結月ゆかりのアウトブレイク (宇迦之たま猫)
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【発生】Prolog


まずはお試しで書いて見ました。
挑戦してみないとね…



 

 

──1998年9月27日

私、結月ゆかりはアメリカ中西部にある街…【ラクーンシティ】のラクーン大学に留学する事になり、両親の古い友人だと言うラクーンシティ在住の男性、【マーク・ウィルキンス】さんのお宅にホームステイする事になった。

 

マークさんのお宅に着いたのが午後17時頃だったので、マークさんの奥さんとお子さんに挨拶を行い、荷物整理は後にして夕飯をご馳走になった。

イメージ通りと言うか、アメリカの食事は油っこい物と言うかカロリーの暴力と言うか…そんな感じだった。

あ、でも奥さんの手料理はとても美味しかったです。

 

夕飯をご馳走になった後、お部屋に案内してもらい、荷物整理を行った。

その日は移動と荷物整理で潰れてしまった。

 

翌日、朝からマークさんはお仕事へ行き、お子さんは学校へ行ったので街を奥さんに案内して貰った。

道中側を通った家電量販店で、展示されているブラウン管テレビから物騒なニュースが放送されていた。

2ヶ月前にラクーンシティ郊外で起こった、孤立した民家が10人前後のグループに襲われ、住民が食い殺されるという猟奇殺人事件についてだった。

その異常性にも反して犯人は特定されず捜査は難航、その後も犠牲者が続出して未だに未解決なんだとか…

 

その後夕方に家へ戻ると、マークさんとお子さんも戻っていた。

なんでもマークさんが、同僚で親友のボブさんと言う方と行き付けのBARに飲みに行くらしく、ボブさんに私を紹介したいと言う事で着いて行く事になった。

あまりお酒は強くないので弱めのカクテルでも頼もう。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

レトロチックなネオンの看板がチカチカと着いたり消えたりしている中々良い感じの雰囲気がする木造のお店【J's BAR】

そのお店の前に私とマークさんはいた。

 

「わぁ…ここがそのお店ですか…」

 

「あぁ、店の雰囲気も良く酒もツマミも美味い、良い店だぞ」

 

 

 

マークさんが待ちきれないと言わんばかりに扉を開けて中に入る。

私もそれに続いて中に入ると…これまた風情のある内装だった、BARと言えばこんな感じ…と言ったもの。

カウンター席以外だと、大きなワイン樽を机代わりにした1人用の窓際席や、小さなテーブルを挟む様に椅子を置いてカードゲームを楽しむ人々など。

奥には1台だけスロットが置いてあった。

 

 

私がキョロキョロと中を見渡していると、1人の美人なウェイトレスさんが近付いてきた。

 

「いらっしゃいマーク!ボブならあそこのカウンター席に座ってるわよ。……あら?初めて見る顔ね、あたしはここでウェイトレスをしてる【シンディ・レノックス】よ、よろしくね♪」

 

「あっ、はい!マークさんのお宅にホームステイさせて頂いてる【結月ゆかり】と申します、よろしくお願いします。」

 

 

シンディさんがにっこりと優しく笑いながら軽く手を振って離れていく。

マークさんがこっちだ、と1人のご老人が座っているカウンター席に向かう。

 

 

「待たせたなボブ」

 

「おぉマーク…たいして待っとらんよ…そちらの可愛らしいお嬢さんが例の…?」

 

「あぁ、紹介するよ。日本に住んでる友人の娘さんでな、今回ラクーン大学に留学と言う事で家でホームステイする事になったんだ」

 

「結月ゆかりと申します、よろしくお願いしますね、ボブさん」

 

「おぉ…よろしく頼むよ…」

 

 

朗らかな笑みを浮かべながら話し掛けてくれるボブさん、なんだか体調が悪そうだけども…大丈夫だろうか…?

 

 

私とマークさんもカウンター席に座ると、中でグラスを磨いていたウェイターさんが注文を聞きに来た。

 

「いらっしゃいマーク、今日は何にするんだい?」

 

「スコッチをロックで頼むよウィル」

 

「OK、スコッチのロックだね。そちらの初めて見るお嬢さんは何にする?」

 

「あっえと、マークさんのお宅にホームステイさせて頂いてる結月ゆかりと申します。えーと…ではモヒートを1杯お願いします」

 

「僕はウィル、よろしく。モヒートだね、これからはうちの店をご贔屓に」

 

「あはは…たまにで良ければ」

 

 

そう言うとウィルさんは軽くウインクすると用意に移った。

シンディさんからおつまみのナッツ類を載せた小皿を受け取り、ポリポリと摘む。

塩味が丁度いい。

 

ナッツを楽しんでいると、少し離れたカウンター席に座っている無精髭のナイスガイな男性がマークさんに話し掛けていた。

なんだか警察官みたいな服装をしている人だ。

 

「ようマーク!ここらじゃ見ねぇ顔のお嬢ちゃん連れてんな?」

 

「おうケビン、家にホームステイしてる子だ。友人の娘さんでな」

 

「初めまして、結月ゆかりと申します。よろしくお願いします」

 

「硬っ苦しいのはナシだぜ?俺は【ケビン・ライマン】、よろしくな!」

 

挨拶を交わすと、ケビンさんは自身の席に戻ってお酒を飲んでいた。

マークさんが話してくれたけど、ケビンさんはR.P.D.と言うラクーン市警察の署員らしい。

優れた射撃の腕を持っているが、楽天家で細かいことは気にしない性格らしく、そのせいで遅刻の常連だったりこのBARでもツケで払ってたりと、何かと話題に事欠かない人物らしい。

ポジティブに言えばムードメーカーって事なのかな?

 

 

 

 

ウィルさんが持ってきてくれたお酒をちびちびと飲んでいると、角の天井付近に設置された小さなテレビからニュース速報が流れる。

 

『本日のラクーン・シャークスの試合で暴動が発生しました。ファンの1人が試合中に乱闘を初め、スタジアム中に拡大した模様です。現在、負傷者の数は不明ですが、50人以上の警察官が自体の収拾に……』

 

 

随分と白熱した試合で興奮したのかなぁ等と思っていると

 

「きゃあっ!?」

 

シンディさんが悲鳴をあげて運んでいたグラスを落として割った様だった。

大きいネズミがいたらしい、飲食店にネズミ…?

 

ふと横を見るとボブさんがぐったりとした様子でカウンターに寝そべっていた。

 

 

「食べないのか?おいボブ 大丈夫か?」

 

「……あ?」

 

 

心配そうに声を掛けるマークさんと、それに今にも死にそうな顔色と声で反応するボブさん。

大丈夫なのだろうか…心配になる…。

 

 

ギィィィ……

 

 

軋む様な扉の開く音が聞こえたのでそちらを見ると、ヨレヨレの白い服装の男性がふらふらとした足取りで入って来て、開いたままの扉の前で俯いて立っていた。

 

 

「……? 客にしちゃあ妙だな…」

 

 

怪訝に思ったのだろうウィルさんが近付いて行く。

 

 

「…なんだアイツは」

 

 

マークさんから見ても怪しかったのだろう、そんな言葉がマークさんの口から溢れると…

 

ドスンッ…と音を立ててボブさんが椅子から落ちた、慌ててマークさんが駆け寄って安否を確認する。

 

「おい!どうしたボブ!しっかりしろ!」

 

ボブさんを抱き上げて安否を確認していると、ウィルさんの悲鳴が聞こえてきた。

 

 

「何するんだ!ぐぅっ…あ”ぁ”っ…」

 

 

