ありふれてないアークスはその力で何を守護るのか (時空 雄護)
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プロローグ
こりずに新しい小説の投稿ですが、ヒロアカとは違って原作はちゃんと読んでいますので、投稿停止はありないかと思います……多分()
それではプロローグ、どうぞ!
女神「あなたは死んでしまいました。」
「は?」
謎の空間において、一人の男が麗しい身の女性に死を告げられていた。
男の名は「
「えぇ……経緯とかは…?」
女神「通勤路を歩いていたら暴走車が歩道に乗りあがってきて、近くにいた子を守る代わりに死にました」
「そう、ですか……ははは、最後に人を助けられたのはよかった……」
ほんの少しだけ、彼の顔が笑顔になる。すぐに真顔になってしまったが。
女神「では、ここから大事な話をします。」
「はい。」
彼が相槌をうったと共に、彼の前に二つの画面が映る。
「意外とハイテク!」
女神「よく言われます。」
左の画面には「天国で本当の寿命まで過ごす」
右の画面には「転生し新たな生を受ける」
「……定番な選択肢ですね。」
女神「それもよく言われます。」
うぅむ……と少し悩み始める累斗。
~数分後~
「……そうだ」
女神「お決まりですか?」
「いえ、少し考えがありまして……」
そういうと、彼は前世のことを思い出しながら言う。
「私、前世?死ぬ前?……どっちでもいいか。とにかくここに来る前にずっとやってたゲームがあるんです。」
女神「確か……
「はい。」
そう言うと、彼はとんでもないことを言い出した。
「もし出来るのなら……一度PSO2の世界に転生してから、「ありふれた職業で世界最強」の世界に行きたいんですが……。」
女神「……凄いこと考えますね。前例がないわけではありませんが…。」
と言いつつ、女神は自分以外の転生神にこのようなやり方があったかとテレパシーで聞いている。
女神「ふむふむ……どうやらあなたと同じ考えをしていた人はいたようですね。」
「マジですか?」
女神「ですが、条件があります。」
「条件ですか?」
彼がそう言うと、女神は二つの画面を消しつつ条件を言う。
女神「まず、転生するにあたり記憶を一定の時期になるまで封印します。それと、全ての可能性……つまりあらゆるルートを攻略してから『ありふれた職業で世界最強』に転生してもらいます。」
「マジですか……つまり
女神「そうなります。」
「うごぉ……」
少し項垂れるように座る彼だが、すぐに立ち上がる。
「いや、自分が提案したことだ。やれる、やれるんだ俺は…!」
何だかどこか闘争を求めそうな言葉を言いつつ、覚悟を決める。
女神「それではいきますよ?」
その言葉と共に、彼の真下に穴が開き、そこに落ちていく。
「いやボッシュート式かよおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
女神「頼みますよ……
~それから1年後(神様換算)
女神「全ルートの攻略及び、勝手にやっていた全武器の入手おめでとうございます!」
「勝手とか言わないでくれ……。」
人としては一生のような時間だが、神にとっては一年ほどの時が立ったとある日。
前世の姿で、もう一度女神の前に現れた技嶋。
しかし前世のような性格ではなくなり、彼のアバターであった「ギルド」の性格になっていた。
女神「しかし、全武器だけでなく防具に迷彩まで集めるとは……恐れ入りました。」
「頑張りました。」
女神「頑張りましたね……よしよし。」サスサス
「スーパークリークですか?」
女神「何故わか……そういえばあなたのいた地球でも流行ってましたね。」
???「無駄話はそこまでにしておきなさい。」
二人が少しコント(?)をしていると、威風堂々たる声が空間に響く。
女神「こ、この声は……!」
「どちらさまですか?」
その声が聞こえた方向を向けば、そこに光が刺さり、これまた麗しい美人が現れる。
???「初めまして、
「逸般人……あなたは?」
クロノス「私はクロノス。よく勘違いされますが時を司ってはいませんよ?」
「いやその格好でその言い分は無理かと…だって仮面ライダークロノスの見た目をライダー少女にした感じですし…」
クロノス「ここで言ったところで読者の皆さんはわからないと思いますが?」
「メメタァ」
そのようにメタ会話をしているところで、コホンとクロノスが一拍する。
クロノス「まず守護衛士よ、よくぞ条件をクリアしましたね。褒美として、あなたが独自に呼んでいた【ダークファルス】改め【アークファルス】を連れていくことを良しとします。」
「……え?」
そういうと、クロノスはスナップをする。瞬間、累斗の横にダークファルス達が全員現れる。
ルーサー「おや?」
ゲッテムハルト「あん?」
マルガレータ「あら?」
フロー・フラウ「あれ?」「あれあれ?」
ペルソナ「……?」
クロノス「これで寂しさも減るでしょう」
「……ありがとうございます。」
クロノスは、少し微笑んだ。その表情は、どこか嬉しそうだった。
クロノス「それでは、【ありふれた職業で世界最強】の世界へ、転生させます。」
ガコンッ!
「「「「「「「え?」」」」」」」
ヒュゥゥゥゥゥゥ……!
有無も言わさずボッシュート形式で穴に落ちていった。
~数分後~
クロノス「……これで、彼はいいのでしょうか?」
七人が穴に落ちた少し後、クロノスは累斗が前世で書いていたネタ帳を自らの手に呼び出し、とあるページを開く。
女神「……え、これって」
クロノス「えぇ、彼が求めていた、【ギルド】の終わりですよ。」
そこには、こう書かれていた。
【守護衛士≪ギルド≫は、最後の決戦においてその身体に多くの負荷を掛け、原初の闇を打ち払った。だがその戦いの代償はあまりに大きすぎた。彼の身体は少しずつ、ゆっくりと崩壊していき、彼の命を削っていった。数十年の月日がたち、アークスの世代も進んでいき、守護衛士も受け継がれていたとある日、彼は最愛の人を置いて、天へと旅立ったのだ。】
クロノス「……最愛の存在を置いて、死んでしまうのは…とても辛かったはずなのに…」
~所変わってありふれた職業で世界最強の世界では~
「オギャア!オギャア!」
看護師「おめでとうございます!立派な男の子ですよ!」
(なんで赤ん坊なんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
心の中で、彼は叫んでいた。その隣には
ペルソナ(何故双子なのだ……)
ペルソナもまた、疑問を感じていた。
To be Continue……
とりあえずはありふれたワールドに転生した直後の段階までとなります。
不定期更新ではありますが、頑張っていくつもりなので、よろしくお願いします。
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第一話 転生してから
ここでタグ通りキャラの性格改変があります。
~ギルドSide
「この世界に転生してはや15年か~………」
とある公園にて、一人の少年がベンチに座りながらそう呟く。
その隣にいた双子の兄であろう少年がの隣でおにぎりを食べながら、
ペルソナ「あまりそういうことを言うな、誰かに聞かれたらいろんな意味でおしまいだぞ、累斗」
「わかってるさ
廻斗「ええい崩すな!私だって慣れるのに時間がかかっているのだ!」
そう、この世界での彼の名前は「
そして彼の双子の兄として生まれたペルソナの名は
「それにしても、関わった結果、あぁも変わるとは思わなかったぜ…」
廻斗「ずっと関わっていたわけではないのだがな。しかし……中村恵里の親はゆるさん。」
「全くだ。僕っ娘はともかく彼女には幸せになってほしいしな。」
そう、彼らは「
というのも、彼女の母親が毒親であることを前世の知識で知っていたことから、どうしても助けたいと思ってしまい、
「それにしても……この世界、仮〇ラ〇ダーとか放送されてるよな?」
廻斗「あぁ。」
「ドラ〇ンボールとは、ガン〇ムとかも放送されてるな。」
廻斗「あぁ……。」
「………なんで
廻斗「さぁな……時空でも歪んでるのではないか?」
「ありえそうなのが怖いんだよなぁ……。」
そう、原作でもそうだったがこの世界では読者の皆さんと同じ仮面ライダーやスーパー戦隊、ウルトラマンなどの特撮、ドラゴンボールやワンピースなどのアニメがテレビで放送されている世界。
なのにも関わらず、彼らは泊巡査と会っている。
「まぁ、彼女助けられただけよかった……のか?」
廻斗「そう考えとくのがいいだろう……しかし天之河を変えたのはどうなのだ?」
「あー……」
そう言われると、彼はベンチを立つ。
「確かにな、あいつは変えずともよかったかもしれない……けど、俺はそれが嫌だ。」
廻斗「……………。」
「出来ればあのクラスの面々は、一人でも多く生き残らせて、まともな人生を歩むべきだと思ってる。その為には、リーダーが必要だ。」
廻斗「だからあやつを変えたと?」
「まぁな……その結果、中村恵里を助けるときにきっかけを持ってきたからな。」
廻斗「……そうだな、いつまでも否定していてはいけないな。」
そういうと、廻斗もまたベンチから立つ。
「さて、本題に入るか……ルーサー達の情報はどうだ?」
廻斗「……今のところは、ない。あるとすれば……」
「トータス…か…。」
そう言うと、累斗は空に目を向ける。
「……この空を、一年は見れなくなるんだな。」
廻斗「少し寂しいか?」
「まさか。」
そう言うと、累斗はその手から蒼い光……フォトンを少し出す。
「フォトンもそのまま使える……全く、俺はトラブルメーカーなんだろうか?」
廻斗「その通りだろうな。現にこうやって首を突っ込もうとする。」
「まぁな」
フォトンを引っ込め、公園から出ようとする。
「さ、帰ろうぜ。今日の夕飯はカレーだぞ?」
廻斗「何!?……米は大量に炊いておかなければ。」
「HAHAHA、お前結構な量食べるしな。」
廻斗「何も言えん……。」
そう言いながら、帰宅していく二人。
彼らはこれから、大いなる運命に関わっていく。その先に、何が待ち受けるのか………。
To Be continue……
ということで、次回から原作開始です。ありふれてないアークスの力を持つ主人公はどうやって生き延びるのか……。
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第二話 異世界「トータス」へ
読めばわかりますがキャラの改変が多々あります。
~No Side
月曜日というのは、一週間の始まりであり、憂鬱な日である。
土曜日・日曜日の休日を楽しんだ人にとっては、とてもじゃないが気分は上がらないだろう。
そんな日の朝、二人の少年が教室に入ってくる。
累斗「おはよ~さん。ほら、怠けてるメンツは起きろ~。」
廻斗「起きねば前と同じように闘魂注入してやろう。」
「「「「「「やめてくださいめっちゃ痛いんですよあれ!」」」」」(カッコ省略)
机につっぷしていた生徒数名がキッチリとした座り方をすると、満足したのか二人も自分の席に座る。すると、左隣の席にいた生徒…南雲ハジメが声をかける。
南雲「……あ、おはよう」
累斗「おはよう南雲、今日の昼飯は何もってきた?ん?」
そう言われ、少しビクッとなり、少しの間固まり、観念したのかバッグからINゼリーを取り出す南雲ハジメ。
南雲「…これだk」
累斗「はぁやっぱりか…ほら、弁当持ってきたぞ」
そう言い、彼がバッグから大きめの弁当を南雲に渡す。
南雲「え、でかくない?」
累斗「お前の食が細いんだよ。ほら、受け取れぇぇい!」
清水「何故に海○社長?」
累斗「なんとなく。」
清水「えぇ……。」
右隣の席にいた生徒……
南雲「中身は?」
累斗「昼まで待て」
~お昼ごろ~
南雲が隣で弁当を開いて豪華さに驚いてる横で、
廻斗「さて、昼だ」ゴトンッ
累斗「……そのデカい弁当にはカレーだけ、ってことはないだろうな?」
廻斗「……?カレーだけだが?野菜も入っている。」
累斗「……もうお前には突っ込む気力が湧かん。お前はヒビ〇ミ〇イか!」
元ルーキーで今はめちゃくちゃイケボで強い光の巨人のようにカレーが好きになっている廻斗。
なぜかと言えば、
香織「ホントにカレー好きだよね、廻斗君って。毎日食べるわけじゃなさそうだけど、飽きないの?」
女子生徒……
廻斗「その日その日で味は変えているからな、絶対に飽きることはない。」
香織「絶対なんだ……」
南雲「いつものことじゃん。カレー好きなのって。」
香織「そうだねー。」
こんな感じで仲良く彼らが話しているところに、面食い…ではなく真っ当なイケメンとなった
天之河「相変わらずのカレー愛だね、廻斗は。それと南雲君はもう少し食べるべきだよ?僕から見ても細いし。」
南雲「天之河君には言われたくない、と言いたいけど君は細身で筋肉質だからなー……。」
そう、天之河の性格をまともにしたついでに、累斗達は彼を鍛えたのだ。
おかげで性格だけでなく、剣の腕も常人と比べれば強い部類にまで昇った。
天之河「それでも二人には勝てないんだよね、なんでそんなに強いんだい?」
累斗廻斗「「経験」」
天之河「経験かー……それだけ?」
累斗「それだけだが?」
清水「そこは踏み込みが足りん!とかじゃないのか?」
廻斗「それもある」
こんな感じで、数人で会話をしていた時、南雲が偶々足元を見た。
南雲「………え?」
その声に釣られたのか、教室にいたほかの生徒も南雲が見ている地面を見て…凍り付いた。
それは、光り輝く魔方陣であった。天之河の足元を中心として現れ、少しずつ光が増していた。
その魔方陣が広がり始め、異常事態にようやく気付いた生徒の数名が悲鳴を上げたり、教室の外へ出ようと動く。
しかしその瞬間に教室全体へ魔方陣が広がり切り、輝きが一瞬で爆発するように増す。
わずか数分か数秒かわからない時間が経ち、光が消えると……そこには誰もいなかった。
倒れた椅子、食べかけの弁当箱に飛び散っている箸等……先ほどまで人がいた痕跡のみが残り、一人っ子もいない。
この事件は白昼に起きた神隠しの事件として、世間に知らされることになった。
こうして、少年少女は異世界へと転移していった。これから起きる事件を、彼らはどう乗り越えていくのか。
そして、その身にありふれてない力を持つ技嶋累斗と廻斗。彼らはその力で、何をしていくのか……
To Be continue……
さ、ここからどう書いていこうか迷うぞ~(笑)
次回は原作と似た感じで、世界の状況説明とステータスのお披露目となります。
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第三話 異世界 トータスの状況
では早速本作の主人公である「技嶋 累斗」の設定をば
技嶋 累斗 アークス名【ギルド】
本作の主人公。性格云々はアバターの設定として「基本的」にPSO2の安藤と大体は同じ。
しかし前世の記憶があることにより、安藤よりかは普通の感性である。
それでも【守護衛士】として戦ってきた記憶や経験があることで戦闘力は現在クラス内ではずば抜けて高い。遠くない未来で南雲ハジメが真のオルクス大迷宮で強くなって帰ってくれば話は別である。
~累斗Side~
突如起きた謎の現象に、クラスの誰もが目をつぶったり手や腕で顔を覆ったりするなか、一瞬だけ目をつぶっただけの累斗と廻斗。今までの経験のこともあり、慣れているようだ。
そして、二人は先に周囲から無数の気配を感じゆっくりと視線を動かしていく。
二人の目に飛び込んできた最初の光景は、巨大な壁画であった。
縦横十数メートルはあるだろうそれには、麗しく、中性な顔立ちをした人物が描かれていた。
しかし累斗と廻斗は、その絵に気味悪さがあることをを一瞬で感じ取り、別のものへ目線を変える。
そして自分たちが巨大な空間にいることを把握する。
大理石であろう素材で作られた建築物となっていて、巨大な柱に支えられたドーム型の天井がある。言うなれば大聖堂だろう。
そして二人は自分たちがその建築物の最奥の台座の上にいることを把握する。そして、自分たちを囲む無数の存在に目を回す。
少なくとも30近くいる人のほとんどが、祈りをささげる状態でいる。纏っている煌びやかな服装が、正に聖職者だと思わせている。
その中にいた、一人の老人が台座の方へ進み出る。老人といっても、その身に纏う覇気が普通ではないことを見抜いてる累斗と廻斗は、少し警戒している。そしてその老人は、クラスメイト達に声をかける。
老人「ようこそ、トータスへ。歓迎致しますぞ、勇者様とその同胞の皆さま。私は聖教教会にて教皇の地位に就いております、イシュタル・ランゴバルドと申す。以後、宜しくお願い致しますぞ。」
そう言って、イシュタルと名乗った老人は、好々爺然とした顔を見せていた。
少し時間が経ち、累斗達は大広間へと移動していた。
この大広間も、先ほどまでいた大聖堂と同じように煌びやかな作りとなっている。一般人であるクラスメイト達から見ても、置かれている物や壁紙、床の作りが職人の技で作られたものであると認識しているようだ。一方で。
累斗(こうも煌びやかだとオメガの国を思い出すな……)
累斗は、かつて経験した戦いの一つである【異世界オメガ】での記憶を思い出していた。
そして、この大広間に来るまでの間に誰も騒がずにいるのは、今だ現実だと理解してないものが多く、イシュタルが説明すると言ったことが要因だろう。だが一番の要因として
累斗「うろたえるなぁぁぁぁ!」
…と、累斗が声を張り上げたのが大きいだろう。因みに、南雲や清水はそれ言ってみたかった!という顔をしていた。隣にいた光輝が苦笑いしていたのは仕方ないだろう。
教員より教員してると、涙目で畑山 愛子先生が言っていたが気にしないでおこう。
全員が、大広間にあるテーブルの席に着席すると、そのタイミングでカートを押してメイドがやってくる。
そう、創作物の中でしか見れなかった本物の、美女・美少女のメイドである!
