レイヴン・ストラトス (すくりゅうあたっく)
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やり直し

ここは、インフィニット・ストラトスと呼ばれるマルチフォームスーツ、通称ISが普及し、女尊男卑の社会となった世界である。

 

何かを漁る音がする。その方向には、1人の少女の影があった。

 

「……」

 

1人の地球人、大鷹(おおたか)真央は月光に照らされる中、廃棄されたISのパーツで形成されているガラクタの山をただ黙って漁っていた。

 

彼女はゴミを分別する様にISのパーツを拾い、使えそうなパーツをビニール袋に詰め込む。その間も彼女は一切言葉を発さない。

 

彼女は半ズボンのポケットからメモとボールペンを取り出し、見たことも無い言語で何かの設計図のデータらしきものを書いていく。

 

彼女の正体は寄生生命体、Xの能力によって様々なDNAを取り込んで地球人に擬態した鳥人族である。有り体に言えば、宇宙人だ。厳密には、平行世界の、が付け加えられるが。

 

鳥人族は地球の何百倍もの重力の惑星の中でも生身で暮らせる強靭な肉体、メトロイドを代表する人工生命体の生成、そして何よりもパワードスーツによる戦闘能力の高さ。武力も知力も地球人を優に上回る宇宙人だ。そんな宇宙人が何故こんなゴミ漁りをしているのかには、しっかりとした理由がある。

 

(サムス・アラン……次こそ貴様を探し出して倒す……)

 

彼女の本当の名、レイヴンビークはサムス・アランという1人の英雄に敗北した。最後の最後で大きなミスを犯し、Xに寄生されDNAを抜き取られ死亡。最期はサムス・アランのメトロイドスーツのハイパービームで消し去られたはずだった。仮に生きていても惑星ZDRの爆発に巻き込まれて消滅していただろう。だが、何故か彼は生きていた。確実にレイヴンビークは消滅していた筈だ。

なのに、レイヴンビークとしての自我を持って自分はXの能力を得た鳥人族になっていた。その中には、メトロイドDNAやサムス・アランのDNAも混じっており、他の地球人のDNAを複合させて擬態している。

今使える手段で原因を模索したが全くの原因不明。鳥人族の頭脳を持ってしても八方塞がりであった。

 

それと、今までの戦いによって減っていたパワードスーツのデータも復元しなければならない。その為には、力を溜める必要があった。宇宙を翔んで材料を集める必要もあった。

だが、目立つ訳にはいかない。スターシップは使えないだろう。

 

彼女が目をつけたのはIS。それも、IS学園のコア。IS学園の試験に持ち出される時を狙ってISコアを強奪。予め組んでおいたスクラップを組み合わせたISで宇宙に行くのだ。

 

鳥人族の、今の素材でも使える技術を総動員してワープ機能を搭載する。外宇宙に到達すれば、予め目当ての素材が存在する惑星に向かってパワードスーツを復元できる。

 

実行日は明日。1度のミスも許されない。

 

 

 

 

 

(……警備システムに干渉完了。やはりこの時代の地球人の技術ではこの程度か)

 

擬態能力とパワードスーツの残された機能の1つであるハッキングのお陰で拍子抜けするほど簡単に侵入できた。

 

光学迷彩機能でハッチの近くに忍び寄って、周囲を巡回していた警備員を気絶させる。そのまま格納庫の扉を開けて鎮座していた無骨なIS、『打鉄』の装甲を慣れたような手つきで外して、中にあったISコアに干渉。警報が作動しないようにし、隠し機能として取り付けられていたコア・ネットワークも瞬時にバラバラにした。これで第三者による追跡は不可能だ。

 

そのまま証拠を隠滅する為に装甲だけ元に戻しておき、誰にも気づかれずに脱出した。

開発者である篠ノ之 束は異変に気がついたが、撹乱用にコア・ネットワークを痕跡のひとつもなくバラされては追跡など間に合わない。

 

 

その日、地球上のISコアの数が1つ減った。

 

 



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大鷹の流星

2022年、奇妙な隕石が観測された。

 

曰く、確実に地面に衝突するコースであったのに、クレーターが発生していないというなんとも奇妙な出来事であったが、数日後に出たとあるニュースによって世間からも、裏社会からもその奇妙な隕石への関心は消えた。

 

 

そして舞台は再びIS学園の試験会場に戻る。

 

 

レイヴンビークこと、大鷹 真央はIS学園の試験会場の前に立っていた。

今度は侵入者ではなく、大鷹 真央という受験生として入るのだ。

 

「……」

 

「こちらです。身体検査等を済ませてから入室してください」

 

