GOD EATER 〜煌めく波と手向けの花〜 (sha-yu)
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煌めく波と手向けの花
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ジーナとイチャラブしたいです。

リアルで。


柳川ショウゴ

20歳

防衛班に配属された新型神機使い。

父親はアラガミに殺され、母親と姉と一緒に外部居住区で暮らしていた。

姉は極東支部で整備班に所属している。

居住区にアラガミが侵入した際、殉職した神機使いの神機を使い、アラガミを撃退しゴッドイーターになる。

偏食因子を投与せずとも神機を扱え、誰の神機でも扱える特異体質。

配属された時期が悪く、タツミ、ブレンダン、カレルが大怪我を負って療養中だったため、教官としてジーナが抜擢される。(シュン、カノンはショウゴが死にかねないということで話にも上がらなかった)

専用の神機はあるが、姉に「整備後神機のテストをやれ」といわれ専用神機を使うことの方が少ない。

サカキ博士から新しい神機パーツのテストも任される。

神機のパーツはその都度付け替えており、決まったパーツは使っていない。

また、味音痴であり、好物は初恋ジュース。

アネット、フェデリコが同期なのだが、年上なので敬語で話されるが、本人はタメ口でいいと言っている。

一人称が「わっし」と変わっており、昔読んだ本の影響を受けている。

 

 

 

 

柳川リイヤ

24歳

ショウゴの姉で、整備班に所属している。リッカと仲が良く、専門用語で熱弁している姿をよく見かけられている。ショウゴに対して、かなり辛辣な言葉をかけるが、弟思いの良き姉である。エイジス計画の際、ヨハネスからチケットをもらっていたが、目の前で破り捨てた。のちに、極東支部最強の整備士と呼ばれることに。一部ではオカンとも呼ばれている。

ジーナとは親友と呼べる仲であり、ジーナの神機はリイヤが専属で整備している。

弟がいることを極東支部では隠しており、知っているのはサカキとツバキだけである。

何故隠していたかと言うと、単に恥ずかしかったらしい。

サカキに思いを寄せているが、叶わない恋と思い諦めかけている。

 

 

 

時系列

エイジス計画破綻後となってます。リンドウがいます。失踪してません。ぶっちゃけ、リンドウは失踪してもしなくても、話にそこまで影響してないとおもってます。

短編集のような形で進めて行きたいと思います。

完全にオリジナル展開でやって行こうとおもってます。

 

 

作者から

防衛班にスポットを当てて書きたいと思います。GE2の防衛班の帰還に当てられました。そしてジーナへの愛が爆発して書きたくなりました。マジジーナ天使。

ジーナがヒロインとは珍しいかもしれませんが、お付き合いいただけたらと思います。大好きなんだもの、仕方ないじゃない。

みんなもジーナ好きでしょ?好きだよね?

 

僕は愛しています。




何処に出しても恥ずかしくないジーナ廃になるべく、頑張ろうと思います。

みんなもジーナ廃になぁれ!!


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襲撃

GE2でスピアばっかり使ってます。

周りの人は誰一人としてスピア使ってないのですが、人口少ない?


 

もう何が何だかわからない。辺りには炎が上がって、ジリジリと肌を焼いてくる。焼け焦げた匂いに混じって、血の匂いがする。正直、吐きたい。だけど、今はダメだ。目の前で化け物……「アラガミ」が鋭い牙を向けているんだから。

 

どうしよう、どうすれば……

 

そんな事を考えている間に、アラガミが飛びかかって来た。

 

 

「くっ!」

 

 

反射的に、飛んでくるアラガミの下を無様にくぐり抜ける。アラガミの牙はなにも仕留めておらず、わっしを探すようにキョロキョロしている。

 

今のうちに、逃げ……

 

 

「うわっ!」

 

 

ガンっと、硬い何かに足をぶつけ、倒れた。その音で、アラガミがこっちを見る。わっし終わったかな……。

 

死ぬ直前っていうのは、案外冷静なもんだな。間接的にわっしを死に追いやった、硬い何かに目をやる。

 

それは大きくて、無骨で、だけど鋭くて、何もかもを切り裂けそうな大きな刃。

 

アラガミを殺す道具、「神機」

 

 

「ははっ、まだ諦めるのは早いかな」

 

 

考えることはしなかった。とりあえず持った。重い、けどいける。生き延びる。

 

アラガミが大口開けて向かってくる。

 

わっしは……

 

 

「うあぁぁぁ!!!」

 

 

神機を口の中に突き刺した。

 

 

「まだだぁ!!」

 

 

そのまま、横薙ぎに力いっぱい振るう。アラガミの体を横一線で切り裂き、両断した。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

それからの事は覚えてない。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

目が覚めると、薬品の匂いがした。病院みたいな匂い。あれってアルコールなのかな?わかんないや。

 

 

「ショウゴ!!」

 

「のわぁ!?」

 

 

突然名前を呼ばれた。聞き覚えがある。

この声は……

 

 

「よかった……目さました」

 

「姉……ちゃん?」

 

 

わっしの姉、リイヤだった。なんで姉ちゃんが?毎日整備士が少ないって、帰ってくるの月に一度あればいいくらい多忙な姉ちゃんがこんなところに……

 

 

「まったく、心配したんだからね。居住区にアラガミが侵入したって聞いて。お母さんは、ちょうどアナグラにいたからよかったけど……」

 

「ああ、そうか。わっし、アラガミに襲われて……」

 

 

落ちてた神機を使って倒したんだ。

 

 

「丸一日目を覚まさないから、本当に心配したのよ。でも、もう大丈夫そうね。念のため、もう一日休んでなさい」

 

「うん……」

 

 

思考が追いつかないけど、今は何か考える気になれない。このまま寝よう。なるようにしかならないさ……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「どうだい?様子は」

 

「至って普通です。偏食因子に侵された様子も……」

 

「ふむ、神機使いではない一般人が、神機を使ってアラガミを倒すか……とても興味深いね」

 

「あの、サカキ博士。ショウゴは……」

 

「わかっているさ、無理強いはしないよ。しかし、驚いたね。リイヤ君が、ここまで弟思いとは」

 

「どういうことですか、もう……」

 

「家族を心配するのは当然の事だ。恥ずかしがることじゃないさ」

 

「博士……」

 

「さて、リイヤ君。君は彼についていてあげなさい。最近、休みなく働いていたのだろう?ちょうどいいから、有給を消化するといい」

 

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」

 

「ツバキくんには、私から伝えておこう。ゆっくりして来なさい」

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

さて、目を覚ましたと同時に姉ちゃんに連行されたわけだけど、目の前にはメガネの胡散臭そうな人がいる。ニコニコ笑ってるけど、裏で何考えてるのかわからない。

 

 

「フェンリル極東支部へようこそ、ショウゴ君。君の事は、お姉さんから聞いてるよ」

 

「あ、どうも」

 

 

フェンリル極東支部ってことは、姉ちゃんの職場か。

横に座っている姉ちゃんの方を見ると、いつもより表情が緩い?そんな感じがした。

 

「私はペイラー・榊。この極東支部の支部長をしている」

 

 

支部長って、偉いんじゃん。わからないように、少しずつ背筋伸ばしておこう……。

 

 

「君は先日、アラガミに襲われた居住区にいたんだね?」

 

「はい、いました。あ、あの、ここに呼ばれたのって神機を勝手に使ってしまったこと、ですか?」

 

「ふむ、神機を勝手に使ってしまったね……ショウゴ君、君は神機についてどれくらい知っているかね?」

 

「えっと、アラガミを殺せる唯一の武器ですよね?選ばれた神機使いしか扱えないっていう」

 

「そう、その通り。神機は神機使い……ゴッドイーターしか扱えない。ゴッドイーターは偏食因子を投与されて、初めて神機を扱えるんだ」

 

 

偏食因子?なんか専門用語出て来たんだけど、重要なのはそこじゃないよな……。

その偏食因子を投与されないと、神機を使えない……ん?わっしそんなの投与した覚えないぞ?

 

 

「その顔は、気づいたようだね。君の特異性について」

 

「わっしは、一般人……ですよね?」

 

「アラガミを倒すまではね。神機を使ってアラガミを倒してしまった時点で、君は特別な存在となったんだ。それに関係して、私は君に二つの選択肢を与えようと思う」

 

 

サカキさんは、「一つ」と言って人差し指をたてた。

まぁ、大体想像ついてるんだけど……

 

 

「ゴッドイーターとして、アラガミと戦う道を選ぶか。二つ、このまま帰って、戦いとは無関係に過ごすか。好きな方を選びたまえ」

 

「好きな方を……」

 

 

実を言うと、ゴッドイーターの話をしていた時から、気持ちは固まっていた。と言うか、そうなりたいと思っていた。

 

 

「サカキさん、これからよろしくお願いします」

 

「答えが早くて助かるよ。早いついでに、今日中で検査もしてしまおう」

 

 

サカキさんが、通信機でなにかをつたえている。

さっきから、横で黙っていた姉ちゃんが声をかけてくる。

 

 

「ショウゴ、本当にいいの?楽な仕事じゃないのよ?」

 

「わかってるよ。というか、前から極東支部で働きたいって思ってたんだよ。母さんと姉ちゃんが妨害しなければ、二十歳になる前に就職できたんだから」

 

 

そう、なにを思ったのか、我が母と姉はわっしの就職を邪魔したのだ。おかげで、この年まで無職。ニート生活だ。あ、でも畑仕事はしてたからニートではないか?

 

 

「姉ちゃん、わっしだって子供じゃないんだ。自分のことくらい、自分でできるさ」

 

「ショウゴ……」

 

 

その時、部屋の扉が開き際どい白いスーツを着た女の人が入ってきた。

 

 

「失礼します。博士、準備が整いました」

 

「ありがとう、ツバキ君。ショウゴ君、彼女に着いて行ってくれ」

 

「はい。姉ちゃん、行ってくる」

 

「うん……」

 

 

姉ちゃん、納得してないな。まぁ、仕方ないけどさ。

 

 

「お前がショウゴだな?」

 

「はい。柳川ショウゴです。よろしくお願いします」

 

「雨宮ツバキだ。教官をしている。お前にはこれから検査を受けたのちに、適合試験を行ってもらう。難しいことは考えず、肩の力を抜いておけ」

 

「はい!」

 




拙い文章で申し訳ないです。

キャラが迷子……慣れるしかないですね。
ツバキさんも、結構好きですが、胸が……ね?

短編のように書いてくつもりですが、最初の方は続けて書いて行こうと思います。エンディングは考えてません。

ええ、考えてませんとも。行き当たりばったりですもの。
そんな感じですが、お付き合いいただけたらと思います。

ジーナはまだ出て来ないよ!!

第一部隊体調もオリキャラになります。漫画読んでないです。

GE2でこっちに手を振るジーナさんは天使のようでした。可愛い可愛い


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適合

ジーナの眼帯を外して、そこをペロペロしたい。


 

わっしは今ベッドに寝かされている。そんなわっしの周りをなんか機械がグルグル回っている。何の検査だろ。さっきは血液検査とか言われて血を取られたけど。

 

 

「よし、起きていいぞ、ショウゴ」

 

「あ、はい」

 

 

ツバキ教官に言われて、体を起こす。

なにされてるのか、聞いたら教えてくれるかな?

……いや、面倒だしやめておこう。

 

 

「検査はこれで終了だ。次は適合試験を受けてもらう。ついてこい」

 

 

ツバキ教官って、ちょっと怖いな……

ヒール?のカツカツって音が、なんか怖いね、うん。

 

 

「教官」

 

 

後ろから、ツバキ教官を呼び止める声が聞こえた。

わっしが呼ばれたわけじゃないけど、反射的に振り返ってしまった。ツバキ教官も振り返ってる。

 

 

「防衛班のバイタル、持って来たわ」

 

 

綺麗な人だった。眼帯をしていて、銀髪の髪がキラキラしていて……服が大胆すぎる気がするが。

 

「ジーナか、助かる」

 

「この間の襲撃で、接触禁忌種の相手をしていたタツミ、ブレンダン、カレルはしばらく安静だそうよ」

 

「そうか……しかし、防衛班が半数とは、不安が残るな」

 

「第一部隊もいるわ。タツミ達も、一週間程度で復帰できるそうだし、なんとかするわ」

 

「ああ、頼んだぞ」

 

 

チラッと、ジーナと呼ばれたその女性がこっちを見た。

顔になんかついてるかな?

 

 

「教官、彼は?」

 

「先日の襲撃で救助された。適性が認められ、今から適合試験をするところだ」

 

「そう……」

 

 

少し笑みをこぼすジーナさんが、目の前まで近づいてきた。背は、わっしの方が少し高いかな。って、そんなこと考えてる場合じゃない。ジーナさんの顔が近づいてくる。

 

 

「適合試験、とっても痛いから泣いちゃうかもね、ショウゴ君」

 

 

耳元でボソッと言ってきた。ジーナさんはそのまま何処かへ行ってしまった。

 

怖いこと言って去らないでくださいよ……

 

 

「ショウゴ、何をしている。行くぞ」

 

「あ、はい!!」

 

 

あれ、わっしジーナさんに名乗ったっけ?

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

結論から言おう。適合試験は痛くなかった。ツバキ教官も唖然としてた。本当は激痛が走るらしい。

 

神機となんか機械が置いてある部屋に連れてかれて、寝台があったから寝ろと言われ、なんか腕を置くところがあって、そこに腕おいたら腕輪みたいなのはめられて、上から機械が腕輪を固定(?)したときはチクっとしたけど、特に痛みはなかった。

 

あ、でも神機は前より軽くなってた。なんでも、オラクル細胞がどうたらこうたらで、身体能力がアップするらしい。勉強は苦手だから、専門用語出てくるとわけわかんないや。

 

とりあえず、適合試験は無事合格らしい。今日は居住区の方に帰って、荷物を持って明日また来いとのこと。

 

姉ちゃんも帰るらしい。まだ用事があるから、エントランスで待ってろって。

久しぶりだな。姉ちゃん帰ってくるの。確か、配給で姉ちゃんが大好きなジャイアントトウモロコシが余ってたから、コーンポタージュでも作ってあげよう。

 

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

「え?」

 

 

エントランスのソファで、今日の献立を考えていると、赤いチェックの帽子を被った、胸の谷間が下からこんにちはしてる服を着たの少女がいた。

 

なに、極東支部では際どい服が流行ってるの?

 

 

「あなた、先日の襲撃でアラガミを返り討ちにしたっていう……」

 

「ああ、多分わっしです」

 

「そうでしたか!元気そうで良かったです!あの時は、肝を冷やしましたから」

 

「と、いうと?」

 

「あなたをアナグラに連れて帰ったの私なんです。あ、名乗っていませんでしたね。第一部隊所属、アリサ・イリーニチナ・アミエーラといいます」

 

 

この人が助けてくれたのか。感謝しなくては。

 

 

「柳川ショウゴです。えっと、所属はわからないですが、明日からゴッドイーターとして配属されます。よろしくお願いします」

 

「本当ですか?一緒の部隊になるといいですね」

 

 

この娘可愛いな。なんて言うんだろ?仔犬?そんな雰囲気がする。

 

 

「でも、本当に良かったです。ゴッドイーターじゃない人が神機を使ったら、オラクル細胞に捕食されてアラガミになってしまいますから。神機握り締めて気絶してるんですもん。手遅れだと思いました」

 

「ああ、マジでヤバかったんだ……アラガミに襲われて無我夢中だったから」

 

「今回は無事よかったですけど、次からは絶対にダメですよ」

 

「はい、気をつけます。先輩」

 

「それでは、また」

 

 

アリサさんは、エレベーターに乗って行ってしまった。

助けてくれたアリサさんには、感謝してもしたりないや。

今度、夕飯でもご馳走しよう。

仕事では先輩だけど、年はこっちの方が上なんだ。人生の先輩として、振舞わなければ。

 

 

「よし!!」

 

「なに大声だしてんのよ、バカ弟が」

 

「あいで!?」

 

 

姉よ、スパナで殴るのは反則だ。下手したら死ぬぞ。

 

 

「さっさと帰るわよ。お母さんが待ってる」

 

「あい……」

 

 

タンコブできたかな……。




アリサがツンツンしてません。デレさせすぎた気がしないでもないけど、これくらいのアリサが好物です。

そして、ジーナ登場。

皆!!お待ちかねだぜ!!


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新兵

第一部隊の隊長はオリキャラになります。
あと、リンドウさんが失踪してないので、無理やり隊長職を二つ作りました。

そのうち、隊長の設定落とします。

ハーレムは目指してません。


翌日、アナグラについたわっしを待っていたのは、エントランスのソファでガチガチに固まった少女と少年、それとツバキ教官だった。

 

説教中だった?

 

 

「おはようございます。ツバキ教官」

 

「ん、ショウゴか。早いな、いい心がけだ」

 

 

わっしはツバキ教官に指定された時刻の30分前に、アナグラに到着していた。

 

 

「いえ、新兵なのでこれくらいは当たり前かな、と……あの、そこの2人は?」

 

「お前と同じ新兵だ。まぁ、見ての通り緊張で今にも倒れそうだがな」

 

「なるほど……」

 

 

わっしは特に緊張はないけど、これが二十代の余裕だろうか。どれどれ、ここは人生の先輩として、アドバイスでもしてやろう。

 

 

「やぁ、はじめまして。君たちと同じく、今日から配属になる柳川ショウゴだ。君たちの名前は?」

 

 

同じ新兵と聞いて少し安堵したのか、さっきよりは緊張が解れたようだ。

女の子のほうが立ち上がり、まだ強張った顔で挨拶してくる。

 

 

「アネット・ケーニッヒです。よろしくお願いします」

 

 

それに続いて、男の子も立ち上がる。

 

 

「フェデリコ・カルーゾです」

 

「アネットとフェデリコね。わっし20歳だけど同じ新兵同士だし、気軽に声かけてよ。わっしも、君たちと同じで一番下っ端なんだから」

 

『はい!』

 

 

2人同時に返事をしてくれた。緊張はしているけど、さっきよりは柔らかくなったかな。

 

 

「ショウゴ。事務連絡だ」

 

「あ、はい」

 

「まず、お前の配属だ。お前は第三部隊に配属となる。対アラガミ装甲壁の保守点検が主な任務となる。だが、しばらくはアラガミの討伐に出てもらう。この仕事になれるためにな」

 

「了解しました」

 

 

昨日会ったアリサさんは第一部隊って言ってたから、一緒じゃないな。まぁ、こればっかりは仕方ない。

 

 

「もう少ししたら、部隊の連中を呼び出す。まぁ、お前なら大丈夫だろう」

 

「ははは……」

 

 

昨日会ったばかりで、そこまで言われるとは……わっしなんかしたかな。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

「アネット・ケーニッヒです!!」

 

「フェデリコ・カルーゾです。よろしくお願いします!」

 

「柳川ショウゴです」

 

 

新兵紹介ということで、目の前には先輩ゴッドイーターが並んでいた。あ、アリサさんいる。ニコッて笑ってこっちに手を振ってる。ふり返したいけど、この状況じゃ無理かな。ジーナさんもいる。一人だけソファに座ってるけど。

 

 

「アネット、フェデリコは第一部隊で訓練を受けてもらう。リンドウ、ナズナ。お前達は2人の教官として、現場で指揮をとれ」

 

「了解」

 

「教官とか性に合わないが、姉上に命令されちゃ、やるしかないな」

 

「教官と呼べ、馬鹿者」

 

「了解です、教官殿」

 

 

あのリンドウって人、ツバキ教官と姉弟なんだ。女の人も教官任されるってことは、強いんだろうな。

 

 

「ショウゴは第三部隊に配属となる。ジーナ、お前が教官だ。これが終わったら、私のところに来い」

 

「了解」

 

「以上だ。解散」

 

 

ツバキ教官がそう言うと、アネットとフェデリコが安心したように息を吐いた。

 

 

「緊張したぁ……」

 

「2人ともお疲れ」

 

「ショウゴさん、よくそんな余裕ありますね。僕なんて、自分の名前噛むかと思いました」

 

「はは、確かに全員初対面で緊張するかもしれないけど、これから仲良くなれるって思ったら、楽しくならない?考え方の違いで、緊張も解れるもんさ」

 

 

父さんの受け売りだけど。

 

 

「あ、君たち。ちょっといいかな?」

 

 

後ろから声をかけられて振り返ると、そこにはさっき教官を言い渡されていた女の人がいた。

 

 

「初めまして。第一部隊強襲隊長の棗ナズナです。よろしくね」

 

「あ、よろしくお願いします」

 

 

あ、アネットとフェデリコがまた固まってる。緊張症だなぁ、2人とも。

 

 

「君が、アリサの言ってたショウゴさんだね」

 

 

アリサさん、わっしの話したのかな?

 

 

「あの時のアリサ、慌てふためいてて本当に面白かったんだから。『神機が、アラガミで、男に!!』って、なに言ってるかわかんなくって」

 

「ちょっ、ナズナさん!そのことは言わないでください!!」

 

「そうだったんですか。どうも心配かけまして」

 

「いや、そう返されると反応に困るというか……」

 

「ま、これからよろしくね。そこで固まってる2人。早速訓練に入るよ。こっちにおいで。じゃあ、ショウゴさん。またね」

 

 

裏返った声で「ひゃい!」って返事をした、少年少女はナズナに連れてかれた。

 

なんていうか、豪快な人というか、なんというか。

 

 

「同じ部隊じゃなくて、残念でしたね。ショウゴさん」

 

 

アリサさんにそう言われると、なんだか申し訳なくなる。こればっかりはどうしようもないけど。

 

 

「そうですね。でも、配属は違っても職場は同じですから。一緒に仕事する機会もありますよ」

 

「はい。楽しみにしてますね。あ、私これから任務があるのでこれで」

 

「はい、がんばってください」

 

 

アリサさんはそのまま、下の受付のところに行ってしまった。

 

さて、わっしはこの後どうすればいいのかな。ジーナさんが教官って言ってたけど……ここで待ってたほうがいいよな。

 

ソファに座って待っていよう。

 

しかし、昨日も思ったけど、このソファ座り心地が絶妙だな……なんか、だんだん眠くなって……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「教官、私が彼の教育係でいいのかしら?」

 

「しょうがないだろう。教官をできそうなタツミ達は療養中で、カノンとシュンは教官に向いておらん」

 

「まぁ、命令だしね。頑張ってみるわ。でも、この資料だけど……これ本当かしら?」

 

「検査の結果だ。ジーナ、奴のことは逐一報告してくれ。もしかしたら、奴は……」

 

「ご期待に応えれるようにするわ」

 

「頼んだぞ」

 

「柳川ショウゴ……フフ、どんな花を咲かせてくれるかしら」

 

 

このあと、ソファで寝ているショウゴを見たジーナは、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。




ジーナさんが可愛いよね。いや本当に。ジーナさん書いてる、ゾクゾクするもの。怖い方のゾクゾクじゃなくて、快感の方のゾクゾク。

あの胸に飛び込みたいよね。

こらそこ、壁とかいうじゃn(


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訓練

短編と言ったな、あれは嘘だ(

このままだと、ガチ長編になりそう。

ご了承ください。

所々、閑話として小噺とか入れたいですね。

ジーナさんの水着回とか、ジーナさんとイチャラブ回とか。

何か、こんな小噺どうですかとかありましたら、メッセージいただけると、踊り喜びます。


ん……やば、いつの間にか寝てた。もうジーナさん帰って来ちゃう……。でも、なんだろう。すごく柔らかいな、この枕。それに……

 

 

「いい匂い……」

 

「おはよう、ショウゴ君」

 

 

……ああ、やな予感する。これはアレだ。カップルとかがやる、伝説のアレ。膝枕だ。んで、今聞こえた声から察するに、膝枕してくれてるのは……

 

 

「ジーナサン、弁解ノ余地ハアリマスカ?」

 

「ふふ、私が勝手にやったことよ。気にしなくていいわ。それに、可愛い寝顔も見れたしね」

 

 

恥ずかしい。非常に恥ずかしい。女性に膝枕までしてもらい、あまつさえ寝顔も見られるとは……まともにジーナさんのこと見れないぞ。

 

 

「起きたようなら、早速訓練の連絡をしたいのだけれど、いいかしら?」

 

 

この態勢のままでですか!?いや、起きようにもジーナさんに頭抑えられてて起き上がれないんだけど。

 

 

「これから、旧市街地で小型アラガミの討伐。あなたはダミーを使った事前訓練は必要ないらしいわ。優秀なのね」

 

「そ、そんなことは」

 

「ふふ、行きましょ」

 

 

やっと頭抑えられなくなった。なんなのこれ。罰ゲーム?わっしからしたらご褒美だけど……ってそんなことが言いたいんじゃなくて!

 

 

「ショウゴ君、下でミッションの受注をお願いね」

 

「りょ、了解しました!!」

 

 

恥ずかしくて、もうジーナさんと顔合わせられない……。

 

しかし、受注お願いと言われたけど、どうすれば……。

 

 

「あ、柳川ショウゴさんですか?」

 

 

下のカウンターで女の人に話しかけられる。ここに来る時何回か見たな。見るたびにお辞儀くらいの挨拶はしていたけど。名前までは知らないや。

 

 

「はい、そうです」

 

「ミッションの受注に来たんですよね?こちらで承っています。これからミッションを受注する際は、こちらまでお越しください」

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

「申し遅れました。私は竹田ヒバリと言います。何かあれば、いつでも行ってくださいね」

 

 

ヒバリさんね。こう言っちゃあれだけど、初めてまともな服を着た女の先輩にあった気がする。

 

ミッションの受注の仕方を教わりながら、受注を完了させる。

 

 

「はい、確かに。頑張って来てくださいね」

 

「はい!行って来ます」

 

 

さぁ、初出撃だ。

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

旧市街地。昔はかなり栄えた街らしいけど、その面影は微塵も残ってない。本当に廃墟ってかんじか。

 

これから、戦うのか……いや、不可抗力だったけど一回戦って勝ってるんだ。大丈夫、大丈夫。

 

だけどやっぱり不安だから、手に馴染むように素振りでもしよう。

 

 

「ロングブレードにアサルト、装甲はバックラー。オウガテイル相手なら、妥当な組み合わせね」

 

「姉に任せたらこうなって……」

 

「ふふ、弟思いのいいお姉さん。使い方はわかるかしら?」

 

「はい。動作確認のために姉に何度も練習させられました」

 

「なら安心ね。私は後ろから見てるわ。危なくなったら、援護に入るから、存分に戦うといいわ。ちょうどターゲットも見えたことだしね」

 

 

ジーナさんが指差した方を見ると、白い小型アラガミ『オウガテイル』がのっしのっしと歩いてる。

 

まだこっちに気づいていないようだ。

 

襲撃を受けた時に、わっしが倒したやつか。そう思うと、気が楽だ。

 

 

「では、ジーナさん。行って来ます」

 

 

ジーナさんの返事を聞かず、わっしは走り出した。

 

後ろから近づいていけば、奇襲できる。

 

 

「やあぁぁ!!」

 

 

オウガテイルの尻尾を狙い、神機を振り下ろした。

 

すうっと刃が通る。手応えはあった!

