決闘者はダンジョンに何を求めるか (令和のクルルヤッ君)
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プロローグ


 なんやかんやが起きた世界のアークファイブからやってきたやベー奴が神々の思考が交差する世界に落ちてしまうお話。

 Q.一体何が始まるんです?

 A.大惨事大戦だ(真実)


 それと仕事で病み掛けているので初投稿です(虚ろ目)



 

 

 

「いやー!今日も良いデュエルだったな!でも容赦なくない?」

「当たり前だろ…お前のデッキは唯でさえ強力なんだ、それ相応のデッキでやらんとな。あとはドラゴン族だったのが悪い」

「オッドアイズ達は悪くないだろ!あと無差別ドラゴン認定はやめて??」

 

 二人の少年が、更地となった森の中心で寝っ転がりながら笑いあっていた。辺りには大小様々なクレーターや真っ黒に焦げた木、へし折れた木の破片や大きな石礫が転がっており、まるで何か大きなモノが争い逢ったかの様な惨状になっていた。

 

 一人の少年は苦笑いしながらとある場所へ顔を向ける。そこには一筋の大きな亀裂があり、大きい何かが地面を切り着けたかのような跡があった。

 

 先程までのデュエルを思い返し遠い目になる少年だが、すぐに真面目な表情に変わり起き上がる。

 

「にしても…前より干渉が強くなっている。以前まではただのソリッドビジョンのままだったが今では特定のデッキを使うだけで具現化するようになっているぞ…」

 

 未だに寝転がる少年を見ながらもう一人の少年は少し眼を伏せる。それは、昔に自分が起こしてしまった事件を思い出してしまったが故の表情であり、その顔には目の前の眠る様に寝転がる少年が、己と似たような事を起こしてしまうかもしれない恐怖があった。

 

「ーー『ズァーク』、俺はあの時言ったはずだ」

 

 目を閉じ寝転がっていた少年は目を開きそう言った。それは、少し寂しそうな表情をしていた少年…『ズァーク』が暴走を起こした時に交わした言葉。

 

 

 

 

『我は精霊と一体化した影響により、現実にも影響を及ぼす程の力を手に入れた!もはや我を止められる者は居らぬ!』

 

『…言えよ、"寂しい"ってよ』

 

『ーー何?我が、"寂しい"だと?何をバカな事を抜かして…』

 

『お前はその世界にも影響を与える力を手に入れた。その代わり家族を、友を、仲間を、全てを失った。そんなの、そんなの余りにもあんまりじゃねぇかよ』

 

『…』

 

『ーーだから、俺がテメェを止めてやる』

 

『ハ!何を言い出すかと思えば…周りを見てみろ!我に挑んだ者達は揃いも揃って地に伏せておる!貴様一人で何が出来る!』

 

『デュエルに決まってるだろ?それに一人ぼっちのダチとのただのデュエル。それ以外なにがあんだ?』

 

『…ダチ?貴様と我に一切関わったことなど無いわ!』

 

『当たり前だ…これからダチになるんだからな!』

 

『無理だ!貴様は我に敗北する運命にあるのだから!』

 

 

 

 

「『知るか、デュエリストに不可能なんてモノは無い』ってな」

 

 未だに寝っ転がる少年は自分を指差しながら自信満々に言う。それにズァークは変わらないなという安堵と、嫌な記憶を思い出した微妙な感覚があった。

 

「…真面目な話、あの時って彼処まで完封する必要あったのか?」

「あ?暴走している精霊の力を抑えるために必要だったことだ。今さら愚痴愚痴言うんじゃねぇ」

「いや言いたくなるぞ?先行で古代の機械混沌巨人(アンティーク・ギア・カオス・ジャイアント)と勅命スキドレを伏せるのはズルだって」

「知らん、そんなことは俺の管轄外だ(手札誘発と除去札を握ってない方が悪い)

「このっ!我があの時どれだけ痛い想いをしたか解るか!?あれ結構痛かったんだぞ!?」

 

 頬を思い切りバシーン!って!と言いながら頬を擦るズァーク。その表情から結構痛かった事が解る程の物だった。因みにそれを実行した少年はお前が言う事じゃなくね?みたいなことを考えていた。どっちもどっちである。

 

 

 しかし、そのお陰で今の自分がある為にズァークは少年に感謝九割不満一割みたいなところである。

 

