終わり無き異世界への旅路 (ユキネコネ)
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設定集
主人公設定


ユキネコネです。注、タグに書いてある基本原作沿い、アンチ・ヘイト、Rー18、R-15は念のため付けている物です。ご了承ください。
主人公の設定は随時更新されます。


主人公

 

名前  旧姓 皐月 雪音 本名 雪代 祐奈

 

年齢  肉体17歳前後(とある事情により精神年齢が10万歳を超える) 

 

性別  女性

 

種族  人間/???

 

趣味  旅、剣術、技術向上、

 

職業  巫女、軍人、刀使、研究者

 

好きなもの  本当に友と呼べる者、最後まで諦めない人、家族、仲間

 

嫌いなもの  屑な人間、面倒事

 

 

旅をしていたら突如箱庭に呼ばれてしまった濡羽色の髪に緋色の目をもった和服の

少女。色々な経験をしており、訳あって色々な世界を渡って色々な物を集めたり習

得したりしている。昔,研究職でもあり、色々とやばい物から優秀のものまで幅広く

作っているい。渡り歩いた世界の中には、英雄と呼ばれたり色々やらかしていたり

する。基本興味があれば何でも出来るようにしている。

雪代家17代目当主。巫女の家系でありながら剣術を扱う為、当主になるには裏の

仕事をする覚悟を問われる。当主は基本人を辞めている為、様々な職に就いている

が大体戦闘職に偏っている。

 

 

ギフト、能力などの説明

 

全て飲み込む(アビスオブ)仄暗き厄災(アンリミティコード)

「雪音が継いだ家系代々の物。今では雪音の手によりその大本を変質させている。

と思っていたらとこよからの爆弾発言で雪音自身の力であり、とこよは親に守っ

てくれと頼まれその力は主を守るために味方も殺す力である。効力は白銀と鏡海

の鍵と似ており武装が変わる。イメージはリメイク版シエル先輩の第七聖典の鎧

と武器にマシュのバイザーをくっつけた感じ。裏詠唱をとコード名を選択する事

で変わる。コードはエクスキューショナーであり、承認された瞬間無条件で戦術

人形化や白雪システムが最大出力される。その際リミッターは全て外され、全て

の能力が上限を大きく超える。体のあちこちに赤いラインが現れる。攻撃全てに

赤い閃光のようなエフェクトなどが発生する。魔法陣の色も赤くなるラインのイ

メージ元は魔術回路。」

 

世界を旅する者(ワールドウォーカー)

「世界を渡る力。その規模はパラレルワールドや他の次元にも転移が可能。

十六夜に言っていたテレポートはこれである。偶に場所が火山の火口近くや海中に

なるので注意が必要になる。行ったことの無い地では何処に出るのか分からない為

に何度も戦場に出て、雪音は少し困っている。」

 

・英雄達の友人

「某英霊達が出てくる世界線にて喋ったり戦闘したり願いを叶えてあげたりした。

その世界からの褒賞である。実は英霊の座について欲しかったりする。第4話の

ヒポちゃんはアストルフォにあった時に乗せてもらったヒポグリフである。とは

本人談」

 

・高性能AI搭載アームドデバイス スノーレイン

「リリカルなのはの古代ベルカ時代に自ら作った、やばい方の発明品。対騎士を

想定しており片手直剣、弓、籠手へと変形する。高性能AIは雪音の趣味で意味は

特にない。あるとすれば旅の時の話し相手である。愛称はリリィである。」

 

・戦術人形化

「ドールズフロントラインの世界線でペルシカ博士に頼み込み共同で開発した

システム。実は他にあるもう一つの力を使用して戦術人形となる為少し面倒である。」

 

白銀と鏡海の鍵(はくぎんときょうかいのかぎ)律者コア

「彼女の本来の能力を使うための鍵。いつもは某正義の味方のアヴァロンと同じく体の

中に入っている起動されると、胸の中心部から出現し左に回り元に戻る。その際、雪音

の服装は騎士甲冑などに変化する。イメージは基本アルトリアのセイバーの甲冑。足や

籠手がランサー。腰や頭にプロトアーサーのフードなどがついているイメージ。ちなみ

にフードは脱着式。口調が変わる。解放する割合により髪や目の色が変化する。本来の

ギフトネームはもっと違う物。縛るものですらない。」

 

・宝具光潰えぬ(エクスカリバー・)白銀の聖剣(レティリアス)

「本来の能力値になった際の雪音の持つ剣。まあ、ぶっちゃけたら聖剣である。

どうして聖剣かは、彼女の過去を知れば分かるのであるがそれはまた、別の話。

余談だが、騎士甲冑は基本出現するが気分で着るか着ないか決める。」

 

・宝具忘れられた龍(ブレイブハート)との永遠の絆(アルビオン)

「言わずもがな、彼女の鞘である。かの友を思って作った鞘であり剣を収める事で真の

力を発揮する。だが、基本的に雪音は使おうとしない。」

 

・結月刀 不知火

「雪音が刀工として作った妖刀。刀身は赤黒いグラデーションで呪いなどを蓄積、吸収することでその真価を発揮する。使用すると敵を斬り倒すまで納刀できなくなる。なぜ御刀の判定を受けたか分からない代物。」

 

・冠位魔術師 緋

「言わずもがな時計塔での階位。これが最高の位であり、魔術師達の頂点である証。雪

音本人はあまり気にせずに色々やったようだ。ちなみに冠位になる前は祭位である。」

 

・蒼糾の聖杯

「聖杯戦争とは違い遥かな宇宙の果てにある深淵の神々の一柱が持っていたとされる

もの。今では雪音の体に定着してしまい摘出不可である。むしろこれのせいで雪音が

聖杯と同義の状態である。不死の原因その2。もう聖杯は器として意味をなさない。

雪音が聖杯の新たな器なのだから・・・・・・」

 

・白雪システム

「雪音が聖杯が定着しきった後に何年もかけて作り上げた自立型の聖杯だった物。

雪音の手により魔改造を受け、もはや元の聖杯とはシステム等がかけ離れている。

例えるなら夜天の書と似ている。違いといえば、管制人格が雪音本人ともう一人で

という一点のみ。雪音自身をシステムの主軸に置くめちゃくちゃをやってのけた。

これにより自動人形化できるようになった。だが、情報量が多いため視界が煩くなる

のでリミッターを掛けている。ぶっちゃけこのシステム開発だけに歳の四割をさいて

いる。」

 

蒼星の書(そうせいのしょ)

「雪花が管制人格を務めるストレージデバイス。基本的に別次元にある書庫内の数え

切れない沢山の魔導書を系統によって分けた、超ミニミニ書庫である。制作理念は、

書庫内で集めすぎて数え切れなくなってしまった魔導書をすぐに使えるようにする。

というものである。」

 

神薙流(かむなぎりゅう)双剣術(そうけんじゅつ)

「初代から続き、この流派を収める者は免許皆伝になった際に自分の中の究極と呼べる

技を作り、追加しなければならない。雪音はもう免許皆伝ではある。この流派は薙刀や

刀を使う流派でFGOの二天一流の様に、何でもやるを基本としている。」

 

・菊一文字則宗

「新選組一番隊隊長、沖田総司が生涯愛用したとされる刀。実際は高すぎるが故に帯刀

こそしていた物の一度しか使用しなかった刀である。世界を旅する者(ワールドウォーカー)を使用して過去の日本に飛ばされた際に新選組と知り合い沖田総司の最後を看取った雪音に英霊になる前の沖田さんの遺言により譲り受けた。神秘が蓄積され続けたお陰で無事御刀になった。勿論宝具としても使用できる。」

 

武装換装型特殊戦艦セキレイ(艦娘の魂)

「雪音が元いた世界で軍属していた頃に上層部が大和と同じく経費度外視で作ろうとした幻の戦艦。時を経て終戦後雪音が雪代家名義で買い取り魔改造した艦であり艦の魂が宿っている為買い取って完成させた。のちの戦いで雪音と共に沈みかけた際に艦これの世界に融合する形で転移した。正式名称はセキレイだが魂と相談して魂の方がセキレイで雪音の方が昔考えていた雪島と言う名前で戦う事に一致した。艦娘時の抜錨する時などの口癖は

「セキレイと私は二人で雪島だ!」である」

 

・深淵の律者

「崩壊の世界での存在意義。キアナ達と同じく人類の為に戦うが、基本的に使おうとしない力。空の律者の持つプレイグジェムなどに似たジェムを用いて戦う事がある。いつもは律者コアである白銀と鏡海の鍵で力を分散させている。」

 

全ての例外(ザ・イレギュラー)

「これがある限りあまねく全ては彼女を侵す事は出来ない。それがかの存在との約束の証明である。「たとえ貴女が忘れたとしても・・・・・・私は守ると誓ったから」この約束を思い出した時この力は真価を発揮する。」

 

・聖遺物ガングニール

「シンフォギア世界にあるガングニールと同一の物。まとう鎧は今は光を失っている、今はこれだけしか分からない。」

 

・東京の勇者

「四国にいる初代勇者と呼ばれる存在よりも前に存在していたとされる勇者。残っている記録が少ないことから公に公表されたことは一度として無い。精霊は猫神様でその勇者は戦う際に神力を纏うという。」

 

花の祝福(ハナの呪い) 

「あったかもしれない可能性、その一つの世界で雪音が獲得した力。本来であれば破滅の力も今はなりを潜めている。」

 

?∞刻の■姫(トW■?イ#オ・?ィーヴ*)

「これは■■。いつか絶対に思い出さなければいけない□■。貴女がいつか向き・わなけ?ばいけない過去。貴女と■の契約、貴女が思いだ+さ>■■■。でもどんな偶然か貴女は聖剣に■の名を付けた。朧げな■■をもって。私は・?”$>010011011010110にいる。忘れないで・・・・・■■?%$?■。」




ユキネコネです。今回は主人公紹介や人物紹介です。
後々増やしていく予定です。それではまた次の話で。


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オリジナルの人物及び場所の設定

名前  とこよ(常世ノ神)

 

 

性別  女性

 

 

種族  神様

 

 

一人称  わし

 

 

二人称  おんし、きさま

 

 

雪音の呼び名  主さま

 

 

 

 

雪音の家系を代々支えた神様。基本的に雪音に判断を任せているが、雪音の

体が危険になると主導権を一時的に奪い辺り一帯の敵を殺しつくす。主に

雪音の戦闘面を補っている。のじゃろり口調。いつもは雪音にしか見えて

いない。というのは建前。その正体は雪音のギフトの一つである全てを飲み

込む仄暗き厄災の本体。元々は不知火に移っていたがある戦いから雪音を守

る為に同一化し雪音を不老不死にした。ぶっちゃけ神や外宇宙の奴らよりも

ヤバいやつである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前  雪花

 

 

性別  女性

 

 

種族  無し

 

 

一人称  私

 

 

二人称  あなた方、○○さん

 

 

雪音の呼び名  マスター、マイマスター

 

 

 

 

白雪システムの第二管制人格。夜天の書で言うリーンフォース。ユニゾンに

似た事を行える。似ているからと言って断じてユニゾンでは無い。基本的に、

雪花がシステムの管理をしており、戦闘時は索敵、防御や自動支援を行って

いる。書庫内部の魔導書の数々を纏めるために開発した蒼星の書の管制人格

も務める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前  雪代 美弥

 

性別  女

 

種族  人間

 

一人称  私

 

二人称  ○○、○○君、ちゃん

 

雪音の呼び名  雪音、雪

 

 

 

雪音の親。本当の親では無いが雪音は気にしていない。雪音をその道に引き

込んだ存在であり雪音の()()の師匠。何者かに殺され雪音を当主に

した後最後に雪音を守るようにとこよに言った。死んだはずなのだが、よく

雪音の夢に出てきて修行を付ける。イメージは刀使ノ巫女の衛藤 可奈美の

夢を想像してください。余談だが雪音は殺さない程度に復讐はしている。

 

 

 

 

 

登場した場所及び明言された場所

 

 

・書庫

「今まで雪音が収集して回った魔導書、スクロール、アイテムなどが保管し

てある場所。書庫の最奥には禁書庫があり、数々の禁忌指定の魔導書が厳重

に保管してある。広すぎて集めてきた本人でさえ場所を明確に覚えていない。

戦闘の際に困るので、蒼星の書が作られた。イメージはパチュリーの図書館

やノーゲームノーライフ、ジブリールの大書庫です」

 

・神薙神社<かむなぎじんじゃ>

「雪代の家が代々継いできた神社。雪音が子供の際、よく広い敷地で師匠(親)

と試合をしたり遊んだりした思い出の場所町から登山道が繋がっており楽な道

か辛い道か選ぶことができる。因みに、雪音はよく森を突っ切っている。」

 

・武器庫

「位置としては書庫の左にある武器庫。ここには英雄達から戦友(ともだち)

証としてプレゼントされたりした武器が置いてある。中には武器と

言えるのか怪しいものまである。例えば艦これの艤装など。」

 

・夢の狭間

「隠世と繋がっている不思議な空間。よく師匠との鍛錬に使用している。此処と

雪音の神社の鳥居を使い特定の手順を踏むことで別の世界に行く事ができる。

箱庭にもこれで行く事ができる。鍛錬場所は神社と屋敷内の道場のどちらかであ

る。隠世の力を繋げて存在している」

 

 

 

 

 



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第一章 問題児の世界へ
YES! 黒ウサギが呼びました!


初めまして、ユキネコネと申します。
何分初めての投稿ですので、温かい目で見守ってくださると幸いです。



プロローグ

 

 

 

「そろそろこの旅もひと段落かな」

 

 

少女、皐月雪音は少しボロボロになったローブを脱ぎ捨て空を見上げながら呟いた。

今の季節は春であり、きっと日本では桜が満開になっており何処の家庭でも花見を楽しんでいることだろう。

 

 

「どうしたものでしょうか」

 

 

雪音は脱ぎ捨てたローブを処理しながら思考をクルクルと回していた。

彼女は、ある程度思考が纏まったところで自身の武器である刀に手を置きながら歩き出した。

この刀は何重にも封印してあるため、その刀身を見ることは叶わない。通常の戦闘では絶対に使わないからだ。

それと同時に、この刀は悩みの種であるとも言えた。

この刀の問題を解決するために、彼女は旅を通して手掛かりを探していた。

自身の実家とも言える屋敷にある資料は全て読みつくしてしまったので、こうして旅に出ていたのである。

 

「もういっその事、異世界にでも行けたらいいのに・・・・」

 

そんなことを愚痴りながら休憩がてらに空を見上げる。

 

 

「あれは・・・・何でしょうか?」

 

 

青空には白い雲がまばらに浮いており、僅かな気流の中でゆっくりと流されている中で不自然な軌道を描く白いナニカ。

それは真っ直ぐに、しかし曲線と不規則な左右の揺れを伴いながら雪音の元に降りてきた。

興味本位で手を伸ばして摘まんでみれば、それが簡素な封筒であると確認できる。

 

 

「こんな所に手紙ですか。宛先は・・・・わ、私?」

 

 

真っ白な手紙をひっくり返し、首を傾げた。

 

 

『皐月雪音様へ』

 

 

こう書かれていたのだから。

だが、これはおかしい。何せここはある国の砂漠のど真ん中であり、なおかつ彼女の名前を

公に知っている人物はとても少ないからだ。

なので、自分の名前が書かれた封筒が落ちてくるなど不審物の何物でもない。

しかし、雪音本人の反応は違った。彼女は、全く警戒する事も無く封を開けたのだから。

 

 

    『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

                     

     その才能を試すことを望むならば、

           

     己の家族を、友人を、財産を、世界の

 

     全てを捨てて、我らの箱庭に来られたし』

 

 

中身のカードにはこれだけが書かれていた。

中身を確認した雪音は、目を見開き、同時に微笑む。

 

 

「確かに異世界に行きたいと言いましたが、本当に行けるとは。ですが、実年齢の方が少年

 

 少女という歳では無いのですが・・・・・気にしなくていいでしょう。」

 

 

少し複雑な心境になりながらも、雪音は勢いよく立ち上がった。

瞬間、彼女の視界が大きくはじけた。体が浮く感覚と共に空が遠のいていく。高度

5000mからのスカイダイビングである。そのまま、体を地上に向けると大きな

湖が見える。そして、驚異的なスピードで水の中にダイブする。

 

 

 

 

 

こんなこともたまには悪くない―――――

 




初めての投稿なので、次話が遅れる可能性が大きいです。ご了承ください。


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十数秒から十数秒の空の旅。終わったと思ったら、次に訪れるのは、水の旅。

 

(水の中ですか・・・・・あの、湖に落ちたんですよね?)

 

コポコポと口の端から空気の泡を水面に上らせながら彼女、皐月雪音は周囲の確認をする。

そこがある程度深いことを確認しながら、彼女は水面へと向かう。

 

 

「―――――ぷはっ!・・・・・・・ッ、はあ・・・・・・・?」

 

 

止めていた息を吐きだして、立ち泳ぎで周りを見渡した雪音は途中で岸辺に上がった二人の

男女を見つけてそちらへ向けて泳ぎ出した。

 

 

「・・・・・・・・・・あ」

 

 

その途中である事に気が付いた。

 

 

「替えの洋服ってありましたっけ?」

 

 

雪音は基本的に桜と椿の模様のある和服を着ている。

だが、今回。急に湖に落とされて何も準備が出来ていない。仮に着替えを持っていたとしても、

異空間に繋がっているポーチのどこかなので、実質的に水に浸かった時点でアウトである。

探すのが面倒くさいなどと考えている間に湖岸についてしまった。

浅くなってきた湖底に足をついてから、水をかき分けて岸に上がった雪音はそのまま湖岸に

腰掛けて羽織を脱ぎながらギュッと絞る。

すると、女性の一人がなにか話し始めたようだった。

 

 

「貴女の名前を聞いていいかしら?」

「へ?わ、私ですか?」

「そうよ、そこの和服の貴女。貴女だけ、名乗っていないもの」

「あー、成程、成程。私の名は皐月雪音です。まあ、よろしくお願いします」

「そう、よろしくね。雪音さん」

 

 

彼女は黒髪の女性に挨拶しながら、周りを見渡す。そこには、黒髪の女性の他に

茶髪の少女、なんだか軽い反応をしている金髪の少年がいた。

 

 

「私の事よりも、今はこの状況を知る方が先決なのでは?」

「あら、私はどっちが先でもいいわよ?」

「・・・・・・・・同じく」

「俺もだな」

「何でそんなところで意気投合しているんでしょうか?ほら、そこの茂みに隠れている方も、

 そうは思いませんか?」

「あら、気づいてたの?」

「空から見えましたからね。それを言うならそっち二人もでは?」

「ヤハハ、かくれんぼじゃ負けなしだからな」

「風上に立たれれば嫌でも分かる」

「へぇ・・・・・・それは面白いですね」

 

 

そんな会話がなされ、四つの視線が茂みへと突き刺さった。

これに焦ったのは、問題児達を遠巻きに観察しようとしていた召喚主。

タラタラと冷や汗を流しながらも、このままでは埒が明かないと意を決して彼女は立ち上がった。

 

 

「あ、あははは。嫌ですねぇ四人様方その様なオオカミもかくやと言わんばかりの目で見られて

 しまっては、黒ウサギの矮小な心臓が悲鳴を上げてしまいます。古来より、孤独と狼はウサギの

 天敵!どうかその視線の矛を降ろして、皆様私のお話を聞いてはいただけませんか?」

「断る」

「却下」

「お断りします」

「頑張れ」

「あは♪取りつく島もないとはこのことですね!」

「あと、お一人様ありがとうございます!!」

 

 

約一名に感謝しつつお手上げだというように彼女、黒ウサギは両手を挙げた。

しかしその内心では、

 

 

(この状況で拒否の言葉を即答できるのは、良い気概です。とにかく、何としてもコミュニティに

入ってもらわなくては!)

 

 

結構したたかなことを考えていたり。

だがしかし、相手は世界の問題児達。そんな彼らの目の間で気を抜いてしまえばどうなるか。

 

 

「・・・・・・・・・えい」

「ふぎゃ!?い、いいい一体何事ですか!?」

「あ、感覚あるんだ」

「ちょっ、初対面で黒ウサギの素敵耳を鷲掴みにするなんて―――――」

「良い手触り」

「話を聞いてくださいよ!?」

 

 

ぐわしっ、と掴まれた黒ウサギのウサミミ。掴んだ茶髪の少女は、モフモフとした手触りわ堪能するばかりで

黒ウサギの抗議を気にも留めない。

ついでに問題児達の興味も彼女に向いた。

 

 

「私も触っていいかしら?」

「へぇ、本物なのか、コレ?」

 

 

金髪少年と黒髪少女の意識も黒ウサギに向けられる。

 

 

「そこの声援を送って下さった人、貴女は助けてくれますよね!?」

「ごめんね。黒ウサギ」

「そ、そんなぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

 

 

 

 

(暇だし、何処かに行きますか。)

 

 

そうして雪音の姿は空気に溶ける様にその場から消えていった。まるで、最初から彼女は

存在しなかったかのように忽然と。

 

 

 

 

 

 

 

一時間後

 

 

 

 

「あり得ない、あり得ないのですよ・・・・・・!まさか耳を触られるだけで小一時間も潰れるだなんて!」

 

 

 

ヨヨヨ、と泣き真似をする黒ウサギ。彼女の自慢のウサミミは触られまくって毛羽立ってしまっていた。

とはいえ、

 

 

「・・・・・・満足」

「良い手触りね、敷物にもよさそうだわ」

「ん?」

 

 

ホクホクと顔をほころばせる茶髪の少女、春日部耀と黒髪少女、久遠飛鳥は満足な様子で

自分の手を見つめたりついてきた三毛猫を撫でたりしている。

だが、金髪少年、逆廻十六夜はある事に気づいて眉を上げた。

 

 

「なあ、あの和服少女何処に行った?」

「え?」

「・・・・・・・そう言えば」

 

 

問題児三人が辺りを見渡そうとも、既に和服少女は影も形もない。

 

 

「面白いな、アイツ」

「・・・・・・・臭いも、残ってない」

「まさか、幽霊だったりしないわよね?」

「いや、あいつには実体があった。それに見ろよ、あいつの座ってた場所は水で濡れてる。綺麗に形が残ってるだろ」

「あら、そうね。それじゃあ、彼女は何処に消えたのかしら?足跡は・・・・・残っていない 

 みたいだけど」

「さあな、そこは分からねえよ。空を飛べるのか、若しくはテレポートか。臭いは残っていないだろ?」

「・・・・・・・うん」

「それじゃあ、テレポートか。音もせずに俺の前から消えるとか、やってくれるじゃねえか。面白れぇ」

 

 

好戦的な笑みを浮かべる十六夜。しかし、彼にも雪音を追う術は無い。

 

この後、黒ウサギが雪音の居ない事に気づいて再び慌てることになるのだが。それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すいすいと足場が悪い森の中を、道を通ることなく雪音は横断していく。

不可解なのは、彼女が歩く道だ。足音は愚か、草花が踏まれる音や擦れる音も一切してこないのだ。

 

 

(本当に便利ですね、コレは。習っておいて正解でした)

 

 

異端の技術を駆使しながら、雪音の感想はこの程度。

彼女が向かっているのは、空から落ちている際に見えた天幕のある巨大建造物のあった方角。

理由は、暇だったことと興味があった為である。森の木々を抜け、草葉を踏みしめる事無く

踏破してやがて雪音は、石造りの壁の前にやってきた。門の向こうには沢山の人の姿があった。

 

 

(良いですね、ここでならこの刀もどうにかできるかもしれませんね)

 

 

門の先はやはり異世界。人類という種族のみならず、獣人や人型の無機物等その数は様々。そんな

人込みの中を、雪音はすり抜けるように動き回った。彼女に気づく者は誰もいない。

そのまま町中をウロウロしながらやがて、彼女はある店に辿り着いた。

辿り着いた店は、武具店であった。刀から直剣、メイスや盾などの様々な武具が所狭しと並んでいた。

 

 

(お邪魔しまーす)

 

 

気配を消したまま雪音は入店を果たすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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集中していると、時間が短く感じる事がある。

 

 

「はあ、やっぱりもう少し大きいお店の方がいいのでしょうか?」

 

 

立ち寄った武具店の資料を勝手に読み進めていた雪音は、もう用はないとばかりにそっと

顔を上げた。

場所は、偶々見つけた武具店の奥の資料室。様々な武器の伝承などがあるが刀の資料は

少なかったのである。

 

(そろそろ出ますか)

 

剣を買う気も無いのにのさばり続ける客程邪魔なものは無い。ただ、雪音には古紙一枚

買い取れるような金も無いのだ。資料を元に戻して店員にバレる事無く外へ出た。

空は暗くなりかけており、陽光は見えない。道行く人々も疎らとなっており、この街に

来た時とは真逆とまでは言わないまでも様変わりしていた。

 

(さて、この後はまた散歩でもしましょうか?)

 

誰にも感知される事無く、雪音は道を歩く。

動きやすいようにスパイクに和服という装備の彼女だが、石畳を歩けば普通に音が鳴る

筈だが、やはり彼女の足音はしない。小石を蹴る音もしなければ、衣擦れの音もしない。

前から歩いてくる獣人を躱した雪音だが、当の躱された獣人はその接近に気づいた様子

は無かった。

まるで透明人間だ。いや、単に透明化しただけでは匂いなどでばれてしまうのだが。

とにかく、雪音は誰にも気づかれる様子が無かった。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

石畳の道や路地を進んでいた雪音は、大きな噴水のある広場へとやって来た。そして、

 

 

「あれ?聞き覚えのある声がしますね」

 

 

ある騒ぎに気付く。

遠目から見てみれば、カラフルヘッドな一団が噴水の前で騒いでいるではないか。

周りでは通行人が足を止めて、人だかりができている。ここで雪音は、

二つの選択肢。声を掛けるか、否か。

無論、状況的には声を掛けるのが一番だろう。だが、彼女が考えるのはその流れ。

 

(・・・・・・少しめんどくさいですね)

 

だが、彼女は一旦考えるのを辞めて合流する事にした。

まずは、今自分で行っている透明人間まがいのコレを止める。そして何食わぬ顔で、

 

 

「さっきぶりですね、皆さん」

 

 

片手を挙げて挨拶をした。

自然な動作であった。それこそ、最初からそこにいたのではないかと思われそうな程に。

 

 

「・・・・・・ゆ、雪音さん、だっかかしら?どうしてここに居るの?」

「ここに居たら、何か悪いんですか?」

「・・・・本物よね?」

「生憎、私はドッペルゲンガーでは無いですよ。」

「お前、テレポートでも出来るのか?」

「テレポートに近しい事なら出来ますよ?やりませんが」

「ヤハハ、出来るのかよ。それならこの場で種明かしはしてくれねぇのか?」

「何故ですか?」

「気になるから。種を明かすか、さっき口にした事をやるか、二つに一つだぜ?」

「・・・・・・・・はぁ」

 

 

いい笑顔で詰め寄ってくる十六夜に、雪音はため息をつきついて声を掛けた事を少し後悔

しながら今一度披露する。

 

 

「なっ―――――!」

「・・・・・・・・・うそ」

「ど、どうなっているの!?」

 

 

すーっ、と雪音の姿は空間に溶けるように消えていき、気配が完全に霧散してしまう。

これに驚くのは、問題児三人。一挙手一投足見逃さないようにしていたのに、次の瞬間には

目の前で消えて追いかける事すら出来なかったのだから。

思わず、十六夜は手を伸ばすがその指先が対象を掠める事は無い。耀が鼻を動かしても

匂いはたどれない、耳にも音が響かない。飛鳥が周囲を見渡しても、何処にも彼女の姿は無い。

そして、この光景を見ていた二人、黒ウサギとジン=ラッセルもまた目を見開いた。

 

 

「ジ、ジン坊ちゃん。黒ウサギは夢でも見ているのでしょうか?」

「・・・・・・・・えっと、僕の目にもあの人が消えたように見えたんだけど」

「ですよね!?ま、まさか透明になれ恩恵でも持っているのでしょうか?」

「だったら可笑しいよ。耀さんは鼻が良いみたいだし、只透明になっただけなら黒ウサギの耳

 でも追えるんじゃないかな?」

「残念ながら、完全に見失っています。・・・・・・く、黒ウサギの耳も無効化するなんて!」

 

 

ジンはともかくとして、黒ウサギは己の力には一定の自信があったのだが、その上で彼女は雪音

の動きを追い切れていなかった。

意味が分からないと思う。だが、次の瞬間に更に驚くことになる。

 

 

「満足はしましたか?」

「「「「「!?」」」」」

 

 

なんと、雪音が再び目の前に現れたのだから。それでも、最初に立っていた場所から殆ど動く事無く。

驚く五人に、しかし当の本人は肩をすくめるだけ。そして口を開いた。

 

 

「何でしたっけ、確か・・・・・圏境でしたね。音を消して、気配を周囲に溶け込ませることで

 相手に視認されなくする技術です。無理やりに覚えさせられましたが、疑似的な透明人間です

 ね」

 

 

事もなげにそう語った雪音だが、相当なことを言っている自覚はないらしい。

再起動を果たしたのは、十六夜。

 

 

「・・・・・・・ハ、だったら俺にも出来るのか?」

「まあ、単なる技術ですしあなたなら出来るのでは?その代わりに時間が掛かると思います」

「へぇ・・・・・だったら今度教えやがれ!」

「うるさいですね。圏境の仕組みは教えたので後は自分でしてください」

「チッ、ペラペラしゃべると思ったんだがな」

「人に聞いたらだめですよ。まずは自分でやらないと意味ないですよ」

 

 

ここでようやく残りの面々が復活してきた。

その中でも詰め寄ってきたのは、黒ウサギであった。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「おや?どうかしましたか、ウサミミさん」

「ウ、ウサミミ!?私は黒ウサギです!―――――じゃなくて!今まで何処に行ってらしたんで

 すか!?」

「あぁ、ちょっとした野暮用ですよ。」

「だからその内容を―――――」

「それは言えませんね。まあ、私も用がなくなれば旅を続けますよ」

「・・・・・・その用とは、恩恵ですか?」

「そうなるのかな?私は受け入れているけども、別の問題を解決しなくちゃいけなくなったからね」

「そ、そうでございますか・・・・・・そうでした!お名前を聞いても?」

「ああ、名乗っていませんでしたね。私の名は皐月雪音です。雪音、もしくは雪と呼んでくださ

 い。短い間ですがよろしくね!黒ウサギ」

「はい!よろしく・・・・・・え?どうゆうことですか!?」

「私はこの刀の問題を解決できなくともできたとしても、旅は続けるつもりだからね、また縁が

 あれば会えるかもだけど」

 

 

少し悲しそうに言った雪音だが、彼女の過去を知れば皆引き留めようとするのだろう。

 

 

「私の話はもういいでしょう?それより、皆さんどこかに行くのでは?」

「あ、そうでした。これから”サウザンドアイズ”に行くところでした!」

「千の瞳ィ・・・・・・?なんだよ、それ店か?」

「YES!瞳の恩恵を持つ商業系のコミュニティですね!コミュニティと言うのは―――――」

 

 

 

黒ウサギ説明中・・・・・

 

 

 

「つまり、ゲームするためのギルドですか。ソロプレイは不可能と」

「そうですね。一定の期間ならソロも可能ですが・・・・・」

「まあ、それは現状むりそうね」

 

 

そうして五人は歩き出す。ジンは先に帰ってしまい、雪音も便乗しようとして、首根っこを掴まれ

とりあえず行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 



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ユキネコネです。皆様お待たせしました。壊れていたWi-Fiが復活しましたので投稿させて
いただきます。投稿頻度は遅いですがこれからもよろしくお願いします。

そろそろ主人公の設定を公開しようと思います。お楽しみに!


