コピーしたKOS-MOSに憑依して戦う魔神の戦闘記録 (真っ黒鉛筆)
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アーマードコア ネクサス編
0001


 私、コピー魔神。

 特技はいろんな物をコピー出来るってことかな。

 形ある物から概念的な物までなんでもコピーしちゃうよ。

 

 ……でも、最近はこのコピー能力を使う機会もめっきり減っちゃった。

 私に歯向かう元気な勇者や英雄が絶滅したのが原因だけど。

 これじゃ力を使う機会もなくてストレスが溜まる一方ですよ。

 

 そこで最近の流行、アニメやゲームの世界に行こうぜって企画!

 これに乗っかって異世界で思いっきり遊んでストレスを発散しようってわけ。

 私のコピー能力を存分に活用出来る気がするし悪い話じゃないよこれは。

 

 そうと決まればさっそく異世界に行くぞーって思ったら注意事項有り。

 

 企画者の神曰く「異世界で遊ぶには依代を用意しろ」とのこと。

 この依代がなかったら神としての力が徐々に減って最後は存在が消滅するらしい。

 流石に消滅はノーサンキューなので遊ぶ前に準備しよう。

 

 さて私の依代は何にしようかな。

 正直、私はなんでも完全コピー出来るから依代を用意するのは簡単だ。

 でも私は高位の神なもんで、選ぶ器も考えないとちゃんと収まらないのよね。

 

 そんなわけで友達の邪神ちゃんに選んでもらった。

 

 邪神ちゃんオススメはゼノサーガのキャラクターであるKOS-MOS Ver.4。

 なんか邪神ちゃんの感性にビビッと反応する何かがあるらしい。

 まあ、邪神ちゃんの感性はどうでもいいけど、センスは悪くないわ。

 私を受け止めることが出来る依代だし、何より美人さんだ。

 

 よし、私はKOS-MOSで異世界へ旅立つことにする!

 

 というわけでゼノサーガ世界からKOS-MOS Ver.4をコピーしようっと。

 

 私の力は見ることさえ出来れば発動するのでゼノサーガ世界の外側から遠目にKOS-MOSを覗いてばっちりコピー完了。

 

 で、コピーしてきたKOS-MOSだけど……ちょっと問題発生。

 私のコピーが完璧すぎて人格とか中に入ってるナニカとかもコピーしちゃった。

 

 このままじゃKOS-MOSに憑依出来ない。

 KOS-MOSという器に収まってる自我とかを取り除く必要があるね。

 

 なのでKOS-MOSに「お前の身体が欲しい」って提案した。

 私としては穏便に済ませようと努力したと思う。

 でもKOS-MOSは「あなたの提案には従えません」ときっぱり拒否。

 

 話し合いで解決出来なかったら殴り合うしかないじゃない。

 ってことでKOS-MOSを手に入れるために戦うことになったよ。

 

 KOS-MOSってゼノサーガ世界じゃ主要人物らしいし、まあ強かった。

 何気に数時間の激闘だったことをここに宣言しておく。

 理不尽の権化と呼ばれている私にダメージを与えたのは誇っていいよ。

 

 KOS-MOSは最後まで抵抗したけど……相手が悪かったね。

 オリジナルのKOS-MOSは元気にやってるから許して?

 

 よし、これでKOS-MOSの無力化は出来た。

 あとは邪神ちゃんの忘却魔法でKOS-MOSに全て忘れてもらうだけだね。

 

 KOS-MOSの初期化は数時間も必要だった。

 邪神ちゃん曰くKOS-MOSはかなり強い自我を持ってたらしい。

 空っぽになるその時まで仲間のところに帰るんだって足掻いてた。

 

 初期化が完了したらKOS-MOSは動かなくなった。

 これで空っぽのKOS-MOSが出来上がりかな。

 さて、この中に憑依して、と。

 

 ……うん、なかなか良い感じだわこれ。

 身体によく馴染むって感じ。

 

 依代に憑依する欠点として、自分のオリジナル能力以外は使えなくなるのが痛いかな。

 私ってコピー能力で自分の能力を増やしてきたからね。

 素の自分が持ってるオリジナル能力って実はコピー能力以外無かったりする。

 これじゃ異世界に行ったらコピー能力以外は使い物にならない。

 

 でもまあ、なんとかなるさ。

 私のコピー能力でKOS-MOSにどんどん能力を与えればいいだけだし。

 どうにもならなかったら依代捨てて天界に帰ればいいもんね。

 

 よし……そんじゃいくか異世界!

 私の異世界ライフはこれからだ!

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 ランダム転送でやってきました異世界。

 私がやってきたのはアーマードコア世界っていうところらしい。

 

 アーマードコアっていうと何作品も発売されてるゲームだよね。

 確かロボット同士でどったんばったん戦うって内容だったはず。

 私、アーマードコアはそこまで詳しくないんだよなぁ。

 最初に訪れた世界で原作知識が無いのは心細い……いや、違うか。

 こういう時は初見だからワクワク出来るって考えよう。

 私はポジティブ思考な神だからね。

 うん、そういうことにしておこう。

 

 よし、考えるのはここまで!

 今は現状の把握をしよう。

 

 ここは見た感じ峡谷の底ですね。

 こんなところじゃ何も分かんないから早く移動しよう。

 とりあえず人間にいる場所に移動するかな。

 

 で、歩き始めた矢先に遠くから戦闘音が聞こえた。

 KOS-MOSの集音機能はなかなか優秀みたいだね。

 

 KOS-MOSの身体に慣れていない状態で戦闘するのはちょっとだけ怖い。

 ほんとにちょっとだけね。

 別にビビってるわけじゃないよ。

 

 ここは様子見しておこう。

 崖の上から戦闘を観察しようっと。

 

 そんなわけでKOS-MOSの運動機能をフルに使って移動。

 崖の上から戦闘の行われている場所まで行く。

 

 お、見えてきましたよ。

 

 どうやら戦闘はMT対ACによる戦いらしい。

 

 MTはマッスル・トレーサーの略で、ACはアーマード・コアの略だったかな。

 基本的にMTは量産品でACはカスタム出来る高級品って感じ。

 

 MTは逆脚でキャノンとミサイルを装備した青いやつが4機。

 ACは当然1機……と思わせておいて隠れてるのがいるな。

 戦闘に参加しないのは何か理由があるのかも。

 まあ、私には関係無いけど。

 

 戦いは意外にもMT有利。

 というかACの動きがかなりぎこちない。

 MT4機からフルボッコにされてるじゃん……情けない。

 

 ACならMT相手に苦戦しないでほしい。

 ゲームじゃ主役だったんだし、この世界でも強い存在であってほしいわ。

 私も遊ぶなら強い相手と遊びたいからね。

 

 あーACがとうとう膝をついちゃった。

 もうあれは駄目ですわ。

 

『ブン! ヤグダダズメ!』

 

 おや、隠れてたACが参戦するみたい。

 ボコボコにやられてたACと違ってかなりの重武装。

 でも機動力は完全に死んでるね。

 火力でゴリ押すタイプなのかな?

 

『まだACがいるだと!?』

 

『くっ、ナービスめ。何が何でも調査の邪魔をするつもりか!』

 

 MT部隊の通信が聞こえてきた。

 どうやらもう1機ACがいたのは予想外だった模様。

 新手のACに気付いたMT部隊は攻撃を開始した。

 

 今度はACの方が優勢だわ。

 右手の大きなレーザーライフルをバシバシとMTに当ててる。

 MTの攻撃も当たってるけどACを倒せる感じはしないかな。

 次々にMTが爆散してる。

 

 1分もしない内にACが最後のMTを撃ち抜いた。

 MT部隊は奮戦したけど、相手が悪かったね。

 

 ACはMTを全滅させたらさっさと帰っていった。

 残ってるのはMT部隊にフルボッコされてたACだけ。

 

 これは良い機会かも。

 KOS-MOSの武装がどの程度通じるのか試せるじゃん。

 ……私の最初の獲物が三流レイヴンなのはちょっと思うところあるけど。

 

 よし、そうと決まればさっそく戦闘開始だ。

 

 崖の出っ張りからぴょんと飛び降りて華麗に着地。

 

 ボロボロのACはこっちを見て無反応。

 たぶんコックピット内のレイヴンはマヌケな表情しながら固まってる。

 

 私を前にそんな無防備でいいの?

 そんなんじゃ狩られるだけだよ。

 

「X・BUSTER発射」

 

 私の腹部から極太ビームが発射された。

 

 私が選んだ攻撃はKOS-MOSの内蔵武装であるX・BUSTER。

 収束モードとか拡散モードとかあるみたいだけど今回は収束モードで。

 

 ACはブースターを噴かせて回避しようとするが、見てから回避は無理でしょ。

 

 案の定、ACはビームに飲み込まれて消滅……いや、これ強すぎない?

 この腹ビームこんなに威力あるの?

 

 これなら他の武装を試した方が良かったかも。

 こんなんじゃ満足できないよ。

 

『level up!』

 

 おっと、突然の天の声。

 そういえばKOS-MOSにはステータスやレベルアップ機能があるんだった。

 私の殺したレイヴンは腐ってもレイヴン。

 経験値的にはおいしい相手だったってことなのかも。

 

 それじゃせっかくだしステータスを確認しておきますか。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv2

 

 格闘111

 射撃120

 技量118

 防御97

 回避135

 命中140

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 無し

 

 

 

 まあ、最初はこんなもんだよね。

 KOS-MOSは邪神ちゃんの忘却魔法で初期化されちゃってるし。

 いっぱい成長出来ると思うことにしよう。

 

 よし、ここにもう用は無いし人間のいる所に行ってみようっと。

 歩き続ければその内人間の住む町に辿り着くでしょ。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 KOS-MOSはアンドロイドだから睡眠や食事がいらないのは助かるわ。

 メンテナンスや補給に関しては神様パワーのおかげで不要だし。

 

 ……でも、そんなことをありがたいと思うような状況なのはちょっとなぁ。

 

 まさか何日も歩き続けることになるとは思ってなかった。

 もし人間の依代だったら今頃弱音吐いてるに違いない。

 KOS-MOSを選んでくれた邪神ちゃんありがとう。

 3日くらいは感謝しておくよ。

 

 ……しかし、ここってほんとに何も無いね。

 何度目か分からない夕日を見ることになっちゃったよ。

 あーまた夜になってしまうなぁ。

 野宿は必要無いけどずっと歩くだけってのも気が滅入るんだよね。

 

 まさかこのまま人間に出会うことは無いんじゃ……とか思ってたら建造物発見。

 なんだ、私の取り越し苦労だったか。

 

 見た感じ、軍事基地っぽいかな。

 最初に訪れる場所にしては物騒だけど、背に腹は代えられないんだよ。

 

 基地に近付いてみると入口に兵士が立ってた。

 よし、ここは道に迷った旅人を装って話をしてみようっと。

 

 私は友好的ですよアピールをしながら門の入口にいる兵士に近付いた。

 

「誰だ? ここはミラージュ社の所有地である。関係者以外の立ち入りは許可出来ない」

 

 笑顔で近付くと兵士はアサルトライフルを私に向けて威嚇した。

 相手の態度は高圧的で、これには私も笑顔が苦笑いになってしまう。

 

 ……いやいや、私が笑顔で友好的なんだってアピールしてるでしょうが。

 会話の余地すら無いってどういうことだよ。

 美人が話しかけているんだから男なら鼻の下を伸ばして優しく接しろ。

 

「妙な格好をしているな? こんな辺境で何をしていたんだ?」

 

 むむ、痛いところを突かれてしまったぞ。

 こんな何も無い場所で何してたって言われても困る。

 観光目的で来ましたって言い訳も通じないだろうし。

 どうしよう……厄介な事態になってしまった。

 

「……まさか他企業のスパイか?」

 

 スパイは堂々と敵地に乗り込んだりしないと思うんですけど。

 

 あーなんだか面倒になってきちゃったぞ。

 こうなったら逃げて誤魔化そうかなぁ。

 あ、でも逃げたら自分はスパイだって認めることになるのかな?

 むう、困ったぞこれは。

 

「おい、どうしたんだ?」

 

 門の詰め所から兵士が1人が出てきた。

 

「怪しい人物がいる。連行するから手伝ってくれ」

 

 2人の兵士が私に近付いてくる。

 このままじゃ捕まっちゃうし、やっぱり逃げるかな……ん、なんか聞こえる?

 

 これは……複数のヘリが近付いてるみたい。

 

 なんだか嫌な予感がするな。

 こんな日も暮れた時間に大量のヘリが飛んでくるなんて。

 ちょっと目の前の兵士に聞いてみようっと。

 

「複数のヘリが接近しています。それは友軍ですか?」

 

「なんだと? 何を言ってる?」

 

「ヘリだって? そう言われればヘリのローター音がするな」

 

 兵士の1人は困惑した表情をして、もう1人の兵士は耳を澄ませている。

 

 そうしてる間にヘリはどんどんここに近付いているんですけど……あ、警報鳴った。

 

「敵襲だと!?」

 

 兵士が空を見上げるのと、サーチライトに照らされたヘリからミサイルが発射されたのは同時だった。

 

 ヘリから一斉に放たれたミサイルは基地施設や警備していたMTを吹き飛ばしていく。

 

 ふむ……この状況は利用出来るね。

 基地の人間達に恩を売れるし、KOS-MOSの武装も試せる。

 一石二鳥ってやつですわ。

 

 そうと決まればさっそく行動だ。

 

 兵士2人の制止を振り切って基地内部に侵入。

 中央のビルの屋上にジャンプで飛び乗ったらいざ戦闘開始。

 

「G・SHOT」

 

 空間転送技術によってG・SHOT――3連装バルカン砲を転送して両手に持つ。

 そして狙いを定めてG・SHOTのトリガーを引く。

 

 けたたましい音と共に銃弾が発射されてヘリに襲いかかる。

 薄っぺらいヘリの装甲じゃKOS-MOSの攻撃は防げないらしい。

 次々にヘリは撃ち落とされていく。

 ちょっと無駄弾を撃ちすぎてる気がしなくもないけど、まだステータスも低いしこんなもんかな。

 

『あれはなんだ!? レイヴンか!?』

 

『ビルの屋上で戦っているのは……人間、なのか?』

 

『あれはレイヴンではない! 繰り返す、あれはレイヴンではない!』

 

『味方じゃないなら何で基地守ってるんだよ!?』

 

 傍受した通信を聞くと基地の防衛部隊は混乱してるみたい。

 そりゃそうだよね。

 ヘリに奇襲されたと思ったら私が勝手に迎撃してるんだもん。

 

『くそ! ミラージュがレイヴンを雇ってるなんて情報は無かったはずだぞ!?』

 

『屋上だ! 屋上の敵を狙え!』

 

 ヘリ同士の通信も傍受したけど、相手は私をレイヴンだと勘違いしてるね。

 

 まあ、訂正してやる義理も無い訳で勘違いしたまま死ぬがよい。

 

「R・CANNON」

 

 G・SHOTを異空間に収納して右腕を砲身に換装する。

 

 これはR・CANNONっていうビーム砲だよ。

 KOS-MOSの持つ武装の中では弱い部類に入るけどヘリ相手なら効くでしょ。

 

 R・CANNONから撃ち出されたビームの光がヘリに向かって伸びる。

 

 私の考え通り、当たればヘリじゃ耐えられないみたい。

 それが分かった私は残りのヘリもみんな撃ち落とすのだった。

 

『所属不明の人物に告ぐ。武装を解除してこちらの指示に従え。繰り返す、武装を解除してこちらの指示に従え』

 

 戦闘が終了すると基地の人間から通信が届いた。

 

 しかし、武装解除して指示に従えって……助けてあげたのに酷くない?

 私は恩を売ろうとしたんですけど作戦失敗ですかね?

 

「動くな! 両手を頭に付けて膝立ちになれ!」

 

 屋上に兵士達が雪崩れ込んできた。

 どう考えても友好的な感じはしない。

 全員、銃を私に向けてるし。

 

 うーん、どうしようかなぁ。

 

 私的にはここで破壊の限りを尽くしても全然OKだけど、それしちゃうとアーマードコア世界での今後の活動に支障が出るかもしれない。

 

 それはちょっと不味いかな。

 この世界で遊べなくなるのは勘弁してほしい。

 異世界に来たらしばらく時間が経過しないと別の異世界に行けないって話だし。

 

 ……よし、ここは撤退しよう!

 

 ビルから飛び降りてそのまま全力ダッシュで基地から脱出。

 あっという間に私は暗闇の中に溶け込んでいった。

 

 びっくりしたのは人間達が容赦なく撃ってきたことだよ。

 恩人に対してこの扱いは酷いわ。

 

 どうやらアーマードコア世界は思ったよりも殺伐としてるらしい。

 このまま一人旅を続けていたら命がいくつあっても足りませんよ。

 

 となるとどこかの組織に入った方がまだ安全なのかも。

 組織に縛られるのって人間に飼われるみたいでちょっと嫌だけど仕方ないね。

 

 ……でも、今の私を雇ってくれる組織があるかな?

 

 まあ、なんとかなるでしょきっと。



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0002

 アーマードコア世界に来て1週間経った。

 

 その間のんびりしてたわけじゃなくて色々調べたりしてたよ。

 この世界はインターネットが発達してるから調べ物をするのは簡単でいいね。

 

 調べた結果、私のいる地域は紛争が起こっている模様。

 ドンパチしてるのはナービス社とミラージュ社っていう2つの企業だよ。

 どっちも新資源っていう謎の地下埋蔵品欲しさに争ってるらしい。

 

 表向きに争ってるのはナービス社とミラージュ社だけ。

 でもクレスト社とキサラギ社っていう企業も隙あらば新資源の市場に参入したがってるみたい。

 

 で、そんな企業が戦うために欲しがってる戦力を提供してるのがレイヴン達の派遣・斡旋を生業とするレイヴンズアークって組織。

 

 あと企業のいざこざを調停してる組織もあるんだっけ?

 全然企業の調停とか出来てないみたいだし形骸化した組織なんじゃない?

 組織の名前は忘れちゃったけど気にしなくてもいいよね。

 

 それでこの世界について調べてて思い出したんだけど、この世界の原作ってアーマードコア ネクサスってゲームじゃん。

 

 私、このゲームはプレイしたことないから断片的な知識しか持ってない。

 そもそもアーマードコアっていうゲーム自体をそんなに知らない。

 

 あ、でも前に見た重武装なACのレイヴンはジャック・Oだっていうのは分かる。

 弱王とか呼ばれてネタにされてるのは知ってるんだよね。

 知ってるからなんだって話なんだけど。

 

 ……まあ、私の薄っぺらい原作知識は横に置いておこう。

 それよりも今後の身の振り方について考えるか。

 

 私の少ない原作知識によれば主人公はレイヴンズアークに所属してた。

 何故なら主人公はレイヴンだったから。

 

 だからってわけじゃないけど私はレイヴンになろうと思うの。

 というかこの世界じゃそれ以外の選択肢が無いとも言える。

 

 レイヴンの必須アイテムであるACは持ってないけど私は生身でも強いし平気だよたぶん。

 ACを持ってない奴がレイヴンと呼ばれるのかは疑問だけど。

 

 まあ、いざという時は私のコピー能力で誰かのACをコピーすればいいし。

 何の問題もありませんね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 レイヴンになるための条件は意外にも簡単だった。

 

 書類に自分のプロフィールを書いて、簡単な面接をして、最後に実技テスト。

 これだけでレイヴンになれちゃうのだ。

 

 でも、簡単そうに見えるレイヴンへの道だけど、実際は厳しめだよ。

 というのも実技テストで命を落とすレイヴンの卵がたくさんいるらしい。

 

 レイヴンの数は少ないのはこの実技テストのせいだという人もいる。

 でもレイヴンになるためにレイヴンズアークの扉を叩く人は多いそうな。

 死にたがりが多い世界だなって思う。

 

 まあ、自分は大丈夫。

 伊達や酔狂でKOS-MOSの身体に憑依してるのではないのだよ。

 

 というわけで書類審査や面接をクリアしてレッツ実技テスト。

 

 実技テストは先輩レイヴンとの模擬戦をするんだって。

 まあ、模擬戦と言いつつ、実弾使うんですけどね。

 実弾で模擬戦とかやってたらそりゃレイヴンの卵も大勢死にますわ。

 レイヴンズアークも何を考えてこんなテストをしてるんだろうか?

 もしかして現実の厳しさをレイヴンの卵に教えるためなの?

 そうだとしたら逆に現実の厳しさを教えてあげよう。

 私はやられる側よりやる側の方がいいです。

 

 対戦相手はアモーというレイヴン。

 腕部と肩部にロケット兵器を装備したバースボムっていうACに乗ってる。

 

 対する私はAC無し。

 なんとACが無くてもレイヴンになる資格はあるらしい。

 面接で「ACは無いがレイヴンになりにきた」と私が担当者に言ったら可哀想な者を見る目をされたのは悪い思い出。

 

 対戦する場所は遮蔽物の一切無い平地。

 壁を使って防御が出来ないし、機動力で相手を翻弄する必要があるだろう。

 

『まさか生身で戦いを挑む馬鹿がいるとはな。なめられたものだ』

 

 アモーから熱い言葉を頂いた。

 これはお返しに弾丸をくれてやられば。

 ACの有無が戦力の決定的な差ではないことを教えてやる。

 

『ready……go!!』

 

 テスト開始の合図と共に私は左回りに走りながら異空間からG・SHOTを両手に転送した。

 

『なっ……その武器、どこに隠していた!?』

 

 アモーは私がG・SHOTを異空間から転送したことに驚いている。

 そういえばこの世界って空間転送技術の類は無いんだっけ?

 それなら私がやったことに驚くのも無理ないね。

 

『どんな手品を使ったのか分からんが、そんなことで勝てると思うな!』

 

 アモーのバースボムが先制攻撃のロケット弾を放つ。

 しかし、ロケット弾は明後日の方角に飛ぶ。

 どうやらアモーの操縦技術はそこまで高くない模様。

 もしかして動揺してたりするの?

 

 まあ何にせよ、アモーは二流レイヴンっていう認識でいいか。

 

 慌てずにG・SHOTのトリガーを引き、バースボムに銃弾を叩き込む。

 バースボムはブーストを使うこともなく走り回っているだけ。

 そんな動きで私の銃撃を躱せるわけないだろいい加減にしろ。

 

 バースボムは腕のロケット兵器で応戦するが全く当たる感じがしない。

 KOS-MOSは当然ACよりも小さいし、常に高速で動き回っているしね。

 そりゃ当てるのはさぞかし難しかろう。

 

 このままでは不味いと思ったのかバースボムが急接近してきた。

 左腕にはレーザーブレードが装備されているけど、あれで斬るつもりなの?

 

 そのまさかであった。

 バースボムはレーザーブレードを振りかぶり私に向けて振り下ろした。

 

 ……まあ、当たるわけないんですけどね。

 あんな単純な攻撃に当たってやるわけにはいかない。

 

 私は素早くバックステップを行い距離を取る。

 そして再びG・SHOTでバースボムに攻撃を始めた。

 

 そんな感じで一方的に私が殴っているとバースボムが黒煙を上げて停止した。

 テスト開始から僅か1分弱の出来事でした。

 

『貴様……覚えておくぞ』

 

 アモーから負け犬の遠吠えを聞いたところでテストは終了。

 

 私はレイヴンになったのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 私のレイヴンとしての初仕事はOAEからの依頼だった。

 

 OAEってなんだよって思っちゃったけど企業間の調停をやってる組織のことだって私の専属オペレーターが言ってたよ。

 

 そんな私にとって影の薄いOAEの依頼内容は支援物資の破壊。

 ミラージュ社に送るはずの支援物資をわざわざ破壊してほしいんだってさ。

 

 ……うん、企業の足を引っ張る依頼だよねこれ。

 OAEって少し前にミラージュ社に恫喝されて渋々支援物資をあげることになったらしいけど、命令受けた途端にこれですか。

 

 自ら支援物資を破壊して嫌がらせとは、なかなかいい根性していらっしゃる。

 事の顛末を架空の第三者に押し付ける辺り、タチが悪いわ。

 

 ……まあ、ちゃんとした依頼なんだし文句を言っても仕方ないか。

 報酬は破壊したコンテナの数に応じて増額するって話だし頑張るぞ。

 

『依頼内容は倉庫内のコンテナを全て破壊することです。迅速な行動をお願いします』

 

 オペレーターの言葉と共に搬入用のエレベーターの扉が開く。

 

 倉庫内は支援物資がぎっしり詰まっていた。

 警備にはガードメカが数機いるだけ。

 こんなの襲ってくださいと言ってるようなもんだよね。

 

 今回の依頼は制限時間が設けられているので迅速に破壊する必要がある。

 なので手早くX・BUSTERの拡散モードでコンテナを破壊することにしよう。

 

「X・BUSTER発射」

 

 私の腹部から撃ち出されたビームは放射状に放たれコンテナを次々と破壊していく。

 

 1発撃っただけでコンテナの半分は破壊出来た。

 これは楽勝な依頼ですわ。

 

 もう一発X・BUSTERを発射してほとんどのコンテナを壊した。

 後はちょっとだけ残ったコンテナをR・CANNONで処分しておしまい。

 

『まさかこれほどとは……いえ、失礼しました。素晴らしい成果です』

 

 オペレーターが何やら驚いているみたい。

 内心はAC無しで何が出来るんだって思ってたに違いない。

 初めて顔合わせした時、私のこと嘲る様な目で見てたもん。

 オぺレーターはいつか見返してやるからな覚悟しろ。

 人間のくせに私を見下すなんて1000年早い。

 

「任務完了。これより帰投します」

 

 オペレーターを見返すことを決意して私は倉庫から出た。

 そして帰りのヘリに乗って帰還したのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 今日の依頼は何時ぞやのミラージュ社の基地の防衛。

 

 あそこは恩を仇で返してきた連中のいる嫌な場所だね。

 あの基地は壊滅してもいいんじゃないって思う。

 

 でも今回は依頼で行くわけで、ここが組織の歯車の面倒なところだよね。

 

 あー、あの基地を襲撃する依頼があれば合法的にあの基地を襲えるんだけどなぁ……って言ってもしょうがないか。

 

 ……ふう、仕方ない。

 今回は依頼通り防衛しますか。

 私は公私混同しない神だからね。

 

 すでに戦闘は始まっているみたいで、爆撃機が爆弾を投下してる。

 でも防衛戦力の対空砲火によって狙った場所に爆弾を落とせない模様。

 そんなわけでまだ基地に致命的なダメージは無い。

 

 でも爆撃機と一緒に来てるヘリによって基地の防衛戦力は数を減らしてる。

 このままじゃ遠からず爆撃は成功してしまうだろう。

 そうなる前に私が爆撃機を撃墜しよう。

 KOS-MOSの武装の前にはどんな航空機も無意味なのだ。

 

「G・SHOT」

 

 異空間からG・SHOTを呼び寄せて空へ向けて構える。

 目標は爆撃機優先でヘリは後回しでいいかな。

 

 狙いを定めてG・SHOTのトリガーを引く。

 

 私の放つ弾丸が爆撃機を食い破る。

 爆撃機は爆弾を腹に抱えたまま基地の手前で爆散した。

 

『くそ! 前の部隊を全滅させたレイヴンがまたいるのか!』

 

『ヘリはACを撃破しろ! このままでは爆撃機がやられてしまう!』

 

『ミラージュの基地にACらしき機体は確認出来ない!』

 

『そんなはずない! もっとよく探せ!』

 

 敵の通信を傍受した。

 ふむ、どうやら前回と今回の襲撃者は同じ組織みたい。

 

 戦力を増強してもう一度基地を襲いに来たんだろうけど残念だったね。

 この基地を守っているのはACじゃなくてKOS-MOSなんだ。

 戦力を見誤ったことを後悔しながら死ぬがよい。

 

『もう駄目だ! 撤退する!』

 

 私の苛烈な対空砲火によって敵の航空機は撤退を余儀なくされた。

 撤退出来たのはたったの数機だけだったね。

 逃げる判断をするのが遅すぎると思うよ。

 敵の指揮官は今回の件で首が飛ぶかもしれませんな。

 

『敵の航空機は撤退したようだ。レイヴン、協力に感謝する』

 

 基地の人から形式的なお礼を言われた。

 まあ、形だけでもお礼を言われたら嬉しいかな。

 

 よし、これで依頼は達成だ。

 早く帰ろうっと。

 

『レイヴン。ナービス社から緊急の依頼です。至急、ベイロードシティに向かってください』

 

 帰る支度をしてるとオペレーターが新しい依頼があることをお知らせしてくれた。

 

 依頼を続けてやれだなんてレイヴンズアークもなかなかブラックな組織だよね。

 まあ、私は疲れ知らずのKOS-MOSだから別にいいけどさ。

 

「了解しました。これよりベイロードシティへ向かいます」

 

 私はオペレーターにそう言うとヘリに乗り込んだ。

 

 ヘリで移動中にベイロードシティについてオペレーターから説明があった。

 

 ベイロードシティっていうのはナービス社の本社がある都市で、分厚い外壁に覆われているらしい。

 

 ナービス社がこの地域を開拓する際に建設して、ナービス社の社員はここに住んでるんだって。

 

 そんなベイロードシティで緊急の依頼かぁ。

 ちょっと本拠地の警備甘いんじゃないかなって私思うの。

 

「レイヴン、ベイロードシティに到着した」

 

 ヘリのパイロットが目的地に着いたことを教えてくれた。

 よし、じゃあもう少しだけ働きますか。

 

 ヘリから飛び降りてベイロードシティ内部に入る。

 

 都市内部は真っ暗だった。

 まあ、外はもう夜だし都市内部の照明も暗くしてるんだろうな。

 

『現在、都市内部に所属不明のMTが侵入しています。MTの排除を優先してください』

 

 オペレーターから指示を聞きつつ、破壊音のする方向へ走る。

 

『なんだお前は? 我々はレイヴンの派遣を依頼したはずだが』

 

 走ってる最中に通信が聞こえた。

 通信の相手はナービス社の社員みたい。

 その声には私に対して懐疑的なものがかなり含まれてたよ。

 まあ、緊急の依頼をしてやってきたのがACに乗ってない女の子だったらそうなるよね。

 

「私が派遣されたレイヴンです。これより戦闘行動を開始します」

 

『……ふざけているのか?』

 

 明らかにナービス社の社員は不機嫌そうだ。

 怒りたい気持ちも分かるけどここは冷静になってほしいんですけど。

 

『やはり彼も雇って正解だったか』

 

 ナービス社の社員からそんな呟きが聞こえたのと同時にMTを発見した。

 

 敵MTは都市の破壊活動を行ってる真っ最中だった。

 MTの外見は頭部の無い人型って感じ。

 

 私は都市への被害を考慮してR・CANNONを選択。

 MTに狙いを定めて……定めにくい?

