地の文勇者 -説明口調な勇者譚- (K.R.)
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旅立ち編
EP1〜EP4「勇者の試練」


他サイト公開版のうちの4エピソード分を一つにまとめました。


時計「ピーピピピ、ピーピピピ、7時です、7時です。起床時間です。」

 

???「あああーーー………よーく寝た、ってもう7時か!? この"MP"を導力として動く目覚まし時計の音を耳にしてオレは自覚したぜ! まずい! 目的地に遅れちまうとっ!!」

 

ガタリッ!!

 

ジョンソン「オレはベッドから降りて急いで階段に向かうぜ! ……でオレの名前は"ジョンソン・エクストン"!! この王都・サイファスで暮らしている今日から勇者になる予定の男だ!!」

 

ジョンソン「ああっ!? しまった! またオレは説明口調に! なんだこいつベラベラと喋りやがって、と読者の罵詈雑言が聞こえてきそうだチクショー!!」

 

ジョンソン「……とにかく! 一刻も早く勇者となる為に今は領主様の住む屋敷にむかわねぇとなっ!! ……とオレは意気揚々と扉を開けて自宅から出て行くぜ!!」

 

バタンッ!!

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

ドドドドドドッ!!

 

ジョンソン「オレ、ジョンソン!! 今 急いで領主様の屋敷に向かっているところだ!!」

 

ジョンソン「この通路を右に曲がって行けば領主様の屋敷に着くぜっ!! ……ん!? 露店の前に居るあの二人はまさか!!」

 

ジョンソン「おーい文字通り悪そうな名前をした黒髪吊り目がコンプレックスな"ワルオ"ー! 病的なまでに綺麗好きな事で近所で有名になっている銀髪美女の"サリー"!」

 

ワルオ「……ん? 呼んだかジョンソン? そうだオレこそ"ワルオ"だ、ふははははっ! ……魔王だか何だか知らないが、このオレを差し置いて世界を恐怖で支配しようなど実に腹立たしいわ! オレこそが勇者になって魔王の息の根を止めてやるぞ!!」

 

ジョンソン「おお! お前は相変わらず支配欲が強い男だな! だがな! ……勇者となって魔王を倒すのはオレだぜ!! ……とオレは腕を組んで堂々と言ってみせる!!」

 

サリー「ジョンソン? あなたも勇者になるつもり? 悪いけど勇者となるのはわたしよ! 普段から遅刻ばかりするようなおマヌケ男が魔王を倒すなんて無理な話だからね!!」

 

ジョンソン「な、何だとー!? ……驚いた!!」

 

ワルオ「お! 隙あり! お前らより先に領主様の屋敷に行ってやるー!!」

 

ダダダッ!!

 

サリー「!? ワルオが走り出した!? 卑怯者! 待ちなさいよ!!」

 

ダダダッ!!

 

ジョンソン「あっ!? おい!! オレを置いて行ってんじゃねぇよ! ……お前たちこそ卑怯だー!!」

 

ダダダダダッ!!

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

ジョンソン「はあ……、はあ……、ようやく追い付いたぜ! ワルオ! サリー!!」

 

ワルオ「はっはっはー!! お前はのろいなジョンソン! この領主の屋敷の正面玄関の扉の前へ来るだけで、もうそんなに顔に出る程バテるなど、実に軟弱な男だ!!」

 

ジョンソン「……く! ワルオが何とも悪そうな表情をしてオレを見下しているっ! にしても何故こうなった!? 朝から何も食わずに突っ走ったからかっ!? 家からここまでの距離は1キロメートルも無いハズ! ……くそ! まさかお前ら二人に遅れを取るとはなっ!! とオレは悔しがった!!」

 

サリー「じゃあわたしは先に領主様と会って勇者の資格を貰いに行ってくるから、じゃあそういう事でお先にー。」

 

タッタッタッタッ!!

 

ワルオ「!! あっ、サリーが屋敷の扉を開けて早歩きで中に入って行きやがったぞ!! そうはさせるか! 勇者になるのは、このオレだっ!!」

 

ダダダダダッ!!

 

ジョンソン「!!? お、おい!? ワルオとサリーがまたそんな早い足取りで行くなんて!! さっきまで走ったばかりだろう!?」

 

ジョンソン「……仕方がない! 領主様の屋敷に入り一刻も早く勇者となるんだ!! ……てなわけで失礼しますっ! とオレは屋敷の扉をゆーっくり開け、両脇に居る警護担当の門番二人に頭を下げつつ中に入りワルオとサリーの後を追って行くぜ!!」

 

 

………………………………………………………………………………………

 

 

領主「ホーッホッホッホ! ……来たか、サイファスの領主たる私の屋敷へ……。その口から息を吐いている様子を見るに、二人共どうやらここまでわざわざ走ってきたようだね。………んで、早速本題に入るが、そこの君が今都市全体で行っている"魔王をぶっ倒そう!!"キャンペーンに応募した、勇者志望の人かな?」

 

ワルオ「おう! そうだ! このオレ様が勇者となる男だっ!!」

 

サリー「いいえわたしです! 領主様、こんな奴ほっといて下さい、魔王を倒すのはこのわたしなんですから!」

 

領主「勇者はどっちかはっきりしろッッ!!!!」

 

ワルオ・サリー「!?」

 

領主「………おおっと失礼、つい口調が荒くなってしまったよ。けど、勇者はやはり一人だけというのがお約束というモンなのだよ。……だから、君たちのどちらかg、」

 

ガチャンッ!!

