鬱世界の主人公は歪んでいる (イルソル)
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原作開始前
転生した
新暦56年(西暦1996年)6/9日
気がつくと、なんにも感じられない空間らしきものの中にいた
──怖い。自分という存在が定義できない。
なにか、自分がここから抜け出せる方法はないのか……そうだ、よく思い出せないが、確か自分は神様転生をしたはずだ。
ということは恐らく、転生方法
・5歳くらいで前世の記憶を思い出す
・赤ちゃんプレイを強要される
・まさかの受精卵
のうち、最後を体験しているのだろう。驚きである。よし、少し冷静になってきたし希望が見えてきたぞ。
神様は「この世界は通常の世界よりも鬱な世界」と言っていた気がする(というか他には何も思い出せない)し、特典も貰った覚えがあるのだが、思い出せない。
今どきの神様転生ではこんなことはないと思うのだが、もしや神様は高次元の存在でちゃんと認識できない云々だろうか。
つまり、これが鬱世界ということなのだろう。
こんな感じで辛いことばかり起こってしまうのならば、夜襲対策に前世の憧れのマルチタスクの練習をしようと思う。何かすごいマルチタスクの人だかアニメだかを見て、前世では憧れて練習していた気がするのだ。検索したらアニメの中の技術なんて現実のマルチタスクと違っていてすごい悲しんだ覚えがあるが。にしても何のアニメだったかが思い出せない……まぁ前世の名前が思い出せないよりましか。
何より、何かに集中していないとこの空間では発狂してしまいそうである。
しかし、マルチタスク以前に同時にやることそのものがない。悲しい。
なので、ナーロッパとかでよくあるなんでも答えてくるスキルさんを目指して、ただひたすらに自分で何か喋ったあと、スキルさんになりきって返答をするということを繰り返した。
(おうどん食べたい)
(品切れです)
(1+1は)
(田んぼの田です)
そしていつの間にか、目は見えないのだがある程度体の感覚を感じるようになっていた。
これに気づいた自分は、ひたすらにフラグを建てながら待っていたのだが……唐突にとても強い痛みが襲ってきたのである。
──そして、一瞬の気絶とともにこの世に生まれ落ちた。
「
(それは、あなたの思考が魂主体から脳主体に切り替わったからでしょう)
何故かとてつもない違和感とともに生まれたのだが、返答が返ってきた。理解もできないし眠いしよくわからないしで自分はそのまま意識を落とし……目が覚めた時には、違和感が無くなっていた。
目が覚めた。
周りの音は騒がしいことは分かるのだが、なんといっているのかわからない。兎にも角にも状況把握が大事だということで、謎のスキルさんにどんどん質問して言ったのだが、まとめると、
・生まれる時の負荷でスキルさんが補助人格として分離した。
・生まれた時に主人格(自分)が脳主体の思考に堕とされた。ので、頑張ってサルベージした。違和感はこれが原因だったと思われるとのこと。
・あと、サルベージの間1週間寝込んだ。
──最後のやつが重要過ぎてやばい。だからこんなにうるさいのか……。と言いたいのだが、言っている言葉が分からないのである。
これをスキルさん(面倒なのでもうskillからエルと呼ぼう)に聞いたところ、今気づいたとでも言うかのように反応し、なんと音が聞こえるようになった。目も徐々に見えるようになってきた。
どういうことなのかと問い詰めると、魂主体で生きる自分たちは細胞を直接制御するような感じらしい。ネイティブなエルさんはともかく、自分では厳しかったらしくOSを弄ったとのこと。
ただ、体は無茶があるらしく、前世と同じような感覚を取り戻すことはまだ不可能だった。強く記憶が残っていた痛覚は既に完璧との事。
あとは自分の違和感に合わせて徐々に調整していくらしい。
せっかくの1話なのに内容が薄かったのは許してください1回データトんだんです
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初期設定
というか、現実逃避したい時とかに書くので不定期投稿待ったナシです。全話非公開状態とかにできないかな…
※ネタばれが軽く含まれています。
世界観
アニメや映画になったシリーズなどを世界の素にして新しい世界が生まれる。
地球は干渉力が強いため観測世界と呼ばれており、他世界の影響を全く受けない。また、数多の世界を生み出したため干渉力はどんどん強まっている。
世界は原作に引っ張られるものであり、今回の鬱世界は魔法少女リリカルなのはの世界の中でも飛び切り珍しいもの。
レアスキルというのは特殊な血統であったり、特殊な体質で一部の魔法は異様に簡単に使えたりするものであり、基本的にというか転生者以外はというか、転生者でさえレアスキルに落とし込まれている。ただし、リンカーコアとそれに伴う魔力の質だけは魂の素質依存である(ある程度は遺伝子に依存する)。
魂には魂でしか干渉できない。また、魂とは本来バックアップのようなもの。これまでの経験全てや人格などのバックアップ(歴史)もある。
よくある精神系魔法からの脱却や精神系魔法に対する違和感などはこれ。
