短編まとめ (二十一の春)
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つよつよオビト♀、好きに生きるってよ

先祖返りさせました


 

 物心がついて直ぐに自分が疎まれ、冷たい視線で見られていることに気付いた。

 いや、自分だけじゃあない。祖母もだった。

 当時は何故なのか分からなかった。不思議に思い、唯一の生きている肉親である祖母に問い掛けても求めていた答えが返って来たことはなかった。

 私が初めて公園に行った時、それまで公園で遊んでいた子どもたちをその保護者が連れて帰るということが起こった。その時は疎まれていることを改めて実感し、祖母に泣き付いた。

 その後、祖母は教えてくれた。私の母方の直系の御先祖様のうちはマダラのことを。

 彼はこの里の創設者の一人でうちは一族の長でもあった存在だったこと。

 しかし里からも同族からも疎まれており、孤独の存在だったこと。

 その結果、彼は里を抜けたこと。

 その後復讐の為、木ノ葉を襲撃したこと。

 そして彼は初代火影と死闘を繰り広げたこと。

 そして抹殺されてしまったこと。

 これらの出来事のせいでマダラという存在は恐れられ、強大な悪として歴史に名を残したこと。

 そしてその悪であるマダラの子孫が疎まれているのは仕方のないことであること。

 

 マダラのことを知り、自分の血統のことを知った私はその現実に絶望し、目が熱くなった。そしていつの間にか両目が赤くなっていた。祖母からそれはうちは一族の血継限界だと言われた。

 

 私、うちはオビトは幼くして写輪眼を開眼した。

 

 最後に祖母からもう一人の御先祖様について聞かされた。

 

「アナタは柱間様の来孫でもあるのだから自信を持ってね」

 

 その名は幼い私でも知っていた。

 千手柱間。木ノ葉隠れの里の創設者の一人であり、千手一族の長であり、初代火影となった忍の神と謳われる存在。

 だからとても驚いた。

 祖母が言うには私の父方の御先祖様であるが、父が母と恋仲であったことは祖母以外誰にも周知されてなく、しかも父は母を孕ませた直後に任務で殉職して母と結婚することなくこの世を去った為に私の父が誰かなんて祖母以外何者も知らないそうだ。

 

 

 ★★★

 

 

 その後、アカデミーに入学した。

 生徒と先生からは疎まれ、忌み子として扱われ、そのことを心配している祖母がアカデミーまで迎えに来ると祖母のことも同じような目に合う。

 そのことに激しい怒りと憎しみを抱いた。

 確かに私と祖母はうちはマダラ(大罪人)の血を引いている。だけど、それだけだ。私たちは何も罪を犯していない。

 それなのに…ッ。

 私だけなら我慢出来たが、祖母まで同じ目に合っている。それも長年。

 私は悟った。この里、というか世界ってクソだということを。

 そして柱間の血統の父が生きていれば、こんな扱いは受けなかったとか、でもそれでは世界がクソだなんて気付けなかっただろう、なんて考えを抱いた。

 

 

 ★★★

 

 

 それから時は経ち、アカデミー卒業間近のある日、祖母が亡くなった。

 

「幸せになりなさい」

 

 祖母は最期にそう言うと息を引き取った。

 物心がついた時には両親は既に居らず、祖母が一人で育ててくれた。当然、祖母には深い愛情を抱いていた。

 故に私が万華鏡写輪眼を開眼したことは必然だった。

 …そして後に知ったことだが、両目と額に輪廻写輪眼(輪廻眼)を開眼したのも必然だった。

 

 

 ★★★

 

 

 アカデミーを卒業したら忍者になった。理由としては力を付ける為だ。木ノ葉への復讐の為に。

 輪廻眼(最強の瞳術)を持ち、輪廻眼の固有瞳術のお陰で()()()()()()()()()()()()為に忍術も幻術も体術もそれなりに出来るが、まだ超一流とは呼べないのそれだ。

 里の軍人でもある忍者になれば戦闘能力を高めても文句は言えまい。いや、マダラの子孫という存在が力を持てば危険視される可能性も…?

 そんな考えを持った私は周囲には本当の実力を隠すことを徹底することに決めた。当然、瞳術系統も何も有してないように振る舞うことにした。

 

 

 下忍なれるとフォーマンセルを組むことになった。メンバーは担当上忍の波風ミナト、はたけカカシ、のはらリン、そして私というものだ。そのフォーマンセルはやはりマダラの子孫(私の存在)でぎくしゃくしていた。

 フォーマンセルは私が暗部入りすると同時に解散した。

 私は初めて受けた中忍選抜試験で成果を上げたことで上層部に実力を認められたのだ。

 

 私が暗部入隊した理由は木ノ葉の復讐の一部。

 

 実は下忍になって直ぐにうちは一族の集会に招集された。今までうちはの集会に参加したこともなく、うちはの現状も知らなかったが、集会に出たことで色々と分かった。

 里の中枢や政に関われずに不満を抱いていること、その不満が里の上層部に向いていること、そして一族の間の仲間意識が強いこと、そしてマダラの意志を継ぐ造反勢力がマダラの子孫である私を次の族長に祭り上げようとしていること等。

 

 私はその知り得た事実を木ノ葉上層部に報告した。

 一族を裏切り、そのことを報告したことと一族に仲間意識が無いことを認められると私が暗部に入れば、うちは側が里の中枢に入り込めた私を認め、更に祭り上げ、里側にスパイとして送り込もうと動き、外部に漏らせないような情報も多く与えるのではと考えた上層部から暗部への入隊と二重スパイについて打診された。私はそれを了承した。

 …計画通りだった。

 密告後に行われた中忍試験で実力の一部を垣間見せ、上層部にマダラの子孫という不安の種を暗部(手元)に置いておきたいと思惑を持たせたことで暗部入りへ誘導した。

 これからは二重スパイという立場を利用し、木ノ葉とうちは双方に正しい情報は与えずに徐々に撹乱させていく。

 

 それにしても今まで同族のよしみもなく、私と祖母を無視していたのに今更自分たちの都合で祭り上げようとしているうちはには反吐が出る。

 それに上層部も私がうちはらしくないうちはだと分かれば、掌を返して信用する。これにも反吐が出る。

 

 それからは暗部としての活動と二重スパイとしての活動が始まった。

 

 マダラの一件のせいで上層部がうちはを信用せずに、そのせいでうちはは中枢や政に関われない。

 一族に仲間意識を持っていない私からすればその原因がうちはが仲間意識が強い故に一族に執着し、里側に歩み寄ろうとしていないことだというのが分かる。

 私はこの状況を利用し、クーデターを起こすように誘導し、内戦を勃発させようかと考え始めた。

 

 

  ★★★

 

 

 そんなこんなで暗部として、二重スパイとして活動し始めて数年間が経過したある日。

 部隊長の地位に就いていた私は仲間を庇い、敵の土遁忍術に巻き込まれ、岩に右半身を潰された。

 という演技をした。

 全て敵を写輪眼の催眠眼で操った自作自演。岩も身体に接触する数ミリ先で寸止めにしていた。

 私を回収することもなく、他の暗部の忍は撤退していった。唯一、残ったのは私が庇った人物であるはたけカカシ。彼も少し前に暗部の私の部隊に入隊していた。

 そんな彼に何故庇ったと責められた。

 私は身体が勝手に動いたこと、そして最後に忍者の世界でルールや掟を守らないやつはクズ呼ばわりされるが、仲間を大切にしないやつはそれ以上のクズだと思うからと伝えた。

 ルールや掟を〜の下りは私にしては珍しく本心からの言葉だった。

 ただ私には仲間と思える存在がこれまで居なかった。

 彼の酷く呆然とした様子を見ながら私は大きな地割れに転がり落ちて姿を晦ました。

 

