明日のヒーローアカデミア/White Rabbit Compassion (软糖哭泣)
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注意事項、ドクターの個性

注意事項

初投稿です。大分亀更新になりますがご了承ください。

この物語上にはアークナイツ、僕のヒーローアカデミアのキャラクター、設定が出てきます。

また力のバランス、作品間の価値観の違いによって皆様の好きなキャラクターが強くなるとは限りません。

基本は僕のヒーローアカデミアの世界観に合わせて作成します。

この物語は、所謂異世界転移であり転生ではありません。

アークナイツは作者の考察や、妄想の加わった設定で主人公をドクターとしています。

アークナイツは日本語版のみのストーリーを参考とします。大陸版は参考としていません。

物語の途中アークナイツにおいてオリジナルストーリーを入れるつもりです。皆様の解釈とは違う可能性が高いですオリジナルストーリーが気に食わなかった場合この物語を読む事を辞めることを推奨します。

また以下のキャラクターが好きな場合不快に思う可能性があります。細かくはありますが念の為提示しておきます。

例)残酷な表現、信念否定、疑似蘇生、作者妄想過去編など

ヒーローアカデミアより

爆豪勝己、緑谷出久、オールマイト、エリ、オールフォーワン、死柄木弔、トガヒミコ

アークナイツより

ドクター、モブ術士オペレーター、フロストノヴァ、パトリオット、タルラ、テレジア

登場未定またはプロット段階での設定の為現段階では可能性があるキャラクター

ナイトアイ、スカウト、ACE、モブレユニオン残党

作者としては全てのキャラクターを公平に扱っていますが、アークナイツに至っては登場人数が桁違いになるためかなり数を絞っています。できるだけ出せるように努力はしますが、皆様の推しキャラが出るとは限りませんご了承ください。

ヒーローアカデミア、アークナイツの作品において違った解釈、ストーリー設定の間違いがある可能性があります。作者の設定の読み込みが浅いのが問題です。すみません。

この作品にはアークナイツ第8章怒号光明まで、僕のヒーローアカデミアアニメ第5期並びに1部本誌のネタバレ的な要素を含みます。

アークナイツのストーリーはメインストーリー、サブストーリー闇夜に生きる、コラボストーリーレインボーシックスシージ、のストーリーは1部分以上は確実に含みますプレイをしてない方は是非プレイすることを推奨します。

最後の注意点

この物語は、決して明るいものにしていません。

鬱的表現

正義感の相違

主人公間での悪の違い

お互いの世界観の違い常識の相違

世界軸の改変

 

 

 

独り言

色々堅苦しく書きましたがまぁ要はアークナイツのキャラが重すぎてヒロアカのキャラとのギャップがめっちゃくちゃ大きいという事です。

エリちゃんも普通に考えたらひどい仕打ち受けてるけど、イフリーターとかフィリオプシス、のプロフとかサイド見せられたらそりゃね…そもそも綺麗に死ねたらいいね!の世界観のキャラが治安は悪いけど生きることは可能の世界観のキャラと共感し合うことはないでしょと思ってこれ書き始めたから多分友情、勇気、ぱわーの作品を求めてる人には合わないかも…まぁそういう事で注意点を長々と書かせてもらいました。では以下の事に同意していただいたら本編へ

以上の事を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうせ個性は出てくるので先に書きます

 

女ドクター主人公

コードネームdoctorzero

ヒロアカ名 叶夢 零(かなめ れい)

個性

 オペレーション 

一時的に肉体をロドスオペレーター(協力関係のオペレーター)と交代できる。(肉体変化)エリートオペレーターは呼び出し使用は禁止。(出来ない訳では無いロドスの戦力的問題によりケルシーから禁止される。)ただしクロージャに限り使用可能。

 

                    

                   同意しない     同意する



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第零章 大逆無道
ZERO


本編です。


緑谷出久はヒーローを目指しそれがNo.1ヒーローオールマイトに認められた。

そんな緑谷出久がみている光景はまさに地獄だった。

緑谷出久も数多くのヴィランと退治してきた。中には普通のヒーローですら負けるかもしれないほどの。だがこれは次元が違った。一人一人が苦しみもがきながら戦っている。そして文字通り殺し合っている。ヴィランを殺すではなく捕まえるヒーローからしても殺人という行為には慣れていないし見慣れてもいない。ある男が足が動かなくなった女に止めを刺そうとした、それを見た緑谷出久…いや彼がヒーローだから言ってしまったこの場で最も言ってはいけない一言を…

「や、やめろ!人の命をなんだと思ってるんだ!」

その一言に男は怒りの形相で緑谷出久を睨んだ。

「こんな世界でヒーロー気取りか、俺はこいつらに家も家族も…娘も全部奪われた!」

緑谷出久はその怒声にたじろぐ。そして男はそのまま続ける。

「挙句の果てに周りは俺が感染者になった瞬間に迫害を始め、俺は娘の亡骸を土に返してやることも出来なかった。」

男の叫びは自身に対する怒りでもあった。

「だから!」

「まて!」

次の瞬間男は女の胸元を刺し、殺した。

「俺は俺のような人間を減らすために戦っている。」

緑谷出久は急いで、女の元へ駆けつけ抱き抱える。

「でもこの人は貴方に直接なにかした訳ではないじゃないか!」

「なら!ヒーロー気取りの少年、俺たちはどうやって生きればよかった!どうやって家族を守ればよかった!どうやって自分を守ればよかった!上辺の正義感で何が出来る何が為せる!」

「話し合えばきっっ「少年…」」

いきなり声がすると思ったら背の高い腰に日本刀のように長い剣を携えた50ぐらいの男性が立っていた。

「お…お前はヘラグだと…っく」

男はヘラグと呼ばれた男性を見るとそのまま一目散に逃げ出した。

「少年…君がドクターの言っていた子だね…私について来てくれ…抵抗はしないでくれ何をしてもいいから連れてこいと言うのがドクターの命令だからな。」

「貴方は味方ですか?」

緑谷出久は疑うようにヘラグの顔を伺った。

「私が君の味方かどうかは分からない。少なくとも君を呼ぶドクターは君のよく知る人物だ。それにこの地では味方も敵もありはしない。特に君にとっては…」

「それはどう言う…」

「さっきの男も自身を守るために戦っている。それはこの地にいるほとんどの人間がそういう生き方をしている。少年、君からすれば信じられないかもしれないが、彼らが生き残るためには暴力を振るわざる負えないのだ。そこには善悪の価値観など存在しない。」

その答えに緑谷出久はどうしても聞かなければならなかった。

「そしたらヒーローはどうやって誰かを守ればいいんですか?!」

ヘラグは哀れな子供を見るように優しい声で緑谷出久に告げた。

「酷かもしれないがもし善悪で分けるなら君らのようなヒーローは私たちにとっては悪なのだ。さて後ろに乗ってくれロドスまで案内しよう。」

緑谷出久は終始何か考え込むようにひたすら下を向いていた。ヒーローを偽物というものはいたでも大多数はヒーローはヒーローだった。そのヒーローという名前がそれを仮ではあるが冠している自分は正しいことをしていると無意識に錯覚していた。誰かの正義は誰かの悪である。どこかの小説か、漫画で見た事のあるようないい文句だ。まさしく緑谷出久の正義はあくまで緑谷出久の世界での正義。この世界では自分が正しいと思ったことが全て間違えだと突きつけてくる。そうこう考えているうちにドクターと呼ばれる人の住む大きな船の様な場所に着いた。中に案内され1つの部屋に案内される。そこに居たの耳の長い緑谷出久と同じくらいの歳の少女と、白と黄緑が基調の耳の生えた女性そしてかつて共に学びあった学友がそこにいた。

「彼が言っていたドクターってやっぱり君だったんだね…叶夢さん」

彼女はかつては学友だった。共にヒーローを目指し、研鑽をしあった。不器用だが誰よりも自分の正義を信じていたもの。そして…たった1人で死穢八斎會を壊滅させそこにいたオーバーホールを含め敵対した者を皆殺しにした存在。そして1人の少女を拉致した存在。

「久しぶりだな緑谷。」

その声は単調でかつての学友時代の彼女とは違う重く周りを畏怖させる様な声だった。

 

これはたった独りで戦い、理解されない孤独なヒーローの物語




気に入って頂けたら幸いです。


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firstseason 僕のヒーローアカデミア 〜帰還任務ロドスアイランド〜
唤醒  不動的世界


ケルシー構文


木々が生い茂る人工的な遊具が集まった広場で目が覚める。

 

まるでさっきまでの事が嘘みたいに。

 

そこには子供が笑顔で楽しそうになんの危険も知らないかのように遊んでいる。

 

「平和」そんな言葉が似合うかのような光景だった。

 

私たちには縁のない光景でもあった。

 

子供たちが家へ帰っていく。当たり前のように「また明日!」と言いながら。

 

その光景に私はまるで白昼夢でも見ている気がした。

 

ビービービー

突然のことで混乱している私の耳に聞きなじんだ無線の着信音が響く。

『ドクター聞こえるか?』

その声は私を本来の私へ引き戻した。

「あぁ、ケルシー。」

『どうなっているか現状報告を頼む。』

「私も混乱しいるが、どうやら私たちの世界とは違う世界に来たらしい。」

『違う世界?異世界に飛んだということか?』

「あぁ、まず移動都市には見えない。それにここまで一人も感染者に合わなっかった。あとは見た目が明らかに違う。あれは私と同じ種族。といってもいいかもしれない。」

『君と一緒…』

「あぁ、あとこれは主観になるが、明らかに私たちとは違う顔をしている。あれは、明日を信じている顔。私たちではおそらくできないそんな顔だった。」

『そうか…まるで御伽噺のような世界だな。』

「本当に…こんな顔であんな無邪気に明日を信じれる世界があるだなんて思わなかった。」

『魅力的な世界ではあるが、私たちにはまだやることがある。ドクター戻りたくないかもしれないが、こちらとしては君がいなくては作戦の立案並びに戦力に多大な損失となる。それにアーミヤも寂しがる。彼女はまだ子供だ。君が支えてあげなくては壊れてしまう。』

「…すまない。少しうらやましく思っただけだ。私達が払ってきた犠牲は私たちの手で報いなければならない。無駄な心配をかけた。」

『別に構わない。さてそろそろ、現実的な話を。君のいる世界とテラの世界軸が違うと仮定する場合。おそらくだが、アッシュ達に起こった現象が君に起こったということだろう。相違点とすれば君は私と無線上ではあるが会話ができている。さらに回線的に不具合が起こっていないし、音飛びも常識の範囲内だ。世界線が違うが全く違う異世界ではなく何か共通点があるのかもしれない。その共通点を辿れば君の救出が可能だと考える。どうだろうか?』

「おおかたその通りだろう。一つ疑念があるとすれば、この世界に世界をつなぐ場所を作ったとしてそれを維持できるに足る技術を確保できるかが不明という点だろう。」

『あぁ、いくらクロージャの技術私やドクターの知識をもとに完璧な構造を作れたとしてもそれは私たちテラでありロドス内での出来事になるだけだ。君は構造理解や立案ができても、それをなす技術を持っていない。であればそちらの世界でクロージャに匹敵する技術者を探し出さなきゃならない。』

「もし見つからなかったら。」

『何人かに実験体になって貰うしかない。おそらくこちらから君の場所を測れたとしても正確な場所までは不可能だ。ガイドなしで行えばおそらく…』

「空や海。まだこれならいいが最悪地中や大気圏外という可能性もあるか。」

『あぁ。その為君の救出作戦は長期にわたることになるだろう。まず目先の問題としてこの世界の情報並びに金銭衣服住の確保が君に求められることになる。』

「了解した。」

『あと、一時的に君の指揮権を私が担う。君は調査班としておく。』

「あぁ、わかった。」

『一日一回君との連絡を通じ報告をしてもらう。何かあった場合は私の個人回線へ頼む。ではお互い最善を尽くすとしよう。以上だ。』

通信は途切れた。

私はケルシーとの通信にあったように、まずは身の回りをどうにかすることにした。

「………というか言葉通じるのか?」

一番初歩的な問題を見落としていた。



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恶棍

しばらくヒロアカ本編は始まらないですがあと3話ぐらいです


結論から言おう言葉はどうにかなった。この世界の英語が古いヴィクトリア語に似ていた為そこから日本語と呼ばれるものも理解できた。習得するなら1日あれば十分だ。言語はどうにかなったがまだ衣服住の問題金銭面の問題が解決していない。言語を学ぶならこの世界の図書館でどうにかできるが、自身の身の回りは何か考えなくてはいけない。

「それにしても〈個性〉か…」

それは私が言語を習得している時に見つけた書物に書かれていた内容だ。

「この世界にはアーツではなく個性と呼ばれる力がある。」

最初は少し気に留める程度でしかなかったが、ごく稀に強個性と呼ばれる力を持って生まれる者がいるらしい。それも人体に関わるものもいれば周囲に影響を出すものと様々。もしそう言った存在を確認できれば多くの感染者の助けになるのでは…

「例えば時間を戻す。害を取り除く。これらの個性を見つければ感染者を助ける大きな礎になる。」

であるなら、帰還方法が確立したのちにこの世界に研究目的で行き来できるようにするのはありだ。

あとは、この個性因子。個性を発現するのに必要であり多くの場合は4歳で発現するものらしい。

であれば私はどうなるのだろうか?私には個性因子はあるのだろうか。この世界の移動の際にそれが混じっている可能性は?そもそも別世界線への移動はどのように行われたのだろうか。もし時空を歪める方法での転移であるなら、周りに何も被害がないということはないだろう。時空を歪めているのだ最低でも半径1~2mの範囲で何らかの異常事態が起きるだろう。そもそもそんないきなり一人の人間がその場に湧いて出たならあの子供たちも気づいただろう。であれば気分のいい話で話がもう一つの線、体の再構築。一度粒子以下に自身の体を分解その後この世界で体の再構築。と考えるのが今のところ一番有力だろう。だが、自身の体の粒子が不足していた場合は、足りなかった粒子をこの世界から補充した可能性がある。そもそも粒子の完全移行は不可能だ。であれば、一定の粒子をこの世界のもので補完した可能性は大いにあるだろう。

「ということは私に個性が出る可能性もゼロではない。」

まぁ限りなく少ない可能性ではあるが。未知の土地ではあって困る物は少ない。

私はひとしきりの文献目を通しこれからの生活を行う拠点をどうするかを考えるために席を立った。その時

 

ドガー!!!!!!!!!

 

壁が破壊され見事に私の体の横に大きな穴が開いている。

「はは!死にたくなければ大人しく俺様の言うことを聞きやがれ!おいそこの女コッチニ来いお前は人質だ!」

 

明らかに俺悪い奴です。みたいな大男が私の腕を掴み俺の人質などと喚いている。

そもそもこんな場所で何がしたいんだ?金目のものなんて誰も持っていないだろうし、高価なものもあるとは思えないぞ。だってここ図書館だぞ。何しに来たんだこの阿保は。

 

「はぁ~今日の私はとてもついていない。」



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个性的表达

こじつけですごめんなさい


「要求は?」

私は相手を刺激しないように、比較的落ち着いた状態で話しかけた。

「俺がヒーロから逃げ切る為の人質だ。」

「逃亡のための人質だというのか?逃げるためにわざわざ図書館にきて?」

「そうだ!」

…いや待て…知能指数が低いのかもしれない。人質をこの場でとらなければならないぐらい特殊な個性なのかもしれない。本が必要とか…そうだよな?さすがにこの場所に本や文字が関係のない個性でたまたま図書館があったからここの人間人質にすればいいやみたいな考えではないだろうな。

「俺の個性は筋肉増加!」

「……………」

「俺に壊せないものはない!」

「………………お前は私を人質にして時間を稼ぎ逃走したいんだよな?」

「何を当たり前なことを…どうした恐怖でまともな考えができなくなったのか?」

いえ、呆れて言葉を失っただけです。

「あなたが襲った場所は図書館です。いわば公共施設。この国の特徴からかんがみるにこういった人が集まりやすいところには警察署やその他の犯罪に対応できる施設を近くに置く傾向があるんですよ。」

「あぁ?何を言ってるんだ。お前は黙って俺に命を握られてればいいんだよ!」

あまりのアホさに呆れていたその時、無駄にでかい声の高笑いが図書館内に響いた。

「hahahaha!少女よ安心したまえ!何故て?私が来た!」

「オ…オールマイト…平和の象徴…」

(平和の象徴?彼がこの国の秩序を保っているという事か…随分と…いや)

「たとえ平和の象徴だろうがこっちには人質がいるんだよ!」

そう言うと男は私の首を締め上げた。

(ッ…!さすがに力が強いな)

「その子を離せ!」

そう言うとオールマイトは大きく踏み込み拳を突きつけるように殴った

「「「スマーーーーシュ!」」」

オールマイトは一撃で男を沈めた。

(すごいな力任せではあるが確かに彼の力なら十分抑止にはなるな。)

男を吹っ飛ばしたあとオールマイトは私によってきた。

「大丈夫か!少女よ!」

「えぇ」

そう言うとオールマイトは、笑顔?(掘り深すぎて表情は分からないが)で私に語りかける。

「よかった!怖い思いをさせてしまったね…今から両親を呼ぼう。」

「いや、わたし…「やられたままなんて思うなオールマイト!!」」

さっき吹っ飛ばされた男が突如起き私に向かって殴りかかっかてくる。

(あぁ…オールマイトは間に合わないな…)

そんなふうに他人事のように考えていた時。私に何か光るもののようなものが見えた。私は光を掴むように手を伸ばし掴んだ。

「まずいデトロ…「遅い!筋力向上!!死ねーーーー!」」

私は男に殴られた。

「少女ーーー!」

ブツーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は意識を失うかのように項垂れた。

それと同時に私の体はホログラム包まれるかのように体が崩れ始めた

「少女?」

オールマイトが心配そうにこちらを見てきた。

(なんだなんで私を俯瞰で見ているんだ?)

私はホログラムになっている私を俯瞰で見ていた。そして気づいた私の仮説は当たっていたと。ホログラムが少し落ち着き私はその姿に驚いた。どこかで見た事ある姿に私が変わったのだ。私の個性として…

「ふぇぇ?!ここどこです?!ドーベルマン教官どこですか〜!」

オールマイトは現状が理解出来ていなく混乱しているのか言葉が出ていない。男も唖然としている。だがこの場で1番混乱しているのは私だった彼女[ジェシカ]だった。

「どんな個性だか知らないがガキが俺に勝てるとおもうな!」

「ひーーー!」

バンバンバンジェシカは男の足を3発打った!

「ッあ!」

男は痛みでその場で気絶して動かない。

オールマイトが拍子抜けな顔をしていた。

「ち…近づかないでください!次近づいたら頭を打ちます!」

ブルブルしながらも銃口はしっかり相手の急所を狙い続けていた。

「落ち着いてくれ私は敵ではない!それになんて言っているか分からない…私の言葉は分かるか?」

「なんて言ってるんです?!」

ジェシカが完全に混乱しきっている。どうにか話しかけれないかととりあえずジェシカに近づいた。近づくと言っても俯瞰なだけで視点を近づけただけだが…

<ジェシカ!聞こえるか?>

「ふぇぇ?どドクター?なんで私からドクターの声がするんですか?!」

<説明はあとだ少し私の言う通りにしてくれ。>

「わっ分かりました!」

<気絶してくれ>

「は?」

<とりあえず1回気絶すれば戻ると思う。>

「えっ?どーやって気絶すればいいんですかー!」

<目の前にいるだろ?彼のやってもらえ>

「ちょ…もーなんでです」

<いいか私の言う通り発音しろ>

「はぁ…了解」

<オールマイト私を気絶させて>

「オールマイト私を気絶させて」

「ファ?!どうした少女!いきなり姿が変わったと思ったらいきなり気絶させろなど」

<いいから早く>

「いいから早く」

オールマイトは狼狽えながらジェシカの首裏をストンと叩き気絶させた。

同時に私も自身の視点が普通に戻りそのまま気絶した。




ではまた


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英雄性格

「しょ…しょう…少女!」

オールマイトが私に向かって声をかけてくる。

「っ!」

体に電気が走ったような痛みが走る。

(なんだこれは?!私がジェシカのようになったからか?体が痛すぎる!)

「少女?!どこか痛むのか?!」

「あ…あぁ少し体が痺れただけだ。心配は無い。恐らく個性の反動だろう。」

そう言うとオールマイトは少し顔を伏せて申し訳なさそうにした。

「すまない私がもっと注意していれば怪我をさせずに済んだ。」

(ずいぶんと責任感の強いひとだ…)

私は素直にそう思った。

「別に気にしていない。」

「そうか…だが私が君に怪我をさせたようなものだわたしにできることがあれば言って欲しい。」

「なら…私の衣食住を用意してくれないか?」

「衣食住?家出でもしているのか?」

「いや記憶がないんだ…自分が誰なのかはわかるがこの世界のことを何も覚えていないんだ。」

(嘘も方便私としても衣食住の確保は真っ先にやるべき事。ここで家出や事態を面倒くさくして無駄に何かを聞かれるよりは仕方がない状況にいたことにすれば余計な詮索はされないし何かを聞かれても覚えていないでどうにかできるはず…)

オールマイトは少し考え込み

「そうか…記憶がないのか…少女、ちなみにどこまで覚えているのかな?」

「私の名前に図書館に行こうとしたところまでは覚えている。その後の事ももちろん。」

「そうか…わかった!私が少女の衣食住の問題を解決しよう。同時に君の戸籍などを探して君のご両親を探してみよう!」

オールマイトは自分の胸をはり私にいった。

「よろしくお願いします。」

(まぁ、今この瞬間の私をこの世界で見つけるのは無理だが…まぁ頑張ってもらおう存在しない人物をせいぜい探してくれ。)

「では君の名前を教えてくれ。」

名前か…

ザーーーーーーー

ーーー貴方はーーーー零ーーーーーーー零よ!ー

(久しく自分の名前なんて名乗ってなかったから忘れてた…ずいぶん懐かしい記憶を見た…)

「零…叶夢零」

「叶夢少女か…よしでは調査してみよう…あとこれは提案なんだが」

「はい?」

オールマイトは少し言いにくそうに私に告げた

「君の個性…私の中での話になるが言葉を選ばずに言うのであれば、少し危険な個性に感じた。」

「はぁ…」

「もちろん君自身が危険という訳ではないが少し強すぎると感じる。君は自分の名前のことしか覚えていないのだろ?そうなると君はどうやってその個性を制御していたのかも分からない。」

「なるほど…」

「つまり君の個性を制御するために雄英高校に行かないかという相談だ。」

「雄英高校?」

開発機関や保健所での監視ではないのか?

「そうか雄英高校を知らないのは当然か…雄英高校はプロヒーローを多く排出する名門校だ。その為あらゆる個性に精通している。そこで君も学べばきっとその個性も使いこなせるだろう。もちろん君の意思が優先だ。それに雄英高校は名門校その為多くの受験者がその狭き門を通ろうと努力している。狭き門を突破出来なければ君の個性を使いこなす機会が無いかもしれない。だから君は簡単にいえば私からの特別枠といった感じで入学できる様に手配しよう。どうだい?悪い話ではないと思うんだが…」

「そうですね身寄りがないのも確かですしこの個性を制御するために学ぶ必要はあると思います。もし叶うのであればこちらからお願いしたい。」

(この国の最高峰の育成機関に衣食住の確保…確かに魅力的だ、だが…オールマイトの表情を察するに私の個性が想像以上のものだったと考えるべきか。そのために最高峰の教育機関で最高峰の監視役をつけたい。そんなところか…でも悪い話ではないのは確かにそうだ。帰る手段が明確ではない以上この誘いは私にマイナスに働くことはないだろう。)

こうして私はオールマイトと出会い雄英高校ヒーロー科に通うことになった。

「以上で今日の報告を終わる。」

『君はどうしてそういつも問題ごとの渦中にいる。だが衣食住と国のトップの教育機関に潜入できたことは上々だ。引き続きそちらの世界のことの調査を頼む。それが君を救出する手がかりになる。それともうひとつこちらはいい話だ。』

「いい話?」

『あぁ、君がそちらの世界の個性と呼ばれるものを使った時ジェシカが目の前に出ていただろう。こちらでも調査したところ、君が個性を使った時にジェシカはその場で気絶したらしいさらに混乱気味ではあったがそちらの記憶も残っている。つまり君のいるその世界にオペレーターを呼ぶことが可能という事だ。であるならばこちらから技術者を、送り君の世界でわれわれの技術を使う。君の世界でわざわざ技術者を探す必要は無くなったということだ。だがもうひとつ欠点があるとするならこちらのオペレーターがそちら側に行った時に行動不能になるということだ。その為エリートオペレーターの使用は原則禁止。並びに1ヶ月のオペレーターの出勤表を、作り君が個性を、使用して呼び出せるオペレーターをリスト化しておいた使ってくれ。』

「用意周到だな。」

『当然だ些細なミスが最悪な結末になる可能性があるそれは君がよくわかっているだろう?』

「あぁ、そうだな。私からもひとつ提案がある。」

『なんだ?』

「この世界で強個性と呼ばれるものがいるらしい。その対象に体の害を除くまたは時間を巻き戻すなどそういった感染者にとってプラスになると思われる人材を見つけた場合交渉をしてもいいか?」

『その人物がこちら側に賛同し自身の意思で来ると言うなら構わない。もちろん君がその世界から帰ってこれればだがな…』

「了解した。」

『では君は強個性の捜索並びに帰還方法の模索を君の任務とする以上だ。健闘を祈る。』

 

 

 

 

 

オールマイトside

「という訳で叶夢少女を、雄英に入れて頂きたい。」

「なるほど…君がそこまで気にかけてしまう程の個性と言うことなんだね…」

「えぇ…個性自体の強さよりもその個性の性質の方が危険な気がしました。あの正確に急所を撃ち抜く冷静さ弱気に見えたため油断してましたが、あれは明確に相手を殺すための技術を持ってました。」

「そうだね…救う為の技術を育てればその子はきっと誰よりも優れたヒーローになるだろうねそれを導くのは僕達のしごとさね」

「えぇ使いこなせればあの個性は誰よりもヒーロー個性と言えるでしょう。」




女ドクター主人公
コードネームdoctorzero
叶夢 零(かなめ れい)
個性
 オペレーション 一時的に肉体をロドスオペレーターと交代できる。
 エリートオペレーターは呼び出し使用は禁止。ロドスの戦力的問題。ただしクロージャに限り使用可能。

次回雄英高校入学


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雄英高校入学

特殊な入学方法にしました。ごめんなさいm(_ _)m


ヴィランに襲われてから2ヶ月自分の個性の使い方にも慣れてきた。この2ヶ月で個性の限界らしきものと能力について理解出来た。

通常時は私の個性で呼べるオペレーターの数は1日に12人限界を超えれば13人できるが次の日体に激痛が走る。さらに一日の終わりに自身の個性を使用して帰還方法の模索の為まず3人もしもの為に2人は残しておかなければならない。つまり7人が公で言える個性の限界数と言った所だろう。

また能力自体は特になく本当にそのままオペレーターに成り代わる。そしてそのままアーツの使用はできた。

ただ個性を使うのはある程度に抑えるべきだろう。教師陣にはしばらく個性を誤解してもらいたい。帰還方法がある程度模索出来れば個性を使いこの世界の調査に尽力するとしよう。

 

「零さんー!今日は入学式ですよー!そろそろ出ないと間に合いませんよー!」

「ありがとうございます。今出るところです。」

「えぇ行ってらっしゃい。」

私は急ぎ足で雄英高校に向かった。

あの事件の後私はオールマイトの紹介で孤児院に預けられることになった。先程の女性は言わば寮母さんである方だ。

「全く運がいいのか悪いのか…」

この2ヶ月過ごしたがこちらに敵意はなく、正しく善良な人と言った感じであった。

 

そして私は雄英高校の校門に着いた。

ここでの私の立場は帰国子女という扱いで特別入学生の枠だそうだ。ヒーローを育成する場であるのに柔軟という事にかこつけて平気で裏口入学させるのは流石はヒーローと皮肉ってやりたいがまぁ私には関係の無いことだ。

「…っそエリートじゃ無いですかー!ぶっ殺しがいがあるなぁ!」

「ぶっころ…君ほんとにヒーロー志望か?!」

私の行く教室から明らかに面倒くさそうな声がする。

「はぁ…面倒くさ…」

ガラガラ

私は指定された教室のA組に入り自身の指定された席に腰をかけた。

「おいおいなんだあのべっぴんなねーちゃん俺雄英来てよかったー。」

ぶどうが何かほざいているが無視するとしよう。ああ言うのは無視しとけば面倒事には巻き込まれないだろう。また巻き込まれればケルシーに小言を言われるのは目に見えている。

周りがガヤガヤしながら交流をしているさ中

「はい。君達が静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね。」

「8秒ぐらい考慮すべきでしょ…完璧を周りに求めれば何事も失敗するよ…」

おっとつい口を滑らせてしまった。すごい形相でこっちを見てくる。

「お前!っはぁ…担任の相澤消太だよろしくね。」

一瞬鬼の形相で見てきたがすぐに先生の顔になった。

「まぁいい…これを着て外に出ろ」

そう言って担任の相澤は体操着を渡してきた。

 

 

「「「個性把握テストー?!」」」

周りがガヤガヤ騒いでいる中爆豪と呼ばれた少年がボール投げをするように言われた。

(ってか、あの子首席だったんだ…明らかに不良っぽかったからギリギリ入学だと勘違いしてた。)

「ー死ね!!!!」

「元気いいなーアイツ」

恐らく自分に素直なんだろう。わかりやすい。

「元気ってあれは元気って言うかヴィランしょ…」

耳にジャック?耳がジャックの女の子に話しかけられた。

「君は?」

「あーごめん、自己紹介がまだだったね私は耳郎響香って言うのアンタは?」

「私は叶夢零。よろしく。」

「うんよろしく。」

「にしてもあの爆豪ってやつ顔が悪すぎだよ。あのままヒーローになったら子供が泣くよ。」

「いや爆豪は多分素直なだけだ。ヒーローになる頃には多少はマシになる。」

そう言うと耳郎響香はへ〜と感心したかの様にこっちを見た。

「どうした?」

「いやアンタ随分人を見るのが得意なんだね。あたしじゃ考えもしなかったよ。」

そうこう言ってるうちに爆豪の結果が出た。

700越え

「700って…マジか!」

「個性が思いっきり使えるのか!」

「面白そう!」

各々がはしゃいでる一方相澤は二ターと笑い。

「面白そうか…ならこの体力テストで最下位だったものは見込みなしで除籍処分としよう。」

「「なっ?!」」

処分してあげるのが優しさだと思っているんだな。優しいが歪んだ愛情表現だな…私は好感が持てるが…

「どっどーしよう叶夢」

「最下位にならなければいいだけだろ」

何を当たり前の事を…

「すごい自信だ…」

「そんなことはないそれに私の個性ではこの体力テストで結果は残せない。」

「えっ?なんで?」

(そりゃ帰還方法がない今はジェシカ以外使わないと決めているからなジェシカなら最下位は避けれるが、できることなら個性は使いたくない。)

「私は戦闘力としてはゴミなんだ戦えないからな。」

「戦闘向きでは無いって事?」

「いや逆だ。むしろ…」

耳郎響香と話していると相澤が私に向かって話しかけてきた。

「今回お前は見学だ。その代わりこの問題を解いていろ。俺の提示した点数を下回ったら除籍処分する。条件は一緒だ例外は無い。」

「わかりました。」

予想はしていたがこう来たか…そんなに私をここに縛り付けておきたいか根津校長…

「ちょっ!相澤先生!なんであいつは体力テストじゃないんですか?」

赤髪の男が納得いかないっと言った様に相澤に言う。

「おい叶夢こいつらに言ってもいいか?」

「いいですよ別に…」

「そうか叶夢足の裾と腕捲ってやれ」

私は相澤の言う通り裾をめくった。それを見てクラスの連中は、言葉を失った。

「見ての通りドクターストップだ。それにこいつは参謀向きな為知能の方のテストの方が重要らしい。(実際あの校長が個性でもなければこの頭の回転は以上と言われる程だしな…体力テストをやらせて個性を出されたら確実に合格はするだろうが、それでは、叶夢零という少女の全容が分からない…)」

相澤がそうクラスに説明しさっき私と話した耳郎響香がその口を開けた。

「質問していい?それは義足と義手?それも両手両足?」

受け入れ難いのか今見ている光景を繰り返す様に言う。

「そうだ。私自身よく覚えていないが恐らくヴィランにやられたのかもな…別に不便はないから気にするなそれより自分の心配をした方がいいんじゃないか?」

「そうね。あんまり詮索するのは野暮ってモノよ。私たちは私たちで頑張りましょう。」

かえるっぽい女がそう言って把握テストが始まった。

 

そして結果発表…

まず私から

「叶夢の成績は600点中590点歴史で少し点を落としているがそれ以外は満点だ…文句なしで合格だな。んじゃ、ぱぱっと結果発表…」

そう言うと相澤の隣に成績が映し出された。

「ちなみに除籍は嘘な。君らの実力を最大限に引き出す合理的虚偽!」

「はーーーー!!?」

(あの緑頭相澤先生のお眼鏡かかったのかにしては隣で親の仇のように見てる爆豪に脅えているが…)

 

放課後

赤髪の男切島鋭児郎に呼び止められたが急いでいると言いさっさと帰っていった。本当なら多少は付き合ってもいいだが、昨日アーミヤに大量に送られた人事の資料の仕事が終わっていないためいつもより早足で自宅に向かった。

「ーーー今日の報告は以上だ。」

『そうか相澤と言ったか?導くものとしてはとても優秀な人材な気がするな。』

「同感はするがあれは自分の失敗を引きずってる。」

『君がそういうのであるならそうなんだろう。こと人間を見るという点では私は君には及ばない。』

「それは褒め言葉と受け取って構わないか?」

『好きにしたまえ。そもそも君のその人を見るという行為は反感を買いやすい。それ故に君は多くのオペレーターと交友を持つがその実に信頼関係を結ぶのが下手だ。確かに君の才覚更には圧倒的作戦立案能力はこと戦場などにおいては絶対的な信頼を寄せることが出来るが、こと人間性と言う部分で信頼関係を結ぶべきだ。だから君は男性オペレーターでも女性オペレーターでも厄介事が増えるんだ。君は依存されやすい。意思が強くこの台地ではそれは貴重だ。それと同時にその強さをよく思わない物も多い。まぁその強さこそ君の美徳であり私は好ましいと思うが…』

「…そっ…そうか(危ない1時間喋られたらこっちの身が持たなかった。)」

『あと最後にひとついい報告だ。』

「いい報告?」

『君の居場所とテラの居場所の特定が出来た空間を繋ぐことの模索は続くがひとまず帰るために必要な位置情報は手に入った。』

「随分早いな。」

『アーミヤがクロージャに徹夜を強いて実現した。』

「それは…後でクロージャにご飯でも奢ってあげてくれ。」

『そうだなまだ君が帰還する方法が確定した訳ではないがひとまず喜んでくれ。…ん!?どうしたアーミヤ…ドクターとか?あぁ大丈夫だ。済まないドクター少しアーミヤと変わる。相手をしてあげてくれ。』

「ああ」

『ドクター!そちらはどうですか?危ない目にはあっていませんか?』

「大丈夫だアーミヤ心配するな。こっちの世界は君の思ってるほど危険ではないよ。」

『ですがもしドクターになにかあったら…そうなる前に私を呼んでくださいね。私があなたを守りますから!』

「そもそも私はそんな危険に頭は突っ込まない安心しろ。」

『そうですね。でももしもそんなことになったら呼んでください。ケルシー先生にはその後謝りますから。それとドクター?』

「ん?」

『先日送った人事の資料終わりましたか?』

「あっ。いやその」

『ふふふ。ドクター?終わるまで休んじゃダメですよ。』

「はい」

その日私の理性は0/120になった…




まだ休んじゃダメですよ♪


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戦闘訓練

午前中はヒーローらしい科目はなく普通に英語などの一般教育をしていた。

そして午後この学校ならではの授業、ヒーロー基礎学の時間となった。そしてこの授業の教師はオールマイト。平和の象徴が、授業を行うらしい。

「わーたーしーがー普通にドアから来た!!!」

「本物だー!」

「画風がちげー」

「銀時代のコスチュームだ!」

(デカイな)

そうこうしているうちに授業が始まった。今回は戦闘訓練。そのため各々が希望をあげたヒーロースーツを着てグラウンドβに集まった。

「おっ!零!」

「耳郎…随分とパンクな衣装だな。」

まるでロックシンガーみたいな服を着ている耳郎。

「そーいうあんたはなんて言うか重いね。」

「そうか?私としては違和感はないが」

私の服はいつも着ているロドスの服の後ろにロドスのマークが無く仮面を付けてないものだ。

「戦闘では動きにくくない?」

「いや問題ない。」

「戦闘訓練でも後方支援が主な感じなの?」

耳郎は私の個性を勘違いしているようだ。恐らく絶対暗記などが私の個性だと思っているのかな?

「今回は私も戦闘するさ…」

「っぅえ!?零戦えるの?」

「私の個性は分かりにくいだけで別に戦えない訳ではないんだ。」

「そーなんだ…」

耳郎とそうこう話していると各々のスーツを着てグラウンドに集まって来た。

「さて始めようか!有精卵たち!戦闘訓練の時間だ!」

オールマイトの言葉にみんなの空気がシーとなった。訓練の内容は屋内での対人戦。敵側と、ヒーロー組に別れて2対2の戦闘となる。

「オールマイト先生一つ質問よろしいですか?」

「なんだい?八百万少女!」

「叶夢さんは手足の方が不自由なのですが、同じように戦闘訓練行うんですか?」

「確かに体力テストもドクターストップかかってたもんな。」

切島と八百万がオールマイトに私の心配と疑問を質問した。

「そうか!まだ君たちは叶夢少女の個性をちゃんと見ていないのか!安心したまえ叶夢少女も今回は戦闘訓練に参加する!今日は個性の使える日だからな!」

いいえジェシカの休日が終わったから使えるんですよ。とは言えないがオールマイトの説明にみんなが頭に?をうかべた。

「けど先生!そーすると1人あまりますよ。」

「あぁ!だから1人になったものは1度終わったものと組んで行ってもらう。」

オールマイトがそう言って各々がクジを引く。

「私があまりです。」

「では叶夢少女は後で体力が余っているチームと終わったものと組んでもらう!」

 

そして訓練は始まり、各々の戦闘が終わった。

途中爆豪の暴走によって緑谷が保健室送りになったりしたが、それ以外は特に問題なく終わって言った。

(緑谷と組めたら意外と楽だと思ったんだが…)

「さて最後は叶夢少女だ!誰か戦って見たいものは!」

スっと手を挙げたのは轟だった。

「OK!では轟障子ペアが叶夢少女と戦ってもらおう。」

「じゃうち零と組みたいです。」

耳郎がそうオールマイト提案した。

「叶夢少女はそれでいいかな?」

「えぇ構いません。」

「じゃ2組とも準備して。」

「ねー零の個性って何?」

今回はチーム戦この質問は来るとわかっていた。

「私の個性はオペレーション自分ではない別の人物に成り代わる。」

「成り代わる?姿が変わるって事でいい?」

「あぁその認識で大丈夫だ。」

お互い立ち回り方を軽く決め戦闘訓練に入る。今回は私たちがヒーロー側だ。

「それではスターーート!」

さて障子はどんな個性か分からないが轟は大氷での攻撃を得意としているだろう。あくまで素人ではあるが…これなら大丈夫か…

「ジェシカ頼む。」

「ジェシカって?うぇ?!」

「えっとー今回は戦闘訓練でいいんですよね?では作戦通り動きましょう耳郎さん。」

「う、うん。」

耳郎は困惑したように私ジェシカを見ていた。

 

「耳郎さん轟さんの位置情報は?」

「南西の方角にいると思う。」

「そうですかそれならば相手も感知系の能力を持っていると考えていいですね。」

ジェシカの発言に耳郎は頭に?をうかべた。

「なんで?別に南西にいるだけだよ?」

「私達は入口から入ってすぐに2階に上がりました。この戦闘上では階段は3つ東と北そして南私達は東階段から上り今いる位置から予想するにあの冷気を最短で私達に食らわせるには南西が有効です。ですが普通に考えればこちらが探知系の能力を、持っている。その事は相手にとって不安材料になります。探知がいなければおそらく東から来ると予想して南西に構えますが今回はこちらに探知がいる。であるなら必然的に確実に相手の位置が分かりなお攻撃に有利な位置北の方に向かいます。なんせ時間稼ぎができますから。でも相手はそうしなかった…」

「相手側に私達の位置がバレているから最短で倒すことを選択したって事?」

「はい。簡単に言えばおびき寄せていると言っていいです。」

それに耳郎は少し慌ててじゃどうすればいい?と聞いてくる。

「誘いに乗るのは得策ではありません裏を行きます。」

「裏?」

「はい耳郎さん。この命綱を腰につけてください。」

「えっ?あうん。」

耳郎が命綱をつけたタイミングで

「耳郎さん走ります!」

「えっ?え?待って!」

階段を猛ダッシュで駆け上がっていく

「ちょと相手はこの階にいて核はこの階にあるんだよなんで上に行くの?」

「この任務では相手の妨害を阻止しながら核の回収が目的ですであるなら…」

「屋上まで来ちゃったけどどーすんのこれ」

「最小限の被害で相手を完全に戦闘不能にします。」

「は?」

そういうと耳郎に命綱を柵にかけるように促し一気に轟達のいる階まで下る。当然それを見た轟達は氷で応戦するが…

ドカンーーー!!!

「ーーーー?!」

大きな爆発で壁ごと轟たちを吹き飛ばす。

「相手のアジトに侵入します。耳郎さん私の後ろでバックアップをお願いします。」

「えっ?う…うんわかった。」

相手のアジトに侵入後即座にスタンガンを投げ障子目蔵を戦力外にしてそのまま轟をCQC(メタルギアのあの蛇のひとが使いそうな)で無力化した。

「これでよし…。」

ジェシカは少し安堵したようにつぶやき

「負けた…」

轟は悔しそうにそうつぶやく。

「すご…」

耳郎は彼女の1寸の狂いもないその戦闘に見惚れてしまった。

(まぁ私が全部後ろから指示してたんだかな…)

(ドクターの指示ですから当然と言えば当然です。少しこの子達が可哀想です。)

「耳郎さん。任務終了です。」

「すごすぎて私自信がなくなりそうだよ…」

「いいえ。とても有利な状況を作れたのはあなたのおかげです。目標はあくまで頂点です…!こんな道半ばで立ち止まる訳には行きませんよ?頑張りましょうお互いに!」

「うん。ありがとう!ちょっと元気出たわ。」

それを聞いてジェシカと私が交代する。

「また変わった…」

「じゃあ戻ろう。」

その後オールマイトからの評価を貰いこの日の戦闘訓練は終わりを告げた。

 

観戦者side

ドカンーーーー!!!

