新世紀 最弱無敗の神装機獣 (どこかのシャルロッ党)
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プロローグ


HMMゾイドの出来が良かったのと、ゾイド+最弱無敗のコラボを思い付いたから書いた!


 

 

数十年前の事だ。発見された7つの遺跡から古代兵器と金属生命体が発掘された。一つは竜の力を宿した機械装甲"装甲機竜"であり、もう一つは自らの意思を持ち、金属と鋼のボディを持つ機械の獣"ゾイド"だ。

 

 

特にゾイドは現時点で100匹は確認されている存在ではあるが、ゾイド達にはある欠点があった。装甲機竜は男女共に使える兵器であるものの、ゾイドは自らが気に入る人間でないと力を貸さないというものだ。

 

 

世界を半分支配しているアーカディア帝国ではこのゾイドを装甲機竜と共に兵器に転用出来ないかと考え捕獲に動いた。しかしゾイド達は悪意を感じ取り、帝国に属する兵士を次々と払い除けた。誰一人として乗りこなせる者がいない事態に業を煮やしたアーカディア帝国は、一部のゾイドに洗脳や改造を施し、痛めつけて強制的に従わた。しかしその非道な行いを許さない者が現れた。

 

 

「彼等を……ゾイドを傷つけることは許さないっ!!」

 

 

 

それは、蒼いライガー型のゾイドを操る少年だった。ゾイドに選ばれた少年は帝国によって捕獲されたゾイドを助け、世のため人のために動いていた。軍事力によって圧制するアーカディア帝国にゾイドと共に一人で立ち向かう少年はいつしか帝国の兵士から蒼き獣使いと呼ばれて恐れられる。装甲機竜を纏った兵士達がその蒼き獣使いによって全滅となり、帝国唯一のゾイド部隊が攻撃に向かうもそれ等も全滅……

 

 

「ライガー行こう……次の戦場が待ってる……」

 

 

 

相棒と慕うゾイド……ライガーゼロ イェーガーは雄叫びを上げながら戦場に向けて走り出す。蒼き獣とはイェーガーユニットを装備したライガーゼロのことだった。そしてそのライガーゼロを操る黒髪の青年 ショウマはアーカディア帝国へ向かった。アーカディア帝国では今まさにクーデターが起きていた。長きに渡る支配を良しとしないクーデター軍はアーカディア帝国と衝突し、中にはゾイドと共に立ち向かうものもいる。

 

 

「(数がめっちゃいるな……やれやれ!!)」

 

 

操縦桿を握りしめ、ライガーゼロを走らせる。前方にはライガーゼロの存在に気付いた帝国の装甲機竜が迫る。

 

 

「報酬貰ってるし、クーデターには協力しないとなっ!!」

 

 

爽快に走るライガーゼロはイェーガーユニットを装備しており、スピードも格段に上がっている。そして迫る装甲機竜にストライクレーザークローをお見舞いする。

 

 

「ライガー…!」

 

『――――っ!』

 

 

まだまだ迫る装甲機竜……ライガーゼロはスピードで翻弄し、砂埃を発生させて姿を眩ませて、そのままレーザークローで倒してゆく。砕け散っち装甲機竜の装甲を食べながら突き進むライガーゼロ。だがそんなライガーとショウマの前にゾイドが現れる。

 

 

「あれは…ガリウスか…」

 

 

行く手を阻むのは恐竜型のゾイド ガリウス――――アーカディア帝国の処置によって改造された黒きガリウスの群れは一斉にライガーゼロに向かう。しかし、ライガーゼロは2連装ショックキャノンを放ち、ストライクレーザークローをお見舞い。

 

 

「ぐっ……!」

 

 

 

大型イオンブースターにより恩恵により音速に近いスピードを見せるライガーゼロはそのままガリウスの群れにバルカンを撃ち込む。

 

 

「なんだよありゃ!?」

 

「たかがゾイドに!!」

 

 

「まだ来やがるか!!」

 

 

 

生き残りのアーカディア帝国の兵士達が再びライガーとショウマに迫る。だが迫っていた兵士達は黒き機竜により即座に倒された。赤い光を放つ黒き機竜……ライガーゼロは何かを感じ取り威嚇態勢に入る。

 

 

 

 

 

「君は……」

 

「お前は……」

 

 

 

 

これがゾイド乗りのショウマと黒き英雄 “ルクス・アーカディア"の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ゾイド乗りと黒き英雄 時々ライガー達

世界の半分を支配したアーカディア帝国は圧倒的な軍事力で欲しい物を我が物にしていた。男尊女卑の考えを良しとする帝国により平民の女性や貴族の女性は扱いは酷いものだった。そんな世界で2人の少年は生きていた…

 

 

一人はアーカディア帝国に国を滅ぼされアサシンとして育てられたものの良心を捨てきれず、復讐心だけで生きてきた少年ショウマ。

 

 

もう一人は帝国の第七の皇子として生まれたものの幼少期はそれなりにいい待遇を受けなかった白髪の少年ルクス。

 

 

身分も違い立場も違う2人は授かった力も違った。それぞれ自らの信念の元に振るう。ルクスは黒き機竜、ショウマはゾイドと共に戦場を生きてきた。だがそんな2人にも転機が訪れた。それはアティスマータ伯率いる反乱軍がアーカディア帝国にクーデターを起こした事だった。ショウマは傭兵としてアティスマータ伯軍に雇われ、ライガーゼロと共に帝国を壊滅させる為に戦った。そしてルクス自らも黒き機竜"バハムート"を纏い、戦いに出た。荒ぶる戦場で出会った2人は最初は警戒しつつも、互いに帝国を倒す為に力を合わせた。

 

 

 

高機動型ユニットを装備したショウマのゾイド…ライガーゼロはイェーガーの力を発揮し、ルクスのバハムートのスピードに付いていき装甲機竜を蹴散らす。ルクスが装甲機竜1200機倒したのに対し、ショウマは装甲機竜+ゾイド合わせて500機を倒した。

 

 

『ルクス!そろそろ行くぞ!ライガーに掴まれ!』

 

『分かった…行こう…ショウマ君!』

 

 

2人の力は戦場を一掃する程のものだ……ルクスは黒き英雄と呼ばれ、ショウマは蒼き彗星と呼ばれた。戦いが終わりアーカディア帝国が滅び、二人の英雄が姿を消した後にアティスマータ新王国が誕生し、世界は徐々に平和を取り戻していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後――――――とあるコロシアムで賞金を賭けた試合が始まっていた。それはゾイド乗り達による戦いの宴。公式模擬戦として月に一度開催されるその試合で、二人のゾイド乗りが有名になっていた。

 

 

「ショウマ君!そっちに行ったよ!」

 

「分かったルクス。お前は後方に回れ!」

 

 

それはルクスとショウマだった。ルクスはとある事情により咎人として新王国から国家予算5分の1に相当する借金を返済する為に世のため人のために働いて、借金を返していた。ショウマもそれに協力し、月に一度の公式模擬戦で力を返していた。

 

 

「ルクス!トドメをお前に譲る!」

 

「分かった!…ゾイドなら、姿を見られないから助かるよ…行くよ!ムラサメライガー!」

 

 

ルクスは“ムラサメライガー“と共に相手のゾイドにトドメを刺した。試合は終わりを告げ、二人はもちろん優勝して賞金を根こそぎ貰っていく。ライガーゼロとムラサメライガーは戦いの疲れを癒やすべく、水浴びをする。