 

 ★★★

 

 

「はぁ…死んじゃったよ。マダラ様に怒られるな〜」

 

「死んでなど居ない」

 

「うわぁ!?なに!?生きてたの?」

 

「ああ。それよりもお前らの主人のもとに案内しろ」

 

 

 

 




原作キャラの救済は良く見るので救いが無い話を書きました。

ちなみにこの後の展開としては、

マダラと協力関係に→長門を手懐ける→九尾事件→水影になり霧隠れ統治(真っ当な運営を行う)→うちはクーデター誘導→木ノ葉内戦勃発→第四次忍界大戦勃発→木ノ葉滅亡→暁の尾獣狩り開始→第五次忍界大戦勃発(原作第四次忍界大戦)→第五次終戦後、霧隠れ一強時代を築き始める。

意欲があれば書きます。


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【速報】うずまきナルトの子を身篭りました

1:イッチです

ナルトくんってNARUTOの主人公でしたよね?私を孕ませて良かったのでしょうか?

 

2:名無しの忍者

NINJA世界の転生者のスレか

 

3:名無しの忍者

ナルト世界からのスレは初じゃね?

 

4:名無しの忍者

確かに

 

5:名無しの忍者

イッチおめでとう

 

6:名無しの忍者

妊娠おめ

 

7:イッチです

ありがとうございます

 

8:名無しの忍者

っていうかイッチは何者?

 

9:名無しの忍者

主人公の相手だからヒロインやろ

 

10:名無しの忍者

ヒナタか

 

11:名無しの忍者

原作登場人物への憑依転生者か

 

12:名無しの忍者

ナルヒナか〜

 

13:イッチです

すみません、私ヒナタなる人物ではないです

 

14:名無しの忍者

えっ

 

15:名無しの忍者

は、

 

16:名無しの忍者

…?

 

17:名無しの忍者

どういうことだってばよ!?

 

18:名無しの忍者

それは草

 

19:名無しの忍者

ナルトさん降臨

 

20:名無しの忍者

偽物や

 

21:イッチです

恐らく私はモブです。ナルトくんの仲間でもありませんし、一緒に冒険もしていません

 

22:名無しの忍者

えぇ…?

 

23:名無しの忍者

NARUTO知識有りのワイ、困惑

 

24:名無しの忍者

誰だって困惑するわ!

 

25:名無しの忍者

【悲報】主人公うずまきナルト、ヒロイン以外の女と子作りする

 

26:名無しの忍者

悲報過ぎる…

 

27:名無しの忍者

貴様!それでもジャンプ主人公か!

 

28:名無しの忍者

某奇妙な冒険第二部主人公を思い出したわ

 

29:イッチです

やっぱりヒナタさんというヒロインが居るのですね。

 

30:名無しの忍者

これってNTR?

 

31:名無しの忍者

嫌ァァァ!

 

32:名無しの忍者

あ゛あ゛あ゛ーッ!脳が破壊されるぅー!

 

33:名無しの忍者

そういう言い方は良さぬか!

 

34:名無しの忍者

でもそれはそれで興奮する

 

35:名無しの忍者

変態は帰れ

 

36:名無しの忍者

結局の所どうなんよ、イッチさん

 

37:イッチです

寝取ってないです。

酔っ払ったナルトくんに襲われたのです

 

38:名無しの忍者

ほっ。良かった。…?良かったのか?

 

39:名無しの忍者

全く良くねぇよ!

 

40:名無しの忍者

襲われた!?

 

41:名無しの忍者

マジで?

 

42:イッチです

はい、本当です。

【ナルトに馬乗りされたイッチの画像(イッチ目線)(イッチの記憶再現)】

 

43:名無しの忍者

は?(ガチギレ)

 

44:名無しの忍者

ああ…本当だ(絶望)

 

45:名無しの忍者

記憶再現ならマジのようだな

 

46:名無しの忍者

何てこった…

 

47:名無しの忍者

ナルト…失望したぞ

 

48:名無しの忍者

えっ、イッチは肉体的精神的に大丈夫なん?

 

49:イッチです

ご心配ありがとうございます。怪我もなく、心の方も割と立ち直っているので大丈夫です

 

50:名無しの忍者

……おいっスレ民共。イッチは立ち直ったとはいえ、上記の出来事で傷付いたのは確か。だからこれからのスレでイッチの傷を抉る発言はするなよ(by何処かの世界の女転生者)

 

51:名無しの忍者

おう

 

52:名無しの忍者

当たり前よ

 

53:名無しの忍者

発言には気を付けます

 

54:イッチです

皆さん、ご配慮ありがとうございます

 

55:名無しの忍者

まったく…忍の三禁には注意しろとクシナマッマも言っていたのに…

 

56:名無しの忍者

三禁って何だっけ?

 

57:名無しの忍者

酒、女、金

 

58:名無しの忍者

なるほど

 

59:名無しの忍者

男は狼。主人公も例外ではなかったか

 

60:名無しの忍者

っていうかナルトって酒飲める年なのか?

 

61:名無しの忍者

ああ、そう言えば今って原作で言えばどの時期なん?

 

62:名無しの忍者

画像を見るに多分、少なくとも二部以降の容姿ではあるな

 

63:イッチです

すみません。私、原作知識は殆ど無いです。知っているのは主人公の名前くらいです

 

64:名無しの忍者

原作知識無しでの転生か

 

65:名無しの忍者

良くあの世界で生き残ってるな

 

66:名無しの忍者

ナルト世界は天才と謳われていても普通に死ぬからな

 

67:名無しの忍者

じゃあ、何か最近起こったデッカイ事件とかある?

 

68:イッチです

あります。ちょっと前に月が地上に落ちて来そうになりました

 

69:名無しの忍者

映画のやつやん

 

70:名無しの忍者

あー、確かそんなんあったな

 

71:名無しの忍者

詳細忘れたわ。誰か教えてくれ

 

72:名無しの忍者

題名 THE LAST

内容 月に住んでいた宇宙人が争いを止めない忍が居る世界(地球)を滅ぼして、新世界を作ろうとする。それをナルト陣営は阻止する為に行動。最終的にはナルトとヒナタが結ばれるハッピーエンドの話。

 

73:名無しの忍者

懐かしいな

 

74:名無しの忍者

ワイも思い出したわ

 

75:名無しの忍者

その劇場版ワイ見に行ったわ

 

76:イッチです

あれは映画イベントだったのですね。当時は死を覚悟しました

 

77:名無しの忍者

イッチは件の出来事の後、通報とかしたの?

 

78:名無しの忍者

ああ、確かにどうなん?

 

79:イッチです

通報はしてません。そのことに関しては誰にも言ってません

 

80:名無しの忍者

何でよ、警察にでも被害届け出せば良くね?

 

81:名無しの忍者

上からの命令で揉み消されない?ナルトって英雄だし、そういう犯罪問題は無かったことにされそう

 

82:名無しの忍者

そもそもあの世界に警察って居るのか?