先程の怪しい男がウィルさんの首筋に噛みつき、夥しい量の血液が溢れていた。

ウィルさんは力を振り絞ってなんとか怪しい男を引き剥がして店の外へと突き飛ばして扉に鍵を掛けた。

 

夥しい量の出血をして顔面蒼白のウィルさんがその場にへたり込む。

店の中が騒然とする。

余りにも突然の出来事に呆然としていると

 

「うわッ!?」

 

ケビンさんが驚いた様な悲鳴を上げた。

釣られてケビンさんの向いている方へ目を向けると、そこには窓にへばりついている先程の男にそっくりな状態のあきらかに正気を失った人間がたくさんいた。

 

軽く見えただけでもかなりの量がいた、扉をドンドンと叩く音がする。

余りここも長く持たないだろう。

現実味が無さ過ぎて、逆に冷静に物事を考えている自分がいる。

 

さっきニュースで流れていた暴動…もしかしたらこれの事なのかもしれない…つまり、ケビンさんの同僚の警察官達もウィルさんの様に噛み付かれて…食い殺されたのかもしれない。

 

私達は…これからどうなるのだろうか…

 

 





実はアウトブレイクは1も2もめちゃくちゃやり込んだ勢です。
本当にアウトブレイクは発売が10年早かった神ゲー…‐
リメイクとかHDリマスターで復活しないかな…


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【発生】スタッフルームへ

ネタが思い付くうちに書いておきたい…
ちなみに猫はボイロで1番好きなのはアイちゃんですね、次にゆかりさんです。
皆さんは誰が好きですがね?




 

私を含めてみんな茫然と立ち尽くしているBARの店内、現実味の無いこの状況を頭が理解しようとしないのだろう。

静まり返った店内に、ドンドンと扉を破壊しようとする音が響く。

 

 

「……はっ、ケビン!ワイン樽を押すのを手伝え、扉を塞ぐぞ!」

 

「…あ、おう!」

 

 

マークさんとケビンさんが窓際のワイン樽を押して扉を塞ぐ、扉だけだと長く持たないだろうけど、樽で塞げばそれなりに長持ちするはずだ。

 

とはいえいつか破られるのは確実、なんとか脱出を試みないと…そう考えて行動に移ろうとするも、私の体は震えてまともに動けない。

当然だろう、私はマークさんの様な元軍人でもなければケビンさんの様な警察官でも無いのだ。

ただの一般人で、ただの女子大生の私がこの恐怖に耐えられるはずも無かった。

体は正直等とは良く言うものだ…

 

 

「シンディ、状況が状況だ…何か使える物はないか探しても良いか?」

 

「えぇ…もちろん、あっ!確かカウンターに2階のスタッフルームに上がる扉の鍵を置いてたはずよ…あとは包丁と…殺虫スプレーがカウンターの下に置いてあるわ、あとは…女性用トイレに置いてるデッキブラシなら武器になるかしら…」

 

「充分だ、ありがとよ…とりあえず俺は武器になりそうなデッキブラシを取ってくるから、シンディは鍵と殺虫スプレーを頼む」

 

「えぇ、分かったわ」

 

 

ケビンさんは武器になりそうなデッキブラシを取りに、シンディさんはスタッフルームの鍵と殺虫スプレーを取りに行った。

私、マークさん、ボブさん、顔面蒼白のウィルさんともう1人が残った。

 

 

「ジョージ、すまないが…ウィルを見てやってくれないか?」

 

「もちろんさ、私は医者だからね…さぁウィル、傷口を見せてくれるかい?」

 

「………」

 

 

一言も発さず、ただ茫然と扉を見つめるウィルさん。

そんなウィルさんの噛まれた傷を的確に手当する、灰色のスーツを着たジョージさんと言う人。

ボブさんに肩を貸しながら、マークさんがジョージさんについて教えてくれた。

 

ジョージ・ハミルトン

39歳のお医者さんで、自然に周囲の信頼性を得ていく包容性があり、紳士的な態度で周囲に友人が多い、何があっても良い様に常にメディカルキットを持ち歩いているらしい。

薬剤師としても優秀なんだとか

 

ジョージさんについて聴き終わった所でケビンさんとシンディさんが戻って来た。

ジョージさんもウィルさんの手当が終わった様で、近づいてきた。

 

 

「とりあえず使えそうな物は持ってきたぜ、何でか知らないが男性用トイレにハンドガンが置いてあったからこれも持ってきた」

 

「なんでトイレに拳銃が…?えと、あたしは鍵と殺虫スプレー、あと包丁を取ってきたわ…ジョージ、ウィルはどうかしら…?」

 

「あまり良いとは言えないね、軽い傷の手当は終わったが…出血が激しく貧血になっている。無理に動かすのも危ないだろう…扉は樽で塞いであるから少しあのままにしておこう」

 

「そう…とりあえず鍵を開けてくるわね」

 

 

シンディさんが小走りで鍵を開けに行く、するとガタンッと大きな音が鳴り響く。

……扉が、破られた。

 

 

「……!? おいおい、いくら何でも早すぎるぜ…?」

 

「だが、樽で塞いである…そう易々とは…」

 

 

余りにも早い扉の破壊に驚いていると、あの正気を失った人達 (映画に出てくるゾンビみたいだから、仮にゾンビと呼ぶ事にする) が樽をよじ登って入って来た。

 

 

「不味い…!ウィル、逃げろ!」

 

「何してんだウィル!早く逃げやがれ!」

 

「…あ、うわあぁぁぁぁ!!!!」

 

 

茫然としていたウィルさんが、マークさんとケビンさんの叫びでハッとするが、気が付いた時には遅く…ゾンビ達に群がられて…喰い殺された。

 

友人が喰い殺されると言う余りにも惨い光景を見て、私達は強烈な吐き気に襲われる。

なんとか堪えるが、ウィルさんを喰っていた1部のゾンビは起き上がるとこちらを見て、ゆっくりと歩きながら襲いかかって来た。

 

「クソッタレ!来んじゃねぇ!」

 

ケビンさんが腰のホルスターから拳銃を取り出して発砲する。

心臓に1発、弾丸が撃ち込まれたのにも関わらずゾンビはのろのろと歩いてくる。

 

 

「おいおいなんだよコイツら…心臓に弾丸ぶち込んだんだぞ…!?」

 

「くっ、ジョージ!ボブを上に連れて行ってくれるか!?ゆかりもシンディ達と先に上へ行くんだ!」

 

「でも、危ないですよマークさん!?」

 

「良いから行くんだ!わしとケビンで少しでも食い止める!」

 

「……分かりました、行きましょう!」

 

 

私はボブさんに肩を貸したジョージさんと一緒に階段を駆け上がっていく。

後ろからは銃声が聞こえて来るけど、大丈夫だろうか……? 不安を抱えながら、私はジョージさんと共に2階にあるスタッフルームへと向かって行った。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

2階のスタッフルームに着くと、シンディさんが使えそうな物を集めてくれていた。

ジョージさんがボブさんを床に座らせると、シンディさんが心配そうに聞いてきた。

 

 

「さっき銃声が聞こえたけど…何があったの?」

 

「それは…気をしっかり持って聞いて欲しい…」

 

「……まさか」

 

「あぁ、そのまさかだ…扉を破って、樽をよじ登って奴らが侵入してきた…ウィルは…喰われたよ…」

 

「──そん…な…っ」

 

「ウィルを喰った奴らの一部がこちらに襲いかかって来たんだ、そこでケビンが咄嗟に拳銃を抜いて発砲したんだが…心臓に1発撃ち込んだのにピンピンしてたよ…」

 

「何それ…それじゃ奴らは…死なないの…?」

 

