【習作】カンピオーネ!×デビルサバイバー (pluet)
しおりを挟む
第1話
パワーバランス等の調整のため、所々改変が行われています。
舞台は草薙護堂がイタリアでペルセウスとであった頃の東京。
主人公(ネコミミ)の名前はコミカライズされたものを使用します。
―――渋谷
大型商業施設 SHIBUYA 901 の前にヘッドフォンを着けた少年が立っている。
彼の従兄である
らしいというのは、カズヤの親友であり、ナオヤの一番弟子(自称)の
まあ、確かに怖いくらいに頭がキレるので本当のことなのだろうとカズヤは思っている。
そのナオヤが珍しく自分やアツロウを呼び出したということは、きっと何か重要な用件があるんだろう。
さて、面倒ごとじゃなければいいけど、と口に出さずに考えていると後ろから声をかけられた。
「おーっす。今日もあっついなー」
「アツロウが冷房の効いた部屋に引きこもってるから余計堪えるんだろ」
「なにおう」
件のアツロウであった。
肩から提げるカバンにはノートパソコンが入っている。基本的にどこにでも持ち歩いているが、今日はナオヤにプログラミングで躓いたところについて意見を聞きたいらしい。
わざわざ会って意見を聞く辺り、どれだけ彼がナオヤに慕ってるかが分かる。
「そういや、この辺はあんま先月の局地的嵐の影響はないみたいだな」
「あぁ、集団昏倒が起きた時のか」
先月、東京はゲリラ豪雨も斯くやという嵐に見舞われていた。雷は鳴り響き、風雨は建物に叩きつけ倒壊した建物もあった。かなり局地的なものだったらしく、港区、それも特に東京タワーの被害は甚大だった。雷が幾重も直撃した所為で炎上してしまい、今も復旧作業が行われている。
建物の被害も甚大であったが、そのタワー周辺の人々も突然意識を失い昏倒するという奇妙な事件も起こっていた。専門家等は電波塔である東京タワーとそこに直撃した雷が合わさり何らかの影響をもたらしたとしている。
「あん時はマジで焦ったぜ。雷と停電の所為でメインPCはいかれるし……」
「……そっちか」
相変わらずのパソコン中毒っぷりに呆れるカズヤだが、彼はあの日不思議な体験をしていた。
自分と同じ年頃の少女が空を飛び、老人が高笑いをしながら宙を浮く姿。そして獣の巨大の咆哮を耳にした。
夢か。そう思い、ベッドに身体を投げ出して眠りについた。
夢の内容もそうだが、夢の中で夢を見るという奇妙なものだった。
そんな事を目の前の親友や幼馴染に言おうものなら、笑われるだけだろう。
そして、カズヤは黒歴史としてその出来事を記憶の奥底へ封印した。
そんな事をおくびにも出さず、互いの夏休みの近況を話しているとアツロウの携帯に着信があった。
「ナオヤから?」
「いんや。ソデコからだよ、ソデコ。今日お前に会うってソデコに電話したら、ほいほいと釣れ――」
「ソデコって言うな! あと、余計なことも言うんじゃない!」
「おわっ!?」
いつの間にか、すぐ近くまで来ていたらしいカズヤの幼馴染である少女がアツロウに向かって吠えた。
「だいたい、その呼び方やめてっていつも言ってるでしょ!? “袖子”じゃなくて“柚子”!!」
「いや、字面似てるだろ?」
「うっさい! アツロウの所為でクラス中で正式採用されちゃったじゃない!」
なはは、とあっけらかんと笑うアツロウと食って掛かるソデコ、もといユズ。
彼女、
そんな彼女はチューブトップにノースリーブの上着と、夏らしく薄着だが彼女らしい活発さがよく現れている格好だ。
「この前なんか先生にも間違われたんだからね!」などと、今だ腹の虫が治まらない様子の彼女にカズヤは頭に手を置き落ち着かせる。
真っ赤になって俯いてしまうユズをニヤニヤと見ていたアツロウだが、再び矛先が自分に向かう前に話を換えた。
「にしても、ナオヤさんおっそいよなー」
「あっ、ごめん! 忘れてた。なんだか、ナオヤさん急用が入ったとかで来れないんだって」
「うえ!? なんだよー、こっちに連絡くれればいいのに!」
暑い中待ってて損した! と、
そんな二人に苦笑しつつ、伝言と一緒にユズはナオヤに渡されたと言う預かり物を取り出した。
果たしてそれはCOMP――コミュニケーション・プレイヤーと呼ばれるそのゲーム機だった。カズヤとアツロウは既に自前のCOMPを持っている事を知っているだろうに、どうしてだろうか。
「ナオヤさんがね?“君達に必要なものだ、手放すな”って」
「ふぅん」
カズヤはユズからCOMPを受け取り、確認してみる。
外装には特におかしな点はない。一般に販売されてるものと変わらないように見える。
「おっ、見てみろよ。これ、トップメニュー見たことない奴だぜ。オリジナルか?」
「そうなの?」
「あぁ、ナオヤさんならこれぐらい朝飯前だろうしな……って、フォルダが開かない。プロテクトかかってる」
「え、じゃあ使えないの?」
アツロウの言う通り、確かにメニューのフォルダーを選択してみても開かない。
覗き込んでいたユズが残念そうに言うが、使えないようなものをナオヤが意味もなく渡すはずもない。となれば――
「いや、アツロウなら大丈夫だろ」
「おう、任せとけ! やっぱノートPC持って来てて正解だったな」
そう言って
「ちょっ!? 路上で何始めてんのよ!?」
「ハッキングでプロテクトを外すつもりだろ」
「ええ!? そんなことしたらナオヤさんに怒られちゃうわよ!」
「はは、あの人が俺を呼び出してんだからこれを解いてみろってことだろ。ま、師弟間の挨拶ってわけさ」
「……全然わかんない」
心底呆れたと言った風のユズ。
ま、あの底意地悪い従兄とのことだ。どうせ、こうなることも分かっているんだろう。
ご機嫌にキーを叩いたアツロウの手も止まり、COMPを渡してくる。どうやら、プロテクトは外れたらしい。
さすがに仕事が速い。この場合は手癖が悪いともいえるが。
「ま、とりあえずメールだけ見れるようにしといた。へ、どーだ、ソデコ。恐れ入ったか!」
「えー……」
じゃれあう二人を他所にメールを確認してみる。
一件の新着メール。
「ほれ、こっちはソデコのな。えっと、どれどれ……」
「ラプラス、メール……?」
開く。
◆ ――― ◆
FROM : 時の管理者
SUBJECT : ラプラスメール
おはようございます。
本日のニュースをお伝えしマす。
①16時頃 渋谷区青山 アパートにて男性が【死亡】 肉食獣に食い荒らされたような傷
②19時頃 港区青山 青山霊園にて大きな【爆発】 原因は不明
③21時頃 東京全域にて大規模な【停電】
みなさま良い一日ヲ。
◆ ――― ◆
これが全ての始まりだった。
Peaceful days died.
And, the boy becomes Gods killer.
Let's Survive._
読了感謝です。
ふと、思い浮かんだ組み合わせで一つ書いてみました。
割と相性が良さそうなこの作品。
まあ、序盤過ぎてほとんどカンピオーネ要素が出てませんが。
続きは多分作者がデビサバOCを手に入れて、カンピオーネの5巻以降を読み終わってから。
目次 感想へのリンク しおりを挟む