乙骨優太×HUNTER×HUNTER (カウカウント)
しおりを挟む

一話

初めてです。よろしお願いします


 

1992年4月

 

 4月と言えば新たな生活が始まる月である、虫や動物は春の暖かい陽気に誘われ動き出し、人間社会では入学式や入社式などの新生活がスタートする。

 

(はやく・・・離れなきゃ・・・父さん、母さん、ユイリ・・・みんなから、はやく離れないと・・・もうリカちゃんを止められない)

 

 この少年は12歳でありながら、明日に備え眠ることもなく。

 

 新しい出会いに期待し胸を膨らます事も無かった。

 

 持ちものなどほとんど持たないで、その身一つで夜の道を走っていく。

 

 今の彼には冷静に考える暇などなく、ただ足を必死に動かし自分の状況に絶望していくだけだった。

 

(なんで、こんなことに...)

 

 少年の頭の中には様々な感情が渦巻き、『何も考えたくない』『見たくない』と顔を下に向け、目を固く閉じ無我夢中で走ることしか出来なかった。

 

  タッ タッ タッ タッ

 

自分だけが世界から切り離されたかの様に自分の足音だけが聞こる。

 

(・・・)

 

 

しかし不意に

 

 ドシッと言う音が聞こえると同時に、少年は自分が人にぶつかってしまった事に気づいた。

 

 少年は固く閉じた目から涙が出ており、仮に顔を前に向けて目を開けていても、涙で視界がボヤけ、この事態を避けることは出来なかっただろう。

 

あ?なんでこんな時間にガキがうろついたんだよ?」  『ゔぅ

 

(オ、オトナの人にぶつかっちゃった...あっ)

 

 少年は自分の不注意でこんな事態が起きた事に後悔すると同時に、最悪の事態が起ころうとしていることに少年は気づいた。

 

 男は最初、ぶつかってこられた事に憤っていたが、相手が子供だと分かると怒りは徐々におさまっていく様子を見せ、逆に、なんでこんな時間に子供が一人でいるんだ?と少年のことを心配する様子すら見せた。 

 

「?」 『ああぁあ

 

 男は暗い所に目が慣れていたおかげか、少年の顔がみるみるうちこわばっていくの確認することが出来、それを可哀想に思ったのか、安心させようと声をかけた。

 

「ボウズ、大丈夫か?ケガはしなーー『つぶー

 

...ごめんなさい!」

 

 男の安心させようとかけた言葉は最後まで言うことが出来ず、少年に伝わることはなかった。

 

 少年はそれだけを言って、男の横を駆け抜け、逃げる様にその場を去った。

 

「何だったんだ?」

 

 男はしばらく呆然とした後、少し少年のことを心配したが徐々に足を進め、自分の帰路にまたついていった。

 

 男は気づくことはないだろう。

 

 少年が少しでも速く男の前から立ち去らなかったら、大人の身長程もある手が男を襲い、決して無事では済まず、一生不自由な身体で生活することになっていただろう。

 

 

 

 

 しかし偶然にもその光景を見ていた男が一人。

 

 「面白い・・・」

 

 黒い髪を持ち、その髪をセンター分けしており、エメラルドの様な宝石のついたイヤリングをつけ、黒いスーツを着こなしている男がいた。 

 

 顔は非常に整っているが、どこか冷たさを宿した顔をしている。

 

 しかし今はその顔が驚きや期待、好奇心を含んでおり、少し口角が上がってしまっていた。

 

 彼の名前はクロロ=ルシルフル19歳。

 

ピッ 

 

「もしもし、オレだ」

 

『団長?』

 

「あぁ、待ち合わせに遅れるから電話した。シャル、集合場所をAからB地点に変更してくれ、少し用事が出来た」

 

『OK、何か理由があるだね、団長?今から向かって受付を済ましておくよ』

 

 電話に出た男はもう慣れたと言うようにスムーズに受けごたえを住ませる。それが彼らの付き合いの長さを伺わせた。

 

「あぁ、頼んだ」 プッ

 

 クロロは電話をしまい、少年を追っていた足を少し速めた。

 

 少年が向かった先は所々壊れた廃ビルの様な建物で、クロロが入口から入ってからすぐに少年を見つけることが出来た。

 

 少年は家具や物が一切撤去された寂しい一階フロアのスミの方に身動きすることもなくうずくまっており、身につけている指輪だけが、薄暗い部屋の中で赤々と小さく光っていた。

 

「君、大丈夫かい?」

 

 クロロは優しさがこもった様に声をかけながら彼に近づく。しかし実際は相手の情報を少しでも多く得ようと目にオーラを集中させていた。

 

こないで...こないでよ!!

 

 クロロは一度、足を止め、再び歩き出した。

 

 カツ カツ カツ

 

 その行動が気に入らなかったのだろう。

 

 彼女が、動き出した。

 

きちゃダメだ

 

 カツ カツ カツ

 

来ちゃダメだ、()()ちゃん!!