 

 

「ありがとうショウマ君。いつも助かるよ」

 

「気にすんなよルクス。お前と俺の仲だろ?ほら、ホットドッグだ」

 

「え!いいの!?」

 

「心配すんな。1週間前のやつだが大丈夫だろ」

 

「明らかにヤバい奴だよ!?僕絶対腹壊すよ!?」

 

「ははははっ!!冗談だよ…大丈夫だ。ちゃんと今日作ったやつだから安心しろ」

 

 

ショウマはルクスと共に成り行きで仕事をしながら借金も一部返済したりしていた。普段は屋台でホットドッグを作っている。

 

 

「この後仕事だろ?頑張れよ」

 

「ありがとう……あれ?ショウマ君は何処に行くの?」

 

「ちぃと野暮用で、アイリお嬢様から呼ばれててね…」

 

「アイリから?どうしてまた…」

 

「さあな。詳しくは分からんが、行かないとならん…ライガー!ムラサメライガー!」

 

 

ライガーゼロは陸地に上がるとショウマを乗せる。ムラサメライガーも陸地に上がり、ライガーゼロに続く。

 

 

「くれぐれも気を付けろよ?働きすぎもよくないからなルクス?」

 

「う、うん……じゃあ、またねショウマ君」

 

「おう」

 

 

二人は一旦別れ、それぞれ仕事に向かう。だが……二人が後にまた会うのは別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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神装機竜対ムラサメライガー 1

 

ゾイド……それは自らの意思を持つ金属生命体だ。ゾイドに関しては、アーカディア帝国やアティスマータ新王国でも解析が進まず未だに分からない部分が多い。現時点で分かっているのはゾイドが自らの意思を持ち、行動していることとゾイドは自ら乗り手を選ぶこと。そして装甲機竜と同等の力を持つことだ。

 

 

今でも数々の遺跡からゾイドがたまに現れ自ら行動する。かつてアーカディア帝国が兵器としてゾイドを利用しようとしていたが、ゾイドは悪意を持つ人間を嫌い、クーデターの際に一部ゾイド達はショウマの手によって開放されて逃げている。現時点でゾイドに選ばれ、共に戦う人間は限りなく少ない。その為ゾイド乗りは貴重な存在として扱われており、それを知る一部ゾイド乗りは傭兵として雇われながら生きている。ゾイドには様々な種類がいるが、中でも一番強いとされるのがライガー型だ。

 

 

ライガーとはすなわちライオン型のゾイド。野生のライガー型は気性が荒く、扱いにくいとされているもののライガーに選ばれた人間は世界に3人しかいない。特に3人の内の二人はショウマとルクスだ。ショウマは帝国に捉えられたライガーゼロを助けたことで、ライガーゼロに認められパートナーとして今も共に戦っている。そしてルクスは’ムラサメライガー‘にアイリ共々気に入られたまに乗って試合に出ている。ムラサメライガーは元々瀕死の状態で見つかり、ルクスとアイリに助けられたことで二人を正式にパートナーとして認めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、なんでお前牢獄にいるんだよ」

 

「僕が一番聞きたいよ……ははっ…はぁ」

 

 

 

ショウマはジト目で目の前の牢獄にいる友人であるルクスに呆れる。経緯としてはルクスが猫を追いかけて何故かそのまま女子風呂に突っ込み、変態な発言をして掴まったという。

 

 

「よりにもよって、アカデミーの女子風呂に突っ込むって…羨ましいぞこの野郎」

 

「羨ましがってる場合じゃないよ!?ていうか僕……ずっとこのままなの?」

 

「そうなんじゃないか?助けてやりてーが、俺は手出しできねーから許せ……んで、何か用かな?お嬢さん」

 

 

「――――――私の存在に気付くなんて、アナタやるわね?」

 

 

ショウマが物陰に視線を移すと、スレンダーな体型に水色の長髪の少女…クルルシファー・エインフォルクが姿を現す。

 

 

「ショウマに、それにクルルシファー?何故ここに?」

 

「私はかわいい覗き魔を見に来ただけよ。そこの男の子は何の御用か知らないけど」

 

「俺はこれの友人だ。そんだけ」

 

「僕これ扱い!?酷くないショウマ君!?」

 

 

クルルシファーの次にやって来たのはショートカットの青い髪の少女でボーイッシュな少女シャリスだ。ショウマはシャリスとは知り合いで互いに色々知る仲だ。

 

「ショウマ、君の友人に話があってね。学園長がお呼びだよ?覗き魔くん」

 

「だから!色々と誤解なんですってば!!」

 

「シャリス、あんまり苛めるなよ?俺の友人だからな」

 

「ん?ショウマ、何処かに行くのかい?」

 

「ああ。ルクスの無事は確認したからな。それに挨拶しないとな…このアカデミーにいるゾイド乗りに」

 

 

ショウマはシャリスにルクスを任せると外へ出る。向かう先は学園の敷地内にあるコロシアム付近。ライガーゼロは学園内で眠りについており、気長にショウマを待っていた。

 

 

「久しぶりね、ショウマ」

 

「よぉ、“コトナ“…久しぶり」

 

 

待っていたのは大きい機械の鳥を従えた少女、コトナだった。

 

 

「相変わらずみたいね?その死んだ目とやる気のなさ、どうにかならないの?」

 

「気にすんなよ。それが俺だからな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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神装機竜対ムラサメライガー 2

 

 

「やっほーショウマ!久しぶりだね!」

 

「ショウマ……久々に会えて嬉しい」

 

「ミィもステラも元気そうで何よりだが…さて、ルクスの奴大丈夫かな…」 

 

 

コロシアムに女子生徒達が集まる中でショウマは顔見知りであるレ・ミィとステラ・ルーシェ、そしてコトナと共にルクスとアティスマータ新王国の姫であるリーズシャルテ・アティスマータとの戦いを見守っていた。ルクスはムラサメライガーに搭乗し、リーズシャルテのティアマトに挑む。

何故こんな事になったかというと数時間前に遡る……

 

 

「姫に決闘を挑まれて、挙げ句にゾイドで戦えだって?」

 

「はあ…兄さん、どうするんですか?」

 

「YES、選択肢はないかと思います」

 

「……でもいいのかな……僕がゾイドで戦って…」

 

「無実を晴らす為だろルクス。それに、姫君がそう言ったならいいんじゃないか?あちらさんは何よりやる気みたいだし」

 

「そうですね。リーズシャルテ様はこの学園では現在無敗……ですが、無敗ならば兄さんも負けてないですよね?」

 

 

ルクスは自らの罪を弁明すべくリーズシャルテ・アティスマータと戦う事になった。旧王国王子と新王国の姫が戦うという一大イベントに女子生徒達は興味津々だ。さらにリーズシャルテはルクスにある条件を付ける。

 

 

『ルクス・アーカディア…お前、ゾイドを扱えるらしいな?ならば…貴様はゾイドで戦え。ゾイド共々私のティアマトでねじ伏せてやる!』

 

 

ショウマとルクスの妹 アイリ・アーカディアとルームメイトのノクトは呆れながらもルクスに勝利を託す。そして今現在に至る。

 

 

「ねぇショウマ、あなたの友達は大丈夫なの?リーシャ様はゾイドをも倒す実力があるのに」

 