累斗(メイド……ルコットは確かそうだったな…彼女はただのメイドじゃなかったが)
他の生徒たちがメイドに興味津々の中、一人かつての仲間を思い出す累斗。この男、冷静すぎる。
全員に飲み物がいきわたると、それを確認したイシュタルが話し始める。
イシュタル「さて、あなた方はさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますので、どうか私の話を最後までお聞き下され。」
そう最初に言い、話を始めたイシュタルの話は、実にアニメなどで聞くような、ファンタジーでテンプレで、それでいて勝手なものである。要約すれば……
・この世界の名は「トータス」
・このトータスには大きく分けて「人間族」「魔人族」「亜人族」の三つの種族が存在する。
・人間族は北、魔人族は南を支配している。亜人族は東の巨大な樹海の元で暮らしている
・人間族と魔人族は、かれこれ数百年戦争をしている。
・魔人族は数が少ないが、一人ひとりが強く、近年は魔物を使役し数のアドバンテージを覆されてしまった。
イシュタル「あなた方をこの地に召喚したのは「エヒト」様です。我々人間族が崇める守護神にして、聖教協会の唯一神であり、この世界を作られた至上の神であります。おそらくエヒト様は………。」
イシュタルが話を続けてる最中、累斗に小さな声で南雲が声をかける。
南雲「最悪のパターンじゃなくてよかったよ……。」
「だな……。」
南雲「……どうする?このままだと戦う感じになるんだけど…。」
「それについては……ちょうど先生が聞いてくれるようだ。」
その言葉通り、イシュタルが話し終わったところに、愛子先生が猛然と立ち上がり、抗議し始める。
愛子「ふざけないで下さい! 結局この子達を戦争の道具にするってことでしょう! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を帰して下さい!今すぐ!絶対ご家族の皆さんが心配しているはずです! あなた方のしたことはただの誘拐なんですよ!」
その小さな身でイシュタルに対し抗議をする姿に、大抵の生徒が庇護欲を掻き立てられる。
しかし、イシュタルが放った次の言葉に、誰もが凍り付く。
イシュタル「お気持ちはお察ししますが……あなた方の帰還は、現状無理なのです。」
愛子「………え?」
その場が静寂に満ちた。クラスのほとんどがその言葉の意味が分からない、という顔でイシュタルを見た。
「現状は、なんだな……つまり可能性はあるってことか。何かを手に入れたりすればいけるんだな?」
しかし、そこに累斗が立ち上がり、イシュタルに問いかける。その問いにイシュタルは少し不思議そうな顔をしながら
イシュタル「可能性としては低いですが、その通りですな……なぜ、元の世界にに戻ろうとするのですか?あなた方は選ばれたものなのですぞ?」
侮蔑も入っているのだろうか、少し細めた目で累斗を見る。
「なぜ、と言われてもな……俺たちは戦争どころか戦いの「た」すらやったことのない、ただの一般市民だ。一部は剣道だったりをしているが…それでも戦争に参加できるほどの実力じゃない。そんな連中にいきなり「この世界のために戦え」なんて言われても、困るのが普通だ。それとも、戦わなければ生き残れないとでも?」
そう言い終えると、椅子に座り込み、目を瞑る。その態度に一瞬イシュタルがイラッとしたようだが、すぐにその気持ちを引っ込めた。
イシュタル「では、戦う意思を持つものだけは戦争に参加してもらいますぞ。それでよろしいですかな?」
そうイシュタルが言うと、何人かの生徒が息を吐く。
そして、戦う意思を持つ生徒たちがすこしずつ声を上げる。
光輝「俺は戦うつもりだ。累斗の言う通り、俺たちは戦争なんて経験したことはない。でも、俺は目の前で救える命は、できるだけ救いたいんだ。」
坂上龍太郎「お前ならそう言うと思ったぜ。だったら俺もやるぜ!お前ひとりでやらせねぇよ!」
八重樫雫「累斗君の言う通りなのよね、ホントに……でも、今はやるしかないのよね。」
香織「え、えぇと……雫ちゃんがやるなら、私も!」
光輝の声に続いて、彼の幼馴染たちも声を上げる。それに続いてクラスメイト達が続々と参加の意図を示していく。先生が涙目で見て訴えているようだが、光輝が作ってしまった流れは止まらなさそうだ。
結局、全員参加するという流れになってしまった。しかし累斗と廻斗、南雲以外の生徒たちは戦争の恐ろしさをよく知らないだろう。いや、、これは一種の現実逃避として同調したのだろう。
だが、累斗・廻斗・南雲派はイシュタルを観察していた。
イシュタルの顔は実に満足している表情をしている。だが、三人は
(((こいつ、光輝がいの一番に声を上げると分かってあぁ言ったな。)))
三人が少し険しい表情をし、イシュタルのことを警戒していくことを心の中で誓った。
To Be continue……
こちらでは廻斗の設定を載せます。
技嶋 廻斗
かつてはアークスとして戦っていたギルドの並行同一体の一人。そしてダークファルス【仮面】であった存在。詳しい設定は今後設定集で書く予定。
戦闘能力は累斗と全く同じ。だが時間逆行を繰り返していたからか、経験は累斗より多く、例え人でも容赦なく倒す姿勢である。
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第四部 ステータスプレート
南雲ハジメ→原作よりコミュ力あり、私生活も大分マシに。香織との関係も良好。天之河などの他キャラとの関係もある程度はマシに
天之河光輝→本作で一番の改変要素(かもしれない)。原作よりちゃんとした(勘違いしない)性格に。勝手な解釈をしないようになり、ちゃんと思考してから相手と話す。某正義のミカタのような感じへ。
清水幸利→同じヲタク仲間である南雲と親しい関係に。南雲・累斗・廻斗とは仲がいい。原作のように敵落ちは無い。
中村恵里→母親との縁が切れ、本来の彼女に戻る。天之河とは付き合っている(ここ重要)おかげで裏切る心配なし。助けてくれた累斗・廻斗には好印象を持っている。
後のキャラは逐一上げます
~NoSide~
戦争への参加を決めた以上、累斗達は戦いの術を学ばなければいけなくなった。累斗と廻斗は除いても、他のクラスメイト達は平和な世界で生きていた一般人である。いきなり魔物などと戦うのは中々難しいのである。
しかしそこも予想していたのか、イシュタルがこの聖教教会がある【神山】の麓にある【ハイリヒ王国】で受け入れる体制が既にできているとのこと。
王国と教会は密接な関係にあり、創生神であるエヒトの眷属であったシャルム・バーンなる人物が建国したという、最も伝統のある王国とのことだ。
~少年少女移動中~
【神山】から降りる際に、魔法陣を使用したロープウェイが使用され殆どの生徒が騒いでいたのは言うまでもないだろう。その際、ハジメが皮肉な感じで笑っていたのを見た累斗は「わかる」と小さな声で言っていたそうな。
王宮へとたどり着き、すぐに玉座の間へと案内されていき、先ほどまでいた教会に負けないほど豪華で煌びやかな内装となっている廊下を歩いていく。
美しい意匠が凝らされた巨大な扉の前につき、扉の両サイドにいた兵士が声を扉の向こう側に聞こえるようにイシュタルと勇者一行が到着したことを告げ、返事が来る前に扉を開ける。
イシュタルがさも当然のように扉を通り抜けるが、累斗や廻斗、光輝以外の面々は恐る恐るといった感じで通り抜ける。
扉を通り抜けた先には、まっすぐに伸びたレッドカーペット、その奥に豪奢な玉座があり、その前に立っている初老の男がいる。その隣には、王妃らしき女性や美少年美少女、レッドカーペットの左には騎士団であろう甲冑や軍服をまとった人たちが、右には宰相や大臣といった文官が、ざっと30人ほど並び、佇んでいた。
~翌日~
ざっとカットされてはいるが、王国を動かすのが神であることが分かったり、国王や王妃らの自己紹介などが行われ、異世界の料理が振舞われたりしていた。
そして一日経ち、早速訓練と座学が始まる。
まず生徒たちに、銀色の長方形型のプレートが手渡される。
配られたプレートを不思議そうに見るほとんどの生徒と、かつて持っていたアークスカードに似てるなぁと思い出している累斗と廻斗。そこに、プレートについて説明を始める騎士団の団長である「メルド・ロギンス」。
曰く、配ったプレートは「ステータスプレート」と呼ばれており、使用者のステータスを客観的に数値化し示すアーティファクトとのことだ。プレートにある魔方陣に、血を一滴垂らせば表示されるとのこと。
光輝「アーティファクト?意味は確か人工物…だったかな?」
メルド「その通りだ。アーティファクトは神やその眷属たちがこの地上にいた神代に造られたと言われている、強力な魔法道具だ。ステータスプレートもその一つで、複製能力を持ったアーティファクトと共に現代に存在する唯一のアーティファクトだ。アーティファクトとなれば国宝にもなるんだが、これは一般人にも流通してる。身分証明に便利だしな。」
なるほど~、などと頷く生徒たち。早速プレートと共に渡された針で指先を軽く刺し、魔方陣に擦り付けていく。すると、魔方陣が淡く光る。それに倣うように累斗・廻斗も同じようにする。するとプレートに文字が浮かび上がっていき……
技嶋 累斗 17歳 男 レベル:1
天職:魔道戦士
筋力:500
体力:500
耐性:500
敏捷:500
魔力:500
魔耐:500
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解・身体能力増加・武装強化
技嶋 廻斗 17歳 男 レベル:1
天職:魔道戦士
筋力:500
体力:500
耐性:500
敏捷:500
魔力:500
魔耐:500
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解・身体能力増加・武装強化
二人のステータスが表示された。大分高い数値となっている。
メルドがステータスプレートの確認をするとのことなので、光輝の後ろに並ぶ。
メルド「……随分高くないか?私を追い越しているんだが……。」
光輝「やっぱ凄いなぁ二人は……負けてられないな。」
因みにメルドの数値の平均は300前後。如何に高いかがよく分かる。
しかし、これはあくまで二人以外から見える数値である。実際はというと……
技嶋 累斗(ギルド) 17(?)歳 男 レベル:???