 

ゆゔだをををを・・・いじめるな

 

 クロロの目の前には、強大で狂暴なる()の形。

 

 ()()が、姿を現した。

 

 


3年前、1992年

 

「ユウタ、誕生日おめでとう!」

 

 その日、その瞬間は、間違いなくユウタ=オッコツにとって最良の時間であり、ユウタの宝物だった。

 

 リカにとってユウタと一緒に過ごすことは何物にも代えがたいもので、ユウタにとってもリカと一緒にいることが大切で当たり前だった。

 

 ユウタは理由もなくぼんやりと、今も、これからも、ずっと一緒にいるんだろうと思っていたし、小学生くらいの年頃のまったく形になっていない将来を、無意識に思い描いていた。

 

 けれど、男子に対して、だいたい早熟するのは女子であるリカであり、色々と先を見越して、将来への布石となるユウタへの誕生日プレゼントを渡した。

 

 それは、大人が片手でつまめそうなぐらい小さい箱。

 

 「ユウタ、誕生日おめでとう」

 

 公園の砂で砂山を夢中で作っていたユウタは、顔を上げると、その差し出された箱の存在に気づき、声を上げた。

 

「やったあ!!あけていい?」

 

「いいよ」

 

「開けていい!!?」

 

「いいってば」

 

 ユウタが嬉しそうにそれを開けてみると、そこには指輪が収められており、見覚えのある指輪だった。

 

 「これ...」

 

 指輪はには宝石が付いており、まるで生きているかの様な鮮やかさで、指輪の内側には、何か文字が彫られている。

 

 ユウタは一度、リカが祖母からもらった大切な指輪を見せてもらったことがあり、その指輪と渡された物は非常に酷似していた。

 

「婚約指輪」

 

「こんにゃく??」

 

「付けて見て」

 

ユウタが指輪を指に嵌めようとすると宝石以外の指輪のサイズが変わった様に見え、ユウタの指にピッタリとはまってしまった。

 

「すごい!!」

 

 ユウタ驚いて立ち上がろうとしたが、リカちゃんに手を掴まれて立ち上がれず、そのまま座ってしまい、そしてリカがユウタの小指を手で包み込んだ。

 

 ユウタには婚約の意味がよくわからなく、不思議な体験で舞い上がっていたが、リカちゃんの大切な物をもらったと言う気持ちと、リカちゃんの手にユウタの小指が包まれた気持ちで、胸が高鳴り動くことが出来なかった。

 

「約束だよ」

 

 白く幼さがある小さな小指でリカは、ユウタの小指をからめて、結んだ。

 

 ユウタも、知っている古くからある、約束する時のおまじない。

 

 大人から見てもリカは、妖しいほどに美しい少女だった。

 

 そんなリカが、ユウタに伝わってしまうほどの好意を乗せて、微笑みとともにその言葉を可愛らしい唇から紡いだ。

 

「リカとユウタは・・・大人になったら、結婚するの」

 

 ユウタはその言葉を受け入れ、そうなる事を微塵も疑いはしなかった。

 

 今も、これからも、ずっと一緒に過ごし、気持ちを共有して色々な思い出を作っていく、そんなことは考えないまでも、リカちゃんと共にいてずっと幸せでいられると、漠然とそう信じていた。

 

1993年

 

公園で遊んだ後   その直後の出来事が、ユウタには理解出来なかった。

 

 車体が衝撃を受けて、なる鈍い音も、肉が固いアスファルに擦り付けられる音も。

 

 その結果出来てしまった、赤黒いペースト状のナニかも。

 

「え?」

 

 騒がしくなっていく周りの気配も。

 

 そこから聞こえる会話も。

 

「おい!救急車!」

 

「バカ、よく見ろ!助かるワケねーだろ!頭潰れてんだぞ!」

 

先程までと状況が違いすぎて、理解出来ず、悪夢でも見てしまっているんじゃないかと思えた。

 

 そんな、だって、約束したんだ。

 

 結婚するんだ。ずっと一緒にいるんだ。

 

 こんなこと、あるわけない。

 

 リカちゃんが死んだなんてこと。

 

「・・・・」

 

 だって信じられないじゃないか、さっきまで、遊んで、しゃべって、幸せそうに笑ってて。

 

 こんなこと起きるわけがない。

 

 そう思いユウタは呼んでしまった。彼女の名前を呼んでしまった。

 

 リカがいつものように呼び返してくれると感じて。

 

 そして  現実になってしまった。

 

ゆゔぅぅううぅぅゔうう、たぁぁぁぁぁああぁぁああ』

 

「えっ」

 

 リカは、ユウタの呼びかけに応えた。

 

 応えてみせた。

 

ゆゔたぁぁぁあああああぁぁぁぁぁあ

 

 それはユウタが知っているリカではなかった。

 

 リカの血溜まりから、這い出てきた異形の存在。

 

 その異形は腕を伸ばし、しっかりとユウタの足首を掴んだ。

 