真央が以前来た時よりも警備は厳重になっており、受験生として見れる範囲だけでも警備は5倍ほどになっていた。コッソリとパワードスーツに送られる情報を制服越しに見て、その中からセキュリティを軽く覗いてみたが、パワードスーツのハッキング機能でも多少は時間がかかるぐらいには強化されていた。恐らく篠ノ之 束が仕込んだセキュリティだ。余程ISコアを強奪されたのが悔しかったようである。

 

肝心の奪われたISコアはパワードスーツの修復後に不要となったので、真央によって粉々に砕かれているが……

 

真央はDNAとISコアへの干渉を用いて擬態用にISコアへの適正をAの上位にしている。篠ノ之 束が適正の変更を出来なくとも、鳥人族の頭脳を持ってしてすれば自身へ最適化するなど容易い。

だが、今目立つのはあまり良くない。そう考えた真央は最大値であるSを避けたのだ。幾らなんでもいきなり適正Sは不正等を疑われるし、そもそもISコアも擬態の為だ。最終的にパワードスーツを使うのだから適正もクソもない。

 

「……」

 

列が進み、あと数人で真央の番になる。

話を戻すが、真央が適正をA上位にしたのかには理由がある。

理由は至って単純。『己の強さを示す為』ただ1つである。

馬鹿馬鹿しい。人によってはそう思うだろう。

だが、彼女にとって力は全てだ。嘗てメトロイドという力による平和を求めた事から分かるように、彼女は力を求め続けていた。

 

そして、遂に真央の番になる時、ふと後ろの気配が変わった。

 

「……」

 

「…お、おう……?」

 

真央が振り向くと、そこには少年がいた。少々マヌケっぽい感じがするのは気のせいだろうか。

真央は彼への興味がすぐに失せて向き直り、少年の言葉を無視して部屋に入る。

 

 

 

「……」

 

「じゃあISスーツを着てISに触れなさい。そうすれば適正が分かるわ」

 

「……」

 

真央は部屋にいた試験官の指示通りにISスーツを着て、嘗てコアを奪い去った無骨なIS、打鉄に触れる。

 

だが、打鉄は電流を流しながら真央を拒絶する。適正など関係ない。嘗てコアを奪い去った者に適応するなど有り得ないのだ。だが、真央は密かにパワードスーツのハッキング機能で打鉄を乗っ取り、無理矢理黙らせる。

 

HADAR SEN OLMEN(力こそ全てだ)……」

 

真央は打鉄を纏いながらチョウゾ語でそう呟いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験会場の実技試験の簡易アリーナにて、真央と1人の教師が対面していた。

真央は教師の放つオーラから実力を判断し、教師は真央の放つ絶対強者のプレッシャーに怯んでいた。

 

「……(IS学園と言えどもこの程度か。期待外れかもしれんな)」

 

「……(なんなんだ、彼女から放たれるこのプレッシャーは……! 織斑先生の比じゃない!)」

 

教師の握る打鉄のブレード、『葵』の持ち手が金属音を立てて擦れる。彼女の強みはいついかなる時も保てる平常心だったのだが、真央を前にして無意識のうちに緊張をしてしまっていた。

 

対して真央は至って冷静である。百戦錬磨のマオキン族の長が、この程度の相手に緊張するなど有り得ない。

教師の物と同じブレードである葵の切れ味を確認して拡張領域(バス・スロット)に仕舞い、無手で棒立ちになる。

 

そして、ゆっくりと歩み、徐々に教師との距離を詰める。

真央の意図を察した教師は居合の姿勢に移り、真央が間合いに入るのを待つ。

 

別席にいる採点を担当している試験官にも緊張が走る。

彼女の放つプレッシャーは王者のみが扱うのを許される物。

唯の少女が放って良いものでは無い。明らかに不自然。

だが、放つ事が強者である事を示してしまっている。

 

「……! ハァッ!!」

 

真央が教師の葵の間合いに入った瞬間、教師が抜刀して真央を吹き飛ばさんとする。

 

ガキンと音が鳴り、震えている教師の目線の先には……

 

片手で葵を受け止めていた真央がいた。

 

そのまま真央の投げによって葵ごと宙に舞い、空を飛んだ真央のかかと落としが頭に直撃して意識を失わされる。

 

その直後にブザーが鳴り響き、真央の入学が確定した。



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厄災の大鷹、入学する

「……」

 

1年1組の教室にて、真央は腕を組んで瞑目しながら待機していた。

 

「皆さーん、席に着いてますかー?最初のSHRを始めますよー」

 

 壇上に立つ、眼鏡を掛けた副担任が明るい声で話している。

物腰が柔らかそうで、パッと見だと強さは感じないが、真央の目は誤魔化せない。

どれだけ巧妙に隠し通そうとしても、歴戦の勇士の目からすれば、彼女がそれなりの強者である事が分かる。

 