 

 

石畳によって舗装されたペリドット通りを行く一同。

 

 

「しかし、なんでそんな事をしたんです?」

「私達の心の問題よ。それから、貴女は出さないわよ」

「言われなくとも出ませんよ。でも、無茶はあまりしないでください。貴女達が

 傷ついたら悲しいです」

「・・・・・・・分かったわ」

「はい。約束ですからね!]

 

 

並木道を行きながら、雪音は明日行われるギフトゲームについて飛鳥達に話を聞いていた。

技術と称した圏境を目の前で見せられた時には、らしくもなく驚愕した。だが、今話してみれば

年相応の少女のようだと飛鳥は思った。

 

 

「―――――ん?」

「どうしたの?って、桜の花びら?いや、違うはよね。今は夏の筈だもの」

「へ?まだ桜の咲き始めでは?」

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合の入った桜が残っていてもおかしくないだろ」

「・・・・・・・今は秋だったと思うけど?」

 

 

雪音が摘まんだ花びらを見て、四人揃って首を傾げた。

噛み合わないそれぞれの主張に、黒ウサギが笑いながら解説を入れる。

 

 

「皆様それぞれ違う世界から召喚されているのデス。歴史や文化、生態系等細かな部分に違いがあるのかと」

「パラレルワールドってやつか?」

「近しいですね。正確には、立体交差平行世界論と呼ばれるものですね。とは言え、説明には二日三日

 かかるのでまたの機会にしましょう。」

 

 

それだけ言って、黒ウサギが振り返った。どうやら目当ての店に着いたらしい。

向かい合う双女神の旗を揺らしたその商店は、今まさに従業員が暖簾を下ろしている所だった。

 

 

「待っ―――――」

「待ったは無しです、お客様。本日の営業は終了いたしました。」

 

 

下される暖簾に、黒ウサギは恨みがましく見ていることしかできなかった。

ただ、相手は超大手の商業コミュニティ。押し入りなどできるはもないし、やってしまったらどん

な不利益を生むか分かったものではない。

 

 

「なんて商売っ気の無い店なのかしら」

「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

「文句があるのなら、どうぞ他所へ行かれればよろしいかと。貴方方は今後一切出禁としますが?」

「出禁!?こんな事で出禁なんてあんまりです!!お客様を舐めているのですか!」

 

 

キャンキャン喚く黒ウサギ。

そんな彼女を斜め後ろで眺めていた雪音は、店員の事も分からなくはないと思った。

 

 

「どうした、考え込んで?」

「へ?ああ、ただ店員さんの言うことも一概には言えないと思っただけですよ」

「へぇ、それじゃあその理由を言ってみろよ」

「まず初めに店側の事情です。閉店時間になった後も店員さんは掃除などをしなければいけませんし

 閉店間際なのに客を相手にしていれば必ず時間が掛かりますから、下手をすれば人件費がばかに

 なりませんからね。まあ、他にもありますがひとまずこんな所でしょう」

「結構なこと語ったじゃねぇか。何かバイトでもしていたのか?」

「まあ、バイトと言うよりも管理をしていたので店員の方は余りわかりませんがね」

「あん?」

 

 

思いのほかよく喋った雪音に相槌を打ちながら十六夜は内心面白いと頬を歪めた。

存外、彼女はよく喋る。見た目は和服に刀を差しているという現代ではまずありえない格好だが

その実以外に考えがしっかりしている。

一番気になるのは彼女の話にあぅた解決すべき問題などだろうが、今はまだ聞けないだろう。

 

 

「いぃぃぃぃぃぃやっほぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!久しぶりじゃな黒ウサギぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

「きゃぁあああああ!?白夜叉様なぜここに!」

 

 

ドップラー効果を起こしながら、白髪頭の和装少女が文字道理飛び込んでそのまま近くの水路に

黒ウサギごと突っ込んでいった。その光景に店員は頭を抱え、十六夜は興奮した様子で店員に近づいた。

 

 

「・・・・・・おい店員。この店にはドッキリサービスでもあるのか」

「ありません・・・・・・」

「なんなら有料でも」

「いたしません」

 

 

マジな顔の十六夜、これまたマジな顔の店員。二人そろって真面目な表情で対応していた。今回は

店員に軍配があがったようだ。

ついでに、面倒な気配を察知して雪音はどうしようか迷っていた。

 

 

「・・・・・・はなしてくれますか?」

「駄目よ。逃がしたら、貴女の秘密を知れないじゃない」

「・・・・・・・・・同じく」

「えぇぇぇぇ、関わりたく無いですよ」

 

 

そう言いながら雪音が指さす先では、今まさに黒ウサギが和装少女をぶん投げ、十六夜が足で受け止めて

いる所であった。逃げないと約束して二人を送り出した雪音は、ため息をついた。

 

 

???〚主さま、もう潔く諦めたらどうじゃ?どうせもうしばらくすれば事実を吐くことになるであろう?〛

「はぁぁぁ、ここに来てから話しかけてこないと思ったらどうしたんですか?」

〚あの白髪の少女が只者ではないと思い話しかけたまでじゃ。心配しなくともバレはせんよ。そんなことより

 普通にはなしておる主さまの方がわしは心配じゃよ〛

(そうですね。ですが、貴女達の問題を解決する為に旅をしているんですからね)

〚そうは言っても元はと言えば主さまの力ではないか〛

(事実なので言い返せません。うぅぅ、早くどうにかしましょう!)

 

 

そう言いながら店の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サウザンドアイズ店内、白夜叉の案内で五人と一匹と先ほどの一人?はとある和室に来ていた。

因みに、店員が文句を言っていたが白夜叉がもみ消した。

 

 

「では、改めて。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構える”サウザンドアイズ”の幹部、白夜叉だ。

 この黒ウサギとは少々縁があってな?コミュニティ崩壊後も、こうして交流を持っておったのだ。」

「はいはい、それはもうお世話になっておりますよー」

 

 

少々投げやりに返す黒ウサギだったが、そこに彼女の気安さが感じられた。

彼女の隣で、耀が首をかしげる。

 

 

「・・・・・・・・外門って?」

「箱庭の階層を区切る壁に設けられる門のことですよ。数字が小さくなるほど中心に近づいて、より

 強力な力を持つ者達が住んでいるのデス」

 

 

説明しながら、黒ウサギは部屋にあったボードに上空から見た箱庭を書いていった。

 

 

「七つに分かれているのか?」

「・・・・・超巨大玉ねぎ?」

「いえ、超巨大バウムクーヘンではないかしら?」

「確かにバウムクーヘンに見えますね」

 

 

うんうん、と頷く緊張感のない四人に黒ウサギはガクリと頭を倒すが白夜叉はカラカラと笑みを浮かべる。

 

 

「ふふ、上手いこと例える。そう考えれば、この七桁の外門はバウムクーヘンの一番外側の皮に当たるな。

 更に言うならば、ここは東西南北の四つに区切られた地区の内、東に当たる。ここより外に出れば、コ

 ミュニティには所属していない強力な恩恵を持つ者達が跋扈している箱庭の外になる訳だ」

 

 

その水樹の主の様にな、と白夜叉は黒ウサギの持つ水樹の苗を見る。

 

 

「して、誰がどの様にして手に入れたのだ?智恵か、はたまた勇気か?」

「いえ、この水樹はここに来る前に十六夜さんが、素手で蛇神を叩きのめして勝ち取った物です!」

「なんと!?ゲームのクリアではなく、力で屈服させたと言うのか!?では、その童は神格持ちの神童か?」

「いいえ、神格持ちならすぐ分かる筈です。今回はその件で伺ったのですが・・・・・・」

 

 

黒ウサギが話す中で、雪音は少し十六夜について思案していた。

 

 

(こう言うのはあれですが、この人本当に規格外ですね。)

〚みな、主さまにだけは言われとう無いと思うんじゃが?〛

(なんでそんな事言うんですか!?私はあんなに非常識じゃありませんよ!?) 

〚まだそんな事を言っておるのか・・・・・・・〛

 

 

言い争っているといつの間にか話が進んでいた。三人が白夜叉に喧嘩でも売ったのだろうか?

 

 

「それでは問うが、おんしらが望むのは私との対等な決闘か?それとも私への挑戦か?」

 

 

瞬間、世界が豹変する。

 

白い地平線の覗く山。森林の湖畔。

 

白い雪原と凍る湖。水平に廻る太陽が常に薄く照らす世界。

 

そんな世界の中心で、白夜叉は悪戯が成功した子供のような笑みをみせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と言う訳で今回の話が終わりました。今回は新たに一人雪音さんと喋っていた人物が
いました。この人物は次か、次の次位に名前を明かしたいと思います。それではこれから
もよろしくお願いします。


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(これと似たような事は出来ないかな?)

〚出来ないことも無いじゃろうな、と言うか自分でできるではないか主さま?〛

(そうだったっけ?まあ、後で考えよう)

 

 

そんな事を考えながら距離をとると雪原に座り込んで辺りを観察していた。

 

 

「それで?そこのおんしはどうする、私と同じ和服の」

「どうしましょうかねえ」

 

 

座り込んでいると後ろから声を掛けられたので振り返りながら答える。

そこには腰に手を当ててニヤリと私の事を見ている白い魔王の姿があった。

 

        

「あの童達は私に試されてくれるらしいぞ?」

「・・・・・・・それじゃあ挑戦でお願いします」

「随分あっさりしておるの。何か考えていたようだがどうしたのだ?」

「貴女は魔王だと言いましたよね」

「さよう、私は”白き夜の魔王”太陽と白夜の星霊、白夜叉である」

「白夜叉・・・・・貴女は仏教に帰依でもしているの?」

 

 

雪音の問いに、白夜叉の眉がピクリと動いた。

 

 

「ほう、何故そう思った?」

「白夜叉は太陽の星霊なのでしょう?神霊、龍、星霊。この三種が箱庭の最強種で頂点が星霊で

そこに神霊や龍が続いている。なのに信仰の中で最も最古に近い太陽の星霊のはずなのにどうして

夜叉を名乗っているの?確か夜叉は八部衆の一角だった筈です。一宗教の眷属と太陽の星霊じゃ

どうしてもその神格に差などの違いが出すぎると思うのですが」

 

 

そう言い、彼女は自身が感じた違和感をつげた。

彼女の言葉にハッとする十六夜。

 

 

「成程・・・・・・俺が感じた違和感はそれか」

「どう言うことかしら?雪音さんは何をいっているの?」

「・・・・・・・説明を要求」

「え?ああ・・・・・・白夜叉は言っただろ?太陽の星霊だって。それなら最強の魔王だって名乗っても

不思議じゃない。古代エジプトが顕著だが、太陽信仰はどの歴史でも見る古いものだからな。だが白夜叉

は”白夜”であると同時に”夜叉”でもある。雪音が言っていたように夜叉は仏教に取り込まれた釈迦の

眷属の一体。元はインド神話の方だが今はおいておく。要するに、今の白夜叉は弱体化しているって訳だ」

「それでも、あの威圧感なのよね?ちょっと自信なくすわ」

「・・・・・次は負けないから」

 

 

少なくとも今の彼らには白夜叉に勝つのは難しいだろう。だが、今後どうなるかは分からないだろう。

 

 

「―――――ふふ、面白い童達だの。十六夜のみならず・・・・・おんしは何と言ったか?」

「皐月雪音と言います」

「ふむ、雪音か・・・・・では雪音よ、おんしはどうする?」

「・・・・・・私は、私の問題の解決等が出来れば良いです」

「恩恵の鑑定か?うむ・・・・・・もろに専門外だが・・・・・・ゲームをクリアすればしてやろう」

「ふむ、ではおんしらのゲームはこれにしようか。丁度、あ奴も来たようだしの」

 

 

白夜叉がそう言えば、遠くの山脈から鳴き声が聞こえてくる。それは幻想の存在、幻獣の中でも空において

強者に位置する存在。鷲の翼に獅子の下半身、その翼に風を受け空を踏みしめる空の王者。

 

 

「グリフォン・・・・・・うそ、本物?」

 

 

興奮した様子で珍しく声を荒げる耀。その瞳は興奮によりとてもキラキラしていた。

 

 

「シャルルマーニュの所のヒポちゃん元気かなぁ」

 

 

こちらでは、雪音が何やら昔を思い出し懐かしんでいた。

 

 

「では、そろそろはじめるぞ」

 

 

そう言いながら、白夜叉は一枚の羊皮紙を取り出した。

 

 

「ギフトゲーム   ”鷲獅子の手綱”

 

 

 プレイヤー一覧  逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          皐月 雪音

 

 クリア条件

    グリフォンの背に跨がり、空を駆けよ

 

 

 クリア方法

    力 知恵 勇気 のいずれかで

    グリフォンに認められる

 

 

 敗北条件

    降参、もしくはプレイヤーが上記の勝利条件を

    満たせなくなった場合

 

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗、ホストマスターの

    名の下に、ギフトゲームを開催します。

 

 

              ”サウザンドアイズ”印」

 

 

以上がその羊皮紙の内容だった。

 

 

「さて、誰が挑戦する?」

「私がやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果は問題児チームの勝利で終わった。耀が見事にグリフォンを乗りこなし

新たな力を手に入れての勝利であった。

 

 

「系統樹ですか・・・・・・・」

 

 

その勝負を見ていた雪音は、耀が首から下げた恩恵に集まる彼らを見ながら呟いた。

 

 

(恩恵は誰かからの貰い物も入る。なら、私の中のこの厄介な力も恩恵たリえるのでしょうか?)

〚いや、違うぞ主さま。それは恩恵ではないが、あの、なんじゃったか?白夜叉とやらが持っていたカードには

恩恵と認識されるであろうがな〛

(え?それはどう言う意味ですか、とこよ)

〚やっとわしの名前を呼んでくれたの主さま。いつもはもっと日常的に読んでくれるのにのう少し寂しかったのじゃぞ〛

(そんなこと言ったって・・・・・私だって忙しかったんですよ、この世界に来てから)

〚なんじゃその間は。まあ良い、そろそろ話が進むようじゃからの。今度はあ奴も起きてくるじゃろう〛

(そうですね。暫く頑張ってもらいましたから、この世界ではなるべく楽しんで貰いたいですね)

〚そうじゃの。その力の事は寝る前にでも話すとしよう〛

 

 

とこよと自身の力等について話していた雪音にとってこの力を制御、もしくは封じることが命題だった。

だが、この力が恩恵で無いのなら何なのだろうか分からなくなってしまった。まあ、勝ったのだからこれを

鑑定して貰ってからでも遅くはないだろうと考えながら雪音は白夜叉達を見た。

 

 

「本っ当にわかりませんね。この力は加減が効かないというのに」

 

 

呟いた直後、雪音の手元に一枚のカードが落ちてきた。それは、他の三人も同じだった。

 

 

 

 

コバルトブルーのカード  逆廻 十六夜 

ギフトネーム       正体不明<コードアンノウン>

 

 

ワインレッドのカード  久遠 飛鳥

ギフトネーム      威光

 

 

エメラルドグリーンのカード  春日部 耀

ギフトネーム         生命目録<ゲノムツリー>

               ノーフォーマー

 

 

プラチナにスカイブルーのカード  皐月 雪音

ギフトネーム           全てを飲み込む仄暗き厄災

                 世界を旅する者<ワールドウォーカー>

                 英雄達の友人

                 高性能AI搭載アームドデバイス”スノーレイン”

                 戦術人形化

                 ????????

                 ????????

                 ????????

                 ????????

                 ■銀の■■鍵

                 宝具光■えぬ■■の聖■<??????>

                 宝具忘れ■■た龍■の永遠の■<?????>

                 etc

 

 

それぞれの名とギフトが書かれたカード。声を上げたのは黒ウサギ。

 

 

「ギフトカード!」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「ポイントカード?」

「おふざけ厳禁です四人様!これはギフトカードと言って超高価なものなんです。これさえあれば、一発

でその人のギフトを確認でき、耀さんの生命目録や十六夜さんの水樹を収納する事もできるのですヨ」

「つまり、素敵アイテムって事でオッケー?」

「どうしてそう軽く流すんですか!!そうですよ超素敵アイテムですよ!?」

 

 

キャンキャン吠える黒ウサギだが、そんなもので問題児達が食い改まるのなら、そもそも問題児とは

呼ばれないであろう。そもそも

 

 

「すっごい虫食いがひどいですねーコレ。まあ分かりますが。ですがこの四つは・・・・・とこよが

やりましたね。」

〚主さまは見られれば困る物が多いであろう?隠してやったぞ。〛

「ありがとうございます。ですが、とこよの事はかかれないんですね?」

〚そもそもわしはギフト以前の問題であろうよ。もし言うのならば一つ目のギフトと関係しておるな〛

「そうですか。ですが、友達ですか彼女たちと、久しぶりに嬉しい事もあるものですね」

 

 

今まで名称の分からなかった恩恵や恩恵モドキの中身は多すぎて少し眩暈がしたが、存外嬉しい物もある

ということだった。ただ、所々虫食いで見えている部分の二つ以外あまり分からなかった。

 

 

「むぅ・・・・・”ラプラスの紙片”が二度もエラーを吐き出すだと?一体どうなっている?」

 

 

雪音含めて十六夜までギフトカードにエラーが起こったのだ。穏やかではいられない。何より。

 

 

「おい、雪音」

「なんです?白夜叉さん」

「おんし、このギフトをどうにかしたいと言っておったな?」

「ああ、いえ、少し威力を加減できるもしくは封じ込めるギフ―――――」

「忠告だが・・・・・悪いことわ言わん。止めておけ」

「は?」

 

 

時間が止まった。世界が急激に白黒になっていく。降り積もった雪に音が吸われ辺りは静寂だけがすぎる。

何を言っているのか分からないとばかりに固まってしまう雪音。真っ直ぐに白夜叉を見てはいるが動揺を

隠しきれていないようだった。

 

 

「酷な事を言っておるのは分かっておる。其の上で、おんしが自らの手で制御した方が身の為だと、私が

思っただけじゃ」

「・・・・・・どうしてですか?」

「おんしのギフトはギフトカードにエラーを吐かせた。何よりそのギフトはおんしの家系によるものでは

ないかの」

「ええ、そうですがなぜそれが止めることに繋がるのですか?」

「おんしが言っているギフトはどれじゃ?」

「一番上のものと、後は―――――です」

「ふむ、やはりか。おんしのそのギフトは多分じゃが可能性として他からのギフトは暴走かもしくはギフトを

逆に侵食するであろう。迷惑をかけたくなければ止めておけ」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

その言葉で雪音はただ黙るしかなかった。

                 

 

 




はい皆様。ユキネコネです。今回は主人公のギフトや謎の声の主の正体がわかりましたね。
さてさて、次の話ではどうなるでしょうか。それではまた次のはなしにて。
読んでくださりありがとうございました。


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「・・・・・・・・はぁ」

 

 

疫病神になりそうな勢いで雪音は落ち込んでいた。原因は言わずもがな、白夜叉

との一件に端を発する。流石にここまで落ち込んだ相手に突っ込むほど四人と一匹

は不躾では無かった。

 

 

「おちこんでいるわね」

「・・・・・・・・うん」

「ま、無理無いだろ、長年どうにかしようとしていたことが水泡になっちまたんだから」

「ですが、雪音さんのギフトは一体何なのでしょうか?白夜叉様は圏境を武術体系だと

仰っていましたし」

「そう言えば、圏境は技術なのよね?たしか”気”を使うんだったかしら?」

「でしたら、雪音さんのギフトは武術の達人などでしょうか?」

「いや、多分違うだろ。もし武術に関するギフトならギフトカードに出るはずだ。

例えば武芸百般や武の達人みたいにな。だが、雪音のギフトカードには色々と虫食い

の物が多かった。多分その中のどれかが当てはまると思うぜ」

 

 

落ち込んだ雪音の前、遠くから歩いている四人が話しているのは白夜叉に止めておけ

と言われた彼女のギフトについてである。若干一名お通夜モードに入りかけているが

無情にも時間は進む。噴水の広場を超え暫くして、彼らのコミュニティであるノーネ

ームの本拠地の前についてしまった。

 

 

「・・・・・・・・少しショックな光景が見えると思いますがご容赦ください。これも

前に進むためなのです」

「ショックなこと?」

「YES!それは、戦いの名残なのですよ。とりあえず、中にお入りください」

 

 

黒ウサギに促され門の中に入る。

 

 

「・・・・・・・おい、黒ウサギ。その魔王と戦ったのは何百年前なんだ?」

「・・・・・・・・僅か三年前でございます」

「ヤハハ、そりゃ面白い。断言するぞ、どんな力がぶつかってもこんな風化した街並み

が残るなんてありえない」

 

 

そう、眼前には風化した街並み。それも、全てがつい先ほどまで誰か住んでいたと

思わせるものであった。そして、忽然と人だけがその場で消えたとも錯覚する光景

が広がっていた。

 

 

「見て、ベランダにティーセットが出ているわ。まるで、人がフっと消えたみたいね」

「・・・・・・生き物の気配も感じない。人が住まなくなって整備もさせれていないのに」

「これは、私の力ではどう頑張っても一部しか復活させることができなそうです」

「お、復活したか」

「雪音さん、さっきの言葉は本当でございますか!?」

「ああ、準備を整えたらできると思うけど・・・・・・」

 

 

先ほどまで死んでいた雪音は、周囲を見渡しながらそんなことを呟き黒ウサギがその

話に食いついてきたので少し驚いてしまった。

 

 

「あら、蘇ったのね」

「あの、勝手に殺さないでくれますか飛鳥さん。私はまだ死んでいませんよ」

「でも、さっきは相当気配が死んでいたわよ?」

「それは・・・・・解決の糸口がいきなり消えたのですから気配も無くなりますよ。

ですが、いつまでも落ち込むわけにいきませんので切り替えただけです」

「前向きじゃない。そう言うの、私は好きよ。所でさっきの話は本当なのかしら?」

「ありがとうございます。それについては、色々物資を集めて儀式をするんですよ」

「・・・・・・その儀式ってなに?」

「私は元々巫女の家系でもあるので神楽を舞うんですよ春日部さん」

「・・・・・・耀」

「へ?」

「耀ってよんで。お願い」

「わかりました。耀さん」

「・・・・・・・それで良い」

 

 

儀式について疑問を持っていた飛鳥達に説明をしつつ雪音は今後のことや材料の事を

考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノーネームの構成員は子供が多く、約二百人ほどの子供+ジンや黒ウサギといった

構成であったが今回の召喚により、新たに四人のプレイヤーを有することになった。

その夜、雪音は皆に言い飛鳥達より先にお風呂に入って先に寝室で休んでいた。

 

 

「それで、とこよ。この力の事について約束通り聞かせて貰いますよ」

〚分かったのじゃ。その力は雪音の嫌、雪代の家系は代々刀を使う巫女の家系だと

雪音は知っておるな?〛

「ええ、知っていますよ。その延長線上で政府のお偉いさんと縁があったり裏の仕事

をしている事も」

〚ああ、そうじゃ。わしは代々雪代を支えてきた神じゃ。今の主さまがいまだ旧姓の

皐月雪音を名乗るのは良いのじゃがちとめんどいの。どうじゃ、これを機に仕事で

だけでは無く日常でも雪代を名乗らんか?〛

「はあぁぁぁ。またですか。何度言えば良いんですか?私は好きでこの名を名乗って

いるんです。まあ、雪代も好きですがそれはそれ、これはこれ、と言うものです

喧嘩売ってんですか?ホントに。もういいです。私はもう寝ます」

 

 

そうぶつくされながら雪音はとこよとの問答を終えて眠りにつこうとした。

その時・・・・・

 

 

 

ガアァァァァァァン!!

強い衝撃と共に遅れて音が聞こえてきた。雪音は眠気も覚めて、何事かと寝室の窓から

一階まで飛び降り音の発生源まで駆け足で急ぐのだった。

 

 

「何事ですか!?襲撃で・・・も。・・・・・・い、十六夜さん?何をしているんですか?

それに、貴方方は?」

「おお、雪音じゃねえか。今は”フォレス・ガロ”の連中が侵入して来たんで、石を投げて

そこの草むらから出てきて貰ったとこだ。そう言う雪音はどうしたんだ?そんな急いで?」

 

 

フォレス・ガロの団員だと思わしき沢山の亜人を指さしながら、十六夜が状況を説明していた。

団員達が隠れていたであろう草むらは、無残にも木々がなぎ倒され何人か気絶している者も見

受けられる。本当に、どんな馬鹿力なのだろうか。急いでいる理由を聞かれた雪音は、その

光景に天を仰ぎ、言葉を失った。

 

 

「・・・・・・・・急ぐ理由を作り出した十・六・夜・さ・ん?なぜここにフォレスガロの団員

が居るのか、教えてくれま・す・よ・ね?」

「オイオイ、そんなに怒「く・れ・ま・す・ね?」お、おぅ、分かった、分かったからそうカッカ

すんなよ」

〚・・・・・・・主さま、そんなに怒らんでも・・・・・〛

(ちょっと黙って貰えますか?)

〚なっ!そんな事言わ(黙れ!!!)・・・・・・・・ハイ〛

 

 

こうして雪音は、十六夜に半場強制的な形で何故ここにフォレス・ガロの団員が居るのか説明させ

たのだった。途中で騒ぎを聞きつけたジンも合流する形で内容を確認する。

内容としては、要約して話すと、私達を人質と共に助けて欲しいと言うものだった。人質に関して

は、ジンが来る前に十六夜がキッパリと人質はもうこの世に居ない事を告げた。また、ジンが来た

際にノーネームが魔王討伐をしてやると勝手に宣言して、ジンが頭を抱えていた。暫くの間ジンの

ストレスはマッハで溜まることだろう。雪音は話を聞いてフォレス・ガロの団員に同情はせず、

ただただ、こいつらは馬鹿の集まりなのかと、ジンとは別の理由で頭を抱えるのだった。

 

 

「十六夜さん。その話は本当なんですか?」

「ん?ああ、本当だぜ。因みに明日のゲームで負けたら、俺はノーネームを脱退するからな?」

「そ、そんなの困りますよ十六夜さん!?雪音さんも何か言ってください」

「私から言えるのは一つだけです。脱退されたくなかったら自分を磨いてください。これだけです」

「そう言うこった、それじゃあ精々頑張ることだなジン坊ちゃん」

 

 

そう言うと十六夜は何処かに消えてしまった。雪音はジンを慰めながら、言い過ぎた事を謝りなが

ら寝室に向かい、明日の準備をしてから今度こそ眠りにつくのだった。

 

 

「そう言えば何か忘れているような?・・・・・・まあ、考えても仕方ありません。もう遅いです

ので寝ましょう。ふあぁぁぁぁ、明日は早・・・い・・・・・zzzz」

 

 

結局ギフトモドキの説明を聞かずに寝る雪音であった。

 

 




どうも、ユキネコネです。今回は雪音さんの本来の名前が少し出てきました。
今後も名前やコードネーム、肩書を公開していきます。詳細は随時設定が追加
されていきます。それではまた次の話で。


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早朝、”ノーネーム本拠地の庭園前”雪音は儀式をするにあたってどれだけ土地が

死んでいるのか確認する為に、野菜が植えられていない区画に来ていた。

 

 

「ふあぁぁぁぁぁ、まだ眠いですが召喚してくださった恩に報いる為です。

それじゃあ、調べますか!」

〚ではゆくぞ、主さま〛

「ええ、やりましょうか』

 

 

瞬間、雪音の目が赤色に変わり声も少し反響した様に変化し、全く違う誰かの声が

被って聞こえるようになる。

 

 

『我、神薙神社が当代。この地、この世の天を仕る神々に頼み白す』

 

段々と雪音の祝詞により放棄された区画が輝いていく。

 

『この恩に報いる為、この地の穢れ呪いを清め払い給う』

 

祝詞が終わると、雪音の見た目は元通りになっていた。

 

 

「・・・・・この分なら少しの間は急がなくとも良さそうですね。いやぁ、思った

よりも土地の気等が死んでなくて助かりました。まさか封じられていたとは驚きで

すがね」

〚そうじゃな。封じられているだけならわしや主さまの力で治すことも可能じゃからの〛

「はい、ありがとうございました。今度お礼に何か奉納をしますね!」

 

”パチパチパチパチ”

 

丁度土地の調査が終わり、部屋に帰ろうとした時何処からか拍手が聞こえてきた。

拍手が聞こえてきた方向に振り向くと、そこには飛鳥と黒ウサギがいたのだった。

 

 

「凄いわね、それが雪音さんのギフトなのかしら?」

「飛鳥さん、・・・・・・これは、ギフトと言っても一部にすぎません。それに、これは

そんなに凄いものでは、・・・・・・・・」

「そんな事はございません!!。雪音さんは私達の為にやっているのでございましょう?