大人になぁあだぁらぁ、結、婚、すりゅうぅうぅううう

 

 異形の口元らしき部分が動き、ユウタの名前を呼ぶ。

 

 醜くおぞましさを感じるそれは、どこか甘えを含んだように唇をとがらせる。

 

 こんなもの、リカであるはずがない。そう考えることが出来ればよかったものの。

 

 ユウタは、その仕草に確かなリカの面影を見た。

 

 見てしまった。

 

   一緒だよ

 

 そうどこかで聞こえた気がした。

 


 

いじめるな

 

「待って!!リカちゃん!!」

 

 凶暴さを隠しもしないリカ。

 

 少し距離を取り冷静にどちらも観察するクロロ。

 

 リカを止めることが出来ないユウタ。

 

 

 ユウタの人生を大きく変える()()()が始まろうとしていた。

 

 

 

 




呪術廻戦0かん是非読んでください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二話

非常に短い。


ユウタは焦っていた、リカは今まで少なくはない人数に危害を加えていたが、相手に一生残るような傷をつけた事はなかった。

 しかし家出してしまった理由の一つである、リカの今までにない機嫌の悪さと、ユウタからも対峙してわかる、目の前の男の底知れなさがリカを刺激し、リカに本気の殺意さえ抱かせてしまっていることに気づいていた。

 

 幼馴染が人殺しをしてしまう。止めなければ。

 

 そんな思いとは反して彼はこの状況で何も出来ず、自分の無力感を感じ、大切な指輪の上に手を重ね、相手の無事を神に祈ることしかユウタには出来なかった。

 

「ごめん...ごめん」

 

 ボクは悪い奴だ。

 

 ボクはリカちゃんが人を傷つけたとしても、傷つけられた側より、リカちゃんに気がいってしまう。

 

 最初はリカちゃんが、怖かった。しかし生前のリカちゃんを思わせる仕草が目に付くたびに、ボクはどうしようもなく、今のリカちゃんに愛しさが湧いてしまっていた。

 

 

 ボクはリカちゃんに汚れて欲しくなかった、しかしリカちゃんを鎮める力がボクにはない。

 

 力が欲しい、ユウタはずっとそう思っていた。

 

 

 クロロはリカの巨大な腕から繰り出される攻撃を、一つ一つ丁寧にかわし、冷静にどちらも観察していた。

 

 凶々しいオーラを放つ異形と、同じく凶々しいオーラを放ち、手の一点にオーラを溜めていくその少年の姿を。

 

「まるで言っている事と矛盾しているな...あの子供は念獣使いかそれとも...なるべく安全で無抵抗に出来、かつ効果的なのは...」

 

 そう呟くと彼は片手に本をどこからともなく出現させた。

     

(【盗賊の極意(スキルハンター)】)

  

 本は持ち主の意志に応え、目的のページを開き、能力を発動させた。

 

(【愛の巣(コクーン)】)

 

 クロロの手のひらから卵の様な銀色の発光体が浮かぶ、それはまるで獲物を求めるかの様に浮かんでいき彼の手のひらに入り込むように消えていった。

 

 

 リカは怒っていた。

 

 ユウタに元気がないこと、周りがユウタを慰めることが出来ないこと、自分がユウタを慰めることができないこと、周りがユウタを煩わせること、ユウタを気味悪がること、全てに怒り、当たり散らせるならなんでもよかった。

 

 今もちょこまかと動く人間を潰そうと躍起になっている。

 

 人よりも何倍も大きい手を握り、それを思い切り振り下ろす、それが当たってしまうだけで常人なら抵抗することも出来ず潰されてしまうだろう。しかし男はそれをただ淡々と作業のように全て捌いていた。

 

 『がァァあああ』

 

 リカは攻撃が掠りもしないことに、嫌気がさし、遂には口元にオーラを集中させ、邪魔なものもろとも全て吹き飛ばそうとしていた。

 

 その時。

 

 クロロが矢のようにリカに急接近し、リカはオーラを迎撃の為にやむなく、溜めるのをやめ、咄嗟に近づいてきた相手を殴り潰そうとした。

 

 しかしクロロにとってその攻撃は余りにも大振りであり、そのままリカのしたを潜り抜けるように攻撃をよけ、ユウタのもとへ向かった。

 

 「チェックメイトだ..」

 

 荒れ果てた部屋の中で嫌にその声は響き、クロロはユウタに触れ、その後、ユウタの服の襟腰を掴みリカに投げつけた。

 

「ぐぇ」

 

『ゆうだ』

 

 リカはそう言ってなによりもユウタを優先し、かつ優しくユウタを受け止めた。

 

 そしてクロロの能力が発動する。

 

 

 

 ユウタの視界は光りに包まれ、光りがおさまった頃にはリカの姿はなく、ユウタがつけていた指輪も無くなっていた。

 

「リカちゃん?」

 

 代わりに自分の手のひらの中に小さな銀色の卵のような物が存在していることに、ユウタは気づいた。

 

