にゃん太郎と愉快な仲間たち (るしあん)
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とある少女の夢

大好きなお兄ちゃんに恋人が出来たかも知れない !

 

その夜 お兄ちゃんが 取られたような気がして、ぼくは 泣きながら寝てしまった。

 

 

夢を見た。

 

ぼくは 小さな猫だった。

 

寂しくて 悲しくて お腹が空いて 泣いていた。

 

中学生位の 女の子達が ぼくを見付けてくれた。

 

みんなで 心配してくれて ご飯を 食べさせてくれた。

 

だけど 飼えないらしく 一生懸命 飼ってくれる人を探してくれた。

何軒か 回る内に ある料理屋さんに きていた。

そこの 女将さんらしき人が 出て来て 目を輝かせて、

「 まぁ 可愛い だけど私は飼えないのよ……… ちょっと まってね 」

と 言いながら 中に 入っていった。

 

少しして 中から 女将さんと 優しそうなおじさんがで出来た。

 

最初 おじさんは 渋っていたけど 女将さんが いろいろ手助けしてくれる事で ぼくを飼ってくれる事になった。

 

おじさんは 前に可愛がっていた猫の名前が『とら』

だから お前の名前は『さくら』だよ といった。

 

 

ぼくには 解る

 

この おじさんは お兄ちゃんだ !

 

姿は 違うけど お兄ちゃんだ !

 

 

それから お兄ちゃんとの暮らしが 始まった。

 

あまり ご飯を食べないぼくに 鶏のささ身を茹でてくれた。 とても おいしかった。

 

汚れていた、 ぼくを 暖かい蒸しタオルで 拭いてくれた。

 

 

ぼくの 頭を 優しくなでてくれた。

 

ぼくが トイレを 覚えた時は 誉めてくれた。

 

ぼくを 優しく 抱き締めてくれた。

 

ぼくと 一緒に寝てくれた。

 

ぼくは お兄ちゃんが 大好きになっていた。

 

ぼくは よくイタズラをした。

 

ティッシュboxの ティッシュを全部 引っ張りだしたり、

 

お兄ちゃんの 靴下を タンスの上に隠したり、

 

棚に 置いて有るものを 片っ端から落としたり、

 

お兄ちゃんが ゲームをしてる時 リセットボタンを押したり、

 

畳んでいる洗濯物に 突撃したり、

 

テレビを 見ている時 テレビの前に座り 見るのを邪魔したり、

お兄ちゃんが、お仕事に行っている時、退屈だから棚に有ったプラモデルを落としたり、

 

お兄ちゃんがテーブルの上に置いていた読みかけの漫画を破いたり、

 

いつものごはん(カリカリ)に飽きたから、棚に隠してあるオヤツを勝手に食べたり、

 

 

そんなことを しても『しょうがないなぁ』と笑っていた。

 

そうそう、一緒にホラー映画を見ていて一緒に驚いたことも有ったね。

 

 

 

 

 

お兄ちゃんが 仕事に 行くためお布団を出る時、わざと ぼくの為に 空間を つくってくれる。

 

お兄ちゃんが 出掛けた後 ぼくは お兄ちゃんのお布団にはいる。

 

お兄ちゃんの 匂い と 温もりを感じぼくは 安心して眠った。

 

 

お兄ちゃんは 独身だ

 

ぼくが 人間だったら お兄ちゃんの お嫁さんになるのになぁ。

 

そんなことを 思っていたら 目が覚めた。

 

 

あれは ぼくの前世だ。

 

ぼくにも お兄ちゃんとの 『繋がり』『縁』が有ったんだ。

 

ぼくは 嬉しくて 嬉しくて仕方がなかった。

ぼくが お兄ちゃんの『匂い』が好きなのは前世のせいだね。

 

大好きだよ お兄ちゃん。

 

「さくら~、恭介(きょうすけ)くんが心配して来てくれたわよぉ~ !」

 

「は~い、直ぐに行くから待っていてねぇー !」

 

やっぱり、お兄ちゃんは優しいなぁ~

 

猫時代と同じく軽く髪をとかして、おめかしする。

 

猫時代と同じく、僕は お兄ちゃんに突撃した !

