VRMMOで遊ぼう! (between してう and 至)
しおりを挟む
1話:名も無きとかあらすじに書いたくせにプレイヤー名を出す
……暇だ。そう思いながら欠伸をすると十余年以上骨伝導で聞いてきた自らの声とは違う可愛らしい声のみが聞こえて、ふとこの世界が現実でないことを思い出す。
なんとビックリ、今座っている木の椅子も、目の前にある噴水も、足元の土も、どれも全部ポリゴンの集合体なのだ。
本当に凄い時代になったな……。まさか現実と殆ど変わらない仮想空間を人類が実現するなんて。いや、もしかして実はこちらが現実であちらが夢なのか? そもそも現実とはいったい? 実は俺が今存在しているこの世界自体が仮想現実か、シュミレーションか、はたまた物語の中で俺は真に思考をしておらず、考えていると錯覚させられているのではないか?
……まさかな。そんなことがあるわけはない。第一俺は今こうやって考え続けているんだ。「我思う故に我あり」だっけ? いい言葉だよな。意味は知らんが多分自分自身が確立していることを表したいんじゃないか? なんか違う気もするけどまぁ良い。
──────、いけないいけない。暇つぶしにしてもえらく変なことを考えてしまっていた。
しかし全く、なんでゲーム、それも最新のニューテクなやつをやりながら暇しなきゃいけないのか。
……そうだ、これも全部待ち合わせにパーティーのメンバーが遅刻してるからだ。四人パーティーなのに自分以外時間に間に合ってないなんてことありえるか? 社会人になれないぞそんなことじゃ。
なんてことを考えていたら待ち人のうちの一人が来た。「ようやく見つけた!」なんて言いながら一人の男キャラがこっちに手を振っている。そいつの頭に反射した陽の光が眩しい。
「お前さ、何遅刻してんだよ。しかも他のやつもいねぇし。このままじゃ俺が街の美しいシンボルになっちまうところだったぞ」
「そうだな、お前のそのアバター見た目だけはいいもんな。見た目だけはな」
嫌味を言ってやったつもりだったのだが、普通に相手も言い返してきた。こいつ、遅刻したくせに何をこんな偉そうに。ごめんの言葉の一つくらい無いのか?
「それはお前が遅れたせいなんだが?
俺はこのゲームをやるにあたり美少女アバターを使っている。普通に考えてなれるんだったら誰だって美少女になりたいだろ。少なくとも俺はそう思った。だから俺はそうした。
だが、実際のところ他のプレイヤーはあまりそうは思っていなかったらしい。
いや、むしろ正確に言うと彼らの大多数もそう思っていたのだろうが、それ以上に彼らの心を支配していた欲があった。……それは「美少女を侍らせたハーレムの主になりたい」という欲求。ヤツらはただ美少女に囲まれたパーティーが組めればそれでいいのだ。たとえ、その構成員がネカマであっても。むしろネカマだからこそいいとまで言う者さえいたな。中身が男だから緊張しないでいいんだとかなんとか。
ちなみに俺は中身はどっちでもいい。てか寧ろ俺は見た目が可愛い女の子同士のイチャイチャが見たいだけなんだ。俺には見向きしないでもらっていいんだ。俺はゲームシステムが許すなら壁か床になりたかった。そう、百合を傍から眺める存在に。ただ、残念ながらこのゲームの種族に建築物は存在していない。だから俺はせめて百合を至近距離で見ていても殺されない存在である美少女として
「あー、えっと、一人でヒートアップしてるところひとつ良いか? 」
「なんだハゲ」
俺が脳内で早口オタクをしていると唐突にストップが入った。
「待ち合わせの場所はここじゃないぞ、別の場所だ。探すの大変だったし、理不尽にキレられてるしハゲって言われるしでそろそろ俺もキレそうなんだが? 」
「……すまん。
俺はそう言いながら全力で可愛らしい仕草をしながら謝った。
「中身がお前って考えると気持ち悪さを感じるなそれ。ともかく、他のやつらもお前のこと探してるし早いところ連絡して合流するぞ。……こんなこともあろうかと集合時間を早めにしておいてよかったわ」
申し訳ないと心の底から思う。何せ今日はこのゲームがリリースされてから二ヶ月という節目であり、ユーザー参加型の大イベントが初開催される日、それにはパーティー単位で参加できるという話だったので集まって現地に行く予定だったのだ。
しかし、本当にハゲがしっかりしていてよかった。いや、この場合俺がしっかりしていなかっただけ……?
……これ以上ネガティブなことを考えるのはやめよう。ポジティブに行くべきだ。何せこれから祭りが始まるのだ。
大イベントがあるのなら新情報解禁などもあるはず。新ボス、新ジョブ、新武器、新イベ。そして俺の求める物……。
そう、キャラクリやり直しアイテムが発表されてもおかしくはない。
ヤバい、テンション上がってきた!これで男女比率が逆転するはず……!むしろ二ヶ月の間そういうものが無かった方がおかしかったんだ!
「おう、どうしたいきなりそんなテンション上げて」
ハゲが神妙な顔をしてこちらを見ているがどうでもいい。
「俺の物語はこれからだ!」
「何言ってるんだよ。お前ちょっと今日おかしいぞ。いや、いつもの事か」
ハゲが呆れている、というか馬鹿にされてるのか?……まぁいい、お前もすぐに女の子になるんだ。今回ばかりは許してやろう。はははははははははは────。
結論だけ書こう。キャラクリやり直しアイテムは実装されなかった。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
2話:攻略wikiは偉大
「えーっと、じゃあ最終確認だ。回復アイテムは持ったか?」
パーティーの他三人に確認を取っていく。よしOK、次はHPが一定以下になることがトリガーで起こる行動の確認……。一応
「おいハゲ、今回のボスのHPが50%を切った時に気をつけるべきことは?」
「ブレスの追加と突進攻撃を連続で行うようになるところ。それと全体へのデバフだな」
さすハゲ。多分このパーティーの中で俺の次にしっかりとしているな。
さて、俺たちは今からとあるボスに挑もうとしている。そいつは先日の二ヶ月記念放送で発表された新ボスだ。
そのボスの注目ポイントは三つ。一つ目は挑むために自発素材(ボスに挑むための使い切りの特殊なアイテム)が必要なこと、二つ目はHPが一定以下になる度にする特殊な行動をするので対策が必要なこと。そして三つ目は……。
「装備落ちろ装備落ちろ装備落ちろ装備落ちろ……」
挑む寸前だから、と手を合わせて必死に願掛けをしている
「準備は多分大丈夫だろう」
苦労して集めた素材で先程交換してきた自発アイテムを取り出す。それを掲げてパーティー全員が参加の意思表示をすればボスに挑める。無論、ここまで来て怖気付く者はいない。万全の準備をしてきたのだ、パーティーのみんなの顔もどこか自信に満ち溢れているようにも感じる。
最後にハゲが意思表示をしてボス部屋への転送が始まる。
そんな時だった、パーティーメンバーの一人、黒づくめの服装をしたハーレム願望丸出し量産型イケメンが呟いた。
「30%まで削れば勝ち確だね。頑張るぞ!」
「えっ、ちょま──」
25%がトリガーになるヤバい技があるんだが……?
結論から先に言おう。俺たちは全滅した。
弁明させて欲しいのだが、俺とハゲは真面目に攻略したのだ。ただ、残り二人がやらかした。
まずはハーレム願望丸出し量産型イケメンだ。奴は情報をしっかりと調べておらず25%トリガーの攻撃で死んだ。一応ボス戦が始まってから口述で説明したのだが流石に厳しかったらしい。このパーティで一番火力を出せるのは奴だったのでラストで死んでしまったのはかなりの痛手だった。
そして男の娘。彼もまたトリガーを把握しておらず10%のものを踏んで死んだ。いや、正直ビックリしたよ。まさか二人調べてないヤツがいるとかさ。何とかなるかもしれない!って思ったところでの事件だった。正直肝が冷えたね。
と、そんなことがあって、今やらかした二人も交えての四人での机を囲んで座っての反省会が始まったところだ。
「えーっと、まずはハーレム願望丸出し量産型イケメンくん。俺は事前に行動見とけって言ったよな……?」
俺はひとまず対角線上にいたハーレム願望丸出し量産型イケメンを詰めることにした。顔を近づけて最大限怖い目をしながらドスの聞いた声で寄っていく。するとハーレム願望丸出し量産型イケメン……長いな、確かユーザーネームはブレイブだったか。ちょっとかっこいいのが腹立つ、奴でいい。奴はすこし後ろにのけ反った。
「そのだね、ちょっと近いから少し離れてくれないか? そしたら少し弁明をさせていただきたい。正直その距離だと顔がいいから興奮してしまってまともに話せなくなりそうだ」
奴はかなりの早口でそう言った。素直にキモイ。百歩譲ってそう思ったとしても口に出すのは如何なものか。しかしながら俺もオタク。そう思う気持ちも理解できないことはない。
仕方ないので離れてやると奴は申し訳なさそうに弁明を始めた。
「一応言っておきたいが、わ…俺は
「一応その動画のタイトル聞いてもいいか?」
「確か……、『新ボスをフルアタ構成で高速周回!』ってやつだったはず」
────────。あーなるほど……。
「その動画はさ、廃人向けの高速周回テクの動画で俺らが持ってないアイテムとか武器とか使ってるのよ。俺らはそこまで廃人じゃないんだよ
最後に睨みつけてやると勇者サマは変な声を出してそのまま黙ってしまった。
まぁ反省してるっぽいしいいか。これが尾を引いて人間関係が拗れるのも面倒だし、今日のところはこんなところで許しておいてやろう。
そんでもって次は男の娘、彼だ。そちらを睨むと彼は開口一番こう言った。
「ごめん、実はボクもブレイブと同じ動画見てたんだ!」
えぇ……?
「じゃあもしかして25%トリガー避けられたのは?」
「キミたちの話を聞いてたからだね。正直焦ったし、25%のことが心配すぎて10%の説明を聞き逃した」
えぇ……?
「いやさ、ブレイブが色々言われているの聞いたら聞くに聞けないじゃん」
気持ちはわからないことも無いが……。それにしても……。
「でも本当にごめんなさい。
俺はキレた。
「あ゛ぁ゛? てめぇナメてんのかオラ? 許せねぇ! かわいこぶって許されるとでも思ってんのか? クソ花ちょっと表出ろ、燃やしてやるよ!」
「落ち着け。落ち着いて先日のお前の行動を振り返れ」
ここまで黙っていたハゲが唐突に口を開く。先日か?何したっけ。確かパーティーでイベントに参加したりしたな。いやぁ楽しかった。新情報としてキャラクリやり直しアイテムがなかったのだけは残念だが……。
「多分イベントのことを考えているんだろうが俺が言いたいのはその前だ。お前遅刻した時何やった?」
────────【「……すまんかった。
俺はそう言いながら全力で可愛らしい仕草をしながら謝った。】────────
「……」
「お前にあの時の俺の気持ちが多少分かったようで何よりだよ」
「その……、ごめんな」
俺は心の底から謝った。ハゲはこんな俺を許してくれた。こいつ聖人じゃないか?
ハゲの優しさに触れた俺は
こうして二人を詰める時間は終わった。これ以上俺が言うことはあるまい。こんなところで反省会を終わろう、と俺が席を立とうとするとハゲに声をかけられた。
「おい待て、まだ反省すべきヤツが一人いるだろ?」
「へ、へぇ。ハゲ、お前何か自分自身の問題点を見つけたのか? 凄いな」
俺はシラを切った。ハゲ、それは言わない約束だろ……? 二人が全滅して俺らも死ぬってタイミングでそういう約束をしたはずだ。
「レタネア、お前二人に偉そうなこと言ってたけどさ、お前も5%トリガー用の回復薬の存在を忘れてたろ。パーティー全体のデバフを治す薬を用意するのはお前の係だった筈だろ?」
「スーーーー。その、ごめん。俺の係だってことかんっっっぜんに忘れてた」
先に死んだ二人に知られるのが恥ずかしいから内緒にしてくれと俺は言った筈なのになんで言ってしまうんだハゲ。いや、俺のせいか。どうやら俺はハゲの逆鱗をソフトタッチしてしまったらしい。
「やーい! お前もミスしてやんの! 人のこと言えないじゃん!」
ここぞとばかりにクソ花は煽りにかかってくる。
「そこまでで死んでるくせに偉そうなこと言ってんじゃねぇ! お前の方がよっぽど酷いだろ! 俺が十歩ならお前は一万歩くらいの差があるぞオイ」
「でも結局同類じゃん!」
「美少女(見た目だけ)が言い争ってるのなんか尊み感じるなぁ」
「コイツら……」
俺たち四人パーティは今日も仲良しです。
イカれたパーティーメンバーを紹介するぜ!
・レタネア(主人公)
桃色ツインテの女性キャラを使っている本作の主人公。可愛い女の子が好き。メインウェポンは槍。
・ハゲ
ユーザーネームは「サンライズ」。大剣やハンマーを使って戦う純物理アタッカー。間違いなくパーティーで一番マトモ。
・ブレイブ(ハーレム願望丸出し量産型イケメン)
全身黒コーデの量産型イケメン。剣がメインウェポンで、どことなくラノベの主人公感のある見た目をしている。ちなみに中の人は女性。可愛い女の子を侍らせる事が当面の目標であり、正直ハゲが美少女キャラなら完璧なのにと考えている。
・ポピー(男の娘)
女キャラを使うのは恥ずかしかったので男の娘キャラに逃げた。ただ、この二ヶ月でリアルで女装を始めたらしい。
戦闘スタイルは剣と魔法の複合スタイル。器用貧乏だが無駄にカッコイイ
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
3話:めざせ!テイマーマスター!
