それ故に世界は廻る 上 (アイリス@水天一碧)
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Intersection

見慣れた景色が広がる。

何度この場所を共に歩いたのか、思い起こすことすら億劫になるほど、私はこの場所を訪れている気がする。

一体これまで何度ここを歩いたことがあるのか……。

そしてこれから何度この場所を共に歩くのか……。

そんな考えがふと頭の中をよぎる。

どうしてこんなことを考えるのか自分にも分からない。でも、どうしてかこの場所を歩く度にそんな考えが出てきてしまう。

 

「ねぇ蓮子。覚えているかしらこの場所のこと」

「どうしたの急に? 藪から棒に」

「なんか思い出しちゃってね。なんだかここを通る度に思い出しちゃうのよ」

閑静な郊外の一角。

二人が歩いているこの場所は、緑地が広がる公園のすぐ傍の歩道で、学園が栄える街らしく幾何学模様にレンガが敷かれた小洒落た通りとなっている。

近くの商業施設や学園からは少し離れた場所ということもあってか、人通りの少ない静かな散歩道として栄える場所だった。

「ここは……そうね。大切な場所ね」

「良かった。覚えていてくれたのね」

「そりゃね。なんたって私はロマンチストなんだから」

「ふふ。そうね、貴方は根っからのロマンチストよね」

「そう言う貴方は現実主義者よね。メリー」

「私が普通。貴方がちょっとおかしなだけよ」

「言い出しっぺは貴方なんだから貴方も同罪よ」

「そこは同類って言って欲しかったわね」

いつもいつも、こんな会話をしてる気がする。

気が合う仲だからこそできる会話。

相手のことを理解し合っているからこそできるやり取り。

幾度となく繰り返されるそのやり取りに、いちいち意味を求めるのは無駄な行為である。

しかし、一つ一つの言葉にはしっかりと意味が込められていた。

それは彼女達にしか分からない。彼女達だけの世界がそこに広がっていた。

「この場所……、私とメリーが初めて出会った場所ね」

周りの風景を見渡しながら蓮子がそう呟く。

「覚えてるかしら? あの時のこと」

その時のことを確かめるように、顔を覗き込みながらメリーが尋ねる。

「ふふん! なんたってロマンチスト蓮子さんですから! 覚えていないわけが無いのよ」

胸を張り自信満々にそう答える。その様子はどことなく子供っぽさが滲み出ていた。

「ふふ。蓮子は相変わらずね。そういうところが可愛げがあって良いわ」

「あ、また馬鹿にしてるでしょ。可愛げないなぁ」 

表情をころころと変える様子がさらに彼女の子供っぽさに拍車をかけていた。

天真爛漫という言葉が正しく彼女にはうってつけの言葉なのかもしれない。

「何だかね、忘れてはいけないことだと、そう感じるのよ。どうしてかしらね……。何だか確かめられずにはいられなくなってしまうのよ。」

「それだけ大切なことなら忘れるわけ無いじゃない。実際にこうやって二人とも覚えているわけなんだから。心配することないよ」

「そうよね……。ありがと。何だか変なこと言っちゃったわね」

「なんだか調子が狂うなぁ。いつものことだけどさ、今日は特に変よメリー」

「変な人に変って言われたらどうしようも出来ないわね。まぁ、ちょっとした気まぐれということにしておいてくれるかしら?」

「はいはい。いつもの気まぐれね」

なんだか誤魔化されたような気分だったが、まぁ詮索しても仕方のないことだと諦める。

気まぐれなんてお互い様だった。

ひょんな理由をつけては夜の街に繰り出したり、少しでも気になることがあればどんな場所にだって調査をするために現地に赴むいたりもする。

それが彼女たち『秘封倶楽部』なのだから。

このありふれた世界に隠れている無数の秘密を暴き、解明する。

その行為に意味があるかどうかなんて、彼女達には些細なことでしかない。何しろそんなこと彼女達にとっては、ナンセンスでしかないのだから。

他の者とは少し違った何かを持っている彼女達は、周りから少し浮いた独特な存在感がある。

そのおかげか、逆に他者から干渉を受けることなく、自分達の好きな事を不自由なく行うことが出来ていた。

むしろ彼女達こそ、この世界に隠された存在なのかもしれない―

 

「ところでさ……」

何かを伺おうとする蓮子が少し曇った表情をしていた。

「? どうしたの蓮子」

「ここって多分だけど……。初めて出会ってから二人で歩いたのは、まだ二度目な気がするんだけど……」

「……え?」

突然、突き放された感覚に陥る。

じゃあこの記憶は何なのか……?

