ウマ娘がTRPGをするようです (泥狼俯瞰)
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導入(茶番)

初投稿です。よろしくお願いします。
ウマ娘は既プレイで、アニメも2期を視聴済みです。
TRPGは友人達とオフセ、オンセをやりますがセッション回数は多くないため偏見やルールミスがあるかもしれませんが許してください。
アクセス回数2500回超えました!読者の皆様ありがとうございます。


コンコン

 

「失礼しますわ。トレーナーさん、ご相談があるのですけど……。こんなにたくさんTRPGのルールブックやサプリを積み上げて何をしてるのですか?」

 

「ああ、マックイーンか。それなんだが、

『いいかトレーナー! 新入生はアタシ達のレース中の姿。つまり、覚悟ガンギマリ状態の怖い先輩達の姿しか知らないわけだ。新入生はかっこよくも怖い先輩達とこれから同じチームで不安なこと間違いなし! そこで新入生達の不安解消のためにアイスブレイクでTRPGやっぞ。じゃあ、UV(ウルトラヴァイオレット)GMKPネクロマンサーは任せたぜ!』

 って感じでゴールドシップに渡されたんだよ」

 

「また、ゴールドシップさんですか……。でも、それならちょうどよかったですわ。私の相談事も新入生歓迎会のオリエンテーションについてでしたので。それでトレーナーさん、どのシステムで遊びますの」

 そう話すマックイーンの尻尾が楽しそうに揺れている。

 

「そうだなぁ……。目を通した中だったら『パラノイア』かな。ゴールドシップがオススメってメモを残してたし」

 ほら、これ。と付箋の貼られたパラノイアのルールブックを見せる。

 

「それはダメですわ!!」

 

「えっ、そうなのか? 

発生したトラブルを協力して解決するなんて、仲良くなるにはうってつけだと思ったんだけどな」

 

「逆ですわ。『パラノイア』は『桃鉄』、『ドカポン』にならぶ友情崩壊ゲーですわ。特にZAP制を導入した場合トラブルシュータ―達は仲間ではなく、他人が成功しないよう足を引っ張り、自己の生存を勝ち取るための肉壁にするような幸福な間柄に変貌しますわ。前にメジロ家のお茶会でやった際は、ブリーフィングが始まる前に残りクローン数が全員二体より少なくなってデブリーフィングにすらたどりつけませんでしたわ。

ちなみに、その時ブリーフィングの放送を復唱できなくてZAPしてきたライアンと幸福係になって幸福薬を打ち込んできたアルダンとは一週間口をききませんでしたわ」

 早口で語り始めたマックイーンの熱量はすごいものだった。というか、お茶会ってそんなことするのか。

 

「それはまた……。とんでもないな。じゃあ、他のシステムにするか。マックイーンがオススメするシステムはあるのか?」

 

「手軽に遊べるのは『人狼』でしょうか。『ワンナイト人狼』とか『ゴリラ人狼』みたいに派生もありますし、役職の内訳を変えるだけで進め方が変わってくるので飽きずに長く楽しめるシステムですわ」

 

「ああ、それはカフェもやってたし知ってるぞ。ただ、それ議論時間のある対戦型だよな? 

こう、議論が熱くなって後輩達に威圧感与えたりとか、一日目の議論で新入生Aが処刑されて、その夜行動で新入生Bが噛まれて、結果的に新入生がゲームを楽しめないとかあったりしないか。大丈夫か?」

 

「勝負事ですから、それがないとは私も言い切れませんわ」

 

「そうだよなぁ。勝負事で熱くなるなって方が無理だよな。それなら、やらない寄りの保留にしておくか」

 

「そうですね。薦めたのは私ですけど、その方がいいと思いますわ」

 

「だったら、『クトゥルフ神話TRPG』にしとくか。これならプレイヤー同士の戦闘もないし、そのまま自分をキャラクターに落とし込めばいいからロールプレイがしやすいだろ」

 

「それは早計というものですわ。確かに現代が舞台で能力も私達に合わせてあるからキャラクターのロールのしやすさは私も認めるところです。

ですが『クトゥルフ神話』の分類はコズミックホラーで発狂ロールが存在しますわ。私は、ええ私は別にホラーが苦手ではないですけど、ホラーが苦手な方がいるかもしれませんし、自分に似せた探索者が発狂するのは気分的に良くない方もいらっしゃるでしょう。

それと、忘れてはならないのは私達のチームにはマンハッタンカフェさんがいらっしゃるので、ホラー系に関してはフィクションがリアルになりかねませんわ……」

 

「いやいや、カフェがうちのチームに来てから心霊現象っぽいことは確かに増えたけど流石にそこまではならないだろ」

 電気が消える。扉が勝手に開く。冷蔵庫のプリンがなくなる。なんてことがあったのを思い出す。いや、最後のは誰かが食ったのを黙っているだけの気もするが。

 

「私は夏合宿の時の肝試しでひどい目に遭ったこと忘れてませんわよ。ですので、『永い後日談のネクロニカ』では女の子のゾンビが現れるかもしれないし、『クラヤミクライン』も私達ウマ娘より速く走るターボ婆とかが出かねませんので避けたいですわ」

 話している間に思い出したのか、マックイーンの体がブルっと震えた。

 

「まあ、それらが出てこられたら確かに困るな」

 いや、出てこないとは思うんだけど、見えなくても存在する(いる)ものは存在する(いる)からなぁ……。ありえないとは言えない。

 

「ですので、剣と魔法のファンタジー系をせめてみましょう」

 

「ってなると候補がたくさんあるぞ。『ソード・ワールド2.0』、『ソード・ワールド2.5』、『アリアンロッドRPG』はさっき見かけたな」

 

「流石ゴールドシップさん、王道どころはおさえてますわね。ラクシアもエリンもどちらの冒険も捨てがたいですわ。冒険と言えば、この前のコラボでは私は召喚石での実装でしたけど……ここで追加攻撃とか習得して、確定TAの奥義後ダメージアビリティ発動キャラでプレイアブル化できませんかしら」

 

「頭がお空になってるところ悪いが他にも『ログ・ホライズン』、『この素晴らしい世界に祝福を! TRPG』、『ゴブリンスレイヤーTRPG』、『DARK SOULS TRPG』なんてのもあったぞ。というか、ダクソのTRPGなんてのもあるのか。初めて知ったぞ」

 

「マンガやライトノベルが原作のTRPGは作者様がTRPG好きだったりしますからね。『トリニティセブンRPG』も原作者の卓メンがルール制作をしていたはずでしてよ。

あとゲーム原作なら『艦これRPG』とかもありますので、私も『当ったり前だろ? あたしは摩耶様だぜ』なんてロールプレイができますわ」

 

「おっ。おう、そうか。あとは、『ダブルクロスTHE 3RD EDITION』と『忍術バトルRPG シノビガミ』があるな」

 

「それらは超能力バトルものですわ。ダブルクロスなら平安時代、シノビガミなら安土桃山時代のパターンもありますが、基本的に現代が舞台でシリアスなロールプレイができるのが魅力ですわね。あと、演出がかなり自由にできるので私達の領域というか固有スキルとか再現したりもできますわね。

例えば、ロイスを昇華して鬼ライスに変わっていくライスシャワーさんとか奥義クリティカルヒットにドロップキックって名付けるゴールドシップさんとかですわ」

 

「前者はシリアスだが後者は本当にシリアスなのか?」

 疑問は残るが

 

「まあ、面白そうだし一通りまわしてみるか」

 

「そうですわね。ジュースとお菓子を用意して皆さん集めましょうか!」

 

 

 



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ダブルクロスTHE 3RD EDITION
ダブルクロス1(トレーラーとハンドアウト)


本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
お互いの呼び方には気を付けているのですが、語尾とか言葉選びがこれで合ってるか不安になりますね。


 普段はミーティングに使う机の上にロイヤルビタージュースや手が汚れにくいポッキーなどのお菓子、シャープペンシルに消しゴムを置いていく。

「あとは、戦闘ではキャラクターの位置とかもあるから皆のミニフィギュアを用意しとけばいいかな」

と担当メンバーの二頭身フィギュアを並べる。

ドタドタと部屋の外から足音が聞こえてくる。

「はぁ、はぁ、トレーナーさん、チームのメンバーを集めてきましたわ。」

「ありがとう、マックイーン。飲み物は出してあるから好きに飲んでくれ。お菓子もストックはあるけどあまり食べすぎるなよ」

「おいおいトレーナー、マックイーンにお菓子を食べ過ぎるなってのはウマ娘のトレーナーに自力で光れって言ってるようなもんだぜ」

「不可能ではないが困難なんだな」

「トレーナーさん、それは不可能な事の例えだと思うのですが。いえ、タキオンさんのトレーナーなら確かに可能な気がしますが」

「し、失礼ですわね。レース前は我慢できましてよ。まぁ、それ以外の時はいっぱいいただいてしまうんですけど」

「大丈夫だよ、マックイーンさん。ライスもいっぱい食べちゃうから」

「ライスさん……」

「いや、そこわかり合えたみたいな空気出してるけど太り気味になったことは反省してくれ」

「「うっ」」

「まあまあ、トレーナー。説教は後にしてさっさと始めようぜ」

「まあそれもそうだな。じゃあ、全員席についてくれ」

「「「「「はい」」」」」

その言葉にライスシャワー、メジロマックイーン、マンハッタンカフェ、ゴールドシップの四名は返事をして席に座った。

「今回は『ダブルクロス THE 3RD EDITION』をやっていこうと思う。まずは今回の大まかな内容を示すトレーラーから読んでいくぞ」

 

トレーラー

 

 昨日と同じ今日。

 今日と同じ明日。

 世界は同じ時を刻み、変わらないように見えた。

 だが──、世界は既に変貌していた。

 

 望まれた生誕

 されど祝福はされず

 

 ゆえに一人の賢者が腰をあげる

 

 「世界が祝福をあげぬなら私がその生誕を言祝ごう」

 「神の祝福なぞその身に不要」

 「故に君が欲される世界を創造したまえ」

 

 かくて日常は軋み始める

 

 その地に響くのは

 祝福示す福音か

 裁き示す雷鳴か

 

 ダブルクロス──それは”裏切り”を意味する言葉

 

「賢者とか博士と聞くとどうしても頭に彼女がよぎってくるせいで、この賢者もろくなやつじゃないと思えてしまいますね」

「カフェさんが辛辣ですわ」

「福音はハヌマーン、雷鳴はブラックドッグっぽいな。だったら『サイレンの魔女』対策に全体防御取っとくかな」

「ラ、ライスはよくわからないけど頑張るよ」

「まあ、いろいろ言いたいこととかメタ読みとかあるかもしれないけどハンドアウトも出すぞ」

 

シナリオハンドアウト

PC1 一般高校生

PC2 UGNチルドレン(高校生)

PC3 UGN支部長

PC4 自由枠

 

個別ハンドアウト

PC1 カヴァー/ワークス 高校生/高校生

シナリオロイス 『無表情な女の子』 P友情/N隔意

 貴方は学校の友人に誘われて最近動画によくあがっている地面から空に向かう雷をもっと近くで撮影しようと雷の発生地に行く。行った先には表情筋が死んでるとしか思えない女の子がこちらを向いた瞬間、貴方の体を雷が貫いた。

 

PC2 カヴァー/ワークス 高校生/UGNチルドレン

シナリオロイス 『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』 P/N憎悪

 貴方の同期が追っていたFHエージェントが、同期を殺害しこの町に侵入した。それを知った貴方は町の平和を守るためか、あるいは敵討ちのためか、そのFHエージェントを殺すと決めた。

 

PC3 カヴァー/ワークス 社会人/UGN支部長

シナリオロイス 『霧谷雄吾』 P信頼/N

 UGN日本支部長の彼からマークしていたFHエージェントがこの町に入り込んだことを伝えられ、その処理を命じられた。貴方は町の平和を、人々の日常を守るために動き出す。

 

PC4 カヴァー/ワークス 指定なし/指定なし

シナリオロイス 『PC3』 P/N

 PC3から仕事の呼び出しを受けるので働いてください。

 

「以上の四つがPCのハンドアウトだ。お互い話し合うか、じゃんけんとかして決めてくれ」

「トレーナーさん!流石にPC4のハンドアウトが雑過ぎませんか!シナリオロイス以外全部自由枠じゃないですか!」

「いや、ほら、既に脳内でこんな風なのやってみたいなのっていうのがあるかもしれないと思ったから、そういう娘用の枠だよ。けっして手抜きじゃない!」

「そうだぞマックイーン。ダブルクロスのPC4のハンドアウトはこういう風になる運命なんだよ。ってことでPC4もーらい!」

「カフェさんまずいですわ。一番渡しちゃいけない相手にPC4のハンドアウトが渡りましたわ」

「そうですか?私は渡るべき相手に渡ったと思いますけど。ライスシャワーさんは初心者と聞いていたのでPC1はライスシャワーさんに渡したいですが、マックイーンさんもそれでいいでしょうか」

「ええ、そこは完全に同意ですわ。流石にPC4は渡せませんし、PC2とPC3はUGNという組織について知っていた方がいいでしょうしそれでいきましょう」

「えっ、待ってカフェさん、マックイーンさん。PC1はハンドアウトの時点で死にそうになってるんだけど……」

「大丈夫ですわ、ライスさん。ダブルクロスのPC1は登場した敵に殺されて覚醒。幼少期に覚醒していたけど忘れていて、敵から攻撃を受けたおかげで思い出した!はデフォルトなので問題ありませんわ」

「それに超人(オーヴァード)は紙装甲ですが死に瀕する傷を受けてもリザレクションで復活しますしね」

「そうなんだ。わかったよ。じゃあ、ライスがPC1もらうね。」

「よーし、そしたらライスこっちでキャラ作成するぞ。せっかくPC1もらったんだからカッチョイイ主人公にしなきゃな」

「ありがとう、ゴールドシップさん。お手伝いお願いするね」

「カフェさん、私達もライスさんのPCがソラリスのピュアブリードで邪毒とデバフをばら撒くアタッカーにされてしまう前にさっさと決めてライスさんを手伝いにいきましょう」

「そうですね。じゃあ……私は支部長の方をもらいますね。カヴァーだとしても喫茶店のマスターやってみたいですし、それに支部長ならお友だちを使って皆さんを守るロールとかもしやすそうですから」

「わかりましたわ。それでは私がPC2をいただきますわ」

「よしハンドアウトの振り分けが決まったならキャラ作成をしてくれ。全員の作成が終わったらキャラ紹介といこうか」

 

 

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス2(キャラ紹介とPC間ロイス)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
以前のダブルクロス2と3を合わせました。


「トレーナーさん、聞くのを忘れてたんですけど、高校や支部の名前は私達で決めていいんでしょうか」

「それで大丈夫だよ。ただ、すごく長かったり読んでる最中に噛みそうな名前を付けるのは勘弁してほしいけど」

「それはそうですね。私もリトルリリカルリトルミニマムリトルリリカル支部長みたいな肩書は名乗りたくありませんから」

「いいじゃねえか、シンカタタタキキ高校に通うリトルリリカルリトルミニマムリリカル支部所属エージェントのメジョマッキーンですわ。とか名乗らせられるんだぜ」

「名乗りませんわ!」

それから、それから

 

「「「「出来ましたー」」」」

「そしたらPC1からキャラ紹介をしていこうか。キャラの名前とシンドローム、それに伴う戦闘方法を教えてくれ」

「あとは、そのキャラクターの経歴、ロイスとPC同士で関りがあればそれを言えばいいですわ」

「うん、わかったよ。それじゃあライスからキャラ紹介するね」

 

 

 PC1の黒米(くろめ)(いわい)です。トレセン高校に通う女子高生で文芸部に所属しています。マックイーンさんのPCとは同じクラスだけどあんまり話す仲ではないよ。ハンドアウトにある空に昇っていく雷を見に行く友達は同じ文芸部の子で、動機は新しい創作活動のアイデアになればいいなってことにするね。

 お母さんに教えられたんだけど、祝は小っちゃい頃に大きな事故に遭ったらしいんだけど奇跡的に無傷で生還したらしいけど、そのことについては忘れてしまっているよ。

 シナリオロイスは推奨通りにとって、Dロイスは対抗種(カウンターレネゲイド)を選んだよ。もう一個は名前は決めてないけど部活の友達に取りました。

 シンドロームは『キュマイラ』と『ブラム=ストーカー』のクロスブリードで完全獣化や渇きの主を使った白兵戦型だよ。ゴールドシップさんから教わった演出では、ハロウィンの時みたいにヴァンパイアに変身した祝が右ストレートをぶちかますイメージらしいから、頑張って腰の入ったパンチを放つね!

 

「(おい、マックイーン。名前の時点でブラックライスになってるんだが、これ侵蝕値が上昇しすぎでジャーム化しないか。大丈夫か)」

「(直接脳内に話しかけるのやめてください、トレーナーさん。そのことなら大丈夫です。初プレイのライスさんがジャーム化でキャラロストしないように情報収集失敗で登場シーン数を増やすなんてことにならないよう支援役を作成しましたから)」

「(流石マックイーン)」

「(ファミチキください)」

「「(こいつ直接脳内に!!)」」

 

「それでは私のキャラ紹介に入りますわ」

 

 PC2の奈名優(ななしろ)真希(まき)ですわ。黒米さんと同じトレセン高校に通う女子高生ですが部活などはしていませんわ。力を持つものとして人々を守らなければならないので、正直高校に通う時間も惜しいのですが、支部長や両親に「君が守りたい日常に君がいなければ駄目です」とお説教されたので高校生とUGNチルドレンという二足の草鞋を履いた生活をしていますわ。

 一応、奈名優家は古くから超人(オーヴァード)について知っており、UGNに協力していました。という大雑把な設定はしてありますのでGMが煮るなり焼くなりしてくださってかまいませんわ。

 シナリオロイスはP(ポジティブ)執着/N(ネガティブ)憎悪 でNを選択。Dロイスは触媒(カタリスト)にしてアタッカーが殴る回数を増やす形にしました。残りは両親にP感謝/N分からず屋 でP選択ですわ。

 シンドロームは『ハヌマーン』と『オルクス』のクロスブリードでウインドブレス、援護の風、妖精の手などを使えるミドルフェイズの情報判定なども侵蝕値を気にしなければどうとでもできる支援型ですわ。オルクスは本当に演出に困りますが、とりあえず風が背を押したり、場を禊いで動きやすくするって感じになりますわ。

 

「社会能力の低いメンバーなのでマックイーンさんの支援はとても助かりますね」

「ゴルシちゃんも感覚(じょしりょく)は高いけど社会はからっきしだからな。まあそこはコネで補うつもりなんだけどな」

「私だけシーンに常に登場して支援を撒き続ける未来が見えますわ!」

 

「では、私のキャラを紹介させていただきますね」

 

 PC3の漆原(うるしばら)日陰(ひなた)です。UGN附中市支部の支部長です。UGN附中市支部は外観は喫茶店になっていて私はそこの女性店主ですね。PC2の奈名優さんはUGN附中市支部所属のチルドレンなので私の部下になりますかね。

 シナリオロイスはP信頼/N隔意 でPが表。Dロイスはお友だちの再現とエフェクトを増やすのに傍らに立つ影(シャドウバディ)。もう一つは附中市支部にP愛着/N不安 でPが表です。

 Dロイスを先に出したのでシンドロームに『ウロボロス』があるのはばれてしまいましたね。さて、トレーナーさん、私はもう一つシンドロームを取りましたが何でしょうか。ヒントは私は防御型です。

 

「『サラマンダー』か?いや、防御型という名の回避もあるから『エンジェルハイロゥ』もあるのか?ひなたって名前だし」

 

 トレーナーさん、残念ながらどちらも不正解です。正解は『バロール』でした。魔王の外套、雲散霧消、時の棺などでダメージ軽減するタイプです。演出としては敵の攻撃を、お友だちである影が身を呈して防ぐ感じですね。

 

「そうか『バロール』か……(これ、ボスの攻撃通るか……?)」

「うーし、トレーナーがなんか頭抱えてるがゴルシちゃんのキャラ紹介いくぞ」

 

 PC4の小金井(こがねい)千尋(ちひろ)だ。普段はギャンブラーで賭けに大負けした時とか弾丸が必要になった時にUGNイリーガルとして働くハードボイルドな男だぜ、キラッ。附中市に住んでいるから漆原と奈名優とは一緒にFHエージェントと戦ったこともあるな。

 シナリオロイスの漆原にはPアメリカ/N紅茶もメニューに入れろ でPが表。Dロイスは申し子(セレクティド)で専用エフェクトを取得。通常ロイスは春日恭二にP君が泣くまで/N殴るのをやめない でN表な。

 

「確かにロイスはタイタス化して昇華してしまうので遊び枠ですけど……あまりにもあれですわね」

「そうですか。ゴールドシップさんは普段コーヒーを出す私に紅茶を出せと思ってたんですね……」

「ひっ、なんかカフェさんから黒いオーラが出てるよ。まさかこれがレネゲイドウイルス!?」

 

 なんかやっべえ気配がプンプンだが続けるぜ。シンドロームはモルフェウスのピュアブリード。ハンドレッドガンズ、ギガンティックモードで範囲射撃攻撃を担う感じだな。巨大ロボットに乗り込んだりもしたいと思ってるぜ。

 

 

「全員のキャラ紹介が終わったし、PC間ロイスを結びたいんだけど、どうしようか?」

「何かわからないことがありましたか?」

「本来ならシナリオ開始前にPC間ロイスを結ぶんだけど、初回だしオープニングフェイズとかメインフェイズでお互いのロールプレイを見てからの方が決めやすいかなとも思ったから聞いておきたくてね」

「そうですね……私からゴールドシップさん、いえ小金井(こがねい)さんに対して取る感情は決まってますのでマックイーンさんとライスさんに聞いてください」

「私も漆原(うるしばら)支部長に取るならこんな感じかなというのはありますので今取っても構いませんわ」

「えっと、ライスは奈名優(ななしろ)さんのことをただのクラスメイトだと思ってるからN(ネガティブ)は無関心でいいかもしれないけどP(ポジティブ)をどうすればいいか悩んじゃうね」

「そんなときは~ダイスを振ればいいんだぜ」

「そうなの、ゴールドシップさん?」

「そうだぜ、ライス。ほら、感情表の横に数字が書いてあるだろ。その数字がサイコロの出目を表してるから、いっちょ振って決めちまおうぜ」

「わかったよ!じゃあ振るね」

コロコロ

「9だから……憧憬?だね。奈名優さんはカッコイイお嬢様っぽい女の子だから同性として憧れがあるって感じでいいのかな」

「そんな感じで大丈夫ですわ。あと、ここらへんは意見が分かれると思いますけど感情表はできるだけ振らない方が楽ですわ」

「楽?」

「ええ、感情表の下の方を見てもらえばわかると思いますけど、今回のライスが使う黒米(くろめ)さんは覚醒したことを自覚せず日常を生きてきた高校生でロイスを結ぶ対象である奈名優も同じ高校に通う普通の同級生だと考えると……Pにある遺志だったり尽力、出目外になりますけど傾倒なんかは理由付けというかロールに困ると思いますの」

「見てみたら、うん、そうだね。純愛とかもちょっとやりづらいかな」

「だから、他のシステムもそうですけど感情表は事故表とか事故製造機なんて呼び方もされてるんですの」

「おいおいマックイーン。ダイス事故こそTRPGの花だぜ」

「そこは否定しませんわ。クリティカルとファンブルでGMに精神的疲労を与えるのも、出目事故をプレイヤーのみんなで協力してフォローするのもTRPGの風物詩だと私も思ってますわ」

「そうですね。その事故のおかげでPCに新しい背景ができたりしますから。さっき話に出ていた遺志も、『死んだ祖父や父に困っている人は絶対見捨てるな、必ず助けろなんて言い聞かされて育った』みたいにすることでPCが厄介事に首を突っ込む理由になりますね」

「へー、そういう風に解釈できるんだね」

「ええ、それを繰り返していくうちに活動してる町に新しい建物ができたり、自分の姉が魔術師で魔導書を執筆していたなんて設定がやっている間に増えていくのがTRPGの特徴と言えば特徴ですね」

「うっし、話が本筋から外れちまってるし戻してPC間ロイス結んじまおうぜ」

「それもそうですわね。では奈名優から|漆原さんへはP尊敬/N食傷 のP表でいきましょう。UGN支部長であり戦闘では味方を守る姿に敬意を持っているけど、UGNチルドレンではなく、普通の高校生としての日常を大切にしなさいと言われ続けることに対して奈名優はエージェントとして生活する気満々なので少し鬱陶しく思ってるって感じですわ」

「確かに漆原はそんなタイプでしょうね。私の方からもセッションが始まったらロイスを結ぶとしましょう。では漆原から小金井さんにはP芝生の栄養/Nしてやる でPを表にします」

「マックイーン!カフェが芝生の栄養にしてやるって、ゴルシちゃんのやばいものセンサーがビンビンなんだが!」

「ゴールドシップさん……自業自得だと思うのでしっかり反省して進めましょう」

「お、おう。マックイーンの笑顔も心なしか怖く見えるぜ……。んじゃ、小金井から黒米にはPご飯食べたい/Nお腹すいた でPを表にするぜ」

 

「(それだと、女子高生と一緒にご飯が食べたい成人男性っていう絵面になるけどそれを言ったらこの状況に対する特大ブーメランになるから黙ってよう。)」

 

 

 

 

 



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ダブルクロス3(オープニングフェイズ 累計シーン数➀)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ついにシナリオ(本編?)に突入です。それぞれのPCをウマ娘達が演じてるんだなというのが分かるよう頑張って書いていきたいと思います。


「PC間ロイスも結び終わったし、ここからシナリオに入っていくぞ」

「「「「「はーい!」」」」」

 

「時系列順にいこう、まずはカフェ、PC3漆原(うるしばら)からだ」

 

オープニングフェイズ 累計シーン数1 登場指定PC番号 3 シーン名 或る喫茶店の午後

 

 登場ダイスを振って、侵蝕率を上げます。

 

 近くのオフィスの昼休憩時間も終わり、ランチを目当てにしていた客足も完全に絶えた午後二時過ぎ、漆原は何をやっているかな

 

 そうですね……表にある看板をしまって、扉にかかっているウェルカムプレートをopenからcloseに架け替えた後は、店内の清掃作業をしますね。

「影、テーブルの上の水拭きや消毒をしてください」

と自分の影を起こして、漆原は皿洗いの方を担当しています。

 

 では、漆原がシンクに貯まった食器類を八割ほど洗い終えたところで、UGNからの連絡を示すコール音が鳴ります。

 

 手を洗って、連絡用のモニターへ向かいます。

 

「お疲れ様です。漆原支部長」

 モニターの画面に映し出されたのはUGN日本支部長霧谷雄吾であり、連日の業務のせいか彼の眼の下には大きな隈が残っている。

「お疲れ様です。霧谷さん。それで、何の御用でしょうか。何かこちらの業務にミスがありましたか」

「いえ、普段のジャームへの対処、一般人への記憶処理や情報操作は問題ありません。むしろ、周囲への被害を抑えられるように尽力してくれていることには本当に感謝しています」

「……ありがとうございます」

「感謝も伝えたかったのですが、気になる情報が入った……正しくは情報が入らなくなったので連絡させていただきました」

 その言葉を聞いて漆原は驚いた表情を浮かべますが、すぐに頭を落ち着かせて話の続きを促します。

「『矛盾概念』というFHセルはご存知でしょうか」

 

 GM、私は知っていていいんでしょうか。

 それに関しては≪知識:FH≫の目標値10で判定してみて。

 オープニングフェイズで、勿体無い気もしますが、侵蝕率は投げ捨てるもの100%までは誤差です……無形の影+コンセトレイトで抜きます。

 達成値14で成功ですね。

 じゃあ、これを

 

「一度だけですが、『矛盾概念』に所属していた『セト』とは交戦したことがあります。交戦中はUGNへの恨みを多く言っていたのでセルについてもその時に調べました。たしか、FHの中でも自身の欲望のために能力をふるえない異端者が集まったセルだったかと。『セト』との交戦後は附中市での活動が見られなかったので他の構成員についてはわかりませんが……」

「ええ、おっしゃる通り『矛盾概念』自体はFHに馴染めなかった超人(オーヴァード)の集まりです。ですので、こちらに引き込めないかと監視もしながら交渉材料を集めていたのですが……正午にあるはずの定時連絡がありませんでした」

「その話がUGN附中市支部にきたということは」

「はい、最後の連絡があったのは附中市付近の山中でした。おそらく附中市に侵入したと思われます。十分に警戒したうえで、対処をお願いします」

「……わかりました。お受けいたします」

「ありがとうございます。監視時の情報や今朝から正午までにあった襲撃の情報は解析次第共有しますので、バックアップは任せてください」

 と述べた後に、ではこれでと通信が終わる。

 

 そうですね……残る洗い物の二割を影にやらせつつまずは小金井さんの方に連絡を取ります。

 

 いや、芝生の栄養だと思っている相手に真っ先に連絡取らなきゃならないんですかこの支部!! 昨今の超人(オーヴァード)不足はやばいですね!! 

 

 ふう、少し取り乱しました。大丈夫です。冷静になりました。

 

 改めて行動ですが小金井さんへの連絡を終えた後に真希さんへ連絡をします。けど、その前にロールプレイを少し……

 

「真希さんはできるだけ、学生生活の方に専念して、友達を作って行事やなんてことはない授業や放課後を過ごして欲しいのですが……。精鋭部隊がやられているいじょう、戦いが苦手な真希さんとは合流した方が護りやすいですけど……う~ん、やっぱり子供は巻き込みたくないですね」

とうだうだ悩みながらも影が皿洗いを終えたら、ため息をついた後、真希さんに連絡を入れます。

 

 という感じの関係なので奈名優(ななしろ)真希さんにP庇護/N心配 でPを表にしてロイスを結びます。

 

 了解。じゃあ、漆原から奈名優と小金井に対して連絡を取るというところでシーンをしめよう。

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス4(オープニングフェイズ 累計シーン数➁)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ゲームをやってもアニメを見ても他の二次創作を見ても再現出来たと思えないゴールドシップの言動。元ネタもライターの方もすごいですよね。
個人的にはシナリオの進行が不可能になる以外は何やってもいいと思いますが、GMも悪乗りしすぎるのは良くないと思うのでこのGMの真似はしないで下さい。


「次はゴールドシップ。PC4小金井(こがねい)の導入をやっていこうか」

「おう! 任せとけ!」

 

オープニングフェイズ 累計シーン数2 登場指定PC番号 4 シーン名 船上 

 

 んじゃ、登場ダイス振るぜ。

 

 私も振った方がいいですかね

 カフェはディメンションゲートを使って迎えに行くとか、小金井に会って直接話すみたいなことをしないなら登場ダイスは振らなくていいよ。ここで振っちゃうと、次のマックイーンのシーンでも振らなきゃいけなくなっちゃうしね。

 それは、ウロボロスが入ってるので他の方たちより基本侵蝕率が高くなっていますから助かります。

 

 小金井の方に話を移そうか。時間は漆原(うるしばら)が霧谷と話している最中かその少し前を想定しているけど、小金井はその頃何をやっているかな。

 

 俺との勝負に負けた奴らをモルフェウスの能力で作った船に乗せてマグロ漁をしてるな。

 

 ……すまん、なんだって? 

 

 だーから、俺とのギャンブルに負けた奴らを紐で縛って、「目指せマグロ漁で借金返済!! その手で掴め素潜りでマグロgetチャレンジ!!」をやってるぜ。

 

 おい、さっきと言ってたこと変わってんじゃねえか。なんだったら悪化してるだろ。まあ、導入だし問題ない。そのまま進めるぞ。

 ……じゃあ、一般人の体に最低限の命綱が結ばれる。命綱を結ばれた男はひゃっほ―などという声を上げて意気揚々と海に飛び込んでいく。

 彼らもこのような漁に来るのが三度目なのでもう慣れたものなのだろう。

 

「おう、初めて来たときは船酔いと魚の餌にされるんじゃないかとビクビク震えていたあいつらが、今では自分から海に向かうようになって……俺は嬉しいぞ」

「何泣いてんだ船長。俺たちはマグロ漁をこえて、素潜りでクジラ漁に挑戦するんだろ!!」

「そうだぜ船長。そのために俺は週一でジムに通い始めたんだぜ!!」

「ああそうだな……そうだった、まだ俺達の挑戦は始まったばっかりだもんな! よし、いくぞお前ら! 俺達の戦いはこれからだ」

 

 って感じのやりとりを船員とかわしていた小金井の元に連絡が入ります。

 

「Hallo.こんにちは。プッケパブロ。こちらゴールデンだぜ。どっちらさまでしょうか」

 電話を切って、掛けなおします。

「はい、小金井です。どちらさまでしょうか」

「UGN附中市支部長の漆原です。市内にFHエージェントが侵入した可能性があるのでその調査を行います。小金井さんにはその調査に協力していただきたいのです」

「オーケー。じゃあ直ぐにそっち向かうぜ。報酬はちゃんと弾んでくれよ」

「ええ、わかりました。それではお待ちしています」

と短い会話を交わして電話が切れる。

 

「すまねえ、お前ら。ちょっくら用事ができたから行ってくるわ」

と言って船から飛び降りる。それと共にヘリコプターがあらわれ、その操縦席に小金井は乗り込んで発進させるぜ。

「「「せんちょおおおおううぅぅぅぅ──────!!!!」」」

 

 って感じでシーンを〆るぜ。

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス5(オープニングフェイズ 累計シーン数③)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
このままじゃ、奈名優が漆原に心配かけるボッチ女子高生になってしまうと、黒米以外のクラスメイトを出しましたが、次回以降のシナリオかコネ:噂話を使わない限り出番がもうないという……


「ちょっと、癖の強いモブがわきすぎたな。次からは気を付ける」

「そうですわね。シナリオやそれに関する情報、データはGMしか知りえませんからGMまで悪乗りをしてしまうと進行できなくなるので本当に気を付けた方がいいですわ」

「すまん。反省する」

「まあ、気心の知れた仲であれば落としどころもわかるでしょうし、テキストセッションならロールしてる方が文章を打ち込み終わるまで雑談タブで会話するのはよくあることですから何事も塩梅ですわ」

「はい、わかりました」

「さあ、トレーナーさんの反省も終わったようですし、私のシーンに入りましょう」

「オーケー!」

「あっ、そうですわ。入る前にライスさんとも相談したのですが、トレセン高校の設定をこうして……少しPCが午前中でも動きやすいようにして大丈夫でしょうか」

「了解。それじゃあ、やっていこうか」

「ええ。いきますわよ!」

 

オープニングフェイズ 累計シーン数3 登場指定PC番号 2 シーン名 トレセン高校の裏事情

 

 登場ダイスを振りますわ。支援型なのでここで大きな数字は出ないで……

 

 トレセン高校。芸能、スポーツ、創作、研究、経済活動等の様々な分野に対して理解があり、特待生であれば授業への参加を免除、あるいは専用端末の貸し出しにより時間や場所を気にせず好きなように受けることを可能にするシステムが整った学校である。

 

 奈名優は特待生なので、授業に参加する必要はありませんが、お節介な保護者達に言われて仕方なく通学していますわ。不要とか面倒とは思いつつも、特にお喋りとかすることはなく、教師が黒板に書く文字をノートに写していく形で、授業には参加していますわ。ただ、ノイマンのシンドロームであれば、こういう学校での勉強も不要なのでしょうねみたいな感じで少し思考がそれていたりしますわね。

 

 では、いまいち身の入らなかった五限目の授業が終わったタイミングでUGN附中市支部からの連絡が入ってきます。

 

 荷物を持って人目のつかないところに向かってから電話を取りますわ。

 

「こちら奈名優ですわ。漆原支部長、どうかいたしましたか」

「詳細は、小金井さんも合流してから伝えますので簡潔に。UGN精鋭部隊に監視されていたFHエージェントが監視を始末して附中市に潜入した可能性があります。対象の対処をおこなうため、速やかに合流してください」

「了解ですわ」

「……本当は奈名優さんを呼ばずに、私と小金井(こがねい)さんだけで対応できればいいのですが……戦いの場にも連れて行かなければならないことを情けなく思います」

「そんな必要ありませんわ。私もUGN附中市支部の一員ですので、誰かの日常を守る義務があります。そのためにジャームやFHと戦う必要があるなら、超人(オーヴァード)になった者として、その能力をふるうのは当然ですわ」

「……では、支部で会いましょう」

と電話を切ったら、階段を駆け下りて支部に向かいますわ。

 

 じゃあ、階段を駆け下りる途中で声をかけられますね。

「おっ、なしろんじゃん!六限始まるけどばっくれ?」

 

 えっと、この方は……?

