ある男の憂鬱 (きよたプッチン)
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ある男の憂鬱

お題:ギリシャ神話、火星、殺伐、タイムマシーン、最低でも色を三つ出す

※こちらの文章を書くにあたり、語尾プッチンの省略をお許しくださいプッチン。
※また、こちらのお話はフィクションですプッチン。実在の人物・団体・出来事とは関係ありませんプッチン。
※さらに、こちらのお話はフィクションですプッチン。似たような人物・団体・出来事とは関係ありませんプッチン。
※電車で移動中の際に作成をさせていただきましたため、誤字脱字をお許しくださいプッチン。



 

 

 

『ある男の憂鬱』

 

 

 

 

日差しが強い今日このごろ。広い畑のど真ん中。すでに農作物は収穫済。あとはこの茶色い畑を弄ったり、他の農作物を出荷したりな簡単なお仕事が残ってる。…いや、やっぱ簡単なお仕事なんかじゃない。しんどいお仕事だ。

 

俺の名前は、馬場。とあるしがない農家のせがれ。田舎すぎるわけでもなく。都会すぎるわけでもなく、割とちょうどいいところに家を持つ。今度引っ越しの予定もあって、なかなか忙しい予定ばかりだけど案外充実した毎日を送っている。最近は、ゲーム配信なんてのをはじめて毎日がHAPPY DAY!…あ、ちょっと待って、言い過ぎたわ。まあまあな毎日かな。

不安なことは、昔からやってるゲームの新作がもう明日に迫ってるってこと。普通の人なら小躍りするほど嬉しいのかもしれないが、俺が違う。大変憂鬱なのだ。今までやってきたシリーズが好きすぎるが故なのかもしれないけど、とにかく、何を隠そう…とても憂鬱なのである(語彙力)

 

 

「はあぁぁ…」

 

 

ため息も出ちゃうよ。農作物の入ったカゴを抱えて、段ボールのある納屋のほうまで歩いていく。もう5時間以上仕事しっぱなし。でも、頭の中はゲームの新作のことでいっぱい。足は痛いし、汗もやばい。どうでもいいけど、やばいって使うと若い子みたいだよね。あ、その考え方がやばいか。

 

 

「おーい、昼休憩入っていいぞー!」

 

 

向こうで社長…もとい親父が手を振りながら叫んでる。あっちもあっちで汗がすごいな。負けじと大きな声で「わかったー!」と返す。湧き出る汗をタオルでぬぐって、やれやれ休憩だと家の中に入っていく。

台所にあった簡単うどんの元でぽいぽいっと昼飯を作って、急いでかきこんでいく。途中、変なところに入ったりもしたけど、まあ、それもいつものこと。年を取るとむせやすくなるのはやだよなあ。ちなみに、俺が急いでご飯を食べたのには理由がある。お昼休みはウキウキ配信あっちこっちどっちそっちな、ゲームの生配信があるのだ。これは俺の相方である合田に頼まれたからだ。いや、それでなくても、別に俺はお昼休みに配信したってよかった。

 

だって、俺、結構配信が好きだから。

 

そこそこリスナーさんもついてくれて、そこそこ盛り上がりもあるチャンネル。ゲーム配信なんて、と笑う輩もいるだろうが声を大にしていいたい。いいから一度配信してみろって!絶対ハマるから!

OBSの横っちょに青い蟹の着ぐるみアイコン。たまにビームを出すやつ。リスナーさんが作ってくれた。お気に入り。後ろの背景も赤と青の俺と相方のイラスト。ロゴとか、待機画面用の一枚絵とか。ぜーんぶリスナーさんからの贈り物。え?だいぶ愛されてない、俺?パソコンの準備ができたら、マイクを少しだけ自分より遠くにおいて、ゲームをつける。

もうすぐお昼の12時。

 

 

「よし…」

 

 

今日はなんの配信をしようかな、なんて今更考えてもみたり。

昨日は、デドペこと『デッドバイペイペイギリシャ』だった。ギリシャに観光に来た一般人たちがギリシャ神話の神様たちに追いかけられる鬼ごっこゲームだ。賄賂とチップを駆使して戦うゲーム!最近の俺のトレンド!

 

でも、昨日やったしなあ…。

 

じゃあ、無難なところで『火星のアソビ大全』かなあ。地球のアソビが火星風になって帰ってきたってゲーム。火星ポーカーに火星オセロ、火豚のしっぽなんて丸焼きになっちゃいそう。でも、最近は運要素が強いヨットマーズがお気に入り!開始3回以内にヨットが出たら、マーズってことでその時点で負け!なかなか鬼畜な運ゲーじゃない?…よし決めた!