何度もこの場所を二人で訪れたことのあるこの感覚は何なのか……。

「そんなはずは……」

―ふと、体の奥底から悪寒がした。

嫌な空気が体全体を包んで離さない感覚―

「……っ! ねぇメリーっ! あれは何!?」

突然大きな声をあげる蓮子に驚く。

酷く怯える様子で指を指している方向に視線をやると、そこにはメリーにしか見えないはずの黒い『裂け目』が―

 

 




サークル『水天一碧』で東方関連の執筆活動をしているアイリスと申します。
新潟例大祭で頒布させて頂きました作品を、少しずつこちらに投稿していこうということで掲げさせて頂きました。

目的としましては、小説を読みたい!って思う人たちが集う場所でどのような評価を頂けるのかということで、今まで頒布させていただいてきた物が短編小説ばかりで長編小説というものを書いたことが無い自分が実際にどれぐらいの物が書けているのかということをさし測るといった、実験的な何かだったりします。

ぜひ、感想や評価を頂けると励みになります。
これから少しずつ投稿をしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。


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Episode 1 #1

Episode 1

 

―いつの間に寝てしまったのか、ふと気が付くとベッドの上にいた。

 

「あれ? 私……いつの間に……? というか見覚えの無い天上……?」

またいつもの夢かもしれない。

けれど、何かいつもの例の夢とは何処かが違う……。

やけに現実味を帯びているような気がする。

そしてそれ以上にどこか違和感が。

「……え? 何……これ……?」

無い……無いっ!

そこにあるはずのものが……っ!

「私の腕っ! 何処にいったのっ!?」

彼女の右腕があるはずべきところに無かった。

「何なのこれはっ……? こんなの……こんなの夢に決まってるわ!」

困惑する彼女。

夢にしては妙に現実味がある。

自分の腕が無いことに気が付き、一気に血の気が引き、視界の端が暗くなっていくのを感じた。夢にしては酷く現実味のある感覚が彼女を襲う。

「どういうことなのっ! どういうことなのよっ!」

訳も分からず叫ぶことしかできなかった

「っ!! 落ち着いてください! 師匠! 患者さんが目を覚ましました! パニックを起こしているので応援お願いしますっ!」

何が起きたのかも分からずパニックに陥った彼女は、後から部屋に入ってきた者達の制止を振り切ろうと激しく抵抗をする。

「やめて! 離してっ! ここはどこなの? 誰なのアンタ達はっ! 私の右腕はどうしたのよっ!」

「落ち付いてください! どうか私達の話を聞いてくださいっ!」

「やだ!返してっ! 私の腕返してよ! 蓮子は? 蓮子のところに帰して!」

状況がとにかく一切分からない。

いつの間にか寝ていて目を覚ましたら、自分の右腕が無くなっているというあり得ない状況に立たされれば誰だってパニックになる。

訳も分からないまま必死に抵抗をする。

だが、片腕を突然失った彼女はバランスがうまく取れず、加えて治療後なのか激痛と酷く体力を消耗していたため、制止を振り切ることはできなかった―。

しばらくして、何とか会話ができる程度には落ち着くことができた。

「突然のことでさぞ驚かれたでしょう……」

「はい……」

何とか落ち着いた彼女だったが、まだ自分の身に起きた事への収拾がついていない様子だった。

酷く落ち込む彼女に声を医者らしき格好をした女性が声をかける。

「まずはお互い自己紹介をしましょう。私の名前は『八意永琳』です。現状から察してはいるでしょうが、貴方を治療した医者です」

ゆっくりと丁寧な口調で説明をする永琳。彼女の性格なのか、どこか言葉がサバサバしているように聞こえる。

「混乱しているところごめんなさいね。貴方の名前を聞いてもいいかしら?」

「マエリベリー・ハーンと言います……。呼びづらいと思うのでメリーで良いです」

「そう、とりあえず身辺的な記憶に問題は無さそうね。ひとまず一安心ってところね」

今だに傷心している様子の彼女だが、永琳は言葉を重ねていく。

「貴方、大怪我をした状態で竹林に倒れていたのよ」

「竹林……どうして私は……?」

「やはり覚えていないですか……。取り敢えず色々起きて混乱しているでしょう。貴方のその腕についても……」

ふと視線が彼女の右腕だった場所にいく。

「私……私の腕は……どうなってしまったのですか……?」

震えた声で自分の身に何が起きたのか伺う。

答えなんて分かり切っている。

それでも彼女は、その事実を自分一人では受け止めきることが出来ずに問いを投げる。

「私の元に運ばれてきた時にはもう……。貴方の右腕は既に無くなっていた状態でした」

―分かっていた。

そんなこと分かりきっていた。

今更どうすることもできないことぐらい。

「あぁ…ぁぁ……」

嗚咽混じりに涙をこぼす。

顔を覆う手は片手しかなく、両目から溢れる涙はその半分しか受け止めることが出来なかった。

そんな彼女に、永琳は語り掛ける。

「一応、此処の者たちに探させはしましたが……。残念ながら痕跡すら見つけることができなかったの。まるで初めからそこに無かったように……。それでも貴方の傷は新しく負ったものだったわ。失血で命を落としかねない状況だったの」

