大阪のおっちゃんとカワウソとAIロボットと幽霊とグレイ (三峰キタル)
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1話 いつもとは違う道

 大阪のとある所に古びた木造アパートに一人の田中茂という男が住んでいた。

 

 

 茂はもう還暦に近い歳だが結婚はしておらず一緒に酒を嗜む仲間すらもいないためこの先もこのままだと誰にも看取られることなく孤独死をすることも避けられない。

 

 

 そんな今日の日は仕事が休みだったため家にいたがこれといった趣味が無く部屋の中でボーッとしていたが日が暮れた時間帯になったので夕食のご飯を買いに外へ出て行った。

 そしてスーパーに着くと惣菜のコーナーに行き、好みの唐揚げ弁当を買った。

 

(これがうまいんだよな)

 

 茂は毎日、店で売っている惣菜ばっかり食べており自分で自炊をしたりとかは一切しなかった。

(親から自立して一人暮らしを始めた時は健康に気を使い自炊してたけど 後々面倒くさくなってやめたんだよな)

 その後、酎ハイとつまみも買いスーパーを出て行き帰り道とぼとぼ歩いているとV字路にたどり着いた、いつもは家がある方の右の道を進むが今日は左の方の道に進んだ。

 

(たまには寄り道するか、どうせこのまま家に帰っても何もやることないしな…)

 

 茂は普段とはちょっと違う道を行くことでつまらない日常を吹き飛ばす新たな発見や変化があればと思っていたのだ。

 

 

 そしてこの道を歩いていると普段とは見られない街並みが広がっておりそこであるものを見つけた、それは道の端にダンボールがあり中を覗き込むとカワウソは一匹いたのだ。

 

「何故ここにいるんだ、もしかして捨てられたのか?」

 

 

 そう思いながらそこに立っているとカワウソが何か餌をねだるような目でじっとこちらを見てきたので茂は先ほどスーパーで買ってきた唐揚げ弁当の唐揚げを丸一個上げるとがっつきながら食べ始めたのだ。

 

 

「可哀想だなお前も、俺と同じでひとりぼっちか…」

 やがてカワウソは満足そうな顔をして食べ終わると別れを告げてまた歩いていった。

 だが数分歩いていると何か後ろに気配を感じ振り返って見ると先ほどのカワウソがいつまにか付いて来ていたのだ。

 

 

「これは困ったな…お前をあのダンボールまで持っていて戻すか、でもな…」

 

カワウソを元にいた場所に戻そうとも思ったが明らかに「一人にしないで」という目をしてきたのでこのまま戻すのも可哀そうだと思いはじめ数分考えた末、カワウソを抱き抱え家に連れて帰ることにした。

 捨てられて独りぼっちのカワウソが自分のことのように見えそのまま見捨てることができなかったのだ。

 

「これから同じひとりぼっち同士仲良くしような」

 

 そして茂は一つ思っていたことがあった。

 

 

「うちのアパートペット禁止なんだよな…まあそれは後々考えればいいか」

 

 周りは少しずつ日が落ちていき茂の足取りは仲間ができたことにより前より軽くなっていた。

 

 

 そんな中、茂はあるものを発見した。それは普通の建物は違い秘密結社や悪の組織がアジトにしてそうな明らかに不審なコンクリートの建物があった。入り口のドアは無いためこっそり中を覗いてみたが奥へと続く道が真っ暗で何も見えなかった。

 

 

「この明らかに怪しい建物の中に絶対何かしらのことがあるだろうな」

 

 

 

 その時突然、抱き抱えていたカワウソが勝手に飛び降りてこの真っ暗な奥へと続く道を走っていったのだ。

 

 

「おい、何処へ行くんだよ」

 

 

 そう言いながら追いかけて行くがカワウソはどんどん奥の方へ走って行く。

 

 

 そして追いかけた先でカワウソが止まっていたおり何故か思っていたら行き止まりだったのだ。

 

「何だ行き止まりなのか、じゃあここまで道はなんだったんだ」

 だがカワウソはまた進み始め行き止まりの壁の近くまで行くとピタリ止まり茂の方をじっと見始めた。

 