 

 

「はい!皆様、こんにちはー!今日はね、

寸前まで悩んでたけど…火星のアソビ大全やってくよー!」

 

 

配信ボタンを押して、配信開始!今日はだれか来てくれるかな。…まあ、来てくれなくても一人でしゃべって一人で遊んでるから大丈夫だけど。なんて考えてたけど、案外すぐにリスナーさんが来てくれて、挨拶をしてくれた。それからぽろぽろと何人かが遊びにきてくれた。

 

 

「貴重なお昼休みにありがとねぇ。

みんなでアソビ尽くそうぜ!」

 

 

空読みちゃんがリスナーさんたちのコメントを読み上げてくれて快適。スラッシュ予約と入れてくれたら、予約システムも起動するから楽ちん。でも、きっとそろそろ誰かがコメントで遊びだしたりするんじゃないかな…

 

 

ーーースラッシュサツバツ

 

 

ほら、なんか来た!

空読みちゃんがよくわからない言葉を言ったのでコメント欄を確認する。リスナーさんが「/殺伐」と発言していた。いや、今の気分か何かなのかな。それとも今いる場所か何かなのかな。っていうか、殺伐っていう意味がわからないでしょ。なんでその言葉をチョイスしたの!?

 

 

「殺伐じゃあ予約はいれられないよー」

 

 

そんなこといっていたら、あれよあれよという間にスラッシュ○○の大喜利が開始。ほんと、ノリがいいリスナーさんたちでうれしいわ。

他愛もない会話と笑いでもう一時間。あーそろそろ終わりかな。まだまだ仕事の続きもあるし、もうそろそろ終わりの時間。ごめんね、もう次で終わりするわ。ラスト頑張ってください!なんて前向きな言葉もたくさん来たことに驚いたりして。

まあ、みんな意外と優しいのよ…なんてしみじみと感じながら、最後のヨットマーズで戦った。一回目にヨットを出してしまったから、マーズになって失格!!え?こんなことありなの?なんて爆笑してたら、「うるさいぞ、馬場」って怒られた。

 

ごめんて。

 

最後あっけなく終わってしまったけど、まあこういうのが俺らの配信だしなってことでこれで終わるわって伝えたら、リスナーさんの一人に「小説は進んでるのか」って言われた。あ。そういえばそんな企画もしてたっけな。すっかり忘れてたわ。

 

 

「…いや、ほら、構想はあるんだけどね。

やる気っていうか、書く気が起きないんだよね。

ほら、あのシリーズの新作もでるじゃん」

 

 

言い訳を並べるんじゃない、なんて散々リスナーさんたちには怒られた。いいじゃん、もうなんも手につかないくらいにはあのシリーズのことが心配なんだから!

 

 

「はい、じゃあお疲れさまでした!またね!」

 

 

ぷつりと切った配信画面は向こう側が真っ黒。あのシリーズがこけたりしたら、俺もなんだか真っ黒。でも、ラインコードサーバーのほうの個人にたくさんのコメント。わああ…宿題忘れてたから怒ってるのかなあ…。描く気はあるんだけどね。今は筆がのらないっていうか…。いや、うーん。

さっきまでの楽しい配信気分そっちのけで、相方に電話をかける。

 

 

ぷるるるる、ぷるるる、  ガチャ。

 

 

「あ、もしもし、合田さん?馬場だけど…。

この間、作ったっていうあれ持ってきてくれない?

うーん、…ちょっとリスナーさんに夏休みの宿題やったのかって言われて…俺やってなくてさあ。

前作ったって言ってたから、貸してほしいんだよね」

 

 

そういえば、開発したっていってたし…俺、スマホラ貸しっぱなしだったし。まあ、いままでやった野菜とかゲームとかがやり直しになるっていうのはちょっと面倒かもしれないけど。新作のゲームへの不安も最初っからになっちゃうかもしれないけど。

でも、リスナーさんに小説書くって決めてたからなあ。

 

 

「あ、持ってきてくれる?ありがとー」

 

 

合田さん持ってきてくれるのか。

はーよかったよかった!

やっぱ持つべきものは相方だなあ!

 

 

 

…あーあ、早く来ないかな、タイムマシーン。

 

 

 

~~~Fin~~~

 



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