 奈名優、黒米(くろめ)と同じクラスの男子生徒の冬堂(とうどう)宏人(ひろと)です。黒米と同じ一般生徒で、下の自販機に飲み物を買いに行った帰りのようですね。

「帰るところですが、ばっくれじゃありませんわ!」

「ああ、そういえばなしろんって特待生だったっけ。いいな授業免除。俺も試験受けてみようかな」

「不純な動機で臨むのは感心しませんわね。それと、なしろんなどと馴れ馴れしく呼ばないでもらえますか」

「いいじゃねえか、別に。奈名優って言うと舌嚙みそうになるんだよ」

「そんなこと、知りませんわ!」

キンコーン、カンコーン、キンコーン、カンコーン

「やっべ、授業あるからじゃあな」

と言い残して冬藤は教室の方へ駆けていきました。

 

「はぁ、余計な時間を使いましたわ。早く合流しないと」

とUGN附中市支部に向かうところでシーンをしめますわ。

 

 

「この漆原支部長と気持ちがすれ違ってる感じたまりませんわ!」

「ええ……」

 

 

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス6(オープニングフェイズ 累計シーン数④)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
これにてオープニングフェイズ終了です。次回は登場してなかったPCのPL達が裏でどんな会話をしていたのかみたいな幕間話でいこうと思います。
幕間を挟んだらメインフェイズで合流していきたいと思います。


「オープニングフェイズもライスシャワーのPC4黒米(くろめ)で最後だな」

「うん。ライスも頑張るね!」

 

オープニングフェイズ 累計シーン数4 登場指定PC番号 1 シーン名 平凡な女子高生

 

 登場ダイスを振るね

 

 授業の始まりを告げるチャイムが鳴る。席が二つ空いてるけど、気にせず生物の先生は授業を始めた。一分くらい経ってから教室のドアが開く。飲み物を買いに行っていた男子生徒だ。それに対して一言注意をして先生は席に座らせた。

 変わったことはそれぐらい。今日も私、黒米(いわい)の世界は物語になりえない。

 

「デオキシリボ核酸とかm-RNAとかカタカナ覚えれないわ~」

「それな!」

 

「駅前のクレープ食べに行かない」

 

「バイト先の先輩がちょーっかっこよくてー」

 

「わりい。妹待ってるから帰るわ!じゃな」

 

なんていうとりとめもない会話が教室のあちこちで聞こえてくる。

 

 黒米も部室に行こうかな。なんて考えながら荷物をまとめていると

「クロメー、雷を見に行こう!」

そう元気に声をかけてきたのは同じ文芸部に所属する友人、白城(しらぎ)善乃(よしの)

「かみなり?」

「そっ、雷。最近話題の空に昇っていくやつ。どうも撮影場所が近場っぽいから、なんか創作に使えると思ってさ」

「わかったけど、それって危なくないの?」

「大丈夫だって。今までも撮影した人がいたんだし、いけるって」

という感じで白城に連れられて学校を出た。

 

 自転車をこぐこと十五分ほどで、ここだよと白城が教えてくれる。

「うーん、ここのはずなんだけど……」

「見えないねえ」

「あー、しゃあない。ちょっくら奥まで行って見えるところ探すか!」

「えっ?ここって誰かの敷地じゃないかな。だめだよ」

「クロメは待ってていいよ。見つけたら呼んだげる」

「えっ、えー」

という声を尻目に白城はズンズン奥へと進んで行ってしまう。

 

 仕方ないので黒米も追いかけるよ。

ですが、白城があまりの速さで進むので、黒米は見失ってしまいます。

「待ってよ、白城ちゃん……まずい、見失っちゃった。どこどこどこ、どこ行っちゃったの!」

と苦戦しながら藪をかき分けて進んで行くと開けた場所に出る。

 

「抜けた……。けど、白城ちゃんは……見当たらないな」

「警告。ここは私有地ですので一般人は立ち入り禁止ですよ」

と声をかけてきたのは先程見回した時にはいなかったはずの同年代くらいの無表情な女の子だ。

 

「ご、ごめんなさい。ただ友達とはぐれちゃって……」

「そうですか……その方がいないとここから立ち去れないのですか」

「はい、白城ちゃんも私を探してくれてると思うから」

「わかりました。あなたの友人探索に付き合いましょう」

「すいません。ありがとうございます。えーと、何とお呼びすればいいですか」

「レプリカと呼ばれています」

「ありがとうございます、レプリカさん。私は黒米祝です。よろしくお願いします」

 

「疑問ですが、あなたの友人の特徴を教えてもらえますか」

「えっと、私と同じ制服を着ていて、背が高くて……レプリカさんと同じかそれより高いぐらいかな。髪の色は白城だけど、白じゃなくてこの色は銀だよなぁって白城ちゃん本人は言ってたかな」

「なるほど。ところで、制服ということはあなたと白城ちゃんは学校に通っているのですか?」

「う、うん。トレセン高校ってところに通ってるよ。レプリカさんは……別の学校?」

「いえ、当機は学校には通っていません」

「それはごめんね」

「なぜ、謝るのですか?」

「悪いこと聞いちゃったなって思って……」

「そうですか」

 

 しばしの無言は気まずかったからか、それとも白城を真剣に探しているからか。

 

 黒米とレプリカが白城を探し始めて五分後。レプリカが急に立ち止まった。

「わわっ、急に止まってどうしたんですか。何か痕跡がありましたか」

「いえ、造物主(マスター)より、目撃者を処分するよう命が下りました。よって貴女を処分させていただきます」

そうレプリカが述べたと同時、雷撃の束が黒米を貫いた。

 

「がっ、ぐわっああぁっ」

全身に焼けるような痛みが広がる。いや、衝撃的すぎて感覚がバグを起こし、これが痛いのか熱いのかがわからなくなる。そして、意識が飛びそうになる。

「ぐっ、ぎいぃぃいいっ」

一瞬、何かを思い出しそうになったが、それを邪魔するように本能が吠え出す。

あれは敵だと。

あれは獲物だと。

あれこそ狩るべき対象であり、求めていた贄だと。

黒米の中の獣が、いや、黒米という血を纏った怪物が咆哮をあげた。

 

 その変貌した姿を見てもレプリカは変わらず無表情だった。なぜなら、相手が怪物であろうと兵器である自身が造物主に受けた命令は変わらないからだ。目撃者の処分。そのために兵器は出力をあげた。

 

 怪物もまた獲物の反撃を受けてもやることは変わらない。獲物を狩る。そのために怪物は、雷を受けながら一直線に突っ込んだ。

 

という風に二人がぶつかったところでシーンを終わります。

 

 

 

 



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ダブルクロス7(オープニングフェイズ裏話)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ダブルクロス7と8、オープニングフェイズの裏側をまとめました。
癒されるようなやり取りが書きたかったのに、なぜこんな説明回もどきになってしまったのか……
CNは検索して被りがないか確かめましたが、もし被っているいるようでしたら改めて設定し直したいと思います。
CNを大量に作っている脳内卓の動画制作者様は改めて凄いと思いました。


開始前のひと時

 

「ポッキーを開けますわ。いる方は大皿からお取りください」

「すいませんマックイーンさん、始めるようなのでこっちの小皿の方に何本か取り分けておいてもらえますか」

「ええ、カフェさんかまいませんわ。他に何か食べたいものはありまして」

「では、ハッピーターンももらえますか」

「わかりましたわ」

 

「おい、トレーナーなんできのこの山があってたけのこの里がないんだよ」

「だって、たけのこの里は全体がチョコでコーティングされてるから手が汚れるだろ」

「そんな理由で戦争の引き金を引いたのか、お前わああぁぁ!」

「いや、引いてねえよ」

 

パクパク。ゴクゴク。

 

累計シーン数➀の裏

 

「ライス、質問があるんだけど、UGNって何なのかな?」

「その説明も含めて、とりあえずこのセッションをやるにあたって、知っておけばいいダブルクロスの世界観についてお話しましょうか」

「うん。お願いします」

 

「ダブルクロスの世界ではレネゲイドウイルスという未知というか未解明?なウイルスに世界人口の八割以上が感染していますわ。

 このウイルスは感染していた人、生物……非生物もそうですが、強いストレスを受けると活性化するんです。

 活性化したレネゲイドウイルスは宿主に高い再生力や本来持ちえない能力を与えます」

 

「じゃあ、その能力を使えるようになった人をオーヴァードと呼ぶんだね!」

 

「半分正解ですわ、ライスさん。正しくは能力を自在に使えてかつ自身の持つ衝動にのまれていない方をそう呼ぶのですわ。

 そして、衝動にのみこまれて暴走する、欲望のままに行動する方を、ジャームと呼称します。

 PCの場合だとシナリオ終了時に侵蝕率が百パーセントを超えているとジャームになってしまいますわ」

 

「カフェさんはさっきの判定をして五十パーセント超えてたからまずいんじゃないの!?」

 

「そこは大丈夫ですわ。普通にやってたらシナリオ中に百パーセントは超えてしまいます。

 ですが安心してください。その後に侵蝕率を下げる機会、バックトラックがあります。やり方はその時にまた教えますわ。」

 

「侵蝕率ってどういうことかわかってなかったけど、そういう風に関わってくるんだね」

 

「ええ、では次に対立する二つの組織について要点だけかいつまんで

 この世界にはいくつか組織があって、そのうちの一つがカフェさんと私のPCが所属するUGNですわ。」

 

「正式名称はウルトラ外道な仲間達だ」

「ユニバーサル・ガーディアンズ・ネットワークですわ!(まあ、外道じゃないかと言われれば否定できないところもありますけど……)」

「えっ、これはマックイーンさんが正しいんだよね?」

「当然ですわ」

 

累計シーン数➁の裏

 

「UGNは世界各地に支部があって、日本の支部長は霧谷雄吾という先程、漆原と話していた人です。

 霧谷支部長はオープニングフェイズでよく出てくる人物なのでまあ覚えておいて損はないでしょう。

 UGNは基本的に能力のことはまだ明かさず時間をかけてオーヴァードと非オーヴァードを融和させていくのが目的の団体ですね。

 だから今起きるレネゲイド絡みの事件を世間の目に晒さぬように秘密裏に解決しています。」

「もう一つの組織の名前はファルス・ハーツと言って、FHで略します。

 こちらは、能力を使って自分の欲望のままに生きる方々の集まりで、今回の敵もその組織の一員のようですね。」

「なので、今ゴールドシップさんのキャラがやっているようなことはかなりFHに近いですけど……私、本当にあの人を雇って問題解決してるんですか?」

 

「むしろ、問題起こしてそうですわ」

「そうだね……」

 

累計シーン数③の裏

 

「そういえばキャラシートにコードネームって項目があるけどライスこれ決めてないけど、みんなは決めてるの?」

「私は影の形状を変えて攻撃を防いだり、撃たせなかったりという風に演出しようと思ってるので『拒幻壁(サイレント・スクリーム)』にしました」

「あたしは『無形創作果てなき旅路(ビッグドリーム)』だな。ピュアモルフェウスだから基本的に側だけならなんでも創れるってのと、UGNに協力はしてるが自由に活動してるってあたりからこんなコードネームにしてみたぜ」

「二人とも、戦闘スタイルから取ったんだね。じゃあ、ライスも血を纏った獣になって戦うことから取った方がいいのかな?」

「一応補足ですが公式NPCは戦闘スタイルからコードネームをつけられてない方もいますよ。それこそ先程のシーンで出てきた霧谷さんがそれですね。彼のコードネームの『リヴァイアサン』は日本支部長として清濁併せ吞んだ政治、権力闘争を行う姿勢から付けられたものらしいですから」

「あいつはソラリスのピュアブリードだから巨大な蛇に変身したりしねえしな」

「そうなんだ」

「ライスさんのキャラは覚醒はしてるけど自覚のないオーヴァードですので、今回がUGNとの初絡みになるでしょうからシナリオの最後か、次回の最初で私、漆原(うるしばら)からコードネームを名付けられるという形になると思うのでゆっくり考えて大丈夫ですよ」

「わかったよ。頑張ってカッコいいコードネームを考えてみるね。そういえば、マックイーンさんの奈名優(ななしろ)のコードネームは何なんだろう?」

「それならたしか、『禊祓う追風(サデンスタブ)』だったはずだぜ。味方には心強い援護だけど、敵には致命の一刺しになるっていうことらしいぜ。これは戦闘スタイルもそうだけど支援役として情報収集に協力したりするってのも意味に含まれてそうだな」

「そうだね、敵の情報を集めて対策するのは重要だもんね」

「ダブルクロスだと途中でエフェクトとかシンドロームは変えられないから対策っていう対策はできないが、そもそもボスと戦うクライマックスフェイズに入るのに情報の獲得が必要不可欠だから、情報大事ってのは間違ってねえぜ」

 

 

「トレセン学園の男性はトレーナーしかいないので、男子の同級生があらわれて話かけてくるというのは新鮮というか、ゲームでしか考えられない状況ですね」

「うん、お兄さまが男子生徒って言ってて、ライスはびっくりしたよ。もしかして、文芸部のライスの友達も男子生徒になるのかな……」

「なんだったらマックイーンもお嬢様だから、小学校もウマ娘しかいない学校で、学校に何故男子生徒がいるんですの!?とかって思ってそうだな、あの感じ」

「学生時代のトレーナーさんはあんな感じだったのでしょうか……」

「いや、それはねえんじゃねえの。あだ名のセンスねえし」

「はい、そこ。過去の俺を詮索しない。あと、ネーミングセンスの無さをいじらない」

 

累計シーン数④の裏

 

「非日常に入る前の普通の生活、いいですわ!大人からはそこまで望まれてないけどチルドレンというか能力を持った者としてノブレスオブリージュして周りの人々を曇らせるのもいいですが、やっぱり、日常が一変して非日常に変わるのも心が躍りますわ」

「おい、あたしが言うのもなんだけどよお、マックちゃんバグってねえか。大丈夫かこれ?」

「悪霊にとり憑かれた様子はないので大丈夫だと思いますよ」

「とり憑かれてねえのにこれなのか……」

 

 

「ライスさんの友達はかなりアクティブですわね」

「そのあたりはゴールドシップさんに近いような気がしますね」

「そうですわね。雷を見に行くぞとかは普通に言いそうですし、なんだったらゴールドシップさんの場合それに孤島の火山に落ちるとかがつきそうなので、この友人はまだぬるい気がしますわ」

「全部聞こえてっからな!だが、そこまで期待されたらゴルシ様も一肌脱ぐしかないってもんだ。ってことで来週みんなで噴火してる海底火山見に行くか」

「「「えっ?」」」

 

 

「主人公の覚醒シーンきましたわ!」

「対抗種のレネゲイドウイルスに自我を飲まれた感じだな」

「相手は『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』っぽいですね」

「あと造物主もいるからボス戦は二体以上か」

「メインで一戦してクライマックスでは出てこないもありますわ」

「とりあえず、この後合流シーンですし、少し打ち合わせしておきますか」

 

 

 



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ダブルクロス8(メインフェイズ 累計シーン数⑤)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ダブルクロスの戦闘描写は普段は元ネタのテキストからとって演出してるので、戦闘シーンは難産になりそうです……
あと、ウマ娘コラボから始めたのでよくわかってませんが古戦場走ってきますね。


「さっきのシーンでオープニングフェイズは終了だ。さっきまでもちょこちょこ別PCが出てたから個別シーンって言うには怪しいが、ここからは複数PCでのシーンになるから、やりたいことはそれぞれ相談するようにしてくれ」

「「「「はい」」」」

「じゃあ、メインフェイズに入るぞ」

 

メインフェイズ 累計シーン数5 登場指定PC番号 全員 シーン名 遭遇

 

 全員登場ダイスを振ってくれ コロコロコロ

 

 雲一つない夕焼け空に鳴り響いた雷と獣の咆哮はそのすぐそばで潜入していたFHエージェントを探していた三人にも聞こえてきた。

「おいおい、ワーディングも張らずにぶっ放してやがるそ」

「UGNの精鋭部隊を倒した相手です。腕にはかなり自信があるのでしょう」

「例えどれほどの強者であろうともこの町で暴れさせる気はありません。雷による遠距離攻撃に警戒しつつ接近します。ワーディングを張り次第、攻撃を開始します。お二人は戦闘の準備を」

「了解だ!」

「了解ですわ」

 

 

 出力の上がった雷撃をオーヴァードとしての肉体再生能力で無理矢理耐える。耐え続ける。一瞬獲物が見せる隙を逃さぬよう耐え忍ぶ。そして、その瞬間が訪れる。性能の限界かあるいは効果が薄いと判断したのか、収束させていた雷をビームに放つ攻撃から複数の雷撃による拡散攻撃に切り替えた。

 だから、どうした。先程の攻撃よりも単体に対する威力が下がった面制圧など、気にする値しない。むしろ土煙による視界の制限は自身にとって利でしかないと、獲物との距離を詰めて、右の拳をふるう。

「敵性存在の行動。既に予測済みです」

レプリカが手に持つのは雷を収束させて作った刃。これをがら空きになった胴に逆袈裟切りで叩き込み目撃者の処理を終える……そのはずたった。

黒米(くろめ)は獣ではなく対抗種(カウンターレネゲイド)としての本能で敵の活性化したレネゲイドウイルスに反応し、瞬時に左脚に血を多く纏わせることでその一撃をしのいでみせた。

「仕方ありません」

その言葉と共に雷で作られた刀身を爆発させて距離を取った。

 

 

 あれ、私は何をやってるんだろう?

 吹き飛ばされた衝撃のおかげか黒米は自我を取り戻す。先程までの動きが嘘だったかのようにフラフラと立ち上がる。そこに容赦なく雷撃が叩き込まれた。

 

 

「右腕を損傷しましたが、再生可能範囲内です。撃破した個体に関してはFHに持ち帰り研究試料に出来ると判断。持ち帰ります」

「仲間割れかと思ってワーディングだけ展開して様子を見ていましたが……そうですか彼女は新たに覚醒したオーヴァードですか……なら、彼女はUGN(わたしたち)の保護対象です。あなたにはお引き取り願いましょうか」

黒米さんとレプリカの間に影の壁ができる。そして、レプリカ対して砲弾が放たれた。

「うっし、いい出来栄えだ。勝ったな!走って汗かいたし風呂行こうぜ」

「なんでそうわかりやすいフラグを立てますの!」

しかし、砲弾は爆発することなく溶かされた。

「今の戦闘でいいデータが取れたとはいえ、まだまだデータ不足なんだ。モルフェウス(きみ)のような物を大切にしない連中にはいじって欲しくないからやめてくれないか」

レプリカの前に白衣を着た女が立っていた。

造物主(マスター)すいません。お手を煩わせてしまいました」

「いや、予定外のオーヴァードの出現だ、君を責めても仕方あるまい。なに、さっきも言ったがいいデータが取れたのだプラマイゼロだよ。あと、何度も言ってるが造物主(マスター)呼びはやめてくれ。私は普通のエージェントだよ」

と言ってヒラヒラと手を振った。

「さてUGNの諸君、お互い怪我人がいるようだしここはお開きにしないか?」

「はっ、何言ってんだお前。逃がすわけねえだろ」

「そうか……じゃあ、やろうか。まあ、戦ってる間に向こうにいた女の子は毒が回って死んじゃうかもだけど」

「……!『禊祓う追風(サデンスタブ)』、知覚範囲内に他に人はいますか!」

「一人いるようですわ」

「こうして話している間にも死が近づいてるわけだが、どうする?」

「あなた達二人は必ず捕えます。『禊祓う追風(サデンスタブ)』と『無形創作果てなき旅路(ビッグドリーム)』は救助者の保護をしてください」

「ああ、話がわかる者たちでよかったよ。それじゃあね」

レプリカと白衣を着た女はあなた達と逆方向に去っていった。エネミーエフェクト瞬間退場Ⅰと瞬間退場Ⅱの演出です。

 

 私達も黒米さんと白城(しらぎ)さんを保護し、UGNが関係してる病院に運んだところでシーンをしめましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス9(メインフェイズ 累計シーン数⑥)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ダブルクロス11と13をまとめました。
自分の考えたCNで呼び合うのって精神負荷が凄いですが、以前の卓でCNを使わなかったせいでPCの家族が酷い目にあったので、敵の前ではCN呼びさせてます。



メインフェイズ 累計シーン数6 登場指定PC番号 1,3 シーン名 越境

 

 私も出ますわ。

 ゴルシちゃんも出るぜ。

 

 黒米(くろめ)が目を開けると、そこには白い天井が広がっていた。

「えっ、あれっ、ここは……?」

「目が覚めたようですね黒米さん。体は大丈夫ですか」

 ベッドの横にあった丸椅子に座っていた奈名優(ななしろ)は黒米が起きたことに気付いて声をかける。

「はい、たぶん。って、奈名優さん!?なっ、なんでぇ!?」

 ベッドから体を起こした黒米は隣にいるクラスメイトと自分が病院のベッドにいることに驚きの声を上げる。

「驚かされたのは私ですわ。まさか倒れているのが二人ともクラスメイトだったんですから……本当に頭を抱えさせられましたわ」

 と聞いて、黒米は白城(しらぎ)さんのことを思い出します。

「そうだ、白城ちゃんは!?途中ではぐれちゃって、それからあの娘と一緒に探してて……」

「白城さんも少し離れた場所で倒れていましたわ。今は別の階で治療中ですわ」

「治療中!?白城ちゃんは怪我してたの?大丈夫なの?」

「あ~もう、質問ばっかりで面倒ですわね!」

 奈名優は予想外のクラスメイトとの遭遇につい大声を出してしまった。

「ご、ごめん」

「……はぁ。謝るのは私の方です。怒鳴ってしまって申し訳ありませんでした。白城さんに関してはこの病院で一番腕利きの方に任せてあるので最悪な事態にはならないと思いますわ」

「それなら、よかったぁ」

「良くないですわよ。だって一番の問題は白城さんではなく、黒米さん。あなたにあるのですわ」

「えっ……?」

「詳しい説明は漆原支部長から伺ってください。私は席を外しますわ」

 奈名優は病室から出ていきます。かわりに、扉を開けて漆原(うるしばら)が入室します。

 

 

「初めまして黒米さん。私は漆原日陰(ひなた)と言います。よろしくお願いしますね」

「黒米(いわい)です。こちらこそよろしくお願いします」

「早速ですが質問をさせていただきますね。まず、放課後の出来事をどこまで覚えてるか教えてください」

「白城ちゃんに誘われて山に向かって、無表情な女の子に会って……雷にうたれて、あれ、私、雷にうたれたはずなのになんで怪我が……」

 と言ってる最中に黒米は先程の戦闘を思い出す。

「そうだ。私、体が勝手に動いて……それに身体も変化して……」

「ええ、それも含めて今のあなたについて説明します。端的に言ってしまえば、貴方は頑丈な超能力者になりました」

「えっ、頑丈?超能力?」

「疑問に思うのは当然です。だから、見ていただいた方がはやいでしょう」

と影が浮かび上がり、リンゴをウサギ型に剝く。

「私と貴方では能力のタイプが違いますが、これが超能力です。先程の戦闘内容を思い出したのなら貴方も自分の能力についてわかると思いますが、どうですか?」

「はい、なんとなくだけど……」

「今はそれで充分です。さて、普段なら超能力の事を忘れて日常に帰る択と、超能力を悪用する者達を取り締まるために私たちの組織に所属して共に戦う択の二択を選ばせるのですが……貴方の存在が既に能力を悪用する連中にばれてしまっています。なので先に謝っておきます、ごめんなさい。貴方を誰かの日常を守る戦いに巻き込みます」

「……戦う力があるから、戦えなんて言われても出来るわけないじゃないですか。確かに日常に退屈はしてました、だけど致命傷を負っても治る怪物になりたかったわけじゃありません。でも……友達を傷つけたり、私の平穏を奪おうっていうなら、必ず防いでみせる(ほろぼす)

「意思の統一ができたということで、今日から一週間は能力の扱い、衝動のコントロールを練習するためにUGN支部(うち)の地下で過ごしてもらいます。退院手続きと保護者の方への連絡はこちらで済ませておくので、移動できるよう着替えておいてください」

 という感じで病室側は区切ります。その裏で奈名優さんや小金井さんが情報収集をしてくれていました。

 

 

「公開されている情報収集項目が

・「『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』について」 ≪情報:UGN≫9,11

・「白衣の女の正体」 ≪情報:UGN≫11

・「『偽・不折聖剣』はどこに」 ≪情報:噂話≫7

・「FHエージェント達の目的」 ≪情報:裏社会,FH≫7

の四つですわね」

「クリティカルを出さないと取れない上二つのどちらかは私が無形コンセでとりにいって、もう片方はマックイーンさんの支援で取ればよさそうですね」

「『偽・不折聖剣』はどこには黒米が≪情報:噂話≫を持っているからライスが振るよ」

「じゃあ、コネ使ってFHエージェント達の目的を抜きにいくから、あとは任せたぜマックイーンってことでダイスをドーン……成功したぜ」

「では、私も『|偽・不折聖剣』について判定します。無形コンセでクリティカル値を下げて……無駄に回りましたね。成功です」

「ライスも流れに乗っていくよ!あっ……」

「これは能力値を足しても足りてませんね」

「こんなのよくあることだ。ほら、オレオを牛乳につけて元気出せよ」

「うん。ゴールドシップさんありがとう」

「ライスさんの分まで私が取り返します。援護の風とウィンドブレスを使って判定しますわ。成功で情報抜けましたわ」

「……やっぱり情報を取れないのはライスだけなんだ。ライスだけ、情報取れなくてごめんなさい」

「気に病む必要はありませんわ、ライスさん。ダイス運が悪いことは誰にだってあることですし、判定に失敗しても次のシーンでは再判定できますから、その時に成功すればいいだけですわ」

「マックイーンさん……」

「それに情報判定は何がきても私とマンハッタンカフェさんで突破できるようしてあるので任せてくれてかまいませんわ」

「そうですね。ライスさんのPCがこのPTでのボス担当の単体アタッカーですから、そこは役割分担だと思ってください」

「うん」

「じゃっ判定も終わったし、GM情報開示してくれ、はーやーく。なっ」

「わかったよ。

 

・『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』について

 『偽典遺産計画(R.L.Project)』の過程で製造された個体の一つであり、FHエージェントとして半年前から活動していることが確認されている。

 シンドロームはブラックドッグ/エンジェルハィロゥのクロスブリードであり、遠距離では雷を用いた範囲殲滅攻撃を行い、近距離では雷光剣による単体攻撃を行う様子が映像として残っている。

 

・白衣の女の正体

『矛盾概念』に所属するFHエージェントでコードネームは『手を引く者(ブーギーボギー)』。戦闘データがなくシンドロームは不明。研究所や工場への出入りが確認されているので本人の戦闘員ではなく研究者としての能力が高いと思われる。

 

・FHエージェント達の目的

 『偽・不折聖剣』の戦闘や稼働効率のデータを取集する。またこの実施試験はFHに投資している企業などへのアピールも兼ねているようだが……。

 

「情報収集項目に『偽典遺産計画(R.L.Project)』≪情報:裏社会,FH≫9,12を追加する」

「『偽・不折聖剣』さんの戦い方はさっきのシーンで知ってたけど、『偽典遺産計画』ってどういう意味だろう?」

「計画とついてる時点でだいたいろくでもないですわよ」

「それに遺産(レガシー)とも書いてあっからな。遺産絡みだとFHと奪い合いになるか、遺産が暴走してるか、起動したら町とか世界が滅びるの三択だから、まあいずれにせよPCが大変な目にあうことは間違いねえな」

「えー!!」

「まあ、そのうちのどれに該当するかは調べればわかるので次の情報収集できるシーンを待ちましょうか。あと、目的の最後の書き方……不穏ですね」

「それも、この後のシーンでってことで。話をPC側に移すけど、みんなは何か情報収集方法でロールプレイをするかい?」

 

 

 小金井は馴染みの情報屋の口にニンジンを突っ込んで

「最近この町で近々起きそうな騒動に心当たりはあるか。あるなら吐けええ!」

 つって、上下にシェイクしながら情報屋の口にレモン汁を入れてニンジンジュースを作るぜ。そして、その味に感動した情報屋が話し出すって感じだな。

「もともとそこはダミー会社できな臭えなぁと思って調べたらよ、そこからとある研究所に金が流れてたんだ。だが、ここ最近その研究所への入金がぱたりと途絶えてよ。考えれんのは研究が打ち止めになったか

「研究がもう十分か、か。で、どっちぽいんだ?」

「そのとある研究所が物理的に潰れたんで前者だと思うんだが……。昨日からだ。企業のお偉いさんたちがこの都市に入ってきてる」

「つまり研究所は潰れたが研究者は生きていて、研究を続けるために企業から金を引き出したいと」

「ああ、それで研究対象だった何かを使ったデモンストレーションをやるんじゃねえかと睨んでる」

「証拠はあるのか」

「入ってきたお偉いさん達が共通の招待状を持ってる。そして、お偉いさん達はその研究のスポンサーだった連中だ」

「オーケー。いい仕事だ。受け取っとけ」

 モルフェウスの能力で作成した十分の一スケールのとあるロボットの模型を報酬で渡して去ってくぜ。

「そっちこそ、良い腕してるぜ。まったくよぉ」

 

 

 奈名優は病院からUGN附中市支部に戻っていた。

 支部内にある情報端末からUGNの情報バンクにアクセスし、漆原支部長から頼まれていた二人のFHエージェントについて調べるためだ。

 『偽・不折聖剣』は短い期間ではあるがかなり派手に動いているようで映像記録などが残っていた。そそれに加えて彼女が参加していた(させられていた?)と思しき『偽典遺産計画』なるFHのプロジェクトがあることが調査の結果わかった。

 白衣の女の方は『矛盾概念』というセルに所属していてFHエージェントとしての活動期間はかなり長いようだが、戦闘記録などは見当たらなかったのでレネゲイドウイルスを用いた研究畑の存在のようだ。実際、国外の兵器工場や国内の研究施設へ出入りしている様子が確認できた。

「とりあえずは、こんなところでしょう。あとは、この『偽典遺産計画』や附中市での潜伏先を探ってそこを叩く。ええ、やってやりますわ」

 

 

 と全員の行動が終わったところでシーンを終わりましょう。

 

 

 

 

 



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ダブルクロス10(情報収集項目)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
このシナリオの情報収集項目とその中身です。PLもPCも出てこないので斜め読みでかまいません。


「『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』について」 ≪情報:UGN≫9

 『偽典遺産計画(R.L.Project)』の過程で製造された個体の一つであり、FHエージェントとして半年前から活動していることが確認されている。

→『偽典遺産計画(R.L.Project)』の項目で情報収集が可能になる。

 

 

「『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』について」 ≪情報:UGN≫11

 シンドロームはブラックドッグ/エンジェルハィロゥのクロスブリードであり、遠距離では雷を用いた範囲殲滅攻撃を行い、近距離では雷光剣による単体攻撃を行う様子が映像として残っている。

 

 

「白衣の女の正体」 ≪情報:UGN≫11

 『矛盾概念』に所属するFHエージェントでコードネームは『手を引く者(ブーギーボギー)』。戦闘データがなくシンドロームは不明。研究所や工場への出入りが確認されているので本人の戦闘員ではなく研究者としての能力が高いと思われる。

→トリガーイベント発生(ミドル戦闘)

 

 

「『偽・不折聖剣』はどこに」 ≪情報:噂話≫7

 一人で附中市市内の観光地や商店街を歩きまわってるのが監視カメラや目撃情報からわかった。

→成功でトリガーイベント発生

 

 

「FHエージェント達の目的」 ≪情報:裏社会,FH≫7

 『偽・不折聖剣』の戦闘や稼働効率のデータを取集する。またこの実施試験はFHに投資している企業などへのアピールも兼ねているようだが……。

→成功でマスターシーン発生

 

 

「『偽典遺産計画(R.L.Project)』について」 ≪情報:裏社会,FH≫9

 レネゲイドウイルスを知る会社が文献にある遺産(レガシー)や、実際に使用された遺産を現代の技術で再現するという目的で共同出資しているプロジェクト。

 

 

「『偽典遺産計画(R.L.Project)』について」 ≪情報:裏社会,FH≫12

 『偽・不折聖剣』は遺産ではなく、『不折聖剣(デュランダル)』というFHエージェントと『■■■■』の細胞を混ぜて培養された試験管ベイビーであり、『不折聖剣』の能力を再現するために急速成長処理後に改造手術が施された存在である。そのため、企業は『偽・不折聖剣』の性能に対して不信感を持っている。

 

 

トリガーイベント及びマスターシーン終了後に追加される情報収集項目

「支援兵器をとめろ」 ≪情報:UGN,附中市≫10

 附中市の地下にある工場から出ている

→UGNの支援部隊が破壊してくれるため、クライマックスフェイズの戦力増強でトループが湧かなくなる。

 

「襲撃ポイントはどこ」 ≪情報:UGN,附中市≫9

 附中市にあるUGNを支援している株式会社○○

→クライマックスフェイズに突入できるようになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス11(メインフェイズ幕間話➀)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
マスターシーンに入るはずが、TRPG経験のない読者様もゴールデンウィークに挑戦してみてほしいなと思いながら書いていたらこんなことに……


「FHエージェント達の目的の情報収集判定に成功したのでここでマスターシーンに入るぞ」

「よっ、待ってたぜGMの吟遊タイム!」

「吟遊と言ってくれるな。そうならないように気を付けているんだから」

「吟遊って詩とか創って詠むことだよね?なんで今その話になるの?」

「今までのシーンには登場指定PCが居て、必ずPCの誰かが登場しなければなりませんでした」

「うん、そうだね。それに指定されていないマックイーンさんとゴールドシップさんのPCも出てたよね」

「ですが、マスターシーンにはPCが登場できないのでNPCだけで話が進んでいくんです」

「GMが一人で話をすることを吟遊って例えてるんだね」

「あとはPCの行動を制限したり、勝手な設定を増やしたりなんかも該当しますけど……そこらへんはPL次第というかGMの匙加減ですわね。

例えば今までのやり取りを例に出すならオープニングフェイズでマンハッタンカフェさんのPCである漆原(うるしばら)に『セト』と呼ばれるFHエージェントと交戦したことがあるという設定が加えられましたわ。

私としてはUGN支部長である漆原さんがFHと戦ったことが当然だと思いますし、その経験があるから『矛盾概念』というFHセルを知っていることに対する説得力を増す設定だと思いますわ」

「ですが、それに対して私が

漆原はUGN支部に勤めていた事務職から支部長になったので交戦経験はない新米支部長という設定なので、そんな経験はありませんよ。

とGMに対して言うこともできたわけです」

「えっ、え?それって……勝手に設定を増やしたGMが悪い?そういう設定があるならハンドアウトに書いておかなきゃならない?でも、キャラ紹介の時には言ってなかったし……そんな風に言っちゃうと雰囲気が悪くなっちゃうし……」

「頭を抱えてるようなのでここでヒントを。ライスシャワーさん、TRPGの目的って何ですか?」

「皆で楽しく遊ぶことだよね」

「そうです。だから、PLはシナリオを円滑に進められるように付けられた設定やダイス目による判定の結果には素直に従うべきです。これは逆もそうでGMは戦闘であったりシナリオ制作や選択を除いてPLが不快になるようなことはしてはいけないという話ですね」

「ええ、TRPGはGMとPL双方で創り上げるものですから、全員が楽しめるようにしましょうね。と言いたかったのですわ

その上で、ゴールドシップさん!ダブルクロスのシナリオにマスターシーンは零から二回はあるものなのですから吟遊などと茶化してはいけませんわ。貴女のことですから、きっと盛り上げるために言ったのでしょうけどトレーナーさんには逆効果ですわ。そんな風に上げようとしても謙遜したり、謝罪して逃げますわ。それでも持ち上げ続けると、場の空気を読めなくなってダダ滑りするんですから!」

「おい、マックイーン!?」

「だいたい、貴女もトレーナーさんがクリスマス前に参加していた合コンの内容を知っているでしょ。参加していた女性に担当している愛バについて教えてと頼まれて、飲み放題の時間が終了するまで話し続けていたんですよ。相手の女性も一緒に参加した男性の方々も知った情報は私たちのトレーニングだったり、レースの戦績についてばかりで、相手の情報一切入ってきてませんのよ」

「おい待て、なんでそれを知ってるんだ!?えっ、しかもゴールドシップも知ってるのか」

「そうだったな……。茶化して悪かったな。お前の調子で続けてくれ」

「いや、確かにそこも謝るポイントかもしれないけどさぁ、えっ?そこじゃなくてもっとヤバい謝るポイントあっただろ今」

「ごめんね、お兄さま。ライスも実は知ってるんだ」

「そのことは私も知ってますね……」

「なんだって?いや、どうやって?」

「ほら、トレーナーさんはこのチームのトレーナーさんですから、トレーナーさんが社会的信用失墜行為を行うと担当されている私達にも悪影響が出てしまいますから、そういうことを行いそうになったら止められるように監視チームを置いているんですわ。そして監視チームから情報を得ただけですわ」

「???」

「どうやら思考がショートしたようですね。一旦休憩にしますか」

 

 

 




重バ場ではなく、まじでただの監視です。


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ダブルクロス12(メインフェイズ 累計シーン数⑦)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
感想と評価を下さった読者様、ありがとうございます。
マスターシーンです。敵のヤバさであったり、欲望だったりを伝えてPLの決意を高める役割があるのでUGN精鋭部隊には壊滅してもらいましょう。NPC乗っ取りはやってくれて構わないと思ってますが、話は聞けええ!!


「TRPGで気をつけなければならない要素にPLとPCでは持っている情報が異なるというのがありますわ。例をあげると、PLは邪神の眷属を知っているけどPCは初めて遭う奇怪な生物みたいな状態ですわ」

「うん。マックイーンさん、それがどうしたの?」

「マスターシーンでも同様の事が起こりますわ」

「そっか!マスターシーンはPCがいないからPLしか、そこで起きたことをわからないんだね」

「ええ、だからロールプレイの際はそこのところも気を付けておくとPCの行動が安定しますわ」

「わかったよ。気を付けておくね」

 

 

メインフェイズ 累計シーン数7 マスターシーン シーン名 迷子達は斯く語りき

 

 彼女の存在を知ったのは研究試料を借りに行った時だった。彼女を作った研究者はそれを劣化品(レプリカ)扱いしていた。

 だから、その姿に私たちは……共に歩む迷子(まよいご)の姿を重ねてしまったのだ。

 

 

「『手を引く者(ブーギーボギー)』、やりたいことが見つかりましたか」

「君と歩み始めた時から変わらず、この胸の内は空虚なままだよ。オーヴァードだっていうのに衝動一つ湧きやしない。でも……あの家よりも『矛盾概念(ここ)』の方が居心地が良い気がするよ」

「そうですか。では、貴方の願いが出るのをゆっくり待つとしましょう。ああ、それと貴方が連れて来た娘の調子はどうですか」

「あの娘を造ったのは私じゃないし、勝手に研究所を破壊して拉致し(つれ)てきたのは『灰眼(クラウディー)』と『セト』だよ」

「そうでしたね。でも、連れ出すための計画や連れ出した後の事も考えていたでしょ」

「……先にスポンサーや関係者を潰してから奪うか買い取るかするつもりだったからあの二人(バカども)のせいで大幅に計画を変えなきゃならなかった……。でも、昨日のUGN精鋭部隊との戦闘のおかげで招待状を渡した連中がこの都市に集まってくれたようだから、あの娘の怪我が治り次第、邪魔な連中の排除を始める連絡を入れるよ」

「ぜひ、『灰眼』と『セト』に入れてあげてください。結構気合が入っているようですから」

「元々ぶっ壊してくれたのはそいつらだから言われなくても働かせるさ」

「そうしてあげてください」

「さ、話は終わったね、迎えを呼んで帰んな。面倒だが客が来るようでね、迎える準備をしなきゃならない」

「……わかりました。ここで失礼させていただきます。では、また会いましょう『手を引く者』」

「ああ、片付いたら会いに行くよ『幸福論(マスターセオリ―)』」

 

 

「跡継ぎの長男(おとうと)が産まれたから自由に生きろと捨てられたのに、子供に甘いんですから……。セルリーダーに対して、UGNがやってくるから他の部下呼んで逃げろだなんて、本当に過保護なんだから。まあ、言ったところでそんなことないと否定するのでしょうけど……」

その呟きは遠くから響く戦闘音にかき消された。というところでシーンを終えるぞ。

 

 

「漆原は『セト』と引き分けたか逃げ切られてしまったようですね。しかも、附中市でまた暴れるぞと……なめられたものですね。潰しましょう」

「ステイ、ステイですわ!マンハッタンカフェさん。PCとPLが混ざって、黒いオーラが漏れてますわ!」

「いきなり、マスターエージェントがいるぞって脅してきやがったな。大人げねえぞ」

「ゴールドシップさん、そのマスターエージェントって何?」

「単純に言うと、他の奴らよりも超強いFHエージェントのことだな。これは自称できないから周りから認められたマジモンでやばいやつって覚えとけばいいぜ」

「うん、わかったよ!」

「マスターエージェントは確かに危険ですがどうせミドル戦闘では出てこなさそうなのでおいておきますわ。それよりも次のシーンはミドル戦闘っぽいのでそっちに集中ですわ。このPC達での初戦闘、勝っていきますわよ!」

 

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス13(メインフェイズ 累計シーン数⑧)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ダブルクロス16、17、18をまとめました。
ミドル戦闘回です。バーサーカー思考の支援型とか防御型のキャラが好きです。



メインフェイズ 累計シーン数8 登場指定PC番号 全員 シーン名 戦う理由

 

UGN附中市支部、その地下にあるトレーニングルームにて――

 

「ああ、鬱陶しい!」

 血を纏った獣は自身を拘束しようとする影に苛立っていた。

 

 あの細い体に一撃ぶち込めば狩れるのに!

 今までの戦闘からあの影にはダメージを吸い取る効果があること、あの影に捕まると抜けることができないことがわかっているせいで、獣は積極的に攻めることができないでいた。そして、その攻め切れないことに対抗種(カウンターレネゲイド)としての本能が奴らを滅ぼすから俺にやらせろと激しく主張してくる。

 ああ、うざい。

 だが、何より獣を怒らせるのは黒米(こいつ)だ。黒米(こいつ)が一番邪魔だ。

 戦う理由も、命を奪う覚悟も、あの日の記憶も、己の欲望(ねがい)も、何もかも持ってないくせに我達を支配(コントロール)しようとしてきやがる。

 ふざけるな!どこまでなめてやがる!

