好き勝手していたら変な方向に育ちました。 (瓶詰め蜂蜜)
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〈1〉キャラメイク

まだ未完が殆どなのに性懲りもなく新作作ってるやつがいるってさ。


「ついに、ついに手に入れたー!!」

 

 自室の中心でゲームのパッケージを掲げて狂喜乱舞している女が居るらしい。僕だ。

 

「……って、何言ってんだろうボク」

 

 ふと、正気に戻って、先程までの自分を思い出し、我が事ながらドン引きした。

 

「けど、ここから始まる!我がVRMMO伝説ー!」

 

 そう言って、ボク、涼風すずかぜ光希みつきは改めて手に入れたゲーム……『NewWorld Online』通称NWOのパッケージを見つめてニヤニヤするのだった。

 

「おっと、早速決めよう!思い立ったが吉日それ以外はすべて凶日!」

 

 そう呟いて早速ハードの設定を始めるのでした。まる。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 そうして、ハードの設定を終えて、電脳空間へと入ったら、真っ白な世界にいくつもの四角にラインの入ったデザインの入った場所にいた。

 

「これより、初期設定を開始する!」

 

「あ、身バレ防止で髪色と目の色だけは変えれるんだ。……まあ、体が色々突然変わったらリアルでも大変だしねぇ。ここは、最強スライムのリムル様に因んで青色で〜……。そうそう、このColoring!Very Good!Very Good!目の色は〜。右紅左蒼でオッドアイに!」

 

 

 

 

 

ピッ

 

 

 

 

 

「え~っと、次はプレイヤー名か。本名でやっても良さそうだけど、どうせなら全力で遊び心を全開に!」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「光希……光る希望……。駄目だ!?フラッシュホープとか、ダサダサの特撮ヒーローみたいになっちゃう!?……これじゃあ、片一方だけから取るしかないか?」

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「希望より光の方から取ったほうがいいかも?……ライト?なんかシンプル過ぎて逆にやだ。……あ、確か光関連の単位でルクスってあったような……。よし!ル、ク、ス!っと。自画自賛だけどボクのネーミングセンスって良すぎ!?」

 

 

 

 

 

ピッ ウォン

 

 

 

 

 

 名前を打ち込むと入力画面が消え、様々な透明な武器が現れた。

 

「うわっ!?武器が一杯!ってことは次は 初期装備ね」

 

 様々な武器を見つめ、じっくりと考える。

 

「杖に槍に弓、片手剣、双剣、大剣、メイス、斧…あ、大盾なんてのもあるんだ。杖を使って魔法使い?槍を片手にクー・フーリンごっこ?弓とか片手剣とかもカッコいいけど……。ん?」

 

 ふと視線を動かすと、先にあったのは武器に並んだ異色のもの。

 

「いやいや、なんで初期装備にハープ交じってんの?吟遊詩人でもいるの?」

 

 ハープ。楽器である。

 

 もう一度言おう。()()()()()()()()()

 

 

 

 思わず気になり、詳細を開く。

 

 

 

「えーっとなになに?《楽器》?……ハープは武器だったのか?えっと、一応、打撃系の武器なのか。お?まだ、詳細が……」

 

 

《楽器があればどこでも楽しく演奏できる》

 

 ……それ、何か意味あるのかな?

 

 ……けど、面白そうだ。

 

「次がステータスってことはこれが最後の設定かな?ステータスポイントは100あって、HP、MP、パラメータのSTR、VIT、AGI、DEX、INTに振ることができるってわけね。いいね!楽しそうね!ここはプレイしてて面白そうなキャラメイクにしよ!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「昔の偉人は言いました。……速度こそ最大の攻撃!」

 

 

 そう、AGIに極振りしました♪

 

「さあ、____ゲームを始めよう!」




はい。私です。


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〈2〉ハープの演奏

 目を開くとそこは大きな街だった。

 

「ロ・グ・イ・ン。完了!」

 

 片手にハープを持って、軽くポーズを取る。が、周りに見られたため、コソコソと退散する。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「いやー……。つい調子に乗っちゃったよ。っと、その前にステータス確認っと」

 

ルクス

 

Lv1

 

HP 40/40

 

MP 12/12

 

 

 

【STR 0〈+9〉】

 

【VIT 0】

 

【AGI 100】

 

【DEX 0】

 

【INT 0】

 

 

 

装備

 

頭 【空欄】

 

体 【空欄】

 

右手 【初心者のハープ】

 

左手 【空欄】

 

足 【空欄】

 

靴 【空欄】

 

装飾品 【空欄】

 

【空欄】

 

【空欄】

 

 

「……お?あちらにボクと同じような貧相な装備の人達が……。レベリングスポットだな?よし、行くか!」

 

 ハープを片手に人の波を追いかける。

 

「ついてく。ついてく……」

 

 そうして、森へと到着すると、ボクは取り敢えずハープを持ち直して、

 

「死に晒せぇ!」

 

 すぐ近くにいた魔物を殴りつけた。

 

「きゅい!?」

 

 殴り飛ばされたのはりんごっぽいカラーリングのうさぎ。うん。かわゆい。

 

「君が!鳴くまで!殴るのを!止めない!」

「きゅっ!?きゅっ!?きゅうううっ!!」

「ごめん!訂正!鳴いても!止めない!」

「きゅいいいいっ!!」

 

 うさぎを殴って殴って殴り続けて、相手に行動させずに終わった。

 そして、殴り続けて暫くし、パリンという音と共に白兎は光輝く粒子となって消えていった。ドロップアイテム一つも落とさず、跡形も無く無くなってしまった。

 

『レベルが2に上がりました』

 

「お?レベルアップきた?」

 

 少しにやけながらぱぱっとステータスを開いて手に入れたポイントをAGIへと振り分けた。

 

「これでまた速度アーップ!っと?蜘蛛?」

 