天職:アークス
筋力(打撃・射撃・法撃力):10000
技量:10000
体力(ヒットポイント):10000
耐性(打撃・射撃防御):10000
敏捷:10000
魔力(フォトンポイント):10000
魔耐(法撃防御):10000
技能:クラス【ハンター】[+【ファイター】][+【レンジャー】][+【ガンナー】][+【フォース】][+【テクター】][+【ブレイバー】][+【バウンサー】][+【サモナー】][+【ヒーロー】][+【ファントム】][+【エトワール】][+【ラスター】]・PP高速回復[+回復速度増加][+回復量増加]・フォトン放出[+出力操作][+防御][+PP超出力可能][+属性変換【火・氷・風・雷・闇・光】][+複合属性【火闇・氷光・風雷】]・テクニック【火・氷・風・雷・闇・光】[+複合属性【火闇・氷光・風雷】][+出力操作][+収縮・巨大化可能][+操作]・武装形成[武器][+防具][+創生器][+具現武装][+空想武装]・ダークブラスト【巨躯】[+【敗者】][+【若人】][+【双子】]・【守護衛士】・精神耐性[+精神干渉無効]・気配・魔力察知[+複数察知]・限界突破[+極限全開][+発動時間増加][+発動後反動軽減]・武装強化[+フォトンブレード][+出力操作・強化][+フォトンブレード伸縮化]
技嶋 廻斗(ペルソナ) 17(?)歳 男 レベル:???
天職:アークス
筋力(打撃・射撃・法撃力):10000
技量:10000
体力(ヒットポイント):10000
耐性(打撃・射撃防御):10000
敏捷:10000
魔力(フォトンポイント):10000
魔耐(法撃防御):10000
技能:クラス【ハンター】[+【ファイター】][+【レンジャー】][+【ガンナー】][+【フォース】][+【テクター】][+【ブレイバー】][+【バウンサー】][+【サモナー】][+【ヒーロー】][+【ファントム】][+【エトワール】][+【ラスター】]・PP高速回復[+回復速度増加][+回復量増加]・フォトン放出[+出力操作][+防御][+PP超出力可能][+属性変換【火・氷・風・雷・闇・光】][+複合属性【火闇・氷光・風雷】]・テクニック【火・氷・風・雷・闇・光】[+複合属性【火闇・氷光・風雷】][+出力操作][+収縮・巨大化可能][+操作]・武装形成【クラスウェポン】[+防具]・精神耐性[+精神干渉無効]・AFワープ[+広範囲][+複数人可能]・アークファルス・気配・魔力察知[+複数察知]・限界突破[+極限全開][+発動時間増加][+発動後反動軽減]・武装強化[+フォトンブレード][+出力操作・強化][+フォトンブレード伸縮化]
………と、このようにぶっ飛んだ数値となっている。隠蔽していなければ今頃どうなっていたか……。
二人((……これ、クラスによってステータスが変わるのでは?))(※実際変わります)
こうして、二人にとって危機が一つ減ったのであった。……これから増えそうではあるが()
そして、南雲はといえば……
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:50
体力:50
耐性:50
敏捷:50
魔力:50
魔耐:50
技能:錬成・言語理解
とまぁ、このように少しだけ原作よりステータスは上がっていた。それでもクラス内では最低値ではあるが…
南雲(錬成かー……デフェーンド!とか出来そうだなー。あとは落とし穴とか障害物とか?)
ポジティブな思考をしていて静かになっていた。
因みに、南雲のステータスをチラ見した檜山率いる小悪党組は南雲に何か言おうとしたが、香織や累斗・廻斗に睨まれ引っ込んだ。小悪党はどこまでいっても小悪党であった。
To Be continue……
此方では現代世界の設定を書いていきます。一部自己満足があります。
・特撮・アニメのキャラ達のそっくりさんが存在している。あくまでそっくりさんである。
・↑のキャラたちの一部は、悲しい結末等になっておらず、幸せに生きている(例 仮面ライダーキバ「紅 渡」の父「紅 音也」がバイオリニストとして生きている)
・PSO2は勿論ゲームとして存在している。廻斗曰く「自分の選んだ道などがこうしてゲームとしてあると、不思議な気持ちになる」とのこと。
累斗と廻斗のステータスの数値はあくまで「クラスを選んでない」時の数値です。近接・遠距離・テクニック職によってステータスが偏る、ということになってます。詳しい数値は今後の設定集で書く予定です。あと、アークファルスいついては軽くここで。
・アークファルス……異世界オメガでギルドの中に入ったかつてのダークファルス達の呼称で、ギルドが付けた呼称。これは投稿主オリジナルの設定。今後ペルソナ以外のアークファルス達も登場予定。
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第五部 特訓
ステータスが貧弱ゆえに知識でカバーする南雲、かつての経験を体に思い出させるため、規格外の特訓を行う技嶋兄弟。
彼らに起こる運命は、着々と近づいていた………!
~南雲Side~
自分のステータスがクラスの中で一番貧弱であると知った日から二週間ほど経った。
僕は今、訓練の休憩時間を使って王立図書館で調べ物をしている。
圧倒的にステータスが足りない分を、知識で補うつもりだ。
何せステータスだけでなく、魔法の適正や成長率も最弱であることがはっきりしてしまったからだ。
魔法の適正については、本来の世界の自分の方が詳しく説明してくれるだろう。
「……?何いってるんだ僕?」
それは置いといて、だ。こうして「北大陸魔物図鑑」というひねりもないタイトルの本を読んで知識を蓄えている。
こうでもしなければクラスのみんなに迷惑をかけてしまう。それだけは回避したい。
なにせ小悪党組に「最弱」のレッテルを貼られてから、彼らにちょっかいを出されているのだ。
清水「お~い南雲ー、そろそろ訓練再開するぞ~。」
「今行くよ。」
そう言い、本を元の場所に戻しに動く。
(そういえば……累斗と廻斗は何してるんだろう…?)
別の場所で訓練しているらしい二人を思い出しながら、僕は訓練施設に移動する。
~何処かの草原~
~廻斗Side~
相変わらず何でもできる奴だと、今模擬戦をしながら思う。
現在、私と累斗は南雲たちとは別の場所で訓練を行っている。……いや、これは訓練ではなく、かつての自分たちの動きを思い出すための「戦闘」だ。
ある程度は動けるように、筋力等はキープしていた。だが「戦い方」は体にはなく、ただ知識として残っているだけだったのだ。
そのための「戦闘」だ。こうして規格外のことをするためにわざわざ場所を用意してくれたメルド氏には後で感謝w
累斗「思考に沈んでる暇があるなら体動かせよ!ペルソナ!」
「!!」
思考の海から外れ、即座にバックステップすると、そこにカタナ…【コートサーベル】を振り下ろす累斗。
「なに、メルド氏に感謝を、な!あと殺意高いなお前!?」
累斗「そういいながらっ、ダブルセイバーでパリィしてる方も凄いんだよ!」
即座に出したダブルセイバー…【コートダブリス】で斬撃を受け流しながら攻勢に出ようとする。
「ハッ!」
累斗「うぉっと!?」
ほんの少しの隙…0.1秒近い時間の隙にダブリスを振るう。少し驚いた声を出しながら、その場で跳躍し避ける累斗。ホンットこいつは、こう軽々と……!
「貴様は相変わらずだな!こうやってっ、私の予測を超えてくる!」
ダブリスで累斗を切り捨てようと近づき、何度も斬撃を放つ。
累斗「その予測を、超えるのが俺だからなっ!ってお前の方が殺意高くないか!?フォトン纏ってるぞおい!」
「あ」
…どうやら思っている以上に熱が入っていたようだ。一旦止まり、深呼吸をする。
「すぅ~……ふぅー……すまん。」
累斗「いや大丈夫だ。それより……どうだ?」
「上々だ。漸く戻ってきた。」
かつていた世界で繰り広げた数多の戦い……その全てではないが、ほとんどを思い出すことができた。
「あとは戦い方だな……下手にフォトンを使えば南雲や清水にばれてしまう。」
累斗「ホントは隠したくないけどな~、あいつらなら喜々するだろうけど、上がきな臭い。」
「全くだ。」
こうして我々だけ別で特訓をする原因として、
1,アークスということをばれないようにするため
2,国の政治機関に操られないようにするため
主にこの二つだ。あとはルーサーやゲッテムたちと合流できたときに腕が落ちてたら嫌である。(byペルソナ)
累斗「んじゃみんなのとこ戻るか。」
「あぁ。」
~南雲Side~
訓練施設で訓練を初めて一時間ぐらいたった。施設に来た時に子悪党組にちょっかいをかけられそうだったから、先に作っておいた深めの落とし穴に落としておいた。なんだか喚いてたけど天之河君に怒られてたからスカとっした。
そんなこんなで訓練をしてると、視界の端に見覚えのある二人が見えた。
ほかのみんなも気づいたのか、一目散に向かっていく。
「………後で聞けばいいかな?」
あの二人はとんでもない無茶を……知らないところでしてそうだが、自分の目があるところではしていない。何か気にしていそうだが、それは聞かない方がいいと勝手に思ってる。
「……そうだ、防御用の壁でも作ってみようかな。」
累斗たちがみんなに質問でしったかめっちゃになってる間、僕は僕でやれることをやってみる。
……そういえば、服は綺麗なのに全身がすごい汚れてるな二人とも。どんな訓練してたんだろう?
~累斗Side~
訓練施設まで戻ってきたはいいが、南雲以外のクラスメイトがこぞって来た。
やれ「何をしてた?」とか「なんで二人だけ別なんだ」とか言われたが
メルド「二人は今ここにいる全員より強い。悔しいが、俺たちも超えられているからな。それに、二人は《自分たちがわざわざ指導しなくてもメルドさんがやってくれるだろ?》と言われてな……全く、俺たち以上に大人びていているよ。」
「同年代のやつより大人の指導の方が身になるだろ?実際南雲もあんたのおかげで少し吹っ切れてるからな。」
あいつ、この短時間でウィザードのディフェーンド!出来てるじゃん。しかも結構堅そう。
メルド「そうだな。《力が足りないのなら知恵で補う》……工夫をこらせば非戦闘員もある程度は自衛できるってことを知れた。ありがとう。」
「気にしなくていいですよ。それよりみんな、その顔は「どんな訓練をしてた?」って顔だな?」
クラスメイト「「「「「うん」」」」」」(鍵括弧省略)
んなこったろうと思ったぜ。さて、どうボカして話すか……
メルド「俺も気になっていたんだ。わざわざ二人だけ別で訓練すると言ってたが、一体どんな訓練をしてたんだ?」
「あんたもかよ」
下手なこと言うと根掘り葉掘り聞かれるな……
廻斗「そうだな……まず先に言っておくが、俺たちが行っていた訓練は魔物との戦闘を想定としていない。主に行っていたのは対人戦だ。」
クラスメイト「「「「「「!!??」」」」」」(鍵括弧省略)
メルド「……そうか、もう見据えていたのか。」
クラスメイト達が驚く中、メルドだけは落ち着いている。
「そもそもだぞ?俺たちは戦争をするんだ。いつかは人と戦うんだ。なら今のうちに慣れておくのがいい。」
檜山「で、でもよ……二人とも、人殺しをするんだぞ!?何言ってんのかわかってんのか!?」
檜山が喚き散らすように言ってくるが
廻斗「では檜山、お前は魔人族を殺さずに戦争を終わらせられるとでも?」
檜山「!!それは、そうだけどよ……」
「そもそもてめぇに人殺し云々言われたくないね。お前、今まで南雲に何してたか分かってるか?」
メルド「?それはどういうことだ?」
檜山「あ、いや。それは……」
(ざまぁ味噌ラーメン。あ、やべラーメン食いたくなってきた…)
檜山に対して愉悦を感じた累斗。ラーメンのことを考えて涎が出そうになったようだが、飲み込んだようだ。
メルド「あとでいろいろ聞きたいことができたが……ちょうどいい。皆、聞いてくれ。」
そういうと、メルドは明日の予定を言う。実践訓練の一環で【オルクス大迷宮】へ遠征しに行くとのことだ。ようやくか…
メルド「今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ!要するに気合を入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ!では解散だ!」
そう言ってササッとどこかに行くメルド。
またも騒がしくなっていくクラスメイト達に倒して、落ち着かせるように動く累斗と廻斗であった。
~その日の夜~
「ぁーねみぃ……流石にイメトレしすぎたか……?」
訓練が終わり、明日の迷宮遠征のために【ホルアド】という宿場町の宿屋に泊まっている累斗達。
因みに部屋割は技嶋兄弟が一部屋となっている。すでに廻斗は寝ている。
「ったく、檜山はホントやばいな……だが、ここで南雲が覚醒しないとまずいんだよな……」
累斗がそうぼやいていると、コンコンと扉から音がする。
香織「こんな時間にごめんね?香織です。ちょっと話したいことがあって……」
「今開ける。」
扉を開け、香織を招く累斗。
「おや、南雲もいたのか?」
南雲「う、うん。」
「まぁ入れ。粗茶を出すから適当に座って……なんだ起きたのか廻斗。」
廻斗「気配を感じてな…白崎と南雲、どうした?特に白崎」
香織「うっ」
どうやら廻斗は香織が持つ雰囲気に気づいていたようだ。
「はい粗茶。つっても紅茶擬きだがな。」
二人「「いただきます」」
机に置かれた紅茶擬きを飲む二人。それを見て累斗達も飲む。
「うん、相変わらず不味くも旨くもない味だ。」
南雲「本物の紅茶ならもっといい匂いとか味わいが深いんだっけ?」
「俺もそこまで詳しくはない。だが、これは粗悪なのは確定だ。」
そう言い、一気に飲み干す累斗。
「…で、話したい事ってのはなんだ?南雲もいるってことは南雲関連か?」
香織「アハハハ……すごいね、なんでわかるの?」
「俺たちのところにくるならまだしも、南雲を連れてくるってことは南雲関連。しかもその顔だ、よほど深刻なことだと理解できる。」
香織「適わないなぁ……うん、じつは明日のことで……。」
香織が言ったことを要約するとこうだ。
・少し眠ったときに夢で、南雲がいたが声をかけても気づかず、最終的には消えてしまったこと。
・どうしてもただの夢とは思えなくなり、南雲に相談しに南雲の部屋へ。
・南雲も半信半疑でそれを聞き、念のため累斗達にも言ってみようとなりここへ
「なるほど……それで、南雲をここに待機させる気か?」
香織「うん……こんな理由じゃ絶対認められないだろうけど、それでも…」
廻斗「……白崎、確かにその夢は恐ろしい。だが所詮夢だ、現実にはならん……とはいえ、いくら周りが守ってくれるとはいえ、南雲はまだ弱い。」
南雲「うっ」
香織「でも!「なら我々が南雲を護衛しよう」……え?」
廻斗の提案に驚く香織。
廻斗「どちらかが先頭でどちらかが殿になるだろうと予測していてな、ついでだから南雲を殿の方で護衛するようにしよう。」
南雲「……いいの?」
技嶋兄弟「親友を守ることに何か理由はいるか?」
そう言い切った二人に、香織と南雲は言葉をなくす。
南雲「………ハハッ、二人はかなわないや…。」
香織「ホントだね。天之河君がずっと負けてるわけだよ。」
そう香織が言うと、累斗が噴き出す。それにつられるように他の三人も笑い出す。
先ほどまでの不穏な空気から一変し、いつもの雰囲気に戻った。
~約20分後~
香織「ふわぁ~ぁ~……眠くなってきちゃったよ…。」
南雲「僕らのいた世界の時間だと深夜だしね。そろそろ寝ないと明日に響く。」
しばらく雑談していたが、だいぶ遅い時間だということに気づき、部屋から出ようとする二人。
「メルドさんには俺から言っとくわ。」
二人「「分かった、おやすみ~」」
「おうおやすみ」
そして部屋から二人が出ていき、部屋に静寂が訪れる。
(明日、南雲には最悪の運命がおこる……ぼちぼち、俺たちもルーサーたちを探さないとな。)
そう思考し、就寝する累斗。
廻斗(………ん?今、フォトンを……)
~ハイリヒ王国 客人室~
???「ふむ………。」
誰もが寝に入り、静かになっている国の中で、唯一音が鳴る部屋があった。
その部屋…客人室にいる一人の男は、昼間に感じたとある気配に既視感を抱いていた。
???(昼間に感じたあのフォトンの波長……おそらく
累斗と廻斗が持つエネルギー、【フォトン】を感じ取っていた男……
ルーサー「どうやら運命は動き始めたようだ。さて、私もいい加減動き始めようか。」
そう言い、ルーサーは身支度を始める。
今、数多の運命が動き始めた………!
