和奏レイの兄が友希那のサポートをしている話(完結) (春はる)
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設定集
キャラ・世界観設定(ネタバレあり)



設定集です。変更や追加があれば更新します。



 

和奏(わかな) ハル

 

和奏レイの兄(一歳年上)。誕生日は6月26日  164cm   羽丘学園の二年生。

 

2年B組

 

 

緑色の髪で、瞳は白色になっている。

 

 

レイからは、「兄さん」と呼ばれてる。

 

 

両親の和奏夫妻と、妹の和奏レイとは血が繋がってない。

 

 

生後数ヶ月の時、雨が降ってる日の中で河川敷の橋付近に捨てられていた。その時に、買い物帰りだった今の両親である和奏夫妻に拾われた。そして和奏家の養子になり息子になった。

 

 

捨てられた記憶は全くないが、捨てられた影響で雨の日はあまり好きじゃない。

 

 

妹のレイが171cmに対し、兄のハルは164cmなので、二人で出掛けた際は必ずレイが姉でハルが弟と勘違いされる。

 

 

大の猫好き。

 

 

一人暮らしでアパートに住んでいる。上京したての高一の時に散歩がてら町を見て回っていたら、そのアパート近くに猫カフェを見つけた。

 

初めて猫カフェを見つけてから、平日の放課後や休日など行ける時は必ず行くほど通っている。その為、お店の店員とは仲良くなり、猫になつかれる程になった。

 

それほど猫が好きな為に、高一で仲良くなったリサから、"そこまでカフェに行くなら、家で猫を飼えばいいじゃん"と言われたが、"無理"と答えた。

 

理由は、ハルが一人暮らしの為に、世話が出来ない時がある事。それに加えて、住んでいるアパートはペット不可の為に飼えない為。ペット可の場所は探したが学校より遠くなってしまうので、買うのを仕方なく諦めて猫カフェに通っている。

 

 

妹のレイがベースや歌が上手くて、それを聞いていた影響で、音楽を頑張る人をサポートしたいと思うようになった。

 

高校に入学する時に、東京に上京して一人暮らしをしてライブハウスでバイトをするようになる。

 

一人暮らしの為、料理などの家事全般は人並みに出来る。一昨年(ハルが中三の時)に建てられたアパートに住んでいる。親から仕送りをしてもらっており、その仕送りを家賃支払いに回して、それ以外はバイト代を使って生活している。

 

 

ライブハウス・スペースでバイトをしており、オーナーの事は尊敬・信頼している。

 

楽器の演奏は楽譜が読めず、演奏技術もない為に出来ない。歌に関しては極度の音痴。そういった音楽の才能は皆無だが、演奏を聞く耳は持っている。

 

楽器の演奏や歌うことは出来ないが、その代わりに楽器のメンテナンスから、ライブでのセッティングやライブ中の音響や照明といった裏方がやる仕事での能力があって、ライブハウスで色々と担当している。

 

 

スペースのオーナーである都筑詩船の影響で、お客さんを悲しませるバンドは駄目と思っている。その上、スペースで演奏していたバンドみたいに、自分もお客さんも楽しんでいる音楽を大切だと思っている。

 

そういうのも相まって、ハルの音楽の信条は、演奏している自分も音楽に夢中・楽しいと思いながら、お客さんも楽しいと思う・お客さんに楽しいと思わせる音楽が大切・重要視している。

 

何かしらの復讐……見返すためにやる音楽は嫌い。音楽をやるきっかけの一つだったら別に気にしないが、音楽を復讐のための道具みたいに使って演奏し続けるのは嫌い。尚且つ、技術だけで圧倒してお客さんに凄いしか思わせてないバンドは好きじゃない。

 

スペースでバイトをしているので、同じバイト仲間のポピパのおたえと知り合い。たた、ポピパメンバーとはあまり顔を会わせてなかったので、あまり覚えられてない。

 

 

 

 

 

羽丘学園の二年生で、湊友希那と同じクラス。

 

 

湊友希那と今井リサとは一年から同じクラスで、その時にリサと友希那と仲良くなった。

 

 

 

 

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湊 友希那(みなと ゆきな)

 

 

誕生日 10月26日   クラス 2年B組

 

 

ハルと同じクラス。

 

 

ロゼリアのリーダーで、ボーカル。

 

 

 

原作より性格が柔らかくなっている。

 

 

リサがハルに話しかけて、関わるようになった。

 

 

リサとハルと遊びに行ったりしている。猫カフェやアクセサリーショップに行ったりしている。

 

その為、歌の表現が広がりお客さんを魅了するような歌を歌えるようになった。その為、最初はお互いにぶつかり合ったが、意見を言ってくれたハルには感謝している。

 

ハル自身の事や耳の正確性に、信頼している。

 

 

 

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今井(いまい)リサ

 

 

誕生日 8月25日   クラス 2年A組

 

 

ロゼリアのベース担当。

 

 

 

高一の時に、ハルに声をかけて仲良くなった。

 

 

 

ハルのお陰で、友希那が昔みたいに音楽を楽しむようになったので、ハルには感謝している。感謝しているが、自分では友希那を変えれなかったのに、あっさり変えた事に嫉妬している。

 

 

 

 

 

 

 

 

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瀬川 鋼(せがわ こう)

 

2年B組

 

 

ハルとリサと友希那とは友人。

 

 

ハルと友希那と同じクラス。尚且つ、幼馴染みで恋人のパスパレの大和麻弥とも同じクラス。

 

 

 

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大和 麻弥(やまと まや)

 

同じクラスの瀬川 鋼(せがわ こう)とは、幼馴染みで恋人。

 

 

 

 

 

 

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羽丘学園

(女子校ではなく共学の設定)

 

元々女子校で建てられる予定だったが、花咲川女子学園や月ノ森女子学園、白雪学園といった女子校が三校あるため男子が通える学校がなかったので共学として建てられた経緯がある。

 



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本編
第1話



本編をどうぞ。



 

~4月~

 

 

高校二年に進級した。

 

 

今日は始業式の為、身支度などを済ませて家を出て、学校に向かった。

 

 

学校に着いたので、玄関の所に張り出されてるクラス分けを見てから、自分のクラスに向かった。

 

 

教室に着いたので中に入ると、何人か生徒がいた。黒板を見ると席は決められてるみたいなので、自分の席を確認した。一番後ろの窓際の席だったので、そこに向かい荷物を置いた。

 

友希那「ハル、おはよう」

 

荷物を置いた時に、"おはよう"声をかけられた。声で誰かは分かるけど、声をした方を見ると湊友希那だった。

 

ハル「おはよう、友希那。……友希那の席はこの辺?」

 

友希那「この辺よ……。まぁ正確には、ハルの隣の席なのよ」

 

ハル「あ、そう。まぁ今年もよろしく。去年もクラスも一緒だったし、席も隣が多かったしね」

 

友希那「そうね、よろしく。……それで、ハルに一つお願いがあるのだけれど……」

 

友希那と話をしていると、お願いがあると言ってきた。

 

ハル「お願い?」

 

友希那「そう、お願いよ。……今日の学校終わりに、学校近くの猫カフェに連れていってくれないかしら?」

 

ハル「それって、リサと二人で行けば良くない?」

 

友希那「リサは、放課後に他の友達とアクセサリーショップに行くのよ。それに私一人やリサと二人一緒に行っても、まだ猫が懐いてくれてないから、中々寄ってこないのよ」

 

友希那から頼まれたのは、学校近くの猫カフェに行きたいと言われた。友希那が言ったカフェは、俺が去年からいつも行っている猫カフェの事だ。

 

ハル「俺も行きたいんだけど……、今日はバイトだから無理だよ」

 

友希那「バイトを休むとかで、断ればいいのよ」

 

ハル「そんなクールな顔で簡単に言ってこないでよ……。友希那も、スペースのオーナーの事は知ってるでしょ。頭の中で、オーナーに断るイメージしてみてよ」

 

友希那が言ってきた事に、俺がそう言うと友希那は黙って考え始めた。少しして友希那が口を開いた。

 

友希那「……ごめんなさい。確かに考えてみたけれど、私でも断るのは無理だったわ」

 

ハル「でしょ。それに今日から新しいバイトの人が入るから、俺に教育係として新人の面倒を見させるんだって。だから、必ず来るようにと釘を刺されてるしね」

 

友希那「それは、尚更休めないわね……」

 

ハル「でしょ」

 

鋼「うーす。ハル、湊、おはようっす」

 

友希那と話をしていると、俺が中学から仲が良い瀬川 鋼(せがわ こう)が声をかけてきた。そのまま、友希那と鋼と予鈴がなるまで話をしていた。

 

 

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そして、始業式などが終わって下校時間になった。俺は隣の席の友希那に声をかけた。

 

ハル「友希那は、結局猫カフェ行くの?」

 

友希那「えぇ、一人で行くわ。少しでもにゃーんちゃんに好かれるためにね。……じゃあ、私行くわね」

 

友希那に猫カフェの事を聞くと、"猫に好かれるために行く"と言ってきた。そしてそのまま行ってしまった。

 

鋼「俺らも帰るか……」

 

ハル「そうだね。けど、今日はバイトだから途中までな」

 

鋼「了解」

 

友希那と話した後に、鋼と途中まで一緒に帰る事にした。その途中の分かれ道で鋼と分かれて、俺はバイト先のスペースに向かった。

 

 

 

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~ライブハウス・スペース~

 

 

ハル「こんにちわー」

 

オーナー「ハル、さっさと着替えてきな。前に言った通り、今日から入る新しいバイトの教育係を任せるからね」

 

ハル「あ、はい。すぐ着替えてきまーす。……あ、凛々子さん、今日もよろしくお願いします」

 

凛々子「うん。よろしくねー」

 

オーナーに返事を、スペースの店員の真次 凛々子(まつぎ りりこ)さんに挨拶してから、着替えるためスタッフルームに向かった。

 

 

 

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着替えが終わり、オーナーに声をかけた。

 

ハル「オーナー、新しい子はどんな人なんです?」

 

オーナー「今年、花咲川に入学した女子だ。名前は花園たえ」

 

ハル「今年ってことは一年生なんですね。……で、その子はどこに?」

 

オーナー「花園、こっちに来て自己紹介しな」

 

たえ「あ、はい。花園たえです。よろしくお願いします」

 

ハル「羽丘に通ってる二年生の、和奏ハルです。よろしく」

 

たえ(和奏……?レイと同じ名字だ……。レイの身内とか親戚なのかな?あ、兄がいるとか言ってたような気がする。……どうだったけ?)