「爆弾!!」

「あれじゃ中の核にまで引火しちゃうだろ!」

「いや叶夢少女は火薬の爆弾を使ったんじゃなく超音波爆弾を使った。」

「それでいんかすることなく相手を無力化するとすごいわ零ちゃん。」

(咄嗟にあれだけの判断をまだ15年しか生きていない少女にできるのかそれにあの体捌き特殊な訓練を積んでないと…)

「オールマイト先生!終わったぜ。」

「あぁ…すまないありがとうーーーヒーローチームWinーーーー」




放課後変へ


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交流

「てかすげーよな叶夢の個性。」

そういったのは上鳴。

「別にすごいとは思わないが?」

「いやいやめちゃくちゃ強かったじゃねえか!」

興奮気味にそう上鳴が言う。

「確かにすごい的確な動きだったわ。一体どんな個性なのかしら?聞いてもいい?」

蛙水が少し探るように聞く。

(気配りの得意な子なんだな。私の機嫌を損ねないように慎重に聞いている。)

「別に構わないさ。」

「それ僕も聞いていい?」

そう訪ねてきたのは緑谷だった。

「あぁ構わないさ。」

そう言うと緑谷はノートを広げて聴き始めた。

「私の個性はオペレーションと言う。簡単に言えば私と別の誰かと入れ替わると言った個性だ。」

「零があの時変わったのは完全に零とは別人って事?」

耳郎が確認がてら聞いてくる。

「まぁそうなる。」

「戦闘を他の人間の任せるって事かな?」

緑谷は熱心にノートをとりながら聞いてくる。

「大まかそんなところだ。私はあくまで後ろから変わった自分に指示を出すだけだ。」

「指示ってどうやって出すんだ?入れ替わってる間に意識あるのか?」

「もちろん。私が指示を出しそれに従ってくれれば私が思った動きをしてくれる。」

そう言うと蛙水が合点がいったのか大きく頷き

「なるほどそういう事ね零ちゃん」

「ん?どういう事だ?蛙水。」

イマイチ合点の行かない上鳴が蛙水に尋ねる。

「つまり零ちゃんは、自分に従ってくれる状況でなければ不用意に個性を使えないのよ。」

「そうか!個性で出てきた人は自分じゃないからその感情まで読めないしいつ自分の個性に裏切られるか分からない。だから相澤先生も個性ではなく叶夢さんの頭脳を優先したのか!」

少し興奮気味に緑谷がそう言う。

「そういうことだ。(実際信頼は出来るが、その可能性も無いわけではない。)だから私の個性は別に強くはないんだ。」

「そうなのね色々聞けて参考になったわ。」

「俺も!なんかすげー個性って思ってたけど色々大変なんだな。」

「参考になったなら幸いだ。さてここら辺で私はお暇させてもらうよ。じゃまた明日。」

そう言って私は教室を後にした。

 

「以上が今日の報告だ」

『報告ご苦労。戦闘訓練の結果をジェシカから聞いたがここの能力はとても目の見張るところだ。特にこの爆豪と轟、緑谷の個性は破壊力と機能性が良い単純な能力と言った面では非戦闘オペレーターは誰一人彼らの能力に勝てないだろう。だが、戦闘面主に個性に頼りすぎているため純粋な戦闘力は我々の一般的な戦闘力よりはるかに劣る。これではせっかくの能力を生かしきれないな。』

「同感だ。実際ジェシカの子供騙しのような戦術で敗北しているようでは到底その能力を生かしてるとは言えない。」

『あぁ、それともうひとつ君のいる世界とこちらを繋ぐ作業だがクロージャがあとは実地テストをして動作確認をするだけのようだ。』

「進展が早いな。もう少しかかると思ったが…」

『早いに越したことはない。それにこれが完成しても君にはその土地の調査がある今はまだ様子を見て行動を控えるように指示しているが、ドクターの安全が確保されれば私から指示を送る場合もある。その時は少し目立つ可能性を考えといてくれ。』

「それは、構わない。それでいつ実地テストをするつもりだ?」

『まだ未定だが、近いうちにテストをする。言うてこの2.3日どちらかで行うつもりだ。そのつもりで準備しておいてくれ。』

「了解。アーミヤにもよろしく伝えておいてくれ。」

『あぁ、わかったでは、最善を尽くしてくれ。』



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敌人攻击

所々カットしながらお送りします。


「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトそしてもう一人の三人体制で見ることになった」

 

「はーい、何するんですか?!」

瀬呂が相澤にそう問いかける。

「水害水難なんでもござれのレスキュー訓練だ。」

「レスキュー大変そうだな」

「バカおめー、これこそヒーローの本分!鳴るぜ!!腕が!」

「水難は私の独壇場」

各々がべちゃくちゃと喋り出す。

「今回は、コスチュームの着用は自己判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れたところにあるからバスに乗っていく。以上準備開始。」

 

 

移動中…

 

「バスは席順でスムーズに行くように番号順に二列に並ぼう!」

「飯田くんフルスロットル…!」

「常にトップギアって感じだね。」

飯田はホイッスルを使ってクラスを仕切っている。

 

「こういうタイプだった…くそう!」

 

バスは2列式ではなく前車半分が向かい合って座るタイプ。

飯田はショックで項垂れていた。

 

「私、思った事を何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん。」

「あ、!?はい!蛙水さん!」

「梅雨ちゃんと呼んで。」

緑谷が緊張で言葉がおかしくなりながら蛙水に受け答えをする。

「あなたの〝個性〟オールマイトに似てる。」

「!!そそそそそそそそそうかな?!いや、でも、僕は、その、えー」

(緑谷その慌てようは…いや隠しているなら無理に詮索する必要はないな…)

「おいおい梅雨ちゃん緑谷は個性使うと怪我してんじゃねーか。オールマイトは怪我しねーぞ、似て非なるもんだ。」

その考えは正しいのかもしれないが私にはただの個性をつかいこなせていない状態にしか見えない。

「しかし増強系のシンプルな個性はいいな!派手で出来る事が多い!俺の硬化は対人じゃ強えけど、いかんせん地味なんだよなぁー。」

切島は自分の個性に自信がないのか少し俯き話す。

 

「僕は凄くカッコいいと思うよ!プロにも十分通用する〝個性〟だよ!」

 

「プロなー!しかしやっぱヒーローも人気商売みてぇなとこあるぜ!?」

 

「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み☆」

 

「でもお腹壊しちゃうのはヨクナイよね!」

痛いところをつかれたかのようにお腹を押え押し黙る。

 

そして視線を爆豪に向けて。

 

「派手で強えつったら轟と爆豪も負けちゃいねえよな!」

「ケッ。」

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ。」

「んだとコラ出すわ!!」

 

そんないかにも高校生、平和を教授する学生のような会話を聞き私はやはり住むべき世界が違うと思った。

(私の学生時代か…ドクターとして目が覚め激闘の2週間を過ごした。記憶がなく何も分からない私でも断片的に何かを思い出す事があった。もし私が全てを思い出したらこの愉快な愚か者達もなんの躊躇もなく殺すのだろうか?)

そんな事を考えながら揺られるバスに肩を預け眠りこけた。

 

訓練場につきまず第一印象はデカすぎ。

「「「すげーー!USJかよ!!!」」」

 

そのリアクションは理解出来た。

確かにこれはすごいな。

 

「水難事故、土砂災害、火事etc.、あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名もU S J嘘の災害や事故ルーム!」

 

そして現れたのは宇宙服に身を包むヒーロー13号だった。

 

「スペースヒーロー『13号』だ!災害救助で目覚しい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

「わー!私好きなの、13号!」

 

その後13号の小言がしばらく続くそんな中

 

「一かたまりになって動くな!!!」

 

最早お約束かと思うような状況に陥った。

「耳郎、少し後ろに下がれ…」

「え?」

「「あれは/動くな''ヴィラン''だ!」」

黒いモヤモヤの人間?がクラスのやつらに向かってそのモヤを使った。

その一瞬で全員がバラバラにされた。

私は咄嗟に青山の手を取り青山と一緒にヴィランのいない草むらに出た

 

「な…なんで…叶夢さんが…」

あぁ、青山お前が…

「運が良かったな青山」

「ふへ?」

「どうやら私たちはヴィランのいない場所に飛ばされたみたいだ大人しくここでほとぼりが覚めるのを待つとしよう。」

務めて自然に青山にそう話す。

「そ、そうだね★僕たちが出ても邪魔になるだけだしね!.☆.」

「お前も大変だな」

「!!!!!!!!」

そういったきり青山は何も喋らずただひたすら時間が過ぎるのを待った。

 

その後オールマイトが来て雄英襲撃は幕を閉じた。

 

 

「以上が今日の報告だ」

『そうか随分と面倒事に巻き込まれたようだな。』

「あぁ、でもあれぐらいなら問題ない。」

『そうだろうな…それにしても青山という少年を使っているとは、弱みに漬け込むとはスマートとは言えないな。』

「そうだな…だがこれはこの世界の問題だ。深くは干渉しない。そもそも私になんのメリットもない。」

『それはその通りだ。それともうひとつ以前言った実地テストだが急遽今日やることになった。』

「どうした、予定どおり行かないとはケルシーらしくもない。」

『イフリータの言語授業が難航しているんだ。そもそもこちらの世界に君がいる世界の言語を教えるのは難しくてないささか思うように行かないのだ。』

「そうかでは、今日の夜という事でどうだ?」

『無論問題ない場所は私が指定する。今回は試作品テストこれをクリアすれば実用化まで段階を進めこちらと君のいる世界の行き来を可能とさせる。クリアした後は君に最高司令官を再任させ君はその地の実地調査員としてロドスから命令を降す。』

「了解だ。」

「では、こちらから一般オペレーターを派遣する。良い結果になると信じている。ではまた…」

「あぁ…」

 

 

 

その日某森の中交わっては行けない世界とこの世界が交わった。

そんな事を知らず緑谷は雄英体育祭に心を弾ませていた。




次回雄英体育祭!


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雄英体育祭前編

できるだけ早めに投稿します。ちょっとまっててください。


 

雄英体育祭当日緑谷に対して何故か轟が宣戦布告をしていた。

「叶夢。お前にも1度負けてる。だから次は負けない。」

決意を固めたかのように轟は私に向かってそういった。

 

そんなこんなしている間に体育祭本番プレゼントマイクのやかましいアナウンスとともに雄英生全員が入場する。

 

 

『雄英体育祭!! ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトォォル!どうせてめーらアレだろ!?こいつらだろ!!?ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉぉ!?』

怒声にも聞こえるほどの歓声は鼓膜がはち切れるかと思った程に盛り上がりを見せている。

(たかが高校生の体育祭日本期になりすぎだ…狂ってるのか?)

 

 

「わあ…人がすんごい…」

 

「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか!これもまたヒーローとしての素養を身につける一環なんだな。」

 

「めっちゃ持ち上げられてんな、なんか緊張すんな爆豪!」

 

「しねえよただただアガるわ!」

 

「零は落ち着いてるね?緊張しないの?」

 

耳郎が私の顔を覗き込むように聞く。

 

「ん?ああ、別に私はそこまで緊張症ではないからね。」

 

「そっかー私は上がりっぱなしで上手くできるかわかんないよ…」

緊張で少し震えている耳郎。

「どうせなるようにしかならない。それなら楽しんだ方が効率がいい、周りは気にするな。」

「おん!?頑張る!」

色々言語が変だぞほんとに大丈夫か?

 

そんなこんなで生徒が全員入場しミッドナイトが壇上に上がる。

「選手宣誓」

 

「宣誓。俺が1位になる。」

 

爆豪の自信に満ち溢れたその言葉に会場内の生徒からは非難轟々。

なんかイフリータ見てるみたいで可愛いな。生意気なとことかそっくりだろ。

 

「さーて、それじゃ第1種目行くわよ!今年は…コレ!」

 

画面に映し出されたのは障害物競走

 

 

『計十一クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周、約4km!我が校は自由さが売り文句!ウフ!コースさえ守れば何をしたって構わないわ!』

 

その宣言とともに皆が位置につきゲートが開いた。

 

スターーーート!

 

ピーン⤴︎︎︎⤴︎︎ポーン⤵︎ ︎パーン⤴︎ ⤴︎⤴︎ポーン↓

ここで作者から連絡があります。

この先の展開はほぼ原作通りです。徒競走の結果は真ん中あたりでドクターはゴールしています。そのためこの場面はカットです。見せ場ありません。ただ黙々と走ってました。

ピーン⤴︎︎︎⤴︎︎ポーン⤵︎ ︎パーン⤴︎ ⤴︎⤴︎ポーン↓

 

「さーて第2種目よ!私はもう知っているけど〜何かしら!!これよ!」

 

[騎馬戦]

 

 

「参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが、先程の結果に従い各自にポイントが振り当てられる事!」

「ポイント先取ってことか…」

(なら組むのはあのもじゃもじゃ頭の目つきの悪い名前なんだっけ心操?だっけと組んでそこそこで決勝に上がろうこの手の勝負事は洗脳なんて大層な個性使い勝手がいいだろうし。)

 

「ええそうよ!!そして与えられるポイントは下から5ずつ!43位が5ポイント、42位が10ポイント、といった具合よ。そして……1位に与えられる

ポイントは、1000万!!!」

「1000万…」

緑谷災難だなまぁ頑張れ私はお前には挑まないから。

 

「〝個性〟発動アリの残虐ファイト!でも……あくまで騎馬戦!!悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード!一発退場とします!それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!!」

 

 

さて私はどうやって心操人使と言う人間に取り込まれるか?私が洗脳されるか?そうすれば私がいちいち動く必要は無いし。あいつにはこの手の競技は十八番だ。さてどーしようか…

 

「ねえ?零私と組まない?」

そう切り出したのは耳郎だった。

「ん?いや実はもう組んじゃったんだ。」

「え?そうなの誰と?」

「心操ってやつ」

あいつと指をさして心操も鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をしていた。

「ごめんな。一緒に組めなくて。」

「いやいいよ仕方ないしじゃうちも別のとこ行ってみる。お互い頑張ろ!」

「ああ、さてと」

耳郎が去ってすぐさま心操が近寄ってくる。

「お前何勝手なこと言ってんだ?!」

「洗脳されてやるって言ってるんだよ?」

「はあ?あっ…」

ほらこれでお前は私を使わざるおえないだろ?せいぜい頑張ってくれ道化師。

その後気づいたら騎馬戦は終わっていた。

 

「おつかれ。」

「当然と言えば当然なんだ。ていうかなんで自分から洗脳されに来た。」

「私の個性は燃費が悪いんでね。使えるものは老婆でも使うんだよ。まぁ想像してた通りだ。もし万が一トーナメントで当たったら特別に今度は私が道化を演じてもいいよ?」

「おめぇ!っ!クソ!」

心操は怒りながらその場を後にした。その後尾白君にお前も強制的に洗脳されたのか?と聞かれたから自分から洗脳されに行った。と言ったら頭おかしい判定された。解せん。

その後レクエーションがありそれの終了後本日の最終種目の発表があった。

 

『さぁさぁ!皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目、進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!!一対一のガチバトルだ!!』

 

 

「さあ!組はこうなりました!」

ミッドナイトがそう言ってトーナメント表を出した。

緑谷 心操

轟  瀬呂

叶夢 上鳴

飯田 発目

芦戸 青山

常闇 八百万

鉄哲 切島

麗日 爆豪

 

戦いの火蓋は開いた。

そして雄英生はこの日初めて本物を見ることになる。



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雄英体育祭VS上鳴電気

1回戦ずつ書いていきます。


1回戦緑谷が心操を背負い投げして終了。心操なら緑谷に勝てると思ったがまさか自分で洗脳をとくとはいやはや個性とはすごい。

2回戦の轟も瀬呂を一瞬で氷漬けこちらも速攻で方が着いた。

 

「さーて!3回戦!!!!!!!ここまでその実力を一切見せていないラッキーガール?叶夢零!」

「対するは…」

 

「上鳴!」

「んあ?!どーしたの!」

「悪いけど最速ぷっぱで気絶なんてつまらない事はしないでくれ。」

「な…なあたぼーよ」

『両者レディーファーイト!』

 

 

ーーーーーー

行くよ

 

 

 

 

 

 

 

テキサス

 

 

 

 

 

「おーっと!叶夢が姿を変えたぞ」

「まて!なんだあの姿は今までのとは全然違う…」

「どーしたミーラマン!」

「いや今までの姿とは全然違ったからな少し動揺しただけだ。」

 

「なんでいつものジェシカちゃんじゃないか分からないけど、俺は女の子を泣かすのは趣味じゃないから1発で!」

そう言って上鳴は高圧縮の電気をはなとうとするが…

 

「抜刀。」

テキサスが刀を上鳴の方へ向けて一直線に走り出す。

「そんなに近づいたら痺れちまう」

「黙っていろ。切り尽くす。」

そして上鳴は、今まで感じ取ってこなかった、初めての感覚に襲われる。

「(なんだよさっきから意味わかんないぐらい足がすくむんだけど…)」

テキサスが一瞬刀を天にかがげて振り下ろすその瞬間

 

バコーンバコーンバコーンバコーン

「ふん。」

無数の剣雨が上鳴に降り注ぐ。

「うそ…俺の専売特許が…」

上鳴の大放電を超える圧倒的な高電磁波で一瞬のうちに意識を絡めとった。

「気絶している。勝負はあったと思うが。」

「上鳴くん気絶叶夢さんの勝利!」

テキサスは上鳴を尻目に観客に全員に聞こえるようにこうボヤいた。

「脆いな。」

その言葉に全員が凍りついてそれに意を介さないようにテキサスは叶夢に戻りスタジアムを後にした。

 

相澤side

(叶夢の個性が覚醒したのか?確かに1度もジェシカにしか代われないとは言ってはいないが、なんだあの殺気はあれは1個人が発するさっきではない。これは調べなければいけないことが増えたな。)

 

緑谷side

「す…凄かったね…」

「う…うんまさかあんな隠し玉を持っているなんて思ってなかったよ…」

A組の皆が口をあんぐりしながらスタジアムから出た叶夢さんいやあの犬耳の少女の一言に気持ちが行っていた。

((脆いな))

それは戦いに来たものを挑戦者とも思っていないかのような完全に侮蔑した言い方のように聞こえた。

(あれが叶夢さんでは無い事を知っているけどあそこまで言う必要はないんじゃないか。どうしてあんなことを言ったのだろう。)

 

緑谷達は知らないテキサスは戦う事が好きなわけでは無い。だからこの脆いという言葉も優しさだ。

だが、誰かを救うことが正しいとするこの世界では彼女の優しさを理解できるものは誰一人いなかった。戦う事それ自体が不幸になるという真実を知るものは誰一人としていなかった。




テキサス登場
次回
同じようなキャラだが最速配置!


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雄英体育祭VS飯田天哉

本編と同じこと書いても仕方ないので本編のカットできるところはかなり削ってます。


2回戦の緑谷轟の戦闘で、スタジアムは大きく破損した。その為急遽休憩時間ができた。

 

「あぁ、データも割と集まって来たキリのいい所で敗北しておこうと思う。あぁあとは頼んだ。ケルシー。」

 

2回戦

相手は飯田。足がマフラーのようになっていて超高速で動く。確かに私では目に追えないレベルだ。

 

「叶夢さん!」

そう飯田が私に話しかける。

「さっきの上鳴君への発言を、取り消して頂きたい。」

何を言うかと思えば、そんなことか。

「なぜ?」

「彼はいつもは飄々としているが、芯はしっかりと信念のある人間だと俺は思っている。だから取り消して欲しいんだ。」

なんだろうかいつもならそうかとすぐ謝って面倒事は避けるのに、今回は、そんな気にすらならない。

(こいつらはホントにテキサスの言葉の意味が何もわかっていないのか?)

「あぁ、いいよ。私に勝てたらな…」

最後の一言にいつもロドスで作戦を、実行する時に敵に呼びかけるようなドスの殺気の籠った声で答えた。

 

「っひ!いや勝ったら取り消してくれるんだな!」

「もちろん。」

 

では両者

『スタート』

「レシプロ…」

「レッド…」

「バースト」

飯田が超高速でレッドに接近する。その速さは私には目に追えないレベルだ。だが、ここにいるのはウルフハンター。その程度だけでは勝てない。

「何?!」

「ハンティング開始。」

するとレッドは地面を蹴り一気に飯田の首元まで近づく。

「捕らえた。」

レッドは飯田の首にナイフを突きつけようと一気に体制を上げた。

「まだだー!」

飯田は右足のエンジンをふかしそのまま左に勢いよく逃げた。

「逃げられた…あの子早い。でも、それだけ」

「はぁはぁはぁ(強い単純なスピードなら負けないが身のこなし方が異次元すぎる。)」

「レッドは、全部、自分でやる。」

レッドの唐突な呼び掛けに飯田は一瞬戸惑った。

「何を言っている?君が全部やる。それがどうしたんだ?」

「イイダは、速い。けど足りない?頼りすぎ。」

「一体さっきからなんのことを。」

 

「叶夢さんの個性の子、一体なんのこと言っとるん?」

お茶子が観戦先で緑谷に聞いている。

「多分だけど、飯田くんの弱点というか仕方ない部分なんだけど、飯田君はスピードをあげる個性だからそれに頼りすぎてるって言いたいのかも。」

そもそもその個性を生かした戦い方を確立している飯田君は素直に凄い。でもその上で叶夢さんに勝てるのかと聞かれたら頷けない。力、能力で上なのに確信にならない。

 

「イイダの、力は、単一的なのに、それを振るう技量、ない。力を余す赤ちゃんみたいに、暴れてるだけ。」

「ーーー!」

「だから真面目にやらないと2度目はない。」

そして静かに息を吐いてまっすぐと飯田を見る。その目付き、姿勢その全てを見てこの会場にいる全ての人は思い浮かべた。あれは狩りをする狼だと。そしてレッドは一言

「この目にーーお前の死を映す。」

 

(ーーーーー!なんだあの殺気は、呼吸が出来なくなりそうだ。)

静かにそして確実に前に進んでくる。

(今だ、今しかない。ここで確実に倒す。)

 

 

レシプロバーーーーーースト!!!!

 

それは騎馬戦で見せた超高速と同等の速さで駆け抜ける。飯田の目には確実に勝ったというヴィジョンが見え次の瞬間途絶えた。

 

スパ…ドン!

 

「何も理解していないの?力だけで、レッドに、勝てない」

 

レッドはからだを横にずらしてそのまま飯田の背に飛び蹴りをして地面に押し倒し、今度こそ逃げれないように関節をはめナイフを首に突きつけた。

 

「俺の負けだ…」

「飯田君戦闘不能!叶夢さんの勝利!」

 

飯田からレッドは離れ飯田は頭を下げ聞いてくる。

 

「俺は弱いのだろうか!俺の努力では足りなかったのだろうか?!」

飯田は真剣にレッドに聞く。

「飯田君…」

緑谷はそんな飯田を、まじまじと見て次にレッドを見る。

(どんな事を言うのだろう)

そんな風に会場内ではレッドの次の言葉に耳を傾ける。また、『脆い』と言うのか別のことを言うのか。そんな風にドギマギしている中レッドが口を開く。

「オオカミに牙。レッドにはナイフ。オオカミは休まない。だからレッドも休まない。」

「?それはどういう…」

飯田が聞き返そうとしたタイミングで叶夢に戻る。

「…」

あぁもう無視して歩いて次の試合に向けて休もうそう思った。

そう思ったのに、

何故か口に出してしまった。

「努力と言っている時点で…君は強くなれない。」

「!!」

「この世は理不尽だ…どんなに才能があってもどんなに努力しても死ぬ時は死ぬ。」

「え?」

「生き残ろうと戦う存在と、強くなろうと戦う存在は強くなり方が違う。強くなるだけしか考えないのなら、レッドには勝てない。」

飯田は呆然とその言葉を聞き、その一語一句が脳内でリピートした。

 

 

 

飯田side

(生きるための戦い…叶夢さん君は一体何を経験してきたんだ。)

「飯田君惜しかったね!」

「最後の一撃凄かったよ!」

「あぁ、ありがとう2人とも。」

「そういえばさっき少し叶夢さんとも話してたよね?何話してたの?」

「いやアドバイスを貰っただけだ。」

「そっかーうちてっきり上鳴君に謝る件のこと話してると思った。」

「あーーーー!!忘れてたー!」

 

 

飯田の空振りが見事に発動した。



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雄英体育祭VS轟焦凍

実況空気…プレゼントマイクファンの方々申し訳ない。(/. .\)


「左…使えるようになったのか?」

そういうと轟は少し考えるかのように自分の左手を見る。

「まだ分からない。でも少し考えたいそう思った。」

「そうか…なら少しでもこの試合で考えてみてくれ。」

轟は自分の左手を握りしめ。

「乗り越えられるのか、あいつへの憎しみが消えるのか分からないけど、お前には1度負けてる。勝つぞ。次は!」

轟の目は以前に比べれば光が少しだけだが刺したそんな気がした。

(私もお人好しだな…)

『それでは第3試合

スタート!』

 

轟は一気に大氷をブッパしてきた。

「お前のペースに飲み込まれる前に決着をつける。」

轟の攻撃で会場内とプレゼントマイクのやかましいアナウンスがいっそう強くなる。

 

「やったのかな?」

「いやまだだよ…」

麗日の言葉を遮るように緑谷が言う。

 

大氷の影響出できたモヤが晴れる。

そこに居たのは白と赤の服を来た龍のような少女。

「へぇ?私にやれってか?」

 

その少女の周りは熱で溶けたように氷が爛れていた。

「また違う姿か、…」

バコーン!

また大氷を轟が出した。ニェンはその氷を片手で止め。なぞるようにその氷に触る。

パーーーン!

氷が勢い良く弾けた。

「なっ…あの量の氷を一撃でか…」

ニェンはニカッと笑い。

「氷ってのは急激な温度変化には弱いんだよ。」

そういうとニェンはナイフを持ちながら轟に近づく。

「おめぇの目はなんかに怯えてるな?」

「ーー?!」

ニェンの語り掛けで轟の肩に力が入る。

「おめぇが何に怯えてるか分からねぇが、その左手は使った方がいいぞ。そいつを使わなきゃおめぇさんには勝ち目が絶対ない。」

「うるせぇーよ!」

轟は、図星か声を荒らげて氷を出す。

「おー!いいね力任せだか今のは不意をつかれた。」

「親父の否定でしかなかったのに緑谷に俺の力だって言われて俺はどうすれば。」

 

轟の懺悔にも近い言葉にニェンははぁとため息をつき。

「なんだーおめぇーそんなことタラタラ考えてんのか?んな湿気たこと考えるなんて酔狂なやつだな…」

「お前に…何がわかるんだよ!」

「わかんねぇーよ。分かるわけねぇーだろ。おめぇじゃねーんだ。でもな緑谷も言ったんだろ、それはおめぇさんの力だと…」

轟とニェンがお互いに氷をうち撃ち落とすという攻防をしながら会話する。

「それともなんだ。おめぇはその左手は絶対に使えないのか。緑谷の戦いであっさり使っちまうのに、それではお前の生きるための選択はなしたのか。」

「…!」

「いいか?おめぇのその左手を使わないのは譲れない選択ではなくただの手段の1部だ。」

「手段?」

「おめぇさんのその手段はその左手を使うことで救うことの出来る存在がいたとしてもその左は使わねぇーのかい?」

「!!!!!!」

轟は目を見開いてニェンを見る。

「それ以上に強くなれば左を使わなくても…」

ニェンはそんなことを言う轟にまた大きめの溜息をつき。

「たとえば水難で体が冷えて低温症になり命が危ない。そんな時もおめぇは左手を使わないのかい?」

「それは…」

轟は目を泳がせながら攻撃をするでもその攻撃が明らかに調子が悪く。さっきまでニェンに当たっていた攻撃は気づいたら一撃も当たらなくなっていてニェンはただそこにたっているだけだった。

「鍛冶はありふれた工芸に過ぎねぇけど、むかーしの暮らしの起源の一つでもあるんだ。他のものが全部消えちまっても、鍛冶だけはしっかり世に残してみせる。これはずーっと昔に選んだ道だ。おめぇだって大事な選択はしたことあるだろ?」

「だから俺は左手は…」

「ばーかそれじゃねぇーって。おめぇが親父さんと一緒のヒーローを目指す。憎い自分の父親と同じヒーローを目指したその選択をしたのはなんでだ。それを聞いてるんだ。」

その言葉に轟は少しキリが晴れたかのように目に光が戻る。

「俺は、みんなを救えるヒーローになりたい母さんもまもれるようなヒーローに…!」

その轟の表情にニェンはニカッと笑った。

「ならその結果は絶対に見届けろ。見届けてやっと、円満ってもんさ。」

ニェンは轟の左手を指さして。

「おめぇさんのその選択にその左手はどう意味する。おめぇさんのしたいことにその左はほんとにいらねぇーもんかい?」

「いいやこれは、俺の力だ。親父の力じゃない!俺が使う。俺だけの力だ!」

その発言にさらにニェンはニカッと笑い

「いいねぇ!オメーの中にわずかな希望が見えたぞ!」

ニェンが指をパチンとならし轟の出した氷を一気に爆散させる。

それと同時に轟は左手の炎を、燃え滾らせ一気に接近してくる。

氷でニェンの逃げ場を塞ぎ一気に炎を相手に叩きつける。

「いいねぇ。そうでなきゃ、面白くねぇ。だから私も少し本気を出してやるよ。」

そういうとニェンは轟の炎を受け止め吸収した。

「っな?!」

「悪くねぇが、だがおめぇさんと違って私は熱には強いんだよ。」

「っち!」

「私の体の内部は、一千四百度にもなんだよ。」

「一千…!」

その発言に轟はたじろぐ。

(次元が違う。親父が俺に氷を付属させたのは自分の体温をあげても下げれるため。こいつにはそもそもそれが必要ないだと。)

「だが、余興としては上場。だから、おめぇには私の本気の1部を見せてやる。その目に焼き付けな。」

そういうとニェンの体は少し浮き。

「子(し)の矛を以て、子の盾を陥(とお)さば何如(いかん)、そしたら全部ドカーンだ!」

そう言うとニェンの後ろから白い龍が出てくるそしてニェンはナイフを轟に向け、その瞬間龍が轟に猛進してくる。

轟は自分の後ろに大氷を作り耐えようとするがあまりの力になすすべもなく押し出される。

「轟君場外!叶夢さんの勝利!」

負けたはずなのに轟の顔は何処か晴れていた。

 

轟との戦いの後、控え室で待機していた時緑谷と轟が入ってきた。

「あのーえっと。僕轟君に呼ばれて…」

「叶夢、緑谷ありがとう。」

そういうと轟は頭を下げて来た。

「いや…え?!僕は何もしてないよ。」

「緑谷のおかげで左と向き合おうと思えた。叶夢のおかげで何が大切かわかった。だから感謝したかった。俺は向き合って行こうと思うこの力と母親と親父にも…」

「轟君…」

「轟と戦ったのは、私じゃないニェンだ。だから私に礼を言うのは間違ってる。だが、向き合える準備ができて良かったな。まぁ頑張れよ」

そういうと轟はああと言いこの場を緑谷と共に後にした。

 



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雄英体育祭VS爆豪勝己

ツーーーツーーー

控え室で少し横になっていた時私の無線にケルシーから連絡が入った。

『体育祭どうだ?進捗は?』

「問題ないデータと相手の組織サンプルもそれなりに手に入った。」

『それは上場。こちらとしてもデータはある程度取れた。キリのいい所で引き上げてくれ。』

「了解」

 

決勝戦会場内はかつてないほどの盛り上がりを見せる。

「おい不安定変身クソ女!!」

爆豪が失礼な感じで話しかけてくる。

「お前の中で1番つえーやつ出てこい!」

爆豪がありえないくらい目付きを吊り上げてその様相は多くの人にはヒーローではなくヴィランのように映るそんな見た目をしていた。

「別に構わないが…」

「おめぇは舐めプ野郎じゃねーってことだな!俺はお前を完膚なきまでに叩き潰す!」

それでは両親スターートーー

爆豪の発言に答えるかのように試合開始のコールがなった。

 

「ぶっ潰す!」

爆豪は、即効で手を爆破させて一気に目の前を大爆発させる。

「やれ w 」

爆豪の、爆破が落ち着いて煙が晴れる。

その中にいたのは不敵な笑みを浮かべて爆豪を見下すかのように見つめる存在がいた。

「あらァ?私にやって欲しいの?へぇー。あんなガキ1人に私がわざわざ出る必要が本当にあるのかしら?」

wが煽るように爆豪に言う。

「なめてんじゃねーぞクソ女!」

爆豪が連続で爆発を繰り出す。

ーおい、あれじゃ死んじまうぞ!ー

ー女子相手にアンナのいくらなんでもー

周りがヒソヒソ私に対して心配の声をあげる

 

爆豪が真剣に煙の中を見つめて警戒している。

その煙の中から手榴弾が飛んできた。

 

バーン!

手榴弾は爆豪の目の前で爆発。

 

「夏風にしては悪くないわよ。あなたのその攻撃(笑)」

wが爆豪を煽る。

「それで次はどうするの?馬鹿の一つ覚えみたいに爆発させる?」

「てめぇー!」

爆豪は爆発で飛びその勢いで回転しながら蹴りを入れる。

「そんなに爆発させながらこられたら避けてくださいって言っているようなものよ?いい?相手を倒すのはこうやってやるの」

そういうと爆豪が着地した場所を指さし。

「バァン!アハハ!」

その場所がすごい轟音を上げ爆発する。

爆豪が爆破に耐えられずその場から転がりながら吹っ飛ばされる。

「っち!」

「あなたヒーローになりたいの?」

「あたりまえだ!俺は1番になるオールマイトを超えるヒーローに!」

爆豪は、そういうと爆破で自分の体を起こす。

「そう…じゃひとつ聞いていい?」

wの質問に耳を貸しながら爆豪は距離を詰める。

「知りたいのよ。この世界の脳天気なヒーロー達が善良で優しい人たちが死んでいく様をその目で見て、血で視界と鼻腔が埋め尽くされたら、まだこんな事を言ったり、やったりできるのかって。ホントの苦しみも知らない貴方のような人間がどうやって人を助けるの?」

「強さだ!強くなって守るんだよ!」

「そう。あなたもそういう人間なのね…つまらないことを聞いたは忘れて。」

そういうとwはナイフを持ちそのまま爆豪に向かって切りかかる。

「質問に答えてくれたお礼にあなたと少し戦ってあげる。」

爆豪がwに近づこうとするとその場所が次々爆発する。

「あなたと私。どっちが強いかなんて分かりきってるわよ?そろそろやめてもいいのよ?」

「あぁ?!まだ俺は負けちゃいねーんだよ!勝手に買った気になってんじゃねーぞクソ女!」

爆豪が地面を抉るように爆発をさせwの周りの地雷を破壊する

「これで心置き無くてめぇをぶっ潰すことができる!」

「はぁつまんないそんな簡単なことしか出来ないなら私を、出す必要なんてなかったじゃない全く。」

wが爆豪に、向けてグレネードランチャーを向ける。

「さて、大当たりを引くのは誰かしらね?」

爆豪相手に容赦ない爆発の嵐がくる。

ーなんだよこれー

ーこんなの殺し合いじゃないかー

ーヒーローの戦いじゃねーよー

それは一方的な蹂躙だった。

そんな光景で全員が恐怖したのはこんな試合なのに爆豪と戦っている少女が笑っているからだ。狂気。そういうしかないほど彼らには受け入れがたくまるでヴィランのように映った。

「これ以上戦っても意味ないわよ?」

「まだだ…まだやれる!」

「はぁ…私はどこをどう壊せば動けなくなるかなんてよく知ってるは…あなたは今、そこから1歩でも動けば骨が全部崩れ落ちるわよ?だから三つ数える間に、投降のチャンスをあげる。」

「!?!ってめなめやがって」

「さぁ~~~~ん、」

wの容赦ないカウントダウンが始まる。

(なんでだよ動けこんなところで負けてたまるか!動かせ、動け!)

「にぃ~~~~い」

「ぐぁぁぁあーーー!!」

爆豪は自分の体を無理やり前に運び出す。

「い~~~~ち!バァン!」

カウントダウンが終わり容赦なくグレネードが爆豪の目の前で爆発する。

「ば、爆豪くん戦闘ふ…「まだ、まだ終わってねーーんだよ!」」

爆豪は立ち上がり追撃を避けwの前で大爆発を起こすため手に小さい爆発を起こす。

その瞬間wの銃口が爆豪の眉間につけられた。

そして爆豪は、その状況に自分の策が何も通用しなかったことへ絶望感が込み上げてきた。

「ップ…アハハ!」

wはそんな爆豪を見て急に笑いだし、ミッドナイトの方をむき爆豪を指さした。

「爆豪のヤツの顔は見た?バラバラにされるって分かってても何もできないあの絶望してる感じ、結構面白いと思わない?」

ねえ?と同意を求めるwに会場内の人間は戦慄した。

人格破綻者。彼らにはそういう風に映った。

「私あなたの嫌がること考えたわ。貴方にとって絶対に許せない嫌がることを…」

「何したって絶対に俺は負けねぇ!」

その発言を聞きwは笑いながら爆豪に背を向けて行く

 

「おい…待て!ゴキブリ女!」

ニヤニヤしながらwは爆豪から離れる。

会場内の人間も実況も、そのwの行動に一瞬理解が追いつけず。それを静かに見守っていることしか出来なかった。

「ふざけんなぁーーー!」

wはリングの外に出た。

「か…叶夢さん場外…ば…爆豪くんの勝ち!」

あまりに静かな中爆豪の怒声だけが響いていた。

 

 

 

「(やりすぎだw)でも作戦はクリアしたし平気でしょ。それに私はあーゆうやつは嫌いなの。(そうか、なら交代だ)」

 

wから叶夢に戻り、爆豪を見ずにその場所を後にする。

 

 

爆豪は生まれて初めて自分が格下と扱われ、自分の信念を笑いものにされた。

 

爆豪にとってはこれ以上にない屈辱を与えられた。




次回雄英体育祭終了!


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雄英体育祭終了

そろそろ、アークナイツ(話し)を始めようか…


「それでは表彰式に移ります!」

ミッドナイトの声で壇上に私と轟、そしてガチガチに拘束された爆豪が登ったり括り付けられたりした。

「ーんーーー!、んーゆこ)ーんーーえよーー?!」

会場の人間が全員爆豪の狂気じみた暴れっぷりに引いていた。

「さ、さて今回の表彰者は勿論この人」

そう言うとオールマイトが空から降ってきた。

 

表彰が始まり

「轟少年君は強いな。迷いは断ち切れたかい?」

オールマイトの言葉に考え込むように言葉がつまり少しして声を出す。

「まだ分からない。けど緑谷が俺の力だと言ってくれた。叶夢がそれで何をなすかが重要だと言った。だからもう少し悩みながら答えをみつけようと思います。」

「そうか!」

次に私

「叶夢少女2位おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「最後自分からスタジアムを出てしまったが、なにか理由があるのかな?」

「私の個性は私では制御出来ません。動くのは常に交代している相手。今回爆豪と戦った時に出た個性が飽きてしまった。そういうのが正しいです。爆豪には悪いことをしました。」

「そうか。だが君の戦いはとても驚かされた。ジェシカ君しか使えないと思っていたからね。何はともあれおめでとう!」

 

次に爆豪

「ハッハッハ!1位がこれじゃ閉まらないな!それ!」

そう言うとオールマイトは爆豪の口かせを外した。

「いらねぇ!よそんなもん!1位じゃなきゃ意味ないんだよ完膚なきまでの1位じゃなきゃ!」

すごい顔をして私を睨む爆豪。

「ハッハッハ!まぁそう言わず受け取りたまえ!傷として!」

「いらねぇ!っってんだろ!」

オールマイトが爆豪の口に無理やりメダルをかけた。

 

最後は何度も閉まらないオールマイトのお疲れ様で雄英体育祭は終わった。

 

 

 

「これで今回の調査内容は転送した。」

「了解した。それにしても調べれば調べる程奇妙な物だ個性と言うのは…それにしてもこの体育祭の内容。

覚悟がないものにテキサスを

自分の力に頼りすぎるものにレッドを

足踏みをして前を見えないものにニェンを

自分が非特別な人間としらぬものにwを

随分と優しいんだな、君は?だが、彼らはそんな事全く持ってわかっていないようだが…あぁ、轟はわかっていたか。まぁ君の余興だとするなら少々やりすぎかもしれないが、結果として彼ら4人のデータは集まった引き続き調査を頼む。」

「了解した。」

「……それと…レミの事だ。」

ケルシーの声色が変わりさっきまでの事務的なものではなく少し悲しみにくれた声をしていた。

「もう…もたない……レミの最後の願いが君に殺して貰うことらしい。ドクター彼女の最後の願いだ。医者として許可は出せない。けれど、もう手の施しようがないのは事実だ。鉱石病で死ぬより最後は懐いていた君の手で死にたいらしい。死ぬ時は綺麗に死にたいと。今日裏山に彼女を連れていく。だから…」

「あぁ…わかった。」

 

 

青山side

(林間合宿の宿泊先が分かったら連絡しろって…僕はどうすれば)

青山は自身の置かれた境遇を呪いながら、裏山を歩いていた。

「あぁ…後は頼む。」

そんな風に歩いていると誰かの話し声が聞こえる。

そこに居たのは小さな女の子と叶夢さんだった。

(なぜ叶夢さんが?)

青山は近くの草むら荷姿を隠しその場面を見ていた。

なにか喋っているようだかなかなか聞こえず少し前のめりになって会話を聞く。

「私はお前が大好きだ。それは間違えない。さようならレミ」

「ありがとうドクター…」

バン!!

静かな裏山に銃声が響く。

「ひっ!」

その声に叶夢さんが反応した。

「ケルシーあとは頼む。」

そして青山の前に叶夢が立ふさがる。

「おね…ころさない…で」

青山は完全に震えて叶夢に向かって命乞いをする。

「この件は黙っていろ。」

いつもの叶夢とは思えない周りを威圧するそんな声で青山に話す。

「そうすればお前がヴィラン…オール・フォー・ワンと繋がってる事もお前の両親を傷つけることはない。」

青山はびくと震え顔を青くする。

「やっぱり…気づいて…」

「私が話したと判断したらお前の両親もお前も命の保証は出来ない。」

青山はあまりの気迫に尿を漏らし首を縦に振ることしか出来なかった。

 

 

叶夢side

まさか青山がいるとは思えなかった。私の責任だ。

(適切なタイミングで…いや…)

自分の考えたことを否定するように首を横に振るう。

(私もこの世界に来て随分と甘くなった…)

それは自分への呪いのように無くなった腕をかくようにさすっていた。




次回期末テスト+林間合宿の予定


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未知数

緑谷、轟、飯田の3人は体育祭の後の職場体験でヴィランステインとの交戦をしたらしい。

私はよく分からないヒーロー事務所で事務作業を中心で行っていた。そのためステインと会うことはなかった。

「そろそろ試験か…」

「うっ…忘れてたのに嫌なこと思い出させるなよ!」

上鳴が私の発言に食い下がるように言ってきた。

「普通にやってたらあんなテスト簡単だろ…」

上鳴が胸を抑えて

「言葉に気おつけろ…」

そんなに難しいか?この学校の試験?一般よりむしろ簡単じゃないか?

