ペルソナ4 前作主人公の後日譚 (晴月)
しおりを挟む

プロローグ

 

“影時間“

 

深夜0時から約一時間程の間の時間に発生する特殊な時間。

 

それを終わらせるため、彼らは戦った。

 

そして最後の戦いにて、彼 “有里湊”は

 

大いなる存在···”死”という概念そのものである“ニュクス”に対し、自身の命を掛けて封印を施した。

 

そして彼は封印の代償として命を落とした···筈だった···

 

「···ん?」

 

彼が目を覚ましたとき、そこは彼がよく知る学校の屋上ではなかった。

 

 (···確か、アイギスに膝枕をしてもらって···そのまま寝てしまってた筈···)

 

目の前には鼻の長い老人とその傍らに群青色の衣服を身に纏った女性が一人。

 

「ようこそ、ベルベットルームへ」

 

老人から聞き慣れた言葉を聞き、自分は今夢の中にいるのだという事とここはベルベットルームなのだと即座に悟った。

 

しかし、何時もならばエレベーターの中に居るはずなのに、どういうわけか此処は車内のようだ。まるでリムジンのような縦長の車の車内だと思った。

 

「お客様、お初にお目にかかります。私、今回からお客様をサポートさせて頂きますマーガレットと申します。」

 

マーガレットと女性は名乗る。その姿を一瞥すると湊は既視感を感じた。

 

「もしかして、エリザベスの···」

 

「はい。姉になります。」

 

なる程、と感じた既視感に納得する湊。

 

「···なんだか、僕の知っているベルベットルームとは違うみたいだけど···?」

 

「此処はお客様とは異なる『もう一人』のお客様···即ち、『ワイルド』の力を持つお方の心象風景を現しているのです。」

 

「僕と同じ···『ワイルド』の力を持つものが···」

 

マーガレットのその一言で何処か納得した様子の湊。

 

「!···そうだ、アイギス!」

 

急いで元の世界へと戻ろうと出口を探す。

 

「お客様、申し訳ありませんが此処から出ても元の場所へと戻ることは叶いません。」

 

「!?···な、何で!?」

 

そう尋ねるも、マーガレットは少し訝しげに顔を曇らせる。

 

「お客様、申し訳ありませんがその質問にはお答え出来ません···しかし、少しならばお話させていただきます。」

 

そう言ってマーガレットは手にしていた分厚い本を開き、語り始めた。

 

「今から約二年前···具体的には2009年の2月頃···一人の少年が“死”という概念そのものと呼ばれたモノを封印した。」

 

聞き覚えのある内容だった。正に自分が行ったことだからだ。

 

 (あれから二年経っている!?いや、それよりも今話したそれって···”ニュクス“のこと···?だとしたらこの話は···!)

 

「しかし、その封印は自身の魂を素材とした封印でした。」

 

 (そう···か···やっぱり僕は、あの時···)

 

マーガレットの言葉で自分は死んだのだと、いま自分が見ている光景はやはり夢なのだとそう思い込んだ。

 

「しかし、そんな出来事に納得しなかった者がいました···」

 

更に続けるマーガレット。

 

「それが···私の妹、エリザベスでした。」

 

「!!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、何故?と疑問符が浮かぶ。

 

自分は彼女に対して何もしていない···いや、違う。頼みを聞き入れ、願いを叶えただけの筈だ。それが何故命を救われるまでの出来事になっているのだろう···と、湊は思考の渦に飲まれながらもそう考えるが答えは出ない。

 

「妹は、僅か二年でお客様の魂を見付け出し封印から解き放ったのです···そして、今に至るという訳でございます。」

 

「なる程。」

 

と、一言漏らすがやはりエリザベスの考えが自分には分からなかった。

 

そこまでされるようなことをした覚えがないからである。

 

「それで、僕はこれからどうすれば?もう、仲間たちの元へは戻れないだろうし···」

 

そう湊が呟くと、マーガレットは

 

「ご心配には及びません。」

 

と告げると湊の制服右ポケットを指差す。

 

すると、指差されたポケットから蒼白く光り輝く鍵が現れ、宙に浮かぶ。

 

「これって···!」

 

「お客様がかつて使って居られた“契約書の鍵”で御座います。これからも此処に来て頂けるよう、手配致しますのでそのままお使い下さいませ。」

 

マーガレットがそう言うと、鍵はそのまま右ポケットへと収まった。

 

「分かった···でも、」

 

これからの生活について訪ねようとした時、

 

「お客様、申し訳御座いませんがそろそろ目覚めの時のようです。なぁに、ご心配めされるな···目覚めた時には既に新たな舞台へと上がっているのですから···」

 

「!?」

 

どういう意味かを訪ねようとした所出るから湊ノエル意識は闇の中へと落ちていったのだった···

 

―――――――――――――

 

「···!」

 

目覚めるとそこは、とあるマンションの一室であった。

 

「学生寮···って訳ではなさそうだ。」

 

周囲を見渡し、そう呟くとベッドから身体を起こす。

 

すると目の前に置かれていたテーブルの上に書き置きと一つの茶封筒が置かれていた。

 

「手紙かな?」

 

書き置きには、これから生活していく上で約一ヶ月程の生活費を支給することと新たな学校へと編入するため制服を用意したことが書き留められていた。

 

「なる程、”八十神高校“か···」

 

次に茶封筒の中身を確認するも、

 

「思ってたよりも少ないな···」

 

どうやら本当に約一ヶ月分しか用意されていないようだった為、バイトを探さなければならないと思うのだった。

 

こうして、世界の危機を救った高校生 有里 湊は新しく新生活を始めるのだった·····!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。