 そしてその時から『ダチ』となった二人は良くデュエルをするのだが、ズァークはライバルであり親友でもあるレイから焼きもちを焼かれる程一緒にいる。

 

 良く腐海の住民が現れるが、彼等の視界に入る前に何処かに連れていかれたりしている。彼等には心強いセコム(レイ)がいるのだ、だが奴等は根っからのデュエリストなので恋とか恋愛とかは一文字も出てこない。だから腐海の人々が盛り上がるんだゾ。

 

 

「ーーさて、時間も良い感じだしそろそろ行くか」

「そうだな、そろそろ行かないとレイに怒られる」

 

 そう言って、寝っ転がっていた少年は立ち上がりズァークと顔を合わせて笑い合う。二人の脳内には喫茶店のベランダ席の一つの椅子に足を組ながら苛立っている一人の少女の姿が思い浮かんだ。

 

 二人は少し体を震わせて、早く行こうと歩き出した…

 

 

 

ーーその瞬間、少年が着けていたデュエルディスクが光輝き出した。

 

 

「なーー」

 

 

 少年は驚きディスクを止めようとするが、それよりも早い速度で光は強くなる。

 

 

「ーー龍機(りゅうき)!!」

 

 

 ズァークの叫びも、光は容赦なく少年…魔生(ましょう)龍機(りゅうき)を包み込み、辺りに眩しい光が溢れ出しーー

 

 

 

ーー光が収まると、そこには誰もいなかった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 《次回予告》

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「至るところから神の気配がする…精霊界かよここは…」

 

「でゅえるもんすたーず??」

 

「ほげぇぇぇ!!?ベル君が精霊を連れてきちゃったぁぁぁぁ!!?」

 

「ここなら、俺の力をどうにか出来そうな気がする」

 

「あの!僕に戦い方を教えてください!」

 

「この俺に純粋無垢な子をダークサイドに堕とせと…??」

 

 

「ようこそ!【ヘスティア・ファミリア】へ!!」

 

 





 アニメ寄りのデュエリストがサンボルとか一滴とかガダーラとか使ってると思うなよ!!だから妨害札ガン積みの崇高なるハノイの騎士様は強いんですねぇ(遠い目)


 バスブレデッキ

蛮「ご主人!アイツらドラゴンっすよ!」
バ「マ?本当じゃんおら首出せ!」
ダンまち勢「ヒェ…」


 サイバー流

亮「パーフェクトだ!」(パワボサイエンドラ)
ダンまち勢「ヒェ…」


 アンティーク・ギア

作者「バーン&パワー!」(エクシーズ次元の悪夢再び)
ダンまち勢「ヒェ…」


アルデク「クソ!まともなのは僕だけか!」
害悪鳥ヒーロー「人の心とか無いんか?」
ガンダム「軍艦処 メルフィーの森支店へ良く来たな少年!この店は可愛い動物達と触れ合いながら寿司を食べる所だ!私か?私の名前はメガロギアガンダムアーゼウス!!私の事はガンダムと呼んでくれたまえ!!」

 V . F . D「 や ぁ 」


デュエリスト&ダンまち勢「ヒェ…」


 案パイなデッキテーマはどこ…ここ??(宇宙)

畜生妖精「ここは私の出b」
お兄様「どけ!俺はお兄ちゃんだぞ!!」(ぶん投げる)
妹「あぁ、リースがお星様になっちゃった!」
幼馴染み「いつもの事じゃないかな…」
蒼穹「…」(まぁ諸悪の権化だしという雰囲気)


 厄ネタは帰って、どうぞ(死んだ目)



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決闘者、迷宮都市に現る



 リミットワンフェスをやってみたが、ぶっちゃけいうもの遊戯王じゃね?


 真面目なデュエル要素が皆無に等しいけど頑張るぜ!




 

 

 

 

 目が覚めたら路地裏に倒れていた件について。

 

 

「…いやなんでやねん」

 

 思わずそう呟いてしまうほどに龍機は困惑していた。本人からしたら、トラブルでの次元移動に関しては経験済みなので問題はないのだ。どちらかといえば周りから感じる気配や、天空まで聳え立つ妙な塔に困惑していた。

 

 ここは何処だ?荒れてはいないからハートランドの様な事は起きていない。もしかしたらアカデミアの様な世界かもしれないがそんな気配も空気もしない。遠くからは賑やかな声が聞こえてきているのでそこまで治安は悪くない様だ。

 