 

「安心していい、()()は俺の念能力で無力化しただけで無事だ、消えてはいない」

 

「しかし、本当におまえが念獣念能力者じゃないことには、驚かされた」

 

 クロロは、そう言いながら呆然としているユウタに喋りながらゆっくりと近づいて、後三歩先という所で止まった。  

 

「おまえのオーラについて色々聞きたい事があるんだが、それは一旦置いておこう....単刀直入に言う、オレの仲間になれ」

 

「え?」

 意味がわからない。それが今のユウタの純粋な心情であった。

 

 いまだ呆然としているユウタをおいてクロロは話を続ける。

 

「正確には仲間候補なんだが、おまえならなれるとオレは思った」

 

「・・・」

 

「おまえが仲間になるなら、一つ願いをきいてやろう。何がしたい?何が欲しい?何を叶えたい?」

 

「・・・・」

 

「オレは、それの助けをしてやろう...その代わりオレの元に来い」

 これは取引である。ユウタの望みをクロロが叶えてあげることで成立する。

 

「なら...リカちゃんを消してください...そしたらボクは、仲間にだってなんだってなります!なんでもやります!」

 

 クロロは少しも反応することなく、聞いた。

 

「...理由はあるのか?」

 

「リカちゃんはボクの大切な人なんだ、でも死んじゃって。でもボクのせいで生き返ってあんな姿になって、ボクはリカちゃんが好きだ!あんな姿になっても、変わらず好きで、見捨てることなんてできるわけがない!...でもさっき、ボクは何も出来ずに自分のことばかり考えて、リカちゃんを守れなかった。今までもこれからも守れないならーー

 

「それが本当にして欲しいことなのか?」

 

 クロロはユウタの言葉をしたり、そう疑問を投げかけた。実際にユウタは言葉を吐くごとに生気を失ってしまっている。

 

「じゃあどうすればいいんだよ!」

 

 ユウタは夢が壊され、日常が壊され、自分で何一つなしえない自分を壊してしまいたかった。

 

「それは、おまえが決めろ。お前にはもう何もないのか?」

 

「・・・」

 

  約束だよ   リカとユウタは....   

 

 ユウタは理解した。あぁ、ボクは目を逸らしていたんだ。

 できっこない。無理だ。諦めよう。彼女はそうした方がきっと幸せだ。そう思って抑えこもうとした。

 

 でもこのタイミングで、このリカちゃんにもらった呪いから目を逸らせるわけがない!

 

 

 リカちゃん待ってて、必ず君を幸せにする。

 

「もう一度言うぞ?何が欲しい?それとも仲間になるなんてごめん被るか?」

 

 ユウタは一度息を吐き、そして生気を取り戻し、今まで出してこなかったかのような大きな声で叫んだ。

 

「ボクに力を貸してください!リカちゃんとの願いを叶えるために!!」

 

「取引成立だ」

 

 クロロの表情に変化などない。交渉は始まった時から終わっていた。

 彼から見てユウタの顔は、あの時のオレ達の様に欲しがっていた。

 




【愛の巣】(コクーン)

この能力は元々希少動物を求める幻獣ハンターの念能力であり、傷ついた幻獣を安全に護送するための能力である。

能力

対象に触れることで繭の元を対象に宿らせ、対象が仲間と認識しているものと対象を仲間と認識しているものに接触した時、この条件を満たしたものに連鎖的に繭の元が宿る。
そして対象が仲間と認識しているものに触れている場合、この能力の持ち主が任意で対象に宿る繭を展開させ対象を繭の中に閉じ込める。
繭が宿る対象の数が多過ぎるとオーラ切れを起こす。
繭の中は時間が止まったような状態であり、傷の回復を促進させる機能と解毒作用がある。
生き物以外に繭の効果は効かない。
この繭から対象出して一週間以内に死なせてしまった場合、この念の使用者は死んでしまう。
繭と念能力者は50メートル以上離れる事はできない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三話

中途半端で申し訳ない


「大きな音を出しすぎたな、じきに人が来るかもしれない。場所を移すぞ」

 

 クロロにはもうここにいる必要がないとばかり、すぐにユウタを連れて建物の出口のほうに行った。

 少し顔を出し、辺りを確認して、目的地へと出発した。

 

「す...すみません、ボクが大声出しちゃって」

 

 ヤバイ、自分が大きな声を出しすぎて迷惑をかけたかもしれない。そんな考えが頭をしめ、申し訳ない気持ちが湧き、不機嫌にさしてしまったかもしれないと、心のなかで不安が顔を覗かせ、ユウタの顔は少しだけ青くなってしまう。

 

「元々ここからすぐ離れるつもりだった。心配する必要はない、原因はユウタだけじゃないからな...目的地のホテルに仲間をまたせている、もう少し急ぐぞ」

この言葉をはいた時のクロロの表情は無表情だった。

 