 

俺が名前を言うと、花園さんは静かになって考え込んでる感じになった。それに疑問に思ってると、オーナーが俺に話しかけてきた。

 

オーナー「まずは開店準備から教えてあげな。その後どうするかはハルに任せる。あと花園が慣れるまでは、いつもやってるライブの裏方はしなくていいから」

 

ハル「あ、了解です。……じゃあ、一通り教えてスペース開いたら、今日はドリンクの方を二人で担当しますから」

 

オーナー「分かったよ」

 

オーナーの返事を聞いた俺は花園さんの方を向いた。

 

ハル「じゃあ、まず開店準備からするからやり方を教えるよ」

 

たえ「あ、分かりました」

 

花園さんの返事を聞いてから、教え始めた。

 

 

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しばらくして、開店準備とレジやドリンクのやり方などを教えた。

 

そしてライブハウスが開いた。最初から見たい人達が多いため、開店直後は忙しい。

 

客A「ハルくーん。ドリンクよろしく~」

 

ハル「はーい。……確かいつも追っかけてるバンドは今日は出ないけど来たんだ」

 

客A「もっちろん!そりゃ~好きなバンドが出るライブが一番だけど、他のバンドもめちゃくちゃ盛り上がるからね。来なきゃ損だよ」

 

ハル「やっぱりそうだよね~。……はい、お待たせしました」

と、来てくれたお客さんと話をしてドリンクを渡した。今、話をしていたのは学校は違うが同い年の女子のお客さんだ。俺がいつも同じ曜日のシフトに入ってるから、そのシフトに来るお客さん達の顔を覚えてしまった。

 

本当は、お客さんにため口やそれに近しい口調で話すのは駄目だが、オーナーから特別に許可をもらってる。

 

その後も、花園さんと一緒に来てくれたお客さんの対応した。そして、落ち着いたので一息ついてると、花園さんが話しかけてきた。

 

たえ「ハル先輩。一つ聞いてもいいですか?」

 

ハル「ん~、何?花園さん」

 

たえ「和奏レイと知りあいとかですか?」

 

ハル(花園さんとレイって、引っ越す前に知り合いだったのかな?)

と思いながら、花園さんの質問に答えた。

 

ハル「兄妹だよ。俺が兄でレイは妹だよ」

 

たえ「あ、やっぱりレイのお兄さんだったんだ……」

 

その言葉に"ん?"ってなってると、花園さんは説明してくれた。

 

たえ「私、小さい頃にミュージックスクールに通ってて、その時にレイと会って仲良くなったんです。それで、レイから兄がいるとか聞いたような気がしたんです。あと、名字が一緒だったからハル先輩に確認で聞きました」

 

ハル「なるほどね。(そういえば仲良くなった子がいるって言ってたな……。引っ越す時に離れたくないって愚痴ってたのがあったけど、それが花園さんだったんだ)」

 

たえ「ハル先輩は上京してきたんですか?」

 

ハル「うん。去年の高校入学の時に、上京して一人暮らし始めたよ」

 

たえ「そうなんですね。…その、レイは東京にいるんですか?」

 

ハル「んー……、どうだろう?春休みに、音楽の道でチャンスが多い東京に上京するって電話があったきりで、その後から何も連絡来てないんだよね。それに、俺からもしてないから分かんないかな。レイには、何かあったら連絡してって言ってるけどね」

 

たえ「そっか……。ハル先輩、教えてくれてありがとうございます」

 

ハル「どういたしまして」

 

レイの話をした後も、少し会話をしながら来てくれたお客さんの対応をしていった。

 

 

 

しばらくしてライブが始まった。今日は、照明や音響などの裏方はしなくてもいいとの指示だったので、裏方はしなかった。

 

ライブ中もチラホラお客さんが来るのでその対応をしていた。

 

ライブが終わったので、帰るお客さんの対応、ライブハウスの片付けを花園さんと一緒にやった。

 

 

 

そしてバイトが終わり、途中まで花園さんを送って家まで帰った。

 

 

 

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花園さんがバイトとしてスペースに来てから、しばらく経ったある日の放課後。

 

リサと友希那と俺は三人で教室から下駄箱の所まで一緒に向かっていた。

 

 

下駄箱に着いた時に、友希那が"バンドを組む"と言ってきた。

 

ハル「バンドを?」

 

リサ「それ、本当?」

 

友希那「えぇ、本当よ。バンドと言っても、私と紗夜の二人しかいないけれどね。…紗夜はギターをやっていて、圧倒的な技術と正確さを持っているわ。それに私が目指すものには紗夜のギターは必要だわ」

 

ハル「へぇ~。友希那が、スカウトするほどの実力なんだ」

と言うと、友希那は"そうよ"と言ってきたが、その後に俺の顔を見てきて一言言ってきた。

 

友希那「でも、ハルの考えとは合わないと思うわ」

 

ハル「?…合わないというと……」

 

友希那「前に、貴方が言っていた音楽は音を楽しむことも大事とか、遠回りに感じる、不必要な事……遊びに行って知らない事を知るのも大事だとか、色々と教えてくれてたじゃない?」

 

ハル「まぁ、そうだね」

 

友希那「紗夜は、FUTURE WORLD FESに行くからには、音楽以外の物は何も要らないと…、真剣に言っていたわ」

 

ハル「あぁ…だから、俺と合わないって言ったんだね」

 

友希那「そうよ。…勿論、今の私は必要ないとは思わないし、むしろそういった経験も必要と思っているわ。でもだからと言って、私は頂点を目指すことには妥協をしたくない。それはハルなら分かってるでしょ」

 

ハル「当然だよ。……友希那は頂点を目指すために、ギターの技術が一級品で、しかも同じ頂点を目指すという理想がある紗夜だからスカウトしたって事で、いいんだよね?」

 

友希那「えぇ。……それでもサポートはしてくれるかしら?」

 

ハル「友希那が決めたことなら、特に何も言わない。それにサポートする事は約束したから、サポートするよ」

 

友希那「ふふ、ありがとう」

 

リサ「お二人さん、いつまでアタシを無視してるのかな~?」

 

ハル・友希那「「あ、ごめん(なさい)」」

 

二人で話してると、リサがそう言ってきたので、友希那と一緒に謝った。

 

リサ「まぁ、別にいいけどさー」

という、リサの言葉を聞きながら、校門まで向かい始めた。

 

リサ「ねぇ、友希那。今日はこのままライブハウスに練習しに行くの?」

 

友希那「行くわよ。早く紗夜と音を合わせておきたいから」

 

ハル「俺も行ってもいいか?」

 

友希那「勿論、あなたの耳を頼りにしてるし、紗夜にも会ってほしいから」

 

ハル「分かった」

 

あこ「友希那さん❗」

 

友希那と、練習の事を聞いていると友希那の名前を呼ぶ声がした。声をした方を見ると、校門に紫色の髪をツインテールにしてる羽丘の中等部の制服を着てる女子がいた。

 

リサ「あれ、あこじゃん」

 

リサは知ってるみたいだった。俺はリサに誰なのか聞いてみた。

 

ハル「リサ。この子は誰?」

 

リサ「同じダンス部の子で、あたしの知り合いだよ。名前は宇田川あこだよ。…それで、あこどうしたの?ここまで来て、友希那の名前を呼んでたけど……」

 

リサが宇田川さんの事を教えてくれた後に、ここまで来た理由を聞き始めた。

 

あこ「えっと、友希那さん!私をバンドに入れてください!」

 

友希那「え?」

 

あこ「あこ、友希那さんの曲全部弾けるようになってきました。だからお願いします❗」

 

ハル(スコアがボロボロで指に絆創膏がいっぱい…。相当練習してるのが分かる)

 

友希那「でも、それは前に断ったはずよ」

 

あこ「一回だけセッションするだけでもいいの!お願いします‼️」

 

友希那「でも……」

 

首を縦にふらない友希那と頑張ってお願いする宇田川さん。その二人のやり取りにリサが間に入った。

 

リサ「友希那、一回ぐらいはやってもいいと思うよ。あこはやる時はやる子だし、何よりこんなにスコアがボロボロになるまで練習をしてきたんだよ。なのに、ここで門前払いはどうかと思うよ」

 

あこ「リサ姉……」

 

友希那「……」

 

ハル「俺もやってあげた方がいいと思う」

 

リサの後に俺も援護に入った。

 

友希那「ハルも?」

 

ハル「俺は、宇田川さんとは今が初対面だから性格とかはよく知らない。けど、このスコアがボロボロだし、指にも絆創膏がたくさん貼ってあるから、相当練習したと思う。それは想像出来るでしょ」

 

友希那「えぇ、それは勿論だけれど……」

 

ハル「それが分かってても決めきれない、信じきれないなら、リサの言う通りセッションしてあげた方がいい。どれだけ練習をしたかは音を聞けば分かる。だって音は嘘つかないから、友希那も聞けば決断できると思うよ」

 

友希那「……音は嘘つかない……確かにそうね。……あこと言っていたわね。これからサークルに行ってやるわよ。ただし、一回だけやって駄目なら諦めてもらうから」

 

あこ「あ、はい❗」

 

友希那がそう言って、宇田川さんの返事を聞いてから歩き始めたので、友希那の後ろを俺とリサと宇田川さんで付いていく。しばらく歩いてると、宇田川さんがリサにお礼を言った後に俺にもお礼を言ってきた。

 

あこ「あのあの!さっきは、ありがとうございます!」

 

ふとリサ達の方を見ると二人で話していてリサがライブハウスに付いていく事を伝えていた。それを見た後にあこのお礼に答えた。

 

ハル「どういたしまして。セッションが出来るようになって良かったね」

 

あこ「はい!……えっと…名前は何て言うんですか?」

 

ハル「和奏ハルだよ。好きに呼んでいいからね、宇田川さん」

 

あこ「じゃあ、ハル兄って呼ぶ!あこの事はあこでいいから」

 

ハル「分かった。よろしくね、あこ。…で、そのハル兄って呼ぶ理由ってある?」

 

あこ「呼ぶ理由?何かね~、お兄ちゃんみたいな雰囲気がするから!」

 

あこに名前の呼び方を聞くと、純粋無垢な笑顔でそう言って来た。

 

ハル(お兄ちゃんみたいな雰囲気があるからか……。まぁ実際に血が繋がってないけど妹がいるから、当然と言えば当然か。てか、この子ほんとに妹感が凄いな。人懐っこい笑顔だし)

 

あこを妹みたいに感じた俺は、自然のあこの頭を撫でてしまった。あこはびっくりしていたが、照れくさそうにしながら、そのまま撫でられ続けていた。

 

しばらく撫でてから、俺は手を頭から離してあことリサと話をしながら、ライブハウスに向かった。

 

 





前半の方におたえを出しましたけど、口調が違うかもしれません。次出す時があれば出来るだけ、原作の口調になるように頑張ります。

続きは完成はしてませんので、不定期更新になります。なので次回の投稿は遅くなるかもしれません。


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第2話


今回は、前回の続きであこのドラムのオーディションの話です。後半の方は、翌日の話です。


では、本編をどうぞ。



 

~ハル視点~

 

 

俺と友希那、リサとあこのメンバーで話ながら歩いてると、サークルに着いた。

 

サークルの受付前で友希那は"月島"と書かれた名札を付けた女性の人と話をしてからスタジオに行ってしまった。

 

俺達はすぐに友希那を追いかけて、スタジオに入った。中では、友希那とギターを持ってる人が話をしていた。

 

俺はすぐにギターを持ってる人が、友希那の言っていた紗夜という人だとすぐ分かった。

 

話をしている友希那を横目に見ながら、あこに声をかけてドラムの調整とか色々と手伝ってあげたりとかして、スタジオで演奏の準備を始めた。

 

 

 