十分凄いことでございます!何をそんなに悲しむことがあるのですか?」

〚主さまは考え過ぎじゃ!!感謝は大人しく受け取ると良いぞ〛

「・・・・・・・そ、そうですね。飛鳥さんも黒ウサギもありがとうございます。では、

三人で行きましょう!」

 

 

お礼を言われ慣れていない雪音は、急かしながら部屋にもどっていった。

その光景を後ろから、飛鳥達は微笑ましく見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところ変わって”フォレス・ガロ居住区”

十六夜達はジン達の応援に来ていた。雪音はゲームの開始前に飛鳥達に激昂の言葉を

送ろうと舞台の裏に来ていた。

 

 

「飛鳥さん、耀さん、ジンくん。頑張ってね!」

「ええ、頑張るわ。絶対に勝ってあのゲスを地獄に落としてやるんですから」

「・・・・・・・がんばる!」

「ですが!絶っ対に怪我だけはしないでくださいね!!」

「えぇ、と言っても約束はできないわよ?」

「それでも良いです。これは私の自己満足ですから。それと、ジンくん、十六夜さん

を見返したいなら頭を使うといいですよ?」

「どう言うことですか?」

「ジンくんが魔王と戦うと言うのなら、知識をつけてください。知識も優秀な戦力と

なります。そうでなければ話になりませんから」

「それは・・・・・・・」

「頑張って下さいね、ジンくん!」

「わ、分かりました!?」

 

 

激昂をし終わり、雪音は観客席で黒ウサギに今回のギフトゲームの説明を受けていた。

ギフトゲームの内容は、

 

 

 

「ギフトゲーム   ”ハンティング”

 

 プレイヤー一覧  久遠 飛鳥

          春日部 耀

          ジン=ラッセル

 

 クリア条件

    ホストの本拠地に潜むガルド=ガスパーの討伐

 

 

 クリア方法

    ホスト側が用意した指定の武具でのみ討伐可能

 

 

 敗北条件

   降参、もしくはプレイヤーが上記の勝利条件を満

   たせなくなった場合

 

 

 指定武具

   エリア内の何処かに配置

 

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の元”ノーゲーム”

 はギフトゲームに参加します 

 

 

              ”フォレス・ガロ”印」

 

 

 

 

これが内容であった。そしてギフトゲームが開始された。ギフトゲーム中十六夜は

ボケをかまして、黒ウサギにハリセンで叩かれていた。雪音は巻き込まれない用に

移動して難しい顔をしながらゲームを見ていた。

 

 

「このクリア条件は、確かに怪我を絶対にしないと言うのは酷ですね・・・・・・

よし、今の内に万が一が起こった際の保険を掛けておきましょう」

〚そうじゃな。あやつにも起きてもらおうかの〛

「ええ、そうしましょう。すうぅぅぅぅ、白雪システム起動!!」

≪白雪システムへのリンクを確認しました。繰り返します、リンクを確認しました。

接続を開始致します。暫くお待ちください。―――――全システム、オンライン

白雪システム正常に起動しました。管制人格”雪花”修復、データの処理を完了次第

起床します。それでは、主導権をお返し致します≫

(雪花、起きましたか?雪花さーん?)

キュイーン〚マイ、マスター、起動完了しました。どうぞご命令を、・・・・・・・

ここは何処でしょうか、旅をしていた場所とは違うようですが?〛

「ああ、うん、ここは箱庭と言ってね?旅は一度休憩しようかと思っているんだけど、

どうかな?」

〚そうですか。マスターにはいい加減休んで欲しかったので、良い傾向です〛

 

 

これが、白雪システムが箱庭で初めて起動された瞬間であった。雪音は、管制人格で

ある雪花に箱庭の説明と仲間が危険になる可能性がある事を伝えた。

 

 

〚それでは、書庫から治癒系統の魔法を探しますか?〛

(そうだね、準備をしててよ。その時になったら何が有効か一緒に探してね)

〚了解です。マスター、何種類か事前に準備しておきます〛

 

 

こうして、懸念事項が無くなった雪音はゲームの応援に戻った際十六夜のせいで

黒ウサギのハリセンに巻き込まれ掛けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、

 

 

 

 

 

 

 

ギフトゲームを終え、”ノーネーム本拠地の病室”

ギフトゲームの結果は、ノーネーム側の勝利で終わった。それなら、何故病室にいるの

かというと、案の定耀が重症を負い緊急で搬送されたからである。応急処置はされたの

だがまだ万全とは言えないので、雪音が夜に忍びこみ治癒を施そうとしているのである。

 

 

「それじゃあ一仕事しますか。データベースに接続、書庫内にある治癒系統の魔術、魔法、

アイテムの内―――――と、―――――を除外」

〚除外したことにより、同系統の魔術、魔法、アイテムが200種類除外され残り50種類

に絞られました。この中で有効なのはリジェネ、ヒール、エクストラヒール、自然の癒し、

不死鳥の涙、などが残りましたどうされますか?〛

「了解。確か金水連と竜の爪、薬草をすりつぶして作った造血剤があったよね?魔法の方は

リジェネで」

〚良かったですね、マスター。在庫は後二つでしたよ。そして、了解しました。リジェネを

使用します〛

 

 

すると、耀のベッドの上に円形の魔法陣が現れる。淡い緑の光が溢れ出し、耀の体の中に段

々と入っていきある程度収まると、魔法陣は消えた。造血剤は机の上に置手紙と共に置いて

寝室に帰り眠る雪音であった。

 

 




どうも皆さん、ユキネコネです。
今回はなんと、主人公が白雪システムを起動しました!パチパチパチ。
ついでにもう一人の雪花ちゃんが登場しました。彼女達の他にも話が
進むにつれ増やす予定です。
さて皆様、次の話でお会いしましょう。
因みに、次の話は彼女の過去に関わっているかもしれませんね!


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ゆきねこねです。
今回セリフの枠を変えましたので、どんな時にどの枠を使うか纏めます
「」主なセリフ。
()心の中でのセリフ。
『』ギフト、能力使用、詠唱などの特殊な時のセリフ。(イメージ、久遠 飛鳥の威光)
〚〛雪花などの姿が見えない相手のセリフ
≪≫機械音声など(イメージ、リリカルなのはより、バルディッシュなど)
です。これからもよろしくお願いします。ではでは、また次のお話で。




「うーん、むぅ、何か凄い懐かしいですね。夢の狭間で師匠に会うなんて――――?

??何やら外が騒がしいですね。」

 

 

目が覚めると羽織だけを脱いだ状態という、何とも中途半端な状態でベッドにの中に

いた。服を着替えて部屋の外に出ると、まだ時間は耀を善意で治療してからさほどた

っていない様だった。そんな事よりも、雪音の部屋からでも聞こえる外の状況が気に

なったので、中庭の方へ向かうのだった。

 

 

「ハアァァァァ!!」

「ハッ―――――しゃらくせぇ!!」

 

ガアァァァァァァン!

 

 

中庭に行く途中にあった、なぜか崩れている壁から外を覗いた雪音が見た光景は、

十六夜が吸血鬼だと思われる金髪美少女の投げた槍を砕く瞬間であった。

 

 

「おぉ、やってますねー。―――とっ!まずいですね・・・・・白雪システムにリンク。

緊急時により座標を省略。ムーンビーク、レーゼン/展開」

〚了解、マスター。ムーンビーク、実行します〛

≪ムーンビーク、レーゼン。自己加速術式、併用開始します。≫

 

 

そう雪音が言った瞬間、景色から色が無くなり槍や十六夜、何もかもがコマ送りになっ

た。コマ送りの世界で四角い亀裂が空間に走り、瞬きする間も無く金髪少女と十六夜の

間、丁度槍の横に出現した。

 

 

「ツッ―――――!?」

 

 

ほぼ止まっている、然し確実に動く世界の中で、雪音は砕かれた直前の槍が目の前に来

た事に驚きながらも空中で方向転換して、金髪少女をお姫様抱っこしながら地上に降りる。

 

 

〚これより自己加速術式の使用を終了します。お気を付けください、マスター〛

(ありがとう。・・・・・・説明がめんどくさいぃぃぃぃ!)

 

 

コマ送りだった時間が、白黒だった景色が元に戻る。少し後に、つい先ほどまで雪音が

いた場所で軽い衝撃波が起こる。十六夜達の意識が一斉にこちらに向く。

 

 

「なっ!?だ、誰だ!?」

「はーい、雪音さんですよー金髪の吸血鬼さん?」

「そっそうか。私はレティシアと言う。そろそろ降ろしてくれないだろうか?」

「あっはい、わかりました」

〚ククク、主さまは今度こそ話をぼかす事ができぬなぁ?〛

(い、今すぐにでも逃げ出したい・・・・・・)

 

 

雪音はレティシアの問いに、全てを諦め投げやりに答える。

案の定、雪音は先ほどの事について根掘り葉掘り聞かれることになった。流石に言えない

物は言えないとハッキリ言ったが、瞬間移動紛いについては喋るはめになった。その際、

レティシアのギフトが弱体化云々と色々あり、今はサウザンドアイズの和室に集合している。

 

 

「わお、ウサギじゃん!?すげぇ!実物は初めて見た。ホントに東側にウサギが居るなんて

思わなかったよ。いやぁ、ミニスカにガーターなんてエロイなぁ。君、内のコミュニティに

来いよ!三食首輪付きで、毎晩かわいがるぜ?」

 

 

これが現代であれば、即逮捕されるであろうレベルの変態発言である。これに対し、飛鳥は

反論するつもりの様だ。

 

 

「先に断っておくけど、この美脚は私達の物よ!」

「そうです、そうです、黒ウサギの足は―――――って、違いますよ飛鳥さん!?」

「その通り、この美脚は既に俺の物だ」

「そうです、そうですこの足はって、黙らっしゃい!!」

「良かろう、では良い値で買おう!!」

「う・り・ま・せ・ん!!もう、黒ウサギも本気で怒りますよ!?」

「馬鹿だなぁ、怒らせてんだよ」

「こ・の・おバカ様ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

スパァァァァァァァン!!

ハリセンの子気味いい音が響く。

 

 

(何なんですか、このクソ茶番は?やる気あるんでしょうか?)

〚ククク、ハハハハハ。面白いのうこ奴ら、主さまが珍しくこんなことで巻き込まれておる

ぞ。ぷっ、ハハハハハハ!!〛

(笑わないでください!?)

 

 

十六夜や飛鳥ならまだ分かる。だが、緊急事態にも関わらず白夜叉までもが茶番を始めてし

まった。頑張れ黒ウサギ、ファイトだ黒ウサギ!

 

 

「あっはははは!もしかしてノーネームって、芸人のコミュニティなの?だったらマジで

来いって!勿論、その美脚は僕の物だけどね?」

「お断りでございます!黒ウサギは、礼節も知らぬ殿方に肌を見せるつもりは一切ありません」

「その格好で言うか、普通?」

「そこに関しては、私も否定できないかな?」

「こ、これは白夜叉様が、この姿でいればゲームの審判料を三割増しにするとおっしゃるの

でぇ!?」

「白夜叉ぁ」

「ん?」

「超グッジョブ!!」

「ふ!そうであろう?」

「うぅ、話が進まない・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話し合いは、まだ続いているようだ。

 

 

「い・や・だ!」

「なんですって?」

「嫌だと言ったんだ。決闘なんて冗談じゃない。」

「ペルセウス所有のレティシアが当方の敷地内で暴れまわり、更にその捕獲の際に構成員が

暴言を吐いたのは事実です。この屈辱は謝罪だけでは収まりません!!」

「証拠はあるのかい?」

「そ、それは・・・・・・・・・・彼女の石化を解いてもらえば―――――」

「それこそ嫌だよ。そんな事すれば、そっちと口裏を合わせるかもしれないだろ?吸血鬼は

一度逃げ出しているんだ、売り飛ばすまでそのままだよ」

 

 

随分と嫌な物言いだが、筋は通っている為黒ウサギは言い返せないでいた。

そこに追い打ちを掛けるように、ルイオスが口を開いた。

 

 

「そもそも、あの吸血鬼が逃げ出したのはお前らの所に行く為だろ?むしろ、そっちが盗んだ

んじゃないの?」

「な、何を証拠に?!―――――」

「ほぉら、証拠がないのはお互い様だろう?もっとも、詳しく調査されて困るのはそっちだろ?」

「・・・・・・・・・・・」

(何かアクションがあれば動きますか。そろそろ我慢の限界が近いですからね!)

 

何も言い返せないまま両方が睨み合って数分、先に動いたのはルイオスのほうであった。

 

 

「さぁて、そろそろ帰ってあの吸血鬼を売り払う準備をするか。愛想無い女って嫌いなんだよね。

特にあいつ、体もガキだしさ?」

「「つッ!?」」

「その手の愛好家には、堪らないんだとさ?」

「貴方と言う人は!」

 

 

ルイオスがそう言った瞬間、黒ウサギの髪が見事なピンク色に変色する。相当怒っている様だ。

そんな中、ルイオスは話を続ける。

 

 

「しかし可哀そうだよなぁアイツも、自分の魂でもあるギフトの一部を、魔王に差し出してまで

駆け付けたって言うのにさぁ?」

「!?」

 

 

その言葉で黒ウサギの髪が元に戻り、変わりに申し訳なさそうな顔になる。

 

 

「ねえ、黒ウサギさん。一つ取引をしようよ?吸血鬼をノーネームに戻してやる。代わりに君は

僕に一生隷属するんだ」

「!?」

「冗談じゃありませんわ、外道!!もう行きましょう、黒ウサギ」

 

 

先に我慢の限界が来た飛鳥が、怒りながら黒ウサギの手を取って帰ろうとする。

だが、黒ウサギはその場から動こうとしない。不思議に思った飛鳥が声をかける。

 

 

「?・・・・・・・、黒ウサギ?」

「ッハハハハハハハハハ!君は月の兎だからなぁ?仲間の為に煉獄の炎に焼かれるのは本望だ

ろう?」

 

 

黒ウサギが顔を俯かせる。

 

 

「ほらどうしたの?ウサギは義理とか人情とか好きなんだろ?なぁ、どうなんだよ?」

『黙りなさい!!』

「ツッ!?」

『そのまま、地に頭を伏せてなさい!』

「おい、女。そんなのが・・・・・通じるのは・・・・・・格下だけだ、馬鹿がぁ!!」

 

 

飛鳥のギフトは破られ、ルイオスの右手に出現した三日月型の鎌が振るわれる。

 

 

「はっ!?―――――」

 

ガキィィィィィン!! ヒュン!

 

 

鎌が振るわれる寸での所で、雪音が何処からか純白に輝く剣を取り出し鎌をはじく。雪音も、

我慢の限界が来たらしい。真顔で、ルイオスの顔に剣先を向ける。

 

 

「・・・・・・・・なあ、貴公?何故私が貴公に向かってこの剣を抜いたか、分かるか?」

「なぁっ!わ、分かるわけないだろう!?」

 

 

雪音の口調が変わる。雪音の体から銀に輝くオーラの様な物が揺らめいている。黒ウサギ達は、

そのことに驚きながらも話を待つ。

 

 

「ええい、止めんか戯けども!!」

「ふん。命拾いしたな、貴公・・・・・・・」

「チ、先に手を出してきたのはその女ですけどね」

 

 

白夜叉の言葉で、両者は武器を引く。雪音は、腰に差してある刀とは別に先ほど出した直剣を

膝の上に置く。

 

 

「分かりました。これで、今回の一件は不問にしましょう。今日の事は、仲間と相談し、改め

て相談します」

「ちょっと、黒ウサギ!?」

「オーケーオーケー、一週間だけ待ってやるよ。楽しみにしてるよ」

 

 

そう言い残しルイオスは出て行った。部屋の中には沈黙だけが残る。

 

 

「アイツがペルセウスのリーダーか?完全に名前負けだな」

「元は、由結正しきコミュニティだったのだがな」

 

 

十六夜の発言に対し、白夜叉が話し始める。

 

 

「昔は伝説に則った、格式あるギフトゲームを主催し、箱庭にその名を轟かていたのじゃが・・

・・・・」

「やはりそうでしたか。あのペルセウスがこんな反吐のでる様なコミュニティを作るはずがあり

ませんから」

「ぬ、おんし・・・・・・ペルセウスに会ったことがあるのか?」

「ええ。とは言え、この世界のペルセウスでは無いでしょうが、この箱庭に居たペルセウスも

きっと威厳ある人物だったのでしょう」

「そうじゃ、あやつは誰からも信頼される何事にも誠実な奴であった。じゃが、今ではその孫が

コミュニティのリーダーになり昔とは変わってしまったのじゃ」

 

 

その後、飛鳥と黒ウサギは先に屋敷に戻った。雪音と十六夜は白夜叉から何か聞くようだった。

 

 

「雪音さんはどうするのかしら?」

「ああ、私は少し十六夜と残りますので、先に黒ウサギと帰っていただけますか?」

「分かったわ。それと、後でその口調について教えてもらから」

「良いでしょう、帰ったらお教えします」

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「情報、感謝します。それでは十六夜、どちらに行きますか?」

「俺はグライアイの方に行こうと思ってる」

「分かりました。では私はクラーケンの方に行きましょう。」

 

 

白夜叉からアドバイスを元に、十六夜達はペルセウスへの挑戦権を獲得しに行った。

 

 

「それでは行きましょうか。雪花、位置は割り出せましたか?」

〚丁度完了しました。マスターが今向かっている方向と同じ方向です。マップを左端に表示し

ますね〛

「感謝します。・・・・・少し速度を上げましょう。インビジブル・エア!!」

 

 

雪音は更に速度を上げ急ぐのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうだったでしょうか、ユキネコネです。
おやおや?何やら雪音さんの口調が変わっていましたね。遂に次の次の話で、雪音さん
の過去の一部が明らかになります。
さて皆さん、次話の前半部分が7話の続きとなります。ご了承ください。
それでは皆様、次の話でお会いしましょう。


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みなさん、こんにちは。ユキネコネです。活動報告は読んでくれたでしょうか?
読んでくれた皆様、ありがとうございます。報告にもありましたが、今は色々と試行錯誤
しているのです。前に書いた、武器のアンケートを中止し、登場させる武器の原作だけを
投票で出します。作品が決まったら、いくつか自身で決めて何話かで一回は登場させます
締め切りは火龍生誕祭の前にしたいと思っております。皆様、読んでくださり誠にありがとうございます。
それでは、また次回お会いしましょう。


マップを確認しながら森の中をかける。少しすると広い場所に出る。道があり

横には看板が立っていたが確認せずに先に進む。大きな湖に辿り着く。

そこには、クラーケンが佇んでいた。

 

 

『汝、ギフトゲームを受けに来たのか?』

「ええ、そうです。受けに来ました」

『そうか、では初めるとしよう。ギフトゲームの内容は知っておるな?』

「知っています。早く始めましょう」

『そう、慌てるでない。それでは始めよう』

「『勝負!!』」

 

こうしてギフトゲームが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィン!キィン!

ドォォォン!バキバキバキ!

 

 

触手が木々をなぎ倒しながら迫ってくる。雪音はそれを上に跳躍することで

避ける。時間が少ない雪音は手に持っていた剣を自身の前で構え、自己加速

術式を使用する。

 

 

「時間が押しています。まだやっていたいですが、この勝負はこれでおしまい

です。」

 

 

そう。雪音がルイオスとの話し合いの時からずっと、抜き身の状態で持っていた

純白に輝く白銀の剣こそ、ギフトネーム内で虫食いになっていた物の一つである。

進みながら、詠唱を開始する。

 

 

『拘束、解除。』

 

この一言で、剣が光を放つ。

 

『束ねるは星の息吹、輝ける命の灯よ、このひと振りは、かの災厄を穿つ、友を、

仲間を守るための一撃である!!』

 

地上から薄い水色の光が迸り、剣の輝きが増してゆく。

自己加速術式の使用を中止し、クラーケンの前に立ち叫ぶ。

 

 

「クラーケン!この戦い、この一撃で決めさせてもらう!!」

『良かろう。やってみるがよい!!』

 

 

その言葉と同時に剣を水平に構える。そして、数ある技の名の一つを力の限り叫ぶ。

 

 

『行きますよ、レティリアス!!』

『はあぁ!クロウ、スターブレイク!!』

 

 

そのまま、剣を一回転させる。

 

ドォォォォォォン!オォォォォォォ―――――

 

極光と共にクラーケンが沈んでいく。どうやら勝った様だ。その証拠に空から青い

宝玉が降ってくる。

 

 

「よっと、これが挑戦権ですか」

〚その様じゃな〛

「ありがとうございます。少し休んでくださいね、レティリアス。・・・・・・・・

それでは、転移。指定場所、ノーネームの門まで!」

〚了解です、マスター。ノーネーム本拠地に転移します。ここを転移場所に追加

しておきます〛

 

 

直剣を異空間にしまいながら、雪音はノーネームの門前に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻”ノーネーム本拠地”

 

 

「私は認めないわ、黒ウサギ!あなたが出ていくなんて、あんな外道の物になるなん

て許せない!?」

「仲間はコミュニティの宝です。レティシア様がギフトを捨て、魂を削ってまでコチラ

に駆けつけてくれたのに・・・・・・、それに比べ私は―――――」

「そんな事、無意味だわ!」

「な、仲間の為の犠牲が無意味だとおっしゃるんですか!?」

 

”コン、コン、コン”

 

飛鳥と黒ウサギが話し合っていると、突然ドアの方からノックが聞こえる。一度話し合

いを辞めて入るように促す。

 

ガチャ、

 

「ニャアー」

 

 

猫と共に耀が入ってくる。

 

 

「耀さん、怪我は、もう良いの?」

「うん。雪音が治してくれたみたい」

「そうでしたか。では、後でお礼を言いに行きましょう」

「うん。そんな事よりこれ、リリ達が。二人の様子がおかしい事を感じ取ったみたい。」

 

 

そう言いながら、耀がお皿にのったお菓子をみせてくる。そのことに飛鳥と黒ウサギは

申し訳なさそうにしながら席に座り、三人でお菓子を食べる。

 

 

「すみませんでした。心配してくれているのにあんな言い方をして・・・・・」

「私の方こそ謝るわ。レティシアには、私も借りがあるのだし・・・・・・」

「・・・・・・・ジンくんから、おおよその話は聞いてる。黒ウサギが犠牲にならずに

レティシアを助ける手は無いのかな?」

「一つだけあります。騎士ペルセウスが、ゴーゴンと言う化け物を退治した。と言う伝説

はご存じですか?」

「なんとなくは」

「彼らは最下層のコミュニティにむけて、その伝説に則ったギフトゲームをいつでも受け

付けています」

「レティシアを取り戻すことができるの!?」

 

 

飛鳥の嬉しそうな声に、黒ウサギが待ったをかける。

 

 

「それには、まず二つのギフトゲームをクリアせねばなりません。ですがそれは、とても

厳しい試練です。どれほどの年月がかかるか―――――」

 

 

その時、十六夜の声が聞こえてきた。

 

 

「邪魔するぞー?」

 

バン!キィー、ドスン!

 

その言葉と共に、ドアが凄い音を立てて倒れてきた。煙が収まると、そこには何かを包んだ

無地の風呂敷を持った十六夜が立っていた。

 

 

「い、十六夜さん!?」

「どこ行ってたのよ、こんな大事な時に!」

「・・・・・・鍵、開いてたのに」

「なぁに、ちょっと白夜叉からヒントをもらってな?そう言えば、雪音はまだ来てないんだ

な?」

「そう言えば、雪音さんは貴方と一緒にいたはずよね?」

「おう、そうだぜ?因みにこれは土産だ」

 

 

そんなやり取りをする四人なのであった。

因みに、この時雪音が何処にいたのかと言うと―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ノーネーム本拠地の厨房前”

 

 

「そう言えば、皆何処にいるのでしょう?」

〚マスター、あちらで耀さん達がなにか話しているようです〛

「そうですか。・・・・・・て、こっちにくる!?」

 

 

雪音は、いまだ館内図をおぼえておらず、しばらくの間さまよっていた。そんな時、雪花か

ら耀がこちらに来ることを教えられ、咄嗟に圏境を使ってしまった。そのまま姿を現す事無

く、耀の後ろをついていく。

 

 

〚何故隠れたのですか?耀さんは敵ではありませんよ?〛

〚そうであるぞ。・・・・・・・まさか、鉄血との戦闘での癖がまだ残っておるのか?〛

(仕方ないじゃないですか!?箱庭に来る前はまだ軍の特殊部隊にいたんですよ!?癖が抜け

る訳無いじゃないですか!)

 

 

雪代の家系は代々巫女や神道の家系なのだが、少し特殊である。その歴史は室町時代にさかの

ぼる、国お抱えの優秀な異形専門の陰陽師の家系であった。だが、刀などの武器を使う為、何

代目かで国の推薦などで裏の稼業、特に軍事関係で貢献してきたのである。勿論雪音も国のお

偉いさんに会っている。小さい頃だが、海軍の元帥に少将である叔父が合わせたいと言われ、

あったことがある。今では、色々なことに協力をお願いしている仲である。

 

 

 

”コン、コン、コン、”

 

お爺ちゃんは元気かなぁ。などと考えていると目的の場所についたようだ。

そして、今に至る。

 

 

(どうしましょう、出て来る場を逃しました。)

〚諦めて出れば良かろう〛

〚そうです。こればっかりはマスターがどうにかしてください〛

(分かりました)

 

 

そうして姿を現した。皆驚いた様子でこちらを見ている。

 

 

「・・・・・・・いつからそこに居たのかしら?」

「実は―――――」

 

 

雪音が事情を伝える。

 

 

「そうだったのね」

「ヤハハハハハ、つくづく面白いなお前!」

「わ、笑わないでください。これでも必死だったんですからね!?」

「所で、十六夜さんと雪音さんが持ってきたそれは何でしょう?」

 

 

雪音の事情説明が終わった所で黒ウサギが十六夜達がもってきた物につい

て聞いた。十六夜が机の上に置いていたので、雪音も置くことにする。

 

 

「・・・・・・スイカ?」

「えぇ、スイカね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ペルセウス本拠地”

 

 

「しっかし良いよね。あの黒ウサギ。僕好みだ、組み伏せてなかせたら

将来飽きないよ」

 

 

そんな事を話すルイオスに、団員は呆れている。

 

シュタ!!「お邪魔致します」

 

誰かが来たようだ。

 

 

「誰だ!?」

「待て」

 

 

剣を抜きかけた団員に待ったを掛けて音がした方を見る。

 

 

「わお!どうしたの、急に?やっぱり内に来る気になった?」

「いえ、我々ノーネームはペルセウスに決闘を申し込みます!」

「・・・・・・はあ?だったらとっとと帰れよ。マジウザイ」

「これを見ても、ですか?」

 

 

黒ウサギはそう言い、ルイオスに向けて手に持っていた風呂敷の中身を

見せる。中には二つ、ペルセウスの旗印があしらわれた宝玉が輝いていた。

 

 

「何!?それは伝説への挑戦権を示すギフト!?名無し風情がクラーケン

とグライアイを倒したと言うのか!!」

「ああ、それでしたら、いまいちだったそうです」

「チ、まあ良い。相手してやるよ、二度と逆らう気が無くなる位・・・・

・・・徹底的に潰してやるよ」

 

 

こうして、ペルセウスとの戦いが幕を開ける―――――

 

 

 




皆さんユキネコネです。次回から、ペルセウス戦です。どうなるか見ものですね。
今はどんどん話を思いつくので、忘れない内に書き出したいと思います。なので、
何日か、連続投稿になるでしょう!(投稿主が疲れない限り)
それでは皆様、また次回お会いしましょう。


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「ギフトゲーム   ”FAIRYTALE in PERSEUS”

 

 

 プレイヤー一覧  逆廻 十六夜

 

          久遠 飛鳥

 

          春日部 耀

 

          皐月 雪音

 

 

 

 ”ノーネーム”ゲームマスター  ジン=ラッセル

 

 ”ペルセウス”ゲームマスター  ルイオス=ペルセウス

 

 

 

 

 クリア条件

    ホスト側ゲームマスターの打倒

 

 

 敗北条件

   プレイヤー側ゲームマスターによる降伏

 

   プレイヤー側ゲームマスターの失格

 

   プレイヤーが上記の条件を満たせなくなった場合

 

 

 舞台詳細・ルール説明

   ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはいけない

 

   ホスト側の参加者は白亜の宮殿の最奥に入ってはならない

 

   プレイヤーはホスト側の団員に姿を見られてはいけない

 

   姿を見られたプレイヤーは失格となり、ゲームマスターへの挑戦権を剥奪される

 

   失格になったプレイヤーは挑戦への資格が剥奪されるが、ゲームの続行はできる

 

   

 

   宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下”ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

 

 

                                  ペルセウス印」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

契約書類に承諾した直後、六人を眩い光が包む。目を開けるとそこは白亜の宮殿であった。

 

 

「姿を見られるな、か。つまりペルセウスを暗殺しろってことか?」

「そうですね、伝説の通りならアイツは就寝しているってことですが・・・・・・・そう

上手くはいかないでしょうね」

「YES!何より、ルイオスは最奥で待ち受けているはずです。我々はペルセウスの様に隠れ

兜を持っていないので綿密な作戦を練る必要があるのです」

「ああ、一人を除いてな?」

 

 

十六夜の余計な一言で視線が雪音に集まる。

 

 

「な、何故こちらを見るのですか?」

「いや、お前には不可視のギフトが要らねぇと思ってな?」

「そう言えばそうね。姿を隠せるアイテムは無いのかしら?」

「・・・・・・・・無いの?」

「残念ながら無いね。ごめんね?」

 

 

雪音はそう言い謝る。あるにはあるが、扱いが難しいのである。

 

 

「それでは、ルイオスと戦うのは十六夜さんが適任でしょう」

「あら、黒ウサギは相手の奥の手を知っているのかしら?」

「ええ、伝説の通りなら彼の奥の手は―――――」

「隷属させた元魔王だろ?」

「そうです。隷属させた元魔王―――――へ?」

「ああ、アルゴルの悪魔だろう?」

「・・・・・・アルゴルの悪魔って?」

 

 

戦慄する黒ウサギだったが、他の面々は分かっていないらしく首をかしげている。

 

 

「まさか十六夜さんは、箱庭の空の秘密に・・・・・・・・?」

「まあな。この前星を見上げた時に推測して、ルイオスやアルゴルの星を見て確信した。

機材に関しては白夜叉が貸してくれたからな」

「もしかして、十六夜さんは意外と知能派でございますか?」

「何を今更。で、そんな事は後回しだ!」

「それなら、いっそ清々しい位毎日脳筋だよね?」

「面白いから良いんだよ!」

「でも、この扉は取っ手がありませんがどうするのですか?」

 

 

黒ウサギが、ドアノブが付いていない木製の扉を指さす。すると十六夜は面白い方法を

とった。

 

 

「んなもん決まってるだろ―――――こうやって開けるんだよ!」

 

 

響き渡る轟音、十六夜はドアノブの無い扉を蹴り壊してしまった。雪音は、修復が大変

そうだと思いながら速やかに離れる。

 

 

「さあ、ゲーム開始だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは、少し力を見せましょうか」

〚そうじゃな、わしも今回は苛立っておる。存分に力を振るえ!〛

『分かりました。白銀の鏡海鍵、限定使用!』

≪白雪システムより、リミッターの30%を解除致します≫

「あの騎士鎧や甲冑は着なくて良いかな?スノーレイン、セットアップ」

 

 

その言葉と共に、雪音の体。胸の中心部に、白い鍵が浮かび上がる。限定使用の言葉で

鍵は正位置から180度回った辺りで止まり収納された。パズルのピースのような幾何学模様

が鍵の周りで幾つか嵌り、完全に消えた。すると、雪音の周りで強い風がふく。収まると、

そこには、目は白に近い空色に、髪は上に行くほど白くなり右手にはクラーケンの時にも持

っていた直剣を、左手には十六発のシェル入りのカートリッジが刺さったデバイスを持った

雪音が白を基調としたバリアジャケットで仁王立ちしていた。

 

 

「雪花、索敵をお願いします。リリィ、カートリッジロード。インビジブルを常時使用」

〚了解です、マスター〛

≪イエス、カートリッジリロード。インビジブルステンバイ。≫

 

ガシャン!コトン。キイィィィィィィィン!