 

『敵MTはECMを使用しています。注意してください』

 

 オペレーターに言われてなるほどと思った。

 なんか都市内部に入ってからセンサーの感度が悪いなって感じてたのよね。

 敵のECMが原因だったのか。

 

 それなら接近して倒してしまおう。

 

「R・BLADE」

 

 KOS-MOSの右腕を電磁ブレードであるR・BLADEに換装してMTの1機に駆け寄る。

 

 MTは手に持ったライフルで攻撃してくる。

 狙いは正確でKOS-MOSのサイズにちゃんと対応しているな。

 

 でもKOS-MOSの運動性能を加味していない以上、当たるわけがない。

 

 あっという間にMTに接近。

 MTは後ろに下がろうとするが反応が遅い。

 この辺はMTの反応速度が鈍いのが原因だろう。

 KOS-MOSみたいな機敏さを求めるのは高望みが過ぎるかな。

 

 R・BLADEでMTの脚を斬り、MTを転倒させる。

 倒れたMTはそのまま放置して他のMTも無力化しよう。

 

 どうやら他のMTは仲間がやられたのを見て接近されるのは不味いと判断したようだ。

 所謂、引き撃ちをしながら私を近付けないようにしている。

 

 正直、複数のMTから集中攻撃をされると困る。

 全ての攻撃を回避することは今の私には難しいから止めてよね。

 まだKOS-MOSのレベルは2だもん。

 ステータスも低いし安全第一でいこう。

 

 ……しかし、この状況は少し不味い。

 このままじゃ近付くことが出来ないし、接近戦は諦めて別の武装を使おうかな……おや?

 

 ビルの陰に隠れてどうするかと悩んでいると突然MTの1機が爆発した。

 

 ECMのせいでセンサーの感度は悪いがビルの上にACがいるのを確認。

 あのACがMTを撃破したみたい。

 たぶんナービス社が私以外にもレイヴンを雇ったんだろうね。

 それだけナービス社の人達は焦ってるのかもしれない。

 

 ACはビルから飛び降りるとそのままブースターを噴かしてMTに近付きレーザーブレードを一閃。

 

 そして振り向きながら右手のライフルでMTを撃ち抜いた。

 

 流れるような動作に強者特有の力を感じた。

 あのレイヴンは強い、かな。

 

 残りのMTも現れたACが全部倒してしまった。

 獲物を横取りされたみたいで少し嫌な気分だけど、とりあえず依頼は達成。

 

 ACは敵を全滅させるとどこかへと姿を消した。

 去り際にこっちを見てたような気がしたけど私の思い違いかな?

 

 ……まあ、見てたかどうかなんて気にしなくていいか。

 

 でも帰ったらあのACについて少し調べてみようっと。



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0003

 時刻は深夜0時。

 闇夜に紛れて私は建物に侵入した。

 

 侵入した建物はクレスト社の保有するMT工場。

 現在、この工場はテロリストに占拠されているらしい。

 

 幸いなことに工場は稼働していなかったので人質とかはいないが、依頼主のクレスト社は早急な解決を望んでレイヴンに依頼したってわけだ。

 

 工場内への侵入は楽勝だった。

 これもKOS-MOSの性能のおかげ……というわけじゃない。

 テロリストの警備が甘かったせいだね。

 

 まあ、テロリストが警戒してるのはACだろう。

 KOS-MOSみたいな存在は想定外なんじゃないかな。

 

 さてと、工場内には簡単に忍び込めた。

 ここからテロリスト退治を始めよう。

 

 KOS-MOSのセンサーによるとテロリストは壁の向こうにいる。

 このまま壁越しに撃ちまくってもいいけど、そうしたら工場が穴だらけになっちゃう。

 それは報酬の減額に繋がりそうだからなるべく被害が出ないようにしないと。

 

「R・CANNON」

 

 今回はX・BUSTERやG・SHOTみたいな高威力の武装は使わない。

 ということでここはR・CANNONで戦おう。

 

 右腕をR・CANNONに換装して構えると、扉のロックを解除する。

 するとACが通れるくらい大きな扉が開いていく。

 

 扉の向こうには両腕にキャノンを備え、頭頂部にミサイルを装備したMTが1機。

 工場の外は見張りがいなかったのに工場の中は律儀に見張りを立てるのね。

 夜なんだから全員寝ててもいいのよ?

 

『なんだ……何もいない?』

 

 テロリストは扉の前で出待ちしてたが、明らかに目線が上の方にあるね。

 やっぱり警戒してたのはACなんだって確信したわ。

 

 テロリストがこっちに気付く前に手早く片付ける。

 R・CANNONを連射してMTの胴体に撃ち込むとMTは爆発した。

 

 燃えるMTの残骸を避けつつ奥の区画へ進む。

 

 この工場って別の区画に行くのにいちいち扉のロックを解除して開けないといけない。

 セキュリティー的な意味で必要なことなんだろうけど、今はただ面倒なだけだわ。

 

 奥の区画にはさっき見たMTと浮遊するタイプのガードメカがいた。

 さっきのMTの爆発音を聞いてテロリスト達は目が覚めたのかもう戦闘態勢になってた。

 

 ここは数を減らそう。

 まずは区画内を走り回りながらガードメカを撃ち落とすことにした。

 

 R・CANNONのビームが1つ、また1つとガードメカを破壊していく。

 ガードメカも反撃するがKOS-MOSという存在を相手にするには性能不足。

 KOS-MOSのスピードに反応しきれていないもん。

 

『ちっ、これ以上はやらせん!』

 

 ガードメカがどんどんやられていくのにテロリストも焦ったのかな。

 1機のMTがミサイルを撃ちつつ接近してくる。

 でもさ、それは無茶だと思うよ。

 

 まずミサイルは当たらない。

 アーマードコア世界のミサイルって微妙に誘導性悪いんだよね。

 だから十分な空間と距離さえあれば回避するのは難しくないかな。

 

 MTの両腕のキャノンを使われる前にR・CANNONで倒す。

 今回は当たり所が良かったのか一撃でMTは爆発した。

 

 更に工場の奥へ侵入していく。

 奥に進むほどにMTの数は増えて抵抗は強まったが、所詮はテロリスト。

 統制はとれていないし、KOS-MOSの敵じゃないかな。

 

 最後は地下の倉庫に立て籠もってた連中を片付けて終わり。

 

 朝になる前には終わったな。

 

 あ、そういえば戦闘中にKOS-MOSのレベルが上がったよ。

 ステータスはこんな感じ。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv3

 

 格闘114

 射撃124

 技量125

 防御101

 回避143

 命中145

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 無し

 

 

 

 結構な数を雑魚狩りしてるのになかなかレベルって上がらないなぁ。

 

 神としての私が持ってる能力には獲得経験値100倍なんていうのもあるんだけど、この世界の人間の中に似たような能力持ってる奴いないかな?

 

 いたら私のコピー能力でコピー出来るんだけど……そう都合の良い存在いるはずもないか。

 

 まあ、コツコツとやっていくしかないね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

『これより生体兵器の性能テストを開始する』

 

 クレスト社のMT工場奪還の依頼から数日後。

 私はキサラギ社の所有する辺境の研究所にやってきた。

 

 目的は生体兵器ことAMIDAとの触れ合い……という名の殺し合い。

 

 トラック並の大きさで目が何個もあって丸い虫みたいな気持ち悪い奴。

 それがAMIDAを見た目だったりする。

 正直、この依頼を受けたことを少しだけ後悔してますよ。

 何が楽しくてこんな化物と戯れないといけないのか。

 

「G・SHOT」

 

 両手にG・SHOTを装備してAMIDAに対して弾幕を張る。

 こんな依頼はさっさと終わらせてしまおう。

 

 蜂の巣にされたAMIDAはなんと爆発した。

 体内に爆発物でも抱えているのだろうか?

 こいつ危なっかしいな。

 

 何はともあれ、あれを接近させるわけにはいかない。

 このままG・SHOTの火力でAMIDAを圧倒させてもらおうっと。

 幸いにもAMIDAはそこまで丈夫じゃないし、今のKOS-MOSでも敵じゃないね。

 この調子でどんどんAMIDAを駆逐していこう。

 

『ほう……人間サイズの兵器にしてはなかなかの威力だな』

 

 通信越しに研究員の感心したような呟きが聞こえた。

 ちょっと人を兵器呼ばわりするのやめてよね。

 KOS-MOSは……うん、兵器だね。

 実際にKOS-MOSと戦った私が言うんだから間違いないよ。

 

『ふむ、これではACとの戦闘にはまだ耐えられんか。研究段階とはいえ、まだまだ実用性は薄いな』

 

 どうやらAMIDAはACと戦わせるために開発されてるらしい。

 ならいつか依頼先でこいつと戦うことになるのかも。

 それは……ちょっと嫌だなぁ。

 こいつが戦場に出てくる頃には今よりもパワーアップしてるってことだもん。

 頼むから戦場には出さずに死蔵してくれないかな。

 

『テスト終了。協力に感謝する』

 

 ほぼ作業と化したAMIDA退治は無事に済んだ。

 私としてはあれの爆風に巻き込まれなくてよかった。

 たぶん爆発に巻き込まれてもKOS-MOSなら平気だと思うけど、進んで爆発に巻き込まれたいとは思わないし。

 

 ちなみにAMIDAを倒しても経験値は一切入らなかった。

 何の旨味も無いくせに面倒臭い奴、それがAMIDAなのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 OAEからまたミラージュ社への嫌がらせ目的の依頼をやらされた。

 表立ってミラージュ社に逆らえないからってやることが陰険だよね。

 まあ、私としては儲かるわけだから文句は言わないよ。

 

 で、そんなOAEの依頼から数日後。

 今度はミラージュ社から依頼がきた。

 

 依頼内容はMT部隊の撃破。

 オペレーター曰く、襲うのはクレスト社の部隊らしい。

 

 最近のクレスト社は過剰に兵力を配備してる。

 少なくてもミラージュ社はクレスト社の行動に危機感を覚えてるみたい。

 

 まあ、敵は何であれ依頼されたからにはきっちり倒そう。

 ということでヘリに乗って現場へ急行する。

 

 依頼で指示された場所は見晴らしのいい平原地帯。

 

 MT部隊は護衛のMT6機とトレーラーに乗せられたゴツイMTが3機。

 KOS-MOSなら余裕で殲滅出来る戦力ですな。

 

『MTを全て撃破してください』

 

「了解しました。作戦行動を開始します」

 

 オペレーターとの短いやり取りをして戦闘開始。

 ヘリから飛び降りて地上に降下する。

 

 華麗に高台へ着地したらMT部隊はこっちに気付いた。

 護衛のMTがミサイルで攻撃を始めたので私も攻撃を行う。

 

「X・BUSTER発射」

 

 初手はX・BUSTER収束モード。

 

 放たれた極太ビームは護衛のMT4機を薙ぎ払う。

 まあACの装甲でも耐えきれない攻撃だし、MTが耐えられる道理は無しだね。

 

 残りは護衛のMT2機にトレーラーに乗ったMT3機。

 

 高台から飛び降りながら武装を呼び出す。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 呼び出した武装はDRAGON・TOOTH。

 巨大なビーム刃を発生させるビーム兵器で、ランチャーモードとセイバーモードで使い分けが可能。

 

 まずはランチャーモードを起動。

 残った護衛のMTにビームを放つ。

 

 MTはミサイルで反撃してくるがDRAGON・TOOTHのビームに巻き込まれてミサイルは消滅。

 

 ビームはそのままMTを打ち貫き、MTの上半身を吹き飛ばした。

 その威力はX・BUSTERには及ばないが高威力であることに違いはない。

 

 もう一発DRAGON・TOOTHのビームを発射したが外れてしまった。

 まあ、そんなこともあるか。

 次は外さないようにしっかり狙いをつけて……発射。

 

 今度の攻撃は躱せなかったMTは脚だけを残して消滅した。

 こうして護衛のMTは護衛対象を残して全滅してしまったわけだ。

 

『なんだあれは!? 人間サイズの兵器だと!?』

 

『足を止めるな! 動き回れ!』

 

 敵の通信が聞こえてきた。

 

 見ればトレーラーに乗ってたMTが動き始めている。

 ゴツイ3機のMTは手にしたバズーカを構えつつ、滑るように移動していく。

 

 見た目は重装甲だが意外に機動性は悪くないね。

 わざわざ護衛付きで運搬する価値のあるMTみたい。

 

 でもKOS-MOSを相手にするには不足なんじゃないかな?

 今から試してやるから覚悟しろ。

 

「セイバーモード起動」

 

 DRAGON・TOOTHの形状が変化して巨大なビーム刃が形成される。

 

 あのゴツイMTは接近戦は苦手と見た。

 なので近付いて斬ろう。

 

 KOS-MOSの運動能力を持ってすれば彼我の距離はあっという間に埋まる。

 

 MT側から見ればいきなり急接近されたように見えるだろう。

 それこそACのオーバードブーストを使ったみたいなスピードだったりする。

 

 MTの1機をDRAGON・TOOTHで斬ると、まるでバターみたいにあっさりと両断。

 これじゃせっかくの重装甲も意味がありませんな。

 

『この化物が!』

 

 MTは自爆覚悟でバズーカを至近距離で発射。

 直撃はしなかったけど爆風で私は吹き飛ばされた。

 あと土煙で着てる服が少し汚れてしまった。

 

 だがKOS-MOSにダメージは無い。

 慌てず体勢を立て直して再びMTに肉薄する。

 

『くそ、ちょこまかと! これじゃ狙えん!』

 

 KOS-MOSに翻弄される2機のMT。

 そのまま私に有効打を与えることなくDRAGON・TOOTHの餌食となった。

 最後まで諦めなかったのは評価してあげる。

 

『level up!』

 

 天の声が聞こえてレベルが上がったことを知る。

 今回はすぐにレベルが上がったね。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv4

 

 格闘119

 射撃128

 技量128

 防御103

 回避147

 命中150

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 無し

 

 

 

 レベルが上がったってことは今回のターゲットは強い部類だったみたい。

 ゴリ押しでやっつけたから強い奴と戦ったって実感ないけど。

 性能差で圧倒するのって気持ちいいからね仕方ないね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 OAEがナービス社のMT部隊を攻撃するんだってさ。

 なんでも新資源の採掘場に向かうための輸送路にいる守備隊が邪魔らしい。

 自発的にやるとは思えないし、ミラージュ社の要請に屈したのかな?

 

 まあ、どういう経緯でOAEがナービス社に攻撃をするのかは分かんないけど、レイヴンとしては依頼はきっちりと果たそう。

 

 事前情報によると峡谷に作られたトンネルにいる狙撃MTが厄介らしい。

 この狙撃MTの撃破が今回の依頼の肝。

 

 ヘリで近付くと狙撃で撃ち落とされそうだからトンネルを通って行くことにした。

 KOS-MOSの健脚を活かしてトンネル内を猛然とダッシュする。

 

『敵戦力は予想よりも多いようです。効率良く作戦を遂行してください』

 

 オペレーターからの指示を聞きながら作戦領域内へ突入。

 

 狙撃MTの1機がトンネルの出口に立っている。

 狙撃MTはトンネル内ではなく空を警戒しているみたい。

 こっちにとっては好都合なんで先制攻撃させてもらうよ。

 

「G・SHOT」

 

 走りながらG・SHOTを連射する。

 狙撃MTは私に気付くことなく銃弾に撃ち抜かれて爆発した。

 

 トンネルを抜けるとそこは橋の上だった。

 私は橋を走り抜けつつ、橋の上にいる狙撃MTを破壊していく。

 

 狙撃MTはドカン、ドカンと爆発。

 流石にこれだけ派手に暴れれば敵も私に気付くよね。

 空中に浮いてるガードメカと狙撃MTから容赦ない銃撃が浴びせられる。

 

 でもそこはKOS-MOSの性能で難なく避ける。

 常に高速で移動し続けるKOS-MOSを捉えるのはガードメカには出来ない。

 

 メインターゲットの狙撃MTに関してはそんなに脅威じゃない。

 だって狙撃MTが真価を発揮するのは遠距離攻撃する時だし。

 これだけ近付いちゃえば長大なスナイパーライフルが邪魔になるってわけ。

 実際のところ、私の動きに対応出来てないもん。

 

 縦横無尽に動き回りつつG・SHOTの砲火で狙撃MTやガードメカを破壊する。

 数分も経たない内にナービス社の守備隊は壊滅した。

 

『くっ……新資源を渡すわけには』

 

 最後に残った狙撃MTがスナイパーライフルで応戦する。

 でも無駄な足掻きってやつですね。

 G・SHOTで穴開きチーズにしてやりましたよ。

 

 こうして私はナービス社の守備隊を排除することに成功するのだった。



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0004

 キサラギ社が生体兵器AMIDAの処分を依頼してきた。

 

 ミラージュ社がAMIDAを培養してる施設の強制調査をやるそうで、AMIDAを作ってたのがばれる前にどうにかしたいようだ。

 

 育てた生体兵器を根絶やしにする依頼をキサラギ社が頼むなんてなぁ。

 熱心に作ってた割にあっさり切り捨てるんだって一瞬だけ思った。

 ほんとに一瞬だけね。

 あんな気持ち悪いもの処分した方がいいに決まってますよ。

 

 というわけでやってきました植物プラント。

 ここの地下施設でAMIDAの培養が行われているらしい。

 さっさと培養槽を壊してAMIDAを処分しよう……あれ、ACがいるぞ?

 ACは脚部がタンク型で右手にスナイパーライフルを装備してる。

 

 どうやらキサラギ社は私以外にもレイヴンを雇っていた模様。

 まあ、2人でやれば効率良いし別にいいかな。

 

『レイヴン、あのACは敵です。迎撃してください』

 

 オペレーターがそう言うのとACからロックオンされたのは同時だった。

 すぐに横飛びでACの攻撃を躱す。

 

 私のすぐ横をスナイパーライフルの弾が通り過ぎていった。

 これもう少し反応が遅れてたら直撃してたな。

 

 まさかAMIDA以外に敵がいるとは思っていなかった。

 AMIDAを処分されたくない勢力がいるってことかな。

 もしかしたらキサラギ社の中でAMIDAをどうするのか意見が分かれているのかも。

 もしそうなら意見はきっちり統一してから依頼してほしいね。

 レイヴンとしてはいい迷惑ですわ。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 武装を呼び出してこっちも戦闘態勢を整える。

 相手のレイヴンの実力は分からないけど、ここは一気に攻めさせてもらう。

 

 相手に狙いを付けさせないようにジグザグに移動しつつ、ランチャーモードで攻撃する。

 

 流石ACというべきかDRAGON・TOOTHの攻撃に耐えている。

 しかし、このまま攻撃を続ければACでも持たないだろう。

 

 ACは動きながらスナイパーライフルを撃ってくる。

 その射撃は時々ヒヤッとさせるものがあった。

 少なくてもレイヴンになるためのテストで戦ったアモーよりは強いよこいつ。

 

 でも私が勝っちゃうんだなこれが。

 

『level up!』

 

 ACを倒したらレベルが上がった。

 また1人、私の糧になったってわけ。

 だから無駄死にじゃないよ。

 安心して成仏してね。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv5

 

 格闘122

 射撃133

 技量131

 防御106

 回避151

 命中154

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 無し

 

 

 

 さて、ステータスも確認したし、障害も消えたし、先に進もう。

 エレベーターに乗り込んで地下へ向かい、施設の奥で培養されてるAMIDAを倒そう。

 

 地下施設内部はどういうわけか異様に暑かった。

 KOS-MOSじゃなくて人間だったら焼け死んでそうなくらい暑い。

 

 なんでこんなことになってるのかは不明だけど長居はしない方が良さそう。

 

 早く培養槽を破壊しようと考えて部屋の扉を開くとそこにはAMIDAの姿。

 

 こいつら脱走してるじゃん!

 

 誰だよAMIDAを逃がした奴は。

 面倒臭いことになってるじゃないか。

 

 AMIDAは私を見つけると一目散に襲いかかってくる。

 戦意旺盛なのは生体兵器としては良いことなのかもしれないけど、私的には勘弁して。

 

 DRAGON・TOOTHを連射してビームでAMIDAを焼く。

 

 次々と爆発していくAMIDA。

 爆発すると室内温度が急上昇してる気がする。

 

 このままじゃKOS-MOSでも持たないかもしれないし急ごう。

 

 部屋の奥にたくさん置かれてある培養槽をDRAGON・TOOTHのセイバーモードで破壊していく。

 

 培養槽から小さいAMIDAが流れ出てくるが私は見てないぞ。

 

 全ての培養槽を破壊したらすぐにエレベーターに戻って地上に戻った。

 

 こうしてキサラギ社の植物プラントからAMIDAは駆逐されたとさ、めでたしめでたし。

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 ナービス社は山岳地帯にあった大きな窪地を整備して巨大なダム湖を作ったことがあるらしい。

 

 このダム湖にある浄水施設からベイロードシティに水が供給されてるんだって。

 ナービス社にとっては生命線の1つだよね。

 そんなわけだから警備も厳重な施設となっております。

 

 そんなナービス社にとって大事な浄水施設の強奪をミラージュ社が計画してて、ついさっき私に依頼が舞い込んだよ。

 

 今回の作戦はいつもみたいにヘリで近付いたら浄水施設に設置された対空砲に撃たれてやられちゃうので地下から侵入することに。

 

 実はベイロードシティと浄水施設を繋ぐ上水道は地下にあるのだ。

 ここはACが活動出来るくらいの広さがあるけど、当然ACが入ればナービス社は気付く。

 でも人間1人が入るくらいなら誤魔化せる。

 ということで人間サイズのKOS-MOSである私の出番。

 

 上水道を通って浄水施設内に潜り込む。

 あとは施設内のガードメカや砲台を壊せば依頼達成ってわけ。

 

 施設内のガードメカは2種類。

 固定砲台タイプと自走タイプだ。

 

「G・SHOT」

 

 私は両手にG・SHOTを転送してからガードメカを破壊するために走り出した。

 まずは自走タイプのガードメカから倒すかな。

 

 自走タイプのガードメカはマシンガンで攻撃するけど私に掠りもしない。

 KOS-MOSの俊足を活かして走り回りながらG・SHOTを連射する。

 

 ACにも有効打になり得るG・SHOTの銃撃で自走タイプのガードメカは次々とスクラップになる。

 

 3分もかからずに自走タイプのガードメカは全滅した。

 

 残りは壁に張り付いてる固定砲台タイプのガードメカだけだ。

 こいつは動かないけどレーザーには注意しないといけない。

 見てから回避はまず無理なので相手に狙いを付けさせないように走る。

 

 幸いにもガードメカはKOS-MOSのような高速で動く小さな物体に対処出来ない。

 まあ、想定している敵はACやMTなんだから当然と言えば当然だな。

 

 こうして私は固定砲台タイプのガードメカも一蹴した。

 さて、次は地上の砲台を片付けてしまおう。

 

 エレベーターに乗って地上に出るとそこにはずらりと並んだ対空砲の姿。

 対空砲はその性質上、地上の物体への攻撃が出来ない。

 

 なので私は次々と対空砲を破壊。

 これに関してはただの作業なので言うことは何も無いです。

 

『敵増援を確認しました。ACが2機です』

 

 施設をほぼ制圧した辺りでオペレーターからそんな言葉が出てきた。

 北側を見ると上空からヘリにぶら下がったACがやってくる。

 わざわざ敵の降下を待つ必要は無いし、先手を打たせてもらおうかな。

 

「X・BUSTER発射」

 

 私の腹部から放たれた極太ビームがヘリとAC2機を包み込んだ。

 そして盛大な爆発を引き起こす。

 

『level up!』

 

 レベルも上がったし、レイヴンは倒せたかな……ん?

 

『やってくれる……このまま引き下がるわけにはいかん』

 

 爆炎の中からACが1機飛び出してきた。

 どうやら僚機が盾になってX・BUSTERでは倒しきれなかったみたい。

 でも見た感じある程度ダメージはあるね。

 これなら倒すのは難しくないだろう。

 

 ACはパルスライフルを撃ちつつミサイルを放つ。

 遠慮無しの攻撃を回避しながらこっちも攻撃を行う。

 

「M・SHOT」

 

 M・SHOTは異空間から大量のマイクロミサイルを発射する武装だよ。

 躱せるもんなら躱してみるといい。

 

『ミサイルだと!?』

 

 ACは胸部のミサイル迎撃機能で何発かのミサイルを撃ち落とした。

 更に巧みな操縦でミサイルを避けていくが、ついに1発のミサイルに被弾してしまう。

 そこから他のミサイルも次々にACに直撃していく。

 

『馬鹿な、こんな呆気なく……』

 

 その言葉を残してACは爆散した。

 

『level up!』

 

 おっと、またレベルが上がったな。

 私が倒した2人のレイヴンはなかなかの猛者だったのか。

 初手でX・BUSTERを使ったのがかなり良かったみたいだわ。

 悪いね、性能差で圧倒しちゃって。

 私、そういうの好きなんだ。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv7

 

 格闘127

 射撃140

 技量137

 防御111

 回避156

 命中160

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 無し

 

 

 

 ステータスも順調に伸びてるようで結構。

 この調子でどんどん強くなろう。

 

『作戦領域内の安全を確認しました。これより回収に向かいます』

 

 よし、今回の依頼は完了っと。

 これでナービス社はミラージュ社に水源を押さえられちゃったわけだ。

 

 今後にどう響くのかは分かんないけど、レイヴンとしての仕事は増えそうかな。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 クレスト社からACと模擬戦してほしいと依頼があった。

 名指しだし、報酬の金額は高いしで、ちょっと身構えちゃう。

 

 対戦場所の演習場で待ってると、床の扉が開いてそこからACが現れた。

 

『お手柔らかにな』

 

 そう言って登場したのは黒いACだった。

 右腕にライフル、左腕にはレーザーブレード、そして両肩にグレネードランチャーを装備してる。

 

 このAC前に見たことがあるな。

 ベイロードシティでMT相手に無双してた奴だ。

 気になって調べたんだけど確かACの名前はデュアルフェイスだっけ。

 

『それでは始めましょう』

 

 デュアルフェイスのオペレーターから開始の合図。

 

 デュアルフェイスはブースターを噴かせながらジャンプして空中からグレネードランチャーで攻撃してくる。

 

 グレネードの爆風でKOS-MOSの青い髪が靡く。

 

 こっちもG・SHOTを呼び出してデュアルフェイスに火線を集中する。

 しかし、デュアルフェイスはこちらの攻撃を上手い具合に躱す。

 

「M・SHOT」

 

 ならば火力を追加でドン!

 

 大量のミサイルをデュアルフェイスにお見舞いだ。

 デュアルフェイスも全てのミサイルは捌き切れないようで被弾していく。

 

 でも動きに乱れは無い。

 冷静に私をグレネードランチャーで撃ってくる。

 

 負けじとG・SHOTで応戦しつつ、デュアルフェイスに狙いを定めさせないように動き回るけど、相手の射撃はかなり正確だわ。

 

 あー空中から絶え間なくグレネードランチャーを撃ってくるのが厄介すぎる。

 KOS-MOSにも結構ダメージの蓄積があるんですけど。

 ここまでダメージを受けたのってアーマードコア世界に来て初めてじゃない?

 

 デュアルフェイスには結構ダメージを与えてるけど、あっちはまだ戦えそう。

 ……まさかどっちかがやられるまで戦い続けるとかじゃないよね?

 

『そこまでです。戦闘を中断してください』

 

 戦闘開始から3分が経過したらデュアルフェイスのオペレーターから待ったの声。

 私もデュアルフェイスも射撃を止めてその場で停止する。

 

『……調整前の機体とはいえ、彼とここまで戦えるとは。認識を改める必要がありますね』

 

 デュアルフェイスのオペレーターから驚嘆の声が出た。

 たぶんデュアルフェイスなら余裕で倒せるとでも思ってたんだろうな。

 向こうからすれば格下が予想外に健闘してびっくりってところか。

 

『今日はただの調整です。この辺で切り上げましょう。レイヴン、協力に感謝します』

 

 対戦が終わるとデュアルフェイスは私に後ろ姿を見せながら撤収していく。

 

 私も帰るかって踵を返そうとして……ある疑問が生まれた。

 疑問とはデュアルフェイスの強さについてだ。

 

 私が今まで倒したレイヴンはKOS-MOSの性能で圧倒出来た。

 でもデュアルフェイス相手には互角の勝負をしてしまった。

 

 私も全力じゃなかったとはいえ、なんか気になるんだよなぁ。

 もしかしてあいつの強さには何かカラクリがあるんじゃないの?

 例えば何か特殊能力を持ってるとか。

 

 もしあのレイヴンが特殊能力持ちだとするとコピー能力の出番じゃん。

 今のKOS-MOSには何の能力も無い状態だからぜひ欲しい。

 

 ……よし、やってみるか!

 

 私はデュアルフェイスを見ながらコピー能力を発動した。

 

 さて、結果はどうなってるかな。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv7

 

 格闘127

 射撃140

 技量137

 防御111

 回避156

 命中160

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 やっぱりな。

 あのレイヴンには特殊能力があった。

 

 手に入れた能力は強化人間。

 

 強化人間っていう名前からして人間にしか効果の無さそうな感じがするけど、能力を取得出来たってことはアンドロイドのKOS-MOSでも問題無く使えるってことだね。

 

 強化人間はステータスの回避・命中に補正がかかり、センサー機能や運動性能が強化されるらしい。

 

 うむ、手に入れた能力に満足ですわ。

 あのレイヴン……確か、ジノーヴィーって名前だったよね。

 

 彼には3日くらい感謝しておこうっと。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 ミラージュ社からOAEの高官を殺すように依頼された。

 たぶんOAEがネチネチやってた嫌がらせ行為がミラージュ社に露見したんじゃないかな。

 嫌がらせをやってた私にわざわざ依頼するってことは、ミラージュ社はOAEが私を雇ってたことも知ってるっぽい。

 

 依頼自体は簡単だった。

 OAE高官が乗ってるヘリを待ち伏せして撃墜するだけ。

 これだけで報酬がもらえるんだからちょろい。

 

 で、このミラージュ社の依頼が終わって数日後にレイヴンズアークからメールが届いた。

 

 メールの内容は前に模擬戦したことのあるアモーと再戦してくれってものだった。

 勝った方には賞金が出るそうだからやってみよう。

 

 というわけでアモーとの対戦当日。

 

 対戦場所は私がレイヴンになるためにアモーと戦った平地。

 風の吹く中、私とアモーが対峙する。

 

『貴様……前のようにはいかんぞ』

 

 アモーはやる気満々だ。

 

 前回は弱すぎてあっという間に私が勝っちゃったけど今回はどうだろうか?