「1年1組の副担任の、山田 真耶です! それでは皆さん、今日から一年間、よろしくお願いしますね」

 

 はにかみながらの、元気な挨拶。それにはある程度の好感がもてるが、返事はない。

 残念なことに、現在この教室内の興味は、目の前のイレギュラーが独占してしまっている。……真央はこの前後ろにいた男だと思い出してすぐに興味が失せたが。

 

「……あ、あの~……皆さ~ん……?」

 

「「「「「「………………」」」」」」

 

「……ええっと……あの、それでは自己紹介をお願いしますっ!出席番号順で!」

 

 本日教え子になったばかりの生徒達から完全に無視されるという惨劇もめげず、なんとか流れを作り出そうとする副担任の先生(真央の前世だったら上の相手に無視など罰則ものだ)。

流石に今回は無視されず、生徒達はスラスラと自己紹介を始めていった。

 

「では、次は大鷹 真央さん!」

 

真央は椅子から立ち上がり、真央が自己紹介を始める。

 

「……大鷹 真央だ。私に勝ちたい者がいるのならかかってこい。たとえ上級生や教員だろうと叩き潰してやる」

 

「「「「…………!?」」」」

 

「え、えぇぇぇ!? ちょっと、入学早々喧嘩騒ぎは困ります……! つ、次の人お願いします! お、織斑くん!」

 

他の生徒がざわめく中、真央はそのまま席に座り、山田先生は無理矢理次の生徒の自己紹介に移らせる。

 

そして目の前の織斑という少年の番になるが、なかなか立ち上がらない。

 

「お、織斑くん……?」

 

「……は、はいっ!」

 

どうやら何か考え事をしていたようだ。ビクリと身体を震わせて立ち上がり、うむむと唸りながらまた沈黙する。

やがて決心したのか立ち上がり、ようやく自己紹介を始める。

 

「お、織斑 一夏です。………………」

 

クラス全体で、「え、それだけ?」という空気が流れ、時間が経つ程気まずくなる。

それに比例するように織斑 一夏の顔から流れる冷や汗も増える。

 

「い、以上です!」

 

スパァン!!

 

織斑 一夏が切り上げた瞬間、教室に凄まじい音が鳴り響く。一夏が呻きながら叩いてきた犯人の方に振り向くと、そこには……

 

「リ、リドリー!?」

 

スパァン!!

 

「誰がスペースパイレーツのリーダーだ馬鹿者! まったく、こんなことだろうと思ってはいたが……山田先生、あなた一人に任せてしまい、すみませんでした」

 

「あ、いえ、そんな……」

 

 何故かスペースパイレーツの最高司令官の名前を叫んで、再びぶっ叩かれて悶絶している織斑 一夏に構わず山田先生と言葉を交わし、壇上に移動したスーツ姿の美女──恐らく担任だろう──は、項の後ろで結んだ長い黒髪を翻し、切れ長の眼に力を込め、威風堂々と話し始めた。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。お前たち新人をこれから三年で使い物になる操縦者に育てる為の基礎を、徹底的に叩き込むのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。分からないことがあれば遠慮なく質問しろ、分からないのに黙っていれば力ずくで聞き出す。

 私の役目は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、それ相応の理由と実力、そして覚悟が要ることを理解しておけ。いいな」

 

彼女のものは実に理にかなった指導方針だ。

事実、真央も若い頃に同じような手口でよく部隊を統率していた。

 

そしてその言葉を聞いた大半の生徒達は……

 

「キャァァァァッ!!千冬様、本物の千冬様よ!」

 

「ずっと前からファンなんですっ!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!東北から!」

 

「あの千冬様にご指導いただけるなんて幸せです!」

 

「お姉様のためなら死ねます!むしろお姉様のために死にたいっ!」

 

「……(……わからん……こいつらの意図が全く分からんッ……!)」

 

上がったのは黄色い歓声。それを聞いた織斑先生はため息をつく。

 

「はぁ……どいつもこいつも。何故私のクラスには馬鹿者ばかりが集まるんだ。ようやく解放されたと思えば、またこれか」

 

恐らくこれを毎年経験しているのだろう。

眉間に皺を寄せて心底嫌そうにする。

 

 流石の真央もドン引きした。

嘗てマオキン族の戦闘部隊の最前線を統率していたが、このような事は1度も起きなかった。

自己紹介の時は精々が「了解しました!」とか、「分かりました!どうかご指示を!」位で、こんな事は初めてであった。

とりあえず教壇の近くでのびている織斑 一夏を担ぎあげて椅子に戻し、ペシペシと叩いて無理矢理起こそうとする。

 

