイライトジェイン)さん、(ウォルフ)さん、(フェリス)さん、(サウザンドブレード)、(ゼピュロス)、(ラドリートラップ)、(仁王立ち)、(神域)、(光の援軍)、(隣の芝刈り)、(ソーラーエクスチェンジ)。

 

透子 手札6→5 シャインカウンター0→1

 

透子

 「墓地に送られた(ウォルフ)さんと(ラドリートラップ)の効果発動!(ラドリートラップ)は効果でデッキから墓地に送られた場合、このターンに墓地へ送られたカードを手札に加えます!しかし、加えたカードは次の私のターン終了時まで効果を発動出来ません。私は(セフィロン)を手札へ加えて、(ウォルフ)さんは特殊召喚!」

 

透子 手札6→5→4→5

 

透子

 「私は(ルミナス)さんを守備表示で召喚、効果発動!(グローアップ·バルブ)を捨てて墓地の(ライラ)さんを特殊召喚!そして(ライラ)の効果発動!守備表示にして右側のセットカードを破壊!」

 

 (ライラ)さんが破壊したのは(ダメージ·ダイエット)。まぁまぁいいカード割りましたね。もう1枚割りたいところ。

 

透子 手札5→4

 

透子

 「私は(ウォルフ)さんと(ライラ)さんでオーバーレイ!(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(ライラ)さんを取り除き、デッキトップを3枚落とし、ライトロードカードの枚数分ドロー!」

 

 落ちたのは……(フェリス)さん、(ライデン)さん、(トワイライトルミナス)さん。

 

透子

 「落ちたのは3枚、よって3枚ドロー!そしてシャインカウンターを1つのせ、(フェリス)さんを特殊召喚!」

 

透子 手札4→7 シャインカウンター1→2

 

透子

 「(フェリス)さんの効果発動!リリースして(ダーク·アーキタイプ)を対象に破壊!その後3枚墓地へ!」

 

フェリス

 『はいは〜い。この(フェリス)さんにお任せくださいねぇ〜』

 

 高く跳躍して(アーキタイプ)の首を貫く(フェリス)さん。その後にバク宙して墓地へ入っていきました。落ちたのは……(おろかな埋葬)、(光の援軍)、(超電磁タートル)。

 

ミスターT

 「まさか(ダーク·アーキタイプ)が効果破壊されるとは!」

 

透子

 「私は(ゼピュロス)の効果発動!(ルミナス)さんを手札に戻して墓地から特殊召喚して400ダメージ!そしてダメージを受けたとき(サウザンドブレード)は墓地から特殊召喚!そして(ゼピュロス)と(サウザンドブレード)でオーバーレイ!ランク4(竜巻竜)!効果発動!素材である(サウザンドブレード)を墓地へ送り、最後のセットカードを破壊!」

 

破壊したカードは(ゼロ・ゲイザー)。なんですかこのカード。使い道が分かりませんよこれ。

 

《ゼロ・ゲイザー》(アニメオリジナル)

通常罠

自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターが攻撃対象になった時に発動できる。

そのモンスター1体の攻撃力を0にする。

その後、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

透子

 「私の墓地に10体以上のモンスターが墓地に眠っていることでカードは特殊召喚出来ます!無は無限となり、無限の光から生まれる究極の天使!(究極時械神セフィロン)!」

 

ミスターT

 「攻撃力……4000だと!?待て!(ラドリートラップ)で加えたカードであるそのカードは効果を発動出来ない筈、何故特殊召喚出来る!」

 

透子

 「(サイバー·ドラゴン)と同じで、このカードを特殊召喚するのは効果ではなくルール!よって発動出来なくても特殊召喚できます!さぁ、このままワンショットキルです!(セフィロン)でダイレクトアタック!アカシックストーム!」

 

 (セフィロン)から放たれる膨大な光に飲み込まれたミスターTは、カードになってどこかへ消えてしまいました。

 

透子

 「あれがダークネス。早速鏡介に相談しないと」

 

 それにしても……鏡介は一体何処にいるのでしょうか。取り敢えずブルー寮に……

 

ミネルバ

 『どうやら鏡介さんは特待生寮へ向かっているみたいですよ?』

 

 どうしてそんなところに……とにかく行ってみましょう!

 

 

 

〜 特待生寮前 〜

 

 (ベージ)からの報告で、特待生寮に向かっている奴がいるらしいので来てみたら、そいつがなんか黒い靄に囲まれていた。

 

鏡介

 「大丈夫か!今行くぞぉ!」

 

 ライトロード達に鍛えられた身体に物を言わせて跳躍し、靄の中へ飛び込んでいく。

 

??

 「ほぅ……わざわざそちらから来るのなら都合がいい。」

 

 俺が地面に足をつけると靄が集約し、ダンディなおっさんへ姿を変える。

 

ミスターT

 「私はトゥルーマン。まぁ、ミスターTと呼んで下さい」

 

鏡介

 「ミスターT……縮めてミスティーだな!ミスティーがなんの用だ!」

 

ミスターT

 「ミスティー……まぁいいでしょう。貴方は真実を知りすぎた。よってこの世界から抹消させて頂きます。貴方がたが得意なデュエルでね」

 

鏡介

 「さも当然の様に命が飛ぶよなこの世界は。まぁデュエルで決まるなら問題は無い、轢き潰してやる!」

 

鏡介·ミスターT

 「デュエル!」

 

ミスターT

 「先攻は私です。ドロー!」

 

ミスターT 手札5→6

 

ミスターT

 「私は(ダーク·アーキタイプ)を召喚。カードを2枚セットしてターンエンド」

 

ミスターT LP4000 手札3 伏せ2

 

ダーク·アーキタイプ 攻1400

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

 出てきたのは、頭部に機械を装着された四足歩行のモンスター。

 

 なんだあのモンスター、見た事ねぇな。

 

 しかし、こんな事なら暗黒界持ってくればよかったな……いくら校長に授業や月一デュエルでの使用を禁じられているとはいえな……

 

鏡介

 「行くぜ!俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

 あっぶねぇ……危うくドローゴーしか出来ないところだったわ。

 

鏡介

 「(テラフォーミング)発動!フィールド魔法(kozmo−エメラルドポリス)を手札に!そして発動!手札のkozmoカード、(ランドウォーカー)、(フォアランナー)、(スリップライダー)×2の合計4枚をデッキに戻してシャッフル。戻した枚数4枚ドロー!」

 

鏡介 手札6→5→6→5→1→5

 

 ふぅ……どうにか動けそうだ。

 

鏡介

 「(緊急テレポート)発動!デッキからサイキック族モンスターであるレベル2(kozmo−フォルミート)を特殊召喚!効果発動!このカードを除外してレベル3以上のkozmoモンスターを手札から特殊召喚!俺はレベル8の(kozmo−ダークシミター)を特殊召喚!効果発動!(ダークシミター)は召喚·特殊召喚成功時にカードを1枚対象に破壊出来る!俺は(ダーク·アーキタイプ)を破壊!」

 

 突然空から舞い降りた巨大戦艦。艦首に装備された2基のビーム砲が火を吹き、謎のモンスターを消し飛ばした。

 

鏡介 手札5→4→3

 

ミスターT

 「くっ!(ダーク·アーキタイプ)が破壊されるとは!」

 

 効果破壊されると困るって事はリクルーターか制圧モンスターってとこだよな。先に潰しておいて良かったぜ。

 

鏡介

 「(エメラルドポリス)の効果発動!除外されているkozmoモンスターを手札に回収!俺は(フォルミート)を回収してそのレベル×100LPを失う、よってLP200を失う!」

 

鏡介 LP4000→3800 手札3→4

 

鏡介

 「(ドロッセル)召喚!バトルだ!(ドロッセル)で攻撃!フォースショット!」

 

 召喚された少女は手に持つ銃からビーム弾を撃ち出し、ミスティーを撃ち抜いた。

 

ミスターT LP4000→2500

 

鏡子 手札4→3

 

 攻撃が通ったから攻撃反応は無し、勝ったな。

 

鏡介

 「(ドロッセル)の効果発動!このカードが戦闘ダメージを与えた時、500LP払う事でkozmoカードをサーチ!俺は(kozmoダークエル·ファイバー)をサーチ!(ダーク·シミター)でダイレクトアタック!」

 

ミスターT

 「トラップ発動!(万能地雷グレイモヤ)!攻撃宣言時に、相手フィールドの表側攻撃表示モンスターの内、攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する!(ダーク·シミター)を破壊!」

 

 宇宙戦艦が砲撃しようとした瞬間、突然内部で爆発を起こして沈んだ。(万能地雷グレイモヤ)て……対象取らないけど(炸裂装甲)とか他に強力な攻撃反応あっただろうに……でも、破壊したよなぁ?

 

鏡介 LP3800→3300 手札3→4

 

鏡介

 「破壊された時、(ダーク·シミター)の効果発動!破壊された時、墓地のこのカードを除外してデッキからレベル8以下のkozmoを特殊召喚!俺はレベル5の(kozmo−スリップライダー)を特殊召喚!(スリップライダー)の効果発動!特殊召喚成功時に魔法罠を破壊!俺はそこの伏せカードを破壊する!」

 

 爆破された戦艦の中から戦闘機が飛び出し、ビーム砲で伏せを焼く。破壊されたのは……(ゼロ・ゲイザー)?なんだこの罠。(ヘル・テンペスト)発動用か?

 

鏡介

 「行けぇ!(スリップライダー)でダイレクトアタック!」

 

 伏せを焼いた後、インメルマンターンを決めて照準を定めてレーザーを放ち、ミスティーを焼いた。

 

ミスターT LP2500→200

 

ミスターT

 「私のLPが200に……しかしこれで攻撃出来るモンスターは居なくなった!次の私のターンで……」

 

鏡介

 「何勘違いしてやがる!俺のバトルフェイズはまだ終了しちゃあいないぜ!フィールドの(ドロッセル)の効果発動!このカードを除外して自身のレベル以上のkozmoを手札から特殊召喚!現われろ!レベル5!(kozmo-ダーク·エルファイバー)!ダイレクトアタック!」

 

ミスターT LP200→-2000

 

ミスターT

 「グワァァァ!」

 

 手札より現れたのは銀河帝国の統率者。その手より放たれる念動力によってミスターTはねじ切れて、カードとなってどこかへ消えた。

 

鏡介

 「大丈夫か、怪我はないか?」

 

??

 「あ、あぁ……助かったよ。ありがとう鏡介君」

 

 闇に囲まれてた、ワカメ髪のアカデミア生が礼を言ってくる。まぁ礼を言われて嫌になるやつなんていないよなぁ?

 

鏡介

 「入学したばっかなのに俺の名前も知れ渡ってんな……まぁ透子は中等部歓迎会でジェノサイドしてたから分かるんだが俺は最近暴れてないんだよなぁ……所で名前はなんて言うんだ?」

 

 俺がそう尋ねると、生徒の瞳が朱く輝き始めた。あ、これ洗脳の類だ!確か前に(スノウ)から防御術習ってたはず……

 

藤原

 「酷いなぁ……僕だよ僕。藤原優介。僕達はずっと一緒だったじゃないか……」

 

鏡介

 「ふぅ……ふぅ……知らねぇなぁ……す、少なくとも同じクラスじゃねぇ。で、でも凄い成績を叩き出しているって噂を聞いたことがある気が……そ、それじゃあ俺は失礼するぜ」

 

??

 「お前は一体何者なんだ」

 

 急いでワカメ頭から離れようとすると、後ろから声が。振り返ると、そこには黄と青のオッドアイを輝かせる十代の姿があった。

 

鏡介

 「十代!こいつやべぇぞ!洗脳仕掛けてくるなんて只者じゃねぇ!」

 

 俺がそう言った瞬間、藤原は両腕を広げて強烈な光を発した。光が収まると、そこには藤原の姿は無く、代わりに鮮やかな彩りをした羽が一本あるのみだった。

 

鏡介

 「ありがとな十代。危うく俺、あいつの洗脳くらって普通のクラスメートとして受け入れるとこだったぜ。絶対にあいつダークネス関係の奴だよ」

 

十代

 「久しぶりだな鏡子。所でダークネスといったな?そいつが世界の破滅に関わっているのか?」

 

 目つきがめっちゃ鋭くなる十代。ホント1年生だった頃とは似ても似つかない。

 

鏡介

 「ああ、最近俺は改名して古神鏡介になったからよろしく。それはさておき、カラレス様の予言で近々ダークネスとかいう、本来精霊世界の隅っこにいる筈のやべー奴らが精霊世界と人間界を侵食してくるらしくてな。そして、さっき戦ったミスターTに負けるとダークネスに取り込まれて2度と元に戻れないらしい。これが今知ってるダークネスに関する情報の全てだ」

 

十代

 「ダークネスという存在については分かった。後はダークネスが何を目的にしているのかだな」

 

鏡介

 「ダークネス関連なら協力するぜ。きっと透子も手を貸すと思うぞ」

 

 俺が手を差し伸べると、十代は迷わず手を取った。

 

十代

 「俺には手掛かりが1つだけある。吹雪さんだ。あの人はセブンスターズでダークネスと名乗り俺たちに立ちふさがった。きっと何か手掛かりを持っているに違いない」

 

鏡介

 「なるほど。それじゃあ(ベージ)三人衆を召喚して捜索に当たらせる。(ベージ)!仕事の時間だ!」

 

 俺の声に反応して地面に降り立つ(ベージ)達。彼らはそれぞれ返事して散り散りに跳んで行った。

 

鏡介

 「それじゃあ俺はこれにて。お互い頑張ろうな」

 

十代

 「ああ。前の異世界騒動を忘れたわけじゃないが、共にダークネスを倒そう」

 

 俺達はそう言って別れた。その後、透子に会ったので先の件を話し、透子も吹雪さん捜索に協力してくれる事になった。

 

 十数分後、(ベージ)の一人が吹雪さんを発見。俺はその場所、オベリスクブルー寮へ常人とは一線を画する速さで駆けた。

 

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

鏡介

 「吹雪さん。居ますか?」

 

 一応先輩なので敬語でノックすると、御本人がドアを開けてくれた。

 

吹雪

 「僕なら居るけど……何か用かい?」

 

鏡介

 「ああ、まずは自己紹介。最近転入してきた古神鏡介です。実は十代と共に【この世界に襲いかかっている厄災】について調べていてですね、セブンスターズでダークネスとして十代に立ちふさがった吹雪さんなら、何か知っているんじゃないかって思い伺いました」

 

 俺の正体を隠しつつ経緯をまとめつつ伝えると、吹雪さんは難しそうな顔をして口を開きました。

 

吹雪

 「確かに僕はダークネスとして十代君と戦った。でも、ダークネス関係の事は殆ど覚えていないんだ」

 

 覚えてない……か。どうにかして思い出してもらいたいんだが……

 

鏡介

 「そう……ですか……事態は刻一刻と迫っています。何か思い出せる手伝いが出来ればいいのですが……」

 

 俺がそう言うと、吹雪さんは考え込み、口を開いた。

 

吹雪

 「実は方法が無いわけじゃない。深夜に、僕と一緒に特待生寮に来てくれないか?」

 

鏡介

 「特待生寮ですか?……分かりました。それまでは大人しくデッキをイジることにします」

 

 俺は吹雪さんに一礼して部屋を出た。

 数分後、俺はせっかくだからブリザードプリンスこと吹雪さんに、透子を見てると悶々とするこの気持ちを相談すれば良かったと思ったが時すでに遅し。タイミングを逃してしまったと悔いる事になった。

 

 

〜 深夜 特待生寮奥地 〜

 

 鏡介に連れられて、十代さんと一緒に来たのは特待生の奥。かつてここでセブンスターズだったタイタンと明日香さんがデュエルをした場所です。

 

 あの時の明日香さんの完全制圧ぶりには……当時タイタンに同情した覚えがあります。

 

十代

 「特待生寮に来たが……ここで何があったんだ?」

 

吹雪

 「分からない。あの時の事を思い出そうとすると、頭が割れるように痛む。これを使えば……きっと記憶が蘇るだろう」

 

 吹雪さんがカードを1枚取り出した瞬間。一人の男性がこの部屋に入ってきました。

 

鏡介

 「げぇ!藤原じゃねぇか!どうしてお前がここにいるんだよ!」

 

藤原

 「お前が……お前がマスターを!」

 

 理由は分かりませんが非常に激昂している藤原さん。吹雪の身が危ないかもしれません!

 

鏡介

 「透子!お前が吹雪を相手をしてくれ!俺が藤原を止める!十代はもし俺か透子のどっちかがやられたら割り込んでくれ!」

 

 鏡介が藤原さんの前に躍り出て戦闘態勢へ、私は鏡介の指示通り吹雪の前に立ちます。

 

 ライトロードだと、ワンキルかライブラリアウトのどっちかで一瞬で決着がついてしまいます。ならばこのデッキで……

 

吹雪·透子

 「デュエル!」



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38.赤き眼は原始生物の夢を見る

 

吹雪

 「先攻は僕だ!ドロー!」

 

吹雪 手札5→6

 

吹雪

 「(レッドアイズ·インサイト)を発動!デッキの(真紅眼の黒竜)を墓地へ送り、レッドアイズ魔法罠を手札に加える!加えるのは(真紅眼融合)!」

 

吹雪 手札6→5→6

 

鏡介

 「れ、(真紅眼融合)だとぉ!」

 

 藤原さんとの攻防の中、(真紅眼融合)と聞いて声を荒げる鏡介。只の融合魔法をどうしてあんなに恐れているのでしょうか……まさかとてつもない効果があるのでしょうか。

 

吹雪

 「加えた(真紅眼融合)を発動!デッキから(真紅眼の黒竜)と(真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード)を墓地へ送り融合!現れろ!(真紅眼の黒刃竜)!更に手札の(黒鋼竜)の効果発動!手札·フィールドのこのカードを攻撃力600アップの装備カードとしてレッドアイズに装備!僕はカードを3枚セットしてターンエンド!」

 

吹雪 LP4000 手札1 伏せ3

 

真紅眼の黒刃竜 攻3400

 

黒鋼竜(真紅眼の黒刃竜)

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 無条件でデッキ融合!?確かに強力ですが……なにもそこまで恐れなくても……もしかしてあのモンスターが強力なのでしょうか……

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「私は(隣の芝刈り)を発動!デッキの差は54-30!よって24枚墓地へ送ります!」

 

 暗い寮の奥地でも芝が生え、それを暴走した芝刈り機が根こそぎ刈り取っていきます。

 

透子

 「墓地へ送られた(ラドリートラップ)の効果発動!墓地へ送られた場合に、このターンに墓地へ送られたカードを手札に加えます!加えるのは(鬼ガエル)!しかしこれは次の私のターン終了時まで、(鬼ガエル)は効果を発動出来ません」

 

透子 手札6→5→6

 

透子

 「そして私は手札の(粋カエル)を墓地へ送ることで手札の(鬼ガエル)を特殊召喚!更に墓地の(粋カエル)の効果発動!墓地のガエルモンスター(魔知ガエル)を除外して特殊召喚!」

 

 (鬼ガエル)の特殊召喚は効果の発動を伴わないので特殊召喚出来ます。ライトロードの知識が活きていますね。

 

透子 手札6→5→4

 

透子

 「私は(粋カエル)と(鬼ガエル)でオーバーレイ!来て!原始の捕食者!(バージェストマ·オパビニア)!」

 

 銀河の渦から湧いたのは、私の膝ぐらいの大きさをした形容し難いモンスター。なんでもカンブリア紀の生き物らしいです。

 

吹雪

 「トラップ発動!(鎖付き真紅眼牙)!このカードはレッドアイズモンスター(真紅眼の黒刃竜)の装備カードとなり、モンスターへの2回攻撃を可能にする!」

 

透子

 「チェーンして墓地の(ハルキゲニア)の効果発動!このカードを、モンスター効果を受けない攻撃力1200守備力0の通常モンスターとして特殊召喚!」

 

吹雪

 「更にチェーンして(鎖付き真紅眼牙)の効果発動!このカードを墓地へ送り、効果モンスターをこのカードを装備していたモンスターに装備する!この効果でモンスターを装備している限り、装備モンスターはそのモンスターと同じ攻撃力・守備力になる!」

 

 突然飛んでくる鎖付きブーメランに絡められた(オパビニア)は、(真紅眼の黒刃竜)に絡められてしまいました。

 

真紅眼の黒刃竜 攻3400→0→200→800

 

透子 手札4→5

 

透子

 「くぅ……私はカードを4枚セット。ターンエンドです」

 

吹雪

 「エンドフェイズに永続トラップ(真紅眼の鎧旋)発動!フィールドにレッドアイズモンスターが存在する時、墓地の通常モンスターを特殊召喚する!現れろ!(真紅眼の黒竜)!」

 

透子

 「チェーンして墓地の(カナディア)の効果発動!モンスター効果を受けない通常モンスターとして特殊召喚!」

 

透子 LP4000 手札0 伏せ4

 

バージェストマ·カナディア 守0

バージェストマ·ハルキゲニア 守0

 

吹雪 LP4000 手札1 伏せ1

 

真紅眼の黒刃竜 攻3400→800

真紅眼の黒竜 攻2400

 

黒鋼竜(真紅眼の黒刃竜)

バージェストマ·オパビニア(真紅眼の黒刃竜)

真紅眼の鎧旋

 

吹雪

 「僕のターンドロー!」

 

吹雪 手札1→2

 

吹雪

 「バトル!(真紅眼の黒竜)で(ハルキゲニア)を攻撃!黒炎弾!そして(真紅眼の黒刃竜)の効果発動!墓地の戦士族モンスター(真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード)を攻撃力200アップの装備カードとして(真紅眼の黒刃竜)に装備する!」

 

透子

 「トラップ発動!(くず鉄のかかし)!相手の攻撃宣言時に発動!その攻撃モンスターを対象に、攻撃を無効にしてこのままセット!チェーンして墓地の(カナディア)の効果発動!」

 

吹雪

 「待った!(くず鉄のかかし)にチェーンして(真紅眼の黒刃竜)の効果発動!私のカードが対象になるカードの効果が発動した時、自身の装備カード(黒鋼竜)を墓地へ送ることでその発動を無効にして破壊する!」

 

 対象を取る効果を無効にする効果!?でもこういう効果は大抵ターン1がついています。ここはゴリ押しで!

 

透子

 「ならばトラップ(和睦の使者)発動!私のモンスターは戦闘で破壊されず受けるダメージも0になります!さらにチェーンして墓地の(カナディア)!チェーン6に(積み上げる幸福)を発動!チェーン4以上の時に発動!2枚ドローです!更にチェーンして墓地の(マーレラ)!」

 

 (真紅眼の黒竜)が炎のブレスを吐き出し、それを防ごうと不気味な金属製のカカシが立ちふさがりましたが(真紅眼の黒刃竜)に切り裂かれ、代わりに(和睦の使者)がやって来てこれを防ぎました。そして、2体の原始生物が湧いてきます。

 

透子 手札0→2

 

吹雪

 「防がれたか。流石はアカデミアの魔王と呼ばれるだけはある。墓地へ送られた(黒鋼竜)の効果発動!デッキからレッドアイズカード(真紅眼融合)を手札に!私はモンスターをセット!これでターンエンド!」

 

透子

 「エンドフェイズに永続トラップ(リターナブル瓶)を発動!チェーンして(レアンコイリア)!(レアンコイリア)を特殊召喚して、墓地の罠カード、(和睦の使者)を除外して墓地の元々のカード名が異なるトラップカード(威嚇する咆哮)を手札に!」

 

透子 手札2→3

 

吹雪 LP4000 手札2 伏せ1

 

真紅眼の黒刃竜 攻3400→800→200→400

真紅眼の黒竜 攻2400

セットモンスター

 

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード(真紅眼の黒刃竜)

バージェストマ·オパビニア(真紅眼の黒刃竜)

真紅眼の鎧旋

 

透子 LP4000 手札3 伏せ0

 

バージェストマ·カナディア 守0

バージェストマ·ハルキゲニア 守0

バージェストマ·レアンコイリア 守0

バージェストマ·マーレラ 守0

バージェストマ·ディノミスクス 守0

 

リターナブル瓶

 

 まずはあの(真紅眼の黒刃竜)をどうにかしないと……幸いリソースは豊富にあります。何とかなるでしょう。

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「私は(リターナブル瓶)発動!墓地の(くず鉄のかかし)を除外して墓地の(バージェストマ·ハルキゲニア)を手札に!そして(カナディア)と(マーレラ)でオーバーレイ!ランク2!(バージェストマ·オパビニア)!効果発動!素材の(カナディア)を取り除き、デッキから(ピカイア)を手札に!(オパビニア)は自身の永続効果により、バージェストマ罠を手札から発動出来ます!」

 

透子 手札4→5

 

十代

 「手札からトラップだと!?」

 

透子

 「手札からトラップ発動(バージェストマ·ピカイア)!チェーンして墓地の(カナディア)!特殊召喚して、手札の(レアンコイリア)を捨てて2枚ドロー!」

 

透子 手札5→4→3→5

 

透子

 「更に(カナディア)、(ハルキゲニア)、(ディノミスクス)でオーバーレイ!来て!ランク2!原始の海の絶対強者!(バージェストマ·アノマロカリス)!」

 

 3体を呑み込んだ銀河の渦から生まれたのは、大きな鎌が印象に残るモンスター。このデッキのエースです。

 

透子

 「(アノマロカリス)の効果発動!(ハルキゲニア)を取り除き、(真紅眼の黒刃竜)を対象に破壊します!」

 

吹雪

 「無駄だ!(真紅眼の黒刃竜)の効果発動!(オパビニア)を墓地へ送り、その発動を無効にして破壊する!」

 

透子

 「無駄なのはそっちです!(バージェストマ·アノマロカリス)はモンスターの効果を受けません!」

 

 凄まじい速さで(真紅眼の黒刃竜)に肉薄する(アノマロカリス)、両腕の鎌を振り下ろし黒い竜を粉砕しました。

 

吹雪

 「クッ!(真紅眼の黒刃竜)の効果発動!破壊された時、このカードに装備していたモンスターを可能な限り特殊召喚!現れろ!(真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード)」

 

 タダでは起きないと言うわけですか。

 

透子

 「手札から(ハルキゲニア)発動!チェーンして墓地の(ハルキゲニア)!特殊召喚して(真紅眼の黒竜)を対象に攻撃力を半分に!」

 

真紅眼の黒竜 攻2400→1200

 

透子 手札5→4

 

透子

 「私のフィールドから罠が墓地へ送られた時、(アノマロカリス)の効果発動!デッキトップを捲り、それがトラップなら手札に、それ以外は墓地送りです」

 

 捲られたのは……(ラドリートラップ)!

 

透子

 「捲られたのは(ラドリートラップ)なので手札に加えます。バトルです!(ハルキゲニア)で(真紅眼の黒竜)を攻撃!」

 

 目を持たない様に見える不気味な生き物が(真紅眼の黒竜)にブレスで焼かれながら体当たりを放ち、相打ちとなりました。

 

透子 手札4→5

 

透子

 「破壊された(ハルキゲニア)は除外されますがまだです!(アノマロカリス)で(真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード)を攻撃!」

 

 (アノマロカリス)は、赤を基調とした騎士に、大きな鎌を振り上げて容易く粉砕してみせました。

 

吹雪 LP4000→3400

 

透子

 「(レアンコイリア)でセットモンスターを攻撃!」

 

吹雪

 「セットモンスターは(真紅眼の飛竜)!そのまま破壊される!」

 

 不気味な生き物がセットモンスターに齧り付くと、出てきたのはレッドアイズに似たモンスター。ですがそのまま破壊されました。

 

透子

 「私はカードを4枚セットしてターンエンドです」

 

透子 LP4000 手札1 伏せ4

 

バージェストマ·オパビニア 守2400 素材1

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材2

バージェストマ·レアンコイリア 攻1200

 

 

リターナブル瓶

 

吹雪 LP3400 手札2 伏せ1

 

真紅眼の鎧旋

 

吹雪

 「僕のターンドロー!」

 

吹雪 手札2→3

 

吹雪

 「ふぅ……(真紅眼融合)を発動!デッキから(真紅眼の黒炎竜)と(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)で融合!来い!(流星竜メテオ·ブラック·ドラゴン)!」

 

 無数の隕石と共に飛来したのは、身体の至るところから炎が吹き出しているドラゴン。攻撃力は3500ですか……高いですね。

 

吹雪 手札3→2

 

吹雪

 「(流星竜メテオ·ブラック·ドラゴン)の効果発動!手札·デッキからレッドアイズを墓地に送り、送ったモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを与える!送るのは(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)!攻撃力2800の半分、1400のダメージを受けてもらう!」

 

 どこからともなく現れた無数の隕石の1つが私の近くに降り注ぎます。風圧が強すぎて吹き飛ばされそうです。

 

透子 LP4000→2600

 

吹雪

 「(黒炎弾)を発動!このカードはフィールドに(真紅眼の黒竜)が存在する時に発動出来、その(真紅眼の黒竜)の攻撃を放棄する代わりに、攻撃力分のダメージを与える!」

 

透子

 「待ってください!吹雪さんのフィールドには(流星竜メテオ·ブラック·ドラゴン)のみ!発動条件を満たしていない筈!」

 

吹雪

 「(真紅眼融合)で融合召喚されたモンスターは(真紅眼の黒竜)として扱う!よって3500のバーンダメージを与える!」

 

 そんなの通したら負けは免れません!絶対に止めます!

 

透子

 「カウンタートラップ(天威無双の拳)を発動!このカードは私のフィールドに効果モンスター以外のモンスターが存在し、カードの効果が発動した時に発動出来、その効果を無効にします!私のフィールドには通常モンスターとして扱う(レアンコイリア)が居るので条件は満たしています!」

 

 (メテオ·ブラック·ドラゴン)が口に炎を溜めていると、どこからか現れたガタイのいい鬼神が(メテオ·ブラック·ドラゴン)の頭を殴りつけて火球を暴発させました。

 

吹雪

 「クッ……カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

透子

 「所で、なんで(真紅眼の鎧旋)で蘇生させなかったんですか?(流星竜メテオ·ブラック·ドラゴン)が(真紅眼の黒竜)として扱えるなら発動出来ると思うのですが……」

 

吹雪

 「……(真紅眼融合)は発動するターンにこのカードの効果以外の召喚、特殊召喚が出来ない」

 

 え?……誓約が重すぎませんか?尚更鏡介が恐れていた理由が分かりません。

 

 

吹雪 LP3400 手札1 伏せ2

 

流星竜メテオ·ブラック·ドラゴン 攻3500

 

真紅眼の鎧旋

 

透子 LP2600 手札2 伏せ3

 

バージェストマ·オパビニア 守2400 素材1

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材2

バージェストマ·レアンコイリア 攻1200

 

リターナブル瓶

 

透子

 「あっ、私のターンドロー!」

 

透子 手札2→3

 

 しまった……あまりにも(真紅眼融合)のデメリットが重すぎて(アノマロカリス)の破壊効果使うのを忘れてしまいました。

 

透子

 「(オパビニア)の効果発動!素材の(マーレラ)を取り除き、デッキから(ディノミスクス)を手札に!更に(リターナブル瓶)の効果発動!(積み上げる幸福)を除外して墓地の(ハルキゲニア)を手札に!」

 

透子 手札3→4→5

 

吹雪

 「永続トラップ(真紅眼の鎧旋)の効果発動!レッドアイズが存在するので、墓地のレッドアイズの通常モンスター(真紅眼の黒炎竜)を特殊召喚!」

 

 出てきたのは、(真紅眼の黒竜)に似たドラゴン。通常モンスターが沢山入っているデッキみたいですね。私が回すと事故るビジョンが見えます。

 

透子

 「ひとまず(アノマロカリス)の効果発動!素材の(ディノミスクス)を取り除き、(流星竜メテオ·ブラック·ドラゴン)を対象に破壊!」

 

 再び振り上げられる鎌に成す術もなく破壊される(流星竜)。しかし、竜の断末魔が呼応したのか、矢尻のような竜が飛来しました。

 

吹雪

 「モンスターゾーンから墓地へ送られた(流星竜メテオ·ブラック·ドラゴン)の効果発動!墓地のレッドアイズ通常モンスター(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)を特殊召喚!」

 

 守備2000……地味に高いですね。

 

透子

 「手札から(ハルキゲニア)、チェーンして墓地の(マーレラ)発動!、チェーンして(ラドリートラップ)!更にチェーンして墓地の(ディノミスクス)!逆順処理により、(ディノミスクス)を特殊召喚して、(ラドリートラップ)はモンスターが特殊召喚するとデッキトップのカードを墓地へ送ります。そして(マーレラ)を特殊召喚して(ハルキゲニア)で(真紅眼の黒炎竜)の攻撃力·守備力を半分に!」 

 

透子 手札5→4

 

真紅眼の黒炎竜 守2000→1000

 

透子

 「特殊召喚したので(ラドリートラップ)の効果発動!更にチェーンして(アノマロカリス)の効果発動!デッキトップを捲ります。捲られたのは(鬼ガエル)なので墓地へ送られます。(ラドリートラップ)でデッキトップを墓地へ!」

 

 

 送られたのは……(エアー·トルピード)。

 

透子

 「墓地の(エアー·トルピード)の効果発動!墓地のこのカードと水属性のエクシーズモンスター(オパビニア)を除外して2枚ドロー!」

 

透子 手札4→6

 

透子

 「私は(マーレラ)と(ディノミスクス)でオーバーレイ!来て!ランク2(餅カエル)!(ラドリートラップ)が発動して1枚墓地へ!バトルです!(レアンコイリア)で(真紅眼の黒炎竜)を攻撃!」

 

吹雪

 「トラップ発動!(聖なるバリア−ミラーフォース−)!相手の攻撃宣言時に発動し、相手の表側モンスターを全て破壊する!」

 

透子

 「(餅カエル)の効果発動!カードの効果が発動した時に、手札·フィールドのカード(餅カエル)をリリースして、その発動を無効にして破壊し、私のフィールドにセットします!」

 

 (ミラーフォース)が発動した瞬間、鏡餅みたいに2段積みになった蛙のモンスターが上段の蛙を頭に乗せていたミカン諸共射出しました。

 

 上段の蛙は発動していた(ミラーフォース)を抑えつけて、私のフィールドに持ち帰ってきました。

 

透子

 「墓地へ送られた(餅カエル)の効果発動!墓地の水属性モンスター(餅カエル)を手札……エクストラデッキに加えます!モンスターの数が変わったので、巻き戻して再び(レアンコイリア)で(真紅眼の黒炎竜)を攻撃!」

 

 (ハルキゲニア)に絡められて身動きが取れない(真紅眼の黒炎竜)に齧りつく(レアンコイリア)。数秒と経たずに破壊しました。 

 

透子

 「続いて(アノマロカリス)で(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)に攻撃!」

 

(アノマロカリス)が振り下ろした鎌により、矢尻の様なドラゴンは真っ二つに破壊されました。

 

吹雪

 「トラップ発動!(レッドアイズ·スピリッツ)!これでレッドアイズを蘇らせる!現れろ(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)!」

 

 攻撃力2800……中々越えられる打点ではありませんね。

 

透子

 「メインフェイズ2。私は墓地の(鬼ガエル)を除外して(粋カエル)を特殊召喚!(ラドリートラップ)で1枚墓地へ!そして(粋カエル)と(レアンコイリア)でオーバーレイ!再び降臨(餅カエル)!(ラドリートラップ)で更に1枚墓地へ!ターンエンドです!」

 

 

透子 LP2600 手札6 伏せ3

 

バージェストマ·オパビニア 守2400 素材0

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材1

餅カエル 攻2200 素材2

 

リターナブル瓶

ラドリートラップ

 

吹雪 LP3400 手札1 伏せ1

 

レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン 攻2800

 

真紅眼の鎧旋

 

吹雪

 「僕のターン……ドロー!」

 

吹雪 手札1→2

 

吹雪

 「(強欲で金満な壺)を発動!エクストラを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

 豪華な壺に6枚のカードが取り込まれて膨張して爆発。2枚のカードが飛び出してきました。

 

吹雪 手札2→1→3

 

吹雪

 「(レッドアイズ·インサイト)を発動!デッキから2枚目の(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)を墓地へ送り、最後の(真紅眼融合)を手札に加える!」

 

透子

 「流石に止めます!(餅カエル)の効果発動!このカードをリリースして(レッドアイズ·インサイト)を無効にして破壊します!そして(餅カエル)の効果発動!このカードをエクストラデッキに戻します!」

 

吹雪 手札3→2

 

吹雪

 「(真紅眼の鎧旋)の効果発動!墓地の通常モンスター(真紅眼の黒炎竜)を特殊召喚!」

 

 高打点モンスターが並ぶのは困りますし……止めますか。

 

透子

 「チェーンして(アノマロカリス)の効果発動!(真紅眼の鎧旋)を破壊!永続トラップは効果処理時にフィールドに居ないと処理がされません!」

 

 (真紅眼の鎧旋)は(アノマロカリス)の鎌によって裁断。これでもう展開出来ない筈……

 

吹雪

 「破壊された(真紅眼の鎧旋)の効果発動!相手によって破壊された場合、墓地のレッドアイズを特殊召喚出来る!よって(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)を特殊召喚!そして、(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)の効果発動!1ターンに1度、墓地の同名以外のドラゴン族を特殊召喚出来る!蘇れ!(真紅眼の黒刃竜)!」

 

 一気に並ぶ高打点モンスター。これがレッドアイズの底力ですか……

 

吹雪

 「僕は(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)を再度召喚!これにより、カードがモンスターゾーンに存在する限りこのカード以外の自分フィールドのレッドアイズモンスターは戦闘·効果では破壊されない!」

 

透子

 「まさか……デュアルモンスターですか!?」

 

 デュアルモンスター、それは手札と墓地では通常モンスターであり、フィールドに出て更に召喚される事で効果を得るモンスター。普通に使うと2回も召喚しなければ効果を使うことが出来ないので使う人は殆どいません。

 

吹雪

 「バトルだ!(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)で(オパビニア)を攻撃!ダークネスメガフレア!ここで(真紅眼の黒刃竜)の効果発動!墓地の戦士族(真紅眼の鉄騎士−ギアフリード)を装備する!」

 

透子

 「待ってください!メインフェイズ終了時にトラップ発動!(威嚇する咆哮)!チェーンして(ハルキゲニア)!特殊召喚して相手は攻撃宣言出来ません!更にトラップがフィールドから墓地へ送られたので(アノマロカリス)の効果を発動!デッキトップは……(隣の芝刈り)、墓地へ送られます」

 

 突如現れる(マンティコア)。けたたましい咆哮を上げてレッドアイズ達を怯ませました。装備されると妨害されるので。

 

吹雪

 「やはり手強いな……僕はこれでターンエンドだ」

 

透子

 「エンドフェイズに(リターナブル瓶)の効果発動!(威嚇する咆哮)を除外して墓地の2枚目の(和睦の使者)を回収!」

 

吹雪 LP3400 手札1 伏せ1

 

レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン 攻2800

真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン 守2000(デュアル)

真紅眼の黒刃竜 攻2800

 

 

透子 LP2600 手札7 伏せ2

 

バージェストマ·オパビニア 守2400 素材0

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材0

バージェストマ·ハルキゲニア 守0

 

リターナブル瓶

ラドリートラップ

 

 そういえば吹雪さんのフィールドから持ち帰った(ミラーフォース)を使えば良かったですね。忘れてました。

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札7→8

 

透子

 「トラップ発動!(バージェストマ·カナディア)対象は(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)!チェーンして墓地の(マーレラ)!特殊召喚して(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)を裏側守備表示に!」

 

 不気味な生き物が矢尻の様なモンスターに絡みつき、裏側守備表示に変えました。

 

吹雪

 「トラップ発動!(鎖付き真紅眼牙)!(真紅眼の黒刃竜)に装備!」

 

透子

 「ならば墓地の(カナディア)の効果発動!特殊召喚!」

 

 (餅カエル)を出そうと思いましたが……コントロール奪取されると厄介です。今はやめておきましょう。

 

透子

 「耐性は消えましたけど……面倒な事になりましたね。(リターナブル瓶)の効果発動!墓地の(ラドリートラップ)を除外して(ディノミスクス)を手札に!」

 

透子 手札8→9

 

吹雪

 「この瞬間(鎖付き真紅眼牙)の効果発動!このカードを墓地へ送り、(アノマロカリス)を(真紅眼の黒刃竜)の装備カードにする!」

 

透子

 「チェーンして手札から(ディノミスクス)の効果発動!手札の(レアンコイリア)を捨てて(真紅眼の黒刃竜)を除外!チェーンしてさっき捨てた(レアンコイリア)の効果発動!逆順処理により、(レアンコイリア)を墓地から特殊召喚して(真紅眼の黒刃竜)を除外!これにより装備対象を失った(鎖付き真紅眼牙)は不発!そして最後に(ラドリートラップ)で1枚墓地へ!」

 

 足元に不気味な生き物が張り付くとそこからどんどんと腐食していく(真紅眼の黒刃竜)。ついに完全に腐食しきり汚泥と化していました。

 

 さて……(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)をどう処理しましょう。雑に2体目の(アノマロカリス)出して突破しますか。

 

透子

 「私は(マーレラ)、(ハルキゲニア)、(レアンコイリア)でオーバーレイ!ランク2(バージェストマ·アノマロカリス)!(ラドリートラップ)で一枚墓地へ!そして(アノマロカリス)の効果発動!素材の(ハルキゲニア)を取り除き、(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)を対象に破壊!」

 

 再び現れる(アノマロカリス)。大きな鎌を振り上げて、容易く黒き竜を破壊してみせました。

 

 これで残りは守備2000の壁のみ……ですが打点が200程足りません。

 

透子

 「バトルです!(アノマロカリス)でセットモンスターに攻撃!」

 

 セットモンスターは当然(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)。破壊されます。

 

透子

 「もう一体の(アノマロカリス)でダイレクトアタック!」

 

 何度振り下ろされたか分からない鎌によって切り裂かれる吹雪さん。大きくよろめきました。

 

吹雪 LP3400→1000

 

透子

 「私はカードを2枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに手札を1枚捨てます」

 

透子 LP2600 手札6 伏せ3

 

バージェストマ·オパビニア 守2400 素材0

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材0

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材2

 

リターナブル瓶

ラドリートラップ

 

吹雪 LP1000 手札1 伏せ0

 

吹雪 

 「僕のターン……ドロー!」

 

吹雪

 「(強欲で金満な壺)を発動!エクストラを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

吹雪 手札1→2→1→3

 

 このピンチな状況でよくドローソースを掴みましたね。それとも前のターンで壺から壺を引いたのか。

 

吹雪

 「(レッドアイズ·インサイト)を発動!デッキから(真紅眼の黒竜)を墓地へ送り、(レッドアイズ·スピリッツ)を手札に加える!墓地の(伝説の黒石)の効果発動!(真紅眼の黒竜)をデッキに戻し、このカードを手札に加える!カードを2枚セットしてターンエンド。そして墓地の(真紅眼の飛竜)の効果発動!墓地のこのカードを除外する事で、墓地のレッドアイズを特殊召喚!来い!(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)!」

 

吹雪 手札3→2→3→4

 

透子

 「(真紅眼の飛竜)の処理後に(アノマロカリス)の効果発動!(マーレラ)を取り除き、(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)を対象に破壊!」

 

透子

 「更に(リターナブル瓶)の効果発動!墓地の2枚目の(くず鉄のかかし)を除外して(ディノミスクス)を手札に!」

 

吹雪 LP1000 手札2 伏せ2

 

透子 LP2600 手札7 伏せ3

 

バージェストマ·オパビニア 守2400 素材0

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材0

バージェストマ·アノマロカリス 攻2400 素材2

 

リターナブル瓶

ラドリートラップ

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札7→8

 

吹雪

 「トラップ発動!(レッドアイズ·スピリッツ)!墓地のレッドアイズを蘇生される!現れろ(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)!」

 

透子

 「チェーンして墓地の(ハルキゲニア)!特殊召喚!」

 

吹雪

 「永続トラップ(真紅眼の鎧旋)!墓地のレッドアイズ通常モンスター(真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン)を特殊召喚!」

 

透子

 「フィールドが埋まっていて罠が撃てない……ならば(アノマロカリス)の効果発動!(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)を破壊!これで(真紅眼の鎧旋)の発動条件を満たさなくなりました!」

 

 フィールドはもう空。これでもう吹雪さんは何も出来ない筈。私の勝ちです。

 

透子

 「バトル!(アノマロカリス)でダイレクトアタック!」

 

 長きにわたりフィールドを支配し続けた古代生物の鎌が振り下ろされ、吹雪さんのLPは尽きました。

 

吹雪 LP1000→-1400

 

 鏡介の方を向くと、藤原さん相手に有利に立ち回っていました。しかし、あまり有効打が出せていないみたいです。

 

吹雪

 「思い出せたよ……全部……」

 

 重々しい口調で語られた事を纏めると、吹雪さんと藤原さんはとても仲の良い友人で、藤原さんはヘルカイザーや吹雪さんを凌ぐほどの才能を有していたらしいです。

 

 藤原さんはデュエルの研究に熱心で、その中でダークネスの力を見つけてしまい、ダークネスに取り込まれてしまったそうです。

 

 吹雪さんも最終的にダークネスに取り込まれかけましたが、デュエルしていた時に着いていた仮面の力で生還に成功したようです。

 

 ん?では今ここで鏡介と戦っている藤原さんは一体?

 

鏡介

 「オラァ!」

 

 一瞬の隙を逃さず、魔力を極限まで詰め込んだ右手が藤原さんの顔面に炸裂し、藤原さんは錐揉み回転しながら壁に叩きつけられました。

 しばらくすると藤原さんから翼が生え、男性の天使へと姿を変えました。

 

鏡介

 「お前は……(オネスト)か」

 

オネスト

 「まさか……カードの精霊であるわたしとやりあえる人間がいるとは思わなかったな」

 

 ヨロヨロと立ち上がる(オネスト)。それに対し、息を切らせながら睨む鏡介。

 

オネスト

 「だが、吹雪は必ず倒す!マスターの仇!」

 

 飛翔し、大きな翼を振るい羽根を飛ばすオネスト。それに対し、鏡介は指から放つ魔力弾で丁寧に撃ち落としていきます。

 

鏡介

 「お前ら早く逃げろ!透子は吹雪さんを頼む!」

 

透子

 「わ、分かりました!吹雪さん行きますよ!」

 

 私は吹雪さんの肩を抱え、寮の脱出を目指します。

 

 特待生寮から脱出すると、突然寮が爆発し、オネストが出てきました。

 瓦礫を弾き飛ばす様に出てきた鏡介。空でホバリングしているオネストを睨みます。

 

十代

 「やめろオネスト!お前がそんな事をしても、藤原は戻ってこない!」

 

オネスト

 「黙れ、マスターなら精霊世界とこの世界の異変を鎮めてくれた筈。それをお前達が見殺しにしたのだ」

 

吹雪

 「違う!彼を見殺しにした訳じゃない!彼がダークネスに引き込まれたのは、誰のせいでもない。天才故の好奇心に囚われ、自らその道を歩んだ!」

 

オネスト

 「黙れぇ!」

 

 再び大量の羽根を飛ばすオネスト。これは鏡介では捌ききれないのでは?

 

鏡介

 「十代!頼む!」

 

十代

 「ああ!」

 

 十代さんがデュエルディスクを展開し、(ネオス)を召喚。すると(ネオス)が実体化し、額から放つビームで羽根を全て焼き払ってみせました。

 

鏡介

 「モンスターの実体化……どうやらユベルとしっかり融合できたみたいだな」

 

十代

 「あぁ、俺の中の魂には(ユベル)がいる。それが俺に力を与えている。もし影丸や斎王が言うように、俺自身に原因があるならば、俺はケリをつけなくちゃいけない!」

 

 (ユベル)って……あの(ユベル)とですか?

 

十代

 「オネスト……俺を信じろ」

 

 そう言うと、オネストは一瞬疑いの目を向けましたが小さく頷き、地面に降りてきました。

 

 オネストはダークネスについて語り始めました。

 

 ダークネスがどうやってこの世界に侵食しているのかを纏めると、元々カードは精霊界とこの世界を繋ぐ扉の役割をしていて、デュエリストの思いが込められると絆が強くなり、逆に込められていないと闇ことダークネスに汚染され、ダークネスがやって来るそうです。

 

 ちなみに、デュエルディスクに反応しないカードはダークネスに汚染されているそうです。

 

 あれ?そうなるとカードを異世界から持ってきた鏡介のカードはどうなるのでしょう?もしダークネスと化す場合とんでもないことになるのですけど……

 

 そんな事を考えていると、目の前に突然黒い球体が降ってきて、激しい音と共に大地を抉りました。

 

透子

 「何が起きたんですか!」

 

鏡介

 「オネストがやられた!きっと魔法関係の攻撃……ダークネスの攻撃だ!」

 

 突然空間が僅かに歪み、そこからミスターTが降って……降りてきました。

 

鏡介

 「俺はオネストとの戦いで魔力を殆ど使いきっていて、これ以上はまともに動けねぇ。あとは頼んだぜ十代」

 

十代

 「あぁ、任された」

 

 十代さんはダークネスの攻撃により息絶え絶えとなったオネストを取り込み、ミスターTとデュエルを始めました。

 

 結果は十代さんの勝ち。ミスターTは(未来融合)からの(竜の鏡)による(F・G・D)の墓地融合と(スキルドレイン)という脳筋盤面を築き上げましたが、十代さんは手札を交換しながら展開し、(ネオス)と(オネスト)のコンボで(F・G・D)を戦闘破壊して勝利を収めました。

 

透子

 「今の我々は真実の断片に過ぎない……ですか」

 

 ミスターTとの戦いはまだまだ続きそうです。



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39.結束深めるペアデュエル!

ペアデュエルのルールが少しガバガバかもしれません。ご了承ください。


 

 

 

〜オベリスクブルーデュエルフィールド〜

 

透子

 「バトル!(ファルコン)さんで(スリップ·ライダー)を攻撃!する時にフィールドの(ビッグバン·シュート)を手札へ!そして(スリップ·ライダー)は除外され(ファルコン)さんでダイレクトアタック!」

 

鏡介

 「ぐわぁぁ!」

 

 10ターン以上に渡る長い攻防を制し、私は無事デュエルに勝利することが出来ました。もしkozmoに除外されたkozmoカードを大量にデッキへ戻すカードがあったらリソース負けしてました。

 

 そんな事を考えていると、突然近くでカメラのシャッター音が鳴りました。

 

透子

 「ひゃあ!なんですか?カメラ?」

 

 そこにいたのはカメラを持ったブルー生。話を聞くと、卒業アルバム制作委員会なる組織らしいです。

 卒業……そうですか。もうそんな時期なのですね……

 

 写真を取った人から、1枚のチケットを渡されました。なんでも1週間後に始まるパーティーのチケットらしいです。まだ未定らしいですが、タッグデュエルをやる計画もあるらしいです。

 

 他の3年生を写真に収めるべく立ち去る制作委員会の人達。しばらく呆けていると、突然鏡介が何かを思いついた様に声をあげました。

 

鏡介

 「なぁ、透子。もしタッグデュエルがあるならさ、俺とタッグ組もうぜ。ついでに一緒にタッグデュエル用の調整もしてさ!」

 

 一緒にデッキ調整……ちょっと待って下さい!?男女が一緒にデッキ調整やる事はデートより進んでる事ですよ!?そんなまだ手すら繋いだ事もないのに……

 

鏡介

 「もしかして、自分のデッキを他の人に合わせるのは嫌か?それなら俺が透子のデッキに合わせてやる。ライトロードと合わせられる奴はないけどな」

 

透子

 「いや……その……鏡介と一緒にデッキ調整するのは……その、恥ずかしいな……って。まだデートしたことすらない訳ですし……」

 

鏡介

 「いや、デートよりデッキ調整が進んでるってどういうことだよ……まぁとにかく!俺はお前以外とタッグは組みたくないんだよ!頼む!」

 

 一瞬呆気に取られてましたが、すぐに我に返り強い口調でタッグを迫る鏡介。私も鏡介さん以外と組む気は無いですけど……

 

透子

 「……私も鏡介以外と組むことは考えていません。よろしく……お願いしますね?」

 

鏡介

 「よし!それじゃあ早速行くぜ!場所は俺の部屋にしたいんだが、大丈夫か?」

 

透子

 「は、はい、分かりました。使うデッキはそこで考えましょう」

 

 恥ずかしい事は考えずに、私はタッグデュエルで使いたいデッキを考えながら鏡介に付いていきました。

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

 よっし!どうにか誘うことに成功したぜ。まさかデートよりもデッキ構築が上とは思わなかったが。

 

鏡介

 「さて、どんなデッキを使いたいんだ?」

 

透子

 「私はこのデッキが使いたいんです」

 

 透子が出してきたのは、バージェストマとファルコンビート。そしてライトロード。ライトロードは……シナジーあるデッキってなんだ?墓地でアド稼げるシャドールは前世で友人がよく回してたが詳しくは分からんし……とりあえず放置するか。

 

鏡介

 「それなら俺はこのデッキを使えば良いな」

 

 俺が見せたのは(幻煌龍)と(エーリアン)。後は罠をどうするかだな。

 

鏡介

 「まずはシナジーが強いだろうエーリアンとファルコンビートの構築考えるぞ。ライトロードは……何を使うかは後で決める」

 

透子

 「分かりました。ところでそのエーリアンはどんなデッキなんですか?」

 

鏡介

 「エーリアンはな……」

 

 こうして俺達は放課後に俺の部屋に寄ってデッキを構築しあう事になった。調整の為にデュエルしたり、汎用魔法罠のどれを採用するかで軽い口論も起きたりしたが、調整でキレイにキマった時は喜びを共有し、遂にデッキは完成した。

 

 ちなみに、ライトロードに合わせるデッキは、開き直って暗黒界にする事にした。ただそれだとモンスターゾーンを圧迫しまくるので、あまりモンスター並べない(暗黒界の洗脳)を軸にしたデッキを作ることにした。

 

 コントロール軸の暗黒界は1度だけ組んだ事があった為それを思い出しつつ、どうにか完成する事が出来た。

 

〜 1週間後 〜

 

 ついに完成したデッキを握り、会場に訪れるとそこには多種多様の食事。どうやらデュエルはまだしないようです。

 

明日香

 「あら、透子も来たのね?」

 

透子

 「ええ。この1週間の成果を、このタッグデュエルで見せてあげます」

 

 私がそう言うと、明日香は少し驚いた様な顔をしていました。

 

明日香

 「タッグデュエル?そんな情報はなかった筈だけど……」

 

 あれ?私はタッグデュエルがあるって聞いたんですけど……まぁいいです。ご飯を食べながら過ごしましょう。

 

明日香

 「ところで、タッグデュエルをするって言ってたけど鏡介と組むのね?」

 

透子

 「は、はい。確かにその通りですけど……どうしてそれを?」

 

明日香

 「どうしてって、貴方いつも帰るとき軽々とした足取りでオベリスクブルー男子寮に行ってるじゃない。気になって少し覗いたら鏡介と抱き合ってたし」

 

 見られてた!1番見られたくない所を見られてた!

 

剣山

 「レディース!アーンドジェントルメーン!紳士淑女の皆様、パーティーは楽しんでるドンか?いよいよ今回のメインイベント!【ペアデュエル】を開催するドン!」

 

 ペアデュエル?タッグデュエルとは違うのでしょうか。

 

 話を聞くと、LP4000。お互いのフィールドと墓地共有で、ターンプレイヤーが物理的に入れ代わりながらデュエルをするそうです。

 

 これ裏方の人は、手札から罠を撃つときはどうなるのでしょうか?確認しないと……

 

鏡介

 「よし、合流完了。それにしても明日香は大人気だな」

 

 鏡介が指差す方を向くと、万丈目さんと翔さんが取り合いをしていました。本当に人気ですね明日香さん。

 

鏡介

 「それはさておき、先に大体育館に行ってきな。俺は手札の誘発即時効果はどうするのか聞いてくるからさ」

 

透子

 「分かりました。お願いしますね」

 

〜〜〜

 

 大体育館にたどり着くと、6つのデュエルフィールドが作られていました。私達は影響がなかったですが、最初の月一デュエルでデュエルディスクが反応しなくなる事件があったからでしょう。

 

 その時は鏡介がテーブルデュエルでどうにかすればいいと言ったので、テーブルデュエルで月一デュエルは終わりました。

 

鏡介

 「おまたせ。裁定確認してきたぜ」

 

 手札からの妨害は制作チームにとって想定外らしく、暫定的に前のターンプレイヤーだった人のみ使えるとのことです。つまり私、相手1、鏡介、相手2といる場合、私は相手1にしか手札から罠が撃てないという事ですね。これはあのカードが重要になりそうですね。

 

 さて……相手は誰なのでしょうか……。

 デュエルフィールドに立つと、そこには校長と……トメさん!?なんで購買の人が!?

 

鏡介

 「なんで校長先生とトメさんが下級生に混じってんだよ……てかトメさんデュエル出来んのか?」

 

トメ

 「鏡介ちゃん達との思い出作りの為さ。デュエルは1週間前は何も知らなかったよ。でも、とある生徒からいっぱい教えてもらったからね。油断してると痛い目見るよ」

 

鏡介·透子·鮫島·トメ

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私です!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ3

 

透子 手札3

鏡介 手札5

 

鮫島·トメ LP4000 伏せ0

 

鮫島 手札5

トメ 手札5

 

トメ

 「アタシのターン、ドロー!モンスターをセット、2枚セットしてターンエンドだよ」

 

鮫島·トメ LP4000 伏せ2

 

セットモンスター

 

鮫島 手札5

トメ 手札3

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ3

 

透子 手札3

鏡介 手札5

 

鏡介 

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「スタンバイ!メインフェイズ!メインフェイズ開始時に(強欲で金満な壺)を発動!エクストラデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!このカードを発動するターン、俺はこのカード以外の効果でドロー出来ないぜ!」

 

鏡介 手札6→5→7

 

鏡介

 「更に俺は(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキトップ3枚を捲り、その中の一枚を手札に加える!このカードを発動するターン、俺は特殊召喚出来ないぜ!」

 

捲られたカード

幻殻竜

幻煌龍スパイラル

潜海奇襲

 

鏡介

 「俺が加えるのは(幻殻竜)!そのまま通常召喚!」

 

 フィールドに飛来したのは、黒紫の甲殻で身を包む謎のモンスター。その打点は、なんと2000。

 

鏡介 手札7→6→7

 

 

トメ

 「攻撃力2000!?ちょ、ちょっと!どうして(強欲で金満な壺)でドローできないのに手札に加えているんだい?」

 

鏡介

 「流石にそこまでは習ってなかったか。ドローと手札に加えるは別物だからな。よって問題なく加えられる。俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ5

 

透子 手札3

鏡介 手札5

 

幻殻竜 攻2000

 

鮫島·トメ LP4000 伏せ2

 

セットモンスター

 

鮫島 手札5

トメ 手札4

 

鮫島

 「私のターンドロー!」

 

鮫島 手札5→6

 

鏡介

 「スタンバイフェイズに永続罠(潜海奇襲)!発動時の効果処理として手札·墓地から(海)を発動出来る!発動せよ!(幻煌の都 パシフィス)!」

 

 デュエルフィールドが塗り替わり、中心に水没した祭壇を据えた幻想的な深海の世界へと変化しました。

 

鏡介 手札5→4

 

トメ

 「まぁキレイな場所だねぇ……でもちょっと待った。これ(海)じゃないわよねぇ?なんで発動出来たのかしら?」

 

透子

 「(幻煌の都 パシフィス)はルール上海として扱います!よってこれは海です!」

 

鮫島

 「ふぅむ。私は(融合)を発動!私は(サイバー·オーガ)2体を融合!現れろ!(サイバー·オーガ2)!」

 

 祭壇の前に渦が現れ、下半身が蛇のようになっている機械が現れました。

 

鮫島 手札6→5→3

 

鏡介

 「相手がカードの効果を発動した時に(幻煌の都 パシフィス)の効果発動!チェーンして(バージェストマ·ピカイア)発動!逆順処理により手札の(バージェストマ·レアンコイリア)を捨てて2枚ドロー!そして(パシフィス)で幻竜族レベル8攻守2000の(幻煌龍トークン)を特殊召喚!」

 

 水没した都市から現れたのは淡い水色の龍。そして水没都市から泡が溢れてきました。

 

鏡介

 「更に(パシフィス)の効果発動!1ターンに1度、通常モンスターが特殊召喚された場合に発動!デッキから幻煌龍魔法罠(幻煌龍の戦禍)を手札に加える!トークンは通常モンスターだから対象に入るぜ!」

 

鏡介 手札5→6

 

 鏡介曰く、相手ターンにサーチ効果を使うと前のターンプレイヤー。つまり今だと鏡介がサーチする事になるそうです。トメさんのターンには私がサーチする事になります。私も幻煌龍魔法罠を少し入れてるのでサーチは出来ます……本当に最低限ですが。

 幻煌龍罠は効果モンスターがいると使えないのでエクシーズを展開出来ないんですよね。

 

鮫島

 「手札交換ですか……まぁいいでしょう。私はカードを2枚セットしてターンエンドです」

 

鏡介

 「エンドフェイズに手札からトラップ発動(幻煌龍の戦禍)!俺達のフィールドが通常モンスターのみ場合に発動でき、相手のカードを1枚破壊!(海)があれば手札から発動できるぜ!(サイバー·オーガ2)を破壊!更に墓地の(レアンコイリア)の効果発動!特殊召喚!」

 

鏡介 手札6→5

 

 墓地から古代生物が湧き、どこからかボウガンを構えた半魚人が無数に現れました。

 彼らは大量のトライデントを射出して(サイバー·オーガ2)は瞬く間に破壊されていきました。

 

鮫島

 「手札からトラップですと!?ですがタダでは起きません!トラップ発動!(リビングデッドの呼び声)!(サイバー·オーガ2)を特殊召喚!」

 

 トメさんの(リビデ)ですか……面倒ですね。

 

鏡介

 「トラップ発動!(強欲な贈り物)!このカードは相手に2枚ドローさせるカードだが、贈る相手は透子だ!」

 

 そんなもの伏せてたんですか!?手札減ってたので助かります。

 

鮫島·トメ LP4000 伏せ3

 

セットモンスター

サイバー·オーガ·2 攻2600

 

リビングデッドの呼び声(サイバー·オーガ·2)

 

鮫島 手札1

トメ 手札4

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ2

 

透子 手札5

鏡介 手札5

 

フィールド(幻煌の都 パシフィス)

 

幻殻竜 攻2000

幻煌龍トークン 攻2000

バージェストマ·レアンコイリア 攻1200

 

潜海奇襲

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

 来たしたよ!展開札が!

 

透子

 「(隣の芝刈り)発動!私とトメさんのデッキ枚数差は54-34!よって20枚の墓地肥やしです!」

 

 

 芝刈り機が私の墓地をどんどんと肥やし、バージェストマ罠が大量に落ちました。

 

透子 手札6→5

 

トメ

 「20枚もカードを墓地に捨てるなんて……もったいないねぇ……」

 

透子

 「まだアカデミアには浸透していない概念なんですが、墓地は手札なんです。しばらくしたらその意味もわかると思います。私は永続トラップ(リターナブル瓶)を発動して効果発動!(積み上げる幸福)を除外して同名以外の罠(バージェストマ·マーレラ)を手札に加えてバトルフェイズに入ります!」

 

透子 手札5→6

 

鮫島

 「なっ(サイバー·オーガ·2)の攻撃力は2600。透子さんのフィールドのモンスターでは倒せない筈」

 

透子

 「打点で超える必要はありません!(幻煌龍トークン)で(サイバー·オーガ·2)を攻撃!ダメージステップ開始時に(潜海奇襲)の効果発動!元々のレベルが5以上の自分の水属性モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に、その相手モンスター(サイバー·オーガ·2)を破壊します!」

 

水で構成されている様な(スパイラル)が海に消え、(サイバー·オーガ·2)の背後で身体を再構築して強襲。容易く機械の身体を噛み砕いてみせました。

 

透子

 「メインフェイズ2、私はカードを1枚セットしてターンエンドです」

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ3

 

透子 手札5

鏡介 手札5

 

フィールド(幻煌の都 パシフィス)

 

幻殻竜 攻2000

幻煌龍トークン 攻2000

バージェストマ·レアンコイリア 守0

 

潜海奇襲

リターナブル瓶

 

鮫島·トメ LP4000 伏せ3

 

セットモンスター

 

鮫島 手札1

トメ 手札4

 

トメ

 「アタシのターンドロー!」

 

トメ 手札4→5

 

透子

 「スタンバイフェイズにトラップ発動!(バージェストマ·マーレラ)!チェーンして墓地の(バージェストマ·カナディア)!特殊召喚して、(マーレラ)でデッキから魔法罠カード(バージェストマ·ハルキゲニア)を墓地へ送ります!」

 

 だいぶ墓地が肥えているので必要ではありませんが、魔法罠ゾーンが埋まっているので仕方ありません。

 

トメ

 「アタシは相手の(幻煌龍トークン)と(幻殻竜)を生け贄にするよ!行きなさい!(溶岩魔神ラヴァゴーレム)!」

 

 鏡介のモンスターを生贄にして、私達のフィールドに現れたのは、溶岩で構成される魔神。なんて癖のあるモンスターを採用したんですか!?

 

トメ 手札5→4

 

トメ

 「永続トラップ発動!(洗脳解除)!これで(ラヴァゴーレム)ちゃんは私のフィールドに帰ってくるよ!」

 

透子

 「チェーンして墓地の(バージェストマ·マーレラ)!更にチェーンして(幻煌の都 パシフィス)!(マーレラ)を特殊召喚!して(幻煌龍トークン)を特殊召喚!」

 

 なるほど、どうやら相手にモンスターを押し付けてそれを取り返して戦うデッキですか……これ教えた生徒はいい趣味してますよ。

 

透子

 「更に通常モンスターが特殊召喚されたので(パシフィス)の効果発動!(幻煌龍の戦禍)を手札に加えます!」

 

トメ

 「更に魔法カード(アームズ·ホール)を発動!デッキの上を墓地へ送り、装備魔法(愚鈍の斧)を手札に加えて(ラヴァゴーレム)ちゃんに装備!これで攻撃力4000!更に(ラヴァゴーレム)ちゃんのデメリットの1000ダメージが500に減るよ!」

 

トメ 手札4→3→4→3

 

 金属質な斧を握り締める(ラヴァゴーレム)。ここ海の中なんですけど固まったりしないのでしょうか?

 

トメ

 「行きなさい!(ラヴァゴーレム)ちゃん!(バージェストマ·マーレラ)を攻撃!トメちゃんファイヤー!」

 

 斧は振るわずに口から火炎放射する(ラヴァゴーレム)。斧を持った意味とは……でも攻撃なんてさせません!

 

透子

 「さっき手札に加えた(幻煌龍の戦禍)を発動!(ラヴァゴーレム)を破壊です!」

 

 斧を持った溶岩魔神に放たれる無数のトライデント。それらが溶岩の身体を穴だらけにして破壊しました。

 

トメ

 「むむむ……私は(エクスチェンジ)を発動!これで私と鮫島校長の手札を入れ替える!カードを2枚セットしてターンエンド」

 

透子

 「エンドフェイズに(リターナブル瓶)の効果発動!墓地の(天威無双の拳)を除外して(バージェストマ·ハルキゲニア)を加えます!」

 

トメ·鮫島 LP4000 伏せ4

 

セットモンスター

 

 

鮫島 手札1

トメ 手札1

 

洗脳解除

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ2

 

透子 手札4

鏡介 手札5

 

フィールド(幻煌の都 パシフィス)

 

バージェストマ·レアンコイリア 守0

バージェストマ·カナディア 守0

バージェストマ·マーレラ 守0

幻煌龍トークン 守2000

 

潜海奇襲

リターナブル瓶

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「早速行くぜ!(レアンコイリア)他全てのモンスターを攻撃表示にして、装備魔法(幻煌龍の螺旋突)を装備!このカードは通常モンスターのみに装備出来、貫通を付与するぜ!」

 

鏡介 手札6→5

 

トメ

 「トラップ発動!(サイバー·シャドー·ガードナー)!モンスターとして守備表示で特殊召喚されるよ!」

 

鏡介

 「……墓地のバージェストマは特殊召喚しない」

 

 (サイバー·シャドー·ガードナー)……鮫島校長のカードですか。攻撃された時に、攻撃したモンスターの攻守をコピーしてエンドフェイズに再度セットされるトラップカード。毎ターン発動できるからバージェストマが展開出来ますね。

 でも攻勢には出にくくなってしまいます。名残惜しいですが破壊するしかないでしょう。

 

鏡介

 「バトルフェイズだ!行け!(レアンコイリア)!セットモンスターに攻撃だ!」

 

トメ

 「セットモンスターは(マシュマロン)!効果発動だよ!相手に1000のダメージ!」

 

 これまた面倒なカードを……。これじゃ直接攻撃が出来なくなってしまいます。

 

透子·鏡介 LP4000→ 3000

 

トメ·鮫島 LP4000→3800

 

鏡介

 「だが戦闘ダメージは与えたので(幻煌龍の螺旋突)の効果発動!デッキから(幻煌龍スパイラル)を特殊召喚してこのカードを装備する!」

 

(パシフィス)の神殿から這い出てきたのは、水色を基調とした荒々しいドラゴン。攻撃力2900というこのデッキの最大打点です。

 

トメ

 「攻撃力2900!でも(マシュマロン)ちゃんは戦闘で破壊されないからこのターンは耐えられるよ!」

 

鏡介

 「それはどうかな?(マーレラ)で(サイバー·シャドー·ガードナー)を攻撃!(スパイラル)で(ガードナー)を攻撃!スパイラル・クラッシュ!」

 

 (マーレラ)の体当たりを受け止めきった機械生命体。しかし猛烈な水流を放つ(スパイラル)には耐えられず圧潰。1700の貫通です。

 

トメ·鮫島 LP4000→2300

 

鏡介

 「更に(幻煌龍トークン)で、(マシュマロン)を攻撃!(潜海奇襲)の効果発動!レベル5以上の水属性モンスターが相手モンスターと戦闘するダメージステップ開始時に、そのモンスターを破壊する!」

 

 水で構成されている様な(スパイラル)が海に消え、(マシュマロン)の背後から強襲。容易く破壊してみせました。

 

トメ

 「まさか(マシュマロン)ちゃんが破壊されるなんて!」

 

 攻撃出来るのは(マーレラ)と(カナディア)。合計攻撃力2400で私達の勝ちです。伏せが防御カードでなければ、ですが。

 

トメ

 「ダメージは通さないよ!速攻魔法(スケープゴート)!あたし達を守って!羊ちゃん達!」

 

 4体場に躍り出る子羊トークン。しかし、次の瞬間には強烈な威圧感により消滅しました。このエフェクトは……

 

鏡介

 「チェーンして(王者の看破)を発動した。演出を見るにどうやらチェーンは無かったみたいだな。攻撃続行!」

 

トメ

 「ま、まだだよ!トラップ発動!(ダメージ·ダイエット)!あらゆるダメージが半分になるよ!」

 

トメ·鮫島 LP2300→1700→1100

 

鏡介

 「しぶといな……メインフェイズ2。(リターナブル瓶)の効果により、墓地の(王者の看破)を除外して墓地の(幻煌龍の戦禍)を手札に加えてターンエンド」

 

トメ·鮫島 LP1100 伏せ1

 

 

鮫島 手札1

トメ 手札1

 

洗脳解除

 

透子·鏡介 LP3000 伏せ1

 

透子 手札4

鏡介 手札6

 

フィールド(幻煌の都 パシフィス)

 

バージェストマ·レアンコイリア 守0

バージェストマ·カナディア 守0

幻煌龍スパイラル 攻2900

幻煌龍トークン 守2000

 

幻煌龍の螺旋突(幻煌龍スパイラル)

潜海奇襲

リターナブル瓶

 

鮫島

 「私のターンドロー!」

 

鮫島 手札1→2

 

鮫島

 「トメさん……貴方が遺したチャンス……無駄にはしません!私はトーチトークンを2体生成して鏡介君たちのフィールドに(トーチゴーレム)を特殊召喚!そして来なさい!(トーチゴーレム)!」

 

 地面を割って現れる機械の様な悪魔。トメさん(エクスチェンジ)で渡してたのですか!?

 

鮫島 手札2→1

 

鮫島

 「更に伏せていた(トークン復活祭)を発動!お互いのトークンを全て破壊し、その数まで、フィールドのカードを破壊します!私は(幻煌の都 パシフィス)、(幻煌龍スパイラル)、(リターナブル瓶)を破壊します!(幻煌龍の戦禍)が手札から発動出来るのは海のおかげ!破壊出来れば勝機はあります!」

 

鏡介

 「(トークン復活祭)!?だがチェーンして(潜海奇襲)の効果発動!水属性モンスター(幻煌龍トークン)を除外する事でこのターン、表側の魔法罠は破壊されない!」

 

鮫島

 「な、ならば(スパイラル)、(レアンコイリア)を破壊します!」

 

 フィールドの水で出来た(スパイラル)が海に消え、強烈な渦潮を生み出し羊トークン達の暴走をバージェストマに反らしました。

 

鏡介

 「(トークン復活祭)の処理後に(幻煌龍の戦禍)を発動!(トーチゴーレム)を破壊!チェーンして(ハルキゲニア)!特殊召喚だ!」

 

 海の奥底から飛んでくる無数のトライデントが(トーチゴーレム)を撃ち抜き爆散させました。

 

鮫島

 「た、ターンエンド……」

 

 相手のリソースはほぼ空。相手の手札に(ゴーズ)がなければ私達の勝ちは堅いでしょう。

 

トメ·鮫島 LP1100 伏せ0

 

 

鮫島 手札1

トメ 手札1

 

洗脳解除

 

透子·鏡介 LP3000 伏せ1

 

透子 手札4

鏡介 手札6

 

フィールド(幻煌の都 パシフィス)

 

バージェストマ·ハルキゲニア 攻1200

 

潜海奇襲

リターナブル瓶

 

透子

 「私のターンドロー!バトル!(ハルキゲニア)でダイレクトアタック!」

 

 深い海を悠々と泳ぎ鮫島校長に食らいつく(ハルキゲニア)。苦悶の表情を浮かべながら鮫島校長は蹲りました。

 

トメ·鮫島 LP1100→-100

 

鏡介

 「まさか(トーチゴーレム)から(トークン復活祭)が飛んでくるとは思わなかったぜ。ガッチャ!良いデュエルだったぜ!」

 

鮫島

 「やはりお二人は強いですね……私ももっと精進しませんとな……」

 

トメ

 「確かに強かったねぇ……でも透子ちゃん達とデュエルできて楽しかったよ。もっとアタシもデュエルの勉強をして、もっと生徒たちとデュエルしたいよ」

 

 トメさん初心者と考えると結構強かったですよね……教えた人は結構強い人なのでょうね。

 

 私達は校長先生に一礼して会場から立ち去りました。



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40.猫の恐怖とペアデュエル

めちゃめちゃに難産でした。見直して3回は書き直しました。もし展開(手札枚数の誤り等)に誤りがあれば感想でお願いします。可能な限り修正します。
 全部(ゴルガー)はセットカードも戻せると勘違いした自分が悪い。


 

 

 ペアデュエル2回戦。私達がデュエルフィールドに立つと、2人の対戦相手がやってきました。

 

猫守

 「オベリスクブルーの猫守だ。アカデミアの魔王の力。見せてもらおうか」

 

才原

 「同じオベリスクブルー女子の才原よ。正直どれだけ戦えるか不安だけど、やれる限りの事はするわ」

 

透子

 「はい。良いデュエルをしましょうね」

 

猫守·才原·透子·鏡介

 「デュエル!」

 

猫守

 「先攻は俺だ。ドロー!」

 

猫守 手札5→6

 

猫守

 「俺は(召喚僧サモンプリースト)を召喚!効果発動!守備表示になる!そしてもう一つの効果発動!手札の(大寒波)を捨ててデッキからレベル4以下のモンスター(召喚僧サモンプリースト)を特殊召喚!そして更に効果発動!(精神操作)を捨てて(レスキューキャット)を特殊召喚!」

 

 高齢なおじいちゃんから呼び出されたのはヘルメットを被ったかわいい猫。それをみた鏡介が驚きの表情をしています。

 

猫守 手札6→5→4→3

 

鏡介

 「まさか……レスキューシンクロか!?(レスキューキャット)は自身をリリースしてレベル3以下の獣族を2体展開出来る。これで獣族チューナーを展開して連続シンクロするのが特徴のデッキ!」

 

猫守

 「俺が初めて作ったと思ってたんだが……名前が出来る程に広まってたのか。(レスキューキャット)の効果発動!このカードを墓地へ送り、デッキからレベル3のチューナーモンスター(X-セイバー エアベルン)を2体特殊召喚!そして俺はレベル4の(召喚僧サモンプリースト)とレベル3の(エアベルン)をチューニング!シンクロレベル7!(スクラップ·デス·デーモン)!同じ素材でシンクロ召喚!(F.A.ライトニングマスター)!」

 

 ヘルメットを被った猫が首元にあるホイッスルを吹くと、猿みたいな戦士が現れ、すぐさま光となって新たなモンスターへと変化します。

 

猫守

 「(ライトニングマスター)は1ターンに1度、自身のレベルを2つ下げる事で魔法罠の発動を無効にして破壊出来る。俺はこれでターンエンドだ」

 

猫守·才原 LP4000 伏せ0

 

スクラップ·デス·デーモン 攻2700

F.A.ライトニングマスター 守2000

 

猫守 手札3

才原 手札5

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ0

 

透子 手札5

鏡介 手札5

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

 取り敢えず妨害を使わせますか。

 

透子

 「(強欲で金満な壺)を発動!エクストラデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

猫守

 「止めさせてもらおう!(ライトニングマスター)の効果発動!レベルを2つ下げてその発動を無効にして破壊!」

 

F.A.ライトニングマスター レベル7→5

 

透子 手札6→5

 

透子

 「(強欲で謙虚な壺)を発動!デッキから3枚捲り、その内の1枚を手札に加えます!」

 

捲られたカード

星の金貨

霞の谷のファルコン

ハーピィ·ダンサー

 

透子

 「私は(星の金貨)を手札に加えて発動!手札2枚を相手に与えて2枚ドローです!渡すのは勿論鏡介です!」

 

透子 手札5→4→5→4→2→4

 

鏡介 手札5→7

 

 本来なら(強欲で金満な壺)のデメリットでドロー出来ないのですが、発動を無効にされたのでデメリットが発生しません。

 

透子

 「私は(霞の谷のファルコン)を通常召喚!カードを2枚セットして(命削りの宝札)を発動!手札が3枚になるようにドロー!2枚セットして(闇の指名者)を発動!カード名を宣言し、それが相手のデッキに入っていればそのモンスターを手札に加えさせます。私が宣言するのは(エーリアンモナイト)!」

 

鏡介

 「俺のデッキに(エーリアンモナイト)は存在する。よって手札に加える」

 

透子 手札4→3→1→0→3→1→0

 

鏡介 手札6→7

 

透子

 「私はセットしていたフィールド魔法(霞の谷の神風)を発動!これでターンエンド。エンドフェイズに(命削りの宝札)のデメリットで手札を全て墓地へ送りますけど、私の手札は0だから墓地へ送りません」

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ4

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷のファルコン 攻2000

 

透子 手札0

鏡介 手札7

 

猫守·才原 LP4000 伏せ0

 

スクラップ·デス·デーモン 攻2700

F.A.ライトニングマスター 守2000

 

猫守 手札3

才原 手札5

 

才原

 「行くわ、私のターンドロー!」

 

才原 手札5→6

 

才原

 「私は(豊穣のアルテミス)を召喚。5枚セットしてターンエンド」

 

 (豊穣のアルテミス)……確かカウンタートラップが発動する度に1枚ドロー出来るカード。となるとパーミッションデッキと考えるのが自然です。ならばここで罠を減らします!

 

透子

 「トラップ発動!(砂塵の大竜巻)!相手の魔法罠を破壊します!」

 

 大きな竜巻が吹き荒れ、伏せカード(魔宮の賄賂)を破壊しました。

 

 

猫守·才原 LP4000 伏せ4

 

スクラップ·デス·デーモン 攻2700

F.A.ライトニングマスター 守2000

豊穣のアルテミス 攻1600

 

猫守 手札3

才原 手札0

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ3

 

霞の谷のファルコン 攻2000

 

透子 手札0

鏡介 手札7

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札7→8

 

鏡介

 「(ツインツイスター)を発動!手札の(予想GUY)を捨てて相手の魔法罠を2枚破壊する!」

 

才原

 「2枚破壊ですって!?通す訳にはいかない!カウンタートラップ(神の宣告)発動!LPを半分払い、魔法罠の発動を無効にして破壊!そして(豊穣のアルテミス)の効果!カウンタートラップが発動する度に1枚ドロー!」

 

 ローブを来たおじさんが突如現れた大竜巻めがけて雷を放ち、かき消しました。

 

才原·猫守 LP4000→2000 

 

才原 手札0→1

 

鏡介 手札8→7→6

 

鏡介

 「ならば(星の金貨)を発動!」

 

才原

 「それも通さないわ!(ライトニングマスター)の効果発動!レベルを2つ下げてその発動を無効にして破壊!」

 

鏡介 手札6→5

 

F.A.ライトニングマスター レベル5→3

 

鏡介

 「俺は速攻魔法(A細胞組み換え装置)を発動!デッキから(エーリアン·ソルジャー)を墓地へ送りそのレベル分、つまり4つのAカウンターを(ファルコン)に乗せる!」

 

霞の谷のファルコン Aカウンター0→4

 

ファルコン

 『うぅ……なんだか気分が悪いです……』

 

 ファルコンさんの翼に不気味な細胞がくっつき顔色が悪くなりました。やっぱり身体の一部が変化するってのは大変そうですね。種族を書き換える系はもっと大変でしょうけど。

 

鏡介

 「(エーリアンモナイト)を召喚!効果発動!墓地のエーリアンを蘇生!現れろ!(エーリアンソルジャー)!そしてレベル4の(エーリアン·ソルジャー)にレベル1の(エーリアンモナイト)をチューニング!集いし破滅の細胞が、新たな世界を作り出す!侵略の道となれ!シンクロ召喚!(宇宙砦ゴルガー)!」

 

 光に輪に包まれて現れたのは、水色を基調としたとにかく不気味な要塞。エーリアンデッキのエースです。

 

鏡介 手札5→4

 

鏡介

 「(ゴルガー)の効果発動!(ファルコン)のAカウンターを2つ取り除き、(ライトニングマスター)を破壊する!」

 

才原

 「それを通す訳にはいかないわ。カウンタートラップ(天罰)を発動!手札を1枚捨てて、モンスター効果を無効にして破壊!そして(アルテミス)で1枚ドロー!」

 

 (ゴルガー)の不気味な咆哮に反応したのか、空から強烈な雷が迸り(ゴルガー)は破壊されました。

 

才原 手札1→0→1

 

霞の谷のファルコン Aカウンター4→2

 

鏡介

 「トラップ発動!(リビングデッドの呼び声)!蘇れ!(ゴルガー)!そして再び効果発動!(ファルコン)のAカウンターを2つ取り除き、(ライトニングマスター)を破壊する!!」

 

 不気味な細胞を2つ取り払った瞬間(ゴルガー)の触手が暴れ狂い、F1レースで出てきそうな車を粉砕しました。

 

鏡介

 「俺はこれでターンエンドだ」

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ2

 

霞の谷のファルコン 攻2000

宇宙砦ゴルガー 攻2600 

 

リビングデッドの呼び声(ゴルガー)

 

透子 手札0

鏡介 手札4

 

猫守·才原 LP4000 伏せ3

 

スクラップ·デス·デーモン 攻2700

豊穣のアルテミス 攻1600

 

猫守 手札4

才原 手札3

 

 お互いに1ターンが終わりました。ここから攻撃が出来るので上手く妨害していきましょう。

 

猫守

 「俺のターン。ドロー!」

 

猫守 手札3→4

 

猫守

 「俺は(早すぎた埋葬)を発動!800のLPを払う事で墓地のモンスターを特殊召喚!蘇れ!(レスキューキャット)!効果発動!墓地へ送りデッキから(エアベルン)と(異次元の狂獣)を特殊召喚!」

 

猫守·才原 LP4000→3200

 

猫守  手札4→3

 

猫守

 「俺はレベル3の(異次元の狂獣)とレベル3の(エアベルン)をチューニング!シンクロレベル6!(氷結界の龍ブリューナク)!」

 

 現れたのは氷の様な甲殻を身に纏う龍。(トリシューラ)に近い雰囲気を感じます。

 

ファルコン

 『(ブリューナク)……どうして氷結界の三龍がこうも容易く出てくるのでしょうか……』

 

 どうやら(ブリューナク)は(トリシューラ)と同じ危険なモンスターらしいです。いったいどんな効果なのでしょうか……

 

猫守

 「(ブリューナク)の効果発動!任意の枚数捨てる事でフィールドのカードを対象にして手札に戻す!今回は手札を1枚捨てて、(早すぎた埋葬)を手札に戻す!」

 

 (早すぎた埋葬)の再利用。考える事は同じなのですね。手札さえあれば大量のモンスターをバウンス出来るのは確かに強烈ですね。

 

猫守 手札3→2

 

鏡介

 「トラップ発動!(デモンズチェーン)!これにより(ブリューナク)は攻撃出来ず効果は無効にされる!」

 

 (ブリューナク)が甲高い咆哮をあげようとするも、喉と四肢を鎖で縛られ封じられました。

 

猫守

 「面倒なカードだ。バトル!(スクラップ·デス·デーモン)で(ゴルガー)を攻撃!スクラップクラッシュ!」

 

鏡介

 「返り討ちだ!トラップ発動!(鎖付きブーメラン)!このカードは攻撃力500アップの装備カードとなり(ゴルガー)に装備される!迎え撃て!(ゴルガー)!」

 

 屑鉄で構成される悪魔がその剛腕を振るいますが、(鎖付きブーメラン)で止められ空色の要塞から放たれる無数のビームに焼かれて破壊されました。

 

 防御だけなら(デモチェ)で良いと鏡介に言われましたが、私のコンバットトリックになるという意見によりピンで採用されたカードです。

 

猫守·才原 LP3200→2800

 

猫守

 「くぅ……俺はこれでターンエンドだ」

 

猫守·才原 LP2800 伏せ3

 

氷結界の龍ブリューナク 攻2300

豊穣のアルテミス 攻1600

 

猫守 手札2

才原 手札3

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ0

 

霞の谷のファルコン 攻2000

宇宙砦ゴルガー 攻2600→3100 Aカウンター1

 

リビングデッドの呼び声(ゴルガー)

鎖付きブーメラン(ゴルガー) 

デモンズチェーン(ブリューナク)

 

透子 手札0

鏡介 手札4

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札0→1

 

透子

 「私は(強欲で貪欲な壺)を発動!デッキを10枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

透子 手札1→0→2

 

 引きが……強い!

 

透子

 「私は(ハーピィ·ダンサー)を通常召喚!効果発動!(ファルコン)さんをバウンスして(ファルコン)さんを再度召喚!(霞の谷の神風)の効果発動!デッキからレベル4以下の風属性モンスター(A·ジェネクス·バードマン)を特殊召喚!」

 

透子 手札2→1→2→1

 

才原

 「レベル3のチューナーとレベル4の非チューナー。来るわね」

 

透子

 「ええ、私はレベル4の(ファルコン)さんにレベル3の(バードマン)をチューニング!来て!霞の谷に住まう剛力の化身!(霞の谷の雷神鬼)!」

 

 光と共に降り立った(雷神鬼)。このデッキのキーパーツです。

 

透子

 「まずは(ゴルガー)の効果発動!(鎖付きブーメラン)と(デモンズチェーン)を手札に戻します!そしてカウンターを自身に2つのせます!」

 

透子 手札1→2

 

鏡介 手札4→5

 

宇宙砦ゴルガー Aカウンター0→2

 

(デモンズチェーン)は鏡介のカードなので鏡介の手札に戻ります。

 

透子

 「更に(ゴルガー)の効果発動!自身のAカウンターを2つ取り除き、(ブリューナク)を破壊!」

 

 乱舞する触手により砕かれる(ブリューナク)。これでフィールドは(アルテミス)のみですね。

 

透子

 「バトルです!(ゴルガー)で(アルテミス)を攻撃!ゴルガービーム!」

 

猫守

 「カウンタートラップ(攻撃の無力化)発動!その攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了する!(アルテミス)でドロー!」

 

透子

 「厄介ですね。私はカードを1枚セットしてターンエンドです」

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ1

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600

宇宙砦ゴルガー 攻2600 Aカウンター2

 

リビングデッドの呼び声(ゴルガー)

 

透子 手札1

鏡介 手札4

 

猫守·才原 LP2800 伏せ2

 

豊穣のアルテミス 攻1600

 

猫守 手札3

才原 手札4

 

才原

 「私のターンドロー!」

 

才原 手札4→5

 

才原

 「ッ……カードを1枚セットしてターンエンド」

 

透子

 「エンドフェイズに(雷神鬼)の効果発動!(ハーピィ·ダンサー)を手札に戻します!そして(神風)の効果発動!デッキから2体目の(ファルコン)さんを特殊召喚!更に(砂塵の大竜巻)を発動!セットカードを破壊します!」

 

 破壊したのは……(輪廻のパーシアス)?聞いたことの無いカードですね?

 

猫守·才原 LP2800 伏せ2

 

豊穣のアルテミス 攻1600

 

猫守 手札3

才原 手札3

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ2

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600

霞の谷のファルコン 攻2000

霞の谷のファルコン 攻2000

宇宙砦ゴルガー 攻2600→3100

 

 

リビングデッドの呼び声(ゴルガー)

 

透子 手札1

鏡介 手札4

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札4→5

 

鏡介

 「よし!(星の金貨)を発動!透子に手札を2枚渡して2枚ドロー!」

 

鏡介 手札5→4→2→4

 

透子 手札2→4

 

才原

 「させないわ!カウンタートラップ発動!(強烈なはたき落とし)!そして(アルテミス)でドロー!」

 

鏡介

 「2枚ドローするから……その内の1枚を……(光の護封剣)か」

 

鏡介 手札4→3

 

才原 手札3→4

 

鏡介

 「墓地の(「A」細胞組み換え装置)の効果発動!墓地のこのカードを除外してエーリアンモンスター(エーリアンモナイト)をサーチ!」

 

鏡介 手札3→4

 

鏡介

 「(ツインツイスター)を発動!(エーリアン·ソルジャー)をコストに2枚のセットカードを破壊だ!」

 

 フィールドに2つの突風が吹き荒れ、(一撃離脱)と(神の忠告)。LPが足りなくて使えなかったのですね。

 

鏡介 手札4→3→2

 

鏡介

 「(エーリアンモナイト)を召喚!効果発動!墓地の(エーリアンソルジャー)を蘇生してそのままシンクロ召喚!召喚口上省略!(宇宙砦ゴルガー)!」

 

鏡介 手札2→1

 

鏡介

 「(雷神鬼)の効果発動!(ゴルガー)を手札……エクストラデッキへ!(鎖付きブーメラン)を発動して2体目の(ゴルガー)に装備!そして2体目の(ゴルガー)の効果発動!(リビデ)と(ブーメラン)を手札に戻す!」

 

鏡介 手札1→2

 

透子 手札4→5

 

宇宙砦ゴルガー Aカウンター0→2

 

 (ゴルガー)のバウンス……何がなんでも(リビデ)を使い回すという強い意志を感じます。

 

鏡介

 「俺は2体目の(ゴルガー)の効果発動!カウンターを2つ取り除き、(アルテミス)を破壊だ!」

 

 触手の乱舞を受けて破壊される(アルテミス)。ようやく厄介なカードを破壊出来ました。

 

鏡介

 「行くぜバトルフェイズ!(ゴルガー)でダイレクトアタック!ゴルガービーム!」

 

才原 

 「通さない!手札から(バトルフェーダー)の効果を発動!攻撃を無効にして特殊召喚!バトルフェイズを終了するわ!」

 

 手札から現れたやじろべえ。不気味な音が会場に響き渡ります。

 

鏡介

「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

透子·鏡介 LP3000 伏せ3

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600

霞の谷のファルコン 攻2000

霞の谷のファルコン 攻2000

宇宙砦ゴルガー 攻2600

 

鏡介 手札0

 

透子 手札3

 

猫守·才原 LP2800 伏せ0

 

バトルフェーダー 守0

 

猫守 手札3

才原 手札3

 

猫守

 「俺のターンドロー!」

 

猫守 手札3→4

 

猫守

 「(貪欲な壺)を発動!墓地の(豊穣のアルテミス)、(ブリューナク)、(エアベルン)3枚をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

猫守 手札4→3→5

 

猫守

 「……どうやらデッキは本気で勝てと言っているらしい。(サイクロン)発動!そこの伏せカードを破壊する!」

 

 突如現れた突風が(デモンズチェーン)を撃ち抜き破壊しました。

 

猫守 手札5→4

 

鏡介

 「クッ(デモンズチェーン)がやられたか!」

 

猫守

 「これで安全に展開出来る!(エアーズロック・サンライズ)を発動!このカードは獣族を墓地から特殊召喚出来る!蘇れ!(レスキューキャット)!」

 

猫守 手札4→3

 

猫守

 「(レスキューキャット)の効果発動!このカードを墓地へ送り、デッキから(エアベルン)と(異次元の狂獣)を特殊召喚!そしてシンクロ召喚!レベル6!(ゴヨウ·ガーディアン)!」

 

 現れたのは時代劇に出てきそうなモンスター。おそらく何かを捕まえる役なのでしょう。

 

猫守

 「更に(早すぎた埋葬)を発動!LP800を払い墓地の(レスキューキャット)を特殊召喚!このまま墓地へ送り(コアラッコ)と(エアベルン)を特殊召喚!」

 

猫守·才原 LP2800→2000

 

猫守 手札3→2

 

 猫を過労死させてどんどんと展開されるモンスター。これが……レスキューシンクロですか。

 

猫守

 「(コアラッコ)の効果発動!1ターンに1度、このカード以外の獣族モンスターが自分フィールド上に存在する場合に、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズ時まで0にできる!選択するのは……(ゴルガー)だ!」

 

 (ゴルガー)にまとわりつく大量のコアラとラッコを混ぜた様なモンスター。これでは動けそうにありませんね。

 

宇宙砦ゴルガー 攻2600→0

 

猫守

 「俺はレベル1の(バトルフェーダー)にレベル2の(コアラッコ)、レベル3の(エアベルン)をチューニング!シンクロレベル6(氷結界の龍ブリューナク)!効果発動!手札を1枚捨てて(早すぎた埋葬)を手札に!そして発動!LP800を払い(レスキューキャット)を蘇生!」 

 

猫守 LP2000→1200 手札2→1→2→1

 

猫守

 「(レスキューキャット)の効果発動!墓地へ送り、(コアラッコ)と(エアベルン)を特殊召喚!俺はレベル2の(コアラッコ)にレベル3の(エアベルン)をチューニング!シンクロレベル5(A·O·Jカタストル)!」

 

 再び場に蘇る猫。もう立つのがやっとな様子です。しかし残りの力を振り絞り笛を鳴らし、場にモンスターを展開。そのまま謎の機械兵器をシンクロ召喚しました。

 

 フィールドにはシンクロモンスターが3体。本当に凄まじい展開力ですね。

 

猫守

 「バトルだ!(ゴヨウ·ガーディアン)で(ゴルガー)を攻撃!」

 

鏡介

 「待った!メインフェイズ終了時に永続トラップ発動!(スクリーン·オブ·レッド)!コイツがある限りアンタ達は攻撃出来ない!」

 

 フィールドに現れたのは3枚の長い鏡。それらがシンクロモンスター達を取り囲み周回を始めました。

 

猫守

 「凌がれたか……俺はこれでターンエンドだ」

 

鏡介

 「バトルフェイズ終了後、(雷神鬼)の効果発動!(スクリーン·オブ·レッド)を手札に加えて攻撃力を500アップ!これでエンドフェイズの1000LP払うのを踏み倒す!」

 

猫守·才原 LP1200 伏せ0

 

氷結界の龍ブリューナク 攻2300

ゴヨウ·ガーディアン 攻2800

A·O·Jカタストル 攻2200

 

猫守 手札0

 

才原 手札3

 

透子·鏡介 LP4000 伏せ2

フィールド(霞の谷の神風)

 

霞の谷の雷神鬼 攻2600

霞の谷のファルコン 攻2000

霞の谷のファルコン 攻2000

宇宙砦ゴルガー 攻2600

 

鏡介 手札2

 

透子 手札3

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「トラップ発動!(リビングデッドの呼び声)!(ドラグニティ·ブラックスピア)を蘇生!そして(ファルコン)さんとレベル3の(ブラックスピア)をチューニング!シンクロ召喚!2体目の(霞の谷の雷神鬼)!」

 

透子

 「そして永続魔法(闇の護封剣)を発動!発動時の効果処理として相手フィールドのモンスターを全て裏側守備表示にします!」

 

透子 手札4→3

 

 不気味に黒く輝く光の剣が、猫守さんのフィールドにいた全てのシンクロモンスター達に突き刺さりカードへと変化させました。

 

透子

 「(ゴルガー)の効果発動!(リビングデッドの呼び声)と(闇の護封剣)を手札に戻してカウンターを2つ乗せます!更に(ゴルガー)の効果発動!カウンターを2つ取り除き、セットモンスターを破壊!」

 

透子 手札2→4

 

 謎の細胞塊を2つ取り込んだ(ゴルガー)の触手が荒ぶり(ゴヨウ·ガーディアン)を粉砕しました。

 

猫守

 「クッ……(ゴヨウ·ガーディアン)……」

 

透子

 「(闇の護封剣)を発動してバトルです!(雷神鬼)でセットモンスターを攻撃!」

 

透子 手札4→3→4

 

 電光石火の一撃を受けて、黒い剣が刺さったせいなのか氷の龍はその力を発揮することなく破壊されました。

 

猫守

 「セットモンスターは(ブリューナク)。そのまま破壊される」

 

透子

 「(ゴルガー)でセットモンスターを攻撃!」

 

猫守

 「セットモンスターは(カタストル)。そのまま破壊される」

 

透子

 「トドメ!(闇の護封剣)を戻して(ファルコン)さんでダイレクト!」

 

 

 空高く飛翔して急降下攻撃を仕掛ける(ファルコン)さん。強烈な一撃を受けて膝をつく猫守さんを見て、直様才原さんが駆け寄りました。

 

 

猫守·才原 LP1200→-1400

 

透子·鏡介

 「大丈夫(です)か!」

 

才原

 「ええ、大丈夫。それにしても貴方達はやっぱり強いわね。魔王と呼ばれるのも納得だわ」

 

 魔王……確かによくそう呼ばれていますが納得はしていません。元々は鏡介の渾名ですから。

 

鏡介

 「それにも猫守。お前の展開凄かったな。(レスキューキャット)過労死寸前だったぞ」

 

 確かに、最後の方は立つのがやっとでしたからね。

 

猫守

 「俺は自他共認める猫好きでな。元々は(つまづき)を発動して相手を拘束し、上手く(ブレードラビット)を呼び出して場を荒らして、(森の番人グリーン・バブーン)を特殊召喚してフィニッシャーにするデッキのパーツだったんだ。中々(レスキューキャット)を活かせなくて悩んでてね」

 

透子

 「その時にシンクロ召喚が来てああなった……と」

 

猫守

 「ああ。シンクロ召喚が発表されて、パックで(エアベルン)と(ブリューナク)を当てた瞬間確信したんだ。俺はシンクロを極めるべきなんだ……とね。あれからはシンクロモンスターを持ってる生徒達に話しかけ、公正な取引をして何とかエクストラを集めたんだ。自分が望んだデッキが作れて満足だ。ただ……」

 

透子

 「ただ?」

 

 猫守さんは少し肩を竦ませ、口を開きました。

 

猫守

 「いつか(レスキューキャット)が禁止カードになるんじゃないか……と思うと不安でね」

 

鏡介

 「まぁ間違いなくなるだろうな。同名ターン1つけてリクルートしたモンスターの効果を無効にしない限りは……な」

 

 鏡介がそこまで断言するという事は……実際鏡介がいた未来ではそうなったと言う事なんですね?

 

 あっ、(レスキューキャット)が残念そうに項垂れています。あんな過労死してもなんだかんだ主を信用してるのですね。

 

鏡介

 「会場の外で20分ぐらいまっててくれねぇか?良いデッキを用意してやるよ。良いデュエルをしてくれたお礼だ」

 

猫守

 「あ、あぁ……分かった」

 

 その後、鏡介は会場から抜け出してスマホを操作して【メルフィー】というデッキを即席で作り、猫守さんに手渡しました。

 

 手渡した理由を聞いてみると、彼は(レスキューキャット)の精霊が付いていて、禁止指定されるとなんか可哀想だからだそうです。

 

 さて、決勝戦目指して頑張りましょう。どうせなら、優勝したいですからね。



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41.ペアデュエル決勝戦!

今回は結構長いです。ご注意ください。


 

 あれから何度もデュエルを勝ち進み、遂にたどり着いた決勝戦。2人で協力してここまで来たんです。どうせなら勝利を飾ってみせます。

 

 そういえば、(星の金貨)がペアで処理出来るのはバグだったみたいですね。お昼休憩が終わるまでに修正されたらしく、少し構築が変わってしまいました。

 

剣山

 「さぁ!いよいよ決勝戦!まずは対戦する選手を紹介するドン!まずはこちら!1年の頃から暴虐の限りを尽くし連戦連勝!引退に追いやられたデュエリストは数しれず!アカデミアの魔王!古神透子だドン!」

 

 そりゃあ2、3年生になったばかりの歓迎デュエルでは暴れましたけど……それ以外は全部鏡介の手柄なんですけどね……

 

剣山

 「アカデミアの魔王のペアはこちら!突如編入学してきた謎のデュエリスト!しかしその実力はアカデミア随一!今大会では魔王の右腕としてその手腕を発揮した、古神鏡介だドン!」

 

 観客席から聞こえる悲鳴に手を振って応える鏡介。

 

剣山

 「対する相手はこちら!アカデミアの数々の異変を解決したアカデミアの英雄!十代の兄貴だドン!」

 

 歓声が飛んできますがそれに応えるように手を振る十代さん。準決勝とはえらい違いです。鏡介が言うところのワクワクを思い出したってやつでしょう。

 

剣山

 「十代の兄貴のペアはこちら!その実力はアカデミアでもトップクラス!男女共に人気が厚いアカデミアの女帝!天上院明日香だドン!」

 

 黄色い歓声に手を振って応える明日香さん。準決勝とは打って変わって笑顔です。決勝戦に来るまでは十代さんが一人で戦っている様な感じだったので不満そうでしたが、剣山さんとレイさんのタッグを倒したので原因はそれでしょう。レイちゃんのタッグを入れ替える永続トラップは印象的でした。

 

鏡介

 「お互い良いデュエルをしような」

 

十代

 「あぁ!良いデュエルをしよう!」

 

明日香·十代·透子·鏡介

 「デュエル!」

 

明日香

 「先攻は私!ドロー!」

 

明日香 手札5→6

 

明日香

 「私は(宣告者の神巫)を召喚!効果発動!デッキ·エクストラデッキからモンスターを墓地へ送りそのモンスターのレベル分レベルを上げる!私はエクストラデッキからレベル4の(虹光の宣告者)を墓地へ送りレベルを6にする!」

 

宣告者の神巫 レベル2→6

 

明日香 手札6→5

 

明日香

 「墓地へ送られた(虹光の宣告者)の効果発動!デッキから儀式モンスターか儀式魔法を手札に加える!加えるのは儀式魔法(機械天使の儀式)!更にフィールド魔法(祝福の教会−リチューアル·チャーチ)を発動!」

 

 デュエルフィールドが一新され、清潔感のある教会へと姿を変えます。

 

明日香 手札5→4

 

鏡介

 「教会か……ここで結婚式でもやれば、さぞ映えるだろうなぁ……」

 

透子

 「確かに……でもまだそんな歳じゃないですよね。でも式を挙げるならこんな場所がいいですね」

 

明日香

 「夫婦漫才してる暇は無いわよ?(リチューアル·チャーチ)の効果発動!手札の魔法カード(リチューアル·チャーチ)を捨てて儀式モンスターか儀式魔法1枚。2枚目の(機械天使の儀式)を手札に加えて発動!フィールドの(宣告者の神巫)をリリースして儀式召喚!(サイバー·エンジェル−韋駄天−)!」

 

 フィールドの幼げな少女が紫の炎に飲まれて、凛々しくて見るからに速そうな女性が出てきました。

 

明日香 手札4→3→4→3

 

明日香

 「儀式召喚された(韋駄天)の効果発動!チェーンして(宣告者の神巫)の効果発動!(宣告者の神巫)の効果でデッキからレベル2以下のモンスター(サイバー·プチエンジェル)を特殊召喚!そして(韋駄天)の効果でデッキ·墓地の儀式魔法を手札に加える。よってデッキから3枚目の(機械天使の儀式)を手札に加える!」

 

明日香 手札3→4

 

明日香

 「(サイバー·プチエンジェル)の効果発動!特殊召喚に成功した場合、デッキから(サイバーエンジェル)モンスターか(機械天使の儀式)を手札に加える!加えるのは(サイバーエンジェル−荼吉尼−)!加えていた(機械天使の儀式)発動!フィールドの(韋駄天)と(プチエンジェル)をリリースして(荼吉尼)を儀式召喚!」

 

明日香 手札4→5→4→3

 

明日香

 「リリースされた(韋駄天)の効果発動!フィールドの全ての儀式モンスターの攻守を1000ポイントアップさせる!」

 

サイバー·エンジェル荼吉尼 攻2700→3700

 

明日香

 「私はこれでターンエンド」

 

明日香·十代 LP4000 伏せ0

 

サイバー·エンジェル−荼吉尼− 攻3700

 

明日香 手札3

 

十代 手札5

 

鏡介·透子 LP4000 伏せ0

 

鏡介 手札5

 

透子 手札5

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「……完璧な手札だ!俺はモンスターをセット!カードを2枚セットしてターンエンドだ!」

 

 ……完璧な手札。それは手札事故を起こしてしまった時に鏡介がいつも言う言葉。セットモンスターは恐らく下級。良くて(メタモルポット)といった所でしょうか。まぁ、今回の鏡介のデッキはめちゃくちゃに事故が起こりやすいので仕方ありませんね。

 

鏡介·透子 LP4000 伏せ3

 

セットモンスター

 

鏡介 手札3

 

透子 手札5

 

明日香·十代 LP4000 伏せ0

 

サイバー·エンジェル−荼吉尼− 攻3700

 

明日香 手札3

 

十代 手札5

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

十代

 「手札の(沼地の魔神王)を捨てて効果発動!デッキから(融合)を加えて発動!手札の(フェザーマン)と(バーストレディ)で融合!(始祖竜ワイアーム)!カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

 (ワイアーム)……とてつもなく厄介なカードです。私達のデッキにこれを対処出来るカードはありましたっけ?

 

明日香·十代 LP4000 伏せ1

 

サイバー·エンジェル−荼吉尼− 攻3700

始祖竜ワイアーム 攻2700

 

明日香 手札3

 

十代 手札2

 

鏡介·透子 LP4000 伏せ2

 

セットモンスター

 

鏡介 手札3

 

透子 手札5

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

 手札は良好。全力で回します!

 

透子

 「(光の援軍)を発動!デッキトップ3枚を墓地へ送り、(シャーマンルミナス)さんをサーチ!」

 

 送られたのは……(仁王立ち)、(マジシャンライラ)さん、(フェリス)さん。

 

透子 手札6→5→6

 

透子

 「更に(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!コストで手札の(ミネルバ)さんを墓地へ送り、2枚ドロー!そして2枚墓地へ」

 

透子 手札6→5→4→6

 

 送られたのは……(シラユキ)と(ウォルフ)さん!

 

透子

 「墓地へ送られた(ウォルフ)さんの効果!チェーンして(ミネルバ)さんの効果!デッキトップを1枚墓地へ!そして(ウォルフ)さんを墓地から特殊召喚!」

 

 送られたのは……(サウザンドブレード)!