 再戦を申し込むってことは勝算有りってことなんだろうけど。

 これで前と同じだったら笑えるわ。

 

『ready……go!!』

 

 開始の合図と同時にG・SHOTを撃つ。

 

 アモーのACであるバースボム改めエンドボムは私の射撃を避けながらロケット弾を発射してきた。

 

 なるほど前回よりは動きが良い。

 射撃の精度も上がってる。

 再戦を挑むくらいには強くなってきたんだね。

 私に負けたのがそんなに悔しかったのかな?

 

 でも今の私には強化人間っていう能力がある。

 能力で補強されたKOS-MOSの敵じゃないのよ。

 

 G・SHOTの弾が吸い寄せられるようにエンドボムに殺到する。

 対してエンドボムのロケット兵器は全然当たらない。

 強化人間の効果でステータスの回避・命中に補正がかかってるからね。

 

『こんなはずが……』

 

 エンドボムは前回と同じく1分足らずで行動不能になった。

 

 アモーには悪いが負けてやることは出来ないから。

 

 次はもっと強くなってこいよ。

 

 ……まあ、その時は私ももっと強くなってるだろうけど。



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0005

 テロリストから依頼がやってきた。

 珍しいので私はテロリストの依頼を引き受けてみることに。

 

 依頼内容はベイロードシティの発電施設を破壊するというもの。

 これはベイロードシティ襲撃の前段階なんだってテロリストは喋ってたよ。

 

 依頼自体は簡単だった。

 発電施設の警備はガードメカのみだったしね。

 KOS-MOSにとってガードメカなんて敵じゃないです。

 

 発電施設を破壊したらテロリスト達は嬉々としながら出撃していった。

 もしかしなくても停電による混乱を利用して襲撃するつもりなんだろう。

 私としては襲撃が成功しようと失敗しようとどうでもいいね。

 

 テロリストは金をケチったのか私を続けて雇うことはしなかった。

 なので私はヘリに乗って帰宅することにした。

 

 あ、どうでもいいけどテロリストからメールが届いたよ。

 私のことを同志と呼んで一緒に企業を打倒しようぜって内容だった。

 なんか馴れ馴れしいなと思わなくもない。

 

『レイヴン。ナービス社からの依頼です。至急、ベイロードシティに向かってください』

 

 帰ってる途中でナービス社から依頼が届いた。

 内容は見るまでもなくテロリスト絡みだろうな。

 

 私は依頼を受けることにした。

 テロリストは私を雇い続けなかったことを後悔することになるね。

 

 味方だった奴が急に敵に変わるのは実にレイヴンらしい。

 悪いがこれも仕事なんだよ。

 

 というわけで私はベイロードシティにやってきたのだ。

 

『都市内部のMTを全て撃破してください』

 

「了解しました。作戦行動を開始します」

 

 オペレーターと短い会話を済ませて戦闘開始。

 

 ベイロードシティは全域が停電中。

 都市内部は真っ暗で普通なら何も見えないがKOS-MOSなら問題無し。

 暗闇でもはっきり物が見えますよ。

 

「R・CANNON」

 

 右腕をR・CANNONに換装して敵MTに向けて発射する。

 側面からの射撃に対応できなかったMTはビームに貫かれて爆散した。

 この調子で他のMTも始末していこう。

 

 ベイロードシティを駆け回ってMTをどんどん撃破していく。

 テロリストは為す術無しって感じだわこれ。

 弱すぎて話にならん。

 

 途中から戦意が無くなったのか逃げようとするテロリストもいた。

 まあ、逃がさないんだけどね。

 みんなまとめて私の経験値になるのだ。

 

『どういうことだレイヴン! 我々は同志ではなかったのか!』

 

 最後に残ったテロリストが訳の分かんないことを言ってる。

 命乞いならもっとマシなのを考えて。

 たった一度私を雇っただけで同志扱いとかおめでたい連中ですな。

 私に慈悲の心は無いので諦めてその生を手放しなさい。

 

『うわああああ!』

 

 R・CANNONのビームが最後のMTを破壊。

 テロリストの叫び声はMTの爆発に掻き消された。

 

 こうしてテロリストのテロ行為は私の手によって潰えたのだった。

 

 それから数時間後、テロリストからメールが届いた。

 私をレイヴンズアークの飼い犬呼ばわりして、このままじゃ済まないぞ的なことが書いてあった。

 

 テロリストの熱い手の平返しには苦笑いするしかない。

 

 メールのお礼はいつか戦場でしてあげよう。

 その時が来たらKOS-MOSの熱い銃弾をプレゼントするからね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 最近は引っ切り無しに依頼が舞い込んでくる。

 

 ミラージュ社からは輸送機の護衛。

 ナービス社からはキサラギ社の調査部隊の排除。

 クレスト社からは燃料貯蔵施設の防衛。

 

 で、今はまたミラージュ社の依頼をやろうとしてる。

 

 依頼内容は謎の生体兵器の駆除。

 駆除対象がいるのはナービス社が保有してた浄水施設だよ。

 生体兵器っていうとキサラギ社のAMIDAを思い出すけど……まさかだよね?

 

『レイヴン気を付けろ。敵はただの兵器じゃない。化物だ』

 

 まさかの展開あったわ。

 

 浄水施設内部に入ると至る所で蠢くAMIDAの姿が。

 うわぁ気持ち悪い……もうこの浄水施設の水は安心して飲めないね。

 

 AMIDAは私を見つけると前足をわしゃわしゃと動かしながら近付いてくる。

 こいつは体内に爆発物を抱えている危険物だ。

 近付かれる前に倒してしまおう。

 

「G・SHOT」

 

 両手にG・SHOTを転送。

 その銃口を近くのAMIDAに向けるとトリガーを引いた。

 するとG・SHOTの弾丸がAMIDAに向かって飛んでいく。

 

 G・SHOTの当たったAMIDAはあっさりと弾け飛んだ。

 幸いにもAMIDAの性能は以前戦った時とそう違いはない模様。

 これなら駆除は難しい話じゃないね。

 

『この化物は爆発するのか。これでは施設の被害が……』

 

 ミラージュ社の人が不安に思うのも当たり前だな。

 だってさっきからAMIDAが爆発を繰り返してるんだもん。

 

 G・SHOTの火力でAMIDAはすぐに死ぬけど死に際に爆発するから危ない。

 連鎖的に周りのAMIDAも爆発していくのが厄介で面倒だ。

 

 それに爆発したAMIDAの肉片とか体液とかが周りに飛び散って汚い。

 ちょっとだけ後始末する人達に同情。

 

 私がAMIDAと戯れた時間は1時間くらいかな。

 たくさんいたAMIDAも流石に品切れしたみたいだわ。

 あー、もうAMIDAは見たくないなぁ。

 

『レイヴンご苦労だった。しかし、何者がこんな兵器を……』

 

 間違いなくキサラギ社だと思うの。

 でもそれを言っちゃうのはレイヴン的にNGなので黙っておくよ。

 

 ……それにしてもキサラギ社は何でこんなことをしたの?

 キサラギ社も内心はミラージュ社を邪魔に思ってるのかな?

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 今日は私との対戦を希望してたレイヴンと戦うことにした。

 

 対戦場所はOAEの所有する地下倉庫。

 

 で、本日の対戦相手というのが知ってるレイヴンだった。

 

『君と出会うのを楽しみにしていた。存分に戦うとしよう』

 

 私にそう言ったのはエヴァンジェっていうレイヴンだ。

 

 アーマードコア ネクサスの原作知識がスカスカな私でもこのレイヴンは知ってる。

 OPでかっこよく戦ってたACに乗ってる人だ。

 

 目の前にはOPで活躍してたACオラクルが立っている。

 OPでの活躍が印象深かったせいでやけにかっこよく見えるなぁ。

 

 ……よし、決めた。

 あのACコピーして手元に置いておこうっと。

 

 オラクルをコピーして実際に使うかは分かんないけど、持っておけばもうオペレーターから「いつACを購入するんですか?」って小言を言われることも無くなるし。

 

 というわけでオラクルを見ながらコピー能力を発動する。

 そうすると私の目の前にもう1機のオラクルが姿を現した。

 

『……なんだそれは?』

 

 エヴァンジェの呟きが聞こえるが、構わずにコピーしたオラクルを空間転送技術でKOS-MOSの武装を保管している異空間に転送する。

 

『答えてくれ。今のACは一体何だ?』

 

 エヴァンジェの言葉は無視して武装を呼び出す。

 呼び出した武装はG・SHOT。

 

『答える気は無いか……残念だ』

 

 エヴァンジェもしつこく聞くつもりはないみたいで助かった。

 何だと言われても神としての能力ですとしか言えないし。

 

『ready……go!!』

 

 始まりの合図が聞こえるのと同時にオラクルが横に飛ぶ。

 

 オラクルは右腕にリニアライフル、左腕にレーザーブレード、肩にミサイルとリニアガンを装備したACで、バランスの取れた機体構成になってる。

 

 先手はエヴァンジェに奪われた。

 オラクルがミサイルを発射しながらリニアライフルで攻撃してきた。

 

 それを回避しながらお返しにG・SHOTを撃つけどオラクルは滑るようにブースターで滑空しながら弾を避ける。

 

 KOS-MOSは強化人間という能力でステータスに補正がかかってる。

 それなのに攻撃が当たらないってことはそれだけエヴァンジェの実力が高いってことかな?

 

『やるな。だが、これはどうだ』

 

 オラクルがまたミサイルを発射した。

 だがそれだけじゃなくブースターを噴かして急接近。

 左腕のレーザーブレードを振るう。

 

 昔のKOS-MOSなら当たってたかな。

 今のKOS-MOSは回避にも補正がかかってるからセーフ。

 オラクルのレーザーブレードが私の目の前を通り過ぎていく。

 

 レーザーブレードを振ったことで一瞬だけオラクルは硬直したので、機を逃さずG・SHOTの火力を叩き込んでオラクルの装甲を削っていく。

 

『くっ、迂闊に近付きすぎたか』

 

 オラクルはリニアライフルで私を牽制しながら後ろに下がっていく。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 武装をG・SHOTからDRAGON・TOOTHに変更して追撃する。

 ACは後ろに下がる速度がそこまで速くないから簡単にオラクルに迫れた。

 

「セイバーモード起動」

 

 DRAGON・TOOTHから巨大なビーム刃が発生したのを確認してから目の前のオラクルに向かって振る。

 

 横薙ぎに振るったDRAGON・TOOTHのビーム刃がオラクルの右脚を斬り飛ばした。

 

 一瞬だけオラクルはバランスを崩す。

 でもにブースターを噴かしてすぐに体勢を立て直した。

 

 倒れなかったのは見事だけど、明らかにオラクルの動きは鈍ってる。

 このまま勝負を決めさせてもらおうかな。

 

 DRAGON・TOOTHをランチャーモードに変更してオラクルにビームを浴びせる。

 

 オラクルのダメージはどんどん蓄積していく。

 もう無傷な部分は無さそう。

 修理費とか凄いことになってそうだわ。

 

 オラクルもなんとかしようとリニアライフルで反撃するけど私には効果無し。

 エヴァンジェも頑張ったけど一度傾いた形勢を逆転するには至らなかったね。

 

 勝負は私が押し切る形で決着。

 オラクルは黒煙を上げて地面に倒れた。

 

 正直、ジノーヴィーから強化人間の能力をコピーしてなかったら苦戦したかも。

 

『侮ったつもりはないが……レイヴンとして差をつけられたな』

 

 エヴァンジェはそう言うけど、そこまで差は開いてないんだよね。

 

 私もまだまだ弱いな。

 もっと強くならなくっちゃ。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 ナービス社からの依頼でミラージュ社の大規模な増援を運んでる輸送部隊を迎撃した。

 

 結果としてはX・BUSTERをバンバン撃って輸送機を全て撃墜出来たよ。

 まあ、神様パワーのおかげでエネルギー切れとは無縁だから出来た芸当だけどね。

 

 そんなことがあった次の日にはOAEから峡谷に作られたトンネルを防衛してるナービス社の守備部隊を排除する依頼があった。

 

 クレスト社の新型MTや武装列車から激しく抵抗されたけど、これも無事に依頼達成。

 

 そして、今度の依頼はミラージュ社からだ。

 

 ミラージュ社の所有する基地がクレスト社のMT部隊に襲撃されてるから防衛をしてほしいってさ。

 

 この防衛してほしいっていう基地は私が二度防衛したことのある場所だ。

 あそこは嫌な思い出があるから、本音は滅びればいいと思ってる。

 でも、依頼を受けちゃったわけで仕方なくヘリで現場に向かう。

 

 戦闘はすでに開始してて、ミラージュ社のMT部隊は壊滅してるみたい。

 クレスト社のMT部隊が我が物顔で基地内をうろついてる。

 

 クレスト社のMTは新型で肩にグレネードランチャーを装備した四脚タイプ。

 OAEの依頼で戦ったナービス社の守備隊にもいた奴だ。

 ミラージュ社のMT部隊はあいつらのグレネードで散ったんだろうね。

 

「レイヴン、このままではヘリが狙い撃ちにされる。早く降りてくれ」

 

 ヘリのパイロットが急かすのでさっさと降下する。

 

 四脚MTはグレネードランチャーで建物を破壊してる。

 いっぱい建物が破壊されたら報酬を減額されちゃうから手早く倒そう。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 異空間からDRAGON・TOOTHを呼び出してランチャーモードで起動する。

 

 四脚MTは機動力が低いので攻撃を当てるのは楽勝だ。

 次々と四脚MTをDRAGON・TOOTHの餌食にしていく。

 

『level up!』

 

 何機か四脚MTを撃破したところでKOS-MOSのレベルが上がった。

 まだ戦闘中なのでステータスはチラ見するだけで済ませる。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv8

 

 格闘129

 射撃144

 技量140

 防御114

 回避159

 命中163

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 残った四脚MTは私に向かってグレネードランチャーを撃ってきた。

 そりゃ、私を無視して建物を破壊し続けるってことは出来ないよね。

 

 攻撃を回避するのは簡単だけど、避けたグレネードが建物に当たらないように自分の立ち位置を気にしないといけないのが少し面倒臭い。

 

『敵増援が接近しています。注意してください』

 

 残った四脚MTを全部倒したら増援が来てることをオペレーターが教えてくれた。

 確かにKOS-MOSのセンサーにも反応があるね。

 

 でも近付いてくる敵の反応は1つだけ。

 この状況で送られてくる戦力と言えば……レイヴンかな?

 

『噂の人間兵器が相手か。MTでは荷が重すぎるな』

 

 飛んできたACのレイヴンは女の人みたい。

 右腕にショットガンを持ち、左腕にはグレネードランチャーを装備していて、肩にはミサイルとチェーンガンが付いてる。

 

 ACは小刻みにジャンプしながら距離を詰めてきた。

 武装の性質的に接近戦が得意なんだろうな。

 

『クレストに楯突く者がどうなるか……教えてやろう』

 

 ACがグレネードランチャーとショットガンを同時に撃ってくる。

 グレネードの爆風でショットガンの弾が見え辛い。

 それが狙いなんだろうか?

 

 まあ何にせよ、相手の土俵で戦う必要は無いし距離をとって攻撃しよう。

 

『あのACはレイヴンズアークに未登録の機体です。敵ACを撃破してください』

 

 オペレーターが言うにはあのACはレイヴンズアークに所属していないそうだ。

 ならあいつはレイヴンじゃないってことか。

 レイヴンじゃなくてもACに乗って戦う人っているんだな。

 

「G・SHOT」

 

 武装をDRAGON・TOOTHからG・SHOTに変更。

 あのACは装甲が薄そうだし、弾をばら撒けるG・SHOTの方が良いと思う。

 

 バックステップしながらG・SHOTでACを攻撃する。

 

 ACは左右に機体を揺らしてこっちの狙いが定められないようにしてる。

 地味な嫌がらせは止めろって。

 

『やるな……ジノーヴィーと互角に戦ったのは伊達ではないか』

 

 しばらく撃ち合いをしてると突然ACが反転してそのまま去っていった。

 

 まだ余力はあっただろうに何で撤退したんだろう?

 MT部隊が全滅しちゃってるから無理しないようにしたの?

 

 ……うーんまあ、何にせよこれで依頼は完了ってことでいいか。



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0006

 キサラギ社が「新型のACを開発したからテストに付き合って」という依頼をしてきた。

 

 キサラギ社がどんなACを開発したのか気になるしってことで依頼は受けたよ。

 ちょうど他企業からの依頼も無くて暇してたし。

 

『これより新型機の性能テストを開始する』

 

 キサラギ社のオペレーターがそう言うと新型のACが姿を現した。

 

 キサラギ社の作ったACだから人の形をしてないんじゃないかと思ってたけど、蓋を開けてみると両腕が武器と一体化してる以外は普通のACだった。

 

 見た感じ、機動性を重視したACみたいだね。

 それなら弾をばら撒けるG・SHOTの出番だな。

 

『レイヴン、遠慮はいらない。ACを破壊するつもりで戦ってくれ』

 

 え、いいの?

 あのACって人間乗ってるんじゃないの?

 まあ、いいっていうならやるけどさ。

 あとで文句とか言わないでよね。

 

「G・SHOT」

 

 武装を両手に転送して新型ACに向かって撃つ。

 

 新型ACは私の予想通り機動力を活かして軽やかに銃撃を避ける。

 それからお返しとばかりに両腕で攻撃してきた。

 どうやら両腕はパルスライフルになってるらしい。

 

 新型ACの攻撃は演習場に設置された壁で防御。

 攻撃が止んだらG・SHOTで反撃する。

 

 G・SHOTの弾が新型ACを捉える。

 新型ACは一瞬だけ攻撃に耐えた。

 ……いや、ほんとに一瞬だけだったよ。

 

 爆散するACを見て思ったけど装甲が薄すぎる。

 MTよりも装甲薄いんじゃないのこれは。

 こんなんじゃ商品にならないと思う。

 レイヴンも命を預けるのがこんなACじゃ嫌でしょ。

 

『なるほど、まだ既存のパーツに学ぶべきところはあるようだな。人間サイズの兵器相手にこの結果では話にならん』

 

 キサラギ社的に今回の結果は不満の様子。

 そりゃそうだろうさ。

 

『今回のデータは参考にさせてもらう。ご苦労だった』

 

 参考になるデータは本当に集まったの?

 あっさり新型ACのテストを終わらせちゃったから私は不安だよ。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 ベイロードシティがクレスト社から攻撃されて陥落したらしい。

 

 こんなことされたらナービス社も黙っていられないだろう。

 すぐにクレスト社へ報復するための依頼をレイヴンにすると思ってた。

 

 でも依頼してきたのはナービス社じゃなくてミラージュ社だった。

 

 依頼内容はクレスト社の専属ACの消去。

 依頼の報酬の高さからもミラージュ社の本気具合が分かるって感じ。

 

 ミラージュ社としてはクレスト社の行動が我慢ならないんだろうね。

 ミラージュ社もベイロードシティを狙ってたんだろうし。

 

 まあ何にせよ、依頼されたからにはきっちりこなしてみせようか。

 

 というわけでクレスト社の専属ACを襲うためにベイロードシティに来ました。

 

 わざわざベイロードシティで襲うのが今回のポイントだね。

 ミラージュ社なりの粋な計らいってやつである。

 

 クレスト社の専属ACは偽の依頼でおびき寄せることになっているので、相手が来るまでオペレーターの説明を聞くことにした。

 

 ACの名前はジオハーツ。

 乗ってる人はアグラーヤって名前らしい。

 前にミラージュ社の基地を防衛した時に戦ったACがこのジオハーツだったりする。

 

 アグラーヤは赤い星とかいう異名持ちで、クレスト社にとっては重要な戦力だとか。

 相手にとって不足は無いね。

 こいつもKOS-MOSの経験値にしてやろう。

 

『敵ACが接近しています。戦闘準備をしてください』

 

 分かってますよオペレーター。

 私のセンサーでもばっちり捕捉してますから。

 

「G・SHOT」

 

 異空間からG・SHOTを呼び出して準備万端。

 あとはアグラーヤがやってくるのを待つだけ……お、来たな。

 ヘリからACが1機投下された。

 

 まずは軽い挨拶代わりにG・SHOTの弾丸をどうぞ。

 

『罠……か』

 

 アグラーヤのACジオハーツは私の攻撃を避けながら着地した。

 

『お前が私の相手か。いいだろう。この任務を受けたこと、後悔してもらおう!』

 

 ふーん、私に向かって大口叩くじゃん。

 やれるもんならやってみてもらおうかな。

 

『いくぞ!』

 

 ジオハーツは右に移動しつつ、グレネードランチャーで牽制してきた。

 私はジオハーツに並走するように走りながらG・SHOTを使う。

 G・SHOTの弾がジオハーツにダメージを与えていく。

 

 ジオハーツも撃ち負けまいとショットガンを使い始めた。

 散弾がKOS-MOSの身体に当たるが、このくらいならまだ大丈夫だ。

 このまま戦闘は続行だよ続行!

 

『なかなかやる!』

 

 ジオハーツが空に飛び上がった。

 私の真上から撃ち下ろす気かな。

 

 ジオハーツのチェーンガンが甲高い音を立てながら弾を発射する。

 

 私はジグザグに移動してジオハーツの射撃を回避しながらG・SHOTで応射。

 

 ジオハーツもブースターを噴かせてこっちの攻撃を避ける。

 

『レイヴン。敵増援が近付いています。敵ACの撃破を急いでください』

 

 オペレーターから聞きたくない情報を聞いた。

 まあ、今戦ってるのはクレスト社の勢力下だもんな。

 そりゃ増援くらい出してくるか。

 

 増援がどのくらいの規模かは分からないけどこのまま戦い続けるのは不味いよね。

 ここは一気に畳み掛けてしまおうっと。

 

「M・SHOT」

 

 大量のミサイルを一斉に発射。

 これでジオハーツを仕留める……わけじゃない。

 ミサイルは前座。

 本命は相手がミサイルで動きを止めた瞬間に放つ。

 

「X・BUSTER発射」

 

 収束した極太ビームがジオハーツに直撃した。

 X・BUSTERの直撃を受けてはACでも耐えきれない。

 

 ジオハーツはビームの光の中に消えていった。

 

『level up!』

 

 アグラーヤを倒したことでレベルが上がった。

 どれどれステータスはどんな感じになったかな。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv10

 

 格闘134

 射撃150

 技量146

 防御119

 回避164

 命中168

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 お、2レベルも上がってるじゃん!

 

 アグラーヤってそれほどの相手だったのか。

 これはX・BUSTERを使って早期決着したのは良かったかな。

 

『レイヴン、回収ポイントまで移動してください』

 

 オペレーターが急いで帰れって言うので、さっさとベイロードシティから撤退する。

 

 1時間くらい走ってヘリとの合流地点に到着。

 私は無事に帰りのヘリに乗ることが出来たのだった。

 

 あ、帰り際にナービス社から依頼があったのでついでにやっておいたよ。

 依頼はベイロードシティから逃げる住民の護衛で、特に苦戦はしなかった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 ナービス社もいよいよ追い詰められてる。

 もう新資源の採掘場くらいにしかまともな戦力は無い模様。

 まあ、数ヵ月の間戦い抜いてきたんだし、ナービス社も健闘はしてるかな。

 すでに大勢は決してるから今やってることは無駄な足掻きとも言えるけど。

 

 そんな死にかけのナービス社にミラージュ社は追い打ちを仕掛けた。

 ナービス社の雇ってるレイヴンを倒してほしいんだってさ。

 孤軍奮闘してるレイヴンが邪魔なんだろう。

 

 ってなわけでやってきました採掘場。

 

 まずは邪魔なガードメカをR・CANNONで破壊していく。

 これは特に苦労するようなこともなくあっさり終わった。

 

 強化人間の能力でステータスに補正のかかっている今のKOS-MOSを相手にするにはガードメカじゃ力不足だしね。

 

 ガードメカを倒し終えるとACが登場。

 

 相手は四脚で両手に嵌めるみたいなマシンガンを装備してる。

 肩にはチェーンガンとミサイルを取り付けてるかな。

 

 どう見ても接近戦が得意そうなACだし、ここは距離をとって攻撃しよう。

 

「X・BUSTER発射」

 

 まずはX・BUSTERの収束モードを放つ。

 これで決まれば簡単だったんだけどACは遮蔽物を利用して上手くビームを避けた。

 

 ならば次はDRAGON・TOOTHのランチャーモードで対処しよう。

 これならどうだ?

 

『ふん、小娘が……調子に乗るなよ』

 

 私が撃ったビームをACは地面をジグザグに滑りながら回避する。

 うーん、なかなか腕の良いレイヴンじゃん。

 

『一気に近付く。それしか出来んのでな』

 

 ACがブースターを使って急接近。

 近距離になったところで両手のマシンガンを撃ってきた。

 

 マシンガンの瞬間火力が凄い。

 普通のACなら蜂の巣になるわこれ。

 やっぱりこいつと近距離で撃ち合いしちゃ駄目だな……早く終わらせよう。

 とりあえずこれでも食らえ。

 

「X・BUSTER発射」

 

 今度は拡散モードでX・BUSTERを使った。

 近距離で撃たれた拡散ビームをACで回避するのは難しかろう。

 

『なんだと……!?』

 

 KOS-MOSの放った拡散ビームがACに直撃した。

 当たり所が悪かったのか両手のマシンガンが駄目になってますね。

 これで相手は大幅に火力がダウンしたってわけだ。

 

 ACは肩のチェーンガンを撃ちながら私から離れようとする。

 まあ、そんなの許すはずがないんだけどね。

 KOS-MOSの運動性能なら逃げるACに追い付くのは容易い。

 

『読み違えたと言うのか!? この機体で負けるはずが!』

 

 残念だけどお前は負けるんだよ。

 KOS-MOSの性能を過小評価しちゃった自分を恨むんだね。

 

「セイバーモード起動」

 

 手に持ったDRAGON・TOOTHのビーム刃でACを斬る。

 

 斬られたACはバチバチと火花を散らせながら機能を停止。

 地面にその巨体を横たえた。

 

『ついに……俺の番か』

 

 そう言い残してレイヴンはACの爆発に巻き込まれて死んだ。

 

『level up!』

 

 よし、レベルが上がったな。

 ステータスも確認しておこう。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv11

 

 格闘138

 射撃154

 技量149

 防御121

 回避168

 命中171

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 さて、これでナービス社は頼みの綱を失ったわけだ。

 今後はミラージュ社が本格的に侵攻するんだろうな。

 それにクレスト社やキサラギ社の動向も気になるところ。

 

 アーマードコア世界の戦乱は収まりそうにないな。

 私的にはまだ遊べるってことだから悪い話じゃないけど。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 エヴァンジェから再戦してくれとの言われたのでもう一度戦ってあげることにした。

 

『今度はどちらの力が上か確かめさせてもらおう』

 

 演習場に入るとエヴァンジェが先に待ってた。

 向こうのやる気は充分って感じですな。

 よっぽど私に負けたのが悔しかったんだろうなって思うわけ。

 こっちも気合を入れないと思わぬ手傷を負ってしまうかも。

 ここは真面目に相手をしてあげよう。

 

『ready……go!!』

 

 開始の合図と共にエヴァンジェの駆るACオラクルは真っ直ぐ突っ込んでくる。

 オラクルは近、中距離を得意としたACだから近付かないと話にならないか。

 

 こっちはM・SHOTで先制攻撃をしようかな。

 このミサイルでやられちゃうようなレイヴンじゃないだろうけど、まあ牽制にはなるでしょ。

 

 異空間から飛び出したミサイルをオラクルは機体を斜めに滑らせながら回避する。

 そしてお返しなのか向こうもミサイルで攻撃してきた。

 

 サイドステップでミサイルを躱すとDRAGON・TOOTHを呼び出す。

 ランチャーモードで起動してオラクルにビームを撃つ。

 

 オラクルは小刻みにジャンプしながらビームを避けると、肩のリニアガンを撃ってきた。

 

 射撃は正確だけど、KOS-MOSの運動性能なら躱せないことはない。

 演習場を走り回りながらDRAGON・TOOTHをオラクルに向けてバンバン撃つ。

 

 強化人間の能力でステータスの命中に補正がかかっているKOS-MOSの射撃を避け続けるのはエヴァンジェにも難しいようで、徐々にダメージを負い始めた。

 

 このままダメージを与え続ければ私の勝ちだね。

 エヴァンジェもそれは分かっているみたいで勝負を仕掛けてきた。

 

 オラクルは肩に装備したリニアガンとミサイルをパージして私に肉薄する。

 そして左腕のレーザーブレードを振るってきた。

 

 前回よりも鋭い一撃だったが私も成長してるんだよなぁ。

 なのでオラクルの振ったレーザーブレードは当たらなかった。

 

 オラクルはすぐにブースターを使い移動する。

 DRAGON・TOOTHのセイバーモードを警戒してるのかな?

 その判断は間違ってないけどさ。

 

 DRAGON・TOOTHを構え直して射撃を再開する。

 勿論、走り回りながら相手の攻撃が当たらないようにすることも忘れない。

 

『君はその力を何のために使うつもりだ?』

 

 突然エヴァンジェがそんなことを言ってきた。

 

 何のために力を使うかって言われたらそりゃ遊ぶためって答えるよ。

 いつだって命を賭けた遊びっていうのは面白いもんだからね。

 ……まあ、命を賭けるのはいつだって相手の方で、私は命を賭けないけどな!