信じられない話だったが、彼女の言っていることは真実であると何故だか確信を持つことができた。

彼女が嘘をついているようには到底思えなかった。

だからこそ、尚の事ショックが大きかった。

「結論を言うとね、貴方はおそらく外の世界から来た人間だと私は考えているの」

次から次へと信じがたい言葉が耳に入ってくる。

『外の世界』という言葉―

既に頭の処理が追い付いていないというところに、さらに追い打ちをかけられている気分だ。

だが、その言葉は何故だか妙に耳について離れなかった。

外の世界という言葉を聞き、以前夢の中で見た景色が頭の中ををよぎる。

ここはもしかしたら以前夢の中で見た世界なのかもしれない。

自分の夢の中で見た世界という誰が聞いてもメルヘンチックで到底信じてもらえない考えだが、このあり得ない状況を説明するには十分な回答だった。

 

―そうだ。きっとそうに決まっている。

こんなのどうせ夢なんだ。夢でなければいけないんだ。

そうじゃなかったらこんなことあり得ないじゃないか。

「辛いことを思い出させるようで申し訳ないけど。これは聞かないといけないことなの」

「ここに来る……前の記憶…………」

混乱する頭で一生懸命に思い起こす。

彼女の片腕がまだ無事だった時のことを―。

 



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Episode 1 #2

「そっちには行っては駄目!」

後ろから聞こえる必死の叫び声。

おかしい……聞こえてくるその声は……紛れもなく……。

「メリーっ!」

黒い裂け目の中に入ってこうとするメリーを制止する蓮子の声が耳に入った

気がつくと私は既に黒い裂け目の中に足を踏み入れていた。

黒い裂け目の中に何かが見える。

中は暗く殆ど何も見えない黒い景色が続いていたが、確かに彼女の目には見えていた。

それはまさしく……。

 

 

彼女は確かめられずにはいられなかった。

その向こうに見える―を。

「―メリーっ! 聞こえないのっ?」

ふと、耳に入ってきた蓮子の声で我に返るメリー。

「……っ! 蓮子!」

既に踏み入れていた黒い裂け目の内側から、まだ外側にいる蓮子に慌てて助けを求めるように声をかける。

「何してるのメリー! 危ないから早く戻ってきて!」

必死の形相で蓮子が呼び戻そうと声をかける。

自分は何をしてるんだ。

早く戻らなければ! ここは危ない。

自身の身の危険を感じ慌てて戻ろうとする。

まだ中に数歩入っただけの距離だ。引き返そうと思えばすぐに……。

そう思っていた矢先、メリーの目には黒い裂け目が閉じていく光景が目に入る。

一気に体から血の気が引くと同時に、これまで経験したことのないような恐怖に体が強張る。

―まずいっ! このままだと戻れなくなる。

事態を察知するや否や、慌てて身を翻し、手を伸ばす。

「蓮子!」

「メリー! 早く!」

向こう側から蓮子も手を伸ばしてくれていた。

僅かの距離だ。これならまだ間に合う!

伸ばされた手を掴もうとする。

僅か数秒の出来事がとても長く感じる。

すべてがスローモーションのような感覚だった。

 

―掴んだ!

確かに彼女の手の温もりを感じることができた。

「メリー!」

掴んだ手が蓮子によって引っ張られる。

「良かった間に合っ―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―そこで世界は閉じた。

ただ一つ痕跡を残して……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―私が覚えているのはここまでです」

思い出せる事は全て話した。

所々朧げな部分がありながらも、殆どの出来事は覚えていた。

「そう、ありがとう。思っていた以上に鮮明に覚えているのね」

「私はきっとその時、この怪我を負ったのだと思います……」

 自分の右腕があるはずの場所を見つめて悲しげにそう言う。

「そうみたいね。残念ながら貴方の右腕を治療することは現物がない以上難しいことです。貴方が外の人間である以上、そちら側に無い技術で腕を治すことは可能と言えば可能ですが、その場合、貴方が元の世界に戻った場合、何が起きるか私には保証ができないので」

「そう……ですか。あの……、『こちらの世界』と言いましたが、ここは一体どこなんですか?」

 とりあえず自分の身に何が起きたのか、少しばかり分かることが出来た。

 なら次に確認しなければいけないのは、いま自分は一体どこにいるのかということだ。

「ここは、『幻想郷』と呼ばれている場所です」

幻想郷―

 耳にしたことの無い言葉だ。

「私たちが『外の世界』と呼ぶ貴方たちが住んでいる世界から『非常識』として否定され、忘れ去られたものが流れ着く場所。人妖様々な者が蔓延る世界と言えば、貴方には通じるかしら」

