ヤクザが審神者に就任した件 (月歌う白兎)
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涙ポロポロ親子丼

pixivに投稿した多重投稿作品です。
まだ、刀×人要素はないです。
保護がメインです。


 

葛羅は、つまらんと思いながら施設を歩いていた。遠くで聞こえる怒声に振り向くつもりは毛頭ない、彼の視界に膝を抱える少年が見えた。

「おなか、へったな、」

ボソリと呟くその声に聞き覚えがあった、在りし日の自分と同じだ。

理不尽な暴力、与えられない愛情を求めて縋る日々、その手を跳ね除けられたのは数え切れないほど、体が骨と皮だけになるぐらいに腹を空かしたあの地獄を。

この子は味わっているのだ。

「政府ってのはヤクザより屑らしいな。」

葛羅が冷たく切り捨てると、監視役の政府職員が反論しようと声を出そうとしたが彼の睨みに怯んで何も言えなくなった。

「腹減ってんのかガキ。」

「だれ?…、う、ん。おなかすいた、でもあるじをみつけてないとたべたらだめって。」

力なく喋るガキを見て葛羅の怒りは上限突破した、監視役の胸ぐらを掴み彼は言った。

「審神者でもなんでもしてやる、こいつを俺の刀にしろ。」

「ひっっ、わ、わかりました!」

殺気に気圧され監視役は走ってどこかに消えた、葛羅は少年を抱えてキッチン付きの個室に向かう。

加州の前に差し出されたそれは温かな湯気を放つ甘い香りの飲み物、男に聞けば葛湯だという。一口啜れば甘い味が口の中に広がる、

甘いもの正体は林檎の甘露煮だという。

「腹に何か入れても大丈夫そうか?」

「うん、」

彼はキッチンに向かうと何かを用意し始めた、何をしてるのかわからないが彼は気遣うように加州の方を振り向いた。

そのうち嗅いだことのないいい匂いがして、葛湯で満たされていた腹が鳴り始めた。

加州の目の前に出されたのは美しい黄金色の丼、上に乗った緑の葉っぱもとても綺麗だ。

「親子丼だ。卵と鶏肉の丼料理だ。」

一口恐る恐る口に運ぶ、ふわふわとろとろの卵と玉葱の甘み、柔らかい鶏肉、味付けの醤油の大豆の香りが鼻を抜ける。

「美味しい、美味しいよ、とっても。」

ボロボロ涙を流しながら加州は匙で親子丼を口に運ぶ、温かく、優しい味、それはかつて加州を愛してくれた主が振舞ってくれたものと同じものだった。

「ゆっくり食え、」

「ありがとぅっ」

嗚咽まじりの礼の言葉を男は頷いて受け取った。

葛羅が職員から聞いたのはあの加州清光の受けた地獄の内容だった。

加州清光は、最初の主を敵の襲撃で失った。すぐに次の主を見つけたがその審神者はレア狂いで、加州をはじめとするレア度の高くない刀剣を虐待した。

それでも、加州はそいつの役に立とうと必死になったが成果をあげても、レア刀を見つけても褒められることはなく。彼に降り掛かるのは理不尽な暴力だけ、そうしてほどなくその審神者に捨てられ審神者の息のかかった役人達から政府施設内でも虐待を受けた。

放置、という虐待を。

「屑野郎共が。」

葛羅はボソリと呟いた。

加州はおやつに出されたホットケーキを頬張り満面の笑みを浮かべている。



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頬緩むいちごパイ

オリジナル審神者(ヤクザ)がいます。
心身をボロボロにされた刀剣達がご飯を食べる話です。
恋愛は絡まないです。
今回はおやつです。


 

焼き上がったパイの甘い香りが加州の鼻先をくすぐる、焼きたてのパイに包丁が入る。

サクッと音を立てて葛羅が綺麗に切り分けていく、断面には溢れんばかりに敷き詰められたいちごジャムとゴロゴロのイチゴの果肉。

白い皿に盛られたパイを受け取り、一口口に運べば甘酸っぱい苺の味が口の中に広がる。

ついこの間まで、食事どころか手入れも受けさせてもらえなかった加州清光は現世から誘拐される形で連れてこられた二葉組の、料理人・葛羅に引き取られた。

威圧感のある彼だが存外優しい人である、だがヤクザはヤクザなので怒ると怖い。

もう三日経つ。

加州を引き取り審神者になる手続きをした彼だったが、一向に本丸を与えられる気配はない。葛羅は、何も言わないが何よりも己の保身第一の政府の連中のことだ何かを企んでいるのではないかと心配になる。