「……ほう、少しは理解る生徒もいるようだな。……大鷹 真央か。織斑は……のびているなら放っておけ。そのうち復活する」

 

「……了解」



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力で示せ

IS学園の授業には十分ついていけた。

技術に関しては問題点の解決策を見いだせる位であった。

 

真央の頭脳である鳥人族の頭脳は、低い者でも篠ノ之 束クラス、大抵の者はそれ以上であった。

武闘派であるマオキン族は戦闘に長けている一族だが、それはあくまで傾向の話。

戦闘の為には身体能力だけでなく、それをサポートするパワードスーツや戦術を組み立てる頭脳も重要だ。

当然、武器の技術に関してはソウハ族というハト派よりもマオキン族の方が上回っているし、真央の装着していたパワードスーツは正にマオキン族の技術の集大成であった。

 

だが、目の前の少年、織斑 一夏は授業についていけていないようだ。うんうんと小さく邪魔にならない程度に唸りながら教科書にへばりついている。

 

「ここまでで分からない事があったら教えてください!」

 

山田先生のその言葉と同時に、織斑 一夏が恐る恐る手を挙げる。その手は少し震えており、これから起こる事を予測しているかのようだった。

 

「分かりません……」

 

「あ、あの、どこが分からないのか言わないとさすがに……」

 

「ほとんど全部分かりませんッ……!」

 

「織斑……入学前に渡した参考書は何処にある?」

 

織斑 千冬がまさかとでもいうような顔をして織斑 一夏に問う。

 

「すいませんッ…! 古い電話帳と間違えて焼却処分してしまいました!」

 

スパァン!!

 

……前言撤回。ついていけてないのではなく、ただのバカだったようだ。

ハァ……とため息をついた織斑 千冬はこちらに視線を向ける。

 

「大鷹、悪いが織斑に勉強を教えてくれないか? 」

 

「……」

 

真央はこの話に乗る場合と、乗らなかった場合のメリット、デメリットを顎に手を当てながら考える。

 

前者の主なメリットは織斑姉弟からの信頼。不気味なまでに強い真央に今足りないのは信頼だ。特に織斑 千冬からの信頼を得られれば強い発言権を得られる可能性があるだろう。

デメリットは自分に割く時間が少し削れる程度で、動きに気をつければ自分が宇宙人とはバレないだろう。

 

後者のメリットは……特に無いだろう。寧ろデメリットがある分、断るだけ無駄になる。

 

「休み時間に教える程度なら構いません」

 

「いや、元よりそうさせるつもりだった。織斑、休み時間に大鷹から教えてもらえ」

 

「は、はい!」

 


 

「……いいか、ISのPICは鳥で例えるなら翼だ。これがなければISは地面を這いずって進む事しか出来なくなる。次に、シールドバリアーは騎士の鎧や盾だ。これが無ければ攻撃は防げん」

 

「あぁ……馴染み深いものだと想像しやすくて助かるぜ! ありがとうな真央!」

 

「当然だ。次は絶対防御システムについて「ちょっとよろしくて?」…………一夏、一旦切り上げるぞ。…何の用だ」

 

「まあ! 何ですの、そのお返事。わたくしに話し掛けられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」

 

「………貴様は強いのか? 弱いのならその態度を改めた方がいい」

 

「おい真央、そんな言い方は無いだろ! ……で、誰なんだ?」

 

「わたくしを知らない? このセシリア・オルコットを? イギリスの代表候補生にして、入試首席のこのわたくしを!?」

 

「……」

 

真央は対応に困った。正直面倒だから殴り飛ばしてさっさと続きをしたかったのだが、そんな事をしたら大問題になるだろう。

かと言って、答えれば答えるほど面倒な解釈をして悪化するだろう。

真央がとった選択は受け。聞かれれば返す程度にする事にした。

 

「なぁ真央……代表候補生ってなんだ?」

 

ガタタタタタッ!と聞き耳を立てていた女子達がずっこける。

なんとなくどこかで見たことのある気のする図だったが、セシリアの堪忍袋は緒が切れるどころかはちきれんばかりのレベルのようだった。

真央はこれ以上面倒事を増やさない為に一夏にフォローを入れる。

 

「……一言で表すならエリートだ。狼で表すなら群れのリーダーの候補になる優れた個体と言った所だろうか」

 

「いや、なんで狼で例えるんだよ……」

 

 

 

「そう! エリートなのですわ!まったく…男性のIS操縦者だと聞いてどんなものかと思えば、とんだお馬鹿さんで拍子抜けですわね。……まあでも? わたくしは優秀ですから、あなた達のような人間にも優しくしてあげますのよ? 分からないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一! 教官を倒したエリート中のエリートですから」