 

オウガテイルが咆哮をあげ、前のめりに倒れた。自慢の大きな尻尾は切り落とされている。

 

完全に無防備な状態のオウガテイルに、追い打ちをかける。剣から銃に変形させ、オウガテイル目掛けて引き金を引く。

 

無数の弾丸がオウガテイルを貫いて行く。アサルト撃ち続けるの、結構辛いな……。

 

 

「ガァァァァァ!!」

 

「トドメだ!!」

 

 

瀕死の状態でフラフラなオウガテイルの頭に、ロングブレードを突き刺した。

 

血が吹き出し、わっしの顔に降りかかる。オウガテイルは力を無くし、倒れた。

 

 

「倒したか?」

 

 

ブレードを引き抜き、確認のためオウガテイルを軽く蹴ってみる。反応はない。

 

 

「ショウゴ君、お疲れ様。いい立ち回りだったわ。コアを回収して、帰りましょう」

 

「はい!」

 

 

神機を捕食形態にして、オウガテイルを捕食する。

これでミッション終了だ。

 

 

「ふふ、張り合いがなかったかしら?」

 

「どうでしょう?自分でも、わからないです。まぁ、あとは慣れかなと」

 

「期待してるわ」

 

 

ジーナさんは、わっしに近づくと白いハンカチで顔を拭いはじめた。

 

 

「わ、あ、ありがとうございます」

 

「気にすることないわ。血塗れの花も悪くないわね」

 

 

後半は聞き取れなかった。というか、自分で拭けます。ジーナさんは、わっしをからかっているんだろうか。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

アナグラへ戻ると、姉さんが待っていた。

 

 

「ショウゴ、お疲れ様。どうだった?初出撃は」

 

「滞りなく。まぁ、わっし一回戦ってるし」

 

「それもそうね。あ、ジーナもご苦労様。うちの弟が迷惑かけなかった?」

 

「問題ないわ。ショウゴ君1人で倒しちゃったから、何もしてないしね。もう訓練の必要はないんじゃないから」

 

 

クスクスと笑うジーナさん。ああ、冗談言ってるのかな。

 

 

「ジーナがそんなこというの、珍しいね。なんかいいことでもあった?」

 

「ええ」

 

 

ジーナはゾクっとする笑みを浮かべた。

 

 

「綺麗な花を見つけたの」




ミッション終了後のジーナさんの「綺麗な花がたくさん咲いた」って聞くと、それだけでご馳走様です!ってなりますよね。

リイヤのキャラが定まんなくて、四苦八苦してます。
なんとかします。多分


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防衛班

お気に入り登録が3件!
とっても嬉しいです。チョロチョロとやって行くので、よろしくお願いします。


この作品は、戦闘は少なめになると思います。決して私が戦闘描写が苦手なわけではなくてですね……その通りです、はい……。
この作品は、ジーナさんへ愛を捧げるための作品となります。みんなをジーナ廃にしてやるぜ!


ごめんなさい、そんな文才ないです。ごめんなさい。


 

ここに配属されてから一週間が経った。戦闘にも慣れてきて、小型アラガミなら2体くらい同時に来ても1人で相手ができるようになって来た。

 

でも、まだまだ経験不足だと思う。中型や大型のアラガミとの戦闘は、まだ無理だ。先輩ゴッドイーターの人達に、ご指導いただく毎日だ。

 

因みに、今日は防衛班のシュンさん、カノンさんと一緒に外周区の見回りだ。わっしの教官のジーナさんは、今日は非番で一緒じゃない。

 

 

「シュンさん、こっちは問題ないです。装甲も、喰われた形跡はないです」

 

「こっちも問題ありませ〜ん」

 

 

そう言いながら、カノンさんが走ってきた。なんだか、小動物を思わせる雰囲気があるよな。この人。

 

 

「おう。わかった。それじゃ、今日は帰ろうぜ」

 

「ショウゴさん、お仕事覚えるの早いですね。これが人生経験の差でしょうか?」

 

「いや、まだまだいっぱいいっぱいですよ。カノンさんやシュンさんに比べたら、ひよっこも同然ですから」

 

「そんなことないですよ。私より、お仕事覚えるの早いですから」

 

 

わたわたとするカノンさんは、本当に可愛いな。子犬とか、子猫とか、そんなかんじ。

 

 

「なぁ、ショウゴ。お前、確か20歳なんだよな?」

 

「そうですが?」

 

「んー、なんか年上に敬語使われるとムズムズすんだよ。先輩とか気にして敬語使ってんなら、その、無理しなくていいんだぞ」

 

「別に無理はしていないですよ。でも、シュンさんがそう言うなら、敬語やめます」

 

「おう、そうしろそうしろ!仕事ではこっちが先輩、人生経験はそっちが先輩でおあいこだ」

 

「あ!シュンさんズルイです!ショウゴさん、私も敬語は無しでお願いします!」

 

「ああ、わかったよ。シュン、カノン」

 

 

なんだろうな。弟と妹ができたみたい。ちょっと楽しい。

 

ふと、シュンとカノンの神機に目をやると、気になることがあった。

 

 

「ねぇ、二人は神機のパーツは固定してるけど、他のパーツを使ったりしないの?」

 

「他のパーツ、ですか?」

 

「使ったことないな。最初の方は、自分にあったパーツ見つけるためにいろんなの使ってたけど、このパーツが一番しっくりくるんだよな」

 

「私もです」

 

「ふぅん。わっしは、パーツを固定しないで、色々使ってるけど、やっぱり固定した方がいいかな?」

 

 

ジーナさん、カノン、シュンはいつも同じ神機パーツを使っている。わっしみたいに、パーツを使い分けて戦闘する人は、防衛班にいない。

 

 

「んー、それは人それぞれなんじゃないか?」

 

「そうですね。第一部隊のナズナさんは、アラガミによってパーツを使い分けてましたよ?いつも、素材が〜って唸ってますし」

 

「そっか……ありがとう。参考になった」

 

「いいってことよ」

 

 

ナズナさんに、今度話を聞いてみよう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

アナグラへ戻ると、エントランスに見覚えのない人が3人いた。腕輪をしているから、ゴッドイーターの人達だと思うけど。

 

 

「あ、タツミさん!ブレンダンさんにカレルさんも!もう大丈夫なんですか」

 

 

カノンが、3人の元へ走り寄って行った。シュンも続いて近寄って行った。

 

 

「おお、カノン。それにシュンも、心配かけたな。もう大丈夫だ」

 

「迷惑かけたな。一週間大丈夫だったか?」

 

「はい、特に問題はありませんでしたよ」

 

「よぉ、カレル。お前がサボってる間に、獲物はもらったぜ」

 

「うるさい。そういうこと言うから、ガキだって言われるんだ」

 

「なんだと!?」

 

 

えぇっと、完全に置いてけぼりなんですが……誰か状況説明をしてください。

 

 

「ん?そこのやつは?」

 

 

あ、タツミって人が気づいてくれた。

 

 

「見ない顔だな。新人か?」

 

 

ブレンダンって人も気づいてくれた。影薄くないよね、わっし。

 

 

「そうだ、3人は知らないですよね。新しく防衛班に配属された新人さんです」

 

「はじめまして、第三部隊所属の柳川ショウゴです」

 

「おお、新人か!そりゃ、見覚えないわけだ。第二部隊の大森タツミだ。防衛班の班長もしてる。ま、よろしくな」

 

「第二部隊所属、ブレンダン・バーデルだ。よろしく頼む」

 

「カレル・シュナイダー。同じ第三部隊だ」

 

 

全員、防衛班の先輩ってことか。

 

 

「3人はこの前の襲撃で、大怪我を負って入院してたんです」

 

「あの時の……」

 

「マジで死ぬかと思った。スサノオとか、ヤバいやつの相手は第一部隊に任せたいぜ」

 

「第一部隊だって、あの時のは別の接触禁忌種と戦ってたんだ。そうボヤくな」

 

 

防衛班はボロボロだけど、第一部隊は誰も怪我しなかったんだね。第一部隊どんだけ強いんだ。

 

 

「まぁいいや。俺、ヒバリちゃんの所行ってくる!ヒバリちゃ〜ん!!」

 

 

タツミさんが受付の方に走って行った。なんだあれ、楽しそう。

 

 

「あ、おい!全く、復帰した途端これだ……ショウゴ、すまないな。落ち着きなくて」

 

「いえ、全然」

 

 

あのテンションには、ちょっと引いたけど……。

 

 

「なんかあったら、いつでも相談にのる。部隊は違えど、同じ防衛班だからな」

 

「ありがとうございます。頼らせていただきます」

 

「それじゃあな」

 

 

ブレンダンさんは、エレベーターの方へ。

真面目そうでいい人だ。頼り甲斐のあるお兄さんって感じかな。

 

 

「俺も、失礼する。休んでた分の稼ぎを取り戻さなきゃならない」

 

 

カレルさんは、タツミさんと同じく受付の方へ。カレルさんの方が健全な理由で受付に行ってる。

 

 

「なんか、防衛班って濃い人達ばっかりだな」

 

「第一部隊ほどじゃないだろ」

 

 

シュン、第一部隊のことほとんど知らないけど、何と無く納得できそうな気がするよ。




人が増えると、頭が破裂しそうになるよぅ……

地の文が苦手です。一人称だけど、台詞ばっかりになりがちになるので、ご了承ください。


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制限解除

スナイパーコンプを始めました。

スピアとシールドは既にコンプしてあったり。
あ、コンプと言っても、ランク4とかもコンプってわけではなくて、ランク11のみですが。

先週までは、スナイパーはアルバレスとがあればいいやとか思ってましたが、コレクター魂(限定的な)が疼いて……。


防衛班の皆さんが復帰し、教わることが増えて来た。タツミさんや、ブレンダンさんから立ち回りを教わってると、やっぱり経験者だなぁと感じる。

 

ジーナさんが教官だけど、ジーナさんが直接何かを教えてくれることはあまりない。いつも後ろから、眺めているだけ。

 

理由を聞いてみると……

 

 

「あなたの咲かせる花、とっても綺麗だから」

 

 

正直、意味不明だったり。でも、タツミさんたちが言うには、ジーナさんが戦闘中に何もしないのは珍しいとのこと。

 

んー、小型アラガミばっかりと戦っているからかな?でも、中型や大型は戦闘許可がおりないんだよな。

 

 

「柳川さん、ちょっといいですか?」

 

 

そんな事を考えながら、よろず屋でいろいろ買い物していると、後ろから声をかけられた。この声はヒバリさんかな?

 

 

「サカキ博士が、研究室まで来て欲しいそうです」

 

「え?サカキ博士が?」

 

「はい。できれば今すぐにと」

 

「わ、わかりました」

 

 

サカキ博士に呼ばれるとは、わっし何かしたかな?

いや、何もしてないはず。だってタツミさんに、「お前は模範囚だな」っていうくらい真面目に取り組んでたんだから。

 

まぁ、考えても仕方が無い。とりあえず、サカキ博士のところに行ってみるとしよう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「サカキ博士。柳川ショウゴです」

 

「入りたまえ」

 

「失礼します」

 

 

扉が開き、中に入ると胡散臭い笑みを浮かべたサカキ博士がいた。この人、すこし苦手なんだよな……。

 

 

「わざわざ出向いてもらってすまないね。実は、君にこれを飲んでもらいたいんだ」

 

 

そう言ってサカキ博士が取り出したのは、ピンク色の缶ジュース。缶には「初恋ジュース」とプリントされている。

 

 

「サカキ博士、これは?」

 

「僕が開発した、初恋ジュースだ。これを君に飲んでもらいたくてね」

 

「えっと……なんでわっしが?」

 

「コウタくんにも飲んでもらったんだが、体調が悪かったのか飲んだ瞬間に顔を青くして出て行ってしまってね。感想を聞けなかったんだ。そこで、新人である君に感想を聞きたくてね」

 

 

コウタさんって、たしか第一部隊の。あまり交流ないんだよな。アリサさんとか、ナズナさんは新型神機使いの先輩ってことで、話聞くことがあるけど。

 

てか、コウタさん大丈夫かな。今の話を聞いてると、このジュースのせいで体調悪くしたんだよな?

 

飲みたくないけど、目の前にいるのは上司。これは、不味くても美味しいって言わなきゃいけないだろ……。

 

 

「い、いただきます」

 

 

ゆっくり蓋を開ける。匂いは、甘い匂い。うん、匂いは大丈夫。問題は味だ……いけっ!わっし!!

 

一気に喉にジュースを流し込む。

 

……ん?これは……

 

 

「おい……しい?」

 

「本当かい?それは良かった。来週から自動販売機で発売されるんだ。楽しみにしていたまえ」

 

「はい!これ本当に美味しいですよ」

 

 

こんなに美味しいの初めて飲んだ。味は……どう表現すればいいのだろう。ちょっとわからないな。

 

 

「まぁ、このジュースが君を呼び出した理由じゃないんだけどね」

 

「……へ?」

 

「実はね、君に伝えなきゃいけないことがあってね」

 

「な、なんでしょう?」

 

 

え、なに、怖いんだけど?

転勤とか?もしくはクビ?

 

 

「ショウゴ君」

 

「は、はい……」

 

「今日から、君のミッション制限を解除させてもらう」

 

「それは、どういう?」

 

「つまり中型、大型アラガミとの戦闘を許可するということだ」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

 

それはつまり、実力が認められたということだ。

 

 

「ああ。君のお姉さんや、ジーナ君からの報告を見ても、なんら問題ない。寧ろ、遅すぎたくらいだ。これからも精進したまえ」

 

「はい!ありがとうございます!!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

サカキ博士との話を終え、実力が認められたということが嬉しくて、興奮冷めやらぬままエントランスまで戻ってきた。

 

エントランスには、ナズナさんとジーナさん、あとあれは整備班の……リッカさんだったかな?その3人がいた。

 

 

「あれ?ショウゴ君。なんか嬉しそうだけど何かあった?」

 

 

ナズナさんがわっしに気づき、そう声をかけてきた。

 

 

「今、サカキ博士のところに行っていて、やっとミッション制限解除されたんです!これで、中型アラガミや大型アラガミとも戦えます」

 

「本当?おめでとう!」

 

「ふふ、おめでとう。私が教官した甲斐があったかしら?」

 

「ジーナさんのおかげです。本当にありがとうございます」

 

「何もしてないわ。私より、お姉さんにお礼を言うのね」

 

「はい!!そうします」

 

 

わっしは姉に報告するために整備班のところへ向かった。

 

 

 

 

結果、うるさいとペンチとスパナでメタメタにされた。

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「ショウゴ君、落ち着きなかったねー。まあ、しょうがないか。私も制限解除のときは嬉しかったからね。コウタは、怖い怖い言ってたけど」

 

「今のが、噂のショウゴ君?」

 

「リッカさんはショウゴ君に会うの初めてなんだっけ?」

 

「うん、リイヤから話は聞いてたんだけどね。すごい嫌そうな顔しながら、弟がゴッドイーターになったって言ってたから」

 

「え!?ショウゴ君って、リイヤさんの弟なの!?」

 

「あれ?知らなかったの?まぁ、リイヤ隠してたらしいしね」

 

「そうだったんだ……。あれ?でも、ジーナさんさっき……」

 

「リイヤとジーナさんは親友だからね。神機の整備を専属でやるくらい。最近は弟君のも専属でやってるみたいだけどね。整備班長が他の神機も整備してくれって頼みたいらしいけど……ほら、リイヤってさ」

 

「ああ、あれね……」

 

「ジーナさん、あの話って本当なんですか?」

 

「さぁ、本人に聞いてみたら?ま、少なくともいい顔はしないでしょうけどね」




ミッション制限というのを設けてみました。

あと、今更なんですがオリ主がいない場所での会話はセリフのみなんですが、読みにくいでしょうか?

ご感想いただけるとありがたいです。

さて、そろそろジーナにヒロインしてもらいたいですね。

まぁ、乞うご期待ということで


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戦闘開始

毎日更新しよう思いますが、できなかったときはごめんなさい。

時間帯は不定期なので、逐一みてくださいね(


「サカキ博士、本当に良かったのですか?彼を行かせて」

 

「大丈夫さ。私の仮説が正しければ、きっとやってくれるはずさ」

 

「しかし、整備班の彼女まで同行させるのは……」

 

「まぁ、いいじゃないか。彼女が一番、彼の事をわかってる」

 

「……わかりました」

 

「さぁ、どんな結果を見せてくれるかな。彼は」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

戦闘許可が降りてから、早速コンゴウの討伐ミッションを受注し、今は寂れた寺院にいる。雪が降ってて寒い。教官であるジーナさんと、暇だからとナズナさんが同行してくれた。そして、意外な人物が一人、わっし達の後について来ていた。

 

 

「ありがとうございます。一緒に来ていただいて」

 

「いいよいいよ。他の人達忙しかったんでしょ?暇な人が手伝うのは当然だって」

 

「ふふ、隊長さん。一応、これは訓練も兼ねてるからあまり前に出過ぎないでね」

 

「わかってますよ、ジーナさん。でも、本当に珍しいですね」

 

 

ナズナさんは、もう一人の同行者に目をやる。

それはわっしの姉、リイヤだった。姉ちゃんは、大きなコンテナを引いていた。

整備班の姉ちゃんが、現場にいるのは前代未聞と、ナズナさんは言っていた。

 

 

「整備班最強の女が、一緒に現場にいるなんて」

 

「ナズナ、それやめてくれない?私の知らないところで、いろんな呼び名がついてるの知ってるんだからね?」

 

「あ、すいません。でも、どうして今日は同行を?」

 

「サカキ博士に頼まれてね。愚弟の実験よ」

 

「愚弟って……」

 

「実験ってなんですか?」

 

「これよ」

 

 

姉ちゃんがコンテナを開く。中には、ショートブレードにロングブレード。アサルトにブラストと、多種多様な神機が詰まっていた。

 

 

「うわっ、すごいいっぱいの神機。これどうしたんですか?」

 

「持ち主のいない神機と、整備終えてテストが終わってない神機を片っ端から持って来たのよ。こいつの実験のためにね」

 

「実験ってなにするんですか?」

 

 

わっしも聞いてないよ?ジーナさんは、知ってるようで、小さく笑っている。

 

 

「こいつが始めて神機を使った時、全く侵食を受けてなかったらしいのよ」

 

「え?他人の神機を使ったんでしたよね?しかも、偏食因子を投与してない状態で」

 

「そうよ。しかも、それでオウガテイルを倒したって言うんだからね。サカキ博士のお眼鏡にかかるのも頷けるわ」

 

「ふふ、リイヤ。顔が緩んでいるわよ」

 

「ちょっ、ジーナ!!」

 

 

顔を真っ赤にして、姉ちゃんがジーナに詰め寄る。しかし、ジーナさんはいたずらっ子のような笑みを浮かべる。

 

 

「あら、顔が真っ赤よ」

 

「もう!ジーナは何もいわないで!!」

 

「あはは、整備班最強の女は、ジーナさんが弱点なのね」

 

「姉ちゃんとジーナさん。仲良いんだ」

 

「らしいよ。親友と呼べる仲なんだって」

 

「へえ」

 

 

アナグラでの姉ちゃんのことはほとんど知らないからな。今度、ジーナさんに聞いてみよう。

 

 

「リイヤ、ショウゴ君に説明したほうがいいんじゃない?」

 

「わ、わかってるわよ!」

 

 

コホンと咳払いをしてから、姉ちゃんはわっしのほうを向いた。眉間にしわ寄せるのやめてくれよ。

 

 

「ショウゴ、あんたにはこのコンテナの神機を使ってもらうわ」

 

「へ?いやいや、ちょっと待てよ!神機って、他人のを使うと偏食因子だかオラクル細胞だかに捕食されてアラガミになっちゃうんじゃ……」

 

「その通りよ。でも、あんたは違う。あんたは、どんな神機でも自分の神機のように扱えるのよ……まだ、仮説だけどね」

 

「それって、大丈夫なのかよ……」

 

「それを確かめるための実験でしょ?サカキ博士が、実戦のデータが欲しいって言ってるんだから、協力しなさい」

 

「えぇ……」

 

 

相変わらず、姉は理不尽だ。しかし、今の話が本当なら……

 

 

「わかった。やってみるよ」

 

「よし。じゃあ、あんたがいつも持って行ってる神機とこれを持って行きなさい。コンゴウ相手なら、ロングブレードを持って行きなさい」

 

「ロングとロングか……初めての中型アラガミとの戦いでやらせるとか、姉ちゃんどんだけ容赦ないんだよ」

 

「あんた無駄に器用なんだから、大丈夫でしょ?」

 

 

それとこれとは話が……まぁ、やれるだけやるだけだ。

 

 

「あ、それとその神機、ナズナのパーツだから」

 

「ええ!?リイヤさんなにしてるんですか!!そのパーツ作るのに何体サソリを倒したと思って」

 

「テスト無しで使おうなんて、バカもいいところよ。いつも小型アラガミでテストしてから使えって言ってるのに、守らないナズナが悪いのよ。諦めなさい」

 

「そんな殺生なぁ〜」

 

「あなた達、盛り上がっているところ悪いんだけど、コンゴウが見えたわ。リイヤはさがって。ショウゴ君、隊長さん、準備して」

 

「はい!ジーナさん」

 

「ショウゴ君!壊したら、許さないからね!!」

 

「気をつけます!!」

 

 

さぁ、戦闘開始だ。




初の中型アラガミ戦です。

やっぱり、コンゴウさんには的となってもらいましょう。

GE2でスピアとコンゴウが相性悪いですが、スピアの素材はコンゴウをあまり使わないので、助かります。


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金剛

UAが1000突破しました!
まさか、こんなに読んでくれる人がいるとは思いませんでした。

始めて一週間ですが、なんとかやって行こうと思うので、これからもよろしくお願いします。


物陰に隠れながら、今回の討伐対象「コンゴウ」に近づく。

 

強靭な腕、背中のパイプが特徴的なアラガミだ。猿に似ていて、力が強い。「殴られたら、トラックと衝突したかと思うくらい吹っ飛ぶ」とはタツミさん談。

 

背中のパイプは風を起こし、敵を蹴散らすとか……。

ダメだ、頭で考えると不安要素しか思い浮かばない。

 

 

「ショウゴ君、緊張しすぎだよ。コンゴウの動きはそこまで早くないから、しっかり見れば全部捌けるし、大丈夫だって」

 

「だといいんですが……」

 

「私は後衛苦手だから、援護射撃とかできないけど、ジーナさんがすごいの知ってるでしょ?」

 

「ジーナさんが戦ってるところ、みたことないです。全部、わっしが倒してたので」

 

「え!?ジーナさん、ショウゴ君といっぱいミッション行ってるのに、一回も戦ってないの!?」

 

 

そう、小型アラガミとの戦闘で、ジーナさんが自慢のスナイパーを撃ってるところをみたことがない。

 

全部わっしが倒しているのだ。慣れるためだと思ってたけど……

 

 

「ジーナさん、いくらなんでもそれはやりすぎじゃ……」

 

「あら、私だって彼が危なくなったら助けるつもりだったのよ?彼が簡単にアラガミを倒してしまうから、なにもすることがないのよ」

 

「そうなんですか?じゃあ、大丈夫だね!ショウゴ君、余裕余裕」

 

 

どうしてそんな天真爛漫でいられるのかわからないけど、第一部隊の隊長が言うんだ。信じてみよう。

 

 

「よし、行きます!」

 

 

わっしはコンゴウに向かって走り出した。

 

こっちに気づいていない今なら、奇襲でき……

 

 

「ゴアァァァ!!」

 

 

なかった?気づくの早すぎないか!?

そういえば、コンゴウは耳が良いって聞いたような……すっかり忘れてた。

 

コンゴウは右拳を振り上げる。殴りかかってくるつもりか。わっしは二本の神機のうち、自分の神機のほうの装甲を展開する。

 

コンゴウの拳が、装甲にぶちかまされた。そして、強い衝撃と浮遊感。吹っ飛ばされ……

 

 

「ぐはぁ!?」

 

 

壁に叩きつけられた。タツミさんの言うとおり、トラックに跳ね飛ばされた気分だ。早く体勢を立て直さないと。

 

 

「ショウゴ君、大丈夫!?」

 

 

ナズナさんが、ブラストでコンゴウの動きを止めてくれている。

 

ジーナさんは……見当たらない。

 

 

「だ、大丈夫です。装甲でガードはしたんで、ダメージは少ないです」

 

「早く体勢立て直して。援護するから」

 

 

神機を杖にして、起き上がる。二つの神機に戸惑ってる場合じゃない。戦いながら慣れるんだ。

 

右手の自分の神機を銃形態に変形させ、走りながらアサルトでコンゴウを牽制。左手のナズナさんの神機を構えた。

 

その時、コンゴウのパイプ風を集める。

 

 

「気をつけて、風の大砲を撃ってくる!」

 

 

装甲を展開することは出来ない。ならば……

 

 

「うおぉ!!」

 

 

ナズナさんの神機を地面に突き刺し、勢いを殺さずハンドスプリングの要領で飛び上がる。

 

コンゴウの風は、何もないところへ放たれ、雪を巻き上げながらあらぬ方向へ。

 

空中で自分の神機を剣に変形させる。狙うのは頭。神機を振り下ろそうとした時、コンゴウのパイプが風を集めていた。

 

やばい、格好の的だ。

 

その時、銃声とともに一本の閃光がコンゴウのパイプを貫き、結合崩壊を起こした。

 

そのまま、わっしは二本の神機を振り下ろす。

 

切り裂かれ、結合崩壊を起こしたコンゴウは、その場に倒れ伏した。

 

 

「はぁ、はぁ……やった?」

 

「おお!ショウゴ君すごい!初討伐おめでとう」

 

「ありがとうございます。っと、コアを回収しないと」

 

コンゴウのコアを回収していると、ジーナさんがゆっくり歩いてきた。

あの時、わっしを助けてくれたのは……

 

 

「あ、ジーナさん。ショウゴ君がやりましたよ」

 

「そうみたいね。おめでとう、リイヤも喜ぶわね」

 

「はは、だといいんですけど。ジーナさん、援護ありがとうございます」

 

「危なくなったら助けるって言ったでしょ?それに……」

 

 

ジーナさんの顔が、わっしの顔の横に!ちょ、いい匂いするんだけど!?

 

 

「あなたと一緒なら、これからもいい花を咲かせられそうだしね」

 

 

耳元でそう呟くと、ジーナさんはすぐに離れた。

 

 

「さ、早くリイヤのところに戻りましょう?」

 

「あ、はい!」

 

「ふーん、なるほどね」

 

 

ナズナさんが小さくなにか言っていたが、聞き取れなかった。




金剛デース!!