 

透子

 「(ライトロードの神域)を発動!そして再び(ソーラーエクスチェンジ)!コストで手札の(ガロス)さんを墓地へ送り2枚ドローして2枚墓地へ!墓地へ送られたので(神域)にシャインカウンターをのせます!」

 

透子 手札6→5→4→3→5

 

シャインカウンター 0→1

 

透子

 「(おろかな埋葬)を発動!デッキから(EMトリック·クラウン)を墓地へ送ります!シャインカウンターを1つのせ、そして墓地へ送られた(トリッククラウン)の効果発動!特殊召喚して1000ダメージ!それに反応して(サウザンドブレード)の効果発動!特殊召喚!」

 

透子·鏡介 LP4000→3000

 

透子 手札5→4 シャインカウンター1→2

 

透子

 「私は(トリッククラウン)と(サウザンドブレード)でオーバーレイ!ランク4(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(サウザンドブレード)を取り除き、デッキトップ3枚を墓地へ送りその内のライトロードモンスターの数だけドロー!そしてシャインカウンターをのせます!」

 

 送られたのは……(フェリス)さん、(ジェネラルジェイン)さん、(グローアップ·バルブ)。

 

透子 シャインカウンター2→3

 

透子

 「送られたライトロードモンスターは2枚!よって2枚ドロー!そしてモンスター効果で墓地へ送られた(フェリス)さんの効果発動!自身を特殊召喚!私はレベル4の(ウォルフ)さんにレベル4の(フェリス)さんをチューニング!光と闇が交わりし時、混沌の脅威が舞い降りる!シンクロ召喚!来て!混沌の支配者!(混沌魔龍カオス·ルーラー)!そして効果発動!デッキから5枚を捲り、その中から光か闇のモンスターを加えて、残りを墓地へ送ります!」

 

 捲られのは……(ルミナス)さん、(ライデン)さん、(超電磁タートル)、(混沌領域)、(ゼピュロス)。

 

透子

 「私が加えるのは(ルミナス)さん!そしてシャインカウンターが1つ乗ります!私はカードを1枚セットしてターンエンドです」

 

透子 手札4→6→7 シャインカウンター3→4

 

 

鏡介·透子 LP3000 伏せ3

 

セットモンスター

混沌魔龍カオスルーラー 攻3000

ライトロード·セイントミネルバ 守800 素材1

 

ライトロードの神域 シャインカウンター4

 

鏡介 手札3

 

透子 手札5

 

明日香·十代 LP4000 伏せ1

フィールド(祝福の教会−リチューアル·チャーチ) 

 

始祖竜ワイアーム 攻2700

サイバー·エンジェル−荼吉尼− 攻3700

 

明日香 手札3

 

十代 手札2

 

明日香

 「私のターンドロー!」

 

明日香 手札3→4

 

明日香

 「(儀式の準備)を発動!デッキからレベル7以下の儀式モンスター(サイバーエンジェル−韋駄天−)を手札に加え、その後墓地の儀式魔法(機械天使の儀式)を回収!」

 

明日香 手札4→3→4→5

 

明日香

 「私は(機械天使の儀式)を発動!手札の(弁天)をリリースして(韋駄天)を儀式召喚!リリースされた(弁天)の効果発動チェーンして(韋駄天)の効果!(韋駄天)により墓地から(機械天使の儀式)を、(弁天)でデッキから(サイバーエンジェル·荼吉尼)を手札に加える!」

 

明日香 手札5→4→3→2→3→4

 

明日香

 「(リチューアル·チャーチ)の効果発動!墓地の(機械天使の儀式)、(儀式の準備)の2枚をデッキに戻して、戻した魔法の数以下のレベルを待つ天使族モンスター(宣告者の神巫)を墓地から特殊召喚!そして(宣告者の神巫)の効果発動!エクストラデッキの(虹光の宣告者)を墓地へ送りレベル6に!そして墓地へ送られた(虹光の宣告者)の効果でデッキから(韋駄天)を手札に加える!」

 

明日香 手札4→5

 

宣告者の神巫 レベル2→6

 

明日香

 「(機械天使の儀式)を発動!(宣告者の神巫)をリリースして(韋駄天)を儀式召喚!(韋駄天)の効果にチェーンして(宣告者の神巫)の効果発動!(宣告者の神巫)の効果でデッキから(サイバー·プチエンジェル)を特殊召喚して、(韋駄天)で(機械天使の儀式)を回収!」

 

明日香 手札5→4→3→4

 

明日香

 「(サイバー·プチエンジェル)の効果発動!デッキから儀式モンスターか儀式魔法を手札に加える!儀式モンスター(弁天)を手札に!そして(機械天使の儀式)を発動!フィールドの(韋駄天)と(プチエンジェル)をリリースして(サイバーエンジェル·荼吉尼)を儀式召喚!」

 

明日香 手札4→5→4

 

 怒涛の連続儀式によって降臨したのは、4本の腕を備え、槍と剣2本を握る女性。明日香さんのエースモンスターです。(韋駄天)で攻撃力が1000上がって3700に。1体目に至っては4700に……それよりも……

 

明日香

 「(韋駄天)の効果発動!フィールドの儀式モンスターの攻撃力が1000アップ!よって攻撃力3700!更に(荼吉尼)の効果発動!相手はモンスター1体を墓地に送らなければならない!」

 

透子

 「私は(カオス·ルーラー)を墓地へ送ります」

 

 (カオス·ルーラー)は自己蘇生持ちです。私のターンになれば蘇生出来るし、シンクロ召喚した時点で役目はほぼ果たせているので問題ありません。

 

明日香

 「バトル!(荼吉尼)で(ミネルバ)を攻撃!」

 

透子

 「止めます!墓地の(超電磁タートル)の効果発動!墓地のこのカードを除外してバトルフェイズを終了させます!」

 

 フィールドを駆け抜ける電磁気。これにより攻撃を無傷で凌ぐ事ができました。

 

明日香

 「私はカードを1枚セット。ターンエンドエンドフェイズに(荼吉尼)2体の効果発動!儀式モンスターか(機械天使の儀式)を回収出来るので、私は(韋駄天)と(弁天)を手札に加える!」

 

 あんだけ連続で儀式したのに手札が5枚、リソース回復力が凄まじいですね。

 

明日香·十代 LP4000 伏せ2

フィールド(祝福の教会−リチューアル·チャーチ)

 

サイバー·エンジェル荼吉尼 攻3700

サイバー·エンジェル−荼吉尼− 攻4700

始祖竜ワイアーム 攻2700

 

明日香 手札5

 

十代 手札2

 

鏡介·透子 LP3000 伏せ3

 

セットモンスター

ライトロード·セイントミネルバ 守800 素材1

 

ライトロードの神域 シャインカウンター4

 

鏡介 手札3

 

透子 手札6

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札3→4

 

鏡介

 「伏せていた永続トラップ(暗黒の瘴気)を発動!効果発動!手札の悪魔族モンスター(グラファ)を捨てて墓地のモンスター(弁天)を除外!そして捨てられた(グラファ)の効果発動!フィールドのカード(荼吉尼)を破壊!」

 

鏡介 手札4→3

 

明日香

 「させないわ!墓地の(機械天使の儀式)の効果!墓地のこのカードを除外する事で光属性モンスターが戦闘·効果で破壊される事を防ぐ!」

 

 フィールドの一部に黒い瘴気が立ち込めますが、(荼吉尼)は少し咳き込んだぐらいで変化はありません。

 

鏡介

 「(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(セルリ)の効果発動!チェーンして永続トラップ(暗黒界の洗脳)発動!」

 

 フィールドに貼られるは、かつて十代さんを苦しめに苦しめた忌々しき永続トラップ。その登場に、十代さんは顔を少し顰めました。

 

鏡介

 「(セルリ)は相手フィールドに特殊召喚され、効果発動!それにチェーンして(洗脳)の効果発動!フィールドの暗黒界モンスターであるそちらの(セルリ)をバウンスして、効果を【俺は手札を1枚捨てる】に書き換える!」

 

 十代さん達のフィールドにやってきた(セルリ)の不気味な魔法を撃とうとした瞬間、フィールドから消えて鏡介の手札が1枚消えました。

 

鏡介 手札3→4→3

 

鏡介

 「捨てられた(ゴルド)の効果発動!相手に捨てられたので、特殊召喚してフィールドのカードを2枚対象に破壊!(荼吉尼)2枚を破壊!」

 

明日香

 「う……(荼吉尼)は破壊される……」

 

 鏡介 手札3→4→3

 

 明日香 手札4→5→4

 

 墓地にはまだ(機械天使の儀式)があったのですが……これ以上使うと展開に支障をきたすから使わなかったのですね。

 

鏡介

 「満を持して発動するぜ!(強制転移)!俺はこのセットカードを渡す!」

 

明日香

 「私のフィールドにはモンスターが(ワイアーム)しかいない……ッ!そういうことね!」

 

 暗黒界、セットモンスター、(強制転移)。これの行き着く先、セットモンスターの正体は……

 

鏡介

 「(ゴルド)を戻して(グラファ)!バトル!(ワイアーム)でセットモンスターを攻撃!」

 

明日香

 「リバース効果は止められないけど……トラップ発動(和睦の使者)!戦闘で破壊されず、受けるダメージは0になる!」

 

鏡介

 「リバースモンスターは(メタモルポット)!効果発動!お互いに手札を全て捨てて5枚ドロー!」

 

 憎めない顔で笑う壺が鏡介と明日香さんの手札を吸い込み、5枚のカードを吐き出しました。

 

鏡介 手札3→4→0→5

 

明日香 手札4→0→5

 

鏡介

 「相手に捨てられた(ゴルド)、(スノウ)、(セルリ)の効果発動!(セルリ)は特殊召喚し、(スノウ)で(暗黒界の門)をサーチして更に相手の墓地にあるモンスター(荼吉尼)を特殊召喚!(ゴルド)を特殊召喚して更に相手のカードを2枚対象に破壊!俺は(メタモルポット)、(リチューアル·チャーチ)を破壊!」

 

 次に湧き上がる暗黒界のモンスター達。(ゴルド)がその大斧を振るい、壺と教会を粉々に砕いてみせました。

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「(セルリ)の効果発動!それにチェーンして(洗脳)の効果発動!バウンスして効果を書き換え!捨てられた(ブラウ)の効果発動!2枚ドロー!」

 

鏡介 手札6→7→6→8

 

鏡介

 「これでレベル8が2体揃った!俺は(荼吉尼)と(グラファ)でオーバーレイ!真なる騎士よ、その神秘なる力を以て我を守護する盾となれ!(神竜騎士フェルグラント)!効果発動!素材の(グラファ)取り除き自身に完全耐性付与!(ゴルド)戻して(グラファ)!俺は(暗黒界の門)を発動!効果発動!墓地の(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(セルリ)の効果発動!相手の場に特殊召喚して効果発動!チェーンして(洗脳)!(セルリ)バウンスして1枚ランダムに捨てる!捨てられた(ベージ)は蘇生!ターンエンドだ!」

 

鏡介 手札8→9→8→7→6

 

鏡介·透子 LP3000 伏せ1

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

ライトロード·セイントミネルバ 守800 素材1

始祖竜ワイアーム 攻2700

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の尖兵ベージ 攻1600→1900

 

 

ライトロードの神域 シャインカウンター4

暗黒の瘴気

暗黒界の洗脳

 

鏡介 手札6

 

透子 手札6

 

明日香·十代 LP4000 伏せ1

 

明日香 手札4

 

十代 手札2

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札2→3

 

十代

 「(コンバート·コンタクト)発動!手札の(エアハミングバード)と(グラン·モール)を墓地へ送り2枚ドロー!更にもう一枚(コンバート·コンタクト)発動!手札の(アクア·ドルフィン)と(フレア·スカラベ)を墓地へ送り2枚ドロー!」

 

十代 手札3→2→1→3→2→1→3

 

鏡介

 「行け!(暗黒の瘴気)の効果発動!手札の悪魔族モンスター(ブラウ)を捨てて墓地の(グラン·モール)を除外!そして(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

 突然墓地から湧き出す瘴気。これにより、モグラのモンスターが悶えながら除外されていきました。十代さんの手札には(NEXT)と(ネオスペーシア·ギフト)がある筈。ドロー出来る枚数が1枚減りましたね。

 

鏡介 手札6→7

 

十代

 「くっ……手札からトラップ発動!(NEXT)!このカードはフィールドにモンスターが無ければ手札から発動出来る!墓地より蘇れ!(エアハミングバード)、(フレアスカラベ)、(アクアドルフィン)!手札から(ネオス)!そして(スペーシア·ギフト)発動!ネオスペーシアンの数だけドロー!よって3枚ドロー!更に(スペーシア·ギフト)!3枚ドロー!」

 

十代 手札3→2→1→0→3→2→5

 

 むちゃくちゃなドローですね。流石は十代さんです。

 

十代

 「俺は(ネオスペース)を発動!これにより、(ネオス)の攻撃力は3000になる!」

 

鏡介

 「(フェルグラント)の効果発動!素材の(荼吉尼)を取り除き、(ネオス)の効果を無効にして完全耐性!これにより(ネオス)は2500に逆戻りだ!」

 

十代

 「だったら(ラス·オブ·ネオス)を発動!(ネオス)をデッキに戻し、フィールドのカードを全て破壊する!」

 

 空高く飛翔した(ネオス)の拳が大地を砕き、フィールドのカード……(ミネルバ)さんと(聖域)を残して全て破壊されました。

 

十代 手札5→4

 

鏡介

 「(ライトロードの神域)の効果。自分フィールドのライトロードカードが効果で破壊される場合、代わりに自分フィールドのシャインカウンターを、破壊されるライトロードカード1枚につき2つ取り除く事ができる。よって4つのシャインカウンターを全て取り除き、(ミネルバ)と(神域)自身は破壊を免れる」

 

 清潔感あふれる台座の光球が4つ取り払われ、台座と(ミネルバ)さんは守られました。

 

十代

 「だがこれで厄介な(ワイアーム)は破壊出来た!(融合派兵)発動!(フレア·ネオス)を見せて(ネオス)を特殊召喚!(ミラクル·コンタクト)発動!フィールドの(ネオス)と墓地の(フレアスカラベ)をデッキに戻して、(E·HERO フレア·ネオス)を召喚条件を無視して特殊召喚!」

 

十代 手札4→3

 

十代

 「(フレア·ネオス)はフィールドの魔法罠の数×400ポイントアップする!フィールドの魔法罠は1枚。よって攻撃力2900!バトルだ!(フレア·ネオス)で(ミネルバ)を攻撃!」

 

 (フレア·ネオス)より放たれる無数の炎の飛礫。それらが次々と(ミネルバ)さんに降り注ぎ、爆風が巻き起こりました。

 

鏡介

 「破壊された(ミネルバ)には効果があるが……使わない」 

 

(ミネルバ)さんのもう一つの効果は、戦闘効果で破壊された場合にデッキトップを3枚墓地へ送り、その内のライトロードカードの数だけ相手のカードを破壊するというもの。鏡介が使っても旨味はありません。

 

十代

 「俺はカードを1枚セット。ターンエンドだ。エンドフェイズに(フレア·ネオス)はエクストラデッキに戻る」

 

明日香·十代 LP4000 伏せ1

 

明日香 手札4

 

十代 手札2

 

鏡介·透子 LP3000 伏せ0

 

ライトロードの神域

 

鏡介 手札7

 

透子 手札6

 

透子

 「派手に荒らされましたね……私のターンドロー!」

 

透子 手札6→7

 

透子

 「私は墓地の(ウォルフ)さん、(ルミナス)さん、(おろかな埋葬)、(ガロス)さん、(ライデン)さん、(トリック·クラウン)、(ソーラー·エクスチェンジ)を除外して墓地の(妖精伝姫-シラユキ)を特殊召喚!」

 

 墓地から7枚のカードが現れ、それが小人となりそれと同時に可愛らしい少女が墓地からやってきました。

 

透子

「そして墓地の闇属性(カオス·ルーラー)と光属性(セイントミネルバ)さんを除外して(混沌の創世神)を特殊召喚!」

 

透子 手札7→6

 

透子

 「(混沌の創世神)の効果発動!除外されている(セイントミネルバ)さん、(ルミナス)さん、(カオス·ルーラー)の3枚を対象にして発動!その内の1枚、(ルミナス)さんを特殊召喚して残りをデッキに戻します!」

 

透子 手札6→5

 

透子

 「(ルミナス)さんの効果発動!手札の(シャーマンルミナス)さんを捨ててそのまま蘇生!効果発動!墓地の(マジシャンライラ)さんを除外して除外されている(ライデン)さんを特殊召喚!」

 

 紫の魔法陣から呼び出された、黒のローブを纏った(ルミナス)さんはまたまた魔法陣を構築し、(ライデン)さんを呼び出しました。

 

透子 手札5→4

 

透子

「更に(シャーマンルミナス)さんの効果発動!ライトロードモンスターが効果を発動した時に発動!デッキから追加で3枚墓地へ!シャインカウンターが乗ります!」

 

透子 シャインカウンター0→1

 

送られたのは……2枚目の(ライデン)さん、(光の援軍)、(迷い風)。

 

透子

 「墓地の(ゼピュロス)の効果発動!(シャーマンルミナス)さんをバウンスして特殊召喚!400ダメージ!私は(シラユキ)と(ゼピュロス)でオーバーレイ!(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(シラユキ)を取り除き、3枚墓地へ!そしてライトロードカードの数だけドローして、シャインカウンターが1つのります!」

 

 送られたのは……(ライデン)さん、(エイリン)さん、(死者転生)。

 

透子·鏡介 LP3000→2600

 

透子 手札4→6

 

シャインカウンター1→2

 

透子

 「私は(ライデン)さんの効果発動!デッキトップを2枚墓地へ!(シャーマンルミナス)の効果は1ターンに1度なので発動しません。シャインカウンターが1つ乗ります!」

 

 送られたのは……(ウォルフ)さんと(デビルズ·コメディアン)。

 

透子 シャインカウンター2→3

 

透子

 「墓地へ送られた(ウォルフ)さんは特殊召喚!」

 

透子

 「私は(ウォルフ)さんと(ライデン)さんをチューニング!シンクロレベル8(混沌魔龍カオス·ルーラー)!効果発動!デッキトップを5枚捲り、その中の光か闇属性のモンスターを手札に加えて残りを墓地へ送ります!」

 

捲られたカード

光の援軍

死者転生

ギャラクシー·サイクロン

ライトロード·サモナールミナス

混源龍レヴィオニア

 

透子

 「私は(混源龍レヴィオニア)を加えて残りを墓地へ!墓地へカードが送られたのでシャインカウンターが1つ乗ります!」

 

透子 手札5→6

 

シャインカウンター 3→4

 

透子

 「私はレベル8の(混沌の創世神)と(カオス·ルーラー)でオーバーレイ!来て!神樹の守神!ランク8(神羅の守神アルセイ)!効果発動!デッキトップを宣言!(裁きの龍)!」

 

 デッキトップは……(隣の芝刈り)。残念外れです。

 

透子

 「最後の(ソーラー·エクスチェンジ)発動!(ソーサラーライラ)さんを捨てて2枚ドローして2枚墓地へ!更にシャインカウンターが乗ります」

 

送られたのは……(ライラ)さんと(セフィロン)。そろそろデッキが少なくなってきました。

 

透子 手札6→5→4→6 シャインカウンター 4→5

 

透子

 「墓地の(ライラ)さんと(セフィロン)、(ウォルフ)さんを除外して(混源龍レヴィオニア)を特殊召喚!効果発動!墓地のモンスター1体を守備表示で特殊召喚!来て!(ライデン)さん!」

 

透子

 「私はレベル3の(ルミナス)さんと、レベル4の(ライデン)さんでチューニング!シンクロ召喚!(ライトロード·アークミカエル)!効果発動!1000のLPを払い、そのセットカードを対象に除外!」

 

十代

 「チェーンして速攻魔法(クリボーを呼ぶ笛)!頼むぜ(ハネクリボー)!」

 

 (ハネクリボー)ですか……これではダメージが通りませんね。

 

透子

 「バトル!(ミネルバ)さんで(ハネクリボー)を攻撃!ターンエンドです!エンドフェイズに(アークミカエル)さんの効果でデッキから3枚墓地へ!」

 

 送られのは……(芝刈り)と(ジャスティス·ワールド)、(ゾンビ·キャリア)。

 

鏡介·透子 LP1600 伏せ0

 

神羅の守神アルセイ 守3200 素材2

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000

混源龍レヴィオニア 攻3000

ライトロード·アークミカエル 攻2600

 

ライトロードの神域 カウンター5

 

鏡介 手札7

 

透子 手札6

 

明日香·十代 LP4000 伏せ0

 

明日香 手札4

 

十代 手札3

 

 

明日香

 「私のターンドロー!」

 

明日香 手札4→5

 

明日香

 「(貪欲な壺)を発動!墓地の(荼吉尼)、(弁天)、(韋駄天)2枚、(サイバー·プチ·エンジェル)を戻して2枚ドロー!」

 

明日香 手札5→4→6

 

明日香

 「(ライトニング·ストーム)発動!このカードは表側表示のカードが存在しない時に発動出来る!魔法罠か攻撃表示モンスターを全て破壊する!私はモンスターを全て破壊する!」

 

 (ライトニング·ストーム)!?ピンチになると明日香さんはいつもそれ引きますよね!?

 

 迸る雷の嵐に飲まれ、(ミカエル)さんと(ミネルバ)さん以外は全て破壊されました。

 

透子 シャインカウンター5→1

 

明日香 手札6→5

 

明日香

 「(テラ·フォーミング)発動!デッキからフィールド魔法(祝福の教会−リチューアル·チャーチ−)を手札に加えて発動!」

 

 再び構築される教会。墓地には魔法カードが沢山あります。

 

明日香 手札5→4→5→4

 

明日香

 「(リチューアル·チャーチ)の効果発動!墓地の(貪欲な壺)と(テラフォーミング)をデッキに戻して墓地の(宣告者の神巫)を蘇生!効果発動!エクストラデッキから最後の(虹光の宣告者)を墓地へ送りレベルを6に、(虹光の宣告者)の効果発動!デッキから(荼吉尼)を手札に!」

 

明日香 手札4→5

 

明日香

 「(儀式の準備)を発動!デッキから(韋駄天)と、墓地の(機械天使の儀式)を手札に加えて、(機械天使の儀式)を発動!フィールドの(神巫)をリリースして(サイバー·エンジェル−韋駄天−)を儀式召喚!(神巫)の効果にチェーンして(韋駄天)の効果!(機械天使の儀式)を回収して(神巫)の効果で(サイバー·プチエンジェル)を特殊召喚!」

 

明日香 手札5→4→5→6→5→4→5

 

明日香

 「(プチエンジェル)の効果発動!デッキから(機械天使の儀式)かサイバーエンジェル儀式モンスターを手札に加える。私が加えるのは(サイバー・エンジェル-美朱濡)!」

 

鏡介

 「び、(美朱濡)だとぉ!やべえ下手したらワンキルされるかもしれねぇ!」

 

 そんなに恐れるカードなのですか!?

 

明日香 手札5→6

 

明日香

 「このカードを知ってるのね?でもまだ降臨しないわ。私は(マンジュ·ゴッド)を召喚!効果発動!儀式魔法か儀式モンスターを手札に加えるわ。私は(サイバー·エンジェル韋駄天)を手札に加えるわ!」

 

明日香 手札6→5→6

 

明日香

 「(リチューアル·チャーチ)のもう一つの効果発動!手札の魔法カード(ライトニング·ストーム)を捨ててデッキの(機械天使の儀式)を手札に!」 

 

明日香 手札6→5→6

 

明日香

 「(機械天使の儀式)を発動!フィールドの(マンジュ·ゴッド)と(韋駄天)をリリース!来なさい!レベル10!(サイバー·エンジェル美朱濡)降臨!」

 

 降臨したのは、首裏にリングを備えた神々しいモンスター。レベル10ってかなりの大型モンスターですよね?一体どんな効果をもっているのでしょうか。

 

明日香 手札6→5→4

 

明日香

 「(サイバー·エンジェル美朱濡)の効果発動!儀式召喚に成功した場合、エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、その数×1000のダメージを相手に与える!チェーンして(韋駄天)!フィールドの儀式モンスターの攻撃力を1000アップする!」

 

サイバー·エンジェル美朱濡 攻3000→4000

 

透子

 「私のフィールドには2体のエクストラから特殊召喚されたモンスターだから……2000ダメージ!?通しません!墓地の(シラユキ)の効果発動!手札·フィールド·墓地のカード7枚を除外して墓地から特殊召喚!なので私は(アークミカエル)、墓地の(隣の芝刈り)、(光の援軍)、(洗脳)、(瘴気)、(取引)、(メタモルポット)を除外して特殊召喚!」

 

 効果は発動されますが、もし何かしら耐性があっても裏側なので関係ないですし、上手く行けば(ミネルバ)さんで破壊できます!

 

明日香

 「でも破壊はさせてもらうわ!貴方のフィールドの(セイントミネルバ)を破壊!」

 

 後ろのリングから放たれた無数の光に貫かれる(ミネルバ)さん。   

 

透子·鏡介 LP1600→ 600 

 

透子

 「(シラユキ)の効果発動!(サイバー·エンジェル美朱濡)を裏側守備表示に!チェーンして破壊された(ミネルバ)さんの効果発動!デッキトップを3枚墓地へ送り、送られたライトロードカードの数だけカードを破壊!」

 

 送られたのは……(戒めの龍)、(シラユキ)、(ラドリー·トラップ)。

 そして破壊された(ミネルバ)さんの仇を討つと言わんばかりに(シラユキ)がやってきて、引き連れた小人達によって(美朱濡)はカードへと変わりました。

 

透子

 「(ラドリー·トラップ)の効果発動!墓地の(戒めの龍)を手札に!更に墓地の(仁王立ち)の効果発動!このカードを除外して明日香さんは(シラユキ)にしか攻撃出来ません!」

 

透子 手札5→6

 

 リスのような少女は、その小さな身体をピンと伸ばして私の前に立っています。とっても健気でかわいいです。

 

明日香

 「まぁ想定内ね。手札から(機械天使の儀式)を発動!手札の(韋駄天)とフィールドの(プチエンジェル)をリリースして儀式召喚!来なさい!(サイバーエンジェル·荼吉尼)!(韋駄天)の効果にチェーンして(荼吉尼)の効果発動!貴方はモンスターを墓地に送り、(韋駄天)で攻撃力1000アップ!」

 

明日香 手札4→3→2→1

 

サイバーエンジェル·荼吉尼 攻2700→3700

 

透子

 「私は(シラユキ)を墓地へ送ります」

 

明日香

 「バトル!(サイバーエンジェル·荼吉尼)でダイレクトアタック!」

 

 攻撃の指示を受けるも動くことの出来ない(荼吉尼)。その視線の先には、墓地に眠っている筈の(シラユキ)のオーラが残っていました。

 

透子

 「言いましたよね?明日香さんは今(シラユキ)“にしか”攻撃出来ません。しかし(シラユキ)は今ここにはいません、よって攻撃は成立しません!」 

 

明日香

 「ッ……カードを1枚セットしてエンドフェイズに(荼吉尼)の効果発動。墓地の(機械天使の儀式)を手札に加える」

 

明日香·十代 LP4000 伏せ0

 

セットモンスター

サイバーエンジェル·荼吉尼 攻3700

 

明日香 手札1

 

十代 手札3

 

鏡介·透子 LP600 伏せ0

 

ライトロードの神域 カウンター1

 

鏡介 手札6

 

透子 手札6

 

鏡介

 「いくぜ!俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札7→8

 

鏡介

 「まずは(暗黒界の雷)を発動!セットモンスターを破壊して、その後1枚捨てる!」

 

ゴルド

 『オッシャやってるでぇ!』

 

 フィールドに(ゴルド)がやってきて(美朱濡)の周りに雷を落として破壊しました。

 

鏡介 手札8→7→6

 

鏡介

 「捨てられた(セルリ)の効果発動!相手のフィールドに特殊召喚されて効果発動!俺は1枚捨てる!捨てられた(ブラウ)の効果!合計2枚ドロー!」

 

鏡介 手札6→5→7

 

鏡介

 「(魔界発現世行きデスガイド)を召喚!効果発動!(魔サイの戦士)を特殊召喚!2体でオーバーレイ!(虚空海竜リヴァイエール)!効果発動!(魔サイ)を取り除き除外されている(スノウ)を帰還!(魔サイ)の効果発動!(グラファ)を墓地へ!(スノウ)戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札7→6→7

 

鏡介

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!手札を選んでもらおうか!」

 

明日香

 「左から2番目よ!」

 

鏡介

 「選ばれたのは(スノウ)!特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(スノウ)の効果で(暗黒界の援軍)を手札に!そして発動!(スノウ)を特殊召喚して1枚捨てる!捨てられた(ゴルド)は特殊召喚!(ゴルド)戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札7→6→5→6→7

 

鏡介

 「(グラファ)2体と(サンダーバード)でオーバーレイ!ランク8(熱血指導ジャイアントレーナー)!効果発動!素材を3枚取り除き、3枚ドロー!ドローしたのは(門)、(グラファ)、(セルリ)!1600ダメージだ!」

 

 野球児が撃ち放った炎のノックのうち2つが明日香さんに降りかかり爆発。大きくLPを削りました。

 

十代·明日香 LP4000→2400

 

鏡介

 「(門)を発動!効果発動!墓地の(ベージ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(セルリ)を相手の場に特殊召喚!俺は手札を1枚捨てる!捨てられた(ゴルド)の効果発動!セットモンスターと(荼吉尼)を破壊!」

 

鏡介 手札7→6→5→6→5

 

ゴルド

 『また会うたなぁ旦那ぁ!いっちょかましてくるさかい!』

 

 再び場に躍り出た(ゴルド)さん。その大斧を豪快に振るい、セットモンスターのみ破壊されました。

 

十代

 「墓地の(機械天使の儀式)を除外することで(荼吉尼)は破壊を免れる」

 

ゴルド

 『すまんのぉ旦那。1体切りそびれてもうた』

 

鏡介

 「そういう効果だ気にするな。(取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(グラファ)の効果!もう一度(荼吉尼)を破壊!(ゴルド)戻して(グラファ)!」

 

 墓地から沸き立つ瘴気に呑まれた(荼吉尼)は破壊。(ゴルド)さんの仇を討ちました。

 

鏡介 手札5→4→5→4→5

 

十代

 「トラップ発動!(威嚇する咆哮)!このターンバトルフェイズが行えない!」

 

 フィールドに降り立つ暗黒界の長、その瞬間に(マンティコア)が喧しい咆哮を上げました。

 

鏡介

 「ッ……ワンキル出来ずか……俺は(グラファ)2体でオーバーレイ!ランク8(神竜騎士フェルグラント)!効果発動!(グラファ)を取り除きそのターン中の完全耐性!ターンエンド!」

 

鏡介·透子 LP600 伏せ0

フィールド(暗黒界の門)

 

虚空海竜リヴァイエール 守1800 素材1

熱血指導ジャイアントレーナー 守2800 素材0

神竜騎士フェルグラント 守1800 素材1

 

ライトロードの神域 カウンター1

 

鏡介 手札5

 

透子 手札6

 

明日香·十代 LP2400 伏せ0

 

暗黒界の導師セルリ 守300→600

暗黒界の導師セルリ 守300→600

 

明日香 手札1

 

十代 手札3

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札3→4

 

十代

 「俺は(ネオス·フュージョン)を発動!デッキの(ネオス)と手札の(沼地の魔神王)を墓地へ送り融合!ヨハン!お前の力を借りるぞ!(レインボー·ネオス)!」

 

 フィールドに降臨した巨大なヒーロー。確かモンスターの全体デッキバウンスを放てた筈!鏡介!

 

十代 手札4→3→2

 

鏡介

 「言わなくても分かるぜ!透子!(フェルグラント)の効果発動!(グラファ)を取り除き、(レインボー·ネオス)の効果を無効にして完全耐性を与える!」

 

 薄い膜に覆われる巨大なヒーロー。これで1ターンは持ちこたえられる筈。

 

十代

 「そう来るのは分かってたぜ!(ミラクル·フュージョン)を発動!墓地の(スパークマン)と(沼地の魔神王)を除外して融合!来い!マイフェイバリットヒーロー!(E·HEROシャイニング·フレアウィングマン)!」

 

 フィールドに降り立ったのは光輝くヒーロー。その効果は……戦闘破壊したときのバーン効果。

 

十代 手札2→1

 

十代

 「更に(フェイバリット·ヒーロー)を(E·HEROシャイニング·フレアウィングマン)に装備!」

 

十代 手札1→0

 

十代

 「バトルフェイズ開始時に(フェイバリット·ヒーロー)の効果発動!デッキからフィールド魔法を発動出来る!ヒーローにはヒーローの戦う舞台がある!現われろ!(摩天楼 -スカイスクレイパー-)!」

 

 不気味な門が消え、次々に聳え立つ高層ビル群。そのビル群でも一際高いビルの上に(シャイニング·フレアウィングマン)が立っていました。

 

十代

 「(フェイバリット·ヒーロー)の効果!自分のフィールドにフィールド魔法が存在する場合、装備モンスターは、攻撃力が元々の守備力分アップし、相手の効果の対象にならない!これにより(シャイニング·フレアウィングマン)の攻撃力は守備力分上がり、4600になる!」

 

 眩く輝く光のヒーローが更にその光を強めました。それにしても、攻撃力4600なんて数値になったら(摩天楼 -スカイスクレイパー-)の効果が無意味な物になると思うんですけど……気分の問題でしょうか……

 

十代

 「いけぇ!(シャイニング·フレアウィングマン)!(神竜騎士フェルグラント)に攻撃!究極の輝きを放て!シャイニング・シュート!」

 

 (神竜騎士フェルグラント)に一瞬で肉薄する光のヒーロー。とってもシンプルなパンチで(神竜騎士フェルグラント)を粉砕してみせました。

 

十代

 「(E·HEROシャイニング·フレアウィングマン)の効果発動!カードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動!そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!これで終わりだぁ!」

 

光のヒーローが目の前に現れた瞬間、強烈な光が私を巻き込みましたが、鏡介が私を抱きしめるように、その一撃を庇いました。

 

鏡介

 「カ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛!」

 

透子·鏡介 LP1600→-1200

 

透子

 「きょ、鏡介!?大丈夫ですか?」

 

鏡介

 「ハァ……ハァ……まぁ……なんとかな。まぁ何というか、盛大に事故った詫びをしようと思ってな。すまなかった」

 

 そんな事をする為に……2800のバーンを受けたんですか?

 

 あっ……鏡介の鼓動を強く感じます。それに呼応するかのように私の心臓が速く脈打ち始め、それと同時に頭が一気に熱くなって、気づけば鏡介を突き飛ばしてしまいました。

 

 ハッとなって鏡介を見ると、私と同じく我に返ったのか申し訳なさそうに項垂れる鏡介の姿がありました。

 

透子

 「あっ、ご、ごめんなさい……でもありがとうございます。デュエルをしていれば事故の1つや2つ起こります。気にする事はありませんよ」

 

鏡介

 「あぁ……ありがとう。さて……十代!優勝おめでとう!」

 

十代

 「おう!」

 

鏡介·十代

 「ガッチャ!良いデュエルだったぜ!」

 

 鏡介、強引に被せてきましたね。まぁ、オリジナルが何も言わないならいいんでしょうけど……

 

 表彰式後、鏡介は明日香さんに何枚かのカードを渡していました。なんでも彼女が持ってなかった宣告者のカードで、手札コストを1枚使うことで(神の宣告)同等の効果を乱打出来るらしいです。恐ろしいですね。

 

 後日、明日香さんとデュエルしてみたら先の儀式モンスターによる強烈な制圧を敷かれて負けました。この手数が多いライトロードですら突破出来ないなんて……無念です。




余談ですが、透子は普段は自爆ナチュルやファルコンビートを愛用しています。ここぞというときだけライトロードです。


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42.世界への扉

今回は豪華にデュエル2本立てです。


 

 

〜 校長室 〜

 

透子

 「世界大会に出場……ですか?」

 

鮫島

 「ええ、貴方達の実力はもう世界でも十二分に通用するものです。なので、広い世界のデュエルを見れば更なる高みに行けるのではと思い、推薦状を書いておきました。いかがですかな?」

 

 世界大会……入学した時は行けたらいいなと思う程度でしたが、まさか本当に行けるとは思いませんでした。

 

鏡介

 「もちろん行きます!行かせて下さい!必ず優勝トロフィーを担いでみせますよ!」

 

 もう勝つ気でいる鏡介さん。ちょっと浮き足立っているんじゃないですか?まぁ勝てそうですけど。

 

透子

 「私もお願いします。どこまで行けるかは分かりませんが、精いっぱい戦ってきます」

 

鮫島

 「その言葉を待っていました。参加する大会はこちらです。船の出発は一週間後ですので、準備を進めておいて下さい」

 

 私達はプリントを受け取り、校長室を去り食堂へ向かいました。昼食がまだですからね。

 

 

〜 食堂 〜

 

 食堂。そこは多くの生徒が昼食をとり、ドローパンを買ってドローし、一喜一憂する場所です。

 

鏡介

 「行け!(kozmo−スリップライダー−)でダイレクトォ!」 

 

レッド生

 「ギャァァァ!」

 

 ちなみに小さいですがデュエルスペースもあり、鏡介がデュエルの決着をつけました。

 

鏡介

 「良し!それじゃあドローパン2個とお前の1個交換な」

 

 鏡介が持つドローパン2つを押し付けて、レッド生が持っていたドローパンを奪い取りました。

 これが最近鏡介が思いついた美味しいドローパンをドローする方法です。名付けてマリガンパン。

 

 方法は単純で、まずドローパンをドローした人にドローパンの交換を提案します。受諾すればそれでよし、断ればデュエルで強引に交換させます。最近はやりたがらない人が増えてきたので、ドローパン2つで交換を提案しています。

 

レッド生

 「うえぇチョコミントだぁ……歯磨き粉だろこんなのぉ……」

 

 悲哀に満ちた声で嘆くレッド生さん。私は好きですけどねチョコミント。私達の当たり枠です。

 

鏡介

 「よし!ドローパン2個持ってきたぞ〜早速昼飯だ」

 

 私の向かいに座る鏡介。いつもこんな風に座っています。

 

 さっさと食事を済ませて、ドローパン開封です。

 

透子

 「私はメープル味ですね、やっぱり甘い物は身体に染み渡りますね」

 

鏡介

 「俺は……なんぞこれ?見た事ねぇ具だな……」

 

透子

 「えぇと……そ、それ黄金の卵パンって奴じゃないですか?」

 

 驚愕で声が跳ねそうになりましたが抑え込み、小声で話しかけます。

 

 黄金の卵パン。それは学園内に居る鶏の1匹が1日1つだけ産み落とす金の卵を使ったパンで、とてつもなく美味しいと噂の代物です。その美味しさは、多くの生徒達がこの卵パンを求めてドローしていると言っても過言ではない程です。

 

鏡介

 「黄金の卵パンって……あの卵パンか?これはマリガン相手には悪い事したな……まぁいいや」

 

 鏡介は唐突に卵パンを半分に割り、私に向けて来ました。

 

透子

 「本当に……いいんですか?」

 

鏡介

 「おう、どうせならこの幸せを分け合おうぜ?皆には内緒な?」

 

 渡されたドローパンを頬張ると、今までに食べた卵とは一線を画する濃厚な味が口の中に広がりました。

 

透子

 「これ……美味しい……なんていうかその……美味しい」

 

鏡介

 「感想になってねぇぞ……まぁ美味しいのは事実だな」

 

 クッ……もっと私に語彙力があったなら……この美味しさを鏡介に伝えられるのに……

 

 私達は十分程黄金の卵パンの味の余韻を噛み締めて、ようやく口を開くことが出来ました。

 

透子

 「そういえば……世界大会のパンフレットを見てませんでしたね」

 

鏡介

 「あぁ……そうだな。ええと……」

 

 どうやら私と鏡介は違う大会に出るらしいです。潰し合いが起きないのを喜ぶべきか寂しいと思うべきか……

 

鏡介

 「それにしても……大会に出る奴らってどれぐらい強いんだ?後攻は甘えとかいうレベルの制圧仕掛けてくるんじゃあ……」

 

 いつにもなく暗い表情で俯く鏡介。いや、流石にそこまで酷い事はしない筈ですよ……そもそも鏡介はジェネックスで何度か戦ってるじゃないですか。

 

透子

 「大丈夫です。そもそも鏡介なら先攻でウイルス2枚とエクシーズ数体叩きつければ、並大抵のデュエリストは手も足も出ませんよ」

 

鏡介

 「もしプロに(次元の裂け目)とか使う奴いたらどうしよう……透子。俺の部屋に行って、大会に出場するプロを調べまくるぞ。もちろんそっちの情報収集も協力する」

 

 ネガティブな発言から一転。絶対に勝つといった雰囲気を漏らす鏡介。やはり勝気な方が鏡介らしいですよ。

 

 私達は食器を片付け、鏡介の部屋に行き、備え付けのパソコンを起動して情報収集を始めるのでした。

 

 

〜 海上 〜

 

透子

 「海は……キレイですね」

 

鏡介

 「あぁ……そうだな」

 

 私達は今、会場へ向かうために船に乗っています。鏡介の方が近いので、明日には船を降りてしまいます。

 

鏡介

 「そういえば……透子にも魔力が少しはあるんだよな。少しテレパシーの練習でもしようぜ?」

 

透子

 「え……私魔力あるんですか?遠くでも連絡出来るならしてみたいですけど……」

 

鏡介

 「恐らくソーラーエクスチェンジによって発生した魔力の一部が体内に溜め込まれているって感じだろうな。攻撃力換算すると攻撃力600辺りか?やり方は(スノウ)から教わってるからな、早速やろうぜ」

 

 その後、私達は船のあちこちに移動して通信を繰り返し、日が沈む頃には船の端から端までの通信に成功しました。あとはこれがどこまで通じるか……ですね。

 

 

〜 会場 〜

 

 俺は受付を済ませ、デュエルフィールドに立っている。俺の今の服装は、パスカのそれ。ただし仮面はつけていない。

 

??

 「君が僕の対戦相手だね?僕は鬼原太陽。僕のデュエルで世界の広さを教えてあげよう!」

 

 チャラそうなのが今回の相手。鬼原太陽。下調べによると、最近サイバー流から破門された新人プロデュエリストらしい。

 

鏡介

 「御託はいい。さっさとデュエルだ」

 

太陽·鏡介

 「デュエル!」

 

太陽

 「先攻は僕だよ!ドロー!」

 

太陽 手札5→6

 

 サイバー流で先攻……インフィニティでも立てるのか?

 

太陽

  「これが新たなサイバー流の力だ!僕は(サイバー·ドラゴンコア)を通常召喚!効果発動!デッキからサイバー魔法罠(サイバー·リペアプラント)を手札に加えて、(機械複製術)を発動!このカードは攻撃力500以下の機械族モンスターを対象にして、同名モンスターを2体まで特殊召喚!来い!(サイバー·ドラゴン)2体!」

 

太陽 手札6→5→6→5

 

太陽

 「手札から(一時休戦)を発動!お互いに1枚ドローして次の君のターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる!そしてこれが僕の切り札だ!(パワー·ボンド)発動!フィールドの(サイバードラゴン)として扱う(コア)と(サイバードラゴン)で融合!(サイバー·ツインドラゴン)!」

 

太陽 手札6→5→6→5

 

鏡介 手札5→6

 

 先攻でツイン?こいつ何いってんだ?

 

太陽

 「僕は(サイバー·リペアプラント)を発動!墓地に(サイバー·ドラゴン)が存在する場合に発動できる!2つの効果が選べるけど、僕はデッキの光属性·機械族のモンスターを手札に加える効果を選ぶ!僕はもう一体の(コア)を手札に!」

 

太陽 手札5→4→5

 

太陽

 「僕はカードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに(パワー·ボンド)のデメリットが発生するけど、(一時休戦)で無視できる。さぁ、君はこの攻撃力5600となった(サイバーツインドラゴン)を突破する事は出来るかな?」 

 

太陽 LP4000 手札4 伏せ1

 

サイバー·ツイン·ドラゴン 攻5800

 

鏡介 LP4000 手札6 伏せ0

 

 ……これが大会レベルか……。まぁ1回戦だし、これぐらいレベルの低い奴も居るだろう。

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札6→7

 

鏡介

 「俺は1枚セットして手札から(未界域のサンダーバード)の効果発動!手札を選べ!当たればこいつは墓地へ、外れれば選ばれたカードを捨てて特殊召喚して1枚ドロー!」

 

太陽

 「中々にギャンブルなカードだね……いいよ。僕は真ん中のカードを選ぶ」

 

鏡介

 「選ばれたのは(暗黒界の尖兵ベージ)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!」

 

鏡介 手札7→6→5→6

 

太陽

 「攻撃力2800を1ターンで……でもその程度じゃ僕の(サイバー·ツイン)は倒せないよ!」

 

鏡介

 「この程度じゃ止まらねぇよ。俺は伏せていた(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして2枚目の(ベージ)を除外!良し!カードを1枚セットして(未界域のビッグフット)の効果発動!(サイバー·バード)と効果は同じだ!」

 

鏡介 手札6→8→7→6

 

太陽

 「またかい?僕は1番右を選ぶ!」

 

鏡介

 「選ばれたのは(スノウ)!特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で(暗黒界の門)をサーチ!そして発動!効果発動!墓地の(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡介 手札6→5→4→5→6→5→4→5→6

 

鏡介

 「(魔界発現世行きデスガイド)を通常召喚!効果発動!デッキからレベル3以下の悪魔族モンスター(魔サイの戦士)を特殊召喚!」

 

 鏡介 手札6→5

 

鏡介

 「俺はレベル3の(デスガイド)と(魔サイの戦士)でオーバーレイ!異次元の海蛇よ、今こそこの世界に舞い降りて、異次元の架け橋となれ!エクシーズ召喚!(虚空海竜リヴァイエール)!」

 

 本来なら召喚口上は省略するんだけど、せっかく表舞台に立つなら映えたいよな!

 

太陽

 「へぇ……君エクシーズ使いなんだ。エクシーズなんて下らない。どうせ僕の(サイバーツイン)には届かないんだからね!」

 

 こいつ何いってんだ(2回目)。エクシーズ実装されてもうすぐ1年経つんだぞ?未だにそんな認識なのかよ。

 

鏡介

 「あぁ、確かにコイツの打点は素の(サイバーツイン)にすら劣る。だがコイツの存在価値はそこじゃない!(リヴァイエール)の効果発動!素材の(魔サイの戦士)を取り除き、除外されている(スノウ)を特殊召喚!」

 

 (リヴァイエール)が異次元の裂け目を開くと、(スノウ)が飛び出してきた。そして墓地の(魔サイの戦士)が動き出す。

 

鏡介

 「墓地へ送られた(魔サイの戦士)の効果発動!デッキから悪魔族モンスター(暗黒界の龍神グラファ)を墓地へ送る!そしてフィールドの(スノウ)を手札に戻して(グラファ)を墓地から特殊召喚!」

 

 (スノウ)が天高く跳躍し、地面を割って(グラファ)が蘇る。

 

鏡介 手札5→6

 

太陽

 「墓地からレベル8のモンスター!?だが問題ない。(サイバーツイン)の攻撃力の方が上回っている!」

 

 コイツ攻撃力しか見てないのか?

 

鏡介

 「ここからぶん回すから巻きで行くぞ!(取引)発動!お互い1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(スノウ)の効果発動!(門)を加えて発動!墓地の(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ブラウ)は1枚ドロー!(おろかな埋葬)発動!(グラファ)を墓地へ!そして(ベージ)戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札6→5→6→5→6→5→4→5→6→5→6

 

鏡介

 「俺は(グラファ)2体と(サンダーバード)でオーバーレイ!燃えろ!灼熱の魂!今こそその滾る闘志を打ち放て!エクシーズ召喚!ランク8(熱血指導ジャイアントレーナー)!」

 

 銀河の渦より現れたるは、バットを握るキャッチャー……多分。俺野球詳しくないから分からん。

 

鏡介

 「(熱血指導ジャイアントレーナー)の効果発動!素材の(グラファ)を取り除き、1枚ドローする!それがモンスターなら800ダメージ!」

 

太陽

 「(一時休戦)で僕にはダメージは入らないが……君にリスペクトというものがないのか……」

 

 ん?……なんか言ったか?リスペクトが云々っていったよな?

 

鏡介 

 「ドローしたのは(墓穴の道連れ)!ちなみに(熱血指導ジャイアントレーナー)の効果は1ターンに3回発動できる!よって2回効果発動!ドロー!(暗黒界の龍神グラファ)!ドロー!(暗黒界の援軍)!」

 

鏡介 手札6→7→8→9

 

鏡介

 「俺はフィールド魔法が存在するのでエクストラデッキの(スターダストドラゴン)を除外して(sin·スターダストドラゴン)を特殊召喚!(ビッグフット)と(sin·スタダ)でオーバーレイ!大いなる龍よ、その身に聖なる力を刻み込み、我に盾突く愚者を焼け!エクシーズ召喚!ランク8(聖刻神竜エネアード)!効果発動!手札·フィールドのカード。俺は手札の(グラファ)と(エネアード)をリリースして(サイバー·ツイン)と(サイバードラゴン)を選んで破壊する!」

 

鏡介 手札9→8→7

 

 赤き竜が放つ光の奔流が2体を飲み込み、粒子となって霧散した。呆気ねぇな。

 

太陽

 「……ざけるなよ……」

 

鏡介

 「おん?」

 

 

 太陽のさっきまでの余裕そうな表情は消え失せ、まるで仇敵を見るような目つきで俺を睨む。

 

太陽

 「ふざけるな!デュエルモンスターズはな!モンスターの戦闘こそが醍醐味なんだよ!それを拒みやがって!お前にリスペクトってものは無いのか!それにモンスターをさも当然の様に捨てやがって!モンスターの絆すらないのか!」

 

 ……は?何いってんだコイツ(3回目)。遊戯王は基本的にモンスター並べて場を荒らして、効果でフィールドを制圧して相手を封殺するものだぜ?勝利を目的とするなら尚更な。それにコイツ効果破壊を認めないとか(マシュマロン)とかどう突破するんだか。

 

 後、墓地に行くだけで絆が切れるのなら、そんな絆は願い下げだ。

 

鏡介

 「無いね。お前のルールに則る義務は無い。俺は俺のデュエルをする。それに……俺と暗黒界の絆は裏側で除外されようとも切れはしない!カードを2枚セットして(墓穴の道連れ)発動!お互いの手札を公開し、それぞれ相手の手札を1枚捨てて1枚ドロー!俺が選ぶのは……(融合呪印生物−光−)!」

 

太陽

 「僕は(ベージ)を捨てる!」

 

鏡介

 「その後1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生してすぐ(グラファ)!」

 

鏡介 手札7→5→4→3→4→5

 

鏡介

 「伏せていた(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(ゴルド)除外!(取引)を発動!1枚ドローして1枚捨てる!」 

 

鏡介 手札5→7→6→5→6→5

 

鏡介

 「捨てられた(ベージ)の効果発動!蘇生!すぐに(グラファ)!俺は(グラファ)2体でオーバーレイ!高潔なる騎士よ!今こそ聖なる力を以て、我を守護する盾となれ!エクシーズ召喚!ランク8!(神竜騎士フェルグラント)!効果発動!素材の(グラファ)を取り除き、フィールドのモンスターに効果無効と完全耐性を付与する!よって俺は(フェルグラント)に耐性を付与する!セイント·バリア!」

 

 薄い膜に包まれる(フェルグラント)。まぁいつもの光景だ。

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「伏せていた(暗黒界の援軍)を発動!墓地の(スノウ)を蘇生して手札を1枚(ベージ)を捨てる。(ベージ)蘇生して2体を戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札6→5→7

 

鏡介

 「俺はカードを2枚セットしてターンエンド。(ジャイアントトレーナー)のデメリットにより、俺は攻撃出来ないからな」

 

鏡介 手札5 LP4000 伏せ3

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材1

熱血指導王ジャイアントレーナー 守2000 素材0

 

太陽 LP4000 手札4 伏せ1

 

太陽

 「僕のターンドロー!」

 

太陽 手札4→5

 

鏡介

 「スタンバイフェイズにトラップ発動!(闇のデッキ破壊ウイルス)!コストとして(闇のデッキ破壊ウイルス)は攻撃力2500以上のモンスター(グラファ)をリリースして魔法か罠を宣言する。今回は魔法だ。相手フィールド、相手の手札、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、魔法カードを全て破壊する!」

 

 (グラファ)の身体が弾け。中から不気味なウイルスが解き放たれ太陽のフィールドに襲いかかった。

 

太陽

 「な!ウイルスカードだとぉ!ぐわぁぁ!」

 

 

太陽の手札

プロト·サイバードラゴン

サイバーロード·フュージョン

サイバネティック·フュージョンサポート

融合呪印生物−光−

サイバー·リペアプラント

 

 魔法は3枚か。更に伏せていた(アタック·リフレクターユニット)にもウイルスが集り溶け落ちた。

 

太陽 手札5→2

 

太陽

 「クッ……僕は墓地の(コア)を除外して効果発動!自分フィールドにモンスターが存在せず、相手にモンスターが存在する時にデッキから(サイバー·ドラゴン)を特殊召喚!そして(融合呪印生物−光−)を召喚!効果発動!このカードを含む融合素材モンスターをリリースして発動。そのリリースしたモンスターを融合素材とする光属性の融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!」

 

鏡介

 「待った!チェーンしてもういっちょトラップ発動!(魔のデッキ破壊ウイルス)!コイツは攻撃力2000以上のモンスター(グラファ)をリリースして、相手フィールドのモンスター、手札、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、その内の攻撃力1500以下のモンスターを全て破壊する! よって攻撃力1100の(プロト·サイバードラゴン)、攻撃力1000の(融合呪印生物-光-)には消えてもらおうか!」

 

 媒体となる(グラファ)が弾け、緑色のウイルスがばら撒かれる。ウイルスは太陽の(サイバー·ドラゴン)を残して他全てのモンスターを無惨に溶かした。

 

太陽 手札2→1

 

鏡介

 「更にトラップ発動!(バージェストマ·ディノミスクス)!手札を1枚捨てて(サイバー·ドラゴン)を除外だ!」

 

 謎の古代生物が(サイバー·ドラゴン)にまとわりつき、触れた箇所がどんどんと腐食していき、遂に汚泥となって地面にこびりついた。

 

鏡介

 「捨てられた(ベージ)は自己蘇生!」

 

太陽

 「そんな……僕は……こんなリスペクトのないデュエリストに負けるのか……ターンエンド……」

 

太陽 LP4000 手札0 伏せ0

 

 

鏡介 手札5 LP4000 伏せ0

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の尖兵ベージ 守1600

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材1

熱血指導王ジャイアントレーナー 守2000 素材0

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札6→7

 

鏡介

 「(ベージ)戻して(グラファ)!(神秘の中華なべ)を発動!(ジャイアントトレーナー)をリリースしてその攻撃力分、2800回復!(フェルグラント)の効果発動!素材の(グラファ)を取り除き、自身に完全耐性!」

 

鏡介 手札5→6→5 LP4000→6800

 

鏡介

 「(門)の効果発動!墓地の(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ベージ)は自己蘇生!戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札5→4→5→6

 

 本当なら(門)で(スノウ)除外して(リヴァイエール)で帰還。バウンスして(グラファ)も出来るんだが……フィールドの空きが無いっていうね。

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(グラファ)3体で攻撃!暗黒の吐息サンレンダァ!」

 

太陽

 「そんな……バカなぁぁぁ!」

 

太陽 LP4000→-5000

 

鏡介

 「対戦ありがとうございました。もし勝ちたければ妨害を覚えることをオススメしますよ」

 

 俺はそう言い残し、会場を後にした。透子は今どうしてるんだろうな?もう相手を瞬殺してたりしてな。

 

 

〜 side透子 〜

 

 私は今、世界の舞台に立っています。目につくのは沢山の人、人、人。物凄く緊張してしまいます。

 

ファルコン

 『透子さん。大丈夫です、僕はデッキに入っていませんが、側に居ますから一人じゃないですよ?』

 

 そう言われた瞬間、一気に不安が吹き飛びました。意外と現金だったんですね、私。

 

 そんな事を考えていると、対戦相手がやってきました。名前は確か……

 

エックス

 「君がアカデミアから推薦を受けたデュエリストだね?私の名はエックス。君の噂はジェネックスの頃から聞いているよ。プロ殺しの透子として……ね」

 

 そんなに荒らしてたんですか鏡介。

 

透子·エックス

 「デュエル!」

 

エックス

 「私の先攻で行かせていただきます。ドロー!」

 

エックス 手札5→6

 

エックス

 「私は(トラップ·スルーザー)を召喚!カードを3枚セットしてターンエンド」

 

 

トラップ·スルーザー(アニメオリカ)

レベル4/闇属性/機械族/攻撃力800/守備力1300

このカードがフィールド上に表側攻撃表示で存在する限り、このカードのコントローラーは永続罠カードの効果を受けない。

 

 あれ?随分と穏やかなスタートですね?デッキ破壊と聞いていたので、てっきり1ターンで40枚削りきれるデッキだと思ってたのですが……

 

エックス LP4000 手札2 伏せ3

 

トラップ·スルーザー 攻800

 

透子 残デッキ55 手札5 伏せ0

 

透子

 「思ってたよりも動きが遅いのですね?てっきり1ターンでデッキを全て削りきられると思ってましたよ。私のターンドロー!」

 

透子 残デッキ55→54 手札5→6

 

エックス

 「中々無茶を仰る。私は永続トラップ!(モンスターレジスター)を発動!1000ライフポイントを払って発動できる。モンスターの召喚・特殊召喚に成功した時、そのカードのコントローラーはそのモンスターのレベルと同じ数だけ自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。これで貴方はモンスターを出す度にデッキが減っていきます。ちなみに、私は(トラップ·スルーザー)の効果により、その効果を受けません」

 

エックス LP4000→3000

 

モンスターレジスター(アニメオリカ)

永続罠

1000ライフポイントを払ってこのカードを発動できる。

モンスターの召喚・特殊召喚に成功した時、そのカードのコントローラーはそのモンスターのレベルと同じ数だけ自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。

 

 なるほど、そのカードでデッキ破壊するのですね?ん?“デッキから墓地へ送る”?

 

透子

 「フ、フフフ……アッハハハ!」

 

エックス

 「突然笑い出すとは……このコンボを見て正気を失いましたかな?」

 

 確かに……こんな相手が爆アドを与えてくれると分かったら、気もおかしくなりますよ。

 

透子

 「ハハハ……ふぅ、貴方は私を罠にかけたと思っているんでしょうけど、それは大きな間違いです!レディースアーンドジェントルメーン!これから起こりますは、悲劇ではありません!墓地を力に変える光の使者による、暴虐の宴です!」

 

 さぁ!お楽しみはこれからです!

 

透子

 「私は(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ジェネラルジェイン)さんを捨てて2枚ドロー!そして2枚墓地へ!」

 

送られたのは……(ウォルフ)さんと(隣の芝刈り)。ドローカードも良いですね。

 

透子 手札残デッキ54→50 手札6→5→4→6

 

エックス

 「自分からデッキを削る……私のデッキを理解しながら……舐められたものですね」

 

透子

 「言ったでしょう。墓地を力に変えると!墓地へ送られた(ウォルフ)さんの効果発動!デッキから墓地へ送られた時、特殊召喚!そして(レジスター)により4枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(ライコウ)さん、(ミネルバ)さん、(デビルズ·コメディアン)、(仁王立ち)。

 

透子

 「(ミネルバ)さんの効果発動!デッキトップを1枚墓地へ!送られたカードは(ライトロード·アーチャーフェリス)!このカードはモンスター効果で墓地へ送られると特殊召喚!レベルは4なので4枚墓地へ!」

 

透子 残デッキ50→46→45→41

 

送られたのは……(光の援軍)、(ジェットシンクロン)、(シラユキ)、(エイリン)さん。

 

透子

 「フィールド魔法(ジャスティス·ワールド)と永続魔法(ライトロードの神域)を発動!デッキから墓地へ送られる度にシャインカウンターをのせます!そして私は(ウォルフ)さんと(フェリス)さんでチューニング!光と闇が交わりし時、混沌の脅威が訪れる!シンクロ召喚!(混沌魔龍カオス·ルーラー)!」

 

 胸で赤い宝石を煌めかせる黒き龍。このデッキにおける重要なモンスターです。

 

透子

 「(レベルレジスター)の効果発動にチェーンして(カオス·ルーラー)の効果発動!デッキトップを5枚捲り、光か闇属性のモンスターを手札に加えて残りを墓地へ!そして(レジスター)で8枚墓地へ!」

 

捲られたカードは、(ガロス)さん、(グラゴニス)、(シャーマンルミナス)さん、(ソーラー·エクスチェンジ)、(混沌の創世神)。

 

透子

 「私は(混沌の創世神)を手札に加えて残りを墓地へ!そして(レベルレジスター)で8枚墓地へ!そしてシャインカウンターがそれぞれに2つのります!」

 

送られたのは、(死者転生)、(混沌領域)、(ルミナス)さん、(フェリス)さん、(セフィロン)、(ファイターライコウ)さん、(光の援軍)、(サウザンドブレード)。

 

透子 手札6→5→4→5 残デッキ41→36→28

 

ジャスティスワールド 0→2

神域 0→2  

 

透子

 「(ライトロードの神域)の効果を発動!手札のライトロードモンスター(シャーマンルミナス)さんを捨てて、(ルミナス)さんを回収!そして召喚!(レジスター)で3枚墓地へ!そしてカウンター1つずつ!」

 

送られのは、(サウンドブレード)、(ギャラクシー·サイクロン)、(フェリス)さん。

 

透子 残デッキ 28→25

 

ジャスティスワールド 2→3

神域 2→3

 

透子

 「(ルミナス)さんの効果発動!手札を1枚捨てて(ライデン)さんを特殊召喚!(レジスター)で4枚墓地へ!カウンター1つずつ!」

 

 送られたのは…(トリッククラウン)、(タートル)、(芝刈り)、(ゼピュロス)。

 

透子 残デッキ25→21 手札5→4

 

ジャスティスワールド 3→4

神域 3→4

 

透子

 「墓地へ送られた(トリッククラウン)の効果発動!墓地から蘇生されて1000ダメージ、そしてダメージを受けた事で(サウザンドブレード)の……は!(サウザンドブレード)はタイミングを逃すので発動出来ません!(レジスター)で4枚墓地へ!それぞれにカウンターが一つずつのります」

 

 送られたのは……2枚目の(シラユキ)、(ライデン)さん、(混源龍レヴィオニア)、(混沌の創世神)。

 

透子 残デッキ21→17

 

ジャスティスワールド 4→5

神域 4→5

 

透子

 「レベル3の(ルミナス)さんにレベル4の(ライデン)さんをチューニング!光道の始祖よ!今ここに降臨せよ!英霊を導く光となりて!シンクロ召喚!(ライトロード·アークミカエル)!」

 

 光と共に舞い降りるは、(裁きの龍)に乗った金色の鎧を纏う男性。何故か乗っている(裁きの龍)よりも攻撃力が低いです。

 

透子

 「(レジスター)で7枚墓地へ!そしてカウンターが1つずつ!」

 

 送られたのは(フェリス)さん、(混沌領域)2枚、(サウザンドブレード)、(ソーサラーライラ)さん、(ソーラー·エクスチェンジ)、(迷い風)。

 

透子 残デッキ17→10

 

ジャスティスワールド 5→6

神域 5→6

 

透子

 「(アーク·ミカエル)さんの効果発動!1000LPを払い、(レベルレジスター)を対象に除外します!」

 

エックス

 「除去を飛ばすのはわかっていました。トラップ発動!(宮廷のしきたり)!これで永続トラップは破壊されませんよ!」

 

透子

 「言いましたよね?破壊ではなく除外です!ジャッジメント·フレイム!」

 

 (ミカエル)さんが操る(裁きの龍)が放つ光のブレスにより、レジみたいなトラップは除外されました。これで心置きなく展開出来ます!

 

透子

 「墓地の(シラユキ)の効果発動!墓地の(フェリス)さん、(シャーマンルミナス)さん、(ウォルフ)さん、(光の援軍)2枚、(死者転生)、(ソーサラーライラ)さんを除外して墓地から特殊召喚!墓地の(ジェット·シンクロン)の効果発動!手札を1枚墓地へ送り自己蘇生!」

 

透子 手札4→3

 

透子

 「私はレベル4(シラユキ)とレベル4(トリック·クラウン)、レベル1(ジェットシンクロン)をチューニング!」

 

 シンクロを宣言した瞬間に、一気に気温が下がって行きます。でもここまで来たらやるしかありません。

 

透子

 「封印されし氷龍よ!今こそその封印解き放ち、絶対零度の吐息を以て時すらも凍らせよ!シンクロ召喚!レベル9(氷結界の龍トリシューラ)!」

 

 耳をつんざく様な凄まじい咆哮を上げ、フィールドに降り待つ氷の龍。3つの頭は、すでに氷のブレスの準備を整えていました。

 

透子

 「シンクロ召喚に成功した(トリシューラ)の効果発動!手札、フィールド、墓地のカードを1枚ずつ選んで除外!私は(トラップ·スルーザー)とその手札、墓地の(レベルレジスター)を除外!フラッシュフリーズ!」

 

 強烈な冷気がデュエルフィールドを舐め回し、(トラップ·スルーザー)と手札、そして墓地の(レベルレジスター)を氷漬けにしてバラバラに砕きました。

 

透子

 「私は墓地の(ジェネラルジェイン)さんと(フェリス)さんを除外して(混沌の創世神)を特殊召喚!効果は発動しません!」

 

 フィールドの残りがないのです。

 

透子 手札3→2

 

透子

 「私は(混沌の創世神)と(カオス·ルーラー)でオーバーレイ!真なる騎士よ!今こそ聖なる力を以て、我を守護する盾となれ!エクシーズ召喚!ランク8(神竜騎士フェルグラント)!」

 

エックス

 「シンクロモンスターを素材にエクシーズ召喚!?なんとも贅沢な使い方ですね……」

 

 まぁ確かに贅沢ですね。でもこの2体は出して効果使ったらほぼ通常モンスターなので妥当です。

 

透子 

 「更に、私の墓地にはライトロードモンスターが4体以上存在する事でこのカードは特殊召喚出来る!光の使者が集いし時、白き巨龍が全てを裁く!飛来せよ!(裁きの龍)!」 

 

 薄い雲から光と共に舞い降りたのは、純白の美しくも荘厳なドラゴン。名実共にライトロードのエースです。

 

透子 手札3→2

 

透子

 「更に私はライトロードモンスターが4種類以上除外されている為、このカードは特殊召喚出来る!光が闇に沈む時、黒き翼が翻る!懲罰の時は今来たり!(戒めの龍)!」

 

 暗雲から勢い良く飛び込んできたのは、(裁きの龍)と同等の大きさの漆黒の龍。それにしても、この2体の龍が並んでいる時の威圧感が凄まじいですね。

 

透子 手札2→1

 

透子

 「さぁ!裁きの時間です!(裁きの龍)を先頭に、(戒めの龍)、(アークミカエル)、(フェルグラント)、(トリシューラ)でダイレクトアタック!」

 

エックス

 「ぐ、ぐおぉぉぉ!」

 

 エックス LP3000→0→-3000→-6200→-9000→-11700

 

 尋常じゃないダメージを受けて壁に叩きつけられるエックスさん。まぁライトロードにデッキ破壊仕掛けるのが無謀だったと言うことで。

 

 観客席を見てみると、それはそれは大盛りあがりで、デュエル中は気づきませんでしたが大歓声が上がっていました。

 

 前調べによるとエックスは相当の嫌われ者だったらしく、恐らくそれが倒された事による歓声なのでしょう。

 

 私は観客席に一礼して、デュエルフィールドを後にしました。

 

 

 

〜 港 〜

 

 その後は特に問題なく勝ち進み、決勝戦では少しピンチにはなりましたが、容易く盤面を(裁きの龍)で焼き払い優勝してしまいました。

 

鏡介

 『あ〜テステス。聞こえるか?』

 

 ようやく港に着いたというタイミングでの通信。思ってたよりも遥かに長い距離通信出来るんですね。

 

透子

 『聞こえますよ。まだ船も見えないのに通信出来てびっくりです』

 

鏡介

 『それな、まぁとにかくお疲れ。どうだ?大会で優勝できたか?俺は初手完璧な手札だったが余裕で耐えて(抹殺)でパーフェクトゲームしたぜ』

 

 事故った時点でパーフェクトじゃないと思うんですがそれは……

 

透子

 『はい、私も比較的余裕を持って勝てました。初戦は凄かったですよ?(裁きの龍)や(戒めの龍)、(トリシューラ)に(ミカエル)さんに(フェルグラント)まで出ましたからね』

 

鏡介

 『それは……相手は流石にご愁傷様って奴だな』

 

 ああ、鏡介が苦笑いしているのが声で分かりますよ。

 

鏡介

 『あ、そうだ。優勝したって事はインタビューされたって事だよな?どんな事を聞かれた?俺はプロになったらどんなデュエルをしたいか聞かれたぜ』

 

 インタビュー……そういえばされましたね……最初以外はもう覚えて無いです。

 

透子

 『私は……確かプロの世界を見た感想……だった気がします。それは船に乗ってから話しましょう』

 

鏡介

 『……すまない。聞こえなかった。もう一度答えてくれないか?』

 

鏡介

 『え……?確かプロの世界を見た感想……だった気がします』

 

 聞き逃しでしょうか……鏡介も少し疲れているのでしょうか?

 

鏡介

 『駄目だ聞こえない!もしかしたら透子の身に何かあったのか!?クソッ!船よ早く着いてくれ!透子居なくなったら俺は……俺は!』

 

 焦った様子でふっと頭から消える声。もしかして……私の方で何か問題があったのでしょうか。通信術は初めてですし、そういう事もあると思います。

 

 ようやく船が港に着いた瞬間、鏡介が船から勢いよく飛び降り着地、飛びかかる様な勢いで抱きついてきました。

 

鏡介

 「透子!無事で良かったぁ!突然通信が切れて不安で堪らなかったんだ!」

 

透子

 「きょ、鏡介……その……離れて下さい。恥ずかしいですよ……人が……人が見てますから……」

 

 ああなんかカメラのシャッター音がちらほら聞こえますよ、早く正気に戻って鏡介!

 

鏡介

 「絶対に離すもんか!俺はお前が居ないと駄目なんだよ!ずっと一緒に居たい!今までも、そしてこれからも!」

 

 ちょ、ちょっと何口走ってるんですか!そんな告白みたいな……え?告白?

 

 鏡介の言葉を理解した瞬間。身体中は沸騰した様に熱くなり、頭は凄まじい勢いで言葉が浮いては消えて行き、終いには真っ白になってしまいました。

 

ファルコン

 「透子さん!そろそろ船が出ちゃいますよ!かくなる上は僕が!ッ……やっぱり2人は流石に重い!」

 

 暫くすると、ファルコンさんが出てきて何かを言ったあと、私達はゆっくりと宙へ浮かび船へと向かって行きました。

 

 

 

〜 船内 〜

 

鏡介

 「本当に……申し訳ない」

 

 今、私の目の前で鏡介が見事な土下座を決めています。

 

鏡介

 「俺はあの時通信が切れてから、ダークネスとかに襲撃されたんじゃないかって心配で堪らなかったんだ……それ以上でもそれ以下でもない」

 

透子

 「それはいいんです頭をあげて下さい。それよりも……その、あの時に言ってた言葉は本当ですか?私と一緒に居たいって言ってましたけど……」

 

 私が尋ねると、鏡介はほんの少し押し黙りました。きっと鏡介は人付き合いがなさすぎて気が迷ってしまったんでしょう。私もそうなのですから仕方ありませんよ。

 

鏡介

 「一緒に居たいのは本当だ。最近透子の事を考えるといつも必死になっちまう。これが恋って奴なのかな」

 

 鏡介が私の事を好きになっている?私……他の誰よりも背は小さいし、明日香さんみたいな胸も無いです。顔にもそんな自信がある訳でも無い。何かの間違いなんじゃないですか?

 

透子

 「私も……鏡介の事を考えると胸がドキドキして……頭が真っ白になる時があります。でも、私以外にもきっと良い人は沢山いますよ?」

 

鏡介 

 「そんなこと無い!俺はお前以外なんて愛せない!もし(洗脳−ブレインコントロール−)とか(心変わり)を食らっても何発かは耐えられる自信が、俺にはある!」

 

 目を見開き、がばりと起き上がる鏡介。その目には、冗談なんて欠片も無いのが見てわかりました。……流石に最後のは冗談ですよね?

 

透子

 「本当に……本当に私で良いんですか?今なら、まだ気の迷いって事で聞かなかった事にします。皆にも内緒にします。本気に……しちゃっても良いんですか?」

 

鏡介

 「迷いなんてねぇ、今までは日和って中々言えなかったが今はっきり言う。お前が好きだ。大好きだ!俺と共に人生を歩んでくれ!」

 

 真剣な目付きで放たれる告白。ここまで言われたら……私も答えないといけませんよね。

 

透子

 「私も……鏡介と一緒が良いです。アカデミアを卒業したら、同じ人生を歩みましょう。私を本気にしちゃった責任は取ってもらいますよ?」

 

 気づいたら私は鏡介の手を取ってました。私って、意外と独占欲が強いのかもしれませんね。

 

透子

 「あぁ……嬉しい。これからはずっと……魂が百万回生まれ変わったとしても一緒ですからね?」

 

鏡介

 「と、透子って意外と独占欲が強いよな。まぁ、それが愛おしく感じるし、きっと俺も大概だけどな」

 

 軽く笑いながら唐突に窓を開ける鏡介。窓の先には、水平線がどこまでも広がる海が。

 

透子·鏡介

 「あぁ……海はキレイですね(だな)」

 

 私達の未来も、この海の様に少し荒れつつも穏やかでありますように。ふと、そんな事が頭に浮かびました。




恋愛物を読んだことが無いので恋愛描写がこれでいいのか不安ではあります。もうちょっと布石を打つべきだったでしょうか?


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43.卒業デュエル!侵略のダークネス!

GWなので連投です。


 

 鏡介に大胆な告白をされてからかなりの時間が経ちました。明日香さんの海外留学が決まったり、万丈目さんが(おジャマ·イエロー)のコスプレをしてエドさんを倒してプロのオファーが大量に来たり、クロノス先生が私達の卒業を妨害したり、ヘルカイザーが車椅子に乗って帰ってきたりと色々な事がありました。

 

 私達にも結構な量のオファーが来ているので、協力して少しずつ吟味しているところです。

 

 少しずつなのは理由があって、それは日中にソーラーエクスチェンジしているからです。

 

 鏡介曰く、私達が通信出来たのはソーラーエクスチェンジで魔力の一部が溜め込まれていたから。なので効率が落ちますが人間界でソーラーエクスチェンジをする事で、隙間時間に魔力を溜め込んでいるのです。

 

 ついでに(ライラ)さんを呼んで魔法の練習をしています。今の所出来るのは罠の発動をして、その効果を実体化する事だけですが。ちなみに(デモンズチェーン)や(鎖付きブーメラン)が1番のお気に入りです。

 

 閑話休題。今、ここ大講義室で卒業デュエルという物が開催されようとしています。

 

 その大まかなルールは、3年生が期間内にデュエルをして勝ち負け関わらず1点、対戦相手が何年生かどうかで勝った時の点が変わり、得点が100点になったら合格。100点になった後でも得点は溜まり、得点が1位の人がデュエルキングこと遊戯さんのデッキのレプリカがもらえるそうです。

 

 デュエルキングのデッキ……1年の時に見ましたけど、まともに回せそうにないし今のインフレについていけそうにないので、あまり欲しいとは思いません。

 

 集会が終わった後に大講義室前で少し待ってると、ようやく通信が来ました。どうやら鮫島校長に呼ばれて、暗黒界の使用は極力控える様にと釘を刺されたそうです。極力って事は禁止じゃないんですよね?ならたまに使うぶんには問題なさそうです。

 

鏡介

 『なぁ透子、これから学園中を走り回るんだからさ、(強制脱出装置)を使って俺をふっ飛ばしてくれよ。魔力で作った飛膜で大移動するからさ。アカデミア入口に移動していてくれ』

 

 中々大胆な移動方法ですね……でも面白そうですね。私もやってみたいです。

 

 

〜 アカデミア前 〜

 

 アカデミアの玄関で待っていると鏡介がやってきました。もう(強制脱出装置)はセット済みです。早くきて欲しいのですが……

 

鏡介

 「おまたせ!もう準備は出来てるか?」

 

透子

 「はい、もう準備完了です!早速やりますね?トラップ発動(強制脱出装置)!」

 

 セットカードから小型の建物が現れ、鏡介を吸い込み天高くへ射出しました。

 

鏡介

 「のわァァァ!」

 

 派手にふっ飛ばされた鏡介ですが、体勢を立て直し魔力で飛膜を生成、重力に逆らう様にゆっくりと移動しています。

 

 これ……魔力で風作ったらもっと遠くへ行けるのでは?ちょっとやってみましょうか。

 意識を集中させ、鏡介の背中を押すように風を生み出します。

 

鏡介

 『ウオォォォ!スゲェめっちゃ飛んでる!さぁデュエリストはどこだぁ!ヒャッッホォォォウ!』

 

 そのままウッキウキで飛翔する鏡介。これよくよく考えたら危ないですね。どうやって着地するのでしょうか。

 

透子

 「さて、仕方ないので私は目についた生徒の皆さんとデュエルするとしましょう」

 

 私は偶然目があったイエロー生を見つけたので声をかけようとしたら、その生徒が背を向けて逃げ始めました。

 

透子

 「トラップ発動!(デモンズチェーン)!逃しませんよ!さぁデュエルです!」

 

 左腕に絡められた鎖を見て顔を青くするイエローさん。さぁ!お楽しみはこれからです!

 

 

 

〜〜〜

 

 今、俺は悠々と空の旅をしている。目線の先にはだだっ広い森。こりゃ進路ミスったか?

 

 かといって進路を変える術が俺に無い。着地出来る開けた場所を探していると、森の切れ目でブルー生が黒いスーツを着たおっさんに襲われてかけているのを見つけた。

 

 あの姿は間違いなくダークネス!早速介入するぞ!

 

 姿勢を傾けて急降下。防御魔法たるバリアを張りながら地面と熱いキスをかました。

 

鏡介

 「ようミスティー!俺とデュエルしようぜ!お前はさっさと逃げな!」

 

ブルー生

 「あ、ありがとうございます!」

 

 おぼつかない足取りで逃げるブルー生。これで憂いはなくなったな。

 

ミスターT

 「逃げられましたか……まぁ良いでしょう。相手をしてさしあげましょう」

 

鏡介·ミスターT

 「デュエル!」

 

ミスターT

 「先攻は私、ドロー!」

 

ミスターT 手札5→6

 

ミスターT

 「私は(ダーク·アーキタイプ)を召喚。カードを2枚セットしてターンエンド」

 

ミスターT LP4000 手札3 伏せ2

 

ダーク·アーキタイプ 攻1400

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

 なんかデジャヴだな。それしか出来ないのか?

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

 あっ、掴んだデッキこれか。まぁいいや、安定感は暗黒界より高いからな。

 

鏡介

 「俺は(強欲で金満な壺)を発動!エクストラを6枚裏側除外して2枚ドロー!そして(強欲で謙虚な壺)を発動!3枚捲って1枚手札に!」

 

捲られたカード

真竜凰の使徒

ドラゴニックD

スキルドレイン

 

鏡介

 「俺は(ドラゴニックD)を加えて残りをデッキに戻す。そして(ドラゴニックD)発動!」

 

鏡介 手札5→6→5→7→6→7→6

 

 森の中だった空間が刷新され、ヘリポートの様な場所へ変化した。

 

鏡介

 「カードをセットして(ドラD)の効果発動!フィールドのセットカード(真竜皇の復活)を破壊してデッキから(真竜拳士ダイナマイトK)を手札に加える!」

 

 ヘリポートの様な場所に突如現れた(十二獣モルモラット)と名前の知らない2体のモンスター。それが力を収束させ1枚のカードを生み出した。

 

鏡介 手札6→5→6

 

鏡介

 「破壊された(復活)の効果発動!相手フィールドのモンスターを対象に破壊!」

 

 砕かれた(復活)が紫の光弾となって(アーキタイプ)に降り注ぎ爆散した。

 

鏡介

 「更に永続魔法(真竜凰の使徒)を発動!(真竜凰の使徒)の効果を発動!メインフェイズにアドバンス召喚を行う!よって俺は(使徒)をリリースして(ダイナマイトK)をアドバンス召喚!」

 

 鏡介 手札6→5→4

 

 フィールドに現れたのは、緑の鎧を纏った拳士。このデッキのキーカードの1つだ。

 

鏡介

 「(ドラD)の効果で真竜モンスターの攻守が300アップ!よって(ダイナマイトK)の攻撃力は2800!バトルフェイズ!(ダイナマイトK)でダイレクトアタック!ダイナマイトナックル!」

 

ミスターT

 「リバースカードオープン!(リビングデッドの呼び声)!蘇れ!(ダーク·アーキタイプ)!」

 

 緑の拳闘士の拳が謎のモンスターに炸裂し、身体に数か所の穴を作るダークネス。しかしすぐ治り平然としている。

 

ミスターT LP4000→2600

 

ミスターT

 「(ダーク·アーキタイプ)の効果発動!このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキから受けたダメージと同じ攻撃力を持つモンスターをデッキから特殊召喚します。その後、特殊召喚したモンスターのレベル分と同じになる様にモンスターを墓地へ送ります、私は2枚目の(ゼンマイ·ラビット)を墓地へ送ります」

 

 (ダーク·アーキタイプ)ってそんな効果なのか……縛りキツ過ぎねぇか?受けたダメージと同じって……

 

ミスターT 手札3→2

 

鏡介

 「(ゼンマイ·ラビット)……チェーンビートか。面白いデッキ使うんだな、これが命を賭けてなかったら楽しかったのに……俺はカードを3枚セットしてターンエンドだ」

 

 あっ、やべ。(使徒)で伏せ割っとけば良かった。プレミしたなぁ……

 

鏡介 LP4000 手札1 伏せ3

フィールド(ドラゴニックD)

 

真竜拳士ダイナマイトK 攻2500→2800

 

ミスターT LP2600 手札2 伏せ1

 

ゼンマイ·ラビット 攻1400

 

ミスターT

 「私のターンドロー!」

 

ミスターT 手札2→3

 

ミスターT

 「リバースカードオープン。トラップ発動(強制退室装置)お互いはそれぞれ自分フィールド上のモンスター1体を選び、そのモンスターをデッキに戻す。私は(ゼンマイ·ラビット)を選びます!」

 

鏡介

 「俺は(ダイナマイトK)を選ぶ、チェーンして(ダイナマイトK)の効果発動!デッキから(真竜の黙示録)を発動する!」

 

ミスターT

 「チェーンして(ゼンマイ·ラビット)の効果発動!自身を対象にして発動し、自身を次の自分スタンバイフェイズまで除外します!」

 

 逆順処理により、(ラビット)は除外、(ダイナマイトK)で(真竜の黙示録)発動、(退室装置)で(ダイナマイトK)のみがデッキバウンス。

 

ミスターT

 「私はカードを3枚セットしてターンエンドです」

 

鏡介

 「ならばエンドフェイズにトラップ発動!(幽麗なる幻滝)!デッキから幻竜族モンスター(真竜導師マジェスティM)を手札に加える!」

 

ミスターT LP2600 手札0 伏せ3

 

鏡介 LP4000 手札2 伏せ2

フィールド(ドラゴニックD)

 

真竜の黙示録

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札2→3

 

鏡介

 「カードをセットして(ドラD)の効果発動!セットカード(真竜凰の使徒)を破壊して、真竜カード(真竜の継承)を手札に!そして破壊された(使徒)の効果発動!相手の魔法罠、そっちのセットカードを破壊!」

 

 放たれた緑の光弾によって、セットカード(吊り天井)が砕かれた。

 

鏡介 手札3→2→3

 

鏡介

 「更に(継承)を発動!効果発動!このターンに墓地へ送られたカードの種類だけドロー!今墓地へ送られたのは1枚、よって1枚ドロー!」

 

鏡介 手札3→2→3

 

 こちらには伏せもあるし……攻めるか!

 

鏡介

 「(継承)のもう1つの効果発動!自分ターンにアドバンス召喚をする!よって(継承)をリリースして(マジェスティM)をアドバンス召喚!墓地へ送られた(継承)の効果発動!セットカードを破壊!」

 

 (マジェスティM)が放った魔法弾により、(ウェーブフォース)が砕かれた。あっぶねえカード伏せてんなおい。

 

鏡介

 「バトル!(マジェスティM)でダイレクトアタック!マジェスティトルネード!」

 

ミスターT

 「トラップ発動!(ドレインシールド)!その攻撃を無効にし、その攻撃力分LPを回復する。よって2600のLPを回復!」

 

鏡介

 「チェーンして(マジェスティM)の効果発動!アドバンス召喚したこのモンスターがフィールドに存在し、相手がカードの効果を発動した時に発動出来る!デッキから真竜モンスター(真竜拳士ダイナマイトK)を手札に加える!」

 

ミスターT LP2600→5200

 

鏡介 手札3→4

 

鏡介

 「(ドレインシールド)……(ダークアーキタイプ)のダメージを回復する為のものか……まぁ、許容範囲。俺はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

鏡介 LP4000 手札2 伏せ3

フィールド(ドラゴニックD)

 

真竜導師マジェスティM 攻2300→2600

 

真竜の黙示録

 

ミスターT LP5200 手札0 伏せ0

 

ミスターT

 「私のターンドロー!」

 

ミスターT 手札0→1

 

ミスターT

 「スタンバイフェイズに、(ゼンマイ·ラビット)は私のフィールドに帰ってくる。そして(命削りの宝札)を発動!3枚ドロー!そして……」

 

鏡介

 「待った!(マジェスティM)の効果発動!デッキから(真竜剣士イグニスH)を手札に!チェーンして永続トラップ(真竜皇の黙示録)の効果発動!相手ターンにアドバンス召喚する!よって(黙示録)をリリースして(ダイナマイトK)をアドバンス召喚!」

 

 逆順処理により、(黙示録)で(ダイナマイトK)がアドバンス召喚。(マジェスティM)で(イグニスH)サーチ。(命削りの宝札)でミスティーが3枚ドロー。

 

鏡介 手札2→1→2

 

ミスターT 手札1→0→3

 

鏡介

 「そして墓地へ送られた(黙示録)の効果発動!(ゼンマイ·ラビット)を破壊!」

 

ミスター

 「む、無駄だ!(ゼンマイ·ラビット)の効果発動!自身を次の自分スタンバイフェイズまで除外!」

 

鏡介

 「(ダイナマイトK)の効果発動!(マジェスティM)と同じ条件で真竜永続罠をサーチか発動出来る!俺は(真竜の黙示録)を発動する!」

 

 逆順処理により、(真竜の黙示録)発動、(ラビット)除外。

 

ミスターT

 「私は(ヴェルズ·サンダーバード)を召喚。カードを2枚セットしてターンエンドだ。エンドフェイズに私は手札を全て捨てなければならないが、私の手札は0だ」

 

ミスターT LP5200 手札0 伏せ2

 

ヴェルズ·サンダーバード 攻1650

ゼンマイ·ラビット 攻1400

 

鏡介 LP4000 手札2 伏せ3

フィールド(ドラゴニックD)

 

真竜導師マジェスティM 攻2300→2600

真竜拳士ダイナマイトK 攻2500→2800

 

真竜の復活

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札2→3

 

 セットされている(大捕物)は効き目無し……さっさと別のカードに変えよう。

 

鏡介

 「(ドラD)の効果発動!セットされていた(大捕物)を破壊して(真竜の使徒)を手札に加える!(使徒)発動!効果発動!墓地の真竜カード3枚を戻して1枚ドローする。よって俺は(継承)、(黙示録)、(復活)を戻して1枚ドロー!」

 

鏡介 手札3→2→3→2→3

 

鏡介

 「よっし!(強欲で貪欲な壺)発動!デッキトップを10枚除外して2枚ドロー!」

 

鏡介 手札3→2→4

 

鏡介

 「(使徒)の効果発動、メインフェイズ中にアドバンス召喚する!(使徒)をリリースして(真竜騎将ドライアスIII世)をアドバンス召喚!墓地へ送られた(使徒)の効果発動!セットカードを破壊!」

 

 現れたるは槍を握る竜人。場に出るや否やその手に持つ槍を振るいセットカード(ブービーゲー厶)を貫いた。やばいカード抜いちまったよ。

 

鏡介 手札4→3

 

ミスターT

 「かかりましたね?破壊された(ブービーゲー厶)の効果発動!セットされたこのカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合、(ブービーゲーム)以外の自分の墓地の通常罠を2枚まで対象として発動し、そのカードを自分フィールドにセットします。そして、この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できます。よって(吊り天井)と(強制退室装置)をセットします!」

 

鏡介

 「チェーンして(マジェスティM)の効果発動!(イグニスH)を手札に!」

 

 クッソウザい笑い声とエフェクトと共にセットされた2枚のカード。だが、それらなら問題ないな。

 

鏡介 手札3→4

 

ミスターT

 「トラップ発動!(吊り天井)!対象はモンスターが4体以上存在するのでフィールドの表側表示モンスターを全て破壊!それにチェーンして(ゼンマイ·ラビット)、(ヴェルズ·サンダーバード)の効果発動!エンドフェイズまで除外!」

 

 巨大な(吊り天井)が空中に現れ、デュエルフィールドを押し潰したが、(ドライアスIII世))以外の真竜達は破壊される事なく地面に立っていた。

 

鏡介

 「(真竜騎将ドライアスIII世)の永続効果。このカードがフィールドに存在する限り、このカード以外の真竜モンスターは効果の対象にならず効果で破壊されない!よって(吊り天井)も無意味だ!更にフィールドを離れた(ドライアスIII世))の効果発動!デッキから真竜モンスター(マジェスティM)を守備表示で特殊召喚!(継承)発動!効果発動!墓地へ送られた真竜カードの種類分、2枚ドロー!」

 

鏡介 手札4→3→5

 

鏡介

 「そして(継承)の効果発動して、メインフェイズ中にアドバンス召喚する!よって(継承)をリリースして(イグニスH)をアドバンス召喚!(継承)の効果発動!セットカードを破壊!」

 

 破壊されたのは(業炎のバリア−ファイアーフォース−)。チェーンバーン要素もあるのか?

 

鏡介 手札5→4

 

鏡介

 「行くぜバトルフェイズ!(マジェスティM)でダイレクトアタック!マジェスティトルネード!」

 

(マジェスティM)の放つ暴風によってミスターTの身体の一部が吹き飛んだ。

 

ミスターT LP5200→2600

 

鏡介

 「行け!(ダイナマイトK)、(イグニスH)!ダイレクトアタック!」

 

ミスターT

 「う……グォォォ!」

 

ミスターT LP2600→500→-1900

 

 真竜達の猛攻を受けて黒いカードとなってどこかへ消えるミスティー。

 

鏡介

 「とりあえず……透子達に伝えないとな」

 

 魔力で脚を強化して、俺はアカデミアへ走る。

 

 

 

〜 ジャスティス·ワールド 〜

 

 場所はライトロードの拠点。拠点内が不気味な紋様に埋め尽くされるなか会議が始まりました。

 

鏡介

 「ええ〜皆さん。お集まりいただきありがとうございます……敬語疲れたからタメ口にするわ。集まった理由は、ついさっきダークネスがブルー生を襲撃していたのを目撃し、ダークネスが本格的な侵攻を始めたと考えたからだ」

 

 鏡介の発言に、場が僅かにざわつきましたがすぐに静かになりました。

 

ルミナス

 「遂に……この時が来たんだね。僕達ライトロードとしては、ジャスティスワールド、アカデミアを防衛ラインとしてダークネスを排除し続けるつもりでいるけど、暗黒界側はどうするんだい?」

 

カラレス

 「我も概ね同じ考えだ。元々ダークネスは世界各地に存在していた物。根絶は不可能だ。よって我々もジャスティスワールドを拠点に据え、防衛と排除に協力しようと思う」

 

 (カラレス)さんがそう答えると、(グラファ)さんが啜り泣きしていました。

 

グラファ

 「……余も同じ考えではございます。しかし……ッス、苦しいのです。世界の為とはいえ、愛すべき臣民を見捨てなければならない事に!」

 

 鏡介さんの言ってた通り、民思いの良い指導者ですね。でも、仕方ない事ですよね。世界の為ですもの……

 

ルミナス

 「……心中は察するよ。それよりも、誰がアカデミアに立ってダークネスと戦い、誰がジャスティスワールドで防衛をするか決めないとね」

 

透子

 「あの……そもそも皆さんはアカデミアで実体化って出来るんですか?どれぐらいライトロードの人が実体化するかは置いておいて、相当な魔力を消費すると思うのですが……」

 

 このダークネスとの戦いは相当な長期戦になります。1日戦って魔力が尽きたりしては話になりませんからね。

 

カラレス

 「それについては問題ない、私が精霊世界に近い結界を構築して消費する魔力を軽減するつもりだ」

 

ルミナス

 「それは助かるよ。それにまだダークネスの数は少ないようだし、そんなに数は出さなくても良いとは思う。それじゃあ早速編成の話だけど……」

 

 

 結論から言うと(ラチナ)さん、(ケルト)さん、(グラファ)さん、(ミネルバ)さん、(フェリス)さん、(ライデン)さん、(ファルコン)さんはまだ実体化する力が無いのでジャスティスワールドの防衛に徹し、残りの人達をダークネスの数を見て投入していく事になりました。

 そして、私と鏡介は明日からデュエルでダークネスを倒していく話になりました。

 

 ダークネス……私達は諦めません。必ず貴方達を追い払い、世界を守ってみせます。



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44.破滅的展開。増殖するD

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜 

 

鏡介

 「ッ……クァァァ!」

 

 自然と目が覚め、ベッドから降りる。少し眠い目を擦りながら窓を開けると、空がカラレス模様に染まっていた。

 

鏡介

 「ダークネスきてんじゃん!」

 

 一瞬で目が覚めた俺は、すぐさまデッキを握り、外へ走る。透子に通信を入れ、適当な場所で落ち合う事にした。

 

 

 

〜 アカデミア前 〜 

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「俺は(機巧-御神尊真神)をリリース無しで召喚!コイツはカードが6枚以上除外されていればリリース無しで召喚出来る」

 

 出てきたのは、機械的な銀色の狼。超長期戦になる対ダークネス用のリソース回復狼だ。

 

鏡介 手札6→5

 

鏡介

 「さらに効果発動!手札から(ドライアスⅢ世)を捨てて攻守が同じモンスター(真竜剣皇マスターP)を手札に!フィールドの(ドラゴニックD)の効果発動!(機巧-御神尊真神)を叩き割って(使徒)を手札に!叩き割られた(機巧-御神尊真神)の効果!除外されているカードである(継承)2枚、(紅き血染めのエルドリクシル)2枚、(黄金郷のコンキスタドール)、(黄金郷のワッケーロ)をデッキに戻す!」

 

 機械の狼の遠吠えにより、異次元からカードがデッキに呼び寄せられる。

 

 鏡介 手札5→4→5→4→5

 

鏡介

 「(使徒)発動!効果発動!墓地の(黙示録)2枚と(ドライアス)を戻して1枚ドロー!チェーンで(復活)!対象に取った(ドライアス)を守備表示で蘇生!」

 

 墓地からやってくる槍持つ竜人。これで破壊は怖くない。

 

鏡介

 「(使徒)の効果発動!自分ターンにアドバンス召喚するので、(使徒)と(クイーンマドルチェ・ティアラミス)をリリース!覚醒せよ!(真竜剣皇マスターP)!墓地へ送られた(使徒)の効果発動!お前の(マドルチェ·サロン)を破壊!更に(剣皇マスターP)の効果発動!墓地の(使徒)を除外して、(マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード)を破壊!」

 

 フィールドに降り立つ純白の竜騎士。その手に握る剣を一閃させ、お菓子の国の王女を両断した。

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(黄金郷エルドリッチ)、(マスターP)、(ダイナマイトK)でダイレクトアタック!」

 

 3体のダイレクトアタックが決まり、最後のダークネスを討ち倒した。

 

鏡介

 「ふぅ〜透子、そっちの調子はどうだ?」

 

透子

 「こっちもさっき終わったところです!しかしキリがありませんよ!」

 

 ダークネスとの戦闘が始まってどれぐらいの時間が経っただろう。十代の言葉を借りるなら、ぶっ潰しても、ぶっ潰してもミスティーは湧いてくる。

 

透子

 「あ、そういえば吹雪さんは大丈夫なのでしょうか……無事だと良いのですが……」

 

 唐突に吹雪さんの無事を案じる透子。他にも居た気がするんだが……なんだったか。

 

ゴルド

 「お困りのようやなぁ!」

 

 豪快に斧を振るいミスターTを2体ほど両断した(ゴルド)、その側では(シルバ)が手に持つ双剣でミスターTを切り裂いていた。

 

ゴルド

 「昨日ぶりやなぁ鏡介の旦那!話はさっき聞いたで!ワイらに任せて先に行きや!」

 

シルバ

 「なに、俺等とて生半可な実力はしていない。必ず帰って来てやる」

 

鏡介

 「助かる!行くぞ透子!」

 

 俺は透子の手を取りアカデミアを走る。吹雪さん……一体どこに……

 

 

 

〜 エントランス 〜

 

 アカデミアを駆け回っていると、エントランスにたどり着いた。そこに、吹雪さんの姿がありました。

 

鏡介

 「吹雪さん!」

 

吹雪

 「鏡介君、それに透子君!無事だったんだね!」

 

 声をかけると、安堵した様子で返事する吹雪さん。

 

吹雪

 「2人が無事で良かった……でもそれ以外にも居たはずなんだ……思い出せない……忘れたくなかった大切な仲間が……でも、これを使えばきっと……」

 

 吹雪さんが握るのは、ダークネスの仮面。これで一時的にダークネスの世界へ行く訳ですね?

 吹雪さんが仮面を付けると、闇のオーラの様な者を発して何処かへ消えてしまいました。

 

鏡介

 「よし、俺らは一休みだ。いつダークネスが来るか分からないから、休める時に休まないとな」

 

 鏡介はそう言って、スポーツドリンクとサンドイッチを1つずつ渡してきました。そういえば吹雪さんを探している時に少し寄り道しましたがその為でしたか……。

 

 渡されたサンドイッチの袋を開けて口へ運びます。味は……卵パンですか。無難な美味しさですね。

 

 渡されたスポーツドリンクを開けて口の中のサンドイッチを流して軽食は終わりです。

 

 ふと鏡介の方を見ましたが、すでに食事は終わっていました。今は耳に手を当て通信している様です。

 

鏡介

 「戦況は芳しくない……か……透子。ジャスティス·ワールド方面はどうか(グラファ)に聞いて見たが、(裁き)と(戒め)をフル投入してなんとかミスターT軍団を押し留めている状況らしい。こっちには戦力を回せないようだ」

 

 そうですか……尚更早くこの事態を収束させたいのですが……親玉が出てこないんですよね……

 

 そんな事を考えていると、吹雪さんが息を切らして帰ってきました。

 

透子

 「吹雪さん!大丈夫ですか!」

 

吹雪

 「あぁ……思い出したんだ……万丈目君に翔君、そして明日香の事も。皆ダークネスに呑まれ、希望を奪われ心を折られていた……これがダークネスのやり方なんだ……」

 

 万丈目さんに翔さん、明日香の事も、私達は言われるまで完全に忘れていました。ダークネスに負けると負けた人は全ての人の記憶から消えてしまう……もし……もしも鏡介が負けたら私も……

 

透子

 「嫌……嫌です!大切な……大切な人、鏡介の事なんて忘れたくありません!」

 

鏡介

 「透子……少し我慢しろ、少しでも俺が居たという証を……お前に遺す」

 

 鏡介がそう言うと、後ろから抱かれた感触と同時に、うなじに鋭い痛みが全身に走りました。

 

透子

 「い、痛い!痛いぃ!」

 

鏡介

 「ごめんな。でもこれで俺の事を忘れたとしても、誰か愛する人がいたっていう事実は残る筈だから……」

 

 痛みが鎮まると、打って変わって噛まれた所から暖かな感覚が身体中に広がっていくのを感じます。

 

鏡介

 「ほら、噛みな。そうすれば俺もお前の事を忘れないからさ」

 

 私に抱きついたまま、左腕を私の前に差し出す鏡介。こんな事をするカップルは、きっと私達だけでしょうね。

 

 私は持てる限りの力を使って鏡介の左腕に噛みつきました。口の中に広がる微かな鉄の味。ハッとして噛み傷を見ると、はっきりと私の歯型が残り、少し出血したのか血が少し滲んでいました。

 

鏡介

 「っ痛ぇ……そこまで噛まなくても良いだろうに……まぁ、それも透子の愛かな」

 

吹雪

 「確かに……それも愛の形かもしれない……間違いなく少数だろうけどね」

 

 愛……これが私達の愛の形。フフッ、ダークネスとの戦いの最中なのに、幸せな気持ちになってしまいます。

 

吹雪

 「幸せそうな所で申し訳ないが……ダークネスが来たぞ!僕はアカデミアから出てダークネスの親玉を相手する!着いてくるんだ!」

 

 周りを見渡すと、大量のミスターTが私達を取り囲んでいました。その数は……下手したら100行くかもしれません。

 

鏡介

 「吹雪さん!俺が突破口を開きます!透子もそれに続け!」

 

透子

 「そ、そんな事したら鏡介が!私も」

 

鏡介

 「いいから早く行けぇ!お前は吹雪さんを守る使命がある!さっさと行けぇ!」

 

 鏡介の鬼気迫る表情を見て、彼の必死さを瞬時に察しました。行くしか……ないですね……

 

透子

 「ッ……分かりました。必ず帰ってきて下さい!」

 

 吹雪の手を取り玄関へ走ると、目の前にはミスターTが3人。しかし直様後ろから魔力弾が放たれ黒いカードとなって散っていきました。

 

鏡介

 「お前らの相手はこの俺だぁ!俺が立っている限り、絶対にここは通さねぇ!」

 

 鏡介の勇ましい声を聞いて、私達はアカデミアから脱出しました。

 

 

〜 アカデミア前 〜

 

 玄関から飛び出すと、そこには大量のダークネスの姿が。しかし吹雪さんは気にすることなくダークネスの真ん中へ歩み始めました。それにしてもダークネスの動きが無くて不気味です。

 

吹雪

 「さぁ出て来い!ダークネス!僕の記憶を奪ってみせろ!」

 

 吹雪さんがそう言うとダークネスの6割程消えて、黒いコートと黒い仮面を付けた一人の男性が現れました。

 

吹雪

 「お前がダークネスか!僕はお前を許さない!」

 

ダークネス

 「君の挑戦を祝福しよう。天上院吹雪」

 

吹雪·ダークネス

 「デュエル!」

 

ダークネス

 「先攻は僕。ドロー!」

 

ダークネス 手札5→6

 

ダークネス

 「僕は(クリアー·ファントム)を召喚。そしてフィールド魔法(クリアー·ワールド)を発動!」

 

ダークネス 手札6→5→4

 

 ダークネスのフィールドに、透明な結晶に包まれた亡霊が現れ、4つの巨大なクリスタルのみが宙に浮かぶ不思議な世界へと変化しました。

 

ダークネス

 「(クリアー·ワールド)はお互いのモンスターにネガティブエフェクトを与える。しかし、(クリアー·ファントム)は属性を持たない。カードを2枚セットしてターンエンド」

 

ダークネス LP4000 手札2 伏せ2

 

クリアー·ファントム 攻1200

 

クリアー·ファントム(アニメオリカ)

レベル3/闇属性/悪魔族/攻撃力1200/守備力800

このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、このカードの属性は「闇」として扱わない。

攻撃表示のこのカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。その後、相手のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

クリアー·ワールド(アニメ版)

フィールド魔法

フィールド上に表側表示で存在するモンスターの属性によって、そのモンスターのコントローラーは以下の効果を適用する。

●光属性:自分は手札を公開し続けなければならない。

●闇属性:自分は攻撃宣言をする事ができない。

●地属性:自分のエンドフェイズ時に自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

●水属性:自分のエンドフェイズ時に自分は手札を1枚捨てる。

●炎属性:自分のエンドフェイズ時に自分は1000ポイントのダメージを受ける。

●風属性:自分は魔法カードを発動できない。

 

 属性毎にデメリットを与えるフィールド魔法……それがあのダークネスの戦略ですか。となると送り付けられる(ラヴァゴーレム)とかに警戒が必要ですね。

 

吹雪

 「僕のターン!ドロー!」

 

吹雪 手札5→6

 

吹雪

 「(強欲で金満な壺)を発動!エクストラデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!そして(レッドアイズ·インサイト)を発動!デッキから(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)を墓地へ送り(真紅眼融合)を手札に加える!」

 

 吹雪 手札6→5→7→6→7

 

吹雪

 「(真紅眼融合)発動!デッキから(真紅眼の黒竜)と(真紅眼の凶星竜−メテオ・ドラゴン)を墓地へ送り融合!来い!(流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン)!効果発動!デッキから(真紅眼の飛竜)を墓地へ送り、その攻撃力の半分のダメージを与える。(真紅眼の飛竜)の攻撃力は1800。よって900のダメージを与える!」

 

 放たれる小粒な……それでも人の頭ぐらいはありそうな隕石がダークネスに降り注ぎました。

 

ダークネス LP4000→3100

 

吹雪 手札7→6

 

 現れた流星竜。しかし、その身体が紫色色の光に包まれました。

 

ダークネス

 「(流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン)は闇属性。(クリアー·ワールド)の効果によって攻撃出来ない。個を持つから流される。個性など必要ない!」

 

吹雪

 「クッ……僕はモンスターをセット。カードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

吹雪 LP4000 手札3 伏せ2

 

流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン 攻3500

 

ダークネス LP3100 手札5 伏せ2

フィールド(クリアー·ワールド)

 

クリアー·ファントム 攻1200

 

ダークネス

 「僕のターンドロー!」

 

ダークネス 手札5→6

 

ダークネス

 「(手札断殺)を発動。お互いに2枚墓地へ送り2枚ドロー!」

 

ダークネス 手札6→5→3→5

 

吹雪 手札2→0→2

 

ダークネス

 「永続トラップ(メモリー・スナッチャー)を発動。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は相手の墓地のカードを確認できない。過ぎた事は忘れてしまえばいい」

 

 墓地の確認を封じるカード?随分と影響力が少ないカードですね。

 

ダークネス

 「魔法カード(復活の福音)を発動、墓地よりいでよ!(クリアー·バイスドラゴン)!」

 

 出てきたのは、結晶に包まれたドラゴン。クリアーモンスターは結晶に引きこもっているのが特徴のモンスターなんですね。しかし攻撃力0……何かありそうですね。

 

ダークネス 手札5→4

 

ダークネス

 「(クリアー·バイスドラゴン)は相手モンスターに攻撃する場合、ダメージ計算時のみ攻撃力が攻撃対象にしたモンスターの攻撃力の倍になる。(流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン)の攻撃力は3500。よって攻撃力は7000となる!」

 

 必ず攻撃したモンスターの攻撃力分のダメージを与えるモンスター。結構凶悪ですね……ん?これ(クリアー·ファントム)の攻撃が入ったら吹雪さんのLP残りませんよ!?

 

ダークネス

 「バトルだ!(クリアー·バイスドラゴン)で(流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン)を攻撃!」

 

 水晶から出てきたドラゴンは闇のブレスを放ち、容易く(流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン)を破壊。周囲に猛烈な爆風を巻き起こしました。

 

吹雪 LP4000→500

 

吹雪

 「トラップ発動!(レッドアイズ·スピリッツ)!墓地のレッドアイズを特殊召喚出来る!特殊召喚するのは………」

 

 目を見開き沈黙する吹雪さん。早く宣言して下さい。心臓に悪いです。

 

ダークネス

 「どうした?もし宣言出来なければ、その効果は無効となる。もし墓地を確認しようにも、(メモリー・スナッチャー)がそれを許さない」

 

 よく見るとダークネスの目が青く光っています。もしかして……何か洗脳の類なのでしょうか。それならそれに対応出来るカードがあった筈……ええと……

 

吹雪

 「クッ……汚い真似を!」

 

ダークネス

 「それは言いがかりだ。僕は君の心を移しただけだ。吹雪、君は自身を闇に落としたダークネスを酷く憎んでいる。憎しみが膨らむ余り、そのデッキにも憎しみを抱いたのさ!」

 

 あっ、ありました!早速発動です!