「があああああああ!!!!」

 一際大きな咆哮をあげ、影を越えて飛び掛かる。

「また、のまれてしまいましたか……。では、今回はここまでです」

 影が帯状に変化し、全身が拘束される。

「ちくしょう……」

 そうして意識が暗転した。

 

 

「ふぁ……そうか、また私やっちゃたんだ」

「ええ、がっつり乗っ取られてしまっていましたね」

「すいません、漆原(うるしばら)さん」

「反省は必要ですが、謝る必要はありません。覚醒したてのオーヴァードや戦闘に特化したオーヴァードはレネゲイドウイルスの衝動にのまれやすいですし、それをコントロールするための訓練ですから」

「……はい。でも、私が最初から漆原さんみたいに戦えていたら……」

「自衛の為とは言え、能力を自覚したばかりの貴女を戦わせようとしている私が言うのは最悪ですが……

戦う能力を得た瞬間に戦功をあげられるのは、英雄か化物だけですよ」

 それを聞いて黒米(くろめ)は下げていた頭を漆原の方に向ける

「貴女はこの平和な国で育ってきたんです。そんな貴女がいきなり戦う力を持っていきなり異世界に放り出されたからって、じゃあ戦って敵を倒してやるなんてなりませんよ」

自分の胸に手を当てて少し考える。現状がそうだ。確かに黒米(いわい)にそんな気持ちはない。

「戦う力を得たことと、挑むことは別物です。だから、貴女に戦う理由ができない限り、貴女が居た日常に戻れるように私はUGN附中市支部長として協力させてもらいますよ」

 時間ですし、シャワーを浴びて朝食にしましょうと声をかけて漆原は地上への階段に向かいます。

 黒米はその背中に小さく礼をして、後についてくよ。

 

 

 朝食の席には一晩中市内の防犯カメラの映像を見て『手を引く者(ブーギーボギー)』と『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』を探していたため目の下に隈ができた奈名優(ななしろ)と情報を手土産にモーニングセットを食べにきた小金井(こがねい)がいた。

「漆原支部長、こちら頼まれていた情報ですわ。それと『手を引く者』の潜伏先を見つけましたわ」

「ありがとうございます。朝食を食べたら、昼まで仮眠を取ってください。潜伏先に『手を引く者』だけしかいないのを見計らって仕掛けます」

「了解ですわ」

 と返事をしながら、視線を黒米さんの方に向けます。

「その襲撃には彼女も連れて行きますの?」

「ええ、彼女の存在が知られている以上、一人の方が危険が多いですから」

「暴走して私たちを攻撃する可能性は?」

「血を出しすぎたり、獣化する部分が多いとレネゲイドウイルスにのまれる傾向にありますが、本人次第ですね。暴走しても私一人で抑え込むので『手を引く者』への対応は小金井さんと二人でやってもらうことになりますが……戦闘能力が低い相手なら十分だと思います」

「わかりましたわ」

 と返事をしたら、席に戻ってさっさと朝食をお腹に入れますわ。

「話は終わったな。じゃあ、俺からはコレ。附中市にやって来てるFH(やつら)へのお客さんのリストと招待状の中身だ」

「どんな目的でも附中市(ここ)で暴れさせる気はありませんが、これで次の行動も読めてきますね。本部にも回して、客の方は捕えましょう」

「役に立ったようで何よりだ。ってことでコーヒーサービスしてくんない」

「はぁ~、わかりました。襲撃には小金井さんも参加してもらうので準備をしておいて下さい」

「あいよー」

「奈名優さんに言ったように黒米さんにも参加してもらいます」

「は、はい!」

 

 

夕方――

 

 UGN附中市支部の面々は『手を引く者(ブーギーボギー)』が潜伏する建物が見える位置に来ていた。

「おい、『拒幻壁(サイレント・スクリーム)!準備はしたけどマジでやんのか」

「UGN本部に調べてもらいましたが、あの家屋を購入した人間は書類の中にしか存在しないようです。周辺の監視カメラから得た映像にも『手を引く者』を含めたFHエージェントの出入りしかないようです。

なので、作戦としては居住スペースとなっている二階部分に『無形創作果てなき旅路(ビッグドリーム)』の作成した催涙弾を打ち込み制圧。対象が屋外に出てこなければ私の重力操作を使用して私と『新入り』が二階から突入し、『無形創作果てなき旅路』と『禊祓う追風(サデンスタブ)』が一階から突入し挟撃します。出てきた場合は上から逃走経路を潰して仕留めます」

「「了解」」

「了解」

 創っておいた砲に弾を込めて、砲撃姿勢を取る。

「じゃあ、始めるぜ!」

 小金井はワーディングを展開し、建物の二階部分に催涙弾を打ち込みまくるぜ。

「出てきませんか……突入します!」

 漆原は黒米を抱えて砲撃で割れた窓から二階に入ります。

「じゃ、こっちも行くぜ」

 鍵縄を創り出して、屋上の縁に引っ掛けてスルスルと降りていく。

奈名優は小金井さんが創った鍵縄を途中まで使って、飛び降りれる高さになったら壁を蹴って風で衝撃を減らしつつ着地しますわ。

 

 

「まったく君達は……正義の味方を気取ってる癖に荒っぽいねえ。だから、お返しだ」

 正面から液体で出来た弾がとんでくる。それをすかさず影で防ぐ。

「言っただろ、お返しだって。君達が打ち込んだのは一発だけじゃないだろ」

「っ!?」

 横からアームが迫ってくる。それに対して影を広げて防ぎますが、受けきれなかったようにみせてアームから距離をとります。

「それも防ぐのかい。まったく面倒なことこの上ないね。まあ、そんな君達ように用意したんだ精々運動していってくれたまえ」

 周囲には先程アームを伸ばしてきたロボット以外にも多くのロボットが配置されており、黒米達と『手を引く者』の間を阻んでいる。そして、『手を引く者』は一階に下りて行こうとしているようだ。

 

「おっと、せっかく来たんだ。紅茶の一つでも出してくれないか。ないんなら、あんたの身柄でもいいぜ」

階段側から奈名優と小金井が出て行って逃走経路を塞ぎますわ。

それに対して『手を引く者』は大きなため息をつきボタンを押す。

「本当は追っ手を邪魔するのに使うつもりだったんだけど、そっちが数の暴力を使ってくるなら仕方ない」

すると奈名優達の後ろから何かが駆動する音が聞こえてくる。

「にゃろー、勝手に地下を広げてロボット入れる倉庫にしてやがったな!」

 

 

ここからミドル戦闘を開始します。

戦闘終了条件

・二ラウンドの経過

・『手を引く者』に五〇ダメージを与える

のいずれかが満たされた時

 

エンゲージは階段側から

トループ 五体

小金井と奈名優

『手を引く者』とトループ 五体

黒米と漆原

となっておりそれぞれ二メートルずつ離れているよ。

 

戦闘開始

セットアッププロセス 何か行動はあるかな

「使いませんわ」

 

イニシアチブプロセス こっちは使わないけど行動はあるかな

「ないです」

 

メインプロセス

行動値順で『手を引く者』→奈名優→漆原→黒米→小金井→トループ

 

『手を引く者』の行動 戦力増員でトループを五体同エンゲージに追加する

割れた窓から五機のドローンが追加で入ってくる。

 

奈名優の行動

マイナーはなしで

メイン

コンボ「禍祓い」から要の陣形を抜いて小金井さんを対象に発動しますわ

 

「周りの雑魚を片付けて、さっさと終わらせますわよ」

 

漆原の行動

侵蝕率とカバーリングも考えて、待機します。

「『新入り』は『無形創作果てなき旅路』の行動があるまで待機してください」

 

黒米の行動

「わかりました」

けど、叩きに行かなくて良かったんですか?

今エンゲージに突入してもトループにカバーリングされて『手を引く者』にダメージを与えれないので。

そこで、範囲攻撃持ちの小金井が周りを消し飛ばしてダメージを与えられるようにするって寸法よ。

 

小金井の行動

マイナーで

コンボ「何ができるかな」

メインで

コンボ「範囲ぶっぱ砲」を『手を引く者』がいるエンゲージに発動

 

「相手が沢山いるときにノイマンの連中はわざわざビリヤード射撃とかやるけどよ、そんな時に思うんだよ。弾の方をでかくしてやればいいんじゃねえかって」

放たれた弾と呼ぶには大きすぎる金属の塊は『手を引く者』の周りにいるロボットを粉々に破壊した。

「まあ、これやると武器の方がぶっ壊れるのが難点だけどな」

 

トループの行動

マイナーで奈名優達のエンゲージに入る

メインで

コンボ「近接兵装攻撃」

奈名優に三体

小金井に二体

向かう

 

ドッジですわ……全部失敗したのでダメージ下さい。二回死ぬのでリザレクションで復活しますわ。

回避してやるよ!……うお、一回よけた。ダメージ一回分くれ。おい、なんでさっきと違ってそんな出目高いんだよ!リザレクション使って蘇るか。

では奈名優さんにいくダメージを雲散霧消で軽減します。

そしたら、リザレクション一回で済みますわね。

 

 

 二機のロボットによる打撃攻撃が奈名優の華奢な体をあっさりと破壊する。その傷をオーヴァードの再生能力で治そうとしているところにもう一機による追撃が入りそうになるが、漆原がとばした影がそれを防いだ。

 小金井の方は一機目の攻撃をかわす。だが、そこに二機目の攻撃が直撃し、身体に穴が開く。

「ごぽっ、ロボットの癖に囮を使った攻撃とかやるじゃねえか。だが、俺の仕事はもう終わってんだ。道は開いたんだ!気張れよ『新入り』!ぶち抜いてこい!」

 

待機した漆原の行動

マイナーなし

メインで

コンボ「影打ち」を『手を引く者』に

 

待機した黒米の行動

マイナーで

コンボ「ヴァンパイアモード」

メインで

コンボ「鮮血の青薔薇」にハンティングスタイルを足して『手を引く者』に

 

 周りのドローンがやられ、新たに兵器を呼ぼうとしていた『手を引く者』を影の槍が貫く。その痛みに気を取られた隙を獣と対抗種(カウンターレネゲイド)に引っ張られた黒米は見逃さなかった。

 自身の体を獣によせて、右手を自身の血で包む。

「うおおおお!ぶっ倒れろおおおおお!」

渾身の一撃が『手を引く者』にヒットし、黒米の中の獣と対抗種は歓喜した。

 

 

『手を引く者』へのダメージが五〇ダメージを超えたので戦闘終了条件を満たしました。戦闘を終了します。

 

 

 黒米の一撃によって『手を引く者(ブーギーボギー)』がその背を床につける。

「よくやった『新入り』!」

「あとはこのロボットたちを破壊して終わりですわ」

 奈名優と小金井は主が倒れたにもかかわらず自分達に襲い掛かってくるロボットへ向き直る。

「いくぞ、オラァ」

「ちょっと、なぜ素手でいくんですの!?」

 

「これで二度目ですが、体調は大丈夫ですか?」

「ふぅ、ふぅ、ふぅ、な、なんとか自分を保ててます」

――嘘だ。

獣が獲物の息の根を止めてないぞと牙を鳴らしてる。

――嘘だ。

対抗種(カウンターレネゲイド)がまだ滅ぼすべき対象が残っているぞと心臓を高鳴らせる。

――嘘だ。

今にもそこに転がった『手を引く者』に飛び掛かって、その生命活動を終わらせてやるという衝動が収まらない。

「……そこで大人しくしておいてください」

漆原は倒れた『手を引く者』にとどめをさしにいこうとした

瞬間――

爆発音と共に建物が揺れる。

それにあわせて、壊れたロボットの残骸も爆発を始める。

「もったいないからやりたくなかったけど仕方ない。さあ、どっちがはやく地上に出れるか勝負といこうか」

天井が崩れ落ちてくる。それと共に残っていたロボットが組み付き自爆しようとしてくる。

 

「伏せてください!」

と黒米さん達に声をかけた後、崩壊を止めれないかと影を広げます。それで、無理そうだと感じたら黒米さんと奈名優さんを瓦礫から守れるように影を動かします。

 

「くっ……」

オルクスの能力を使って自分の周囲に安全圏を確保しますわ。その周りをロボットが囲んできますが、落ちてきた瓦礫に押しつぶされてしまいますわ。奈名優は漆原支部長の影に頭上を守られて、ちょうど瓦礫の間に出来た空間に入りこんだ感じになりますわ。

 

「んなっ!」

小金井は近づいてきたロボットを蹴り飛ばす。そしたら、ロボットと小金井の間にがれきが落ちてきて移動できなくなったところで、お互いの真上に瓦礫が落ちてくる。で、ぺちゃんこだな。

 

漆原さんの言葉に従って咄嗟に伏せるよ。それに対して獣と対抗種がそれぞれ我・俺にやらせておけばあんな奴に抵抗などさせなかった。やはり、お前は何もかも足りなすぎると責められながら、影に覆われて守られるよ。

 

 

「創るのは得意なんだが分解(ばら)すのは苦手なんだよ」

と小金井はモルフェウスの能力を使用して自分の上に落ちてきた瓦礫を砂に変えて地上に出てくる。

「おーい、全員無事かぁ?」

「こっち、こっちですわ!真上のやつだけどかしてくれれば十分ですわ」

「オーケー、砂がかかるが我慢しろよ」

「既に血だらけで汚れだらけですので今さらですわ」

 

影が瓦礫を吹き飛ばし中にいた黒米さんを引きずり出します。そして、自分の元に影が戻ってきたら、影を纏って周りの瓦礫を壊して出ます。

「皆さん、無事ですか!?」

「こっちは『禊祓う追風(サデンスタブ)』を引っ張りだそうとしてるとこだ」

「怪我はないので大丈夫ですわ!」

「支部長さんが守ってくれたので大丈夫でした……」

「『手を引く者』が出てきた形跡は?」

「たぶん出てきたのは俺が一番だ。で、その後はお前らしか出てきてない。さっき『新入り』に思いっきりやられてたから潰れてんじゃねえか」

「そう楽観視はできません。『無形創作果てなき旅路(ビッグドリーム)』、『禊祓う追風』を救出次第、瓦礫の除去をお願いします。抵抗があった場合、私がやります」

「あいあいさー」

 

 

「やられましたね」

「ああ、出てくるもんだと思ってたがまさか床を溶かして地下に入ってるとは……」

 瓦礫をどけてみるとそこに人が縦に落ちていけるくらいの穴が開いていた。

「あのロボットは地下の倉庫から出て来たんですから、地下からの逃走ルートはありますわよね」

「どうする、こっから追ってみるか?」

 その質問に漆原は首を横に振る。

「あのロボットも追撃を阻止するようだと言っていましたし、おそらく地下は罠だらけでしょう。ここで追って『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』に迎え撃たれて今度こそ 日の光を浴びれなくなるよりは、客と接触するタイミングか、事を起こす直前を狙った方がいいでしょう」

「では、戦闘跡の偽装工作などを」

「そうですね。ただ、あのロボットがまだ地下や他のセーフハウスにあると厄介ですから、そのあたりの情報がこの瓦礫の山から探しておいてほしいと伝えておいてください」

「了解」

 他の人たちが話してる間、黒米は一言もしゃべらないで壁に背を預けて三角座りしてるよ。

 

 

 これでこのシーンは終わるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ダブルクロス14(メインフェイズ 累計シーン数⑨)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ダブルクロス19、20をまとめました。
この時にはもう没集の設定ができていました。


「ミドル戦闘が終了して再度、情報収集ができるシーンに入るから新たに増えた調査項目も含めて並べるぞ

・「『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』はどこに」 ≪情報:噂話≫7

・「『偽典遺産計画(R.L.Project)』について」 ≪情報:裏社会,FH≫9,12

・「支援兵器をとめろ」 ≪情報:UGN,附中市≫10

の三つが調査可能になっているぞ」

「その三つなら私とマンハッタンカフェさんで下二つを担当しましょうか」

「残り一つは……ライス、もう一回挑戦するか?」

「うん。今度こそ成功させてみせるよ!」

「でしたら、ライスシャワーさんから判定をしていきましょうか」

コロコロ

「やった!成功だよ」

「よかったですわ。私も、『偽典遺産計画』について判定いきますわ。自分にいつもの支援をかけて……ちゃんと回ってくれたので12の方も抜きましたわ」

「では、私が残った支援兵器をとめろの判定をします……はい、無事成功です」

「全員成功したなら、あたしは応急手当セット狙いの調達判定やっとくか。ほ~れっと……財産点を消費して成功にするぜ」

「じゃあ、情報を公開するぞ

 

「『偽・不折聖剣』はどこに」 ≪情報:噂話≫7

 一人で附中市市内の観光地や商店街を歩きまわってるのが監視カメラや目撃情報からわかった。

 

「『偽典遺産計画(R.L.Project)』について」 ≪情報:裏社会,FH≫9

 レネゲイドウイルスを知る会社が文献にある遺産(レガシー)や、実際に使用された遺産を現代の技術で再現するという目的で共同出資しているプロジェクト。

 

 

「『偽典遺産計画(R.L.Project)』について」 ≪情報:裏社会,FH≫12

 『偽・不折聖剣』は遺産ではなく、『不折聖剣(デュランダル)』というFHエージェントと『■■■■』の細胞を混ぜて培養された試験管ベイビーであり、『不折聖剣』の能力を再現するために急速成長処理後に改造手術が施された存在である。そのため、企業は『偽・不折聖剣』の性能に対して不信感を持っている。

 

「支援兵器をとめろ」 ≪情報:UGN,附中市≫10

 附中市の地下にある工場から出ている

→UGNの支援部隊が破壊してくれるため、クライマックスフェイズの戦力増強でトループが湧かなくなる。

 

という感じだな」

「範囲攻撃持ちがゴールドシップさんしかいないのでトループが湧かなくなるのは助かりますね」

「『偽典遺産計画』の方は俺自身がデュランダルになることだとか言い出すかと思ったら、外部から魔改造とかトレーナーおめえ……」

「おい待て、GMへの精神攻撃は犯罪だぞ」

「『偽・不折聖剣』さんって活動が半年前からだから、もしかして……生後一歳未満ってこと?」

「どが付くタイプの畜生ですわね」

「あの、GMへの精神攻撃は犯罪だって言ったよなぁ……」

「赤ちゃんを急速成長させて兵器にするなんて……。FH(トレーナー)はやっぱり許せませんね」

「はーい、これ以上話してても責められる気しかしないからここまでな。それで、どんな感じで情報収集や調達したんだ」

「判定はしてるので全員次のシーンで登場して、漆原(うるしばら)奈名優(ななしろ)ペアと黒米(くろめ)小金井(こがねい)ペアで行動する感じですね」

 

メインフェイズ 累計シーン数9 登場指定PC番号 2 シーン名 追撃準備

 

 事後処理を支援部隊に引継ぎ、小金井の運転で奈名優達はUGN附中市支部に戻ってきていた。

 

 小金井さんは運転で、漆原さんが資料や引継ぎ書類に目を通していて、奈名優さんはダメージと寝不足もあって寝てるから、無言の車中で黒米は遠くを見つめ考え事をしてるよ。

 何でか移動中に軽い地獄が出来てますわね、これ。

 では、支部の駐車場に車が停止してから気付いた漆原が、

「黒米さん、小金井さんをつけるのでお遣いを頼まれてくれませんか」

「は、はい。何ですか」

 急に呼びかけられて慌てて返事をするよ。

「夕飯を作ろうと思うのですが、店の食材を使うと原価で支払ってもらわないと余計な税金がかかってしまうので……。一万円渡すので食べたい料理の材料を買ってきてもらえますか」

 財布から一万円札を取り出して黒米さんに渡します。あと、車の中のマイバックも一緒に。

 黒米はそれを受け取って、わかりましたと返事をするね。

 そして、小金井さんの方に

「先ほどの戦闘で気が滅入ってるようですから、散歩でもしてきてリフレッシュさせてあげて下さい。あと、護衛をお願いします」

「タダ飯食わせてもらうんだ。それぐらい言われなくてもやってやるっての」

 手をヒラヒラさせた後、黒米ちゃん行こうかと声をかけて商店街の方に促すぜ。

 二人が出かけてから奈名優がようやく目を覚まして起き上がり、漆原支部長について行ってUGN附中市支部に入りますわ。

 

 

UGN附中市支部――

 

「さっきの戦闘で疲れていると思いますが、残骸の中から出てきた情報をまとめるのを手伝って下さい」

「了解ですわ。あと、車の中で睡眠を取ったので疲労の方は問題ありませんわ」

「わかりました。頼りにしてます」

 という感じでお遣いに出した二人が帰ってくるまで事後処理班から送られてくる情報を整理しますね。

 その中に、情報収集項目にあった『偽典遺産計画(R.L.Project)』と『手を引く者(ブーギーボギー)』が使用するロボットの保管場所などの情報が出てきた感じですわ。

「こちらの支援兵器は動かされてしまう前に破壊してしまいましょうか」

漆原(うるしばら)支部長、『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』の追加情報というか製造された経緯がありました……けど、これは……」

「どうしましたか、奈名優(ななしろ)さん?」

「いえ、その……私からは説明しにくいので見てもらっていいですか」

 奈名優は『偽典遺産計画』について書かれた資料を漆原支部長に渡しますわ。

 それを見て漆原は眉をひそめます。その上で、

「本来彼女のような存在をUGNは保護すべきなんでしょう……。ですが、今はこの町の平和を脅かす存在です」

「……」

「そんな相手に私は情けをかけるつもりはありません」

 漆原の言葉は人々を守る者として当然の言葉であった。

「そうですね……そうですよね……」

「……もし、彼女が、衝動のままに暴れるジャームではなく、自身の在り方に迷うオーヴァードだというのなら。居場所の一つくらいは作ってあげれるようかけあってもいいかもしれませんね」

「漆原支部長!ええ、私もそれがいいと思いますわ!」

「(このあたりの感性はまだ年相応ですね。だからこそ、命の価値が軽くなってしまう戦場に長く居続けてほしくはないのですが……そう言って聞いてくれる子ではありませんよね)」

 

 

商店街――

 

 小金井と黒米は商店街の通りを歩いていた。

「……」

「……」

「嬢ちゃん、何食べる?和食か、洋食か、それとも中華か?フレンチやメキシコ料理も悪くねえな」

「……はっ、ごめんなさい。考え事してて話を聞いてませんでした」

「その感じだと夕飯について悩んでるわけじゃなさそうだな。どれ、話してみ。そういう悩みはあんま関りのない人の方が話しやすいだろ」

「さっき失敗しちゃったから、どうすればよかったのかなとか。この件が片付いたら日常に戻れるって言われたけど本当に戻れるのかなとか。もし、戻れなかったら私も戦い続けるしかないのかなとか。そんな悩みがずっと……」

「そうだなぁ。とりあえず、夕飯のメニューから決めようぜ」

「えっ!?」

「とりあえず、嬢ちゃんに悩みの種がいっぱいあることはわかった。なら、やることは単純だ。一歩ずつ、一個ずつ、解決できるやつから終わらせるしかないだろ?って考えたら、一番解決しやすいのはコレだ」

「う、うん」

「それに頭のいい嬢ちゃんが車ん中からずっとそれで悩んでんだろ?じゃあ、そう直ぐ答えがでるものじゃあねえってこった。だったら、腹一杯になって風呂入って十分寝て、余裕ができた時に少し考える位の方が負担にならなくてちょうどいいだろ」

「そ、そうかな~?」

「そうだ。そうだ。あと、参考になるかはわからんが俺は自由と金のためにUGNに協力してる」

「え~!?」

「まっ、良く学び、良く悩め若人よ。それも青春だ。ってことで、夕飯どうする。俺は腹が減ったからがっつりいきたい」

「それなら、焼き肉とか?」

「いいなーそれ。よし、じゃあ俺が肉を選んでくるから嬢ちゃんは野菜を選んで来い。野菜がないとひなたんが怒るからな」

「ひなたん?」

「漆原日影(ひなた)だから”ひなたん”だよ」

「なるほど」

「よし、それじゃあ二十分後入口で合流だ。なんかあったら電話しろよ」

 という感じで小金井は肉と応急手当セットを買いに行くぜ。

 じゃあ、黒米は小金井さんの勢いにおされてとりあえず野菜を買いに八百屋に行くよ。

 

 

 では、八百屋へ向かう途中で黒米はあの時の無表情な少女(レプリカ)であり、FHエージェントの『偽・不折聖剣』の姿を見かける。

 追いかけるよ!

 しかし、入り組んだ路地とそれなりに多い人通りのせいで見失ってしまう。

「あれ、どこ行ったんだろう?」

 黒米は周りをキョロキョロ見回すよ。

 そんな君に声がかけられる。

「クロじゃねえか。事故に遭ったって聞いたけどこんなところで何やってんだ?」

 声をかけてきたのは同じクラスの冬堂(とうどう)だ。

「こんばんは、冬堂君。今、人を探してて、こう無表情な私より背の高い女の子見なかった?」

「それなら、俺がさっきすれ違ったからあっちの道だけど……。なんでクロが人探しなんかやってんだ?」

 探している人の情報を聞いて、冬堂の表情が険しくなった気がした。

「っ……。その人が事故に遭った私と白城(しらぎ)ちゃんを病院まで連れて行ってくれた人らしいからお礼がしたくて」

 とっさに噓をつく。

「そうか、そりゃお礼をしなきゃならないよな。悪い、邪魔したな。先行っていいぜ」

 その嘘を信じてくれたのか、穏やかな雰囲気になり快活な声で返してくれた。

「うん。教えてくれてありがとう!じゃあね」

 レプリカを追うためかあるいは嘘をついてしまった罪悪感か、黒米は足早に去っていくよ。

「ああ、また学校でな」

 冬堂は黒米の背に手を振った。

 

 

という風に『偽・不折聖剣』の居場所について情報が手に入ったところでこのシーンを終了しよう。

 

 

 

 

 



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ダブルクロス15(メインフェイズ 累計シーン数⑩)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
トレーナーとマックイーンの予想通り覚悟決まったライスでクライマックス戦闘に望めそうになりましたね。長い道のりでした。
そろそろこのシナリオが終わりそうなので次回システムのアンケートを付けて置くので、読者様はよければ押してって下さい。


「『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』はどこにの情報を獲得したのでトリガーイベントが発生します」

 

メインフェイズ 累計シーン数10 登場指定PC番号 1 シーン名 二人

 

 冬堂(とうどう)に教えられた道を黒米(くろめ)は駆けた。その先に、目的の人物であるレプリカがいた。

「はぁ、はぁ。レプリカさん!」

その声に反応してレプリカが振り向く。

「はい、当機に何の御用でしょうか。黒米さん」

 あれ、どうしよう?見つけた勢いで追いかけて来ちゃったけど、本当にどうしよう……。

 

捕まえる?

――無理だ。私は皆みたいに衝動をコントロール出来ない。抵抗されて戦ってる間に加減が効かなくなる。

 

連絡を入れる?

――もう遅い。自分から存在を明かしたうえに、返事をされてる。

 

逃げる?

――意味がない。そもそも追ってきたのは私だ。確かに考えなしだったけどこの選択をするのは頭が悪すぎる。

 

だったら――

 

「一緒に野菜を選ばない?」

 

選ぶべきは対話、時間の引き延ばし。これで、小金井(こがねい)さんに見つけてもらうか、合流できれば……何とかなると思う。

 

「???」

やっぱり疑問に思ってるよー。でも、こんな事しか思いつかないから。

「今日の夕飯を焼き肉にするから、野菜を買いにきてるんだ!よければ、レプリカさんも一緒に行かないかな~って……」

「疑問ですが、焼き肉とは肉を焼く食べ物ではないのですか?それなのに、なぜ野菜を……?いえ、わかりました!新鮮な肉を得るために今から育てるのですね!」

「えっ。いや、違うけど……」

「違うのですか!?」

「うん。違うよ」

「……よろしければ、焼き肉をするのに野菜を買う理由を教えていただいてよろしいですか」

「あっ、うん。……肉を美味しく食べ続けるためかな。ほら、肉だけだと脂っこくて途中で辛くなるけど、レタスで巻いたりとか途中で焼き野菜を挟めば口がリセットされるからさ、また脂が欲しくなるみたいな感じかな」

「なるほど。解答ありがとうございます。まだ、知りたいことが黒米さんに同行させていただきます」

「よろしくね」

えっ、噓でしょ。えっ、え?

 

「それで何処で野菜を購入するんですか?あと、何を購入するんですか?」

「えっと、向こうにあった八百屋さんで、レタスとタマネギとエリンギとピーマンとモヤシとカボチャとナスがあればいいかな」

「なるほど、二百メートル先の八百屋ですね。それとキャベツは購入しなくていいのですか」

「キャベツ……そうだね、買っておこうか。キャベツ好きなの?」

「好き嫌いはよくわかりませんが、今の造物主(マスター)のところに来てからは『セト』さんによくムシャムシャさせられます。黒米さんに会う前に『セト』さんからお弁当を貰っていました。そのお弁当の中にも千切りキャベツが入っていました」

「そうなんだぁ。そういえば、今の造物主って言ってたけどどういうこと?」

「当機は一九〇日前に製造され一八五日前から四〇日前まで元造物主の元でFHエージェントとして性能調査のために護衛任務やジャーム狩りを行っていました。三九日前に『セト』さんと『灰眼(クラウディー)』さんが研究所を破壊し、今の造物主が当機を引き取りました」

「今の造物主が『手を引く者(ブーギーボギー)』だよね」

「肯定。今の造物主の元に来てからこのように見聞を広める活動を行うように言われて実行しています」

「……今の造物主の元に来てから?」

「はい。以前は劣化品でしたので、改造手術や生命維持調整で研究所外への自由な移動は許可されていませんでしたから」

今まで平凡な女子高生だった黒米にその話はどこか遠い世界の話に聞こえる。だが――この話は自分の生きる世界の話なのだと目の前の存在に突き付けられる。

その事を平然と語れてしまうレプリカに対して黒米は……同情か、悲しみか、怒りか、言葉で表せない負の感情が湧き上がって言葉に詰まってしまうよ。

「黒米さん?どうかしましたか?」

「うんう、何でもないよ。さっ、ついたし選んじゃおう!」

「お任せ下さい」

 

 会計を済ませ八百屋の外に出て、歩き始める。

「先ほどの店員が当機達を可愛い女の子達と評していました」

「うん、そうだね。そのおかげでイチゴをおまけしてもらえたよね」

「黒米さん、当機には考え続けている問題があります。この問題に対する答えを教えてもらえませんか?」

「答えられるかはわからないけど、聞かせてもらっていいかな」

何を言ってるんだ私は。自分も今悩んでるのに、他人の悩みを聞こうなんて……。自分の問いに解を出せない人間が聞いて何を返すつもりなんだ。

「当機は兵器として製造されました。製造目的を果たすために改造手術や戦闘訓練を行っていました。ですが、造物主の元に来て当機は兵器ではなく、人間として扱われるようになりました。今もそうです。人間として学ぶためにこうして町を出歩き、人間として扱われます」

「うん」

「当機は不要なのでしょうか?」

「えっ?」

「確かに当機は研究所で想定よりも下回った性能故劣化品と言われていました。性能を向上させるための訓練や改造手術を行っても想定に届く能力の向上は見られませんでした。それでも当機は兵器として製造されました。当機が兵器ではなく、人間として扱われ続けるのであれば、当機が製造された意味がありません」

少女に見える存在は製造と調整によって自身を兵器として定義した。

だが、『手を引く者』達は彼女を自分達と同じ人間であると定義した。

故に兵器である自分は不要だと。そう結論を出した、らしい。

 

不要じゃない。人間として貴女が必要とされている。というのは簡単だ。でも、違う。この悩みの本質はそこじゃない。

「私ね、レプリカさんと戦った時に自分が初めてオーヴァードだって気付いたんだ」

「戦うのがお上手だったので歴戦のオーヴァードだと思っていました」

「ははっ、ありがとう。って言っていいかわかんないや。だって、それってもう私は今まで生きてきた普通の人じゃないってことでしょ」

「……!」

「まず、疑問に答えるならレプリカさんが不要に思われてるわけないよ。だって『手を引く者』や『セト』の話をするレプリカさん、楽しそうだったもん。そんな気持ちにしてくれる人達がレプリカさんをいらないなんて思うわけないよ」

「当機も……当機も本当はそう思います」

「だからレプリカさんが悩んでるのは私と同じ事だと思う」

「それは……それは、なんですか」

「変化を、新しい生き方を受け入れていいのか。受け入れたとして、どうやって生きればいいのか。当たってると思うんだけど、どうかな?」

「……そう、そうですね。当機は当機が兵器ではなく人間として生きていいと言われたことに戸惑いを感じたのです」

人間になってしまえば唯一無二の目的も失われ、目指すべき場所を見失ってしまうから……それが怖かったのだ。

 

「私も、一緒だから……。そうだね、一緒に探してみようか」

新しい世界を知り、只人にも、兵器にも、戻れぬ二人だから

「白城ちゃんを探したことや、さっきの野菜を買いに行った事みたいにさ。二人で一緒に、新しい自分達の生きる理由?目的?意味?を」

「ありがとうございます。黒米さん。いえ、『セト』さんが親しい間柄の相手はあだ名や名前で呼ぶと言っていましたね……ですからクロでどうでしょう!」

「ごめん、それ同級生の男子が言ってるから別のやつでいい?」

「では……祝ちゃんで。ありがとうございます、祝ちゃん」

「お礼を言うのは私もだよ。ありがとうレプリカちゃん」

 

 

 終着、遠くから大量の肉が入った袋を両手に小金井が近づいてくる。

「今日はここまでのようです。また、会いましょう祝ちゃん」

「じゃあね」

 

 

と分かれたところでシーンを終了します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いくつかのシステムは製作者様に使用許諾を取るので開始が遅れる可能性があります。


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ダブルクロス16(メインフェイズ 累計シーン数⑪)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
アンケートへの回答ありがとうございます。オススメがあるに入れてくれた方は感想に書いてくれると作者のモチベーションとルールブック購入費用が上がります。
これでメインフェイズ終了です。次回は忘れてたロイスの取得状況の整理回という幕間話になる予定です。


「トリガーイベントが終了したので、最後の情報収集項目が追加されます。

・「襲撃ポイントはどこ」 ≪情報:UGN,附中市≫9

この情報収集判定に成功することでクライマックスフェイズへの突入が可能になります」

「すまんGM。次のシーン小金井(こがねい)が出ねえけど調達してた応急手当セット使っていいか?」

「それぐらいなら構わんぞ」

「んじゃ、回復量を決めるダイスをコロッとな……」

「ゴールドシップさん、あなた出目が……」

「見事にピンゾロですね。十面ダイスなのでピンというのが正しいかわかりませんが」

「ごめんね。ゴールドシップさん。ライスの不幸がゴールドシップさんにもうつっちゃった」

「別に気にすることはねえよ。今度判定で出るファンブルがここで消費されたと思えば安いもんだ」

「(コンセントレイトやタイタス昇華がある分ファンブルよりもクリティカルの方が出やすいですが黙っておきましょうか)」

「(ダブルクロスのファンブルは振ったダイスの出目が全て一の時だけなので戦闘ではほぼ出ないのはライスさんのためにも言わないでおきますわ)」

 

 

「情報収集項目は一つだけですから私が出ますわ」

「では、小金井さんと同じく漆原(うるしばら)もシーンには登場しない方向でいきましょう。時の棺の使用も考えると侵蝕率は抑えておきたいですから」

「それでいいと思いますわ。あとは、黒米(くろめ)さんですが……同級生なのに全然絡みがないので出てきてもらいたいような、ただ、かなりシーンに登場してるので待機しててもいいような……」

「いいよ!黒米も出るよ!」

「ありがとうございます。それではトレーナーさん、焼き肉を食べ終えたあたりから始めますわ」

「オーケー」

 

 

メインフェイズ 累計シーン数11 登場指定PC番号 2 シーン名 

 

 夕食を済ませた君たちは各々行動していた。漆原は夕食の後片付け、小金井はドライブついでに周辺の見回りへ。そして、二人の高校生は地下の訓練室に来ていた。

 

奈名優(ななしろ)さんについてこいって言われたから降りて来たけど、何をするのかな?」

「まあ、食後の運動と言ったところですわ」

「運動」

「ええ、黒米さんもオーヴァードになったおかげで、代謝がかなり良くなったり、能力を使うだけでエネルギーが消費されるようになり、余計な脂肪がつきにくくなりましたわ」

「へえ~、そうなんだ」 ※そんな設定は特にありません

「それでも乙女として焼き肉を食べた後にイチゴパフェまで食べてしまったのは流石に摂取カロリー的にアウトだと思いますわ……」

「……今、乙女としてって言った?」

「ゴホン、ゴホン。UGNのエージェントとしてですわ!戦える体でなければならないですからね、ねっ!?」

「あっ、うん。正直沢山食べてもあんまり太らない体質だけど、さっきの戦闘でも……

「はっ!?何それ、超絶うらやましいですわ!」

「?」

「いえ、あなたが思ったように先程の戦闘でも自身の衝動に振り回されかけていたようですし気を付けるべき点がいくつかありますので戦闘訓練で慣らしておくべきですわ。FHによる次の襲撃もそう遠くはないようですので」

瓦礫の中に残っていた襲撃計画書の中に、附中市にあるUGNを支援している株式会社○○への襲撃計画があった。そこは奈名優家が経営する会社とも懇意にしているため、UGNエージェントとして、また次期奈名優家の当主として、FHに好き勝手暴れさせるわけにはいかないとそう続けた。

「うん、そうだね。これ以上やらせるわけにはいかないよね。そのためにも早く使いこなせるようにならないとね」

そう答えサンドバックへ向けた背に誰かを守ると決めた姿(尊敬する人)が重なって見えたから、つい

「前向きになりましたね、黒米さん」

「あ、うん。そうかも。そうでありたいな」

「以前のあなたに対してであれば正直協力する気も仲良くする気も起きませんでしたが、そうですね。今のあなたになら絶好の追い風を吹かせてもいいと思いますわ」

「……以前の評価は聞きたくなかったけど、ありがとう奈名優さん」

「漆原支部長や小金井さんと違って同級生のあなたにいつまでも、そう名字にさん付けで呼ばれると他人行儀で仕方ありませんわ……そうですね。私は黒米さんをくーちゃんかいーちゃんと呼ぶので、黒米さんは私のことをなーちゃんかまーちゃんと呼ぶことにしましょう!」

と名案を思い付いたので提案する。目をキラキラと輝かせて提案する(重要な事なので二度言いました)

「え~と……。くーちゃんの方でお願いします。奈名優さん」

「……」

「くーちゃんでお願いします。なーちゃん」

「ええ、わかりましたわ。くーちゃん!では、早速連携も含めて訓練しましょう」

 

 

という感じで最後は支部長に言われるまでくたくたになるほど訓練をしてシーンを終了いたしますわ!