すいません、なんでもないです……。

戦闘は基本あっさりです。

戦闘苦手なので、ご了承くだサーイ。

すいません、なんでm(ry


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特異

一ページ1500〜2000文字を目指して書いてます。

一ページを読むのにはこれくらいがちょうどいいかなぁと。


姉ちゃんのところに戻ると、姉ちゃんは忙しなくコンテナの周りをウロウロしていた。

 

姉ちゃん、待たせるのは好きだけど、待たされるのは嫌いだからなぁ……。

 

 

「姉ちゃん、ごめん。待たせちゃって「うっさい!」いってぇ!?理不尽!!」

 

「うわ、リイヤさん容赦ないなぁ」

 

「素直じゃないわね、まったく」

 

 

理不尽なスパナ攻撃……そんなに怒ることないじゃないか。

 

 

「で?大丈夫だったの?」

 

「ん、二刀流は大変だけど、大丈夫。慣れればいい戦力になるよ」

 

「そう。ちょっと、そっちの神機見せて」

 

 

そう言ってナズナさんのパーツがついた神機を見る。

わっしは違和感なく使ってたけど、神機に負担とかあったら大変だもんな。

 

 

「うん、バラさないとわからないけど、軽く見た感じだと神機の機能には問題なさそうね。でも……」

 

 

刀身をまじまじと見つめる姉ちゃん。

 

 

「ナズナ。このパーツ一週間お預けね」

 

「えぇ!?どうしてですか、リイヤさん!」

 

「刀身、曲がってる。全治一週間。ご愁傷」

 

 

あ、あの時か……地面に突き刺して飛んだ時。

 

 

「そ、そんなぁ……ショウゴ君!慎重に扱ってって言ったのに!」

 

「す、すいません。でも、あの時はああするしか……」

 

「そうかもしれないけどぉ……」

 

「ふふ、隊長さんもお気の毒ね」

 

 

本当に申し訳ない……。

わっしの力不足だ。

 

 

「ほらほら、もうここにいる必要ないんだから帰るわよ。ヘリも来てるんだから」

 

「早くサカキ博士に報告しなきゃいけないものね」

 

「ジーナ!そういうことは言わないでよ!」

 

 

姉ちゃんを手玉に取れるのはジーナさんだけだな。うん。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「そうか、では私の仮説は正しかったんだね」

 

「はい、弟の体は特異なものになっています」

 

「偏食因子に飲み込まれず、オラクル細胞に喰われることのない体。いや、違うな。どんなオラクル細胞でも、自分に最適化できる。だから、どんな神機を使っても拒絶反応を起こさない。いやはや、こんな人間がいるなんてね」

 

「博士、弟は……」

 

「大丈夫、これ以上実験を続けるつもりはない。君の頼みだしね。でも、この能力をうまく使って欲しいね」

 

「それなら、私にいい考えが……」

 

「……ふむ、なるほど。わかった、好きにするといい」

 

「ありがとうございます。では、失礼します」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

アナグラに帰るとエントランスには、アリサさんとカノン、それとコウタさんがいた。コウタさんとは、最初の自己紹介のときに顔を見ただけで、あまり話したことはなかった。

 

 

「あ、ショウゴさんおかえりなさい!初めての中型アラガミ討伐、どうでしたか?」

 

 

カノンがトコトコと駆け寄ってくる。本当、妹がいたらこんな妹がいいな。そんなことを考えながら、カノンの頭を撫でる。最近、カノンを撫でるとなんとも言えない癒しを得ることに気づいた。

 

 

「なんとか大丈夫。ジーナさんと、ナズナさんも一緒だったけどね」

 

「ナズナさん達がいるなら、心配ないですね!」

 

「ショウゴさん、ミッション制限解除されたんですね。おめでとうございます」

 

「この間の新人さん?自己紹介まだだったよね。俺、第一部隊の藤木コウタ。よろしく」

 

「柳川ショウゴです。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

「そんなかしこまらなくていいよ。俺より年上なんだし、タメ口でいいよ」

 

 

ここの先輩達は、こういうフランクなところがいいね!

 

 

「わかったよ、コウタ」

 

「よしよし。ところで、ショウゴってバガラリーって知ってる?」

 

「バガラリー?」

 

「もう、コウタはいっつもそれなんですから。ショウゴさん、気にしなくていいですからね」

 

「ちょっ、アリサその言い方はないだろー」

 

「はは、二人ともそれくらいにしておきなよ」

 

 

まあまあ、と二人を諌める。これが大人の余裕というやつだろうか。

 

 

「ショウゴさん、そういえばジーナさんとナズナさんは?」

 

 

カノンがそう聞いて来た。あれ?さっきまで一緒だったんだけど……

 

 

「ああ、ツバキさんがお二人を探していたので、そちらへ行ったんだと思いますよ?」

 

「そっか。ジーナさんとナズナさんに、今日の評価聞きたかったんだけどな」

 

「うわぁ、ショウゴ真面目」

 

「足手まといになりたくないからね。努力は欠かせないよ」

 

「さすがですね。いい心がけだと思います!」

 

 

アリサさんにそう言われると、頑張れるな。女性に褒められただけでやる気出すのもどうかと思うけど……

 

 

「アリサとは大違いだよな。最初に会った時、旧型は旧型の仕事をしてください〜とか言ってさ」

 

「ちょ、コウタ!そういうことは言わなくていいです!!」

 

「あ、ちょっ二人とも!」

 

 

コウタとアリサは追いかけっこを始めた。若いなぁ、十代。

 

 

「何時ものことですよ、ショウゴさん。そうだ、クッキー焼いたんですけど食べませんか?」

 

「いただくよ」

 

 

カノンの料理は美味しいからね。

 

そうだ、今度は第一部隊の人と仕事してみよう。ゴッドイーターの仲間だし、親睦を深めるためにも。

 

クッキーを食べながら、そう考えていた。




はい、難産でした。今回の話。


すっごい時間かかってしまい。夜中投稿となります。

お見苦しいかもしれませんが、お付き合いいただけると嬉しいです。


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テスター

ジーナさんとイチャイチャする夢を見ました。楽しかったです。それを邪魔した目覚まし時計を、一週間ほど絶好したくなりました。

寝坊は嫌なので、仕方なく絶好はしないであげます。


コンゴウ討伐から一夜明け、本日は非番。

ゴッドイーターになってから初めてのお休みで、何をしていいかわからず、ぼーっと天井を眺めていた。

その時、部屋の扉をノックする音がした。

 

 

「ショウゴ君、いる?」

 

 

この声は……整備班のリッカさんだ。

わざわざなんのようだろう?

 

 

「はい、今開けます」

 

 

扉を開けると、いつも通り顔を油で汚したリッカさんがいた。気になってしまったので、リッカさんが口を開く前にハンカチを取り出し、顔を拭いてあげる。

 

 

「わっぷ。ちょっ、ショウゴ君?」

 

「ちょっとじっとしていてくださいね」

 

 

ハンカチで汚れを拭き取り、キレイなったリッカさんの顔を見て満足。

 

 

「はい、終わりました。すいません、気になってしまって」

 

「いや、いいんだけどさ。やっぱりリイヤと姉弟なんだなぁって。リイヤも同じことしてくるよ」

 

「はは、変なところは似てますからね」

 

 

姉にいいように使われてるわっしからしたら、あまり似てるとは思いたくないが、やはり家族は似てしまうものだ。

 

 

「で、今日はどうしたんですか、リッカさん?」

 

「リッカでいいよ。ショウゴ君、今日非番なんでしょ?」

 

「ええ、まぁ」

 

「お休みのところ申し訳ないんだけど、格納庫まで来てくれないかな?リイヤが話あるって」

 

 

姉ちゃんが?用があるなら、メールくれればいいのに。

 

 

「いいけど、何かあったの?」

 

「んー、私も聞かされてないんだよね。なんか頼みたいことあるとは言ってたけど」

 

「姉ちゃんの頼み事って……嫌な予感しかしないんだけど」

 

「まあまあ、悪いようにはしないよ。多分」

 

 

その多分が怖いんだけど……まぁしょうがない。断ったほうが、痛い目を見るに決まってる。

 

 

「じゃあ、準備してくる」

 

「ここで待ってるよ。私も格納庫に用があるし」

 

「立ってるのもなんだし、そこの椅子に座ってていいよ。あ、なんか飲む?初恋ジュースと冷やしカレードリンクあるけど」

 

「冷やしカレードリンクあるの!?私好物なんだ!」

 

「美味しいよね、それ」

 

「ショウゴ君、なかなか趣味がいいね」

 

「そりゃどうも」

 

 

冷やしカレードリンク買ってるところをシュンに見られた時は、変な顔されたけどな……美味しいのに。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

リッカに連れられて格納庫へ来ると、姉ちゃんが昨日のコンテナの中身をいじっていた。

 

 

「リイヤ、弟君連れて来たよ」

 

「ありがとう、リッカ」

 

「姉ちゃん、わっしに用ってなに?」

 

 

単刀直入だけど、姉ちゃん回りくどいこと嫌いだし、ズバッと聞いたほうがいいし。

 

 

「ああ、これなんだけど」

 

 

そう言っていじっていたコンテナをポンポンと叩く。

中には、昨日と同じく大量の神機が。

 

 

「それがどうかしたの?」

 

「これ全部、整備済みの神機なんだけどさ、まだ稼働テストしてないんだよね」

 

「は、はぁ……」

 

 

整備班の整備事情など知ったことではないのだけれど、それがわっしになんの関係が?

 

 

「今までは、整備班の人数不足やら、アラガミの大量発生やらで、整備したらテストせずにすぐ実戦投入だったんだけど、整備士としてはテストしてからゴッドイーターに渡してあげたいんだよね〜」

 

「だ、だから?」

 

「あんた、どんな神機でも扱えるから神機のテスターになってね。ちなみに支部長命令」

 

「へ……ええ!?」

 

 

いやいやいや、新人にやらせることじゃないでしょ。まだペーペーですよ?ケツの青い青二才ですよ?

 

 

「今日は非番だから、明日からお願いね。所属は防衛班のままだから、そっちの仕事もあるからね」

 

「ど、どうなってるの……」

 

「まあまあ、ショウゴ君。実際、テストしてくれるのは整備士としては嬉しいことなんだよ。実戦で動作不良なんて起こしたら、取り返しのつかないことになるからね」

 

「そうそう。リッカの言うとおり。あんたの仕事は、神機使いのみんなを守る仕事よ。守るのは防衛班の専売特許でしよ?」

 

 

うまく流されている気がしてならないが、わっしにしかできない仕事なんだよな……覚悟、決めるか。

 

 

「わかった、やるよ」

 

「さすが、私の弟」

 

「都合いい時だけそういうこと言って……」

 

「ショウゴ君、ありがとうね」

 

 

そう、リッカのためにこの仕事やるんだ。……もうそう思ってないとやってられないよ……。




次回からどうしよう……なにも考えてません。

更新できなかったらすいません。

書き終わったら、ジーナと結婚するんだ←


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乾杯

暑いですね。北海道も暑いです。7月だから当たり前ですよね。

ジーナさんがタンクトップ姿を想像して、捗りますね。
ナニがとは言いませんが。


テスターの話をするためだけにわっしを呼んだ姉ちゃんは、「もういいよ、帰って」と優しくない言葉いただき、エントランスまで来た。

 

やることないし、誰かいたらお話できるかなぁと思ったんだけど、いるのは忙しそうなヒバリさんと……

 

 

「あら、お疲れ様」

 

「ジーナさん」

 

 

わっしの教官様でした。

ジーナさんは、エントランスのソファに腰掛けていた。

 

 

「今日は非番じゃなかったかしら?」

 

「やることなくて……ジーナさんは?」

 

「仕事から帰って来たところ。他の人たちは、装甲壁の見回り中。本当、仕事熱心よね」

 

「はは、ジーナさんだってそうじゃないですか」

 

「私は綺麗な花が見れればそれでいいの。仕事に打ち込んでるわけじゃないわ」

 

「よく、その言葉を聞きますけど、綺麗な花ってなんのことですか?」

 

 

わっしと一緒だと、綺麗な花が咲くとか言ってたし、前々から気になっていた。

 

 

「知りたい?」

 

「まぁ、できれば」

 

「ふふ、まだ秘密。一人前になったら、教えてあげる」

 

 

ジーナさんはソファから立ち上がると、アナグラの出口へ向かう。

 

 

「暇なんでしょ?ちょっと、付き合ってくれない?」

 

「わっしでよければ」

 

 

とりあえず、ジーナさんとは色々話をしたくなった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ジーナさんについて行くと、そこは外部居住区の小さな建物だった。建物の前には小さな看板があった。「BAR.duranta(バー・デュランタ)

 

バーなんて、外部居住区にあったのか。

 

 

「あなた、お酒は飲めるかしら?」

 

「それなりに」

 

「ふふ、じゃあ大丈夫ね」

 

 

ジーナさんと中へ入ると、簡素なつくりだけど雰囲気の漂うお店だった。

 

 

「おや、久しぶりですね。今日はお連れ様も?」

 

 

カウンターの向こうでグラスを拭いていたおじさんが、わっしたちに気づいて、手を止めた。

 

 

「ええ。マスター、二つお願いできるかしら?」

 

「喜んで」

 

 

ジーナさんはカウンターに座ると、おじさん……マスターに注文する。ていうか、これで注文わかるのか?

 

 

「ここ、座って」

 

 

ジーナさんが、隣の席を指差した。

言う通りに座る。

 

 

「外部居住区に、バーなんてあったんですね」

 

「極東支部に来た時に見つけてね。暇な時は来てるの。お酒は、一つしかないけどね」

 

 

一つしかない?

ああ、だから注文のとき、あれでわかったんだ。

 

 

「お待たせしました」

 

 

わっしとジーナの前に、グラスが置かれる。氷と黄金色の酒が入ったグラス。これは、ウィスキー?

 

 

「今更だけど、極東支部へようこそ。ショウゴ君」

 

「ありがとうございます」

 

 

グラスを軽く合わせる。氷の揺れる音とグラスの音が響き、二人一緒にウィスキーを口にする。

 

スッと抜けるアルコールが、喉を駆け抜ける。

 

 

「……っはぁ。結構きますね」

 

「ふふ、でも私は1番美味しいと思ってるわ。ここのお酒がね」

 

「なんとなく、わかる気がします」

 

 

ゆっくりと味わいながらウィスキーを飲む。

このご時世、お酒を飲めるのは最高の贅沢だ……って、姉ちゃん言ってたな。酔っ払いながら。

 

 

「前に、リイヤをここに連れてきたのよ」

 

「ああ……大変だったでしょう、お姉ちゃん」

 

「ええ、大声でわめき散らして、泣いて、寝て。私から出禁にしてあげたわ」

 

「はは、すごい想像できる」

 

「でも、あなたは大丈夫そうね」

 

「姉ちゃんよりは強いので」

 

 

最初の一杯を空にすると、マスターがおかわりを聞いてくれた。せっかくなので、もらうことにしよう。

 

 

「ここ、リイヤ以外に教えるのは初めてなの」

 

「え?防衛班の皆さんにも教えてないんですか?」

 

「ええ」

 

 

そう言って、ジーナさんも一杯目を飲みきる。

 

 

「特別な人にしか、教えないから」

 

 

特別な人……わっしも、特別な人に認定されたのか。あまり会ってないはずなんだけど。

でも、ジーナさんにそう言われると、うれしい。

 

 

「あなたも、ペラペラ喋っちゃダメよ?」

 

「はい。そうします」

 

 

ジーナさんに認められた嬉しさで、二杯目を流し込み三杯目を頼む。

ジーナはその光景を、笑みを浮かべながら見ていた。




お酒を飲むジーナさんは、ぶっちゃけエロいと思う。
思うよね?

因みに、初めてルビを使いました。
使えるものは使って行こうと思います。

デュランタは今後使って行く名前なので、覚えておくといいかもしれないです。
※使わないかもしれません


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不慣れ

GE2のssを構想中です。

とりあえず、簡単なプロットを誠意作成中。


ヒロイン?ジーナに決まってるだろ(真顔


 

非番明け、今日からテスターの仕事も始動だ。景気付けに、初恋ジュースを買いに行こう。今日から発売だ。楽しみ楽しみ。

 

自販機のところまでいくと、そこにはやけにぐったりしたシュンとタツミさんが。なにがあった?

 

 

「二人とも、おはようございます。具合でも悪いんですか?」

 

「おお、ショウゴか……いや、なんでもない。気にするな」

 

「ああ、今日のミッション報酬高かったのに……カレルに独り占めされる……」

 

 

なんでもないことはないと思うけど……今はそっとしておこう。ツバキさんに、2人が死にかけてるって伝えておこう。

 

同情しつつ、自販機にお金を入れて初恋ジュースのボタンを押す。ガタンと、ピンク色の缶が落ちてくる。これを待ってたんだ。

 

プルタブを開け、初恋ジュースを流し込む。

 

 

「んくっ……ぷはぁ!朝はやっぱりこれだな」

 

「ショウゴ……お前、飲めるのか?」

 

「(ああ、察し)ええ、まぁ」

 

「お前人間じゃねぇよ。それを美味しいとかいうやつは人間じゃねぇ」

 

「シュン、それはそれで傷つくんだけど」

 

 

そんなに人を選ぶ飲み物かな、これ。とりあえず、二人とも具合悪そうだし、ミネラルウォーターでも奢ってあげよう。

 

 

「サンキュー、ショウゴ」

 

「あんがとよ」

 

「いえいえ、お安い御用」

 

 

初恋ジュースを買いだめておこう。んー、六個くらい。自販機で初恋ジュースを連続購入し、エントランスへ向かう。

 

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

初恋ジュースを両手に、エントランスへ行くとツバキ教官がいた。

 

 

「おはようございます。ツバキ教官」

 

「ショウゴか、おはよう……その両手いっぱいの缶はなんだ?」

 

「今日発売の初恋ジュースです。あ、ツバキ教官おひとついかがですか?」

 

 

あ、つい進めてしまった。美味しいけど、他の人からしたら殺人ドリンクなのを忘れていた。言ってしまった手前、前言撤回するわけにもいかない……。ここで教官が、断ってくれれば……

 

 

「初恋ジュース……ふざけたネーミングセンスだが、まぁもらっておこう」

 

 

ツバキ教官、すいません。帰ったらどんな罰でも受けます。

 

 

「そうだ、博士から話は聞いてる。神機のテスターだったか?」

 

「はい。新兵にそんなことやらせていいのかって思いますけど」

 

「ジーナや他の者たちからの報告を聞く限り、実力は十分だ。胸をはれ」

 

「ありがとうございます。では、わっしは仕事に行ってきます」

 

 

ツバキ教官に、言われると自信と同時にやる気もみなぎってくる。よし、テスター頑張るぞ。

 

ヒバリさんのところへ行き、ミッションが無いか聞くと……

 

 

「あ、ショウゴさんには、特別任務が来ています。依頼人はリイヤさんです」

 

「姉ちゃん?」

 

「はい。伝言を預かってます。えっと……『神機を壊したら、わかってるよな?無傷で返せ』とのことです」

 

「うっわ、戦場にいく弟に言うことかよ……まぁ、とりあえず、そのミッションで」

 

「はい。同行メンバーはいませんか?」

 

 

同行メンバーか、すっかり忘れてた。ソロで行くのは危険だし、誰か一緒に行ってくれる人いないかな……。

 

 

「私が同行するわ」

 

 

突如、横から声が聞こえた。この声は、毎度おなじみ……

 

 

「ジーナさん!?」

 

「あら、そんなに驚かれると傷ついちゃうわよ?」

 

「いや、でもなんで……」

 

「あなたの教育係だもの。同行するのは当たり前でしょ?」

 

 

いつもの妖しい笑み。本当、何考えてるかわからないけど、ジーナさんがいてくれるなら百人力だ。

 

 

「お願いします、ジーナさん」

 

「ふふ、お願いされたわ」

 

「ヒバリさん、わっしとジーナさんで行きます」

 

「わかりました。討伐対象はシユウです。他にアラガミの反応は無いですが、気をつけてください」

 

「わかりました。行ってきます」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

格納庫へ行くと、いつもわっしの神機がある場所にわっしの神機はなく、代わりにコンテナが。このコンテナはこの間姉ちゃんが持ってたやつだ。コンテナに紙が貼ってある。

 

 

『あんたの神機は預からせてもらう。そのコンテナを持っていけ』

 

 

おいおい、自分の神機使っちゃダメなのか。

しょうがない、コンテナをヘリまで運ぼう。

 

 

「ふふ大変ね。我儘なお姉さんをもつと」

 

「本当です」

 

 

幸い、コンテナには車輪がついてたから、押していった。

はぁ……わっしに優しくしてくれ姉が欲しい。

 

 

「そんなに暗い顔をするものじゃないわ。帰ったら、一緒に飲みましょう?」

 

「はは、楽しみです」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「もしもし?」

 

『ヒバリくん、今旧市街区に出ているゴッドイーターは何人かね!?』

 

「ジーナさんと、ショウゴさんの2人です」

 

『すぐに引き返させてくれ!大至急だ!』

 

「待ってください……2人はシユウと交戦中です。なにがあったんですか?」

 

『旧市街区近くで、見たこともないアラガミの反応を探知した。反応の大きさが尋常ではない』

 

「わかりました。すぐに連絡を」

 

『第一部隊を救援に向かわせてくれ。よろしく頼むよ』




お話を進めます。
SSはどう書けばいいのか、たまにわかんなくなりますが、独学で頑張りたいと思います。

時間があったら夜も更新するかもしれません。


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真竜

GE2のssは、このssの続編と言うことで構想中です。
第二部と言う感じで。

第一部のラストは全く考えてません←

まぁ、どうにかします。


 

「おら!!」

 

 

シユウの剣のような右の腕を、コンテナに刺さっていたバスター2本で切り落とす。ダブルチャージクラッシュ。

完全にバスターの重さに振り回されながら戦ってるけど、シユウと戦うときは、ちょうどいい気がした。

 

片腕を切り落とされたシユウは、捕食しようとわっしに背を向けるが、あれはダメだ。射程内だね、ジーナさんの。

 

発砲音。そして砕けるシユウの頭部。

 

シユウはそのまま崩れ落ちる。

 

 

「ふぅ、任務終了」

 

「お疲れ様」

 

 

シユウを撃ち抜いたジーナさんが近づいてきた。

どこにいたんだろう?ジーナさんを見つけるのは至難の技だ。

 

 

「そこまで、苦戦しなかったですね。自分の神機じゃないから、もう少し時間かかると思ってたんですが」

 

「バスター二つの重さを利用して回避し始めた時は、流石に驚いたわ」

 

「なんだかんだで、ショートブレードくらい回避できてましたからね……」

 

 

自分の体重が軽いのか、バスターが重すぎるのか。剣を振るだけで、体が持って行かれるのだ。肩抜けるかと思った……。

 

 

「ほら、コアを回収して帰りましょう?」

 

「はい、今回収してきます」

 

 

さて、お食事の時間……あれ?

 

 

「ジーナさん、シユウそこにいましたよね?」

 

「いないの?」

 

「おかしいな……コア回収してないのに」

 

 

もう消えてしまった?いや、早すぎる。なにが起きて……

 

 

『ガリッ……バキッ……』

 

 

……捕食音?他にアラガミがいた?ここにはシユウしかいなかったはず。イレギュラーか?

 

 

「ジーナさん」

 

「ええ、行きましょう」

 

 

音のする方へ向かう。わっしが先行し、ジーナさんは後ろからだ。

 

音は旧市街区の教会からしている。壁から中を覗く。

 

まず見えたのは、長い尻尾。全貌が見えてくる。鋭い爪に、牙。大きな籠手。まるで、竜のようなアラガミがシユウを捕食していた。

 

 

「なんだ、あれ……データベースでも見たことない」

 

「新種かもね。下手に戦わない方がいいわ、このまま帰りましょう」

 

「了解です」

 

 

ゆっくり後退を始める。

 

その時……

 

 

カーン

 

 

何か金属にぶつかった音。いや、もうわかってる。わっしの神機だ。しかし、わっしは慎重に後退していた。なにがぶつかった?

 

わっしの横で、石が転がっている。老朽化した教会の天井のコンクリートが落ちてきて、神機に当たったと気付いた。そして、あの竜が音に気づいたこともわかった。

 

そこからの行動は一つだった。

 

 

「ジーナさん!走って!!」

 

 

返事を聞く前に、2人で走り出した。

 

バァン!と、竜が壁をぶち抜いて追ってきている。なんてパワーだ!このままじゃ、すぐに追いつかれる。

 

 

「ジーナさん、ここはわっしが引きつけます!そのうちに、本部に連絡を」

 

「……わかったわ。すぐに戻る」

 

 

ジーナさんは冷静に物事を判断してくれている。流石だ。

 

 

「わっしが相手だ!こい!」

 

 

竜の目の前で、バスター2本を構える。竜は口と手から炎を溢れ出させる。

炎を操るアラガミか。

 

 

「でぇやあ!!」

 

 

右のバスターを竜の頭に向けて振り下ろす。しかし、竜の左腕の籠手に防がれる。だが!

 

 

「もう一本あんだよ!!」

 

 

左のバスターで切り上げる。竜は右手で顔を守り、左腕を振るってわっしを吹き飛ばした。

 

 

「っくぅ!?」

 

 

なんとか着地して、体勢を立て直す。

竜を見ると、口に炎を溜めている?

 

 

《がぁ!!》

 

 

火球が吐き出された!?咄嗟にバスター二つでガードするが、熱までガードできるわけじゃない。

わっしの周りが炎で囲まれ、高熱が肌を焼いた。

 

 

「がぁ!?あっつ!」

 

 

なんとか炎から飛び出し、竜の姿を確認する。

 

 

「なっ!?そんな」

 

 

竜は手に炎の槍を構えていた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ショウゴ君が竜を引きつけている間に、私……ジーナは本部へ連絡をとっていた。

 

 

「こちらジーナ。本部、応答して」

 

『ジーナさん!?やっとつながりました!』

 

「大至急、救援をお願い。新種のアラガミに襲われて、ショウゴ君が引きつけてる!」

 

『すでに、第一部隊がそちらに向かっています。あと10分ほどで到着します!なんとか持ちこたえてください』

 

 

10分……ショウゴ君が耐えられるとは思わない。すぐに戻って援護しなければ。

 

バレットを調整し、ショウゴ君の元へ向かう。

 

お願い、無事でいて。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

なんとか剣の攻撃は防いだものの、片方の神機は刀身も装甲も大破。もう片方も刀身は無事だが、装甲が開かない。

 

竜は右手を少し切られただけで、他は無傷……はは、ゴッドイーターになって一ヶ月も立たないうちに、死ぬんかね。

 

竜が拳を振り下ろした瞬間。目の前が真っ暗になった。




物語は加速し始めます。

主にラブコメ方向に。

え?シリアス?牛乳注いで食べたよ?