このゲームには「テイマー」という職業がある。一応初期から選べる職業の一つだが、これをメインで使っているプレイヤーは今ではそれほどいない。というのも、リリース二週間目時点でこの職業が猛威を振るいすぎていてナーフされたからだ。
しかしまぁ、テイマーナーフ反対運動は楽しかったな。そういやあの時俺もあの三人に出会ったんだっけか。
……おっと、それはまた別の話だ。ひとまずテイマーの話をしよう。
確かテイマーの人口が少ない話だったな。
このテイマーという職業、別にサービス開始時は他職業に比べて就いている人数が少ないわけではなかった。
使役するモンスターがあまり可愛くない、AIがそこまで賢いものではない、まずテイムできるモンスター自体も少ないといった問題点はあったものの、コミュニケーションをなるべく避けたいプレイヤーや、動物が好きなプレイヤーには好評だった記憶がある。
まぁ、サービス二日目にはこのゲームのプレイヤーの九割程度がテイマーになる大テイマー時代が到来したのだが。
【テイマーが強かった要因3選】
1.使役するモンスターが普通に強い。
何を思ったのか使役できるモンスターが軒並み強い。奴らは同レベルのプレイヤーの八割程度のステータスを誇り、しかもそれがテイマー以外の様々な職業の下位互換じみたものとして存在していた。その上、モンスターは三体まで出せる上になつき度というシステムを利用すれば確率での食いしばり効果やクリティカル効果までつくという……。
なんなら粗末なAIとはいえ、初心者プレイヤーよりも戦闘が上手いなんてこともあった。
2.モンスターはプレイヤー枠としてカウントされないため、四人パーティーで全員がテイマーなら実質十六人体制で戦うことができる。
文字通りである。単純に手数が増えるというのは強かった。
しかも、モンスター自体もプレイヤーの八割のステータスを持っているため、『特定の職業のプレイヤーができる仕事』 <『同系統モンスター二体ができる仕事』 という状態。オマケにテイマー自体もステータスが低いとはいえ戦えたのだからもう何とも言い難い。少なくともあの頃はテイマー以外を使うのは損であり舐めプだったのだ。
「テイマーにあらずんば人にあらず」 この言葉から当時の雰囲気がわかるだろう。一部の逆張りマン以外は皆テイマーを使っていた記憶しかない。
3.モンスターの育成コストが低い
地味だがテイマーが全職業の中で驚異的な割合を占めていた要因の一つである。
テイマーという職業は複数モンスターを育てて使い分けるというコンセプトの都合上、他の職業よりも武器や防具の役割をするモンスターにかかる素材等が他職業のものを一式揃えることよりも楽だった。それでいて前述のような高性能。
何も知らずに他の職業についてしまったけど余ったリソース使ったら余裕でテイマーになれました!なんてのはザラだった。
と、まぁそんな感じでサービス開始から二週間の間はテイマーの時代だった。
……そりゃナーフされるわ。客観的に見てナーフしない理由が無い。てか開発がしっかりテストプレイしろよ。
そんなわけでサービス開始二週間でテイマーはかなりキツめの下方修正をくらう。
モンスターの性能は全体的に下方修正され、一体のモンスターにつき一つのパーティーの枠を使うようになった。
さらに追い打ちとして他の職業には上方修正が入ったことにより、テイマーのプレイヤー内の人口は十分の一以下へと。昔はどこを見てもテイマーがいるという状態であったのに、今では扱いが半ば絶滅危惧種。
モンスター枠の都合上他プレイヤーと協力しにくいのもその状況に拍車をかけている。
やっぱテイマー下方修正の時に他職業の育成素材とか諸々を大量配布してたのが良くなかったな。アレがなきゃ仕方なくテイマー続けてたやつも居たかもしれんのに。
そんな下方修正の結果、攻略wikiの最強職業ランキングでSSSからCくらいになってしまったテイマーだが、流石にこの状況は運営もマズいと思ったのだろうか。テイマー人口を再度増やそうと報酬ありのテイマー限定の大会が開催されることになった。
その名も『めざせ!テイマーマスター!』
……パロにしてももう少し何か無かったのだろうか。
大会は所謂トーナメント形式で、予選を勝ち抜いたテイマー達が、本戦(公式で配信される)で戦うというものだ。
ちなみに対戦はモンスター同士を一対一で戦わせる形式で、一人六体までモンスターを本線に持ち込むことが可能。ただし、対戦で使えるのは三体だけというルール。
なぁ、これ○○○○……。
発表当初この形式は、テイマーの戦闘スタイルに合っていない、あんまり楽しくなさそう、運営はテイマーエアプなどといった意見が散見された。実際初期のバランス調整的に後者は言われても仕方ない気もするが。
まぁ、そんなことはありつつも大会は恙無く進み、現在決勝戦なのだが……
「「「「「うぉぉぉぉぉぉおおおおおおお」」」」」
聞いてくれ、この歓声を。どう思う?
そう、大盛り上がりである。冷静に考えたらむしろ盛り上がらないわけがないだろう。このテイマーマスターは「よけろ!」コマンド等が搭載されている○○○○バトルに近い。つまり実質○○○○バトルを生(この場合はリアルタイムで行われているという意味)で見ているかのようなもの。テンション爆上がりだぁ!
多くのプレイヤーにテイマー経験があるために予備知識があるのも良かったのだろう。そのおかげで決勝に進出したプレイヤーの化け物っぷりがよくわかる。
あとはあれだな、なつき度要素。多分オンラインで○○○○対戦やってる時に敵がやってきたら○ねとは間違いなく思うんだが、今回に関しては発動する度に少し涙腺にくる。これが彼らが積み重ねてきた信頼と友情の結晶か……。といった風に。 実際のところテイマー全盛期はなつき度を上げるためにフォアグラでも作るんかってレベルで過食させていた記憶があるが、多分彼らはそんなことをしていない。多分……、多分。
などと頭の辛うじて冷静な部分で考えていたのだが、残りの熱に当てられてる部分がうぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!! 失礼、取り乱した。今丁度そのなつき度システムでの食いしばりが最高のタイミングで発動したのだ。
舞台上で向き合う二人のテイマーとモンスターが一体ずつ。どちらのモンスターも満身創痍、瀕死寸前、○○○○でいうなら赤ゲージでBGMが変わっているだろうというところ。
次の一撃で全てが決まる……。隣の席のやつがそう呟いた。カッコつけて言っているが、食いしばりが発動する前に実況が言っていたことを丸パクリしただけである。
彼らが動いたのは同時だった。互いに選んだのは真正面からのぶつかり合い。双方、使っているモンスターに搦手系統の技があるのにそれを選んだのは誇りかノリか、もしくは勝利後につまらねー勝ち方しやがってというバッシングを避けるためか。多分1:8:1だな。
雷と炎のぶつかり合い、互いの切り札と言っても過言ではない、絶対にここで決めるという意思のこもった、互いの残存体力から考えれば過剰火力も甚だしい一撃、それが交差し、最後に舞台上に立っていたのは一匹のモンスターと一人のテイマーだった。
『初代テイマーマスターが決まりましたぁぁぁぁ!!皆様!盛大な拍手を!』
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!!……、いやぁ、実にいいものを見た。俺もテイマーにもう一度なろうかな……。
俺は久しぶりにテイマーの一式を倉庫から取りだし冒険に向かうことにした。
結果として俺は死んだ。冷静に考えて初心者だったサービス開始二週間の時点の装備で、しかもナーフされた職業で今の最新フィールドを戦えるわけが無かったのだ。
……俺たちプレイヤーは日々成長しているのだ。
ありがとうテイマー、お前という職業のおかげで今の俺たちがある。
古戦場期間なのに、ストック無しで思いつきで書いたものを投稿し始める馬鹿がいるらしい。
あと、知り合いに読みにくいという指摘を受けました。一切反論できない正論だったので黙るしかありません。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
4話:地獄と二枚舌
地獄の責め苦は最短で約1兆6000億年、最長で約350京年らしい。新しい敵を出す度にインフレをするバトル漫画、もしくはすぐに環境の変わるソシャゲレベルで二つには数字の差があるが、人の一生に対してはあまりにも長すぎるという点でそれらはほぼ同じと言ってもいいだろう。
そうなるともしや、今やってるこの
────そんなことをパーティーメンバーの三人に話したらドン引きをされた。さすがにブロックに手を伸ばしているのを見た時は肝が冷えたな。
────しかしいかん、思考が変な方向へ飛んでいた。MMOに含まれるナーフや環境の変化という要素が無常感に重なったのだろうか。いつに無く哲学的なことを考えてしまっている。
「えっとさ、全部口に出てるよ。多分疲れてるんだろうけど思考と発言のリンクが酷いよ? 少し休んだらいいんじゃないかな……? あと、せっかく可愛いキャラ使ってるんだから可愛いムーブしようよ」
────は??????? 休むわけねぇだろ!? 今ここで休んだ時間でランキングが死ぬほど下がったらどうするんだ!今日は
「確かにそうかもしれない。でも
────
「
──── なんだ?
「誰がクソ花だ!? こちとら心配してやってるんだぞ??? 」
──── はいはい、ごめんごめん。あたしが悪ぅござんした。
「脊髄で喋るな、お前も文明人なら一回倫理とか道徳とか理性のフィルターを通して話せよ」
「今更取り繕う必要性ある?」
────ハゲが正論でしかないことを言ってきたので苦し紛れこう返すした。でも2ヶ月で彼らにも俺の人間性はだいたい見えてきているはず……。だからセーフ。問題なし!
「大アリだわボケ。親しき仲にも礼儀ありだ。あとハゲ呼びはやめろ。おれのプレイヤーネームは『サンライズ』だ」
「すまんすまん、サンライズ」
────結局光り輝いてる時点でハゲじゃねぇかハゲ。
「あ゛???」
「急にキレるじゃん怖っ……、……もしかして俺の心の声全部聞こえてんの?」
──── 俺は驚愕した。いや、まさかそんなわけは無い。今の今まで彼らとの円滑な会話が成立してたのは俺が口に出そうと意識していた言葉が発せられた結果であったはずで……。
「えぇ……? 気付いてなかったの?」
「……。すまんかった!」
────
「凄い、今度は三重に聞こえた。多分口と心の声が完全にリンクしたんだな」
俺の誠心誠意の謝罪に対して、クソ花は感心した風な顔でそうコメントした。
……、そんなことを思っていた時には俺の心の声はもう漏れていなかった。
そのタイミングで寝落ちしたからな。
ちなみにだが、俺が度々起こしていた"声が二重に聞こえる現象"、これはどうやら同時に二種以上の魔術を使う『二重詠唱』という技術の入口だったらしい。
この現象および技術はサービス開始からしばしば掲示板等で体験したと語る人物はいたのだが、どれも肝心の証拠がないorあっても捏造されたものだろう。ということで今まで相手にされてきてはいなかった。
ところが、それが覆ったのが今回のイベント。名前を『パーティー対抗殲滅戦』というのだが、その名の通りパーティ対抗で競い合うこのイベントは第一回の開催にして"地獄"と化した。
このイベントの事をざっくりと説明すると、事前に登録したパーティーで、期間中に開放される専用クエストでモンスターを狩ることでポイントを稼ぎ、パーティーで稼いだそのポイントの合計値で順位を付け 、最終的な順位に応じて豪華報酬が貰える。といったもの。要するに他ゲーで言うGvGをパーティー単位でやる、といったものになる。
豪華報酬の出る多人数対抗戦、あまりに予想が容易いことではあったが、前例に漏れず当然のようにプレイヤー同士の競走は白熱した。それも凄まじいレベルで。ある者は有給を取り、ある者はカフェイン漬けになり、ある者は開催期間中寝ずにボトラーとなった。
また、上記のような
そうして精神的に追い詰められた一部のプレイヤー達にストレスが溜まり、脳内麻薬が過剰分泌されるなどして起こった異常なハイテンション状態や、あまりの眠気から起こった半覚醒状態等により、彼らは摩訶不思議な現象に遭遇したのだった。それが"声が二重に聞こえる現象"。
流石に同時に多発したとなれば、それは実際に起きたことであると考えて間違いはない。そうしてやがて、彼らは一つの結論に達した。「「「これは使える」」」
有志の検証によると、"声が二重に聞こえる現象"を使用すると詠唱が必要な魔術を同時に放つことができることが判明し、それは『二重詠唱』と名付けられた。
これにより、もとよりDPSの高かった魔術師の評価も更に上がり、素晴らしき大魔道時代が始まる……。と思われていたのはイベント終了三日後まで。
『二重詠唱』はゲーム内のスキルでもなんでもないため再現性が低い事や、長めの詠唱は不可能に近いこと、安定して使うには二徹以上して疲れなければならないことが判明したため、『二重詠唱』を恒常的に使用するのは一部の廃人、もしくは偶然コツを掴んでしまった天才型のみとなってしまった。
かく言う俺も自分は天才型ではないかという淡い期待のもと『二重詠唱』を試してみたのだが……、普通に失敗した。
────
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
5話:ねぇレタネア、海賊やめなよ
「レタネア、お前船降りろ」
「──── え?」
それは船に乗って進行するイベント、『大航海時代』の中で、俺がハゲに唐突に言われた言葉だった。
「お前攻略してる時もずっと喋ってるじゃねぇか」
「いや、そんなことは……」
否定できない。確かに俺は言葉数が多い方だ。テンションが上がるとすごいことになる。
「それに、ポピーや他パーティーの女キャラからも苦情が来てんだ、お前が嫌らしい目で見てくるってな」
「いや、それはその……」
だって仕方ないじゃん。みんな可愛いし……。
「大体、お前何が出来るんだ? あまりに無駄なことばっか口にしてるから分からないんだが」
「……。で、でもブレイブだって他キャラのことをやらしい目で見てるじゃないか! それにクソ花はポピーだしお前はハゲてるし!」
そうだ、このパーティーにおいて俺は二番目にまともな自覚はある。少なくとも
「ブレイブは……、いい所思いつかねぇな。ポピーは……、アイツもいい所が思いつかねぇ」
「おい」
……それでいいのか?