「死なない生き物なんていないさ…きっとなにか弱点があるはず…」

 

「あ、あの…シンディさん、脱出に使えそうな物はありましたか…?」

 

「あっごめんなさい…もちろんあるわ、さっき従業員用のロッカールームでなにか使える物がないか探したら、日記を見つけたの。」

 

「日記…ですか?」

 

「えぇ、日記に書かれていた事によると、隣のマンションからイタズラ好きの子供達が良く屋上から飛び移って来てイタズラしてたみたい」

 

「……あぁ!つまり隣のマンションになんとか飛び移って降りていけば……!」

 

「…そうか!外へ出られる!」

 

 

脱出の手掛かりを見つけた事で幾分か暗い気分が払拭される。

あとは2人がスタッフルームに来るのを待って、屋上へ向かうだけだ。

 

 



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【発生】酒倉庫へ


ちなみにここのゆかりさんは白の長袖シャツに黒のスラックスと言うシンプルな服装です。




 

脱出の手掛かりが見つかってから数分、マークさんとケビンさんがスタッフルームへと上がって来た。

 

 

「良かった…2人とも無事で…」

 

「怪我はしていないかい?」

 

「うむ、何とかな」

 

「ただ…最悪な事実が発覚しちまったけどな…」

 

「……?」

 

「……喰い殺されたウィルが生き返った」

 

「えっ!?」

 

「…でも、ウィルさんは一緒に来てませんよね?」

 

「……そうだ、生き返ったウィルは…奴らになってたんだ」

 

 

その事実に私達は言葉を失った。

優しく気の良いウェイターのウィルさんが…喰い殺されたと思えば奴らになって生き返ったなんて…

 

 

「生き返ったウィルは、ゆっくりと立ち上がると…のろのろとした動きで俺に向かってきた…その目に理性なんて物は無かったぜ…」

 

「完全に…奴らへと変貌していた…つまり、わしらも喰われてしまえば奴らへと変貌するのだろうな…」

 

「そんな……」

 

 

その散々たる事実を前に私達の心には絶望感が広がっていた。

 

 

「……とにかく、ここからなんとか出るとしよう、何か使えそうな物は見つかったか?」

 

「……えぇ、さっき従業員の日記を見つけたの。その日記によると、屋上に行けば隣のマンションに飛び移って行けるわ。」

 

「本当か!?ならなんとか屋上へ向かう事が優先だな」

 

「あ、その前にスタッフルームの入口を板で塞いでおかない?長くは持たないけど、少しは時間稼ぎになるわ」

 

「なるほど、それは良いな…釘とかはあるのか?」

 

「釘打ち機があるわ、さっきテーブルの上に置いてあったの。釘もしっかり入ってるから問題無いわ!」

 

「それなら私が板を抑えておきますね」

 

「ありがとうね、ゆかりちゃん」

 

 

そうして私が板を抑えてシンディさんが釘を打ってスタッフルームの入口を塞いだ。

 

シンディさんが3階の酒倉庫への鍵を見つけていたので、扉の前に集まる。

その時、ボブさんが辛そうに軽く呻いて表情が曇っていた。

 

ジョージさんがボブさんの肩を抱き、私達は階段を駆け上がって酒倉庫へと急いで入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

 

壁一面に並べられた山の様な数の酒類を見て、思わず声が漏れる。

 

 

「わっ…すご…多過ぎる…」

 

「オーナーがお酒好きでコレクターでもあるの」

 

「なるほど…」

 

「この先に屋上へ向かう為のシャッターがあるわ!でも、鍵が無いから壊して通らないと…」

 

「2人くらいでタックルしまくりゃ壊せるか…?」

 

「それなら私がタックルしますよ、マークさんとケビンさんは銃持ってますから、奴らが追い付いて来た時の為に動ける様にしないといけませんし」

 

「ならもう1人は私がやろう、私も男だからね…それなりに力はある方だよ」

 

「良し、ならゆかりとジョージがシャッターの破壊、シンディは使えそうな物を探索、わしとケビンが酒倉庫入口で警戒だな」

 

「シャッターは任せるぜ?」

 

「もちろんです、任せてください」

 

「そっちも頼んだよ」

 

 

そうして一旦別れて行動する。

私とジョージさんでひたすらシャッターに向かって体当たりを繰り返す。

正直かなり肩が痛いけど、生きてここから逃げる為に我慢しないと。

 

シンディさんが使えそうな物を何度かシャッター前に持って来てくれた所でシャッターが壊れてゆっくりと開いた。

 

 

「良し、シャッターが開いた!」

 

「私が2人を呼んでくるわ!」

 

シンディさんはそう言うと、すぐにマークさん達を呼びに行ってくれた。

 

数十秒ほどでシンディさんが2人を連れて戻って来てくれた。

 

ひとまずシンディさんが集めてくれた使えそうな物をそれぞれ分けて持つ事に。

 

マークさんが

・ハンドガンの弾×25

・鉄パイプ

・救急スプレー

・マークさん愛用のハンドガン

 

ケビンさんが

・包丁

・殺虫スプレーとライターの組み合わせで作ったお手製火炎放射器

・ケビンさん愛用の45オートハンドガン

・45オートハンドガンの弾×14

 

ジョージさんが

・メディカルキット

・各種ハーブを用いたカプセル薬

・ハンドガン

・ハンドガンの弾×15

 

シンディさんが

・シンディさん愛用ハーブケース

・デッキブラシ

・救急スプレー

 

私が

・先の折れたデッキブラシ(木の棒)

・新聞紙+アルコールボトル×5(火を付ければ火炎瓶)

・愛用してるハンカチ(止血帯)

 

 

これらを持った状態で屋上へと向かう事になった。

 

 

 

 

 

希望ある

きっと、あるに決まってる。

 







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【発生】屋上へ、そして…


少し短いですが、個人的アウトブレイクで最も悲しいシーンだと思う発生の屋上です。




 

 

酒倉庫のシャッターを潜り、短い階段を駆け上がり屋上の扉を開く。

 

暗い夜の帳、チカチカと点灯するネオンの看板、下から聞こえてくる逃げ惑う人々の悲鳴と対応しているのであろう警察官達の銃声、バサバサと羽音を立てて飛ぶカラス。

 

あまり広くは無い屋上で、私達は1度一息つく事にしたのだが、空を飛ぶカラスがやけに襲いかかって来る。

まるで血肉に飢えた奴らの様に……まさか、カラスまでも奴らに…?