 

「お帰りなさい 、 お兄ちゃん ! 」

 

猫時代と同じく、お兄ちゃんは僕の頭をナデナデしてくれた。

 

「 エヘヘヘヘッ、お兄ちゃん 大好き !」

 

 

 




※ 私が最初に、書いた物語
『 茨城くん と 恋する乙女たち』(カクヨム、アルファポリス)から、抜粋(ばっすい)して再編集した話です。



☆追伸

不定期更新です。
お話が、思いついたら書きますので気長にお待ち下さいね。


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もー ! もー ! もー !

 

私達、ここら辺の野良猫には ある(うわさ)がある。

 

『 とある料理屋に行くと『ご飯 』が貰える 』

 

と、言っても皆で押し掛けるのは、この辺りのボス猫『にゃん太郎 』に禁止されている。

 

だけど、子猫が生まれそうに成っていた私は優先して貰った。

 

にゃん太郎親分に連れられて料理屋に着くと、親分が声をかけた。

 

「ニャォ~ン ニャォ~ン ニャォ~ン ! ( おっちゃん、ご飯をちょうだいな !)」

 

そうすると、中から人間の男の人が出てきた。

 

「 なんだ、にゃん太郎………一緒に居るのは、彼女かぁ~

やるねぇ~ ………彼女の分も『ご飯 』が欲しいのか ?

ちょっと、待っていろな 」

 

そう言ってな中に引っ込んだけど………

 

「 ニャァ ニャァ ニャァ !( 違うわ! 私の旦那は、もっと良い男よ。 誤解よ ! )」

 

「 ウニャァ~ !( ヒドイ、せっかく連れて来てやったのに !)」

 

 

人間の男………おっちゃんが『ご飯 』を持って出てきた。

 

「 なんだ なんだ、にゃん太郎

『 ラブラブ 』なのを、俺に見せつけているのか ?

しょうがない奴だなぁ~……ほら、『ご飯 』だぞ !

ちゃんと、彼女に優先させるんだぞ 」

 

 

「「 ニャォ~ン ! ((誤解だぁー ! ))」」

 

 

─── ─── ─── ─── ─── ─── ───

 

私達が『ご飯 』を食べている間に、おっちゃんが私の家を

縁側(えんがわ)の下に造ってくれた。(発泡スチロール製)

ご飯を食べ終えた私は、さっそく『その家』を(のぞ)いて見た。

『 家 』の中には、古いタオルが引いてあった。

うん、ここなら『 出産 』するのに問題ないわね。

 

私が一度『 家 』の中に入り、おっちゃんにお礼を言ったわ

礼儀は大事だもんね。

 

「 ニャォ~ン 。( 気に入ったわ、ありがとう …おっちゃん !)」

 

 

「 ……………牛柄(うしがら)だから、今日からお前は『 ウッシー 』だな ! 」

 

「 ニャ ニャ ニャ ニャォ~ン 、(そっ そっ そっ それって(ウッシー)私の名前なの ? 」

 

 

「 なんだぁ~ 。 そんなに嬉しいか『ウッシー ! 』

可愛い名前だろう 」

 

「ニャ ニャ ニャ ニャ ニャォ~ン ニャォ~ン

( もー ! もー ! もー ! なんて『センス』をしているのよぉー !)」

 

 

「 そうか そうか そんなに嬉しいか

名前をつけるのは得意なんだよ、俺 」

 

「ニャ ニャ ニャ ニャ ニャァ ニャァ ニャァ

( 良い名前じゃないか『 ウッシー 』、俺の『にゃん太郎』に負けないくらい良い名前だな。流石、おっちゃんだ)

 

にゃん太郎親分が、笑いながら言っている。

 

「 ウニャァ ニャァ ニャ ニャ ニャ !( (はか)ったなぁー !親分。こうなるの(わか)っていたんだろう ! 」

 

親分は笑いながら去っていった。

 

うぅぅ お世話になるからには『名前(ウッシー)』くらいは我慢するしかないか………ハァ~。

 

その後、私は 無事に 四匹の子猫を産んだのだった。

 

………感謝はしているのよ、だけど………

 

 

「 ほら『 ウッシー ! 』ご飯を いっぱい食べて赤ちゃんの面倒をみるんだぞ」

 

「ニャ ニャ ニャ ニャ ニャォ~ン ニャォ~ン !

(もー ! もー ! もー ! こんなにお世話に成っていたら文句言えないじゃないの ! )」

 

優しそうに見つめる、おっちゃんに私の言葉は通じなかった……………トホホホホホ。



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にゃん太郎の憂鬱《ゆううつ》 ①

誰が名付けたか(おっちゃん なんだが)

俺の名前は『 にゃん太郎 』

 

この地域の縄張りの『ボス猫』だ !