「あと、俺のスキンヘッドはキャラクリで自発的にやったものだ。イカすだろ?」
「うん、まぁカッコイイとは思うよ。でもそれはそれとして、なんで美少女にしなかったんだよ。客観的に自らを一回見てみろ、パーティで並んでるとお前完全に作画コスト低めの竿役だぞ? 多分ブレイブがお前に俺とクソ花をNTRされる本だと思う」
自分で言うのもなんだが、見た目だけなら割とありそうなんだよな……。
……そういやSNSでフォローしてる人に
「そういう展開になったら俺の相手は魔法少女風フリフリピンク一式ツインテール(プレイヤーの性格が悪いため基本悪い顔しかしてない)な
そうだな……。俺は頭の横に生えている二本の桃色ツインテールを握りしめて強く同意した。
いや、でもさ、レタネアちゃんの可愛さは本物だと思うし、多分わからせ系に需要が……!
そう思ったところで強い波で船が揺れた。これはゲームシステムによるもので、それの示すとおりならば、まもなく目的地につくようだ。
「あと数分で港に着くからそこで荷物まとめて降りろ、二人にも挨拶しとけよ」
そうか。狭い船内、四人でテーブルを囲んでいる中、隣に座っているブレイブにとりあえず声をかける。
「俺、船降りることになったらしい」
「そうか、お疲れ!」
すっげぇ塩だな。……、まぁブレイブはそういうタイプだ。なんだかんだ下半身に従った行動が多いだけで良い奴だし、嫌味も特に言ってこない。
じゃあ次は
「よう」
俺は対角線上に座るポピーに声をかけた。
「あっ! いたのレタネア? もう、ビックリするから話しかけないでよ」
「俺、船降りるんで……」
「あーはいはいお疲れ様。頑張ってね」
ポピーは嫌味な感じを出してきたか。しかし、コイツマジで顔以外に褒める所がないな……。でもその顔が良いので85点。
「ところでレタネアってヒーラーだよね?」
「お前らが脳筋すぎるからやってるだけで本来は槍使いだぞ」
目的地に着くまで少し時間がかかるのが面倒だと思いつつポピーの寸評を勝手にしていたところ、唐突に隣のブレイブに話しかけられる。
しかし、さも当然のようにパーティーの奴らは俺の事を回復役扱いしてくるが俺の本職は槍使いなんだよな……。なんで全員攻撃したがりなんだ、モンスターと対峙するのが怖いとかで前衛向きじゃない人もかなり多いのに……。
「今後どうするつもりなの? このご時世回復役無しじゃこの海は渡っていけないよ」
「このパーティーがな。回復薬で頑張ってくれ。まぁぼちぼち頑張れよ。……でももう一人誰か回復役ができる人がいればよかったなぁ……」
本当に切実に思う。ハゲがやってくれたら楽なんだけど、アイツ医療従事者らしくてやりたくないって言ってたしな……。
「そんなこのパーティーにピッタリのお話があるんだけど」
──── ん?
「帝ky」
「それ以上はやめとけ!!!」
ブレイブ……、お前ノリがいいにも程があるだろ! さすがにそれはダメだ!
「同接数、15万人以上!」
「それはこのゲームの売り文句だ!」
「しかも全員が
「どこの世界線のお話で!?」
「全員ウチのパーティーメンバーにしたいな!」
ポピーがノってくる。調子の良い奴だなお前。
「何を言ってるんだ? 同じゲームを遊んでいる以上全員仲間だろ!」
遂にハゲまでふざけだした。
……いや、最初に始めたのはハゲだったなそういや。もうおしまいだよこのパーティー。
そこから更に加速していく会話を聞きながら窓の外を眺めていると、陸が見えてきた。
「あっ、港に着いたっぽい」
かくして、俺が翌日に用事があるからログインできなくなる。と言ったことが原因で始まった一連の寸劇はこうやってひとまずの終わりを迎えたのだった。
7月10日までワンピの東の海〜空島をジャンプラで読めるので読んだことがない人は読みましょう。
それ以降も順次開放されるので読みましょう。
ジャンプを定期購読すれば単行本されていない部分も最新話まで全話読めるので読みましょう。
ワンピは……、いいぞ。
他にもまちカドまぞく二丁目の最終話が最高だったとか、早く7巻を読みたいだとか、ぼっち・ざ・ろっくを3巻まで読んだとか、アンデラはいいぞとか、そういう話もしたいのですが、僕自身が作品のあとがきに作者が出てくると萎えるタイプなのでこれ以上は書かないでおきます。5話をお読みいただきありがとうございました。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
5.5話:"何もできない"
しくじった……。
こちらが二人というのもあって相手も四人いるのにフェアプレー精神に則り二人でこちらに来ているのだが、その二人がべらぼうに強い。
私達も中堅くらいの実力はあると思っていたのだが、相手の連携が上手すぎて全く歯が立たない。
そうして今私達は絶体絶命のピンチに陥っているというわけである。
「どうした、そちらも片方は魔術師だろう。回復しないのか?」
相手の魔術師がそう言う。確かにポピーは魔術師だ。本来なら回復の魔法が使えて然るべきなのだろう。それを使わないのを不審に思ったのか。
ただ、少なくとも相手は善意100%でそれを言ったということはわかる。もしかすると相手は二人プレイに慣れていないのでは? なんてことを思ったりしたのだろう。
でも、それを聞いた私とポピーはほぼ同時に回復薬をガブ飲みした。少し困惑する相手を尻目に、ポピーが口を開く。
「ボク達には今、回復役がいねぇんだコノヤロー!」
……何を言ってるんだこいつらはという目線を感じる。正直私も同じ立場ならそう思うだろう。でもポピーのやりたい事はわかった。ならば私も口を開かざるをえない。
「ヘイト管理もできないし!! 素材集めも効率的にできない!!」
「ボク達は助けてもらわねぇと攻略をまともにできない自信がある!!」
基本的に私たちのパーティーはサンライズとレタネアに殆どを頼っている。そのせいで二人がいなければこのザマだ。
はぁ……。
「はーっはっはっはっは」
そう言い切ると、目の前の男達が大笑いをした。
そして、
「自らの不甲斐なさを全肯定するなんて気持ちいいバカ達だ。お前らみたいな無能を仲間に持つ他の船員はさぞ迷惑してるんだろう……」
……ここは黙っておくべきだな。
「そんなお前らがどうして俺らに立ち向かう!? てめェらにいったい何ができる!!」
「「お前らに勝てる!!」」
そう言ったのはほぼ同時。それと同時に、ドン!!とどこかからドラムのような音が聞こえてきた。その音がした方を見ると、相手の船の人が鳴らしたものだということがわかった。 お相手もとてもノリがいい。
「ほざけ下等プレイヤー!!!」
相手魔術師が歯をカチカチさせながらこちらへ向かってくる。ご丁寧に武器を近接仕様にしてだ。ん? まって、あの特徴的な形の剣はもしかしてキリバ……。
私達は死んだ。完膚無きまでの敗北だった。ちくせう
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
6話:"最強"
"強さ"を決めるというのは実に難しい。
あくまでフィクションである創作物内のキャラクター同士ですら、掲示板等で作品を跨いだ強さ議論をすれば100%荒れることは確約されているし、なんなら同作品内同士でもかなり荒れる。
例えば、エ〇ルは五億以上はかたいらしいけど四〇幹部には勝てるのか?とか、41歳と大〇板の実力差はどれくらいか? とか、キン〇パンチでカ〇ドウや〇ムを沈められるのか?とかな。 最後のは俺としてはエ〇ザベロー2世はキン〇パンチを撃つ時に覇〇色を無意識下で纏っているのではないか、と解釈してるから割とキン〇パンチはいい線いけると思ってるんだが……。
いや、そういう話をしたかったわけではない。あくまで俺は創作物内のキャラクターの強さに関してですら白熱した議論がされるって話をしたかったんだよ。
まぁそんな感じで、もしも作者が言及すれば終わるであろう創作物のキャラクター同士の強さ議論ですらヤバいことになっているのだ、まして現実のものではどうか。
例えば競馬、これは超究極的に言えば速さ比べの勝負を繰り返して明確な序列付けがされていくという単純なものだ。しかし、同世代の中でもよっぽど飛び抜けて強い存在がいない限り、いや、居たとしても『どちらが強い、誰が最強か』なんてものは本番にならないとわからない。一番強いだろうと多くの人が思った馬が負けるなんてことが全然ある世界だ。2022年の上半期とかヤバかったな。当時の俺は宝塚ではプ〇くんが勝つと思っていたのだが……。
違う違う、そんなことはどうでもいいんだ。確か競馬に絶対は無いって話だったか? 違うか。強さ比べの話だ。
そうそう、あと俺は『例え中長距離で無双してても短距離やマイルやダートや障害とは土俵が違うから最強は決められない』って話をしようと思ってたんだった。……、実質言ったようなものだろコレ。
つまるところ何が言いたかったのかと言うと、『数値で全てが決まらない"強さ"って難しいよな』ってことと、『場所と場合に応じて強いやつってのはコロコロ変わるよな』ってことだ。
こんな変な話を唐突に始めたのにも理由がある。
それは今参加しているとあるイベントに起因するもので、その中で今、明確に『コイツが最強のプレイヤーだろう』と誰しもが確信できる人物を俺が目の当たりにしていて、さらに言えばその人物と俺が対峙しているからだ。
散々強さってのは本番にならないと分からない、なんて御高説を垂れ流した末にこの結論を出すのは我ながら優柔不断というかなんというかといった感じではあるが、そうとしか言えないのだから仕方ない。……いや、でもリアルでもコイツが最強だろって思われていて実際無双してたことは多々あったな。女子レスリングとかボクシングとか車椅子テニスとか。つまり理論は矛盾してないな、ヨシ!
……話を戻そう。まず大前提として、その最強のプレイヤーは何をもって最強とされるのか。
もしこのゲームが旧世代のMMOなら
全てが数字で表され、才能があろうとなかろうと継続が力になる。旧世代はそういう、ある意味では平等な世界だった。
しかしながら、
ではその条件とは? 答えは簡単、
一応言っておくが、旧世代のMMOに
ただ、VRMMOでは旧世代よりも遥かにPSの重要度が高いというだけ。そして、その極致が今、目の前にいる。
緑色の髪に赤い飾りを付けた可愛らしい相貌のプレイヤー。
使用しているアバターは男の娘タイプだが、純粋な女キャラを使うのが恥ずかしかったとかそういう訳ではなく、本人曰く性癖らしい。
無論、使っている装備もオリジナルとかユニークとかそういう訳ではなく、スキンは違えど皆と同じ現環境の最強装備。
なのに明確に雰囲気が違う、立ち振る舞いが違う、そして何より強さが違う。
可愛らしい見た目に反した圧倒的威圧感。公式主催のPvP大会にて様々な部門で優勝を飾った文字通り"最強のプレイヤー"であり、近接魔術士という戦い方の基盤を作った男。
そのプレイヤー名を『ヒナゲシ』という。
そう、『ヒナゲシ』だ。ちなみに
うちの
ヒナゲシ氏もクソ花も同じ男の娘アバターだし、同じ色の緑髪だし、二人とも魔術師だし、なんなら顔も似ている。魂の双子かな?
この前アイツがヒナゲシ氏と間違えられてた時とかマジで笑えたな。アイツ、「ボクの方が先にゲーム開始したからアイツがボクのことをパクったに違いない!」とか言ってたっけ。
さて、こんなことを考えている場合じゃなかった。俺は、いや、俺達は今からヒナゲシ氏を狩らねばならないのだ。
今回のイベント『THE PROUD OF APEX』はバトルロワイヤル形式のイベントであり、参加者は五回に分けて開催されるバトルロワイヤルの中で稼いだスコアの合計で報酬を得ることができる。
そして、その五回の内の二回が今のところ終わっており、ヒナゲシ氏はその両方で上位に入って、現在総合スコアで一位となっている。
出る杭は打たれる。早い話、俺達は全員嫌がらせ(と単体じゃ勝てないプレイヤー対策)のためにヒナゲシ氏と対峙している。
彼を囲むのは俺含め十人のプレイヤー、勿論その全員がある程度このゲームをプレイしている中堅〜上位層に位置している。
円陣を組むようにしてヒナゲシ氏を囲み、武器を構えながら俺達は今か今かと彼に飛びかかる準備をする。
「グへヘヘへ、倒しに来たぞぉヒナゲシィ!!! 流石のお前でもこの人数には勝てまい!!! 」
「一方的にお前は狩られるんだ。悔しいだろうが仕方ないんだ」
「ふっ、私のデータによればこの戦いに勝利できる可能性……、99.87%!!」
まったく、頼もしい仲間たちだ。利害が一致したからとはいえどここまでの人数が集まるとは思わなかった。流石にヒナゲシ氏も十人には勝てまい。
「辞世の句を詠んでもいいんだぜ?」
調子に乗った俺もそんなことを言った。ここにいる全員が自らの勝利を確信していた。
ヒナゲシ氏の一挙一動を見逃すまいとする俺たち、この戦いは恐らく先に動いた方が負ける。俺達にはどこかそのような確信があった。
風が吹く、桃色の自分の髪の毛が揺れる、仮想現実をやけに鮮明に感じる。鼓動が加速し頭にうるさく響く。極度の緊張状態、それを打ち砕いたのはヒナゲシ氏の一言だった。
「さっきから敗北フラグをバリバリ立ててるけど大丈夫なの? それにあまりにも台詞が小物臭いよ」
「貴様ァ!!」
全員が心の中で思っていたけど口に出さなかったことを言いやがった!