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逆鱗

前回のあとがきは嘘です。多分。

とりあえず、早くにゃんにゃんしたいです。

ジーナさんにデレて欲しいです。


〈gina side〉

 

ショウゴ君が戦闘中であろう場所に戻ると、ボロボロの神機を持ったショウゴ君が、アラガミを前に呆然としていた。

 

危ない。

 

そう思った瞬間に、アラガミの拳がショウゴ君に振り下ろされた。

 

瓦礫が崩れる音、神機が砕ける音が私の冷静さを削り取っていき、ショウゴ君が吹き飛ばされる光景を見た私はもう冷静じゃなかった。

 

 

「このっ!」

 

 

自分の神機がスナイパーで、遠距離からの攻撃に優れているのも忘れて、アラガミに接近した。

 

一発、二発。

 

狙いも定めずスナイパーを放つ。

 

最初の一発は外れ、二発目は背中に当たる。

アラガミの様子からそこが弱点だとわかる。

 

アラガミが火球を吐き出す。横に飛び退き、火球をかわしたあと、すぐさまスナイパーで背中を連続で狙撃する。

 

 

《がぁぁぁ!!》

 

 

咆哮とともに、背中の部分が結合崩壊を起こした。

 

しかし、それは間違いだった。

 

結合崩壊した場所から出てきたのは、炎の翼。

多少、距離のある私からも、その熱量で顔が熱い。

 

とんでもないものを呼び起こしてしまった。

だけど……

 

 

「あなたは、私が倒す」

 

 

スナイパーを構え、引き金を引く。

 

しかし、アラガミは籠手で弾き、そのままなぎ払った。避けることはできなかった。

 

 

「ぐぅ!!」

 

 

吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

まだだ、まだ死んでない。

 

 

「喰らいなさい」

 

 

さらに連続して狙撃。

しかし、アラガミは持ち前の素早さと籠手で、全ていなされる。

 

そして……

 

 

カチン

 

 

虚しく、神機が弾切れを伝えた。

 

オラクルを補充する術はない。

 

アラガミが炎の槍を作り出し、飛び上がる。

 

この体勢からでは、回避は間に合わない。

 

 

《ぐあぁ!!》

 

 

アラガミが急接近し、槍が迫った。

 

目を瞑り、襲ってくる痛みに恐怖した。

 

しかし、その痛みは来なかった。

 

目を開けると、ボロボロに焼け焦げた服を身に纏った、傷だらけのショウゴ君が、槍を左手で受け止めている光景だった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

〈nazuna side〉

 

新種アラガミの発見を受けて、現場へ急行した私とリンドウさん、アリサ、ソーマは、状況を確認できなかった。

 

そこには、呆然とするジーナさんと、アラガミの炎の槍を素手で受け止めているショウゴ君がいた。

 

 

「ジーナさん!ショウゴ君!」

 

 

私とアリサが神機を銃形態に変形させ、アラガミにオラクル弾を連射する。

 

その攻撃に怯んだアラガミに、リンドウさんとソーマが斬りかかる。

 

ショウゴ君からアラガミが離れて、ショウゴ君はそのまま倒れこんだ。

 

 

「アリサ!2人を安全な場所まで!」

 

「わかりました!」

 

 

アリサにそう命令して、リンドウさんとソーマに加勢する。

 

 

「うひゃー、こいつぁ骨が折れそうだぜ」

 

「無駄口叩いてんな。さっさと片付けるぞ」

 

「怪我人出てるんだからね!真面目にやってよ!」

 

 

そのアラガミが倒れるのに、そう時間はかからなかった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

〈gina side〉

 

アリサに連れられて、私とショウゴ君はヘリでアナグラまで運ばれた。

 

アナグラでは、すでに救護班が待機しており、ショウゴ君は担架で手術室へ。

 

私の怪我は対したことはなく、すぐに治療を終え、手術室へ向った。そこにはサカキ博士と、ツバキ教官がいた。

 

 

「ジーナ君、怪我はもう大丈夫かね?」

 

「ええ、そこまで……彼は?」

 

「かなり危ない状況だ。怪我はともかく、彼の偏食因子が異常に活性化している。まるで、外部から過剰な偏食因子を投与されたかのようだ……」

 

「ジーナ、何か心当たりはあるか?」

 

 

心当たり……あるとすれば。

 

 

「彼は、アラガミの攻撃を素手で受け止めていたわ。神機でも、耐えられるかわからないくらいの攻撃を……」

 

「……サカキ博士」

 

「ああ、もしかするかもしれない。ジーナ君、ありがとう。君も疲れたろう、今日は休みなさい」

 

「いえ、ここで待たせてください」

 

「わかった。私達は失礼するよ。あのアラガミについて、調べなければならないからね」

 

 

サカキ博士とツバキ教官は、エレベーターへ向っていった。それと入れ違いで、リイヤが走ってきた。

 

 

「あ、ジーナ!ショウゴは、ショウゴは無事なの!?」

 

 

その狼狽ぶり、彼が前に救出された時と同じ。

 

 

「落ち着いて。まだ危険な状態なの」

 

「そんな……ショウゴ……」

 

 

そのまま膝を折って、座り込んでしまった。

 

 

「リイヤ……ごめんなさい。彼を、守れなくて」

 

「ジーナの……ジーナのせいじゃないわ。元はと言えば、私がショウゴにテスターなんかを……」

 

「あなたのせいじゃないわ。自分を責めないで。きっと、大丈夫だから」

 

 

私自身も、そう信じたかった。




断言しよう。ナズナはチートである。

いや、今回のハンニバル戦があっさり片付いたのは、それ以外の要因もあるのですが、まぁ推測して見てください。

はい、と言うわけで、シリアス終了()

ここからは、私にとってはある意味天獄……


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オリキャラ紹介

ナズナの紹介。

ナズナさんは、これからいっぱい出てくるかもね。

ジーナ廃の私の言葉は、信じちゃいけません←


棗ナズナ

17歳

第一部隊強襲隊長。ちなみに、リンドウはそのまま第一部隊隊長。

ゴッドイーターになってすぐにその頭角を表し、スピード出世を果たした猛者。アーク計画を阻止し、その名を世界に轟かせた。

長いポニーテールを揺らし戦う姿から、「鮮血の龍人」と呼ばれるようになっている。

重度の装備作成中毒。暇があれば素材集め、武器作成。つい先日、整備班のカタログに乗ってる神機をコンプリート。今はリッカと協力して、自作神機を作成中。

巨乳。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ナズナ(以下ナ)」「字数足りませんって、作者が言ってる」

 

ショウゴ(以下シ)「自業自得じゃないですか……」

 

ナ「まあまあ、少し助けてあげようよ。そうそう、私思うんだけど、私って出番少ないよね?」

 

シ「そうですね。オリキャラなのに、あまり出てきませんね」

 

ナ「おかげで、カノンちゃんの方が目立ってるよ!」

 

シ「わっしと同じ防衛班ですからね。ナズナさんより出しやすいんだと思いますよ?」

 

ナ「そんなこと言っても……やっぱり出番欲しいし……作者は私を蔑ろにしすぎだよ!」

 

シ「これから出番増やすって言ってますよ?まぁ、作者の性格上、気分で変なことするかも」

 

ナ「変なことされてもいいから、出番が欲しいよ!」

 

シ「あ、作者が怪しい笑みを……」

 

ナ「なんてゲス顏……」

 

シ「作者、巨乳には容赦ないらしいよ」

 

ナ「ぬ、脱ぐのは勘弁だからね!?」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

シ「作者の見えないフォースによってナズナさんが連行されました。なにをされているのか、わっしは知りません。知りたくありません」

 

ナ「壁|ω・`)」

 

シ「ナズナさん、なにしてるんですか?」

 

ナ「……コスプレさせられた……」

 

シ「なぜ着たんです……」

 

ナ「素材くれるって……」

 

シ「……なんのコスプレですか」

 

ナ「……ツバキさんのスーツ」

 

シ「ツバキさんにそれ言ったら殺されますよ」

 

ナ「私からしたらコスプレだもん!」

 

ツバキ「ほう?」

 

ナシ「あっ」

 

 

〜しばらくお待ちください〜

 

 

リイヤ(以下リ)「諸事情により、2人が退場したので、私とジーナが引き継ぐわ」

 

ジーナ(以下ジ)「よろしく」

 

リ「と言っても、やることは字数稼ぎよね」

 

ジ「ふふ、ならリイヤも着替えればいいんじゃない?」

 

リ「え!?なんで私が!?」

 

 

〜しばらくお待ちください〜

 

 

ジ「着替え終わった?」

 

リ「終わったけど……この服いいの?」

 

ジ「これは……私と同じ服?」

 

リ「作者がなにを考えてるかわからないわ……でも、この服、胸元が心もとないわね……」

 

ジ「なるほどね……リイヤ、ちょっと待っててね」

 

リ「え、ジーナ?神機持ってどこに……」

 

 

〜しばらくお待ちくだs……ぎゃあー!!?

 

 

ジ「ただいま」

 

リ「その返り血どうしたの?」

 

ジ「ちょっとお話を摘みにね……」




ジーナのナイチチさいこぉ……ガクッ


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心配

しばらく更新が滞るかもしれません。

毎日更新を目標にしてましたが……もうゴールしていいよね←

あ、視点切り替えの時、ショウゴの時は〈shogo side〉とつけないようにしたいと思います。よろしくお願いします。


《クッテヤル……》

 

竜のアラガミが、ジーナさんに槍を向けている……

 

 

《クッテヤル……》

 

 

やめろ……やめてくれ……

 

 

《クッテヤル!!》

 

 

やめろぉ!!

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「はっ!?」

 

 

今のは、夢?ていうか、ここは……?アラガミは……?

 

 

「目が覚めた?」

 

 

視界の外から声がする。顔向けると、ジーナさんがいた。

無事だったんだ、ジーナさん。いや、あれは夢だもんな。

 

でも、まだ頭の中で整理がつかない……。

 

 

「ジーナさん……ここは?」

 

「アナグラの病室。第一部隊が救援に来て、私とあなたは戦線離脱」

 

「そう……ですか」

 

 

足手まといだったのかな……。とりあえず、寝たまま話すのは嫌だから……

 

 

「いっつ!?」

 

「まだ動かないで、折れてはいないけど、骨に何本かヒビが入ってる。あと、全身打撲ね」

 

「ここに初めて運ばれた時より重症だな……いつっ」

 

 

上半身だけでも起こす。ジーナさんと目線があった。

 

 

「本当、無理して……。第一部隊が助けに来なかったら、あなた死んでたわよ?」

 

「はは、運が良かったんですね。でも、ジーナさんが無事で良かったです」

 

 

よく見ると、ジーナさんも所々に包帯を巻いている。

無傷ってわけにはいかなかったか。自分の力不足に腹が立つ。

 

 

「自分の心配をしなさい。本当に……」

 

 

すっと、ジーナさんがわっしの頭を引き寄せて……

 

 

「うぇ!?じ、ジーナさん?」

 

 

抱き寄せられた。すごい良い匂いがする。やばいやばい。

 

 

「私のせいであなたに怪我をさせたって、心配したのよ?でも、助けてくれてありがとう」

 

「た、助けてって……」

 

 

わっしはなにもしていない……いや、それよりもこの状況は何事!?やばいって、女の人ってこんなにいい匂いするの?心地よすぎて……あ、ダメだ眠い……

 

 

「ジー……ナ、さん……」

 

「おやすみ」

 

 

また、わっしの意識は途切れた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

〈gina side〉

 

手術が終わり、ショウゴ君が病室に運ばれて6時間ほど経過した。

 

サカキ博士が言うには、目が覚めるまでが勝負とのこと。偏食因子の異常が、どれほどの影響を与えているかわからないそうだ。

 

ふと、ショウゴ君の左腕を見た。アラガミの槍を受け止めた手は、果たして無事なのだろうか?

 

 

「っ……これは」

 

 

ショウゴ君の左手は、全くの無傷だった。アラガミの攻撃を、素手で受け止めたのに……。

 

その時、ショウゴ君の目が開いた。

 

目を覚ましてくれた……。

 

 

「目が覚めた?」

 

「ジーナさん……ここは?」

 

 

状況を把握できていないようだ。まだ、戦場だと思っているのかしら?簡単に説明してあげよう。

 

 

「アナグラの病室。第一部隊が救援に来て、私とあなたは戦線離脱」

 

「そう……ですか」

 

 

この顔は、足手まといになったとか思っているんでしょうね。そんなことはない。それは、私が1番よく知っている。彼は、よくやってくれた。

 

 

「いっつ!?」

 

 

体を起こそうとしたショウゴ君が、痛みに顔を歪めた。

あのアラガミの攻撃を直接受けた彼の体は、しばらく絶対安静と言われている。

 

 

「まだ動かないで、折れてはいないけど、骨に何本かヒビが入ってる。あと、全身打撲ね」

 

「ここに初めて運ばれた時より重症だな……いつっ」

 

 

そんな軽口を叩きながら、ショウゴ君は上半身を起こす。

動くなと言ったのに。

 

 

「本当、無理して……。第一部隊が助けに来なかったら、あなた死んでたわよ?」

 

「はは、運が良かったんですね。でも、ジーナさんが無事で良かったです」

 

 

彼は、自分の心配をしないの?私を心配させて、こんな思いをさせて……本当に……

 

 

「自分の心配をしなさい。本当に……」

 

 

私は、彼を抱き寄せた。そうしたかった。こんな気持ちは初めて感じた。

 

 

「うぇ!?じ、ジーナさん?」

 

 

酷く狼狽するショウゴ君。

ふふ、なんだか可愛いわ。

 

 

「私のせいであなたに怪我をさせたって、心配したのよ?でも、助けてくれてありがとう」

 

「た、助けてって……」

 

 

ショウゴ君の目がとろんとしてきた。まだ疲れが取れていないのね。そのまま、寝ても大丈夫。

 

 

「ジー……ナ、さん……」

 

「おやすみ」

 

 

目を閉じたショウゴ君の頭を撫でた。リイヤの弟が、こんな可愛い子なんて、なんだか羨ましく思う。

 

ゆっくりと、ショウゴ君をベッドに寝かせ、病室を出る。

 

 

「起きたら、また飲みに行きましょうね。ショウゴ君」

 

 

あの約束は、まだ有効だから。




急すぎたかな?

でも、後悔はしていない!反省はしているけど……。

さぁて、楽しい楽しいいちゃいちゃの始まりだ!


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ま、毎日更新は辛いぜぇ……でもがんばりゅ

やぁってやるぜ!


さて、医師から正式に一週間はベッドでおとなしくしていろとのこと。ベッドで寝っ転がってばっかりで、体がなまりそうだけど、誰かに見つかったら強制的に連れ戻されるのんだよな……一回初恋ジュース買いにちょっと病室を抜け出したら、専門用語で喋り捲ってる姉ちゃんとリッカさんに見つかって、スパナとペンチでメタメタにされた。

 

悪化するぞ、わっし……

 

しかし、防衛班の人達が合間をみてお見舞いに来てくれた。

 

タツミさんは「ヒバリちゃんがぁ〜、ヒバリちゃんがぁ〜」とうるさかったので、聞き流していた。

 

ブレンダンさんは腕がなまるといけないからとダンベルとか色々持って来てくれた。さすがブレないブレンダンさん。

 

カレルさんは「なんだ、元気そうだな」と言ってすぐに帰った。時は金なりとか言うからね。しょうがないよね。

 

シュンとカノンは初恋ジュースとクッキーを持って来てくれる。シュンが「今日もカノンが誤射してー」と言って真っ赤になるカノンが可愛かった。本当、妹にしたい。

 

ジーナさんは……

 

 

「ほら、あーん」

 

 

仕事の無い時は、ずっとここにいるんじゃないか?ってくらい来ている。

 

で、何故かりんごを口に持って来てあーんってやってる……周りに人いないけど、恥ずかしいものは恥ずかしい。

 

 

「あのジーナさん?」

 

「あら、りんごは嫌い?」

 

「いや、嫌いではないですけど、一つ聞いてもいいですか?」

 

「なにかしら?」

 

 

りんごは相変わらず口元にある。食べないと終わらないのか?

 

 

「その、毎日来てくれるのはありがたいですが……」

 

「迷惑だったかしら?」

 

「迷惑なんて思ってないですよ!ただ、どうしてそこまでしてくれるのかって……」

 

「別に、対したことはしていないわ。ただ、私がしたいことをしているだけ」

 

 

ジーナさんがしたいことって言っても……これがしたいことってどういうことだ……。

 

 

「ふふ、私のことより、まずはあなたのことよ。ほら、あーん」

 

「あ、あーん……」

 

 

りんごの味は覚えていない。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「本日より原隊復帰します!ご迷惑かけました」

 

 

長かった一週間が終わり、今日から仕事再開。あいにく、タツミさんとカノンしかいなかったから、簡略だけど報告をした。

 

 

「おう、お勤めご苦労さん」

 

「もう、タツミさん!それじゃショウゴさんが刑務所から出てきたみたいじゃないですか」

 

「ある意味そうだろ?」

 

「確かに、そうでしたね……」

 

 

一週間、ベッドの上は辛かった。身体的に。

でも、暇はしなかった。毎日ジーナさんとお話ししたもんね!

 

 

「そうそう、退院したらまず会わせたい奴がいるんだよ」

 

 

そういうと、わっしの肩を後ろからポンポンされた。

振り返ると、にっこり笑うナズナさんが……あっれれぇ〜?おかしいぞぉ〜?目が笑ってない。

 

 

「退院おめでとう、ショウゴ君。私の犠牲になった神機たちの分まで、おやすみできたかな?」

 

「い"!?」

 

 

あのアラガミ……ハンニバルと名付けられたアレに壊された神機ってもしかして……。

 

 

「素材集め手伝って……ね?」

 

「あ"い……」

 

 

また、わっしの仕事が増えた。

おかしい……いいように扱われすぎじゃないか?

 

 

「大変だったんだぞ?神機壊れたって聞いた瞬間に病室突撃しようとしてな」

 

「わ、わっしよりハンニバルを恨んでください……」

 

「倒した後に神機壊れたって聞かされて、とりあえずどこに怒りを発散すればいいかわからなかったから」

 

「理不尽!?わっしだって被害者!」

 

 

姉の理不尽な要求が、みんなに波及している?いやまさか……。

 

 

「ショウゴ君、とりあえずスサノオでもどう?」

 

「お菓子勧める感覚で禁忌種を出さないでください!」

 

「大丈夫だ、ショウゴ。ナズナが軽く捻ってくれるから。お前は見てればいい」

 

「いや、それもどうかと思いますけど」

 

「ほらショウゴ君。行くよ」

 

 

ガシッと首根っこ掴まれて格納庫まで。

ガチでいくの!?ついこの間制限解除されたばっかりなのに?

 

 

「嫌だ!タツミさん!カノン!助けてぇ!?」

 

 

爽やかな笑顔で、見送ってくれた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「おや、ツバキ君。どうしたのかね?」

 

「先日の新種アラガミ、ハンニバルについての資料を持ってきました」

 

「ありがとう」

 

「ハンニバルと交戦したナズナ、リンドウ、ソーマの話では、危険視するほどの相手ではなかったと」

 

「ふむ、ハンニバルのオラクル反応は常軌を逸していた。ナズナ君がいたとはいえ、そんな言葉が出るとは到底思えない」

 

「はい。なにかしらの原因があり、弱体化したのではないかと」

 

「思いつくのは、彼の存在だね」

 

「ジーナの報告……ハンニバルの攻撃を片手で受け止めたという?」

 

「彼の特異性を、もっと確認しなきゃいけないね」




オリ展開は難しいですね。

主人公も、若干チートっぽくなってきました。

ナズナ。強く生きるのだ


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禁忌

感想をもらうと捗りますね。

実は別サイトでも小説を書いてたりします。不定期更新で、ペンネームも違います。作風も違います。

そして文字制限1200までと少なくて、結構ストレス溜まります。ここはのびのび書けていいですね。


〈nazuna side〉

 

さて、無理やりショウゴ君を連れてきたけど、流石に強引すぎたかな。いま思えば、ショウゴ君は制限解除されたばっかりだし、まともに戦ったのはコンゴウとシユウ。ハンニバルに関しては、完全なイレギュラーだったからカウントしないであげよう。

 

 

「ショウゴ君、いけそう?」

 

「ちょっと待ってください……神機どれにしよう」

 

 

ショウゴ君はコンテナの中身をゴソゴソしている。スサノオと戦うのに、有利な武器を選んでいるのだろうか?

 

どれどれ、私もコンテナの中身を見てみよう。

 

 

「えっと……だいたいの武器は揃ってるんだね」

 

「姉ちゃんが容赦無く詰め込んだようなので……」

 

「そっか。じゃあ、ショートブレードでも持っていったらいいんじゃないかな?立ち回りが容易だし、ちょうどホールド持ちの神機もあることだし」

 

「じゃあ、これとアサルト持っていきます」

 

 

コンテナに入っている神機は、ベースが第一世代神機のため、変形機構が備わっていない。遠距離も両立させるには両方持っていかなければいけない。しかし、それは変形動作を入れずに遠近の攻撃を繰り出すことができることになるから、ある意味最も理想的な形かもしれない。

 

 

「よし、スサノオも顔を見せたことだし、行こっか」

 

「はい」

 

 

ショウゴ君が無茶して神機を壊さないように見張らねば。ショートもアサルトも、私の装備だ……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

先行するナズナさんについて行き、スサノオに接近する。

ナズナさんはロングブレードを構え、攻撃体勢に入る。わっしはアサルトを構えて、厄介そうな尻尾の剣を狙う。

 

 

「よぉいしょ!!」

 

 

神機を振り下ろしたナズナさんの髪がブワッと舞い上がった。なるほど、確かに噂通りだ。「鮮血の龍人」。確かに龍のように見える。

 

 

「ショウゴ君!援護お願い」

 

「は、はい!」

 

 

見とれている場合じゃない。スサノオの剣に向けて、アサルトを掃射する。

 

奇声をあげ、スサノオが怯む。

 

 

「チャンス!」

 

 

ナズナさんがスサノオ神機に斬りかかる。そこからは予想外だった。

 

1、2、3、4……高速で何度も何度も斬りつけてる。いや、ショートでもあんなに早くないよ!?これが極東支部最強のゴッドイーター……。

 

しかし、スサノオの剣はナズナさんを狙っていた。

 

 

「ナズナさん!危ない!」

 

 

咄嗟にアサルトで、剣を狙撃する。だが、剣はナズナさんに迫っていく。

 

そして、また予想外の出来事が。

 

 

「それを待っていたんですよ!!」

 

 

迫る剣に合わせて、ナズナさんは神機を切り上げた。

バキンという音と共に、スサノオの剣が砕けた。

 

 

「えぇ!?」

 

「もういっちょ!!

 

 

振り上げた神機を力任せに振り下ろすと、スサノオの神機までもが結合崩壊を起こす。

 

いや、ていうか規格外の強さ。わっしいらんよね、これ。

 

 

「お前の荒魂は何色だ!」

 

 

いやもう、なんか龍人ってより鬼人じゃね?あれ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

鬼人ナズナの猛攻に、スサノオは膝を折った。スサノオに膝があるのかどうか知らないけど、とりあえずそういうことにしておこう。

 

そして、目の前ではスサノオの亡骸に祈りを捧げているナズナさん。これが素材に魅せられたものの末路か……

 

 

「荒魂〜荒魂〜……できれば針も〜」

 

 

神機を捕食形態に変形させ、スサノオを捕食するナズナさん。

回収したコアをジッと確認すると……

 

 

「ぬがぁぁ!?」

 

「!?」ビクン

 

「砕かれた神機はもう腐る程あるんだよぉ!?」

 

 

お目当ての素材が出なかったようで、崩れ落ちるナズナさん。

 

わっしも一応捕食しておこう。

 

 

「……あ」

 

「ふぇ?」

 

「荒魂出ました」

 

「……貴様ぁ!!」

 

 

ナズナさんが首を絞めてきた。そして前後にガクガクと揺さぶられる。

 

 

「な、なじゅ……げふっ!?」

 

「どこまで私の心を弄ぶんだぁ!悪魔か!?鬼か!?アラガミか!?」

 

「ちょ、落ち着……」

 

「落ち着いていられるかぁ!!」

 

 

姉ちゃん、わっし人間に殺されそうです。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

なんとか解放してもらい、帰投する。

帰りのヘリで、ナズナさんは終始泣いていた。

 

 

「う……うぐ……私はあと何回スサノオを狩ればいいんだ……」

 

「わっしの荒魂あげますから……」

 

「ありがと……」

 

 

ちょっと泣き止んだ。

しかし、目は真っ赤に腫れている。さっきまで泣いてたって丸わかりだなぁ。

 

 

「あ、ショウゴにナズナお帰り……ナズナ、あんたまた出なかったの?」

 

 

我が姉、リイヤが格納庫でお出迎えしてくれた。

 

 

「はい……でも、ショウゴ君がくれるって言ってくれたんです!」

 

「はぁ、我が弟は甘すぎるよ……荒魂なんて、早々出るもんじゃ無いのに」

 

「どっかの誰かのせいで、自分の武器を作らなくてよくなりましたかね」

 

 

姉ちゃんがスパナを構えたので、エントランスまで逃げた。




ジーナさんは出ないよ!次回出るよ!多分。

ナズナさんマジチート


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想って、酔って

ネタ回を作りたいのですが、ネタがないっていう。

そして、アンケートというか、リクエストというか取りたいなぁと思い、突発的ではありますがこんな話はどうですか?みたいな意見をいただきたく。

もしよければ、メッセージなどいただけると嬉しいです。

このままだと高速で話が進んでしまいそうなんです。お願いします。


姉の猛攻から逃げ出し、エントランスへ向かったわっし。エントランスにはジーナさんとタツミさんがいた。

 

でも、なんか様子がおかしい。

 

 

「それで、あなたは黙って見送ったっていうの?」

 

「ナズナが一緒だし、大丈夫だと思ったんだよ」

 

「怪我が治ったばかりの彼を、そんな危険な仕事に送り出すなんて……4人チームならまだしも、2人でスサノオなんて、なにがあるかわからないのに」

 

「大丈夫だって、俺からナズナに言っておいたんだから。お前が先行して、ショウゴは後衛にしろって」

 

 

おおう……もしかして、わっしのことでもめてる?それはいかんだろ……2人を止めないと。

 

 

「ジーナさん、タツミさん?なにしてるんですか?」

 

 

話を聞かなかったフリをして、2人に話しかけた。

 

タツミさんはわっしを見て「ほらな」とジーナさんに言ってみせるが、ジーナさんはタツミさんの足を踏みつけた。

 

 

「いってぇ!?」

 

「お帰り、ショウゴ君。大丈夫だった?」

 

 

何事もないように、ジーナさんが聞いてきた。

 

 

「大丈夫でしたよ。というか、なにもできなかったんで。ナズナさんって人間やめてます?」

 

「ふふ、そうかもね。でも、無事でよかった」

 

「ジーナはショウゴのことを心配しすぎなんだよ。あいつだって、もう立派に戦ってる。ジーナだってわかってるんだろ?教官ヅラは、もうやめろ」

 

 

足をさすりながら、涙目のタツミさんがそう言っている。

 

 

「わかってるわ。そんなことくらい」

 

 

ジーナさんはそれだけ言って、アナグラから出ていってしまった。

 

 

「あ、ジーナさん……」

 

「ちと、言い過ぎたかな。でも、ジーナにはあれくらい言わないと聞かないからな。初めて教官を任されたから、お前に対して責任感じてんだ。というか、あんなジーナを見たのは始めてだ。ショウゴ、お前なにかしたか?」

 

「な、なにもしてませんよ……多分」

 

「多分って……とりあえず、お前はジーナのとこに行ってやれ。そして、話し合ってこい」

 

 

足をさすりながらでなければ、タツミさんかっこいいって思えたのに。ていうか、そういう感じでヒバリさんと話せればうまく行くと思うんだけど……。

 

まぁ、そんなことは置いて……

 

 

「わかりました。ちょっと行ってきます」

 

 

アナグラの出口に向かった。

途中、ヒバリさんに上でタツミさんが死にかけてるから、助けてあげてと頼んでおいた。

 

タツミさん、ちょっとしたお礼です。

 

 

「タツミさん?大丈夫ですか?」

 

「ひ、ヒバリちゃん!?」

 

「ショウゴさんが、タツミさんが死にかけてるって……なにかあったんですか?」

 

「いや対したことじゃ……」

 

「とりあえず、医務室へ行きましょう。肩かしますから」

 

(ショウゴ、グッジョブ!!)