 

面倒事を避けたのだろうか。

どうやら自分が教師を倒したのは、少なくとも彼女に対しては秘匿されている様だ。

真央は更なる面倒事を避ける為に黙っているが、一夏が──真央にとっては──余計な事を言い出す。

 

「なぁ、入試のやつって、ISで戦うやつだよな?」

 

「それ以外に何があるのですか? 物覚えが悪いのにも程が「俺も倒したぞ?」……はい?」

 

真央は余計な事をポロポロ出す一夏の事で頭を抱えて天を仰ぐ。

わざとでもなんでもなく無意識なのがまたタチが悪い。

 

「わ、わたくしだけと聞きましたが……」

 

「あー、それってさ……女子はってオチじゃないのか?」

 

ビシッ! とでも言うような音が場の空気から走り、クラス全体が静まる。

残念ながらそれは間違いなのだが、ここで真実を言っても突っかかられるだけなので知らぬ存ぜぬで通すことにした。

 

「あ、あ、あ……」

 

セシリアが言葉にならない声を出していると、チャイムが鳴ってセシリアは現実に引き戻される。

 

「っ……! またあとで来ますわ! 逃げないことね! よくって!?」

 

 彼女はそんな捨て台詞を吐いて慌てて自分の席に戻った。

それと織斑先生・山田先生の2人が入室してきたのはほぼ同時だった。

 

「さて、これより3時限目の授業を始める──前に、来月行われる予定のクラス対抗戦に出る代表者を決めねばな」

 

 3時限目開始のチャイムが鳴り終わると同時に、織斑先生が教壇に立ってそう告げた。

 

「クラス代表とは…まあそのままの意味だ。クラス対抗戦以外にも、生徒会の開く会議や委員会への出席なども行う。一度決まれば一年間変更は無いから責任を持ってのぞむように」

 

「はいっ!私は織斑君を推薦しますっ!」

 

「私もです!」

 

「私も!」

 

「では候補者一名、織斑一夏……他にはいないか? もう一度言う、自他推薦は問わないぞ」

 

「お、俺!?」

 

いきなり白羽の矢が立ったどころか問答無用で候補者の一人になってしまったことに、一夏は思わず抗議の声をあげていた

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!クラス代表なんて面倒くさそうなこと俺はやらな――」

 

「自他推薦は問わないと言った。選ばれた以上は責任をもってやれ」

 

……が、全く取り合ってもらえず、一人がっくり肩を落とすだけの結果に終わった

 

(なんていうか、千冬姉が担任な時点で俺に拒否権なんてないような気がするなぁ……あ……自他推薦どちらでも構わないんだから、悪いけど、真央にやってもらおう!)

 

「じゃあ俺は真央を推薦する!」

 

一夏の意外な推薦に一瞬固まるクラスだったが、すぐに一夏を推薦する声が再び上がる。

 

「……他に立候補、推薦をする者がいないのならば、織斑か大鷹のどちらかになる。それでいいか?」

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

 バンッ!と机を叩く音がする。真央と一夏が振り向くと、そこにはセシリア・オルコットの姿が。

 

「そのような選出は認められません!一人だけの男だからというただの興味本位で、こんな素人がクラス代表ですって!?そんなことが許される筈はありません!クラス代表とはクラスで最も優れた者が成るべきですっ!!」

 

 自己顕示欲の強そうなこの小娘が今まで黙っていたのを少なからず疑問に思っていたが、話の内容からして自薦によりクラス代表者になるのではなく、他薦により認められた結果としてのクラス代表者になりたかったようだ。

 しかしセシリアが思っていた以上に、世界で唯一ISを動かせる男というのは興味を惹くようだ。

 

「わたくしはイギリスの国家代表候補生。クラスで唯一国家代表候補生であるこのわたくしがクラス代表になるのは当然ですわ!エリートだけが入学を許されるこのIS学園において、ただの物珍しさだけでクラス代表が選ばれるだなんてあってはなりません!能力から考えれば、クラス代表はこのセシリア・オルコットを置いて他にありませんわ!」

 

「だいたい、文化としても後進的な国で過ごさなくてはいけない事自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で──」

 

「イギリスだって大したお国自慢は無いだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

 ポロリと一夏の口から零れ落ちた言葉に、セシリアによる面倒事を振りまく演説がピタリと止む。

真央がセシリアの方を再び見ると、彼女は顔を真っ赤にして怒りを示していた。

 

「あっ、あなたねぇ! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

「侮辱したのはそっちだって同じじゃないか! 自分の事だけ棚に上げるなよ!」

 