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~友希那視点~

 

 

私がスタジオに入ると、受付の人の言う通りでスタジオには紗夜が来ていた。ハル達もスタジオに入ってきたのを確認してから、紗夜に声をかけようとした。

 

でも、私が声をかける前に、紗夜から演奏準備をしているハル達の事で、声をかけてきた。

 

紗夜「あの、湊さん。この三人は……?」

 

友希那「えっと、男子は前に話したと思うけど、私のサポートをしてくれてる和奏ハルよ」

 

紗夜「あの人が……。では、他の二人は?」

 

友希那「まず、ハルと一緒にドラムの準備をしてる紫色の髪をした子が、ドラムのオーディションをしてほしいって言ってきたの。……名前は、宇田川あこよ」

 

紗夜「ドラムのオーディション……ですか?」

 

友希那「えぇ。私の組んだバンドに入りたいと言ってきたの。それで、ハルともう一人の女子が付き添いで来たのよ。付き添いの子は、私の幼馴染みで名前は今井リサよ」

 

紗夜「なるほど……。その宇田川さんは実力はあるんですか?」

 

友希那「それは分からないわ。けれど、実力があるかどうかは……音を聞けば分かるわ」

 

紗夜「……そうですね」

 

友希那「だから、少しだけ時間を使わせてもらうわね」

 

紗夜「分かりました。……しかし、ベースがいないと総合的なリズムなどがとれませんが……。どうしますか?湊さん」

 

ハル「それならリサにやってもらったら?」

 

紗夜から、ベースの話をされ"どうするか"と聞かれた時に、ハルが一言言ってきた。ハルのその言葉に、ソワソワしていたリサは名前を言われた事に、あこはリサがベースをやっていた事に驚いている様子だった。

 

私は元々リサに頼もうと思っていたので、それほど驚きはせずにハルの言葉に共感をして、リサにお願いをした。

 

 

 

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~ハル視点~

 

 

準備を終えて友希那達の方を会話を聞いてみると、ベースの話になってたから、声をかけた。

 

 

ハル「それなら、リサにやってもらったら?」

 

リサ「……!」

 

友希那「……確かにそうね。リサにお願いしてもいいかしら?」

 

紗夜「……今井さんはベース経験者……なんですか?」

 

リサ「二年ぐらい前までは、ベースをやってた感じだよ」

 

友希那「やってない期間があるけれど、楽譜通りには弾ける筈よ」

 

友希那の言葉に、リサのネイルなどを見て渋っていた。リサが説明などをして、紗夜はしぶしぶな感じで納得して"分かりました"と伝えた。

 

リサ「じゃあベースを借りてくるね」

 

この場にベースを持ってきてなかったリサは、ライブハウスの貸し出しのベースを借りに向かった。しばらくして戻ってきた。

 

友希那「それじゃあ、始めるわよ」

 

戻ってきたリサの準備が終わったのを確認した友希那が、そう一言呟いた。

 

 

そして、演奏が始まった。

 

 

 

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~演奏終了後~

 

 

 

演奏が終わった。

 

 

演奏が始まった時に、皆の音がガチッ❗と噛み合った感じで、音が合わさっていた。初めて会ったメンバー同士で、しかも初めての音合わせの状態だったのに、この完成度は凄かった。所々気になる所があったが、ここにキーボードが入り練習を重ねて、皆と出掛けて視野を広げて結束高くなればどうなるのかすごく楽しみになった。

 

リサ「……ル、ハル!」

 

ハル「わぁ!?」

 

演奏の凄さに考え込んでいた俺は、リサに名前を呼ばれて驚いてしまった。

 

ハル「……な、何?」

 

リサ「感想を聞こうと、何度も名前を呼んだのに反応が無かったからさ」

と、名前を呼んだ理由を聞くと、リサにそう言われた。

 

ハル「あ、あぁ…それはごめん。音が噛み合って凄く迫力があって圧倒されてた……」

 

友希那「そうね……。今まで経験した事がない感じだったわ」

 

皆の演奏の感想を言うと、友希那も同じ様な事を思ってたみたいだった。するとあこが声をかけてきた。

 

あこ「あ、あの!あこは……合格ですか?」

 

友希那「そうね。色々と改善する所はあるけれど、合格よ」

 

ハル(確かに途中で間違えたり、ドラムが走りすぎたりとかはあった。それでも、友希那の歌ってる曲に付いていけてたし、友希那の歌にも負けないぐらいのドラム演奏だった)

 

あこ「~~!リサ姉、あこ合格だって!」

 

リサ「やったね、あこ!」

 

あこが友希那に"合格かどうか"を質問をした。あこのその質問に友希那は合格と伝えた。"合格"という言葉を言われたあこは、リサに抱きついて喜んでいた。

 

紗夜「あとは、ベースとキーボードですね」

 

友希那「……そうね」

 

ハル「友希那。ベースなんだけど、リサにやってもらうのがいいと思う」

 

リサ「……え?」

 

紗夜「和奏さん、本気ですか?」

 

残りのメンバーの話をした紗夜の言葉に、俺がリサをメンバーに入れる提案を友希那にした。その言葉に、いち早く反応したのは、友希那ではなく紗夜だった。そして、紗夜は俺に"本気か?"と聞いてきた。

 

ハル「うん、本気だよ。初めての音合わせであんなに音が合うのは、基本的にあまりあり得ないよ。紗夜だって、あんなに音が合うなんて初めてじゃない?」

 

紗夜「それは……、そうですけど」

 

ハル「技術面とかについて、練習して上手くなっていくしかない。……音があんなに合ったのに、技術面が未熟だからメンバーに入れないのは勿体ないと思う。それに凄い上手い人が入っても、今日みたいな演奏が必ず出来るとは限らない」

 

友希那「確かにそうね。私もハルの言葉に納得だし、リサを入れるのは賛成だわ。リサに入ってもらいたいけれど、紗夜はそれでもいいかしら?」

 

俺の言葉に、友希那が賛成して紗夜に確認をした。

 

紗夜「……分かりました。和奏さんの言葉に納得できますし、湊さんがそう言うのであれば構わないです」

 

友希那からの言葉を聞いて、しばらく考え込んだ紗夜は反対せずにリサが入る事を承諾してくれた。

 

友希那「リサ、あなたもメンバーになってベーシストとして、演奏してもらうわね」

 

リサ「う、うん!」

 

俺と紗夜、友希那の言葉を聞いて静かになっていたリサは、友希那の一言で笑顔になって"うん"と頷いた。その後にリサはあこと一緒のバンドに入れた事に喜びあっていた。

 

その様子を見ながら、"また友希那と音楽が出来るのが嬉しいんだろうな……"と、俺はそう思った。

 

紗夜「湊さん、和奏さんはメンバーなんですか?」

 

友希那「当然、ハルもメンバーよ。楽器メンテナンスとかの裏方のサポートも出来るし、ハルの耳も凄く頼りになるのよ」

 

紗夜「なるほど……」

 

友希那「だから、ハルはサポート兼マネジャーとしてのバンドメンバーよ。……ハル、よろしくね」

と言った友希那は俺に拳を突き出してきた。俺は友希那の言葉に"了解"と言って、友希那の拳に俺の拳を突き合わせ(グータッチ)をした。

 

友希那と拳を突き合わせるのは去年からやっているが、そんなに多くはやってはない。

 

ただ、やる様になったのは、去年…俺が友希那にやった時があり、その際に友希那が気に入ってそこからグータッチをやる様になったのがきっかけだ。

 

友希那「……スタジオの時間が少なくなってきたから、片付けをしましょう」

と、友希那がグータッチをした後にそう言ってきたので、皆でスタジオの片付けを始めた。

 

 

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スタジオの片付けが終わり、皆で帰ってる間に俺は皆に声をかけた。

 

ハル「メンバーは、あとキーボードだけだね。皆の知り合いにキーボードやってる人とかいる?」

と、俺が聞くと皆は首を横にふった。

 

ハル「それじゃあ、キーボードについては各自知り合いとかに聞いたりして探す感じで行くか……」

 

友希那「そうね。メンバーを探しつつ、明日から練習を始めましょう。もし、予定とか合わない時があったら教えてちょうだい」

 

友希那の言葉に皆が頷いた。

 

その後は友希那と紗夜の二人で話したり、俺はあことリサに今日の演奏の事での改善点とかを話したりと、各々が話をしながら帰路に着いた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日~

 

~学校・教室~

 

あこのドラムオーディションがあった日の翌日。

 

 

朝、自分のクラスに登校した俺は机に荷物を置いて、鋼がいる机の所に向かい鋼に声をかけた。

 

ハル「鋼、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、少しいい?」

 

鋼「ん?どうした?」

 

俺は鋼に友希那がバンドを組んだ事と、キーボード以外のメンバーが集まった事などを説明した。

 

ハル「それで、鋼の知り合いとかにキーボードをやっている人とかいる?もし、やってる人がいるなら紹介してほしいんだけど……」

と、俺は昨日の出来事をした後に、キーボードをやってる人が知り合いがいるか、聞いてみた。

 

俺の話を聞いた鋼は少し考えてから、口を開いた。

 

鋼「わり、キーボードやってる人は知り合いには、居ないわ。けど俺も知り合いに聞いて探してみるから、見つけたら教えるわ」

 

ハル「うん、お願い」

 

鋼の知り合いには、キーボードをやってる人はいなかったみたいだけど、知り合いに聞いてみてくれると言ってくれた。

 

鋼にお願いしてから、自分の席に戻り授業の準備を始めた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

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~放課後~

 

 

~ライブハウス・スペース~

 

 

今日はスペースでバイトだったので、友希那に一言伝えてバンド練習には付き合わなかった。

 

花園さんと一緒にドリンクの担当をしながら仕事をした。スペースに来るお客さんの数が少なくなり、一区切りがついた時にオーナーがやってきた。

 

オーナー「花園、そろそろ慣れてきたかい?」

 

たえ「はい、慣れました……!」

 

オーナー「じゃあ、ここは一人で任せる。ハル、いつもの仕事に戻りな」

 

ハル「了解です」

 

オーナーの言葉を聞いた俺は、ステージ横の向かった。オーナーが言ったいつもの仕事とは、花園さんがバイトで入るまでやってた裏方業務の事だ。その為、オーナーの一言だけで、何が言いたいのかすぐ分かった。

 

ハル「すみません、今日はどこに入ればいいですか?」

 

スタッフA「あ、ハルくん。こっちに戻っても大丈夫なの?」

 

ハル「はい、オーナーから言われたので」

 

スタッフB「そうか。じゃあ今日は照明の方をやってもらっていいか?」

 

ハル「分かりました!」

 

スタッフB「聞かなくても大丈夫だと思うが、今日の出演のバンドと演奏曲は頭に入ってるか?」

 

ハル「大丈夫です。裏方をやってない間も頭に入れるようにはしているので、今日も覚えてますよ。なのでいつでも行けますよ」

 

スタッフA「流石……ハルくんね」

 

そう言ってライブが始まったので、機器を操作を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ライブも終わりお客さんも帰ったので、スペースの片付けをしていた。

 

スタッフA「やっぱり、ハルくんがステージ横に居るだけで凄くスムーズに進むね」

 