 殺気を感じて横に避けると、蜘蛛が襲い掛かってきたようだった。

 

「……蜘蛛って食べたらなんの味がするのかな?」

 

 ふと気になったが最後。どうしても確かめたくなって、蜘蛛へと襲いかかった。

 

「いただきま~す!」

 

 

 

 

 結果は、蟹っぽい味がしました。まる。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 蟹っぽい味に味を占めて(味だけに)蜘蛛狩り&捕食を繰り返していると、

 

『スキル【糸使いI】を取得しました』

 

「……食べればスキルが増えるってマジだったのか」

 

 新しく手に入れたスキルの詳細を見てニヤリと笑うと、試してみることにした。

 

「【右手:糸】っておおっ!?」

 

 使ってみると、右手から蜘蛛の糸が飛び出してきた。

 

「これを使えば……スパイダーマンになれる!?」

 

 更にニヤリと笑うボク。脳裏には木々の間を糸を使って飛び回る姿が浮かんでいた。

 

「……っと、スパイダーマンはまた今度。折角ハープを選んだんだし、こっちも使ってみないとね」

 

 近くの岩に座り、ハープを弾き鳴らし始めた。

 自分で言うのも何だが、なかなか上手に弾けている。……どうせなら弾き語りするか?よし、そうしよう。

 

「この世界の毎日は その全てがスペシャル

キラキラ ドキドキ 沢山の夢が詰まってる

れっきとした大冒険 ありきたりじゃつまらない

だけど女の子は 痛いのは嫌なのです」

 

 指で爪弾くハープの弦。現実リアルでハープを弾いたのは結構前になるけど、意外と覚えてるもんだね。

 

「胸騒ぎ次元転送 可能にするVR

ゴーグルの向こうは 光に包まれ

飛び込んでくるアナザーワールド───」

 

 ハープを弾いていると、気配を周囲に感じた。ちらりと見てみると、モンスター達が並んでハープの旋律に体を揺らしていた。それはまるで、ボクの歌声に聞き惚れて、リズムを取っているかのように。

 

「幼い夢の憧れは 空に描いたヒロイン

小さなその一歩で ページが開かれるBOOK

特別な奇跡の出会い 全部大切なメモリー

マイノリティなエンジェル ミラクルを引き寄せる

究極アンバランス!」

 

 モンスター相手だけど、ライブ感覚でちょっと楽しい。

 

「物語は場面ごとに 実はみんなもヒロイン

小さなその勇気と あとは思い込みでOK

信じられる仲間達と 目に見えない絆で

リアルさえも越えて この胸を熱くする

究極アンバランス!

 

幼い夢の憧れは 空に描いたヒロイン

小さなその一歩で ページが開かれるBOOK

特別な奇跡の出会い 全部大切なメモリー

マイノリティなエンジェル ミラクルを引き寄せる

究極アンバランス!」

 



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〈3〉スキル集め

「ふぃ〜。ちょっち疲れたー」

 

 あの後、曲が終わって暫くすると、示し合わせたようにモンスターたちが同時にハッとして、襲い掛かってきたので、【糸使い】を使いまくって避けて躱して縛って捉えてとしていたら、【糸使いⅠ】から【糸使いⅢ】まで上がった。

 そうして一息ついていると、

 

『レベルが6に上がりました』

『スキル【楽器の心得Ⅰ】を取得しました』

『スキル【演奏Ⅰ】を取得しました』

『スキル【歌唱Ⅰ】を取得しました』

『スキル【自然の歌い手】を取得しました』

『スキル【挑発】を取得しました』

『スキル【立体機動Ⅰ】を取得しました』

『スキル【大物喰らいジャイアントキリング】を取得しました』

『スキル【瞬足Ⅰ】を取得しました』

 

 と、怒涛のアナウンスが聞こえてきた。

 

「おお〜っと?ちょいっと見て見るナリか」

 

 ぱぱっとステータスを開くと、

 

スキル【楽器の心得Ⅰ】

 

楽器操作の心得を得る。

 

取得条件

 

楽器を使い、演奏する。

 

スキル【演奏Ⅰ】

 

スキル所有者の演奏を補助する。

 

取得条件

 

楽器を使い、演奏をする。

 

スキル【歌唱Ⅰ】

 

このスキルの所有者の歌声の強化をする。

 

取得条件

 

一定数の相手(NPC相手も可)を前に一曲歌い切ること。

 

スキル【自然の歌い手】

 

このスキル所有者が歌っている間、ヘイトを向けていないモンスター相手から狙われない。

 

取得条件

 

一定数のモンスターを相手に一曲歌い切ること。かつヘイトを向けられないこと。

 

スキル【挑発】

 

モンスターの注意を一点に引き寄せる。

 

取得条件

 

十体以上のモンスターの注意を一度で奪うこと。

 

スキル【立体機動Ⅰ】

 

このスキル所有者が立体機動を行うときにボーナスがかかる。

 

取得条件

 

空中を飛行などの手段以外で一度も足を地面につけずに十体以上の相手に勝利すること。

 

スキル【大物喰らいジャイアントキリング

 

HP、MP以外のステータスのうち四つ以上が戦闘相手よりも低い値の時にHP、MP以外のステータスが二倍になる。

 

取得条件

 

HP、MP以外のステータスのうち、四つ以上が戦闘相手であるモンスターの半分以下のプレイヤーが、単独で対象のモンスターを討伐すること。

 

 

スキル【瞬足Ⅰ】

 

このスキルの所有者のAGIを一時的に二倍にする。クールタイムは48時間÷スキルレベル。

 

取得条件

 

一時間の間十体以上の敵の攻撃を同時に躱し続けること、AGIが100を超えていてなおかつ、HP、MP以外にポイントが2桁未満であること。

 