 ネオドミノシティみたくホームレスも居ない、パッと見は良い町だろう。"至るところから弱々しくも神の気配を感じなければ"

 

『大変大変たぁいへぇぇぇん!!』

 

 空を見上げながらそう考えていると、腰に着けていたデッキケースの一つから"二つの光"が飛び出した。そして光は龍機の真横に浮かび上がり形を変えた。

 

 形を変えた光があったところには、二人の少年少女が片や大慌てで、片や無表情で地面に寝転がる龍機の隣に座っていた。

 

「どうしたエクレシア、残念ながらお菓子は持って無いぞ」

『えぇ!?そんなぁ…じゃなくてぇ!!?』

『エクレシア、これ食べて落ち着いて。この前ドリス達と一緒に作ったクッキーの残り』

『頂きます!』

 

 本題を話す前に勝手にイチャ付きだした二人に苦笑いが込み上げるが、正直微笑ましいのでもっとやれ。龍機の隣で笑顔でクッキーを食べているのは『教導(ドラグマ)の聖女 エクレシア』、しかし服装はカードの聖騎士の様な物ではなく旅人の様な服装になっている。

 

 そしてその隣でもくもくとお菓子を何処からか取り出すのが『アルバスの落胤(らくいん)』、相変わらず真っ黒な服装に赤い装飾、胸には謎の結晶が付いており、顔はいつも険しい。尚、エクレシアや仲間達と関わってからは、その顔に小さな笑みも作られるようになってきている。

 

 良くアル×エクやエク×アルで争いが起きそうになるが(主に姉なる者)その度にバイト先の店長が止めに入ってくれている(効果発動)のだ。ぶっちゃけいつも騒がしいけどいつも賑やかなので龍機的にはシリアスより全然良いのである。

 

 

 

『ふぇ、ほうはっは!ふぁいふぇんふぁんふぁよまふふぁー!』

「行儀が悪いぞエクレシア。アル、何があった?」

 

 リスの様に口を膨らませたエクレシアが何かを伝えようとしているので、代わりにアルに要件を聞こうとすると、アルは少し寂しそうに顔を伏せながら言った。

 

『…皆、何処か行っちゃったんだ』

「ーー何だって?」

 

 アルの言葉にすぐに龍機は精神を己の中に集中させた。するとどうだろう、いつもの心地よい騒がしさが感じられないのだ。

 

 しかし腰に着けている幾つかのデッキケースからは意思を感じられた。だが、カード化の応用でカード化していたデッキからは意思を感じられなかった。いや、感じることは出来るが意志疎通が出来ない。

 

「…誰が無事だ?」

『もぐ…咄嗟にクリフォートの皆とその場に来ていた方達が庇ってくれましたが、それでも無事だったのは偶然此方に来てた鉄獣戦線(トライブリゲード)の皆と、サイバー・ドラゴン、星杯の戦士達に霊使いの子達と私達だけです…』

 

 エクレシアは表情を暗くさせながらそう言う。

 

 

 そして、その時の話を纏めると鉄獣戦線の皆が遊びに来ている時に、突如として謎の光が現れ強く発光。

 

 その光に何かを感じ取ったクリフォート達は直ぐ様システムを展開し全員を守ろうとした。他にも結界等を張り光を防ごうとしたが、健闘空しく全員が光に呑まれた。

 

 次にエクレシアが目を覚ますと、そこには疲れ果てた様子の教導の大神祇官(マクシムス・ドラグマ)や霊使いの少女達、そして星杯の巫女が倒れている姿が眼に映るのだった。

 

 動ける者達は現状の把握や仲間達の看病をしており、二人はその事を伝えるために龍機の前に現れたのだ。

 

『今、自由に動けるのはサイバー・ドラゴン達と聖杯の戦士のアウラム、そして私達だけです』

「…そうか。兎に角、二人とも…いや、皆が無事で良かった」

 

 その龍機の言葉に二人は顔を挙げて龍機を見た。その顔は本当に安心した様な表情で、彼がどれだけ皆の事を想っているのかが分かる表情だった。二人はその顔を見て、顔を見合せるとお互いに笑みを浮かべた。

 

『それと、フルル…お姉ちゃんから伝言です。"精霊界との境界が薄い、精霊の具現化に注意されたし"とのことだそうです』

「そうか…二人はなんともないか?」

 

『…実は外に出てから不思議と力が出ます。全力には遠いですけど、それでも半分以上の力を発揮出来ますね』

『マスター。風と匂いを感じる、石も摘まめた。それに…』

 