「何があっても家族は守る、心配するな」

優しく頭を撫でられ加州は心が温かくなった。

「これ、ぼくも食べてもいいの?」

小夜左文字はすごく怯えた目で葛羅を見た、

「いいに決まってんだろう。足りなかったらまた作るからたらふく食え。」

小夜は伸ばされた手に一瞬怯えたがすぐにその手に撫でられることに安堵を覚えたようだった。小夜のパイは切り分けられておらず両手で持って食べられるように食べきりサイズで作ってあるようだ。

「美味しい、甘くて、甘酸っぱくて、口の中が幸せだ、お腹がポカポカする。」

小夜は幸せそうにパイを頬張る。

加州を保護して三日経った日のこと、やけに威圧感を発する加州清光がいきなり葛羅の目の前に立っていた、何者かはわからないが葛羅は相手の出方によっては加州だけでも逃すべきだ、と判断した。

あの子には幸せになる資格がある。

「アンタいい奴じゃん、やっぱあっちが嘘つきか。まあいいか、ねぇあれもらっていい?」

そいつは、テーブルに置かれたホットケーキを指さす。

「構わねぇが、お前は何もんだ。」

「俺?俺は加州清光の本霊だよ。」

本霊はホットケーキを摘むと一口口に入れると「フワフワっ」と目を輝かせた。

「これやるよ。」

葛羅はホットケーキの三段重ねにラズベリージャムとホイップクリームを乗せたものと紅茶を渡した。

「いいの?ありがとう、あ、この子も引き取ってあげてバイバイー!」

「え、」

「は」

唖然とする二人を置いてきぼりにして本霊は姿を消した。

「何しにきたんだあいつ。」

小夜は主に捨てられた。

役に立たない刀ばかりドロップした、そう言いながら振われる暴行と発せられる暴言。

涙を流せば叩かれ、言葉を発すれば殴られる小夜は息を潜めて主の視界に入らないようにするしかなかった。

小夜の心を占めるのは復讐を望む黒い炎だが、持ち主に愛されたいとも思う心もあった。

そんな小夜の心は理不尽な暴力によって踏み躙られた。

そんな彼に救いをもたらしたのは明石国行に似た男だった、いや当人より数倍威圧感のある男だが。

「おいガキ、名前は」

「っ、小夜、左文字。」

「そうか、」

男に名を問われ恐る恐る口にすれば彼は、綺麗な名前だと褒めてくれた。

「これでも飲んでろ、時間が微妙だから菓子でも作る。」

黄色い飲み物、コーンスープはほんのり甘くて温かくて美味しかった。

喉を満たし、腹を満たし、小夜の心を満たしていく。

「ねぇ、僕の主になって」

伸ばした手は優しく受け止められた。

 

 

「あ、みーつけたー♡鬼ごっこは終わりだよ、アンタらが犯した罪はアンタらで償えよ。」

ニッと笑う加州清光はそいつらに向かって手を伸ばした。



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心満たすカレーライス

ヤクザの審神者がいます。
嫌な人は回れ右して逃げて。


 

「やっほ〜。また来ちゃった」

加州清光の本霊がまた部屋を訪ねてきた、その傍らには清光よりは幼い少年を連れていた。

「あ?」

「じゃね〜。」

またも。置いてきぼりされた彼は無言のまま少年を見る、肩ぐらいまで伸びた銀髪の儚げな少年。

この子も小夜と加州と同じく、どこか怯えている雰囲気を醸し出していた。

「おい、ガキ名前は」

「骨喰藤四郎…」

ぐぅぎゅぅぅぅぅぅ。

盛大な腹の音が鳴り骨喰は困惑した顔をしていた、こんのすけとかいう狐から彼等が神様でごく稀に食べることを教えられず放置されている個体もいるとか。

「腹が空いているみたいだな、」

丁度夕飯の仕込みの最中だったのを思い出した、それまで菓子でも食わせよう。

葛羅は骨喰を机に座らせハニーミルクとモザイククッキーを出した、恐る恐るクッキーを口にした彼は目をキラキラと輝かせた。

「そっちは熱いから気をつけろ。」

頷きながらゆっくり一口飲んだ、そうして骨喰はクッキーとミルクを交互に食べていく。

食べ終わった彼の瞳から涙が溢れた。

クッキーとミルクの代わりに冷たい麦茶とカレーライスが置かれる、小夜と加州も骨喰の側に座る。

「ここは、大丈夫だから」

「はい、ここは大丈夫場所です。」

加州と小夜は骨喰にこの部屋が、彼が安全な場所で優しい人だと告げる。

他の二人の前にも同じものが置かれ手を合わせ食べ始める、骨喰も匙で掬い一口口に運ぶ少しピリッと辛いがとても美味しい、芋がホクホクして肉は口の中で溶けてしまうほど柔らかい。