「……瞬足の取得条件厳しくな〜い?ま、手に入ったもんは手に入ったし、有り難く貰っとこ!……で、今のレベルは……わぉ、もう6ですか……。今度はSTRにふっとこ。……これで素で10か」

 

 ぼんやりとステータスを暫く見つめて、ボクは決めた。

 

「よし、暫くはなんか面白そうなスキルを集めとこ」

 

 そう言いつつ、【糸使い】を使って糸を出しては結って、糸を出しては結ってと繰り返していると、

 

『スキル【糸使いⅢ】が【糸使いⅣ】に変化しました』

 

 ご覧の通りレベルも上がりました。そして、作った縄を手に持つと、何となく感じ取った気配の下までこっそりとスニーキング。

 そして……

 

「捕らえたぁっ!!」

「きゅう!?」

 

 いつか見たウサギさんをとっ捕まえて縄で縛り上げた。

 

『スキル【気配察知Ⅰ】を取得しました』

『スキル【忍び足Ⅰ】を取得しました』

『スキル【捕縛Ⅰ】を取得しました』

 

「おっと、新しいスキルをまたまたゲットしたっぽいけど……今はこっちなんだよねぇ」

 

 ニタリと笑ったボクの顔を見て、心なしかウサギが怯えたように鳴いたのだった。



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〈4〉ダンジョンアタック《毒竜》

 やぁみんな!ボクだ!メロンは果肉たっぷり!ボクは贅肉がたっぷり!それじゃ!

 

 ……って、誰がドメスティックバイオレンス肉まんおばけじゃ!!幼少期から母の実家でちょっとした古武術を磨かされたボクには贅肉はない!!そう、腹にも。そしてお胸にも……ね。

 

「はぁ……」

 

 ……何でボクはわざわざゲームの中で脳内コントを繰り広げて巫山戯て、自滅してその上、ため息をついてるんだろう。

 

「……よーし、切り替えて行こう!うん!」

 

 軽く両頬を叩くと、顔を上げた。

 

 

 

 ウサギを縛り上げたのは数日前。その後、か弱いウサギをはじめとしたいくつかのモンスターを相手に色々と試してみた結果がこちらです。

 

 

 

ルクス

 

Lv15

 

HP 50/50

 

MP 12/12

 

【STR 20〈+9〉】

【VIT 25〈+6〉】

【AGI 105】

【DEX 0】

【INT 0】

 

 

装備

 

頭 【空欄】

体 【空欄】 

右手 【初心者のハープ】

左手 【空欄】

足 【空欄】

靴 【空欄】

装飾品 【フォレストクイーンビーの指輪】

    【空欄】

【空欄】

 

スキル

【糸使いⅥ】【歌唱Ⅳ】【楽器の心得Ⅳ】【演奏Ⅳ】【自然の歌い手】【挑発】【立体機動Ⅴ】【瞬足Ⅰ】【気配察知Ⅲ】【忍び足Ⅲ】【捕縛Ⅲ】

【瞑想】【体術Ⅱ】【足捌きⅡ】【寸勁Ⅰ】【武器使いⅢ】【鞭の心得Ⅱ】【短剣の心得Ⅱ】【剣の心得Ⅱ】【槍の心得Ⅱ】【棒の心得Ⅱ】【毒耐性中】【弓の心得Ⅰ】【兎の耳】【狼の鼻】【悪食】

 

 瞑想、体術、足捌き、寸勁はゲーム内でも似たようにできるか、現実でもやっていることをやってみたら習得できたのだ。そして、本来適性外である武器を使って、スキルの真似事をしつつそれぞれでモンスターを倒していたら、

 

【武器使いⅠ】

 

適性外の武器を装備できる。

 

取得条件

 

適性外の武器を複数種類、それぞれの武器に対応したスキルの技を模範してモンスターを合計五十体撃破すること。

 

 というものを取得したあと、改めて行ったらそれぞれの武器の心得を取得出来た。

 

 そして今回は、ソロでダンジョンクリアを目指すのである。

 

「そして今回訪れたのが……【毒竜ヒドラの迷宮】でーす!」

 

 一人、洞窟の前でパチパチパチと手を鳴らす。さあ、突撃だぁ!

 

 

 

◇◇◇◇◇◇少女探索中………◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 はい!というわけでやって来ましたボス部屋前!へ?道中の戦闘?別に特筆することもないし、全カットよ全カット。

 てな訳で……。

 

「ダイナミックにおっ邪魔っしまーす!!」

 

 扉を開けると同時に【糸使い】で右手から糸を出して、【鞭の心得】を利用して毒竜へと叩きつけた。

 

「オラオラオラオラ!」

 

 攻撃を続けていると、毒のブレスを吹きかけられた。

 

「げっ!?【毒耐性】突き抜けてダメージっすか!?……まぁ、予想通りだけど」

 

 毒を受けてから、毒竜の攻撃を回避しながらも、自身の残りHPに気を配りながら避け続け、ギリギリのところで回復をする。

 毒が消えたらまたわざと毒を浴びて同じことを繰り返す。

 そんな作業を続けたかいがあったのか。脳内にアナウンスが聞こえた。

 

『スキル【毒耐性中】が【毒耐性大】に進化しました』

 

 しかし、それでも少しはダメージが入ってしまう。どうやらまだまだ上があるようだった。

 そして……、

 

『スキル【毒耐性大】が【毒無効】に進化しました』

 

 というアナウンスが聞こえてきた。そして、それと同時に毒竜の毒からダメージが入らなくなった。

 

「……くくく、クハハハ、クァーッハッハッハッ!!この時を!この時を待っていたのだよ!!」

 

 唐突に駆け出すボク。毒竜は突然のことに一瞬だけだが動きが遅れた。

 しかし、その一瞬だけでもいい。【糸使い】を利用した高速の【立体機動】。少しずつだが、確実に毒竜のHPを削っていた。

 そんな時だった。ボクはふと疑問に思ったのだ。「あの腐った体の毒竜の肉は、どんな味がするのかと」

 