 

『君の力は異質だ。まるでこの世界の物ではないみたいだ』

 

 ふーん、想像で言ってるんだろうけどその通りなんだよなこれが。

 正解を当てたご褒美として銃弾をあげよう。

 

「G・SHOT」

 

 武装をDRAGON・TOOTHからG・SHOTに変更してオラクルに猛射する。

 

『返事は無しか……』

 

 エヴァンジェは少しだけ残念そうに言った。

 

 それから数分後、オラクルは機能停止して私は勝利した。

 

『今回はこちらの負けだ。だが、次は勝つ』

 

 エヴァンジェは私に再戦を誓って去っていった。

 また勝負を挑む気ならいつでもこいって思ってたけど、どうやらその日は来ない気がする。

 

 何故ってエヴァンジェがレイヴンズアークから追放されたからだ。

 どうもクレスト社と直接契約を結んで不当な利益を得ていたらしい。

 

 まあ、追放の件に関しては自業自得なんで特に言うことは無いかな。

 目先の餌に釣られてしまうとはエヴァンジェも人の子だってことだね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 今日の依頼はクレスト社からだ。

 ミラージュ社の保有してる補給基地を強襲するから手伝えだってさ。

 早速、ヘリに乗って現場に急行しようっと。

 

『敵部隊の中にはACが含まれています。注意してください』

 

 オペレーターから忠告。

 どうやらミラージュ社もレイヴンを雇っている模様。

 

 ヘリから補給基地を見てみるとACを発見。

 右腕にレーザーライフル、左腕にグレネードランチャー、両肩には大型ミサイルを背負ってる重装備なACだ。

 

 このAC見たことあるぞ。

 私がアーマードコア世界にやってきて最初に見たACだ。

 つまりジャック・Oが乗ってるフォックスアイですな。

 

 まさかこんな所で出会うとは思ってなかったわ。

 あの高火力な武装は厄介だけど……まあ、どうにでもなるよたぶん。

 

 ……よし、覚悟を決めて行くか!

 

 ヘリから飛び降りて、まずは補給基地上空からX・BUSTERを拡散モードで発射する。

 補給基地に降り注ぐビームの雨は、地上から見れば流星群のように見えたに違いない。

 

 X・BUSTERの攻撃により何機かMTが行動不能になる。

 当たったMTに関しては運が無かったね。

 来世は業運の持ち主として生まれ変わることを推奨するよ。

 

『噂の人間兵器だ! 奴の武装はどれも高火力だぞ! 注意しろ!』

 

『レイヴンは正面から奴を引きつけろ! MTは側面から仕掛けるんだ!』

 

 生き残ったMT(あと当然フォックスアイ)は私に対して攻撃を始めた。

 MTとフォックスアイが連携とかやり始めると面倒なことになるのでここは各個撃破を狙う。

 

 G・SHOTを呼び出してMTを次々と穴開きチーズにしていく。

 MTの装甲がまるで紙切れのようだったわ。

 

 これはMTの性能が情けないわけじゃなくてKOS-MOSの圧倒的な性能が悪いんだ。

 あー圧倒的性能差で敵を圧殺するの気持ちいいねぇ。

 

『うわああああ!』

 

『助けてくれレイヴン! あれは化物だ!』

 

 結局、MTはさしたる反撃も出来ずに全滅しちゃったよ。

 

 これで残るはフォックスアイだけ。

 あいつは強いから集中して戦いたいんだよね。

 

 というわけでフォックスアイとのタイマン開始。

 

 まずフォックスアイが肩の大型ミサイルを発射したので走りつつG・SHOTで大型ミサイルを迎撃。

 

 大型ミサイルを撃ち落とすと盛大な爆発が巻き起こった。

 あのミサイル威力ありすぎだろ……当たればKOS-MOSでもやばいかも。

 

 そんなでかい花火の向こう側からいきなりレーザーが飛んできた。

 

 正直、これは運が良かった。

 相手の照準が少しだけ外れてたからレーザーは当たらなかった。

 

 ジャック・Oは大型ミサイルの爆発を上手く利用したな。

 あんな風に攻撃してくるとはちょっと予想外でしたわ。

 

「M・SHOT」

 

 こっちも派手にやろう。

 M・SHOTをばら撒いてフォックスアイにダメージを与える。

 

 フォックスアイは重武装、重装甲で機動力が死んでるACだからね。

 こうしてミサイルを発射すれば絶対に命中する。

 

 だけどこうしてミサイルを数発当てた程度じゃ倒せないだろう。

 伊達に堅牢な装甲をしてるわけじゃないだろうし。

 

 だからミサイルに気を取られてる間にG・SHOTで確実に装甲を削る。

 

 強化人間の能力でステータスに補正がかかってるせいかG・SHOTの弾は散らばることもなくフォックスアイに命中していく。

 

 でもフォックスアイも黙って攻撃されているわけじゃないね。

 左腕のグレネードランチャーで私を牽制しながら本命のレーザーライフルを発射してくる。

 

 今の私だと回避はぎりぎり出来ているって感じだ。

 フォックスアイの攻撃が当たるか当たらないかの瀬戸際を反復横飛びしてる気分ですよ。

 

 うーん、このまま戦うとこっちも大きな被害受けちゃう気がする。

 

 補給基地は壊滅状態だしMT部隊は全滅してるし、これもう依頼達成でいいじゃん。

 となるとフォックスアイから逃げても別に構わないな。

 問題はフォックスアイが見逃してくれるかってことだけど……あれ?

 

 逃げる算段を考えていると突然フォックスアイの左腕が爆発した。

 

 たぶんグレネードランチャーの銃口にたまたまG・SHOTの弾が入り込んで内部のグレネードが爆発したんじゃないかと予想。

 

 左腕を失ったフォックスアイはどうするんだろうと思って見ていると、反転して逃げ出した。

 

 このまま戦うと割に合わないと思ったのかな?

 まあ、私にとっては都合の良い結果になったわ。

 

 ちなみにクレスト社のMT部隊は全てが終わってからのんびりとやってきた。

 

 お前ら給料分しっかり働けよって思った。



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0007

 最近はミラージュ社からばっかり依頼がある。

 依頼内容は全部ナービス社の残党狩り関係。

 ミラージュ社としては敗軍であるナービス社を徹底的に潰しておきたいみたい。

 

 ミラージュ社に肩入れしてるように見られたくないし、他の企業からの依頼をやりたい気持ちもあるんだけど、何故かミラージュ社の依頼しか受けられないので、仕方なく今日もミラージュ社の依頼をこなす。

 

 今日の依頼で見るべきところはMT部隊を倒してたらレベルが上がったことかな。

 ステータスはこんな感じだよ。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv12

 

 格闘141

 射撃158

 技量155

 防御125

 回避171

 命中174

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 で、依頼を終えて帰ってみるとメールが2件届いてた。

 1つ目のメールの差出人はジャック・Oだったよ。

 

 メールの内容によるとレイヴンズアークの運営メンバーがミラージュ社と癒着してたからそいつらを全員追放して新生レイヴンズアークとしてやっていくようだ。

 

 私としては組織の腐敗を取り除いてくれてありがとうって感じ。

 

 ジャック・Oには3日くらい感謝しておこうっと。

 

 もう1つのメールはリム・ファイアーというレイヴンからだった。

 

 メールには私への恨み節が書かれてたけど、私何かしたの?

 ……まあ、レイヴンなんて恨まれて当然の職業だし、どこかで恨みを買ったのかもしれない。

 

 リム・ファイアーとはこのあと対戦する予定になってる。

 相手は殺す気でいくとか物騒なこと書いてたから怖いなぁ……なんてね。

 こういう純粋な殺意を向けられるのも悪くないよね。

 こういうイベントは時々なら大歓迎さ。

 

 というわけで私は早速演習場へとやってきたのだ。

 

 演習場ではもうリム・ファイアーがスタンバイ完了してたよ。

 AC越しでもこっちに対して殺意満々なのが分かるね。

 

 リム・ファイアーのACはバレットライフって名前らしい。

 バレットライフは4脚で両手に……あれ、こういうACと最近戦ったような?

 

 うーん……あ、そうだ。

 ナービス社の採掘場で戦ったレイヴンが似たACに乗ってたんだっけ。

 

 じゃあ、あのACに乗ってるリム・ファイアーってあの時のレイヴンなのかも。

 戦場で私に負けたことを逆恨みしてるのかもしれないね。

 

『ready……go!!』

 

 バレットライフは開始と同時に急接近してくる。

 武装の関係上、近付かないと話にならないのは採掘場で戦った時と一緒か。

 

 あいつと近付いての撃ち合いはノーサンキューですわ。

 ここは引き撃ちでちまちまと削っていこう。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 呼び出したのはDRAGON・TOOTH。

 ランチャーモードで遠距離からバレットライフを狙い撃つ。

 

 バレットライフは私が遠距離から攻撃するのは最初から分かってたみたいで、被弾を恐れずに真っ直ぐ突っ込んでくる。

 

 両手のマシンガンの射程に入ってしまえばダメージレースで勝てると思っているんだろう。

 その判断が間違いであることを証明しないといけないね。

 簡単に私へ近付けると思うなよ。

 

 バックステップで下がりながらDRAGON・TOOTHを連射する。

 強化人間の能力で底上げされたKOS-MOSの運動性能なら逃げ切れる。

 

『負けるわけには……!』

 

 おや?

 なんかリム・ファイアーって随分と若い声してますね。

 前に採掘場で戦った時はもっと渋い声だったような記憶があるんだけど……いや、声の記憶なんて信用ならないか。

 

 そんなことより戦闘に集中しよう。

 

 バレットライフは苦し紛れにミサイルを撃ってきたけど、これはDRAGON・TOOTHで撃ち落とした。

 

 ミサイルが通じないと分かると今度はチェーンガンで攻撃してくるバレットライフ。

 

 でも当たらないんだなこれが。

 牽制にもならない単調な攻撃は余裕で躱せる。

 

『馬鹿な……』

 

 ついにバレットライフは黒煙を上げて機能停止する。

 

 結局、相手は両手のマシンガンは使わずに終わったな。

 まあ、あのマシンガンの瞬間火力は侮れないし、使われなくて良かったんだけどね。

 

『こんなはずじゃ……父さん』

 

 リム・ファイアーの無念そうな言葉が聞こえた。

 

 勝者が敗者にかける言葉なんて無いので、私は静かに演習場を去った。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 今回の依頼はOAEから。

 

 依頼内容はミラージュ社の基地を襲撃するというもの。

 

 このミラージュ社の基地は何度か防衛の依頼を受けた場所だ。

 

 アーマードコア世界にやってきてから最初に訪れた基地であり、守ってあげたのに撃たれるという理不尽を経験した基地でもある。

 

 いつか仕返しをしてやろうと思っていたけど、ついにその日が来たな。

 

 早速、向かうとしよう。

 いつものヘリに乗ってレッツゴー。

 

 ヘリで直接基地へ向かうと撃墜される恐れがあるから、基地周辺で降ろしてもらう。

 

『今回の任務はミラージュの戦力を削ぐことにある。よろしく頼むぞレイヴン』

 

「了解しました。これより作戦行動を開始します」

 

 OAEの人と通信を交わして戦闘開始。

 

 湧いてくるミラージュ社のMTを全て撃破するのがお仕事です。

 OAEからミサイルによる支援攻撃があるので少しだけ楽が出来るね。

 

「G・SHOT」

 

 両手にG・SHOTを持ってMTに対して弾幕を張る。

 

 敵MTはECMを使う奴と飛行出来る奴がいるみたい。

 ECMのせいでちょっとセンサーの感度が悪いけど、戦闘に支障は無いかな。

 KOS-MOSのセンサーは強化人間の能力で性能アップしてるからね。

 

 飛行MTはプラズマキャノンを使ってくるので回避には気を使う。

 あの攻撃を食らったらKOS-MOSでもダメージを受けてしまうだろうし。

 

『くそ、あの人間兵器が相手かよ』

 

『敵は素早い。しっかり狙うんだ』

 

『人間兵器だけに気を取られるな! OAEのミサイルにも注意しろ!』

 

 敵MTからの通信を傍受した。

 通信を聞く限り、相手は結構落ち着いてるかな。

 こっちとしては混乱しててくれた方が良かったんだけどね。

 そう都合よくはいかないか。

 

 ……まあ、相手が混乱しないなら正面から堂々と打ち破ってあげよう。

 

 というわけで基地内を走り回りながらG・SHOTを撃ち続ける。

 

『敵MTは確実に減ってきています。頑張ってください』

 

 オペレーターから頑張ってねって言われた。

 そういえば、ジャック・Oによる新しい人事で私の担当オペレーター変わったんだっけ。

 何でオペレーターが変更になったのかは謎。

 最近は前のオペレーターも私のことを見直してくれてたから別に変えなくてもよかったのに。

 

『駄目だ……強すぎる』

 

『諦めるな! 最後まで戦え!』

 

 戦闘開始から数分が経過。

 MTは最後まで諦めずに抵抗を続けて散った。

 その戦う姿勢は立派だったよ。

 

「戦闘終了。ヘリによる回収をお願いします」

 

『了解しました。回収のヘリを送ります。レイヴン、お疲れ様でした』

 

 オペレーターに迎えのヘリを送ってもらうように頼んだ。

 

 少し待つとヘリがやって来たので、私はヘリに乗って基地を後にした。

 

 こうして私はミラージュ社の基地に仕返しをすることが出来たのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 クレスト社が新資源争奪戦から撤退するんだって。

 

 最近のクレスト社は度重なる戦闘で経済的に疲弊してるからなぁ。

 それに加えて業績悪化で経営が厳しいようだ。

 そんなわけでこのまま戦争を続けても得る物が少ないと判断したんだろうね。

 

 でも前線にいる連中はこの撤退を不服に思ってるらしい。

 撤退命令にほとんどの部隊が応じていない模様。

 現場がヒートアップしてて聞く耳を持たない感じになってる。

 

 この社内でのすれ違いが今後どんな感じで影響するのかは分かんない。

 でもレイヴンとしては争いの種はあった方が良いかな。

 力が必要なら(報酬次第で)いつでも貸すよ。

 

『敵勢力を撃破してください』

 

 おっと、今は依頼の最中だったわ。

 クレスト社のことはとりあえず横に置いておこう。

 

「R・CANNON」

 

 右腕をR・CANNONに換装して敵のヘリを攻撃する。

 もうヘリとかただの的にしか思えませんな。

 ヘリからの攻撃を避けながらR・CANNONのビームでヘリを撃ち落とす。

 

『敵ACを確認。注意してください』

 

 どんどんヘリを撃墜していくと奥からACが現れた。

 

 あのACは見覚えがありますね。

 キサラギ社が開発した新型ACだわ。

 

 まあ、今回の敵はキサラギ社なんだし、敵に新型ACがいても不思議じゃないけどね。

 

 新型ACは両腕のパルスライフルを連射してきた。

 

 相手の攻撃に当たってやるわけにもいかないので、ぴょんぴょん飛び回って回避する。

 そして相手の射撃を躱しつつR・CANNONで反撃。

 あのACは紙耐久だからR・CANNONでも十分だろう。

 

 3分も持たずに新型ACは爆散した。

 あのACって前にキサラギ社からの依頼でやったテストの時から何か変わってたの?

 相変わらず脆すぎるでしょ。

 ……まあ、そのおかげで私は楽が出来たんだけど。

 

『周辺の敵反応無し。敵部隊の全滅を確認しました。レイヴン、お疲れ様です』

 

 よし、依頼完了っと。

 それじゃ依頼主のテロリストに依頼成功のお知らせをしようかな。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 本日の依頼はミラージュ社から。

 湖に作られたキサラギ社の施設を防衛してるACを撃破してほしいそうな。

 

 で、湖までヘリで向かってるとオペレーターから速報があった。

 

 なんでもクレスト社が内輪揉めを始めたらしい。

 

 撤退を拒む現場の連中を指導するために本社はACを派遣。

 これに対して現場の連中はレイヴンを雇って抵抗。

 

 結果は現場側の勝利。

 本社と現場の溝は深まる結果となったよ。

 今後のクレスト社の動向は要チェックしてねってオペレーターが言ってた。

 

『もうすぐ作戦領域です。降下準備をお願いします』

 

 おっと、いつの間にか湖に着いてた。

 それじゃ今日も張り切って依頼を頑張りますか。

 

『ホットロッダーを撃破してください』

 

 ヘリから飛び降りるとACが待ってた。

 ACの名前はホットロッダーっていうみたい。

 マシンガンを装備していて、フロート型の脚部になってるACだ。

 

 見た感じホットロッダーは装甲が薄そう。

 G・SHOTの火力で撃破しちゃえ。

 

「G・SHOT」

 

 両手にG・SHOTを転送して射撃を開始。

 

 ホットロッダーは脚部がフロートなだけあって常に浮いているので、水面を滑るように移動しながらG・SHOTの銃弾を回避する。

 

 しかし、それも最初だけですぐにG・SHOTの火線に捕まる。

 私から逃げるにはこの湖は見晴らしが良すぎるな。

 これじゃ狙い撃ちしてくれって言ってるようなもんじゃないですか。

 さっさと終わらせたいし、遊びは無しでバシバシ当てていきますよ。

 

『これは……!? ミサイル多数接近! 回避してください!』

 

 脚部のフロートを破壊されて湖に沈んでいくホットロッダーを見ながらこれで依頼は完了かなって思ってたらセンサーに感有り。

 

 複数の飛翔体――ミサイルがこっちに向かってくる。

 防衛側の奥の手かな?

 飛んでくるミサイルはG・SHOTで迎撃じゃい!

 

『……どうやらミサイルはミラージュが発射しているようです』

 

 え、このミサイルってミラージュ社が撃ってるの?

 ……もしかしてミラージュ社って初めから私もろとも施設を吹き飛ばす予定だったの?

 今まで数々の依頼をこなしてミラージュ社に貢献してきたのにこれはちょっとないわ。

 

『どうやらミラージュは最初からこうするつもりだったようですね。これは重大な契約違反行為です。放置しておくわけにはいきません』

 

 オペレーターはぷりぷり怒りながらそう言った。

 あーやっぱりそういうことなのね。

 

 確かに後ろから撃つような真似をしたミラージュ社は許せないかな。

 これは報復が必要ですねぇ。

 

『彼らには然るべき報いを受けてもらいましょう』

 

 私としてもその意見には賛成である。

 ミラージュ社には熱いお灸を据えてあげましょう。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 ミラージュ社の裏切り行為から数日が経った。

 

 その間にクレスト社の本社VS現場の続報があった。

 

 本社は現場の連中を反乱軍と呼び、その殲滅をレイヴンに依頼したみたい。

 

 反乱軍はレイヴンのACを奪って逃走したけど、行動が筒抜けだったせいで逃げ切れなかった模様。

 

 クレスト社の内輪揉めは本社側が優勢だね。

 ここから反乱軍が逆転出来るのか見物ではあるかな。

 

 まあ、クレスト社のことは頭の片隅に置いておく。

 それよりもミラージュ社ですよ。

 

 レイヴンズアークではミラージュ社へ報復すべしと意見が纏まったようだ。

 

 で、その報復をするのがこの私。

 

 早速、ミラージュ社の拠点になってる浄水施設を攻撃する。

 

『今回の依頼は撃破数に応じて報酬が支払われます。遠慮は無用です。可能な限り敵部隊を撃破してください』

 

 あ、ちゃんと報酬を支払ってくれるのね。

 報復とは言ってもタダ働きはごめんだからこれは助かりますよ。

 

 ……それじゃあ、始めますか!

 

 ヘリから飛び降りてそのまま浄水施設に向かって走る。

 KOS-MOSの全力疾走なら浄水施設まではあっという間だ。

 

 浄水施設の外壁に辿り着いたら、壁を駆け上って外壁の上に立つ。

 ちょうど浄水施設を見渡せる位置だね。

 

 浄水施設はミラージュ社の手によって要塞化されている。

 私に向けて撃ったであろうミサイル発射管がずらりと並んでいた。

 もうこれ浄水施設じゃなくてミサイル基地じゃん。

 ……まあ、今から更地に変わるんだけどね。

 

「X・BUSTER発射」

 

 今回は遠慮無用とのことなので、まずはX・BUSTERの拡散モードで攻撃。

 X・BUSTERの乱射により浄水施設は火の海と化す。

 もっと派手に燃えるといいぞ。

 

『北方の基地に救援要請を行え!』

 

 ミラージュ社側の通信を傍受した。

 援軍を要請するのはいいけど、果たして援軍が来るまでここは無事かな?

 私は無制限にX・BUSTERを撃てるぞってことで敵増援が来るまで攻撃続行。

 あ、敵増援がやってきたのは5分後でした。

 

『北側から敵増援がやってきます。これらも撃破してください』

 

 オペレーターの言う通り、北から飛行MTが複数飛んできた。

 ここはG・SHOTを呼び出して飛行MTを撃ち落とすことにしよう。

 

『相手はあの人間兵器だ。各機、左右に分かれて攻撃しろ』

 

 飛行MTは左右に分かれてプラズマキャノンで攻撃してきた。

 こっちは外壁を走りながら飛行MTの攻撃を回避しつつG・SHOTで反撃する。

 

 機動性を重視した飛行MTにG・SHOTの火力を受け止める装甲は無い。

 なので簡単に撃ち落とすことが出来る。

 この調子で残りの飛行MTも始末しようっと。

 みんな私の経験値になっちゃえ。

 

『level up!』

 

 何機か飛行MTを撃ち落とすとレベルアップした。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv13

 

 格闘144

 射撃161

 技量157

 防御127

 回避175

 命中177

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 レベルアップした辺りで飛行MTは撤退していった。

 どうもミラージュ社はこの浄水施設を放棄したみたい。

 まあ、被害が凄いことになってるし仕方ないと思うよ。

 

『これでミラージュも少しは懲りたでしょう。ご苦労様でした』

 

 こうしてミラージュ社への報復は見事成功した。

 ミラージュ社は自らの行いを恥じて、猛省することをおすすめするよ。



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0008

 生存者の捜索っていう少し変わった依頼がきた。

 

 依頼主はミラージュ社。

 また騙す気かって身構えちゃった私はおかしくないと思う。

 

 依頼の内容を聞くとナービス社から奪い取った採掘場でミラージュ社の本隊が謎の消失をしたらしい。

 

 ……やっぱりこの企業、また騙そうとしてるんじゃない?

 自分達の戦力がどこに行ったのか把握してないとかあり得ないでしょ。

 これは嘘臭いですねぇ……ってことで他のレイヴンに依頼を譲った。

 

 次の日、また私にミラージュ社から依頼がきた。

 私の代わりに依頼を受けたレイヴンが採掘場で行方不明になったからもう一度依頼してきたようだ。

 

 うーん……しょうがないな。

 今回は依頼を受けるか。

 罠だったらその時は臨機応変に対処するってことで。

 

 というわけで私はヘリに乗って採掘場にやってきた。

 

 採掘場の内部は電源が落ちていて真っ暗だ。

 まあ、KOS-MOSは暗闇でも平気だから気にせず先に進む。

 

 採掘場を進んでいくとMTの残骸を発見。

 どうやらここで激しい戦闘があったみたい。

 ……ナービス社の残党でもいるの?

 もしそうなら戦闘になるだろうしDRAGON・TOOTHでも出しておこうっと。

 

『最深部に無数の敵反応を確認しました』

 

 オペレーターから敵発見のお知らせ。

 私のセンサーにも敵の反応が……どんどん増えてる?

 私の思ってたようにナービス社の残党がいたのかな?

 まあ、最深部に行けば分かるか。

 

 最深部にはやっぱりMTの残骸がいっぱいあって……何だあれ?

 

 急に土の中から飛び出してきたのは赤い無人兵器。

 それがいきなり私に向かって体当たりしてきた。

 

 そんな単純な攻撃当たるかって避けたんだけど、この赤い奴爆発する。

 しかもその爆発が結構痛いから困る。

 

「生存者は確認出来ません。全滅したものと判断し、撤退します」

 

 オペレーターに逃げますよって言った。

 こんな特攻野郎とは戦いたくないので逃げる以外の選択肢はありません。

 

『了解しました。地上で回収するので一刻も早く戻ってください』

 

 オペレーターも了承してくれたので一目散に逃げることにしたけど、あの赤い奴どんどん数が増えてる。

 

 ……このままじゃ特攻野郎に吹き飛ばされる未来が見えるのでどうにかしよう。

 使える物は何でも使ってこの場を切り抜けるのだ!

 

「HILBERT EFFECT」

 

 今使ったのはゼノサーガ世界で登場するグノーシスっていう奴を弱体化させる兵装だよ。

 

 あの赤い奴はグノーシスじゃないけど、もしかしたら弱体化出来るんじゃないかって思って使ってみた。

 

 結果は……効きました!

 どうやらHILBERT EFFECTは他作品の存在でも弱体化出来るみたい。

 

 これはラッキーですよ。

 HILBERT EFFECTの効果が効いてる内に外へ出よう。

 

「G・SHOT」

 

 武装をDRAGON・TOOTHからG・SHOTに変更。

 ここは弾をばら撒けるG・SHOTの方が良さそうだと判断したよ。

 

 動きが鈍ってるなら大量にいる赤い奴もただの的だわ。

 地上へ向かうための通路に居座ってる大量の赤い奴をG・SHOTで薙ぎ倒して先に進む。

 

 赤い奴は幸いなことに地上へは出てこないみたい。

 どうして地上に出てこないのかは不明だけど助かったわ。

 

 よし、さっさとこんな場所からはおさらばしよう。

 

 あんな奴とはもう関わりたくないからね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 クレスト社の内輪揉めは、反乱を起こしていた現場の部隊がほとんど壊滅したことで鎮静化しつつある。

 

 このまま遠からず反乱は終息するんだろうなって他人事のように思ってたらクレスト社から依頼があった。

 

 依頼内容はベイロードシティで抵抗を続けるAC――デュアルフェイスの撃破。

 

 他に受けたい依頼も無かったので、デュアルフェイス討伐の依頼は引き受けたよ。

 

 早速、ヘリでベイロードシティへ向かう。

 

 デュアルフェイスは都市内部で立て籠もっているみたい。

 

 ベイロードシティの外壁に設けられた重厚な扉を潜り抜けると、ビルの上にデュアルフェイスがいた。

 

 ベイロードシティ内部は何度も戦闘があったんだろうね。

 いくつかの建物は倒壊して瓦礫と化してる。

 

 これならもう少し瓦礫の山を作ってもばれないでしょってことで初手はX・BUSTERを使う。

 

 収束モードで発射したので極太ビームがデュアルフェイスに向かって飛んでいく。

 

 これで決まれば楽が出来て嬉しいけど相手はそんなに甘い奴じゃない。

 

 ビルから飛び降りたデュアルフェイスはビームを躱してグレネードランチャーを撃ってきた。

 

 飛んできたグレネードはビルを盾にして防御。

 爆風が収まったところでデュアルフェイスに向かって走り出す。

 

 デュアルフェイスは空中に飛び上がり、グレネードランチャーをバンバン撃ってくる。

 

「G・SHOT」

 

 両手にG・SHOTを転送して応射するが、デュアルフェイスもビルを盾にして私の攻撃を防ぐ。

 そしてビルの隙間からグレネードランチャーで攻撃してきた。

 

 グレネードの爆風がKOS-MOSを撫でるが構わず攻撃を続ける。

 G・SHOTの火線が次第にデュアルフェイスを捉え始めた。

 デュアルフェイスにダメージが蓄積していくが動きに乱れは無い。

 その辺は流石だなって思う。

 

「X・BUSTER発射」

 

 一気に勝負を決めるためにもう一度X・BUSTERを使う。

 

 再び発射したX・BUSTERはデュアルフェイスの左腕を消滅させた。

 

 デュアルフェイスはそれを気にせずにグレネードランチャーを撃ち続ける。

 しかし、片腕を失ったことで機体のバランスが悪くなったのかさっきより狙いが若干甘い。

 

 このチャンスを逃さずにG・SHOTの銃弾をデュアルフェイスに叩き込む。

 それとおまけにM・SHOTを発射して火力を倍プッシュだ。

 

 G・SHOTの銃弾とM・SHOTのミサイルを同時に捌くことはジノーヴィーでも無理みたいでデュアルフェイスはどんどん被弾していく。

 

『……そうか。君は、もしかしたら……』

 

 ジノーヴィーは何かを言おうとしたが、言葉の続きはデュアルフェイスの爆発音で聞こえなかった。

 

『level up!』

 

 ジノーヴィーを倒したことでレベルが上がった。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv16

 

 格闘150

 射撃168

 技量166

 防御133

 回避181

 命中184

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 ジノーヴィーは良い経験値になった。

 レベルが3つも上がったからそれは間違いない。

 

『レイヴン、お疲れ様でした。回収するので外で待機してください』

 

 オペレーターの言う通り、ベイロードシティの外で迎えのヘリを待つ。

 

 それから数分後、ヘリに乗って私は帰路についたのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 壊滅したと思ってたナービス社から依頼がきた。

 最後にミラージュ社へ一矢報いる為の依頼かと思ったらどうも違うみたい。

 

 依頼内容は秘密基地で作ってた巨大MTの破壊。

 なんか起動したら暴走を始めて手が付けられないらしい。

 停止スイッチくらい付けておけよって思わなくもない。

 

 まあ依頼された以上、やらないといけないのがレイヴン。

 

 そんなわけで私はナービス社の秘密基地にやってきたのだ。

 

『レビヤタンは高高度より高火力武器で攻撃するように設計された飛行MTです。未完成のため格納庫から動くことは出来ませんが、レビヤタンの有する武装は非常に強力です。戦闘の際には被弾に注意してください』

 

 目標の巨大MT――レビヤタンは格納庫の奥で鎮座してるらしい。

 動けないなら大きな的だって言えるけど、殺意マシマシの武装で攻撃してくる固定砲台とも言えるかな。

 

 いずれにせよ、面倒臭い奴だってことははっきりしてますよこれは。

 

『レビヤタンの周囲には複数のジェネレーターが設置されています。破壊すればレビヤタンの攻撃を制限出来るはずです』

 

 オペレーターはそう言うけど、ジェネレーターを破壊してる暇は無いと思うの。

 のんびりしてると消し炭にされちゃう可能性大ですわ。

 

『隔壁を開放します。突入してください』

 

 いやいや、突入しろって言われても隔壁の向こうから爆発音が聞こえてるし。

 これ絶対、隔壁の隙間を狙ってレビヤタンが攻撃してるよ。

 これじゃ突入した途端にやられちゃうじゃん。

 

『レビヤタンはAI制御されています。そのため攻撃パターンは決まっています。タイミングを見計らって攻撃してください』

 

 ……お、そう言われると確かにレビヤタンの攻撃は一瞬の隙があるね。

 ほんとに一瞬しか隙が無いから、その一瞬でレビヤタンをどうにかしないと高火力で焼かれちゃうわけか。

 

 うーん……よし、決めた。

 今回はKOS-MOSの奥の手を使うことにしよう。

 これで駄目なら正面から撃ち合いするしかないけど……まあ大丈夫でしょ。

 

 よっしゃ、それじゃ突入するか。

 

 隔壁がKOS-MOSの通れるくらい開いたところで、格納庫に侵入する。

 

 レビヤタンは巨大MTって言われるだけの大きさだったよ。

 こいつを破壊するのは大変そうだ……まあ、普通ならね。

 

 さあ、やるぞ。

 今こそKOS-MOSの必殺技を使おう!