 

 

「ぐっ……鬱陶しい!」

 

「ちくしょう!飛び回ってやがるから狙いが付けにくいぜ!」

 

 

銃の扱いに長けた2人がそう呟く。

私も木の棒を強く握り締めて、ゆっくりとカラスに狙いを定める。

カラスが1度滞空し、こちらへと勢い良く降下して来た所を…

 

「──やっ!」

 

勢い良く地面に叩き付ける様に振り下ろす、ぐちゃっと肉が潰れる様な感触と共にカラスがコンクリートの床に叩き付けられる。

私が握り締めていた木の棒には、べっとりと血が付着していた。

 

───初めて、身を守る為とは言え…カラスを…生き物を殺した。

きっと私は、これからも身を守る為に殺すのだろう…この吐き気を、今すぐに泣き喚きたくなる罪悪感を…きっと私は忘れては行けない…

それを忘れて気楽に殺せる様になったら…それこそ人では無いナニカだ…。

 

私がカラスを殺して必死に吐き気を堪えて体の震えを誤魔化していると、それに気付いたシンディさんが優しく抱き締めて頭を撫でてくれた。

 

──不思議と恐怖や吐き気は和らいで行った。

 

それから少し進んだ所で、ボブさんの容態が急激に悪化した。

壁にもたれかかり座っている。

その横で、マークさんが心配そうに座っている。

 

 

「もう、動けない…自分の事は1番よくわかる、足でまといにはなりたくない…」

 

 

そう言うとボブさんは腰のホルスターから銃を取り出し……

 

 

「やめろ、ボブ!」

 

 

マークさんが、慌ててその手を押さえた。

ボブさんは俯きながら、今にも死んでしまいそうな弱々しい声でマークさんへと語りかける。

 

 

「違うんだマーク…やつらと一緒なんだ…おまえの…肉を…」

 

 

その言葉にマークさんがハッとして顔をあげる。

ボブさんの謎の体調不良、突然倒れたり…足元が覚束無いほどふらふらとするなど、きっとボブさんは…なんらかの理由でBARに飲みに来る前から奴らになり掛けていた…感染していたのだろう…

 

 

「た…頼む…お願いだから…」

 

 

ボブさんが…マークさんの手を振り払い…

 

 

「まだ意識のあるうちに…」

 

 

その手に持った銃を、自身のコメカミに押し付けて…!?

 

 

暗い夜の空に、1発の銃声が鳴り響き…赤い血が灰色のコンクリートの床に広がる…

 

倒れ込むボブさんの体を抱き留めて、マークさんが確かめる様にその体を揺する。

 

 

「…ボブ」

 

 

───ボォォォォォォォォブ!!!!!

 

 

マークさんの悲痛な叫びが、夜空に響く。

親しい者の自殺、愛する友を襲いたくないと言う想いから行った物だとしても、目の前で行われたその行為に…私達の心は激しく抉られた…

マークさんにとっては、無二の親友だった…その心の痛みは私達よりも計り知れないだろう…

 

一緒に生きて逃げようと誓った仲間を…友を…私達は1人、失った…

 

 

 

 

 

 

本当に…この世界に希望はあるの…?

 

 






もしゆかりさんがアウトブレイクのプレイアブルキャラクターだったら

ユカリ・ユヅキ
女性 20歳
日本出身の大学生
冷静で大人びた性格をしており、歌やゲームが好きで子供っぽい所もあるため様々な人に密かな人気がある。
ラクーン大学へ留学する為に、両親の友人であるマークの家へホームステイに来た所で事件に巻き込まれた。

パーソナルアイテム
・大切なハンカチ
留学する前に親友達にプレゼントされた特別な刺繍の入ったシルクのハンカチ。
それは親友達との友情の証でもある。
止血帯として使用可能

スペシャルアクション
・突き飛ばし
ゾンビなら必ずダウンさせる低威力の攻撃
・フルスイング
棒状の武器を装備している時、全力でフルスイングして殴る強力な攻撃。代わりに棒状武器の耐久減少も早く壊れやすい。


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【発生】BAR前通り


バイオハザードシリーズの数少ない有能警官レイモンドさん登場のBAR前通り編です。



 

ボブさんの死と言う残酷な現実に打ちひしがれていると、下の方から拡声器で周囲に聴こえる様に注意喚起がなされる。

 

 

『住民のみなさん!この区間は暴動のため、あと数分で封鎖されます!残っている人は、急いでこの通りまで出てきてください!時間に間に合わなかった場合は…安全の保証はできません!』

 

 

僅か数分で区間の封鎖…間に合わなかった場合は安全の保証は出来ない…つまる所取り残された者は見殺しにすると言う宣言でもある…

ボブさんの遺体をここに置き去りにしなければ、私達は隣のアパートに飛び移る事は出来ない…

ボブさんの遺体を…野晒しのまま置き去りに……辛い、心が軋んで悲鳴を上げる…時間が無く、被せる物も探せないなんて…

 

涙を拭い、前を向く。

最も辛いはずのマークさんが、シンディさんに尋ねた。

 

 

「シンディ、ここからどうすれば隣のアパートへ飛び移れる」

 

「日記を見た限りだと、何処かに無理やり溶接したフェンスがあるはずよ!それを壊せば…」

 

「道は開ける…か…」

 

 

話を聞いて、直ぐに走って探し始める。

少し先へ進んだ所に物置部屋があったが、その物置部屋の前にあるフェンスがだいぶ歪んでいた。

恐らくこの歪んだフェンスが溶接したと言う物だろう、私は直ぐに大きな声でみんなを呼んで、手に持っていた木の棒でフェンスを力いっぱい叩き始めた。

直ぐに追いついて来たケビンさんがキックを、マークさんが鉄パイプで叩く。

非力な私と違って、2人が壊し始めるとすぐに壊れてフェンスは倒れた。

 

 

「良し、急ぐぞ!」

 

 

壊して倒れたフェンスのあった段差をなんとか登って走り出す。

そうしてすぐに、問題の飛び移る為の場所…ビルとアパートの間に着いた。

 

まずケビンさんが助走をつけてジャンプする、ケビンさんは上手く飛び移る事が出来た。

次にジョージさん、彼も上手く飛び移る事が出来て心底ホッとしていた。

3人目にシンディさん、彼女は上手く飛び移る事が出来ず、体勢を崩して落ちそうになった所をケビンさんとジョージさんが腕を掴んで引き上げた。

その際デッキブラシを落としてしまった。

4人目にマークさん、彼も上手く飛び移る事が出来てホッとしていたが、その際少し曲がった鉄パイプを落としてしまった。

 

そして最後に私、ハッキリ言って怖い。

奴らよりずっと怖い、ミスったら落下、明確な死のイメージ、それらが私の足を震えさせる。

それでも、私は飛ばなければならない…大丈夫、きっとみんなが掴んでくれる。

助走をつけて、勢い良くジャンプ!

 

……が、私は上手く飛び移る事が出来なかった。

ぐらりと体が揺れて、落下しそうになる。

慌てて手を伸ばして屋上の少し突き出している床を掴んでぶら下がる。

まるで底無しの暗闇が大口を開けて今にも喰らわんとするかの様な錯覚…ただただ、怖かった。

 

 

「あっ…あぁ…」

 

「おい、しっかりしろ!手を伸ばせ!」

 

「たっ……たす…け…」

 

「ケビン!右を頼む!」

 

「任せろ!」

 

 

恐怖に竦んで動けない私を、2人はなんとか引っ張り上げてくれた。

頭を過ぎる明確な死のビジョンで、私の心と体はまるで氷漬けになる様に凍てついて行った。

体がガクガクと震えて、頭がパニックを起こす。

そんな私を見かねたケビンさんが大声で叫んだ。

 

「落ち着け!ゆっくり呼吸を整えろ!」

 

「ひっ……ひぃ……」

 

「ほら、吸って……吐いて……」

 

 

ケビンさんの言う通りに深呼吸をしてみる。

パニックになっていた頭が少しずつ落ち着いていくのを感じる。

 

まだパニックを起こしているが、私は少し冷静さを取り戻す事が出来た。

そして思い出す、こんな事をしている場合では無いと…時間が無いのに、私のせいで余計な時間をかけてしまった。

無理やり立ち上がり、ふらつく足を必死に動かす。

 

 

「すみませんでした…なんとか少し冷静になれたので…時間もありませんから、先を急ぎましょう…」

 

「待ってゆかりちゃん、あたしが肩を貸してあげるから…」

 

「あっ…ごめんなさいシンディさん…ありがとうございます…」

 

「良いのよ、困った時はお互い様よ?急ぎましょ!」

 

 