ハル「そうですか?」

 

スタッフB「そうだよ。ハルが居てくれるだけで百人力なんだ」

 

スタッフA「それは言いすぎじゃない?」

 

スタッフB「俺はそう思ったんだから言ってもいいだろ」

 

ハル「ははは……、でもそう言ってくれてありがとうございます」

と、そんな風な会話をしながら掃除や片付けを進めた。

 

片付けが全て終わり、帰る支度を済ませた俺は、帰る前にオーナーに声をかけた。

 

ハル「あ、オーナー」

 

オーナー「なんだい?」

 

ハル「昨日、俺バンドのマネージャー……サポートメンバーをやる事になったんです」

と、俺が言うとオーナーより先に凛々子さんが話に乗っかってきた。

 

凛々子「バンドのサポート?何でまた、やろうとしたの?何か理由あるんだよね?」

 

オーナー「……大方、ハルが楽器メンテナンスなどの裏方作業が出来るのと、音楽を聞く力があるハルの耳で頼れるから入ってほしい、って所かい?」

 

ハル「そんな感じですね」

 

凛々子さんから聞かれた事を答えようとする前に、オーナーが代わりに言ってくれた。

 

凛々子「へぇ~、バンドメンバーはどんな子達なの?」

 

ハル「リーダーでボーカルは、友希那……湊友希那ですよ」

 

凛々子「湊友希那って、あの孤高の歌姫!?」

 

オーナー「だと思ったよ」

 

凛々子「オーナー、知ってたんですか?」

 

オーナー「あぁ。ハルは、前から湊友希那のサポートしてたからね。どうせ、バンド結成すると話になった際に、さっき言った理由でハルは必然的に入るだろうと、予想は出来てたよ」

 

凛々子「はぁ……。そういえば、湊友希那っていろんなライブハウスで歌ってて、スペースでも何回か歌ってた子でしたよね?オーナー」

 

オーナー「そうだよ。去年、ここで歌を披露してハルと口論をした子だね」

 

凛々子「口論ですか?」

 

オーナー「あぁ。……全く、いきなり口論をするもんだから私も驚いちまったよ。真次が帰って、スペースを閉めた後だったから良かったものの」

 

ハル「それはすみませんでした……」

 

オーナー「まぁ、去年の話だ。もう気にしてないから、ハルも気にしなくてもいいさ。……で、サポートメンバーになったと言ってたが、それがどうかしたのかい?」

 

ハル「えっとですね、昨日の内にキーボード以外のメンバーが集まったんです」

 

オーナー「なるほどね。私や真次の知り合いに、キーボードをやってる人がいるかどうかの話かい?」

 

ハル「はい、そうです。一応俺もメンバーの皆も、知り合いとかに聞いてはいるんですけど……」

 

オーナー「……悪いが、知り合いにいるとは言えないね」

 

凛々子「私の方も、いないかな……。私の知り合いって、バンドを組んでる子達が大半だし、一応フリーの子達もいるけどキーボード以外の子だからね」

 

ハル「そうですか、教えてくれてありがとうございます。こっちで探します。もしキーボードをやってる人が見つけたら教えてください」

 

俺はオーナー達にそう言ってから、スペースを出た。

 

ハル(バイトしながら、メンバー探しとバンドのサポートもしないといけないから、結構大変な日々になりそうだな……)

と、俺は思いながら帰路に着いた。

 





次回も遅くなってしまうと思いますので、気ながらに待ってくれたら幸いです。


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第3話


遅くなってしまいましたが、続きです。

では、本編をどうぞ!



 

~ハル視点~

 

 

~放課後~

 

 

バイトがあった日から数日。

 

 

今日はバイトがないので、友希那とリサとあこの三人と一緒に、サークルに向かっていた。

 

あこ「リサ姉。そういえば、ネイル取ってるんだね」

 

リサ「うん。指弾きじゃないといえ、しっかり演奏するにはネイルがどうしても邪魔になっちゃうから」

 

あこ「そっか~」

 

リサ「そういうことだよ。それより、練習が終わった帰りにクレープ食べに行こうよ。あこ」

 

あこ「クレープ!……クレープって言ったら、あの裏通りの人気店だよね!行くよ、リサ姉!ハル兄も行こうよ」

 

ハル「そうだね……、俺も行こうかな……」

 

友希那「ハルは、あまり食べない方が良いじゃないかしら?」

 

ハル「?……なんで?」

 

友希那「最近"体重が増えたー"って、ハル言ってたじゃない」

 

ハル「あ、それ言っちゃう。それ言ったら友希那だってそう言ってたじゃん」

 

友希那「わ、私は良いのよ。ボーカルとして歌を歌っているのよ。だって歌う事にもカロリーは消費しているから、私は大丈夫なのよ。あの時だけよ、そう言ったのは……」

 

ハル「でも、"体重の事で嘆いてた"って、リサから聞いたよ」

 

友希那「ハル、喧嘩を売っているのね」

 

ハル「売ってないよー」

 

友希那「いえ、完全に売っていると思うわ。いくらで売ってるのかしら?その喧嘩買うわよ」

 

ハル「別に喧嘩売ってないから、買わなくていいよ」

 

友希那「あら、そうなの?でも、貴方はボーカルや楽器演奏はしてないんだから、せめて運動したらどうなのよ」

 

ハル「これでも運動はしてるよ。言っとくけど、あの時だけだよ。体重増えたって言ったのは」

 

友希那「あら、私と同じ事言ってるわね。それは言い訳にならないかしら?」

 

ハル「それを言ったら、友希那も言ってたから同じだと思うけど?」

 

友希那「私は言い訳じゃないわよ」

 

ハル「俺は、言い訳に聞こえますけど~」

 

友希那と言い合ってる時に、リサが声をかけてきた。

 

リサ「はいはい、お二人さん。もうそこまでだよ。サークルに着いたから、スタジオに行かないと」

 

友希那「……そうね。しっかりと練習をしないと」

 

ハル「……そうだね」

 

リサ「全く……。練習とか音楽の事になると、すぐスイッチ入って切り替わるんだから」

 

その後に、サークル内に入り、友希那が受付で話をしてからスタジオに向かい中に入った。

 

スタジオには、紗夜がもう来ていた。

 

友希那「紗夜、遅くなったわ」

 

紗夜「いえ、時間前ですから大丈夫ですよ」

 

二人はその一言を交わして静かになった。とりあえず俺はその二人を横目に見ながら、リサ達の準備を手伝った。準備が終わると、すぐ演奏を始めた。

 

 

 

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~リサ視点~

 

 

今日も今日とて、バンド練習の日。今日はバイトがないハルも一緒にいる。なので、紗夜以外の私含めた四人でサークルに向かっている。

 

紗夜と一緒じゃないのは、紗夜が通ってる学校は花咲川女子学園……花女と、アタシ達とは学校が違う為。

 

それに待ち合わせはしていない。紗夜は"出来るだけ練習をしたい為、先にサークルに向かう"と、午後の授業とホールルームも終わった時に連絡が来たのが理由。

 

だから、四人でサークルに向かっている。そんな中、アタシはあこにクレープの話題を振った。その時に、あこはハルにも行こうと誘って、ハルも行くと言ってきた時だった。

 

友希那「ハルは、あまり食べない方がいいんじゃないかしら?」

 

ハル「?……なんで?」

 

友希那「最近"体重が増えたー"って、ハル言ってたじゃない」

 

友希那が言った一言から、言い合いを始めた。ちょっとヒートアップしてる感じになってきた。

 

リサ(また始まったな~。ヒートアップしてきたけど、見慣れたよね~……)

と、二人のやり取りを見てそう思っていると、あこがアタシに慌てた感じで声をかけてきた。

 

あこ「リ、リサ姉……!この二人止めなくてもいいの……!?」

 

リサ「あぁ、大丈夫大丈夫。いつもの事だから~」

と、あこが聞いてきた事にそう答えると、あこは驚いた顔をした。

 

リサ「この二人が、今やってるやり取りって去年からなんだよね」

 

あこ「去年からこのやり取りしてるの?」

 

リサ「うん。ただ、じゃれあってるだけだよ。仲が良くてお互いによく知ってる人同士だと思いっきり言い合えたりするでしょ?」

 

あこ「うん。おねーちゃん達もそんな感じするし、それはあこも分かるよ」

 

リサ「あこのお姉ちゃん達っていうのは、よく知らないから分からないけど、そんな感じのやり取りなんだよ。あの二人がやってるのはね」

 

アタシがそう言うとあこは納得してくれた。説明が終わった頃に、ちょうどサークルに着いたから二人に声をかけた。

 

リサ「はいはい、お二人さん。もうそこまでだよ。サークルに着いたから、スタジオに行かないと」

 

友希那「……そうね。しっかりと練習をしないと」

 

ハル「……そうだね」

 

リサ「全く……。練習とか音楽の事になると、すぐスイッチ入って切り替わるんだから」

 

二人にサークルに着いた事を伝え、二人が言い合いをやめてすぐに切り替えた事に、去年から見てるとはいえ、呆れながらサークルのスタジオの中に入った。

 

 

演奏の準備を終わらせてから、友希那の合図で練習を始めた。

 

 

 

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ーーーーーーーーー

 

 

 

~ハル視点~

 

 

~演奏終了後~

 

練習が終わり、俺はふと時計を見た。見てみると結構時間が経っており、外が暗くなってるぐらいの時間だった。

 

あこ「疲れた~。……クレープ~……」

 

紗夜「宇田川さん、ドラムのリズムが走りすぎです」

 

あこ「うっ……、すみませーん」

 

友希那「ハル、今日はどうだったかしら?」

 

ハル(クレープ屋は閉まってる時間だな)

と、時間を見てそう考えてると、友希那が演奏の事を聞いてきた。誰から言おうかと考えてから、口を開いた。

 

ハル「そうだね……。まず、あこから言っていこうか」

 

あこ「ハル兄、どうだった?」

 

ハル「紗夜の言う通り、確かに今日も走ってた部分はあったよ。オーディションした時とか、録音してくれてた俺が居なかった時の演奏よりも、走ってるのが少しずつ無くなってるよ」

 

あこ「ハル兄、ほんと?」

 

ハル「うん。少しずつ成長してるよ。練習を頑張っていけば、安定して叩けるようになるから、自信もってね」

 

あこ「うん!」

 

あこにそう言うと、笑顔で"うん!"と返事をしてくれた。返事を聞いた俺は、次にリサの方を向いた。

 

ハル「次はリサね」

 

リサ「う、うん……!」

 

ハル「リサは改善する所は、やっぱり演奏ミスが多かったからその辺かな?演奏を聞いてて結構間違っちゃってる所があった」

 

リサ「やっぱりそうだよね……」

 

ハル「まぁそこは、本当に練習するしかないと思うから、引き続き練習することだね」

 

リサ「りょーかい!」

 

俺が伝え終わると、リサは座り込んで休んでいた。今日も結構ハードな練習だったから仕方ない。座ってるあことリサは二人は軽く話をしつつ休んでいた。その二人を少しみた軽く笑みを浮かべたが、すぐに紗夜に向いて話をした。

 