 

透子

 「永続トラップ(洗脳解除)発動!さぁ吹雪さん!高らかに宣言して下さい!貴方のモンスターの名を!」

 

吹雪

 「……!思い出した!僕が宣言するのは(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)!」

 

 墓地から飛びたった金属質なレッドアイズ。その攻撃力は2800。(クリアー·ファントム)では超えられません。

 

ダークネス

 「チィ!小癪な!俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

ダークネス LP3100 手札3 伏せ2

フィールド(クリアー·ワールド)

 

クリアー·バイスドラゴン 攻0

クリアー·ファントム 攻1200

 

吹雪 LP500 手札3 伏せ1

 

レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン 攻2800

 

吹雪

 「ありがとう透子君。僕のターンドロー!」

 

吹雪 手札3→4

 

吹雪

 「(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)の効果発動!1ターンに1度、(レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン)以外のドラゴン族を墓地から特殊召喚する!現われろ!(真紅眼の黒竜)!」

 

 金属質な竜の咆哮により、蘇る(真紅眼の黒竜)。その目はその名の通り紅く、主の敵を焼き払うべく口内に炎を湛えています。

 

吹雪

 「(黒炎弾)を発動!(真紅眼の黒竜)の攻撃を放棄する代わりに、相手に(真紅眼の黒竜)の元々の攻撃力分のダメージを与える!やれ!(真紅眼の黒竜)!」

 

 (真紅眼の黒竜)が放つ火炎弾がダークネスに炸裂し大爆発。その爆風は、ダークネスからかなり遠くにいた私にも飛んできました。

 

ダークネス LP3100→700

 

 ダークネスの仮面が激しく割れ、隠された顔の大部分が明らかになりました。

 

透子

 「あれ……あの顔は、確か藤原さん……でしたっけ?」

 

吹雪

 「そうだろうとは思っていた……ダークネスのカードを持つ僕以外の人間は……藤原しかいない」

 

藤原

 「ああそうだ。僕はダークネスの世界と1つになり、究極の勝利を手に入れた。(クリアー·ワールド)はその一端と言っていい」

 

 周囲を見渡しても、あるのはただ白い景色と4つの水晶のみ。こんな味気ない世界が究極の勝利なのでしょうか……

 

藤原

 「ダークネスの世界は憎しみも苦しみも、喜びも無い。あるのはそこ抜けた一体感だけだ。全ての知性と感情が1つとなり、悲しみも喜びも分かち合う。それこそが人生の勝利!戦う事なく得られる究極の勝利なんだ!素晴らしい世界だろう!」

 

 何を言っているのか……全く、これっぽっちも入って来ません。ただ分かるのは、そこに愛は無いだろうという事です。

 

 私は彼……鏡介に告白されてから、もう彼と共に居たいとしか願えなくなりました。もしそれを阻む事があるならば、私が持てる全ての力を使って止めます。たとえそれが世界の神であろうとも。

 

吹雪

 「個性を捨てろ?みんなと1つとなれ?こんな……こんな下らない事をする為にダークネスに堕ちたのか藤原!僕は君の純粋さが、君の頂点を目指す姿勢が眩しく、そして美しく感じた!なのにこんな、こんな世界を得るために孤高の天才である君はダークネスなんかに堕ちたのか!」

 

 珍しく息を荒げる吹雪さん。大切な友人が大きく道を踏み外したのですから、まぁそうなるのでしょう。

 

藤原

 「ダークネスの一端を得たお前がその程度の理解とは……残念だよ」

 

吹雪

 「藤原!絶対に僕はこの身に代えてでも、君をダークネスから救い出して見せる!伏せていた(真紅眼の鎧旋)を発動!(手札断殺)で墓地へ送られた、墓地のレッドアイズ通常モンスター(真紅眼の凶星竜−メテオ・ドラゴン)を特殊召喚!そして再度召喚!これでレッドアイズは戦闘·効果で破壊されない!僕はカードを1枚セット。これでターンエンド!」

 

吹雪 LP500 手札3 伏せ1

 

レッドアイズ·ダークネスメタルドラゴン 攻2800

真紅眼の黒竜 攻2400

真紅眼の凶星竜−メテオ・ドラゴン 守2000

 

真紅眼の鎧旋

 

ダークネス LP3100 手札3 伏せ2

フィールド(クリアー·ワールド)

 

クリアー·バイスドラゴン 攻0

クリアー·ファントム 攻1200

 

藤原

 「僕のターンドロー!」

 

藤原 手札3→4

 

藤原

 「吹雪……どうやら君の願いは叶うことは無いようだ。僕は手札から永続魔法(クリアー·エンドキャノン)を発動。そして(クリアー·サクリファイス)を発動!墓地の(クリアー·キューブ)と(クリアー・ヴィシャス・ナイト)を除外して生贄の代わりにする!いでよ!(クリアー·デスペアー・ドラゴン)!」

 

 2体の水晶籠もりモンスターを除外して現われたのは、水色を基調としたドラゴン。珍しく水晶に籠もっていないですね。

 

藤原 手札4→3

 

クリアー·デスペアー・ドラゴン(未OCG)

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

このカードの属性は「闇」として扱わない。

このカードは相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない時、相手プレイヤーを直接攻撃する事が出来る。

このカードは相手モンスターと戦闘を行う時、相手に与える戦闘ダメージは0になる。

このカードが相手モンスターに攻撃を行う時、バトルフェイズ中、このカードの攻撃力は2倍になる。

このカードが相手のカードの効果によって手札またはデッキから墓地に送られた時、このカードをフィールド上に特殊召喚できる。

 

藤原

 「さぁ、君に引導を渡そう。(クリアー·エンドキャノン)の効果を発動。フィールドのレベル7以上のモンスターを生贄にすることで、生贄にしたモンスターの攻撃力の半分のダメージをお前に与える!(クリアー·デスペアー・ドラゴン)の攻撃力は2500!よって1250のダメージを受けてもらう!」

 

 水晶に籠もっていない竜が消え、藤原さんの右腕に顕現した巨大なガトリング砲。銃身が高速で回転し、水色の銃弾をばら撒き吹雪さんの身体を貫きました。

 

吹雪 LP500→-750

 

十代

 「吹雪さん!」

 

 LPが0になったタイミングでやってきた十代さんとヨハンさん。来るのが余りにも遅すぎました。

 

 吹雪さんはダークネスに取り込まれ、黒いカードの束となって消えてしまいました。

 

十代

 「お前は……藤原優介!ダークネスの世界に入った男!」

 

藤原

 「如何にも。十代、ヨハン、そして透子。三人がかりでかかって来るといい。ダークネスの世界へ案内しよう!」

 

 ダークネスの世界なんてごめんですね!貴方を倒せばこの異変は解決するんですからなんとしても倒します!

 

 私は十代さんとヨハンさんの隣へ移動し、デュエルディスクを展開しました。

 

藤原·十代·ヨハン·透子

 「デュエル!」




感想、心よりお待ちしております。クリアーのカードが足りてなかったので、アニメにも登場してないカードを投入しました。


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45.クリアー·ワールド!憤激する光

 

 

藤原

 「先攻は僕だ!ドロー!」

 

藤原 手札5→6

 

藤原

 「俺は(クリアー・レイジ・ゴーレム)を召喚!更に(おろかな埋葬)を発動!デッキから(クリアー·バイスドラゴン)を墓地へ送り、カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

 一人称が僕から俺に変わってます。本気ってことなのでしょうか。

 

 

藤原 LP4000 手札1 伏せ3

 

クリアー・レイジ・ゴーレム 攻1600

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

ヨハン LP4000 手札5 伏せ0

 

 

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

 手札はまぁ可もなく不可もなく。バトルロワイヤルルールでは、お互いの1ターン目は攻撃出来ません。ここは手札を増やすつもりで行きましょう

 

透子

 「(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ミネルバ)さんを墓地へ送り、2枚ドローして2枚墓地へ!墓地へ送られた(ミネルバ)さんの効果発動!デッキトップを1枚墓地へ!(光の援軍)を発動!デッキトップ3枚を墓地へ送り、ライトロードモンスター(ルミナス)さんを手札に!」

 

 (ソーラー·エクスチェンジ)で送られたのは……(隣の芝刈り)、(ガロス)さん。(ミネルバ)さんで送られたのは(サウザンド·ブレード)。(光の援軍)で送られたのは(ゼピュロス)、(シラユキ)、(ライコウ)さん。

 

透子 手札6→5→4→6→5→6

 

透子

 「私は(ルミナス)さんを召喚!効果発動!手札の(グラゴニス)さんを墓地へ送り墓地のライトロードを特殊召喚!来て!(ライトロード·ウォリアーガロス)!」

 

透子 手札6→5→4

 

透子

 「墓地の(ゼピュロス)の効果発動!(ルミナス)さんを手札に戻して特殊召喚して400ダメージ!ダメージを受けた事で(サウザンド·ブレード)の効果発動!墓地から特殊召喚!そして(ゼピュロス)と(サウザンド·ブレード)でオーバーレイ!ランク4!破滅の闇を打ち払う光となれ!(ライトロード·セイントミネルバ)!」

 

 銀河の渦より降臨する、かつては私と同じぐらいの身長のあどけない女の子。しかし今や守護天使として成長し、慈悲深い綺麗な女性になりました。

 

透子 LP4000→3600 手札4→5

 

透子

 「(セイントミネルバ)の効果発動!素材の(ゼピュロス)を取り除き、デッキトップ3枚を墓地へ送り、送られたライトロードカードの数だけドロー!」

 

送られたのは……(フェリス)さんと(セフィロン)、(神域)!

 

透子

 「送られたライトロードカードは2枚!よって2枚ドロー!更に(フェリス)さんと(ガロス)さんの効果をチェーン組んで発動!(ガロス)さんはライトロードモンスターが効果でデッキからカードが墓地へ送られると追加で2枚墓地へ!そして送られたライトロードモンスターの数だけドロー!そして(フェリス)さんはライトロードモンスターの効果で墓地へ送られると自己蘇生します!」

 

 (ガロス)さんで送られたのは……(ゾンビ·キャリア)と(隣の芝刈り)!

 

透子 手札5→7

 

透子

 「(フェリス)さんの効果発動!リリースして(クリアー・レイジ・ゴーレム)を破壊!その後3枚墓地へ!」

 

 (フェリス)さんの放つ矢が水晶を突き破り中のゴーレムを粉砕。体操選手も唸りそうなバク宙で墓地へと入っていきました。

 

(フェリス)さんで送られたのは……(ファイターライコウ)さん、(エイリン)さん、(混沌領域)。

 

透子

 「更に(ガロス)の効果発動!追加で2枚!」

 

 送られたのは……(ソーラー·エクスチェンジ)と(シャーマンルミナス)。

 

透子

 「送られたカードは1枚!よって1枚ドロー!ここまでですかね……私はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

透子 LP3600 手札6 伏せ2

 

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000 素材1

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

ヨハン LP4000 手札5 伏せ0

 

藤原 LP4000 手札1 伏せ3

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

十代

 「(融合)発動!手札の(スパークマン)と(バーストレディ)で融合!(始祖竜ワイアーム)!カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

十代 LP4000 手札3 伏せ1

 

始祖竜ワイアーム 攻2700

 

ヨハン LP4000 手札5 伏せ0

 

藤原 LP4000 手札1 伏せ3

 

透子 LP3600 手札6 伏せ2

 

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000 素材1

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

 

ヨハン

 「俺のターンドロー!」

 

ヨハン 手札5→6

 

ヨハン

 「(虹の架け橋)を発動!デッキから宝玉魔法・罠カード1枚を手札に加える。加えるのは(宝玉の絆)!そして発動!デッキから(宝玉獣)モンスター1体を手札に加え、そのモンスターとカード名が異なる(宝玉獣)モンスター1体をデッキから選び、宝玉にする!加えるのは(サファイア·ペガサス)。更に(アメジスト·キャット)を宝玉にする!」

 

ヨハン 手札6→5→6→5→6

 

ヨハン

 「(宝玉獣サファイアペガサス)を召喚!効果発動!デッキから(エメラルドタートル)を宝玉にする!カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

ヨハン LP4000 手札4 伏せ1

 

宝玉獣サファイアペガサス 攻1800

 

宝玉獣エメラルドタートル

宝玉獣アメジストキャット

 

藤原 LP4000 手札1 伏せ3

 

透子 LP3600 手札6 伏せ2

 

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000 素材1

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

 

十代 LP4000 手札3 伏せ1

 

始祖竜ワイアーム 攻2700

 

藤原

 「俺のターンドロー!」

 

藤原 手札1→2

 

 ドローカードを見た藤原さんが歪んだ笑みを浮かべました……来ますね。あのカードが。

 

藤原

 「フィールド魔法(クリアー·ワールド)を発動!更に伏せていた(フィールド·バリア)を発動!」

 

 再び展開される何もない空間。私のフィールドには光属性のモンスターが……一体どんな効果を与えるのでしょうか……

 

藤原 手札2→1

 

藤原

 「十代のフィールドの(ワイアーム)は闇属性。よって十代は攻撃出来ない。ヨハンの(サファイアペガサス)は風属性。魔法カードの発動が出来ない。ライトロードモンスターは全て光属性。よって手札を公開しなければならない」

 

 光属性はピーピングですか……意外とダメージは無い。強いて言うなら(マインドクラッシュ)が怖いぐらいですね。

 

透子の手札

トワイライトロード·ジェネラルジェイン

ジェット·シンクロン

ライトロード·サモナールミナス

混沌の創世神

H.Cサウザンドブレード

ギャラクシー·サイクロン

 

藤原

 「俺は(ヨハン)の(サファイアペガサス)をリリース!行け!(雷撃壊獣サンダー・ザ・キング)!」

 

 (サファイアペガサス)が苦しげな声を上げ、全身が破られて3頭の頭を持つ竜が現れました。

 

藤原

 「更に(復活の福音)を発動!墓地のドラゴン族を復活させる!いでよ!(クリアー·バイスドラゴン)!」

 

藤原 手札1→0

 

 墓地から復活する水晶籠もりのドラゴン。あれで(サンダー・ザ・キング)を攻撃すると3300ダメージ!?

 

藤原

 「永続トラップ(ゼロ·スプライト)発動!(クリアー·バイスドラゴン)の攻撃力を0にして2回攻撃を可能にする!だがそもそも(クリアー·バイスドラゴン)の攻撃力は元々0だ!更にトラップ発動!(肥大化)!相手の表側表示モンスター1体を対象として発動でき、そのモンスターの攻守は倍になり直接攻撃できない!これにより(雷撃壊獣サンダー・ザ・キング)の攻撃力は6600となり、(クリアー·バイスドラゴン)の攻撃力は13200となる!」

 

 1万3200!?圧巻の攻撃力ですね!でも大丈夫です。ヨハンさんならきっと凌いでくれます!

 

藤原

 「バトルだ!(クリアー·バイスドラゴン)で(雷撃壊獣サンダー・ザ・キング)に攻撃!クリーン・マリシャス・ストリーム!」

 

ヨハン

 「ッ!速攻魔法発動!(禁じられた聖槍)!(サンダー・ザ・キング)の攻撃力を800下げる!」

 

雷撃壊獣サンダー・ザ・キング 攻3300→6600→5800

 

藤原

 「無駄だ!それでも(サンダー・ザ・キング)の攻撃力は5800!(クリアー·バイスドラゴン)の攻撃力は11600となる!クリーン・マリシャス・ストリーム!」

 

 水晶籠もりの竜が放つブレスに呑まれた膨れた機械の竜は、凄まじい爆発を起こしてヨハンさんを吹き飛ばし、その後ヨハンさんが起き上がる事はありませんでした。

 

ヨハン LP4000→-1800

 

十代

 「クッ……まさかこうも簡単にヨハンが倒されるなんて……透子!仇を討つぞ!」

 

 はい!これ以上被害が出ない様に、次の私のターンで決めてみせます。

 

藤原

 「まだだ!(クリアー·バイスドラゴン)で(始祖竜ワイアーム)に2回目の攻撃!クリーン·マリシャスストリーム!」

 

十代

 「トラップ発動!(ガード·ブロック)!相手の戦闘ダメージ計算時に発動し、その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする!」

 

十代 LP4000 手札3→4

 

 薄いバリアが、水晶籠もりの竜のブレスを弾きました。

 

藤原

 「俺はこれでターンエンドだ。(フィールド·バリア)により、俺の(クリアー·ワールド)は破壊させずお互いにフィールド魔法を発動出来ない。この素晴らしい世界を壊させはしない!」

 

藤原 LP4000 手札0 伏せ0

フィールド(クリアー·ワールド)

 

クリアー·バイスドラゴン 攻0

 

フィールド·バリア

ゼロスプライト(クリアー·バイスドラゴン)

 

透子 LP3600 手札6 伏せ2

 

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000 素材1

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

 

十代 LP4000 手札4 伏せ0

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札6→7

 

 鏡介。見ていますか?私は、今ここでダークネスに囚われた藤原さんを救い出し……て……

 

 ふと藤原さんに目を向けると藤原さんの目は青く輝いていて、私の中で何か大切な物が消えた感覚がしました。

 

 私は……誰かにダークネスを倒す事を伝えたかった筈……誰に?

 

十代

 「透子!どうした!しっかりしろ透子!」

 

藤原

 「無駄だ!彼女は大切な人の記憶を失った。もう立ち直る事は出来まい!」

 

 忘れたくない。忘れたくなかった筈なのに全く思い出せないあの人の顔。一緒に人生を歩もうと誓ったのに……

 

 項垂れた瞬間にズキリと痛む首筋。ふと手を這わせると、人の歯型の様な痕があるのが分かりました。

 

 なんで首筋に噛み傷なんて……でも暖かくて……幸せな感じがします。

 

 ダークネスは人の記憶を奪う力があります……つまり……私が大切にしていた……愛していた人を、目の前の人が奪ったって事ですよね。

 

 それに気づいた瞬間。心の中から真っ黒なナニカが湧いてくるのを感じて私の理性は千切れ飛びました。

 

 

 

〜〜〜

 

十代

 「透子!返事をしてくれ!透子!」

 

 透子が沈黙してそれなりの時間が立っている。時間にしたら十数秒なんだろうけど、俺にとっては10分はかかっている感覚がする。

 

透子

 「ダークネス……私は貴方達を……絶対に許さない。必ずこの手で討ち滅ぼす」

 

 デュエルディスクを構えた透子の目から光が消えて、代わりにドス黒い殺意に満たされ、背中から闇のオーラの様な物が静かに天へ登っているのが見える。

 

透子

 「永続トラップ(ラドリートラップ)発動。このカードは私が召喚·特殊召喚した場合に発動し、デッキトップを墓地へ送る。(セイントミネルバ)の効果発動。最後の素材を取り除き、3枚墓地へ」

 

 送られたのは……(トワイライトロード·マジシャンライラ)、(ライトロード·ビーストウォルフ)、(死者転生)。

 

透子

 「送られたライトロードカードは2枚。よって2枚ドロー。更に(ガロス)、(ウォルフ)の順番でチェーンを組んで効果発動。(ウォルフ)は自己蘇生、(ガロス)は追加で2枚墓地へ」

 

 送られたのは……(戒めの龍)、(ライトロード·アーチャーフェリス)か。

 

ドローしたカードは(ライトロード·シャーマンルミナス)、(死者転生)の様だ。

 

透子 手札7→9

 

透子

 「(フェリス)の効果にチェーンして(ラドリートラップ)の効果発動。1枚墓地へ送り(フェリス)を特殊召喚。更に1枚墓地へ」

 

 送られたのは(ライトロード·サモナールミナス)、(ライトロード·ウォリアーガロス)の様だ。にしても……透子の様子が変だ。まるで殺意に囚われているかのようだ。

 

ユベル

 『実際殺意に囚われているようだよ十代。恐らく奴は彼女の心の闇、“鏡介への盲愛”を突いて透子の無力化を狙ったんだろうけど、逆に彼女の逆鱗に触れたようだね。それにしても、首筋に噛み傷を付けて痛みで愛人を想起する。少し前の僕を見ている気分だ』

 

透子

 「私はレベル4の(ウォルフ)にレベル4の(フェリス)をチューニング。光と闇が交わりし時、混沌の驚異が訪れる。シンクロ召喚、(混沌魔龍カオスルーラー)。(ラドリートラップ)で1枚墓地へ送り効果発動。5枚捲って光か闇属性のモンスターを1枚手札に加えて残りを墓地へ送る」

 

捲られたカード

ジャスティス·ワールド

ライトロード·サモナールミナス

ライトロード·ハンターライコウ

ソーラー·エクスチェンジ

仁王立ち

 

透子

 「加えるのは(ライトロード·サモナールミナス)。残りを墓地へ送る。そして(死者転生)を発動。手札の(ジェット·シンクロン)を捨てて(戒めの龍)を手札に」

 

透子 手札9→10→9→8→9

 

透子

 「墓地の(シラユキ)の効果発動。墓地の(ルミナス)、(ガロス)、(ウォルフ)、(フェリス)、(グラゴニス)、(死者転生)、(光の援軍)を除外して特殊召喚。1枚墓地へ送り効果発動。(クリアー·バイスドラゴン)を裏側守備表示にする」

 

藤原

 「く、(クリアー·バイスドラゴン)が裏側守備表示だと!」

 

 墓地から舞い降りた。獣人の白雪姫。取り巻きの7人の小人は(クリアー·バイスドラゴン)にまとわりつき、カードへと変化させた。

 

透子

 「私は墓地の(ジェット·シンクロン)の効果発動。手札の(サウザンドブレード)を捨てて墓地から特殊召喚。1枚墓地へ送り、私はレベル4の(ガロス)にレベル4の(シラユキ)、レベル1の(ジェット·シンクロン)をチューニング」

 

 送られたのは2枚目の(フェリス)か。 透子がシンクロ召喚を宣言した瞬間に、耐え難い冷気がフィールドを支配した。この冷気、レベル9のシンクロモンスターと言ったら……アレしかない。

 

透子 手札9→8

 

透子

 「封印させし氷龍よ、今こそその封印解き放ち、絶対零度の息吹を以て大いなる巨悪を打ち払え。シンクロ召喚、(氷結界の龍トリシューラ)!」

 

 全身の毛が逆だつ様な甲高い咆哮を上げて現れた三つ首の龍。墓地へ送られたカードは(デビルズ·コメディアン)みたいだ。

 

透子

 「シンクロ召喚に成功した(トリシューラ)の効果発動。相手の手札、フィールド、墓地のカードを1枚選んで除外する。私は(クリアー·ワールド)、墓地の(復活の福音)を除外する。砕け散れ、フラッシュ·フリーズ」

 

 吹き荒れる吹雪の様なブレスにより、(クリアー·ワールド)と墓地の(復活の福音)が氷漬けになり砕かれた。

 

藤原

 「クッ……(フィールド·バリア)は破壊しか守れない、まさか(クリアー·ワールド)が突破されるなんて!」

 

 (クリアー·ワールド)が消え、アカデミアの前に景色が戻る。すると(トリシューラ)がアカデミアのドアめがけてブレスを放ち、完全に破壊してその周りを凍らせてしまった。まさか……(トリシューラ)も精霊付きのカードなのか!?

 

 (トリシューラ)は空高く舞い上がり、何処かへ飛んでいった。……完全に制御出来てる訳じゃないのか。

 

透子

 「……私は墓地の闇属性の(ゼピュロス)と光属性の(ライコウ)を除外して(混沌の創世神)を特殊召喚。デッキトップを1枚墓地へ送り(混沌の創世神)の効果発動。除外されている(ルミナス)、(フェリス)、(ウォルフ)の内一体、(ルミナス)を特殊召喚して残りをデッキに戻す。デッキから1枚墓地へ」

 

透子 手札9→8

 

送られたのは……(隣の芝刈り)と(混沌の創世神)だな。

 

透子

 「(カオス·ルーラー)と(混沌の創世神)でオーバーレイ。ランク8、(神竜騎士フェルグラント)。1枚墓地へ送り、効果発動。素材の(カオス·ルーラー)を取り除き、自身に完全耐性を付与する。(ルミナス)の効果発動。手札の(シャーマンルミナス)を捨てて(ライデン)を特殊召喚。1枚墓地へ送る」

 

 送られたのは……(戒めの龍)と(混沌領域)。そろそろデッキの枚数が少なくなって来たんじゃないか?

 

透子 手札8→7

 

透子

 「(混沌領域)を発動。手札の闇属性モンスター(トワイライトロード·ジェネラルジェイン)を捨てて通常召喚出来ない光属性モンスター(裁きの龍)を手札に加える」

 

透子 手札7→6→5→6

 

透子

 「私はレベル3の(ルミナス)とレベル4の(ライデン)でチューニング。光道の始祖よ、今ここに降臨せよ。大いなる闇を祓う光となりて。シンクロ召喚、(ライトロード·アークミカエル)。1枚墓地へ、送られた(ラドリートラップ)の効果発動。墓地の(戒めの龍)を手札に」

 

透子 手札6→7

 

透子

 「墓地にはライトロードモンスターが4体以上存在する時、このカードを特殊召喚出来る。光の使者が集いし時、白き巨龍が巨悪を裁く。飛来せよ、(裁きの龍)」

 

 フィールドには大量のシンクロ·エクシーズモンスター。更に(裁きの龍)。もうこれ透子だけで良かったんじゃないか?

 

透子

 「バトルフェイズ。(裁きの龍)でセットモンスターを攻撃、(セイントミネルバ)、(アークミカエル)、(フェルグラント)、そして(トリシューラ)でダイレクトアタック。消え失せろ」

 

藤原

 「こんな……馬鹿なぁぁ!」

 

(裁きの龍)が(クリアー·バイスドラゴン)を粉砕し、(アークミカエル)のブレス、(セイントミネルバ)の魔法、(フェルグラント)の斬撃、そして何処かへ飛んでいった筈の(トリシューラ)による過剰なダメージを受けて藤原は派手に吹き飛ばされた。

 

藤原 LP4000→2000→-600→-3400→-6100

 

十代

 「藤原ぁ!大丈夫か!」

 

 フィールドのモンスターが消えたのも厭わずに藤原に駆け寄った。大丈夫。息はしていそうだ。オネストも安堵の様子を浮かべて、粒子となって藤原の体に消えていった。

 

透子

 「十代……そこを退いて……あの人の……あの人の敵……を……」

 

 震える足で立ち、藤原を睨む透子。しかし次の瞬間膝がガクリと折れて地面へ倒れ伏した。

 

 慌てて駆け寄って脈を見たが、大分疲弊はしているようだけど息はあるようだ。

 

 安心した俺は、ふと空を見ると……カラレス模様で染まっていた。

 

カラレス

 『ダークネスを倒せたのか?』

 

 直接頭の中に……だがそんな事はどうでもいい。

 

十代

 「あぁ……透子が殆ど一人で仕留めてくれた。それよりも、この空はなんなんだ?」

 

カラレス

 『それは私が自身の身体で擬似的に精霊世界を作る事で出来る物だ。さっきまで暗黒界の子達と一部のライトロード達がダークネスと戦っていた。だが、一時的とはいえ(裁きの龍)や(ミカエル)が抜けた事でジャスティス·ワールドの戦線がほぼ崩壊した為に、(トリシューラ)と地上で戦っていた者達を送り返したのだ』

 

 (トリシューラ)……あんな力を持っていれば相当な数のダークネスを葬れるだろうな。

 

鏡介

 「ハァ……ハァ……もう全部終わっちまったのか?」

 

 声のした方を向くと、肩で息をしている鏡介の姿があった。

 

十代

 「鏡介?生きていたのか!」

 

鏡介

 「……なんとかな、ミスティーを80体ぐらい倒したタイミングで寒気がしてな、慌ててドアから離れたら途轍もない冷気が飛んできたんだ。それでダークネスが全滅したは良いもののドアが凍って出れなくなり、仕方なく裏口探して脱出したって訳さ」

 

 ミスターTを80人も……一体どんなデッキなんだ……真竜だったらすぐに罠が尽きる筈……

 

鏡介

 「それはさておき、(カラレス)様、ジャスティス·ワールドの戦況はどうなんだ?」

 

カラレス

 『(トリシューラ)を送り込んだ事で、なんとか戦線は復活した。しかし、戦線復活の代償として(ベージ)や(スカー)といった下級暗黒界達の大部分が犠牲になってしまった。そろそろ私も、ジャスティスワールドを巻き返しに向かうとする』

 

鏡介

 「あぁ、ご武運を」

 

 空からカラレス模様が消えると、そこには日蝕がもうすぐ完成しようとしていた。

 

 それにしても……ジャスティスワールドは確か透子がライトロードデッキで使っていたカード。精霊世界でもモンスターは戦っていたんだな……

 

鏡介

 「なぁ、十代。ダークネスの親玉ぶっ倒したみたいだけどさ、世界は元に戻ってないよな。あの日蝕が完成したら何か起こるんじゃないか?」

 

十代

 「そうかもしれないな……じゃあ、その時を待とうか」

 

 俺はデュエルディスクを構えながら、鏡介は透子を抱きかかえながら、その時を待った。




おとなしい子ほど怒らせると怖いの典型でしたね。感想を心よりお待ちしております。


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46.別世界の支配者ダークネス!

影の薄いラスボスことダークネス戦です。はたして彼のテーマがOCG化されるのはいつになるのでしょうか?


 

 

 藤原を倒して大体10分ぐらい経過した時、遂に日食が完成した。

 

鏡介

 「さぁ……何が起こる?」

 

 日食が完成するまでにダークネス……藤原とのデュエルを十代から聞いた所、透子の大ソリティアでほぼ全てを解決してしまったそうだ。なんでも俺との記憶が奪われた事で激しく激昂したそうだ。

 

 愛されてるな……俺。半分ヤンデレみたいなもんだが嫌にはならない。きっと俺も大体同じ様なもんだからな。

 

 日食が完成すると、少しずつ日食がこっちに近づいているのか大きくなっていく。そして、日食の方から声が聞こえてくる。

 

??

 「我が名はダークネス。遊城十代……時は満ちた。今決着の時」

 

 おうおう、俺は無視かよ。そりゃあ覇王の力とかは無いけどさ。

 

十代

 「何処だ!正体を見せろ!ダークネス!」

 

 十代が吠えると、日食が更に急接近。日食から大量の黒い液体が噴出し収束。骸骨頭の黒いローブを着たデカブツが姿を現した。

 

ダークネス

 「我こそはダークネス。もう1つの真実。もう1つの世界そのもの」

 

大徳寺先生

 『十代君、感じるにゃ。あの球体の中に私と同じ多くの思念を感じるのにゃ』

 

十代

 「なんだって!それじゃああそこにいるのか!万丈目や吹雪さんが!」

 

ダークネス

 「そう。汝の探す者達は我が世界にいる」

 

 つまり……あの日蝕の中にミスティーにやられた奴らがいるってことか。

 

十代

 「ダークネス!お前は何が望みだ!世界を乗っ取る事か!」

 

ダークネス

 「望み?望みなど無い。我は世界の理によってのみ動く者。多くの人間が我が世界に来たのは、水が上から下へ流れる如く自然の理である」

 

 つまり……俺たちは今から自然そのものに挑むってわけか。スケールデカすぎて着いていけねぇよ。

 

ダークネス

 「汝、その者達の苦悩を知らず。その身体で知るがいい」

 

 ダークネスは指から黒い稲妻が放たれ、十代と俺の眉間を貫いた。

 

 なんだこれ!?スゲェ量の情報が流れ込んでくる!気が狂いそうだ!

 

 濁流の様に流れてくる情報を必死に理解して要約すると、元々世界は1枚のカードから生まれ、ダークネスはそのカードの裏側から生まれた世界らしい。

 

 更にデュエルマスターズは人の心を映す鏡となり、デュエリストが負の思いを溜め込んだ事でダークネスが顕現したって事のようだ。

 

 世界は1枚のカードから生まれたって……カードゲームのアニメとはいえ……いくらなんでもぶっ飛び過ぎだろ……

 

 情報の濁流が途切れたと思ったら、横で十代の目がオッドアイズと化していた。オカルトパワーで掻き消してくれたのか。ありがとうな十代。

 

十代

 「ふざけるな!じゃあなんだ!デュエリストの心が汚れたからお前が現れたのか!」

 

ダークネス

 「その通り、流れ出した濁流は止められない。我はそなた等を抹殺する。世界の始まり、デュエルモンスターズで!」

 

鏡介

 「ようやく俺にも理解出来る事になった!力を貸すぞ十代!バトルロイヤルルールでダークネスを倒すぞ!」

 

十代

 「ああ!行くぞ!」

 

十代·鏡介·ダークネス

 「デュエル!」

 

ダークネス

 「我のターン」

 

ダークネス 手札5→6

 

ダークネス

 「我は(ダークネス·アイ)を召喚。そしてフィールド魔法(ダークネス)を発動。その効果により、手札·デッキから5枚のカードをセットする」

 

 フィールドに現れる目玉だけのモンスター。そして増殖する5枚のカード。大分変わったデッキだな。ん?待て、“5枚のカード”を言葉通りに解釈するなら好きなカードを5枚デッキからセット出来るって意味では?とんだぶっ壊れだなおい!

 

ダークネス LP4000 手札4 伏せ5

フィールド(ダークネス)

 

ダークネス·アイ 攻0

 

十代 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

十代

 「1ターンで一気に5枚の伏せカードを……俺のターンドロー!」

 

十代 手札5→6

 

十代

 「バトルロイヤルルールにより、1ターン目は攻撃出来ない。俺は手札の(沼地の魔神王)を捨てて効果発動!(融合)を手札に加えて発動!手札の(クレイマン)と(フェザーマン)で融合!(始祖竜ワイアーム)!カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

ダークネス

 「ならば永続トラップ発動!(虚無)!フィールド魔法(ダークネス)が存在している時に、更に永続トラップ発動(無限)!(虚無)と(無限)の間に存在するカードを連動して発動する!発動せよ、(ダークネス1)、(ダークネス2)!」

 

 どうやら奴のデッキはフィールド魔法(ダークネス)で大量のダークネス永続トラップをセットして、セットされた(虚無)と(無限)を都合よく当てて、更にその間にダークネス永続トラップがある事を祈るデッキって訳か。何だこの圧倒的ギャンブルデッキは。

 

ダークネス

 「(ダークネス1)の効果。相手のカードを1枚破壊し、更にダークネス永続トラップが発動する度に1枚カードを破壊する!」

 

 つまりこの場合2枚破壊か。(ダークネス1)と(ダークネス2)から雷が放たれ、(ワイアーム)とセットカード(攻撃の無力化)が破壊された。

 

ダークネス

 「そしてお互いのターンのエンドフェイズに自分フィールド上の罠カードをセットされた状態に戻し、セットされた場所をランダムに変更する」

 

十代 LP4000 手札2 伏せ0

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

ダークネス LP4000 手札4 伏せ5

フィールド(ダークネス)

 

ダークネス·アイ 攻0

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

 本当だったら1on1用に調整した宝札暗黒界で轢き潰すんだが……ジャスティスワールドで暗黒界達が戦っている今、人間界に召喚したらジャスティスワールド側の戦線が崩壊しかねない。よって俺はこのデッキを選んだ。なんだかんだデュエリストとして初めて組んだデッキだしな。

 

 にしても手札の罠率やば……これがあるならワンチャンがん伏せ回避出来るかも。

 

鏡介

 「俺は(強欲で謙虚な壺)を発動!3枚捲って1枚手札に!」

 

捲られたカード

真竜剣皇マスターP

大捕物

幽麗なる幻滝

 

鏡介

 「俺は(幽麗なる幻滝)を手札に加えて残りをデッキに戻す」

 

鏡介 手札6→5→6

 

 ガン伏せは避けられないが……相手ターンには動けるな。

 

鏡介

 「カードを5枚セットしてターンエンド!」

 

ダークネス

 「ならば永続トラップ(虚無)を発動!発動せよ!(無限)!(虚無)と(無限)の狭間のカードが発動!(ダークネス3)、(ダークネス2)!(ダークネス3)の効果により、発動したダークネス永続罠の数×1000ポイントのダメージを相手に与える!」

 

 発動したダークネス罠は2枚だから……2000!?LP4000でやっていい効果じゃねぇぞ!?

 

 2枚の罠から雷が飛んできて、俺と十代の体を焼いた。

 

十代 LP4000→2000

 

鏡子 LP4000→2000

 

ダークネス

 「そしてお互いのターンのエンドフェイズに自分フィールド上の罠カードをセットされた状態に戻し、セットされた場所をランダムに変更する」

 

鏡介 LP2000 手札0 伏せ5

 

ダークネス LP4000 手札4 伏せ5

 

ダークネス·アイ 攻0

 

十代 LP2000 手札2 伏せ0

 

ダークネス

 「我のターン」

 

ダークネス 手札4→5

 

ダークネス

 「(ワン·フォー·ワン)を発動。手札を1枚墓地へ送り、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚。いでよ(ダークネス·ネクロスライム)」

 

鏡介

 「待った!トラップ発動!(幽麗なる幻滝)!デッキから幻竜族モンスター(真竜導師マジェスティM)を手札に加える!」

 

鏡介 手札0→1

 

ダークネス 手札5→4→3

 

 (スカー)の屍から出てきたのは、黒いスライム。

 

ダークネス

 「(ダークネス·ネクロスライム)の効果発動。表側表示のこのカードを墓地へ送り、墓地のダークネスモンスターを特殊召喚する。いでよ、(ダークネス·デストロイヤー)」

 

 黒いスライムが消え、凶暴な爪を備えた悪魔が現れる。(ワン·フォー·ワン)で送ってたのか。

 

ダークネス

 「(ダークネス·アイ)の効果。このカードが表側表示である限り、上級モンスターを生贄無しで召喚出来る。現われろ(ダークネス·ブランブル)」

 

 現れたのは、眼球の実を付けた植物。いちいち見た目がグロいんだよ。

 

ダークネス 手札3→2

 

鏡介

 「永続トラップ(復活)の効果発動!相手ターンにアドバンス召喚!よって(復活)リリースして(マジェスティM)アドバンス召喚!墓地に行った(復活)でその(ダークネス·デストロイヤー)を破壊だぁ!」

 

 風を纏う杖を握る竜人少女が現れ、風の魔法で爪がでかい悪魔を細切れにした。

 

鏡介 手札1→0

 

ダークネス

 「ムゥ……だがまだだ!永続トラップ(虚無)を発動!」

 

鏡介

 「チェーンして(マジェスティM)の効果発動!デッキから(ダイナマイトK)を手札に加える!」

 

鏡介 手札0→1

 

ダークネス

 「発動せよ!(無限)!(虚無)と(無限)の狭間にあるのは(ダークネス2)、(ダークネス3)、(ダークネス1)!フィールドのモンスター1体の攻撃力を、ターン終了時まで発動したダークネス永続トラップの数×1000アップする。発動したカードは3枚、よって3000ポイントアップする!」

 

ダークネス·アイ 攻0→3000

 

ダークネス

 「バト……」

 

鏡介

 「メインフェイズ終了時に永続トラップ(真竜の黙示録)を発動!これにより、相手ターンのアドバンス召喚を行えるのでセットカード(帝王の溶撃)をリリース!アドバンス召喚!(真竜拳士ダイナマイトK)!」

 

 不気味なオーラに包まれるグロい目玉だが、フィールドに緑の装甲を纏う拳闘士がフィールドに降り立つ。(ダイナマイトK)は俺を守るかのように俺の前に立ち、拳を構える。

 

ダークネス

 「バトルだ!(ダークネス·アイ)で(マジェスティM)を攻撃!ダークネスフラッシュ!」

 

鏡介

 「ダメステいいっすか?永続トラップ(真竜の黙示録)の効果を発動!フィールドの(ダイナマイトK)を破壊して相手フィールドのモンスターの攻守を半減する!」

 

 (ダイナマイトK)が霧散し、俺の背後に降臨した(真竜皇V.F.D )。奴の放つブレスが、キモイ目や植物を飲み込み動きを鈍化させる。

 

ダークネス·アイ 攻3000→1500

ダークネス·ブランブル 攻2000→1000

 

 (ダークネス·アイ)が重々しい動きでビームを放つが、(マジェスティM)は容易くそれを躱して暴風の塊を叩き込み返り討ちにした。

 

ダークネス LP4000→3200

 

ダークネス

 「ムゥ……私はこれでターンエンド。そしてお互いのターンのエンドフェイズに自分フィールド上の罠カードをセットされた状態に戻し、セットされた場所をランダムに変更する。更に(ダークネス·ブランブル)の効果により、エンドフェイズに私のLPは4000になる」

 

 

ダークネス LP4000 手札2 伏せ5

フィールド(ダークネス)

 

ダークネス·ブランブル 攻1000

 

十代 LP2000 手札2 伏せ0

 

鏡介 LP2000 手札0 伏せ2

 

真竜導師マジェスティM 攻2300

 

 回復持ちか。つまり1ターンで決着つけないといけないわけだな。

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札2→3

 

十代

 「(コンバート·コンタクト)発動!手札の(グランモール)とデッキの(エアハミングバード)を墓地へ送り2枚ドロー!」

 

鏡介

 「チェーンして(マジェスティM)の効果発動!デッキから(真竜騎将ドライアスⅢ世)を手札に!」

 

十代 手札3→2→1→3

 

鏡介 手札0→1

 

十代

 「(増援)を発動!デッキから(ネオスペース·コネクター)を手札に加えて召喚!効果発動!デッキから(ネオス)を特殊召喚!更に効果発動!(コネクター)を墓地へ送り、墓地の(エアハミングバード)を特殊召喚!」

 

  出てきたのは、小さなネオスとでも言うべきモンスター。そのモンスターが電波を発信し、(ネオス)を呼び出した。

 更に(コネクター)がフィールドから消えると、(コネクター)のいた場所に、鳥人間が立っていた。

 

十代 手札3→2→3→2

 

十代

 「(エアハミングバード)の効果発動!相手の手札の数×500のLPを回復する!俺はダークネスの手札の数×500、1000のLPを回復!ハニーサック!」

 

 ダークネスの周りにハイビスカスの花が2輪咲き、キモチュッチュがその蜜を吸う。

 

十代 LP2000→3000

 

鏡介

 「(コネクター)の処理後に永続トラップ(真竜の黙示録)発動!相手ターンにアドバンス召喚出来るので(黙示録)リリースして(真竜騎将ドライアスIII世)をアドバンス召喚!墓地へ送られた(黙示録)で(ダークネス·ブランブル)を破壊!」

 

ダークネス

 「させぬ!手札から(古聖戴サウラヴィス)の効果発動!自分フィールドのモンスターを対象とする魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時、このカードを手札から捨てて、その発動を無効にする!」

 

 フィールドに槍を持った竜人が降り立ち、その手に握る長槍で目玉のモンスターを貫こうとするが、蒼き老龍が水色のバリアを展開しその一撃を弾いた。

 

鏡介 手札1→0

 

ダークネス 手札2→1

 

ダークネス

 「そしてトラップ発動(虚無)!もう1枚発動!(無限)!(虚無)と(無限)の狭間にあるのは(ダークネス1)、(ダークネス3)、(ダークネス2)。最初に発動した(ダークネス1)は、発動したダークネス永続トラップの数だけフィールドのカードを破壊する。発動したカードは3枚、よって(ネオス)、(真竜騎将ドライアスIII世)、(エアハミングバード)を破壊する!」

 

 トラップから放たれる紫電が3体を貫きそれらは爆散。しかし(ドライアス)はただでは起きない。

 

鏡介

 「フィールドを離れた(ドライアスⅢ世)の効果発動!アドバンス召喚したこのカードがフィールドから離れた場合、デッキから真竜モンスター(真竜騎将ドライアスⅢ世)を守備表示で特殊召喚!」

 

十代

 「俺はこれでターンエンド!」

 

ダークネス LP4000 手札2 伏せ5

フィールド(ダークネス)

 

ダークネス·ブランブル 攻1000

 

十代 LP3000 手札3 伏せ0

 

鏡介 LP2000 手札0 伏せ2

 

真竜導師マジェスティM 攻2300

真竜騎将ドライアスⅢ世 守2800

 

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札0→1

 

鏡介

 「(真竜凰の使徒)を発動!効果発動!墓地の(黙示録)、(復活)、(ドライアスⅢ世)を戻して1枚ドロー!」

 

 

鏡介 手札1→0→1

 

鏡介

 「(強欲で謙虚な壺)を発動!3枚捲って1枚手札に!」

 

捲られたカード

大捕物

強欲で謙虚な壺

命削りの宝札

 

鏡介

 「よっしゃ!(命削りの宝札)を手札に!」

 

鏡介 手札1→0→1

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(マジェスティM)で(ブランブル)を攻撃!マジェスティトルネード!」

 

ダークネス

 「手札から(工作列車シグナル・レッド)の効果発動!手札から特殊召喚し、その戦闘をこのカードに移し替える」

 

鏡介

 「チェーンして(マジェスティM)の効果発動!(ダイナマイトK)を手札に!」

 

 竜人少女から放たれる暴風は赤い小型列車に吸い寄せられ、そして耐えられた。(工作列車シグナル・レッド)は自身の効果で特殊召喚されると一度だけ戦闘破壊されないんだよな。

 

 鏡介 手札1→2

 

 ダークネス 手札2→1

 

鏡介

 「メインフェイズ2!(使徒)の効果発動!自分ターンにアドバンス召喚を行う!よって(使徒)をリリースして(ダイナマイトK)をアドバンス召喚!そして墓地へ送られた(使徒)の効果で(ダークネス)を破壊!」

 

 再びフィールドに降り立つ(ダイナマイトK)。スパイク付の拳に緑の光を灯して闇の世界を粉砕した。

 

 鏡介 手札2→1

 

ダークネス

 「馬鹿な!(ダークネス)が破壊されるだと!?」

 

 いや、それぐらいやられることぐらい分かるだろう。耐性も何も無いんだし。

 

鏡介

 「(命削りの宝札)発動!3枚になるようにドロー!」

 

鏡介 手札1→0→3

 

鏡介

 「俺はカードを2枚セットして(真竜の継承)を発動!効果を発動して、このターンにフィールドから墓地へ送られた真竜カードの種類、1枚ドロー!俺はこれでターンエンド。エンドフェイズに手札を全て墓地へ送る」

 

鏡介 LP2000 手札0 伏せ4

 

真竜導師マジェスティM 攻2300

真竜騎将ドライアスⅢ世 守2800

真竜拳士ダイナマイトK 攻2500

 

真竜の継承

 

ダークネス LP4000 手札1 伏せ5

 

ダークネス·ブランブル 攻1000

工作列車シグナル・レッド 守1300

 

十代 LP3000 手札3 伏せ0

 

ダークネス

 「我のターンドロー!」

 

ダークネス 手札1→2

 

ダークネス

 「(強欲で金満な壺)を発動!EXデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

ダークネス 手札2→1→3

 

ダークネスがなんで(強金)なんて持ってんだ?

 

ダークネス

 「フィールド魔法(ダークネス)を発動!これにより、我の魔法罠ゾーンのカードを全て破壊し、再び5枚のカードをセット出来る」

 

鏡介

 「チェーンして(マジェスティM)の効果発動!(真竜戦士イグニスH)を手札に!」

 

ダークネス 手札3→2

 

鏡介 手札0→1

 

 

ダークネス

 「発動せよ!(虚無)!」

 

鏡介

 「神の力を思い知れ!カウンタートラップ(神の宣告)!LPを半分払い、(虚無)を無効にして破壊!」

 

 (虚無)のカードが開かれた瞬間、白いローブ着たおじいさんが現れて雷をぶち当てて破壊した。

 これにより、ダークネスの戦術は根底から破綻した。

 

鏡介 LP2000→1000

 

ダークネス

 「おのれぇ!我はこれでターンエンドだ」

 

ダークネス LP4000 手札2 伏せ4

フィールド(ダークネス)

 

ダークネス·ブランブル 攻1000

工作列車シグナル・レッド 守1300

 

十代 LP3000 手札3 伏せ0

 

鏡介 LP1000 手札1 伏せ3

 

真竜導師マジェスティM 攻2300

真竜騎将ドライアスⅢ世 守2800

真竜拳士ダイナマイトK 攻2500

 

真竜の継承

 

十代

 「俺のターンドロー!」

 

十代 手札2→3

 

十代

 「(コンバート·コンタクト)を発動!手札の(フレアスカラベ)とデッキの(アクアドルフィン)を墓地へ送り2枚ドロー!そして手札から(NEXT)を発動!墓地から蘇れ!(フレアスカラベ)!(アクアドルフィン)!(エアハミングバード)!(グランモール)!(ネオス)!」

 

十代 手札3→ 2→1→3→2

 

十代

 「(スペーシア·ギフト)を発動!4枚ドロー!更に(スペーシア·ギフト)!4枚ドロー!」

 

鏡介

 「2枚の(スペーシア·ギフト)にそれぞれチェーンして(ダイナマイトK)と(マジェスティM)の効果発動!(マジェスティM)で(剣皇マスターP)を、(ダイナマイトK)で(復活)を発動!」

 

 十代がいつもやってる展開。ここからコンタクト融合祭りするのがテンプレだが……フィールド全部埋めなかったな?何を狙っている?

 

十代 手札2→1→5→4→8

 

鏡介 手札1→2

 

十代

 「カードを2枚セットして(融合)発動!フィールドの全てのネオスペーシアンと(ネオス)で融合!これが究極コンタクト融合だ!(E・HERO ゴッド・ネオス)!」

 

 (ネオス)が7色に輝いたかと思えば、そこには金の鎧を纏った(レインボー·ネオス)と同じぐらい巨大な(ネオス)が飛翔していた。てかネオスにこんなのいたんだ。見た事ねぇや。

 

十代 手札8→6→5

 

十代

 「(ゴッドネオス)の効果発動!墓地のネオスかE・HERO、ネオスペーシアンを除外して攻撃力を500アップしてエンドフェイズまでその効果を得る!俺は(フレアスカラベ)を除外する!」

 

E・HERO ゴッド・ネオス 攻2500→3000

 

十代

 「更に、(フレアスカラベ)の能力を吸収した(ゴッドネオス)の永続効果により、フィールドの魔法罠の数×400ポイント攻撃力がアップする!フィールドの魔法罠の合計は12枚、よって(ゴッドネオス)の攻撃力は4800アップ!」

 

E・HERO ゴッド・ネオス 攻3000→7800

 

ダークネス

 「攻撃力7800だと!」

 

鏡介

 「(ゴッド·ネオス)の効果処理後に(真竜の黙示録)の効果発動!このカードをリリースしてアドバンス召喚、(真竜戦士イグニスH)!墓地に送られた(黙示録)の効果発動!(シグナル·レッド)にはスクラップになってもらう!」

 

 フィールドに降り立つ大剣を背負う竜人。彼は大剣に紫の光を滾らせ小型列車を一太刀で両断爆砕した。

 

鏡介 手札2→1

 

十代

 「フィールドの魔法罠のカードが減ったことで攻撃力が7400になるけど……バトルだ!(ゴッドネオス)で(ダークネス·ブランブル)に攻撃!レジェンダリー·ストライク!」

 

ダークネス

 「手札の(ダークネス·レインクロー)の効果発動!相手の攻撃宣言時に、手札のこのカードとフィールドの(ダークネス·ブランブル)を墓地へ送り、デッキから(ダークネス·ネオスフィア)を特殊召喚する!」

 

鏡介

 「チェーンして(イグニスH)の効果発動!デッキから(真竜の継承)を発動!これにより、(ゴッドネオス)の攻撃力は7800に戻る!そしてその処理後に永続トラップ(大捕物)を発動!これにより、(ダークネスネオスフィア)のコントロールは奪わせてもらう!」

 

ダークネス

 「な、なんだと!?」

 

 グロイ植物が消え、現れたのは左半身に翼を生やし植物の茎で身体が構築されている悪魔。しかし直後に大量の縄付き手錠が飛んできて(ダークネス·ネオスフィア)は俺のフィールドに引きずり込まれた。

 

ダークネス 手札2→1

 

鏡介

 「さぁ!サクッと決めな!人類のヒーローさんよぉ!」

 

十代

 「言われなくても!(ゴッドネオス)でダイレクトアタック!レジェンダリー·ストライク!」 

 

 (ゴッド·ネオス)の放つ膨大な光によって後ろのダークネス世界ごと呑まれるダークネス。

 

ダークネス LP4000→-3800

 

ダークネス

 『遊城十代。カードの真を知り、魂の自由を知る者よ。だがたとえ我を倒そうとも、我は真実の闇なり。いずれこの世界に蘇る!』

 

十代

 「たとえそうだとしても、俺がいる限り。いや、デュエリストが自分の可能性を信じる限り!お前が出番は、ずっと先だぜ」

 

 ダークネスが突然光を放ち始めて爆散。更に後ろで存在感を発揮していたダークネス世界がヒビ割れながら弾けて金色の光を拡散。

 

 目を開けると空には太陽が輝いていて、周りにはダークネスに取り込まれた人々がたくさん横たわっていた。

 

透子

 「うっ……あ……鏡……介?」

 

鏡介

 「あぁ、お前の鏡介はここにいるぞ」

 

 俺の足元で眠っていた透子が目を覚ましたから、寄り添って身体を起こさせる。

 

透子

 「綺麗な空……終わったの?……全部?」

 

鏡介

 「あぁ、ダークネスの親玉は俺と十代が倒した。世界は守られたんだ」

 

俺がそう言うと、透子は安堵した表情で笑みを浮かべた。

 

透子

 「これで……私の役目は終わったのですね……破滅の光から世界を守ったのですから」

 

 デッキを取り出し、懐かしむ様にカードを眺める透子。光の結社騒動では光の結社の構成員を殲滅する勢いでデュエルしてたからなぁ……ライトロード達の約束というか使命だったんだろうなぁ。

 

ルミナス

 『鏡介、透子。ダークネス撃退おめでとう。余韻に浸っている所悪いんだけど、ダークネス撃退を記念して、生き残った暗黒界達と僕達で戦勝パーティーがあるんだ。是非来てほしいんだけどどうかな?』

 

透子

 「パーティーですか……無くなった精霊を悼む為にも参加しましょう。鏡介も参加しますよね?」

 

鏡介

 「もちろんだ。早速案内してくれるか?ルミナス」

 

 俺たちは十代が人並みに揉まれているのを尻目に、ルミナスに連れられていった。

 

 

 

〜 ジャスティス·ワールド 〜

 

 ジャスティス·ワールドのとある建物の中、そこには結構な数の暗黒界モンスター達が長机に等間隔で並べられた席に礼儀よく付いていました。視線を少し落とすと……

 

透子

 「ふわぁ……やっぱり美味しそう!」

 

ファルコン

 「あともう少しすればご飯です!我慢しないと……」

 

 視線の先には冬休みの時に食べていた洋食達と(ジェノサイドキングサーモン)の刺し身。もうすぐで食べられるとはいえど、すぐに手を伸ばしてしまいそうです。

 

 ファルコンさんに聞いた話だと、ジャスティス·ワールドは地平線の彼方までダークネスで埋め尽くされていて、(裁きの龍)、(戒めの龍)、(ライトロード·ドラゴングラゴニス)、(アークミカエル)さんの4体が上空でブレスを浴びせて数を削り、残りが街で防衛戦をしていたそうです。

 

 最初は拮抗していたんですが、(ミカエル)さんと(裁きの龍)、(ミカエル)さんが突如消えて大量のダークネスが街に雪崩込んだそうです。これにより大部分の下級暗黒界が斃れ、多くのライトロードが負傷して戦線離脱を強いられ、伏せカードが無いと戦えないファルコンさんは彼らの搬送に奔走したそうです。

 

 しかし数分後、空がカラレス模様になり、更に(氷結界の龍トリシューラ)、(裁きの龍)、(ミカエル)さんが帰還。

 (カラレス)が(トリシューラ)を強引に誘導し、誘導した方向にいたダークネスを徹底的に氷漬けにして、ダークネスを大きく減らしたそうです。

 

 これにより戦況が大きく傾き、ダークネスの攻勢を完全に抑え込む事に成功。

 

 それから30分後、ダークネスが突如消滅。すると破壊対象がいなくなったせいなのか、(トリシューラ)がこちらへ攻撃の素振りを見せた瞬間に(カラレス)が未知の力で(トリシューラ)を抑え込みました。

 

 そして(裁き)と(戒め)、(ミカエル)さんの3体による集中攻撃により(トリシューラ)は沈黙。(カラレス)により役目を終えた(トリシューラ)は何処かへ飛ばされたそうです。

 

 私がぶん回したせいでそんな事に……暗黒界やライトロードの皆さんには申し訳ない事をしてしまいました。

 

 ジャスティス·ワールドの話を聞いているとオルクスさんが本を広げ、その本から光が放ち、壁に映像が映し出されました。

 

 映像に映し出されているのは、街の入口でしょうか……。入口の端には簡素ながら慰霊碑の様な物が建っています。

 

ルミナス

 「皆さん、パーティーを楽しんでいるでしょうか?まず、この戦いの犠牲者を悼むべく、一分の黙祷を捧げる。黙祷!」

 

 ルミナスさんの号令の元、多くの暗黒界達が目を閉じました。私とファルコンさんも慌ててそれに続きました。

 

 長い沈黙に耐えているとルミナスが声を発しました。

 

ルミナス

 「黙祷やめ!これよりダークネスを撃退した事を祝うパーティーを始める!時間は日が沈み、再び上がるまで!存分に楽しんで欲しい!私から以上だ!」

 

 映像が切れた瞬間。暗黒界のモンスター達は我先にと目の前の食べ物に手を付け始めました。

 

透子

 「さて、私達もお腹いっぱい食べますよ!」

 

ファルコン

 「はい!」

 

 ファルコンさんの嬉しげな返事を耳にして、私はフォークとスプーンを手に取りました。

 

 

〜〜〜

 

透子

 「うぅ……お腹が重いです……」

 

 目を下に向けると、そこには誰が見てもひと目で服が盛り上がっている事が分かる程に膨れたお腹がありました。今までの人生で、こんなになるまで食べたのは初めてかもしれません。

 

鏡介

 「あぁ〜苦しい。どうだ透子?パーティーは楽しんでいるか?」

 

 声がした方を向くと、そこにはお腹を擦りながら苦悶の表情で歩く鏡介の姿がありました。

 

透子

 「ええ、楽しんでますよ?でも……私は鏡介と一緒にいる方が幸せです」

 

鏡介

 「嬉しい事を言ってくれる。それじゃあ隣を失礼して……っと」

 

 隣で爆睡しているファルコンさんを退かして座る鏡介。せっかくだから席を寄せて……

 

鏡介

 「早速本題なんだが……どっちが卒業デュエルで勝ちまくれるか競争しようぜ。そして最終日の夜。お互いの最強のデッキをぶつけ合おうぜ」

 

透子

 「フフフ……面白い事を言いますね。もちろん受けて立ちます。でも私は使命を果たした以上、ライトロードの皆さんとお別れになるでしょうから……鏡介が思ってるのとは違うものになりそうです……」

 

ルミナス

 「その必要はないよ」

 

 横からやってきたルミナスさん。それってどういうことですか?

 

ルミナス

 「確かに透子と僕達は、アカデミアから光の結社……破滅の光を追い払う事を目的に手を組んだ。けど、何度も同じフィールドで戦っていれば愛着の1つや2つは湧くよ。でも、流石にずっと使われると微量だけど魔力を使うから、あと3週間までなら精霊としているけど、それ以降は精霊が宿ってないカードを使ってもらうよ」

 

 なるほど……それなら問題なく鏡介とのデュエルに挑めそうです。少し寂しくもありますが。

 

ルミナス

 「あぁそうだ。ミカエル様が新たなカードを作ったみたいなんだ。受け取ってくれないかい?」

 

透子

 「わ、分かりました……(ライトロードの強襲準備)?」

 

 見せられたのは、物陰に隠れた(ルミナス)さんを尻目に、(ライコウ)さんと(ライニャン)さんが(暗黒界の結界通路)に突入しようとしているシーンを描いたカード。もうすぐ暗黒界との戦いが始まるといった場面なのでしょうか。

 

鏡介

 「聞いたことねぇな……効果は……うわ、ライトロードの安定感爆上がりしそうなカードだな」

 

ライトロードの強襲準備(オリカ)

通常魔法

このカード名の①と②の効果はいずれか1ターンに1度しか発動出来ない。

①相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターの数より多い場合、手札·フィールドのモンスターを1枚墓地へ送って発動出来る。デッキから5枚ライトロードカードを選び、好きな順番でデッキの1番上に置いて、その後デッキの上から3枚墓地へ送る。この効果を発動するターン、自分はデッキからモンスターを特殊召喚出来ない。

②このカードがライトロードモンスターの効果でデッキから墓地へ送られた場合に、自分または相手の除外されているカードを任意の数まで対象にして発動出来る。そのカードをデッキに戻し、戻したカードの数×300LPを回復する

 

鏡介

 「まぁ、とりあえず……明日から卒業デュエル頑張ろうぜ?」

 

透子

 「ええ、1年前の借りを返し、貴方を超えて見せます」




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 次回、結構な枚数のオリカが登場します。よろしくおねがいします。


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47.最終決戦。アカデミア最強を賭けて

前に話した通り、何枚かオリカが登場します。よろしくおねがいします。


 

〜 夜 アカデミア入口 〜

 

 逃げるアカデミア生を(デモンズ·チェーン)で拘束してデュエルしたり、名だたるデュエリスト達と戦って遂に訪れた卒業デュエル最終日。春先とは言えど日もすっかり暮れて肌寒くなる時間帯に、私は(ミネルバ)さんと同じ服を身に着けてアカデミア前の広間にやってきました。

 

透子

 「遂に……この時が来ましたね」

 

 視線を上げると、そこには黒いコートを身に纏い悪趣味な仮面を身に着けた男性。私が倒すべき目標にして私の愛しい人。鏡介が居ました。

 

鏡介

 「あぁ、透子との1on1はアカデミアでは最後なんだ。全力で行くぞ」

 

透子·鏡介

 「デュエル!」

 

鏡介

 「先攻は俺だ。ドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「早速行くぜ!手札から(暗黒界の案内人パスカ)の効果を発動!」

 

透子

 「なんですかそのカード!?」

 

鏡介

 「こいつは(カラレス)様が作ってくれたカードだ!手札のこのカードと暗黒界モンスター(ゴルド)を見せて発動!(パスカ)を手札から特殊召喚して、見せた暗黒界カードを含むモンスターを2枚まで捨てて捨てた枚数分、2枚ドロー!尤も、この効果の発動後、デッキ·墓地から悪魔族以外のモンスターを特殊召喚出来ないがな!」

 

鏡介 手札6→5→3→5

 

 出てきたのは、黒いローブを纏い悪趣味な仮面を着けた男性。これまんま鏡介じゃないですか!

 

鏡介

 「捨てられた(ゴルド)、(ブラウ)の効果発動!1枚ドローして(ゴルド)蘇生!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「(門)を発動!効果発動して、(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で(門)サーチ!更に発動!(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(セルリ)はそちらに特殊召喚!」

 

鏡介 手札6→5→4→5→6→5→4→5

 

鏡介

 「(セルリ)の効果発動!俺は(ケルト)を捨てる!捨てた(ケルト)は自己蘇生し、更に(グラファ)を特殊召喚!(アドバンスドロー)発動!レベル8の(グラファ)をリリースして2枚ドロー!(パスカ)戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札5→4→3→5→6

 

鏡介

 「(魔界発現世行きデスガイド)を通常召喚!効果発動!デッキからレベル3モンスター(魔サイの戦士)を特殊召喚!俺は(デスガイド)と(魔サイ)でオーバーレイ!異次元の海蛇よ、今こそこの世界に舞い降りて、異次元の架け橋となれ!エクシーズ召喚!(虚空海竜リヴァイエール)!効果発動!(魔サイ)を取り除き、(スノウ)を帰還!墓地へ送られた(魔サイ)で(グラファ)を墓地へ、(スノウ)戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札6→5→6

 

鏡介

 「(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる。俺は(グラファ)を捨てる!(ゴルド)戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札6→5→6→5→6

 

鏡介

 「俺は(グラファ)3体でオーバーレイ!燃えろ!灼熱の魂!今こそその滾る闘志を打ち放て!エクシーズ召喚!ランク8(熱血指導ジャイアントレーナー)!」

 

 銀河の渦から湧いて来た巨大な野球児。先攻だし手札も補充出来ますね。

 

鏡介

 「(ジャイアント·トレーナー)の効果発動!素材を全て取り除き、3枚ドローしてドローしたモンスター×800ダメージだ!ドロー!(豆まき)!ドロー!(闇の誘惑)!ドロー!(未界域のモスマン)!モンスターは1枚なので800ダメージ!」

 

 野球児から撃ち放たれた火の玉が1つ私の足元にぶつかり爆発。風圧が凄いです。

 

透子 LP4000→3200

 

鏡介 手札6→7→8→9

 

透子

 「ですがただでは起きません!墓地の(サウザンド·ブレード)の効果発動!効果ダメージを受けたので特殊召喚!」

 

鏡介

 「(取引)で落としたか……2枚セットして(未界域のモスマン)の効果発動!手札を選んでもらおうか!」

 

鏡介 手札8→6

 

透子

 「私は右から2番目を選びます!」

 

鏡介

 「うっ、選ばれたのは(モスマン)!そのまま墓地へ捨てられる。しかし(モスマン)の効果発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!捨てられた(ケルト)蘇生してすぐ(グラファ)!伏せていた(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(ベージ)除外!そしてエクストラデッキの(スタダ)を除外して(sinスタダ)を特殊召喚!」

 

鏡介 手札6→5→6→5→6→8→7→6

 

鏡介

 「(グラファ)と(sinスタダ)でオーバーレイ!我に眠る二つの希望よ!今その希望一つに束ね、破滅の光を貫く力となれ!エクシーズ召喚!(No.38 希望魁竜タイタニック·ギャラクシー)!」

 

 銀河から出てきたのは、鎧を纏った様な見た目の巨大なモンスター。こんなモンスター見たことないですよ!

 

鏡介 手札6→5→6→5→6

 

透子

 「なんですかそのモンスターは!」

 

鏡介

 「こいつはナンバーズって言ってな。余りにも強力な効果を持つから何か呪いの類があるんじゃないかと思って封印してたカード達だ。でもそれは杞憂だったからガンガン使うぜ」

 

 カード“達”って事は何枚か持ってるって事ですよね?油断してるつもりはありませんが気を引き締めましょう。

 

鏡介

 「ちなみに大まかな効果としては魔法無効にして素材にする効果と、攻撃誘引する効果だ。(暗黒界の援軍)発動!墓地の(スノウ)を特殊召喚して(ゴルド)を捨てて自己蘇生!2体戻して(グラファ)!(グラファ)2体で(ディンギルス)をエクシーズ召喚!ターンエンドだ!」

 

鏡介 手札6→5→4→6

 

鏡介 LP4000 手札6 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー 攻3000 素材2

虚空海竜リヴァイエール 守1600 素材1

熱血指導ジャイアントレーナー 守2000 素材0

宵星の機神ディンギルス 攻2600 素材2

 

透子 LP3200 手札5 伏せ0

 

H·Cサウザンド·ブレード 守1100

暗黒界の導師セルリ 守400

 

 

 結構回りましたね。でも私の事を破滅の光呼ばわりとは失礼ですね。見たことのないモンスター出されましたが、ひっくり返してやります。

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

 それにしても魔法無効は苦しいですね。引きは最高なのでとりあえず使わせましょう。

 

透子

 「(隣の芝刈り)発動!」

 

鏡介

 「引きが強ぇ!(タイタニック・ギャラクシー)の効果発動!(隣の芝刈り)の効果を無効にして吸収!消滅のスケイルズ・ストーム!」

 

 芝刈り機が動き始めようとした瞬間。鎧を纏った龍の鎧が一部変形して、光の奔流を芝刈り機に叩きつけて吸収していきました。

 

透子 手札6→5

 

透子

 「これで妨害はありませんね!(ライトロードの強襲準備)を発動!相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターの数より多い場合、手札·フィールドのモンスターを1枚、(セルリ)を墓地へ送って発動!デッキから5枚ライトロードカードを選び、好きな順番でデッキの1番上に置いて、その後デッキの上から3枚墓地へ送ります。ただしこの効果を発動するターン、自分はデッキからモンスターを特殊召喚出来ません!」

 

 送られたのは、(ウォルフ)さん、(ミネルバ)さん、(グラゴニス)さん。

 

透子 手札5→4

 

透子

 「墓地へ送られた(ウォルフ)さんにチェーンして(ミネルバ)さんの効果発動ミネルバ)さんはデッキの上を1枚墓地へ送り(ウォルフ)さんは特殊召喚!」

 

 送られるのは当然(フェリス)さん!これで(カオス·ルーラー)か(セイントミネルバ)で捲ります!

 

透子

 「モンスター効果で墓地へ送られた(フェリス)さんは特殊召喚!そしてレベル4の(サウザンド·ブレード)とレベル4の(フェリス)さんをチューニング!光と闇が訪れる時、混沌の脅威が訪れる!シンクロ召喚!(混沌魔龍カオス·ルーラー)!効果発動!5枚捲って光か闇のモンスターを手札に加えて残りを墓地へ!」

 

捲られたカード

·トワイライトロード·シャーマンルミナス

·ソーラー·エクスチェンジ

·ジェット·シンクロン

·光の援軍

·Emトリック·クラウン

 

透子

 「私は(シャーマン·ルミナス)さんを加えて残りを墓地へ。そして墓地へ送られた(トリック·クラウン)の効果発動!特殊召喚して1000ダメージ!それに反応して(サウザンド·ブレード)を特殊召喚!」

 

透子 LP3200→2200 手札3→4

 

透子

 「(サウザンド·ブレード)と(トリック·クラウン)でオーバーレイ!新たなる守護天使よ!今こそその翼広げ、暗黒の世界を照らす光となれ!エクシーズ召喚!ランク4(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(トリック·クラウン)を取り除き、3枚墓地へ!その内のライトロードカード分だけドロー!」

 

送られたのは……(ライデン)さん、(ファイターライコウ)さん、(超電磁タートル)。

 

透子

 「送られたライトロードカードは2枚、よって2枚ドロー!」

 

透子 手札4→6

 

透子

 「私は墓地の(フェリス)さん、(トリック·クラウン)、(グラゴニス)さんを除外!(混源龍レヴィオニア)を特殊召喚!そして効果発動!光属性のみを除外したのでレベル4以下のモンスターを守備表示で特殊召喚!(ルミナス)さんを蘇生!」

 

 暗雲が沸き起こり、空高くから降り立ったドラゴン。天高くへ咆哮すると、墓地から(ルミナス)さんが飛び出して来ました。

 

透子 手札6→5

 

透子

 「私は(カオス·ルーラー)と(レヴィオニア)でオーバーレイ!いでよ!古代の遺物の結合魔神!(宵星の機神ディンギルス)!効果発動!鏡介の(ディンギルス)を墓地へ!」

 

 私の遥か後方に現れる巨大な機械の騎士。その青き単眼を煌めかせ同じ存在を消し飛ばしました。

 

透子

 「(ルミナス)さんの効果発動!手札の(シャーマンルミナス)を捨てて(ミネルバ)さんを特殊召喚!」

 

透子 手札5→4

 

 これで(アーク·ミカエル)さんを出して(タイタニック)を突破です!

 

鏡介

 「シンクロはさせない!トラップ発動!(豆まき)!(ウォルフ)を対象にして発動!俺は4枚捨てて4枚ドロー!その後(ウォルフ)をバウンス!そして捨てられた(ゴルド)、(シルバ)、(セルリ)の効果発動!(セルリ)をそちらに特殊召喚!そして捨てた(ゴルド)(シルバ)を守備表示で特殊召喚!」

 

 何処からともなく現れたゴブリンの子供たち。彼らはその手に持つ豆をありったけ(ウォルフ)にぶつけて、彼を私の手札を帰らせてしまいました。

 

鏡介 手札5→1→5

 

透子 手札4→5

 

鏡介

 「そして(セルリ)の効果発動!手札を1枚捨てる!捨てられた最後の(ブラウ)で2枚ドロー!」

 

鏡介 手札5→7

 

 (アーク·ミカエル)さんを出せませんでしたか……このままだと盤面が弱い。もう少し回さないと……

 

透子

 「私は(ルミナス)さんと(ミネルバ)さんでオーバーレイ!(虚空海竜リヴァイエール)!効果発動!(ルミナス)さんを墓地へ送り、除外されている(ライデン)さんを特殊召喚!効果発動!2枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(ガロス)さんと(ゼピュロス)。突破のビジョンが見えました。LP消費がキツイですが……やむを得ません!

 

透子

 「墓地の(ゼピュロス)の効果発動!(リヴァイエール)をエクストラデッキに戻して蘇生して400ダメージ!私は(ライデン)さんと(ゼピュロス)でオーバーレイ!一撃必中の銃を以て敵を穿て!エクシーズ召喚!(鳥銃士カステル)!効果発動!素材を2つ取り除き(タイタニック·ギャラクシー)をデッキに戻します!」

 

マスケット銃を構えた(カステル)が放つ弾丸が(タイタニック·ギャラクシー)を貫き姿を消しました。

 

透子 LP2200→1800

 

透子

 「更に(鳥銃士カステル)でオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップ·エクシーズチェンジ!旋回せよ!機械仕掛けのスズメバチ!ランク5(旋壊のヴェスペネイト)!」

 

 鳥人の銃士は光の玉となって銀河の海に飛び込み爆発。不快感を掻き立てる羽音をたてながら飛ぶ、刃の羽を持つスズメバチへと姿を変えていました。

 

透子

 「私はまだ通常召喚をしてないので(トワイライトロード·ジェネラルジェイン)さんを召喚!効果発動!手札の(ウォルフ)さんを除外して(ジャイアント·トレーナー)の攻守を、除外したライトロードモンスターのレベル×300。よって1200ダウンさせます!」

 

(ジェイン)さんが剣を掲げると、二振りの剣が黒く不気味に輝き、野球児の守備が緩みました。

 

透子 手札5→4→3

 

熱血指導ジャイアントレーナー 守2000→800

 

透子

 「バトルフェイズです!(ヴェスペネイト)で(ゴルド)を攻撃!(ディンギルス)で(シルバ)を攻撃!(ミネルバ)さんで(ジャイアント·トレーナー)を、(ジェイン)さんで(リヴァイエール)を攻撃!」

 

 (ヴェスペネイト)の針が、(ディンギルス)の巨大な槍が、(ミネルバ)さんの魔法が、(ジェイン)さんの連撃がフィールドを薙ぎ払い更地にしました。

 

鏡介 LP4000→2900

 

透子

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド!さぁ、巻き返してやりましたよ!」

 

透子 LP1800 手札2 伏せ1

残デッキ36枚

 

旋壊のヴェスペネイト 攻2500 素材1

宵星の機神ディンギルス 攻2600 素材2

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000 素材1

トワイライトロード·ジェネラルジェイン 攻1600

暗黒界の導師セルリ 守400

 

鏡介 LP2900 手札7 伏せ1

 

鏡介

 「巻き返されたが……制圧は無し。一瞬で盤面戻してやるよ。俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札7→8

 

鏡介

 「手札の(パスカ)の効果発動!(ベージ)と一緒に見せて、特殊召喚して2枚捨てて2枚ドロー!捨てられた(ベージ)、(ケルト)の効果発動!2体自己蘇生!3体戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札8→7→5→7→10

 

鏡介

 「(門)の効果発動!(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てた(ゴルド)は蘇生!(スタダ)除外して(sin·スタダ)特殊召喚!」

 

鏡介 LP2900 手札10→9→10→9

 

鏡介

 「俺は(グラファ)と(sin·スタダ)でオーバーレイ!現われろ!森羅の守り神!(森羅の守神アルセイ)!効果発動!デッキトップ宣言!(手札抹殺)!」

 

 (アルセイ)は宣言が当たるとそのカードを手札に、外れるとデッキバウンス。こちらの(ディンギルス)を戻すのが狙いでしょうね。

 

 捲られたカードは……(暗黒界の援軍)。

 

鏡介

 「外れたので(アルセイ)の効果発動!素材の(グラファ)きって(ディンギルス)デッキバウンス!守護者の咆哮!」

 

 雄々しい咆哮を受けてバラバラになる(ディンギルス)。

 

鏡介

 「(ゴルド)戻して(グラファ)!伏せていた(闇の誘惑)発動!2枚ドローして(ベージ)除外!(グラファ)2体でオーバーレイ!(聖刻神竜エネアード)!効果発動!(エネアード)と(アルセイ)、(グラファ)をリリースして(ヴェスペネイト)、(セイント·ミネルバ)、(ジェイン)を破壊!」

 

 放たれる光の奔流に呑まれるモンスター達。でも、ただでは起きませんよ?

 

鏡介 手札9→10→12→11

 

透子

 「破壊された(ヴェスペネイト)、そして(セイント·ミネルバ)さんの効果発動!3枚墓地へ送り、送られたライトロードカードの枚数分破壊!」

 

 送られたのは……(ソーサラーライラ)さん、(ウォルフ)さん、(セフィロン)。

 

透子

 「送られたのは2枚なので(門)破壊!そして(ヴェスペネイト)の効果!相手に墓地へ送られた時、墓地のレベル5以下のモンスターを特殊召喚!来て!(ガロス)さん!そして(ウォルフ)さんは墓地から特殊召喚!」

 

 機械仕掛けの蜂の残骸から起き上がる(ガロス)さん。(ウォルフ)さんも光のゲートからやってきました。

 

透子

 「今こそ運に天を任せる時!トラップ発動!(デビル·コメディアン)!コイントスをして表裏を当てます。当たれば鏡介の墓地を全除外!外れれば鏡介の墓地分デッキから墓地送りです!宣言は表です!」

 

鏡介

 「ッ!トラップ発動!(貪欲な瓶)!(グラファ)、(パスカ)、(ディンギルス)、(アルセイ)、(門)を戻して1枚ドロー!」

 

 砕かれた(暗黒界の門)の残骸前に即席の劇場が現れ、多くの悪魔達が見守るなか即席の漫才の幕が上がります。ボケ側の悪魔の自然なボケが劇場に拡散し、洗練された最適な間の元に、ツッコミ側の悪魔の鋭いツッコミが炸裂します。

 

 どっと湧き上がる爆笑の渦。お捻りなのか、鏡介のカードが芸人達めがけて大量に投げられていきます。

 

鏡介 手札11→12

 

鏡介

 「ウッソだろお前えぇ!」

 

 暗黒界は墓地リソースも重要なデッキ!(グラファ)は1枚逃しましたが、墓地へ送るにも時間がかかります。次のターンで押し切ります!

 

透子

 「これでもうマトモな展開は出来ませんね!」

 

鏡介

 「きっちぃ!カードを3枚セットして(未界域のサンダーバード)の効果発動!」

 

透子

 「私は右から3番目を選びます!」

 

鏡介

 「選ばれたのは(ゴルド)!特殊召喚して1枚ドロー!(ゴルド)蘇生!バトル!(ゴルド)で(ガロス)に攻撃!」

 

鏡介 手札12→9→8→7→8

 

透子

 「墓地の(超電磁タートル)を除外して攻撃を無効。バトルフェイズ強制終了です!」

 

 (ゴルド)が大斧を大きく振りかぶって(ガロス)さんに飛びかかりましたが、強烈な電磁気が(ゴルド)さんを引き剥がしました。

 

鏡介

 「カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

鏡介 LP5900 手札6 伏せ5

 

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

未界域のサンダーバード 攻2700

 

透子 LP1800 手札2 伏せ0

残デッキ33

 

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

暗黒界の導師セルリ 守400

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札2→3

 

 5伏せですか……何枚かは魔法だとは思いますが、圧が凄いです。

 

透子

 「(光の援軍)発動!3枚墓地へ送って(ルミナス)さんを手札に!」

 

 送られたのは……(ギャラクシー·サイクロン)、(ゾンビ·キャリア)、(エイリン)さん。

 

透子

 「私は墓地の(シラユキ)の効果発動!フィールドの(セルリ)、墓地の(セフィロン)、(デビル·コメディアン)、(ライトロードの強襲準備)、(隣の芝刈り)、(カステル)、(ヴェスペネイト)を除外して特殊召喚!そして(ウォルフ)さんと(シラユキ)でオーバーレイ!ランク4(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(シラユキ)を取り除き3枚墓地へ!」

 

送られたのは……(トワイライトロード·シール)、(おろかな埋葬)、2枚目の(ライデン)さん。

 

 あれ、見た事ないカード。ええと効果は……

 

透子

 「送られたのは2枚なので2枚ドロー!そして(ガロス)さんにチェーンして(トワイライトロード·シール)の効果発動!このカードがライトロードカードまたはテキストに「ライトロード」と記されたカードの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動出来、墓地のこのカードをセットします!」

 

透子

 「そして(ガロス)さんの効果で追加で2枚墓地へ!」

 

送られたのは……(混沌領域)と(ラドリートラップ)!

 

 ええと(トワイライトロード·シール)の効果は……相手がモンスターを特殊召喚する効果を含む魔法·罠カードの発動、又はモンスターの特殊召喚に成功した時に発動出来る。自分のデッキの上からカードを5枚除外し、その中にライトロードカードが2枚以上存在する場合、その発動または特殊召喚を無効にして除外する。このカードの効果で3枚以上のライトロードカードが除外された場合、更にこの効果を発動したデュエル中、このカードの効果で除外されたカードはお互いに特殊召喚出来ず、効果を発動出来ない……条件少し厳しいですけど効果凄いですね。まさに切り札って感じです。

 

透子

 「送られた(ラドリートラップ)の効果発動!(おろかな埋葬)を手札に加えます」

 

透子 手札3→2→3→5→6

 

透子

 「そして墓地の(ソーサラーライラ)さんと(ライデン)さんを除外して(カオス·ルーラー)を墓地から特殊召喚!さらに墓地の(セイント·ミネルバ)さんと(ゼピュロス)を除外して(混沌の創世神)を特殊召喚!効果発動!除外されている(シャーマンルミナス)さん、(ウォルフ)さん、(セイント·ミネルバ)さんを対象にして、(シャーマンルミナス)さんを特殊召喚して残りをデッキに!(混沌の創世神)と(カオス·ルーラー)で(神竜騎士フェルグラント)をエクシーズ召喚!」

 

透子 手札6→5

 

鏡介

 「トラップ発動(バージェストマ·ディノミスクス)!手札を一枚捨てて(フェルグラント)を除外!更に捨てられた(セルリ)の効果発動!透子に特殊召喚して手札の(パスカ)を捨てる!相手に捨てられた(パスカ)は自己蘇生して除外されている悪魔族モンスターを2体サルベージか特殊召喚出来る!(グラファ)2体を手札に!」

 

 どんどんと腐食して汚泥になる(フェルグラント)。そして(グラファ)が手札に帰ってきました。

 

鏡介 手札6→5→4→6

 

 (ディンギルス)が除外されたよりも……(セルリ)が邪魔です!でもカバーは出来ます!

 

透子

 「手札を1枚デッキトップに戻して(ゾンビ·キャリア)を蘇生!私はレベル4(ガロス)さん、レベル1(セルリ)、レベル2(ゾンビ·キャリア)をチューニング!シンクロレベル7!清廉なる花園に芽吹く孤高の薔薇よ!蒼き月の雫を得てここに開花せよ!(月華竜ブラック・ローズ)!」

 

透子 手札6→5

 

 場に花開いたのは、全身が薔薇の花弁で形作られたドラゴン。最近鏡介に手渡されましたが、中々使い勝手が良い7シンクロです。

 バウンス効果を撃てるんですけど……戻るよりも破壊した方がダメージがありそうです。

 

透子

 「墓地の(混沌領域)を除外して効果発動!除外されている光·闇属性の特殊召喚モンスター(究極時械神セフィロン)をデッキに戻して1枚ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(シャーマンルミナス)さんの効果発動!墓地の(ガロス)さんを除外して除外されている(ルミナス)さんを特殊召喚!(ルミナス)さんの効果発動!手札の(トリック·クラウン)を捨てて墓地の(ライデン)さんを特殊召喚!(シャーマンルミナス)さんの効果発動!ライトロードモンスターが効果を発動したので3枚墓地へ!」

 

透子 手札6→5

 

 送られたのは……(芝刈り)と(迷い風)、(グロー·アップバルブ)。

 

透子

 「(ガロス)さんの効果発動!ライトロードモンスターが効果を発動したので2枚墓地へ!」

 

送られたのは……(ギャラクシー·サイクロン)と(混源龍レヴィオニア)!

 

透子

 「送られたライトロードは1枚なので1枚ドロー!更に(ライデン)さんの効果発動!2枚墓地へ!」

 

送られたのは……(混沌領域)と(ライトロードの強襲準備)。  

 

透子 手札5→6

 

透子

 「そして墓地へ送られた(強襲準備)の効果!ライトロードモンスターの効果でデッキから墓地へ送られた場合に、自分と相手の除外されているカードを任意の枚数対象にして発動でき、それらをデッキに戻して戻した分×300LPを回復!私は除外されている9枚と鏡介の20枚を戻して合計5700回復です!

 

透子 LP1800→7500

 

鏡介

 「5700回復なんてスゲェ回復量だな?だが暗黒界にはその程度で耐えられないのは分かってるよな?こちとら回れば1万近くのLPを1ターンで削りきれるんだからな!」

 

 ええ、分かってます。ですがこれで“あのカード”のコストは用意出来ました。

 

透子

 「(ガロス)さんの効果発動!追加で更に2枚!」

 

送られたのは……2枚目の(ガロス)さんとさっき戻した(ゾンビ·キャリア)。

 

透子

 「送られたライトロードモンスターは1枚なので1枚ドロー!(ギャラクシー·サイクロン)を発動!そこのセットカードを破壊します!」

 

鏡介

 「通さない!(スノウ)印のカードの力見せてやる!カウンタートラップ(暗黒界の結界呪術)を発動!フィールドで発動した魔法·罠·モンスター効果を、“相手は手札を3枚選んで捨てる”にする!」

 

 銀河から吹き付ける暴風は虚空から現れた真っ黒なポータルに飛び込み、鏡介の手札を3枚吹き飛ばしました。

 

透子 LP7500→6500 手札6→7→6

 

鏡介 手札6→3

 

鏡介

 「捨てられた(ケルト)と(グラファ)2体の効果発動!(ブラック·ローズ)と(ルミナス)を破壊して、更に手札を2枚ピーピングさせてもらう!」

 

ピーピングされたカード

死者転生

ソーラー·エクスチェンジ

 

鏡介

 「見れたカードがしょっぱいなぁ……でも構わない!更に(ケルト)の効果発動!特殊召喚して更にデッキから(グラファ)を特殊召喚だ!新たな力再び!伏せていた速攻魔法(暗黒界を統べる咆哮)を発動!フィールドの暗黒界モンスターを3枚まで手札に戻して発動!手札に戻した暗黒界モンスターの数まで、墓地の(暗黒界の龍神グラファ)を特殊召喚!さらにこの効果で特殊召喚された(グラファ)はターン終了時まで相手の効果の対象にならず、一度だけ効果で破壊されない。だがこの効果を発動したターン俺は悪魔族以外のモンスターを墓地から特殊召喚出来ない!俺は(パスカ)、(ケルト)の2体を戻して(グラファ)を2枚蘇生だ!」

 

 墓地から湧き上がる重厚な咆哮。それを聞いた(ケルト)と(パスカ)は高く跳躍し、地面を割って(グラファ)が出てきました。

 

鏡介 手札3→5

 

 まだ使いません。次のターンに(グラファ)を出させれば……勝てます!

 

透子

 「(ソーラー·エクスチェンジ)を発動!手札の(ウォルフ)さんを捨てて2枚ドローして2枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(フェリス)さんと(裁きの龍)。でもドローカードが良いですね。

 

透子 手札6→5→4→6

 

透子

 「墓地の(シラユキ)の効果発動!墓地の(光の援軍)、(ソーラーエクスチェンジ)、(隣の芝刈り)、(ルミナス)さん、(ライデン)さん、(ウォルフ)さん、(ブラック·ローズ)を除外して特殊召喚!そして効果発動!(サンダーバード)を裏側守備表示に!ライトロードモンスターが4種類以上除外されている時、このカードは特殊召喚出来る!光が闇に沈む時、黒き翼が翻る!懲罰の時は今来たり!(戒めの龍)!」

 

 場に躍り出る黒き巨龍。その威圧的な佇まいが、とても頼もしく感じます。

 

透子 手札6→5

 

透子

 「(死者転生)を発動!手札の(ジェット·シンクロン)を捨てて(裁きの龍)を手札に!」

 

鏡介

 「それは通さない!トラップ発動(マインドクラッシュ)!宣言は(裁きの龍)だ!」

 

 地面より這い出てきた腕から放たれる光により(裁きの龍)が撃ち抜かれ墓地へ落ちてしまいました。

 

透子 手札5→4→3→4→3

 

 フィールドが埋まってますが……まぁ行けるでしょう!それにしても何故鏡介は笑っているのでしょうか……

 

鏡介

 「この時を待っていた!究極至高!その絶大なる力を解き放て!速攻魔法(超融合)発動!手札の1枚を捨てて(グラファ)3体と(戒めの龍)で融合!3柱の龍神よ!黒き懲罰の化身よ!今こそ1つに交わりて、新たな世界を生み出し給え!融合召喚!顕現せよ!我らが世界の創造主(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

 強烈な暴風が吹き荒れ、気付けばカラレス模様の不気味な世界へと変容していました。まさか(超融合)を狙っていたなんて!

 

鏡介 手札5→4

 

透子

 「ッ……私は墓地の(迷い風)の効果発動!墓地からセットします。そしてレベル4の(シラユキ)さんにレベル4の(ライデン)さんをチューニング!シンクロレベル8!(PSYフレームロードΩ)!これでターンエンドです」

 

透子 LP6500 手札3 伏せ2

残デッキ16

 

PSYフレームロードΩ 攻2800

ライトロード·ウォリアーガロス 守1300

トワイライトロード·シャーマンルミナス 守1000

 

鏡介 LP2900 手札4 伏せ0

 

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200

セットモンスター

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札4→5

 

鏡介

 「まずは(パスカ)の効果発動!(ケルト)を見せて発動し、自身を特殊召喚して2枚捨てて2枚ドロー!捨てられた(ケルト)、(スノウ)の効果発動!(スノウ)で(門)をサーチして(ケルト)蘇生!(門)発動!そして効果発動!(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡介 手札5→4→2→4→5→4→3→4→5

 

鏡介

 「(カラレス)の効果発動!お互いに墓地と除外されているカードをデッキに戻して戻したカード5枚につき1枚ドローしてドローした分だけ捨てる!俺は墓地の6枚と除外されている(スノウ)を戻して1枚ドローして1枚捨てる!」

 

透子

 「私は墓地の8枚と除外されている7枚を戻して3枚ドローして3枚捨てます」

 

 (強襲準備)で除外を戻せたのが良かったですね。戻さなかったら更に5枚も手札交換させていましたね。

 

鏡介 手札5→6→5

 

透子 手札3→6→3

 

鏡介

 「捨てられた(ゴルド)は蘇生!行くぜ!(パスカ)戻して(グラファ)特殊召喚!」

 

鏡介 手札5→6

 

透子

 「今です!カウンタートラップ(トワイライトロード·シール)発動!モンスターの特殊召喚に成功した時にデッキトップを5枚除外し、その中にライトロードカードが2枚以上存在する場合に発動!その特殊召喚を無効にして除外です!」

 

 私のデッキには結構な数のライトロードカードを戻しました。期待値は高いはず!

 

除外されたカード

光の援軍

トワイライトロード·ファイターライコウ

トワイライトロード·シャーマンルミナス

トワイライトロード·ソーサラーライラ

トワイライトロード·ジェネラルジェイン

 

 トワイライトロードが全種類出るってどういうことですか……ま、まぁ別にいいんですけど……

 

透子

 「えぇ……除外されたライトロードカードは4枚!よって(グラファ)の特殊召喚を無効にして除外!更に3枚以上のライトロードカードを除外したので、更にこの効果を発動したデュエル中、このカードの効果で除外されたカードと同名カードはお互いに特殊召喚出来ず、効果を発動出来ません!これで暗黒界デッキの根幹を封じました!」

 

 墓地から飛び出してきたトワイライトロードの皆さん。彼らの息のあった詠唱により地面を割って出てきた(グラファ)を異次元の彼方へ封印されました。

 

鏡介

 「うっげぇ……だがまだだ!(サンダーバード)を攻撃表示にしてバトルフェイズ!(カラレス)で(シャーマンルミナス)を攻撃!」

 

透子

 「ではメインフェイズ終了時に(PSYフレームロードΩ)の効果発動!このカードとき鏡介の手札1枚を次の私のスタンバイフェイズまで除外!」

 

 電脳世界から韋駄天の速さで鏡介めがけて走り、すれ違いざまに手札を掠め取る(PSYフレームロードΩ)。鏡介から除外したのは……(パスカ)!

 

鏡介 手札6→5

 

鏡介

 「攻撃の巻き直しにより、(ゴルド)で(ガロス)を、(サンダーバード)で(シャーマンルミナス)を攻撃!(カラレス)でダイレクトアタック!カラーレスワールド!」

 

 そして巨大な斧に斬られる(ガロス)さんと無数の雷に焼かれる(シャーマンルミナス)さん。そして強烈な力がかかり身体が歪む私。でもこれで鏡介はこれからマトモな展開が出来ません。次のターンがラストターンです! 

 

透子 LP5600→2400

 

鏡介

 「(グラファ)使えねぇのヤッバイなぁ……ターンエンド」

 

鏡介 LP2900 手札5 伏せ0

 

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200

未界域のサンダーバード 攻2800

暗黒界の武神ゴルド 攻2300

 

透子 LP2400 手札3 伏せ0

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

「スタンバイフェイズに(PSYフレームロードΩ)と鏡介の手札が帰還。(光の援軍)を発動!コストで3枚墓地へ送り(ルミナス)さんを手札に!」

 

 送られたのは……(セフィロン)と(ミネルバ)さん、(ハンターライコウ)さん。

 

透子 手札4→3→4

 

鏡介 手札5→6

 

透子

 「そして(ミネルバ)さんの効果発動!1枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(フェリス)さん!

 

透子

 「送られた(フェリス)さんは蘇生!(ライデン)さんを通常召喚!効果発動!2枚墓地へ!」

 

 送られたのは(ウォルフ)さん、(おろかな埋葬)。

 

透子 手札4→3

 

透子

 「(ウォルフ)さんを特殊召喚!私は(ウォルフ)さんと(フェリス)さんでオーバーレイ!ランク4(ライトロード·セイントミネルバ)!素材の(フェリス)さんを取り除き、効果発動!3枚墓地へ!」

 

 送られたのは、(ガロス)さん、(グラゴニス)さん、(ゼピュロス)。

 

透子

 「送られたライトロードカードは2枚。よって2枚ドロー!」

 

透子 手札3→5

 

 来ました!さぁ!これで決着です!

 

透子

 「このカードは自分の墓地にライトロードモンスターが4体以上の場合にのみ特殊召喚出来る!光の使者が集いし時、白き巨龍が全てを裁く!飛来せよ(裁きの龍)!」

 

 真っ黒な世界を引き裂く様に降り立った(裁きの龍)。ターン1制限のない(裁きの龍)を見てその後の展開を察したのか、鏡介は満足した様子で目を閉じていました。

 

透子 手札5→4

 

透子

 「(裁きの龍)の効果発動!1000LPを払って発動!このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する!ジャッチメント·タイム!」

 

 空高く飛翔した(裁きの龍)は、上空から光の雫を落としました。光の雫は地上に触れる直前に炸裂し、膨大な光が辺りを呑み込みました。

 

透子 LP2400→1400

 

 光が止むとさっきまでの不気味な空はなく、星々が暗い空を点々と彩っていました。

 

鏡介

 「……強くなったな、透子。1年前とは大違いだ。覚悟は出来てる。さぁ来い!透子!」

 

透子

 「えぇ!バトルフェイズ!(裁きの龍)でダイレクトアタック!ジャッチメント·フレア!」

 

 (裁きの龍)から放たれた膨大な光によつて、鏡介は容易く呑み込まれました。

 

鏡介 LP2900→-100

 

透子

 「大丈夫ですか!」

 

 決着が着き、私は大急ぎで鏡介に駆け寄りました。

 

鏡介

 「あぁ……大丈夫。ホント透子も強くなったよな。完敗だ」

 

透子

 「ようやく……鏡介と肩を並べられたのですね。今まで鏡介に勝てた時は手札が事故になっていた時ぐらいでしたからね」

 

 それでも大分拮抗してたんですよね……トップ(手札抹殺)を引かれて何度負けたことか。

 

鏡介

 「さぁ、寮へ帰るぞ。明日の結果発表が楽しみだな」

 

 卒業デュエルの成績優秀者には、あの最強デュエリストと名高い初代デュエルキングである遊戯さんのデッキのレプリカが貰えるそうですが……2年前に見たアレを貰っても使える気がしないんですよね。絶対に事故ります。

 

 そんな事を考えながら、私は自分の部屋へ歩き始めました。

 

 翌日、卒業式を兼ねた結果発表では鏡介と私のタイ。景品はやはり遊戯さんのデッキレプリカでしたが私は辞退、鏡介は「何年も前に作られたデッキが強いわけないだろ」と酷評し辞退しました。

 

 後でその事を聞いてみたのですが、彼曰く、よくよく考えれば今でもイカれたデッキなんていくらでもあったけど、あのデッキは違うとの事でした。

 

 ライトロードが精霊世界に返った後も、私達の未来はまだまだ続きます。私は鏡介と共にいる限り、何処へだって行ける。そう思えてなりません。





今回登場したオリカのテキストです。是非感想をお願いします。

暗黒界の案内人パスカ(オリカ)
レベル6/悪魔族/攻2450/守0
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか発動出来ない。
①手札のこのカードと暗黒界モンスター1体を相手に見せて発動出来る。このカードを特殊召喚して手札を2枚まで選んで捨てる。その後、このカードの効果で捨てた枚数分ドローする。この効果の発動後、デッキ·墓地から悪魔族以外のモンスターを特殊召喚出来ない。
②このカードが相手の効果で捨てられた時に発動する。墓地からこのカードを特殊召喚し、除外されている悪魔族モンスターを2体まで手札に加えるか特殊召喚できる。

暗黒界の結界呪術(オリカ)
カウンター罠
このカード名の①と②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。
①手札が3枚以上存在し、相手がフィールドで魔法·罠·モンスター効果を発動した時に発動出来る。その効果は「相手は手札を3枚選んで捨てる」となる。
②このカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた時に発動出来る。デッキから2枚ドローして手札を2枚選んで捨てる。

暗黒界を統べる咆哮
速攻魔法
このカード名の①と②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。
①フィールドの暗黒界モンスターを3枚まで手札に戻して発動出来る。手札に戻した暗黒界モンスターの数まで、墓地の(暗黒界の龍神グラファ)を特殊召喚出来る。この効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了時まで相手の効果の対象にならず、1度だけ効果で破壊されない。この効果を発動したターン、自分は悪魔族以外のモンスターを墓地から特殊召喚出来ない。
②このカードがカードの効果で捨てられた時に発動する。デッキから暗黒界モンスターを1枚墓地へ送る。相手によって捨てられた場合、更に除外されている暗黒界モンスターを2枚まで手札に加える事が出来る

トワイライトロード·シール
カウンター罠
このカード名の①と②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。
①相手がモンスターを特殊召喚する効果を含む魔法·罠カードの発動、又はモンスターの特殊召喚に成功した時に発動出来る。自分のデッキの上からカードを5枚除外し、その中にライトロードカードが2枚以上存在する場合、その発動または特殊召喚を無効にして除外する。このカードの効果で3枚以上のライトロードカードが除外された場合以下の効果を適応する。
⚫この効果を発動したデュエル中、このカードの効果で除外されたカードはお互いに特殊召喚出来ず、効果を発動出来ない。
②このカードがライトロードカードまたはテキストに「ライトロード」と記されたカードの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動出来る。墓地のこのカードをセットする。


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48.少女は猛者の夢を見る

透子と鏡介が卒業して12年。彼らは今何をしているのでしょうか?


 

??

 「明日からは……あまりカードショップに通えなくなる……少し寂しいわ」

 

 今日で春休みが終わり、明日から中学校での新しい生活が始まる。そうするとカードショップに入り浸る時間がだいぶ減る。でも、大人になるには必要な事だからダラダラ言ってはいられない。

 

 そんな事を考えていると、私の家に着いていた。一旦何も考えずに、扉を開く。

 

??

 「おかえり優華。今日のデュエルはどうだった?」

 

優華

 「ただいま母さん。今日は8割勝った。残りは手札事故と罠封じ。皆デュエルする時、顔攣ってた」

 

 目の間で笑顔で迎えてくれたのは私の母さん。古神透子。今は私を世話する為に休んでるけど、アカデミアの“修羅の世代”をくぐり抜けた、世界で活躍するプロデュエリスト。大量の罠や相手の打点を利用するといったトリッキーな戦術で相手を封殺する様から好き嫌いが別れている。

 偶にゴリゴリのビートダウンをキメることもあるけど、その時の強さにはムラがある。

 

 母さんは私と身長が大差ない。なんでも高校に入った頃から全く身長が伸びなかったらしい。そのせいで私と一緒に買い物をしていると店員に姉と間違えられてしまうことが多々ある。

 ちなみに胸は尋常じゃないぐらい小さい。お風呂で一緒に入ってた時に、小さい頃の私はよく乳を飲めたなと毎回思ってしまうぐらいだ。なんなら私より小さいと思う。

 

透子

 「それは良かったわね。私も、昔はそうやってクラスメイトの顔を顰めさせてたの。それはさておいて、ご飯はもう出来てるし、お父さんのデュエル中継がもうすぐ始まるから早く手を洗ってきて」

 

優華

 「父さんのデュエル!?分かった。すぐに行くわ」

 

 さっさと手を洗いリビングへ。扉を開ければ、簡素な家具で統一された我が家が出迎えてくれる。

 何も考えずに、母さんと一緒にテーブルに座りテレビに目を向ける。

 

  私の父さん、古神鏡介はその実力を一言で表すなら「気まぐれの邪神」。酷い時は5ターンもセットエンドを繰り返して負けたりすることもあるけど、回り始めたらその暴力的な展開力で数々のプロのフィールドを叩き潰す最強のデュエリスト。

 

 そしてその時期のアカデミア3年生の4割、2年生の3割、1年生の1割をその実力でもって自主退学に追いやった、アカデミアの“修羅の世代”を作り出した張本人でもある。

 

 当時世界チャンピオンだったデュエリストのフィールドを、瞬く間に焼け野原にしてワンキルを決めた時には大きなニュースになっていたのをよく覚えている。

 

 母さん曰くこれでも大分丸くなったみたいで、(生還の宝札)が禁止になる前は、とある有名な世界大会で父さんが出場すると判明した瞬間に9割のプロが棄権、残りが父さんに惨敗して引退するという伝説的な話がある。

 

 今まではバラエティ番組とかデュエル劇で人気俳優、デュエルの解説みたいな扱いだったのに……でもテレビでの父さんのデュエルを見れる貴重な機会。この時間帯は私の好きなアニメやってる時間だけど、逃す手は無い。

 

透子

 「あら、そういえば優華の好きなアニメ……“アラメシア英雄譚”はちゃんと録画してるから、安心して父さんの予選デュエルに集中して?」

 

 流石が母さん。よく分かってる。

 

 司会者が現れ、いよいよデュエルが始まる。相手は……修道女みたいな格好をしている女性デュエリストだ。

 

エリス

 「私の名はシスターエリス。貴方は神聖なる墓場を荒らす悪霊。許す訳にはいきません!」

 

 (エクソシスターミカエリス)の衣装を身に纏ったデュエリストはデュエルディスクを構え、黒いローブを着た不気味な仮面を着けた父さんを睨む。

 

パスカ

 「初対面の相手を悪霊呼ばわりとは中々に失礼ですね。私の名はパスカ。私は案内人の身ではありますが、多少の荒事への心得が御座います。どうか遠慮なさらず、潰すつもりでかかってくださいませ」

 

エリス·パスカ

 「デュエル!」

 

エリス

 「私の先攻です!ドロー!」

 

エリス 手札5→6

 

エリス

 「私は(エクソシスター·ステラ)を通常召喚!効果発動!1ターンに1度、手札のエクソシスターを特殊召喚!来なさい!(エクソシスター·ソフィア)!」

 

 軍服の様な衣装を身に纏うシスターが2体場に並ぶ。彼女らのレベルは4。それが意味する事は……

 

エリス 手札6→5→4

 

エリス

 「(エクソシスター·ソフィア)の効果発動!フィールドにエクソシスターモンスターが存在するので1枚ドロー!そして(エクソシスター·ステラ)と(エクソシスター·ソフィア)でオーバーレイ!握る剣で魔を祓え!エクシーズ召喚!(エクソシスター·ミカエリス)!」

 

 銀河の渦より現れたのは、長剣を握る金髪の女戦士。

 

エリス 手札4→5

 

エリス

 「(エクソシスター·ミカエリス)の効果発動!素材の(エクソシスターステラ)を取り除き、デッキからエクソシスター魔法罠(エクソシスター·バディス)を手札に加え、カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

エリス 手札5→6

 

エリス LP4000 手札3 伏せ3

 

エクソシスター·ミカエリス 素材1 攻2500

 

パスカ LP4000 手札5 伏せ0

 

パスカ

 「むぅ……厄介な布陣ですね。私のターンドロー!」

 

 パスカ 手札5→6

 

パスカ

 「スタンバイ、メインフェイズ。私は手札から(未界域のサンダーバード)の効果発動!手札を選んで捨ててください。(サンダーバード)が当たればそのまま捨てられ、外れれば特殊召喚して1枚ドローです!」

 

エリス

 「チェーンして(儚無みずき)を発動!このカードを手札から捨てて発動!相手がメインフェイズ及びバトルフェイズに効果モンスターの特殊召喚に成功する度に、私はそのモンスターの攻撃力分だけLPを回復します!ただし、この効果で自分のLPが回復しなかった場合、エンドフェイズに私のLPは半分になります!私は右から2番目を選びます!」

 

 シスターの様な格好の少女がフィールドに現れると、その身体が光の粒となって拡散し、側にした犬の霊がエリスの周りを回り始めた。

 

エリス 手札3→2

 

パスカ

 「選ばれたのは(暗黒界を統べる咆哮)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!そして捨てられた(咆哮)の効果発動!捨てられた場合、デッキから暗黒界モンスター(暗黒界の龍神グラファ)を墓地へ送る!(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てます。捨てられた(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

 雷を纏う大きな鳥がフィールドに降り立つと、犬の霊が淡く光り、エリスの身体が緑に輝いた。

 

パスカ 手札6→5→4→5→4→5→4→5

 

エリス LP4000→6700 手札2→3→2

 

パスカ

 「(暗黒界の門)を発動!墓地の(ブラウ)を除外して効果発動!1枚捨てて1枚ドロー!」

 

エリス

 「チェーンしてトラップ発動!(エクソシスター·バディス)!800LPを払い、デッキからエクソシスターモンスター(エクソシスター·イレーヌ)を特殊召喚し、更に特殊召喚したモンスターにカード名が記されたモンスター(エクソシスター·ソフィア)を特殊召喚!」

 

パスカ 手札5→4→3→4

 

エリス LP6700→5900

 

 門が開かれるなか、手を繋ぎフィールドに躍り出る2人の少女。攻撃力は1000にも満たないモンスター。 

 

パスカ

 「……捨てられた(スノウ)で(セルリ)を手札に」

 

エリス

 「……(門)が除外するのは発動する為のコスト。逆順処理する時には既に除外を終えているからエクソシスターがエクシーズ出来ないという訳ですか……でもただでは起きません!速攻魔法(エクソシスター·アーメント)!800LPを払い、フィールドの(エクソシスター·イレーヌ)を対象に、エクシーズチェンジします!来なさい!(エクソシスター·アソフィール)!」

 

 少女が光に包まれたと思ったら、光の弓矢を握る戦士へと変身していた。

 

エリス LP5900→5100

 

透子

 「エクソシスターは相手が墓地からカードを動かすと1体でエクシーズ召喚するテーマ。暗黒界との相性はかなり悪い。でも基本的な打点は低いから、捲れればそのまま押し切れる」

 

 父さんのデッキは異常な展開力が注目されがちだけど、その展開力から繰り出されるモンスターによる捲りも強力。まだ勝負は分からない。

 

エリス

 「(エクソシスター·アソフィール)の効果発動!エクソシスターモンスターを素材にエクシーズ召喚した場合、墓地のモンスター効果を発動出来ない!」

 

 墓地のモンスター効果の封印!?効果を発動しない(グラファ)は通せるけど、フィールドにはエクソシスターが1体残っている。もし(グラファ)を特殊召喚したら、更にエクソシスターエクシーズが展開される事になる。

 

パスカ

 「ふむ……バトルフェイズ!(サンダーバード)で(ソフィア)を攻撃!」

 

 巨大な鳥から放たれた雷が中性的な少女を容易く貫いた。

 

パスカ

 「これで墓地から特殊召喚出来ますね?メインフェイズ2!私は(ブラウ)を召喚して戻して(グラファ)!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

パスカ LP4000 手札3 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の龍神グラファ 攻3000

未界域のサンダーバード 攻2700

 

エリス LP9100 手札2 伏せ0

 

エクソシスター·ミカエリス 攻2500 素材1

エクソシスター·アソフィール 攻2100 素材1

 

エリス

 「私のターンドロー!」

 

エリス 手札2→3

 

エリス

 「(エクソシスター·ミカエリス)の効果発動!素材である(エクソシスター·ソフィア)を取り除き、デッキからエクソシスター魔法罠(エクソシスター·パークス)を手札に!」

 

エリス 手札3→4

 

パスカ

 「それを通すわけには行きませんね!カウンタートラップ発動(強烈なはたき落とし)!相手がデッキからカードを手札に加えた時に発動でき、相手は手札に加えたそのカード1枚を捨てます!よって(パークス)は捨てていただきます!」

 

 地面から這い出た腕がエリスさんの手を叩き、それによりエリスさんは(エクソシスター·パークス)を取りこぼしました。

 

エリス

 「ッ……ですがまだです!(エクソシスター·アソフィール)の効果発動!素材である(エクソシスター·ソフィア)を取り除き……(グラファ)を手札に戻します!」

 

パスカ 手札3→4

 

エリス 手札4→3

 

エリス

 「今こそ切り札を切るときです!私はランク4の(エクソシスター·アソフィール)とランク4の(エクソシスター·ミカエリス)でオーバーレイ!奇跡と奇跡結ばれし時、もたらされるは希望の光。その輝きで、全ての魂を救済せよ!集え!ランク8!(エクソシスターズ・マニフィカ)!」

 

 銀河に呑まれる2人の聖職者。渦は爆発し、2人の聖職者はしっかりとお互いの手を握り各々の武器を構えた。2体のランク4でエクシーズですって!?