一般の学校なんて知らないが。

「でも筆記は何となくわかるけど実技何するんだろうね?」

緑谷が会話に入ってきて痛々しい腕をさすっていた。

「分からないが、クリア不能って言うのはやらないんじゃないのか?」

そもそもそんなことしたらなんのための試験か分からない。

「まぁ、普通に勉強して普通に授業受けてれば問題ない。」

「それは叶夢しかできなくない?」

耳郎が少し呆れたように言った。

そんなこんなにでいかにも高校生らしい会話をしながら期末テストについて思いをそれぞれ募らせて行った。

 

先生side

 

今回の試験の実技そのためのペアを検討する為の相談が行われていた。

「だいたいはこんな感じです。あとは残ってる叶夢の扱いです。」

そう相澤が言い教員が資料に目を通す。その様子はどうするべきか悩んでいるようでもあった。

「正直僕は彼女の本質が未だに掴めていない。強さ、知性その両方がほぼ完璧に備わっているが彼女のヒーロー像というのがいまいちはっきりしないんだ。

そう校長が言い。

「確かに体育祭での彼女には色々思うところはあります。近くで見ていた為より一層の感じましたが彼女が異常ななんと言えば正解なのか分かりませんがあの殺気にも似た迫力は並のヒーローでも萎縮するものです。」

ミッドナイトが言葉を濁しながら言う。

「だが殺気もそうだが根本的にはヒーローの素質を感じる。オールマイトが言っていたが、叶夢の個性は取扱がしビィー。その中で爆豪戦ではハズレを引いてしまった線が濃厚だ。」

プレゼントマイクはあくまで個性の扱いがまだ未熟だと判断している。

「私もプレゼントマイクと同意見だ。爆豪戦ではあれだったが、轟戦ではむしろ彼を救っているようにも感じる描写が多かった。」

セメントスが実際轟戦の人気は高い。と後に続けていいもう一度資料に目を向ける。

「えぇ今回の試験では叶夢の個性の不安定さをどうにか克服できないかと考えていますが、いかんせん叶夢の戦闘能力は未知数すぎて何が弱点なのかが分かりません。俺や校長のように作戦がものを言う個性で戦えば純粋な力で攻めてくる可能性もある。逆にパワーのオールマイトであれば知力をフル回転するような奴で戦うでしょう。」

その発言に皆が黙り。

「弱点が存在せず。無数の個性を使いこなせる個性。まるで…」

オールマイトがそうぼやく。

「オールマイトが言う通り、叶夢には弱点という弱点が存在しません。常に合理的に物事を判断する冷静な頭脳。プロすらも凌ぐ戦闘技術の個性。正直学生を相手にしてるとは思えません。」

相澤の発言で会議は一向に進まず。

「叶夢だけ別試験にしますか?」

そうブラキ先生が言う。

「叶夢君だけ別試験というのはあまりにフェアでは無い。そのため試験内容は一緒にするべきだ。」

校長はそう言う。

「なら現時点では誰が最適か。恐らくここにいる全員叶夢の個性に簡単に敗れる可能性がある。」

「プロをも凌ぐ圧倒的実力…」

「あぁ、本来それは喜ばしいことだ。ただ、優秀過ぎれば我々の劣らなさが際立つ。彼女を導くためにもここで妥協は絶対にしてはいけない。」

校長は叶夢の授業、試験、小テストまで全てに目を通す。

「テストの受け方、実技において叶夢君はもしかしてクラスの皆を信用していないのではないかな…」

校長のその発言に皆が黙りこむ。

全員薄々感じていた。他のクラスの人間は全員どうあれ溶け込んでいる。元々ヒーローになると来てる者は仲間意識がとても強い。それに比べ叶夢は周りと溶け込もうとしない。ワンマンプレイとも行かないが、それでも明確に何か彼らとは違う壁を感じていた。

「それならオールマイトのハンデを少し和らげて爆豪、緑谷、叶夢の3人で実技を行うのはどうでしょう?」

「異論はないさね。」

オールマイトももちろんないと言い。職員会議は終わった。

 

 

叶夢side

 

筆記試験が終わり、実技試験が始まる。

「それでは演習試験に入る。当然この試験にも赤点がある。補習地獄にあいたくなければ死ぬ気で乗り越えてみろ。」

「あれ先生が多い気が?」

 

事前に聞いたロボ相手の実習だと思っていた者はあまりに多い教師陣に驚きを隠せていなかった。

 

「残念!!今回から内容をへんこうしちゃうのさー!」

「「校長先生!」」

ひょこっと顔を出した校長根津が言うには今までのロボットから対人戦に変更したとの事だ。

その後続々とペアが決まっていき。私、爆豪、緑谷が残った。

「んで、ここからは少し特殊だが基本は変わらない残りの3人は1チームで相手は…」

「私だ!」

オールマイトが相手になった。

 

(人間関係って事か…爆豪は、面倒臭いんだけどな…はぁ…)

 

実習試験が始まった。

 

 

ヴィランside

 

「私も入れてよヴィラン連合!」

私の隣には金髪の女子高生トガヒミコ、皮膚が溶けて痛々しい火傷跡がある男がいた。

「まさかこのイカレ女を入れるんじゃないよな」

隣の男が不愉快そうに全身に手をつけている男に言う。

(あれが死柄木弔か…)

「お前はそのイカレ女にできてることが出来てねぇ名を名乗れ。」

死柄木はイライラしながら男に言う。

「今は荼毘で通してる。」

その後色々あったが2人のヴィラン連合加入は認められた。

「次はお前だ、お前はなんだ。ブローカーこいつは?」

死柄木の言葉にここに案内した男は

「よく分からないがヒーロー社会に不満があるらしい。実力は確かだ。」

「私はプラチナという。よろしくね死柄木。」

「まぁいいこんなところに来るならろくな奴ではないというのはわかる。」

かくして私のヴィラン連合加入は成功した。

 

 

 

数週間前

 

「ケルシー先生どうしたの?」

「プラチナ君に潜入任務をお願いしたい。」

「潜入?」

「あぁ、今ドクターのいる世界でヴィラン連合なる組織が作られているらしい。」

「何その頭の悪そうな名前。」

「だがドクターが警戒し始めたということは何かあるのかもしれない、少し大変な潜入になるかもしれないがお願いできるか?」

「お願いと言いつつ命令でしょ。私はアサシン。命令されたらやるだけよ。」

そうかとケルシーは、言い私はドクターと同じ世界に来た。

 

そして今

 

「お前は何ができるんだ。」

死柄木が私にそう聞く。

「暗殺よ。」

「随分物騒だな。」

死柄木が気持ち悪い笑みを浮かべる。

「そう言う生き方をしてたからね。」

「訳ありか。まぁそんなことは別にどうでもいい。よろしく頼むよ。」

 

早くこの仕事終わらないかしら…

 




ヴィラン側でも行動開始。


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違和感

実習試験が始まり。合格するものと不合格のものそれぞれ出てきた。

緑谷は、爆豪と私を含め作戦会議をしたかったらしいが、爆豪がそれを拒否するので上手くいかない。

(オールマイトはパワーや機動力に優れたヒーローだ。そうであるなら火力ではなく、グラベルの様な瞬時な判断が得意な者を使うのが定石か…だが、今回の戦闘訓練は爆豪と緑谷だ。恐らくどちらか一方だけなら丸め込んで作戦通りするのは可能だろう。だが、あの二人が揃うと爆豪も緑谷もまるで子供のように話を聞かない。)

「叶夢さん出来れば作戦一緒に考えたいだけど…」

「私は構わないが爆豪は上手くいったのか?」

そう言うと緑谷は首を横に振った。

「かっちゃんは邪魔すんなって言うだけで僕の話をまるで聞いてはくれないんだ。」

「そうかとりあえず、倒すのか逃げるのかどちらかは決めたいんだが…」

「戦って勝てるかな…僕は逃げの一手しかないと思うんだけど。」

緑谷が不安そうにそう言う。

「お前はオールマイトのファンというかオタクなんだろ?」

「そ…そうだけど?それがどうしたの?」

緑谷はオタクと言われ少し恥ずかしそうにしていた。

「それなら緑谷がオールマイトの事を細かく分析しながら戦う必要がないだろ。」

「でも…オールマイトは、ナンバーワンヒーローで…」

あまりの憧れの強さに脳で勝手に勝てないと思い込んでいる緑谷。

「戦いを制するのは情報だ。相手の戦力行動。癖。その全てをいかに入手するのか、それが何よりも重要な事だと私は考えている。」

「情報?」

「緑谷はオールマイトの癖まで見てきて分析したんだろ。なら今の緑谷は対オールマイト線においてはここのクラスの誰よりも資格がある。勝機がある。と私は踏んでいる。」

「僕がオールマイトを倒せる?」

あぁと言い、作戦をろくに考えられず。実習が始まった。

 

 

 

「爆豪…」

私が爆豪に呼びかけるといつもにましてイライラしている爆豪が機嫌悪そうに振り返る。

「あぁ?!」

「自由にやってくれ」

「はぁ?」「え?」

緑谷と爆豪が驚きの顔をして私を見る。

「正直に言おう。今のお前たちと組んでも勝機はない。」

「んだとこの舐めプ女!?」

爆豪がキレて私の胸ぐらを掴む。

「戦闘中に自分のプライドにかこつけて、使えるものも使おうとせず、ワンマンプレイをする人間と組んでも勝機は出ない。」

爆豪はばつ悪そうに私を突き飛ばす。

「それに、初めから勝てないと思い込んでいる人間と組んでも同じた。」

今度は緑谷がばつ悪そうに顔を伏せる。

「この戦闘は相手がオールマイトだ。パワー、機動力については勝ち目がない。」

「勝てないから逃げるべきだと僕は思う。」

緑谷がまた弱気に言う。

「機動力で勝てないのにか?」

うっ、と緑谷が呻く。

「なら正面突破するだけだ。」

「パワーで嬲られるだけだぞ。」

「んじゃどうするつーだよ!否定ばっかして何がしてーんだおめぇーわよ!!!」

爆豪がキレ私に殴り掛かる。

「だから、お前が緑谷を使えって言っている。」

?!

爆豪が目を見開きまたきゅとキツい目になる。

「くそデクなんか使うかよ!」

「そうか、正直いって時間がないから早く決めなければオールマイトが来る。だから今決めよう。緑谷を使って3人はクリアするか?全滅するか?」

どうする?と二人にとう。

「叶夢さん、協力すれば勝てるオールマイトに?」

緑谷がそう聞く。

「あぁ、確実に。」

(オールマイトも授業の一環命を狩るような殺気は出さないだろう。もし出されたらこの2人では勝てない。)

「機動力、分析の緑谷、火力の爆豪、指揮の私正直いって並の小隊よりは強い自信がある。」

どーする?と爆豪にとう。

「お前らが俺を使うんじゃねー俺がお前らを使ってやる!教えろクソ女!どうやってオールマイトにかつ!」

爆豪が自分のプライドを押し殺して作戦を聞いてくる。

(これは成長とよべるのか?まぁいい傾向ではあるな。)

「簡単に言えばオールマイトには一時的に消えてもらう。」

「?」

2人に作戦を伝えオールマイトと対峙する。

「やぁ御三方随分と遅かったじゃないか。ふん!」

オールマイトが拳を突きつけてビルなどが倒壊する。

「くそが!」

爆豪が、 土埃から一気に上へ上がりオールマイトに爆豪を叩き込む。

緑谷がその間にオールマイトの懐に入りオールマイトの行動を制限。

長めの戦闘を繰り返しオールマイトの後ろには爆豪、緑谷、そしてオールマイトの戦闘で出来た大きな穴がある。

「ここからは将官の仕事です。皆さんお下がりください。」

そういうとオールマイトに私、ショウがホースから出る水で一気に穴へ落とす。

「ただ落としただけで私がくたばるとでも?」

そういいオールマイトが穴から抜け出そうとする。

「何?なぜだ。全然動かない?」

 

沃土よ巌よ、立ち上がれ。

 

そう言いオールマイトの動きが極端に悪くなり土で作ったゴーレムらしき物がオールマイトに覆い被さる。文字通りオールマイトは私たちの目の前から消え失せた。

 

「早く行くんだ。」

 

その後2人はゲートに向かってダッシュ。私も後ずさりする形でゲートを目指す。

「ふん!!」

オールマイトがゆっくりとした動きでゴーレムを破壊した。

「いやお見事!だが私は今ヴィラン安全なんて考えず限界を超えて動けば普通に動けるんだよ!」

オールマイトからは異常なまでの殺気を感じる。

(叶夢少女すまない。だが君がこの殺気に対してどのような対応をとるのか、君がオール・フォー・ワンと繋がっていないかここで見定めさせてくれ!)

「デトロイトーーー」

 

 

ーーくだらない。ーーー

私の頭にあの女、男の声がする。

 

ーー何故だが分からないが繋がったようだ。ーー

 

 

少しーーーー私が相手をしようーーー

 

「んあ!!。」

マドロックが少しよろけて意識を失い。

オールマイトがマズったみたいな顔をしたその瞬間。

会場にいる全ての人間がその全身から来る震えを抑えられなくなっていた。

(な…なんだこの感じは、!)

 

「かっちゃんこれ?」

「あのくそ女だ!いいから走れとりあえずここ抜けるぞ!」

2人は溢れ出す汗が疲れなのか畏れなのか分からず気を向けないためにひたすら走る。

 

「お前が平和の象徴か…」

オールマイトの目の前にいる女は長い長剣をもち白い髪に黒いドレス型の服を纏い真っ直ぐとオールマイトを見ていた。

「君は一体…」

オールマイトは困惑していた。目の前にいる存在が明らかに自分の戦ったどのヴィランより恐ろしい殺気を放っていたため。何より今まで叶夢が出てきた者とあまりに違う。ヒーロー達が見れば全員がヴィランであると一目見ただけで勘づくぐらいの雰囲気を醸し出していた。

「私か…」

女は静かに目を閉じ再度開ける

 

 

「私はタルラと言う。ヒーローオールマイト。」

 

天災がこの地に降り立つ瞬間であった。




どんどん教師、ヒーロー陣に不信感を与えていこう!


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廃人

「君は…叶夢少女なのか?」

オールマイトが再度聞き返す。

「答えはYESであってNOでもある。」

その答えにオールマイトは苦虫を噛むようにギリとはを食いしばり、タルラの姿を凝視する。

「肉体的な意味で言えば叶夢という存在だか、精神の意味で言えば私タルラという存在となる。全くの別人とも同一人物とも言える。」

タルラが抑揚なく淡々と話、その姿に謎の畏怖を感じた。

「あの二人がゲートに向かうまで全力で走れば10分とか感ないだろう。さてそれまで少し相手をしよう。来い、オールマイト。」

タルラが剣を真っ直ぐこちらに向けてくる。

「これは試験だからね、しっかりとやらないとな!」

オールマイトが再度デトロイトスマッシュを放つ。

その圧は走っていた緑谷達にも伝わり足が止まり立つのがやっとだった。

 

「ほう。これは確かに強いな。」

「ー!!」

(馬鹿な!全力では無い抑えた攻撃であっても無傷でその場に立つなんて…)

「…」

タルラは手をかざし少しひねるように手首を動かす。

「?!」

オールマイトは異変を察し後ろに下がる。

その瞬間地面を貫くように炎が吹き出る。その炎はエンデヴァーの炎を軽く超える程の量と熱さだった。

「反応速度は素晴らしいな。」

タルラがゆっくりと拍手をする。

オールマイトも負けじとタルラへ突っ込む。

「へぁー!!!!!」

オールマイトの強力な攻撃で一体に雨が降る。

「ふっ!」

タルラは自身の剣を大きく二三ど振る。その一撃一撃に大きな炎がまとわりつきそれが放出され周りの建物が爆散する。

「んな?!」

オールマイトの驚愕した声が響く

(なんて、火力だ?!)

オールマイトはこのタルラという存在がオールフォーワンを超える存在だと勘づく。

「そろそろ着く頃合いか。」

タルラは剣を真っ直ぐオールマイトに向けて、オールマイトを挑発するように剣を上下に揺らす。

「強いな君は…」

オールマイトは自身の活動限界が近づき、最後にタルラの攻撃を見ようと踏ん張っている。

タルラが少し目をつぶりその瞬間タルラの周りに大きな炎が球体を描くように回りながらタルラの回りを包、そのまま耳をつんざく程の轟音とともに炎の柱が天高く上り。その炎は上空で雨のようになり地上に降り注ぐ。

そして地面に着く瞬間に大爆発を起こしあたり一体を焼き野原にしていった。

そしてそのまま緑谷達がゲートを抜け試験クリアをした。

「タルラ少女君は強いがこうも被害を出してはとてもヒーローとは言えないのではないか。」

その答えにタルラは首を傾げ。

「あなたは自身の脅威を見間違えている。これは実践を意識した戦闘訓練。であるなら、あなたの脅威は通常のそれとは格が違う。あなたと同レベルの敵がいたなら避難を最優先にしてその後はあなたという脅威を排除することに注力を回す。そのためには周りを気にしていられるほど全員が全員、強くは無いのだ。…さて時間だ。ではまた会おうオールマイト…」

そう言いタルラから叶夢戻り叶夢はその場で気絶し、意識を飛ばした。

「叶夢少女?!」

オールマイトが急いで駆け寄って体を支える。

(彼女にとってもタルラという存在はイレギュラーだったのか…一体この少女の個性はどうなっている?)

オールマイトはそんな疑問を抱きながら叶夢を保健室まで連れていった。

 

 

生徒side

「叶夢すげーなオールマイトを終始圧倒してたぜ。」

上鳴が興奮気味にそう話す。

「すごいと思うわ…でも…この惨状は…ヒーロー同士の戦いだとわ…」

蛙水が少し放心気味にそう答える。

「だけど今回の戦闘訓練は先生がヴィランだ。それならオールマイトはどんなヴィランよりもつぇーヴィランだ。それならこれだけの被害が出てもおかしくはねぇ。まぁだからってこんな被害起こってたらと思うとゾッとするけどな。」

切島が冷静にだけど少し自身の感情を乗せながら言う。

クラスメイト各々が叶夢の異様な強さを目の当たりにしてその力に「畏怖」「恐怖」「疑念」など。様々な感情を芽生えさせた。

 

 

オールマイトside

 

「オールマイト。叶夢さんはどうさね?」

校長がオールマイトに問いかける。

「いえ。まだ目を覚まさないです。」

オールマイトはまだ目を覚まさない叶夢の寝顔を思い出しながら、そう言った。

(叶夢少女。君は一体何に怯えているんだ。あれだけの力があって、それをなす技量がありながら…)

オールマイトは、叶夢を保健室に運びベッドに寝かした時の事を思い出した。

 

「やりすぎたねオールマイトにこの子達も特にこの子は…」

リカバリーガールがオールマイトに説教しながら叶夢の方を見る。

「ご…め………み………な…………テ……ジア……ど………ば………」

叶夢は何かに許しを乞うように誰かに縋るそんな風にうなされていた。

「この子は一体どんな地獄を味わったんだろうね…」

「地獄ですか…」

オールマイトは拳を握りしめ悔しそうに座る。

「実は…精神分析が得意な友人に頼んで叶夢の精神を分析してもらった。」

「なっ?!いつの間に。」

リカバリーガールの衝撃発言にオールマイトは驚く。

「結果としては何も無い。という結論だった。」

「何も無ければ問題がないのでは?」

「精神分析って言ってもあくまでその人がどんな人間かとかせいぜいそのぐらいのことしか分からないんだね。ただ、それでもどんな人間でもどの分類かはわかる。だけど叶夢にはそれがなかった。人間的、生への願望が皆無なんだね。」

「それはつまり…」

オールマイトはリカバリーガールのその言葉に最悪な答えを想像してしまった。

「彼女の精神はもうとっくに取り返しのつかない所まで壊れきってる。生きてるのが不思議なぐらいだとさ。」

「そんな…」

「恐らく何か明確な目的があるから死んでいない。そう私の友人は言っていたよ。」

(目的)

「私たちにできるのはこの子が死なないように目的を与える事だね。それでも根本的な解決にはならないと思うけどね。」

「この事は私の胸に留めておきます。」

「それがいいね。ほかのヒーロー達に言っても叶夢を余計に混乱させるだけだね。」

オールマイトが叶夢を見ながらなお何かに怯える叶夢を見て、オールマイトはさらに歯を軋ませた。

 

 

場面は会議室に戻り。

「後は叶夢と緑谷、爆豪ですが…この3人はどうと言われても。試験的に合格でいいと思います。」

相澤がそう言うと。

「だが叶夢はそれはもうヘヴィーに特訓場を破壊したぜ!ヒーロー的にはアウトじゃねーか?」

プレゼントマイクがそんなふうに辛口に評価を下そうとしたが、

「今回彼ら3人に課したヴィランはオールマイトです。この国ましては世界に対しても最強とも言える存在との戦いです。であるならあの程度と言うと難しいですが、むしろ叶夢の行動は誰よりもヒーローらしいと感じます。ヴィランの脅威が絶大なら使えるものはなんでも使うでしょう。それこそ人命に比べて建物の価値は低いです。であるなら今回のあいつの行動は実に合理的かつ、ヒーロー的です。」

「うん僕もその結論に異論はないさね。」

校長の賛同に皆が納得し無事3人はこの試験を合格した。

 

 

「と言うわけで残念ながら今回赤点が出ました。なので今回の林間合宿は全員行きます!」

相澤の言葉に林間合宿を楽しみにしていたものは大喜びだった。

 

 

(なぜタルラが使えたのかそれを調べないといけないから行きたくないが…ヴィラン連合せめて来るなら行かないとな…親玉見てみたいし…)

叶夢はそんな風に不謹慎な事を考えながら林間合宿に望むのであった。




作者の強さの基準です。
わかりやすいように五等分の花嫁の普通の世界観も含めて
評価点は10点

アークナイツ
能力7
身体能力5
精神10(san99)

ヒロアカ
能力8
身体能力8
精神3(san30)

五等分の花嫁
能力0
身体能力2
精神1(san4)

能力の基準は文字通り個性やアーツです。個人的にはヒロアカの方が汎用性が高く強いと感じます。1部例外がありますが、それはテラ内でも化け物扱いなので平均能力は主要キャラを抜くモブ系で平均をとってます。また能力的に強くてもヒロアカはデミリットがないのでアークナイツより一上です。逆にアークナイツはデミリットがヤバいのでマイナス2ぐらいされてます。
身体能力は素の身体能力です。これはヒロアカのナイトアイとか見てればわかるので素の身体能力はヒロアカの方が圧倒的です。あくまでアークナイツは鍛えた兵士って感じで、能力が身体強化の場合勝てないので、勝ててしまうヒロアカは異常という事で8です。
精神はアークナイツは言うまでもないですが、ヒロアカが低いのは、全面戦争でヒーローを辞める人が相次いだと言う事実があるので低いです。テラでは当たり前と言うかあのぐらいなら生易しい分類ですからね。
SAN値はそのまんまです。
アークナイツのキャラが強く見えるのはこの精神(SAN値)が強く影響します。ヒーロー達は減っていき戦闘離脱LINEまで行きやすいですがアークナイツはその前に死にます。なので全員が決死隊なので強さにプラス補正をかけています。
コラボして欲しく無いキャラ達にアークナイツがあったり、コラボ先にこの世界クソと言わせる程ですからね、ヒーロー達とは物体が違います。そもそも


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恶棍联盟

今回かなりはしょりました。早めに進めないとグダリそうなので、書いてなかったりする場所は原作と一緒なので脳内で補完してください。|ω・`)スミマセン


林間合宿当日バスの中は興奮気味のクラスメイト達でガヤガヤしていてた。

その後崖の上で降ろされて、そのまま自力で合宿先に来いと言われたりして林間合宿学部始まった。

初日はカレー作って所謂旅行のような感覚で一日が終了。

次の日はA、B組合同で個性を伸ばす訓練。ひたすら酷使するといったものだった。

 

そして合宿の中頃肝試し中にそれは起こった。

「何このガス。」

辺り一面はガスで充満されていた。

「皆さんこれを付けてください!」

そう言って八百万はガスマスクを全員に配る。

皆が原因と思われる個性持ちのヴィランに立ち向かう。私は少し後ろに下がった。その時…

ばん!

鋭い弓矢が私の腹を貫いた。

「っ!」

「叶夢さん!」

八百万が手を伸ばしてきたがそれよりも先に白い服の女が私を蹴り飛ばし分断させる。

 

緑谷side

(ヴィランの目的はかっちゃんと叶夢さん。)

一応全員にテレパシーで注意してもらったけど急いで見つけ出さないと。

その後障子君と常闇君と合流してかっちゃんを何とか保護できた。

だがほかのヴィランにかっちゃんを奪われそのまま連れ去られそうになった時僕はもう1つ自分の無力さを見せつけさせられた。

「遅れた…」

そう言って来た耳の生えた白い服の女は叶夢さんを引きずりながらやってきた。

「プラチナさん…すごいですね!その子とっても血がいっぱいです!」

トガと名乗った女がその白い服の女を、プラチナと言った。

「暴れたから目を貫いて大人しくなるまで交戦していた。」

叶夢さんのその悲惨な状態は、かっちゃんの誘拐の仕方とまるで違かった。

「お前やりすぎ!いやそんなことねーよ!」

叶夢さんは項垂れてピクリとも動かなかった。

「おい。こいつ死んだんじゃねーんだろうな。」

やけどの男がスっと出てきてプラチナに言う。

「死んでない。気絶しているだけ。」

「そうか…何はともあれ任務は終了爆豪勝己は先に持っていった。あとはこいつだけださっさと帰るぞ。」

「…」

そうして僕達は痛みで何も出来ず。叶夢さんを救出出来なかった。

 

叶夢side

目が覚める。

私は手足を拘束されて動けない状態にされ目の前の全身手まみれの男と対面していた。

「よーぉう…目が覚めたみてーだな。」

「手足を拘束して私に一体何を求めているんだい?死柄木?個性を使わなければ私はただの一般人だよ?」

叶夢は煽るように死柄木に言う。

「よく言うぜーさてお仲間も目が覚めたみたいだしもう一度聞く爆豪勝己、叶夢零、俺たちの元に来ないか?」

死柄木はそう言って私たちの方に手を向けた。

「だれがんなもん!」

「死柄木…」

「叶夢てめぇー…」

私は爆豪の拒絶を制するように死柄木に言う。

「君たちが望む世界はなんだ?」

私の問いかけに死柄木は当然と言ったように狂ったようにニターと口角を上げて。

「俺はオールマイトを平和をぶっ壊す。」

「それで?」

「あ?」

「それで?君はどーする?」

叶夢の言葉に死柄木ははぁ?と言った表情を浮かべて再度ぶっ壊すと言った。

「そうじゃない君がその後どうするのか?それを聞いている。」

「俺か?俺は…」

言葉が詰まる死柄木自身自分の望みの先に自分がいなかったそう叶夢は感じ取った。

「そんなんでは協力はできない。」

(親玉のオールフォーワンはここにはいないのか…)

「なら君は私たちに協力する気はないのかな?」

プラチナが私にそう問いかけた。

「ないと言えばどうなる?」

「無意味な死体がひとつ増える。」

「待て。こいつらは仲間になるかもしれない奴らだ。だから殺すな。」

死柄木がそうプラチナを止める。

 

トントントン

「デリバリーサービス…」

ドアを叩いてくる音と共にデリバリーの声が響くそれと同時にオールマイトが部屋に突っ込んできた。

オールマイトが私たちを抱き抱え脱出しようとしたがそれと同時に私や他のヴィラン連合、爆豪の口から灰色なコンクリートのようなゲロが出てきて瞬間移動した。

 

「弔、惜しかったね。まさかここまで早く解決しようとしてくるとは思わなかった。さて…初めましてお2人。」

移動した先にいたのはマスクを被ったオールフォーワンだった。

 

静かに緊張感が場を支配する。

 

「爆豪…お前ならこの状況でどう逃げる?」

叶夢は爆豪に向かって後ろに後退りしながら問いかける。

「勝てねー。でもにげれねー。」

警戒していると。

「全てを返してもらうぞ!オールフォーワン!!」

「また僕を殺すのか?オールマイト!」

お互いにとてつもない力がぶつかり合って突風が吹く。

「随分遅かったじゃないか?バーからここまで5キロ程度。衰えたねオールマイト!」

お互いをお互いが煽り合う。

「オールフォーワン!私は2人を取り返す!」

お互いの戦いは激闘が進む。オールマイトが爆豪や私を逃がそうとすればオールフォーワンが邪魔をし、逆も起こり戦闘は泥沼化していった。

その流れを緑谷が変えた。

爆豪の爆破で私と共に高速で上がり緊急脱出を試みたが、私を捕まえてから逃げた為僅かに遅れが出た。あと少しのところで私の足がトゥワイスに掴まれた。そしてそのまま私だけ地上に戻ってきた。

「叶夢さん!!」

戻ろうとする切島だったがそれを制止したのは轟だった。

「ダメだ!俺たちが戻ったら人質が増えちまう!」

そのまま悔しそうにその場を後にする。

「全く1人は逃がしてしまったが1人は手に入りそうだ…」

オールフォーワンはその低い声で言ってくる。

「それに彼女の個性は回数制限があるのだろう?ざっと13人が君の限界なんじゃないかな。そしてプラチナ君の報告で既に君は13人使い切っている。つまり君はただの邪魔だ。」

オールフォーワンはけたけたわらう。

「さてオールマイト!君の本当の姿も世に現れた。あとは君の大事な物を僕がうばう!」

そう言ってオールフォーワンは叶夢に殴りかかった。



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雪魔 ??????

 

???????side

 

 

 

まったく…

 

随分と無茶苦茶だな…

 

ドクターもあの子うさぎも…

 

自らの体を傷つけても成し遂げようとしている…

 

この世界の人間からすれば君たちは狂人だと言うのに…

 

それでも誰かのためにとお前たちは歩みを止めたりしない…

 

全く…

 

本当に全く…

 

……

 

兄弟…

 

姉妹達…

 

タルラ…

 

父さん…

 

ドクター達がタルラ止めた…

 

子うさぎが私と共に歩みたいと言った…

 

私はそれでどれだけ救われたか…

 

理想すら信念になる…

 

私を看取ったドクター…

 

私たちの世界は残酷だ…

 

だけどこの世界も歪だ…

 

このままでは…

 

オペレーターの使えないドクターではオールフォーワンには勝てない…

 

非戦闘員であるドクターには…

 

恐らくドクターの想像を超えてオールマイトは弱体化している…

 

そして自分たちの世界基準でこの世界の人間を見ている…

 

この世界の人間そんなに強くない…

 

能力があってもいつ死ぬか分からない状況ではない…

 

平和だから…

 

精神が弱いんだこの世界は…

 

簡単に人間を逸脱することはできない…

 

………………………………………

 

………………………………………

 

ドクターは子うさぎが傷つくのは決して許さないだろう…

 

そうなればドクターは…

 

なら…私は…

 

私は…

 

彼らの仲間として…

 

私が…

………

…………………

……………………………………

………………………………………………………………

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの馬鹿者たちが望んだ結末ではなくとも…

 

 

 

私という存在が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー永遠に消え失せてもーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私という存在が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーこの世界を狂わしてもーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーロドスと共にあると決めたーーーーー



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魔王と悪魔と魔王

 

拳は叶夢に向かって飛んできた。その拳は周りの残骸を吹き飛ばし叶夢の周りには土煙が舞う。

「叶夢少女ーーーー!」

オールマイトが叫ぶ。

その表情は己の無力さを嘆くように目の前の敵を恨むように。

土煙があがりうっすらシルエットが出てきた。

そのシルエットは本来の叶夢だけでなくもう1つうさみみの様な長い耳の存在があった。

「これは?どういうことかな?」

オールフォーワンは不思議そうに土煙の方を真っ直ぐ見る。

「貴方のその行いは我々は容認できません。」

芯の強いまだ幼さが残る声でそう言う。

「君はだれかな?」

オールフォーワンは少し殺気を醸し出しながら少女と対面する。

「私はどく…ンン…叶夢零の個性の1部そう思って頂いて構いません。」

自分は個性だと言う少女。

「たかが1人の個性で僕をどうこうできるとは思わないことだね!」

オールフォーワンは今度はアーミヤに標的を変えて殴り掛かる。

「まずい!!!」

オールマイトが焦りの表情を見せる。

「その程度で我々が止まるとでも?」

アーミヤに拳が降りかかったがそこに居た黒いモンスターによってオールフォーワンの攻撃は止められた。

「あとは任せてください。」

叶夢に向かってアーミヤがそういう。

そしてその隣に立つのは緑を基調とした女。

「君がオールフォーワンか…我々が君からの協力を受けた時それが我々そして何かしらの意味があれば協力するのもやぶさかではないと考えた。だが君たちのその考えはあまりに幼稚で他者を気にしてい無さすぎる。自己中心的としか言いようがない。そして我々個人の考えからしても君たちのその行動には容認不可能だ。よって君たちとは敵対する可能性が高い。現に今この場にいる彼女を殺そうとした事実は我々にとっての大きな損害だ。よって君個人とは敵対関係になるだろう。」

そう長々と言った後隣にいた叶夢は後ろに下がりオールマイトの隣に立った。

「叶夢少女…彼女達は…」

オールマイトは確認を込めて叶夢に聞く。

「あの子達は私の個性の元、源流だ。」

「源流?」

「私が個性によって呼び出すための元になる存在だ。」

「それは…」

オールマイトが何かを言いかけた時アーミヤと言われた少女がその言葉を防いだ。

「今はそれどころではないですよ?」

そう言いながらオールフォーワンに向かって黒弾を打ち込む。

オールフォーワンは少しよろけそこにモンスターが追い討ちをかける。

「っち!なかなかきくねこれ…だけど君たちはオールマイトを過大評価し過ぎだよ!」

オールフォーワンの拳がオールマイトと叶夢に向かって放たれる。オールマイトは叶夢を庇いオールフォーワンの攻撃をその身に受け入れる。

「君はもう本来の力が出せない上にもうその力ももう消えかけているのだろう?」

オールフォーワンの発言にケルシーとアーミヤと叶夢が驚いた顔をしていた。

「君のそれは残り香…緑谷出久!彼が君の譲渡先だろう!」

(緑谷がオールマイトの力を?力を譲渡する…オールフォーワンと一緒の…であるなら彼をここで死なせる訳には…)

「????!!叶夢少女!」

叶夢はオールフォーワンを突き飛ばし彼を庇い直した。

「ドクター!」

アーミヤが叫びながらオールフォーワンに近づく。

「先生!」

「わかっているアーミヤはオールフォーワンの相手をしてくれ。」

ケルシーは焦ったように額に汗を流しながら叶夢に駆け寄る。

「君は馬鹿か?わざわざ彼を庇うんなんて…」

叶夢の腹には大きな穴が開き正しく死に体だった。

「お…オールマイトは…誰かに…個性を…譲渡できる…オールフォーワンとの…協力が…不可能なら…オールマイトの力…を使えば…感染症に対する…解決策が…」

叶夢は血を吐きながらケルシーにうったいかける。

そしてそのまま叶夢は気を失う。

「っち!オールマイト私達を守ってくれ私は彼女の治療をする。」

「あぁわかった。」

オールマイトが叶夢を守るように目の前に立つ。アーミヤは叶夢を気にしながらオールフォーワンと対峙している。だがあまりに気にしすぎていた為かさっきより攻撃が雑になっている。

「どうしたんだい?少女?さっきより雑になってるよw」

オールフォーワンは煽りながら裏拳でアーミヤを吹っ飛ばす。

(どーした?ドクター…あんなのに好き勝手されていい気はしないだろ?(君は…)少し変わろう。私の場合は少し特殊だからな後は任せておけ。)

「いっ…」

アーミヤは瓦礫を掻き分けて立ち上がる。

そして見つめる先には氷漬けになったドクターの姿。

「ど…くたー」

「ん?いやはや不思議だね〜?姿が変わると思ったら今度は氷漬けか?」

???「私がただの氷か…これをただの氷と思っているのであれば貴様に勝ち目はない。そうだろ子うさぎ?」

「あなたは…」

アーミヤとケルシーが驚愕の顔をする。

「随分と大口を叩くな君は…」

「大口も何も事実だ。」

そう言うと氷は砕け一面が凍てつき夏なのに異常な寒さに襲われる。

「これは…」

オールフォーワンが自身の足元を踏みしめるとさっきまで家の破片だったものがいとも簡単に砕けた。

「お前たち風に言うのであれば私の個性は冬。冬そのものだ。」

そう言うと少女はアーミヤの方を向く。

「なんて顔をしている子うさぎにロドスの医者。言った筈だ。私はお前たちに負けた。そして約束しただろう。私はお前たちと共にあると。私もロドスの一員になると…」

「フロストノヴァさん!」

アーミヤの驚きはこの場にいるオールフォーワン、オールマイトには分からない。

彼女はもう既に死んでいるのだから。

「さて子うさぎ手伝え。父さんが言っていたな…子うさぎ君は魔王だと…」

「魔王?その子が?」

オールフォーワンは不機嫌にフロストノヴァに聞く。

「あぁ魔王だ。そして私は悪魔だ…」

フロストノヴァが1歩1歩オールフォーワンに近づく。その度に周りが異常な程凍りつく。

そしてオールフォーワンは気づいた自分の振るう拳が明らかに遅くなっている。

「貴様の血中の組織細胞は私の冷気で非活性状態になっている。つまり君の体はほぼ時間が停滞しただ凍死を待つだけだ。さらに言ってしまえば私の冷気は炎熱系でも溶かし切ることは出来ない。これでも抑えているのだからな。」

フロストノヴァがそう淡々という。

「まるで災害だね…」

オールフォーワンは初めて冷や汗をかく。

 

 

 

「貴様は私の敵。

 

 

 

 

 

覚えたぞオールフォーワン

 

 

 

 

我が誇りにかけて我が同胞、盟友の名にかけて

 

 

 

 

 

貴様を全てを絶望の淵に叩き堕としてやろう…」

 

 

 

 

白いウサギは静かに重く冷たい殺気を放った。




とりあえず最終章の話は決まりました。


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天災

Mon3trの表記をモンスターに変更してます。
謝罪
ミスで話の1部を出し忘れました。すみません。


 

アーミヤとフロストノヴァがオール・フォー・ワンに猛攻を仕掛ける。

フロストノヴァは大気中の冷気を集めそれを大きな氷柱にしてオールフォーワンに向かって射出する。

「ヒーロー志望なのに随分と殺気がたかいね〜」

オール・フォー・ワンは絶えずニヤニヤとフロストノヴァを挑発する。

「私を忘れてますよ。」

アーミヤがオール・フォー・ワンの死角から一気に詰め寄り黒弾を顔面に殴りつけるように撃ち込む。

「子うさぎ少し下がれ」

フロストノヴァがアーミヤにそう言いオール・フォー・ワンのいる方向目掛けて一気に周囲を凍らせる。

そして同時に人間ではおおよそ耐えれるはずのない温度まで一気に下げる。

「っ!これじゃ僕は人間ってより自然を相手してる気分だよ」

オール・フォー・ワンは明確にたじろぐがそれと同時に個性を掛け合わせてアーミヤとフロストノヴァを一気に吹き飛ばし自分の周りの氷を風圧で飛ばした。

 

2人がオールフォーワンを相手にしているのを横目にオールマイトに向かってケルシーが、注射器を手に話しかける。

「君はこの世界で平和の象徴と呼ばれているそうだな。「あ…」であるなら今回の騒動で我々が解決するのは非合理的であり後のことを考えれば決してプラス方面に動くことはない。さらにこの大地では君の存在を待ち君が立つことを望むものが多い。それならばこのまま君が何もせずこの騒動が終われば国民はヒーローに対して完全に信用を無くすだろう。私達は今のところ君たちとあゆむ場所は一緒だと考えている。つまり君自身がオールフォーワンを倒す必要がある。故に君に強心剤と軽い興奮剤を打つ個性も使えるなら多少は強化されるだろう。私とアーミヤ、フロストノヴァで隙を作るその間に君は全力を貯めオールフォーワンに打って欲しい。私が言えるのはここまでだやるのは君だ。」

そう言うとケルシーはオールマイトに注射器で2本の薬を打つ。

「っ…(体が軽くなった?)」

「モンスター敵を倒せ。」

ケルシーがまっすぐ手を伸ばしそれに応えるようにモンスターはオールフォーワンに向かって猛進する。

「次から次とうっとしいね!」

ケルシーが加わったことにより攻撃頻度が上がりオールフォーワンは苛立ちを隠しきれていなかった。

そしてオールフォーワンが一気にモンスターを倒そうと詰め寄りモンスターを撃破する。その瞬間モンスターが信じられない衝撃波を出しオールフォーワンの動きを止めた

「いまだ!オールマイトやるんだ。」

ケルシーがそう叫ぶのと同時にオールマイトは壊れた手で全力を放つ。

「デトロイト!!!スマーーーーーシューーーー!!!!」

オールフォーワンにその一撃がダイレクトに入る。

「かはぁ!」

オールフォーワンは完全に気絶したが、悪あがきと言わんばかりの最後の一撃を上空に飛ばしておいた。それは大きな隕石だった。

それが地面に落ちれば被害は今の3倍になると考えるべきものだった。

「まずい!叶夢少女!お2人!」

オールマイトが慌てて教え子を見る。

「はぁ、そのしつこさは尊敬に値するなオール・フォー・ワン。」

そう言いながらフロストノヴァは、大気中の冷気を一点に集める。(アークナイツの3DのあのPVの大技みたいなやつ。)それを隕石に放つ。隕石に命中すると同時にそれは一気に凍りつきそして雪のようにバラバラに砕け散った。

それはあまりに常識を逸脱していた。オールマイトは彼女を一言で表すのならタルラと同様の天災だと感じた。

「雪にはまだ早いな。」

そう言いフロストノヴァはゆっくり地面に倒れる。

「フロストノヴァさん!」

「少女!」

アーミヤとオールマイトが駆け寄る。

「はぁ…少し無理しすぎた。暫くは表には出て来れないかもな。」

「フロストノヴァさん何故?」

アーミヤは純粋な疑問を投げかける。

「何故か…私は本来の摂理に反する存在。君達とは違い私は本来もう存在しないはずだった。それを無理矢理使えるように行使した。代償はでかいがな…こいつの個性は入れ替わることじゃない。成り代わる個性だ。対象に成り代わるそれが本来の個性。それ以外はあくまでおまけだ。故に本来あるはずの反動がただの個性発動では起きない。正しい個性の使い方をした今日。故に初めてこの体に反動が来る。時間か…」

そう言いフロストノヴァの体は徐々にヒビが入り始める。

「今日はここまでだな…また会おう子うさぎ…オールマイト…」

パリン

フロストノヴァの体は砕け散り中からは叶夢の姿が出てきた。

 

それからトントン拍子で事件は終息する。

今回1番の被害者である叶夢は直ぐに近くの病院に運ばれた。

その時にはもうアーミヤとケルシーの姿は無かった。




あと1話でロドス帰還編は終了します。
次章はロドス侵略編になります。
飛ばす話を補足すると仮免試験は飛ばします。
適当に医療オペレーターが頑張ってくれたんだと思ってください。


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帰還

動くアーミヤ最高!
アニメってすごい!