魔法陣や詠唱はあくまで補助。
はやてがSSなのは闇の書が融けこんだため。
トライアングルハートの影響は月村家が吸血鬼の末裔なことくらいしかない。
GODはないが、Reflectionは検討中。(そもそもA'sにたどり着くかも微妙だが)
神
種族 神
性別 なし
容姿 認識できない
説明
地球の神であれば地球から生まれた世界を観測、干渉できるが大きな干渉はできない。神様転生という概念を利用してやっと神様転生もどきしたり、神は使徒に試練を与えるものという概念を利用してやっと鬱展開という運命を分けることができた。
ただ、あくまでも神であり神が同情するというのは酷く希。表の辿るきらきらした歴史と幼少期の超鬱展開の連続や原作とのギャップなどがあってこそである。
低次元の生物が記憶してもノイズなどで正常に認識できない。
原作知識があると踏み台になる確率が異様に高いらしいので隔離したうえで暗号化している。
※これ以降、鬱になる運命のことは厄と呼ぶ。
種族 人間|転生者
性別 ♂
容姿 一般的な日本人。不細工というわけではない。簡素な髪飾りに伊達メガネ、チョーカー、キーホルダーなどの超小型演算機を常に身に着けている。
誕生日 3/14
魔力量 A+(生まれたとき)=> AAA(原作開始時)
魔力光 白
説明
主人公
転生特典に「全体的な高スペック」を望んだせいで神に厄をかなり大きく振り分けられた。
※頑張れば東大には受かるが絶対主席にはなれない、頑張れば部長にはなれるが全国優勝は絶対不可能
高スペックと厄による運命の悪戯によって、魂主体に生まれ、転生直後から何も感じられない場所に長時間いたせいで軽く狂っている。ただこれにより厄の量が他の転生者と同じくらいになった。
自分はコップ一杯に満タンの厄だけどこいつはバケツ一杯にコップ一杯くらい…って感じで大量の厄を保持しているものはこいつに遭遇しやすい。
特に生きている実感に飢えており、生まれてすぐは唯一完璧な痛みを味わうため、自傷行為を繰り返していた。補助人格によってか、性欲などはない。体の感覚が全て完璧になってからは(1歳)、ちょっと戦闘狂なくらい。魂主体の意識であるためか、輝くような魂を持っているものに無意識に惹かれる。幽霊が見えるため、普段は町を歩いて成仏させることをしている。
魂主体なため、基本的な構造が基本的な人間と違う。
普通の人間:
魂:バックアップ(干渉できない)
脳:意識
体:体
こいつ:
魂:意識、ストレージ(簡単に言うと完全記憶能力もどき)、補助人格
脳:演算装置
体:細胞レベルで動かせる精密機器(といっても普段は髪が動く程度しかない)。超精密加工などができる。
補助人格が頑張ったおかげで、神と出会ったときのことと原作知識をしっかりと覚えている(補助人格が)
生まれた直後に事故で両親が死に、一軒家とある程度の遺産とパソコンが残されたが、何故か引き取り手が誰もいなかった。ネットで株の方法を調べ、演算能力を生かし基本的にこれで生活している。簡単にお金が手に入るため金銭感覚はおかしく、株のためのネットワーク環境などはとてもすごいことになっている。いろんな企業の大株主。
脳波信号は操れるようなもののため、髪飾り型の小型PCを作り、いつもネットワークにつないでいる。赤外線通信などを行うため、一応携帯電話も持っている。演算補助に家はサーバーがかなりあり、無線通信は職権乱用し、海鳴市はすごいことになっている。
1年経ち安定してきたところ、空き家だと噂されていたせいか家庭内暴力を振るわれていた子供(転生者)が転がり込んできた。養子として引き取り、対外的には妹(誕生日的には姉)としている。シスコン。
種族 人間|転生者
性別 ♂
容姿 髪と目は赤色。かっこいい
誕生日 7/15
魔力量 C => B+
魔力光 深紅
説明
転生特典に「アリシアを生き返らせられる能力」「幸せな家族」「デバイス」を望んだが、アリシアを生き返らせられる能力は魂に関係するため、なかったことにされた。また、幸せな家族を望んだため厄をほとんど振り分けられない代わりに、エリート一般陸士になれる程度の才能しかない。デバイスは5歳くらいにいつの間にかポッケに入っていた。
性格は二次創作の王道主人公になれる感じで、デバイス(インテリジェント)をもらって魔法を知ってからは暇なときは山に行って魔法の練習をし、シミュレーターで訓練している。飛行適性がほとんどないと知った時の顔はいかんとも言いづらかったが、シールド魔法を足場に移動している。効率化はしているが、魔力量が少ないため空では長時間戦えない。身体能力は同学年では一位(月村すずかを除く)
※シールド魔法は例え一瞬だろうと魔力はかなり消費する
幸せな家族のもとにいるし厄も少ないので、特に大きなイベントもなく成長した。訓練にかまけたせいで成績は普通。
種族 人間|転生者
性別 ♂
容姿 髪は銀色。目は金色のイケメン。
誕生日 4/10
魔力量 AAA => C(特典に常に魔力を使っている)
説明
転生特典に「ニコぽ」「なでぽ」「銀髪のイケメン」を要求。洗脳で救われるのもまたありということで神はまじめに叶えた。ニコぽは見たものの好感度を上げ、一定値に達したものになでぽするとこいつに惚れる。男女問わず。