 

エリス

 「(エクソシスターズ·マニフィカ)の効果発動!お互いのターンに1度、素材である(エクソシスター·ミカエリス)を取り除き、相手のカードを選んで除外します!私は(未界域のサンダーバード)を除外します!鎮魂の光を受け消え去りなさい!」

 

 二人の聖職者から放たれた強烈な光が(サンダーバード)を呑み込むと、その姿は跡形も無く消え去っていた。

 

エリス

 「(エクソシスターズ·マニフィカ)は2回攻撃が出来ます!このモンスターの攻撃力は2800!これで終わりです(エクソシスターズ·マニフィカ)でダイレクトアタック!」

 

パスカ

 「トラップ発動(マインドクラッシュ)!私の手札には自己蘇生出来る暗黒界モンスターが1枚存在します。よって当たれば生存、外れれば敗北です。私が宣言するのは(魔法使いの里)!」

 

 こんなにもピンチな状況なのに、父さんは笑っている。仮面で目が見えなくても雰囲気で分かる。きっと強い人と戦えて嬉しいんだろう。

 

 地面から湧いて来た手から閃光が放たれる。エリスの手札からは手札が落ちず、逆に父さんの手札から(暗黒界の軍神シルバ)が捨てられた。

 

パスカ

 「捨てられた(シルバ)の効果発動!墓地から特殊召喚!」

 

エリス

 「チェーンして(エクソシスターズ·マニフィカ)の効果発動!相手が効果を発動した時に発動!素材である(エクソシスター·ミカエリス)をEXデッキに戻し、その後そのモンスターを自分フィールドのこのカードを素材にしてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚します!エクシーズチェンジ!(エクソシスター·ミカエリス)!」

 

 2人の修道女は銀河の渦の元に1つになり、剣を握る戦士へと変化した。そして墓地から(シルバ)が飛び出してくる。

 

パスカ 手札4→3

 

エリス

 「(エクソシスター·ミカエリス)の効果を発動!エクソシスターモンスターを素材にエクシーズ召喚に成功した場合、相手のフィールド·墓地のカード。今回はフィールドの(暗黒界の軍神シルバ)を除外!」

 

 女戦士がその手に握る剣を掲げると、眩い光がフィールドを包み(シルバ)を消滅させた。

 

エリス

 「バトルフェイズに特殊召喚されたモンスターは攻撃出来るので(エクソシスター·ミカエリス)でダイレクトアタック!」

 

 女戦士は影すら見えない速度で剣を振るい父さんを切り裂いた。

 

パスカ LP4000→1500

 

エリス

 「私はカードを2枚セットしてターンエンドです!」

 

エリス LP9100 手札1 伏せ2

 

エクソシスター·ミカエリス 攻2500 素材1

 

パスカ LP1500 手札3 伏せ0

 

パスカ

 「フフフ……返せるか否かは引き次第。私のターンドロー!」

 

パスカ 手札3→4

 

パスカ

 「……天は私に微笑んだ!私は手札から(暗黒界の案内人パスカ)の効果を発動!手札の(暗黒界の龍神グラファ)を見せて発動し、このカードを特殊召喚して2枚捨ててその後捨てた枚数分、つまり2枚ドロー!」

 

 父さんのフィールドに降り立ったのは、父さんと瓜二つのモンスター。世界に1つしかない父さんだけのカード。

 

パスカ 手札4→3→2→4

 

パスカ

 「捨てられた(グラファ)と(セルリ)の効果発動!(セルリ)はそちらのフィールドに守備表示で特殊召喚され、(グラファ)で(ミカエリス)を破壊!」

 

エリス

 「チェーンしてトラップ発動(エクソシスター·バディス)!800LPを払い(エクソシスター·エリス)と(エクソシスター·ステラ)を特殊召喚です!」

 

エリス LP9100→8300

 

 黒い瘴気に飲まれて(ミカエリス)が破壊されると即座に2人のシスターがフィールドに降り立った。

 これで父さんの墓地からの展開を牽制するつもりなんだろうけど……父さんは焦っている様子を全く感じない。

 

パスカ

 「相手フィールドの(セルリ)の効果発動!私は手札の(ゴルド)を捨てます。捨てられた(ゴルド)の効果を発動!墓地から特殊召喚して、相手に捨てられたのでさらに2枚のカードを対象に破壊!私は(エリス)と(ソフィア)を対象に破壊!」

 

エリス

 「ッ……チェーンして速攻魔法(エクソシスター·アーメント)を発動!800LPを払い、自分フィールドのエクソシスターモンスターをエクシーズチェンジします!私は(エリス)を対象にエクシーズチェンジ!来て!(エクソシスター·ミカエリス)!」

 

 墓地から(ゴルド)が飛び出すと、その手に持つ大きな斧で2人の修道女を両断しようとするも、1人が光に包まれ回避された。

 

エリス LP8300→7500

 

パスカ 手札4→3

 

 光が止むと、仇を見るような目で睨む(ミカエリス)の姿があった。

 

エリス

 「(エクソシスター·ミカエリス)の効果発動!墓地の(グラファ)を除外!」

 

 剣を掲げる女戦士。剣から強い光が放たれ墓地の(グラファ)を消し去った。

 

パスカ

 「(未界域のビックフット)の効果発動!さぁ!手札を選んでいただきます!」

 

エリス

 「真ん中です!」

 

パスカ

 「選ばれたのは(暗黒界の龍神グラファ)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(グラファ)の効果発動!(ミカエリス)を対象に破壊!」

 

フィールドに降り立つ大きな猿。それと同時に墓地から黒い瘴気が立ち込め(ミカエリス)を破壊した。

 

パスカ 手札3→2→1→2

 

パスカ

 「フィールドの(ゴルド)を戻して墓地のこのカードを特殊召喚します。いでよ!暗黒界を統べる者!(暗黒界の龍神グラファ)!」

 

パスカ 手札2→3

 

 地面を割って出てきたのは、刺々しい姿をしたドラゴン。でも悪魔族。

 

 (グラファ)はフィールドの(暗黒界の門)の光を受けて、重厚な咆哮をあげる。

 

パスカ

 「ドローしたカードが強いですね……私は(魔界発現世行きデスガイド)を通常召喚!効果発動!デッキからレベル3以下の悪魔族モンスター(魔サイの戦士)を特殊召喚!そして私はレベル3の(デスガイド)とレベル3の(魔サイの戦士)でオーバーレイ!いでよ!異次元を繋ぐ海蛇!(虚空海竜リヴァイエール)!」

 

 オーバーレイネットワークから飛び出してきたのは、羽の生えた青色の海蛇。除外から下級モンスターを帰還させる便利なモンスター。

 そして素材の(魔サイの戦士)には優れた効果がある。

 

パスカ 手札3→2

 

パスカ

 「(リヴァイエール)の効果発動!素材の(魔サイの戦士)を取り除き、除外されている(スノウ)を特殊召喚!更に墓地へ送られた(魔サイの戦士)の効果発動!デッキから悪魔族モンスターを墓地へ送る!よって私は(グラファ)を墓地へ送り、即座に(スノウ)を戻して(グラファ)特殊召喚!」

 

パスカ 手札2→3

 

パスカ

 「私は(グラファ)と(ビッグフット)でオーバーレイ!高潔なる騎士よ!今こそ聖なる力を以て、我を守護する盾となれ!エクシーズ召喚!ランク8!(神竜騎士フェルグラント)!更に(門)の効果発動!墓地の(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で(暗黒界の援軍)を手札に!」

 

 フィールドに巨大な剣を握る騎士が現れると、(門)が半開きになり怪しい光が強く放たれる。

 

パスカ 手札3→2→3→4

 

パスカ

 「(フェルグラント)の効果を発動!素材の(グラファ)を取り除き、自身の効果を無効にして完全耐性を付与する!セイントバリア!」

 

パスカ

 「(暗黒界の援軍)を発動!(スノウ)を特殊召喚して1枚捨てる!捨てられた(セルリ)の効果を発動!そちらに特殊召喚され、私は手札を1枚捨てます!」

 

パスカ 手札3→2→1

 

 エリスのフィールドに降り立った小柄な悪魔は、不気味な魔法を放ち父さんの手札を1枚消した。

 

パスカ

 「相手に捨てられた(パスカ)の効果発動!墓地から特殊召喚して除外されている悪魔族モンスターを2体まで手札に加えるか特殊召喚出来る!よって私は(グラファ)と(ブラウ)を手札に加えます!(スノウ)を戻して(グラファ)を特殊召喚!」

 

パスカ 手札2→4→5

 

パスカ

 「私は(グラファ)2体でオーバーレイ!大いなる龍よ、その身に聖なる力を刻み込み、我らに盾突く愚者を焼け!エクシーズ召喚!ランク8!(聖刻神龍エネアード)!効果発動!素材の(グラファ)を取り除き、手札の(グラファ)をリリースして(セルリ)を破壊します!」

 

 所々に金の光が輝く真っ赤な龍のブレスに飲まれて消える小柄な悪魔。これでフィールドはガラ空きになった。

 

パスカ

 「(パスカ)を戻して(グラファ)!バトルフェイズ!(エネアード)でダイレクトアタック!ヒエラティックシュート!(グラファ)2体でダイレクト!暗黒の吐息ニレンダァ!」

 

パスカ 手札5→6

 

エリス

 「私の負け……ですか……」

 

 真っ黒なブレスがエリスを呑み込み、LPを消し飛ばした。

 

エリス LP7500→4500→1500→-1500

 

 デュエルが決着するが、観客からの歓声は大きくはない。多くの観客はエリスの逆転を望んでいたんだと思う。

 

 その後、簡単なインタビューが終わってニュースが始まった。

 

優華

 「やっぱり父さんは凄いね。墓地封じを仕掛けてくる相手にも勝てるんだから」

 

透子

 「まぁね、でもやっぱり私は全盛期と比べちゃうわ。(生還の宝札)を積んで、60枚デッキで手札交換し続けて、相手を巻き込んで融合モンスターを出していたあの頃を……」

 

 時々母さんが話す父さんの全盛期。私が物心ついた時にはすでに(生還の宝札)は禁止になってたから、その時の事は分からない。

 

 母さんの夕食を食べ終えた私は、食器を片付けて歯を磨いて自分の部屋のドアに手をかけた。

 

 ドアを開ければ、ある程度片付いた部屋が私を出迎えてくれる。私は何も考えずにベッドに飛び込み寝転がる。

 

優華

 「明日から新しい生活が始まる……そこに私のデッキを受け止めてくれるデュエリストはいるのかな」

 

 自分で言うのも変だけど、私はデュエルが強い。両親がプロデュエリストだからカードに恵まれてるのもあるけれど、相手のデッキをすぐに把握してマストカウンターに妨害を当てるのが他の同級生よりも上手いという自負がある。

 

 それは相手からしたら、自分の展開を封殺され、貧弱極める攻撃力のモンスターにじわりじわりと追い込まれる風に見えるらしく、多くはデュエリストとしての自信を無くし、酷いとトラウマのあまり自分の愛用していたであろうデッキをゴミ箱に投げ捨ててしまう事もあった。

 

優華

 「……このデッキを受け止めてくれるデュエリストはいるのかな」

 

 机の端に乗っているのは、カードショップでも使わない私のお気に入りのデッキ。使わなくなったのは小学校3、4年の時ぐらいからだっただろうか。

 

 初めて父さんからカードを貰って、読めない漢字を解読しながら、父さんの助力をほんの少し借りながらなんとか組み上げたデッキ。今思うと荒削りとすら呼べない様なデッキだったけど、当時の同級生相手にはオーバーパワーもいいところだった。

 

 除外、モンスターの大量破壊、エクシーズ召喚の無効、破壊肩代わり。ただでさえ2000超えの打点を越えるのに手札を2枚か3枚使うぐらい苦労するなか、ターンを重ねるごとに増えていく最上級モンスター。相手のフィールドがガラ空きで、コチラのフィールドが最上級モンスターで埋まっていることもザラだった。

 

 それから学校で私とデュエルする人はいなくなった。一応お気に入りのデッキも調整はしているけどデュエルで使ったことはない。

 でももしも、もしも今までよりもずっと強いデュエリストがいるのなら、きっとこのデッキもオーバーパワーじゃなくなって、楽しくデュエルが出来る。今はそんな人がいるのを願うしかない。

 

優華

 「私よりも強いデュエリストが居るならば……力を貸して。私の“王様達”」

 

 私は明日からの生活に思いを馳せて、静かに眠りについた。

 




これにて暗黒と光道は完結です。

 初めて小説を投稿して思った事は、感想が来ると凄く嬉しくなるという事です。余りに嬉しすぎて、投稿して感想が来てないか何回もページを開いてしまうぐらい嬉しかったです。

 そして遊戯王小説の難しさも感じました。手札の管理、墓地のカードの把握、キャラクターをどう動かすか、どうやって追い込んで逆転させるかもかなり悩んだものです。これらを上手く表現出来る他の遊戯王小説作家の凄さを強く実感できました。

 最後に、この作品をご愛読していただき、本当にありがとうございました。番外編であるイリアステル介入編をつくるために5D'sを見てくるので、期待しない程度にお待ち下さい。



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IF.イリアステル介入
IF1.イリアステル介入。尖兵の観察記録


お久しぶりです。かなり時間が空きましたが、今回は2話同時投稿までです。
 まだまだ完結してないです。2話投稿後、資格勉強に励む為しばらく投稿はありません。ご了承ください。


- IF1.イリアステル介入。尖兵の観察記録 -

 

 

〜 ?? 〜

 

???

 「……潜入任務?」

 

 星の様な煌めきが天を照らす空間で、一人の少女が首を傾げた。その視線の先には、巨大な双腕を持つロボットが空に留まっていた。

 

????

 「はい、先程モニターからレベル9相当のシンクロ反応が検知されたので、レインにはその調査をお願いしたいのです」

 

レイン

 「レベル9……それぐらいなら我々が調査する必要性……皆無」

 

 レインはミッションを聞き、更に首を傾げた。レベル9のシンクロ召喚を行えるデュエリストはそこまで多くはないが、特段調査するような代物ではないのだ。

 

????

 「確かに、本来なら私も気にも留めなかったでしょう。しかし、発生した時期がゼロリバースの20年以上前である遊城十代が活躍する時代、そしてそれがデュエルアカデミアで発生したならどうでしょう?」

 

 彼女の上司であるZONEの言葉を聞き、驚愕して目を見開くレイン。

 ゼロリバース。それは端的に言ってしまえばシンクロ召喚が流行りすぎた結果エネルギーシステムが暴走して起きた大規模な事故。そのシンクロ召喚が本来シンクロ召喚のシの字も無いはずの遊城十代の時代で発生している。レインは事の異常性を強く噛み締め気を引き締める。

 

Z-ONE

 「レイン。分かっているとは思いますが今回の任務はアカデミアへの潜入捜査です。アカデミアの生徒となって潜入し、長期的に調査を進めてください。しかし、その原因が排除可能ならばデュエルによる抹消も許可します。その際の報告は忘れないように」

 

レイン

 「任務……了解」

 

 レインは強く頷き、遊城十代の時代へ飛んだ。

 

 

 

〜 アカデミア 〜

 

 こうして、レインはアカデミアの転校生として特に違和感を持たれることなく潜伏に成功した。しかし……

 

レイン

 「………デスベルト……」

 

 彼女は左腕につけられた腕輪を見て少し表情を曇らせる。まさかデスクローザーデュエル開催中に潜入するとは思っていなかったのだ。

 

 デュエルエナジーを抜かれる関係上、調査に支障を来す可能性が高い。1度Z-ONEの所へ戻り装置をすり替える事も考えたが、エネルギーが来ないことを不自然に思いコブラと不本意な接触が発生する可能性があるので、レインはこのまま調査を続行することを決めた。

 

レイン

 「まずは……聞き込みを開始する」

 

 レインはまず、このアカデミアで最も強いデュエリストを探すことにした。

 

 レイン達の時代でも9シンクロを行えるデュエリストはそこまで多くない、現在レイン達が監視対象にしている不動遊星やその仲間たちも、高くても8シンクロが限界なのだ。不動遊星に限ってはその上を行こうと模索しているようなのだが……

 

レイン

 「ねぇそこの貴方、少し話がしたい」

 

イエロー生

 「えっ、あ、はいなんでしょう」

 

 レインが声をかけたのは、どこにでも居そうな清潔感のあるイエロー生。

 

レイン

 「私はこのアカデミアで1番強いデュエリストを探している。誰が知ってる?」

 

イエロー生

 「それなら古神透子さん1択だと思いますよ」

 

レイン

 「古神透子?」

 

 予想だにしなかった名前の登場にレインは首を傾げた。

 データベースによれば、試験デュエルでアドバンス召喚された最上級モンスターに対して(神の宣告)を撃つも上手くテンポを持っていけずに半分のライフコストが祟り敗北して受験に落ちていた筈。

 

イエロー生

 「もしかして知らないんですか?このアカデミアでは知らない人は居ない筈なんですけど……」

 

レイン

 「ご、ごめんなさい」

 

イエロー生

 「あぁいえいえ気にしないで下さい。透子さんの事が知りたいんですよね?」

 

レインが首を縦に振ると、イエロー生は静かに話し始めた。

 

イエロー生

 「古神透子さんはですね……色んなデッキで相手を粉砕するデュエリストなんです」

 

レイン

 「色んなデッキ?」

 

イエロー

 「はい。暗黒界、ライトロード、Kozmo、メタファイズ、ナチュル。他にも沢山のデッキを持っていて多彩なタクティクスで多くの生徒の心を圧し折るんです……もしかして戦おうとしてます?辞めたほうが良いと思いますよ?」

 

 確かに(光の援軍)や(ルミナス)が無制限なこの環境なら並のデュエリストは歯が立たないだろう。そんなことを考えながらレインは耳を傾けた。

 

イエロー生

 「今の透子さんは何故か気が荒ぶっていて、とてもまともなデュエルさせてくれないんですよ。実際に心を折られて自主退学したデュエリストが何十人といるんです。……本当にやるんですか?」

 

 レインは口を動かさず、ゆっくりと首を縦に振った。

 

イエロー生

 「そうですか……せっかくですしデュエルしましょう。君の実力を見せてください」

 

レイン

 「……分かった。勝敗を」

 

 デュエルディスクを構えるレイン。アンデシンクロを握るレインは速攻で勝負を決めた。

 

 

 

〜 購買 〜

 

 昼下り、レインは購買を訪れていた。本来なら過去のパックなど買うはずもないのだが、先のイエロー生から万全を期す為にシンクロモンスターが入っているパックがあるからそれで強化したほうが良いと言われ購買にやってきていた。

 

 慣れた手付きでパックを開け、カードを見る。

 

レイン

 「(ユニゾンビ)、(グローアップ·ブルーム)、(死霊王-ドーハスーラ)、(真紅眼の不屍竜)……こんな強力なモンスターがどうして……」

 

 視界の先にはデータベースに存在しない明らかに強力なモンスター。口にはしなかったが他のモンスターも明らかにこの時代にそぐわない力を持っていた。

 

 レインはこれらのカードをテーブルに広げ、昼休みを丸々使って活用法を見出しデッキを完成させた。

 

 

 

〜 放課後 〜

 

 授業が終わり多くのデュエリストがデュエルを始める放課後、レインは他の生徒にターゲットである透子の場所を聞き出して、その周辺を捜索していた。アカデミアから少し離れた場所にその対象がいた。

 

 とても小柄な体格、肩にギリギリかかるか否かといった長さに整えられた艶のある黒髪。そして……飢えた獣すら逃げ遂せそうな程に滾らせた殺意。そんな彼女と目があった。

 

鏡子

 「なぁ……お前デュエルしろよ……デュエルしろよぉ!!」

 

レイン

 「ッ……勝敗を……」

 

鏡子·レイン

 「デュエル!」

 

レイン

 「先攻は私、ドロー」

 

レイン 手札 5→6

 

レイン

 「(不知火の隠者)を通常召喚、効果発動。このカードをリリースして守備力0のアンデットモンスターを特殊召喚。来て、(ユニゾンビ)」

 

 レインのフィールドに現れたのは、山伏の様なモンスター。彼は即座に霞となって消えて、代わりに二組のゾンビがなんとも言えない歌声を奏でながら現れた。

 

レイン 手札6→5

 

鏡子

 「不知火かアンデシンクロか……さぁ次はどうする!俺を満足させてみろ!」

 

レイン

 「(ユニゾンビ)の効果発動。手札の(屍界のバンシー)を墓地へ送り、(ユニゾンビ)のレベルを1つ上げる」

 

 ゾンビの痩せこけた方がデスボイス気味な声を上げる。墓地に送られたモンスターを聞いて、鏡子の顔が青くなる。

 

レイン 手札5→4

ユニゾンビ レベル4→5

 

鏡子

 「(バンシー)……(アンデット·ワールド)か!」

 

 鏡子の額に冷や汗が流れているのを尻目に、レインは次の手を打つ。

 

レイン

 「墓地の(屍界のバンシー)の効果発動。墓地のこのカードを除外して(アンデット·ワールド)を……発動」

 

 フィールドが変容し、腐臭が辺りに漂う死者の世界へ書き換わる。

 

レイン

 「更に(ユニゾンビ)の効果発動。デッキの(グローアップ·ブルーム)を墓地へ送りレベルを上げる。ただし、このターンはアンデットしか攻撃出来ない」

 

 太った方のゾンビが低い声を響かせると、少し花が咲いた種子が墓地へ落ちていった。そしてその種子が地につき芽吹き始める。

 

ユニゾンビ レベル5→6

 

レイン

 「墓地に送られた(グローアップ·ブルーム)の効果発動。自身を除外してデッキからレベル5以上のアンデットを手札に加える……フィールドに(アンデットワールド)が存在する場合特殊召喚することも出来る。来て、(死霊王ドーハスーラ)」

 

 種子が花開き、中から下半身が蛇で、あちこちに骸骨を身に纏った不死者の王が降臨した。

 

レイン

 「カードを1枚セットして……ターンエンド」

 

レイン LP4000 手札3 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

死霊王ドーハスーラ 攻2800

ユニゾンビ レベル6 攻1300

 

鏡子 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡子

 「俺のターン!ドロー!」

 

鏡子 手札5→6

 

鏡子

 「オッ……ゴ……カードを3枚セットしてターンエンド」

 

 返しの鏡子のターン。苦虫を噛み潰したように苦しげな表情でターンを返した。

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ3

 

レイン LP4000 手札3 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

死霊王ドーハスーラ 攻2800

ユニゾンビ レベル6 攻1300

 

 

 

レイン

 「私のターン。ドロー」

 

レイン 手札3→4

 

鏡子

 「スタンバイフェイズ……(幽麗なる幻滝)発動……手札の(ダイナマイトK)、(マジェスティM)、(ドライアスⅢ世)を墓地へ送り、墓地送った数+1、4枚ドロー」

 

 鏡子は今までに無いほどに危機的状況であった。(アンデットワールド)はフィールド·墓地のモンスターをアンデット族にする効果の他にアドバンス召喚を封じる効果がある。これにより真竜のデッキコンセプトが崩壊、機能不全に陥っているのである。

 

 カードをドローしても、鏡子の顔が肌色に戻らず苦しげなままだった。

 

鏡子 手札3→0→4

 

鏡子

 「永続トラップ(大捕物)を発動!これにより俺はフィールドに(大捕物)がある限り、(ドーハスーラ)のコントロールを永続的に得る!しかし(ドーハスーラ)は攻撃出来ず効果も発動出来ない!」

 

 大量の鎖が(ドーハスーラ)を捕らえ鏡子のフィールドに引き摺り込んだ。

 

レイン

 「ッ……(ゾンビ·マスター)を召喚。効果発動。手札の(終末の騎士)を墓地へ送り、墓地の(不知火の隠者)を特殊召喚。そして(隠者)の効果発動。自身をリリースしてデッキの守備力0のモンスター。(妖刀-不知火)を特殊召喚」

 

レイン 手札4→3→2

 

 フィールドに降り立つアンデット達。だが展開は終わらない。

 

レイン

 「私はレベル4の(ゾンビ·マスター)にレベル2の(妖刀不知火)をチューニング。シンクロレベル6、来て、(刀神-不知火)。」

 

 刀に宿る霊が光輪を生み出し、ネクロマンサーを包み光に飲み込む。光の先には背後に守護霊を宿した武士の姿があった。

 

レイン

 「(ユニゾンビ)の効果発動。フィールドの(死霊王ドーハスーラ)を対象に、デッキの(馬頭鬼)を墓地へ送りレベルを1上げる」

 

死霊王ドーハスーラ レベル8→9

 

レイン

 「(馬頭鬼)の効果発動。墓地の自身を除外して墓地のアンデットとなった(終末の騎士)を特殊召喚。効果発動。(妖刀−不知火)を墓地へ、そしてレベル4の(終末の騎士)にレベル6になった(ユニゾンビ)をチューニング。シンクロレベル10。来て、屍界の支配者(真紅眼の不死竜皇)。」

 

 現れたのは、真紅眼の可能性の終着点の1つ。アンデット·ワールドの支配者となったレッドアイズは青い炎を辺りにばら撒く。

 

鏡子

 「永続トラップ(真竜皇の復活)を発動して効果発動!墓地の真竜モンスター(真竜騎将ドライアスⅢ世)を守備表示で特殊召喚!」

 

 空間の裂け目から飛び出す竜人の槍兵。その守備力は脅威の2800。(真紅眼の不死竜皇)ですら越えることの出来ない打点である。

 

レイン

 「ッ……ターンエンド……」

 

レイン LP4000 手札2 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

真紅眼の不死竜皇 攻2800

刀神-不知火 攻2500

 

鏡子 LP4000 手札3 伏せ0

 

死霊王ドーハスーラ レベル9 攻2800

真竜騎将ドライアスⅢ世 守2800

 

大捕物(死霊王ドーハスーラ)

真竜皇の復活

真竜の黙示録

 

鏡子

 「俺の……ターン!」

 

鏡子 手札3→4

 

レイン

 「(真紅眼の不死竜皇)の効果発動。墓地のアンデットモンスター。(アンデット·ワールド)の効果でアンデット族になっている(終末の騎士)を特殊召喚。そして効果発動……私は……」

 

 レインは効果を処理する前に少し思考を巡らせる事にした。監視の対象、古神透子のデッキについて。

 彼女の今までの動き、そして(アンデット·ワールド)を使用したときの露骨な反応から彼女は今アドバンス召喚系のデッキでデュエルしている。つまり(アンデット·ワールド)を維持さえすれば相当優位に立てる。万が一(サイクロン)といった除去カードで(アンデット·ワールド)を破壊されても(屍界のバンシー)で再び貼り直す事が出来る。

 

 

レイン

 「私は(屍界のバンシー)を墓地へ送る」

 

 アンデット·ワールドの覇者の咆哮に呼応して、アンデット·ワールドの支配下にある騎士が呼び出された。そしてこの騎士は新たに一体の屍体を墓地に送り込む。

 

鏡子

 「(復活)の効果発動!墓地の(ダイナマイトK)を蘇生!そして(黙示録)を発動して効果発動!真竜カード(ダイナマイトK)を破壊して相手フィールドのモンスターの攻守を半分にする!」

 

 (ダイナマイトK)が破壊され、背後に現れる(真竜皇V.F.D)。彼の放つブレスがレインのモンスターを衰弱させる。

 

真紅眼の不死竜皇 攻2800→1400

刀神-不知火 レベル6 攻2500→1250

終末の騎士 攻1400→700

 

鏡子

 「更に永続魔法(真竜の継承)を発動!効果発動!このターンに墓地へ送られた真竜カードの種類分ドロー出来る!1枚ドロー!」

 

鏡子 手札4→5

 

鏡子

 「ッ……(ドライアスⅢ世)を攻撃表示にしてバトルフェイズ!(ドライアスⅢ世)で(終末の騎士)に攻撃!ドライアスシェイバー!」

 

 槍を持つ竜人が凄まじい勢いで突進し、闇の騎士を刺し貫き骸に変えた。

 

レイン LP4000→2600

 

鏡子

 「カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

鏡子 LP4000 手札4 伏せ1

 

死霊王ドーハスーラ レベル9 攻2800

真竜騎将ドライアスⅢ世 攻2100

 

大捕物(死霊王ドーハスーラ)

真竜の継承

真竜皇の復活

真竜の黙示録

 

レイン LP2600 手札2 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

真紅眼の不死竜皇 攻1400

刀神-不知火 レベル6 攻1250

 

レイン

 「私のターン、ドロー」

 

レイン 手札2→3

 

レイン

 「(闇の誘惑)を発動。2枚ドローして(シノビネクロ)を除外。そして除外された(シノビネクロ)の効果発動。除外された場合、自身を特殊召喚。この効果で特殊召喚された(シノビ·ネクロ)はフィールドを離れると除外される」

 

レイン 手札3→2→4→3

 

レイン

 「レベル6の(刀神-不知火)にレベル2の(シノビ·ネクロ)をチューニング。シンクロ、レベル8(スクラップ·ドラゴン)。そして伏せていた(アンデット·ネクロライズ)を発動。フィールドにレベル5以上のアンデットモンスターが存在する時に発動出来、相手フィールドのモンスター(死霊王ドーハスーラ)のコントロールをエンドフェイズまで得る」

 

 屍と化したレッドアイズが放つ青き光に導かれる様に、鎖に繋がれながらもアンデット·ワールドの王は本来の持ち主のフィールドへと帰っていった。

 

レイン

「(スクラップ·ドラゴン)の効果発動。1ターンに1度、自分と相手のカードを1枚ずつ対象に選択し、私の(死霊王ドーハスーラ)と(真竜の黙示録)を破壊」

 

鏡介

 「ッ……チェーンして(黙示録)の効果発動!(継承)を破壊して相手フィールドのモンスターの攻守を半分にする!」

 

 (継承)を飲み込みブレスを放つ(真竜皇V.F.D)。蒸気を(ドーハスーラ)に吹き付けながら突貫する(スクラップ·ドラゴン)はそのブレスを突っ切り(真竜皇V.F.D)を貫いた。

 

真紅眼の不死竜皇 攻1400→700

スクラップ·ドラゴン 攻2800→1400

 

鏡介

 「墓地へ送られた(継承)の効果発動!魔法·罠カードである(アンデット·ワールド)を対象に破壊する!チェーンして墓地へ送られた(黙示録)の効果発動!(スクラップ·ドラゴン)を対象に破壊する!」

 

 (継承)がフィールドから消えた時、(ドライアスⅢ世)の持つ長槍が緑に輝き、突進によって生み出される運動エネルギーを存分に開放しアンデットの楽園を打ち砕いた。更に二の太刀と言わんばかりに槍を振るい所々腐食している機械龍を両断した。

 

 墓地へ送られると、破壊効果を行使してくる魔法罠。コチラの魔法破壊カードを牽制してくるとてつもなく厄介な効果だとレインは思いながら次の手を打つ。

 

レイン

 「墓地の(屍界のバンシー)の効果を発動。墓地のこのカードを除外してデッキから(アンデット·ワールド)を発動する」

 

 墓地に横たわっていた屍の少女が汚泥のように腐り落ち、再びアンデットの楽園を築き出す。

 

レイン

 「墓地の(妖刀-不知火)の効果発動。墓地のこのカードと(不知火の隠者)を除外することでEXデッキからアンデットシンクロモンスターを特殊召喚する。来て、(アンデット·スカル·デーモン)」

 

 墓地の妖刀が妖しく輝き、不気味な光が辺りを飲み込むと、(デーモンの召喚)がアンデット化した様なモンスターがフィールドに降り立った。

 

レイン

 「私は(牛頭鬼)を通常召喚。効果発動。デッキから(馬頭鬼)を墓地へ送る。そして墓地の(馬頭鬼)の効果発動。このカードを除外して墓地の(ユニゾンビ)を特殊召喚する。そして(ユニゾンビ)の効果発動。デッキから(ゾンビ·キャリア)を墓地へ送り、(アンデット·スカル·デーモン)のレベルを1つ上げる」

 

アンデット·スカル·デーモン レベル6→7

 

レイン 手札3→2

 

レイン

 「私はレベル4の(牛頭鬼)とレベル3の(ユニゾンビ)をチューニング。シンクロ召喚(真紅眼の不屍竜)」

 

 紫の光に包まれ降り立ったのは、青白い炎を翼から吹き出すレッドアイズの可能性の一つ。何らかの理由で息絶え屍界の住民となったレッドアイズの姿である。

 

レイン

 「(真紅眼の不屍竜)は自分そして相手のフィールド·墓地のアンデットモンスターの数×100攻守が上昇する。フィールド·墓地のアンデットは13枚。よって攻撃力は1300アップして3700になる」

 

 辺りに漂う亡者の魂を取り込み、竜はその翼から迸る青き炎を激しく燃やす。

 

レイン

 「墓地へ送られた(牛頭鬼)の効果発動。墓地へ送られた時、(牛頭鬼)以外のアンデットモンスターを除外することで、手札の(逢魔ノ妖刀-不知火)を特殊召喚」

 

 フィールドに突き刺さる黄金色の妖刀。その側には、守護霊の姿があった。

 

手札 2→1

 

レイン

「(逢魔ノ妖刀-不知火)の効果発動。自身をリリースして除外されているアンデットを2体帰還出来る。私は(馬頭鬼)と(不知火の隠者)を守備表示で特殊召喚」

 

 守護霊が黄金色の妖刀を握り虚空めがけて振るうと、そこに裂け目が現れて馬頭の鬼と山伏が降り立った。

 

レイン

 「(不知火の隠者)の効果発動。このカードをリリースして、デッキから守備力0のアンデットモンスター(シノビネクロ)を特殊召喚。私はレベル4の(馬頭鬼)とレベル2の(シノビネクロ)をチューニング。シンクロレベル6(刀神-不知火)」

 

 フィールドにはシンクロモンスターが4体。並のデュエリストでは戦意喪失しかねない程の凄まじい布陣。しかし、鏡子の瞳の殺意の炎は一切揺らいでいない。

 

レイン

 「バトル。(真紅眼の不屍竜)で(真竜騎将ドライアスⅢ世)を攻撃。ダークネス·ネクロメガフレア」

 

 青白い炎球が槍兵を容易く包み蒸発爆散。強い衝撃が鏡子を襲う。

 

鏡子 LP4000→2400

 

 攻撃反応系の罠は無い。かなり粘られたがアカデミアを騒がせている程では無いと思いながらレインは攻撃の指示を出す。

 

レイン

 「(アンデット·スカル·デーモン)でダイレクトアタック。行って、大きいの」

 

鏡子

 「攻撃宣言時に(復活)の効果発動!墓地の(真竜騎将ドライアスⅢ世)を蘇生する!俺を守れ!真竜の盾よ!」

 

 墓地から再び舞い降りる竜人の槍兵。その守備力は攻撃可能なモンスターでは越えることの出来ない数値であった。

 

 ターンを跨げば無限にモンスターを蘇生出来る永続罠。その異常な性能にレインは眉を潜めると同時に、(アンデット·スカル·デーモン)から先に攻撃すれば決着していたというプレイミスに歯噛みした。

 

レイン

 「攻撃は中断。カードを1枚セットしてターンエンド」

 

レイン LP2600 手札1 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

真紅眼の不死竜皇 攻700

アンデット·スカル·デーモン 攻2500 レベル7

真紅眼の不屍竜 攻3700

刀神−不知火 攻2500

 

鏡子 LP2400 手札4 伏せ1

 

真竜騎将ドライアスⅢ世 守2800

 

真竜皇の復活

真竜の黙示録

 

鏡子

 「ハ、ハハハハ……アッハハハハ!」

 

 ターンが回った瞬間、突如鏡子の瞳がギラつき狂気を滲ませる様な笑い声を上げる。

 

レイン

 「……何?」

 

鏡子

 「ハハハハ……ここまで追い込まれたのはいつぶりかなぁ?ああ、滾る。血が湧き上がり水蒸気爆発しそうな程に俺は今勝利を渇望している!天よ!運命よ!事象の理よ!俺に勝利を齎す力を与えよ!俺のターン!ドローォ!」

 

鏡子 手札4→5

 

レイン

 「スタンバイフェイズ。墓地の(死霊王ドーハスーラ)はお互いのスタンバイフェイズにフィールド魔法が存在する場合に特殊召喚出来る。更に(真紅眼の不死竜皇)の効果発動。チェーンして(死霊王ドーハスーラ)の効果発動。逆順処理により(ドーハスーラ)で(真竜騎将ドライアスⅢ世)を除外。(真紅眼の不死竜皇)の効果で墓地の(終末の騎士)を特殊召喚して更に効果発動。デッキから最後の(馬頭鬼)を墓地へ送る。」

 

 墓地から蘇った屍界の王(ドーハスーラ)の放つ死の瘴気に当てられた(ドライアスⅢ世)は身体が崩壊し、腐敗した騎士が地面から這い上がる。

 腐敗した騎士は更に別のアンデットをこの屍の世界に送り込む。

 

 鏡子はドローカードを見て、狂気に満ちたかのように表情が歪む。

 

鏡子

 「フヒ、フヒヒヒ、フッヒヒヒヒヒヒ!天は俺を選んだ!フィールド魔法(ドラゴニックD)を発動!これにより、アンデットの楽園は崩壊する!」

 

 腐った空気漂う屍の世界は崩れ去り、澄んだ空気が満ちるヘリポートの様な空間へ変化した。

 

鏡子 手札5→4

 

鏡子

 「(真竜の復活)の効果発動!墓地の(ダイナマイトK)を蘇生!そして(ドラゴニックD)の効果発動!手札·フィールドのカード(ダイナマイトK)を選んで破壊し、真竜カード(真竜凰の使徒)を手札に!そして発動して効果発動!墓地の真竜カード(マジェスティM)、(継承)、(黙示録)を戻して1枚ドロー!」

 

鏡子 手札4→5→4→5

 

鏡子

 「これで……これでようやくアドバンス召喚が出来る!俺は(使徒)の効果を発動!自分メインフェイズにアドバンス召喚が出来る!俺は(使徒)をリリース!アドバンス召喚!(真竜戦士イグニスH)!」

 

 永続魔法が1つ消え、フィールドに大剣を背負う竜戦士が舞い降りた。

 

鏡子 手札5→4

 

レイン

 「永続魔法を生贄にアドバンス召喚!?」

 

 突然永続魔法を素材にして出てきた未知のモンスターに、普段表情の薄いレインの表情が驚愕に染まる。

 

鏡子

 「真竜共通のルール効果として、コイツらは永続魔法·罠を素材にアドバンス召喚出来る!そして墓地へ送られた(使徒)の効果発動!そこのセットカードを破壊してもらおうか!」

 

レイン

 「ッ……チェーンしてトラップ発動(リターン·オブ·アンデット)。(真紅眼の不死竜皇)を選んで除外して私の墓地のアンデットモンスター(牛頭鬼)を守備表示で特殊召喚」

 

鏡子

 「チェーンして(イグニスH)の効果発動!相手がカードの発動した時に発動出来、デッキから真竜永続魔法をサーチするか発動出来る!よって俺は(真竜の継承)を発動!」

 

 アンデット·ワールドの支配者が消え去り、代わりに牛頭のアンデットがフィールドに降り立った。

 

鏡子

 「そしてさっき発動した(継承)の効果発動!このターンにフィールドから墓地へ送られた真竜カードの種類分、2枚ドロー!」

 

鏡子 手札4→6

 

鏡子

 「ここで永続トラップ(帝王の溶撃)を発動!コイツは端的に言えばアドバンス召喚されたモンスターが存在すると発動出来る相手だけ(スキルドレイン)だ!」

 

 突如フィールドが熱気に包まれ、レインのフィールドのアンデット達が大きく弱り始めた。

 

真紅眼の不屍竜 攻3600→2400

 

 ここに来て、レインはようやく彼女のデッキの構造を理解した。鏡子のデッキは魔法罠を素材にアドバンス召喚し、更に素材にした魔法罠で場を荒らす。アドバンス召喚されたモンスターでアドバンテージを獲得し、伏せられた強力な永続魔法罠で相手を制圧して膨大なアドバンテージで押しつぶすデッキであると。

 

 そのことを理解したレインは、これならアカデミア最強と呼ばれるに足る実力だと深く納得し、それと同時にここからのデュエルは厳しい戦いになると肌で理解した。

 

鏡子

 「更に(継承)の効果発動!アドバンス召喚を行えるので、(黙示録)をリリース!(真竜拳士ダイナマイトK)をアドバンス召喚!そして墓地へ送られた(黙示録)の効果発動!(アンデット·スカル·デーモン)を破壊!」

 

レイン

 「ッ……本来なら(アンデット·スカル·デーモン)はフィールドのアンデットモンスターに効果破壊耐性を与える効果があるけど無効になっている……」

 

 フィールドに降り立った緑の装甲を纏う拳闘士はその拳を紫色の光に包み、一撃で以て(アンデット·スカル·デーモン)を粉砕してみせた。

 

鏡子 手札6→5

 

鏡子

 「バトルフェイズ!(ダイナマイトK)で(死霊王ドーハスーラ)に攻撃!ダイナマイトナックル!」

 

 (ドラゴニックD)の力を存分に受けて、緑の拳闘士はそのスパイク付きの拳に全てをかけて、(ドーハスーラ)が放つブレスを押しのけながらアンデットワールドの王を打ち砕いた。

 

レイン

 「こ、攻撃力が同じなのに相討ちにならない?」

 

鏡子

 「(ドラゴニックD)の効果。アドバンス召喚した真竜モンスターは1ターンに1度だけ戦闘破壊されない。更に真竜モンスターの攻守を300上げる効果もある。これで(ドーハスーラ)も突破できるってわけよ!続いて(イグニスH)で(真紅眼の不屍竜)攻撃!イグニススラッシュ!」

 

 

赤き竜人剣士はその肩に担ぐ大剣を以て、アンデットと化したレッドアイズの胴体を容易く両断した。

 

レイン LP2600→2300

 

鏡子

 「俺はカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

 

鏡子 LP2500 手札3 伏せ2

フィールド(ドラゴニックD)

 

真竜拳士ダイナマイトK 攻2500→2800

真竜戦士イグニス 攻2300→2600

 

真竜皇の復活

真竜の継承

帝王の溶撃

 

レイン LP1000 手札2 伏せ0

 

牛頭鬼 守800

刀神−不知火 攻2500

 

 

 

レイン

 「私のターン。ドロー」

 

レイン 手札1→2

 

 引いたカードは(サイクロン)。魔法罠カードを破壊出来る制限カード。レインは僅かに口角を緩ませ、スタンバイフェイズに入る。

 

レイン

 「スタンバイフェイズに墓地の(死霊王ドーハスーラ)の効果発動。フィールド魔法が存在するため、特殊召喚する」

 

鏡介

 「チェーンして(イグニスH)の効果発動!デッキから(使徒)を手札に加える!更にチェーンして(幽麗なる幻滝)発動!デッキから(真竜導士マジェスティM)を手札に加える!」

 

鏡子 手札3→4→5

 

レイン

「メインフェイズ。(サイクロン)を発動。(帝王の溶撃)を破壊」

 

鏡子

 「チェーンして(ダイナマイトK)の効果発動!デッキから(真竜の黙示録)を発動する!更にチェーンして(復活)の効果発動!墓地の(ダイナマイトK)を特殊召喚!」

 

 フィールドに強風が吹き付けて、(帝王の溶撃)を破壊。フィールド上のアンデット達も活気を取り戻した。

 しかし、それと同時に墓地から拳闘士が飛び出してくる。

 

レイン 手札2→1

 

レイン

 「(牛頭鬼)の効果発動。デッキから(シノビネクロ)を墓地へ送る。それにチェーンして(ドーハスーラ)の効果発動。攻撃表示の(ダイナマイトK)を選んで除外する」

  

 屍界の王から放たれた黒い瘴気が拳闘士の身体を呑み込み分解する。

 

鏡子

 「……ここで(復活)の効果発動!相手ターンにアドバンス召喚!よって(復活)をリリース!(真竜導士マジェスティM)!」

 

 フィールドに竜人魔導師が降り立ち、その手に掴む杖を器用に振るう。

 

 

鏡子 手札5→4

 

鏡子

 「そして墓地へ送られた(復活)の効果発動!墓地へ送られた場合、モンスターを破壊するので(ドーハスーラ)を破壊だ!」

 

 紫色の風を湛えた杖を振るい、暴風が屍界の王を切り刻んだ。

 

レイン

 「墓地の(馬頭鬼)の効果発動。このカードを除外して、墓地の(不知火の隠者)を特殊召喚する」

 

鏡子

 「チェーンして(マジェスティM)の効果発動!デッキから(真竜剣皇マスターP)を手札に!」

 

鏡子 手札4→5

 

レイン

 「(不知火の隠者)の効果発動。自分フィールドのアンデットモンスターである自身をリリースして、デッキから(ユニゾンビ)を特殊召喚」

 

レイン

 「(ユニゾンビ)の効果発動。デッキから(妖刀-不知火)を墓地へ送って(牛頭鬼)のレベルを一つ上げる。そして墓地の(妖刀-不知火)の効果発動。このカードと(アンデット·スカル·デーモン)を除外してEXデッキからアンデット族のシンクロモンスターを特殊召喚。来て、シンクロレベル8(戦神-不知火)」

 

牛頭鬼 レベル4→5

 

 妖刀に宿る霊が(アンデット·スカル·デーモン)に取り憑き、膨大な炎に包み込まれたゾンビは炎の太刀を握る二刀流の剣士へと変化した。

 

レイン

 「(戦神-不知火)の効果発動。特殊召喚に成功した場合、墓地のアンデットモンスター(シノビネクロ)を除外して発動。その攻撃力を(炎神−不知火)に加える。(シノビネクロ)の攻撃力は800よって攻撃力は3800となる」

 

 二刀流の剣士は忍者の魂をその身に宿し、更に炎を荒立たせて刀を構える。

 

鏡介

 「(戦神)の効果で除外された(シノビネクロ)とシンクロして(炎神-不知火)へ繋げられたら盤面は壊滅。ならばここで動く!(真竜の黙示録)発動!チェーンして速攻魔法(帝王の烈旋)を発動!逆順処理へ入る!(帝王の烈旋)は1体だけ相手モンスターをアドバンス召喚の素材にできる!そして(黙示録)で相手ターンアドバンス!よって(戦神-不知火)と(黙示録)をリリース!」

 

 暴風が炎の剣士を飲み込み、1枚の罠カードが消えていく。

 

鏡子

 「真なる竜剣士よ!数多の同胞の力を継ぎ、ダイアグラムの元で覚醒せよ!(真竜剣皇マスターP)!」

 

 フィールドに地に足を着けたのは、純白の鎧に身を包む竜剣士。鏡子の世界では封印されて久しい真竜の真の切り札。

 

鏡子 手札5→4

 

レイン

 「私のモンスターを素材にアドバンス召喚……しかも攻撃力3250。でも除外された(シノビネクロ)の効果発動。特殊召喚」

 

 自陣のモンスターを素材にされた上に出てきたのは、高攻撃力のモンスター。ムッとした顔をするレインだが、カードを操るのは止めることはない。

 

鏡子

 「(黙示録)の効果!(黙示録)で(ユニゾンビ)を破壊!」

 

 (マスターP)はその手に握る長剣に紫の光を纏わせ、二人三脚なゾンビ達を一太刀で両断した。

 

鏡子

 「そしてアドバンス召喚されたこのカードが存在するとき、墓地の永続魔法罠を除外してカードをフリーチェーンで破壊する!よって(大捕物)を除外して(シノビネクロ)を破壊!」

 

 

 二人三脚なゾンビを両断した後、返す刃で(マスターP)が握る紫色の光孕む剣に両断され再び異次元へと帰された。

 

レイン

 「ッ……まだ……終わらない!(簡素融合)の効果を発動!1000LPを払い、EXデッキからレベル6以下の効果を持たない融合モンスター(テセウスの魔棲物)を融合召喚扱いで特殊召喚!」

 

レイン LP2300→1300 手札1→0

 

 レインの側に現れる巨大なレトルトカレー。レインがそこに触れると、レトルトカレーのパウチから難破船を担いだイカのようなモンスターが飛び出してきた。

 

レイン

 「私はレベル5になった(牛頭鬼)にレベル5の(テセウスの魔棲物)をチューニング。シンクロレベル10、来て(炎神-不知火)!」

 

 調律の輪によりいでたるわ、白馬に跨った不知火流の始祖。彼の手に掴られた剣が鈍く輝く。

 

レイン

 「シンクロ召喚に成功した(炎神-不知火)の効果発動。墓地·除外されているアンデットシンクロモンスターをデッキに戻して相手のカードを戻した分だけ選んで破壊する。私は(刀神-不知火)、(真紅眼の不屍竜)、(アンデット·スカル·デーモン)、(戦神-不知火)をデッキに戻して(真竜剣皇マスターP)、(真竜道士マジェスティM)、(ドラゴニックD)、(真竜の継承)を破壊する」

 

 不知火の始祖から繰り出された無数の一閃。ほぼ全てのカードは両断されたが、(マスターP)だけは純白の盾で凌ぎきっていた。

 

鏡子

 「(真竜剣皇マスターP)は素材にしたカードの種類の効果を受けない。よってモンスター·罠の効果を受けない!」

 

レイン

 「ッ……なんて恐ろしいカード……でもこれで戦闘破壊出来る!バトルフェイズ!(炎神-不知火)で(真竜剣皇マスターP)へ攻撃!」

 

 白馬の突進力を加えた一閃に(マスターP)は耐えきれずに両断される。

 

鏡子 LP2400 →1850

 

レイン

 「メインフェイズ2、墓地の(アンデット·ネクロライズ)の効果発動。除外されている(屍界のバンシー)をデッキに戻してこのカードをセットする。私はこれでターンエンド」

 

レイン LP1300 手札0 伏せ1

 

炎神-不知火 攻3500

 

鏡子 LP1950 手札4 伏せ0

 

鏡子

 「俺のターンドロー!」

 

鏡子 手札4→5

 

鏡子

 「俺は(真竜凰の使徒)を発動!効果を発動して墓地の(マスターP)、(継承)、(黙示録)を戻して1枚ドロー!」

 

鏡子 手札5→4→5

 

鏡子

 「手札から(黄金郷エルドリッチ)の効果発動!手札のこのカードと魔法罠(スキルドレイン)を墓地へ送り、(炎神-不知火)を対象にして墓地へ送る!征服王葬送(アデランタード・エル・フォネラル)!」

 

 黄金で身体を構成したアンデットが現れると、自身の胸に飾られた赤い宝玉が光り輝き不知火流の始祖は黄金と化してバラバラに砕けた。

 

鏡子 手札5→4→3

 

鏡子

 「墓地の(黄金郷エルドリッチ)の効果発動!(使徒)を墓地へ送り、自身を手札に加えて特殊召喚!この効果で出したアンデットは1000攻撃力が上がり、効果で破壊されない!墓地へ送られた(使徒)でセットカード破壊!」

 

 フィールドに降り立ったのは、黄金と宝玉に彩られた鎧を身に纏うアンデット。その威風に溢れる姿を誇示する様に雄大に両腕を広げる。

 

 更に墓地から緑の光がレインのセットカードを打ち砕いた。

 

鏡子

 「行くぜバトルフェイズ!(黄金郷エルドリッチ)でダイレクトアタック!征服王撃掌(アデランタード・ウェイガー)ァ!」

 

 絢爛な黄金郷は右腕を爛々と光り輝かせてレインに叩きつけた。

 

レイン LP1300→-2200

 

鏡子

 「ハァ、ハァ、ハァ……ヴ……オ゛ォ゛ォ゛ォ゛!」

 

 鏡子の身体から強烈な炎のようなエネルギーが吹き出して、彼女は脱力し膝をつく。そしてデュエルの敗者たるレインにも、エナジーの支払いは執行される。

 

レイン

 「体内出力90%低下……これ以上の追跡は不可能……直ちに離脱する……」

 

 レインが自室へ飛ぼうとした瞬間、レインは恐ろしい物を見た。

 

鏡子

 「もっと……もっと満足させろぉ……デュエルだ……デュエル……」

 

 そこには鏡子が、最早幽鬼の様な足取りで偶々近くにいたデュエリストに躙り寄る姿があった。

 

 普段は表情の変化に乏しいレインだが、このときばかりは顔が恐怖一色に染まり、逃げるように自室へ飛んだ。

 

 翌日。なんとか体調を整えて調査を進めると、9シンクロはおろかマトモなシンクロ召喚が行えていない事が分かった。

 それをZ-ONEに報告するも、イレギュラーな存在がいることは事実なので引き続き調査は続行されることとなった。




ちなみにまだ5D,s見終わってないので設定がふわふわかもしれません。もし違いが発見されたら後で訂正しておきます。


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IF2.尖兵の観察記録(後編)

2話連続投稿です。前の話を見ていない方はまずそちらをお願いします。


- IF2.尖兵の観察記録(後編) -

 

 

〜 アカデミア 〜

 

 レインは今、光学迷彩を用いて姿を消し、アカデミアの捜索をしていた。

 

 普段ならアカデミア生が談笑しながら通っている廊下には、代わりに死体の様な目つきのアカデミア生が徘徊していた。

 

レイン

 「……見つけた」

 

 ふと窓を見ると、そこにはピラミッドが立っていた。その頂上には、(神炎皇ウリア)がとぐろを巻いていた。

 

 本来なら過去に起きたことなのだから原因を直接監視すればいいのだが、未来のデータは異世界の出来事については極めて大雑把な事しか記録されておらず、手探り状態で調査するしかないのだ。

 

 レインは駆けだす。三幻魔を操るデュエリストを監視するために。

 

 

〜〜〜

 

レイン

 「…………」

 

 レインは今困惑していた。まさか透子が2人いて、そのうちの1人が三幻魔……(神炎皇ウリア)をフィールドに降臨させていた事に。その攻撃力は……11000。

 

 現在は透子のターン。あの真竜デッキならあるいはと思っていたが、しかしフィールドに並んでいるのはライトロード。(裁きの龍)では(失楽園)の影響下にある(ウリア)を突破できない。

 

透子

 「私はレベル4の(エイリン)さんとレベル4の(ライデン)さんでチューニング!光と闇が交わりし時、混沌の脅威が舞い降りる!シンクロ召喚!来て!混沌の支配者!(混沌魔龍カオス·ルーラー)!」

 

レイン

 『シンクロ……召喚?』

 

 透子はここに来てシンクロ召喚。しかも、またデータベースに存在しないモンスター。

 その後透子は追加で(スクラップ·ドラゴン)をシンクロ召喚にようとしたが、未知の罠モンスターによって召喚自体を無効にされていた。

 

 続く十代のターン。彼が操っていたのはHEROではなく暗黒界。(魔法石の採掘)で暗黒界モンスターの効果を発動しようとしたりと、そこまでデッキが洗練されていない様に見えるが、それでも(暗黒界の龍神グラファ)と呼ばれる未知のモンスターを大量に並べ、(フォース)で強引に(神炎皇ウリア)を戦闘破壊してみせた。

 

 最後にヨハンのターン。彼はこれまた見たことのない魔法で宝玉を集め、彼の切り札(究極宝玉神 レインボー・ドラゴン)をたった1ターンで召喚してみせた。

 

 もう一人の透子のターン。彼女は歪んだ笑顔でさっき引いた魔法を発動した。

 

闇透子

 「(次元融合殺)を発動!手札·墓地の三幻魔を除外して融合召喚する!炎よ!雷よ!鉄拳よ!今こそここに交わりて、混沌の道を突き進め!次元融合殺!顕現せよ!(混沌幻魔アーミタイル)!」

 

レイン

 『三幻魔の融合モンスター!?でも……攻撃力は0』

 

 レインは攻撃力0の幻魔の融合体に最大限の警戒を向ける。

 

鏡子

 「(アーミタイル)の効果発動!相手に10000の戦闘ダメージを与える!対象はお前だヨハン!」

 

 1万の戦闘ダメージ。それは即ち並のモンスターでは為す術もなくオーバーキル出来るダメージ。しかもメインフェイズに発動するので、戦闘を無効にする効果でも止めることは出来ない。

 

 (アーミタイル)の攻撃を防ぐ事は出来ず、ヨハンは一瞬の元に吹き飛ばされた。

 

 その後、透子は己が背負う運命に怯えながらにドローしたカード(裁きの龍)を特殊召喚。十代の放った除去札により、耐性を失った(アーミタイル)と(裁きの龍)の効果がぶつかり合い、その膨大なエネルギーによってアカデミアは元の世界への帰還に成功した。

 

 

レイン

 「……元の世界へと帰還に成功。それよりも……もう一人の透子について聞き出す必要がある」

 

 レインは晴れた青空の下で、透子を探すべくアカデミアの玄関を潜った。

 

 

 

〜〜〜

 

レイン

 「居ない……」

 

 レインは聞き込みもしながら探したが透子を見つける事は出来ず、職員室の前を歩いていた。

 

レイン

 「あれは……人混み。なんで職員室に……」

 

 レインは人混みに近寄り、彼ら彼女らの視線の先を見ようとするが、どうも人の壁が厚く見ることは叶わなかった。仕方ないので、何で集まっているのか聞くために直ぐ側にいた生徒に話しかける。

 

レイン

 「ねぇ……この集まりは何?」

 

明るいブルー生

 「あっ、これですか。ついさっき発表と同時に実装された【エクシーズ召喚】について知りたいデュエリストがここに集まってるんですよ!私は気づくのに遅れたから……もうパックは買えないかなぁ……トホホ」

 

 ブルー生の話を聞いているなか、どんどんと人の壁は薄くなり、遂にその張り紙を見ることが出来た。

 

 そこには食堂にエクシーズ召喚と呼ばれる新たな召喚法で呼び出せるエクシーズモンスターとそれをサポートするカードが多数収録したパックが発売されたこと。その横の張り紙にはエクシーズ召喚の大まかな概要が記されていた。

 

レイン

 「同じレベルのモンスターを素材にしてEXデッキから特殊召喚されるエクシーズモンスター……こんなカードデータになかった……これは調査が必要」

 

 張り紙を確認したレインは、エクシーズモンスターを手に入れる為に購買へ走る。

 

 

〜 食堂 〜

 

 レインは息を整えながら購買がある食堂へ入り、購買に目を向ける。

 そこには我先にとパックを買おうと押し寄せているアカデミア生が屯していて、とてもパックが買える状況ではなかった。

 

 諦めて食事を取ろうと視線を動かすと、さっきまで探していた対象が座っていた。

 

レイン

 「古神……透子!」

 

 レインは声を押し殺し、透子に接触を試みる。

 

レイン

 「古神透子……少し話がしたい」

 

透子

 「えっ、あっ、はい。どうぞ」

 

 許しを得たレインは透子の隣の席に座り、視界に透子を納める。透子の手元には一人回ししていたと思われるカードが並べられていた。そしてその中に黒枠のカード、エクシーズモンスターの姿があった。

 

レイン

 「ライトロード……もうエクシーズモンスターを……」

 

透子

 「そうですね。なんとか何枚か手に入れる事が出来ました。(セイントミネルバ)さんの効果発動。素材の(ゼピュロス)を取り除き3枚墓地へ……これ以上は動けません。今日の運勢はそれなりですね……」

 

 一人回しを終えてデッキを片付ける透子。片付け終えた彼女はレインに向き直る。

 

透子

 「それで……お話とは一体なんでしょうか?」

 

レイン

 「単刀直入に言う。異世界で貴方が2人居たのはどういうこと?」

 

 そう聞かれた透子の目は必死に答えを探すべく右へ左へと泳ぎだす。しかし透子は、己の答えを話し出す。

 

透子

 「あれは……そうですね……私自身よく分かっていないんですけど、あれはデュエルに満足出来ていないせいで生まれたもう1人の私がやったんです。その時の私は鮫島校長に主要デッキの大半を構築不能なレベルで規制されていましたから……今もう一人の私がどこにいるのかは……知りません」

 

 透子の悲哀の交じる顔つきで語られた内容に、レインは同情の表情をしていた。やった事は褒められた事ではないが、それは明らかに鮫島が悪いだろうとレインは思った。

 

レイン

 「そう……分かった。その件についてはこれ以上追求しない。ところで、貴方のデッキを少し見させてもらってもいいかしら?」

 

透子

 「えっデッキですか?今の手持ちはライトロードとナチュルなんですけど……ナチュルデッキは今調整中なのでライトロードを見せます。ちゃんと返して下さいね?」

 

 デッキケースからデッキを取り出し、レインに手渡す透子。すぐさまデッキを広げるレイン。

 

レイン

 「60枚……それよりもエクシーズやシンクロモンスターがこんなに……」

 

透子

 「そうなんですよ。なんとかパックを買えたんですけどエクシーズモンスターがかなり当たって……でも正直使わないカードが何枚かあるんで、もしよろしければドローパンと交換しましょうか?」

 

レイン

 「……!それは本当?」

 

 Z-ONEに提出するために何枚かエクシーズモンスターが欲しかったレインにとってそれはまさに僥倖であり、早速その話にのった。

 

透子

 「ちょっと待って下さいね……トレードしたいカードは(ジェムナイト·パール)と(交響魔人マエストローク)と(始祖の守護者ティラス)の3枚を……1枚につきドローパン2つでどうでしょう?」

 

 透子が見せてきたエクシーズモンスターを吟味しながらレインは今のDPはどれくらいだったか記憶を辿る。なんとか足りそうだと思ったレインは口を開く。

 

レイン

 「分かった。ドローパン6つでそのカード全て貰う」

 

 嬉しそうに笑みを溢す透子を尻目に、レインはすぐさまドローパンを買い、トレードを行った。

 

透子

 「ありがとうございます!強力なシンクロやエクシーズが当たったのは良いんですけど、そのせいなのかドローパンのドロー運が無くって……」

 

 早速一袋開けてドローパンを頬張る透子。ドローパンを食べて幸せそうな笑顔を見せる彼女から、あんな殺気立った表情を見せるとは到底思えない年相応な姿にレインは僅かに面を食らう。

 

レイン

 「それにしても……あなたを見ていると、本当にあんなデュエルをするデュエリストだなんて思えなくなる」

 

透子

 「あのとき……?……んぐ。あぁ、そういえばしてましたね。あの時はちょっと荒れ気味だったので正直あまり記憶が無いです」

 

 レインの問いかけに、すぐさまドローパンを飲み込んで応対する透子。

 

レイン

 「そう。それじゃあ、私はこれで失礼する。カード、ありがとう」

 

透子

 「こちらこそ!美味しいドローパンをありがとうございます!」

 

 席を立ち、例を言って立ち去るレイン。目標を達成した彼女は上司の場所へ中間報告をする為に一時帰還する。

 

 

〜 ??? 〜

 

 星の様な煌めきが空を彩る空間にやってたレインは、異世界から帰還してからさっきまでの行動をZ-ONEに報告する。

 

Z-ONE

 「そうですか……古神透子は高レベルのシンクロ召喚を扱うばかりか未知の召喚法、エクシーズ召喚すら操るデュエリストである……と」

 

 エクシーズモンスターのカードを眺めるZ-ONEの静かな問いかけにレインはゆっくりと首を縦に振り肯定した。

 

Z-ONE

 「記録によれば、十代達は再び異世界に赴き、覇王としての自分を取り戻し強大な精霊との融合を遂げるようです。レイン。貴方には引き続き透子の監視をお願いします。広大な精霊世界で透子を発見するために、ゴースト用のDホイールを用意しました。有効に活用してください」

 

レイン

 「了解」

 

 レインが立ち去ろうとした瞬間、Z-ONEが待ったをかけた。

 

Z-ONE

 「レイン。任務に赴く前に1つお聞きしてもいいでしょうか?アカデミアでのシンクロ召喚は、どれほど流行っていましたか?」

 

 Z-ONEの質問を聞き、暫し考え込むレイン。少しの間を置き答えを話す。

 

レイン

 「月一デュエルでシンクロ召喚を行うデュエリストはまだまだ少数で、レベルも5や6が主流。8シンクロを可能とする透子の異常性が浮き彫りになっている」

 

Z-ONE

 「……そうですか。分かりました。それでは任務を続行してください」

 

 指示を受けたレインは、一礼して部屋を後にした。

 

 

〜 異世界 〜

 

 次元の裂け目を潜ったレインは、早速Dホイールを呼び出して大地を駆ける。

 

 記録の無い道を疾走り、殆ど宛も無く走行を続けたが奇跡的に透子を発見。光学迷彩を起動し監視体制に入る。

 

 

 

 鳥獣族エリアで仲間になった(霞の谷のファルコン)を連れた透子は(ライコウ)に導かれ、道端に実っていたリンゴの様な木の実を胸に抱えながら歩いていた。

 

ライコウ

 『透子……得体の知れない果実を採った挙句それを食するのはどうかと思うんだが……』

 

透子

 「確かにそうかもしれませんけど……お腹空いてましたし、美味しそうだったので食べちゃいました。でも実際とっても美味しいですよこれ。1個500円で売られてても箱買いしちゃうかもしれません。ファルコンさんもどうですか?」

 

 差し出されたリンゴを受け取ったファルコンは、妙な視線を感じながらもリンゴに齧りついた。

 

ファルコン

 「こ、これ凄い甘いですね!身もしっかり詰まってますし香りも良い。出来ることなら毎日食べたいですね!」

 

 笑顔で食べかけのリンゴを食べるファルコン。一方透子は別の物に目を向けていた。

 

透子

 「(ライコウ)さん。あの馬は何でしょうか?小さな生き物が乗ってるみたいですけど……」

 

 透子の指さした先には、黒い鞍を身に着けた白馬が居た。しかしどうも足取りが重そうで、上に跨がる小さな生き物も焦っている様に見えた。

 

ライコウ

 「見たことないモンスターだ……何をするか分からない以上近寄らないのがぶな……おい透子!」

 

 (ライコウ)が放置を提案する前に、透子はリンゴを抱えたまま白馬へ駆け寄った。

 

透子

 「あ、あの!お困りのようですけど、どうしたんですか?」

 

??

 「ん?なんで人間の小娘がこんなところに……いや、それはオイラ達も同じ様な物ザンスねぇ……いやそれよりもまず自己紹介をば」

 

 小さないきものは軽く咳込み、自己紹介を始める。

 

グリー

 「オイラの名前は魔轟神鬼グリーって言うザンス。こっちは魔轟神獣ユニコール。グリムロ様のパシリから帰ろうとしたらオイラ達はこんな世界に飛ばされて、かれこれ丸1日は彷徨っているザンスが……さっきから相棒の動きが鈍すぎて困ってるザンス」

 

 グリーの自己紹介を聞いていると、透子はユニコールがリンゴに釘付けになっている事に気付いた。

 

透子

 「リンゴ……気になるんですか?美味しいですよ?」

 

 透子がリンゴを1つ差し出すと、ユニコールは透子の指ごと食い破りそうな勢いでリンゴに食いついた。

 

透子

 「わわ!お腹が空いてたんですね……結構かわいい……」

 

 瞬く間にリンゴの芯まで食べたユニコールは尻尾をブンブン揺らし、残りのリンゴも寄越せと言わんばかりに前掻きする。

 

透子

 「もっと欲しいんですか?う〜ん……いえ、ここは人助けだと思って満足するまであげちゃいましょう。いっぱい食べていいですからね?」

 

 自分の分がなくなる事を危惧した透子だったが、明らかに空腹で苦しいでいる人(馬)を見殺しにするのは良くないと考え手持ちのリンゴを全て与える事にした。

 

 結局ユニコールは手持ちのリンゴを全て食べきり、すっかり調子を取り戻し歓喜の嘶きをあげた。

 

グリー

 「気難しい性格のユニコールが見知らぬ小娘の食べ物を嬉々として食べるなんて……あんた何者ザンス?」

 

透子

 「自己紹介をしていませんでしたね。私は古神透子。デュエリストです。こちらは霞の谷のファルコンさんです」

 

 透子が自己紹介している中、ユニコールはすっかり透子に懐いたのか己の白毛を透子に擦り付ける。

 

透子

 「フフフ……くすぐったいですよ……撫でて欲しいんですかね?」

 

 透子がユニコールの首周りを撫でてやると、心地よさそうに喉を鳴らす。

 

グリー

 「今まで懐かなかったユニコールがこんなに懐くなんて信じられないザンス……オイラには全く懐かなくて振り回されてたのに……」

 

 落胆するグリーを後目に、ユニコールは脚を曲げ、透子に乗る様にアイコンタクトを取る。

 

透子

 「乗って……良いんですか?じゃあ失礼しますね?」

 

 馬の乗り方が全く分からない透子は、手綱を優しく掴んで背中に乗り、手綱をギュッと掴んだ。

 ユニコールは透子が乗ったのを確認し、脚を伸ばす。

 

透子

 「わぁ〜こんなにお馬さんの視界ってこんなに高いんですねぇ〜」

 

 人生初の乗馬の景色に軽く感動する透子。そこで1つの案が思いつく。

 

透子

 「ファルコンさん。これで鏡子を追えませんか?ユニコールさんに乗ればかなり早く着きますよね?」

 

ファルコン

 「確かにそのとおりですが……透子さん?馬術の心得はありますか?」

 

 痛いところを突かれて沈黙する透子。ここで今まで意気消沈していたグリーが話を作る。

 

グリー

 「それならオイラに任せるザンス!懐かれてはないけど馬の扱いには慣れてるザンス!」

 

ライコウ

 『一時はどうなることかと思ったが……案内は私がやろう』

 

 ライコウの声と共に光の球が現れ、それを追うようにユニコールが走る。そしてその後ろを追う様にバイクの音が動き始めた。

 

 

 

〜〜〜

 

 バイクを駆るレインはユニコールを追い、暗黒界のモンスターとの戦闘で発生した(裁きの龍)の光をなんとか回避して、レインは遂にアリーナと呼ばれる暗黒界の施設に辿り着いた。

 

 その先には、疲弊した十代と(暗黒界の洗脳)を発動した鏡子の姿があった。

 

 透子の加勢により戦況が変わるかと言われたら全くそんなことはなく、(大暴落)で手札を大幅に削られるも、(生還の宝札)と(便乗)、そして(超融合)で生み出された(暗黒界の混沌王カラレス)によって齎される膨大な手札と展開力を武器に十代と透子を粉砕してしまいそうになった。

 

 2人はなんとか鏡子の猛攻を凌ぎ、十代がモンスターの効果を牽制する(暗黒界の洗脳)を破壊すると、鏡子は気を違えたのかヨハンを抹殺する暴挙を犯す。

 

 激昂した十代は(摩天楼-スカイスクレイパー)のコンボで盤面を捲ったり、デッキでコンタクト融合をする等して鏡子を圧倒。鏡子はフィールドを更地にされ、続く透子の(裁きの龍)のダイレクトアタックで止めを刺された。

 

 鏡子はどこからともなく現れた(暗黒界の狩人ブラウ)によって何処かへ運ばれ、透子が(ユニコール)に跨りそれを追う。

 

 レインもDホイールに乗り、すぐにその後を追う。

 しばらくすると巨大な城に辿り着き、直様Dホイールを隠し光学迷彩を起動して侵入を試みる。

 

 玄関から侵入しようとした瞬間、頭上から矢が飛来。咄嗟に躱すも第2射がレインを襲う。

 

 これをバックステップでギリギリ回避して、顔を上げるとそこには(ブラウ)の姿があった。

 

ブラウ

 「妙ですね……何もない筈なのに敵の気配を強く感じます……姿が見えない侵入者でしょうか?姿は見えなくてもお帰り願いましょう」

 

 自身の存在が把握されていると結論付けたレインは作戦の実行は不可能と判断して即座に城周辺を離脱。どうすることもできずに城周辺の捜索を開始した。

 

 

 

〜 暗黒界城内 〜

 

 すっかり懐いた(ユニコール)さんを優しく撫でていると、ドアをノックする音が聞こえました。

 

 私が入るように促すと、鏡子が入ってきてユニコールさんを見て驚いていました。

 

透子

 「鏡子!どうしたんですか?」

 

鏡子

 「あ、あぁ……ファンコンビートに使えそうなカードを持ってきたんだ。ほら、午後から覇王との戦いが始まるからさ。デッキを強くして欲しくて……」

 

透子

 「本当ですか!ありがとうございます!でも……もしあるならこの子を上手く扱えるデッキが欲しいです……ね」

 

 鏡子がカードを手渡そうと距離を詰めた瞬間。突如心臓の鼓動が格段に早まり、一気に胸が苦しくなりました。

 

透子

 (なんですか……これ。身体が熱くて……胸が……痛い)

 

 私が苦しんでるのを察知したのか(ユニコール)は耳を絞り、首を伸ばして鏡子を噛みにかかります。

 

鏡子

 「おわ、危ね!ユニコールコントロールのデッキパーツは後で渡しておくからな!体調は整えておけよな!」

 

透子

 「あ!鏡子!」

 

 鏡子はユニコールから離れて、手持ちのカードを床に置いて直様部屋を出てしまいました。

 

 鏡子が部屋を出た瞬間に、さっきまで私を苦しめていた胸の痛みは僅かな余韻を残してどこかへ消えていきました。

 

 どうして突然胸が苦しくなったのか考えていると、ユニコールが褒めてほしいと言わんばかりに顔を擦り付けてきます。

 

透子

 「ありがとうございますユニコールさん。でも、鏡子は噛んじゃだめですからね?」

 

 鼻を鳴らして頷くユニコールさん。本当に賢いですね……なんでこんなお馬さんがリンゴで手懐けられたのでしょう。意外とチョロい子なのかもしれません。

 

グリー

 「透子?大丈夫ザンスか?おサーモンでお腹下したザンス?」

 

透子

 「い、いえ……実はそれよりも前から……鏡子と手を繋いだ時から胸の痛みがあって……これっていったい……」

 

グリー

 「まぁ、分からない考えても仕方のないことザンス。今は覇王を倒す事に集中するザンス。胸の痛みもきっとそのうち分かるザンスよ」

 

 ユニコールさんから降りて私を励ますグリーさん。なんだか心が軽くなった気がします。

 

 私がファルコンビートの調整をしていると、ふと疑問に思った事をグリーさんに疑問を投げかけました。

 

透子

 「そういえばグリーさん?どうして私についてきてくれたのですか?」

 

グリー

 「簡単な事ザンス。ユニコールが透子を気に入ったからザンス。オイラ達はグリムロ様のパシリを長い間させられていたから、ユニコールも飽き飽きだったと思うザンスよ」

 

 あっ、本当に単純な理由でした。

 

 そんなことを考えているとドアがノックされ、鏡子がカードを置いていきました。

 

 ドアを開き、置かれていたカードとメモを見ると、どうやら低レベルの獣族を活用するコントロールデッキみたいです。

 

 それにしても相手の手札と同じ枚数に調整して制圧ですか……中々難しいですけど面白そうです。

 

 メモの通りにデッキを組めましたし、行きますか。

 

 私は荷物を纏めて、ユニコールさんを連れて部屋を出ました。

 

 

 

〜 ??? 〜

 

 星空の様な光が煌めく空間で、Z-ONEとレインが話をしていた。

 

Z-ONE

 「お疲れ様です。どうでしたか?透子の様子は」

 

レイン

 「彼女は注意すべき存在です。彼女は(魔轟神獣ユニコール)を駆使して覇王を討ち倒していました。しかし、それよりも危険な存在を発見しました」

 

Z-ONE

 「透子よりも注意すべき存在……ですか」

 

 Z-ONEが鸚鵡返しすると、レインは頷き報告を始めた。

 

レイン

 「名は不明ですが、暗黒界を操るデュエリストで、遊城十代の仲間達を生贄に(超融合)を生み出し、ユベルを強引に従え、(スターダスト·ドラゴン)をシンクロ召喚していました」

 

Z-ONE

 「スターダスト……ドラゴンですと!?それは本当なのですか!?」

 

 想定外の発言に言葉を震わせ動揺するZ-ONE。

 

 (スターダスト・ドラゴン)。それはZ-ONE達が監視している未来で不動遊星と呼ばれるデュエリストが操る【シグナーの竜】の一角である。

 

 【シグナーの竜】は5000年に1度行われる戦いで重要な役割を果たすカードであり、本来は5人の選ばれしデュエリストのみが扱えるカードの筈である。間違っても遊城十代の時代のデュエリストが扱える訳が無いのである。

 

レイン

 「肯定。彼は十代にユベルを超融合させるように仕向ける行動を多く取っていましたが真偽は不明。一刻も早く歴史からの排除を提案します」

 

Z-ONE

 「それについては私も同意見です。しかし、歴史の改変を先程行使しようとしたのですが、彼等だけは一切その効果を受けず改変は失敗しました。よってデュエルで直接抹殺するしかありません」

 

 Z-ONEの発言を聞いて顔が僅かに青ざめるレイン。

 

Z-ONE

 「安心してください。現状我々の戦力では彼を倒すことは出来ないと考えています。そのため、今度は彼と古神透子の監視と彼以外のシンクロ召喚を操るデュエリストの抹消をお願いします」

 

レイン

 「任務了解」

 

 レインは少し安堵した様子で、再び透子達の時代へ飛んだ。




恋愛描写を入れようにも、彼女いない歴=年齢+恋愛物読んだことないので聞いてる曲と想像でカバーします。


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IF3.新たな力、代わりの友

ご無沙汰しております。ようやく本腰入れて執筆出来ます。最近筆の進みが悪いので次はいつになるのか分かりません。よろしくお願いいたします。


 

 

〜 ジャスティス·ワールド 〜

 

鏡介

 「遂に……このときが来たか……この時をどれ程待ち望んでいたか……」

 

 太陽が眠りについた夜中、俺はスマホの前で歓喜に振るえていた。スマホの画面には暗黒界ストラクRの発売の文字。暗黒界使いなら全員が狂喜乱舞するカードが多数実装されている。 

 

鏡介

 「3箱購入っと……よし、早速組むぞ」

 

 直様カードを召喚し、カードをデッキに組み込んでいく。

 

 新規の投入により、ここぞという時に大事故起こしたりする問題がかなり解決したし、制圧力も向上した。

 あれよあれよと言う間にデッキが完成し、明日の訓練に向けて床についた。

 

鏡介

 『透子……最近様子がおかしいな……まるで俺から距離を置こうとしてるみたいな……何か気に触れる事したのかな……』

 

……最近、寝る前はいつも透子の事考えてるな……やっぱり胸イジりしたの根に持ってるのかな……謝らないとな……

 

 俺はどうやって謝りに行くか考えながら眠りについた。

 

 

 翌朝、俺は食堂に向かい、透子の近くに座り手を合わせた。

 

 最近の透子はどこか浮ついた様子で、無性に不安になってくる。

 

鏡介

 「なぁ……透子。最近大丈夫か?何だか調子悪そうだぞ?もし何か俺が原因だったら……何でもするぞ?」

 

透子

 「ふ、ふぇ!?な、何でもないです!なんでも……」

 

 そうは言うが明らかに透子の様子がおかしい。顔も僅かに赤みがかっている、もしかしたら風邪なのだろうか。でも大丈夫と言っている以上は信じるしかない。

 

 それ以降は会話も無く食事は終わり、透子が食器を片付け始めようとする。話すならここしかない。

 

鏡介

 「なぁ……透子。どうして俺から距離を置こうとするんだ?もしあのとき胸ネタを弄った事を恨んでるならここで謝らせて欲しい。本当にすまない」

 

 俺がテーブルに頭を擦る勢いで頭を下げると、透子は驚き、バツが悪そうに顔を反らした。

 

透子

 「そ、それは……私は気にしてないので大丈夫です。私も何かおかしいのは分かっているですけど……それが何なのか分かんないんです。本当にごめんなさい」

 

 透子はそう言って食器を片しに行った。

 

 透子……どうすれば俺は今までみたいに戻れるんだろう。

 

 訓練が始まる寸前まで考えたけど、結局答えは出なかった。

 

 

〜 訓練所 〜

 

 俺が(ガロス)との訓練を終え、(ベージ)達が他のライトロード達と合同訓練していた場所に向かうと、そこには猫背気味だった(グラファ)の姿が無かった。

 

 3対の翼を生やし、4本の脚でしっかりと地面を踏みしめるドラゴン(悪魔族)。(暗黒界の龍神王グラファ)が稲妻を迸らせて立っていた。

 

鏡介

 「ああ……(グラファ)様。なんと雄々しいお姿に……」

 

グラファ

 「おぉ鏡介……しかしこうも褒められると少しこそばゆいわ。ハッハッハ」

 

 俺の姿を視認して建物中に響く笑い声を上げる(グラファ)。

 

鏡介

 「さて……その姿は(カラレス)様に与えられたんだろ?具合はどうだ?」

 

グラファ

 「そのとおり、余の他にも(レイン)も(カラレス)様の力を授かっておる。具合はもうすこぶる良い。これならダークネスなど一捻りよ」

 

 本当に調子が良さそうだ。実際効果も強烈だし、これからもエースを張り続けるだろう。

 

鏡介

 「あぁ、期待しているぞ。我らの王よ」

 

グラファ

 「フフフ……ご期待に応えて見せましょうぞ。我が主よ」

 

 あぁ……早く暗黒界でデュエルしたいぜ!

 

 

 

〜 アカデミア 〜

 

???

 「貴方が鏡子?」

 

 始業式を終え、身体測定や新学期初の授業を受けた放課後。帰路につこうとすると、寡黙そうな銀髪ツインテな女子生徒が見えた。せっかくだしデュエルするか。

 

鏡介

 「おう、デュエルしようぜ」

 

レイン

 「ッ……分かった」

 

 よし!OK出たしデュエルしにいくぞ!

 

 

〜〜〜

 

 ほんの少し順番待ちをしてようやく俺たちの番になる。大した言葉は交わさず、お互いにデュエルディスクを構えて、デュエルの開始を宣言する。

 

鏡介·レイン

 「デュエル!」

 

レイン

 「私の先攻。ドロー」

 

レイン 手札5→6

 

 

レイン

 「私は(アンデットワールド)と(生還の宝札)を発動。そして(ユニゾンビ)を召喚。効果発動。デッキの(グローアップ·ブルーム)を墓地に送り自身のレベルを1つ上げる。」

 

ユニゾンビ レベル3→4

 

レイン 手札6→5→4→3

 

レイン

 「(グローアップ·ブルーム)の効果発動。墓地のこのカードを除外してデッキから(死霊王ドーハスーラ)を特殊召喚」

 

 なんか見たことある動きだなぁ……あ、思い出した。コイツ(アンワ)で俺の真竜を封殺しかけたアンデシンクロ使いのデュエリストだ。まぁ、あのときとは違うんだぜ?

 

レイン

 「私は(簡素融合)を発動。エクストラデッキからレベル6以下の効果を持たない融合モンスターを特殊召喚する。来て、(金色の魔象)。そして(おろかな埋葬)を発動。デッキから(終末の騎士)を墓地へ送る」

 

レイン LP4000→3000 手札2→1

 

レイン

 「私はレベル6の(金色の魔象)とレベル4になった(ユニゾンビ)をチューニング。シンクロレベル10(真紅眼の不死竜皇)。」

 

 フィールドに降り立つ屍界の支配者。初動は墓地肥やしに徹する訳だな。

 

レイン

 「私はカードを1枚セット。これでターンエンド」

 

レイン LP4000 手札0 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

死霊王ドーハスーラ 攻2800

真紅眼の不死竜皇 攻2800

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

レイン

 「(真紅眼の不死竜皇)の効果発動。墓地のアンデットになった(終末の騎士)を特殊召喚。(終末の騎士)と(生還の宝札)の効果発動。1枚ドローして(馬頭鬼)を墓地へ送る」

 

 屍界の王と屍の騎士が蘇り、墓地を増やす。

 

レイン 手札0→1

 

 さて、まずは(ドーハスーラ)を黙らせないとな!

 

鏡介

 「(暗黒界の門)発動!これで(ドーハスーラ)は置物だぜ!」

 

鏡介 手札6→5→6→5

 

 アンデットの楽園は崩れ去り、禍々しい装飾の施された門が地面からせり上がってくる。これで(ドーハスーラ)はただの置き物に成り下がった。

 

鏡介

 「手札の(暗黒界の門番ゼンタ)の効果発動!このカードを手札から捨てて2枚目の(暗黒界の門)を手札に加える!(門)の効果発動!コストで(ゼンタ)除外して!1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)の効果と(ゼンタ)の効果発動!(ゼンタ)は除外された場合、フィールドに暗黒界カードがあれば特殊召喚!(スノウ)で(暗黒界の文殿)を手札に加える!」

 

 フィールドに舞い降りる門番。暗黒界のエンジンである(門)を持ってこれる上に自力で帰ってこれる偉いやつ。

 

 鏡介 手札5→4→5→6

 

鏡介

 「そして(暗黒界の文殿)を発動!」

 

レイン

 「チェーンしてトラップ発動(不知火流 燕の太刀)。フィールドの(死霊王ドーハスーラ)をリリースして(暗黒界の門番ゼンタ)と(暗黒界の文殿)を破壊。その後、不知火モンスターを除外する」

 

 突如フィールドに降りたった(戦神-不知火)。彼が放った一太刀が門番と小さな図書室が細断された。除外されたのは……(隠者)か。不知火カードはそこまで入ってないみたいだな。

 

鏡介 手札6→5

 

鏡介

 「(未界域のビッグフッド)の効果発動!手札を選んで貰おうか!」

 

レイン

 「……真ん中」

 

鏡介

 「捨てられたのは(暗黒界の魔神王レイン)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(魔神王レイン)の効果発動!デッキからレベル5以上の暗黒界(暗黒界の龍神グラファ)を手札に!」

 

鏡介 手札5→4→3 →4→5

 

鏡介

 「まだまだソリティアは続く!(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして(ブラウ)を除外!(未界域のサンダーバード)の効果発動!もう一回手札を選びな!」

 

鏡介 手札6→5→7→6

 

レイン

 「右から3番目」

 

鏡介

 「選ばれたのは(グラファ)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(グラファ)の効果発動!(真紅眼の不死竜皇)を破壊!」

 

 墓地から吹き出す瘴気が紅眼の竜を破壊する。

 

鏡介 手札6→5→4→5

 

鏡介

 「(門)を張り替え!効果発動!(スノウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(ケルト)は特殊召喚!」

 

鏡介 手札5→4→3→4

 

鏡介

 「墓地の(魔神王レイン)はレベル7以下の暗黒界モンスター(ケルト)を手札に戻して墓地から特殊召喚!更に(魔神王レイン)戻して(グラファ)!」

 

 (ケルト)が地面を強く蹴り勢いよく飛び立つと、空からゆったりと降りてくる(レイン)。その攻撃力は……(門)込みで3300。しかしすぐに高く跳躍してグラファが蘇る。

 

鏡介

 「(グラファ)と(ビッグフット)でオーバーレイ!ランク8(神竜騎士フェルグラント)!そのまま効果を発動して(グラファ)きって自身に完全耐性付与!そして(魔界発現世行きデスガイド)を通常召喚!効果発動!デッキから(魔サイの戦士)を特殊召喚!これら2体でオーバーレイ!ランク3(虚空海竜リヴァイエール)!効果発動!(魔サイ)を取り除き除外されている(スノウ)を帰還!更に墓地へ送られた(魔サイ)の効果で2枚目の(グラファ)を墓地へ!(スノウ)戻して(グラファ)!」

 

 (ガイド)使った(リヴァイエール)の動き本当に好きだ。無駄がない。

 

鏡介 手札5→4→5

 

鏡介

 「(サンダーバード)と(グラファ)でオーバーレイ!ランク8(聖刻神竜エネアード)!効果発動!(グラファ)きって(リヴァイエール)をリリースして(終末の騎士)を破壊!」

 

 自身を贄に放たれたブレスがレインの場を焼き払う。

 

鏡介

 「永続魔法(暗黒界の文殿)を発動!そして効果発動!手札の(魔神王レイン)を捨てて、ターン終了時まで暗黒界モンスターはそのレベル×100攻撃力を上がる!レベルは8だから800アップだ!」

 

 小さな図書室に入っていく(魔神王レイン)。彼は虹色の厚手の書籍を持ち出しそれを開くと虹色の光が溢れ出す。

 

鏡介 手札5→4

 

鏡介

 「(文殿)にチェーンして(魔神王レイン)の効果発動!(魔神王レイン)で3枚目の(グラファ)を手札に!相手の効果で俺の悪魔族モンスターが捨てられるか暗黒界カードに捨てられた場合、1枚捨てて2枚ドロー」

 

鏡介 手札4→5→4→6

 

鏡介

 「捨てられた(シルバ)は自己蘇生!(シルバ)戻して(魔神王レイン)!更に戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札6→7→8

 

 

鏡介 LP4000 手札6 伏せ0

 

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000→3800

神竜騎士フェルグラント 攻2800

聖刻神竜エネアード 攻3000

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(グラファ)、(フェルグラント)と(エネアード)でダイレクトォ!」

 

 (フェルグラント)の斬撃と(グラファ)と(エネアード)のブレスでレインのLPは容易く消し飛んだ。    

 

 レイン LP4000→200→-2600→-5600

 

レイン

 「ッ……やはり私では歯が立たない……」

 

鏡介

 「安定感やっば……これでもギミック少ししか使ってねぇぞ?なぁレイン。また機会があればデュエルしようぜ?」

 

 膝をついているレインに手を差し出すと、迷わず手にとった。

 

レイン

 「やはり……貴方は強いのね。全く太刀打ち出来なかった」

 

鏡介

 「ハハハ。まぁ、俺は自慢じゃないが強いんでな。2ターン目、3ターン目あったら分からなかったが」

 

透子

 「鏡介!」

 

 想像を超えた新規の力に困惑していると、焦った様子で透子が建物の入り口から声をかけてきた。

 

 

 

 (ライコウ)さんに言われた通りにデュエルフィールドにやってくると、そこでは鏡介と……確かレインさんがデュエルフィールドで楽しそうに話をしていました。

 

透子

 『鏡介が他の女の人と話してる……付き合っているのでしょうか』

 

 なんでしょう……胸が締め付けられるような……でもそんなことよりもダークネスについて伝えないといけません!

 

透子

 「鏡介!ミスターTと名乗るデュエリストが襲いかかってきました!ダークネスの侵攻が始まったんです!」

 

鏡介

 「マジか!今すぐ行くぞ!」

 

 鏡介は私の後をつける様に走ってきます。

 

 そして、私達はジャスティス·ワールドでダークネスによる襲撃を相互に確認し、ダークネスとの戦い方等の議論を詰めて行きました。

 

 

〜〜〜

 

 太陽がすっかり水平線に沈んだ頃。会議とシャワーを終えて扉を開けて部屋に入ると、いつもの私の部屋が私を迎えてくれます。

 

 1人で寝るには余りにも大きいベッドに寝転び、先程の会議を思い返します。

 

 ある程度頭の中で内容をまとめ終えると、ふとデュエルスペースでの出来事を思い出します。

 

 デュエルをして、笑顔でレインさんに話していた鏡介の姿。それを思い出すだけで何故か胸が苦しくなります。

 

 私と身体が分かれてから見せなくなった鏡介の笑顔。今まで手にしていたそれが離れていく様な気がして……頭のモヤモヤがどんどんと募って行きます。

 

 ふと時計を見ると……もう23:00を越えようとしています。これ以上起きてると明日に支障をきたしてしまいます。

 

 私は側で立ちながら寝ているユニコールさんを優しく撫でて、僅かな安らぎを得て眠りにつきました。

 

〜〜〜

 

 日がすっかり沈み、月が夜を照らす頃、俺は無駄にデカいベッドで腕を枕に寝転んでいた。

 

 考えている事はただ一つ。最近の透子が俺から距離を置こうとしている事だ。

 

 それに気づいたのは暗黒世界に居た時の事。透子の自室にノックして入りファルコンビート用のカードを渡そうとした瞬間に突然苦しげに胸を押さえた時に、透子が俺に距離を置こうとしてるのを確信した。

 

 なんか居た(ユニコール)に追い返されてドアを閉めて俺の部屋に帰るまで、俺の頭が真っ白で何も考えられないぐらいまで落ち込んだ。

 

 話は変わるが俺には透子以外の友達がいない。デュエルが全てのこの世界で、相手の全てを否定するデッキを使いまくる俺と友達になる奴なんて、相当な自殺志望者ぐらいなものだろう。

 

 前には十代と絡んでた事もあったりなかったりしたが、超融合事件で合わせる顔もない。ダークネス戦では全力で頭下げて協力してもらうつもりだが。

 

 その唯一の例外が透子で、俺の盤面をそこそこの確率で捲りきって、そのままワンキルしてくる稀有なデュエリストだ。

 

 そんな彼女が離れてしまった今、俺は完全無敵ボッチと化してしまった。

 

鏡介

 「透子には嫌われているから……可能な限り何かに誘うのは避けないと……これから誰とデュエルするか……レインしかいねぇな」

 

 彼女のカードパワーなら、きっと透子以外だと俺の暗黒界にそれなりに耐えられるだろう。あんまり彼女の事を知らないが、これから知ればいいだろう。

 

 それにしても……なんでだろうな。心の穴が埋まらない。まるで……1年前のデスクローザーデュエルの時に感じた虚無感の様な……

 

鏡介

 「透子……俺は寂しいよ」

 

 ふと呟いたそんな言葉は、この無駄に大きな部屋で虚しく闇に消えていった。



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IF.4鏡介流シンクロ教室〜準備編〜

 

鏡介

 「よ、ようやく終わった……」

 

 全くついていけてない授業を終えて、俺は机に突っ伏した。

 

 俺は前世工業高校で2年半過ごしていたからなんとなく解る場所もあるが、裏を返すとそれ以外は分からない。

 そもそも透子が代わりに勉強してたからブランクがとんでもないことになっていて、それが今になって牙を向いている。

 

 中間テストが控えているなか、これは厳しいと言わざるを得ない。いくらデュエルが強ければセーフといえども限度がある。かといって透子には頼めないし……頼めるのはレインしかいないか。

 

 そんなことを考えながら教科書を片していると、1枚のプリントが目に飛び込んで来た。

 

鏡介

 「2週間後シンクロ召喚講座ねぇ……そういえばそろそろシンクロ実装から1年か。そろそろ評価が固まりきってシンクロ召喚を扱うプロデュエリストが増えて活躍する頃か……まぁスルーだな。だってシンクロの裁定ほぼ把握してるし」

 

 激長ソリティアは不慣れだけどカードと練習時間さえあればクエーサー1体なら立てられるしな。

 

 さて……レインに勉強教えてもらうか。

 

 俺は教科書類をバッグにしまい、レインを探しに立ち上がる。アイツ最近授業終わったらふらっとどこかに行っちまうんだよな……

 

 

〜〜〜

 

レイン

 「……これで任務は一段落」

 

 来賓をもてなす部屋でデュエルディスクを格納しながら1人呟く少女の名はレイン恵。遠い未来からシンクロ召喚を抹消するためにやってきた機械少女。

 

 彼女はシンクロ召喚教室を行うと聞き、忍び込んだ校長室から資料を確認して講師を特定。待ち伏せしてこれを抹殺した。ちなみにこれで講師抹殺は3人目である。

 

 この他にも彼女はこのアカデミアでシンクロ召喚を軸に据えたデュエリストをリストアップしつつ可能な限り抹殺しているが、寮の門限という時間的制約に、何よりも誰も見られない様な場所でデュエルして抹殺しなければならない空間的制約が枷となり遅々として進まないでいる。

 

 それでも少しずつ数を減らしており、課された任務を達成すべく彼女は日々デュエルを続ける。

 

 

〜 校長室 〜

 

鮫島

 「透子さん。貴方の実力を見込んで、シンクロ召喚講座の講師をやっていただきたいのですが、お願い出来ますか?」

 

透子

 「えっ……え?もう一度言ってもらって良いですか?」

 

 校長室に呼び出されて、校長の開口一番の言葉がこれです。私は全く話が理解出来ずに聞き返す事しか出来ません。

 

鮫島

 「まぁそう言われるのも無理はありませんね。透子さん。貴方のシンクロ召喚の腕を見込んで、13日後のシンクロ召喚講座の講師をしていただきたいのです」

 

 や、やっぱり聞き間違いじゃありませんでした……どうしてこんなことに。

 

鮫島

 「実は企画はしたは良いものの、肝心の講師が全く集まらなくてですね……やむを得ず貴方に頼るしかなかったのです」

 

 そもそも、なんで講師と契約する前に発表したんですか……

 

透子

 「確かに私はシンクロ召喚をよく使いますけど教えられるかと言うとそれほど……それに、私人前で話せる自身は無いんですけど……あと講師なら鏡介も適任だと思います。あの人レベル10のシンクロ召喚とかも出来るので……」

 

鮫島

 「なんと……本当に鏡介君は底の見えないデュエリストですね……では鏡介君と共にシンクロ講座を成し遂げて下さい。貴方が断った場合、シンクロ講座を中止せざるを得ないのです。報酬は鏡介君と話を交えて改めて相談します。どうか……お願いします」

 

  わざわざ椅子から立ち上がって、地面と平行になる勢いで頭を下げて来ました。

 

 ここまでお願いされたら……断るなんて出来ないですよ……うぅ、やるしかないんですね……

 

透子

 「うぅ……分かりました。分かりましたから頭を上げて下さい」

 

鮫島

 「本当に、本当にありがとうございます」

 

 そうして、私は申し訳無さそうに項垂れる鮫島校長を後目に校長室から退室しました。

 

 

〜〜〜

 

 やってきたのは鏡介の部屋。なんだかんだ……鏡介の部屋に入るのは初めてな気がします。

 

 扉に触れると、身体がカァァっと熱くなっていくのが分かります。

 

 呼吸を整えて、覚悟を決めて扉を軽く叩いて鏡介に呼びかけます。

 

透子

 「きょ、鏡介……い、居ますか?」

 

 問いかけても、帰ってくるのは沈黙だけ。「入っていいぞ〜」といった、ちょっとぶっきらぼうな私の望んだ言葉はいつになっても返っては来ませんでした。

 

透子

 「やっぱり……あの時のことを気にしてるのでしょうか……」

 

 ユニコールさんに噛まれかけてしまったあの時の記憶。もしかしたら、それで鏡介に嫌われたのかも……

 

鏡介

 「と、透子!どうしたんだ俺の部屋の前になんか立って?」

 

 声がした方を向くと、そこには教科書とノートを持った鏡介の姿が。

 

透子

 「鏡介!補習の帰りですか?」

 

鏡介

 「いや、レインに勉強教えて貰ってた。まぁ〜探すのに苦労したぜ。何故か大体育館の裏に居たからな」

 

 また……レインさんとですか……どうしてこんなに胸が苦しくなるのでしょう……

 

鏡介

 「どうした?また具合が悪くなったのか!?」

 

 心配そうに声をかけてくれる鏡介。嫌われては……いないのでしょうか?でも建前の可能性も……

 

透子

 「い、いえ……大丈夫です……それよりも鏡介にお願いがあってきたんです」

 

鏡介

 「お願い?まぁ立ち話もあれだ。俺の部屋で話を聞くよ。ちょっと汚いけど我慢してくれ」

 

 鏡介は部屋の扉を開けて、私を部屋に迎え入れてくれました。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「へぇ……シンクロ召喚講座の講師ねぇ……」

 

 透子のお願い。それはシンクロ召喚の講師が居ないから、代わりに透子と一緒に講師になってくれというものだった。

 

鏡介

 「透子の頼みなら断るつもりはねぇ。とりあえず、鮫島のとこ行くぞ」

 

透子

 「そう……ですね」

 

 俺の部屋をキョロキョロしてる透子。部屋の構造は大して変わらない筈なんだけどなぁ……床には埃降ってるし机は雑に教科書積んであって汚ねぇし。

 

 それにしても、相変わらず透子が浮ついた様子で心配になる。でも前に大丈夫って言ったから信じないと……

 

 俺がドアを開けると、透子は慌てた様子で立ち上がり、俺の後ろ3歩ぐらいの距離を維持して歩いてくる。

 

 女は男の後ろを歩くみたいな旧時代的ななにかを感じながら、俺達は校長室へ向かう。

 

 

 

〜 校長室 〜

 

鏡介

 「失礼します」

 

 俺がドアをノックして、校長室へと足を踏み入れる。

 

鮫島

 「おお鏡介君。シンクロ講座の話。受けて頂けますね?」

 

鏡介

 「透子の頼みとあれば断る理由が無いですから。それより、シンクロ講座用の教本とかって用意されていますよね?」

 

 俺がそう言うと、鮫島校長は、16ページぐらいの薄い冊子を出してきた。

 

鮫島

 「来賓室に置かれていたこの冊子をお使い下さい。後、実践用のサンプルデッキも用意してあります」

 

 渡された冊子を確認する。うん。基本的なシンクロ召喚についてのルールとか裁定が乗ってるな。こんなのが、なんで来客をもてなす来賓室にあるんだよ。

 

 サンプルデッキは……完成度低。1ターンと手札全部かけてバニラ1体立てるデッキとか嘘だろ?

 

鏡介

 「あの……鮫島校長。教本はまだしも実践デッキの質が低すぎます。このデッキではシンクロの強みを広める事が出来ません。ですので、俺がサンプルデッキを2種類作ってみせます。後、授業の形式はこちらで決めてもいいですよね」

 

鮫島

 「……えぇ、授業の形式は基本そちらに任せます。報酬については……講座終了後にDPの支給でどうでしょう?額はこちらで……」

 

 電卓を取り出して額を提示する鮫島校長。学生に出すとしたら中々の額のDPだ。ドローパンとかの菓子類を今日から卒業まで毎日買い食いしてもまだ余裕がある額だな。

 

鏡介

 「まぁまぁ良い額だな。それじゃあ報酬はそれでお願いします」

 

鮫島

 「……分かりました。貴方達の活躍で、このアカデミアに新しい風が吹くことを期待しています」

 

  鮫島校長の言葉を締めとして、俺達は退室した。

 

 

〜〜〜

 

 校長先生とのお話が終わって、私は鏡介に誘われて彼の部屋に戻ることになりました。

 

鏡介

 「透子……すまねぇ。俺主体で話進めちまった」

 

 振り返ることなく、申し訳無さそうに私に声をかける鏡介。正直、あのときの私は緊張でとても話せる状態じゃなかったので助かりました。でも、それを言うと鏡介に心配させてしまうので言いません。

 

透子

 「気にしないで下さい。所で、鏡介は教材用のデッキを作るって言ってましたけど、作れる目処は立っているんですか?」

 

鏡介

 「話は変わるけどさ、透子。シンクロ召喚の1番の強み、シンクロに出来て融合には出来ない事って何だと思う?」

 

 鏡介の突然の問いかけ。突拍子もない事を聞かれて言葉が詰まってしまいました。

 

鏡介

 「分からないか?ヒントは透子。お前が持ってるナチュルかユニコールデッキに眠っている」

 

 ナチュルデッキにヒントが……ナチュルの特性は低レベルだけど各々の強力な制圧効果で制圧するコントロールデッキ。

 ユニコールは低レベルなメルフィー達で盤面を整えて、ユニコールによって制圧するデッキ。2つのデッキ共通するのは、コントロールデッキであることと……低レベルモンスターが大半を占めていること。

 

透子

 「シンクロ召喚1番の特性。それはチューナーさえ確保出来ればどんなモンスターも輝ける。そうですよね?」

 

鏡介

 「大☆正☆解。俺が持ってる効果モンスターだけでソリティア決めてやってもいいが、それだけでは本質は見えない。冷遇され忘れ去られたカードにもスポットライトを当ててやる。それこそが新しいデュエルをアカデミアに広げる鍵になると俺は思っている」

 

 だから……と鏡介は1つ間をおいて、これから組むデッキの名を口にしました。

 

鏡介

 「俺が組むデッキは……バニラシンクロビートだ」

 

 そんなことを話していると、とうとう鏡介に部屋にたどり着いてしまいました。鏡介が扉を開けて、先に部屋へ入っていきました。

 

 私がドアを閉めて鏡介がテーブル周りの座布団に、私は3人座れそうなソファの端に座ります。

 

 本当なら鏡介に向かい合うテーブルに座るべきなのかもしれません。でも、私はこの動悸を回避するにはこうせざるを得ないんです。

 

 最近の過度な緊張の原因。毎晩毎晩考えた結果たどり着いた結論は、鏡介に近づくと緊張するということでした。さっきの校長室からここまでの行き来で、3歩までなら平然としていられる事が分かりました。

 なのでこれから、鏡介から3歩以上距離を取らなければなりません。そうしないと……鏡介を心配させてしまうから

 

鏡介

 「……さて、デッキの概要を話す。簡潔に言うと、レベル1~3のバニラモンスターを強力な魔法罠でサポートして大量展開。それらを使って連続シンクロしてビートダウンするデッキだ。魔法罠とExデッキはこちらで用意する。今必要なのは……」

 

透子

 「低レベルの通常モンスター。それなら古井戸にありそうですね」

 

 このアカデミアには、とうの昔に水が枯れた古井戸があり、多くのアカデミア生はそこに低ステータスのモンスターを捨てるのだそうです。必要のない……ザコカードとして。

 

鏡介

 「回収するカードの条件は2つ。1つ、レベル1~3の通常モンスターであること。2つ、水属性であること。これらの条件を持ったカードを古井戸から回収しにいくぞ」

 

透子

 「分かりました。それでは行きましょう」

 

 私は鏡介との距離に気を配りながら、古井戸へと向かいました。

 

 

〜 森 〜

 

 森の奥へ奥へと足を踏み入れて、辿り着いたのは古ぼけた井戸。ここにはアカデミア生によって、多くのカードが捨てられているんだとか。

 

 さっそく鏡介は持ってきたロープを井戸に引っ掛け……ようとましたが何か黒い瘴気を感じたのか足を止めました。

 

透子

 「鏡介……この瘴気ってまさか!」

 

鏡介

 「来る……ダークネスが!下がれ!透子!」

 

 古井戸から湧き上がる大量の黒い瘴気。それらが形を成し、2人のミスターTへと変化を遂げました。

 

ミスターT

 「お久しぶりですね……古神透子、古神鏡介。さぁ、デュエルを受けていただきますよ」

 

鏡介

 「上等だ!消し飛ばしてやる!」

 

透子

 「わざわざ負ける道理は無いんです!勝って生きて見せます!」

 

透子·ミスターT

 「デュエル!」

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(魔獣の懐柔)を発動!このカードは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、デッキからレベル2以下の獣族モンスターを3体効果を無効にして特殊召喚します!来て!(魔轟神獣ケルベラル)、(不屈の獣僕)、(メルフィー·フェニィ)!」

 

 低空から飛んできたグリーさんに似た悪魔達が3匹?飛んできてきて、彼らがどこかへ飛び去ると、共通点の見いだせない獣達が飛び出してきました。

 

透子 手札6→5

 

透子

 「私は(不屈の獣僕)と(魔轟神獣ケルベラル)をチューニング!雄々しき白馬よ!その魔性の瞳で戦場を支配せよ!シンクロ召喚!レベル4(魔轟神獣ユニコール)!」

 

 光の中から駆けつけてきたのは、白い白馬。己の存在を示すかの如く、甲高い嘶きを上げました。

 

透子

 「私は(レスキューキャット)を召喚!効果発動!このカードをリリースして、デッキからレベル2以下の獣族を特殊召喚!来て!(森の聖獣カラントーサ)、(メルフィーキャシィ)!」

 

 ヘルメットを被った猫がホイッスルを吹くと、どこからともなく可愛らしい兎と猫がやってきました。

 

透子 手札5→4

 

透子

 「私は(メルフィー·フェニィ)と(キャシィ)でオーバーレイ!エクシーズ召喚!ランク2(森のメルフィーズ)!効果発動!素材の(フェニィ)を取り除き、デッキからメルフィー魔法罠(メルフィーのかくれんぼ)を手札に!」

 

 切り株の周りに集まる可愛らしい動物達。彼等が藪の中から1枚のカードを私に手渡してくれます。

 

透子 手札4→5

 

透子

 「永続魔法(メルフィーのかくれんぼ)を発動!効果発動!墓地の獣族を3種類(メルフィー·フェニィ)、(レスキューキャット)、(魔轟神獣ケルベラル)を戻して1枚ドロー!」

 

透子 手札5→4→5

 

透子

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに手札の(メルフィー·ワラビィ)と(メルフィ·キャシィ)を特殊召喚!(レスキューキャット)の効果で特殊召喚されたモンスターは破壊されますが、(かくれんぼ)の効果で破壊されません!」

 

透子 LP4000 手札3 伏せ1

 

魔轟神獣ユニコール 攻2300

メルフィー·ワラビィ 守400

メルフィー·キャシィ 守200

森のメルフィーズ 守2000

森の聖獣カラントーサ 守1400

 

メルフィーのかくれんぼ

 

ミスターT LP4000 手札5 伏せ0

 

ミスターT

 「私のターン。ドロー」

 

ミスターT 手札5→6

 

ミスターT

 「私は(ダーク·アーキタイプ)を召喚」

 

透子

 「(メルフィー·キャシィ)の効果発動!相手が召喚·特殊召喚。またはこのカードを攻撃した時発動!このカードを手札に戻して、デッキから獣族モンスター2枚目の(レスキューキャット)を手札に加えます!」

 

 ミスターTが繰り出すモンスターを見て、私の猫が驚いて逃げていきます。

 

透子 手札3→4→5

 

ミスターT 手札6→5

 

 そしてミスターTが私の手札と同じ枚数になった瞬間。(ユニコール)の瞳が赤く輝きました。

 

ミスターT

 「バトル!(ダーク·アーキタイプ)で(魔轟神獣ユニコール)を攻撃!」

 

 鈍重な動きで近づこうとする不気味なモンスターは、逆に(ユニコール)の強烈な後ろ蹴りで粉砕されていきました。

 

ミスターT LP4000→3100

 

ミスターT

 「ダーク·アーキタイプ)の効果発動!このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキから受けたダメージと同じ攻撃力を持つモンスターをデッキから特殊召喚!」

 

 不気味なモンスターが消え去り効果を行使しようとした瞬間。(ユニコール)の瞳が真っ赤に強く輝いて、その力をかき消してしまいました。

 

ミスターT

 「な、何!?(ダーク·アーキタイプ)の効果が!」

 

透子

 「(魔轟神獣ユニコール)の効果。このカードが存在する限り、私と貴方の手札が同じなら貴方の効果は無効化されて破壊されます。貴方は私の掌の中に……足掻けるなら足掻いて見なさい。その一挙手一投足を……否定してあげますから」

 

 魔轟神獣ユニコールの効果の恐ろしい所はターン1がついていない事。そして永続効果であること。そのため着地して条件さえ満たしてしまえば、ありとあらゆる効果やカウンター罠。チェーンを許さないあの(超融合)すら無効に出来てしまいます。

 

 このデッキを作ってから今に至るまで、多くのデュエリストが(ユニコール)の効果に阻まれ、絶望の表情で私を見つめてきました。その表情を、相手の不完全な盤面を見る度に私の心が満たされていくのが分かるんです。

 

 これこそが私が小さな頃からしたかったこと。相手の動きを徹底的に阻害して、じわりじわりと相手を追い詰めてフィールドを支配する。

 

 我ながら嫌な性格だと思いながらミスターTに視線を向けると、彼はカードを1枚セットしてターンを終えていました。

 

ミスターT LP3100 手札4 伏せ1

 

透子 LP4000 手札5 伏せ1

 

魔轟神獣ユニコール 攻2300

メルフィー·ワラビィ 守400

森のメルフィーズ 守2000

森の聖獣カラントーサ 守1400

 

メルフィーのかくれんぼ

 

透子

 「私のターン。ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(カラントーサ)と(ワラビィ)でオーバーレイ!ランク2(神騎セイントレア)!」

 

 現れたのは半人半馬の騎士。その攻撃力は2000なので殴って終了なのですが……石橋は叩いて渡るものです。堅実に行きましょう。

 

透子 手札6→5

 

透子

 「カードを1枚セットしてトラップ発動!(サンダー·ブレイク)!手札の(禁じられた1滴)を捨ててセットカードを破壊!」

 

 放たれた稲妻がセットカード(聖なるバリア -ミラーフォース-)を焼き切りました。

 

透子 手札6→5→4

 

透子

 「バトルフェイズ。(魔轟神獣ユニコール)と(神騎セイントレア)でダイレクトアタック!」

 

 騎士の一突きが、白馬の噛みつきがミスターTを削り取り、カードとなって消えていきました。

 

ミスターT LP3100→800→-1200

 

透子

 「鏡介!」

 

鏡介

 「おう、終わったのか。俺も丁度ケリがついた所だ」

 

 鏡介に目を向けると、そこにはカードになってどこかへ消えていくミスターTの姿と消えていく(グラファ)の姿がありました。

 

鏡介

 「さて、作業再開。古井戸に乗り込むぞ」

 

 今度こそロープを結びどんどんと降りていく鏡介。地に足が付く音がしたので、声をかけます。

 

透子

 「どうですか?目的のカードはありましたか?」

 

鏡介

 「駄目だ!目的どころかカード1枚すらねぇ!全部ダークネス堕ちしたみてぇだ!」

 

 最近の会議での話によると確か……愛されなかった、簡単に言うなら使われなかったカードはダークネスの支配を受ける……とか言ってましたね……。

 

 すぐさま縄を登ってくる鏡介。その表情は残念そうです。

 

鏡介

 「……仕方ない。こうなったらアカデミア中駆け回って、生徒全員に片っ端から条件のあったバニラモンスターを強請ろう。協力してくれるよな?」

 

透子

 「要は……バニラモンスターを譲って貰える様に交渉すれば良いんですね?やれるだけやってみます」

 

鏡介

 「欲しいリストは用意してある。有効に使ってくれ」

 

 そう言って裏紙を渡してくる鏡介。覚悟を決めて、過度の緊張を無理やり抑え込んで紙を受け取りました。

 

鏡介

 「それじゃあ……検討を祈る。6時前に校舎前集合な」

 

 そう言って駆け出した鏡介。その背中は……なんとなく悲しそうな雰囲気を滲ませていました。

 

 

〜〜〜

 

 すっかり日が沈みかける頃、校舎前に行くと、鏡介が壁に寄りかかっていました。

 

鏡介

 「おぉ透子!どうだ?集まったか?」

 

透子

 「渡されたメモのカードは枚数通り揃えられました。鏡介はどうですか?」

 

鏡介

 「バッチリだぜ!ほんのちょっと出費が嵩んだけど、なんとか揃えられたぜ」

 

 見せられたのは、水属性のレベル1~2の通常モンスターと……チューナーモンスターである(ガード·オブ·フレムベル)。それも3枚。

 

透子

 「チューナーモンスター!?よく揃えられましたね?」

 

鏡介

 「あぁ。どうやらめっちゃダブってたらしくてな。適当な5シンクロを提示したらそれはもう喜んでトレードに応じてくれたぜ」

 

 息を整えて鏡介にカードを手渡すと、カードを確認して満足そうに頷きました。

 

鏡介

 「よしよし……ちゃんと揃ってるな……今回はありがとうな。何かお礼したいんだけど……何か欲しい物あるか?」

 

 お礼……そうですね……正直欲しいものは何も……でも1つだけ、無くなったら困るものがあります。

 

透子

 「それなら……これからも鏡介の友達でいさせて下さい。それだけが……それだけが私の欲しい物です」

 

 鏡介に目を向けると信じられないと言わんばかりに驚いた表情をしていました。

 

鏡介

 「あぁ……あぁ!俺で良ければいくらでも!これからも宜しくな!」

 

 驚いた表情から一転して鏡介は嬉しそうに笑顔を浮かべて、手を伸ばしてきました。

 

 吸い込まれる様に鏡介の手を取ると、今までの様に心臓が加速して身体が熱くなっていきます。……でも不思議と嫌な感じはしませんね。鏡介のゴツゴツとした指を握ると心地良い鼓動を感じる事が出来ます。それこそ、ずっと握っていられる程に……

 

鏡介

 「と、透子?そろそろ離して……くれないか?そろそろデッキ組みにかかりたいからさ……」

 

透子

 「あっ、ご、ごめんなさい!それじゃあまた明日会いましょうね!」

 

 私はすぐに手を話して、鏡介と別れて自室へ逃げるように走りました。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「これでよし……っと」

 

 俺は異世界通販から取り寄せたカードを組み合わせる作業をしていた。

 

 組んでいるのは、水属性バニラを軸にした連続シンクロデッキ。ローレベル特有の大量展開を活かしてモンスターを並べて(白闘気海豚)とか(切り裂かれし闇)を適応した(HSRチャンバライダー)で殴り倒すデッキだ。やろうと思えば(白闘気白鯨)でブッパしたり(ドラガイド)で制圧する事も出来る。

 

 1つだけだと味気ないから更にもう1つデッキを作った。

 

 それはジャンク·ウォリアーワンキル。(ライトニング·ボルテックス)や壊獣、(サイクロン)や(大嵐)で盤面を焼け野原にして(ラッシュ·ウォリアー)と(スクラップ·フィスト)で強化した(ジャンク·ウォリアー)でぶん殴る単純なデッキだ。

 

 ちなみに、これらは講習後アカデミアにデッキまるごと寄贈してやろうと思う。特大出血サービスだ。

 

 なんだかんだデッキを作り終わり、立ち上がって腰を伸ばす。ウッ……立ちくらみが……。

 

 一度しゃかんで、同じく普通のDPで調達したデッキケースにカードを丁寧に押し込んで、ベッドに腰掛け寝転がる。

 

鏡介

 「友達でいさせてくれ……かぁ」

 

 縋るような目つきで口にした透子の事を思い出す。

 

 友達でいてくれ……その言葉を聞いて俺はとにかく嬉しかった。これからもずっと一緒に居てくれると分かってとにかく安心した。……流石にずっと手を握ってくるのは困惑したけど。

 

 でも……それならなんで今まで距離を置いて来たんだろう?友達でいたいけど近づきたくないナニカがあったんだろうか?