ハル「で、次は紗夜」

 

紗夜「私はどうでした?」

 

ハル「紗夜は……ドラムとかが走ったりしてて、それに引っ張られそうになった時があったぐらいで、特にこれっていう間違いとかは無かったね」

 

友希那「確かにそうね。気になるような間違いというものは無かったわね」

 

そう、紗夜は特にこれっていうのは無かった。けれど俺の中で気になったことがあったので、それを言うことにした。

 

ハル「けど、個人的に気になった事を言ってもいい?」

 

紗夜「はい。なんでしょう?」

 

ハル「紗夜の演奏……、ロボットがギターを弾いてるぐらい正確すぎなんだよね。なんか、自分らしさというか……自分の音みたいなものがないって感じた」

 

紗夜「……」

 

ハル「今の正確さの中に、自分らしさっていうか自分の音っていう表現力っていうのがあれば、もっと良くなるかな~……って思ったんだよね」

 

紗夜「なるほど……。自分の音というのは意識してなかった……ですね……。私に対する和奏さんの批評は、正確さはそのままで自分らしさを出すという事ですね?」

 

ハル「うん。けどまぁ、そう簡単に出来ないと思う。多分いろんな経験をした方が、ギターの表現力が広がると思う」

 

紗夜「いろんな経験ですか?」

 

ハル「うん。例えば友達と遊びに出掛けるとか、音楽に関係無さそうな事も経験する事とかだね」

 

紗夜「……それは、時間の無駄だと思います。それをする時間があれば、ギターの練習をした方がいいと思いますけど」

 

紗夜の言葉を聞いた俺は、少し思案してから一つ質問をした。

 

ハル「……一つ聞くけど、初めて友希那の歌を聞いてどう思った?」

 

紗夜「初めて聞きましたけど、歌唱力に凄く圧倒されました。自分だけを見ろと言われてる感じでした。けれど圧倒だけじゃなく、表現力……感情を乗せて歌ってる様に聞こえました」

 

ハル「そう。でも最初、友希那はそんな歌い方じゃ無かったんだよ。紗夜が言った圧倒するだけの歌い方で、振り向かせるような感じだった」

 

紗夜「……そうなんですか?」

 

友希那「……そうね。ハルの言う通りよ」

 

ハル「色々あったけど、友希那がそんな歌い方が出来るようになったのは、俺やリサと猫カフェ行ったりとか遊びに行ったりしたからだと思う」

 

俺がそう言うと、紗夜は黙ったまま考え込んでいた。

 

ハル「まぁ、とりあえず自分の音とかは時間掛けて見つけていくしかない。勿論、紗夜にも考えがあると思うからとやかく言うつもりない。だから、ひとまず頭の片隅に留めておくだけでいいから」

 

紗夜「分かりました」

 

ハル「次は友希那なんだけど、問題なしだな。けど喉を酷使してる感じだと思うから、今日はしっかりケアして」

 

友希那「分かったわ」

 

俺は、あこ・リサ・紗夜・友希那の順番に言っていった。そして俺が言い終わった後に、紗夜が友希那と話を始めた。

 

二人が話してる内容は、曲の話だった。オリジナル曲が増えてバンドの底上げとして、課題曲を来週までに練習してくると話になっていた。

 

その話を聞いたリサとあこは、疲れてたのがさらに疲れきった顔になった。

 

ハル「まぁ、二人とも大変なのは最初だけだから、頑張っていこうよ。最初さえ乗りきれば体力が付いてきて出来るようになるからさ」

 

あこ「が、頑張るー……」

 

リサ「それは分かってるよー」

 

ハル「時間的にクレープ屋さんは閉まってると思うから、帰りにコンビニとかで甘いものを買ってあげるから、元気だして」

と、疲れてる二人に言うと、疲れててあまり動いてないが笑顔になった。

 

ハル「友希那と紗夜もどう?」

 

紗夜「私は結構です。要りません」

 

友希那「私は自分で飲み物を買うから要らないわ」

 

ハル「そう、分かった」

と、皆と話をしてから、スタジオの片付けを済まし予約も取ってたから外に出た。

 

練習をして結構時間が経ち、外に出ると暗くなっていた。当然クレープ屋さんなんて営業時間が過ぎてしまってる時間帯だったから、皆で帰ってる道中のコンビニに寄って、あことリサに甘いものを買ってあげた。

 

俺とあことリサの三人で、バンドの練習の事やあこの姉自慢とかの話を聞いたりした。友希那は紗夜と話をしていた。

 

そして帰路に着いた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

皆と分かれて、自分が住んでるアパートに着いた時に、スマホが震えた。画面を見てみると、レイからの電話だった。

 

ハル「レイ、どうしたの?」

 

レイ『兄さんに伝えたい事があって電話をしたんだけど、今大丈夫?』

 

ハル「うん、大丈夫だよ。それで伝えたい事って?」

 

レイ『少し前に、バンドメンバーでキーボードの人を探してるって言ってたでしょ』

 

レイが言ってきたのは、キーボードをやってる人の事だった。あこのオーディションの次の日のスペースでオーナーや凛々子さんにフリーのキーボードの人がいるかどうかをを聞いた日。

 

その日の夜、家に着いて晩御飯を食べてた時に、レイに電話をしてキーボードをやってる人を聞いていたのだ。

 

ハル「うん。言ったけど、どうだった?」

 

レイ『ごめん、居なかった』

 

ハル「そっか……。まぁ、なんとなく予想は出来てたけど」

 

レイ『……上京してそんなに日が経ってなくて、まだまだ知り合いが少ない私に聞いてくるほど、兄さんの周りにも居ないんだね』

 

ハル「うん。少し悪いと思ったけど、聞ける人には聞いとこうと思ったからね」

 

レイ『けど、本当に聞くの大変だったんだよ。さっきも言ったけど、私は上京して間もないんだよ。それにバンドのサポートベースの仕事も最近始めたばかりで、聞く人数が限られてたんだから……』

 

ハル「ごめんごめん。今度、時間がある時に何か奢ったり、音楽関係でサポートとかしてあげるからさ」

 

レイ『じゃあ、今度美味しいご飯のお店紹介して』

 

ハル「了解。……あと、ありがとう」

 

レイ『どういたしまして。……兄さん、おやすみ』

 

ハル「うん、おやすみ」

 

レイに"おやすみ"と言ってから電話を切った。

 

電話を切った俺は、晩御飯を食べてお皿を片付けをした。その後にお風呂に入り、ベットに潜って眠りについたのだった。

 





最後の方に和奏レイを出しましたが、口調が違うかもしれません。出す時に出来るだけ原作に近い口調で書けるようにしていきます。

次回も出来てませんので、今回みたいに遅くなると思いますが、待っていただければ幸いです。


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第4話


遅くなりましたが、やっと書けました。

小説の途中で、大和麻弥を出して一言だけ台詞を書きましたが、口調が全然違う感じになっていると思いますので、そこはご了承ください。並びに、小説の後半が雑な感じなってしまったので、そこもご了承してくださると助かります。

では、本編をどうぞ。



 

~ハル視点~

 

バンド練習やレイからの電話のやり取りをした日から、少し経ったある日。

 

そんなある日の今日もバンド練習だったが、俺はバイトだったので、俺だけ参加しなかった。

 

ただ、いつも録音をお願いをしているので俺か参加出来なかった時は、いつもそれを聞いて演奏のチェックをしていた。

 

そして、今日はいつも通りライブをやるので、その準備をしていた。

 

ハル「照明の明るさはどうですかー?」

 

出演者A「照明は大丈夫でーす。ただ、音をもうちょっと下げてもらってもいいですかー?」

 

ハル「分かりましたー」

と、出演者の人達と話をしながらステージでの調整をしていた。そういった準備をしていたが、グリグリだけまだきてなかった。

 

そろそろ本番が始まるのに来ないので、スタッフや他の出演バンドの皆が少しざわざわしていた。

 

それでも準備を止めるわけにはいかないので、準備を進めた。

 

 

そして本番になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~本番~

 

 

スタッフA「え!まだグリグリ来てないの!?」

 

スタッフB「飛行機が台風の影響で遅れてると、連絡が来ました!」

 

グリグリが来ないまま、本番が始まった。ただ、始まってすぐに牛込さん達から連絡がきた。それが、スタッフが言った台風で飛行機が遅れてるという連絡だった。

 

俺はその連絡を聞いてすぐにオーナーにライブの進行の事で確認をした。

 

ハル「オーナー、とりあえずグリグリがいつ来るか分かりませんけど、来るまでの間ギリギリまで繋げられる様に出演者の皆さんに話してきますね」

 

オーナー「……ただ、それでも無理だったら場合は、分かってるかい?」

 

ハル「はい。その時は、そこでライブを終了させます。……お客さんを悲しませちゃいますが、"事情によりライブを終了します"と放送しますので」

 

オーナー「頼んだよ」

 

オーナーの言葉に俺は頷き、慌ててる他出演者やスタッフの皆に声をかけ始めた。

 

ハル「すみません!グリグリが遅れてるので、グリグリの出番を最後にします!それで、今から演奏できるバンドはいますか!?」

 

バンドA「うちだったら行けるよ!元々グリグリの次だったから!」

 

ハル「じゃあ、演奏をお願いします!MCも出来るだけ伸ばして、ライブで演奏できる曲は全部歌うつもりで!他のスタッフは、照明などの操作をお願いします!俺は、皆をまとめて指示出しますから!」

 

俺が伝えると、バンドの人とスタッフの皆は頷いて動き始めた。

 

香澄「りみりん!」

 

そんな中、一人の女子の声聞こえた。……が、俺は気にせず他のバンドの皆に確認をした。

 

ハル「その次は、皆さんに任せます!さっきのを聞いてたと思いますが、MCも出来るだけ伸ばして演奏できる曲は、全部歌うつもりで演奏してください!」

 

バンドB「了解です!」

 

ハル「グリグリが曲を歌える時間を確保した状態だと、次のバンドでライブを伸ばすのは限界です。なので、次のバンドが終わってもグリグリが来ていなかったら、もうこのライブは終了にします!」

 

香澄「そんな……!来るまで待つとかしないんですか……!?」

 

俺が言った言葉に一人の女子が反応してきた。それに俺が反応しようとすると、オーナーが手で制してきて"仕事に戻れ"という感じを出してきたので、俺は仕事に戻った。

 

オーナー「駄目だね。どんな事があろうとステージに立つ。客を悲しませるバンドは駄目だ。もし穴を空けたら、二度と敷居を跨がせないよ」

 

香澄「そんな……」

 

オーナー「……だからハル……さっきのスタッフは、その事を理解してあの言葉を言ったんだ」

 

オーナー達の会話を軽く聞きながら、ライブの仕事をしていた。

 

そして、全バンドの演奏が終わった。グリグリが歌えるように時間を残した状態だともう伸ばせないので、ライブ終了させようと俺を含めたスタッフが動こうとした時だった。

 

オーナーと話をしていた女子が、ステージに勝手に出てしまった。

 

それに全演奏が終わったのでステージの照明は消えるはずが消えずに、ライブ演奏中の照明のままになっていた。

 