 

猫によっては『 にゃん太郎親分』と呼ばれている。

 

親分の仕事は、大変なんだぜ !

 

縄張りのパトロールから野良猫同士の喧嘩(けんか)仲裁(ちゅうさい)、その他にも『 エサを貰える家』の斡旋 (あっせん)まで 多岐(たき)に渡るんだよ。

 

なのに若い()らは

「 にゃん太郎親分は、気楽で良いなぁ~ 」

なんて、言うんだぜ !

まったく、親分の苦労を知って欲しいもんだよな~

 

そんな事を考えていたら、半野良猫の『メンマ』が あわててやってきた。

半野良猫と云うのは、御飯だけ貰って外飼いされている『猫』の事を云うんだぜ、勉強になっただろう。

 

ラーメン屋の『 メンマ 』が言うには

 

「 にゃん太郎親分、大変なんだニャ !

親からハグレタ子猫が、米屋の屋根から降りれなくて助けを呼んでいるんだニャ !

親分、頼むから助けて欲しいんだニャ ! 」

 

本当は『 メンマ 』が助ければ、早いんだが…………

コイツ(メンマ)は、ラーメン屋から貰う『 チャーシューの切り落とし』などを食べているから太り過ぎているんだ。

 

知らない人間が見たら絶対に『野良猫』だなんて思わないだろうな !

 

普段から(きた)えている俺が助けなければ成らないから、メンマに案内させた。

 

 

 

米屋に来てみると………うん、メンマには無理だな。

屋根は屋根でも、半分腐蝕(ふしょく)した車庫の屋根だった。

メンマが乗れば、確実に屋根が()けるな。

 

「 ニャア ニャア ニャア ニャア(ママ ママ ママ 何処(どこ)にいるのぉ~ 怖いよ~ 高いよ~ お腹が減ったよ~ )」

 

商店街の人間達も気付き始めたから、俺は直ぐに助けに行った。

 

華麗に子猫を咥えて降りてきた俺を人間達が褒め称えている。

 

「 流石、ボス猫だねぇ~ 」

 

「 にゃん太郎、偉いぞ ! 」

 

「 にゃん太郎、カッコいい ! 」

 

褒めろ 褒めろ いつの間にか『にゃん太郎』と云う名前が浸透(しんとう)しているが、全部 おっちゃんのせいだ !

俺を見かける( たび)

 

「 にゃん太郎、元気か ?」

 

「 にゃん太郎、最近 店に来ないけど腹は減っていないのか ?」

 

「 にゃん太郎」「にゃん太郎」「にゃん太郎」「にゃん太郎」

 

他の人間も聞いていたせいか、今では すっかり『にゃん太郎』で定着してしまった。

 

とりあえず、腹を空かしているようだし おっちゃんの所にでも行くか !

 

「『 ウッシー』から母乳を分けて貰うように頼むから

それまで我慢してくれよ、坊っちゃん……嬢ちゃん ? 」

 

ママ ママ ママ と泣いている子猫を おっちゃんの居る店に連れて行った。

 

 

「 ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン

( おっちゃん、助けてくれ ! とりあえず子猫に(ウッシーの)ミルクをやってくれ )」

 

おっちゃんが、気付いて直ぐに出て来てくれた。

 

「なんだ なんだ にゃん太郎 !

今度は、子猫か ?………ほどほどにしてくれよ~ 」

 

「 ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン ニャオ~ン

( それより、おっちゃん ! 子猫にミルクをやってくれよ)

 

ウッシーの奴も気が付いて出て来てくれた。

 

「 にゃん太郎親分、その子猫は どうしたんだニャ ?」

 

「 訳は後で話すから、子猫にミルクをやってくれよ !」

 

「はい はい にゃん太郎親分には、世話になったから それくらい御安い御用だよ 」

 

そう言って、ウッシーが子猫にミルクを与えてくれた。

 

腹が減っていたからか、一生懸命にミルクを飲んでいる。

 

 

「 おお ! ウッシーも にゃん太郎も偉いぞ ………

この子猫の毛並みは、薄い茶色だなぁ~ ……

よし ! この子猫の名前は『 ココア 』だな ! 」

 

おっちゃんにしては、意外とマトモな名前だな………と思っていたら……………

 

 

 

「 ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア

( もー ! もー ! もー ! 私が『ウッシー』で、この子猫が『 ココア 』だなんて 差別だわ !」

 

抗議している ウッシーに対して、おっちゃんは

 

「 ハハハハ、 ウッシーも賛成してくれているのかな

俺は名前を付けるのは、得意なんだよ 」

 

 

「 ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア ニャア !