シンディさんに肩を貸して貰い、先を急ぐ。

残り時間はあまりに少ない、僅か数分しか無い時間を無駄に浪費したのだから。

アパート内に入り、エレベーターを呼ぶ。数秒で到着したエレベーターに乗って1階へ降りて、そのまま大急ぎで外へと飛び出す。

 

 

やっとの思いで辿り着いた外は、想像よりも地獄の様な光景だった。

そこらじゅうに彷徨く奴ら、逃げ惑う市民の人々、市民を逃がす為に奴らと応戦するもあえなく喰われる警官の方々。

 

扉からすぐ近くのパトカーをバリケード代わりにして応戦していた生き残りの警官の方が、扉から出てきた私達を一瞬奴らと勘違いして銃を向けてきた。

 

 

「待ってください!私達は奴らじゃありません!」

 

「脅かすな」

 

「レイモンド!無事だったか!」

 

「ケビンか!そっちは生存者か…よく無事だったな、町中がまるで戦場だ…」

 

 

ケビンさんの同僚らしい金髪の渋いイケおじ系男性警官…レイモンドさんが手に持ったショットガンのリロードをしながら呟く。

 

 

「ケビン、よかったら手を貸してくれ、人手が足りてなくてな…パトカーを押してバリケードにしろ」

 

「パトカーだな、奥の1台で良いのか?」

 

「奥の1台と後ろの1台だ、俺は次の区間へ行く為の扉の鍵を開けに行く…頼む、行け!」

 

「おう!…て訳だ、悪いが俺はここでレイモンドの手伝いするからよ…生きて脱出しろよな?」

 

 

そう言ってケビンさんが笑うが、ここまで来てそれは無いと思うのは私だけだろうか?

 

 

「水くさい事を言うなケビン、わしらも手伝うぞ」

 

「そうですよ、一緒に生きて脱出しようと誓ったじゃないですか私達」

 

「今更1人置いて脱出なんてしないわ!」

 

「パトカーを押すのは人手が多い方が良いだろう?」

 

 

みんな同じ思いだった様で、協力を申し出る。

少しとは言え時間がたったおかげで、私も1人で走れる程度には回復した。

男性陣がパトカーを押している間、私とシンディさんで奴らを惹き付けてやりますよ!

 





本来レイモンドさんは登場ムービーの時はハンドガンを持っていて、会話しながらハンドガンのリロードをしているんですが、何故かムービー終わるとその手に持っているのがショットガンに変わっていると言う謎……
正直意味が分からないので初めからショットガンを持っていた事に改変しました。
なんでハンドガンをリロードして構えてたのにショットガンになってんのレイモンドさん?


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【発生】アパート裏路地へ、そして…

アウトブレイク最高難易度名物のショットガン約300発撃ち込まないと開かないとかいうクソ硬木製扉さん、もはやバグの領域でしょアレ…



話を終えてそれぞれが行動に移る。

私は小さめの火炎瓶を、シンディさんはジョージさんから受け取ったハンドガンを構えて奴らの周りを走って注意を惹く。

 

バリケードに使うパトカーはケビンさんとジョージさんが奥の1台を、マークさんが1人で後ろの1台を押す事になった。

 

パトカーを押す男性陣を守る為に、奥の道路や建物から湧いて出てくる奴らに向かって火炎瓶を1つ投げつける。

 

 

「──てやっ!」

 

 

自分で言うのもなんだが、随分と可愛らしい掛け声で火炎瓶を投げ付けると、奴らの一体の頭に直撃して、パリンと音を立て割れた。

その一体が瞬く間に燃え上がると、地面に零れたアルコールにも引火して周囲の奴ら数体も燃え上がる。

 

奴らが全身火達磨となってこちらへと歩みを進める。しかし奴らと言えど全身を焼かれるとダメージが大きいのか、少し進んだ所でバタリと地面に倒れ伏す。

燃えなかった奴らをシンディさんがハンドガンで少しづつ確実に減らしていく。

それを繰り返して、手持ちの火炎瓶は使い切ってしまった。

 

 

 

 

奴らが既に人ならざる者になっているのは理解しているが、それでも人の姿形をした者を自分が焼き殺していると言うのは…かなり心に来る物がある…

 

 

 

 

そうこうしている内にケビンさんとジョージさんがパトカーを押し切って1つ目の即席バリケードが完成した、これで奴らが迫ってくる時間をかなり稼げるだろう。

 

2人と合流して、急いでマークさんの押しているパトカーへと向かう。

半分程進んでいたので、ケビンさんとジョージさんが一緒に押して直ぐに2台目の即席バリケードを完成させた。

 

急いでレイモンドさんの元へ向かうと、彼は鎖でぐるぐる巻きにされた扉の南京錠を必死に外していた。

 

 

「レイモンド!こっちは終わったぜ!」

 

「待て、もう少しだ…後はこれを外せば…よし…開いた、急げ!」

 

 

南京錠の付いていた扉の先へ進むと、少し長めの通路へと出ると、レイモンドさんが先陣を切って走って行く。

ガラクタやゴミがそこらに散らばっている所を見るに、ゴミ捨て場だったのかもしれない。

横には建設途中の建物もある。

 

1番奥まで辿り着くと、レイモンドさんが少し大きな木製の扉を開けようと奮闘していた。

 

 

「クソっ、向こう側から南京錠で鍵を掛けられているな…ぶち壊すしかないか…ケビンと民間人の方々、悪いがこの扉をぶち壊すまで奴らの接近を防いで欲しい」

 

「時間は掛かりそうか?」

 

「分からん、だが木製の扉だ…そこまで掛からんだろう」

 

「分かりました…私達が時間を稼げば良いんですね」

 

「守るべき民間人に頼む事になるとは…すまんな…」

 

「気にするな、わしらもお前さんも…生きて脱出する為に協力しておるのだからお互い様だ」

 

 

マークさんはそう言って愛用のハンドガンを構えて奴らに撃ち始めた。

ケビンさんとジョージさんも続いて奴らを撃ち始める、レイモンドさんは木製扉の取っ手の部分をショットガンで撃ち始めた。

 

生憎私はさっきの即席バリケードを作る時に火炎瓶を使い切ったし、シンディさんも武器は持っていない。

ここに来て何も出来ないのが現状だ。

 

悔しいが、ここは待つしかない。

 

 

 

それから数分程たった頃だろうか、奴らの数に対して手持ちの銃弾が少なくなり、焦ったケビンさんが叫ぶ。

 

 

「クソっ、レイモンド!まだ開かねぇのか!」

 

「恐らくもう行ける筈だ!準備しろ!」

 

 

レイモンドさんはそう言うと、大量に撃ち込んだ事で脆くなった扉を思いっきり蹴破った。

 

 

「俺は殿を務める、先に行け!」

 

 

レイモンドさんがそう言いながらショットガンを奴らに向かって撃ち始める。

それを横目に、私達は奥へと走り抜ける。

 

 

次々に集まる奴らを、レイモンドさんがショットガンで片付けて行くが、数が多くなかなか減らない。

 

 

「ちくしょう!」

 

 

レイモンドさんが悪態をつく、それだけ敵の数が多くキリがないのだろう。

 

 

「早く行け……ハッ…!」

 

 

レイモンドさんが私達の更に後ろへと注目する、その視線の先にあるのはタンクローリーだった。

 

そして、奴らの前でそんな隙を晒してしまったレイモンドさんは…

 

 

「うぁっ、あぁ…!」

 

 

当然追い付かれて押し倒されてしまった。

 

 

「レイモンドォ!」

 

「クソっ、数が多過ぎて邪魔だ!レイモンドを襲っている奴を狙えん!」

 