更新遅れてすみませんでしたorz
不定期更新といったとはいえ、ここまで長くなったのは難産であったのと、コラボ小説を執筆していたのもありました。
https://syosetu.org/novel/290753/
こちらが、私が参加しているコラボ作品です。よければ、見ていていただけると幸いです。
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オルクス大迷宮
南雲ハジメに待つ運命が、ついに動き出す……
次の日、累斗達は【オルクス大迷宮】の正面入り口の前の広場に集まっていた。
クラスメイト達はゲームなどで見る洞穴のようなを想像していたようだが、実際は博物館のようなゲートになっており、受付窓口もあり、制服を着ている女性が笑顔で出入り口をチェックしていた。
どうやらここでステータスプレートをチェックすることで迷宮への出入りを記録し、死亡者を正確に把握しているとのこと。戦争を控えているからか、死者を多く出さないための処置なのだろう。入口付近には露店等が所狭しに並び建っており、お祭りのような賑わいがある。
メルド団長に付いていきながらも、気になっているのか周りをキョロキョロしているクラスメイト数名を片目に、その後ろを歩く累斗と廻斗。
~迷宮内~
迷宮内に入ると、そこは外の賑やかとは離れたものであった。
縦と横で5m以上はあるだろう通路が、緑鉱石と呼ばれている特殊な鉱石によって薄ぼんやりと発光している。
この緑鉱石の鉱脈を伝って掘られたのがこの迷宮だそうだ。
一行は隊列を組んでゾロゾロと進んでいく。しばらくの間は何事もなく進んでいたが、ドーム状の広場に出ると、先頭に移っていた累斗の目が鋭くなる。
「………数が多い。10は超えてるな。」
そう言い、腰に携えていたカタナを抜刀する。すると、壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が出てくる。
「あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃあない。冷静に行けよ!まずは光輝たちから前に出るんだ!」
メルドの説明の後、その通りにラットマンが素早い速度で飛び掛かってくる。
それを見た累斗は瞬時にカタナに魔力を流す。すると、刀身に魔力が走り淡い赤色に光る。
累斗・廻斗が持つカタナの形をしたアーティファクト「ハルサクラ」、「ナツウツギ」。なんでも魔力を流すことによって刀身を強化。そこから魔力の刃を出したりできるアーティファクトとのことだ。因みにこれを見たとある二人は「レーザーブレードじゃね?」と言っていたがそこはよしとする。
こちらに飛んできている数体のラットマンに対して、横一文字にハルサクラを振る。
すると、一秒も満たない時間だけ魔力の刀身が伸び、ラットマンを二分割にする。
常に伸ばしているとそれだけ魔力を無駄に消費することを経験から分かっている累斗。某世界の引き金の世界の技の一つのように起動時間を少なくして、魔力の消費量を少なくしているのだ。因みに射程は限界まで伸ばすと地球の直径を超える長さまで伸ばせるとのこと。どこの最強最速の光の巨人だ。
それに続いていく光輝たち前衛陣。聖剣、拳、刀擬きによって半分ほど倒され、そこに詠唱を終えた香織、恵理、鈴の魔法が残っていたラットマンに直撃し、広場のラットマンが全滅する。
「……あぁうん、よくやったぞ!次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めないように!」
生徒たちの優秀さに苦笑いしつつも、散漫しないように注意するメルド。それでも浮かれ気味なクラスメイト達に仕方ないといった顔をする。
「それと…今のオーバーキルだからな?これは訓練でもあるし、実践だと魔石を回収するからな。」
メルドのその言葉にギクッとする魔法女子三人。少し顔を赤らめる。
(恵理の赤面、プライスレス!)
ただ一人、赤面してる恋人に対して心の中で喜ぶ光輝であった。
以下、ダイジェストでお送りする道中でございます。決して描写したくないとかではないのです!ホントなんです!信じt(ry)
~第五層~
「「遅い!!」」
「やっぱ凄いなぁあの二人…ってやばい!?後ろに!?」
「ディフェーンド!からの首狩り!」
「錬成にはそんな使い方があるのか……。」
~第十層~
「十層にもなると魔物も強くなるぞ!十分n」
「八つ裂き…だとコンプラ的にダメだからウルトラスラッシュ擬き!」
「「凄ぇーーーー!!」」
「なんだそれ!?」
「詳しく言うと長くなります。」
~第十五層~
「俺だってやってやる!エクス……カリバァーーー!!」
「うん、ちゃんと制御できてるな。」
「いや待てどうやって剣刃から魔力の放流を出せるんだ!?そんな使い方もあるのか!?」
「これも長くなります」
~第二十層~
そんなこんなでたどり着いた二十層。この階層で一流の冒険者かどうかが区別されるらしい。
最高到達階層は65だが、それは100年前の話とのことだ。超一流で40、20で一流で扱われるようだ。
累斗達は異世界から来た存在だったためあっさりとこの階層まで降りることができたのだ。
とはいえここまでスムーズに降りれたのは騎士団員たちによるトラップの発見である。
「よし、お前たち聞いてくれ。ここから先は魔物が一種類だけでなく複数種類現れ、連携も取ってくる。油断せずに気張れよ?ここを攻略したら今日の訓練は終了だ!」
メルドの声が響き、一同の雰囲気が締まる。
そのまま一同は奥へ進んでいき、鍾乳洞のようにツララ状の壁がせり出している部屋に付く。
すると、先頭組が立ち止まる。訝しむ後方のクラスメイト達だったが、累斗とメルドの声が響く。
「擬態型か。数は……そこまで多くはないな。」
「累斗の言う通りだ、擬態してるのはロックマウント!剛腕な腕に注意しろ!」
その言葉が響き渡り、光輝たち前衛が武器を構え、F〇14で言うタンクである龍太郎が飛び交ってくるロックマウントの剛腕を
龍太郎という壁を突破できないと考えたのか、そのまま下がるロックマウントが大きく息を吸い、
「GuuuuGAaaaaaa!!!!」
部屋全体に響く咆哮をする。ロックマウントが持つ固有魔法“威圧の咆哮”である。言うなればモン〇ンの咆哮(小)であろう。
咄嗟に自身に魔力の膜を張って防いだ累斗だが、彼以外の前衛三人はまんまと食らってしまい一瞬とはいえ硬直してしまう。
その隙にロックマウントが近くにあった岩を魔法支援組の方に投げる。避けることができないため、それを迎撃するために杖を構える支援組だが、次の光景に驚愕する。
その岩もまたロックマウントであり、その剛腕な両腕を開き支援組へ迫る。
「ふんっ!」
しかしそれを予知していた廻斗が香織たちの前に立ち、ナツウツギを振るいロックマウントを断ち切る。
「落ち着け、飛んでくるのは俺がy「許さない…」…ゲッ」
「俺の恵理に手を出そうとしたな……ゆ”る”ざ”ん”!”」
某てつをのように怒る光輝がその手に持つ聖剣を光らせ、聖剣を上段に構え振り下ろす。
「万翔羽ばたき、天へと至れ――天翔閃改め、エクス、カリバァーー!!」
「あ、おいやめろ!」
メルドが止めようとするも虚しく、放たれた光の奔流が残っていたロックマウントを消し飛ばし、更に奥の壁に直撃し一部を破壊してしまう。
ヨシ!と言いたげな顔をして後ろを振り向く光輝だが、廻斗が左腕をブンブン回しているのを見て顔を青くする。
その光輝の後ろで、南雲に何かやらせようとする累斗。
「よしハジメ、岩盤擬きの用意だ。」
「オッケー、お約束だね。」
ほとんどの人は何のことかと頭に?マークを浮かべるが、龍太郎・雫・香織・恵理・清水、そしてこれからそれを食らう光輝は分かっていた。
(お約束って…あー、あの動画のやつか?)
(前に見てた動画のかしら…?)
(岩盤…?あ、もしかしてあの動画のかな?)
(光輝…ご愁傷さまとしか…)
(ブロリーMAD恒例の岩盤浴ktkr!)
(待 っ て ! ? よりによってそれなの!?)
「ディフェーンド!それでちょっと形整えて…オッケーできたよ!」
「ヨシ!(現場猫)廻斗やれ」
「うむ。」
「あー……やりすぎるなよ?」
「メルドさん!?」
唯一の回避策も消えた光輝の顔が絶望に染まる。
「この…馬鹿ヤロォーーー!」
「ふぉぉ!?」
キィーーーン、ドォーーーン……
「迷宮が崩壊したらどうするんだお前。」
「ずびばぜんでじた……。」
((((((なんで岩盤に叩きつけたんだ?))))))(括弧省略)
無事光輝への制裁(お約束)も終わり、今一度空気が軽くなる一同。
すると、光輝の攻撃で崩れた壁を見ていた香織が声を出す。
「……?あれなんだろう…青い、石…?」
一同が香織の見ている壁を見ると、壁から青白く発光する鉱物が花の芽生えのように生えていた。宝石のように輝くそれに、女性陣は目を奪われていた。
「珍しいな。あれはグランツ鉱石、大きさも中々だな…。」
「確か、指輪とかのアクセサリー系統に使われる宝石の原石…だったかな?」
「お?そんなことも調べたんだな?物知りになったな、坊主。」
ハジメが知識を披露したことでメルドがそれを褒める。それを見て嫉妬を感じる女子が…
「あとで頭撫でたりしなさい。」
「うん!」
どうやら落ち着いたようだ。
「だったら俺が回収してくるぜ!」
唐突にその声が響き、鉱石が生える壁を上る男が出る。無論
「っち、面倒なことを」
と言いつつ、無理やりにでも剥がす意思を醸し出したまま壁に向かう累斗。
そして、累斗に付いていったメルドが団員の一人にフェアスコープを使って罠がないか確認させた時、団員が声を張り上げる。
「団長!トラップです!」
しかしもう遅く、檜山が鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が現れる。まるで、クラス全員で転移させられたあの日のようなものが。
そのまま魔法陣が部屋全体に広がり続け、メルドが撤退を指示するが……遅かった。
部屋全体に光が満ち、彼らの視界を白に染める
~???層~
彼らが転移された階層は。異質な空気が漂っていた。転移されたことで、尻餅を突いたりするものがいるが、騎士団や光輝の前衛陣、そして累斗と廻斗・南雲はすぐに立ち上がり、周囲を警戒する。
彼らが転移されたのは巨大な石造りの橋の上であった。橋の下は奈落といっていいほど何も見えず、誰もが危険だと判断していた。
それを確認したメルドが険しい表情をしながら指示を出そうとした瞬間、彼が示した階段のある橋の入り口前に魔法陣が現れ、骨が剣を持つ魔物「トラウムソルジャー」があふれるように現れ、通路側にも魔法陣が現れる。
その魔法陣はどんどん大きくなり、m単位の大きさになると、そこから一体の巨大な魔物が現れる。
その魔物を見た騎士団はそれに対して呆然とし、それを知っているメルドが呟いた言葉が全員の耳に響いていた。
「まさか…ベヒモスだというのか………!?」
(ここまで来た、か……)
(……すまない南雲、本当ならお前を救いたい…だが、ここでお前が
(……せめて、お前を陥れるあいつだけは〆るからな……!)