 しかしその言葉を聞いて、ユウタの心配はやわらぎ、男のことを少し不気味に思っていたが予想外の気遣いで、実は優しい人なのかもしれない思い始めていた。

 

「ハイ!」

 

「...もう少し静かにしろ」

 

「ゴ..ごめんなさい」

 

 

 

 

 

 深夜2時、新しくはないがどこか歴史を感じさせる様なホテルのフロントに当直のスタッフが勤務しており、急な来客にも対応出来るようにしていた。

 

 そこに二人組の子供と大人がやって来た。子供はもの珍しいのか、周りを見回しており、端正な顔立ちの大人の男はいまだ青年のような顔つきで、少しうわついたような雰囲気の子供が離れないようにその子の小さな手をしっかりと握っていた。

 

「いらっしゃいませ。当ホテルへお越しいただきありがとうございます。予約はしていますでしょうか?」

 

「連れが部屋をとってある。名前はマルコ=ポーロだ。部屋の場所を教えてくれ」

 

「少しお待ちください・・・・ポーロ様に確認が取れました。234部屋になります。案内は必要でしょうか?」

 

「大丈夫だ、問題ない。行くぞ」

 

 そう言ってクロロはすぐにユウタの手を引っ張って一緒にエレベーターの中に入り、上の階に上がってしまった。

 

 この人の仲間って一体どんな人なんだろう。そんな考えがユウタの頭に浮かび、なんとなく男の顔を見る。男は無表情で常に前を向いておりこちらに視線を寄越すことはない、ユウタの得たい情報は手に入らず、出来るだけ優しい人である事を祈るしかなかった。

 

 エレベーターからでると、クロロは目的の部屋のまでスムーズに進み、部屋の前まで来ると、まるで見計らっていたかの様にすぐに中からドアが開いた。

 

「久しぶり、団長」

 

 そう言って出てきたのは身長180センチくらい男性で好青年のような雰囲気があり、その笑顔から人柄の良さが伝わって来てしまいそうだった。

 

(よかった...優しそうな人だ)

 

それにクロロも笑顔で返した。

 

「久しぶりだな、シャル」

 

 その一連の流れを見たユウタはこの人も笑うんだと衝撃を感じ、今までずっと表情の変化を見れてなかった為人間らしさを感じなかったが、笑顔を見れたことで、ユウタの中で男の印象が良い方に少し変わった。

 

「団長、積もる話もあるだろうから、はやく中に入って話そう。団長が連れて来た君もね」

 

 その言葉で、クロロと男は部屋に入っていき、その後に衝撃を感じてしまっていたユウタは少し遅れてついていくことになる。

 

 ユウタは広い玄関廊下を見回しながら進んでいると、4人は余裕で過ごさてしまうような部屋に繋がり、男とクロロはもうイスに座っていて、男がクロロに質問していた。

 

「色々話したいことはあるけど、団長はなんでずっと念能力を出しているんだい?」

 

「それの説明にはあの子との話が必要になる。ユウタ紹介する。オレの仲間の一人、シャルナーク=リュウセイだ」

 

「よろしくね」

 

 シャルナークは笑顔とともにそう言った。

 

「後オレの名前も教えておこう、オレの名前はクロロ=ルシルフル。幻影旅団、団長だ」

 

 ユウタは衝撃を受けた。幻影旅団、その名前は有名ではあるが情報が曖昧で、学校では一種の都市伝説として知られている。そんな旅団の仲間になってしまったことに驚くと同時に何故かワクワクしてしまっている自分がいた。しかしそんな気持ちは悟られないよう力強く返事をする。

 

「ボクはユウタ=オッコツです!色々あってボクを仲間に誘ってくれたルシルフルさんについて行くことにになりました。なんでもするので、よろしくお願いします!」

 

「...オレのことはクロロと呼べ、今の内はな」

 

「ハハッ 元気いいね!シャルって呼んでいいよ!」

 そう言ったシャルナークは人懐っこそうな笑み浮かべる。

 

「ユウタはオレ達の仲間にする。見込みはあるからな」

 

「...色々と疑問はあるけど、了解。団長、そろそろ質問に答えてよ、何でまだ念能力を発動しているのかをさ」

 

「わかった、話そう。ユウタを連れて来た理由含めてな。オレは最初、ユウタに一般人のそれとは違うオーラと凄まじい気配のする念獣がついている事を確認して、興味と能力欲しさに近づいた。しかしユウタは念獣の使い手ではなく、オレは本当の念能力者をオレので封印し、念獣を無力化した、それをオレは解かない為にを消すことが出来ず今に至る。そしてユウタを連れてきたのは、念能力者念獣、どちらもユウタ制御してもらうためだ」

 

 ユウタは話しを聞くだけに回ろうとしていたが、気になった事があり、口を挟んでしまった。

 

「あのう...すみません。ボクと団長が会った時も聞いたような言葉な気がするんですけど。ボクのオーラとか、念獣とか、念能力とか言ってましたが、どういった意味の言葉なんですか?話しの内容からして、念獣がリカちゃんのことで、クロロさんの手にしている、少し透明な本が、念能力であることはわかったんですけど...」

 念獣がリカちゃんの事を指しているのは、クロロさんが念獣を無力化したと言い、実際にボクの目の前からリカちゃんが消えたことでわかるし、クロロさんの本は透けている時点で怪しく、リカちゃんも少し透けて見えるから、あの本は念獣と表されたリカちゃんと同じ何かだと予想すると、念能力だと思わる、そして聞きずてならないのが、話に出てきたリカちゃんを使っていると思われる念能力者の存在、一体なんのことだろう?リカちゃんと一緒になくなった指輪となにか関係しているのだろうか?

