まちカドまぞくが好きで、書いてみました。ほぼ有り得ないクロスオーバーです。
「悠仁…… 最期に言っておくことがある。お前の両親のことだが………」
病院の一室。ベットの上から外を眺めていた祖父、虎杖倭助は突然そんなことを言い出した。
しかし、買ってきた花を花瓶に入れようとしていた孫、虎杖悠仁はその言葉を聞くと、
「いいよ。興味ねーから」
バッサリと祖父の話を遮った。
思わぬ返答に、えー…… と、倭助は唖然としてしまう。
「………… オマエの! 両親の! ことだが!」
が、直ぐに何事もなかったかのように仕切り直した。
「だから興味ねーって。爺ちゃんさぁ、死ぬ前にカッコつけようとすんの止め──」
「大事な話だ。悠仁」
「え?」
こういう時、本来ならば。何時もならば。ここで、ふんっ! なんだよ! とか男はカッコつけたいんだよ! 等と怒鳴るかふて腐れるのが倭助だ。
だが、今回は違った。
倭助は落ち着いた様子で、ゆっくりと口を開き、真剣な眼差しを向けてきた。
予想していなかった反応に悠仁は戸惑い口を半開きにしてしまう。
「いいか。よく聞け」
「あ、まあ。そんな大事なことだったら聞くけど……」
「お前の母親は魔族だ」
「………………… は?」
ガシャン!! と花瓶の割れた音がした。
あまりにも突拍子もない一言を聞き、手に持っていた花瓶を落としたのだ。
だが、今はそんなことよりも気にするべきことがある。
「爺ちゃん、何言って──」
「あ、でも俺と息子、つまりはお前の親父は人間だ。まあ、息子の仁は魔族の眷属になっちまったから、普通の人間と言えるか怪しいが。ちなみに一族についてだが、お前の母親の一族は古代より闇を糧とするものでな」
「いやいや! 情報量っ!! 情報過多すぎるって、爺ちゃん! え、なにこれ!? ドッキリ?」
あまりにも信じ難い情報に悠仁は慌てふためくが、倭助は気にした様子もなく話を続ける。
「そんでもって、時が来たらお前に渡すよう言われているものがある。まあ、まだ時が来たとは言えんが………… 俺も長くない。悠仁、受け取ってくれるか」
「っ! ………… 爺ちゃん」
いつ死んでもおかしくはない。そんなことは悠仁もわかっている。
しかし、いざ本人から、こうも真面目なトーンで言われると、胸の奥が締め付けられるような思いになる。
「これだ。受け取ってくれ。一族に伝えられし、この家宝を」
倭助は布団の中に隠していたらしい、その物体を取り出し、悠仁へと手渡した。
「………… なにこれ」
「お前のご先祖、始祖が封印されている邪心像だ」
悠仁が受け取った物は、少しデカメの水筒位の大きさを持った像だった。
形は腕のない埴輪といった感じで、頭に角が生えているが、何故か片方だけ折れてしまっていた。
「ごめん、爺ちゃん。なんか俺もう、ついていけないんだけど………」
「…… いいか、悠仁」
「あれ? もしかして、俺の話聞いてない感じ?」
戸惑う悠仁を無視し、倭助は顔を背けて横を向いてしまった。
倭助はその状態で話を続ける。
「オマエは強いから、魔法少女を倒せ」
「…………………………… なんて?」
「そしてその生き血を始祖の邪心像に捧げろ。そうすれば封印が解かれ、一族も呪いから解放される。そうすれば、お前はきっと──」
「爺ちゃん、爺ちゃん?」
「…… オマエは大勢に囲まれて死ね。俺みたいにはなるなよ」
「じ──」
その言葉を最期に、虎杖倭助はこの世を去った。
一発ネタでございました。
地毛の色が明るいのも、メソポタミアの由来です(とってつけ)
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