 

「相転移砲スタンバイ」

 

 KOS-MOSの必殺技……それは胸部の衣服状のパーツを展開して発射する相転移砲。

 耐えられるものなら耐えてみろってんだ。

 

「D・TENERITAS」

 

 撃ち出された巨大な球体がレビヤタンに直撃する。

 その瞬間、レビヤタンどころか格納庫が消失。

 

 こうして私はナービス社の切り札を瞬殺したのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 キサラギ社からメールが届いた。

 

 要約すると「新資源は旧世代の兵器」「旧世代の兵器マジやばい」「旧世代の兵器を起動しようとしてる馬鹿がいる」「助けてレイヴン!」ってことらしい。

 

 まあ、助けてくれって言われたら(報酬次第で)助けてあげようじゃないか。

 

 というわけで私は旧世代の兵器を制御している地下施設にやってきたのだ。

 

『施設内の制御装置を全て破壊してください』

 

 オペレーターからの指示を聞きながら両手にG・SHOTを転送。

 地下施設に設置されている制御装置をG・SHOTでどんどん破壊していく。

 

『侵入者感知。排除せよ』

 

 一番奥の区画の制御装置を破壊しようとしたら物騒なアナウンスが流れた。

 どうやら制御装置の守護者がいるらしいね。

 まあ、どんな奴が相手でもKOS-MOSなら負けない。

 パパッと倒してしまおう。

 

『ハイジョ……ハイジョ……』

 

 やってきたのはACのような何か。

 空中にフワフワ浮いてるけど、これは相手するのが面倒臭そうだ。

 

 排除、排除うるさい奴(とりあえずUNKNOWNと呼ぼう)はまずパルスライフルを連射してきた。

 ふーん、まずは小手調べって感じかな?

 それならこっちはG・SHOTで応戦じゃい!

 

『ハイジョ……ハイジョ……』

 

 G・SHOTの厚い弾幕をUNKNOWNは軽々と潜り抜けてくる。

 そしてパルスライフルと一緒にプラズマライフルを猛射する。

 

 ここは遮蔽物が無いから避けるしかない。

 でもUNKNOWNの攻撃が激しすぎて避けきれないんですけど!

 あーKOS-MOSにダメージが蓄積していく。

 

「X・BUSTER発射」

 

 不利な戦況を巻き返すべく、拡散モードのX・BUSTERで攻撃する。

 拡散したビームを回避するのはUNKNOWNも無理みたいで何発か被弾した。

 

『ハイジョ……ハイジョ……』

 

 するとUNKNOWNの攻撃パターンが変わった。

 グレネードランチャーとミサイルをバシバシ撃ってくる。

 

 おいやめろ、グレネードやミサイルの爆発でKOS-MOSが焼けちゃうだろ!

 

「M・SHOT」

 

 お返しにこっちもミサイルで反撃する。

 

 UNKNOWNは機動力を活かしてミサイルの被弾を最小限に抑えた。

 そして再びパルスライフルとプラズマライフルによる攻撃を開始。

 

 強化人間の能力で補正がかかってるのに何でこんなに当ててくるんだよ。

 ふざけんな!

 

「X・BUSTER発射」

 

 もう一度X・BUSTER(今度は収束モードで撃った)を発射する。

 今度はM・SHOTで相手の動きを抑制してから攻撃したぞ。

 さあ、どうなる……やった!

 

 UNKNOWNの両脚がビームの光に飲み込まれて消えた。

 ラッキーショットかもしれないけどこれはチャンスですわ。

 

 両脚を無くしたことで挙動が不安定になったUNKNOWNにG・SHOTの火力をぶつける。

 

『ハイジョ……ハイジョ……』

 

 UNKNOWNもこのままじゃ負けると思ったのか全武装を一斉に発射した。

 

 それは凄まじい火力であった。

 KOS-MOSもダメージがでかすぎたのか膝をついてしまう。

 

 UNKNOWNは膝をついたKOS-MOSを見て好機と思ったんだろう。

 両腕の武装を構えながら突撃してきた。

 

 だけど、それは間違いだぞ。

 KOS-MOSの底力を見るがいい。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 異空間から呼び出したのはDRAGON・TOOTH。

 

「セイバーモード。最大出力で稼働」

 

 通常よりも威力を増したビーム刃が勢いよく伸びた。

 

 UNKNOWNは攻撃を中断して回避しようとするが、もう遅い。

 

 DRAGON・TOOTHによってUNKNOWNは両断され、爆発して消滅した。

 

『level up!』

 

 UNKNOWNを撃破したことでレベルアップ。

 まあ、強敵だったしレベルが上がるのも当然かな。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv19

 

 格闘156

 射撃176

 技量173

 防御140

 回避188

 命中191

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

 

 

 

 さて……それじゃ制御装置の守護者もやっつけたことだし、最奥の制御装置を壊そう。

 

 これで駄目だったら世界は終わるけど、さあどうなるかな?

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 私はキサラギ社からの依頼で旧世代の兵器の起動を阻止した。

 そう……阻止しちゃったのだ。

 

 こういうのって頑張ったけど結果が伴わずに失敗みたいな展開が多い気もするが、今回の場合はそれに当て嵌まらなかったようだわ。

 

 まあ、旧世代の兵器が世に解き放たれたら人類滅亡待ったなしだっただろうし、この結果で良かったんだと思うよ。

 

 私としても世界が滅亡するのを見ずに済んでよかったかな。

 これで心置きなく次の異世界へ行けるってもんさ。

 

「レイヴン……いえ、KOS-MOSさん。本当にレイヴンズアークを去ってしまうのですか? あなたは少し……いえ、かなり特殊なレイヴンでしたが、同時にとても優秀なレイヴンでもありました。出来ればこれからもレイヴンズアークに残っていただきたいのですが……」

 

 レイヴンズアークを去ることにした私は、手続きを済ませてオペレーターと最後の会話していた。

 

 オペレーターは「待っていかないでお願い」と言って私を引き留めようとする。

 

 でも残念。

 私はそろそろ別の世界で遊びたい気分なのだ。

 そんなわけでいつまでもアーマードコア世界に留まるわけにはいかない。

 

「私にはやるべきことがあります。その為、レイヴンズアークに在籍し続けるのは困難であると言わざるを得ません」

 

「……そうですか。残念です」

 

 オペレーターは渋々といった感じで引き下がった。

 

 うーん……なんか少しだけ悪い気もするね。

 なんだかんだここまで一緒にやってきた人だし、お礼をしないで去るのはちょっと後味悪いかも。

 

 そうだな……あ、そうだ。

 

「私の口座に残っている金銭は自由に使ってください」

 

「え? ですが、KOS-MOSさんもこれから必要になるのでは?」

 

「問題ありません。あなたの役に立ててください」

 

「……分かりました。ありがとうございます」

 

 よし、これでいいな。

 

 私にとってアーマードコア世界のお金ってもう必要無い物だし、どうせなら有効に使ってくれる人に渡した方がいいよね。

 

「では、私はそろそろ行きます。さようなら」

 

「KOS-MOSさん。あなたの今後のご活躍を心から祈っています」

 

 オペレーターと握手を交わす。

 ちょっとだけ握手する時間が長くなっちゃったのは内緒。

 

 で、オペレーターと別れた私はヘリに乗せてもらって峡谷までやってきた。

 

 峡谷は思い出の場所ってわけじゃないけど、まあアーマードコア世界にやってきて最初に戦闘(X・BUSTER撃っただけのあれを戦闘と言っていいのかは疑問だけど)した所でもあるし、この世界を去るにはここでいいかなって思った。

 

「本当にここでいいのか? この辺りには何も無いぞ?」

 

「問題ありません。ここまで運んでくれてありがとうございます」

 

 心配するヘリのパイロットに大丈夫だと言って私はヘリから飛び降りた。

 

 ヘリは少しの間上空を旋回した後、帰っていった。

 

 ……さてと。

 

 センサーを最大にして確認するが周りには何もいない。

 

 よし、これなら問題無いなってことで私は次の異世界へ向けて旅立ったのだった。



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地球防衛軍5編
0009


 アーマードコア世界に別れを告げて次の異世界にやってきた。

 

 今度の世界は地球防衛軍世界っていうところらしい。

 

 地球防衛軍っていうと宇宙人と戦うゲームだっけ?

 なんかEDFっていう組織が凄く頑張るってことは知ってるよ。

 

 ……まあ、裏を返せばそれくらいしか分からないんだけどね。

 うん……またよく知らないゲームが原作の世界に来ちゃったぞ。

 原作知識が薄いからちょっとだけ不安だわ。

 

 ……でも、見方を変えれば初見だから新鮮な気分で遊べるのか。

 うん、そうだよここはポジティブに考えよう。

 

「あ、こんな所にいたのか。困るよ勝手にうろついちゃ」

 

 おっと、ここでファーストコンタクト発生。

 近付いてきたのはどうやら兵士みたいだね。

 アーマードコア世界ではいきなり銃を向けられたけど、この世界の兵士はどうかな?

 

「新人のウイングダイバーってのは君だろ? 今日は午後から基地見学ツアーに大勢やってくるからのんびりはしていられないぞ」

 

 どうやら地球防衛軍世界の兵士は暴力的じゃないみたい。

 相手から敵意は感じないし、ここは相手の出方を窺おうっと。

 

「その格好、ウイングダイバーの新しい装備でしょ? まあ、客受けを考えたら君みたいな美人が来るのは正解かもね。見学ツアー後のショーが楽しみだよ」

 

 うーん、目の前の兵士はなんか勘違いしてるみたいだね。

 まあ、訂正したらそれはそれで面倒なことになるだろうし、ここはばれるまで黙っておこう。

 それに今の状況って少し面白いしね。

 

「じゃあ、基地内を案内するからついてきて。はぐれないようにね」

 

 ここは素直について行こう。

 私は空気の読める神だからね。

 空気の読めない邪神ちゃんとは違うのですよ。

 

『うわあああ! 怪物だあああ!』

 

『食われた! 上司が食われた!』

 

『撃て! 撃ち殺せ!』

 

 ……どうやらこの基地(センサーで確認した感じ地下基地っぽい)では戦闘が起こっているようだ。

 さっきから基地内で兵士達の通信が激しく飛び交っていますよ。

 

「ちょっとうるさいけど気にしなくていいよ。こういう訓練はよくあるんだ」

 

 いや、これ訓練じゃないでしょ。

 KOS-MOSのセンサーが次々に湧いて出てくる巨大生物を捉えてるよ……あ、停電だ。

 

「今日の訓練は気合入ってるなぁ。いつもはここまでしないんだけど……」

 

 ……うん、能天気な兵士は放っておいて、そろそろ戦闘準備をしようかな。

 巨大生物も扉の向こう側でスタンバイしてるみたいだし。

 これって絶対待ち構えてるでしょ。

 

「G・SHOT」

 

 転送したのはお馴染みのG・SHOTだよ。

 とりあえずこいつなら巨大生物がどんな奴でも対処出来ると思う。

 

「……え? 何それ? 君そんなの持ってなかったよね?」

 

 こっちを見て驚く兵士。

 私を見て驚く暇があったら戦う準備をした方がいいと思うよ。

 まあ、腰の拳銃でどこまで戦えるのかは分からないけど。

 

「敵性体を捕捉。戦闘行動を開始します」

 

「ちょ、ちょっと君!? いきなり何を言って……」

 

 慌てる兵士を無視してG・SHOTのトリガーを引く。

 

 爆音を出しながら撃ち出された弾丸が扉越しに巨大生物を撃ち抜く。

 

 巨大生物は何匹が仕留めたけど、残りが扉を突き破って出てきた。

 巨大生物の外見は巨大な蟻って感じ。

 あの顎で噛み付かれたら人間は真っ二つにされそう。

 

「う、うわあああ!」

 

 兵士はパニックになったのか走って逃げていった。

 まあ、この場に残ったとしても何の役にも立たないし別にいいか。

 それよりも巨大蟻ですよ。

 

 巨大蟻は私に向かって突撃してきた。

 馬鹿正直に真っ直ぐ走ってきたのでG・SHOTの弾幕で1匹残らず倒すことに成功。

 棒立ちでG・SHOTを撃つだけの簡単な作業でした。

 

 倒した巨大蟻の肉片やら体液やらがそこら中にへばり付いていて気持ち悪いが、私は後片付けとかしないからね。

 

「無事か! 助けに来たぞ!」

 

 通路の奥から兵士が何人か現れた。

 兵士達はアサルトライフルで武装している。

 

 よく見れば兵士達の中にさっき逃げた兵士が混じってた。

 仲間と一緒に私を助けるために戻ってきたのかな?

 

「うおっ!? もうやっつけてるじゃねえか!」

 

「これだけの怪物を1人で倒すとは……驚きだな」

 

「これは一体何なんだ? こんな巨大な生物がいるなんて……」

 

 兵士達は巨大蟻の死体を見てそれぞれ思っていることを呟いてる。

 まあ、こんなでかい蟻を見たら驚くよね。

 

「敵性体はまだ基地内に残っています。この場に留まり続けるのは危険です」

 

 兵士達にここにいたら危ないことを伝えたよ。

 あの巨大蟻まだまだたくさんいるからね。

 

「……そうだな。彼女の言う通りだ。とりあえず安全な場所に行こう」

 

 兵士達の中心にいる人(たぶん隊長かな)がそんな提案をした。

 

 安全な場所とか今の基地内にあるんだろうかって思ったけど、運良く巨大蟻が侵入していない格納庫があったよ。

 

 そこで一旦落ち着いた私達は自己紹介(当然私の自己紹介は嘘塗れである)を済ませて今後について話し合った。

 

 その結果、この場に留まるのは非常に危険だという結論に至り、地上へ脱出することに。

 

「KOS-MOS。怪物と遭遇した場合、お前の火力は頼りになる。実戦は初めてかもしれないが頑張ってくれ。俺達が生き延びるかはお前に懸かっている。新人に頼るのは遺憾だが、今は非常事態だ。我々にも余裕が無いことを理解してほしい」

 

 隊長は苦々しい表情をしてる。

 

 新人のウイングダイバー(私はそういう設定で押し通すことにした)に頼るってのは軍人として思うところがあるんだろうね。

 

「了解しました。援護は任せてください」

 

「すまんな。……よし、これより地上へ向かうぞ! 全員、俺について来い!」

 

 隊長の言葉に従い、移動を開始する。

 まずはエレベーターのある区画まで移動するようだ。

 

 この基地のエレベーターは停電してもちゃんと動くんだとか。

 でも、私的にはエレベーターじゃなくて階段を使った方がいいと思う。

 

「周囲を警戒しろ。視界が悪いから怪物を見落とさないように気を付けるんだ」

 

 通路は停電のせいで暗い。

 一応、非常灯が点いてるけど視界は悪いね。

 隊長が警戒しろって注意するのは当然か。

 

 ……でも、KOS-MOSのセンサーによると巨大蟻は近くにいない。

 

 巨大蟻はこの先の区画に集まってる。

 どうして集まっているのかは不明。

 

 ふむ、私のG・SHOTなら巨大蟻は簡単に蹴散らせる。

 兵士達の安全を確保する意味でもここは先行しておこうかな。

 これも立派な援護だよきっと。

 

「敵性体を確認しました。先行して攻撃します」

 

「なっ、KOS-MOS! 勝手なことはするな!」

 

 隊長が何か言ってたけど無視して先に進む。

 

 長い通路を駆け抜けて曲がり角を曲がると、そこには大量の巨大蟻がいたので、すかさずG・SHOTで攻撃する。

 

 数匹の巨大蟻がG・SHOTの銃弾でミンチになったところで他の巨大蟻がこっちに気付いた。

 

 巨大蟻はどいつもこいつも突撃してくるので火力さえあれば余裕で対処出来る。

 

 1匹、また1匹と数を減らしていく巨大蟻。

 周囲の巨大蟻を殲滅するのは3分もあれば充分だった。

 

「KOS-MOS!」

 

 巨大蟻を殲滅してから少し待っていると兵士達が走ってきた。

 そんなに急いで来ることなんてなかったのにね。

 

「周辺の敵性体は倒しました。先に進みましょう」

 

「この、馬鹿野郎!」

 

 隊長がいきなり殴ってきたので、G・SHOTを手放して隊長の拳を受け止める。

 

 訳が分からない。

 何でいきなり殴ってきたの?

 暴力反対。

 

「お前は自分が何をしたのか分かっているのか?」

 

「敵性体を排除しました」

 

「違う! お前は軽率な行動で自分の命を危険に曝したんだ!」

 

 いやいや、こんなの危険の内に入らないって。

 危険っていうならアーマードコア世界でACと戦うことの方がよっぽど危険ですわ。

 

「今後は勝手な行動は慎め。これは命令だ」

 

「……それでは私の能力を最大限に発揮することが出来なくなります」

 

「KOS-MOS! 聞き分けろ! お前も軍人だろう!」

 

 むむむ……これじゃ好き勝手に戦えないじゃん。

 自分の嘘の履歴がこんな形で足を引っ張るとは思わなかった。

 

「……了解しました。以後は援護に徹します」

 

 まあ、いいもんね。

 どうせ乱戦になれば私に構ってる暇はないでしょ。

 ここは適当なことを言って誤魔化しておこう。

 

「分かればいい。じゃあ進むぞ。エレベーターはもうすぐだ」

 

 隊長はそう言うと先頭に立って歩き始めた。

 他の兵士も隊長に続いて歩いていく。

 私も彼らに続いて歩き始める。

 

 エレベータまで続く通路を歩いていると私を慰めようと話しかけてきた兵士がいた。

 話しかけてきたのは私がこの世界に来て初めて出会った兵士だったよ。

 別に落ち込んだりはしてないけど、気遣ってくれてありがとう。

 

「エレベーターだ!」

 

「やった! これで地上に出られるぞ!」

 

 エレベーターが見えると兵士達のテンションが上がった。

 でもすぐに持ち上がったテンションは下がった。

 何故ってエレベーターが動かなかったのだ。

 どうやらエレベーターを吊ってるワイヤーが切れてるみたい。

 何というか、ある意味お約束の展開ってやつかな。

 

「エレベーターが駄目なら階段を使うしかないな。戻るぞ」

 

 いや、戻るのかよ。

 ここへ来るまでの道のりに階段が存在するならそっちを使えばいいのに。

 エレベーターに拘った理由は何なんですかねぇ?

 

「しかし、地上の連中は何をしてるんだ? 地下がこんな有り様だってのに」

 

「きっと地上は情報が錯綜していてごたついてるんだろうさ」

 

「……もしかして俺達見捨てられたんじゃないだろうな?」

 

「やめろよ、そんな縁起でもない」

 

 兵士達が愚痴り始めた。

 きっと喋ってないと不安なんだろう。

 彼らだって巨大な蟻がいきなり襲ってくるなんてシチュエーションは想定外だろうしね。

 強いストレスに曝されて少し参っちゃってるのかもしれない。

 

「あーやっと階段まで来たぜ。あとはこいつを登ればこのくそったれな地下とはおさらばだ」

 

 兵士達の愚痴を聞き続けてたらいつの間にか階段に辿り着いた。

 巨大蟻は近くにいないからチャンスだな。

 さっさと階段を登って地上に行こう。

 

「出口はもうすぐだ。地上に出れば助かる」

 

「ここまで来たらもう安全だな」

 

 階段を登ってると兵士の軽口が聞こえちゃった。

 

 私、知ってる。

 こういうのってフラグが立ったって言うんでしょ?

 実際にフラグが立ったのかは地上に出れば分かるかな。

 

 さあ、果たして結果は如何に?

 

「何だ、これは……!?」

 

 はい、やっぱり兵士達の会話はフラグ発言でした。

 

 地上には巨大蟻が蠢き、空には無数の円盤が浮いてますよ。

 どう見ても宇宙人の侵略行為ですね。

 

 そんな宇宙人に対抗してるのは戦車や人型兵器……いや、対抗出来てる?

 巨大蟻の酸攻撃に為す術もなく溶かされてるような気がする。

 もうちょっと頑張ろうよこの世界の兵器達。

 

「空を見てみろ……円盤みたいなのが浮いてるぞ」

 

「空飛ぶ円盤!? そんな馬鹿な!」

 

「地下にいる間に映画の撮影でも始まったのか!?」

 

「外に出れば安全じゃなかったのかよ!」

 

 兵士達はだいぶ混乱してるね。

 まあ、私も原作知識無かったらちょっとだけ混乱したかも。

 目の前の光景はそれだけインパクトの強いものだったよ。

 

「……味方が襲われている! 援護するぞ!」

 

 隊長は割とすぐに冷静になった。

 そして兵士達に指示を出しながら巨大蟻に立ち向かっていく。

 

 人間が生身で無茶するなって思いつつ、私も戦闘に参加。

 G・SHOTの火力で巨大蟻を次々と粉砕していく。

 

『くそ、肝心な時にコンバットフレームが動かないとは!』

 

 おっと、人型兵器の通信を傍受した。

 どうやらあの人型兵器はコンバットフレームっていうらしい。

 

『歩兵部隊はコンバットフレームを守れ! コンバットフレームが再起動するまでの時間を稼ぐんだ!』

 

 またコンバットフレームから通信だ。

 どうもコンバットフレームに乗ってる人は階級が高いらしい。

 そうじゃなきゃ命令出来るわけないもんね。

 

『撃て! 怪物をコンバットフレームに近付けるな!』

 

 ……コンバットフレームを守れというけど、それって守る価値あるの?

 なんか起動したら戦況が好転するぞって思ってる節があるようだけどさ。

 私にはそこまで凄い兵器には見えないんだよね。

 うーん……アーマードコア世界の兵器に馴染み過ぎたかなぁ。

 

「KOS-MOS! 一旦下がれ! 突出しすぎだぞ!」

 

 前線でG・SHOTを乱射してると後ろから隊長がやってきた。

 私に後方へ下がれってわざわざ言いに来たみたい。

 

 私を心配してくれてるのは分かる。

 でも私がこの場から離れたら巨大蟻が一気に攻めてきちゃうよ?

 後ろにいる兵士達の負担を減らす為に、今は私が頑張るしかないと思うんだけどな。

 

「味方の損耗を抑える為、この場から離れることは出来ません」

 

「大丈夫だ! もうすぐコンバットフレーム隊が戦えるようになるからな!」

 

 隊長もコンバットフレームに熱い信頼を寄せてるらしい。

 あの人型兵器の何がそんなに凄いのか?

 実際に戦ったら強いの?

 

『よし、再起動完了だ! コンバットフレーム隊、戦闘を開始する!』

 

 どうやら、コンバットフレームが戦えるようになったみたいだわ。

 さて、どんな物かね期待の兵器の実力は?

 

「うおおおお! いけるぞ! 怪物をやっつけてくれ!」

 

 隊長のテンションが爆上がりしてるのは放っておいて、コンバットフレームの戦いぶりを見る。

 

 コンバットフレームは両腕に装備したマシンガンを掃射。

 マシンガンは巨大蟻にも通用するようで、巨大蟻は次々と倒されていく。

 

 ……なるほど、コンバットフレームは火力だけはなかなかの物を持ってるね。

 ちょっとだけ見直したよ。

 ほんとにちょっとだけね。

 

『よし! 歩兵部隊はコンバットフレーム隊と協力して怪物を……何だあれは!?』

 

 反撃に転じようとしてたところに水を差すように空から杭みたいなのが大量に降ってきた。

 

 地面に突き刺さった杭……いや、塔かな。

 それからどんどん巨大蟻が出てくる。

 たぶん巨大蟻はどこか別の場所から転送してるんだろうね。

 KOS-MOSも空間転送技術を使ってるからなんとなく分かるよ。

 

『怪物だ! 降ってきた塔から怪物が出てきたぞ!』

 

『あの塔は怪物を出現させる装置なのか!?』

 

『数が多すぎる! この基地はもう駄目だ!』

 

 通信からは混乱が伝わってくるし、周囲の兵士達は明らかに動揺してる。

 このまま戦ったら全滅も覚悟しないといけないけど、さてどうなるのかな?

 

『基地を放棄する! ただちに撤退せよ!』

 

 どうやら逃げてもいいらしい。

 まあ、これだけの戦力差があれば撤退も仕方ないね。

 誰が命令したのかは分からないけど、迅速な判断は凄く良いと思うよ。

 

「KOS-MOS逃げるぞ! 俺達について来い!」

 

 隊長達も逃げるようなので一緒について行く。

 

 幸いなことに宇宙人からの追撃はなく、私達は無事に基地から脱出することが出来たのだった。



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0010

 EDFの基地から脱出した私と兵士達は近くの街へ向かった。

 乗り物を調達する暇がなかったので徒歩での移動である。

 

 私はともかく兵士達は疲労してるね。

 まあ、ここまで戦闘の連続だったし仕方ない部分もある。

 だから私は彼らをだらしないとは思わないよ。

 

 街に近付くとKOS-MOSのセンサーに感有り。

 どうやら街も宇宙人に襲われている模様。

 

 そのことを隊長に伝えたら街の救援に向かうって言い出した。

 

 いや、気持ちは分かるけど大丈夫なの?

 私以外は皆疲れてるし、武器の弾薬だって心許ないんじゃない?

 

 遠回しに危ないよって忠告してあげたんだけど隊長は聞く耳持たずですね。

 

 軍人として民間人の被害を看過することは出来ないんだろうけど、他人の命よりもまずは自分の命を優先するべきだと思うの。

 

 うーん、でも他の兵士達も戦うぞって雰囲気になってるし、水を差すのも悪いかな。

 ここは私が頑張って彼らを援護してあげよう。

 

『怪物を攻撃しろ! 被害の拡大を防ぐんだ!』

 

『畜生! 一体どこの国の兵器なんだよ!』

 

『撃て! 怪物から市民を守るんだ!』

 

 街で戦ってる防衛部隊の通信が聞こえた。

 通信を聞く限りじゃ切羽詰まってる感じがするね。

 早く戦闘に参加した方がいいけど……1人で突っ走らないって隊長と約束してるからなぁ。

 それがなきゃKOS-MOSの全力ダッシュで戦場に駆けつけるんだけど。

 はあ……団体行動は大変だなぁ。

 

「これより防衛部隊を支援する! 民間人の被害を減らすんだ!」

 

 ようやく街に突入した兵士達はアサルトライフルで巨大蟻に対して攻撃を開始。

 私は出しっ放しのG・SHOTで攻撃して、出来るだけ巨大蟻の数を減らす。

 

 巨大蟻は攻撃されたのを察知して、こっちに向かって走り出した。

 まだ距離があるから巨大蟻は酸を飛ばしてこない。

 

 あれに当たるとドロドロに溶けちゃう自信があるから、巨大蟻には近付かないようにしよう。

 弾幕を張って巨大蟻を近付けないようにするのだ。

 

「隊長、あれを見てください。我々の基地に落ちてきたのと同じ塔があります」

 

「くっ、あれがある限り、怪物は次々に湧いて出てくるというわけか」

 

 兵士の1人が指差す方角には確かに塔が立ってる。

 そこから巨大蟻がわらわらと現れてるね。

 

 防衛部隊は巨大蟻の相手で手一杯のようだわ。

 とすると塔を破壊するのは私達がやった方がいいな。

 

 そんなわけで、隊長に塔を破壊しようって提案してみた。

 隊長もノリノリでよしやったるかって感じだったからすぐに行動を開始した。

 

 塔が立ってるのは街の中心地。

 なので道路に沿って進めばすぐに辿り着けた。

 

 塔の周りには巨大蟻がわらわらといたのでG・SHOTで蹴散らす。

 

 兵士達はアサルトライフルで頑張って戦ってたよ。

 微笑ましいね。

 

「……こんな巨大な物を我々の武器で破壊出来るのか?」

 

 兵士の誰かがそんなことを呟いた。

 

 近くで見ると塔は凄く大きかったよ。

 まあ、歩兵の武器じゃ確かに歯が立たないかもね。

 

 でも私はKOS-MOS。

 高威力な武装はいっぱい持っているんだよ。

 

「私の武装で塔を破壊します」

 

「……そんなことが出来るのか?」

 

 隊長が「本当に出来るの?」みたいな顔をしてたので、出来ると頷く。

 

「そうか。それなら頼む」

 

「了解です。X・BUSTER発射」

 

 腹部から収束した極太ビームが放たれる。

 狙いは塔のてっぺんにあるクリスタル状の何か。

 いかにも弱点ですよって感じがするんだよね。

 

 そんな私の予想は正しかったみたいで、塔のクリスタル的な物を破壊したら塔は崩れ去った。

 

 よし、これで巨大蟻はもう増えない。

 あとは残った奴らを殲滅するだけだね。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 街に現れた巨大蟻の駆除は済んだ。

 

 これでようやく一息つけますよ……と思っていたんだけどな。

 現実は甘くないようで、もう一波乱ありそう。

 

『何なんだあれは……?』

 

『巨大な宇宙船だ!』

 

『まさか……エイリアンだって言うのかよ!』

 

 通信からは驚きの声が聞こえる。

 彼らが何に驚いているのかというと、空を覆い尽くすくらい大きな円盤が現れたからだ。

 

 巨大な円盤は次々と小さな円盤(小さいと言っても自動車よりでかいサイズだけど)を射出。

 あからさまに不審な物が出てきましたね。

 たぶんあれは宇宙人の戦闘機かな。

 

 小さな円盤は人間達を無差別に攻撃し始めた。

 軍人とか市民とか関係なく、人間を襲うようになってる模様。

 

 歩兵や戦車じゃあれの相手をするのはきついだろうし、ここは私の出番。

 G・SHOTで小さな円盤を攻撃する。

 

 小さな円盤の防御力はそこまで高くないようで、簡単に撃ち落とせる。

 でもレーザーによる攻撃力は結構強めなもんで、ちゃんと回避しないと不味い。

 

 これじゃ他の兵士達はかなり危険かもしれないね。

 小さな円盤のレーザーが当たれば人間なんて死んじゃうだろうし。

 出来るだけ早く小さな円盤を撃墜していく必要があるかな。

 

「X・BUSTER発射」

 

 拡散モードのX・BUSTERで小さな円盤を撃ち落とす。

 小さな円盤は相当数落ちたが、それでもまだまだたくさんいるから困る。

 

「KOS-MOS! 建物の陰に隠れろ! そのままじゃ狙い撃ちにされるぞ!」

 

 隊長が心配してくれるけど、今は隠れるわけにはいかないのよね。

 こうして私が矢面に立って迎撃しないと小さな円盤は数が減らないし。

 

『巨大な円盤に動きがあります。何かの装置が起動したようです』

 

『あれは……大砲じゃないのか!?』

 

『退避だ! 退避しろ!』

 

 どうも巨大な円盤が攻撃体勢になったみたい。

 上を見上げると確かに巨大な円盤から大砲みたいな物が出てきてる。

 

 このままじゃやばい気がするので隊長達と一緒にその場から逃げた。

 

 その判断は正しかったようで、私が戦っていた場所は巨大な円盤の砲撃により吹き飛んだ。

 砲撃した所にはぽっかりと大穴が開いてることから、その威力が窺い知れるね。

 

 そんなやばい攻撃をした巨大な円盤はゆっくりと上空に去っていった。

 去り際に小さな円盤を追加で放出していったのは勘弁してほしかったよ。

 宇宙人のくせに嫌がらせするのはやめろ。

 

『巨大な円盤は空軍に任せろ。地上部隊は小さな円盤を破壊するんだ』

 

 誰かは知らないけど無茶言ってくれるな。

 私以外は小さな円盤を撃ち落とすのは厳しいと思うよ。

 兵士達の武器の火力が足りないんだよ火力が。

 

「全員KOS-MOSを中心に集まれ! 円盤に火力を集中するんだ!」

 

 あらら、隊長はやる気満々だね。

 私と一緒に小さな円盤を撃ち落とすつもりみたい。

 彼らが頑張るなら私も負けてられないかな。

 頑張って残りの敵を仕留めるとするか。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 街を飛んでいた小さな円盤(戦略情報部の人曰く、戦闘ドローンだって)を全て撃墜した私と兵士達は、休憩と補給を挟んでから工業地区で孤立している味方の救出に向かった。

 

 工業地区にはさっき戦ったドローンが大量にいる。

 巨大蟻もそうだけど宇宙人は数で攻めるのが好きらしいね。

 

 ドローンはふわふわと浮いてるだけで攻撃はしていない。

 人間が近くにいないと攻撃しないようになってるのかも。

 まあ、攻撃されたらこっちに向かって来るだろうけど。

 

 今回はドローンを引きつける囮役と救援を求めてる味方を助けに行く役に分かれた。

 私は当然、囮の方だ。

 派手に暴れるとしよう。

 

「KOS-MOS。今回は敵をある程度引きつければいいんだ。無理はするなよ」

 

「了解です。可能な限りドローンを引きつけます」

 

 隊長と短い会話を交わしてから戦闘開始。

 

 G・SHOTで攻撃するとドローンが一斉に襲いかかってきた。

 

 ドローンからのレーザーは正確に私を狙ってくるので、強化人間の能力でステータスに補正のかかっている状態でも回避はぎりぎりだ。

 

 このままじゃいつか回避に失敗しそうな気がするし、早めにドローンを撃ち落としたいね。

 

「X・BUSTER発射」

 

 密集していたドローンに対してX・BUSTERを収束モードで発射したらかなりの数を撃墜出来た。

 

 でもドローンはまだ大量にいるので、間髪入れずにG・SHOTによる射撃を再開する。

 

『こちら戦略情報部です。現時点をもって黒い怪物をアルファ。糸を飛ばす怪物をベータと呼称します。アルファ型は巨大な顎による噛みつきと強力な酸による攻撃を行います。ベータ型は俊敏ではありませんが、酸を含んだ糸を出す為非常に危険です。戦闘の際は充分に注意してください』

 

 ドローンを撃ち落としていると戦略情報部から通信。

 巨大蟻と出会ったことの無い巨大生物の名称が決まったらしい。

 

 でも、アルファとかベータとか言われてもね。

 正直なところ、蟻は蟻でしょ?