 

 ユウタの質問が終わるとシャルナークは疑問を覚えたのか、少し目を細めた。

 

「今、君が言ったオーラ念獣念能力全てはと言うものが関係しているんだよ。にしても君はオーラをこれ見よがしに出しているのに、オーラにピンとこないなんておかしいね?目の動きで団長の本が見えてるのはわかるから、オーラが見えないなんてことないよね?」

 

 ユウタは緊張した。シャルナークが不穏な気配こそ出していないが、相手が嘘をついているか、見定めようとする無機質な瞳がユウタを射抜く。

 

(なんだこれ!息が、うまくできない...)

なぜかそれだけでユウタは息ができないような感覚になり、本気で苦しくなりそうになる前に、すぐ間にクロロが入ってきて、その症状は一瞬でとまった。

 

「ユウタ、一般人はオーラを僅かにしか出せない、何故ならオーラと呼ばれる生命エネルギーを満足に出すことが普通に生きていたら出来ないからだ。しかし、ユウタ、お前のオーラは常人のものじゃない。オーラを見て、操る念使いのそれだ。だがオレはユウタを疑ってはいない。ユウタ、お前は念を使えるようになりかけている」

 

「なりかけている...なるほどね。精孔(しょうこう)が開ききってないのか。精孔は人体のいたるところにあり、そこからオーラが出る。そして目の精孔が開いていないとオーラを見ることが出来ない。けどユウタは目の精孔が少し開いた状態だから、団長のオーラの塊である本は薄いけど見ることが出来、オーラは見ることができなかったからその質問をしてしまった。団長はそう言いたいんだね。まぁ、団長が言うなら信じるよ。ユウタくんごめんね。疑って」

 

 クロロが誤解を解いたお陰で、シャルナークは納得しきれていないようだが、元の優しげな雰囲気に戻っていった。

 

「ボクはなんともないから大丈夫です...ハハハ」

 そう言うがユウタの中でシャルナークはもう、人生の中で恐ろしかったものランキング上位におどりでており、今のユウタはシャルナークが言うことは決して逆らわないだろう。

 

「ユウタくん、君が言うリカちゃんって何なんだい?」

 

「リカちゃんはボクの幼馴染で、交通事故で亡くなったんです。でも事故直後すぐにボクの目の前に現れて、姿を変えてボクの側にずっといました。リカちゃんは念獣らしいですけど、幽霊か何かじゃないんですか?」

 

「オレは、アレからオーラを感じることが出来た。だから念に関する何かである事は間違いない。そしてユウタが言うには死んでからアレが現れたとなると、死後の強まった念である可能性が高い」

 

「死後強まった念?」

 リカちゃんは念獣で、実は死後強まった念だった?ユウタはまた新しい言葉に混乱する

 

「念は、死んでしまえば消えるとは限らない。むしろ、死ぬ事で念が強くなるケースがある。深い恨みや未練を持ったまま死ぬと、その念は恐ろしく強く残ってしまい、残された念は憎悪や執着の対象に向かう。今回の場合、ユウタはその死後の念に憑かれてしまったんだろう」

 

「まってください!それじゃあ...リカちゃんがもともと念能力者ってことになるじゃないですか!」

 

「幼馴染の死後、すぐに念を見る事ができた。これは君の言うリカが意図してか、せずかはわからないけど、オーラを君に送って中途半端に精孔を開かしたからじゃないかい?」

 

「その予想だとリカちゃんは精孔が開いていたってことですよね?それって、リカちゃんは一体誰に

開けられたんですか?」

 

「それは僕にもわからないね。自力って言うのはあり得ないだろうから。家族とかかな」

 ユウタはどうしてこんな事になってしまったのかを突き止めたがっていたが、シャルナークから聞いた予想を納得することが出来ずにいた。何か、大事なものを見落としてしまっている気がしていた。

 

 

「ユウタ、オレはオマエに持たせているものがあるだろう?あの小さい繭だ。オレだけがその中を見ることが出来るんだが、その中に、リカとオーラの繋がりがある生き物がいる。オレにはどう見ても()()にしか見えないんだが、ユウタは何か心あたりはないか?」

 あぁ忘れていた。ボクはリカちゃんからあれをもらっていたんだ。呪いも約束もあの指輪で行われたんだ。

 