「美味しい、」

骨喰は涙を拭いながら口に運んでいった。

骨喰の審神者は、期間限定の鍛刀の時しか姿を現さなかった。ふらっと現れては狂ったように鍛刀して、縋りついた刀剣達に暴行と罵倒を浴びせ帰っていく。

それでも、主に褒められたくて必死になる刀剣達を主はへし折った。

「気持ち悪いから寄るな、鉄塊の化け物。」

骨喰の伸ばした手はその言葉一つで振り払われた。

気づいたら見知らぬ男の部屋にいた、彼は少し呆れつつも寒さに震える骨喰に上着を貸してくれた。席に座るように促すと、温かい飲み物とクッキーという菓子をくれた。

初めて食べる菓子に感動を覚えた、飲み物もほんのり甘くて美味しかった。

つい、全部食べてしまい怒られると思ったが彼は「夕飯はもう少しでできる」とだけ言った。

程なくして夕飯のカレーライスが運ばれた、嗅いだことのない匂いだったが腹が空いた気がした。

一緒の机に座った小夜と加州が「ここは安全だ」と教えてくれた。

骨喰は、カレーライスを口に運ぶ。一口食べる度に涙が溢れる、喉を通り、腹を満たすその味は愛情を欲し続けた骨喰の心を満たす。

愛されることはこんなにも満ち足りた気分になるのか。

 

 

 

「で、ですから。全てはあのヤクザの男が悪いのです。」

「まだ、嘘つくんだ。本当は俺の分霊を下ろすのやめようかと思ったけど、」

本霊は嘘をつき続ける政府高官や役人達を見下ろす。

「きーめーた。あんた達全員の良縁をぶった切って悪縁と結ぼう!」

「ひっ、」

「あ、身代わり立てても無駄だから。じゃね」

ギャイギャイと騒ぐ人間達を尻目に本霊はあの優しい人間の元に向かう。

「せいぜい地獄で足掻けよ」

そう言い残して。

 



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愛を教えるお好み焼き

ヤクザ審神者がいます。
このシリーズを初めて読む方は最初から読むことをお勧めします。
加州清光の本霊様が好き勝手してます。


一期一振は差し出されたその丸い食べ物を凝視した、ホカホカと湯気をあげるその食べ物の上に塗られた黒いソースの匂いはやけに空腹を誘う、その上に乗せられた鰹節がゆらゆらと動く。

「主殿、これは如何様な生き物ですかな?!」

「鰹節だよ、鰹を干したやつを削ったもんだ。熱いから動いてるんだろ、」

いいから食えよ、と葛羅は食べることを勧めた。

一期は、箸で丸いその食べ物、お好み焼きを切り分け口に運ぶふわふわな食感の中に刻んだキャベツやネギ、小海老の食感と味が楽しい。

「美味しいですな、ほんとうに、おいしい」

悲しくないのに一期の頬に涙が伝う、自分のために作られた食事のなんと美味いことか。

今まで苦痛しか与えられなかった彼の心を、腹を、新しい主となった彼の食事が満たしていく。

この一期一振りも審神者からの暴力だったようだ、そして例によって例の如くあの本霊が「よろしくねー★」、と軽いノリで置いていったのである。

一期の主は所謂ブラック本丸の審神者だった、かくいう一期も何度も夜伽の相手をさせられた。逆らうたびに大事な弟達を一振りずつ破壊された、彼女は言うのだ。

「その綺麗な顔が絶望で歪んだ顔を見るのが一番興奮するわ」

嗚呼。この女こそ怪物ではなかろうか。

解体されるまで、ずっと一期は弟達が破壊されるのを指を咥えてみているしかなかった。

ただただ涙を流して泣いて謝り続けた、

「この不甲斐ない兄を恨んでくれ」と言うことしかできなかった。

その後、程なくして本丸は解体され一期は政府施設に収監された。

保護ではないのだ、彼らの目を見ればわかる彼らもまたあの女と同じ、自分を欲望を発散させる玩具としか思っていない。

そこには絶望しかない、救いなどどこにもない。

そう思っていた時、加州清光の本霊が一期をあの男の元に連れ出した。

優しい目をした男だった、あいつらのように欲望に満ちた荒んだ目はしていなかった。

彼は一期から何も聞かず手入れを施し、風呂に入れてくれ、清潔な服を用意してくれた。

温かくておいしい料理は一期のボロボロの心を満たしていく、「これこそが愛なのだ」とお好み焼きが教えてくれた気がした。

 

本霊は、自分の足元で謝り倒す役人を見下ろす。

「この度は誠に申し訳ありませんでした」

「ねー、俺のお願い聞いてくれる」

役人は顔を真っ青にしながら頷いた。

「俺さーあの人間に加護を与えるから、」

「手出しすんなよ」

その一言にとんでもない怒気を含めて、加州清光の本霊はお願いという名の命令を告げた。

その後、顔面がボコボコになった政府高官や職員が葛羅達に土下座して謝り、かくして彼らは新品の綺麗な本丸を手に入れたのである。

 