 

ジョンソン「ちょーっと待ったああぁぁぁーーーっ!!! オレがキャンペーンに応募した勇者となる者だーーーっ!!」

 

ワルオ「!!? ジョンソンが勢い良く部屋のドアを開けて入ってきた!? おいおいお前! もうここまで追いかけてきやがったのかっ!?」

 

サリー「な、なんて体力っ! ……この屋敷は結構広くて私でも道に迷うかと思ったというのに!!」

 

領主「んぬ? ではそのジョンソンとかいう名前の君こそが、"魔王をぶっ倒そう!!"キャンペーンに応募した勇者志望者だと言うのかな?」

 

ジョンソン「はいっ! 本当です!! オレが勇者となって魔王を倒してやりますぜ!! と胸を張って答えたっ!!」

 

領主「ふーん、なるほど……。こーれは顎に手を当ててしばらく考えざーるを得んなー。」

 

ジョンソン「はえっ? な、何故です? ……このオレが都市の行うキャンペーンに応募した勇者志望者なんですよっ? 一体何故高級そうな椅子に座り難しそうな顔をして机に置かれた紙に目を通しながら深く考え込んでいるんですかぁ?」

 

領主「…………。よし、決めたよ。ジョンソン君、今一度 この都市の管理する書類を一通りみてみたんだが、確かに君は"魔王をぶっ倒そう!!"キャンペーンに応募した勇者志望者のようだね。」

 

ジョンソン「は、はいそうです!」

 

領主「ホーッホッホッホ!! なら君にはこれより勇者となる許可と資格を与える……と言いたいところだが、何処の馬の骨ともわからん貧弱そうな男に勇者を務めさせる訳にはいかない。そこでだ!!」

 

サリー「!? 領主様が天高く手を上げた!? あれは何を!?」

 

領主「ジョンソン君……いや、そこでへたり込んでいる銀髪の娘さんと、偉そうな態度を崩そうとしない目つきの悪い無礼者君の三人にはこれより、勇者となる為の試練に挑戦してもらう!! 勿論領主権限で拒否権は無しだ!!」

 

 



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EP5〜EP7「オレハドラゴン」

ジョンソン「よーし! 領主様の命令で、オレたちはたった今、勇者になる為の試練が行われる平原にやって来たぜ!」

 

ワルオ「へっ! こんな試練、さっさと終わらせてオレ様が勇者になってやるぞ! お前ら二人はそれを指を加えて見ているだけでいいのさ!!」

 

サリー「なにそんな勝ち誇ったような顔をしながら偉そうな事を言ってんのよ? あまり図に乗りすぎると、逆にあんたがそういう目に遭うわよ? きっと。」

 

ジョンソン「ふっふっふ! この日の為に毎日剣を振ってきたんだ!! 絶対にオレが勇者となってやるぜ!! ………ん? 何だ? オレらの近くにある草むらの陰に誰かがいるぞ?」

 

ワルオ「おーおー、ホントだ、赤い髮に緑の鎧、武器に剣を持ってやがるなあの野郎。……てことは恐らく勇者志望者! オレ様のライバルって事か!!」

 

サリー「へぇ、そうなの。よくよく見ればなかなか強そうな感じがするわね。」

 

ワルオ「当たり前だ! ここは勇者になる為の試練が行われる場所なんだからな!! 弱えぇ奴が来ても意味がねぇ!! よし、このオレ様があの野郎がどんな奴なのか確かめてきてやる!!」

 

ダッダッダッ!!

 

ジョンソン「あっ! お、おいワルオっ!! また勝手な行動をっ!! 戻って来るんだ! と勇者の試練の前に面倒事になってしまうのは困るから、オレはこれからワルオの後を追うぜ!!」

 

ダダダダダッ!!

 

サリー「はあ、……やれやれね。呆れ気味にため息をつきつつ、わたしもジョンソンたちを追おうかしら。」

 

ザッザッザッザッ!!

 

…………………………………………………………

 

???「……まだか? ここで確か勇者の試練が行われるとか聞いたんだけど……?」

 

???「どう見ても普通の平原のようなんd、」

 

ワルオ「なぁ、その場でキョロキョロと辺りを見回してるようだが、もしかしてもしかしなくともお前も試練を受けに来たんだよな?」

 

???「!? か、肩を掴まれ……ッ!? ええぇっ!? 誰!? ……ってこの人目つき悪いっ!! 面倒くさそうな奴に絡まれたあぁっ!!」

 

ワルオ「!! おい! 聞いてんのかお前!! こっちの質問に答えず、なに困惑した様子で人の顔をジロジロと見てんだよ?」

 

カイン「ひ、ひいィ……! こわっ!! わ、悪かったよ……、質問に答えるからその手をどけてよ!!」

 

ワルオ「へっ! わかりゃあ良いんだ。オレは根っからの優男だから、お前の言う通りに潔くお前の肩をがっしりと掴む自分の手を離すぜ。」

 

カイン「ふぅ、……ビ、ビビったぁ。……僕は"カイン"。"ディベル村"からサイファスまで勇者になる為にやって来たんだ。……まぁそういう訳で僕は君の予想通り、この平原には勇者の試練を受ける為に来てる。」

 

ダッダッダッダッダッ!!

 

ジョンソン「おおぉーーい!! ワルオー! そろそろ試練が行われる時間だから準備をしておいた方が良いとオレはお前に言っておくぞー!!」

 

ワルオ「!! もうそんな時間か、カイン……だったか? とオレ様は再度お前に聞くぜ。」

 

カイン「……え? うん、そうだけど?」

 

ワルオ「お前も試練の参加者らしいな!! なら今からお前は! 試練に合格し勇者となるのを狙うこのオレ様の"ライバル"という事になる!!」

 

カイン「ら、ライバル……は、ははは……、何か勝手に好敵手認定されたー!」

 

サリー「ふう、やっとワルオの下へ着いたわね……。今の今までジョンソンと二人で走ってたから少し疲れたわ。……って、あれ? 何か揺れてない? 私の気のせいかしら?」

 

ジョンソン「んんっ? …………っ!! 少しの間 意識を集中させたオレは付近でやや弱めの"振動"を感じ取ったっ!! サリー! お前の言う通りこの近くで地震が起きているようだぞ!!」

 

カイン「じ、地震っ!? ホントに!? や、ヤバいじゃねぇか!! 危険だからみんな早くここから離れないと!!」

 

ワルオ「おいおいカイン? 大袈裟な野郎だなぁお前。そんなに慌てた様子でオレ様たちをまるで避難訓練をするかのように安全な場所へ誘導しようとするだなんて。」

 

カイン「え、……ええぇ!? この人たち全然焦ってなくないか!?」

 

グゥィィィィン!!