 

 

 

 

 

 

 




白城「あれ、友人ポジションが奪われ続けている気がする!」


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ダブルクロス17(メインフェイズ幕間話➁)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
感想にオススメシステムを書いてくださった読者様、ありがとうございます。近所のメロンブックスに置いてなかったので密林で注文しようと思います。
作者が未所持のシステムを書いていただくと財布にダメージを与えられますので、是非書いていってください。


「クライマックスフェイズ突入条件を満たしたので次のシーンがクライマックスフェイズになる。そこで、ロイスや侵蝕率あたりを整理する時間を取るぞ」

「「「「「はーい」」」」」

 

――それから、それから

 

 

「今度はPC4から降順で確認していくか」

「出オチですけどいいんですの!?」

「おい、マックイーン、あたしを出オチ呼ばわりとはいい度胸だ。表に出ろダート二〇〇〇メートルリフティング勝負でわからせてやるよ!」

「なぜ、お互いの不得意分野で走ろうなど……いえ、リフティング?二〇〇〇メートルリフティングってどういうことですの!?」

「なんだ、聞かなきゃ勝負出来ないってのか?」

「いえ、リフティングに距離は関係ないでしょ!って、後が詰まっているのですから早く進めますよ」

「ちぇ、仕方ねえないくぜ!」

 

 

PC4 小金井(こがねい)千尋(ちひろ)

ロイス1 Dロイス:申し子(セレクティド)

ロイス2 春日(かすが)恭二(きょうじ) P君が泣くまで/〇N殴る

ロイス3 漆原(うるしばら)日陰(ひなた) 〇Pアメリカ/N紅茶もメニューに入れろ

ロイス4 黒米(くろめ)(いわい) 〇Pご飯食べたい/Nお腹すいた

ロイス5 『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』 Pロボット/〇Nキャラ被り

ロイス6 情報屋 〇Pヨシッ/N現物支給

ロイス7 『手を引く者(ブーギーボギー)』 Pタイタス/〇N昇華枠

 

 

「やっぱり出オチではありませんか!」

「ロイス枠でかなり遊んでますね……」

「タイタス昇華枠って書いちゃってるもんね……」

奈名優(ななしろ)がいないのはまあ、寂しいような気もしますが。でも小金井さんと『偽・不折聖剣』では全くキャラ被ってませんわよ!」

 

 

PC3 漆原日陰

ロイス1 Dロイス:傍らの影(シャドウバディ)

ロイス2 霧谷(きりたに)雄吾(ゆうご) 〇P信頼/N隔意

ロイス3 UGN附中市支部 〇P愛着/N不安

ロイス4 小金井千尋 〇P芝生の栄養/Nしてやる

ロイス5 奈名優真希(まき) 〇P庇護/N心配

ロイス6 黒米祝 〇P庇護/N憐憫

ロイス7 『手を引く者』 P共感/〇N憤懣

 

 

「黒米さんに対しては奈名優さんと同じく守るべき対象であるということでPは庇護、Nは今までレネゲイドウイルスと関わる事無く生きてきたのに、関わる事になってしまった事から憐憫を選択しました。

『手を引く者』は『偽・不折聖剣』を保護する姿勢に共感を覚えましたが、それはそれ。附中市で暴れる事を許す気はないのでNに憤懣ですね」

「一本芯が通ってて、やっぱり漆原支部長はかっこいいね」

「そうですわね。ただその中で、小金井さんのところだけやっぱり異質ですわね……」

「そりゃ、小金井は特別な男だからな。当然だろ」

 

 

PC2 奈名優真希

ロイス1 Dロイス:触媒(カタリスト)

ロイス2 『偽・不折聖剣』 P執着/〇N憎悪

ロイス3 両親 〇P感謝/N分からず屋

ロイス4 漆原日陰 〇P尊敬/N食傷

ロイス5 冬堂(とうどう)宏人(ひろと) P親近感/〇N隔意

ロイス6 くーちゃん 〇P友情/N劣等感

ロイス7 小金井千尋 〇P連帯感/N嫌悪

 

 

「クラスメイトなので親近感。ただ、非オーヴァードである彼とは生きる世界が全く違うということで隔意を表で取りましたわ。

同じ志を抱く者として黒米さんには友情を表で取りました。劣等感は先に行かれた気がするから抱いてしまった感じですわね。

小金井さんは同僚として連帯感。ただ、自身の能力を自由と金のために使うスタンスは納得できないので嫌悪という感じですわ」

「冬堂って本当に非オーヴァードなのか、あいつ?」

「そこはほら、明言はされてませんし、奈名優は黒米さんへの対応とか『偽・不折聖剣』の話は知りませんから!」

「私が捕まえ損ねたUGNにかなり恨みを持ったFHエージェントっぽいですよね」

「まだ、分かりませんから!奈名優からしたら変なあだ名で呼んでくる同じ教室に居るだけの男子なので隔意です!」

「黒米がくーちゃんになってる」

「そこは奈名優から、かなり無理矢理友達になりにいったっていうのも表せるようにしておきましたわ」

「やっぱり、無理矢理だって自覚はあったのか……」

 

 

PC1 黒米祝

ロイス1 Dロイス:対抗種(カウンターレネゲイド)

ロイス2 レプリカちゃん 〇P友情/N隔意

ロイス3 白城(しらぎ)善乃(よしの) 〇P感服/N不快感

ロイス4 奈名優真希 〇P憧憬/N無関心

ロイス5 獣と対抗種(レネゲイドたち) P有意/〇N脅威

ロイス6 漆原支部長 〇P慕情/N不安

ロイス7 『矛盾概念』の人達 〇P優しい?/N猜疑心

 

 

「黒米は自分の中にいるレネゲイドウイルスを怖く思っているけどそれは、自分の力の強さになり得るから有意にも感じれるようになったよ。

漆原支部長はお母さんみたいだなって思ったから慕情、だけど漆原支部長達と行動を共にするのは未知の世界で生きることだから不安っていう理由だよ。

『矛盾概念』の人達はレプリカちゃんの話だと優しい人達みたいだったけど、そんな人達が附中市で暴れるらしいから疑問に思ってるということで猜疑心にしてみたよ」

「お母さんみたいですか……同じ高等部の方に言われるとなかなか、こう喜びにくい言葉ですね……」

「それはごめんね、マンハッタンカフェさん」

「いえ、誤解を生んでしまったようです。漆原は年上ですし支部長なので高校生組を守る保護者的な立ち位置につくつもりでしたから、そのロールがちゃんと出来ているという事の証左ですから謝らなくて大丈夫ですよ。むしろ、褒めていただいたのでお礼を言わなければなりません。ありがとうございます。ライスシャワーさん」

「そんな、お礼なんていいよ」

「こういうのは謙遜せずに素直に受け取っときゃいんだよ、ライス」

「そうですわ」

「うん」

 

 

「よし、それじゃあ全員準備は出来たな。クライマックスフェイズに入るぞ」

「「「「「おーーーーー」」」」」

 

 




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ダブルクロス18(クライマックスフェイズ 累計シーン数⑫)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
ダブルクロス24と25をまとめました。
シリアスは維持できないし、二〇〇〇字超えてもクライマックス戦闘入らないしで、頭を抱えたクライマックス戦闘回です
触媒の効果は一回目の行動ですが、個人的にはこっちの演出の方が好きです。全員メイン戦闘よりも好きな事がやれてると思うので今は満足です。


「クライマックスフェイズに入ります」

 

クライマックスフェイズ 累計シーン数12 登場指定PC番号 全員 シーン名 分かれ道   

 

 

 街中を歩くのには不釣り合いなよれた白衣を身にまとった女が昼と夜の間にある慌ただしい街を往く。

 その後ろを無表情な少女が規則正しくついていく。

「こちら『灰眼(クラウディー)』。所定の位置についた。作戦開始まで待機する」

「こちら『セト』。こっちはUGNの部隊が来てる。もろとも潰すがかまわねえよな」

「こちら『手を引く者(ブーギーボギー)』と『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』。君の怒りは知っている好きにしたまえ。あと、こちらにも先客がいるようなので通信を切る。作戦開始時刻になり次第、各自行動を開始してくれ。健闘を祈る」

 株式会社〇〇と書かれた看板の前、『手を引く者』はつけていた通信機を足元に落とし白衣から取り出した試験管の中身をかけた。

 

「人の家を壊したかと思ったら、今度は命まで持っていこうとは……『セト』じゃないが、君たち(UGN)は本当に非情だねぇ」

「ビルにいる人間を皆殺しにしようとしているあなたたちにはいわれたくないですね」

 戦闘用の黒衣に身を包んだ漆原が影を揺らしながら応じる。

「はて、何のことだか?」

 わざとらしく『手を引く者』は肩をすくめる。

「……一応確認しておきます。投降する気はありませんか」

「もちろん、ないとも」

 その返答を聞いて、右手を前に出し影で背後のビルを守る。

 

 

瞬間――展開されるワーディング。

 

 

 ビルよりも高い空から降ってくる三つの人影。

 それと共にオフィス街には似つかわしくない陽気な男の声と女の子達の悲鳴が聞こえてくる。

「あっあっあぁぁあああああーーーーー」

「ぎゃあああぁぁぁ!!!」

「きゃあああぁぁぁーー!」

「やるぞ『禊祓う追風(サデンスタブ)』!座標合わせは任せるぜ!」

「えっ!?はっ!?やってやりますわよ!セット、ターゲットロック」

「上出来だ!そのまま墜ちるぜ!無形創作・黄金船!!!!」

「結局墜ちますの!?」

 モルフェウスの能力で創り上げられるは巨大な黄金船。超質量による攻撃が二人のFHエージェントに襲い掛かる。

 

 

「第二炉心、超過駆動。臨界点到達。聖剣の一撃をもって迎撃します」

 迎え撃つは神話に名を遺す聖剣の紛い物。

不折聖剣砲(デュランダル)!!!!」

 聖剣を名乗っておきながら、剣ではなく、原典の槍でもなく、まして兵器ですらない。が、その威力は本家本元と変わらない。

 墜ちてくる黄金船に極大の雷光が当たり、その船底を溶断する。

「はあああぁぁぁ!!」

 限界を超えて出力を上昇させた一撃とテンションをぶち上げて創った巨大模型が激突する。

「うおおおおぉぉぉぉ!!」

 決着は三人の体が地面に激突するより先についた。

 

 不折聖剣はその名の示す通り、折れず、曲がらず、ただ一直線に黄金船を貫いた。

 天に昇る雷。

 黄金船の残骸が道路に散らばる。

 

「わははは、なかなか、やるじゃねえか」

「はぁはぁ、死ぬかと思いましたわ」

「こひゅー」

「起きろ『新入り』、決戦だぜ。あっ、駄目だ、まだ目ぇ回してる」

 地面に転がる黒米(くろめ)を起こす。

 小金井(こがねい)さんに起こされ、なんとか立ち上がるよ。

 

 

「向こうもやる気みたいだね。元々UGNは倒すつもりだったからやってしまおうか」

「……すいません、造物主(マスター)。当機は『禊祓う追風』、『拒幻壁(サイレントスクリーム)』、『無形創作果てなき旅路(ビッグドリーム)』との戦闘は構いませんが、祝ちゃんとは戦いたくありません」

という言葉に対して『手を引く者』はどこか悲しそうな喜んだ顔をする。

「祝ちゃんは、兵器であった私の恐怖をわかってくれました。人間として生きる……いえ、生き方を変える怖さを、彼女は分かってくれました。

それは、彼女も同じ怖さを……一般人からオーヴァードとして生きることになる怖さを知っていたからです。

そのきっかけを作ったのは当機なのに……彼女は、当機と一緒に、生きる理由を、目的を、意味を、探してくれると言いました。

だから、当機は……祝ちゃんとだけは戦いたくありません」

あなた達が教えてくれた、兵器ではない、人間としての生を歩むために、裏切りたくはないのだと語った。

「ははっ、そうかそうか……。では、プランBでいこう」

 

 

 『偽・不折聖剣』の言葉に黒米は頷きを返し、他の面々は

「ええ、いつの間にそんなことを?」

「『無形創作果てなき旅路』、あなたを護衛としてつけたはずなんですが……仕事サボりましたね?」

「いや、俺も肉とか応急手当セットとか買ってたから……そこで、すこーし役割分担しただけだから、ね、ね」

 というやり取りをしていたところに『手を引く者』が

「聞いていただろ正義の味方(UGN)。彼女は戦いなんてしたくなかったのに戦わされていたんだ」

「いや、ばりばり『新入り』以外とは戦う気があるって……あっ痛!」

「貴方は少し反省していて下さい」

「これまでのことは全部悪の組織(FH)に無理矢理やらされたことなんだ」

「造物主?」

「だから、彼女は君たち(UGN)が保護すべき対象だぞ!その証拠にほら」

 『手を引く者』は『偽・不折聖剣』にアンプルを打ち込む。途端に『偽・不折聖剣』のレネゲイドウイルスが爆発的に高まり、制御のきいてない雷撃があたりに迸る。

「そうですか……その選択をするのですね……」

 漆原は残念そうに誰にも聞こえぬよう呟いた。

「総員これより、戦闘に入ります!『偽・不折聖剣』を保護し、彼女を操つる『手を引く者』を倒します!」

「「「了解」」」

 

 

『偽・不折聖剣』から放たれる強烈なレネゲイドウイルスの波動を受けて、あなた達の中でもレネゲイドが昂ってくる

 

 ここで、自身の衝動を抑えられるか衝動判定を振ってくれ。難易度は≪意思≫9だ

 

黒米(くろめ)  成功

奈名優(ななしろ) 成功

漆原(うるしばら) 成功

小金井(こがねい) 成功

 

 黒米耐えました!

 それなら一ラウンドキルが狙えますわ!

 リザレク一回使えるな、あたし。

 

 配置はPC四人が同一エンゲージ。そこら五メートル離れて『手を引く者(ブーギーボギー)』と『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』が同一エンゲージにいる。

 戦闘終了条件は『手を引く者』と『偽・不折聖剣』を戦闘不能にすること。

 

 では、クライマックス戦闘を始めよう

 

 

第一ラウンド 

 

セットアッププロセス

行動は特にないな。

 

イニシアチブプロセス

触媒(カタリスト)を黒米さんに使用しますわ

 

 

こちらは『手を引く者』が加速する刻を使用して行動

 

「ごめんね……。君が正気に戻る頃には全部終わるよ」

コンボ「ライズ・スター」を『偽・不折聖剣』に

 

さらに『偽・不折聖剣』も加速する刻を使用して行動

コンボ「不折聖剣砲・掃射(デュランダル・バースト)」 シーン全体攻撃

 

 『手を引く者』のレネゲイドが『偽・不折聖剣』へと注がれ、兵器としての限界をはるかに超えて出力を上昇させる。

 それは幼子でも簡単に分かる理屈。

 力こそパワー!

 敵を倒すのに小細工や技を必要とするのは、そんなものに頼らなければ出来ない弱者の理論でしかない。

 そんなものがなくても強者であれば眼前のものを全て薙ぎ払い滅ぼせるのだと極大の雷霆が放たれる。

 

 先の黄金船を溶断した一撃を超える聖剣の攻撃を前に――

「威力は確かに聖剣と同じなのでしょうね……。ですが、しょせんは遺産(レガシー)の再現。ただのオーヴァードの一撃となんら変わりません」

 雷霆を前に影がその濃さを増していく。黒く。暗く。闇く。

 その闇の中に――

 バロール特有の邪眼が見開かれる

「であれば、対処は簡単です。森羅を歪めて、時間ごと吹き飛ばせばいい」

 発生する超重力。生成された超重力からは光すら逃れることはかなわない。

 

 邪眼が開いたのは一瞬だった。

 いや時間が歪められたため、その表現が正しいかは判断できないが、その眼は閉じられた。

 それと共に放たれたはずの雷撃も破壊の後すら残らず消えていた。

 

 という感じで時の棺の効果で打ち消します。

 

メインプロセス

『手を引く者』は待機

 

奈名優の行動

マイナーはなし

メイン

コンボ「禍祓い」をエンゲージ内の私を除いた皆さんにかけますわ

 

 直接相手を倒す力は私にはないし、身を挺して味方を守る力も私にはない。

 だけど……

 この戦場という領域を私が支配するんだ。それだけで、仲間の負担が減り、敵への妨害になる。

 そうだ、私は一人じゃないから――

「背中は任せてください!援護力で『手を引く者』には負けませんわ!」

 

『偽・不折聖剣』の行動

マイナーはなし

メイン

コンボ「不折聖剣砲・掃射」

 

雲散霧消でダメージ軽減しようと思いましたが、このダメージは全員倒れますね。通します。

 

 兵器は再び限界を超えてチャージした一撃を放つ。

「それは何度も見てます!」

 漆原は同じように防ごうとしたが……

「なっ!?」

 より強烈な雷光に防御に使った影ごと焼き尽くされる。

 

小金井はリザレクションで復活

漆原は『手を引く者』のロイスをタイタス化して昇華で復活します。

「この街を守るのにここで倒れてなんかいられません」

奈名優はくーちゃんのロイスをタイタス化して昇華

「彼女の背を押す風を放つと決めたのです。まだ、沈めませんわ!」

黒米は『偽矛盾概念』の人達のロイスをタイタス化して昇華

「レプリカちゃんのためにも絶対に止める!」

 

漆原の行動

マイナーで

コンボ「守護の覚悟」

メインで

コンボ「影打ち」を『偽・不折聖剣』に

 

『偽・不折聖剣』は超電磁障壁でダメージを軽減する

 

「ここからは……」

 焼き尽くされた影が漆原の周りに集まり、その身を包み込む。

「全開です。あなた達を倒すまで、私は倒れません」

 その宣言と共に放った影の槍は『偽・不折聖剣』の手に生み出された雷光の剣で切り落とされたが――

「気を取られましたね?」

 

黒米の行動

マイナーで

コンボ「ヴァンパイアモード」

メインで

コンボ「鮮血の青薔薇」にハンティングスタイルを足してレプリカちゃんに

 

『手を引く者』でカバーリングをする

 

 周りのレネゲイドウイルスに反応して対抗種(カウンターレネゲイド)が全部滅ぼしてやると獣を差し置いて前に出た。

 ああ、まずはそこの一番濃いやつからだと。

 影の槍に気を取られ、無防備なその体に滅びの一撃を叩き込まんと五メートルの距離を一瞬で詰める。

「あばよ」

 だが――

 その一撃は『偽・不折聖剣』に当たらず『手を引く者』が体で受け止めた。

「ガハッ」

「チっ」

 止められたから、そのまま追撃を入れようとして

「何をやってるんだね、君は!」

「君が人間となった彼女と歩むと言ったんだろ!」

「だったら、そんな奴らに任せてないで、自分で戦場(ここ)に立ちたまえ!」

 その言葉に思わず体が下がってしまう。

 

今の攻撃で『手を引く者』のHPが〇になったけど蘇生復活でHP一で復活する

 

小金井の行動

マイナーで

コンボ「何ができるかな」

メインで

コンボ「野良ではやるな拡散祭り」を『手を引く者』がいるエンゲージに発動

その際『偽・不折聖剣』と『手を引く者』のロイスをタイタス化して昇華。クリティカル値を下げる。

 

『偽・不折聖剣』は残った超電磁障壁でダメージ軽減する

 

 下手に制御できるようになったせいで躊躇っちまったか!?

 なら、尻拭いをしてやるのが先達の務めだろ。

 手を道路につき、路面を砲と弾に変える。

「『新入り』が少し後ろに下がったのだけは幸いだな。じゃなきゃ巻き込んでたぜ」

 一度に作れる限りの弾を連射仕切る。

 それと共に砲が耐えきれず破壊されてしまうが

「とりあえずまず一人。討ち取ったぜ!」

 先程の対抗種の一撃と合わさり『手を引く者』は上半身から道路に倒れこむ。

 『偽・不折聖剣』も雷を何本かに分けて弾を打ち落とし、焼き切ったようだが、全てを防ぎきることは出来ず、そこそこのダメージを負ったようだ。

 

 下がった体に柔らかな風が当たる。

「言ったはずでしてよ。私が背を押したいと思ったのは獣でも対抗種でもありません。あなたです。くーちゃん!」

「……」

「あなたが真に彼女を助ける者ならば、今ここで、己が定めた使命を果たしてみせなさい!」

 

 

「ああああああああああ!!!!!!!」

 獣と対抗種が邪魔をするなと怒りの声を上げるが知るかそんなこと!

 怒りたいのは体を勝手に使われて友達を殺しかけた私の方だ!

 ああ、確かにお前達の言う通り、私には命を奪う覚悟も、お前達みたいに強い欲望(ねがい)も、事故の日の記憶も、ないけれど。

 戦う理由なら出来た。命を奪う覚悟はないけれど命を守る覚悟は出来た。願いも探していくと決めた。約束した日は覚えてる。

 だから、私の戦いの邪魔はするな!!力は使ってやるから引っ込んでろ!!

 

黒米の行動

マイナーはなし

メインで「鮮血の青薔薇」

判定の時に奈名優真希と獣と対抗種(レネゲイドたち)のロイスをタイタス化して昇華!クリティカル値を下げる。

その判定の際に妖精の手を使用しますわ!

 

 接近された『偽・不折聖剣』は砲から雷光剣に武装を変換し迎撃する。

 が、その程度で黒米はもう止まらない。

 対抗種を利用して迎撃に使われる雷光剣をへし折り、獣の如き一撃によって意識を刈り取る。

 それによって暴走していた兵器は一時停止する。

「遅くなってごめんね。レプリカちゃん。」

 

 

 『手を引く者』と『偽・不折聖剣』の両名が戦闘不能になったので戦闘終了条件を満たしました。これによりクライマックス戦闘を終了しエンディングフェイズに入ります。

 

 

 

 




お蔵入り集のダブルクロスに『手を引く者』が登場するのでよければ読んでもらえると嬉しいです。


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ダブルクロス19(バックトラック+エンディングフェイズ 累計シーン数⑬)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
バックトラックと共通エンディング回です。この後四人の個別エンディング、感想回でこのシナリオは終了です。感想回では
・よいロールプレイをした
・他のプレイヤーを助けるような発言や行動を行った
・セッションの進行を助けた
で経験点を配分するので誰が良かったなど感想で書いてくれるとその分成長させます。


バックトラック

 

 PCの皆様。バックトラックへようこそ。ここは日常に戻るために閾値を超えてしまった侵蝕率を下げる夢と現の境界線。

 今回はEロイスは使用されておりません。

 残ロイスを確認しましょう。

 

 黒米(くろめ) 三

 奈名優(ななしろ) 五

 漆原(うるしばら) 五

 小金井(こがねい) 四

 

「一番侵蝕率が高いのは漆原ですが、等倍で帰ってこれそうですね」

「奈名優も同じく等倍で大丈夫そうですね」

「おいおい、マックイーンフラグかぁ?」

「大丈夫ですわ、フラグじゃありませんわ……」

「黒米も等倍で大丈夫かな……。うん、大丈夫。帰ってみせるよ!」

 

 では、それぞれダイスをお振り下さい――

 

 

「戻れましたね。迎える準備をしておきますか」

「俺帰還!」

「下振れましたけど、事故らず帰ってこれましたわ」

「ただいま、みんな」

 

 おかえりなさい。みんな、よく帰ってきましたね。

 それではエンディングフェイズに入ります。

 共通エンディングの後は個別エンディングだから、何をやりたいか考えておいてね。

 

 

エンディングフェイズ 累計シーン数13 登場指定PC 全員 シーン名 その生誕に今、祝福を贈る

 

 意識を失い倒れるレプリカちゃんを黒米は抱きとめる。

「あ、危なかったぁ」

「『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』の方はよさそうですね。後は……」

と自身に纏っていた影を解除しつつ、『手を引く者(ブーギーボギー)』の方に目を向ける。

「あっ、ぐぅ」

『手を引く者』は黒米と小金井にやられた傷が治らぬまま立ち上がろうとしている。

「まだ動けんのかよ!さっさと止まっとけ!」

拳銃を創り出してぶっ放すぜ。

放たれた弾丸は真っ直ぐ飛び『手を引く者』の体を貫く――はずだった

弾丸は影に阻まれその威力を消失する。

「おい、『拒幻壁(サイレントスクリーム)』!あいつ、まだやる気だったぞ。何で止めた!」

「いえ、私じゃありません!」

「まさか、別のFHエージェントですの!?」

「それも、私と同系統の能力者ですか……!」

 

「ああ、最悪だ。仕事終わりの二人を迎えに行くだけのはずがこんなことになってるんだ……。

はぁ~。こっちはリザレクションも出来ないくらい弱ってて、そっちはUGNの手の中かよ……。

なぁ、そこの君。そいつ、『矛盾概念(うち)』のメンバーなんだ。返してくれないか」

 

目の前の男から獣と対抗種(カウンターレネゲイド)がそんな荷物を置いて逃げろと声を揃えて警告をする。

だけど、黒米はその警告を無視してレプリカちゃんをより強くギュッと抱きしめる。

 

「仕方ない。じゃあ君ごと連れて」

「……!」

動こうとした男の足を『手を引く者』が掴み、振りかぶった腕を小金井が創り出した鎖で止める。

「んぎぎぎぎぃぃぃいいい」

「なんだ、『手を引く者』?」

「……けほっ。余計な事をしてくれるな『クロドヴァの復讐者』。プランBに入ったんだ」

「いや、お前の中のプランなんか知らねえよ。ちゃんと言え。でなきゃわからん」

「彼女は、私たちと違って、決めたんだ歩むべき道を、共に歩む相手を……。だからもう、彼女の手を引く者は必要ないんだ」

「はぁ~。来た時はあいつら連れて来た方が良かったと思ったが……今はいなくてほっとしてるよ。じゃあ、お前だけ連れ帰るぞ」

「ああ、自力で動けそうにないんだ。頼むよ」

『クロドヴァの復讐者』の腕を縛っていた鎖が消失し、思いっきり引っ張ていた小金井は慣性の法則に従い尻もちをつく。

「なぁに!いってえ!」

そして

『手を引く者』の方に向き直って、お米様抱っこをする。

「じゃあなUGN。後始末とそいつを頼む。こいつの大事な娘なんだ、大切にしてやってくれ」

「なっ!?何嘘をついているんだ!彼女は研究所から連れて来た……。

ああ、いや、そうだな。彼女は兵器をやめて、人間になるんだ。

だから、偽物(レプリカ)は私が連れていこう。代わりといってはなんだが祝福(なまえ)を贈ろう。

深歩(みほ)

君が歩む人生が、長く、深く、幸せに満ちたものであるよう祈りを込めて」

その言葉を残し去ろうとする二人に漆原は

「彼女はUGN附中市支部(うち)で観察処分になると思います。ですから、まあ、喫茶店に客としてコーヒーを飲みに来るなら、無碍にはしませんよ」

と言っておきます。

『クロドヴァの復讐者』はそれを鼻で笑い、『手を引く者』が何かを言おうとした瞬間その姿が消える。

 

 

「さ、帰りましょうか。小金井さん運転お願いします」

「へいへい」

 

ワーディングが解かれ、街灯と月が照らす街を五人を乗せた車がはしっていった。

 

 

 

 

 

 




「話に残るブギーマンってのは悪い子供を連れ去るってのにお前は子供に優しいな」


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ダブルクロス20(エンディングフェイズ 累計シーン数⑭)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
個別のエンディングシーンです。
以前書いた気がしますが、可愛いカフェが演技してる様子を書きたかったんです。
でも、なぜかすぐプッツンしたり、覚悟きまってたりするので、別システムの時こそ萌えるカフェが書けるように表現力を上げたいです。


「ここからは個別エンディングをやっていくよ。やりたいことが決まった子からやっていこうか」

「それでは私からでいいですか。時間はクライマックス戦闘後にUGN附中市支部に戻ったあたりで、お願いします」

「了解」

 

エンディングフェイズ 累計シーン数14 登場指定PC番号 3 シーン名 事後処理

 

 

 漆原(うるしばら)はその知らせを霧谷(きりたに)から受けた。

「報告にあった『偽典遺産計画(R.L.Project)』のスポンサーをしていた企業の重役達を捕縛しにUGNの支援部隊を送り込んだのですが、申し訳ありません。失敗したようです」

「はっ?いえ、すいません。どういうことでしょうか」

「既に現場の方に人は手配して封鎖して捜査の方を進めていますが、かなり悲惨な状態です。建物は上からの強い力でひしゃげ、ねじられていて、中にいた人間……スポンサーやその護衛として雇われたオーヴァード、その捕縛に動員されたUGNの部隊、全員が蘇生も出来ないように念入りに殺されていました」

「……!」

「漆原支部長達が附中市市内の別地点で大規模な戦闘をしていたのは分かっているので謝罪等は必要ありません。適切な人員配置が出来なかった日本支部(こちら)の落ち度です」

「……わかりました」

「現場の調査や今晩の戦闘の報告は後日で構いません。『手を引く者(ブーギーボギー)』及び『偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)』への対処ありがとうございました」

と通信が切れる。

 

 おそらく、やったのは『矛盾概念』のメンバーですね。『手を引く者』にコーヒーを飲みに来るぐらいならと言いましたが、来たら捕まえて日本支部の方に送り付けてやりましょうかね。なんて、思いながらデスクに向かう。

 

 やることは、

戦闘の報告書。

現場の調査書。

『偽・不折聖剣』をUGN附中市支部で観察処分にするための申請書。

黒米(くろめ)さんの特待生推薦状とUGNに所属するにあたってCN登録や家族の保護サポート、あと動きやすいようにバイト先をこの喫茶店にするためにも口座等を開設してもらうための説明資料を……。

小金井(こがねい)さんへの支払いの準備も、護衛任務は放棄してたようなのでそっちは減額してもいいんでしたっけ……。

 

「きゅう~」

やるべきことをまとめているうちに、あれもこれもと増えていくタスクに思わず鳴き声が漏れる。

「はあ。とりあえずコーヒーを入れて黒米さんとレプリカ、いえ深歩(みほ)さんでしたね。彼女達に関する書類から終わらせてしまいましょう」

と椅子から立ち上がる。

 

 

 かつての平凡な日常は既に遠く。

 世界の裏側にいる時間の方が長くなった。

 その中で守りたいものがあった。

 守りきれると思っていた。

 だけど、失ったものがあって。

 それでも生きていけと叱咤されて。

 必死にもがいていて。

 手を伸ばして。

 誰かに託されて。

 そしたらいつの間にかこんなところにまで……。

 

 

「また、護りたいものが増えてしまいましたね」

独り言なのか、隣の影に聞かせるつもりだったのか、自分でも判断がつかないけど

改めて覚悟を決める。

 

 いつか私を助けてくれたあの人達みたいに、今度は私が彼女達を護り抜くのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アンケート、評価、感想をくださると作者のやる気が上がります。


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ダブルクロス21(エンディングフェイズ 累計シーン数⑮)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
個別エンディング回その2。白城さんが再登場出来ました。
「ですわ」とツッコミと解説ポジ(正妻ポジ)という要素でメジロマックイーンを出してますがもっと面倒見が良かったり、自分に厳しい所とかも出したかったです。


「では、次は私がやらせてもらいますわ」

「オーケー」

「時間は昼休みの学校で、冬堂(とうどう)と会話をしておきますわ」

「はいはい」

 

エンディングフェイズ 累計シーン数15 登場指定PC番号 2 シーン名 薄氷の上の平穏

 

 キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン

 四限目の終了を知らせる鐘が鳴る。それと同時にガタガタと机を動かす音が鳴り、

「一緒にお弁当食べよーう」

 

「今日のA定食ってメニューなんだっけ?」

 

「早弁しちまったから購買行ってくる!」

なんて声が教室にとどまらず、廊下からも聞こえてくる。

 

 奈名優(ななしろ)はくーちゃんの誘いを断り、学園長室へ向かう。

後ろから白城(しらぎ)さんの

「えっ、クロメいつの間にあの奈名優さんをお弁当に誘うような仲になったの!?」

なんていう叫びに似た悲鳴が聞こえてきているせいで後ろ髪が引かれるが用事を済ませてしまうためにさっさと移動する。

 

 

「失礼しますわ」

「どうぞ」

「こちら、漆原支部長からですわ」

「うむ、拝読させてもらおう」

と封を開けて、中身を確認する。

 

「黒米君の事は了承した。特待生の試験を受ける機会を近日中にもうけよう。連絡役ご苦労様」

「はい。失礼いたしました」

と学園長室を後にします。

 

 

 お弁当を持ってきてないので購買によって、惣菜パンと菓子パンとプリン、それと牛乳を買って屋上に行きますわ。

 

 

 奈名優が寄り道したせいだろう午後の陽射しが心地良い屋上には既に先客がいた。

「昨日はバイトだったんだよ。……だからちゃんと作り置きのカレーを用意しておいたろ。……ああ、悪かった。今日は早く帰るよ。……そっちも昼休みだろ、昼飯食わなきゃならんから切るぞ」

と冬堂は電話を切ってポケットの中に入れた。

「あら、お邪魔してしまいましたか?」

「ん?ああ、なしろんか。いや、別に昼飯を食べなきゃならなかったから電話は切るつもりだったし、ここは別に俺だけの場所じゃないから文句なんて言えねえよ」

「では、遠慮なく使わせていただきますわ」

と冬堂から少し離れた位置に座って惣菜パンの方を食べ始めますわ。

「おい、待て。なしろん。これをせめて敷け」

とハンカチを渡してくる。

「それなら、自分の物がありますので必要ありませんわ」

「そっちは手を拭くときに使うだろ。いいから」

渡そうとしていたハンカチを広げて地面に敷いてくれる。

「そ、そうですか。ありがとうございますわ」

では、今度こそ惣菜パンを食べ始めますわ。

「おい、待て。なしろん」

「こ、今度は何ですの!?」

「今日の昼はそれか?」

菓子パンとプリンを指して言う。

「ええ、そうですが、何か問題が?」

と首を傾げる奈名優を見て、冬堂は頭を抱える。

「ああ、わかった。これも食え」

奈名優に差し出されたのは蓋を開けたタッパーだった。

「えっと、これは?」

「サラダだよ。なしろんのそれだけだと健康に悪い」

「……これはあなたのなのでは?」

「いや、元々渡す予定だったやつだよ」

「それならなおさら悪いですわ!あなたが渡したい相手がいるのでしょ、なら貰うわけにはいきませんわ!」

「バレンタインのチョコじゃねえんだ、そういう事じゃねえ。渡す相手が休んだみたいだから俺が食わなきゃならなかったんだ。だから、なしろんが食ってくれるとちょうどいい」

「そういうことですの。では、いただきますわ」

「たんと食ってくれ」

「このドレッシング美味しいですわね。柑橘系……オレンジの爽やかな味がしてサッパリしてますわね。バイト先で使ってる物に負けてませんわ!店長に薦めてみましょうか……このドレッシングどこで買えますの?」

「あー、買う気満々のところ悪いがそれ売ってないんだよ。自家製だから」

「あら、そうなんですの。でしたら、とてもいい腕をしてますのね」

「そう褒めんな照れるだろ」

「はいっ?いえ、まさか……あなたが作りましたの?」

「そうだが」

「……」

これは私、女子力なるもので大敗してるのでは!?いえ、ですがドボメジロウ先生の少女漫画には気になる異性から手作りのお菓子を貰うシチュエーションがありました!ならセーフ!女の子としてセーフですわ!

「どうした?日差しにやられたか?」

「大丈夫ですわ。少し前に読んだマンガにこんなシチュエーションがあったなと思い出しただけですわ」

「へ~。特待生のなしろんでもマンガ読むんだな」

「私だってあなたと同い年なんですから少女マンガの一つや二つ持ってますし、読みますわよ」

「ふ~ん。幼馴染もその手の本は持ってるから読ませてもらってるけど、あれ、男が読んでも面白いんだよな」

「ええ、よくわかってるではありませんか」

 

 なんて会話を交わしながら昼食を取り終える。

 

「ごちそうさまでした。サラダ美味しかったですわ」

「おそまつさま。ちゃんと健康には気をつかえよ」

「ええ、そうですわね。少し気をつけますわ」

「それじゃあ、俺は五限を受けに教室に戻るけど、特待生のなしろんはどうすんだ。このまま日向ぼっこもしていくのか?」

「私も授業は普通に受けるので戻りますわ」

 

 キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン

 昼休みの終わりを告げる鐘が鳴る。

 

 はやくUGNエージェントとして活動したいと思う奈名優でも、こんな日常は悪くないのかもしれないと思った。

 

 

 といったところでシーンを〆ますわ。

 

 

 



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ダブルクロス22(エンディングフェイズ 累計シーン数⑯)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
個別エンディング回その3。ゴルシちゃんに関しては
・書き直した台詞・行動数が一番多い女
・中の人の凄さをわからされる女
・ぱかチューブっ!の台本作家さんの凄さをわからされる女
など色々思うことはありますが、書いてて楽し……楽しいので読者の皆様も是非ゴルシ二次創作をしましょう。


「よーし、トレーナー!次はアタシだ」

「はいよ」

「つっても、特にやりたいこともないから小金井(こがねい)の修行編に突入しておくぜ」

「へ?」

「ほら、メインではロボにくっつかれて爆破されたり、クライマックスでも出した船切られたり、弾受け止められたりしちまったからな……」

「あ~。それはすまない。ゴールドシップにばかり負けロールを押し付けちまってたな……。そうだよな、ちゃんと勝ちたいよな」

「何言ってんだよ、別にレースじゃなくて遊びなんだから、そんなんでゴルシ様は怒らねえよ」

「えっ……」

「流石に、情報が濁るからゴールドシップは初日で吊るすみたいなのはアタシもテルテル化したくなっちまうが。

今回のはシナリオの演出であって、戦闘になったらちゃんと喰らってやられてくれてるから別に問題ねえよ。

それに、こんな美味しいポジションを渡すわけないだろ!」

「えっ、え~。じゃあ、修行編って何やるんだ?」

「Shadowverseの世界で『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』か『エスパーダ・ガラクシア』か『紅蓮聖天八極式』を使えるようになる!」

「お前脚質:追込じゃなくて逃げだろってくらいワンキルかましたり、パズルでとんでも盤面作ってたのにコラボ先でまだ暴れたりないのか……」

「ああ、まだだ!まだ、手札誘発を創り出して後攻〇ターンキルができてない!」

「それは末期すぎるんだよ。自重してくれ」

「ぶ~ぶ~」

「あと、言った技とか機体名、Shadowverseじゃなくてコラボしてた別作品のじゃないか……」

「(ライスだけ出てないんだよね。Shadowverse……)」

 

 

「それで、結局どうするんだ?」

「じゃあ、漆原(うるしばら)から仕事の継続ってことでもう一つのぶっ壊された建物の調査をしてるシーンで、時間は昼頃だな」

「了解。それじゃあ始めるぞ」

 

エンディングフェイズ 累計シーン数16 登場指定PC番号 3 シーン名 終わらぬ戦いの日々

 

「こいつは随分派手にやってんな。『手を引く者(ブーギーボギー)』といいFHエージェント達の間では建物ぶっ壊すのが流行ってんのか?」

小金井が見上げた先にある建物は情報によると五階建てだったのに今ではその高さは半分以下になっており、塗装どころか壁の建材までもが抉られている。無理矢理壁に開けられた人が通れるくらいの穴から中に入っていく。

「ひでえもんだな。嬢ちゃん達を連れて来ないっていう判断は正解だな……」

先に現場入りしていた人員のおかげで遺体は片付けられているが、それでも床だけでなく天井にまで飛び散っている肉の破片を見るのは戦闘で榴弾だのをぶっ放してる身でも気分が良いものではない。

「しかしまあ、こんだけやってるってのに『偽典遺産計画(R.L.Project)』関係者以外はUGNの部隊しかやってねえのか……」

 偶然か狙ってか。情報屋の話もあるから、後者なのだろう。

 資料によれ凶器は二種類。大型の刃物による斬撃と、風。どちらの方法だとしてもオーヴァードなら再生できなくなるまで切り刻まれ、非オーヴァードでも復活しないよう首を断ったうえに心臓も潰してる。

どちらもかなり手慣れている。強いて言えば風を使ってる方が力任せっぽいが……

「それでも、ただ暴走してむやみやたらに能力を使ってるわけじゃねえあたり、オーヴァードとして訓練を積んで上がってきたジャームだな」

そんなのが最低二人いた。

「この建物がこうなったのはこの二人が互いに潰し合ったからって理由なら楽なんだがなぁ……そんなわけねえよなぁ」

お互いの標的が一致していて、一般人を巻き込まないようにした徹底ぶりは組織だったものだと感じずにはいられない。

漆原(うるしばら)も言っていたが俺達が戦った『手を引く者』が陽動で本命はこっちだったのだろう。

思うのは漆原と同じ影遣いに、教えられた『セト』。それとこの惨状を創り上げたもう一人の刃物を使う下手人。

「『矛盾概念』って言ったか。全く厄介そうな連中だぜ」

とぼやきながら、日が沈むまで調査を続けるってところでシーンをしめるぜ。

 




サプリについてるエンディングってこのくらいなんですよね。今までがメイン終わってるのに長過ぎるっていう……。


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ダブルクロス23(エンディングフェイズ 累計シーン数⑰)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
誤字報告ありがとうございます。
個別エンディング回その4。これにて本シナリオは終了となります。
ダブルクロスを選んだ理由が、戦闘系システムで大事な時は格好よくなる主人公ライスシャワーを書きたかったからです。まだ、満足出来ていないのでDX3は続きを書きたいですが各PC持ち回りで主役回やるとシナリオ4つ用意しなきゃならないんですか!?


「最後はライスがやるね。時間は放課後で白城(しらぎ)ちゃんと帰るところからでお願いします」

「わかった」

 

エンディングフェイズ 累計シーン数 17 登場指定PC番号 1 シーン名 

 

 

 徹夜したのだろうか、少し疲れたような顔をした漆原(うるしばら)から

黒米(くろめ)さん、今日の帰りに白城(しらぎ)さんをUGN附中市支部に連れてきてもらいたいのです」

「連れて来ていいんですか?」

「ええ。普段は喫茶店として営業していますから一般の方が入店する分には問題はありませんよ。それと白城さんに会って確認したいことがありますから」

「確認したいことですか。訊いておきましょうか?」

「いえ、記憶処理がちゃんと出来ているかの確認なので黒米さんには出来ませんから」

「そ、そうですか」

「友人を騙すような真似をさせてとても申し訳ないのですが、これもレネゲイドウイルスの関わる事件に巻き込まれてしまった非オーヴァードの方への対応なので……」

「わかりました。帰りに寄りますね」

という会話を今朝したので白城ちゃんとUGN附中市支部である喫茶アルカラブへ向かうよ。

 

 

喫茶アルカラブ――

 

 

「いらっしゃいませ。空いてるお席にどうぞ」

とカウンターの向こうから漆原さんが声をかけてくる。

「クロメの方から誘ってくれたけどなかなかオシャレな店だね、ここ。マスターさんもモデル体型で美人だし。いつの間にこんなところを?」

「お見舞いの時にここのケーキをお母さんから貰ってね。美味しかったから、白城ちゃんの退院祝いで食べたいなぁって思って調べたんだ」

「ほほ~。祝が祝ってくれると」

「も~白城ちゃん!怒るよ!」

「ごめんごめん」

「ほら、頼むもの決めちゃおう」

とメニューを広げる。

「おお。確かに美味しそう。ショートケーキは頼むの確定として、他には何頼もうかな~」

 

「ご注文はお決まりでしょうか」

「……!深歩(みほ)ちゃん。もう動いて大丈夫なの!?」

「はい。店長から目の届く範囲であれば動いていいと許可をいただきました」

「そっかぁ。良かった」

「え?なになに、どういう関係?」

「初めまして。祝ちゃんの友達の深歩と言います。この喫茶店の居候兼バイトです」

「深歩さんっすね。初めまして。白城善乃(よしの)って言います。同じくクロメの友達っす。よろしく!」

「こちらこそよろしくお願いします」

と互いに握手をする。

「新しく友情を育んでるところに水を差すようで悪いですが、深歩さん注文取ってきて下さい」

「わかりました店長。それではご注文の方をお伺いします」

「ケーキセットを二つ。ショートケーキとモンブランで、飲み物はホットのブレンドとホットココアでお願いします」

「復唱します。ケーキセットを二つ。ショートケーキとザッハトルテで、飲み物はホットのブレンドとホットココアですね」

「はい」

 

 

カランコローンと店のドアが開く

「いらっしゃいませ。空いてるお席にどうぞ」

「マスター。アールグレイ、アイスで」

小金井(こがねい)さん。メニューにないものを注文するのはやめて下さい」

「え?奈名優(ななしろ)の嬢ちゃんがいるときは出てきたぞ」

「それは真希さんの私物です。うちの商品ではありません」

「マジかよ」

「深歩さん、小金井さんの方の注文を取っておいてください」

 

 

「ご注文のショートケーキとザッハトルテ、それとブレンドコーヒーとホットココアです」

注文した品が手際よく置かれる中、黒米の前に置かれた皿の影が文字を作る。

”記憶処理は適切に施されているようです。そのまま食事をお楽しみください。”

黒米が見たのが確認できると影は元の形に戻る。

「白城ちゃん食べようか」

「そうだね。あとザッハトルテも食べたいから食べさせあいっこしようね」

「うん」

 

 

「すいません店長。色々と書類の方を準備してもらっていたら来るのが遅くなってしまいました」

カウンターの方から奈名優が入ってくる。

「大丈夫ですよ真希さん。お遣いを頼んだのは私ですから。書類の方はデスクの上に置いておいてください」

「おっ、奈名優の嬢ちゃんがきたならアイスティー出るか。店長が紅茶嫌いのせいで出してくれないんだよ」

「出せますけど……いい加減メニューにない品を頼むのはやめてくださいと何度も言われてるじゃないですか」

 

 

「クロメー。あのお兄さん常連かな?」

「えっ。うん。そうじゃないかな」

「決めた。明日からここで創作活動するわ」

「それって……まさか」

「あのお兄さんからただならぬ気配を感じるんだよね。絶対何か面白いことが起きると直感が告げてる」

「あっ……そういう」

 

 

 昨日と同じ今日。

 今日と同じ明日。

 世界は同じ時を刻み、変わらないように見えた。

 だが──、世界は既に変貌していた。

 そんな世界で私は、私達は、迷いながらも進み続けよう。

 大切なあなたと共に支え合って。

 

 

でこのシーンを終わります!