そこからは罵詈雑言の投げつけ合い。

ああ言えばこう言うで話は平行線となった。

見かねた真央はXの擬態能力で声帯を変形させ、声を変えてドスの効いた声で制止する。

 

「黙れ」

 

「ぴいっ!?」

 

「ま、真央!?」

 

「……ひとつ。今この場で貴様が最も強いと言ったな? それをどうやって証明する」

 

「決まってますわ。そんなもの、国家代表候補生であり、実技試験で教官を倒した事が何よりの証明ですわ!」

 

セシリアが胸を張って堂々と答えるが、それは真央にとっては至極滑稽な答えだ。

 

「フン……なら反論しようではないか。1つ目、所詮は候補生止まりではないか。その程度で立ち止まって付け上がるな。そもそもIS適正が高い者ならクラス内にも他にいる。2つ目、実技試験で教官を倒したのは貴様だけでは無い。……そして最後に、そんな馬鹿らしい事は私を倒してから言え。私は実技試験で教官を倒しているし……量産機で、ほぼ無傷で武器を使わずに…そして一撃で仕留めた。貴様は専用機を使っての話なのだろう? もしそうだったら、これでも貴様が相応しいと言えるか?」

 

「くっ……」

 

話が真実なら、真央の強さは明らかにセシリアよりも上。

本当なのかと目線で織斑 千冬に訴えかけるが、返ってきたのは肯定を示す頷き。

 

「だが、言葉だけでは納得しない者もいるだろう。……全員総当りで試合をして、我こそが相応しいと力で示してみろ。もっとも、代表候補生止まりで満足している程度では私に勝てるとは思えんがな……」

 

「分かりましたわ! その減らず口、二度と開けないようにしつけてあげましょう!」

 

セシリアが売られた喧嘩を買い、山田先生と何かを話していた織斑 千冬がパンと手を叩いて場を仕切る。

 

「ではこうしよう。織斑とオルコット、そして大鷹の3人で勝負をし、最も戦績が良かった者をこの一年一組の代表とする。時間は来週の月曜の放課後、場所は第三アリーナだ。各々、準備しておけよ」

 

織斑 千冬のまとめに二人は同時に頷く。

一夏は抗議するが、真央が挑発して一夏の戦意を上げさせる。

 

「お、俺も!?」

 

「当たり前だろう。私が提案したのは実際に戦って頂点を決めるという事だし、織斑先生も概ね同じ内容でやれと言っている。当然、お前もその中に入っているだろう? クラス代表になりたくないのなら手を抜けばいい。その時は貴様を負け犬と呼ぶがな……」

 

「なっ!? そんな事する訳ないだろ!? あぁ、やってやるさ! 相手が代表候補生だろうがやってやる!」

 

「……あぁ、そう言えば大鷹、先程貴様宛に倉持技研から専用機の受領要請が来たのだが……」

 

ふと思い出したのか、織斑 千冬はテストパイロットの要請が真央宛に倉持技研から来たのを伝えるが、真央は既にパワードスーツを持っている。

 

「不要だ。既に専用機は所持している」

 

「……は?」

 

「専用機だろう? それならコアを含めて既に自力で作成している。コアの材料の用意には少々手間取ったがな……」

 

おかしい。この場にいた全ての…いや、分かっていない一夏を除いた全員がそう思った。

 

「いや、ISコアは篠ノ之 束にしか作れない筈だ。仮に貴様がISコアを作ったとしよう。だが、どうやって他の材料を確保した」

 

「ISの廃棄された部品があるだろう。あれを集めて使える部品を修理して組み立てた」

 

一応、嘘は言っていない。

だが、実はその話が繋がっていないなどとは一言も言っていない。

 

「……いいだろう。嘘とは思えないし、専用機があると言うのならそれを使え」

 

「元よりそのつもりだった。……安心しろ、全力で、死なない程度に叩き潰してやる」

 

真央の宣言に戦慄するクラスメイト。

それを見て織斑 千冬を初めとした1部の人間は真央にある種の不気味さを感じたのだった……



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ルームメイトとパワードスーツ

決闘騒ぎの後、最後の授業に、織斑 千冬が教壇から書類を取り出して配り始める。

 

「最後に、寮の部屋割りの書類だ。しっかりと覚えるように」

 

どうやら1033号室が真央の部屋で、ルームメイトは更識(さらしき) (かんざし)という名で、少なくともこのクラスの生徒では無いようだ。

 

 

 

 

 

 

 

放課後、鍵をそれぞれ受け取り、皆が談笑しながら寮に向かっている中、真央は鍵を見つめながらポツリと呟く。

 