他の街で生まれ、両親は陥落済み。幼稚園で実験の末、仕様を把握。小3の最初に満を持して転校してきた。勉強はゴミだが成績はいい。
両親を陥落させて厄は回避しているが…。
種族 人間|転生者
性別 ♀
容姿 アルビノ。膝まで届く長髪。美少女
誕生日 9/2
魔力量 AA => AAA
魔力光 空色
説明
転生特典に「原作主人公達を助けたい」を望み、原作知識が完璧に残っているし、忘れない。他の人は踏み台にならないように原作知識を消されたことも知っている。運動神経が切れているし、喘息気味。その分魔法の才能はなのは並み。デバイスももらっている。喘息は薬で3歳頃に直った。デバイスもそのころ。
ただ厄は多く、アルビノで運動もできず喘息気味だし夜泣きはしないけど気味は悪いしで、生まれてからは赤ちゃんだし後に残らない程度だが、ずっと暴力を振るわれていた。2歳になったときには耐えられず、這う這うのていで隣の空き家と言われる家に逃げてきた。その後養子になり、主人公をお兄ちゃんと呼ぶ。兄を転生者と疑ったり、疑心暗鬼になって距離は縮まらなかったのだが、兄が自傷行為をしているところを発見。兄が完璧超人でないことを知り、自分は転生者だと明かし、兄もまた今までの経験をすべて語った。仲はめちゃくちゃよくなり、よくくっついている。デバイスが手に入ってからは常に魔法で日光をカットしている。
メアリー・テスタロッサ
種族 人造魔導士|転生者
性別 ♀
容姿 髪は緑。目は赤色。将来は美女になりそう
誕生日 7/8
魔力量 AA => AAA
魔力光 黄緑色
説明
転生特典に「空戦魔導士の素質」「指導してくれる環境」を望み、ジェイル・スカリエッティの元で生み出され、プレシア・テスタロッサに譲渡された。フェイトと一緒にリニスのもとで勉強したが、フェイトと同じように鞭打ちされている。フェイトのために我慢している。なのはとフェイトの中間な感じ。基本的に後衛。魂と脳に入れられた記憶が違い過ぎて生まれたときから記憶喪失だった。
ユーノ・スクライア
自分を責める量がちょっと増加。
フェイト・テスタロッサ
メアリーとの共闘の練習もしている。相手がいるからかちょっと強い。
八神はやて
寂しさをあまり感じないような精神魔法をかけられている。また、家に人が近寄らないように細工がしてある。はやての状態にあまり違和感を持たないようになるようにも。主人公が赤ちゃんなのに一人暮らしで親もいないのはこれの影響と原作のはやての状態の影響と厄によるもの。
アリサ・バニングス
親とはほとんど会わず、幼稚園までは家庭教師であり、一度家出をしたときに誘拐された。
なのはたちと友達になった後、もう思い残すことはないとばかりに、鮫島が昔誘拐された自分を助けたときの傷が急激に悪化し、亡くなったことで自分を責めている。家出を手伝ってくれたのは遊佐譲であり、複雑な気持ちを抱いている。
月村すずか
吸血鬼の末裔。身体能力が高かったり魔眼だったり再生能力があったりする。ただ、血は慣れると安いものが飲めなくなるからと極まれに簡単なものを飲んでいる。
高町なのは
原作よりも疎外感や、父親の入院が早かったり精神が早熟だったりする。「いい子にしてね」という言葉に軽いトラウマがある。
エル
主人公に結構てきとうに名付けられた。主人公の補助人格。
※あくまで原作開始時の設定です。
※イベントが全然起こらなかったときの話です。原作開始前にもイベントは結構起こります。準備期間ということで伏線メインですが。
ネタばれはしない主義です(二次創作の時点であれですが)。
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目が覚めた
新暦57年 3/21日
恐らく一週間ほど寝ていた自分が起きたことで騒ぎになっているのだろうと思われるのだが、とりあえず耳を澄ませてみることにする。というか、耳を澄ませないとほとんど理解できないのは違和感がすごいとしか言いようがない。
「すみません、聞こえますかー?」
「うーあー」
「聞こえているみたいですね。意味はないと思いますが、一応伝えておきます。両親が事故で死亡しました。なのであなたはどこかに養子に入る事になります。その人のことを親だと思ってくださいね」
「」
…………!?
りょ、両親が死ぬの早すぎやしないか? しかも丁度自分が目を覚ました時にだなんて。これは鬱世界というか何というか……本格的に呪われているのではとしか言いようがないな。もはや次の親も直ぐ死んでしまうのでは?
「この前はやてっていう人が両親を亡くしていましたが、財産管理をおじさんがやる以外はヘルパーさんに軽く手伝ってもらっていたくらいですし、大丈夫でしょう。家まで連れて行くので、遺産とかで頑張って生活してくださいね」
? ??
あ、頭おかしいんじゃねーのこの人!? ついていけん!
(この鬱世界では意外とよくあることだったりするんでしょう。はやてっていう人も似たような境遇のようですし。とにかく生活を安定させましょう)
お、おおおう。とりあえずもう抱っこして歩き始めたこの人にされるがままにするか……。
家についた後、鍵渡されて家の中のソファに放置されたのはもういいんだが、これ鍵閉めれなくね?