 

83:名無しの忍者

一応、うちは一族が構成員の警務部隊はあったはず。でもうちは滅亡したからどうなったんやろ

 

84:イッチです

一応、警察は存在しています。でも皆さんも知っての通りナルトくんは主人公で英雄なのでそんな彼に泥を塗るような真似はしたくないんです。

 

85:名無しの忍者

なるほど

 

86:名無しの忍者

まあ、その言い分も理解出来るけど

 

87:名無しの忍者

っていうことは知ってるのはイッチとナルトの当人同士だけってことか

 

88:イッチです

いえ、ナルトくんは何も覚えてないそうです

 

89:名無しの忍者

は?(ガチギレ)(二度目)

 

90:名無しの忍者

何やて?

 

91:名無しの忍者

ああ、酔っ払ってたから…

 

92:名無しの忍者

なんて奴だ

 

93:名無しの忍者

それはナルトから直接聞いたんか?嘘ついてる可能性は?

 

94:イッチです

はい。翌朝に直接聞きました。ナルトくんは嘘を付けない子なので本当に覚えてないようです

 

95:名無しの忍者

…ナルトってそうだっけ?

 

96:名無しの忍者

言われてみれば、そうかも

 

97:名無しの忍者

っていうかイッチは何でそんなこと知ってるん?

 

98:イッチです

私にとってナルトくんは弟のような存在でもあるのでそれくらいは分かるというか…

 

99:名無しの忍者

…ん?

 

100:名無しの忍者

弟?

 

101:名無しの忍者

弟…だと…?

 

102:名無しの忍者

どういうこと?

 

103:イッチです

私、昔からナルトくんの隣の部屋に住んでいるんです。だから彼のことは幼い頃から知っているんです

 

104:名無しの忍者

ファ!?

 



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完全闇堕ちオビト♀

(救いは)ないです。


 

「……っ?」

 

 どうして目の前にリンくんが居る?

 どうしてリンくんは歪んだ表情を浮かべている?

 ……どうして敵に向けた千鳥にリンくんが貫かれている?

 オビトは目の前の光景が信じられずに数瞬、呆然と立ち尽くす。

 しかしリンが言葉を発したことでオビトは覚醒する。

 

「オビ、ト、愛して…る」

 

 本当なら笑みを浮かべたかっただろうリンは胸を貫かれたことでそんなことは当然出来ず、激痛によって歪んだ表情を浮かべながらオビトに最期の言葉を残し、息絶えた。

 そして生命活動を完全に停止したリンは立っていられずにオビトの胸にもたれ掛かる。

 

「………」

 

 それに対し、オビトは無言で能面のような無表情。 

 だが、オビトは優秀だった。頭脳も精神も、忍としても。だから嫌でも今起きた事態を頭でも心でも理解してしまった。

 

「死ね」

 

 暗部の残党から言葉と同時にリンを巻き添えにするかのようにオビトに向けられて幾つもの手裏剣が放たれた。

 それはとても速く、鋭いものだった。

 その時、オビトはリンとの思い出が走馬灯のように一気に溢れ出て来ると同時に心が急速に暗黒に染まり始めた。

 初めて出会った時、一緒に遊んだ時間、恋仲になった瞬間、恋人として共に過ごした時間、岩に潰されて別れの言葉を言われた瞬間、そして自身の手で命を終わらせてしまった瞬間。

 全てを振り返っていても起こってしまった現実は認識している。

 だから深い絶望や悲しみや怒り、そして何故この世で最も親しく大切な人を自身の手で殺さなければならなかったのかという世界への憎しみを抱いた。

 故にうちはオビトの()()()()にある三つ巴の写輪眼が回り始め、万華鏡写輪眼の開眼という二重三枚刃の手裏剣のような新たな模様を浮かべたのは必然だった。

 その瞬間にオビトは手裏剣が自身に迫って来ていることに気付く。

 だが、オビトは慌ても焦りもなく、開眼したばかりの万華鏡、その右目の固有瞳術を発動した。

 するとどうだろう。手裏剣はリンとオビトの身体をすり抜けて行った。

 

「なに…っ?」

 

「躱したのか?」

 

「いや、すり抜けた?」

 

「そんな馬鹿な」

 

 手裏剣の投擲者を始め、霧の暗部はオビトが何を起こしたのかは理解出来なかったが、手裏剣が命中しなかったことだけは理解出来た。

 しかし、術者のオビトは全て理解していた。

 万華鏡を得た瞬間からどのような瞳術を宿しているのか本能で理解した。そしてそのことを当たり前かのように受け入れていた。

 だからオビトは自身と触れているリンの身体の実体が時空間に転送されたことによって手裏剣が命中しなかったという術の絡繰を理解している。

 霧の暗部が動揺して動きを停止している隙を見てオビトは再び右目の瞳術を発動し、今度はリンの遺体を実体ではなく肉体そのものを丸ごと時空間に転送した。

 これはリンの遺体をこれ以上傷付けたくなかった為に誰も干渉出来ない安全地帯に安置したという行動だ。

 

「なんだ、あの術は…っ」

 

 しかし、リンの遺体がオビトの右目に吸い込まれるようにして消えた異様な光景を目の当たりにし、霧の暗部に更に動揺が広がる。

 

(偶然なんかじゃあない)

 

 その時、オビトは既に悟っていた。

 自身の最も親しい存在であるリンが攫われたこと、戦闘タイプではないリンが手練れの暗部相手に一時的な逃亡に成功したこと、白ゼツが自身を煽って地上へ導いたこと。

 これらは偶然ではないことをオビトは理解していた。

 

(…あの老いぼれ)

 

 そして全てうちはマダラが裏で糸を引いていることも悟った。

 マダラに対しての憎悪と憤怒が湧き出し、オビトはそれをその場に居る暗部に当たり散らす為にその場から駆け出した。

 右半身を構成してる柱間細胞のお陰でオビトの身体能力は忍世界でずば抜けて最高のものとなっているが、それを()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 一瞬でこれまで忍界最速と謳われてきた忍たちを遥かに超越する凄まじい速度に到ると一番手前に居た男を貫手で心臓を貫いた。

 貫かれた男はあまりに一瞬のことだった為に何が起こったかを認識することもなく仮面の下で口から血を吐き出しながら息絶えた。

 間を置かずにオビトは男を貫いたまま持ち上げると、強化された肉体を使い、そのまま全力で投擲。

 霧隠れの歴戦の精鋭部隊の暗部も先程からの一連の出来事で動揺が続いており、更に現在起きた仲間が殺害され、尚且それを視認出来なかったことにも動揺した為にもの凄い勢いで成人男性を投げ飛ばすという投擲攻撃を避けることができず、男性の直線上に居た十数名は頭部や上半身を破壊されこと自覚することなく死を迎えた。

 

「死ね…ッ」

 

 殆どの暗部は現状を正しく認識出来ない、したくないが故にただがむしゃらに手裏剣やクナイを投擲した。

 だが、それは無情にもオビトの身体を覆うように現れた水色のチャクラ体にぶつかり弾き返されてしまった。

 

(これが…)

 