 一度気になってしまっては、どうしようもなく、好奇心に負けたボクは……

 

「ガブッ!!」

 

 思いっきり毒竜に噛み付いた。

 

「ふむふむ。見た目は腐肉、食感はジャーキー。肝心のお味はピーマンのような苦味……。結論は、不味い!もう一杯!って感じかな?」

 

 呟きつつもぐもぐと毒竜の肉を食べ進める。いや、本当に不味いんだが……。なんか、癖になってきた。

 

「おっ?毒ブレス掛けると辛味に変化すんのね。大食いに味変は重要!!ってことで毒竜さん。サンキュー」

 

 こうして毒竜を食べ進めていくと、

 

「お?HP無くなったん?……捕食して勝利なんて、リムル様に近づいてる?……いや、んなわけ無いか。って、おお?」

 

『スキル【毒竜喰らいヒドライーター】を取得しました。これにより【毒無効】が【毒竜ヒドラ】に進化しました』

 

『レベルが19に上がりました』

 

「へぇ……!!まさかまさかの進化ですよ、これは」

 

毒竜喰らいヒドライーター

 

毒、麻痺を無効化する。

 

取得条件

 

毒竜をHPドレインで倒すこと。

 

毒竜ヒドラ

 

毒竜の力を意のままに扱うことが出来る。

 

MPを消費して毒魔法を行使出来る。

 

取得条件

 

毒無効を取得した上で毒竜をHPドレインによって倒すこと。

 

「……魔法キター!!これからは、MPとINTにも割り振らないとなぁ……。上がってきたー!!」



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〈5〉ユニーク

「さてさてさーて?早速ポイントをMPとINTに……っと、よし!それじゃ、次は……」

 

 ステータスを確認し終わると、毒竜ヒドラを倒したときに現れたデカい宝箱へと向かう。

 

「Let's Open!」

 

 そう言って、宝箱を開くと……

 

 

 

「わお、カックイー」

 

 中に入っていたのは黒を基調として白いフリルがところどころにあしらわれたアイドルのような衣装。

 

 ヘッドとネックが毒竜の意匠を施された上品な紫色のエレキギター。

 

 そして黒く厳かに光沢を放つヘッドホン。

 

【ユニークシリーズ】

 

単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者だけの為の唯一無二の装備。

一ダンジョンに一つきり。

取得した者はこの装備を譲渡出来ない。

 

 

 

『常夜ノ衣』

 

【VIT +20】

 

【破壊不可】

 

スキルスロット空欄

 

 

毒竜ヒドラのギター』

 

【STR +25】

 

【破壊不可】

 

スキルスロット空欄

 

 

 

『朧夜のヘッドホン』

 

【INT +15】

 

【破壊不可】

 

スキル【独奏舞台ソロステージ

 

 

「えーっと……なんや、このスキル?」

 

スキル【独奏舞台ソロステージ

 

 周囲の状況を察知し、他の情報をシャットダウンする。

 

「……思いっきり、吟遊詩人向けのスキルやん。ま、楽しめそう!……ん?一ダンジョンに一つきり?ってことは……」

 

「他のダンジョンを初回戦闘でボス撃破したら、更に取得できると?なにそれ、めっちゃ滾るやん!!」

 

 ここに、ボクの暫くの目標ができた。そう、それは……

 

「目指せ!ユニーク装備集め!!」

 

 

 オー!と、右腕を天へと突き上げるのだった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 毒竜討伐から数日後。

 

 1週間後、イベントがあるらしい。

 

「んー……このステータスで、上位十位行けるか?」

 

 

ルクス

 

 

Lv24

 

 

HP 50/50

 

MP 22/22

 

 

【STR 25〈+25〉】

 

【VIT 25〈+6〉〈+20〉】

 

【AGI 115〈+10〉】

 

【DEX 25〈+10〉】

 

【INT 10〈+15〉】

 

 

 

装備

 

 

 

 

頭 【朧夜のヘッドホン︰独奏舞台ソロステージ

 

 

体 【泡沫のワンピース︰大海】 

 

 

右手 【毒竜ヒドラのギター︰毒竜ヒドラ

 

 

左手 【空欄】

 

 

足 【水月のソックス︰大海】

 

 

靴 【空欄】

 

 

装飾品 【フォレストクイーンビーの指輪】

 

    【空欄】

 

    【空欄】

 

スキル

 

【糸使いⅦ】【歌唱Ⅵ】【楽器の心得Ⅵ】【演奏Ⅵ】【自然の歌い手】【挑発】【立体機動Ⅵ】【瞬足Ⅱ】【気配察知Ⅲ】【忍び足Ⅲ】【捕縛Ⅲ】【瞑想】【体術Ⅱ】【足捌きⅣ】【寸勁Ⅱ】【武器使いⅢ】【鞭の心得Ⅳ】【短剣の心得Ⅱ】【剣の心得Ⅱ】【槍の心得Ⅲ】【棒の心得Ⅱ】【弓の心得Ⅰ】【兎の耳】【狼の鼻】【悪食】【毒竜喰らいヒドライーター】【斧の心得Ⅱ】【槌の心得Ⅱ】【超加速】【パワーアタック】【釣り】【水泳Ⅳ】【潜水Ⅳ】【筋力強化小】【火魔法Ⅰ】【水魔法Ⅰ】【風魔法Ⅰ】【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【光魔法Ⅰ】【ファイアボール】【ウォーターボール】【ウィンドカッター】【サンドカッター】【ダークボール】【リフレッシュ】【料理Ⅱ】【急所突き】【採取速度強化小】【MP強化小】【MPカット小】【MP回復速度強化小】【魔法の心得II】【跳躍Ⅲ】【器用貧乏】【クイックチェンジ】