 

ジョンソン「……お!! カイン、って言うのか!! 何かよく分からんがオレらの近くの地面に円形状の穴が開いたぞ!! そしてその中から何か出てきそうな気がするぜ!!」

 

カイン「えええーーーーー!? 地面に穴ーーー!? 一体この平原どうなってんだよーーー!?」

 

???「おっほっほっほ。……やぁ、試練参加者の諸君、ご機嫌よう。」

 

ジョンソン「!! やはりオレの予想通り、地面に開いた穴の中から黒いカンカン帽を被り、赤いジャケットを着こなし、口髭と顎髭を生やした特徴的な風貌の男が現れたな!!」

 

カイン「いやいやいや、誰なんだよあの人はーーー!?」

 

カース「私の名は"カース"という! 今から行う勇者となる為の試練の説明を担当する者であーる!」

 

カイン「え!? そ、そうだったんですか!?」

 

カース「ああそうさ! と私は試練の参加者に答えた!!」

 

カース「よし、では試練参加者の諸君に聞いてみるが、君たちはサイファスの領主に言われてここまで来たのだろう?」

 

ジョンソン「はいッ! とオレは力強く頷きながら返事をしたぞ!!」

 

ワルオ「オレ様も以下同文だぁ!!」

 

サリー「わたしも以下同文よ。」

 

カイン「ぼ、僕も同じです!!」

 

カース「ほうほうほう!! そうかそうか! って思ったより少ないな!! ……まさか試練に参加するのは君たちだけか!? 全く、最近の若者はなってないなー!!」

 

ワルオ「確かにィー!! オレ様とコイツ等以外の王都の奴らは、親の仕事を継ぐだの冒険者で稼ぎたいだのとぬかして勇者を目指そうとしねぇからな!!」

 

サリー「……ちなみにわたし 昔は勇者じゃなくて冒険者をやろうかと思っていたわ。」

 

ジョンソン「冒険者はやめておいた方が良いぞ! 勇者になれば強くなれる、とオレはサリーに勧めた!!」

 

カイン「ぼ、冒険者じゃなくて勇者が良いんだ……。まぁかく言う僕も勇者志望だけど。」

 

カース「参加者は四人だけだが、悩んでいる時間も余り無い!! というわけで今から試練の説明に移ーる!!」

 

ガチャリ!!

 

ジョンソン「ん? カースさんが横にある赤色のレバーを引いたぞ? 一体何をするつもりなんだ?」

 

カイン「平原にレバーが出てくるのはおかしい! おかしいよ作者さん!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

グルォォォーーー!!

 

ワルオ「あ? 何か今度は青色のドラゴンが地響きと共に現れたぞ?」

 

サリー「ドラゴン……一体何をするつもりかしら。」

 

カイン「え!? 何故驚かない!? 何故みんな驚かないんだ!? ドラゴン強いじゃん!! 全然弱くないモンスターだよ!?」

 

ジョンソン「いや、カイン……どうせなら……、ドラゴンじゃなくて……魔王とかだったら良かったぞっ……、とオレは項垂れる。」

 

カイン「気が早すぎるだろ!?」

 

カース「試練は簡単だ! この"オレハドラゴン"を全員で協力して倒す事。もちろん四人ともやられたら勇者になる資格は得られなーい。」

 

カイン「オレハドラゴン!? 何その名前!? 自己主張激しすぎないか!?」

 

カース「さぁ、準備は良いかな? でーは、試練開始ィ ー!!」

 



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EP8〜EP10「ドラゴン対勇者候補たち」

ジョンソン「うおおぉーーっし!! やるぞお前たちー!! 全員で力を合わせて倒すぞー!!」

 

ワルオ「ったく……しゃあねぇな! 足を引っ張んじゃねぇぞ!!」

 

サリー「あなた達の出番は無いわよ。全てわたし一人で十分よ!!」

 

ワルオ「へっ!! 勝手に言ってろ! とオレはサリーに言い返すぜ!!」

 

カイン「ほ、本当に大丈夫なのか……? 名前はアレだけど、一応ドラゴンだよ? 僕たちだけで勝てるのかな……?」

 

ジョンソン「おいおい! 何を不安そうな表情でオレハドラゴンの方を向きつつボヤいているんだ!! オレたち全員で戦えば勝てるぞ!!」

 

カイン「そ、そうだよな! ぼ、僕だってやればできるんだ!! 一度でも弱音を吐いたら、その途端ダメなヤツになっちゃうって言うしね!!」

 

ジョンソン「ああ! その意気だぞカイン!! ……ん!? 気をつけろ! オレハドラゴンが動き出したぞ!! と、全員に注意を促すぜ!!」

 

サリー「先手必勝よ! まずはわたしから攻撃させてもらうわ!!」 

 

カイン(!! サリーって人が攻撃するみたいだ! 確か魔法を使えるって言ってたけど……一体どんな魔法で攻撃するんだろう?)

 

サリー「ふふふ、いくわよ……"マッチで付けた炎"!!」

 

シュボッ!! ポイッ!!

 

ジョンソン「おおおっ! さすがはサリー! オレハドラゴンが攻撃するよりも前に、懐に忍ばせておいたマッチで火を付けて投げつけるとは!!」

 

カイン「えええ!? 全然魔法じゃなーい!! それ、誰でも出来るからーーー!?」

 

オレハドラゴン「ググオオォォォ……。」

 

ゴソゴソゴソッ!!

 

ワルオ「…………あ? おいおい、オレハドラゴンの野郎、どこからともなく消火器を取り出してきたぞ?」

 

カイン「し、消化器!?」

 

オレハドラゴン「ゴゴアアアォォォォォ!!」

 

ブシュアアアァァァーーー!!

 

サリー「!? や、やるわね……。わたしの"魔法"を消化器の煙でかき消すなんて……。」

 

カイン「お前ら普通に戦え!?」

 

ジョンソン「くっ! こうなったら!! ワルオっ! あの技をやるぞっ!!」

 

ワルオ「!! アレをかジョンソン!! 数ヶ月前に……お前とオレ様が魔王を倒す用の技として編み出した必殺奥義を!!」

 

カイン(必殺奥義!? まさか、ジョンソンとワルオの二人で連携攻撃をするのか!?)

 

サリー「あの技ね……、わたしには恥ずかしくてできないわ。」

 

カイン「……え、恥ずかしい? それはどういうk、」

 

ジョンソン「いくぞワルオーーーッ!!」

 

バッ!!

 

ワルオ「来い! ジョンソン!!」

 

バッ!!

 

カイン「!? 飛んだ!?」

 

サリー「ジョンソンとワルオが飛んで、その後がカッコ悪いのよね。」

 

ジョンソン・ワルオ「「うおおぉぉぉっ!!」」

 

ガッ!!  ガッ!! シュタッ!!