 

 パッと思いつくのだと……臭いか?それなら今日から丁寧に身体洗うか。

 

 俺は風呂の用意をさっさと済ませて部屋を出た。

 

 あっ、そうだ。せっかくシンクロするんだからデルタアクセル決めたいな。DPも一応余ってるしジャンド組むか……参考動画探さないとな。

 

 俺はスマホを起動し、動画を漁り始めた。




なんとなく後書きが寂しいので、前に考えたは良いものの出す機会が無いオリカ紹介コーナーにします。

慈愛の果実
通常魔法
このカードを発動するターン。自分は手札が3枚以下のときカードをセット出来ない
①手札を1枚相手の手札に加えて発動出来る。相手フィールドのEXデッキから特殊召喚されたモンスターを選び、そのモンスターのコントロールを得る。この効果を発動後、ターン終了時まで元々の持ち主が異なるモンスターが自分フィールドに存在する限りそのモンスターをリリース出来ず、自分はモンスターを特殊召喚出来ない。
②エンドフェイズに発動する。自分フィールド上に存在する元々の持ち主が異なるモンスターのコントロールは元々の持ち主に戻る。このカードのコントローラーは手札を全て相手の手札に加える事でこの効果を無効に出来る。

 透子がユニコールを手懐けるシーンをどうにかして再現したかったカード。デメリット強めにしたつもりなのですが、強いかどうかは分かりません。カード化したら多分文字ギッチギチでしょうね。(291字)是非感想でコメントお願いします。


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IF5.開講!鏡介流シンクロ教室

時間差投稿です。前回を見ていない方はそちらをお願いします。


 

〜 大講義室 〜

 

 遂に来たアカデミアシンクロ教室。私の目の前には、60人ぐらいのデュエリストが集まっていました。

 相当な倍率だったらしく、抽選で一喜一憂している生徒があちこちで見られました。

 その中に、見たことある銀髪の生徒。レインさんの姿がありました。

 

透子

 「あっレインさん。貴方もシンクロ教室を?」

 

レイン

 「いえ、私は監視役。ここの生徒が危険な事をしていないか監視する役を、鏡介から任されたわ」

 

 そうなんですか……まぁ確かにこんな人数がいたらトラブルが起きそうですものね。

 

 シンクロ召喚講座……成功するでしょうか?デッキ作った日から今日に至るまで先生の指導の元で練習を重ねたので大丈夫だとは思うのですが……

 

 そんなことを考えていると、講師になる鏡介がマイクを握ってやってきました。

 

鏡介

 「これより!デュエルアカデミアシンクロ講座を開始する!名前知らない奴はいないだろうけど、講師の古神鏡介だ!そして隣にいるのは助手の古神透子だ!」

 

透子

 「よ、よろしくお願いします!」

 

 自己紹介を済ませた鏡介はさっそく授業を始めました。

 

鏡介

 「とりあえず手元の薄い教科書を見てくれ。まずはシンクロ召喚のおさらいだ!Aの21!説明してみろ!」

 

 鏡介が声を張り上げると、Aの21と書かれた席に座っていた生徒が立ち上がりました。

 

A21

 「は、はい!チューナーモンスターとチューナーではないモンスターをリリースして、リリースしたモンスターのレベルの合計が同じになるシンクロモンスターをEXデッキから特殊召喚する方法です!」

 

鏡介

 「残念92点だ!リリースではなく“墓地へ送る”だ!聖刻みたいなリリースされて発動する効果は使えないから注意が必要だ!」

 

 その後も、鏡介は生徒に答えさせながら解説を進めていきました。私は予め作っておいたパワーポイントを動かす等の雑用を熟していました。

 

 

〜〜〜

 

 昼休憩が終わり、多くの生徒達が大講義室に集まってきました。

 

鏡介

 「それでは午後の部を始める!午前中にシンクロについて話したから、今度は実践を行う!まずはシンクロ召喚を主軸にしたデッキ……もしくはシンクロ召喚が出来るデッキを持っているデュエリストは手を上げてくれ!」

 

 手が挙がるのは……6、7人ぐらいか?まさかここまで少ないとは……

 

鏡介

 「まぁ……ここまで少ないのは想定外だが……こんなこともあろうかとサンプルデッキが用意されているぞ!透子!デッキレシピだ!」

 

 パワーポイントでデッキレシピが公開されると、数名の生徒が声を荒げた。

 

K21

 「なんだこのデッキ!入ってるモンスター全部低レベルのクズカードじゃねぇか!」

 

F3

 「こんなデッキでモンスター並べられるわけねぇだろーが!」

 

鏡介

 「まぁまぁ落ち着いてくれ。話はまだ終わっちゃいないんだ。続いて回し方を説明するぞ」

 

 俺はレーザーポインターを使って説明をしていく。簡潔にまとめると、強力なバニラサポート魔法罠でモンスターを並べまくってシンクロを行い、そのまま殴り倒す結構シンプルなデッキだ。事故率が桁違いに高いので(手札断殺)採用だ。

 

鏡介

 「そしてもう1種類、レンタルデッキを用意した。コイツは後攻ワンターンキルに全てをかけたデッキだ。回し方は……」

 

 こうして、ざっくりとデッキの回し方を解説した。流石に後攻ワンキルは比較的動きがシンプルだったからか、それとも攻撃力が高いモンスターが入っていて満足したのか批判の声はなかった。

 

鏡介

 「さて、解説も終わったので、皆さんお待ちかねのシンクロ召喚の実践授業に入る!対戦カードはあらかじめ用意した箱から2つ玉を抜いて、そこに書かれた席の番号で決める!まずは1組目だぁ!」

 

 引いたのは……Kの21とEXの2……さっき文句言ってた奴らの1人と透子か……

 

鏡介

 「それじゃあKの21と古神透子の2人はデュエルフィールドへ!他も大講義室からデュエルフィールドへ移動するように!」

 

 俺は箱を抱えて、俺達は大講義室から退室した。

 

 

〜 デュエルフィールド 〜

 

  私はこの大きなデュエルフィールドの前に立っています。そして、向こうではレインさんからレンタルデッキを借りてるレッド生がまるで私に聞かせる様にわざとらしく声を荒げていました。

 

K21

 「フン!こんなツエーデッキが使えるなんてな!コイツさえあれば魔王なんて一捻りだな!」

 

 ムッ……確かに(ジャンク·ウォリアー)と(スクラップ·フィスト)のコンボを喰らえばワンキルされてしまいますし、ユニコールコントロールも壊獣で潰されたら、少なくともそのターンは機能不全に陥ります。

 

K21

 「それしても……あのレンタルデッキ何だよ。デッキのモンスター全部クズモンスターなんてさ。作ったやつの程度が知れるわwww」

 

 ………あ゛?

 

透子

 「レインさん。バニラシンクロビートのレンタルデッキを貸してください」

 

レイン

 「……分かった」

 

 渡されたデッキを乱暴にデュエルディスクに突っ込んで、目の前の相手を睨む。

 

K21

 「おうおう、そんな紙束デッキなんて使って良いのか?魔王様の戦績に傷がついちまうぜwww」

 

 減らず口が止まりませんね。このデュエルで泣いたり笑ったり出来なくしてやります。

 

K21·透子

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私。ドロー」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「私は(凡骨の意地)を発動。そして(魔の試着部屋)を発動。800のLPを払い、デッキから4枚捲り、レベル3以下の通常モンスターを特殊召喚する」

 

捲られたのは…(弾圧される民)、(海皇の長槍兵)、(手札断殺)、(切り裂かれし闇)。

 

 試着室から、弾き飛びされたかのように魚人と鍬を持った農民がフィールドに飛び出してきました。

 

透子 LP4000→3200 手札6→5→4

 

透子

 「(馬の骨の対価)を発動。(弾圧される民)を墓地へ送り2枚ドロー」

 

透子 手札4→3→5

 

 良いカードを引きました。これで一泡吹かせてやりましょう。

 

透子

 「(ウォーター·スピリット)を召喚。永続魔法(超自然警戒区域)を発動。そしてフィールド魔法(天威無崩の地)を発動。カードをセットしてターンエンド」

 

透子 LP4000 手札1 伏せ1

フィールド(天威無崩の地)

 

海皇の長槍兵 攻1400

ウォーター·スピリット 攻400

 

超自然警戒区域

凡骨の意地

 

K21 LP4000 手札5 伏せ0

 

K21

 「ハッ!雑魚モンスターが棒立ちなんてな!やっぱりクズデッキだ!俺のターンドロー!」

 

K21 手札5→6

 

K21

 「まずは(調律)を発動!デッキから(ジャンク·シンクロン)を手札に加えて、デッキの1番上を墓地へ送る!」

 

送られたのは……(ザ·カリキュレーター)。これはマズいかもしれませんね。

 

K21 手札6→5→6

 

K21

 「(スモール·ワールド)発動!手札の(増殖するG)を裏側で除外して、種族か属性かステータスのどっかが同じモンスター。デッキのレベルが同じ(ドッペル·ウォリアー)を裏側で除外することで同じくレベルだけが同じ(ラッシュ·ウォリアー)を手札に加える!」

 

K21 手札6→5→4→5

 

K21

 「俺は(ジャンク·シンクロン)を召喚!効果発動!墓地の(ザ·カリキュレーター)を特殊召喚!まぁ効果は無効になるがな」

 

K21 手札5→4

 

K21

 「この瞬間!速攻魔法(地獄の暴走召喚)!相手フィールドにモンスターが存在し、俺が攻撃力1500以下のモンスターを特殊召喚したときに発動!俺は(ザ·カリキュレーター)を可能な限り攻撃表示で特殊召喚し、お前はその雑魚モンスターを可能な限り特殊召喚しな!」

 

透子

 「私は(海皇の長槍兵)を守備表示で2体特殊召喚します」

 

K21 手札4→3

 

K21

 「俺はレベル2の無効になっている(ザ·カリキュレーター)とレベル3の(ジャンク・シンクロン)をチューニング!シンクロ召喚!一撃必殺!全てを消し飛ばせ!(ジャンク·ウォリアー)!」

 

 現れたのは大型な右腕を誇る機械の戦士。あのデッキのキーカード。

 

K21

 「(ジャンク·ウォリアー)の効果発動!俺のフィールドのレベル2以下のモンスターの攻撃力分攻撃力が上がる!(ザ·カリキュレーター)は俺のフィールドのレベル合計×300上がるから9×300で2700!それが2体だから5400上昇して攻撃力は7700だ!」

 

ジャンク·ウォリアー 攻2300→7700

ザ·カリキュレーター 攻2700

 

透子

 「(天威無崩の地)の効果発動!自分フィールドに効果モンスター以外が存在し、相手が特殊召喚に成功した場合に発動し、2枚ドロー!」

 

透子 手札1→3

 

 モンスターをこれ以上展開出来なさそうですね……ここで潰しますか。

 

透子

 「トラップ発動!(同姓同名同盟)!自分フィールドの通常モンスター(ウォーター·スピリット)を可能な限り特殊召喚!そして永続魔法(超自然警戒区域)の効果発動!効果モンスター以外のモンスターを特殊召喚したとき、相手のカード(ジャンク·ウォリアー)を破壊!」

 

 妙に気色悪いモンスターが猛烈な速度で(ジャンク·ウォリアー)に頭突きを放ち貫通。決めポーズ決めて着地すると、(ジャンク·ウォリアー)は爆散した。

 

K21

 「な、何ぃ!(ザ·カリキュレーター)の攻撃力がぁ!」

 

ザ·カリキュレーター 攻2700→1200

 

 

K21

 「クッソォバトルフェイズ!2体の(ザ·カリキュレーター)で攻撃表示の(ウォーター·スピリット)、守備表示の(海皇の長槍兵)を攻撃!」

 

 電卓をそのまま人にした様なモンスターが放つ雷撃によって、魚人と妙に目が大きいモンスターが焼かれて破壊された。

 

透子 LP3200→2400

 

K21

 「仕留め残ったか!ターンエンド!」

 

K21 LP4000 手札3 伏せ0

 

ザ·カリキュレーター 攻1200

ザ·カリキュレーター 攻1200

 

透子 LP2400 手札3 伏せ0

フィールド(天威無崩の地)

 

海皇の長槍兵 攻1400

海皇の長槍兵 攻1400

ウォーター·スピリット 守1200

 

超自然警戒区域

凡骨の意地

 

透子

 「私のターンドロー。(凡骨の意地)は発動しない」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「(馬の骨の対価)発動。(海皇の長槍兵)を墓地へ送り2枚ドロー」

 

透子 手札4→3→5

 

透子

 「(苦渋の決断)を発動。デッキから(弾圧される民)を手札に加えて、同名モンスターを墓地へ送る」

 

透子 手札5→4→5

 

透子

 「(悪魔への貢物)発動。相手の(ザ·カリキュレーター)を墓地へ送り手札のレベル4以下の通常モンスター(弾圧される民)を特殊召喚」

 

 巨大な緑肌の悪魔が電卓を握り潰すと、その手のひらには鍬を握る農民が立っていた。

 

透子

 「効果モンスター以外が特殊召喚されたので、(超自然警戒区域)の効果発動。2体目の(ザ·カリキュレーター)を破壊」

 

 悪魔の手から飛び降りた農民は自由落下を味方につけて電卓ロボットに鍬を叩きつけて破壊した。

 

透子

 「レベル1の(弾圧される民)にレベル1の(ウォーター·スピリット)をチューニング。シンクロ召喚!(天輪の双星道士)!」

 

レイン

 「シンクロ……チューナー!?どうしてこんなカードが!?」

 

 なんかレインさんが驚いていますね……まぁ気にする事ではありません。

 

透子

 「(天輪の双星道士)の発動。手札·墓地のチューナー以外のレベル2モンスターを4体まで特殊召喚。来て、(海皇の長槍兵)2体!」

 

 機械的な見た目をした天使の背後にゲートが現れ、ギョロ目の魚人が2体飛び出してきた。

 

透子

 「更に私は(海皇の長槍兵)3体と(天輪の双星道士)をチューニング!その巨体で海を割れ!シンクロレベル8!浮上せよ(白闘気白鯨)!」

 

 フィールドを海に変え、海の一端を割りながら浮上する白い鯨。浮上する際に出た大波が相手のフィールドを撫でていきます。

 

透子

 「そして(トライワイトゾーン)発動。(海皇の長槍兵)2体と(ウォーター·スピリット)を特殊召喚。そしてそのままチューニング。シンクロ召喚。レベル5(HSRチャンバライダー)」

 

 墓地から湧いてきた水生生物を素材に生まれたのは、巨大な刀身を模した乗り物に乗る二刀流の戦士。

 

透子

 「このモンスターは2回攻撃が出来ます。よって、(HSRチャンバライダー)で2回ダイレクトアタック」

 

 巨体に見合わない高速で生徒に肉薄した(チャンバライダー)はすれ違い様に斬り付けた後加速、反転してその巨大な刀身で生徒を貫きました。

 

K21 LP4000→2000→0

 

K21

 「ガア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!腹が!腹に穴がァァ!」

 

 LPが尽きた生徒は倒れるように蹲り、カブトムシの幼虫の様に悶えています。

 

鏡介

 「ただのソリッドビジョンなのに大げさな……さて、これが低レベルモンスター達が紡ぐシンクロ召喚の力だ!次の対戦相手は……」

 

 レインさんが手を差し伸べても全く立ち上がれない生徒。レインさんは待機していた先生の助けを借りて何とかデュエルフィールドから離脱させました。

 

 こうして、授業はどんどんと進んでいきました。

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「よし!最後の相手は……EX1とF3か。さて、最後だし、君たちにはシンクロ召喚の極みを……見せられる努力をしよう」

 

F3

 「随分弱気だな……良し、行くぞ!」

 

 F3が自前でヒンドゥーシャッフルしてからデッキを差し込みデュエルを宣言する。

 

鏡介·F3

 「デュエル!」

 

鏡介

 「先攻は俺だ!ドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「よし引いた。手札から魔法カード(フィールド·チェンジ·マジック)発動!このカードは自分フィールドの魔法罠ゾーンを1ヶ所指定して発動し、モンスターを特殊召喚する場合にその魔法罠ゾーンに特殊召喚出来る!よって俺は俺のデッキ側のゾーンをモンスターゾーンに変える!」

 

鏡介 手札 6→5

 

 演出としては特に変更は無さそうだな。

 

鏡介

 「更に墓地の(フィールド·チェンジ·マジック)の効果発動!墓地のこのカードを除外することでデッキ·手札の同名カードを全て裏側で除外する!この時手札から除外した場合はその分だけドロー出来る!」

 

 この世界には膨大なカードが存在し、その中にはOCGには存在しなかったカードも存在している。これもそのうちの1枚だ。まぁ、大半は使い物にならないレベルのカードなのだが。

 ちなみにこれは(ガード·オブ·フレムベル)をトレードしてくれた生徒がおまけでくれたものだ。なんでも十数枚レベルでダブってたらしい。

 

 これのおかげで実質的なEXモンスターゾーンを獲得し、マトモな展開系デッキを構築したことのない俺でも、スマホの資料を参考にしてジャンドを組む事に成功した。ジャンド使いからは失笑されそうな出来だと思うけど。

 

鏡介

 「こっから展開開始だ!手札の(ジャンク·コンバーター)の効果発動!手札のこのカードとチューナーである(グローアップ·バルブ)を捨てて(ジャンク·シンクロン)を手札に!」

 

鏡介 手札5→4→3→4

 

鏡介

 「更に(調律)を発動!デッキからシンクロンチューナーである(クイック·シンクロン)を手札に加えて、シャッフルしてからデッキトップを墓地に送る!」

 

 送られたのは……(調律)か。ジャンド使いではよくあることらしい。

 

鏡介 手札4→3→4

 

鏡介

 「手札の(クイック·シンクロン)は手札を1枚(レベル·スティーラー)を墓地へ送り特殊召喚!」

 

 現れたのはおもちゃのガンマンみたいなモンスター。手札が強すぎるわこれ。手札にピン刺しの(スティーラー)来たのは運が良すぎる。

 

鏡介 手札4→3→2

 

鏡介

 「(レベルスティーラー)の効果発動!(クイック·シンクロン)のレベルを1つ下げて墓地から特殊召喚!更に墓地からの特殊召喚に成功したので手札から(ドッペル·ウォリアー)を特殊召喚!」

 

 オモチャのガンマンから1つ星が飛び出して、それがレベルスティーラーとなって湧いてくる。それに反応してサブマシンガンを持った兵士が飛来する。

 

鏡介 手札2→1

 

鏡介

 「俺はレベル1の(レベル·スティーラー)にレベル4になった(クイック·シンクロン)をチューニング!集いし星が新たに駆け出す基礎となる!光差す道となれ!シンクロ召喚!疾走れ!(ジャンク·スピーダー)!」

 

 シンクロ召喚された銀色でスタイリッシュなロボット。コイツが着地した以上もう止まらないぜ。

 

鏡介

 「シンクロ召喚した(ジャンク·スピーダー)の効果発動!デッキからレベルの異なるシンクロンチューナーを可能な限り特殊召喚する!来い!レベル2(フルールド·シンクロン)!レベル1(ジェット·シンクロン)!レベル3(ジャンク·シンクロン)!」

 

 (ジャンク·スピーダー)の背後から現れた光のゲートからやってくる3体のチューナー達。

 

鏡介

 「俺はレベル2の(ドッペル·ウォリアー)とレベル3の(ジャンク·シンクロン)をチューニング!無限の知識を持つ司書よ!その膨大なる知恵を以て光速で駆ける俺を勝利へ導け!GO!シンクロ召喚!カモン!(TG-ハイパー·ライブラリアン)!」

 

 現れたのは白いマントを身に着けた司書。ソリティアのお供だ。

 

鏡介

 「シンクロ召喚の素材にされた(ドッペル·ウォリアー)の効果発動!レベル1の(ドッペル·トークン)を2体特殊召喚出来る!」

 

鏡介

 「更に俺はレベル1の(ドッペル·トークン)とレベル2の(フルールド·シンクロン)をチューニング!シンクロ召喚!(武力の軍奏)!」

 

 シンクロされたのは、沢山の楽器を装備したロボット。

 

鏡介

 「(ライブラリアン)の効果発動!(ライブラリアン)はフィールドに存在する時にシンクロ召喚されると1枚ドロー出来る!そして(武力の軍奏)には蘇生効果があるが使わずに(レベルスティーラー)の効果発動!(スピーダー)のレベルを1つ下げて特殊召喚!」

 

鏡介 手札1→2

 

鏡介

 「更に俺はレベル4になった(ジャンク·スピーダー)、レベル1の(ジェット·シンクロン)をチューニング!現われろ!薔薇の庭園に住まう令嬢!シンクロチューナー(ガーデン·ローズフローラ)!」

 

鏡介 手札2→3

 

鏡介

 「(ライブラリアン)の効果発動!1枚ドローしてフィールド魔法(ブラック·ガーデン)を発動!」

 

 デュエルフィールドが歪み、気づけば茨に包まれた庭園へと変容していた。

 

鏡介 手札3→4→3

 

鏡介

 「墓地の(スティーラー)の効果発動!(ライブラリアン)のレベルを1つ下げて特殊召喚!ここで(ブラック·ガーデン)の強制効果発動!(スティーラー)の攻撃力を半減させて相手のフィールドに(ローズトークン)を特殊召喚!」

 

 星を吸い蘇るてんとう虫。しかし茨に身体を縛り付けられてしまう。まぁすぐ素材になるから関係ないけどな。

 

鏡介

 「俺はレベル1(スティーラー)とレベル1(ドッペル·トークン)にレベル5の(ガーデン·ローズフローラ)をチューニング!光射す道にて巨竜を導け!シンクロ召喚!(邪竜星-ガイザー)!(ブラック·ガーデン)で(ローズトークン)生成して(ライブラリアン)でドロー!」

 

 シンクロされる黒みがかった竜。相手に対する対象耐性とかあるんだけど……このデッキでは切腹係なんだわ。

 

鏡介 手札3→4

 

鏡介

 「(邪竜星-ガイザー)の効果発動!このカードと(ローズ·トークン)を破壊!」

 

 全身に邪気を固めて薔薇めがけて突進する(邪竜星-ガイザー)。激しく地面にキスをかまして爆散するも、着弾地点からどう見てもタツノオトシゴなモンスターが浮かんでくる。

 

鏡介

 「(邪竜星-ガイザー)が効果で破壊されたことで効果発動!デッキから幻竜族モンスター(タツノオトシオヤ)を特殊召喚!(ブラック·ガーデン)でトークン生成だ!」

 

鏡介

 「ここで(ブラック·ガーデン)の効果発動!このカードとフィールドの植物族モンスターを全て破壊して、破壊したモンスターの攻撃力の合計分の攻撃力を持つ墓地の植物族を蘇生する!合計の攻撃力は1600!蘇れ!(ガーデン·ローズフローラ)!」

 

 薔薇の楽園が枯れていき、白き令嬢が墓地からゆったりとやってくる。

 

鏡介

 「(タツノオトシオヤ)の効果発動!自身のレベルを1つ下げてフィールドにレベル1の(タツノコトークン)を生成する!」

 

 タツノオトシゴが腹に抱える卵を1つ産み落とし、小さなタツノオトシゴが孵化した。

 

鏡介

 「俺はレベル1のタツノコトークンにレベル5の(ガーデン·ローズフローラ)をチューニング!シンクロレベル6!(瑚之龍)!(ライブラリアン)でドロー!」

 

鏡介 手札4→5

 

鏡介

 「引いたぁ……永続魔法(生還の宝札)を発動!墓地からモンスターが蘇生に成功した時1枚ドロー出来る!」

 

 コイツでキーカード引きに行きますか!

 

鏡介 手札5→4

 

鏡介

 「墓地の(レベルスティーラー)の効果発動!(瑚之龍)のレベルを1つ下げて特殊召喚!(宝札)でドロー!そのまま2体でシンクロ!2体目の(瑚之龍)!シンクロ素材にされた(瑚之龍)の効果と(ライブラリアン)の効果が発動して2枚ドロー!」

 

鏡介 手札4→5→6→7

 

F3

 「ちょっと待てよ!同名は3体までだからその動きだけで6枚ドローするのかよ!」

 

鏡介

 「御名答!墓地の(レベルスティーラー)の効果発動!(瑚之龍)のレベルを1つ下げて特殊召喚!(宝札)でドロー!そのまま2体でシンクロ!(瑚之龍)!シンクロ素材にされた(瑚之龍)の効果と(ライブラリアン)の効果が発動して2枚ドロー!」」

 

鏡介 手札7→10

 

鏡介

 「良し、キーパーツは引けた!墓地の(レベルスティーラー)の効果発動!(瑚之龍)のレベルを1つ下げて特殊召喚!(宝札)でドロー!そのまま2体でシンクロ!(スターダスト·チャージウォリアー)!それぞれの効果で2枚ドロー!」

 

鏡介 手札10→13

 

 これが現代では到底許されないドローブーストである。上手い人ならもっとすごい事しそうだけど俺にはこれが限界だ。

 

鏡介

 「(打ち出の小槌)を発動!手札の任意の枚数分のカードをデッキに戻してその分だけドローする!俺は5枚戻して5枚ドロー!」

 

鏡介 手札13→12→8→12

 

 これでデッキにいて欲しい奴らと要らないカードを戻したし……行くか。

 

鏡介

 「(タツノオトシオヤ)の効果を2回発動!トークンを2体特殊召喚!そしてトークン1体とレベル4になった(タツノオトシオヤ)でチューニング!天と地を見る龍よ!今ここに顕現せよ!(源竜星-ボウテンコウ)!」

 

 天高くから駆け下りてきたのは、金色の狛犬みたいなモンスター。モンスター1体が稼いじゃいけないアドを稼いでくれる文字通りの意味でモンスターだ。

 

鏡介

 「(ボウテンコウ)は特殊召喚成功時にデッキから竜星カードをサーチ出来るがもう手札に揃ってるから使わない。(ライブラリアン)の効果で1枚ドローして、(ボウテンコウ)の第2の効果発動!デッキから幻竜族モンスター(地竜星−ヘイカン)を墓地へ送ってそのレベルと同じにする!(ヘイカン)のレベルは3なのでレベルは3になる!」

 

源竜星-ボウテンコウ レベル5→3

 

鏡介 手札12→13

 

鏡介

 「俺はレベル6の(スターダスト·チャージ·ウォリアー)にレベル3になった(ボウテンコウ)をチューニング!全てを喰らえ!シンクロ召喚!(飢鰐竜アーケティス)!」

 

 全身をゴツゴツとしたワニみたいな鱗で身を包むモンスター。中継として中々優秀だ。コイツ出てきたら大抵(V.F.D)出てくるけどそんなものは入れていない。枠がギッチギチなんじゃい。

 

鏡介

 「(ボウテンコウ)の効果と(飢鰐竜アーケティス)の効果と(ライブラリアン)の効果発動!1枚ドローして、シンクロ召喚に使った非チューナーの数、1枚ドロー!フィールドを離れた(ボウテンコウ)の効果でデッキから竜星モンスター(光竜星リフン)を特殊召喚!」

 

鏡介 手札13→14→15

 

鏡介

 「さぁ!お前らにシンクロの最終到達点を見せてやる!速攻魔法(リミット·オーバー·ドライブ)を発動!自分フィールドのSチューナーと非チューナーのSモンスター1体ずつをEXデッキに戻して発動し、2体のレベルの合計となるSモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚出来る!俺はレベル9の(飢鰐竜アーケティス)にレベル3(武力の軍奏)をチューニング!」

 

F3

 「レベルの合計は……12!?しかもシンクロモンスターを素材に使うだと!?」

 

 2体のモンスターが普段通りのシンクロ演出で光に溶けていく。唯一の違いはデュエルフィールド全体が赤い光に包まれている事だ。

 

鏡介

 「集いし星が絆を紡ぎ、祈りと共に未来へ駆ける!光さす道となれ!デルタアクセルシンクロ!到来せよ!(コズミック・ブレイザー・ドラゴン)!」

 

 降臨したのは、(スターダスト・ドラゴン)の姿に近しきドラゴン。しかしその神々しさと威圧感は比にもならず、デュエルフィールド全体にその後光が差していた。

 

鏡介 手札15→14

 

鏡介

 「まだまだぁ!(ネクロイド・シンクロ)発動!墓地のチューナーモンスターと非チューナーを除外することでEXデッキのスターダストSモンスターを特殊召喚出来る!俺はレベル6の(スターダスト·チャージ·ウォリアー)にレベル6の(瑚之龍)を疑似チューニング!古の天空を彩る星々よ!神雨となりて世界を祓え!シンクロ召喚!レベル12超来迎!(聖珖神竜 スターダスト・シフル)!!」

 

 墓地シンクロされる翼を増やした(スターダスト・ドラゴン)の様なモンスター。しかし、どことなく光がくすんでいる印象を抱く。

 

鏡介 手札14→13

 

F3

 「レベル12のシンクロモンスター……それを2体も……」

 

鏡介

 「驚いてるとこ悪いが、俺はまだ召喚権を使っていない。まず(貪欲な壺)を発動。(ボウテンコウ)、(スピーダー)、(ガーデンローズフローラ)、(瑚之龍)、(ガイザー)を戻して2枚ドロー!」

 

鏡介 手札13→12→14

 

鏡介

 「俺はレベル4になっている(ライブラリアン)とレベル1(リフン)でチューニング!シンクロレベル5(ガーデン·ローズメイデン)!効果は使わないぜ。そして(ジャンク·シンクロン)を召喚!効果を発動!墓地の(ジャンク·コンバーター)を特殊召喚!(宝札)は発動しない!」

 

鏡介 手札14→13

 

 手札ダブりまくってるからドローしても意味ないんだよな。

 

鏡介

 「俺はレベル2の(コンバーター)にレベル1の(タツノコトークン)、レベル5の(ガーデン·ローズフローラ)をチューニング!鉱脈に眠りし魔の石よ!今こそその封印を解き放ち、奇跡の進化を遂げよ!シンクロ召喚!(魔救の奇跡-ドラガイト)!」

 

 フィールドに降り立つのは、青色の結晶で身体を構築するドラゴン。しかし岩石族である。

 

鏡介

 「墓地の(レベル·スティーラー)の効果発動!(聖珖神竜 スターダスト・シフル)のレベルを1つ下げて特殊召喚!そして手札の(ドッペル·ウォリアー)の効果発動!墓地からの特殊召喚に成功した時手札から特殊召喚!そして俺はレベル1(レベル·スティーラー)とレベル2(ドッペル·ウォリアー)とレベル3の(ジャンク·シンクロン)をチューニング!シンクロ召喚!(瑚之龍)!」

 

 再び降り立つドローの要。今回も踏み台になってもらう。

 

鏡介

 「シンクロ素材になった(ドッペル·ウォリアー)の効果発動!(ドッペル·トークン)を2体特殊召喚!」

 

鏡介

 「俺はレベル1の(ドッペル·トークン)にレベル6の(瑚之龍)をチューニング!シンクロレベル7(邪竜星-ガイザー)!更に墓地の(ジェット·シンクロン)の効果発動!手札を1枚コストに墓地から特殊召喚!」

 

鏡介 手札13→12

 

鏡介

 「俺はレベル7の(ガイザー)とレベル1の(ドッペル·トークン)に、レベル1の(ジェット·シンクロン)をチューニング!シンクロ召喚(飢鰐竜アーケティス)!俺はカードを3枚セットしてターンエンド!エンドフェイズに手札を6枚になるように墓地へ送る!」

 

 再び現れるワニみたいなモンスター。今回は打点要員だ。

 

鏡介 LP4000 手札6 伏せ3

 

聖珖神竜 スターダスト・シフル レベル10 攻4000

コズミック·ブレイザー·ドラゴン 攻4000

魔救の奇跡-ドラガイト 攻3000

飢鰐竜アーケティス 攻1000→4000 

 

生還の宝札

 

F3 LP4000 手札5 伏せ0

 

 これで展開完了。何回か回してるけど(レベルスティーラー)と宝札がイカレてるぜ。まぁコレないと先攻でアクセルシンクロ2連打とかできないんだがな。

 

 俺はリハーサルで真似ジャンドデッキを作り使用した。慣れない展開をしつつもシンクロチューナーとシンクロ体並べていざデルタアクセルを決めようとしたが、何故かモンスターが分離してしまうのである。

 

 このままではいかんとカードを探していると、カードの効果でアクセルシンクロ出来るカードを見つけたのだ。デュエルディスクで試すもきっちり成功。

 

 それからは動画を参考もとい丸パクリしつつ、とにかくドローすることに重点をおいてデッキを構築した。なんとか形になって本当に良かった。

 

鏡介

 「さて、この盤面の解説をしよう。(コズミック·ブレイザー·ドラゴン)はコストで自身をエンドフェイズまで除外してほぼなんでも無効に出来る。(アーケティス)は手札2枚をコストにフィールドのカードを相手ターン中でも破壊出来、(ドラガイド)は魔法罠を無効にする。さぁ!越えれるなら越えて見るがいい!」

 

F3

 「これが……シンクロの極致。でも負けねぇ!あんなブーイングかましといて負けるわけにはいかねぇからな!俺のターンドロー!」

 

F3 手札5→6

 

F3

 「(ライトニング·ボルテックス)を発動!手札の(ドッペル·ウォリアー)を捨てて相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する!」

 

鏡介

 「雑に捲りに来たな。(ドラガイド)の効果発動!墓地に水属性モンスターが存在する場合、1ターンに1度相手の魔法罠の効果の発動を無効にして破壊する!クリスタル·サンクチュアリ!」

 

 青い結晶の竜が構築した水晶の壁によって電撃の渦は遮られた。

 

F3 手札6→5→4

 

F3

 「(増援)を発動!デッキから戦士族モンスター(ジャンク·シンクロン)を手札に加える!」

 

F3 手札4→3→4

 

F3

 「(ジャンク·シンクロン)を召喚!効果発動!墓地の(ドッペル·ウォリアー)を特殊召喚!」

 

 このまま(ジャンク·ウォリアー)まで出させて(ブレイザー)で止めればいいか。

 

F3 手札4→3

 

F3

 「止めないのか……だが止まる事は出来ない!俺はレベル2の(ドッペル·ウォリアーー)にレベル3の(ジャンク·シンクロン)をチューニング!虐げられし弱者よ!今こそここに集いて万物を砕く拳となれ!シンクロ召喚!打ち砕け!(ジャンク·ウォリアー)!」

 

鏡介

 「ここだ!(コズミック·ブレイザー·ドラゴン)の効果発動!自身をエンドフェイズまて除外して、相手の召喚·特殊召喚·反転召喚を無効にして破壊する!ブレイザーロアー!」

 

 強大な竜の咆哮を受けて消滅する(ジャンク·ウォリアー)。それだけ神格が強いのか……

 

F3

 「まだだ!俺は(ドッペル·ウォリアー)の効果でトークンを2体特殊召喚!そして(飢鰐竜アーケティス)を生贄に捧げる!いでよ!(怪粉壊獣ガダーラ)!更に手札から(壊星壊獣ジズキエル)を特殊召喚!」

 

 ワニの様なモンスターの腹を食い破り現れた蛾の怪物。それに呼応したかのように機械壊獣が襲来する。

 

F3 手札2→1

 

F3

 「バトルフェイズ!(ジズキエル)で(ドラガイド)を攻撃!」

 

鏡介

 「これが最後のコンボパーツだ!速攻魔法(星遺物を巡る戦い)発動!コストで(スターダスト·シフル)をエンドフェイズまで除外して(ジズキエル)を対象にして発動!除外した(スターダスト·シフル)の元々のステータス分(ジズキエル)のステータスをダウンさせる!よって攻守4000分ダウンさせる!」

 

 

 蒸気を吐きながら喰いにかかる機械壊獣に(スターダスト·シフル)が霊体となって体内に取り憑く。

 取り憑かれた(ジズキエル)は明らかに動きが鈍り、水晶の竜に返り討ちにされる。

 

F3 LP4000→1000

 

F3

 「……俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

 

鏡介

 「エンドフェイズに(シフル)と(ブレイザー)は帰ってくる」

 

 フィールドに舞い戻る2体の竜。(スターダスト·シフル)に関してはさっきよりも輝きが増し、(ブレイザー)にも引けを取らない程に輝いている。

 

F3 LP1000 手札0 伏せ1

 

ドッペル·トークン 守400

ドッペル·トークン 守400

 

鏡介 LP4000 手札6 伏せ2

 

聖珖神竜 スターダスト・シフル 攻4000

コズミック·ブレイザー·ドラゴン 攻4000

魔救の奇跡-ドラガイト 攻3000

怪粉壊獣ガダーラ 攻2700

レベル·スティーラー 守0

 

生還の宝札

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札6→7

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(ガダーラ)で(ドッペル·トークン)を攻撃!」

 

 (ガダーラ)が上空から襲いかかり、容易くトークンを噛み切った。

 

鏡介

 「続いて(ドラガイド)で(ドッペル·トークン)を攻撃!」

 

F3

 「トラップ発動!(聖なるバリア-ミラーフォース)!消え失せろ!忌々しき化け物共!」

 

 (ドッペル·トークン)を阻むように現れる半透明の障壁。そこに水晶質なブレスが触れる事で砕け、無数の礫となって俺のフィールドに降り注ぎ土煙が巻き起こる。

 

F3

 「はぁ……はぁ……やったか!?」

 

 土煙が晴れると、そこには何も変わっていないモンスターの集団の姿があった。

 

鏡介

 「(スターダスト·シフル)の効果。このカードが存在する限り、俺のフィールドのカード全てに1ターンに1度の破壊耐性を付与する。攻撃続行!クリスタル·ソニック!」

 

 水晶の竜の放つブレスによって、トークンは水晶で固められてバラバラに砕けた。

 

鏡介

 「さぁトドメ!(スターダスト·シフル)でダイレクト!超新星撃(シューティング·ノヴァ·ブラスト)!」

 

F3

 「ウワァァァ!」

 

 放たれる神々しいブレスに為す術もなく吹き飛ばされるF3。

 

F3 LP1000→-3000

 

鏡介

 「対戦ありがとうございました。諸君!これがシンクロの最終到達点だ!これこそがシンクロ召喚だ!これを目に焼き付けておくといい!これにてシンクロ講座を閉講する!諸君らの活躍を期待する!」

 

 こうして、シンクロ教室は大成功を収めた。

 

 

 

〜〜〜

 

 

 シンクロ講座が終了して先生と共に片付けを済ませ、鮫島校長からDPの支給が完了した俺は、帰宅する準備を始めているとレインに声をかけられ、体育館裏に連れられてきた。

 

鏡介

 「どうした?体育館裏なんて場所に連れてきてさ?」

 

レイン

 「単刀直入に聞く。デルタアクセルシンクロなんてものをどこで覚えた」

 

 そんなことを言いながら真顔で詰め寄るレイン。あれ、デルタアクセルってそんなヤバい召喚法だっけ?俺5D’sは未視聴だから分からんのよ。唯一知ってんの(シューティング·スタードラゴン)でプラシドが真っ二つになることぐらいだぞ。

 

鏡介

 「いや、そもそも俺はアイツらを正規召喚してない。魔法の効果で強引に場に出してるだけに過ぎないんだ。何故か正規召喚しようとすると途中で分解すんだよ。理由は俺が聞きたいわ」

 

レイン

 「……そう。それじゃああのデッキは何?」

 

鏡介

 「シンクロ講座で披露するためだけに組んだデッキだ。あんなんドロー出来るの展開始まってからだし必要札多すぎるしで普段使いできねぇよ。そもそも俺めっちゃ展開をするデッキ苦手だし、鮫島から過剰に制圧するデッキは禁止喰らってるし」

 

 暗黒界?あれは手札を捨てるだけでバンバン動けるだけだし俺でも回せる。必要なのは運だけだ。

 

レイン

 「……そう。なら良い。シンクロ講座お疲れ様」

 

 レインはそう言ってどこかへ立ち去っていった。いったい何だったんだ?

 

 




今日のオリカ紹介

フィールド·チェンジ·マジック(オリカ)
通常魔法
このカード名の①と②の効果はそれぞれデュエル中に1度しか発動出来ない
①自分フィールドの魔法罠ゾーンを1ヶ所指定して発動出来る。その魔法罠ゾーンをそのデュエル中使用不能にし、モンスターを特殊召喚する場合代わりにその魔法罠ゾーンに特殊召喚出来る。
②墓地のこのカードを除外して発動出来る。このカードと同名カードをデッキ·手札から全て裏側で除外する。このカードの効果で手札から除外された場合、そのカードの数だけドローする。

実質的にエクストラモンスターゾーンを生み出すカード。これなくして私はジャンドを回すことが出来ませんでした。これがそのままOCG化したらインゼクター使いとか満足民が喜びそう(偏見)。


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IF6.燻る心とペアデュエル

大変お待たせしました。ラスボス戦が難産過ぎて完結後一気にまとめて……といった計画が頓挫したので、一部投稿します。


- IF6.燻る心とペアデュエル -

 

 

〜???〜

 

Z−ONE

 「(コズミック·ブレイザー·ドラゴン)……ですと!?」

 

 星々が煌めく不思議な空間の下で、機械の彼は絶叫に近い驚愕の声を上げる。

 

レイン

 「肯定。彼は正規の方法では無いものの、デルタアクセルシンクロモンスターを2体。その上で強力なレベル8と9のシンクロモンスターを展開。相手を圧倒しました。彼の脅威度の大幅な上方修正が必要と提案します」

 

Z−ONE

 「いえ、これは上方修正ではなく最優先事項にすべきイレギュラー!遊星達シグナーよりも優先して排除しなければなりません。しかし……」

 

レイン

 「彼を倒しうる手札が無い……」

 

 レインが申し訳無さそうにZ−ONEを見る。もし自分に力があればといった考えが透けて見えるようである。

 

Z−ONE

 「ゴーストを大量に動員することも考えましたが……あの時代にライディングデュエルは無いので、ライディングデュエル専用であるそれらを動かす事も出来ない。悔しいですが時を待つしかありません。逆に時が来れば……私を含めて今動かせるイリアステル滅四星を全て投入して対処しましょう。レイン、貴方はシンクロ講座を受けた生徒を全て抹殺しなさい。私はシンクロ講座があったという歴史を抹消します」

 

レイン

 「了解」

 

 レインは一礼して、再び十代の時代へ飛んだ

 

 

 

〜 大講義室 〜

 

 普段授業で訪れるこの大講義室で、緊急集会が行われ、大きく2つ程話があった。

 

 1つ、ある男女ペアが不純異性交遊で退学になったらしいこと。

 2つ、40名近くの生徒の名簿に空欄が出来、何故か校長室に結構強力なシンクロデッキが2種類置かれていたとのこと。

 

 1つ目はまだしも2つ目は謎だな……ダークネスの仕業か?それならシンクロデッキ残すわけもないしな……分からん。

 

 そんなこんなで集会も終わり、俺達2人は授業のを受けるすべく教室へ戻る。

 

 俺と透子は“あの日”から一気に距離が縮まり、友達としてよく側を歩き、他愛もない話をするようになった。

 ところで“あの日”ってなんだったか……透子とバニラ集めてたのは覚えてるんだが……なんで集めてたんだ?まぁいいか。気にすることでも無いし。

 

 そんなことを記憶の片隅に追いやると、代わりに別の考えが浮かんで来た。

 

 不純異性交遊って……どこまでやればアウトになるんだ?

 

 そもそも不純異性交遊は何をしたらそれにあたるのか……考えれば考える程分からなくなっていく。もしかして、今この瞬間透子と接してるだけで……

 

透子

 「鏡介?鏡介!どうしたんですか?そんな険しい顔をして……何か悩みがあるんですか?」

 

鏡介

 「……あ?あぁ、まぁしょうもない事だ。透子は気にしなくていい」

 

 透子に話しかけられて我に帰った俺は、気づいたらそんなことを言って教室の中に入っていた。

 

 万が一それで俺だけならまだしも透子も巻き込まれる形で退学にされたら……きっと俺は耐えられない。

 

 ……後でレインに聞くか。過ちを犯す前に。

 

〜 図書室 〜

 

レイン

 「……不順異性交遊?」

 

 期末試験の勉強中に切り出された質問に、どこか眠そうなレインはペンを動かす手を止めて首を傾げた。

 

鏡介

 「ほら、この前不順異性交遊でしょっぴかれたカップルいたじゃん?どんな事をしたらしょっぴかれるのかな……ってさ」

 

 その言葉を聞いたレインは、ほんの一瞬口角を上げた。しかし、それを鏡介が認識することはなかった。

 

レイン

 「それは……友達以上の関係になること。例えば……手を繋いだり、2人でデッキを組んだりすると不順異性交遊とされる」

 

鏡介

 「マ……ジで?それじゃあこれ以上関係深めたら……本当にしょっぴかれる?」

 

 顔を強張らせる鏡介に肯定するように、レインは首を縦に振る。

 

レイン

 「透子と共に退学するのは貴方にとっても不本意な筈。だからもっと私と関わると良い。元々私は貴方と友達以上になるつもりは無いし、万が一退学に追いやられても、透子はそれを免れる。どう?」

 

鏡介

 「透子を守る為……そうこれは透子を守るため。分かった。これから宜しくな」

 

 その言葉を聞いたレインは僅かに微笑み、新たな話を持ち出した。

 

レイン

 「ところで、最近始まる交友会でペアデュエルという催しが始まる。是非とも一緒に参加したい」

 

鏡介

 「ペアデュエル……透子としたかったなぁ……でもやったら間違いなく一緒にデッキ組むことになる。でもそんなイベント逃したくねぇしなぁ……分かった。レインに合わせたデッキ組んでおくよ」

 

 鏡介は少しため息をついて、ペアを組む約束をした。

 

 

〜 大体育館 〜

 

 突然始まったペアデュエル。なんでも男女ペアで特殊なタッグデュエルをする催しです。早速鏡介と……と思ったんですけど何故か見つける事が出来ませんでした。

 

 結局ペアを見つける事が出来ずに、ペアデュエルが始まってしまいました。

 

 仕方なく観客席で観戦することにして、フィールドに目を向けると、そこには……

 

透子

 「鏡介……それにレインさん……」

 

 どうして……こんなイベントがあったなんて教えてくれなかったんですか?なんでレインさんの隣にいるんですか?

 

 どんどんと疑問が湧いては消えている間に、対戦相手がやってきました。

 

六神

 「ラーイエローの六神だ。彼女は氷野(ひの)。よろしくな。アカデミアの魔王補佐」

 

鏡介

 「あぁ。よろしくな」

 

氷野

 「それしても……今回は透子さんと別の人とタッグなのね。仲違いかしら?」

 

鏡介

 「ま、まぁ……色々事情があんだ。色々とな」

 

 鏡介……後でしっかり話してもらいますからね。

 

六神·鏡介·氷野·レイン

 「デュエル!」

 

六神

 「俺のターン。ドロー!」

 

六神 手札5→6

 

六神

 「(強欲で金満な壺)を発動!EXデッキのカードを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

六神 手札6→5→7

 

六神

 「(テラ·フォーミング)発動!デッキからフィールド魔法(霊神の聖殿)を手札に加えて発動!」

 

六神 手札7→6→7→6

 

 現れたのは、清潔感に溢れた神殿。見たことないカードですがどんなことをするのでしょうか?

 

六神 手札6→5

 

六神

 「そして手札の(エレメントセイバー·ウィラード)の効果発動!手札のエレメントセイバーを2枚墓地へ送って自身を特殊召喚する……が!(霊神の聖殿)の効果により、1ターンに1度エレメントセイバーモンスターの手札コストをデッキから供給出来る!俺は地属性(エレメントセイバー·アイナ)と水属性(エレメントセイバー·ナル)を墓地へ送り特殊召喚!」

 

 フィールドに降り立ったのは、全身から光を迸らせる騎士。それにしても手札コストをデッキから供給出来るあのフィールド魔法は脅威ですね。一刻も早く除去しないと……大変なことになりそうです。

 

六神

 「俺は(エレメントセイバー·モーレフ)を召喚!カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

六神 LP4000 手札2 伏せ1

フィールド(霊神の聖殿)

 

エレメントセイバー·モーレフ 攻1900→2300

エレメントセイバー·ウィラード 攻2400→2800

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「エレメントセイバーか……中々見ないデッキだな。確か(ウィラード)は自身を特殊召喚した時のコストの属性に対応した耐性を付与するだったか?」

 

六神

 「そうだ。今回の場合はフィールドのエレメントセイバーは戦闘·効果で破壊されない。更に(霊神の聖殿)の効果で俺のフィールドのモンスターは俺の墓地の属性の種類×200ポイントアップしている。万が一高打点のモンスターを無理やり出しても、(エレメントセイバー·モーレフ)の効果で裏側守備表示にして無力化出来る」

 

鏡介

 「なるほど。それじゃぁメインフェイズ開始時に(強欲で金満な壺)を発動!エクストラ6枚裏側除外して2枚ドロー!」

 

 鏡介は手札増強……真竜でしょうか?いえ、あのデッキは(命削りの宝札)で手札を補充する事も多いのでそれはない……見たことないデッキでしょうか?

 

鏡介 手札6→5→7

 

鏡介

 「手札の(黄金郷エルドリッチ)の効果発動!手札のこのカードと魔法罠(黄金郷のガーディアン)を墓地へ送り、(ウィラード)を対象に墓地へ送る!征服王葬送(アデランタード・エル・フォネラル)!」

 

 空中に浮かび、妖しく紅い宝石の輝きに当てられた騎士は身体を黄金に変えられてバラバラになりました。

 

鏡介 手札7→6→5

 

鏡介

 「俺は永続魔法(呪われしエルドランド)を発動!効果発動!800LP払って(黄金郷)魔法罠である(黄金郷のコンキスタドール)を手札に加える!カードを1枚セットして墓地の(エルドリッチ)の効果発動!フィールドの魔法罠。今回はセットカードの(黒き覚醒のエルドリクシル)を墓地へ送り、手札に加えて攻守1000上げて特殊召喚!」

 

 フィールドに降り立ったのは、黄金と宝玉に彩られた鎧を身に纏うアンデット。彼は雄大に両腕を広げて、自身の威風を誇示します。

 

 鏡介 手札5→4→5→4→5→4

 

六神

 「守備力3800!?だが無駄だ!(エレメントセイバー·モーレフ)の効果発動!(霊神の聖殿)の効果でデッキの(エレメントセイバー·マカニ)を墓地へ送り、(黄金郷エルドリッチ)を裏側守備表示にする!トワイライトサイズ!」

 

 紫を基調にした鎧を身に着けた戦士が手に握る大鎌を投擲して、黄金で出来たアンデットをカードに変えてしまいました。

 

鏡介

 「ok。俺はカードを2枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに墓地の(ガーディアン)の効果発動!このカードを除外してデッキからエルドリクシル魔法罠(紅き血染めのエルドリクシル)をセットする!更に墓地の(黒き覚醒のエルドリクシル)を除外してデッキから(永久に輝けし黄金郷)をセット!」

 

鏡介 LP3200 手札2 伏せ4

 

セットモンスター

 

呪われしエルドランド

 

六神 LP4000 手札2 伏せ1

フィールド(霊神の聖殿)

 

エレメントセイバー·モーレフ 攻2300→2700

 

 (モーレフ)の攻撃力がもう最上級モンスターレベルに……

 

氷野

 「私のターンね。ドロー!」

 

氷野 手札5→6

 

鏡介

 「トラップ発動!(紅き血染めのエルドリクシル)!デッキ·墓地から(黄金郷エルドリッチ)を特殊召喚する!デッキからいでよ!(黄金郷エルドリッチ)!」

 

 また現れる黄金郷。守備力2800は中々突破し難い数値です。

 

氷野

 「私は(深海のディーヴァ)を召喚!効果発動!デッキからレベル2以下の海竜族モンスターを特殊召喚する!来て!(海皇子 ネプトアビス)!」

 

 フィールドに降り立つ人魚の歌姫。彼女が奏でる美しい歌声に誘われたのか、人魚の王子がやってきました。

 

氷野 手札6→5

 

鏡介

 「海皇水精鱗だと!その処理後に永続トラップ(黄金郷のコンキスタドール)!このカードを攻撃力500、守備1800のレベル5通常モンスターとして特殊召喚し、フィールドに(エルドリッチ)が存在するならフィールドの表側表示のカードを選んで破壊する!対象はもちろん(ネプトアビス)だ!」

 

 フィールドに突如として現れ突進する金の馬に乗る騎兵。それが人魚の王子を貫いて破壊していきました。

 

氷野

 「ウッ……六神!アンタのモンスター使うよ!私はレベル4の(エレメントセイバー·モーレフ)とレベル2の(深海のディーヴァ)をチューニング!シンクロ召喚!(スターダスト·チャージ·ウォリアー)!効果発動!シンクロ召喚に成功した時1枚ドロー!……良し!(ワン·フォー·ワン)を発動!手札を1枚(海皇の重装兵)を捨てて、デッキからレベル1モンスターを特殊召喚する!」

 

鏡介

 「(ネプトアビス)には絶対にアクセスさせない!カウンタートラップ(永久に輝けし黄金郷)!フィールドに(エルドリッチ)が存在し、相手がカードの効果を発動したとき、フィールドの(コンキスタドール)をリリースしてその発動を無効にして破壊する!」

 

 フィールドに魔法カードが現れたとき、フィールドに立っている(エルドリッチ)が神々しい光を放ち、魔法を打ち消してしまいました。 

 

氷野 手札5→6→5→4

 

氷野

 「墓地の(モーレフ)の効果発動。このカードの属性をターン終了時まで水属性にする。これで墓地に水属性が5体揃った」

 

 墓地の属性を変化させる効果?不思議な効果ですね……これで(サルベージ)とかで複数のカードを回収するのでしょうか……

 

鏡介

 「墓地水5体……まさか!」

 

氷野

 「ええ!そのまさかよ!このカードは私の墓地に水属性モンスターが5体存在する時にのみ手札から特殊召喚出来る!墓地に眠りし5つの水の魂よ!今ここに力を集わせ、大瀑布で世界を呑み込め!ボチミズゴタイ!(氷霊神ムーラングレイス)!」

 

 突然フィールドに白い霧がかかり、その霧を振り払う様に現れた氷の飛竜。その肌は白と金を基調とし、下腹部には氷柱のよう突起がいくつか連なっていました。

 

氷野 手札4→3

 

氷野

 「(ムーラングレイス)の効果発動!特殊召喚に成功した時、相手の手札を2枚ランダムに墓地へ送る!フローズ·クラッシュ!」

 

 氷の飛竜から放たれた霜のブレス。それが鏡介の手札を凍らせて破壊しました。

 送られたのは……(馬頭鬼)、(シノビネクロ)。あっ氷野さん可愛そう。

 

鏡介 手札2→0

 

氷野

 「ッ……ターンエンド」

 

六神·氷野 LP4000 伏せ1

フィールド(霊神の聖殿)

 

スターダスト·チャージ·ウォリアー 攻2000→2800

氷霊神ムーラングレイス 攻2800→3600

 

氷野 手札3

 

六神 手札2

 

鏡介·レイン LP3200 伏せ1

 

黄金郷エルドリッチ 守2800

セットモンスター

 

呪われしエルドランド

 

鏡介 手札0

 

レイン 手札5

 

レイン

 「私のターン。ドロー」

 

レイン 手札5→6

 

レイン

 「(黄金郷エルドリッチ)を反転召喚。そして私は(ユニゾンビ)を通常召喚。効果発動。手札の(屍界のバンシー)を墓地へ送り、自身のレベルを1つ上げる。墓地の(屍界のバンシー)の効果発動。自身を除外して、デッキから(アンデットワールド)を発動する」

 

 ユニゾンビ レベル3→4

 

 清潔な神殿は崩れて、変容する屍の世界。これにより、氷野さんのフィールドのモンスターに与えられていた加護はなくなりました。

 

スターダスト·チャージ·ウォリアー 攻2800→2000

氷霊神ムーラングレイス 攻3600→2800

 

レイン 手札6→5→4

 

レイン

 「私は更に(ユニゾンビ)の効果発動。デッキから(牛頭鬼)を墓地へ送りレベルを更に1つ上げる。このターン、自分はアンデットしか攻撃出来ない」

 

 奏でられる微妙な歌声。それに反応した牛頭の鬼が屍の世界に落ちてきました。

 

ユニゾンビ レベル4→5

 

レイン

 「墓地に送られた(牛頭鬼)の効果発動。墓地の(シノビネクロ)を除外して手札のアンデットモンスター(死霊王ドーハスーラ)を特殊召喚」

 

 アンデットが闊歩するこの世界に降り立つのは、屍界の王。その制圧力は驚異的なものがあります。

 

レイン 手札4→3

 

レイン

 「除外された(シノビネクロ)にチェーンして(死霊王ドーハスーラ)の効果を発動。(死霊王ドーハスーラ)はアンデットモンスターが効果を発動したとき、相手のフィールド·墓地のモンスターを除外出来る。私は(氷霊神ムーラングレイス)を除外する。(シノビネクロ)は除外されると特殊召喚される」

 

 (ドーハスーラ)から吐き出される黒い瘴気を受けた氷の飛竜は、ドロドロに溶けて地面と一体化してしまいました。そして異次元から忍者がやってきます。

 

レイン

 「私はレベル8の(死霊王ドーハスーラ)にレベル2の(シノビネクロ)をチューニング。来て、(真紅眼の不死竜皇)」

 

 フィールドに飛来する(真紅眼の黒竜)をアンデット化させたようなモンスター。しかし、実際のそれよりも体格的に強そうな感じがします。

 

レイン

 「私はこれでターンエンド」

 

鏡介·レイン LP3200 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

黄金郷エルドリッチ 守2800

黄金郷エルドリッチ 攻2500

真紅眼の不死竜皇 攻2800

 

呪われしエルドランド

 

鏡介 手札0

 

レイン 手札3

 

六神·氷野 LP4000 伏せ1

 

スターダスト·チャージ·ウォリアー 攻2000

 

氷野 手札3

 

六神 手札2

 

六神

 「俺のターン!ドロー!」

 

六神 手札2→3

 

レイン

 「スタンバイフェイズに(死霊王ドーハスーラ)の効果発動。墓地の自身を特殊召喚。そして(真紅眼の不死竜皇)の効果発動。墓地の(牛頭鬼)を特殊召喚する。それにチェーンして(ドーハスーラ)の効果発動。墓地の(エレメントセイバー·モーレフ)を除外」

 

 屍界から這い上がった牛頭の鬼と死霊王。それに反応した(ドーハスーラ)は黒い瘴気を吐いて墓地の闇の騎士を溶かしました。

 

六神

 「ッ……(強欲で金満な壺)発動!EXデッキのカードを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

六神  手札3→2→4

 

六神

 「フィールド魔法(霊神の聖殿)を発動!これで(ドーハスーラ)は殆ど無力化した!」

 

 屍の世界は薄れて、再び築かれる清潔な神殿。

 

六神 手札4→3

 

六神

 「手札の(エレメントセイバー·ウィラード)の効果発動!(霊神の聖殿)の効果でデッキから闇属性の(エレメントセイバー·モーレフ)と火属性(エレメントセイバー·マロー)を墓地へ送り特殊召喚!今回は効果の対象にならず、効果で破壊されない効果だ!」

 

 再び降り立つ金色の騎士。その風貌に特に変わった変化はありません。

 

六神 手札3→2

 

六神

 「墓地の(エレメントセイバー·マロー)と(エレメントセイバー·ナル)の効果発動!属性を闇に変更する!」

 

鏡介

 「これで墓地の闇属性は3体。となると……アイツだな」

 

六神

 「そうだ!このカードは墓地の闇属性モンスターが3体のみの場合に手札から特殊召喚出来る!闇に堕ちし3つの魂よ!今ここに集い全てを焼き払え!ボチヤミサンタイ!撃滅せよ!(ダーク·アームド·ドラゴン)!」

 

 地面を砕きながらやってきたのは、黒光りする身体の至る所に刃を生やしたドラゴン。

 その効果は……闇属性を除外することで発動できる、ターン1制限の無い破壊効果!

 

六神

 「墓地の(ラパウィラ)と(アイナ)、(マカニ)の効果発動!属性を闇に変更する!」

 

 これで闇属性は6枚……これらを全てコストにすれば鏡介のフィールドはほぼガラ空きになりますよ!?

 

六神

 「君たちのカードを全て破壊させてもらう!(マロー)、(モーレフ)、(ナル)、(アイナ)、(ラパウィラ)、(マカニ)を除外して(ダーク·アームド·ドラゴン)の効果発動!そちらの(エルドリッチ)2体、(ドーハスーラ)、(真紅眼の不死竜皇)、(牛頭鬼)、(呪われしエルドランド)を破壊する!ダーク·ジェノサイド·カッター!」

 

 黒いドラゴンから放たれた無数の刃がアンデット達を両断して破壊しました。このままだと本当にワンキルですよ!?

 

レイン

 「墓地に送られた(牛頭鬼)の効果発動。墓地の(ユニゾンビ)を除外して手札の(ゾンビ·キャリア)を特殊召喚」

 

 い、一応壁は作れましたけど……それでも大ダメージは不可避ですよ……ここからどう巻き返すのでしょうか。

 

六神

 「バトルフェイズ……と言いたいところなんだが、前のターンにフィールドから離れた(氷霊神ムーラングレイス)のデメリット効果により、バトルフェイズはスキップされる。カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

六神·氷野 LP4000 伏せ2

フィールド(霊神の聖殿)

 

スターダスト·チャージ·ウォリアー 攻2000→2400

ダーク・アームド・ドラゴン 攻2700→3100

エレメントセイバー・ウィラード 攻2400→2800

 

氷野 手札3

 

六神 手札0

 

鏡介·レイン LP3200 伏せ1

 

ゾンビ·キャリア 守200

 

 

鏡介 手札0

 

レイン 手札5

 

鏡介

 「俺のターンドロー!スタンバイフェイズに、フィールド魔法が存在するので墓地の(死霊王ドーハスーラ)は蘇る!」

 

鏡介 手札0→1

 

鏡介

 「(強欲で金満な壺)発動!EXデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

鏡介 手札1→0→2

 

鏡介

 「(生者の書-禁断の呪術−)を発動!墓地の(黄金郷エルドリッチ)を特殊召喚し、相手の墓地のモンスター(海皇子ネプトアビス)を除外!」

 

 唐突に開かれる緑の書物。それと同時に緑の魔法陣が現れ、そこに墓地の(ネプトアビス)が吸い込まれていきました。

 (ネプトアビス)を取り込んだ魔法陣は光を強めて、黄金郷を現世に呼び戻しました。

 

鏡介 手札2→1

 

鏡介

 「墓地の(黄金郷のコンキスタドール)の効果発動!このカードを除外してデッキからエルドリクシル魔法罠(白き宿命のエルドリクシル)をセット!そして墓地の(紅き血染めのエルドリクシル)の効果発動!除外して(黄金郷のワッケーロ)をセット!」

 

六神

 「手札消費無しでさっきみたいに伏せカードを2枚も……知っているつもりだったがやはりとんでもない相手だ……」

 

鏡介

 「俺はレベル8の(死霊王ドーハスーラ)とレベル2の(ゾンビ·キャリア)をチューニング!革命の時は来たり!高貴なる白百合よ咲き誇れ!シンクロレベル10!(フルール·ド·バロネス)!」

 

 フィールドに降り立つのは白馬に跨がる女騎士。その攻撃力は……圧巻の3000。

 

鏡介

 「墓地の(エルドリッチ)の効果発動!フィールドの(白き宿命のエルドリクシル)を墓地へ送り、自身を手札に加えて自身を特殊召喚!」

 

 フィールドに降り立つ黄金の王。その攻撃力はあの(青眼の白龍)すら凌駕します。

 

鏡介

 「(フルール·ド·バロネス)の効果発動!1ターンに1度、フィールドのカードを対象にとって破壊する!対象は(ダーク·アームド·ドラゴン)だ!」

 

 女騎士はブンと剣を振って斬撃を飛ばし黒い竜を両断。破壊しました。

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(フルール·ド·バロネス)で(スターダスト·チャージ·ウォリアー)を攻撃!」

 

 白馬の突進力を加えた一閃により、星屑の名を冠する戦士は真っ二つに切り裂かれました。

 

六神 LP4000→3400

 

鏡介

 「続いて攻撃力3500の(黄金郷エルドリッチ)で攻撃力3000になった(エレメントセイバー·ウィラード)を攻撃!征服王撃掌(アデランタード・ウェイガー)!更に攻撃力2500の(黄金郷エルドリッチ)でもう一度征服王撃掌(アデランタード・ウェイガー)!」

 

 凄まじく濃い闇を含んだ平手打ちが光の騎士を粉砕し、初撃よりは闇が薄いですが、それでも常人なら震えて動けなくなりそうな濃度の闇を込めた一撃が六神さんを襲います。

 

六神 LP3400→2900→400

 

鏡介

「メインフェイズ2!俺は墓地の(白き宿命のエルドリクシル)の効果発動!自身を除外してデッキから2枚目の(永久に輝けし黄金郷)をセット!カードを1枚セットしてターンエンド!さぁ来い!氷野!次のターンを凌いで華麗にレインへバトンを繋いでやるぜ!」

 

氷野

 「ならばエンドフェイズに伏せていた(サイクロン)発動!さっき伏せた(永久に輝けし黄金郷)を破壊させてもらうわ!」

 

鏡介

 「ッ……止める!(フルール·ド·バロネス)の効果発動!このカードが表側表示でいる限り1度だけ、ありとあらゆるカードの効果を無効にして破壊できる!(サイクロン)は無効だ!」

 

 (サイクロン)のカードが開かれた瞬間。女騎士が剣を振ったと認識した時には既にカードがバラバラに細断されていました。

 

鏡介·レイン LP3200 伏せ3

 

黄金郷エルドリッチ 攻2500→3500

黄金郷エルドリッチ 攻2500

フルール·ド·バロネス 攻3000

 

 

鏡介 手札0

 

レイン 手札5

 

六神·氷野 LP400 伏せ2

フィールド(霊神の聖殿)

 

氷野 手札3

 

六神 手札0

 

氷野

 「私のターン!ドロー!」

 

氷野 手札3→4

 

鏡介

 「スタンバイフェイズにフィールド魔法が存在するので、墓地の(死霊王ドーハスーラ)は特殊召喚される。」

 

氷野

 「(大嵐)発動!お互いの魔法罠カードを全て破壊する!」 

 

鏡介

 「クッ……カウンタートラップ(永久に輝けし黄金郷)発動!(黄金郷エルドリッチ)をリリースしてその発動を無効にして破壊!」

 

 暴風を掻き消す神々しい光。魔法罠全滅は回避出来ました。

 

氷野 手札4→3

 

氷野

 「手札の(瀑征竜-タイダル)の効果発動!手札の(海皇の竜騎隊)と共に捨ててデッキから(水精鱗-メガロアビス)を墓地へ送る!」

 

鏡介

 「せ、征竜入りだとぉ!」

 

氷野 手札3→1

 

氷野

 「効果を発動するために墓地へ送られた(海皇の竜騎隊)の効果発動!デッキから海竜族モンスター(深海のディーヴァ)を手札に加える!そして召喚!(深海のディーヴァ)!」

 

 フィールドから降り立つ深海の歌姫。なんだか逆転の予感を感じます。

 

氷野 手札1→2→1

 

氷野

 「(深海のディーヴァ)の効果発動!召喚に成功した時、デッキからレベル3以下の海竜族モンスターを特殊召喚!(海皇子ネプトアビス)!」

 

 歌姫の美声に惹かれてやってきた人魚。鏡介がなんとしても召喚を阻止しようとしたモンスターです。

 

氷野

 「(海皇子ネプトアビス)の効果発動!デッキからコストで海皇モンスター(海皇の重装兵)を墓地へ送り海皇カード2枚目の(海皇の竜騎隊)を手札に!」

 

 コストと効果で2枚分のアドバンテージ!?確かにそれなら必死に止めようとしますよね。

 

氷野 手札1→2

 

氷野

 「コストで墓地へ送られた(海皇の重装兵)の効果発動!(死霊王ドーハスーラ)を破壊する!」

 

 どこからともなく現れた両手に盾を握る魚人。盾を前面に構えて猛突進して屍界の王を破壊しました。

 

氷野

 「私はレベル1の(海皇子ネプトアビス)にレベル2の(深海のディーヴァ)をチューニング。シンクロ召喚!シンクロチューナー(たつのこ)!そして私は手札のレベル4の(海皇の竜騎隊)とレベル3の(たつのこ)をチューニング!」

 

 手札のモンスターをシンクロ素材にするシンクロチューナー。結構珍しい効果をしていますね。レベルの合計は……7ですか。

 

氷野

 「封印されし氷の竜よ!その封印解き放ち、一息で以て万物を凍らせ砕け!シンクロ召喚!降臨せよ!(氷結界の龍グングニール)!」

 

 フィールドに降り立ったのは、氷の様な甲殻を纏う龍。(トリシューラ)みたいに辺りに霜が降ったりはしませんが、まるで久々に動ける事を喜んでいるかの様に身体を震わせ雄叫びを上げています。氷結界……(トリシューラ)と同等の存在ですか。

 

 氷野 手札2→1

 

氷野

 「(氷結界の龍グングニール)の効果発動!手札を1枚捨てて、その(エルドリッチ)を破壊する!」

 

 氷の龍から放たれるブレスによって、黄金郷は氷像となって砕けました。

 

氷野 手札1→0

 

氷野

 「コストで捨てられた(水精鱗-アビスグンデ)の効果発動!墓地の水精鱗モンスターを特殊召喚する!来て!(水精鱗-メガロアビス)!」

 

 墓地から蘇ったのは、刺々をびっしりつけた棍棒を握る鮫頭で大柄な戦士。

 

氷野 

 「私は(水精鱗-メガロアビス)の効果発動!水属性モンスター(氷結界の龍グーングニル)をリリースして2回攻撃を可能にする!(水精鱗-メガロアビス)の攻撃力は(霊神の聖殿)の効果で600ポイントアップして3000!更にセットされていた装備魔法(アビスケイル-ミヅチ)を装備して3800になる!」

 

 何やらガッチリとした鎧を着込む鮫の戦士。鏡介のフィールドには攻撃力3500の(黄金郷エルドリッチ)のみ。伏せカード次第ではワンキルもありえます。

 

氷野

 「バト……」

 

鏡介

 「それじゃあメインフェイズ終了時にトラップ発動!(黄金の征服王(エル・ドラド・アデランタード))!自分フィールドに(エルドリッチ)モンスターが存在する場合、除外されているエルドリクシル魔法罠か黄金郷罠3種をデッキに戻す事で効果を発動出来る!今回は(黒き覚醒のエルドリクシル)、(白き宿命のエルドリクシル)、(紅き血染めのエルドリクシル)をデッキに戻し、お互いのカードを全て破壊する!今こそ黄金の力を解き放て!(黄金郷エルドリッチ)!」

 

 黄金郷の胸に輝く紅い宝石が暴走したかの様に強く輝くと、彼の足元から大量の黄金の柱が乱立し、デュエルフィールドを破壊しつくしていきます。

 金の柱が消え、土煙が晴れると、そこには(黄金郷エルドリッチ)のみが残っていました。

 

鏡介

 「自身の効果で特殊召喚された(黄金郷エルドリッチ)は相手ターン終了時まで効果で破壊されない。さぁ、次はどんな手を見せてくれるのかな?」

 

氷野

 「何もできない事が分かっているクセに……ターンエンド」

 

鏡介

 「エンドフェイズに墓地の(ワッケーロ)の効果発動!除外して(紅き血染めのエルドリクシル)をセット!」

 

六神·氷野 LP400 伏せ0

 

氷野 手札0

 

六神 手札0

 

鏡介·レイン LP3200 伏せ1

 

黄金郷エルドリッチ 攻3500→2500

 

 

鏡介 手札0

 

レイン 手札5

 

鏡介

 「レイン。バトンは繋いだ。サクッと決めてやれ」

 

レイン

 「もちろん。私のターン。ドロー」

 

レイン 手札5→6

 

レイン

 「墓地の(馬頭鬼)の効果発動。自身を除外して墓地の(牛頭鬼)を特殊召喚。そして(牛頭鬼)を除外。墓地から蘇れ(真紅眼の不死竜皇)」

 

 墓地から蘇るレッドアイズ。その口に湛える炎がまだかまだかと発射の時を待っています。

 

レイン

 「バトルフェイズ。(真紅眼の不死竜皇)でダイレクトアタック。行って。大きいの」

 

 死の淵から蘇ったレッドアイズが放つブレスによって、氷野さんのLPが消し飛びました。

 

氷野 LP400→-2400

 

氷野

 「ッ……やっぱり強い……」

 

六神

 「相手のシナジーが強烈なのもあったが……俺が足を引っ張ってたのかもな……」

 

 (ムーラングレイス)のデメリットが重すぎましたからね……でも(ダーク·アームドドラゴン)のコンボにはヒヤリとしましたね。

 

鏡介

 「いや、あれかなり辛勝だったぜ?さっき残ってたセットカード確認したけど(異次元からの帰還)だったから、魔法を弾く(ミヅチ)じゃなくて罠を弾く(ケートス)だったら凌げなかった。まぁ、運が俺等に味方したわけだな」

 

 そんな話を数回交わして、このデュエルは終わりました。

 

 その後、鏡介とレインさんのペアは破竹の快進撃を続けましたが、決勝戦の十代さんと明日香さんペアとのデュエルで明日香さんが立てた(神の宣告)に近い効果を乱打できるレベル6儀式モンスターが決定打になり、2位になりました。

 

 表彰も終わったので、早速鏡介に話を聞きにいきましょうか。

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「あー悔しい!まさか(神光の宣告者)立てられるとは思わないじゃん!」

 

 さっきの決勝戦。明日香のターンで飛んできたのは、まさかの(神光の宣告者)。次の俺のターンでエルドビームかまそうとすると、手札コストに(弁天)使われて無効にされ、更に妨害の弾を増やされる地獄みたいな動きをされた。

 

 結局レインもマトモに動けずに明日香の機械天使達と死体蹴りと言わんばかりの(大天使クリスティア)にボコボコにされた。

 

透子

 「鏡介!」

 

 声がした方を向くと、そこには不満げな顔色の透子の姿が。あっ、これ問い詰められるやつだこれ。

 

鏡介

 「あ、透子……久し……」

 

 俺の言葉を待たずに、焦りを感じる歩調で距離を詰める透子。

 

透子

 「鏡介。どうしてペアデュエルで私を選んでくれなかったんですか?そんなにレインさんと組みたかったんですか?」

 

鏡介

 「いや、実は俺も透子と組みたかったんだけどレインの圧が凄まじくてな……マジで俺が首を縦に振らないと帰らないぐらいの勢いでさ……本当にすまねぇ」

 

 ここは謝るに限る。一瞬茶化す事も考えたけど、その考えはすぐに裏側で除外した。

 

透子

 「そう……ですか……私には鏡介が誰とデュエルしていても、それを止める権利はありませんから……気にしていません」

 

 気にしない奴はそんなこと言わないんだよなぁ……そんな辛そうな透子の目を見てると胸が痛むわ。

 

鏡介

 「本当にごめんて……無理だけはするなよ?それじゃぁまた明日」

 

 励ます言葉が思いつかなかった俺は、そう言って立ち去るしか出来なかった。

 



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IF7.未熟な恋の駆け引き。滾る激情

連続投稿です。前話を見てない方はそちらをお願いします。


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〜 ジャスティス·ワールド 〜

 

 大体育館から出ると、(ルミナス)さんに呼び出されて私は慌てて自室でジャスティス·ワールドに飛びました。

 

透子

 「(ルミナス)さん……急に呼び出してどうしたんですか?しかも鏡介を呼ばないで……」

 

 側にユニコールを連れて本拠地やってくると、(ルミナス)さんはすぐに本題に入ってくれました。

 

ルミナス

 「来てくれてありがとう透子。簡潔に言ってしまうと、君達を一時的にライトロードの一員にしてしまおうと思ってね」

 

透子

 「えっ……ええ!?」

 

 飛び出してきた予想外の発言。戦いなんてしたことのない私が、戦闘集団であるライトロードに入るなんて予想出来るわけがありません。

 

ルミナス

 「まぁ驚くのも無理はないよね。事の発端は2日前、(カラレス)が鏡介君をモデルにモンスターカードを作り出したみたいでね。我々も同様の事をすれば戦力増強を図れるんじゃないかなと思ったんだ」

 

透子

 「ちょ、ちょっと待って下さい!ライトロードの皆さんと同じ場に立てるのは嬉しいんですけど、鏡介と違って私はちょっと罠を実体化出来るぐらいでとても真表に立てる力はありませんよ!?」

 

ルミナス

 「そう、そこなんだ。君の罠を操る力は我々にない物で、鍛えれば十分戦える物だ。ついでにユニコール君やファルコンさんも同様の手法で戦力に出来ると嬉しいと思ってるんだけど……どうかな?」

 

 私の罠の実体化が……役に立つのですか?少なくともユニコールは頼りになるでしょう。実際ハマれば完封もあり得るほど強力ですから。

 

透子

 「私の力が役に立つなら……分かりました。それに、私がカードになったらどんな効果になるのか気になりますし」

 

 ふと横を見ると、ユニコールの反応も悪くなさそうです。言葉が分かってないと言われたらそこまでですが。

 

ファルコン

 「僕は……霞の谷の一員なんだ。一時的とはいえ他の組織に属するのは……僕の故郷を裏切る様な気がするんだ」

 

 申し訳なさそうに手を上げて、断りを入れるファルコンさん。

 

ルミナス

 「なら、こういうのはどうだい?ダークネスの戦いが終わったら、我々ライトロードは君の世界を探す手伝いをしよう。現状君は君の世界どころか世界の渡り方すら一切の手がかりが掴めて無いんじゃないかな?」

 

ファルコン

 「ウッ……確かにその通りだ。で、でも……」

 

透子

 「ねぇ、ファルコンさん。ファルコンさんは故郷に帰って何したいですか?」

 

 私が声をかけると、ファルコンさんは目を閉じて、静かに話し始めました。

 

ファルコン

 「僕は……故郷の皆に会いたいな。そして今までみたいに鍛錬をして、何気ない会話をして……そんな平穏な1日を取り戻したい」

 

透子

 「それなら、生きてダークネスとの戦いを乗り切らないとですね。ファルコンさんの故郷の事は分かりませんが、きっと故郷の皆さんは、ファルコンさんの帰りを待ってますよ?」

 

ファルコン

 「皆待ってる……か。……………(トワイライトロード·シャーマン·ルミナス)。僕はしばらくの間、君達と同じライトロードとしてダークネスと戦うよ。戦って……生きて皆の元に帰って見せる!」

 

 ファルコンさんが力強く宣言すると、ルミナスさんは満足そうに頷きました。

 

ルミナス

 「その答えを待っていたよ!それじゃあちょっとこっちに来て。衣装はもう用意してあるんだ」

 

 まさかの準備済み。ファルコンさんの分まで用意されているって事は元から説得するつもりできてたんですね。

 

 

〜 数分後 〜

 

ファルコン

 「これが……ライトロードの衣装……」

 

 目の前に立っているのは、(ライトロード·パラディン·ジェイン)さんの様な白地に金細工を施した鎧を身に纏い翼を広げるファンコンさん改め(ライトロード·ソルジャー·ファルコン)。しかし、剣と盾は霞の谷時代のものを使っています。

 

 少し視線をズラすと、そこには同じく白地に金細工の馬鎧を身に着けた(ユニコール)改め(ライトロード·キャバルリー·ユニコール)。その上には、特に変わった様子のない(グリー)さんの姿がありました。

 

 そして私、(ライトロード·トラッパー·トーコ)は1年前に(ミネルバ)さんから貰った衣服を纏い、(鎖付きブーメラン)を握りしめています。

 

ルミナス

 「うん!結構似合ってるじゃないか!これが透子のカードね」

 

  渡されたカードの効果は……と。

 

ライトロード·トラッパー·トーコ

効果モンスター

レベル3/光属性/魔法使い族/攻1100/守1800

①このカードがフィールドに存在する限り、1ターンに1度テキストに「ライトロード」と記された罠カードの効果を発動するために払うコストが必要なくなる。

②自分·相手エンドフェイズに発動する。フィールドのライトロードモンスターの種類の数だけデッキの上からカードを墓地へ送る。その後、この効果で墓地へ送られたライトロードモンスターの数まで墓地のテキストに「ライトロード」と記された罠カードをセットする。この効果でセットされたカードは次のエンドフェイズにデッキの下に戻る。

 

 ②の効果は強いですね……ライトロード罠ってどんなものがありましたっけ。

 

ルミナス

 「あっ、カードは(ミカエル)様が用意して下さったよ。有効に使ってね」

 

 渡されたのは7種類の魔法罠カード。どれもかなり良い効果ですね。

 

ルミナス

 「あっそうだ。もうそろそろ食事の時間だから、久々にここで食事を取っていかないかい?」

 

透子

 「もうそんな時間ですか?それではお言葉に甘えて……」

 

 私はユニコールとファルコンさんから自身のカードを受け取り、この場を立ち去りましました。目指すは食堂です。

 

 

〜 食堂 〜 

 

 出てくるのは相変わらずの美味しい洋食達。それなのにどうもスプーンが進みません。鏡介と一緒だったら……そんなことばかり頭の中を支配していきます。

 

ジェイン

 「……透子?どこか苦しいの?」

 

 ふと前を見るとそこには空の食器を持っている(トワイライトロード·ジェネラル·ジェイン)さん。彼女は私の側に座りました。

 前に相談にのってくれるって言ってましたし……せっかくですので聞いてもらいましょうか

 

透子

 「いえ、そういうわけでは……(ジェイン)さん。少し悩みを聞いて頂けますか?」

 

 

〜〜〜

 

ジェイン

 「鏡介が他の娘と話してると悲しくなる……なんでそんな事を考えてしまうのか分からないのね?」

 

透子

 「はい、さっきも食事してるときに鏡介が居たら……なんて事を考えてスプーンが進まないんです」

 

 私の相談を聞いたジェインさんは、ほんの少し考え込む様な仕草をして口を開きました。

 

ジェイン

 「それは……恋……だと思う」

 

透子

 「恋って……あの人を好きになる恋ですか?」

 

 頭が理解しきらない内にオウム返しした私の言葉に、ジェインさんが頷きました。

 

ジェイン

 「昔、私がとある世界の長期的な武力介入を終えて撤収するとき、1人の女の子が私に声をかけてきたの。私が……好きだって」

 

 ジェインさんの思い出しながら紡がれる言葉に、私は静かに耳を傾けます。

 

ジェイン

 「どうして?そう聞いたらその子は……確か私を怪物から助けてくれて母さんに合わせてくれた……そんな優しい騎士さんが好きって言ってたと思う」

 

 死に直面する状況を助けてくれたら確かに大きな恩は感じますね。でも好意までは……小さい女の子だからでしょうか?それとも私の想像力不足でしょうか。

 

ジェイン

 「その子は私と結婚して一緒に暮らして欲しいって言ってたけど……断った。私達は光の使者で、降臨した世界に何も残してはいけないんだと……そう伝えた。その時の彼女の表情を……今でも思い出す時がある」

 

 顔を俯かせて、少し悲しげに語るジェインさん。その子の表情が容易に想像できてしまいます。

 

ジェイン

 「その子は私の事以外の事を考えられなくなったから帰って欲しくないって言ってたから……この地に途轍もない怪物が現れて君達を襲ったら……その時はまた来るって伝えて納得してもらったと思う。貴方はその子みたいに鏡介の事を考えてしまう。だから好きなんじゃないか……と考えた」

 

 なるほど。私は……鏡介が好きだから、あんなにも変になってしまったのですね。

 

ジェイン

 「ねぇ……透子。貴方は鏡介に貴方の気持ちを伝えるべきだと思う。私も言われるまではあの子の気持ちに気付かなかった。その結末がどうなるかは分からないけど、伝えないと、きっと後悔すると思う」

 

透子

 「確かに……その通りですね。明日、鏡介に伝えます。相談に乗ってくれてありがとうございます」

 

 ジェインさんに相談したお陰で、不思議と胸の中が軽くなった気がします。

 

 私はすっかり冷たくなってしまった食事を摂って、ジャスティス·ワールドを後にしました。

 

 

〜 オベリスクブルー寮 〜

 

 ジャスティス·ワールドから帰還して、お風呂に入った私は渡されたカードを使って新しいライトロードデッキを完成させました。 

 

その名はライトロードコントロール。私の効果で墓地から罠を供給してそれで妨害、ライトロードの墓地肥やし能力を活かして(ユニコール)さんで制圧。トドメは(グラゴニス)さんの大火力貫通パンチで決めるデッキです。

 遂に完成したライトロードの皆さんを使ってコントロールするデッキです。普通のライトロードデッキ以上に不安定なのが欠点ですが。

 

 ちなみに(裁きの龍)は入っていません。何枚かの罠やユニコールさんが墓地にライトロードモンスターのみ存在していないと発動出来ないので入れることは出来ませんでした。

 

 出来たデッキをケースにしまって2人は寝れそうなベッドに寝転びます。

 

透子

 「鏡介は……私の想いを受け取ってくれるでしょうか?」

 

 ふと脳裏に過るそんな疑問。それと同時にレインさんの顔が浮かび上がってきます。

 

 あの人胸大きいんですよね……私と違って。比べ物にならないレベルで。

 

身長:アカデミアにおいて誰よりも小さい145cm

B:まな板なんて言葉すら生温い67

W:太っては……ないと思いたい60

H:これを少しでも胸に盛って欲しかった87

 

 私の身体測定の数値を思い出して、気づいたら私は(王宮の鉄壁)すら裸足で逃げる自分の絶壁を撫でていて、凄い虚脱感に襲われました。

 

透子

 「もしかして……レインさんはその身体で鏡介を誑かしてたり……いえ、考えるのはやめましょう」

 

 不純ですし、これ以上自分の傷を抉ると気がやられてしまいそうになります。

 

透子

 「ま、まぁ最近《貧乳はステータスだ!希少価値だ!》なんて言葉も囁かれ始めましたし大丈夫……大丈夫……」

 

 ぶつぶつと呟いていると、心配に思ったのか(ユニコール)がブニブニと鼻を押し当てて来ました。

 

透子

 「(ユニコール)……私を慰めてくれるんですか?」

 

 大きく頷いて、顔をスリスリしてくる(ユニコール)。実体が無いから触れる筈が無いのに……どうしてこんなにも癒やされるのでしょう。

 

 無心になって(ユニコール)を撫でていると、いつの間にか抱えていた悩みや不安が完全に消え去っていました。

 

透子

 「ふふっ、ありがとうございます(ユニコール)。私に貴方を実体化させられる力があったなら……目いっぱい撫でてあげるんですけど、それも叶わない事ですね」

 

 撫でるのを辞めると、(ユニコール)は名残惜しそうに見つめて、しばらくしたらフッと姿を消してしまいました。

 

 私も、明日に響かない様に早めに寝ましょうか。

 

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「ウッ……フゥ……はぁ……」

 

 身体を脱力させながらティッシュで辺りを軽く掃除をして、俺は賢者と化してベットに倒れ込む。

 

 さっきまで俺は(ラーの翼神竜-球体形)2体でエクシーズ召喚した(超弩級砲塔列車グスタフ・マックス)の効果を発動し、虚空に2000バーンを飛ばしていた。凄まじく遠回しな言い方だが、平たく言えば、思春期の男共がほぼ毎日やるアレである。

 

鏡介

 「最近のネタ……全部透子としかヤッてねぇじゃねぇか」

 

 前世……といっていいのか分からないが、俺が透子と魂が同居する前は豊満な異性相手にやれ寄生乗っ取りだのやれNTRだの人格排泄だの洗脳悪堕ちとかそんなもので自らを慰めていた。

 しかし透子と同居別れしてからは、女児……いや慎ましやかな体格の異性の純愛しか食指を伸ばしてない。しかもイメージする相手の顔が全て透子である。

 

鏡介

 「これは……もうそういうことなんだよなぁ……」

 

 俺の中に潜む心が……透子との“そういうこと”を求めているのに他ならない。

 

鏡介

 「だが駄目だ!今はそれをすべきではない……」

 

 もう正直に言おう。透子が好きだ。大好きだ。だが、その思いのまま獣になろうものなら颯爽としょっぴかれ退学の憂き目に会うだろう。

 今はその思いを胸に秘めて、卒業まで待たなければならない。

 

 その為に、俺は全力で透子の接触を避けている。万が一接触して、友達以上の行為をするわけには行かない。

 

 透子のお願い。「友達でいて欲しい」。その時の透子の顔が脳裏をよぎる。

 

鏡介

 「透子……すまない。お前のお願い聞けそうにないわ……俺だって……会えなくて辛いんだ」

 

 駄目だと分かっていても、透子への想いが日に日に増していくのが分かる。最近では夜を迎える度に寂しさが胸を覆う程に大きくなっている。

 

鏡介

 「透子……俺はどうしたら……どうしたらこの気持ちを抑えられるんだ……」

 

 さっさと就寝の用意を済ませて床に就くが、いつにも増して寝付きは悪かった。

 

〜〜〜

 

 

透子

 「今日の授業も終わり……それにしても次の月一デュエルどうしましょう……《過去の月一デュエルで使った事のない種族を主軸にしたデッキでデュエル》って……」

 

 最後の授業が終わり、その際に先生から放たれた事がこれです。

 しかも混合で使っていた場合はいずれも使えないという仕様との事で、極めつけに今に至るまで鏡介が使ってきた種族まで使えないので相当範囲が狭いです。

 

今まで使っていたのは……鏡介が使ってた暗黒界·インフェルノイドの《悪魔族》。kozmoの《サイキック》と《機械族》。メタファイズと真竜の《幻竜族》。私の使うナチュルの《昆虫·植物族》。ユニコールコントロールの《獣族》。ファルコンビートの《鳥獣族》。ライトロードは種族が多すぎる為、お情けでライトロードが名指しで使えない事になっています。

 

 まあ、それは後で考える事にしましょう。時間はまだ3週間はあります。じっくり考えても損はありません。別に現実逃避してるわけじゃありません。本当ですよ?

 

 それよりも、私は今日鏡介に告白しなければなりません。

 

 視線を遠くに移すと、鏡介とレインさんが月1デュエルについて話をしているようです。耳に魔力を籠めて聴力を強化して、話を聞いてみましょう。

 

鏡介

 「次の月1デュエルは種族統一デュエルだってさ。レインは何使うんだ?俺は恐竜族でなんか作るわ」

 

レイン

 「私は……機械族。マシンガジェットで行く」

 

鏡介

 「マシンガジェかぁ……強いなぁ……ま、お互い頑張ろうぜ」

 

 私にレインさんと鏡介の話を止める権利なんて無いのに……何ででしょう。どうして胸が締め付けられる様に苦しいのでしょう。これが……嫉妬というものなのでしょうか。好きだから……こんな気持ちになるのでしょうか?

 

レイン

 「ねぇ鏡介……付き合って?」

 

鏡介

 「ん?あぁ……なるほど。別に良いぞ。」

 

 レインさんから放たれた衝撃の言葉。それにあっさりと頷いた鏡介に、まるで後頭部を激しく殴られたような感覚に襲われます。

 

 ふとレインさんと目が合いました。その表情に、勝ちを確信した雰囲気を感じた気がしました。

 

レイン

 「……鏡介は頂く」

 

 いつの間にかレインさんと鏡介が私の横を横切って、すれ違い様にレインさんがまるで私だけに聞かせる様に囁いていきました。

 

鏡介

 「レイン?なにか言ったか?」

 

レイン

 「気にする必要は無い。独り言。門限まで付き合ってもらう」

 

 レインさん達はそのまま教室を出ていきましたが、そんなことはどうでもいいんです。

 

透子

 「鏡介……友達でいてって約束したしたじゃないですか……どうして……どうしてこんな……」

 

 目からは涙が、心からは悲しみがとめどなく溢れて頬を濡らしていきます。

 

透子

 「あぁそうか……友達で居続けたいって思ったから……それ以上の関係にならないようにしていたのですね……ハハハ……」

 

 自然と渇いた笑いが込み上げてます。とにかく帰りましょう。周りに心配をかけるわけには行きませんから。

 

 

 

〜オベリスクブルー寮〜

 

透子

 「仕方ない事……そう、先にレインさんが自分の想いを伝えてそれが実ったんです。だから私は諦めなければならない。どうしょうもない事なんです……」

 

 何人かに心配そうに声をかけられましたがこれを振り払い帰ってきて、今やっている事は、自分の想いを掻き消す為にひたすらに仕方のないことだと思い込む事でした。けれど……

 

透子

 「うっ……鏡介……私には鏡介しか居ないんですよ……私を見てくだいよ……レインさんなんて見てないで……私を……見てください」

 

 掠れる様な声で呟いても、当の本人はレインさんと愛を育んでいるのでしょう。仕方のない筈なのに……想えば想うほど諦めきれなくて……

 

透子

 「ユニコール……」

 

 気配を感じてふと振り返ると、そこには心配げに顔を近づけるユニコールが。

 普段と違って瞳は紅くて、見ていると心の奥からグラグラとした感情が湧き上がるのを感じます。

 

 鏡介は私の物……鏡介を誑かしたレインを許してはいけない。何としても取り返す。

 

 衝動に駆られるようデッキを握りしめて、私は部屋を駆け出した。全ては泥棒猫を処す為に。

 

 

 

 ユニコールは憤怒した。必ずや透子を悲しませるあの男を滅さなければならぬと決意した。

 

 ユニコールは完璧には人の言葉は分からぬ。ユニコールは不思議な力があれど所詮馬である。高飛車な女(グリムロ)にパシられ、愚痴を受けながら雑務をしてきた。

 されど自分を良くしてくれるマスター(飼い主)が胸に抱える、負の感情に関してはマスター(飼い主)自身よりも理解していた。

 

 しかし、何故マスター(飼い主)は胸に秘める悲しみを無理矢理に抑え込もうとしているのかは理解できなかった。その感情を解き放てば、きっとマスター(飼い主)は幸せになれるのに。それを可能にする力を持っている事を、ユニコール自身は知っていた。

 

 ユニコールは己の力を行使し、透子の想いを大いに膨らませた。透子がデッキを握り駆け出す姿を見て、ユニコールは誇らしげに身体を震わせ彼女の後を追う。

 

 

 

〜 図書室 〜

 

鏡介

 「これで完成だろマシンガジェ。これで月1テストは貰ったもんだな」

 

 眼前に広がるは機械族のカード。ガジェット達で継続的に戦線を維持して、(奈落の落とし穴)や(ミラーフォース)といった汎用罠で相手を迎撃。ダブったガジェットを糧に(マシンナーズ・フォートレス)や(ギアギガント·クロス)を出す。なんなら(血の代償)で一気に決めにかかる。この2007年環境では相当強力なデッキだろう。唯一残念な点は機械族ランク4で有用なのは(ギアギガント·クロス)ぐらいな点だろうか。

 

レイン

 「ありがとう。思ってたよりかなりスムーズにデッキが組めた」

 

鏡介

 「良いってことよ。別に断る理由も無いしな。それにしても仕上がり過ぎて俺でも勝てるかあやしいかもな。特に(王宮の弾圧)貼られたら詰むぞ」

 

 まぁ、思いついたのは俺なんだが。

 

レイン

 「そういえば、貴方はデッキは出来てるの?コチラのデッキ作りの手伝いをしてもらったから、お返しをしたい」

 

鏡介

 「俺のはもうバッチリよ。他のデッキと全く違う動きするから月1デュエルで楽しみにしてくれよ」

 

レイン

 「そう。なら期待しておくわ。また明日」

 

 そう言ってレインはデッキを纏めて部屋から出ていった。 

 

 ……我慢の限界だ。面と向かわなくてもいいから透子と話がしたい。

 

 そう思った俺は小さい携帯みたいなアイテムを起動する。入学したときからあるけど名前分かんねぇんだわ。

 

鏡介

 「……?メッセージが入ってる。しかも俺の……透子宛だな」

 

 こんなの書いた覚え無いんだが……えぇと“透子へ。19:00に古井戸の近くで待つ”……か。こんなのいつの間に、誰が入れたんだ?