「くっ…私のハンドガンは弾切れだ!」

 

 

「あのタンクローリーの中身をぶちまけろ…そしてこいつらを焼き殺せ!」

 

 

押し倒されてもなんとか喰われまいと抵抗を続けながら、私達に奴らを焼き殺せと胸ポケットからライターを取り出して告げるレイモンドさん。

 

 

「なんとか…なんとかしないと…!」

 

「邪魔だ!どけぇ!」

 

「クソォ!どきやがれぇ!このままじゃレイモンドが…!」

 

 

助けようにも奴らが多過ぎて、レイモンドさんを襲っている奴を狙えない…そして…

 

 

「焼き殺せ…は…早く……がぁっ!あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」

 

 

抵抗していた手を組み伏せられて、レイモンドさんは首を喰いちぎられ私達へと伸ばしていた手が力なく倒れて行った。

私達を助けようとしてくれた、心優しき勇敢な警察は…最後まで私達の身を案じたまま…死んでしまった…。

 

また、仲間を失った…今度は私達を守る為に戦って死んだ…

どうしてこうなるのだろうか…まるで世界が拒む様に…人が死んでいく…

何故、どうして、そう考えている間にも奴らはレイモンドさんの亡骸を喰らっている。

私、ジョージさん、シンディさんは俯いて歯を食いしばる。

マークさんとケビンさんは怒りを露わにして奴らへと発砲する。

 

きっと、この街に希望は無いのだろう…助かる術は…己で切り拓くしか無いのだ…

 

 

 




発生限定NPCでもあり、バイオハザードシリーズでも珍しい有能警官のレイモンドさんの死亡でした。
押し倒されても助けを求めず最後までプレイヤー達にタンクローリーの中身をぶちまけて焼き殺せと言う辺り、マジでカッコイイ警官だと思いますね…


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【発生】アップルイン前通路へ

まさかの2連続投稿



勇敢な警察官が、私達を守る為に死んだ。

ならば、私達はその思いに答えなければ行けない…私は心が折れそうになるのを、必死に歯を食いしばって前を向く。

 

 

「ジョージさん…シンディさん…タンクローリー、任せても良いですか?」

 

「えっ…あぁ、それは…構わないけど…」

 

「すみません…私がレイモンドさんが胸ポケットから取り出していたライターを取りに行きますので…」

 

 

その言葉に4人は思わずギョッとする。

 

 

「何を言ってる!この中で1番非力なのはお前なんだぞゆかり!」

 

「分かってますよマークさん…でも、この中で1番背が低くて早く走れるのも私です…怖いですけど…やらなければ、死んでしまいます。私はレイモンドさんやボブさんの死を無駄にしたくはありませんから…生きて、絶対に生きて脱出するんです…平和な日常を死ぬ程謳歌して…天寿を全うしたら天国で笑顔で2人に告げたいんですよ…2人の分も精一杯生きてやりましたよって…」

 

「ゆかり……」

 

「……分かった、援護するから行ってこい」

 

「ケビン!?何を考えてるの!」

 

「ゆかりが腹括ったんだ、だったら手伝ってやるのが筋だろ。仲間だしな!」

 

「……なるべく怪我はしない様にね、もしも怪我したらすぐに私に言うんだよ」

 

「ジョージ!…あぁもう…絶対に怪我しちゃダメよ?ちゃんと無事に帰って来てね…」

 

「はい、ごめんなさいシンディさん…すぐに戻ってきますから」

 

 

みんなにそう告げて、私は全力で奴らの隙間を駆け抜ける。

なるべくぶつからない様に避けながら、レイモンドさんの亡骸の元へと辿り着く。

 

勇敢だった警察官の亡骸は、余りにも無残な姿になっていた。

その面影は服装で分かる程度…肉のほとんどは喰いちぎられて、骨と内臓が露出していた。

既に慣れてしまったはずの血肉の匂い…彼の亡骸から放たれる新鮮で強烈なそれは、その姿と相まって強烈な吐き気を催した。

 

 

 

その吐き気をなんとか飲み下し、彼の手元にあるライターとショットガンを拾う。

彼の血に濡れたショットガンを胸に抱いて、ほんの1秒程度だが…祈った。

どうか天国から見守って欲しい、そして私達に力を貸して欲しい…と。

近付いてくる奴らに目掛けて、私は形見のショットガンを腰でドッシリと構えてぶっぱなした。

至近距離で放たれたその散弾を体で受けて、強烈な衝撃により吹っ飛ぶ奴ら。

ケビンさんとマークさんの援護も有り、なんとか奴らの包囲網から抜け出せた。

 

 

「なんとかなりましたね…」

 

「たくっ…危ねぇ事しやがってよ…」

 

「だが良くやった…!」

 

 

マークさんに頭をわしゃわしゃと撫でられる。

なんとなくお父さんを思い出す。

 

そんな会話をしていると、大きな音を立てながら大量の液体が流れ出て来た。

かなりキツい臭いを放つ液体…ガソリンだった。

ジョージさんとシンディさんが走って戻って来る。その顔には笑顔が浮かんでいた。

 

 

「良かった、無事だったんだね」

 

「怪我はしてない?大丈夫?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ!それにほら、ライターも形見のショットガンも取ってこれました!」

 

 

そう言って少しばかりドヤ顔をして見せると、苦笑いされてしまった。

ゆかりさんだってやれば出来る子なんですよ?まったくもう…

 

 

「それでは、ライターの火をつけて…投げますね」

 

 

蓋を開けて、カチッと音を立てて火打ち石を回す、所謂ジッポライターと呼ばれるそれの火をつけて…ガソリンが撒き散らされた所に軽めの力で投げ入れる

 

急速に燃え広がって、奴ら事勢いよく燃え上がって行く。

奴らの呻き声と、肉の焼ける匂い…あの中にレイモンドさんの亡骸もあると考えると…辛い物がある。

せめて、火葬する事で供養出来たと信じよう。

 

 

そして私達は横にある少し大きい水路に飛び込んだ、タンクローリーに引火して爆発なんてすれば私達はひとたまりもないから。

 

事実、飛び込んで数秒後にタンクローリーは爆発した。

私達は間一髪だったと言う事だ。

 

「くっ……夏場とは言え冷てぇ…」

 

「だが、助かったみたいだな…」

 

「ねぇ、あの土管に入れないかしら?」

 

 

シンディさんが指を指した所にある、恐らく用水路か下水道に繋がる土管。近付いて、一人一人が順番に登って中へと入って行く。

中へと入ると……まぁ、だいぶ酷い臭いだった。

鼻が曲がりそうな悪臭に耐えきれなさそうなのでサッサと外へ出る事に。

 

先へと進んでいたケビンさんが、梯子を見つけたらしい。

マンホールの蓋で閉められた梯子を。

マンホールの蓋、つまり…ここは下水道と言うことになる訳で…鼻が曲がりそうな悪臭も納得だった。

ケビンさんが先に梯子を登ってマンホールの蓋を外してくれた。順番に登って外へ出ると、事故現場だった。

 

アップルインと言うホテルの前らしい、トラックとタクシーが事故を起こしている現場に、生存者が3人いた。

 

うち1人は警察の人だった。

その警察の人が拡声器を使って周囲にいる人に聞こえる様に確認を取っていた。

 

 

「こちらはラクーン警察、落ち着いて行動するように、避難用車両が待機している、速やかにこちらに集まってくれ」

 

 

 

避難用車両

 

その言葉に、私達は急いで合流した。

 

 

「これだけか?乗ってくれ」

 

 

映画や海外ドラマなんかによく出て来る、特殊部隊などが乗っている様なトラックだった。

 