 そう言うと、エクレシアはその身に光を纏わせ、光が晴れるとそこには聖騎士の鎧を着た少女が立っていた。そしてアルは地面に落ちていた小さな石ころを摘まんだりしており、その石ころを握る為に腕に力を入れると、今まで半透明だったアルの腕だけが実体化した。

 

『ちょっとの時間だけ実体化出来る、龍化すると多分完全に実体化出来ると思う』

「成る程…なら、俺も気を付けないと不味いか」

 

 そう言いながら、龍機は腕に着けていたデュエルディスクを外して懐に入れる。

 

 本当ならば腕に着けていても電源をオフにすれば大幅にコンパクトになり一種のアクセサリーに見えなくもないのだが、彼にとっては着けているだけでも危ない危険物に変わるのだ。

 

 詳しい理由は後々分かるであろう、何故なら彼は主人公がラスボスになる世界から来たのだ。そしてそんなラスボスとも戦ったのだ、果たしてそんな彼が普通のデュエリストであるだろうか?

 

 

 

ーーもちろん、そんなわけがない。

 

 

 

『…ん、人の気配』

 

 お互いに状況を把握していると、アルはふと路地裏の曲がり角を見た。彼は元々ドラゴン族のモンスターなので気配等には敏感なのだ。直ぐに二人は光の玉になり龍機の中へ戻り姿を消した。

 

 

 一方の龍機は近付いてくる足音を聞きながら少し空を見上げ、何を思ったのかうつ伏せとなり倒れたフリをした。

 

 

 無論、こうする理由もしっかりとある。大抵の時空でもそうだったが、このように路地裏で倒れたフリをしていると何も知らないアホはしめしめと物を漁ろうとするのだ。

 

 そういう輩には制裁を下し、純粋に助けてくれる人だったらそのまま助けて貰う算段なのだ。因みに今までの時空で試した結果は助けてくれた人が九割、物を漁ろうとしてきた愚か者は一割を締めていた。

 

 決して立ち上がるのが面倒だった訳ではない。こういう風にしていると自然と情報を集めることが出来るのでやっているのだ。まぁ善人に当たる程、心が痛むのだが自身の危険性を考えれば致し方無いことであると龍機は割り切っていた。

 

 

「はぁ……って、人が倒れてる!?」

 

 暫くすると、足音の主が声を驚きの声を上げながら走ってくる音が聞こえた。どうやら声の主は若い少年の様だ、その事実に少し罪悪感を覚えるが目を閉じることにより抑える…

 

 

 

ーー心の奥底に眠るワクワクと期待に心を踊らせながら。

 

 

 





 Q.なんでアウラムだけ動けるの?兄さんは?

 A.可愛い妹の看病は俺の仕事だッッ!!(マジ顔)

 因みにデッキは投稿者の気分で増えます。何故ならダンまち世界に登場させたいモンスターが一杯いるからです。でも出すのは回し方を把握してからなので基本的に目次のデッキが出ます。



 でも一部は滅多に出ません。何故かって?ハートランドの悲劇(答え)


 ではまた次回。


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決闘者、女神と出会う


 遊戯王、神格存在が邪神も合わせると多すぎる気がするのは気のせいかな?




 

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

 倒れたフリをしている龍機に、足音の主は優しく肩を揺すりながら声をかけた。龍機が目を開けて顔をあげると、そこにはなんとも小動物感が溢れるの少年がいた。

 

 真っ白な白髪に宝石のような赤い目、不思議と兎を連想させるような容姿に心が和むが、突如として龍機の脳内にヘルメットを被った鬼畜ウサギが現れたことにより和やかだった心が正気に戻った。

 

『ん?なんだ、この気配…』

 

 そして正気に戻った龍機は、目の前の少年から微かに見える何かの繋がりを感じ取った。"幼い頃からデュエルモンスターの精霊との繋がり"を持つ彼は、その様な気配に違和感を感じた。

 

 しかし、『嫌な予感』はしないのとひとまずは目の前のとても心配そうに自分を見つめる少年に声を掛ける事にした。

 

「えと…」

「あぁ、すまないな。ちょっとこの路地裏に入ったら迷ってな…漸く一睡もしてなかったからどうやら倒れて眠っていたようだ」

「え、大丈夫なんですか?」

 