 

 まぁいいか。その時間帯に森行ってみるか。嫌な予感がするしな。

 

 

 

〜 森 〜

 

 太陽が地平線の向こうに隠れ始め、多くの生き物が眠りの支度をし始める森の中、一人の男が立っていた。

 並程度の身長。短く整えられた黒髪。人相悪く見られがちな三白眼気味の眼。名を鏡介と言い、アカデミアではその実力から魔王の右腕と呼ばれる実力者である。

 

 しばらくすると茂みが揺れて一人の少女が姿を現した。

 

 名を透子と言い、その実力で以て多くのアカデミア生徒を蹂躙し尽くした傑物で“アカデミアの魔王”と呼ばれる事も多い。

 

透子

 「鏡介……待ちましたか?」

 

鏡介

 「いや、大して待ってないぞ。むしろ早かったな」

 

 透子は少し不安そうに言葉を零すも、鏡介はあっけからんとそれを否定した。

 

透子

 「鏡介……どうしてこんな森の中に私を呼んだんですか?何となくは察してますけど」

 

鏡介

 「俺の想いを……透子に伝えたくて……」

 

透子

 「それなら、私の想いを先に伝えさせてください」

 

 鏡介が重々しく口を開こうとするが、透子がそれを割って入った。

 

透子

 「鏡介……貴方が好きです。貴方しか好きになれないんです。レインさんじゃなくて……私を見て欲しいんです」

 

 一瞬驚いた表情をする鏡介だったが、すぐに笑ってその答えを口にした。

 

鏡介

 「あぁ、俺で良ければ喜んで」

 

透子

 「フフ……フフフ……アッハハハ」

 

 透子が放ったのは、想いが通じた喜びの声ではなく、嗤い声。まるで酷く滑稽な物を見たかのように高らかに笑う。

 

透子

 「なぁんて。《本人》に言えたらどれだけ良かったのでしょうね」

 

鏡介

 「な、何を言って……」

 

 困惑する鏡介に対して、透子は有無を言わさずに赤枠のカードを高らかに翳す。

 

透子

 「(サンダー·ブレイク)!」

 

 赤枠のカードから赤い雷が迸る。咄嗟に回避行動を取る鏡介だったが反応が遅れて頬の一端を稲妻が掠めた。

 

 すると鏡介の身体に電子的なノイズが走り、レインの姿へと変化した。

 

レイン

 「な、何故分かった」

 

 鏡介と透子。この二人の怪物を抹殺するためにレインが思いついた作戦は同士討ちだった。鏡介と透子の仲を裂き、片方を洗脳してもう片方にけしかけ、疲弊したタイミングで全力で抹殺しにかかる。

 その戦略が崩れつつある中、レインは困惑と焦りが交じる様子で透子に尋ねた。

 

透子

 「私は鏡介と3年間、身体を共有して過ごしてきたんです。違いなんてすぐ分ります。好きならば尚更……ね」

 

 透子の雰囲気がガラリと変わる。まるで絶対零度の世界に放り込まれたかの様な冷酷な視線にレインは一歩後ずさる。

 

透子

 「さぁ、デュエルです。私の鏡介を誑かした罪はその身体で償ってもらいます。五体満足でこの森から出られると思わないで下さいね」

 

レイン

 「ッ……勝敗を」

 

透子·レイン

 「デュエル!」




鏡介がオリカになったのだから、透子もオリカにしようという考えで作ったカードです。ミカエルが作った魔法罠達はお楽しみに。


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IF8.私だけを見て、私の想いに応えて欲しい

豪華デュエル2本立てです。


 

レイン

 「私の先攻。ドロー」

 

レイン 手札5→6

 

レイン

 「(不知火の隠者)を召喚。効果発動。自身をリリースしてデッキから(ユニゾンビ)を特殊召喚。(ユニゾンビ)の効果発動。手札の(死霊王ドーハスーラ)を墓地へ送り、自身のレベルを1上げる。更に(ユニゾンビ)の効果発動。デッキから(屍界のバンシー)を墓地へ送りさらにレベルを1つ上げる」

 

 まぁ、いつものアンデットの動きですね。

 

レイン 手札6→5→4

 

ユニゾンビ レベル3→5

 

レイン

 「(屍界のバンシー)の効果発動。自身を除外してデッキから(アンデットワールド)を発動。ターンエンド」

 

レイン LP4000 手札4 伏せ0

フィールド(アンデット·ワールド)

 

ユニゾンビ 守0 レベル5

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札5→6

 

 このデッキは後攻が非常に弱いのですが……このカードを引いたので何とかなりそうです。

 

レイン

 「スタンバイフェイズに墓地の(死霊王ドーハスーラ)の効果発動。フィールド魔法が存在するので自身を守備表示で特殊召喚する」

 

 フィールドに降り立つアンデットの王。1体で2回の妨害を行える厄介なモンスター。

 

透子

 「メインフェイズ。私はコストで手札のモンスター(ダーク·ヴァーチャー)を墓地へ送り(ワン・フォー・ワン)を発動。それにチェーンして速攻魔法(禁じられた一滴)を発動。コストでフィールドの(ワン・フォー・ワン)を墓地へ送り、(死霊王ドーハスーラ)の効果を無効にする」

 

 綺羅びやかな装飾の施された小さなカップから紫色の液体が放たれ(ドーハスーラ)の力を封じました。

 

透子 手札6→5→4→3

 

透子

 「そして(ワン・フォー・ワン)の処理により、デッキからレベル1モンスター(ナチュル·モルクリケット)を特殊召喚」

 

 デッキから飛び出してきたのは、大きめのオケラ。私のナチュルデッキのコンセプトを根底から覆したカードの1枚です。

 

透子

 「(ナチュル·モルクリケット)の効果発動。自身をリリースしてデッキからナチュルモンスターを特殊召喚する。更に相手フィールドに攻撃力が1番高いモンスターが存在する場合、代わりにナチュルモンスターを2体特殊召喚出来る。来て、(ナチュル·カメリア)、(ナチュル·サンフラワー)」

 

 オケラが地面を掘り進めていくと、穴から椿と向日葵が飛び出してきました。

 

透子

 「特殊召喚された(カメリア)の効果発動。デッキからナチュルカード(ナチュルの神星樹)を墓地へ送る。そして墓地へ送られた(神星樹)の効果発動。デッキからナチュルカード(ナチュル·マロン)を手札に加えて、召喚。」

 

透子 手札3→4→3

 

透子

 「召喚に成功した(ナチュル·マロン)の効果発動。デッキからナチュルモンスター(ナチュル·アントジョー)を墓地へ送る。そして私はレベル3の(ナチュル·マロン)にレベル4の(ナチュル·カメリア)をチューニング。シンクロ召喚。その巨体で聖域を護れ(ナチュル·ランドオルス)」

 

 屍の世界の影響で腐りかけてる栗の実が、椿の花が生み出した光輪を通り光に包まれると、丘1つ分は有りそうな巨大な亀が現れました。

 

透子

 「自分がナチュルモンスターのシンクロ召喚に成功したとき、墓地の(ナチュル·モルクリケット)の効果発動。自身を特殊召喚。」

 

 地面から這い上がるオケラ。このカードは相手ターンにも効果が使えるので、場に置く意味は大きいと言えます。

 

透子

 「バトルフェイズ。(ナチュル·ランドオルス)で(死霊王ドーハスーラ)を攻撃。ランドスタンプ」

 

 鈍重な足を振り上げ地面に叩きつけると激しく地面が揺れ動き、地面が割れ、屍界の王はその割れ目に呑み込まれていきました。

 

透子

  「続いて(ナチュル·サンフラワー)で(ユニゾンビ)を攻撃」

 

 ヒマワリの体当たりを受けて、ゾンビ二人組を破壊しました。

 

透子

 「メインフェイズ2。私はカードを2枚セットしてターンエンド」

 

透子 LP4000 手札1 伏せ2

 

ナチュル·ランドオルス 攻2350

ナチュル·サンフラワー 攻500

ナチュル·モルクリケット 守0

 

レイン LP4000 手札4 伏せ0

フィールド(アンデット·ワールド)

 

レイン

 「私のターン。ドロー」

 

レイン 手札4→5

 

レイン

 「スタンバイフェイズに墓地の(死霊王ドーハスーラ)の効果発動。フィールド魔法が存在する場合、墓地から特殊召喚」

 

透子

 「手札から(増殖するG)を捨てて効果発動。このターン。貴方が特殊召喚する度に私は1枚ドローします」

 

 名前すら呼びたくない昆虫が地面を駆け巡るなか屍の王が蘇り、私はカードをドローします。

 

透子 手札1→0→1

 

レイン

 「私は(終末の騎士)を召喚。効果発動。デッキから闇属性モンスターを墓地へ送る」

 

透子

 「永続罠(エンペラー·オーダー)を発動。召喚成功時に発動する効果が発動したときに発動でき、その発動を無効にして無効にされたコントローラーは1枚ドローする。チェーンして手札の(ナチュル·コスモビート)の効果発動。相手が召喚に成功したとき自身を特殊召喚するが、これにチェーンして再び(エンペラー·オーダー)。発動を無効にして1枚ドロー」

 

 発動を無効にしただけなので、(コスモビート)は手札に残り、相手がモンスターを召喚する度に1枚ドロー出来ます。

 更に(死霊王ドーハスーラ)は〜時〜出来るというタイミングを逃す効果。これにより、(終末の騎士)の効果に反応させて除外効果を使うことは出来ませんでした。

 

透子 手札1→2

 

レイン 手札5→4→5

 

レイン

 「私は(おろかな埋葬)を発動。デッキから(馬頭鬼)を墓地へ送る。そして(馬頭鬼)の効果発動。自身を除外して墓地のアンデット(不知火の陰者)を特殊召喚する。」

 

 表情の変化から(おろかな埋葬)はトップだったみたいですね。

 

レイン 手札5→4

 

透子 手札2→3

 

透子

 「チェーンして(ナチュル·モルクリケット)の効果発動。自身をリリースしてデッキからナチュルモンスター2枚目の(ナチュル·カメリア)を特殊召喚」

 

レイン

 「それにチェーンして(死霊王ドーハスーラ)の効果発動。アンデットモンスターが効果を発動したとき、2つの効果から選んで適応する。選ぶのは除外効果」

 

透子

 「それにチェーンしてカウンタートラップ(天罰)を発動。手札1枚(ナチュル·ホーストニードル)を捨てて発動、その発動を無効にして破壊します」

 

 死霊王はブレスを吐く体制に入った瞬間に天から落ちてきた強烈な雷に焼かれて破壊。それを尻目にオケラが地面を掘って椿を掘り起こし、馬頭の鬼が山伏を呼び出します。

 

透子 手札3→2

 

透子

 「(増殖するG)の効果で1枚ドロー。そして特殊召喚した(ナチュル·カメリア)の効果を2つ発動。相手が召喚·特殊召喚に成功した場合、墓地のナチュルモンスター(ナチュル·アントジョー)を特殊召喚し、このカードが特殊召喚した場合、デッキから(ナチュルの神星樹)を墓地へ。そして墓地へ送られた(ナチュルの神星樹)の効果発動。デッキから(ナチュル·バンブーシュート)を手札に」

 

透子 手札2→3

 

レイン

 「ッ……バトルフェイズ。(終末の騎士)で(ナチュル·サンフラワー)を攻撃」

 

 闇の騎士が刹那の間に振るわれた剣撃によって、向日葵は容易く両断されました。

 

透子 LP4000→3100

 

レイン

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

透子

 「ならばエンドフェイズに速攻魔法(ナチュルの春風)を発動。3つの中から1つ効果を選んで発動でき、今回は手札·墓地のナチュルモンスター。墓地の(ナチュル·サンフラワー)を特殊召喚する効果を選びます」

 

 この屍の世界に生暖かい風が吹き、少し枯れかけてる向日葵が姿を現しました。

 

レイン LP4000 手札3 伏せ1

フィールド(アンデット·ワールド)

 

終末の騎士 攻1400

不知火の隠者 守0

 

透子 LP3100 手札3 伏せ0

 

ナチュル·ランドオルス 攻2350

ナチュル·サンフラワー 攻500

ナチュル·カメリア 攻1400

ナチュル·アントジョー 守200

 

透子

 「私のターン。ドロー」

 

透子 手札3→4

 

レイン

 「スタンバイフェイズ。(死霊王ドーハスーラ)は蘇る」

 

 再び蘇る屍界の王。アンデットとはいえど流石にしつこいですね。

 

透子

 「相手が特殊召喚したことで(ナチュル·アントジョー)と(ナチュル·カメリア)の効果発動。デッキから(ナチュル·アントジョー)はデッキからレベル3以下の、(ナチュル·カメリア)は墓地のナチュルモンスターを特殊召喚します」

 

レイン

 「(死霊王ドーハスーラ)の効果発動。(ナチュル·カメリア)の効果を無効にする」

 

透子

 「それにチェーンして(ナチュル·サンフラワー)の効果発動。自身と他のナチュルモンスターをリリースしてモンスター効果の発動を無効にして破壊するのですが……(ナチュル·カメリア)の効果により1ターンに1度、ナチュルモンスターのコストを“デッキの上からカードを2枚墓地へ送る”に書き換えます」

 

 送られたのは……(魔宮の賄賂)、(神の宣告)。

 

レイン

 「チェーンして(不知火流 燕の太刀)発動。(死霊王ドーハスーラ)をリリースして、フィールドのカード(ナチュル·ランドオルス)と(ナチュル·カメリア)を破壊し、その後不知火モンスター(不知火の物部)を除外する。更に手札から(増殖するG)を発動。」

 

 斬撃の嵐に晒された椿と亀は破壊され、向日葵は残された椿の養分を生贄に強烈な光を放ち、屍界の王を蒸発させました。

 

レイン 手札3→2

 

透子

 「……私は(ナチュル·カメリア)の効果で(ナチュル·モルクリケット)を蘇生し、(ナチュル·アントジョー)の効果で(ナチュル·マロン)を特殊召喚します」

 

レイン

 「(増殖するG)の効果で2枚ドロー。除外された(不知火の物部)の効果発動。1枚ドローして手札を1枚捨てる」

 

 捨てたのは(妖刀-不知火)。墓地シンクロの用意が出来たみたいですね。次のターンが来ればという話ですが。

 

レイン2→4→5→4

 

透子

 「(ナチュル·マロン)の効果発動。墓地のナチュルモンスターを2体(ナチュル·マロン)、(ナチュル·ホーストニードル)をデッキに戻して1枚ドロー」

 

透子 手札4→5

 

透子

 「フィールド魔法(ナチュルの森)を発動。そして(ナチュル·モルクリケット)の効果発動。自身をリリースしてデッキからナチュルモンスターを特殊召喚。更に貴方のフィールドには最も攻撃力の高い攻撃力1400の(終末の騎士)が存在するため2体特殊召喚。(ナチュル·ホースト·ニードル)と(ナチュル·カメリア)を特殊召喚。」

 

 空気が淀みきった屍の世界から、所々で岩が浮上していて、空気が澄んだ自然豊かな森へと景色が変化していきます。ようこそ。私達の聖域へ。

 

透子 手札5→4

 

レイン 手札5→6

 

透子

 「私は(ナチュル·マロン)をリリース。アドバンス召喚(ナチュル·バンブーシュート)。このカードはナチュルモンスターをリリースしてアドバンス召喚することで相手の魔法·罠カードの発動の一切を封じます」

 

透子 手札4→3

 

透子

 「バトルフェイズ。(ナチュル·バンブーシュート)で(終末の騎士)を攻撃」

 

 タケノコ型のモンスターは弾丸の如く騎士に頭突きし粉砕しました。その強烈な衝撃波がレインに襲いかかります。

 

レイン LP4000→3400

 

レイン

 「この衝撃……実体化してる……まさかサイコデュエリスト……?」

 

透子

 「サイコ?何を意味の分からない事を。続いて(ナチュル·ホーストニードル)、(ナチュル·カメリア)、(ナチュル·サンフラワー)。ダイレクトアタック。」

 

 蜂の針がレインの皮膚に風穴を開け、椿とヒマワリの体当たりでレインを激しく吹き飛ばした。

 

レイン LP3400→1600→200→-300

 

レイン

 「ッ……クッ……」

 

透子

 「他愛もない。さて、早速ズタズタにしてやりましょう。……これは」

 

 どんな拷問をしてやろうかと考えながら近づくと、レインの破れた肌から細やかな配線が顔を覗かせていました。

 

透子

 「貴方は機械だったんですね。まぁ、寧ろ簡単には壊れないから都合がいいかもしれませんね。」

 

 メールを貰ってから拷問に使えそうな罠カードは用意してあります。手始めに(拷問車輪)で身体を関節が折れるギリギリまで引き伸ばして……(鎖付きブーメラン)で首をじっくり絞めながら(デモンズ・チェーン)でじっくりシバいてやりましょう。

 

鏡介

 「透子!?これは一体?」

 

 声がした方に視線を向けると、そこには私の愛する人。鏡介が立っていました。

 

 

 

〜〜〜

 

 途中ダークネスの襲撃を跳ね除けてなんとか古井戸周りに辿り着くと、そこではレインが(拷問車輪)に囚われていて、その前で透子が鎖付きブーメランを投擲する構えを取っていた。

 

透子

 「鏡介を誑かした泥棒猫を処す所ですよ。鏡介も見ていきますか?」

 

 透子の目や雰囲気が可笑しい。まるで何かに操られている様だ。そもそも透子は拷問なんてするはずがない。

 

鏡介

 「レインから離れろ。事情は知らないがこれ以上の事はさせない」

 

 デュエルディスクを構える。これに透子は応じ、デッキを素早く取り替えデュエルディスクを構えた。

 

透子

 「鏡介は騙されているんです。今から目を覚ましてあげますからね」

 

透子·鏡介

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私。ドロー」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(レスキュー·キャット)を召喚。効果発動。自身をリリースしてデッキからレベル3以下の獣族を2体、(不屈の獣僕)と(魔轟神獣ケルベラル)を特殊召喚!そしてそのままチューニング!雄々しき白馬よ!その魔性の瞳で戦場を支配せよ!(魔轟神獣ユニコール)!」

 

透子 手札6→5

 

 フィールドに降り立つ白毛の凛々しい白馬。その瞳の奥には怒りの紅い炎が灯っている気がしてならない。

 

透子

 「私はカードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに手札から(メルフィー·ワラビィ)の効果発動。手札から特殊召喚!」

 

透子 LP4000 手札3 伏せ1

 

魔轟神獣ユニコール 攻2300

メルフィー·ワラビィ 守400

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

やべぇ……手持ちのデッキがダイノルフィアしかなかったから握ったものの……これ簡単に手札調整されて制圧されるぞ。

 ついでのようにダイノルフィアの墓地効果も封じられるし相性最悪じゃねえか。やっぱりデッキ調整に行くだけだからって1つだけじゃなくて別のデッキも持ってくりゃ良かった。

 

鏡介

 「手札からトラップ発動(無限泡影)!このカードは俺のフィールドにカードが存在しないと手札から発動出来る!相手フィールドのモンスターを対象にとり効果を無効にする!対象はもちろん(メルフィー·ワラビィ)」

 

 雷交じる力場が小さなカンガルーを包み、カンガルーは恐怖のせいか身体を強張らせて動けていない。

 

鏡介 手札6→5

 

鏡介

 「俺は(悪魔嬢リリス)を召喚!コイツは元の攻撃力は2000だが、通常召喚すると打点が半分になる!」

 

透子

 「ッ……(メルフィー·ワラビィ)の効果が無効に……」

 

鏡介 手札5→4

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(悪魔嬢リリス)で(ワラビィ)を攻撃!」

 

 (リリス)は華麗なあびせ蹴りをカンガルーに叩き込み破壊した。

 

鏡介

「メインフェイズ2!(リリス)の効果発動!コストで自身をリリースしてデッキから通常罠3枚選んで、相手にランダムに選ばせる。選ぶのは(ダイノルフィア·フレンジー)×3!」

 

透子

 「選ぶ余地無し……ならば真ん中の(フレンジー)を選びましょうか」

 

鏡介

 「カードを4枚セットしてターンエンドだ」

 

 

鏡介 LP4000 手札0 伏せ5

 

透子 LP4000 手札4 伏せ0

 

魔轟神獣ユニコール 攻2300

 

透子

 「私のターン。ドロー!」

 

透子 手札4→5

 

透子

 「(森の聖獣 ヴァレリフォーン)を召喚」

 

鏡介

 「召喚成功時にトラップ発動(ダイノルフィア·フレンジー)!コストでLPを半分払い、デッキ·EXデッキからダイノルフィアモンスターを墓地へ送り融合召喚する!」

 

 俺がカードを開いた瞬間。全身が引き裂ける様な激痛が走る。

 

鏡介

「アッ……ガッ……お、俺はデッキから(ダイノルフィア·テリジア)と(ダイノルフィア·リプロス)を墓地へ送り融合!古の大地の支配者よ!我が命を糧に極限の進化を遂げろ!(ダイノルフィア·ケントレギナ)!」

 

LP4000→2000

 

 フィールドに降り立つのは、巨大な尾を備え、両腕に大きな赤い刃を携えた女性型のモンスター。

 

透子 手札5→4

 

 さっきLPを削った瞬間俺の身体に激痛が走った。そんなの闇のデュエルでしか起き得ない筈だ。

 

 そもそも俺のデッキはガンガンLPを削るデッキ。この状況においては最悪のデッキだ。でも止まる事は出来ない。

 

鏡介

 「更に(ケントレギナ)の効果発動!コストでLPを半分払い、墓地のダイノルフィア通常罠を除外して発動。その効果をコピーする!俺は(フレンジー)を除外!」

 

鏡介 LP2000→1000

 

 再び走る激痛に耐え、融合するモンスターの名を叫ぶ。

 

鏡介

 「デッキの(リプロス)とEXデッキの(ステルスべギア)で融合!さぁ!我が身を贄に現世に顕現せよ!融合召喚!その悍しき咆哮で戦場を制圧せよ!(ダイノルフィア·レクスターム)!」

 

 地響きと共に大地に着地したのは、機械的な大恐竜。ダイノルフィアの切り札だ。

 

鏡介

 「更に(レクスターム)の効果発動!コストでLPを半分払い、相手フィールドの全モンスターの攻撃力はターン終了時まで自分のLPの数値と同じになる!」

 

鏡介 LP1000→500

 

 引き裂ける様な痛みに顔を歪むのを感じつつ、恐竜の咆哮によってフィールドを恐怖が呑み込んでいく。

 

森の聖獣 ヴァレリフォーン 攻400→500

魔轟神獣ユニコール 攻2300→500

 

透子

「……(森の聖獣 ヴァレリフォーン)の効果発動。1ターンに1度、手札を1枚(魔轟神獣ケルベラル)を捨てて墓地のレベル2以下の獣族モンスター(メルフィー·ワラビィ)を攻撃表示で特殊召喚……発動出来ない!?」

 

鏡介

 「(レクスターム)の効果。このカードが存在する限り、俺のLP以下の攻撃力以下のモンスターは効果を発動出来ない」

 

透子

 「ならばトラップ発動(強制脱出装置)!これで(レクスターム)を手札へ!」

 

鏡介

 「チェーンしてトラップ発動!(ダイノルフィア·ブルート)!コストでLPを半分払い(レクスターム)と(ユニコール)を選んで破壊!」

 

 謎の装置に吸い込まれる前に、(レクスターム)は機敏な動きで白馬に食ってかかり自爆した。

 

 鏡介 LP500→250

 

 ウッ……少しずつだが意識が薄れていく……短期決着しないとマズい。

 

鏡介

 「破壊された(レクスターム)の効果発動!墓地のレベル8以下のダイノルフィアモンスター(ダイノルフィア·ディプロス)を特殊召喚!」

 

 爆炎から飛び出してきたのは、長い尾が印象に残るダイノルフィア。

 

鏡介

 「(ダイノルフィア·ディプロス)の効果発動!デッキからダイノルフィアカード(ダイノルフィア·シェル)を墓地へ送り500バーン!」

 

 長い尾が鞭のように鋭くしなり、透子を打ちつける。

 

透子 LP4000→3500

 

透子

 「今度こそ(森の聖獣 ヴァレリフォーン)の効果発動。1ターンに1度、手札を1枚(魔轟神獣ケルベラル)を捨てて墓地のレベル2以下の獣族モンスター(メルフィー·ワラビィ)を攻撃表示で特殊召喚。更に捨てられた(ケルベラル)は捨てられると墓地から特殊召喚!」

 

透子 手札4→3

 

透子

 「私は(ケルベラル)と(ヴァレリフォーン)でオーバーレイ!来て!私の新しい仲間たち!(森のメルフィーズ)!効果発動!素材の(ケルベラル)を墓地へ送りメルフィーカード(メルフィーのかくれんぼ)を手札に!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「(メルフィーのかくれんぼ)発動!」

 

鏡介

 「カウンタートラップ発動!(ダイノルフィア·ソニック)!コストでLPを半分払い、魔法罠の発動を無効にして破壊!その後ダイノルフィアモンスター(ダイノルフィア·ディプロス)を破壊!」

 

 メルフィー達が持ってきたカードが発動されたかと思ったら、衝撃波を纏った(ステルスべギア)の突進で(ダイノルフィア·ディプロス)共々破壊された。

 

鏡介 LP250→125

 

透子 手札4→3

 

鏡介

 「ハァ……ハァ……破壊された(ディプロス)の効果発動!墓地の罠カード(無限泡影)を除外して墓地の(ダイノルフィア·テリジア)を特殊召喚!更に(テリジア)の効果発動!デッキから(ドメイン)をセット!」

 

透子

 「相手がモンスターを特殊召喚したので(メルフィー·ワラビィ)の効果発動!自身を手札に戻し、デッキからメルフィーモンスターを2体特殊召喚!来て!(メルフィー·パピィ)(メルフィー·キャシィ)!」 

 

 カンガルーが手札に逃げ帰ると、藪から子犬と仔猫の様なモンスターが飛び出してきた。

 

透子 手札3→4

 

鏡介

 「その処理後にトラップ発動!(激流葬)!お互いのモンスターを全て破壊!」

 

 森の中に流れる激流がフィールドを呑み込み、全てを無に帰した。

 

鏡介

 「破壊された(ケントレギナ)の効果発動!墓地のレベル4以下ダイノルフィアを特殊召喚!(ダイノルフィア·ディプロス)!」

 

 フィールドに流れる沈黙。思った言葉が口から溢れた。

 

鏡介

 「なぁ……透子……なんでそこまでレインを憎む。同じクラスメイトだろ?」

 

透子

 「私は……入学して他の生徒達が人間関係を固まりきったとき、友達は誰一人居なかった。後ろ向きで真っ暗だった私の世界を、鏡介はさりげなく光で照らし出してくれた。そしていつの間にか私は鏡介の隣を、他のどの場所よりも安心できる“巣”として見出していた!そんな私から、鏡介を奪ったレインを許せなかった!」

 

 叩きつける様な言葉で話す透子に、いつ千切れるか分からない意識を繋ぎ止めつつ持ちうる全ての神経を注ぎながら話を聞く。

 

透子

 「本当は諦めたかった……鏡介とレインさんはお似合いで、私が入る隙間は存在しないんだって……無理矢理にでも納得したかった。でも……考えれば考える程、鏡介を想えば想う程諦めきれなくて!だから力で追い払った!レインじゃなくて!私だけを見てほしくて!またあの日みたいに……友達みたいに話をして!出来るなら……更にその先の事までしたいから!」

 

 透子……お前俺をそんな風に思ってたのか……

 

 思ったことが口に出るよりも早く、透子が口を開く。

 

透子

 「だから鏡介がレインに肩入れするのが信じられなかった。本当だったらこんな事する必要なんて無いのに!貴方がレインから離れるだけで良かったのに!ねぇ鏡介!私のこの想いを応えて!」

 

 もしここで俺が首を縦に振れば、全てが丸く収まるかもしれない。でも、本当にそれでいいのだろうか?今の透子に、俺の気持ちを伝えていいのだろうか?

 

 もしここで伝えたら、正気に戻った透子は力づくで頷かせたんだって苦しむだろう。だから俺は……俺の想いを伝えるわけにはいかない。

 

鏡介

 「透子の気持ち……よくわかった。だが、今のお前に……俺の気持ちを伝えるわけにはいかない。絶対に……透子を後悔させたくないから」

 

 覚悟を決めて投げた俺の言葉は、緊張で強張る透子の顔を絶望で埋め尽くす。

 

透子

 「ハハハ……そうですかそうですか……やっぱり私を受け入れてくれないですか……」

 

 透子の目に狂気の色が満ちる。これは……マズイか。

 

透子

 「相手がモンスターを特殊召喚を3体以上行ったメインフェイズに墓地から(不屈の獣僕)を特殊召喚。そしてメルフィーが手札に戻ったターンに手札の(メルフィー·ラッシィ)を特殊召喚!その後に手札のメルフィーモンスターとシンクロします!レベル2の(メルフィー·キャシィ)にレベル2の(メルフィー·ラッシィ)をチューニング!シンクロ召喚!素敵なお友達!(ウキウキメルフィーズ)!」

 

 海に集まる獣共。効果は……何だったか。テキストがボヤけて見えやしない。

 

透子 手札4→3→2

 

透子

 「(ウキウキメルフィーズ)の効果発動!(ダイノルフィア·ディプロス)を手札に戻す!バトルフェイズ!(ウキウキメルフィーズ)でダイレクトアタック!」

 

鏡介

 「墓地の(ダイノルフィア·シェル)の効果発動!自身を除外して戦闘ダメージを0にする!」

 

 首筋に何かが刺さる感触がしたと思ったら俺目掛けてなだれ込む獣達。鈍器で殴られた様な鈍痛が全身を走り、膝の力が抜けて視界が一気に下へずり落ちる。

 

透子

 「続いて(不屈の従僕)でダイレクトアタック!」

 

鏡介

 「墓地の(ダイノルフィア·ソニック)の効果で……自身を除外して戦闘ダメージを0にする……」

 

 再び首筋に何か刺されて、獣が突進しながらデュエルディスクを着けている左腕に噛みついてくる。

 

 左腕の感覚が消えて、デュエルディスクの重みに耐えきれず地面に縛り付けられたかの様に倒れる。

 

透子

 「私はこれでターンエンド。エンドフェイズに手札の(ワラビィ)の効果発動!自身を特殊召喚!」

 

透子 LP3500 手札1 伏せ0

 

ウキウキメルフィーズ 攻1500

不屈の従僕 攻800

メルフィー·ワラビィ 守400

 

鏡介 LP63 手札1 伏せ2

 

 

 呼吸が苦しい。腕から下と左腕の感覚が無い……視界もぼやけきっててイラストの区別が難しい。

 

透子

 「鏡介が悪いんですよ?レインさんなんかにうつつを抜かすから……鏡介と一緒に居られない世界なんてもう嫌。このデュエルが終わったら……いっそこのカードで私と一緒に新しい輪廻を迎えましょう!」

 

 見上げないと視界に入らない透子が何を言っているのか……もう分からない。透子が見せてきたカードは……何かを押してる様な……危険な予感がする。

 

 手札は盾にならない……セットカードは全部罠。このドローで……透子を救えるかどうかがかかってる。でも何を引けば良いのか……デッキに何が残ってるのかも把握出来ない。

 

 俺は透子を助けたい。助けなきゃいけない。その為なら……俺はどんな対価だって払おう。だから神様、仏様、カラレス様。どうかこの俺に、愛する者(透子)を救う力を下さい。

 

鏡介

 「…………」

 

鏡介 手札1→2

 

 殆ど動かない手で引いたカードは……モンスターカード。ほとんどボヤケてイラストは見えないが……俺には勝利の未来が見える。

 

鏡介

 「溶岩魔神……ラヴァ・ゴーレム……」

 

 獣達が炎に焼かれ、溶岩で出来た化け物の首に提げられた鉄檻に透子が囚われる。

 

鏡介 手札2→1

 

透子

 「メインフェイズに手札の(ホップイヤー飛行隊)の効果発動。相手メインフェイズに手札のこのカードを特殊召喚し、フィールドのモンスター1体を対象にシンクロ召喚する。よって私はレベル2の(メルフィー·キャシィ)とレベル2の(ホップイヤー飛行隊)をチューニング。(虹光の宣告者)!」

 

 出てきたのは白い丸いの。確か効果は……万能無効。

 

 

鏡介

 「ターン……エンド」

 

鏡介 LP63 手札0 伏せ2

 

透子 LP3500 手札0 伏せ1

 

虹光の宣告者 守1000

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム 守2500

 

透子

 「フフフ……無駄な足掻きでしたね。私のターンドロー!」

 

透子 手札0→1

 

鏡介

 「トラップ発動(ダイノルフィア·ドメイン)。LPを半分払い……デッキの(テリジア)と(ディプロス)で……融合」

 

鏡介 LP63→31

 

 もう目が重い。ここさえ……乗り切れば!

 

鏡介

 「こ……い……(ダイノルフィア·ステルスべギア)!」

 

透子

 「スタンバイフェイズに(ラヴァ・ゴーレム)の効果で1000LPのダメージを受けますが、この程度……」

 

鏡介

 「(ステルスべギア)の効果発動!相手がモンスターの効果を発動した時に、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!正気に戻れ透子ぉ!」

 

透子

 「無駄ですよ!(虹光の宣告者)の効果発動!自身をリリースしてその発動を無効にして破壊します!」

 

鏡介

 「カウンタートラップ(神の通告)発動!無効にして破壊!行けぇぇ!ステルスべギアァ!」

 

 翼竜が溶岩の化け物相手に無数のミサイルを直撃させた瞬間。いつ切れるかも知れない状態で繋ぎ止められた俺の意識が、爆炎と共に闇に消えた。

 

透子 LP3500→500→-500

 

 

 

〜〜〜

 

透子

 「ウッ……負けちゃった……ッ!鏡介!」

 

 デュエルに負けた私が真っ先に見たものはピクリとも動かずに地面に倒れる鏡介の姿。

 

透子

 「そんな……そんな……鏡介!鏡介!返事して!鏡介!」

 

 グラつく足を必死に動かして、握っていた(自爆スイッチ)を投げ捨てて駆け寄って声をかけても、揺すっても彼は何一つ応えてはくれません。

 

透子

 「そんな……嫌だ……死んじゃ嫌!誰か!誰か鏡介を助けて!」

 

????

 「ようやく時が来ましたね。」

 

 訳も分からないまま必死に叫んでいると、背後から声が。振り返るととても大柄な男が立ち、その側で巨大な機械が宙を浮かんでいました。

 

透子

 「貴方は……何?」

 

アポリア

 「私はアポリア。絶望の番人だ」

 

Z-ONE

 「私の名はZ-ONE。古神透子。貴方を鏡介共々歴史から抹消します。」

 

 歴史から……抹消?一体何を……いえ、それよりも今鏡介共々って言いましたよね?

 

 気づけば震える脚に鞭を打って、デュエルディスクを構えて居ました。

 

透子

 「鏡介は……渡さない。この命を賭けてでも……守ってみせる」

 

アポリア

 「フン。そうは言っても貴様はもう立つのもやっとではないか」

 

 確かにさっきのデュエルでかなりの体力を使いました。それでも、私は鏡介を守らなければならないんです。

 

透子

 「確かに私は限界が近い……少しダメージを受けたら倒れるかもしれません……ですがそれで引き下がっていい理由にはならない。2人まとめて討ち倒します!」

 

透子·Z-ONE·アポリア

 「デュエル!」




感想。心よりお待ちしております。次回は時間がかかるかもですが……気長にお待ち頂けると幸いです。


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IF9.キズつけたけど護らせて

本当にお待たせしました。難産中の難産で投稿が遅れました。今だかつてないほどに長いです。また、大量にオリカが登場するので、別途オリカ集みたいな感じで近々まとめたいと思います。
 なお、今回の敵側はアニメ効果となっております。ご了承ください。


 

アポリア

 「先攻は私だ。ドロー!」

 

アポリア 手札5→6

 

アポリア

 「私は(グランド·コア)を召喚。カードを3枚セットしてターンエンドだ」

 

 出てきたのは茶色い卵の様な機械。攻撃力0……何かのコンボを狙ってるに違いありません。

 

アポリア LP4000 手札2 伏せ3

 

グランド·コア 攻0

 

Z-ONE LP4000 手札5 伏せ0

 

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

Z-ONE

 「私のターン。ドロー」

 

Z-ONE 手札5→6

 

Z-ONE

 「このカードは通常召喚できない。自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に(時械巫女)は特殊召喚する事ができる!」

 

 Z-ONE 手札6→5

 

 出てきたのは巨大な機械の土偶。ぱっと見巫女には見えません。

 

時械巫女(アニメ版)

星1/光属性/天使族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。

フィールド上にカードが存在しない場合のみ、手札から特殊召喚する事ができる。

天使族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースとする事ができる

 

Z-ONE

 「(時械巫女)の効果。時械神モンスターをアドバイス召喚する場合、2体分の素材となります。(時械巫女)をリリース!来なさい(時械神ラツィオン)!」

 

 現れたのは、途轍もなく巨大な赤い鎧を宙に浮かべた様なモンスター。胸部には壮年の男性の顔が納められています。

 

 レベル10で攻撃力0……なにか恐ろしい効果を持ってるに違いありません。

 

Z-ONE 手札5→4

 

Z-ONE

「私はカードを2枚セット。これでターンエンドです」

 

Z-ONE LP4000 手札2 伏せ2

 

時械神ラツィオン 攻0

 

アポリア LP4000 手札2 伏せ3

 

グランド·コア 攻0

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

「(時械神ラツィオン)の効果発動!相手がドローフェイズにドローした時、1000ポイントのダメージを与えます」

 

 巨大な鎧の両肩から炎が吹き出し、私の身体を包んできます。

 

透子 LP4000→3000

 

アポリア LP4000→3000

 

 痛みは無い……ですが先のデュエルで消耗した私には衝撃が強い。LPよりも意識が先に尽きる可能性があります。まぁ、やることをやるだけです

 

透子

 「(ライトロードの強襲準備)を発動。相手フィールドのモンスターが自分の場のモンスターより多い場合に手札·フィールドのモンスター(ライトロード·エンジェル·ケルビム)さんを墓地へ送り発動。デッキからライトロードカードを5枚選んでデッキトップに置いて3枚墓地へ!ただしこの効果を発動するターン、自分はデッキからモンスターを特殊召喚出来ません!」

 

 見せてあげます!夢のライロコントロールの力を!

 

 送られたのは、(ウォルフ)さん2枚、(ミネルバ)さん。

 

透子 手札6→5→4 残デッキ54→51 墓地ライロ0→1→3

 

透子

 「墓地の送られた(ウォルフ)さん2体分の効果と(ミネルバ)さんの効果を発動!デッキトップを墓地へ送り、(ウォルフ)さんは墓地から2体特殊召喚!」

 

 送られたのは当然(フェリス)さん!

 

透子 残デッキ51→50

 

透子

 「墓地に送られた(フェリス)さんの効果発動!カードの効果でデッキから墓地へ送られると特殊召喚!」

 

透子

 「私は(ウォルフ)さん2体でオーバーレイ!ランク4(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(ウォルフ)さんを墓地へ送り、デッキから3枚墓地へ!そして墓地へ送られたライトロードカードの数だけドロー!」

 

送られたのは……(ライトロードフォース·ブレイクスルー)、(ライトロード·ドラゴングラゴニス)さん、(おろかな埋葬)。

 

透子

 「送られたのは2枚、よって2枚ドロー!」

 

透子 残デッキ50→47→45 墓地ライロ 手札3→4→5

 

透子

 「さらにデッキから墓地へ送られた(ライトロードフォース·ブレイクスルー)の効果発動!墓地のライトロードモンスターを1枚手札に加え召喚します!よって(ケルビム)さんを手札に加えて、そのまま(ミネルバ)さんをリリースしてアドバンス召喚!」

 

 透子 手札6→7→6 墓地ライロ5→4→5

 

 フィールドに降り立つ青髪の天使。背中の翼を羽ばたかせ、光を湛えた槍を振るいます。

 

透子

 「召喚に成功した(ケルビム)さんの効果発動!コストでデッキの上から4枚墓地へ送り、フィールドのカードを2枚対象に破壊します!選ぶのはアポリアのそこのセットカードと(グランド·コア)!」

 

 送られたのは……(ライコウ)さんと(ライトロード·バインド·チェーン)と(隣の芝刈り)、(ジェニス)さんですか。

 

透子 残デッキ45→41 墓地ライロ5→7

 

アポリア

 「チェーンしてトラップ発動(ジェネレーション·チェンジ)!私のモンスター(グランドコア)を破壊し、その破壊した同名カードをデッキから手札に加える!」

 

アポリア 手札2→3

 

アポリア

 「破壊された(グランドコア)の効果発動!(グランドコア)の効果で自分フィールドのモンスターを全て破壊し、(機皇帝グランエル∞)(グランエルT)(グランエルA)(グランエルG)(グランエルC)をそれぞれ1体ずつ特殊召喚する!」

 

 卵が砕けて出てきたのは機械のパーツ。それが合体ロボの様に連結していき、巨大な機械兵器が姿を現しました。

 

機皇帝グランエル∞ 攻撃力0→3000

 

機皇帝グランエル∞(アニメ版)

星1/地属性/機械族/攻 0/守 0

このカード以外の自分フィールド上に存在するモンスターは攻撃する事ができない。

このカードの元々の攻撃力は、自分のライフポイントと同じになる。

1ターンに1度、相手フィールド上に存在するシンクロモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。

この効果で相手モンスターを装備している場合、このカードの攻撃力は装備したシンクロモンスターの元々の攻撃力分アップする。

 

透子

 「レベル1で攻撃力3000!?ですがやることは変わりません。(ソーラー·エクスチェンジ)を発動。手札の(トーコ)を墓地へ送り2枚ドローして2枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(ライトロード·バリア)と(ルミナス)さん!

 

透子 手札5→4→3→5 残デッキ41→39→37 墓地ライロ7→8→9

 

透子

 「(ライトロードの神域)を発動!効果を発動して、手札の(ライラ)さんを墓地へ送り墓地の(ルミナス)さんを回収!」

 

透子 手札5→4→3→4 墓地ライロ9→10→9

 

透子

 「(ルミナス)さんを召喚して効果を発動!手札の(ジェネラルジェイン)さんを墓地へ送り、(ライトロード·トラッパートーコ)を特殊召喚!」

 

 魔法陣から飛び出すのは、(ミネルバ)さんと同じ衣服を纏う私。その手には(鎖付きブーメラン)が握られていて、衣服とのミスマッチ感が強いです。後自分と同じモンスターを見ているのが、なんとなくこそばゆいです。

 

透子 手札4→3→2 墓地ライロ9→10→9

 

透子

 「そして私は非チューナーの(ケルビム)さんにチューナーの(フェリス)さんを墓地へ送り、EXデッキからこのカードを特殊召喚します!神々しき白馬よ!その輝く瞳で戦場を照らし出せ!(ライトロード·キャバルリーユニコール)!」

 

 光に包まれて降り立つユニコールさん。このデッキのエースです。

 

透子

「私はこれでターンエンド!エンドフェイズに(ルミナス)さんの効果発動!デッキトップを3枚墓地へ!デッキから墓地へ送られたので(ライトロードの神域)にシャインカウンターを1つのせます」

 

(ルミナス)さんで送られたのは(トライワイトロード·シール)と(閃光のイリュージョン)、(ファルコン)さん。

 

透子 残デッキ37→34 シャインカウンター0→1 墓地ライロ9→11→12

 

透子

 「モンスター効果でデッキから墓地へ送られた(トワイライトロード·シール)の効果発動!自身を墓地からセット!そして(トーコ)の効果発動!自分·相手エンドフェイズにフィールドのライトロードモンスターの数だけデッキの上からカードを墓地へ送り、送られたライトロードモンスターの数まで墓地のテキストに「ライトロード」と記された罠カードをセットします。この効果でセットされたカードは次のエンドフェイズにデッキに戻るデメリットが付きますけどね」

 

送られたのは、(ガロス)さん、(ジェイン)さん、(光の援軍)。これは運がいいですね。

 

透子

 「送られたのは2枚、よって(閃光のイリュージョン)、(ライトロード·バリア) をセットします。更にシャインカウンターを1つ乗せます」

 

 

透子 手札0→2 シャインカウンター1→2 残デッキ34→31 墓地ライロ14

 

透子 残デッキ31 LP3000 手札2 伏せ2 墓地ライロ14種

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·キャバルリーユニコール 攻2300

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

 

ライトロードの神域 シャインカウンター2

 

アポリア LP3000 手札3 伏せ2

 

機皇帝グランエル∞ 攻3000

グランエルT 守0

グランエルA 守0

グランエルG 守1000

グランエルC 守700

 

Z-ONE LP4000 手札2 伏せ2

 

時械神ラツィオン 攻0

 

 

 

アポリア

 「私のターン!」

 

アポリア 手札3→4

 

Z-ONE

 「(時械神ラツィオン)の効果が強制発動。相手に1000ダメージを与えます」

 

 再び放たれる火炎放射。強制効果だから味方にも効力が及ぶのですね。

 

アポリア LP3000→2000

 

アポリア

 「(カオス·ブラスト)発動!デッキの上から3枚墓地へ送り、フィールドのレベル4以下のモンスター(ライトロード·サモナールミナス)を破壊する!」

 

 機械兵器からビームが放たれましたが、光球2つが身代わりとなりました。

 

 送られたのは……(ワイズコア)、(スカイコア)、(機皇神龍アスタリスク)。どれも見たことのないカードですね。

 

アポリア 手札4→3

 

透子

 「(ライトロードの神域)の効果、戦闘効果による破壊を、シャインカウンター2つ消費して身代わりにします。その後に永続トラップ(閃光のイリュージョン)を発動!墓地の(ガロス)さんを特殊召喚!」

 

墓地ライロ14→13

シャインカウンター2→0

 

アポリア

 「ならば(機皇帝グランエル∞)の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのシンクロモンスターをこのカードの装備カードとすることが出来る!」

 

透子

 「ここで(ユニコール)の効果発動!私の墓地のモンスターの種類が相手の墓地のモンスターより3種類以上多い時に相手が魔法·罠カード、モンスター効果を発動したとき、コストで墓地のライトロードモンスターを3種類デッキに戻してその発動を無効にして破壊、その後デッキトップを墓地へ送ります!戻すのは(セイント·ミネルバ)さん、(ウォルフ)さん、(フェリス)さん!」

 

アポリア

 「何!?ならばトラップ発動(ハイレート·ドロー)!私のフィールドのモンスターを全て破壊して破壊したモンスター2体につき1枚ドローする!」

 

透子

 「再び(ユニコール)の効果発動!コストで墓地の(ウォルフ)さん、(ライコウ)さん、(ジェニス)さんを戻して無効!」

 

(ユニコール)の瞳がキラリと二度輝き、機械兵器を爆砕してみせました。送られたのは(隣の芝刈り)と(フェリス)さん。シャインカウンターが合計2つのります。

 

残デッキ31→34→37

墓地ライロ13→10→7→8

シャインカウンター0→2

 

透子

 「(ガロス)さんの効果を2回発動にチェーンして(フェリス)さんの効果発動!自己蘇生して合計4枚の墓地送り!」

 

 送られたのは……2枚目の(光の援軍)、2枚目の(ソーラー·エクスチェンジ)、(シャーマンライラ)さん。

 

透子 手札2→3 残デッキ37→33 墓地ライロ8→9 シャインカウンター2→4

 

アポリア

 「面倒な事を……永続罠(無限牢)を発動!手札を1枚(ワイゼルT)を捨てることで墓地のモンスター(ワイズコア)を魔法カード扱いとして、自分の魔法&罠カードゾーンに裏側表示でセットする!私はこれでターンエンドだ!」

 

 墓地のモンスターを魔法として裏側で置く?何とも奇妙な効果ですね。

 

Z-ONE

 「エンドフェイズに永続トラップ(虚無械アイン)を発動!この時点では効果はありません」

 

アポリア 手札3→2

 

無限牢(アニメオリカ)

永続罠

手札を1枚捨てて、自分の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターを魔法カード扱いとして、自分の魔法&罠カードゾーンに裏側表示でセットする。

また、このカードを墓地へ送って発動できる。

このカードの効果で魔法&罠カードゾーンにセットしたモンスターを手札に戻す。

 

透子

 「エンドフェイズに私のデメリット効果処理。(閃光のイリュージョン)、(ライトロード·バリア)をデッキに戻し、それに伴って(ガロス)さんは破壊されます。私の効果発動。フィールドのライトロードモンスターの数。4枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(ジェニス)さん、(ウォルフ)さん、(ライト·バニッシュ)、3枚目の(光の援軍)。

 

透子 残デッキ33→29 墓地ライロ9→10→11→12 シャインカウンター4→5

 

透子

 「送られたライトロードモンスターは2枚、よって(バインドチェーン)と(ライトバニッシュ)をセット。更に(ウォルフ)さんを特殊召喚!」

 

 

透子 残デッキ29→27 墓地ライロ12→11 シャインカウンター5→6

 

アポリア LP2000 手札2 伏せ1

 

無限牢

 

Z-ONE LP4000 手札2 伏せ1

 

時械神ラツィオン 攻0

 

虚無械アイン

 

透子 残デッキ27 墓地ライロ11 LP3000 手札2 伏せ4

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·キャバルリーユニコール 攻2300

ライトロード·アーチャーフェリス 守2000

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

 

ライトロードの神域 シャインカウンター6

 

Z-ONE

 「私のターン。ドロー」

 

Z-ONE 手札3→4

 

Z-ONE

 「スタンバイフェイズに、(時械神ラツィオン)はデッキに戻ります。これにより、自分フィールドにモンスターが存在しなくなり、(時械巫女)は特殊召喚出来る!」

 

Z-ONE 手札2→1

 

透子

 「カウンタートラップ(トワイライトロード·シール)を発動!相手が特殊召喚に成功した時に発動!デッキの上から5枚除外し、その中にライトロードカードが2枚以上存在すればその特殊召喚を無効にして除外します!」

 

 送られたのは……3枚目の(隣の芝刈り)、(シャイア)さん、(ライデン)さん、(ソーラー·エクスチェンジ)、(強襲準備)。

 

透子 残デッキ27→22

 

透子

 「除外されたのは2枚!よって特殊召喚は無効にされ除外!」

 

 土偶の様な巫女は(シャイア)さんと(ライデン)さんの2人によって異次元の彼方へ飛ばされました。

 

Z-ONE

 「ならば永続トラップ(虚無械アイン)の効果を発動!このカードは自分フィールドにモンスターが存在しなければレベル10以上のモンスターをリリースなしで召喚出来ます。来なさい、(時械神サンダイオン)」

 

 現れる新たな時械神。相変わらず大きいですね。時械神を生み出し続ける永続罠……発動を止めればよかったですね……

 

Z-ONE 手札2→1

 

Z-ONE

 「バトル!(時械神サンダイオン)で(ライトロード·キャバルリーユニコール)へ攻撃!」

 

 時械神の肩から放たれる光弾を受ける(ユニコール)。ですがダメージはなさそうです。

  ……あっ、大きさに気を取られて(ライト·バニッシュ)を発動仕損ねました。でも(バインドチェーン)もありますし、なんとかなりますよね?

 

 

Z-ONE

 「そして攻撃した(時械神サンダイオン)の効果を発動!攻撃した場合、相手に4000ダメージを与えます!」

 

 一撃で初期LPを吹き飛ばすモンスター!?

 

透子

 「絶対に止めます!カウンタートラップ発動(ライトロード·バインドチェーン)!自分フィールドにライトロードモンスターのみが表側表示で存在し、相手がモンスター効果を発動した時に墓地のライトロードカードを3枚をデッキに戻して発動!その効果を無効にする……のですが!(ライトロード·トラッパートーコ)の効果により、1ターンに1度テキストに「ライトロード」と記されたトラップのコストを踏み倒す事が出来ます!」

 

 時械神が光の剣を振りかざそうとした瞬間、周囲から光の鎖が大量に時械神に襲かかり縛り付けました。

 

透子

 「更に(バインドチェーン)はフィールドで発動したモンスター効果を無効にすると、そのモンスターの装備カードとなり、攻撃、リリース、いかなるモンスターを特殊召喚するための素材にすることができなくなります」

 

Z-ONE

 「むぅ……やはり一筋縄ではいかないものですね。私はカードをセットしてターンエンドです」

 

アポリア

 「ここで(無限牢)の効果発動!手札の(機皇兵スキエル·アイン)を墓地へ送り(スカイコア)をセットする!」

 

 怪しい動きで止めたいんですが……効果の発動は止められないんですよね……

 

アポリア 手札2→1

 

透子

 「エンドフェイズに(トーコ)のデメリット効果。フィールドの(バインド·チェーン)と(ライトバニッシュ)をデッキに戻します。そして2枚墓地へ」

 

 送られたのは(ライトロード·ブービーボム)、(シャーマンルミナス)さん。(ブービーボム)をそのままセットしましょう。

 

透子 残デッキ22→24→22 墓地ライロ11→12 シャインカウンター6→7

 

Z-ONE LP4000 手札0 伏せ2

 

時械神サンダイオン 攻0

 

虚無械アイン

 

アポリア LP2000 手札1 伏せ2

 

無限牢

 

透子 残デッキ22 墓地ライロ12 LP3000 手札2 伏せ3

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

ライトロード·キャバルリーユニコール 攻2300

ライトロード·アーチャーフェリス 守2000

 

ライトロードの神域 シャインカウンター7

 

透子

 「私のターンドロー!」

 

透子 手札2→3 残デッキ22→21

 

透子

 「私は(ウォルフ)さんと(フェリス)さんでオーバーレイ!(セイントミネルバ)さんをエクシーズ召喚!効果発動!素材の(フェリス)さんを取り除き3枚墓地へ!その後、送られたライトロードカード分ドロー!」

 

 送られたのは(ライトロード·ピュリフィケーション)、(ラドリートラップ)、(錬装融合)ですか。

 

透子 墓地ライロ12→13

 

透子

 「1枚ドローして墓地へ送られた(ラドリートラップ)にチェーンして(ピュリフィケーション)の効果を発動!(ライトロード·ピュリフィケーション)はお互いの墓地の魔法カードを全てデッキに戻し、私は戻したカード5枚につき1枚デッキの上からカードを墓地へ送ります!墓地の魔法は合計10枚、よって2枚墓地へ!」

 

 送られたのは(ファイターライコウ)さん、(バインドチェーン)ですか。

 

透子 残デッキ21→18→28→26→25 シャインカウンター7→8 墓地ライロ12→13 手札2→3

 

透子

 「墓地へ送られた(ラドリー·トラップ)の効果で(ファイターライコウ)さんを手札に。このカードは次の私のターン終了時まで効果を発動出来ませんが、コストには出来ます。(ルミナス)さんの効果発動!手札の(ファイターライコウ)さんを墓地へ送り(フェリス)さんを特殊召喚!」

 

透子 手札3→4→3 墓地ライロ13→14→13

 

 魔法陣の連鎖で場に並ぶライトロードの皆さん。まずは相手の数を削りにいきましょう。

 

透子

 「私はレベル3の(ルミナス)さんにレベル4の(フェリス)さんをチューニング!光道の始祖よ!今ここに降臨せよ!輝く未来へ導く光となりて!シンクロ召喚!(ライトロード·アークミカエル)!」

 

透子 墓地ライロ11→13

 

まずはアポリアの怪しいセットカードを除去します!

 

透子

 「(アークミカエル)の効果発動!1000LPを払い、アポリアのセットカード(スカイコア)を除外!」

 

アポリア

 「永続トラップ(無限牢)の効果発動!このカードを墓地へ送り、セットされたカードを手札に加える!」

 

 加えられた複数の卵のような機械。一体をするのでしょうか?何かとんでもない事をしそうですが……

 

透子 LP3000→2000

 

アポリア 手札1→3

 

透子

 「バトルフェイズ!」

 

Z-ONE

 「私は伏せていた(仁王立ち)を発動。時械神の守備力を倍にします。そして墓地の(仁王立ち)の効果発動!墓地のこのカードを除外し、このターン貴方は(時械神サンダイオン)以外を攻撃できません」

 

 ッ!墓地効果狙い!墓地効果は(ユニコール)では止められない!

 

透子 残デッキ25→28→27 墓地ライロ13→10 シャインカウンター8→9

 

透子

 「ッ……ターンエンド。エンドフェイズに(アークミカエル)さんの効果発動、4枚墓地へ」

 

 送られたのは(光の援軍)2枚、(ソーラーエクスチェンジ)、(トワイライト·イレイザー)。

 

透子 残デッキ27→23 シャインカウンター9→10

 

透子

 「エンドフェイズに私の効果で(ブービーボム)をデッキに戻し、3枚墓地へ!」

 

 送られたのは(ライトロード·クイックエイド)、(コメディアン)、2枚目の(ガロス)さん。

 

透子

 「送られたのは1枚。よって(バインドチェーン)をセット!そして墓地へ送られた(クイックエイド)の効果発動!相手フィールドの数だけ墓地のライトロードカードをデッキの上に置きます!私は(クイックエイド)、(ピュリフィケーション)を置きます!」

 

透子 残デッキ23→24→21 シャインカウンター10→11 墓地ライロ9 LP2000 手札2 伏せ1

 

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·アークミカエル 攻2600

ライトロード·キャバルリーユニコール 攻2300

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000

 

ライトロードの神域 シャインカウンター10

 

Z-ONE LP4000 手札0 伏せ1

 

時械神サンダイオン 攻0

 

虚無械アイン

 

アポリア LP2000 手札3 伏せ0

 

 

アポリア

 「私のターン!ドロー!」

 

アポリア 手札3→4

 

アポリア

 「フン。私はカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

透子

 「エンドフェイズに私の効果で4枚墓地へ!」

 

 送られたのは(クイックエイド)、(ピュリフィケーション)、2枚目の(ライデン)さん、(イリュージョン)。

 

透子

 「送られたのは1枚。よって(イリュージョン)をセット!私のデメリットで(バインド·チェーン)をデッキに戻します」

 

透子 残デッキ21→22→18 シャインカウンター10→11 墓地ライロ9 LP2000 手札2 伏せ2

 

透子

 「墓地へ送られた(ピュリフィケーション)にチェーンして(クイックエイド)の効果発動!相手フィールドのカードの数まで墓地のライトロードカードをデッキの上に置きます!今回は3枚。(ブレイクスルー)、(ピュリフィケーション)、(トワイライトロード·シール)をデッキに戻して、(ピュリフィケーション)で更に魔法をデッキに戻す!戻したのは7枚なので1枚墓地へ!」

 

 送られたのは(ソーラー·エクスチェンジ)。

 

透子 残デッキ18→21→27

 

アポリア LP3000 手札3 伏せ1

 

Z-ONE LP4000 手札0 伏せ1

 

時械神サンダイオン 攻0

 

虚無械アイン

 

透子 残デッキ27 シャインカウンター12→13 墓地ライロ9 LP2000 手札2 伏せ0

 

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·アークミカエル 攻2600

ライトロード·キャバルリーユニコール 攻2300

ライトロード·セイントミネルバ 攻2000 素材1

 

ライトロードの神域 シャインカウンター10

 

Z-ONE

 「私のターン。ドロー」

 

Z-ONE 手札0→1

 

Z-ONE

 「スタンバイフェイズに(サンダイオン)はデッキに戻ります。そして私は(自械天使)を召喚!」

 

Z-ONE 手札1→0

 

 攻撃力0の下級モンスター。怪しいけど止められませんね。

 

Z-ONE

 「カードを1枚セットしてバトルフェイズ!(時械天使)で(セイントミネルバ)を攻撃!」

 

 小柄で機械的な天使は、(ミネルバ)さんの魔法の光で焼き払われました。

 

Z-ONE LP4000→2000

 

Z-ONE

 「ッ……(時戒天使)の効果発動!攻撃表示のこのカードが破壊された時、相手フィールドのモンスターを全て手札に戻します!」

 

 手札バウンス!?ダメージ計算時の効果だから止めれない!

 

 粉々の天使から放たれた強烈な光を浴び、私のフィールドがガラ空きになってしまいました。

 

透子 手札2→3

 

Z-ONE

 「私はこれでターンエンド。アポリア。後は頼みます。」

 

透子

 「エンドフェイズに(閃光のイリュージョン)はデッキに戻ります……」

 

墓地ライロ9→8

 

Z-ONE LP2000 手札0 伏せ2

 

アポリア LP2000 手札3 伏せ1

 

透子 残デッキ27 墓地ライロ9 LP2000 手札3 伏せ0

 

ライトロードの神域 シャインカウンター13

 

アポリア LP3000 手札3 伏せ1

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札3→4 残デッキ27→26

 

透子

 「(ライトロードの神域)の効果発動!手札の私を墓地へ送り、墓地の(ミネルバ)さんを回収して、(ルミナス)さんを召喚!効果を発動して、手札の(ミネルバ)さんを墓地へ送り、墓地の(シャーマンルミナス)さんを特殊召喚!」

 

透子 手札4→3→4→3

 

アポリア

 「トラップ発動!(機皇創世)!手札の(グランド·コア)、(スカイ·コア)、(ワイゼル·コア)を墓地へ送り、手札·デッキから(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))を特殊召喚する!」

 

 現れたのは巨大な機械兵器。腕に付けられた砲台と、なにより攻守4000の打点が目を引きます。

 

アポリア 手札3→0

 

透子 墓地ライロ8→12→9→10

 

透子

 「墓地へ送られた(ミネルバ)さんの効果発動!デッキの上を1枚墓地へ!」

 

 送られたのは……2枚目の(フェリス)さん!

 

透子 残デッキ27→26 シャインカウンター13→14

 

透子

 「墓地へ送られた(フェリス)さんの効果発動!墓地から特殊召喚!(シャーマン·ルミナス)さんの効果発動!墓地の(グラゴニス)さんを除外してそのまま特殊召喚!」

 

透子 手札2→3→2 墓地ライロ10→9 

 

 

透子

 「(フェリス)さんの効果発動!自身をリリースして(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))を対象に破壊!その後3枚墓地へ!」

 

 放たれた弓矢は機械兵器の中心をしっかりと撃ち抜きましたが、破壊されず墓地から機械のパーツが消えていきました。

 

 送られたのは2枚目の(ウォルフ)さん、(バリア)、2枚目の(ルミナス)さん。

 

アポリア

 「(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))は墓地の(グランエルA(アタック))を除外することで自身の破壊を無効にできる」

 

透子

 「でも、墓地へ送られた(ウォルフ)さんの効果発動にチェーンして(シャーマンルミナス)さんの効果発動!ライトロードモンスターが効果を発動したので3枚墓地へ!(ウォルフ)さんは特殊召喚!」

 

 送られたのは……(バインドチェーン)2枚、2枚目の(シャーマンルミナス)さん。

 

透子 残デッキ26→23→20 墓地ライロ9→10→11 シャインカウンター14→15

 

透子

 「バトル!攻撃力5300の(ライトロードドラゴン·グラゴニス)でダイレクトアタック!ジャッチメントキャノン!」

 

 

Z-ONE

 「トラップ発動(和睦の使者)!私が受けるダメージは0になります」

 

 放たれた巨大な光弾は使節団に阻まれました。

 

透子

 「私はカードを2枚セットしてターンエンドです。エンドフェイズに(グラゴニス)さんと(ルミナス)さんの効果、合計6枚墓地へ!」

 

 送られたのは、(ブービーボム)、(トワイライトロード·シール)、(パラディンジェイン)さん。、(ソーサラーライラ)さん、(ライコウ)さん、(おろかな埋葬)。

 

残デッキ20→14 墓地ライロ11→14 シャインカウンター11→14

 

透子 残デッキ17 墓地ライロ14 LP2000 手札0 伏せ2 

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·ドラゴングラゴニス 攻2000→6200

トワイライトライトロード·シャーマンルミナス 守1000

 

ライトロードの神域 シャインカウンター15

 

アポリア LP2000 手札0 伏せ0

 

機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック) 攻4000

 

Z-ONE LP2000 手札0 伏せ1

 

アポリア

 「私のターン!」

 

アポリア 手札0→1

 

アポリア

 「(オーロラ·ドロー)発動!手札がこのカード1枚の場合に発動出来2枚ドロー!」

 

アポリア 手札1→0→2

 

アポリア

 「これで終わりだ!(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))で(ライトロード·サモナールミナス)を攻撃!」

 

透子

 「トラップ発動!(ライトロード·バリア)!ライトロードモンスターが攻撃対象になった時、デッキの上から2枚墓地へ送って攻撃を無効にします!」

 

 送られたのは……2枚目の(ガロス)さんと3枚目の(ルミナス)さん!

 

 (ルミナス)さん目掛けて放れたビーム砲が薄い障壁に阻まれました。 

 

透子 残デッキ17→15

 

透子

 「ライトロードモンスターが2種類以上デッキから墓地へ送られた事で永続罠(ライトロード·クイックエイド)発動!墓地へ送られたモンスターとカード名が異なるレベル4以下のライトロードモンスターである私を特殊召喚!その後、墓地のカードを2枚、3枚目の(ルミナス)さんと(ブービーボム)をデッキに戻します!」

 

 ちなみに、このカードターン1が付いてない代わりにフィールド·墓地そして除外ゾーンにライトロードモンスター以外が存在してると効果を発動出来ないという中々重いデメリットがあります。

 

アポリア

 「小癪な真似を!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

透子

 「エンドフェイズに私の効果!フィールドのモンスターは4枚!よって4枚墓地へ!」

 

 送られたのは(ライト·バニッシュ)、(ブービーボム)、(光の援軍)2枚。

 

透子 残デッキ15→11

 

透子

 「そしてライトロードモンスターが効果を発動したので、(シャーマンルミナス)さんの効果で追加で3枚!」

 

 送られたのは、さっき戻した3枚目の(ルミナス)さん、2枚目の(ライデン)さん、(ソーラーエクスチェンジ)。

 

透子 残デッキ11→8

 

透子

 「ライトロードモンスターが2種類以上デッキから墓地へ送られた事で永続罠(ライトロード·クイックエイド)発動!墓地へ送られたモンスターとカード名が異なるレベル4以下のライトロードモンスターである(ライトロード·プリーストジェニス)さんを特殊召喚!その後、墓地のカードを2枚、(ガロス)さんと(フェリス)さんをデッキに戻します!」

 

透子 残デッキ8→10 

 

透子

 「(ジェニス)さんの効果発動!ライトロードカードの効果によって自分のデッキからカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに相手ライフに500ポイントダメージを与え、自分は500ライフポイント回復します!」

 

透子 LP2000→2500

 

アポリア LP2000→1500

 

Z-ONE LP2000→1500

 

透子 残デッキ12 墓地ライロ18 LP2500 手札0 伏せ0

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·プリーストジェニス 守2100

ライトロード·ドラゴングラゴニス 攻2000→7400

トワイライトライトロード·シャーマンルミナス 守1000

 

ライトロード·バリア

ライトロード·クイックエイド

ライトロードの神域 

 

アポリア LP1500 手札0 伏せ2

 

機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック) 攻4000

 

Z-ONE LP1500 手札0 伏せ1

 

Z-ONE

 「私のターン。ドロー!」

 

Z-ONE 手札0→1

 

Z-ONE

 「伏せていた(神の居城ヴァルハラ)を発動!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札から天使族モンスター(時械神ザフィオン)を特殊召喚!」

 

 来ましたか時械神。でも私には(ライトロード·バリア)があります。これでなんとか……

 

アポリア

 「トラップ発動!(砂塵の大竜巻)!(ライトロード·バリア)を破壊する!」

 

 突如生じた大竜巻によって砕かれた私の最後の壁。

 

Z-ONE

 「バトルです!(時械神ザフィオン)で(ライトロード·サモナールミナス)を攻撃!」

 

 凄まじい水の渦が放たれますが、ダメージはありません。

 

Z-ONE

 「攻撃した(時械神ザフィオン)の効果発動!相手フィールドの全ての魔法罠カードをデッキに戻します」

 

アポリア

 「トラップ発動!(イチロクの魔物台帳)!(時械神ザフィオン)をエンドフェイズまで除外し、相手は1000LPを回復する!」

 

 消える時械神。ここに来て仲間割れ……ではないですよね。

 

 時械神の背後から現れる大瀑布。水が引いた後には、私のフィールドにはモンスターのみが残りました。

 

 

Z-ONE LP1500→2 500

 

Z-ONE

 「フィールドを離れた(時械神ザフィオン)の効果発動!フィールドから離れた場合、手札が5枚になるようにドローします」

 

 5枚も手札補充!?

 

透子 残デッキ12→15

 

Z-ONE 手札0→5

 

Z-ONE

 「アポリア……ありがとうございます。透子を倒すために貴方のデッキを調整して頂いて」

 

アポリア

 「気にするな。むしろ君のデッキを私に見せてくれたからこそ、このカードを入れようと思ったんだ。それと同時に、彼等の強さと異常性を再認識することになった」

 

Z-ONE

 「私はカードを3枚セットしてターンエンド。(ザフィオン)が戻ってきます。もう諦めたらどうですか?」

 

透子

 「私は諦め……無い……私の効果で5枚墓地へ……更に(シャーマンルミナス)さんで3枚墓地へ……(ジェニス)さんで500回復して500ダメージ」

 

送られたのは……(ライトロードの神域)、(イレイザー)、(シール)、(芝刈り)、3枚目の(光の援軍)。2枚目の(ガロス)さん、(芝刈り)、(強襲準備)。

 

透子 残デッキ15→10→7

 

透子

 「ライトロードモンスターの効果でデッキから墓地へ送られた(強襲準備)の効果発動。除外されている(ライデン)さん、(ソーラー・エクスチェンジ)、2枚目の(強襲準備)、(芝刈り)、(時械巫女)を対象にデッキに戻して、戻した数×300LPを回復します。私は1500回復……」

 

透子 残デッキ7→11 LP2500→3000→4500

 

Z-ONE LP4500→4000

 

アポリア LP2500→2000

 

 

Z-ONE LP4000 手札2 伏せ3

 

時械神ザフィオン 攻0

 

透子 LP4500 残デッキ11 手札0 伏せ0

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·プリーストジェニス 守2100

ライトロード·ドラゴングラゴニス 攻2000→6200

トワイライトライトロード·シャーマンルミナス 守1000

 

アポリア LP2000 手札0 伏せ0

 

機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック) 攻4000

 

 

 鏡介……私はもう駄目です……主要なカードは全部墓地。デッキも切れかけ。破壊耐性持ちを除去する手段はもう……

 

透子

 「ごめん……なさい……鏡介……私……」

 

 私は守れなかった……あんなに傷つけたのに……せめて次は貴方を守ると思ってたのに、結局貴方を守る事は出来なかった。 

 

 目から雫が零れて行きます。それに意味なんて無いと分かっているのに……

 

??

 「おいおい……随分と楽しんでんじゃねぇか?」

 

アポリア

 「バ、バカな!貴様はもう動けない筈!」

 

 声がした方を向くと……そこにはフラついた様子で立つ……鏡介の姿がありました。

 




オリカの感想や作品の評価。心よりお待ちしています。


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IF10. 光闇が生み出す未来の階

短いスパンの投稿です。前の話をみてない方はそちらからお願いします。今回も長いです。四人対戦はどうあがいてもながくなりますね。


透子

 「鏡介……生きていたんですね……」

 

鏡介

 「透子が必死に戦ってるのに寝てられっかよ。さて、あんた等。ウチの透子が世話になったな。そのお礼をしこたま味あわせてやるよ」

 

 少し前に(ベージ)が持ってきてくれたデッキをデュエルディスクに突っ込みながら、相手であるZ-ONEとアポリアを睨む。

 

 俺が起きたのは、透子が(ユニコール)を出した辺り。実体化した(ライトロード·プリーストジェニス)の治療でなんとか息を吹き返した。

 本来なら絶対安静なんだが、(ベージ)に頼んで暗黒界を持ってきてもらった。もし万が一があったらと思って用意してもらったら、万が一があったようだからな。

 

鏡介

 「さぁ、俺もデュエルに混ぜてもらおうか。俺もターゲットなんだろ?一石二鳥じゃねぇか」

 

Z-ONE

 「フム……良いでしょう。次は貴方のターンです」

 

鏡介

 「さて……いっちょ派手に暴れてやるぜ!俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「(未界域のビッグフット)の効果発動!俺の手札を選べアポリア!それが(ビックフット)以外なら特殊召喚して1枚ドロー。外れると捨てられる!」

 

アポリア

 「右から2番目だ!」

 

鏡介

 「選ばれたのは(セルリ)!捨てて(ビックフット)を特殊召喚して1枚ドロー!そして捨てられた(セルリ)の効果!アポリアのフィールドに特殊召喚!」

 

鏡介 手札6→5→4→5

 

鏡介

 「捨てられた(セルリ)の効果発動!相手は手札を1枚捨てる!さぁ!お前らも手札を捨ててもらうぜ!」

 

Z-ONE

 「私は……(仁王立ち)を捨てます」

 

Z-ONE 手札2→1

 

鏡介 手札5→4

 

 チッ……外れ引いたか……まぁいい。

 

鏡介

 「捨てられた(魔神王レイン)の効果発動!デッキからレベル5以上の暗黒界(暗黒界の案内人パスカ)を手札に加えて、更にデッキからレベル4以下の暗黒界(暗黒界の術師スノウ)を特殊召喚!」

 

鏡介 手札4→3→4

 

鏡介

 「手札の(パスカ)の効果発動!コストで(暗黒界の狩人ブラウ)を見せて、このカードを特殊召喚して、手札を2枚捨てて捨てた分ドロー!」

 

鏡介 手札4→3→1→3

 

鏡介

 「捨てられた(ブラウ)と(魔サイの戦士)の効果発動!(魔サイの戦士)は墓地に送られると、悪魔族モンスターを墓地へ送るので(暗黒界の龍神グラファ)を墓地へ、(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡介 手札3→4

 

鏡介

 「墓地の(グラファ)、(魔神王レイン)はフィールドの暗黒界モンスターを手札に戻して特殊召喚出来る!よって(スノウ)、(パスカ)を戻して特殊召喚!」

 

鏡介 手札4→5→6

 

鏡介

 「手札の(暗黒界の番人ゼンタ)の効果発動!コストで自身を捨てて(暗黒界の門)を手札に!そして発動!」

 

鏡介 手札6→5→6→5

 

鏡介

 「(門)の効果発動!墓地の(ゼンタ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(スノウ)の効果にチェーンして(ゼンタ)の効果発動!フィールドに暗黒界カードがある状態で除外されると自身を特殊召喚!(スノウ)の効果で(文殿)を手札に!」

 

鏡介 鏡介 手札5→4→5→6

 

鏡介

 「俺はレベル8の(ビッグフット)と(グラファ)でオーバーレイ!エクシーズ召喚!召喚口上省略!(神竜騎士フェルグラント)!効果発動!素材の(グラファ)を取り除き、(時械神ザフィオン)の効果を無効にして完全耐性を与える!セイントバリア!」

 

Z-ONE

 「効果の無効ですと!?ならばトラップ発動!(虚無械アイン)、コストで(虚無械アイン)をデッキに戻して(虚無械アイン·ソフ)、(亜空間物質転送装置)!(亜空間物質転送装置)の効果で(ザフィオン)を一時的に除外し、(アイン・ソフ)で手札の時械神(時械神ハイロン)を特殊召喚!」

 

 めっちゃ動いてきたな……ここの(ザフィオン)は5枚ドローなんだよな。イカれてやがるぜホントに。アニメ効果か?

 

Z-ONE 手札1→0

 

Z-ONE

 「フィールドから離れた(ザフィオン)の効果発動!手札が5枚になるようにドローします!」

 

Z-ONE 手札0→5

 

鏡介

 「永続魔法(暗黒界の文殿)を発動してフィールドの(ゼンタ)を手札に戻して(グラファ)を特殊召喚!そのまま(ゼンタ)の効果発動!捨てて(門)サーチ!張り替え効果発動!効果発動!墓地の(ブラウ)除外して1枚捨てて1枚ドロー!」

 

鏡介 手札6→5→6→5→6→5→4→5

 

鏡介

 「捨てられた(ベージ)の効果にチェーンして(文殿)の効果発動!手札の(魔神王レイン)捨てて2枚ドロー!(ベージ)は蘇生!」

 

鏡介 手札5→4→6

 

鏡介

 「捨てられた(魔神王レイン)の効果発動!2枚目の(グラファ)を手札に!」

 

鏡介 手札6→7

 

鏡介

 「墓地から(ベージ)戻して(魔神王レイン)蘇生!」

 

鏡介 手札7→8

 

鏡介

 「(暗黒界の文殿)の効果発動!自分

メインフェイズに手札の暗黒界を捨てて、このターン暗黒界は捨てたモンスターのレベル×100攻撃力が上がる!俺は(グラファ)を捨てる!」

 

鏡介 手札8→7

 

鏡介

 「捨てられた(グラファ)の効果発動!(虚無械アイン·ソフ)を破壊!」

 

Z-ONE

 「ならばチェーンして(虚無械アイン·ソフ)の効果発動!手札からレベル10の天使族モンスター(時械神カミオン)、(時械神ラフィオン)、(時械神ミチオン)、(時械神ガブリオン)を特殊召喚!」

 

 墓地から出てくる黒い瘴気が(アイン・ソフ)を腐食させ破壊した。実際にその効果なのかは知らねぇが、(アオン·ソフ·オウル)に繋げられて時械神大量展開は避けたいからな。まぁ、ターン1付いてないから大量展開されるのは聞いてないが。

 

Z-ONE 手札5→1

 

鏡介

 「(魔神王レイン)を手札に戻して(グラファ)!カードをセットして(未界域のモスマン)の効果発動!手札を選べアポリア!」

 

アポリア

 「真ん中だ!」

 

鏡介

 「捨てられたのは……(モスマン)!そのまま捨てられるが効果発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!」

 

鏡介 手札7→8→7→6→7→6

 

アポリア 手札0→1→0

 

透子 手札0→1→0

 

Z-ONE 手札1→2→1

 

鏡介

 「捨てられた(暗黒界を統べる咆哮)の効果発動!効果で捨てられるとデッキから暗黒界カード2枚目の(魔神王レイン)を墓地へ!(闇の誘惑)発動!2枚ドローして手札の(ベージ)を除外!」

 

鏡介 手札6→5→7→6

 

鏡介

 「(アドバンス·ドロー)発動!フィールドのレベル8以上のモンスター(グラファ)をリリースして2枚ドロー!更に(アドバンス·ドロー)発動!フィールドのレベル8以上のモンスター(グラファ)をリリースして2枚ドロー」

 

鏡介 手札6→5→7→6→8

 

鏡介

 「カードをセットして(未界域のビックフット)の効果発動!手札を選べアポリア!」

 

アポリア

 「またか……1番左だ!」

 

鏡介

 「捨てられたのは(シルバ)!捨てて特殊召喚して1枚ドロー!更に(シルバ)を蘇生!(シルバ)を戻して(魔神王レイン)!更に戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札8→7→6→5→6→7→8

 

鏡介

 「(暗黒界の取引)を発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!」

 

鏡介 手札8→7→8→7

 

アポリア 手札0→1→0

 

Z-ONE 手札1→2→1

 

透子 手札0→1→0 残デッキ11→10

 

鏡介

 「捨てられたのは(セルリ)!効果発動!(セルリ)の効果発動!アポリアのフィールドに特殊召喚!効果発動!手札を1枚捨てる!」

 

Z-ONE

 「むぅ……私は(魔術師の至言)を墓地へ送ります」

 

鏡介 手札8→6

 

Z-ONE 手札1→0

 

鏡介

 「捨てられたのは(魔神王レイン)!効果発動!デッキから(ケルト)をサーチして更にデッキから(スノウ)を特殊召喚!(スノウ)を戻して(魔神王レイン)!更に戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札6→7→8

 

鏡介

 「さぁ行くぜ!究極至高!その絶大なる力を解き放て!発動せよ!(超融合)!コストで手札を1枚、3枚目の(グラファ)を墓地へ送り融合を行う!俺は(グラファ)2体とアポリアの(セルリ)2体で融合!二柱の黒き龍神よ!二対の仇なす魔導師よ!今こそここに交わりて、新たな世界を創造したまえ!融合召喚!(暗黒界の混沌王カラレス)!」

 

鏡介 手札8→7

 

鏡介

 「(カラレス)の効果発動!お互いのプレイヤーは墓地·表側で除外されているカードをデッキに戻して、戻したカード5枚につき1枚ドローしてドローした分捨てる!俺は墓地の9枚と除外されている(ベージ)の10枚をデッキに戻して2枚ドローして2枚捨てる!」

 

Z-ONE

 「私は墓地の7枚と除外されている2枚を戻して1枚ドローして1枚捨てます」

 

アポリア

 「私は除外されている(グランエル·A(アタック))のみをデッキに戻す」

 

透子

 「私は……墓地の40枚を戻して、8枚ドローして8枚捨てます!」

 

鏡介 手札8→10→8 墓地ライロ7

 

Z-ONE 手札0→1→0

 

アポリア 手札0

 

透子 手札0→8→0 残デッキ10→50

 

鏡介

 「捨てられた(シルバ)、(魔神王レイン)の効果発動!特殊召喚して、(ゴルド)を手札に!すぐに戻して(魔神王レイン)を特殊召喚!(魔神王レイン)を戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札8→9→10

 

 ハハハ……手札の増え方やっべえわ。

 

鏡介

神竜騎士フェルグラント 素材1 攻2800

暗黒界の混沌王カラレス 攻3200→3500→4200

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000→3800

暗黒界の龍神グラファ 攻2700→3000→3800

未界域のビッグフット 攻3000

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(カラレス)で(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))を攻撃!カラーレスワールド!」

 

Z-ONE

 「バトルフェイズ開始時に墓地の(仁王立ち)の効果発動!墓地のこのカードを除外して、(時械神ガブリオン)以外を攻撃対象に出来なくします!」

 

 (時械神ガブリオン)に纏わりつく禍々しいオーラ。まぁ想定通り、何も出来ないけど。

 

鏡介

 「メインフェイズ2、俺は(グラファ)と(ビッグフット)でオーバーレイ!2体目の(聖刻神竜エネアード)!効果発動!素材の(グラファ)を取り除き自身をリリースして(シャーマンルミナス)を破壊!ヒエラティック·シュート!」

 

 赤き肌に金の甲殻を持つ龍が放つ光弾に闇に墜ちた召喚士を破壊した。これでモンスターを展開出来るな。

 

鏡介

 「(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!」

 

鏡介 手札12→11→12→11

 

透子 手札0→1→0

 

アポリア 手札0→1→0

 

Z-ONE 手札0→1→0

 

鏡介

 「伏せていた(暗黒界の援軍)を発動!墓地の悪魔族を特殊召喚!来い!(魔轟神レイヴン)!」

 

鏡介

 「俺は(魔轟神レイヴン)の効果発動!手札を任意の枚数、1枚捨ててレベルを1上げる!捨てられた(ゴルド)の効果発動!自身を特殊召喚!」

 

鏡介 手札11→10

 

鏡介

 「行くぜ!俺はレベル5の(ゴルド)にレベル3の(レイヴン)をチューニング!万雷を操る暴力の権化よ!魔の力を振るい、我らに勝利を!シンクロ召喚!(迅雷の暴君グローザー)!」

 

 無数の雷を巻き起こしながらフィールドに降り立つ悪魔の王。

 

鏡介

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!手札を選びな!」

 

アポリア

 「左から3番目だ!」

 

鏡介

 「選ばれたのは(シルバ)!特殊召喚して1枚ドロー!(シルバ)は自己蘇生!戻して(グラファ)!(グラファ)と(サンダーバード)でオーバーレイ!(神竜騎士フェルグラント)!」

 

鏡介 手札10→9→8→9→10

 

鏡介

 「俺はカードを4枚セットしてターンエンド!」

 

透子

 「エンドフェイズに私の効果!5枚墓地へ!」

 

 

 (トーコ)で送られたのは、(ライトバニッシュ)、(ライコウ)、(バインド·チェーン)、(隣の芝刈り)、(パラディンジェイン)。

 

透子

 「送られたのは2枚!よって墓地の(クイックエイド)、(フォース·ブレイクスルー)をセット!(プリースト·ジェニス)さんの効果は発動しません」

 

Z-ONE

 「(亜空間物質転送装置)の効果で(ザフィオン)はフィールドに戻ります」

 

鏡介 LP4000 手札6 伏せ4

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材2

暗黒界の混沌王カラレス 攻3500

迅雷の暴君グローザー 攻2800→3100

 

暗黒界の文殿

 

透子 LP4500 手札0 墓地ライロ7 伏せ2

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·プリーストジェニス 守2100

ライトロード·ドラゴングラゴニス 攻2000→4100

 

アポリア LP1500 手札0 伏せ0

 

機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック) 攻4000

 

Z-ONE LP1500 手札0 伏せ0

 

時械神ザフィオン 攻0

時械神カミオン 攻0

時械神ラフィオン 攻0

時械神ミチオン 攻0

時械神ガブリオン 攻0

 

虚無械アイン·ソフ

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札0→1

 

透子

 「(ルミナス)さんの効果発動!手札の(ミネルバ)さんを墓地へ送り、墓地の(ライデン)さんを特殊召喚!」

 

透子 手札1→0 

 

透子

 「墓地へ送られた(ミネルバ)さんの効果発動!デッキから1枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(光の援軍)か。

 

墓地ライロ7→8

 

透子

 「(ライデン)さんの効果発動!2枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(錬装融合)と(神域)。

 

透子

 「よし、墓地の(錬装融合)の効果発動!このカードをデッキに戻して1枚ドロー!」

 

透子 手札0→1 墓地ライロ8

 

透子

 「私はレベル4の(ジェイン)さんと(ライデン)さんでオーバーレイ!(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(ライデン)さんを墓地へ送り、3枚墓地へ!」

 

 送られたのは、2枚目の(シャーマンルミナス)、(ファルコン)、(フェリス)。上振れたな。

 

透子

 「送られたのは3枚!よって3枚ドロー!」

 

透子 手札1→4 墓地ライロ8→9→11

 

透子

 「モンスター効果で墓地へ送られた(フェリス)さんの効果発動!墓地から特殊召喚!そして私はチューナー以外の(セイントミネルバ)さんとチューナーである(フェリス)さんを擬似チューニング!EXデッキから特殊召喚!(ライトロード·キャバルリーユニコール)!」

 

 光の門から飛び出すユニコール。エクシーズすらシンクロ素材に出来る面白いモンスター。

 

透子 墓地ライロ11→10→12

 

透子

 「(ソーラー·エクスチェンジ)発動!手札の(ガロス)さんを墓地へ送り、2枚ドローして2枚墓地へ!」

 

 送られたのは(ブレイクスルー)、(ブービーボム)。

 

透子 手札4→3→2→4 墓地ライロ12

 

透子

 「墓地へ送られた(フォース·ブレイクスルー)の効果発動!墓地の(ケルビム)さんを手札に加えて、(グラゴニス)さんをリリースしてアドバンス召喚!」

 

 フィールドに降り立つ大きな翼を持つ天使。時械神に破壊は効かないが……なるほどそういうことね?

 

透子 手札4→5→4 墓地ライロ12→11→12

 

透子

 「ライトロードをリリースしてアドバンス召喚した(ケルビム)さんの効果発動!コストで4枚取り除き、(時械神カミオン)、(時械神ミチオン)を対象に破壊します!」

 

Z-ONE

 「無駄です。時械神は効果で破壊されません」

 

鏡介

 「それはどうかな!チェーンして(神竜騎士フェルグラント)と(迅雷の暴君グローザー)の効果発動!(グローザー)は相手メインフェイズに、手札を効果で1枚(魔神王レイン)を捨てて相手モンスターの効果を無効にする!(フェルグラント)は素材の(ビックフット)を取り除き、モンスターの効果を無効にする!対象は勿論(時械神カミオン)、(時械神ミチオン)!」

 

 暴君が放つ雷撃が、騎士の生み出す光の加護が、巨大で異形な天使の堅固な耐性を引き剥し、天使の放つ閃光が盾無き天使を消し飛ばす。

 

 コストは(隣の芝刈り)、2枚目の(ルミナス)、2枚目の(ライデン)、(ソーラーエクスチェンジ)。

 

透子 墓地ライロ12

 

透子

 「ライトロードモンスターが2種類以上墓地へ送られた事で(ライトロード·クイックエイド)発動!同時に効果を発動して、墓地のレベル4以下のライトロードモンスター(ライトロード·ソルジャーファルコン)さんを特殊召喚して、墓地の(ソーラーエクスチェンジ)と(隣の芝刈り)をデッキへ!」

 

透子 墓地ライロ12→11

 

鏡介

 「それじゃあ捨てられた(魔神王レイン)の効果発動!更に(文殿)の効果発動!手札を1枚、(シルバ)捨てて2枚ドロー!(魔神王レイン)の効果で(ケルト)を手札に!」

 

 フィールドに降り立つ金細工を施した鎧を纏う(霞の谷のファルコン)。その側で(シルバ)が蘇る。

 

鏡介 手札6→5→6

 

鏡介 手札6→5→4→6→7

 

透子

 「バトルフェイズ!(ソルジャーファルコン)さんで(時械神ラフィオン)を攻撃!」

 

鏡介

 「そっちを攻撃するか!(神竜騎士フェルグラント)の効果発動!素材の(グラファ)を取り除き、(時械神ラフィオン)の効果を無効にする!セイント·バリア!」

 

透子

 「(ソルジャーファルコン)さんは戦闘を行うダメージ計算時に、私のフィールドのライトロードカードか私のセットカードを手札に戻さなければなりません。私は(クイックエイド)を手札に!」

 

透子 手札4→5

 

 準備運動代わりに翼を広げ(クイックエイド)をバウンスした(ファルコン)は、(ラフィオン)の周りに生じる薄い膜ごと一刀の元に両断する。

 

Z-ONE LP4000→2000

 

透子

 「私はカードを2枚セットしてターンエンド。エンドフェイズに私の効果発動!(フォースブレイクスルー)をデッキに戻し、ライトロードモンスターの数、5枚墓地へ!」

 

 送られたのは(錬装融合)、3枚目の(ルミナス)、2枚目の(光の援軍)、(おろかな埋葬)、(ライトバニッシュ)。

 

透子

 「送られたのは1枚。よって(ブービーボム)をセット!そして(ファルコン)さんの効果発動!このカードがモンスターを戦闘破壊したターンのエンドフェイズ!このターンに戦闘·効果破壊された相手フィールドのモンスターの数分、私のフィールド·墓地に同名の存在しないライトロードカードをデッキから手札に加えます!私は3種類(ピュリフィケーション)、(ブレイクスルー)、(ライトロードバリア)を手札に!その後、ライトロードモンスターの共通効果で2枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(シール)、(デビルズ·コメディアン)。

 

透子

 「(トワイライトロード·シール)の効果発動!ライトロードモンスターの効果でデッキから墓地へ送られた場合、自身をセット!」

 

透子 LP4500 墓地ライロ11 手札6 伏せ2

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·エンジェルケルビム 攻2000

ライトロード·キャバルリーユニコール 攻2300

ライトロード·ソルジャーファルコン 攻2000

 

ライトロード·クイックエイド

 

アポリア LP2000 手札0 伏せ0

 

機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック) 攻4000

 

Z-ONE LP2000 手札0 伏せ0

 

時械神ザフィオン 攻0

時械神カミオン 攻0

 

鏡介 LP4000 手札6 伏せ4

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材0

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

暗黒界の混沌王カラレス 攻3500

迅雷の暴君グローザー 攻2800→3100

 

暗黒界の文殿

 

アポリア

 「わ、私の……ターン!」

 

アポリア 手札0→1

 

アポリア

 「ッ……カードを1枚セットして……ターンエンドだ」 

 

鏡介

 「まぁ、そうなるな。メインフェイズ2に(クローザー)の効果発動!手札を1枚、2枚目の(魔神王レイン)を捨てて……適当に(時械神カミオン)の効果を無効にする!そして手札を捨てたので(文殿)の効果発動!手札の(ブラウ)を捨てて2枚ドロー!捨てられた(ブラウ)で1枚ドロー!」

 

鏡介 手札7→6→8→9

 

アポリア

 「……メインフェイズに巻き戻されたので(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))の効果発動!1ターンに1度(ライトロード·キャバルリーユニコール)を装備する!」

 

透子

 「通すわけないでしょう!(ユニコール)の効果発動!墓地の(ファイターライコウ)さん、(ルミナス)さん、(フェリス)さんをデッキに戻して無効にして破壊!」 

 

 巨大な機械兵器が光の糸を無数に伸ばすが、白馬の瞳がそれらをかき消した。発動を無効にされたから……ターン1の効果も再度発動出来る……あれ俺やらかした?

 

アポリア

 「……(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))は墓地の(グランエルT(トップ))を除外して破壊を無効にする。発動自体を無効にされた事で再び効果を使うことが出来る!私の墓地の機皇パーツは5枚!(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))の効果発動!対象は(ユニコール)!」

 

透子 墓地ライロ17→14

 

透子

 「まさか……墓地を枯らすのが狙い!?(ユニコール)の効果発動!墓地の(ルミナス)さん、(ライデン)さん、(フェリス)さんを戻して無効にして破壊!その後1枚墓地へ!」

 

送られたのは……(トワイライトイレイザー)。

 

透子 墓地ライロ14→13

 

アポリア

 「墓地の(グランエルC(キャリア))を除外!(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))の効果発動!対象は(ユニコール)!」

 

透子

 「(ユニコール)の効果発動!墓地の(ミネルバ)さん、(ガロス)さん、(エイリン)さんを戻して無効にして破壊!その後1枚墓地へ!」

 

透子 墓地ライロ11→9

 

 送られたのは……(閃光のイリュージョン)。着実に墓地を狩りに来てるな。

 

アポリア

 「墓地の(グランエルG(ガード))を除外!(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))の効果発動!対象は(ユニコール)!」

 

透子

  「(ユニコール)の効果発動!墓地の(ウォルフ)さん、(ファイターライコウ)さん、(ソーサラーライラ)さんを戻して無効にして破壊!その後1枚墓地へ!」

 

透子 墓地ライロ8→6

 

 送られたのは……(フォース·ブレイクスルー)。でも(グラゴニス)召喚しても旨味ないな。

 

アポリア

 「墓地の(ワイゼルT(トップ))を除外!(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))の効果発動!対象は(ユニコール)!」

 

透子

 「(ユニコール)の効果発動!墓地の(シャーマンルミナス)さん、(ライコウ)さん、(ルミナス)さんを戻して無効にして破壊!その後1枚墓地へ!」

 

 送られたのは……2枚目の(ラドリートラップ)。

 

透子 墓地ライロ8→5

 

アポリア

 「(スキエルC(キャリア))を除外!(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))の効果発動!対象は(ユニコール)!」

 

透子

 「もう……墓地にライトロードが……(ユニコール)!」

 

 何度も何度も放たれる光の糸。遂に捌ききれずに絡め取られて(マシニクル)の胸部に呑み込まれていった。

 

アポリア

 「(機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック))は装備したシンクロモンスターの攻撃力分攻撃力がアップする!」

 

機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック) 攻4000→6300

 

アポリア

 「私はこれでターンエンド!」

 

透子

 「エンドフェイズに私の効果で(フォース·ブレイクスルー)を戻し、4枚墓地へ!」

 

 送られたのは(ウォルフ)、(フェリス)、2枚目の(クイックエイド)、(ピュリフィケーション)。

 

透子

 「墓地へ送られたのは2枚。よって(イレイザー)と(ライトバニッシュ)をセット。そして墓地へ送られた(フェリス)さんにチェーンして(ピュリフィケーション)の効果発動!墓地の魔法カード9枚をデッキに戻し1枚墓地へ!そして(フェリス)さんを特殊召喚!」

 

 送られたのは……(ソーサラーライラ)か。 

 

 

アポリア LP1500 手札0 伏せ1

 

機皇神マシニクル∞3(インフィニティ·キュービック) 攻4000→6300

 

ライトロード·キャバルリーユニコール

 

Z-ONE LP1500 手札0 伏せ0

 

時械神ザフィオン 攻0

時械神カミオン 攻0

 

神の居城ヴァルハラ

 

透子 LP4500 墓地ライロ5 手札6 伏せ3

 

ライトロード·サモナールミナス 攻1000

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·エンジェルケルビム 攻2000

ライトロード·ソルジャーファルコン 攻2000

ライトロード·アーチャーフェリス 守2000

 

 

鏡介 LP4000 手札9 伏せ4

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材0

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材1

暗黒界の混沌王カラレス 攻3500

迅雷の暴君グローザー 攻2800→3100

暗黒界の軍神シルバ 攻2300→2600

 

暗黒界の文殿

 

Z-ONE

 「私のターンドロー!」

 

Z-ONE 手札0→1

 

アポリア

 「受け取ってくれZ-ONE!ドローフェイズにトラップ発動!(イチロクの魔物台帳)!モンスターを2体まで対象にし、(時械神ザフィオン)と(神竜騎士フェルグラント)を一時的に除外!そして1000LP回復!」

 

 素材ある方持ってきやがった。まぁまだ(グローザー)あるし問題無い。

 

Z-ONE

 「フィールドを離れた(ザフィオン)の効果発動。5枚になるようにドローします。そしてスタンバイフェイズに(時械神カミオン)はデッキに戻ります」

 

Z-ONE LP1500→2500 手札1→5

 

鏡介 LP4000→5000

 

Z-ONE

 「(神の居城ヴァルハラ)の効果発動!手札から(時械神サディオン)を特殊召喚します!」

 

 ここで止めるしか無いな。

 

鏡介

 「(迅雷の暴君グローザー)の効果発動!手札の(スノウ)を捨てて(時械神サディオン)の効果を無効にする!」

 

 悪魔が放つ稲妻が異形の天使に直撃し、その力を失った。

 

Z-ONE 手札5→4

 

鏡介 手札9→8

 

鏡介

 「(暗黒界の文殿)の効果発動!1枚捨てて2枚ドロー!(スノウ)で(暗黒界の懲罰)を手札に!」

 

鏡介 手札8→7→9→10

 

Z-ONE

 「ならば(アドバンス·ドロー)発動!レベル8以上のモンスター(時械神サディオン)を墓地へ送り2枚ドローします。そして私は(サイクロン)を発動!そのセットカードを破壊します!」

 

 暴風が吹き荒れ、透子のセットカード(ライトバニッシュ)を吹き飛ばした。

 

 Z-ONE 手札4→3→5→4→3

 

Z-ONE

 「速攻魔法(光神化)を発動。手札から(時械巫女)を特殊召喚します!そして(時械巫女)をリリース!無は無限となり無限の光から生まれる究極の時械神!アドバンス召喚!(究極時械神セフィロン)!」

 

 つ、通常召喚!?なんでお前通常召喚出来んだよ!?特殊召喚モンスターだろお前!

 

Z-ONE 手札3→2→1

 

Z-ONE

 「(究極時械神セフィロン)の効果発動!1ターンに1度、自分のデッキ・手札・墓地に存在する時械神モンスターを攻撃力4000にして可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する事ができる!来なさい!(時械神サンダイオン)!(時械神メタイオン)!(時械神ガブリオン)!(時械神ラツィオン)!」

 

 フィールドを埋め尽くす時械神。圧が凄まじいったらありゃしない。

 

Z-ONE

 「バトル!(究極時械神セフィロン)で(ライトロード·サモナールミナス)に攻撃!アカシックストーム!」

 

透子

 「トラップ発動!(トワイライト·イレイザー)!種族が同じでカード名が異なるライトロードモンスターが2体以上存在するときに発動出来、墓地のライトロードモンスターを2体除外して、フィールドのカードを2枚対象に除外!もちろんコストは私で踏み倒します!対象は(究極時械神セフィロン)!(時械神サンダイオン)!」

 

 放たれる光の闇の螺旋光線で消滅の憂き目に会う二柱の時械神。だがまだまだ脅威は残っている。

 

Z-ONE

 「まだです!(時械神メタイオン)で(ライトロード·サモナールミナス)に攻撃!」

 

鏡介

 「通すかそんなもん!トラップ発動(バージェス·ディノミスクス)!(時械神メタイオン)を対象に、手札を1枚捨てて除外だ!」

 

 炎を解き放つべく手をかざす天使だが、指先に古代生物が絡みつく。そこからどんどんと腐食し、最終的に汚泥となって大地と1つになった。

 

鏡介

 「捨てられた(ブラウ)の効果発動!1枚ドロー!」

 

鏡介 手札10→9→10

 

Z-ONE

 「(時械神ガブリオン)で(ライトロード·サモナールミナス)に攻撃!」

 

鏡介

 「トラップ発動!(豆まき)!相手フィールドの表側表示モンスター1体(時械神ガブリオン)を対象として発動!そのモンスターのレベル分、今回は10枚俺の手札を捨てて、捨てた数だけドロー!そして対象のモンスターを持ち主の手札に戻す!」

 

 ゴブリンの子供達が投げる、視界が炒り豆で埋まる程の壮絶な大弾幕。それを受けた時械神は堪らず手札へ消え去っていった。いやお前らスゲーな。

 

鏡介 手札10→0→10

 

Z-ONE 手札1→2

 

鏡介

 「捨てられた(ケルト)と(ビッグフット)の効果発動!自己蘇生して、(ヴァルハラ)を破壊だ!」

 

 突如地面に降り立つ大猿がその巨大な張り手で居城を容易く粉砕した。

 

Z-ONE

 「(時械神ラツィオン)で再び(ライトロード·サモナールミナス)に攻撃!」

 

 両肩から放たれる常軌を逸した規模の火炎放射に、(ルミナス)は耐えきれずに破壊された。

 そして、その常人には到底受けきれないだろう火炎の余波が透子を襲う。

 

透子 LP4500→1500

 

Z-ONE

 「攻撃した(時械神ラツィオン)の効果を発動!フィールドのモンスターと墓地のカードを全てデッキに戻します!」

 

 ぼ、墓地だけじゃなくてフィールドも掃除するのかよ!?

 

 デュエルディスクが自動で操作され、墓地にカードが1枚も無くなった。いや、透子のとこには装備カード扱いで墓地送りになった(ユニコール)がいるな。

 

透子 墓地ライロ5→1

 

Z-ONE

 「私は……カードを1枚セットしてターンエンドです。エンドフェイズ、(時械神ザフィオン)はフィールドに戻ってきます」

 

鏡介

 「一応(神竜騎士フェルグラント)も場に戻ってくる」

 

Z-ONE LP2500 手札1 伏せ1

 

時械神ザフィオン 攻0

時械神ラツィオン 攻4000

 

透子 LP1500 墓地ライロ1 手札6 伏せ0

 

ライトロード·クイックエイド

 

鏡介 LP4000 手札10 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材0

 

 

暗黒界の文殿

 

アポリア LP1500 手札0 伏せ0

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札6→7

 

Z-ONE

 「(時械神ラツィオン)の効果発動!ドローフェイズにドローしたとき、相手に1000ポイントのダメージを与えます」

 

 火炎に包まれて、視界が激しく揺らされ歪む。倒れそうになる身体を覚束ない脚で気合いで踏みとどまる。こんなのダイノルフィアの時と比べればまだまだヌルい。

 だが透子はもう悲鳴を上げる余裕すら無いらしく、息も荒く膝が笑っている。

 

 このターン中に最低でも(ラツィオン)を退かさないと俺達の意識が潰えることになる。

 

透子 LP1500→500

 

鏡介 LP4000→3000

 

アポリア LP1500→500

 

透子

 「……フフ。私は(隣の芝刈り)を発動。私のデッキは51枚、アポリアのデッキは35枚!よって16枚の墓地肥やし!」

 

 フィールドにて暴れる芝刈り機。これで突破出来るだろう。芝刈ったライロは強いぞ。

 

 送られたのは(錬装融合)、(ルミナス)3枚、(ガロス)、(ケルビム)、(グラゴニス)、(トーコ)、(ファルコン)、(ウォルフ)、(ライト·バニッシュ)、(バインドチェーン)、(ライトロードバリア)、(芝刈り)、(シール)か。

 

透子 手札7→6 墓地ライロ1→8

 

透子

 「墓地へ送られた(ウォルフ)さんにチェーンして(シール)の効果発動!自身を墓地からセットし、(ウォルフ)さんを特殊召喚!そして(錬装融合)の効果発動!自身をデッキに戻して1枚ドロー!」

 

透子 手札6→7 墓地ライロ8→7

 

透子

 「(光の援軍)を発動!コストで3枚墓地へ送り、デッキからレベル4以下のライトロードモンスターを手札に加えます!加えるのは(ライデン)さん!」

 

 送られたのは……(ジェネラルジェイン)と(ライラ)、(ソーラー·エクスチェンジ)。

 

透子 手札7→6→7 墓地ライロ7→9

 

透子

 「墓地へ2種類送られた事で(クイックエイド)の効果発動!墓地から(ガロス)さんを特殊召喚し、(ユニコール)と(光の援軍)をデッキに戻します!」

 

透子 墓地ライロ9→8

 

透子

 「私は(ライデン)さんを召喚!効果発動!2枚墓地へ!」

 

 送られたのは(イレイザー)、(神域)か。

 

透子

 「ライトロードモンスターの効果で墓地へ送られた(イレイザー)の効果発動にチェーンして(ガロス)さんの効果発動!追加で2枚墓地へ送り、送られたライトロードモンスターの数だけドロー!(イレイザー)の効果で手札からライトロードモンスター(ライトロード·パラディンジェイン)さんを特殊召喚!」

 

 送られたのは……2枚目の(ソーラーエクスチェンジ)、(芝刈り)か。

 

透子 手札7→6

 

透子

 「私は(ウォルフ)さんと(ジェイン)さんでオーバーレイ!ランク4(ライトロード·セイントミネルバ)!効果発動!素材の(ウォルフ)さんを取り除き3枚墓地へ!」

 

 送られたのは……(ライラ)、(ライコウ)、(おろかな埋葬)か。

 

透子 墓地ライロ 8→9→11

 

透子

 「送られたライトロードカードは2枚なので2枚ドロー!そして(クイックエイド)の効果にチェーンして(ガロス)さんの効果発動!追加で2枚墓地へ送り、(クイックエイド)の効果で墓地から(ルミナス)さんを特殊召喚し、墓地の(おろかな埋葬)、(神域)をデッキに戻します!」

 

 ターン1無いのかよ。ヤバ……

 

 (ガロス)の効果で送られたのは(コメディアン)、(閃光のイリュージョン)。

 

透子 手札6→8

 

透子

 「私は非チューナーの(ミネルバ)さんにチューナーである(ライデン)さんを擬似チューニング!再び戦場を支配せよ!(ライトロード·キャバルリーユニコール)!」

 

 フィールドに降り立つ超制圧の白馬。その瞬間、不気味な角笛の音色がフィールドを包みユニコールを消滅させた。

 

 透子 墓地ライロ11→14

 

Z-ONE

 「カウンタートラップ(昇天の黒角笛)を発動!モンスター1体の特殊召喚を無効にして破壊します!」

 

 中々味のあるカード使ってんなぁ……

 

透子 墓地ライロ14→15

 

透子

 「ッ……バトルフェイズ!(ガロス)さんでアポリアにダイレクトアタック!」

 

 放たれる神速の一撃がアポリアの胴を容易く貫いた。

 

アポリア LP1500→-350

 

アポリア

 「グッ……Z-ONE……後は……頼む……」

 

 胸に風穴が空いたアポリアはショートしたのか身体から放電を繰り返しながら沈黙した。お前も機械かよ。

 

透子

 「メインフェイズ2、(ルミナス)さんの効果発動!手札の2枚目の(ライデン)さんを墓地へ送り、墓地の私を特殊召喚!カードを3枚セットしてターンエンド!」

 

 ここからライロ特有の長いエンドフェイズが始まる。

 

透子 墓地ライロ15→14

 

透子

 「エンドフェイズに(ルミナス)さんの効果!3枚墓地へ!そして(ガロス)さんで追加で2枚!」

 

 (ルミナス)で送られたのは2枚目の(コメディアン)、(ソーサラーライラ)、(ファイターライコウ)。(ガロス)は3枚目の(光の援軍)、(芝刈り)。

 

透子 墓地ライロ14→16

 

透子

 「私の効果発動!フィールドのライトロードモンスターは3種類なので3枚墓地へ!」

 

 送られたのは3枚目の(ソーラーエクスチェンジ)、(ブービーボム)、(ジェニス)。

 

透子

 「送られたのは1枚!よって墓地の(ブービーボム)をセット!(ガロス)さんで追加で2枚!」

 

 送られたのは……(ウォルフ)、(クイックエイド)。

 

透子 墓地ライロ16→17→18

 

透子

 「送られたライトロードモンスターは1枚なので1枚ドロー!そして墓地へ送られた(ウォルフ)さんにチェーンして(クイックエイド)の効果発動!効果で墓地へ送られた場合、相手フィールドのカードの数だけ墓地のライトロードカードをデッキの上に置きます!フィールドのカードは9枚!よって墓地の(ユニコール)、(ルミナス)さん、(ライラ)さん、(クイックエイド)、(イレイザー)、(ライコウ)さん、(セイントミネルバ)さん、(バインドチェーン)、(神域)をデッキの上へ!そして(ウォルフ)さんを墓地から特殊召喚!」

 

透子 墓地ライロ18→13→12

 

 (ラツィオン)処理出来ず。ま、まだ伏せがある。それでどうにかするんだろう。

 

透子 LP500 墓地ライロ12 手札6 伏せ5

 

ライトロード·トラッパートーコ 守1800

ライトロード·サモナールミナス 守1000

ライトロード·ウォリアーガロス 攻1850

ライトロード·ビーストウォルフ 攻2100

 

ライトロード·クイックエイド

 

鏡介 LP3000 手札10 伏せ2

フィールド(暗黒界の門)

 

神竜騎士フェルグラント 攻2800 素材0

 

暗黒界の文殿

 

Z-ONE LP2500 手札1 伏せ0

 

時械神ザフィオン 攻0

時械神ラツィオン 攻4000

 

アポリア LP1000 手札0 伏せ0

 

鏡介

 「俺のターンドロー!」

 

鏡介 手札10→11

 

Z-ONE

 「(時械神ラツィオン)の効果発動!ドローした時、相手に1000ポイントのダメージを与えます!」

 

透子

 「カウンタートラップ発動!(ライトロード·バインドチェーン)発動!コストは私で踏み倒し、そのモンスター効果を無効にし、このカードは装備カードになって装備されます!」

 

 松明から火が放たれようとするが、無数の光の鎖がそれを阻んだ。

 

 

 さて、お膳立てしてくれたお礼に、この膨大な手札で決めるとするか。

 

鏡介

 「(未界域のサンダーバード)の効果発動!手札を選びなZ-ONE!」

 

Z-ONE

 「ならば右から3番目を選びましょう」

 

鏡介

 「選ばれたのは(スノウ)!特殊召喚して1枚ドロー!捨てられた(スノウ)で(パスカ)をサーチ!」

 

 鏡介 手札11→10→9→10→11

 

鏡介

 「(パスカ)の効果発動!手札の(ベージ)を見せて、特殊召喚して2枚捨てて2枚ドロー!」

 

鏡介 手札11→10→8→10

 

鏡介

 「捨てられた(ベージ)と(ブラウ)の効果発動!1枚ドローして(ベージ)を蘇生!」

 

鏡介 手札10→11

 

鏡介

 「(暗黒界の門)の効果発動!墓地の(ブラウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!捨てられた(魔神王レイン)の効果発動!デッキから(グラファ)を手札に!(ベージ)戻して(魔神王レイン)!(魔神王レイン)と(サンダーバード)でオーバーレイ!(宵星の機神ディンギルス)効果発動!(ラツィオン)を墓地へ!」

 

鏡介 手札11→10→11→12→13

 

鏡介

 「そしてカードを2枚セットして(手札抹殺)発動!お互い手札を全部捨てて捨てた分ドロー!」

 

鏡介 手札13→11→10→0→10

 

透子 手札6→0→6

 

Z-ONE 手札1→0→1

 

鏡介

 「捨てられた(グラファ)、(ブラウ)、(ベージ)、(ケルト)、(ゴルド)、(セルリ)(統べる咆哮)の効果発動!(統べる咆哮)で2枚目の(グラファ)を墓地へ送り、(セルリ)を透子の場に特殊召喚しそれら3体を特殊召喚し、(ブラウ)で1枚ドローし、(グラファ)でZ-ONEの(時械神ザフィオン)を破壊する!」

 

 

 それと同時に暗黒界のモンスター達が墓地から戦線に飛び込み、異形の天使周りに黒い瘴気を包むが変化が無い。

 

鏡介 手札10→11

 

鏡介

 「透子の場の(セルリ)の効果発動!相手は手札を選んで捨てる!」

 

Z-ONE

 「ならば手札から(原始生命態ニビル)の効果発動!相手が5体以上のモンスターを召喚・特殊召喚したターンのメインフェイズに発動出来、自分・相手フィールドの表側表示モンスターを可能な限りリリースし、このカードを手札から特殊召喚します!その後に相手フィールドにリリースしたモンスターの攻守の合計を持つ(原始生命態トークン)を1体を特殊召喚します!」

 

 ファ!?なんでこの時代に(ニビル)があんだよ!おかしいだろうがぁ!

 

 宇宙から巨大な隕石が1つ、フィールドの中心に炸裂して尋常じゃない規模の爆炎とと轟音と衝撃、土煙を巻き起こす。

 当然俺も衝撃に巻き込まれ背中を大木に叩きつけられた。

 

鏡介 手札11→10

 

Z-ONE 手札1→0

 

 苦しい……身体から無理やり空気を捻り出されて息が出来ない。だが……ここで負けたら2度と透子と会えなくなる予感がする。それだけは……それだけは嫌だ!