俺も他スタッフも慌てて照明担当のスタッフに消してもらうと言いに行こうとした。

 

オーナー「待ちな……!」

 

ハル「オーナー……?」

 

オーナーに止められてしまった。他のスタッフも動きをやめた。

 

勝手にステージに立った猫耳型の髪をした女子と、途中から友人らしきツインテールの女子とベースを持った女子の三人がステージできらきら星を歌っていた。

 

スタッフA「……グ、グリグリが来ました……!!」

 

ハル「……じゃあ、演奏の準備をやりましょう!」

 

三人がステージに立って、しばらくしてグリグリがやっと来た。俺が声をかけて裏方の仕事を再開して、グリグリのライブをスタートさせたのだった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ終了後~

 

 

ゆり「オーナー、すみませんでした」

 

機材などを片付けるために楽屋の前を通った時に、グリグリのギターボーカルをしている牛込ゆり先輩が、オーナーに謝っているのが見えた。

 

ハル(オーナーの事だから、許すだろうな……)

と、思いながら片付けを続けるために、ステージから行ったり来たりしていた。

 

しばらくしていると、ステージ横で片付けをしている時だった。

 

ゆり「ハルくん。色々と迷惑をかけてごめんなさい」

と、牛込さんから言われてた。それを聞いた俺は内心驚いてしまっていた。

 

オーナーに謝っていたから、それで済んでるはずだと思ってたからだ。

 

ハル「最終的になんとかなったので、別に謝らなくても大丈夫です」

 

ゆり「そう言ってもらえると助かるよ……。それと色々と動いてくれてありがとう」

 

ハル「スタッフとして当たり前の事しただけです」

と、牛込さんの言葉にそう返した。その後に気になったことを一つ聞いた。

 

ハル「……それより、何で下の名前知ってるんですか?名字は名札を付けてるから分かると思いますけど、名前はスペースの出演バンドには教えてないはずですけど……」

 

ゆり「それは簡単よ。ライブを見に来てくれるお客さんが君の名前を呼んでいた事。それと、ついさっきオーナーに謝った時に、君の事を言ってたからだよ」

 

ハル「オーナーが?」

 

ゆり「うん。オーナーに謝った後に、"ハルにも声をかけて謝りな"って、指を指しながら言ってたの。"スタッフの中で、一番動いてたのがハルだったから"って名前で呼んでたんだ」

 

ハル「そうなんだ……」

 

ゆり「うん、だから、知ってたんだよ。……ひとまず、今日はありがとう」

 

ハル「どういたしまして……。でも次は注意してくださいよ、牛込さん。またこんな風に対処するのは大変なんですから」

 

ゆり「……気を付けます」

 

牛込さんとの会話を終えたあと、グリグリの皆は帰る準備を始めたので、俺も途中だったステージ横の片付けに戻った。

 

ステージ横の片付けや他の所の片付けが終わり、オーナーに声をかけた。

 

ハル「オーナー、片付け終わりました」

 

オーナー「そうかい。じゃあ、今日はもう上がりな。それと今日は助かった。ご苦労様」

 

ハル「……はい、お疲れ様でした」

と、オーナーの言葉にそう伝えて、更衣室に向かった。

 

帰る支度を済ませて、花園さんや他スタッフに挨拶してから、スペースを出た。

 

そして家に帰ってる間に、あこから俺や友希那達のバンドメンバーのグループトークに、メッセージが届いていたので内容を見てみた。

 

あこ【キーボード出来る人、見つかったよ!!】

というメッセージだった。

 

このメッセージに皆それぞれ反応していたが、とりあえずオーディションはいつやるのかというやり取りになってたので、俺もやり取りに入った。

 

最終的に、明日の放課後サークルでやるということになった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日~

 

 

ハル「おはよー」

 

鋼「ハル、おはよう。……そういえばキーボードが出来る人は見つかったか?」

 

ハル「うん、見つかったよ。昨日、バイト終わりにあこから見つかったってメッセージが来てたから」

 

朝、教室に入り鋼に"おはよう"と言うと、キーボードメンバーの事を聞いてきたので、見つかったことを伝えた。

 

鋼「お、マジか。良かったじゃん」

 

ハル「まぁね。でも正式にメンバーになるかどうかは分からないけど……」

 

鋼「オーディションするんだっけ?」

 

ハル「うん、あこもリサもそうだったからね。それで、今日の放課後に集まるから、そこで判断する感じだよ」

 

鋼「なるほど。ドラムの子が薦めるぐらいは実力あるって事か?」

 

ハル「多分ね。絶対大丈夫ってメッセージを送ってきてたから」

 

鋼「そっか」

 

麻弥「鋼さーん。ちょっと演劇部の手伝いに来てほしいんですが、いいですかー?あ、ハルさん。おはようございます」

 

鋼とバンドの話をしていると、鋼の幼馴染みで恋人の大和麻弥が教室のドアの所から、鋼に手伝いのお願いと俺に"おはよう"と挨拶してきた。

 

ハル「大和、おはよー」

 

鋼「分かったー。……ちょっと行ってくるわ」

と、俺に言ってから、鋼は大和の所に向かっていった。俺は自分の机に向かい、授業の準備を始めた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~放課後~

 

 

放課後になり、あことキーボードが出来る人が来るまで、俺と友希那とリサと紗夜はサークル横にあるカフェテリアで待っていた。

 

紗夜「和奏さんは、どういったバイトをしているんですか?」

 

皆でカフェテリアで待ってる時に、紗夜が俺がしているバイトの事を聞いてきた。

 

ハル「どうしたの?いきなりバイトの事を聞いてきて……」

 

紗夜「いえ……かなりの頻度でバイトのシフトを入れているみたいですので、どういった場所なのか気になってしまっただけです。昨日もバイトと言っていたので……」

 

リサ「ハルがシフトを結構入れてるのは、一人暮らししてるのもあるよね」

 

ハル「まぁね。……えっと、バイト先はライブハウス・スペースだよ。そこのスタッフとして働いてるんだ」

 

リサの言葉に答えながら、紗夜にバイト先を教えた。

 

紗夜「スペース……、ガールズバンドの聖地と言われている場所ですね」

 

ハル「あ、知ってるんだ」

 

紗夜「当然です。……いくら合わなかったとはいえ、湊さんのバンドに入る前にもバンドに所属してましたので、話だけは知っています」

 

ハル「そうなんだ。……じゃあ「遅くなりましたー!」」

 

俺のバイト先を教えた後に、オーナーの事も知ってるかどうか聞こうとした時に、あこの声がした。その為、話すのやめてあこの声がした方を見た。

 

あこのすぐ後ろを黒髪のロングヘアーのおとなしい感じの女子がいた。

 

ハル(あの黒髪ロングの女子が、あこが言ってたキーボードが弾けるって子か……)

と思っていると、友希那が近くに来たあこに質問をした。

 

友希那「あこ。隣にいる人が、キーボードが弾ける人なの?」

 

あこ「はい!りんりん、ピアノ経験者でキーボードも出来るって言ってたんです。……ね!りんりん」

 

燐子「う、うん」

 

紗夜「白金さん……でしたよね?確か、ピアノコンクールで賞を取った事もあるんでしたよね」

 

燐子「は、はい。……で、でもそれは小さい頃……の話ですけど……」

 

ハル「ひとまず、スタジオに行こう」

と、話をしていた三人にそう伝えて、サークルの中に入った。スタジオに向かう間と、スタジオに入ってからお互いに自己紹介を済ませた。

 

その後に演奏準備も済ませてから演奏を開始した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~演奏終了後~

 

 

燐子のオーディションは、あことリサの時と同じくこれ以上ない演奏だった。

 

友希那「ハル……これは」

 

ハル「うん。あことリサの時と同じだ」

 

友希那「えぇ、その通りね。燐子、メンバーに入ってくれたら、もっと高みに行けるわね」

 

リサ「でも、まだライブが決まってないよね」

 

燐子「え……?ライブ……?」

 

リサが言った一言で燐子が何故か固まってしまった。固まる前にライブと呟いていたけど……。

 

皆も同じことを思ったみたいで、リサが即座に聞いてくれた。

 

燐子曰く、ライブを出たりする話はあこから全く聞いてなかったみたいだった。そして人前で立つことすら緊張してしまうので、演奏なんて想像するだけで……という感じで、燐子が教えてくれた。その後に"ライブなんて……"と、燐子が言った時だった。

 

友希那「なら、帰っていいわ」

 

あこ「ゆ、友希那さん……!?」

 

友希那は、一刀両断みたいにズバッ!と燐子にそう伝えて、それを見たあこが驚いていた。

 

友希那がそう言うことに、俺は驚かなかった。友希那は頂点を目指すのに妥協はしない。その為、厳しい言い方をするのは当然だった。

 

燐子「……たい!」

 

しばらく静かになっていた燐子が、何かを呟いたのに気がついた。

 

燐子「私……やりたいです!!……がんばり……ます!お願い……します!!」

 

友希那「そう……。これからメンバーとして一緒に頑張りましょう。よろしく」

と、燐子の言葉に、友希那はそう返事をした。

 

そうして燐子がバンドに入ったことで、やっとメンバーが揃った。

 

ライブはまだなので探しながらだけど、本格的に練習が出来るようになった。

 

そして、今日はとりあえず家に帰ることになったので、解散となった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~翌日・放課後~

 

 

燐子がメンバーなった日から翌日の放課後。

 

サークルで集まった際に燐子が弟の凛を連れてきた。

 

友希那が連れてきていいと、許可を出したみたいだったから連れてきたみたい。けど、なぜか俺ばかり質問されてしまった。凛とやり取りして分かった事は、かなりのシスコンだと分かった。

 

凛からの質問の殆どが、姉の燐子の事が心配してるような事だったからだ。例えば、燐子に悪い虫が付かせたくない感じなのか、俺の性格とか聞いてきたり"姉と付き合いたくて近づいて来たのかどうか"とかだったからだ。

 

そういったのに答えていたら、どこか満足した顔になった凛は家に帰って言った。

 

そのあと、練習を終え皆がスタジオを先に出て、俺は最終確認をしてから最後にスタジオを退出した。そして、サークルの受付前に着いた時だった。

 

まりな「そういえば、友希那ちゃん。バンドを結成してしばらく経つけどライブって出た?」

 

友希那「いえ、まだ練習のみでライブには出てないですが、そろそろ出たいと思ってますけど……」

 

まりな「今度ライブがあるんだけど、それに出てみない?」

 

受付にいたまりなさんが、友希那にそう言っていたのだった。

 





前書きにも書きましたが、パスパレの大和麻弥の口調が違う感じになってしまいました。それと、後半が雑になってしまい、申し訳ございません。

今回も次話は出来てませんので、投稿まで時間がかかると思います。


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第5話


前回から一か月と少し経ってしまいましたが、第5話です。遅くなってしまいすみません。

では本編をどうぞ。



 

~ハル視点~

 

まりな「今度ライブがあるんだけど、それに出てみない?」

と、サークルのスタッフの月島さんから言われた日の翌日から、練習量と質が上がった。

 

月島さんからのライブの話を聞いた友希那は、その場で即断で出ることを伝えた。バンドを結成してから練習しかしておらず、ライブには出てないから月島さんの提案はこっちからすればありがたかった。