次で書きたいこと、全部書いちゃいたいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四話

原作まで遠すぎて後悔。


 リカちゃんから誕生日にもらった指輪。当時、どうしてプレゼントが指輪だったのかはわからなかった。でもあの指輪を嵌めて、よりリカちゃんからの好意を感じ取る事が出来た気がする。贈り物から好意を感じる以外に、指輪自体の()()()が、ボクにそう感じさせたのかもしれない。

 

「指輪は、3年前にリカちゃんからもらったものです。綺麗な、名前がわからない赤い宝石が付いた指輪でした。一度リカちゃんに聞いた事あるんですけど、名前は知らない様でした。あと、ずっと温かかったの覚えています」

 ボクはずっと、リカちゃんを思うことが出来た。それは多分指輪のおかげだ。あの温かさがリカちゃんの自分への思いを伝えてくれている気がしていたのだ。

 

「ずっと温かい?温かくなりやすい石ならわかるけど、それは何かの要因で熱されていただけで、いずれ冷めてしまうはずだけどそう言うわけじゃないんでしょ?」

 シャルナークの疑問に、ユウタは頷きクロロに質問する。

 

「クロロさん、指輪が生きているって言ってましたけど、見間違いじゃないんですか?」

 

「見間違いじゃない。オレの今発動している念能力は生きている対象にしか、効くことはない。本当は元々念能力者だと思われたユウタに対して使おうとしていたものだ。結果的には指輪を封じることになったがな」

 あれには少し驚いたと、思い出し少し顔に笑みが起こる。

 

「団長、指輪を今でも見ることが出来るなら絵を描いてくれない?少し心あたりがあってさ」

 シャルナークは顎に手を当てるようにして考え込みながらそう言った。

 

 ユウタも一応描くのを頼まれ、いつも自分が身につけていたものを思い出す必要もなくスラスラ描いていく。しかし、団長の方が絵が上手く、指輪の裏に書いてある文字まで描いている。

 ユウタたちが絵を描き出す前にシャルナークは一旦部屋から出ており、フロントから借りてきたのか、パソコンを持って絵を描き終わるまでに戻って来ていた。

 

「団長に会いたかった理由にはさ、ハンター(ライセンス)をとって色々な情報収集したから、一度話し合いがしたかったからなんだよね」

 パソコンを操作しながらシャルナークがそう言い、話を続けた。

 

「ハンターだけが見る事が出来るハンターサイトには、普通では知れない事が多くて色々便利なんだ。そして、賞金首や情報提供の依頼、失せ物探しの依頼が載っていて、宝石類の捜索願いの中で一つだけ頭抜けた額のものがあるんだよね...」

 シャルナークはハンターサイトで目的のものを探し当て、その画像を写し出した。

 

 そこには、宝石以外の装飾品が殆どない指輪で、裏には何か文字が書かれており、二人の絵と全く同じであった。

 

「どう似てる?」

 シャルナークは自分の予想が当たった事に嬉しそうに微笑んでいる。

 

「似てます」 「そっくりだな」

 謎がすぐに解けた驚きと同時に、ユウタはシャルナークの優秀さに尊敬の念を抱き、どうしてわかったのか気になった。

 

「最初は熱を出す宝石にはピンと来なかったんだけど、団長の為に新世界の情報も一応集めていた時、新世界の情報を知ってるハンターに会う機会があって、取引で少しだけ情報をもらったんだよね。その情報が、新世界からある一つの希望(リターン)を得る事ができている。それが、熱を発し続ける事。それだけ、そのハンターからは教えてもらったんだ。指輪一つにこれだけの額はおかしいって思っててさ、ユウタくんの指輪の宝石の色や熱を発するという発言と新大陸から持ち込まれた希望(リターン)の特徴、それを結び付ければ、この額にも納得出来る。何でユウタくんがもってたのかわからないけど、生き物とは驚いたね」

 

「すごいです!シャルナークさん!」

 ユウタは真実にどんどん近づいていっていると言う実感が湧いていた。これもそれも、クロロさんやシャルナークさんのおかげだ。

 

「シャルナークさん、質問なんですけど、新大陸ってなんですか?」

ユウタは次に湧いて来た新たな疑問をシャルナークに尋ねる、この人なら教えてくれると信じて。

 

「ユウタくん、それはね・・・・・・・・

 

 

 

 


19699年

 

近代五大陸(Vファイブ)本部

 

高層ビルが立ち並ぶ中でも、もっとも高いビルの廊下に男が二人歩いている。片方は若く生気に溢れておりこれからの仕事への意気込みが感じられ、もう一方は五十路ぐらいに感じられ随分落ち着きが見られる。

 

「契約書にサインは済んだか?」

 

「もちろんです」

 

「ここには世界中の渡航情報を管理、調査してデータベース化。国ごとの政治、社会情勢はもちろん、動植物の生息分布変遷、気候変動状況なども考慮し、渡航リスク、自然保護レベルなどを算出。最終的な安全指数を提示するのが我々の仕事だ。