(ここに来るまでにベビー用品がありました。恐らく踏み台もあるでしょう)
そっか、それがあったか。とにかく急いで鍵を閉めなければ。
ガチャ
これでやっと落ち着ける……この世界ほんとどうにかしてるな。もう常識にとらわれてはいけないのですって感じだ。
とりあえず常識は全部捨てることにして、体に爪を立てよう。うむ、痛い。やっぱり正常な感覚がどこかにあるだけで安心できるな。安心したところで衣食住をそろえよう。赤ちゃん用品は……というか、細胞ごとに制御できるなら、一気にある程度まで成長できるのでは。
(栄養不足です。中身すっかすっかにしてもそもそも体が育ってないので無理です)
悲しい。今の目標はご飯食べるだな。とりま、家の中に残ってたPC(パスワードは冷蔵庫に貼ってあった)使って通販で買おう。あとは、冷蔵庫の中身片っ端から食べてしまおう。常識を捨てた自分にはわかる。栄養のため込みくらいはできると。
よし、冷蔵庫も空にしたことだし(味なしだったり触感がおかしかったりはつらかったが)、とにかく体を最低でも生後数か月並みにしないと首が座らん。エル頼んだ。
(了解です)
よしっ!これで歩ける。ってかはやてって子どうしてるんだろ。やっぱ車イs……どっから出てきた車イス。腕をつねってと、うん、ちゃんと痛い。自分は大丈夫だ。
最後は金だな。やっぱ不労所得のあこがれ株っしょ。ていうか(たぶん)子供は働けんし。とりあえず株関係の本も注文して、あとはひたすらにネットを漁って勉強しよう。
数日たったのだが、やっと食べ物とかが届いた。これは次回分はもっと多くしなければ。と、それよりも株の本だ。眠りもせずに勉強し続けた成果はすごいぞ。本に勝てるかな?
負けました。やはり本には勝てなかったよ。とりあえずエルさんの演算補助も利用してお金を増やそう。というかエルさんこの数日間何もしゃべらなかったけど、なぜなに?
(魂の中のデータベースのおかしなところを探っていました)
データベース……突っ込みたいけど無視しよう。おかしなところって?
(ノイズまじりの記録です。恐らくこれは神と相対したときの物かと。それっぽいデータもでてるので)
(問題はもう一つです。隔離されているうえに暗号化されているのです。神との記録を漁った結果、封印されている原作知識と思われます。これがあるだけでぐんとできることは広がります。なのでずっと解析をしていました)
お、おう。ていうか基本的に原作知識っていうのは封印されているものなのか。
(とりあえず神との対話のデータから取れた情報をお教えします)
(原作は魔法少女リリカルなのはで、この世界は鬱展開を引き起こすとでも言うべき運命「厄」があるそうで、このままだと原作主人公達があまりにひどい目にあうので、転生者を5人ほど用意し、その運命を分け与えたそうです)
(マスターの特典は「全体的な高スペック」、故に厄を多めに振り分けられたのだと思います)
(厄が尽きれば普通の人と同じなので頑張ってくれとのことです)
う、うーん。とりあえず自分はしばらくとても運が悪いとでも思っておけばいいわけだな。まぁまずは生活環境を整えてしまうか。
なんか画風変わってる気がする
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生活が安定した
実はPCがあったりするあたり、ちょっと大きめの家なんですよね。こういう伏線ってどれくらい気づいてもらえるのだろうか…。
新暦58年 3/14日
ついに体の感覚とかが完璧になったらしい。ということで適用してみたのだが……転生直後の自分の頭おかしいとしか言いようがないぞ。
【なんでも答えてくれるスキルさん】ってなんだ。マルチタスクからそこに思考が飛ぶ当たり頭がおかしいとしか言いようがないぞ。寂しかったのは分かるというか今かなりの勢いで寂しいがな。
ていうか株でうはうはもそうだけど、黒歴史すぎる。今後もそれを続けなきゃ行けないのもかなりの黒歴史だが。
とりあえず親……が来ると自由に動けないんだよな。養子も……親いないs──いや、自分が養子を取ればいいんだ! これだ! この世界なら多分できるだろう。
というか、今元の1歳に戻れるギリギリの5歳相当の外見してるんだよな。探しに外に出るのも5歳だと……
(いけます。幼稚園には2歳から入学です)
──まだ前世の常識を捨てきれていなかったか。
実年齢と離れすぎていると困るから、2歳相当にして迷子になった振りをして孤児とか親から暴力を受けている子供とかを探すことにしよう。
そう思っていたのに、幼稚園ですらなく保育園にいた。
この町、特殊な魔法とか何とか使ってるんじゃなかろうか。原作名は"魔法少女リリカルなのは"らしいし、あり得るかもしれない。保育園にも使われるって実は表にも魔法が知られていたりするのだろうか。
とりあえず、一番カリスマがあるのか、特別感醸し出しながらみんなの中心にいる子に聞いてみよう。こういう子がきっと魔法を知っているんだ間違いない。
「そこの子、いつの間にかこの保育園に引き寄せられていたんだけれども、ここって魔法がかかっていたりする?」
すると、栗色の髪の妙に寂しそうな目をした子が驚いた。
「まほうかぁ! あったらいいよね」
その顔はあまりにも寂しそうで、
「自分の養子にならない?」
と、つい言ってしまったのだ。
周りの子は自分を不気味がっていたのか誰もおらず。
しばらくして意味を理解したらしい女の子は、二人だけだからなのかタガが外れたらしく、烈火の如く怒り出した。
「ちがう!なのははおかあさんのこどもで!さみしくなんかなくて! なのはにもかまってほしくて……。とにかく!なのははあなたのようしになんかならないの!なんなのいきなりあらわれて!」
──寂しそうなところに同情した自分は何も言い返せず、ただ一言、
「また明日」
それだけ言って帰ったのだった。
翌日になり、昨日勢いでしてしまった約束があるため、1万円札をポッケに入れ保育園へ向かった。
すると、昨日声を荒げたせいか誰も周りにおらず、自分を見つけやっと自慢できるとばかりにツインテールをぴょこぴょこさせる女の子がいた。
「ごめんなさい!!きのうおとこのこにけんかうったっていったらおとうさんにしかられちゃって!」
──思っていた返答と違って少し驚いたが、
「大丈夫」
「ありがとう!それで、きょうはなのはのたんじょうびでね! かぞくがいわってくれるの!」
すぐに自分の話に切り替えるあたり、やっぱり子供か。
寂しそうにしていたから心配していたけども、この調子なら見間違えたかな。さっきも読み間違えたし。
そのあとはあっちが一方的に家族のことを話し、普通に別れた。
……その後、自分も寂しさを紛らわせにしばらく通い、ただ話を聞くだけのボットと化し、日常は過ぎていった。
超忙しかったのと、隙間時間での脳内プロットの整理と、他の人のリリなの二次創作読んでました。脳内プロットSTSまでいってしもうた……
我ながら短いとは思うんですが、この時期は書くことがないんですよね。
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訪問された
他にも映画版のどこかで月村家は吸血鬼じゃないってことが確定してたりするらしいし……。
映画は全部見ましたが、実はアニメはStsの次週作の最初らへんまでしか見てないんですよね。やっぱ見るべきかなぁ?