 

 



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幸せを運ぶ唐揚げ

ご注意
創作審神者います。
刀剣男士が、暴力を振るわれている描写があります。
嫌いな人は注意


「国行…?」

子供は、葛羅の顔を見るとその名前を出して涙を流した、体中は痣だらけで顔色も良くない。

万屋街の中でも治安が悪いと言われる路地裏にまるで、ゴミみたいに捨てられている。

赤い髪の子供を抱えるとどこからともなく、ゴロツキどもが現れた。

「よぉ、兄ちゃん。金目のもん全部置いてきな…、」

バキャッ。

葛羅の裏拳が男の顔にめり込み、吹き飛んだ。

「二葉組、料理番・葛羅だ、死にてぇ奴はかかってきな、」

二葉組と聞いてゴロツキ達は怯んだ、それはそうだろう。そこらへんにいるチンピラとはわけが違う、二葉組はこのご時世においても喧嘩は拳でするもの、と言っており武術を嗜む者も多い。

確実に急所を突き仕留めにかかってくる、たとえ料理番だろうと下っ端だろうと戦う術を叩き込まれる。

「大方、このガキを助けようとしたお人好しを、捕まえて金銭巻き上げてたんだろう。」

「ひ、ひぃっ、すいません、」

「死ぬわけじゃねぇから、安心しろよ。」

葛羅は、ゴロツキどもを一発ずつ殴って政府に届け、その後赤髪の子供・愛染国俊を引き取る手続きを行った。

愛染は、目を覚ますとその顔を見て一瞬びっくりした。国行、同じ来派で愛染と蛍丸の保護者を名乗る太刀。もういなくなった彼と似ている顔をした人間、彼はここで引き取ることになったと告げた。

初めは怖かったが頭を撫でるてはとても温かく優しかった、あの人はそんなことしてくれなかった。

愛染の主は、所謂金持ちのバカ息子という奴だった。彼は、レア刀狂いで重傷での出陣や手入れする資源が勿体無いと言い手入れもくれない。レア刀の明石が来ても無茶な進軍を止めることはなく、あの日明石が折れてしまった。悲しみで泣き叫ぶ愛染をうるさいと言って殴り飛ばした。

そして、あそこに捨てられた。

 

 

食堂に通された愛染は目を輝かせた、温かい白飯に、熱々の唐揚げ、野菜のスープ、葛羅は「好きなだけ食え」と言って座るよう促した。

愛染は一口唐揚げを食べる、ジュワッと肉汁が口の中に一杯流れ込む。醤油と生姜の味がとてもいい、これが美味しいと言うことかと思った。

「急いで食わなくても誰もとらねぇよ」

葛羅は、そう言って微笑んだ。

「ありがとう、主さん」

幸せそうに微笑んだ、食べるということはただ腹を満たす行為ではないのだ。

食べるということは、生きるということであり愛されているということであり、幸せであるということ。

愛染は、愛を幸せを、その身から溢れんばかりに享受していると実感した。

「ごちそうさまでした」

愛染の元気な幸せな声が本丸中に響き渡った。



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温もりを教えるおでん

ご注意
創作審神者います。
刀剣男士は心身共にボロボロです。
美味しいご飯は心を癒す。
なんでも良い方だけどうぞ。


宗三左文字は万屋街の隅で膝を抱えていた、足を斬られた宗三には最早歩く術はない。

宗三は、遊郭本丸から逃げ出したがその先も地獄だった刀剣狩りなるお遊びに付き合わされ左足を失った。

こんな風にしか生きられないのか、愛する兄弟に会うこともできず一生人間達の玩具にされる。

ポツポツと降り出した雨が無遠慮に宗三の体を濡らす、冷たい雨は次第に体温を奪っていく。

僕だって、誰かに愛されたかった。

刀として必要とされたかった、あんな理不尽を飲み込まなくてはいけない日々はもう嫌だ。

「へへ、明石に一期か。上物だ。」

男達は何も知らずに刀剣男士狩りの獲物を見定め襲いかかる。

襲いかかった一人の男の顔に拳がめり込んだ、一期は微動だにせず明石に付き従った。

「て、テメェ。刀剣男士が人間様に手を出すきか?!」

「あぁ?俺は人間だ、二葉組の葛羅だ。死にたい奴はかかってこい」

二葉組と言われ何人かは萎縮した。

二葉組ー、現世でその名を轟かせるヤクザである。彼等は拳だけで戦うことを信条とし、堅気には絶対手を出さず、基本的には犯罪に手を出すこともない。ならば、なぜそこまで恐れられているかと言えば、彼等の戦い方にある。