 

ジョンソン・ワルオ「「合体・完了!!」」

 

カイン「えええぇぇぇぇ!? 合体って何!? ただ単純に肩車してるだけじゃん!!」

 

サリー「そう、ジョンソンとワルオの必殺奥義は、肩車してから始まるのよ。」

 

カイン「そ、そうなんだ……。」

 

ジョンソン「おい! オレハドラゴンっ!! 覚悟するんだ!! オレたち合体戦士が来たからにはもう好きにはさせんぞ!!」

 

カイン「合体戦士て……、肩車しただけなんだけどなぁ。」

 

オレハドラゴン「グググゴゴゴォォォーーーッ!! …………人間如きが、このオレハドラゴン様を怒らせるとどうなるか……思い知らせてやるわ!!」

 

カイン「……ド、ドラゴンがシャベッタァァァァァ!!?」

 

ワルオ「ケッ! オレハドラゴン……、人間の言葉を話す知能はあるようだな!! だが所詮は見掛け倒し! ドラゴンなぞ取るに足らねぇぜ!!」

 

ジョンソン「うぉぉぉーーーっ!! オレは上に乗っているワルオを持ち上げたまま、天高く飛び上がったァァァァァーーー!!!」

 

ダンッ!!

 

カイン「おおお! スゴイ! 見た目は何かちょっと……いやかなりダサいけど、いけそうな気がする!!」

 

オレハドラゴン「ハハハハハッ! こんなもの! オレの刃物のように鋭利で切れ味抜群な爪で叩き落としてくれる!!」

 

ブンッ!!

 

サッ!!

 

ワルオ「こんな攻撃! 当たらん!! とオレ様とジョンソンは避けるぜ!! そしてトドメだっ! 調理棍棒・不羅威判〈フライパン〉!!」

 

カイン「いやフライパンはご飯作る時に必要なヤツ!! 武器で使って良い物じゃなーい!!」

 

サリー「ふ、不羅威判〈フライパン〉……、王都の武器屋でも殆ど出回っていないといわれる伝説の……!!」

 

カイン「そ、そうだったのかよ!?」

 

ワルオ「喰らえオレハドラゴンッ!! 合体奥義・酢食卵武流〈スクランブル〉・アタック!!」

 

ドグォァンッ!!

 

ジョンソン「そう、あれはいつかの早朝時に食したスクランブルエッグのように柔らかく優しい味だった……。」

 

カイン「最早食レポになってる!?」

 

オレハドラゴン「……、み、見事だ、人間たちよ……。オレハドラゴンであるオレを打ち倒すとは……ぐふっ!!」

 

サリー「ジョンソンとワルオの必殺奥義を受けたオレハドラゴンが負けたようね。」

 

カイン「た、ただの調理器具でやられるドラゴンって一体……。」

 

オレハドラゴン「お前たちの勝ちだ……、んあ〜あっ、今日の仕事終わり! オレはもうお家帰るもん、……じゃあの。」

 

ドスン! ドスン! ドスン!

 

ジョンソン「あっ!! オレハドラゴンがオレたちに背中を見せながら平原の南方面に向かい帰って行ったぞ!!」

 

スタッ!!

 

ワルオ「ほっ!! オレ様はジョンソンの肩から降りた!! はははははっ!! オレたち四人の勝ちだぜ!!」

 

カイン「け、結局僕何もやってない……。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

グゥィィィィン!!

 

カース「おっほっほっほ!! カースは地中からゆっくりと現れーる!! ……よくやった! 君たち!! オレハドラゴンをー、見事撃退したな!!」

 

カイン「うわ!? さも当然のように地中から出てきたぞあの人!?」

 

ジョンソン「ええ!! オレハドラゴンはオレたち全員で協力して倒しました!!」

 

ワルオ「おおぅ!! 試練はこれでクリアなんだろ!? はやくオレ様を勇者にしろっ!!」

 

サリー「!? 勇者になるのはわたしよ!! 魔法が使えるわたしこそ勇者に相応しいのよ!!」

 

ジョンソン「んなっ!? お前たち仲間割れをするなよ!! そんな事で揉めているようじゃあ勇者にはなれないぞ!!」

 

ワルオ・サリー「何ー!?」

 

カース「まあまあ落ち着くんだ。喧嘩せず仲良くやるんだよ君たち。さて、試練の結果だが……。ふむ、文句無しよ……全員、試練合格だ。」

 

ジョンソン「え、えっ!? ぜ、全員!? オレは驚愕した!!」 

 

ワルオ「全員って……オレら四人とも勇者になる資格が得られた……、という事か! カースに尋ねてみるぜ!!」

 

カース「ああ、そういう事だ。君たち全員、明日から勇者として魔王を倒しに行ってもらおう。」

 

ジョンソン「は、はは……ははは!! や、やったぞ!! 勇者になれたぞーっ!!」

 

カイン「あ、あはははは……。僕全然戦ってないけど、勇者になれたー!」

 



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ディベル村編
EP11〜EP12「作者の失態と森の罠」


…………………………………………………………

 

ジョンソン「……という事で! カースさんから勇者の資格を得たジョンソンたち四人は遂に! 勇者として旅に出たであった!! ーーと俺は代わりにナレーションしてみるぞッ!!」

 

ワルオ「おーおー、めっちゃわかりにくいあらすじだなー。」

 

サリー「そうねぇ、もう次からカインにあらすじ言ってもらおうかしら?」

 

ワルオ「そりゃ良いな。今オレ様の前を呑気に歩いてるカインの野郎にこれからあらすじの方を任せるとするかー。」

 

カイン「ちょっ!? ……何で僕ゥ!? さっきのあらすじのどこが不満だったんだよ!?」

 

ジョンソン「おいお前たち!! 言い争ってないで早くこのサイファスの南方にある森へ向かうぞ!! 森の中を通り抜け、そのまま西へと行けば次の街に着けるんだからなっ!! ……と言った後 俺はカインたちより先に森へ全力疾走して行くのであったー!!」

 

ダダダダダダダーーーッ!!!

 

カイン「あっ!? ちょ、ちょっと待ってよジョンソン!!」

 

ダダダダダッ!!