 人妖様々な者……。

 確かに先ほどから、自分とこの永琳と名乗る者以外に、部屋の片隅に立ってこちらを見ている少女の頭には兎の耳が生えている。初めは何かのコスプレかと思っていたが、どうやら今の話を聞いているとあの耳は本物なのだろう。

「まぁ、そこにいる助手の姿を見れば分かるでしょう。この世界は人間以外の者が多く住まう場所です。はっきり言ってしまえばあなたの様な力の無い人間が夜道をおいそれと夜道を歩けるような場所では無いということね」

「そうですか……。なんだかとても危ない所に来てしまった気がします」

「当然の感想ね。此処は……そうね。力のある者しか生き残れない。残酷な世界と言ったところかしらね。人と妖が手を取り合って生きていくなんて夢のようなお話があれば別かもしれないけど……」

 

 人と妖が共に手を取り合って……。

 そこにる兎耳の彼女を見た感じは危害があるようには見えなかった。

この世界はこの世界の複雑な事情があるのだろう。

 そう考えていくうちに一つの疑問にたどり着く。

「待ってください。じゃあ永琳さんも人間じゃないって言うんですか?」

「私は―」

「永琳!」

突然部屋の扉が勢いよく開かれる。

けたたましい音を立てながら部屋に立派な桃色を基調とした着物を着た黒髪の美しい女性が入ってきた。

「姫様! どうされたんですか?」

「どうもこうも無いわよ。あいつが、あいつが外からここに入ろうとして来ているわよ」

「なんですって? 結界が破られたというのですか? 外界と遮断している此処にどうやってたどり着いたっていうの?」

何やらただ事では無い様子だ。

先程まで落ち着いて喋っていた永琳も、姫様と呼ばれる彼女の言葉を聞いた途端、尋常じゃない雰囲気で部屋を飛び出そうとしていた。

 

 



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Episode 1 #3

「どうしたんですか! 一体何が起きてるんですか⁈」

「貴方は危険なので此処で待っていてください。決して外には出てはいけません!」

そう言い残し、メリーを一人残して部屋の者が全員出て行ってしまった。

次から次へと何が起きているのか分からない。

「もう……一体何なの? 私はどうすれば……」

静けさを取り戻す部屋。

静かすぎる部屋の中に取り残された彼女に、不安と焦燥感がただただ襲うばかりである。

左腕を失った事。

幻想郷という危険な場所に来てしまった事。

蓮子と離れ離れになってしまった事。

そして、今起きている不明な事態。

その全てが望まれることなく突然彼女の身に同時に降りかかったのである。その負担は尋常ならざるものだった。

全てが夢だったら。

そんな思いが込み上げてくると同時に、今起きていることは全て夢ではなく、現実であるという謎の実感があるのはどうしてなのだろうか。

もう何が何だか分からなかった。

もし、これが本当に現実だったとしても、自分はどうやって元の世界に変えることが出来るのか。そもそも、この危険な世界で生き残ることが出来るのだろうか。

次から次へと疑問が湧いてくるのに、その全ての答えが分からない。

先の見えない暗闇の中にただ一人立たされた気分だ。

この先自分はどうしていけばいいのか、それすら分からない現状に加えて、追い打ちをかける様に何か普通ではないことが今も起きていることに苛立ちすら覚えてしまう。

 

「……っ! 建物が揺れてる?」

揺れを感じた。

地震とは違い、定期的に僅かに振動を感じる。

「……外で何が起きているの?」

外で何かが起きている。

それ以上のことが分からない。

しかし、今この部屋を飛び出すのは明らかに危険だ。

このままじっと部屋の中で待つしか、安全な選択肢が無い。

部屋にいた者たちが飛び出して行ってからどれくらい経ったのか、色んな事が起きすぎて、頭の整理がついてない彼女には正確な時間を予測することができなかった。

部屋の中を見渡しても時計が見つからない。

普段携帯しているスマートデバイスも、不運な事に出かける際に家に置いてきてしまった。

「こんな時、蓮子がいれば……」

普段ならすぐに答えてくれる相棒が今はいない。

「蓮子……」

消え入る声でそう呟く。

「助けて……蓮子……助けてよ」

涙が目から零れる。

一人取り残された静かすぎる部屋の中でただただ、助けを請うことしかできなかった。

 