 

 

タツミさんが、しばらく初恋ジュースを奢ってくれたのは余談である。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ジーナさんを追ってきたが、見つからない。ジーナさんが行きそうな場所……

 

 

「あ、あそこだ……」

 

 

ちょうどその場所が見えた。「BAR.duranta(バー・デュランタ)

 

ジーナさんがいるとしたら、ここしかない。

 

ゆっくりと扉を開けると、カウンターでお酒を飲んでいるジーナさんが。って、もう4杯も飲んでる。

 

 

「ジーナさん」

 

「あら、ショウゴ君も来たのね」

 

 

隣に座り、マスターにお酒を頼む。

 

 

「さっきはみっともない姿をみせたわね」

 

 

ジーナさんが小さくそういった。みっともないなんて、わっしのことを心配してくれたのを、みっともないなんて思わない。

 

 

「そんなことないですよ」

 

「ふふ、ありがとう」

 

 

ちょうど、わっしのウイスキーが来て、一口飲む。

 

 

「でもね、タツミの言う通りなのよ。私は、いつまでもあなたを半人前扱いして教官ヅラしていた。もう、一人前のゴッドイーターなのにね」

 

「いや、まだまだですよ。他の人たちに比べたら……」

 

「謙遜するものじゃないわ。あなたの戦う姿をずっと見ていた私がいうのだから、そうなのよ」

 

 

いつの間にか空になっていたジーナさんのグラス。またウイスキーを注文するジーナさん。

 

 

「ジーナさん、飲み過ぎですよ」

 

「ふふ、今日は酔いたい気分なのよ。いいでしょ?酔い潰れたら、あなたが送ってくれるんだから」

 

 

そう言って、グイッと酒を煽るジーナさん。

いつもより、顔が赤くて、色っぽい。

 

 

「……今日だけ、ですからね」

 

「ありがとう」

 

 

ドキドキしながら、紛らわすように酒を流し込んだ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「ほら、ジーナさん。もう外真っ暗です。起きてください」

 

 

結局、ジーナさんは7杯目で酔い潰れ、寝てしまった。

明日も仕事あるし、これ以上お店に迷惑をかけるわけにもいかない。

 

 

「すぅ……すぅ……」

 

「起きる気配なし、か……しょうがない、よっと」

 

 

ジーナさんの腕をわっしの肩に置いて、足を持っておんぶした。

 

 

「マスター、ご迷惑かけました」

 

「いえいえ、またお越しください」

 

 

ジーナさんをおぶったまま、帰路へついた。

 

 

「あ、ジーナさんの部屋わかんないや……ヒバリさんまだいたら聞いてみよう」

 

 

まだヒバリさんか、ジーナさんの部屋がわかる人がいますようにと願いつつ歩いていると、ボソッとジーナさんが何か呟いた。

 

 

「約束……一緒に……」

 

「ジーナさん?」

 

「すぅ……」

 

「寝言……はは、ジーナさんの寝言とか、レア体験かもな」

 

 

結局、アナグラにつくと姉ちゃんと鉢合わせて、誤解した姉ちゃんに拳骨一発もらい、なんとか事情を説明して、無事にジーナさんを部屋に運んだのだった。




リクエスト、常時受け付けております。よろしくお願いします。


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威圧

昨日が七夕なのを忘れてました。

しかし、七夕の話なんて思いつかない私は、七夕小噺を書くと言うことはできないのだった。


「異常なし。今日も装甲壁は無事か」

 

 

今日は装甲壁の定期巡回。アラガミを討伐しにいくわけじゃないから、テスターの仕事はお休み。自分の神機を持って来ていた。

 

 

「さぁて、アナグラに帰るとするか」

 

 

他の防衛班は近くにアラガミの反応が現れたため、そっちのほうに行っている。巡回はわっしだけだ。

 

 

「帰ったら初恋ジュースを飲んで、ゆっくりするか」

 

 

神機を格納庫で待機していた整備班の人たちに渡し、自分の部屋に戻ろうとエントランスに入ると、ソファでぐったりしている人が……ていうか、あれは……

 

 

「つ、ツバキ教官?」

 

「ショウゴか……巡回ご苦労だったな……はぁ……」

 

 

明らかに具合が悪そうだ。ましてや、あのツバキ教官がこんなになってしまうなんて、よほどのことが無いと……あ、なんか思い当たる節が……

 

 

「ツバキ教官、大丈夫ですか?」

 

 

嫌な予感しかしないので、ちょっとわからないフリをしよう。

 

 

「あ、ああ……心配するな。少し体調が悪いだけだ……」

 

「一体どうして?」

 

「初恋ジュースを飲んだら、あまりの味で……」

 

 

あああ、やっぱりか!わっしのせいではないですか!?わっしのアホ!バカ!

 

 

「す、すみません!わっしが初恋ジュースを渡してしまったから……」

 

「全くだ……まぁ、お前が悪気があってやったわけじゃないのはわかっている。気にするな」

 

「わっし、水買ってきます!!」

 

 

ひどく心が痛かった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「助かった、ショウゴ」

 

「いや、元はと言えばわっしのせいなんで」

 

 

30秒でミネラルウォーターを買ってきたわっしは深々とツバキ教官に頭を下げた。もちろん、これでわっしの罪が帳消しになるわけではない。わっしはこの業を背負って行きていくんだ……。

 

 

「頭をあげろ。わざとじゃないのは知っているんだ」

 

「いや、それでも……」

 

「いいからあげろ。上官命令だ」

 

 

そう言われ、頭を上げる。

ツバキ教官の顔色はさっきよりもいい。少しはマシになったかな。

 

 

「最近はどうだ?この仕事には慣れたか?」

 

 

ツバキ教官は、いつものしかめっ面ではなく、まるで子供を見るような目で聞いてきた。

 

 

「はい。慣れるっていうか、慣れるほかないっていうか……防衛班の仕事にテスター、あとナズナさんの素材集めも手伝ってるので」

 

「そうか。体は特に異常はないか?」

 

「はい、至って健康です」

 

「体調管理はしっかりしろ。ゴッドイーターは体か資本だからな。私から、ナズナに言っておく。あまり、私情でショウゴを連れて行くなとな」

 

 

それだけ言って、ツバキさんはエレベーターに乗り込んで上階へ向かって言った。わっしの心労の一つが、思い掛けずなくなるかもしれない。少しは期待してもいいだろうか。

 

 

「んー、初恋ジュースでも飲みながら、みんな帰ってくるの待ってるか」

 

 

そうだ、下で働きづめのヒバリさんに飲み物でも買ってあげよう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

仕事を終え、アナグラに帰るとショウゴ君がいた。

なにやら、エントランスのテーブルに突っ伏している。寝ているのだろうか?

 

 

「お?ショウゴ寝てんのか?」

 

 

シュンがショウゴ君の姿を見て、そんな事を言っている。彼も疲れているんだろう。ゆっくり寝かせてあげたい。

 

 

「おーい、ショウゴ。起きろよ」

 

 

本当、シュンは子供っぽい。

 

 

「おい、シュン。そんなやつほっとけ」

 

 

カレルがシュンにそう言う。シュンは少し拗ねたように、ショウゴ君を起こすのをやめた。

 

 

「カレル、そんなやつって言い方はないんじゃないのか?ショウゴはいいやつだぞ?」

 

「知ったことじゃない。呑気に寝ているほうが悪いんだよ」

 

「お前、ショウゴはなぁ!」

 

「うるさいって言ってんだよ」

 

「あなた達」

 

 

流石に、この2人はうるさすぎる。最大限に怒気を含めた声を作る。

 

 

「少し黙りなさい」

 

「「あ、ああ……」」

 

 

2人も黙ったことだし、私はショウゴ君の寝顔でも眺めていよう。この間見られた仕返し。

 

 

「なぁ、ジーナ最近ショウゴにべったりじゃないか?」

 

「教官だから……って言うにも、確かに最近はよく一緒だな」

 

「惚れてんのか?」

 

「ジーナが?まさかな」

 

 

全部聞こえてるわよ。




ジーナがデレ始めました。
イチャイチャいいですね。

書くのが捗ります。

あ、前のページに書いたアンケートですが、期限の部分消します。

いつでもリクエスト受けます!


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鬼牙乱闘

ここから、リクエストでもらった話を書いて行こうと思います。

楽しんでいただけたらと思います。


「おはようございます」

 

 

予定時間より、少し早い朝のアナグラ。わっしはすでに仕事モードのヒバリさんに挨拶をする。

 

 

「おはようございます、ショウゴさん。早いですね」

 

「一応、成人してるから。時間は守らないと」

 

「今度、リンドウさんに言ってあげてください。いつも遅刻するんですよ?」

 

「ああ、なんとなくわかるかも……」

 

 

結構ちゃらんぽらんしてる感じするもんな。あれで隊長だからな。やっぱり実力か。

 

 

「サクヤさんも大変そうですよ?時間は守らないし、部屋は片付けないしって。家事は妻に任せるとか言ってるらしいですよ?」

 

「リンドウさんって結婚してたんだ」

 

「はい、第一部隊副隊長のサクヤさんと。ショウゴさんが来る前でしたから、知らないのも無理はないです」

 

 

結婚ね……まぁ、わっしには無縁の話だ……彼女いたことないし……なんか悲しくなって来た。

 

ええい、忘れろ!今は仕事だ、仕事。

 

 

「ヒバリしゃん、今日の仕事は……」

 

「なんで涙声なんですか……」

 

 

そう言いつつ、ヒバリさんは端末を操作する。

 

 

「今日は、アネットさん、フェデリコさんと新人研修となってます」

 

 

アネットとフェデリコか。初日以来、すれ違って挨拶程度はするけど、一緒に仕事はしたことないな。しかし……

 

 

「新人研修?」

 

「はい、3人には要塞跡地で、大量発生したオウガテイルの討伐を行ってもらいます。新兵として配属された人たち同士の連携を確認するという名目で、毎年やってます。ナズナさん、コウタさん、アリサさんもやったんですよ」

 

「そうなんだ。ちなみに、大量発生ってどのくらい?」

 

「ざっと、30ほどでしょうか?」

 

「30!?」

 

 

これは酷い……空いた口が塞がらない。

 

 

「要塞跡地は、定期的にオウガテイルが大量発生するんです。大丈夫です。一つ一つの個体は、あまり強くありません。しっかり連携すれば苦戦はしません」

 

「ああ……頑張ります……」

 

 

初恋ジュースでも飲んで、2人を待つことにしよう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「ショウゴさん!」

 

 

3杯目の初恋ジュースを飲み終えたころ、わっしを元気な声が聞こえたので、そちらを向くとアネットが手を振って近づいてきた。後ろにはフェ……フェ……フェルナンデスがいた。

 

 

「フェデリコです」

 

「なぜわかった」

 

「顔見ればわかりますよ。リンドウさんとナズナさんも、すぐ名前忘れて今のショウゴさんみたいな顔してますから」

 

「わ、悪いな。しばらく会ってなかったからさ」

 

 

フェデリコ……フェデリコ……よし、覚えた。……多分

 

 

「そうですね。面と向かって顔を合わせるのは、あの時だけでしたからね」

 

「でも、ショウゴさんの話は聞いてましたよ!どんな人の神機も扱えて、ハンニバルと戦った時は身を呈してジーナさんを逃がしたって」

 

「はは、その結果大怪我したんだけどね」

 

「十分すごいですよ!私とフェデリコは、まだまだですから」

 

 

そう言われるとむず痒いものが……。本当に必死だっただけなんだけどな。

 

 

「僕、ショウゴさんと一緒に仕事できるの、楽しみにしていたんです。今日はよろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします!」

 

 

同期のはずなのに、年の差という壁がある……早急に取り除かなければ……完全にわっしが先輩みたくなってる。

 

 

「二人とも、タメ口でいいから。ていうかタメ口にして」

 

「「はい!わかりました!」」

 

 

骨が折れそうだ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ヘリに揺られて、要塞跡地へ。

おお、いるいる。オウガテイルばっかり、よくまぁこんなに現れたもんだ。

 

さて、今日のコンテナの中身は……ナズナ印の武器いっぱい。壊せない。

 

 

「ショウゴさん、あそこ見てください」

 

 

フェデリコがそう言うので、彼が指差すほうを見ると。

 

 

「げっ、コクーンメイデン……」

 

「厄介ですね」

 

「あんなの叩き潰しちゃえばいいんですよ」

 

 

アネットはどうやって叩き潰すつもりなのだろうか……。でも、コクーンメイデンは早めに片付けたい。よし、こうなったら。

 

 

「アネット、フェデリコ。オウガテイルをかき分けて道を作るから、その隙にコクーンメイデンを」

 

「え!?そんな危険ですよ!」

 

「そうです!ショウゴさんが怪我したら……」

 

「大丈夫」

 

 

ポンと2人の頭に手を置く。

 

 

「辛いことは年上に任せとけ」

 

 

年下に言いたい言葉ランキングがあったら、上位3位くらいには入る言葉だな。

 

 

「さ、アネット、フェデリコ。行くぞ!」

 

「「はい!」」

 

 

ショートブレード二本持って、オウガテイルの群れに突っ込んだ。

 

 

「うお!!」

 

 

振ればオウガテイルを切り裂く。密集度が半端ないのだ。

 

アネットとフェデリコは……コクーンメイデンのもとに向って行った。

 

ていうか……

 

 

「オウガテイル全部こっちにきてるんですけど!?」

 

 

オウガテイル大集合。これはあかんて……。

 

手近なやつから、ショートで切り裂く。こんなことなら、バスターでも持って来るんだった。

 

 

「ショウゴさん!今行きます!」

 

 

コクーンメイデンを半分に切断したフェデリコが、駆け寄ってくる。

 

 

「はぁ!!」

 

 

フェデリコのロングブレードが、オウガテイルを切り裂き絶命させる。

 

そしてすぐにアネットもコクーンメイデンを片付け、こっちに来た。

 

 

「ショウゴさんから離れろ!!」

 

 

ゴッパァンという音と共に、オウガテイルの顔が弾け飛んだ。え!?弾け飛んだ!?

 

 

「もういっちょ」

 

 

大きく振りかぶったアネットのハンマーは、容赦無くオウガテイルに叩きつけられた。

 

オウガテイルの頭が木っ端微塵に……って、いやいやおかしいだろ!

 

 

「アネット!お前なにしたんだ今!?」

 

「フルスイングしただけです!」

 

「おかしいだろおぉぉぉ……」

 

 

大量のオウガテイルがわっしに近づいてきた。

 

 

「ショウゴさん!」

 

「待っててください!今助けます!」

 

 

おぉ〜すげぇ、アネットが神機振るだけで3体くらい宙に舞うわ。フェデリコは、綺麗な太刀筋でオウガテイルの攻撃をいなしつつ切り裂いていく。

 

2人とも強いなぁ……。

 

 

「わっしも負けてらんないな!」

 

 

そっからは、血祭りだった。

主に、オウガテイルの……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「ただいま……」

 

 

もはやヘリに積んであるコンテナを持ってくる気力もなく、姉ちゃんにコンテナを任せ、アネット、フェデリコと一緒にエントランスのソファに座り込んだ。

 

 

「疲れた……」

 

「ショウゴさん、お疲れ様です。大変でしたね、オウガテイル。ショウゴさんばっかり狙って。僕とアネットには、全然見向きもしないのに」

 

「オウガテイルの好きなものでも持ってたんですか?もうそうとしか思えないんですけど」

 

「何も持ってってないよ……」

 

 

やたらオウガテイルがわっしのことばっかり狙って来て、もう戦うのが嫌になった……。

 

その時、わっし達に近づいてくる足音が……

 

 

「あれ?ショウゴさんに、アネットさん、フェ……フェスタさんじゃないですか」

 

 

可愛い可愛いカノンさんだ。フェデリコの名前間違ってるけど。

 

 

「フェデリコです!」

 

「はわわ、ごめんなさい!」

 

「カノン、お疲れ。そっちも仕事帰り?」

 

「はい!今日も頑張って来ました!」

 

 

よしよしとカノンの頭を撫でる。ああ、癒されるな……。

 

 

「でも、今日はなんだか変だったんですよ」

 

「変?」

 

「はい。私、後ろにいたのに、アラガミが私のことばっかり狙って来て……」

 

 

ん?わっしと同じことが……

 

 

「逃げ回ってて、今日飲もうと思ってた初恋ジュース落として来ちゃいました。どんな味か気になってたんですけど……」

 

 

初恋、ジュース?

 

あれ?もしかして……

 

 

「しょ、ショウゴさん。確か私たちが来るまで……」

 

「初恋ジュース、飲んでましたよね……」

 

「うん……3本」

 

 

これ以降、出撃前初恋ジュース禁止令が発令され、サカキ博士はツバキさんにこってり絞られたらしい。




いつもより長いです。

新人2人が完全に空気だとご指摘いただいたので、今回書かせていただきました。

初恋ジュース、飲み過ぎ注意。

ジーナは出ません。ジーナ書きたい……


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最強の整備士

リクエスト第二弾。

最強の整備士と呼ばれる彼女の仕事風景はどのようになっているのか。見ていただきます。


 

目が覚めると、肩、腰、首が凝っていた。体の鈍い痛みに耐えながら私……柳川リイヤは、自分の作業場にある作業台から起き上がった。

 

 

「うう……はぁ……」

 

 

大きく伸びをすると、腰がバキバキと音を鳴らす。ついでに首も。肩は……鳴らし方を知らないので、あとで愚弟に揉ませよう。

 

肩を揉むのだけは上手いんだよね、あいつ。

 

さて、今日の作業は……ナズナの神機にタツミの神機、ブレンダンの神機、カノンの神機、ナズナの神機、ショウゴの神機、ナズナの神機、ナズナの神機、ナズナの神機……

 

 

「ナズナの神機ありすぎでしょ!?どうなってんのよ全く!」

 

 

まぁ、いつものことだ。今更驚くまい。

あとは別枠で、親友であるジーナの神機。あれ?こっちは整備じゃなくて強化になってる。まぁ、確かにそろそろオールメンテからの強化の時期か。素材は足りてるから、問題ないわね。

 

 

「さて、まずはタツミの神機からね」

 

 

今日も一日頑張るとしよう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「リイヤ〜。お疲れ」

 

 

タツミの神機を整備し終わったころ、持ち主であるタツミが作業場にきた。

 

 

「タツミ、お疲れ。ここに来るなんて珍しいわね」

 

「まぁな、たまには俺が神機を取りにいくのも悪くないと思ってな。ほら、ここで稼働テストだけでもすれば、ショウゴの負担も減るだろ?」

 

 

なぜこの優しさをヒバリちゃんの時に出せないのか……そこが残念だよ、タツミ。

 

 

「そう、ありがとう。ショウゴ、なんか無茶してない?」

 

「堅実に仕事してるよ。やっぱり、テスターとして他人の武器を使うからな。悪く言えば積極性に欠けるんだが、その武器に慣れれば気にならない」

 

「なら良かった。あ、タツミの神機の整備終わったところだから、稼働テストだけしてみて」

 

 

整備したての神機をタツミに渡す。タツミの神機の整備はやりやすい。タツミがヒットアンドアウェイの戦い方だから、神機にキズがつくことが少ない。たまに刃こぼれするけど、ショートは軽さが売りだからしょうがないと言えばしょうがない。

 

タツミは少し神機を振り、感触を確かめている。

 

 

「うん、大丈夫だ。これ、このまま持って行っても大丈夫か?」

 

「大丈夫。むしろここにあっても場所とって邪魔くさいから持って行って」

 

「あいよ。じゃあ、行ってくるわ〜」

 

 

タツミは神機を片手に作業場を出て行った。

 

 

「さて、次はブレンダンの神機かな」

 

 

バスターというのは、大きくて整備が大変だ。しかも、ブレンダンは、剣でガードすることが多い。キズが多くて、それを補修するこっちのみにもなって欲しいところだ。

 

 

「リイヤ、いるか?」

 

 

噂をすれば、ブレンダンのご登場だ。

どうせ、いつものように神機に傷つけて済まないとか言い始めるんだろうな。

 

 

「ブレンダン、どうした?」

 

「あ、ああ……その、神機のことなんだが……」

 

「傷のこと?気にしないでよ。あんたより酷いのいるから。ナズナとかナズナとかナズナとか」

 

「いや、俺の力不足のせいで神機に負担をかけているんだ。やはりケジメはつけなければ」

 

 

本当に真面目だな、ブレンダンは。まぁ、そんなことはどうでもいいんだけど、なんかブレンダンが怯えてる気がする。

 

いや、だいたいわかっている。あの肩書きのせいだ。まぁ、触れないでおこう。

 

 

「あんたの神機の整備なんてもう慣れてんだから、私に任せておきなって」

 

「……ああ、よろしく頼む」

 

 

ブレンダンはそう言って、そそくさと作業場から出て行く。怖がっちゃって。取って食ったりしないよ。

 

 

「さて、さっさと終わらせよう」

 

 

あ、ブレンダンのやつボルグ・カムランの攻撃受けたな。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「姉ちゃん、いる?」

 

「お邪魔しま〜す。リイヤさんいますか?」

 

 

今度はショウゴとカノンか。

今日はやけに来客が多い。私に仕事をさせろ。

 

 

「リイヤさん、お疲れ様です。クッキー持ってきました!」

 

 

前言撤回。少し休憩しよう。

もう本当にカノンはかわい〜な〜も〜。

 

 

「よしよし、ありがとねカノン」

 

 

ああ、弟じゃなくて妹が欲しかった。

 

 

「姉ちゃん、わっしの神機の整備終わってる?」

 

「終わってるよ。カノンのもね」

 

「わぁ、ありがとうございます!」

 

 

2人は神機持つと、感触を確かめている。

特に違和感はないようだ。

 

 

「バッチリ。姉ちゃん、サンキュー」

 

「私も大丈夫です!」

 

 

二人とも、神機を丁寧にあつかっているから、整備は早く終わる。本当、どっかの誰かも見習って欲しいものだ。

 

 

「こんにちは〜。リイヤさん、神機取りに来ました。

 

 

どっかの誰かが今来た。

 

 

「あ、ショウゴ君にカノンさん。2人はこれからお仕事?」

 

「はい、ショウゴさんと外部居住区の見回りです」

 

「そうなんだ。がんばってね、2人とも」

 

「頑張るも何もって感じはするけど……」

 

 

まぁ、装甲壁が壊されてなかったら、そのまま何もせずに帰ってくるからね。神機を使わずに帰ることがほとんどだ。

 

 

「それじゃ、わっしとカノンはこの辺で失礼するよ」

 

「リイヤさん、神機ありがとうございます」

 

「2人とも頑張れ〜。神機傷つけるなよー」

 

 

本当にカノンを妹にしたい。

 

 

「リイヤさん!私の神機は……」

 

「まだ。というか、終わるの遅くなると思う。今日はお仕事お預けね」

 

「えぇー!?今日こそピターの冠を奪って来るつもりだったのに!」

 

「もうカタログコンプしたでしょうが!これ以上、何作るっていうの?」

 

「リッカと2人で自作パーツを……」

 

 

ナズナは何がしたいのかよくわからない。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

大量のナズナの神機の整備を終え、時計を見ると午後7時。まだいけるかな。ジーナの神機もやってしまおう。

 

 

「リイヤ」

 

 

ふと声をかけられると、そこにはジーナがいた。

 

 

「はい、これ」

 

「おっと、ありがと」

 

 

ジーナは缶コーヒーを投げ渡してくる。

さすが、私のことをよくわかってる。ミルク、砂糖入りの甘いコーヒー。

 

 

「お仕事、もう終わったの?」

 

「いんや、これからジーナはの神機のフルメンテ」

 

「あら、悪いわね。強化なんて頼んじゃって」

 

「いいよ。ジーナの神機のことは、私が1番よくわかってるんだから。それに今日はフルメンテだけにするし。明日から強化始めるから、しばらくは神機お預けね」

 

「ふふ、わかってるわ」

 

 

コーヒーを三分の一ほど飲んで、神機のメンテを始めた。

ジーナの神機のことは全部わかってる。何回も整備したんだから。

 

 

「ねぇ、リイヤ」

 

「なに?」

 

「最近、サカキ博士とはどうなの?」

 

「ぶふっ!?」

 

 

思わず吹き出してしまった。この親友は……私がメンテしてる時にそんなことを……。好きな人のことをどうって……

 

 

「ど、どうって、何もない!」

 

「あら、残念ね。まぁ、サカキ博士があまりそういうことに目を向けないせいもあるかもね」

 

「いいの。サカキ博士のことは、一方通行でも」

 

「あなたがそう言うなら、それでもいいんじゃない?」

 

 

澄まし顔して……少し仕返ししてやる。

 

 

「ジーナはどうなのよ?最近、誰かにべったりだって聞いたけど?」

 

 

こんなブラフかけても、ジーナは同様しないと思うけど……

 

 

「っ……けほっけほっ」

 

 

ジーナが飲んでたコーヒーでむせた。え?図星?

 

 

「……なんのことかしら?」

 

「いや、ジーナ。本当だったの?誰かにべったりって……」

 

「さぁ?誰かが流したデマじゃないの?」

 

 

いや、今の反応はデマじゃない。ジーナは本当に……一体誰?

カレルとシュンはあり得ないだろうし、タツミ?……ないな。じゃあ……ブレンダン?

ああ、ブレンダンならありそう。他に男っていたっけ?

 

 

「リイヤ、私はもう帰るわ。神機よろしくね」

 

「あっ、ちょ!」

 

 

逃げられた……いいさ、絶対突き止めてやる。親友に隠し事はなしだからね。ふっふっふ




リイヤ回でした。

弟はカウントされないっていう。彼女の中では、ショウゴは恋愛対象になることはないという。

ジーナ可愛いマジ天使


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熱帯夜

いただいたネタはもうひとつあるのですが、そのネタは本編に使えそうだったので、お話を進めたいと思います。


《クッテヤル……》

 

 

何を……

 

 

《クッテヤル……》

 

 

やめろ……

 

 

《オマエラ、クイツクス》

 

 

お前は!?