「確かにね。あの子、少し荒いけれど戦闘技術は完璧よ?」

 

「はっ……姫に負けるようじゃ、俺の相棒なんて務まらない。いいか、ルクスは最弱無敗の異名を持つ程、機竜とゾイドの扱いには慣れてるさ」

 

「……パン…美味しい」

 

 

ミィとコトナが心配する中で、ショウマはルクスの心配をしていなかった。何故ならショウマは知っていたからだ…ルクスが絶対に勝つと。

 

 

「はあ…なんでこんな事に…とりあえず頼むね、ムラサメライガー」

 

 

ルクスは自身の不幸にため息をつきつつも信頼するムラサメライガーに全てを賭ける。ムラサメライガーはルクスの言葉に反応してコクリと頷いた。

 

 

「ふん!所詮はゾイド……四脚で機竜に勝てるものか……」

 

 

赤き神装機竜“ティアマト“を纏ったリーズシャルテが現れる。ムラサメライガーは神装機竜に何かを感じて、雄叫びを上げた。リーズシャルテは野生のゾイドを倒す事が出来る程の実力を持つ。

 

 

「ルクス・アーカディア…一ついいか?」

 

「なんでしょうか」

 

「私が何故お前に勝負を挑んだと思う?」

 

「え?……僕が旧帝国の王子だから?」

 

「――――私に勝てば教えてやる!」

 

『障壁展開!』

 

 

障壁が展開され試合開始の合図が鳴る。リーズシャルテは対ゾイド用近接武装メイスを装備して近づく。ルクスの操るムラサメライガーはリーズシャルテの攻撃をムラサメブレード受け止める。そしてリーズシャルテを払い除けて走る。

 

 

「ふん!狩りの時間だ!」

 

「……ゾイド駆逐用の武装を装備してる?」

 

 

リーズシャルテは滑腔砲を構えて撃つ。ムラサメライガーは被弾するもダメージはゼロであり、クローで攻撃を加える。

 

 

「ちゃこまかと!ゾイドのクセに!」

 

 

滑腔砲を放ち続けるリーズシャルテだがムラサメライガーはそれをムラサメブレードで弾を破壊する。赤い眼差しでリーズシャルテを捉えたムラサメライガーは彼女に向かう。しかしリーズシャルテは投擲兵器《レギオン》を展開する。

 

 

「ゾイド如きが私に近づくなどと!」

 

「遠隔操作の武装!ムラサメライガー!」

 

 

飛び交うレギオンにムラサメライガーは交わそうとするが、身体に当たりダメージを受けてしまい体勢を崩す。

 

『――――!』

 

「大丈夫?ムラサメライガー…」

 

『――――』

 

 

心配するルクスに体勢を立て直すことで無事を見せるムラサメライガーにルクスはひとまず安心する。ムラサメライガーは自らにダメージを与えたリーズシャルテを警戒する。

 

「あの兵器に対抗するには……仕方ない!エヴォルト…!」

 

 

もっと速く、レギオンに対抗するというルクスの意思を読み取ったムラサメライガーは“ハヤテライガー”へと姿を変えた。ハヤテライガーの姿にリーズシャルテや他の女子生徒達は驚きを隠せない。

 

 

「す、姿を変えた…!?馬鹿な……そんな事で!」

 

 

リーズシャルテは巨砲セブンスヘッズを構える。それを放つがハヤテライガーは先程よりもスピードが上がり、簡単に砲撃を交わすと前肢に装備されたムラサメナイフ・ムラサメディバイダーを展開して、ティアマトの装甲に傷を着ける。

 

 

「私のティアマトに傷を着けただと!?…ぐっ!!」

 

『―――――!!』

 

 

リーズシャルテが再びハヤテライガーにセブンスヘッズを向けた時、ハヤテライガーが何かが来る気配を感じる。学園内にいるショウマのライガーゼロイェーガーやコトナ、ミィ、ステラのゾイドも気配を感じる。

 

 

 

『があああああ!!』

 

 

「あれは!?」

 

「アビスか……」

 

 

 

突然現れた黒き竜人アビスはコロシアムに入り、障壁を破る。思わぬ敵に女子生徒達は逃げ出してゆく。ハヤテライガーはアビスの方へ振り返り、アビスもまたハヤテライガーに近づく。

 

 

「この私が―――なに!?」

 

アビスにリーズシャルテが向かおうとするが、ティアマトが暴走に入りかけており思うように動かない。そんな彼女にアビスが迫ろうとする。

 

 

「させないっ!!」

 

 

ハヤテライガーはリーズシャルテを背に乗っけると、向かって来るアビスをムラサメナイフで一刀両断する。しかし……

 

 

「な、なんだあれは!?」

 

「…ライガー…なのか…」

 

 

コロシアムの隅に禍々しく異様なオーラを放つライガーがいた。しかしそのライガーはハヤテライガーを睨むとそのまま走り去ってゆく。

 

 

「一体……あ……」

 

 

ルクスはムラサメライガーの力を引き出したことで、そのまま気を失う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん……あれがムラサメライガーか……ライガーゼロはいなかったが…いづれは倒してやるぞ…ライガーは、俺のライガーだけあればいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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サラマンディーネ


ショウマのヒロイン兼愛妻


 

試合中に現れたアビスはルクスとムラサメライガーによって倒され、ひとまずは事なきを得た。ムラサメライガーの力を使い気を失ったルクスをリーズシャルテに任せたショウマはライガーゼロと共にある場所へと向かっていた。

 

 

「ライガー、ここでいい……さて」

 

 

 

ライガーから降りるショウマ。着いた場所は森深くにある古い遺跡だった。沢山の建物が一部残っているこの森でショウマはある人物を待っていた?

 

「ショウマ?ショウマなのですね!」

 

「わあ!?…お、お久しぶりです…サラマンディーネ様」

 

「はい……ですが、2ヶ月は明け過ぎですよ?」

 

「いや~、いろいろ事情がありましてね…ははは…」

 

「寂しかったんですからね?…貴方もお久しぶりですね、ライガーゼロ」

 

『―――――』

 

 

現れたのは和を基調とした巫女服を着用した黒髪の女性 “サラマンディーネ“だ。かつてはある孤島の姫であったが今は訳あってこの森で従者二人と暮らしており、ショウマが唯一忠誠を誓う存在だ。ショウマは手土産に持って来たホットドッグをサラと一緒に食べながら今日来た要件を話す。

 

 

「なるほど…アビスが…」

 

「本来なら遺跡からしか現れないアビスが学園に現れたんです」

 

「…それは恐らく何者かが操っている可能性が高いでしょう。現時点ではそう考えますが、ですが私の方でも良くない噂を耳にしました」

 

「良くない噂?」

 

「旧アーカディア帝国の残党が……封印されていたバイオライガーを強奪したと―――」

 

「バイオライガー……それって…」

 

 

バイオライガー……それは従来のライガー型とは異なる別の存在。バイオライガーは旧帝国が捕獲したライガー型に色々と手を加えて生まれた存在らしい。ショウマはそれを間近で見たことはないが、バイオライガーは凶暴性を兼ね備え、ゾイドに攻撃を加えて更には殺して食うという恐ろしい側面を持っていた。

 

 

「あまりの危険さ故にアティスマータ帝国によって封印されていましたが、残党軍により開放されたとナーガから聞いています」

 

「なるほど…」

 

 