「うるせぇ! 俺達が割と卑怯なことをしてるのは分かってるからこうでもしないと精神衛生上良くないんだよ!」
同士の一人が苦々しくそう言った。それは俺達の総意でもあった。それと同時に俺らは痺れを切らした。ある意味では俺達はこの現状から生じる罪悪感から逃げたかったのかもしれない。
「もういい! こっちは十人いるんだ、相手は強いとはいえ一人のプレイヤー、負ける筈が無いだろ! 」
「そうだ! うおぉぉぉぉお! 多勢に無勢だいっけぇ!」
俺達はヒナゲシ氏に総突撃をしかけた。
──── まず二人が刀の一振で首を斬られてクリティカル判定とともに沈んだ。
──── 二人が貫かれた上で至近距離の魔法をくらって死んだ。
──── 三人が近距離戦で一人に翻弄された上でHPを削りきられて死んだ。
──── もう二人は逃げ出して……、
最後に残ったのは俺だけだった。
一瞬の出来事、まさに神業、これが最強。頭ではそう理解できるが心が追いついてこない。
「嘘だろ。何で……」
「スコアありがとね。じゃあまた」
ヒナゲシが彼の持つ刀を俺に向ける。何故? 何故こうなった。俺達は十人いたはずだ。何故俺しか残っていない。いや、逃げた二人が遠くから援護しようとしているに違いない。そうだ、俺達が負けるわけが……。
ビビり散らかして地面にへたり込みながらそう思っていたところ、遠くから爆音が響いてきた。
「逃げた二人にも当たったか。これで残りはキミだけ。楽しかったよ」
長距離魔術狙撃……!? 理論上は可能だけども偏差の計算や魔術自体の弾道のブレ、魔力消費的連射ができないことなどの要因で半ば不可能だと言われていたはず……!
「はははははは」
笑うしかない。何だこのプレイヤー。あまりにも強すぎる。俺達とハードウェアのスペックは同じはずなのにソフトウェアの質があまりにも違う。
クソ、こうなったら!
「ヒナゲシ様!! お命だけは!! お命だけはご勘弁を!! このレタネア死にとうございません!!」
俺はゲザりながら全力で命乞いをした。この際必要なのは可愛さじゃない、誠意だ。
そうしていると、ふと、唐突にヒナゲシ氏の殺気が消えた。
「面を上げよ。全力で可愛く助命を乞えば許してやらんことも無いぞ?」
──── ヒナゲシ氏、ノリがいい!
しかしながらこれはチャンス、上手くいけば生き延びることができる……!
「ごめんなさい♡」
俺は全力で
「いいよ♡」
対するヒナゲシ氏も可愛らしく俺を許してくれた。
その瞬間、間違いなく彼と俺との間には"絆"ができた。
カワイイが二人を繋いだのだ。
「さぁ、仲直りのハグをしよう!!」
そう言ったのはヒナゲシ氏、こちらに向けて大きく手を広げている。彼はなんて優しんだ!
「ヒナゲシ氏〜!」
そこへ飛び込もうと俺は走っていく。
「死ねぇぇぇぇぇえええ!!!」
勿論、ナイフを持って、だ。殺るか殺られるかの弱肉強食こそこの世の定め。
これは決死の覚悟の一撃ではあったが、気づいた時には袈裟斬りにされており、身体はとうに崩れ落ちていた。
「レタネアくん、辞世の句を詠んでもいいよ」
「ああクソが 死にたくねぇな 畜生め 次は絶対 倒しに行くぞ」
「見事」
俺は死んだ。次こそは必ず……!
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
7話:パーティいろいろ
【case1】
『ゲーム内チャット』という機能は意思疎通のためのものであり、遠隔での会話をしながらのマルチプレイが技術的に難しかった時代に非常によく使われていたものである。
では、そんな『チャット機能』は現代のVRMMOという圧倒的技術の前に消えたのだろうか。否、そんなわけはない。
『それ草なんだがwwwww』
『草に草生やすな』
『W W W W(PC書き文字)』
『また語録。コイツらクソっすね……』
三人のプレイヤーが席を囲みながらチャットで会話をしている。
多分コイツらほど仮想空間というシステムを持て余している人類はいるまい。
……しかしどうして彼らは直接会話をしないのか。
理由は簡単。直接会話をすることを彼らは恥ずかしく思っているからだ。よく居るだろ? 実際に口で喋るのは苦手だけど、ネット上では元気なやつ。おそらく彼らもその類の人間だ。
……、話しかけたくねぇ〜。でもコイツらが今回の仲間なんだよなぁ……。仕方ない。
「よろしくお願いします〜。レタネアです〜」
俺は猫を被りつつ当たり障りの無い感じで彼らに話しかけた。やばいパーティーの助太刀に来てしまったかもしれない、とその時の俺は内心後悔していた。
『よろです!』
『(*・ω・)*_ _)ペコリ』
『よろ!』
あっ、案外その辺はしっかりしてるのね。
その日は彼らと新ステージの攻略を行った。その結果わかったことがある。
彼らは言葉は一切発さなかったけど凄くいい人たちだった。
指示とかも的確だったし、しっかり攻略とかを見て準備してくれたし、何より素材分配などで一切揉めなかったのはすごく良かった。うちの
『あざました!』
『ありですヾ(*´∀`*)ノ』
『あり!』
『ありがとうございました!』
あとチャット機能も慣れるとすごく楽なんだよな。視界が若干狭まるというデメリットはあるものの、聞き間違えや音などによる会話の妨害等が無くなるのはシンプルに便利。いつものパーティでもやってみようかな……。
【case2】
『言語圧縮』これは今俺が考えた造語だが、多分なんとなく意味はわかるだろう。そう、意味はそのままに簡略化された言葉だ。例えば「ありがとう」を「あざっす」って言ったり、「おやすみなさい」を「おや〜」って言ったりするアレ。LINEとかでよく使うやつだな。
気心の知れた仲ならばコレはコミュニケーションとしては極めて優秀だろう。文字なら早く打てるし、対面の会話の時でも時短になる。
ただ……。
「アムドだからウェハ三枚のタコ装備が最高率だろ」
「アか前? 今回ヒールのサポいるしHO貰いながらMA装備TAゴリ押しでFAだろ」
「
「レタネアさんもそれでいい?」
……何言ってるんだこいつら?
『言語圧縮』には、見知らぬ人視点だと何を言っているのか分からないという欠点がある。廃人め……。
てか、FAだのHOだのウェハだの、ちょっと略しすぎだろ。ミス・メ〇ークリス〇スかお前らは。モグラ人間なのか?ん?モグラ……、もぐ、もぐぐ、もr……。いかん、思考が外宇宙と接続していた。いや、そんなことを考えている場合ではなく、今回の作戦が理解できたかどうかを聞かれてる訳で……。
「えーーーーっと、今回俺何すればいいんですか……?」
見栄を張る勇気は無かった。
ヤバい、廃人たちに「はーー、つっかえ」された上で掲示板に晒されるかもしれん……。
俺は恐怖で慄いた。
その日は彼らと四時間程度『アルティメット・ムササビ・ドン』というボスの周回をした。
その結果わかったことがある。
彼らは効率厨ではあったが、すごくいい人たちだった。
俺が最初に「何を言っているのか分からない(要約)」と言っても丁寧に説明してくれたし、俺は回復してただけなのにドロップした素材を綺麗に四等分にしてくれたし、ミスをしてしまった時もしっかりリカバリーをしてくれた上で改善点を教えてくれた。うちの
「レタネアさん、今日はありがとうございました!」
「いえいえこちらこそ、むしろいつもならできない感じの周回に混ぜて頂いた感じなのでこちらが感謝したいくらいです。それではまた縁があったら!」
彼らマジで礼儀とかそういうのしっかりしてたな。やっぱVRで廃人をやっていくにはそういった技能も必要なのかもしれない……。
【case3】
いつものパーティ、いつもの装備、いつもの方式、いつもの時間。
そういった『いつもの』というのは楽ではあるが、それが洗練されたものでは無い惰性から生じたものの場合、ふとした時にそれの"非"効率性に気付くものである。
「みんな〜。ごめんごめん。遅れちゃった!」
「遅いよポピー、十分の遅刻だ」
「本当にゴメン、この通り!」
そういったポピーが可愛らしいポーズをしながら謝る。殴りてぇ……
「うーん、可愛いからヨシ!」
「よくねぇよブレイブ。コイツ今回で今週五回目の遅刻だぞ。一回反省するべきだ」
「そんなぁ〜」
流石ハゲ。しっかりしている。俺は後方腕組理解者面をしながらハゲに同意した。
「まぁ次からは気をつけておけよ。じゃあ今から今日挑戦するスパークルパンダの情報の確認をするわけだが……」
「えっ、待って、今日だっけ?」
マジかコイツ。
「ポピー、それ本気で言ってるの?」
ブレイブと思考が若干リンクしたな……。
「いやぁ、冗談だよ冗談。気にしないで」
「お前が言うと冗談に聞こえないんだよな。まぁいい、今回の攻略手順だ ──」
さすハゲ、かなり簡潔でわかりやすい説明だ。正直この前の廃人の方々級と言ってもいい。
「以上だ。質問はあるか?」
俺は後方腕組を続け、特に質問がないという意思を強調した。ブレイブも
そうして、今日の攻略が始まった。
その日はいつもの面子と二時間程度遊んだ。
その結果わかったことがある。
コイツらクソだ。いや、コイツらって言い方は良くないな。ポピーがクソだ。他のパーティーに出張することが最近多くてヤツのクソっぷりを完全に忘れていたな俺……。
ポピーくんがやらかしたことは三つ。
一つ、攻略情報を一切調べてなかった。これはまぁうんって感じだ。正直いつもの事だから今更感はある。でもハゲの話は真面目に聞いていたのか多少は動けていたので及第点。いや、それでもクソだな……。
二つ、ミスった時にこっちにミスを押し付けてきた。
俺はキレた。
三つ、ドロップアイテムを一部ちょろまかそうとした。
ハゲがキレた。
そうして今に至る。
ここはプレイヤー憩いの場として実装されている酒場。そこで俺たちはあることをしていた。
「被告人
「えっと、二重詠唱使えるようになったんだね。おめでとう」
「脳が怒りで限界を超えているからだぞ。……ともかく、遺言は本当にそれでいいのか?」
「本当にごめんなさいっ!」
「うむ、来世に期待というやつだな。では被告人ポピーの公開処刑をこれより行う!」
そう言って俺はポピーの首と手を"何故か"店内にあったギロチンに固定する。ポピーはキャラだけなら可愛いから絵になるな。リョナ系か陵辱系だろうか。
「皆、異議はないな?」
まぁ異論があるやつがいても刑は執行されるが。
「異議なし!」
ハゲが力強く言う。
「異議なし」
ブレイブがやや興奮した風にそう言う。手元にはスケッチブック、何をしているんだいったい。
「異議なし!」
おっと、知らないプレイヤーの方! いや、この前の廃人の方だ!あの節はどうも……。
『異議なし(*´ω`*)』
『あっ、どもです! 今から公開処刑するので良かったら見ていってください!』
その他店内のプレイヤーの皆様も全会一致で『異議なし』とのこと。よーし!じゃあいくか!
「俺の
ザンッ……!!
「 男たちはロマンを求めて攻略を進める。
世はまさに、"VRMMO時代"……! 」
何やってるんだ俺ら。
・シャンフロはいいぞと言いたいだけの後書き(読む必要は無い)
作者がなろうで一番好きな作品まである『シャングリラ・フロンティア』がアニメ化&ゲーム化します。作者も昨日号外を取りに行ってきました。マジですごくよかったです……。涙出た(語彙力)いや、本当に最高なんですよ。でも、この感情を説明するにはこの余白(20,000文字)のスペースは狭すぎる。コミカライズの時にもうこの世でこれほど幸せなことがあるのかと思っていたこともあったのですが、それ以上に今幸せです。ヤバいね。だって2023年には地上波で草原を走る半裸の鳥面変態やメジェド様もどきやヒロインちゃんが見れるんですよ!いや、昨日渋谷に実体化してましたけども。渋谷のJKがマジボイスで「なにアレ」って言ってたのが印象深いですね。だって全身タイツとはいえ半裸鳥面の変態ですからね……。このまま売れて言ってGH:Cまでアニメ化してくれ、オルケストラは劇場で見せてくれ、あと書籍化してくれ……。いや、最後のは事実上一日が四十八時間になれって願いと同義ではあるんですけども。
ところでアニメPVまだ見てない人います?いたら見てください。最高ですよ。
特にウェザエモン辺りのところは凄いシャンフロしてて最高です。あとヒロインちゃんが可愛い。マジで可愛い。コミカライズでHP(ヒロインポイント)盛られてるのでヤバいね。もうヒロインちゃん(笑)とか言われないでくれよ。でもアニメ化範囲(予測)だとヒロインちゃんよりもエムルとか鉛筆の方がヒロイン感あるし秋津茜も強い……。ってかヒロインちゃんがヒロインらしいタイミングで終われる所とは? ……。いや、今コミカライズでやってる大志編はHPかなり盛られてるから多分キリがいいはず……。
でもそうするとクターニッド辺りが全く回収できないんだよなぁ。どうなるんだ?一期だけでウェザエモンまでだとキリはいいだろうけど物足りないし……。 というか、正直現在の状態でシャンフロに人気がしっかりあることに驚いてる部分もあるんですよね。勿論序盤も死ぬほど面白い作品ではあるのですが、シャンフロが真の意味でボルテージ上げて読者の脳にニトロとカフェインをぶち込んでヒートアップさせてくるのってGH:Cからじゃないですか。正直僕含めTwitterの人とかもGH:Cまで読めを合言葉に布教してたくらいGH:Cに多大な信頼を置いてたわけです。裏を返すとGH:Cまでの所に少しだけ不安があったということなんですよね。なんかアニメ化決定めでたい!ってタイミングで言う言葉では無いのですが。コミカライズ発表の時とかそういう雰囲気若干あったなぁという懐古厨的なアレ。
ともかく、何を言いたいかと言うと、まだGH:Cとかいう最高オブ最高なところが来てないのにそれでもマジで人気あるなら、もうGH:C来たら人気上がりまくりとかそういう次元じゃないだろって言うことです。不二大魔導師……。硬梨菜先生……。見出してくれたイノウエ氏……。週マガ連載を決意してくださった編集長……。最高です。毎日拝んでます。
てかマジで不二大魔導師先生の画力ヤバくないですか?ウェザエモン戦とかあまりに良すぎる。特に天晴。一枚絵として強すぎる。てかウェザエモン自体のデザが良すぎるんですよね。五巻表紙とかいう宗教画よ……。あまりにも天才。神。なんでファンタジー生物のデザインをできる上にロボまでデザインを?水晶蠍とかも天才の所業でしたよ本当に。なんなの作中作事に若干描き方を変えてるとかそういうの。神?神ですね。鯖癌とかGH:Cとかへの期待がどんどん高まっていく……!個人的には風雲プレジ伝も見たいですね。原作421話『総評を胸に抱き吠えろ大統領』は僕が思う硬梨菜ニウム(脳にぶち込まれる熱さとエモさを表す個人的な造語)を短時間で大量摂取できる話なんですけど、そこを早く漫画で見たい……。
GH:Cでのビルジェンガも見たい……。当時更新に追いついた僕はあのシーンからのシルヴィア戦で僕はシャンフロに惚れたんだ……。あぁ……。見てぇ〜。見てぇォ。テンションブチアゲサンラクさん。見たいよ、ミーティア・ストライクの一連の流れ。オルケストラはアニメで見たい。絶対見たい。vivy6話みたいな感じでやって欲しいぃぃい!いや、劇場版で音圧に圧倒されたい気持ちの方が大きい……。
……。これこのまま書いてたら本編より長くなるな?今話自体このあとがき書くために書いたようなものだけれどもまぁうん。さすがにこれ以上はダメだ。2000文字超えてまう。
まだシャンフロを読んだことない人は読みましょう。最高の作品です。コミカライズ版もマガポケで無料公開中ですので是非!