彼等は武器を好まない、刃物や銃器を一切使わず他の組との喧嘩に勝っている、彼等は下っ端であろうとなんであろうと生きるための術を叩き込まれる。

今、男どもの目の前にいる葛羅もそこそこに有名な男である、かつて二葉組の下っ端の娘が他所の組に誘拐された際、救助に向かったのがこの男である。

たった一人で、たかだか料理人風情に総勢500名はいたであろう組員が全員歯をへし折られ気絶していた。二葉組は、家族に危害を及ぼすものを絶対に許さない、たとえそれが下っ端であろうと幹部であろうと関係はない。地獄の果てまで追いかけ回し徹底的に潰す、それが彼等が恐れられている理由だ。

黒スーツの男は、めんどくさそうにそいつらを投げた。

「す、すいません…、い、命だけは…」

「安心なさい、あなた方のような屑は命を奪う価値もない、」

一期が絶対零度の視線をそいつらに送る、葛羅は呻く男の頭を踏みつけながら時計を見る。

「夕飯の時間までに戻るぞ、その間に宗三の手入れも終わってんだろう」

「かしこまりました。」

葛羅と一期はその建物を目指し歩き出した。

 

 

「なんですか。はっ、同情ですか?あなた方人間のせいでこうなったのに、」

「だったら足掻け、手は貸してやる、居場所も作ってやる、そこが嫌なら歩け。」

その言葉は宗三にとって「頼っていい」と言われている気がした。

「じゃあ、僕を助けてください。僕は、こんな刃生で終わりたくない、お小夜にも兄様にも会いたい。」

彼は手を伸ばしたそれは優しい手だった、あんな薄汚く気持ちの悪い手ではなく。

優しい、温かい手だ。

「一期、すぐ政府に連絡しろ。大事な家族に手出しやがったやつにお礼しにいくぞ。」

「はい」

そんな会話を聞きながら宗三は男の背に負ぶわれながら、彼が主だったらよかったのにと考えた。

手入れが終わった頃、夕飯だと声がかかった。食堂では垂れ幕がかかっていた、「ようこそ宗三左文字さん」と書かれていた。

あそこではみんなが死んだような目をしていた、誰かを気遣う事などない。

みんなが口々に今日から家族だと微笑んだ、

夕飯だと言って出されたそれを見た。

温かい湯気をだすそれはおでんというものらしい、透明な汁の中に卵や大根じゃがいもに練り物類、あとは牛すじが入っている。

宗三は、大根を箸で切り一口口の中に運ぶ。

口中に広がる出汁の味はとても優しいものだった、大根はすぐ溶けて無くなるほど柔らかかった。じゃがいもはホクホクしていて美味しかった、宗三は食べ物が喉を通るたびに腹が温かいもので満たされていくのを感じた。

自分で足掻いて、望んだこの居場所は優しくて温かいものだった。

「兄様、まだ沢山あるよ。いっぱい食べてね、僕もお手伝いしたんだ。」

どこか照れ臭そうに誇らしげに微笑んだ弟の頭を撫でた。

 

余談だが。

政府高官が秘密裏に運営していた遊郭本丸が何者かの手によって壊滅させられ、運営に関わっていた人間達が一人残らず殴られ気絶していたという。

関わった全員が刀剣男士を不当に扱った罪で牢獄行きになったという。

 



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クリームシチューは幸せの味

ご注意
創作審神者います。
ご飯ものの話です。
文才皆無なのでご注意ください。



演練場ので片隅で明石国行は膝を抱えようとし失敗した、ボロボロの体は悲鳴をあげ腹の虫が盛大な音を立てる。

食べなくなって久しい。

そう思いながら空を見上げるも、どんよりとした雲が広がばかりだ。

審神者に捨てられてからどれくらい経つのだろう?刀剣男士不信を煩わせた彼女は相変わらずな態度をとっているのだろうか、そこまで考えて思考を止めた。

考えても仕方ない、明石がどれだけ言っても彼女は耳を貸そうとしなかった、そればかりか明石を含めた刀剣達を捨てた。

その先など見えているというものだ。

体がどんどん冷えていく、気がつけば雪が降り出した。

このまま朽ちるのか、そう思うと無性に虚しくなった。せめて、優しいあの人に戻って欲しかった、叶うはずのない願いを零して明石は意識を手放した。

演練場のシステムがハッキングされたらしく雪が降っている、寒さで鳥肌が立っている。

その片隅で転がっている人影を発見した、きっと愛染がいたらきっとあの子は涙をこぼしたに違いない。

大事な同派、しかも保護者を名乗る刀剣が四肢を奪われ雪の中に放置されている。

「…、どうします。」

「連れて帰る、」

宗三の問いかけに葛羅は短く答えた。

ヤクザ同士の喧嘩でも四肢をもぐほどのものは珍しい、まして彼らは神だ。

彼の主は一体どんな神経をしていたのだろうか、ふと考えたが。碌でもないやつだろうと頭の片隅に追いやった。

「おい、担当。明石国行を保護するから」

「手続きですか?お任せください、あの禿頭は黙らせます」

「貴方もう少し穏便にことを運ぶとかできないんですか」

担当はイキイキとした顔で上司のカツラを素手で剥ぐ素振りをしている、それを見た宗三が呆れた顔で喋っている。

「無理です!」

「即答ですか、お転婆。」

担当は即答しながら政府施設に向かった、NOと言った場合容赦なく上司のカツラを剥ぐ気なのだろう、顔に満面の笑みを浮かべていた。

 