「更識 簪か……」

 

「むむ? マオマオはかんちゃんと同室なの〜?」

 

「貴様は…布仏(のほとけ) 本音(ほんね)か。知っているのか?」

 

真央が振り返ると、そこにはのほほんとしている少女、布仏 本音がいた。

 

「うん! 小さい頃から友だちなんだ〜!」

 

「そうか。どのような奴なんだ?」

 

「うーんとね〜…内気かな〜。あと、特撮が好きだよー!」

 

「……そうか。助かる」

 

「どういたしまして〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇1033号室前

 

「……」

 

真央が無言でドアを開けると、そこにはヘッドギアを装着した内巻きのミディアムヘアに加え、四角眼鏡をかけた儚げな少女が集中してキーボードに何かを打ち込んでいた。

彼女が布仏 本音の言っていた更識 簪なのだろう。

 

「……」

「……」カタカタカタ……

 

邪魔をする必要もないので、真央はそのまま銀色のトランクを置いて、中から量子変換しておいた、パワードスーツの延長線上にある偽装用パソコンを出してチョウゾ文字で57桁のパスワードを一瞬で打ち込む。

パスクラッカーを打ち込むと逆に跳ね返す特別仕様のパソコンに今日のログと、教科書に書かれていた技術の改善点をチョウゾ文字で打ち込む。

わざわざチョウゾ文字を使う理由は、使い慣れているチョウゾ文字の方がいいし、情報の漏洩を防ぐ為でもある。

いざと言う時は独自に編み出した言語と言い張ればOK。

 

しばらくして改善点も書き終わってそれを保存し、パソコンを落とすと、向こうも一通り終わったのか、こちらを向いていた。

 

「…あ、あの……」

 

「……大鷹 真央だ。名は更識 簪なのだろう? しばらくの間、よろしく頼む」

 

そう言って真央は中途半端にしていた荷解きを再開して大量の機材を出す。

 

「……量子変換してるの?」

 

カタカタとキーボードを押して次々と荷物の量子化を解いて部屋に出している真央に質問する簪。

真央は振り向いて簪に答える。

 

「あぁ、別に量子変換ならISコアを使わずとも可能だ。……欲しいのか? なら作るが……」

 

「い、いや、大丈夫…です。ちょっと気になった…だけ」

 

「……そうか。では私は眠る」

 

真央が今までに経験した事の無いタイプの人間との共同生活が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という訳で、ISにも意識に似たようなものがあります。ですので、ISは道具として扱うのではなく、パートナーとして認識する事が大事なのです」

 

真央のパワードスーツには、偽装用としてISコアの欠片が埋め込まれている。ISコアに意識がある必要は感じられなかったし、その気になれば意識を消す事もできるが、偶然にも、自分と似たような思想の個体が生まれたので放置している。

 

「ところで織斑、お前のISだが準備まで時間が掛かる」

 

「へ?」

 

「つまり、貴様に回せる予備機がない。だから少し待て。学園で専用機を用意するそうだ」

 

「専用機……?」

 

クラスメイトが羨ましそうにしている理由が一夏はまだわからないようだ。

見かねたのか、織斑 千冬が溜め息をつく。

 

 

「……織斑、教科書六ページを音読しろ」

 

「え、えーと『現在、幅広く国家・企業に技術提供が行われているISですが、その中心たるコアを作る技術は一切開示されていません。現在世界中にあるIS467機、そのすべてのコアは篠ノ之博士が作成したもので、これらは完全なブラックボックスと化しており、未だ博士以外はコアを作れない状況にあります。しかし博士はコアを一定数以上作ることを拒絶しており、各国家・企業・組織・機関では、それぞれ割り振られたコアを使用して研究・開発・訓練を行っています。またコアを取引することはアラスカ条約第七項に抵触し、すべての状況下で禁止されています』……」

 

「つまりはそういうことだ。個人で持っている真央という例外こそ出来たが、本来なら専用機は国家あるいは企業に所属する人間しか与えられない。……が、お前の場合は状況が状況なので、データ収集を目的として専用機が用意されることになった。理解できたか?」

 

「な、なんとなく……」

 

一夏がようやく分かったようで、コクリと頷く。

 

「あの、先生。思ったんですけど、篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか?」

 

クラスメイトの一人がおずおずと手を上げて訊く。

 

「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」

 

あっさりと情報を開示する織斑 千冬。

あまりにも早いような気もするが、どの道バレていた事なのだろう。

 

「ええええーっ! す、すごい! このクラス有名人の身内が二人もいる!」

 

「ねえねえっ、篠ノ之博士ってどんな人!? やっぱり天才なの!?」

 