 心配している少年に問題ないことを伝えながら立ち上がる。埃や砂を落とすために服を軽く叩いて少年と向き合う。

 

「さて、お礼を…と言いたいんだがーー」

「いえいえお礼だなんてそんな…」

 

 

「ーー少年、もう一つ助けて欲しいことがある。」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「いやー、まさか迷子だったんですね」

「迷子…迷子っていう歳じゃないんだがなぁ」

 

 龍機は苦笑いをしながら少年の後を追い、そして少年と離しながらも周りを観察する。様々な種族の者達が普通の生活を暮らしている。

 

 その光景に以前、事故で『精霊界』に行ってしまったことを思い出した彼は、おそらくこの世界も何らかの物語があるんだろうと考えた。

 

「至るところから神の気配がする…精霊界かよここは」

 

 あの時も神やら邪神やら神に近き存在と戦うことになったよなぁ…と呟きながら龍機は遠い目をしながら歩く。少年にはその呟きが聴こえなかったようだが、チラチラと龍機の事を見ていた。

 

 まぁそれはそうだろう。裏路地で倒れていたなんか怪しい男、迷子ということでひとまず自らの主神がいる教会に連れていくことにはなったのだが…

 

 

「でゅえるもんすたーず?」

「そう、こんなのなんだがこの街にあるかな」

「うーん…僕もオラリオに来て日が浅いのでちょっと分からないですね」

「そうか…」

 

「ダンジョンか…」

「貴方も冒険者になるために此処に来たんですよね!」

「さぁ?」

「さぁ!?」

 

「ということはファミリアにも…」

「ファミリアってなんだ?」

「さすがに嘘ですよね…?」

「…ハハ!」

「ハハ!?」

 

 

 この男、余りにも"オラリオ"の事を知らなさすぎるのである。例えどのような田舎でも少しならば知っている知識であり、この街で一番知名度のあるダンジョンですら知らないのだ。

 

 しかし少年は余りにも純粋で心優しいので、こんな怪しい男でも『きっと凄い遠いところから来たんだなぁ』という感想だった。あんまりにも警戒心を感じなさすぎて龍機も心配しそうになるが、その優しさに甘えさせて貰っているので何も言えないのである。

 

『うわ、なにその子兎…真っ白過ぎじゃない?』

 

 そんな微妙な気分になっていると、耳元で鈴の音の様な声が響いた。

 

 チラリと龍機は己の肩を見てみると、そこには全身が淡い空色の様な色をした小さな畜生妖精こと『星杯(せいはい)妖精(ようせい)リース』がいた。彼はよりにもよってコイツかよ…と思いながら小さく声を掛けた。

 

「おい畜生、誰が出てこいって行った」

『だぁれが畜生よこの脳筋男!!折角だから念話に切り替えて挙げるわ、私ったら気が利くでしょ~?』

『気が利く奴は増Gみたいな奴を言うんだよこの羽虫』

『ムッキィィ!!私があのイタズラ娘に負ける虫以下って言いたいのかしらぁぁぁ!!?』

 

 サーチ能力的にお前も範囲内じゃん。久しぶりにキレたわ、デミウルギアまで行きましょう。ただの喧嘩に星遺物使うとか…そんなんだから最強兄妹(+お兄さん)に負けるんだよ。なんだぁ…てめぇ…?ということを頭の中で繰り広げながら龍機は歩く。

 

 ふと、前から視線を感じる事に気が付いた彼はリースとの喧嘩を一度止めて前を見た。そこにはとても何か聞きたげな様子の少年がチラチラと龍機の肩を見つめていた。

 

「…"ベル"少年、もしや君にはコイツが見えるのか?」

「はい!突然"キリュウ"さんの肩にキラキラ光るモノが現れたのですごく気になってるんですけど…」

 

 少年…『ベル・クラネル』は龍機の隣へ下がって行きキラキラとその紅い眼を光らせながら彼のことを見上げていた。

 

「まぁコイツのことはそこら辺の灯りとでも思って良いぞ」

「あの、スッゴいピカピカ光ってますけど…」

 

『誰がそこら辺の灯りよこのパワーバカ!!あの化物兄妹とかイレギュラーもそうだけど、どいつもこいつもどんだけパワーを上げれば気が済むのよこのバカ!耐性付けんじゃないわよこのアホ!』

 

「コイツも気にするなと言っているだけだ。後、コイツのことが見えるのは少ないから余り人のいるところでは反応してやらんでくれ」

「成る程…分かりました」

 