 わざわざ言い方を変えなくてもいいじゃんって思うわ。

 

『孤立していた部隊の救出に成功した! これより撤退する!』

 

 おっと、どうやら孤立してた味方と接触出来たみたい。

 それじゃ、もう少しだけ暴れて味方の撤退を援護するとしよう。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 工場地区で孤立してた味方は無事に助けることが出来た。

 救出した部隊はありがとうってお礼を言った後に別の戦場へ向かっていったよ。

 

「俺達は隣の街へ防衛のために向かうことになった。全員、トラックに乗り込め」

 

 どうやら次の戦場が決まったようだ。

 

 私と兵士達は用意されたトラックに乗車。

 そのままトラックに揺られて隣の街を目指すことになった。

 

 道中にはアルファ型と命名された巨大蟻の死骸や巨大な蜘蛛(たぶんあれがベータ型なんだと思う)の死骸が転がっている。

 

 本当ならあいつらの死体は処分した方がいいんだろうけど、現状ではそれも難しいかな。

 どこも人手が足りない状況だろうしね。

 

「なあ、俺達が戦ってるのって何だと思う?」

 

「やっぱりエイリアンじゃないか?」

 

「そんな馬鹿な話あるもんか。絶対どこかの国が攻めてきたんだよ」

 

「そうかな……? 俺にはとてもそんな風には思えない」

 

「お前ら映画に感化されすぎだ」

 

 トラックの荷台では兵士達がひそひそ声で会話している。

 まあ、KOS-MOSの集音機能なら全部聞こえるんだけどね。

 

 どうやら兵士達は相手が何者かまだ意見が分かれているみたい。

 今のところ、相手が宇宙人だって知ってるのはEDFの上層部と原作知識を持ってる私くらいだろう。

 

「KOS-MOSは敵の正体って何だと思う?」

 

 むむっ、私に話が飛んできた。

 

 相手は宇宙人ですって言いたいところだけど、ここは話をはぐらかしておこうかな。

 下手に原作知識で会話するとボロが出るかもしれないし。

 

「現時点では敵勢力が何者か判断しかねます」

 

「固いなぁKOS-MOSは。もうちょっと砕けた態度でいいんだぞ……ん?」

 

 いきなりトラックが停車した。

 これは……嫌な予感がしますね。

 

「怪物が現れた! 駆除するぞ!」

 

 あーやっぱり敵襲か。

 心休まる暇がありませんな。

 

「全員、急いで下車しろ! 怪物は待ってくれないぞ!」

 

 隊長の指示を聞いた私と兵士達は急いでトラックから降りて戦闘準備を整える。

 

 遠くを見ればアルファ型が大群でこっちに向かって走ってきてる。

 それに空を見れば円盤が大編隊で飛行してる。

 これって私達がさっきまでいた街への攻撃部隊だよね?

 わざわざ徒党を組んで襲うなんてご苦労なことで。

 

「空には大型円盤がいるが、それは空軍に任せろ。俺達は地上の怪物を倒すんだ」

 

 どうやら今回は空軍が援護してくれるらしいね。

 まあ、それなら私は虫退治をやりますか。

 

「G・SHOT」

 

 異空間からG・SHOTを呼び出してアルファ型を攻撃する。

 

 アルファ型はいつものように真っ直ぐ突っ込んでくるので、近付かれる前に始末しておく。

 そうしないと酸攻撃で悲惨なことになってしまうしね。

 

『まもなく空軍による攻撃が始まるぞ』

 

 延々とやってくるアルファ型をG・SHOTでミンチにしているとそんな通信が届いた。

 

 さて、この世界の空軍の実力はどんなもんかな?

 個人的には頑張ってほしいんだけどね。

 

『こちらスカイバット。これより攻撃を開始する』

 

 いよいよ空軍による攻撃が始まった。

 円盤にたくさんのミサイルが襲いかかり、激しい爆発が起こる。

 円盤はたちまち爆炎に包まれた。

 

『遅い遅い!』

 

『そんな兵器で俺達に勝つつもりか!』

 

『ははっ! 面白いように当たるぞ!』

 

 見た感じ、空軍の戦闘機が円盤を一方的に殴ってる。

 実際、戦闘機が放ったミサイルは全て円盤に命中してる。

 ……でも、なんか違和感があるんだよなぁ。

 なんていうか相手にされてないような感じがする。

 

 ……もしかして、こっちの攻撃が効いてないんじゃ?

 

『……無傷だと!?』

 

『畜生、攻撃が効かない!』

 

『回避しないのはその必要が無いからか!』

 

 あ、やっぱりそうだよね。

 ダメージ与えてないよね。

 

『攻撃を単一目標に集中しろ! そうすれば防御が固くても突破出来る!』

 

 空軍は1つの円盤に集中攻撃することにしたようだ。

 戦闘機のミサイルが1つの円盤に次々と撃ち込まれる。

 でも、円盤は微動だにしていない。

 どんだけ硬いんだよあの円盤。

 

『駄目だ我々の攻撃じゃあの円盤は落とせない!』

 

 空軍は数分間攻撃を続けたけど円盤は1つも撃ち落とせなかったよ。

 空軍は自分の無力さを噛み締めて枕を涙で濡らせ。

 

「くそ、空軍は何やってるんだよ! これじゃ円盤をみすみす逃がすようなもんじゃねえか!」

 

 兵士の1人が文句を言う。

 まあ、気持ちは分からなくもないよ。

 期待させといて結果がこれじゃ怒りたくもなるってもんさ。

 

「……なあ、KOS-MOSならあの円盤をどうにか出来るんじゃないか?」

 

 空軍に対して怒ってる兵士とは別の兵士がそんなことを言った。

 たぶん冗談のつもりで言ったんだろうけど、これはやってみる価値あるんじゃないかな?

 

「了解です。試してみます」

 

「え? い、いや今のは冗談だから」

 

「リミッター解除。X・BUSTER発射」

 

 最大出力のX・BUSTERを収束モードで撃ち出す。

 これなら撃ち落とせるでしょ。

 

「……そんな。KOS-MOSでも駄目なのかよ」

 

 兵士が驚愕してるけど、私も驚いてる。

 まさかX・BUSTERが直撃しても平気だなんて円盤を舐めてたわ。

 

 うーん……これは少し興味があるな。

 あの円盤の防御力には何か秘密があるんじゃないか?

 私の勘もそんなこと言ってるし。

 

 ……よし、ここは私の勘を信じてみよう。

 あの円盤にコピー能力を使ってみるぞ。

 

 円盤をじっと見てコピー能力を発動っと。

 

 さて、何かコピー出来たかな?

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv19

 

 格闘156

 射撃176

 技量173

 防御140

 回避188

 命中191

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

      【歪曲フィールドLv-】

      【自己修復装甲Lv3】

 

 

 

 よっしゃ、2つも能力をコピー出来たぞ!

 

 コピーしたのは歪曲フィールドと自己修復装甲っていう能力。

 歪曲フィールドの効果は全ての攻撃の威力を半減させるというもの。

 自己修復装甲の効果は受けたダメージをある程度回復するんだってさ。

 

 これが円盤の異常な防御力の秘密か。

 相手の攻撃を歪曲フィールドで弱めて、受けたダメージは自己修復装甲で即回復してるんだな。

 

「KOS-MOS! 無駄なことはするな! 怪物を倒すことに集中しろ!」

 

 隊長から怒られちゃった。

 人間が私を叱るなんて1000年早い。

 

 ……でもまあ、今の私は気分が良いから許してあげる。

 次からは気を付けてね。

 

「見ろ! 円盤が怪物を投下してるぞ!」

 

「くそったれ! 円盤も怪物を次々に呼び出せるってわけか!」

 

 空を見上げれば、そこにはアルファ型を投下する円盤の姿が。

 蟻のおかわりなんていらないんですけど。

 

「怪物を駆除する! 俺に続け!」

 

 血気盛んな隊長に続いて兵士達がアルファ型に突撃する。

 危なっかしい兵士達を見殺しには出来ないので私も仕方なしに突撃する。

 

 この突撃が功を奏したのかは不明だけど、アルファ型は早々に駆逐出来た。

 円盤はどうしようもないので渋々見送ったよ。

 

 で、戦闘終了後に進むのか戻るのかで一悶着あった。

 円盤を追いかけようって言う人達が結構いたんだよね。

 

 この件に関しては最終的に先に進むってことに決定。

 私と兵士達は当初の予定通り、隣の街へ向かったのだった。



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0011

 隣の街へ移動中に街の防衛部隊から通信がきた。

 

 どうやら宇宙人が巨大生物を街にばら撒いてるらしい。

 街の防衛部隊はヒイヒイ言いながら戦ってるそうだ。

 

 私と兵士達は援軍として現場に急行。

 到着したらすぐに戦闘態勢になって巨大生物にレッツ突撃。

 

 街に投下された巨大生物はベータ型っていう大きな蜘蛛だね。

 あれは酸入りの糸を出すそうだからアルファ型と同じで危険ですな。

 

 まあ、私は歪曲フィールドと自己修復装甲を手に入れたからね。

 多少のダメージなら無効化出来るわけだし、私が前に出て相手をしよう。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 異空間から呼び出したのはDRAGON・TOOTH。

 ランチャーモードでぴょんぴょん跳ねてるベータ型を狙い撃ちにする。

 

 DRAGON・TOOTHのビームが当たるとベータ型の胴体は吹き飛んだ。

 アルファ型と同じくベータ型にも攻撃が通じるようで一安心。

 

 ベータ型は私に向かって襲いかかってくる。

 これはアルファ型みたいに猪突猛進タイプですわ。

 それなら突っ込んでくる個体からどんどん始末しちゃおうね。

 

「きゃああああ!」

 

「助けてくれー!」

 

「怪物だあああ!」

 

 向こう側から市民達が走って逃げてくる。

 何で市民の避難が完了していないんですかね……?

 これってEDFの職務怠慢なのでは?

 

「市民が怪物に襲われているぞ!」

 

「市民達を助けるぞ! 全員、俺に続け!」

 

 隊長と兵士達がアサルトライフルを構えて突撃していく。

 いや、危ないからやめてほしいんですけど。

 人間がベータ型の酸入り糸に絡めとられたら悲惨なことになっちゃうよ。

 グロテスクなものは見たくないから無謀な突撃は控えてちょうだいな。

 

「無茶な突撃は控えるべきだと判断します」

 

「市民が犠牲になるのを看過することは出来ない!」

 

 隊長はそう言うと皆と一緒に走っていった。

 

 はあ……仕方ないな。

 走り出しちゃったものはどうしようもないので、後ろから援護するよ。

 

 DRAGON・TOOTHでバシバシとベータ型を撃ち抜いていく。

 

 建前は隊長や他の兵士達の援護。

 本音は経験値稼ぎ。

 

『こちらはEDF総司令部。これより重大な発表がある』

 

 ベータ型と戦っているとEDFの親玉から突然の通信。

 大事な話らしいけど、何を話す気かな?

 まあ、なんとなく予想は出来るけど。

 

『現在、我々が戦っている巨大生物、そして大型円盤は地球上の物ではない。奴らは宇宙からの来訪者なのだ』

 

 うん、やっぱり話すとしたらそのことだよね。

 どうやらEDFの上層部は敵を宇宙人だと正式に認めたみたい。

 

『我々は宇宙からの来訪者をプライマーと命名した。奴らは情け容赦ない存在だ。それはすでに諸君らならよく分かっているだろう』

 

 宇宙人の名前はプライマーっていうのか。

 ということはこの世界の原作は地球防衛軍5だね。

 まあ、それが分かっても原作知識がほとんど無いから意味無し……悲しいなぁ。

 

『我々は戦わなければならない。これは人類の生存を懸けた戦いなのだ。諸君らの一層の奮起に期待する。以上だ』

 

 EDFの本部からの通信が終わった。

 戦闘中だけど兵士達の話し声が聞こえてくる。

 

「へっ、まさか宇宙人の仕業だったなんてな」

 

「俺はエイリアンの襲撃だとずっと思ってたぜ」

 

「プライマーだかドライバーだか知らんが、誰に喧嘩を売ったのか思い知らせてやる」

 

 どうやらさっきの通信で兵士の士気は高まった様子。

 普通は宇宙人の襲来とか言われても頭に「?」が浮かぶだけだと思う。

 この世界の住人は割と単純なのかもしれない。

 

「円盤がまた怪物を投下しようとしてるぞ!」

 

 兵士の1人が空を指差しながら叫んだ。

 

 空を見上げれば円盤が底が開いてベータ型を投下しようとしている。

 円盤の内部に見える丸いのは転送装置かな?

 

「くそ! 黙って見てるしかできねえのか!」

 

 まあ、実際黙って見てることしか出来ないかな。

 あの円盤には歪曲フィールドと自己修復装甲があるし……ん、待てよ?

 

 そういえば、前に壊したことのある塔は転送装置の部分が弱点だった。

 ……もしかして、あの円盤も転送装置が弱点なんじゃないの?

 もし弱点だとしたら円盤を撃ち落とすことが出来るかもしれない。

 これはちょっと試してみる価値あるかも。

 

 そんなわけでDRAGON・TOOTHを最大出力で撃ってみた。

 

 本当はX・BUSTERを撃ちたかったけど射角の問題で断念。

 いや、地面に寝転がればいいんだけど、見栄えがね?

 

「やったぞ! KOS-MOSが円盤を撃ち落とした!」

 

 ……いやー、やってみるもんだね。

 私の予想通り、円盤の弱点は転送装置だったわ。

 それを破壊したら円盤は爆発して墜落したよ。

 結果は上々で私は満足です。

 

「今度は円盤が複数飛んできたぞ!」

 

 兵士の1人が叫んだ。

 確かに円盤が何個もこっちに向かってくるね。

 

 でも、どうすればいいのか分かったし、もう円盤はただの経験値ですわ。

 全部纏めて撃ち落としてやるから覚悟しろ。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 宇宙人改めプライマーの襲撃が始まって1ヵ月が経った。

 

 戦況は一進一退の攻防が続いてる。

 EDFは勿論、各国の軍隊も頑張ってるんじゃないかな。

 戦い方が分かってしまえばどうにかなるもんだね。

 

 でも、この五分の戦況は長続きしないって考えてる人は多い。

 だってプライマーの戦力底無しなんだもん。

 

 このままじゃ人類滅亡待ったなし。

 

 そんなことはEDFも分かってるらしく、近々大規模な反攻作戦を考えてるらしい。

 

 どんな作戦になるのかは分かんないけど、あんまり無謀な作戦は止めてね。

 実行するのは現場の人間なんだから。

 

「おい新入り! ぼさっとしてるなよ!」

 

 おっと、少し物思いに耽りすぎちゃったか。

 今は戦闘中なんだから少し気を引き締めよう。

 

「巨大生物を確認。アルファ型です」

 

「ウイングダイバー隊は怪物の駆除を開始する。1匹たりとも逃すなよ」

 

「了解。これより攻撃を開始します」

 

 私の傍で話していたのはウイングダイバーの皆さん。

 今日はいつも一緒に行動している隊長達とは別行動だよ。

 

 私はウイングダイバーの新人っていう嘘をついてEDFに協力している。

 流石に本職の人には嘘がばれるかと思いきや、割とすんなり受け入れられた。

 フライトユニットを装備しているところを見せたらあっさり信用してもらえたのだ。

 ちなみにだが、フライトユニットはコピー能力でコピーして手に入れたよ。

 

「新入り! 経験が浅いからといって遅れることは許さないぞ!」

 

「ちょっとあまり強く言うと可哀想よ」

 

「新入りは新型の装備を与えられてるんだ! このくらいの飛行にはついてきてもらわないと話にならん!」

 

 ウイングダイバーの隊員の1人はツンツンした物言いですね。

 私のことが気に入らないのかな?

 

 まあ、新入りが新装備(私は自分の格好をウイングダイバーの新装備だと嘘ついた)を与えられてるとか色々思うところはあるのかもしれないね。

 

 ウイングダイバーってエリート意識高めだし。

 私がいつも一緒に行動してる兵士達はウイングダイバーを生意気ダイバーと呼んでるぞ。

 

「フライトユニットは正常に稼働をしています。遅れることはありません」

 

「ふん、だといいがな」

 

 私はツンツンした態度の隊員に問題は無いと言った。

 それを聞いた隊員はスピードを上げて飛んでいってしまった。

 

 私も遅れないようにフライトユニットの出力を上げて飛行する。

 最初こそフライトユニットの挙動に苦戦したが、今はもう自由に空を飛べる。

 なので建物から建物に飛び移りながら巨大生物のいる場所まで移動。

 あっという間に巨大生物の前までやってきた。

 

 巨大生物はアルファ型だった。

 どうもアルファ型は穴を掘って地下から街に侵入してきたようだ。

 まあ、見た目は蟻だし穴掘るのは得意か。

 

 ウイングダイバーの隊員達は手にした光学兵器で攻撃を始めた。

 私もDRAGON・TOOTHを転送して攻撃に参加する。

 

 ウイングダイバーの武装は巨大生物を倒すのに充分な威力だね。

 その武器を他の兵科の兵士にも分けてあげたらいいのにと思わなくもない。

 

「アルファ型を撃破!」

 

「いいぞ! このまま攻撃を続行する!」

 

 空からの攻撃でアルファ型は一気に数を減らした。

 蟻だから空からの攻撃は死角になるのかもしれない。

 

「敵の増援を確認」

 

 アルファ型を片付けたら巨大生物追加のお知らせがきた。

 プライマーって戦力の逐次投入が好きだよね。

 

「敵の種類は?」

 

「アルファ型のようですが……色が違います。赤い色をしています」

 

「アルファ型の亜種か? 距離をとって攻撃しろ」

 

「了解」

 

 どうやらアルファ型の色違いが現れたようだ。

 色違いってゲームだと強かったりするよね。

 この世界の場合はどうなってるのかな?

 

「どうやら赤いアルファ型は酸を飛ばせないようです」

 

「酸を飛ばさないだと?」

 

「その代わり耐久性に優れた個体のようです」

 

 ふーん、なるほどね。

 赤いアルファ型はたぶん近接に特化してるんだろうね。

 だから耐久力も高めなんだと思う。

 

 まあ、酸が飛ばせないなら楽勝だわ。

 飛行しているウイングダイバーには手も足も出せないわけだし。

 

 そんな私の考え通り、赤いアルファ型は何も出来ずに根絶やしにされたのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 EDFはプライマーの超大型円盤――マザーシップに攻撃するらしい。

 普段は高高度に浮いてるマザーシップが低飛行してるからチャンスなんだって。

 

 この作戦が成功すれば人類勝利待ったなしだと思うよ。

 作戦が成功すればね。

 

 ……正直、これ無茶でしょって思う。

 マザーシップって前に見た巨大な円盤のことじゃん。

 あれに近付いたら大砲で吹き飛ばされちゃうんじゃないの?

 そもそも周りは敵だらけだしマザーシップに近付けるんだろうか?

 内心は不安でいっぱいですよ。

 

『作戦開始だ。歩兵部隊は戦車に随行しつつ、怪物とドローンを倒せ』

 

 司令部から作戦開始のお知らせが届いた。

 

 私の周りの兵士達は戦車の後ろに続いて前進を始めた。

 私だけその場に残るわけにもいかず、戦車についていくことに。

 

 少し歩くとKOS-MOSのセンサーに感有り。

 大量の巨大生物と戦闘ドローンを確認しちゃった。

 

 とりあえずG・SHOTを両手に呼び出す。

 そして最近手に入れたフライトユニットで建物の屋根に飛んで登る。

 

 ドローンは私を認識するとレーザーを発射してきた。

 しかし、歪曲フィールドと自己修復装甲のおかげでダメージはかなり少ない。

 これなら回避するより攻撃に専念した方が効率がいいかな。

 

 というわけで能力の性能でゴリ押しする。

 G・SHOTによる対空砲火でドローンは瞬く間に数を減らす。

 たぶん私の攻撃でほとんどのドローンを撃墜したんじゃないかな。

 マザーシップからおかわりが出てこない限りドローンの殲滅はこのくらいでいいや。

 

 それじゃ次は地上の巨大生物を駆除しよう。

 

 フライトユニットで飛び回りながら巨大生物にG・SHOTを連射。

 巨大生物はアルファ型だけだったから倒すのはそんなに苦労しなかったよ。

 

 味方も私の援護攻撃で勢いに乗ったようでどんどんアルファ型を駆除出来てる。

 これならマザーシップに近付くことも出来るかな。

 

「KOS-MOS。あまり無理はするな」

 

 アルファ型とドローンをある程度片付けてから部隊に戻ると隊長に心配された。

 

 私としては無理なんてしていないんだけどね。

 まあ、私の能力を知らないなら無理してるように見えるのかもしれない。

 

「私は任務遂行のために最善を尽くしているだけです」

 

「無理をしてまで最善を尽くす必要は無いぞ」

 

 うーん、隊長は頑固なところがあるよね。

 このまま言い争うのは正直面倒かな。

 ここは言う通りにしておこう。

 

「……了解しました」

 

 私は隊長の言葉に従うふりをした。

 

 隊長は満足したようで味方と共に戦車に続いて前進していった。

 私も彼らに続いて歩く。

 

『こちら戦略情報部です。マザーシップ付近で宇宙人の目撃情報が多数報告されています。宇宙人は頭が1つに目が2つ、手足は2つずつで二足歩行をしているようです。宇宙人は武装しています。戦闘の際には充分注意してください』

 

 マザーシップ目指して進んでいるとそんな情報が届いた。

 情報によれば宇宙人は二足歩行する生き物らしい。

 

 人間みたいな生き物なんだろうか?

 いや、人間そっくりならそう言うはずだし違うかな?

 

 宇宙人のイメージを想像しているとセンサーに反応があった。

 マザーシップ側から大きな物が飛んできてる。

 目視するとそれは揚陸船のようにも見えた。

 

 揚陸船っぽい何かは私達の頭上に停止すると何かを投下した。

 それは武装した巨大な蛙みたいな見た目だった。

 

「あれは……エイリアンだ! エイリアンの兵士がやってきたんだ!」

 

「あれがエイリアンか……人間そっくりだ!」

 

「俺は今まで人間を撃ったことがない……こんなの無理だ!」

 

「撃たなきゃやられるぞ!」

 

 どうやら兵士達は一部混乱しているようだわ。

 蛙が人間そっくりとかないでしょ。

 

 巨大蛙は手に持った銃で攻撃してきた。

 味方は混乱しているようで反撃も疎らだ。

 ここは私がなんとかしよう。

 

 私はフライトユニットで巨大蛙を飛び越えながらG・SHOTを撃った。

 

 巨大蛙は今まで戦ってきた巨大生物よりも頑丈みたい。

 それに見た感じ再生能力もあるみたいで総合的に耐久力は高い。

 あと生意気に建物で身を隠しながら攻撃してくるので面倒臭い。

 

 まあ、それでもG・SHOTの火力なら瞬時にミンチ状態に出来るけどね。

 誤差の範囲内ですよこんなの。

 

「エイリアンが何か喋ってるぞ!」

 

「エイリアンは言葉で疎通するのか!?」

 

 私がG・SHOTで攻撃していると巨大蛙が何か喋ってた。

 申し訳ないが宇宙人語はさっぱりなんだ。

 私に分かる言葉で喋ってくれ。

 

「持ち堪えろ! エイリアンにこの街を渡すな!」

 

「くそっ……前進だ! 前進してエイリアンを叩く!」

 

「駄目だ……あいつら強すぎる!」

 

「仲間が負傷した! だれか助けてくれ!」

 

「敵の増援が来るぞ! 大部隊だ!」

 

 味方は巨大蛙に押されている。

 この状況で更に巨大生物やドローンの追加が来たら不味いと思う。

 

 このままじゃ私が頑張っても味方は壊滅しちゃうんじゃないの?