( もー ! もー ! もー ! どうして、そんなに都合良く解釈出来るのよぉー ! )

 

 

どうやら、ウッシーも大変みたいだなぁ~

 

任務を完了した俺は、日向ぼっこをする為に移動するのであった。



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101 回目のプロポーズ ?

 

俺の名は、にゃん太郎。 この地域のボス猫だ !

 

今日も真面目に縄張りをパトロールしているところだ。

 

グゥゥゥ

 

う~ん、腹が減ったなぁ~

 

この近くだと、おっちゃんの(ところ)が近いな。

 

ウッシーに預けた子猫(ココア)の事も気になるから行ってみるか !

 

そうして、俺は おっちゃんの勤めている料理屋に向かった。

 

おっちゃんの店に向かう途中で、落ち込んでいるようにトボトボと歩く『ガンモ』に会った。

コイツは、居酒屋『あおきや』の飼い猫なんだが 今時珍しく自由に外を歩いている飼い猫なんだよな。

最近の飼い猫は、完全に室内飼いで外を自由には歩けないようにされているんだ。

 

「 お~い ! えらく元気がないが、またフラれたのか ガンモ ?」

 

「 にゃん太郎親分 ! 猫聞きの悪い事を言わないでくれよ !

まだ、二十五回しかフラれていないんだから いつもフラれているみたいな風に言わないでくれよ ! 」

 

「 で ! 今度の相手は誰なんだい ? 」

 

「 宮村さんの家の『 ミンミン 』だよ 」

 

「 うわぁぁぁ あのお嬢様に恋をするなんて、相変わらず無謀(むぼう)な奴だなぁ~ ! 」

 

「 放っといてくれ ! あ~あ、おいらの運命の(つがい)は何処にいるのやら、ハァ~ 」

 

「 運命の(つがい)ねぇ~…………

確か、この間は薬屋の看板猫の『レオナ』にフラれたんだよな~ 」

 

「 うっ、 嫌な事を覚えているなぁ~ 」

 

「 その前は、え~と確か クリーニング屋の『クリス』だったかなぁ~ 」

 

「 親分 ! 猫の癖に記憶力が有りすぎるんじゃないのか ?」

 

「 ニャハハハハハハハ、 親分なら、これくらい当然のことだよ」

 

 

ガンモの奴は、バツが悪くなったのか毛繕(けづくろ)いを始めた。

 

「 そういう親分こそ、彼女がいるのかよ ! 」

 

俺に八つ当たり気味に質問してきたので答えてやった。

 

「 ふっ、知らなかったのか 、 俺の彼女は花屋の『カスミ』ちゃんだよ ! 」

 

(うそ)だぁーーー!

あの可憐な娘が親分の彼女のハズがない ! 」

 

失礼な奴だなぁ~………絶叫するガンモに

 

「 たこ焼き屋の『 マユキ』ちゃんも俺の彼女だぞ ! 」

 

そう言うと、口をあんぐり開けて呆けているガンモが

 

「 おいらの方が親分より、ずっ~と美猫なのにどうしてなんだぁーー ! おいらは、後 何回フラれたら彼女が出来るんだよ ?

教えてくれ、にゃん太郎親分 ? 」

 

「 伊達や酔狂で親分なんて、やってないのさ !

人間のテレビで見たが、モテない人間の男でも100回フラれ続けて101回目で彼女が出来た奴がいるらしいから、まだまだ(あきら)めるのは早いぞ ! 」

 

そう、ガンモの奴を(はげ)ましてやった。

 

「 そうか ! そんなモテない奴にも彼女が出来たんなら、おいらにも まだまだ希望があると云う事だな。

ありがとう、親分 ! 流石、おいら達のにゃん太郎親分だ ! 」

 

 

俺の名は、にゃん太郎。 悩める仲間たちの相談にも答えてやる優しいボス猫だ !