「篠ノ之さんも天才だったりする!? 今度ISの操縦教えてよ!」

 

授業中にもかかわらず篠ノ之 箒の下に女子が集まる。

 

「あの人は関係ない!」

 

突然の大声に、さっきまでの明るい空気が一変した。

 

「……大声を出してすまない。だが、私はあの人じゃない。教えられるようなことは何もない」

 

……どうやら何か事情がある様だ。

 

「それと大鷹。放課後に貴様のISを見せてもらう。学園に登録しなければならないからな。日時と場所はこちらで指定する」

 

真央は少し興味を持ったが、織斑 千冬に呼ばれてすぐに振り返り、頷いた。

 

「さて、授業をはじめるぞ。山田先生、号令」

 

「は、はいっ!」

 

織斑 千冬の言葉に返事をし、山田先生が授業を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後の夜のアリーナにて、真央に織斑 千冬、そして数人の教師が集まっていた。

何故か真央を除く全員が訓練機の打鉄、或いは射撃機体の『ラファール・リヴァイヴ』を纏っている。

真央が教師達を見回す。

警戒するような者もいれば、純粋に気になっている者もいる様だ。

 

「……何故、呼んだ時間が放課後の夜、そして皆ISを纏っているのだ?」

 

真央が質問をすると、織斑 千冬が口を開く。

 

「至極単純な理由さ。まだ私達は貴様を信用しきっていない。私達はISの恐ろしさをよく知っているし、貴様がISを『スポーツとしての物』を目指したのか、『兵器としての物』を目指して作ったのか分からない。……それと、貴様に皆興味津々なのだよ」

 

「……そうか。なら実際に見せよう。……出ろ、マオキン!」

 

真央は欺く為の掛け声と共に精神を統一。

専用のパワードスーツ、『マオキン』をレイヴンビークに擬態した肉体に纏う。

 

真央……いや、レイヴンビークのパワードスーツの姿は人からすれば正に異形であった。

胴体は体にフィットした鎧にも見える装甲に、鳥の足のような脚部には近未来と言えるデザインのアーマーが確実に身体を護っている。

頭部には烏のようなデザインの面に扇状の冠。

そして厳かな色のマントと前面の布にチョウゾ文字が象られている。

その姿は、鳥類と人を混ぜこぜにした4m程の生物がパワードスーツを着ているという表現が最も相応しいだろう。

 

だが、何よりも目を引くのは右腕の巨大なアームキャノン。

丸太と見まごう程の太さの本体に、それへエネルギーを込める為に取り付けられている4本の管。

銃口に至っては人間の子供位の頭が丸々突っ込める程大きい。

 

「(……なんだ? この違和感は……だが、これと言って機器からは異常が報告されていない。とにかく、実際に戦って確かめてみるか…)……それが貴様の専用機か。……丁度いい。大鷹、私と模擬戦をしてみろ」

 

織斑 千冬はその異形に違和感を覚えるが、彼女のISから送られる情報(当然、偽装されている)からは特に異常なものは見つからない。

だが、自分の感覚も無視できない。

とにかく、実践で見定めてみる事にした。

 

『了解だ。……さぁ、ブリュンヒルデの実力とやらを見せてもらう』

 

「!」

 

小手調べにレイヴンビークは、体内エネルギーを使用するパワービームを放って反応速度を調べる。

時々いやらしい配置に置き撃ちをしているが、それをスルスルと織斑 千冬は避けていき、まだ攻撃を挟もうとする位には余裕がありそうだった。

レイヴンビークは、これ以上のデータ回収は不要と判断してパワービームを撃ち止める。

 

『……』

 

「……どういう事だ? 攻めないのならこちらからいくぞ!」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)で一気に距離を詰める織斑 千冬。

だが、機体がパイロットの要求する動きに、僅かではあるが追いつけていなかった。

訓練機故に仕方の無い事なのだが、それを許すレイヴンビークではない。

 

ガキィン!

 

レイヴンビークは僅かな隙にアームキャノンをブレード目掛けて振り回し、勢い良く弾く。

そのまま宙を舞って落ちてくるブレードを掴み取り、織斑 千冬の首元に刃を当てる。

 

「……降参だ」

 

シールドエネルギーがジリジリと削れる中、織斑 千冬はこれ以上勝てる算段も無かったので両手を上げて降参の意を示す。

 

(ベストコンディションのデータが欲しいな。今度、凍結されている暮桜でも奪って改造するか……?)

 

(学生でここまでとはな……既にモンド・グロッソ出場者クラス…いや、あの余裕からして私と同等かそれ以上か……警戒せねばな)

 

その不気味なまでの強さは織斑 千冬から警戒の対象になった……



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