 

 無理やり身体を起こして効果処理を行いながら、覚束ない足取りでフィールドに戻っていく。

 

鏡介

 「ハ……ハ……捨てられた(魔神王レイン)の効果発動!デッキから(シルバ)をサーチして相手に捨てられたからZ-ONEの場にデッキ·墓地のレベル4以下の暗黒界、デッキから(セルリ)をZ-ONEの場に特殊召喚!効果発動してもう一回ハンデス!」

 

Z-ONE

 「ならばフィールドを離れた(ザフィオン)の効果で5枚になるようにカードをドローします」

 

鏡介 手札10→11→10

 

Z-ONE 手札0→5→4

 

鏡介

 「捨てられた(シルバ)の効果発動!自己蘇生!追加効果でZ-ONEは手札を2枚デッキに戻す」

 

鏡介 手札10→11

 

Z-ONE 手札4→2

 

鏡介

 「(シルバ)戻して(グラファ)!墓地の(暗黒界の登極)の効果発動!手札を1枚捨てて自身を回収!捨てられた(シルバ)の効果発動!自身を特殊召喚して、戻して(魔神王レイン)、更に戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札11→10→11→12→13

 

 さて、見せてやる。これが暗黒界の新たな力だ!

 

鏡介

 「俺は速攻魔法(暗黒界の登極)を発動!このカードはフィールド、墓地のモンスターを除外して悪魔族の融合モンスターを融合召喚する!暗黒界融合モンスターを出す場合、手札を捨てて素材に出来る!俺はフィールドの(グラファ)を除外、手札の(魔神王レイン)を捨てて融合!暗黒世界の龍神よ!今こそ深淵の扉を開き、世界に轟く咆哮を上げろ!融合召喚!(暗黒界の龍神王グラファ)」

 

 (グラファ)に雷を孕んだ黒い靄が覆いかぶさり、その姿を変容させる。

 靄が晴れたとき、猫背気味だった(グラファ)の姿は無く。4本の脚で立ち、3対の翼を広げ、背筋を真っ直ぐ伸ばした雄大な王の姿があった。

 

 

鏡介 手札13→12→11

 

鏡介

 「捨てられた(魔神王レイン)の効果発動にチェーンして(文殿)の効果発動!手札の(シルバ)捨てて2枚ドロー!(魔神王レイン)の効果でデッキから最後の(グラファ)を手札に!!(シルバ)を自己蘇生!戻して(魔神王レイン)更に戻して(グラファ)!」

 

鏡介 手札11→10→12→13→14→15

 

鏡介

 「(暗黒界の援軍)を発動!墓地の悪魔族(魔轟神レイヴン)を蘇生!俺はレベル8の(グラファ)にレベル2の(レイヴン)をチューニング!天よ!運命よ!事象の理よ!巡る天輪に乗せ此処に結実せよ!シンクロ召喚!(天穹覇龍ドラゴアセンション)」

 

 光輪の包まれ降臨したのは、神々しい輝きに包まれた白きドラゴン。両肩に二対、腕に更に二対のヒレの様な気品ある翼を持つその姿は、信仰の対象になるのは想像に難くないだろう。

 

鏡介 手札15→14

 

鏡介

 「(天穹覇龍ドラゴアセンション)の効果発動!シンクロ召喚に成功した時、俺の手札×800攻撃力をアップさせる!手札は14枚!よって攻撃力は11200!」

 

Z-ONE

 「攻撃力……11200ですと!?」

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(天穹覇龍ドラゴアセンション)で(原始生命態ニビル)に攻撃!超次元昇天葬(アルティメット・アセンディング・ウェーブ)!」

 

 神々しき龍から放たれた膨大な光の奔流。それはかなり巨大な隕石を呑み込み隕石を消失させた。

 

鏡介

 「(暗黒界の龍神王グラファ)でZ-ONEにダイレクトォ!」

 

Z-ONE

 「手札からトラップ発動!(女教皇の錫杖)!自分フィールドにモンスターが存在しなければ手札から発動でき、その攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させます!」

 

鏡介

 「(暗黒界の龍神王グラファ)の効果発動!相手がモンスター効果·通常魔法罠カードを発動した時、その効果を【相手は手札を1枚捨てる】に書き換える!グラファイトカーズ!」

 

 発動されたZ-ONEのカードの周りに黒い瘴気が纏わりつき、その効果を書き換えた。

 

鏡介

 「捨てられた(パアル)の効果発動!墓地の暗黒界(パスカ)を蘇生し、相手に捨てられたので更に手札·墓地·除外されている暗黒界モンスター。墓地の(ゴルド)を蘇生!攻撃続行!3体でダイレクトォ!」

 

 雷を孕んだ黒鉛色のブレスがカタツムリの殻みたいな見た目の装置を呑み込み、(パスカ)と(ゴルド)の一撃がZ-ONEのLPを消し飛ばした。

 

Z-ONE LP2500→-1000→-3750→-6350

 

 

鏡介

 「やってやったぜ透子!……透子?」

 

 勝利の余韻を感じるより早く透子の方を見ると、そこには木に寄りかかり、力なく倒れ込む透子の姿があった。

 

鏡介

 「透子!おいしっかりしろ!とう……こ」

 

 元々アドレナリンでむりやり動かしてた肉体が緊張が解けた事で限界を迎え、視界がどんどんと黒く染まっていく。

 

 微かに残る視界には、白黒の仮面を被った人がこちらに近づく様子が映されていた。




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IF11.決死の交渉と2人の共同作業

お久しぶりです。現在ストック作成してるところなので、しばらく時間がかかると思います。後2〜4ぐらいで完結ですかねぇ……


 

〜〜〜

 

鏡介

 「ッ……ここは……」

 

 目を覚ますと、俺は薄暗い空間の中にいた。視界のすぐ目の前には透明なガラス、その奥には人が1人入れるサイズのカプセルと思われる物が大量に置かれていた。

 

鏡介

 「俺は……カプセルの中にいるのか。誰がこんな……ぐぉ!?」

 

 そんなことを考えていると、突如カプセルが開き、中から弾き出された。

 

Z-ONE

 「お目覚めの様ですね。古神鏡介」

 

 目の前にいるのは、さっきまで戦っていたZ-ONEとピエロみたいな仮面を被った男。どうやら俺は囚われの身らしいな。

 

鏡介

 「……透子は無事か。返答次第では刺し違えてでもお前らを潰すぞ」

 

Z-ONE

 「えぇ、彼女は無事ですよ。彼が……パラドックスが運んでくれましたよ。尤も、無事返せるかどうかは貴方次第です。パラドックス。ありがとうございます。後は私がこの場を解決します」

 

 俺の殺気に満ちた視線に臆さずに、Z-ONEは男に一瞥し再び俺に身体を合わせる。パラドックスとか言われた男は何も言わずに消えていった。

 

鏡介

 「そもそもあんたらは何が目的だ。俺に何を求めるつもりなんだ」

 

Z-ONE

 「我々の目的は我々の未来の滅亡を回避する事。その為にシンクロ召喚を歴史ごと抹消するのです」

 

 ????話が繋がらねぇぞ?どういうことだ?

 

鏡介

 「話が繋がらねぇな。そもそもシンクロ召喚と世界の破滅がどう繋がるんだ?」

 

Z-ONE

 「これは失礼。では、事の顛末を話させていただきます」

 

 Z-ONEの話をまとめると、まず【モーメント】というとんでもないエネルギー機関があって、シンクロ召喚をすることでそれがパワーアップするらしい。

 人類はさらなる発展を求めて、欲望のままにシンクロしまくった結果。モーメントが逆回転を起こして未曾有の大災害が発生。人類が滅亡したのだそうだ。

 

鏡介

 「なぁ……1つ質問いいか?」

 

Z-ONE

 「なんでモーメントが存在しないこの時代に来たか……ということですか?」

 

鏡介

 「それもあるけどさ……過去に飛べるならモーメントを開発した場面に飛んでそれを抹殺すればいいんじゃねぇの?それが手っ取り早いじゃんか」

 

 俺の質問に、Z-ONEは首を振ってそれを否定した。

 

Z-ONE

 「確かにその通りではあるのですが……時間はかかりますがいつか再びモーメントの開発が開始されます。それよりももっと前、シンクロ召喚という概念そのものを抹消すれば、世界の滅亡は回避される筈です。そもそも……」

 

 そういえば俺……確かジェネックスでペガサス会長にシンクロとエクシーズの概念伝えたよな……あれ戦犯俺?

 

Z-ONE

 「本来ならばこの時代にシンクロ召喚がある筈がないのです。このアカデミアでシンクロ召喚は先攻実装され、少数のアカデミア生がレベル5·6を主流とし、7のシンクロを限界とする状況にも関わらず貴方方はレベル8以上。ひいては擬似的にとはいえデルタアクセルシンクロを可能とする。貴方方に何かしらの原因があると考えるのが自然です」

 

 不味い。完全に原因俺だわ。どうやって切り抜ける?

 

鏡介

 「もし俺に原因があったらどうする?単に抹殺するなら俺がくたばってる間にパラドックスとかいう男にやらせれば済む話だろ?」

 

Z-ONE

 「ええ、確かに運び込まれた時、なんとかダメージから復帰した私はそのまま抹殺の指示を出すことも考えましたが、こうも考えのです。貴方方が主に操る力……エクシーズ召喚でしたか。それを手にし……シンクロ召喚の代わりとすれば未来は変わるのではないかと」

 

 なるほどなるほど。交渉の余地が生まれてきたぞ。

 

鏡介

 「つまりエクシーズモンスターをZ-ONE達に提供する。これが俺達を開放する条件ってわけだ……少し取引をしよう」

 

Z-ONE

 「取引……ですと?」

 

 ここで情報を切るか……リターンを増やすためだから割り切るか。

 

鏡介

 「実は俺……アンタたちとは違う未来から、魂とカードと共にこの時代に飛ばされてきたんだ。持ってるカードのパワーは相当高い。それを(みだ)りに振り回せばパワーバランスが余裕でブッ壊れるぐらいにな。アンタもそれを身をもって知っている筈だ」

 

Z-ONE

 「全く違う未来……何が言いたいのです」

 

鏡介

 「取引のレートを上げてくれって事だ。俺にはエクシーズどころか機皇帝を強化するカードすらある。LP4000なんて軽く消し飛ばす機械族テーマも知ってる。俺はそれらと簡単な回し方を教え、ありったけの強いエクシーズ体をやるから、アンタらはダークネスとの決戦での協力と、それ以降の俺等への不干渉を約束してほしい」

 

Z-ONE

 「不干渉……まずはそのカードを見せていただけますか?」

 

鏡介

 「まぁそうだわな。ちょっと待ってろ今出すからな」

 

 俺は目の前で即座にスマホを起動し、ひとまず機皇帝に関するカードを購入してみせた。BPの残量は問題ない。最近使ってないからな。

 

Z-ONE

 「その端末から……カードを生み出しているのですね。もしかして(コズミック·ブレイザー)や(sinスターダストドラゴン)も……」

 

鏡介

 「ああ、結構安かったぜ?120とかそこらだったかな?(sinスタダ)は確か200ぐらいだったと思うぜ?あっこれが機皇帝サポートな」

 

 桁違いの安さに驚いているだろうZ-ONEにカードを渡して、今度は列車とかマシンナーズを用意する。

 

Z-ONE

 「これは……かなり優秀なカード。これは私達の使命を果たすのに大いに貢献するに違いありませんね……ライディングデュエルには使えないのがあまりにも惜しい」

 

鏡介

 「ライディング……デュエル?」

 

 ライディングデュエル。それは遊戯王5D,sに登場するバイクに乗ってデュエルするスタイル。もしかしてコイツ等5D,sの世界からやってきたのか?

 

Z-ONE

 「ええ。私達が居た世界で主流だったもので、バイクに乗ってデュエルするのです。更に普通の魔法カードが発動出来ず、スピードスペルという専用の魔法カードを使うのです」

 

 となると(機皇創出)とかが使えないのか……となるとマシンナーズも渡した方が良いな。マシン機皇なんてタイプあるらしいし。

 

 とりあえずマシンナーズ系のカードを生成して渡す。流石に(カーネル)はパワー高すぎるから止めたけど。(ルインフォース)は……別にいいか。後はエクシーズか。思いつくだけ、ありったけのエクシーズ体を生成して手渡す。

 そしてマシンナーズと列車の回し方をざっくりと教える。マシンナーズはまだしも列車は超簡単だからすぐに戦えるだろう。

 

鏡介

 「後はコピーして量産型アンドロイドみたいのに握らせればかなりの戦力になると思うぜ?あるんだろ?そういうの」

 

Z-ONE

 「確かにありますが……それらはライディングデュエル専用でプログラムを調整するのに時間がかかります。更に貴方達とのデュエルでレインとアポリアが修復中なので、果たして間に合うかどうか……」

 

 バイク専用アンドロイドなのか……これでも俺機械系出身だが流石に人型ロボットをどうこうできる程の知識も技量も無いな。

 

鏡介

 「まぁ間に合わなくても、約束である不干渉さえ守ってくれればいいさ。そういえば透子は何処にいるんだ?」

 

Z-ONE

 「ああ、彼女はこちらの世界には居なくてですね。今頃アカデミアの保健室で安静にしている事でしょう」

 

 つまりは俺だけ飛ばされて、透子はZ-ONEの手元にあったわけじゃないのか。

 

 ……カード渡したは良いものの、奴らの目的は世界の破滅回避。要はシンクロを流行らせなけりゃいいんじゃないか?今渡したカードでずっとカードパワーをインフレさせられる訳ないし、Z-ONE側でカードを新規で作れるなら安泰だよな。

 

鏡介

 「そういえばZ-ONE。アンタ等ってカードを新規で創る能力とかあるか?渡したカードを元にカード作れるならカードパワーのインフレを継続的に進められて良いと思うんだけど」

 

Z-ONE

 「それなら問題ありません。私達の支配下にカードを製作する企業があります。レインに任務の片手間にエクシーズモンスターを何枚か集めてもらい、それをサンプルとして実際にカードの作製に成功しています」

 

 見せられたのは……機皇のエクシーズか?汎用ランク4で効果は……素材を2つ持った自身を対象に発動し、自身を破壊して自分フィールドのモンスターとフィールドのカードを1枚ずつ選んで破壊する……アド損が少し気になるが、汎用のランク4でカードの種類問わずに対象耐性貫通出来るのは優秀。自分のモンスターを破壊してコンボも狙えるからわりと良いカードじゃないか?

 打点がかなり心もとないけどすぐ切腹するから関係ないか

 

鏡介

 「結構いい効果してるじゃん。こんなカードがガンガン出れば多くのデュエリストはシンクロからエクシーズに流れるだろうよ」

 

Z-ONE

 「あなた程のデュエリストにそう言ってもらえるなら作った人達も安心することでしょう。それでは、ダークネスとの戦いで会いましょう……まぁ、会うのはデュエルロイドであるゴーストかもしれませんけどね」

 

 Z-ONEがそんな事を言うと瞼が……重く……

 

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「ここは……俺の部屋か」

 

 目覚めたのは俺の自室。とりあえず透子を探しに行くか。

 

 そんなこんなで保健室へ向かったのだが……

 

鏡介

 「え……透子はもう居ない?」

 

鮎川先生

 「ええ。ついさっき目を覚まして身体の状態も問題なかったけど……目に光が灯ってない感じが……ちょっと!?」

 

 保健室の先生の言葉を聞いて、身体は弾かれる様に飛び出していた。何処に行ったかなんて分からないし知らない。でも、野放しにしてるととんでもない事になる気がした。

 そこまで遠くは行ってない筈。ならば学園内をしらみつぶしに探す!学園外は(ベージ)にやらせばいい!

 

鏡介

 「(ベージ)3人衆!学園外で透子を探せ!あまり遠くには行ってない筈だ!」

 

ベージs

 『了解!』

 

 指示を出した俺は、透子を探す為に脚力を魔力で強化、風を切るようにアカデミア内を走り回った。

 

 

〜 アカデミア屋上 〜

 

 途中で思いついた方法である魔力強化した跳躍で探索した結果、屋上に透子がいる事が分かった俺は、魔力ジャンプで屋根を伝い謎にドーム状になっている屋根上にいる透子の元にたどり着いた。

 

 日が傾く黄昏時に透子は身体を丸めて座り込み、何やらブツブツと呟いていた。

 

鏡介

 「透子!心配し……」

 

透子

 「来ないで!」

 

 一歩近づこうとした瞬間に放たれる拒絶の言葉。突然の発言に身体が固まる。

 

透子

 「私は……私自身が許せないんです。私は……レインさんと付き合った鏡介を見て……悲しくて悔しくて……鏡介に近づいてほしくないなんて身勝手な理由で……レインさんを殺して……感情のままに鏡介も傷つけたんです。それなのに……それなのに私は鏡介に会いたいなんて……そんな身勝手な私が許せないんです」

 

 掠れた様な声で言葉を綴る透子。返す言葉が出てこない

 

透子

 「私には……もう鏡介に会う資格なんて無いんです……だからもう……放っておいて下さい」

 

鏡介

 「透子……俺はお前に会いに来たんだ。他でも無い俺の意思で。お前に、俺に会う資格が無くても俺にはある。そもそもどうしてこんなとこに居るんだ?」

 

透子

 「いっその事ここで身を投げようと……でも怖くて出来なかった……ならばここで凍えてしまいたいって……ハハ、早く消えてし……!」

 

 気付いたら俺は透子を抱きしめていた。それに遅れて心から怒りが込み上げてくる。

 

鏡介

 「それ以上言うな……それ以上言ったら……俺は許さない」

 

透子

 「やめて……ください……同情で抱き締められても嬉しくなんかないですよ。鏡介だって……私なんかよりレインさんを抱いた方がうれしいでしょう?」

 

 透子の口から漏れる悲哀に満ちた言葉。その意味を認識するより俺は早く言葉を組んでいた

 

鏡介

 「そんな事無い!俺はもう透子以外を考えられねぇんだよ!」

 

透子

 「それじゃあ……それじゃあなんでレインと付き合ったんですか!鏡介があの時OKしなければ……少なくともこんな事にはならなかったのに!」

 

鏡介

 「そもそも付き合ってねぇよ。確かにデッキ調整手伝えって言われたけどさぁ……」

 

透子

 「レインさんと一緒にデッキ調整したんですね……知ってますか鏡介。異性が一緒になってデッキ調整するのはデートの更に向こう側にある行為なんですよ?これで付き合ってないは……通用しませんよ」

 

 ちょ……それ初耳なんだけど……デッキ構築って友人とワイワイ議論しながら組むのも楽しいものだぞ?それ無くなるのはちょっと……

 

鏡介

 「そもそも……透子は俺をどう思っていたんだ?あのデュエルの時みたいに誰かに操られていない……今その胸に抱える想いを……聞かせてくれないか」

 

透子

 「好き……本当に好きなんです。今も鏡介と一緒にいられるだけで……幸せな気持ちになれるんです。」

 

 ハハハ……なんだよ……悩む必要なんてなかったじゃねぇか。

 

鏡介

 「正直柄でもなんでもねぇけれど、俺もお前のことが好きだ。友としても、だがそれ以上に異性として。あのデュエルでは伝える訳にはいかなかったけど、今ならお前の為に喜んで伝えよう。俺はお前に恋してる。俺の想い……受け取ってくれるか?」

 

 刹那の沈黙。そしてそれはすぐに抱きつかれる感触と堰が切られた様な泣き声が破っていった。

 

透子

 「はい……はい!もう離さない……これからはずっと……ずっと一緒ですから!」

 

鏡介

 「ようやく想いを伝えられて……俺も身体が軽くなったみたいだ……お前と一緒ならどんな脅威も怖く無い。さぁ、こんなとこ居ないで部屋に戻ろう」

 

 一旦抱擁を辞めて、手を差し出すと、透子は指を絡めて手を取った。

 

 階段を降りてアカデミア棟内に入った瞬間。ふと我に返りこんな考えが湧いてきた。

 

 俺は今手を繋いでるよな……これ誰かに見られたら不順異性交遊でしょっぴかれるのでは?

 

 そう考えると全身から血が引くような感触に襲われ、冷や汗が吹き出してきた。

 

透子

 「どうしました?鏡介。顔色が悪いですよ?」

 

 今ここで手を離したら絶対に透子が病むよな……どうする。どうすればいい?

 

鏡介

 「なぁ……今ここで誰かに見られたら……不順異性交遊でしょっぴかれるんじゃないか?……だ、だから一旦手を……」

 

透子

 「見せつければいいじゃないですか」

 

 突然飛び出すぶっ飛んだ回答。思わず度肝を抜かれる。

 

鏡介

 「い、いやバレたら退学だぞ!?怖くないのか?」

 

透子

 「そもそも手を繋ぐだけで退学なんてなるわけないじゃないですか。そういうのはその……お世継ぎを作るみたいなことをしなければ退学なんてなりません。仮にそうなっても、その前に制裁デュエルが挟まりますよね。私達ならどんな相手でも怖くありません。違いますか?」

 

鏡介

 「そ、そうか……俺達は何もかもレインに騙されてたってことか。そういえば透子って次の月1デュエルのデッキって決まったのか?」

 

 軽い落胆を感じながら透子に話を降ると、透子は困った様子で眉を曲げた。

 

透子

 「実はまだなんですよね……鏡介がまだ私と1つだったときに使った種族が多すぎて……正直何を使えば……」

 

鏡介

 「それは悪かったな。どうするかなぁ……」

 

 暫し考えていると、突如俺の脳裏に電流走る。 

 

鏡介

 「なぁ……透子。突然だけど罠モンスターってデッキの中だと罠カードだよな」

 

透子

 「そうですね。何を当たり前の事を……なるほど、そういうことですね?」

 

 どうやら透子は察してくれたらしい。

 

鏡介

 「まぁそういうことだ。俺もダイノルフィアじゃない別のデッキ組みたくなったから、明日一緒にデッキを組もうぜ?」

 

透子

 「フフッ分かりました。それではまた明日。楽しみにしていますね?」

 

 いつの間にか女子寮前に辿り着き、俺は透子と別れて明日のデッキ構築に備えるべく、すっかり暗くなってしまった道中を走った。

 

 

 

〜 自室 〜

 

 前日に軽く掃除してキレイした自室で、俺はカードを広げて透子と議論しながらデッキ構築に励んていた。と言っても俺が持ち込んだカードを何枚入れるかとかそんなことしか聞かないけど。まぁそれはいいとして……

 

鏡介

 「透子……近くないか?」

 

 近い。透子との距離が物理的に近い。透子の息遣いが聞こえるぐらいに近い。

 

透子

 「嫌でしたか?」

 

鏡介

 「いや、別に良いけどさ……」

 

 ぶっちゃけ良くない。透子が放つ芳香に着々と理性が削られている。耐えろ俺の理性。ここで獣になったらまじで退学だぞ。

 

鏡介

 「よし、大分形になってきたんじゃないか?後は俺のデッキだな。さ。一応透子にもカード見せるな?」

 

 俺はそう言ってデッキのカードとテーマのカードを広げる。

 

透子

 「攻撃力が低いですね……それに罠が多い……罠ビートですか?」

 

鏡介

 「おう、とある事情で出力が85%ぐらいしかでねぇけどそれでも強いからな」

 

 最終的に環境の最前線で戦い、メインエンジンに制限食らった事もある罠テーマ。その名は【オルターガイスト】。後攻0ターンにモンスターを呼び出し妨害を構えられる時があるコントロール系のデッキだ。

 

鏡介

 「まぁ、誰かのレシピをパクっただけだからここからブラッシュアップしてこうか」

 

 とりあえず増Gうらら、墓穴、抹殺は取り除いてある。透子に回し方を説明し、改善案を聞いてみる。

 

透子

 「とりあえず魔法使い族サポートを増やす方針で行きましょう。(魔法使い族の里)はどうでしょう?(サイクロン)とかに強くなります」

 

鏡介

 「ま、無難なとこだな。今のところは魔法使い族サポートからアプローチかけてくか」

 

 こうして方針が固まり議論が始まった。

 

透子

 「(メリュシーク)を墓地へ送る為に(ワンダー·ワンド)を入れましょう。ダイレクトで合計1000ダメージ与えるオマケもつきますよ」

 

鏡介

 「う〜ん速攻性が無いんだよなあ……(ミラフォ)とかの攻撃力反応系食らったらアド損だし(ルドラの魔導書)の方が良いなぁ……」

 

透子

 「そんなカードあるんですね……でも打点不足は無視出来ませんよ。対象耐性を持ったモンスターが出てきたら詰んでしまいます」

 

鏡介

「そこなんだよなぁ……(メリュシーク)落としつつ打点になる魔法使いねぇかなぁ……」

 

 十数分程議論して行き詰まる難題。【打点不足】。壊獣入れれば解決なんだけど“一種族を軸にしろ”だからな……入れたら壊獣だして(シルキタス)で回収するというシステムモンスターとして扱われそうで入れられん。

 

透子

 「魔法使いで高打点といえば(サイレントマジシャンLv8)ですけど……レベルモンスターを出すギミックを入れる枠なんて……」

 

 サイマジ……そうかサイマジか!

 

鏡介

 「ナイスだ透子!確かにレベルモンスターのサイマジは使えないが、サイマジのリメイクなら使える!」

 

 即座にスマホを起動して即購入。これで打点問題は解決だな。

 

透子

 「便利ですねその機械。欲しいと思ったカードを即座に召喚出来るんですから……でも(サイレントマジシャン)ってかなりのレアカードですよね?その資金はどこから出てるんですか?」

 

鏡介

 「いや。大分安いぞ。1枚200円前後ぐらいだ。むしろここのカードの相場がイカれてんだよな。レッドアイズ1枚で数十万とか未だに納得できねぇよ」

 

  ただただ愕然とする透子。よし、これで完成だな。

 

鏡介

 「よし出来た!これで今回の月1はもらった様なもんだぜ!」

 

 カードをまとめてデッキケースに仕舞うと、透子が申し訳なさそうに口を開く

 

透子

 「あの……鏡介。完成したところで申し訳無いんですけど……これ妨害能力高すぎて鮫島校長の制限に引っかかりません?」

 

鏡介

 「……あ。……ッス〜忘れてたわ。今までの努力返せ……」

 

 そうじゃん鮫島の制約忘れてたわ……相手の一挙手一投足封殺出来るレベルのデッキで月1デュエルを受けてはいけない。これじゃあ振り出しじゃねぇか……

 

透子

 「あの……もし良ければなんですけどこのデッキで月1デュエルに挑んで良いですか?」

 

鏡介

 「おう、良いよ。その代わりまた俺のデッキ構築手伝ってくれ。罠モンデッキは性に合わん」

 

 まぁ罠モンデッキは第一次異世界騒動の時に使った奴の焼き直しだったからダメージは無い。でもなんの種族でやるか……

 

鏡介

 「……考えても仕方ないか。透子。俺が今までの月1デュエルで使った種族以外の種族を5つ適当に言ってくれ。その中から阿弥陀くじで決める」

 

透子

 「わ、分かりました……それじゃあ……【岩石族】、【炎族】、【昆虫族】、【水族】、【植物族】……これでどうでしょう?」

 

 とりあえず言われた種族を紙に書いて、透子に線を引かせて1つ選ぶ。結果は……

 

鏡介

 「【植物族】……か。中々強い種族引いたな」

 

 植物族といったらとにかく横の繋がりが強い種族だ。次はテーマを何にするかだが……

 

透子

 「植物って……何かテーマありましたっけ?」

 

鏡介

 「この時代には無いな。とりあえず3つには絞れた。LPを回復しながらメタビみたいな動きをする【アロマ】か、デッキを捲って大型の植物並べる【森羅】、リリースをトリガーにして、豊富な初動から安定した動きをする【六花】……このうちのどれかだな……」

 

透子

 「やっぱり鏡介は大型モンスターで場を蹂躙してるのが似合ってると思うので【森羅】が良いんじゃないでしょうか?」

 

 俺そんな評価なのか……別に脳筋じゃないんだがな……まぁいいか。

 

 スマホを起動し、一先ず森羅のカードを1枚ずつ透子に見せていく。俺は森羅は名前と大雑把な特徴しか知らないからまずはカード見て特性を把握しよう。

 

 異常に距離が近い透子に理性を削られながら、共に吟味をしつつデッキを作り始める。

 

 

〜 2時間後 〜

 

鏡介

 「な、なんとか完成したな……後はデュエルしてブラッシュアップしなきゃだな……」

 

透子

 「でももうすぐ門限ですね……また明日、デュエルしましょう」

 

 ふと時計を見ると確かにそろそろ門限だ……暗くなり始めるし、透子を送り迎えしなきゃ。

 

 透子を女子寮へ送って、1日を終えた。そして翌日テーブルデュエルすることになったが……

 

透子

 「(シルキタス)の効果発動!(マルチフェイカー)を手札に戻して(森羅の神樹レギア)をバウンス!」

 

 効果を使う前に除去られ……

 

鏡介

 「よし……なんとか(森羅の鎮神オレイア)出したぞ……効果発ど……」

 

透子

 「永続トラップ(オルターガイスト·プロトコル)発動!同時に効果発動して、オルターガイストモンスター(オルターガイスト·メリュシーク)をリリースしてそのモンスター効果を無効にして破壊します!」

 

 効果を無効にされ使えず……

 

透子

 「(オルターガイスト·マテリアリゼーション)発動にチェーンして(オルターガイスト·シルキタス)の効果発動!コストで(マテリアリゼーション)を手札に戻して鏡介のセットモンスターを手札に戻し、(マテリアリゼーション)で墓地の(メリュシーク)を特殊召喚!そして(メリュシーク)をリリース!(沈黙の魔術師サイレントマジシャン)!(メリュシーク)の効果で(オルターガイスト·マリオネッター)を手札に!攻撃力4500の(サイレントマジシャン)でダイレクトアタック!」

 

 絶望的なリソース差をつけられて惨敗した。

 

鏡介

 「いや……分かってはいたけどこれは酷ぇや。」

 

 かれこれ10戦ぐらいやってるが勝ち星を上げられず。オルターガイストの強さは分かってるつもりだったが、ここまで歯が立たないと流石に心にくるものがある。

 

透子

 「ちょっと休憩しましょうか……少し疲れました」

 

 確かにな……しかしやることねぇな。暇だし候補だった六花のカードでも見てるか。

 

透子

 「何見てるんですか?……ムッ」

 

 身を寄せてくる透子。目を合わせると画面を見て頬を膨らませてた。かわいい。

 

透子

 「これが六花ですか……随分と可愛らしいモンスターですね」

 

鏡介

 「まぁな。イラストのおかげもあってかなりの人気テーマだ。ちなみに俺は六花の中なら……(エリカ)が好きかな。透子は誰が好みだ?」

 

 なんか透子の目が冷たくなった気が……気の所為だよな?

 

透子

 「私は……この(ティアドロップ)って子が良いですね。この綺麗だけど……どこか儚い雰囲気が……」

 

 ティアドロップ良いよなぁ……効果も植物素材に使えばフリチェのリリースかますし。

 

透子

 「鏡介……六花が綺麗なカードなのは分かりますけど……見すぎじゃないですか?私だけじゃ不満ですか?」

 

 透子……さては嫉妬してるんだな?

 

鏡介

 「大丈夫だって。そもそも俺の1番は透子ただ1人だ。言っただろ?“六花の中では”ってさ。」

 

透子

 「もう……調子が良いんですから……ッ!鏡介、そのカード見せて下さい」

 

 透子が指さしたのは、(六花精スノードロップ)のカード。これまた儚げな雰囲気を纏うカードだから好みなんだろうな……

 

透子

 「このカード……森羅に使えるかもしれません。少なくともダブった手札の上級植物を8エクシーズ……(ティアドロップ)に変える事が出来ますよ」

 

 あっ確かに。六花も植物だから植物サポート受けられるな。そもそも六花自体が植物サポートみたいなもんだしな。

 

 こうして六花と森羅を混合させる話になり、透子が自室のストレージ箱から持ってきた(魔導雑貨商人)と(デーモンの宣告)を有効活用すべく魔法を可能な限り削った60枚デッキが爆誕することになった。




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IF12.月1デュエル〜古の神器に立ち向うは森の精〜

 

 

〜 デュエルフィールド 〜

 

 遂にやってきた月1デュエル。デュエルフィールド前に立つ監査員役の先生にデッキを渡し、確認させる。

 

監査員

 「植物族ですね……ん!?……んん。失礼確かに確認しました」

 

 お前60枚デッキ見て笑いかけただろ。まぁ別にいいさ。デュエルで巻き返してやる。

 

 デュエルフィールドに立つと、そこには対戦相手となるラーイエロー生が既に待ち構えていた。

 

イエロー生

 「待っていたぞ。【魔王】古神鏡介!」

 

鏡介

 「魔王は透子の通り名であろう?【邪眼使い】小野崎康介」

 

 アカデミアではとてつもない強さを誇るデュエリストには二つ名がつく事がある。奴もその1人。メタビ軸の呪眼を操り、アカデミアの扉を叩いて以降連勝を重ねる姿から【邪眼使い】という二つ名で呼ばれている。

 普段他のデュエリストについて興味を示さない俺がちょっとデュエル見てみようかと考える程度には強い。

 

小野崎

 「ほぅ、アカデミアの魔王様に名を覚えて頂けるとは、俺も有名になったもんだな。古神透子は3年生になって以降狡猾な戦術で相手を締め上げる事から今は【蛇締王(じゃていおう)】なんて呼ばれてるそうだ」

 

 さて……と。小野崎は話を切り上げデュエルディスクを構える。

 

小野崎

 「今はそんな長話をしてる暇はない。デュエルでその力。見せてもらおうか!天使族、小野崎鏡介!ここで魔王を打倒してくれる!」

 

鏡介

 「その心意気気に入った!植物族、古神鏡介!せいぜい楽しませることだ!」

 

 せっかくだし悪役ロールプレイでやるか。相手がそんな感じだし。

 

鏡介·小野崎

 「デュエル!」

 

 早速手札を確認。うん……うん。最上級4枚、(貪欲な壺)。完璧な手札だぁ……

 

小野崎

 「先攻は頂こうか。ドロー!」

 

小野崎 手札5→6

 

小野崎

 「手札から(天空の宝札)を発動!手札の天使族(光神テテュス)を除外して2枚ドロー!このターン俺に特殊召喚を行えず、バトルを行えないデメリットが課される。カードを5枚セットしてターンエンド!」

 

 (天空の宝札)ねぇ……エンジェルパーミか?それなら(テテュス)なんてリリース素材確保出来ないから入れねぇんじゃねぇか?……いや、強引にドローしたいから無理やりギミック詰めてるのか?

 

小野崎 LP4000 手札1 伏せ5

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡介

 「俺のターン!」

 

鏡介 手札5→6

 

 良し!ワンチャン出来た!運に全てを託せ俺!

 

鏡介

 「永続魔法(デーモンの宣告)を発動!効果発動!500LPを払い、デッキトップのカード名を宣言し捲る!当たれば手札に、外れれば墓地だ!宣言は(森羅の施し)!」

 

鏡介 LP4000→3500 手札6→5

 

 捲られたのは……(薔薇恋人)!良し!

 

鏡介

 「墓地へ送られた(薔薇恋人)の効果発動!墓地から自身を除外して手札から植物族モンスター(森羅の仙樹 レギア)を特殊召喚!」

 

 フィールドのど真ん中に根を降ろし、聳え立つ巨大な人面木。幹の周りに注連縄飾りが施されている事から神聖な樹なんだろう。

 

鏡介 手札5→4

 

鏡介

 「(レギア)の効果発動!自分メインフェイズにトップを1枚捲り、捲ったのが植物なら墓地へ送り1枚ドロー!それ以外ならデッキの下に戻す!」

 

 捲られたのは……(森羅の神芽 スプラウト)!神引きだ!

 

鏡介

 「送られたのは(森羅の神芽 スプラウト)!1枚ドローして捲られて墓地へ送られた(神芽 スプラウト)の効果にチェーンして手札の(森羅の賢樹 シャーマン)の効果発動!デッキから森羅モンスターが墓地へ送られた事で手札の自身を特殊召喚し、(神芽 スプラウト)の効果でデッキからレベル1植物を特殊召喚する!チューナーモンスター(スポーア)を特殊召喚!」

 

鏡介 手札4→5→4 

 

 よしよしこのまま(カオスルーラー)立ててガンガン展開だ!

 

小野崎

 「チューナー……シンクロ狙いか!速攻魔法(アーティファクト·ムーブメント)にチェーンして(奇跡の光臨)を発動!除外されている(光神テテュス)を特殊召喚し、(ムーブメント)の効果でフィールドのセットカード(アーティファクト·ベガルタ)を破壊してデッキから(アーティファクト·デスサイズ)をセットする!」

 

 な、アーティファクトだと!?

 

小野崎

 「相手ターンに破壊された(ベガルタ)の効果発動!特殊召喚し、自分フィールドのセットカードを2枚破壊!」

 

 フィールドに突き刺さる赤き筋が通る巨剣。剣に宿る人型の英霊が小野崎のセットカード(デスサイズ)と(カドケウス)を叩き割った。

 

小野崎

 「相手ターンに破壊された(デスサイズ)をチェーン1、(カドケウス)をチェーン2で発動!それぞれ特殊召喚!」

 

 フィールドに突き刺さる杖と大鎌。(デスサイズ)はヤバイって!

 

小野崎

 「更に(カドケウス)をチェーン1、(デスサイズ)をチェーン2で発動!(デスサイズ)の効果でこのターン相手はEXデッキからの特殊召喚を封印し、(カドケウス)は場にいる時にアーティファクトモンスターが特殊召喚されると1枚ドローする!」

 

小野崎 手札1→2

 

小野崎

 「俺がドローしたとき(テテュス)の効果発動!ドローした天使族モンスターを見せる事で追加ドロー出来る!ドローしたのは(アーティファクト·モラルタ)!1枚ドロー!ドローしたのは(アステルドローン)!更にドロー!これでドローは終了だ」

 

小野崎 手札2→3→4

 

 俺のターン何だけど……まぁそういうテーマなんだけどさ。しかもEX封印されたからこのターン展開出来ねぇな。

 

鏡介

 「むぅ……仕方ない。モンスターセット。カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

鏡介 LP3500 手札4 伏せ0

 

スポーア 守800

森羅の賢樹 シャーマン 攻2600

森羅の仙樹 レギア 攻2800

 

小野崎 LP4000 手札4 伏せ1 

 

アーティファクト·デスサイズ 攻2200

アーティファクト·カドケウス 守2400

アーティファクト·ベガルタ 守2100

光神テテュス  攻2400

 

奇跡の光臨

 

小野崎

 「フッフッフ……中々良い顔するじゃないか魔王様。デュエルする前は呪眼が無い事を心細く思っていたが……その顔を見れるなら作った甲斐があった物だぁ……」

 

 うっぜぇ顔するな邪眼使い。まぁまぁいい性格してやがる。まぁ……俺もメタビするときはそんな気持ちだし強く言えねぇわ。

 

鏡介

 「ほざけ。このターンは様子見に過ぎん。次のターンに我が完璧な手札と必殺の伏せを以て貴様の盤面が灰燼に帰すと心得ろ」

 

 ブラフを貼れ俺。相手ターンのアーティファクトで最も警戒すべきなのは(デュランダル)や(セイクリッド·プレアデス)といったランク5のエクシーズ。(テテュス)は使わないだろうが手札の(アステルドローン)を使えばランク5が2体並ぶ。どうにかして話術だけで妨害吐かせて(魔導雑貨商人)リバースさせりゃ勝機はある。

 

小野崎

 「俺のターン!ドロー!(テテュス)は発動しない」

 

小野崎 手札4→5

 

小野崎

 「(アステル・ドローン)を召喚!俺は(アーティファクト·カドケウス)とレベル5としても扱える(アステル・ドローン)でオーバーレイ!神話の時代より目覚めし神器よ!巨岩すら切り裂くその力を眼前の悪魔に解き放て!エクシーズ召喚!(アーティファクト·デュランダル)!」

 

 銀河の渦が炸裂し、フィールドに突き刺さる巨大な大剣。それを赤と青が交じる亡霊が上段で構える。

 

小野崎

 「(アーティファクト·デュランダル)がエクシーズ召喚したとき、素材の(アステル・ドローン)の効果を発動!1枚ドロー!(テテュス)は発動せず、(デスサイズ)と(べガルタ)でオーバーレイ!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5!(セイクリッド・プレアデス)!」

 

 フィールドに降り立ったのは、左手に逆手に長剣を握る騎士。フリチェバウンスを飛ばす厄介なモンスターだ。

 

小野崎 手札5→6

 

小野崎

 「(セイクリッド·プレアデス)の効果を発動!素材の(デスサイズ)を取り除き、セットカードを手札に戻す!」

 

 騎士の剣が煌めかせ、俺のセットカードは手札に帰ってきた。

 

鏡介 手札4→5

 

鏡介

 「ッ……守りが1つ剥がれたか……」

 

小野崎

 「どうやらアンタの手札は相当良いらしいなぁ……ならズタズタにしてやるぜ!カードを1枚セットして(デュランダル)の効果発動!素材の(カドケウス)を取り除き、お互いの手札を全てデッキに戻し、戻した分ドローする!」

 

 効果処理が始まり、手札をデッキに戻してドローする。

 

鏡介 手札5→0→5

 

小野崎 手札6→5→0→5

 

 う〜ん。完璧ではないが……大分マシにはなったな。

 

小野崎

 「天使族(アステル·ドローン)を見せて(テテュス)の効果で1枚ドロー!ドローしたのは(カドケウス)!追加ドロー!ドローしたのは(フェイルノート)!追加ドロー!ドローはここまでか」

 

小野崎 手札5→6→7→8

 

小野崎

 「バトル!(デュランダル)でセットモンスターを攻撃!」

 

 巨大な大剣が振り下ろされ、セットモンスター(魔導雑貨商人)が開かれた。

 

小野崎

 「な!(雑貨商人)だと!?」

 

鏡介

 「(魔導雑貨商人)のリバース効果発動!魔法罠が出るまでデッキを捲り、捲られた魔法罠は手札に加え残りを墓地に送る!行くぞ!」

 

 捲られたのは……(にん人)、(六花のひとひら)、(六花のしらひめ)、(森羅の実張り ピース)、(魔導雑貨商人)、(森羅の姫芽君スプラウト)、(森羅の水先 リーフ)、(森羅の影胞子ストール)、(ローンファイア・ブロッサム)、(グローアップ·バルブ)、(立花精ボタン)×2、(六花精ヘレボラス)、(六花精スノードロップ)、(貪欲な壺)。

 

鏡介

 「捲られたのは(貪欲な壺)!手札に加え、墓地へ送られた(ピース)、(姫スプラウト)、(リーフ)、(ストール)の効果発動!(ストール)でそのセットカードを破壊し、(リーフ)で(プレアデス)を破壊、(姫スプラウト)は墓地から蘇生してレベルを7に変更、(ピース)で墓地から下級植物である(神芽スプラウト)を特殊召喚!」

 

 破壊されたセットカードは(モラルタ)か。相手ターンに破壊されないと特殊召喚されないから上々だな。

 

鏡介

 「更に特殊召喚された(神芽スプラウト)の効果発動!2枚捲る!」

 

 捲られたのは……(コピープラント)、(マルデル)。

 

小野崎

 「クッ……味な真似を……(光神テテュス)で(スポーア)を攻撃して戦闘破壊し、カードを3枚セットしてターンエンドだ」

 

鏡介

 「エンドフェイズに(六花のひとひら)の効果発動!俺の場にモンスターが存在しないか植物族のみの場合、墓地から特殊召喚!」

 

小野崎 LP4000 手札4 伏せ4

 

アーティファクト·デュランダル 攻2400 素材1

光神テテュス 攻2400

 

奇跡の光臨

 

鏡介 LP3500 手札5 伏せ0

 

森羅の賢樹 シャーマン 攻2600

森羅の仙樹 レギア 攻2800

森羅の姫芽君 守100 レベル7

六花のひとひら 守0

森羅の神芽スプラウト 守100

 

デーモンの宣告

 

鏡介

 「俺のターン!ドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「(六花のひとひら)の効果発動!自身以外の六花カードを手札に加える!加えるのは(六花来々)!そのまま発動!」

 

鏡介 手札6→7→6

 

 フィールド魔法を発動した瞬間。突然フィールドに雪が降り始めた。

 

鏡介

 「(六花来々)の効果発動!フィールドに六花モンスターが存在する場合、デッキから六花魔法罠(六花絢爛(けんらん))をセットする!そのまま発動!フィールドの植物族(神芽スプラウト)をリリースしてデッキから六花モンスター(六花精スノードロップ)を加え、植物族をリリースした場合には更に手札に加えたモンスターと違うカードで同レベルの植物族モンスター、2枚目の(森羅の仙樹 レギア)を手札に!」

 

鏡介 手札6→7→8

 

鏡介

 「(シャーマン)の効果発動!1枚捲る!」

 

 捲られたのは……(デーモンの宣告)か。デッキ下に戻す。

 

鏡介

 「(レギア)の効果発動!1枚捲る!」

 

小野崎

 「止めさせてもらおうか!(アーティファクト·デュランダル)の効果発動!素材の(アステル·ドローン)を取り除き、その効果を【相手はフィールドの魔法罠カードを1枚選んで破壊する】に書き換える!」

 

 (レギア)のテキストが書き換えらる。俺は……あのセットカードを破壊しようか。

 

 割られたのは(デスサイズ)。

 

小野崎

 「破壊されたデスサイズの効果は特殊召喚され、効果発動!このターンのEXデッキからの特殊召喚を封じる!」

 

鏡介

 「墓地の(六花のしらひめ)の効果発動!墓地のこのカードをデッキに戻し、俺のフィールドの植物族(ひとひら)をリリースしてその発動した効果を無効にする!」

 

 これでEX封じは阻止した。ガンガン行くぞ!

 

鏡介

 「手札の(六花精スノードロップ)の効果発動!フィールドの植物をリリースして手札の他の植物族と共に特殊召喚する……が!(六花来々)の永続効果により、六花カードのコストを相手フィールドのモンスターに肩代わりさせる!よって俺は(テテュス)をリリースして(レギア)と共に特殊召喚!」

 

 フィールドでチラチラ降っていた雪が唐突に激しさを増し、雪は吹雪となって天使を容易く呑み込んだ。

 吹雪が晴れると、そこには儚げな雰囲気漂わす美少女と御神木が立っていた。

 

鏡介 手札8→9→8→7

 

小野崎

 「ッ……トラップ発動!(アーティファクトの神智)!デッキからアーティファクトモンスター(アーティファクト·モラルタ)を特殊召喚!」

 

 対象取らない破壊を行使するアーティファクト。だが止めらんねぇな……

 

小野崎

 「(モラルタ)の効果発動!相手ターン特殊召喚された事で(レギア)を選んで破壊!」

 

 フィールドに突き刺さる一振りの神器。(モラルタ)は機敏な動きで大木を一刀両断して破壊した。

 

鏡介

 「俺はレベル7になってる(森羅の姫芽君)と(シャーマン)でオーバーレイ!エクシーズ召喚!(森羅の鎮神オレイア)!」

 

小野崎

 「ここだぁ!トラップ発動!(アーティファクトの開放)!フィールドのアーティファクト2体でエクシーズ召喚を行う!(デスサイズ)と(モラルタ)でオーバーレイ!星々の光よ!再び大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5!(セイクリッド・プレアデス)!即座に効果発動!素材の(モラルタ)を取り除き、(森羅の鎮神オレイア)を手札に戻す!」

 

 相手ターンにエクシーズ!?(オレイア)起動効果だから効果使う前に除去されちまったよ。

 

鏡介

 「まだだ!墓地の(にん人)の効果発動!フィールドの(レギア)をリリースして墓地から特殊召喚!更に(スノードロップ)の効果発動!自分フィールドのモンスター(にん人)を対象に取り、俺のモンスター全てのレベルをそのモンスターのレベルに統一する!よって全員レベル4になる!」

 

六花精ティアドロップ レベル8→4

 

鏡介

 「俺はレベル4の(にん人)とレベル4になった(スノードロップ)でオーバーレイ!可憐なる精霊よ!高位なる者の礎となれ!エクシーズ召喚!(六花聖ストレナエ)!」

 

 フィールドに優しく着地したのは、あどけなさ残る可憐な少女。その小さな手には雪の結晶を象ったせいか……あまり傘として機能してなさそうな傘が握られていた。

 

鏡介

 「(ストレナエ)の効果発動!素材の(スノードロップ)を取り除き、墓地の植物族か六花カードを手札に加える!俺が加えるのは(ローンファイア・ブロッサム)!そのまま召喚!効果を発動!フィールドの植物族(ストレナエ)をリリースしてデッキから植物族を特殊召喚する!来い!(森羅の番人 オーク)!」

 

鏡介 手札7→8

 

 少女を贄として場に着地する、四肢がそこらに生える木の色みたいなオーク。そして場に残った傘に光が満ちる。

 

鏡介

 「素材を持ってる状態でリリースされた事で(ストレナエナ)の効果発動!EXデッキからランク5以上の植物エクシーズを特殊召喚し、このカードを素材にする!秘めたる想いは雪の如く降り積もり!この地に力となって現出するだろう!ランク8(六花聖ティアドロップ)!」

 

  フィールドに降り立つ儚げな雰囲気を纏う美女。(ストレナエ)同様役に立ちそうも無い傘を手にしている。

 

鏡介

 「(オーク)の効果発動!自分メインフェイズに3枚捲る!」

 

 捲られたのは……3枚目の(ピース)、(リーフ)、(雑貨商人)か。

 

鏡介

 「墓地へ送られた(リーフ)と(ピース)の効果発動!(ピース)で墓地の(神芽スプラウト)を特殊召喚!(リーフ)で(プレアデス)を破壊!」

 

 木の葉を模した小さな精霊が墓地から身体周りに木の葉を無数に生み出し、それを刃として射出して光の騎士を切り刻み破壊した。

 

小野崎

 「これで俺の場はガラ空き……か。だが勝負はこれから!瞬きする間に逆転してやるさ!」

 

 強気の根源はあの伏せか?(ストール)でも落ちりゃいいんだが……

 

鏡介

 「(神芽スプラウト)の効果発動!2枚捲る!」

 

捲られたのは……(ストール)、2枚目の(薔薇恋人)!。

 

鏡介

 「破壊するのが怖いがやるしかねぇ!(ストール)の効果発動!セットカードを破壊だぁ!」

 

 キノコの胞子が撒き散らし、胞子が伏せカード(やぶ蛇)を侵食し破壊した。あっ……

 

小野崎

 「フッ……ハッハハハハ!相手に破壊され墓地へ送られるか除外された(やぶ蛇)の効果発動!デッキ·EXデッキからモンスターを特殊召喚する!崇高で無慈悲なる大天使よ!その威光で以て臆病者を平伏させよ!やぶ蛇召喚!(大天使クリスティア)!」

 

 フィールドに降臨する中性的な天使。その効果は……永続的にお互いの特殊召喚を封じる制圧効果。

 

小野崎

 「信じていたぜぇ!魔王様が伏せを割ってくれるってさぁ!(大天使クリスティア)は場に存在する限り、お互いに特殊召喚出来ない!さぁ!魔王様!この攻撃力2800を突破出来るならしてみるがいいさ!」

 

 クッ……(やぶ蛇)踏んだのが悔しいが……突破は簡単に出来る!

 

鏡介

 「(六花聖ティアドロップ)の効果発動!素材の(ストレナエ)を取り除き、フィールドの(大天使クリスティア)をリリースする!」

 

小野崎

 「手札から(朱光の宣告者(バーミリオン・デクレアラー))の効果発動!コストでこのカードと天使族(アーティファクト·フェイルノート)を墓地へ送り、モンスター効果の発動を無効にして破壊する!」

 

 (ティアドロップ)が傘を振るおうとした瞬間に無数の橙色の光が(ティアドロップ)に突き刺さり破壊された。(バーデク)ってまじかよ!?

 

小野崎 手札4→3→2

 

鏡介

 「まだだ!(貪欲な壺)発動!墓地の(リーフ)、(ストレナエ)、(ティアドロップ)、(ピース)2枚を戻して2枚ドロー!」

 

鏡介 手札8→7→9

 

鏡介

 「(森羅の施し)発動!3枚ドローして森羅モンスター含む2枚をデッキに戻す!」

 

 ……よし!なんとかなりそうだ!万が一無効にされても(来々)でなんとかなる!

 

鏡介 手札9→8→11→9

 

鏡介

 「(デーモンの宣告)の効果発動!LPを500LP払い、宣言は(ローンファイア・ブロッサム)!」

 

 捲られたのは……当然(リーフ)!

 

鏡介

 「捲られた(リーフ)の効果発動!(大天使クリスティア)を対象に破壊!」

 

 再び放たれた木の葉の刃が大天使を切り刻んで破壊した。

 

小野崎

 「バ、バカな!(大天使クリスティア)の強制効果発動!表側で破壊された場合、デッキの1番上に戻る!」

 

 伏せは無い。一気に決めに行くぞ!

 

鏡介

 「墓地の(薔薇恋人)の効果発動!墓地から除外して手札から(森羅の実張りピース)を特殊召喚!効果発動!召喚·特殊召喚に成功した場合にデッキトップを捲る!」

 

 捲られたのは当然2枚目の(姫芽君スプラウト)!

 

鏡介

 「(姫芽君スプラウト)にチェーンして手札の(シャーマン)の効果発動!特殊召喚し、(姫芽君スプラウト)はレベルを7にして特殊召喚!そしてそれらをオーバーレイ!霊峰に住まう神鳥よ!その翼を大いに広げ、我が仇を吹き飛ばせ!エクシーズ召喚!飛翔せよ!(森羅の鎮神オレイア)!」

 

 フィールドに降り立つ、 緑の羽根で身を包む巨大な鳥。最大で対象取らない3体バウンスを叩き込むとんでもないモンスターだが、今回はこれを披露する場は無いようだ。 

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(オーク)と(オレイア)でダイレクト!」

 

 (オーク)の棍棒による一撃と、(オレイア)の放つ暴風が小野崎に直撃し声を発するよりも先に吹き飛ばした。

 

小野崎 LP4000→1600→-1200

 

鏡介

 「ガッチャ。良いデュエルだったよ。立てるか?【邪眼使い】?」

 

小野崎

 「あぁ……フフフ、流石は魔王様。完敗だ。俺の最高のタクティクスをこうも容易く打ち破るとはな……」

 

 清々しい表情で俺の手を取る小野崎。それにしても、途中で悪役ロール剥げてたな……反省反省。

 

鏡介

 「いや、これは薄氷の勝利というものさ。(雑貨商人)を(プレアデス)でバウンスされたら万策尽きてたし、(デュランダル)の手札交換が無ければ次のターンも満足に動けなかっただろう」

 

 俺の発言に、小野崎は動揺を隠せず声を震わせる。

 

小野崎

 「ま、まさかあれ……ブラフだったのか!そんな馬鹿な!あの雰囲気は間違いなく次ターン渡したらワンキルしてくるようなそれだったぞ!」

 

鏡介

 「それを言うならアンタの(やぶ蛇)も大概だろうに。伏せを使えば巻き返せる。そんな希望を孕んだ眼をしていたよ。機会があればまたデュエルをしよう。本来のデッキで……な」

 

 固い握手を交わし、デュエルフィールドを離れ席に戻ると、隣で座る透子が迎えてくれた。

 

透子

 「お疲れ様でした。良いデュエルでしたね。少なくとも私とデュエルしてた時よりもずっと」

 

鏡介

 「あれと比べたら大抵のデュエルは良いデュエルだろうが。やっぱり六花で初動増やしてるとはいえ60枚デッキ……それも上級を多く入れる森羅は事故りやすいな。まぁ楽しいから良いけどさ」

 

 突如指に何かが絡まる感触が脳に届き、思わず身体が強張った。感覚がした方に視線を向けると、透子が指を絡める様に俺の手を握っていた。それはまさに……恋人繋ぎとかいう奴だった。

 

鏡介

 「お、おい……周りに人がいるんだぞ……こんな……」

 

透子

 「嫌……でしたか?」

 

 指から伝う透子の鼓動。そして上目遣いで恐る恐る聞く透子の声色に、俺の心臓が(リミッター解除)したかのように血液を猛烈な勢いで回し出す。

 

鏡介

 「い、嫌……じゃない……けど……」

 

透子

 「じゃあもっと近づきますね!」

 

 有無を言わさずに俺の膝に乗ってくる透子。俺の腕の中にかろうじて収まってしまう透子の髪から溢れる香りに、俺の理性が悲鳴をあげようとしていた。

 

透子

 「どう……ですか?重くは無いですか?」

 

鏡介

 「重くはないが愛は重いかな……正直理性が揺さぶられるのを感じるぞ……」

 

透子

 「フフフ……嬉しいですね。それじゃあ、一緒にデュエルを見ましょう?ほら、あっちで凄い激戦が繰り広げられてますよ!」

 

 透子が指さした試合に精神を集中させてなんとか理性を保っていると、透子の番がやってきたらしく、放送で透子が呼び出された。

 

鏡介

 「透子の番か……応援してるからな!」

 

透子

 「見てて下さい。相手を封殺してみせますから!」

 

 俺が本心からそう口にすると、透子は笑顔で応えデュエルフィールドへ向かった。



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IF13.月1デュエル〜時を裂く宝石と古の幽霊達〜

 

 透子が教員にデッキを見せてフィールドに立つ。相手は……氷野か。

 

小野崎

 「何やら話をしてるみたいだな……ちょっと遠いから聞き取ることは叶わんか」 

 

 魔力で聴力強化して……ハハッ。

 

鏡介

 「どうやら氷野は透子が俺の部屋によく来る事をからかってるみたいだな。恥ずかしがってる透子もかわいいな」

 

小野崎

 「アンタ……異性を自室に誘うなんてしれっととんでもない事してんな……デキてるんだろ?あれを見るに」

 

 ジト目で疑問を投げる小野崎。なんも言い返せねぇ……

 

鏡介

 「まぁ……うん。氷野が言ってる通り折り合いついたからな。そんなことよりデュエル始まるぞ」

 

 デュエルの掛け声と共にデュエルが始まった。先攻は……氷野か。確か戦士族とか言ってたよな。今回の月1デュエルでは友人とデッキを交換するなんて事はよくあるみたいだし、エレメントセイバーか?

 

氷野

 「……!引いた!私は手札から魔法カードを発動!私に力を貸して!時空を引き裂く魔性の輝石!(時を裂く魔瞳(モルガナイト))!」

 

鏡介

 「と、(時を裂く魔瞳(モルガナイト))だとぉ!」

 

 俺が驚いている間に、怪しげな光を放つ瞳の様な形の宝石が氷野のデュエルディスクに吸い込まれていった。

 

氷野 手札6→5

 

 あれは手札誘発が人権と化した現代遊戯王だから許されてるのであってGX時代にモルガナイトはヤバいって!

 

氷野

 「このカードは手札からモンスター効果を発動出来ないという代償を払う事で、2回の召喚権と次のターンからドローフェイズに2枚ドローする権利を手にする事が出来るわ!」

 

透子

 「なんですかそのカード!インチキ効果もいい加減にしてください!デメリットが殆どデメリットになってないじゃないですか!」

 

 透子のブーイングに、我関せずといった感じの氷野は手札のカードに手を伸ばす。

 

氷野

 「私は(切り込み隊長)を召喚!効果を発動!手札から(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)を特殊召喚!」

 

 壮年の剣士からの増援要請でやってきたのは、重機をバラして身体に装着した人。なんとなくポーズが変身ヒーローみたいだ。

 

氷野 手札5→4→3

 

氷野

 「増えた召喚権を行使して(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)を再度召喚!効果発動!再度召喚された状態で召喚·特殊召喚に成功した場合、テキストに“デュアル”と記された魔法罠(デュアル·アブレーション)を手札に加える!オマケに攻撃力が500アップして機械族になるわ」

 

氷野 手札3→4

 

氷野

 「そして(手札断殺)を発動!お互いに2枚捨てて2枚ドローする!カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

氷野 LP4000 手札1 伏せ2

 

切り込み隊長 攻1000

重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト 攻2000 *デュアル

 

透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

小野崎

 「なるほど。デュアルの召喚権問題を解決するためのカードか。ターンを跨げば跨ぐほどリソースの差は開いていく。この厳しい戦いを【蛇締王(じゃていおう)】はどう切り抜けるか見ものだな」

 

鏡介

 「罠ビにありがたい効果だよな……俺の真竜に採用したいな。当然呪眼にも使えるな」

 

 小野崎の言う通り(モルガナイト)が発動された今、ターンを重ねるとどんどん氷野が有利になる。かと言って透子のデッキは後攻1ターンに勝負を決めれるデッキでは無い。リンク召喚があれば数ターンと大量のリソース吐いて(メモリーガント)出して消し飛ばす事もあるだろうがそれは無いものねだりってやつだ。

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「(オルターガイスト·メリュシーク)を召喚!バトルフェイズ!(オルターガイスト·メリュシーク)でダイレクトアタック!このカードはダイレクトアタック出来ます!」

 

氷野

 「攻撃力500程度なら……クッ!」

 

 フィールドに降り立つ水色の小さな人魚みたいなモンスター。それはモンスターを飛び越えて氷野に襲いかかる。

 

氷野 LP4000→3500

 

透子

 「戦闘ダメージを与えた(メリュシーク)の効果発動!フィールドのカード……そこのセットカードを対象に墓地へ送ります!」

 

氷野

 「ッ……ならば速攻魔法発動!(デュアル·スパーク)!フィールドのレベル4のデュエルモンスター(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)をリリースして(メリュシーク)を破壊して私は1枚ドロー出来る!」

 

 セットカード(デュアル·スパーク)から稲妻が走り(メリュシーク)を焼き、道連れと言わんばかりに(メリュシーク)は(デュアル·スパーク)に取り憑き砕け散った。

 

氷野 手札1→2

 

透子

 「フィールドから墓地へ送られた(メリュシーク)の効果発動!デッキから自身以外のオルターガイストモンスター(オルターガイスト·マルチフェイカー)を手札に!メインフェイズ2に入り、カードを3枚セットしてターンエンドです!」

 

透子 手札5→6→3

 

氷野

 「メインフェイズ2に永続トラップ(デュアル·アブレーション)を発動!同時に効果を発動して手札1枚(エヴォルテクターシュヴァリエ)をコストに、デッキからデュアルモンスターを再度召喚扱いで特殊召喚する!来て!(エヴォルテクターエヴェック)!」

 

 フィールドに飛び込むは、炎を纏うフレイルを握った赤き鎧を身に着けた戦士。

 

氷野 手札2→1

 

氷野

 「(エヴェック)の効果発動!召喚·再度召喚扱いで特殊召喚に成功した場合、墓地の炎属性·戦士族またはデュアルモンスター(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)を特殊召喚!」

 

 フレイルを叩きつけると、墓地から重機戦士が蘇る。

 

氷野 LP3500 手札1 伏せ0

 

切り込み隊長 攻1000

重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト 攻1500

エヴォルテクターエヴェック 攻1500 *デュアル

 

デュアル·アブレーション

 

 

透子 LP4000 手札3 伏せ3

 

小野崎

 「氷野のデッキの展開力は凄まじいな。とても不遇の頂点と言われるデュアルだとは思えんな。これは【蛇締王(じゃていおう)】とはいえど物量で押されるんじゃないか?」

 

鏡介

 「いや、まだ分からない。透子の手札には(マルチフェイカー)がある。オルターガイストはここから動き出すぞ」

 

氷野

 「私のターン。2枚ドロー!」

 

氷野 手札1→3

 

氷野 

 「フッ……(生還の宝札)を発動!そして(思い出のブランコ)を発動!墓地の(炎妖蝶ウィルプス)を特殊召喚!(宝札)で1枚ドローして(ウィルプス)再度召喚!効果発動!コストで自身をリリースし、墓地のデュアルモンスター、(エヴォルテクター·エヴェック)を再度召喚扱いで特殊召喚!(宝札)で1枚ドロー!そして(エヴェック)の効果発動!墓地から(シュヴァリエ)を特殊召喚!(宝札)でドロー!(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)を2回目の召喚権を行使して再度召喚して効果発動!デッキから(化合電界)を手札に加えて発動!」

 

 怒涛の蘇生による(宝札)ドロー。やっぱ(生還の宝札)はイカれカードだな。

 

氷野 手札3→2→1→2→3→4→5→4

 

 フィールド魔法が発動され、スパークが至る所で飛び交う世界に書き換わる。

 

透子

 「ここで永続罠(オルターガイスト·プロトコル)発動!現時点では、特に効果はありません」

 

 罠が発動したし……来るか。

 

透子

 「トラップカードを発動した場合、手札の(オルターガイスト·マルチフェイカー)の効果発動!手札から自身を特殊召喚!」

 

 フィールドに降り立つ下半身が蜘蛛の様に多脚なモンスター。(オルターガイスト)を環境足らしめた最強カードだ。

 

透子 手札3→2

 

透子

 「特殊召喚に成功した(マルチフェイカー)の効果発動!デッキからオルターガイストモンスター(オルターガイスト·シルキタス)を特殊召喚!」

 

 (フェイカー)に呼ばれて来たのは、翼を携えた人型モンスター。オルターガイストの妨害要因の筆頭だ。

 

氷野

 「低打点のモンスターが出てきたけど……このまま突き進む!(デュアル·アブレーション)の効果発動!手札1枚(手札断殺)と更にフィールドの再度召喚されたモンスター(エヴォルテクターエヴェック)を墓地へ送り、デッキから炎属性·戦士族を特殊召喚し、追加でフィールドのカードを選んで破壊出来る!」

 

透子

 「ここでトラップ発動!(オルターガイスト·マテリアリゼーション)!チェーンして(シルキタス)の効果発動!コストで(マテリアリゼーション)を手札に戻します。何かありますか?」

 

氷野

 「相手ターンにモンスター効果……いえ、何もないわ」

 

透子

 「ならば逆順処理で、(シルキタス)の効果で相手フィールドのカード(デュアル·アブレーション)を手札に戻し、(マテリアリゼーション)で墓地のオルターガイストモンスター(メリュシーク)を攻撃表示で特殊召喚。その後に装備カードになって装備され、このカードがフィールド離れると自壊するデメリットが付きますが、肝心の(マテリアリゼーション)は私の手札にあるのでその処理は行われません。そして、フィールドから離れた永続罠である(デュアル·アブレーション)は不発になります」

 

 出たなオルターガイストの小技。これで氷野はコストを払い損になった訳だ。

 

氷野 手札3→2→3

 

透子 手札2→3

 

氷野

 「ならば……(スーペルヴィス)を(シュヴァリエ)に装備!このカードを装備したモンスターは再度召喚した扱いになる!」

 

氷野 手札3→2

 

氷野

 「(シュヴァリエ)の効果発動!フィールドの装備カード(スーペルヴィス)を墓地へ送り、(オルターガイスト·プロトコル)を対象に破壊する!」

 

透子

 「永続トラップ(オルターガイスト·プロトコル)の効果発動!モンスターの効果が発動したとき、フィールドのオルターガイストモンスター(オルターガイスト·メリュシーク)を墓地へ送り、その発動を無効にして破壊します!」

 

 小さな人魚を贄として、一閃を放とうと構える剣士を呪いによって破壊した。

 

透子

 「フィールドから墓地へ送られた(メリュシーク)の効果発動!デッキから(オルターガイスト·クンティエリ)を手札に!」

 

透子 手札3→4

 

氷野

 「でも墓地へ送られた(スーペルヴィス)の効果発動!装備状態のこのカードが効果で墓地へ送られた時、墓地のデュアルモンスター(エヴォルテクター·シュヴァリエ)を特殊召喚!(宝札)でドロー!」

 

氷野 手札2→3

 

氷野

 「バトル!(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)で(オルターガイスト·シルキタス)を攻撃!」

 

透子

 「フィールドにオルターガイストカードが存在するとき、手札から(オルターガイスト·クンティエリ)の効果発動!このカードを特殊召喚し、その攻撃を無効にする!」

 

 重機戦士が突然ブルドーザーに変形して前進しようとした瞬間。下半身が馬の様なモンスターが透子の手札から飛び出してきた。馬が着地したと思ったら、金縛りにでもあったのかブルドーザーは一切の移動が出来なくなっていた。

 

透子 手札4→3

 

氷野

 「ッ……!守備力2400の壁を出しつつ攻撃を無効?なんて厄介な……」

 

透子

 「それだけじゃないですよ?(クンティエリ)の効果発動!特殊召喚に成功した場合、相手フィールドに表側で存在するカード(エヴォルテクター·シュヴァリエ)を対象にとり、このカードが存在する限りその効果を無効にし続けます!」

 

 (クンティエリ)の頭部の角から電波が放たれ、炎の戦士の色が抜けていく。

 

氷野

 「本当に厄介なカード……(エヴォルテクター·シュヴァリエ)で(オルターガイスト·シルキタス)を攻撃!」

 

 白黒の戦士の機敏な動きから放たれる一閃が(シルキタス)を両断し破壊した。

 

透子

 「フィールドから墓地へ送られた(シルキタス)の効果発動!墓地のオルターガイスト罠(オルターガイスト·マテリアリゼーション)を手札に加えます!」

 

 透子 手札3→4

 

氷野

 「(切り込み隊長)の攻撃力じゃ(マルチフェイカー)の攻撃力を超えられない……メインフェイズ2にフィールド魔法(化合電界)の効果発動!コストとして再度召喚されたモンスター(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)をエンドフェイズまで除外することで、フィールドのカード(マルチフェイカー)を破壊!」

 

 重機戦士がスパークと共に消えると、(マルチフェイカー)に雷が直撃し爆散した。

 

透子

 「ッ……召喚権を増やすだけではなく他の効果があったなんて……」

 

氷野

 「カードを2枚セットしてターンエンド。そして(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)は帰還する」

 

氷野 LP3500 手札1 伏せ2

フィールド(化合電界)

切り込み隊長 攻1000

重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト 攻1500

エヴォルテクター·シュヴァリエ(無効) 攻1900

 

生還の宝札

 

 

透子 LP4000 手札4 伏せ1

 

オルターガイスト·クンティエリ 守2400

 

オルターガイスト·プロトコル

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札4→5 

 

透子

 「(強欲で金満な壺)を発動!EXデッキを6枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

透子 手札5→4→6

 

透子

 「(オルターガイスト·マリオネッター)を召喚!効果発動!デッキからオルターガイスト罠、(オルターガイスト·ホーンテッドロック)をセット!そして発動!」

 

透子 手札6→5

 

氷野

 「セットした罠を即座に発動!?」

 

透子

 「(オルターガイスト·ホーンテッドロック)はオルターガイストモンスターの効果でデッキからセットされるとセットしたターンに発動出来ます!(オルターガイスト·ホーンテッドロック)は発動時の効果処理として、手札からオルターガイストモンスター2枚目の(オルターガイスト·メリュシーク)を墓地へ送ります。そして(マリオネッター)第2の効果発動!フィールドの(ホーンテッドロック)と墓地のオルターガイストモンスター(マルチフェイカー)をそれぞれ対象にとり、(ホーンテッドロック)を墓地へ送り、(マルチフェイカー)を特殊召喚!」

 

透子 手札5→4

 

 出た、オルターガイストのちょっとしたテクニック。本来これで先攻から(ヘクスティア)立てられるんだけど……無いんだよな。

 

透子

 「特殊召喚に成功した(マルチフェイカー)の効果発動!デッキから3枚目の(メリュシーク)を守備表示で特殊召喚!そして(メリュシーク)をリリース!来て!(沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン)!

 

 フィールドに優雅に降り立つ、青を基調としたローブを纏う麗しい魔女。

 

透子 手札4→3

 

透子

 「墓地へ送られた(メリュシーク)の効果発動!デッキから2枚目の(マルチフェイカー)を手札に!そしてフィールド魔法(魔法族の里)発動!」

 

透子 手札3→4→3

 

氷野

 「ッ!マズイ!速攻魔法(デュアル·スパーク)発動!フィールドの(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)をリリースして(魔法族の里)を破壊する!」

 

透子

 「(沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン)の効果発動!相手が魔法カードを発動したとき、その発動を無効にします!」

 

 重機戦士を贄にして雷が放たれたが、魔女はその手に持つ杖から魔法を放ち、雷をかき消した。

 

 スパーク飛び交う世界が刷新され、木漏れ日が辺りを照らす森林へと変化した。

 

透子

 「バトルフェイズ!(マルチフェイカー)で(切り込み隊長)に攻撃!ジャミングネット!」

 

 (マルチフェイカー)の脚で編み上げられた電波の網が(切り込み隊長)を絡め取り通電、彼を感電させて破壊した。

 

氷野 LP4000→3800

 

透子

 「次!(マリオネッター)で(ゴルドナイト)で攻撃!」

 

 (マリオネッター)の頭部から放たれる電波によって重機戦士は頭を抱えて悶え始め、しまいには爆散した。えっ、グロ……。

 

氷野 LP3800→3700

 

透子

 「最後!(沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン)で(エヴォルテクター·シュヴァリエ)に攻撃!このカードの攻撃力は私の手札×500上がります。私の手札は3枚、よって元々の攻撃力1000に1500加えて2500!サイレント·バーニング!」 

 

 青き魔女から放たれる白き炎が炎の戦士を容易く呑み込み消滅させた。

 

氷野 LP3700→3100

 

透子

 「メインフェイズ2。カードを2枚セットしてターンエンド。(沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン)の攻撃力は1500になります」

 

透子 LP4000 手札1 伏せ3

フィールド(魔法族の里)

オルターガイスト·マリオネッター 攻1600

オルターガイスト·マルチフェイカー 攻1200

オルターガイスト·クンティエリ 守2400

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン 攻2500→1500

 

オルターガイスト·プロトコル

 

氷野 LP3100 手札2 伏せ1

 

生還の宝札

 

氷野

 「私の……ターン!」

 

氷野 手札2→4

 

氷野

 「……フッ、私はフィールドゾーンにカードをセット。これで(魔法族の里)は破壊される」

 

 森がノイズと共に消え、普通のデュエルフィールドへ姿を変える。

 

氷野 手札4→3

 

氷野

 「セットされた(化合電界)発動。私は(思い出のブランコ)を発動。墓地から通常モンスター(炎妖蝶ウィルプス)を特殊召喚する。(宝札)でドロー。そして最後の(デュアル·スパーク)発動。(ウィルプス)をリリースして……(オルターガイスト·クンティエリ)を破壊!」

 

透子

 「通しません!(沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン)の効果を発動!魔法カードの発動を無効!」

 

氷野 手札3→2→3→2

 

 妨害されるのを承知で除去魔法……何かとんでもないカードの露払いのため……?手札のうち1枚は(デュアル·アブレーション)だし……1枚でどうこう出来るのか?

 

氷野

 「(早すぎた埋葬)を発動。LP800を払い、墓地の(ウィルプス)を特殊召喚。そして装備カードてして装備され、このカードが破壊されると(ウィルプス)も破壊される。(宝札)で1枚ドロー。……最高の引きね。(ハリケーン)発動。お互いのフィールドの魔法·罠カードを全て手札に戻す!」

 

氷野 LP3100→2300 手札2→1→2→1

 

透子

 「な……トラップ発動!(マテリアリゼーション)!(パーソナル·スプーフィング)!手札·フィールドのオルターガイストカード、フィールドの(クンティエリ)をデッキに戻して、デッキのオルターガイストモンスター2枚目の(マルチフェイカー)を手札に!そして墓地から(メリュシーク)蘇生」

 

 フィールドに吹き荒れる大暴風。それらフィールドの魔法罠を全て引っ剥がした。そして(マテリアリゼーション)で繋がれていた(メリュシーク)は自壊した。

 

氷野 手札1→4

 

透子 手札1→2→5

 

透子

 「罠が発動した事で(マルチフェイカー)の効果発動にチェーンして墓地へ送られた(メリュシーク)の効果発動!デッキから(クンティエリ)を手札に加え、(マルチフェイカー)の効果で手札から自身特殊召喚し、更に効果発動!デッキから2体目の(シルキタス)を特殊召喚!」

 

透子 手札5→6→5

 

氷野

 「(化合電界)と(宝札)を再度発動し、(ウィルプス)を再度召喚。効果発動。自身をリリースして墓地の(エヴェック)を再度召喚扱いで特殊召喚。(宝札)で1枚ドロー。(エヴェック)の効果。墓地から(シュヴァリエ)を特殊召喚。(宝札)で1枚ドロー」

 

氷野 手札4→2→3→4

 

氷野

 「装備魔法(スーペルヴィス)を(シュヴァリエ)に装備。そして(シュヴァリエ)の効果発動。フィールドの(スーペルヴィス)をコストに(沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン)を破壊!」

 

 剣士は身体の炎を剣に集中させ、その剣を大地に叩きつける。

 切っ先から炎の柱が次々に吹き出し、青き魔女を飲み込み破壊した。

 

氷野 手札4→3

 

氷野

 「墓地へ送られた(スーペルヴィス)の効果発動!墓地の通常モンスター(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)を特殊召喚!」

 

透子

 「チェーンして戦闘·相手の効果で破壊された(沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン)の効果発動!手札·デッキからサイレント·マジシャンモンスターを特殊召喚!来て!(サイレント·マジシャンLV8)!」

 

 炎が止むと、青きローブが白く代わり、赤い炎のようなオーラを纏う魔女へと変化した。その打点は圧巻の3500。

 

氷野

 「(宝札)で1枚ドロー……(サイレント·マジシャンLV8)は魔法の効果を受けないから(化合電界)で処理出来ない……厄介なモンスターを出してきたものね……(早すぎた埋葬)を発動。800LP払い、(ウィルプス)を特殊召喚して装備。(宝札)でドロー」

 

氷野 LP2300→1500 手札3→4→3→4

 

氷野

 「……どうやら勝利の女神は私に勝てって言ってるみたいね。(化合電界)の効果発動!デュアルモンスターを召喚する!そして永続効果でレベル5以上のデュエルモンスターをリリース無しで召喚出来る!(フェニックス·ギアフリード)召喚!」

 

 フィールドに降り立つ、白時に金細工を施した騎士。

 

氷野 手札4→3

 

 

氷野

 「2度目の召喚権を行使して(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)を再度召喚!効果発動!デッキから(スーペルヴィス)を手札に加える!(化合電界)の効果発動!フィールドのデュアルモンスター(エヴェック)をエンドフェイズまで除外して、(シルキタス)を破壊!」

 

透子

 「チェーンして(シルキタス)の効果発動!(マリオネッター)を手札に戻し、(フェニックス·ギアフリード)を手札へ!」

 

 ん?(フェイカー)じゃないのか?いや、攻撃表示のモンスターを残さずにLPを温存しつつ、次のターンの後続を残すためか?

 

氷野 手札2→3→4

 

透子 手札5→6

 

氷野

重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト 攻2000 *デュアル

炎妖蝶ウィルプス 攻1500

エヴォルテクター·シュヴァリエ 攻1900

 

透子

オルターガイスト·マルチフェイカー 守800

オルターガイスト·シルキタス 守1600

サイレント・マジシャンLV8 攻3500

 

氷野

 「やっぱりそうなるわよね……装備魔法(団結の力)を(エヴォルテクター·シュヴァリエ)に装備!このカードはフィールドのモンスター×800攻撃力が上がる!私のフィールドには3体いるので(シュヴァリエ)は2400上がって4300!」

 

 だが(クンティエリ)で攻撃無効すれば確実に凌げるぞ?

 

氷野 手札4→3

 

氷野

 「バトル!(ウィルプス)で(マルチフェイカー)を攻撃!」

 

 炎の蝶がばら撒く赤熱した鱗粉に焼かれ(フェイカー)を破壊した。

 

氷野

 「次!(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)で(シルキタス)を攻撃!」

 

 ロードローラーに変形した重機戦士。一気に加速して(シルキタス)を轢き潰した。これは……まさかそういうことか?

 

透子

 「墓地へ送られた(シルキタス)の効果発動!墓地のオルターガイスト罠(オルターガイスト·ホーンテッドロック)を手札に加えます」

 

透子 手札6→7

 

氷野

 「行きなさい!(エヴォルテクター·シュヴァリエ)で(サイレント·マジシャンLV8)を攻撃!」

 

透子

 「手札から(クンティエリ)……あ!発動出来ない!」

 

 (クンティエリ)はフィールドにオルターガイストカード無いと特殊召喚出来ない。これはプレミだなぁ。

 

 魔導師たちのバフ魔法を受けた剣士は、魔女に必殺の一閃を叩き込み破壊した。

 

透子 LP4000→3200

 

氷野

 「メインフェイズ2、カードを1枚セットしてターンエンド。そして(エヴェック)は帰還する」

 

氷野 LP1500 手札2 伏せ1

フィールド(化合電界)

 

エヴォルテクター·エヴェック 攻1500

エヴォルテクター·シュヴァリエ 攻4300 *デュアル

炎妖蝶ウィルプス 攻1500

重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト 攻2000 *デュアル

 

生還の宝札

早すぎた埋葬(炎妖蝶ウィルプス)

団結の力(エヴォルテクター·シュヴァリエ)

 

透子 LP3200 手札7 伏せ0

 

透子

 「私の……ターン!」

 

透子 手札7→8

 

透子

 「(貪欲な壺)を発動!墓地の(メリュシーク)2枚と(シルキタス)2枚、(マルチフェイカー)をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

 ど、(貪欲な壺)?(強金)の制約でドロー出来なくなる可能性あるのに積んだのか?墓地にモンスター無くて腐る可能性もあるのに?

 

透子 手札8→7→9

 

透子

 「……バトルフェイズに入ります」

 

氷野

 「……?ならメインフェイズ終了時に永続罠(デュアル·アブレーション)を発動!手札を1枚(フェニックス·ギアフリード)を墓地へ送り、デッキから2体目の(重起士道(デュアライズ・ロード)-ゴルドナイト)を特殊召喚。効果を発動して2枚目の(デュアル·アブレーション)を手札に加えます」

 

氷野 手札2→1→2

 

小野崎

 「何もせずにバトルフェイズ?【蛇締王(じゃていおう)】もヤケになったか?手札が多いとはいえリソース差が歴然だ。これを返すのはとても……」

 

鏡介

 「いや、1枚だけある。盤面ガラ空きで入るバトルフェイズ。そんな行動を強いるカードなんてあれしかない」

 

 まさか……アレを撃つ為にわざとクンティ出さなかったのか!?

 

透子

 「フフッ……フフフフフ」

 

氷野

 「……何がおかしいの?手札は多いけど、それでも手札と場の合計は私の方が上。展開を行うメインフェイズを捨てて何をするつもり?」

 

透子

 「フフフ……これから起こる事を考えると気持ちが抑えきれなくて……このままバトルフェイズを終了しますが何かありますか?」

 

氷野

 「……何もないわ」

 

 あ……確定だ。確か手札に(マルチフェイカー)あるからそこから展開するのか。

 

透子

 「このカードは相手フィールドのカードの数が自分フィールドのカードより多い場合、自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる。そして、私の場にカードが存在しない場合、手札から発動出来る」

 

 フィールドに突如現れる二人の武将。片方は透子の場に、もう片方は氷野の方に現れ、それぞれの得物を抜き放つ。

 

透子

 「フィールドには精強なる武士が2人。実力は全くの拮抗。勝利の為に死力を尽くし、万策を講じるその勝負の先に何が残るのか。発動せよ!(拮抗勝負)!この効果により、貴方は私のフィールドのカードの枚数と同じになるようにカードを裏側で除外してもらいます!」

 

氷野

 「貴方のフィールドには(拮抗勝負)1枚。つまり……私の場から1枚を残して全て除外。ッ……私は……(炎妖蝶ウィルプス)を残してそれ以外を全て裏側で除外する」

 

 某球を7つ集めるジャンプ漫画見たいな、もはや瞬間移動としか思えない目にも止まらぬ速度で斬り合う2人。その壮絶な死闘の余波に氷野のモンスターの大半が巻き込まれ消滅した。

 結局2人は同時に相手の胸を貫き倒れ伏した。

 

透子 手札8→7

 

透子

 「そして罠カードが発動したので(オルターガイスト·マルチフェイカー)の効果発動!手札から特殊召喚してさらに効果発動!デッキから(シルキタス)を特殊召喚!」

 

透子 手札7→6

 

透子

 「メインフェイズ2に入り、(オルターガイスト·マリオネッター)を召喚。効果発動!デッキから(マテリアリゼーション)をセット。カードを3枚セットしてターンエンド」

 

透子 LP3200 手札2 伏せ4

 

オルターガイスト·マルチフェイカー 守800

オルターガイスト·シルキタス 守1500

オルターガイスト·マリオネッター 攻1600

 

氷野 LP1500 手札1 伏せ0

 

炎妖蝶ウィルプス 攻1500

 

小野崎

 「……まさかあの盤面をたった1枚で消し飛ばすとは……凄まじいな」

 

鏡介

 「後手まくりするオルターガイストの常套手段だ。手札に(フェイカー)があるならそこから1妨害足し込むんだから堪らないよな。なんなら後攻0ターン目から(シルキタス)で妨害飛ばすことすらある」

 

 さて、こうなりゃもう消化試合。氷野の手札も確定してるし流石に捲れないよな。

 

氷野

 「ッ……私のターン!」

 

氷野 手札1→3

 

 

氷野

 「(炎妖蝶ウィルプス)を再度召喚!」

 

透子

 「ならばトラップ発動(マテリアリゼーション)にチェーンして(シルキタス)の効果発動!(マテリアリゼーション)を手札に戻して(ウィルプス)を手札に戻し、(マテリアリゼーション)で(メリュシーク)特殊召喚!」

 

氷野 手札3→4

 

透子 手札2→3

 

氷野

 「まだよ!私は2度目の召喚権を行使して(切り込み隊長)を召喚!効果発動!手札からレベル4以下のモンスター(エヴォルテクター·シュヴァリエ)を特殊召喚!そして装備魔法(スーペルヴィス)を装備!(エヴォルテクター·シュヴァリエ)の効果発動!(スーペルヴィス)を墓地へ送り……そこのセットカードを破壊!」

 

透子

 「チェーンして(オルターガイスト·プロトコル)を発動!効果を発動して(メリュシーク)を墓地へ送りその発動を無効にして破壊します!」

 

 いつぞやのターンに起きた事が繰り返される。違いは……もう挽回出来ない程にリソース差がついている事ぐらいだろうか。

 

氷野 手札3→2→1

 

氷野

 「墓地へ送られた(スーペルヴィス)の効果で……(フェニックス·ギアフリード)を特殊召喚……」

 

透子

 「墓地へ送られた(メリュシーク)の効果発動!2枚目の(マリオネッター)を手札に!」

 

 墓地から蘇る最上級戦士。だが、この盤面を突破するにはあまりにも力不足だ。

 

氷野

 「……バトル。(フェニックス·ギアフリード)で(シルキタス)に攻撃」

 

透子

 「手札から(オルターガイスト·クンティエリ)の効果発動!手札から特殊召喚し、その攻撃を無効にします」

 

透子 手札3→4→3

 

氷野

 「……ターン……エンド」

 

透子

 「永続罠(パーソナル·スプーフィング)を発動!手札の(ホーンテッドロック)を戻して(メリュシーク)を手札に!」

 

透子 手札3→2→3

 

氷野 LP1500 手札1 伏せ0

 

フェニックス·ギアフリード 攻2800

 

透子 LP3200 手札3 伏せ1

 

オルターガイスト·マルチフェイカー 守800

オルターガイスト·シルキタス 守1500

オルターガイスト·マリオネッター 攻1600

オルターガイスト·クンティエリ 守2400

 

オルターガイスト·プロトコル

パーソナル·スプーフィング

 

透子

 「私のターン。ドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「フフフ……なんて……なんて素敵な景色なのでしょう。相手のフィールドはズタズタで、私のフィールドは盤石で後続も万全。これが……これこそが私がしたかった事の全てなんですね」

 

 恍惚とした表情でフィールドを見つめる透子。俺の教えが活きてる様で安心するよ。今までも活きてるけどこれはまさに究極……コントロールデッキの理想だな。

 

透子

 「バトルフェイズ!(オルターガイスト·マリオネッター)でダイレクトアタック!」

 

 (マリオネッター)の頭部から出る電波によって、氷野のLPは削り取られた。

 

氷野 LP1500→-100

 

氷野

 「ッ……勝てなかった……完璧に回ってなお勝てないなんて……」

 

透子

 「対戦ありがとうございました。立てますか?」

 

 透子の手を取り、サクッと立ち上がる氷野。その表情は一周回って晴れやかだ。

 

氷野

 「おめでとう。あそこまでボロボロにされると逆に清々するわ。こんな化け物みたいなデュエリストとデュエルしたんだってね」

 

透子

 「フフフ……お褒めに預かり光栄です。機会があればまたデュエルしましょうね」

 

 2人は握手を交わし、デュエルフィールドから降りる。そして、透子は小走りで俺の隣に帰ってきた。

 

鏡介

 「お疲れ。オルターガイストとは何たるかを相手に突きつけた良いデュエルだったな!」

 

透子

 「フフフ……そうですね。やりたいことをやりきってとても気分が良いです!でも……」

 

 透子はそう言って、俺の手を恋人握りして身を寄せる。

 

透子

 「鏡介と一緒なら……もっとご機嫌になるんですよね……」

 

鏡介

 「あぁ……俺も透子と一緒だと嬉しいよ。ちょっと距離感近すぎるとは思うけど……」

 

小野崎

 「う〜ん。俺は何を見せらているんだ?孤独の俺にはいささか刺激が強すぎる……」

 

 こうして、普段とかなり違う月1デュエルは終了し、俺と透子は無事アカデミアでも最上位クラスの好成績を叩き出す事に成功したのだった。




感想。高評価。心よりお待ちしております。


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IF14.ダークネス戦とその後。光り差す未来

 

〜 アカデミア周辺 〜

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(真竜剣皇マスターP)でダイレクトォ!」

 

ミスターT LP1500→-1450

 

 黒いカードとなって消えていくミスティ。しかし次々と後続がやってくる。

 

鏡介

 「ちくしょう!分かっちゃいたがきりがねぇ!」

 

透子

 「このままじゃジリ貧です!いったいどうしたら……」

 

 (森羅の鎮神オレイア)で決着をつけた透子を尻目に、相対するミスティとデュエルをしようとした瞬間。乗り物が走る音がした。数も相当ある。

 

ゴーストs

 「目標を確認。さぁ!デュエルだ!」

 

 現れたのは、超大量のゴースト軍団。彼等はセグウェイに乗り、ミスティに挑む。

 

レイン

 「久しぶり、透子、鏡介。この場は私達に任せて。貴方達は天上院吹雪と合流して。そこに活路はある」

 

鏡介

 「ああ!ここは任せたぞレイン!」

 

 ゴーストと共に現れたレインと言葉を交わす回数は少なかった。それでも俺達は役目を理解し、強引に包囲を抜け出しアカデミア棟内へ駆け込んだ。

 

 

〜 エントランス 〜

 

 吹雪さんと合流し、ダークネスの仮面を被る事で、倒すべき存在の根源を理解した吹雪さん。

 吹雪さんはその親玉を倒すべく動こうとするが、100は軽く行ってそうなミスティーが現れ行く手を阻む。

 

鏡介

 「これじゃあ脱出出来ないか……しゃあねぇ!透子!吹雪さん!ここは俺が死ぬ気で食い止めます!だから後は頼みます!」

 

透子

 「無茶です!こんな数の相手なんてしたら鏡介が!」

 

鏡介

 「俺がやらずに誰がやるんだよ!早く行けぇ!」

 

??

 「その必要はあらへんで!」

 

 俺が殿として迎え撃とうとした瞬間。(ゴルド)と(シルバ)、そしてアポリアとゴースト軍団がやってきて、俺達の周りに集結した。

 

アポリア

 「久しぶりだな。古神透子、古神鏡介。かつては敵だったが、今は任務でここにいる。これより、ダークネスの集団を0にする」

 

シルバ

 「ああ。そこの大男の言う通り、この場は我等に任せてもらおうか」

 

 既にゴーストがミスティと戦闘を開始していて、(ゴルド)と(シルバ)はデュエルしていないミスティを斬り飛ばしていた。

 

鏡介

 「あぁ!分かった!無事でいてくれよな!行くぞ!」

 

透子

 「はい!」

 

 俺達は眼前に立ちはだかるミスティを魔力弾で消し飛ばしつつ、俺達はエントランスを脱出した。

 

 

〜 アカデミア前 〜

 

透子

 「バトル!(森羅の鎮神オレイア)でダイレクト!」

 

藤原

 「こんな……馬鹿なぁぁ!」

 

 (オレイア)で大規模バウンスを実行し、ガラ空きになった盤面にダイレクトアタックを叩き込む透子。

 

(千六百七十七万工房)(レインボリューション・ラボ)とかいう永続罠に苦しめられはしたが、(クリアー・ワールド)諸共バウンスされて突破された。

 

鏡介

 「どんなもんだい!これが俺達の力だ!」

 

 ふと空を見ると、そこには日食があった。なんか……近づいてね?

 

十代

 「鏡介!これは一体!」

 

 丁度いいタイミングで来た十代。日食の方から声が響く。

 

??

 「我が名はダークネス。遊城十代……時は満ちた。今決着の時」

 

 おうおう、俺は無視かよ。そりゃあ覇王の力とかは無いけどさ。

 

十代

 「何処だ!正体を見せろ!ダークネス!」

 

 そして日食から現れる骸骨頭の黒いローブを着たデカブツ。こいつがダークネスの親玉か!

 

鏡介

 「良し!お前を倒しゃ全部解決だ!透子、十代、吹雪さん、ヨハン!バトルロイヤルデュエルでダークネスとの戦いに決着つけるぞ!」

 

鏡介·透子·十代·ヨハン·吹雪·ダークネス

 「デュエル!」

 

 

〜〜〜

 

鏡介

 「バトル!(真竜拳士ダイナマイトK)、(真竜導士マジェスティM)でダイレクトォ!」

 

 ダークネスは、全く為す術もなくLPを削りとられた。

 

 奴は(ダークネス)とかいうフィールド魔法を発動したが、俺の(黙示録)と真竜魔法の墓地効果でそのターンのエンドフェイズに容易く処理され、低打点のモンスター棒立ちでターンを返した。

 

 その後、十代、ヨハン、吹雪さんの攻撃は(速攻のかかし)や(工作機械シグナルレッド)、(バトルフェーダー)といった手札誘発のみで辛うじて凌ぎきったが、俺の真竜モンスター達の攻撃には耐えきれずに敗北した。

 

 ダークネスは後ろの日食共々光に飲まれて消滅した。またいずれ蘇るという言葉を遺して。

 

 辺りには、ダークネスに呑み込まれていた人々が横たわり、開放されたことを喜んでいた。

 

 遠い未来に脅威が訪れようと今は今。この喜びを、透子と共に分かち合おうと思う。

 

 

〜 船着き場 〜

 

透子

 「終わりましたね……私達のアカデミア生活も」

 

鏡介

 「ああ。長いようで、短い時間だったよな」

 

 波が揺れ、サーチライトが夜の闇を直線上に切り裂く船着き場。そこで俺達は、明日には立ち去るアカデミアの思い出を語っていた。

 

 入学試験で突然入れ替わってオーバーキルした時のこと、ライトロードとの出会いのこと。光の結社との戦いに、異世界でのサバイバル。そしてダークネスとの死闘にレインの陰謀。全ての出来事が昨日の様に思い出せる。掛け替えの無い記憶。

 

透子

 「ねぇ、鏡介。アカデミアを出たら……何をするつもり?」

 

鏡介

 「速攻で事務所に挨拶をするつもりだ。やることもねぇし。まぁでも、活動が始まるのしばらく先なんだけどさ」

 

 ヒールみたいな振る舞いしながらデュエルしたい。その小さな夢を叶える為に俺が選んだのが、中堅のデュエル事務所【悪魔の巣窟(デビルズ·ゾーン)】。世界大会を荒らしながら演技を学んで見たいと思っている。

 

透子

 「それなら……1回私の両親に挨拶していきませんか?アカデミアから卒業するなら……もう校則に拘束される事はありませんし……」

 

鏡介

 「その駄洒落は聞き流すとして……そうしようかな。もう付き合いも相当長いしプロポーズもしたし、何もおかしくないか。それじゃあ……その時はよろしくな」

 

 なんとなく気恥ずかしくなるのを抑えて頭を下げると、透子は柔らかく微笑んでくれた。

 

 

 

〜 透子宅前 〜

 

 透子に連れられてやってきたのは、とある都会のホームタウン。その一角にある一軒家だった。

 

 透子がインターホンを鳴らすと、透子の母と思われる女性が出迎えてくれた。

 

透子

 「帰ってきたよ、お母さん!」

 

透子母

 「お帰り!もう!少しぐらい連絡入れても良かったじゃない!心配だったのよ?……ところで後ろの人はどなた?」

 

鏡介

 「古神鏡介です。その……透子のご両親にご挨拶をしたいと思い参りました」

 

 自己紹介をして、要件を伝えると、透子母は酷く驚いた様子で狼狽えた。

 

透子母

 「まぁ……まさかあの子に友達を超えて恋人が出来るなんて……立ち話は疲れるでしょう?上って上って。お父さん!透子が帰ってきたわよぉ!」

 

 一転して嬉しそうに、まさに跳ねるように家の中へ入っていく透子母。透子の後を追うように、家へとおじゃますることになった。

 

〜 透子宅 〜

 

透子

 「お父さん!帰ってきたよ!」

 

透子父

 「おお透子!久しぶりじゃないか!身長は全く変わってないが別人に見えるよ!」

 

 リビングに迎えられ、透子父の軽口に膨れっ面する透子を尻目に、俺は静かに座布団に座る。

 

透子父

 「君が透子のボーイフレンドかい?透子はすいぶん厳つい男を引っ掛けたもんだねぇ?」

 

鏡介

 「はい、名前を古神鏡介と言います。透子とは結婚前提のお付き合いをしたいと考え、両親にご挨拶をと思い参りました」

 

透子父

 「ほほぅ……透子が欲しいと……その話は一旦置いといて、まずは昼食にするとしよう。時間が時間だし……ね」

 

 備え付けの時計を見ると、短針が12の方角を差していた。確かに腹減ってきたわ。

 

 その後、透子の思い出話を聞きながら昼食を取り、腹ごなしとして食後1時間程アカデミアでの話をして盛り上がった。

 

透子父

 「さて……鏡介君。君が転入してから卒業するまで透子を支えていたのはよくわかった。だが……私が親になった以上。やらねばならんことがある」

 

 透子の親父さんが唐突に立ち上がり、小走りで退室してデュエルディスクを持ってきて装着。手持ちのデッキを挿入して構えた。

 

透子父

 「デュエルはデュエリストの心を映す。ならば私とデュエルをし、君の心を見せてもらおう!」

 

鏡介

 「そういえば確かにそう言われてますね。分かりました。そのデュエル。受けて立ちます。しかし、デュエルするにはここは狭すぎます。近くに公園のような場所らありますか?」

 

 

透子父

 「確かに一理ある。分かった。付いてきなさい」

 

 

〜 公園 〜

 

 子供たちが遊具で遊び、老夫婦が木の下のベンチで日を浴びながら談笑する公園。ここがデュエルの舞台か。

 

透子父

 「さて、ここなら存分にデュエルが出来るだろう。これでも私は最近町内デュエル大会で2連覇した程度には実力がある。手加減せずにかかってきなさい!」

 

鏡介

 「思った以上に強いんですね……もう猫被りは辞めよう。俺のお気に入りで相手だ!」

 

鏡介·透子父

 「デュエル!」

 

透子父

 「先攻は私がもらおうかな。ドロー!」

 

透子父 手札5→6

 

透子父

 「私はモンスターをセット。カードを3枚セットしてターンエンド」

 

 穏やかな立ち上がりだな。

 

透子父 LP4000 手札1 伏せ3

 

セットモンスター

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ0

 

鏡介

 「俺のターン!ドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「(暗黒界の取引)発動!お互いに1枚ドローして1枚捨てる!」

 

鏡介 手札6→5→4→5

 

透子父 手札1→2→1

 

鏡介

 「捨てられた(暗黒界の術師スノウ)の効果発動!デッキから暗黒界カード(暗黒界の案内人パスカ)を手札に加える!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「そして手札の(暗黒界の案内人パスカ)の効果発動!手札のこのカードと暗黒界モンスター1体(暗黒界の狩人ブラウ)を相手に見せて発動出来る。このカードを特殊召喚して手札を2枚まで選んで捨てる。その後、このカードの効果で捨てた枚数分ドローする。この効果の発動後、ターン終了時までデッキ·墓地から悪魔族以外のモンスターを特殊召喚出来ない制約がかかる。俺は(ブラウ)と(暗黒界の鬼神ケルト)を捨てて2枚ドロー!」

 

鏡介 手札6→5→3→5

 

鏡介

 「更に捨てられた(ブラウ)、(ケルト)の効果発動!(ケルト)は相手に捨てられると墓地から特殊召喚し、(ブラウ)は捨てられると1枚ドローする!」

 

鏡介 手札5→6

 

透子父

 「なるほど……君のデッキは手札を捨てて展開を行うわけだ……ひとまずここで止まってもらおうかな。永続トラップ(サモンリミッター)発動!」

 

鏡介

 「さ、(サモリミ)だと!?」

 

 フィールドに張られる電気の網。その強度は高く破れそうもない。

 

透子父

 「知ってるとは思うが、(サモンリミッター)はお互いに召喚·特殊召喚を2回までに制限するカード。君は(パスカ)と(ケルト)で2回の特殊召喚を行った。このターンはもうモンスターを並べる事は出来ないよ」

 

鏡介

 「チッ……味な事してくれる。バトルフェイズ!(ケルト)でセットモンスターを攻撃!スカルフィスト!」

 

 凄まじい速度の鉄拳がセットモンスター(グリズリーマザー)を粉砕した。

 

透子父

 「戦闘破壊された(グリズリーマザー)の効果発動!デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスター(グリズリーマザー)を特殊召喚する!当然守備表示!」

 

鏡介

 「なら(パスカ)で攻撃……はせずにメインフェイズ2へ、カードをセットしてターンエンドだ」

 

 ここで(グリズリーマザー)殴っても場にリリース要因残るし、デッキに眠るキーカード出されても困る。なら相手に自爆特攻してもらった方が得だ。

 

鏡介 LP4000 手札5 伏せ1

 

暗黒界の案内人パスカ 攻2450

暗黒界の鬼神ケルト 攻2400

 

透子父 LP4000 手札1 伏せ2

 

グリズリーマザー 守1000

 

透子父

 「ふむ……口は粗暴だが、意外と冷静じゃないか。私のターンドロー!」

 

透子父 手札1→2

 

透子父

 「良し、手札から(アトランティスの戦士)の効果発動!手札から自身を墓地へ捨てる事で、デッキから(伝説の都アトランティス)を手札に加える!そして発動!」

 

 フィールドが書き換わるとこで、周辺が水に満たされ、背景に水没した中世風な都市へ変化する。

 

透子父 手札2→1→2→1

 

透子父

 「(グリズリーマザー)を攻撃表示にしてバトル!(グリズリーマザー)で(ケルト)に攻撃!」

 

 青い毛皮の大熊が突進を仕掛けるが、(ケルト)の拳一発で粉砕された。

 

透子父 LP4000→3200

 

透子父

 「そして戦闘破壊された(グリズリーマザー)の効果発動!デッキから攻撃力1500以下の水属性モンスター(水陸両用バグロスMk-3)を特殊召喚する!」

 

  登場する上部に何かのタンクを2基積んだ赤い機体。なるほど。そういうデッキね?完全に理解したわ。

 

透子父

 「そして(水陸両用バグロスMk-3)でダイレクトアタック!このカードは(海)があるとき、直接攻撃を行う事が出来る!(伝説の都アトランティス)はルール上(海)として扱う!」

 

 盤面を飛び越えて体当たりをかますバグロス。セットカードはどうせロックカード……地味にキツイ戦いだぞこれ。

 

鏡介 LP4000→2300

 

透子父

 「メインフェイズ2に入り、私はモンスターをセット。ターンエンドだ」

 

透子父 LP3200 手札0 伏せ1

フィールド(伝説の都アトランティス)

 

水陸両用バグロスMk-3 攻1500→1700

セットモンスター

 

サモンリミッター

 

鏡介 LP2300 手札5 伏せ1

 

暗黒界の案内人パスカ 攻2450

暗黒界の鬼神ケルト 攻2400

 

鏡介

 「俺のターン!ドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

 まず(サモリミ)を退かさないと話にならん。(ビッグフット)で自身か(グラファ)が落ちれば……

 

 

鏡介

 「俺は手札の(未界域のビックフット)の効果発動!手札を選んで、そいつが(ビックフット)ならそのまま墓地へ、外れれば選ばれたカードを捨てて、手札から自身を特殊召喚して1枚ドロー!」

 

透子父

 「ふむ……ならば右から2番目を選ぼうかな?」

 

 選ばれたのは……ッ。

 

鏡介

 「選ばれたのは(暗黒界の尖兵ベージ)!特殊召喚して1枚ドロー!そして(ベージ)の効果発動!効果で捨てられると墓地から特殊召喚」

 

 場に降り立つ大猿と墓地からやってくる尖兵。そして場に電気の網が張り巡らされる。ドローしたカードは良いな。

 

鏡介 手札6→5→4→5

 

鏡介

 「(闇の誘惑)を発動!2枚ドローして手札の闇属性モンスター(魔界発現世行きデスガイド)を除外!」

 

鏡介 手札5→4→6→5

 

 良し、良いカード引いた。これで次のターンにどうにか……

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(パスカ)で(水陸両用バグロスMk-3)に攻撃!」

 

透子父 

 「その攻撃は通したく無いな!永続トラップ(グラヴィティ・バインド-超重力の網)を発動!これにより、レベル4以上のモンスターは攻撃出来なくなる!」

 

 突然襲いかかる強烈な重力。これにより俺のモンスターは膝を折り身動きが取れなくなる。まぁそんなんだろうとは思ってたけど面倒だなぁ……

 

鏡介

 「チッ……本当に面倒なデッキだなぁおい。メインフェイズ2に入り、カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

鏡介 LP2300 手札4 伏せ2

 

暗黒界の案内人パスカ 攻2450

暗黒界の鬼神ケルト 攻2400

未界域のビッグフッド 攻3000

暗黒界の尖兵ベージ 守1300

 

透子父 LP3200 手札0 伏せ1

フィールド(伝説の都アトランティス)

 

水陸両用バグロスMk-3 攻1700

セットモンスター

 

サモンリミッター

グラヴィティ・バインド-超重力の網

 

透子父

 「私のターン!ドロー!」

 

透子父 手札0→1

 

透子父

 「セットモンスター(ペンギン·ソルジャー)を反転召喚!効果発動!(ペンギン·ソルジャー)とそこのセットカードを対象に手札に戻す!」

 

鏡介

 「チェーンして速攻魔法(暗黒界の傀儡)を発動!相手の墓地のカード3枚(グリズリーマザー)、(アトランティスの戦士)、俺の(ブラウ)を除外してその後俺は手札を1枚(暗黒界の龍神グラファ)を捨てる!」

 

 小柄なペンギンの兵士がその手に握る剣を天高く掲げると、剣先から放たれた眩い光が自身と開かれて(暗黒界の傀儡)を貫いてバウンスした。まぁ、効果使った(傀儡)はルールで墓地行くんだけど。

 

鏡介 手札4→3

 

透子父 手札1→2

 

鏡介

 「そして捨てられた(グラファ)の効果発動!(グラヴィティ・バインド-超重力の網)を対象に破壊!」

 

 墓地から湧き上がる黒い瘴気。それが重力を弱め、俺のモンスター達が立ち上がる。

 

透子父

 「ならば……(強欲で貪欲な壺)を発動!デッキを10枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

 壺が10枚のカードを吸い込み破裂。2枚のカードが飛び出す。

 

透子父 手札2→1→3

 

透子父

 「私は(コダロス)を召喚!そして(コダロス)の効果発動!フィールドの(海)を墓地へ送り、フィールドのカードを2枚(パスカ)とそのセットカードを対象に墓地へ送る!デストラクト・シーウェーブ!」

 

鏡介

 「チェーンして永続罠(暗黒界の洗脳)を発動!手札が3枚ある状態で相手がモンスター効果を発動したときに発動!フィールドの暗黒界モンスター(ケルト)を対象に手札バウンスしてその効果を【相手は手札を1枚ランダムに捨てる】となる!」

 

 海の水が一気に引き、かなり大きい津波が俺の手札を1枚(ケルト)を拐っていく。

 

透子父 手札3→2

 

鏡介 手札3→2

 

鏡介

 「捨てられた(ケルト)の効果発動!自己蘇生し、相手に捨てられたので、更にデッキから悪魔族モンスター(暗黒界の魔神王レイン)を特殊召喚!」

 

 フィールドに降り立つ威厳溢れる(レイン)これもう親父さん捲れないんじゃないか?

 

透子父

 「ッ……カードをセットしてターンエンドだ」

 

透子父 LP3200 手札1 伏せ1

 

水陸両用バグロスMk-3 攻1700

コダロス

 

サモンリミッター

 

鏡介 LP2300 手札2 伏せ0

 

暗黒界の案内人パスカ 攻2450

暗黒界の鬼神ケルト 攻2400

未界域のビッグフッド 攻3000

暗黒界の尖兵ベージ 守1300

暗黒界の魔神王レイン 攻3000

 

 

暗黒界の洗脳

 

鏡介

 「俺のターン!ドロー!」

 

鏡介 手札2→3

 

 (サモリミ)が鬱陶しいし伏せが気になるな……(神竜エネアード)で吹っ飛ばして殴れば良いか。

 

鏡介

 「俺は(パスカ)を手札に戻し、墓地から(グラファ)を特殊召喚!そして(ビッグフッド)と(グラファ)でオーバーレイ!大いなる龍よ!その身に聖なる疵を刻み、われに仇成す愚者を焼け!エクシーズ召喚!(聖刻神竜エネアード)!」

 

透子父

 「ここ!トラップ発動!(激流葬)!お互いのモンスターを全て破壊だ!」

 

 金の甲殻纏う龍が降り立った瞬間に濁流で他のモンスター共々流されていく。いや(激流葬)て!(サモリミ)あるからもう動けんし!