そして小説版をちょっと見ていたところ、5/27(金)に、なのはの自己紹介で現在9歳って言ってるんですよね。つまり、4/2~5/27のどこかがなのはの誕生日……。マジカ。仕方ないのでガン無視します。とらハだったかおもちゃ箱だったかどおり、3/15で行きます。
新暦58年 9/2日
私は前世では一人っ子であり、当然この両親が私をめいいっぱい愛してくれると思っていた。
しかし、毎日毎日暴力三昧。リリカルなのはは確か主人公の周りは優しい世界だったはずなのに。
いつか両親も変わってくれると期待していたが、何も変わってくれはしなかった。生まれてすぐだけはあんなに喜んでいたのに。あの記憶が今も私を縛り付けている。まるで呪いだ。
しかしそんな私も準備も整え、誕生日を機に脱出することにした。事故で夫婦が死んだらしく、隣の大きな家は空き家らしい。両親も私に痕が残るような傷はしていないことから世間体を気にしていることもわかる。きっと私があの屋敷に逃げこめれば、何回も屋敷に入って私を探すなんてことは難しいはずだ。探しに来てもうまく隠れればいい話。
解体なのか遺産相続なのかは知らないが、最近あの屋敷には業者っぽい人が出入りしている。さすがにあそこに混ざるのは不可能だが、話を聞く感じよく動物が屋敷内にいるらしい。つまり獣道があるということ。
そして、毎度のように庭から脱出し生け垣を探っていたところ、昨日それっぽい穴を見つけたのだ。そして今日は誕生日。この偶然にかこつけてゲン担ぎとして今日脱出することにしたのだ。
そして草木をかき分け、大きな屋敷の庭らしき場所に到着した。周りには噴水などがある。
しかし、敷地の中に入る事には成功したのだが、親が誕生日ということで気合を入れたのだろうか。庭に入ったあとで力尽きてしまった。
「たす……けて……」
なのはちゃんたちを助けないといけないのに……。
「なぜここに人が……」
意識を失う直前、声が聞こえた気がした。
何かに惹かれるかのように庭に行ったとき、なぜか子供というか幼女が庭にいた。といっても自分の体はまだ8歳程度にしか成長できないので、そこまで差はないが。栄養は太ってもバレないように、血液中に栄養細胞的なものを作ってそこにため込んでいる。
しかし、自分がちゃんと存在しているか不安になってくるとリストカットする癖は直っていないので、そのたびに出血し、ため込んだ栄養が減っている。他にも外でリスカしたさいに何かを嗅ぎつけられたのか、いつの間にか吸血鬼っぽい女の子に狙われている。
話を戻して、問題は目の前の女の子だ。エルによると、さっき「助けて」という声を聞いたそうなのだ。そういう声が聞こえていたなら、さっさと呼んでほしいと思う。
もしかしたら迷子ではなく、ないとは思うが養子にできそうな子かもしれないので、親を探すことはせずに客間に拉致しておこうと思う。
改めて観察してみると、女の子は髪も肌も白く、これが俗に言うアルビノなのだろう。恐らくは一歳か二歳程度。こんな昼間に外に出してもらえるかさえ怪しいものだ。訳ありなのだろう。目の色は黒色で目立っている。色素が薄いほど視力が低くなりやすいのだが、この子は問題なさそうだ。眉毛まで白色なのは珍しい。ただ、伸ばし放題なのが不思議であり、アルビノということから、もしかしたら本当に児童虐待を受けているかもしれない。アルビノは乱視などの目の障害があることが多いのだが、この子はどうなのだろうか。
ともかく、これ以上の情報は本人に聞くしかなさそうだ。補助人格に手伝ってもらえば、相手の記憶のすべてを読み取ることもできるのだろうが、それはプライバシーの侵害というものだろう。
そういえば、今日はあの子猫のような子に会いにいけないな。
──そうこうしているうちに、目を覚ましたようだ。
「うぅ~ん」
殴られないように寝たふりしないと……ってここどこ?
