いたずらは幻獣も堕とす (fubuki_b4 )
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いたずらは幻獣も堕とす

「また負けたーッ!」

コントローラーを投げ出した男に、金髪の少女と褐色の肌の少女は笑みを浮かべる。往年の乱闘型パーティーゲーム。四人対戦モードにCPUプレイヤーを加えた残機制のバトルロイヤルは、またしても少女らの頂上決戦となった。

「……決着がついたら起こしてくれ」

座っていた男がそのまま床へ倒れこむ。ほどなく、寝息をたて始めた。いや、早いなぁッ!?とこの場、下宿の主である褐色の少女が目を剥く。隙ありと、ワンルームのベッドに腰かける金髪の、ルームシェアの少女がゲームで畳み掛ける。なんと、あまいよ、なんの、技と技の応酬が繰り広げられるーーことは特になかった。なぜなら、少女らにとってこのセットはもう終わっているも同然。勝敗自体に価値を見出だしていない。CPUを叩き、そして、床で無防備に眠る男を、二人のバイト先の上司で、仕事仲間で、二人とも想い慕っているというのに、女の子が大の男を部屋に上げるという、大きな勇気を出しているのに、建前のゲームのお誘いを毎回律儀にこなし、何事も起こさず帰っていくこの男を、二人して叩いて落として鬱積を晴らす、それこそがこのゲームの真の目的だから。

「負けたかぁ……おーい、終わったよ?」

褐色の少女が男に声をかけるが反応がない。時刻はまもなく日付を跨ごうというところ。八百長を疑われないよう、それとなく拮抗した試合を長く続ける間に、どうやら眠りが深くなったらしい。金髪の少女も肩を揺するが、目覚める気配がない。あぁ、今日もこれでお開きかーー

「あっ!?ちょっと、コレ見てよ」

金髪の少女が手招く。言葉の尻が笑っている。男が風邪をひかないよう、ブランケットを持ってきた褐色の少女は一瞬怪訝な表情のあと、指の示す方に、いやモノに、吹き出しそうになるのを必死で堪えた。

テントである。

正確には、男の穿いたジーンズの股間部分の生地が、男のモノによって押し上げられていた。

「ねぇ、これ朝立ちっていうのかな?」

それとも夜立ち?と神妙な顔で金髪の少女が、わざとらしくもったいつけて言うものだから、褐色の少女は今度こそ堪えきれず吹き出した。二人の少女が笑う。実はインポテンツなのではないか、そんなことを疑っていたために、余計に可笑しく見えてしまう。なんて立派に、きちんと勃起しているんだろうと。男性としてちゃんと機能するんじゃないかと。

「はー、笑った笑った」

「……ねぇ、どうせだし見てみない?」

金髪の少女がジーンズに手を掛ける。見るって、中身を?空気が一変する。流石に、それは不味いのではないか。褐色の少女は、理性が警鐘を鳴らす。しかし同時に、これだけ騒いでも目を覚まさない男に、美少女二人に愛されているのを、知ってか知らずか、このような無防備を晒すのは、この男にも落ち度があるのではないか。迷う。しかし、制止はしない褐色の少女を一瞥し、金髪の少女はベルトを解きジーンズを下着ごとひき下ろした

「ーーうわ」

思わず、喉が鳴る。20、いや、25cmはあるだろう男根。こんなものを隠していたのか。二人の少女は生唾を飲む。ほっそりとした鈴口から、きのこの傘のように開いた亀頭のカリ部分は返しのように凶悪な流線型をしており、その先の竿も長いだけでなく反り返り、半ばが太く、ぴくりぴくりと太い血管が脈動している。

「これ、これが、おちんちん……?」

絞り出すように褐色の少女が呟く。おおよそ、知識として見た中でも、オナニーのために買ったディルドにも、こんなものはなかった。こんな、見ているだけで頭が痺れるような、お腹の奥が疼くようなものは。思わず、手が伸びそうになる。

「ちょ、まずいってこれ以上は!」

そう、見ているだけで疼くのだから、それを直接引き出した、もっと近くで、匂いさえ嗅げる距離にいた金髪の少女が、無意識に舌を伸ばしたとしたも仕方がない。仕方がないが、それはメスの側の理屈だ。ここまで想い慕った男がなすがまま、無抵抗だったからとしても、それは眠っているからであって、起きてしまえばどうなるか、わからない。いや、その舌が触れれば、私たちは

「ーーなにをしているんだ」

男の声。金髪の少女がその可憐な唇のバージンを鈴口に捧げたとき、私たちの関係は、不可逆に変容してしまった。

 



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