 頭の中でIQの低い罵倒が飛んでくる中で龍機は笑顔でベルにそう返す。そしてベルは、本人がそう言うならそうなんだろうなと考え視線を前に戻した。

 

 

 因みに、なぜベルが龍機の事を『キリュウ』と呼んでいるのかというと、これが多次元用の名前であるからだ。

 

 以前、他の次元で仲間がそのままの名前を名乗って面倒事に巻き込まれていた事を知った彼は、偽名を名乗ることにしたのだ。勿論、余りにも違いすぎる名前だと後々になって騙していたのかと疑われたりするので、あだ名の様な名前にしたということが事の経緯である。

 

 

 尚、これのお陰で何度か仲良くなった仲間に腹パンを喰らわすことになったのは致し方無いことである。

 

 

 

 

『そういえば、ベルの魂が真っ白ってどういうことだ?』

 

 段々と人通りが少なくなってきている道を歩きながら龍機はリースに聞く。

 

『え、あぁあれ?あれは言った通りよ。真っ白、何にも染まっていない純粋な魂。流石の私もあそこまで純粋な魂は見たことがないわ…』

 

 そう話を続けながら、次第に真面目な雰囲気を纏うリースに龍機は違和感を覚えた。何時もなら『欲しいわ~』とか『直視出来ないわ~』みたいな事を言いそうだが、リースの顔は渋いままである。

 

『ねぇ"マスター"知ってる?私の様な暇人はああいうのにとても興味が引かれるの』

『あぁ、というかお前はそれでやらかした…いや待てよ?そいつぁーー』

 

 

 

『ーーじゃあ、私より暇を持て余してそうな存在はだーれだ』

 

 

 

 この時になって改めて彼は事の重大さに気が付いた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

ーーさてさてこのリースという妖精、実は一度世界を滅亡一歩手前まで追い込んだことのある凶悪な畜生妖精なのである。理由については未だに本人からは語られてはいないが、恐らく暇だったりいろいろとやりたかったのだろう。

 

 ある時は星杯に選ばれた巫女の身体を乗っ取り、またある時は妹である巫女を蘇らせようとした巫女の兄が造った身体に蘇ったり、星遺物…否、星神器を使い世界を滅ぼそうとしたりといろいろやらかしているのだ。

 

 さぁ、こんな奴より暇を持て余してそうでコイツよりも格が上で何でも出来る奴が、ベルの魂に興味を示し手を出し始めたらどうなるか…

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ーーそいつぁ不味いな』

 

 彼は暇を持て余した神がどんなことを仕出かすのかを知っている。というか『暇だから』なんて言う理由で戦わされた事があるのでベルが大変な状況であることが分かるのだ。

 

 目の前で少しウキウキした様子で歩くベルを見ながら考える。こんなに優しく純粋な子が神の手で変わってしまう事を考えていると、龍機は一人の友人の事を思い出した。

 

「…そうだったな、『ダチ』を助ける為に理由は必要ないよな」

 

 何度もそれだけの理由で戦ってきたのだ、ならば今回も同じだろう。そう新たに龍機は決意をしながらベルの後を追う。

 

「どうしたんですか?」

「いや、気にするな…それよりベル少年、君の主神がいる拠点はもうすぐか?」

「はい、もうすぐというより…もう着いたというか…」

 

 

「『え』」

 

 

 ベルは恥ずかしそうにしながら立ち止まる。龍機とリースは驚きの声を上げて目の前にある『廃教会』を見上げる。

 

 驚きで固まっていると、ベルは慣れた様子でその中へと入り入り口で此方へと手を振っている。『クロウ達の方がまだ良い住居してないか?』と困惑しながらも中に入る。

 

 中も想像通りの廃墟だが、ベルはこの中をすいすいと進みながら地下室の入り口へ向かった。龍機達は『教会に地下室…??』と更に困惑しながらもベルに着いていく。

 

 

 そして地下室の扉へ辿り着くとベルはその扉を軽く叩いた。その瞬間に扉の奥で何かがバタバタと動き出す音が聞こえると、扉が強い勢いで開かれた。

 

 

「ベル君お帰りぃーー?」

「ただいま戻りました神様…?」

 

 

 中から現れたのは今までの次元で見たことのない胸を持つ少女であった。その少女はベルを始めに見てから次に龍機を、そして次にリースを見て固まった。

 

 龍機とリースはその少女を更に困惑した様子で見ており、ベルは固まる己の主神と龍機達を交互に見ながら混乱していた。まさにカオスである。

 

 

 

 

ーーそして、一番始めに復活したのはベルの主神であった。

 

「は…ほ…」

「か、神様?」

 

 小さな神がカタカタと震え始める、それに呼応するが如く小さな神のツインテールと服の紐が揺れ始めーー

 

 

 

「ほげぇぇぇ!!?ベル君が精霊を連れてきちゃったぁぁぁぁ!!?」

 

 

 





 ディンギルス!神イブ!アストラム!リースにジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!!