 

ワルオ「やれやれ、カインの野郎もジョンソンの後を追って行きやがったか……。」

 

サリー「仕方ないわね。汚れるのは嫌だけどわたしたちも二人を追いかけましょう。」

 

ワルオ「おう、そうだな。……ていうかサリーお前、そう言えば"綺麗好き"って設定のキャラだったな。全然そんなシーンが無かったからてっきり作者が忘れていたのかと思ったぜ。」

 

サリー「ええ、認めたくはないけどワルオ、あなたの言う通り完っ全に作者が頭から忘れ去ってたようなの。……ねえ作者、聞いてたわよね? 今すぐ燃やしてやりたいところだけど、この小説のストーリーが優先だから今回は後回しにしてあげるわ。」

 

作者「ひ、ひいぃどうか、お許しをォォォッ!」

 

ワルオ「この作者、サリーに向かって土下座しながら謝ってきたぞ。……別にそこまでしなくてもよくねえか? お前この小説書いてる張本人なんだろ?」

 

サリー「はあ、全く。じゃあわたしはそろそろ森へ行くわ。ワルオ、あなたはそこの忘れん坊さんを三次元に帰してあげて。」

 

ダッダッダッダッ!!

 

ワルオ「サリーがスカートの裾をたくし上げながら軽やかに走って行ったな。……よし、それじゃ作者、オレ様権限で自分の家へ帰って良いぞ。」

 

作者「あ、ありがとうございますっ!! ……って今更だけど何おれ自分の作った小説のキャラクターに謝ってんだ!?」

 

ワルオ「……とかなんとか言いつつ、作者は無事に現実世界へ帰る事ができたようだぜ。……うおっと、もうジョンソンとカイン、サリーの三人が見えなくなったか! 急がねぇと追いつかねぇなこれは!! と全速力でオレ様は森へと突っ走って行くぜ!!」

 

………………………………………………………………………………………

 

ジョンソン「森の奥へいざ進むぞーカイン!! とオレは獣道をカインと共に歩いていく!!」

 

ザッザッザッ!

 

カイン「あっ! ジョンソン! その方向じゃないって! 東に向かうと次の街に行けるんじゃないの!?」

 

ジョンソン「んん!! おお、たしかにそうだった! よし、カイン! 案内してくれ!! 今頃になって俺は自分が大の方向音痴だった事を思い出したんだぜ!!」

 

カイン「ええぇ!? そうなの!? 早く言ってくれよー!!」

 

ジョンソン「はっはっはー!! すまんな忘れていた! ……んっ? 俺たちがやってきた獣道の奥の方から人影が見えてきたぞ?」

 

カイン「!! あれはワルオとサリー!! そうだジョンソン、僕らは早く行きすぎたんだよ!」

 

ジョンソン「そ、……そうだったのか!? あの二人の事など全く考えてなかったぞ!! とオレはしまったといった顔で後悔する!!」

 

カイン「待ってあげなきゃ駄目だ! ……って、僕なんでジョンソンを責めてるんだろう。……わからない! こんなぶっ飛んでるヤツらを擁護する自分の事がよくわからなくなってきた!!」

 

ジョンソン「カインは自分の顔に手を当てて"あああぁぁー"と唸っているな!! 仕方ない! これも魔王の呪いによるものなんだろう!!」

 

カイン「いや呪いは関係ねぇーーー!!」

 

…………………………………………………………

 

ワルオ「漸く追いついたぜ。お前ら! このオレ様を置いて行くとはいい度胸をしているなっ!! とジョンソンとカインに言い放つぜ!!」

 

サリー「はぁ、疲れた。走るのならもう少しゆっくり行ってよ。ほら、おかげでわたしの服の足元に汚れが付いたじゃない。」

 

ジョンソン「くうぅっ!! ワルオとサリーが追い着くのを待った結果、二人に責められてしまうとはっ!!」

 

カイン「ふ、二人とも本当ゴメン! 置いてったつもりはないんだ!!」

 

ワルオ「フン! そうか、まぁ心の広いオレ様はお前ら二人の失態を今回だけは許してやるぜ! と腕を組みながら偉そうな表情でジョンソンとカインに話す!」

 

サリー「仕方ないわね。……あら、ジョンソン、何かここら辺ちょっと煙たくない?」

 

ジョンソン「んっ!? お、確かにこの辺り一帯にガスのようなものがたちこめているぞ!? 何か色々とヤバそうな感じだ! とオレは感想を口にするぜ!!」

 

ワルオ「ん、そうか? 火事って訳でもないのにお前ら大袈裟だな! といやに警戒しているジョンソンやカイン、そしてサリーの様子を見てオレ様はそう話す!!」

 

カイン「いや、でも……これは! みんな今すぐここから離れ………て……ーーー」

 

バタッ!

 

ジョンソン「!!? カ、カインが急に地面に力なく倒れ伏せたぞっ!? 一体どうし……た……、ね……む………ーーー」

 

バタッ!

 

ワルオ・サリー「ジョ……ジョンソンも倒れ……ーーー」

 

バタッ!!



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EP13〜EP14「ディベル村の村長」

ジョンソン「………、はっ!?」

 

ガバッ!!

 

ジョンソン「こっ、ここは!? とオレは慌てて辺りを見回す!!」

 

ジョンソン「ってオレ、木製の骨組みの上に薄い布が被さっただけの質素なベッドで今まで眠っていたのかァー!?」

 

???「おおぉ、お目覚めになられましたかの?」

 

ジョンソン「ん、んんッ!? オレのベッドの横にある椅子にいつの間にか座っていた爺さんが話しかけてきた!? とオレは大袈裟ながら驚いた!!」

 

???「まあまあ、そう驚きなさるな。……ところでお前さん方、この()の付近に仕掛けられた"魔物用の罠"に引っ掛かっておったそうじゃが……何があったというのじゃ?」

 

ジョンソン「な!? オレたちは"魔物用の罠"にかかり、気絶してしまっていたという事だったのか!? なるほど! とオレは手をポンと叩いて納得したぞ!!」

 

???「……ああそう言えば言い忘れておったが、お前さん以外の他の三人も村の者たちの手で助け出しておる。」

 

ジョンソン「そうなのか! いやぁ本当にありがたいぜ! その三人は全員ともオレと同じ勇者候補なんだ!! と、ワルオとサリー、そしてカインが救出されていた事にオレは一安心!!」

 

ジョンソン「って少し待ってくれ! さっきから村村言っているが、ここは一体何という村なんだ!? とオレは白髪混じりで皺が寄っている爺さんにそう聞いてみた!」

 

イブブ「ここは"ディベル村"だぞい。それでわしはそのディベル村の村長をしておる"イブブ"と言う。勇者の青年よ。元勇者(・・・)の暮らす辺境の村へよくぞ参られたな。」

 

ジョンソン「へぇーディベル村……、んん? ディベル村だと!? カインの言っていた村じゃないか!? それにこの村! 元勇者が住んでいるとは本当なのかイブブさん!? とオレは爺さんがカインの出身地であるディベル村の村長であった事に驚くが、それよりもかつて魔王と戦ったあの元勇者が村で暮らしているという事に一番衝撃を受けたっ!!」

 

………………………………………………………………………………………

 

カイン「んーー……、ここはっ?」

 

スッ!