知らない天井。

自分に繋がる無数のチューブ。

「っぁ。」

そう少し呻くと隣にいた女が急いでどこかに向かう。

(私は…そうかオール・フォー・ワンと戦ってそれから…っ!)

起き上がろうとすると体の節々に激痛が走る。

「無理して動いては行けませんよ。」

薄眼で見えるようになり、目の前にいたのは白衣を着た医者だった。

「3日寝込んでいたんです。簡単に起き上がれませんよ。」

そう言うと医者は隣に座り事情を、説明し始めた。

医者曰く

私の個性が土壇場で覚醒を起こして本来ある力以上の能力を引き起こしそれに肉体が着いてこなかった。

私が使っていたオペレーターは本来の力を少し抑えて自身に写す事でダメージを肩代わりさせていたと言う。

何時も使うオペレーターと違いフロストノヴァなどの一定のオペレーターは本来の力をそのまま使える代わりにその時受けた傷や消耗を自身に蓄積すると言う。

「君が眠っている間にあの事件はある程度片付きました。特にこれといった調査もないとの事なので、傷が癒えて歩けるようになったら退院しても大丈夫ですよ。」

「ありがとうございます。」

「あーそうそうこの後先生方が面会にいらっしゃいます。」

「わかりました。」

そう言い医者は部屋を出た。

(フロストノヴァの傷を共に共有する。死んだ者に成り代わると力をそのまま使える代わりに自身の体と受けるダメージは共有される…)

タルラは精神が融合ないしは乗っ取られる形だった。となると私がタルラとなったのはあの男が死亡していると判定されそのガワとしてタルラが選ばれた。ということか?

いずれにしてもこれは自分が安全圏からの攻撃をすることができないということだ。

無闇に使うわけには行かないな。

 

please log in…

ポケットからprtsがそう鳴り響く。

(あーあの時…ケルシーが私のポケットに入れたのか)

オール・フォー・ワンとの戦いの最中にケルシーとアーミヤは来た。その時私を支えるのと同時にケルシーは私にこの端末を入れたのだろう。

私はprtsを手に持ち

administrator

そのまま画面に触れる要領はこの世界のスマホと同じだ。

lnitializing…OK

目覚めて初めてこれを触った日を思い出す。

peremisslon.Level8

welcome back

Doctor.

 

Message…

 

Medic

Kal'tsit

 

【おはようドクター。目は覚めたか。

君が直ぐには目を覚まさないと分かった為メッセージで失礼する。

君が眠っている間にこちら側でも動きがあったという事を報告する。それも良い話と悪い話の2つが。

まずは良い話の方をするとしよう。兼ねてから君のいる世界とこちらの安定を主軸にした移動手段を考案していた。その為の設備、機器の開発に勤しんでいた。そして君が眠っている間にその開発が無事終わった。扉を媒介としてこちらのドクターの執務室と繋がるように設定してある。自由にこちらとあちらを行き来できるようになった。これにより君の作戦立案及び指揮、更にはそちらでの調査の全てを行えるようになった。

そして悪い話だ。君のいる世界の事がウルサスに勘づかれた。ウルサスとしても鉱石病がないその土地は喉から手が出るほど欲しいのだろう。ロドスに対して攻撃そして速やかな移動手段の譲渡、ドクターの身柄を、要求してきた。当然私たちがこれを受け入れることはない。此方としても龍門、カジュミエーシュの協力の元この話の秘匿並びにウルサスに対する圧力を強くしているが何時ウルサスが強行に走るかは分からない。また、龍門もカジュミエーシュも一重に協力関係であっても掌を何時ひっくり返すか分からない。この案件に対して早急に解決案を立案する必要がある。時間は長く見ても1年だと思ってくれ。

次に君の身に起こった個性の変化によるフロストノヴァの出現についてだが、君が倒れたあと直ぐに組織サンプルを採取し君の血中にオリパシーが含まれたのか、鉱石病を発症したのか調べた。結果は疑いなしだ。君の個性で出現し君と傷を共有すると言っても鉱石病までは共有しないらしい。

以上が君の眠っている間に起きたこちら側の報告だ。

今回の事は君に非は無い。だが、今回の事で確実に事は動いて行った。アーミヤを始め我々ロドスはまた1層に警戒を強めなければならない。レユニオンムーブメントが、崩壊したばかりでこんな事になった。本来ならゆっくりと自体の沈静化を行うのだが今回はそんな暇は無さそうだ。君への負担が大きくなることは承知している。だが、ここで手を抜いてしまえば最悪の結果をこちらにもそして君のいる世界にも起こり得る。これからは綿密に意見の擦り合わせを行っていく。そして必要があれば私に相談してくれ。何時も正しい選択を君自身の選択をしてくれ。もちろん君に私は必要ないと思うが、自体は良くなった物もあるが悪化した物も多い。これからの身の振り方には気おつけてくれ。そして最悪の場合優先する物はしっかりと優先して欲しい。

以上だ。ではまた。】

 

 

ケルシーのメールを見終わり私はゆっくりと身体を起こす。

痛みはあるが我慢できない程では無くなった。

 

「もう起きても平気なのか?」

そう声をかけてきたのは相澤だった。

「ええ。まだ痛みはありますが起きれない程ではありません。」

そう言うと相澤は隣に座り

「今回の事。まずは謝らせて欲しい。我々教師陣の不手際で今回の事が起きた。」

相澤は深々と頭を下げる。

「大丈夫です。気にしていません。」

そう言うと相澤はすっと紙を出した。

「本当ならもう少し時間を、空けてから話そうと思ったんだが、校長の意見で早めに取り掛かることになった。」

その紙には完全寮生になるといった内容。

「叶夢が賛同してくれるのであれば、この話は通る。どうする?」

「…」

(この寮生になるということは言わば先生達の監視下に置かれるということ。そーなれば下手に動くことはできない。私がオール・フォー・ワンに襲われたことで、ヴィラン連合側だと思われてはいないが、個性の覚醒が起きてしまった為教師陣も酷く警戒しているのだろうなら…)

「わかりました。お受けします。」

「そうか…じゃ必要な物をダンボールで詰めて学校に送ってくれ。あんまり長居しても体に悪いだろう。今は傷を癒すことに集中してくれ。」

そう言い残し相澤は部屋を出た。

 

 

ヴィラン連合

 

「先生…」

死柄木は自分の師を失い情緒不安定になっていた。

(ある程度データは取れた。だが、この死柄木という男の何処にオール・フォー・ワンの後継になりうるのかがわからない。)

「弔くん…」

トガが心配そうに見る。

「時間がかかりそうだな…私は近くで食べ物を買ってくる。」

私はそう言って避難したアジトを出る。

(ヴィラン連合が我々ロドスに攻撃してくる可能性が上がったか…国単位ではないが、明確に力を欲するのであれば、オリジニウムは彼らに取っても、喉から手が出る品物だろう。であるならこちらに攻めてきても決して勝てないレベルまで相手の戦力を、削る必要がある。その為にはミスターコンプレス、トゥワイス、荼毘。この3人の抹殺は必須だろう。死柄木と違い単独行動の多い彼らをまずは殺す。そうすればロドスの、人員でも対処はできる。)

そう考えながらプラチナは食べ物を買った。

 

 

ドクターサイド

 

退院して学校に久々に来た。

周りからは労いの言葉を多く貰ったが、正直そんなものは耳に入ってこなかった。

(やっとか…)

今日から寮生活が始まる。

それと同時に自身の部屋にロドスへの扉を繋げる作業をする。

一通り説明が終わり、各自部屋に入る。私の部屋には何も入っていない。

そのまま部屋の鍵穴にクロージャの作った機械を差し込む。その瞬間扉がロドスへ繋がる。

ゆっくりと扉を開ける。

目の前にいたのは自分の帰りをまっていてくれた1人のコータス。

「おかえりなさいドクター!」

私はまた彼らの元に戻って来れたのだ。

 

 

ロドス帰還編END

 

to be continued




ではまた次回


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second season ロドアイランド侵略編
壊す者


ここから展開早いです。そろそろ完結に向かいたい。
誤字脱字多くてごめんなさい。
誤字報告いつもありがとうございます。


 

「さて一部の者はヒーローインターンが始まる。仮免とは言ってもヒーローとして世間から見られるその事は重々頭に入れとくように。以上。」

相澤のヒーローインターンに対する注意がなされた。

「そういえば叶夢さんはヒーローインターンするの?」

緑谷がそう私に聞いてくる。

「ぅあ?私か?一応ロックロックというヒーローの元でインターンする感じだよ。」

眠気を抑えるように深く深呼吸しながら緑谷に答える。

「そーなんだ。それにしても最近眠そうだね?どうしたの?悩み事?」

そう緑谷が聞いてくる。

「ん?いや。ちょっと調べ事をしてるだけだ。」

「そうならいいんだけど。」

緑谷は少し疑問に思いながらゆっくり休みなよーと友人として注意する。

(連日レユニオンの残党とドンパチしてその処理と、ウルサス方面の対策案。こちらの調査。さすがに眠くもなる。)

ドクターは、やっとの想いでロドスに帰還したが、その結果溜まっていた仕事を消化するのと同時にヒーロー世界についての報告書を永遠に纏めていてその睡眠時間は2時間にも満たず理性が枯れかけていた。

 

 

その後自室に戻りヒーローインターン先のロックロックについて軽く調べ自室を介してロドスの作戦会議室に向かう。

「お疲れ様ですドクター!」

アーミヤがドクターを労いながらコーヒと共に席に案内する。

「ありがとうアーミヤ。」

「いえ。」

アーミヤはドクターの隣に座り今日の会議の資料に目を通す。

「…ぅん…」

ドクターも同じように資料に目を通す。

いくら資料に目を通しても書いてあることは何も変わらない。

そこに書かれてるのはいつも通り、

1ヶ月のロドス内での感染者の数の増減。

1ヶ月のロドス内での感染者の死亡数。

1ヶ月のロドス専属オペレーターの死亡数。

病理解剖による調査報告。

試験薬の途中成果。

etc

雄英にいる間はこんなもの見る事も想像する必要もないがこちらに戻れば嫌でも思い出す。

「感染死亡者が増えてるな…」

「あぁ…先月行われたレユニオン残党によるデモで薬の流通網が混乱し症状が緩和しきれなかった患者が死亡した。」

そう言いながらケルシーが自分の席に着く。

「まだクロージャとドーベルマンが来てないが少し先に始めよう。まずは試験薬の途中成果から…」

その後ドーベルマン達が加わり会議は3時間で終わりドクターは、自身の残った仕事を片付けるために自室に戻った。

 

自室は雄英の宿舎とロドスを直接繋げており。基本は雄英側と繋げているがロドスからであれば自由にこの部屋に入る事が出来る。またロドスに自室から入る場合生体認証を必要とするためいくら出入りしても、宿舎の廊下に出するだけなので、中にアーミヤなどがいない限りここの存在が勘づかれることはない。

 

自室に戻り粛々と仕事に取り掛かる。

「ドクター少しいいか?」

そう言って入ってきたのはケルシーだった。

「プラチナからの報告だ。」

「聞こう。」

ケルシーは自分の反対側にあるソファに座り。

「まずプラチナから注意者リストが送られてきた。」

「あぁ」

「まず最優先はトゥワイスと呼ばれるヴィランだ。個性は2倍。自分、他人の分体を作りオリジナルとほぼ同義の存在を作れるらしい。」

「1人で万の軍勢ということか。」

「そういう事だ。次に荼毘。彼の強さと言うのは高く評価されていないが死柄木ともオール・フォー・ワンとも違う目的で動いている。その為行動に一貫性がありかなりの知能犯である。と言うのが見解らしい。」

「なにかに対する復讐あるいは、羨望か…」

そう言うとケルシーはコクコクと頷く。

「彼の行動次第ではヴィラン連合すらも敵に回し、自身の願望を叶えようとするんだろう。」

ケルシーはその意志の強さに感心するほどだった。

「最後はミスターコンプレス彼が警戒するべき存在と言うのは驚きだ。私としてはトガヒミコが来るのかと思っていた。」

ケルシーは素直にそう言う。

「間近で見ていたからこそわかるんだろう。」

ドクターはそう言いながらケルシーに続きを急かす。

「彼の警戒するべき所は目的が分からない点。そして個性の厄介性は我々ロドスにはかなり刺さる。と言う評価らしい。」

「目的…」

ケルシーは続けて読む。

「コンプレスの性格上死柄木に感銘を受けたとも、オール・フォー・ワンになびく程優柔不断でもない。ましてはステインに感化される程情熱かでもない。詰まるところ何がしたいか分からない。分からないのに個性が強い。これがプラチナが彼を警戒する理由だ。」

「彼女は人の憎悪に深く関わって来た存在だ彼女の情報は今後絶対に生かされる。」

「同感だ。」

ケルシーはコーヒーを飲みゆっくり頷く。

「であるなら個人的にはコンプレスの除外は早めにした方がいいのかもしれない。」

ドクターの発言にケルシーは下を向く。

「殺さずに済むのであれば、それに超したことはないんだが…とりあえずプラチナにはコンプレスを中心に警戒を強める様に命令しておく。」

「あぁ…」

「以上だドクターでは引き続き残りの仕事に手を戻してくれ。」

そう言いながらケルシーは部屋を出た。

 

そして時が流れ

ロックロックの所でインターンをしていた中ナイトアイと呼ばれるヒーローにロックロックが呼ばれそれについて行くことになった。

「…と言う事だ。」

ひとしきり説明され緑谷達が追っていた組織に1人の少女が実験にあっていると言う情報だった、

「少女の個性はなんなのでしょうか…」

私は聞かされた情報を元に一つの推測をした。

もし本当にそうであるなら。

「個性因子だけ消す個性と言うのは聞いたことがない。俺の個性は個性因子の活動を抑える物。だから常時発動してる者には効かない。だが壊理と呼ばれる少女は、個性の個性因子をなかったことに出来る。そこから推測するに巻き戻す個性と考えられる。」

「?!」

ドクターはその時初めてここに来た時のことを思い出した。

(いた…この世界に…彼らを助ける手立てが…)

ドクターは下を向き小さく微笑むのだった。



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分岐点

行くな!ACEーーーーーーーー!
アニメ見ながら↑


「……」

「……」

「……」

ケルシーとドクター、アーミヤの中で沈黙が続く。その沈黙を破ったのはケルシーだった。

「仮に…君の言っていることが間違っていた場合我々は大悪党になりかねない。」

ケルシーはそう重い口をあげる。彼女の心配はドクターの発案した壊理女児の救出兼こちら側の勧誘に対して。

「あぁ…だがこれは、我々が何百何千年焦がれてももう二度と訪れないかもしれない、まさしく奇跡のような事象だ。」

ドクターは、手元の資料をパタパタさせながらケルシーに言う。

「ヒーロー社会のあの世界で殺人は何よりも重い罪です。ドクターがそんな危険を犯してまで彼女を救い出し挙句個性が思った物で無かったら我々で保護する意味はないです。それこそヒーローに任しておいても問題はありません。」

アーミヤはそう言葉にする。事実今回の作戦ドクター自身も何人かヒーロー側で犠牲が出ると考えているが壊理女児の救出自体は上手く行くと考えている。その上でロドスが横槍を刺しヒーローより先に壊理女児を救出する。ロドスは、少数精鋭の部隊を持つ組織。数的な有利が利かないため考えられる作戦は死穢八斎會の壊滅。つまりは殺害による排除が基本となる。ヒーロー社会の発達した世界でそんな作戦を、立てようものならブーイングにとどまらない。ヒーローは誰かを殺してはいけない。その大前提で動いている。正義と殺人は結びつかない。例えそれが、誰かを救う行為出会っても。それがヒーロー社会の世界。

「提案だ。」

長い沈黙の末にケルシーが重い口を開く。

「全て壊理女児に任す。という選択はどうだ?」

ケルシーがアーミヤの方を向きそう提案する。ケルシー自身はドクターの作戦には概ね賛成だ。世の中綺麗事で回らない。それはテラに住む存在であれば皆が理解しているが、それでもまだ子供のアーミヤには少しばかりの綺麗事を守りたいと言う欲があった。ケルシー自身その欲は消えて欲しくない。だが今回はどう考えてもリスクの対してのリターンが大きすぎる。そう判断するのであれば、この作戦決行はアーミヤを度外視しても実行するべきであると考えている。

「…………わかりました。」

アーミヤは、沈黙の後そう結論づけた。そしてアーミヤ自身もケルシーの意思確認など茶番に過ぎないと知りながらそれが、この世界に必要な事という事を理解しており大量殺人については目を瞑るのであった。

 

作戦結構の前に死穢八斎會に乗り込みその場で壊理の意思を確認。それが今回の会議で決定。

 

今回の作戦はドクターとケルシーの両名で指揮をとることになった。

作戦内容は以下の通り

まずイーサン(ドクター)を使い死穢八斎會に進入。女児の意思確認をして後ワープ可能地点まで護衛。

第2壊理女児の失踪が起これば現場は混乱をきたす。その場合の戦闘の考慮のためエクシアを同行。

壊理女児の救出後は死穢八斎會内での壊理の研究データ並びに個性抑制、抹消剤の押収。

その時の戦闘はラップランド(ドクター)を使用する。

緊急ワープ装置は2つあり、お互いに壊理女児の救出時とドクターの脱出時に使うものとする。

ドクターは作戦前に固定ワープ装置の取り外しを行うこと。

これが大まかな作戦となった。決行は明日。

ドクターは静かに自室に戻り、この世界での日々を思い出す。長い事いた。そう思いながらベッドに埋もれる。

「叶夢零か…」

それは記憶を忘れて、朧になった頭の中に残っていた名前。ケルシーとも、アーミヤとも会っていない。時の記憶。私が思い出せた唯一の記憶たち。ロドスに来る前と居た時の記憶を思い出すことは出来なかったが、私が幼少期だった時の事は思い出せていた。本当に断片的ではあるが、

ピロピロ

携帯がメールが来たことを告げる。ヒーロー達からだった。作戦決行日がきまったらしい。

 

明日作戦決行

 

 

「明日…」

どうやらドクターとヒーローはどう足掻いても衝突する。そのように運命づけられているのだろう。

ドクターは部屋を出て鍵を取り外しテラ、ロドスへのワープ装置を取り外す。

そして誰にも気付かれない様に雄英高校を出た。

 

ヴィラン連合side

「…そうか…ドクター」

プラチナは受け取った暗号を解読して作戦の概要を知る。

その作戦の意味するところはプラチナが連合を裏切るタイミングであるという事。

具体的日時までは記されていないが、恐らく作戦終了後直ぐに裏切る否、作戦を実行する。

「…」

プラチナはヴィラン連合を仲間だと思った事はない。だがトゥワイスは、ヴィラン連合に居るべき存在では無いとも感じている。

「できることなら彼を…」

そう思うが、彼を仲間にしたいと思うと同時に彼はとても危険な存在という事を理解している。

「いや。作戦は遂行する。」

そうつぶやきプラチナは、ヴィラン連合を討ち取る準備を密かに始めた。




次回ナイトアイ好きの人申し訳ないです。
そして次回は少しグロい?かもしんないです。


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決別

ナイトアイの注意喚起次話ですすみません。
ちょいグロ注意。


「たく子供のおもちゃなんてどれかわかんねーよ」

1人で愚痴を言いながら歩く男の後ろをイーサンは付ける。

至近距離にも関わらずイーサンの存在は悟られていない。

その後、隠し扉を開けて1人の少女の部屋に向かう。

ひとしきり会話をして男はこの場を後にする

イーサンとの交代を解きドクターはいきなり少女の前に立つ。

「君が壊理ちゃん?」

極めて優しい声でドクターは話しかける。

「だ…誰?」

少女は怯えながらドクターを見る。

「んー…お姉さんは君を助けに来た人だよ。」

すると少女は少し近づいてきた

「ホント?ヒーローさん?」

「んーヒーローでは無いんだけどね…簡単に言ってしまえば君が必要だから」

そう言うと壊理はまた怯え枕で自分を隠す。

「痛い事するの?」

壊理はブルブル震えながらドクターを見る。何かを品定めするように。

「いいや。約束するよ痛い事はしない。少し血を貰ったり個性の練習してもらう感じだよ。君が嫌がる事はしない。」

「ほんとに?」

「あぁ。ほんとだ。」

壊理はそう言いゆっくり自分の方によってくる。

「お願い…助けて。」

少女は縋るようにドクターに願う。

「もちろん。」

そう言いながらドクターは壊理を抱っこする。

「この先少し大変だから少し寝ててもらえる。大丈夫起きたらもう君を傷つける者はいないよ」

そう言いながら麻酔効果のあるハンカチを壊理に向ける。

(子供に死体を見せるのはさすがに…)

壊理はハンカチを受け取り口元を覆う。その後壊理はスヤスヤ眠り始めた。

(さてイーサンもう一度出来るか?)

((いいけどドクターの負担は平気か?))

(問題ない)

(了解)

再びイーサンとなり外で待っているエクシアの元に向かう。

作戦はいい方に転がりエクシアの元には直ぐに辿り着けた。

「ドクターこの子をロドスに連れていけばいいんだね。」

「あぁ」

エクシアはそう言いながらワープ装置を片手に持つ。

「ドクターはこの後この組織と敵対するの?」

「今後の為に不安材料は摘む。それに内部にはこの少女の何かしらのデータがあるはずだそれら全てをロドスで管理する。この組織にはヴィラン連合なる組織も1枚噛んでいる。最悪の場合我々に牙を剥く。」

「あーもう。暗い暗い。わかったよドクター。……無理しないでね。」

エクシアが心配そうにドクターを見る。

「大丈夫だ。」

そう言いながらエクシアはワープした。

「さてと…」

ドクターはラップランドになり死穢八斎會の玄関に向かう。

「あ?てめぇ何も…」

何か言い終わる前に男の頭は口を境目に見事に上下に別れる。

「 」

鼻歌を歌いながら奥に進むラップランド。

「すごい音がしたがどうし…」

ズサ…

後ろから胴体を切り裂く。

血は方々に散り。騒ぎは一気に伝わる。

死穢八斎會の下っ端らしき人物が10人弱ラップランドに向かって襲いかかる。

「このやろ…死ねー!」

男の攻撃を涼しい顔で避けながら男の腕を切り落とす。

「ふん?あぁこれはなかなか…」

男の手を持ちながらラップランドは何かを思いついたかのようにその手を相手の口元に向かって勢いよく突っ込む。

「どうだい?仲間のの肉は?なかなか美味なんじゃないかい。君らは似たもの同士だろ」

笑顔。笑顔で人を玩具のように扱う。その現象に下っ端は言葉にできない狂気を感じる。

そして下っ端は今まで以上にこの少女に恐怖した。足が震え立ってられない。ヴィラン予備軍であっても彼らは平和を生きる存在。平和があるからある悪。だがラップランドにあるのは純粋に力への願望。平和を享受できないものが、平和を知る彼らと同じ人種では無い。

恐怖で震える下っ端をラップランドは次々切り殺す。

1人は頭から真っ二つに

1人は臓物を引きちぎられ

1人は仲間の死体に頭を突っ込ませて血で溺死させる。

多様な殺し方でどんどん奥に進む。

ラップランドが歩く道は血で真っ赤に染まり、その道には残虐の一言では言い表わせられない死体が転がる。

 

死穢八斎會side

 

「おい!エリどこだ!」

治崎はいなくなった少女と侵入者のせいで苛立っていた。

「おい!遠征組!この場所に来る侵入者を始末しろ!」

治崎がヴィラン連合の2人に命令する

「クソクソクソ」

苛立ちが隠せないまま壊理のデータを保管する場所へ向かう。

「あれまで取られたら終わりだ。」

 

ドクターside

「おっと?君たちは確か資料にあった…あー!ヴィラン連合のトガヒミコ君とトゥワイス君かい?!」

ラップランドは刀をクイクイさせながら2人を挑発する。

「違いますよ。今は時代遅れの天然記念物のゴクドーのトガです。」

トガは刃物をこっちに向ける。

「そうかい…ドクターどうするの?」

(無視。)

「今帰れば何もしないから早く帰ってくれないかい?」

「どうしてあなたの言うこと聞かないといけないの?」

トガは怖い顔をしながら突進してくる。

「簡単さ…君を殺すのは別に何の躊躇も無いからね!早く逃げてくれないとうっかり殺してしまいそうだからさ!」

ラップランドはそう言いながらトガに向かって切りかかる。

「トガちゃん!やろうお前頭のネジ外れてるのか?!外れてないがな!?」

トゥワイスはそう言いながらトガを庇う。

「だから今は君達を見逃すそう言ってるんだから早くどっか言ってくれないかい?僕はここまでで道をグワングワンさせる奴がいて強くもないのに抵抗してきたから苛苛してるんだ。本当にさいこーな気分だよ…」

静かなその顔にトゥワイスは彼女の言う通りトガを抱き抱え逃げ出す。

「あれで仲間思いなんだからヴィランらしくない。さてと…」

ラップランドはまた道を進む。

途中戦闘狂に絡まれ望み通りなぶり殺し。盾のような個性を持つものを下半身と上半身でわけ放置。

そして治崎の元にたどり着く。

「お前のせいで俺の計画は台無しだ!」

治崎は吠える

「そうかい…でも…僕には関係ないだろ君の崇高な計画なんて!」

ラップランドは治崎を嘲笑う。

「この…」

その瞬間腕を吹き飛ばす。

「この程度…!!なんで治らない!」

「ッぷ!アハハハハ!君のその顔傑作だよ!僕の力は君が望んだ個性の消失に似ているんだ。だから君は僕の前でもう個性は使えない。」

「…っな!」

治崎は驚愕し目を見開く。

「さてと…」

ぐしゃぐしゃ

「っあーー!?!」

ラップランドは治崎の足を捻じる。

「ドクターが足を壊せって言ってたから先に壊しておいたよ。」

そう言ってラップランドからドクターに姿が変わる。

「助かったラップランド。さてと…痛いか治崎?」

「お前…」

治崎は恨めしそうにこっちを見る。

ドクターは銃を取り出し治崎の残った腕を撃ち手をもぎ取る。

「お前の研究データは貰った。もうお前に用はない。」

そう言いながら治崎の頭を銃のグリップで殴る。

「だが…お前には個人的にやり残したことがある。ここまでの殺しは必要だがお前に対する甚振りは別に必要ない…だが…まだ歳も行かない子供をあんな風に使うお前を私は心の底から嫌う。」

そう言いながらドクターは治崎の目をえぐる

「ぐあー!!」

治崎は悶える。

「楽に死ねると思うな。」

ドクターはひたすら治崎を壊す。

 

ロドス内で

「ケルシー先生…ドクターは何故ここまで残酷に事を進めるのでしょうか…」

アーミヤは作戦中のドクターこそ見ていない。ドクター本人から止められた。だが作戦の内容は知っている。

「ただの殲滅ではあの世界では意味が無い。ドクターが向こうでオールフォーワンを超える残虐性を持ち化け物である。そう知らしめることであの世界の人間のヘイトを一身に引き受けてロドスないしはテラへの攻撃を防ぐ。」

ケルシーはそう淡々と言う。

「ですがこんな事をすればヒーローはこちらに攻めて来るのでは?」

「だからラップランドなんだ…残虐性を知らしめる。そうする事により国民への不安を煽る。自分たちへ攻撃が及ぶのでは無いかと。殺られる前に殺る。そうなるだろうが、そこでドクターの個性が引っかかりになる。ニェン、wは文字通り強力なオペレーターだ。ドクター個人にはヒーローの卵たちを軽く捻るだけの戦力がある。そして、オールフォーワンとの戦闘でそのオペレーターは外部に出すこともできるとこ知られた。」

「つまりドクターが敵に回れば当然私たちオペレーターは彼らヒーローの敵になる。文字通り全て。」

「そうだ。相当頭が悪くなければ実力を隠していたドクターが一体何体のオペレーターを呼べるのか未知数だと言うことには気づく。」

「崩壊の可能性のある場所には近づかない。まるでドクターがあの世界の天災になるようですね…」

「そうだな…だがドクターも言っていた。全ては選択出来ないんだと。アーミヤ。君は優しい。だが、優先しなければならないのは我々テラの民達。生き残るためだ。」

「わかっています…」

「…。我々のしてきた事は決して許されない。私やドクターは許されてはいけない。だからアーミヤ。君が作るんだ。こんな事をしないで済む場所を。」

「はい…」

アーミヤのその暗い表情のは確かな決意があった。

 

ドクターside

「さてと…もう終わりだ治崎」

ドクターの前でボロボロになっている治崎。無理やり止血され意識を失わないように注意されながらの拷問。

「お前が壊理ちゃんにした事はこのレベルじゃない。後悔しながら死ねー」

銃の引き金を引こうとした時。

 

「まて!治崎から離れ…」

緑谷とその他大勢のヒーロー達

「嘘…なんで…」

麗日が驚きの顔を隠せていない。

「どうゆう事だ…」

相澤も目の前の現象に言葉を失った。

「なんで君がいるんだ!叶夢さん!」

青ざめる緑谷を横目にドクターは小さくほくそ笑んだ。




ラップランドって狂ってる所が1番好きです。


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信じたくない真実

 

ヒーローside

 

「やけに静かだな…」

相澤がそう結論づける。

「おい捜査令状だ!大人しくここ…ひっ!」

そう言いながら警官は何かを見た。

「おいどうし…なんだこれ…」

相澤は目の前の惨劇を目にする。

「どういうことですか?…」

玄関を開けた瞬間に広がるのは赤。とめどなくそして際限なく殺された人だったもの。

「なんこれ…」

お茶子は、その光景を見て顔を青くする。

「我々より先に死穢八斎會に乗り込んだものがいる。もしくはヴィラン連合の仕業か…」

ナイトアイがそう結論づける。

「急いで生存者と壊理ちゃんを探しましょう。サー」

通形がそうナイトアイに言い中に侵入していく。

作戦は当初とは大きく異なり。本来の壊理の所にはすんなりと行けた。もちろんその道中の死体の数は狂気の沙汰であり。

「やはり…」

ナイトアイのサイドキック達は空っぽな部屋を見て顔を訝しめる。

「壊理ちゃん…」

緑谷はなぜ自分があの時無理やりでも助けなかったのかを激しく後悔した。

「おいまだこの先に道があるぞ!」

相澤がそう言いながら走り出す。

パンパンパン

「!?」

全員が走ってる中でいきなり聞こえた銃声おそらくこの事態を起こした張本人。

「急がないと!」

緑谷と通形は焦る気持ちが抑えられず走る。

開けた場所に着き。そこには倒れ込む治崎の姿が瓦礫の隙間から見える。

「まて!治崎から離れ…」

緑谷がフルカウル状態で治崎に近づこうと瓦礫を蹴った瞬間この惨劇の張本人が目の前に現れた。

「嘘…なんで…」

お茶子もあまりの事態に言葉を失う。

「どうゆう事だ…」

相澤は、その現れた人物を見て信じたくない者を見てしまった様に顔が歪む。

「なんで…なんで君がいるんだ!叶夢さん!」

目の前の少女は、クラスメイトの1人だった。

 

ドクターside

 

「意外に速かったな緑谷…」

ドクターは銃口を治崎に向けたまま微笑む。

「壊理ちゃんは…何処にやった?」

緑谷は額から出る汗を抑えきれずやや震えた声で叶夢に問う。

「私が保護した。」

そう淡々と告げる叶夢に緑谷は今までの彼女とは違う無機質さを感じ、自分は得体の知れない何かと戦っている錯覚に陥った。

「何故ヒーローsideの君が我々と敵対するのです。大人しくヒーローに任せれば保護は可能でした。」

ナイトアイが、そう詰め寄る。

「彼女の力は特別だ…」

「力?力欲しさに壊理ちゃんを連れ去ったのか!」

切島が訴えかけるように叫ぶ。

「連れ去ったか…人聞きの悪い…連れ去ったのではなく保護だ。」

叶夢は悪びれもなく答える。

「力を利用しようとするならね。それはそこにいる治崎と変わらないね!」

通形は、怒りをあらわにしながらそう言う。

「被検体にするつもりは無い。あくまで彼女の自由意志の元協力を仰ぐだけだ。」

叶夢がそう言い放つ。

「壊理ちゃんを返してもらう!」

緑谷は叶夢に近づき蹴りを入れようとする。

「はぁー…もう遅い。壊理はこちら側に来た。もうここにはいない。私は残ったこいつらを始末するためにここにいるだけだ。」

そう言いながら治崎の頭に銃口を突きつける。

「やめ…」

ばん!

治崎頭をドクターの銃で撃ち抜いた。

「叶夢さん!!」

緑谷は、叶夢の殺した治崎を見て急いで再度蹴りを入れようとする。

「スマーシュー!」

緑谷の蹴りは叶夢に直撃した。

が…その直後緑谷の足は凍りつき言われのない寒さがその身を襲う。

「だいたいお前達はアイツを全く理解していない。」

畏怖のある少女の声が響く。

その姿はオールフォーワンとの戦闘時に見せた姿。

「叶夢零は、お前たちに見せた姿であり…呼び名が違う。」

そう白い女は緑谷を吹き飛ばす。

「彼女はロドスアイランド製薬会社オリパシー研究者兼指揮官のドクターZERO。」

そう言い周囲があの時と一緒のマイナスの世界に入る。

「そして私もそのロドスの一員。フロストノヴァ。」

「ロドス?」

ナイトアイが疑問を呈する。

「新たなヴィラン集団か?」

ナイトアイがそう言った瞬間周囲がさらに凍える。

「製薬会社だと言っているだろう。まぁいい。ドクターは、これでも義理堅いところはある。代償の大きい私を使ってお前たちを殲滅するのはせめてもの感謝だ。」

そう言って両手を少しあげて大きな氷柱を作り天井に張り巡らす。その姿は氷の悪魔とも見える。

「ッ!?」

氷柱は際限なく振り下ろされる。そしてその速度は並の銃弾のそれを超えていた。

「緑谷下がれ。」

ナイトアイが大ぶりの蹴りをフロストノヴァに入れる。

「っ!」

少し怯んだが直後ナイトアイの胸をフロストノヴァの氷柱が貫く。

「がはぁ!」

「サー!」

ナイトアイは、血を吐き地面に足を着く。

「お前は誰かに強い憧れがあるな…」

フロストノヴァは淡々と告げる。

「お前の動きは超人的な力を持つ存在の元でのサポートが中心。」

フロストノヴァがそう言いながら温度をどんどん下げ周りのヒーローから体力を奪い取る。

「その程度の力しか持たない存在のサポートに徹しても何の意味もなさない。宝の持ち腐れとは言ったものだな。」

フロストノヴァは呆れたように告げる。

「貴様に何がわかる!」

ナイトアイが痛みを殺して殴り掛かる。

「わかるも何もここでそんな甘えをしている事が我々への侮辱だ。だが、お前も戦士なのだろ?なら私も最低限の流儀は持とう。」

フロストノヴァは、静かに氷柱に触れ砕く。その瞬間周りの冷気がその砕けた破片に集まる。

「笑顔とユーモアのない世界に未来はない!お前がいたら誰も笑顔を持てなくなる!ここでお前は捕まえる!」

そう言いながら殴る。がその拳はいつまでたってもフロストノヴァには届かない。

「サーーーーー!」

「ナイトアイ!」

緑谷と通形の叫びが聞こえる。

フロストノヴァの放った矢のような氷柱は、ナイトアイの体を見事に半分にした。

「笑顔が見れる世界でよかったな…憧れから停滞して行った愚かしい戦士よ…」

「何処が…サーの何処が愚かだと言うんだ!」

通形の怒りがフロストノヴァに向かって放たれる。

そして透過を生かしたパンチが繰り出されるがそれをフロストノヴァは片手で止める。

「何処がだと…?お前達は今何と敵対している…お前達は何の為に戦う。」

フロストノヴァの言葉に通形は眉を顰める。

「僕達はヴィランと戦い、悪を倒す為に人を助ける為に戦ってる!」

通形はそうフロストノヴァに言う。

「悪か…もし悪と戦うのなら未来を知る個性を持ちながらそれを行使し、戦いを有利に進めようとしないものが、誰を守ると言うんだ。」

通形は、その言葉に足が止まり、緑谷が間髪入れず答える。

「ナイトアイは、誰よりもすごいヒーローだ!誰よりも強くそして優しいから未来を見すぎないようにしていた。」

緑谷がそう言い放つ。

「それが、本当に素晴らしいとでも?今そこで転がってるヒーローもそうだし、今たってるお前達2人もそうだ。これは殺し合いだ!」

「!!」

2人はフロストノヴァの圧に気圧される。

「我ら戦士は、おのが正義を貫くために命をかける。お前達のやっているヒーローと言う馴れ合いは我々戦士への侮辱だ!」

「ヴィランの君に何がわかるんだ!」

通形は、怒りに任して拳を振るう。

「ヴィランと君達が言うのは勝手だが勘違いするな。」

そう言いながら治崎から奪った注射器を通形に刺す。

「この世には正義も悪も無い。あるのは敗北者の上に成り立つ屍の上の勝利。ただその事実だけだ!」

「この!?」

通形は自らの拳が透過できてないことを察する。

「失せろ。ここにいる貴様ら全員戦士では無い。力を持った赤子に過ぎない。死ぬ覚悟もない貴様らが私と対等に戦うなど片腹痛い。死にたければ殺してやる。だが無様に消え失せるのであれば殺しはしない。」

そう言いながらフロストノヴァは背を向ける。

「まって!叶夢さん!」

そう呼び止められてフロストノヴァはクルっと振り返る。

「緑谷…さようなら」

そう言いながら緑谷にお辞儀する。

それは緑谷の言葉を聞く気のない明確な意思表示。

そうしてフロストノヴァは、暗闇の中に消えていった。

 

 

この日ヒーロー社会に新たなヴィランが生まれた。それは雄英から生まれたヴィラン。そして何百ものヒーローとヴィラン組織を1人で壊滅に追いやった存在として世界を激震させた。

 

 

 

 

 

ロドス

 

「っはァ…はぁ…はぁ…」

ドクターは、顔色が悪くなり今にも倒れそうになっている。

「ドクター…何故フロストノヴァを使った。前回の検診でフロストノヴァを使う事の危険性は話したはずだ…死んだ人間を憑依させる行為は君の生命力を喰らう。これで君は2回目君の寿命もどれだけ減ったのかもう想像もつかない。」

そう言いながらケルシーは、ドクターの肩を持つ。

「だが、結果は上々。エリと呼ばれる少女も、今は落ち着いて寝ている。ドクター…ありがとう。」

ケルシーの感謝の言葉に少し驚きドクターの瞼が重くなる。

「ドクター君はそんなに傷ついても歩みを止めることはしないんだな…本当にあの人の言った通りだ…君は強すぎる…」

ケルシーは悲しそうにそう告げる。




ここからオリジナルストリートが増えます。
そろそろ終盤の章に入ります。


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雄英エピローグ

アークナイツのアニメ面白いんだけどテンポ少し悪いね

まぁシリーズものだからいいのかもしれないけど…

新規には厳しいかな?


「…」

沈黙が雄英を、包む。

本来あってはならない失態。起こしてはいけない不祥事。

1人の生徒がヴィランとなった。そしてその実力は、多くのヒーローを返り討ちにするほど。

雄英生徒の中でも特に同じクラスのA組内では沈黙と同時に大きな混乱が彼らの頭を締めていた。

「緑谷に麗日、蛙水、切島あいつら大丈夫なのか?」

上鳴がそうぼやく。

「4人とも特に目立った外傷は無いみたいだ。ただ精神的にはかなり参っているだろう。」

飯田はそう答える。

「本当に叶夢がヴィランになったのかよ…」

耳郎は悔しそうに拳を握る。

「先生方の言う事には叶夢さんは1人で死穢八斎會の者を惨殺しその後ナイトアイを含むプロヒーローとそのサイドキックを複数名殺害したらしい。」

飯田は自分の聞いた話をそのまま伝えた。

無論皆テレビやネットで情報を仕入れていたが当事者から語られた情報を聞きその事実が現実だという事を突きつけられた。

「…」

再び沈黙が部屋一帯に広がる。

「落ち込んでばかりではB組に遅れを取るぞ。」

そこに包帯で頭と腕をぐるぐるに巻いた相澤がクラスの前に現れた。

「今回の叶夢の件はヒーロー社会にとって著しく信用を落とした事件だ。そしてこれからお前たちに降りかかる試練は今までの比では無い。ナンバーワンの消失ヒーロー予定の学生のヴィラン化。お前たちが相手にするのはヴィランだけでは無い。守るべき市民もまた同様にお前たちに厳しい評価を下す。」

相澤の声でみんなの顔が強ばる。

「俺から言えるのはやってみせろだ。」

相澤はそうクラスに吹っ掛ける。

「叶夢の件は俺やヒーローの不手際の責任だ。だが、どうして叶夢があの選択を取ったのかそれがまだわかっていない。なら俺たちがするのはヒーローとして叶夢を逮捕しそしてまた導く事だ。お前たちならそれができるはずだ。」

相澤は、そうクラスを鼓舞する。

「叶夢は今何処にいるんですか?」

耳郎はそう相澤に問う。それに相澤は首を横にふり

「分からないあれ以来1度も目撃証言がない。そもそも誰かに変わるのが個性であると隠れるうまさと来たらトガヒミコに近いものがある。そしてもう1つ。」

そう言い相澤はゆっくりと口を開く。

「叶夢の捜査は今後しないという事が決定した。」

クラス一同は目を見開き驚きの顔をしている。

「どいうことだー!」

爆豪は怒りをあらわにして相澤を問いつめる。

「国としては叶夢は、並のヴィランと違い明確な敵対をしなければ被害を被らないと判断した。つまり触らぬ神に祟りなしと言った感じだろう。それにあいつの個性が未知数すぎる。下手に動き刺激すれば国の根幹を揺るがしかねない。その為に基本不干渉を決め込み捜査は必要最低限にするというのが表向きの決定だ。」

相澤はそう淡々と言う。

「表向き?」

蛙水は、相澤にそう聞き返す。

「あぁ。表向きは、そう言う決定だが今回からプロヒーロー上位数名と我々雄英ヒーロー科での極秘ミッションが遂行される。勿論この事は多言無用。ヴィラン・ドクターゼロの逮捕に向けて動く事になる。俺としてはお前達を巻き込みたくはなかったんだがな…」

相澤は、そう言う。

「でもなんで俺たちが?」

上鳴が、素直に疑問を呈する。

「それにはふたつまずは雄英サポート科への叶夢の使った装置の解析。第二に、雄英ヒーロー科A組の、叶夢との戦闘経験を買った採用だ。叶夢との戦闘経験は、お前達をおいて誰もいない。基本的に他のヒーローは、叶夢の戦闘スタイル考え方が、分からない。そこで少しでも成功率を上げるためにお前達が採用された。」

相澤は、頭をゴシゴシかきながら生徒に言う。

「私達が叶夢を止めるってこと…」

耳郎が少し震えながらそう言う。

「そういう事だ。勿論この作戦には、危険が伴う。基本的に本人の希望に沿った作戦場所に配属される。簡単に言えば死ぬ可能性がある。だから俺としては全員後方支援にしたい。」

「んだと?!」

爆豪がキレるが同時に。

「そんな事出来るわけない!」

耳郎がそう言う。

「あいつは不器用ででも優しくて…何考えてるかわかんなかったけど、でも確かに一緒にいた私達は彼女の強さも優しさも知ってる。だから後方で叶夢に会わないで事件を解決させようなんて思ってないです。」

そう耳郎は、まっすぐと相澤を見て決意をあらわにする。

「そうか他のみんなもしっかりと考えてくれ。これは訓練じゃない。自分の命を大事にするのは悪いことでは無い。」

相澤そう言って職員室の方に歩いて行く。

 

病室

叶夢さん…いやフロストノヴァは、どうして僕達にあんな言葉を言ったのだろう。

「戦士ではない…」

緑谷は、1人病院であの言葉を繰り返す。

確かに僕達は軍人では無い。だから戦士ではないんだ。なのになんでしきりに僕たちを戦士と呼んだんだろう。

僕達の在り方がフロストノヴァの怒りに触れた意味…

 

緑谷は、フロストノヴァの言葉を考え答えを見つけ出せずただ苦悩と困惑で頭を抱えていた。

 

 

 

 

????