 オリ主君は何故か三幻魔とか三幻神とか三邪神とかに出会ってます。そんで何故か戦ってます。どっちで?勿論アクションデュエル(マジ)

 オリ主君は二十歳で、あの針金マフラーの所で多次元担当の職に就いてます。なお精霊界での生活を合わせると実はウン百年くらい歳を取っていたりする。


 ではまた次回



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決闘者、居候になる。



 オリ主君のステータスが決まらないンゴ…


 前回のヘスティア神の精霊発言は誤字ではありません。どっかの覇王龍だって精霊と人間が混ざった存在だった筈だしね!もしかしたらもしかするかもしれないね!()



 

 

 

「あー、ごめんね突然叫んじゃって…」

 

 カオスな状態から約数分後、ひとまず落ち着いた全員は部屋の中へと入り一息着いていた。ベルとその主神はソファーに座り、龍機はソファーの向かい側の壁に寄り掛かりリースは暇そうに龍機の肩で足をフラフラと振っていた。

 

「気にするな、俺達だって突然神と出会ったから混乱していた」

『確かに神様が沢山いるとは言っても、まさかいきなり出てくるとは思わなかったわよね~』

 

 ベルの主神は申し訳なさそうにしながらも、此方を静かに観察していた。勿論彼等はその視線には気が付いているし、むしろ警戒心があることに感心を抱く程であった。

 

「さて、ベル君が連れてきたということは君はボクのファミリアに入りたいということで良いのかな?凄く悔しいけど、ここは弱小ファミリアで…ってどうしたんだい君達、そんな変な顔をして」

 

 入団の話を進めようとする主神は龍機達のキョトンとした表情に気が付くと首を傾げていた。隣では如何にも『あ、言い忘れてた』という表情のベルが苦笑いをしながら、両者のすれ違いを修正した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「えーと…つまり君達は何も知らずにこの街に来たのかい?」

「そうだ、そんな時にベル少年に拾われてな…」

 

 そして両者のすれ違いがなくなると、すぐに情報交換を始めた。龍機は幾度となく次元を越えた事がある経験を生かし情報を集めていた。一方のベルの主神である『ヘスティア』は、目の前の妖精を連れた『精霊』を前にして慎重に言葉を交わしていた。

 

 己の唯一の可愛い眷族が連れてきた規格外の存在、上手く隠しているのかここまで近付かなければ気が付かない程の隠蔽力。しかしそれでも僅かに溢れる膨大な『何か』の気配…

 

 あの肩にいる小さな妖精も一目見れば可愛らしいモノであるが、その小さな存在から感じる力はとんでもないものだった。妖精もヤバいが、やはり目の前の存在がヤバい事には変わらないので結局の所、彼女が出来るのはこちらの情報をゆっくりと伝えて相手の機嫌を損ねないことである。

 

「ふむふむ…ダンジョン…冒険者…ファミリアにギルド…」

『ふーん、なんだが面白そうな場所じゃない!ねぇマスター、そのダンジョンってとこに行きましょうよ』

「いやー止めた方が良いと思うよ?ボク達、神の『恩恵』がないままダンジョンに入るのは自殺行為だぜ?」

『"世界に影響を及ぼす黒龍"*1をタイマンでブッ飛ばしたコレが、そこら辺の雑魚に負けるとは思わないけどねぇ』

「……???」

 

 ヘスティアは目の前のヤバい存在の肩にいるヤバい奴から聞こえた言葉に思考が停止した。ビタッ!と停止し冷や汗をダラダラと垂らし続ける己の主神にベルは慌てるが、一方の龍機達は今までで1番の面倒事にぶち当たり内心頭を抱えていた。

 