 須佐能乎(スサノオ)。両目に万華鏡写輪眼を開眼した者でも極一部しか得ることが出来ないうちは肉体に宿る術。

 深く強大な憎しみを抱いていたオビトはそれを万華鏡開眼直後に発現させることが出来た。

 肋骨を象った絶対防御をオビトは今度は攻撃に展開した。

 肋骨の状態から悪魔のような存在の上半身を形成し、それを走り回り(超高速移動)しながら振りかざす。

 暗部の忍たちは巨大な拳に殴り飛ばされ、全身の骨が粉砕されて、巨大なチャクラ刀によって斬られ、突き刺されて死を迎える。

 背を向けて逃亡を始めた者らも右目の固有瞳術“神威”を宿したチャクラ手裏剣を投擲され、一人残さず頭部を時空間に転送され、殺害される。

 そして恐怖で腰が抜け動けなくなった最後の数十名は柱間細胞の適合で会得した木遁忍術で惨殺される。

 オビトはあっという間に血の海を作った。

 

『この世の因果を断ち切る』

 

『勝者だけの世界』

 

『平和だけの世界』

 

『愛だけの世界』

 

『それらだけの世界を造る』

 

 暗部を殲滅したオビトはマダラの言葉を思い浮かべる。

 そして…

 

「ゼツ。私は先に戻ります」

 

「えっ。あっ。ちょっとオビ」

 

 オビトは大き目な声で少し離れた林の樹木と同化し、自身を監視していた白ゼツに声を掛け、慌てる様子を気にもせず神威を発動し、マダラの元に移動した。

 

「時空間忍術か。良い目を得たな、オビト」

 

 突如、目の前の空間に生じた渦巻きから現れたオビトに感嘆したようにマダラはそう言う。

 オビトはそれに対しては反応せずにマダラに迫った。

 

「私が闇に染まるように全て仕組んでいましたね…うちはマダラ」

 

「…なかなかどうして頭がキレる奴だ。では呪印札の存在も知っているな?」

 

「心臓に張り付いている悪趣味なものなど此処で目を覚ました時から違和感で気付いていましたが…この程度の呪印、今の私なら排除可能よ。呪印の拘束力よりも左目の瞳力の方が上回っていますから」

 

「それでどうする?俺を殺すか?」

 

「……いや。私に夢の世界の作り方を教えて下さいな、マダラ」

 

「ほう。自分を嵌めた男と手を組むと?」

 

「確かに貴方のことは最大の苦しみを与えて殺したいくらいには憎んでいます。だけどそれをしても私の闇は晴れない。もう元の自分には戻れない」

 

「……ふっ。良いだろう。今からお前と俺は共犯者だ。共に救世主になろうではないか」

 




うちはオビト♀
 原作オビトよりも優秀。
 木ノ葉時代は上忍。
 祖母の死で写輪眼開眼。
 カカシより先に千鳥を開発。
 少し前からリン♂と恋人関係だった。
 原作とは違いリンを庇い、岩の下敷きに。
 カカシには普通にプレゼントを挙げており、カカシ自身も左目を負傷しなかった為に写輪眼は渡さなかった。
 地下アジトで目を覚ましてからはマダラのことをガチ警戒していた。
 しかし完全闇堕ちしてしまう。
 万華鏡の固有瞳術は右目は原作通りだが、左目はオリジナル瞳術。瞳術名は“倭建”。うちはシンの固有瞳術の上位互換。

はたけカカシ♂
 オビトから原作通りの言葉を掛けられ、リン♂の元に向かうも既にオビト♀が岩に潰されていた。
 リンが霧隠れに連れ去られたことは白ゼツが成り代わりの術でリンに成り代わっていた為に気付かなかった。
 
のはらリン♂
 性別以外ほぼ原作通り。
 単身助けに来たオビト♀と合流するも原作通りの理由でオビトに貫かれる。


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大筒木と白蛇と幻想郷(東方Project×NARUTO)

 

 日本の人里から離れた辺境の地に幻想郷というものが存在している。

 そこは人々より、幻想の扱いを受けた妖怪や神などの人外にとっての楽園。

 しかし幻想郷に安定を乱す、新たな勢力が移住して来た。それは吸血鬼。

 その種族は太陽が弱点で昼間は行動出来ないが、その代わりに鬼にも迫る怪力無双、天狗に匹敵する高速移動、どんな傷も癒やす再生能力など夜の支配者の異名に相応しい強大な存在だ。

 そんな彼らは幻想郷を乗っ取ろうとしている。

 だが、そんなことは当然許されることではなかった。

 幻想郷の管理人である八雲紫や博麗の巫女を始め、各勢力の長は動き出し、戦争の開戦へと準備を進めていた。

 そんな中、賢者八雲紫は自身の式神に仕事を引き継がせると幻想郷を離れ、幻想郷と同盟を結んでいる王国へと足を踏み入れた。

 

「紫殿。九尾の…確か今は藍と名乗っている彼女は元気ですか?」

 

「怪我も病気もなく健康そのものです。彼女の存在は私の大きな助けなっております」

 

「そうですか。ちなみに私のことは…」

 

「未だに苦手意識があるみたいですね。貴方というよりも一族の瞳力に、と言った方が正しいかもしれません」

 

「そうですか…」

 

 途中、知り合いの案内人と言葉を交わしながらも、目当ての人物の元に辿り着く。

 その者は白い蛇だった。人間にとっては大蛇とされる大きさだが、妖怪の世界ではただの小さな蛇とされる大きさしかないように見える。

 だが、その白蛇は小さくとも確かに玉座に座していた。

 

「お久し振りです。白麗(はくれい)様」

 

 白麗。紫が白蛇の名を呼び、敬意を持って挨拶を行う。

 すると白麗は、

 

「んだなぁ。何十年振りだぁ?」

 

 と訛りが特徴的な喋りで返答した。

 

「恐らく約二十年後振りかと思います」

 

「んだったか?そうか、そうか」

 

「御壮健でなによりです」

 

「ああ、ありがとうな。…それで今日はどした?」

 

 白麗は雑談も早々に切り上げ、本題を要求した。白麗は滅多に訪ねて来ない紫がやって来たことで何か大きな問題が起こったのだろうと当たりを付けたのだ。

 

「はい。実は…」

 

 紫は現在幻想郷で起こっている状況を説明をする。

 それを白麗は最後まで黙って聞き続けた。

 

「どうかご助力をよろしくお願いします」

 

 紫は最後にそう言うと頭を下げた。

 それを白麗は直ぐに止めさせる。

 

「顔を上げよぉ」

 

 紫はゆっくりと顔を上げ、白麗の方に視線を向ける。

 

「我ら龍地洞(りゅうちどう)は幻想郷の良き隣人だぁ。故に協力は惜しまない」

 

「ありがとうございます」

 

 紫は今度は感謝の気持ちを抱いて礼をする。

 そして確信した。此度の戦争の勝利を。

 その後に詳細の説明や作戦の打ち合わせをして後に紫は空間にスキマを開いて幻想郷へと帰って行った。

 …それから数瞬後、紫のスキマとはまた違う空間の裂け目が開いてそこから一人の女性が現れた。

 

「サラヤかぁ」

 

「スキマの小娘は帰ったようだな」

 

 白麗にサラヤと呼ばれた女性は胸元と袖に黄色と紫色のラインと勾玉が入った装束を着ており、長い白髪と頭部にある外側に折れ曲がった二本の角が特徴的だった。

 

「それで何だったのだ?」

 

「吸血鬼との戦だぁ」

 

「ほう。それでどうするのだ?」

 