私は確か、誕生日で……家を脱出して……
──そうだ!空き家の庭で倒れたんだ!つまりここは屋敷の中……?でもあそこは空き家のはず……。
「ここは屋敷の中だよ。きみのいう屋敷かは知らないが。ちなみに、これは心の中を読んだわけではなくて君が声に出していただけだ」
──目の前の男の子が全て説明してくれた。つまり、噂は実はでたらめで、この男の子がすんでいたわけだ。
「惜しい。夫婦が死んだという部分は正解だ。そしてこれはコールドリーディング。ていうか顔に全部出てるぞ?本題に入るが、君はなぜここに?最初は迷子だと思っていたが、アルビノでその幼さでここにいることと言い、起きたときの様子と言い、まるで家庭内暴力でも受けて逃げ出したかのようだ」
しかもとても頭がいいらしい。彼がこの屋敷の住人で、夫婦が死んだことからすると、一人息子か何かで、まるまる遺産を受け継いだのだろう。一番の案は正直に話して、彼に保護してもらうことだ。原作には出てきていないが、こういう子供らしくない子供はたいてい優しいし、こうやって屋敷に招かれている時点で人柄の良さがわかる。
「実はアルビノな上、喘息でして……親からひどい暴力を受けていたのです。ここで保護してくれないでしょうか?」
「あとその喋り方も気持ち悪かったんだろうね」
……!
「君は一歳か二歳だろう」
そうだった……!この人の雰囲気に引きずられて……!
「まぁいい。その要請は受けてあげよう」
やった!
「ただし条件がある。それはうちの養子になることだ」
「それは願ったりかなったりですけど……。親はどうするんでしょう?」
「世の中お金があればなんとかなる。部屋は割り当てておくから、明日はそこにいてくれ。ご飯はピザでも頼んでおくから」
デリバリー……。文句は言いたいけど、流石に逆らえない。
「わかりました」
「では案内しよう。こちらだ。ああ、地下室はサーバーなどがあるから入らないでくれ。あと一階の私の部屋もだ」
そうこうしているうちに部屋についた。空き部屋感満載である。少々ご都合主義が過ぎる気がするが、ともあれ、大家、いや兄と呼ぶべきか、は変わった人だが、ここから新しい日々が始まるのだ。
延々シリアスはやめたいのだが、いまのほのぼのだと、ある転生者の家族との団らんか、主人公が何か準備したりなのはの話を聞くだけだったりするので間が持たないという。
ところで、原作のテーマって「痛みと悲しみ」「離別」「悲しみの後に残っていた希望」なんですね。筆舌に尽くしがたい!!
ちなみにこの作品のテーマは「どこか歪な関係」(作者の性癖)、「事件を乗り越えての精神的な成長」(原作リスペクト)、「見た目原作沿い」(原作厨)です。
裏テーマは「なのはと運命を共にする親友になるためには一度全力全開でぶつかる必要がある」です。
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訪問した
そして文才が足りぬ。
※お知らせ
この作品はシリアスというか鬱な気分の時に執筆を進めるので、忙しい時期を脱した今、不定期更新度合と合間の期間が増します。むしろギャグ路線の完全プロット無しの二次創作新しく始めます。二足わらじです。二兎を追うもの一とも得ずです。
新暦58年 9/2日(同日)
朝、寝ぼけ眼をおこし部屋を出て、鏡の前で髪を直し、てきとうなリボンでツインテールを作る。鏡にはいつも通りの笑顔が映っていて、両親にあいさつした後には道場の自慢のお兄ちゃんとお姉ちゃんを呼んで、みんなでご飯を食べる。そんなどこかいつも通りで、だからこそなのはが生まれてからもそう変わっていなく、どこか疎外感を感じる毎日だった。
そんななのはは、ほかの人よりも心の成長が早いらしく、みんなは気にしないけど、おもちゃを簡単に他の子にぶつける子は嫌だし、直ぐに泣きだすような子も嫌だった。そんな子たちの両親もそれを見るたびにめんどくさがったりしていて、お母さんやお父さんに迷惑をかけたくなくなって、なのははそういうことをしなくなった。
それでも誰とも話さないのは寂しくて、そんな保育園でみんなをまとめて遊んでいたある日。どこからかやってきた自分より少し大きい黒髪の男の子が、
「そこの子、いつの間にかこの保育園に引き寄せられていたんだけれども、ここって魔法がかかっていたりする?」
と、なのはに聞いてきた。魔法……テレビでやっている、みんなを幸せにしてくれるもののことだろう。お父さんに聞いたら、それは実際には存在しなくて、だからこそ代わりに剣術をやるんだと言われた。すぐにこけてしまうなのはにはできなくて、混ざることもできないもの。もし魔法が実際にあったのなら、なのはにも使えるかもしれない。そう思って、あったらうれしいと応えた。
「まほうかぁ! あったらいいよね」
すると、
「自分の養子にならない?」
という、なのはが寂しいと思っていたことを見透かしたような、そして同情したような目で見てきながら言ってきたのだ。周りから人はいつの間にかいなくなっており、誰にも迷惑がかからなそうだと思ったその時のなのはには、この激情を抑えることはもはや不可能であった。
なのははお母さんの子供。
──たとえ家族の輪から少しずれていようとも。
──たとえ余り構ってくれないことがつらくても。
詳細は覚えていないが、そんなことを思いながらこの気持ちを彼にぶつけたのだ。