私は何を言っているんだろうか?

 

あの者達が戦士ではないのは、わかっていた。

 

でも奴らの考え方が

 

奴らの戦う姿勢が

 

奴らの正義が

 

この身を燃やすほど気に食わなかった。

 

私達は感染者を救いたかった

 

私達は故郷に帰りたかった

 

私は誰かと触れ合いたかった

 

兄弟姉妹達を守りたかった

 

私達は戦うしかなかった。

 

力がなければ生き残れない

 

それでも戦士として

 

誇りを持ち

 

誰かを救うために

 

誰かの正義を踏みにじる

 

その覚悟を持っていた

 

なのに

 

なぜ

 

なんの覚悟もない奴らは

 

他人の正義を

 

否定している?

 

殺すことが悪い事だと決めつけ

 

自分達が絶対だと奢る?

 

本当の絶望を知らないのに

 

もう二度と誰とも触れ合えないと

 

自分の命は長く持たないと

 

それでも戦士として

 

誇りを捨てず

 

理解した敵であっても

 

刃を交える

 

その覚悟を

 

常にしてきた

 

我々の

 

死んで行った仲間たち

 

死んで行った兄弟姉妹達

 

殺してきた勇士達

 

殺された一般市民達

 

無慈悲に殺される感染者

 

感染者を迫害し我々に殺された者

 

我々はその全てを背負わなければいけない。

 

背負って

 

屍の上を歩き続ける

 

だから

 

奴らのただの悪と我々を断じた奴らは

 

何も知らない平和に生きる奴らが

 

奪い奪われる覚悟を持たない奴らが

 

自分の正義を押し付けそれがなんの間違いがないと

 

疑わない奴らが

 

我々否定し

 

我々の仲間を否定し

 

そんな奴らが

 

心の底から許せなかった

 

奴らは戦士ではない

 

だけど奴らのその考え方は

 

その戦い方は

 

私にとって

 

紛れもない侮辱だった。

 

その事実が

 

私にとって何よりも

 

許せなかった。

 

 

数週間後

 

 

「できました!」

そうハツメがA組に入ってくる。

「これは転送装置です!すごいベイビーです!」




アークナイツの世界へようこそ緑谷


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地獄への片道

 

「転送装置?」

相澤が、疑問符を浮かべながら聞き返す。

「はい!これは道の物質を核として空間と座標をセットしその場所に飛べるようにするものです!」

ハツメが意気揚々にそう告げる。

「だが転送装置だとわかっただけでは…」

「ちっちっち!これはただの転送装置じゃないです!」

ハツメは置いてきぼりのA組を無視して語る。

「この転送装置にはふたつの座標を入力するんですがその座標片方は私たちのしるこの街東京ですが!もうひとつは存在しません!」

ハツメの発言にクラスはどよめく

「存在しない?」

相澤はその発言を確認するように聞き返す。

「この座標はこの世界を差していません!」

その言葉に緑谷は何かを察したように口に出す。

「つまりそれは…」

「はい!これは異世界に繋がる装置です!」

ハツメのその発言にクラスは再度どよめく。

「詳しくは僕の方から」

そう言いながら校長が入ってくる。その後ろにはオールマイトもいた。

「ハツメ君のおかげでこの世界と異世界を繋ぐことが出来たが用意できたのは行きと帰りの分だけ。つまりこの作戦で僕たちが何かしらの成果を上げなければ叶夢零さんの確保は永遠にできないということになる。」

校長の言葉は重くクラスにのしかかる。

「この作戦は失敗ができない。」

オールマイトが重くその口を開く。

「これは公安からの要請だ。」

校長は相澤に1枚の紙を突きつける。

「そんな…!いくらなんでも早すぎる!」

相澤は、そんな風に怒鳴る。

「仕方ないがこれは決定だね。プロヒーローエンデヴァーを初めとしたサイドキッカーそしてA組生徒が今回の作戦に選ばれた。やるしかないんだよ。」

校長は下を向きながらそう言う。

「私達の信用はもう地に落ちかけている。プロヒーローを使うよりヒーロー科を使う方がまだ信用ができる。それが公安の考えらしい。」

オールマイトは、苦しそうにそう答える。

「んなもん!俺が全部どーにかしてやるよ!クソが!」

爆豪がそう割って入ってくる。

「あぁ俺達も叶夢さんを絶対に捕まえて真相を聞くんだ!」

各位のやる気に大人たちが折れ始める。

 

 

この時大人たちは本気で止めるべきだった。テラに行くと言うことは自分たちを否定しに行く事だと言うことに。そしてあの世界は決して甘い世界ではない。

 

作戦決行日A組はコスチュームに着替えてワープ装置の前に立つ。

一通りの作戦の概要を説明され。ハツメのワープ装置に入る。

酔いそうになる程の視界のぐらつきがした後彼らは目の辺りにした。

この世界がどういう世界なのかを…

 

「どうだロドスへの連絡は?」

「ダメね全く通じない。」

フランカがシュバルツにそう言って辺りを見渡す。

「全くレユニオンの残党も往生際が悪いわね。」

フランカがやれやれと自分の端末から帰り道を探している。

その時目の前に大体40人程の気配を感じる。

「敵か?」

シュバルツが銃を構えて警戒する。

「まって。」

「あなた方は?」

炎を体に纏わせている男がそう聞いてくる。

「名乗るならまず自分からでしょ?」

フランカが冷たい目で男を見る。

「失礼。私はエンデヴァーという。この地に探し人を探しに来たのだが…」

「そう。でもそんな派手な格好でここら辺をうろつかない方がいいわよ。誰か狙ってくるか分からない。上に何か羽織ってなさい。」

フランカは笑いながらもその目には警戒が、残る。

「助言感謝する。何せ私はここの言語は少し苦手で…よろしければ少し尋ねたい事があるのだが…」

エンデヴァーがそう続けると

「死ねー!」

1人の男がナイフを持ってフランカに襲いかかる。

「な?!」

後ろの子供たちはいきなりの光景に驚く。

「不意打ちするなら叫ぶのはご法度ね。」

そう言いながらフランカは、手刀で首すちをうち気絶させる。

「さてと話を聞くのはいいけどまずこの状況どうにかしないといけないから少し下がってて。シュバルツ頼むわ。できるだけ無力化するのよ。」

そして2人は10人ほどの残兵と戦う。

あまりに急な展開にエンデヴァーも他の子も唖然としていた。



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残酷な世界

アークナイツ2期で脳が破壊されそう


戦闘が終わりエンデヴァーは、2人と情報交換をした。自分達が叶夢を追っている事を伏せて自分達が異世界人だと言う事を伝え。この世界の情報を仕入れた。

話を聞きクラスは戦慄した。

まるで御伽噺でも聞いているかのようにそのあまりに惨い話の数々。

そんな話が一段落つき2人が席を立つ。

フランカやシュバルツが自分達の組織と連絡が取れるかを試すために外に出ている。

 

 

「オリパシー…」

緑谷はその単語を口にする。

それはさっき聞いた致死率100%の病。

「本当にそんなことあるのかよ…」

上鳴は、信じられないと今もその話を信じようと思えなかった。

「この世界は普通とあまりにかけ離れている。」

エンデヴァーがそう言いさっきの話を整理している。

長い沈黙がその場を制する。

まるでお通夜のようなその状況の中2人が中に入ってくる。

「ダメね。ここじゃ電波が繋がらない。黄砂で視界も悪いし。」

フランカが1人の少女を連れて入ってくる。

「そちらは?」

エンデヴァーがそうフランカ達に問いかける。

「この子はここら辺の土地に詳しい子よ。黄砂で前が見えないから上手く黄砂を抜ける為に道案内をしてもらうわ。あなた達もそれでいいかしら?」

フランカが、そういいエンデヴァーは頷く。

「町を出て…少し行けば私の住む村に着きます。今の季節なら基本的に黄砂がこちらまで来ないので安定して連絡が取れるかと…」

そう弱弱しく少女が話す。

そしてそのまま少女の村まで急ぐ。

難なく少女の村までたどり着きその入口にたった時。

「おかしいですね…何時もはこんなに静かではないんですが…」

あまりに静かな村を見て少女は疑問をあらわにする。

ギャーっ

唐突に聞こえたその断末魔はヒーロー達並びにフランカ達にも緊張を走らせた。

「やめてくれ…俺は感染者なんか匿ってまない!本当だ!」

そう絶叫が聞こえる。が、その声も途中で途切れる。

「何が起きてるんだ…」

エンデヴァーはただ狼狽えるしか無かった。

「監査員が…」

少女は、そう一言漏らし、フランカは納得が言ったかのように目を少し下へ伏せる。

「やり方が汚いわね…」

フランカが、そう言いながらここを寄らずそのまま進み別の街に行こうと提案したが、

「お兄ちゃん?」

少女が何かを見ながらそう呟いた。

そしてそのまま街の中に走って入っていく。

「え?ちょっとまって!今入るのは!」

少女はフランカの制しも聞かずそのまま入っていく。

「…!あなた達はここで待ってて私達が彼女を連れ戻すから…」

フランカが、そう言って走り出そうとすると

「僕達も行きます。彼女を救うなら僕達もいた方が効率がいいはずです。それに僕達だって戦えます。」

そう緑谷が言う。

「…わかったわ…でも自分の身を最優先にしなさい。この世界はあなたのいた世界と違ってきっと甘くないは…」

フランカがそう言い残しすぐに町の中に入って行く。

中には5人の監査員がいた。

「惨い…」

エンデヴァーはその様子を見てあまりの惨さに言葉を失った。

「これが監査員のやり方よ。おそらくウルサスのね…」

フランカが入ったことにより街の中の監査員はあらかた処理ができた。そしてとうとうフランカ達は少女を見つけた。

「なっ…!」

エンデヴァーは、その少女を見て言葉を失い。クラスメイト達もあまりに悲惨な現状に顔を青くする。

「大丈夫?!」

緑谷は急いで彼女に駆け寄るそして彼女を抱き抱えようとした瞬間フランカ達の目に映ってしまった足に見える石の腫瘍が…

「緑谷!急いでその子から離れろ!」

シュバルツが焦りながら緑谷を引き剥がしに行く。

「何するんですか?!」

緑谷はシュバルツの行動が理解出来ず。そう怒鳴った。

「もう手遅れだ!」

シュバルツの言葉に緑谷は

「まだ息がありました!微かですが、きっと持ち直せる!」

緑谷は、そう言いながら再度少女に近づこうとしたがフランカがそれを怒鳴って止めた。

「エンデヴァー急いで囲えるものをちょうだい!」

「あ…あぁ…」

エンデヴァーは言われた通り人1人囲える物を用意した。

「もう時間が無い…よし。急いでみんなここから離れるの!」

フランカがそう言いながら全員を遠くにやった。

バッン!

爆発音が周囲に鳴り響くそれはさっきの少女の方向から。

「何が起きてんだよ!」

爆豪は、そうフランカに詰め寄る。

「あれが感染者の末路よ…」

「彼女は私たちにも感染者である事を隠していた。だから対応が少し遅れた。あともう少し遅れていればここにいる全員が新たな感染者になりかねない…」

フランカは爆豪そして全員に今の行動の意味を説明する。

「せめて遺体を…」

エンデヴァーがそういったなか。

「無理よ。あそこは今オリパシーの感染源が出来上がっている。彼女の遺体は回収できない。幸運だったのは最後に兄にちゃんと会えた事ね…美しく死ねなくても。四肢が残って家族と一緒のの状態で死ねたならまだ救われたわ…」

フランカのその言葉に緑谷は理解出来ず。

「助ける方法がきっとあったはずです!」

そう言ってしまった。

「ないのよ!あなた達には理解できないかもしれないけどこれが私達の日常なの。」

フランカが珍しく感情をあらわにしたのを見て

「先を急ごう。どうやら天災が迫ってるようだここで連絡をする手筈だったがそんな流暢な事はできそうにない。マップは正常に動くようになった。先を急ごう。」

シュバルツがそう遮りこの街を後にした。

ヒーロー達はこの世界のあまりの悲惨さに惨さにただただ唖然とするだけだった、




コラボに似せました


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別れ道

荒野をひたすら歩く。

ヒーロー達の顔は精神的疲労で酷く疲れ切っていた。

「フランカさん。天災ってなんですか?」

緑谷がそう恐る恐る聞く。

「天災は文字通り自然災害よだけど同時に山に等しいほどの源石が残されている事もある。それがあるから感染者になるリスクもあり天災トランスポーターの警告があったらその場を離れなければ命を落とすだけでなく大きな感染源にもなってしまうの」

感染源…その言葉を聞き緑谷はまた顔を伏せた。

(ここにいる人はそんな危険と隣り合わせの世界で生きているのか…)

この時の緑谷はまだ自分の価値観で物事を考えていた。それは決して正しくは無い。この世界に悪意は、緑谷達の世界とは全くの別物でありその事実にすぐに緑谷は、直面する。

「所であなた達のその力は?」

エンデヴァーは、先程の戦いの最中見せた力を聞いた。

「これはアーツよ。オリジニウムを使って力を行使するの。」

「オリパシー?それは先程の…」

エンデヴァーは口を濁しながら聞く。

「えぇそうよ。これはアーツを制御して使えるように武器などに埋め込んだもの。感染者はこのアーツ操作に長けているの。」

「アーツ操作に長けている?感染者は何かそう言う特別な力があるのですか?」

エンデヴァーが疑問をそうなげかける。

「えぇ、アーツは本来オリジニウムから作られるから普通の状態じゃ使えない。でもそれを武器などの形にして使うそーすることで使えるようになるんだけど感染者は違う。体内にあるオリジニウムを使ってアーツを自分の体から使える。」

「武器などを使わないで…」

「えぇ。」

フランカがそう言い

「だが諸刃の剣だ。1度の使用でオリジニウムは体を一気に侵食していく。戦い続ければその先に待っているのは死でしかない。」

エンデヴァーは少し考え

「オリジニウムを使わない選択肢は取れないのか?」

「無理なのよ…」

「無理?」

話を聞いてたお茶子が聞き返す。

「オリジニウムはその無限に近い発電力。軍事力がとても魅力的に映るのよ。使っても減らない。どころか無限に近いからあらゆる製品あらゆる都市のエネルギーとなっている。オリジニウムを使わなければ私達の生活は保たれない。かと言ってオリジニウムを掘るのも人間などの貧民層など。その上彼らはむさ別に感染源になる。だから接触感染なんてしないのに不安を煽り感染者を迫害する。死体の処理などでコストを裂かないために。」

「…」

絶句。自分達の世界でも政治を気に入らないなど害悪政策などと揶揄されることはあるがここまでのものはなかった。

「詰まるところ。誰もこの地では余裕が無いのよ。目を逸らしてできるだけ足掻く。せめて綺麗に死にたいから…」

その言葉はオールマイトを見てきたヒーロー科の全員にあまりに重くのしかかる。

「さてとそろそろ…!」

上からいきなり轟音がした。

「嘘!?」

「ウルサスの監査員ここまでやるのか?!」

「みんな急いで隠れて!」

フランカが急いで隠れるように支持する。

それと同時にざっと100を超える兵士が地上に着地する。

「あの村にそんなに何か重要なものでも…」

シュバルツがフランカに確認をとる。

「いいみんなここから彼らに見つかれば確実にみんな死ぬ。絶対に見つかっちゃダメよ。」

そう釘を差しバレないように岩陰などをつたい急いでその場を離れようとするが。

「…?!」

緑谷のいた岩が崩れ始める。

「デクくん!」

お茶子が緑谷の方に行こうとするがフランカが制しする。

「ダメまだバレてない。ここで彼を助けたらみんな全滅。彼の強さは知ってる。彼が1人で事なきを終えるの祈るしかないわ。」

「でも!」

そう言い今にも飛び出しそうなお茶子をシュバルツが手刀で気絶させる、

「先を急ごう。」

 

 

 

 

 

緑谷サイド

みんなとはぐれて1時間ぐらい市民たちが暴動を起こしている場所まで歩いてたどり着いた。

歩いているうちに他のみんなと連絡を取ろうとしたが上手く取れず、とりあえず当初の目的のロドスと呼ばれる組織を目指すことにした。

その途中

1人の男が足の動かなくなった女にトドメを刺そうとしていた。

「や、やめろ!人の命をなんだと思ってるんだ!」

その一言に男は怒りの形相で緑谷を睨んだ。

「こんな世界でヒーロー気取りか、俺はこいつらに家も家族も…娘も全部奪われた!」

緑谷出久はその怒声にたじろぐ。そして男はそのまま続ける。

「挙句の果てに周りは俺が感染者になった瞬間に迫害を始め、俺は娘の亡骸を土に返してやることも出来なかった。」

男の叫びは自身に対する怒りでもあった。

「だから!」

「まて!」

次の瞬間男は女の胸元を刺し、殺した。

「俺は俺のような人間を減らすために戦っている。」

緑谷出久は急いで、女の元へ駆けつけ抱き抱える。

「でもこの人は貴方に直接なにかした訳ではないじゃないか!」

「なら!ヒーロー気取りの少年、俺たちはどうやって生きればよかった!どうやって家族を守ればよかった!どうやって自分を守ればよかった!上辺の正義感で何が出来る何が為せる!」

「話し合えばきっっ「少年…」」

いきなり声がすると思ったら背の高い腰に日本刀のように長い剣を携えた50ぐらいの男性が立っていた。

「お…お前はヘラグだと…っく」

男はヘラグと呼ばれた男性を見るとそのまま一目散に逃げ出した。

「少年…君がドクターの言っていた子だね…私について来てくれ…抵抗はしないでくれ何をしてもいいから連れてこいと言うのがドクターの命令だからな。」

 

第零章 に続く

 

次章 阿爺下頷ーあやあがんー




ミスってましたごめんなさいm(._.)m


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第一章 阿爺下頷
痛苦


「緑谷…今ここから立ち去るのであるなら命は見逃す。帰れ。」

叶夢はゆっくりとそして冷徹に緑谷にそう告げる。

「壊理ちゃんを返して。叶夢さん。」

緑谷は恐怖で少し固まった口を無理やり動かして叶夢に懇願する。

「なぜ?」

その言葉に緑谷は少し怒ったような顔をして。

「死穢八斎會を全員殺して挙句少女1人を誘拐するなんてあっていいわけないだろ!」

緑谷は叶夢に向かって怒鳴るように言う。

「緑谷私の答えは変わらない。帰れでなければ、お前も仲間も家族も全員殺すぞ。」

叶夢は私は本気だと言わんばかり表情で緑谷を真っ直ぐ見つめる。

「っ…!なんで?…なんで叶夢さんは道を踏み外したんだ?」

緑谷は泣きそうな顔で叶夢に問いかける。

「踏み外す?何を言ってる。私は何一つ変わらない。」

「そんなこと無かった!叶夢さんは確かにヒーローだった。怪我している子供をほっとけなくて、泣いてる子がいたら一緒に向き合ってあげられる。そんな優しいヒーローだったじゃないか。」

緑谷の訴えに隣にいたアーミヤは少しため息をつき。

「まさかここまでとは…」

呆れがこもった声で緑谷を見てまた興味無さげにドクターの方をむく。

「緑谷、お前が何を言おうと、彼女を返す訳には行かない。」

叶夢は緑谷に向かってそう淡々と告げる。さらに続けるように

「それに私が彼女を保護してなんの問題がある?」

叶夢はため息をつきながらそう言う。

「壊理ちゃんはヒーローで保護するべきだ。そうすれば個性の扱い方を学べる。」

緑谷の言った事に話すことがないと思ったのか叶夢は席を立つ。

「緑谷…そんなに彼女を取り戻したいなら、取引しろ。お前たちが私たちの望むもの、それと同等と思われる者を提供できるなら考えなくもない。」

「人は道具じゃない!」

「そう言う事を言ってる訳では無いんだが…ケルシー後は頼む。私にはあれの相手は少々不得意だ。」

そう言って叶夢ケルシーの肩を叩き部屋を後にする。その後を追うようにアーミヤも部屋を立ち去る。

「これは温情だ。緑谷出久。ドクター自身は壊理と同等もしくはそれ以上の存在をこちら側に提供してくれるのであれば交渉の席に座るのはやぶさかではない。そう言っている。今回の件は君一人の独断では難しいだろう。今から4日後に私とアーミヤを含む者で交渉談を行う。そこに君といずれかの決定権を持つものと一緒に来てくれ。話はまたその時にしよう。ひとまず今日はお帰り願いたい。」

ケルシーの淡々とした事務的な内容に緑谷は少したじろぎ再度言葉を発する。

「壊理ちゃんの為にここで引く訳には行かないんだ。」

「そこは引くべきだと私は思う。」

ケルシーは冷静に緑谷に言う。そしてひとつため息をつき、

「どうやら私達は根本的に君達を好きにはなれそうにない。」

「それがなんだって」

緑谷はケルシーを睨む。

「君達の考えで壊理はほんとに幸せになるのか確実に?」

「何を言って?」

「そもそも保護する者が変わっただけだ。そこにヒーローも我々ロドスも関係ない。当然私たちには彼女の持つ力に注視した点がある。それは認めよう。だが我々ロドスはあくまで製薬会社。医療関係を生業にする職業。彼女自信が幸福でなければそもそも我々の存在意義と根本から相違してしまう。そこを留意すれば君達と私達どちらが保護しようと大きな変化はない。」

「死穢八斎會を皆殺しにしてはいそうですかと納得出来ると思ってるのか?」

緑谷はケルシーの圧に押されながらも反論する。

「納得も何も事実だ。そもそも君達の方が私としては信用出来ない特に君やオールマイトは…」

その言葉に緑谷は後ろにたじろぐ

「ヒーローとは正義を実行するものと言っていたな。では親を目の前で殺され。そしてその殺した犯人はその場から消え失せる。ある日その犯人は捕まり。刑期を全うしても反省の色はなく釈放。そして目の前には親を殺された子供がいる。この時人間としての正義はなんだ?」

「それは…」

緑谷はさらに後ろに後退る、

「これ以上自分のような存在を増やさない為に殺すことが正しいのか?それとも自分は復讐せずにまた新たな犠牲者を増やすのが正しいのか?」

「そんなの極論だ。」

緑谷の言葉にケルシーは耳をピクっとさせ

「そうか?だがありえない話ではない。君達の言う正義はカウンターだ。物事が起きた後に動く事を前提としている。それで犠牲者は減るか?もし何か起こる前に行動するのならそれはヴィランと何か違うのか?罪を犯すかもしれないとその人間を捕まえるもしくは殺害する事は、果たして正義なのか?そんな事も考えたことがないのか?…だんまりか…緑谷…君達の正義は多数で作った民意と言う多数決の正義だ。君達は都合の悪い者を悪として罰する。故に君たちは自分を正義の味方のように演出しているが、君達のそれはあくまで独善的な行動の集大成であり。一種の自慰行為だ。」

緑谷は苦虫を噛んだように唇をかみ

「ヘラグが言っていなかったか?お前達の正義は我々の知る正義では無い。そもそも我々は正義などそんなもの存在しているのか分からない。だから足掻くしかないんだ。」

そう言ってケルシーは、緑谷にメモが書かれた紙を胸に投げつけてそのままクロージャの開発した手榴弾型強制転移装置を緑谷に投げつけてこの場から強制退去させた。

 

 

 

「正義か…私達の行き着く先は一体どこなんだろうか…君は答えを見つけたのか…テレジア…」

 

 

 

ケルシーの、そんな泣きそうな声は決っして誰にも聞かれることは無かった。



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蠢事

「痛っ!」

緑谷は森の中に追い出された。

「ここは…」

「起きたか緑谷…」

そこには轟と他にも一緒に叶夢を追いかけたヒーロー達全員がいた。

「みんなどうして?」

緑谷は疑問をそのまま口にする。

「俺達は帰された。フランカは、ロドスと呼ばれる組織の協力者だった。ロドスとの通信が出来るようになり私達を元の世界に戻すように命令された。」

エンデヴァーがそう経緯を説明する。

「そんな…フランカさん達もヴィランなのか…」

緑谷のその発言にクラスもそしてヒーローも口を閉じる。

「俺達にはロドスと言うのはヴィラン連合と何も変わらない。だが、あんな世界にいて正しく生きろと言うのも酷な事なのかもしれない…」

エンデヴァーはそうつぶやく。

「だからって人を殺していい理由には…」

緑谷は一向に納得のできない様子で表情を曇らせる。

「緑谷はどうやって帰ってきた?」

轟が再度緑谷に聞く。

「僕は叶夢さんに会って帰された。」

その発言にクラスはざわつきどうだったかを問う。

「叶夢さんは、僕たちのしる叶夢さんとは違かった。どこか寂しくでもオール・フォー・ワンにも似た恐ろしさを感じた。」

その発言に実際にオール・フォー・ワンを目にした者は顔が青くなる。

つまりそれだけ恐怖したという事だ。クラスメイトに。

「それとえりちゃんを返して欲しければ交渉しろとこの紙を渡されました。」

そう言って緑谷はエンデヴァーに紙を見せる。

「なるほど…わかった。とりあえず今日は全員雄英に戻りなさい。私はこの交渉の手筈を整える。」

そう言い各々雄英に戻って行った。

 

ロドス

「ドクター。」

アーミヤがドクターに話しかける。その表情は少し不安を織り交ぜながら。

「どうした?アーミヤ。」

「ドクターは、あちらの世界の方に残って行った方が良かったのでは無いですか?」

アーミヤのその発言は明確に自分達とは違う環境安全な世界にいる事でドクターが人間らしい生活が幸せになれる可能性があるのではと言う1種の迷いから出た発言だった。

「私はあの世界とこの世界どちらをとる。と言われれば迷わずこちらをとる。」

「ドクター…」

「私にとってアーミヤにケルシー。ロスモンティスにブレイズ。他にも多くのオペレーター多くの協力者その全てが私の守りたいものだ。」

ドクターはそう諭すようにアーミヤに言う。

「ですが私達があなたを縛り付けている。そう感じてしまうのです。それに、ドクターも彼らの事は嫌いではなかったのでしょ?」

アーミヤはそう聞いてくる。

「アーミヤ…私達は同じ信念の元集まった。命を預けた。何年も私が記憶を消す前からなら。記憶が消えてもこの体はやるべき事を覚えていた。」

ドクターはアーミヤの頭に手を置き撫でる。

「私にとってアーミヤより緑谷達とはならない。私は緑谷が死ぬ事よりアーミヤ君が死ぬ事の方が恐ろしい。」

「ドクター…」

アーミヤは少し顔を曇らせながら笑う。

「すみません困らせてしまいましたね。この書類片付けできますね。」

そう言いながらアーミヤは小さな体を揺らしながら小走りで書類を置きに行った。

「ドクター少しいいか。」

アーミヤとの入れ替わりでケルシーが入ってくる。

「今回の交渉にて我々はヴィラン連合の情報を提供しようと考えている。」

ケルシーが紙束を叩いてドクターに言う。

「それがいいだろう。」

「今回の死穢八斎會の壊滅は我々の理を目的として向こうの世界の状況を考慮していない。我々の行為は所謂侵略行為と言っても間違いではないだろ。ただ我々には我々のやるべき事がある。向こうの世界への侵略行為と言われても今回の作戦は行うべきだった。だからそこに君が罪悪感を覚える必要は無い。いや君ならそんなこと思いもしないか。ただ向こうからすれば理解できないだろう。であるなら彼ら死穢八斎會がどんなに努力しようと彼らヒーローがどれだけ調査しようと手に入らないものを土産に今回の事は諦めて貰おう。」

ケルシーのその発言に少しドクターが考え込み。

「それであいつらは納得するのだろうか…」

顔を伏せながらつぶやく

「納得も何もしてもらわなければ我々と彼らヒーローでの全面戦争になりかねない。そもそもドクター1人に遅れを取り。さらに誘拐まがいの救出を止めることの出来なかった彼らにどうしてそこまで譲歩する必要がある。今回の結果は言うなれば当然の結果だろう。自身が安全な世界にいる事で、自分は大丈夫だとなんの危機感を持たず1人の少女ぐらい救えると驕った彼らにも大きな原因がある。それなのに納得もせず駄々をこねるようであれば見せしめに何人かは死んでもらった方がいいかもしれない。」

「そうだな…私も長くあっちにいたせいか平和ボケしていたみたいだ。」

ドクターはケルシーから書類をもらう。

「ドクター君があっちの世界に行けたのは奇跡だ。今後一生かけても起きないかもしれない。そんな奇跡の中手に入れた希望。これを手放すのは我々にはできない。君も彼女に色々手回ししているのだろ?」

「あぁ…エリには私の指揮、オリパシー研究を助手出来るいや超えるレベルでの教育をするつもりだ。」

そう言いながらドクターはエリの教育プログラムをケルシーに渡す。

「あぁ…これなら問題ないだろう。エリの個性は特別だ。バイタルチェックを定期的にする。その事を考慮してこのスケジュールならば問題ないだろう。さて話を戻すが、ヴィラン連合の情報は今も尚潜入中のプラチナからの情報を元にシュミレーターで演算された情報を元に提供しようと考えている。…アーミヤは、今回の件でかなり精神的負荷がかかっているだろう。君が少しでも和らげてあげてくれ。我々にはもう綺麗事で物事を進められるほど余裕など残っていない。いざと言う時はわかっているなドクター。」

ケルシーのその言葉にドクターはコクと頷く。

そう言ってドクターは席につき1枚の写真を取り出す。

「私は何故迷っているのだろうか…私にとって大切なものそれは嘘偽りなくこのロドスだ。少しでも関わってしまえば愛玩動物程の愛着は湧いてしまうんだろうか…」

そう言いながら写真を見る。そこには雄英体育祭後のクラスの集合写真。

「長くいすぎたのか…正直アイツらが死ぬことに何も感じるところは無い。だがあの世界の平和を見て…そうか…憧れてしまったのか…そうか…」

そう言いながらドクターは写真を火に近づける。

「私が作ればいい…いや私が道をアーミヤが通る道を作り上げる。だから未練タラタラに平和に憧れてはいけない。私は…やるべき事を成す。」

完全に燃え尽きた写真を横目にエリの元へドクターは向かった。

 

 

ヒーローside

「こんなの交渉と言ったただの要求ではないか!」

エンデヴァーの報告を受け公安が怒鳴る。

「我々としての意見は変わらん!エリ少女の身柄の譲渡、並びにヴィラン叶夢零の受け渡しだ!それ以外の案は存在しない!」

そんな風に政府内での会話は続くが、一向に話が進まず結局その場に行くことになった

緑谷

オールマイト

相澤

エンデヴァー

に一任することになった。

(デクをまたあの世界に…確かにあっちの要求ではデクが交渉の席に着くことが条件と書いていた。だがあの世界の基準から考えるにデクは文字通り人質なのだろ…)

エンデヴァーは頭を悩ませた。それはオールマイトも相澤も同義だった。

ただ無情にも日付はすぎあっという間に約束の日となる。

4人は指定された場所で待機している。そして大穴が現れてそこから黄緑を基調とした女が出てくる。

 

 

 

「本日は交渉の席に来て頂き感謝する。これよりロドス館内に案内する。着いてきてくれ。」



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現実

「…」

ケルシーの後ろを歩く4人は終始無言だった。

「席にかけてくれて。」

そう言いながらひとつの部屋に招き飲み物と共に席に着くように促す。

「私はドクターとアーミヤ、クロージャを呼んでくる。少し待っていてくれ。」

そう言いケルシーは緑谷達から離れる。

「…オールマイト」

緑谷は不安な気持ちを押し殺すようにオールマイトの方を見る。

オールマイトは少し額に汗をかきながら待っていた。

 

「お待たせしました。あー。そのままで大丈夫です。」

そう言ったのはまだ緑谷達と年が離れていない1人の少女だった。

「初めましての方の方がおおいですよね。私はこのロドスアイランド製薬会社CEOアーミヤと申します。そしてこちらが医療最高責任者兼ロドス医療プロジェクトリーダーのケルシー先生。全軍指揮系統最高責任者兼神経学者、オリパシー研究の第一人者ドクターZERO。研究開発部門最高責任者クロージャさん。本日の会談はこちら4名が相手をさせていただきます。」

歳の割にあまりにしっかりと喋るアーミヤに驚きつつ相澤が返すように挨拶する。

「私は雄英高校ヒーロー科A組担任兼プロヒーローイレイザーヘッドとして活動しています。こちらは現在No.1ヒーローエンデヴァー。そして元No.1ヒーローオールマイト。雄英高校ヒーロー科1年緑谷です。」

「メンバーの確認は取れましたでは時間もありませんし早速会談と行きましょう。先生よろしいですか?」

そうアーミヤはケルシーを見る。

「あぁ。」

ケルシーはそう言い各々席に着く。

(あれが叶夢少女!?あの異様な殺気はオール・フォー・ワンと同等いやそれ以上にすら感じる。)

オールマイトは自分の前に座るドクターに内心驚きつつケルシーの言葉に耳を傾ける。

「ここからは私が情報の整理。並びに要求そしてそちらの要求のすり合わせを行いたい。ではまず。我々の今回の死穢八斎會襲撃に関しては君達の世界の情勢を考慮していなかった。その点に関してはまず謝罪しよう。」

ケルシーの思いもよらない行動にヒーロー側はたじろぐ。

「ただヒーローエンデヴァー氏が見た通り我々の世界には、余裕が無い。その為我々としてもそうせざるおえなかった。」

ケルシーが淡々とそう言う。

「そう言われてもはいそうですか。と納得できる訳では無いですが?」

相澤がそう言う。

「エリ少女の救出作戦はドクターを通じてこちらも知っています。が、正直に申しますとドクターたった1人に敗れあまつさえ少女の救出に失敗したのはそちらではありませんか?」

「それは、叶夢さんが仲間だと思っていたから!」

緑谷がそう言う。

それに被せるように

「では自分達ヒーローは全員裏切らないそう言った慢心があった。そう解釈しても宜しいと。」

ケルシーは容赦なくそう言う。

「君達の言い分はわかった。確かに我々の怠慢が今回の事態を引き起こした。それは認めざるおえない。だが、それでエリ少女を諦めろとはならない。」

オールマイトがそう言う。

「そうですか。では次にこちらを」

そう言ってケルシーが、ヒーロー達に1枚の紙を渡す。

「これは?」

エンデヴァーがケルシーに聞く。

「これはエリ少女のここ数週間のバイタルチェック情報です。これを見てもらったらわかるように全体の数値は至って健康体そのものまで戻っています。さらにメンタル面のケアが必要だった為アーミヤを初めとするオペレーター各員でメンタル面のケア。そして私を含む医療オペレーターで精神的負荷を、和らげるためのカウンセリングを実施しています。」

その完璧とも言える対応にヒーローは少し戸惑う。

「仮にこれが本物だと仮定して、個性の方はどうする?あの個性はイレイザーヘッドの個性でしか打ち消せないと聞いたが。」

エンデヴァーは、切り口を変えて聞いてくる。

「それは私から説明するよ!」

そう言ってクロージャが紙を渡す。

「これは私とほかのオペレーターと共に開発したAI搭載型の個性抑制マシーン!その名もeri110!これには死穢八斎會から入手したエリちゃんの情報を元に自分の個性にリミットをかけれるようにしたものだよ!私の自信作!さら…「要するに」むー」

ケルシーがクロージャの説明を遮り

「この装置はエリ少女の周りに常に存在し護衛兼個性の抑制を促す物質を放出する。またAIに自動学習させており人間と同等の発言が出来る為相談相手としても機能する。また、エリ少女の個性が制御可能となった時この装置は医療ポッドとなりエリ少女専用の医療オペレーターとなる。」

相澤は、その装置の事が書かれている紙を熟読し、非の打ち所が無いと目を離す。

「では教育面は?失礼ですが、この世界でまともな教育ができるとは思えないのですが」

オールマイトがそう聞く。

「教育についてはドクター」

そう言ってドクターは無言で立ち各々に資料を配る。ドクターが動いたことによりヒーローは、少したじろぐが大人しくその紙に目を通す。

「それは今現在のエリの成績君達の世界基準に合わせた。」

それを見てヒーローは黙る。

「いずれも君達の世界水準を大きく超えている。本人が努力家というのもあるだろう。数年待てば私を超える学力ぐらいは手に入る。」

(叶夢を超える…)

相澤は、叶夢の頭の良さをよく知っている。それを踏まえて超えるそう言われれば何も言葉を紡げない。

「あなた方ヒーローはやり方に疑問があるのだと思います。ですが、保護したという点を見れば私達は貴方方を超える教育と医療設備を準備できます。こんな世界ですが、技術の発展はあなた方より進んでいます。これでも納得できませんか?」

ケルシーは畳み掛けるようにヒーローに問う。

「この世界にいたら何時命の危険があるかわかったもんじゃない。例えどれだけの設備があろうと日常的に人を殺し殺される環境で育てるのは間違っている!」

緑谷はそう言い途端にアーミヤの顔が怖くなる。

「それは私達への存在否定ですか?」

アーミヤは静かに怒りを露わにして緑谷に問いかける。

「ちが…」

緑谷は直ぐに否定しようとする。

「何が違うんですか?私達の信念は昔から変わっていません。この台地を少しでもマシなものにしたい。誰もが安心して過ごせる世界にしたい。それを願って…いえ果たすために戦っています。私だって手を汚さず救えるならとっくに救ってます。でもそれが出来ない。深く深く根付いたこの因縁は簡単には断ち切れない。けどやらなければ、やり遂げなければいけないんです。だって他にやれる人はもう…いないんですから…」

アーミヤの悲痛の叫びを聞き緑谷は動揺する。今までの自分の信じたヒーローとあまりにかけ離れている。ヒーローは常に笑顔でみんなの希望にならなければいけない。

それがヒーローのあり方。だけど今目の前にいる彼女は苦しそうにもがく怒りを露わにしてまるで悲鳴を上げながら誰かを助けている。ヒーローとは言えない。誰かを助けるのに自分が辛そうにしては、皆が不安がってしまうから。それなのに言ってることはヒーローのそれに近い。誰かを救うその点は合致している。緑谷は、あまりに違う考え方のアーミヤを理解できなかった。でもその悲痛な叫びは死柄木弔にも似た助けなければと言う緑谷の正義感を煽った。

「すまない。君達の世界の事を軽率に考えていた。だが、緑谷の意見は最もだと考える。いつ死ぬか分からない。こんな状況で1人の少女の安全をしっかり守れると言えるのか?」

エンデヴァーがそう詰寄る。

「絶対の保証はできません。ですがそちらの世界でも保証ができるのですか?」

「少なくともここよりは、できると踏んでいます。」

相澤がそう答える。

「そうですか…ですが私独自の調べによるとヒーローオールマイトが、引退したことにより暴動の数が増えている。そして、ヴィラン連合などと言う組織が着実に力をつけています。私の予測だとあと4ヶ月もしないうちにあなたの国の軍事力を遥かに上回る戦力となるでしょう。それを踏まえてもう一度聞きます。安全が保証できるのですか?」

ケルシーが語気を強くしてヒーロー達に詰め寄る。

「私達、ヒーローは難関な競走の果てに生まれた。その為今では多くのヒーローが優秀な戦力としている。この状況下で、ヴィラン連合に遅れを取ることはないはずです。」

オールマイトがそう答える。

「(ウルサススラング)まるで話になりません。オールマイト。それは貴方を基準として考えた時でしょう。今現在のヒーロー社会はあくまで俳優や芸人の風潮が強い。そんなものは直ぐに音を出して崩れ去りますよ。ですが我々には関係の無い事です。こんな話をしていても不毛。本当は使わずに済むならそれでいいと思っていましたが…」

そう言ってケルシーは紙束をすっと差し出す。ヒーローがそれに手をかけようとした瞬間すっと紙を引く。

「これはヴィラン連合の内部事情。死柄木弔の個性の詳細。今現在のヴィラン連合協力組織。オールフォーワンの個性ストックの限界値。そしてヒーロー側の裏切り者。その情報の全容です。」

ケルシーの言葉に一同が驚く。ヴィラン連合の情報を持っている。その事実でも驚きなのにヒーロー側の裏切り者まで特定しているという始末。

「どうやってそれを…」

オールマイトがそう聞く。

「企業秘密だ。君達の選択肢はこのヴィラン連合の情報を手土産にエリ少女を諦めるか。私達ロドスとヒーロー側の戦争をするか。我々にはさっきも言ったように余裕が無い。必要とあれば禁忌に手を染める事だってある。さぁどうする。」

ヒーローはその情報を手に入れれば明らかに戦況が楽になり多くの市民ヒーローを救える。だがその犠牲は1人の少女。手に届く全てを守ろうとするヒーローにはあまりに難しい選択肢。

「少し時間を頂きたい。近いうちに答えは出すつもりです。」

相澤がそう言い放ちほかのヒーローもその意見に賛同する。

「あまりに時間はかけないで欲しい。少なくとも3日以内に答えをくれ。」

そう言ってケルシーとアーミヤ、クロージャは席を立つ。

「ケルシーはあー言っているが、私はお前たちの事なんてどうでもいい。あの条件は君達に対するケルシーなりの優しさだ。だが、契約が成立しなければ君達に手を出さないという事も、エリを返すということも何もかもが最初からなかったことになる。つまりその間に状況が変われば君達を殺す選択は何時でも取れる。だから死にたくなければ早く答えを出すことだ。」

そう言ってドクターは、席を立つ。

「待ってくれ叶夢少女!」

オールマイトはそう引き止める。

「君にとってA組のみんなは何ともない相手だったのかい?」

その言葉にドクターは、少し戸惑い。

「愛着はある。が、守るべきものはとうの昔に決めた。はず。私は私の責任を最後まで貫く。でなければ円満な解決は一生訪れない。」

そう吐き捨てて、外にいたモブオペレーターに帰還させるようにと答えが決まった時用の連絡ツールを渡し案内するように言った。

「では、ご帰還の準備をしますので少々この部屋でお待ちください。」

モブオペレーターがそう言い10分で準備は終わり元の世界に帰還した。

ヒーローは、何の成果もなしにこの地に戻ってきた。



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変化

あけましておめでとうございます。
今年中に完結はするのでゆくっりまったり待ってください。


 