 

薬莢が一つ排出され、白い三角形の魔法陣が浮かび上がる。そして、雪音の体が空間に溶け

るように消える。今回は圏境を使わないようだ。

 

 

〚二時の方向に敵の反応複数確認しました〛

「了解。さーて、さっさと済ませてあのボンボンを倒しましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻 十六夜達

 

雪音が戦闘を始めた時、十六夜達は、ペルセウスの隠れ兜を集めていた。

 

 

「焦んなよ、おチビ」

「でも・・・・」

「隠れて!」

 

 

耀が十六夜に言い、ギフトを使い耳を凝らす。

 

 

「・・・・・・・・そこ!」

 

ドゴン!

 

耀の蹴りが透明化した団員の兵士に当たり、兵士が転がっていく。

兵士は兜が外れ姿を晒していた。

 

 

「これが不可視のギフトで間違いないと思う」

「なら、あと一つは欲しいとこだな。任せて良いか?」

「うん」

 

 

十六夜が、兜を被り透明化しながら呟いた。耀は十六夜の頼みで他に透明化した兵が隠れ

ていないか探る。すると―――――

 

 

「きゃ!?」

 

ドォォォン!!

 

耀が衝撃波と共に突然吹き飛ばされる。十六夜が辺りを蹴り続けるが、効果は見られない。

そこで、耀が探し十六夜が倒す作戦に移った。それが功を奏したのだった。

 

 

キイィィィィィィィン

 

耀の首にあるギフトが緑色に淡く輝く。数分後、十六夜に向けて合図をおくる。

 

 

「・・・・・・・・前!」

「おう!」

 

ドゴン!ドォォォン!!

 

十六夜が蹴った場所には、恐らく幹部クラスであろう男が倒れていた。

 

 

「中々良い線いってたぜ、お前」

「私のギフトを真正面から破るとは、見事・・・・・」

 

 

こうして、不可視のギフトを手に入れた十六夜達は、ルイオスの居る最奥へと急ぐので

あった。所で、雪音はと言うと―――――

 

 

キィン!キィン!ドォォォォン!

 

「ふう、これ位にして合流しますか。十六夜さん達は行ったみたいですからね」

〚はい、マスター。もう良いでしょう〛

『スレイプニール!』

 

キィィィィィィン!バサァ!

 

三角形の魔法陣と共に雪音の背中から三対六枚の黒っぽい翼が生えてきた。

 

 

「やっぱり、飛ぶとなるとこうなっちゃいますか・・・・・・・」

〚そこに関しては仕方ないでしょう。〛

「それでも、ミッドチルダ式を本格的に覚えないとこの世界では少し苦労しそうですね」

 

 

そうこうしている内に、十六夜を見つけた雪音は、スレイプニールを解除して近づく。

 

 

「十六夜さーん!これから最奥に乗り込むんですか?」

「おう、もう終わったからな。そっちも今からか?」

「そうですね。耀さんは見つかってしまったんですか」

「・・・・・・・そう」

「分かりました。頑張ってきますね、耀さん!」

 

 

耀と話していると、十六夜がとある疑問を向けてくる。

 

 

「なぁ、何で耀は雪音が分かるんだ、圏境を使ってるんじゃないのか?」

「そう言えば使って無いね。・・・・・・どうして?」

「それはですね、圏境だけでは無く久しぶりに色々使おうと思って今は魔法を使って

いるんです」

「左手にあるその変な剣もか?」

「これはいわゆる魔法を使うための触媒的な物ですね。とは言っても今使っているの

が広義的に魔法と言うのか微妙ですがね」

「とにかく、もたもたしないで行くぞ」

 

 

そんな訳でルイオスの居る最奥に到着したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”白亜の宮殿最奥”

 

 

「皆さん、どうかご無事であらせられますように・・・・・・・」

 

 

黒ウサギは、白亜の宮殿の最奥で十六夜達を待っていた。皆の無事を案じている

と突然背後から悪寒がしたので飛びのく。

 

 

「な、何事ですか!?」

「チ、気づかれたか・・・・・」

「せっかくのギフトを何に使っているんですか?」

「い、十六夜さん、雪音さん、ジン坊ちゃん・・・・・・・この期に及んで緊張

感なさすぎデス!!」

 

 

不可視のギフトであるハデスの隠れ兜のレプリカで悪戯をしようとした十六夜や

雪音、ジンくんを見た黒ウサギは今にも泣きそうになりながら十六夜をハリセン

で叩いていた。

 

 

「全くもう、この、この、この!!」

「おいおいおい、マジで言ってるの?」

 

 

声のする方へ向けば、ルイオスが玉座に座っていた。

 

 

「ノーネームも潰せないなんて、全員粛清決定だな。こんな風に」

「「「!?」」」

 

 

そこには、石化したレティシアがいた。

 

 

「レティシアさん!」

「何はともあれようこそ、最上階へ。ゲームマスターとしてお相手しましょう。

とは言え、実際に戦うのは僕じゃないけど」

 

 

ルイオスは、革靴から翼をだして空中を飛びながら話をする。

雪音は、革靴がヘルメスの物だと気づく。

 

 

「ルイオスさんの代わりと言う事は、まさか!?」

「ああ、さっそくお出ましらしいな、元魔王様。ペルセウス座には昔から悪魔

と呼ばれる星がある。そう、アルゴルだ!」

(な!?アルゴル、ですか・・・・・・・いざとなったら聖剣を使いましょう!)

 

 

ルイオスが手を掲げる。これから決戦が始まるのだ。

 

 

「目覚めろ、魔王アルゴール!!」

 

キィィィィィィィン!!

 

『ガアァァァァァァァ!!』

 

 

 

こうして決戦の火蓋は降ろされた――――

 




ユキネコネです。今回の話はどうだったでしょうか。主人公は今回魔法を使ってもらいました。使った魔法は夜天の書でもお馴染みのスレイプニールです。その他にはカートリッジシステムが登場しましたね。次の話でルイオス戦を書こうとおもいます。ではでは、次の話でお会いしましょう。
見てくださり、ありがとうございました。


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10

こんにちは、ユキネコネです。長らくお待たせしました、本当に申し訳ございません。
引き続き頑張っていきますので、皆様宜しくお願い致します。


”白亜の宮殿最奥”

 

 

「ま、まずいです―――――!?」

『ガアァァァァァァ!!』

 

キュイィィィィィィン!ドオン!!

 

アルゴルの魔王の攻撃が迫ってくる。黒ウサギはジンを守ろうと自身もろ共体を

倒す。十六夜はその場に立ったまま、最低限の動きで避ける。雪音は、跳ぶ事で

避ける。

 

 

(な!?仲間を何だと思っているんですか!?)

〚えぇ、そうですね。あの外道は何としても倒さなくてはなりません〛

(雪花がそんな事を言うなんて珍しいですね?)

〚いいえ、マスター。この私でも流石に怒ります〛

 

 

雪音達が避けた方を見ると、ペルセウスの団員が全員石に変えられていた。その

中には、飛鳥や耀の姿も確認できる。そんな中、ルイオスは口を開く。

 

 

「ハハハ、今頃お前たちの仲間も皆石になってるかもな?」

「そんな・・・・・・・」

「そんな事・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”サウザンドアイズ白夜叉の和室”

 

 

サウザンドアイズ、店舗では白夜叉と店員が先の戦いを見ていた。白夜叉は、ル   

イオスがアルゴルの悪魔を使ったことに苛立ちを見せていた。

 

 

「ルイオスのアホめ、やはりアレを使いおったか」

「はぁ、やはりペルセウスのリーダーですね。ノーネームでは相手になりません」

「さて、そうとも限らんぞ?」

 

 

白夜叉は、店員のこぼした言葉に僅かに微笑を浮かべながら返すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルゴルの悪魔は翼の拘束具を引きちぎり、攻撃に転じる。雪音は、どうするか   

を考えながら避ける。十六夜は何かをジンに話しているようだ。

 

 

「あてが外れたな、おチビ。レティシアが戻れば、何とか魔王に対抗できると踏

んだんだろう?」

「でも、僕らにはまだ貴方達が居ます!!十六夜さん、貴方の力をこの場で証明

してください」

「ハ、オーケー。よく見てな!!」

 

 

どうやら、ジンは十六夜の納得する言葉を言ったらしい。十六夜はアルゴルの悪

魔の目の前に立った。何かするようだ。

 

 

『ガアァァァァァァ!!』

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥン!!ドオォォォォォン

 

アルゴルの引きちぎった翼の拘束具が十六夜に飛来する。勢い良く向かっていき

煙を上げる。

 

 

「ハハ、所詮は名無しか」

 

 

ルイオスはもう勝った気でいるらしい。衝撃による煙が晴れた場所には、無傷の

十六夜が立っていた。十六夜は笑顔で告げる―――――

 

 

「な!?」

「さあ、始めようぜ?元魔王様!!」

「どうした、アルゴール!?人間なんか捻り潰してしまえ!!」

『ガアァァァァァァ!』

(このボンボン、自分で戦わないんでしょうか?それに、少々飽きてきましたね)

〚そのような事言ってやるな主さま。あやつが可哀そうではないか〛

〚マスター?もしかしてそろそろ限界が近いですか?〛

(よく分かりましたね!三割とはいえ、この戦闘中ずっと解放状態だったのでそ

ろそろ鍵関係なく昔に戻りそうです)

〚やはり、ソレは雪代家に来る前の物か?〛

(そうですね。これも如何にかしないといけませんし)

〚やはり話してはくれぬのか?〛

(話すのメンドイから嫌です。そんな事より久しぶりにやるとしようか)

 

 

そんな事を話していた。雪花の言う限界とは、ある事情による物であった。突然

だが雪音の住んでいた場所では、魔術と言う物が存在していた。雪音はその世界

でちょっとしたイレギュラーだった。旅の途中ある組織に狙われた為、力を封じ

ていたのだ。そして、狙ってきた組織の名は聖堂協会である。そんな雪音も久し

ぶりに力を解いた結果歯止めが効かなくなったらしい。

 

 

『双方、止まるが良い』

「「!?」」

 

 

雪音の言葉により、十六夜とアルゴールは強制的に行動を停止させられる。十六

夜は雰囲気の変わった雪音に、イラついた様子で話す。

 

 

「おい、せっかくの楽しい時間なのに何てことしてくれる。覚悟できてんだろう

な?事と次第によっては―――――」

「ふむ、そうでしたか?それはすまなかった。今度殺ってやるから今回は譲っ

くれ」

「ゆ、雪音さん?」

「おい、どういう事だ!!アルゴールを止めるなんてお前何―――――!?」

『口を閉じろ。貴様とは話していない、しばらく静かにしてもらおう。ああ、

もう貴様らは動いて良いぞ?』

「ハ、そうかよ」

 

 

動けるようになった十六夜は、まず雪音に注目した。目は血の様な赤色で髪はい

つもの黒い色から上から下に白と空色のグラデーション、口調もどこか変わっている。

 

 

『ふむ、完全では無いか、昔よりもマシになったな。どうした、何か言いたそうじゃな

いか?』

「おう、どうして口調が変わったんだ?それに今までのお前らしくない」

『そうか?まあ良い、少し舞台を整えようか』 

 

パチン!

 

そう言いながら雪音が指を鳴らす。すると一瞬で白亜の宮殿の周りにバリアが張られた。

 

 

『これで耀達に被害が行かないですね、アルゴルの悪魔だったか?私の友と同じ名か・・

・・・・興覚めだな、爆ぜよ。』

 

 

その言霊と共に、アルゴールの四肢が爆散したのだった。その後、つまらなそうにルイオ

スを元に戻し、十六夜がぶちのめして少しの疑問を残して終わったのだった。そして、

勝負が終わった後のノーネーム本拠地で新たにレティシアをまじえて雪音は説明をどうす

るか決めかねていた。

 

 

「「「じゃあ、これからよろしくメイドさん?」」」

「「えぇ!?」」

「えぇ!?じゃないわよ、今回のゲームで活躍したのは私達よ?」

「私なんて力一杯殴られたし」

「つう訳で、挑戦権を持ってきた俺と雪音に協力してくれた耀達で4:4:2:2:で所

有権は俺達にある!」

「なに言っちゃってるんですか!そんな話、あるわけが―――――」

「でも、仕方ない。今回の事で君たちには恩がある。家政婦をしろと言うのなら、喜んで

やろうじゃないか」

「レティシア様!?」

「私、金髪の使用人に憧れてたのよ」

「そうか。いや、そうですか、嫌々、そうでございますか?」

「喋りやすい言葉を使えば良いよ」

「箱庭の騎士が・・・・」

「め、メイドさん・・・・・」

「さて、この話は終わったな?じゃあ次は雪音の番だな」

「・・・・・・・話してくれない?」

「それは私も気になるな」

「・・・・・ほ、本当に話さなきゃ駄目?」

「駄目よ、それとも私達は信用できない?」

「そう言う訳では―――――」

 

 

結局、雪音の説明は、歓迎会兼ペルセウス撃破記念に話すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”雪音の自室”

 

 

「取りあえず宴会で話すことになりましたが、どうしましょう」

〚わしらも気になっておったのじゃ。それに、これは主さまの問題じゃ。今回我らは

関与せぬぞ〛

〚すみません、マスター。私も気になります〛

「そうですよね、ですが、流石にアレは話せませんから、アレとアレは見せましょう。

幸いにもアレは雪花達でも干渉できないおかげでギフトネーム自体を隠蔽できました

から」

 

ガチャ、キィィィィ

 

「雪音さん、準備が出来ましたので来てくれませんか?」

「分かりました。先に初めてください」

 

 

そうして雪音は会場に行くのだった。そこには、ノーネームの全員が笑顔で話したり

している光景だった。雪音は一瞬ためらったが、一歩踏み出した。その時―――――

 

 

「・・・・・雪音、話してくれる?」

「よ、耀さん、驚かさないでください」

「雪音さん、それではなしてくれるのかしら?」

「そうですね、まずはこれを見てください」

 

 

雪音は、十六夜達にギフトカードを渡した。そこには、こう書いてあった。

 

 

 

 

 

プラチナにスカイブルーのカード  皐月 雪音(????)

         ギフトネーム  全てを飲み込む仄暗き厄災

                 世界を旅する者<ワールドウォーカー>

                 英雄達の友人

                 高性能AI搭載アームドデバイス”スノーレイン”

                 戦術人形化

                 冠位魔術師 緋

                 ??????

                 ??????

                 ??????

                 白銀と鏡海鍵<はくぎんときょうかいのかぎ>

                 宝具光■えぬ■■の聖剣

                 宝具忘れ■■た龍と■の永遠の■

                 

 

 

と書かれていた。何個か分かるようになっていたので黒ウサギ達が疑問を口にする。

 

 

「あの、この白銀と鏡海鍵とは何でございましょうか?」

「これは、私の本来の力を抑える目的のものですね」

「じゃあ、これは何かしら?」

「どれですか?」

 

 

飛鳥が指さしたのは、インテリジェントデバイスモドキなスノーレインだった。雪音

はデバイスを取り出し皆に見えるように持った。

 

 

「ルイオスとの戦いの前に持ってたヤツだよな?それ」

「そうですね」

「それは、剣なのかしら?それとも銃かしら?」

「ああ、これは剣ですね。因みにこれで魔法が使えます」

「まあ、そうなのね。今度みせてもらいましょう」

「他に聞きたいことは無いですか?」

「では私からだ。冠位魔術師とはなんだ?」

「これを説明するには私が箱庭に来る前の事を皆様に分かってもらう必要がありますね」

「お、おぅ」

「・・・・・・ヤケ?」

「そうね、いっそ清々しいわね」

「そこ、うるさいですよ!まず最初に言っておくと私は色々な世界を旅してまわっていま

す。この冠位魔術師というのは箱庭に来る前にいた世界でのものですね」

 

 

雪音は淡々と説明を始める。最初のしおらしさが吹き飛ぶほどの清々しさで説明を始める

ので、説明を求めた本人達も驚いている。そんな事知らんとばかりに説明は続けられる。

 

 

「箱庭に来る前の世界は飛鳥さん達となんら変わりない世の中ですね。一つ変わっている

ことは、神秘や魔術と言う物がありそれを行使する集団が居た位ですかね?」

「それは何ら変わりないとは言わないわよ?」

「表は変わっていないですよ?変わっているのは裏の方です。私はその中で魔術師の集団

が居る時計塔で色々と凄いことをした功績に冠位魔術師の称号をもらったんです!」

「冠位ってことはまだあるのか?」

「そうですね、上から冠位(グランド)色位(ブランド)典位(プライド)祭位(フェス)

開位(コーズ)長子(カウント)末子(フレーム)がありますね」

「て事は一番高い位な訳か」

「では。この緋と言うのはなんでございますか?」

「冠位になった魔術師はそれぞれに色を貰うんですよ。私の場合は緋の色ですね。その他に

赤、青、黄、橙などがありますね。それでは、これで質問は以上ですね?」

「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

「では、引き続き宴会を楽しみましょう!」

 

 

こうして、雪音の説明会は終わりを告げたのだった―――――




今回はなんと、雪音さんの過去をちょこっとだけお見せしました。雪音さんが第一話で居た
世界はFateの世界でした。因みに雪音さんが手紙を受け取った場所は某正義の味方も通った
あの砂漠であったりなかったり・・・・・・・・・
そんな訳で、アンケート結果ではFGOが多いので火龍誕生祭に出す武器はFGO内の宝具に決定
しました。皆様、選んでくださりありがとうございます。今後も次の世界でアンケートを取ろうと思っております。では、また次のお話で!


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11

”ノーネーム本拠地”

 

 

ノーネーム一行は、ペルセウスとの戦いから平和な時を過ごしていた。そんなノーネーム

で、何やらひと波乱ありそうな予感がする―――――

 

 

コン、コン。コン、コン。

 

「雪音、雪音、起きているかしら?」

「はい、起きていますが」

 

ガチャ、

 

「おはようございますぅ、何か用ですかぁ?」

「お、おはようございます」

「雪音さん、これを見てくれる?」

「リリさんに飛鳥さん達も、その封筒がどうかしました?・・・・・・・・これは、面白

そうじゃないですか!少し待っていてください」

 

 

雪音は楽しそうな様子で寝間着から着替える。普段着に着替え終わると皆で十六夜達を起

こしに行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女達移動中―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ノーネーム書庫”

 

 

「無理して付き合う事ねぇのに。まぁ、こいつなりにリーダーとして努力してるって事

か?」

 

ドタドタドタ、キィ!

 

「十六夜君!!」

「ああ、お嬢様。休めzzzz」

「起・き・な・さぁい!!」

 

タ、タ、タ、タ、ビュウン!!キィィィィィン!

 

「うぅ、痛いです・・・・・・」

「キャアアアアアアア、ジン君!?」

「オイオイ、お嬢様、寝起きにシャイニングウィザードはやめろよ」

「そんな事より十六夜君、これを見て!!」

 

 

そうしてシャイニングウィザードを受け倒れているジン君をよそに十六夜に手紙を見せ

る。すると、十六夜は手紙の内容を音読し始める。

 

 

「火龍誕生祭だぁ?クソが、面白そうじゃねぇか。さっそく行ってみようぜ?」

「ノリノリね」

「それにしても、どうしたんですかそれ?」

「黒ウサギが秘密にしていた様なの。春日部さんが偶々見つけたのだけれど」

「だ、駄目ですよ。ここから北の境界壁までどれくらいあると思ってるんですか!?」

「こんな面白そうなお祭りを秘密にされてたんだね、私達、グスン」

「毎日コミュニティを盛り上げようと頑張っているのに、グスン」

「これは、黒ウサギ達に痛い目見てもらわなきゃかもな、グスン!」

(うっわ凄いウソ泣き。ドン引きだー)

〚そう言う主さまも凄い棒読みなんじゃが〛

「あの、聞いてます?」

 

 

そんなこんなで十六夜達はジンを道連れに火龍誕生祭に行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十六夜達の残した手紙を読んだ黒ウサギ

 

 

「黒ウサギへ。北の境界壁で開催される火龍誕生祭に参加して来ます。お祭りの事を秘

密にしていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかったら四人でコミュニティを脱

退します。死ぬ気で探してください」

 

プルプルプル、クシャクシャ!ビリィ!!

 

「あの問題児様方わぁぁぁぁぁ!!」

 

 

こうして黒ウサギVS問題児ご一行との鬼ごっこが幕を開ける――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”サウザンドアイズ支店近くの店”

 

 

「さてと、北側に向かう方法だが、せっかくだから面白おかしく行こう」

「「賛成」」

「ここから北側の境界壁までの距離を知らないから言えるんですよ。今なら笑い話で済

みますから、かえりましょう?」

「ジン君、ここから北側の境界壁までどの位ありますか?」

「はい、ざっと九十八万キロですかね」

「「「わぁお」」」

「もう諦めまょう?」

「嫌よ、黒ウサギ達にあんな手紙を残したのに」

「おうよ!」

「じゃあ、サウザンドアイズにいきましょうか?」

「「「賛成!!」」」

 

 

そして白夜叉に直談判にいくのだった。

 

 

「つう訳で北側に連れてけこの野郎」

「いきなり脅迫とは礼儀を知らぬのぉ小僧。まぁ座れ、招待者としてそれ位の事は考え

ておった」

「ほう、話が早え」

「その前に一つ問おう、おんしらが魔王に関するトラブルを解決するとの噂があるよう

だが、誠か?」

「ええ、それは本当よ」

「それは、コミュニティのトップとしての方針か?」

「はい!」

「それではジン殿、東のフロアマスターとして正式に頼みたい事がある。良いかな?」

「は、はい!」

 

 

そして現在―――――

 

バァン!バァン!

 

 

「おぉ、やってますねー。それにしても活気があふれてますね」

 

 

白夜叉に案内してもらった十六夜達は、黒ウサギから逃げている。耀は早々に捕まって

しまったのでいないが、雪音はゲームで食べ物を取りながら何処かの屋根の上で十六夜

が始めたゲームを眺めていた。

 

 

「被害がヤバそうですね、修繕どうするんでしょうか?と、こっち来る!?」

「ゆ、雪音さん!?こんなところにいたのですか!?」

「ど、ドウモー」

「おい、その団子後で食わせろ!」

「分かりました。私は皆の所に行ってるからね?」

「了解だぜこのやろぉ!」

 

 

雪音は、皆の分の団子を買って白夜叉の所に戻るのだった。その道中、騒ぎがあったよ

うだがその時には白夜叉の居るコロシアムについた後だった。

 

 

「ジン、リリ、久しぶり!」

「元気そうで良かったです」

「魔王に襲われたと聞いたから、会いに行きたかったんです。無事で良かったです」

「でも、驚いたよ。サンドラがフロアマスターだなんて」

(あれがサラマンドラの新たなリーダーですか良いですね)

〚〚年寄り臭いですよ、マスター/主さま?〛〛

(だまらっしゃい!それにしても「近づくな、名無しの小僧が!!」!?)

 

ガキィン!!

 

「危ないですね、貴方・・・・・ジン君達を殺す気で振りましたね?」

「「「!?」」」

「雪音、居たのか?」

「ええ、とは言っても最初から居たわけではないです」

「兄様!彼らはかつての盟友、一方的にこちらから盟約を切った挙句にその態度は!」 

「いい加減にせんかマンドラ!」

 

 

白夜叉余計なもめ事に発展する前に止めに入る。マンドラはそれでも話すのをやめな

い。

 

 

「サウザンドアイズも余計な事をしてくれたものです。南の幻獣北の精霊東の落ち目

とはよく言ったものです。此度の噂も東が北を妬んで仕組んだものでは?」

「マンドラ兄様!!」

「その噂とやらが依頼の内容ですか?」

「サウザンドアイズの一人が予言をしたのじゃ、火龍誕生祭にて魔王襲来の兆しあり

とな」

「「「!?」」」

 

 

そんな中飛鳥はどうしていたかと言うと―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、北の境界壁の商業区にて飛鳥は不思議な生物と友達になったのだった。

 

 

「別に取って食おうってわけじゃないの。はいこれ、友達の証」

「?・・・・・!オイシイ!」

「フフ、仲良くなった事だし貴方の名前を教えてくれる?私の名前は久遠 飛鳥よ」  

「ラッテンフェンガー!」

「それがあなたの名前?」

「コミュ」

「コミュニティの名前なの?それじゃあ貴方の名前は?」

「ラッテンフェンガー!」

「まあ良いわ、一緒に展覧会を見学しましょう」

 

 

そんな事を話していた。果たしてこの妖精は誰なのだろうか?

ところ変わって先ほどの魔王襲来の話。

 

 

「ま、魔王襲来の予言!?」

「正直以外だぜ、てっきり跡目争いとかそんな話だと思ったんだが」

「何!?」

「内容を聞かずに引き受けたのはおんしらじゃ。あやまりはせんぞ?」

「そりゃそうだ。だが、それで俺達に何をさせたいんだ?」

「魔王はこのわしが相手をするゆえな、そなたらには露払いを頼みたい。それでは気に

食わんか、小僧?」

「まあ、魔王がどれ位か知る良い機会だ。だがな、別に何処かの誰かが偶然魔王を倒し

ても問題はねえよな?」

「良かろう、私が許す」

 

 

こうして魔王襲来に関する会議はひと段落したのだった。その夜飛鳥達はサウザンドア

イズ支店に泊まることになった。

 

 

(どうしましょう、温泉一人で入れないものでしょうか?)

「そう言えば雪音さん、今回は一緒に入らない?」

「あのぉ、えぇっと・・・・・・」

「そう言えば一緒に入った事が無いですね。どうしてなのですか?」

「それは・・・・・・分かりました。理由は中で話しましょう。浴衣は自分の物を使い

ますので遠慮します」

 

ガラガラガラ、カポーン。

 

「その、一緒に入らない理由でしたね」

「・・・・・・・なんで?」

「は、恥ずかしいんです!」

「「「「恥ずかしい?」」」」

「そうです、今まで他の女性と入るなんてしてこなかったんですよ」

「そう、可愛い一面もある物ね」

「そうじゃな」

「笑わないでくださいよ!?私は先に出ますから!」

 

ガラガラガラガラ、ピシャン!!