その避難用車両に私達5人と、先にこの場所にいた2人が乗り込む。

 

 

数分の間トラックの中で揺られていると、運転してくれている先程の警察の方が困った様に呟く。

 

 

「幹線道路は危険だ…裏道を行くしかない…」

 

 

そう呟いてすぐに、急ブレーキが踏まれた。

 

 

「まいったな…ここもか…」

 

 

警察の方がこっち側に振り向いて告げる。

 

 

「見ての通りだ、あちこちバリケードで塞がってやがる…歩くしかなさそうだ…すまんが降りてくれ。」

 

 

非常に申し訳なさそうな顔で謝ってくる警察の方、まぁこの状況だし…バリケードで塞がってるのなら仕方が無いだろう…

 

渋々トラックを降りる。

警察の方がお詫びと言って、トラックの中にある銃火器、弾薬、薬品等を幾つか譲ると言ってくれた。

 

物資の枯渇している私達にはありがたい話なので、喜んで頂く事にする。

 

 

物資を諸々を頂いて、私達の所持品は現状こうなっている。

 

私が

・形見のショットガン

・ショットガンの弾×14

・救急スプレー×1

・愛用のハンカチ

 

マークさんが

・愛用のハンドガン

・ハンドガンの弾×30

・ショットガン

・ショットガンの弾×14

・救急スプレー×1

 

ケビンさんが

・愛用の45オートハンドガン

・45オートの弾×12

・ハンドガン

・ハンドガンの弾×30

・ジョージさんの調合したカプセル薬(回復剤)×2

 

ジョージさんが

・愛用のメディカルキット

・ハンドガン

・ハンドガンの弾×15

・調合したハーブ(緑×赤)

・調合したハーブ(緑×緑)

 

シンディさんが

・愛用のハーブケース

・ハンドガン

・ハンドガンの弾×15

・救急スプレー

・調合したハーブ(緑×赤×青)

 

となっている。

全員万全と言える程度には物資を整えられたので、これならなんとかなるだろう。

 

 

やっと、希望が少し見えた。

絶対に生きて帰るんだ…日本に。

 

 




という訳で、シナリオ【発生】
クライマックス突入でございます。

次のシナリオの構成考えないと行けないの辛い…


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【発生】大通りへ、そして…


シナリオ発生のラストです。
つまりシナリオクリアとなります。



 

ここまで運転してくれた警察の方…ドリアンさんのご好意で物資を補給出来たので、先へと進む事になった。

トラックを止めた場所の横にある路地の階段を登って行くと、歩道橋へと出た。

 

歩道橋の先へ進もうと歩いて行く私達は、そこで地獄の様な光景を目の当たりにする。

 

 

「そんな…」

 

「死んだヤツらの臭い…オサラバしたと思っていたのに…」

 

 

レイモンドさんの時とは比べ物にならない…その何十…いや、百倍程の奴らが溢れかえっていた…

 

歩道橋の真下で、3人の警察官が何かをしていた。

パトカーと比べると非常に頼りない鉄柵のバリケードの前、3人のうち2人が射撃して牽制を、残る1人が何らかの作業をしていた。

流石に遠目では何をしているかは分からないが、何かを組み立てている様に見える。

 

そうこうしていると、射撃をしている2人の片割れ…太った警察官の人が何か焦った様にあたふたと動く。

すると彼の前の鉄柵が倒れ、連続してドミノの様に他の鉄柵も倒れた。つまり、バリケードを超えて奴らが押し寄せると言う事になる。

そして何かの作業をしていた警察官ともう1人の射撃していた大柄な警察官が奴らの波に飲まれてしまった…。

太った警察官の人はまだ生きているみたいだが…このまま放っておくと間違いなく死んでしまうだろう…

 

波に飲まれた彼らを見て、ケビンさんが悲しそうに呟いていたのが聞こえた。

 

 

「エリック…エリオット…クソっ…!」

 

「ケビンさん…彼らはやっぱり…」

 

「同僚だよ…ハリーはまだ生きてるみたいだが…」

 

「ハリーと言うのは…あの太った…?」

 

「あぁ、良い奴なんだが…とにかく臆病な奴でな…ダチなんだ。生きてるならあいつだけでも助けてやりてぇんだが…」

 

 

ケビンさんが申し訳なさそうな顔でこちらを見る…今更だろう、レイモンドさんは助けられなかった。

なら、今度こそ絶対に助けよう。

 

 

「行きましょうよ、ケビンさん」

 

「助けるぞ、今度こそ」

 

「もう人が死ぬ所は見たくないわ…ならやる事は当然決まってるわよね?」

 

「後悔しない様に…行動しよう」

 

「……すまねぇな、恩に着る」

 

 

ケビンさんは軽く頭を下げると、覚悟を決めた様にホルスターから愛用のハンドガンを抜き取ると、歩道橋先の階段へと駆け出した。

 

私達もケビンさんの後を追い掛ける様に駆け出す。

 

 

階段を降りると、怪我をしたのかお腹を抑えて立っているハリーさんが居た。

 

 

「ハリー!」

 

「ケ、ケビンじゃないか!いいところに来てくれたよ!お…俺たち友達だろ?助けてくれよ!なぁ頼むよ!起爆装置を押しに行ってくれ!」

 

「起爆装置…?」

 

「あぁ、そこの死んじまったエリックの側だ!爆薬が仕掛けてあるだろ?頼むよ!」

 

「……いえ、無理ですね。逃げた方が良いです。」

 

「なっ!?あんた、何言ってんだよ!起爆装置を押せば奴らをまとめて吹っ飛ばせるんだぞ!」

 

 

起爆装置…正直な所、奴らをまとめて吹き飛ばせるのならとても惹かれるのは事実だ。

でも大きな問題がある。

 

 

「そもそもの話、どうやって起爆装置の所まで行くんです?確かに私達、物資は多少ありますけど…だからと言ってあの数を相手に、エリックさんの遺体まで向かうのは無謀過ぎます」

 

「で、でもさ…」

 

「確かにな…間違いなく弾薬が足りねぇしな…」

 

「ハリー…と言ったな、お前さんもわしらと一緒に逃げんか?」

 

「起爆するしないに関わらず、一旦離れた方がいいわよ」

 

「そうだな…君、怪我をしているのだろう?私は医者だから後で見せてくれ、手当しよう。私が肩を貸すよ」

 

「あ、ありがとう…そうだよな…無謀…だもんな…」

 

 

ジョージさんが肩を貸して歩き出す。

ハリーさんは涙を流しながら、「エリック…エリオット…臆病でごめんな…役に立てなくてごめんな…2人の頑張りを無駄にしちゃってごめんなぁ…!」と泣いていた。

それを聞いた私達は、なんとも言えない気持ちになる。

起爆装置の起動は無理だと切って捨て、一緒に逃げようと誘ったのだから。

彼らが命を投げ打ってまで組み立てた起爆装置を無駄にしたのは私だから…

 

 

 

 

歩道橋の上でジョージさんがハリーさんの傷の手当を行い、そのままドリアンさんの元へと帰還する。

負傷したハリーさんを見て生きていて良かったと呟くも、エリックさんとエリオットさんの殉職を聞き、悲しげな顔で俯いた。

そして再び私達はドリアンさんの運転するトラックに乗り込み、この場を後にした。

 

 

 

 

 

 