サラマンディーネの言葉にショウマはある事を思い出す。それはルクスをリーズシャルテに任せた時、彼女からある事を聞かれた。

 

 

『そう言えば、この王子が何かと対等していた…私もハッキリ見た訳じゃないのだが、あれはゾイドだった。それも禍々しい奴だったぞ』

 

「(もしやリーズシャルテ様が見たのは…バイオライガーか…アビスといい面倒になりそうだぜ)」

 

「どうかしたのです?ショウマ」

 

「いえ、大丈夫。少し考え事を……」

 

「まあいいですけど。それより話は変わるのですがショウマ…」

 

「えっ―――――」

 

 

サラマンディーネの方へ向くショウマ―――――目の前に彼女の顔、そして唇の感触が伝わる。一瞬何が起きたのか分からないショウマはそのまま押し倒された。

 

 

「えっと…サラマンディーネ様?これは一体…」

 

「うふふ♥……私を沢山待たせておいてそれを聞くのですか?丁度この時期はアレですから…ここまで言えばショウマも分かりますでしょ?」

 

「ま、まさか!?いや!ちょ!」

 

「ショウマ♥…愛しいショウマ♥」

 

「いや!ちょ!――――あああああァァァァァァ!?」

 

 

 

 

 

発情したサラマンディーネを止める事が出来なかったショウマの叫びが森に響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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その男、ゾイド乗りにして料理長

 

 

アビス襲撃の一件によりルクスはリーズシャルテと学園長を務めるレリィ・アイングラムの計らいで王立士官学園への入学が決まり、翌日にはすぐに編入したルクス……ショウマはレリィの希望で何故か食堂で働くことになった。

 

 

「あの学園長……なんでルクスが女子達と一緒なのに、何故ワイが食堂なんですか…」

 

「だって〜……ショウマ君の作る料理どれも美味しいから、学舎に置いておくのは勿体ないもの。それに君はルクス君達より年上になるからさすがに生徒として置くのは無理があるでしょ?」

 

「だからって!!ルクスがハーレムじゃないですかこれじゃ!?俺も可愛い女の子達とうふふきゃははな青春送りてぇのに!」

 

「本音がダダ漏れよ?」

 

 

 

王立士官学園はまさに女子の楽園。男子禁制の楽園にはルクスと自身のみという状況なのにこの有り様だ。レリィから色々と条件を出されて渋々食堂の料理長として働くことになった。

 

 

「なんだってこんな…はぁ……」

 

「――――相変わらずだな君は。そんな顔をしていたらコーヒーが上手くないぞ?」

 

「っ!?ば、バルトフェルドさん!?なんでここに!?」

 

「おや?その様子だと、レリィから何も言われなかったらしいな?」

 

 

ショウマに声を掛けたのは、かつてアーカディア帝国クーデターの際に"砂漠の虎"の異名で名を轟かせたアンドリュー・バルトフェルドである。百戦錬磨のゾイド乗りにして、ショウマにゾイドに関する全ての知識を教えたのも彼である。

 

 

「実はね、こう見えても教官であり食堂の最高責任者を任されていてね。まさかこうしてまた再会するとは嬉しい限りだぞ少年」

 

「そうですか……はぁ……」

 

 

思わぬ再会を果たしたショウマは昼休み前に備えて、食堂で働く女性達と共に仕込みなどをしながら仕事をこなしてゆく。昼休みになれば大勢の女子生徒達が押し寄せて注文が飛び交う。そして山場を過ぎるとショウマは休憩に入る。

 

 

「はぁ……やっぱり学園だから作る量も半端ねぇや」

 

「苦労してるみたいだねショウマ」

 

「ミィか…んだよ」

 

「ちゃんと仕事してるか見に来て上げたのに、そんな態度はないと思うな〜?」

 

「誰が好きでこんな事……俺だって…俺だって可愛い女の子達とキャハハうふふな青春送りてぇのに……」

 

「またそんなこと言って……どうせ、女の子達にエッチな事するしか頭にないんだから」

 

 

ミィは昔からショウマを知っている為にショウマが考えている事もお見通しである。

 

 

「(相変わらずスケベなんだから……でも……変わってなくて良かった)」

 

「どうした?屁でもしたか?」

 

「っ!!違うわよ!!」

 

「へぶら!?」

 

「ショウマはもう少しデリカシーを学んで!!」

 

 

顔を赤くしてショウマに蹴りをお見舞いしたミィはその場を立ち去る。乙女心を理解していないショウマは何故蹴られたのかイマイチ分かっていない。

 

 

「ミィのやつなんで蹴ったんだ?…いたた……」

 

 

バルトフェルドお手製コーヒーを飲み干すと、ショウマは再び自分の戦場であるキッチンへ戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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怨念と亡霊

 

 

『……!』

 

 

迫りくるゾイドを払い除けて、光りを目指すショウマはライガーゼロイェーガーを操る。イェーガーの機動性を上手く使いながらストライクレーザークローを繰り出す。

 

 

『見つけたぞ……見つけたぞ……ライガー使いィ!!』

 

『……あぁ?』

 

『ライガー……イライラすんだよ……そいつ等のせいで俺は……!!』

 

 

ティラノサウルス型ゾイドを操る男はショウマのゼロイェーガーに迫る。しかしゼロイェーガーはそれを紙一重で交わしながら、連続で攻撃を加える。

 

 

『馬鹿な!?…』

 

『邪魔だ……』

 

『っ!!そうやってお前も俺を見下すのかァァァァァァァァァ!!!』

 

 

 

ライガーゼロイェーガーは男の叫びに目も向けずに走り去る。男はその時に誓った……ライガーゼロイェーガーとショウマを葬り去り、全てに復讐すると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

料理場で仕事を全てやり遂げたショウマは翌日に休暇を取ると、ライガーゼロの足元で眠りに着いていた。そんな彼の側に近付く人影がある……それは女子生徒達の注目の的であるルクスだ。

 

 

「ショウマ君、さっきからバルトフェルドさんが探してたよ?アイツは何処だって」

 

「ん……はぁ〜………たく、こっちの苦労も知らないで……んでルクスは馴れたのか?クラスメイト達とは」

 

「うーん……でもリーシャ様が誤解を解いてくれたから、皆話し掛けてくれるよ」

 

「羨ましい限りだ。んで、その姫様とは何処まで進んだ?キスしたか?」

 

「なんでそうなるのさ!?り、リーシャ様は、確かに可愛いらしい方だけど、そんなのないからね!?」

 

「その割には話題だぜ?雑用王子と姫様がいつも一緒だとな」

 

「全然知らなかった……ははは……」

 

 

 

そんな他愛もない話をしていると学園内にある鐘が鳴り響く。それと同時に今まで大人しかったライガーゼロが起き上がる。

 

「一体何が……」

 

「……わりぃがルクス、少し抜けて来る」

 

「え?」

 

「ライガーが何か察知したらしい……もしかしたら何かやべー事が起こりそうだ」

 

「まさか……」

 

「この前のアビスといい、少し引っ掛けるからな…」

 

「……分かったよ。でも一応気を付けてね、ショウマ君」

 

「了解だ」

 

 

ライガーの頭部コクピットへ乗るショウマ。ライガーゼロはそれを確認すると颯爽に走り出して学園の敷地内を出る……やがて学園から離れた荒野へ到着する。

 

 

『――――――!』

 

「どうしたライガー……何が来るんだ……」

 

 