そんなことをした次の日、みんなは昨日の口喧嘩を見たのか、どこか遠慮気味であった。いつか収まるだろうと思いつつも、彼のことを恨まずにはいられなかった。せっかく家族が誕生日を祝ってくれるのに、こんな気分ではお兄ちゃんたちに違和感を持たれてしまうかもしれない。そしたら、心地よく祝ってもらえない。
そう思っていた時、あの男の子がここに来ていた。とりあえず、昨日喧嘩していた分を謝り、許してもらった。これで誕生日の話ができる。それが終わったら、思っていたこと全て話そう。
──そうして毎日が過ぎていき、この未だお互いに名前も知らない不思議な関係になったのだ。
なんだかんだで過去を振り返っていたが、今日はあの日から毎日来ていた彼がいなくて、とても暇なのだ。よく話す子にも少し上の空だと言われてしまっている。いつの間にか日常になっていた彼のことを少し思いながら、日が更けていった。
名前も知らないアルビノの子を拾った翌日になった。今日は根回しやらあの子への謝罪やらで大忙しの予定で、あの忙しい日々が返ってきたようだ。
まずはお金を引き出すために銀行に行こう。……吸血っ子もいるかもしれないし、武器である特注スーパーボールとタコ糸も持っていこう。
──ガチャ
「……掃除用具はどこですか?」
「それなら庭の物置小屋にいろいろ入っている」
「わかりました。では──」
「ちょっと待て、名前を教えてもらっていない。家族になるのだから、苗字についての相談もだ」
まさか苗字が同じということもないだろう。生まれ親の苗字を継ぐかどうかも聞かないと。
「名前は
「できれば今のままがいいです」
「わかった。お金を引き出すのと日用品を買うから、何か欲しいものがあったら言ってくれ。ついでに買ってくる。帰りは明日になるだろうから、冷凍庫の中身を自由に温めてくれ」
「……冷凍庫?あ、喘息用の薬をお願いします」
「わかった。ではいってくる」
「え、あ、いってらっしゃい?」
……しばらく大忙しで冷凍食品生活は普通ではないことを忘れていた。
とりあえず根回しに行っておこう。少し監視していたところ、あれはひどく世間体におびえているし。
――日用品やら家具やらを買い、根回しをすませた。あとはこのゴミ親どもに娘をこちらに渡すことを便宜上了承してもらうだけだ。
――ピンポーン……ガチャ
「すいません、家に何の御用でしょうか──って、誰もいない。悪戯かしら……?」
「いえ、悪戯ではありません。自分です」
「あら、子供がこんな家に何の用かしら」
「今娘さんが家に泊まっているのですが、親が家の養子にと申しまして。我が家は裕福の部類に入りますし、アルビノは一般家庭では扱いきれないでしょう」
「…………。わかったわ。ただし手続きは全てそちらが行うこと」
……全然娘に暴力をはたらいていた人に思えないな。父親メインだったかそれとも、外見を取り繕うのがとてもうまいか。……いや、新しい子供を作ってやり直すつもりなのか。
「わかりました。ではこれで」
「ええ」
「さて、ついに家に戻ってきたな。久しぶりに自分の存在意義を感じた気がする。退屈は敵……か」
そういう人生はそれはそれで人恋しくて寂しそうだが。
……さて、扉の前についたわけだが、なんと名前を呼ぼうか。娘でもあるし兄妹でもあるわけだし、名前呼びだとは思うが……やはり”ちゃん”付けにするか。このくらいの子供に呼び捨てはきついしな。
「あの、すいません。何か御用ですか。ずっと扉の前にいられても…」
「ぁあ、すまない。少し考え事をな」
「はい。えと、結局は用は何でしょうか」
「その部屋は気に入っているか?親が娘が生まれたとき用に用意していた部屋なのだが」
「ええまぁ、天蓋付きベッドなんて初めて見ました」
「ついでだが、普段は一階の吹き抜けになっている場所で過ごしている。基本的にそこからいろんな部屋につながっているから、寝るとき以外は基本的にそこで過ごすこと。あと、今までは一人だったからいなかったが、メイドはいるか?」
「メイド……いります!」
「わかった。近いうちに用意しよう。できれば何でもできるやつがいいな……何か考えるか」
「あの、ところでなんと呼べばいいでしょうか」
「一応兄弟だからな……お兄ちゃんで」
「え?」
「ん?」
「あ、はい。わかりました…………お兄ちゃん」
「あと、敬語はできれば止めてほしいんだが」
「それはちょっと、信用できていないというか……あれなので」
「わかった。ならしばらく時間をおこう」
何に影響受けて書いたんだろうこれ(途中で執筆を休んだ)。
そして、全話を最新話を書くたびに読みなおしているのだが、なんだコレ。この頃の作者頭狂ってるのでは
あとこの前、
ていうか最近の遊具の規制は激しいですね。回転はダメで、縄もダメ、首が挟まるサイズの間が空いたものもダメ、ロッククライミングもダメ、柵はかなり高く、屋根は乗られないように滅茶苦茶高い。これが……遊具……? 屋根に登るのは遊具遊びのデフォでは!?
ちなみに自分は
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短編 ─メイド探し─
新暦58年 9/3日 夜
約束したし、メイドをどうするか考えるか。だが、問題は信用が置けるかだな。ついでに同年代とは言わずとも、同じくらいの年齢がいい。いや、年齢……?エル、幽霊っているのか?