「メリーさん!」

「……え?」

突然大きな声を掛けられ驚くメリー。

だが、それ以上に目に映った光景にさらに驚かされる。

「早く……ここから……逃げて……くだ……さい」

先ほど部屋の片隅に居た兎の耳が生えたブレザー姿の少女が部屋に入ってきていた。

しかし、その姿は先ほどとは違い、服はボロボロに破け、横腹を負傷しているのか手で押さえているがその場所から大量に出血をしていた。

「何があったんですか!」

座っていた寝具から慌てて降りて彼女の下に駆け寄る。

「大丈夫ですかっ!」

「私は、良いですからから……。貴方は……早く逃げてください」

明らかに重傷を負っていた。

「外で……外で一体何が起きてるんですかっ!」

混乱する頭で呼びかける。

 

 

「博麗の巫女が……来ました」

 



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Episode 1 #4

「……博麗の巫女?」

また、聞いたことの無い言葉だった。

「あいつは……とうの昔に……どうして今……ここに……?」

苦痛に顔を歪めながら、何とか声を出していた。

「私は大丈夫です。なんたって妖怪なんですから……。これくらい……師匠がすぐに治してくれ……ますので……」

確かに妖怪と聞く限り人間より丈夫なのは想像に容易いことだが、怪我の様子から明らかに、命の危機に反している様子だった。

「それより……早くここを……離れてください。今ならまだ貴方を逃がすことは師匠ならできるはずです……。なんて言ったってあの人は…………っ…………ぐっ…………」

「しっかりしてくださいっ!」

明らかに苦しむ様子に、焦燥感が募る。

「少し……休ませてもらいますね……」

そう言うと彼女はその場にへたり込み、意識を失った、

「どうしよう……? どうすれば?」

再び、部屋に静寂が訪れると同時に、突きつけられた惨状に戸惑いを隠せない。

次から次へと事態が酷くなっていくように感じた。

このまま此処に居ても駄目なのなら……。

気がつくと自分はあの部屋を飛び出していた。

あのまま、あそこに居ても埒が明かない。

廊下に出ると、どうやらこの建物は立派な古風の屋敷造りになっているらしく、自分がいた部屋以外は基本的に襖で仕切られた部屋がいくつも続いていた。

香り高いヒノキの匂いが鼻孔をくすぶる。

古い屋敷づくりなのだが、まるで最近建てられたような気配を漂わせていた。

まるで、自分が古い時代にタイムスリップした気分になる。

「出口を探さないと……」

とにかく、廊下を走る。

廊下は非常に暗く、所々にかけられた行燈の明かりが廊下を照らすのみだった。

どうやら時刻は夜らしい。

屋敷の中は人の気配が無く、もぬけの殻に等しかった。ふ何処かの部屋に固まって避難をしているかもしれないが、それにしては人の気配が無さすぎる。

ふと、遠くから物音がメリーの耳に入ってきた。

音を頼りに進むしかない。その先で何が起きているか分からないが、あの兎はどうにかしてくれると言っていた。今はそれを信じるしかない。

ふと、頭の中に傷を負った先ほどの兎の少女の姿がちらつく。

自分も、もしかしたらああなってしまうのかもしれない。

いや、既に片腕を失くすほどの怪我を負っているが、それでも命の危機を感じれば誰しも恐怖を抱く。

だが、それしか頼りが無いのなら……今は進むしかない。

廊下と襖はどこまでも続いており、走っても、走ってもその景色は変わらなかった。

 

―おかしい……。

いくらなんでも、広い屋敷と言えどこの広さは尋常ではない。明らかに常軌を逸している。

どこまでも続く、廊下をただ走らされている感覚だ。

それでも、進む方向からは時折、音が聞こえてくる。

それに先程から、傷を負った箇所が妙に痛みを訴えている。

それは、聞こえる音に近付けば近づくほどそれは強くなっていく。

きっとこっちで合っている。

そんな予感がしていた―

ふと、同じような襖が続く光景に違和感を覚える箇所があった。ぱっと見た感じでは他のものと見た目は変わらない。

しかし、彼女の目は確かにその襖から違った何かを捉えていた。

 

 

ここだ―。

 

この無限に続く廊下から脱することが出来る。

何故だか彼女の中に確信を得るものがあった。

「きっとこの先に……」

襖に手をかける。その手は、恐怖からか焦りからなのか小刻みに震えていた。

この先で一体何が起きているのか。そもそも、この不可思議な廊下は何なのか。

答えの分からない疑問ばかりが脳裏をかすめるばかりで、この廊下と同じように彼女を夢幻回廊の先の見えない底に突き落としてくる。

行かなければ、ここから出なければ何も分からない。

そして震える手でその襖を開けた。



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Episode 1 #5

襖を開けた先は、中庭らしき場所が見渡すことのできる屋敷の縁側だった。

周りに灯りは一切ないのに、眩しいと感じる程の月の明かりが美しい庭の全貌を曝け出していた。その光景は何とも妖しく、そして美しく、偉大な美術家が美しさだけを追求して完成させた絵画の世界を目の当たりにしているようだった。