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「はっ!?」

 

 

暑い……汗が吹き出る……今のは一体。

 

 

「夢……だったのか?」

 

 

だとしたら、悪夢だ。

アレが出て来るなんて……。

 

あのアラガミ……ハンニバル。

 

結局、あの時から一度も現れず、単一個体だったのかさえもわからない。

 

しかし……嫌な予感がする。悪夢は、それを知らせようとしているのか?

 

……今考えても仕方がない。今は何時だろう。

 

 

「午前2時……はぁ、寝れそうにないな」

 

 

部屋に備え付けてある冷蔵庫を開ける。

見事にすっからかんだった。

 

 

「はぁ……自販機で買ってくるか」

 

 

寝間着姿で誰かに鉢合わせるのも嫌だけど……上にジャケットを羽織るくらいでいいか。

 

クローゼットからジャケットを取り出し、袖を通しながら扉を開けた。

 

廊下は完全に消灯しているわけではなく、淡い光がさしていた。

 

自販機に近づくと、ボタンを押す音と、ガタンという音が。誰かいるのか?

 

なんとなく、慎重に近づいて行く。

 

 

「あれ、ジーナさん?」

 

「ん?ショウゴ君、こんばんは」

 

 

あの胸のはだけたインナーと、ハーフパンツ姿のジーナさんが自販機の前のベンチに座っていた。手にはミネラルウォーターが。

 

 

「眠れないん……ですか?」

 

 

ジーナさんの格好にドキドキしているせいか、少し言葉につまった。

 

 

「ええ、まぁね。今日はちょっと暑いしね。寝苦しくて」

 

「はは、わっしも似たようなもんですね」

 

 

初恋ジュースのボタンを押して、出てきた初恋ジュースのプルタブを開けながらジーナさんの横に座った。

 

グイッとジュースを流し込む。火照った体に染み渡るわ……。

 

 

「それ、好きなの?」

 

「ええ。でも、ジーナさんにはオススメしないです。わっしの舌がおかしいみたいなんで」

 

「ふぅん……」

 

 

ジーナさんが、スッとわっしの初恋ジュースを奪い、グイッと……って、これはやばい!

 

 

「じ、ジーナさん、それ普通の人にはマズイですから!」

 

「んっ……そうかもね。美味しいとは、言えないかしら」

 

「水飲んでください。少しは楽になると思うんで」

 

 

しかし、ジーナさんは水を飲まずに、わっしの膝に頭を……頭を?

 

 

「うぇ!?ジーナさん、何して!」

 

「具合が悪いから、横になろうと思って。ちょっと借りるわね、膝」

 

「あ、えっと……」

 

 

頭真っ白……なんかお話した方がいいのかな?嫌でも、具合悪いって言ってるし……

 

 

「その慌てた顔。私が膝枕して上げた時も、そんな顔してた」

 

「あ、ありましたね。あの時は、本当にびっくりして」

 

「今も、でしょ?」

 

「はい……」

 

「ふふ、いいんじゃない?可愛いわよ。その顔」

 

 

ジーナさんの手が、わっしの頬に触れた。

 

ひんやりと冷たい手だ。

 

 

「じ、ジーナさん?」

 

「あなたの肌、すべすべね」

 

「そ、それは、どうも……」

 

 

何を言われても、もう反応に困ってしまう。

 

すると、ジーナさんはわっしの膝から頭を上げた。

 

 

「ありがとう、もう大丈夫よ」

 

「それは良かったで……」

 

 

ちゅ

 

 

「す?」

 

 

お、おでこに……?

 

 

「お礼。またよろしくね」

 

「は、は……」

 

 

ジーナさんは部屋に戻って行った。

わ、わっしの頭はショート寸前。

 

お、落ち着け、初恋ジュースを飲んで落ち着くんだ。

 

 

「あ、これ……」

 

 

関節キスや……




ジーナさぁぁぁん!

うわぁーーーー!!

ジーナっ、ジーナぁぁぁぁ!!


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大防衛戦

前回のあとがきで、みっともないところを見せました。

あまりにもジーナさんが可愛かったもので。


 

翌日……翌日と言っていいのかわからないけど、とりあえず翌日。あの出来事でショートしたおかげか、とりあえず寝ることには成功した。朝起きて悶々としていたが……。とりあえず、そのことは忘れて今日も仕事だ。早く着替え……『ウー!ウー!』……今の、警報?

 

 

『緊急事態です!装甲壁付近でアラガミが大量発生!第二、第三部隊は直ちに装甲壁を死守してください!第一部隊は先行し、アラガミの殲滅を!繰り返します……』

 

 

アラガミが大量発生!?このままじゃ装甲壁が破られて、居住区に被害が及ぶ。急がないと!

 

すぐに着替えを済ませ、エントランスへ向かう。そこにはジーナさん、カレルさんがいた。

 

 

「ジーナさん、カレルさん!」

 

「きたか。急いで準備しろ。装甲壁はまだ破壊されてないが、時間の問題だ」

 

「はい!」

 

「早く格納庫に行きましょう」

 

 

ジーナさんが先に格納庫へ向かう。それに続いて、格納庫に入ると姉ちゃんがすでに神機を用意して待っていた。

 

 

「きたわね。ジーナとカレルのはこっちにある。ショウゴ、あんたはこの二つ持って行って」

 

 

二つのロングブレードの神機。

あれ、片方はわっしの神機だけど刀身が違う……

 

 

「姉ちゃん、これ」

 

「二つとも、ナズナの最強武器だから。壊してもいいよ」

 

「いや!ダメだろ!」

 

「つべこべ言わずにさっさと行きなさい!」

 

 

姉ちゃんがスパナ構えやがった。早く出撃しよう。

 

 

「無事に帰ってきなさい。ジーナ、ショウゴ」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「な、なんだこれ……」

 

 

壁の外には大量のオウガテイルやザイゴードなどの小型アラガミ。そして、中型と大型のアラガミが壁を食い破ろうとしている。

 

 

「これ、やばいですよね!?」

 

「多すぎる。が、稼ぐにはちょうどいいな」

 

「稼いでも、死んだら終わりなのを忘れないでね」

 

「わっしが先行します。後方支援をお願いします!」

 

 

アラガミの群れに突っ込む。後ろからカレルさんのアサルトが連射されてる。ジーナさんのバレットがは見えないから、狙撃ポイントを探してるんだと思う。

 

 

「うぉ!!」

 

 

ロングブレードを振るい、オウガテイルを斬り伏せる。この辺りは大型アラガミはいない。しかし、小型アラガミであっても壁を食い破ってくる。数を減らすしかないんだ。

 

 

「壁には近づけさせない!」

 

 

オウガテイルに囲まれそうになっても、カレルさんの援護で完全に囲まれることはない。しかし、カレルさんのアサルトは一発一発の威力が低い。大量のアラガミが入り乱れているこの場では、威力が分散され明らかに相性が悪い。

 

しかし、それについては心配ない。

 

アラガミの中に撃ち込まれた波のような装飾がされたスナイパーバレット。ジーナさんのバレットだ。貫通性のあるレーザーのバレットはオウガテイルを貫き、その後ろのオウガテイルも捉える。

 

 

「ショウゴ君、後ろは任せて」

 

「助かります!」

 

 

オウガテイルの相手はこの間腐る程したんだ。ここでやられてたまるか。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「はぁ!」

 

 

もう何体倒したかわからない。幸いにも、中型、大型のアラガミが乱入して来ることはなく、ここ一帯のアラガミは少なくなってきていた。しかし、全て駆逐するのは、正直無理だと思う。

 

 

「ハァ……ハァ……」

 

「ショウゴ君、一旦下がりましょう。少し休まないと」

 

「でも、ここを突破されたら……」

 

「あなたがこれ以上戦っても、疲弊してやられるだけ。下がって、戦況を報告してきて」

 

「……わかりました。ジーナさんとカレルさんは?」

 

「俺たちはまだ残る。旧型遠距離神機でも、食い止めるくらいはできる。お前は、早く戻ってこい」

 

「わかりました。すぐに戻ります」

 

 

わっしは、格納庫に向かう。

格納庫は神機の整備で慌ただしかった。

 

 

「ショウゴ君、戻ったんだね」

 

 

リッカがわっしを見つけ、駆け寄ってくる。

 

 

「はい、戦況の報告に」

 

「その神機預かるよ。代わりの神機用意しておくからね」

 

「ありがとうございます。それじゃ、わっしはツバキ教官とサカキ博士のところに行ってきます」

 

 

リッカに神機を渡し、エントランスへ向かうと都合よくツバキ教官とサカキ博士がいた。

 

 

「ツバキ教官、サカキ博士!」

 

「ショウゴ?どうした」

 

「戦況を報告します。アラガミの数は減ってきていますが、まだ多くのアラガミが残っています。押し切られるのも、時間の問題かと」

 

「芳しくなさそうだね……どうにか、アラガミを遠ざけることが出来れば」

 

 

サカキ博士は対策を講じているが、あのアラガミを遠ざける方法なんてあるのだろうか?

 

なんだろう、なんかそんなことをできるものが……

 

 

「しかしサカキ博士。遠ざけたとしても根本的な解決にはなりません」

 

「そうだね……せめて、アラガミを一箇所に集めることが出来れば、分散している戦力を集めて一気に叩くことができる……」

 

 

つまり、アラガミを引きつければいいと。

あるじゃないか、うってつけのものが。

 

 

「ツバキ教官、サカキ博士。一つ提案が」

 

 

アラガミに初恋の恐ろしさを見せてやろうではないか。




アレが救世主となりえるか。

次回に乞うご期待


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救世主、その名は

タグを追加した方がいいのではと思い始めたsha-yuです。


最近、朝晩と更新しておりますが、基本は1日1更新なのでお間違えなく。学校いく電車の中と帰りの電車の中で書いてるので、本当に電車の中での暇つぶし程度なんです。

毎日30分の通学時間は有意義です。


《gina side》

 

ショウゴ君をアナグラに戻したのは、少し危ない綱渡りだと思った。

 

しかし、1人で50体以上のオウガテイルやザイゴードを食い散らかした彼を休ませるなければならないということを、私とカレルは共有していた。

 

前衛のいないこの状況は、アラガミを引き付けるものがないため、私とカレルの二人は必然的に後退していくしかなかった。

 

 

「おい、ジーナ。このままじゃ壁を破られる。それどころか、俺たちが食われるぞ」

 

「無駄口叩いてる暇があったら、引き金を引きなさい」

 

 

もはや、撃つ感触を確かめている暇がない。標準を合わせたら撃つ。それだけの作業になっている。

 

 

「ったく、新人はいつ戻って来るんだか」

 

「お言葉だけど、もう彼は新人じゃないわ」

 

「そりゃ悪いこと言ったな。だが、今の頼りはあいつだけ……なんだ?」

 

 

カレルが言葉を止め、引き金を引かなかった。

私も、異変に気づき神機を下ろした。

 

アラガミ達が装甲壁から離れ、全く別方向へ進行し始めた。

 

 

「あれは、一体……」

 

 

その時、車のエンジン音が聞こえ、1台の大型装甲車がこちらに向かって来た。

 

運転手は……リンドウさん?

 

 

「ジーナ、カレル。大丈夫か?」

 

「ああ、こっちは大丈夫だが……一体どうなってんだ?これは」

 

「ああ、それは走りながら説明する。今はあれを追う」

 

 

車に乗り込むと、中には第一部隊と私達以外の防衛班がいる。新兵の二人は、第一部隊にいたようだ。

 

でも、ショウゴ君だけいない?

 

 

「全員揃いましたね。今からサカキ博士からの命令を伝えます」

 

 

ナズナが立ち上がり、説明を始めた。

 

 

「今から大規模な包囲戦を行う。アラガミは要塞跡地に集められるので、そこで全兵力を持って駆逐せよ。ということです」

 

「アラガミを集めるって。どうやるんだよ。ていうか、現にアラガミはどっかに引きつけられてるけど」

 

 

シュンが誰もが思っている疑問を口にする。

ちなみに、第三部隊のシュンが私達と一緒じゃなかったのは、第二部隊の方について行ったからだ。1人先行して、勝手に第二部隊と合流したらしい。

 

っと、今はそんなことより、このアラガミの不可解な行動についてだ。

 

 

「今、アラガミを引きつけてるのはショウゴ君です」

 

 

ドクンと、心臓が一瞬止まったような錯覚に陥った。

ショウゴ君が……1人で?

 

 

「な、なんでショウゴがそんなことを!」

 

 

みんな、同じことを思っている。

なぜ彼が?どうやって?

 

 

「サカキ博士は、ちょうどショウゴ君がそこにいたし、車も運転できるからって言ってたけど……これを見ると、ショウゴ君しかできないんだよね……」

 

 

明らかに困った顔をしたナズナ。

ショウゴ君にしかできないなんて、ますます意味がわからない。

 

 

「えっと、ほら、最近出撃前に飲むのを禁止されたもの、あるでしょ?」

 

「えっ……いや、まさか……」

 

 

一同の表情が、なんとも表現しずらい表情に……私も、気を張ってないと表情を固定できそうにない。

 

 

「そのまさかなんだよね……」

 

 

ナズナが困り顔のまま言い放った。

 

 

「大量の初恋ジュースを飲んだ彼が、車でアラガミを引きつけてます」




アラガミ達よ!ひれ伏すがいい!これが人類の!極東支部の!いや、初恋の力だぁ!!


今回短いですが、盛り上げるには分割した方がいいと思ったので。

初恋ジュースは、歴史に名を残すことができたのだろうか。


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逃走、その先に

風邪をひいてしまいました。

少し熱がありますが、執筆に支障はないので、毎日更新して行きます。

ただ一つ、ジーナさんに看病してもらえないことだけが残念でならない。


さて、しばらく初恋ジュースは飲まなくてもいいくらい飲んで来たぞ。大好きでも、10本は辛い。うん、お腹たぽたぽ。走れないと思ったから、車借りて来たよ。15の時から乗り回してたから、運転に自信はあるけど……

 

 

《がぁぁぁ!!ぐぅわぁ!!》

 

 

怖いよー、後ろ怖いよー。ヴァジュラとかいるよー。コンゴウもいるよー。なんだってわっしばっかりこんな貧乏くじを……

 

 

バァン!

 

 

車の横の地面が割れた……今のはヴァジュラの雷球か。ダメだ、集中しないとすぐに追いつかれる。

 

ミラーでアラガミ達の動きを確認しながら、攻撃を蛇行してかわす。結構運転しづらいな、この車。でも速さは申し分ない。

 

 

「あ、見えた!要塞跡地!」

 

 

あとはあそこでアラガミ達を引きつけておけば……

 

ガクンと、車に大きな衝撃が走った。

 

気づいた時には遅く、車は跳ね上がり、横転した。当然のごとく、わっしは車から投げ出された。

 

 

「ぐぅっ!?」

 

 

地面に叩きつけられ、バキッという音がした。右腕の骨が逝った。まだ所定のポイントまで来ていない。このままじゃ作戦も失敗してしまう。早く立ち上がれ。早く!

 

 

「くっ……」

 

 

立って気づいたが、足も捻挫している。痛みでうまく走れない。そうだ、神機は!?

 

その瞬間、車にヴァジュラの雷球が直撃した。あれに神機を乗せていた。あの様子じゃ、神機も……。

 

 

「くそっ!」

 

 

まだアラガミは車に気を取られている。今のうちに、ポイントまで。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

「リンドウ、もっとスピードでないの!?」

 

「無茶言うなよサクヤ。これでもアクセル全開なんだよ」

 

 

運転しているリンドウを催促するサクヤ。

 

この大型装甲車がそこまでのスピードを出せる代物ではないのは、ここにいるみんながわかっている。

 

ショウゴ君……どうか無事でいて。

 

 

「ジーナさん」

 

 

ふと、ナズナが話しかけて来た。正直誰かと話す気にはなれなかった。

 

 

「なに?」

 

「ショウゴ君のこと心配なんですよね?」

 

「そんなの、ここにいるみんなが心配してるわ」

 

「いえ、ジーナさんは違うと思います。そうですよね」

 

 

なにを言いたいのかは、だいたいわかった。でも軽くあしらうような余裕は、私にはなかった。

 

 

「そうね……そうかもしれない」

 

「やっぱり。前に、3人でコンゴウ討伐に行った時に、なんとなく感づいてました」

 

 

あの時から?でも、あの時はまだ……

 

 

「ジーナさん見てて、ショウゴ君を見る目が、他の人と違うなって」

 

「よく見てるのね」

 

「だてに隊長やってませんから」

 

 

ナズナには、既に気づかれていたのね。なんだか恥ずかしい。

 

 

「要塞までついたら、ショウゴ君をお願いします」

 

「……了解」

 

 

年下にここまで気を使わせるなんて……私も訓練不足かしらね。

 

 

「お前ら、もう着くぞ。準備を……ありゃあ、やばいな」

 

 

運転していたリンドウの声に、少し焦りが混じる。窓の外を見ると、要塞跡地付近に黒煙が上がっている。

 

あれは、まさか……

 

 

「リンドウ!」

 

「わかってる!総員戦闘準備!奴らをぶちのめすぞ!」

 

 

ショウゴ君……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

初恋ジュースの威力は凄まじいものだった。車の爆発でアラガミの目を引いても、すぐにわっしを標的にする。

 

捻挫した足を引きずりながら、あるものを見つける。

年代物の名刀だ。

はは、ナズナさんに渡したら飛び上がって喜ぶな。

 

でも今は、わっしの杖だ。

 

 

「もう少し……もう、少し」

 

 

アラガミを要塞跡地の所定の場所に集める。その所定の場所は、海に囲まれていて、逃げ場は入ってきた道一本だけという、不意打ちにもってこいの場所だ。

 

ようやく着いた、その場所で耐え切れず、わっしは大きな岩を背に、座り込んだ。

 

 

「あとは……他の人たちに任せる。けど、わっしも死ぬわけにはいかないからな……」

 

 

刀を抜いて、座ったままアラガミに向けた。

 

 

「悪足掻きはさせてもらう」

 

 

ヴァジュラが雷球を作り出している。

わかってたさ。こんな刀が役に立たないのは。

 

でも、諦めたくないんだ。

 

しかし、そんな思いはこの場では刀よりも役に立たなかった。

 

わっしの体は、雷球の爆発で吹き飛ばされ、最後に見たのはわっしの腕から離れるゴッドイーターの証の腕輪と、海だった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

要塞跡地には、ざっと100体。小型アラガミや大型アラガミが混在していた。

 

 

「各自、アラガミを殲滅しながら、ショウゴを探せ!行くぞ!」

 

 

第一から第三部隊までの全員がアラガミに突撃した。

私も引き金を引き、アラガミを貫く。

 

しかし、違和感を感じた。

 

一撃で、アラガミが倒れたからだ。

 

 

「こいつら、弱ってんのか?」

 

 

シュンがオウガテイルを切り裂きながら、カレルに聞いている。

 

 

「わからない。だが、楽でいいじゃないか」

 

 

カレルの言うとおり、相手を簡単に倒せるならそれでいい。早くショウゴ君を探さなければ。

 

おそらく、彼はアラガミを率いていたから一番奥。海沿いの場所にいるはず。

 

襲ってくるアラガミを撃ち貫き、道を開ける。

 

あそこだ、広くなっている場所がある。

 

 

「ショウゴ君!」

 

 

アラガミの群れを抜け、その場所につくが、彼の姿はない。どこに行ったの?アラガミから隠れる必要はない。もう私達が来たんだから。あなたを救助しに……

 

 

コツン

 

 

足元に何かが当たった。

大きな、私の腕にもついている、大きな腕輪。これって……もしかして……。

 

 

「ショウゴ……君?」

 

 

もうなにも考えられなかった。



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失意

前回、あとがきを書きませんでしたが、仕様です。敢えて書きませんでした。

あのあとにあとがきなんて書けるわけが……


 

《nazuna side》

 

謎の弱体化を引き起こしたアラガミ達は、なんの手応えもなく数を減らし、殲滅を完了した。

 

アラガミを掻き分けて行ったジーナさんは、1人地べたに座り込んでいた。

 

ショウゴ君の姿は……見当たらない。

 

 

「ジーナさん……」

 

 

ジーナさんに近づくと、どこを見るでもなく小さく「ショウゴ君……ショウゴ君……」と呟いていた。

 

まだ……まだ!

 

 

「みんな、ショウゴ君探して!」

 

「いないのか!?」

 

「手分けして探すわよ!」

 

 

リンドウさん、サクヤさんの声が響く。

皆が散らばっていく。

 

私はジーナさんに付き添う。

 

 

「ジーナさん、大丈夫です!皆が見つけてくれます。大丈夫ですから」

 

「ナズナ……」

 

 

ジーナさんの肩に手を置くと、少し震えてる。

こんなジーナさん、見たことない。

 

目も、いつもより弱々しい。

 

 

日が暮れても、彼は見つからなかった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《riiya side》

 

アラガミを倒した彼らが帰ったのは、日付が変わる直前だった。

 

彼らの顔は、このアナグラを守ったのにもかかわらず、暗かった。その中でも酷かったのは……

 

 

「ジーナ」

 

 

彼女の顔は、私でも見ていられないほどだった。

私の方を見たジーナは、すぐに顔を逸らした。

 

そして、そのまま私に何かを差し出した。

 

腕輪だった。神機使いのつける腕輪。

一体誰の……もしかして……

 

 

「ジーナ……これって、まさか……」

 

「……ごめんなさい……」

 

 

そういうこと……そういうことなんだね、ジーナ。

 

 

「そう。まぁ、ゴッドイーターはこういう仕事だもんね。運がなかったのね。私の弟は」

 

「おい、何言ってんだよ!あんたショウゴの姉さんだろ!そのあんたが、なんでそんなことを!」

 

「シュン、やめろ。今突っかかったって、何も変わらない」

 

 

叫ぶシュンをカレルが止めた。しかし、カレルの目もシュンと同じく、私を蔑むような目をしていた。

 

ジーナも何も言わずにその場を立ち去っていった。

 

ただ一人、私に近づいてきた人がいた。

整備班にとっての厄介者、ナズナだった。

 

 

「リイヤさん……」

 

「何?あんたも私に物申す?」

 

「いえ……あまり、強がんないでくださいね」

 

「強がってないよ。じゃ、私はあんた達の神機の整備あるから」

 

 

ナズナに背を向けて、整備室に入る。

その瞬間、私の足から力が抜けた。

 

ナズナには、見抜かれていた。私の精一杯の強がりを。

 

 

「バカァ……バカショウゴ……」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「柳川ショウゴはMIA……戦闘中行方不明と認定されました」

 

「……これは、私の責任でもある。非は私にある」

 

「ゴッドイーターは、いつこうなるかわからないです。腕輪もつけていない。いつかはアラガミ化すると思われます」

 

「はたして、そうだろうか?」

 

「え?」

 

「オラクル細胞の最適化。そして今回の包囲戦の報告、アラガミの弱体化。彼の特異性は、何か不思議なものを感じる」

 

「博士は、どう考えているんです?」

 

「私は、彼がアラガミの……いや、オラクル細胞の恩恵を受けた存在ではないかと睨んでいる。以前、彼を調べた時に出た"謎の偏食因子"。それが、彼を特別なものとしている」

 

「では、彼はこのまま終わるとは?」

 

「思っていないよ。そのうち、ヒョッコリ帰ってくるんじゃないかね?」




サカキ博士のひょうきんもの具合がわからん。

さて、ショウゴはどうなったか。
ジーナは立ち直れるのか。
リイヤはいつまで強がれるか。

乞うご期待。

次回から、ショウゴの過去となります。


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決意

1話だけの過去編←

ショウゴの生い立ちっていうか、回想っていうか、ショウゴの特異性の説明回って言ったらいいか。

とりあえず、頑張ります。

回想苦手なんで、短いです。

ジーナ?出てくるよ。多分。


「うぅ……ここは……」

 

 

目が覚めると、辺りは真っ暗だった。

体が完全に冷え切ってるのがわかる……。

 

わっしは、どうなったんだ?

 

下半身が、まだ海に浸かってる。

これ以上は本当に危ない。

 

 

「早く……上がらなきゃ……」

 

 

右腕が動かない……折れてたもんな。

身体中に激痛が走る。

 

でも、痛みが生きてるって実感をくれる。

 

わっしはまだ生きてる。

 

 

「まだそっちに行けないかな……父さん」

 

 

左手で這いずって陸に上がる。

ここがどこかわからないけど、限界だ。

もう少し……眠ろう……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《recall》

 

ショウゴの父、柳川リュウヤは野良研究者であった。

金のない野良研究者の研究は、実に地道で危険が伴う。

 

研究材料であるアラガミの素材持って帰るのも一苦労だった。

 

アラガミが跋扈する街を隠れながら、アラガミの死体を探し、持ち帰る。

 

家族は、この危険さを知りながらも彼を支えていた。

 

ショウゴは当時6歳。父のやっていることはよくわかっていなかったが、父を手伝いたい一心で自ら薬の実験を申し出た。

 

あの時のリュウヤの顔を、ショウゴは今でも覚えてる。

驚きと嬉しさで、目に涙を溜めたリュウヤの顔を。

 

リュウヤの作った薬は全て飲んでいた。

今思えば、ショウゴの特異性は、リュウヤの薬によるものだと思われる。

 

ショウゴのおかげで、リュウヤの研究は進んだが、それが完成することはなかった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《riiya side》

 

いつの間にか、自分の部屋で泣き疲れ寝ていた私は、懐かしい夢を見た。

 

家族が全員揃っている頃の夢。

 

母さん……私、母さんになんて言えばいいのよ。

ショウゴがゴッドイーターになって、父さんの研究が明るみに出るのは避けたかった。

 

父さんの研究を、他の人に見せたくなかったから、ゴッドイーターにさせたくなかった。

 

結局なっちゃったけど。でも、お父さんの研究はショウゴの役に立っていた。

 

でも……それでショウゴがいなくなっちゃ……意味ないよ。

 

やめよう。これ以上考えても仕方ない。

 

 

「よし!」

 

 

まだショウゴが死んだわけじゃない。私が諦めてどうする。仕事に行こう。

 

 

ビィー!

 

 

部屋のチャイムの音が響いた。誰か来たの?