 



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同情するなら…………

【  にゃん太郎side】

 

「ニャォ~ン ニャォ~ン ニャォ~ン ! ( おっちゃん、ご飯をちょうだいな !)」

 

俺が鳴いていると、おっちゃんが裏口から出てきた。

 

「 おっ ! にゃん太郎、御飯(めし)か ? ちょっと待っていろよ 」

 

そう言って中に引っ込んでいった。

 

今日の御飯(めし)は、何かなぁ~

ここの店のマグロの血合も旨いから好きなんだよなぁ~

たまに、骨からすくったトロを混ぜてくれるから、おっちゃんが好きなんだよな。

ハズレは、キャットフード(カリカリ)なんだが、食えないよりはましだから贅沢(ぜいたく)は言えないんだよな。

 

そんな事を考えていたら、ウッシーが小屋(発泡スチロール製)から顔を出した。

 

「 にゃん太郎親分、今日の御飯(めし)は『缶詰(かんづめ)』よ !

何でも、おっちゃんの(ウチ)の猫が食べないから持って来てくれたみたいよ 」

 

おっちゃんの家の猫と云うとアノ子猫か ?

元気なのか ?食欲が無いなら心配だなぁ~

 

 

「 親分は、おっちゃんの家の猫を知っているの ?

おっちゃんの話だと『 モ◌プチ』をやったら安い缶詰めを食べなく成ったから私達に持って来たらしいんだけど、どんだけ贅沢(ぜいたく)なのよぉー !

安い缶詰めと云うわりには、美味しいと思った私の立場は どうなるのよぉー !」

 

…………おっちゃんの事だから、かなり甘やかしているんだろうなぁ~

 

「 知っているなら教えてよ !

もしかして、血統書付きのお貴族さまだなんて言わないわよね ? 」

 

「 三毛猫だよ。 俺達と同じ野良猫出身だ ! だいぶ前に人間の子供達が店に連れて来たんだよ。 それで、この店の女将 (おかみ)が おっちゃんに(すす)めて 飼うように成ったみたいだぞ 」

 

「………良く、そこまで知っているわね 」

 

「 見ていたからな………ちょうど日向ぼっこをしていたんだよ。

わざわざ(のぞ)いていた訳じゃないぞ 」

 

「 まあ、この店には『 ロン姉さん()』が居るけど姉さんは、私達『猫』にも優しい『犬』だからねぇ~。

二匹は飼えないから、おっちゃんに薦めたのかねぇ~ 」

 

ウッシーと世間話をしていたら、おっちゃんが御飯を持って出てきた。

 

「 ほら御飯だぞ、にゃん太郎 !」

 

そこには、結構豪華な御飯があった。

クン クン と匂いを()いだら

 

「 カツオだ ! 缶詰めじゃ無い 生のカツオだ ! だいぶ前に、おっちゃんから切れ端を貰ったアノ匂いだ 」

 

「 カツオの落とし と 血合を取って置いたから(きざ)んできたぞ !

ウッシーの件やココアの件で活躍したから、御褒美(ごほうび)だぞ ! 」

 

俺が、久しぶりのカツオを食べようとしたら

 

「 ニャーオ ニャーオ ニャーオ ニャーア ニャーア ニャァーオ !(にゃん太郎親分だけズルいわ ! 私も食べたかったのにぃー ! ) 」

ウッシーが騒ぎ出した。

 

そして、俺が食べようとしたカツオをウッシーが食べようとした時、

 

「 こぉ~ら、駄目だぞ ! 」

 

と、言ってウッシーを後ろから抱き上げたのは

 

「 あっ、親方 ! スミマセン、ウッシーを止めてもらって」

 

この店の大将(たいしょう)だった。

 

おまえが(ウッシーが)食べると子猫達も食べようとするから我慢しろよ ! 子猫達には『生魚(なまさかな)(刺身)』は、早いからな 」

 

見ると小屋(ウッシーの部屋)から子猫達が顔を出していた。

なるほど、そういうことか。

 

「 シャァァァーー!(この御飯(めし)は俺のだから、やらないぞ ! 」

 

子猫達に威嚇(いかく)したら顔を引っ込めた。

 

「 ウニャ ニャ ニャ ニャ ニャ ニャァ ニャァーオ(同情するが、ウッシーの分まで俺が食べてやるから安心してくれ)」

 

ガツガツと俺が食べていると

 

「ニャ ニャ ニャ ニャ ニャォ~ン ニャォ~ン ニャァーオン!

( もー ! もー ! もー ! 同情するなら、一切れくらいカツオをよこしなさいよ !)」

 

もちろん、俺はきれいに完食した。

 

俺の名は、にゃん太郎『お残し』をしない主義のボス猫だ。

 

 




※作者より

不定期更新に成ります。

よろしくお願いいたします。


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