次回アフタープレイという敵キャラの話だったり成長の方向性とか感想回


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ダブルクロス24(アフタープレイと後語り)

本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
覇王世代のソード・ワールドと逃げシスのシノビガミが見たいです(オペラオーとアイネスフウジン未所持)。どなたか書きませんか(提案)。
あとサポカを百連引きましたが3枚ともシービーじゃないってどういうことですか……。ピックアップはどこ?


「これにてシナリオ終了です。お疲れ様」

「「「「お疲れ様でした」」」」

「まずは経験点の配布を済ませてしまおう」

 

・セッションに最後まで参加した 1点

・シナリオの目的を達成した 5点

・最終侵蝕率による経験点 71~99%だから5点

・よいロールプレイをした 1点

・他のプレイヤーを助けるような発言や行動を行った 1点

・セッションの進行を助けた 1点

の経験点を獲得してくれ。

 

「その経験点を使ってPCが新しいエフェクトを得たり、能力値を伸ばしたりするんだけど、今日はここまでにしておこうか」

「「「「はーい」」」」

 

 

――蛇足という名の後書き――

 

「ここからはGM側はトレーナーさんがPL側は私、メジロマックイーンがエアコメを読んで疑問等に返信していきますわ」

 

PCの名前やNPCのCNの由来は?

「PC名は、称号と名前の組み合わせからきていますわ。

 

ライスシャワー+黒い刺客→米祝福+黒い刺客→黒米(くろめ)(いわい)

 

メジロマックイーン+名優→名優(なしろ)マックイーン→名優マッキー→奈名優(ななしろ)真希(まき)

 

マンハッタンカフェ+漆黒の幻影→漆陰→漆原(うるしばら)日陰(ひなた)

 

ゴールドシップ+破天荒→黄金船+破天荒→黄金(こがね)(せん)→黄金千→小金井(こがねい)千尋(ちひろ)

 

という感じですわ。マンハッタンカフェさんの名前要素はカヴァーで、ゴールドシップさんの破天荒要素は全体的な行動で残っていますわ。

PCのCNはオープニングフェイズ裏話でも出ていましたが基本的に戦闘スタイルや精神性から付けていますわ。

 

奈名優真希 『禊祓う追風(サデンスタブ)

味方には心強い援護だが、敵には致命の一刺しになる。戦闘スタイルが支援役でありUGN附中市支部でも情報収集能力(バフ込み)が高いことから。

 

漆原日陰 『拒幻壁(サイレント・スクリーム)

影の形状を変えて攻撃を防いだり、妨害する様から。虚言癖から文字を入れ替えて命名。

 

小金井千尋 『無形創作果てなき旅路(ビッグドリーム)

ピュアモルフェウスだから基本的に外側だけならなんでも創れるってのと、UGNに協力はしてるが自由に活動してることからから。

 

正直ステータス振りとかよりもPC名を決める方が頭を使いますわ」

「命名表振ればいいんじゃないかな」

「あれも事故の塊なので私は振りたくありませんわ……まあ事故を楽しみにやってる方も命名表のおかげで助けられてる方もいるのでその存在は否定しないというかモブNPCの名前を決めるときには私も使ってるので存在は有り難いですが、自分のPCだけはちゃんと決めたいと思ってるので……、やっぱり人それぞれだと思いますわ」

 

「NPCのCNとシナリオでは書かれない設定を供養として

手を引く者(ブーギーボギー)

ブギーマン+ボギーマン。悪い子を連れ去るお化けが元ネタ。

 彼女の人生はレールの敷かれたものだった。そのレールがなくなったのは長男(おとうと)が生まれた時。

「今まで負担をかけてごめんね。これからは自由に生きていいわよ」

その言葉に何も思わなかったが、レネゲイドウイルスが覚醒したのだからきっと精神が壊れてしまったのだろう。

 オーヴァードになったのに衝動もわかず……欲望(ねがい)もない。そんな私を拾ったのがマスターのCNを与えられる前の『幸福論(セオリー)』だった。それから彼女と共に行動する内に私と同じ迷い人達が集まり、『矛盾概念』を作った。メンバーの中には迷子(まよいご)もいた。弟に居場所を奪われたというのについ、年下には世話を焼きたくなってしまう。そんな話をしたら、『クロドヴァの復讐者』にこのCNを名乗るよう薦められた。薦められたなら断る必要もあるまい、使わせてもらおう。

 

偽・不折聖剣(デュランダル・レプリカ)

偽物の聖剣(まんま)。

 ジャームではないのでクライマックス後は漆原監視下で喫茶アルカラブの店員としてバイト中。『矛盾概念』のメンバー等について話そうとすると言葉がバグる。

 『手を引く者』に付けられた名前は気を失っている際も起動している外部記録用カメラに残されているものを見て知った。大切にしようと思っている。

 

白城(しらぎ)善乃(よしの)

黒の反対は白。文芸部でライスシャワーの読書友達ならゼンノロブロイかな。ただ、黒米を事件の渦中に連れてくので性格とかは変えよう。

 これからも黒米を誘った先で事件に巻き込まれる。あるいは小金井(面白れぇ男)を追っかけていたら事件に巻き込まれる。みたいな巻き込まれ系枠のシナリオロイス。

 

他のNPCについては続きをやった時にでも」

 

マンハッタンカフェの影の名前

「ペルソナとかスタンドとかエスツーとかお友だちとか色々考えていたようですけど、影のままでいくようですわ」

 

PCの成長の方向性は?

「これは俺も訊いておきたかったから教えてもらえるか」

「わかる範囲でですが

ライスさんは赫き剣を使わないので復讐の刃型に成長させる予定ですわね。

ゴールドシップさんはモルフェウスのピュアなので武器作製エフェクトを最大Lvまで取って基礎攻撃力を上げる事になると思いますわ。

マンハッタンカフェさんはライスさんが復讐の刃型になるなら攻撃系かデバフ系のエフェクトを取るようなので選択肢が多すぎて何ともいえませんわ。

私は能力値を上げて情報収集の支援を別の方に回せるようにするとかですかね」

「ウロボロスはそうだよなぁ。なんだったらバロールも結構デバフエフェクトあるし選択肢は多いよな」

 

素潜りクジラ漁

「出来るわけねえだろ!と言い切れないのがダブルクロスの世界なんだよな……」

「キュマイラとかエグザイルのオーヴァードならいけそうですわね」

 

ロイス枠で遊ぶ

「どうせタイタス昇華するものだからと適当に取ったり、遊びすぎると、シナリオギミックでロイス結んでないと倒せなかったり、倒したヒロインがそのまま召されるので気を付けた方がいいですわ!」

「まあそういうのも含めて節度を持ってやればいいんじゃないかな」

 

「」の数

「返事をするのは四人だけのはずなのに、一人分多くありませんでしたか?」

「一緒に遊びたがってる見えない女の子がいるんだよ」

「ひっ……!」

 

「それじゃあ、オチもついたし終わろうか」

「そうですわね」

「感想やアンケート、評価にお気に入り登録。全て作者のモチベーションになります。読者の皆様ありがとうございました」

「別システムでも遊ぶつもりですので、今後ともよろしくお願いしますわ」

「では、また次回」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回システムのアンケートご協力ありがとうございました。ダブルクロス編1は終了しましたが、別システムも執筆予定なので今後ともよろしくお願いいたします。


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艦これRPG
艦これ(PL集合)


本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。
漢字にしたら全員一人称が同じになるから「」の前に名前を書いた方がいいかな?


 普段はミーティングに使う机の上にロイヤルビタージュースや手が汚れにくいポッキーなどのお菓子、シャープペンシルに消しゴムを置いていく。

「今回は冒険企画局さんのシステムだから、皆のミニフィギアと1~6までかかれたプロット表を用意しておけばいいかな。あー、プロットを決めるときは個人個人の手の中に六面ダイスを入れるんだな。じゃあ、全員分用意しておかなきゃな」

と机の上に六面ダイスを十五個転がす。

「あとは、イベントカードと、書くものは皆持ってくるからいいか」

一通り準備を終えたところで部屋の外から足音が聞こえてくる。

「トレーナーさん!チームのメンバーを連れてきましたわ!」

「ありがとう。マックイーン。飲み物は出してあるから好きに飲んでくれ。お菓子もストックはあるけどあまり食べすぎるなよ」

「わかってますわ」

「マックイーン君への注意も大事だがスぺ君へも注意しといた方がいいと思うよ。ほら、見たまえよ。トレーナー君」

アグネスタキオンが指をさした先を見るといつの間にか席についていたスペシャルウィークがビッグサイズのニンジンクッキーの袋を開けていた。

「もうスぺちゃん。トレーナーさんの言う通りよ。食べ過ぎるとまた断食寺に連れていかれてしまうわよ」

「ひっ!それは、もう嫌です!」

「……おい、マックイーンさんや」

「なんですの。トレーナーさん」

「何かこの前とメンバーが違わないか?」

「何を言ってますのトレーナーさん。いいですか、まず貴方と一心同体であり愛バの私、メジロマックイーン」

「うん」

「ライスシャワーさんと同じく大食いのスペシャルウィークさん」

「このニンジンクッキー美味しいですね!」

「マンハッタンカフェさんと同じ部屋で研究をしているアグネスタキオンさん」

「被験者はいつでも歓迎するよ。ぜひ担当のウマ娘と一緒に来てくれたまえ」

「ゴールドシップさんは考えて破天荒な行動をしますが、やはり先輩は一段上をいく。天然でとんでもない行動をするサイレンススズカさん」

「嘘でしょ!?」

「ほら、いつものチームメンバーですわ!」

と胸を張ってマックイーンが言う。

「すぅー。四分の三が別の娘じゃねえか!」

「まさか、この変わり身を見破るなんて!流石トレーナーさんですわ!」

横にキラキラという文字が浮かびそうなわざとらしい笑顔を見せるメジロマックイーンを見て

「……それで、どうしてこんな事になったんだ?」

呼吸をいれなおし、話は聞くから素直に話せと伝える。

「いえ、そのですね……ライスシャワーさんはミホノブルボンさんとお出かけに、マンハッタンカフェさんは趣味の登山に、ゴールドシップさんはカブトムシとクワガタムシの間に産まれた三本角の甲虫を捕まえてくると言ってどこかに、全員出かけてしまいましたわ」

「ゴールドシップのそれはコーカサスオオカブトとかじゃないのか?じゃあ、別の日に移しても……」

「いえ、もともと新入生歓迎会のオリエンテーションにどのシステムが良さそうかを決めるためにやっているのですから、チームメンバー以外の方とも試してみるべきですわ!」

「お、おう。そうだな」

「というわけでこのメンバーでやっていきますわよ!」

「おー」

「お~」

「嘘でしょ!?」




艦これの艦の字も出て来てませんが艦これRPGをやっていきます。


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艦これ2(シナリオ前の準備)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。
艦これ2、3、4をまとめました。
今回のロールプレイは賛否両論あると思いますがこれでいきます。版権キャラはなりきりしか許せないという方は作品を増やしていただけると楽しめる人が増えるのでぜひお書きください。


「全員やる気みたいだな。それじゃあ、今日やるシステムを発表するぞ。今回やるのは『艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG』だ」

「ウマ娘が艦娘(かんむす)を演じるというとんでも状態になるわけですが、ばっちこいですわ」

「すいません。マックイーンさんがすごくやる気なのはわかったんですけどその艦娘?っていうのはどなたなんでしょうか?」

「それについては私が説明してあげようじゃないか」

「知っているんですか、雷電!?」

(いなづま)です。じゃない、間違えた。私はアグネスタキオンだよ」

 首を横に何度か振った後

「過去の艦艇の力を操る少女たちの事を艦娘と呼ぶのだよ。これ以上の設定は公式からは出てないので控えさせてもらおう」

「私たちのウマソウルみたいなものなんですかね。それで、艦娘たちは何をしてるんですか。水上レースとかですか?」

「演習とかではそのようなこともやるのかもしれませんが、艦娘の主目的は深海棲艦(しんかいせいかん)という何処から来て、どのように誕生したのかも不明な話の通じない海を荒らす敵を倒して平和な青い海を取り戻すことですわ」

「なんか大変そうですね……」

「まあ育成シュミレーションゲームですからそういう、長く続けられるような設定になってるということですわ」

 

 

「艦これの大雑把な世界観がわかってもらえたところで、皆にはロールプレイする艦娘を選んでもらおうか」

「演じるんですか!?私、歌ったり踊ったりは出来ますけどロールプレイとかはしたことないですよ」

「私も以前ゴールドシップさんに

『スズカって島風型一番艦 島風と似てるよな……物真似の練習しようぜ!』

と言われて三十分ほど練習させられたのだけれど、終わった時に

『誰にでも向き不向きってのがあるよな。時間とらせて悪かったなスズカ』

って神妙な顔で言われたんですけど……できるのでしょうか」

「お二人とも安心してください!艦これRPGでは艦娘をよく知らない方やTRPG初心者でもロールプレイをしやすくするために、艦娘データにリアクション表が付いていますわ。これを使用していただければその艦娘っぽくなりますわ」

「それと、ルルブにも書いてあるが無理して似せる必要はないようだよ。楽しむ分にはそれっぽい行動で十分だともあるね。それに私達がやるんだ、私達の個性も出ていた方がスぺ君もスズカ君もやりやすいだろう」

「そうですね。その方が話しやすい気がします」

「まあ、そんな感じでゆるくいくから、好きな艦娘を選んでくれ」

「「わかりました」」

 

 

「わ~。いっぱいいるなぁ」

「百人くらいいるみたいよ。スぺちゃん」

「百人もですか!?誰にすればいいか困っちゃいますね」

「選ぶなら、リアクション表を見て自分が言いそうなセリフだなという方か、自分が絶対言わないセリフが書いてある方がいいですわよ。前者なら自然にロールプレイできますし、後者なら普段できないことをするので新鮮で楽しいですわ」

「あとはTRPGなんだ。ダイスを振ったり、開いたページの艦娘にするっていうのも乙なものだよ」

「わかりました。じゃー私はこの最上型三番艦 鈴谷改(すずやかい)にしますね!スズカさんと名前が似てるし、あとこういう都会っぽい言葉遣いはあんまりしないのでやってみたいと思います!」

「スぺちゃん」

「私はせっかくだし開いたページの艦娘でいかせてもらおう……。ふむ、このページか。では、私は飛龍型一番艦 飛龍(ひりゅう)にしよう」

「トレーナーさん。この艦娘達の中で速い娘ってどなたですか?」

「速い娘?戦闘はプロット順で動くから……行動力が多いって意味なら駆逐艦か潜水艦になるかな。ほら、さっき話に出てた島風も駆逐艦の一人だよ」

「じゃあ、その中からダイスを振って決めましょうか。コロコロっと……この出目だと、綾波型二番艦 敷波(しきなみ)ですか。不思議ですね、何か運命的なものを感じる気がします……うん。この娘でいきます」

「航空巡洋艦に正規空母。それと駆逐艦がいるなら私も好きな艦娘を選んで良さそうですわね。私は高雄型三番艦 摩耶(まや)でいこうと思いますわ。制空権を奪って袋叩きにしてあげますわ」

「ヨシっ。全員決めたな。そしたらキャラクターシートの方に書き写して、ギャップを一列埋めてくれ」

「ギャップ?」

「個性リストにある空欄のところですわ。ここも一マスに数えるので個性を代用して判定する際に目標値がその分高くなってしまうのですけど、埋めたところはマスとして数えなくなるのですわ」

「へ~。そうなんですね」

 

少女達記入中――

 

「「「「出来ました!」」」」

「PCの方は良さそうだね。それと、シナリオ開始前に決めるべきことが最低三つ。必要であれば四つあってね」

「なんですか?」

「一つ目は君達のPCである艦娘が拠点としている鎮守府の名前。

二つ目は君達の艦隊名。

三つ目はその艦隊の旗艦、分かりやすく言うとリーダーは誰なのか。

四つ目は提督の特徴。何度か出てくるNPCなので共通認識があるとロールプレイしやすいかな。

一番最後のは別に決めなくていいけど、前三つは決めておかなきゃならないんだ」

「それなら、トレセン鎮守府と第一艦隊とかでよろしいのではないですか。旗艦は話し合う必要があるでしょうけど」

「おや、マックイーン君。そんな消極的な名前で本当にいいのかい?」

「消極的って……別に普通のよくある名前ですわ」

「そうだね。私もそう思う。だからこそだよ」

アグネスタキオンはタメをつくってスペシャルウィークとサイレンススズカの方を手で示す。

「見たまえ。ここに二人、TRPGを初めてするウマ娘達がいるんだ。面白い結果……ゴホン、楽しい思い出を残してあげるべきだとは思わないかい」

「それは当然のことですわ。ですが、それと名前に何の関係が……タキオンさん、あなたまさか!?」

「ああ、そのまさかだとも。これを使うのさ!」

そう言って机の上に開かれたルールブックが置かれる。そこに書かれていたのは――

「「鎮守府名決定表?」」

「出ましたわね!命名表改め大惨事表。タキオンさん本気ですの!?」

「私はいつだって本気だとも。それに大惨事表もTRPGの花だよ。マックイーン君」

 

 

 天使のメジロマックイーン(わたくし)と悪魔のメジロマックイーン(わたくし)が心の中で争いを始める。

「命名表を使えば九割方でとんでもない名前になりますわ。初回プレイのスズカさんとスペシャルウィークさんにそんな艦隊名でプレイさせるのは悪いですわ」

「命名表による大惨事はTRPGの洗礼みたいなものですわ。プレイしているうちに味わうんだ。その二人はそれがたまたま初回だったってだけですわ」

「ここで味合わせたら、その次がなくなるかもしれませんわ」

「じゃあ、逆に訊きますけど。その普通の名前で笑って、じゃあ次回もとなりますの?」

「うっ。それは……」

「それに見たくはありませんか。初回プレイのお二人がダイスを振って出来た名前に目を白黒させる姿を」

「それは確かに見たいですわ!メジロ家のお茶会で命名表を振っても、そこそこ笑った後に、まぁこんな感じだよねぇ。で終わってしまうのが物足りなく感じていましたから。初回プレイのお二人が慌てて振り直しを要求する姿が見たいですわ!」

天使のメジロマックイーン(わたくし)が愉悦部に入部してしまいましたわ!

 

 

 アグネスタキオンの言葉から一秒経たずに――

「そうですわね。せっかくですし、判定前の運試しも兼ねて鎮守府名決定表と艦隊名決定表、それと提督外見決定表の方も皆さんで振って決めましょうか」

笑顔を浮かべて言った。

「マックイーンさん?」

「どうしたのスぺちゃん。何かあった?」

「一瞬、マックイーンさんの周りに羽が見えた気がしたんですけど……。うん。気のせいみたいです」

「そう。それならいいんだけど」

 

 

「鎮守府名決定表を使うなら六面ダイスを二個振ってくれ。誰が振る?」

「言い出したのは私だし、そこは私が振らせてもらうとしよう」

コロコロっ

「ふむ。地名表と鉱石表と組織表を振るようだよ」

「鉱石表?」

「鉱石表もそうだけど、組織表もおかしくないかしら。だって艦娘が所属するのは鎮守府なんでしょ?」

「まぁまぁ、お二人ともTRPGにおいてダイス目は絶対ですわ。疑問があるかもしれませんがとりあえず振ってしまいましょう」

コロコロっと

「地名表でこの値だと……『大湊(おおみなと)』ですわね。私達は青森県にいるようですわね。さぁ、お二人もどうぞ」

「じゃあ私が鉱石表の方を。スぺちゃんは組織表の方をお願いね」

「わかりました。スズカさん」

コロコロ

「鉱石表の方は『碧玉(へきぎょく)』になりました」

「組織表の方は『アカデミー』でした」

「じゃあ、つなげて『大湊碧玉アカデミー』になるね。まぁ当たりの方じゃないか」

「そうですわね」

「えっ、私アカデミーを出しちゃったんですけど当たりなんですか!?」

「城や帝国になってないあたりスぺシャルウィークさんは引きが強いですわね。流石ダービーウマ娘ですわ」

「へへっ。ありがとうございます」

 

 

「さぁ今度は艦隊名決定表の方だ。こっちはマックイーン君が振るかい?」

「そうですわね。私が振らせていただきますわ」

コロコロっと

「……修飾表と植物表とチーム表ですわ」

「これは、来たね。では一番事故の少ない植物表は私が振るとしよう。さっきはスぺ君が組織表を振っていたようだからスズカ君がチーム表を振るといい」

「わかりました」

「何か嫌な予感がするけど……わかりました」

コロコロ

「植物表は『蒲公英(たんぽぽ)』だったよ」

「修飾表は『燃える』でした」

「チーム表は『隊』になりました。普通のでよかったぁ」

「ということは艦隊名は『燃える蒲公英隊』になりますわね」

「これじゃ、たんぽぽが燃えてますよ!すいません。私が悪かったのでチェンジをチェンジを要求します!」

「残念ですがスペシャルウィークさん。TRPGにおいてダイスは絶対です」

「そんなぁ」

「この名前決めではダイスを振ってないPLの一人が気に入らない箇所を振りなおす事ができるらしいですが」

「じゃあ、マックイーンさんが修飾表の部分を振りなおせるってことですね!」

机に突っ伏していたスペシャルウィークがガバッと起き上がりメジロマックイーンの方を見るが

「この名前でいいので振りなおしませんわ」

「え~。いいんですか、本当に!?これで!?これだと現在進行形で火が付いてるたんぽぽなんですよ!」

「構いませんわ。(それに、『復讐の』とか『ミニミニ』なんて単語(じらい)がぱっと見ただけなのに目に付く修飾表なんて望んで振りたくありませんわ。というか『燃える』がかなり当たりの部類なのでこれ以上を望みませんわ!)」

「そこまでにしたまえスぺ君。振り直しの権利を持ったマックイーン君がこれでいいと言ってるんだ。ならば私達はこの名を背負って戦うしかあるまいよ」

「う~。わかりました。タキオンさん」

「スぺちゃんも納得したようだから旗艦も決定しちゃいましょうか」

「それなんだが、PC紹介をしてからだから、一旦PC紹介の文章を考えるための時間確保も含めて休憩にしよう」

 

「PC紹介をしていこう。他の人が艦娘紹介したら、その艦娘の名前をキャラクターシートの人物欄に記入してくれ」

「先ほども話にありましたが、無理して元キャラに寄せる必要はないので、PC紹介では自分らしいその艦娘を紹介してもらえばいいですわ」

「そうだねぇ。お手本というわけじゃないが、私がPC1としてやらせてもらおうか」

 

 

「PC1航空母艦の飛龍だよ。空母戦なら私に任せたまえ。どんな苦境でも戦い続けようじゃないか。

初期個性は幸運、負けず嫌い、恋愛。弱点で索敵と退却。ギャップは趣味と航海の間を埋めたよ。航空母艦なのに索敵が弱点なのは一つの事に集中してしまうせいかもしれないねぇ。

あと彼女の話をするのにかかせないのが多聞丸……この人は飛龍を指揮していた元提督なのだが、ここは私らしさを出させてもらおう。共に戦った相棒だから、この飛龍にとっては多聞丸(モルモット君)になるよ」

「「わぁ~」」

「なんだい、その反応は」

「わかりますわ。タキオンさん。私もトレーナーさんとは一心同体!タキオンさんもタキオンさんのトレーナーの事をとても大事に思っていらっしゃるのですね!」

「その反応もそれはそれで困るねぇ。さぁ、まだ旗艦とかも決めなきゃならないんだ。次のPC紹介を始めてくれ」

「(照れましたわ)」

「(照れてますね)」

「(照れてるわね)」

「ほら、次は誰だい。はやくしたまえよ」

トントンとアグネスタキオンが机を叩き先を促す。

「わかりました!次は私がやります」

 

 

「PC2最上型航空巡洋艦鈴谷改だよ!チースッ。一人称の時は改を省略します。

初期個性は自由奔放、おしゃべり、航空戦。弱点がマジメです。ギャップは魅力と性格の間を埋めました。

え~と、あとは私らしさ……鈴谷はギャルっぽい娘なんですけど、これはギャルっぽく振る舞ってるからなので素は全然違うみたいな?

でいいですかね」

「ええ。そんな感じで構いませんわ」

「ああ。十分だとも」

「頑張ったわね。スぺちゃん」

「みなさん……ありがとうございます!」

「トリは私が務めるので、スズカさんがお先にどうぞ」

「わかったわ」

 

 

「PC3。あたしは綾波型二番艦、名は敷波。以後よろしく。

初期個性はいじわると海図。弱点におしとやかがあります。ギャップは性格と趣味の間を埋めておきました。

強気だが、ときどき拗ねる甘めのツンデレ?らしいのだけど……出来るよう頑張るわ。

それとプロット六(先頭の景色)は譲らない…!」

「何か間違ってる気がしなくもありませんが全然大丈夫ですわ」

「かっこいいです。スズカさん!」

「その回避力で六プロの軽空母からの攻撃を存分にかわしてくれたまえ」

「それでは最後に私がキャラ紹介をしますわ」

 

 

「よ!アタシ、摩耶ってんだ、PC4をやるからよろしくな!

初期個性はお嬢様、元気、対空戦闘。弱点は対潜戦闘ですわ。ギャップは安定をとって性格と趣味の間を埋めましたわ。

フリー枠でお嬢様を取ったのでカラッとした関係の仲の良い友達を作りたい摩耶様って感じですわ。

対空能力が高いので相手の艦載機による攻撃や索敵をぶっ潰してやるよ」

「マックイーンさんがそういう言葉遣いしてるのびっくりしちゃいますね」

「まあ、普段はしませんからね」

「そういう普段やらないキャラをロールプレイするのもTRPGの楽しみだよ。スぺ君も鈴谷のギャルロールプレイをしているうちに楽しくなってくるはずさ」

「はい」

 

 

「これで全員のPC紹介が終わったね。そしたら一人旗艦、つまりリーダーとなる人を決めてくれ」

「私は初めてやるので遠慮しておきますね」

「鈴谷も個性が自由でマジメが弱点なあたりリーダーっぽくないので私も遠慮しておきます」

「そうなると私かマックイーン君のどちらかになるが……どうする?」

「そうですわね……飛龍の個性に負けず嫌いがあるのでタキオンさんが旗艦でいいのではないですか」

「そういう摩耶のキャラも旗艦向きなキャラだと思うが……全員遠慮していては決まらないし、いいだろう。この『燃える蒲公英隊』の旗艦は飛龍が務めよう」

「了解。そしたら提督外見表も振って決めちゃってくれ」

「そうだねぇ。面白い外見になりそうなのは……マックイーン君任せたよ」

「ええ。任されましたわ」

コロコロ

「この出目だと……。残念ですが、青年提督でしたわ」

「普通だねぇ」

「普通ですね」

「これだったらスぺちゃんの方が面白い結果を出せたのかしら?」

「ちょっと振ってみますね」

コロコロっ

「紳士提督でした」

「あまり変わらなかったか」

「これでシナリオ前に決めることは終わったな。じゃあ導入フェイズに入るぞ」

「「「「おー」」」」

 

 

 



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艦これ3(導入フェイズ+1サイクル目開始時)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。
艦これ5、6をまとめました。
提督室に入るまでが長くなってたり秘書艦が変わってたりしますが、秘書艦の方は100%趣味です。


「それじゃあ、シナリオ『近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!』を始める」

 

 

導入フェイズ

 

 きみたち四人は本日付で『大湊碧玉アカデミー』に所属することになった艦娘だ。新しい鎮守府に期待とちょっぴりの不安を持ったきみたちは自然と会話が交わされるだろう。

「いきなりこっちにふってくるねぇ。じゃあ……」

 

 

「敷波君。わくわくして先に行きたい気持ちはわかるがアカデミーへの地図を持っているのは君なんだ。君とはぐれたら迷子になってしまうから少し待ってくれないか」

「……。あ。私が敷波でしたね。

ごめんなさい飛龍。つい先走ってしまったわ。鈴谷たちはついてきてる?」

「もち、だいじょ~ぶだよ!」

「余裕だぜ」

「なら、少しペースを上げてもいいか。初めて行く場所だ、少し余裕を持っておこう」

「そうしましょう」

 

 

大湊碧玉アカデミー

 

 

「と~ちゃぁく。うー、長かったぁ」

「おいおい、他のやつらもいるんだからあんまだらしない動きすんなよ」

「わかってるって」

「それじゃあ、提督に挨拶しにいこうか」

「そうですね。行きましょうか」

 

 建物の中に入り、目的の部屋を目指す。

 執務室と書かれた扉の前。飛龍は扉をノックした。

 

「入りたまえ」

 若い男の声。おそらく提督の声だろう。それに従い、きみたちは提督の執務室に入る。執務中だったのだろう、机の上には開かれたファイルと書きかけの書類が置かれている。

 壁には「サイコロ次第」と書かれた掛け軸が下がっている。

「きみたちが、新しく着任した『燃える蒲公英隊』の諸君だね。私は、『大湊碧玉アカデミー』の提督、蒼歳(あおと)だ」

 提督は、気さくに話しかけてきた。

 それに対して君たちはどう返事をするかな

「はっ。本日付で配属されました。飛龍型一番艦 飛龍です」

「同じく本日付で配属されました。最上型三番艦 鈴谷でーすっ!よろしくっ!」

「同じく本日付で配属されました。綾波型二番艦 敷波です」

「同じく本日付で配属されました。高雄型三番艦 摩耶だぜ。よろしくな提督」

「何人か雰囲気が硬いな。まぁ、そう硬くなる必要はないよ。初めて来たようだけどここでの流儀にもすぐに慣れるはずさ」

と優し気な口調で言った。そして続けて

「ちなみに、彼女が私の秘書艦になる。何かわからないことがあったら彼女に聞いてくれ」

と隣の阿武隈を見る。

「長良型六番艦 阿武隈です!何かわからないことがあれば、私に聞いてくださいね!しっかり答えてあげますよ。

それと、この後皆さんが寝泊まりする寮に案内するのでしっかりついてきてくださいね」

「了解しました」

 

 

「というところで導入を終えるから、いままでのやり取りを振り返って誰か一人に対して【感情値】を一点上昇させてくれ」

「【感情値】?」

「人物欄の横にあるやつだ。これを使うと判定の達成値だったり戦闘のダメージが伸ばせるんだ」

「そうだねぇ。飛龍からは摩耶にダイス運が『しんぱい』で取っておこう」

「そんな取り方でいいんですか!?」

「説明にもあったがこれで達成値を増やせるんだ。今日のダイス運があまりふるわない娘を助けるために使うのも戦略の一つさ」

「逆にダメージを伸ばせそうなダイス運が良い方に取ってもいいですし、そこは好みですわ。ということで、摩耶は鈴谷改に対して『かわいい』で取りますわ」

「なら敷波から飛龍に対して旗艦を務めてて『かっこいい』で取ってもいいのかしら?」

「それで構いませんわ。むしろ、ロールプレイに絡めてるあたりとても良いですわ」

「じゃあ、鈴谷から敷波ちゃんに、地図を見て道案内できて『すごい』にします!」

 

「よし。全員取れたな。じゃあ導入フェイズ終了だ。それとサイクル開始前にPLにイベントカードというものを書いてもらう」

 一枚ずつカードを配りながら話をする。

「書いてもらったイベントカードは集めたらシャッフルして山札にする。それをシーンプレイヤーが引いてそこに書かれたシーンをやっていくことになる」

「わかりました!」

「マックイーンさん。これはどれがオススメなのかしら?」

 サイレンススズカが書き始めようとした手を一旦止めて、マックイーンに質問をする。

「イベントの内容はそこに書かれてある通りなのでやりたいシーンを選ぶといいですわ。ただ、同サイクルでシーンが被るとダイス目がマイナス一されるので他の方と被らないようにするといいと思いますわ」

「じゃあ、みんなで……」

「ストップ。ストップですわ。イベントカードを書くときは相談してはいけませんわ」

「あら、そうなの?」

「そうだねぇ」

「こっちのキーワードには何を書けばいいんですか?」

「そっちは何を書いても構いませんわ。机の上にあるものだったり、好きなものだったりと、常識の範囲内のものでお願いしますわ」

「わかりました!」

 

 

少女達記入中――

 

 

「「「「出来ました」」」」

「オーケー。そしたら裏返しにして渡してくれ」

 イベントカードを四枚とも受け取ってシャッフルする。それを山にしてテーブルの中央に置く。

「これで一サイクル目を始める準備が出来たな。そしたら、一サイクル目開始時にイベントが入る」

 

 

一サイクル目開始時 宿舎へようこそ

 

 

 きみたちは秘書艦の阿武隈に連れられ、これから寝泊まりを行う寮に案内された。そこは、きみたち全員が生活する大部屋になっていた。

 案内してくれた阿武隈は、こう話す。

「ごめんなさい。本来なら、艦種ごとに寮は分かれているものなんですけど……予算不足で、宿舎は今、ここしか空いてないんです」

 部屋の中は殺風景で、人数分のベッドとロッカーがあるだけだ。

「わー~?」

「こりゃ、また寝るだけの部屋って感じだな」

「それで十分じゃありませんか?」

「敷波ちゃん!?」

「まぁ、提督の執務室もかなりさっぱりしていたし、そんな気はしていたよ」

「ははっ……本当にごめんなさい。でも、せっかくの機会だから、同じ部屋で親交を深めてみて、ね」

 そう言うと、阿武隈は去り、

「すいません。浴場とか、食堂の場所も教えてもらっていいですか?」

去ろうとしたところを敷波に止められて

「それなら、こちらをどうぞ」

と『大湊碧玉アカデミー』の地図を渡される。

「ありがとうございます」

「今日は移動もあったのでここからは休みにしておきます。夕食と睡眠をしっかり取って明日に備えてください」

「「「「了解です」」」」

阿武隈は去り、物寂しい部屋にきみたちだけが取り残される。

 

 

 夕食を取り、移動の疲れをお風呂で癒したきみたちは部屋に備え付けられたベッドに横になる。

 夜が更けると、PCたちは眠りにつく。PCたち全員は、各自、D66を振って「夢見表」を使用してください。

 

 

飛龍 

温かい手。誰かの手が、優しくあなたの頭を撫でている。その手を通じて、ぬくもりが伝わってきた。この優しい手は誰のものだったのだろう。

 

鈴谷

ごちそう。とても美味しそうなごちそうが目の前にある。それは食べても食べてもなくならない。ほっぺたが落ちそうになるほど美味しい。もっと、もっと食べたいなぁ。

 

敷波

孤独な魂。あなたは暗い部屋の中でうずくまっている。あなたはずっと一人ぼっちだった。あなたの周りに、あなたを理解してくれる人は、誰もいなかった。

 

摩耶

復讐。あなたは何者かに敗北した。勝利したあいつは、あなたにとって、もっとも大切なものを奪っていった。絶対に許せない。あいつに必ず復讐しなければならない。

 

 

 それについては、このセッションを通じて皆さんが自由に設定を決めてくれてかまわないよ。ああ、だけど無理して何か決める必要はないからね。

 

 

 




アーケード版は3Dがすごいらしいけどいないんですねという作者もアーケード版は未プレイですが……(5/16/17:00)


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艦これ4(1サイクル目 シーン1)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。
※注 この作品ではPLがイベントカードを引いてシーン表も振ってますが、本来は提督が引いてPLはシーン表を振るルールです。実際にプレイする時はお気を付けください


「シーンを始めるにあたって、シーンプレイヤーを一人決めてくれ」

「では、私から参りますわ」

「マックイーンがシーンプレイヤーだな。了解。艦これRPGではシーンプレイヤー以外の艦娘も入渠していなければ基本的には全員登場だから、シーンに出ない宣言をしない限り全員いると思っておいてくれ」

「「「「はーい」」」」

「それじゃあ、マックイーンはイベントカードを一枚引いて、チェックされたシーンのイベント表を振ってくれ」

「いきますわ。ドロー!」

 山札から勢いよくカードを引いて表にする。

「遠征シーンでキーワードは『北海道』ですわ」

「それ書いたの私です!大湊が青森らしいので故郷が近いなぁって」

「ふふ。いいですわね。それでは遠征イベント表を振りますわ」

コロコロっと

「その出目だと……

 

遠征 社交界デビュー?