(います)
よしっ、それなら幽霊を生き返らせることで恩を売れるし、年齢も自由自在だ。ただ、子供っぽい子でないとダメだな。都合よくいるわけがないとは思うが、根気よく探すことにしよう。エル、幽霊を認識できるようにできるか?
(はい)
よし、こんな深夜に出歩くのはあれだが、護身用武器さえあればいいだろう。探しに行くか。
公園についたのはいいが……クソガキというか何というか……そもそも妹の世話も任せるんだから最低限女の子じゃないと。今後は睡眠せずに毎日出かけるか。できれば魔法が使えるタイプの人がいいんだが。……一応家の前に幽霊募集の看板を立てておくか。噂は見なかったことにしよう。
…………約半年後
今日も探しに出ようとしたんだが、家の前に幽霊がいる。見た目5歳の美幼女だ。
「あのー、噂を聞いてきたんですけど、何でも、生き返らせる代わりにここで働いてもらうとかなんとか」
「ああ、そうだ」
「あの、生き返らせてもらえませんか。お母さんを止めないと……!!あんなにボロボロになるまで生き返らせようとするなんて……!」
「条件がある。一つ、知り合いに会うと困るので、イメチェンをすることと名前を変えること。二つ、自分たちと同年代として過ごしてもらうし、普段はメイドの仕事があるから、そうそう歩き回れないこと」
「……わかりました。本当に生き返らせてもらえたならその条件を呑みます。ただ、名前はシアでお願いします」
「イメチェンはどうする?」
「口調や声は変えたくないです。あ、これは敬語なんですが、普段敬語を使うくらいではだめですか」
「流石にダメだな。ただ、普段使いを敬語にするなら、髪色と髪型くらいでいいぞ」
「か、髪色変えれるんですか?やったぁ!ちょっとやってみたかったことあったんだよね!」
「それが素の口調か」
「い、いや……はい」
「別に責めてはいない。で、どうしたいんだ」
「髪色は草色で、髪型はふわふわな感じで、模造花を頭に刺したいです!イメージはお花畑!」
「了解した。体を用意するので、しばらくはこの家に待機で頼む」
「は~い」
「あと、体を作るにあたって、データが欲しいんだが……その服って脱げるのか?」
「た、たぶん脱げるけど……ぬ、脱ぐの?」
「でないと体が作れないだろう」
「あ、あ~、バ、バッチこい!」
「脱いでないが」
「そ、それはちょっと……こ、こう、男の子の目の前で自分から脱ぐのは、乙女としてのプライドが許さないっていうか」
「相当量の情報がないと、遺伝子を特定できないんだが……」
「仕方ない。先に子供のころの体型を知るために記憶を見るか」
「よかった……じゃない!変な記憶見られないように、ついてくからね!」
「本気か?」
「本気だよ!」
「なら行くか。初めてだから調整ができないかもしれないが」
「え、初めてなの?ちょ──」
「……ねぇ、おなかの中からなの?」
「遺伝子特定にはめちゃくちゃ重要だろう」
「……これ、早送りは?」
「改善点発見だな」
「……まじかぁ」
「なんでこの親はこんなに忙しいんだ?」
「偉い人だったんだって」
「ていうかシアに聞く必要ないなこれ。シアが知ってることは全部見れるわけだから」
「だね」
「全部終わったけど、精神年齢二倍になった気分なんだけど」
「実質そうだろう。ドラマ見てただけだが」
「最初は頑張って隠してたけど、乙女のプライベート全部見られたし、もうこの体自由にしていいよ。はい脱いだ」
「んじゃ遠慮なく全身調べるか。遺伝子情報とかの重要な情報は魂の奥の奥にあって見れないし」
「どうぞー」
「もうお嫁にいけない……」
「許可は貰ってただろ」
「あそこまでするとは思わなかったの!夫ができてもここまでやらないと思うよ……」
「……。とりあえず、体用意するから数日待ってくれ」
「ラジャ」
遺伝子を変えた細胞を生産して、一気に人の体を成形するか……。ついにためてきた栄養をそのまま大量に摂取する日が来たか。
……そもそも幽霊は精神さえ成長しない。いつまでたってもその精神性は変わらない。知識が増えるだけだ。なぜなら考えているわけではない。過去の心を永遠に繰り返しているようなもので、魂にあるのはたとえ死のうが記録だけなのだから。
やはり幽霊は成仏させるべきだな。自分には取り込むことしかできないが。
数日経って、ついに地下研究室に体ができた。手はまだ離していないというか癒着したままだが、この手を離すと、この体の脳を魂に合わせるのに失敗してしまう。シアを呼んであるから、来るのを待とう。
「来たよ」
「では、この体に重なってくれ。あとはこちらで何とかする」
「うん」
魂に引っ張られている脳をそっちに持っていく感じで……できた。
確かここら辺に痛覚細胞がいっぱいあったはず。全部同時に刺激すれば……
「いったいっっ!!!」
「あー、智樹が起こしたんだ」
「あぁ、違和感はないか?」
「髪飾りで重心が……。あと、体が幼くて動きづらい」
「問題なしと。んじゃメイド服着てお仕事開始してくれ。とりあえず掃除から」
「……本気? でかすぎない?」
「じゃぁ頼んだよ」
「あー、はいはいわかりました」
後は妹が受け入れるかどうかだな。未だに距離があるから。
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