 

『敵の数が多過ぎる! 撤退しろ!』

 

 司令部もマザーシップの攻撃どころじゃないと判断したみたい。

 まあ、このまま戦っても得るもの何も無いし、逃げるのは妥当だと思うよ。

 勝てない戦は即座に逃げるに限るね。

 

「KOS-MOS! 俺達が殿を務める! お前は味方を1人でも多く逃がすんだ!」

 

「了解です。これより撤退戦に移行します」

 

 隊長と知り合いの兵士達は殿をするらしい。

 私もしっかり勘定に入ってるようだしここは一肌脱ごうじゃないか。

 最後まで戦っていくとしよう。



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0012

 マザーシップの攻撃は見事に失敗した。

 結果はEDFの戦力を低下させただけ。

 

 そんな泣きっ面状態のEDFにプライマーは鉄拳をプレゼント。

 各地に巨大蛙を派遣して戦場を混乱させているらしい。

 

 巨大蛙はアルファ型やベータ型とセットで送られてくるので人類は苦戦気味。

 蛙のくせに虫を従えてるんじゃないよって思う。

 

 私は巨大蛙&巨大生物と戦うために各地を転戦。

 今は隊長や知り合いの兵士達と別れて行動中だよ。

 

 私抜きで大丈夫なんだろうかって心配になるけど……隊長達も実戦経験の豊富な部隊なんだし、たぶん何があっても平気かな。

 

 まあ、隊長は元気でやってることを信じて私は私の仕事をしよう。

 

「G・SHOT」

 

 最近、ずっと使ってるG・SHOTを両手に転送。

 そしてフライトユニットで飛行して目標に接近する。

 

 本日のノルマは巨大蛙5体にアルファ型いっぱい。

 獲物はたくさんいるので早く片付けてしまおう。

 

 空から巨大蛙の頭部にG・SHOTの弾丸を撃ち込む。

 

 巨大蛙の頭はパーンと弾け飛んだ。

 そうしたら次に火線を巨大蛙の周囲にいたアルファ型に向ける。

 

 アルファ型は相変わらず空からの攻撃には弱い。

 あっという間に巨大蛙に随伴していたアルファ型は駆除が完了した。

 

 これで残りの巨大蛙は4体。

 アルファ型は数えるのが面倒だからいっぱいだな。

 

 4体の巨大蛙は私を視認したようで、手にした銃で反撃してきた。

 でもKOS-MOSに当てるには狙いが大雑把かな。

 巨大蛙の銃は狙い撃ちするのには向いていない模様。

 

 こっちに向けて銃を撃つ巨大蛙にG・SHOTの弾をお見舞いした。

 2体目の巨大蛙を始末出来たのを確認して、一旦ビルの屋上に着地する。

 

 フライトユニットは長時間の飛行は出来ない。

 こまめに着地してフライトユニットのプラズマコアを休ませる必要があるのだ。

 

 そんなわけで背中のプラズマコアの冷却が完了するまで、ビルの屋上から周囲の様子を確認しつつ、G・SHOTで攻撃して3体目の巨大蛙を倒した。

 

 この戦場には私以外にも戦ってる兵士達がいる。

 彼らも頑張っているけどアルファ型の駆除に手一杯な様子。

 やっぱり巨大蛙は私が倒すしかないね。

 

 さて、プラズマコアの冷却が完了したし、再び空に舞い上がるとするかな。

 

 残った2体の巨大蛙はビルに隠れながら攻撃してきた。

 

 くるくる回りながら回避して巨大蛙の真横を通り過ぎながらG・SHOTを発射。

 穴開きチーズと化した4体目の巨大蛙は動かなくなった。

 

 5体目の巨大蛙は周囲のアルファ型を集めて私にけしかける。

 まあ、私飛んでるから無意味なんですけどね。

 

 私の真下でわらわら動いてる蟻共を殲滅して5体目の巨大蛙に向かって飛ぶ。

 

 巨大蛙は銃で応戦するけど当たらないんだなこれが。

 

 5体目の巨大蛙に近付いたらG・SHOTを撃つ。

 頭部を破壊された巨大蛙はその場に崩れ落ちた。

 

 これにて巨大蛙の駆除が完了。

 

 私は残ったアルファ型を殲滅するために移動を開始するのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 巨大生物の巣穴が見つかったらしい。

 

 EDFは巣穴の調査のために部隊を派遣。

 私もその調査部隊の1人だったりする。

 

 巣穴はかなり大きい。

 フライトユニットで飛べるくらいの広さがある。

 無作為に穴を掘って天井が崩れないか心配だわ。

 生き埋めだけは勘弁してほしい。

 

 しばらく穴を下っていくとアルファ型とベータ型がお出迎えしてくれた。

 

 一緒に行動している兵士達が応戦を開始したので私も便乗する。

 今回はDRAGON・TOOTHのランチャーモードで攻撃してみた。

 

 巣穴は直線になっているのでDRAGON・TOOTHのビームが面白いように当たる。

 ビームは貫通して数体まとめて倒せるので殲滅するのは早かった。

 

 出てきたアルファ型とベータ型を蹴散らしたら進軍再開。

 途中で先行していた部隊も拾いながら奥へと進む。

 

『こちら戦略情報部です。新たな地球外生物を確認しました。アルファ型、ベータ型よりも大型の生物であり、また生物的に差異が大きいことから特別な分類が必要だと判断し、エルギヌスと命名しました。各部隊はエルギヌスの情報収集をお願いします』

 

 巣穴を進んでいると通信を傍受した。

 どうやら新しい巨大生物が出たみたい。

 どんな見た目をしているのかは今のところ分かんないな。

 まあ、エルギヌスの見た目は出会ってからのお楽しみか。

 

「また怪物が現れたぞ!」

 

「今度は数が多い! きっと俺達を奥に行かせたくないんだ!」

 

「戦闘開始だ! 怪物を駆除するぞ!」

 

 兵士達が叫んだのと同時にKOS-MOSのセンサーに反応有り。

 

 たくさんのアルファ型とベータ型が穴の奥からどんどん湧いて出てくるのが分かる。

 数が多いのでここはX・BUSTERの拡散モードで対応しよう。

 

「X・BUSTER発射」

 

 私の腹部から拡散ビームが撃ち出される。

 ビーム攻撃で穴から出てきたアルファ型もベータ型も一気に数を減らした。

 

 これで勢いに乗ったEDFはアルファ型とベータ型をまとめて駆逐。

 私達は更に巣穴の奥へと足を踏み入れ……ようとしたがここでストップ。

 司令部から撤退するように指示があったのだ。

 これ以上の探索は危険だと判断したみたい。

 

 まあ、この巣穴思ったよりも深いし撤退も仕方ないかな。

 

 そんなわけで私は兵士達と一緒に地上へと戻るのであった。

 

 あ、どうでもいいけど帰り道の海岸沿いに赤いアルファ型の大群がいたよ。

 そいつらは私がパパッとやっつけておいた。

 X・BUSTER乱れ撃ちで殲滅余裕でした。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 巨大蛙がとある工業地帯を占拠した。

 

 この工業地帯は重要な施設が集中していて、失うことは人類側にとって大きなマイナスだからなるべく早く奪還したいそうだ。

 

 EDFは即座に工業地帯の奪還部隊を召集。

 その中にちゃっかり私が混じってたりする。

 

 ほら、私って実績だけはあるし?

 重要な作戦を任されるのも仕方ないかなって。

 

 私としては嘘ついてEDFにいるわけだし、目立つことは避けたいんだけどね。

 組織の歯車である以上、拒否出来ないのよね。

 

 そんなわけでやって来ました工業地帯。

 

 現在の時刻は深夜0時。

 真夜中なら巨大蛙も寝ぼけてるでしょって判断なのかな?

 

 でも見た感じ巨大蛙は真面目に警備してる。

 真夜中に作戦する意味あるの?

 私は無いと思う。

 こんなの現場の人間が眠たいだけじゃん。

 深夜残業はやめてさしあげろ。

 

「まさか新人のウイングダイバーを作戦に加えるとは……」

 

「我々スプリガンについてこれるのか?」

 

「足手まといは必要ないんだがな」

 

「新人に最新装備を与えるなど、司令部は何を考えているんだ?」

 

 私を見ながら散々なことを言ってるのはウイングダイバーのスプリガン隊。

 エリート意識の高いウイングダイバーのエリートさんです。

 

 言いたい放題言いやがって。

 今に見てろよエリートめ。

 私の実力を見て腰を抜かすがよい。

 人間が神のエリートである私を舐めるんじゃないっての。

 

「作戦開始だ。各員散開」

 

 スプリガン隊の隊長がそう言うと、他の隊員は元気よく「了解!」って言った。

 そして四方に飛びながら散っていったよ。

 

 さて、私も移動するかな。

 私は無駄にぴょんぴょん飛んだりしないぞ。

 KOS-MOSの健脚なら走ろうと飛ぼうとスピードはあんまり変わらないのだ。

 そんなわけで夜道をダッシュで駆け抜ける。

 

 工業地帯の道路をダッシュしてると巨大蛙を発見。

 都合よく1体だけで歩いている。

 こっちに近付いてくるので待ち構えよう。

 

「R・CANNON」

 

 今回は施設へのダメージを抑える必要があるのでR・CANNONを使う。

 

 右腕をR・CANNONに換装してから巨大蛙の頭を狙う。

 

 R・CANNONのビームが巨大蛙の汚い面を吹き飛ばす。

 威力は充分かちょっとだけ不安だったけど杞憂だったようだわ。

 

 とりあえず巨大蛙を1体倒した。

 でもこんなんじゃスプリガン隊をぎゃふんと言わせられないのでもっと頑張ろう。

 

 私は闇夜に紛れて巨大蛙を次々と始末していく。

 気分は凄腕の暗殺者である。

 

 工業地帯を走っていると巨大蛙の死体が転がっている。

 スプリガン隊もエリートなだけあって仕事はきっちりしている模様。

 

 でも倒し方はエグいな。

 スプリガン隊は巨大蛙の四肢を吹き飛ばしてから止めを刺してるし。

 ……まあ、いつもG・SHOTで挽肉作ってる私が言えた義理じゃないか。

 

「きゃあああー!」

 

 おや、巨大蛙の悲鳴が混じって女の悲鳴が聞こえるね。

 KOS-MOSの集音機能は悲鳴を聞き分けることなんて朝飯前なのだ。

 

 悲鳴のした方へ走って向かうと巨大蛙がスプリガン隊の1人を捕まえてた。

 スプリガン隊員は武器を落としていて反撃出来ないみたい。

 グーパンで必死に抵抗してるのが健気ですわ。

 

 私は巨大蛙の眉間(蛙に眉間ってあるのかな)をR・CANNONで撃つ。

 すると巨大蛙は物言わぬ死体になった。

 

「大丈夫ですか?」

 

 巨大蛙に捕まってたスプリガン隊員に手を差し伸べる。

 スプリガン隊員は素直に手を取った。

 

「新人に助けられるとはな。……今回は感謝しておこう」

 

 スプリガン隊員はそう言うと落としていた武器を拾って飛んでいった。

 

『エイリアンが怪物を呼び出したぞ! 各員は集まれ! このままでは各個撃破されてしまうぞ!』

 

 おっと、どうやら敵の増援が来たらしい。

 巨大生物って夜でも全然問題無く活動出来るんだね。

 私的には巣穴で寝てろよって思う。

 

 私はフライトユニットを起動して工業地帯の合間を縫うように飛ぶ。

 

 戦闘の光が見えたのでそこに向かって飛ぶと、ベータ型と戦っているスプリガン隊員達を発見したので、私も戦闘に参加する。

 

 私は歪曲フィールドと自己修復装甲という能力を持ってる。

 この2つの能力のダブルコンボで私は高い防御力を手に入れているのだ。

 

 なので私は率先してベータ型の前を飛行。

 相手の注目をこっちに引き付ける。

 

 ベータ型の蜘蛛の糸が飛んでくるがくるくる回転して回避する。

 そして回避のついでにR・CANNONで反撃。

 ベータ型は確実に数を減らしていった。

 

 で、ベータ型の駆除がある程度終わったら巨大蛙への攻撃を再開。

 

 巨大蛙は銃で応戦してくるが遮蔽物の多い(建物の被害は知りません)場所なので身を隠すのは簡単だった。

 

「新人に負けるな! スプリガンの力をエイリアンに見せてやれ!」

 

 負けず嫌いなスプリガン隊員の大声が聞こえた。

 それに呼応するように他のスプリガン隊員達が奮起する。

 

 いつの間にか私VSスプリガン隊の巨大蛙討伐合戦になってしまった。

 まあ、どっちも張り切ったから工業地帯の奪還は早まったのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 プライマーは前線基地を用意してきた。

 どうも宇宙から基地を投下したらしいよ。

 即席の基地だね。

 

 EDFは「エイリアンが家建てたみたい! 見に行こうぜ!」ってノリで偵察を強行。

 結構な戦力を集めて基地見学へ向かうことになったよ。

 

「本当に前線基地が出来てるぞ……」

 

「ビルよりでかい……どうやって運んできたんだ?」

 

「奴らこの星に住む気だぞ! 家を建てやがった!」

 

 徒歩で前線基地に接近していると兵士達の話し声が聞こえた。

 彼らは目の前の巨大な基地に度肝を抜かれているようだ。

 

 前線基地に近付くと基地内部から戦闘ドローンが大量に出てきた。

 あの基地も転送装置を持っているみたいだね。

 

「ドローンが飛んできたぞ!」

 

「戦闘開始だ! ドローンを撃墜しろ!」

 

 ドローンが出てきたことで私達は戦闘を開始した。

 

 こっちの戦力は対物ライフルを装備した兵士に、フェンサーっていうパワードスーツを身に着けた重武装な兵士、それにコンバットフレームがいる。

 

 ドローンを撃墜出来る火力は充分にある。

 問題は敵の数が多過ぎるってことだけど……まあ、それを言っても仕方ないね。

 

『エイリアンの対空砲火は凄まじい。空からの接近は不可能だ。地上から接近するしかない。地上部隊はエイリアンの基地に接近しろ』

 

 司令部も無茶言ってくれるなぁ。

 ドローンを倒しながら基地に近付くのって結構きついよ。

 いや、私は平気だけどさ。

 私以外が厳しいんじゃないかなって。

 

『こちらG2! 砲撃を受けています!』

 

『こちらG4! 敵の攻撃激しく、前進出来ません!』

 

 ほら、やっぱり兵士の皆さん苦戦してるじゃん。

 兵士達の悲鳴が通信で聞こえてくるんですけど。

 

『コンバットフレームは歩兵の盾になれ。歩兵は前進を続けろ』

 

 鬼畜司令部の指示に従って前に進むことになった。

 

 このままじゃ兵士達の被害が凄いことになっちゃう。

 こうなったら私が前に出て敵の注意を引き付けよう。

 

 フライトユニットを起動させて空に飛び上がる。

 

 ドローンは私に向かってレーザーを撃つが、そんなもん効かないんだよ。

 

「X・BUSTER発射」

 

 X・BUSTERを拡散モードで発射する。

 

 何度かX・BUSTERを撃った後は両手に握ったG・SHOTでドローンを攻撃。

 私の攻撃によってドローンは数を減らしていったよ。

 

 ドローンの数が減ったことで兵士達は被害を最小限に抑えながら前進出来た。

 

 で、今は前線基地をみんなで攻撃してる。

 

「攻撃が効いてないぞ!」

 

「この基地は円盤と同じ装甲で出来ているのか!?」

 

 どうやらこの前線基地も歪曲フィールドと自己修復装甲を持ってるらしい。

 砲台は破壊出来てるけど、それ以外はほとんどダメージが無い。

 

 私も試しにX・BUSTERを最大出力で撃ってみたけど効かなかった。

 もしかしたらKOS-MOSの必殺技であるD・TENERITASなら効くかもしれない。

 でもそれを試す前にドローンのおかわりが出てきた。

 ドローンを放置は出来ないのでG・SHOTで攻撃する。

 

『これ以上は無理か……。総員、ドローンを撃破しつつ撤退しろ』

 

 司令部から撤退指示が出た。

 

 それを聞いた私達は散り散りになりながら撤退。

 

 こうしてプライマーの前線基地の偵察は、成果の無いまま終わったのだった。



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0013

 巨大蛙が新兵器を引っ提げて来たらしい。

 話を聞いたところ、どうもプラズマ兵器で砲撃してくるんだとか。

 

 プラズマ兵器はアーマードコア世界でもあったっけ。

 あれは当たると結構痛いから、人間だと大変だろうね。

 

 新兵器を持った巨大蛙は近くの街で暴れてるそうなので駆除しに行く。

 今回は速さが大事なので私だけ先行させてもらった。

 ウイングダイバーがいれば一緒に出かけたんだけど生憎出払ってるんだよね。

 ウイングダイバーの皆は引っ張りだこだから仕方ない。

 手の空いてるEDF隊員はいないのだ。

 

 そんなわけで私1人で街に到着。

 

 巨大蛙が遠距離からプラズマ兵器をばかすか撃っているせいで街は火の海ですわ。

 

 このままじゃ街が更地になってしまう(もう手遅れな気もする)ので、そうなる前に巨大蛙を倒してしまおう。

 

 遅れてくる兵士達からは「出来るもんなら殲滅しちゃっていいよ」と言われているし、ここは兵士達の度肝を抜くために頑張って1人で駆除しちゃうぞ。

 

 DRAGON・TOOTHを呼び出してからフライトユニットで飛行する。

 街はあちこちで火事になっているので火の中に突っ込まないように高度には注意しないとね。

 

 巨大蛙は街を攻撃するのに忙しいみたい。

 空の私に全然気付いていないので先制攻撃を食らわせてあげよう。

 

 アーマードコア世界で手に入れた強化人間の能力で私のステータスは底上げされているので、空から巨大蛙の頭を吹き飛ばすのは簡単。

 

 首尾よく巨大蛙の1体は始末出来た。

 この調子で他の巨大蛙も退治していこう。

 

 巨大蛙はこっちに気付いたみたいで空を見上げながら指差してきた。

 その内の1体の顔をまたDRAGON・TOOTHで吹っ飛ばす。

 巨大蛙達は右往左往するだけだ。

 

 巨大蛙は街を破壊することに特化してるのか全部プラズマ兵器を装備してる。

 

 このプラズマ兵器はどういう理屈なのか分からないけど弾速が凄く遅いし、放物線を描きながら飛んでいくから動く物体に当てるのは難しいだろうね。

 

 なので空にいる私には巨大蛙のプラズマ兵器って凄く相性が悪かったりする。

 つまり今回の巨大蛙達はものすごくバランスの悪い構成なのだ。

 

 でも、地上の惨状を見るに馬鹿な手じゃないのは確かなんだよね。

 巨大蛙は地上を焼き払うだけの簡単なお仕事ですって感じかな。

 

 それじゃ巨大蛙にとってイージーだった任務をハードに変えてあげよう。

 遠慮しなくていいから私の気持ちを受け取ってね。

 

 巨大蛙は身を隠す建物がない。

 自分達の手で破壊してるんだから自業自得ってやつだね。

 

 丸見えな巨大蛙をバシバシとDRAGON・TOOTHで狙い撃つ。

 巨大蛙は転がりながら避けようとするが巨大なせいで動きは鈍い。

 今のKOS-MOSなら当てるのは難しい話じゃないのよね。

 

 巨大蛙は横一列に並んで砲撃していたので端から順に撃ち殺していく。

 

 みんなヘッドショットで頭パーンである。

 お前らの体液で火を消してやるからもっと火元に近寄れ。

 

『level up!』

 

 おっと、久しぶりに天の声聞いたわ。

 相当な数を倒してるのになかなかレベルアップしないから少し気にしてたんだぞ。

 ほんとに少しだけね。

 

 

 

 KOS-MOS Ver.4(コピー魔神) Lv20

 

 格闘158

 射撃179

 技量175

 防御142

 回避192

 命中195

 

 固有能力 【コピー能力】

 

 一般能力 【強化人間Lv5】

      【歪曲フィールドLv-】

      【自己修復装甲Lv3】

 

 

 

 よし、ステータスも確認出来たし、蛙狩りを続けよう。

 

 巨大蛙は我慢の限界だったのか空に向けてプラズマ兵器を撃ち始めた。

 プラズマが曲線を描きながら飛んでくる。

 

 当然、こんな鈍い攻撃に当たる私じゃない。

 くるくる回転しながらプラズマを避けつつDRAGON・TOOTHで反撃する。

 

 巨大蛙の頭が1つ、また1つとスイカみたいに破裂していく。

 

 気付けばたくさんいた巨大蛙も残りは僅かになっていた。

 

 EDFの兵士達が到着する頃には巨大蛙は全滅完了。

 私は兵士達の度肝を抜くことに成功するのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 プライマーの軍勢が避難所に向かって進軍してるらしい。

 

 このまま見過ごせば市民達に多大が被害が出るだろう。

 それにEDFの評判にも傷が付くし、どうにか食い止めないといけないね。

 

 そんなわけでかき集めた戦力で防衛線を構築したEDFは、プライマーの侵攻を阻止するために行動を開始したよ。

 

 プライマーは最近見慣れてきた巨大蛙で攻めることにしたようだ。

 今回は巨大生物がいないから少しだけ楽が出来そう。

 

 味方の戦車やコンバットフレームが攻撃を開始。

 弾幕の雨で巨大蛙を何体か倒すことに成功するけど、撃ち漏らしが出ちゃってるね。

 

 まあ、そういうのは私とウイングダイバーの出番かな。

 

 ウイングダイバーは飛行しながら光学兵器を照射して巨大蛙を仕留めていく。

 

 私もDRAGON・TOOTHをランチャーモードで起動して応戦。

 巨大蛙の頭をビームで次々と吹き飛ばす。

 

 巨大蛙の数が減ってきたらプライマーは揚陸船で追加の巨大蛙を送ってきた。

 

 投下された巨大蛙の中にはプラズマ兵器を持った奴がいるね。

 地上の兵士達が危ないからあれは優先的に倒していこう。

 

 フライトユニットで空を飛び上がり、プラズマ兵器を持った巨大蛙に近付く。

 

 銃を持った巨大蛙がこっちに気付いて攻撃をしてくるけど、歪曲フィールドと自己修復装甲の能力とKOS-MOSのステータスでゴリ押す。

 

 巨大蛙の攻撃はほとんど当たらない。

 当たってもダメージは微々たるもので、しかもすぐに回復する。

 だから突出していても全然問題無いんですわ。

 

「セイバーモード起動」

 

 プラズマ兵器を持った巨大蛙に近付いたらDRAGON・TOOTHをセイバーモードに変更して斬撃で倒す。

 

 巨大蛙はビーム刃で真っ二つになり絶命。

 

 ついでに隣に立っていた巨大蛙も袈裟斬りで倒しておく。

 

 で、地面に一旦下りたらそこから走って巨大蛙に接近する。

 巨大蛙はEDFの兵士達と戦うので精一杯なのか、こっちを見ていない奴が多い。

 

 なので走り寄って巨大蛙の足を切断。

 足を斬られて巨大蛙が転んだところで頭にビーム刃を叩きつける。

 

 こうして蛙狩りを続けているといつの間にか人類側が優勢になった。

 

 勢いに乗ったEDFは残った巨大蛙を駆逐。

 

 避難所を守りきったEDFは局地的な勝利を手に入れたのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 以前偵察に行ったプライマーの前線基地。

 あれが歩いて移動してるとの情報を入手した。

 

 そんな馬鹿なと思いつつ兵士達と一緒に現場に向かうとほんとに歩いてた。

 

 いやいや、奇想天外すぎるでしょ。

 プライマーは何考えて基地に歩行能力を持たせたんですかね?

 宇宙人の考えることはよく分かりませんな。

 

「敵の基地がこっちに来やがるぞ!」

 

「くそ! これが基地の正体か!」

 

 一緒に来た兵士達はのっそのっそと歩く前線基地に驚いてる様子。

 とにかくサイズが大きいから威圧感だけはめっちゃある。

 人間達が驚くのも無理ないね。

 

「基地からドローンが出てきたぞ!」

 

 兵士の1人が叫んだ。

 

 確かに前線基地の中から戦闘ドローンがポンポン射出されていってる。

 とりあえずドローンを放置してたら味方が壊滅するので私が相手をしよう。

 

 フライトユニットで空を飛びつつドローンの注目を集める。

 

 空を飛んでいるとドローンはこっちに向かってレーザーを撃ってきた。

 お返しにG・SHOTで反撃する。

 

 G・SHOTの弾幕でドローンはどんどん落ちていく。

 味方の援護もあってドローン退治にかかった時間は短いよ。

 

 で、肝心の前線基地だけど、これ止めようがない気がする。

 

 一応、私達の部隊には重戦車っていう普通の戦車をでかくしてパワーアップした兵器があるんだけど、これの砲撃で倒せるのか疑問ですわ。

 

 だって前線基地には円盤(あれってテレポーションシップっていうらしいね)にもある歪曲フィールドと自己修復装甲が装備されてるだろうしね。

 

 普通に攻撃しても効果は薄いと思うよ。

 

 私の心配を余所に重戦車が攻撃を開始した。

 数輌の重戦車が一斉に砲撃するのは見てて迫力あったよ。

 うん、迫力だけはあったよ。

 

『そんな……レクイエム砲が効かないのか!?』

 

『主砲が通じていないだと!?』

 

 重戦車に乗ってる人達が驚いてるね。

 私的にはこれで勝てると思ってたことに驚いてるよ。

 

 前線基地はほとんどダメージを食らってない。

 基地に付いてる小さい砲台はいくつか破壊出来てるけどね。

 砲台をいくら破壊しても基地の機能は止まらないかなって。

 

「エイリアンだ! 基地からエイリアンが出てきたぞ!」

 

 諦めの悪い重戦車隊が攻撃していると、基地から巨大蛙が出てきた。

 巨大蛙は一目散に重戦車を目指して走ってくる。

 どうも我が家をドンドン叩かれるのは宇宙人も嫌いみたい。

 

「数が多過ぎる! このままじゃ全滅してしまうぞ!」

 

 近付いてくる巨大蛙にG・SHOTをお見舞いしていると兵士の泣き言が聞こえてきた。

 

 確かに今回は敵の数が多いね。

 このままじゃ数の暴力で押し切られちゃうのは明白。

 さっさと撤退命令が出ないかなって思う。

 

『これ以上は戦っても無意味だ。撤退しろ』

 

 おっと、いいタイミングで司令部から撤退指示が出たわ。

 それじゃ退散しようっと。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 前に潜った巨大生物の巣穴からアルファ型が大量発生してるそうだ。

 

 これって素人から見てもアルファ型が繁殖してるって分かるよ。

 ……まあ、プライマーは転送装置を持ってるから確実なことは言えないけど。

 でも繁殖してる可能性は高いと思うんだよね。

 

 で、実態を調査すべく巣穴に再度突入することになっちゃった。

 私は前回巣穴に潜ったことがあるって理由で選ばれたよ。

 

 今回は奥まで行って何があるのか調べるまで帰れないらしい。

 これって全滅も普通にあり得るから勘弁してほしい。

 とりあえず全滅しないように私が頑張らないと。

 

「……なあ、お前はこの巣穴の奥に何があると思う?」

 

「案外、怪物の親玉がいたりしてな」

 

「本当にありそうだからやめろよ……」

 

「ははは。まあ、何がいようと俺の銃で吹っ飛ばしてやるぜ」

 

「吹っ飛ばせる相手だといいがな……」

 

 兵士達の軽口を聞きながら巣穴を進んでいく。

 

 巣穴は途中まで順路が分かっているので進む方向は分かってる。

 どういうわけかここまで巨大生物はいなかったし苦労はしなかったよ。

 

 それで辿り着いた前回の終着点。

 そこには歩哨として巨大蛙が立っていた。

 

『よし、この先に何があるのか確かめるぞ。全員、突入せよ』

 

 司令部から指示がきたので先に進むために障害を排除しよう。

 

 手に持ったDRAGON・TOOTHで巨大蛙の頭部を吹き飛ばす。

 すると地面からアルファ型が湧いて出てきた。

 待ち伏せとは虫のくせに生意気な。

 

 出てきたアルファ型は私と兵士達の一斉攻撃で簡単に倒せた。

 なんだかんだEDFの人達も怪物退治のコツが分かってきている模様。

 

「ここから先は未知の領域だ。慎重に進もう」

 

「なんだよ。ビビってるのか?」

 

「そんなんじゃない!」

 

 まだ兵士達は余裕そうだね。

 軽口を言えてる間は大丈夫かな。

 

 よっしゃ、それじゃ未知のエリアにレッツゴーということで、私と兵士達はどんどん奥に入っていく。

 

 道中は巨大蛙、アルファ型(黒蟻と赤蟻どっちもいた)、ベータ型のオンパレードだった。

 正直、私の通路で待ち伏せ攻撃が通じなかったらかなり被害が出たと思うよ。

 プライマー側にまともな知恵を持ってる奴がいなくて助かった。

 

 巨大蛙と巨大生物を一掃した私達はちょっとだけ休憩。

 そしたら地上から後続部隊が到着した。

 

 その後続部隊には見知った顔がちらほら。

 

「KOS-MOSか! 久しぶりだな!」

 

「元気してたか戦友!」

 

「また酷い任務を押し付けられたもんだ」

 

「噂じゃ1人のウイングダイバーが大活躍してるらしいな。これってKOS-MOSのことじゃないの?」

 

「KOS-MOS。無理はしてないか?」

 

 久しぶりに顔を合わせたのは隊長とその仲間達だった。

 最近は別れて行動することが多かったけど、全員無事なようで何よりだわ。

 

 よし、思わぬサプライズもあったことだし、元気が湧いてきたぞ!

 ここは巨大生物をいっぱい倒して再会のお祝いにしよう!

 

 というわけで隊長の制止を無視して巣穴の奥に向かって進撃する。

 通路から広間にいる連中を釣り上げて各個撃破する戦法はかなり有効だわ。

 単調な作業になりがちなのが玉に瑕だけどね。

 

 まあ、出てくる敵についてはどうでもいいんだ。

 問題はこの巣穴がとんでもなく広いってことだよ。

 いくつもの広間を通り抜けて通路を進んでいるけどまだ奥があるんですけど。

 

 プライマーはどんだけ穴掘ったんだよって思っちゃう。

 プライマーって実は地底人だったりしないよね?

 

「なんて深い穴だ」

 

「落ちたらやばいぞ」

 

「縦穴の下には怪物の大群がいる! 落ちないように注意しろ!」

 

「足を滑らせたら一巻の終わりだぞ!」

 

 奥に進むと深い縦穴のある空間に出た。

 一応、道はあるので縦穴を下ることは可能っぽい。

 

 道順に進んでいくとアルファ型が下から登ってきた。

 普通なら奇襲になったんだろうけどKOS-MOSのセンサーは誤魔化せないぞ。

 

 そんなわけで出てくるアルファ型は待ち構えていた私と隊長達で倒した。

 私と隊長達の共同作業である。

 

 縦穴の底にはベータ型が蠢いていたので、兵士達は爆薬をポイポイ投下して爆殺。

 ベータ型はアルファ型と違って壁とか登るの得意じゃなくて良かったわ。

 

 こうしてアルファ型とベータ型を駆除出来た私達は縦穴を完全攻略。

 更に巣穴の奥深くへと侵入していく。

 

 巣穴の最深部にはアルファ型よりも巨大な蟻がいた。

 どれだけでかいかっていうと隣にいるアルファ型が小さく見えるくらい大きいね。

 あれって女王蟻だったりするのかな?

 

「おい見ろ! なんだありゃ!?」

 

「巨大な怪物だ!」

 

「何体もいやがるぞ!」

 

 女王蟻を見て兵士達は驚きの声を出した。

 

 その声に反応したのかは分からないけど、女王蟻の取り巻きのアルファ型がこっちに向かってきた。

 

 私達は慌てず一旦通路まで退却。

 通路でアルファ型を待ち構えるよ。

 

 津波の如く押し寄せてくるアルファ型を撃ち始める兵士達。

 私も一緒にDRAGON・TOOTHを連射してアルファ型の殲滅に貢献する。

 

 通路にアルファ型の死体が山積みになってきたらX・BUSTERでお掃除。

 通路がスッキリしたらまた攻撃を再開した。

 

 こうしてアルファ型は私達の待ち伏せ戦法で全滅したのだった。

 

 残りは女王蟻だけだね。

 

 女王蟻は酸を放水車みたいにドバーっと噴き出してくるから厄介だわ。

 こいつは私が駆除した方がいいかな。

 

 広い空間を利用してフライトユニットで飛行して女王蟻の真上をとる。

 女王蟻も所詮は蟻なんで真上からの奇襲に弱い。

 

 X・BUSTERの収束モードで女王蟻の頭を撃ち抜くと、女王蟻は呆気なく死んだ。

 女王蟻だろうとX・BUSTERの破壊力には耐えられないみたい。

 

 この調子で残りの女王蟻も駆除した。

 女王蟻は全部で3体いたけど余裕で撃破出来たね。

 

 その後は隊長からの小言を聞き流しつつ巣穴を探索。

 大量の卵を発見したのでこれを全て破壊する作業をした。

 

 それが終わると残っている巨大生物がいないか探索しながら地上を目指す。

 

 生き残っていた巨大生物はおらず、私達は地上へと帰還。

 再び太陽の光を拝むことが出来たのだった。



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0014

 空を飛ぶ巨大生物が確認された。

 EDFは新種をアルファ型やベータ型よりも危険性が高いと判断。

 早速、駆除するために私を含めた人員を送った。

 

 新種ってなんじゃろなと思いながら現場に向かうとブンブン羽音が聞こえる。

 空を見上げれば巨大な蜂が飛び回っていた。

 

 蟻、蜘蛛ときて今度は蜂か。

 プライマーは虫が大好きなんだな。

 私は好きじゃないから勘弁してほしいけどね。

 

 とりあえず初手はG・SHOTでいいかな。

 今までの経験からこれが効かない巨大生物はいないし。

 

 両手にG・SHOTを転送して新種に向けて発射。

 G・SHOTの弾丸が命中した個体はあっさりと撃墜出来た。

 

 これは楽勝かなって思っていると巨大蜂の群れが一斉にこっちに向かってきた。

 どうやら仲間がやられてご立腹の様子。

 アルファ型やベータ型よりも凶暴な気がするね。

 

 巨大蜂は尻をこっちに向けるとでかい針を飛ばしてきた。

 でかい針は建物や道路にブスリと突き刺さった。

 近くで見ると物凄く太い。

 こんなの人間が食らったら串刺しになっちゃうな。

 

『こちら戦略情報部です。現時点をもって空飛ぶ怪物を飛行型侵略生物と呼称します。飛行型は極めて強力な針を射出してきます。戦闘の際は注意してください』

 

 戦闘中に戦略情報部から通信がきた。

 今戦ってる巨大蜂は飛行型と呼ぶことにしたらしい。

 

 アルファ、ベータってきたから次はガンマって命名されるのかと思ったら違った。

 アルファとかベータじゃ分かり難いって言われたのかな?