「あれ?」

クロージャは、さっきの会談で使った資料を見て何か1つ足りないような気がした。

「確か他にもうひとつ小包の付いてた資料があったはずだけど…あれー?」

頭をわしゃわしゃしながら再度重要資料を見直す。

「いや特に重要資料のファイル数に誤りはない…えー?気のせいかなー」

クロージャは、あれーと頭を書きながら個性の取り出し装置の作成の為の実験に戻った。

 

「ん?これは、ドクターが持ち出したのか…いやクロージャか?まぁ、特段重要資料では無いが、見ていて気持ちいいものでは無いだろう。処分するつもりだったしクロージャに後で言っておくか…」

ケルシーはそう言いながらドクターに関する資料が保管されているファイル項目からその消えたファイルを削除した。

 

ヒーロー達が去った後の森の入口

「はぁ…どーする…このままじゃ俺は借金でヤクザに殺されちまう…」

そう呟きながら足元に転がっている資料に目がいく。

「なんだこれ?ドクターZEROに関する情報?」

見たことの無い文字の上にふりがなが平仮名で書かれていた。

「ドクターZEROってあのヴィランの…もしかしてこの情報を報道達に売れば借金が返済できるんじゃないか?…アハハ!俺は付いてるぜ!」

そう言いながら男は資料と中に入っていたデバイスを手にテレビ局に向かった。

 

ヒーローside

 

「どうするべきだと考えますか?」

相澤は、この場にいる、フォークス、エンデヴァー、オールマイト、根津、プレゼントマイクの6人。

政府への報告を済ませたがそれでも自分達の行動を考えなければならなかった。

「私が見た世界は地獄だった。正直に言えばあの世界で生命体が生きるのはあまりに酷だ。」

エンデヴァーは、そう答える。

「エンデヴァーさんが言うのも分かります。ですが、1人のヴィランに遅れをとった。この事実はヒーローサイドにあってはならない失態になってしまいます。」

ホークスがそう政府的にもヒーロー的にもあってはならないと言う。

この会議は夜通し続いたがなかなか答えが見つけられなかった。

 

A組サイド

いつも通りの朝。

居間のテレビをつけて朝のニュースを流す。

「続いて我々が独自のルートにより手に入れた。最悪のヴィラン。ドクターZEROの資料をご覧に頂きたいと思います。」

そのテレビの発言にA組の生徒は全員釘つけになる。

「叶夢さんの資料?」

緑谷がそうつぶやきテレビの音量をあげる。

「何言ってんだ…だって叶夢は…」

切島がそう言いテレビの方に気を取られる。

そして放送が切り替わる。

さっきまでアナウンサーがいた場所には白とピンクが特徴的な角の生えた1人の女性が座っていた。

 

「本当にいいの?ドクター」

そう女は語りかける。

「私に何か会った時これを見れば何をやるべきなのかちゃんと思い出せる。だから頼む。テレジア。」

テレジアと呼ばれた女は少し俯きながら。

「確かにこのアーツを使えばあなたの記憶をこのデバイスに保存出来る。でもその為にはもう一度貴方はその記憶を追体験するのよ。それでもいいの…」

テレジアは、再度確認をとる。

「構わない。これが私の選択した現実なんだから。」

ドクターはそう言い。

さっきまでとは画面が変わり少し俯瞰視点になり1人の少女にカメラワークが当たっているようなカットになった。

 

 

 

そしてこの日全ての人類が見ることになる。あまりに惨いヴィランの誕生を…



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地獄

 

「はぁ…はぁ…頑張ってーーもう少しで国境を越えられる。」

私の手を引く女は一生懸命に追ってから逃げる。

「お父さん追ってはどのくらい来てる?の、」

お父さんと呼ばれた男は息をゼーハーしながらざっと10人程度と言っていた。

「急がないとこの子だけでも守らないと。」

女がそう言うと手の甲にある石が肥大化した。

「っ!」

女は痛みに耐えながら、手を追ってに向けて

「少しでも時間を稼ぐ!」

すると巨大な土が追ってに命中して何人かはその場で埋もれて動かなくなった。

ただひたすら走り、追っ手から逃げる。

「あっ…」

ひょんな事から私はつまづきその場に倒れ込む。

「ーー!」

私の名前を呼ぶ女。

追っ手は直ぐに私に近づき掴みかかろうとする。

「その子に触らないで!!!」

女は追ってに大きな土で腹を貫く。

追っ手が怯んでいる間に男は私を抱き抱え走り出そうとする。

「すまない…ーーすまない…」

男は女の名前を呟きながら決して振り返らずに走る。

「いぎゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃやゃゃゃゃゃやゃゃゃゃや!!!!」

肩に乗ってる状態で私は女の姿を見る。

手の甲にあった石は全身に広がり痛みからなのか悶絶しており、追っ手達が手や足を鉄の棒で叩きその四肢は本来の方向とは真逆に曲がっており男の1人が女の髪を掴み引きずる形で車の中に放り込んだ。

「見るなーー!逃げるんだ!振り返ってはダメだ!」

男は自分に言い聞かせるように私に言い聞かせた。

 

どのくらい逃げたのだろうか。荒野を逃げ血と怒号で埋め尽くされた街を抜けてひたすら逃げる。

「お父さん…どこまで…逃げれば…終わるの…?」

私の言葉に男は泣きそうな顔で

「すまない…すまない…」

その顔には疲れがみてとれて、目の下に大きなくま女がいなくなってから4日間まるで寝ないで私を守り続けていた。

そんな中体力の限界を感じとうとう2人で街の裏路地で倒れ込んでしまった。

 

気がつけば鉄格子の中に私は腕を拘束された状態で捕まっていた。

 

「なんだガキようやく目が覚めたか!」

人相の悪い男が私に向かってそう行ってくる。

「ったく、面倒かけさせるな…!あのバカ夫婦も全然口を割らなかったがお前のそれを見たら潔くゲロってくれた。まだ全部ではねーだろうが、それまでは死んでくれるなよ。お前の命は世界の発展のために必要なことなんだよ。」

そうゲラゲラ笑って次はどこにしようかと私の体を見ながら刃物をカチカチ言わせる。

私は男の言っていたそれが気になった。

「それって…なに?」

「あぁ?なんだ気づいてねーのかよほら見てみろよ自分の足」

私は視線を下に向ける。

 

足がなくなっていた。

刃物で少し切り傷を入れたあと切るのではなくちぎったような形で私の両足は無くなった。

 

私は何がなんだか分からなかった。

「お前の両親はせっかく見つけた人類史上初の使ってもほとんど無くならないオリジニウムっていう物質を見つけた。だがそれをお前の両親は隠蔽。その恩恵を2人で独占しようとした。残念だったなもうお前に人権なんてもんは存在しない。お前たちを捕まえて情報を出すだけ出させろというのは各国のお偉いさん達の命令なんだよ!」

男はけたけた笑い私に刃物を突きつける。

「まぁ、だからお前たちは絶対に助からない。今お前の存在は悪そのものなんだ!だから死ぬまで俺たちのおもちゃでいてくれよ?なぁー」

男は気持ち悪い笑みを浮かべ息を荒らげてニタニタしていた。

 

私はその日男複数に自身の体を弄ばれた。

まだ齢9歳にして男たちの欲望の捌け口にされた。

私はただ泣きながら来もしない助けを求めることしか出来なかった。

ただこんなものは始まりでしかなかった。

 

地獄の始まりでしかなかった。



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地獄と安らぎ

このアーツでドクターの心の声も入っています。ドクターの完全追体験で考え方も声として入ってきます。


私は、両親の情報を吐かせるための道具として生かされていた。勿論その道具の意味とはまた違う意味での道具としても私は利用されて私の感覚も感情次第に薄れていた。

「全く右手を切って見せつけても発狂するだけで何も吐きやしない。ったく!これもお前が使えない無能だからだ!」

そう言いながら男は私の顔面を殴る。そして殴るのに飽きたあと私の手足のあった切り口にナイフとタバコを押し付ける。痛覚がほとんどなくなったがそれでも微かに痛みが走る。

「痛い。痛いよ…やめて…お願い…」

私は大袈裟にそういう。この男が喜ぶように痛がればご飯が貰える。それでも排泄物と男の白い白濁液によってぐちゃぐちゃに混ぜられたご飯だがそれでも何も食べれないよりマシだった。

しばらくして自分と同じぐらいの女の子が同じ独房に入ってきた。

男たちによるとこの女の子は私の父と母の研究室の助手の子供らしい。この子は自分の体にオリジニウムと呼ばれる鉱石を埋め込んでいるらしく、男達はそれをどうやって行うのかを知りたいらしい。同じ状態の母から聞きたいらしいが口を割らないらしい。その為尋問用の人間兼実験体としてこの場所に連れてこられたらしい。

「あなた名前なんて言うの?」

女の子は、私にそう聞く。

「名前…私の名前ってなんだっけ?」

両親につけてもらったはずの名前を私は忘れてしまっていた。

「自分の名前が分からないの?」

女の子は、折れた足を引きずりながら私に近づく。

「じゃー私が付けてあげる!私とあなたでここから出るの!一緒に!」

そんなふうに女の子が私の頬を撫でる。

人に撫でられたのどのくらい前だろう。最後に撫でてくれたのは父だった。私はその撫でられた感覚も微かにしか感じれず悲しくなり涙が流れてしまう。

「えー泣くほど嬉しかったの?!」

こんな状況なのに明るく私に話しかける。

「えーあーうん!決まった!」

女の子は自信満々に言う。

 

 「貴方は叶夢 零!叶芽 零よ!」

 

そう名付けられ私は首を傾げる、

 

「変な名前だな…なんで2つも名前があるんだ?」

私たちの地域には名前は1つしかなかった。

「どこかの地方の昔の話らしいだけど名前の他に姓を付ける場所があったんだって。」

「姓?」

「そう。ファミリーネームみたいなの!」

「へー」

女の子はそう言いながら続ける。

「昔の読み方でレ点?とか二点読みみたいなのもあって貴方の名前をそれで読むとね」

そう言いながら紙に名前を書く。

「零から夢を叶えるってなるの。素敵じゃない!」

女の子は、そうはしゃぐ。

「じゃー君の名前はなんて言うんだ…?」

私の問に少し戸惑い

「私お母さんもお父さんも…みんな死んじゃった。私の知ってる人みんな死んじゃったの。それで私ここに連れてこられて足をおられて怖くて…でもこの独房に連れてこられて貴方とあの男のやり取りを聞いていて見て思ったの。貴方がとても強いんだって。」

女の子が言ったことに私は理解できなかった。

「私が?」

「ええ。あなたの目は獲物を狙う獣の目だった。だから貴方と一緒ならこんな場所抜け出せると思ったの…話がそれちゃったけど私の名前…お父さん達がくれた名前があったよ…でも私は貴方と一緒にここから出たい。貴方と一緒にこの夢を叶えたい。だから…私と家族になって欲しいの。私の姓を貴方と一緒にして一緒にここから抜け出そう?」

女の子はさっきの余裕の表情ではなく。苦しみから来る焦りに、依存先を探す狂気じみた目をしていた。私は女の子の言葉に頷くしか無かった。それ程に狂気に満ちていた。

「ええだから私は叶夢一」

一は、そう言う。

「零から夢を叶え、一を作って夢を叶える。良いと思わない?」

「そうだね…」

私はそう一に言う。

それから私達はお互いについて話していた。

こんな地獄のような環境でできたまともな会話ができるたった1人の友人だった。




そろそろ伏線が回収されていきます


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地獄に地獄を

胸糞注意。


キュィーヒューキュィーヒュー

「はぁーはぁー…」

私は空腹と強烈な目眩で意識を保つのがやっとだった。

「はじ…め…」

それはココ最近会えていない唯一心を許せる友人であり目の前のその背中に手を伸ばすがその手は霞を切るかのように消えてなくなった。

(とうとう幻覚まで見えるようになってきたか…アハハ)

私は度重なる薬物投与と拷問によって脳自体にダメージを受けた。さらにそこに最近の食事が一切出されていない現状も加わりその症状は一気に進む。

「おい!起きろこのうすのろ!」

そう言って男が私の腹を蹴る。

その表情は何故か焦りと苛立ちがあった。

「ったく…あいつら揃いも揃って!」

男は私を踏んづけ蹴り続ける。

最早痛みなんて感じない。あるのは視界が揺れる気持ち悪さだけ。

「っ…ぁ…」

何か声に出そうとしても牢屋の隙間から出てる雨雫だけで唇を濡らした程度の今の現状では声を出すことは出来なかった。

「…?あぁ…お前がいるか…死んでも何にも問題のないやつが…」

そう言いながら男はニヤニヤと私の髪を持ち顔面を殴る。

「そう言えばを飯をやってなかったな…今日はくれてやるよ!」

そう言いながら私を壁に向かって投げた。

「お前が自分で食べるんだぞ…」

そう言い。薄気味の悪い笑みを浮かべて牢屋を出る。

(何故かは分からないけどやっと何か食べれる。)

少し時間が経ち男は私の前にご飯を持ってきた。

「好きに食べろ?」

そう言って私の前に2つの皿を出す。

私は空腹と薬物で視界が定まらない中匂いで食材の場所を探す。

口にネトャっとした感触を感じたまらずそれにかぶりつく。

そしてひとしきり噛み飲み込んだ。

「ップ…アハハ!!!!」

男が大爆笑しながら私を見ている。

「お前っ!っふ…ほんとに食いやがったてんっふふ!。」

男の言っていることが理解出来ず私は自分の食べた食材に目をやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこにあったのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭を上半分で切り落とされた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の父と母だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っあははは!お前自分の両親食べるのか!アハハ!空腹だからって…ププっアハハ!使えない両親も一瞬の娯楽には才能があったんだな!」

男は不愉快に笑う。

私は理解出来ずその両親だったものに目をやる。

目玉が飛出て鼻が潰れている。

額には私の食べた痕跡。

「おいガキお前に今度からはちゃんと飯を作ってやるこいつらの肉からな!餓死したくないなら俺の言った通りオリジニウムについて研究しろ。拒否したら次はお前の大好きな向こうのガキにお前の肉を食わせるからな。ッハハハ!」

男は愉快そうに笑う。

私は呆然と自分の両親の頭部を見ることしか出来なかった。





緑谷救えるもんなら救って見せろよヒーローだろ?
あと2話ぐらいで過去話は終わります。


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地獄を創る者

 

あの日私は両親を殺した。

 

自分が生きるために。

 

男の言う通り研究に必要な知識を蓄えた。

 

そしてオリジニウムの研究も進めた。

 

その中でオリジニウムを体内に入れる事でアーツと呼ばれる特殊技術が扱えることがわかった。

 

それが母が使っていた特殊能力のようなものだった。

 

そしてその実験台にされたのは一だった。

 

しばらくして一は、アーツを使えるようになった。

 

実験中に一は突如苦しみ出した。

 

母と一緒いや、母より酷いその状態にオリジニウムには副作用があると確信した。

 

ある日実験体1号のネズミが死んだ。

 

完全に隔離していた為被害はなかったがその体は爆発し周りに鉱石をばらまいた。

 

そして確信した。

 

これは全てオリジニウムが起こしていると。

 

その後オリジニウムの促進剤を打ったネズミを実験体にオリジニウムを体内に侵入させる。

 

結果は、全て死亡。

 

 

 

(あぁ…母と父が頑なにこの原石の事を隠した意味がようやくわかった。これは…死の原石。致死率100%の感染症を起こす。悪魔の原石。)

 

 

私はそう結論づけた。

 

(なら、一はどうなる。この研究の実験体にされ。しかももう絶対に死ぬ事が確定している…)

 

私はたった1人の友人の最後を悟ってしまう。

どうにかしなければ。

私にとっての最後の希望は一だけ。あの子が死ぬことだけはあってはならない。

私は焦りと共に実験の最中に片手間でオリジニウムの抗体薬を作り始める。

男に報告する1部内容を改竄し私だけが見れるように改造した記憶デバイスに暗号として今回の発見を保存する。そのファイルの名はオリパシー。

私が名ずけたこの感染症の名前。

 

 

 

月日は流れ1年半。

私の研究は、世界に影響を与えた。

世界各地からオリジニウムの原石を使った技術発展が始まり、海の対抗策。天災の対策に有効だとされた。

さらに体にオリジニウムを侵入される事を嫌った者はアーツのみを使えるようにそれを媒体とする武器などを作り、紛争が多発した。

男もその現状に満足そうだが不満そうに私を見る。

「お前がこんなもん見つけたせいでお偉いさんは俺を切り捨てるつもりらしい忌々しい!」

そう私に向かって怒声を発する。

「お前は世界の発見者。国の偉いさんは俺達のような存在を消したがってる。お前の口から自分達の黒さが出るのを恐れてる。」

男は私に向かってそう言い。近づく。

「アイツらが俺達を安全に逃がすまでお前は俺達の人質として有効活用させてくれよ?」

男は私にそう詰寄る。

元より自由などない。そんな私を今更人質などと言っているこの男は頭に虫でも湧いているのだろうか?

「研究は?」

「あぁ?」

男は私の言葉に疑問を覚える

「研究は続けられるか?」

私の発言に男はゲラゲラ笑い。

「お前は研究しかないもんな!?アハハ!いいぜ人質の間はしっかり研究させてやるよ!」

そう言いながら私を人質として男は立て込んだ。

(今この研究を閉じる訳には行かない。一を救うためにも今あるオリパシーの研究を使って病気の進行を遅らせなければ一を死なせてしまう。)

私の中の焦りと共に私は同時にもうひとつの研究を始める。

その研究の名前は遺伝子破壊プログラム。

特定の遺伝子情報を、持って民族を皆殺しにする。私の持ちうるデータを元に作り上げた。(メタルギアの声帯虫のようなもの)

(完全に直せる訳では無いがオリパシーの研究が進めば多少時間を稼ぐ特攻薬が完成する。だからそれまではこの薬は使えない。一とこの地獄を変えるために…)

 

月日は流れた。私を人質にとっていた男はあまりの要求の通らなさに嫌気が指していた。

当たり前だ。あまりに幼稚な考えだ。私の研究成果だけあればいい奴らからしたら私の黒い噂など男たちを悪に仕立てて事実を上書きすればいいだけ。教養の無さが今の状態を引き起こした。

 

 

 

 

そして私も自分の楽観視の所為で最悪の状況を作り出した。



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地獄のような研究

それは突然だった。

 

ダッダッダ!

 

銃声が響く。

廊下に響く爆音に私は手を止める。

オリパシーの研究があと一歩で抑制剤を作れる段階まで行ったというのに一体なんの騒ぎなのだと。

廊下を見ると男の手下が地面で横たわっている。

「クソ!テミスラーのヤローがせめてきやがった!」

テミスラー?

「おいクソヤロー!早く俺を助けろ!」

男は私に向かって投げかける。

「何故?」

男の顔は怒りで歪んでいる

「ここまで生かしてやったのは誰だと思ってる?!」

あまりに理不尽ないい草に笑いが込上げる。

「それより一は?」

「あ?あーあのガキなら俺の盾にして殺したよ。」

はぁ?

「何言って…あれだけ手を出さないと…」

私は怒りで男の胸ぐらを掴む。

「それはテミスラーが攻めてこなければ手は出さなかったさでも攻めてきちゃお前の約束なんかどーでもいい。」

「この!」

私は憎悪の気持ちを抑えられず男を投げつける。

「おい…おいおい!何してる。お前の命を繋げてやったのは誰だと…」

「もういい。お前がいなければ、こんな事にはならない。一も私も家族も…なぁー?」

「な…なんだよ」

男は後ずさりしながら恐怖で顔が歪んでいる。

(どうしてそんなに怯えている?)

叶夢には分からないが今男の目から見える少女は壊れた笑顔で無邪気無意識に自分の男根を引き抜きそれを片手に自分に詰め寄る姿だった。そしてこれも無意識に相手の意識が飛ばないように足に割れたガラス片を刺し意識を保たせている。

「お前…悪魔か…」

「悪魔?お前たちの方がよっぽど悪魔だろ…」

「なぁ?どうやって死にたい?せめて死に方は選ばせてあげる。」

私の言葉に男は楽にといい私は笑顔で答えた。

「あぁわかった。」

そう言い近くにあった硫酸を吹きかける。

「ガァルル!」

そして酸素マスクを付けさせる。

そして水深の深い水槽に硫酸を貯める。

「ほら私が楽に殺せる方法だ」

そう言って突き落とす。

「早く死ねるといいなでもその酸素マスクはアーツで強化したものだ簡単には壊せない」

透明な水槽で苦しそうにもがく男を見ているとそこに写った私はあまりに醜い笑顔でその男を見ていた。

「…」

私は見なかった事にして一を探す。

そして横たわっている一を見つける。

「一!」

私は一を抱き抱える。

「ヒュー…ヒュー」

まだ息がある。そして傷口を確認する。

(まだ助かる。私の研究室に行けば間に合う。アーツが暴走して傷口が広がってるがそのアーツさえ抑制出来れば。)

「いたぞ!対象を見つけた!」

そう大声を出す。

「後ろの道を塞げ!敵が来るかもしれない!」

「待って!塞ぐ…」

バーン!

そう言ってきらびやかな服に身を包んだ耳が長い種族が私の元に駆けつける。

私は唖然としてその光景を見る。

「大丈夫ですか?博士!」

1人の男が話しかける。

「よかった…博士が無事で」

男は私の中にいる一を見て無念そうに嘆く。

「可哀想にアイツらにやられたのですね…これではもうたすかりません…」

(助からない?いや助かった…お前たちが来なければ…お前たちがいなければ…)

「お前達はなんだ。」

私はさっき潰された瓦礫を見ながら男に尋ねる。

「我々はテミスラーの一族です。」

「テミスラー?」

私の疑問に男は笑顔で答える。

「我々は正義を実行する為の種族です。あなたを救いに来ました。そちらのご友人は救えませんでしたが…」

男は残念そうに一を見る。

「そうか…私を助ける為か…」

「はい!急ぎましょう!私達があなたを保護します!」

男の必死に明るく振舞って私を落ち込ませまいとする意思は伝わった。だが…

(お前たちのくだらない正義の為に一は死ぬのか…助けに来るならどうしてすぐに来ない?)

この怒りは私のポケットに入っていたひとつの注射に手をかけた。

「そうか…そうか…」

「?博士?」

男は私を不思議そうに見る。

私は男の首に向かって注射を打つ

「博士!何を!」

「あぁ…わかった…私のせいか…私が自分で動かなかったから…私が与えられた物だけで動いていたからか…こんな世界で生きるなら全部奪ってでも成し遂げなければいけなかったのに!」

私の顔を見て男は怯える。

「博士私に何を…」

「知らなくてもいいどうせお前達はこの世界から1匹残らず死滅する。」

この薬はこの1本のみ。それも奇跡的に作りあがった物だ。二度と同じものは作れないだろう。だがもういい。まずはこのゴミ達を始末する。

 

自分達を正義と疑わない奴らを

 

私は一を苦しませないようにゆっくりとナイフで首を切る。

そして一人の男の死体を仲間の元へ持っていく。1人目は必ず死ぬ。そして2人目からは体に寄生して徐々に殺す。彼らが村にもどる頃にこのウイルスは、空気と共に運ばれる。それが遺伝子破壊プログラム。

 

施設を脱出し私は高待遇で迎えられる。

そして大学の研究を進める。オリパシーと呼ばれる新たな病気について。

そして私が大学に推薦されるタイミングでひとつの種族が絶滅した事を知る。

周りは不思議がっていたが特に気にも停められず。

時代はオリパシー患者。感染者に頭を悩ませた。

 

 

 

気にもとめないんだよ正義が死んでも世界が混乱していれば

 

 

 

 

「あなたがドクターであっていますか?」

そう話しかけるのは全身が薄ピンクの女。

「なら?なんだ」

「申し遅れました。私バベルと呼ばれる組織のトップを努めさせてもらっているテレジアと申します。ぜひ貴方の力をお借りしたいと」

テレジアは私にそうもちかける。

「私に何か期待しているようだかお前の期待には…」

「怒っていらっしゃるのでしょ?」

「?!」

テレジアは私の顔を見て薄ら笑う。

「貴方の怒りは私たちや他のものに向けられている。でも根底の怒りは違う。貴方が願うなら私は貴方の願いを助ける約束をします。その願いは私達の望みと近いものです。この大地をよりよくする為にどうかお力を」

「なんだ…まるで正義の味方のようなものの言い方をして…」

「えぇ私たちは誰かの為の正義の味方の様に振る舞わなければ行けません。ですが何かを救うのは貴方のような真実を見るものです。」

テレジアは私をまっすぐ見る。

「お前は真実を見ているのか?」

「常に」

テレジアは即答する。

「なら何故お前がやらない?」

「いいえやっております。だから私にはもう1人対戦相手がいるのです。」

テレジアはクスッと笑い。

「ドクターは将棋はやったことあります?」

「あぁ何回か。」

「将棋とは駒を見て戦うのではなく目の前の敵を見る。私は駒を見すぎてしまうのです。だから」

「だから私がと」

テレジアはえぇと一言漏らす。

「貴方に私は環境を全て提供します。」

「何が目的?」

テレジアはまたひとつ怪しい微笑みで

「言ったでしょ?願いを叶えると。」

「そのために」

「えぇその為に貴方のその怒りが必要なのです。動かないより強固な信念が…それが例え歪んでいても」

 

 

 

 

映像が途切れる

 

 




過去編終了です。
まだこの話は叶夢オリジンでは無いので。少し曖昧な書き方をしてますがちゃんと書きますので安心して…


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主人公設定

今回は息抜きを兼ねてますのでゆるい感じて


主人公

 

叶夢零のキャラ絵です。

コスチュームと制服姿です。

まぁ息抜き要素です。

 

【挿絵表示】

 

 

叶夢 零

(かなめ れい)

doctor ZERO

個性

オペレーション

→1時的にロドス内のオペレーターと交代する。既に死亡したオペレーターの力を行使又は入れ替わることが出来る。ただし、死者との入れ替わりは本人に強い後遺症を残す。五感の消失や寿命の減少など。また自我が不安定な者とも交代でき、その場合の後遺症は少ない。

 

性格

ロドスの中のものに対しては比較的優しいがかつてはそうではなかった。

また頑固一徹なところがあり自分の考えは決して曲げることはない。

 

過去の記憶。

前話までの話を叶夢は感情でしか感じ取れていない。

記憶はなし。

ただ断片的に思い出す場合もある。

バベル時代の記憶はなし。

 

叶夢によるクラスメイトの印象

 

青山優雅

ナルシストの臆病者。ただ優しい人種なのはわかる。

 

芦戸三奈

うるさい。もう少し喋る音量下げてくれ。耳が痛い。

 

蛙吹梅雨

賢い。多分1番ヒーローに向いてる、

 

飯田天哉

バカ真面目。イノシシ。もう少し周りを見て自分の弱さを鍛えること以外で補えるようにしろ

 

麗日お茶子

緑谷の何処がいいのかよく分からない。あと顔に出すぎ。

 

尾白猿尾

目立たないけど優秀。良くも悪くも普通に生き残りそうで私は好感が持てる。

 

上鳴電気

もう少し大人しくしろ。自分の覚悟をもう少し明確にしてから戦え。あとセクハラするな。アーミヤが笑顔でお前を見てる。

 

切島鋭児郎

これもまたうるさい。芦戸と言い馬鹿みたいに声を出すのがヒーローなのか?ただうるさい以外には基本的に良い奴だ。

 

口田甲司

うさぎ可愛かったからまた撫でさせろ。

 

砂藤力道

すまん。印象がない。ごめん。

 

障子目蔵

良い奴。蛙水と一緒で優秀だ。

 

耳郎響香

あーいうタイプの女の子は放っておけない。ある日突然死んじゃうだよあーいう子は…

 

瀬呂範太

比較的優秀なのにお前はスパイダーマンに気を取られすぎた。もっと有効活用しろその個性

 

常闇踏陰

何言ってるか分からない。人と喋る時は分かりやすく伝えるのが常識だ。…?ケルシーどうした?なぜ怒ってる?!

 

轟焦凍

ニェンが今度火鍋持ってお前に食わせたいと言ってたぞご愁傷さま…

 

葉隠透

見えない。話しかけてくる時に後ろから声かけるなつい殺しそうになる。

 

爆豪勝己

なんか幼稚園生見てるみたいでかわいい。子供の成長は見ていると微笑ましいものだ。

 

緑谷出久

お前嫌い。

 

峰田実

キモイ近寄るな。人の胸を触ろうとするな。アーミヤがハサミ持ってお前を真顔で見てるぞ

 

八百万百

もっと自分に自信をもて。優秀なのにお嬢様育ちでなんか良くないことが続いたらお前ロサみたいになるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

叶夢零

世界で1番嫌いな人間。何もなせない軟弱もの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上

 



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何が正義なのか

 

「い…以上で映像は途切れています。」

アナウンサーが、混乱したようにそう告げる。

その後テレビではこの映像が、叶夢の作った印象ビデオだと言ったりと議論している。

「これが叶夢さんの…」

緑谷はその惨状に言葉を失う。

周りの生徒も口々にその光景に絶句する。

「まるでエリちゃんのような状況でいやそれよりも酷いかもしれないがそんな状況でヒーローがいたから最悪な結果になったってことか…」

切島が悔しそうに拳を握る。

「助けないと…」

緑谷は、そうつぶやく。

「デクくん…」

お茶子は何を言っていいのか分からずたださっきの映像を思い出し顔を青くする。

「叶夢さんがヒーローを信じれなくても、あんなに辛い目にあった叶夢さんを助けなきゃ僕らは何のためにヒーローになるのか分からないじゃないか…」

緑谷は、確固たる意志を持ってみんなに言う。

「それに余計なお世話はヒーローの本質。例へ叶夢さんが認めなくてもきっと叶夢さんも幸せを何処かで望んでいるとは思うんだ…」

緑谷の言葉に一同が各々思いをめぐらす。

 

 

ドクターside

「最悪の結果になったな…」

ドクターが、ケルシーと会議をしている。会議と言っても2人のみの会議だが。

「まさかウルサスがここまでするとは思わなかった…私の失態でもあるだろう。」

ケルシーは、苦虫を噛むように挙げられた報告書を叩く。

「ウルサスだけならここまでの状況にはならないだが今回は、龍門、リターニア、カジュミエーシュ、ラテラーノがほぼ手を組んだ状況だ。幸い直接的武力行使をしようとしているのはウルサスのみだが、カジュミエーシュは、あちらの世界のヴィランに武器や軍事力を流しヒーローと、ヴィランの均衡を崩してその隙に国ごと乗っ取る気だ…早急に手を打たなければ向こうの世界はウルサスや、その他の権力者の実験上だ。」

ドクターは、再度報告書を見る。

「せめてウルサス以外の勢力が、大義名分を持てない状況になればいいんだが…」

それを聞きケルシーは、1枚ページをめくり

「カジュミエーシュなどはあくまで自国の防衛だと言い切るつもりだろう。その為の根回しもしっかりされている。あくまで防衛であり、侵略ではないと。そもそも我々が、侵略行為をした形跡はほとんど存在しないが、向こうのヒーロー達は我々の世界の人間との接触が多すぎる。またその考え方から曲解させれば侵略行為と断定することも可能だろう。そもそも我々からすればエリの救出は、道徳的でありヒーローのドクターに対する対応は明確な敵対のように写っているのだろう。向こうが我々を邪険に扱っているのがここに来て仇になるとは…」

ケルシーは、頭を抱えるように項垂れる。

「もし…」

ドクターは、ひとつの作戦をケルシーに伝える。

「何を言っている?!ドクター!それは許可できない!そんなことをしたらアーミヤは、どーする?!エリは?!ドクター、冗談だとしてもその作戦は賛成出来ない。確かに即効的な作用も、それがもたらす効果も絶大だが我々が失う物があまりに大きすぎる。」

ケルシーは、そう言いその場を後にする。

ドクターは、同じように自室に戻り1つの作戦を実行しようと準備を始める。

 

作戦名

 

ヒーローヴィラン殲滅作戦

 

そう書かれた計画書に、アーミヤ達の名前はなくただ淡々と、殺すべきヒーローの名前と、ヴィランの名前が掲載されていた。

 

 

ヴィラン連合side

 

「近いものを感じるとは思っていたが、こんなの見せられたらますますあの時逃したのが、惜しいな?」

荼毘がそう弔に言う。

「確かにこいつがこちら側に着いてくれればヒーローを根絶やしにすることは簡単だったかもな。」

弔は、少し不機嫌にテレビを消す。

「…」

「どーしたんです?プラチナちゃん」

トガは少し驚いているプラチナの様子が気になり顔を覗き込む。

「いや…少し思うところがあっただけだ。」

プラチナは、あくまで平静を保ちながらそう答える。仲間たちはいつもと少し違うプラチナを見て少し違和感を感じるが、そういうこともあるかと軽く流す。

「ドクターの過去…私たちも知らないしおそらく本人も知らない。」

プラチナは1人で歩きながらドクターのあの過去を思い出す。傍から見れば地獄。だがドクターもプラチナも理解している。あんな事は割とどこの人間でも経験する可能性のある現実だと。

「信念と執念が、ドクターをああしたのか。」

プラチナは、そのまま自分のヴィラン連合とは別の端末に目を通す。

 

トゥワイスの殺害命令

 

これはドクターではなくカジュミエーシュからの命令。

ドクター達はまだそのときでは無いとこの命令を出してこない。

「もう、仲良しごっこは出来ないなトゥワイス…」

プラチナは、そうつぶやきトゥワイスを殺す準備をする。

ヒーローにとって最悪のタイミングで奴を殺す。

 

ヒーローside

 

「…」

ヒーロー達は重苦しい空気に苛まれる。

それは先日の映像のこともあるがそれともうひとつロドス側の一方的な会談拒否。

今まで曲がりなりにも共に歩み寄ろうとしていたのに突如向こうはそれを拒否してきた。

代表とその補佐のアーミヤとケルシーに話を聞いたところ、どうやらドクター、叶夢が音信不通になっているらしい。

 

「つまり…ロドスなるヴィラン組織は我々と敵対すると考えてよろしいですか?」

公安の1人がエンデヴァーに聞く。

「彼等を一括りにヴィラン組織とするのは私は反対です。それに彼等は我々と敵対はしたくないのだと思います。」

エンデヴァーは、そうつげる。

「だが事実我々の世界に被害を出している。」

公安のその発言にホークスが答える。

「確かに彼らのやった被害は起きています。ですが、それはヴィラン組織に対してであり、民間人に手を出した経歴はありません。」

「だが犯した罪は殺人だ。」

公安は断固としてロトをヴィラン組織にしたがる。話は平行線のまま会議は、終わる。

「ホークス。」

「なんですか?」

公安の人間とホークス2人になり彼等はそうよびとめる。

「ロドスのアーミヤと呼ばれるリーダーを殺せ。」

「はぁ?」

ホークスは、意味の分からない事を言われ間抜けな声を出す。

「アーミヤと呼ばれる者がロドスと言う組織の中核。たかが15近くの少女に従う組織など周りが持ち上げて上手くいっているに過ぎない。彼女が死ねば求心力は減るだろう。1人の少女に盲信する、オカルト宗教に近い組織だろ?なら頭を潰すんだ。ホークス。」

公安のその無慈悲な言葉がホークスに突き刺さる。

「だけど、まだ子供ですよ?」

ホークスはさすがにと…濁す

「どこの世界かも分からない。ましては我々の世界の人間じゃない。そもそもその少女ももう先は長くないのだろ?なら今死んでおくのもひとつの救いだろ。ホークスこれは命令だ。アーミヤを殺せ。」

無慈悲にその命令がホークスに告げられる。

 

公安の人間がその場を去りホークス1人になった所でホークスは、バンと扉を殴る

「クソ!」

それは明確な怒りがこもった声だった。

 

たがこの公安の選択がどれほど強大な物を敵に回すかまだ公安や政府は理解出来ていなかっ



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決別

久々投稿。
完結までもう少し。


 

「はぁ…はぁ…はぁ……これでやっと…」

 

ドクターは、1人無人倉庫にて個性の強化をしていた。

 

「本当にこれでいいのか?ドクター?」

1人できたはずの倉庫に聞き馴染みのある男の声がする。

 

「君たちを保つのもせいぜい1ヶ月。その間にヒーローもヴィランも始末しなければならない。プラチナにはもう私の個人回線を使って指示してある。」

 

ドクターは、男に向かってそう答える。

 

「だがドクター…俺たちを文字通り蘇らせれば当然その代償はドクターあんた個人に降りかかる。もうあんたの…」

 

男が何か言う前にドクターは遮る。

 

「分かっている。どちらにしても私の時間はもう無い。なら私はアーミヤの為に彼ら彼女らの為にこの命を使い切らなければいけない。」

 

ドクターは真っ青な顔で蘇らせた仲間の顔を見る。

 

「呪ってくれて構わない。本来2度も味わうひつようのない死を私は君達にもう一度与える。」

 

その言葉に白い少女は、ドクターの傍に近づき軽く頬を叩く。その一撃は、手袋越しでも伝わる程冷たくそして痛かった。

 

「我々はドクターお前に誇りを踏みにじられた。」

 

冷たく威厳のある声が倉庫に響く。そして文字通り辺りの気温は著しく下がって行く。

 

「だが、呼び掛けに答えたのも我々だ。我々が今1度死ぬ事で寄り良い世界に兄弟姉妹たちが、望む世界に1歩近づくなら我々は、喜んで死のう。だからドクターお前が、死者に許しを乞うな。お前はやるべき事を成しそして我々を地獄に導き恨まれながら死んでいけ。」

 

彼女のその言葉に私の蘇らせた約100人近い死者が頷く。

 

「ドクターに言われたらやるしかないよな」

 

男は少し困った顔をしてこっちを見る。

 

「あぁ感謝する。フロストノヴァ…ACE」

 

ヴィランside

 

「荼毘は?」

 

プラチナはそう弔に話しかける。

 

「脳無の性能テストらしい。」

 

弔はそう答える。

 

「そうか…なら私達も行った方がいいかもな。」

 

そう言うと弔はピクっとプラチナの方を向く。

 

「何故だ?」

 

弔は、理由をプラチナに求める。

 

「荼毘が懐に入れようとしているのはNo.IIのヒーロー。であれば、脳無の相手は決して弱い相手ではない可能性がある。」

 

プラチナの言葉に弔は少し考えて。

 

「だけど、そんな可能性の低い話に全員を行かせる訳には行かない。」

 

そう聞きプラチナは、口を開く。

 

「なら私とコンプレス。それとトゥワイスを連れて行く。」

 

弔は、わかったと頷き。2人を連れて荼毘のところに向かった。

 

隔離室

 

「全くロドスのドクターは面白いことを考えるな。私を呼び出す時に私の精神力を消耗するとはよく気がついたものだ。」

 

1人で自分に向かって喋る。

 

「私を使い利用してそして私とタルラを切り離すつもりか。精神が分離しているのなら上手くいくかもな。それにしてもあのピエロは…」

 

タルラは、上を向き再度正面を向く。

 

「乗っ取るならロドスのドクターの方が良かったのかもな…」

 

はっ、と笑い。

 

「ロドスまでも敵に回して最善を手に入れる。手段は選ばない。」

 

「本当に怖いのは正気のまま狂気に堕ちるものだな…」

 

騒がしいロドスの中1人落ち着いたようにタルラはじっと座っている。

 

ロドス内

 

「急いで!ドクターの場所を…」

 

アーミヤは、そうほかのオペレーターに指示をする。

 

「ケルシー先生いい所に…」

 

アーミヤは、ケルシーの様子を見て何かを察してしまった。

 

「これ以上の捜索は必要ない。これからドクターZEROと我々にはなんの接点も無いものとする。」

 

ケルシーのその言葉は、ドクターが完全に敵対したと言う明確な通告だった。

 

「アーミヤわかってくれ…もう私たちにドクターは止められない。そしてこの恩恵を受けるのは我々なんだ…」

 

ケルシーは、苦虫を噛んだかのような顔になりアーミヤは、その場で崩れ落ちてしまった。



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破壊に崩壊

後半アークナイツ3話内容含みます。


エンデヴァーが、ハイエンドの脳無を倒しその場に拳を上げて立っている。そしてその脳無の回収に荼毘が現れる。

 

(荼毘は、エンデヴァーとなにかしらの因縁があるのか?)