本来ならば胸踊るはずの留学生活

それはたったの一日で、街全体が血肉で溢れ、死臭のする地獄へと様変わりした。

建物は焼け落ち、人が人を喰らい、喰われた人が蘇り、また人を喰らうと言う地獄の様な惨状…

平穏な日々が、退屈な日常が、なんでもないありふれた毎日が…これほど恋しくなるなんて思っても見なかった…

生きて帰る事が出来るのか…それとも奴らに喰われて奴らの仲間入りしてしまうのか…それはこれからの私の行動次第なのだろう…

生きて帰る、今はそれだけを考えよう。

 

家族に会いたい…友達に会いたい…

日本に…帰りたい…。

 





これにてシナリオ【発生】クリアとなります。
正直ゲームだからこそ起爆装置の起動が出来る程度の数しかゾンビがエリアにスポーンしないのであって、現実だったら絶対起動に向かう暇も無いし武器も弾薬も圧倒的に足りないから死ぬのよね…
ぶっちゃけ逃げルートが真の正規エンドなのでは?と思う今日この頃

次は零下かぁ……


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【零下】B7F研究室へ


モチベーションが死んでいる…
創作意欲が湧かない…



 

あれから私達はひたすら奴らから逃げ続けた。

ドリアンさんにトラックで送って貰うのも何処へ行っても通行止めで限界があった。

だから徒歩で移動することになり、その結果私達は奴らからひたすら逃げる事になったのだ。

 

そして私とマークさんの2人が残り、ケビンさんとシンディさんそしてジョージさんの3人とはぐれてしまった。

 

私達はなるべく奴らの居ない場所へ行こうと地下鉄へと逃げ込んで、そのまま線路沿いに進んだ。

その先でGATE0‐1と書かれた巨大なシャッターで塞がれ行き止まりになっている所に辿り着き、同じ様に逃げて来た真っ赤なスーツを身に纏った新聞記者のアリッサ・アッシュクロフトさん、私と同い年の日系アメリカ人大学生のヨーコ・スズキさん、青い地下鉄駅員服を着たお調子者な黒人男性のジム・チャップマンさんと出会った。

 

 

シャッターは閉じていて先へ進めないし、かと言って長い線路を戻るのは辛いし、戻っても奴らだらけの街中に戻るだけ…

どうしたものかとシャッターの前でうろうろしていると、突然黄色のランプが点灯してサイレンの様なものが流れ始め、シャッターが開き始めた。

理由は分からないが戻るのもアレだし、私達は開いたシャッターの先へ進む事にした。

 

シャッターの先へ進むと、すぐそこに貨物列車らしき電車が止まっていた。

すぐ横に登れそうな段差があったのでヨーコさんと一緒に登ってみると、足元の床に突然銃弾が打ち込まれた。

すぐ目の前を見ると、黄色い服に黒いタイトスカートを履いて不思議な形のアタッシュケースを持った女性がこちらに拳銃を向けて立っていた。

それを見たヨーコさんが驚いた表情で目の前の女性に尋ねた。

 

「…モニカ…?」

 

「まさか、あんたに会うとはね。怖くなってもう戻って来ないかと思ってたわ」

 

「…それは…カプセル…?」

 

「…まさか、あんたもこれを狙ってるの!?もしそうなら…」

 

「やめて!何のことか分からないわ!」

 

「…フン…そんな言葉には騙されないわよ…バカにしないで!…そうだわ…あんたIDカードを持ってるわよね、それを渡しなさい」

 

 

知り合いだったらしい2人は何か良く分からない会話をしている。

怖くなって戻って来ない…?カプセル…?狙っている…?それにIDカード…?

めちゃくちゃ怪しい事話してるんですけど…部外者の私達が聞いてて良かったんですかね…?

 

そんな事を考えていると、ヨーコさんはズボンのポケットからカードを取り出して見せると、目の前の女性…モニカさんに奪われてしまった。

 

「ありがとうヨーコ…久しぶりに話せて良かったわ」

 

そう言うとタイトスカートのポケットにカードをしまって置いていたアタッシュケースを拾うと、こちらに拳銃を突き付けながらヨーコさんに向かって

 

「せいぜい元気でね」

 

と告げると走って奥へと去って行った。

4人揃ってなんのこっちゃと困惑しているとヨーコさんが軽く話してくれた。

曰くヨーコさんは、元々ここにあるなんらかの研究所で働いていたのだが、何故かそこで働いていた頃の記憶をほとんど失っているらしい。

ただある程度は覚えている事もあるそうだ。

研究所がどんな事をしていたのかもあまり覚えていないらしいが、都合良く仕事に関する記憶を失っている辺りあまりろくな事はしていないだろうとの事。

モニカさんの行動を見る限りでは本当にろくな事してなさそうである。

ジムさんはモニカさんが走り去った方を見てなんだアイツって感じの顔をして、マークさんとアリッサさんはモニカさんのヨーコさんに対する態度に憤慨していた。

 

ともかく私達も先へ進まないと行けないので、仕方なくモニカさんの後を追う事になった。

少し進むと、長い階段とその横に貨物運搬用のリフトが設置されている通路に出た。

リフトは途中で止まっているので階段を上る事に。

これまた長い階段なので時間がかかりそうだ…と思ったが、リフトが途中で止まって邪魔をしていて上れないので、横のエアダクトを通る事になった。

上下左右に入り組んだエアダクトを四苦八苦しながら通って降りると、何やらいかにもな研究所っぽい大部屋に出た。

円柱のカプセルに培養液となんらかの生物が入っていたり、大きな水槽に培養液となんらかの生物が入っていたりとあからさまにヤバい研究してる場所だった。

いくつか死体もある、すぐにでも起き上がって来そうで少し怖いが…まずは部屋の中を探索と行こう。

使える物を探さなくては…

 

入り組んだエアダクトは迷路の様で、みんなとはぐれて1人だになってしまった…気を付けて行動しよう。

 

部屋の中を探していると、少し大きなシンクの横にある机の上に、白い瓶が置いてあった。

中には何か液体が詰まっていて、貼られたラベルには強い衝撃を与えると爆発する為、取り扱いに注意と書かれていた。

投擲武器として使えそうなので持って行く事にしよう。

後何故かシンクの上に救急スプレーが置いてあったから貰っておこう…いやほんとになんでシンクの上にあるの?

 

シンクから離れて探していると、研究員のロッカーだろうか?そこに張り紙がしてあった。

──────────────────────

[実験メモ]

UMB No.20

→UMB No.3+VP―017

・調合後は赤褐色に変化

・植物細胞に対する強力な死滅作用あり、管理に注意されたし

──────────────────────

何かに使えるかもしれないから、一応このメモを持って行く事にする。

 

そして3つ並ぶ円柱のカプセルの先、一台のパソコンが置いてあった。

見てみると、所内通知が開いたままになっている。

 

──────────────────────

[所内通知]

最近、薬品倉庫の管理機能が低下している為、新たなパスコードを設置する。

これにより、いつ、どの薬品棚を開閉したかログを残す事が可能となり、高いセキュリティ効果が期待できる。

これと同時に現在、薬品棚の整理を行っている。

これらの作業は、来週頭には全て完了する予定である。

なお、これらの情報は当然ながら社外秘である。

違反者に対してはわが社は寛容たりえない。

心するように。

パスコード:9741

管理部主任

ウォルター・ライアン

──────────────────────

 

………部外者云々以前にここの管理が杜撰だったんですかね?

所内通知開きっぱなしで置いてあるし、そこら辺に死体転がってるし、多分モニカさんは違反者だろうし…もしかしてここガバガバセキュリティだったりします?

 

………とりあえずメモ取っておこう。

 





バイオ恒例の謎システムに力入れて肝心な所がガバガバな研究所。
ちなみにこの研究所実はバイオ2でも出て来る研究所なんですね〜


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