 

 

「……微妙だなぁ。ま、もう少し鍛えてみるか」

 

 そう呟くと、ボクは先程クリアしたダンジョンのあった湖を出るのだった。



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〈6〉第一回イベント1

 イベント当日。最後のステータスチェックの為に青色のパネルを出す。

 

 

 

 

ルクス

Lv24

HP 50/50

MP 22/22

 

【STR 25〈+25〉】

 

 

【VIT 25〈+6〉〈+20〉】

 

 

【AGI 115〈+10〉】

 

 

【DEX 25〈+10〉】

 

 

【INT 10〈+15〉】

 

 

 

装備 

頭 【朧夜のヘッドホン︰独奏舞台ソロステージ

体 【水面のワンピース︰大海】 

右手 【毒竜ヒドラのギター︰毒竜ヒドラ

左手 【空欄】

足 【水月のソックス︰大海】

靴 【空欄】

装飾品 【フォレストクイーンビーの指輪】

    【空欄】

    【空欄】

 

 

スキル

【糸使いⅦ】【歌唱Ⅷ】【楽器の心得Ⅷ】【演奏Ⅷ】【自然の歌い手】【挑発】【立体機動Ⅵ】【瞬足Ⅱ】【気配察知Ⅲ】【忍び足Ⅲ】【捕縛Ⅲ】【瞑想】【体術Ⅱ】【足捌きⅣ】【寸勁Ⅱ】【武器使いⅢ】【鞭の心得Ⅳ】【短剣の心得Ⅱ】【剣の心得Ⅱ】【槍の心得Ⅲ】【棒の心得Ⅱ】【弓の心得Ⅰ】【兎の耳】【狼の鼻】【悪食】【毒竜喰らいヒドライーター】【斧の心得Ⅱ】【槌の心得Ⅱ】【超加速】【パワーアタック】【釣り】【水泳Ⅳ】【潜水Ⅳ】【筋力強化小】【火魔法Ⅰ】【水魔法Ⅰ】【風魔法Ⅰ】【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【光魔法Ⅰ】【ファイアボール】【ウォーターボール】【ウィンドカッター】【サンドカッター】【ダークボール】【リフレッシュ】【料理Ⅱ】【急所突き】【採取速度強化小】【MP強化小】【MPカット小】【MP回復速度強化小】【魔法の心得II】【跳躍Ⅲ】【魅惑の旋律】【器用貧乏】【投擲】【長剣の心得Ⅱ】【刀の心得Ⅱ】【飛撃】

 

「まあ、準備はできてるかな?」

 

 ステータスを見つつ呟いていると、

 

『がお〜!』

 

 中になにか飛んでいた。

 

『それでは「『NewWorld Online』第一回イベントを開始するどら〜!制限時間は三時間。ステージは新たに作られたイベント専用マップ!倒したプレイヤーの数と倒された回数、それに被ダメージと与ダメージ。この四つの項目からポイントを算出し、順位を出します!さらに上位十名には記念品が贈られるどら!ちなみにボクはこのゲームのマスコット「ドラぞう」!初めての方は以後よろしくどら〜』

 

「…マスコットとか居たんだ」

 

 マスコットの存在に驚いている間に、カウントダウンが開始され、ゼロになると同時にボクの体は光に包まれた。

 

 

 

 

「ん……っと、ここは?」

 

 転送が完了したことに気付き、辺りを見渡すと、そこは森になっていた。

 

「森、ねぇ……。ま、良いや。それじゃ、早速……」

 

 周囲の確認を終えると、朧夜のヘッドホンを耳に当て、毒竜ヒドラのギターを構えると、ギターを弾き始める。

 

「雨上がりBreak Cloud 隙間から 青空が手招きしてる Alright そろそろ行こうか」

 

 歌い始めると、独奏舞台が効果を発揮し始める。すると、他のプレイヤーの気配を感じ取った。

 

「誰かが言うLogic信じない 直感は信じていたい

High Time 始まりを探して

Fire Up,Ignition

ヘヴィーなプレッシャーぶっ壊してアクセル踏み込め!」

「居たぞ!」

 

 沢山のプレイヤーが襲い掛かってきたが、その速度はとても遅い。新しいスキルの一つ、【魅惑の旋律】の効果だ。

 

スキル【魅惑の旋律】

 

 自身を起点とした一定範囲内の敵のAGIを半減させる。

 

取得条件

 

 24時間歌唱込みで演奏する。

 

「なっ!?遅い!?」

 

 そして、弦を弾くことで生じる振動を【飛撃】を使って衝撃波へと変える。

 

「えっ?うぎゃあっ!?」

 

「Surprise 世界中がDrive!

Feelin' high 目醒めるような

始まる 運命には バックギアはない… All we need is“DRIVE”」

 

 ギターを弾いて敵を吹き飛ばし、歌を歌って素早さを下げる。敵から飛んでくる魔法は【足捌き】で躱す。

 こうして、ボクは楽しみながら敵を倒していくのだった。

 



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〈7〉第一回イベント2

 残り時間は後一時間となっていた。後たった一時間で全ての順位が決定するのだ。

 

 そんな緊張状態の中。

 

 大音量でアナウンスが鳴り響いた。

 

 

 

『現在の一位はペインさん二位はドレッドさん三位はメイプルさんどら!これから一時間上位三名を倒した際、得点の三割が譲渡されます!三人の位置はマップに表示されるどら〜。それじゃあ最後まで頑張るどら!』

 

アナウンスを聞き、マップを開くと、近くにドレッドの反応があった。

 

「ふーん……。行ってみるか!!」

 

 マップを閉じるやいなや、ドレッドの反応があった場所まで向かったのだった。

 

 あ、もちろん途中で襲い掛かってきた方々はボクのポイントとして美味しくいただきました。まる。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「開けろ!デトロイト市警だ!!」ジャーン!!