「三人、派遣するぅ」

 

「…()()()するのか?」

 

 サラヤは思わず聞き返した。

 それもそうだろう。何せ白麗はサラヤ(邪神・大筒木)白麗(白蛇仙女)の血を引く子供たちを三人も派遣するというのだ。

 それは、

 

「過剰戦力、と言いたいのかぁ?」

 

 白麗がサラヤが思ったことを言葉にした。

 すると、サラヤがムスっとしながら返答する。

 

「いや、龍地洞の主は貴様だ、()()()よ。好きにするが良い」

 

「ああ、そうさせて貰うぞぉ」

 

 確かに幻想郷は龍地洞(此処)以外で唯一の人外たちの楽園、滅んだりするのは望まないと考え、結局、サラヤは異議は唱えずに引き下がった。

 そして白麗は玉座で姿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、二足歩行で移動を始めた。一族の中の誰を派遣するのか思案しながら。

 

 

 ★★★

 

 

 現在から約40億年前の地球に一匹の生命体が誕生した。

 酸素はなく、気温は一千度、マグマの海が広がっている生命体が活動することが不可能と思える世界で一匹の白蛇は地球最古の生命体として活動を始めた。

 それから数億年後、空から一人の女性が現れた。

 戦闘が始まったが、女の方が白蛇よりも上手だった。

 天女は大筒木サラヤと名乗り、白蛇に言葉や森羅万象の理を教え、白麗という名も名付けた。

 そして女性の白麗が“身体を操る程度の能力”を利用し、自身の肉体を大蛇な状態から人型の男性のものに変化させ、サラヤとの子供を作った。

 高次元生命体()に到った大筒木と後に蛇龍王の異名を付けられる白蛇の子らは両親の血を受け継ぎ、それぞれの能力もしっかりと継承した。

 優れた頭脳と肉体。

 不老長寿。

 怪力乱神。

 程度の能力、チャクラ、瞳術。

 全てを持って産まれたような存在だったが、親の二人は敢えて厳しく接し、慢心を許さなかった。

 それ故に後に月人と呼称される人類にサラヤが祖の大筒木一族は畏怖の念を抱かせることになった。

 それからは龍地洞を作り、そこに一族全員で引っ越し、そこで生活するようになり、そして白麗の導きで続々と世界中の蛇たちが集まることから別名で蛇の王国とも呼ばれるようになった。

 龍地洞は文明が発達した現代に於いて幻想郷と双璧を為す秘境。

 そしてそこに住む大筒木一族は圧倒的な強さを誇る地球最強の生命体。

 故に吸血鬼風情など相手にならない。

 

 さあ、戦慄せよ吸血鬼たち。

 貴様らの相手は最強だ。

 

 





・大筒木サラヤ♀
 星喰らいを続け、一族の目標である神への進化を達成した。
 本人的には仕事感覚で行なっていた。
 本当に大筒木かと疑うほど性格が良い(奇跡)。
 相方の大筒木を殺害し、大筒木本家を裏切り、離反する。
 その後、太古の地球に降り立ち、白麗と出会う。
 体術や術自体もガチ修業した為に原作に登場した大筒木と比べ物にならないほどの実力を持つ。

・白麗♀(♂)
 地球最古の生命体。
 白蛇仙女、蛇龍王の異名を持つ。
 能力は『身体を操る程度の能力』。肉体の縮小、拡大、浮遊、分裂、光学迷彩、擬態、再生など様々なことが出来る。
 いち蛇としての脱皮、毒、赤外線感知やサラヤから教わった仙術の能力も持つ。

・子孫たち
 木遁、仙術、白眼、輪廻眼(輪廻写輪眼)、転生眼、六道仙術使いがゴロゴロ居る。
 始祖のスペックが高かった為に瞳力も強力(原作よりも基本性能が優れてる。例:写輪眼の動体視力が優れていたり、天照の燃焼速度が原作よりも何倍も速い)。


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完全闇堕ちオビト♀続

 

 マダラの元に下ったオビトは彼の元で修業したり、マダラの傀儡であった霧隠れの里の管理を受け継いだり、世界を旅したりしていた。

 それを数年間続けたオビトは確信した。

 この世界に希望はないと。

 水影として表世界で活動して忍の、人の醜さを改めて実感し、争いばかりの忍世界とそれを作り上げた忍に失望した。

 旅をして世界が存在する価値があるかどうか見定めるも分かったことはこの現実は多くの苦しみと痛みと虚しさが詰まっている地獄だということ。

 だからオビトは決断した。この酷い現実(世界)を終わらせること。

 そしてせめてもの良心で全人類を苦しませずに滅亡させる為に勝者だけの世界、平和だけの世界、愛だけの世界を創ることを決意した。

 つまりは、“月の眼”計画を始動することを。

 

 

 ★★★

 

 

「オビト、任せたぞ…」

 

「ええ、直ぐに蘇生させます」

 

 そう言葉が交わされると外道魔像からのチャクラの供給を停止したことでうちはマダラは死亡した。

 だがこの死は、ほんの僅かな間だけとなる。

 既に一尾から九尾までの全尾獣の居場所は白ゼツに探らせ、把握済み。

 更にのはらリンの遺体から出現した三尾は既に外道魔像に封印済み。

 実は三尾のチャクラを使い、数百体もの白ゼツを量産し、人海戦術をさせたという。

 数年の間、待たせてしまったマダラに悪かったな、と思いながらオビトの尾獣狩りが始まった。

 まずは山岳の墓場(アジト)から近い滝隠れが所持する七尾を回収した。

 神威は術者がマーキングした場所、或いは術者が座標を把握している場所にしか時空間移動は出来ない。

 これからの尾獣狩りの場合は白ゼツから座標を伝えられている為に時空間移動が可能になる。故に一瞬で目的地に到着し、一瞬でアジトへの帰宅が可能となる。

 七尾は人柱力に封じられていたが、写輪眼の幻術眼で人柱力の意識を沈め捕獲を完了した。

 その後、神威で帰宅して魔像の鎖で尾獣を引き剥がし、魔像への封印を一瞬で終えた。

 あまりにも呆気ない作業だった。

 その為にオビトは直ぐに岩隠れにも出向き、四尾と五尾の回収に向かった。そして同様の方法で捕獲し、あっという間に魔像に封印した。

 その時、オビトは悟った。

 うちはと千手、どちらの力も有している為に魔像も上手く扱えること、神威による時空間移動で移動時間が大幅に短縮されていること、そして写輪眼の瞳力と十年間マダラに師事して得た圧倒的な実力。

 これだと一時間後には十尾復活が可能だと。

 各里が自国の尾獣及び人柱力が行方不明だとは知ることなく人柱力は死に、尾獣は魔像に封印されていく。

 そして遂に最後の一体、木ノ葉隠れの里が所有する最強の尾獣“九尾”の捕獲に出向いた。

 それはオビトの予想通りで尾獣狩りを開始して僅か一時間が経過した頃だった。

 

 

 ★★★

 

 

「……オビっ!?」

 

 うずまきクシナは自宅で家事をしていると突如、背後に気配を感じた。すぐさま振り向けばそこには殉職したはずの夫の部下がたっていた。

 思わず名前を呼ぶ。その最中、クシナは赤い瞳と目を合わせたことによって意識が刈り取られた。

 更にオビトの瞳力はクシナの中に封じられている九尾の元にまで辿り着く。

 