明石は、手入れされ直った手足を見る。

「この化け物」

彼女の言葉が甦る、昔は彼女は優しかったのだ。穏やかで大人しい、でもそれも今思えば隠していただけなのかもしれないが。

あの日。

主の恋人が本丸を訪ねてきた、そして安全なはずの本丸が敵に奇襲された。

当然だが、刀剣男士は主人を優先的に守った勿論見習いを逃がそうと何人かは彼を誘導したが、彼は「自分が囮になる」と言って聞かなかった。

なんとか敵を退けたものの見習いは瀕死の重傷を負った、その三日後彼は息を引き取った。

主は、手入れすれば治る体の刀剣男士を忌み嫌い、自分を優先し守ろうとした刀剣男士達を不信がるようになった。

「戦争の最中で主人を優先するのは当然」という彼らの意見を聞こうともしなかった、そればかりか見習いを守って折れた刀剣男士を罵倒するようにまでなった。

それから、彼女は狂った。

暴力、暴言、亡くなった見習いと同じ苦しみを与えてやると言った。

「なあ、自分はどうすればええ?どう生きていけばええ?」

明石は縋るように自分と似た顔の男に尋ねる。

「自分で決めろ。もう、お前の主はいない、自分の足で立って、自分の目で見て、自分で考えろ。そのための体と心だろうが。」

男はそれだけ言うと部屋から出て行った。

「国行、食べれそうか」

愛染が膳を持って入ってきた。

皿に盛られたシチューを一口口に入れる、あの人がまだ優しかった頃。

よくシチューを作ってくれた、こんなに美味しくはなかったけど一生懸命自分たちのために作ってくれた食事はとてもおいしかった。

たとえそれが、「偽り」であろうとも。

「自分、あの人のために生きてもええかな?」

「それは、国行が決めることだぜ。でも、主さんはきっと好きにしろって言うと思う」

愛染はにかっと笑った。

明石はシチューを食べながら「これこそが本当の愛情なのだと」思った。

女は嘘をついた。

彼と自分の記憶を入れ替えた。

本当は自分が見習いで彼が審神者なのだ。

初期刀を追い出し、彼と立場を入れ替え資材をいっぱい使い鍛刀した。

いつかバレるのではないかと言う恐怖が女を蝕む、その糸は彼が死んだことで切れた。

彼に全ての罪をなすりつけるはずが頓挫した、記憶をすり替えられた刀剣達は気付き出した。

冷たい目で私を見る。

気付けば刀剣達の四肢を奪い、演練場に捨てた。

そして、ついに私の所に監査官が来た。

刀剣男士に対する暴行でと話す彼に、そんなのは知らないと言った。

すると、彼は笑った。

「嘘はあかんで、嘘は。アンタ悪い子やな」

そう言って私の首に鉄の首枷をはめ引きずっていった、その男の顔は明石国行だった。

その後、明石は葛羅に正式に引き取られることとなったが、明石のかつての主人については行方不明になったとのことだった。

 

 




解説

明石の主ーそもそもは見習いだった。恋人のことを見下しており、彼が自分より先に審神者になることを妬み呪術で記憶をすり替え立場を逆転させた、初期刀を追い出し正式に自分が主人となる。