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
番外編:Raising Online: Mugen 〜『地雷職(テイマー)+DPSガン無視防御全振り』でゲームを開始してしまいましたが『ユニーク精霊』を運良くテイムしたのでなんだかんだ楽しいです〜
『Rasing Online:Mugen』、通称『RO:M』は国内初の『VRMMO』だ。
近年、凄まじい速度で発展したフルダイブ式のVR技術は軍事、医療など、様々な物に利用され、それは遂にゲームにも使用できるほど安価で波及したものとなった。
俺自身、既に、数多く発売された一人用のゲームや友人とのパーティーゲームで遊んだ経験はある。
ただ、それでも今までVRMMOというものを遊んだことは無かった。
一応、海外では有名なものが幾つかあり、日本でもプレイしている人はそれなりにいたそうだが、自分はあまり手を出す気にはなれなかった。日本語対応してなかったし……。
でも、今日からは俺も『RO:M』プレイヤー。
VR機材一式を買うには高校生のお小遣いでは少し心許なく、バイトなどをしていた関係上二ヶ月程度ゲームを始めるのは遅れてしまった。だが、それでも俺の物語はここから始まるのだ。
ヘッドセットを装着してベッドに横たわりバーチャルの世界へフルダイブ!
ヘッドセットに事前にダウンロードは済ませてある。あとは電脳空間内で『RO:M』を選び、ゲームを開始するだけだ。
おっと、ゲームを開始したらいきなりOPが始まった。
──── 遥かな昔、世界は繋がり、綴じられた。
──── 交わった幾つもの人、物、時間、神。
──── まず初めに人が消えた、物が消えた、時間が消えた。そして、神が消えた。
──── 繋がった世界はやがて歪に一つにまとまった。人も物も時間も神も、不適合は全て夢幻、存在しないことと同義へと貶められた。
──── 遥かな昔、世界は別たれ閉じて鎖された。
──── 夢幻は世界には不要、有り得ざるものは人の世に不要。
──── 此処に広がるは
──── ああ、
【Rasing Online : Mugen】
なんか凄そうな世界観だ。ワクワクしてきた……!
おっと、圧巻されている場合じゃない、早くゲームを始めなければ。そうと決まれば早速キャラクタークリエイトをせねば。
ゲームスタート! そう念じると真っ白な空間へと飛ばされた。
『ようこそ、Rasing Online: Mugen の世界へ。私はナビゲーターAIのアイです。よろしくお願いします』
「あっ、はい。よろしくお願いします」
突然目の前に女性が現れたかと思うと、此方に丁寧にお辞儀をしてきた。 なるほど、これが噂になってたナビゲーターAIか。公式から出されてる画像は見た事があったけど、実際に目の当たりにすると、とてつもない美人さんだ。
『まずはキャラクタークリエイトをしましょう。アバターの作成、職業の決定、初期ステータスの割り振りができます』
アイがそう言うと、俺の目の前に大きいマネキンのようなものが現れる。
どうやらまずはこれを弄って自らのアバターにするようだ。
まぁ自分の姿をそのまま再現すればいいか。
一応髪の色を赤に変えて……。できた!
『貴方の姿はこれでよろしいですか?』
「もちろん!」
目の前に現在あるのは十六年付き合ってきた自らの身体と髪色以外瓜二つのアバター。
今まで散々女の子っぽいって言われできたけどそんな風では無いと思うんだよな……。しっかり男子だと思う。
なんて、まじまじと自らのアバターを見ていたらふと視界が暗転する。そして気付くと目の前からはアバターは消えていて……。
いや、違う。アバターに入ったのか。視界にチラチラと映る赤い髪がその考えが正しいことを如実に表している。
『では、次に職業を決めてください』
職業か。えっと、聞いた話によると『テイマー』が強いとかだったな。この前学校で『RO:M』の話をしてたやつが言ってたから間違いないはず。
よし、テイマーにしよう。
ステ振りは……、防御全振りでいいか。多分モンスターに戦わせるなら自分が死なないことが一番大切なはずだ。
『以上でキャラクタークリエイトは終わりです。拡がり続ける無限の世界、Rasing Online : Mugenをどうぞお楽しみください……』
──── どうか貴方の夢が素晴らしいものになりますように……。
かくして僕の物語は始まった。
しかし、この時の俺は『テイマー』が既にナーフされた地雷職であることも、『防御全振り』がVRMMOというゲームの性質上あまり好ましく思われていないことも、『彼女』との出会いがこれからあることも全て知らないのだった……。
※物語は始まりません。
別作品の執筆にとりかかるため更新頻度がさらに落ちます。不定期→超絶不定期です。申し訳ない……。
あと、ワンピース無料公開がデービーバックファイト〜頂上戦争までになりました。読みましょう。
追記:なんか次の話として別作品のを間違えて投稿してたっぽいです。見てしまった人は記憶リセットしておいてください
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
8話:発狂! だいさんじ甲子園
透き通るような青空、遠くに見える積乱雲、照りつける日差しとそれが反射したマウンド。
頬を伝う汗、口の中に広がる鉄と塩の味、震える足、渇きを訴える喉、まるで凍ったかのように動きが鈍った腕、早鐘を打つ心臓、狭まる視野、目の奥がドクンドクンと鼓動しているように錯覚する。
手には白球、狙うは約2700cm²の針の穴。全身全霊を何十も、下手したら三桁代、精神はとうに摩耗している。
聞こえるのは声、声、声、声、声、歓声、野次、応援、悲観、数多の個性が連なり風物詩という一つの集合体へと昇華される。
気の所為かもしれない、声、声、声。声の中で僕は君の声を聞いた気がした。いや、間違いなく聞いた。君が僕にだけ言ったその言葉を、限界まで力を振り絞るための後押しを。
九回裏、同点、フルカウント、満塁、あまりにもできすぎていて笑ってしまうようなこの状況。
勝っても負けてもこの夏はここで終わる。この一球で全てが終わる。
汗は拭った、血と塩の味はスパイス、足には喝を入れて、喉には少し黙ってもらう。腕は動く、心臓はテンションMAXで浮かれ気分、視野は正面だけを見据え、目は爛々と輝いている。
完璧だ。気付いたら口角が上がっていた。あぁ、楽しいなぁ。
そうして手から離れていった白球は────。
「は〜、負けた負けた!」
俺は、いや、俺たちは負けた。
丁度先程終わったイベント、MUGEN甲子園 20XX:夏。
これは何を見たのか分からないが、とち狂った運営がいきなり発表したプレイヤーでチームを組んで戦う野球イベントだ。
システムは……、だいたいパ〇プロだ。栄冠〇インで三年回してできあがったチーム(ただしチームメンバーは全員一年の段階で加入する)で対戦するって言えばわかりやすいか。
もちろん育成される選手はプレイヤー、参加と同時にステータスを各々割り振られ、事前に登録しておいたチームで練習を積んでいくことになる。
あぁ、でも練習とは言っても本気で野球の練習をする訳ではなくパワ〇ロみたいな感じでステータスを伸ばしていくようなものだし、試合も基本的にはAIが動きを補助してくれる。野球未経験者でも大丈夫!ってやつだ。
VRMMOである必要性はあるのか……?いや、多分あった。メイビー。
今回のチームは俺ことレタネア、
確実にこのチームは俺が想像しうる限りのドリームメンバーだった。
……勝ちたかったなぁ。 練習期間は準備期間を含めても二週間程度、それも数日に一度の数時間だった。それなのに記憶に残る思い出がいくつも、いくつも出てくる。
そうして感傷に浸っている時だった。
「レタネアくん、本当にありがとうね」
ヒナゲシ氏……?
「今回は負けちゃったけど、最高に楽しかった。キミが誘ってくれなかったら僕はここまで来れなかったと思う」
いや、そんなことは。うちのチームはヒナゲシ氏という絶対的エースかいたからこそ準優勝できた。でも、ヒナゲシ氏は他のチームにいたら優勝だってできたかもしれない……。
「いいや、僕はここだから頑張れたんだよ。このチームは間違いなく最高だった。だから……、本当にありがとう」
ヒナゲシ氏……。
俺たちの夏は終わった、白球はもう手の内には無い。けれど、きっと俺たちは大事なものを手に入れたんだと思う。形のないもの、データの上にないもの。そしてそれはかけがえのないものだ。
きっと俺はこの先何度もこの夏を思い出すのだろう……。
あとがき(読む必要はあまり無い)(半ば日記)
ここまでお読みの方なら何となく分かってきていると思うのですが、この作者、直近で見たものに激しく影響を受けます。本当に受けます。多分次の話ではワンピネタかリコリコネタが飛び出します。(予言)
ということで、今年も「にじさんじ甲子園」が始まりましたね。楽しすぎてヤバいです(語彙力)。前話のあとがきで「他作品を書くので頻度が下がる」とか書きましたがにじ甲ばかり見てしまっていて筆が全く進みません。自己嫌悪。
さて、皆さんの推しはどの高校でしょうか? 私は推しが社長なので、当然のように「加賀美大附属高校」を推しています。初年度夏甲子園は激アツですよ激アツ。上田神は神でしたし、デビルズゲートはガバガバでしたし、日南はバッティングセンターでした。やっぱ激打です。(去年加賀美実業に脳をウェルダンにされたオタクの妄言)
うぉぉぉぉ!加賀美大附属頑張れぇぇぇ!!!
*この話の前に謝って別作品の話を投稿してしまっていたことをこの場で謝罪させていただきます。大変申し訳ございませんでした。
三日くらい気付かず放置してしまっていたようで正直心臓が痛いです。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
9話:久しぶりだな、まぁ飲めよ
最近の
この国は湿度も高いせいで実質的にサウナみたいな感じだ。おかげで外にいる時間がまぁ長く感じられる。
『RO:M』へのログインをしたのも数日ぶり程度なのになんでか一年くらいぶりのように感じるくらいだ。
……それはともかく、久しぶりのログインだ。何か面白いこととか起きてないだろうか?
ログイン後に飛ばされたのは数日前にログアウトした場所と同じ酒場だった。
「久しぶだな、レタネア!」
ログインするなり声をかけてきたのはハゲだった。彼が囲む席には
待ち合わせもしてないのになんでいるんだよ、怖っ……。いや、冷静に考えたら俺らのパーティーはいっっっつも集まってるからそりゃいるか。……この酒場は高校のクラスか何かなのか?
「レタネア、お前数日間ログインしてなかったが何かあったのか?」
「テ○アキンとかFF1○やってた。やっぱ久しぶりにちゃんとしたストーリーがあるゲームやると楽しいわ」
「そりゃ良かった。……というか、お前今久しぶりにストーリーのあるゲームやったって言ってたが一応このゲームにもストーリーはあるんだぞ」
「あー、あれか。ゲーム開始時に見せられた、あのフ□ムの影響受けてそうなよく分からんやつね。というか、全員が主役のMMOスタイルと重厚なストーリーの相性が悪すぎるんだよ。こういうゲームに絶対的な主役とか居ないし、みんな周回しかしてないから本質的には日常系だろこのゲーム」
────まぁ、その日常の中で積み重ねたものが強さに直結するから俺はこういうゲームを好んでいるのだが。
「まあ、ラノベよろしく『ユニーク〜』みたいなのがあったらまた話は変わってくるんだろうけど」
「いるぞ、ユニーク精霊」
「は????」
────は??????
「ネタじゃなくて? マジで?」
「あぁ、今運営は大炎上中だぞ。正直お前がログインしてこないのはそれでこのゲームに愛想をつかしたからだと思ってた」
──── 数日間でヤバいこと起きてんじゃねぇか……。
ハゲから送られてきたURLに騒動の一連の流れが書かれていたので、一先ずそちらを見てから話をすることにした。
……この騒動の内容をざっくりと要約するなら
・新規プレイヤー(テイマー)が見慣れぬ美少女モンスターを連れていた。
・本人に話を聞いた人によるとそれは『ユニーク精霊』と呼ばれるものであるとのこと。取得条件は件のテイマー本人にも分からないらしい。
・検証勢がテイマーで検証を行うも今に至るまで何の成果もなし。
・公式はこの件について特に何のコメントもせず、"X"のリプ欄は地獄になっている。
・マジでユニークなのでは?という疑惑が持ち上がっている←今ココ
「なるほど……。まだ疑惑とはいえマジでユニークの可能性があるのか。偶然だろうがそれ引き当てちゃったヤツ羨ましいが可哀想だな」
右も左も分からない状態だろうに羨望と嫉妬の目で見られるなんて可哀想だ。変わってやりたい。いいなぁ、美少女モンスター……。
「しかし、美少女モンスターか。それってどんな見た目なんだ? 凄く気になるんだが」
「それなんだけどね、残念ながら写真は無いんだ。おかげでボクと
「でも
「うん、あと10秒待って、すぐできるから」
────できる? 何が?