「お前は…!」

 

 クシナが倒れたことで自身を拘束していたうずまき一族の封印術から解放されつつあった九尾は目の前に現れたオビトに驚きながらも警戒をする。

 だが、それは無駄だった。

 九尾もオビトの写輪眼には逆らえず、動きを封じられる。

 

「…弱いですね」

 

 オビトは期待外れの視線を九尾に向ける。

 その時、クシナの側に忍が現れた。

 その忍はただ者ではなかった。

 クシナの夫にし、黄色い閃光の異名を持つ天才忍者。四代目火影である波風ミナトだった。

 

「!?オビト…!?」

 

 ミナトは死人であるオビトが居ること、そのオビトがクシナの中の九尾を狙っていることに驚き、動揺する。

 その隙を見逃さずにオビトは写輪眼の幻術眼で攻撃を仕掛ける。

 しかし、それをミナトは苦戦しながらも解除に成功する。

 

「火影になるだけはありますね」

 

 オビトが今回の九尾捕獲の障害がこれまでの相手とは一味違うことを認識しているとミナトはクシナと赤子を抱えて飛雷神の術で撤退していった。

 オビトはそれをクシナに神威のマーキングが完了しており、捕捉が完了している為に見逃した。

 

(九尾の封印式に飛雷神のマーキングが上書きされている以上、先生を無力化しないと…)

 

 オビトがそう思案しながらミナト宅の外に出るとそこには既に暗部を率いてミナトが戻って来ていた。

 戦闘態勢の中、ミナトがおもむろに声を掛ける。

 

「本当にオビトなのか…?」

 

 どうか否定して欲しいという願いが込められた言葉だったが、オビトは容赦なくそれを粉砕した。

 

「ええ、そうですよ。お久し振りです、ミナト先生」

 

 微笑みを浮かべてそう言い切ったオビトにミナトを顔を歪める。

 

「生きて…いたのかっ…」

 

 殉職したはずのオビトが生きていたことは喜ばしいことなはずなのに、彼女の先程した行動で素直に喜べない状況だ。

 

「お前の夢は火影だったはずだ!どうしてこんなことを…ッ」

 

 ミナトの悲痛な声を聞いてもオビトは全く動じない。

 それほどまでに狂いきってしまっていた。

 

「私はお喋りしに来たんじゃあないので、始めましょうか」

 

 言い終わると同時に印を結ぶ。

 超高速の印の結びだった為にミナトも含め誰も目で追うことが出来ず気付いた時には術が発動されていた。

 

【木遁・樹海降誕】

 

 地面から続々と木々が生え始めるとそれが次の瞬間にはミナトたちに襲い掛かった。

 初代火影・千手柱間しか使えないはずの木遁忍術。

 その伝説の術を目の前のオビトが使って来たことに驚くも、そこは火影と精鋭部隊の暗部。チャクラを性質変化させて生み出した風や炎、雷で迫り来る樹海を捌き始める。

 だが、相手は半身柱間細胞の化け物。

 生み出される樹木の量は彼らの想像を遥かに超えていた。

 暗部が次々と木々の拘束され始める。

 樹海の進撃が終わった時には無事なのはミナト一人となった。

 だが、此処は木ノ葉隠れの里(ミナトのホーム)。故にオビトに敵対する忍は大勢居る。

 

「火影様!」

 

「ミナト様!」

 

「四代目!」

 

 続々と援軍が到着し、その者たちによって暗部が拘束から解放されていく。

 その光景にオビトは内心溜息を吐いた。

 

(数が多過ぎる。()()()()()()()()は不可能ではないけど面倒ですね…)

 

 オビトは多くの者を月読の世界(理想郷)に連れて行きたいという考えがあった。

 計画上、長門と人柱力の犠牲は許容するしかないが、それ以上の犠牲はなるべく出したくないとも考えていた。

 

(手っ取り早く終わらせましょう)

 

 オビトは万華鏡を発動し、神威を発動し、自身の時空間への吸い込みを始めた。

 右目に身体が吸い込まれていく光景に木ノ葉の忍たちは驚きながらも咄嗟に攻撃を仕掛け、クナイ、手裏剣などの忍具が投擲される。

 彼らは知らないことだが、神威による時空間への吸い込み時、術者の身体は実体化している。

 故にこの攻撃は神威という瞳術に対しては弱点を突く効果的なものだった。

 しかし()()()()()()()()()()()()()だ。

 術者のオビトは当然弱点を把握していた為に対処法も編み出していた。

 それは須佐能乎の部分展開。

 自身を覆うように肋骨を象ったチャクラによって投擲された忍具は弾き返され、オビトは無傷で時空間への転送を終えた。

 そして間髪入れずに今度は時空間から出る為に神威を発動した。

 移動先はマーキング済みのクシナの元だった。

 

「ッ!?」

 

 秘密の隠れ家に避難させられたクシナは目の前の空間に生じた渦巻きから出て来たオビトに息を呑む。

 

「さて……っと来ましたね」

 

 次の瞬間ミナトが現れた。

 オビトが消えたことでミナトはまさかと思い、直ぐに此処へ飛雷神で飛んだのだ。

 

「オビト。止めるんだ」

 

 ミナトがクシナを庇うように立ちながら鋭い視線をオビトに向ける。

 だが、ミナトの目はオビトの目を向いてなかった。

 先程写輪眼による強力な幻術を体験したことからオビトと目を合わせるのは危険だと判断したのだ。

 万華鏡の幻術眼を使用すれば確実に意識を沈められる考えていたオビトは作戦を変更する。

 左目の万華鏡を発動し、固有瞳術“倭建(やまとたける)”を発動した。

 倭建の能力は物質操作。その範囲は認識さえすれば自身を除いた生命体以外の全てを操ることが出来る。

 オビトはまだ到ってないがより熟練の術者なら時間や空間すらも操れるようになるだろう。

 今回オビトは自身の肉体に対して倭建を発動した。肉体を瞳力で操作し、人間の限界を超えた速度を発揮させる。負荷は当然あり、肉体は損傷を負うもそれも倭建によって肉体の再生が行われ、加えて柱間細胞による再生も行われるお陰でプラスマイナスは零だ。

 黄色い閃光の異名を持つ自身を大きく超える速さのオビトにミナトは対応出来ず、右腕、左脚をチャクラを纏った手刀で切断される。

 

「ぐ…ぅっ!」

 

 バランスを保てずにミナトは地面に倒れ込む。

 呆然としていたクシナは漸く現実を認識し、ミナトに寄り添う。

 

「あぁぁ…ミナトっ、嫌っ」

 

 クシナの悲痛の声に反応してかオビトは返答をする。

 

「すみません。だけどこうでもしないといつまで経っても九尾の封印が出来ないので。不本意ですがこうさせて貰いました」

 

 クシナはキッとオビトのことを睨み付ける。

 

「どうして…っ…どうしてこんなことをするの、オビト!?」

 

 クシナは悲しみと怒りと困惑など様々な感情が入り混じった表情を浮かべてオビトを問い出す。

 

「平和の為ですよ」

 

 オビトは返事をすると神威を発動し、時空間に待機させていた長門を放出する。

 

「じきに人も集まるでしょうから早めに済ませます」

 

 オビトはそう言うと長門に指示を出す。

 

「魔像を口寄せして」

 