何かに警戒するライガーゼロイェーガー……すると背後に忌々しいオーラを纏ったライガー型のゾイドが現れる。ライガーゼロとは違い、鋭利で刺々しいフォルムを持つライガー……

 

 

「まさかあのライガー……バイオライガーか……」

 

「ようやく見つけたぞ……まだこんな所にいるとはなァァァ!!!」

 

 

バイオライガーはライガーゼロに飛びつき、ライガーゼロは払い除けようと大型イオンブースターを吹かして、バイオライガーの体当たりを回避する。

 

 

「あの時に受けた傷消すのに金が掛かったんだよ……だから払えよ…テメーの命でなァァァ!!」

 

「声?……そういう事かい!」

 

 

バイオライガーとライガーゼロは対等し、互いクローによる攻撃を繰り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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蒼き彗星

 

 

ショウマとライガーゼロの前に現れたのは旧帝国が造り出した模造品かつ様々な手を施されたバイオライガーだ。激戦を繰り広げたクーデターの際にバイオライガー5体が導入され、多数の死者を出したとされている。他のゾイドとは違う異様な姿は人を怯えさせる程に恐ろしいものだ。

 

 

バイオライガーはゾイドを餌として食いその命を維持する……その為、野生のゾイド達から敵視されている。

 

 

「ハハハっ!!いい様だな!!」

 

「ちぃ!!まだだ!まだ終わらんよ!!」

 

 

バイオライガーはライガーゼロとぶつかり合い、クロー浴びるもののライガーゼロはイェーガーの特性を活かしてバイオの攻撃を交わしてゆく。

 

 

「なんて野郎だ!まるで獣だな……くそっ!?」

 

「交わすので精一杯か?まあそうだろうよ……何せバイオライガーは敵として捉えたゾイドは逃さない!……バイオライガーは食いたがってるぜ?ライガーゼロをなァァァ!!」

 

「……!!」

 

バイオライガーは装備したスピアをライガーゼロに向けて突進――――ライガーゼロはそれをストライクレザークローで防御するも、バイオライガーはそれでもライガーゼロに迫る。

 

 

『グルルルル!!!』

 

『――――――!!』

 

「ライガーは俺だけのライガーがあればいい!亡霊が……消えろ消えろ消えろ!!!」

 

「やられぱっなしかよ!!」

 

 

バイオライガーはクローでライガーゼロを痛めつけて、装甲に食らい付く……痛みに咆哮を上げるライガーゼロは仕返しと言わんばかりにバルカンポッドを撃ち込む。

 

 

「なあお前さんよ、何でそうまでして戦う」

 

「決まってる……俺は貴様に受けた屈辱を晴らす為だ……あの戦いで、俺は貴様に屈辱を受けた……だから貴様を葬り去り、俺が蒼き彗星を名乗ってやる!ありがたく思え!」

 

「――――お前さ、さっきから何言ってる」

 

「……なに?」

 

「俺はテメーの事なんざ知らねぇし、一々人の顔を覚えたりしねぇ……大体蒼き彗星なんて、そんな肩書貰っても嬉しくないね…!」

 

「な、なんだと!?バイオライガーが…押し返されている!?」

 

 

操縦桿を握りしめると同時に、ライガーゼロはバイオライガーを押し返してレーザーファングをお見舞いして、バイオライガーの周りを走り出す。

 

 

「俺はな……これ以上誰かが悲しまない為に…ゾイドを悪用されないように戦うだけだ。これからも……それが俺に出来る唯一のことだ!!」

 

「貴様は……そうやって綺麗事を並べて!」

 

「綺麗事だとか、何でも言えよ……けどな」

 

 

青空だった空が一瞬にして漆黒へと染まる―――――別の場所ではルクスがリーズシャルテを守る為に、自身の正体を明かしていた…黒き英雄 ルクス・アーカディアとして。

 

 

「ルクスみたいに、意思や覚悟なんて俺にはない……でもな、そこにある平和をぶち壊すなら、容赦はしねぇぞ悪党!ライガーゼロ!」

 

『―――!!』

 

 

イオンブースターを最大に吹かし、バイオライガーに体当たりを繰り返すライガーゼロはそのままトドメに入る。

 

 

「はあああァァァァァァ!!!」

 

「や、やめろ!?く、来るなァァァァァァ!!!」

 

 

 

音速による攻撃――――ライガーゼロが通り過ぎるとバイオライガーは衝撃波により肢体にダメージが入り、吹き飛ばされると同時に爆発を起こし粉々になり炭に変わる。

 

 

 

 

「………はぁ……帰ろうライガー…戦いは終わった……」

 

 

 

 

 

ショウマは上を向く…このすると先程まで漆黒だった空は輝きを取り戻し、青空が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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リーシャ様の悩み

 

 

「ショウマ!お前に話があるのだが……少しいいか?」

 

「え……俺ですかい?」

 

「そのだな……聞きたい事がある!」

 

 

バイオライガーを倒した日と夜。食堂の清掃をしていたショウマの元に寝巻姿のリーズシャルテが尋ねて来た。内容はルクス絡みであると理解したショウマはひとまず彼女を椅子に座らせてココアを差し出す。

 

 

「すまないな、気を遣わせて」

 

「いいえ、別に構いませんよ……それで聞きたい事ってのはルクスのことでしょ?」

 

「ぶっ!?な、なな何故分かるのだ!?」

 

 

ルクスの名が出た途端口に含んでいたココアを吹き出すリーズシャルテは思わず赤面する。

 

 

「その…だな…別に、アイツの為にパーティを開きたいとか!好きな女のタイプを聞きたいとか!そんなじゃないぞ!?」

 

「すんませんが、本心出てますよ姫様……前から色々聞いてましたが、もしかしてアイツに惚れてますよね?」

 

「っ〜〜!!」

 

 

ショウマは涼しい表情でそう告げるとリーズシャルテはりんごのように顔を赤くする。そんな彼女にショウマは優しく声を掛ける。

 

 

「アイツも罪な男だ。こんな美人に好かれるとは」

 

「お世辞はやめてくれ…私は…」

 

「そうやってネガティブ思考なのはいけませんよ姫様。いいですか?姫様は美しいお方ですから、自分に自信を持ってください」

 

「だ、だが…わ、私はその……胸も大きくないし……小さいし…知っているぞ…男は皆、胸が大きい方が好きだと!」

 

 

リーズシャルテは恋愛面に関しては疎い……だが最近ルクスの存在が気になり始めていた。そして今日…黒き英雄として姿を明かしたルクスに助けられた事で、僅かにだが恋心を自覚していた。

 

 

「(……あの娘か、変なこと吹き込んだの)」

 

「ギクッ!」

 

「(はぁ…)」

 

 

こちらを覗く影の正体……それは亜麻色のポニーテールの少女であるティルファー・リルミットだった。ショウマに気付かれたティルファーはその場から去る。

 

 

 

「まあ…ハッキリ言えばそうですかね」

 

「ぐっ!…やはりか……」

 

「でも……男側の意見としては好きになればそんな事関係ありませんよ」

 

「…そうなのか?」

 

「全てが愛おしくて、全てが可愛いくてたまらなくなりますよ」

 

「愛しくて…可愛い……」

 

 

ショウマは立ち上がると窓を開ける。

 

 

「俺にもかつて……好きな人がいました。黒髪の姫で、それは美しくて……」

 