いつもと違い、鬼気迫った顔と声で何かに集中しているブレイブに困惑しながら三分ほど静かに待つ。何の時間だこれ?
ゲームの中で手持ち無沙汰で暇になるとはこれ如何に、なんて思い始めていたらようやく
「できた! 件のテイマーと美少女ちゃんはこんな感じだったよ!! ……いい具合に描けたし後でTwi……、Xに投稿しようかな」
そう言って
──── いつもに増してテンションおかしいなコイツ。余程会心の絵を描けたのだと見れる。どれどれ、採点してやるとしよう。
「いや、ブレイブお前絵が上手いなおい??」
そこに描かれていたのは赤髪の美少女と白髪の美少女。見た目的には3Dモデルに近いこの世界のキャラクターを2Dに可愛く落とし込んでいるのは間違いなく彼の技量であろう。金取れるだろコレ。
「いや〜それ程でも」
ブレイブ、いや、ブレイブさんは俺ら三人に褒められて見るからに嬉しそうだ。
「赤髪の子が多分例のテイマーの子だね。可愛いけど骨格は男子だったよ」
あまりにも肉体のバランスが良すぎるから多分テイマーさんは"キャラクリがガチ"の人だね。とブレイブさんは付け足してそっとログアウトしていった。
────どうしよう、次ログインしてきた時何かブレイブさんに捧げるべきか……?
……まぁそれはまた今度考えよう。それより今はユニーク精霊のことだ。
「よし、俺ちょっと外行ってくるわ」
今の俺が成すべきことは大体わかった。
つまり、『転職』だ。
俺が二番目のユニーク精霊所持者になってやる……!!!
「わるいな、今日はお前らとはパーティーを組めない」
テイマーはサービス開始二週間目の時のナーフによってモンスターが枠を潰すようになった以上、パーティを組むことに向いていない。故に、彼等とはここで袂を分かたねばならないのだ。
「俺、テイマーに戻るわ!!」
涙ぐんで俺はそう言った。もちろん演技である。
そうして席を立とうとして気付いた。席に着いているハゲとクソ花の二人の職業がテイマーになっていることに。
どうやら俺の決意は彼等が数日前に通過した場所だったらしい。
……というか、周りのプレイヤーもみんなテイマーだ。俺だけサービス開始二週間時点に時間遡行したのか? ……いや、考えることは皆同じか。
まぁいい、俺がユニーク精霊を見つければいいだけの話だ! 絶対に見つけんぞ……!
うおおおおおお!!!!
どこからか勝鬨の声が聞こえてくる。世はまさに、第二次テイマーブーム……!
結論だけ書いておこう。俺は、いいや、俺たちはユニーク精霊を手に入れることは出来なかった。
この作品の存在を先程思い出したので実質初投稿です。
この1週間(と1年)で推しがロボに乗りました……。今晩の出来事でした。
あと、直近のジャンプで『鵺の陰陽師』っていう面白い作品が始まったのでぜひ読んでみてください。単行本1巻は10月発売、1〜3話はジャンプラやYouTubeのボイコミで楽しむことができます。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
10話:During the festival
突然だがゲーム内で花火大会が行われることになった。夏だね。
ルールは簡単で、配られた材料(火薬)を使って花火を作って芸術点を競うというもの。イベント報酬などは特にないようだ。
まぁ、運営が花火という芸術を採点していくというのはなかなかしんどいだろうし、プレイヤー投票での順位付けにすると人気のあるプレイヤーランキングになっちゃうから仕方ない。つまるところ、承認欲求と自己顕示欲のために頑張るイベントだ。
ところで話が変わるのだが、実はこのゲームには爆発物が今日の今日まで無かった。
多分、なんか、こう、処理が重くなるから実装されていなかったのだろう。マイクラのMODの実況とかでそういうのをよく見た覚えがある。流石にVRゲームでそれは無いか。
……さて、マシンスペックの話とかは置いておいて、『爆発』という刺激的な新しい玩具と時間を与えられたプレイヤーがどうなったか、それはイベント当日である今を見れば簡単にわかるだろう。
「コッチヲ見ロ…ッ!」「雀蜂雷公鞭を私なら使いこなせる、違いますか?」「己の体でやるのは初めてだが……」「鼻空想砲!」「汚ぇ花火だ」「そっか、それが不真────」
世紀末かな? しかし皆してオリジナリティの欠片もねぇ。気を衒った上でパクリすぎだオタク共。
「熊ちゃん人形配ってま〜す!」
「ああどうも、ありがとうございます」
乱雑な一色多が過ぎる作品群をひとしきり見て溜息をついていたのだが、どうやらこんな治安が終わった中でも優しい心を持った人は居たらしい。優しい気持ちに包まれながら腹に『Ⅱ』と書かれた可愛らしい熊のぬいぐるみを愛でていたところ、俺は死んだ。
……いや、でも仕方ない部分もあると思うんだ。俺は根っからのジャンプ党なので週刊少年マガジンで連載中で2023年10月から日曜17時にアニメが放送されることが決定している、小説家になろう発のVRモノである『シャングリラ・フロンティア』のコミカライズ版で現在やっているエピソード内にて出てくる味方キャラが使う爆弾が元ネタなんてわかるわけがないんだ。俺は本当にただの可愛らしい熊さんだと思っていたんだ。
「しっかし本当に酷いな。花火どころじゃねぇ。控えめに言って戦場だろこれ」
──── この日のためにと浴衣まで準備してきたのにこれである。今日も
ちなみに、一緒に遊びに来たいつもの3人とははぐれてしまった。どんなに気をつけていても5分に1回は死ぬ環境だから仕方ない。
「……帰るか」
こういった馬鹿騒ぎはノリきれておらず遠巻きにも見れない状態が一番つまらないんだ。ログアウトして名作漫画でも読み返して、後でまとめサイトとかでコレがどうなったかだけ見ておこう。
そう思ってログアウトボタンに手を伸ばした瞬間、軽快なバグパイプの音が周囲に鳴り響いた。
これはまさか、『勇敢なるスコットランド』……!
「どいてくださいましどいてくださいまし!
……彼女らがお嬢様言葉風の似非関西弁を使って反社みたいな行動をしていなければ俺もあの連合に参加したかった。
「今からここら一帯を
すごい数の浴衣お嬢様が集まってきている!
……いや、マジで凄い数だな、50人以上いるんじゃないか? 何する気だコイツら。
気付けば俺はソイツらを見るのに夢中でログアウトボタンから手を離していた。
「さて、
そう言って彼女達が出したものは大きな車輪が側面に2つ付いた円筒の爆弾。
──── あっ、コレはオチが見えたわ。
「行ってらっしゃいませ! 自走式回転爆弾・反社弩螺矛!!!」
──── 結論だけ書くと、
逆走した自走式回転爆弾・反社弩螺矛によって自爆したのだ。それも、周囲にいた全良なプレイヤーの俺たち諸共巻き込んで。
……けどまぁ、このイベント面白かったな。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
11話:バトルロワイヤル(前編)
──── 先に結論だけ書こう。俺は死んだ。
ではなぜこんなことになったのか、話は5時間くらい前まで遡る……。
俺たちは二回目のバトルロワイヤル形式のイベントに参加していた。
まーたバトルロワイヤルやってるよって言われるかもしれないがこればっかりはしょうがないと思う。結局コレが一番盛り上がるしさ。
……しかし、こういうプレイヤー同士の仮想的な殺し合いってなんかそう言う団体に怒られたりしそうだよな。というか、間違いなく教育とかには良くないとは俺も思う。だからこそこのゲームは対象年齢15歳以上なんだろう。それでも対象年齢を無視したクソガキというものは往々にして居るのだが
ま、大体そんな特に捻りのないイベントだ。
イベントが始まってすぐ、俺たちのパーティーは取り敢えず生存時間を稼ぎたかったので取り敢えず団体行動をすることにした。
ただまぁ、最初は壁際でずっと芋ってようと思っていたのだが、フィールド端の謎の透明の壁に触れたブレイブが即死したのでその案は却下となった。
多分終盤になったら中心に向けて見えない状態のままトリカゴみたく迫ってくるんだろう。俺たちは全員ワンピ既読者だったのでそれを察する事が出来た。
……ありがとうブレイブ、お前のおかげで俺達は救われた。R.I.P.……。
そんな尊い犠牲もあったので俺達は戦略を『迫ってくる壁に焦って逃げるプレイヤーをキルする』というものに変えることにした。誉はブレイブと一緒に死んだよ。
実際、その戦略は有効に働いた。
ま、それもそうだ。見えない壁がオブジェクトを壊しながら迫ってくる様を見て冷静な状態で居られるやつはなかなか居ない。
FPS畑の奴らは割と冷静に対応していたが、一人だけなら割と何とかなった。三人に勝てるわけがないだろ!
割と壁が動き出したタイミングで野良で組んだヤツらが仲間割れを始めていたところが多かったのも成功の要因だろう。
協力してプレイヤーを倒してもキルスコアが加算されるのは最後に攻撃したプレイヤーだったので仕方ない。本当に仕方ない。
ちなみに、うちのパーティは完全な出来高制だったのでこの時点までは仲間割れとかそういうことは無かった。
やっぱり利害が一致していてそれなりに気心の知れた関係って強い。
そんなこんなで強いグループとの衝突を避けながら程々に芋りながらの不意打ちを続けることで、俺達はもう少しで残り100人(上位1%)になるまで生き残った。
……生き残ってしまった。
「残り101人……」
「その1人が20分くらい経っても減らねぇな」
俺達は凄まじく微妙な時間まで生き残ってしまっていた。
このイベントでは上位1%になるまで生き残り続けることでスコアとは別に称号が貰えるらしい。まぁ、残りの101人は誰もあぶれる1人にはなりたくないよな。
「最悪な発想をしていいか? 多分現状で生き残ってるのは大人数の団体か単体で凄く強いプレイヤーだ。このままだと俺らはそいつらに全員為す術なく殺られて、その内の一人が貧乏くじを引くことになるんじゃないか?」
「まさかそんなわけ。取り敢えずあと10分だけ待とうよ」
ハゲが冷静に現状で発生しうる最悪のパターンを口に出す。ポピーはそれに対して震え声で反論した。
ハゲはそれに同意した。そりゃそうだ。ハゲもそのパターンだけはあってほしく無かったからだ。
ただ、プレイヤー心理は残酷だった。20分経っても『1』が減ることは無かった。
──── 後から聞いた話によると誰かが事故死するまでは戦闘をしないという紳士協定のようなものが好戦的なプレイヤーの間では結ばれていたらしい。クソが。多分俺もその状況ならそうしたけども。
……このままでは迫る壁から逃げる内に最悪のパターンを引いてしまうかもしれない。そう思った俺はハゲをキルした。
後ろから刺して、殺した。
「……ま、お前はそういうやつだよな。後で詫びとしてなんか寄越せよ」
ハゲはそう言って消えていった。
残りプレイヤーは100人になった。
その瞬間争いの音が急に再開して、俺は何か取り返しのつかないことをしてしまったような気になった。
……気付けば俺はエモートで涙を選択していて、ポピーはただただ俺にドン引きをしていた。
もう少し殺しながら生き残るだけでいい。そう考えると少し気分が楽になる。
「ねぇレタネア、なんで
恐怖を感じているのか緑色の髪を指で弄りながらポピーがそう言った。勿論片手には杖を構えてコチラに向けている。信用されてねぇな俺。
「まっさかー。ここから俺が
いや、まぁそういう考えももちろんあったが。
「単純に
「それも……、そうかな?」
「第一、ヒナゲシ氏とかみたい化け物からすりゃハゲもお前も強さはさほど変わらねぇんだ」
「うんうん、ボクもそう思うなぁ」
隣でそう呟くのは緑髪男の娘アバターのプレイヤー、髪に着いた赤い飾りが大変可愛らしく、腰に提げた無骨な刀とも不思議とマッチしている。
────KATANA? まて、コイツ緑髪だが
「げえっヒナゲシ」
うっっせやろお前!? なんでおんねん!