 

 

「うわぁっ!?」

「ぎゃひっ!?」

「どわぁっ!?」

 

 ポイント到着とともに【飛撃】を他のプレイヤーにシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!

 

 

「へぇ〜……!!なかなかやるんじゃないの?」

「兄さん!?」

「……いや、俺、兄になった覚えないんだけど」

 

 つい巫山戯て叫ぶと、【飛撃】を躱した男……恐らくドレッドが困惑したように返す。

 

「質問です!!貴方がドレッドさんでOK?」

「……まぁ、そうだが?」

「なら、その首……貰います!!」

 

 ギターを構え直して、曲を奏で始める。

 

「強くなれる理由を知った 僕を連れて進め!!」

 

 曲の開始とともに【魅惑の旋律】を発動。ドレッドさんは、その効果にすぐに気が付いたようで舌打ちをしているようだ。

 

「泥だらけの走馬灯に酔う こわばる心

震える手は掴みたいものがある それだけさ

夜の匂いに空睨んでも

変わっていけるのは自分自身だけ それだけさ」

 

 短剣を逆手に持ち、ボクへ向けて駆け出すドレッドさん。【足捌き】と【体術】の応用。あと、PSプレイヤースキルを用いて、ドレッドさんの猛攻をぎりぎりで躱す。

 

「強くなれる理由を知った 僕を連れて進め」

 

 ここでもう一度【飛撃】を飛ばす。しかし、当たり前だが躱されてしまった。まあ、その先に居た哀れな他のプレイヤーが食らったが。

 

「どうしたって!

消せない夢も 止まれない今も

誰かのために強くなれるなら

ありがとう 悲しみよ

世界に打ちのめされて負ける意味を知った

紅蓮の華よ咲き誇れ! 運命を照らして」

 

 そして、連続で【飛撃】を放つ。今度は食らったがそれでも少ない。けど、それでも良い。

 

「イナビカリの雑音が耳を刺す 戸惑う心

優しいだけじゃ守れないものがある? わかってるけど

水面下で絡まる善悪 透けて見える偽善に天罰

逸材の花より 挑み続け咲いた一輪が美しい

 

乱暴に敷き詰められた トゲだらけの道も

本気の僕だけに現れるから 乗り越えてみせるよ

簡単に片付けられた 守れなかった夢も

紅蓮の心臓に根を生やし この血に宿ってる」

 

 【体術】を利用して、ギターを弾きつつ足技で攻撃をする。それにギョッとしたような顔をしつつドレッドさんは避けるが、追い打ちをかけるように【飛撃】を放つ。躱せずダメージを受けたが、ドレッドさんは唐突に加速しだした。

 

(読唇術で読んだけど、ドレッドさんも【超加速】持ってんのか。なら……!)

 

人知れず儚い【超加速】 散りゆく結末

無情に破れた 悲鳴の風吹く

誰かの笑う影 誰かの泣き声

誰もが幸せを願ってる」

 

 とある無敵超人に感銘を受け、リアルで身に付けたちょっとした技術の一つ、『二重声法』。以前ふと思いついてやってみたらまさかゲーム内でも使えるとは思わなかったけど。

 

「どうしたって!

消せない夢も 止まれない今も

誰かのために強くなれるなら

ありがとう 悲しみよ

世界に打ちのめされて負ける意味を知った

紅蓮の華よ咲き誇れ! 運命を照らして【毒竜】

 

 歌いつつドレッドさんに追い付くと同時に、【毒竜ヒドラ】をぶっ放す。ドレッドさんはギョッとした顔をして、そして諦めて目を瞑って毒竜ヒドラに飲み込まれたのだった。

 

『がお〜!!しゅうりょ~う!!』

 

 それと同時に終了のアナウンスがなった。……ギリギリで間に合ったようで良かった。良かった。



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〈8〉スレ1

【NWO】やばい楽器使い見つけた

 

 

 

1名前:名無しの大盾使い

 

やばい

 

2名前:名無しの槍使い

 

kwsk

 

3名前:名無しの魔法使い

 

どうやばいの

 

4名前:名無しの大盾使い

 

何か西の森でスパイダーマンの如く腕から糸出して空中飛び回ってハープでモンスター殴りつけてた。

 

5名前:名無しの槍使い

 

は?普通そうはならんだろ?というか、糸出すスキルってあったか?

 

6名前:名無しの弓使い

>>5

 

いや、知らん。てか、そんなカックイイロマンスキルあるなら俺も欲しい。

 

7名前:名無しの大剣使い

>>5

 

なっとるやろがい!!

 

8名前:名無しの魔法使い

 

そもそもなんで飛び回ってんだ……?

 

9名前:名無しの槍使い

 

そんなこと出来るか?糸で飛び回るって結構難しいだろう

 

10名前:名無しの弓使い

 

>>9

 

何で難易度把握してるんですかねぇ……

 

11名前:名無しの槍使い

 

よく飛び回れるなぁそれ。もし俺ならすぐに酔って吐くわ。

 

12名前:名無しの斧使い

 

ハープ持ってたのか?なら俺多分そいつ知ってるわ

 

13名前:名無しの大剣使い

 

kwsk はよ

 

14名前:名無しの斧使い

 

プレイヤーネームは知らんが身長160くらいの美少女

 

歩く速度からしてAGIはかなり高い

 

因みに俺は糸出せませんはい

 

15名前:名無しの魔法使い

 

>>14

 

いや、普通の人間は糸出せないから

 

16名前:名無しの槍使い

 

あーそれっぽいなって言うか女かそれも美少女か

 

17名前:名無しの弓使い

 

ほうそこに目をつけましたか

 

俺もだ

 

18名前:名無しの大剣使い

 

んーまた追々情報集めるしか無いか

 

トッププレイヤーになるのなら自然と名前も上がってくるだろ

 

19名前:名無しの大盾使い

 

また何か見かけたら書き込むわ

 

20名前:名無しの魔法使い

 

情報提供感謝します!(敬礼

 

21名前︰名無しの弓使い

(`・ω・´)ゞバッ

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

【MWO】第一回イベント観戦席3

 

 

 

 

 

241名前:名無しの観戦者

 

やっぱ優勝はペインか?