 

 

雪音が去った後の湯ではこんな事が話されていた。

 

 

「それにしても、多分もっと別の理由もあるでしょうね」

「では、いずれその理由を話してもらいましょう!」

「その事なんじゃがな、あやつは近々箱庭を去る予定だそうだ」

「「「!?」」」

「それは本当なの!?」

「ほ、本当じゃ!あやつが自分から相談してきたのじゃ。揺らすな!」

 

 

その後白夜叉による魔王襲来の説明を初めて一日が終了した。

 

 

 

 




こんにちは、ユキネコネです。今回は火龍誕生祭です。雪音さんがお風呂に一緒に入らなかったのは今までそう言う機会がなかったのもそうですが、一番はそういうのに無頓着だからですね。そして、とうとう雪音さんが次の世界に行く話が出てきました。予定では火龍誕生祭が終わったら次の世界に移ろうと思っております。雪音さんの浴衣は自前ですが皆さんのご想像にお任せ致します。因みに、マンドラの剣をはじくのに使ったのはアゾット剣です。それでは次のお話で。


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12

一夜が明け次の日、遂に火龍誕生祭のメインイベントが始まろうとしていた。

 

 

『これより、創造主達の決闘を始めたいと思います!』

 

ワアァァァァァァ!!

 

『進行は、サウザンドアイズの連続ジャッジでお馴染みの黒ウサギが担当致します!』

 

 

日も落ち始めたコロシアムに熱狂が渦をまく。雪音達はその盛況ぶりに少し驚く。十六夜

と白夜叉は何やら馬鹿なことを話しているようだ。

 

 

「そういや白夜叉、黒ウサギのミニスカートが見えそうで見えねぇとかどう言う了見だ?

チラリズムなんて趣味が古すぎるぜ」

「ほう?おぬし程の男が真の芸術を分からぬとは・・・・」

「何?」

「芸術とは即ち未知なる物へのうむなる想像。神秘なる物への飽くなき探究心。そう!芸

術とはおのが宇宙の中にある!!」

「おのが宇宙の中に・・・・だと!?」

「見えてしまえば下品な下着も見えなければ芸術だ!」

「見えなければ芸術か!こりゃ一本取られたぜ。これからもよろしくな白夜叉!」

「うむ、二人で確かめようぞこの世の奇跡が起きる瞬間を!」

 

ガシ!!

 

(この二人は・・・・・はぁ。此処まで来たらこの二人が奇跡ですよ)

「全く、もうすぐ春日部さんのギフトゲームが始まるというのに」

『それでは入場していただきましょう。第一ゲームのプレイヤー、ノーネームのプレイヤ

ー春日部 耀!!』

 

 

どうやら、これからプレイヤー紹介のようだ。雪音は相手のプレイヤーが誰か注意深く観察する。

 

 

『そして、”ウィルオウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥス!』

 

 

その紹介と共に大きな炎が耀の前を通りすぎる。その炎には一人の少女が乗っているようだ。

 

 

「あはははははは。見て見て見たぁ?ノーネームの女が無様に転んでるぜ!さあ、素敵に不敵に面白おかしく笑ってやろうぜ!」

「YAFUUUUUUuuuuuuuu!」

(少し散策でもしますか)

〚耀のギフトゲームを見なくてよいのか?〛

(えぇ、少し・・・・・・・)

〚所で、マスターはいつ箱庭から出ると話すんですか?〛

(その話ですか・・・・・・多分白夜叉が話しているでしょうし魔王が来た時にでも話をしましょう)

〚そうか。それが主さまの決めた事ならばなにも言わん〛

〚私もです、マイマスター〛

(雪花、とこよ。ありがとうございます。今回の魔王討伐では少し本気を出しましょう)

〚そうですね〛

 

 

雪音は旅をそろそろ再開させなければと思っていた。もちろんこの世界も良いがやはり旅は続けたいと思うのが本音だった。雪音の旅は基本何年、もしくは何か月かその世界に滞在して移動するを繰り返す旅だった。あまりにもこの箱庭が居心地良い場所だった為にいつもの滞在期間を過ぎてしまいそうだからである。

 

 

(十六夜さん、飛鳥さん、耀さん。ごめんなさい、私はやはりこの世界で一緒にはいられません。またいつか帰ってきますので、それまで待っていてください。春日部さんは止めにはいるのでしょうね)

「白夜叉、少し席を外します」

「む、良いぞ、すぐに戻るんじゃぞ!」

「ええ、そうよ。春日部さんが戦っているのだから早く戻ってきて一緒に応援をしましょう?」

(白夜叉さん、飛鳥さん、すみません)

 

 

こうして雪音はコロシアムを後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”武器庫”

 

 

雪音が居るのは別空間にある書庫の左に位置する武器庫である。ここで雪音がしているのは武器の選定兼整理であった。雪音が今回使うのは英雄達からプレゼントされた伝説的な武器の数々だ。雪花達に霊体化を解いてもらい武器を探している最中である。

 

 

「雪花、とこよ、何か良い物はありますか?」

『こっちには艤装の予備位しかないぞ?』

『これはどうですか?』

 

 

雪花が持っているのはどことなくエクスカリバーに似ている黄金色の直剣だった。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁ!!それ、マーリンからもらった選定の剣(カリバーン)の失敗作じゃん!?こんなところにあったんだ。じゃあ、一つ目はこれで良いか。二つ目はぁ」

『これがよろしいかと』

「菊一文字宗則ですか、それ?菊一文字は御刀なので使いたくないんですよね」

『?一応宝具では無かったかの』

「そうですが、人斬りとして以外では使ったことがないですから・・・・・・・・沖田さん私はどうすれば良いのでしょうか?」

『それこそ誰にも分からぬものよな?』

『そうです。それに新選組の皆さんも雪音さんに自分らしく生きて欲しいと思いますよ?』

「分かりました。持っていきましょう、不知火はお留守番しててね」

 

カチャカチャカチャ!!ドスン!

 

「うわぁ!?今度使ってあげますって!?」

 

カチャカチャカ・・・チャ・・・・・・

 

「艤装の一部になったり、本当に不思議ですね」

『打ったのは主さまではないか?わしは知らんぞ』

「そうわ言いましても、うぅん・・・・色んな物混ぜすぎたかな?」

『ご神体の内の一つや自身の血などを混ぜた時点で気づくべきだったかと』

『言い忘れていたがわしは正確には雪代の元々の神では無いからな?』

「嘘!?今さらっと衝撃発言しなかった!?」

『箱庭に来た際に主さまが聞き忘れたことじゃ。正確には雪代の本来の神は主さまの師匠が殺された時に消滅しておる。わしは不知火に宿っていた時におんしの親に託されたのじゃ』

「え?それじゃあ、今まで調べてきた事って・・・・・・意味ない?」

『正解じゃ。すまなかったな主さま、その刀はわしの半身故な?今でこそ神となっているが元をたどればわしは主さまの厄災の発端じゃな!』

「雪花は知っていたの?」

『私もそこまでは知りませんでした』

「え、待って?それじゃあ今まで私が隠してきた過去は『もちろんバレておるぞ?』そんなのあんまりですぅぅぅ!!」

 

 

まさかの衝撃発言と羞恥心により雪音は幼児退行してしまった。とこよが言ったことは粗方事実だ。とこよは守ってくれと託された、刀は主を守ろうと敵味方関係なく滅ぼしていく。つまり、雪音が覚悟さえ決めて不知火を使い続ければ良い話だったのだ。その後は無言で準備が進められた。外では丁度魔王による襲撃を受ける数秒前だった。

 

ブウゥゥゥゥン!

 

「はぁ、旅は続けるとして、不知火と力を使い続ける・・・・か・・・・。まあ良いです、今は」

 

ヒラヒラヒラ、トス。

 

「何ですかこれ?黒い羊皮紙?何か書かれていますね」

 

 

黒い羊皮紙に書かれていた内容はこうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ギフトゲーム   ”The PIED PIPER of HAMELIN”

 

 

 プレイヤー一覧   現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の

           舞台区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ

 

 

 プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター

           太陽の運行者・精霊 白夜叉

 

 

 ホストマスター側勝利条件

           全プレイヤーの屈服及び殺害

 

 

 プレイヤー側勝利条件

           一、ゲームマスターの打倒 二、偽りの伝承を砕き真実の伝承

           を掲げよ

 

 

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催し

    ます。

 

 

 

                          グリモワール・ハーメルン印」

 

 

 

 

 

 

 

 

という内容だった。内容の通りなら非戦闘員もいるだろう。それなのにホスト側の勝利

条件が屈服か殺害だと言う事実に雪音は怒りを覚えた。ギアスロールを燃やしてから飛

鳥達の元へと急ぐ。

 

 

「・・・・・・・・速く飛鳥達に合流しよう」

『大丈夫か?』

「・・・・・・・・・・」

 

タッタッタッタ

 

「魔王が現れたって事で大丈夫か?」

「ハイ」

「十六夜さん?」

「まさか、行くのか?」

「ああ、ちょっくら挨拶してくる・・・ぜ!!」

 

ドオォォォォォォン!!

 

 

十六夜はそう言って魔王でと向かっていく。雪音はそれをただ黙って見ていた。十六夜

が接敵したのを見てから雪音は飛鳥達に接触する。

 

 

「ジン、飛鳥、リリ。ただいま」

「雪音さん何処に行ってたかは今は聞きません。今は魔王が「知ってる」そ、そうですか」

「白夜叉、いったいどうなっているの!?」

「分からん。どうやらギアスロールの効果により私は参戦できないらしい」

「ギアスロールの?」

「ああ、良いかおんしら、今から言う言葉を一字一句たがえずに黒ウサギに伝えること。

第一、このゲームはルール作成段階で故意に説明不備を行っている可能性がある。最悪

なことに、このゲームにはクリア方法が存在しない」

「「「!?」」」

「第二にこの魔王は信仰のコミュニティである可能性が高い事を伝えるのじゃ」

「分かりました」

「第三に恐らく、私を封印した方法は恐らく「はぁい、そこまでよ?」

「「「「!?」」」」

「・・・・・・・・・」

 

 

白夜叉が最後に自身が封印された方法を教えようとした時、後ろから聞こえた女性の声により説明が中断されてしまった。雪音以外全員が驚いて振り向く。そんな中雪音はゆっくりと振り向いた。

 

 

「あららぁ?最強のフロアマスターもこうなっちゃあお終いね?」

「貴様!サラマンドラの連中に何をしたぁ!?」

「そんなの秘密に決まっているでしょ?それより、お邪魔よ?あんた達」

 

『ガアァァァァァァ!!』

 

 

大量の操られたであろう兵が一斉に襲い掛かる。だが、耀が全て薙ぎ払った。

 

 

「やるじゃない」

「いくよ」

 

ピイィィィィィィ、ピオォォォォォォ。

 

「「「!?」」」

「な、何これ?!」

「み、耳が!」

「な!飛鳥、ジン、耀!?」

 

 

飛鳥達は目の前の女性が吹いた笛に苦しめられていた。ただ一人をのぞいて。

 

 

「あら?なぜ貴方にだけ効かないのかしら?」

「耀、飛鳥、ジン達を連れて逃げろ」

「で、でもそしたら雪音さんが!」

「良いから逃げろ」

「わ、分かった・・・・・・」

「逃がすと思ってるの?」

『ガアァァァァァァ!!』

「「!?」」

 

『我が矛は、ただ白く白くいつまでも白きもの』

 

雪音が何かを詠唱する。

 

『我が盾は、ただ黒く黒くそこにある物!!』

 

パキパキパキィィィィィィィ!

 

一瞬で兵たちは足元から凍っていく。雪音に邪魔された女性は雪音に攻撃をしようとするが防がれてしまう。

 

 

「何よ、貴方からは攻撃しないのかしら?」

「・・・・・・してほしいか?」

「いいえ、結構よ」

「なら早くお前の役割でもおわらせろ。私は何もしない」

「ゆ、雪音?何を言っておるのじゃ!?」

「あらぁ?貴方のお仲間さん、こちら側に寝返ったようよ?」

 

ピイィィィィィィ、ピオォォォォォォ。

 

 

あちこちから苦しむ声が聞こえる。なぜ雪音が動かないのか。その理由はとこよに言われた自身の本当の力を使いこなすためである。実験のようで後味が悪いが、これも雪音の一面であった。かくして最悪のギフトゲームが始まった。

 

 

 

 

 




どうもユキネコネです。今回はとこよが秘密を暴露しました。アンケートからFGOの武器、宝具は菊一文字、カリバーン,アヴァロンに決定しました。アヴァロンは疑似再現でカリバーンは出来損ないですが・・・・・・
雪音さんは新選組の何人かと友人と言う設定です。刀は死んだ後の沖田さんの遺書で譲り受けたものです。因みにそれでは、また次のお話で


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13

そこらかしこで人々が殺し合う。まさに地獄絵図と言う言葉が相応しい。今もなお嫌な笛

の音が響いている。そんな中突如黒い雲が集まり雷が轟く。そして黒ウサギの声が聞こえてくる。

 

 

『ジャッジマスターの発動が受理されました。これにより、ギフトゲーム”The PIED PIPER of HAMELIN”は一時中断し審議決議を執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦

を辞め速やかに交渉テーブルの準備に以降してください!』

 

 

こうして両者一時停戦の状態で交渉を始めた。

 

 

「それでは、ギフトゲームThe PIED PIPER of HAMELINの審議決議及び交渉を始めます。まず、ホスト側に問います」

「不備は無いわ」

「!?受理しても宜しいので?黒ウサギのウサミミは箱庭の中枢と繋がっています。嘘をついてもすぐに分かってしまいますよ?」

「その上で言うわ、私達は無実の罪でゲームを中断されているわ。こちらが言っている事。

分かるわよね?」

「不正が無かった場合、そちらに有利な条件でゲームを再開しろと?」

「新たなルールを加えるかは後で交渉しましょ」

「わかりました。黒ウサギ?」

「ハイ!」

 

キイィィィィィィィイン!

 

黒ウサギが箱庭からの回答をまって数分たった。

 

「箱庭からの回答が届きました。此度のゲームは不備不正はありません。白夜叉様の封印も正当な手段で作られた物です」

「当然ね、じゃあルールは現状維持。問題のゲーム再開の日取りなのだけれど?」

「日取り?日をまたぐのですか?」

「ジャッジマスター、ゲームの日取りは最長何日かしら」

「最長ですか?今回の場合だと一か月位かと」

「じゃあ一か月後で」

「待ちな/待ってください」

 

 

十六夜とジンが何やら説明などをするようだ。それを要所以外聞き流しながら雪音は今後

奥の手を使うかを考えていた。その時だった―――――

 

 

「貴方達がグリモワールハーメルンの傘下に入るの。そうしたら他は見逃してあげる」

「「「「!?」」」」

「そう言えば貴方のお仲間、そうそこの彼女。私達に寝返ったみたいよ?」

「!本当なのですか?答えてください!?」

「・・・・・・・・・・」

「おい、そこの小娘どういう事だ!!」

「馬鹿を言わないでください。貴女を止めなかったのはそれが最善だったからです。それに貴方方のような屑のコミュニティに入るほど私は腐っちゃいない!!」

 

 

そこから雪音はマンドラの言った言葉以外では交渉に口を出さなかった。それで会議は

終了した。

 

 

キイィィィ、ガチャン。

 

「耀さん。起きてますか?」

「うん、起きてる」

「十六夜君は何処に行ったの?」

「何かゲーム解決の糸口が見つかったってさっき出て行ったよ?」

「入れ違いでしたか。耀さん今から治しますが安静にしていてください」

「分かった」

 

 

雪音は両手を交差させて耀の寝ているベッドの上に浮かせた。

 

『宝具、疑似展開!本物には劣りますが、アヴァロン!!』

 

すると耀の体を暖色系の色が包む。耀は気持ちよさそうに寝ている。安心したように雪音は耀の髪をなでてから自分に貸し出された部屋に戻る。そしてゲーム再開日当日。

 

 

「私は一人で行動するので許可願いたい」

「了解しました。ですが、信じていますからね」

「分かった」

 

チッチッチッゴオォン!ゴオォン!

 

「ゲーム再開」

 

 

その言葉でゲームは再開された。ゲーム参加者で動ける者は全員ネズミの書かれたステンドグラスを割っていく。

 

 

「あららぁ?どうやら謎がとかれたようですよ?」

「構わないわ、いざという時には皆殺しにすれば良いもの。その為にヴェーザーに神格を与えたのだから」

「ちぇえ、なんでヴェーザーに」

「さて、謎が解かれた以上温存しておく必要は無いわね。ハーメルンの魔書を起動する」

 

 

区画全体がハーメルンの街に変わっていく。雪音は一人奥の手を使う決意をした。

 

 

「あっちでは十六夜が始めたか。私もやるとしよう。コード、エクスキューショナーシフト』

≪了解、コード承認。エクスキューションシフト、オールリミッターブレイク。≫

 

ギュウゥゥゥゥゥゥゥゥンン!!

 

≪番外武装深骸を展開、全行程を終了。大出力によるバックファイアまで、5、4,3,2,1≫

 

ピイィィィィィィ!!

 

「ッ!?―――――?!―――――はっ、はっ、あぁ。ふう、殲滅、いや今回は守るためだ今は軍での任務じゃない。カリバーンでやるか」

 

 

そうして不知火を腰に、カリバーンを右手に構え雪音は赤い閃光を走らせながらレティシアの下に向かう。

 

 

「久しぶりだとなれませんねぇ」

「ナビをお願いします」

〚了解しました、マスター〛

 

ズガアァァァァァン!!

 

「あれは、飛鳥か?随分とでかいな。加勢しにいこう」

 

 

そこには巨大な赤い巨人、ディーンを操る飛鳥が居た。加勢しにいこうとしたがすでに

決着はついていたようだ。

 

「あら、雪音さん。奇遇ね?」

「どうやら終わっているようだから私は他へ行くよ」

「そう、がんばってね雪音さん」

「ありがとうございます」

 

 

そうして雪音はペストの下に向かう。途中十六夜が敵と仲良くなっているのを見て雪音は

存外自分も似たものだと思うのだった。

 

 

「もう止めた、時間稼ぎは終わり。白夜叉だけ手に入れて皆殺しよ!」

「な、耀!?ムーンビーク展開(レーゼン)!!」

〚了解しました。ムーンビーク、レーゼン。〛

≪自己加速開始≫キュイィィィィン!

「届いた!カリバーン!!」

 

バアァァァァァァ!

 

カリバーンで切り伏せるがすぐに迫ってくる。雪音は大丈夫でも後ろにいる耀達が危ない。雪音は鞘を使う決心をする、

 

 

『番外武装深骸を停止、来たれ我が聖剣!!』

≪コード、エクスキューショナーを停止致します≫

 

雪音の姿は先ほどの漆黒の鎧とは打って変わって西洋の騎士を彷彿とさせる騎士鎧を身に着け、髪は白色に、目は空色に変わり目の前には純白の剣と鞘が浮いていた。

 

『真名解放。力を貸してください、私は守りたいんです!第一宝具展開。』

 

剣を胸の前に構えその鞘を使う為の準備をする。

 

『束ねるは星の息吹、輝ける命の灯よ。このひと振りはかの厄災を穿つ。友を、仲間を守る為の一撃。光潰えぬ白銀の聖剣(エクスカリバー レティリアス)!』

 

聖剣の輝きが強まる。そして雪音は自身の最大の宝具を放つ。

 

『宝具改定。第二宝具展開。友はもう居ない。それでも歩みを止めないで、それがたとえ彼方の夢でも。』

 

誰かの声が聞こえてくる。そして雪音は剣を鞘に納めながら真名を叫ぶ。

 

忘れ去られた龍との永遠の絆(ブレイブハートアルビオン)!!』

 

ゴオォォォォォォ!!

 

「雪音!?」

「耀さん、今の内に!」

「うん!」

 

シュバ!シュバ!シュバ!

 

「黒ウサギ!?」

「よそ見すんなよ黒ウサギ!!」

 

ガァァン!

 

 

間一髪のところでよそ見をしていた黒ウサギを十六夜が助ける。雪音は宝具連続使用による疲労で戦おうとしたら強制で黒ウサギに注意された為にジン達の所に戻っている。そして後は十六夜達が魔王を倒してこの最悪なギフトゲームが幕を下ろしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ノーネーム本拠地”

 

 

雪音達は農地に来て飛鳥のところにいるメルは無理と判断したので雪音が復活させたりと

色んなことがあった。そして、今は子供たち以外の人に集まって貰っている。理由は自分の旅についてだった。

 

 

「皆さんに集まっていただいたのは私に関する事です。皆さんは白夜叉から聞いたでしょうが、私はこの箱庭をでて旅を続けたいと思います。本当にもうしわけありません」

「なあ、その旅っていますぐじゃなきゃ駄目なのか?」

「そうでは無いですが、やはり私には旅をするほうが性に合っているんです」

「確かその刀とかの問題を解決するためとおっしゃっていましたよね?」

「あぁ、それは思わぬ形で解決しました」

「そうでございますか」

「解決したのならここにいられない?」

「ですので私も一つ考えたんです」

「「「「「「何を?」」」」」」

「リーダー、これを保管しておいてください」

「これはお守り?」

「お守りね」

「お守りだな?何々、神薙神社安全祈願とこれは、鈴か?」

「はい、そのお守りは私の神社のお守りです。ちゃんとみんなの分ありますよ。それでこの鈴はギフトの様な物です」

「そうなのですか!?」

「これは定期的に自動で鈴が鳴り響きます。この鈴が鳴っていればその場所に鳥居を通して跳ぶ事ができます。なので、これで離れていても定期的に会えます」

「雪音さん、ありがとうございます。コミュニティを代表してお礼を言わせてください」

「はい、どういたしまして。それと本来の名前を名乗っておこうと思います。基本、仕事で使っている名前なのでこの名前を覚えた後も雪音でよろしくお願いします」

「「「「「「分かりました」」」」」」

「こほん。改めて自己紹介を、私は17代目雪代家当主の雪代 祐奈と申します。軍属で階級は少佐です。よろしくお願いします」

「祐奈って名前だったのね」

「よろしく」

「では、もう行ってしまうんですか?」

「はい!いってきます!」

「「「「「「行ってらっしゃい!」」」」」」

 




どうもユキネコネですさて、今回で問題児編終了です。今回は色々と大盤振る舞いで明かしていきました。終了と言っても番外編や雪音さんオリジナルのエピソードで再登場しますのでよろしくおねがいします。次に行く世界は投稿されてからのお楽しみです。それでは、また次の世界でお会いしましょう。


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第二章 刀使の巫女の世界へ
次の世界は刀使の世界


どうも、ユキネコネです。次に雪音が旅する世界は刀使ノ巫女の世界です!主人公は相模湾岸大災厄に雪代 祐奈として参加しています。因みに雪音が過去に行ったことのある世界は刀使ノ巫女、FGOとEXTELLA以外のFateシリーズ、ドールズフロントライン、艦隊これくしょん、勇者であるシリーズ、東方Project、ストパンなどです。この中の何個かは必ず行く予定です。皆様、読んでくださりありがとうございます。それでは、引き続きお楽しみください。


雪音は先程着いた世界の自分の家に来ていた。何故自分の家があるかという疑問を解説すると、一度この世界に来た事があるからだった。何故一度来た世界に来ているかというと、箱庭で問題が解決した為一度来た世界を再度旅しようという結論に至ったためだ。

 

 

「ただいまー。・・・・・・虚しいだけですねぇ、さて準備をしますか」

〚何を準備するのじゃ?〛

「まず家に御刀の帯刀用ストッパーがあったはずですのでそれを探しましょう。その後昼食を食べた後テレビを付けましょうか」

〚ではそうしようかの〛

 

 

こうして雪音は家の蔵から帯刀用ストッパーを探す。途中懐かしい物が出てきたが手を止めずに探す。

 

 

「おっと、ありましたね。サイズ大丈夫ですよね?」

 

カチャカチャ、

 

「よし!大丈夫ですかね?それにしてもサイズが変わらないと言う事は・・・・・」

〚大丈夫ですよマスター!ミリ単位ですが成長していましたから!〛

「てことは今はもう成長しない?・・・・・・ガク」

 

 

昔と背丈などが変わっていない事に気を落としていると雪花のフォローで止めをさされたのだった。その後、再起不能になった雪音の代わりに雪花ととこよが昼食を作ったのだった。

 

 

〚雪音、お昼が出来たので来てください〛

「分かりました。行きましょう」

 

ギシ、ギシ、ギシ、ギシ。スウゥ―――――。

 

「それじゃあテレビを付けましょうか」ピッ!

『本日のニュースです。今年も刀使達による御前試合が開催されるようです』

「御前試合・・・・・・・懐かしいですね。今度舞草(もくさ)に遊びにいきましょう!早速準備に取り掛かりますよ!!」

 

 

どうやら雪音は舞草に行くことに決定したようだ。だが、アポ無しで大丈夫だろうか?

雪音はお昼ご飯を片付け着替える。数日分の洋服を異空間からとり変えて、紺色のパーカーを着てから帯刀用ストッパーと御刀をギターケースに入れて外にでる。本人証明用

に昔の生徒手帳と帯刀許可申請書をポーチに入れてバイクに乗り出発する。

 

 

ブオォン!ブオォン!ブオォォォォォ!

 

「それでは出発です。・・・・・・江麻ちゃんの所に行こうか、確か美濃関学院で学長をしてるんでしたね?」

 

 

その日雪音は舞草に行く前に美濃関学院に行くことにした。変更が多い気がするがこれで本当に舞草に行けるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”岐阜県関市内のホテル”

 

 

その夜、美濃関学院のある関市内のホテルで今後どうするかを決めていた。

 

 

「それでは、今後の身の振り方を決めましょう。とりあえず舞草には確定で行くとして行けたらフリードマンに会いに行きましょう。朝になったら江麻ちゃんにアポとらなきゃなぁ、昔のスマホだけど・・・・・・きっと大丈夫だよね!」

〚多分驚かれると思うのですが、てもう寝ています〛

〚これは、主さまの自業自得だからな?そもそも連絡先が消えている可能性があると言うのに〛

 

 

こうして次の世界での一日が終わった。そして”夢の狭間”にて―――――

 

 

「うぅん、ここは?」

「やっときたね?待ちくたびれたよ、最近は来てくれないんだもん」

「あぁ!師匠!?じゃあここは夢の狭間ですか」

「そうだね、ちなみに今回は神社だから!ねえ!来てくれなかった理由、聞かせてよ?」

「わ、分かりましたよ。ゆ、揺らさないでください?!」

 

 

ここは夢の狭間。死んだはずの師匠がここで修行を付けてくれるのだ。だが箱庭にいた最近は夢の狭間に行くことがなかったのだ。雪音の目の前の人物は先代の雪代家の当主であり雪音の師匠兼親の雪代 美弥である。雪代家の剣術である神薙流双剣術や他の古流剣術を教えた人物である。

 

 

「師匠。今回は凄いことがあったんですよ!」

 

かくかくしかじか―――――

 

「ふふ、そうだったの。私も行ってみたかったわ」ニコニコ。

「ん?何でそんなにニコニコしてるのですか?」

「んー、そんなに楽しそうにしてる雪音は試合以外で久しぶりに見たからさ?」

「そ、そうですか。それでは試合をしましょう」

「いや、今回は試合はしないよ?」

「へ?」

「今回はお客さんが来てるから行ってこい!」

 

 

師匠に背中をおされ鳥居から隠世(かくりよ)に送られる。雪音はそう言えばここも隠世と繋がって存在してたなと思いつつ鳥居に入っていく。鳥居から出ると何処かの家についた。雪音は家に入っていく。

 

 

「ここは、立て札には何も書かれていませんし。どうしましょう?」

「あれ?あんた祐奈じゃない!じゃああの人、願いかなえてくれたのね」

「え、そんな・・・・・事って・・・・・」

 

 

聞き覚えのある声が聞こえる。昔聞き慣れた声だ、良くやんちゃして先生に怒られていた声だ。信じられないとばかりに口に手を当てて泣くのを我慢して振り向いた。そこには、

あの大災厄で助けられなかった、もう会えないと思っていた人物がいたのだった。

 

 

「み、美奈都?」

「うん。どうしたの?」

 

ポロポロポロ。

 

「え!?ゆ、祐奈?なんで泣いてるの!?あぁぁもおぉぉぉ。ほら、泣かないで、ね?」

 

 

顔を見た瞬間堪え切れず涙を流す。それを見た美奈都は急に泣き出した雪音を慰めようと奮闘する。それでも泣き止まない雪音に美奈都はとうとう折れる。

 

「あぁ、もう!ここに篝が居てくれればなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ、グス、グス。はぁ、見苦しい所を見せました」

「別に構わないって。流石に泣くのは予想外だったけど」

「そ、それは・・・・・・もう、会えないと思ったから」

「そんな暗い顔しない!それより話、聞かせてよ」

 

 

数時間泣き続けてようやく調子が戻った雪音は美奈都に相模湾岸大災厄後の話をした。話し終わった時の美奈都の反応は予想外の物であり雪音や知人が見れば美奈都らしいという

反応をした。

 

 

「へえ、私が親にねぇ?ねえ、相手はどんな人だったの?」

「私はあの後祐奈ではなく雪音として葬儀に出席したのでそこまでは知りません」

「ねえ、雪音ってどうゆうこと?貴女の名前は祐奈よね?」

 

 

案の定美奈都が雪音の名前について疑問符を浮かべたので説明する。説明が終わった後の美奈都はなるほどと言う顔をして言った。

 

 

「そういう事か。祐奈は仕事でも使っているのかぁ、ねえ、祐奈は当主になってから雪音という名前を隠すのを止めたのよね?」

「そうですね、私はその時形式上は雪代でしたので師匠に推薦された時に正直に話して雪音としての名前を本名に、祐奈としての名前を当主として仕事などに使う生き方をえらんだんです。」

「じゃあ今後もあんたは祐奈ね!」

「分かったよ、美奈都」

「そろそろ時間ですね。また会いましょう」

 

 

そうして朝がくるのだった。早めに起きた雪音はストレッチなどをして朝食を食べてからホテルを出た。数分美濃関学院の周りを散策してから今では学長になっている羽島 江麻

に電話を掛けた。

 

プルルルルル、プルルルルル、

 

「うぅん、やっぱりもう残ってないかな、電話番号?」

 

プルルルル、プルルルル、ガチャ。

 

『もしもし、祐奈先輩!?』

「うわお!びっくりしたぁ。もしもし江麻ちゃん?祐奈だけど」

『もう。驚かさないでください、祐奈先輩』

「先輩はやめてよ、もう卒業してるんだし」

『そうですか。今どこにいるんですか?』

「今は美濃関学院の目の前だよ?」

『嘘!?今から行くから待っててください!』

 

ガチャ。ピー!ピー!