邪悪な思いを持つ青年の近くに、「何か」が追従するように出てきた。しかしそれは透明になっており、目の前のことにしか目を向けていない彼はそんなことにも気づかず、邪悪な思いを募らせていく。
それを、透明な何かが
To be continue……
遅れて本当にすいませんでしたorz
大学が始まったり、執筆にノリが乗らなかったりとなっており、こんな遅くになってしまいました。
つ、次は早めに投稿するつもりです…
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主人公の決まった
~???階層~
「Gruaaaaaaaaaaaaaa!!!!!」
通路側の魔法陣から現れたトリケラトプスに近しい魔物「ベヒモス」が凄まじい咆哮をする。
その咆哮を聞き、メルドが指揮を出す前に、累斗と廻斗が動き出す。
「「っ疾!!」」
騎士団の団員の一人に持ってもらっていた大剣型のアーティファクトをそれぞれで一本ずつ抜き取り、通路側…ベヒモスの正面に立つ。
「!?おい二人とも何を」
指示を出している途中で動き出した二人に驚くメルドだが、二人が持つ大剣を見た瞬間に察した。
「…!カイル、イヴァン、ベイル!聖絶の準備早く!アランはみんなを落ち着かせて連携させるように言うんだ!トラウムソルジャーを突破しろ!光輝たちも撤退するんだ!」
メルドの指示によって騎士団員たちが動き出す中、光輝が抗議する。
「待ってください!累斗と廻斗がいるのなら俺たちも」
「いいから早くいけ!今のお前らじゃベヒモスに傷どころか抑えることもできないんだぞ!」
「でも!」
「でもじゃない!」
メルドと光輝が口論する中、ベヒモスの正面に立っている累斗と廻斗が交互に詠唱を始める。
「刀身に魔力注入開始及び、全身の魔力による身体能力強化を起動…!」
「魔力属性変更、光属性に変更及び光エネルギーの増幅を開始…」
「刀身への供給完了。大剣型アーティファクトの機能を起動。」
「魔力による身体能力強化、最大値……不足を確認。限界突破を起動…!」
二人の体と大剣が淡く輝き、防御態勢をとる。
そして、ベヒモスが咆哮をしつつ突撃してくる。
「Gruuuaaaaaaaaaaa!!!!」
「「起動せよ――――『光の護封壁』――――!!」」
ここまで来てネタ技かと思うだろうが、これでもまじめな方である。
二人の持つ大剣型のアーティファクト、「バウンサー」は魔力を流すことで刀身の強化だけでなく、二人がやっているように防御に使用することができる。
それによって現れた光の壁とベヒモスの頭部がぶつかり、周囲に衝撃波を発生させる。その衝撃波で何人かのクラスメイト達が転倒したりするが、騎士団員たちに起こされトラウムソルジャーたちの撃破に向かう。
「「――――――――!!」」
ベヒモスが何度もぶつかってくるが、そこはアークスの二人。歴戦の戦士の顔をして耐えようとする。
「累斗、廻斗!!メルドさん、俺は絶対残りm「光輝ぃ!」!?」
なおも駄々をこねて残ろうとする光輝に、ベヒモスの攻撃を耐えている累斗から叱咤が飛ぶ。
「お前は早く階段の方に行け!あいつらに必要なのはお前のカリスマなんだよ!」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間、光輝は過去に累斗に言われたあることを思い出した。
~過去 八重樫道場にて~
「俺がリーダー?」
いつも通り無謀に累斗に挑み、ぼっこぼこにされた光輝が聞いたのは、いつか分からない未来に対しての助言だった。
「そうだ。今はなぜか俺と廻斗がリーダー染みてるが、何かがあって俺たちが動けない時はお前がリーダーだ。」
その言葉を聞いた時、光輝は何を言ってるんだと思っていた。
「冗談にもほどがあるよ累斗。そんなことがこの日本で」
「起きる可能性なんて小数点以下の確率でもあるにはある。」
「!?」
累斗の目を見たとき、光輝は一瞬気圧された。その目は、完全に戦士の目であったのだから。
「俺たちが動けない時はいつ起きてもおかしくない。その時に誰かを導けるのはお前だ。」
~???階層~
「………!!」
それを思い出した光輝は階段の方へ走り出す。その後ろでは下がった累斗と廻斗の代わりに騎士団による純白の障壁「聖絶」によってベヒモスから身を守っていた。
階段側へと着いた光輝は手始めにトラウムソルジャーを数体切り伏せ、声を張り上げる。
「みんな!訓練でやったことを思い出すんだ!連携を取るんだ、早く!」
光輝のその言葉に全員の目が元に戻る。頼れる仲間が戻ってきたのだ、という思いが彼らの動きを活発にさせる。
次々に倒されていくトラウムソルジャーの軍団。無論魔法陣からの増援もあるが、だんだんと押し返しつつある。
すると、“錬成”を駆使して戦っていた南雲が通路側の方へ走っていく。
騎士団員たちが止めようとするが、南雲は止まらずメルドの元へ向かう。
光輝はそれを止めようとせず、ますはこっちをと言うようにトラウムソルジャーを切り伏せる。
(あの感じは、何か策があって向かったに違いない。ならこっちを終わらせる!)
一方通路側では、障壁がベヒモスの攻撃によって罅が入りつつあった。魔力にまだ余裕があったメルドと、
そこに、階段側から走ってきた南雲が到着する。
「坊主!?なんでこっちに来た!」
「策を持ってきたんです。全員生き残れる、唯一の策を」
その言葉を聞いて、メルドはマジかといった顔をする中で、累斗と廻斗はその顔を緩ませる。
「メルドさん、あんたは南雲の策を聞いといてくれ。その間は…」
障壁の展開を止め、両腕の力を抜いてだらっとさせる。そして…
「「俺たちが、あんのクソ魔獣を足止めする。」」
二人は、本来の力を解き放つ。
二人の足元に青い光のリングが出現し、そのリングが二人の足元から頭頂部まで通り抜ける。それと共に二人の衣装が変わる。
累斗は
「え、え、えぇ!?」
「詳しいことは後で説明する。」
そう言いながら、その手に
「すまない南雲、この姿については後で説明する。メルドさんは南雲から策を」
そう言い、
「………ハッ、坊主。策があるって言ったな?一体どんなのだ?」
「…はい!単刀直入に言います……僕がベヒモスを埋めます。」
戻って階段側。
こちらでは戻ってきた光輝を筆頭に、連携しトラウムソルジャーの群れを撃破しつつあった。そこに、通路側から疲弊した団員と共にメルドが戻ってきた。
戻ってきたメルドに団員が驚くが、通路側を見てテキパキと動き出す。
「待ってください!南雲君たちがまだ!」
「坊主の作戦だ!ソルジャーの群れを突破して安全確保、そして魔法での一斉攻撃でベヒモスを抑える!坊主たちがこっちに戻ってきたら中断して上階に避難するんだ!」
メルドから教えられた作戦に驚く一同だが、直後の光輝の発言で目の前に集中する。
「俺たちがこいつらを突破するまで時間を稼いでくれてるんだ!急ぐんだ!」
その光輝の言葉でクラスメイト達の動きが鮮明になり、一気に階段への道が見えるようになった。
「今だ!階段前を確保するんだ!」
メルドからの指示によって、怒涛の勢いで階段前を確保することに成功した。
「前衛、ソルジャーをよせつけるな!後衛は遠距離魔法の準備!坊主の魔力が尽きる前に三人が撤退する!その時に一斉攻撃で足止めだ!」
クラスメイトの中には今だ南雲が?という思いが顔に出ているのもいるが、メルドからの催促で意識を戻す。
だが……一人だけ、ほくそ笑むやつが一人。
絶好のチャンスでもあるこの場面で、
しかし、それを見るものが
そして通路側。そこで錬成でベヒモスを拘束していた南雲は、自分の魔力が尽きるのを感じていた。累斗と廻斗の援護があったとはいえ、もう限界であった。
すると、援護を行っていた二人が地上に降り、南雲の方に走ってくる。
「下がるぞ!向こうは準備ができてる!」
累斗の言葉を聞いて、南雲は錬成をやめ、後ろへ走り出す。しかし、まだ余裕がある累斗と廻斗と違い、南雲は満身創痍である。それ故遅れて二人に着いていくように走り出す。
無論、錬成が止まったことによって拘束から脱出したベヒモスが三人をその目で捉えるが、そこに無数の攻撃魔法が雨のように殺到する。
効いてはいないが、足は止まられている。
何とかなった、と思い顔を緩めた南雲だが……次の光景に目を疑う。
ベヒモスに向かっていた攻撃魔法のうちの一つ、火球がベヒモスへ向かう軌道から曲がり…ハジメの方へ向かうようになる。
「避けろぉ!」
累斗が声を張り上げ回避するように言われるが、咄嗟では避けられず、眼前の地面に火球が直撃する。
着弾時の衝撃で元いた方向に吹き飛ばされる。対してダメージはないが、三半規管がやられバランスがとれない。それでもなんとか立ち上がるが、その後ろでベヒモスが攻撃態勢を取る。
そして、赤熱化した頭部をハジメに向け、突進する。
振り返り、ベヒモスを止めようとする累斗と廻斗。遠くから聞こえるクラスメイト達の怒号と悲鳴。
それらが見え、聞こえつつ最後を振り絞りその場から飛び退く。そして、ベヒモスの攻撃が橋に今まで以上の衝撃を与え、亀裂を大きくしていく。そう、橋が完全に崩れ落ち始める。
ベヒモスが抗うもあっけなく奈落へと落ちていく中、南雲の元へ崩れ落ちていく橋の残骸を飛び移っていき、南雲の手を掴もうとする累斗と廻斗。
しかしもう遅く、南雲の体はすでに奈落の底へ落ちようとしていた。
急いで戻れ、というメルドの声が聞こえ、廻斗が崩れ落ちる橋から退避する中、累斗はその手に精製した合奏の指揮に使うような棒を南雲の懐に入るように投げた後、その場から退避する。
こうして、南雲ハジメの
だが、技嶋累斗が渡したたった一つの者と、これから地上で起こる裁きによって、この世界の運命は歪な形として、修正されるのであった……。
ということでようやくこの段階まで来れました。この先からは奈落のハジメ君の視点が主になりますが、次回の最初は檜山君の最後(笑)からになります。
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奈落の世界、でもその前にクズの処遇
大分長くなると思うので、よろしくお願いします。
南雲が奈落の底へ落ちた。
たったそれだけの情報でクラスメイト達は阿鼻叫喚となる。
特に助けられなかった累斗と廻斗が虚空を仰いだまま黙っており、今すぐにでも南雲を助けに奈落に行こうとする香織。
「離して二人とも!お願い、南雲君のところに行かせて!離してよぉ!」
雫と光輝で羽交い絞めにしているが、その細い体ではわからないほどの力で二人を引き剝がそうとする。
そこにメルドが歩み寄り、首筋に手刀を落とし、気絶させる。
「すまん、だが今は脱出が先だ……彼女を」
「分かってます…光輝君、私が香織を。累斗君、廻斗君。いけ、る……?」
雫が二人を見たとき、二人の雰囲気が異質であることに気づいた。
直接見た雫と、ちらっと二人を見た光輝、メルドだけがその状態に気づいていた
「ふ、二人とも……?」
「「…………………」」
二人に声を変えた雫だが、二人は何も反応せず、そのまま前衛の方へ行く。
「………あの雰囲気、見覚えがある。」
「奇遇ね、私もよ。でも今は…。」
「分かってる……香織を頼む。」
光輝もまた、前衛の方へ赴く。
そして、メルドの指示が走り、一同は階層から脱出し、階段を上り始める
~20階層~
長い、長い階段を登り切り、登り切った先の壁の仕組みを起動させた扉を潜り、元いた20階層の部屋へとたどり着いた。