「そこの壁に何かあるのか」

 だが茂もその壁の近くまで行くがそこには何の変哲のない壁があるだけなので次はいろんな箇所を触ってみた。

 

「壁に隠しボタンでもあると思っていたんだけど何もないな、けれどもこのカワウソが何か訴えているんだよな」

 

しかしそんなことを思っていたその時、いろんな箇所を触っている中で一つだけわずかに感触が違う箇所が手で押してみるとそこの箇所が動いたのだ。

 

次の瞬間、先ほど行き止まりだった壁が異様な音を出しながら開き始めその先には扉があった。 茂はその扉の前まで行きこの先に何があるのだろと好奇心に思いながらゆっくりと開けていく…

 



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2話 謎の建物へ

 そこには机などに書類が散らかっており実験器具もいろいろと置いてありこれらを見た茂はこう思った。

「もしかして研究所なのか」

そこらに置いてある書類を見てみるが全てドイツ語のため何と書いてあるのかわからなかったが絵を見ると動物や人間などの生物について書かれている

のはわかった。

 

茂は何か踏み入れてはいけないものとに踏み入れた感じが徐々にしてきて不安になってきた。

そしてカワウソはまた急に走り出した。

「またか、何なんだ急に」

またカワウソの方へと追いかけて行くとその方向には地下へ続く階段があり茂も一緒に降りて行った。

寂れて今にも段差が抜けそうさ階段を降りていった先にあるものを見つけた。

 

「おい、そこで何やっているんだ。大丈夫なのか」

そこにはショートカットの髪をした女が前屈みになりながら椅子に座っていたが呼び掛けに全く反応しないのだ、そこで尽かさず女の方へ行くとあるこ

とに気付き、さっきまでは人間の女がそこにいると思っていたがそれは間違いでそこには女の形をした人型ロボットがあった。

 

「やけにリアルだなこのロボット、最初見た時は本物の人間だと思ったんだけどな」

一方カワウソはそのロボットに飛び乗り始め背中の方にあったスイッチを押した瞬間、突然ロボットが椅子から立ち上がりこう言った。

「ここはどこ... 」

茂は突然動き出したロボットに驚きしりもちをつきカワウソも動き始めたロボットから振り落とされた。

「あんた喋れるのかい」

「あの... あなたは... 」

女ロボットはそう言ってきたのでこれまでの経緯を全て話したのだ。

 

「そうですか、それでここに私がいたと... 」

「それよりここで何をしていたんだ」

「何も覚えてないんです」

この女ロボットは何故ここに自分がいるのかや名前すら覚えてなかった。

そんなことを言っている中、女ロボットは茂が買ってきた唐揚げ弁当をじっと見始めた。

「もしかしてこれ食べたいのか」

そう聞くと聞こえるか聞こえないかの小さい声で「はい」と言ったのだ。

「でもあんたロボットだから食事はしないだろ」

「でもお腹は空いています」

女ロボットは先ほどとは裏腹にビシッとした声でそう答えると袋に入っている唐揚げ弁当から唐揚げを一つ差し出しすとあっという間に一口で食べたのだ。

 

( 本当に食べたのか...)

そして唐揚げを食べ終えた次は突然こんなことを言ってきた。

「あのお願いなのですが私を引き取ってはくれませんか」

何故かと訳を聞くとこのままこんな所にいてもどうしようもないから外に出たいと言ってきた。

茂は一瞬考えた末、この女ロボットを引き取ることを決意した。

( 所詮ロボットなんだけどな、本物の人間みたいに見えてここにずっとほっておく訳にはいかないんだよな)

「ありがとうございます、これから宜しくお願いしますね」

 

茂たちが外に出た頃には完全に夕日が沈んでおり辺りが真っ暗になっていたのだ。

「おじさんはカワウソを飼われているのですね」

「あーこのカワウソはさっき捨てられていたから拾ったんだよな」

「そうなんですね、でもこのカワウソ何でか知らないですけど初めて会った気がしないのですよね。もしかしたら一度何処かでお会いしたかも知れませんね...