 

「切れちゃった・・・・・御前試合があるなら準備があるだろうに。悪いことしたなぁ」

 

 

待つこと数分、江麻学院長が歩いてきた。雪音も手を振りながら歩いてゆく。

 

 

「祐奈さん。お久しぶりです、急に電話がきてびっくりしました。これが入校証です、首から下げてください。色々見て行ってください」

「ありがとう。それじゃあ見ていこうかな?それと少し話があるから学院長室に行って良いかな?」

「はい分かりました、ついてきてください」

 

 

そして各刀匠過程に使う部屋や備品を見ながら学院長室に着く。途中、長船女学園の生徒が居たようなので後で声をかけようと思いながら部屋に入っていく。

 

 

「それで話なんだけど、江麻ちゃんには二人の時や皆といる時は祐奈、知らない人、生徒とかが居る時にはバレるまで雪音って呼び方にしてもらえるかな?」

「分かりましたが、なぜですか?」

「今はばれたくないんだ、ちゃんとしかるべき時になったら話すよ」

「絶対ですからね?では好きに見て行ってください。鎌倉で御前試合がありますから良ければみていってください」

「うん、何から何までありがとう、それじゃあ行くよ」

 

 

そして美濃関学院の内部を見てまわる。中庭を見ていると三人の人影が見える。その内の二人は雪音が声を掛けてみようと思っていた二人だった。雪音はその三人の方に歩いてゆく。

 

 

「あのぉ、少し良いですか?」

「は、はい!?何ですか?」

「驚かせちゃったかな?自己紹介をしよう。私の名前は皐月 雪音、羽島学院長の友人です。君達の名前は?」

「はい!私は美濃関学院中等部2年生の安桜 美炎です!」

「私は長船女学園の高等部3年生の瀬戸内 智恵といいます。智恵で良いです」

「あ、私は美炎って呼んでください!」

「俺は高等部3年生の服部 達夫です。よろしくお願いします」

「そんなにかしこまらなくても良いよ?それでなんの話をしていたんですか?」

 

かくかくしかじか―――――

 

「でしたら、刀使による部隊運用のシュミレータを個人が運用できるレベルに落とし込んだ物があるのですが、宜しければ試してみませんか?雪音さんは見学で」

「あ、はい、よろこんで。でもいいんですか?私他校の生徒ですよ?」

「もちろん、技術は共有してこそですからね。雪音さんはどうしますか?」

「では、見学させてもらいます」

 

 

そして技術棟でコンピュータ上で再現されたフィールドで戦う美炎を見学していた。

 

 

「美炎ちゃん、大丈夫かしら?ちょっと無茶な気がするのだけれど」

「美炎さんがどんな人か知りませんが、信じてみては?」

「お、良いこと言うじゃないですか。それでも無茶に思うんだけどな」

「終わったようですよ?」

 

 

シュミレータを終わらせた美炎が二人に自慢をしている。

 

 

「ね、こんなのゲームみたいな物だし意外と何とかなったでしょ?」

「あくまでまぐれでは無い、と。じゃあ、そう言う事にしておくよ」

「そうですね、そう言う事にしておいてください」

「む、何で二人共ニヤニヤるわけ?実力だよ実力!」

「まあ、良いじゃないですか」

「それはそうと雪音さん、瀬戸内さん、うちの学校ではもう一つ赤羽刀(あかばねとう)の再生にも力を入れているんですよ」

「ああ!荒魂(あらだま)が落とすアレだよね、赤羽刀って。あの錆びてる御刀」

「うぅん、間違ってはいないけど・・・・・・大雑把だねぇ美炎ちゃん」

「いえ、安桜はこれくらい能天気な方が良い思いますよ?それが魅力ですから」

「ああ、もう時間だ。ごめんなさい、もう行かなくては行けないのでこれで失礼しますね?」

「何か用事でも?」

「はい、明日鎌倉に行こうかと思っているんです」

「そうなんですか!私達も鎌倉に応援に行きますから一緒に行きませんか?」

「良いんですか?ありがとうございます。それではまた明日駅で会いましょう」

 

 

その後雪音は入校証を返してホテルに向かい寝るのだった。




どうも、ユキネコネです。刀使ノ巫女の世界に行くに当たってゲーム版も平行して行きます。と言うよりゲーム版メインになる気がします。申し訳ありません。因みに雪音さんの御刀は菊一文字宗則です。不知火も御刀ですが今回はあまり使われません。それでは、また次のお話で


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朝、今日は剣術大会が開催する日だ。雪音は羽島学長から特別枠で観戦しに行く事になっている。切符は帰りに買っていたので時間まで御刀である菊一文字の手入れをする。すると江麻から電話がかかってくる。

 

 

プルルルル、プルルルル。

 

「電話だ、江麻ちゃんからだ!」

 

プルルルル、ガチャ!

 

「もしもし、何か用かな?」

『もしもし、はい実は祐奈さんを特別枠で招待したいのですが』

「かけてきた理由は分かったけどまだなにかある?」

『はい、入場証を取りに学院に来てくれませんか?』

「まあ、美炎ちゃんと一緒に行くし、丁度良いから行くよ」

『早速仲良くなったんですね?それにしても安桜さんですか。そう言えば美奈都先輩の娘さんが出場しますので良ければ話してみてください』

「へぇ、美奈都が・・・・・・分かりました、会ったら話してみるよ、ああ、何かあったら私を刀使として投入してもらって構わないよ?」

『まだ使えるの!?それなら緊急事態になったらお願いするわ』

「じゃあ今から向かうね」ガチャ。

 

 

ギターケースから帯刀用ストッパーを取り出し腰に取り付ける。その上からパーカーを着た後にいつでも御刀を出せるようロックに細工をして美濃関学院に向かう。

 

 

「よいしょっと、帯刀ギミックが干渉するなぁ。仕方ないかぁ、御刀本体に取り付けておこう」

 

 

帯刀用ストッパーは刀使の使う御刀を帯刀するための物でサイズを手動で変えることで壊れるまでは何年でも使える物だ。帯刀ギミックと呼ばれるパーツがついており装着する際は利き腕に関係なく御刀及び帯刀ギミックは左に装備する決まりになっている。帯刀ギミックで履いた御刀は基本的に立てて装備しており、抜刀時には倒し一般的に刀を抜刀する体制になる。抜刀した後は再び帯刀ギミックを立て、鞘が邪魔にならない様にする。帯刀ギミックは先ほど雪音が実演したように腰にギミックを着けたまま御刀だけ着脱するかギミックを着けたまま着脱するかに分けられる。雪音の場合は不自然な凹凸でばれてしまうのであらかじめ菊一文字にギミックを取り付け、戦闘の際に御刀ごとストッパーにとりつける形にした。さて、説明が終わった所で美濃関学院に着いたようだ。

 

 

「江麻ちゃん、わざわざ降りてこなくても良いのに」

「いえ、安桜さんは先ほど駅に向かいましたので、丁度良いんですよ」

「そうだったんだ。受け取り完了しました、それでは楽しんできます」

「はい。楽しんできてください所でそのギターケースにはやはり・・・・」

「菊一文字が入ってるよ。腰にストッパーもつけてるからいざという時にやるよ。それじゃ、またねー」

 

 

雪音は手を振りながら駅に急いで走る。何分か走り駅に着くとそこには美炎と智恵が話している所だった。どうやら間に合ったようなので声をかける。

 

 

「やあ、間に合ったかな?」

「ああ!雪音さん、惜しかったですね、今ちょうど可奈美達が新幹線で行ったばかりなんですよ?」

「切符が使い物にならなくなったな・・・・・・・」

「そ、そうですか。そんな時もありますよ」

「ありがと、それで美炎ちゃん、可奈美って言うのは誰かな?」

「美炎ちゃん?雪音さんはさっき来たばっかりで知らないんだから教えてあげて」

「ヒィ!?ちぃ姉、怖いよ」

「み、美炎ちゃん、雪音さんの前でその呼び方はやめて!?雪音さんもなんで笑ってすんですか!」

(にぎやかだなぁ)

〚そうじゃな?〛

 

 

それから可奈美さんのことを聞いたりした後美炎ちゃんと別れて一足先に鎌倉に向かう。

 

 

ブオォォォォォ!

 

「ここを右に曲がれば鎌倉に向かう高速に乗れるね」

〚マスター、少し待ってください。〛

「何?」

〚高速に乗る前の森に荒魂が居ます。迂回しますか?〛

「大きさは?」

〚小型かと思われます〛

「特別祭祀機動隊はいますか?」

〚いえ、いませんが?〛

「・・・・・・・・・殲滅して行きましょう。操作を変わります」

 

 

雪音がギターケースを持ってバイクを降りる。普通なら倒れるはずのバイクは雪花による外部からの操作により円を描いている。

 

 

ガチャ、カチャカチャ。ジャコン!

 

 

ギターケースから出した菊一文字をストッパーに取り付け構える。

 

「抜刀、写シ!」

 

カチャ、ヒュン!キイィィィィ、シュイィィン!

 

 

写しという言葉と共に雪音の体をぼんやりと白い膜のような物が包む。これは刀使が共通して持っている御刀を使った特殊な能力だ。写しと呼ばれ現世(うつしよ)と呼ばれるこの世にある実体を隠世にある幽体に置き換えることで致命傷を精神力で肩代わりする防御術だ。精神力が尽きるまで何度でも張る事ができ、雪音は不老不死であるが為に通常の刀使が二から最大四回なのに対して五から最大で七回張ることができる。無茶をすればある技で精神力を無視して何回でも張ることができる。その他にも色々な能力があるが、説明はその能力が使われた時に説明しよう。

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

キイィィン!キイィィン!ザシュ、ザシュ!

 

『ガアァァァァァァ』

 

バシュウ、バシュウ、バシュウ。

 

「これで全部ですね。三体を残して行きましょう」

〚操作を変わりますよ?〛

「了解」

 

ブオォォォォォォ!

 

 

こうして少しのトラブルはあったが無事に鎌倉に着いたのだった。そして次の日、御前試合当日。雪音は菊一文字が入ったギターケースを持って鎌倉市街を探索していた。チラホラと御前試合に出場するであろう生徒も見受けられるが、そのまま歩いていると荒魂出たらしく美炎が戦っているようだった。

 

 

「そこの嬢ちゃん、早く逃げな!」

「お気遣いありがとうございます。ですが、心配は要りません。貴方こそ逃げてください」

「何でい、嬢ちゃん刀使なのか?」

「ええ、そのようなものです」

「気をつけろよ!」

 

 

そのまま美炎に向かって歩いていく。途中にあった傘を拝借していく。すると長船女学園の制服を着た二人組が向こうから走ってくる。

 

 

「デンジャラスでしたね!危機一髪デス!」

(あれは、長船の生徒ですか。あの御刀は何でしょうか、凄いデカさですね)

「古波蔵エレン、と益子薫。義により助太刀デスね!御前試合に行かなくちゃ行けないので、ベリーベリーハリーではありマスけれど今はこっちが大切です!」

「ん?オイ!そこの一般人!」

「何!?・・・・・・て、雪音さん!?」

「貴女、ココで何をしているんデスか?早く逃げてください!」

「そうは行かない、私も戦うよ」

「何を言ってるんですか!早く逃げてください!」

「おいそこの錬府女学院の生徒!そんなに荒魂が好きなら飛ばしてやるから切れ!」

「え、え!?なにしてるんですか!?」

 

 

雪音は途中に拾ってきた傘と長い角材で荒魂を空中に浮かせてホームラン形式で何体かを打ち出す。傘は牽制に使っている。

 

 

「ウワーオ、凄いですねあの人。確か雪音さんでしたか?」

「どうやってるんだ、あれ?」

 

 

そうこうしていると機動隊が到着したようだ。雪音はきりの良い所で打ち出しを止めてエレン達の方に合流する。

 

 

「それでは皆さん私はこれで」

「待っていただけますか?なぜ一般人がこんな所にいるのか聞かなくてはいけませんから」

「その前に私のギターケースって何処にありますか?」

「雪音さん、これですか?」

「美炎ちゃん!ありがとうね。さっきから思っていましたが私は一般人ではありませんよ?」

「そうですか、それは後で聞きますから、今は誘導と包囲が最優先です。皆さん、手早い避難誘導と殲滅、ありがとうございました。付近住民に変わり、感謝いたします」

「感謝しろ」

「薫は黙っててクダサイ。その、機動隊の方、感謝なんてとんでもないデス!」

「俺達は当然の事をしたまでだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動隊の方が荒魂の包囲と周辺住民の避難が遅れていないかの捜索を行っている。

 

 

「包囲完了!周辺住民に逃げ遅れている者がいないか捜索、確保せよ!」

「手際良いよね・・・・機動隊の人達、流石プロだ」

「ちぇ、おもしろくねぇ。せっかく好き放題やれると思ったのに、おうあんたありがとうな取り合えず満足できたぜ!後、私の名前は七之里呼吹だ!覚えとけよ!」

「分かりました。七之里さん」

「お二人共、ありがとうございました。おかげで市民の安全は守られました。それで、申し訳ないのですが貴女のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」

「はい、皐月雪音と言います。少し待ってもらえますか?」

「はい、分かりました」

 

 

美炎達は御前試合に向かったので捕まっている雪音は急いで江麻に連絡する。

 

 

プルルルル、プルルルル、ガチャ。

 

『もしもし、祐奈さん?』

「江麻ちゃん?少しヘルプ」

『どうしたの?』

「実は―――――」

 

かくかくしかじか

 

『そう言うこと。もう、祐奈さんも美奈都先輩も問題ばかり起こしますね』

「ごめん、でも後悔したくないから」

『なら、機動隊の人に変わってくれる?』

「了解、機動隊の方少しこの電話に出てくれます?」

「わかりました、はいただいま変わりました。はい、はい、わかりました。雪音さんお時間いただきありがとうございます。今回の協力ありがとうございます!お返ししますね」

「こちらこそありがとうございます。ではもう行きますね」

 

 

こうして雪音は急いで御前試合に向かった。到着した時にはもう後数秒で決勝が始まる時間になっていた。自分の席に座り試合を観戦する。

 

 

「もう始まってましたね。あの子が可奈美であの子が十条さんかぁ・・・・・・・・ん?

あの御刀は、もう運命としか言いようが無いね」

 

 

御前試合が始まり数分、両者は動かずに隙を伺っていた。可奈美と呼ばれてい子の御刀は千鳥、十条さんが持っている御刀は小烏丸、あの二人が使っていた御刀だ。あの子達が娘かな?などと考察しながらどう動くか観察していた、その時だった―――――

 

 

「お、あの子紫に突撃するね」

〚そうじゃな〛

〚どうしますか?〛

「多分紗南が動くだろうから江麻ちゃんに頼んで先回りする」

 

 

決めたが吉日。雪音は閉鎖される前にすぐにホテルに移動してチェックアウトを済ませバイクに乗りながら江麻に電話をして調査隊に協力することにした。すぐにバイクを走らせて青砥館(あおとかん)に向かうのだった




どうも、ユキネコネです。今回は雪音さんの刀での初戦闘でした。ゲーム版とアニメを交互にやりたいですが、どうもゲーム版メインになりそうなのでご了承ください。それでは、また次の話でお会いしましょう


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現在雪音が居る場所は関市よりは都会な原宿にある青砥館である。青砥館は来た事があったのですぐに来ることができた。現在は調査隊を待ちながら青砥館の手伝いをしている。

 

 

「すみません、陽司さん。菊一文字の調子を見てもらって」

「いやぁ、良いって事よ!祐奈さんには贔屓にしてもらってたからな、そうだろう陽菜?」

「そうですね、それに祐奈さん自体が刀匠でもあるので手伝ってもらうとたすかるんです」

「と、どうやら来たようだぞ?祐奈さんも来るか?」

「遠慮します。それと雪音でお願いします」

「そうでしたね。それでは少し待っていてください、雪音さん」

 

 

そうして陽司さんと陽菜ちゃんが店の外に出ていく。外で調査隊の声が聞こえてくる。どうやら調査隊の面々も手伝いをするようだ。雪音はサプライズで明日登場することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

陽司さんに頼み任務内容を聞かれたら出て来ることにした雪音は話を聞く。

 

 

(それじゃあ任務について聞きましょうかね)

「ありがとうございます、青砥陽司さん。泊めていただいただけでは無く、全員分の御刀の調子までただで見ていただいてしまって」

「良いってことよ、忙しい時期に手伝ってもらったんだ。これ位させてくれや、嬢ちゃん」

「おう、それよりも呼び方だ。俺は陽司でいいんだぜ?あんた、仲間の事をフルネームで呼んでただろ?」

(まぁた、はじまりましたよ)

〚そう言ってやるな〛

「慣れ合う事は役目ではありませんから」

「なるほどな、まぁほどほどにしとけよ。だが、俺の事は陽司さん、もしくはヨージだ」

「ヨー・・・・・・やはり無理です。今後も青砥陽司さんで」

「ま、しゃあねえか」

(誰でも最初はそうなると思うんですが)

「それはさておき、実はお聞きしたいことがあるのですが。南薬師景光(なむやくしかげみつ)と言う御刀の事、これについて噂でもよいので聞いたことはないでしょうか?」

「あぁ・・・・・・銘は・・・・・・・確か」

(ここで出ましょうか)

 

 

ここで雪音は後ろから南薬師景光の銘を喋る。

 

 

「銘は、南无薬師瑠璃光如来(なむやくしるりこうにょらい) 備前国長船住景光(びぜんのくにおさふねじゅうかげみつ)です」

「貴女は、いつの間に!?」

「もう出て来るのか?」

「ええ、説明を続けます。富士山にある浅間大社(せんぜんたいしゃ)に武田信玄が奉納したとされる御刀であり江戸の早い時期に行方不明になっています」

「貴女は?」

「私の名前は皐月雪音、好きに呼んでよ。学長から協力者がくるって聞いてない?」

「そうでしたか!貴女が、では皐月雪音さん。貴女は写しについて知っていますか?もちろん刀使が使う()()では無く鍛冶職人が自らの技術を追求する為に行う()()即ち南无薬師景光の複製の事ですが」

「そっちは陽司さんが知ってるよ」

「そうだな、写しがあるのは知っているがそれだけだ。何にしろ、そいつの実物が出てきたなら俺も一度位は拝んでおきたいものだな」

 

 

 

こうして南无薬師景光の話は終わったのだった。実を言うと雪音は巫女の仕事で実物を見た事があるのだが、それは黙っていようと決める。数分がたち智恵が来たのでその話をする。

 

 

「そうですか・・・・南无薬師景光。教えていただきありがとうございます。でも、何の意味があって木寅さんは特定の御刀の事を・・・・・・」

「おれにもさっぱりわからんよ・・・・・それよりもだ!智恵ちゃんも、雪音の嬢ちゃんも来るなら来るって言ってくれりゃあいいのに。紗南のお嬢ちゃん(長船の学長)でも、ファインマンのじいさんでも構わんが。先に連絡してくりゃあ、お・も・て・な・し、の一つくらい出来たんだぜ?」

「いえ、そもそも来るつもりは無かったので。そう言えば、本当に雪音さんに聞かせて良かったんですか?」

「ああ、そうだったな?おい、言ってもいいかい、嬢ちゃん」

「はい、良いですよ?どうせ舞草には最終的に行くので」

「舞草の事を知ってるの!?どういう事ですか、陽司さん?」

「嬢ちゃんの本名は「言わないでください」そうか、なら舞草でファインマンに協力していた人だと言っておこう。ほらよ、雪音の嬢ちゃんの御刀、完璧に調整を終わらせたぜ」

「ありがとうございます」

 

カチャカチャ、カシャン、ジャコン!

 

「良し!もうパーカーをぬいでからで良いね。陽司さん、ギターケースを私名義で舞草に送っておいてもらえますか?」

「おうよ、任せとけ!」

 

 

自身の御刀を受け取り改めてパーカーをぬいでから帯刀用ストッパーを取り付ける。その姿に智恵は驚いている。

 

 

「雪音さん、刀使だったの!?」

「そうだよ、後私はバイクで伊豆に行くから遅れると思うけどよろしくね」

「わかりました。では後ほど合流しましょう。皆に行った方が良いですか?」

「お願いするよ。じゃあ、向かいにバイクと荷物を纏めてるから私は先に行くよ」

 

 

こうして雪音はバイクで新幹線の位置情報を雪花に表示してもらい久しぶりの追跡ミッションを始める。

 

 

ブオォォォォォォ!

「少し速いですね」

〚マスター、荒魂です!〛

「こっちでもスペクトラムファインダーが反応した!救援に行く!とこよ、バイクを戻しておいてくれない?」

〚仕方ないの、戻してきてやろう〛

「写シ!」

 

キイィィィィ、シュイィィン!

 

 

雪音はバイクを破棄して急いで現場に向かう。現場では既に戦闘が始まっていた。その中には調査隊だけでは無く、なぜかエレンと薫がいた。

 

 

「助太刀に来ました!あの数体は任せてください!」

「へ、雪音さん!?」

「はあ!」

 

キィンキィン、ガキャァン!ザシュ、ザシュ、ザシュ。

 

『ガアァァァァァァ』

 

バシュウ、バシュウ、バシュウ、バシュウ。

 

「ふう、戦闘終了!」

 

スゥ―――、カチャ。キン!

 

 

突然御刀を持って乱入してきた雪音に皆固まっているとエレンが話しかけてきた。

 

 

「Oh!美濃関のミホノさん、雪音さん!二日ぶりデスね!」

「・・・・・誰だ?」

「おとといに鎌倉で一緒に戦った、美濃関のミホミホさんと面白い戦い方だったユキさんデスよ。覚えてないデスか?」

「ねー?」

「み、ミホミホ?」

(ユキですか、小さい頃と同じ呼び方をしてくれるんですね)

〚名が違うと言うのに凄い奇跡もあったものだな〛

(お、ねねが美炎に近づいてる・・・・尻尾を持つのは可哀そうだな)

「「薫!尻尾を掴んだらカワイソウですよ」」

「「え?」」

「あなたとは気が合いそうデスね!」

「そうですね、ねねちゃんは荒魂なんですか?」

「馬鹿ねね、だから出て来るなと。・・・・こいつは”ねね”荒魂だが代々オレの家、益子家を護る守護獣だ」

「ねねはホーリービーストなのデスよ!・・・・・とは言え、ねねを連れてみなさんとご一緒するワケにもいきませんしネ。と言う訳で私たちはここからウォーキン!徒歩でこの先に向かいまース!」

 

 

そうしてエレン達は歩き出したが皆が実は行き先が同じだった為雪音は自身の事を説明しながらエレンの話も聞いていた。

 

 

「そうですか、なら今この場だけの協力になる可能性もあるのですか」

「ああ、ちゃんと陰で支えるから大丈夫だよ?」

「そうですか、それは頼もしいですね」

「伊豆って道を外れるとすぐ山の中なのね。もうすぐ日も暮れちゃうし、宿を探すなりしないといけないわね」

「シッ、待ってください。また荒魂デス、それに一匹や二匹ではアリマセン」

「囲まれてる?どういうこと?まだ向こうは気づいていないようだけど・・・・・」

「分からないデスけど、荒魂が出てきたのが民家のそばじゃ無いのはラッキーでしたネ」

「馬鹿共が、これは違うんだっての」

「What?フッキ―それはどういうことデスカ?」

「うっせぇな、何でもないってんだよ」

(親衛隊のか、趣味の悪いことをしてくれる)

 

 

その夜、智恵がエレン達に何か話しているようなので聞き耳を立てる。

 

 

「ちょっといいかしら、エレンさんと薫さん」

「ハイ!なんですか?」

「オブラートに包ますに質問させてもらうわね。親衛隊がこの付近に来てるみたいなのだけど、もしかしてあなた達、ここにいるのがバレるとまずいんじゃないかしら?」

「おい。おまえ、なにを知っているんだ?」

「長船の”源流”たる地のこと。真庭紗南学長の指示で、あなた達のサポートするため、わたしはここに来た・・・・・これでいいかしら?」

「なるほど、アンダスタンです。お仲間でしたか。では、質問に答え無いとデスね。私達も長船の源流から来まシタ。新しい同志の仲間入りテストをする為デース!」バキィ!

(やばぁ!事実を話せば良いけど今はまずい)

「誰ですか、姿を見せないナラ切り伏せマスよ?」

「私です、雪音です・・・・・はぁ、バレてしまいました」

「おい、お前は何者だ?答えによってはただじゃ済まさないぞ」

「私は長船の源流では無いですがファインマンの協力者と言えば理解できますか、エレンちゃん、まっしー?」

「な、その呼び名は!?」

「貴女はゆ「シィ―――、まだ秘密だよ」そうデスか。では、雪音は私達といきマスか?」

「じゃあ、親衛隊は私達が引き付けるから、雪音さん達は組織の役目を果たしてちょうだい。雪音さんのことはミルヤに伝えておくわね」

「ありがとうゴザイマース、恩に着るのデスね」

「・・・・・助かる。あとまっしーはやめろ」

「じゃあ皆といる時はやめてあげます」

 

 

智恵が状況を大雑把にミルヤに伝えてくれるらしいので、雪音はエレン達と目的の場所に向かう。

 

 

「まさか、祐奈さんが居たとは驚きデース」

「ああ、そうだなところで何故名前をかえているんだ?」

「まっしー、エレンちゃん。仕事、当主オーケー?」

「そういう事デスか、それでは出発デース」

 

 

雪音はエレン達が用意したバンに乗りこみ先を急ぐ。目的の場所に到着した雪音たちはバンから降りる。現在はエレン達は可奈美さん達の方に行き雪音は近くで待機という構図になっている。

 

 

「お、アレが話に出ていたS装備かな?多分ここに来るだろうから部屋の中に退避しておこ」

 

 

 

こうして雪音はパーキング内の部屋の一角で休憩するのだった―――――

 




こんにちは、ユキネコネです。今回はゲームからアニメに移行しました。雪音さんのいる部屋はアニメ内で可奈美達の死角になる場所にあります。次回がどうなるのか楽しみですね。
それでは、また次の話でお会いしましょう


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パーキングの一角、丁度可奈美さん達の死角に位置する場所で息を殺して話を聞く。

 

 

「――――てくれて。さっき、姫和ちゃんの剣を受ける時思ったんだ。姫和ちゃんの剣は重たいって。相手を斬るってことで言えば昨夜の紗耶香ちゃんの方が上だと思うし、威力ならさっきの大太刀のこの方が上だと思う。でも、姫和ちゃんの剣は・・・・・一番重たい」

「何が言いたい?」

「姫和ちゃんの剣は強い意思が乗ってるんだって思った。目的を成し遂げよう、ていう強い意志が」

 

 

可奈美さんはそれから十条さんの事を雨が止むまで話していた。

 

 

(十条?てことは姫和ちゃんは篝の娘さん!?)

「私が折神紫を倒す理由・・・・話したくなったら話せといったな?」

「うん、言ったよ」

「あの日、二十年前に起きた大荒魂の事件を知っているか?」

「相模湾岸大災厄?江の島に現れた市場最悪の大荒魂を、折神紫様と今の五箇伝の学長達による特務隊で討伐された?」

(よりにもよってその話ですか・・・・・)

「そして、その特務隊の中に私の母も居た。記録に残されていない、当然だ。世に知れ渡っている事件の顛末は、何もかもが虚偽の報告だからな」

(つらかったでしょうね・・・・・でもそんな言いかたしないでほしいですね)

「どう言うこと?」

「全ての真実は、これに書かれている。英雄折神紫の正体は、討伐されたと伝えられた大荒魂そのものだ」

「!?」

「そして、数多いる刀使の中でゆういつヤツを討ち滅ぼす力を持っていたのが私の母だ」

 

 

その話から数時間たち雨が止んだころ、可奈美達の目の前にびしょ濡れのエレンと薫が現れた。雪音は可奈美達がエレン達に集中している隙に抜け出した。

 

 

「やっと見つけマシた。こんな所で仲良く雨宿りしてたんデスね?」

「さっきの!?」

 

カチャ、カチャ。

 

スゥ、パーン!パーン!