「うん、レタネアくんのは実に冷静な判断だと思うよ。ただね、ボクはサンライズくんが残ろうとキミが残ろうと関係なく殺るタイプだったのが運の尽きだったね。いや、まぁその
急に早口になったなコイツ。というか、そういやコイツ自分のキャラに落とし込むくらいには、
「ポピー、媚びろ。多分行ける」
「あっ、ハイ。 えぇと、ヒナゲシさん、助けていただいてもよろしいでしょうか……?」
「もっと可愛く」
「ヒナゲシお兄ちゃん! 助けて♡」
「いいよ。ちょうど人手が欲しかったところだったからね」
──── キッッッッッッ……。いや、これを声に出したら多分俺は斬られる。その上で
というか、ヒナゲシ氏と
……しかしながらここで
そう思っていた俺だったのだが……、地獄はここからだった。
感覚が空いた上に珍しく一話完結になりませんでした。申し訳ないです
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
12話:バトルロワイヤル(後編)
「あーーっ、うっぜぇ!!!遅延しないで正々堂々と勝負しやがれピンク髪っ!!!」
「うーん、これが俺のバトルスタイルだからなぁ〜? ウザくて上等よ」
残り100人に残ったプレイヤーは俺らのような『生き残ってしまった』枠こそ居たものの殆どが強敵だった。
無論ヒナゲシ氏は一対一でなら彼らにも安定して勝てるのだが、俺やポピーくんはそうはいかない。
まぁポピーくんはともかく俺は時間稼ぎくらいなら何とかできるのだが。
「
「てめぇ、ずっと槍チクしてて楽しいかよ」
「死ぬほど楽しい」
「そりゃそうだよなぁ!」
俺のジョブはヒーラーと槍使いの二つ。基本的に俺らのパーティーでは誰も回復役をやらないので渋々ヒーラーをやっているのだが、俺が最も得意なのは槍なのだ。
あと、「刀(剣)で槍に勝つならば三倍の実力が必要」なんてものを最近るろ剣の無料公開で読んだ。
つまり……、槍使いの俺はこのゲームで最も多い剣使いや刀使いに割と有利なのである。
というか、一般的なアタッカーのプレイヤーならスキル系統の回復(回復アイテムを出すワンモーションが必要ない)にリソースを割かないから、ある程度のマージン取ってリーチの違いを活かしながら槍チクして適度に回復していればだいたい封殺できる。
まぁその分凄い速さで近付かれすぎたり魔法による広範囲攻撃みたいなのにはマジでめっぽう弱いのだが。
──── お前みたいなのだぞ
「うわぁぁぁぁっ! クソっ、タイマンならお前なn」
今まで俺が時間稼ぎしていた相手をワンパンしたヒナゲシ氏は近距離も遠距離もこなせる化け物である。
……本当に彼が味方で良かった。 おかげで本来勝てるはずのない強敵が相手でも遅延さえすれば特殊勝利できる。
『プレイヤーが残り10人以下になりましたことをお伝えします』
おっと、ここで全体アナウンス。マジで残り10人まで生き残っちまったか。まぁヒナゲシ氏と一緒に40人くらい狩ってた筈だし仕方ない。
そう思って再度生き残り人数を見てみると、『残りプレイヤー』は"4人"と表示されていた。
「んー?? これってもしかして」
「うん、ボクとレタネアさんとポピーくん。それともう一人しか生き残ってないってことだね。あと多分残りのもう一人は何らかの範囲攻撃で最低6人以上を纏めて消し飛ばしたんだろう」
6人以上を纏めて消し飛ばす、そんなことは剣士や槍使いにはできやしない。ということは……。
「あと一人のプレイヤーは恐らく魔法使いジョブ。そして、ここまで生き残ってるってことは……」
「うん、ボクと同じタイプのビルドの可能性はある」
魔法全振りのヤツがここで仲間を裏切って全員キルした可能性ってのもあるけどね。なんてヒナゲシ氏は一応補足をした。
まぁ、最後の"プレイヤー"はその予想とはかなり違ったビルドだったのだが。
「あれ、どう見ても"二人"いますよね」
「うん。間違いなく"二人"いる」
遠目に見えるのは赤髪と白髪の二人。あちらも此方に気付いているようで睨み合いの状況になっている。
……不審に思い再度生き残り人数を確認するが残り"四人"のままである。
実に不気味である。バグか何かか? そう思ってしまうが自分の中では何かが「大切なことを見落としている」と主張している。なんだ、どうして二人いる? ……そういや
「なんかあの二人見覚えがあるような……。あっ」
──── 確かこの前見せてもらったブレイブのイラストに描かれた二人は赤髪と白髪の美少女キャラ。そしてあの二人も……!
脳内で色々なピースが噛み合っていく。一つ、どう考えても辻褄が合わないものもあったが相手の特異性を考えるのならソレもワンチャン無視できるのだろう。
「ヒナゲシ氏、アイツら話題のテイマーとユニーク精霊だ。そんでもって多分赤髪の方がテイマーだ」
「うん、そっか。レタネアくん、じゃあちょっとその精霊の方何とかしてくれない? ボクは本体狙うからさっきまでと同じように足止めを頼むよ」
「えっ、ちょっ」
そう言うなりヒナゲシ氏は件のテイマーに爆発系統のの魔法を放ち、凄い速度でテイマーの近くまでカッ飛んで行った。
──── 俺とポピーくんを両手に持った状態で。
「はぁ、はぁ、死ぬかと思った……」
せめて一言だけでいいから飛ぶって言ってほしかった。ポピーくんとか暫く使い物にならないにならないだろコレ。いや、元から使い物にはなってなかったが。
「うん、
そう言ったヒナゲシ氏の方を見ると、彼はテイマー氏と鍔迫り合いをしていた。
いや、なんであの速度で突っ込んできたヒナゲシ氏にテイマーの方も対応できてんだよ。違うか、アイツも人間やめたプレイングスキルしてるタイプか。
ユニーク精霊の方はまだ少し現状把握が追いついてないみたいだな。
「だ、大丈夫なの、ベル?」
「問題ないよステラ、ただちょっと手を貸してほしい……。この人絶対強い」
ふーむ、なるほど。テイマーの方がベルという人で、ユニーク精霊の方がステラという名前なのか。しかし近くで見るとマジでブレイブの絵って上手かったんだな……ってなるな。アイツ絵で飯食えるんじゃねぇか?
……よし、色々と考える時間は終わりだ。目の前のタスクをこなそう。一応、今の俺はヒナゲシ氏に言われた役割である『ユニーク精霊、ステラの足止め』という仕事をしなければならない。
「よーし、待っててベル、今助けるから!」
「させねぇよ」
ベル氏を助けようと近付く素振りを見せたステラ、それに俺は槍を突きつけて牽制をした。
────くぅ〜!キマった〜〜〜!!!! 今のマジでカッコよく決まったと思う!!
「何よアンタ、ウザったい。私はベルを助けたいのだけどサッサとどいてくれないかしら」
「へぇ、AIでもイラついたりするんだな。驚いたよ」
「貴女、ぶっ殺してもいい? というかぶっ殺す」
そう言うなりステラは刀を取りだしコチラに向けて一閃、ついでに魔法で俺の前以外に弾幕を作って逃げ場も塞ぎ距離を詰めに……。
待て待て待て、よく考えたらステラさん積んでるAIが高度すぎやしないか? このゲームのNPCこんな流暢に会話できないし、能動的に人間に敵意を向けるとかできないはずなんだが?
というかビルドが魔法剣士でヒナゲシ氏と似通っているんだが? 対応ミスったらワンチャン即死しかねんぞこれ!
鳴り響く金属音。散る桃色の毛束、間一髪、勘でガードした首元には刃がもう少しで届こうとしていた。
「あっぶねぇ! ツインテ切られた!」
「ちぇっ、一撃じゃ仕留められなかったか。残念」
──── 魔法剣士、それはヒナゲシ氏が考案した"理論上"単体で最強となれるビルドである。
対単体、広範囲殲滅、回復にガード、なんでもできる万能性がウリなのがこのビルドの特徴だ。
ただし、そんな一見なんでもできるように見える(実際なんでもできる)には幾つかの致命的な弱点とでも呼べるものが存在している。
まず一つ目の弱点にして最大の弱点はステータスの割り振りだ。
この魔法剣士ビルドは全ての動きを魔法を使って行う都合上そのステータスは必ず"魔力極振り"となる。
そのせいで『HPもDEFも低いのですぐ死ぬ』『MP切れたらただのゴミ』『魔術だよりなせいで動きが直線的』『素の攻撃力が無いから近接だとクリティカル頼り』『そのせいで初撃を外したりガードされるとかなりキツイ』『魔術の発生がちょっと遅いから先読みとか空間把握能力が必須』『マトモに戦うなら攻撃全回避が前提になる』『近接やるにしても速さが足りん』『普通に遠距離から魔法ブッパした方が強い』等々、様々な問題が発生する。
まぁ要するに"理論値"だけで見るなら最強なのだが、それをやるためには魔術という少しラグがあるものを使いながら様々な状況に常に最適解を出し続けねばならないということである。
……こんなの使えるのヒナゲシ氏か金髪幼女だけだろう。常人にはこんなの使えん。
そう、"常人"なら、だ。
煙幕代わりの爆発魔法、急加速して接近してきて首元狙い、それに対する俺のカウンターは命中こそすれどステラは意に介さずに急加速して退避、そうして放たれた火球の弾幕。本命だったであろう雷の一撃は火球の方にダメ覚悟で突っ込んで回避。
それがAIなら話はどうなのだろうか。少なくとも俺の前にいる
ヒナゲシ氏程洗練されてはいない動き、されどAIの処理能力と恐らくプレイヤーよりも高いステータスにより暴力的な強さが実現されている。まぁヒナゲシ氏の方が万倍強いから何とかなっているが。伸びしろに期待ってやつかな?
ただ、それでも槍チクしながら回復してダメージレースに勝つっていうスタンスの俺のビルドじゃなきゃ多分普通に押し切られていただろう。ヒナゲシ氏戦を見据えてか俺相手に高火力な技を使わないようにしているってのも俺にプラスに働いている。
「あー! 本っ当にウザったい! いつになったら死ぬのよアンタ!!」
「それはこっちのセリフだ! これくらいカウンターすりゃ普通の魔法剣士ビルドのやつはとっくに死ぬか魔力枯渇してんだよ! こんのインチキが! お前がつべで解説動画見てコピペデッキの回し方を理解した気になるガキと同レベの知能じゃなきゃ俺はとっくに死んでるわ!!」
戦闘開始してからかれこれ十合程度の攻防を繰り返した現状。
コピペ雑魚魔法剣士相手に鍛えた戦法でどうにか耐えて何発か攻撃を当てることもできているのだが、相手は一向に回復魔法を使う気配が無い。
一応俺の攻撃力×当てた攻撃回数ならレベルマの魔法剣士ビルドが3回くらい死ぬ計算になるんだが……。
これがユニーク精霊ってやつか。どうなってんだマジで。
「ちょっとよくわかんなかったけど今アンタ私の事結構侮辱したでしょ! ……もういい、アッチの強い方を倒す用に残してた私の切り札を見せてあげる!」
そう言って空へと飛んでいくステラ。
完全に浮遊する魔法はまだ実装されてないからアレは彼女がユニーク精霊だから使える技能だろう。
『
空に描かれたのは色彩鮮やかな天球儀、その中のおおぐま座の一部、北斗七星と呼ばれる星の集まりが光り出した。
しかし本当に悔しい。俺の手札は槍と回復魔法だけだから槍投げる以外マジで何にもできないんだよな。俺はノーコンだし槍投げたら普通に詠唱やめて殺しに来そうだからどうしようもならんし。
『
本当に何か、ギャフンと言わせられるような物がないかアイテムボックスの中を漁る。……おや?
「マジであったな」
そういや作ったはいいものの結局使わなかったんだった。
アイテム欄にあったそのアイテムを見て、半ば止まっていた思考を再度回し始める。
今すぐ放つのはダメだ。詠唱を使う魔法は別に動きを制限するわけじゃない。相手が飛行能力を持っている以上この切り札は普通に避けられそうだ。
ならばどうすればいいのか。簡単だ、相手が魔法を打つのと同タイミングでこちらも切り札を使えばいい。
……簡単か?????
『
知らない詠唱を
『
気付けばステラの手には大きな、それこそ彼女の身体程もある鎌が握られていた。
「さて、冥土の土産に教えてあげる! この
「……へぇ、つまり俺はそれに斬られれば確実に死ぬ、と」
相手がAIのクセに馬鹿で助かった〜!!! これマジで切り札を使えるんじゃないか?
「そうよ。よくわかってるじゃない。でも少し違うわ。これは『貴女に向けて振った瞬間に貴女が斬られたことになる』って因果を発生させるの」
「なんだそのインチキ魔法」
なんだそのインチキ魔法っ!!! ソロゲーで使うべき魔法だろそんなの。ただ、そのインチキ魔法のおかげで相手はひどく慢心してくれているようだ。「辞世の句を詠んでもいい」なんてことも言ってる。なんだそのムーブ。何を見て学習したんだか。
「焦らさないでさっさと殺れ。お前もさっさとご主人様に加勢しに行きたいんだろ?」
ステラを冷静にして「コイツにここまでの火力をぶつける必要があるのか? まず普通に魔法連打してれば勝てるのでは?」と気付かせてはならない。だから俺は諦めたフリをする。
ステラにこのまま行けば気持ちよく勝てると思いこませる。
「それもそうね。それじゃ、サヨナラ」
ステラが俺に向かって鎌を振り下ろす。 そのタイミングで ────
「お前もなーーっ!!! たーまやーッ!!!!」
俺は以前のイベントで作って結局使わなかった
次の瞬間、まず俺のHPが0になった。 身体が少しずつ光の粒子に分解されていき……。
少し遅れて空に
してやったりってやつだ。
1話を読み始めてから最新話まで読んでくださるのは単純計算で40人に1人らしいです。本当にありがとうございます。
評価はどうでもいい(普通に欲しい)のですが、感想は死ぬほど欲しい(死ぬほど欲しい)です。
感想ください(強欲)
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
番外編2:Raising Online: Mugen ~『地雷職(テイマー)+DPSガン無視防御全振り』でゲームを開始してしまいましたが『ユニーク精霊』を運良くテイムしたのでなんだかんだ楽しいです~
ディアベルは三人の内の一人をステラに任せてもう二人と戦うことを決意する!
ところが、その二人のうちの一人はクソザコナメクジで一瞬で倒せてしまった。それに困惑するディアベルの首元に"最強"の刃が迫る────!
第n話:最強との距離
「うん、いいね。本当に良い。キミ、
「実家の古武術をちょっとだけ、ですけどねっ!」
今戦っているプレイヤー、ヒナゲシさんはこのゲーム最強のプレイヤーと呼ばれている。
ステラがパクっ……参考にした魔法剣士という戦い方を考えたのはこの人だし、それを本当に使いこなせているのもこの人だけだと言われている。
正直僕としてはステラも魔法剣士の動きを完全にできてるんじゃないか?なんて思っていたのだけど、どうやらそれは間違っていたようだ。
「じゃあ、ちょっとレベルを上げていこう」
ヒナゲシさんがそう言うなり彼の姿が突然消えて、
「……っ!」
僕の体に新しいダメージエフェクトが二つ追加された。
急所を守る体勢をしていなかったら多分普通にクリティカルを二箇所やられていた……!
仮想現実の中で出る筈のない冷や汗が背中を伝ったように錯覚する。
「うん、見た感じSTRやDEF、AGIには全くステを振っていない、と。魔力ならもう魔法を使ってるはずだし……。消去法的にキミのビルドはHP極振りかな」
「……正解です」
「合ってたかぁ。じゃあその上に考察を重ねよう。 多分なんだけどさ、キミはキミのユニーク精霊……、ステラちゃんだっけか。あの子とHPを共有してるよね?」
「っ!?」
──── なんで分かったんだ!?