「一人前のレディーとして扱ってよね!」提督の代理で、セレブな人たちが集まる北海道に関するパーティーに出席。恥をかかないようにしないと。

シーンプレイヤーのPCは、提督が選んだ北海道に対応した指定個性で判定。思いつかない場合は《お嬢様》で判定。

 

か。う~ん、摩耶は《お嬢様》ピン持ちで取ってたからそのままでもいい気がするけど……スペシャルウィークは何か北海道でオススメのものはあるか?」

「そうですね。自然豊かでいっぱい走り回れるところが良いですよ!踏みしめた土から返ってくるどっしりした感触。一面に広がるキレイな草の緑と空の蒼。それと走った後に吹き抜ける爽やかな風。どれも最高ですよ!」

「それはウマ娘たちにはたまらないんだろうなぁ。だから、サイレンススズカ。走りたくなったのはわかったから座っててくれ」

 そう言われてサイレンススズカはしょぼんとしてしまう。

「自然は判定に使いにくそうだし、まだ、何かないか?」

「あとはやっぱり食べ物です。茹でたニンジンやジャガイモがまるまる入ったスープカレーとか、みじん切りされたタマネギの甘さと魚介スープと鶏のスープを絶妙に混ぜたサッパリ目のスープに道産小麦を使用したちぢれ麺が美味しいラーメンとか、寿司のネタも大きくて脂がのっていていいですし、外しちゃいけないのは乳製品もですよね!そのまま牛乳として飲んで良し、発酵させてチーズにしても良し、生クリームとバターにしてケーキとして食べたりするのも良し!最高ですね!」

 じゅるり

 食べ物の話をしていてそんな音が聞こえてくるのはやはり彼女たちがウマ娘という人よりもエネルギーを多く必要とする体だからなのだろう。

「だったら、そうだなこんな感じでいこう」

 

 

一サイクル目 シーン一

 

 

 蒼歳提督のかわりに君たちは北海道で開かれるお祭りに参加することになる。その祭りには、鎮守府へ備蓄を卸してくれている企業のお偉いさんたちも出資しているので君たちはそれなりの礼節が求められる。

 ということで摩耶には、屋台の食べ物をキレイに食べられたか《食べ物》で判定してもらおう。

「それなら、《元気》で代用判定、目標値は七ですね。飛龍さんからの声援もあるので六でもオーケー。余裕ですわ!」

コロコロ

「タキオンさん声援お願いしますわ……」

「マックイーン君は期待を裏切らないねぇ。ほら、飛龍から摩耶への声援で達成値にプラス一だ」

「ということで判定成功ですわ!」

 

「ねぇ、摩耶。鈴谷がオススメしてあげた屋台料理、美味しい?」

「この揚げジャガイモっていうやつは主食としてなかなかいいぜ。衣とイモのダブルパンチでなかなか腹にたまるぜ。それと飲んでるイチゴミルクはすげえな。イチゴの果肉がちゃんと入ってるのもそうだけど、ミルクの上にソフトクリームがのせられて渡されるとか、思ってもみなかったぜ」

 串に刺さった揚げジャガを頬張り、イチゴミルクを喉の奥まで流し込む。

「摩耶君。美味しいのはわかっているが、君も女の子だ。敷波君を見習って少し慎みをだなぁ」

とあまりにも美味しそうに食べて注目を浴びている摩耶君を注意する。という声援の演出

「えっ、別にあたしを見習う必要なんて……摩耶さんは今の摩耶さんでいい感じなんだから。まぁ、褒められたのは嬉しいけど」

「ん。わりぃ。美味しすぎて他の人の目があるのを忘れてたぜ。気をつけますわ」

イチゴの果肉が喉に引っ掛かったのもあって、摩耶は少々食べるスピードを落として、食べ方を意識しますわ。

 では、そんな摩耶の良い食べっぷりでありながらも、お上品な食べ方は、企業の偉い人たちに好印象を与えたのだった。

 

 

 ということで成功報酬として好きな資材をプラス2D6してくれ。

「でしたら、燃料をいただくことにしましょう。八個増えたので合計で十三個になってシーン〆ですわ」

 

 

 




評価の方もよろしくお願いします


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艦これ5(1サイクル目 シーン2)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

トラブルが発生したためホテルに避難したりと、慌ただしくなっているので投稿ペースが落ちそうです。艦これRPGに関しては必ず完結させるので少々お待ちください。


「次は私がやります!」

「マックイーン君がやってるのを聞いたら私もやりたくなったよ」

「「むむ」」

 メジロマックイーンが人差し指をびしっと立てながら

「二人以上のPCでシーンプレイヤーの奪い合いが起きたらやることは一つ!決闘《デュエル》開始の宣言をしろスズカ」

「はっ、えっ。デュエルかいし~」

 サイレンススズカの緩い開始宣言。

「ダイスローッル!」

「振ります!」

ガキンッ!ゴロゴロゴロ ぶつかり合う二人のダイス。

「なっ、この私が負けただと!?」

「やった!勝ちましたよ!」

 負けたことが衝撃的過ぎて思わず立ち上がるアグネスタキオンとピースサインをだすスペシャルウィーク。

「それじゃあ、次のシーンプレイヤーはスペシャルウィークだな。じゃあ、山札からイベントカードを一枚引いてくれ」

「わかりました。私のシーン。ドォロオォー!」

 表面が向けられるカード。そこに書かれていたのは

「演習シーン。キーワードは『外、走ってきますね』です。これはスズカさんですね」

「ええ。そうよ。スぺちゃん」

「だろうねぇ」

「そしたら演習イベント表を振ってくれ」

「はい」

コロコロ

「それは

 

演習 速力演習

「私には誰も追いつけないよー」疾きこと風の如く。速力を利用した、素早い動きを得るために訓練する。

シーンプレイヤーのPCは、《機動》で判定。

 

 

だな」

「《機動》だと《おしゃべり》で代用判定をして目標値は……七ですかね?」

「ギャップを挟んでるから七じゃなくて八じゃないかしら?」

「そうだねぇ」

「八ですか。出るかな」

「不安なら行動力を1D6を消費して新しい個性を『発見』することもできますわ」

「じゃあ、行動力を……一点消費して《機動》を長所で獲得しました。これで目標値五で判定ですね」

コロコロっ

「成功です!」

「その値なら《おしゃべり》でも成功してたねぇ」

「やっぱりスペシャルウィークさんは出目強者側のようですね」

 

 

一サイクル目 シーン二

 

 

 お祭りからの帰り道

「お腹いっぱい食べたしさ。大湊碧玉アカデミーに競争して帰らない?」

 挑発的な鈴谷のそれに真っ先に乗ったのは

「いいですね。負けませんよ」

 敷波だった。

「この摩耶様に勝てると思ってんのか」

 そして、競争となれば摩耶も引くわけがなく

「なら私もまぜてもらおうか」

 そうなれば、飛龍も当然参加するわけで。

「いいねぇ!じゃあ、全員で競争ね。よ~い、ドンっ!」

 スタートの合図と同時に海上を四人の艦娘達が疾走する。艤装の駆動音と共に海面からあがった飛沫が月の光にあたってキレイに反射する。

 だが、そんな光景を負けず嫌いな君たちは気にしない。

 先の見えない夜の海。灯台の灯りを頼りに前へ前へと進んで行く。

そして……

「ゴォール!鈴谷の勝っちー」

「いえ、あたしの方が速かったです」

「先頭はアタシだろ!」

「何を言ってるんだ君たちは、旗艦の私が判定するに私が一番だった」

ガヤガヤガヤ

「もう、みなさん。帰ってきたと思ったら何をそんなに騒いでるんですか」

 君たちが大湊碧玉アカデミーの玄関で騒いでるのを聞きつけ、阿武隈がやってきた。

「「「「くぁwせdrftgyふじこlp」」」」

「何を言ってるのか。わかりません。ですが、みなさん仲良くなれてるようですね。よかったぁ」

君たちの行動に対してジト目で呆れた表情をしていたが、それも仲良くなった証だと思うと阿武隈は笑顔をうかべた。

「さぁ、部屋に戻って本日の報告書を作成してくださいね。それを提出したら各自休息を取って下さい」

「「「「了解」」」」

 

 

 って感じで判定に成功したから鈴谷改はこのセッションの間、回避力にプラス一のボーナスがつくから戦闘の時は忘れないでくれ。

「はい。では、これでシーンを終わります」

 

 

 

 

 



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艦これ6(1サイクル目 シーン3)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。



「次は私がシーンプレイヤーです」

「さっきスぺ君に負けたしいいとも。スズカ君がやるといい」

「じゃあイベントカードを引きます。遊びシーンでキーワードは『映画』ですね」

「これを書いたのはマックイーン君だねぇ。となると私は自分が書いたカードを引くことになるようだねぇ」

「そんなこともありますわ」

「じゃあ、サイレンススズカは遊びイベント表を振ってくれ」

コロコロ

「その出目なら

 

 

遊び 宴会

「そうそうその感じ!アゲアゲで行きましょ!」みんなで食べ物や飲み物や映画を持ち寄ってはしゃぐ。大宴会だ!

シーンプレイヤーのPCは、提督が選んだ映画に対応した指定個性で判定。思いつかない場合は《元気》で判定。

 

 

だな。この映画のジャンルは決めてたりするのかマックイーン?」

「特に決めてなかったので一、二で恋愛。三、四でアクション。五、六でホラーにしますわ」

コロっと

「摩耶が持ってきた映画はアクション系ということになりましたわ」

「アクション系なら《突撃》で判定してもらおうか」

「なら個性の発見をします」

「どうぞ」

「行動力を五点消費して《突撃》を長所で取得しました。《突撃》を使って判定しますね」

コロコロ

「スぺちゃん声援を下さい」

「わかりました。鈴谷から敷波に声援で達成値をプラス一します」

「これで成功です」

 

「なぁ、マックイーン君。私は少し嫌な予感がしてきたんだが君はどうだい?」

「奇遇ですわね。私もですわタキオンさん」

「(これスぺ君にダイス運吸われてないか!?)」

「(これスペシャルウィークさんにダイス運吸われてますわ!)」

「次の判定ふりたくないねぇ」

「完全成功はないですから頑張って下さい」

 

 

一サイクル目 シーン三

 

 

 演習を終えた君たちは自室へ戻る。

「なぁ、この後時間あるし映画でも見ねえか?」

「いいね!なになになんてやつ?」

「『NINJA提督対深海シャーク 七日間の闘争』」

「B級映画の臭いがしますね」

「それ本当にアクションなのかい?」

 

~艦娘たち映画視聴中~

 

「NINJA提督凄かったですね」

「まさか艤装もつけずに海上を動けるとは興味深いねぇ」

「海上を動くどころか空中を駆けてませんでした、あの提督!?」

「深海シャークなのに空中に居る時間の方が長かったよね!」

「二十分ほどはNINJA提督と深海シャークの空中戦でしたね……」

「あとは深海シャークの口の中に突っ込んで中から三枚おろしにするシーンは圧巻でしたね」

「敷波なら、あれ出来るんじゃないですか!?」

「嘘でしょ!?」

「このちんまい体ならいけそうな気がするけどな」

「ちんまい……まあ、皆さんに比べたらたしかにそうですけど……」

「わりぃ」

「はぁ。いいですよ別に。あたしは皆さんと違って恵体じゃないですから。でも、あたしなら深海シャークの三枚おろしできそうですね。ちょっと練習してみましょうか」

という感じで敷波は映画で見たNINJA提督の動きを真似してみます。

「敷波やばっ!」

「すごっ」

「やるねぇ」

「できちゃいましたね……」

 

 

 ということで判定に成功したので鈴谷改と飛龍と摩耶は敷波に対して感情値を一点上昇させてくれ。

「「「はい」」」

 全員上昇させたところでシーンを〆ようか。

 

 

 

 

 

 




アンケートへの回答ありがとうございます。


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艦これ7(1サイクル目 シーン4)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

評価、お気に入り登録ありがとうございます。執筆活動の原動力になります。
メジロパーマーも実装されたし、メジロ家のお茶会でTRPGをしてる作品を書いてくれてもいいんですよ!!


「最後は私だね。私が選んだのは交流シーンでキーワードは『紅茶』だよ」

 残ったイベントカードを表にしながらアグネスタキオンは言った。

「それじゃあ、交流イベント表も振ってしまおう。読み上げの方は任せるよ」

 コロコロ

「オケ。それは

 

 

交流 手取り足取り

「こ、これも、何かの任務なのですか!?」2人だけで秘密の特訓です。

シーンプレイヤーのPCは、自分以外の好きなPC1人選んで、《えっち》で判定

 

 

だね」

「二人だけってことは私ともう一人以外のPCは登場出来ないのかい?」

「シーン説明的にはそんな感じで書かれてるけど、特に登場制限はされてないし、登場可能だと思う……。いや、登場可能ってことにしようか」

「それなら対象PCを鈴谷改にしても敷波の声援を受けられるから助かるよ」

「秘密の特訓相手、私なんですか!?」

「そんなに驚くことでもないだろう」

「いや、でも、判定の個性が……《えっち》なので……」

 スペシャルウィークは人差し指どうしを絡めて、顔を紅潮させた。

「何を想像してるんだい。キーワードは『紅茶』だし、やるならその淹れ方とかだよ」

「そ、そうですよねー!私ったら何言ってるんだろう!?恥ずかしいな~。アハっ、アハハハハ」

「スぺ君が自爆から復帰するまでに判定をすませてしまおうか。まずは、個性《えっち》を発見しよう」

 コロっと

「行動力を四点消費して弱点で《えっち》を発見したねぇ。仕方ない。アクシデント表を振って判定に入ろう」

 コロリンっ

「その判定に使用した個性の属性(長所と短所)が反対になると。ってことは《えっち》が長所になるねぇ」

「当たり効果ですね」

「そうだねぇ。このままの運で判定も成功して欲しいところだが……」

 コロコロ

「六ゾロ。クリティカル成功だよ。行動値は、一回復だねぇ」

「ダイスが荒ぶってるようですわね」

「これは荒ぶっているというより、推測通り……」

「そうなのですか?」

「(ああ。この判定に成功すると個性を一つ未収得にして新しく個性を長所で獲得できるんだが、この成功報酬は選んだもう一人のPCも獲得できるんだよ)」

「(ということはスペシャルウィークさんも得するんですね!)」

「このシーンで一サイクル目が終わるし、【開発】をやっておかないか?」

「【開発】ですか?」

「メタ読みなんだが、このシナリオは二サイクルしかないから、このシーンが終わったら戦闘が発生すると思う」

「だから、このシーンで装備を整えたいと。そういうことですわね」

「それに艦これRPGのシステム上、轟沈させれば攻撃を受けなくてすむからね」

「つまり、圧倒的火力で先制攻撃を仕掛けるべき。ということでいいのかしら?」

「その通りだよ。スズカ君」

「ならしちゃいましょうか」

「ということでスぺ君。ダイスの方は任せたよ」

「私でいいんですか?」

「今回のセッションで一番ダイス運がいいのはスペシャルウィークさんのようですから。お願いしますわ」

「わかりました。振らせてもらいますね」

 コロ

「20.3cm連装砲になりました」

「やっぱり、持ってるねぇ。それは鈴谷改が装備できるからキャラ紙に書いておきたまえ」

「指定個性も自由奔放以外の長所から取っておくといいですわ。と思いましたけど、タキオンさんの判定で鈴谷改の個性は全部長所になるのでしたっけ」

「そうだねぇ。ということで提督。少しデータ整理タイムだ。待っててくれ」

「いいよ」

 

 

「飛龍は弱点の《退却》を未収得にして長所で《砲撃》を獲得するよ」

「鈴谷改は弱点の《マジメ》を未収得にして《優しい》を収得します。20.3cm連装砲を指定個性《おしゃべり》で装備します」

「了解。【開発】をしたから、鎮守府の資材は減らしておいてくれよ」

「それは私が書いておいたので大丈夫ですわ」

 

 

一サイクル目 シーン四

 

 

「飛龍じゃん。食堂で何してんの~?」

「鈴谷君か。提督と阿武隈君が書類仕事で手を離せないようだから息抜きに飲み物でもと思ってね」

 そう言った飛龍の手元にはお盆がありその上に茶菓子と二組のティーカップが置かれている。

「この前会ったような上流階級の人たちは茶葉や水からこだわるんだろうけど。まぁ、新設の鎮守府だしそこのところは今後の私たちの活躍次第ってところかな」

「そ~だね。美味しいご飯のためにも頑張るぞ~!」

 お祭りで食べたご飯や人々を思い出して鈴谷は両手を上に突き出す。

「ふふっ。せっかくだ、鈴谷君も紅茶、淹れてみるかい」

「いいの?やるやる~」

 そうして、飛龍が紅茶の淹れ方を鈴谷に一通り教えた後、二人で執務室に行く。そこで提督と阿武隈に紅茶と茶菓子を渡すよ。

「ありがとうございます。飛龍、鈴谷」

 阿武隈は二人にお礼を言う。

「二人ともありがとう。あと、そこに大本営から届いた新しい装備が工廠にあるから使ってくれ。中距離砲だから鈴谷か摩耶が装備できるはずだ」

 と蒼歳提督はお礼と共に二人に指示を出す。

「「了解」」

 返事をした二人は執務室を出て工廠に20.3cm連装砲を取りに行き、そのまま鈴谷が装備します。

 

 

 という感じで短いがシーンを終わらせよう。

 

 

 




「確認してたけど、あたし出なかったなぁ」


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艦これ8(1サイクル目終了時)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

前話にルールミスをしているところがあったので編集しておきました。ルールガバは気をつけよう。


「一サイクル目終了時、出撃イベントが発生する」

「予想通りだねぇ」

「やっぱり来ましたわね」

「すごい。タキオンさんが言った通りだ」

「本当に来たのね」

 

 

一サイクル目 終了時

 

 

 大湊碧玉アカデミー内にしつらえられたスピーカーが鳴り響く。

「燃える蒲公英隊のみなさんは、提督の執務室に来てください。繰り返します。燃える蒲公英隊のみなさんは提督の執務室に来てください」

 突然の呼び出しに、君たちは慌てて執務室に向かう。

 そこには、真剣な表情の蒼歳提督がいた。

「深海棲艦の偵察部隊が確認された。早速だが、燃える蒲公英隊にも、迎撃任務に向かってもらいたい」

「「「「了解」」」」

 

 君たちは、そう言われて出撃任務に向かいました。

 大湊碧玉アカデミー近海周辺を偵察している最中に遭遇は発生する。

 

 敵艦隊は、駆逐イ級が四体、駆逐ハ級 eliteが一体です。

 戦場は同航戦です。

 

「よしっ!二航戦、出撃します!」

「さてさて……突撃いたしましょう!」

「おう、行くぜ!」

「砲雷撃戦、はじめるよっ!」

 

 

戦闘開始

 

 プロット決め。このとき「偵察」の装備能力が使える。

「じゃあ、駆逐ハ級 eliteに偵察機を飛ばします。《航空戦》で代用判定。目標値は七です」

コロリン

「余裕の成功です」

「では駆逐ハ級 eliteのプロットは公開しておくよ。こっちからの偵察はないから、相談せずに決めてくれ」

 

 

六 駆逐ハ級 elite 駆逐イ級A 鈴谷改 敷波

五 駆逐イ級B 飛龍

四 摩耶

二 駆逐イ級C

一 駆逐イ級D

 

 

「プロット公開時に鈴谷改の固有アビリティ【絶対領域】を発動します。これで駆逐ハ級 eliteと駆逐イ級Aに損傷を一個ずつ与えます」

駆逐ハ級 elite 小破

駆逐イ級A 小破

 

 

➀航空戦フェイズ

 五プロ 飛龍 艦上爆撃機で駆逐ハ級 eliteに攻撃 《負けず嫌い》で命中判定 行動力を3消費してリロール 成功

「このとき固有アビリティ【先手必勝】を発動。ダメージを航行序列の分だけ上昇させる」

 ダメージ14点

 駆逐ハ級 elite 大破

 

 

②開幕雷撃戦フェイズ

 いない

 

③1ラウンド目:超遠距離砲撃フェイズ

 いない

 

④1ラウンド目:長距離砲撃フェイズ

 いない

 

⑤1ラウンド目:中距離砲撃フェイズ

 六プロ 鈴谷改 20.3cm連装砲で駆逐ハ級 eliteに攻撃 《おしゃべり》で命中判定 成功

中口径主砲で駆逐ハ級 eliteに連続攻撃 《自由奔放》で命中判定 成功

 ダメージ13点

 駆逐ハ級 elite 轟沈

 

 四プロ 摩耶 中口径主砲で駆逐イ級Aに攻撃 《対空戦闘》で命中判定 成功

 ダメージ12点

 駆逐イ級A 轟沈

 

⑥1ラウンド目:短距離砲撃フェイズ

 六プロ 敷波 小口径主砲で駆逐イ級Bに攻撃 《海図》で命中判定 成功

        魚雷で駆逐イ級Bに連続攻撃 《いじわる》で命中判定 摩耶が声援を使用 成功

 ダメージ17点

 駆逐イ級B 轟沈

 

 二プロ 駆逐イ級C 5inch単装砲《砲撃》で飛龍に攻撃 《砲撃》で回避判定 成功

 一プロ 駆逐イ級D 5inch単装砲《砲撃》で鈴谷改に攻撃 《航空戦》で回避判定 行動力5消費してリロール スペシャル 行動力が6回復

 

⑦2ラウンド目:短距離砲撃フェイズ

 六プロ 鈴谷改 20.3cm連装砲で駆逐イ級Cに攻撃 《おしゃべり》で命中判定 成功

中口径主砲で駆逐イ級Cに連続攻撃 《自由奔放》で命中判定 成功

 ダメージ38点

 駆逐イ級C 轟沈

     敷波 小口径主砲で駆逐イ級Cに攻撃 《海図》で命中判定 成功

        魚雷で駆逐イ級Cに連続攻撃 《いじわる》で命中判定 成功

 ダメージ12点 

 駆逐イ級D 大破

 五プロ 飛龍 艦上爆撃機で駆逐イ級Dに攻撃 《負けず嫌い》で命中判定 成功

 ダメージ5点

 駆逐イ級D 轟沈

 

 敵艦隊が全滅しました。君たちの勝利です。戦果表を五回振って下さい。

 弾薬七個 鋼材六個 ボーキサイト十一個 

 飛龍から摩耶に感情一点上昇 ダイス運が心配のまま

 鈴谷改から飛龍に感情一点上昇 ありがとうで取得

 敷波から摩耶に感情一点上昇 仲間で取得

 摩耶から敷波に感情一点上昇 その強さ認めるぜで取得

 

「スぺ君の活躍が凄まじいねぇ」

「そんなことないですよぉ」

「行動力を消費したのに振りなおして回復してるのダイス運が強いわね。スぺちゃん」

「そう言うサイレンススズカさんもしっかり連続攻撃を当ててるあたり、お二人とも十分強いですわ」

「二サイクル目に入ったら《雷撃》の個性を発見しておかなくちゃ。今回はそこまでいかなかったけど雷撃戦フェイズで代用判定することになっちゃうから。もし、私が忘れてるようだったら教えてください」

「わかりましたわ」

 

 

 君たちは大湊碧玉アカデミーへ帰投する。

「燃える蒲公英隊。帰投しました」

「無傷の大勝利だよ~。鈴谷~強いんじゃない」

「ま。アタシにかかればこんなもんよ」

「司令官!あたしすごかったでしょ?ね!あ、いや…。まあどうでもいいん…」

 蒼歳提督は、君たちの報告を聞いていた。

「ご苦労、よくやった。船渠で充分に休息してくれ……と言いたいところだが、実はもう一仕事頼みたい」

「敵偵察の主力部隊が見つかった。準備を整え、この主力部隊の撃退をお願いしたい」

「「「「了解」」」」

 

 

 新たに任務で「敵偵察主力部隊に勝利する」がくだされる。

 二サイクル目が終了すると、鎮守府フェイズは終了し、決戦フェイズになる。そして、敵偵察の主力部隊と艦隊戦を行うことになる。

 ということで一サイクル目を終了する。

 

 

 

 

 




数字と漢数字が現れるのが嫌なんですけど、こっちの方がわかりやすいですかね?


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艦これ9(2サイクル目 シーン1)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。



「二サイクル目を始めるから、イベントカードを書いてくれ」

 と一枚ずつイベントカードを配る。

 二回目だからか、先ほどよりも短い時間で山札がつくられた。

「それじゃあ、一シーン目は誰がシーンプレイヤーやる?」

「私はリロールする可能性を考えると一番手はパスさせてもらうよ」

「それじゃあ、また私が一番手を」

「私がやらせてもらっていいですか?後になると《魚雷》を発見するのも忘れちゃいそうなので」

「かまいませんわ」

「スぺちゃんもいいかしら?」

「いいですよ」

「それじゃあ、引きます」

 山札の一番上のカードが華奢な白い指でめくられる。

「遠征シーンでキーワードは『メガネ』ですね。遠征イベント表を振りますね」

コロっと

「これは見事に真っ赤だな。

 

 

作戦 電子の目

「五十鈴には丸見えよ?」最新のメガネ技術で敵艦隊の位置を把握。

シーンプレイヤーのPCは、提督が選んだメガネに対応した指定個性で判定。思いつかない場合は《電子戦》で判定。

 

 

だな。最新のメガネ技術で敵艦隊の位置を把握ってシーンらしいから《秘密兵器》で判定してもらおうか」

「わかりました。《秘密兵器》をまず発見します。行動力を三消費して長所で獲得しました。ついでに《魚雷》も発見しておきます。こっちは行動力を四消費して短所になりました。そしたら、《秘密兵器》で判定します」

コロコロっ

「成功です」

「シーン表でピンゾロが出た時は終わったかとも思いましたが普通に成功しているようで安心しましたわ」

「スズカ君も行動力を大分消費したねぇ。補給するのを忘れちゃダメだよ」

「はい」

 

 

二サイクル目 シーン一

 

 

 新たな任務が下された翌日。君たちは会議室に集まっていた。

「新しく提督から下された任務『敵偵察主力部隊に勝利する』を達成するために燃える蒲公英隊で作戦会議を開こうじゃないか」

 旗艦の飛龍がテーブルの上に近海の海図を広げて燃える蒲公英隊のメンバーに言った。

「は~い」

 元気よく返事する鈴谷。

「おう。いいぜ。だけど、敷波のやつが来てないが……どこ行ったんだ?」

 作戦を決めるのはいいとして、部屋の中にいない仲間が心配な摩耶。

「それなら……」

「飛龍さん。阿武隈さんから全員分のメガネを借りてきました。これでデータが見れるはずです」

 会議室に入ってきた敷波の両手には小さな箱が抱えられていた。

「ありがとう敷波。それじゃあ、一人一つ取って、かけてくれ」

 箱の中にはメガネケースが四つ入っていた。君たちは一つずつ手に取ってメガネをかける。

「右側にあるのが電源スイッチだそうです」

 メガネの側面についたスイッチを押す。

「わっ!?」

「うおっ!?」

 君たちの視界にデータの一覧が出てくる。

「音声でも、タッチでも検索できるらしいですよ」

 敷波は周りから見ると何もない空間で指を滑らせる。

「わ~。すごい!」

 と鈴谷がはしゃぐ。

「すげえな。これ。いったいなんなんだ?」

 とりあえず、目についたデータを開きながら摩耶が尋ねる。

「外部に出せない艦娘や深海棲艦の戦闘資料がまとめられたデータベースにアクセスするために作られたメガネ型の端末だよ。使い方は敷波君が言った通りさ」

 飛龍は目当てのデータを探しながらその問いに答える。

「こんなのがあるのに寝床は全員一緒なんだな」

「これは激戦区の鎮守府で使う前の実施試験みたいなものだから金がかかってるわけじゃないよ。むしろ、前線で使われるような代物を試作品とはいえ使わせてもらえるようにしてるあたり、若いながらなかなか立ち回りがうまいんだろうねぇ」

「へぇー。そういうもんなのか」

 聞いてるうちにどうでもよくなったのか摩耶は生返事をする。

「さぁて、無駄話は終わりにしてここ一か月での遭遇記録を確認していこう」

「戦艦や正規空母は来てないようですね」

「今回も偵察部隊ということだから軽巡や軽空母が主力の部隊だろうねぇ」

「じゃあ、そいつらの弱点部分とかもチェックしておくか」

「じゃあ軽巡洋艦で検索かければ……っていっぱい出てきた」

「それだと、他鎮守府に所属している艦娘も出てきてしまうので条件を絞らないとだめですよ、鈴谷さん」

「そうなんだ。教えてくれてありがとう敷波」

「どういたしまして」

 と様々な記録を確認しているうちに時間が過ぎていく。

 

 

 判定に成功したから次の艦隊戦の間、敵艦隊の装甲力が一点減少する。

「これでシーンを終了します」

 

 

 

 

 




TRPGタグで覇王世代のソードワールドを探してるのですがどこかにありませんか?


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艦これ10(2サイクル目 シーン2)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

前回遠征シーンなのに作戦イベント表を振る特大のガバをやらかしたことに気付きましたが戒めで残しておきます。ごめんなさい。


「タキオンさんは補給するまでパスするということでしたので、私かスペシャルウィークさんがシーンプレイヤーをやることになりますけど、どうします?」

「なら、私が行きます」

 スペシャルウィークが山札からイベントカードを一枚引いた。そこに書かれていたのは

「日常シーンでキーワードは『モルモット君』です。サイコロも振っちゃいますね」

コロっ

「やっぱり出目がいいな。

 

 

日常 海軍カレー

「お昼の材料調達してきました。たまねぎ、じゃがいも、にんじん、と」調理場を借りて、みんなで料理。レシピは海軍カレーモルモット君風。やっぱ、辛口よね。

シーンプレイヤーのPCは、提督が選んだモルモット君に対応した指定個性で判定。思いつかない場合は《食べ物》で判定。

 

 

これは素直に《食べ物》でいいかな」

「モルモット君風カレーってやっぱり光ってるんですか?」

 大食い娘が興味を示す。

「やっぱり辛味よりも苦味の方が強いのですか?」

 甘味だけかと思っていたら、やっぱりこのお嬢様……変わったものも食べたがるきらいがある

「君たちは私のモルモット君に対して誤解があるようだねぇ」

 それらの質問を受けて要介護の探究者は

「いいかい?光ってるのはモルモット君の身体だけだし、カレーは私の口に合わせて甘口だよ。それにモルモット君は私のお弁当を毎食分作ってくるんだ。腕前はかなりのものだよ」

 ふん。と鼻息が聞こえるくらい力強く言い切った。

「「「おぉ~」」」

 パチパチと拍手がおきる。

「トレーナーさんが手料理を振る舞ってくれるのは特別感があって憧れますわ」

 ちらちらこっちを見るな。食事メニューは渡しただろ。

「そうですよね!私もトレーナーさんとお出かけした先で、トレーナーさんが作ってくれたごはんが食べたいなぁ」

 十キロくらいなら持ち歩け……いや、重さよりも容積的につらい目にあうだろうからやめてあげてくれ。でも、きっと実行されてしまうんだろうなと思い心の中で合掌する。

「何か考え始めようとしているところ悪いが先に進めるためにも判定をすませてくれるか」

「わわっ。すいません。そしたら《おしゃべり》で代用判定します」

「待ってください。スペシャルウィークさん。このイベントの成功報酬が行動力の回復なので先に個性を発見して置いてからの方がお得ですわ」

「わかりました。そしたら《食べ物》は《おしゃべり》で代用できるから……偵察に使う《索敵》を発見します。行動力を五消費して長所で獲得です」

「私も判定前に《索敵》を発見しておきますわ。行動力を四消費で弱点になりましたわ」

「じゃあ、今度こそ判定します」

コロコロ

「《食べ物》だったら成功でしたね」

「大丈夫ですわ。摩耶から鈴谷改に声援を入れて成功ですわ」

「ありがとうございます。マックイーンさん」

「それじゃあ1D6分だけ行動力を回復させてくれ」

コロコロコロコロ

「全回復しました」

「三回復で残り八。次に個性を発見して補給できると良いのですが……」

「三回復で同じく八です」

「四回復で残り七だよ。持ってる個性に近いところだといいなあ」

 

 

二サイクル目 シーン二

 

 

 ぐ~。とお腹の鳴る音が部屋に響いた。

「あは~。ゴメン。鈴谷、お腹減っちゃった」

「そうだねぇ。いい時間だし、昼食にしようか」

「メガネを取りに行ったときに阿武隈さんから言われたのだけど、この前行ったお祭りにいた支援者さんたちから北海道の野菜が届いてるらしいです」

「じゃあ、それ使って飯作ろうぜ。そうと決まればさっさとキッチン行こうぜ」

 

 

 四人がキッチンに行くと段ボール三箱分の野菜と発泡スチロールに入れられた豚肉が冷蔵庫の中にしまわれていた。

「たまねぎ、じゃがいも、にんじん、かぼちゃとかもあるし、四十分くらいかかるけどカレー。作ろっか」

「「「おー」」」

 各自、野菜の皮むき、豚肉を一口大にカット、米を炊く準備などをしていく。

「ねーねー。辛さはどうする?」

「あたしは辛いの平気ですよ」

「辛口がいいぜ」

「……辛口でいけるわよ!」

「全員辛口ですね。じゃあ、スパイス入れちゃうね」

「あー。鈴谷。提督と阿武隈の好みがわからねえから、一部別の鍋にうつして甘口も作っといていいんじゃないか。普通に提督たちが辛口食べるってなら後からスパイスを足せばいいわけだからよ」

「それもそだねぇ。アドバイスありがと摩耶」

「別に礼を言われることでもねえよ。それじゃあ、さっさと分けちまおうぜ」

 

 

 甘口のルーと辛口のルーを作り、全員が満足できるカレーを作り、それを食べたところでシーンを終わりにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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艦これ11(2サイクル目 シーン3)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

このくらいの判定技能交渉はよくやるし、このくらいのシーン改変は意図せずよく起こる。


「さあ、残り二シーンだ。どっちが先にシーンプレイヤーをやるのかな?」

「個性の発見が出来なくて失敗する可能性が高いし、私が先でいいかな。マックイーン君」

「そういうことでしたら、お先にどうぞ」

「ありがとう。それじゃあドロー」

 カードが裏返される。

「遠征シーンでキーワードは『艦上爆撃機』だねぇ。遠征イベント表を振るよ」

コロコロ

「その出目なら

 

 

遠征 海上護衛任務

「私の故郷でコレ今流行ってるんですって」輸送船団の安全を図るために、船団に同行して、これを護衛しよう!どうやらこの輸送船団は、艦上爆撃機を運んでいるようだ

。うまく守るためには、艦上爆撃機に対する理解を深めねば。

シーンプレイヤーのPCは、提督が選んだ艦上爆撃機に対応した指定個性で判定。思いつかない場合は《不思議》で判定。

 

 

だな。艦上爆撃機だし、《航空戦》とかでいいかな」

「待ちたまえ提督。飛龍の初期装備に艦上爆撃機があって、指定個性は《負けず嫌い》だ。なら、この判定も《負けず嫌い》で行うべきだとは思わないかい」

「わかった。それなら《負けず嫌い》で判定してもらおうか」

「ありがとう。それじゃあ振ってしまおう」

コロロ

「五なら出るとも。成功だよ」

 

 

二サイクル目 シーン三

 

 

 燃える蒲公英隊の旗艦である飛龍は秘書艦の阿武隈から呼び出しを受けていた。

「近海に敵偵察の主力部隊が来てるようだから、そう遠くない日に深海棲艦との大規模な戦闘が発生すると司令部は予測しているわ。

そこで司令部から各鎮守府に艦上爆撃機や天山等を輸送することになったのだけど……。その護衛任務が大湊碧玉アカデミーにも打診されました」

 最初はキリッとした表情だったが、司令部からのあたりでげんなりとした表情に変わっていった。

「それは、手が足りないんじゃないか」

 大湊碧玉アカデミーに所属しているのは燃える蒲公英隊の四名と阿武隈のみ。私たちが偵察隊の殲滅任務を受けているのだ、残るは阿武隈しかいない。

「そうなんですよ。あなたたちには敵偵察の主力部隊の殲滅を任せているから動けるのが私しかいないのに……。とはいえ、他の鎮守府も似たような状態らしいので護衛艦を出せと命令されてしまってるんですよね。なので、気は進みませんが私が行ってきます」

「それでいいのかい。私はてっきり、両方やれ。先輩命令だ。なんてのを想像していたんだが」

「私そんな鬼みたいなこと言うと思われてたんですか!?」

「いや、そんな風には思ってはいないんだが、人手が足りない所ではそうなるのが常だろと……」

 しまった。口を滑らせた。

「まぁ、それがいいならあなたたちが護衛任務につくように提督に話をつけるけど」

「いや、それは勘弁してください」

「でしょ。ということであなたたちは現在の任務に専念してください」

「了解」

「ああ、それと飛龍は正規空母だから天山のスペックとかは気になりますよね。ということでこれをどうぞ」

「これは?」

「開発レシピと資材です。うちでも創れるのでよければどうぞ」

「ありがとうございます」

「それでは、ここは任せましたよ」

 と飛龍に言い残して阿武隈は艤装を用意して護衛に向かった。

 

 

 

 ということで成功報酬に弾薬と鋼材を六個ずつ獲得したところでシーンを〆る。

 

 

 




感想、お気に入り登録ありがとうございます。


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艦これ12(2サイクル目 シーン4)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

脳内卓ですが、ココフォリアでダイスを振っています。名前欄をスペシャルウィーク(鈴谷改)にしたときは出目が強すぎて他PL名時のときとの落差に驚かされ続けました。




「さあ、トリは私ですわ。早速引いてしまいましょう」

 最後のカードがめくられる。

「交流シーンでキーワードは『散歩』になりましたわ。そのまま交流イベント表も振りますわ」

コロコロ

「その出目だと

 

 

交流 恋は戦争

「恋も!戦いも!負けません!」あなたの前に一人の艦娘が現れる。彼女は、あなたを恋のライバルだと言っているようだ。彼女は「散歩で勝負!」と言ってくるのだが……。

シーンプレイヤーのPCは、提督が選んだ散歩に対応した指定個性で判定。思いつかない場合は《恋愛》で判定。

 

 

だな」

「散歩で勝負って何をやるのかしら?」

「名所案内でどちらが魅力的に案内できるかとかですかね」

「それはもうデートプランなんじゃないかい」

「「「!!!!」」」

「なるほど。誰が一番魅力的なデートプランを提案できるかという勝負ですね……で、これ誰と勝負するんですの?」

「大湊碧玉アカデミーには燃える蒲公英隊と阿武隈しかいないっぽいからねぇ」

「その阿武隈さんも護衛任務に向かいましたよね」

「最終シーンで無から生やすのはアレな気がしますが仕方ありません。メジロ家の誇りにかけて恋愛勝負だろうと誰にも負けるつもりはありませんわ!さぁ提督。判定に使う個性を教えてください」

「そのまま《恋愛》でいこうか」

「では判定前に《恋愛》を発見しますわ。行動力を一消費して長所で獲得。判定は四……声援をお願いしますわ!」

「またですか!?」

「飛龍から摩耶への声援は二ブーストだから、今度は敷波の声援を使おうか」

「わかったわ。敷波から摩耶に声援を使います」

「ありがとうございます。これで成功ですわ。あとは補給の方もしてしまいましょう。摩耶は弾薬を二個消費して行動力全回復ですわ」

「飛龍はボーキサイトを三個消費して行動力を全回復させよう」

「鈴谷改は……減ってなかったです」

「敷波は開発で残った資材を使って補給しようと思うのだけど、開発表はどれを使うのかしら?」

「そうだねぇ。敷波の補給が燃料、弾薬、鋼材が合計九で全回復だから……通常二回でいいんじゃないかい?」

「駆逐艦の補給にボーキサイトは使えませんし、通常一、艦載機一の方がいいと思いますわ」

「う~ん。艦載機開発表は失敗もあるしねぇ」

「そこは、今日一番持ってるスペシャルウィークさんにお任せするということで」

「頑張ります!」

「なら最終シーンだし。パーッと使ってしまおうか。通常開発を一回、艦載機開発を一回で燃料を六、弾薬を九、鋼材を六、ボーキサイトを九消費するよ」

「それなら、残った燃料を二個、弾薬を二個、鋼材を五個消費して敷波は行動力を全回復させます」

「通常開発表の方はシーンプレイヤーだし、マックイーン君が……いやスズカ君が振ろうか」

「ええ、今日の出目は悪いので他の方にお任せしますわ」

「じゃあ、振りますね」

 コロコロ

「魚雷が出来ました」

「魚雷なら鈴谷改か摩耶に装備してもらおうか」

「弱点とは言え対潜戦闘があるので雷撃戦も参加できますし摩耶が装備しますわ。指定個性は《恋愛》にしておきますわ」

「艦載機開発表はスペ君。頼んだよ」

「いきますよ」

 コロコロコロコロ

「彗星一二型甲が出来ました!」

「本当にダイスが強いなぁ。それじゃあ、スペ君に感謝しながら飛龍が装備しよう。指定個性は《幸運》にするよ」

 

 

二サイクル目 シーン四

 

 

「「「オススメのデートプランが知りたい!?」」」

 敷波からそう質問されて三人は驚いた。

「なになに、敷波もそういうことに興味あんの?」

「興味がないと言えば嘘になりますけど、鈴谷さんが想像してるようなことじゃないですよ」

 これです。これと敷波はテーブルの上に一枚の紙を置く。そこには『鎮守府対抗オススメデートプラン勝負』と書かれた紙と白紙の原稿用紙があった。

「なんだこれ?」

「阿武隈さんから渡されてたんですけど、なんでも全国にいる艦娘たちが読む広報があるらしいんですけどこれは次の号でやる企画だそうです」

「まぁ、艦娘も女の子だからそういうの気になるよね」

「うんうん」

「で、その広報の企画があたしたちとどう関係があるんだ?」

「阿武隈さんが護衛任務に向かったので仕事の一部をアタシたちに代わりにやってほしいということで」

「それがこれだと」

「はい」

「ふむふむ。概要には皆さんが所属する鎮守府のまわりでとあるね」

「えっ。それって無理じゃね。鈴谷たちここに来て一週間も経ってないし。なんだったらそっこう北海道に遠征行ってたよね……」

「仕方ねえな。摩耶様に任せとけ」

「おや、書けるのかい?」

「まあ、こっちにダチがいたから少しは話を聞いてたんだよ」

 そう言いながら摩耶はスラスラと原稿用紙に文字を埋めていく。

 

 

「ほら、出来たぜ」

 書き終わった原稿用紙を摩耶が敷波に渡す。

「これは……」

「晴れの日に津軽海峡の向こうに函館山が見えるみたいなことも書いてるけど」

「七割がマグロの話だね」

「仕方ねえだろ。ダチが漁師だったんだから」

「そうなんだー。だったら摩耶の友達のためにも早く海の平和を取り戻さなきゃね」

「とりあえずこれで良さそうかい。敷波?」

「まぁ、アタシたちが書けるかって言われたら出来ないのでこれでいきましょう」

「それじゃあ仕事もひと段落ついて、工廠でやっていた開発も終わったようだし、深海棲艦をやっつけに行くか!」

「「「はい!!」」」

 

 

 という感じで成功報酬の感情値を二上昇させるは鈴谷改にしてシーンを終わりますわ。

 

 

 

 

 




次回 決戦フェイズ


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艦これ13(決戦フェイズ)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

決戦フェイズです。艦これRPGの判定はリロールも出来るし声援で判定後にブーストも出来るしで、判定が失敗しにくいあたり、PLに優しいですね。


決戦フェイズ

 

 

 体調は万全。装備も上々。

 艤装に身を包んだあなたたちは敵偵察の部隊を探して海面を疾走する。

「見つけた!」

「うん。こっちも確認した」

 艦載機を使った偵察で敵影を見つけたのは鈴谷だった。遅れて飛龍も敵影を捕える。

 その報告を聞いて摩耶と敷波も戦闘態勢をとる。

 

「燃える蒲公英隊。暁の水平線に勝利を刻むわよ」

 

 敵艦隊の編成は、駆逐ロ級三体、軽巡ホ級 elite(敵旗艦)一体、軽母ヌ級二体です。

 戦場は同航戦です。

 作戦イベントの効果で敵艦隊の装甲値が一減少している

 