 

ワルオ「!! 目が覚めたかよ、カイン。……と、オレはベッドの上で瞼を擦りながら起きたカインに声をかけた!」

 

カイン「あーはいはい……、ってかここ何処なんだワルオ?」

 

ワルオ「ああ、ここは"ディベル村"だってイブブとかいう爺さんが教えてくれたぞ。とカインに教えてやったぜ。」

 

カイン「へぇー、そうだったのか、イブ………ブッ!!?」

 

ガバッ!!

 

ワルオ「おいおい、突然血相を変えてベッドから降りてどうしたんだカイン?」

 

カイン「イ、"イブブ"って!? それにディベル村!? という事はここは……僕の村なのか!?」

 

ワルオ「……そういえばお前の出身地だったな。……とオレは勇者の試練時にカインが話していた事を思い返してそう言ったぜ!!」

 

カイン「あぁやっぱり! 僕はこの村からサイファスまで歩いてきたんだ! けど、まさか森の近くにあるなんて知らなかった……。」

 

ムクッ!

 

サリー「……ふわぁ〜眠っ、あら? 何なのこの貧乏くさいお部屋は?」

 

ワルオ「おお、サリー! お前も起きたか! まーたしかに汚れてるし薄暗ぇ部屋だがベッドの寝心地は悪くなかっただろ!」

 

カイン「さりげなく僕の村の事ディスるのやめてもらえるかな!?」

 

ワルオ「はっはっは! 悪いなカイン! そんなつもりはなかったんだが口が滑ってしまったぜ! だが本当にこの部屋……掃除機かルンバかけた方が良いんじゃねぇかオイ。」

 

カイン「いやそんな近代的な掃除道具なんて無いから!?」

 



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EP15〜EP17「魔物の襲撃」

………………………………………………………………………………………

 

イブブ「どうじゃ? 勇者の方。 ここがディベル村だぞい。」

 

ジョンソン「ほぉ! そうか! ディベル村! ……ん? なるほど、あの中央部にある金色の鐘が村のシンボル的なものなんだな! と俺は俺が起きたベッドのあった住宅より目の前の開けた場所にある鐘楼を目にしてそう理解したぞ!」

 

ガチャリ! ザッザッザッ!

 

ジョンソン「っと、ん? おー! お前たち! どうやら無事なようだな!! と俺は木造の家屋から出てきたワルオとサリー、そしてカインを見て喜びの言葉を口にしたぜ!!」

 

ワルオ「ああ、ジョンソン。お前も大丈夫そうだなァ?」

 

ジョンソン「おう! 俺はこの通りピンピンしてるぜ! とワルオに自分の快調をアピールするッ!!」

 

サリー「……ところで、ここはディベル村よね? イブブって人がワルオにそう言っていたらしいけど……?」

 

イブブ「そうじゃ、お前さんらが村の近くに仕掛けた罠に引っ掛かっておったからここまで連れてきたんじゃよ。」

 

サリー「へぇーなるほどね、とイブブというお爺さんの話した事を理解したわ。」

 

カイン「じ、じいさん……、僕またこの村に戻ってきてしまったよ。」

 

ジョンソン「な、何という事だ! 珍しくカインがしょんぼりとした様子でイブブさんを見つめて言ったぞ!」

 

イブブ「……おおカインか。何 そんな顔をするでないぞ。勇者の試練には合格したんじゃろう?」

 

カイン「あ、うん……そうなんだけど……。僕 王都サイファスに出発するときに村の皆に言ったよね?」

 

カイン「"立派な勇者"になって帰ってくると。」

 

カイン「それなのにこんなに早く戻ってきただなんて知られると、僕 恥ずかしくて皆に顔向けできないんだよ……。」

 

イブブ「ふむ、そうか……。」

 

カイン「だから……頼むよ、僕が村に来てるって事は誰にも伝えないでくれ!」

 

ジョンソン「なーんかさっきから少しギャグ成分が足りないような……いや、気のせいだな! うん! とカインとイブブさんから離れてちょっと個人的に気になったことを口にする!」

 

イブブ「………、よし任せるのじゃカイン。村の者には家の中に引き篭もりの如く閉じこもっておるように言っておくぞよ。」

 

カイン「ご、ごめん村長! そして引き篭もりとか言われてる村の皆! けどありがとう!」

 

ジョンソン「カインがイブブさんに頭を下げながら感謝の言葉を話したようだな!」

 

サリー「……あら? 何か遠くからデカいのが近付いてきてるわよ?」

 

ジョンソン「何だって!? おお本当だ! 村のシンボルの鐘楼より向こうにある森へと続く獣道から大勢の魔物と思しき黒い影がこちらへ向かって来ているぞッ!!」

 

カイン「えっ!? それは大変だ! 早くなんとかしないと村が危ない!!」

 

ワルオ「おいおい、待て待て。それより先にその事を村長へ話した方が良いんじゃねぇのか? と焦るカインにアドバイスしておくぜ。」

 

カイン「たしかにそうかもしれない、わかった。じいさーん!!」

 

イブブ「おお、なんじゃ? まだ何かわしに頼みがあるんかいの?」

 

カイン「いや、そうじゃない! この村に魔物が押し寄せてきてるんだよ!!」

 

イブブ「なんと!? それは一大事じゃぞ! 急いでお前さんらと村の若いもんで協力して……、と、そうじゃった、カイン、お前が戻ってきているのは皆には内緒であったな……。」

 

カイン「そ、村長……。」

 

イブブ「よし、ならばここはわしらに任せるのじゃ! 村長のわしらで力を合わせてモンスターなんぞ撃退してやるぞい!!」

 

ジョンソン「!? 本気か村長! と俺はイブブさんに真意を問うぜ!!」

 

カイン「じいさん!? 大丈夫なのか!? 僕も戦うよ!」

 

イブブ「いや、カイン、そしてお前さん方……、一先ずわしの家に入っておれ。わしら村の者たちだけで魔物共を退治してやるんじゃ。」

 

カイン「じ、じいさん……、わかった。だが死なないでくれよ!」

 

イブブ「当たり前だぞい。わしは不老不死じゃからな。ふぉっふぉっふぉ。」

 