驚きからか少し構えに力が入ってしまう。
「その表情を見るに多分正解みたいだね。……なんでバレたのか分かんないって感じかな? うん、教えてあげるよ」
この間に攻撃するなんて野暮な事はしないでね、なんてことを言いながらヒナゲシさんは解説を始める。
あの桃髪の槍使いのプレイヤーをステラが倒して2vs1の構図になればこっちが有利になるってことは彼も分かってる筈ではあるのにどうしてこんなことをするのだろう。ありがたくはあるのだけど。
「まずボクがそれに気付いた最大の要因はステラちゃんのHPが高すぎるってことだね」
「まさか僕と戦ってる間ずっとあっちの戦いも見てたんですか……?」
「うん、勿論。魔法剣士に大事なのは『空間把握能力』だからね。というかまず彼女のビルドの大元を作ったのはボクだからね。彼女がどれくらいの技量でレタネアくんと戦った場合どうなるかとかくらい見なくても分かるよ? ま、要するに彼女が普通のプレイヤーならレタネアくんにとっくにキルされてるはずなんだ」
「成程……、あの槍使いの人も相当な腕をしてたってことですか……」
「いや、レタネアくんは合理的なステ振りをしているけど別に対人は上手くないよ。うん、単純にステラちゃんが彼女自身のスペックに頼りすぎなだけ。魔力のステータスとかも多分彼女のはボクよりも高いっぽいのに勿体ない」
「…………」
ステラ……、お前……。
まだ戦っている彼女の方を見ると、ステラは攻撃が届かない空中から桃髪の槍使いの人に向けて『必殺技』を放とうとしていた。
それを見て古い対戦ゲームのオンラインで度々現れたというチーター、もしくは負けそうになったからゲームの電源を切ってノーコンテストにする子供を幻視したのは多分僕だけではなかっただろう。
「ま、とにかくそれでボクはステラちゃんが普通のプレイヤーの極振り以上のステータスをしながらも何らかの下駄を履いてるって事までは分かったわけだ。別に『ユニーク精霊ってやつだからそういうもんなんだ』で納得しても良かったんだけど、それだと明るみになったら運営大炎上どころの騒ぎじゃないからね。多分なんらかのデメリットがあるんだろうなって思ったわけでね」
「キミのステータス割り振りが最終的な決め手だったね。ステラちゃんが今いるのは多分、同じHPゲージを共有してれば一人扱いになるからこのイベントに二人で参加できる、みたいな感じなのかな」
「…………」
「沈黙ってことは肯定ってことだね。レタネアくんもそろそろ死んじゃうだろうし……。うん、折角だしキミたちを相手にしての総評みたいなのも言っておこうか。まずキミ、多分
プレイヤー1人に使うには過剰火力とも言えるステラの
「それでステラちゃんに関してだけど、キミは彼女という存在を活かす上手いビルドをしたと思うよ。うん、HP共有という致命的なデメリットがあることで許されてるステータスしてるNPCを高HPで使えるってのもテイマーという職業を基準として評価するならとても良い」
「……ありがとうございます」
ヒナゲシさんは実に上機嫌なように見える。口もよく回っているようだ。
「でもさ、ディアベルくんのビルドって面で見ると────、」
鎌を振るおうとするステラを見て「そろそろあの必殺技みたいなの終わるかな?」なんて呟きながらヒナゲシさんが二の句を継ごうとしたその時、空に大輪の
「ふふふふふふふ、はっははははっ!」
何が起こったのか分からず呆然とする僕とステラ、消えていく桃髪の槍使いのプレイヤー。そして腹を抱えて爆笑するヒナゲシさん。
「いいよ。うん、最高だ、レタネアくん。本当に最高だ!! うん、折角だしここからは戦いながら解説しよっか」
一頻り笑ったヒナゲシさんはそのまま刀を抜いて、此方にその切先を向けて笑顔でそう言った。
その瞬間、ヒナゲシさんの纏う空気が変わった。
──── 本気で来る!
彼はまるで挑発でもするかのように、こちらにゆっくりと歩いてくる。
「ステラ! 回復したら二人で行くよ! 空中から援護して!」
「わかった!
一足踏み込めば僕の
──── その時の僕は一つ致命的な勘違いをしていることに気付いていなかった。
その動きは実に無駄が無く、そして最善の一手だった。
「えっ……」
「ステラッ!!」
響く衝撃音、更に減るHP、空を飛んでいた筈のステラが地面に叩きつけられ、彼女がいた
「うん、空って実は安置じゃないんだよね」
まさか魔法剣士の基本の動きである直線の高速移動で空を飛んだ?
「あくまで理論値でできるって動きだった筈じゃ……」
「理論値でできるならできるまで練習すればできるからね。それじゃ話の続きといこう」
ゆっくりと地面に降り立ったヒナゲシさん。優しい口調とは裏腹に刀を構える姿はただただ恐ろしい
「まだっ、
「タイミングが悪い。
再度回復を試みたステラの動きをヒナゲシさんは刀で攻撃することで止めて、魔術で彼女を吹き飛ばし、そしてそのままヒナゲシさんは彼女に追撃を仕掛ける。
彼女とヒナゲシさんが僕からどんどん遠ざかっていく。
このままじゃ負ける、とステラは判断したのか彼女も直線高速移動でその場を離脱して僕の方に移動しようとしたのだが、それも予備動作の段階であっさりと止められた。
HPがどんどん減っていく。
なんとかステラの方に行こうとするも
「うん、さっきの言葉の続きを言おうか」
離れたところからヒナゲシさんが声を張り上げて説明を再開する。
「ボクが思うに……、うん、多分ディアベルくんにステラちゃんは必要ないんだよね。君一人が普通のステ振りをした方が絶対に強いと思う。ステラちゃんはステータスとか必殺技こそ強いけどディアベルくんにとっては外付けの弱点みたいなものだろうし」
────っ!
「ボクがわざわざ説明をして遅延をしたのもキミを相手にするよりもステラちゃんをキミから引き剥がして倒した方が安全だって判断したからだし」
「そんなことない、私はベルの……!」
激昂するステラ、頭に血が上ったのか真っ向から彼女はヒナゲシさんに斬りかかった。
「はい、
その一撃も簡単に避けられ、再度ステラは吹き飛ばされる。
「魔法剣士やるならもっと広い視点で色々見なきゃ。ボクが話してる間とかも動けただろうになんで即動こうとしないのさ。練度が足りてない。スペックに頼りすぎ。ディアベルくんのリソースを使ってる以上最低限の働きはしようよ」
……言葉こそ強いがヒナゲシさんに怒っている素振りはない。にこやかに、心から惜しみながら彼はアドバイスを続けている。
「というかステラちゃん、まずなんでキミ魔法剣士やってるのさ。前衛としてなら今のステ振りでもディアベルくんの方が強いのに。HP共有してるならディアベルくんにリソース割り振って、キミは前衛に出ずに後ろから魔法打ってた方が合理的だと思うんだけどなぁ……」
僕とステラの距離はおおよそ数十メートル程度。なのに、それが絶対に届かない距離に感じてくる。
「うん、ビルドは個人の自由だからいいんだけど勿体ないなぁ……って。思っちゃうんだよね。ステラちゃんが最低でもボクくらい魔法剣士を極めてくれたらまた話は変わってくるんだけど」
話を続けながらもヒナゲシさんは攻撃の手を緩めない。
もうHPは数ドット程度、あと一撃攻撃を受ければそれだけでおそらく僕とステラは死ぬ。
「うん、まぁ言いたいことはだいたい言えたかな。レタネアくんのアレが無かったら勝負は分かんなかったって言われるのも癪だし回復の時間くらいはあげるけど……、まだやる? それとも諦める?」
その言葉は僕ではなくステラに向けられたものだった。
「ここまでコケにされて引き下がれるわけないでしょ!
僕とステラのHPが殆ど回復する。 勝負は実質的な仕切り直しの状態へ。ただ、その後の結果 ──地面に転がり続けるステラと減っていくHP──── を僕は見ていることしかできなかった。
「あー、よく考えたら弱い方だけを狙い続けるって卑怯って言われるようなムーブだね。うん、でもこれバトルロワイヤルのイベントだしその方が合理的だし仕方ないよね」
ヒナゲシさんの最後の一撃はそんな気の抜けた言葉と共に放たれた一閃だった。
なんの言い訳もつかない、完全なる敗北だった。
追記:この作品にコメディタグを付けてたことを投稿一時間後に思い出しました。
一応次話からは元のノリに戻ります。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
魔法剣士総合スレ 15
1:名無しのプレイヤー
取り急ぎ。ヒナゲシ氏一位めでたい
2:名無しのプレイヤー
前スレ
https://abc.mugenkeijiban.com/board/2435/
3:名無しのプレイヤー
>>1たて乙
4:名無しのプレイヤー
魔法剣士に関するヒナゲシ氏のビルド論まとめ
https://matomet.el/────
初心者向け魔法剣士のステータス構成
https://wakariyasu.ikamo/────
魔法剣士で採用すべき魔法、検討すべき魔法一覧
https://gamupedia/────
魔法剣士スレテンプレ
https://tenpura.ebi/────
5:名無しのプレイヤー
たておつ
6:名無しのプレイヤー
なんでこんなバカみたいなビルドのスレが15まで続いてるんですかね…?(困惑)
7:名無しのプレイヤー
たておつ。ヒナゲシ氏バトロワイベで優勝したのめでたいね
8:名無しのプレイヤー
>>6 現状理論値最強で俺らがゲーマーだから
9:名無しのプレイヤー
ヒナゲシさん見てると俺らってこのビルドを使いこなせてないんだなってなるよな
装備からスキルまで全部開示してくれてるのに
10:名無しのプレイヤー
知将ワイ 今回のバトロワイベで魔法剣士がキツイことに気付いて純魔への移行を決意
装備と魔法スロットいじるだけで何とかなるから楽やね
11:名無しのプレイヤー
>>10かしこい。
12:名無しのプレイヤー
バトロワ関連の噂だが例のユニーク精霊も魔法剣士ってマ?
13:名無しのプレイヤー
>>10おうまた明日な
14:名無しのプレイヤー
聞いたことないんだがソースは?
15:名無しのプレイヤー
>>10 頑張れよ〜
16:名無しのプレイヤー
無いから本当か知りたいんだが?
17:名無しのプレイヤー
>>16
俺見たけどマジだよ
別に上手くはなかったんだが出力とHPがおかしかった
18:名無しのプレイヤー
マジでNPCが魔法剣士やってたの!? でもAIでも魔法剣士上手く使えんのか……ヒナゲシさんってなんなんだろうね
19:名無しのプレイヤー
HPがおかしいってどういうことだ?
20:名無しのプレイヤー
まず魔法剣士が運営の想定外じゃ無かったことにびっくりしてるよ俺。
NPCが使うってことは運営もそういう魔法の使用法を考えてたってことだもんな、そのNPCすら使いこなせてないのはどうかと思うが
21:名無しのプレイヤー
(この投稿は削除されました)
22:名無しのプレイヤー
>>21 (この投稿は削除されました)
23:名無しのプレイヤー
>>21 (この投稿は削除されました)
24:名無しのプレイヤー
>>21 (この投稿は削除されました)
25:名無しのプレイヤー
>>22 >>23 (この投稿は削除されました)
26:名無しのプレイヤー
(この投稿は削除されました)
27:名無しのプレイヤー
一応レスバは消しとくぞ。ここは魔法剣士スレだからユニーク精霊の取得云々については他所でやってくれ
28:名無しのプレイヤー
スレ管理たすかる
29:名無しのプレイヤー
>>25 (この投稿は削除されました)
30:名無しのプレイヤー
まぁヒナゲシ氏なら多分そのユニーク精霊がどんな感じかわかるよな
教えて〜ヒナゲシ氏〜!!
31:名無しのプレイヤー
そういや魔術師の懐刀と首斬り巴って現状だとどっちが主流なんだ
32:名無しのプレイヤー
>>31俺は魔術師の懐刀使ってる。首以外でもダメージ通るからゴリ押しできるし。首斬り巴は首ガードされただけで近接封じられるから個人的にはあまり好きじゃない
33:ヒナゲシ
>>30 はーーーい!
箇条書きにしてどんな感じだったかだけプライバシーに配慮して書くね
・テイマー(HP極振り)とHPを共有してたのでHPが高かった
・魔力はボクより多かった。その他ステもだいたい並の前衛職くらい
・必殺技?らしき即死攻撃を持ってる
・技量に関しては発展途上。スペックに頼りすぎだった
・テイマー本人の方が強かった(単純に本人のPSが高かった)
・もし対峙したらテイマーから距離をとってユニーク精霊ちゃんをひたすら狙えば勝てる
個人的にはテイマー本人が魔法剣士やってくれればボクくらいの強さになりそうだったのが残念だったな
HP共有のせいで絶対やってくれなさそうで悲しい
>>31
個人的には魔術師の懐刀派だね。でも慣れないうちは少しだけSTRに振って小ダメを狙いながら首斬り巴を使うってのも全然アリだと思うかな。首斬り巴は首のクリティカル判定を広くしてくれるのが偉いんだよね
34:名無しのプレイヤー
ありがとうヒナゲシ氏!
35:名無しのプレイヤー
HP共有? なにそれ
あと必殺技て
36:名無しのプレイヤー
>>33
もしかしてヒナゲシ氏ユニーク精霊をひたすらボコってそのテイマー倒した?
37:名無しのプレイヤー
ずっとこのスレ見張ってんのかる こわ
38:ヒナゲシ
>>35
文字通り共有してた。精霊の方殺したら一切攻撃してないテイマーも死んだから間違いない
必殺技の方はよくわかんなかった。ただ知り合いのプレイヤーが即死デバフキメられてたよ。一応詠唱に時間かかるっぽいから気にしすぎないでも良さそう
>>36
だって勝ちたかったから……
39:名無しのプレイヤー
人の心とか無いんか?
40:名無しのプレイヤー
魔法剣士で最善択を選び続けるプレイングをしすぎた男の末路がこれか……
41:名無しのプレイヤー
お前らヒナゲシさんをなんだと思ってるんだよ
42:名無しのプレイヤー
>>41化け物
43:名無しのプレイヤー
多分人間じゃない
目次 感想へのリンク しおりを挟む