戦闘開始

 

 

 プロット決め。このとき「偵察」の装備能力が使える。

「軽巡ホ級 eliteに偵察機を飛ばします。《索敵》で判定。成功です」

「軽母ヌ級が超対空で邪魔するけど……駄目だね。では、軽巡ホ級 eliteのプロットは公開するよ。

 そして、こっちからも軽母ヌ級Aが艦上攻撃機で偵察を行う。対象は鈴谷改で」

「それなら、飛龍が艦上戦闘機を使って妨害だ。行動力を二消費して判定。合計7で妨害成功だ」

「じゃあ、プロットを決めよう」

 

 

六 軽母ヌ級A 飛龍

五 軽母ヌ級B 摩耶

四 軽巡ホ級 elite 鈴谷改

三 

二 

一 駆逐ロ級A 駆逐ロ級B 駆逐ロ級C 敷波

 

 

「軽母ヌ級。読み切って対空持ちで抑え込めましたわ」

「ナイスだ。マックイーン君。それと、トレーナー君は割と博打好きなようだねぇ」

「ですが、その博打は大負けです」

「嘘だろ。誰も来ない読みで一プロに全配置したのに。なぜ敷波がいるんだ!?」

「とりあえず鈴谷改の固有アビリティ【絶対領域】を発動して軽巡ホ級 eliteに損傷を一個与えますね」

 軽巡ホ級 elite 小破

 

 

①航空戦航空戦フェイズ

 六プロ 飛龍 彗星一二型甲で軽母ヌ級Bに攻撃 《幸運》で命中判定 成功

「固有アビリティ【先制攻撃】を発動してダメージを航行序列分上昇させる」

 ダメージ21点

 軽母ヌ級B 大破

        艦上爆撃機で駆逐ロ級Aに攻撃 《負けず嫌い》で命中判定 成功

「固有アビリティ【先制攻撃】を発動してダメージを航行序列分上昇させる」

 ダメージ13点

 駆逐ロ級A 轟沈

     軽母ヌ級A 艦上攻撃機ミス

           艦上爆撃機で敷波に攻撃 《突撃》で回避判定 成功

 

 

 五プロ 軽母ヌ級B 艦上攻撃機で摩耶に攻撃 

 ダメージ5点

 摩耶 無傷

           艦上爆撃機ミス

 

 

②開幕雷撃戦フェイズ

 いない

 

 

③1ラウンド目:超遠距離砲撃フェイズ

 いない

 

 

④1ラウンド目:長距離砲撃フェイズ

 いない

 

 

⑤1ラウンド目:中距離砲撃フェイズ

 五プロ 摩耶 中口径主砲で軽母ヌ級Bに攻撃 《対空戦闘》で命中判定 成功

 ダメージ9点

 軽母ヌ級B 轟沈

 

 

 四プロ 鈴谷改 20.3cm連装砲で軽巡ホ級 eliteに攻撃 《おしゃべり》で命中判定 成功

         中口径主砲で軽巡ホ級 elite連続攻撃 《自由奔放》で命中判定 リロールして成功

 ダメージ22点

 軽巡ホ級 elite 轟沈

 

⑥1ラウンド目:短距離砲撃フェイズ

 六プロ 飛龍 彗星一二型甲で軽母ヌ級Aに攻撃 《幸運》で命中判定 成功

        艦上爆撃機で軽母ヌ級Aに連続攻撃 《負けず嫌い》で命中判定 成功

 ダメージ30点

 軽母ヌ級A 轟沈

 

 

 五プロ 摩耶 魚雷で駆逐ロ級Bに攻撃 《恋愛》で命中判定 失敗

 

 

 一プロ 敷波 小口径主砲で駆逐ロ級Bに攻撃 《海図》で命中判定 成功

        魚雷で駆逐ロ級Bに連続攻撃 《いじわる》で命中判定 行動力を五消費してリロール 成功

 ダメージ9点 鈴谷改から敷波に声援でダメージブースト5点

 駆逐ロ級B 轟沈

 

     駆逐ロ級C 5inch単装砲で敷波に攻撃 《海図》で回避判定 失敗

 ダメージ8点

 敷波 小破

 

 

⑦2ラウンド目:短距離砲撃フェイズ

 六プロ 飛龍 彗星一二型甲で駆逐ロ級Cに攻撃 《幸運》で命中判定 行動力を三消費してリロール 敷波から声援で達成値上昇 成功

 ダメージ16点

 駆逐ロ級C 轟沈

 

 

敵艦隊が全滅しました。君たちの勝利だ。特別戦果表を一回と通常戦果表を五回振ってくれ。

高速修復剤一個 燃料八個 弾薬九個 鋼材七個 ボーキサイト十四個

を手に入れた。

 

 

「みなさーん。大丈夫ですかー?」

 水飛沫を上げ、急いで近づいてきたのは護衛任務に行っていたはずの秘書艦の阿武隈だった。

「煙が上がってるのを見て駆けつけたんですけど……大丈夫そうですね」

「そうだねぇ。摩耶と敷波に攻撃が当たっていたようだけど」

「あんなへなちょこな攻撃、アタシには効かねえよ」

「あたしもかすり傷です」

「鈴谷と飛龍はぁ、サーチアンドデストロイ?したからそもそもくらってないしね~」

「それなら良かったです。そしたら私は護衛任務の方に戻りますね。みなさんはそのまま鎮守府に帰投してください。では」

 と言い残し、阿武隈は後ろから来ていた艦隊に合流していった。

「やれやれ。慌ただしいねぇ。それじゃあ、敷波も怪我しているようだし帰投しますか」

「さんせーい。鈴谷も疲れたあ」

「この程度の傷大丈夫ですよ。心配してくれるのは嬉しいけど」

 

 

 きみたちは大湊碧玉アカデミーに帰投し、蒼歳提督への報告を行っていた。

「まさか、ヌ級までいたとは……」

 蒼歳提督は神妙な面持ちで何かを思案しているようだ。

「それにしても、素晴らしい。さすがは燃える蒲公英隊だね」

 その言葉に、誇らしげな気分が生まれた。初任務はうまくいったようだ。

「各自休息を取ってくれ。阿武隈が戻ってきたら、君たちに行ってもらった祭りには遠く及ばないけれど祝勝会としゃれこもうか」

 

 

 といったところでシナリオ終了です。

「「「「お疲れ様でしたー」」」」

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




装備と出目のおかげでかなり一方的になった……


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艦これ14(終了フェイズと後語り)

本作は「河嶋陶一朗/冒険企画局+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG」の二次創作作品です。
艦隊これくしょん ―艦これ― 艦これRPG 着任の書に記載されているシナリオ「近海警備 敵偵察部隊を迎撃せよ!」のネタバレを含みます。それでも良ければお進みください。

次回から三回ほど、書きたいけどお蔵入り集をやった後に別システムをやりたいと思います。




「最後に経験値を配布して、レベルアップと鎮守府に残る資材の処理をして終了しよう」

 

戦闘 二回勝利したので全員に二十点

艦種 駆逐艦の敷波は二十点

   正規空母の飛龍、航空巡洋艦の鈴谷改、重巡洋艦の摩耶は十点

旗艦 飛龍が務めたので、飛龍に十点

MVP  これは全員に二十点ずつあげよう

任務 『お互いの事を知る』 達成 五十点

   『敵偵察の主力部隊に勝利する』 達成 五十点

 

「飛龍は合計で百六十点」

「鈴谷改は合計百五十点です」

「敷波は百六十点ね」

「摩耶は百五十点になりましたわ」

「百点ごとにレベルが一上昇するから、全員レベル二になったかな。あとは取得した個性を初期個性の数まで未取得状態にして戦術アビリティを変更したりできるけど、この辺でPCの処理は終わろうか」

「あとは、鎮守府のレベルが一上昇してレベル二の鎮守府になりますわね。各資材が二十二個ずつ所持できるようになるので今回は資材を捨てる必要はありませんわね」

「うん。鎮守府シートの記入役ありがとうマックイーン。という感じで一通り処理が終わったところで今日は終了だ」

「「「「お疲れ様でした!」」」」

 

 

――蛇足という名の後書き――

 

 

「ここからは、ダブルクロスの後にもやりましたが、GM側はトレーナーさんがPL側は私、メジロマックイーンがエアコメを読んで疑問等に返信していくコーナーですわ」

 

 

PLがメジロマックイーン、スペシャルウィーク、サイレンススズカ、アグネスタキオンだったわけ

「最初は中の人統一のつもりだったけど、艦これだけじゃ足りなかったんでアズレンの同名艦もありで集めた面子がこちらになります」

「ウマ娘に出演している方の数だと2013年配信開始の艦これよりも2017年配信開始のアズールレーンの方がやっぱり出演は多いんですのよね」

「艦これが9年前と知って驚いたし、人気商売だから入れ替わりが激しいのも仕方ないよなぁと調べてて思ったよ」

 

 

命名表

「これ一つでドラマが生まれる」

「大事故が起きる原因ですわ!」

「初めて遊ぶ相手ならこれだけでも盛り上がる話題になるので積極的に使っていいと思います。ただ、シリアスには向かない名前になることがやっぱり多くなるのでシリアスにしたいなら自分でつけるのをオススメしておきます」

 

 

スペシャルウィークの豪運

「今回は六面ダイスを多く振る都合上、ココフォリアを使って判定処理をしていました。そしたら、スペシャルウィーク(鈴谷改)の時だけ異様な位ダイスが強かったんですよね」

「マックイーン(摩耶)の時とアグネスタキオン(飛龍)の時は目標値か一足りないが多かった気がしますわ(白目)」

「サイレンススズカ(敷波)は行動判定の時はダイスを四つ振って真ん中の二つを選ぶから失敗しないと思ってたんだけど……」

「一、二、二、五で目標値に届いていませんでしたわ」

「そのあたりでダイス運の偏りを感じさせられたよ」

 

 

遠征イベント表と作戦イベント表の振り間違え

「本当に申し訳ない」

 

 

なりきりプレイについて

「テキストセッションだと良く見かけますわね」

「オフセやボイセではあまり出会わないな」

「まぁ、単純にロールプレイを維持するのが難しいというのがあると思いますわ。それにオフセやボイセでは行動宣言とセリフが混ざってしまうことが多いですから」

「そうだな。あとテキセで完成度の高いロールプレイをしてるのを見ると、愛とか経験値とかがすごいんだろうなぁと思わされるよ」

 

 

オススメのシステムについて

「オススメされたシステムに関してはルルブやサプリを購入して読み進めているところです。知らなかったシステムがいくつもあってかなり楽しいです」

「これからもオススメのシステムがあれば感想欄に書き込んでいただけると調べて購入するか所持済みであればプレイしていきますわ」

「ただ犯罪系や死ネタ系の描写が多いシステムは二次創作のガイドライン的に書くのを控えることをご了承ください」

 

 

作者が読みたい作品について

「普段はランキングに載っていたり、お気に入り登録して下さった方がお気に入り登録している作品を読んでいますが、他の方が書いたウマ娘がTRPGをしている作品も読みたいなと思っています」

「たしか、覇王世代の方々がやるファンタジー系と逃げ切りシスターズのシノビガミでしたっけ?」

「それとメジロ家のメンバーでナンをとばすTRPGとかも見てみたいと思ってるよ」

 

 

「このへんで終わりにしようか」

「そうですわね」

「感想やアンケート、評価にお気に入り登録。全て作者のモチベーションになります。読者の皆様ありがとうございました」

「まだ別システムで遊ぶつもりなので、今後ともよろしくお願いいたしますわ」

「では、また次回」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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お蔵入りか今後書くかも
お蔵入りかも1(ダブルクロス)


本作は「矢野俊策/F.E.A.R+株式会社KADOKAWA」が権利を有する「ダブルクロス」の二次創作作品です。
書きたいポイント
・FHキャラ特有の正義の味方ではないが悪の敵ポジ
・息子?娘?と仲良くしてくれてありがとうとタキオンの頭を撫でるお友だち
・妹たちに優しさを見せるが、敵には容赦しないアヤベさん


 昨日と同じ今日。

 今日と同じ明日。

 世界は同じ時を刻み、変わらないように見えた。

 だが──、世界は既に変貌していた。

 

 

夢破れし者――『灰眼(クラウディー)』 PL:オグリキャップ

 

 強くなければならなかった。孤児院(帰る場所)を守るために。

 強くなければならなかった。血の繋がらない兄弟姉妹(家族)を守るために。

 強くなければならなかった。自分が生きるために。

 強く。強く。強く。

 強くならないと全て失ってしまうから。

 

 だが、強くなったからといって望む結果が手に入るとは限らない。

 僕が強すぎたせいで弟妹たちは高難度の任務に駆り出されて死んだ。

 僕が強すぎたせいで姉兄たちは報復の対象になった。

 僕が強すぎたせいで師は怪物(ジャーム)へと変貌した。

 

 僕はどうすれば良かったのだろう。強くなるべきではなかったのだろうか。

 

 と後悔している訓練所育ちのFHチルドレン偶葉(たまば)(かい)が私のPCだ。

 モルフェウスとウロボロスのクロスブリードで一撃特化の白兵型だな。瞬間火力は三桁越えは当然だが二百ダメージを超えることもある。ミドル戦闘だと制限エフェクトが使えないから固定値が五十位になるから、皆を頼りにしている。

 

 

 

衝動が無き者――『手を引く者(ブーギーボギー)』 PL:アグネスタキオン

 

 医者の家系に生まれ、レールの敷かれた人生を歩んでいた私がレールから放り出されたのは長男(おとうと)が誕生した時だった。

 「今まで負担をかけてごめんね。これからは自由に生きていいわよ」

 その言葉に私は……私は何も感じなかったんだ。

 

 母からかけられたその言葉がきっと私の精神(こころ)を壊してしまった。

 いや、気付かなかっただけでとっくのとうに擦り切れてしまっていたのだろう。

 オーヴァードになったのに衝動もわかず、自分の欲望(ねがい)もわからない。

 

 私は何のために生きてるのだろう。

 

 と無気力系FHエージェント陽花璃(ひかり)だよ。名字?捨ててしまったからないさ。

 ノイマン、ソラリスのクロスブリードで、ボスからのプレイアブル化によって戦力増強系と体力増強系のエフェクトを切って支援特化型に変更したよ。

 男子高校生組は面倒見の良い陽花璃お姉さんを存分に頼るといいさ。

 

 

天秤を棄てた者――『セト』 PL:アドマイヤベガ

 

 毎年、妹と同い年の幼馴染家族と俺の家族で旅行をするんだけど、一昨年は高校受験を理由に俺だけついていかなかった。

 「聞いてお兄ちゃん、旅行先で美味しいご飯を食べてね。お兄ちゃんに作って欲しいなぁ」

 「お兄さん。撮った写真見てくれますか?」

 だから、妹と幼馴染が楽しい旅行の思い出を聞かせてくれると思ってたんだ。

 

 呼び出された病院で見たのは……原形をとどめない両親たち。生命維持装置に繋がれ目覚めない妹。「お兄ちゃん」と自分を呼ぶ幼馴染。

 頭が真っ白になった。帰り道。妹の入院先。両親の葬式。引取先。どうやって生きてたのか思い出せないが、生きる意志がよみがえったのは両親の遺品を整理している時だった。

 ジャーナリストの父親のメモ帳にUGNという超能力を利用し洗脳や記憶改変、人間には不可能な人殺しを行う組織について記載されていた。

 「こいつらが……。妹たちの幸せを奪いやがったんだな。許さねえ。許さねえぞUGN!!」

 そこからの行動は速かった。

 UGNと敵対する組織のFHに入り、『手を引く者』の協力もあって『矛盾概念』に所属して妹の治療費や幼馴染との生活費を稼ぎながら復讐している。

 

 妹たちのためなら世界を滅ぼす。

 

 という判断基準ぶっ壊れお兄ちゃんの冬堂(とうどう)宏人(ひろと)

 ハヌマーンのピュアブリードで、サイレンの魔女による広域殲滅型。だから、単体火力には期待しないで。それと……よろしく。

 

 

復讐を果たした者――『クロドヴァの復讐者』 PL:マンハッタンカフェ?

 

 クロドヴァ。どうしてあの内乱が起きたのか分からないままオレは歩兵として戦場に駆り出された。

 地獄。本物は見たことないが、あそこはそう呼ぶに相応しい場所だった。

 ありったけの鉛玉を浴びせても死なない自分たちと同じ姿をした化物が、戦車の装甲を引き千切り、戦闘機を撃墜する。

 隣で見張りについていたやつがいつの間にか肉塊になってるなんてこともある。

 

 そんな戦場だ。部隊が全滅するなんてことはよく聞く話で、オレの部隊もその例にもれなかったわけだ。

 ただ一つ違ったのは、オレがやつ等と同じ化物に変わったってことだ。

 何の用があって来ていたのか知らないが『幸福論(マスターセオリー)』たち、当時は『幸福論(セオリー)』だったな。と協力して部隊を滅ぼしたオーヴァードを殺して復讐を果たした。

 その後はこの通り、日本に亡命して『幸福論』の護衛役を務めてるってところだ。

 

 願いは叶った。そこから先は何をしよう。

 

 復讐を終えたのに復讐者を名乗り続けるFHマーセナリーのエスツーだ。PCの設定では一番年上ですが、面倒くさがりで悲観的、だけど言われた仕事はちゃんとこなすみたいな駄目な成人男性です。その精神性が戦い方に表れています。

 ウロボロスとバロールのクロスブリードで自分の身を守りつつデバフを撒くタイプです。ヨロシクオネガイシマス。

 

 

 偽物の遺産

 本物の計画

 

 一つの劣化品(レプリカ)

 一人の少女

 

 引き金を引いた矛盾だらけの烏合の衆

 その屍をもって謝罪の意としよう

 

 そんな理論は認められぬ

 故に始まるは生存競争

 

 さあ、己の欲望のままに力をふるえ

 

 苦しみ、足掻きながら、力をふるえ

 

 

 ダブルクロス──それは”裏切り”を意味する言葉。

 




お蔵入り理由。
・お友だちの口調がわからない
・設定が重くて物騒(この設定でやらせるとか人の心ないんか?)


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お蔵入りかも2(COC第七版)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

お蔵入り理由
・シナリオ崩壊RTAが始まるから
・宇宙の真理に気付いてしまうから



「マヤわかっちゃった。このNPCが被害者枠だね」

 

 

「マヤわかっちゃった。ここが夢の中の白い部屋だね」

 

 

「マヤわかっちゃった。今回出てくる神話生物はグールだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。ここでクリティカルしたから困ってるんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。このお姉さんは千匹の仔を孕みし森の黒山羊なんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。武道の心得があるって言ってたけど囮になって死ぬ気なんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。応急手当でファンブルしたからとどめをさしちゃうんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。このシナリオの犯人はこの人だね」

 

 

「マヤわかっちゃった。このNPC正気度ゼロだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。これサンスクリット語だね」

 

 

「マヤわかっちゃった。ここから出るにはこの呪文を使うんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。ここに隠し扉があって、この奥に儀式部屋があるんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。鋭角の時間を移動したから追われてるんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。この人は娘を使って死んだ奥さんを蘇らせようとしているんだね」

 

 

「マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった。マヤわかっちゃった」

 

 

「マヤわかっちゃった……沸騰する混沌の中核が顕現してしまったからこの世界は滅びるんだね」

 

 

 

 

 




マヤノもいずれPLやらせたいけど、何のシステムならあうんだろう?


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お蔵入りかも3(Fate/Table Night)

本作は、筋肉企画 様 作「聖杯戦争RPG Fate/Table Night」の二次創作物です。

ゴールドシップ アーチャー 今川義元
エイシンフラッシュ バーサーカー アルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタイン
ファインモーション セイバー エリザベスⅠ世
カワカミプリンセス ランサー 神霊アテナ憑依
ボス キャスター オルフェウス

ゴルシ「アーチャーが何で弓を持ってるんだよ!」
ファイン、エリザベス「女王特権だ!」
フラッシュ「全て予定通りです」
カワカミ「この槍邪魔ですわ!」
が書ければ満足です。


「聖杯とはあらゆる願いを叶える願望機だ」

 

「過去の英雄をサーヴァントとして召喚し最後の一騎になるまで争う」

 

「そしてその勝者はすべての願望を叶える権利が与えられる」

 

「あらゆる時代あらゆる国の英通が現代に蘇り覇を競い合う殺し合いそれが聖杯戦争だ」

 

 

「君たちは聖杯戦争に参加するマスターとサーヴァントになってもらう」

「わかりました。それじゃあ、マスターとサーヴァントのペアで二、二で分かれましょうか」

「わかれる必要はないぞ」

「えっ?」

「言っただろう。マスターとサーヴァントになってもらうって」

「まさか、一人で二人分やるのですか?」

「そのまさかだ。だから、同陣営のマスターとサーヴァントのやり取りは一人芝居みたいになるな」

「それは大変そうですね」

「そこはゴールドシップを参考にしながらやってもらえればいいよ」

 

 

「「「「素に銀と鉄。」」」」

「「「「礎に石と契約の大公。」」」」

「「「「降り立つ風には壁を。」」」」

「「「「四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」」」」

「「「「閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。」」」」

「「「「繰り返すつどに五度。」」」」

「「「「ただ満たされる刻を破却する。」」」」

「「「「告げる――」

「「「「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。」」」」

「「「「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」」」」

「「「「誓いを此処に。」」」」

「「「「我は常世総ての善と成る者。」」」」

「「「「我は常世総ての悪を敷く者。」」」」

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。」

「汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者」

「「「「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」」」」

 

 

「アーチャー、今川義元。召喚に応じ参上したでおじゃる。東海一の弓取と呼ばれた麻呂の腕、存分に振るって見せよう」

 朱色の甲冑に身を包み、腰には打刀である左文字を佩き、その手に長弓を握った男はそう名乗った。

「お前がアーチャーだって?」

 ゴールドシップはその姿を見て驚くと同時に、沸々と怒りが湧いてきた。

「そうでおじゃるが。マスター何をそんなに震えておるのじゃ?」

 アーチャーは自身を召喚したマスターの異様な雰囲気に少々の不安を感じた。

「……お前アーチャーなんだよなぁ?」

「さっきからアーチャーだと言って……」

 この女、少し前の会話も確認しなければならないとは……減点だな

「じゃあ、何で弓を持ってるんだよ!?」

 ゴールドシップはアーチャーの襟首を掴み前後にふる。

「おじゃああ!?アーチャーとはすなわち弓兵のこと。弓を持っていて当たり前じゃろ」

 この女、駄目だな。魔力が潤沢なうちに別のマスターに乗り換えるかなどと考えていたアーチャーに衝撃の一言が告げられる。

「アーチャーが弓を使うわけないだろ!」

 ゴールドシップは自信満々にアーチャーに告げる。

「えっ?」

「アーチャーってのは双剣を用いた剣術だったり、財宝を射出したり、石投げたり、銃をぶっ放して戦う連中だろうが。なんで普通に弓持ってんだよ!よこせ!

 そしてお前はその刀で戦え。それがアーチャーってもんだろ」

 ゴールドシップはアーチャーの持ってる弓をひったくろうとする。

「お、じゃ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、ぁ、ぁ。やめろ麻呂の宝具を奪おうとするなでおじゃる」

 




お蔵入り理由
・オリ鯖四人は「艦これRPG」の閲覧数を見る感じ需要がなさそう
・八キャラ+二キャラで会話は技量的に無理

そろそろ連載を再開しようと思います。もしお蔵入りかもで気になるシステムやオススメのシステムがあれば感想に書いていただけるとわかりやすいです。


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お蔵入りかも4(怪談白物語『猿夢』)

本作は、サークル「ないつお@おまじなラジオ」缶コーヒー様作『怪談白物語』の二次創作物です。今回使用させていただいた怪談は「猿夢」です。怖い話を怖くなくするシステムですので、ホラーが苦手な方はご注意ください。

GM殺しで名高いシステムですが、かなり面白いので是非やってみてください。
メジロマックイーン 編集者
マンハッタンカフェ 脚本家
ライスシャワー 霊媒師
ゴールドシップ 無職


私は、夢を見ていました。

「それ、私じゃなくてボノトレだろ。成功」

「そこは夢じゃなくてドラマですよ。成功しました」

「私と夢はキーワードです」

 

ボノトレはドラマを見ていました。

昔からボノトレはドラマを見ている時に、たまに自分は今、ドラマをみているんだと自覚する事がありました。

この時もそうです。何故かボノトレは薄暗い無人駅に一人いました。ずいぶん陰気臭いをドラマだなぁと思いました。

すると急に駅に精気の無い男の人の声でアナウンスが流れました。

「それは駅ではなく相撲部屋ですわね。成功」

「精気の無い男の人じゃなくてちゃんこ番じゃなかったっけ。成功だよ」

「駅はキーワードです」

 

この時もそうです。何故かボノトレは薄暗い無人相撲部屋に一人いました。ずいぶん陰気臭いドラマだなぁと思いました。

すると急に相撲部屋にちゃんこ番の声でアナウンスが流れました。

それは

「まもなく、電車が来ます。その電車に乗るとあなたは怖い目に遇いますよ~」

「それ、電車じゃなくて大関だろ。失敗」 耐久値5→4

「これだから無職は」

「無職さん。ライスも流石に大関はないと思うよ」

「まぁ、無職なのでわからなくても仕方ありませんよ」

「無職に代わって私がやりましょう。電車じゃなくて牛ですわね。成功」

「電車はキーワードです」

 

それは

「まもなく、牛が来ます。その牛に乗るとあなたは怖い目に遭いますよ~」

と意味不明なものでした。まもなく相撲部屋に牛が入ってきました。

それは牛というより、よく遊園地などにあるお猿さん牛のようなもので数人の顔色の悪い男女が一列に座ってました。

「数人の顔色の悪い男女ではなくぬいぐるみだったはずです。失敗。ですが私は脚本家なので変更してもらいます」 耐久値3→2

 

それは牛というより、よく遊園地にあるお猿さん牛のようなものでぬいぐるみが一列に座っていました。

ボノトレはどうも変なドラマだなと思いつつも、自分のドラマがどれだけ自分自身に恐怖心を与えられるか試してみたくなりその牛に乗る事に決めました。

本当に怖くて堪られなければ、目を覚ませばいいと思ったからです。

ボノトレは自分がドラマを見ていると自覚している時に限って、自由にドラマを見るのをやめることが出来ました。

ボノトレは後ろから3番目の牛に座りました。辺りには生暖かい空気が流れていて、本当にドラマなのかと疑うぐらいリアルな臨場感がありました。

「そこは生暖かい空気じゃなくて牧場の空気だよ。成功」

 

辺りには牧場の空気が流れていて、本当にドラマなのかと疑うぐらいリアルな臨場感がありました。

「出発します~」

とアナウンスが流れ、牛は動き始めました。

「流れたのはアナウンスじゃなくてうまぴょい伝説だな。成功」

「アナウンスはキーワードです」

 

「出発します~」

とうまぴょい伝説が流れ、牛は動き始めました。

これから何が起こるのだろうとボノトレは不安と期待でどきどきしていました。牛は相撲部屋を出るとすぐにトンネルに入りました。

「トンネルではなくて野原だったはずですわ。成功」

 

牛は相撲部屋部屋を出るとすぐに野原に出ました。紫色っぽい明かりが野原を怪しく照らしていました。

ボノトレは思いました。

この野原の景色は子供の頃に遊園地で乗った、スリラーカーの景色だ。

「スリラーカーじゃなくてコーヒーカップだ。成功」

 

この野原の景色は子供の頃に遊園地で乗ったコーヒーカップの景色だ。この牛だってお猿さん牛だし結局過去のボノトレの記憶にある映像を持ってきているだけでちっとも怖くなんかないな。

とその時、またうまぴょい伝説が流れました。

「次は活けづくり~活けづくりです。」

「活けづくりじゃなくて踊り食いだな。成功」

「活けづくりはキーワードです」

 

「次は踊り食い~踊り食い~」

踊り食い?魚の?などと考えていると、急に後ろからけたたましい悲鳴が聞こえてきました。

「それはけたたましい悲鳴じゃなくて萌え声ですね。成功です」

 

踊り食い?魚の?などと考えていると、急に後ろから萌え声が聞こえてきました。

振り向くと、一番後ろの牛にに座っていたぬいぐるみの周りに四人のぼろきれのような物をまとった小人がむらがっていました。

「ぼろきれのような物ではなくてジャージです。成功しました」

「小人じゃなくて将棋の歩だな。成功」

「小人はキーワードです」

 

振り向くと、一番後ろの牛にに座っていたぬいぐるみの周りに四つのジャージをまとった将棋の歩がむらがっていました。

よく見ると、ぬいぐるみは刃物で体を裂かれ、本当に魚の踊り食いの様になっていました。

強烈な臭気が辺りをつつみ、耳が痛くなるほどの大声でぬいぐるみは萌え声をあげつづけました。

「強烈な臭気じゃなくて無臭だよ。成功」

 

無臭で、耳が痛くなるほどの大声でぬいぐるみは萌え声をあげつづけました。

ぬいぐるみの体からは次々と内臓がとり出され血まみれの臓器が散らばっています。

「内臓じゃなくて綿だな。失敗」 耐久値4→3

「この無職!」

「無職は内臓わかりませんよね」

「綿なわけないよ。無職」

「血まみれの臓器じゃなくて調理済みの内臓料理ですわ。成功」

 

ぬいぐるみの体からは次々と内臓がとり出され調理済みの内臓料理が散らばっています。

ボノトレのすぐ後ろには髪の長い顔色の悪いぬいぐるみが座っていましたが、ぬいぐるみはすぐ後ろで大騒ぎしているのに黙って前をを向いたまま気にもとめていない様子でした。

「髪の長い顔色の悪いぬいぐるみじゃなくてワニですね。成功しました」

 

ボノトレのすぐ後ろにはワニが座っていましたが、ワニはすぐ後ろで大騒ぎしているのに黙って前をを向いたまま気にもとめていない様子でした。

ボノトレはさすがに、想像を超える展開に驚き、本当にこれはドラマなのかと思いはじめ怖くなりもう少し様子をみてから見るのをやめようと思いました。

気が付くと、一番後ろの牛に座っていたぬいぐるみはいなくなっていました。

しかし調理済みの内臓料理は残っていました。

後ろのワニは相変わらず、無表情に一点をみつめていました。

「次はえぐり出し~えぐり出しです。」とうまぴょい伝説が流れました。

「えぐり出しではなく、乳搾りですわ。成功」

「えぐり出しはキーワードです」

 

「次は乳搾り~乳搾りです。」とうまぴょい伝説が流れました。

すると今度は二つの将棋の歩が現れ、ぎざぎざスプーンの様な物で後ろのワニの乳搾りを始めました。

さっきまで、無表情だったワニの顔は、痛みの為かすごい形相に変わり、ボノトレのすぐ後ろで萌え声をあげました。

ワニから乳が飛び出しています。血と汗の匂いがたまりません。

ボノトレは恐くなり震えながら、前を向き体をかがめていました。ここらが潮時だと思いました。

これ以上付き合いきれません。しかも、順番からいくと次は3番目に座っているボノトレの番です。ボノトレはドラマを見るのをやめようとしましたが、自分には一体どんなうまぴょい伝説が流れるのだろうと思い、それを確認してからその場から逃げる事にしました。

 

「次は挽肉~挽肉です」とうまぴょい伝説が流れました。

「それ挽肉じゃなくてにんじんだよ。うん、成功」

「挽肉はキーワードです」

 

「次はにんじん~にんじんです」

最悪です。どうなるか、容易に想像が出来たので神経を集中させ、ドラマを見るのをやめようとしました。

ドラマよ、終われ。終われ。終われ。

いつもはこう強く念じる事で成功します。

急に「ウィーン」という機械の音が聞こえてきました。今度は将棋の歩が私の膝に乗り変な機械みたいな物を近づけてきました。

「それ機械じゃなくてボイパですよ。成功です」

 

急に「ウィーン」というボイパの音が聞こえてきました。今度は将棋の歩が私の膝に乗りボイパをしてきました。

たぶんボノトレをにんじんにするボイパだと怖くなり、

ドラマよ、終われ。終われ。終われ。

と目を固くつぶり一生懸命に念じました。

「ウィーン」という音がだんだんと大きくなってきて、顔に息を感じ、もうだめだと思った瞬間に静かになりました。

なんとか、ドラマから抜け出す事ができました。全身汗でびしょびしょになっていて、目からは涙が流れていました。

「汗じゃなくて出汁じゃね。成功」

「涙が流れていたのではなくドライアイでしたね。成功です」

 

全身出汁でびしょびしょになっていて、目はドライアイで乾燥していました。

ボノトレは、寝床から台所に向かい、水を大量に飲んだところで、やっと落ち着いてきました。恐ろしくリアルだったけど所詮はドラマだったのだからと自分に言い聞かせました。

次の日、学校で会う友達全員にこのドラマの話をしました。でも皆は面白がるだけでした。所詮はドラマだからです。

それから4年間が過ぎました。大学生になったボノトレはすっかりこの出来事を忘れバイトなんぞに勤しんでいました。

そしてある晩、急に始まったのです。

「 次は乳搾り~乳搾りです。」あの場面からでした。ボノトレはあっ、あの夢だとすぐに思いだしました。

すると前回と全く同じで二つの将棋の歩があのワニの乳搾りをしています。

やばいと思い

ドラマよ、終われ。終われ。終われ。

とすぐに念じ始めました

今回はなかなかドラマが終わりません。

ドラマよ、終われ。終われ。終われ。

「次はにんじん~にんじんです」

いよいよやばくなってきました。「ウィーン」と近づいてきます。

ドラマよ、終われ。終われ。終われ。

ふっと静かになりました。どうやら何とか逃げられたと思い、目をあけようとしたその時

「また逃げるんですか~次に来た時は最後ですよ~」とあのうまぴょい伝説の声がはっきりと聞こえました。

「逃げるじゃなくて追込だ。成功」

「最後じゃなくて千日手です。成功しました」

 

「また追込ですか~次に来た時は千日手ですよ~」とあのうまぴょい伝説の声がはっきりと聞こえました。

目を開けるとやはり、もうドラマは完全に終わっており自分の部屋にいました。

最後に聞いたうまぴょい伝説は絶対にドラマではありません。現実の世界で確かに聞きました。

ボノトレがいったい何をしたと言うのでしょうか?

それから、現在までまだあのドラマは見ていませんが次に見た時にはきっと心臓麻痺か何かで死ぬと覚悟しています。

「心臓麻痺か何かで死ぬじゃなくて踊るんじゃないかな。成功したよ」

「心臓麻痺はキーワードです」

 

それから、現在までまだあのドラマは見ていませんが次に見た時にはきっと踊ると覚悟しています。

こっちの世界では踊るでも、あっちの世界はにんじんです……

 

「で終了だ。キーワードを全部修正したのでPL側の勝利だ」

「「「「いえーい!」」」」

 




キーワード
1私 2夢 3駅 4アナウンス 5電車 
6活けづくり 7小人 8えぐり出し 9挽肉 10心臓麻痺

お蔵入り理由
・ホラーでグロ表現などが入ってきてしまうから


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クトゥルフ神話TRPG 第7版
クトゥルフ1(PC1導入)


本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

申し訳ありません。「ストリテラ」ですが続きが上手く書けないのでいったん全削除して別システムの連載を始めます。



 夢を見ることがなくなったのはいつ頃からだっただろうか。

 思い出せないことは思い出す必要のないどうでもいいことだとも言われた覚えはあるがこの場面でそれを言うのは間違っているので

「ごめん。見た夢とか覚えてないわ」

「えー。それじゃあ夢占い出来ないじゃないですか。ぶーぶー」

「ぶーぶー。なんて実際に言う子初めてだよ……」

 私、矢野(やの)(かさね)に今日見た夢を聞いてきたのはこのビルのオーナー兼一階にある飲食店でバイトしている遊佐さんだ。

「それで今日は何の用で来たのかな。賃貸料はちゃんと納めたはずだけど」

 ドラマのように行く先々で殺人事件が起きてズバッと解決なんてことはないが、依頼はちゃんとこなしているので前職より年収は高くなっている。始めた頃はこの女子高生に頭を下げて支払いを待っていてもらったこともあったが今はもう大丈夫……なはず。

「賃貸料はちゃんと払われてるので大丈夫ですよ。今日は矢野累名探偵に依頼を持ってきたのです!」

 遊佐さんがする依頼とは何だろう。猫とかは飼ってなかったし、彼氏もいなかったはずだから探偵に依頼することなんてないと思うのだけど

「何かな?」

 コーヒーで一度口を湿らせて問いかける。

「まず、累さんは淵草村って知ってます?」

 

 《知識》→失敗

 

「初めて聞く村だね」

「ですよね。私も知ったのはたまたまですから」

 

 《心理学》→●●

 

 ダウト。たまたま知ったのではなくこの子は目的があって調べたのだろう。

「淵草村はここから高速道路を使って五時間くらいかかる場所にある村で特に有名な観光スポットはないけど、美味しい山菜と山女魚が採れるらしいんですよ」

「山菜と山女魚が採れるって結構な田舎、というか山にあるんだね。でも私、山菜資格も持ってないし釣りもしたことないから採ってこれないよ」

「山菜採りも山女魚釣りも依頼じゃないですよ。累さんが出張先で食べるご飯はこれが良いんじゃないかなってオススメしただけです」

 遊佐はぶんぶんと首を横に振る。

「依頼の内容はですよ、淵草村の緑上神社にあるミイラを買ってきて欲しいんですよ」

「ミイラってあの包帯でぐるぐる巻きの奴のこと?」

 日常会話では使われない単語が飛び出してきて思わず訊き返す。

「それはマミーですね。ミイラは乾燥した死体なので、必ずしも包帯でぐるぐる巻きってわけじゃないですよ」

「へ~。じゃなくて、なんでそんなものを?」

 ミイラを買うこともそうだが、なぜ私にそれを買いに行かせるのだろうか、この子には手足となって動く人間がいるはずなのに。

「取引先のお相手がそういう物を集める好事家なんですよ。ですので手土産としてミイラを渡そうかなって」

 

 《心理学》→●●

 

 嘘はついてなさそうだ。

「お金持ちの趣味ってよくわからないなあ」

 と首を傾げて

「待って、それ私が買いに行く必要あるの?」

 そうだ。取引相手に渡すとしても私が買いに行く必要はないというか、土産なら会社の経費で購入するだろうし、むしろ外部の探偵が出てくることこそ異常だ。

「神主さんが現金でしか受け取らないと言ってるので直接現地に赴く必要があるんですよね」

 そう言って机の上にアタッシュケースが五個と分厚い封筒が置かれる。

「とりあえずこれで足りると思います。それとこちらが依頼料です」

「探偵であって何でも屋じゃないんだけど……。わかりました。買い物だけでいいんですね」

「ええ。累さんの宿泊費だとか村に行くために使ったガソリン代、レンタカーならレンタル代は経費として請求してください。それじゃあお願いしますね」

 遊佐は席から立ち上がる。

「ちょっと待って。いつまでに買ってくればいいの?」

「明々後日の昼にここに受け取りに来ます」

「わかりました」

 累の返事を聞いた遊佐は探偵事務所から出て行った。

 

 期日まであまり時間がないようなので準備をしたらすぐに淵草村に行くよ。

 まず、淵草村の近場にある宿泊施設を調べて泊れるか確認する。調べると淵草村には「川瀬」という民宿があるようだ。そこ以外だと車で四十分ほどかかる附中市にあるビジネスホテルになる。

 マヤわかっちゃった。これビジネスホテルを予約しても、タイヤがパンクして民宿にしか泊まれなくなるやつだ。

 地元の山菜料理を食べてみたいから民宿に電話して宿泊の予約をとるね。

 電話に出たのは「川瀬」の女将さんのようで何事もなく予約が取れます。

 そしたら、愛車に渡されたアタッシュケースとスペアタイヤに、交換機具を積み込んでおきます。三日分の着替えと化粧品や歯ブラシ、あとコード類を入れた旅行鞄と普段使いしている携帯や財布、ハンカチ、ティッシュ、ボイスレコーダー、カメラ、ライター、懐中電灯、手袋、携帯食料、水が入った探偵カバンを持っていくね。

 他にやりたいことや調べたいことなどはありますか?