 

ゲーム内最高レベルだし無双してんな

 

242名前:名無しの観戦者

 

あれはやばい

 

動きが人間辞めてるw

 

243名前:名無しの観戦者

 

でもやっぱ順当に勝ちを重ねてるのはよく聞く名前ばっかだな

 

244名前:名無しの観戦者

 

トッププレイヤーが強いのはそりゃ当然よ

 

255名前︰名無しの観戦者

 

おっ?なんかカッコイイギター持ってる娘がドレッドに勝負挑んでる

 

256名前︰名無しの観戦者

 

マジやん。えっ?しかも結構かわいい……。

 

257名前︰名無しの観戦者

 

ああ、その娘。さっきからギターを弾いてなんか衝撃波飛ばしてる。

 

258名前︰名無しの観戦者

 

>>257

なぁにそれ……。

 

259名前︰名無しの観戦者

 

それも凄いけど、普通に歌もギターも上手くね?

 

260名前︰名無しの観戦者

 

確かに。普通にプロとしても通用しそう。

 

261名前︰名無しの観戦者

 

は?

 

262名前︰名無しの観戦者

 

えっ?あの娘【超加速】持ってんだ

 

263名前︰名無しの観戦者

 

>>262

いや、そこもだけどそこだけじゃねぇよ!!今、歌いながらスキル使ったぞ!?

 

264名前︰名無しの観戦者

 

俺の耳がおかしくなったのかな……。声が二重になって聞こえたんだけど

 

265名前︰名無しの観戦者

 

>>264

安心しろ、俺もだ

 

266名前︰名無しの観戦者

 

あ、あれはまさか……!?

 

267名前︰名無しの観戦者

 

>>266

知っているのか、雷電!!

 

268名前︰名無しの観戦者

 

>>267

ああ、あれは『二重声法』。無敵超人風林寺隼人の持つ一〇八つの秘技の一つ。気道、声帯、横隔膜、それら全てを左右に分け、かつバラバラに動かす事で、2つの言葉を同時に話す荒業だ……

 

269名前︰名無しの観戦者

 

あ、毒竜ヒドラ出てきた。

 

270名前︰名無しの観戦者

 

あれって、3位の大盾の娘も使ってなかった?

 

271名前︰名無しの観戦者

 

今、若い娘達の間で毒竜ヒドラが流行していてな……

 

272名前︰名無しの観戦者

 

>>271

 

(0M0)<デタラメヲイウナ!

 

名前︰名無しの観戦者

 

>>272

 

ダディャーナザン!?

 

277名前︰名無しの観戦者

 

>>272

 

ナズェミデルンディス!

 

275名前︰名無しの観戦者

 

ダディはお帰り下さい



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〈9〉第一回イベント終了

『けっか〜。一位はペインさん二位はルクスさん三位はメイプルさんだったどら。それでは三位から順にインタビューをしていくよ』

 

「おー……ギリギリで二位になったかぁ。ヤッタで」

 

『まずはメイプルさん!』

 

 アナウンスと同時に、黒髪の美少女が写った。装備からして大盾使いなのが思いっきり分かるが、大盾使いでよく三位になれたな。普通に凄い。

 

「えっあっえっ?えっと、その、一杯耐えれてよかったでしゅ」

 

「……噛んだ」

 

 それも盛大に、だ。しかも何を話せばいいか分からなかったからだろうか、言っていることが滅茶苦茶である。

 

「……けど、それがいい!!」

 

 普通に人気が出そうな娘だと思った。そうしていると、メイプルさんは、記念品のメダルを貰っていたところだった。

 

『それじゃあ、続いてルクスさん!』

 

「おおーっと?早速ボクですかいな」

 

 アナウンスで名前を呼ばれ、ボクの目の前にドラぞうが姿を現す。

 

『振り返ってみてどうだったどら?』

「わーなりに精一杯けっぱったはんで、2位どいうこの結果には満足だ。ばって、次回のイベントでは上位目指せるみでぐ精進すてと思います」(津軽弁)

 

『がお〜おめでとう!それでは記念のメダルをどうぞ!』

「あいがとごわす」(薩摩弁)

 

 手に入れた金のメダルを見て、つい、ニヤついてしまった。……ま、嬉しいから仕方ないよね!

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 第一回イベントの翌日。掲示板の前でメモを取っていたNWOプレイヤーが居た。ボクだ。

 

 なぜ、こんなことをしているかというと、NWOが発売されて明日でちょうど三ヶ月。それに合わせて明日は大規模アップデートが行われるのだ。幾つかのスキルの追加やアイテムの追加。それらも興味をそそられるが、ボクが注目しているのはそれでは無い。

 何と、マップの最北端にあるダンジョンのボスを倒した者が、アップデートで新たに追加されたマップに進むことが出来るようになるのだ。分かりやすく言うなら、一層をクリアすると二層に行けますよということである。

 勿論パーティーで挑んでもソロで挑んでも問題無い。……まぁ、パーティー組めるような知り合いがそもそも居ないんだけど。

 

 それで、新たなダンジョン攻略に向けて、新しいスキル等の情報を発掘しているのだ。

 

 

「んー……特に心惹かれるスキルもないし、もうこのままダンジョンに凸るか?……そういえば、街の中はそこまで探索してなかったな。探してたら新しいスキルでも手に入るか?」