 今の長門は既に意識を封じられている為にただのオビトの指示を聞く操り人形と化していた。

 直ぐに魔像が口寄せされるとオビトがそれを操り、口が開くと同時にチャクラの鎖を出現する。

 それがクシナの体内に溶け込んでいき、中に居る未だオビトの写輪眼の支配から抜け出せていない九尾に絡み付き、魔像に鎖が勢いよく引っ張られ、九尾があっという間に魔像に封印された。

 そして尾獣を抜かれたクシナはうずまき一族特有の生命力で何とか生きているが、死ぬのも時間の問題だろう。

 そんなことを考えながらオビトは最後の指示を与える。

 

「輪廻天生の術でマダラを生き返らせて」

 

 次の瞬間には長門は印を結び、死者を生き返らせる六道の禁術【外道・輪廻天生の術】を発動していた。

 すると長門の目の前に強い光の球体が生み出された。

 そしてそれは数秒で収まり、その場には全盛期の姿で復活したうちはマダラが立っていた。

 

「オビトか」

 

「ええ。輪廻天生の術の発動により、蘇生が完了したわ。今、輪廻眼を渡します」

 

 オビトは輪廻天生発動の代償によって息絶えた長門から眼球を抉り取り、マダラに差し出す。

 

「ほう。十尾も復活させたか」

 

 マダラは輪廻眼を眼孔に入れると眼球の調子を確認するかのように辺りを見渡し、オビトが全尾獣を捕獲したことを確認した。

 そして、

 

「自身の師をこんな惨めな姿にしたのか?」

 

 オビトを闇に落とす際にオビトの関係者を調べ上げたお陰で目の前の男がオビトの恩師であるミナトだとマダラは気付き、オビトの所業を指摘する。

 それに対してオビトは、

 

「九尾捕獲の障害だったから仕方無かったの。殺してはないから問題ないわ」

 

 理想郷に行けば五体満足。死んだクシナ()も生きている。だから問題はないと考えている。

 

「丁度月も出てるし、術の発動の頃合いだわ。木ノ葉の忍ももう直ぐ到着するだろうし…」

 

「ああ、始めるとしよう」

 

 オビトの話を聞き、マダラは動き出した。

 印を結ぶと、徐々に自身の体内に十尾を取り込まれだし、そしてマダラは十尾の人柱力となった。

 白と黒の地に胸元には勾玉が描かれた装束を纏い、額には角が生え、肌は白く染まった。

 

「これが完全なる六道の力…」

 

 マダラは感嘆したかのように呟く。

 

「それでは後は頼みます。私は時空間に避難しておくので」

 

 オビトはそう言い残すと神威を発動して無限月読に巻き込まれないように時空間に退避した。

 そしてそれから数十秒後、天に昇ったマダラは月に額の輪廻写輪眼(輪廻眼)を投影することで無限月読が発動された。

 オビトは時空間にてその光景を遠眼鏡の術(特殊な水晶玉)を通して見ていた。

 この星の全生物が無限月読に掛り、神樹の蔦に巻き付かれ、繭のような状態になった。

 暫く後、漸く月に投影された輪廻眼が消え、地上に戻っても問題ない状態になった為にオビトは神威を発動し、時空間から出る。

 マーキング先のマダラの元に出るとそこには悲願を達成して呆然となっているマダラが居た。

 

「マダラ」

 

「…遂に成し遂げたのか」

 

 そう言うとマダラは嬉しさのあまり笑い出す。

 それをオビトは祝福する言葉を、

 

「ええ、我々は恒久的世界平和を、理想郷を造り上げ─── ─」

 

「くだらん」

 

 発していると突如として背後からの気配と声を感じ取った。

 そしてほぼ同時にマダラとオビトは心臓を黒い棒で貫かれていた。

 

「…え」

 

 オビトは呆然としていたが、マダラの怒声にて覚醒する。

 

「…ビト!おい!オビト!」

 

 覚醒したオビトは背後の気配に対して前方に跳躍して距離を取り、空中で振り返って着地する。その間に倭建を発動し、肉体を再生させていた。

 

「敵だ。早く排除を─── ─」

 

 マダラは最後まで言葉を続けることが出来なかった。

 何故なら無限月読に掛かった人々から吸い上げられたチャクラが注ぎ込まれたことで身体が膨張し始めたからだ。

 

「馬鹿が。十尾は大筒木の所有物。遠隔操作も可能だ」

 

 オビトは襲撃者を捕捉した。マダラの側には左の額から後頭部を巻くようにして右巻きに備わっている角と白と赤と黒を基調とした羽織りが特徴的な男が佇んでいた。

 

(左目は日向一族と同様のものみたいだけど、右目の奇妙な瞳術は一体…っ?)

 

 オビトは襲撃者の正体も能力も実力も未知ということでまずは木遁分身に使い、攻撃を仕掛け、本体は万華鏡の洞察眼を以て動きを観察するという戦法を取った。

 マダラを早く何とかしなればと頭の隅で思案していると襲撃者の姿が()()されるのを()()()()確認した。

 分身故に本体よりも瞳力が下がっている木遁分身はそれを見切れずに簡単に背後を取られる。

 その瞬間、襲撃者は身体を元の大きさに戻して木遁分身の背中にこれまた縮小された黒棒を発射し、貫いた瞬間に元の大きさに戻して致命傷を与え、木っ端微塵にした。

 

(物質の縮小…万華鏡でギリギリ見切れるレベルの術か…()()を発動して対策を…)

 

 オビトは万華鏡の上位種である永遠の万華鏡写輪眼を開眼していない。

 永遠の万華鏡とは他者の万華鏡を自身の目に融合(移植)することで万華鏡のリスクである失明を克復し、尚且瞳力もより強力なものになった万華鏡のことを指す。

 だがオビトの場合、そもそも移植出来る万華鏡が無かった。しかし通常万華鏡でも瞳力は十二分強く、尚且柱間細胞による治癒と倭建によるメンテナンスを行なっていた為、失明の心配がなかった故に永遠の万華鏡を得ることの必要性を感じてなかった。

 そして今回の襲撃者との遭遇で永遠の万華鏡を得てないことを後悔することになった。

 

 たが、オビトには奥の手がある。

 

 オビトが切り札を発動しようとした時、マダラの身体が急激に萎み始め、そしてそこから一人の女性が現れた。

 

(何者?)