『まるでファンタジー小説の世界に来た感じだな…そんで、またまともなデュエルが出来なさそうじゃんか…』

『ぷふ、本当にアンタって普通のデュエルが出来ないわよねぇ…きっと日頃の行いが悪いのよ、プププ…』

『破壊剣一閃かますぞ』

『緊脱!』

 

 リースと軽い漫才を噛ましながらも頭の中で思考を続ける。此方の事情を話すメリットとデメリット、この街の事、ダンジョンという脅威、神という名の暇人、etc…

 

 今までの経験により、この街には特大の厄ネタ…しかもそれが多数あることに気が付いた龍機は、もしこのまま元の次元に帰ってしまった場合の危険性の事を考慮し、とりあえず眼が死んだ。

 

「…ヘスティア神、この街にいる神はどのような性格をしている方々が多い?」

「え゛?あ…えと…まぁそうだね!この街の事を話したときにも行ったけど、下界に下りる神は大体が暇潰しの為に下りてきてるね!ボクも似たような理由で下りて…来た…ね…うん…」

「oh……」

『…マジで?』

 

 

 徐々に何かに気が付いたヘスティアが顔を青くしていく中で龍機とリース、両者は共に頭の中でもし自分のことが知られた時の事をシミュレーションをした。

 

 

 

 下界に下りてくる神は暇潰しの為に下りてきた。

     ↓

 そんな所に異世界の住人である自分がやってきた。

     ↓

 神々にその事がバレる。

     ↓

 デュエルモンスターズの精霊達のこともバレる。

     ↓

 面白そう!と神々が食いつく。

     ↓

 精霊界の精霊達(特に神関連)が自分の仕事を放置して遊んでいる神々を見てキレる。

     ↓

   大☆惨☆事。

 

 

『あ、がたーら…』*2

『うわ…うっわ…うっっっっっっわ……』

 

 目の前で明らか顔を青ざめさせていくヘスティアに、龍機は思わず片手で眼を覆った。リースはいつもの煽る様子ではなく、心底面倒くさい事になる事実に真面目に嫌がった。

 

 

 一方、何故か頭を抱えている龍機と顔を真っ青にして震えるヘスティアを見て何がなんだか分からないベルであったが、恐らくその理由は彼の肩にいる存在が理由ではないだろうかとなんとなく察した。

 

 微妙に合っているようで合っていない理由ではあったが、ベルはひとまずこの空気を変えようと三人に声をかけた。

 

 

 

「と、とりあえずファミリアに入るかは置いておいて、キリュウさんはこの街の事とかもまだ分からないんですから、暫くは僕達と一緒にいませんか!」

 

 

「「『賛成(だよ)』」」

 

 

 本当に頭の痛い状況の中でも、ベル(子兎)は癒しであった。後に三人はそう語ったとか。

 

 

 

*1
どっかのサイバース族のお供である 真龍皇(しんりゅうおう) V.F.D.(ザ・ビースト)

*2
おいたわしやマス上…





 Q.なんでヘスティア様あんな怯えてるん?

 A.初めて戦った時のドライトロンアルデク戦。ドライトロンカードを見て「うわこいつやべぇ」ってなったけど相手がソリティアしまくっていく内にデッキ内容のヤバさに気が付いて、暫くしたらアルデクとかが盤面に並んだ時のプレイヤーの心境と同じです。


 Q.三幻神出したらどうなるんだろう…

 A.(無言のゴッドハンドクラッシャー)(無言の召雷弾)(無言のゴッドフェニックス)


 Q.精霊達にバレたらヤバいって大丈夫?

 A.龍機の手持ちにはクリフォートがいる。そして精霊界にはもっとヤバい人や龍達がいる。つまりだいじょばない(白目)



 AC-Vの方々の評価


赤馬社長「正直なところ、奴が居なければ今より酷い状況になっていたのは事実だ。しかし問題児の中では遊矢よりも問題児だ…だが、感謝はしている」

遊矢「俺達がやってるのはアクションデュエルなんだけど、アイツだけサバイバルデュエルなんだよね。モンスターを召喚しながら自分も戦うストロングスタイル…」

セレナ「うむ!アイツはとんでもない奴でな、痺れを切らしたアカデミア兵が実力行使でデュエル関係なく倒そうとした時にモンスターを召喚しながら襲いかかる奴等を千切っては投げ千切っては投げていたのだ!私もやりたかったぞ!」


赤遊セ「ただまぁ、これだけは言える。アイツは普通のデュエリストではない(よね)(な!)」




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