カイン「ふ、不老不死ってのは初めて聞いたけど、とにかく! 任せた村長!」

 

ジョンソン「お、カインがイブブと話し終えた後 俺が出た家屋へ入っていったようだな!! よし、ワルオ、サリー! 俺たちもカインについて行くぞ!! と俺はワルオとサリーにそう指示した!!」

 

………………………………………………………………………………………

 

カイン「………、みんなに任せちゃったけど、本当に大丈夫なのだろうか……。」

 

カイン「なんか、不安だな……。」

 

ジョンソン「……お! カインが椅子に座って村長や村の者たちを心配しているな! と俺は部屋の中に居るカインを見てそう言った!!」

 

カイン「あ、ジョンソン……。いや、心配というか………不安になってきたんだ。」

 

カイン「村のみんなだけでゴブリンの群れと戦うなんて……無茶はしないといいんだけど………。」

 

ワルオ「まー大丈夫だろ、あの村長の顔を見りゃ分かる。オレ様はカインを宥めてやるぜ。」

 

カイン「顔って……どんな顔してたんだよ?」

 

ワルオ「カインに問われたから答えてやる、村長は…………そうだ、"ナマズ"みてぇな顔してたぞ。」

 

カイン「どういう顔!? ていうかソレただの悪口だろ!?」

 

ジョンソン「あり得ないと言わんばかりにカインがワルオにツッコミを入れたぞ!」

 

 

ズグオァーーーンッ!!

 

 

カイン「っ!!? な……なんだこの音はっ!?」

 

サリー「村の入り口の方から聞こえてきたわね。」

 

ジョンソン「!! 先程の轟音を聞いたサリーが指差す方には窓があるぞっ!! と俺はワルオとカインに知らせる!!」

 

カイン「……くっ!! これは……!!」

 

ワルオ「カインが窓を覗き込んだぞ。………! も、もしかして、あいつらはっ!!」

 

ジョンソン「なんだなんだッ! 何があるんだッ!! と俺はカインとワルオが見る窓の外の景色を確認してみるぞッ!!」

 

ジョンソン「……って、な、何ィーーーッ!? 俺は手をあげて驚いたッ!!」

 

サリー「窓の向こうの村の入り口……、誰か倒れてるけどあれってイブブ村長よね? なんかゴブリン達にやられてない?」

 

カイン「そ………村長ぉぉーーーーーッ!!!」

 

ダダダダダダダッ!!

 

ワルオ「!! おい! どこ行く気だカイン!! オレ様は腕を掴んで引き留めた!!」

 

カイン「くそ! 離すんだ!! 僕があいつらを倒してやる!!」

 

ガチャッ!! バタンッ!!

 

ワルオ「!! 腕を振り払われた!? しかもカインがその後すぐに扉を開けこの部屋から出て一人で外へ行きやがったぞ!!」

 

ジョンソン「うおおッ!! カインーッ!! お前だけでゴブリンと戦うというのかーッ!! と俺はカインの行動を無謀だと嘆くッ!!」

 

サリー「全く……やれやれね、………思わずため息が出ちゃったけど……行くわよ二人共。」

 

ジョンソン「おうッ! カインを追いかけるぞーッ!! と俺達三人は部屋の扉を開け外へ行きゴブリンと戦おうとするカインを助けに向かうぜッ!!」

 



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EP18.〜EP20.「コブゴブリン」

とんでもなく遅れてしまいましたが最新話です



 

ダッダッダッダッダッ!!

 

カイン「はぁっ! はぁっ! はぁっ! ………、!!! み、皆……倒れてる……っ!!」

 

カイン「………っく!! はっ!? そ、村長っ!!」

 

イブブ「んおぉ………、カ、カインか……一体なぜここへ来たのじゃ……?」

 

カイン「決まってるだろう! あなたを助ける為だ!! 今ここへ僕が来なければ、あなたはこのまま一人で魔物たちと戦うつもりだろうから!!」

 

カイン「この"ディベル村"の村長を……みすみす死なすわけにはいかない!!」

 

チャキン!!

 

イブブ「カイン……!? な……、よすのじゃ! お前では勝てん! だからその魔物と戦う為に抜いた剣を鞘に納めて、大人しくこの場所からスタコラサッサと逃げなさーい!!」

 

カイン「僕は……、僕は誰に何と言われようとも、どんな魔物に阻まれようとも、あと、どれだけ突っ込みたくなるような台詞を聞いても……、絶対にやり遂げてみせると決めた自分の目的を、諦めないっ!!!」

 

イブブ「カ、カイン………っ、お主………!!」

 

???「ウウウォォォォアアアッ!!!」

 

カイン「っ!? お前は……!!」

 

???「アァウェアァ……、ニン………ゲン………。」

 

カイン「なっ!? こ、コイツ……喋るぞ……!?」

 

コブゴブリン「キケ……、オデノナハ………、………"コブゴブリン"!!」

 

コブゴブリン「アタマノウエトアゴノシタノ……オオキナ"コブ"ガトレードマークダ………!!」

 

カイン「いやなんなんだお前ら!? 何!? 最近変な名前のモンスターって流行ってんのぉ!?」

 

ドガァーーーンッ!!

 

カイン「!!? こ、今度は何だ!?」

 

ジョンソン「とおぉぉォォォォォォォォーーーーー!!!」

 

ワルオ「ハハハハハッハァーーー!!!」

 

スタァンッ!!

 

サリー「………やれやれ全く、わたしの高火力の炎魔法が無ければなんとも地味な登場だったわよ、あなたたち」

 

カイン「ジ、ジョンソン!? それに……、ワルオ、サリー!!」

 

ジョンソン「ふぅぅーー! 決まったぞ!! とオレは自分の登場シーンの仕上がりに満足そうにウンウンと頷きながらゆっくりと姿勢を整える!!」

 

ワルオ「ああ! こんなにカッコよくこの俺様のご登場が演出できたのは、俺様達の忠実なシモベ・サリーとカインのお陰だなァ!!」

 

カイン「部下じゃねーから!? 僕は君たちの旅の"仲間"だよ!!」

 

サリー「………。わたしを勝手にあんたの部下にしないでくれるかしら? ……はあ、せっかく今回用意した"6000本"のマッチのうち半分もコイツらの登場用に使用するハメになったじゃないの」

 

カイン「ろ、"6000本"っ!!? ものすんごい数用意したな!?」

 

ジョンソン「まあ積もる話は後だ………それよりもォ………あのゴブリンを何とかするんだぞ!! とカインとイブブの近くのゴブリンの群れを見てカインたちに俺は応戦するよう呼びかけた!!」

 

ジョンソン「うぉっし! そしてオレは人差し指でゴブリン共を指差して……やるぞお前たちィィィィーーーッ!!」

 

ジョンソン「……と! ゴブリンとオレたちとの戦闘開始の合図を出したァ!! 行くぞォォ!!」

 

カイン「うあぁぁぁ!! まずは僕からだぁ!! 覚悟しろゴブゴっ……、コブゴブリンッ!!!」

 

カイン「あーくそ噛んだ! 言いにくいふざけた名前してんじゃねぇよ!!」

 

ダダダダダダダッ!!