 

他の皆も、即断には驚いてはいたけれど、ライブに出ることには賛成していた。

 

その翌日から練習はより厳しくなった。俺も出来るだけ、皆の近くで録音ではなく生の演奏を聞いて、演奏の批評をすぐに言えるように、スペースのバイトのシフトを減らした。

 

オーナーに、初ライブに出ることが決まったことや、練習に出来るだけ付き合えるように、シフトを減らしたい事を伝えたら、二つ返事ですぐに承諾してくれた。なので、バンドの練習に気兼ねなく参加することにした。

 

 

その練習の途中で、紗夜と燐子の二人は花女で文化祭の準備とかで、時間が会わないなどがあった。なんでもライブ日からすぐの休みに、文化祭があると紗夜と燐子が言っていた。

 

文化祭の話を聞いた後に、入ったスペースのバイトで花園さんにも聞くと、文化祭でバンドを組んでライブをすると言っていた。

 

その時の花園さんは、すごく楽しそうな嬉しそうな雰囲気だったので、"頑張ってね"と伝えといた。

 

そんな感じで練習に参加したり、バイトのシフトに入ったりしていたある日の今日。

 

今日もサークルのスタジオで、練習をして俺も一緒に参加していた。そして休憩になった時に、友希那がバンド名を決めたと言ってきて、バンド名を教えてくれた。

 

 

Roselia(ロゼリア)

 

 

薔薇のRose(ローズ)と椿のCamellia(カメリア)を合わせた造語らしい。

 

それを聞いた皆は、バンドの名前に良い名前と言ったりしていた。

 

友希那「その二つの名前と、青い薔薇をイメージしながら「Roselia」という名前を考えたわ。そして青い薔薇は……「不可能を成し遂げるだろ?」……えぇ、そうよ」

 

ハル「友希那らしいよ。バンド名の考え方に青い薔薇をイメージするのは。花言葉も合ってるし」

 

俺がそう言うとリサが質問してきた。

 

リサ「それにしても、ハルよく分かったね。青い薔薇の花言葉なんて……」

 

ハル「スペースでバイトしてるとさ、バンドの人達と話す事があるんだ。そこでバンド名の由来とか聞いたりする事があって、いろんな名前の付け方ある中で花言葉や花の名前とかを参考してるのも聞いたりしたんだ。だから、花言葉も知ってる感じだよ」

 

リサ「なるほどね~」

 

あこ「ねぇねぇ、ハル兄!なんで青い薔薇の、その不可能を成し遂げる……って花言葉なの?」

と、リサの質問に答えた後に、あこがそう聞いてきた。

 

俺はあこに、青い薔薇は今はあるけど元々存在してなかった事とか、その時の花言葉だったとか、不可能とかの他にも花言葉がある事とか、色々とあこの質問に分かりやすく教えてあげた。

 

あこに教え終わると、紗夜が口を開いた。

 

紗夜「そろそろ休憩が終わるので、練習を再開しましょう」

 

紗夜の言葉に皆が頷き、練習を再開した。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして日が経ち、初ライブ本番になった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ライブ本番~

 

 

~楽屋~

 

 

そしてライブ当日。

 

俺たちロゼリアは出番になるまで、楽屋2という名前の楽屋で待っていた。出番は一番最後だった。

 

今日出るライブは結成してそんなに経ってないバンドも出れるライブだ。

 

いわば新人バンドから実力のあるバンドも出れるライブでもある。

 

その為、出演バンドの数が多めなので、楽屋が複数ある。だから、友希那達ロゼリアは二つ目に用意されていた楽屋2で待っているのだ。

 

そして、メンバーの皆は各々自由に過ごしてて、リサとあこの二人は燐子の緊張をほぐしていた。

 

リサとあこも最初は緊張してたけど、燐子の緊張具合を見て自分のは吹き飛んだみたいだった。友希那と紗夜はギリギリまで調整をしたりライブの話をしたり、リサ達にも声をかけたりもしていた。

 

そして俺は、同じ楽屋にいる他の出演バンドの人達に、話しかけられていた。

 

スペースで会った事のあるバンドもこの楽屋にいたので、俺に気づいたバンドの人達に話しかけられていたのだ。

 

バンドA「あ、和奏さん。久しぶりです」

 

ハル「あ、どうも。お久しぶりです。……最近スペースに出てないですけど、どうしたんですか?」

 

バンドA「他の場所とか色々と出てみようって話になって、他のライブハウスで出たりしてたんですよ」

 

ハル「なるほど。でもそろそろ、スペースにも出てくださいよ。……たまにスペースに来るお客さんに、"今日は出る?"って感じで聞いてくるんで……」

 

バンドA「じゃあ、今度出るよ。オーナーにもこっちから声かけますね」

 

ハル「はい」

と、この後もしばらく他のバンドの人とも話をしていると、ライブハウスのスタッフが声をかけてきた。

 

そして、ライブが始まった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~演奏直前・楽屋~

 

 

ライブが始まってから、俺とロゼリアの皆は楽屋で備え付けのテレビで、演奏しているバンドをライブを見ていた。

 

今、ライブしているバンドは、ハローハッピーワールドという名前だった。

 

あこ「あ、ミッシェルだ。あと、はぐみもいる」

 

リサ「ミッシェル?」

 

ハル「あのDJやってるピンク色した熊のキグルミ?」

 

あこ「うん。商店街にいるマスコットの筈なんだけど……、なんでバンド演奏してるんだろ……?」

 

リサ「なんでだろうね。……商店街って、柳瀬雑貨店がある商店街の事?」

 

あこ「そうだよ。リサ姉、達人くんの事知ってるの?」

 

リサ「うん、知ってるよ。よくアクセサリーとか買うときに寄ったりしてるよ。アクセサリーショップやショッピングモールの雑貨屋になくても、達人のお店に置いてあったりするからよくお店に行ったりするから」

 

あこ「そうなんだ。……じゃあはぐみの事も知ってるの?」

 

リサ「一応、見た事がある程度だけど、あのオレンジ髪のベースを弾いてる子だよね?」

 

あこ「うん」

 

リサとあこの二人が話をしているのを聞きながら、ライブを見てた俺は、ギターの人を見て同じ羽丘で同学年の生徒だと気がついた。

 

ハル「ギターの人。大和と同じ演劇部の瀬田さんだね」

と俺が呟いたら、リサが即座に反応して口を開いた。

 

リサ「瀬田薫って名前だったよね。羽丘の王子様って言われてて、羽丘だけじゃなくて花咲川とか他の学校にもファンがいるって話だし」

 

ハル「だね。確か……瀬田さんが喋ると見に来た人の内、何人か倒れるみたいで、その度に演劇部の部員総出で介抱してるみたいだよ」

 

あこ「へ~」

 

リサ「誰からの情報?」

 

ハル「鋼と大和からの情報」

 

リサ「あの二人ね」

と、リサとあこの二人とそんな話をしていると、友希那が声をかけてきた。

 

友希那「皆、少しいいかしら?」

 

ハル「どうした?」

 

友希那「そろそろ出番よ」

 

ハル「そっか、わかった。……リサとあこと燐子」

 

三人「?」

 

ハル「今日はミスを恐れず楽しんで演奏して。ミスしないようにって考えすぎると、余計に体に力が入ってミスしちゃうかもしれないから、気楽にね」

 

俺が三人にそう伝えると、頷いてくれた。

 

スタッフ「ロゼリアの皆さん。ステージ横まで移動お願いします」

と、ライブハウスのスタッフが言ってきたので、友希那達はその言葉に返事をした。

 

友希那「ハル、行ってくるわ」

 

ハル「うん。いつも通り、頑張って」

と、友希那の言葉に俺はそう伝えた。そして友希那は頷いてから、楽屋を出ていった。

 

他の皆も後ろを付いていく形で出ていって、皆がいなくなったのを確認した俺は、ライブ映像を流してるテレビに目を向けた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、ロゼリアのライブは大成功だった。何より見てた人達に衝撃を与えていた。お客さんや他のバンドも驚いていたが、音楽業界の関係者らしき人達が一番衝撃を受けていた。

 

ソロ活動中、スカウトされても断ってた友希那が、まさかここでバンドを組んで出てくるとは思ってなかったみたいだった。

 

そんなこんなで、ライブが終了した後は、すぐに帰る支度をしてライブハウスを後にした。

 

ライブハウスから出る時に、ハロー、ハッピーワールドの人とすれ違ったが、その時に一人の男子を見かけた。

 

メンバーと一緒にいてライブの事を言いあってたから、メンバーの人なんだと思った。それと同時に、何処かで見かけた事があると思った俺は、皆でファミレスに付くまでの間に、思い出していた。

 

ハル(あ、大和と話してるのを、見たことがあったんだった。……確か、後輩の一年で演劇部の裏方を一緒にしてるって大和が言ってたな)

 

見たことのある男子の事を思い出した後は、友希那達の会話に混ざって、ファミレスに向かった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~ファミレス~

 

 

ライブが終わった後、ロゼリアの皆でファミレスに来た。席に案内されて注文をした後に、紗夜が友希那に声をかけ始めた。

 

あこと燐子は皆の分のドリンクバーを取りに行った。

 

紗夜「湊さんがここに来るなんて意外でした。私はこういった添加物系は受け付けないので……」

 

友希那「意外かしら?私がバンドを組む前にもファミレスに、たまにだけれど来てたわよ」

 

リサ「ソロの時で、ハルと仲良くなった後にだよね。ソロライブの後に、ハルが毎回ファミレスに連れて行って反省会してたしね」

 

紗夜「……そうなんですね」

 

その後も紗夜と友希那は話をしていた。しばらくしてあこ達が帰ってきて、ちょうど同じタイミングで、俺が注文した山盛りポテトが来た。

 

その時に、紗夜の目線がポテトに釘付けだった。少しお皿をずらしたりすると、その動きに合わせて目……顔ごと動かしていた。

 

ハル(添加物系は受け付けないみたいな事、言ってた筈だけど……。本当は好きなのかな……?)