そのあまりの美しさに目を奪われる。動作が一瞬止まってしまったが、はっとなり周りを見渡すが中庭には人影は無かった。

改めて周りを確認すると、確かに広い屋敷ではあることには違いないが、先ほどまでの廊下の長さを誇る程の広さでは無いことが見て取れる。

やはり自分がいたあの廊下は何かおかしな場所だったみたいだ。

周りの様子を確認していると、遠くから何やら人の声や物音が聞こえてきた。

慌てて聞こえてきた方向に向かって縁側を進んでいく。

突き当りを一度、二度、縁側にそって急ぎ足で曲がる。

外を見渡すと、どうやらこの建物の周りは竹林で囲まれているようで、わざわざ塀を建てる必要が無いのか、庭と敷地の境界は竹林で仕切られているようだった。

さらに縁側を中庭に沿って進んでいくと、三度目の突き当りに差し掛かった時、物音が聞こえてきた。

すぐそこだ。

慌てて裸足のまま中庭に縁側から飛び降りて、物音が聞こえてきた方向に駆け出す。

どうやら、中庭を通じて建物の玄関らしき場所まで来たようだ。

相変わらず古風な屋敷を思わせる玄関が目につく。ふと視線を落とすと石畳が屋敷の外の竹林に向かって続いているのが分かる。

そして、視線を辿って行った先には信じられない光景が広がっていた。

 

「貴方っ! どうしてここにっ!」

部屋の中に居たはずのメリーの姿に気がつき、信じられないという表情でこちらを見てきた。その彼女の周りには大量の出血した跡が地面を濡らし赤黒く染めていた。彼女自身もまた、自身の血なのか返り血なのか分からないが、体や装いを汚していた。

「永琳さん! 何があったんですか! その血はどうしたんですかっ!」

部屋を勝手に飛び出してきたことは余所に、彼女のただ事で

は無い様子を見て言葉を返す。

「これは、これが私なんです」

「何を言って……」

瞬間、彼女の体を細い針のような物が何本も貫いた。

自分に注意を向けていたのか、この騒ぎの元凶から背を向けていた

らしく、背中から何本もの針を刺され体を貫通していた。

「……っ! 永琳さんっ!」

突然起きたあまりの光景に、ただ声を出すことしかできなかった。

針で負傷したダメージと、その衝撃で彼女はその場に正面から倒れてしまった。

 

「いやぁっ!」

 

思わず叫び声をあげてしまう。

無理もない。目の前で人が殺される現場なんて一般的な生活をしていれば、まず出くわすことのない事だ。

ふと視線を地面に倒れた永琳から上にあげると、倒れた彼女の向こう側に人影が見えた。

「……巫女……さん?」

それは、紅白を基調とした巫女服を身にまとった黒髪の少女だった。

月明かりに照らされる竹林を背に、ただ茫然とその場に立ち尽くしていた。

彼女との距離は正確には分からないが少なくとも十メートルは離れている。月明かりだけでは、正確に表情を見ることが難しい距離ではあったが、微かに見えるその表情は決して穏やかなものでは無かった。

そして、その目はこちらを見据えている……。

それだけは明確に分かった。

「なんで……どうしてこんなことをするの……?」

かすれる声で呟く声は彼女の耳には届かないだろう。

「どうして、次から次へと私から何かを奪っていくの……」

 

穏やかな日常。

かけがえのない友人。

自身の左腕。

そして、さっき会ったばかりの者たち。

 

自分の目にするものが全て奪われていく。

一体誰が、どうして私がこんな目に逢わないといけないのか……。

これ以上の不幸なんてあり得ない。そう思える程に、彼女は絶望の淵に立たされていた。

「私が……私が何をしたって言うのっ!」

あふれ出る感情が、心の叫びとなって喉を震わした。

きっと目の前の巫女にも届いたはずだ。

その声を聞いてか、その巫女はゆっくりとこちらに歩み始めた。

 

「―っ!」

 

明らかに私を狙っている!