 緑上神社とそこの神主さんについても調べたいけど、淵草村に行ってからの方が情報が多く出そうだし今はいいかな。

 わかりました。それでは矢野さんは車で五時間かけて淵草村に向かうということで。

 そうそう。附中市でちゃんとガソリンを満タンにしておくよ。

 はい。大丈夫です。それ以外行動がないようなのでここでシーンを切りましょう。

 

 

PL:マヤノトップガン PC:矢野累

性別:女性 職業:探偵

《目星》、《心理学》、《図書館》、《近接格闘》、《言いくるめ》、に厚くポイントが振ってあるきちんとした探偵探索者。

矢野探偵事務所の所長(他の従業員はいない)。

 

 

 

 

 

 

 



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クトゥルフ2(合流)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

マヤ視点で進めていきます。マヤによるシナリオ崩しは次回以降です。


PM6:00 淵草村

 

 高速道路を走ること三時間。降りてから二時間。計五時間かけて矢野(やの)は淵草村にたどり着いた。

 淵草村は村の七割が田畑で、村民は百人に満たない村だ。

 今回宿泊する民宿の「川瀬」は村の中心を抜けた奥にある。

 「川瀬」からさらに山の方に行くと「緑上神社」があるという感じだ。

 

 《目星》を使わない範囲で村民の情報手に入る?

 あたりが暗くなってきているので外に出ている人はあまり見られない。外に出ている村人に矢野と同年代の村人は見かけない。

 ふ~ん。特に欲しい情報もないし、そのまま進むね。

 

 普段都市部で暮らす矢野からすると、高速も附中市を過ぎてから淵草村に行くまでの信号もなくコンクリートで舗装されてない道と言っていいのか怪しい道を運転するのは疲労を感じさせるものだった。

 いや、原因はそれだけではないのだろう。後部座席に置いた五つのアタッシュケースを見る。宝くじの一等前後賞を合わせたものと同額の五億円。それが現金で自分の手元にあるというのは精神的に良くない。

「う~ん。どうしようかな」

 さっさとミイラに変えてしまいたいが、そうすると今晩はミイラと寝るはめになるので却下。

 そうなるとアタッシュケースを車の中に入れっぱなしにするか、宿の中に持っていくかの二択になる。

 貴重品なので自分の手元に置いておきたいけど、重いし悪目立ちする。かと言って車に置いとくと車ごと消されかねない。

「仕方ないから入り口に出来るだけ近付けて持っていくか」

 入り口近くに車を停める。車から降りてスライド式の宿の扉を開ける。

「いらっしゃいませー」

 出迎えてくれたのは電話対応をしてくれた女将さんと同じ人のようで、四十代後半くらいの優しそうなおばあさんだ。

「予約していた矢野です」

「矢野様ですね。お部屋は桜の間になっています。ご案内しますね」

 黒。この人はこれから起こることの主犯じゃないけど、共犯者、あるいは協力者だ。

「すいません。車の中にまだ荷物があるので、あれば台車を貸してもらって大丈夫ですか?」

「でしたら、私がお運びいたしますが」

「いえ、大丈夫です。重いのが六つほどあるので自分で運びますよ」

「お客様がそういうのでしたら台車だけお貸しします。少々お待ちください」

「ありがとうございます」

 女将さんは店の奥の方にある物置から台車を取ってきてくれた。

 台車に旅行鞄とアタッシュケースを全て載せて部屋まで運ぶ。

 部屋まで案内される間に食事と入浴についての説明がされる。

「食事はこちらの菖蒲の間でできます。朝食が6時から8時半まで、昼食が11時半から2時、夕食が18時から21時までです。外出の際はお弁当として包むこともできますのでお声がけください。温泉は5時から6時と17時から18時の清掃の時間以外は自由に入れますので良ければお使いください」

 桜の間は二階にあり、一人だと荷物を運ぶのに往復しなければならなかったので結局女将さんにアタッシュケースを三つ運んでもらった。桜の間以外にも梅の間や牡丹の間、百合の間などがあり、二階は宿泊客が泊まるスペースになっているようだ。

 

 夕食が準備されているようだから菖蒲の間に食べに行くよ。

 荷物を桜の間に置いて、菖蒲の間に行くとそこには先客が二人いた。

 一人は二メートル近い金髪の偉丈夫。

 もう一人は矢野もテレビで見たことある占い師系アイドル福路(ふくじ)絵美(えみ)だ。

 ゴルシちゃんとフクキタルさんのPCだね。リバースハンドアウトもあるし、MP1とSAN1を消費した《目星》を使うよ。

 

 《目星》→Hard成功

 

 視る。それは人間が最も多く使う知覚行動である。

 矢野は探偵という職業柄か、つい人間観察をしてしまう。

 矢野の眼に映ったのは、身体の半分以上が既に人間のものではない偉丈夫と人間と何かが混ざっている占い師系アイドルだった。

 

 これって、もしかしてマヤ以外人外PC……?

 いや、まだグラスちゃんのPCも残ってるから。

「すいません。通っていいですか?」

 後ろから男の声でそう言われた。入り口で固まっていたせいだろう。

「あっ、ごめんなさい」

 菖蒲の間の中に入り、後ろを向いて謝る。

「こっちこそ、少し待てばよかったのに急かしちゃってすいません」

 と返してくれたのは幽霊的なものにとり憑かれている大学生くらいの青年だった。

 この人がグラスちゃんのPCだから……。

 

 すぅー。マヤわかっちゃった。このハンドアウトはマヤわかっちゃったをしてもそういうハンドアウトだからで誤魔化せるトレーナーちゃんの優しさだと思ってたけど喋り過ぎたらPC同士で戦わせるぞっていう遠回しな警告だぁ……。

 

 

 

 



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クトゥルフ3(予測)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

アンケートへの回答ありがとうございます。ついでに評価もしていただけると嬉しいです。


 席に座り料理が運ばれてくるのを待つ姿は人間と何一つ変わらない。だが、それは外側だけであり、内側が人とは異なり、そんな生物が人に紛れて生活をしていることに気づいてしまった矢野(やの)はSANチェック0/1です。

 

 《SAN》→成功

 

 また、現実世界に実体を持たない幽霊の存在を知覚してしまったこと。その幽霊が人間にとり憑いていることがわかってしまった矢野はSANチェック0/1です。

 

 《SAN》→成功

 

 SAN値減少はなしだよ。

 質問が二つあるんだけど聞いていい?

 なんでしょうか。

 一つ目は他の人たちは幽霊にとり憑かれていたり、身体が改造されてたりすることに自覚症状がある?同様に、他の人がそんな状態だっていうことには気づいている?

 それは秘匿情報にあたるからPLが自分で何か話さないかぎりはKPから言えることはないかな。探りを入れたいならPCとしてやり取りをおこなってくれ。

 二つ目は幽霊ってどんなの?

 幽霊は人型をしていて身長が矢野よりも5cmくらい高いが体型的に女性のように見える。

 ふん。ふん。ふーん。

 

 何かに気づいたことを顔に出さないで夕食を注文します。

 奥の厨房から初老の男性がお盆に料理を乗せて持って出てくる。

「外人さん。じゃんじゃん食べて下さいね」

 金髪の偉丈夫の元に天丼と豚汁が置かれる。

「Oh~。It's GOOD!」

 ……。

「お客様の分もすぐに用意しますね」

 そう言ってあなたたちの方を見ると

司波(しば)のところの(すすむ)君じゃないか大きゅうなったなぁ。いつ帰って来てん」

 と青年に話しかけた。

「お久しぶりです。川瀬さん。今日の昼頃に帰ってきました」

「ほうか。ほうか。そげで、なしてここさ?」

「父に、村を出てったやつが何しに戻ってきた。さっさと帰れ。って言われてしまって。なので今日はここに泊まって明日帰ろうと思います」

 司波が困ったように頭をかく。

「そげか。じゃあ、進君の分も持ってくるけん。ちょっと待ちぃ」

「はい。ありがとうございます」

 司波は席に座り、初老の男性は厨房に戻っていった。

 一度村を出た人間を追い出そうとするあたり、排他的な村なのかとも思ったけど……こうして民宿があったり進君を助けようとしてたりするあたり違うみたいなのかな。

 司波の元に金髪の偉丈夫が近づいてくる。

「Hey, boy. My name is Gold Man. Nice to meet you. What is your name?」

「へ?あー。My name is Susumu Shiba. Nice to meet too.」

「Are you from Hutikusa village?」

「Yes.」

「Could you show me around Hutikua village?」

 司波がゴールドマン?にこの村を案内してくれないかと頼まれているようで、青年はそれに対してどう答えるか困っているようだ。

 というか、ゴールドシップさんその外人ロールプレイ続けるの?ゴールドシップさんのPCって外人じゃないよね。

「その人。日本語わかると思いますよ」

 ゴールドマンのイタズラ?を指摘し、青年に助け舟を出す。

「えっ?」

「ハイ。クニデベンキョウシタノデ、スコシワカリマス」

 ゴールドマンは笑いながら言った。

「そうなんですか。それなら、明日の夕方に帰るつもりなので、昼間でいいなら案内しますよ。とは言ってもあんまり見るものもないですけど」

「イインデスカ!Thank you.アリガトウゴザイマス!ヨケレバソッチノアイドルガールモドウデスカ?」

 ゴールドマンが天丼を食べ終えて残りのお味噌汁を飲んでいた福路(ふくじ)絵美(えみ)に話しかけた。

「ドゥワハ!?わ、わたしですか?」

「ソウデス。Youノコトデスアイドルガール」

「ええっと、この辺のパワースポットとかご存知です?知ってたら案内して欲しいなぁ。なんて」

 こんな田舎では自分がアイドルだとバレるとは思っていなかったせいか苦笑いしている。

「パワースポットですか……それなら、緑上神社ですかね」

 目の前にいる相手が動画の再生数も多く、テレビにも出るようなアイドルだというのに対応があまりに普通だ。気づいてない?いや、福路は特に変装もしてないのでそれはない。

 なら、気づいてないのではなく知らないということか。……村を出て都会で学生をやってるのに知らない?

「神社ですか。どんなご利益があるんです?」

 司波は昔聞いたことを思い出そうとするように額に手を当てて

「確か、縁結びと芸事……だったと思います」

 縁結びと芸事?その両方を司る神はいただろうか。記憶をあさろうとして

「芸事ですか。それは参拝しておきたいですね!そちらのお姉さんも行きますよね」

 福路さんに話しかけられる。

「ええ。神社に用事がありましたしご一緒していいならぜひ。それと福路絵美さん。ファンです。サイン貰っていいですか?」

「!!やっぱりバレてます?」

「はい。そっちのゴールドマンさんもアイドルガールと呼んでましたしバレてると思います」

「あれ、でも司波さんは一般の観光客みたいに扱って……もしかして気を使ってもらいました?」

「福路さんのことは美人だと思ってましたけど、アイドルなんですね」

「テレビにも出てて有名になったと思ってたんですけど。知らない人が……。ちょっと調子に乗ってたみたいです」

「ああ。福路さんは別に悪くないですよ。俺がそういう歌番組とか見ないだけなんで」

 司波が申し訳なさそうに言う。

 歌番組を見ない。芸事の神。とり憑いた幽霊。はやく帰らせようとする父親。まだ全ての情報が出きったわけじゃないけど……。

 うん。事件の中心はわかっちゃった。

 そうこう話しているうちに矢野と司波の分の天丼と豚汁が運ばれてきた。

「どうぞ召し上がれ」

「「いただきます」」

 

 全員の連絡先を交換して一旦分かれます。

 

 

 

 

 

 

 



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クトゥルフ4(思考)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

誤字報告、Twitterのフォローありがとうございます。なかなかおもしろかったぞ。と言ってもらえて普段飲まない酒を飲み小躍りしました。


PM7:00 民宿「川瀬」

 

「ふわっふわの衣とぷりぷりのエビに濃厚なタレが絡んでいてこの海老天美味しいですね。それとこっちのゼンマイとフキの天ぷらは山菜特有の苦味とタレの甘味が調和していてご飯をすくう箸がとまりませんね」

 矢野は口いっぱいに天丼を頬張る。ご飯を飲み込んだ後にお茶を一口。

「そういえば、司波(しば)君はこの村出身のようですけど何をなさってるんですか?」

 学生なら五千円くらい、社会人だというなら昼ご飯代をガイドの報酬として出せばいいかなと思って職業を聞いてみる。

「今は星海大学で大学院生をやってます」

「それじゃあ、五年前に村を出て一人暮らしですか。どうです、都会の生活は楽しいですか?」

「それなんですけど、自分は中学生から寮暮らしで十年前に村を出てるんで、どっちかというと都会での生活の方が記憶に残ってるんですよ」

「あら、そうでしたか。じゃあ、司波君がまだ大学生なのに大人って感じがするのは、夏休みとかの長期休み以外では帰省せずに親元を離れて生活してたからなんですね」

「そんなことないと思いますけど……ありがとうございます」

 そんなことない。それは大人という部分ではなく帰省にかかっている気がする。厨房のおじさんの態度からも予想できるが淵草村に帰ってくるのは十年ぶりなのだろう。

 十年前に出て行った息子、いえ十年前に村を出て行かせた息子が正解でしょう。そんな息子が村に帰ってきてしまったとなればお父さんも焦るか……。

 待って。なんで、司波君のお父さん司波君を出て行かせたんだろう?

 十年前まだ小学生だった司波君を村から離さなければ何かが起きた。あるいは、何かを起こした。

 司波君本人はそれについて覚えてるのだろうか。

 厨房のおじさんや女将さんに聞いて……。いや、駄目だ。淵草村の人間、司波君のお父さん以外にこの話をするのはまずい。そんな気がする。

 この村のことを遊佐さんは何かの調査の過程で知り、そしてある程度調べてから私に依頼を出している。なら、インターネットで調べられそう。

「矢野さん?おーい、矢野さん。意識ありますか?」

「ぅわっ!?」

 顔の前で司波君が手を振っていたことに驚いてしまう。

「だっ、大丈夫ですか!?」

 そして、私の驚いた声に司波君が驚く。

「あ~。ごめん、ごめん。ちょっと考え事してて、何かな?」

「いえ、話してた途中で急に何もしゃべらなくなったので心配しただけです。ほら、結構な勢いで天丼をかきこんでいたので喉にご飯を詰まらせて呼吸が出来なくなったんじゃないかって。そんなことはなさそうでよかったです」

 ほっ。と司波君は息をつく。

「気を失ってるように見えるくらい集中してたようですけど、何を」

「美味しいご飯が冷めちゃうので急いで食べてしまいましょう!」

 強引に会話を打ち切る。

 腹ごしらえを済ませたら、調査を開始しよう。

 

 

PM8:00 民宿「川瀬」

 

 検索ワードに 淵草村 十年前 事件 と入力してインターネットで調べるよ。図書館で判定は必要?

 それでしたら特に必要はないです。

 じゃあ、わかったことを教えて。

 調べた結果、淵草村の村役場のHPや民宿「川瀬」のHP、緑上神社のHPが出てくるくらいで、矢野が気になった情報は特に出てこなかった。

 検索ワードが足りないっていうよりインターネット上に情報がないっぽい。

 そしたら、温泉に入りながら考え事をして時間を短縮します。 

 

 KP、遊佐さんが何歳とか出身を私は知ってる?

 はい。遊佐さんは高校一年生で十五歳です。出身は星海市だと言っていたのを覚えてます。

 ……五歳の遊佐さんが十年前の淵草村にいて何か起きたことに関わっている。その何か起きたこと……死体ができた。その死体をミイラにした。成人男性のミイラは最短三か月でできるのだ。十年という時間は余りあるものだし、起きたことの隠蔽は遊佐の権力を持ってすれば十分可能……。

 いや、違う。そうじゃない。

 そんなものなら、私に買いに行かせる必要もないし、十年という期間をあける必要もない。

 だから、十年前の何かとミイラは別件だ。

 やっぱり、知るには司波君のお父さんに聞くしかないかなぁ。でも、十年前だけじゃ話を聞くための説得材料がそろってない気がする。何か使えるものは……。

 五億円持ってるしお金? 違う。

 ミイラ? さっき別件だって結論になった。

 幽霊の女性? たぶんこれ。だけど、これだけだと一手足りてない気がする。

 ……ゴールドマン。

 明らかな偽名と日本語がわからないふりをする演技。

 彼はガイドを頼んでいたけど、どこに行って、何をしたかったんだ?

 たぶん、必要なのはガイドじゃなくて司波君だった。なぜならゴールドマンは司波君の名前を聞いてからガイドを頼んだから。

 英語でガイドをしてくれと頼んだのは英語が話せないのでガイドが出来ませんと断られたときに、日本語がわかると言ってガイドをさせるためだ。私に指摘されたから、福路(ふくじ)さんも巻き込むことで断れなくした。

 つまり、ゴールドマンは司波君に会う前から司波君のことを知っていた。

 なぜ、ゴールドマンが司波君を知っていたのか。

 ゴールドマンは十年前の出来事を知っている。そして、調査にあたって現地を訪れていた。そこにたまたま十年ぶりに帰省した参考人である司波君が訪れたなら、そんな機会は見過ごせないはずだ。

 

 急いで温泉から上がって、髪を乾かして、着替えを済ませたらゴールドマンさんのところに行くよ。

 そこで聞いた話によっては、夜間も行動しなきゃならないかもしれない。

 



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クトゥルフ5(探偵)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

チャンミお疲れ様です。古戦場走ってきますね。
お気に入り登録ありがとうございます。これからも頑張って書き続けます。


PM9:00 民宿「川瀬」 梅の間

 

 ゴールドマンさんが泊まる部屋は梅の間だと言っていたので梅の間の扉をノックする。

「ハーイ」

 ガチャっという音と共に扉が開く。

「オー。ヤノガールデスネ。ドウシマシタカー?」

 中から民宿備え付けの浴衣に着替えたゴールドマンが出てくる。

 四肢が人間のものではないはずなのに、袖口から見える腕や裾の下から見える足は完全に生身の人間のものといっしょだ。

 自身が知り得る最新技術を超えた技術でゴールドマンの身体は創り上げられている。あるいは、鍛え上げられている。

 改めて目の前にすると、こんなとんでも存在を頼るのはもしかして早計だったかも。という気も湧いてくるがここまで来てしまったのだ。やるしかない。

「あのね、ゴールドマンさんに聞きたいことがあるの」

「What's?」

「十年前、この淵草村で何が起きたのか知っていること教えて欲しいな」

 矢野がそう言った瞬間ゴールドマンは真剣な表情になり、部屋の中に引っ張りこまれる。

「ハハハ、ヤノガールトツゼンナニヲイイダスンデスカ」

「……」

「……」

「十年前、事件か事故かはわかりませんが、何かが起きました。その事で司波(しば)君の父親は中学校入学を理由に司波君を淵草村から追い出しました。

 その事件か事故の現場に来た警察官がゴールドマンさんの知り合いの方です。定年退職間近あるいは病院のベッドの上でしょうか。その方の心残りを解消しに来たのですね」

「ヘ?チョットナニイッテイルノカワカリマセンネー」

 動揺の色が見える。

「一つ目。十年前の司波君は小学生で、男性の司波君はこの十年間で大きく変化、成長したはずです。それでも、厨房のおじさんは十年ぶりに再会した司波君に気づきました。

 もし、厨房のおじさんとゴールドマンさんが十年前に会ってるなら、知らない外人さんにはならないはずです」

「二つ目。インターネットで調べましたが、この辺は特に観光地がありません。なので、観光バスや観光ツアーなども組まれていないので、外国人観光客が来ること自体に違和感があります。それに、写真と箸。天丼と豚汁の写真を撮ってなかったですよね。観光客なら旅先の食事も思い出の一つです。写真の一枚は撮るはずです。それに、ゴールドマンさんはスプーンやフォークを使わずに箸で食事をしていました」

「ソレハニホンゴトイッショニレンシュウシタヨ!」

「三つ目はそれです。日本語をわからないふりをしていましたよね。どうしてですか?」

「ソレハ……ニホンゴムズカシイ。アンマリシャベルノウマクナイカラ」

「嘘ですね。食堂で私と福路(ふくじ)さんがしていた会話も今の私の話もちゃんとわかってますよね。

 なのに日本語がわからない外人のふりをするのはそっちの方が都合がいいから。

 パッと思いつくのは十年前の何かを調べる際に村人に立ち入るなと言われた場所にも強引に入れたり、あなたにはわからないだろうからとあなたの前で重要な秘密を喋ってくれるということかな」

「……」

「でも、その演技によって得られる利点よりも司波君と接触する方がリターンが大きいと考えられたから、日本語をわからないふりをやめて司波君にガイドを頼んだ。

 それって、司波君が十年前の事件か事故の重要参考人だからじゃないのかな」

 マヤに公開されている情報で出来る十年前の出来事に関する推理は一通りやった。ここから先は他のPLが持ってる情報が必要だ。

「ふぅー。ヤノガール、あんた何者だ?」

 これに対する答え方はゴールドシップさん本人に教えてもらった。

「旅行中の名探偵だよ」

 

 

「まずゴールドマンっつうのは偽名で俺は三船(みふね)金時(きんとき)って言うんだ。よろしくな名探偵の嬢ちゃん」

 そう言って右手を差し出してくる。

 矢野はその右手を握り返そうとして、彼の四肢が人間のものではないことを思い出し、躊躇する。

「……まさか、俺の身体のこともわかってんのか?」

「その……人間じゃない部位があるくらいのことは」

「そこまでわかってたら今の握手で握りつぶされるんじゃないかって思って当然だよな。怖い思いさせちまってすまねえな」

 三船は右手を引っ込めて頭をかく。

「それで、十年前の話だよな。名探偵の嬢ちゃんは事件か事故だと予想してくれたが被害届も捜索願も出されてねえから、この村では、いや日本では起きてないことになってるんだよ、それは」

「えっ?」

「まぁ、順を追って話そうか。

 俺がここに来たのは(げん)さん、十年前淵草村の駐在所に勤務していた警官に頼まれたからだ。

 内容は、十年前に行方不明になった緑上(みどりかみ)結歌(ゆいか)を探して欲しいってな」

「そんな行方不明事件ネットには書いてなかったけど……」

「言っただろ。被害届も捜索願も出されてないって」

「!?」

「正午を過ぎて半刻経つか経たないかって時間だ。駐在所に男の子、司波進が駆け込んできた。

 彼は

『一緒に遊んでいた結歌ちゃんが建物の下敷きになったから助けて』

 と言った。

 それを聞いて彼を抱きかかえ急いで現場に向かった。

 彼の言った通り、建物が倒壊していたため、村人と協力し瓦礫をどけていった。

 村人のおかげで三時間ほどで瓦礫をどかし終わったが、そこに緑上結歌さんの死体も緑上結歌さんが建物の倒壊に巻き込まれた痕跡もなかった」

「怪我人も死人も出なくてめでたしめでたしではないですよね」

「ああ、そうだ。

 その時は進君が彼のお父さんの(たか)さんに

『ついていい嘘と悪い嘘があるだろ!』

 と怒られてその場で解散になった。

 だが、次の日。淵草村で結歌さんを見かけなかった。それを不審に思った厳さんは緑上神社に行ったが結歌さんには会えなかった」

「そして、今も結歌さんは見つかってないと」

 あの幽霊は成人女性で、行方不明になった当時の結歌さんとは年齢が合わないけど……彼女が結歌さんだ。

「結歌さんを見かけなくなった後に、彼女の母親の八千代(やちよ)さんも亡くなったんだが、亡くなる少し前から結歌さんを捜し回ったり、虚空に向かって結歌を返してくださいなんて感じでおかしくなっちまっていたらしい」

 あれ、もしかしてお母さんの方がとり憑いてるかも?

「そんなことがあったんだが、現緑上神社の神主である父親の洋己(ようき)さんは何もしなかった」

 その洋己って人が取引相手だけど……黒。今回の主犯だ。

「それ以降村では八千代さんと結歌さんの話はしてはいけなくなり、進君も厳さんも淵草村から追い出されたってわけだ。これが俺の知っている十年前の出来事だぜ」

 話し終えた三船さんは机の上に置いてあったお茶を一気に飲み干した。

「教えてくれてありがとう」

「それで、何かわかったか名探偵の嬢ちゃん」

「うん。まずは、司波君のお父さんを助けにいこう」

 でないと今晩から明日の昼頃に殺されちゃうから。

 

 

 




良ければ評価の方もしていってもらえると嬉しいです。


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クトゥルフ6(埋没)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

最初に書いたゴルシのキャラがルーニーですらない普通のバカになってしまっていたので書き直し等をしていたら遅くなりました。
ゴルシは普通に頭が良いから段階を踏めばちゃんと推理してくれると思うんですよ。


PM9:30 民宿「川瀬」 梅の間

 

「うん?なんで今の話から司波(しば)の親父を助けに行くって話になるんだよ。

 (げん)さんが考えていた通り緑上(みどりかみ)結歌(ゆいか)ちゃんが行方不明になったのは誰かに誘拐されたからで、司波がその犯人を見た可能性があるっていうなら狙われるのは司波本人だろ。それなら護衛するべきなのは司波じゃないか?」

 三船(みふね)矢野(やの)の発言に疑問の声をあげる。

「それはね」

「いや、みなまで言うな。少し考えさせてくれ」

 う~ん。う~ん。と頭をひねらせること数分後。

「結歌ちゃんの誘拐は複数人で行われ、司波の親父がその中の一人。誘拐現場を見られたから息子を口封じで殺すはずだったのに、司波の親父は息子を逃がした。今日、司波が村に帰ってきたことでその嘘がバレたから共犯者に殺されるってことか?」

「司波君のお父さんが犯人はないと思うなー」

「犯人じゃないなら……なんだ?

 誘拐現場を見られたから口封じで殺す……。

 口封じ……。いや、待てよ。

 母親の八千代(やちよ)さんは死ぬ直前まで結歌ちゃんを探してたってのに、洋己(ようき)さんは捜索願を出してねえんだ?

 それに、淵草村の村人もだ。結歌ちゃんは緑上神社の巫女で村の数少ない子どもだろ。村の外から来た(げん)さんが結歌ちゃんを探してて、あいつらは探してねえんだ?

 ああそうだ。わかりやすいおかしなポイントと言えばそこじゃねえか。

 事件が起きてから時間が経てば経つほど現場の状況が変わり、証拠品が失われちまう。だから、捜査は初動が大事だってのに事件化してねえから、そもそも捜査すら出来てねえ。

 そういう事だな、探偵の嬢ちゃん」

「うん。私もそこが変だと思う」

「じゃあ、犯行は村ぐるみで行われて……。いや、犯人が村人たちってのはおかしくねえか。だって、村人たちが誘拐する動機がねえ。行動はおかしいが。そこどまりだ。なんで司波の親父が殺されるって話になるのか。わからねえな。今さら殺される要素なんかあるか?」

「司波君が帰ってきた」

「あん?そりゃ、実家がここなんだから帰って……。いや、俺たちか!?」

 矢野はこくんと頷く。

「司波君が外部から三人の人間を連れて帰ってきた。

 そのうち一人は言葉の通じない異人で、偶然かもしれないがいなくなった緑上結歌ちゃんを探すような行動をしている。

 別の一人はテレビにも出るような有名な占い系アイドルで、嘘か真かわからないけどかなりの的中率。

 残りの一人は緑上神社に用がある。

 そして、司波君本人は十年前の重要参考人」

「俺は実際そうなんだが、村人からすれば探ってほしくない腹を探りに来た連中にしか見えねえな。

 おん?だとしたら、狙われるのは俺たちの方だろ」

「うん。標的には私たちも入ってるよ」

「そうか今わかったぜ。

 この村には外の連中に漏らせない秘密がある。結歌ちゃんはその秘密に巻き込まれたから消されちまった。

 俺たちがその秘密を探りに来たから、俺たちと村の裏切り者の司波一家を殺そう。と村人側は考えている

 そして、生き残るためにもこの村の情報が欲しいから司波の親父を助けに行く。そういうことだな」

「動機が裏切り者だからってだけじゃない気もするけど。そうだね」

「おーし。わかった。それじゃあ助けに行こうぜ!全員集めて行くか」

「それなんだけど、二人ずつで分かれて行動しよう」

「……なるほどな。司波本人は確定としてもう一人は誰が行く?それと合流場所はどうする?」

「私と司波君で行くよ。そして、お父さんには最低でも附中市より遠くの警察に保護してもらう。合流はここで」

「わかった。こっちはアイドルの嬢ちゃんと見張りだな」

「お願いね」

「任せとけ」

 




感想、お気に入り登録ありがとうございます。


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クトゥルフ7(葉書)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

お久しぶりです。生きてます。


PM9:40 民宿「川瀬」 廊下

 

 矢野(やの)が梅の間から廊下に出ると、ちょうど司波(しば)が歩いていた。

 ん~。これは《隠れる》とか《聞き耳》で話の内容聞かれてたかな?

 でも、《聞き耳》の判定を矢野も三船(みふね)もしてないし……大丈夫だよね。

「矢野さん。ちょっといいですか」

「何かな」

「親父が……

「ちょ、ちょ、ちょっとストップ!ここじゃあれだから外で話そうか」

 これは《聞き耳》か《隠れる》でクリティカルしてるねっ!!

 洗脳とかされてたとしても道中で引き返せなくなったところで教えようと思ってたけどこれはプラン変更しなきゃだよ。

「わかりました。行きましょう」

 矢野が民宿から出たところで不意打ちノックアウト拷問コースじゃなくて話ができるあたりは味方っぽいけど……。

 幽霊にとり憑かれているのと淵草村の出身っていうせいでグラスワンダーさんのPCだけど信用しきれないんだよね。

 盗み聞きされていたから説明の時間が短縮できる。だから――この猶予で司波君のリバースハンドアウトの中身を確定させて、味方につける!

 

 矢野は司波と二人で民宿の外に出るつもりだったけど、一旦部屋によって一億円入ったスーツケースを一個と荷物を持って外に出ます。

「人に聞かれたくないし、車の中で話そうか」

と司波君を車に案内する。あと、ガソリンが抜かれていたり、タイヤとかエンジンに細工されてないか確認するよ。

 

 《目星》→regular成功

 

 自動車は矢野が乗ってきた状態のままでタイヤがパンクしていたり、ガソリンが抜かれていたりはしていない。

「えっと、乗らないんですか?」

「ごめんごめん。慣れない土地だからちょっと警戒しててね」

 それを聞いて、司波もあたりを見まわした。

「特に細工された様子もないから大丈夫だよ。さっ、乗って」

 矢野はスーツケースを後部座席に置いてから運転席に座り、司波が助手席に座りシートベルトを締めるのを確認したら車を発進させた。

 

「それで、さっきの話だけど、証拠があるわけでもないから推理とすら呼べないただの私の空想だよ。でも、司波君もその空想に思うところがあったからこうして声をかけてくれたんでしょ。何があったか聞かせてほしいな」

「二日前に手紙が届いたんです」

「差出人がお父さんで帰ってこい的なメッセージが書かれてたんだね!」

「いえ。差出人の欄は緑上結歌になっていて、文章が一つもない子どものころに遊んだ場所が描かれた絵葉書でしたよ」

「……」

「……」

 マヤだってぜんちぜんのーじゃないから間違うことあるもん。仕方ないよね!ね!

「絵葉書を貰うまでは彼女のことを忘れていたんです。幼い頃はずっと一緒にいたっていうのに、村を出て生活してたらこれですよ。薄情なやつでしょ」

 自嘲気味に司波は言っているが、隣の幽霊がブンっブンっと首を振っているので何か事情が、って幽霊の自己主張激しいな!

「その絵葉書、見せてもらってもいいかな」

「?いいですよ」

 司波は鞄からクリアファイルを取り出し、その中に入っていた葉書を矢野に手渡した。

 車を停めてMP1とSAN1を消費した《目星》を使って絵葉書の両面を見るよ。

 

 《目星》→regular成功

 

 表面は差出人の住所欄に読めない文字(途中に宮廷と書いてあるのがかろうじて読める)が書いてあること以外はいたって普通である。

 裏面は背景に星空の下に木でできた祠のようなものとそこに向かって伸びる石畳が描かれていて、メインとなる中央には鎖でつながれた玉虫色のナニかが描かれていた。

 

 鎖につながれているけど、明らかに神話生物っぽいのがいるんだけど!そんな場所で遊んでたってどういうこと!?正気!?

 っていうかこの石畳とか祠は神社のだよね。淵草村で神社っていったら緑上神社だけだから、やっぱり緑上洋己が真っ黒だね!

 とか色々言いたいことはあるけれど、少し置いといて……

 

「本当に薄情な人間なら、こんな絵葉書一枚見たくらいじゃ思い出せないか、思い出したとしてもみなかったことにするんだよ。その点君は思い出して、すぐに動いたんだ。薄情な人間なんかじゃないよ」

「そう、ですかね」

「そうだよ」

 隣の幽霊(推定:緑上結歌ちゃん)もヘドバンの如く頷いてくれてるしね。

 

 幽霊からの好感度も上がったおかげで司波君も信用できそうだし、絵葉書を返して車を発進させた後、司波君のお父さん救出作戦について話を始めるよ。

 

「淵草村に来た時の情報で

『あたりが暗くなってきているので外に出ている人はあまり見られない。外に出ている村人に矢野と同年代の村人は見かけない。』

っていうのがあったから、若者は淵草村内にいない。

 

 宿屋の店主である川瀬さんは

『「司波のところの進君じゃないか大きゅうなったなぁ。いつ帰って来てん」』

と言っていた。

 この発言から村内の人間は全員覚えられているが、六時間では淵草村全体に情報が行き渡らない。

 

 以上より、警察を呼んだり、司波君のお父さんが一人で近くの警察に駆け込んでもらうという方法は選択できないよ」

「それで救出できそうですけど、だめなんですか?」

「淵草村は十年の間、行方不明事件を隠蔽してきたんだよ。それだけの実績があるのに外部からの侵入者に対する排他的意識が低いんだよ。だって、インターネットで村のことを調べられて、一軒だけだけど民宿がある。そのうえ、外国人や一度出て行った村人が帰って来ても追い出すような真似をしていないんだからやっぱりそういう意識は低いよ。

だから監視役は村の中の人間じゃなくて、警察とか医者とか、バスやタクシーの運転手みたいな外の人間が担ってるって私は考えてる」

「!?」

「まぁ、そんなことはなくてただただ若者がいない、よくある日本の村なのかもしれないけど、事情が事情だからね」

 君の故郷を疑うようで悪い気もするけど、警戒することに越したことはないからさ。気を悪くしたらごめんね。と付け加える。

「いえ、謝らなくていいですよ。俺も思い出したおかげで、親父や洋己おじさんには隠し事があるってわかりましたから。それよりも、どうするんですか。外部の人を頼れないっていうなら、迎えに行って連れまわすんですか」

「それだと囲まれて全滅しちゃうから、君のお父さんには一人で動いてもらうよ。これを使ってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




動いてない間も読んでくれた方に感謝を


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クトゥルフ8(占術)

本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『新クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
・リバースハンドアウトによる特殊PCの作製があります

 チャンミにもハッピーミークとの対戦にも勝てなかったので続きです。ようやく司波父が出ます。


「そうそう、司波家突入前に三船さんにやっておいてもらいたいことがあったんだけど頼んだことにしておいてもいい?」

「今分裂した自分(お姉さま)が民宿側の進行をしてしまっているから、頼んだことにしておくと、巻き戻して行動を変更したいってなるかもしれないから今回それは出来ないってことで」

「あいk、えっ!?」

「代わりにこのタイミングで電話とかメッセージを使って連絡を入れたってことにしていいよ。ちょっと同期するから待ってて」

 

 トレーナー Now Loading……

 

「えっ?えっ?」

「マヤさん、どうかしましたか」

「グラスさんは今の聞いても驚かないの?」

「マヤさんは専属トレーナーでしたね。でしたら、休憩ついでにお話ししましょうか」

 コホンとグラスさんは一息入れて

「中央のトレーナーは多くの人が憧れる希望に満ちた職業です。ですが、その業務には私たちのレースに勝るとも劣らないプレッシャーがかかり、そのせいで次のような現象を引き起こします」

 専属トレーナーは重い吐き気と頭痛がする。

 二人を担当すれば平衡感覚の異常に、幻覚と幻聴を伴う。

 三人目で全身に激痛が走る。

 四人になると全感覚の喪失とそれに伴う意識混濁。

 五人のチームを担当することで人間性を喪失する。

「ですが、担当したウマ娘と心を通じ合わせ強い絆を育むことで三女神様による祝福が与えられ、それらの症状を軽減させトレーナーさんとウマ娘は恩恵を得られるようになるんですよ。ですから、マヤさんも専属トレーナーさんと強い絆で結ばれた時には普段よりも凄い力が発揮できますよ」

 グラスさんは笑顔で話を〆た。

 

「すまない。待たせてしまったな」

「KPちゃんもチームのみんなと頑張ってきたんだね。マヤ感動しちゃった」

仕切りの向こうから「そいつ、三女神に人間性を捧げて誓約を結んでステータスアップしたりスキルを発見するタイプだぞ」ってゴールドシップさんの発言が聞こえた気がするけどKPちゃんが再開するって言ってるから、マヤ聞こえなかったことにするね!

 

 

PM9:55 車内

 

 コール音

 

「ハイ。ゴールドマンデス。何かな矢野ガール」

「さっき頼み忘れていたことがあって」

「ああ、信用できる同僚(ダチ)なら附中に行くよう頼んであるぜ」

「さっすがー!」

「だろ。用がそれだけなら切、なんだ、アイドルガール。電話の相手が誰かって?さっきの探偵ガールと村ボーイだよ」

「それなら、話があるので電話を貸してください!

 電話の向こうで争う?一方的に飛び掛かるような音が聞こえる。

「わかった。わかった。変わってやるから落ち着け」

「もしもし、探偵さん!?でよかったですか」

 焦ってるのだろうか、声の調子というかテンションがおかしい気がする。いや、こっちが素なのかな。

「はい。探偵の矢野です。それで何かありましたか福路さん」

「さっき出会ったみなさんのことを占わせていただいたのですが……お二人の方にも悪いモノが近づいています。十分以内にそこから離れてください!」

 やっぱり今晩中に襲撃があるんだね。でも、ギリギリ助けるのに間に合うようにしてくれてるのはPLが動いたからKPが調整してくれたっぽいなぁ。だから、ここで帰ればPLは襲撃に遭わないけど司波君お父さんの無惨な死体が発見されました。疑わしいのは村の外から来たPLの皆さんです。ってなって身動きが取りづらくなっちゃうんだろうね。

「忠告ありがとう、福路さん。やることやったらすぐに離れるよ」

「そうしてください」

 ……人間じゃない何かが混ざってたのが福路さんだったし、これ黒幕に洗脳されてるから黒幕に都合がよくなるように行動させられてるのかな。隣にいるのが警官で全身改造した戦闘ガチ勢っぽい三船さんだからちょっとやってみようか。

「あ、でも、やることがさ、人の説得なんだよね。だから、したくないんだけど長居しちゃうことになっちゃうかもしれなくてさ」

「ィギャハア゛ア゛!?」

「えぇっ?」

 仕掛けておいてあれだけど、そこまで驚かれることだった?いや、驚いたのは裏で来たKPからの指示のせいとか?

「ごめんなさい。取り乱しました」

「うん。こっちも耳が震えたけど大丈夫だよ。それでなんだけど、もしその悪いモノと遭遇しちゃった時に逃げたり追い払ったりするのに使えるラッキーアイテム教えて欲しいな」

「そもそもいかないことなんですが。短刀です」

「担当?ああ、短刀ね」

「ただの短刀じゃありません。変な形の短刀です。緑上神社の神器の短刀です!」

「わか、ちょっと待って、今重要なこと」

「わりいな、ガールたち。こっちになんか来てるからお喋りは終了だ」

 電話が切れてしまった。

「頼みごとの方は終わりましたか、矢野さん」

「うん。そっちの方は既に手を回してくれてたんだけど、その後に聞かされた占いの結果が衝撃的すぎてね」

「なんでこのタイミングで占いをしてるんですか」

「ほんと、なんでだろうね」

 福路さんのリバースハンドアウトの中身を遠回しに伝えることで仲間だから信用してくださーい。ってことなんだろうけど……伝えられた内容が緑上神社側すぎて信用しにくいよ、フクキタルさん。

 司波君の隣にいる幽霊が緑上結歌ちゃんの魂で、福路さんの身体に緑上結歌ちゃんの肉体が混ざっていてだから記憶があるとか。それだったら司波君も幽霊も反応しそうだけどそんな感じはないし……。

 やめやめ。矢野のリバースハンドアウト(これ)のせいで他のPLたちと異なる情報を渡されてるのわかってるから一人で考えてても仕方ない!

 司波君のお父さん救出に集中、集中。

 

 

PM10:00 司波家

 

《聞き耳》→失敗

 

 田舎特有の自然豊かな環境。虫の声が鳴り響いているせいで、家の中の音はうまく拾えなかった。

 

「もう寝てるのかな?」

「家鳴りもしてるし、起きてると思いますよ」

 司波君が扉の前に近づいていく。

 

《ショットガン》→regular成功

 

 扉が蹴破られ、年老いた男が飛び出してくる。

 

 《聞き耳》失敗しているから矢野は行動出来ない。

 

 倒れる扉を避けることができず、下敷きになってしまった司波君の頭に猟銃が向けられる。

「動くな。撃つぞ!」

 

 

 

 



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