と思いながら、"紗夜?"と名前を呼んでみた。すると紗夜は話を逸らす形で咳払いして、今日のライブについて話を始めた。

 

そして紗夜の後に友希那が口を開いた。

 

友希那「ライブの話を聞いてから、ライブ当日の今日までの短期間で、ロゼリアの演奏技術……レベルが上がったわ。そして燐子とあこ、リサの三人は前よりも上手くなっていたわ」

 

紗夜「確かに三人の演奏技術は上達してました。特に今井さんの成長は目を見張るほどです」

 

三人「!」

 

友希那と紗夜に言われた事に、三人は驚いていたがそれ以上に嬉しそうだった。

 

友希那「それで私達ロゼリアの目指す目標、夢はFUTURE WORLD FESに出ること。そして出るためには出場権を得る必要がある」

という友希那の話を聞いたあこと燐子の二人は?状態になっていた。

 

リサは、友希那から話を聞いたりしてたからある程度は知ってるが、燐子とあこの二人は、FUTURE WORLD FESの事を知らない感じだったから、二人に少し説明をした。

 

少しして、俺が説明を終えると友希那が口を開き話を続けた。

 

友希那「出場権を掴む為には、次の出ようと思っているライブ……コンテストで上位3位以内に入ること。その為にさらに練習をしてレベルを上げる必要がある」

 

リサ「つまり、さらにハードな練習になる感じ?」

 

友希那「えぇ、練習内容は後で連絡するけれど、そのつもりよ。勿論、練習をない日や練習の合間に休みも取るだけれど、練習量については今回と同等かそれ以上の練習内容と思っていて」

 

リサ、そして燐子とあこもその言葉に少し驚きつつも"分かった"と伝えていた。そこ様子を見た友希那は、一呼吸置いて、言葉を発した。

 

友希那「あこ、燐子、リサ、ハル。……Roseliaに全てをかける覚悟はある?」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

ファミレスでの友希那の言葉に、友希那と紗夜以外の俺を含め四人は頷いた。

 

 

友希那からの話が終わった後は、皆と帰ることになった。その帰り道に俺は、ファミレスから出た後に、考え込んでる感じの顔をして歩くリサに声をかけた。

 

ハル「リサ」

 

リサ「……あ、何?」

 

ハル「いや、なんか考え込んでる感じだったから、どうしたのかなって……」

 

リサ「いや、何でもないよ……」

と、リサが答えたがまた黙ってしまった。しばらくしてリサが口を開いた。

 

リサ「ねぇ、ハル。……ハルの知り合いにベースが上手い人とかいる?」

 

ハル「ベースの?」

 

リサ「うん。……ほら、アタシって今のメンバーの中で、上手くない……皆より下手じゃん」

 

ハル「……まぁ、技術的に劣ってる部分はまだあると思うけど、上達してるからそこまで心配しなくても問題ないと思うよ。ファミレスで友希那と紗夜が上達してるって言ってたし」

 

リサ「確かに、友希那と紗夜が上達してるって言ってくれたよ。ハルの耳も信頼してるし、自分でも前より上手くなってるって思ってるよ。それに三人が音楽の事で嘘を言うわけないと思ってるよ」

 

ハル「じゃあ、なんで?」

 

リサ「上手くなってるって思ってても、アタシの中ではまだまだって感じがしてて……。だから、ちょっとでも上手くなりたいから、ベース経験者の人に教えてもらいたいなって思ったんだ」

 

ハル「なるほどね。……それで俺に聞いてきたんだ」

 

リサ「うん、そういうこと。……で、いるかな?そういう人」

 

ハル「うん、いるよ」

 

リサ「え、ほんと!?」

 

ハル「多分大丈夫だと思うけど、確認するから待ってて。返事来たら教えるよ」

 

リサ「うん。よろしく、ハル」

 

リサと約束した後に、ちょうど分かれ道になったのでそれぞれ帰路についた。

 

ーーーーーーーーー

 

分かれ道で分かれた俺は、あこと一緒に帰っている。

 

なんであこと一緒に帰っているのかと言うと、今は時間が遅くて外が暗いので女子中学生を一人で帰らせるのは、少し心配だったからだ。

 

そして、あこと話しながら帰ってる時だった。

 

「あこ?」

 

商店街近くに差し掛かった時に、後ろからあこの名前を呼んだ声が聞こえた。声をした方を見ると、赤い色をしたロングヘアーの身長が高い女子がいた。しかも羽丘高等部の制服を着ていた。

 

ハル(羽丘の生徒……。同学年で見た記憶はないし、ネクタイとスカートの色を見ると……、一年生か)

 

あこ「あ、おねーちゃん!」

 

ハル「あこのお姉さん?」

 

あこ「うん!あこのおねーちゃんなの!……おねーちゃん、ただいま!」

 

巴「おかえり、あこ。……で、そっちの人は……あこが言ってた先輩のハルって人か?」

 

あこ「うん、ハル兄だよ!」

 

ハル「羽丘二年の和奏ハルです。俺の事はハルでいいからね」

 

巴「あ、私は一年の宇田川巴で、あこの姉です。……ハル先輩って呼びますね。あと、アタシの事も下の名前でいいですよ。名字だとアタシかあこか分からないので」

 

ハル「分かったよ。……じゃあ、お姉さんと会ったから、もう大丈夫だね。あこ、また明日の練習の時ね」

と、俺はあこの頭を撫でてそう言った。

 

あこ「うん!……えへへ」

 

巴「あこから、"ハル兄はお兄ちゃんみたい"って聞いてたけど、確かにハル先輩がお兄さんに見えますね。頭の撫で方とかが優しい感じだし、撫で慣れてる感じがする……」

 

あこの頭を撫でた時に、巴がそう言ってきた。

 

ハル「まぁ、俺にも妹いるから、慣れてるのもあると思うよ」

 

あこ「え?ハル兄、妹がいたの!?」

 

ハル「うん。一個下だから、今は高1だよ」

 

巴「じゃあ、アタシと同い年って事ですね」

 

ハル「うん、そういう事になるよ」

 

あこ「どんな人なの!?」

 

ハル「俺より身長が高いし、多分巴よりも少し高いと思う。あとクールな感じだし、しっかり者だよ」

 

あこ「へ~」

 

妹の事を説明した後に、時間も時間だったからそんなに話をしなかったが、巴と妹の話で盛り上がった。

 

話を終えた後の俺は、家に帰った。

 

家に着いた後に、リサとの話……、俺の友達にベースを教えてもらいたいという内容とか色々な事のメッセージを送った。

 

メッセージを送った後にお風呂に入り、上がった後にスマホを確認すると、レイから返事が来ていた。今度の休みなら大丈夫という内容だった。

 

翌日の朝の学校で、リサにベースの件を伝えると承諾してくれた。

 

そして、サークル横のカフェテリアで待ち合わせという話になり、待ち合わせ場所とかの事をレイにもメッセージで伝えた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして、休日になった。

 

 





次回は、ハル経由でリサととレイ(レイヤ)が会う話です。

ただ、次回の話はできてませんので投稿が今回みたいに遅くなると思います。ご了承ください。

他の作品も出来るだけ早く完成させて投稿するつもりですので、他作品もよろしくお願いします。


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第6話


後書き並びに活動報告にてお知らせがあります。


 

~ハル視点~

 

 

初ライブの日にリサと話をしてから日が経った休日。

 

俺はリサと、ライブハウス・サークル横にあるカフェテリアでレイを待っていた。

 

リサ「ねぇ、ハル。今日来てくれる人ってどんな人?」

 

ハル「俺の一個下の妹だよ」

 

リサ「へぇ~、ハルの妹……へ?妹!?ハルの言ってたベース上手い人って妹だったの!?」

 

ハル「うん。和奏レイって名前で、今はサポートのベースとしてバンドにサポートのベースをしているよ」

 

リサ「へぇ~……てか、アタシ妹がいるなんて聞いてないよ!」

 

ハル「まぁ、言ってなかったからね。……あ、でもあこには教えたよ」

 

リサ「なんで?」

 

ハル「初ライブの帰り道に俺、あこと一緒に帰ったでしょ」

 

リサ「うん、帰ってたよね。まぁ、夜だったしあこ一人で帰らせるのは心配だったからハルが送ってくれたらから安心したけど。……で、それがどうしたの?」

 

ハル「その時に、あこの姉に会ったんだ。羽丘の一年生で宇田川巴って名前だった」

 

リサ「あこからお姉ちゃんがいるって聞いてたから、そんな驚かないけど、その時に妹の話になったの?」

 

ハル「うん、そうだよ」

 

リサ「なるほどね~」

 

あこのお姉ちゃんの事や俺の妹の話を、リサとしてる時だった。

 

レイ「兄さん」

と、レイの声で声をかけられた。

 

ハル「あ、レイ。久しぶり」

 

レイ「久しぶり、兄さん。……やっぱり身長は変わらないでそのままだったんだ……」

 

ハル「バカにしてる?」

 

レイ「ううん。そんなことはないよ。兄さんの事、見つけやすかったなって思って……」

 

ハル「やっぱりバカにしてるように聞こえるな……。まぁ、いいや。とりあえず紹介するよ」

と言って、まずレイにリサの紹介をした。

 

ハル「まず、こっちにいるのが今井リサ。ロゼリアのベース担当で……「ちょっと待って!?」……何?」

 

リサ「その人がハルの妹なの!?」

 

ハル「そうだけど、なんでそんなに驚いてるの?」

 

リサ「いや、結構身長に差があるって思って……。それにハルが弟に見える……。あと、髪の色も瞳の色も全然違うし……」

 

ハル「まぁ、そりゃそうだよね。でも髪の色とかで言ったら、あこもそうだったよ」

 

リサ「そうなの?」

 

ハル「うん。あこって髪の色は紫だけど、巴は赤色だったし、瞳の色も違ってたよ」

 

リサ「そうなんだ……」

 

ハル「でも、姉妹だったよ。あこと巴は性格はなんだかんだ似てる感じはしたから」

 

リサ「……そうなんだ」

 

レイ「兄さん、そろそろちゃんと紹介してほしいんだけど……」

と、レイが言ってきた言葉に俺は謝りつつ、レイにはリサの事を教えて、リサにはレイの事を教えた。

 

お互いの事を教えた後は、スタジオに向かったけどレイが二人だけで練習したいって言ってきたので、俺はラウンジで待つことにした。

 

二人は、月島さんに声をかけてスタジオに向かっていった。

 

待ってる俺はというと、カフェテリアでのんびり待つことにした。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

~昼~

 

~サークル・ラウンジ~

 

 

リサ「レイ、今日はありがと♪練習に付き合ってくれて」

 

レイ「いえ、こっちも練習になったんで」

 

リサ「でも、レイって本当にベース上手いよね~。教えるのも上手かったよ。教えてもらったら分かりやすかったし」

と、レイとリサの二人は、二人だけで話を始めてしまった。

 

 

しばらくして二人は話し終わったから、声をかけた。

 

 

ハル「レイはこの後どうする?」

 

レイ「この後は、ますき……知り合いと会うことになってるから私は別れるよ」

 

ハル「分かった。リサはどうする?」

 

リサ「アタシはもうちょっと練習していこうかな。レイが教えてくれた所をもうちょっとやっておきたいし。ハルも付き合ってくれない?」

 

ハル「分かった。レイ、また今度」

 

レイ「うん。今井さんも何かあったら連絡してください」

 

リサ「分かったよ。あと、今日はありがとね」

 

レイと別れた後は、月島さんに話をしてスタジオの予約午後の分を取ってカフェテリアでお昼を食べた。

 

 

お昼を食べ終えた後から夕方までの間、休憩を挟みながらリサがベースの練習を続け、俺が音を聞いて間違えてしまってた場所を教えたりして時間が過ぎていった。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

そして夕方になり、練習を終わりにしたリサと俺は、解散して一日が終わった。

 

 





この度、この第6話で完結させる事にしました。

話は6話しか書けていないだけではなく、原作の内容1章の最初の部分しか書けていないし、その上に、さよひな関係やロゼリアにとって大切な部分の話なども書けていないのに、これはどうかって思うかもしれません。

完結の考えになった理由などは活動報告にて書いておりますので、そちらをご覧ください。


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