目の前で人が殺されているのだ。こちらに近付いてきたということは、次は自分の番だ。

あまりの恐怖に体の奥底から今まで経験をしたことの無い、得もしがたい感情か何かが沸き出てきて、全身を支配する。

あと何秒自分が生き残れるのかという状況に立たされるとこんな気持ちになるのか。

全身が一気に熱く感じて汗をかく感覚と、眩暈がするほどの悪寒を感じる感覚が同時にやってくる感覚だった。

 

「―殺されるっ!」

 

目を瞑り、身を強張らせる。

一秒……二秒……。

僅かの時間が果てしなく長く感じる。

そんな時、ふと声をかけられた。

「……やっぱり。この子が目的ですか」

聞き覚えのある声だった。

「永……琳さん……?」

先程まで地面に倒れていたはずの彼女が、目を開けると自分の目の前に立っていた。

「あり得ないって顔をしてるわね。でもね、これが私です」

体に刺さったままの針が痛々しく見えるが、彼女は毅然とした様子で何事も無いようにふるまっていた。

 



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Episode 1 #6

「永琳さん……貴方は一体……?」

「私は罪人です。万物に対して平等に訪れる理に背を向けた……。それは決して許されることではありません。今もこうして、その罪から逃れられることは出来ない……。文字通り一生ね」

「それは……貴方は死ぬことが出来ないということですか?」

彼女がこちらに振り向く。その顔は物悲しい表情をしていた。

つまりそういうことなのだろう。

「私は……、いえ。私達は禁忌に触れてしまいました。その代わりに得たのが『不老不死』という不治の病でした」

 

―不老不死

 

それは、死を恐れる者ならば魅力的な言葉だろう。

太古の時代から、それは人々に求められ続けられ、しかしそれは煙を手で掴むように、決して誰の手にも入れられることの無い御伽幻想。

 

「例えどれだけ時が経とうとも……例えどれだけ周りが移ろい変わっていったとしても……。決してこの身は果てることが無いのです。それが私に……、私達に科せられた罪なのです」

これが、不老不死を手に入れた者がする表情なのか。

それはまるで死者のように……。

 

「―そういうことなのね」

ふと、彼女の後ろから声が聞こえた。

「それがこの世界の理を壊していたのね……」

―巫女だ。

少し離れた距離で足を止めていた巫女から発せられた声だった。

その声は呟くように小さく、それでもはっきりと耳に届くほどに明確なものだった。

「ようやく見つけた……」

 

その目は『私』を見ていた。

真っ直ぐ。

ただ真っ直ぐ……。

 

「先ほども聞きましたが……やはりこの子が目当てなんですね。博麗の巫女」

「博麗の……巫女?」

その名前を聞いたメリーが繰り返すように呟く。

―さっきも聞いた名前だ。

何故だかその言葉には特別な何かを感じる。

この感覚は何なのだろうか……。

ふと、『博麗の巫女』と呼ばれた彼女が口を開いた。

「私は……私はこの世界を救う……。それが私の使命。それが私に科せられた―」

 

瞬間、再び巫女の手から針が放たれた。

不意を突かれた永琳は、メリーが見ている目の前で再び無数の針を体に受ける。

「……ぐっ!」

苦痛に表情を歪める彼女を見て分かったのは、『死なない』というだけで、他は殆ど人間と同じということだ。それはつまり、致命傷を受けるだけの傷を負ったらその分の『苦痛』を味わっていることになる。それでも、『死なない』という保証があれば、気が遠くなることも、死の絶望に打ちひしがれることも無いのだろう。

だが……彼女の痛々しい姿を見ていると……。

「世界を救うですか……」

体のあちこちに針に貫かれながら永琳が口を開く。

「確かに私は『あの日』に大きな異変を起こしました。姫を守るために。それは殆ど私のエゴでした。それでも……それでも私は姫を守りたかった。そのために私はこの幻想郷の月を偽物の月とすり替えました」

「月をすり替えたって……」

まるで御伽話を聞いているような感覚だった。そもそも、目の前にいるこの人物は不死を体現している。目や耳に入る情報の何もかもが『非常識』で普通じゃない。

「それでも私がやったのはあくまで月のすり替えなだけ。しかし、その日から幻想郷から月の満ち欠けが無くなってしまった。永遠と満月の夜しか訪れなくなってしまったのです」

「月の満ち欠けがですか?」

「そう。つまりそれは、この世界に『明日』が訪れなくなったということ。この世界は時の歩みを進めることを放棄してしまった。まるで私たち蓬莱人のように……」

その言葉を聞いて巫女が口を開く。

「そう、貴方達が居なければこんなことにはなっていなかった……」

「そうです。そして、博麗の巫女が居ればもっと違った未来があったのかもしれません」

「それは言い訳でしかないわ」

「居なくなったって……。いま私の目の前にいるじゃないですか。どういうことですか、居なくなったって言うのは?」

「それは……」

メリーが問いかけると巫女は目線を逸らした。

彼女の代わりに永琳が口を開く。

「居なくなった。文字通りね。今の今まで私達はいつからか『博麗の巫女』という存在を忘れていたの」

「え……?」

「でも思い出したのよ。ついさっきね」

 

どういうことだ。

博霊の巫女という存在はこの世界にとってとても大事な存在なのは聞いていて分かった。

しかし、それを忘れていた?