明石ーすり替え後鍛刀されたためそもそも知らなかったが、主が自分たちを愛していないことは知っていた。

他の刀ー一部は元々の主が鍛刀していたため記憶が混在していた。見習いを守ったのがこの刀達、見習い(審神者)死亡後記憶を取り戻し「裏切り者の行進」となる。

監査官ー「裏切り者の行進」に所属する明石監査官に化け女を連れ去りに来た。連れていく先はおそらく地獄であろう。


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シカゴピザは傷を癒す

ご注意
創作審神者います。
刀剣達は傷ついてます。


薬研の目の前に見たことのない食べ物が置かれる、三角に切られたそれを何かと問えば。

「シカゴピザ」

と短く返ってきた。

隣に座る山姥切国広は、ピザを凝視する。

「食べていいのか」

「だから出してんだろ、好きなだけ食っとけ」

彼は無愛想な顔のまま告げると二人にポトフを出し厨の方に消えた。

出撃部隊が帰還した際に、ボロボロの二振りを連れ帰ってきた。手入れと風呂を終えた二人の口から聞かされたものはひどいものだった。

二振りの主はレア刀狂いだったらしく、コモン刀と言われるよく降りてくれる刀剣達を酷使したようだ。

彼等も何代目かの刀剣だと、言っていた。

レア刀は、戦場に出されない代わりに夜伽を命じられた。

二振りは、捨てられたのだと話す。

監査が入ることになり、自分に逆らいそうな刀剣を捨てたのだという。

仲間達は自分たちを逃す途中で折れたという。

「これから、どうするかは自分で決めろ。自分の命だ、他人に好きにさせるな。自分がやりたい様にしろ」

それは、厳しい様な優しい激励の様に聞こえた。

「好きにしていいのか、」

国広が問うと薬研も葛羅の方を恐る恐る見た。

「当たり前だろう、ただ自分の足で立って歩け、じゃなきゃ何のための体と心だ。

場所が必要なら、くれてやる。あとは自分で考えろ」

「ありがとうっ…」

「恩に着る、旦那」

二人は涙を溢しながら葛羅に礼を言った。

痛みはもうない、苦しみは与えられることはない、罵声を浴びせられることも、ただ気がかりなことがあるとすれば本丸に取り残された仲間達のことだ。

「彼等なら大丈夫、政府施設に保護されました。」

突如現れたそいつはそう言った。

スーツを着た数珠丸がいつの間にかそこにいた、葛羅は少し身構える。

「誰だ、お前」

「ご安心ください、あなた方に害をなそうと言うわけではありません。」

数珠丸は、一礼し踵を返し立ち去っていく。

「あなた方がこちらに来られないことを祈っております。」

一瞬、鋭い目を開きこちらを一瞥して消えていった。

国広と薬研はシカゴピザにかぶりついた、口一杯に肉汁が溢れるトマトの酸味とチーズが程よく絡む。

「美味いな、大将!しかくピザだっけか」

「シカゴだよ」

笑い声が食堂に響く、皆思い思いに頬張る。

食べることは幸せなこと、与えられて当たり前のこと。だから、心を満たし傷を癒す。

そこには、作る側の愛情が詰まってるから。

 

おまけ

 

暗闇の中を何かを引きずる音がする。

そう思い男は目を開ける、そこは見慣れた自分の本丸。

しかし、辺りは誰もいない。自室を開けても夜伽用のレア刀達がいなくなっている。

居間に行ってみるとボロボロだったはずの刀剣達が姿を消している。

「見つけましたよ、さあいきましょうか」

ガチャン。

首に枷を嵌められそのまま引きずられる、引きずられているのを見れば、共犯者だった担当の姿があった。

「やめろ、」

「祈りなら仏にしてください」

彼はそう言うと問答無用で男達を引きずり闇に溶けていった。



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審神者の深夜食堂

ご注意
作者が書きたいものを書いてるだけ、好き嫌いは人によるかと。
文才無いのでクレームは勘弁してください。
なんでもいい方だけどうぞ。


小夜と鮭茶漬け

 

夜中を回って急に目が覚めた、小夜はため息を吐き同室の加州を起こさないようにそっと部屋を出た。

出されたご飯は適量のはずなのに腹が減る、とりあえず水でも飲んで腹を膨らませようと思い厨に行く。

「なにしてんだ、」

「!」

思わず飛び上がってしまった、いつの間にか背後に立っていた主は野生のクマよろしく、何故か鮭を担いでいた。

なんで、鮭。

そう思ったが小夜の腹が盛大に鳴り、小夜は焦った。与えられているものは十分なのに、足りないなんてわがままは言えない。

「足りないなら、足りないって言えよ」

主は小夜を連れ厨に行き鮭を巨大冷凍庫に入れた。

別の冷蔵庫から鮭の切り身を取り出し、フライパンでこんがり焼く、焼いている間に冷蔵庫からボトルに入っただし汁を鍋で温める。

鮭が適度に焼けたら、骨を丁寧に取り身をほぐす残った皮を見ていたら主が「食っていい」と言うので小夜はパリパリの鮭皮を食べた。

大きめの茶碗に、ご飯を盛りほぐした鮭、砕いたあられ、刻み海苔をかけダシ汁をかける。

「あと、これは好みで入れな」

そう言って主が差し出したのは炙った梅干しだ、香ばしい梅の香りが余計に食欲をそそる。

二人で手を合わせて出汁茶漬けを頬張る、少し贅沢な夜食は小夜の心と腹を満たしていく。

ーおまけー

「あの鮭なに?」

「あー、師匠に大所帯だって言ったらみんなで食えって送ってきた鮭だよ。今度、鮭のチーズ焼きでもするか」

「食べたい」

「お前、チーズ好きよな」

 