たどり着いたという事実で、既に疲労困憊だったほとんどのクラスメイト達が壁によりかかったり、座り込んだり、中には泣き出すものもいた。
その中で、そんなこともせず戦闘態勢を取り続ける累斗と廻斗。
「……メルドさん。魔物は沸くのに時間がかかりましたね?」
「ん?ま、まぁそうだが…待てお前ら!?」
メルドの注意も聞かぬまま、ちらっと見えた魔物の群れに突撃する累斗と廻斗。その先から魔物の断末魔が大量に響き渡り、さすがのクラスメイト達も気を引き締める。
「累斗、廻斗………。」
光輝が二人の名前を呟く。20階層には、射撃音・斬撃音と共に、魔物たちの断末魔が響き続けていた。
~ホルアドの宿屋~
疲労困憊のクラスメイト達の多くは、部屋に付く瞬間にベッドにダイブし深い眠りに着いていた。
中には生徒同士で話し合っている者もいたが、そのほとんどは寝ていた。
しかし、四人だけ、メルドがいる部屋にいる生徒がいた。
累斗・廻斗・光輝・雫である。
「それで、どうしたんだお前ら……?今日はもう休めといったろ?」
そうメルドが口にするが、累斗と廻斗が放つ異質な何かを感じ取ると、部屋に魔法をかける。
「…防音魔法をかけた。まさかこんな使い方をするとは思わなかったがな…。」
そう言うと、メルドは四人に紅茶擬きを作る。
いただいた紅茶擬きを飲み切り、まず累斗が発言する。
「すまないメルドさん。どうしても、この面々だけで話がしたかった。」
その言葉を聞き、メルドは思いわたる節を考えようとするが、直後の累斗の発言に驚愕する。
「ハジメを奈落に落とす原因を作ったやつについてだ。」
「「「!?」」」
「……………。」
メルド・光輝・雫が驚く中、神妙な顔をする廻斗。
「ど、どういうことだ!?」
「今から見せるものは、あの時俺がマグを使って撮った動画だ。」
「「「マグ?」」」
マグ、という言葉に疑問を抱く三人だが、部屋に突如現れたモノに大いに驚く。
それは、宙に浮かぶ丸い機械であった。正面にある目のようなものを動かし、メルド・光輝・雫を見た後、累斗と廻斗を見、空に映像を映し出す。
「……!?こ、これは……!?」
「嘘、だろ……!?」
「……何でよ……!?」
三人が思い思いにその映像に驚愕する中、累斗が話し始める。
「……この映像を見ればわかると思うが、南雲はただ逃げきれずに奈落に落ちたんじゃない。
あいつはな……南雲に嫉妬してたんだよ。」
累斗の発言にあっけにとられるメルドと雫だが、何とか感情を抑えている光輝が累斗に質問する。
「……嫉妬?南雲に?檜山が?」
「香織だよ。」
「「「!?」」」
更に驚く三人。そして、静かにしていた廻斗がその悪意の中身を暴露する。
「あいつは、香織のことが好きだったそうだ。クラスのマドンナ的存在だったからな。それ故あいつも恋をしていた。だが……」
「香織は南雲に気をかけていた…ということか?」
メルドの言葉に肯定するように、しっかりと頷く。
「………ただ、嫉妬で南雲を殺すマネをしたっていうのか…?」
「そうだ。」
光輝の発言に肯定した累斗。瞬間、光輝から
「………ふざけるな!なんでそんな理由で、クラスメイトを殺そうとするんだ!どうして…どうしてなんだ……!」
光輝がその場に崩れ、涙を流す。その言葉に廻斗が発言する。
「やつにとってはそれだけで十分だったんだろう……自分の好きな女が気にかけている男だ、いじめもするさ。」
その言葉にまたもや驚く光輝。だが、その顔は困惑であった。
「……これから、どうする気なんだ?二人とも。もしこんなことをみんなの前で言ったらクラスは!」
「……待て光輝、貴様隠す気か?」
光輝の発言から隠蔽しようとしていると判断したのか、廻斗が口をはさむ。
「こんなの、みんなの前で言ってみろ……クラスは崩壊するかもしれないんだぞ!仲間を殺したんだ!そんなやつと一緒にいられるわけ「ふざけるなぁ!」!?」
光輝の言葉に被せ、更に光輝の首を掴む累斗。
慌てて止めようとするメルドと雫だが、廻斗に制止される。
「それこそ内部崩壊のきっかけになるんだ!ぼかして「この中に殺人鬼がいる」と言ってみろ!それこそ完全な崩壊だ!今までの全てがパァになる!全員で生きて帰れなくなるんだぞ!」
「!?」
累斗の発言に驚愕する光輝。そして、首を離し光輝を降ろす累斗。
「メルドさん、明日の朝時間をくれ。そこで、すべてを話す。」
「………分かった。」
「メルドさん!?何を」
「光輝、これは隠してはいけない。それ以上に…これを有耶無耶にしたらもっとひどいことになる。」
メルドはそう言うと、光輝は悩みに悩む。
……そして、口を開く。
「…分かり、ました…でも累斗。檜山が否定したり、逃げたりしたらどうする?」
「決まっているだろう?」
そう言い。その右手に
「俺が裁く。」
その言葉を聞き、光輝ははぁ…とため息をつく。
「そこは変わらないね、ホント……任せるよ。」
「分かった。」
~そして翌日~
宿屋の近くにある広場にて、生徒たちは集められていた。
あんなことがあったのに、訓練をするのかと思っている生徒もいれば、まだ眠いのか目をこすったりうたた寝したりする生徒がいる。
そこへ、メルド・累斗・廻斗が皆の前に立つ。メルドさんははともかくなんであの二人も?という考えをする生徒が出る中、メルドが声を張り上げる。
「おはようみんな!まずは…昨日はお疲れさまだ。よく生きて戻ってきたな。」
その言葉で数名かがざわざわする。
「でもメルドさん、南雲は……。」
そう言った清水の顔は、沈んだ顔をしている。
そこへ、累斗が発言をする。
「今日集まってもらったのは他でもない。南雲が落ちた原因が分かったからだ。」
「「「「「「「「!!??」」」」」」」」」(鍵括弧省略)
累斗の発言に驚愕する生徒達。その中で、一人震えだす
(な、なんで原因とか言うんだ!?あの時累斗はあのデカブツの方に…!)
「その証拠を今ここで全員に見せる。よく見ておけ……!」
その言葉と共に、累斗の横にマグが現れる。ほとんどの生徒が驚く中、キラキラした目でマグを見る清水。
(あとで説明してくれ、でもこれいい!って目をしてやがる。)
そして、マグからあの時の映像が流れ始める。
最初に映るのは階段側で戦っている面々の様子。
一人一人を映していき、遠目から通路側…ベヒモスの様子を映す。
その様子に驚愕する生徒達だが、次の視点に映ると更に驚愕する。
継ぎに映ったのは、撤退する直前。つまり、魔法によるベヒモスの足止めの時の映像であった。
しかしそれは全体ではなく、
檜山だけを映す映像に違和感を抱く生徒達だが、次の映像を見たとき、誰もが檜山の方を振り向いた。
それは、檜山の手から放たれた火球が放たれ、その軌道が変わり、南雲の元へ飛んでいく映像だったからだ。
「「「「「「「「!!??」」」」」」」」(鍵括弧省略)
「ひぃ!?」
こんなものを見せられればこうなる。寧ろばれないと思っていたのか、
「ま、待ってくれ!これは嘘なんだ!南雲が落ちた理由を俺に擦り付けて正当化しようって「黙れよ」…ヒィ!?」
言い訳を言っていた
「お前が言い訳をせず、この場で謝罪して心を入れ替えると言っていたのなら、まだ許していた…だが、もう限界だ。」
累斗の手に
「ま、待って……!?」
「……その身、断ち切る。」
上段に構えられた刀を振り下ろし……
「ぁ…ア…ガッ・・・!?」
「左腕だけで良いと思え。本来なら一刀両断するところを、メルドさんが止めろと言ったんだ。」
そう言い、刀を納める累斗。渋々とした顔で止血を行い、無理やり檜山を立たせる。
「じゃあメルドさん、あとは頼みますわ。」
「分かった……立て檜山、こう見えて俺も怒ってるんだ。相応の覚悟をしておけ。」
「っ……はぃ……。」
こうして、檜山は南雲を殺そうとした、というより殺したも同然の罪で王国の方で裁かれることになり、暫くは王国の地下牢獄に入れられるのであった。
~4日後~
檜山が断罪されてから四日後。
ハイリヒ王国の王宮、その中の一室で眠っていた香織が目を覚ます。
無論、南雲がいないことを知り探しに行こうとするが、雫から火球の放った檜山のこと、檜山を累斗が裁いたことを聞き、驚愕する。
「そう、だったんだ……檜山君が……っ!」
「大丈夫……ではないけど、今は牢獄にいるらしいわ。累斗が言うには香織が一言いえば後は問題ないって。」
「私が……?思いっきり殴っちゃダメなの?」
「どうかしら……一発ぐらい殴ってもいいなら私も殴りたいのだけれど。」
この二人、意外にも強い。
すると、部屋の扉が開き、累斗・廻斗・光輝・清水が入ってくる。
「あ、累斗君たち……。」
「起きたみたいでよかった。累斗と廻斗が俺たちに話したいことがあるっていうからここにきたんだ。」
「私たちに?」
それに対して頷く累斗。その後ろで扉と部屋全体に魔法をかける廻斗。
「施錠と防音を施した。これで問題ない。」
「よし……四人とも、今から言うことに対して何度も驚いたり困惑するだろう。でも最後まで聞いてくれ。」
累斗のその言葉に頷く四人。
「では単刀直入に言う。俺と廻斗は……
「「「!?」」」
「やっぱそうだよなぁ……。」
光輝・雫・香織が大いに驚く中、納得したように大きく頷く清水。
「清水、いつから気づいてたんだ!?」
「いやまぁ、最初は訓練の時だよ。わざわざ俺たちとは別で訓練をしてるってことは、何かとんでもない力を持ってて、それに慣れるために隠れて訓練してるって考えたんだ。それに、同学年にしては超大人びてたし、極めつけは檜山が斬られた日。あの丸いやつ…マグっていうんだよ。あれで確信した。」
「「流石俺たちの同志。分かってくれていて感謝している。」」
「だろ?」
「???」
清水のヲタク思考による超把握を聞いて感謝する累斗と廻斗。それを聞いて頭に?マークを浮かばせる香織。
「あー、つまりだな。俺たちはお前らより戦いなれてるし、年も取ってるってことだよ。」
「……何とか納得できたけど、なんで私たちに言うの?」
当然の考えを口にする雫。
「南雲が生きてることを知ってる理由として言っとかないとダメだって思ったからな。」
「!!!!南雲君が生きてるの!?本当!?」
累斗の解答に大きく驚き、ベッドから飛び起きて立ち上がる香織。起き上がりでこの行動ができるのは十分凄い。
「あぁ本当だ。これは俺たちの未来知識と俺が南雲に送ったタクトの反応で確認したからな。」
「「「タクト?」」」
聞き覚えのない単語を聞き困惑する三人だが、目を光らせている清水が代わりに答える。
「タクトってのはペットっていう……簡単に言えば使い魔を使役する棒型のアイテムなんだ。タクト自体でも攻撃はできるけど、最大の特徴はペットを使った攻撃!タクトを指揮棒みたいに振るうと、ペットがそれを確認して攻撃をするんだ!というかやっぱアークスだよな二人とも!早くいってくれよ!」
清水のヲタク特有の早口で説明し。三人はなんとか納得する。
「未来知識…はともかく、なんでタクトの反応で南雲君が生きてるってわかるんだ?」
「タクトの反応があるってことはタクトを使ってる存在がいるってことだ!つまり南雲が生きてて、今ペットを使役して戻ろうとしてるってことだよ!」
「「「!!!!」」」
清水の説明に驚愕する三人。その説明に対して頷く二人。
「よかったぁ……よ”がっだ”ぁ……!」
「よしよし、今のうちに泣いておきなさい。」
「ありがどう雫ちゃん……よ”がった”よぉ……!」
雫が泣き崩れる香りを抱きしめあやす姿は、まごうことなき百合の雰囲気!