「姫?……ショウマ……その話からするに、お前も王族にいたのか?」

 

「いいえ。俺は執事として姫に仕えていただけですよ。その姫は今現在も行方知らずだ……」

 

「……それは辛いな……」

 

「姫様。もし恋をしているのならアプローチはするべきですよ。じゃないと俺みたいに後悔しますよ?あの時告白すれば良かったって……」

 

「お前……」

 

 

月明かりに照らされたショウマの笑みは、何処か悲しさを秘めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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シュナイダー/コトナの憂鬱

 

 

「諦めが悪いね〜……コトナは僕の物になるんだ……邪魔するなよ…ライガー乗りがァァァ!!!」

 

「あいつは物じゃない……女の子を……物扱いするテメーなんかに負けるかよ…コトナのオッパイも、処女も守ってやらァァァァァァ!!!」

 

「あの馬鹿……」

 

 

学園の敷地内にあるスタジアムで黒い虎型のゾイド グレートサーベルとショウマの愛機であるライガーゼロシュナイダーがぶつかり合いながら火花を散らす。グレートサーベルはビーム砲やキャノン砲を撃ちまくり、ライガーゼロシュナイダーは高機動スラスターを吹かして、レーザーブレードで防ぐ。花嫁姿のコトナはただ、ライガーとグレートサーベルの戦いを見守る事しか出来ない。

 

 

「ショウマもうやめて!!アナタやライガーが……傷付くばかりよ…!」

 

「コトナ!お前の自由ぐらい守るさ……だからさ!」

 

 

 

被弾するライガーゼロシュナイダー………グレートサーベルに渾身の一撃を放とうと近付く。何故このような戦いが繰り広げられているか…話は一週間前に遡る。ショウマはリーズシャルテからある依頼をされて、朝から料理を作っていた。

 

 

「はぁ〜、完成かな」

 

 

リーズシャルテの依頼とはルクスの歓迎会+お礼を兼ねたパーティーの料理を準備して欲しいとの事だった。早朝から準備して、一通り仕上げたショウマの元にリーズシャルテが姿を現す。

 

 

「おぉ!!凄い数だなショウマ!!やはりお前に任せて良かった!」

 

「えらく早起きですな姫様?わざわざ様子見を?」

 

「いいや。実はお前に見せたい物があるんだ!付いてくるがよい!」

 

 

 

リーズシャルテに連れられ、やって来たのはゾイドの整備工房……中に入りショウマを出迎えたのは見慣れない装備を身に着けたライガーゼロだった。

 

 

『―――!』

 

「えぇ!?ライガー……なのか!?」

 

「ああ、お前のライガーだぞショウマ!これは私からの報酬だ」

 

「報酬?」

 

「ああ!今ライガーゼロが装備しているのは、シュナイダーと呼ばれる近接戦闘用のユニットだ。実は数ヶ月前に、私が研究用にと取り寄せておいたのさ」

 

「シュナイダー……」

 

 

ライガーゼロは今まで装備していたイェーガーユニットを取り外され、リーズシャルテの施しによりシュナイダーユニットを装備していた。ライガーゼロには換装システムがあり、それがチェンジグ・アーマー・システムだ。イェーガー、シュナイダー、パンツァーの3種類があり、それぞれ戦況に応じて換装が出来るのだ。

 

 

「お前のライガーは躾が行き届いているんだな?私の言う事をすんなり聞いてくれて、助かった」

 

「ライガーは悪意ある人間と善意ある人間の区別ぐらいは分かりますから当然ですよ……でもシュナイダーか……悪くないですよリーズシャルテ様!!」

 

「そうだろそうだろ!!」

 

 

シュナイダーユニットにショウマは喜び、それを見たリーズシャルテは嬉しそうに話を続けた。一方で学園にある寮の一室ではコトナ・エレガンスは一人でいた。

 

 

「見合い……ね」

 

 

机には家から送られた手紙がある。その内容とは、結婚を前提とした見合い話だった。

 

 

 

 

 

「………嫌かも……」

 

 

 

 

 

 

 

コトナはため息をつくと、そのままベッドへ横になる。

 

 

 



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昼這いと不穏な影

 

 

「なんでこうなるのさァァァァァァ!!!!」

 

『『『待ってルクス君〜!!!』』』

 

「なにやってんだアイツ……」

 

「ショウマ君〜!見てないで助けてよォ!!!」

 

 

ルクスを歓迎パーティー……のはずであったが、レリィの気まぐれで1週間ルクスを自由に出来る権利を勝ち取る為に女子生徒達は必死に追いかけ回わす。

 

「ちくしょう羨ましいぞコノヤロォォォォォ!!!ルクス1回殺していい!?なんなの?なんなのこの不平等さ!つうわけでテメーは死刑じゃい!」

 

「僕に味方がいない!?」

 

 

女子生徒達に紛れて武装したショウマがルクスを仕留めようと先頭を走る。明らかに嫉妬から来る殺意を感じたルクスは必死にショウマと女子生徒達から逃げる。

 

 

「勘弁してよォォォォォ!!!」

 

「オラァ!ちょい待て――――ごはっ!?」

 

 

何者かにより背後から殴られたショウマは気を失い、その何者かに連れ出される。

 

 

「いてて……あり?ここは……確か俺は……」

 

「ようやく目覚めたのね。変な寝言ばかり言ってて相変わらずきもかったわよ」

 

「コトナ!?つうかなんでお前がいんだよ!」

 

「……あんたがルクス君を殺そうとしていたから、止めただけよ」

 

 

ショウマを背後から殴った人物……それはコトナ・エレガンスだった。今現在ショウマがいるのはコトナの部屋である。

 

 

「ねぇショウマ……そんなに女の子と……触れ合いたいの?」

 

「なんだよいきなり…」

 

「いいから答えなさいよ……アンタは昔からいつもエッチな事しか考えない馬鹿じゃないの」

 

「酷くないか……」

 

「まあ、アンタがスケベで助かる部分もあるけどね」

 

 

質問に戸惑うショウマをよそに、コトナは頬を赤らめて突如として制服を脱ぎ始める。ブラウスやスカートを脱ぎ、やがて下着姿になるコトナ……白い純白のブラとショーツ姿だけになった彼女にショウマは顔を赤くする。

 

 

「こ、コトナ!?お前なんで脱いんでんだよ!?」

 

「……理由は聞かないで……とにかく今は私を抱いてよ…」

 

「抱く!?そ、それってつまり……!」

 

「そうよ……どうなの?私と……エッチしたいの?」

 

 

普段のコトナからは想像もつかないエッチという言葉にドキドキするショウマ……コトナはゆっくりとショウマをベッドへ押し倒し、上着を脱がしゆく。

 

 

「あ……案外引き締まってるのね……んっ」

 

「ば、馬鹿…!ちょっと待ってよコトナ!」

 

「なんで止めるのよ……せっかく私が、あんたとエッチするって言ってるのよ!?」

 

「だったら……なんで泣いてる……」

 

「え……」

 

 

コトナは気が付くと涙を流している……ショウマはそれを見逃さなかった。

 

 

「何があったかは聞かない。でもこういうのは、本当に好きな奴とするべきだ……コトナ、もっと自分を大切にしろ」

 

「………なんで………なんでこういう時に限ってカッコ良い事言うかな……もう」

 

「…取り敢えず落ち着け。まずは――『ショウマ…コトナ…何してるの!?』ミィ!?」

 