プラチナは、エンデヴァーと荼毘が戦闘になるのを待ちトゥワイスとコンプレスに先に行くように言う。

 

(随分長い事この組織にいた。だが、これで終わりだ。)

プラチナは、自分の弓矢を1本背中から取りその弓矢を強く握る。

 

しばらくすると荼毘はトゥワイスとコンプレスが来たことに困惑していたが、ハイエンドの回収を始めた。

その時ものすごい勢いでコンプレスを蹴る存在が現れた。

 

「はっ!ヴィラン連合!あたしが来たからにはあんたらのすきにはさせないよ!」

ミルコと呼ばれるヒーローが荼毘達を襲う。

形成は不利。

 

(私の出番か…トゥワイス…)

 

「すまない…」

 

プラチナは、そういうと撮影されているであろうカメラの前をわざと通り過ぎ3人の元に歩く。

 

「ひっ!ヴィラン連合のプラチナ!」

 

報道もプラチナの存在を確認して悲鳴をあげたが、全くプラチナは、意に介さない。

 

「あぁ!いいところに来た。プラチナ俺たちがハイエンドを回収してる間にこのうさぎの相手をしてろ!」

荼毘は、そうプラチナに言い放つ。

 

「ヴィラン連合のプラチナ…!あんたまで来てるのは予想外だが…エンデヴァーホークス!3人で一気に畳み掛けるぞ!」

ミルコはそう言いプラチナの元に行かせないように守ってるトゥワイスに攻撃を始めた。

 

「はぁ…」

プラチナは、ひとつ息をついて弓矢を弓に掛ける。

 

(全く嫌な仕事だ…)

プラチナはまっすぐ目を向けて標的を見る。

 

「プラチナー!やってくれ!」

トゥワイスの信用しきった声が響く。

 

「あぁ…終わらせる…」

そしてプラチナの放った弓はヒーロー達を狙わずトゥワイスの頭を射抜いた。

 

「はぁ?」

荼毘の困惑の声が聞こえる。

 

「何?!」

ヒーロー達もあまりの出来事で足が止まっている。

そんな中いち早く動いたのがコンプレスだった。

 

「プラチナ!裏切ったか!」

コンプレスの怒声にも近い声が響く。

 

「裏切った?私は1度もお前たちの仲間だと言った覚えは無い。」

そしてプラチナの弓は、エネルギーを吸収するかのように大気を揺らして一撃を放った。

 

コンプレスは、避けようとエネルギーの核になっている弓矢を封じようとする。

 

「っな?!」

だがプラチナの攻撃を止めようとするがあまりに接近するプラチナに気づかなかった。

 

「ガハッ!」

手に持った弓矢で首を一突き。

出血が止まらずその場でうずくまる。

 

荼毘は、コンプレスが倒れると同時に攻撃をしてくる。

「随分とひでーことするじゃねーか!」

荼毘は、炎をプラチナに叩きつけ周りは煙で見えなくなる。

 

「?!何処だ!」

荼毘の攻撃の先にプラチナはいなく屋根の上からヒーローとヴィランを見下す。

 

「クソ!」

荼毘は、自分が不利な状況なのを理解しその場から立ち去る。

 

「プラチナ君はヴィラン連合の人間だろ。なぜ2人を殺した。殺すことでこちら側に寝返ったつもりか?」

ホークスは、プラチナに向かってそう問いかける。

 

「ヴィラン連合の人間か…私はただ与えられた任務を遂行しただけだ。」

プラチナは、そうヒーローに向かって言う。

 

「任務?」

エンデヴァーは、消耗しきった腕を抱えながらその任務の内容を聞こうとする。

 

「私は、カジュミエーシュの無甲冑兵プラチナ。現在協力会社ロドスアイランド製薬会社、指揮系統最高司令官ドクターZEROの命令により、トゥワイス並びにコンプレスの殺害が命令された。そしてかねてより決行していたヴィラン組織への潜入任務を完了。私の仕事はこれで終わりだ。」

 

「ロドス…」

エンデヴァーを含め全員がその名前を知っている。あまりに入念にそして完璧に作られた作戦はヒーローやヴィラン達では太刀打ち出来なかった。

 

「そして私の任務は終わりあとは帰還するだけだが、ドクターにひとつ言伝を頼まれている。」

プラチナはそう言うとエンデヴァー達の後ろを指さし。

 

「せいぜい後ろには気おつけろ。何も守れなくなるぞ。さようなら。もう会うことはない。」

そう言ってプラチナは、空間移動装置を使いその場から去る、

 

「まっ…」

ホークスが追いかけようとした時あまりにおぞましい感覚が彼らヒーローを襲う。

 

バーーーーン

 

とんでもない轟音共にありえない量の炎の塊がビルを溶かしヒーロー達の元まで襲いかかる。

 

「警告の意味は理解出来たか?ヒーロー達よ。」

カツンカツンと足音を立てヒーローの元に歩いて来るその1人の女は余りに恐ろしい殺気を放ちヒーロー達を見ている。

 

「怠慢がお前達を増やし。虚栄が人を殺す。」

さっきまでただのビル街だったはずが一瞬で炎の海へ変わる。

 

「お前たちはあの時真に我々の側に立つべきだった。」

それはかつてドクター達に言ったセリフ。

 

「おのが利益の為に栄光の為に偽善の中で他者に救いを求める。」

エンデヴァー達は、苦しそうに女を見る。

 

「お前達に何が出来る。口先だけの理想論者に何が出来る」

女がそう言いながらまた少し近づいて来る。そして後ろには約500人近い人影が映る。

 

「お前達の覚悟は偽物だ。正しさの押し付けに過ぎないお前達ヒーローでは、我々には勝てない。」

女は、ゆっくり手を上げる。

 

「思いは届かない。淡い夢は叶わない。」

女は手を振り下げる。その瞬間ビルのひとつが音を立てて倒壊する。

 

「私の望む結末を教えてやろう。」

タルラはそう言いヒーローに冷ややかな視線を向ける。

 

 

 

 

 

「滅びよ」



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怒号暗雲

 

「お願い…たすけー!」

テレビに映るのはさっきまでエンデヴァーの戦いを中継していた1人のアナウンサー。そして次の瞬間全身を氷漬けにされて固まってそれを泣きながら砕く1人の帽子を被った彼らの仲間。

 

「っ!」

緑谷は、いてもたってもいられず現場に向かおうとする。

 

「ダメだ」

それを静止したのは相澤だった。今行っても足手まといになるだけだ。

その表情は、おぞましい物を見た顔であり。真っ青だった。

 

「でも!」

緑谷は半ば暴走のように今テレビに写っている状況放っておけなかった。

 

 

[地獄か?]

テレビの中で1人のヒーローが、そうつぶやく

 

 

[この程度で地獄と呼べるなら随分とぬるま湯に浸っていたのだな。]

次の瞬間そのヒーローの首は真っ二つに切られる。その首は炎で切られた為か一切の出血がなかった。

 

それを見た緑谷は、血の気が引いていた。

 

そしてテレビの放送がノイズを発した。おそらくテレビ局も燃え尽き機材が完全に破壊されたのだろう。

A組の生徒はこれ以上の惨劇を知ることはなかった。

 

 

 

後日発表された記事にはエンデヴァー、ミルコ、ホークスを中心とした避難指示を受けた者は全員生還できたがその数約300人

それ以外の約32万人は、死亡もしくは意識不明の状態になり。医療機関のパンクが起こっている。

そして福岡は甚大な被害を受け。1つの市が完全に再起不能。未だ炎が収まらず各地でガス爆発を起こしている。当然福岡にいたプロヒーローは、全員死亡。かつて類を見ない大虐殺が行われた。そしてそれはヴィランにも見境なく行われた。

死亡者を除けば福岡の人口の約502万のうち300万は重症もしくは軽傷の状態であり。福岡にある医療設備は何一つ機能していない。

地獄それがこの事件の後に語られる結果なのだろう。

この事件の後多くのヒーローが引退し始める。そして驚く事にヴィランも自分の保護を条件に自首する者も現れた。

それだけ彼等の実力行使が恐ろしかった。

 

「見ての通り今ヒーロー社会その物が危険にさらされてる。」

相澤は、A組に話す。その表情は苦々しいものを感じる。

 

「…」

A組の生徒は一言も喋れない。

それもそのはず彼らにとってはその敵の正体をあまりに知りすぎたからだ。

 

「政府の発表だとこの雄英高校で市民を一時避難させると決まった。事態はそれだけ刻一刻と危機的状況に追い込まれている。」

相澤は、あくまで事実を淡々と述べる。

 

「叶夢さんは…どうなるんですか?」

八百万が相澤に聞く。

 

「…」

相澤は少し黙り口を開く

 

「叶夢は、海外のプロヒーローを応援で呼び殺害によって脅威の排除を行う。それが政府の決定だ。」

相澤は、さらに顔を歪める。

 

「叶夢さんを殺す?…そんな…先生!僕は…「緑谷!」」

緑谷は相澤に抗議しようと声をあげようとするがそれを相澤に御される。

 

「緑谷…お前の気持ちは理解出来る。俺にとっても叶夢は、生徒だ。だが、たった1人で都市を壊滅させる。その脅威は、どの国も無視できない。そしてその見境の無さはヴィラン連合の遥上の危険度だ。」

相澤は、無念そうに緑谷に言う。

 

「だが、政府としても叶夢という人間がどれだけ有益なのかを知っている。だから今回の避難に伴い叶夢の排除作戦には俺たちA組が先陣を切る形となった。」

相澤の発言にいち早く反応したのは耳郎だった。

「じゃ!」

 

「あぁ。俺たちには叶夢と話す機会がある。俺たちのする事はただ1つ叶夢を自らの意思でこちら側に戻す事だ。」

相澤の発言を聞きA組は、今まで以上の覚悟を決め作戦を立て始めた。

ドクターside

 

「ぜはぁ………ぜはァ………」

今にも倒れそうなドクターをAceが支える。

 

「ドクター…無茶しすぎた。俺たちを蘇らせてこの場所にとどめるのでも信じられないぐらいキツいはずなのにレユニオンの暴君をあんなに使えば作戦を成し遂げる前に倒れて動けなくなる。」

Aceは心配だ。と言いドクターを抱えソファーに寝かす。

 

「メフィスト…カジュミエーシュの資料は…」

そうドクターが問いかける。その弱々しい声に少し目を細めメフィストは、USBを見せる。

 

「取引のデータだ。カジュミエーシュの、奴はこの国で独裁国家を作り上げて龍門を叩く計画もあったらしい。」

メフィストはそう言ってUSBをドクターに渡す。

 

「はっ…これがあればテラの方でお互いがお互いを干渉し合うはず…この土地に攻めることは無くなる。これは日付を指定してケルシーに送っておいてくれ。」

ドクターはそう言いscoutにUSBを渡す。

 

「後は…こっちの処理だけ…」

そう言いドクターは、フゥーと息を吐き目を閉じる。

 

「アーミヤ…」

そう呟かれた言葉に全員がドクターから顔を背け下を向く。

 

部屋の中にある空調の風によってめくれた計画書にフロストノヴァは、目を向ける。

風にめくられた計画書の1番最後のページにはドクターへの最後の任務と、自身に課した命令がある。

 

(アーミヤの手によって殺害される。例外は許されない。自決も許されない。アーミヤへの加減も許されない。)

フロストノヴァは、その計画書を見て腹を立てその計画書の上に重りを乗せてめくれないようにする。

 

「遺憾だ…」

フロストノヴァは、そう呟きその場ある椅子に座る。

(私達は結局こんな結末しかないのか…結局…誰かを羨むなんてことはしないが…したくないが…だが…羨ましいなこの世界の人間は1番惨い死に方を自分で選択しなければいけないというそんな状況にはならない…いつだって被害者のまま…加害者になり死ぬそんな選択をしなくていいのだから…)

 

フロストノヴァは、静かに目を閉じる。

その日の倉庫の気温が少し下がったのは言うまでもない。



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最終章 正道在処ーせいどうありかー Finalseason 明日のヒーローアカデミア
助けたい者とたすける物


 

「今何と言いました?…ケルシー先生…」

アーミヤはケルシーの発言に驚いたのか目をかっぴらき呆然とケルシーを見ている。

 

「もう一度言う。これよりロドスは、ドクターZEROの抹殺を行う。」

ケルシーは決定事項だとそう言ってアーミヤを諭す。

 

「な…なんで?…なんでドクターを殺さないと行けないんですか?」

アーミヤは、そうケルシーの肩を掴み揺らした。

 

「…っ。ドクターは、あちらの世界に手を出した。世界協議的にも我々テラの者があの世界に手を出すことは許されない。だが、ドクターは、あの世界で侵略行為に走った。これは我々への裏切りでありテラへの裏切りだ。」

ケルシーは苦々と話す。

 

「ケルシー先生…」

アーミヤは、ケルシーの感情を読み取ってしまった。そして同時に悟ってしまった。

 

(あぁ…だからドクターは…)

アーミヤは、それ以上何も言わず全オペレーターに音声メールを送る。

 

【これより我々、ロドスアイランドは離反者ドクターZEROの武力無効化に向かいます。困惑される方もいらっしゃると思います。ですがこれは我々の運命を分ける戦いです。辛いかもしれません。ですが戦うしかないんです。どうか理解を…作戦はこれより24時間後に開始されます。部隊分けは、ケルシー女医が、既に行っております。各員隊長から作戦指示を仰ぎ行動してください。以上。代表アーミヤからの作戦命令です。】

 

アーミヤは、スーッと深く息を吐き。そのまま倒れ込むように座り込む。

 

「ドクター…ドクター…ドク…ター」

咽び泣くアーミヤはの背中は1人の少女が背負うには重すぎる物がのかっていた。

 

ヒーローside

 

「彼女を止めないと行けませんね…」

ホークスは一緒にいるエンデヴァー、そして雄英高校校長根津と共に作戦を立てている。

 

「彼女の強さはヴィラン連合のそれと同等かそれ以上だ。目をつけなければ行けない敵がこんなに多いとは…」

ホークスは、目元を抑える様に天を仰ぎみる。

 

「叶夢さんがヒーローやヴィランを片っ端から殺害している。早急に解決をしなければ我々ヒーローは、手が出せなくなる。目先の事を解決するようであれだが、先ずは叶夢さんを捕まえること。それが1番優先的に行うことだろうね…」

根津は、雄英高校を含めた全ヒーローで今回の作戦に望むべきだと…それ程事態は深刻だと言った。

 

「こ…校長!」

そう大声で入ってきたのはミッドナイト。

 

「どうしたのさね?」

根津やホークス、エンデヴァーもあまりにも慌てているミッドナイトを見て困惑する。

 

「きゃ…客人が…」

ミッドナイトは歯切れ悪くそう答える。

 

「客人?すまないが今我々は、会議中だ。悪いが後日来て貰え。」

エンデヴァーは、語気を強めにミッドナイトに言う。

 

「狭量だな君は。」

そうミッドナイトの後ろから声がした。そしてその後ろにいたのはかつてあの地獄の場所で見た緑色の女医。ケルシーだった。

 

「君は帰って構わない。我々に君達と戦う意思はない。…さて私の調べでは君達が今回のドクターへの作戦を立てていると調査しわかった。」

ケルシーは、何事もなかった様に彼らに話しかける。

 

「正直敵対しないと言われても我々ヒーローからしたら信用出来ませんね。」

ホークスがそうケルシーに答える。

 

「確かに。君達から見れば我々は、信用などおけるわけもない。だが今回の一件は、我々の過失であり。君たちに一任するものでは無いと決まった。端的に言う。我々は、今回ドクターへの殲滅作戦を行う。その為にここに来た。我々は君達と協力関係を結ぶ意思がある。どうする?」

ケルシーは、そう言って真っ直ぐに冷たい視線を向ける。

 

「まるで我々をでは止められない様な物言いだな。」

エンデヴァーは、睨みつける様にケルシーを見る。

 

「肯定だ。君達では彼女は止められない。そしてそれは我々にも言える。彼女は死者を呼び出す個性になるまで己を鍛え上げた。そして今回我々が相手にするのはそんな1度刃を交えた存在。そして死んで行ったかつての仲間だ。」

ケルシーは淡々と言う。

 

「その呼び出した存在はどれ程強いんですかね?」

ホークスはケルシーに問いかける。

 

「そうだな。情報は交換するべきだろう。我々がかつて敵対してきた存在。そして最も障害となる存在を提出しよう。」

そう言うとケルシーは、紙束を彼らに渡す。

 

「先ずは、我々と敵対していた大型テロ組織レユニオンムーブメント。ここにいる物で最も危険視しなければいけないのは、主に3人。1人目コードネームフロストノヴァ。彼女は冬その物。彼女の強さを語るなら。我々を含め全員で総当りしても勝てなかった。」

 

「勝てなかった?」

根津は、そう疑問を投げた。

 

「あぁ彼女は戦いの最中オリパシーの進行により命が尽きた。その為勝利することが出来た。彼女を基準で考えるならば、次に脅威になるのはパトリオット。彼は並外れた耐久。そして仲間の信頼も厚い。今回の作戦でも彼らの防御の要になるのは彼だ。中途半端な火力で叩いても決して膝を着かない。フロストノヴァの義父でもある彼は間違いなく最強と呼ばれる存在のひとりだ。」

ケルシーの話を聞き現実味がない3人は最後の1人の存在を聞く。

 

「そしてレユニオンムーブメントの暴君。タルラの精神体。これはドクター自信に憑依してだろうが…これは色々厄介。と言えば厄介だ。だが今回はこの事だけ覚えとけばいい。彼女1人で世界を炎の海に変えることは簡単だ。実際レユニオンムーブメントのボスでもあった彼女は、高い実力を持っており我々は多大な犠牲の後に彼女を無力化した。」

ケルシーの言葉の端々から彼女の異常性が垣間見える。

 

「そして他にも気にかけるべき存在はいる。我らロドスアイランドのかつてのエリートオペレーターACE、scout。高い技術を持ち安定した戦闘スキル。彼らを評価していた私が言うならば。正しく化け物と呼ばれるに相応しい実力を持つ。」

ケルシーの寂しそうな目を見たホークスが聞く。

 

「君達から見て叶夢…いやドクターとはどんな人物なんすか?」

ホークスはケルシーに恐る恐る聞く。

 

「天才だ。いや化け物でありまるで神のような存在だった。卓越した頭脳は、全世界の知恵者ですら発見できなかった事実を見出し。彼女のおかげでオリジニウムの研究は、何千年と進んだ。そして高い指揮系統能力は、他の武力組織から恐れられるものでもあり、圧倒的な頭脳で全てを支配する。それがドクターZEROと呼ばれる天災だ。」

ケルシーの評価は、余りに現実味がない。だが実際に触れ合った彼らはその発言が嘘偽りのないものだと本能で確信する。

 

「かつてドクターをこう評した者がいた。ドクターは、チェス、の場面を見ている。その時見ているのは駒では無い。相手であり同じ騎手。我々は、ドクターから見ればただの駒でしかなく。用事がなかったら箱に詰められしまわれる。ドクターは人間であるから帰って布団で寝るし食事も取る。だが駒は箱に入れるだけ。我々は、ドクターにとって駒でしか無く。ドクターが人間であり。我々は人間でないと。こう言った者がいた。」

ケルシーは淡々という。

 

「人間として他人を見ない…」

根津は、少し俯く。かつての自分と重ねたのか少し寂しそうに。

 

「君達が相手にするのはそんな化け物が揃った組織を指揮する本物。本当の化け物。さてどうする我々と手を組むか。無駄に死人を出すか。少なくともドクターに容赦なんて、言葉は無い。選択を今度こそ1秒も無駄にできない。」

ケルシーはそう言って手を差し出す。

 

エンデヴァーは、ふたりと顔を合わせて頷く。

そしてケルシーの手を取る。

 

「それではこれから我々は協力関係だ。後日作戦の資料をお渡ししよう。君たちとは良きパートナーになれる事を私は望む。では失礼する。」

ケルシーは、そう言うと無表情のまま部屋を出た。

 

「本当に茶番だな…」

そう毒を吐くケルシーは、端末から今回の作戦メンバーを見る。

 

アーミヤ、ロスモンティス、ブレイズ、チェン、ケルシー

 

ここに書かれているものはドクターを殺害しなければいけない存在であり、全員がドクターをよく知る人物。

 

「ウルサススラング…」

ケルシーらしくない悪態を尽きケルシーはロドスに戻る。

最終決戦の日は刻一刻と迫っている。




後4話ぐらいかな?


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戦火の哀歌

 

火蓋は切られた。

 

「ドクター。作戦通り各員ヒーロー並びにロドス勢力を目視にて確認した。」

ACEがそう無線で伝えてくる。

 

「あぁ。では作戦通りに各隊長の指示に従いヒーロー勢力を優先的に排除しろ。」

ドクターは、疲れきった声でそう言う。

 

ヒーローside

 

「今回の作戦ではヒーロー達には一般人の避難と便乗してくるヴィランの食い止めを行ってもらう。」

ケルシーは簡潔にそう作戦を伝える。

 

「1つ質問を」

相澤が、手を挙げケルシーに聞く。

それに答えるようにケルシーは手を相澤に向け話すように促す。

 

「今回の作戦ではそちらの作戦の内容が確認取れません。協力関係というのならそちらの作戦も提示していただきたい。」

相澤の意見は全くその通りでありケルシーは周囲から説明を求められる。

その時のケルシーは、言いたくなさげに重い口を開ける。

 

「我々はレユニオンムーブメント並びにロドス元勢力の完全な殲滅並びにドクターZEROの抹殺が任務となっている。その為君達がヴィランと一般人を避難ないし無力化出来た後に直ちに殲滅を行いドクターの個性を消耗させる。その後個性の使えなくなったドクターを、そのまま抹殺する。」

ケルシーの発言にオールマイトが反応する。

 

「ちょっと待って欲しい!つまりそれは…叶夢少女が、完全に無力化されたとしても殺すということか…」

オールマイトは、動揺しケルシーは、目をそらす。

 

「それしか、方法がない。ただそれだけだ。」

ケルシーはそう突き放すように言う。

 

「だが!殺す事なんて我々には納得出来ない!」

オールマイトがそう言い周りのヒーローも同調する。

 

「では、あなた達に一体何ができるんですか?」

アーミヤの冷たい口調でヒーローに言う。

 

「我々は人を助けるためにヒーローになった!殺すためでは無い!」

オールマイトは尚もロドスを否定する。

 

「なら貴方たちが我々の世界の差別を無くしてください。我々の世界の鉱石病を治してください。天災を止めてください。海の怪物に怯えずにすむようにしてください。全ての国がおのが利益のみを追求するのを止めてください。テラに住む全ての人間の誤解を怒りを悲しみを何とかしてください。」

アーミヤは淡々とオールマイトに言う。

 

「ッ!」

オールマイトは言葉が詰まる。

 

「できませんよね?出来るわけがないんです。」

アーミヤの、感情を殺したかの様な目がオールマイトに向く。

 

「私の先代は私よりも力があり、求心力があり。素晴らしい指導者でした。ですがそんな彼女でも何も成し遂げられてはいません。我々がどんなに時間をかけてどれだけ努力しても何も変わらないんです。けれど進むしかないんです。」

 

「だが!それでも殺すなんて!」

オールマイトは、尚も噛み付く。

 

「ドクターを殺す。その事に意味があるんです。我々にはもう選択肢がありません。」

アーミヤは、悲しそうな顔をする。

 

「だが他に方法が…」

オールマイトは顔を歪めながら言う。

 

「ドクターは、我々の希望です。そして私の大切な仲間なんです。けれど私たちの世界は彼女の生存を望んでいません。やるしかないんです。もうそれしか解決方法がないんです。例へ貴方方がやらなくても私はやります。貴方方の価値観で我々の問題は解決できません。」

アーミヤが語気強めに言う。

 

「わかって欲しいとは言いません。ですが、我々はこのロドスアイランドを守る為にどんな困難でも立ち向かいます。」

アーミヤは、真っ直ぐヒーロー達を見て

 

「もし避けられる戦いならば沈黙を護り。それが必要な戦いなら最後まで戦い抜くそれが我々ロドスのゆく道です。」

あまりの覚悟にオールマイトを含め口を噤んだ。

 

「納得はしなくとも理解は出来たか?この作戦はここにいるプロヒーロー並びにロドス関係者以外他言無用だ。では作戦に取り掛かってもらう。」

ケルシーの冷たい言葉にプロヒーロー達は思う所があっても何も言えなかった。

 

作戦開始

 

プロヒーロー達は市民の誘導を完了した。

気味が悪いぐらい敵勢力は、手を出してこなかった。

 

「僕達の行動はもう確認が取れてるはずなのにどうして手を出してこないんだろう…」

緑谷が不思議そうに首を傾げる。

 

「知るか!あんな陰険女の考えることなんてこっちが真面目に考えるだけで無駄だ!」

爆豪がそう声を荒らげる。

 

「でもヴィラン連合も何もしてこない…不気味だわ…」

蛙水がそう周りを見渡す。

 

「「grrrrrrrrrrrrrrrー!」」

雄叫びと共に大盾を持った大男が先頭に後ろにも同じように盾を持った兵がヒーローに向かってゆっくり詰め寄ってくる。

 

「あれはパトリオット…!」

相澤が彼の姿を認知する。

 

「aaaaaaaaaaaaaa!!!!!」

パトリオットが拳を高く揚げ周りを鼓舞する。それに答えるように後ろの兵も雄叫びを上げ歩く。

 

そしてヒーロー達はその覚悟の違いをまじまじと見る事となる。



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最終決戦

 

誘導は完了した。市民が一斉に街から逃げ出す動線の確保はされ後は逃げるだけだが、肝心の避難がかなり厳しい状況に置かれ始めた。

最初に誘導を終わらせた後狙ったかのように敵勢力が一気に攻め込んできた。それはA組達も例外ではなく多くの敵がヒーローたちの前に立ちはだかった。

 

「お前等!早く撤退しろ!」

相澤の焦りに近い声がA組に響く。

 

それもそのはずパトリオットが全ての攻撃をその身に受けその後別の兵士が致命的になるような損害を与えてくる。

まさに連携の取れた最高品質の軍隊。それが相澤の評価だった。

 

『イレイザー!4区のプロヒーローがやられた!メディックのおかげで死者は、数名だが何名か戦意喪失。生き残りは重症を負って再起不能だ。』

相澤の個人回線に悲痛に近い無線が入ってくる。

 

『ロドスより全体へ一斉通信。全体の殲滅率40%こちら側の損失60%を超えました。このままではジリ貧になってしまいます。プロヒーローは、市民の残りの避難を諦め至急第二フェイズに移行してください。またロドスC班に命令です。タルラとの戦闘に備え負傷者を緊急避難させる為の退路を作ってください。皆さん苦しい戦いです。けれどここが踏ん張りどころです。どうか気を強く持ってください。』

全体に伝わる命令は、ヒーロー、ロドスの劣勢を伝える無線であり第1次作戦は失敗に終わった事を伝えるものだった。

 

『アーミヤよりヒーローイレイザーヘッドへ通信。』

そして相澤個人の回線にアーミヤより通信が入る。

 

『こちらイレイザーヘッド。』

相澤は、パトリオットの攻撃をかわしながから通信に答える。

 

『現在の状況でパトリオットとの戦闘での勝率は限りなく0に近いです。ここは一旦撤退をお願いします。撤退後ロドスエリートオペレーターロスモンティスさんを向かわせます。イレイザーヘッドは、このまま西に向かってミルコさんと合流し、ヴィランの封じ込めを行ってください。またA組生徒には先程中断した市民避難を他学生と共に委託します。誘導は完了しましたがまだ避難が終了していません。逃げ遅れた市民をそのまま雄英高校へ避難させてください。以上です。』

アーミヤは、冷静に命令を出す。

 

『こちらイレイザー。こちらも生徒を撤退させるところだった。了解した。』

相澤は、そう言い通信を切り生徒の方まで後退する。

 

「お前等!命令だ。このまま撤退するぞ。」

相澤の命令でA組は、撤退を開始した。その時パトリオットはさっきまでの攻撃は嘘だったかのように何もせずただまっすぐと見つめていた。

 

「異常すぎるわあの硬さ…」

蛙水は、撤退しながら緑谷に話す。

 

「うん。比較的柔らかいであろう関節部分を狙ったのに全く傷がつかなかった。」

緑谷は、悔しそうに拳を握る。

 

(手も足も出なかった…いや全員で攻撃したけど…パトリオットは、僕達を敵として認識していない。敵は先生だけ…僕達は間違いなく足でまといだった。)

悔しさと自分の未熟さを感じみすみす撤退しか出来ない自分の弱さをあの時の爆豪を救おうとした時に重ねた。

 

(僕は…また…)

 

「まだ負けてないぞ緑谷。」

相澤が話しかけてくる。

 

「緑谷。お前の事だから自分のせいでとか思ってるのかもしれないが、俺達はまだ負けてない。俺達は1人で戦っているわけじゃない。俺達でダメなら別のやつが、そうやって全員でカバーして戦ってるんだ。だからまだ負けてない。俺たちの撤退は、作戦の一部だ。敗北では無い。クヨクヨするフェイズでは無い。次に繋げるフェイズだ緑谷。そうだろ。」

相澤は、優しい声で緑谷を諭すように言う。

 

「はい。先生。」

緑谷はもう一度パトリオットを目に焼き付けた。あの強靭な強い精神を見て、彼の様な強い心を持って戦えるように。

 

撤退後西側に着く。

西側は、さっきのパトリオット戦闘地域とは違い火薬の匂いと爆発音が鳴り響く。それと同時に敵味方関係なく多くの悲鳴や怒号が響き渡っている。

 

「ミルコ!」

相澤は、ミルコを呼ぶように叫ぶ。

 

「んぁ?!イレイザー!なんでこっちにいるんだ!」

ミルコは周りの敵を一掃しながらイレイザーの方に一瞬視線を向ける。

 

「そういえば、そんな命令が来てたな。イレイザー手伝えめちゃくちゃツェー訳じゃないが、数がいて面倒だ!」

そう言いながらレユニオン兵に向かって回し蹴りをする。

 

「生徒たちは後ろの学生と一緒に避難を進めろ!」

ミルコがそう言いながらさらに敵陣へ突っ込む。

 

「そういう事だ。俺はミルコ共に敵を出来るだけ食い止める。ここの避難を出来るだけ早く完了するんだ!」

相澤は、そう言うと返事も聞かずに敵陣へミルコを追いかけるように突き進む。

 

ロドス

 

「ロスモンティスさん…パトリオットさんの相手をお願いします。」

アーミヤは、そう命令しロスモンティスとの通信を切る。

 

「敵として戦うと恐ろしいですねドクターは…」

アーミヤは、これまでの損失を計算してドクターの作戦立案能力が、どれほど優れていたのかを再確認する。

 

「厄介極まりないない敵は、あのドクターだ。苦戦を強いられるのは予想していた。が、予想外なのはやはり…」

ケルシーは、そう言いながらドクターがいるであろう目的地まで軍用ジープで向かっている。

 

「ヒーローですね。大きな戦いを経験した事がないのでしょう。私の考えで配置したヒーローの多くは戦意喪失。あまつさえ敵前逃亡する物も多くいます。」

アーミヤは、そう言ってドローンで撮った映像を確認する。

 

[なんだよこれ…こんなの俺は知らない。]

1人のヒーローが後ろに後ずさりする。

[いたぞ!ヒーローだ!殺せ!]

ウォォォォ!

レユニオン勢力がヒーロー達に襲いかかる。

[ーーー!]

ヒーローの1人が大声で襲われたヒーローの名前を呼ぶ。

[そんな…こんなの…無理だ…俺には無理だ!]

そう言って1人のヒーローは、敵に背を向けながら逃げ出す。

[すまない。]

元ロドスのスナイパーがヒーローの背中を撃ち抜く。

そして力なくヒーローは、倒れる。

 

動画を閉じる。

 

「いつ見ても気持ちがいいものではありません。が、このままだとヒーローは、戦力になりません。」

アーミヤの意見は最もで彼らは地獄を耐え抜く精神がない。

 

「これでは確かに一部のヒーロー以外いない方なましなレベルだな。」

ケルシーは、嫌味を吐きドクターまでの距離を計算している。

 

「チェンさんは今…」

アーミヤは、藁にもすがる思いでケルシーに尋ねる。

 

「チェン氏は今龍門近衛局の先鋭を連れてこの地に来るらしい。」

ケルシーの発言にアーミヤは驚いたように目を見開く。

 

「龍門?!どうして彼らが…」

アーミヤは、考え込むように顎の下に手を当てる。

 

「ウェイ氏が方向を転換したのだろう。何処で仕入れたか知らないがこのままだとウルサスに良いようにされると感じたのだろうな。それの派遣だろう。」

ケルシーは、そう言いながらポケットに手を突っ込み中にある端子を触る。

(まさかこれに気づいた…だとすれば流石頭の切れる御仁だ。)

 

名も無きプロヒーロー戦場

 

「こんなの勝てねよ…どーすれば…」

ヒーローは、あまりの敵の執念の深さに戦意が喪失していた。

 

「進め!かつての仲間だろうと怯むな!これより我等龍門近衛局は、ロドスと協力しロドス元ドクターZEROを無力化する!」

チェンの鼓舞に龍門兵は、前進を始めた。

それを見ていたプロヒーローは、あまりに勇ましい彼女を見て失いかけた戦意を少し取り戻すのだった。

 

 

 

ドクター

 

「ッア゙!!!!!」

目の前で死柄木が呻き声をあげる。

 

「私が君達に望むのは一つだけだ。我々の世界に手を出すな。もし手を出せば今度はこの世界ごとお前達を灰にする。」

ドクターの容赦ない蹴りが死柄木の腹部を直撃する。

 

「この世界で君達が何をするのも自由だ。だが今は手を出すな。その後は好きにしろ。」

そう言ってドクターは、その場を去る。

 

「アーミヤ…」

ドクターは、悲しそうな顔をしながらゆっくりと自分の死に場所へ向かう。

 

 

 

 

 

 

「君もこうだったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テレジア…」



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最後

 

 

作戦開始数時間前

 

「これが今回の作戦の鍵になります。」

そう言って弾丸をプロヒーロー達に見せる。

 

「これは死穢八斎會が持っていた弾丸のひとつです。あの時通形ミリオに打たれた弾丸と同じものです。」

アーミヤは、そう言いながら自分の銃に弾丸を詰める

 

 

「これはこの場にいる、イレイザーヘッド。エンデヴァー。オールマイト。ベストジーニスト。ホークス。貴方方のみお教えします。今回の作戦。敵を全て倒す必要はありません必要最低限でいいです。この弾丸をドクターに打ち込む。そうすることで残るのはドクター1人になります。そしてそれが最後の1戦になります。」

それまでに何とかヴィランと周りの残党をどうにかしろ。

それが今回の作戦の内容だった。

故にこれは大規模な囮作戦。

アーミヤケルシーが安全にドクターの元へ行けるようにするための。

そしてパトリオットとの作戦もドクターの場所へ1番近いところにいる為に、消失してからすぐにドクターの元へ迎える様にと、チェンは、本来1人で遊撃を行いながら合流するはずだったのだが、出来るだけヒーローを犠牲にしたくない一心でウェイに頭を下げ近衛局をもう一度指揮しているのだろう。どちらにしろチェンは、このままいけばドクターの元へ集まる。その時が本当の意味の最終決戦。

 

作戦は上手くいっていないように見えて上手くいっていた。

だが何事にも想定外が存在する。

ヒーローがあまりに精神的に弱かった。その為想定外が起きた。

 

「いつぶりだろうか?お前達に会うのは。確かあの時顔が潰れた…確かオールフォーワンと言ったか?あの男との戦闘の時以来か…いや…死穢八斎會の時か?」

そう言いながら白いうさぎは、A組の前に立ちはだかる。

 

「お前はフロストノヴァ…」

緑谷は、少し後ろに後ずさる。

 

「覚えていたのか…だがお前達はここで終わりだ。安心しろ私はお前達を少しも苦しませずに殺してやる。だが…彼女はどうだか分からない…せいぜい楽に死ねるように努力するんだな。」

そう言いフロストノヴァは、氷柱の弾丸を放つ。

それと同時に後方から巨大な炎の斬撃が飛んでくる。

 

「なんだ?イレイザーヘッド。私がここにいるのがそんなにおかしいか?それとも私の目撃情報の場所に大切な者を運んでしまったか?」

そう言いゆっくりと目の前に現れたのはありえない程の威圧感を放つタルラだった。

 

「ヒーローは、ジリ貧だ。町の損害は普通のそれを軽く凌駕している。もはや生存者を探すことは不可能だろ?生物はあまりの状況になると思考を停止する。私より先には約800名のヒーローがいたはずだと思っているのかもしれないが、絶望し希望がなければ奴らは自ら命を差し出す。こんな風に。」

そう言ってタルラは、左手に掴んでいた物を投げ捨てる。

そして転がってA組と相澤、ミルコの前に落ちたのはヒーロー達の頭部の集まった袋だった。

 

「っひ!」

麗日は、その中身にゲロを吐く。

 

「そんな…」

今まで経験したことが無い戦闘。いや戦争。おそらくヒーロー社会が発足してから類を見ない程の大きな戦争。ヒーロー達にとって非日常であり目の前の頭の集まりに、堪えきれない不快感に絶望が、支配する。

緑谷はあまりの現状にその場に力なく崩れ落ちる。

 

「奇しくもお前達がここにいるとはな。残念だったなこのままいけばこの国はないし世界はじきに機能不全に陥る。お前達の戦いは無駄になる。」

タルラはそのまま業火を周りに放つ。それを避けるように急いで生き残っている者を連れて建物に隠れる。

 

「い……ヘッド!…………………イレイザー!返事を………………返事をしてください!」

相澤の通信にアーミヤの通信が入る。さっきの爆発で無線がまるで使い物になっていない。

 

「かん…に伝えます。他地区のヒーロー全滅!今戦えるのは…………だけです!」

「誰が戦える!」

相澤は、上手く聞き取れない無線にイラつきながら物陰に生き残ってる全員を隠す。

 

「少し回復し…繋がりました!んん!もう一度言います。今戦えるのはチェン、ロスモンティス、ブレイズ、そしてアーミヤ、ケルシーそして西側のヒーローのみです。それ以外は戦闘続行不可です。今現在彼らにできるのは暴徒から避難民を守ることが精一杯です。我々も急いで向かいます。ですのでどうか生き残ってください!…まっ!ケルシー先生!前方…」

「どうした!アーミヤ!」

通信は切れ相澤は、作戦の急展開に、頭を抱える。

(全部計算通りか…叶夢…)

相澤は、物陰から物陰へ移動するようにして敵2人の目から逃れ生き残りとの作戦を考え始める。

 

「お前ら聞け!」

相澤は、生徒達に向かって話しかける。

 

「俺達がここで耐えられないと本当に日本は終わる。いや世界ですら危ない。」

相澤は、今のタルラの出力を見てそう言う。

 

(初めから仲間はそこまで重要ではなかったのか…)

相澤の目には後ろの仲間を気にせず前進してくるタルラを捉えていた。

 

「俺たちの作戦は耐えることだ。この場所でひたすら耐える。アーミヤが来るまで。いいな!」

相澤の作戦に何名かは納得がいか行っていない。

 

「なんでアーミヤちゃんを待つのかしら?」

蛙水が、相澤に聞く。

 

「アーミヤが戦況を打開する武器を持っている。だから耐える今はそれが最善で合理的だ。」

相澤は、そう言うとタイミングよくタルラの前に出ていく。

続くようにA組そしてミルコその他数名の他校の生徒とプロヒーローがタルラとフロストノヴァの前に出る。

 

「なるほど私達の足止めか。」

フロストノヴァは、そう言いゆっくり手を前に突き出し大きな氷柱を作り放出する。

 

「お前ら死ぬな!耐えろ!」

相澤は、全員に指示を出し2人の足止めを開始した。

 

アーミヤside

 

「っコホコホ」

横転した車の中からケルシーと共に外に出る。

 

「ロドスだ!殺せ!」

アーミヤ達はレユニオンに見つかり攻撃される。

 

「先生!」

アーミヤはケルシーの方を向く

 

「っ!間に合わない!」

モンスターを展開させようとしたが時間が足らず間に合わない。

 

「っあ!!!!」

レユニオンの兵士はそのまま剣を振りかざす。

 

ドン!

 

アーミヤ達に聞こえたのは自分達を切り裂く音ではなく盾で守られる音だった。

 

「え?」

アーミヤは、目の前にいる人物に込み上げてくる物を感じほおけてしまった。

 

「敵である君が私たちを助けるのかACE。」

ケルシーの言葉に少しバツが悪そうに指で頬をかき。

 

「俺の役割は代表等をドクターの元へ連れていくことだ。着いてきなこっちには敵はいない。」

そう言いACEは、2人をドクターの元へ案内する。

 

ロスモンティスside

 

「行っていいの?」

ロスモンティスは、パトリオットにそう質問する。

 

「あぁ。役割は終わった。後はお前達が成すべきことを成すだけだ。」

そう言ってパトリオットとその兵士は、行動を止め立つ

 

「わかった…行ってくる。ありがとう。」

ロスモンティスは、そのまま振り返る事無くドクターの元へ向かう。

 

「エレーナ…」

そう最後に娘の名前をつぶやきそのままパトリオットは、消滅した。

 

チェンside

 

「隊長!ここはもう大丈夫です!我々とヒーローで残りを掃討しときます!」

龍門の兵士がチェンにそう伝える。

 

「了解した!後は任せる!」

チェンは、そう言いまっすぐ走り抜ける。

 

ヒーローside

 

「相澤君!聞こえる?!」

相澤の通信には今まで通信すらどこにいるかも分からなかったロドスのエリートオペレーターとの通信だった。

 

「聞こえる!」

相澤は、余裕が無い状況で通信に応える。

 

「よかった今からそっちに落ちるけど結構衝撃が出るからタルラから少し距離をとって!」

そう言い後ろの兵士と何か話していると信じられないぐらいの轟音が通信機を通る。

 

相澤は、周りに指示を出し少しタルラから距離を取る。

その瞬間空から1人の女性が落ちてくる。

 

ブォン!

チェンソーの唸り声が響く。

 

「久しぶりねお2人とも!」

ブレイズが2人の前に立ちはだかった。

 

「…」

タルラは黙ってブレイズを見る。

 

「よく耐えたね!凄いよ!」

ブレイズは、A組を、鼓舞する。

 

「1人増えたからと言って何か変わるわけでもあるまい。」

タルラは剣を向けそう言いすてる。

 

「1人だと思うのか?タルラ…いやコシチェイ」

そう親の仇の様に睨むチェン

 

「コシチェイ?」

フロストノヴァは、理解できないとタルラを見る。

 

「残念だが少し違うぞチェン。私はタルラの皮を被ったコシチェイであり、その行動意識の全てはドクターだ。持っと早く見つけていれば良かったなドクターは。」

タルラは、チェンに向けて炎の斬撃を飛ばす。

 

ガン!

上から鉄骨のような物が降ってきてチェンを守る。

 

「させない…よ。ドクター…」

小柄な少女がチェンを守る。

 

「ドクターがもし悪い人になったらすっごく悪い人になっちゃう。そう思ってた。本当にそんな風になるなんて思いたくなかった。家族を失いたくなかった。」

ロスモンティスは、寂しそうにドクターを見る。

 

「相澤ちゃん!ここが正念場。2人を相手にするからかなりきついかもしれないけどやるしかないからね!皆やるよ!」

ブレイズの掛け声と共にタルラとフロストノヴァとの戦いが再び行われた。

 

戦闘はタルラとフロストノヴァが優勢で進んでいる。

エリートオペレーターが2人いる為かヒーロー側の被害は死亡者ゼロで持ちこたえてはいる。

だが今の現状動けるのはロドス陣営と、A組の1部そして相澤だけだった。

 

「本当になんなのよこれ!」

ブレイズは、タルラの攻撃を避けながら悪態をつく。

 

「大丈夫?」

ロスモンティスは、倒れた緑谷に声を掛ける。

 

「うん。大丈夫。君は?」

緑谷は、そう言いながらボロボロの足を叩いて立つ。

 

「私は貴方より強いだから大丈夫。」

ロスモンティスは、そう言いながら周りを見る。

 

「アーミヤが来るまでにこっちの被害が大きくなっちゃう。」

ロスモンティスは、倒れているA組の1部とその他のヒーローと他校の生徒を見てそう言う。

 

「あぁこのままだときつい。」

チェンは、周りを見てそう言う。

 

「何人か引かせましょう!」

ブレイズは、そう言いながら葉隠を指さし

 

「貴方が負傷者を誘導して。タルラ達は私達が抑え込む。」

ブレイズは、タルラの顔面に向かってチェンソーを振るう。

 

「ふっ」

タルラは片手でブレイズの攻撃をいなす。

 

「全くこれ以上戦っても何の意味も無いぞ」

タルラは、ゆっくり彼らに近づく。

 

「終わりだ…っ!」

タルラが大きく剣を振り上げたタイミングで1発の弾丸が、腹部を貫いた。

 

「なるほど…そういう事か…子うさぎ…」

タルラはそう言いながら後ろを振り向く。

そこにはアーミヤとケルシー。

 

「終わりです…もう貴方に戦う能力はありません。」

アーミヤは、苦しそうにタルラを見る。

 

その目を見てタルラは逃げ出すようにその場から離れる。

 

「待て!」

緑谷は、追いかけようとするがそれをフロストノヴァが塞ぐ。

体からは白い灰のような物が出ており今にも消滅しそうになっている。

 

「行かせない。」

フロストノヴァは、最後の力を全部使って大きな氷の壁を作り出した。

 

「っあ!」

フロストノヴァは、力を使い切ったのかそのまま倒れ込むようにその場から消失する。

 

アーミヤは、その氷に手を当てて。

「これが溶かすのは少し時間がかかります。緑谷さん。すみません」

そう言って緑谷の首根っこをつかみ緑谷をまだ少し薄い氷の部分に当て外に出した。

 

「ドクターを追いかけてください!私達もすぐに向かいます。」

アーミヤがそう緑谷に指示をする。

 

「さて急ぎましょう。」

アーミヤは、アーツを打ち込み始める。

 

ドクターside

 

「つァァァァァ!」

ドクターは、信じられない痛みを味わっていた。

ドクターの個性で出した存在が死んだらどうなるのか、ドクターは、どうなるのかその答えは今この瞬間に決まる。

死んで行った仲間はまた死にその意識を永遠に葬られる。そして徐々に生きた存在が消えていく。

深い仲を持つもののみが覚えられるかもしれないそんな曖昧なものになる。

そしてドクターは、彼らの受けたダメージを一部うける。

普段ならどうってことがないが今回は数が多く死亡者も多い。

ドクターが受けるダメージは、想像を超えていた。

 

気づけばあの時オールマイトとオールフォーワンが戦った場所に行き着いた。

ボロボロのドクターが、皮肉そうに笑う。

 

「ヒーローを失った場所でまた次のヒーローを望むのか…」

ドクターは、自分の懐の銃を取り出す。

 

「さて…ファイナルフェイズ。」

そう言って銃弾を詰め込む。

できるだけ足掻いて殺される。

その準備を始める。

 

アーミヤside

 

バーン!