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3話 これから一緒に…

この道はあまり街灯が無く薄気味悪くあまり近寄りたくない道だ。そんな中、女ロボットがこう言ってきた。

 

「後ろから何者かが私たちをついてきてます」

 

しかし茂はそう言われ振り返っても誰も人の姿は無かった。

誰もいないじゃないかと答えると確実にいると言ってきてたしかにカワウソも何もない電柱の後ろの方をじっと見つめている。

けれども茂が何も異変はないと言いまた歩き始めて数分たった頃、また異変に気付きこう言ってきた。

 

「今、何者かがおじさんに急接近しています」

 

「さっきも言ってたが後ろに誰もいないだろ」

 

そう言いながらまた後ろを振り返ったがやはり茂の目には誰もいなかった。

 

「いやでも今はおじさんの真後ろにいます」

そう言われまた進行方向の前の方を向くと全身真っ白な姿をした人が口や目などは無いがそこに存在しそれを目の当たりにした茂は驚きまた尻もちをつ

いてしまった。

 

「何なんだお前は、人なのか」

 

「私には体温測定機能があるのですがこの白い物体から体温が感じられません」

 

「じゃあ俺らの目の前に現れてるこれは一体何なんだい」

その質問に女ロボットがこう予測し答えた。

 

「幽霊じゃないですかね」

 

茂はそんなことあるはずないと思いつつもこんな出来事が起こるのは幽霊がそこにいる以外考えられなかった。

そんな突然目の前に現れた白い姿をした幽霊だがある物をじっと見ている。

 

「もしかしてあんたこれ食うのか」

幽霊はそれに答えるようにうなずきあの唐揚げ弁当を恐る恐る与えると唐揚げを一つ受け取り食べたのでそれを見た茂はこう思った。

 

( この幽霊、口が無いから唐揚げを食べたというか吸い込んでいったな)

 

その後、幽霊の要求を満たした所でその場から立ち去りまた歩き出したがずっとまだ茂たちの真後ろに付いてきて何かに察した茂は幽霊にこう聞いた。

 

「あんたも俺らに付いてくるつもりか」

そうすると幽霊は大きくうなずき喜ばしい感じをしていたのだ。

 

「まあ害は無さそうだから大丈夫だろう」

 

そしてこの道には茂とダンボールから拾ったカワウソと謎の建物から発見した女ロボットと先ほど遭遇した幽霊が雲一つない月が照らす中歩いてやがて

茂が住んでるアパート近くまできたのだ。

 

( 今日はいろんなことがありすぎたな、平凡な日常を刺激するものがあればと思いちょっと普段とは違う道を行っただけなんだけどな)

 

一方、女ロボットが指を差しこう言ってきた。

 

「あそこから黒い煙が見えます、何でしょうか」

 

それを聞いた茂が急に慌てて走り出した。

 

「あそこは俺んちのアパートだよ」

 

茂たちはそこまで急いで走っていくとその先には墜落して動けなくなっていたUFO があった。

 

そして上の方にある扉を開き宇宙人らしきものが一匹グレイみたいなものが急いで出

てきて次の瞬間、故障し黒い煙があがっていたUFO が爆発し跡形

も無く消えてしまった。

 

それを見た茂はそのグレイに唐揚げ弁当の最後の唐揚げを上げこう言った。

 

 

「あんたも俺の所来いよ」

 

そうしてこれから茂はカワウソ、女ロボット、幽霊、そしてUFO が爆発し行くあてが無くなった宇宙人とともにこのアパートでの生活が始まるのだ。

 

 

次の日、異変に気付いたアパートのおばあさんの大家がインターホンを鳴らし訪ねてきた。

 

「田中さん動物を飼いだしたしょ、このアパートは動物の飼育が禁止されているのは知っているよね」

 

「昨日から動物と思われる鳴き声が漏れて聞こえてくるんだよね」

 

と大家はかなりきつめの口調で言ってくるが茂はこう言い返した。

 

「ペットの飼育が禁止されているのを知っていますから別に動物を飼ったりとかはしてませんよ、けれど連れてきたグレイはいますけど動物では無いです

から別にいいでよね」

 

そう言うと大家はこう答えた。

 

「宇宙人は人だから別に問題ないか」

 

そうしてうまく誤魔化しカワウソを追い出されなくすんだ茂だった...



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