 

 

クラッカーが突然鳴り響く、可奈美達は何が何だか分からず固まっている。

 

 

「おめでとうゴザイマース!」

「お前ら合格ー!」

「ねー!」

「へ?」

「ふざけるな!これ以上邪魔すると言うのなら」

「落ち着いてくだサイ!そんなに急がなくても石廊崎は逃げませんヨー」

「!?なぜ私たちがそこに向かっていると」

「お答えするその前に・・・・・このゴミを片付けちゃいマスネ!」

「山でもポイ捨て、駄目、絶対」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてぇ、何処まで話しましたか?」

「まだ何も話してないので早急に本題に入り出発してください」

「「!?」」

「Oh!雪音さん!貴女も雨宿りしてたなんて」

「あの、エレンさんと薫ちゃんでしたよね?合格ってどういうことですか?」

「待て、オレはエレンと同い年だぞ!」

「あ、私もエレンちゃんが良いです!」

「うん!エレンちゃん、薫ちゃん!」

「ちきしょう、確定しちまった」

「合格っていうのは文字通り二人は舞草のテストに合格したって事だよ」

「あの、貴方は・・・・」

「あぁ、自己紹介してなかったね。エレンからも言われてたけど皐月雪音だよ、好きに呼んでくれていいから」

「わかりました、雪音さん!」

「説明はよろしく!」ビッ!

 

 

説明が一通り終わった後、ねねが森の中に行ってしまった。何処からか大量の荒魂が出てきたので応戦する。

 

 

「これは、不知火を使った方が良さそうだね。不知火、写シ!」

 

キィィィィィィィ、シュイィン!ボウ!

 

 

不知火を使い写シを使用すると刀身の赤が濃くなり目が更に赤く光る。不知火が周囲の荒魂を問答無用で吸い取っていく。そのまま走り続けてある程度ノロが溜まりより黒くなった不知火を抜き身で担ぎ可奈美達の方に行く。

 

 

「よっと、此処にいましたか、ねね、エレンちゃんを助けに行きたいの?」

「ねねー!」

「あ、雪音さん!なんで刀を二本も?」

「これは奥の手だから緊急時に使うものだよ、ほら、薫いくよ?」

 

タッタタッタ。

 

「いた!薫、やれ!」

「おう。生きてるな、エレン?」

「ハイです!」

「じゃあ金剛身」

「へ?」

 

ブオン!ガキィン!

 

「ホームラン!」

 

エレンは金剛身を使わされ吹っ飛んだ。金剛身とは体を金剛石のように固くする防御技の一つだ、この術を使うと一時的に体が金色になる。これで今回の解説は終了だ。

 

 

「バッバカー、おう!?」ズザー!

「だっ大丈夫?エレンちゃん」

「カナミン!なぜこんな所に居るデスか?」

「ヒヨヨンも居るよ!」

 

 

エレンが前を見ると左から姫和、雪音、薫の順に夜見と戦闘をしている。そんな中ヒヨヨンと言われた姫和が喋る。

 

 

「変な勘違いをするな、私は、私が戦うべき相手を見極める為に来たんだ」

「私達でこいつを止める!先に行け!」

 

 

順当に荒魂の数を減らした時だった。夜見は懐から計八本のアンプルを取り出した。

刺す気だろう事は分かっていたので雪音は貯めに貯めた一撃をお見舞いする。

 

 

「おい、二人ともすぐに離れろ!でかいの一発叩き込む!」

「な!?」

「分かった。離れるぞ」

 

 

二人が離れ夜見と二人になった雪音は最大の一撃を放つ。放たれた物は赤い斬撃だった。夜見も負けじと荒魂を更に放つが斬撃に全て喰われてしまう。

 

 

「夜見、それだけはやるなと言っていたはずだ!」

 

バアァァァァァン!!!

 

 

瞬間凄い轟音が響き渡る、結果夜見は倒れた。だが不知火がまだ納刀できない。足りないようだ。仕方ないので夜見の右目を除去するのに力を無理やり使い納刀した。反動で吐血したが何とか堪えエレンの下に向かった。

 

 

「カフッ、何とかなりましたね。」ビチャビチャ。

「おい!エレン、早く手配しろ!?」

「そうデスね。至急タクシーを手配してください。緊急事態デス!」

「大丈夫か?」

「ええ、大丈夫で?!ケホ、ケホ、ゲホ!」ゴボォッ!ビチャビチャ!

「全然大丈夫じゃ無いだろ!安静にしてろ!!」

「わ、分かりました。す・・・少し待てば回復しますから、ケホ」

 

 

その後タクシーと言う名の潜水艦で舞草に向かう。雪音はその途中に気を失うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”潜水艦内”

 

 

「まだ起きないデスね・・・・・グランパ、いつ起きますか?」

「そうだね、今の雪音くんは何かリスキーな物を無理やり使った反動で体調が優れていないだけさ。すぐ起きるだろうから、説明をしよう」

 

フリードマンにS装備や折神家についての説明をしていた。そして雪音はと言うと、

 

 

「うぅん、ここは・・・・・狭間?」

「そうだよ、無茶をしたねぇ雪音?」

「師匠・・・・・そうだね、久しぶりに無茶をしたね、たとえもうあの災厄は起きないっていうのに」

「でも、友達を守ろうとしたのは素直に褒めるよ?でも無茶したのはダメ!」

「分かった。なるべく無茶をしません!」

「そこは素直にやめて欲しかったなぁ?・・・・・・そろそろ着いた頃だろうから起きてきな!」

「うぅうん?此処は、・・・・・・菊一文字は・・・・・あった」

 

カチャカチャ。

 

 

雪音は寝ぼけた目を擦りながら服を着替え御刀を装着して辺りを見渡す。

 

 

「行かなきゃ」

 

ギシ、ギシ、ギシ。

 

 

ある一角で足を止める。丁度皆が集まって話し始めたようだった。雪音は少しボーっとしながらふすまをあけた。

 

スゥ――――、トン。

 

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

「雪音ちゃん、もう起きて平気なの?」

「大丈夫です。二十年前の話でしょう?あかねさん、続けてください・・・・・・・フリードマン、紗南。久しぶりですね」

「あ、ああ久しぶりだね」

「では話を続けよう。お前が十条姫和で、そしてお前が衛藤可奈美だな?」

「はい?」

「あの日の事は、まるで昨日の事の様に思い出せる。私たちがこうして此処に居られるのはお前たちの母親のおかげだ」

「お前たち?」

「そうです。大災厄のあの日、大荒魂を鎮めるべく奥津宮に向かった四人。一人は私の姉、折神紫。一人は姫和さんのお母さんの柊篝。そしてもう一人、可奈美さんのお母さん、藤原美奈都」

「「「「「!?」」」」」

「ヒヨヨンのママがカガリンで、」

「可奈美ちゃんのお母さんが美奈都さん?」

「そうです」

「何故言わない!?」

「だって聞かれなかったし、それに藤原は旧姓で今は衛藤美奈都だから」

「それでも自分の母親だろうが、刀使だった頃の話位聞かなかったのか?」

「お母さんとそういう話をする機会が無かったんだよ。でも、そっか・・・・・お母さんが」

「確か、可奈美ちゃんの最初の剣の先生がお母さんなんだよね?」

「うん、小っちゃい頃から毎日しごかれてた」

(変わってないですねぇ・・・・・・・)

「あかねさん?最後の一人は誰なんデスか?」

「最後の一人は・・・・・「最後の一人は藤原美奈都、柊篝、折神紫を最後の最後まで支えて、その後三人と特務隊を残し一人で行方不明となり、その後も捜索活動虚しく見つかることのなかった雪代祐奈です」

「なんで雪音が知っているんだ?」

「そして、彼女は旧姓で羽島江麻学長に連絡を入れています。その名は・・・・・」

「その名は?」

「皐月雪音・・・・・・私です」

「へ?」

「私は折神紫と同じく年を全くとっていません。それに、美奈都さんの葬儀には参加したんですよ?」

「そうだったんですか」

「相模湾岸大災厄の大荒魂を鎮めた本当の英雄は、あなた達のお母さんと祐奈さんです」

「そしてそんな英雄に何も報いる事が出来なかった」

「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」」」」」

「そして、改めて皆さんに行っておかなければならない事があります。あの時、二十年前の大荒魂討伐はまだ終わっていません。しかも、大荒魂はあの頃よりもはるかに力をまし強大になっているはず。そして何時でも二十年前の大災厄を引き起こせるはずと私たちは考えています」

「まさか、それが可奈美ちゃんが見たっていう」

「そう、可奈美が見たのが大荒魂、タギツヒメ。あかねさんの姉、折神紫だ」

 

 

その後、あかねが色々と説明をしそして最後、タギツヒメを鎮めた方法がかたられていないことを皆に伝える。

 

 

「タギツヒメ。それを鎮めた方法は、かたられたことはありませんでした。紫は大災厄後折神家の当主の座に就き、」

「そして、私達特務隊はその後、大荒魂討伐の英雄として五箇伝の各学長に就任した。そこに、美奈都先輩、篝先輩、祐奈先輩は居なかった。」

「美奈都さんと篝さんは命こそ助かったけれど刀使として戻ることはありませんでした。二人はその後家庭を持ち穏やかな日々を過ごしていました」

「私はその後雪代家の当主になり、ずっと隠してきた皐月の性でフリードマンに協力しました。美奈都の死去を聞いた時、篝は自分のせいだと自身を責めていたそしてあかねが真実を知る決心をしました。」

 

 

説明はまだ続く―――――

 




ユキネコネです。字数を増やしたら話数が足りなくなってきました。なのでほどほどに造ります。今回は二十年前の真実が語られました。次回も説明が続きます!それでは、また次のお話で


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引き続き大荒魂討伐の説明がされる。次の説明は篝が大荒魂を鎮める際どんな方法を取ったかについてだった。

 

 

「私は篝さんの言葉を聞き、大荒魂討伐の真実を調べる決心をしました。あの大災厄で、紫が用いた方法。折神家でも一部の者にのみ伝えられてきた鎮めの儀。古い文献を手掛かりにして、突き止めることができました。それは・・・・・・」

「柊篝の命を引き替えにタギツヒメを隠世へ引きずり込むものです」

「・・・・・・・・・・・・」

「隠世へ・・・・・・命と引き替えに・・・・・?」

「そんなことが可能なのか?」

「可能だ。刀使は御刀の力を使い、隠世の様々な層の力を使うがまれに隠世の深淵にまで到達する力を待つ者もいる。篝先輩の迅移や祐奈先輩の神速がそれだ。迅移は隠世の層の時間の流れの違いを利用し、加速する技だ。」

「深く潜れば潜るほど、加速するんです。ですが、理論的な限界値までそれを突き詰めたら・・・・どうなると思いますか?」

「一瞬が永遠に近づき、無限になる。戻ってこれなくなる。」

「そうだ。篝先輩は、無限の層まで到達できる能力の持ち主だった。御刀で相手を刺し貫き、理論上最高速での迅移を行う。そして相手もろ共隠世へ引きずり込む」

「ナンと・・・・・・」

「心中技ってことか」

「篝先輩は、そんな役目を担わされていた。最初から命を捧げて荒魂を鎮める覚悟だったんだ」

「ですが篝さんは生還されています。それは美奈都さんが、ぎりぎりで篝さんを救ったからです」

「お母さんが?」

「それでも二人は文字通り、命を削ったんです。刀使の力を失ってその数年後には命まで」

「じゃあ、二人はそれが原因で・・・・・・・」

「おかしいですネ。二人がタギツヒメを隠世に追いやったなら、折神紫は何者なのデスか?」

 

 

そう、そこで疑問が生まれた。その疑問に姫和が答える。

 

 

「母は、大荒魂を鎮め切れなかったんだ。一時的にその力を奪ったに過ぎない。奴は恐らく折神紫に憑依している。そして、二十年前の時を経て復活しようとしている」

「待って。じゃあ、元の御当主様はどうなったの?」

「荒魂に侵食された者は・・・・・・」

「そうです。あの日から、あれはすでに姉では無かったのでしょう。二日前のあの日、私は拝殿で見てしまったのです。紫が、内に潜む何者かと対話している、その姿を。私は確信しました。紫の姿をした、あの荒魂こそ。大災厄で討伐されたタギツヒメなのだと」

 

 

あかねは悔しそうに顛末を話す。雪音は少し違う部分がある事に気づき、後で指摘しようと決める。

 

 

「私は、その事を手紙にしたため、篝さんの助力を願いました。姫和さん、あなたはそれを読んだのですね?」

「・・・・・・・はい」

「少し指摘をさせてください」

「なんですか?」

「その、荒魂に侵食されという所です。前提として紫は侵食はされましたが自我は残っていますよ?」

「そうなのですか!?」

「なぜ雪音が知っているのデスか?」

「私もその場にいましたし、何よりこれは初めて言いますが・・・・・・私は紫よりも先に荒魂のノロを取り込んだことがあります」

「な!?大丈夫なのか?」

「大丈夫な訳がありません。私、吐血したでしょ?あれはノロをある御刀に貯めこみ爆発させる技で、残ったノロを無理やり処理した反動なんです。私は大荒魂じゃないからね?」

「そうだったのか。なら今度研究に付き合ってくれないかね?」

「多分無理だと思いますが一応やりますか」

「無理とは?どういうことですか、祐奈先輩」

「私の中に居るのが原因で多分外に出すのはヤバい可能性があるから。二十年前はギリギリ暴走しないで済んだからね」

〚中のとはなんじゃ、中のとは。〛

(すみません、それ位しか説明できないんですよ)

「制御はやはりできないのかね?」

「いえ、できますよ?ただ、ノロが変質したりするんです。私自身の力なので今は暴走の心配は無いです」

「そうですか」

 

 

そして話は終わり翌日。今日はお祭りがあるらしい。可奈美達は鍛錬をしているので雪音は一足先に行ってみることにした。

 

 

「皆楽しんでますね。あともう少し時間がたったらイベントが始まりますから私達も行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ノロを祭る社”

 

 

「丁度説明初めてますね、ああ、刀使の起源についてか・・・・・・少し補足しましょう」

 

 

雪音は、フリードマンが説明している所に行き累さんの言った言葉に補足を付け加える」

 

 

「犠牲者、荒魂が・・・・・・・」

「それじゃあ、私たちがやってきたことって」

「刀使たる者、御刀を使い荒魂になってしまったものを祓い鎮める。その行いは、ちゃんと人を救ってきたわ!」

「累さん、人だけでなくちゃんと荒魂も救われてますよ?」

「ああ、雪音くんは巫女の家系だったね?君たちも荒魂を斬る以上巫女としての勤めもちゃんと受け継いでいかなきゃならないってことさ」

「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」

 

 

和室の一角にてフリードマン、あかね、累さんで話をしていた。雪音もそこに入ろうと決め、ふすまを開ける。

 

 

スウ―――――、カタン。

 

「よろしいでしょうか?」

「祐奈くんか、君は彼女達がどんな決断をすると思う?」

「そうですね、まぁ受け入れられないでしょう。ですが彼女達なら・・・・・良い方向に行けると信じています」

 

キュオォォォォォ!

 

「!菊一文字・・・・・そうですね、やりましょう!」

「ああ、そうだね。これも舞草の役目と言うことかな?」

 

 

その夜、可奈美達は決断の答えを聞かれる。結果は舞草と行動を共にするという結果だった。あかねはその決断を尊重し、忠告を言おうとしたその時だった。

 

 

「大変です!?」

「何事だ!」

(とこよ、もしものときは不知火と菊一文字を両方使います。良いですね?)

〚分かった・・・・存分にふるえ〛

 

 

どうやら先の騒ぎは特別機動隊、すなわち折神家にバレたと言う事だった。

捕まらない為にいそいで潜水艦に向かう。潜水艦の周りには機動隊が沢山配備されていた。雪音は力を使う。

 

 

「撃ってくるデスか?」

「多分ね?見てごらん、彼らはスペクトラムファインダーを装備しているだろう?舞草の連中は人間だ、摘発するのにあんな物が必要だとおもうか?」

「いえ?思いませんよ」

「すぐ近くだ、気をつけろ!」

 

ガチャ!

 

「このままでは我々は荒魂として処理されるぞ!」

「では、私がやりましょう」

「!?」

「大丈夫なのかね?」

「今回は無茶をしても大丈夫なんですよ。封印解除・・・・・」

 

ドクン!ドクン!ドクン!

 

「皆さんは待っていてください・・・・・・」

 

 

そう言いながら振り向いた雪音に皆驚愕する。雪音の目は親衛隊と同じように、だがそれよりも赤く光っていたからだ。

 

 

「大丈夫なのですか!?」

「・・・・・・・不知火」

 

 

何もない所から赤黒い刀が出現する。それを地に刺しながら叫ぶ。

 

 

『動くな!きさまらぁぁあ!?』

「なっ動けない」

「今の内だやるならやれ!」

「分かった貴女は潜水艦に乗ってください」

「分かったありがとう・・・・・」

 

 

急いで潜水艦に乗り込み出航する。そして一夜明け翌日皆がブリーフィングルームに来て作戦を考える。作戦を考えていた時、それは始まった。

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

(はじまりましたか)

 

 

刀使全員の体が三体に透けて分裂し、直ぐにもとに戻った。フリードマンだけがなっていなかったのでエレンが理由を聞く。

 

 

「グランパは、何ともなっていませんでしたネ」

「ああ」

「フリードマンさん、何か知っているんですか?」

「この現象は、刀使にしか起こらない。以前同じ現象が確認されたことがある。二十年前のことだ。おそらく隠世で何か大きな変化が起こったのだろう。・・・・・そして大荒魂が出現した」

「でしたら、真っ直ぐ横須賀に向かいます。フリードマンさん、報道陣を集められますか?」

「なるほど、マスコミを使うのか「きゃっかです」なに?」

「ほら、姫和言うなら言う!」

「ああ、あかね様、私達は横須賀からは別行動をします」

「・・・・・何をするつもり?」

「攻撃は最大の防御と言いマス!」

「貴方達・・・・・・」

「止めても無駄なようだね、あかね様と言い君たちと言い。本当に刀使というのは・・・・・」

「わかりました。ですが、せめて私に出来ることをします」

「所で、横須賀から鎌倉までどうやって辿り着く?」

「ねえ、アレ使えない?S装備用コンテナ!」

 

 

こうしてS装備用コンテナに乗り込んだ可奈美達は打ち出されるのを待つ。そして横須賀港、あかね様の演説が始まった。

 

 

「どうか皆さんのお力をお貸しください!」

 

ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!

 

ハッチが次々に開かれていくどうやら出撃の準備が整ったようだ。一つ、また一つと打ち出されていくそして自分の番になった。

 

ガシュ、シュゴオォォォォォ!

 

「これは攻撃ではありません。今飛び立ったのは、私たちの希望なのです!」

 

 

こうして、人類の希望が飛び立ったのだった―――――

 

 




ユキネコネです。今回はなぜか急ピッチで進めています。本当に謎です。次回は胎動編の最終回です。どうぞこれからもよろしくお願いします。それでは次の話でお会いしましょう


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どうも、ユキネコネです。突然ですが昨日の8月13日は衛藤 可奈美の誕生日でした。因みに私が好きなキャラは山城 由依です。皆さんも良ければ好きな刀使のキャラをコメントしてください。それでは本編スタートです。


朱音様の演説に合わせて射出されたS装備のコンテナ内。雪音は折神家に着くまでの間に何をするかを考えていた。紗南から聞いた話で折神家に調査隊が居ると聞かされたので調査隊の所に協力しに行くか迷っている。考えていると凄い衝撃が体を襲った。

 

 

ズドン!ズドン!ズズン!!カシュー

 

 

「・・・・・・・・・・」

「どうしたんだ、可奈美?」

「ここで出会ったみんなと、また戻って来たんだなぁ・・・・・って」

(私は会ってないんだよな・・・・)

「そうだな。此処に戻ってこれるとは思わなかった・・・・・」

「・・・・・感慨にふけるのは早い」

「サーヤの言うとうりデス。ストームアーマーの稼働時間は予備電源を含めても30分。それまでに大荒魂を討たないといけマセン!」

「時間は私たちの味方じゃないんですね」

「ねねっ!」

「そっちか、ねね?」

「あっちは・・・・・祭殿の方向」

「じゃあ、大荒魂が居るのは・・・・・・」

「見~つぅけたぁ!」

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

 

声の方向には、親衛隊第五席の燕結芽(つばくろゆめ)が立っていた。何やら辺りを見渡して対戦相手を探しているようだ。

 

 

「――――決めた。千鳥のお姉ーさんに遊んでもらおっと!」

「!!」

 

キィン!

 

「くっ!!」

 

 

結芽が可奈美に突貫する。各自散開して行動を開始する。雪音は調査隊の協力に行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”同時刻、調査隊Aチーム”

 

 

「あっちの方からドーンってすっごい音したね。ビックリしちゃったよ!」

「どうやら始まったようね。それじゃ、私達もできる限り暴れて警護の注意を引き付けましょう」

「うん!大暴れして可奈美達を援護しなきゃ!」

「何者だ、そこで何をしている!?」

「さぁ、戦闘開始よ!」

 

キィン!キィン!ザシュ!

 

「くっ・・・・・!!」ドサ!

「あ~あ、かったりーな」

「どうしたんですか?荒魂相手なら嬉々として突っ込んで行くのに?」

「アタシは戦闘狂じゃねぇよ。いまコイツが言ったように荒魂ちゃんと戯れるのがすきなだけだ。人間相手にやり合ったって面白・・・・・・お前誰だ?」

「やあ、青砥館ぶりだね!」

「雪音さん!?」

「S装備と言う事は、あなた達だったのねあの音」

「ここからは制限時間まで協力します」

「頼もしいのだけれど、ミルヤの所にも行ってくれないかしら?」

「わかりました。では戦いながら行きますのでここはよろしくお願いします」ダッ!

 

 

雪音は智恵に頼まれてBチームの方に向かう。S装備活動限界まであと27分。

 

 

 

”調査隊Bチーム”

 

 

「あっちだ!あっちに賊がいるそ!紫様のお膝元で、これ以上の狼藉を許すな!!」

「Aチームも行動を開始したようですね。こちらも始めましょう」

「は、はい・・・・・・スーハ―、スーハー・・・・・・」

「くぅ~、緊張して深呼吸している清香ちゃんもか~わゆ~い!お持ち帰りして部屋に飾っておきたいレベルだよ!」

「山城由依。どうやらあなたは、緊張とは無縁のようですね。実に頼もしい限りです」

「ミルヤさんみたいな美人に頼りにされる日が来るなんて、この感動は一生モノにします!」

「そのメンタルの強さ、少し分けて欲しいです・・・・・・・」

「清香ちゃんになら、メンタルどころか身も心も魂さえもぜ~んぶ捧げちゃうんだけどなぁ」

「あはは・・・・それは要らないかな・・・・」

「六角清香の緊張も、少しほぐれたようですね。それでは行動開始しましょう」

「賊はどこだ!?」

「は、ヤバイ!伏せて伏せて!ほら早く、見つかっちゃうって!」ガサガサ。

 

 

そこには清香とミルヤ、それと何か変態発言をしている少女が居た。彼女も調査隊の一人なのだろうか。雪音は今年の刀使は個性的だなと思いながらやって来た刀使を倒していく。一つ疑問なのはなぜ隠れているのかだが。

S装備活動限界まで24分

 

 

「賊が居たぞ!連携して対処しろ!!」

「と、考え事は今は無しだね!」ダッ!

「あれは・・・・・・誰でしょうか?」

「S装備を装備してますよ?」

「警護お刀使を倒しているんだし味方でしょ!そんなことよりどんな子なのかが気になるよ!」

 

キィン!キィン!ガシャキン!ザシュ!ザシュ!バッ、バッ、ザシュ!バタ、バタ。

 

(制限は22分・・・・・速く行こう)

「ミルヤ!終わったから出てきてください!」

「分かりました何故ここにいるかは後で教えてもらいますよ?」

「了解。それでそっちの子は?」

「はいはーい!私、山城由依って言います!」

「げ、元気な人ですね・・・・・・・私は可奈美の方に行きます。あなた達も早く行ってください!」

 

 

こうして雪音は祭殿の方に急ぐ。途中、雪音はとこよにある話を持ち掛けていた。

 

 

「とこよ、私は力を使いこなせるようになったんですよね?」

〚主さまがわしらを拒まなければな?なぜそんな事を聞くのじゃ?〛

「もし作戦が失敗してタギツヒメが逃げた場合の為に万全の状態にしておきたいんです」

〚アレか・・・・・悪いことは言わん、今は止めておけ。主さまはまだ人で居られる。もし失敗すれば人間では無くなるのじゃぞ!?〛

「それでも私は・・・・・・・タギツヒメも助けたいんです・・・・・・もう後悔したくない!!」

〚分かったのじゃ。だが、もしもの時には強制的に止めるからの?〛

「ええ、やってください・・・・・」

〚忠告じゃ、この試練は力に適応する為のものじゃ。力を使えば使うほど進行がはやまりもし失敗すれば主さまは最悪荒魂と大差ない状態になる。それでも良いかの?辞めるなら今の内じゃぞ?〛

「覚悟の上です。それに美炎の中に居る誰かが今後起きないとも限らないので」

〚ではいくぞ?〛

 

ドクン、ドクン、ドクン!ズキン!

 

「!?―――――!アァァァ!!」

(痛い痛い痛い痛い痛い!?)

 

 

瞬間、雪音の体を焼けるような痛みが襲う。血液が全て燃えているようだ、視界が段々と霞んでいくが根性で踏み止まる。体が熱を帯びて今にも全身が燃えそうなほどだ、いつの間にかそこにあった不知火はその赤黒かった刀身を澄んだ朱色にし、桜の波紋が綺麗に映っていた。ジャラジャラ、バキィン!何かが壊れた音がした。鎖だ、不知火と雪音の体をいつの間にか縛っていた半透明の鎖が一本、また一本と壊れていく。いくつもあった鎖が少なくなり音を止める。それをかわぎりに意識を無くす。何分たっただろうか?意識も戻り数分S装備もとっくに限界を超え外れていた。痛みも引いている。恐らくあの鎖が無くなった時が本番なのだろう。雪音は不知火を引き抜き祭殿に急ぐ。

 

 

「フ―――!フ――――!」

(行かなきゃ・・・・・)

 

シュイィィン!

 

「あれは、結芽さん!!」

「・・・・・・誰?」

「覚えているか分かりませんが私は祐奈です」

「え?祐奈お姉ーさん・・・・・・なの?」

「はい、祐奈お姉ちゃんですよ」

「祐奈お姉ーさん、私・・・・・げほっ!げほっ!」

「ゆっくりで良いですよ?」

「はあ・・・・・・はあ・・・・・・私、沢山凄いってことを見せつけたんだよ?」

「そうですね・・・・・結芽はとても頑張りましたよ」

「もう、お終いかぁ。まだ、全然足りないのに。もっとすごい私を皆に、焼き付けたいのに。何にも要らないから。覚えてくれれば・・・・・・それでいいんだよ・・・・・」

「私はもちろん・・・・・真希さんや皆覚えてくれますよ」

「そうだったらいいんだけどなぁ・・・・・・・」

「きっと助けてあげますから・・・・・少し休んでください。貴女はたくさんの人に覚えてもらえますよ・・・・・私が、保証します」

「・・・・・・・・・・・・」バタ!

「おっと!・・・・・・・真希さん。居るのでしたら結芽をお願いします」

 

 

雪音は真希に任せて紫の方に向かおうとする。だが真希に止められた。

 

 

「祐奈さん・・・・・結局、ぼくたちが得た力は、なんだったんだろうね・・・・・・ねえ、結芽?」

「それは誰にも分かりません。色々な考え方があり個性があるんです、それにまだ助ける手立てがあるはずですので気を落とさないでください」

「分かりました、ありがとうございます祐奈さん」

「それでは私は行きます」

 

 

雪音は更に奥へと歩いていく。歩いている時に衝撃が来た事で少しよろけるが引き続き祭殿の方に向かう。

 

 

「あれは、可奈美と姫和か・・・・・・あれは、不味い!」ダッ!!

 

 

可奈美と姫和の同時攻撃が防がれた。よく見ると紫様の目が金色に変化している。雪音はアレを使われるとヤバい事を知っていた為すぐに紫に向かって走る。走っている間にも可奈美達の剣はまるで全て見透かされたように防がれていた。あれは龍眼と言い、未来から相手の身体能力、思考、全ての可能性を見通し最良の一手を選択できる最悪な目だ。雪音も限定的だが使う事が出来た。今は枷が無いに等しい状態な為無制限で使用できる。枷がまた壊れない程度に力を使う。雪音の目は紫とは違い自身の目と同じ赤色、それより濃い色に変化する。いつあの鎖が壊れるか分からない為慎重になる。

 

 

「私が折神紫か、タギツヒメか。先ほどの問いに答えよう。我はタギツヒメ。だが、折神紫でもある。我らは既に一つだ」

(遅かったか!?・・・・・・皆が来たがどうしようか・・・・・・!?)

「可奈美ちゃん!」

「舞衣ちゃん、それに紗耶香ちゃん!」

「あれが、大荒魂・・・・・・可奈美、私、怖い・・・・・・相手を怖いと思ったの初めて・・・・・」

「あ、雪音ちゃん!」

「危ない、床が崩れるぞ!!」

「「「「!?」」」」

 

 

タギツヒメの攻撃に耐えられなくなった床、もといノロ貯蔵庫の天井が崩落する。ノロ貯蔵庫には先ほどまで戦っていた可奈美達の他に真希とエレン達が居た。

 

 

「うぅ・・・・・床が抜けて・・・・・何?祭殿の地下にこんなモノが・・・・・えぇ?あれは・・・・薫ちゃん!エレンちゃん!」

「はぁはぁ・・・・・舞衣、大丈夫?」

「えぇ、なんとかね」

「・・・・・敵は六刀流。対してこちらは七デス!」

「プラス一匹だ」

「ねー!」

 

ザッ!