意味が分からなかった。

 



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Episode 1 #7

「さっきって……、それはどういう……」

「それも文字通りよ。ちょうど貴方を見つける直前に思い出したの。正直何が起きているのか私にも分からない。そして、そのタイミングに合わせたように彼女はここに来た」

「……私?」

何を言われているのか分からなかった。

突然自分の身に起きた事態の収集すらまだ出来ていないというのに、今度はこの世界がどうのこうのと……。

次から次へと常識ではないことが目まぐるしく起きるこの惨状に彼女はある結論に達していた。

 

こんなの……こんなのただの夢なんだ!

そうに違いないっ!

そうに決まってる! そうじゃなかったら……。

 

「―もう訳が分からないわっ!」

訳も分からず、気づけば叫んでいた。

「何なの一体! 私は蓮子と二人で歩いていたと思ったら突然こんな訳の分からないところに来て、しかもこんな大怪我までして! 挙句の果てに世界がどうのこうのって……こんなのただの夢なの! そうに決まってるっ!」

 

 

―カシャン!

 

 

突如、ガラスが割れるような乾いた音が響いた。

 

「……え?」

何の音だ?

この場にいる誰かが動いた形跡は無かった。

いや、それより聞こえてきた音が不自然だったのはその方向だ。

頭上から聞こえたのだ。

「空……?」

ふと、見上げると空が割れていた。

詩的な表現では無い。それは決して比喩表現でもない。

本当に空が割れていたのだ。

「これは……」

気付くと、傍にいる永琳も驚いた表情で空を見ていた。

それは彼女も想定していなかった事態が起きていることを意味していた。

「そう……ですか。そういうことですか……。私達は…………」

割れた空を見るや否や、永琳は何かを悟ったようにそう呟き始めた。

「一体……一体何が起きてるんですか?」

「これは、貴方が気付かせてくれた。私達は……この世界は……。でも間違ってはいなかった。私がやってきたことは何も間違っては無かった……。これで私も姫も……あの子も永遠という檻の中から解放される」

その目からは涙が零れていた。

そして、永琳の口から衝撃の事実を告げられる。

「……この世界はもうすぐ消えて無くなるわ」

「……え? 消えるって……」

「そのままの意味よ……」

「じゃあ、やっぱりここは夢の世界……?」

「貴方から見たらそうかもしれないわね。でもね、私達にとってはここが現実だった。それを嘘なんて……夢だなんて言わせない……」

 その言葉には重みがあった。

確かに、ここが夢の世界だろうとそうでなかろうと、この世界の住人にとってこの幻想郷こそが自分の世界なんだ。それをただの夢という言葉だけで片付けてしまうというのはあまりにも……。

「そしてこれは貴方の手によって引き起こしたことよ」

「私……が……?」

信じられない……。これを私が?

そうしているうちに、崩壊がどんどん進んでいた。空が割れ、美しい星空にヒビが生え、割れ目の向こう側はただ何も無い虚無が顔を覗かせていた。周りの竹林も泡のような光の粒を漂わせながら徐々に消えていく光景がメリーの目に映っていた。まるで、蛍が一斉に飛び立つような、美しさがあるが、その後には何も残ってはいなかった。

世界が消えていく。それはまるでこの世界が夢から覚めるかのように……。

「……マエリベリー・ハーンだったわね」

「そう……です」

世界が消えようとしている中、永琳自身もこれから消える運命にある中、彼女はメリーに最期の言葉をかけていく。

 

「私達は……この世界は……別れたもう――の世界です。それでも私達にとってはこの世界こそが本物の世界でした。だからこそ、忘れないでいてほしいです」

「永―……さん…………」

 

視界にノイズが入り始めた。

 

少しずつ彼女の声が不明瞭になっていく。

 

「貴方は世界の目です。そしてあの――の―女は世界の座標です。それが別れてしまった……。世界は―のよ―に運命を決定した。それでも貴方達はきっと抗ったのでしょう。そうして今、貴方は此処に居る。貴方の――はまだあちらに、―跡があるのなら……。だったら、世界を壊して……」

意識が遠のいていく感覚に襲われる。殆ど何を言っているか分からないが、しかし鮮明に語られる言葉は脳に記憶されていった。

「――の幻―郷の世界で、博麗の巫―を探して、特異点を――世界を――――て」

 

「永琳さんっ!」

 

最期の瞬間すべてを振り絞って名前を叫んだ。

それが彼女に届いたかどうかは分からない。

それでも……。

 

 

 

 そして世界は流転する――。

 

 

 

 

 

Episode1 End



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