 

 マダラは跡形もなく女に吸収されてしまったようで姿は見えない。

 その代わりに出て来た女は何者なのか。

 病的に白い肌、頭部から生える二本の角、そして額の輪廻眼。

 どれを取ってもただ者のではないことが伺える。

 

「久し振りの娑婆はどうだ?カグヤ」

 

「イッシキ…っ」

 

 二人の会話から女の方がカグヤ、襲撃者の男がイッシキという名だということが分かった。

 そしてカグヤは苦虫を噛み潰したような表示を浮かべていた。

 

「へぇ…その娘がカグヤねぇ…」

 

 オビトは突如聞こえた声に思わず振り返る。

 するとそこにはカグヤと似た特徴を持つ一人の女が立っていた。

 そして彼女はオビトに視線を向けた。

 

(こいつ…ヤバ過ぎる)

 

 チャクラの量も質も自身や人柱力だったマダラを大きく上回るカグヤと呼ばれた女、それの比ではなかった。

 何よりこれ程の存在に先程まで気付くことが出来なかった。チャクラと気配の遮断が有り得ない程に優れている。

 故にオビトは即座に撤退を選択した。

 神威を発動し、不可侵領域である時空間に逃亡しようするが、

 

「逃さん」

 

 女の掌から数本の黒棒が超高速で放たれた。

 それを時空間に吸い込まれる途中であるが故に身体を実体化していたオビトは吸い込みをキャンセルし、すり抜けに切り替える時間すら与えて貰えずに、万華鏡の洞察眼では全く見切ることが出来ずに、当然身体の反射も追い付かず回避や須佐能乎の発動による防御も許されず、腹部や胸部に放たれた黒棒分の風穴を開けることになった。

 

「ぐっ…」

 

「力の差を理解したか、下等種」

 

 女は蔑むような視線を向け、それを受けながらオビトは倭建で肉体を再生させる。

 そして両目に藤色の波紋模様に複数の勾玉が付いた輪廻写輪眼(輪廻眼)を浮かべる。

 それに女は驚く。

 

「…ほう。自身の瞳術のチャクラを倭建(固有瞳術)六道(大筒木)のものに変質させ、輪廻眼を開かせたのか」

 

 輪廻眼。それがオビトの奥の手。

 長門が持っていたマダラの輪廻眼を修業の片手間にチャクラや構造を解析し、奥の手として倭建によって一時的に輪廻眼を開眼出来るようにしていたのだ。

 

「貴様に興味が湧いた。少し話そうか」

 

 だが、それでもオビトは目の前の真の化け物には敵わないと本能で理解させられ、心が折れ掛けてしまっていた。

 だから普段なら乗らなかったであろう敵対者から誘いに乗ってしまった。

 

 女は語った。

 自身のこと、大筒木一族のこと、カグヤとイッシキの存在、無限月読という術の詳細。

 そしてオビトは語らされた。

 自身のことや目的を。

 

 それを聞いた女は簡潔に感想を言った。

 

「弱いな、貴様は」

 

 更に女は続ける。

 

「実力や能力自体は並の大筒木を超えるものを持っているようだが…心が、な」

 

「心が弱かったから悲劇に心が耐えられずに壊れ、狂っていった」

 

「心が成熟していたらそうはならなかっただろうに」

 

「まあ、爆弾を抱える一族の十三の少女が体験してよい悲劇ではなかった故にこうなるのは仕方無いだろう、残念だ」

 

 それを聞いたオビトは、

 

 

 何も否定出来なかった。

 全て彼女の言う通り。

 

 だが、

 

「そんなことは、自覚している」

 

 そして、

 

「その上で私は自分の選択した道が正しくもなくとも間違ってはいないことだと認識している。例え彼らが生体兵器に作り変えられようが、私の目的である安楽死による世界滅亡は達成される。だから後悔はない」

 

 そう女に対して言い切った。

 それに女は呆れ笑い、指摘する。

 

「やはり狂人だな、貴様は」

 

 そう言った後、女の纏う雰囲気が変わる。オビトはそれに気付き、戦闘が始まることを感じ取る。

 

「貴様は(カーマ)を刻んで器にしてやろう」

 

 女はオビトに宣告すると駆け出した。

 一瞬で背中を取った…はずだったが、それの行動はオビトの輪廻写輪眼(輪廻眼)によって見切られていたことにより、失敗に終わった。

 万華鏡写輪眼の進化形であり、巴も六つあり、瞳力も強力なオビトの輪廻眼はしっかりと女の動きを捕捉していた。

 だが、女は全力を出していなかった。それをオビトは理解していた。

 だから輪廻眼を使っても尚、勝てない相手だと悟った。

 

「少しは楽しめそうだな。遊ぶのには丁度良い」

 

 女がそう言った瞬間オビトは倭建を発動し、超高超速移動で女からの逃亡を開始した。

 背を向け逃げ出したオビトに女はコンマ数秒で追い付く。

 走りながらオビトは須佐能乎の部分展開をして神威を発動して今度こそ時空間へ逃亡しようとしていた。

 だが、それは女の拳一つで絶対防御の須佐能乎が簡単に破壊され、オビト本体も殴り飛ばされたことで不発に終わる。

 オビトは地面を激しくバウンドしながら転がり、殴られたことで肉と柱間細胞が抉られ、内臓と骨も何本やられた肉体を倭建で即座に再生させながら何とか態勢を持ち直した。

 そして神威を発動し、時空間への逃亡ではなく、何時でもすり抜け可能な状態にし、とある忍術を発動する為に印を結び始める。

 

「忍術とやらか?何を見せてくれるのだ?」

 

 殴り飛ばした地点からゆっくりと近付いて来た女がオビトに問い掛ける。

 するとオビトは、(いの) () (とり) (さる) (ひつじ) と印を結び、

 

「こちらは貴女と居るのは嫌なの。さようなら」

 

 その最後の言葉と共に印を完成させた。

 そして術が発動し、オビトは跡形もなくその場から消えた。

 

「消えた…時空間移動か。何処だ…?」

 

 女はオビトの気配やチャクラの感知を始めるも全く捉えられない。

 地球全体を感知しても反応はない。

 近くの異空間を感知しても反応はなかった。

 

「どういう…」

 

 オビトが発動したのは【口寄せの術】。離れた場所に存在する道具や血で契約した生物を召喚するという忍術だ。

 だが、オビトは道具も生物も何も用意をしていない状態でこれを発動した。

 何も用意もせずに口寄せの術を発動した場合、術者自身が何処か別の場所に口寄せされてしまう。そこに法則性はなく、口寄せされた先が既知の場所なら良いがそうでなかった場合のリスクが高過ぎる為に非常に危険な行為だ。

 オビトは神威による時空間への逃亡が不可能なことで切羽詰まっていたが故に危険は承知で口寄せの術を発動した。

 その結果、大筒木の女はオビトを取り逃がした。

 そしてオビトは、地球から遠く離れた異世界への逃亡に成功していた。

 宇宙空間や人間が生命活動を維持出来ない環境の星に放り投げられる可能性も十二分にあったが、オビトは賭けに勝ち、生命活動が可能な世界に移動した。

 




・うちはオビト♀
 異世界に逃亡。
 実力は瞳術をフル活用すれば生前マダラを超える強さ。
 はるか昔より争いが絶えない世界を見切り、その根本の原因である忍に失望し、人類を皆殺しにして世界を終わらせることを決意。その手段として無限月読による全人類安楽死を計画。

・うちはマダラ
 原作通り。
 
・大筒木カグヤ
 復活したと思ったら殺したはずの上司が目の前に。

・大筒木イッシキ
 拙作の彼はカワキではない最適な器を発見し、転生を完了している。
 つまり万全完成体イッシキ。
 原作大人ナルサスも倒せる。
 
・名無し大筒木♀
 オリキャラ。
 一応、大筒木本家の上層部と想像して書いた。
 実力は大筒木の中でもトップクラス。イッシキとは次元が違う強さ。
 イッシキの要請(カグヤの件)により遠路はるばる地球にやって来た。


 口寄せの術のくだりはアニメでの少年自来也を参考にしました。
 この話のオビト♀を主人公にクロスオーバーを書くかもしれません(クロスオーバー書きたかったから異世界に逃亡ってしたんです)。候補としてダンまち、このすば、はたらく魔王様などなど。


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