 

ジョンソン「おおおっ! カインがコブゴブリンに向かって剣を抜いて勢いよく走り出したぞ! これは速い! 何という速さだッ!!」

 

カイン「うおぉぉらあぁっ!!」

 

キィンッ!

 

カイン「……なっ!? "刀身"が折れた!? ……ぐほっ!?」

 

ジョンソン「まずい! カインがコブゴブリンの棍棒による一撃を腹部にまともにくらってしまったァ!!」

 

コブゴブリン「ドウダ! ニンゲン!! ワレラノチカラヲオモイシッタカ!!」

 

ワルオ「コブゴブリンのヤツ……自信を張り付けたような顔で地面に膝をついてるカインを見下ろしながら言いやがった……!」

 

カイン「うぅ……、こ、こいつら……! 馬鹿みたいな名前のわりに強い………ぐッ!!」

 

ドサッ!!

 

ジョンソン「あ、あぁぁーーー!? カ、カインが前のめりに倒れたぞ!?」

 

ワルオ「意地なんか張ってるからああやって倒されんだ。ったく、仕方ねぇ。今度はオレらの番だぜ? コブゴブリン……」

 

ジョンソン「そうだッ!! 昆布ゴブリン共よ! 次の相手はこの俺たちだァ!!」

 

サリー「ジョンソン、"昆布"じゃなくてコブよ。格好つけてコブゴブリンたちに宣戦布告してるようだけど」

 

コブゴブリン「ギギィー! ナメラレタモノダナ……ニンゲン! ナラバサンニンゼンインニナカヨクジゴクヲミセテヤル!!」

 

ワルオ「フン! そうやって汚ねぇ涎を地面に撒き散らしながらほざいてろ! 醜い魔物め! ジョンソン、サリー! ここはオレが先陣を切る!!」

 

サリー「先陣……? あ、ワルオが宣言と同時にポケットに手を突っ込んでる………まさか!!」

 

ジョンソン「も、もしかしたらワルオ、お前ッ!! あの剣技をやる気かァ!? とオレはワルオに驚愕の表情を浮かべて尋ねたッ!!」

 

ワルオ「そうだ。……このオレの先祖代々から伝わる子々孫々の秘剣技………」

 

ワルオ「今オレがズボンのポケットから取り出した、この青色の紙切れ……をこう、こう、こう折って折って曲げて力を込めて折ったこれが……"折り紙剣"!!」

 

ジョンソン「お、折り紙剣……っ!? 昔見た事があるぞ!! お前が自慢げに俺へ見せてきたのを記憶しているっ!!」

 

ワルオ「ああ、"半日前"にどんな剣技なのかを教えてやった……」

 

カイン「つまり今日じゃねぇかオイ! 全然"昔"じゃないだろ! てか二人してただの折り紙に何熱く語り合ってんだ!」

 

コブゴブリン「コブフーフフフ! ソンナカミキレゴトキニワレラガタオセルカナ?」

 

カイン「いや笑い方ー! 個性出したくてわざと言ってるだろお前ら!!」

 

サリー「ジョンソンとワルオと、それにコブゴブリンにツッコミしてる場合じゃないわよカイン! 急いで頭を伏せなさい!」

 

カイン「サリー! 杖を構えたという事は……、まさか戦ってくれるのか! わかった!」

 

サリー「………それ! 私の冬服よ、投げつけてやるわ!」

 

カイン「いらないいぃぃぃぃ!! せめて杖使ええぇぇぇ!!」

 

コブゴブリン「コブウゥゥゥゥゥッ!? シ、シビレルウゥ!? グワアアァァァ!?」

 

サリー「今あなたへ投げたその冬服は静電気が走っているの。どう? 地獄のような苦しみでしょう?」

 

カイン「意外に効いてた!!」

 

ジョンソン「ははははッ! サリーの奴はあんな強力な攻撃を使えたんだな!! と俺はサリーが衣服を用いてカインをコブゴブリンから助けるところを見て感心したのだったァ!!」

 

ジョンソン「そして! カインとサリーに続き、今度はこの俺も敵のもとへ突撃していくぜー!!」

 

コブゴブリン「グッ! ニンゲンメ! ワレワレヲアマクミルナヨ!! ミンナヤッチマエ!!」

 

コブゴブリン「「コブコブー! ……………昆布」」

 

カイン「海藻混じってんぞオイ!」

 

ジョンソン「俺は竜巻! 吹き荒れる烈風を身に纏い、全てを巻き込みて一瞬にして敵陣へ切り込むーーー!!」

 

コブゴブリン「ゴブウゥゥゥゥゥゥーーー!?」

 

カイン「お、おおぉ!! ジョンソンが風を纏っている……、真面目にやったらこんなに強いのか……!!」

 

ワルオ「感心してないでそこをどいてなカイン。オレは後ろから話しかけて引き下がるのを促し、青の折り紙剣を敵へ向ける!」

 

カイン「ワルオ、そんな小さな折り紙で本当にあのコブゴブリン達を倒せるのか……?」

 

ワルオ「お前はもう心配なんかすんな。邪魔だからここから少し離れて見ていろ。カインへオレは後退して戦闘の見学を促す」

 

カイン「なんて自信だ……けどわかった。そんなに言うなら………」

 

ワルオ「ふっ、オレの言葉に従いこの場を離れ観覧に徹したか……良い判断だな」

 

ワルオ「さてと、お前達の悪事もこれで終いだ。このオレ様の最強の剣技"折り紙剣"……今こそその身に刻みつけてやろう!! コブゴブリン共へ突撃だー!!」

 

 

 

 

 

 

 

カイン「前回も似たような終わり方だったぞ!?」

 



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