なかでも、君が配属された特別課(ここ)は全大陸の特別渡航課(トッコー)を束ねる重要な仕事を任されている」

 

「理解しています」

 厳重な警備を素通りし、奥へと進んで行く。

 

再び歳をとっている方が話す。

「職員の心得の第一条は?」

 

「『新世界への渡航希望者に於いては規約に則り、多角的かつ包括的な調査、訓練を施した上で厳正に審査すること』『渡航適合者には同伴し、安全確保に最大限の努力を要する義務を負うものとする』」

 二人はエレベーターに入り、どんどん地下へと下りていった。

 

「平たく言えば?」

 

「誰も新世界へ行かせない」

 

「その通り、新世界へは行ってはならない。開けてはならない『厄災(パンドラ)』だ」

 

「何かの比喩でしょうか?」

 何重に続いた部屋を次々とプロテクトを解除し突き進んでいく。

 

「これを見てそれを言えるのか?」

 最後の扉が開き何をここが隠していたのかがわかった。その部屋には水槽が置かれており、まるでSF映画のワンシーンのように水槽の中で何かうかんでいた。一つは人間の手だった物で、指の口が備わっており、他の指が腕のようにもなっていた。一つは頭がなく、頭と首の付け根が非常に細い奇妙な死体。一つ身体が頭ぐらい小さくなり、ミイラの様にかれており、頭頂部に臍に似た物がはえていた。

 

「こ、れは....」

 

「もちろん、元人間だったモノだ」

 男はそう言い、ある場所へと向かう。

 

若い男もそれに続き。

「これは...」

 

 二人の視線の先にはガラスの様なモノ中を見る事が出来る部屋があり、そのなかに人がいた。それは目をこれでもかと見開き、こちらの様子を伺っていた。『ふしゅー...ふしゅー

 

「この施設『内部』唯一の生存者だが『人』ではない。『人として』の食事は一切せず、『自給自足』で20年近く生きている。奴は新世界に出向いたハンターの成れの果てであり、新世界渡航の敗走の証だ。新世界渡航の度に人類滅亡級の厄災を背負わされて何も得ず逃げ帰るしか無かった。しかし私達はもたらされた希望(リターン)の魅力から目を離す事が出来ない」

 

「ちょっと待ってください。課長、それっておかしくないですか?渡航では何も得れなかったんですよね?」

 

「狂人の妄想だと思われていた奇書『新世界紀行』と言う旅行記が数百年前に発行された。出版当時は、空想小説の棚に並べられて現在では幻書となっている。これにはさっき君が見た死体の記述が書かれていた。しかし重要なのは新世界は厄災をもたらしたが、この本は希望(リターン)をもたらした事だ」

 

「それは一体?」

 

「熱が冷める事なく発する石。それが本の付録で指輪の宝石として付いていた」

 

「は?」

 意味がわからないと男は率直に思った。

 

「そんな永久機関を実現さしてしまいそうなものを何故付録に!?」

 

「わかっているのは最初に出版された百冊に付録として付いていたことだ。誰かは新世界に行く過程で、残していった恋人に当てたものではないかと言われていて、石は永遠に熱が宿る石(アビディング ラブ)呼ばれている。まったくバカバカしい」

 

「はぁ」

 男は呆けた様に言った。

 

「もう一つわかっているのが、その石が石では無かったことだな」

 

「・・・」

 聞いている男には反応する気すらしなかなっていた。

 

「それを調べて行く過程で、冬眠の様な行動をとっている虫に近い生きものであることがわかった。学者が言うには、少なくとも500年は眠るらしい」

 

「やけにスケールが大きいですね。それは一体なぜ?」

 

「自分の身に危険が及ぶと自分の熱、身体全てが変わらない様眠り、長時間眠ることで外敵がどこか行くまで凌ぐ狙いがあるとも言われている。身体が変わらないと言うのは私達が何をしてもアレに傷をつけれなかったからだ」

 

「でも指輪の装飾品になってるんですよね?」

 

「アレが元々そう言う形なんだろ。今もあと一つの指輪を探している」

 

「?99個も有ればそれなりに使えるのでは?」

 

「残念ながら今のところアイツらの温度を変えることも加工することも出来ていない。希望があるとするなら仲間が近くにいると少し反応があることだ」

 

「反応ですか?」

 

「熱を出してそこら辺に寝てたら他の生き物に見つかり、ヒーターがわりに集めてある程度集まったら繁殖でもするのかもな。ちなみに温度は36度くらいだ」

 

「最後の一つは見つからないんですか?」

 

「ハンターが捜索に特化した念を使って捜索したらしいが、ジャポンにいった事で念での追跡が出来なくなった」

 

「なんでですか?」

 

「君しらないのか?ジャポンには呪霊が存在している。だからオーラが見える奴が行っていい場所ではない」

 

 




次の話の投稿は結構遅れるかも


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。