「な、なんか二人に百合の花が見えるんだけど……?」
「これが百合だよ光輝。これぞてぇてぇだ。見ろ。」
「「かお×しずてぇてぇ」」
「累斗と廻斗がああなってる。」
「うわぁ……。」
~数分後~
「光輝。お前は後でしばくが、その前にお前らに言っとくことがある。」
「岩盤だけは勘弁してくれ……それで、言うべきことって?」
累斗と廻斗の拝みに引いてた光輝がシバかれることが確定したが、言うべきことを言おうとする。
「特に光輝に言っておく。…戻ってきた南雲を、否定するな。」
「南雲がお前たちの元に戻ってきたときには、見た目も、性格も、価値観も全て変わっているだろう。だが否定するn「否定するわけないよ」…!」
「だって……私は南雲君のことが……大好きだから。絶対に否定しないよ、どんなに姿が変わっても、絶対に。」
「私もよ。というより、光輝が変わったところを見てたんだから慣れたモノよ。」
「俺と南雲は同志だからな!ハーレムになってようが俺は認めるぞ!うらやましいけど!うらやましいけど!」
「清水……俺も気にしないよ。だって、南雲君は南雲君だからね。」
それぞれで違うとはいえ、南雲を否定することはないと言う四人。それに対して累斗の顔が緩み、笑顔になる。
「んじゃ、俺ら二人がいなくてもこれからはなんとかなるな。」
「「「「…………え?」」」」
「そういえば言ってなかったな…私と累斗は、少ししたら旅に出るつもりだ。」
二人のとんでも発言に言葉を失う四人。そして
「「「「………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」」」」
防音された部屋の中で、驚愕の叫びが響き渡るのであった。
~奈落~
「あぐっ、がむっ、やっぱまずいなおい。よく食えるなジンガ。」
「ワンッワンッ!(そういうナグモさんもよく食べる気しますね。)」
奈落の奥底にて、
本来ならば、人間が魔物の肉を食らうことは禁じられていた。しかしこの奈落ではろくな食物があるわけない。なので青年……南雲ハジメは魔物の肉を食らったのである。
その結果、日本人の特徴であった黒髪が白髪となり、細身で筋肉がなかった肉体が、筋肉盛り、チョイ細マッチョマンになったのである。
「だがおかげで魔法陣がなくても魔法が打てるようになったのはいい。これでやれることが増えた。」
そう言い、悪魔のような顔をする南雲。この数日で色々変わった彼は、自身の手に入れた技能の力を元に、とあるものを作ろうとしていた。それは、剣や魔法が主なこの世界に似つかわしくない「兵器」であった……。
彼が寝食を忘れ、没頭するするほど時間が経ち、ついにそれは完成した。
そう、ドンナーと名付けられたリボルバー銃である。
「これで脱出と……あの化け熊をヤれる…!」
その顔に薄ら笑顔を浮かべ、南雲は動き出す。
その心に、復讐心と浪漫を浮かべながら……
道中で二尾狼や蹴り兎を狩りつつ、目的である爪熊を探し続ける南雲。その後ろに着いていくジンガ。
南雲は、あの時託されたタクトのことを思い出していた。
(あの時累斗は咄嗟にタクトを俺に投げ渡した……ってことはやっぱアークスだったってことなんだよな。ご丁寧にペットをつけたままってことは、あの時だけサモナーになってたってことだ。瞬時にクラスチェンジできるとかチートか?…いや、今の俺が言える立場じゃないな。)
自分の状態が彼らに近づいていることに嬉しく思いつつも、元には戻れなくなったなという寂しい気持ちが現れ、それをかき消すように首をふる。
「んなことより先にこっちだ………ようやく見つけた…!」
彼の目に、仇敵の爪熊が見えた。彼の左腕を喰らい、彼の心を砕いた宿敵。
自身を変えた要因である爪熊を倒すことで、南雲は今の自分が完成すると踏んでいた。
故に、南雲は爪熊が自身にやったことを思い出し、ドンナーの照準を爪熊の左腕に定める。
自身に向かってくる存在に困惑しつつも、戦闘態勢を取ろうとする爪熊。
しかし、爪熊の死角にいつの間にか移動していたジンガが攻撃をする。
それに気を取られ、そちらを見てしまったが故に、南雲の攻撃に反応できなくなった。
ドンナーから放たれた銃弾は、“纏雷”による電磁加速で更なる加速をもって、爪熊の左腕を吹き飛ばす。
「GuGyaaaaaaaaaaaaa!!??」
今まで感じたこともない痛みだったのだろう。出すことがなかった悲鳴を上げる爪熊。
それを見たジンガが再度攻撃しようとするが、南雲が爪熊の元に投げたものに気づき、後ろを向く。
無論、爪熊は痛みに耐えつつも自身の元に投げられたものに視点を動かす。
緑色に輝く形が整った鉱石、「緑光石」があった。しかし、それが何かを爪熊が認識する前に、緑光石が強烈な光を放つ。緑光石の特性を生かした
視覚情報を失った爪熊がその場で暴れるが、南雲はお構いなしに吹き飛んだ左腕の元に赴く。
そして、左腕の元に着くとその左腕を
少しだけ回復した視角でそれを確認したのか、南雲に襲い掛かろうと突進していく。
しかし、南雲に届く前にその身に雷が襲う。
わざと乱暴に掲げたのは、其の腕から噴出している血を周囲に飛び散らせ、“纏雷”による感電攻撃をするためであったのだ。
感電によるダメージで、自身の血だまりで倒れる爪熊。本家の“纏雷”より火力は低いが足止めには十分だったのだろう。
そして、腕を食べたことによる痛みを我慢しながら、収納していたドンナーを引き抜きながら倒れている爪熊の元に赴く南雲。
南雲も、爪熊も、お互いから目をそらさずにいる。そして、ドンナーを爪熊の頭に押し付け、引き金を引く。
「糧になれ。それがお前の終わりだ。」
こうして、奈落に堕ちた一人の青年は、「ただ生きて、元の世界に戻る」という意思の元に、邪魔するものすべてを滅する存在へと至った。
さすれば、ここで祝福の言葉を捧げよう。
はい、ということでようやく区切りがつくとこまでいきました。
こっからは基本的に累斗達の視点で書きますが、時々南雲君の視点で書くこともあるかもです。
そのうち設定集でも書こうと思ってますので、投稿されたらそちらもどうぞお願いします。
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旅の準備、そして敗者との再会
~ハイリヒ王国 王宮内の一室~
「きゅ、急に何を言ってるんだ二人とも!?」
防音魔法によって外に声が漏れないようになっている部屋で、光輝が声を荒げる。
「落ち着け、これにはわけがあるんだ。」
「落ち着いてられるか!なんで、旅にでようとするんだ!」
理由をどうしても聞きたいのだろう、累斗の服の襟を両手で掴みかかる光輝。
「だから落ち着けといってるだろう。これは俺たちにとって重要なことだ。というか清水ならわかるだろう?」
「……あー、異世界系でよくあるあれか。」
「「「あれ?」」」
?マークを頭に浮かべる三人に説明をし始める清水。
「えぇとな、ますこういう異世界転移系のラノベってのは強すぎるやつにいちゃもんつけて追放したりするんだよ。なんでかってのは強すぎると反逆されたときに手に負えないからとか、そういう身勝手な理由なんだ。それを回避する、というか関わってくるのが嫌だから旅に出るんだろ?」
「まぁな。」
「そういうことなんだぁ……」
清水の説明でなんとなく理解したのだろう、香織と雫が頷く中光輝は苦い顔をしている。
「こればっかりは仕方ない。もうメルドさんには言ってあるから今更キャンセルはしないぞ。」
「動くの早!……俺が着いていくのは、だめなんだろ?」
光輝の問いに大きく頷く累斗。
「よくわかってるじゃないか。お前には王国内でクラスメイト達を率いてもらうつもりだ。雫にも頑張ってもらうぞ。」
「嘘でしょ、私にもやらせることあるの……?」
雫がほんの少しげんなりする中、清水が意外な発言をする。
「なぁ累斗、廻斗。俺は着いてっていいか?」
「「「え!?」」」
「は?」
清水の発言に流石の累斗も困惑する。
「待て清水、何を考えてる?確かにお前には何も言ってないが「累斗、その目は何だよ」…!」
清水からの言葉で、今の自分が光輝達にどんな目を向けていたかに気が付いた。
「累斗から見たら俺たちは
清水の言葉に、累斗は言おうとした言葉を抑える。
「……一本取られたな。」
「全くだ。前に言っただろう、その目はやめろと。」
「いやぁ、こればっかりは前世の記憶があるから…。」
「あー……それで、俺はいいんだよ、な?」
清水の言葉に仕方ないといった感じで頷く累斗。
「構わないが……俺たちに着いてくるってことは、、それ相応の強さを持ってもらうぞ?」
「あたぼうよ!アークスになれるんなら本望だぜ!」
「お、おう…」
清水の押しに少し困惑する累斗。
「ンンッ!兎に角、光輝はしばらくの間クラスの方を頼む。それを雫が龍太郎と一緒に補助、香織は南雲が戻ってくるまで一緒にいること。必ず戻ってくるからなあいつは。そして清水!お前は明日の朝に適性検査をする、遅れるなよ。」
「わ、分かった!」
~翌日の朝~
「いやー、朝から色々騒がしかったなホント。」
「主に二人のせいだぞ、愛子先生に反対されても押し切ったのはすごいけど。」
「あの程度で押し切れないわけがない。マトイに言われていたら迷うかもしれんが。」
「分かる。」
「えぇ……。」
王宮がある土地の一区域で、累斗・廻斗・清水がいた。
そう、彼らが旅に出ることをクラスメイト達に話した結果、皆から行かないでくれといった声が上がったのだ。無論畑山先生も「危険すぎる」と言い、三人を止めようとするが、そこにメルドが現れ、二人が旅立つ理由を説明した。それでも、と尚も説得しようとした愛子先生に対して、
「先生、今のクラスの状態は危険すぎるんです。なんせ俺と廻斗に頼りっきりになってるんだ。」
「それでいいじゃないですか!わざわざ離れて危険な旅をしなくても「私たちはやることがある」…廻斗君?」
「先生、私たちにはやるべきことがある。その先に、クラスメイト達が必要な場面があるんです。だが私たちが付きっきりでいると、皆頼りにしてしまう。私たちがいないと何もできない状態になってはいけないんだ。」
「そのために俺たちはいったん離れる。あ、清水も一緒だ。」
「すいません先生。でも、俺は二人に着いていくつもりです。」
「清水君……。」
こんな会話があり、三人は漸く旅の準備をするところであったのだ。
「さて………いるんだろ?
「なぜ間違えた。」
「はぁ、はぁ…敗北者?」
「反応するな、話がそれる。」
「「あ、はい」」
三人がコントしている間に、三人の共に一人の男が現れる。
「やぁ
「ようルーサー、相も変わらず胡散臭い動きしてたな?メルドさんにお前のことを聞いたら苦い顔してたんだが?」
「ふむ、別におかしなことはしてないんだがね…あぁもしかしたら、君たちが来る前に迷宮に入る時、私もついていって色々調べてたからかな?」
「余計なことを…清水、見ての通りこの男は
廻斗の言葉に清水の目が輝き、ルーサーを見る。さすがのルーサーも少し困惑している。
「…彼はなぜ僕をあんな目で見てるんだ?」
「俺と同じ。」
「あぁなるほど……はじめましてだね、清水君。僕は
「ほ、ほほほほほ本物だぁ…!あ、ドーモ ルーサー=サン 清水幸利 デス」
「ニンジャスレイヤーやめい」
「なんだいそれ?」
「日本のアニメのネタ枠だ。詳しくは地球に戻ってからだ。」
「いいだろう。」
「んんっ!」
このままだと話がそれまくってしまうので、一度咳ばらいをする累斗。
「ルーサー、さっそくで悪いが他の面子はどうした?」
「ふむ、
「ルーサーが謝るの新鮮だなぁ。リアルだと中の人」
「「それ以上はいけない」」
中の人ネタは限度をもってしましょう!
「それで?ゲッテムはどこにいるんだ?」
「彼はここから離れた町にいるようだ。どうやらオメガでの僕のように、貴族がいる街だね。」
「貴族ってことは……ブルックの街か?あそこで冒険者をやってるのか、はたまた貴族の護衛とかやってるかだな。」
「奴の性格上、護衛などやらんだろう。」
「「確かに、ゲッテム(ハルト)はそんなのやらないな。」」
「プックク…彼が聞いたら怒り狂うだろうね。」
「「「確かに」」」
ゲッテム君はイジリ枠です(by投稿主)
「それで、君たち二人はともかくとして、清水君はアークスではないのだろう?」
「これからアークスにさせるんだよ。もう覚悟は決まってるみたいだしな。」
そう言われ、清水の顔が強張る。
「ふむ、ならクラスは決まっているかな?君がやってみたいものでもいい、僕たちの編成を見て考えるのもいい。」
「そう言われるとなぁー…累斗と廻斗は全クラスできるのずるいぜ。状況ですぐ変われるんだし。」
「リキャストは流石にあるぞ?と言っても1秒もないが」
「ちくしょう強い!さてはエンドコンテンツも最後までクリアした廃人だったな!?」
「よくわかったな。って待て俺は廃人じゃないエンジョイ勢だ!」
廃人発言に異議を示す累斗。筆者もエンジョイ勢です(鋼の意思)
「落ち着けお前たち。廃人だろうがエンジョイだろうがどうでもいいだろう。」
「「どうでもよくない!」」
「……そうか。」
「ツッコミは君に任せるよ」
「ルーサー貴様ぁ!」
~閑話休題~
「さて、結局はメインにレンジャー、サブにフォースって構成になったが、どうだ?」
少し時間が経ち、アークスになった清水に調子をうかがう累斗。
「テクニック使えるだけで元の職業の力使えるの便利。」
「そこか…まぁ分かる。」
「なるほど、こちらの世界の職業によっては、テクニックで代用が可能と。」
「そういうことだ。俺たちは魔道戦士って奴だ、フォトンが魔力に置き換わってただけだったがな。」
「ほぉ?それはまた興味深いね…。」
ルーサーが興味を示しだしたところで、一度話を戻すように咳払いをする累斗。
「ンンッ、清水の準備もできたし、そろそろ飯とか野宿の用意をしないとな。」
「飯は最悪そこら辺の木の実でも食べれば…。」
「なんなら魔物の肉でも食べてみるか?」
「死ぬんじゃなかったっけ!?食ったら!」
「「俺たちは問題ない。」」
「ちくしょうそうだったダーカーの肉食ってんだったなぁアークスって!」
「あれの肉を食べてたのかい……?」
「よく知らんが浄化はされてたな。」
「よく知らんが!?」
「得体のしれない食べ物への抵抗感はすでに無くなっている……。」
「あ……。」
廻斗の過去、というより黒歴史のようなものの一部に気付いた彼らであった……
~数時間後~
「ヨシ!これで野宿になっても心配はないな。」
「アークス様様だよな、これ……ポーチに大きさ関係なく何でも入るのって。」
そう言いながら、ポーチへ食材や調理道具をしまい込む清水。その隣でルーサーも自身が買ったものをポーチ内に仕舞っている。
「ふむ、こうして考えると、つくづくこの世界の技術が進んでいないことに少し違和感を抱くね。」
「「「それはある。」」」
「というか、累斗はその理由知ってるだろ?」
「まぁな、だがまだ言う気はない。」
このトータスの科学技術の進み具合の遅さにとある神が関わっていることを知ってはいる累斗。
(ここでんなこと言ったら使徒が来る可能性が高いしな、あのクソ神はヘルアンドヘブンで消してやる)
この男、神とはいえ生身の人間にとんでも技をやる気である。慈悲などないが
「まるでFF10だな。」
「それは言える。」
「それじゃあ、行くわ。」
「あとは頼んだぞ、お前たち。」
ブルックの街、というよりライセン大峡谷の方面への道の入り口で、四人はクラスメイト達とまた会っていた。
見送りだと本人たちが言っていたことから、今更引き留めに来たわけではないようだ。
「……南雲のことと、檜山のことで、皆心が揺らいでる。畑山先生が抗議してくれたおかげで希望しないクラスメイトの一部は畑山先生についていくになったり、城下町で暮らすことになった。」
「……………。」
「希望したメンバーだけで今後は訓練をすることになった。……これで、よかったのかな?」
「……………。」
光輝からの報告で今のクラスメイト達の状況を聞く累斗たち。
「……そもそも、この世界から見て俺たちは
「でも!」
「でもじゃない!…情けない顔をするな、光輝。」
「っ……。」
累斗からの指摘に慄く光輝。
「今のリーダーはお前だ。リーダーのお前がそんな顔をしてどうする?」
「……俺は……俺は…っ!」
悩みに悩み、思考の海に落ちそうになる光輝。
「…あーもう!うじうじ悩まないの!」
「ぐへっ!?」
見かねた雫が、光輝の後頭部をはたく。
「いい?累斗たちがいなくなるってことになるこれからは、あんたが皆を引っ張っていかなきゃいけないの!そのあんたがそんな顔してたらみんなが不安になるでしょ!」
「雫……。」
雫からの叱咤に少し顔が良くなる光輝。
「ねぇ三人とも、戻ってくるのよね?」
「だいぶ先、だがな。」
雫からの問いに答える累斗。それを聞いて安心したのか顔が緩む雫。
「ほら、戻ってくるとは言ってるでしょ?なら今を頑張るわよ!」
「………分かった。必ず、戻ってきてくれ。」
「あいよ………じゃあな。」
こうしてアークスたちは旅立っていく……次に彼らを待ち受ける運命は、錬成の魔王との出会いであった…。
「ところで、道中はどうやって移動するんだ?」
「「走る」」
「……僕は科学者なんだけどね?」
「「知るか」」
変なところで切りましたが、ひとまずはここまでです。
でもここからが問題で……南雲が奈落に落ちてから、ユエと一緒に地上に出るまでどんぐらいかかってるのかわからないんですよ()
原作小説を読むと1ヶ月以上はかかってる気はするんですけどねぇ…そこらへんはあんとか数えてみるしか…
ということで次回をお楽しみに!