 

コトナを落ち着かせようとした矢先、部屋にミィが訪れる……ミィから見れば、ショウマが下着姿のコトナを今から押し倒そうとする場面に見えるだろう……

 

 

「ショウマ……あんたはいつもいつも……」

 

「待ってくれミィ!少し話を!」

 

「この変態馬鹿ァァァァァァァァァ!!!!」

 

「ごふ!?」

 

 

 

血を吐き散らしながらショウマは宙を舞った。一方で学園の付近に近付くゾイドがいた。

 

 

「待っててね…愛しのコトナ…!」

 

 

黒いゾイドを操る男はそのまま学園へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ショウマの決意

 

 

コトナの昼這いとミィの平手打ちをダブルで食らったショウマは部屋から出て外のベンチで身体を横にしていた。朝からの作業にコトナの一件で疲れ果てて、次第に眠気が襲う。

 

 

「(それにしてもコトナの奴、なんであんな事したんだ?冗談ではないし)」

 

 

 

コトナの昼這い……その事について考えていると一人の男が現れる。

 

 

「おい、そこの庶民」

 

「あぁ?……俺の事かよ」

 

「君しかいないだろ?口を慎めよ庶民。わたしはロベルト・クジャンだぞ」

 

「(ロベルト・クジャン……確か新王国のゾイド部隊隊長、ラスタル・クジャンの息子だけっか?)」

 

「オイ貴様!聞いてるのか!!」

 

 

ショウマの前に現れたのは派手な衣装に身を包んだ銀髪の青年 ロベルト・クジャン。アティスマータ新王国ゾイド部隊の隊長であるラスタル・クジャクの息子であり、ロベルトもまたゾイド乗りとして戦っている。

 

 

「ロベルト!?なんでここにいるの!?」

 

「やあコトナ!!今から会いに行こうとした所だったよ!!」

 

 

ショウマとロベルトの近くにコトナが偶然にも居合わせて、ロベルトは彼女を見つけるなり彼女に近付く。

 

 

「なんで来たの?……言っておくけど、結婚なんてしないわよ」

 

「コトナ……いい加減にしてくれないかな?確かにわたしと君との結婚は延期にはなったさ。でも、わたしは君が好きなんだよ?ここまで君にゾッコンなのに何故否定するんだい!!」

 

「……私は物じゃない……貴方は私を物としてか見てない!!そう言って綺麗事ばかり並べて、本当は私じゃなくて家の力が欲しいだけじゃないの!」

 

 

エレガンス家の令嬢でもあるコトナはロベルトの婚約アピールにうんざりしていた……元々エレガンス家は土地や膨大な権力を持ち、新王国にも出資する程の実力者であり、ロベルトはコトナを自分の物にしてエレガンス家の権力頂こうと策略している。

 

 

「君が好きなのは本当なのに………はぁ、ならコトナ僕と試合をしようか?」

 

「試合……」

 

「ああ。ゾイドによる試合……もし君が勝てばわたしは素直に君を諦める。もしわたしが勝てば―――「ちょっと待ってくれないか」なんだ庶民、まだいたのかい」

 

「試合に勝てば本当にコトナは自由になるのか?お前は本当に諦めるのか?」

 

 

ロベルトとコトナの間に、ショウマが割って入る――――ショウマの問いにロベルトは舌打ちしつつも答える。

 

 

「まあ、わたしも男だ。二言はないさ」

 

「そうか……だったら、その試合俺がコトナの変わりに出る」

 

「ショウマ!?」

 

「はぁ?君は何を言って――「こう見えても俺もゾイド乗りで、ライガー型の主だ。是非とも手合わせしたいと思ってね」……貴様、ライダー乗りか……なるほど……これは滅多にないチャンスだ」

 

「ロベルト・クジャン、コトナに変わって俺が試合を受ける。俺の名前はショウマ・イズルだ……覚えておけ」

 

「面白いね。ライガー乗りとは是非一度戦ってみたいと思っていた!どうやら貴様、コトナとも関係があるらしいし……ならばショウマ、わたしとの試合……受けよ」

 

 

 

コトナを巡り、ショウマとロベルトの戦いが今ここに始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 



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新王国の切り札

 

 

「ショウマ君、一体どうして決闘する事になってるの?」

 

「オメーこそ、なんでクルルシファーと付き合う事になってんだ。羨ましいぞコノヤロ」

 

「全然羨ましくないから!?僕だって何がなんだか…はぁ」

 

 

 

ショウマとルクスは互いにライガーゼロの足元でくつろいで、色々と状況を整理していた。ルクスは1週間クルルシファーの彼氏になるといううらやまけしからん事態に陥り、ショウマはコトナを賭けてゾイドで試合に出るなど様々だ。

 

 

「でも、ショウマ君が戦うロベルト・クジャンって確か新王国のゾイド部隊の隊長を務める人でしょ?ショウマ君だから心配してないけど……」

 

「ルクス、まさか俺が負けるとでも思ってるのか?あんなキザ野郎に負けねぇさ。それに、今回の戦いを挑んだのにはもう一つ理由があんのさ」

 

「もう一つの理由…?」

 

「新王国ゾイド部隊を率いる全隊長でロベルトは第3番隊隊長で元は第1番部隊所属……つまりアイツの部下だから、少し興味が湧いた」

 

「アイツ?」

 

「リンネ・ヤマト……アティスマータ新王国ゾイド部隊第1番隊隊長。俺やお前と同じライガー乗りで、ゾイド部隊の切り札と言われている男だ」

 

 

 

アティスマータ新王国には現在3チームに分かれたゾイド部隊が存在する。ロベルトは第3番部隊を率いる実力者ではあるが、元は1番隊隊長リンネ・ヤマトの部下でもあった……リンネ・ヤマトは部隊の中でも厳しくゾイド乗りとして一流の腕を持つ戦士で、ショウマとはある事がキッカケで腐れ縁である。

 

 

「アイツの部下なら見てみたいと思ったのさ……アイツの教育がちゃんとしてるのかを…」

 

「そうなんだ……ショウマ君はその、リンネさんとは知り合いなの?」

 

「まあ腐れ縁だよ。あいつも俺と同じライガーゼロに乗る……言わばライバル関係だな」

 

「え?……ライガーゼロって、もう1体いるの!?」

 

「ああ。ただリンネのライガーは少し違う……奴のゾイドはライガーゼロイクスだ……奴は、俺が一度も倒せなかった相手だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、新王国ゾイド部隊の整備場にてショウマが噂しているリンネ・ヤマトはいた。背中まである茶髪の髪を後ろで結わえて、黒い服装を着用しながら自身の愛機であるライガーゼロイクスを洗っていた。

 

 

「ヤマト隊長、今時間宜しいでしょうか」

 

「……ロベルトか。珍しいな、お前から話し掛けるとは」

 

「はっ!実は隊長に聞きたいことがありまして」

 

「聞きたい事?」

 

「はい。実は――――」

 

 

ロベルトは今回の一連の流れを話し、学園にいたライガー乗りのショウマとコトナを賭けて戦う事を全てリンネに話した。

 

 

「ショウマか……懐かしい」

 

「お知り合いですか?」

 

「知り合いというより……ライバルという関係が正しいな。俺は奴に一度も勝てなかった」

 

「っ!?た、隊長が……ですか!」

 