 

 

「どちらさま?」

 

 

扉を開けると、そこにはフラフラのジーナがいた。

私に腕輪を渡した時と同じ、暗い表情。

 

 

「ジーナ……」

 

「リイヤ……私、あなたに謝らないといけない」

 

 

ジーナの目に、うっすらと涙が浮かんでる。

 

 

「ショウゴ君を、守れなくて……私、彼の教官なのに……ごめん、ごめんなさいリイヤぁ……」

 

 

その場で泣き崩れたジーナ。彼女が人の死にここまで感情的になるところは、見たことがない。

 

 

「うっ……うぅ……ごめんなさい……」

 

「立って、ジーナ。とりあえず、中に入って」

 

 

ジーナを椅子に座らせる。泣き続る彼女を抱き寄せ、大丈夫と言い聞かせる。

 

私は不謹慎にも、以前ジーナと話していたことを思い出していた。

 

泣き止んだジーナにコーヒーを渡し、隣に座った。

 

 

「落ち着いた?」

 

「……えぇ、少し」

 

「ジーナがあんなに感情的になるなんて、初めて見た」

 

「見苦しいところ、見せたわね」

 

「いいのよ。でも、まさかジーナがべったりだっていう相手が、ショウゴなんて」

 

 

ジーナは顔を真っ赤にし、俯いてしまった。本当、こんなジーナ初めてだ。女の子らしくて可愛いと思う。

 

 

「あいつのどこがいいんだか……」

 

「私も……わからないけど、一緒にいるのが……楽しい。でも……もう……会えない」

 

「ああ、そういうのやめ!まだ死んだわけじゃないんだから」

 

「リイヤ……」

 

「もちろん、見つけてくれるんでしょ?ジーナの好きな人」

 

 

ジーナの顔は少し、明るくなった。

 

結局、ジーナを弄るのが楽しくて、なんとなくだけど、ショウゴは生きてると思うことができた。




難☆産!

読みにくくてすみません。

もう過去話は書かないと心に誓いました←


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捜索

昨日は更新できずすいません。今日からまた頑張ります。

何度見ても、GE2のジーナさんはエロかっこいい


《クワセロ、クワセロ、クワセロ》

 

「くっ……頭が……」

 

 

ひどい頭痛と幻聴で目が覚めた。

辺りはすでに明るくなっており、わっしが倒れていた場所が砂浜だと分かる。

 

 

「はぁ……はぁ……帰らなきゃ。アナグラに……」

 

 

とりあえず、折れた腕を固定しなければ……ゴッドイーターの治癒力が、並の人間以上に高いことは知っているけど、固定しなければ治るものも治らない。

 

頭痛と幻聴は続いている。集中できないけど、近くに落ちていた木で抑え、服を破って巻きつけた。

 

これでとりあえずは……

 

 

「っつ……ここはどこだ」

 

 

ここは今まで見てきた場所のどこにも当てはまらない場所だった。

少なくとも、任務で来たことはない。

 

とりあえず歩こう。何か見つかるかもしれない。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《nazuna side》

 

防衛戦から一夜明けて、今日もショウゴ君の捜索が続いた。私はアリサ、コウタと旧市街まで赴いていた。

 

 

「よいっしょ!」

 

 

バスターを振り下ろし、ボルグ・カムランを両断する。

捜索とはいえ、アラガミの討伐もしなければならない。第一部隊なら、特にだ。

まぁ、アラガミを狩るのにそう時間はかからない。あとの時間は捜索に回せる。

 

 

「よし、捜索始めようか」

 

「了解です」

 

「了解。しかし、今でも信じられないよ。ショウゴがMIAなんて……」

 

「そうですね。それにまだ配属されて1ヶ月程だったはずです。早すぎます」

 

 

アリサとコウタは、そこそこ交流があったみたい。本気で心配してくれている。私は、ほら、無理矢理スサノオとかの禁忌種狩りに付き合わせてたから……。

 

 

「ゴッドイーターとなった以上、こういう危険とは隣り合わせなんだよ。いつ誰がなるかわからない」

 

「ナズナさん……」

 

「だから、私には仲間がいるんじゃない?助けてくれる仲間が」

 

 

我ながら臭い台詞を……。

ああ、少し恥ずかしくなって来た。

 

 

「そうですね!さ、早くショウゴさんを見つけましょう。私達もショウゴさんに助けられたんですから」

 

「おう!見つけたら、初恋ジュースたくさん飲ませてやろうぜ!」

 

「トラウマになってなければいいけどね。初恋ジュース……」

 

 

あんなことの後に飲もうなんて、私は思えない。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

リイヤと話して、少し気分が晴れたものの。今日は任務につく気にはなれなかった。

部屋の近くの自販機の前にあるベンチに座って、彼がいつも飲んでた初恋ジュースを手にしていた。

 

今思えば、このジュースのせいでショウゴ君がいなくなってしまったと言っても過言じゃない。

 

プルタブを開けて、甘ったるい匂いのするジュースを口にした。

 

 

「うっ……けほっけほっ」

 

 

前にも飲んだけど、ショウゴ君はよくこんなものを飲んでいたものだ。

 

初恋ね……思えば、今がそうかもしれない。

 

ショウゴ君が心配で、心配で、どうしようもない。

早く会いたい。一緒にお酒を飲んでくだらないお喋りをして、酔い潰れて、ショウゴ君におぶってもらって……そうだ、また膝枕してあげよう。きっと彼は疲れてるから。それと……

 

 

「絶対に見つけるから。ショウゴ君」

 

 

初恋ジュースを飲み干し、エントランスへ向かった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《sakaki side》

 

「ん?……いまの微弱な反応は……」

 

 

微弱すぎて一瞬しか感知できなかった。

装置の誤作動だろうか?

 

ヒバリ君にも聞いてみよう。

 

 

「もしもし、ヒバリ君かい?今、ごく僅かなアラガミの反応があったんだが、そちらでも感知したかい?」

 

『はい、今さっきこちらでも確認しました』

 

「ふむ……まだ誤作動の域を出ないが、調べる価値はありそうだね。すぐに部隊を編成して、向かわせてくれるかい?」

 

『わかりました。部隊の編成はいかがいたしましょう?』

 

「ヒバリ君に任せる。それでは、頼んだよ」

 

 

この微弱なアラガミ反応。これがもし彼なら……時間はあまりないかもしれない。

 

しかし、彼は特別な存在だ。思いもよらない事が、起きるかもしれない。

 

なんとなく、彼は無事に帰還すると思っている。

 

科学者が、勘に頼るなんて、思いも寄らないけどね。




いろいろ展開を考えているんですが、まとまっていなかったり。でも書き溜めとかしないもん!

一発勝負でいきます。


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食物

も、もう毎日更新じゃなくていいかな……プルプル


書き溜めとかあるわけじゃないし、時間指定で出してるわけじゃないので、電車の時間で書き上げるのが辛くなって来た感が……


どれくらい歩いたかな……もう気力だけで歩いてる気がする。腹も減った。喉もカラカラ。支給品のジャイアントトウモロコシが恋しくなる日が来るとは。

 

今だに、頭痛と幻聴……多分、夢で出てきたハンニバルの声は消えていない。

 

『クワセロ』って、何を食わせればいいんだよ。

 

なんか食わせたら、おとなしくなってくれるのか?あいにく、この辺に食べ物なんて無い。アラガミに食い散らかされた残骸ばかり。

 

その時、足音が聞こえた。わっしとは違う足音。アラガミの足音だ。多分、これはオウガテイル。

 

 

「ついてないな……全く」

 

 

逃げるにも、このボロボロの体だ。どうにかやり過ごすしか……

 

 

『クイモノ……クウ、クワセロ!!』

 

 

ぐぅっ!?頭痛がひどくなった……頭が割れそうだ!!

幻聴も今までにないくらいハッキリと……

 

 

「食い……モノ……」

 

 

今……わっしはなんて言った?オウガテイルをみてなんて言った?

 

 

クイモノ?

 

美味しそうな……クイモノ……クウ……

 

 

クッテヤル

 

 

ーーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

緊急の任務を言い渡され、私とカレル、シュンは廃工場まで来ていた。

なんでも、微弱なアラガミの反応があったらしい。

アラガミの反応……ショウゴ君なら良かったけど、それはショウゴ君のアラガミ化を意味している。

 

複雑な気持ちだった。

 

 

「おい、ジーナ。大丈夫か?」

 

「あら、シュンが私の心配するなんて。明日は槍でも降って来そうね」

 

「ふざけんなよ。お前、ショウゴと仲良かっただろ?だから……」

 

「大丈夫よ」

 

 

それだけ言って、先に捜索を始めた。

 

 

「あれは、少し無理してるな。ジーナらしくも無い」

 

「なんか、微妙に調子狂うよな」

 

「前に話したの、案外的を射ていたのかもな」

 

「ジーナが惚れてるってやつ?」

 

「ああ、相手は言わずもがなって感じだな」

 

 

だから聞こえてる。

 

 

 

 

しばらく廃工場を捜索していると、アラガミの死体を見つけた。これくらいなら、いつもは気に留めないけど……

 

 

「このアラガミ……」

 

「ジーナ、どうしたんだ?」

 

「シュン、カレル。これをみて」

 

 

それはオウガテイルの死体。ところどころ喰われている。

でも、その喰われた痕がいつもと違う。

 

 

「これがどうしたんだよ」

 

「痕が小さ過ぎる」

 

 

アラガミの大口で喰われたものじゃない。アラガミよりも小さい、何か。

微妙なアラガミの反応と、オウガテイルの死体。たったこれっぽっちの情報だけど、それは悪い知らせになる。

 

もう、時間はあまり残されていないのかもしれない。

 

手遅れになる前に……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

わっしは……何をしている?

 

アラガミがいる……

 

逃げなきゃ……

 

……逃げる?違う

 

クワナキャ……




あと2、3話で、失踪編完結かなぁと。

まぁ、どうまとめようか、かなり四苦八苦してますが……


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荒神

絶えきれず、帰りの電車で書き始める……。

もう毎日2更新とかにしようかなぁ!?(錯乱


《gina side》

 

ショウゴ君がいなくなって、5日が経過した。

アナグラの雰囲気は、日が経つ程に暗くなっていった。

 

防衛班は必死になって探している。

 

手がかりが全くないわけではないけど……。

 

 

「まただ……何かに喰われたアラガミの死体。これでもう20体」

 

 

一緒に寺院まで捜索に出ていたタツミが、息絶えたコンゴウを見てそう言う。

 

ここ最近、種類を問わずアラガミが食い殺されている。

何が……いや、誰がそんなことをしているかは、みんなわかっている。

 

 

「深刻そうだな。これじゃ、ショウゴを見つけても、正気を保っているか……」

 

 

もう1人の同行者、ブレンダンが顎に手を当ててそう呟く。

 

極東支部は、この惨状の原因をショウゴ君と判断した。

かなりアラガミ化が進んでいる。

揺るぎない事実が、私達に重くのしかかった。

 

 

「でも、それで彼を探すのをやめるなんて、私にはできない。たとえ正気を失っていても、必ず見つける」

 

 

絶対に見つけると約束した。親友と約束した。

何よりも、自分のためでもある。

 

 

「俺も、あいつには借りがある。そう簡単に諦められるかよ」

 

「ああ、俺も同じだ。しかし、今日のところは一先ず帰還しよう。もしかしたら、新しい情報があるかもしれない」

 

 

ヘリの到着する時刻が迫っていた。

今日の捜索は、これ以上は無理だ。だけど……

 

 

「タツミ、ブレンダン。もう少しだけ捜索してもいいかしら?」

 

「まだ時間あるし、大丈夫だぞ」

 

「私1人で捜索したいの」

 

「1人で?流石にそれは……」

 

「まぁ、いいんじゃないか?ブレンダン。ジーナだって1人になりたい時があるだろ」

 

「迷惑かけてごめんなさい。すぐに戻るから。何かあったら信号弾を打ち上げるわ」

 

「おう、気をつけてな」

 

 

ありがとう、と言って、私は捜索を再開した。

 

タツミの言うとおり、少し1人になりたいのもあったが、少しでも可能性があるなら彼を探していたいと言うのが本音だった。

 

少し進んでいくと、本殿からドサッと何かが倒れたような音が聞こえた。

 

 

「何か……いるの?」

 

神機を構え、ゆっくり本殿に入る。

中は薄暗く、何があるかわからない。

 

目を凝らしてみると、本殿の隅に何かいる。

 

もしかして……

 

だんだん目が慣れて来る。

そこにいたのは……

 

 

「ショウゴ君!?」

 

 

服がボロボロで血塗れになり、右腕があらぬ方向に折れているショウゴ君だった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ゆさゆさと、誰かに揺すられてる。

誰だ?

 

聞き覚えがある声……

 

 

「ショウゴ君!しっかりして、ショウゴ君!?」

 

「ジー、ナ……さん?」

 

 

やっぱり、ジーナさんだ……。

 

 

「よかった……生きててよかった……本当に」

 

 

涙声でわっしに抱きつく。

ダメだ……早く、ジーナさんを離さないと……

 

 

「ジーナさん……わっしから、離れて……」

 

「何を言ってるの……一緒に帰るの!リイヤも、あなたが帰るのをまってるんだから!」

 

「もう、わっしは戻れない……わっしは……ぐぅ!?」

 

 

まただ……また頭痛が……あいつが出て来る!?

 

 

「ショウゴ君!?」

 

「はヤく……に、ニゲロォ!!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

「きゃ!?」

 

 

ショウゴ君に突き飛ばされる。一体どうして……。

 

 

「ウッグァァ!?」

 

 

ショウゴ君の声は、とても人が出せるものではなかった。

目が紅くなり、歯は鋭く尖っている。

 

 

「ショウゴ君……」

 

 

彼は私を一瞥すると、本殿の壁を突き破り、走り去って行った。

 

 

「そん……な……」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《nazuna side》

 

帰ってきたジーナさんの報告は、嬉しくもあり、悲しくもあった。

 

ショウゴ君の生存、そしてアラガミ化。

 

しかし、ジーナさんが言うには、まだ理性があり不安定な状態らしい。まだ完全ではないと。

 

その報告を聞き、サカキ博士はラボに篭ってしまった。

 

ショウゴ君を見つけたジーナさんは、また出撃しようとしていた。

 

 

「ジーナさん!どこに行くんですか」

 

「ショウゴ君を探す。見つけて、連れて帰る」

 

「どこにいるか、わかるんですか?」

 

「それは……」

 

 

ジーナさんはバツの悪そうに顔を伏せた。

 

やっぱり感情的になっていた。

 

 

「多分、サカキ博士がショウゴ君を助けようと、何か対策を講じてます。サカキ博士から指示があるまで、待機するべきです」

 

「でも……」

 

「ナズナの言う通りよ」

 

 

いつの間にか、後ろにリイヤさんが。

気配なかったんですけど……

 

 

「今、サカキ博士に呼ばれた。ここからは技術屋の出番。ジーナは、私とサカキ博士の作業が終わるまで待機ね」

 

「リイヤさん……」

 

「……わかった」

 

 

ジーナさんはエレベーターに乗って行ってしまった。

 

リイヤさんは、はぁとため息をつき、私の方を見た。

 

 

「あんな頑固なジーナ初めて見た。そんなにいいかね、うちの弟が」

 

「ジーナさん、ショウゴ君といる時、すごい楽しそうですもん」

 

「そうなの?今度録画してやろう」

 

 

いたずらっ子の笑みを浮かべたリイヤさん。

私も写真取りたいなぁ。

 

 

「ま、そのためにも全力尽くさないとね」

 

「頑張ってください!」

 

「言われなくても」

 

 

リイヤさんもエレベーターに乗って行った。

 

さて、私はどうしようかな。

とりあえず……

 

 

「ヒバリさん、ハガンコンゴウの討伐依頼あります?」

 

 

趣味に没頭するとしよう。




もう少し……もう少しでデレジーナ書ける。

ふへ、ふへへへへ


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活路

相変わらずの電車執筆。

ショウゴの特異性を少し説明。
わかりずらいかもしれないけど……


 

わっしは、化け物に成り下がった。

アラガミを食べたくて食べたくてしょうがない。

 

頭の中で声が響くんだ。食わせろ、食わせろって。あの時のハンニバルが。

 

最初は抵抗したけど、無理だった。

 

アラガミを見つけたら、獲物を狙う獅子の様に背後から近づいて、食らいつく。

 

アラガミはあっさりと息絶え、それを捕食する……。

 

アラガミは、こんなに簡単に殺せたか?

あきらかに弱っている。こんな生身の人間に食い殺される程に。

 

でも、そんなのどうでもよかった。

 

食べたくなくても、食べてしまう。美味しくない。

なんでこんな美味しくないものを食べてるんだ……初恋ジュースの味が、もう懐かしい。

 

そういえば、最近ジーナさんと飲みに行ってないな。

行きたかったな、一緒に……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

目が覚め、いつの間にか寝ていたことに気付いた。

下着姿で寝ていたから、少し肌寒い。

 

 

「ショウゴ君……」

 

 

彼に助けを求められている夢を見た。

必ず助ける。私の気持ちを伝えないまま、あなたを死なせはしない。

 

とりあえず服を着なきゃ。

 

こんな姿、彼に見られたらどうしようかしら。

 

 

 

エントランスは少し騒がしかった。ほとんどの部隊の人間が集められていた。

人混みの先に、サカキ博士とリイヤがいた。

 

 

「みんな、少し聞いてくれるかい?」

 

 

サカキ博士が、声を大にして注目を浴びる。

 

 

「先日、MIAを受けた柳川ショウゴ君を発見した。彼はかなりアラガミ化が進んでいると思われる。とても危険な状況だ」

 

 

それは直接見た私がよく知っている。

いつ、本格的に体がアラガミになるかわからない。

 

 

「そこで彼を救出するために、こんなものを作った」

 

 

あれは……ショウゴ君の腕輪?

 

 

「この腕輪は、彼のアラガミ化を抑制するためのものだ。みんな知っての通り、彼は特殊な力を有している。ここからは小難しい話になってしまうから省かせてもらうが、この腕輪は彼しか助けられない。彼を見つけ、これをはめることができれば、助けることができるだろう」

 

 

場がざわつき始めた。

ショウゴ君を助けられる。

 

よかった、本当によかった……

 

 

「今朝、彼の反応を確認した。反応が前より強くなっているところを見ると、これで助けられなければ、諦めるしかないだろう。事態は一刻を争う。みんな、頼んだよ」

 

『了解』

 

 

待ってて、ショウゴ君。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《nazuna side》

 

一時解散となり、みんながばらけ始める。

私はツバキさんとリイヤさんに呼び止められた。

 

私の他に、ジーナさん、タツミさんもツバキさんに捕まった。

 

 

「お前たち四人には、柳川ショウゴの救出任務を言い渡す」

 

「このメンバーでですか?」

 

「ああ、サカキ博士からのオーダーだ」

 

 

ああ、そう言うことか。

でも、厳密にはリイヤさんのオーダーだろう。

ちゃっかりジーナさんいるし。

 

 

「腕輪は、はめるだけで効果を現すから。ショウゴの動きを止めて、しっかりはめて。もしかしたら、拒絶反応を起こして暴れるかもしれないから、つけたらすぐに離れて。3人とも、うちの愚弟を頼むね」

 

「頼まれました。必ず連れて帰ります」

 

「手のかかる新米だけど、俺も借りがあるからな。まぁ、任せとけ」

 

「リイヤ」

 

 

ジーナさんが、リイヤさんの前に出た。

 

 

「一緒に、帰るから」

 

「うん、待ってる」

 

 

ジーナさん、それは死亡フラグな気がするけど……まぁ、大丈夫か。

 

 

「さて、そろそろ行こう」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《sakaki side》

 

柳川リュウヤ。まさか、独自に偏食因子を作り出すとはね。P53偏食因子とは違う……さながら、"変異偏食因子"とでも言うべきか。

 

リイヤ君の話で、ようやくショウゴ君の特異性の正体が判明した。

 

この偏食因子の資料がないのは残念だが、私の推測が正しければ、この偏食因子は他の偏食因子に干渉することができる。

 

そして、オラクル細胞にも干渉できるのだろう。彼と対峙したアラガミの弱体化。変異偏食因子は、アラガミのオラクル細胞を変異させ弱体化できる。

 

ハンニバルの時の報告も頷ける。ハンニバルの槍を片手で受け止めた。それなのに、彼の手に一切の傷がなかったのは、ハンニバルの槍のオラクル細胞を変化させたからだろう。

 

そして、今のショウゴ君の状態。おそらく、なんらかの要因でP53偏食因子と変異偏食因子が反発しあっているためだろう。

 

 

「さて、どう転ぶことやら」




次回、シリアル終わり!

え?シリアスだろって?
シリアルでいいんです!

デレジーナ!デレジーナ!デレジーナ!


……デレジーナってタグつけてもいいかな……


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UA5000突破しました!

これからも頑張るので、応援よろしくです!




《gina side》

 

ショウゴ君の反応が確認されたのは、昨日の寺院から遠く離れた要塞跡地。

 

ショウゴがいなくなった場所だ。

 

 

「なんの因果だか……消えた場所で決着つけろってか」

 

「ショウゴ君、ロマンチストだったりして」

 

「こんなところにロマン求めてどうするんだよ……」

 

「ロマンチックかどうかはともかく、2人とも準備してね。アラガミも集まってきてる。最優先事項はショウゴ君の救出よ」

 

 

失敗は許されないのだから……

 

ショウゴ君の腕輪を見つけた場所。そこに彼はいた。

紅い目と、尖った牙……やっぱりアラガミ化が進行している。

 

 

「グルゥ……」

 

 

声も、あの声だ。

人間の発せられない音。

 

 

「ショウゴ君……」

 

 

少し、ショウゴ君が後ずさっている。近づこうとすると、逃げる様に。

まだ、理性が残ってる?

 

 

「ジーナさん、今なら」

 

「ええ、わかってる」

 

「でも、そう簡単にはいかなそうだ」

 

 

タツミが後ろを見た。

 

あれはディアウス・ピター……こんな時に

 

 

「ジーナさん、私とタツミさんで相手をします。ショウゴ君をお願いします」

 

 

腕輪を私に投げ渡し、ナズナはタツミを連れてピターの方へ向かった。

 

腕輪を握りしめ、ショウゴ君に近づく。

 

 

「ショウゴ君……もう逃げなくていい。あなたを助けにきたの」

 

 

彼の目は、あきらかに敵意を剥き出しているが、体は私から離れようとしている。

 

 

「ショウゴ君」

 

 

腕輪をいつでもつけれる様にセットする。

彼の右腕は折れていて動かないはず。そこを狙って……

 

 

「今、助ける」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

声が聞こえる。

 

いつものあの声じゃない。

 

ジーナさんの声だ。

 

 

「ショウゴ君……ショウゴ君!」

 

 

ダメだ!近づかないでくれ。

この体は乗っ取られてる……抵抗するので精一杯なんだ……。

 

 

『食ウ。オ前、邪魔ヲスルナ』

 

 

仲間を、お前に食わせてたまるか。

意地でも、食わせてたまるか!

 

 

『悪足掻キヲ……グッ!?コレハ』

 

 

ジーナさんが、腕に何かを……あれは、わっしの腕輪?

 

 

『ナンダコレハ!?体ガ』

 

 

腕輪のおかげで、こいつの力が弱まった!?

今なら、こいつを……

 

 

「消えろ……」

 

『ナニ?』

 

「わっしの中から消えろ!ハンニバル!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

腕輪をつけた瞬間に、ショウゴ君は苦しみ暴れ始めた。

 

 

「がぁぁあ!?」

 

 

腕輪が機能しているの?

もがいているショウゴ君に、何もできない……。

いや、できることは……

 

 

「ショウゴ君!」

 

 

暴れているショウゴ君を抱きしめた。

渡しから逃れようとしているのか、苦しいのか……腕の中でもがく彼を離さない様に強く抱きしめる。

 

 

「うぐぅ!ぐぁぁ!?」

 

 

ショウゴ君は突然、糸の切れた操り人形の様にダランと力をなくした。

 

 

「ショウゴ君?しっかりして!」

 

 

ゆっくり彼を寝かせる。

 

胸に耳を当てて、心音を確認する。

 

ドクン、ドクンと脈打っている。

 

寝息も、穏やかだ。

 

 

「よかった……生きてる」

 

 

初めて、大声をあげて、私は泣いた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《nazuna side》

 

「でぇりゃぁ!!」

 

 

ピターの頭をバスターでカチ割った。

そのまま、頭を地面にめり込ませ、もう一発!

 

 

「チャージクラッシュ!!」

 

 

ぐしゃっと言う音が、ピターの死骸がどうなっているかを物語っていた。南無南無

 

 

「ナズナ、片付けたなら急いで戻るぞ!」

 

「はい!」

 

 

ジーナさんのところに戻ると、そこには大泣きしてるジーナさんと、膝枕されて寝ているショウゴ君。

 

ショウゴ君は規則正しい寝息をたてているから、うまくいったんだ。

 

 

「うまくいったみたいだな」

 

 

タツミさんが、私の考えていたことを口にした。

 

 

「しかし、ジーナの号泣か。こりゃ激レアだな」

 

「あ、そうだ」

 

 

実は密かに持ってきていたカメラのシャッターをきる。

 

被写体はもちろん、号泣しているジーナさん。ついでにショウゴ君の寝顔も取っておこう。

 

 

「後でそれくれよ」

 

「5000fcで」

 

「たっか!?」




いぇーい、シリアルいぇーい。

と言うわけで、グダグダな疾走編完結でした。
話が膨らまなかった←


いろいろ捕捉しなきゃいけないことがありますが、そこはサカキ博士に任せます。

次回から本編となります←
作者が暴走すると思いますので、生暖かい目で見ていただけると助かります。



クライマックスって苦手です←


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目覚め、昏倒

書きたすぎて、本日3回目の更新。

本編!本編!!本編!!!


 

目覚めると、ベッドに寝かされているのがわかった。

 

いつも厄介になってるベッドだ。同じ新人で、このベッドにお世話になってるのは、わっしくらいだろう。アネットとフェデリコが怪我をしたところは、あまりみない。

 

と言うか、わっしはどうなったんだ?

 

誰かいないか……

 

 

「すぅ……」

 

「ん?」

 

 

すぐ横で寝息が聞こえた。顔を向けると、目の前にジーナさんの寝顔が……って、近っ!?