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大迷宮のさらに下へ…
あと、小説仲間から「ハーメルンだと台本形式は好かれてない」と聞いたので、今回から一人称形式で行こうと思います。下手だったら遠慮なく言ってください。初めて書くものなので
―――オルクス大迷宮―――
~清水Side~
南雲がオルクス大迷宮の奈落に落ちてから、一週間と半分が経った。
あの日から数日たった日に旅に出る累斗と廻斗、ルーサーさん、そして
事前に情報を手に入れて、光輝達がいないタイミングで迷宮内へと入ることになったんだが…。
「んなまどろっこしいことしなくてもいいじゃねぇか、なんだ?勘違いでもされてるのか?」
「そういうことじゃないんだよ。」
ゲッテムハルトさんのの疑問に対して、累斗が答える。
「今あいつらは俺たちがいなくてもなんとかなるように訓練してるんだ、その途中で俺たちと会ってみろ、意味がなくなる。」
「ッハ、相変わらずお仲間意識が高いことで、
「……………。」
「…頼むから無言で笑顔になりながら拳を上げんな!怖いんだよそれ!?」
俺が知ってる通りの性格のゲッテムハルトさんなんだが、累斗の「無言+いい笑顔+フォトンを纏った拳」を見ると凄い怖がる。コジ…じゃなくてフォトンパンチはそんなに痛いのだろうか?
「それで、どこまで潜るつもりだい?情報によれば、君たちの同期たちは60層…君たちが戦ったというベヒモスがいる階層にもうすぐたどり着くそうだぞ。」
ルーサーさんが得た情報を言ってくれる。
60層…檜山がやらかして飛ばされたあの階層…か…。
「どうするんだ?」
俺はそのまま累斗に促す。このパーティのリーダーは累斗だ、パーティメンバーはパーティリーダーの指示に従うのが常識だ。
「…今回潜る目的として、大迷宮のさらに下にある【真の迷宮】に挑戦して、とある魔法を手に入れるためだ。」
「とある魔法?」
累斗からはある程度迷宮の真意を聞いてはいたが、魔法については初めて聞いた。
「神代魔法というものだ…詳しくは迷宮に潜ってから話す。受付してくる。」
そう言って、累斗が受付窓口に行く。俺たちの分もやってくれるとのことだ。
「おい、清水つったか」
「?はい、どうかしましたか?」
急にゲッテムハルトさんに声を掛けられ、困惑する。俺なんかやっちまったっけ?
「てめぇはまだまだ弱ぇ。いくら慣れたつっても俺たちより場数は踏んでねぇ。」
「…はい。」
実際その通りだ。アークスとして戦い続けたこの人より、自分はまだまd「だが、あいつが認めた奴だ。背中は任せたぜ?」
「……え?」
今、認められた?自分が?
急に認められて困惑する俺の前で、ゲッテムハルトさんとルーサーさんが口喧嘩をし始める。
「いきなりそんなことを言うとは、やはり君は『ツンデレ』というものだね?もう少し優しくしたらどうだい?」
「うるせぇルーサー!つかツンデレってなんだ!?俺だっててめぇと違ってまともな頭してるわ!」
あ、ゲームでよく見た光景だ。
「受け付け終わったぞ、さっさと入る……喧嘩してる暇あったら廻斗みたいに武器の整備でもしてろよ。」
戻ってきた累斗が二人の口喧嘩を止める。やっぱよく見た光景なんだろうか。
「ったく、なんでこいつもついてくるんだよ。研究者だったら部屋にでも引き籠ってろよな。」
「それはこちらの台詞だよ、君のような脳の中身が筋肉と戦いだけのアークスとは嫌だね。」
「んだとこの全知(笑)研究者!」
「君は闘争(笑)アークスだろう?」
「あぁん?」
「んん?」
あーもうめちゃくちゃだよ、入口の前で喧嘩を始めちゃった…あ、累斗と廻斗が二人の後ろにって手刀で気絶させた!?
!?
「さ、行くぞ清水。ここで道草食ってる場合じゃない。」
「お、おう…。」
累斗と廻斗が気絶した二人を藁縛りで縛って背中に背負って迷宮内に入っていくその後ろをついていく。
序盤からこんな雰囲気で大丈夫なのかな…?
―――オルクス大迷宮内 20層―――
~ゲッテムハルトSide~
ギルドに無理やり気絶させられて、気づいたら大迷宮とやらの20層に着いていた。
あいつが聞いたが、この階層でトラップを踏んだ方が下に行くのが早いっていうがどういうことだ?
「清水、あの時壊れた壁の方向は覚えてるか?」
「あぁ、そこに打ち込むんだろ?」
清水がギルドの指示に従って壁の一部をランチャーで破壊した。するとそっから緑色の石が出てきた。あれがトラップか?あんなのに引っかかったのか?
「おい清水、あんな分かりやすい罠に引っかかったってのか?」
「俺じゃなくて別の奴が、ですけど…。」
「そいつ馬鹿だろ。」
流石の俺でも理解するぞ、こんな罠。そいつどんだけ馬鹿なんだ?
「ふむ…あの鉱石は街でも見かけた指輪などの宝石に似ている。宝石の原石といったところかな?それで魅入られたものが触ってトラップが作動する、という感じだね。」
「正解ですルーサーさん。」
「ということだゲッテム、何か投げろ。」
「俺かよ!」
くそっ、こういう時に俺を名指ししやがって…。
「オルァさっさと起動しやがれ!」
近場にあった石を思いっきり投げる!つかこれで起動するか…って起動すんのかよ!
「ヨシ!(現場猫)全員戦闘態勢そのままでいろ!」
ギルドが指示して間もなく、魔法陣で俺たちは飛ばされた。
―――オルクス大迷宮 60層―――
~累斗(以降、ギルド)Side~
あの時と同じように、この階層に飛ばされた俺たち。
「清水!お前は念のためトラウムソルジャーを殲滅!ゲッテムとルーサーは清水の援護!廻斗、俺たちは奴を殺るぞ。」
「了解!」
「あいよ!」
「了解した。」
「了解…来るぞ…。」
「分かってる…!」
廻斗が警告した直後、あの時と同じ形で現れ、咆哮をするベヒモス。
一瞬だけ、清水がベヒモスの咆哮を聞いて委縮しかけるがすぐに構える。
「さぁこいベヒモス…ここがお前の死に場所だ…!」
「リスポーンするだろうがな」
「うるせぇ!」
余計なことを言うペルソナにツッコミしながら俺たちはベヒモスを
まずは機動力を削ぐ!
「武装形成 【空想武装】…《狂乱ミラーバレット》!」
前世と今世、両方の時代の知識を元に生み出した、自身創作の銃、《狂乱ミラーバレット》。
少しクサい名前だが、その名に相応しい能力を秘めてるこの銃を、ベヒモスの足元に向かって打つ。
「グウォ!?グルァァァァァァァァ!!」
この銃の弾丸には着弾した瞬間に周囲を凍らす能力がある。これでベヒモスの足を凍らした…!
「ついでだ、これでも喰らってろ…
銃口に溜まったエネルギーを放つ。それが途中で龍の形になりベヒモスに当たる。
「ペルソナ!」
「…武装形成 【空想武装】…《煌炎バルグレン》!」
ペルソナが手に持つ
たしかあれは「魔弾の王と
「燃やし尽くしてやる…
ベヒモスを切るたびにその切り傷から炎が燃え上がる。その炎は尽きることなくベヒモスの体に燃え広がっていく、これがバルグレンの能力だ。あとは真っ向から両断にしてやる…!
「武装形成【ソード】…光纏剣クラースエッジ!!」
その手に
「行くぞベヒモス…これで終わりだぁ!!!」
上段にソードを構えて、ベヒモスに突撃する。
「
俺が通り過ぎてからすぐ、ベヒモスは断末魔をあげずに真っ二つに割れていく。
「……っし!」
静かにガッツポーズをしていると、向こうも終わったのか清水が叫ぶ。
「おぉーい!こっちも終わったぞー!」
~Noside~
「しかしこのベヒモス、中々強かったじゃないか。」
そう言って、真っ二つに割れたベヒモスの死体を調べ始めるルーサー。
「体内にはまだ魔力が残留している…この残留量から見るに本能的に身体能力を増長する魔法を継続して使っていたみたいだね。興味深い…!」
そう言い、その目を輝かすルーサー。しかしその後ろに立つ累斗に気付くと、仕方ないといった雰囲気で死体から離れる。
「全く、科学者としての仕事もさせてくれないかね?」
「生殺与奪権」
その言葉を聞いた瞬間、顔を青くするルーサーとゲッテムハルト。
「あー…って握ってるの!?」
どういうことかを知っている清水が、いまだに持っていたのかと驚く。
「茶番はそこまでだお前たち。」
その流れをぶった切るように、話をしようとする廻斗。
「この奈落の底に、南雲はいる。」
「「……………。」」
橋の横にある奈落を見据えて、黙る元ダークファルス二人。
「南雲は……変わってる、んだよな?」
「あぁ。」
清水からの問いに答える廻斗。
「魔物の肉を喰らい、本人が化け物だと自負するほど変わっている。性格も大きく変わっている。会えばわかる。」
今の南雲の状態を淡々と語る累斗。その顔は少し沈んでいる。
「そっか……んじゃ行こうぜって言いたいけど、どう行くんだ?」
清水がそう言い、四人の方を向くと、累斗の横に小型のテレパイプが開いているのを見て驚く。
「ウォワ!?なんか開いてるけどいいのか?」
「問題ない、これで行く。」
そう累斗が話すと、テレパイプから何かが飛び出してくる。
それは、あのライドロイドに酷似しているが大きさが違った。
形は戦闘機のように変更され、大きさはいわば日産のフェアレディZ三台を三角の形に並べた大きさ。累斗専用なのだろう、赤と黒のメインカラーに白のサブカラー。通常のライドロイドとは違ってちゃんとした座席があり、運転席だろう場所の機体前方に一つ、後方に座席が7つある。
その名は「
「おいおい、こんなもん持ってたのかよお前!?」
ゲッテムハルトが驚く中、ルーサーはまた目を輝かせて天翼に触れる。
「この装甲はA.I,Sに使われていた装甲と同じ、この大きさで空に浮かぶことができるほどの動力、更に自衛用の武装も……僕の知らない間にこんなものが作られていたのか!!」
ヲタク特有の早口のように口を動かすルーサー。それを見て引いているゲッテムハルト。
「すげぇ……こんなの作ってもらったのか?」
清水もまた目を輝かせながら累斗に聞く。
「技術班の試作品のテスターをしてたらいつの間にか、だがな。」
そう言って、天翼の運転席に飛び乗る累斗。
「さ、乗れ。」
累斗が全員に促し、全員が座席に座るのを確認した累斗が天翼を浮上させる。
「待ってろよ南雲…!」
そして、彼らは奈落の底へと向かっていく…。
―――To be continued…―――
現在のパーティ
技嶋 累斗/ギルド Lv100 クラス Hu/Et
技嶋 廻斗/ペルソナ Lv100 クラス Fi/Et
清水 幸利/??? Lv73 クラス Re/Fo
ルーサー Lv91 クラス Fo/Te
ゲッテムハルト Lv83 クラス Fi/Hu
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