 

鏡介 手札3→4

 

鏡介

 「チィ!だが動けないのは向こうも同じ!ターンエンド!」

 

鏡介 LP2300 手札4 伏せ0

 

暗黒界の洗脳

 

透子父 LP3200 手札1 伏せ0

 

サモンリミッター

 

透子父

 「私のターン!」

 

透子父 手札1→2

 

透子父

 「(強欲で貪欲な壺)を発動!コストで10枚裏側で除外して2枚ドロー!」

 

透子父 手札2→1→3

 

透子父

 「(サルベージ)を発動!墓地から攻撃力1500以下の水属性モンスター2枚(水陸両用バグロスMk-3)と(コダロス)を回収する!(アトランティスの戦士)の効果発動!手札から捨てて(伝説の都アトランティス)を手札に!そして発動!」

 

透子父 手札3→2→4→3→4

 

 再び海水に満たされるフィールド。次のターンに返せるか?

 

透子父

 「(水陸両用バグロスMk-3)を召喚!バトル!ダイレクトアタック!」

 

鏡介 LP2300→600

 

 これでLPは1000をきった……次のターンに打開出来ないと負け確定か。

 

透子父

 「私はこれでターンエンド!この私を越えぬ限り!娘をやるわけにはいかん!」

 

透子父 LP3200 手札3 伏せ0

フィールド(伝説の都アトランティス)

 

水陸両用バグロスMk-3 攻1700

 

サモンリミッター

 

鏡介 LP600 手札4 伏せ0

 

暗黒界の洗脳

 

鏡介

 「俺は……絶対に勝つ!勝って透子と未来を歩む!俺のターン!」

 

 ……行ける!

 

鏡介

 「(暗黒界の番人ゼンタ)の効果発動!手札から捨てて(暗黒界の門)を手札に加え、そして発動!」

 

 フィールドから海水が引き、不気味な装飾が施された門が地中から姿を現した。

 

鏡介 手札4→3→4

 

透子父

 「ッ……私の海が……」

 

鏡介

 「(門)の効果発動!墓地の(スノウ)を除外して1枚捨てて1枚ドロー!」

 

鏡介 手札4→3→4

 

鏡介

 「捨てられた(セルリ)の効果!特殊召喚して更に効果発動にチェーンして(洗脳)の効果発動!フィールドの(セルリ)をバウンスして効果を【手札をランダムに捨てる】に書き換える!」

 

鏡介 手札4→5→4

 

透子父

 「私の場の暗黒界も対象に出来るのか!」

 

鏡介

 「捨てられた(パスカ)の効果発動!相手に捨てられると墓地から特殊召喚し、更に除外されている暗黒界モンスターを2枚まで手札に加えるか特殊召喚出来る!俺は除外されている(スノウ)、(ブラウ)を手札に加える!」

 

 場に着地するパスカ。(セルリ)含めて2回だからもう出せないか。

 

鏡介 手札4→6

 

鏡介

 「バトル!(パスカ)で(水陸両用バグロスMk-3)に攻撃!パスカルフィストォ!」

 

  瞬間移動じみた速度でバグロスに詰め寄り、魔力を滾らせた拳でこれを粉砕した。

 

透子父 LP3200→1950

 

鏡介

 「とりあえずこのターンは凌いだ!カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

鏡介 LP600 手札5 伏せ1

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の案内人パスカ 攻2450

 

暗黒界の洗脳

 

透子父 LP1950 手札3 伏せ0

フィールド(伝説の都アトランティス)

 

サモンリミッター

 

透子父

 「フッ……私のターン!ドロー!」

 

透子父 手札3→4

 

透子父

 「モンスターをセット!カードをセットしてターンエンドだ!」

 

 リバースは(ペンギン·ソルジャー)で確定として、伏せはなんだろな?まぁ踏み抜くだけだ。

 

鏡介

 「なら伏せていた速攻魔法発動!(暗黒界の登極)!フィールド、墓地のモンスターを除外して悪魔族の融合モンスターを融合召喚する!暗黒界融合モンスターを出す場合、手札を捨てて素材に出来る!俺は墓地の(グラファ)を除外、手札の(スノウ)を捨てて融合!暗黒世界の龍神よ!今こそ深淵の扉を開き、世界に轟く咆哮を上げろ!融合召喚!(暗黒界の龍神王グラファ)」

 

 大地をしっかり踏みしめ立つ龍神。そして捨てられた(スノウ)が起動する。

 

鏡介 手札5→4

 

鏡介

 「捨てられた(スノウ)の効果発動!デッキから2枚目の(暗黒界の龍神グラファ)を手札に!」

 

透子父 LP1950 手札2 伏せ1

 

セットモンスター

 

サモンリミッター

 

鏡介 LP600 手札5 伏せ0

フィールド(暗黒界の門)

 

暗黒界の案内人パスカ 攻2450→2750

暗黒界の龍神王グラファ 攻3200→3500

 

暗黒界の洗脳

 

鏡介

 「俺のターン!ドロー!」

 

鏡介 手札5→6

 

鏡介

 「墓地の(暗黒界の登極)の効果発動!手札から2枚目の(グラファ)を捨てる事で墓地のこのカードを回収出来る!」

 

透子父

 「墓地から魔法カードを発動!いや、それよりも……」

 

 鏡介 手札6→5→6

 

鏡介

 「捨てられた(グラファ)の効果発動!セットモンスターを破壊!」

 

 墓地から吹き出す黒い瘴気によって、伏せられていた(ペンギン・ソルジャー)は破壊された。

 

鏡介

 「バトルフェイズ!(パスカ)でダイレクトアタック!」

 

透子父

 「トラップ発動!(次元幽閉)!相手の攻撃宣言時に発動出来、そのモンスターを除外する!」

 

鏡介

 「(暗黒界の龍神王グラファ)の効果発動!モンスター効果·通常魔法罠が発動したときに発動でき、その効果を【相手は手札を1枚捨てる】に書き換える!」

 

 発動された(次元幽閉)のテキストが黒い靄によって書き換えられる。

 

鏡介 手札6→5

 

鏡介

 「捨てられた(ブラウ)の効果発動!1枚ドローして、相手に捨てられたので追加ドロー!」

 

鏡介 手札5→6→7

 

鏡介

 「攻撃続行!パスカルフィストォ!」

 

 魔力をしこたま湛えた拳に叩き込まれ、激しく吹っ飛ば……されずに靴を激しく地面を擦りながら後退し踏みとどまった。

 

透子父 LP1950→-800

 

鏡介

 「ガッチャ!良いデュエルだったぜ!」

 

透子

 「お疲れ、鏡介」

 

 デュエルが決着し、ソリッドビジョンが消える中、透子が側にやってきた。透子の親父さんにも、奥さんが身体の無事を確かめ労っていた。

 

鏡介

 「透子……いつから見てたんだ?」

 

 その問いに対して透子は最初からずっとと答え微笑んでいると、透子の親父さんがこちらによってくる。

 

透子父

 「いやーやっぱりWDCS(ワールド·デュエル·チャンピオンシップ)優勝者は伊達ではないね。とんでもなく強かったよ」

 

鏡介

 「いや、親父さんも中々面倒な戦いしてて、大分やりづらかったですよ。もしかして俺の戦い見てました?」

 

 アカデミアで世界を知るために参戦して対戦相手を蹂躙しまくったあの世界大会。あれテレビ中継されるレベルの大会だったんだな。

 

透子父

 「うん。たまたまその大会を見てたんだけどね。そこで君がとてつもない蹂躙劇を披露してるのを生で見てね。流石デュエリスト養成学校の生徒だと感心したものだよ。まさか君だとは……」

 

鏡介

 「それはさておいて、俺と透子の交際。認めてくれるんですよね?」

 

 俺がそう聞くと、親父さんは柔らかな笑みを浮かべて口を開いた。

 

透子父

 「実は勝とうが負けようが認めるつもりだったよ。昼食中の話でも透子をずっと支えてたみたいだしね。実は娘を嫁に出す前に婿に立ちはだかるシチュエーションをするのが私の小さな夢でね。やれるかどうか不安だったけど出来て嬉しかったよ」

 

 そういうことかい……なんか頑張って損した気分だ……

 

透子父

 「さて!透子の結婚相手が決まった事を記念して、今日はご馳走にしよう!鏡介君も今夜は泊まって行きなさい」

 

 いや結婚はまだ先なんだが……なんて水差すのは良くないな。

 こうして俺と透子は透子の実家で美味しい物を沢山食べてお祝いされた。

 

 

〜〜〜

 

 翌日、透子の家で朝食を頂いて、俺達は透子の部屋でくつろいでいた。

 

鏡介

 「なぁ……今日透子はどうする?早速事務所に挨拶にいくのか?俺は行くつもりだけど」

 

透子

 「私もそのつもりです。そろそろ時間ですし……行きますか」

 

 俺と透子はそれぞれの夢を叶える為に、別の事務所へ歩を進める。

 

鏡介

 「さて、俺にはどんな未来が待っているんかね」

 

 透子の背中が小さく見える程に離れると、俺は脚に魔力を込めて加速した。この先に待ち受ける未来に思いを馳せながら。




これにて本当に完結です。感想があれば是非お願いします。


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オリカ集
暗黒と光道〜番外編〜オリカ集


今まで出したオリカをまとめてみました。


 

鏡介側オリカ

 

暗黒界の混沌王カラレス(ほぼオリカ)

レベル12/闇属性/悪魔族/攻3200/守2700

レベル7以上の暗黒界モンスター2体+闇属性モンスター2体

このカードは超融合の効果でのみ特殊召喚できる。

①1ターンに1度、自分メインフェイズに発動出来る。お互いのプレイヤーは墓地又は表側表示で除外されているカードを任意の枚数選んでデッキに戻し、戻したカード5枚につき1枚ドローして、その後ドローした枚数分手札を選んで捨てる。このカードの効果の発動に対して、魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。

②このカードがフィールドに存在する限り、手札·フィールドの暗黒界モンスターは効果の対象にならず、効果で除外されない。

③このカードが相手によってフィールドを離れた場合に発動出来る。手札があるプレイヤーは手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 

暗黒世界を生み出した守護神であり創造神。

 執筆中に何度もデッキ切れを起こしかけたのでデッキを回復しつつマリガンすれば強そうという考えで作成。更にダークロウとかで除外されるの嫌だなと思い手札·フィールドの暗黒界に対象耐性と除外耐性を与えました。

 ダメ押しにフィールドを離れると手札抹殺と同等の効果を発動出来ます。

 流石にこれを普通の融合で出せたらアカンと思い、超融合でのみ出せる制約をつけました。

 元々魔法罠に対して手札2枚セルフランダムハンデスに書き換える効果もあったのですが、コメントより強すぎとの意見をいただき削除しました。

 

暗黒界の案内人パスカ(オリカ)

レベル6/悪魔族/攻2450/守0

このカード名の①の効果は1ターンに1度しか発動出来ない。

①手札のこのカードと暗黒界モンスター1体を相手に見せて発動出来る。このカードを特殊召喚して手札を2枚まで選んで捨てる。その後、このカードの効果で捨てた枚数分ドローする。この効果の発動後、デッキ·墓地から悪魔族以外のモンスターを特殊召喚出来ない。

②このカードが相手の効果で捨てられた時に発動する。墓地からこのカードを特殊召喚し、除外されている悪魔族モンスターを2体まで手札に加えるか特殊召喚できる。

 

 モンスター効果で捨てる暗黒界が欲しいと思ったのがきっかけ。カラレスを修正した時にこれもアカンかもしれないと思いデッキ·墓地からの悪魔族縛り、墓地からの自己蘇生を相手のハンデス時限定に制限しました。

 相手にハンデスされたときの効果は除外された悪魔族の帰還。(門)のコストを帰還させよう。

 

暗黒界の結界呪術(オリカ)

カウンター罠

このカード名の①と②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。

①手札が3枚以上存在し、相手がフィールドで魔法·罠·モンスター効果を発動した時に発動出来る。その効果は「相手は手札を3枚選んで捨てる」となる。

②このカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動出来る。デッキから2枚ドローして手札を2枚選んで捨てる。

 

イラストイメージ:結界を構築して(ライトロード·エンジェルケルビム)の攻撃を凌ぐ(ラチナ)の図。

 

 テーマデッキあるあるの万能無効が欲しいと思い作成。手札を捨てる事に抵抗なければ他のテーマでもワンチャン使えるかもしれない程度の汎用性があります。

 ②は文字数が余ったからつけたオマケ効果。

 

 

暗黒界を統べる咆哮

速攻魔法

このカード名の①と②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。

①フィールドの暗黒界モンスターを3枚まで手札に戻して発動出来る。手札に戻した暗黒界モンスターの数まで、墓地の(暗黒界の龍神グラファ)を特殊召喚出来る。この効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了時まで相手の効果の対象にならず、1度だけ効果で破壊されない。この効果を発動後、ターン終了時まで自分は悪魔族以外のモンスターを墓地から特殊召喚出来ない。

②このカードがカードの効果で捨てられた時に発動する。デッキから暗黒界モンスターを1枚墓地へ送る。相手によって捨てられた場合、更に除外されている暗黒界モンスターを2枚まで手札に加える事が出来る。

 

イラストイメージ:咆哮を轟かせ下級暗黒界に指示を出す(グラファ)の図。

 

②がメインの速攻魔法。①もバトルフェイズに使えば連撃で大幅にLPを削りに行けるでしょう。ウイルスを発動したあとに(グラファ)を補充することも。

 

 

透子側オリカ

 

ライトロードの強襲準備(オリカ)

通常魔法

このカード名の①と②の効果はいずれか1ターンに1度しか発動出来ない。

①相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターの数より多い場合、手札·フィールドのモンスターを1枚墓地へ送って発動出来る。デッキから5枚ライトロードカードを選び、好きな順番でデッキの1番上に置いて、その後デッキの上から3枚墓地へ送る。この効果を発動するターン、自分はデッキからモンスターを特殊召喚出来ない。

②このカードがライトロードモンスターの効果で墓地へ送られた場合に、自分または相手の除外されているカードを任意の数まで対象にして発動出来る。そのカードをデッキに戻し、戻したカードの数×300LPを回復する

 

イラストイメージ:(暗黒界の結界通路)前で柱に潜み、斥候として(ライニャン)と(ライコウ)を放つ(ルミナス)の図

 

 純ライロには貴重な安定した初動札。コイツ1枚とコストで(カオス·ルーラー)が確定します。デメリットもデッキ選ぶしライロ積まなきゃだし、これくらいなら新規としてOCGに実装されそう。文字数が多いから②を削れば行けそう(295字→194字)

 

トワイライトロード·シール

カウンター罠

このカード名の①と②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。

①相手がモンスターを特殊召喚する効果を含む魔法·罠カードの発動、又はモンスターの特殊召喚に成功した時に発動出来る。自分のデッキの上からカードを5枚除外し、その中にライトロードカードが2枚以上存在する場合、その発動または特殊召喚を無効にして除外する。このカードの効果で3枚以上ライトロードカードが除外された場合以下の効果を適応する。

⚫この効果を発動したデュエル中、このカードの効果で除外されたカードはお互いに特殊召喚出来ず、効果を発動出来ない。

②このカードがライトロードカードまたはテキストに「ライトロード」と記されたカードの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動出来る。墓地のこのカードをセットする。

 

 イラストイメージ:トワイライトロード4人衆が結界を構築する図。

 

 トライライトロードらしい罠を考えた結果。追加効果が自分も巻き込むのは微妙かも。

 

ライトロード·キャバルリー·ユニコール

効果·シンクロ

レベル4/光属性/獣族/攻2300/守1000

このカードはS召喚出来ない。フィールドのライトロードチューナーとチューナー以外のライトロードモンスターを1体ずつ墓地へ送る事でのみEXデッキから特殊召喚出来る。

このカードの効果は自分の墓地のモンスターがライトロードモンスターのみで、自分の墓地のモンスターの種類が相手の墓地のモンスターの種類より3種類以上多い場合に発動出来る。

①相手が魔法·罠·モンスターカードを発動した時に墓地のライトロードモンスターを3種類デッキに戻して発動出来る。その発動を無効にして破壊する。その後、デッキの上からカードを1枚墓地へ送る。このカードの効果はこのカードがフィールドに表側表示で存在する時に発動と処理が出来る。

 

 投稿が遅れた元凶。墓地のライロ数えるのしんどかったし、簡単にラスボス2人を封殺しまくるので墓地調整が鬼大変でした。純ライロで4シンクロは無理なのでベアルクティみたいな疑似シンクロを搭載。ライロしか墓地にいない時じゃないと万能無効が撃てないけど、墓地にライロを多数仕込まなきゃいけないのでその制約は無くても良かったかも。(ガロス)とのコンボは強い。

 

ライトロード·トラッパー·トーコ

効果モンスター

レベル3/光属性/魔法使い族/攻1100/守1800

①このカードがフィールドに存在する限り、1ターンに1度テキストに「ライトロード」と記された罠カードの効果を発動するために払うコストが必要なくなる。

②自分·相手エンドフェイズに発動する。フィールドのライトロードモンスターの種類の数だけデッキの上からカードを墓地へ送る。その後、この効果で墓地へ送られたライトロードモンスターの数まで墓地のテキストに「ライトロード」と記された罠カードをセットする。この効果でセットされたカードは次のエンドフェイズにデッキの下に戻る。

 

 1番作成が難航したカードの1枚。鏡介もオリ化したし透子もしたろの精神で取り掛かるも、初期案であるフリチェでライロ召喚するのは微妙と思い暗礁にのりあげる。

 ここで透子の罠入りライロが組めたらなという発言を思い出し罠に関する効果に変更。吟味した結果マルチロールみたいに罠を再利用する効果とコスト踏み倒し効果になりました。

 ちなみに攻撃力は透子の攻撃力(42.世界への扉から参照。攻撃力600)+(鎖付きブーメラン攻撃力500)のバフ分。

 

ライトロード·ソルジャー·ファルコン

レベル4/光属性/鳥獣族/攻2000/守1200

このカードが戦闘を行うダメージ計算時、自分フィールドに表側表示で存在するライトロードカードまたは自分フィールドのセットされたカードを1枚手札に戻さなければならない。

①このカードが戦闘を行った自分·相手エンドフェイズに発動する。このターンに戦闘·効果で破壊されたモンスターの数だけ、フィールド·墓地に同名カードの存在しないテキストに「ライトロード」と記されたカードをデッキから手札に加える。(同名カードは1枚まで)

②自分エンドフェイズに発動する。デッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

 ファルコンライロ化。オリジナルの効果をリスペクトした効果外テキスト。そして戦闘することで(閃刀姫シズク)みたいなサーチを行います。元々はこのターンに戦闘で破壊されたモンスターの数サーチという効果なのですがちょっと弱いかも……と思い効果破壊も範囲に入れました。

 自分も手札に戻せるので攻撃の巻き戻しを発生させずに1度だけ攻撃無効することも出来ます。

 

ライトロード·バインド·チェーン

カウンター罠

このカード名の効果は1ターンに1度しか発動出来ない。

①自分フィールドにライトロードモンスターのみが表側表示で存在し、相手がモンスター効果を発動した時に墓地のライトロードカードを3枚デッキに戻して発動出来る。その効果を無効にする。そのモンスターがフィールドに存在する場合、更に以下の効果を適応する。

⚫そのモンスターにこのカードを装備カード扱いで装備し、そのモンスターはフィールドに存在する限りリリースできず、攻撃できず、相手はそのモンスターを手札·デッキ·墓地·EXデッキからモンスターを特殊召喚するためにフィールドから離す事が出来ずエクシーズ素材に出来ない。

 

イラストイメージ∶暗黒界の門から降りてきたパスカにデモンズ・チェーンを放つトーコ。

 

 ほぼトーコ専用罠。モンスター効果を無効にし、フィールドなら装備カードとなりありとあらゆる素材に出来なくします。

 執筆してて意外と使い辛かったです。色んな意味で。

 

ライトロードフォース·ブレイクスルー

カウンター罠

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。

①自分メインフェイズに相手が魔法·罠·モンスターカードを発動した時に発動出来る。デッキの上から3枚墓地へ送り、その中にライトロードカードが存在する場合、その発動を無効にして破壊する。この効果でライトロードモンスターが3枚墓地へ送られた場合、さらに相手フィールドのカードを3枚まで選んで墓地へ送る。

②このカードがカードの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動出来る。墓地のライトロードモンスターを選んで手札に加え、そのモンスターを召喚する。

 

 イラストイメージ:(ベージ)達を蹴散らしながら突き進む(ジェネラルジェイン)の図。

 

 ここらへんから文字数を気にする様になりました。②がメインの効果ですね。相手ターンに落とせば(ケルビム)をアドバンスして2枚破壊を仕掛けられます。①も妨害抑止出来ると考えれば悪くない効果です。先攻で使えない、発動無効出来るか不安定、普通に伏せたら使えるの2ターン後という遅さが致命的ですが……やっぱあんま強くないかも。

 シャインカウンター5以上でフリーチェーン化とか考えましたが文字数が増えすぎるので却下することに。

 

 

ライトロード·ピュリフィケイション

通常罠

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動出来ない。

①自分の墓地のライトロードカードまたはテキストに「ライトロード」と記されたカードを任意の枚数対象にして発動出来る。そのカードをデッキの下に戻し、戻したカードの種類まで墓地または除外されているカードを選んでデッキの下に戻す。

②このカードがカードの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動出来る。お互いの墓地の魔法カードを全てデッキに戻し、戻したカード5枚につき1枚デッキの上からカードを墓地へ送る。

 

イラストイメージ:特殊な呪術を発動する(ソーサラーライラ)の図

 

 墓地メタするカードを作りたいと考え作成。コイツで要らないライロ系魔法罠を戻して墓地掃除しつつ(ユニコール)で妨害しよう。

 ②はデッキ切れ回避の為のもの。閃刀姫使いは泣きそう。

 

ライトロード·ブービーボム

通常罠

①このカードが元々の持ち主が相手となる魔法·罠·モンスターカードの効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。その効果でフィールドを離れたテキストに「ライトロード」と記された罠カードの数分、相手は手札·フィールドのカードをデッキに戻さなければならない。

②ライトロードモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動出来る。相手フィールドのカードを1枚選んで破壊し、墓地のライトロードモンスターの種類×300ポイントのダメージを相手に与える。

 

 イラストイメージ:鎖付きダイナマイトに引っかかるダーク·アーキタイプの図。

 

 やぶ蛇枠を作りたいと思い作成。無策に羽根帚を撃てば最大5枚ハンデスと致命傷になるでしょう。

 ただ流石にそれだけだと自作自演コンボに悪用されそうなのでちゃんと制約をつけました。

 ②は枠が余ったので追加したもの。墓地肥えてる状態で使えば引導火力になるかも?

 

ライトロード·クイックエイド

永続罠

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用出来ず、自分のフィールド·墓地·除外されているモンスターがライトロードモンスターのみの場合に発動と処理が出来る。

①デッキからライトロードモンスターが2種類以上墓地へ送られた場合に発動出来る。墓地へ送られたモンスターとカード名が異なるレベル4以下のライトロードモンスター1体を墓地から選んで特殊召喚する。その後、墓地のカードを2枚デッキに戻す。

②このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動出来る。相手フィールドのカードの数だけ墓地のライトロードカードを好きな順番でデッキの上に置く。

 

イラストイメージ:負傷した(ガロス)を連れて(ジャスティス·ワールド)に帰還する(ファルコン)と(ウォルフ)の図。

 

 1番のぶっ壊れ枠。展開もっと伸ばしたいなと思い作成。ターン1が無いので何度も呼び出してやりましょう。流石に制約として墓地·除外にライロ以外がいると発動出来ないので純ライロ用のカードです。純ライロなら暴れないやろ多分。

 墓地のカードを戻す効果は、負傷者を離脱させるのに2人は必要と聞いたことがある為ですね。まぁ戻ってくるの魔法罠なんですけど。

 

その他のオリカ

 

 

慈愛の果実

通常魔法

このカードを発動するターン。自分は手札が3枚以下のときカードをセット出来ない

①手札を1枚相手の手札に加えて発動出来る。相手フィールドのEXデッキから特殊召喚されたモンスターを選び、そのモンスターのコントロールを得る。この効果を発動後、ターン終了時まで元々の持ち主が異なるモンスターが自分フィールドに存在する限りそのモンスターをリリース出来ず、自分はモンスターを特殊召喚出来ない。

②エンドフェイズに発動する。自分フィールド上に存在する元々の持ち主が異なるモンスターのコントロールは元々の持ち主に戻る。このカードのコントローラーは手札を全て相手の手札に加える事でこの効果を無効に出来る。

 

 透子がユニコールを手懐けるシーンをどうにかして再現したかったカード。デメリット強めにしたつもりなのですが、強いかどうかは分かりません。カード化したら多分文字ギッチギチでしょうね。(291字) 

 

フィールド·チェンジ·マジック(オリカ)

通常魔法

このカード名の①と②の効果はそれぞれデュエル中に1度しか発動出来ない

①自分フィールドの魔法罠ゾーンを1ヶ所指定して発動出来る。その魔法罠ゾーンをそのデュエル中使用不能にし、モンスターを特殊召喚する場合代わりにその魔法罠ゾーンに特殊召喚出来る。

②墓地のこのカードを除外して発動出来る。このカードと同名カードをデッキ·手札から全て裏側で除外する。このカードの効果で手札から除外された場合、そのカードの数だけドローする。

 

実質的にエクストラモンスターゾーンを生み出すカード。これなくして私はジャンドを回すことが出来ませんでした。これがそのままOCG化したらインゼクター使いとか満足民が喜びそう(偏見)。




今まで、ご愛読ありがとうございました。


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番外編
番外編〜とある決闘者とのデュエル〜


御無沙汰しております。今回は睦月江介様の作品【安価】安価でデュエルアカデミア生活GirlsSide【安価】とのコラボ作品となっております。
 睦月江介様には改めまして感謝を申し上げます。


 

 毎月恒例の月一デュエルを終えた私達は、観客席に戻り他の生徒さんのデュエルを見学していました。その一角でかなり凄いデュエリストを見つけました。

 

小柄なブルー生

 「バトル!(ブリザード・プリンセス)でダイレクトアタック!」

 

 鎖付きの氷塊を叩きつけられた対戦相手はLPが尽きて、膝を折りました。

 

透子

 「見てますか?もう一人の私。あのデュエリスト、凄い勢いでデッキを動かしてましたね」

 

 他の生徒達が目の前で繰り広げられるデュエルの感想や意見を交わし騒めくなか、もう一人の私に声をかけます。

 

闇透子

 『あぁ、もちろん見てた。俺以外ではそうそうお目にかかれないソリティアだな。やってる事はシンプルだが侮れない。ちょっと“興味湧いてきたな”』

 

 もう一人の私に”興味を持たれる”。それだけであのデュエリストは相当の実力者なのだろうと察せてしまいます。私が戦ったら勝てるのでしょうか……

 

闇透子

 『それなら明日にでもデュエルに誘って見たらどうだ?俺の悪名見て逃げたらそれまでの奴だったって事でさ』

 

 もう一人の私の実力はこのアカデミアで知らない人は殆ど居ません。ポンと飛び出る上級·最上級モンスターだけでも強力なのに、(スキルドレイン)による制圧やウイルスカードによる大規模破壊で一切の反撃を許されず、返しのターンには何一つ残らない苛烈な攻めでLPを削り取る。

 

 その苛烈なデュエルから、対戦相手に暗黒界は使わないと前置きしないとまともに相手を見つける事ができません。まぁ、私のデッキも大概陰湿なので相手の顔が歪んでいるんですけど……

 

透子

 「分かりました。それではチャイムが鳴ったら行きましょうか」

 

 私達はかなり早く出番を終えたので、まだまだ時間があります。他に面白そうなデュエルは無いか探していましょうか。

 

 その後、チャイムが鳴るまでデュエルを見学しましたが、もう一人の私のお眼鏡にかなうデュエリストは居ませんでした。

 個人的には(大革命)を使うデュエリストは面白いなと思いましたけどね。まぁ壮絶な事故を起こしたのか負けてましたけど……

 

〜 放課後 〜

 

 授業が終わった私は荷物を部屋に置き、すぐさま自爆ナチュルを握りしめてて部屋を出ました。生徒が集まってそうな場所を4箇所巡り、購買の飲食フロアで遂に見つけました。

 

 私と同じぐらいの背丈で、服装を工夫すれば男性にも女性にも見える中性的な容姿。間違いありません。あのデュエリストです。早速声をかけましょう。

 

透子

 「あ、あの!少しお時間良いですか?」

 

小柄なブルー生

 「ん?アタシ?……アカデミアの魔王様がアタシに何か用?」

 

 ほんの少しだけ警戒を孕んだ声色で放たれた魔王の名……それはもう一人の私が名乗るべき異名です。

 

透子

 「魔王……私には少し荷が重い二つ名です。さっきの月一デュエルがとっても見事だったので、是非ともデュエルをしたくて……駄目……ですか?」

 

遊里

 「あれは上手く回っただけなんだけど……ま、自分のデッキを良く言われて悪い気はしないかな。良いよ、アタシの名は美田園遊里(みたぞのゆうり)、遊里でいいよ。それじゃあ……デュエルフィールドに行こうか」

 

 私は優里さんと一緒に、デュエルフィールドに向かいました。

 

〜 デュエルフィールド 〜

 

 デュエルフィールドが空き、ようやく私達の番になりました。

 

透子

 「まずはデュエルのお誘いを受けていただき、ありがとうございます。良いデュエルをしましょうね」

 

遊里

 「魔王相手にどれだけやれるか不安だけど……アタシはアタシのデッキでやれることをやるだけだから」

 

透子·遊里

 「デュエル!」

 

透子

 「先攻は私です!ドロー!」

 

透子 手札5→6

 

透子

 「モンスターをセット。カードを3枚セットしてターンエンドです!」

 

透子 LP4000 手札2 伏せ3

 

セットモンスター

 

遊里 LP4000 手札5 伏せ0

 

遊里

 「随分穏やかな始まりだね。アタシのターン、ドロー!」

 

遊里 手札5→6

 

遊里

 「ドローされた(占い魔女ヒカリちゃん)の効果発動!このカードをドローした時、このカードを相手に見せる事で手札から特殊召喚!」

 

遊里 手札6→5

 

 手札から飛び出したのは、黄色を基調とした衣服と髪を持ち、小さな身体の魔法少女。

 

遊里

 「手札から特殊召喚された(ヒカリちゃん)の効果発動!自分フィールドのモンスター(ヒカリちゃん)を対象に墓地へ送りデッキから魔法使い·レベル1モンスター(ミスティック·バイパー)を特殊召喚!」

 

出てきたのは、少し太り気味な笛吹きの男性。

 

遊里

 「(カード·アドバンス)を発動!デッキトップ5枚を確認して好きな順番で並べ替えるよ。(ミスティック·バイパー)の効果発動!このカードをリリースして1枚ドローしてそのカードを確認して、それがレベル1モンスターなら更にドロー。引いたのは(ディメンション·コンジュラー)!追加でドロー」

 

遊里 手札5→4→5→6

 

遊里

 「このデッキ回ると長いから巻きで行くよ。ドローした(アンちゃん)を特殊召喚して効果発動!デッキから魔法使い族モンスター(ブリザード·プリンセス)を除外」

 

遊里 手札6→5

 

遊里

 「(ディメンション·コンジュラー)を召喚して効果発動。デッキ·墓地から(ディメンション·マジック)を手札に加える。そして装備魔法(ワンダー·ワンド)を(アンちゃん)に装備して効果発動。装備モンスターを墓地へ送り2枚ドロー!ドローした(チーちゃん)の効果発動。特殊召喚してお互いに1枚ドロー」

 

遊里 手札5→4→5→4→6→5→6

 

透子 手札2→3

 

遊里

 「(手札断札)を発動!お互いのプレイヤーは手札を2枚捨てて、2枚ドロー!」

 

遊里 手札6→5→3→5

 

透子 手札3→1→3

 

遊里

 「ドローした(フゥちゃん)を特殊召喚して、除外されている魔法使い族(ブリザード·プリンセス)を回収!そして(成金ゴブリン)を発動。1枚ドローして1000回復!」

 

遊里 手札5→4→5→4→4→5

 

透子 LP4000→5000

 

 本当に凄い展開力ですね。私の場に(アントジョー)がいれば愉快な事になってたんですけど……まぁ無いものは無いんですけど。

 

透子

 「ここで動きます。永続トラップ(強化蘇生)!墓地のレベル4以下のモンスター(ナチュル·スティングバグ)を守備表示で特殊召喚!オマケに攻守が100、レベルが1上昇しますそして永続罠(ナチュルの神星樹)を発動!効果はまだ使いません」

 

遊里

 「蘇生カード伏せてたかぁ……でもこっちもパーツは揃ってる!アタシは(カード·アドバンス)の効果で一度だけ追加で生贄召喚出来るから、(コンジュラー)を生贄に(ブリザード·プリンセス)を召喚!これにより、このターン君は魔法罠カードを発動出来なくなった」

 

 フィールドに降り立つ、氷塊のハンマーを握る可憐な少女。彼女が地を踏みしめると、地面に霧が這い伏せカードが見えなくなりました。

 

遊里 手札7→6

 

遊里

 「モンスターゾーンから墓地へ送られた(コンジュラー)の効果発動!自分フィールドの魔法使い族モンスター分ドローして、ドローした分デッキの上に戻す。アタシの場の魔法使い族は3体だから、3枚ドローして3枚デッキの上に戻す」

 

遊里 手札6→9→6

 

遊里

 「永続魔法(ミラクル開運ストーン)発動。この効果により、フィールドの魔法使い族モンスターは場の(占い魔女)モンスターの数×500攻撃力が上昇する。アタシの場には(チーちゃん)と(フゥちゃん)の2体が居るから1000アップ!」

 

 フィールドに迫り出してきた水色に輝く宝石の塊。その力を受けた魔法使いたちはその身体を巨大化させていきます。そして(ブリザード·プリンセス)の打点は圧巻の3800まで膨れ上がります。

 

遊里 手札6→5

 

遊里

 「魔法カード(強制転移)発動。お互いのモンスターのコントロールを入れ替える。アタシは(フゥちゃん)を選ぶ」

 

透子

 「私は……ッ……(スティングバグ)を選びます」

 

 突然空間が歪み、私の場に紫を基調とした魔法少女がやって来ました。その打点は0。

 

遊里 手札5→4

 

遊里

 「これで占い魔女の数が減って攻撃力は下がるけど、君に大ダメージを与えられる。バトル!(ブリザード·プリンセス)で攻撃!」

 

 振り下ろされる氷塊のハンマーに潰され光となって弾ける(フゥちゃん)。3300というとんでもないダメージが衝撃波となって私を襲います。

 

透子 LP5000→ 1700

 

遊里 

 「続いて(チーちゃん)でセットモンスターを攻撃する攻撃宣言時(開運ミラクルストーン)の効果発動。1枚ドロー!ドローしたのは(スィーちゃん)なので特殊召喚して効果発動!セットモンスターをエンドフェイズまで除外!」

 

 飛び出してきたクールそうな青い魔法使いの放つ魔法によってセットモンスター(ナチュル·チェリー)は異次元に隔離されました。

 

遊里 手札4→5→4

 

透子

 「相手によってフィールドを離れた(ナチュル·チェリー)の効果発動!デッキから同名モンスターを2体まで裏側守備表示で特殊召喚!更に永続罠(ナチュルの神星樹)の効果発動!レベル4以下の地属性植物族を生贄に捧げ、デッキからレベル4以下の地属性昆虫族(ナチュル·バタフライ)を守備表示で特殊召喚!」

 

 私の背に聳える巨木に(チェリー)が消えていき、代わりに蝶がやってきました

 

遊里

 「(ナチュル·クリフ)だと踏んで動いてたんだけどなぁ……(ナチュル·バタフライ)に攻撃しても無駄だしカードを3枚セットしてターンエンドするよ」

 

透子

 「エンドフェイズに、(スィーちゃん)の効果で除外されていた(ナチュル·チェリー)は帰ってきます」

 

遊里 LP4000 手札1 伏せ3

 

ブリザード・プリンセス 攻2800→3800

占い魔女チーちゃん 攻0→2000

占い魔女スィーちゃん 攻0→2000 

ナチュル·スティングバグ 守500→600

 

開運ミラクルストーン

 

透子 LP1700 手札3  伏せ1

 

ナチュル·バタフライ 守1200

ナチュル·チェリー 守200

ナチュル·チェリー 守200

 

ナチュルの神星樹

強化蘇生(スティンクバグ)

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

「まずは(ナチュル·マロン)を召喚して効果発動!デッキからナチュルモンスター(ナチュル·アントジョー)を墓地へ送ります。続いて(ナチュルの神星樹)の効果発動!コストで(チェリー)を生贄に地属性昆虫族モンスターを特殊召喚します!」

 

透子 手札4→3

 

遊里

 「流石にそれは通しちゃ駄目かな。速攻魔法(サイクロン)発動!(ナチュルの神星樹)を破壊するよ」

 

 巨木に(バタフライ)が消えた瞬間に、凄まじい強風が私のフィールドを襲い巨木を薙ぎ倒してしまいました。

 

透子

 「墓地へ送られた(ナチュルの神星樹)の効果発動!デッキからナチュルカード……(ナチュル·モスキート)を手札に加えます。更に(マロン)の効果発動!墓地のナチュルモンスター(チェリー)2体をデッキに戻して1枚ドロー!」

 

透子 手札4→5→6

 

 とにかく(スティンクバグ)を退かさないと……

 

透子

 「バトル!(ナチュル·マロン)で(スティンクバグ)を攻撃!」

 

遊里

 「速攻魔法(ディメンション·マジック)発動!自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在するときに発動出来、自分フィールドのモンスター(スィーちゃん)を対象に墓地へ送り手札から魔法使い族モンスターを特殊召喚出来る!アタシは(アンちゃん)を特殊召喚してその後フィールドのモンスターを選んで破壊出来るから(ナチュル·マロン)を破壊!」

 

透子

 「それなら永続トラップ(リビングデッドの呼び声)を発動!墓地の(ナチュル·クリフ)を攻撃表示で特殊召喚!」

 

 墓地から塗り壁が飛び出すのを尻目に人形の棺から赤色の魔法少女が飛び出して、開かれた棺からビームを飛ばし(マロン)を破壊しました。

 

遊里

 「(手札断札)で落としてたのね。やっぱ打たないで一旦待った方が良かったかなぁ……」

 

透子

 「ええ、あの(手札断札)は本当に助かりました。(クリフ)で(スティンクバグ)を攻撃!」

 

 塗り壁の体当たりでカメムシみたいなモンスターを粉砕。これで攻撃を止められる事はありません。

 

透子

 「私はカードを2枚セットしてターンエンドです」

 

透子 LP1700 手札3  伏せ2

 

ナチュル·クリフ 攻1500

ナチュル·バタフライ 守1200

ナチュル·チェリー 守200

 

リビングデッドの呼び声(クリフ)

 

遊里 LP4000 手札1 伏せ1

 

ブリザード・プリンセス 攻2800→3800

占い魔女チーちゃん 攻0→1000

占い魔女アンちゃん 攻0→1000 

 

開運ミラクルストーン

 

遊里

 「アタシのターン、ドロー!」

 

遊里 手札1→2

 

遊里

 「トラップ発動!(強欲な瓶)!1枚ドロー!ドローしたカードは(スィーちゃん)!手札から特殊召喚!」

 

透子

 「チェーンして罠発動(ブービートラップE)!手札の(ナチュル·ナーブ)を墓地へ送り墓地の(強化蘇生)をセット!」

 

遊里 手札2→3

 

透子 手札3→2

 

遊里

 「ウッ……墓地には(アントジョー)がいるからこれ以上展開したら痛い目見るか……いや、ここで止まったら(強化蘇生)から(スティンクバグ)で止められてもう巻き返せないかも。まずは(スィーちゃん)の効果発動!(ナチュル·バタフライ)をエンドフェイズまで除外!」

 

 魔法により吹き飛ばされる蝶。

 

遊里

 「装備魔法(ワンダー・ワンド)を(エンちゃん)に装備して効果発動!墓地へ送り……2枚ドロー!」

 

遊里 手札3→2→4

 

遊里

 「……来た!アタシは(スィーちゃん)を生け贄に2体目の(ブリザード・プリンセス)を召喚!」

 

透子

 「カウンタートラップ(神の宣告)を発動!LP半分をコストにその召喚を無効にして破壊!」

 

 氷の女王が大地に降り立つ直前に、白のローブを身にまとうおじいさんが現れ、その手から放つ稲妻で女王を焼き尽くしました。

 

遊里 手札4→3

 

透子 LP1700→850 

 

遊里

 「ここで(神宣)!?魔法カード(貪欲な壺)を発動!墓地の(ヒカリちゃん)、(スィーちゃん)、(バイパー)、(アンちゃん)、(ブリザード·プリンセス)をデッキに戻して2枚ドロー!」

 

遊里 手札3→2→4

 

遊里

 「……カードを2枚セットしてターンエンド」 

 

透子

 「エンドフェイズに(バタフライ)は帰ってきます」

 

遊里 LP4000 手札1 伏せ3

 

ブリザード・プリンセス 攻2800→3300

占い魔女チーちゃん 攻0→500

 

開運ミラクルストーン

 

透子 LP850 手札3  伏せ0

 

ナチュル·クリフ 攻1500

ナチュル·バタフライ 守1200

ナチュル·チェリー 守200

 

リビングデッドの呼び声(クリフ)

 

透子

 「私のターン!ドロー!」

 

透子 手札3→4

 

透子

 「(ナチュル·モスキート)を召喚!バトルです!(ナチュル・クリフ)で(ブリザード・プリンセス)に攻撃!」

 

遊里

 「なら伏せていた速攻魔法発動!(受け入れがたい結果)!手札から占い魔女モンスター(スィーちゃん)を特殊召喚!」

 

透子

 「チェーンして(強化蘇生)発動!墓地の(アントジョー)を特殊召喚します!」

 

遊里

 「カウンタートラップ発動(神の宣告)!その発動を無効にして破壊する!」

 

 神の雷で焼かれる(強化蘇生)。あのドローで(神の宣告)を引いたというんですか!?

 

遊里 LP4000→2000 手札1→0

 

透子 手札4→3

 

遊里

 「特殊召喚した(スィーちゃん)の効果発動!(モスキート)をエンドフェイズまで除外!」

 

 再び放たれる魔法で異次元に飛ばされる(モスキート)。これでこのターンに決着をつけられなくなりました。

 

透子

 「ッ……攻撃を中断してメインフェイズ2 、カードを1枚セットしてターンエンドです。エンドフェイズに(モスキート)は帰ってきます」

 

透子 LP850 手札3  伏せ1

 

ナチュル·クリフ 攻1500

ナチュル·バタフライ 守1200

ナチュル·チェリー 守200 

ナチュル·モスキート 攻0

 

リビングデッドの呼び声(クリフ)

 

遊里 LP4000 手札0 伏せ1

 

ブリザード・プリンセス 攻2800→3800

占い魔女チーちゃん 攻0→1000

占い魔女スゥーちゃん 攻0→1000

 

遊里

 「アタシのターン、ドロー!」

 

遊里 手札0→1

 

遊里

 「3枚目の装備魔法(ワンダー・ワンド)を(チーちゃん)に装備、発動!墓地へ送り2枚ドロー」

 

遊里 手札1→0→2

 

遊里

 「ドローした(チーちゃん)を特殊召喚して効果発動!お互いにドロー」 

 

 引いた。微かながらに遊里さんの口からそんな言葉が溢れました。

 

遊里 手札2→1→2

 

透子 手札3→4

 

遊里

 「アタシは(ディメンション·コンジュラー)を召喚、効果発動!デッキから(ディメンション·マジック)を手札に加えて発動!(コンジュラー)を対象に墓地へ送り、(ヒカリちゃん)を特殊召喚!その後に(モスキート)を破壊」

 

 二度現れる棺、そこから放たれたビームで(モスキート)が破壊されました。

 

遊里 手札2→1→2→1→0

 

遊里

 「バトルフェイズ!(ヒカリちゃん)で(バタフライ)に攻撃!フィールドの占い魔女は3体だから攻撃力1500!」

 

 ここで止めても、2体目に破壊されますか……

 

 光の魔法が直撃し、破壊される(バタフライ)。あともう少しだったんですけどね……

 

遊里

 「これでトドメ!(ブリザード・プリンセス)で(ナチュル·クリフ)に攻撃!」

 

 ラッキーアイテムで大幅な強化を受けた氷の女王は、手に握る巨大な氷塊ハンマーを(クリフ)に叩きつけ、私のLPを消し飛ばしました。

 

透子 LP850→-3450

 

透子

 「負けちゃいました……対戦ありがとうございました」

 

遊里 

 「いやーまさかあのアカデミア最強格相手に接戦どころか勝てるとは……でも課題が山盛りだね。どこから手を付けるべきか……ねぇ透子君、近々三沢君達とデッキ構築の相談会があるんだけど参加してみない?その時にはお菓子も振る舞っちゃうよ?」

 

透子

 「わ、私なんかで良ければ是非!」

 

 遊里さんから相談会の日時と場所を教えてもらい、私は部屋に戻りました。

 

 う〜ん……このデッキは強くはあるんですけど……私の趣味と少しズレてる気がします。もっとコントロール色を強くしたい……相手の一挙手一投足を抑えられるぐらいの……そんなパワーが欲しいんです。




感想。心よりお待ちしております。


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番外編2.とある決闘者達とデッキ構築会 -

コラボ会その2です。


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〜オベリスクブルー寮〜

 

決められた日時に、集合場所である三沢さんの部屋にやってくると、そこには既にメンバーが集まっていました。

 

三沢

 「透子君も呼ばれてたのか、これは良い相談会になりそうだ」

 

満足げに微笑む三沢さんの隣に座っているのは、明日香さんの隣によくいるももえさん。

 

ももえ

 「あら、透子さんも呼ばれてましたのね?遊里さんは今クッキー焼いてますの、しばしお待ち下さいませ」

 

 遊里さんお菓子作れるんですね。それでは少しのんびりさせて貰いましょうか。

 

三沢さんとももえさんが世間話してるのを聞いていると、クッキーを皿に持った遊里さんがやってきました。

 

遊里

 「お待たせ。いい感じにクッキー焼けたよ」

 

 仄かに香る小麦とバターの匂い。これだけでもう美味しいのが分かってしまいます。

 

遊里

 「クッキーは適度に食べてね。それじゃあ、早速相談会を始めようか。まずは私から」

 

 遊里さんはバックからデッキを取り出し床に広げました。私と戦った占い魔女です。

 

遊里

 「みんな1度は戦ったことあると思うけど、このデッキの改善点ってなんだと思う?」

 

 遊里さんがそう切りました途端、私の身体がらフッと力が抜けました。

 

闇透子

 「安定感と制圧力だな。むしろあんな不安定なデッキをあそこまで回せるのかと関心したレベルだぜ。こんなこともあろうかと、それらを一発解決出来る出張パーツ持ってきたぜ」

 

 もう一人の私がそう言うと、バックから8枚のカードと数種類の融合モンスターを出してきました。

 

遊里

 「口調が変わった?それにこれ……初めて見るカードだ」

 

三沢

 「このカード……カードパワーが明らかに違うぞ」

 

闇透子

 「コイツは召喚権と墓地のモンスターを使って強力な融合モンスターを生み出すカード群だ。しかもこれを毎ターン繰り返せる。たまたまカード余ってたからやるよ」

 

遊里

 「本当に……良いの?」

 

 それに関しては完全に同意です。召喚師で融合魔法を持ってきて、召喚したモンスターと自分か相手の墓地のモンスターを除外して融合。墓地の融合魔法をデッキに戻して召喚師を回収。その召喚師を持ってこれるフィールド魔法もあるし明らかに異常な力があります。

 

闇透子

 「構わねぇよ。枚数余ってるし、強くなって貰った方が俺も張り合い出るし。多分それ突っ込んでも俺は勝てるし」

 

あっ、よく見ると闇属性の融合体入ってないですね。ちょっと姑息……

 

三沢

 「後は(フォーチュンレディ)はどうだ?あちらのデッキの要である(ライティー)を(ヒカリちゃん)でデッキから引き出せたり(フゥーちゃん)の除外でシナジーがあるし、(ウォーテリー)でドローが可能だ」

 

遊里

 「それは他の人にも相談したけど、ちょっと安定感が無いんだよね」

 

闇透子

 「ただでさえ安定感無いのに、これ以上安定感下げたら事故で地獄見るからな……シンクロがあれば話が変わるんだが……

 

 シ、シンクロ?何でしょうかそれは……

 

遊里

 「それじゃあこのカードは有り難く貰って置こうかな。あとはもっと継続的にドロー出来るカードが欲しいかな……」

 

三沢

 「それなら(一点着地)はどうだ?占い魔女は手札からの特殊召喚を多用する。(ディメンション·マジック)で相手ターンに特殊召喚すれば手札を増強出来る」

 

闇透子

 「後は(チキンレース)は入れていいと思うぜ?LPコストなんてあってねぇようなもんだし」

 

なるほどなるほどとメモを取って書き殴っていく遊里さん。

 

遊里

 「ありがとう、凄く参考になったよ。それから最近作ったデッキなんだけど、見て欲しいんだ」

 

遊里さんがそう言うと、新たにデッキを広げました。これは……

 

ももえ

 「霊使い……ですか?」

 

闇透子

 「これは……なるほど、これは改善のし甲斐があるな」

 

 改善の余地あり……そんなに悪いデッキなのでしょうか……

 

闇透子

 「俺はこのデッキと戦ってねぇから完璧には理解してないが、このデッキは送りつけた(サタンクロース)を、霊使いをリバースして奪取して憑依装着するデッキ……であってるな?」

 

遊里

 「全てじゃないけど大体そうだね」

 

闇透子

 「ぶっちゃけ俺妖精伝記の動き殆ど知らないからこんな事言えるんだけどさ……これ(カグヤ)以外の妖精伝記抜いて霊使い系の罠と汎用罠積んだ方が強いんじゃないか?」

 

ももえ

 「透子さん!?ちょっとはっきり言い過ぎでなくて!?」

 

 もう一人の私が放つデッキの根底を否定しかねない発言に、ももえさんが驚きと批判を含んだ声を上げました。

 

遊里 

 「ほぅ……その心は?」

 

 それに対して遊里さんはこれを静止し、もう一人の私の声に耳を傾けます。

 

闇透子

 「(カグヤ)以外の単体カードパワーがやや控えめなのが1つ、後は(憑依覚醒)でドローしてアドを稼ぎつつ、罠でガンガン除去したほうが強い。憑依魔法罠と汎用罠使えば十分な妨害が出来るからな。後は(憑依覚醒)と(憑依解放)でガチガチ耐性とモリモリパンプされた魔法使い達で殴れば勝ちだ」

 

遊里

 「なるほど……ちょっと方向性悩んでたからありかも。前向きに検討してみるよ」

 

闇透子

 「参考になれたなら良かった、ちょっと踏み込みすぎたかと軽く後悔したからな」

 

 メモを取り、笑顔で礼を言う遊里さん。もう一人の私はこれに答えて、皿に残るクッキーを1つ齧りました。美味しい……多分お店で売れるレベルだと思います。私だったら帰り道に毎日寄り道して買っちゃいます。

 

闇透子

 「なぁ……もし完成したら俺のデッキで試運転しねぇか?俺も久々に回したいデッキがあってさ」

 

遊里

 「もちろん良いよ。それじゃあササッと組んじゃうね。幸い手元にカードはあるからさ」

 

闇透子

 「俺はちょっと自室に戻ってそのデッキ持ってくる。余りにも強すぎて普段使い出来ないんだわ」

 

 そう言って、もう一人の私は部屋を出ていきました。

 

 

〜 廊下 〜

 

透子

 「ねぇ……もう一人の私。さっき普段使いできないデッキって一体なんなんですか?そんなデッキ使ってるの見たことないですよ?」

 

闇透子

 『そりゃここでは使った事ないからな。マジで強すぎて心折りかねない。俺はメタビの王なんて勝手に呼んでる、俺がデュエリストとして初めて組んだ思い出のデッキだ』

 

 もう一人の私……初めては暗黒界じゃなかったんですね……ん?それじゃあ遊里さんを精神的に叩き潰すってことじゃないですか!

 

透子

 「も、もう一人の私!そんなのいけませんよ!私が負けたからってそんな本気でかからなくて良いじゃないですか!」

 

闇透子

 『流石の俺でもそんな大人げねぇことはしねぇって。俺はメタビ使いとなるだろう同期にメタビとはなんたるかをその身を持って教えてやるだけだ。デュエルの強くなる方法は教えたよな?』

 

 それは、つい最近言ってましたよね?それは……

 

透子

 「諦めないこと、カードの力を最大限活かすデッキを作ること、そして……相手が嫌がることを全力ですること、ですね?」

 

闇透子

 『そうだ。彼女のあのデッキは妨害するという意思が何処か希薄だ。相手のターンは耐えて、自分のターンに除去して殴っていく。確かにそれも重要で基本的な要素だが、やはり相手のやりたい事をさせない、させる前に潰すのが1番だ』

 

闇透子

 『なに、実は俺がこれから使うデッキは霊使いとは少し相性が悪い、それなりに良いバランスになるだろうさ』

 

 ほら、待たせるのも悪いから走るぞと、イエロー寮から出たもう一人の私はそう言って地面を強く蹴って走り出しました。

 

 

〜 ラーイエロー寮 〜

 

 十数分後、私達はラーイエロー寮の三沢さんの部屋に戻ってきました。私達の部屋についたら3分でいいから目を瞑ってくれって言われたときは驚きました。目を閉じないでいるのは普通に分かるみたいだったので仕方なく従いましたけど……何してたんでしょうか?

 

闇透子

 「すまねぇ、待たせたな」

 

三沢

 「おお、透子君か。こちらは俺のデッキが纏まった所だ。遊里君の方も終わったみたいだし、早速するのか?」

 

闇透子

 「あぁ、遊里がタイミング良い時に行ってくれ」

 

遊里

 「アタシの調整は終わってるから、いつでも行けるよ。心をへし折るデッキの力、見せて貰おうかな。2人はデッキの調整してて。2人きりで……ね」

 

 遊里さんの視線の先にはももえさんが……何を考えているのでしょうか……

 

 もう一人の私と遊里さんは、デュエルをするために一旦部屋を出ました。

 

〜ラーイエロー寮前〜

 

遊里

 「それじゃあ、早速デュエルしようか」

 

闇透子

 「俺が今から使うデッキは霊使いとは若干相性が悪いが、その強さは一線を画するぜ。行くぞ!」

 

遊里·闇透子

 「デュエル!」

 

遊里

 「先攻はアタシ!アタシのターン、ドロー!」

 

遊里 手札5→6

 

遊里

 「速攻魔法(精霊術の使い手)を発動!コストで手札の(憑依装着ライナ)を捨てて、デッキから(霊使い)モンスター、(憑依装着)モンスター、(憑依)魔法罠カードの内、2枚を選んで、その内の1枚を手札に加え、もう1枚を自分フィールドにセットする!私は(憑依覚醒)を手札に加えて(憑依開放)をセットする!そして(憑依覚醒)を発動!」

 

遊里 手札6→5→4→5→4

 

遊里

 「そして(妖精の伝記)を発動!そして効果発動!フィールドに同名モンスターが存在しない手札の攻撃力1850の魔法使い族(妖精伝記カグヤ)を相手に見せて通常召喚する。そして(カグヤ)の効果にチェーンして(憑依覚醒)の効果発動!攻撃力1850のモンスターが召喚·特殊召喚に成功すると1枚ドロー出来る!そして(カグヤ)は召喚に成功した時デッキから攻撃力1850の魔法使いモンスター(憑依装着ダルク)を手札に加える!」

 

遊里 手札4→3→2→3→4

 

遊里

 「まだ召喚権が残ってるから(憑依装着ダルク)を召喚。カードを1枚セットしてターンエンド」

 

遊里 LP4000 手札3 伏せ2

 

妖精伝記カグヤ 攻1850→2450

憑依装着ダルク 攻1850→2450

 

憑依覚醒

妖精の伝記

 

 

闇透子 LP4000 手札5 伏せ0

 

 (憑依覚醒)による効果破壊耐性。そして(憑依解放)による戦闘耐性。更に(憑依連携)によるフリチェ破壊。厄介な盤面だ。

 

闇透子

 「俺のターン!ドロー!」

 

闇透子 手札5→6

 

闇透子

 「スタンバイ、メインフェイズ!俺は永続罠(真竜の復活)をリリース……じゃない生け贄に捧げて召喚!(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))!」

 

 永続魔法を贄として現れたのは、緑の鎧を纏い拳を固める拳闘士。

 

闇透子 手札6→5

 

遊里

 「ま、魔法罠を生贄に召喚!?そんなのありなの!?」

 

闇透子

 「コイツ等共通のルール効果だ。コイツ等は魔法罠を贄として召喚出来る。そして墓地へ送られた(復活)の効果発動!モンスターカード(カグヤ)を対象に破壊する!やれ!(ダイナマイトK)!」

 

遊里

 「モンスターを出しながらこっちのモンスターを破壊!?なら(カグヤ)の効果発動!相手フィールドのモンスター(ダイナマイトK)を対象に手札に戻す!」  

 

闇透子

 「チェーンして(ダイナマイトK)の効果発動!アドバンス召喚……失礼、生け贄召喚したこのカードが場にいる時に相手がカードの効果を発動した時、デッキから真竜罠(真竜の復活)を発動する!後、(カグヤ)の効果はデッキから(ダイナマイトK)を墓地へ送ることで無効にするぜ」

 

 拳闘士が紫の光を拳に纏い、(カグヤ)を打ち砕いた。

 

遊里

 「それなら永続罠(憑依解放)を発動!フィールドの魔法使いが戦闘·効果で破壊された場合、破壊されたモンスターと属性が違う守備力1500の魔法使いモンスターを表か裏で特殊召喚。アタシは(水霊使いエリア)を裏側表示で特殊召喚するよ」

 

闇透子

 「バトルフェイズ!(ダイナマイトK)で(憑依装着ダルク)を攻撃!ダイナマイトナックル!」

 

遊里

 「ここでトラップ発動(憑依連携)!墓地の守備力1500のモンスター(憑依装着ライナ)を特殊召喚して更にアタシのフィールドに2種類の属性のモンスターが居れば更にフィールドのカードを選んで破壊出来る。アタシの場には光の(ライナ)と闇の(ダルク)が居るから(ダイナマイトK)を破壊するよ」

 

 緑の拳闘士の拳が闇の魔法使いを打ち据えようとした瞬間、墓地から光の魔法使いが闇の魔法使いを庇う様に飛び出してきた。その少女はその手に握る杖から放つ魔法で拳闘士を打ち砕き、見事闇の魔法使いを守って見せた。

 普段は可憐な様子の彼女だが、仲間を守ったその表情は凛々しくカッコ良かった。

 

闇透子

 「チィ!普通に(ナックル)持ってかれたのキツい!カードを3枚セットしてターンエンド!ここで(復活)の効果発動!墓地の真竜モンスター(ダイナマイトK)を守備表示で特殊召喚!」

 

闇透子 LP4000 手札0 伏せ3

 

真竜拳士ダイナマイトK(ナックル) 守1200

 

真竜の復活

 

遊里 LP4000 手札1 伏せ0

憑依装着ダルク 攻1850→2450

憑依装着ライナ 攻1850→2450

セットモンスター

 

憑依覚醒

妖精の伝記

憑依解放

 

遊里

 「アタシのターン!ドロー!」

 

遊里 手札1→2

 

闇透子

 「トラップ発動(幽麗なる幻滝)!2つ効果があるがそのうちの1つ、デッキの幻竜族モンスターを手札に加える!俺は(真竜導士マジェスティM)を手札に!」

 

闇透子 手札0→1

 

遊里

 「アタシは(水霊使いエリア)を反転召喚して効果発動。君の(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))を対象にしてコントロールを得るよ」

 

闇透子

 「ここで永続トラップ(真竜の復活)の効果発動!相手ターンにアドバンス召喚……じゃない生け贄召喚する!俺は対象になった(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))をri……生け贄に捧げて(真竜導士マジェスティM(メイデン))を召喚!」

 

 水色髪の少女が杖を振るい魔術を発動し、(ナックル)を使役しかけるがすんでの所でその身体を粒子に変え、ローブを纏った竜人導士が姿を現した。

 

闇透子

 「(復活)の効果発動!墓地の(ナックル)を守備表示で特殊召喚!」

 

遊里

 「(妖精の伝記)の効果発動、自分フィールドに同名が存在しない手札の攻撃力1850の魔法使い族(憑依装着アウス)を相手に見せて通常召喚する。そして(憑依覚醒)の効果発動して1枚ドロー」

 

闇透子

 「ならそれにチェーンして(真竜導士マジェスティM(メイデン))の効果発動。(ナックル)と同じ条件でこっちは真竜モンスター(真竜戦士イグニスH(ヒート))を手札に加える」

 

遊里 手札2→3

 

闇透子 手札1→0→1

 

闇透子

 「そして永続トラップ(真竜の黙示録)を発動にチェーンして速攻魔法(帝王の烈旋)を発動!(裂旋)の効果により、俺はこのターン。相手モンスターを1体までを素材に生贄召喚出来る」

 

遊里

 「相手ターンにそんな効果を……いや、まさか!?」

 

闇透子

 「そう!そのまさかだ!(黙示録)の効果発動!相手ターンに生贄召喚出来るので、(憑依覚醒ライナ)を生け贄に(真竜戦士イグニスH(ヒート))を召喚!」

 

(ライナ)の周りに強烈な竜巻が現れ彼女を呑み込んだ。竜巻が去るとそこに彼女の姿は無く、代わりに赤き鎧を纏い大剣を担いだ仮面竜人戦士が立っていた。

 

闇透子 手札1→0

 

遊里

 「まさか相手ターンに(クロス·ソウル)するカードがあるなんて……でもバトル!(憑依装着ダルク)で(真竜導士マジェスティM(メイデン))を攻撃!私の場の属性は3種類。よって攻撃力は300×3アップして2750!」

 

闇透子

 「ダメージ計算時に永続トラップ(真竜の黙示録)の効果発動!フィールドの真竜カード(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))を破壊して相手フィールドのモンスターの攻守を半分にする!」

 

 (ダイナマイトK)が霧散し、俺の背後に降臨した超巨大なドラゴン(真竜皇V.F.D (ザ·ビースト))。奴の放つ黒いブレスが霊使い達を容易く包み、大きく動きを鈍化させる。

 

憑依装着ダルク 攻2750→1325→2125

水霊使いエリア 攻500→1100→550

憑依装着アウス 攻2750→1325

 

(ダルク)が放った魔法を(メイデン)はするりと交わし、風の魔法によって生み出された刃で切り刻んだ。

 

遊里

 「ッ……(憑依解放)の打点上昇すら追いつかない程のコンバットトリックなんて……でも(憑依解放)の効果発動!デッキから属性の異なる攻撃力1850のモンスター(憑依装着ヒータ)を特殊召喚!そして(憑依装着ヒータ)で(真竜導士マジェスティM(メイデン))を攻撃!(憑依解放)の効果でコッチから(憑依装着)モンスターが攻撃する場合、ダメージステップ時のみ攻撃力が800アップする。よって攻撃力は3550になるよ」

 

 使い魔の力を開放した(ヒータ)は手に握る杖から爆炎を解き放ち(メイデン)を焼き払った。

 

闇透子 LP4000→3050

 

遊里

 「アタシはフィールド魔法(魔法族の里)を発動。これでカードを1枚セットしてターンエンドするよ」

 

遊里 LP4000 手札1 伏せ1

フィールド(魔法族の里)

 

憑依装着ヒータ 攻1850→2450

水霊使いエリア 攻500→1100→550

 

憑依覚醒

憑依解放

妖精の伝記

 

闇透子 LP3050 手札0 伏せ0

 

真竜戦士イグニスH(ヒート) 攻2400

 

 

真竜の復活

真竜の黙示録

 

手札0、打点でも負けていて、極めつけに(魔法族の里)で魔法を封じられリソース回復もろくにできない。こんな状況を、どうやって巻き返せばいい?

 

闇透子

 「俺のターン……ドロー!」

 

闇透子 手札0→1

 

 ……行ける!

 

闇透子

 「俺はフィールドゾーンにカードをセット。これによりフィールド魔法(魔法族の里)はルールにより破壊される」

 

 木漏れ日が辺りを照らす森林は消え去り、アカデミアの大地が姿を表した。

 

闇透子

 「俺はフィールドゾーンにセットされたカードを発動する。刮目せよ、真なる龍が同胞の力を授かる聖域を!(ドラゴニックD(ダイアグラム))!」

 

 空間が書き換わり、清涼な空気が辺りを包むヘリポートの様な世界が姿を現した。

 

闇透子 手札1→0

 

闇透子

 「まずは(復活)の効果発動!墓地の(メイデン)を特殊召喚!そして(ドラD)の効果発動!俺の手札·場のカード(メイデン)を選んで破壊してデッキから真竜カード(真竜凰の使徒)を手札に加える!そして発動!」

 

闇透子 手札0→1→0

 

 場に現れる(十二獣モルモラット)他名も知らないモンスター達が(メイデン)を破壊し、(メイデン)が立っていた場所に(真竜凰の使徒)を生み出した。

 

闇透子

 「永続魔法(真竜凰の使徒)の効果発動!墓地の真竜カード(ナックル)2枚と(メイデン)をデッキに戻して1枚ドロー!」

 

闇透子 手札0→1

 

闇透子

 「良し!魔法カード(強欲で貪欲な壺)を発動!デッキの上から10枚を裏側除外して2枚ドロー!」

 

闇透子 手札1→0→2

 

さてと除外されたカードは……(ドラD)2枚、(継承)3枚、(使徒)、(イグニスH)、(ナックル)2枚、(メイデン)1枚……うわぁ、イグニスのサーチ先全部消し飛んだんだけど……でもこれ引けたならまぁいいか!

 

闇透子

 「(使徒)の効果発動!自分メインフェイズにアドバンス召喚する!俺は(使徒)と(復活)をリリース!真なる竜剣士よ、数多の同胞の力を継ぎ、ダイアグラムの元で覚醒せよ!(真竜剣皇マスターP(ピース))!」

 

 フィールドに降り立つのは、純白の鎧を身に纏った竜剣士。前世では禁止にされて久しい本当のエースだ。

 

闇透子 手札2→1

 

闇透子

 「墓地へ送られた(使徒)の効果と(復活)の効果発動!それにチェーンして(マスターP)の効果発動!コストで墓地の永続魔法罠(真竜の復活)を除外してフィールドのカード(憑依覚醒)を対象に破壊する。そして(復活)で(ヒータ)を、(使徒)で(開放)を破壊する!」

 

 (マスターP(ピース))が持つ長剣に緑と紫の光が宿り、剣を一閃。剣先より飛ばされた光は3枚のカードを一気に両断してしまった。

 

闇透子

 「バトルフェイズ!(イグニスH)で(憑依覚醒ヒータ)を攻撃!イグニッションスラッシュ!」

 

遊里

 「トラップ発動(聖なるバリア‐ミラーフォース‐)発動!相手モンスターの攻撃宣言時に、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

 (ヒータ)に爆炎に障まれた大剣を振り下ろす(イグニスH)の前に現れた薄い障壁。大剣によって砕かれた障壁はエネルギーとなって俺の場のモンスターを破壊した。純白の竜剣士以外は。

 

遊里

 「な……なんで(マスターP(ピース))が……」 

 

闇透子

 「(マスターP(ピース))の効果。このカードが生け贄召喚の素材としたカードの種類の効果を受けない。つまり、このカードは魔法罠の効果を受けない。」

 

 (ドラD)、(メイデン)で簡単に持ってこれる利便性。永続魔法罠を使い召喚できるそこそこの手軽さ。そして召喚されたら生半可なデッキでは対処困難な耐性と制圧力。リンク召喚導入で大幅な弱体化を食らった多くのデッキを葬り自身も牢獄に追いやられた最強のモンスターだ。そう簡単には勝たせてやらねぇ、ここから逆転開始だ!

 

闇透子

 「続いて(マスターP(ピース))で(憑依覚醒ヒータ)を攻撃!ドラゴニックブレード!」

 

 その手に握る長剣を振るい、紙でも斬るかの様に容易く(ヒータ)を両断し破壊した。まぁ、(妖精の伝記)でダメージは入らないんだがな。

 

闇透子

 「俺はカードを1枚セットしてターンエンド。さぁ、巻き返してやったぜ!」

 

闇透子 LP3050 手札0 伏せ1

フィールド(ドラゴニックD)

 

真竜剣皇マスターP(ピース) 攻2950

 

真竜の黙示録

 

遊里 LP4000 手札1 伏せ0

 

水霊使いエリア 攻550

 

妖精の伝記

 

遊里

 「アタシのターン。ドロー!」

 

遊里 手札1→2

 

 (真竜剣皇マスターP(ピース))の耐性は鉄壁だ。霊使いの主要な除去を受け付けない魔法罠耐性。そして伏せている(帝王の溶撃)で(カグヤ)を抑えられる。これでこのターン耐えれば勝機が見える!

 

遊里

 「このターンは凌げるって顔してるけど……このターンで押し切る気持ちで行くよ!このカードは相手フィールドのモンスター1体を生け贄にして、手札から相手フィールドに守備表示で特殊召喚できる。アタシは(真竜剣皇マスターP(ピース))を生け贄に捧げる。悪い君にプレゼント、(サタンクロース)!」

 

 鉄壁のモンスターが贄に捧げられ現れた悪魔のサンタクロース。あっ(帝王の溶撃)が腐った。

 

遊里 手札2→1

 

遊里

 「そして墓地の(憑依連携)の効果発動!墓地のこのカードを除外して、墓地の憑依永続魔法罠(憑依覚醒)を場に置く。そして(妖精の伝記)の効果発動!場に同名が存在しない攻撃力1850のモンスター(妖精伝記カグヤ)を召喚!」

 

 ちょ、おま持ってるのかよ!?だが、(憑依覚醒)のパンプ分加えても俺のLPはギリギリ削りきれない。(ドラD)があるならまだ巻き返せる!

 

遊里

 「(カグヤ)の効果で(憑依装着ウィン)を手札に加え、(憑依覚醒)の効果で1枚ドロー!フフフ、アタシは(水霊使いエリア)を生贄に捧げ、(ブリザード・プリンセス)を召喚!」

 

 (真竜皇V.F.D (ザ·ビースト))の瘴気で弱っていた(エリア)を生贄に呼び出された(ブリザード·プリンセス)。あっ、終わった。

 

遊里 手札1→0→1→2→1

 

遊里

 「(カグヤ)の効果発動。相手フィールドのモンスターとこのカードを手札に戻す。君のデッキに(サタンクロース)が有るなら無効になるけど、どう?」

 

闇透子

 「なんとなく分かってるくせに……無いので効果処理どうぞ」

 

 月から牛車に乗ってやってきた使者に連れられて、(カグヤ)と(サタンクロース)は手札に帰っていった。

 

遊里 手札3→5

 

遊里

 「バトル。(憑依覚醒)の効果で攻撃力は3100になった(ブリザード・プリンセス)でダイレクトアタック!」

 

振り回される氷塊ハンマーが直撃して俺のLPは0になった。

 

闇透子 LP3050→-50

 

遊里

 「どう?アタシのデッキ。何か改善点があれば教えて欲しいんだけど」

 

闇透子

 「正直霊使い舐めてたかもしれねぇ。いくら想像以上に相性が悪いとはいえ、まさか俺のデッキ最強格の真竜がやられるなんて思わなかった。最強の切り札切って負けたんだ。もう誇って良いレベルの仕上がりだぜ。あと、これ使えるかもしれねぇからやるわ。汎用罠入れ替えたいときにでも使ってくれ」

 

 近づいて遊里に手渡したのは、(エクレシア)と(ドラグマ·パニッシュメント)他落としておいしい融合体達。(憑依解放)で呼び出せる点でシナジーがあり、(パニッシュメント)がシンプルに強い。

 

遊里

 「ありがと。それじゃあ寮に戻ろうか。三沢君とももえも待ってるし」

 

闇透子

 「そうだな。あと遊里。出来ればでいいんだが、遊里が知る限りで強いデュエリストを紹介してくれねぇか?基本的にパワカでぶん殴るだけで大抵のデュエリストが沈むから、プレイングを磨き直してぇんだ」

 

 俺がアカデミアで使うデッキは暗黒界。基本的に手札のカードを捨ててれば何となくである程度動けてしまう。それで(グラファ)立てるだけで相手は困窮し、(グラファ)擦り続けるだけで勝ってしまったデュエルがある程だ。そのせいでデュエリストとしてのプレイングが退化してる所があるのかもしれない。

 

遊里

 「強いデュエリストかぁ……うん。ちょっと待ってね」

 

 遊里はそう言ってメモを破りペンを走らせる。しばらくして、そのメモを手渡してきた。

 

遊里

 「これパソコンで出来るデュエルシミュレータのURL。後でこのスレも覗いて見て、そこデュエルジャンキーの巣窟になってるからきっと満足出来ると思う」

 

闇透子

 「パソコンか……そんなサイトがあるなんて知らなかったぜ。ありがと。それじゃあイエロー寮に戻るとしますか」

 

 受け取ったメモをポケットにしまい、俺達は足早にこの場から立ち去った。

 

〜 ラーイエロー寮 〜

 

遊里

 「ただいま。どう?ももえはデッキ構築の参考になった?」

 

ももえ

 「バッチリですわ!」

 

 どうやらそっちは上手く行ったみたいだな。それじゃあもうこの場はお開きかな?

 

透子

 「すみません。もう1個だけデッキを見て頂いて良いですか?」

 

 透子が見せてきたのは……自爆ナチュルか?

 

三沢

 「これは……自爆ナチュルだな?どこか改善点があるようなデッキには見えないが……」

 

透子

 「いえ、このデッキ。強いのはそうなんですが、実は自分のやりたい事とどこかズレがありまして……相手の動きを止めながらじっくりと戦うデッキにしたいなと……どうか力を貸して頂けますか?」

 

 こうして最後のデッキ相談会が始まったのだが、パーミッション要素は簡単に見つかったものの、問題はコンセプト通りに動かせる初動が存在しない事。”下級でパーミッションして戦う“。これを達成するには(アントジョー)による大量展開が必要なのたが、そもそもこのアカデミア環境で大量に特殊召喚するデッキは本当に限られており、1·2回が精々で(ナチュル·ナーブ)や(サンフラワー)を連打出来る程の出力を出せないのである。

 

三沢

 「むぅ……中々難題だな。(ナチュル·バンブーシュート)を主軸に構築するアプローチは悪くないはずなんだが……」

 

遊里

 「そもそも先攻で(バンブーシュート)が立てれない問題が解決してないよ。(マロン)を初動にする時点でどうしても召喚権を使うから召喚権が喧嘩するんだよね」

 

 唸り声で沈黙する場。絶望的にカードが足りない。何か……何か無いのか……

 

 発想が凝り固まり埒が明かないこの状況は、ドアが開かれる音で打ち破られた。

 

ももえ

 「ただいま戻りましたわ。私、自室のストレージにナチュルのカードが無いか探してみましたの。そしたらありましたわ!どうか確認なさって下さいませ」

 

 ナチュルカードの大半はあんまし期待できない性能だが果たして……(ナチュルの春風)と(ナチュル·カメリア)?

 

闇透子

 「これ……強くねぇか?一部ナチュルのコスト踏み倒しもそうだし、場に出したときのおろまい効果で実質的なナチュルサーチになるぞ」

 

遊里

 「(ナチュルの春風)で特殊召喚して、効果で(ナチュルの神星樹)を落として、効果で(バンブーシュート)を持ってきてそのまま召喚出来るよ」

 

三沢

 「それ抜きにしても、別途モンスターを墓地へ送れば相手モンスターの召喚·特殊召喚で蘇生させられる。素引き前提だった(リビングデッドの呼び声)や(強化蘇生)を実質(ナチュルの神星樹)によって持ってこれるだけでも革命的だ」

 

 ももえが持ってきたカード群によって、議論は動き出した。

 

 最終的に(カメリア)と妨害モンスターを維持しつつ、肥やした墓地から蘇生して妨害を厚くしつつ、バックの魔法罠でも妨害を重ねて隙あらば(バンブーシュート)の着地を狙うデッキが爆誕した。打点問題は(ガオドレイクのたてがみ)で何とかする。

 

透子

 「ありがとうございます。これで、楽しくデュエルが出来そうです」

 

 デッキを受け取り、笑顔で礼を伝える透子。こうして、俺達のデッキ相談会は終わりを告げた。

 

 

〜 オベリスクブルー女子寮 〜

 

闇透子

 「よし、インストール完了。さて、始めますか」

 

 風呂とかその他諸々を済ませた俺は、使わずに埃被ってたパソコンを立ち上げてURLを検索。見つかったサイトに入り、手持ちのデッキを見ながらデッキリストにカードを入れて準備完了。

 

闇透子

 「しかし驚いたな。まさか真竜とかの現代カードまで入ってるとは思わなかったな。デッキも何種類か保存出来るし、すげぇ良いサイト教えてもらったかも」

 

 雑に蓋してイージーウィン出来ない様にある程度調整した真竜を使用デッキに選択し、俺はフリーデュエルに潜った。




次回は現在プロット組み立て中ですが、もしかしたら続かないかもしれません。

 感想、お待ちしています。


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番外編3.闇透子の武者修行

お久しぶりです。何とか完成したので投稿です。後、睦月江介様リスペクトの掲示板ネタもあります。


 

 

 デュエルする画面に切り替わったが……見た感じADSと変わらない感じか。対戦相手は……Killer YAMATOさんね。

 

闇透子

 「Killer YAMATOさん、対戦よろしくお願いします」

 

 ジャンケンの結果は……俺の負け、向こうが先攻か。

 

Killer YAMATO

 「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。永続魔法(炎舞-「天璣」)を発動。発動時の効果処理として、デッキからレベル4以下の獣戦士モンスター(武神‐ヤマト)を手札に加える。(武神‐ヤマト)を召喚」

 

 Killer YAMATO 手札5→6→5→6→5

 

 相手は武神デッキか……手札誘発や墓地誘発で戦う戦闘テーマってこと以外殆ど知らないんだよなぁ……せいぜい疑似(オネスト)効果の(ハバキリ)がいることぐらいか?

 

Killer YAMATO

 「永続魔法(カイザーコロシアム)発動。カードを2枚セットしてメインフェイズ終了。エンドフェイズに(武神‐ヤマト)の効果発動。デッキから(武神器‐ハバキリ)を手札に加え、手札の(武神器‐ヘツカ)を捨てる。ターン終了」

 

Killer YAMATO LP4000 手札2 伏せ2

 

武神‐ヤマト 攻1800→1900

 

カイザーコロシアム

炎舞-「天璣」

 

SYUGYO-SO LP4000 手札5 伏せ0

 

 

透子

 『もう一人の私……何してるんですか?あと、その名前はどうにかならなかったんですか?』

 

闇透子

 「武者修行するためにネットで知らないデュエリストとデュエルしてる。名前?そんなん修行するんだから修行僧になるだろうよ。あっ、俺のターンだ」

 

 俺のターンに入っている事に気づき、すぐに画面を操作する。

 

闇透子

 「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。カードをセット。セットされた(真竜皇の復活)を生贄に(真竜戦士イグニスH(ヒート))を召喚。墓地へ送られた(真竜皇の復活)の効果発動。(武神‐ヤマト)を対象にして破壊」

 

 闇透子 手札5→6→5→4

 

Killer YAMATO

 「チェーンして墓地の(武神器‐ヘツカ)を除外して効果発動。武神モンスターを対象とする相手カードの効果が発動したとき、墓地から自身を除外し、その効果を無効にします」 

 

闇透子

 「それにチェーンして、(真竜戦士イグニスH(ヒート))の効果発動。生贄召喚したこのカードが場に存在し、相手がカードの効果を発動したとき、デッキから(真竜の継承)を手札に加える事が出来ます」

 

闇透子 手札4→5

 

闇透子

 「メインフェイズ終了。バトルフェイズ。(真竜戦士イグニスH(ヒート))で(武神‐ヤマト)を攻撃」

 

Killer YAMATO

 「トラップ発動(幻獣の角)。このカードは発動後、獣戦士族モンスター(武神‐ヤマト)の装備カードとなり攻撃力800ポイントアップします」

 

Killer YAMATO

 「手札の(武神器‐ハバキリ)の効果発動。獣戦士族の武神モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、手札から自身を墓地へ送って発動。戦闘を行う自分モンスターの攻撃力はそのダメージ計算時の間のみ元々の攻撃力の倍となります」

 

 つまり攻撃力が3600になるわけね。

 

SYUGYO-SO LP4000→2800

 

Killer YAMATO 手札2→1

 

Killer YAMATO

 「このカードを装備した(武神‐ヤマト)が相手モンスターを戦闘で破壊したことで(幻獣の角)の効果発動、デッキから1枚ドロー」

 

Killer YAMATO 手札1→2

 

SYUGYO-SO

 「バトルフェイズ終了。メインフェイズ2、永続魔法(真竜の継承)を発動。効果を発動。このターンに墓地へ送られた真竜カードの種類分。2枚ドロー」 

 

SYUGYO-SO 手札5→4→6

 

SYUGYO-SO

 「(真竜の継承)の効果発動。自分メインフェイズに生け贄召喚を行う。よって(真竜の継承)を生贄に(真竜導士マジェスティM(メイデン))を召喚。墓地へ送られた(真竜の継承)の効果発動。(カイザーコロシアム)を対象に破壊」

 

SYUGYO-SO 手札6→5

 

SYUGYO-SO

 「(真竜凰の使徒)を発動。効果発動。墓地の真竜カードを3枚。(真竜皇の復活)、(真竜の継承)、(真竜戦士イグニスH(ヒート))を対象にして発動。そのカードをデッキに戻して1枚ドロー」

 

SYUGYO-SO 手札5→4→5

 

SYUGYO-SO

 「(真竜凰の使徒)の効果発動。自分メインフェイズに生け贄召喚を行う。(真竜凰の使徒)を生け贄に(真竜騎将ドライアスⅢ世)を召喚。墓地へ送られた(真竜凰の使徒)の効果発動。セットカードを対象に破壊」

 

Killer YAMATO

 「チェーンしてトラップ発動(針虫の巣窟)。デッキの上からカードを5枚墓地へ送ります」

 

SYUGYO-SO

 「それにチェーンして(真竜導士マジェスティM(メイデン))の効果発動。デッキから(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))を手札に加えます」

 

SYUGYO-SO 手札5→4→5

 

墓地へ送られたのは……(武神器‐ヘツカ)、(武神器‐ムラクモ)、(武神器‐ハチ)、(強欲で謙虚な壺)、(神の宣告)ね。結構良い落ちしたじゃねぇか。

 

SYUGYO-SO

 「カードを2枚セットしてターン終了」

 

SYUGYO-SO LP2800 手札3 伏せ2

 

真竜導士マジェスティM(メイデン) 攻2300

真竜騎将ドライアスⅢ世 攻2100

 

 

Killer YAMATO LP4000 手札2 伏せ1

 

武神‐ヤマト 攻1900→2700

 

炎舞-「天璣」

幻獣の角(武神‐ヤマト)

 

 

Killer YAMATO

 「ドロー、スタンバイ、メインフェイズ。墓地の(武神器‐ムラクモ)の効果発動。場に獣戦士武神モンスターが存在するとき墓地からこのカードを除外し、相手フィールドの表側表示モンスターを対象に破壊する…………(真竜騎将ドライアスⅢ世)を破壊」

 

SYUGYO-SO

 「それにチェーンして(真竜導士マジェスティM(メイデン))の効果発動。デッキから(真竜戦士イグニスH(ヒート))を手札に加えます」

 

Killer YAMATO 手札2→3

 

SYUGYO-SO 手札2→3

 

 お相手対象選択にかなりラグあったな。(ドライアスⅢ世)の効果知らなかったんだろな。

 このデュエルシミュレータは墓地に何があるのかは確認出来るが、発動しない相手のカードがどんな効果してるかは確認出来ないんだよな。

 まぁ実際のデュエルもそうなんだからそれの再現だろうけど、ぶっちゃけ不便だから改善してほしいが無料だし文句も言えないか。

 

 (ドライアスⅢ世)の効果は、自身以外の真竜モンスターに対象耐性と破壊耐性を付与する効果。そしてアドバンスした自身が場を離れるとデッキから真竜を特殊召喚する効果。

 このGX環境でこの耐性を上から突破する手段は、(グランモール)とかの戦闘を介する除去ぐらいしか存在しない強力な耐性だ。まぁ、何故か自分自身は対象外なんだけどな。

 

SYUGYO-SO

 「(ドライアスⅢ世)は、フィールドに存在する限り、自分以外の真竜モンスターは対象の対象にならず効果で破壊されない。さらに相手によってフィールドを離れた(真竜騎将ドライアスⅢ世)の効果発動。生贄召喚したこのカードがフィールドを離れた場合、デッキから真竜モンスター(真竜導士マジェスティM(メイデン))を特殊召喚」

 

Killer YAMATO

 「墓地の(武神器‐ハチ)の効果発動。場に獣戦士武神モンスターが存在するとき墓地からこのカードを除外し、相手フィールドの魔法罠カードを対象に破壊する」

 

 うっ、(デモンズ·チェーン)持ってかれた。

 

Killer YAMATO

 「永続魔法(武神(まがき))を発動」

 

Killer YAMATO 手札3→2

 

Killer YAMATO

 「バトルフェイズ。手札から(武神器‐ヤツカ)を捨て、自分フィールドの(武神‐ヤマト)を対象に効果発動。このターン(武神‐ヤマト)は2回攻撃を行えます。(武神‐ヤマト)で(真竜導士マジェスティM(メイデン))を攻撃」

 

 ッ……伏せで止めてぇが、(ヘツカ)があるから防がれるんだよな……ライフで受けるしかない。

 

SYUGYO-SO LP2800→2400

 

Killer YAMATO 手札2→1

 

Killer YAMATO

 「このカードを装備した(武神‐ヤマト)が相手モンスターを戦闘で破壊したことで(幻獣の角)の効果発動、デッキから1枚ドロー」

 

Killer YAMATO 手札1→2

 

Killer YAMATO

 「再び(武神‐ヤマト)で(真竜導士マジェスティM(メイデン))を攻撃。(幻獣の角)の効果発動、デッキから1枚ドロー」

 

Killer YAMATO 手札2→3

 

Killer YAMATO

 「メインフェイズ2、カードをセットしてターンエンド」

 

Killer YAMATO LP4000 手札2 伏せ1

 

武神‐ヤマト 攻1800→1900→2700

 

炎舞-「天璣」

幻獣の角(武神‐ヤマト)

武神(まがき)

 

SYUGYO-SO LP2800 手札3 伏せ1

 

 

SYUGYO-SO

 「ドロー。スタンバイ、メインフェイズ」

 

 むぅ……ドローは(継承)か……真竜罠引きたかったが仕方ない。……いや待て、これ捲れるかも

 

SYUGYO-SO 手札3→4

 

SYUGYO-SO

「(真竜の継承)を発動。効果発動。(真竜の継承)を生け贄に(真竜戦士イグニスH(ヒート))を召喚」

 

SYUGYO-SO 手札3→2→1

 

SYUGYO-SO 

 「墓地へ送られた(真竜の継承)の効果発動。(武神(まがき))を対象に破壊。そして永続罠(大捕物)を発動。(武神‐ヤマト)を対象にして、そのモンスターのコントロールを得る」

 

Killer YAMATO

 「墓地の(武神器‐ヘツカ)の効果発動。墓地から自身を除外してその効果を無効にします」

 

SYUGYO-SO

 「それにチェーンして(真竜戦士イグニスH(ヒート))の効果発動。デッキから真竜魔法(真竜凰の使徒)を発動します。そして(真竜凰の使徒)の効果発動。墓地の(真竜の継承)、(真竜導士マジェスティM(メイデン))、(真竜凰の使徒)の3枚を戻して1枚ドロー」

 

SYUGYO-SO 手札2→3

 

SYUGYO-SO

 「(真竜凰の使徒)の効果発動。このカードを生け贄に(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))を召喚。墓地へ送られた(真竜凰の使徒)の効果発動。(幻獣の角)を破壊」

 

武神‐ヤマト 攻2700→1900

 

SYUGYO-SO

 「メインフェイズ終了。バトルフェイズ。(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))で(武神‐ヤマト)に攻撃」

 

Killer YAMATO

 「獣戦士族の武神モンスターが攻撃対象になったとき、手札から(武神器‐ヤタ)を捨てて効果発動。その攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える」

 

SYUGYO-SO

 「チェーンして(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))の効果発動。デッキから(真竜の復活)を発動」

 

Killer YAMATO 手札2→1

 

SYUGYO-SO LP2800→1550

 

 ここで殴って(ハバキリ)来たら裏目だが……それなら真竜モンスターが効果使えないダメステに撃てる(ハバキリ)をさっき切ってる筈だ。無い読みで行こう。

 

SYUGYO-SO 

 「続いて(真竜戦士イグニスH(ヒート))で(武神‐ヤマト)に攻撃」

 

Killer YAMATO

 「攻撃宣言時、トラップ発動(剣現する武神)。2つある効果から選択して発動。私は墓地の武神モンスター(武神器‐ハバキリ)を手札に加える効果を選びます」

 

 え、墓地から武神器を使い回す罠?てか、やばい攻撃宣言したから止まらないぞ。

 

Killer YAMATO 手札1→2

 

Killer YAMATO

 「手札の(武神器‐ハバキリ)の効果発動。獣戦士族の武神モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、手札から自身を墓地へ送って発動。戦闘を行う自分モンスターの攻撃力はそのダメージ計算時の間のみ元々の攻撃力の倍となります」

 

Killer YAMATO 手札2→1

 

SYUGYO-SO LP1550→350

 

SYUGYO-SO

 「バトルフェイズ終了。メインフェイズ2。カードを2枚セットして(命削りの宝札)を発動。自分は手札が3枚になるようにデッキからドローする。この効果を発動するターン自分は特殊召喚を行えず、このカードの発動後、ターン終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。そしてこのターンのエンドフェイズに、自分の手札を全て墓地へ送る」

 

SYUGYO-SO 手札2→0→3

 

SYUGYO-SO

 「(強欲で謙虚な壺)を発動。デッキから3枚捲って、1枚手札に。この効果を発動するターン自分は特殊召喚出来ません」

 

 捲られたのは……(醒めない悪夢)、(帝王の烈旋)、(メイデン)か。

 

SYUGYO-SO 手札3→2→3

 

SYUGYO-SO

 「私は(真竜導士マジェスティM(メイデン))を手札に。そして私は(大捕物)を生贄に(真竜導士マジェスティM(メイデン))を召喚。カードを2枚セットしてターンエンド」

 

SYUGYO-SO LP350 手札0 伏せ4

 

真竜導士マジェスティM(メイデン) 攻2300

真竜拳士ダイナマイトK(ナックル) 攻2500

 

真竜皇の復活

 

Killer YAMATO LP4000 手札1 伏せ0

 

武神‐ヤマト 攻1900

 

炎舞-「天璣」

 

 いや〜LPが怖い。これは徹底的に反撃の芽を摘んでいかないとまずい。だが(命削りの宝札)で盤面は盤石。ガン伏せかました真竜はつえーぞ。

 

Killer YAMATO

 「ドロー。スタンバイ、メインフェイズ。魔法カード(強欲で謙虚な壺)を発動。デッキの上から3枚捲り、1枚を手札に加えます」

 

SYUGYO-SO

 「それにチェーンして(真竜導士マジェスティM(メイデン))の効果発動。デッキから(真竜戦士イグニスH(ヒート))を手札に」

 

捲られたのは、(武神(まがき))、(烏合の行進)、(武神器‐ハバキリ)。加えられたのは(武神器‐ハバキリ)か。

 

Killer YAMATO 手札1→2→1→2

 

SYUGYO-SO 手札0→1

 

Killer YAMATO

 「私は(武神‐ミカヅチ)を召喚。バトルフェイズ。」

 

SYUGYO-SO

 「メインフェイズ終了時、(真竜の復活)の効果発動。墓地の(真竜騎将ドライアスⅢ世)を特殊召喚。その処理後に(真竜皇の復活)の効果発動。相手メインフェイズに生贄召喚を行うので、(真竜皇の復活)を生贄に(真竜戦士イグニスH(ヒート))を召喚。墓地へ送られた(真竜皇の復活)の効果発動。(武神‐ヤマト)を対象に取り破壊する」

 

 破壊処理は適応され(ヤマト)は破壊。だが、武神はもう一体いる。

 

Killer YAMATO

 「バトルフェイズ。(武神‐ミカヅチ)で(真竜導士マジェスティM(メイデン))を攻撃」

 

SYUGYO-SO

 「トリップ発動(デモンズ·チェーン)。(武神‐ミカヅチ)を対象に発動し、このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、

対象の表側表示モンスターは攻撃できず、効果は無効化される」

 

Killer YAMATO

 「バトルフェイズ終了。ターンエンド」

 

Killer YAMATO LP3500 手札1 伏せ0

 

武神‐ミカヅチ 攻1900→2000

 

炎舞-「天璣」

 

SYUGYO-SO LP350 手札1 伏せ3

 

真竜導士マジェスティM(メイデン) 攻2300

真竜拳士ダイナマイトK(ナックル) 攻2500

真竜騎将ドライアスⅢ世 守2800

 

真竜の復活

デモンズ・チェーン(武神‐ミカヅチ)

 

SYUGYO-SO

 「ドロー。スタンバイ、メインフェイズ」

 

SYUGYO-SO 手札1→2

 

 ここでこれ引くかぁ……まぁいいや、どのみち俺の勝ちだ。

 

SYUGYO-SO

 「伏せていた速攻魔法(帝王の烈旋)を発動。このターンに一度だけ、モンスターを召喚する場合相手モンスターを生贄に出来ます。私は(デモンズ・チェーン)と(武神‐ミカヅチ)を生け贄に(真竜剣皇マスターP)を召喚」

 

SYUGYO-SO 手札2→1

 

SYUGYO-SO

 「バトルフェイズ。(真竜導士マジェスティM(メイデン))、(真竜拳士ダイナマイトK(ナックル))でダイレクトアタッㇰ」

 

Killer YAMATO LP4000→1700→-800

 

 相手のLPを0にして、画面にWINの文字が表示される。

 

闇透子

 「対戦ありがとうございました。さて、時間はまだあるしもう少し潜りますか。お、当たった。明日蘭 粗目さん。対戦よろしくお願いします」

 

 こうして俺はデュエルのプレイングを磨くべく、ネットの海へ潜っていった。

 

〜 翌日 〜

 

遊里

 「スレのマナーとかを知りたい?」

 

闇透子

 「おう。如何せんネットというか掲示板文化は疎くてさ……なんか特殊な作法があったらヤダなと思ってさ」

 

 昨日一通り現代チックなデュエルを楽しんだ後、早速スレにコメント打って見ようと思った俺だが、特別なルールとかマナーがあったら困るのでスレの住民たる遊里に話を聞くことにした。

 

遊里

 「特にマナーと言えるのは……発言する時は分かりやすい様にハンドルネームを付ける事、それ以外はネットリテラシー気をつけてって感じかな」

 

 あっ、意外と緩い感じなのね。良かった良かった。

 

闇透子

 「案外そこまで厳しいものでも無いんだな。気張って損したぜ」

 

遊里

 「あっ、そうそう。デュエルシミュレータ。やってみてどうだった?」

 

闇透子

 「そりゃあもう最高よ。多種多様なデッキと戦えるし、ピンキリこそあるが強いときはとことん強い。最後にやった【魔導書デュアル捕食植物】なんてあまりの完成度に声出たぞ」

 

 まぁ、そのデュエルはトップ(ドラD)からのパワームーブでなんとか押し切ったけど。引けなかったらマジで押し負けてた。物量の鬼たる真竜が物量で負けかけるなんて思わなかったよ。

 あとこの時にもう(強貪)は抜こうと思ったね。(黙示録)3枚その他真竜カード合計10枚抜きはありえねぇって。

 

遊里

 「それなら良かった。デュエルジャンキーの巣窟。楽しんで来てね」

 

 俺は遊里に手を振って、場を後にした。

 

 

〜〜〜

 

250:デュエル修行児@アカデミア生

頭のネジ全部吹っ飛んでるデュエルジャンキーの巣窟はここであってるか?

 

 

251:名無しの決闘者@デッキ構築中

酷い表現で草。まぁ間違いじゃないけど

 

 

252:名無しの決闘者@デッキ構築中

お、新入りか?とりま肩の力抜けよ

 

 

253:名無しの決闘者@デッキ構築中

アカデミア生って事は、アカデミアガールネキからの勧誘かな?

 

 

254:デュエル修行児@アカデミア生

その通り。彼女主催のデッキ相談会に参加して、彼女にアドバイスして出来上がったデッキと戦って負けて、己のプレイングを見直す為にこの掲示板に殴り込みにきた。というわけでおい、デュエルしろよ。

 

255:名無しの決闘者@デッキ構築中

あのデッキ回ればエグいからなぁ〜〜ちな>>250のプロフィール教えて?

 

 

256:デュエル修行児@アカデミア生

分かった。オベリスクブルー所属。筆記は中の中の上。デュエルはよほど相性悪いか手札事故らない限り負けなし。相手の心が折れたのか、俺のデュエルを原因として自主退学に追いやられたデュエリストも何人かいるらしい。

 

257:名無しの決闘者@デッキ構築中

ドチャクソエリートで草生える。てか退学者出すってどんなエグいことしたん?

 

 

258:デュエル修行児@アカデミア生

俺が認識してる範囲だと、暗黒界ブン回して(闇のデッキ破壊ウイルス)2連打して、手札と場ズタズタにして(グラファ)2体で轢き潰した。小学校にでも通ってろなんて言った罰だ。女の癖にとかなんとか言ってた奴が鼻水と涙で顔グシャグシャにしてターンエンド宣言したのは滑稽だったぜ

 

 

259:名無しの決闘者@デッキ構築中

まぁまぁエグい事やってて草。暗黒界使いとは良い趣味してるな。ワイといい酒が呑めそうや

 

 

260:名無しの決闘者@デッキ構築中

小学校行ってそうなんて煽られるんか……もしかして低身長なん?

 

 

261:名無しの決闘者@デッキ構築中

ん?女の癖にって……もしかして>>250は女なんか!?

 

 

262:デュエル修行児@アカデミア生

おう、こう見えても俺は女だぞ。更に童顔のオマケ付きだ。

 

263:名無しの決闘者@デッキ構築中

うおぉぉJK来たぁぁ!

 

 

264:名無しの決闘者@デッキ構築中

低身長ロリ顔俺っ娘とかニッチ過ぎんだろ。良いぞもっとやれ!

 

 

265:名無しの決闘者@デッキ構築中

パンツ!今履いてるパンツの色教えて!

 

 

266:名無しの決闘者@デッキ構築中

変態湧いてて草生える。ネカマかもしれんのによく反応するなおまえ等

 

 

267:名無しの決闘者@デッキ構築中

ショタ顔だったらはそれはそれで興奮するんだよなぁ……後ろの穴を墓穴確定にしてやりたい

 

 

268:デュエル修行児@アカデミア生

お前ら……まぁ良い。とにかくデュエルしろ。全員消し飛ばしてやる。俺の強さの糧となれ

 

 

269:名無しの決闘者@デッキ構築中

まぁまぁ餅付けってペッタンペッタン。デュエルで強くなるには緊張感が1番効く。よって>>250には、負けた回数分掲示板民の質問に答えてもらう

 

 

270:デュエル修行児@アカデミア生

上等だ。流石に個人情報とかは言えねえが、それ以外だったら何でも言ってやるよ。10回戦早い者勝ちだ

 

 

271:名無しの決闘者@デッキ構築中

ん?

 

 

272:名無しの決闘者@デッキ構築中

今何でもするって?

 

 

273:名無しの決闘者@デッキ構築中

言ったよね?

 

 

274:名無しの決闘者@デッキ構築中

初見さんに言葉狩りするな

 

 

275:デュエル修行児@アカデミア生

部屋は作った。部屋番号はこれな…………

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

透子

 「ちょ、もう一人の私!?なな、なんて事言っちゃったんですかぁ!」

 

闇透子

 「やっぱ駄目だったか?」

 

 パソコンを操作する俺の横で、半透明の姿で声を荒げる透子。

 

透子

 「駄目もなにも、もし負けたらどんな事聞かれるのか分からないじゃないですか!」

 

闇透子

 「あっ、さてはいかがわしい事聞かれるって思ってんだろ?透子はムッツリだなぁ〜」

 

透子

 「〜〜〜〜〜!」

 

闇透子

 「プロになったらこれから起きるかもしれない黒歴史抱えるよりもデカイもの背負わされるんだから練習だと思えばさ。何、むざむざ負けてやるつもりはねぇからさ。行くぞ!」

 

 

〜〜〜〜

 

500:デュエル修行児@アカデミア生

え〜結果発表だ。10戦8勝2敗。よって2回質問に答えるぞ。解答者は、このスレの伝統に乗っ取り安価で決めることとする。

 

 

501:名無しの決闘者@デッキ構築中

Yeaaaah!!

 

 

502:名無しの決闘者@デッキ構築中

fooooooo!新鮮な安価だあぁぁ!

 

 

503:名無しの決闘者@デッキ構築中

2回か……修行ネキ結構頑張ったな。イドロック突破するも罠に絡め取られ、壊獣グレイドルで完封と。

 

 

504:名無しの決闘者@デッキ構築中

暗黒界使いと聞いて次元スキドレバルバ握って来たのに、まさかメタファイズとは……

 

 

505:名無しの決闘者@デッキ構築中

ワイの……ワイの弾圧カジェが……ダサい緑のおっさんに一方的に殴られるなんて……

 

 

506:デュエル修行児@アカデミア生

メタられると分かってて暗黒界使うわけが無いんだよなぁ。それじゃあ>>511の方が質問どうぞ

 

507:名無しの決闘者@デッキ構築中

好きなカードと理由教えて

 

 

508:名無しの決闘者@デッキ構築中

アカデミアに入ろうとしたきっかけ教えて

 

 

509:名無しの決闘者@デッキ構築中

性癖教えて

 

 

510:名無しの決闘者@デッキ構築中

スリーサイズ教えて

 

 

511:名無しの決闘者@デッキ構築中

初めて組んだデッキとそのエピソード教えて

 

 

512:名無しの決闘者@デッキ構築中

結構健全なやつ来たな。

 

 

513:名無しの決闘者@デッキ構築中

>>509と>>510が不健全すぎるとも言う。

 

 

514:デュエル修行児@アカデミア生

初めて組んだデッキとそのエピソードな。初めて組んだのが(命削り真竜)だな。毎ターン着実にアド稼いで盤面を1枚1枚解決していく姿に惚れたんだよな。そしてなによりそこそこ安価にカード揃えられたのがデカかった。

 

 

515:名無しの決闘者@デッキ構築中

メタビか……でも確かにプレイングを学ぶなら1番手っ取り早いかもな。メタビはカードのプレイ1つで有利不利が変わりかねないし、真竜も多少の無理は効くが細かいプレイング1つで勝敗を分け得る。これは自主退学に追いやる強さを手にしたのもなんとなく頷ける。

 

 

516:名無しの決闘者@デッキ構築中

実際真竜のアドバンテージ獲得能力おかしすぎでしょ。全然息切れしないうえに気づけばこっちの盤面ボロボロになってるんよ

 

517:デュエル修行児@アカデミア生

1つ目の質問はこんなもんでいいな?それでは>>519どうぞ

 

 

518:名無しの決闘者@デッキ構築中

好きな霊使い教えて?

 

 

519:名無しの決闘者@デッキ構築中

周りに言えない秘密教えて

 

 

520:名無しの決闘者@デッキ構築中

あぁ……ついに何でも言うの毒牙にやられたか。

 

 

521:名無しの決闘者@デッキ構築中

なんかどデカい秘密キボンヌ

 

 

522:名無しの決闘者@デッキ構築中

(*´Д`*)hshs

 

 

523:名無しの決闘者@デッキ構築中

wktk

 

 

524:デュエル修行児@アカデミア生

秘密……秘密かぁ〜〜秘密というか直接明言してないし、出来る限り隠してる事はあるな。実は俺二重人格なんだよな。ちなみに今の俺は裏人格の方

 

 

525:名無しの決闘者@デッキ構築中

kwsk

 

 

526:名無しの決闘者@デッキ構築中

ほうほう二重人格とな?表側の人格ってどんな感じ?

 

 

527:デュエル修行児@アカデミア生

内気で大人しい性格ってところだな。コントロール系のデッキが好みで基本的にナチュルとか湿地バジェ使ってデュエルしてる。ちなみに大本になるデッキの制作は殆ど俺が作って調整は表人格がやる感じだ。

 

528:名無しの決闘者@デッキ構築中

表人格引っ張ってくる事って出来る?話してみたい

 

 

527:修行中デュエリスト@アカデミア生

変わりました。もう一人の私がお世話になっています。後、ハンドルネームも少し変えました。

 

 

528:名無しの決闘者@デッキ構築中

めっちゃ雰囲気変わるやん。裏人格について教えて?

 

 

529:修行中デュエリスト@アカデミア生

普段は良い人ですよ?滅多には居ませんけどデッキ構築のアドバイスを乞われたら快く応じますし、良いデュエルか面白いデュエルした生徒にはどこから持ってきたのかは分かりませんがカードを手渡す事もあります。

 デュエルは……皆さん味わった通り暴力的な展開力や除去能力で相手を圧倒するパワー型です。アカデミアでは暗黒界、インフェルノイド、(次元の裂け目)なんかを使う相手にはメタファイズなんかをよく使います

 

530:名無しの決闘者@デッキ構築中

複数のデッキ持っていて、それらを完璧に使いこなせるデュエリストは中々珍しいな。暗黒界やノイドは墓地を重要視するせいで(裂け目)が致命傷になりやすいから、除外を操るメタファイズで牽制ってところか

 

 

531:名無しの決闘者@デッキ構築中

裏人格についてどう思ってる?やっぱり鬱陶しい感じ?

 

 

532:修行中デュエリスト@アカデミア生

そこまで気にする程じゃ無いですね。むしろ私をこのデュエルアカデミアに導いてくれたのは間違いなくもう一人の私なので感謝しています。

 諦めないこと、カードの力を最大限活かすデッキを作ること、相手が嫌がることを全力ですること。もう一人の私が語ったデュエルで強くなる秘訣を聞いてから、私は少しずつ強くなっている気がします。

 今はまだ遠く及ばなくても、いつかはもう一人の私と肩を並べたい。それが今の私の目標です。

 

533:名無しの決闘者@デッキ構築中

長いから3行に直して

 

 

534:修行中デュエリスト@アカデミア生

え、ええと……こ、こんな感じですか?

 

もう一人の私は鬱陶しくないし感謝してる

これからも相手に嫌がらせしていきたい

いつかはもう一人の私ぐらい強くなりたい

 

 

535:名無しの決闘者@デッキ構築中

やるやん

 

 

536:名無しの決闘者@デッキ構築中

最後に裏人格に聞くんだけどさ、スレ民とのデュエルどうだった?

 

 

537:デュエル修行児@アカデミア生

いや〜最高だな。アカデミアでは滅多に起きないレベルの死闘がバンバン発生するから飽きないよ。ただカロリー消費エグい。俺もうヘトヘトだよ。これからもちょくちょくこのスレに顔だすからその時はよろしくな。それじゃあおやすみ

 

 

538:名無しの決闘者@デッキ構築中

もうそんな時間か。デッキ相談スレもあるからデッキ構築に行き詰まったらそっちも覗くとええで

 

 

 

〜〜〜

 

 

闇透子

 「くぅあ〜疲れたな」

 

透子

 「お疲れさまです。あと、もう一人の私。時計見てもらってもいいですか?」

 

 ん?時計?

 

 時計のある方に振り向くと、そこには23:30と記されたデジタル時計の姿が。

 

透子

 「早く寝ましょう。これ以上は明日に響きます」

 

闇透子

 「すまねぇ。ハメ外しすぎたみてぇだな」

 

 慌ててクソデカベッドに飛び込み就寝する俺たち。幸い歯磨きとかその他諸々はスレに入る前に済ましてある。

 

 それにしても……明日が楽しみになってきた。色んなデッキ作ったり、スレ覗いたり、あそこで透子をデュエルさせるのも悪くない。あぁホント、遊里には感謝しねぇとな

 

 そんなことを考えながら、俺達は眠りの闇に堕ちていった。




感想。お待ちしております。そしてこの場を借りまして、改めて睦月江介様にコラボ協力の感謝を伝えさせていただきます。本当にありがとうございました。


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