その悩み、相談乗ります!!(解決するとは言ってない) (ぬんちゃくティッシュ)
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Episode0 相談乗ります
人々が歩き交う街。 また、その人々もそれぞれの目的があり歩き続ける。
歩き続けるが、ある思いふけに立ち止まることもある。さながら人間の感情、人生の縮図とせんと言う類似点を見出せる。
人間にとって、立ち止まったままで時を過ごすことはかなり苦なことである。 常に動き、常にその動きに対して正解を探す。 正解を見つけ、その動きで相違なければ歩き続けられる。
だが、時に正解を見つけられず動き出せない人間も存在する。自力で解決出来れば御の字だが、それすらも難とする。即ち、悩みである。
この街では、様々な人々が歩き交うだけに、悩みの種も多岐に渡る。もはや自分だけで解決出来なければ、人生の負い目として抱えていく可能性もある。
そんな人々の悩みを一身に受けようと、街の雑居ビルの一角にとあるオフィスが設けられている。
その名も、「相談屋〖Nun Demo〗」。
今日も悩める子羊たちの相談に乗らんとすべく、オフィスを開くのであった。
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『ピピピピ…ピピピピ…』
電子音の目覚まし時計が静かに鼓膜を一点集中で刺激してくる。もう世の中は動いている時間である。 現在時刻10:25。 完全に寝坊である14回目のスヌーズアラーム。
それを起きてるのか起きていないのかよく分からない目の開き具合で応対用ソファから起き上がった男が1人。 この男こそが、本相談屋の社長 品舵四五(しなかじ よいつ)だ。毎度寝起きが悪い。
起き上がって目覚ましアラームを止め、スヌーズを解除した後に20秒間の静寂が訪れる。四五も若干目を瞑りながら意識をふわふわさせて頭を徐々に起こしていく。本当に寝起きが悪い。
体を動かすくらいに目を覚ました四五は、ゆっくりと、のそっとした動きで窓の方へ向かい、ブラインドを上げてスッカリと上に位置してしまった太陽からの恵の光をオフィスに照らす。ケチなオフィスだが光が入ることによって、雰囲気のあるオフィスに……なった気になっていた昼前。
例によって閑散とした雑居ビルのため、客も大した量も来ないのでゆっくりとした時間が流れる…。 そんなゆっくりとした時間の流れに乗り、コーヒーメーカーで豆から挽いたブラックをじっくり時間をかけてカップに注ぐ。不要なこだわりを持つのもまた一興。
「ずずずぅ……ふぅ…」
朝の(昼前)のコーヒータイムは格別。起きてない頭も見る見る起きていく。 相談屋としての、あらゆる悩みの上に立つ人間としての頭脳と佇まいが目覚める瞬間だ。
一旦コーヒーはデスクに起き、洗面台へ行き本格的に目を覚ます。朝のルーティーンを一通り終わらせ、コーヒーを置いたデスクに座り、過去受けた相談内容とかをまとめた顧客名簿に目を通しながら、山盛りになった吸い殻が目立つ灰皿に新たな吸い殻を落としていた。
ちなみに起きてから仕事に移る時間削減のため、仕事の服装(接客用)で就寝している。少しシワのついたスーツベスト、第二ボタンまで外れたワイシャツ、ゆるっゆるのネクタイ、シワだらけで若干ヤニ臭いズボン……到底接客業の服ではないが、あくまでマイペースなのでご愛嬌。
「…? …ちっ、タバコ切れちったよ…。替えなかったかなぁ…(頭ポリポリ)」
最後の1本を吸い終えてしまい、オッサンみたいな体たらくで新しいタバコを探す。あるわけないんだけど。
そうこうデスク周りを探していたら、元気よくオフィス入口のドアが開いた。
「おっはよーぅ!ござます!!」
元気よく開いたドアから入ってきたのは、元気の良い挨拶の女の子だった。
セーラー服を着ており、セミロングの黒髪でストレート、いかにもスポーツをやってそうな爽やかな女の子だ。
「ぁあ…耳がァ…鼓膜ぅ…」
当然寝起きの四五にとって学生の女の子の通る様な元気な声はかなり凶悪であるが、世の中はもうおはようですら遅い時間のため、四五の自業自得である。
「まーた遅くまで起きて遅くまで寝てたんですかー? そんな生活してたら、お嫁さん来ませんよ〜ww」
「るさいなぁ…二つの意味でっるさいわぁ…。君こそまた来たのか…静葉ちゃん」
彼女の名前は、宮本静葉(みやもと しずは)。付近の高校に通っている(ハズの)女子高生だ。高校1年生の16歳。
高校生のはずなので、今みたいな平日の昼前は学校に行っているハズなのに何故かちょくちょくオフィスに顔を出しては四五をからかったり助手をしたりしている。
「私はいつだって来ちゃうのですよ〜品舵さん♪」
「品舵さん♪…じゃねぇんだよなぁ…。学校はどうしたんだよ?」
「大丈夫だよ!出席分はテストでカバーして単位取るから!」
絶対そう言う問題じゃない…と思いながらも、来てくれるのは単純に助かるし嬉しい四五は強くは言わない。
顧客名簿に目を通している四五を横目に、置いてある冷蔵庫を勝手に開けてセ○ンのプリンを取り出し食べていた。俺のなのに…。
何故、このような女子高生がケチな相談屋に入り浸っているか。 それは彼女が、この相談屋のお客さん第1号だからである。 そして、このオフィスが始まった2年前、この2人に何があったのか……。
続く
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