氷の一部に大きな穴が空く。

「急ぎな…」

ロスモンティスは、その姿に目を見開く。

 

「時間が無い。俺ももうじき消える。早く行け。」

そう言いヒーロー達と彼女らが出れる穴を開けてそこを死守している。

 

「ACE。」

ロスモンティスは、寂しそうに見る。

 

「皆を頼んだぞ。ロスモンティス。」

そう言って氷に突き刺さったまま消失する。

 

「皆さん先に行ってください。私は他の方に指示を出してから向かいます。」

アーミヤとケルシーは、そのまま氷の外でしばらく通信など指示を行うと言い、ロスモンティスは、生き残った人を救出する方に向かう。

チェンとブレイズは、兵の撤退と残った残党が居ないかを確認しに別の地区に向かう。

 

「皆さんドクターは、もう能力は使えません。ですが注意してください。それでもドクターは、強いです。どうかこちらの処理が済むまで耐えてください。ドクターを頼みます。」

アーミヤはそう悲しそうにお願いする。

物語の最後に着実に進むのであった。



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叶夢零オリジン

叶夢はあの日オールマイトとオールフォーワンの戦った場所で静かにそして重く立っていた。

A組の一部とその他少しのヒーローが彼女の逮捕の為にその殺戮者の元へ赴く。

 

「ヴィラン叶夢、君を捕まえさせて貰うよ!」

 

ヒーローが1人叶夢にそう言う。そして個性を使用しながら接近。

その瞬間

バーン

銃声と共に突っ込んだヒーローは絶命する。

容赦なく頭を吹き飛ばした叶夢ヒーロー達に緊張ど動揺が走る。

 

「私を小娘と思って舐めているのか?人を殺すのになにか躊躇するとでも思っていたのか?私はタルラでなくとも躊躇いなんてしない。」

叶夢は静かにその口を開きヒーローに問いかける。

同時にその様子は全国の放送に流れ始めた。

正義感に目覚めた報道者は、この現状を伝えようと命懸けでこの場にヘリを飛ばしたのだ。

 

「叶夢さんどうして?どうして僕達を殺すんだ?」

緑谷が叶夢に質問する。

 

「それが納得する答えなら君達は大人しく死んでくれるか?」

叶夢は話す気がないと言ったように突き放す。

 

「性悪女と話してても何にもなんねーよ!!しねー!」

爆豪が叶夢爆破で足元の自由を奪う。

 

「っ!」

叶夢はよろけながらじぶんの足を叩き無理矢理義足の向きを変え救護を専門とするヒーローに狙いを定めて銃を放つ。その弾丸は命中しメディックは悶えながら自分の首に打たれた弾痕を治療する。だがその傷がなかなか治らない。

 

「な…ん……」

しばらくしてメディックは完全に動かなくなる。

 

「これは殺し合いだルールなんて存在しない。私はお前達全員を殺すその為に外道と呼ばれる程度の汚名は喜んで受け入れる。」

そう言って新しいマガジンを装填する。

 

「気おつけろ!奴の撃つ弾は何かしらの毒性の物だ!」

そう相澤が周りに注意を呼びかけながら交戦する。

 

 

ーーー

戦いは泥沼化していく。そもそも数の暴力。叶夢側は1人個性はもう使えない。

 

ただ足掻きとも言える攻撃が確実にヒーロー側に大きなダメージを負わせた。

 

殉職したヒーローはざっと半分生き残っているのはヒーロー科の面々と一部のヒーロー達。

 

運良く生きてるランク外のヒーローは叶夢の異様な殺気に当てられてもう立つのが限界になっていた。

 

だがそれは叶夢も一緒だった。

 

叶夢は大きく肩を揺らしながら息を整える。

 

「はぁ…はぁ…まだ…だまだ…負ける訳には行かない。」

その執着に緑谷は恐怖し聞き返す。その恐怖は、彼女を救いたいと願う緑谷が彼女が死んでしまうと感じた恐怖に自分が死ぬのではないだろうかと感じる矛盾した恐怖。

 

「もう辞めよう叶夢さんこれ以上戦ってもいずれ僕達が勝つ。もう終わりにしよう。」

緑谷は心の底から叶夢にそう言う。

 

「何千…何億」

叶夢がそう口にする。

「?」

緑谷は叶夢の言葉に疑問符を浮かべた。

 

「何億もの人類を何億もの期待を何億もの願いを何億もの想いを私は背負っている。」

叶夢はキッと自分の意志を確かめるかのようにそう告げる。そしてその言葉にヒーロー達は思わず手が止まる。

 

「何億もの命が救えるかもしれない。犠牲になった者に報いることが出来るかもしれない。そんな可能性があってお前達は止まるのか?」

叶夢は緑谷に初めて問いかける。

 

「それじゃ僕達の世界の人間はどうでもいいのかい?叶夢さん…皆が手を取り合って救える命だって…」

「あると思うのか?あの世界を見て?まだそんな事思うのか?」

緑谷はあの日見た光景を思い出す。

 

「難しいかもしれない時間が掛かるかもしれない。でもそれが人の営みならできるはずだ。」

「理想論だな…」

叶夢は嘲笑するように吐き捨てる。

 

「緑谷…人間はお前が思うより醜くて汚い。」

「叶夢さん人間は君が思ってるより残酷じゃない。」

「緑谷…人間はお前が思うより強くないんだ。」

「叶夢さん…」

初めて聞く叶夢零の弱音。

 

「それに、私がここで引くことは私の生き方の全否定だ。」

緑谷は発せられた殺気に身構える。

 

「私は彼らを救わなければならない。私は彼らの帰る場所を作らなくてはいけない。」

叶夢は銃弾を装填しながらゆっくり歩き出す。

 

「もう既に時間はかけた!いやかけすぎた!」

叶夢が吠える。

 

「私がここで引いたら、今まで犠牲になったものは何の為に死んで行った!託されたものを捨てることができるものか!私が払ってきた犠牲は、私が殺すしか無かったあの子達は!」

叶夢は声を荒らげながら銃を撃つ何発かヒーローにあたりはじめてヒーローは再び叶夢と戦闘を繰り出す。

 

「未来を明るく語った子が明日を迎える前に死んで行く!無意味になんの価値も無かったかのように!平和を享受する貴様らに我々の何がわかる?!」

叶夢の怒号に緑谷を始め多くのヒーローはヒーロー殺しと同じいやそれ以上の気迫を感じる。

 

「誰かがやらなくてはあの子たちの未来を作れない!目の前にあの子達が安心して過ごせるかもしれない未来があるなら!私は何を犠牲にしてもそれをなす!偽善では何も救えない!全てを救う事はできない!我々が幸せを享受するのであるなら君達には不幸になってもらうしかない!それがただの対象のすり替えでもそれで私達の世界の人間が救われるなら!私は君たちを殺す!」

 

「叶夢さん!」

緑谷は何か言いたげに叶夢に呼びかける。

 

「私が守るべきなのは私の世界の人間だ!私の世界の住人だけが対象だ!お前達は対象外だ!」

叶夢ボロボロになりながらそう叫ぶ。

 

「あの世界をまともにする!あの世界に生きる全ての人間が、鉱石病に怯えない世界をつくる!それこそが私が両親を殺した時に誓ったあの世界への復讐だ!」

叶夢怒りは理不尽に対する怒りそれは正義ではなく復讐。誰かを救うことでの復讐。そのあり方にヒーロー達は困惑する。

 

「私達は多くの物を犠牲にしてきた、多くのものを見捨ててきた、あまりに大きい決して許してはいけない取捨選択をしてきた!私達は許されてはいけない!だが、子供達は未来ある彼らの罪はない!繰り返してはいけないここで断ち切らなければ!せっかくチャンスが目の前にできた!私達がのぞみ続けた未来が!」

叶夢はヨロヨロになりながらそう怒鳴り続ける。もう誰がどう見ても叶夢に勝ち目はない。叶夢はよろけて膝を着く。

 

「ッア゙!!!!!」

彼女の足はありえない方向に曲がっており。もはや歩くことさへ困難になっていた。

 

「もう終わりにしよう叶夢さん…」

緑谷は泣きそうに叶夢に近づく…

 

「あぁ…そうだなもう終わろう。」

叶夢はゆっくりと足を引きずりながら後ろに後ずさる。

 

 

 

 

グサッ

 

 

 

 

「え?」

緑谷は目の前で起きた事が理解出来無かった。

目の前で叶夢がアーミヤによって刺されていた。

 

「ドクター…もう…もう…良いんです…休んで…休んで良いんですよ…」

アーミヤが泣きながら剣を突き立てる。ドクターを、守ると誓ったその剣で。

「あぁ…そうか…もう休んでいいのか…あぁ…アーミヤ…大きくなったな…」

「ッ…!」

たった2語誰にも聞かれな声でそう言葉を交わし。

 

「さようならドクター…」

「ありがとうアーミヤ」

そう言ってアーミヤはすぐに他の倒れているケルシー達を連れて転移装置で転移する。

 

 

 

 

 

 

「叶夢さん!!!!」

緑谷は慌てて叶夢の元へ駆け寄る。その他の同級生もヒーロー達も

 

「おい!性悪女!何勝ち逃げしようとしてんだ!」

爆豪を始め叶夢に怒号の様に呼びかける。中には涙を流しながら訴えかける者もいた。

そんな中叶夢は緑谷の手を払いうつ伏せになり手を伸ばす。

 

 

 

「叶夢さん?」

「あぁ…皆…ごめ…私も…今…そっーーーーーーーーーー」

そう残し叶夢は絶命した。

そしてその遺体は氷のように砕け空を舞った。

それはオリジニウムではなくただの肉片。

もう既にドクターの体は限界を超えていた。

 

この日の戦いはヴィランの中でも極悪非道とも呼べる存在との戦いであった。だがこの戦いで一点のおかしな点をあげるのであれば、誰一人としてヴィランを倒したと思えなかった事。

そして戦いの後誰もテラの住民と出会わなかった事。

まるで全てが泡沫に消えた様になり。ヒーローは、大悪人ドクターZEROの排除に成功した。

だが、彼女を知る者は皆言葉を詰む。

その在り方にどうすればいいのか分からないから。

雄英高校はその筆頭だった。

彼女の死を憂う催しは誰もしない、してはいけない事になった。雄英生徒も先生も誰一人として。

彼女の死が喜ばれなければいけないのだから。

ヒーローでは何も救えなかった。

彼女の背負う物が大きすぎて…

誰も雄英生であっても、プロヒーローであっても

本当に世界が違うのだとなんでも出来ると勘違いした彼らはその現実を突きつけられる。

その事実が雄英生にとっては何よりも苦痛だった。

 



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epilogue 明日のヒーローアカデミア

「これを見せるべきか教師で話し合った。結論としてはクラスメイトであるお前達には見せるべきだ。と判断した。」

相澤がA組の生徒にそう言う。

 

「叶夢はヴィランだ。だが、同時にクラスメイトでもある。なら彼女残したこれを見せないのは彼女の自由意志に反する。だから教師同伴であれば見ることが許可された。」

そう言い相澤はDVDをセットし再生する。

 

「よし…これで写ってるかな?あーーーあーーーよしおっけー!

さてとお久しぶり?になるのかな?多分これが流れてるって事は私は死んでいるんだろうね…

そうかー死ぬのか…怖いね死ぬのは…うん。怖い。アーミヤには嫌な役をやらせるからね…でもこれが1番平和的に解決できるからね。お互いの侵略を止めるには最大の被害を持って最小の被害をもたらすしかない。私とその他大勢のヒーローの命で私の世界の住人と君たちの世界の住人が助かる理不尽に死ぬことはなく、戦いを望んでやる者しか死なない。いや、1回目は無駄に理不尽に殺害してしまうだろうね。己の無力さに嫌気がさす。さてと、今回の意義としては私が死ぬことで奴らは進行が愚策であると大衆に認識させること。そして、進行をさせないように、各国の圧力がかかれば身動きはしにくい。そしてヒーロー達も私が個人で災害クラスの被害を出せばこちらへの進行はしないだろう。私一人が悪になることで全てうまくいく。私じゃ、あの土地に攻めようとする彼らを止めることはできない。これが彼らを止める1番平和的な方法だ。」

流れたのは叶夢のビデオレター。

 

「なっ?!」

緑谷達は自分たちを守るために芝居を打っていた事を初めて知った。

その事実に皆が明確に動揺している。最初から死ぬつもりだった彼女。

その選択は理解したくないが理解出来てしまった。

彼女ならそうすると本能的にわかってしまった。

そしてそんな中語られた本音。自分がヒーローとはを、突きつけた彼女の言葉。

その事実に皆が自分の不甲斐なさに握る拳が強くなる。それは見ていた教師も一緒だった。

 

「もう死んでるなら…少しぐらい自分の為に何か語ってもいいかな?「ドクター見てみて!」ん?おー!それは私か?」

5歳ほどの幼女が絵を見せている。

 

「すごいなー!良くかけてる!将来は画家かな?「えへへへホント!アーミヤちゃんにもみせてくる!」うん。行ってらっしゃい。」

それは和やかと言える。一緒にいる時には決して見ることの出来なかった年相応のいや少しおねーさんな叶夢の笑顔だった。

 

「零ちゃんあんな笑顔できたのね」

蛙水がそう呟く

 

「さてと何を話そうか?少し私の施設を回りながら話すとしようか…あぁーそうか、君たちは壊理ちゃんの事が気になるんでしょ?ならそこに行こうか…ーーーーーエリいるか?「どくたーーー!」おー!元気いいな!」

 

「えりちゃんあんな笑顔で…」

緑谷を始め壊理の扱いがオーバーホールの所と変わらないのではと思っていた為あんなに笑顔だとは思っても見なかった。

 

「ね?だから何回も言ったでしょ。この子はちゃんと育てる。少なくともロドスにいる間は安全だ。彼女が望むならそっちらにも帰す気はある。だから安心してくれ。仮であったが君達のクラスメイトであった者の唯一の願いだ。…大地は年齢を理由に慈しみを与えることはないが、子供が我々の希望であることは不変である。ケルシーも言っていたが、この言葉は私も気に入っているんだ。さてともう時間が無いな。後は惰性だけどそうだねこれを撮ったらもう時間か…」

そう言い叶夢は少し開けた場所に出た。そこには大量の墓標。

文字通り数え切れない程の。

 

「これを見たら君達は驚くだろうな…これでも名前がわかった人だけなんだ…ほんとはもっといるしこの中で遺体があったのは半分もないんだよ…ここに来るといつも思う。私のしてきたことは果たして正しかったのかと。これだけの人が死んだ。私の指揮で死んだものも計り知れない…私は彼らには絶対に許されない。でも彼女彼等の死に意味がなければいけない。ただの無駄死にではいけない。彼らの願いは叶えないといけないし、彼等に意味を与えるのは犠牲を作り続けた私だ。私は彼等と同じ場所で眠る事はできないだろう。私は彼等にとって悪であり続けなければならない。」

叶夢は悲しそうに彼等の墓標の前で敬礼する。

 

「これを見てるのは誰なんだろうか?クラスのみんなか?もしかしたら誰か殺してしまってるかもしれないな…だから今いる人に聞きたい…私のしてきた事は間違っていたのだろうか?…」

 

「…」

皆が押し黙る。そんな中相澤が一言漏らす。

「馬鹿野郎。」

相澤が涙を浮かべながら言う。その表情は、肯定も否定もできない複雑な表情。

 

「君達を見て気持ちが揺らいだ。初めて来た時帰りたくないと少し思ってしまった。もし鉱石病がなかったら、もし天災がなければ…もし海が死の世界じゃなければ…もしも宇宙が救いのある世界なら…そんなもしもを見せつけられた…」

叶夢がうっすら目頭に涙を浮かべながら

 

 

 

 

 

 

「君達のように当たり前を生きてみたかった。」

その一言はあまりに重い重すぎる言葉だった。

 

 

 

 

 

「少し喋りすぎたじゃ皆さようなら」

 

 

 

各々が感じた。彼女は生き方を決して曲げなかった。強く誰よりも自分の守るべきものをわかっていた。そして誰よりも大地を憎みだが、人を愛していた。常に最善を尽くし全てを救おうとして本当に全てを救っていく者だった。彼女のあり方はこの世界でも、彼女の世界でも理解されない。それは緑谷を初めて全ての生徒が理解した。誰にも理解されないし、理解してはいけない。孤独なひとりぼっちのヒーロー。

 

 

 

 

これはたった独りで戦い、誰にも理解されなかった孤独なヒーローの物語

 

 

 

♬.*゚ヒィンヒィンヒィンヒィンヒィンー♪

(ヴァイオリンの音が一体に響く)

 

 

 

ーーーーDr.ZEROーーーー

 

The hero who was too kind is laid to rest here.

The hero who sacrificed himself for the future

will live on in us with Lodoss Island.

(優しすぎた英雄は、ここに眠る。

未来のために自分を犠牲にした英雄は、

ロドスアイランドとともに私たちの中で生き続ける。)

 

 

♬.*゚ヒィンヒィンヒィンー•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪

(ヴァイオリンの音が一体に響きわたる)

 

「お疲れ様です。もう休んでいいですよドクター…」

 

明日のヒーローアカデミアEND




ここまで読んで頂きありがとうございます。

かなり駆け足の部分もありましたが無事完結です。
当初のヒーローとは、と言う部分を掘り下げたくて書きました。
色んな方に読んでもらえて嬉しい限りです。もしかしたらこの後ifストーリーをあげたりするかもしれませんが未定です。
とりあえずifと言うか続きと言うかそんな微妙なニュアンスの話を1話載せときます。
結末はずっと決めていました。
楽しんで頂けら私も書いて意味がありました。
ではまた別の作品でお会い出来ることを願っています。



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閑話休題
IFstory:いつか来るその時 私達はアークナイツ


ifと言うか起こり得るかもしれない未来です


 

「ヒーロー社会に対する…」

テレビから聞こえるアナウンサーの声。

 

ドクターが死んでからもう10年以上。

ヒーローのあり方は変わったけれどヴィランが消えた訳では無い。

 

「きゃーその人を止めて!」

女性のカバンを引ったくりする人がいた。

 

その男はテレポートの個性を使ってどこかに逃げる。

 

「カバンを取ってきますね。」

そう言いフードと仮面をつけた怪しい人は女性の手をとって少し待ってくれといい歩き出す。

 

数日前

「君が望むなら私は否定しない。」

ケルシーは、そう言い転送装置を出す。

 

「帰ってくるんですか?」

アーミヤは、そう言って私に聞いてくる。

 

「もちろんです。私の家はここですよ。ただお礼を言いに行くだけです。」

フードを被った不審者はそう言って、転送装置をポッケに入れる。

 

「全く…ドクターの残した置き土産で忙しいと言うのに…旅行か…」

ケルシーご嫌味を言う。

 

「すぐ帰って来るよ。行ってきます。」

 

時は戻り

 

「カバン返してくれない?」

男を追い詰める様にゆっくりと歩いて近づく。

 

「クソ!」

男はカバンを投げ渡してくる。

 

バーン!

勢いよく空いた扉。そこには緑色のコスチュームに身を包んだヒーローの姿。

 

「き…君は?」

デクと言われたヒーローは、フードの人に驚いたように口をあけている。

 

「あー。会えた。」

そう言ってデクに近づく。

 

「あの時助けようとしてくれてありがとう。私はもう大丈夫ですよ。」

そうデクに向かって言う。

そしてその一瞬に男が隠していたナイフで刺しに来る。

 

それを片手で受け止めてる。

「大丈夫!?」

デクは急いで男を捉えて少女の手を取る。

 

「大丈夫ですよほら。」

そう言って自分の手を治す。

 

「これは個性?」

 

デクは、その個性に見覚えがあった。

「君はもしかしてエ…」

「今回の捕獲に個性使ってないんで見逃してください。困ってたみたいで少しお手伝いしただけですから」

そうデクの言葉を遮るように言う。

 

 

「君は一体何者なんだ?それにその格好は…」

デクは、少し動揺しながら少女の言葉を待つ。

 

「私は…いや私達は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークナイツ

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私はドクター…

 

 

 

 

 

ドクターONE」

 

 

 

そう言うと少女は、その場から消えるように去っていった。

 

「うん今から帰るね。ケルシー先生。」

少女は、屋根の上でそう伝える。

 

「気は済んだか?エリ。」

ケルシーは、そう聞く。

 

「私はドクターだよ。先生。」

そう言ってフードと仮面を取る。

 

「そうだったな…ではドクター帰ってきてくれまだ仕事が残っている」

ケルシーは、そう言って通信を切る、

 

 

「ドクターってこんなに重い物を背負ってたんだ。

 

 

でも

 

 

やってみせるよ…

 

 

皆が幸せになるそんな選択を

 

 

だってそれがあなたの望んだ未来なんでしょ?

 

 

そうだよね…ドクター…零姉さん。」



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If story White Rabbit Compassion
【一節】 雪


本編とは全く別の話です。


 

「ここは…」

白い少女は1つの信念の元に敗北し死に絶えた。死んだはずの自分がなぜ生きているのかこれは死後の世界なのか、はたまた終わりなき夢なのかと混乱と動揺が白い少女を襲う。だがその考えはいつもの忌々しい痛みと共に現実である事を確定づけた。

 

「っ!」

それは少し侵食が押さえられた石の結晶からなる痛み。末期の頃とは違い少し症状が和らいでいるように感じるがせいぜいかつての親友であり暴君と成り果てた彼女と出会うより前の状態になった程度だった。

 

「何の因果なんだろうか…私にまだ戦えと言うのか…」

少女は、横になった草むらから腰を上げ周りを見る。

 

「草むら?」

少女は、さっきまでいた場所とはあまりにも違うその感触に今になってのようやく気づく。

それは冷えたコンクリートではなく青々と茂った草。

 

「…」

少女は、素手でその草に触る。

 

次の瞬間草は一気に霜が降りて凍りつき砕けてしまう。

 

「何を当然の事を…」

白い少女は、少し残念そうにその砕けた葉を見る。

 

(期待していた訳では無い。)

少女は、砕けた葉を見ながら、もしかしたら自分は、もう誰かと触れ合える。そう願ってしまった。

 

(それにしてもここは…)

少女は、辺りを見渡す。だが見ても見ても周りには見たことの無い文字に自然が生い茂る木々。

 

(まるで何かの御伽噺みたいだ…)

少女は、ゆっくり立ち辺りを歩く。そしてもう1つ違和感に気づく。

 

(感染者がいない?それに言語も分からない…)

少女は、自分のいた場所から考えてもありえないと困惑する。

 

(ここは…私のいた世界では無い…龍門でもウルサスでもましてはロドスでもない。ここは…)

あまりに突拍子のない話。そう感じたが状況がそうだと言ってくる。

 

バーン!

少女は、何かが爆発する音を聞く。

少女は、その爆発音の場所まで駆け出す。

 

「っクソが…!」

バン!

爆発音の正体は1人の少年だった。

1人の少年がヘドロのような物を爆発でひたすら耐え続けていた。

 

「あの子ずっと耐えてるわ…」

1人の野次馬が何を言っているか分からないがそう言っていた。

辺りに目をやると派手な服を着た者が彼の救出をしようと何かをしているがまるで進んでいないようだった。

 

「っ!」

そんなこんなで少し様子を見ていると少し癖の強い髪の少年がヘドロに絡まれた少年を助けようと飛び出した。

 

少年は、そのまま掻きむしるように泣きながらヘドロをかき分ける。対するヘドロに捕まった少年ももがくように爆発を続ける。

 

(無謀な…)

少女は、ひたすら掻き毟る少年を見てかつて会った少年を思い出す。

 

(そうか…彼もまた…)

少女は、その少年を見て少し過去を思い出し少しずつ歩いて近づく。

 

(まだ浅く弱い。けれど…決して笑うものでは無い…)

少女は、そんな彼を真っ直ぐ見ながら壁に触れる。

 

「っ!」

次の瞬間辺りはまるで氷点下まで下がったのかと思うぐらい寒くそして霜がが降りていた。

 

「これは…」

1人の派手な服を着た人間がキョロキョロ辺りを見渡す。

 

「っぁ?!ゴボッ!」

少女は、体にかなりの痛みを感じる。そしてそれと同時に咳き込みその咳からは少量の血が吹き出る。

 

「いくら症状が緩和してもアーツを使えば今まで通り症状は進むのか…」

そう誰にも聞こえないぐらいの声でつぶやく。

そしてよろけながらその場を後にする。

 

緑谷目線

 

「かっちゃん!」

緑谷はひたすらヘドロをかき分ける。だがその行為は虚しいかなあまりにも意味をなしていない。

 

ひたすら掻き毟る。終わりがない。そんな風に思っていたら急にあたりが冷え込みヘドロはどんどん凍りついて行った。

辺りのヒーローも人間も何が起きたかわかっていない。

緑谷は、今だと言わんばかりに爆豪をヘドロから引き離す。

 

「ゴホッ」

咳の音が聞こえその音の方向を一瞬見る。

 

「あの子は…」

緑谷はその少女の手…其の手袋に目が行く。その手袋の先端は液体窒素でもかけられたのかと思うほど冷気で煙がたっているほど凍っていた。

緑谷はこの冷気の正体が彼女だとこの中で唯一わかった。

 

その後オールマイトの登場でヘドロのヴィランは片付いた。

そしてオールマイトにヒーローになれるそう言われ目まぐるしい一日が終わろうとした時あの少女を思い出し少し暗くなった外に出る。

 

そしてそこには白い少女がいた。

 

少女目線

 

(これからどうするべきか…)

そんな風に頭を悩ませながら少女は、暗がりを歩く。

 

「あの!」

いきなり声をかけられ後ろを振り向く。

 

(この子は…)

そこに居たのは昼頃ヘドロに突進した少年だった。

 

「あなたがかっちゃんを助けてくれたんですよね!」

少年は早口で少女に話しかける。だが少女は、彼が何を言っているのか分からず黙ってその場に立つだけ。

 

「良かったら名前を…」

その時少年も違和感に気づく。

 

「もしかして言葉通じてないですか?」

少年の推測は正しくさっきから少女は、首を傾げ少年をじっと見るだけだった。

 

「あ…え…ん…と」

身振り手振りでなんとか伝えようと試みる。

 

自分を指さし緑谷と言いそのまま少女を指さして名前を聞く。

 

(この子は名前が聞きたいのか?)

そう思い少女は、一言

 

「フロストノヴァ」

そう言いその場をそくさくと後にする。

 

「えっ?ちょ…ちょっと待って!」

緑谷が慌てて呼び止めようとするがフロストノヴァは、止まらない。

 

これがフロストノヴァと緑谷出久の初めての対面だっ




気ままに投稿です。かなりゆっくりやります。


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【二節】 冷

アニメで動くノヴァさんを見れるなんて…


フロストノヴァがこの世界に転移したと確定づけたのはこちらに来て1週間後だった。

 

まず言語の習得に始まり日常会話が可能な所までどうにかこじつけこの世界の常識を手に入れた。

 

戸籍が無いため孤児院で手伝いとして雇われながら住むところを確保した。

 

「鉱石との融合率は今の所一定で進行は比較的緩やかだな…」

ここに来て明確にわかったのはこの世界では鉱石病の進行はテラにいた頃に比べると1/3程緩やかになっている。ただこれはアーツを使わない時の進行度。アーツを使えば今まで通り症状は進む。

 

「エレーナちゃんこっちの手伝いも頼めるかしら?」

奥から保母の声が聞こえる。フロストノヴァは、それに答えるように呼ばれる方へ向かう。

 

(平和と言うには歪だが…こういうのも悪くは無い。)

フロストノヴァは、そんな自分が味わったことの無い死の恐怖が薄い日常を噛み締めていた。

 

 

「次は雄英高校前〜」

フロストノヴァは、保母のお使いの為に雄英高校の近くを通る。

そこには多くの学生が列を作りソワソワした顔持ちで待っている。

 

(今日は何かあるのか?)

フロストノヴァは、保母から頼まれた買い物を手早く済ませその雄英高校の様子を見る。

しばらくするとあの時ヘドロに巻き込まれた少年がその校門を通った。

 

(入試か…)

フロストノヴァは、ただの一介の学校の入試にここまでの人数が集まる事に驚きを隠せず。少し眺めた後にその場を後にした。

 

施設までの道。少し近道をしようと裏路地に入った時フロストノヴァは、1人の少女に出会う。

 

「あなた血の匂いがしますー。」

お団子ヘアーの気味の悪い女がフロストノヴァに話しかける。

 

「初対面に随分な口の聞き方だな。小娘。」

フロストノヴァは、少し後ろに下がり女との距離をとる。

 

「そんな事言わないでくださぁい。私とあなたどこか似ている気がするのです!」

興奮気味にフロストノヴァに詰寄る女。

 

「あなたも何かに押さえつけられて自分をさらけ出せてない気がするのです。生きにくいです。自分がやりたいことも出来ないのです。」

女はそう言いながらにじりよってくる。

 

「さらけ出す?お前がしているのは、ただの気持ちの悪いダル絡みだ。分かったらそこをどくんだ。」

フロストノヴァは、無視するようにその場所を去ろうとする。

 

「私は血が好きなんです。血だらけの人も好きです。」

女の暴露に若干引きつつ。

 

「殊勝な趣味だな。悪いが私は血は好きでは無い。同類にはなれそうにない。他を当たるんだな。」

フロストノヴァは、軽くあしらう様に女を無視する。

 

「チュウチュウしたいなぁー」

女はよろよろフロストノヴァに近づく。

 

そして刃物を出して襲ってくる。

 

「はぁ…」

フロストノヴァは、めんどくさい物に絡まれたと思い襲って来た女の腹に向かって蹴りを一撃入れる。

その蹴りは命中したが女はその蹴りに耐えて女は掴まる様に足を掴みフロストノヴァの肌に少し触れる。

 

「あえ?」

女は、自分の手に針の刺さったような痛みが走る。

 

「早く手を離せ。お前の手が崩れ落ちるぞ。」

フロストノヴァは、侮蔑を向けた顔で女を見る。

そして女も痛みのあまり反射的に手を離しそのまま腹に一撃重めの殴りを入れられて今度こそゴミ袋が散乱する場所まで吹っ飛ばされる。

 

「元の大通りに戻るか…余計な事はしたくないしな…」

そう言いながらフロストノヴァは、女に背を向けて路地を後にする。

 

「帰りました。」

フロストノヴァは、玄関で靴を脱ぐ。

(未だにこの靴を脱ぐと言うのは慣れないな…)

靴を揃えながら家の中に入っていく。

 

「おかえりなさいエレーナちゃん遅かったわね?」

保母は何かあった?と聞き

 

「いえ、少し道が混んでただけです。」

フロストノヴァは、そう言いそのまま庭の掃除をするといい箒とちりとりを取りに行った。

 

時が経ち

フロストノヴァは、孤児院の暮らしにも慣れ初め周りの子供から姐さんや、お姉ちゃんと呼ばれるまで慕われ始めた。

 

「ヒーロー殺し捕まったみたいよエレーナちゃん。」

保母は、テレビを見ながらフロストノヴァに言う。

 

「オールマイトが引退してからずっとニュースにあがっていたヴィランですからね。捕まって良かったですね。」

フロストノヴァは、そう言い。保母もそうねーと呑気にテレビを眺める。

 

(ヒーロー殺しか…)

フロストノヴァは、保母とはうってかわり何か思うところがあったのかテレビをじーっと見ていた。

 

場所が変わり

 

「おい。なんだイカレ女まだなにかあるのか?」

死柄木は、不機嫌そうに聞く。

 

「弔くん!私1人仲間が欲しい。」

トガは、興奮気味に死柄木に話す。

 

「白いうさぎさんみたいな耳の生えた女の子!私達と同じ匂いがするの!」

トガは、そう言いながら死柄木に自分のあった白い少女について語り始めた。




ウマ娘の方の小説に間違えて投稿していたので上げ直します。


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【三節】 凍

日常です!


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              私の平穏は…どうやらここにも無いようだな…

 

 

 

 

 

 

 

                安心しろお前達は少しも苦しませずに

 

 

 

 

 

 

 

                    殺してやる。

                                             」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

林間学校襲撃

 

「最近は何かと物騒ね」

保母がフロストノヴァに話す。

 

「そうですね…ヒーロー殺し雄英高校の訓練中の襲撃などヒーローに対しての不満が大きくなって来ましたね…」

フロストノヴァは、テレビに移るエンデヴァーを見ながらはぁと溜息をこぼす。

 

「エレーナ姉さん!見て見て可愛く書けたよ!」

そう言って私に近づいてきたのはこの孤児院で保護されている少女。

 

「よく書けてるな。」

そう言ってフロストノヴァは、微笑む。

 

「エレーナ姉さん描いたの!」

そう言って見て見てこれはね!と次々と自分の描いた絵を見せて自慢げに胸を張る。

その様子をうんうんとフロストノヴァは、見ている。

 

「全くヒーローもしっかりして欲しいわね…それにここ、神野区は最近ヴィランの発生が多いのよね…」

保母は、微笑ましい光景がいつか壊れるのでは無いかと心配そうにテレビを見る。

 

「まぁ何処もヒーロー殺しのせいでヴィランは多くなっているようだから仕方がないと思いますけどね…」

フロストノヴァは、子供達の絵を綺麗に壁に貼り付けながらそう答える。

 

「話をしたらまた雄英高校が問題を起こしたらしいわよ」

保母はテレビが緊急会見に変わったと言いフロストノヴァに見るように言う。

 

「今回は生徒が1人誘拐されたらしいわよ」

保母は、なにやってんのよとテレビに対して少し怒りを覚えながら見ている。

 

「それにしてもヴィランもヒーロー育成の最高峰で数多くのプロがいる場所を襲うなんてよっぽど自信があったんだな…」

ボソッとフロストノヴァ言う。

 

「大人が子供を守れなくてどうするのよ…全く。」

保母の発言にフロストノヴァは、若干苦笑いをする。

 

(やつが聞いたらどんな顔をするのか…)

それにしても…

 

 

バーン!

 

そう思ったやさき周囲は意味のわからない程の爆音と爆風によって吹き飛ばされた。

 

フロストノヴァは咄嗟に子供と保母を氷で覆い隠す。が氷で守れたのは子供たちと保母のみで家は完全に吹き飛んでしまった。

 

 

「大丈夫か!」

フロストノヴァは、みんなに問いかける。

 

「お姉ーちゃーん」

子供は私の顔を見て安心したのか泣いてしまい。

 

「エレーナちゃん助かったわでも…」

そう言いながら足に瓦礫がつまり動けない子どもがいた。

 

「貴方は今いる子供達と一緒に逃げてくれ。私はこの子をどうにか連れ出す!」

フロストノヴァがそう言うと話し声が聞こえる。

 

「おや?まさかこの爆風で生き残る一般人がいるとは驚いたね」

ガスマスクのような物をつけている男がフロストノヴァを見て想定外と面白そうに笑う。

 

「んー弔の方もあんまり上手く行っていないようだな…」

男はそう言いながらまた倒れているベストジーニストの元に立つ。そして泥から複数の人を出し会話を始める。

 

「奴の関心がこっちから逸れた。今のうちに逃げろ。」

フロストノヴァがそう言うがその時。

 

「全てを返して貰うぞ!オールフォーワン!」

オールマイトがオールフォーワンに激突してきた。

 

その衝撃で、私の氷で何とか保っていた瓦礫が保母の頭を貫いた。

 

「まっ…」

フロストノヴァの氷より先に事が起き子供達は保母の死を目の当たりにしてしまった。

 

「まずい!」

フロストノヴァは、急いで子供達の体温を奪い急激な眠りを呼び起こし寝かせる。

 

(今いる子供達を避難させなければ。)

フロストノヴァは、そのまま子供達を抱えてできるだけ遠くへ連れて行き残るは足が瓦礫によって動かせない子を救い出すために今1度戻る。

だがその場には子供はいなく。子供は、オールフォーワンの手の中で寝ていた。

 

「この子に爆破の個性を与えた。さぁオールマイト。どうする?早くしないとこの子は、爆破するよ?」

気味の悪い笑みを浮かべてヒョロヒョロになったオールマイトに告げた。




日常ですよ!(テラ基準)


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【四節】 氷

歌間違えてるかもしれないです。


 

「オールフォーワン!」

オールマイトは、吠えるがそれより先に子供が体内から爆破する。

 

「そうさ僕は君から全て奪う!どうだい?子供1人救えない気分は?」

ニカニカと笑うオールフォーワンに悔しそうにオールフォーワンを睨むオールマイト

 

(また私は…平和ボケなんてするべきではなかった。少し前の私ならこんなことになる前に…)

 

「はぁー」

フロストノヴァは、深い息を吐く。

 

「?」

オールフォーワンは周囲の異変に気付く。

 

「気温が下がってきている?」

オールマイトもその異変に気付く。

 

「平和だからと油断した。私の落ち度だ。」

フロストノヴァは、ゆっくりと2人の方に近づく。

 

「少女?」

オールマイトは、その少女の放つ殺気に気圧される。

 

「私は戦士だ。ならば仇を打たなければならない。私の兄弟姉妹が殺されたのだから。」

フロストノヴァは、静かに怒り2人を凝視する。

 

              私の平穏は…どうやらここにも無いようだな…

 

 

 

 

 

 

 

                安心しろお前達は少しも苦しませずに

 

 

 

 

 

 

 

                    殺してやる。

                                             」

 

フロストノヴァから発せられた殺気にオールマイトはたじろき、オールフォーワンは、更に笑顔になった。

 

フロストノヴァは、オールマイトに向けて冷気の塊を放つ。オールマイトに当たった瞬間地面が凍り冷気の玉の弾けた後には南極の氷を思わせるほどの厚い氷が地面にできていた。

 

「っ!…これは…少女!私は…」

オールマイトの体が凍傷になったように赤くなる。だが気にせずフロストノヴァは、冷気の玉を2人に放ち続ける。

 

「まるで自然災害みたいな個性だね。欲しくなってきたよそれ。」

オールフォーワンは、オールマイトを一旦無視してフロストノヴァに殴り掛かる。

 

「はぁー…」

フロストノヴァは、殴りかかった手に触れる。

それと同時に腕には霜が降り血は凍りつき指は動かなくなった。

 

「すごいね…これ…殴ったはずなのに僕の方がダメージを負うなんて。」

オールフォーワンは、痛い痛いっと腕を振るう。

 

「少女!話を聞いてくれ!」

オールマイトは、必死に少女を説得しようとする。だがオールマイトを少し見てそのまま手を自分の胸に手を当てる。

 

「Sleep、Sleep、おーやすみ」

フロストノヴァが歌を歌い始める。

 

「何だ?」

オールマイトとオールフォーワンは、その行動の意味が理解出来ず足が止まる。

 

「可愛い子よ…CLOSE、CLOSE、幸せな寝顔見せて」

歌と同時に更に周囲の温度は下がり始める。

それと同時に先程できた氷とは別にフロストノヴァの足元から更に分厚く黒みのかかった氷が出来上がる。

 

「?!」

オールマイトは、驚いたように後ろに後ずさる。

 

「驚いたあれで本気では無いのか…」

オールフォーワンは、純粋にフロストノヴァの底知れなさに驚愕する。

 

「そう夢の中で怖い目見たら、大きくなれーるかな、みーまもっているわ」

フロストノヴァは、歌を続ける。

 

歌いながらナイフで上を指してフロストノヴァの周りに黒い氷柱が出来上がる。

歌に呼応する様にその氷柱は2人に向けて発射される。

一つ一つが一撃必殺の様な氷柱を2人に向ける。

 

「これは…!」

オールマイトは、その攻撃に仰天する。ただの攻撃では無い。マイナス何度か分からない氷柱が自分の体を貫く。それと同時に自分の体力も削り、雪山に何日も取り残されたかのような感覚に襲われる。次第に寒いはずなのに体は熱くなりオールマイトに死の危険がある事を示唆してくる。

 

「♪」

フロストノヴァは、尚も歌い氷柱を発射する。

オールマイトは、当たった氷柱に瀕死状態になりその場から動けない。

 

「これは1回でも当たったらまずそうだね…」

オールフォーワンは、少し引きつった笑顔でフロストノヴァを見る。

 

「まさかオールマイトを一撃で使い物にしなくするとは驚きだ。あのしぶといオールマイトをね…」

オールフォーワンは、オールマイトを見ながら個性によって体温をあげるがそれが間に合わない程で周囲の温度を下げる。

 

「♪」

フロストノヴァの猛攻は続く。

オールマイトは、顔が青くなり全く動けなくなり。オールフォーワンも体力がどんどん削られ息が上がっている。

 

「♪…!っ!!」

歌を続け攻撃をしていたフロストノヴァが胸を抑えその場で咳き込む。

 

「どうやら君の力は自分の命も消耗するようだね。」

オールフォーワンは、やっと攻撃が止んだと笑いながら咳き込むフロストノヴァに殴り掛かる。

 

「君は少し危険だ。」

そう言ってフロストノヴァを殴り殺そうとした時

 

「何?」

 

大きな盾によってオールフォーワンの攻撃は抑えられる。

 

「貴様は…」

フロストノヴァは、その人物?を見て少し動揺する。

大盾を持った人物は、フロストノヴァを抱えてその場から逃げ出す。

 

「逃がすとおもっているのか?」

オールフォーワンは、個性をかけあわせてフロストノヴァを仕留めようとする。

 

「ユナイテッド…」

オールフォーワンは、フロストノヴァを気にするがあまり後ろのオールマイトに気が行っていなかった。

 

「スマーーーシュッッッツッ!!!!!」

オールフォーワンの顔面を殴りつけてオールマイトは、その場で力なく膝を着く。

その間にフロストノヴァは、逃げ出した。




日本語版で是非出してくれ…


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