 

「あれが紫様・・・・?いや、あれは・・・・そんなはずは・・・」

「みんな、呼吸を合わせて。里での集団戦を思い出して!」

「よく見る、よく聴く、よく感じ取る」

「これまでの全部をこの剣に・・・・・・」

「倒して、ハッピーエンドです」

「今度こそ長期休暇だな」

「荒魂を生み出したのは、貴様ら人だ。かつて一つであった物を、お前たち引き裂いたのだ。我を穢れと呼び、恐れ忌み嫌った。珠鋼とノロ、御刀と荒魂、清と濁。元は全て一つ、同じものだ。人が勝手に分別したに過ぎない。厄災を振りまきながらも、我の知能は進化し続けた。やがて、一つの結末を予見した。禍神と化した我も、いずれは人の手によって駆逐されるという事だ。我は生存の道を模索した。それを実行したのが二十年前の相模湾岸大災厄だ」

 

 

そう、タギツヒメが言ったように元は人が招いたものだ。その最たる例が、あの二十年前の大災厄だ。

 




こんにちは、ユキネコネです。今回はやっとタギツヒメとの決戦です。雪音さん、少し様子が変でしたね。次回は過去から話が始まります。また次のお話でお会いしましょう。


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二十年前。”江ノ島神社・奥津宮”

 

 

「個の名が必要なら、タギツヒメと呼ぶがよい」

「そんな、江ノ島に封じ込めたのも・・・・・特務隊を送り込んだのも・・・・」

「そうだ、折神紫。全ては、お前をおびき出す為の演出に過ぎない。我が生存する最も高い可能性。それは、我がおまえに成り代わることだ」

「紫、絶対耳を貸しちゃ駄目!あいつを倒す!それだけだよ!」

「でも・・・・倒す為には・・・・・・」

「紫様、ご命令ください。務めを果たせ、と」

「務め?」

「お願い、篝。タギツヒメを封じて・・・・・」

「はい。・・・・・辛い決断をさせてしまい、申し訳ありません」

「本当に・・・・・・するんですか・・・・・・・」

「ええ、皆で過ごした学校生活。とても掛け替えのない私の宝物です美奈都先輩・・・・あなたの事、苦手でしたけど、今はいっぱい感謝しています」

「篝・・・・何言ってるの?」

「タギツヒメ!お前は私が封じる!その為に、私はここにいる!はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ザシュ!

 

「篝のひとつの太刀が、タギツヒメを貫いた・・・・だけど・・・・!」

「無駄だ。その程度では我を―――――」

「隠世の果てまで、私と共に落ちろ!」

「なっ!篝!?」

「行くのなら・・・・私が繋げます・・・・・ふんばって下さい!」

「へ?」

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

ガァァァァァン!!

 

「嘘!?・・・・・・だけどありがと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”隠世”

 

 

祐奈に後押しされた美奈都は迅移も使い篝の元に急ぐ。

 

 

「・・・・・篝!」

「美奈都・・・・先輩・・・・?」

「手を・・・・・掴んで!」

「駄目です!それだと・・・・・あなたまで!」

「しのごの言わずに掴め!篝!」

「美奈都先輩・・・・!」

「代わりに・・・・・わたしの半分をくれてやる!だから篝を・・・・・篝を助けて!」

 

 

 

”現世”

 

 

突如祐奈が美奈都を吹っ飛ばした為、紫は祐奈を問い詰める。

 

 

「祐奈!なぜ美奈都を・・・・・・隠世から戻れなくなるのよ!?」

「うるさいですね・・・・・二人が戻ってくる方が良いでしょう?黙って見ててくださいよ」

「・・・・・・篝・・・・・美奈都!」

「折神紫。我は取引を提案する」

「取引・・・・・?」

「このまま隠世に落ちれば、我という自我は消滅するだろう。そうすれば、数十年は現世には戻れない。だが、自我を失おうとも我の存在は不滅だ。いずれ隠世から抜け出し、現世へと戻るだろう。これを繰り返してきた折神家の者ならば理解できよう」

「何が言いたいの?」

「我と同化しろ。そうすれば藤原美奈都と柊篝の命は救われる」

「なにを・・・・・」

「はぁ私が居る前で堂々と脅しですか?」

「「!?」」

「忘れていた、という反応ですね?」

「貴様は反対なのか?」

(とこよ・・・・もう・・・限界だから勝手に話して・・・・・)

『はぁ、何を勘違いしておる。主さまは反対も肯定もせぬよ』

「なに・・・あなたはだれ?」

『わしか?名は今は隠させてもらおう。わしは祐奈の味方ゆえな?貴様がどんな判断をしたとしても構わんし主さまも助力してくれるじゃろう・・・・・だがタギツヒメと言ったか?おんしが被害を出した場合は主さまと共に止めるゆえ覚悟するのじゃな。それでは後は任せたぞ?』ドサ!

 

 

という事があったのだった。そして二十年の時がたった現在、タギツヒメは被害をだしたのだ。雪音はとこよから教えられた通り、戦っている。

 

 

「大荒魂を鎮めるには、己を犠牲にして隠世に引きずり込むしかない・・・・それは柊篝・・・・・・私の母の使命だった。しかし、母は現世に帰って来た。全ては可奈美の母、藤原美奈都とそれを送り出した雪代祐奈。そして折神紫がタギツヒメと契約したおかげだと言うのか?」

「脈々と受け継がれてきた折神家の務め。だが、紫は二人の生還を選んだ。最もそこにいるお前は最後まで分からなかったがな」

「タギツヒメ・・・・・私は言ったはずだよ?貴様が被害を出すのなら必ず止めると」

「ほう、なら貴様は私が現世に残っても良いとでも言うのか?」

「それは少し違います。私は大人しくしろと言っているんです」

「戯言を・・・・・いくら数が増えたところで無駄な事。絶望に打ちひしがれろ」

 

 

タギツヒメは驚異的なスピードで御刀を可奈美に向け斬りかかる。雪音は万全の状態では無い為早すぎて捉えきれない。

 

 

「ぐふっ!」

(早い!?)

「可奈美!!」

「うぅぅ・・・・・・姫和・・・・・ちゃん・・・・・」

「流石は、藤原美奈都の娘と言うべきか。いずれ恐ろしい手練れに育つかもしれん。しかしまだ雛だ。美奈都の域までまだしばらくかかる。さて、どうする。母と同じ秘術を使うか?その御刀を当てられれば・・・だが」

「くっ!」

「無理だ。お前の剣は私に届くことはない。折神紫を超える刀使は、この世に―――――」

 

 

居ない。と答えようとしたその時、可奈美が起き上がって来た。だが雰囲気が違う。雪音はそれを知っていた、だが今の雪音は万全の状態では無い。その為仕方なあの鎖を破壊することにした。邪魔にならないように数キロほど離れた位置で行う。

 

 

「ありえない、ありえない、藤原美奈都は死んでいる!」

「らしいね!」

「このような未来は・・・・・」

「でもこうして戦ってる!」

(さて、やりますか。もう鎖はほぼ残っていない、とこよとは話すことが出来ない。なら耐えて見せますとも!)

 

ジャラジャラジャラ!パキィ、バキィン!!

 

(っ!・・・・これからどうしましょうか、雪花どうすればいいでしょうか?)

〚すみませんマスター・・・・私からは何も言えません〛

(そうですか。ならせっかく壊しましたが後処理をしましょうね~)

 

 

因みに今の状況は姫和が四段階迅移を撃とうとしている最中だ。雪音は取りあえずで後先考えずに壊したのでそのまま事後処理に移った。

 

 

プルルルル、プルルルル、ガチャ。

 

「もしもし、祐奈です。はい、久しぶりの仕事です。内容は少し情報統制を・・・・・・正確にはマスコミなどをを黙らせておいてくださればよいです」

『お嬢、何故このような事を?』

「当主としてではなく友達の為ですよ」

『おぉ、お嬢に友達が!てめぇら!お嬢に新しいご友人が出来たぞ!今日は赤飯だ!』

「大袈裟ですね・・・・・・切りますからね?」

 

ピッ!

 

「それじゃ、私はしばし退散しておきましょう。皆さんに迷惑をかける訳にも行きませんので・・・・」

 

 

その夜、隠世へと逃れるタギツヒメは、自らの一部である荒魂を切り離し、空高くに打ち上げた。荒魂は飛び散り、関東一円に降り注いだ。それは、まるで流れ星のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大荒魂討伐から四ケ月が過ぎた。雪音は自身の実家でテレビを付けていた。理由は雪音が行った情報統制についてだった。刀使の評判や五箇伝にはあまり被害が無かったものの、やはり鎌倉特別危険廃棄物漏出問題については隠せず今は折神朱音様が刀剣類管理局の長となり自体収束にあたっている。その為各地域の刀使達は所属関係なくバラバラに編成されている。雪音はと言うと実家の方に赴き試練の最終段階及びタギツヒメと可奈美達が戦うまでは隠世で過ごそうと考えていた。今日はその為に準備をしていた。

 

 

「よし、準備も出来たし暫くの間師匠の所で修行を開始だ!」

 

 

こうして雪音の地獄の適応試練がスタートした。その頃、舞衣達はと言うと―――――

 

 

「それでは報告させていただきます。調査対象になっている10人の刀使の内、各学園指揮下にいる6人の情報は入手出来ました。ただし、安桜美炎さん、山城由依さん、鈴本葉菜さんの三名は、主に警視庁指揮下への出向と異動の繰り返しで全く情報が入って来ませんでした。そして皐月雪音改め雪代祐奈の情報については捜索隊をだして探しましたが一向に見つかる気配はありませんでした」

「そうなんだ・・・・美炎ちゃんとはスマホで連絡を取ることもできないんだよね・・・・・」

「綾小路の二人、ユイやハナはどうなんデスか?」

「私・・・・その二人の連絡先は知らないから・・・・・」

「ミルヤは、二人の連絡先、知りまセンカ?」

「すみません、どちらもわかりません。鈴本葉菜とは、連絡先を交換出来るような状況ではなかったので・・・・・」

「報告を続けさせていただきます。現在分かっていることは、現時点で益子薫さんが群馬にいて衛藤可奈美さん、十条姫和さん、糸見紗耶香さんが鎌倉にいるということだけです」

 

 

こうして各刀使達は忙しい日々を過ごすのだった。




どうも、ユキネコネです。今回から雪音さんは隠世に籠ります。タギツヒメとの絡みも用意する予定ですのでお待ちください。暫くは現世の方は雪音さん不在で進みますご了承ください。次回は篝さんを登場させようと考えております。どうぞお楽しみください。それでは次のお話でお会いしましょう。


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ここは雪代家が管理する神社、神薙神社の真の本殿。雪音は今から隠世に行こうとしている。雪音は鳥居を潜る。リィンリィンと鈴の音が聞こえ意識が遠くなる。

 

 

「うぅん・・・・・・ここは?」

「あ!やっと起きましたね!」

「へ?・・・・・・・!?」

 

 

そこには篝が居た。辺りを見渡した限りここは篝の家のようだ。師匠の所に来ようとしたはずなのだが、これは師匠が何かしたのだろうか?取り合えず篝に自分がどのようにここに来たのかを聞く。

 

 

「篝、私どうやってここに来ました?」

「家の前に倒れていましたよ?それより会えて嬉しいです。色々話しましょう」

「それじゃあ、何から聞きたい?」

「そうですね・・・・・では私や美奈都先輩が此処に来た後の話を聞きたいです」

「その事なんですが実は――――」

 

 

雪音は大荒魂が復活した事、自身の力の事、それを手伝って貰いたいことを伝えた。因みに姫和の事は伝えていない。

 

 

「そんな事が・・・・・・では私も協力します・・・いえ、させてください!」

「では、私はタギツヒメが本格的に被害を出した時に現世に行きます。それまでよろしくお願いします」

「分かりましたまずは力を使用した状態でどの程度動けるのか確認しましょう」

 

 

こうして雪音と篝による検証が始まった。この時現世では隠世との時間の差で結構な時間が経っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”現世・鎌倉刀使寮の食堂”

 

 

場所は移り、ここは鎌倉にある日々奔走する刀使達の為に特別に解放されている食堂である。

 

 

「美炎ちゃん、私以上の激務みたいだけど大丈夫かなぁ?」

「今はどこでも人手不足。仕方ない」

「それでも心配だよぉ・・・・連絡も取れないんだもん」

「―――あっ!可奈美と糸見さん!」

「え?美炎ちゃん!?」

 

 

そこには先ほどの話の話題になっていた美炎が居た。可奈美は嬉しそうに飛びつく美炎を見る。

 

 

「久しぶりー!」

「え?え?どうして此処に?何度スマホで電話しても反応が無いから・・・・・・すっと心配したんだよ!」

「えへへ~。ごめんごめん。ずっと電波の届かない山奥にいたから、電話に気づけなかったんだ」

「そうだったんだ!美炎ちゃんの笑顔が見られて安心したよ」

「心配かけて、ごめんね?」

「ううん、こうして一緒にいれるから良いよ」

「ねえ、雪音さんはまだ見つからないの?」

「うん、捜索隊も出されたみたいだけど・・・・・アレから見つかってないんだって」

「早く見つかるといいね」

 

こうして雪音不在のまま刀使達は日々奮闘している。その頃、雪音達はというと、篝と共にある程度の検証を済ませある程度の制御が出来るようになったので、師匠の所に行こうとしている。

 

 

「祐奈先輩・・・・・私今日はあなたにまた会えて良かった。もう会えないと思っていたから・・・・」

「ありがとう。それにわざわざ鹿島新富流の足さばき何かを教えてもらって・・・・・じゃあ行ってくるね」

「はい!」

 

 

シュウゥゥゥ。

 

「よし!今度こそこれましたね・・・・・・この音は?」

 

キィン!キィン!ガシャキン!ギィン!!

 

 

ようやく着くと、道場の方から刀と刀がぶつかった際の金属音がなっていた。何かと思い道場に行ってみると、そこには全くの予想外な光景が広がっていた。なんと、師匠とタギツヒメが楽しそうに試合をしているではないか。

雪音はタギツヒメに会うつもりでいたが、こんな形での再開なんて考えてもみなかった。雪音の師匠は生きていた際も敵であるはずの人物と度々楽しそうにしていたので、そこまで驚かなかったがこれは流石に予想外であった為数分その場で固まってしまった。

 

 

「な・・・・・・なにをしているんですか」

「お、来たね!」

「な!?貴様はあの時の!」

「相変わらずですね・・・・・」

「あぁ!引かないでよ!」

「そうか、貴様は美弥の娘だったか!なら貴様が我を止めようとするのもうなずけるというものよ」

「え?・・・・え?・・・・どう言う事?」

「貴様の母は昔折神家に侵入して我に友になれとほざいたのだ。親子揃って面白いものだな」

「本当になにしてくれてんですか!?」

「ええ?だってしょうがないじゃない、会いに行くにはそうするしかなかったんだから」

「じゃあ私とも友達になってよ!」

「良いのだが・・・・・貴様は敵になるのではないか?」

「そうですね、ではこうしましょう!私は傷つけるに留めます。なので助ける代わりに色々ピンチになったら助けてください。こちらに来たら一緒に話しましょう!」

「それなら・・・・・別に・・・・・良い・・のか?」

「あははは!やっぱりあんたはその方が良いよ!自分の好きなように生きなさい?」

「承りました。師匠?」

「やはり親子で遺伝したものらしいな」

「では、現世で会いましょう!」

「ちょっと待て」

「何ですか?」

「美弥。貴様の子に何かして良いか?」

「いいけど・・・何するの?」

「貴様のソレを本番無しで制御できるようにしてやろう。名も知らぬ誰かも、それで良かろう?」

 

 

タギツヒメは師匠に許可を取り直接ノロを流し込んできた。だが、大半は侵食されるようだ。タギツヒメは怪訝そうな顔をしながら処置をしていく。

 

 

「ふむ、貴様のほうが難儀ではないか?これは・・・・我よりも・・・・・早く直せ!」

「ガァ!?―――――ッ!!フー、フー、何・・・・・これぇ、目が回るぅ」

(暑い・・・・てゆうか酔ってる?私が?なんで?)

「意味わかんな~い」バタッ!

「酔いが覚めれば元通りになっているだろう。我はもう行くからな?」

「いってらっしゃい」

 

 

こうしてタギツヒメは現世に行ってしまった。雪音は不老不死になって久しぶりに酔った事で倒れてしまったので師匠に介抱されながらタギツヒメを見送った。

 

 

「とこよ、出てきたら?」

「ふむ・・・・あやつ、余計な事をしていきおって」

「私の時も余計な事をして来たから諦めなって」

「全て元に戻っているな・・・これは、起きてから大変じゃな」

 

 

雪音が気を失った頃、現世では―――――

 

 

「薫隊長・・・今日もよろしくお願いします」

「ああ、よろしく。で、堅苦しいのは無しにしよう。隊長と言ってもこの部隊・・・・今は他の隊員が負傷しちまってオレと紗耶香の二人だけだし」

「荒魂が多いから負傷するのは仕方ない」

「でもな、紗耶香が出向してこなかったら、オレ一人になるところだったんだぞ・・・・」

「ねー!」

「ああ、オレひとりと一匹だな」

「ねねー!」

「タギツヒメとの戦いから四ケ月・・・・オレは休みなしで各地を飛び回ってるんだぞ・・・・いい加減休みが欲しい!」

 

 

薫は紗耶香に四ケ月の間の事を愚痴っていた。薫がこう言うのは刀使は荒魂専門の国家公務員、正確には特別祭祀機動隊という警察の一組織という扱いだが刀使には未成年が多い為国からは特別司法警察職員に近い扱いを受けている。その為最悪休暇が取れない時期もあり得るのだ。雪音は一年休暇なしで国際問題を解決した事もある。

 

 

「取りあえず今日も任務前の点呼を行うぞ。隊員はねねを含めてふたりだけだが念のためな、はい点呼」

「一」

「二」

「三」

「ねー!」

「よーし、全員いるな・・・・って、二人も増えてるだと!?お前らは確か、折神家襲撃の時に加勢に来てくれたヤツらだよな?」

「はい。人員補強の為に派遣されました。長船女学園高等部、3年の瀬戸内智恵です」

「同じく、人員補強の為に来ました。平城学館中等部2年、六角清香です」

「助かった・・・・やっと内の隊にまともな補充が来た・・・・よし!今日の任務は全部中止だ。早速新入隊員ふたりの歓迎会をしよう」

「薫さん・・・・本気?任務を中止されるのは困るのだけれど」

「ねー!ねねー!!」

「ねね、どうした?」

『ガアァァァァァ!!』

「荒魂か・・・・歓迎会をするのにもこいつらを倒した後になりそうだ」

 

 

隊員にいつの間にか智恵と清香が追加され新たに四人と一匹の隊が完成したのだった。そして、新たな隊で初めての任務が今始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”森の中”

 

 

「おーし、全部片付いたな」

「ねねー!」

「ひゃあ!?この子、私の胸に飛びついてきた!?」

 

 

戦闘が終わった直後、ねねが早速智恵の胸に飛びついていた。懐かれるのは嬉しいが、理由を聞けば素直に喜べなくなるであろう。それを薫が智恵に説明する。

 

 

「コイツはなぜか胸が大きい奴か成長する奴に飛びつく習性があってな?この中じゃ一番大きいのは智恵だから当分我慢してくれ」

「なっ・・・・・!?この子、せっかく可愛いのに懐かれてもあんまり嬉しくない・・・・」

「胸がデカいのも、立派な長所なんだ。もっと喜べ」

「嬉しくないです!!」

「七之里さんにもチチエって呼ばれてましたもんね・・・・・」

「ああ、せとう()()()でチチエか・・・・良いセンスだな」

「薫さん!簡単に納得しすぎです!それにセンスも良くないです!」

「まあ、久しぶりに賑やかになったんだ。ねねも喜んでるし二人の入隊を歓迎する」

「ねねっねー!」

 

 

こうして現世ではおもしろ可笑しい日々が送られていた。そこに再び魔の手が迫っていると知らずに―――――




どうも、ユキネコネです。今回は雪音さんの師匠についても語られました。今回の話の通り、特定の敵とは絡みや友達になるということもやっていきたいと考えています。では、また次のお話で会いましょう。


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どうも、ユキネコネです。今回はお知らせがあります。主人公の設定が更新されます。次にアンケートを実施します。これがお知らせです、それでは引き続き終わり無き異世界への旅路をお楽しみください。


”隠世”

 

 

タギツヒメを見送った師匠は酔って寝てしまった雪音を横目にとこよと相談をしていた。雪音は自身の体内がどうなったのかを調べていた。

 

 

「ねぇ・・・・とこよちゃん?いい加減雪音の過去について教えてくれても良くない?」

『それは・・・・主さまに許可を取ってほしいのじゃ。わしもタギツヒメに試練を強制突破されて驚いておるのじゃ』

「じゃあ雪音、良いよね?」

「何?私の過去なら大体なら大丈夫だよ。私も今さっき思い出した所だからね」

「そう・・・・・なら話してもらうよ」

『分かった。では主さまは思い出した事の整理と制御をしておいてくれ』

「了解。じゃあ階段の方でやろうかな~」

 

 

こうして師匠達は雪音の過去について、雪音は自身の力についてそれぞれで進めていく事にしたのだった。雪音は

箱庭で貰ったギフトカードを見ながら鮮明に蘇った記憶と照らし合わせながら検証を始める。

 

 

「それじゃあギフトカードを見て何が追加されて何が元に戻ってるかを確認してそれから検証だね。雪花、今から武器以外のギフトネームを表示してくれる?」

『分かりました、マスター。それではどうぞ』

「じゃあ最初に―――――」

 

 

雪音はギフトネームを読み上げ始める。そしてある程度読み終わった雪音のギフトネームはこうなっていた。

 

 

 

「ギフトネーム  ・全て飲み込む(アビスオブ)仄暗き厄災(アンリミティコード)

         

         ・世界を旅する者(ワールドウォーカー)

 

         ・英雄達の友人

 

         ・戦術人形化

 

         ・白銀と鏡海の鍵(律者コア)

 

         ・冠位魔術師 緋

 

         ・白雪システム

 

         ・神薙流双剣術(かむなぎりゅうそうけんじゅつ)

 

         ・武装換装型特殊戦艦セキレイ(艦娘の魂)

 

         ・深淵の律者

 

         ・全ての例外(ザ・イレギュラー)

 

         ・聖遺物ガングニール

 

         ・東京の勇者

 

         ・花の祝福(ハナの呪い)

         

         ・?∞刻の■姫(トW■?イ#オ・?ィーヴ*)                  」

 

 

 

ギフトネームを見る限り、本来の名称や隠蔽が剥がれた物が複数あり?が無くなったようだった。雪音は一つのギフトを見て何故律者などになっても乗っ取られなかったのかを理解した。その中に一つ文字化けが激しい物があったが今は気にしない方が良いだろう。

 

 

「ザ・イレギュラーですか・・・・そりゃあ崩壊に乗っ取られないわけだ」

『その他には正式名称が分かるようになっている物もありますね』

「アンリミティコードってことはコード:エクスキューショナーはほんの一部ってことか・・・・・コードはディザスターやハンターか。それにエンチャントコードなんてありますよ」

『これが本来の力のようですね。これは本来の力を侵食してコード化・統合をおこなってマスターに使いやすい形に変換しているようです。さしずめ防衛システムと言った方が良いでしょうか・・・・・』

「それじゃあコードを使用した状態で白雪システムも使えるんじゃない?」

『今なら出来るでしょうね』

「じゃあやってみようか」

 

 

そう言い雪音は白雪システムとアンリミティコードを同時に使おうとする。

 

 

『白雪システム起動。エクスキューションシフト』

≪白雪システムの起動を確認。それにともないアンリミティコードとの平行使用を確認した為アンリミティコードを優先します・・・・・・白雪システム各システムの侵食を確認しました。アップデートを開始します。個体名雪花及び管理システム以外をアンリミティコードに置き換えスタートします≫

『マスター、どうやら白雪システムとアンリミティコードが統合されたようです。白雪システムの戦闘面や緊急防衛システムなどの各システムがアンリミティコードに置き換わったようですね』

≪アップデート完了しました。管理権限をお返しします≫

「えーと・・・・・・アンリミティコードを使っていても白雪システムを使えるんですか。師匠達の話もそろそろ終わったころかな?」

 

 

こうして雪音はある程度の検証をすませて師匠の元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”現世”

 

 

場所は変わり、現世では何が起こっていたかというと―――――

 

 

「何なのこれ!?本当に何が起こったか知らないのにー!!」

「またニュース見てるの?美炎ちゃんもドMだねぇ」

「どえむ・・・・・・?」

「美炎ちゃんが今やっていることは、自分が傷つく為に情報を集めているのと同じだからね。そもそも、こういう街頭インタビューは大体が都合の良いように改竄されているんだ。その証拠に刀使を擁護する意見は一つもないだろう?世間は皆、鎌倉危険廃棄物漏出問題が起きたのは折神家や刀使のせいだって思ってるって印象操作をしたいんだよ。ヤバい連中からお金でも貰ってるんじゃないの?」

「でも私、こんなの許せないよ!!刀使の皆はすっごい頑張っているのに!!」

「美炎ちゃんはホントにピュアだねぇ・・・・・汚したくなっちゃうよ・・・・・!!」

 

 

現世では美炎や由依達がテレビに映っていた鎌倉危険廃棄物漏出問題について話し合っていた。美炎は情報操作に苛立ちを覚えているようだが、どこの世もプロパガンダは起こっているという事だ。もし雪音がこれを見たらこのニュースを出しているテレビ局にカチコミにいくだろう。こうして由依の変態発言を交えて他愛のない話をしていた現世から場所を変えて隠世の鳥居前では、雪音が現世に戻ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”隠世”

 

 

「過去の話は聞いたよ。いつでもここにおいで」

「ありがとうございます。それでは行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 

リィン、リィン、リィン。

 

「さて・・・・目指すはタキリヒメの居る防衛省ですね」

〚ではいこうかの。主さま、加減が出来るまでは人前で力を使うのはあまりしないほうがよいぞ〛

「分かりました。それじゃあ行きましょう」

 

ブオォォォン!ブオォォォン!ブオォォォォォ!!

 

 

こうして雪音は防衛省へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”防衛省”

 

 

ここは防衛省市ヶ谷駐屯地にある祭殿である。ここにはタギツヒメと同じく分裂した三女神の名をかんするタキリヒメが保護されていた。衛藤可奈美と十条姫和は刀剣類管理局の局長に就任した折神朱音の特別依頼で護衛任務と言う名の招集をかけられていた。

 

 

「今回お二人に集まってもらったのは、これからとある重要な方とあってもらいます。正直な所なにが起こっても不思議ではない・・・・・・なので、あなた達に同行をお願いした次第です。勿論お二人にも関係していることでもあります」

「もしかして・・・・・・」

「大荒魂ですか?」

「ええ、今から中に入りますが失礼のないようにしてください」

 

 

朱音達は一見高床式倉庫を思わせる祭殿がある白ずくめの部屋に入っていく。すると祭殿の扉が開きタキリヒメが姿を現した。可奈美達は咄嗟に御刀を構えるが止められた。朱音はタキリヒメと話を始める。

 

 

「拝顔を賜り光栄です、タギツヒメ」

「その名が指す者は別にいる」

「では何とお呼びしましょう」

「タキリヒメと呼ぶ事を差し許す」

「承知しました。私達は・・・・・・」

「折神朱音、衛藤可奈美、十条姫和」

「タキリヒメ、率直にお伺いします。あなたは私達に仇名す者ですか?」

「我は質問を許した覚えはないぞ?さっさとイチキシマヒメを差し出すがよい。貴様らの手にある事は分かっているからな」

「・・・・・・・・」

「人にとって真の厄災はタギツヒメ。そしてイチキシマヒメの理想に人は耐えられぬ」

「故にあなたに従えと?」

「我はタキリヒメ、霧に迷う者を導く神なり。人よ、我がお前たちの求める最良の価値をもたらそう。タギツヒメは力を付けているはず。時間は限られる・・・・・あるいは奴がいれば・・・・・・・」

「奴って誰なんですか?」

 

 

可奈美がタキリヒメの呟いた奴と言う言葉に反応して質問をしてみる。その問いにタキリヒメは少し思案した後に質問にあった奴について答えることにしたのだった。

 

 

「その質問に答えてやるとしよう。奴というのはまだまだ大荒魂として顕現する前の我らの前に現れて友になれなどとほざいた人間・・・・・なのか?とにかく奴が来てから我らは考えが少し変わったのだ。タギツヒメの考えが変わっているのであれば我も理想の押し付けをせずに大人しくしよう」

「タキリヒメ、あなたの言う奴の名前を教えてもらえないでしょうか?」

「許そう。名は雪代美弥と言う、あ奴は最初から最後まで読めなかった。これで良いだろう?我はまた眠るとしよう」

「「「!?」」」

「急な拝謁感謝いたします。それではまた後程向かわせていただきます」

 

 

こうしてタキリヒメへの拝顔わ終わりを告げたのだった。その帰りに可奈美と日和は朱音様と乗ってきた車の中で親衛隊第一席の獅童真希と思わしきフードの人物を写真に収めていたのだった。




どうも、ユキネコネです。今回からまたアンケートをします。アンケート内容は刀使ノ巫女の世界編をアニメ版とゲーム版して書くにあたってゲーム版の第六部まで書くかアニメ版の最終回で終わるかについてです。刀使ノ巫女の世界編の次の世界は刀使の世界からアンケートを取らせていただきます。皆様、これからもよろしくお願いします。それでは次の話でお会いしましょう。


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