ルイズと妖精の王 (トッポ(チョコ無し))
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プロローグ

あの子は悪く無いわ
悪いのは私達よ
悪い私達が責任を取るの


私は女王、この楽園を護らないと…

ーー女王様♪キレイなキレイなその蒼い翅私に頂戴♪

私は、この楽園を護らないと…

ーー貴女の瞳綺麗ね。頂けないかしら?

私は、この楽園を、護らないと…

ーーあら、女王様。その髪…私に下さいな。

私は、楽園を、護らな、いと

ーーねぇ。女王様。どうして、私達にめいれいするの?

…私は護らないと

ーーいつもいつも私達にめいれいして、嫌いなんだよね。

…護らないと

ーーもう、要らなくない?

ーー要らないよね

ーー要らない要らない

ーーじゃあ、捨てようか?

…護ら、ないと

ーー捨てよう

ーー捨てよう

ーー捨てよう

…まもら…ないと

ーー私たちだけでいいわ

ーーそうだ!あの子も要らないよね?

ーーあの子を先に捨てよう

…やめて…お願い

ーーやめ、いや、たす、

ーーバイバイ、要らない子

ーーアハハ♪

…護らなくても良い…よね?

 

鏡面湖の中心に建てられた西洋風の城、その王座の間にて“彼女”は集められた者たちに問うた。

「何故、同胞を殺した。」

それに答えたのは、リーダー格の妖精種の少女(少女と言う年齢では無いが)だった。

「だって、あの子、いつもいつも『あれはダメ』『これはダメ』ってうるさかったんだもん。」

少女は拗ねたように言ったが、その声色には後悔や反省の色は無かった。

“彼女”が問いを口を開いたが少女がそれを遮った。

「女王様〜私達はね、貴女を捨てに来たの。」

“彼女”いや女王が言霊を使う直前に緋刃の短刀が喉に突き刺さっていた。

女王の口からは言葉ではなくコポッと赤い唾と共に音が出た。

「ごめんね〜でも、貴女が悪いのよ?いつも、私達にめいれいしたからダメだったのよ。」

女王は最後の力にてこの世界の基盤たる黒孔へ転移を行った。

付近にあったエメラルドグリーンに光を放つ花の蕾を象った長杖と銀のティアラ…女王の喉に刺さったままの血濡れの短剣と共に。

「…さて、この物語はこれにて終演、演者の皆様には大人しく舞台から降りてもらいます。」

女王が転移するのを静かに見守っていた少女が玉座の間に集まった者達に向け笑顔で言い放った。

 

黒孔に転移した女王は着地に失敗し孔に落ちてしまった。

女王は孔を墜ちながら世界を見上げた。

空がひび割れていく。世界の終わりが始まったのだ。

ふと、女王は孔の縁を見るとあの、リーダー格の少女が居た。

女王にはもはや少女の声は聞こえないほどに墜ちていたが、不思議なことに少女の声が女王には聞こえていた。

「貴女は悪く無いわ。私達に数千年の時間を与えたのだもの。この世界が消滅するのはこの、世界の意思であり、貴女の責任では無いわ。

だから、ゆっくりと暖かな闇に包まれて眠りなさい。あとは私が最期を見届けるから」

そうして、女王は世界の終わりと共に眠りにつく、筈だった。

 

「我が名は『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』。五つの力を司るペンタゴン。我の運命(さだめ)に従いし、"使い魔"を召喚せよ」




……生き残れそうなのね。
私達の分まで沢山良い思い出を作って生きてほしいわ


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緊急事態

くっつく餡玉さん感想ありがとうございます!
まだ、自分の文章体系が定まっていませんが、頑張って書いていこうと思います。


「我が名は『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』。五つの力を司るペンタゴン。我の運命(さだめ)に従いし、"使い魔"を召喚せよ」

緑豊かだった平原に通算24回目の爆発が起きた。

桃色がかったブロンドの長髪と鳶色の瞳を持つ少女、ルイズが行った召喚魔法の失敗によるものであった。

「ゼロのルイズがまた、失敗したぞ!」

「いつまで失敗させんだよ!」

周囲に居る既に召喚を終わらせた生徒たちの一部が囃し立てていた。

しかし、ルイズにはその声に対して特に反応しなかった。

ルイズには今までの失敗と何かはわからないものの、何かと繋がったと直感的に気づいた。

真剣に爆煙を見ているルイズを見て、付き合いの長いキュルケは親友(とキュルケは思っている)のタバサに話しかけるのをやめ、召喚したサラマンダーを撫でながらルイズを見る。

未だ広がり続けていた爆煙がピタリと一瞬止まり、爆心地に吸い込まれるように集まり、爆煙の中心にいつの間にかできていた黒い孔に吸い込まれて行った。

その光景には囃し立てていた生徒ですら言葉を失い口をパクパクと動かすだけであった。

毎年使い魔召喚を担当してきた教師であるコルベールは黒孔に本能的恐怖を抱いたが、今までの召喚魔法では鏡が現れているのを思い出し、未知の現象に興奮し始めていた。もう、コルベールの中には恐怖は一欠片もなかった。

黒孔は人を吐き出すと中心に向け折り畳まれるように、小さくなり消えた。

黒孔が消えた直後、ルイズは吐き出された人に近寄っていった。

キュルケとタバサはルイズの後を追い、近づいていく。

それを見送ってしまったコルベールが慌ててルイズ達の後を追いかけた。

ルイズ達は近寄って気づいた。

その人に近づくにつれ気づいた。

その人が女性であり、鉄錆の匂いが強くなっていること、女性が着ているドレスの前側が赤く濡れていることに。

そして、喉元に小さな刺し傷があった。

ルイズ達は話し合わずに学園に連れて帰ることにした。

コルベールはまだ小走りで近づいている最中であった。

ルイズとキュルケはライバルでありケンカばかりしていたが、この時ばかりは協力していた。

タバサが呼んだ風竜に乗せ、ルイズとキュルケがその身体が落ちないように支え、応急処置としてサラマンダーの火で傷を焼き、これ以上の血を流すのを止めた。

「Mr.コルベール!私達は学園に戻ります!」

そう風竜に乗ったキュルケが叫びコルベールが止める暇もなく飛び去った。

血に濡れた緋刃の短剣とエメラルドグリーンに光を放つ花の蕾を象った杖頭の杖を召喚場所に残したまま。



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