 まあ、今回の命名は分かりやすいから私は好きだよ。

 

『こちらレンジャー1。誰か援護の出来る奴はいないか? いるなら早く来てくれ』

 

 おや、援護してほしい部隊がいるようだ。

 ここは特に持ち場の決まっていない私の出番かな。

 通信の送られてきた方向に向かおう。

 

 フライトユニットで飛びながらレンジャー1のいる場所まで移動する。

 移動中は巨大蜂改め飛行型が襲いかかってきたのでG・SHOTで応戦。

 襲ってきた飛行型は全部駆除したよ。

 

 レンジャー1は四方から飛行型に攻撃されてる。

 このままじゃ犠牲者が出てしまうだろうし、飛行型を手早く倒そう。

 

「X・BUSTER発射」

 

 レンジャー1の真上で飛んでる飛行型にX・BUSTERを拡散モードで発射。

 これで飛行型の半分くらいを撃墜出来た。

 

「大丈夫ですか? 援護に来ました」

 

 レンジャー1の隊員達の前に着地した私はG・SHOTを連射する。

 飛行型はG・SHOTの弾幕の前にどんどん数を減らしていく。

 

「ウイングダイバーか。援護に来てくれてありがとう」

 

 レンジャー1の隊長が私に感謝の言葉を言いながら射撃する。

 それに合わせるように他の隊員もアサルトライフルを撃つ。

 

 残りの飛行型は私とレンジャー1の隊員で仲良く殺した。

 こうしてレンジャー1は命拾いしたのであった。

 

 レンジャー1を助けた私は戦場を飛び回り、飛行型の駆除していった。

 飛行型の駆除が完了したのは1時間後のことだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 エルギヌスっていう名前だけ知ってる巨大生物がいる。

 いつか会う日が来るだろうと思っていたけど、どうやらそれは今日らしい。

 

 現場に到着するとピカピカ光ってるでっかいトカゲの親戚みたいなのが寝てた。

 あれがエルギヌスかぁ……いや、あれって怪獣じゃん。

 プライマーは虫好きだと思ってたけど特撮も好きだったか。

 

 事前にあった説明によるとエルギヌスは瀕死らしい。

 なんか空爆したら動かなくなったんだって。

 で、止めを刺すためにもう一度空爆するそうだ。

 

 空爆で殺しきれなくても大丈夫なように地上部隊も配備。

 EMCっていう強力なレーザーを撃てる戦車も持ち出して万全の構えだ。

 

 EMCの配置が終わった頃に空爆は再開された。

 爆撃機からこれでもかってくらい爆弾が投下される。

 

 凄まじい爆発がエルギヌスを包み込む。

 

 これでエルギヌスも木っ端微塵だなと思っていたら爆炎の中から無傷のエルギヌスが登場。

 え、まさか空爆って効いてなかったりするの?

 

「エルギヌスが起き上がったぞ!」

 

「空爆に耐えやがった!」

 

「耐えたどころか傷1つないぞ!」

 

「あいつは動けなかったんじゃない! 寝てただけだぁ!」

 

 ゆっくりと起き上がったエルギヌスはこっちを見た。

 なんていうか寝起きで不機嫌みたいな雰囲気あるね。

 私の気のせいかな?

 

『EMCは攻撃を開始せよ』

 

『了解! EMC、照射開始!』

 

 プランAが駄目ならプランBをすればいいじゃない。

 ってことで10輌のEMCから一斉に極太レーザーが放たれる。

 私も便乗してX・BUSTERを発射しておこうっと。

 少しでもダメージを与えないとね。

 

 エルギヌスはEMCのレーザー攻撃(それと私のビーム攻撃)に怯んでいる。

 

 お、もしかしてこのまま倒せるんじゃ?

 とか思ってたらエルギヌスが激しく発光し始めた。

 

 私知ってる。

 こういう時は口から何か吐き出すんでしょ。

 

 そんな私の予想通り、エルギヌスは口から雷を放射した。

 まるで光線みたいな雷がEMCに襲いかかる。

 

 エルギヌスの雷に炙られたEMC数輌は動かなくなった。

 お高いだろう兵器が一瞬でスクラップになっちゃったぞ。

 

 このままEMCが全滅したら勝てなくなる。

 ここは私がエルギヌスの注意を引きつけよう。

 

 フライトユニットで飛びながらDRAGON・TOOTHでエルギヌスの目を攻撃する。

 エルギヌスは両手で目元を押さえたから私の攻撃は効いてるみたい。

 この調子で攻撃を続けよう。

 

『よし、EMCの攻撃は効いてるぞ!』

 

『どうだ怪物め! EMCの力思い知ったか!』

 

『EMC万歳だぜ!』

 

 EMCに乗ってる兵士達の声が通信で聞こえる。

 

 戦闘前はほんとにEMCの攻撃はエルギヌスに効くのか不安そうだったのにね。

 エルギヌスに攻撃が通じると分かった途端に強気な発言である。

 

「見ろ! 怪物がふらついてるぞ!」

 

「もう少しで怪物を倒せるぞ!」

 

 EMCと私の攻撃でエルギヌスはほんとに瀕死状態になったらしい。

 空爆は通じなかったのにレーザーやビームは普通に通じるんだね。

 もしかしたらエルギヌスは光学兵器の類に弱いのかもしれない。

 

 エルギヌスは苦し紛れの雷を吐いた。

 でも私の目潰しが効いてるのかEMCには当たらなかった。

 

 EMCはお返しとばかりにレーザーを撃ち込む。

 私もX・BUSTERで攻撃しておく。

 

 この攻撃が決め手になったようでエルギヌスはその巨体を地面に横たえた。

 

 こうしてエルギヌスは討伐されたのだった。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 プライマーが世界各地に大規模な部隊を送り込んでいるらしい。

 どうやらプライマーは本気になったようだ。

 

 EDFも各国の軍隊と協力してプライマーに立ち向かう模様。

 もしかしなくても総力戦である。

 

 私のホームグラウンドにもプライマーの軍勢が攻めてきた。

 なのでEDFの兵士達と一緒にこれを迎撃するよ。

 

 決戦の舞台は広い平原地帯。

 

 見晴らしが良いから遠くにプライマーの連中がいるのがよく分かるね。

 KOS-MOSのセンサーもビンビンと反応しっぱなしですよ。

 

 プライマーの軍勢の巨大蛙200体を中核とした構成となっている。

 ちなみに普段はこんなに巨大蛙は出てこない。

 いつもは巨大蛙なんて20体くらいしか現れないよ。

 プライマーはこの戦いに巨大蛙をいつもの10倍投入してるわけだ。

 

 戦闘はまずお互いの砲兵による砲撃から始まった。

 どっちも戦ってる人数が多いので砲撃すれば誰かには当たる。

 EDFもプライマーも少なくない数が砲撃の被害に遭った。

 

 EDFは空爆も実施したので巨大蛙は結構な数が吹き飛んだ。

 その代償として戦闘ドローンに爆撃機が何機か撃ち落とされたけどね。

 

 私と兵士達は戦車やコンバットフレームの陰に隠れながら前進。

 敵を射程に収めると攻撃を開始した。

 

 プライマーは大量のアルファ型を前面に押し出してきた。

 巨大蛙はアルファ型の後ろから攻撃している。

 前衛、後衛がしっかりしてる嫌な布陣だ。

 

 アルファ型は味方に任せて私は巨大蛙をやっつけよう。

 

「DRAGON・TOOTH」

 

 異空間からDRAGON・TOOTHを呼び出してランチャーモードで起動。

 そして巨大蛙の頭を吹き飛ばす作業が始まる。

 

 こっちに気付いた巨大蛙は私に向かって発砲してきた。

 たくさんの巨大蛙がいれば弾幕も自然と厚くなる。

 くるくる回転しながら回避してたけど次第に被弾が目立ってきた。

 

 ……まあ、巨大蛙の銃程度の火力なら被弾しても平気なんですけどね。

 私にはテレポーションシップからコピーした歪曲フィールドと自己修復装甲があるし。

 ちょっとしたダメージなんてすぐに回復しちゃうもんね。

 

 そんなわけで巨大蛙を一方的に殴り続ける。

 巨大蛙も怯まずに反撃してくるけどこういうのを無駄な努力って言うんですね。

 巨大蛙は全員諦めて私の経験値になっちまえ。

 

『戦車隊は前進しろ! 歩兵の盾になるんだ!』

 

『こちらコンバットフレーム隊! 現在、我が方は優勢!』

 

『歩兵部隊は怪物を戦車に近付けさせるな!』

 

『ウイングダイバーは上空より地上部隊を援護せよ!』

 

 今のところ戦況は人類側が有利に戦えてるかな。

 戦車やコンバットフレームが健闘してるし、兵士達も頑張ってる。

 

 でもプライマーがその気になればこの戦況は一気にひっくり返るんだよなぁ。

 あいつらの基本戦術は数の暴力。

 押して駄目ならもっと強い力で押せばいいじゃないを地で行くのがプライマーなのだ。

 

『こちらスカウト! 怪物です! 数え切れません!』

 

 あ、やっぱり敵の増援が来た。

 地平線の彼方からベータ型と巨大蛙の混合軍の登場だ。

 

 有利だった戦況はプライマー側に傾いちゃったぞ。

 このままじゃEDFの戦力が押し潰されちゃう。

 不味いですわこれは。

 

『踏み止まれ! 秘密兵器のレールガンさえ到着すれば戦況は一気に変わる!』

 

 おや、秘密兵器とな?

 そんな話聞いてないんですけど?

 

 というか秘密兵器遅刻してるのか。

 ちゃんと5分前行動してくれないかな。

 そういうのって社会人なら常識でしょ?

 

『遮蔽物の無い平原こそレールガンが最も力を発揮出来る場所だ。この場所に誘い込まれた時点で奴らの負けだ』

 

 いや、司令部の人してやったりみたいな話してるけど、そのレールガンまだ現場に来てないから。

 どんなに凄い兵器でも現場に無けりゃ無意味なんですけど。

 

『援軍としてグリムリーパーを派遣しました。間もなく到着するはずです』

 

 どうやら援軍が来るらしい。

 現場は人手不足だしありがたいけど……グリムリーパーって何のこと?

 

『グリムリーパー!? 奴らが来るのかよ!?』

 

『誰だそいつらは?』

 

『死神部隊だよ。前の紛争じゃ歩兵だけでコンバットフレーム隊を壊滅させた』

 

『歩兵がコンバットフレームを!? ほんとかよ!?』

 

 通信を聞く限り、なんか凄く強い歩兵部隊みたい。

 これは戦力として期待してもいいんじゃないかな。

 

 でも噂のグリムリーパーが到着する前に前線の部隊がピンチかも。

 

『エイリアンが左右に展開しています!』

 

『エイリアンめ、悪知恵が働きやがる!』

 

 プライマーの軍勢が左右に分かれ始めた。

 これ左右から挟撃する気でしょ。

 今の戦力で挟撃されたらほんとにEDFの部隊が壊滅しちゃう。

 

 このままじゃ不味いので私が頑張ろう。

 左右のどっちかを片付ければEDFも援軍到着まで持ちこたえられるでしょきっと。

 

 というわけで私は右側の敵を排除することに決めた。

 

 フライトユニットの出力全開で戦場を横断する。

 途中で巨大蛙やドローンから攻撃されたけど無視して飛ぶ。

 

 で、戦場の右側に到着した私は空中からX・BUSTERを拡散モードで発射。

 巨大蛙と巨大生物の群れにそれなりの打撃を与えた。

 

 今回は余裕が無いので少し雑だが、このまま火力で押し切ろう。

 続けてX・BUSTERで巨大蛙と巨大生物に攻撃をする。

 

 ビームの雨で巨大蛙と巨大生物は次々とミンチになっていく。

 

 運の良い生き残りは私に向かって反撃を始めた。

 よし、これで右側の敵戦力は完全に釘付けに出来たぞ。

 

『グリムリーパー隊、殲滅目標を確認した』

 

 おっと、ようやくグリムリーパーに到着だ。

 

 どうやらグリムリーパーは戦場の左側に到着したらしい。

 KOS-MOSの望遠機能でじっと見ると黒いフェンサーが暴れてるのが見える。

 グリムリーパーはフェンサーで構成された部隊のようだね。

 

 グリムリーパーは確かに強い。

 これなら左側の敵は任せちゃってもいいかな。

 私は目の前の敵に集中しようっと。

 

『こちら戦略情報部です。エイリアンの大規模な降下を確認しました。その数は5000を越えています。これは地球降下作戦の主力部隊と推測されます』

 

 ひたすらX・BUSTERを撃つ作業をしていると戦略情報部からの通信を傍受。

 巨大蛙200体でヒイヒイ言ってるのに5000かぁ。

 これは人類の敗色が濃厚になってきましたね……いや、そんなわけないか。

 

 この世界は地球防衛軍5というゲームが原作の世界。

 なら負けそうでも最後は逆転勝利するんだろう。

 うん、きっとそうに違いない。

 

『エイリアン接近! 大群です!』

 

 また敵の増援が来たらしい。

 見れば巨大蛙が列を作って団体で押し寄せてきてる。

 

 今度の巨大蛙はプラズマ兵器持ちが多いみたい。

 遠くからこれでもかってくらいプラズマを放ってくる。

 

 これにはEDFの戦車やコンバットフレームも大ダメージ。

 大破して擱座してしまう機体もちらほら見えるね。

 

 そろそろ撤退も視野に入れた方がいいんじゃないの?

 このままじゃ壊滅的な打撃を受けることになっちゃうよ?

 

『イプシロン自走レールガン。目標地点に到着。これより突入する』

 

 やっと来たか秘密兵器のレールガン。

 戦況は人類不利だからこれで役立たずだったらほんと許さないからな。

 

 さて、秘密兵器の威力はどの程度かと見守る。

 レールガンが一斉に発射され、巨大蛙に当たった。

 すると巨大蛙の上半身が吹き飛んだぞ。

 

 おー、やれば出来るじゃん。

 私はレールガンのこと信じてたよ。

 

『すげえ……なんて威力だ。敵を貫通してる』

 

『こんな兵器を開発してたのかよ』

 

『エイリアンが来なかったらこれを人間に使うつもりだったのか……』

 

 兵士達がレールガンの威力にビビってる。

 間近で巨大蛙や巨大生物が消し飛んだらそんな反応にもなるよね。

 

『よし、このまま一気にエイリアンを殲滅しろ!』

 

 レールガンの登場で戦況は人類側の有利になった。

 

 巨大蛙も巨大生物もレールガンによって駆除。

 空を飛んでいたドローンは私と兵士達の活躍によって殲滅出来た。

 

 これで人類の勝利だと思っていたらKOS-MOSのセンサーに反応が。

 これまで倒してきた数倍の規模の敵が近付いてる。

 どうやら私達が頑張って倒したのはプライマーにとっては先発隊に過ぎなかったようだわ。

 

 うーん、これ本当に人類に勝ち目あるの?

 ちょっとだけ不安になるわ。

 ちょっとだけね。



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0015

 プライマーの数の暴力でEDFは敗北しちゃった。

 今はEDFの本隊が撤退しようとしてるところ。

 

 こんな美味しい機会をプライマーが見逃すはずもなくEDFは追撃されている。

 このままじゃEDFの戦力はボロボロにされてしまうだろう。

 

 EDFも最悪の事態だけは避けたいようで殿を残して退却していった。

 この状況で殿とか死んでこいって言われてるようなもんだよね。

 

 殿は志願者を募って編成されたよ。

 意外にも志願者は多かった。

 でもそんなに数はいらないってことで必要最低限の人数が残ることに。

 その殿の中には知り合いの兵士達がいたから私も残ることにしたよ。

 なんだかんだ彼らとは付き合い長いし、最後まで面倒見てあげないとね。

 

「KOS-MOS……お前は残らなくてもいいんだぞ」

 

 殿に志願した隊長が私にそう言った。

 隊長も今度ばかりはかなりやばいと感じてるみたい。

 逃げてもいいんだぞって遠回しに言ってきたわ。

 

 まあ、ほんとに危険が迫ったら逃げてもいいけどね。

 今のところ逃げる予定はないかな。

 知り合いにみっともない姿は見せられないんですよ。

 

「私が戦闘に参加すれば味方の生存率が上がります」

 

「そうかもしれないが……」

 

「仲間のために戦うのは悪いことでしょうか?」

 

 私の言葉に隊長は何も言い返せなかった。

 まあ、時間をかけたら何か言葉も浮かんだかもしれない。

 でもプライマーの軍勢が近付いてきたので会話は強制的に打ち切られた。

 

 プライマーの主力である巨大蛙が列を作ってゆっくりと進んでいる。

 空にはテレポーションシップが浮かんでいてアルファ型やベータ型を投下してるね。

 

 アルファ型やベータ型は隊長達が頑張って倒してくれるはず。

 私は巨大蛙の相手をしようっと。

 

「KOS-MOS! 死ぬんじゃないぞ!」

 

 隊長の言葉に手を振って答えながらフライトユニットを起動して空に舞い上がる。

 そして巨大蛙に向かって飛ぶ。

 

 手にはすでにDRAGON・TOOTHが握られている。

 今回も巨大蛙の汚い面を吹き飛ばしてやろう。

 

 巨大蛙が私に気付いて攻撃を始めた。

 私はその攻撃をくるくる回転して回避しつつDRAGON・TOOTHで反撃する。

 KOS-MOSのステータスなら避けながら攻撃を当てることは余裕だ。

 

 巨大蛙の中にはプラズマ兵器を持った個体もいる。

 プラズマを食らったら隊長達が炭になってしまうだろう。

 そうなる前にプラズマ兵器を持った巨大蛙はさっさとやっつけよう。

 

 私はフライトユニットで戦場を縦横無尽に飛ぶ。

 そして巨大蛙に狙いを定めてDRAGON・TOOTHのトリガーを引く。

 

 DRAGON・TOOTHのビームは吸い込まれるように巨大蛙に頭に当たる。

 ビームが直撃した巨大蛙はどいつもこいつも頭がパーンと弾け飛んだ。

 分かってはいるけどDRAGON・TOOTHの攻撃力には耐えられないようだわ。

 

 巨大蛙は綺麗に横一列に並んでいるので狙いやすい。

 端から順番に始末するから神妙に待つがいい。

 

『KOS-MOS。怪物の数が多くて困ってる。エイリアンの円盤をどうにか出来ないか?』

 

 蛙狩りをやってると隊長からテレポーションシップをどうにかしてとお願いされた。

 

 まあ、この場には私以外にテレポーションシップを撃墜出来る者がいない。

 隊長が私を頼るのも当然かな。

 

「了解です。テレポーションシップを撃墜します」

 

 私は隊長の要請を快諾して、蛙狩りのついでにテレポーションシップを落とす。

 

 テレポーションシップの撃墜方法はもう知ってる。

 底の装甲が開いた瞬間に内部の転送装置を破壊すればいいのだ。

 

 というわけで次々とテレポーションシップを撃ち落としていく。

 気付けば戦場にいる半分のテレポーションシップを撃墜していた。

 

『最悪の情報です。無数の怪物とドローンがここに向かっていると……』

 

『どうやら我々が予想外の戦果を挙げたことがエイリアンを刺激したか』

 

『くそ! いよいよ年貢の納め時ってやつか!』

 

 テレポーションシップを撃ち落としていると通信で兵士達の会話が聞こえた。

 どうやらプライマーが増援を出してきたようだ。

 

 KOS-MOSのセンサーによると敵増援は北側から来てるな。

 数は数え切れないからたくさんいると思っておこう。

 

 敵増援がここに辿り着く前にテレポーションシップは全て撃墜しよう。

 テレポーションシップからも続々と巨大生物を投下されたら厄介すぎる。

 

 そんなわけで私はテレポーションシップの撃墜を優先することにした。

 巨大蛙はまだ残っているけど、まあそいつらは後回しだな。

 

『隊長、弾薬が残り僅かです』

 

『こっちもだ。もうほとんど残ってねえ』

 

『……どうやら生存の望みは無さそうだな』

 

 あらら……どうも兵士達の武器がもうすぐ弾切れになるみたい。

 私は神様パワーのおかげで無補給でも戦えるけど、彼らはそういうわけにはいかないか。

 

 とりあえずテレポーションシップを全部撃ち落としたら隊長達のもとへ戻ろう。

 間違いなく援護が必要だろうしね。

 

『こちら戦略情報部です。これより情報部がサポートします』

 

 戦闘中に戦略情報部の人から通信が入った。

 どうやら何らかのサポートをしてくれるらしい。

 わざわざサポートしてくれる理由は不明だけどね。

 

『安全な場所から何が出来る!』

 

 情報部の人にキレる隊長。

 まあ、気持ちは分かる。

 余裕ないし、イライラしちゃうよね。

 

『グリムリーパーを援軍として送りました。間もなく到着するはずです』

 

『……感謝しなければならないようだな』

 

 黒いフェンサーで構成された死神部隊のグリムリーパーが来てくれるそうだ。

 それならグリムリーパーが来てくれるまで頑張るとするかな。

 

『こちらグリムリーパー隊。戦闘中の部隊を発見。これより救援に向かう』

 

 いや、救援早いな!

 グリムリーパーってかなり近くまで来てたんだね。

 

 これなら隊長達は大丈夫かな。

 それじゃ私は残った敵を片付けようっと。

 

 

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

 

 

 私と隊長達がEDF本隊の殿をやってから1週間が経った。

 

 この1週間でEDFは各国の軍隊と協力してプライマーの主力部隊と交戦。

 何故か分からないけど勝利したらしいよ。

 

 ……いや、本当にどんな手品を使ったんだろうね?

 結果的にプライマーの戦力を7割撃滅したんだって。

 

 話を聞くと新型のコンバットフレーム120機を投入したそうだけどさ。

 プライマーって5000くらいの戦力がいたんじゃなかったの?

 巨大蛙(最近あの蛙にコロニストって名前が付いたよ)が5000体でしょ?

 それに付け加えて巨大生物が一緒に出てくるわけだし。

 どうやっても勝ち目が見えないんですけど?

 

 でも勝ったのは間違いないからなぁ。

 ……まあ、劣勢を覆して勝利を手にした人類凄いってことにしておくか。

 それよりも今は目の前の問題に集中しよう。

 

『基地の射程圏内に飛び込むぞ!』

 

『歩兵は重戦車とコンバットフレームの陰に隠れて前進せよ!』

 

『犠牲を払っても基地を破壊しようってわけだ……気に入ったぜ!』

 

 私は戦場の真っ只中にいますよ。

 何故ならプライマーの歩く前線基地に攻撃してる最中だから。

 

 今回の作戦は前線基地の砲台を地上部隊が無力化。

 その後は空軍による爆撃で前線基地を破壊するというもの。

 

 プライマーの主力部隊を倒したから調子に乗ってこんな作戦を立てたのかな?

 勢いで勝てたらいいけど実際はどうだろうね。

 

 私の心配を余所にEDFの重戦車とコンバットフレームが攻撃を開始。

 まずは前線基地の周辺にいるコロニストを攻撃する。

 この攻撃によってコロニストは10体くらい死んだ。

 

 コロニストも手にした銃やプラズマ兵器で反撃してきた。

 EDF側にも相応の被害が出る。

 これ以上被害を増やさないためにもコロニストはさっさと倒そう。

 

 私はビルの上に陣取るとDRAGON・TOOTHでコロニストを撃つ。

 とりあえず被害の大きいプラズマ兵器を撃ってるコロニストから狙い撃つよ。

 

 コロニストをバシバシ攻撃してるとこっちに前線基地から砲撃が飛んできた。

 私を狙ったのか偶然こっちに砲撃が飛んできたのかは不明。

 

 砲撃でビルは倒壊してしまうが、私はフライトユニットで飛んで難を逃れた。

 

『ドローンです! 基地からドローンが出てきます!』

 

『歩兵はドローンを攻撃しろ!』

 

 飛んでいると前線基地から戦闘ドローンが出てくるのが見えた。

 

 ドローンも放置しておくと味方の被害が拡大するので早く片付けよう。

 

「G・SHOT」

 

 武装をDRAGON・TOOTHからG・SHOTに変更。

 数の多い相手にはG・SHOTの方が有効だからね。

 

 両手に構えた2つのG・SHOTが轟音を立てながら弾を発射する。

 ドローンは大量にいるので目を瞑っても当たりそうだ。

 

 コンバットフレームもドローンに攻撃しているね。

 なので味方の射線に入らないように注意しながら飛行するよ。

 味方も誤射はしたくないだろうし、私も誤射されたくないからね。

 

『重戦車隊は敵基地の砲台を無力化しろ!』

 

『コンバットフレーム隊、損耗率10%を越えました!』

 

『歩兵は何をしてる! 早くドローンを片付けろ!』

 

 ドローンの攻撃をしながら味方の通信にも耳を傾ける。

 味方は少しずつ被害を出しつつもどうにか戦えているみたい。

 

 私はコンバットフレームや歩兵と一緒にドローン退治に勤しむ。

 

 ちなみにドローンの撃墜比率は7:3くらい。

 当然、私が7でそれ以外が3である。

 

 私がドローン相手に無双している合間に重戦車が前線基地の砲台を攻撃する。

 前線基地の砲台は普通に破壊出来ることが確認済だからね。

 重戦車の砲撃でどんどん前線基地の砲台が破壊されていく。

 それに伴って前線基地からの砲撃が段々と減ってきた。

 

『これだけ破壊すれば充分だ。爆撃機は攻撃を開始せよ』

 

『こちらスワロー2。待ちくたびれたぞ。突入する!』

 

 前線基地の砲台がほとんど破壊されたところで爆撃機が爆弾を投下。

 前線基地は激しい爆炎に飲み込まれた。

 爆風がこっちにまで伝わるくらい強烈な爆発だったよ。

 

 で、これで仕留めたかと思うじゃん?

 でもあの前線基地は歪曲フィールドと自己修復装甲を持ってるはず。

 こんな攻撃じゃ倒しきれないんじゃないかなぁ。

 

『……基地が動いてるぞ!』

 

『また歩き出しやがった!』

 

 私の予想通り、前線基地は健在。

 やっぱりあの防御を突破するのは難しかったか。

 

 前線基地は多数の脚を出して立ち上がった。

 地面に埋まっていた部分には無傷の砲台がずらりと並んでいる。

 

 砲台から一斉に放たれるレーザーやビームで味方はたちまち窮地に陥る。

 あ、私は歪曲フィールドと自己修復装甲の能力を持ってるからノーダメージだよ。

 

『こちらスワロー3。基地を攻撃する』

 

 爆撃機がまた爆撃をするが効果は薄い。

 重戦車やコンバットフレームが攻撃をしてみるがこれも駄目。

 やっぱり防御力が桁違いに高いな。

 

『まるで効いていないぞ!?』

 

『あの金色の装甲を破るのは無理だ!』

 

『やっぱり無理だったんだこんな作戦!』

 

 兵士達の間に「今回も駄目なんじゃ」っていう雰囲気が漂い始めたぞ。

 私も今回の作戦は失敗に終わるんじゃないかなって思ったりしてる。

 

 うーん……なんか突破口があればいいんだけどなぁ。

 でもそんな都合の良いもんがあるわけ……ん?

 

 なんか前線基地の真下からぞろぞろ現れてくるのがいる。

 よく見なくてもあれはアルファ型ですな。

 もしかしてあの前線基地って真下からアルファ型を投下してるんじゃないの?

 

 もしそうなら前線基地の真下には転送装置があるってことだよね。

 今までの経験から推測すると、そこって前線基地の弱点じゃないかな。

 これはちょっと試してみる価値あるかも。

 

 そんなわけでフライトユニットを使って一気に前線基地の真下に移動。

 前線基地に底に何があるのか確かめてみた。

 

 前線基地の底にはテレポーションシップと同じ丸い転送装置が見えますねぇ。

 

 これはもしかしなくても弱点でしょ。

 弱点じゃなくても攻撃の通じる部分と見たよ。

 

 相手がいつまでも無防備な部分を晒していくはずもないし短期決戦だ。

 ここはKOS-MOSの必殺技であるD・TENERITASで攻撃しよう。

 D・TENERITASを当てれば前線基地も無傷じゃいられないだろう。

 

「相転移砲スタンバイ」

 

 胸部の衣服状のパーツが展開してD・TENERITASの発射準備が整う。

 よっしゃ、D・TENERITAS発射だ!

 

「D・TENERITAS」

 

 撃ち出された巨大な球体が前線基地の転送装置に当たる。

 すると前線基地の底は大きく抉れてしまう。

 

 そして巻き起こる大爆発。

 あんなに堅牢だった前線基地は一撃で崩壊しちゃった。

 これには私も思わずびっくり。

 ついでに爆発に巻き込まれて二度びっくり。

 

 まあ、爆発のダメージは歪曲フィールドと自己修復装甲でどうにか相殺。

 でも久しぶりにダメージをもらった。

 そのくらい凄い爆発だった。

 

『やったぞ! 我々の勝利だ!』

 

 司令部の人が勝利宣言をすると兵士達は、わーわー叫んで喜んだ。

 

 暫くの間、通信は兵士達の喜びの声でいっぱいだった。



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