 

 右手でマウスを動かしつつ、考えを口に出して纏める。そして、今後のとりあえずの方針が決まったので、早速NWOへとログインすることにしたのだった。



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〈10〉第二層へ

 ログイン後、街中をウロチョロしていると、古ぼけた会館を見つけた。

 

「会館……。何かしらのイベントの予感を感じます!!」

 

 と、言うことで早速会館の中へと入ろうとした。が、

 

「し、システムめぇ……」

 

 システムによって入れなかったのだった。

 

「むぅ、こうなったら二層に八つ当たり突撃じゃあっ!!」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 「到着したどー!」

 

 そう叫ぶボクの目の前には石造りの遺跡の入口がある。そう、この入り口こそが二階層に繋がるダンジョンだ。

 毒竜ヒドラのギターを構えつつ、遺跡の中を進んでいく。

 そうして歩いている内にモンスターに遭遇した。現れたのは少し大きめの猪だった。

 

「ちょっと鳴らして……【パラライズシャウト】」

 

 ギターの弦の音をトリガーにした【毒竜ヒドラ】に内包されているスキルの一つ【パラライズシャウト】によって、猪の身体は麻痺する。

 

「そしてそこに〜……はい、ドーン!!」

 

 動きが止まった猪目掛けて、ギターを叩きつける。このギター、ボディの側面が刃物みたいになってるから、近接武器としても優秀なのよね。

 

 こうして、時に猪、時には熊と、モンスターを倒しつつ進んでいった。

 幸いとダンジョンはそこまで深くなかったようで、十回ほどモンスターとの戦いを挟んだだけで、ボス部屋に到達することが出来た。

 

「うわー……ちょっと緊張してきたぁ……ま、殺るけど」

 

 気合新たに、大扉を開けて中に入る。

 

 

 

 

 

 天井の高い広い部屋で奥行きがあり、一番奥には大樹がそびえ立っていた。

 それをボンヤリと眺めていると背後で扉が閉まる音がする。

 

 そして。

 

 

 

 

 

 大樹がメキメキと音を立てて変形し、巨大な鹿になってゆく。

 

 樹木が変形して出来た角には青々とした木の葉が茂り、赤く煌めく林檎が実っている。

 樹木で出来た体を一度震わせると大地を踏みしめ睨みつけてくる。

 

「オッケーオッケー!バトっちゃう?な・ら……最高に素敵なパーティーしましょ♡」

 

 鹿の足元に緑色の魔法陣が現れ輝き出す。戦闘開始だ!

 

鹿が地面を踏み鳴らすと魔法陣が輝き、巨大な蔓が次々に地面を突き破り現れ、ボクへと向けて襲いかかってきた。

 蔓の猛攻を躱しつつまずは小手調べとして【飛撃】で攻撃を放つ。が、鹿の目の前で緑に輝く障壁に阻まれて消失した。

 

「なっ!?狡いぞそれ!チートや!チーターや!!」

 

 またもや襲い掛かってくる蔓を躱し、攻撃しつつ、鹿の観察をする。そして……

 

 角の部分には攻撃が通る、か。……障壁はあの林檎が維持してるっぽいね」

 

 木の葉の中で煌めく林檎が障壁発動時には、より赤く輝いていたのを見て、そのネタに気付く。

 

「絡繰を見破ったら後は、全力で叩き潰す!」

 

 【超加速】【瞬足】【足捌き】【跳躍】を使い、鹿の背中へと跳び乗る。

 

「んじゃ、止めを刺させてもらうわよん!」

 

 角へ向けて【飛撃】を多量飛ばす。すると、今度は障壁を越えてダメージが入った。

 

「つ・づ・け・てー……【ウィンドカッター】!【ファイアボール】!【サンドカッター】!」

 

 【飛撃】を一度止め、今度は連続して魔法を放つ。すると大量の赤いダメージエフェクトが派手に散る。

 

「お次は大技、行ってみよー!!」

 

 攻撃を避けつつ、MPポーションを取り出しMPを回復させると、こちらを狙う蔓を【飛撃】で弾き飛ばす。

 

「【毒竜ヒドラ】!!」

 

 ギターから姿を現す毒の竜が、鹿へと襲い掛かる。先程までよりも更に大量に飛び散るダメージエフェクト。それが致命傷になったか、鹿は力無く倒れ始めた。

 

『レベルが26に上がりました』

 

「おっと!……勝ったはいいけど、その後に死んじゃあ意味無いよね♪」

 

 難無く着地して振り返ると、鹿が消えたところに大きな宝箱があった。

 

「よっしゃ!またまたユニークシリーズGETだぜ!」

 

 「何が出るかな〜♪」と鼻歌を歌いつつ、宝箱を開けてみると、

 

 

 

『森の羽衣』

【VIT +20】

【破壊不可】

スキルスロット空欄

 

 

 

 

 

『聖木のハープ』

【INT +25】

【破壊不可】

スキル【癒しの旋律】

 

 

 

 

『木漏れ日の結晶クリスタル

【STR +15】

【破壊不可】

スキル【音響防壁】

 

 

 

 

「おーっと?今度は新スキルが2つですかー」

 

 

 

スキル【癒やしの旋律】

 

 この楽器で演奏中、自身を起点に一定範囲の味方(自身を含む)のHPを5秒に1%回復させる。

 

スキル【音響防壁】

 

 この武器を装備して演奏中、音の防壁である一定の強さまでの攻撃を防ぐことが出来る。

 

「……へぇ、取り敢えず。木漏れ日の結晶けっしょうは左手に装備して……と。おお!!周囲をふわふわと7色の結晶が飛んでる!!スゲー!!」

 

 少しばかり幻想的な光景に、ちょっと興奮しつつも、ステータスを開いてポイントを割り振ると、そのまま第二層を目指すのだった。



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