「ああ。ロベルト、ショウマと戦うなら念入りに訓練に挑め……ショウマは一見どこか気怠そうな態度をしているが、戦いになれば奴は容赦ないぞ。ショウマという男は抜かりない……気を付けていけ」

 

 

リンネはライガーゼロイクスに搭乗すると、自身の部隊を率いて任務へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ゼロシュナイダー対グレートサーベル 1

 

 

コトナを巡る戦いは遂に幕を開けようとしていた。あれから数日後、コロシアムではショウマとロベルトの試合が始まろうとしてしており、観客席は女子生徒達で溢れ賑わいを見せている。そしてコトナはロベルトの要望でウエディングドレスに身を包んでいた。

 

 

「(ショウマ……信じていいの?……貴方を)」

 

 

 

ロベルトと戦うショウマを気に掛けるコトナをよそに、ゾイド同士によるバトルに女子生徒達は興味津々だ……ショウマのライガーゼロシュナイダーはロベルトのグレートサーベルを威嚇していた。

 

 

「ショウマ・イズル……貴様のライガーを討ち取り、コトナを貰う。わたしの行く手を阻む者は誰であろうと容赦せぬ」

 

「俺とライガーを簡単に殺ろうなんて、200年早い……見せてやるぜ、意地って奴をな」

 

 

ライガーゼロとグレートサーベルが対等する中で試合開始の合図が鳴る。先手はグレートサーベルが動き、ビーム砲を連射しながらライガーゼロに近く。

 

 

『――――!!』

 

「行くぞライガーっ!!」

 

 

高機動スラスターを吹かして、ビーム砲を交わしてゆくライガーゼロは間合いを取るとストライクレーザークローをお見舞いする。

 

 

「ふん……だからどうした!!」

 

『――――!』

 

 

グレートサーベルは、ライガーゼロに激突―――――そして連装ビーム砲、高速キャノン砲、8連ミサイルポッドを一斉に放つ。ライガーゼロはなんとか逃げるが、砂埃で視界を奪われてしまう。

 

 

「いただきっ!!」

 

「ちぃ!!」

 

 

砂埃からグレートサーベルが牙を向け、とっさに気付いたショウマは何とかそれを回避する。そしてライガーゼロとグレートサーベルが真っ向からぶつかる。

 

 

『『――――!!!』』

 

 

「一筋縄ではいかんか……さすがはライガー乗りと言った所だ。だが、所詮は庶民……部隊所属のわたしとは訳が違う!」

 

「はっ!エリートがそんなに偉いのかよ……!」

 

「そうさ。世は全てが力で決まる!強い者が全てを制する……それが分かるか!?」

 

「力を振りかざして、気に入らない物は全て力で否定して、欲しい物は力づくで手にする……力でしか物事を語れないお前に尚更コトナを渡す訳にはいかない!!」 

 

 

ライガーゼロはグレートサーベルを吹き飛ばすとそのままレーザーブレードを展開して宙を舞う。

 

 

「っ!!」

 

「なに!」

 

宙で回転したライガーゼロは、レーザーブレードでグレートサーベルの武装を一部破壊して、荒々しく地面へと着地……そしてまたグレートサーベルに迫る。

 

 

「馬鹿め……何度も同じ手を食らうか蚊トンボォ!」

 

「……!」

 

グレートサーベルはミサイルランチャーを放ち、ライガーゼロはそれを間近で受けて地面へと落下する。

 

 

「さあ、まだまだ戦いは始まったばかりだ……思う存分やろうか、ライガー乗り!」

 

 

「ライガー……立てるな?……あんな野郎に負けたくない……徹底的に抗うぞ……そして、コトナを守るぞ」

 

 

 

グレートサーベルが待ち構える……ショウマはそれを視界に捉える。そしてライガーゼロは再び走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ゼロシュナイダー対グレートサーベル 2

 

 

「ライガァァァ!!」

 

『――――!!』

 

 

迫るミサイルの雨にライガーゼロシュナイダーは走りながら交わしてゆく……しかしグレートサーベルは逃すまいとゼロシュナイダーに近距離で3連衝撃砲をお見舞いする。ゼロシュナイダーは吹き飛ばされ、姿勢を崩す。

 

 

「お笑いだなぁ、ライガー乗り……あれだけの口を叩いて、この有り様とは。ガッカリだよ」

 

「……」

 

「さあ、茶番は終わりだ……これで仕留めてやるぞ、ライガー乗りよっ!!」

 

 

 

グレートサーベルは牙をゼロシュナイダーに向ける―――――女子生徒達が静かに戦いを見守る中でコトナは、砲撃でボロボロのゼロを見て涙を堪える。

 

 

「もういいの……これ以上貴方が戦えば、ライガーだって傷付く……ショウマ……もうやめて!!ショウマは――『ギブアップなんてするかよ』嘘……」

 

 

 

コトナの心配をよそにゼロシュナイダーは再び咆哮を上げて立ち上がり、ショウマもまた闘志を宿した瞳にグレートサーベルを捉える……いくらボロボロにされようとも、まだショウマは諦めてなかった。

 

 

「往生際が悪いね……コトナは僕の物になる……邪魔するなよ、ライガー乗りがァァァァァァ!!!」

 

「あいつは物じゃないっ!女の子を物扱いするテメーに負けるかよ……コトナのオッパイも、処女も守ってやらァァァ!!」

 

 

 

グレートサーベルが向かって来る中でゼロシュナイダーは高機動スラスターを吹かして、全身に装備されたブレードを全面へ展開すると猛スピードでグレートサーベルに立ち向かう。

 

 

「はあああァァァァァァ!!!」

 

 

グレートサーベルが一斉砲撃を放ち、装甲に着弾するゼロシュナイダーはそのまま風を纏いグレートサーベルにぶつかる。

 

 

「お前との相性は最悪だった……だが、幸いにもリーシャ様のくれたシュナイダーが打開策をくれたぜ」

 

「ばか……な」

 

「アンタの負けだ……ロベルト」

 

 

グレートサーベルの右脚部と身体の半身が損壊―――――ゼロシュナイダーも一部装甲が破壊されるもあとは無事だ。今さっきショウマが仕掛けたのは5本のブレードを前方に展開して、全速力で突撃する"ファイブレード・ストーム"という技だ。

 

 

「……勝ったぜ……コトナ……にしても今日は熱い……」

 

 

 

勝利を掴んだと安堵した時にショウマは意識を失う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか風邪で戦ってたなんて……なんでそう……昔から無茶するのよ」

 

「わりぃな、心配掛けちまって」

 

 

ショウマは風邪を患い高熱を出して、今は部屋でコトナに看病されていた。結局ロベルトはコトナを諦めてショウマが倒れた後すぐに王国へと帰還して、試合はショウマの勝利で幕を閉じた。

 

 

「だがお前の自由は守ったろ?」

 

「でも……私のせいで……貴方やライガーに無茶をさせた……」

 

「気にするな。ゾイドと戦うなんて何回もしてきた。ライガーだって気にしちゃいない」

 

「………」

 

「コトナ、お前は笑顔が似合ってるんだからさ……『ありがとうね』っ!?お、おま!?な、なにして!?」

 

「私からのお礼よ。これぐらいしなきゃね……ありがとう、私の王子様」

 

 

頬に感じる柔らかい感触――――コトナは赤面しつつも、ショウマにキスをプレゼントした。夕日に照らされた彼女の顔は、とても魅力的で輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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