 

 

 

 

加州とシラタキラーメン

 

加州は困っていた。同室の小夜を起こさないようにそーっと部屋から出たはいいものの、水を飲んでも腹は一切膨れない。

と言うのもだ。

加州は最近ダイエットをしている、「可愛いから愛されている、可愛く無いと愛されない」が持論の彼だが先日体重を測ったら三倍くらい太っていた。

正直ショックだ。

可愛くないと主人に愛されなくなる、そういうわけで食事制限をしたが当たり前だが腹が減るのだ。

葛羅に引き取られてから、毎日3食と三時のおやつを食べれるようになって彼の腹は食べることに執着するようになったし、なにより主が嬉しそうにするからついつい食べてしまう。

「なにしてんだ夜中に。」

「ひょうぅ!」

思わず変な声が出た。

盛大な腹の虫がなり加州は思わずうずくまった。

「まあ、あんだけ食事制限すりゃな」

「え、バレてる!」

「お前の体重は増えてるが適正値になっただけだからな」

「や…でもさ、太ったら可愛く無いじゃん。」

「じゃあ、ヘルシーなやつ作ってやるからそれ食って寝ろ」

そう言って葛羅は半分加州を引きずるように厨に向かう。

そこで出されたのはラーメンだった、高カロリー飯じゃんと思った。

「しらたきだから太らねぇよ、」

しらたき、鍋に入ってるアレか。そう言えばあれってこんにゃくだよね。

しらたきを啜ると存外美味しい、鳥だしの効いた塩味スープがが美味しい、鳥ササミも入っているがカロリーは低いらしく加州は夢中で食べた。ゆで卵は黄身がトロリとした半熟で美味しい。

夜食は罪悪感あるはずなのに、こんなに美味しくて罪悪感がないなんて最高だ。

「ちゃんと飯は食え、逆に太るぞ」

「マジで!」

 

 



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心を溶かす餃子

ご注意
刀剣男士は心身共にボロボロ。
審神者はヤクザ。


息が上がる、口の中は血塗れだ。

鉄臭い味がする、食べなくなって久しい。

政府の刀剣だったときは食べることは当然だった、でも今の主になってからは食べたのは数えるくらいしかない。

重傷になっても手入れはされず、風呂もない、休みもない、ひたすら出撃か遠征をさせられる日々、寝る暇すら与えられず肥前はボロボロだった。

何も食べたないのに気持ちが悪い、苦しい、痛い、このまま俺は朽ちていくのか。

「ヤッホォーイ、拾い物しちゃった」

「…、おい。すぐ風呂の用意しろっ、こんのすけ手入れ部屋の用意!」

「はいっ!!」

葛羅が叫ぶように言って手入れ部屋に運ぶ、非番の骨喰と愛染が風呂場に走っていく。

「本霊様、」

「なぁに、」

「今度も、傷ついてる奴がいたら連れてきてくれ。ガキが腹すかして見てるのは耐えられねぇんだ」

「モチロン、これからもよろしくね」

加州清光の本霊は嬉しそうに笑った、心の中で「これだから人間は愛おしい」と呟いた。

ドタドタと走っていく彼らの姿を見送りながら、本霊は微笑んだ。

その後、目が覚めた肥前は風呂に連れて行かれた、温かいお湯は久しぶりだった。一緒に入った愛染や骨喰が風呂場のことを色々と教えてくれた。

優しくて涙が溢れた、あいつらと一緒に。

「おい、本霊様!次々連れてきすぎだろうが、」

「え…、」

「よかったな、肥前。」

「さっき主人から連絡があって、残ってた三人保護したって」

頬を伝う涙を紛らわすようにシャワーをかけた。

風呂から上がって聞かされたのは、加州清光の本霊が本丸に取り残されていた、秋田、鯰尾、蜂須賀を保護したそうだ。

三人とも傷がひどく手入れはもう少し時間がかかるそうだ。

食堂に通された肥前は、席についた。

今から夕食だという、丸皿に円を描くように盛られた餃子は香ばしい匂いを漂わせている。

ニンニクの匂いが食欲をそそる、白飯と卵スープが出され「たくさん作るから好きなだけ食え、心配しなくてもあいつらも手入れが終われば飯を出す。」と葛羅に言われた。

肥前は、躊躇いつつも餃子をとり食べる。

口の中に広がる肉汁はニンニクとニラの味がしっかりしていて美味しい、白菜がいいアクセントになっている。

餃子を頬張り白飯を口の中にかきこむ、卵のスープを口に入れて一息つく。

美味しい、こんなに腹を満たせたのは久しぶりだ。

優しいこの場所でご飯を食べているとわかる、やっとあの地獄から抜け出せた。

犠牲になった仲間達にもここに来て欲しかった、そう思いつつ幸せを噛み締めた。



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