 

起きようとすると、左手をジーナさんに掴まれていた。

 

そうか……わっし、助かったのか……。

 

はは、悪運が強いっていうか、なんというか。いや、これはジーナさん達のおかげだ。

 

自分の体は今どうなってるんだろう。

 

右手は……ギプスがはめられている。それ以外には大きな怪我はないか。でも、体に力が入らない。ジーナさんに掴まれてなくても、起きれないな。

 

 

「んっ……ショウゴ君?」

 

 

ジーナさんを起こしてしまった。

なんだか申し訳ない。

 

 

「すいません、起こしてしまいましたね」

 

「いいのよ。あなたが目覚めてくれてよかった。本当に、心配したんだからね」

 

「ありがとうございます。ジーナさんが助けてくれたの、覚えています」

 

 

自分が何をしていたのか、大体覚えてる。自分でも、危ないところだったっていう自覚がある。

 

 

「わっし、皆さんを守れたんですよね?」

 

「ええ。そうよ」

 

「はは、それでみんなに迷惑かけちゃ、世話ないですね」

 

「そうかもね……」

 

 

言葉に詰まってしまう。わっしもジーナさんも、黙ってしまう。

 

先に沈黙を破ったのは、ジーナさんだった。

 

 

「ショウゴ君、喉乾かない?何か買ってくるけど」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「待ってて」といい、ジーナさんは病室を出て行った。

 

一人になると、今までやってきたことに対して、罪悪感を抱き始めた。

多分、極東支部のみんなに迷惑をかけた……。

 

あと、わっしの中にいた、あのハンニバル……あれは一体なんだったんだろう。わっしは一体……

 

 

ピトッ

 

「うわっ!?」

 

「ふふ、驚いた?飲み物、初恋ジュースでよかったかしら?」

 

「ジーナさん……ありがとうございます」

 

 

左手で初恋ジュースを受け取った時、あることに気づいた。

 

右手はギプスで動かないし、体もアラガミ化の影響か、うまく動かせない。左手だけでプルタブを開けるも無理だし、寝ながら缶ジュースを飲むのは無謀すぎる。

 

初恋ジュースを眺めて、どうするか考えてると、ジーナさんが初恋ジュースを持って、プルタブを開けた。

 

 

「気がつかなくてごめんなさい。体、起こせる?」

 

「すいません、さっきから起きようとしてるんですけど、体が動かなくて……」

 

「ストローもないし……そうね……」

 

 

ジーナさんは初恋ジュースを口にした。

ああ、それはわっし限定で美味なだけで、ジーナさんが飲んだら……などと考えていると、ジーナさんに頭を抑えられた。

 

 

「えっ、ジーナさ……んぐっ!?」

 

「ん……」

 

 

ジーナさんの顔が目の前に……てか、口に、初恋ジュースが……

 

 

「……っはぁ」

 

「ぷはっ……じ、ジーナさん!?な、何をして!?」

 

 

ジーナさんに口移しで初恋ジュースを飲まされた。

初めてが……

 

 

「あら、初めてだった?」

 

「は、はい……ってそうじゃなくて!?」

 

「安心して、誰にでもやるわけじゃないわ」

 

「え……それって……」

 

ちゅっ

 

 

この前みたいに、おでこにキスされる。

 

 

「そういうことよ」

 

 

ジーナさんは、すぐに病室を出ていってしまった。

 

これは……えっと……つまり……

 

 

「そういうこと……ってことで……」ボフン

 

 

おーばーひーと……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《riiya side》

 

ショウゴのお見舞いに行くと、病室の前でうずくまってるジーナが。

何してるの?

 

 

「ジーナ?」

 

「り、リイヤ……」

 

 

めちゃくちゃ顔真っ赤なんだけど。本当になにがあったのよ。

 

 

「わ、私……私……」

 

「ん?」

 

「な、なんでもない」

 

 

走り去って行った。

 

え?いや、本当に、何したのよ?

 

まぁいいか……ショウゴの様子見て、すぐに戻らないと。仕事が溜まってるし。

 

 

「ショウゴ〜、お見舞いにきたわ……よ?」

 

 

頭から煙出してグースカ寝てる……。

 

ジーナも相当だったけど……

 

 

「あんたもどうしたのよ!!」




人類よ!これがデレジーナだ!!
これが!我らの!!至宝であぁぁぁぁるぅぅぅぅぅ!!!!


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見舞い

しばらくほのぼの回

ほのぼのは楽しいですよね。


 

目が覚めた翌日、サカキ博士に呼ばれてラボに行くことになった。とは言っても、まだ体が動かないので車椅子でだ。

 

車椅子を押してくれているのは、姉ちゃん。無事よかったとか、優しい言葉をかけてくれる姉じゃないのは知っていたが、出会い頭に初恋ジュースを投げつけられた。

 

こっちは怪我人なのに、酷いものだ。

 

ジーナさんは心配してくれたの……に……

 

 

『そういうことよ』

 

 

昨日の言葉を思い出してしまった……。これはつまりそういうことなんだよな。

 

 

「ショウゴ、あんたまた頭から煙上がってるわよ」

 

「う、うん……」

 

「はぁ……ジーナとあんたの様子見たら、大体の様子はわかるわ。大方、ジーナが一方的に告ったあとに、逃げていったんでしょ?」

 

 

なんでわかるんだよ。エスパーかよ……

 

 

「ま、今は忘れなさい。もうラボに着くから」

 

「うん」

 

 

とりあえず後で悩もう。どうせ2週間の療養を言い渡されてる。時間はたくさんある。

 

ラボに着き、姉ちゃんが扉を開けると、いつもの胡散臭い笑顔でサカキ博士が待ち構えていた。

 

 

「やぁ、元気そうでなによりだよ。ショウゴ君」

 

「この状態見てそれをいいますか……」

 

「それもそうだね」

 

「サカキ博士、私は外に出ています」

 

「ありがとう。さて、早速だけど少し聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

「はい」

 

 

アラガミ化のことを聞かれるんだろう。

一応、言うことはまとめてきた。

 

 

「まず、君がアラガミ化していた時の状況についてだ。詳しく教えてくれるかい?」

 

「わかりました」

 

 

あの時のことを、一つ一つ説明して行く。

 

アラガミを要塞まで引き連れた後、海岸に打ち上げられていたこと。意識はあったけど、自分の中にいたハンニバルに抗えず、体の自由を奪われていたこと。時々、ハンニバルに理性を飲み込まれ、アラガミに対して、捕食欲求を持ったこと。

 

サカキ博士は、横槍を入れることなく、全て聞き入れた。

 

 

「なるほどね。よくわかったよ、ありがとう」

 

「いえ、こんなんでよければ……」

 

「君の中にいたハンニバル。それはおそらく、以前現れたハンニバルのオラクル細胞を君の中にある変異偏食因子が取り入れたせいだろう。アラガミの弱体化も、それが原因だ」

 

「変異偏食細胞……」

 

 

サカキ博士の説明によれば、変異偏食細胞は父さんの研究らしい。

まさか、あの研究が今になって実を結ぶとは、思いもよらなかった。

 

 

「変異偏食因子がなければ、君は今頃アラガミになっていただろう。お父さんに感謝したまえ」

 

「はい……」

 

「今日はもう大丈夫だ。ゆっくり休みたまえ。リイヤ君」

 

 

サカキ博士が姉ちゃんを呼び、扉が開いた。

待たされるのが嫌いな姉ちゃんが、不機嫌になっていないか心配だったけど、なんとも穏やかな表情だった。

 

 

「お話、終わりましたか?」

 

「ああ、待たせてすまなかったね」

 

「いえ、全然。じゃあ、ショウゴ連れて行きますね」

 

「頼むよ」

 

 

姉ちゃんに連れられ、ラボを出た。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「よいしょっと……」

 

 

姉ちゃんの肩を借りながら、ベッドに横になる。少しずつ動く様にはなったけど、まだ人の手を借りないと難しい。

 

 

「ふぅ、あんた太った?」

 

「そういうこと言うなよ。ちょっと傷つくだろ」

 

「うるさいわよ。じゃ、仕事あるから行くわね」

 

「うん、ありがとう」

 

 

そそくさと病室を出て行った。

忙しいみたいだな、やっぱり。

 

他の人も任務とかあるだろうし……なにもやることないと、退屈で仕方が無い。

 

そうだ、ジーナさんのあれ……うう、今思い出しても顔が熱い。わっしなんかでいいんだろうか……。別にかっこいい顔してるわけじゃないし……。

 

 

「はぁ、わかんないなぁ……」

 

「何がわからないんですか?」

 

「のわぁ!?か、カノン?それに、アネットにフェデリコも。いつの間に」

 

 

ベッドの横に気づかぬうちに三人がいた。

心臓に悪い……

 

 

「ついさっきです。お見舞いに来たんです!あ、クッキー焼いて来たので、どうぞ」

 

「ああ、ありがとう」

 

「ショウゴさん、もう体は大丈夫ですか?」

 

 

アネットが心配そうに聞いてくる。

苦笑いを浮かべて、見ての通りと答えた。

 

 

「すいません……僕たちが、早く到着していたら……いたっ!?」

 

 

フェデリコに左手でチョップする。

ネガティブなことを言うネガリコに制裁だ。

 

 

「フェデリコ、わっしがこうなったのはお前達のせいじゃない。わっしが選んで、こうなったんだ。お前が責任を感じることじゃないさ」

 

「ショウゴさん」

 

「大体、同期なんだから敬語はやめてくれよ。アネットも」

 

「「は、はい!」」

 

 

いつになったら敬語がとれるんだか……

 

 

「しょ、ショウゴさん。私も敬語じゃない方がいいでしょうか!?」

 

「カノンはそのままでいいよ」

 

「はわぁ!どうしてですか!?」

 

 

なんとなく、カノンのタメ口は誰かに怒られそうな気がするから……




カノンは敬語。反論は認めない。


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本心

もう書いてて楽しい。

きゅんきゅんする。

自己満でも構わない。

ジーナ可愛い。


《gina side》

 

壁の外を闊歩しているオウガテイルに狙いを定め、引き金を引く。

 

バレットはオウガテイルの横を通り過ぎ、地面を射抜いた。

 

 

「はぁ……」

 

「ジーナが外すなんて、珍しいこともあるもんだな」

 

「ああ、ショウゴが戻って来て調子出ると思ったんだけどな」

 

 

シュンとカレルがヒソヒソと話している。

いつも思っているけど、聞こえてる。

 

 

「いや、むしろ帰って来たからかもしれないぜ?ほら、前に話してたろ?ジーナが惚れてるって話」

 

 

シュンがそう言った瞬間、顔がかぁっと熱くなる。

ダメ……思い出したらまた……。

 

 

「帰って来たはいいが、今度はどう接すればいいかわかんなくなったってことか?」

 

「そうそう。気持ちがハッキリしたせいでってやつだ『バァン』よ!?」

 

「あなた達……」

 

 

銃口から煙がたつ神機を下ろし、睨んだ。

 

 

「少し黙って」

 

「「あ、ああ……」」

 

 

はぁ……集中出来ない。撃っても撃っても、あの時のことを思い出してしまう。

 

ショウゴ君……

 

 

「はぁ……」

 

「あれは重症だな」

 

「だな」

 

 

……この二人を撃ったら、少しは気分も晴れるかしら。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

体の動かないわっしのことを聞いてか、病室には結構人が来る。昨日はカノンとアネット、フェデリコが来てくれた。

 

今日は、ナズナさんにアリサさん、コウタが来てくれた。

 

 

「わざわざありがとう。なんか出してあげたいけど、あいにく何もなくて」

 

「病人がそんなこと気にしなくてもいいよ。むしろ、私たちが持ってくるべきなんだから。と、いうことでお土産」

 

 

ナズナさんは紙袋を渡して来た。

中身は……配給のビール?

 

 

「これ、病人に渡すものじゃないだろ……」

 

「いやぁ、未成年なんだけど配給の人が間違えたみたいで。リンドウさんに渡そうかなって思ったんだけど、サクヤさんに止められて」

 

「リンドウさん、酔っ払ったらひどいらしいですね。サクヤさんが愚痴ってました」

 

「俺はリンドウさんに愚痴られたよ。うちの家系の男は、女に尻に敷かれる〜って」

 

 

サクヤさんとは、ほとんど交流無いけど、結構気の強い人なんだな。

 

ジーナさんもそうなのかな……って、何考えてるんだ、わっしは!

 

 

「あれあれ?ショウゴ君、なんだか顔赤いよ?熱でもあるのかな?」

 

「いや、そうじゃないから。大丈夫……」

 

「ふむ……あ、そういうこと」

 

 

ナズナさんが何か閃いた様な顔をした。

嫌な予感がする。

 

 

「コウタ、ちょっと席外して」

 

「え?なんでだよ!今来たばっかなのに……」

 

「い・い・か・ら!早く出て行く」

 

「のわぁ!ちょっ、ナズn」

 

 

無慈悲にも、病室の扉が閉まり、ナズナが鍵をかけた。

 

コウタは追い出して、アリサさんは残す……ナズナさんは何を考えてるんだ?

 

 

「ショウゴ君、ジーナさんにお返事は出したのかな?」

 

「なっ!?なんで知って!」

 

「え、え?どういうことですか、ナズナさん?」

 

「告白されたんでしょ?ジーナさんに」

 

 

本当にこの人何者なんだよ!なんでわかるんだよ!?

 

 

「そ、そうなんですか!?あのジーナさんが!?」

 

「その様子だと、まだ返事出してないんでしょ?いつ出すの?ていうか、ジーナさんのことどう思ってるの?」

 

「いや、ちょ、待ってくれよ!」

 

 

わっしが逃げれないのをいいことに、問い詰めてくる。

アリサさんも興味津々だ。

 

こりゃあ、諦めるしないか……

 

 

「とりあえず、一つずつ質問してくれないか?」

 

「わかった。じゃあ、ジーナさんのことどう思ってるんですか?」

 

「ど、どうなんですか、ショウゴさん」

 

 

いきなりど直球……

 

ジーナさんのことどう思ってるって……

 

 

「えっと、答えなきゃだめ?」

 

「「はい」」

 

 

なぜ女子はこんなに恋バナが好きなんだ………

 

ジーナさんのこと……うん、まぁ……

 

 

「好き、だよ……アナグラで、1番一緒にいるから。姉ちゃん以外でね。なんていうか、いつも冷静だけど、たまに見せる素の部分っていうのかな。そういうところが……って感じかな?」

 

「ヘェ〜」

 

「あ、あの!や、やっぱりこの前の防衛戦でのことも、好きになる要因の一つだったんですか?」

 

「そう、かもね。こう言われたら引かれるかもしれないんだけど、ジーナさんの声のおかげで戻って来れた気がして……」

 

「「きゃーーー!!」」

 

 

女子の姦しい声が、鼓膜を揺さぶった。

 

 

 

「これが愛の力ってやつかな!そうなのかな!!」

 

「ドン引きです!逆の意味でドン引きです!!」

 

「あの……二人とも?」

 

 

ハイテンションになった2人を止めるのは、一筋縄じゃいかなかった……。もううるさいから、ナースコールで看護師さん呼んで、2人には退場してもらった。

 

後から聞いた話、コウタが病室の前で体育座りしてたらしい。コウタ、いなくてよかったよ。

 

とりあえず、2人の相手に疲れてしまった……少し眠ろう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

仕事を終えて、ショウゴ君の病室に立ち寄った。

あいにく、彼は眠っていた。

 

可愛い寝顔。

 

彼の顔を撫でる。

「うん……」と声をあげ、ゆっくりと目を開けた。

 

 

「あれ、ジーナさん?」

 

「おはよう。ごめんなさい、起こしちゃって」

 

「いえ……なんか、一昨日と逆ですね」

 

「ふふ、そうね」

 

 

まだ本調子じゃないのか、目がトロンとしている。

起こしてしまって、悪いことをした。

 

 

「もう少し、寝ていてもいいわ」

 

「でもわっし……ジーナさんに話したいこと……」

 

「また明日来るから。今は寝なさい」

 

 

ショウゴ君は、また目を閉じ、寝息をたて始めた。

寝起きは、弱いのかしら?

 

私に話したいこと……やっぱり、一昨日の話よね。

 

 

「ふふ、好きよ……ショウゴ」

 

 

彼の頬に口づけをする。

 

彼が寝ているときじゃないと、恥ずかしくてできない。

 

あなたが、どんな返事をしても……私は受け入れるから。




鈍感主人公はあまり好きじゃありません。

かと言って、鋭すぎる主人公も嫌です。
真ん中がちょうどいいのです。

そんなわけで、ダラダラした恋愛は嫌いなのです。


もう本当にジーナさん可愛い。


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告白

糖分過多。

そして、私が楽しむためにしか書いてないです。ご注意ください。


 

助けられて3日が経ち、体の調子も戻ってきていた。

松葉杖をつきながらなら、歩けるまでには回復している。

 

これで好きな時に初恋ジュースを買いに行ける。右腕のギプスはまだ取れないけど、すぐに取れるとのことだった。

 

そんなことを考えていたら、今日はタツミさんとブレンダンさんが病室を訪れた。

 

なぜか、二人ともボロボロだった。

一体何が……

 

 

「よ、よう、ショウゴ。体調はどうだ?」

 

「わっしよりお二人の方が心配です」

 

「ん、確かにそう言われてもおかしくないな。この格好は」

 

 

ブレンダンさんが自分の身なりを見て、ため息をついた。

所々、焼け焦げてるから、炎系のアラガミ?グボロの堕天種とかかな?

 

 

「一体何があったんですか……」

 

「いやぁ、カノンがな……」

 

「あ、はい。よくわかりました。もう言わなくてもいいです」

 

 

極東支部一の誤射率を誇るカノンに、2人は誤射られたのだろう。御愁傷様です。

 

しかし……

 

 

「わっし、討伐任務をカノンと行ったことないから、誤射されたことないですね」

 

「そっちの後衛は優秀だからなぁ。正直羨ましいぜ」

 

「なんとか誤射を少なくさせようとしてるんだが、カノンはアラガミを前にすると、性格が変わってしまってな。もう諦めかけてる……」

 

 

話には聞いていたけど、結構深刻そうだな……わっしが討伐任務に行く時は、大体ジーナさんと一緒だったし。

 

ジーナさんが誤射をするとこは見たことない。

さすがとでも言うべきか、なんと言うか……

 

そういえば、昨日ジーナさん来てたな。かなり寝ぼけてて記憶あやふやだけど、確か今日も来るって言ってような。

 

 

「ショウゴ、どうした?」

 

「あ、いえ……なんでもないです。ちょっと考え事を……」

 

「そうか。まぁ、余り頭使いすぎて熱だしてぶっ倒れるなよ。みんな、お前の復帰を待ってるからな」

 

「はい、早く治します」

 

 

これ以上はわっしの体調に障ると、タツミさんとブレンダンさんは早々に退散した。

多分、誤射でボロボロだからっていうのもあると思うけど……。

 

誰もいなくなると、途端に暇になる。寝てもいいけど……最近寝てばっかりだから、眠くない。

 

さて、どうするか……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

気がつくと、もう夜だった。

いつの間にか寝ていたようだ……。

 

ジーナさん、来るって言ってたのに……もう帰っちゃったかな……

 

と、その時、病室の扉が開いた。

そこにいたのは……

 

 

「ジーナさん」

 

「夜遅くにごめんなさい。仕事が長引いて」

 

「いえ、大丈夫です。実はついさっきまで寝てたんで」

 

「ふふ、あまり寝すぎると、かえって疲れるわよ?」

 

「そうかもですね」

 

 

……会話が止まってしまった。

 

話すこと……あるじゃないか。

 

 

「あの、ジーナさん」

 

 

思い切って言うしかない。

 

 

「この間の……話なんですけど」

 

「ええ……」

 

 

ジーナさんもわかっているようだ。

いつも通りに見えるジーナさん。すごいな。

 

 

「えっと、正直わっしのどこがいいのか、自分ではわかりません」

 

 

ジーナさんは黙って聞いてくれる。

 

 

「でも、そういうのは抜きにして、わっしの気持ちを聞いてくれますか?」

 

 

ジーナさんに、左手を差し出した。

 

 

「好きです。わっしでよければ、お付き合いしていただけないでしょうか」

 

 

言った、言ってしまった。

恥ずかしくて死にそうだ……心臓破裂するんじゃないか?

 

ジーナさんは、わっしの頭を抑えた。

 

顔が近づいて、唇と唇が触れ合った。

 

長い、口づけだった。

 

ジーナさんはスッと離れ、わっしを見つめた。

 

 

「これが返事で……いいかしら?」

 

「はい、もちろんです」

 

 

左手で、わっしから抱き寄せて。またキスをした。

 

 

「大好きよ、ショウゴ」

 

「わっしもです。ジーナさん」

 

 

そのあと、何度もキスをした。

 

姉ちゃんに見られていたのを知ったのは、極東支部に知れ渡った後だった。




エンダァァァァァァァァァ!!

その後、カノンやらナズナやらアリサやら……色んな女子に捕まったジーナは、根掘り葉掘り聞かれたとか


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尋問……(?)

イチャイチャ、イチャイチャ、イチャイチャ!


羨ましいぞこの野郎!


 

《gina side》

 

夜中までショウゴ君……いや、ショウゴと一緒にいたせいか、少し寝不足だった。

 

幸いにも仕事は昼からと言うことで、他の人より遅れてエントランスへ向かった。一度、ショウゴの顔を見てから行こうと思ったけど、時間を忘れて居座りそうだったから我慢した。

 

エントランスには、同じ第三部隊のシュンとカレル。あとはナズナとアリサがいた。私の方を見るなり、ナズナが不気味な笑みを浮かべた。

 

 

「ジーナさん、おはようございます。いい仕事日和ですね」

 

「え、ええ……どうしたの?少し気色悪いわよ?」

 

「そぉですかぁ?べっつに何もないですよ?」

 

「はい!何もないですよ!」

 

 

明らかにおかしい。シュンとカレルも、ニヤニヤと私の方を見ている。

一体何が……。

 

 

「おはようジーナ」

 

「リイヤ」

 

 

後ろから声をかけられ、振り向くとリイヤがいた。

 

リイヤはいつも通り……。

 

 

「あ、ジーナ」

 

「何?」

 

「私のこと、いつでも義姉さん(ねえさん)って読んでいいからね」

 

「なっ!?」

 

 

昨日のことなのに……何で知ってるの?

 

 

「いやぁ、夜遅くまで病室でなにしていたんだか……」

 

「「きゃあーーーー!!」」

 

 

第一部隊女子がうるさい。

 

そう、全ての元凶はリイヤね……。

 

 

「お熱いねー、ジーナ」

 

「仕事中は、のろけんじゃないぞ」

 

 

シュンとカレルも、昨日の仕返しと言う風に……。

ダメだ、ここにいたらいじられ続ける……。

さっさと任務を受けて……

 

 

「ジーナさん、おめでとうございます」

 

 

まさかヒバリにまで追い打ちをかけられるとは思わなかった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

病室で以前ブレンダンさんに貰った簡易筋トレグッズで、左手の握力を鍛えていた。何かしていないと、昨日のことを思い出してしまう。夜中まで一緒に話ししてたからな……。

 

その時、病室の扉が少し開いた。

 

 

「ん?」

 

 

扉の隙間から、二つの視線。

 

目が丸出しだから、そこにいるのはわかるんだけど、誰かまではわからない。

 

放っておいたほうがいいか……声を掛けた方がいいか……

 

 

「えっと、そこの2人?何してるのかな?」

 

「「!?」」

 

 

気づかれて、ドキッでもしたのだろうか、扉がガタガタと揺れている。

動揺しすぎだろ……

 

 

「こ、コウタさん!気づかれちゃいましたよ!」

 

「ちょ、大きい声出さないでよカノンさん」

 

 

ああ、カノンとコウタだったか。

病人をからかいに来たのか?

 

ベッドの横にある松葉杖を手に取り、ゆっくり扉に近づき、勢いよく開けた。

 

 

「どうした?二人とも」

 

「あ、あぁ〜、いやぁ〜、その〜」

 

「なんだよ、煮え切らないな。隠し事したって、いいことないぞ」

 

「じゃ、じゃあ、ショウゴさん?」

 

 

カノンが小さく手を挙げた。

 

 

「ジーナさんと付き合ってるって本当ですか?」

 

「…………え?」

 

「ほ、本当なんですか!?」

 

 

ぐいっと詰め寄るカノン。いやいやいや、なんで知ってるんだ!?付き合い始めたの昨日だぞ!

 

 

「な、な!?」

 

「ショウゴ、正直に白状しろよ!!」

 

「二人とも、どっからその話を……」

 

 

この2人が知ってるはずがない。

誰にも話してないんだから……

 

 

「リイヤさんが、朝にみんなに言いふらしてましたよ!ジーナとショウゴが付き合ってますって」

 

 

あんのやろぉ…わっしはいいけど、ジーナさんに迷惑かかるだろ!何してくれてんだ!

 

 

「ねぇねぇ、ショウゴとジーナさん、どこまで行ったの?」

 

「へ?」

 

 

キスまで……何て正直に答えれるはずもない。恥ずかしくて死ぬ……

 

 

「な、なんでそんなことを?」

 

「リイヤさんが、夜遅くまで一緒に居たみたいって言ってたから」

 

 

本当にあのアホは!!

 

 

「ああ……わっしちょっと体調悪いから寝なきゃなぁ……と言うことで、2人とも、じゃ!」

 

「あ、ショウゴさん!?」

 

「おい、ショウゴ!答え聞いてないぞー、おーい!」

 

 

無理無理、恥ずかしくてそんなこと言えない。

安眠用の耳栓つけて、ブレンダンさんから貰った筋トレグッズに打ち込んだ。

 

早く帰れ……早く帰れ……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

仕事をさっさと終わらせ、ショウゴの病室へ向かうと、ショウゴが一心不乱に握力グリッパーを握っていた。

 

 

「ショウゴ?大丈夫?」

 

「……」

 

「ショウゴ?」

 

 

よく見ると、耳栓もしている。

耳栓を外してやると、グリッパーを握るのを辞め、私の方を見た。

 

 

「じ、ジーナさん!」

 

「ふふ、真剣だったみたいね」

 

「すいません気づかなくて」

 

「謝ることじゃないわ」

 

 

縮こまるショウゴが、なんだか可愛らしい。

 

 

「よしよし……」

 

 

ショウゴの頭を撫でてあげる。

恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして、うつむいている。

 

 

撫でていたらいつの間にか夜中だった。




もっとイチャイチャするのは、次回から。


もう、糖尿病になるほど甘く書くつもりなので、よろしくお願い申し上げます。


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敬語

今更だけど、タイトルはいつもテキトーです。

タイトル書かないと、第何話ってなるのを最初知らなくてそのまま続けたから、このままでいいやって感じです。


 

我が姉の告発により、アナグラ中にわっしとジーナさんが付き合ってることが知れ渡った。

そのことでジーナさんと話し合った結果……

 

 

「もう隠す必要もないわ。人目を気にせず一緒に居れるし、いいんじゃないかしら?」

 

「そ、そうですね」

 

 

ジーナさん大胆です。まぁ、わっしもそれに賛成だ。ただでさえ、今わっしが療養中でジーナさんは仕事。会える時間が少ないんだ。人目を気にしてたら、本当に少ししか会えない。

 

と、そんな話をしていると、病室の扉が開いて看護師の人がわっしの夕食を持ってきてくれた。

 

 

「ショウゴさん、食事ですよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

病人とは言っても、そんなに食事制限されるような状態じゃないから、わっしがいつも配給で貰っているものとあまり変わらない。

 

今日は……ジャイアントトウモロコシのポタージュに、パンか。異常にポタージュの量が多いけど、ジャイアントトウモロコシだから仕方ない。

 

 

「ジーナさんは、夕食は食べましたか?」

 

「ええ、あなたは気にせず食べて……」

 

 

ジーナさんが口ごもる。

すると、ジーナさんはパンを手にとって千切り、ポタージュの中に入れた。そしてポタージュをひとすくい。ふぅふぅ、とポタージュを冷ましたあと、わっしの口元へ……

 

 

「あーん」

 

 

やっぱりか。しかし、ここで拒否するのは彼氏として……アレだ。恥ずかしがらずに行け、わっし!

 

 

「あーんっ」

 

「ふふ、美味しい?」

 

「はい、美味しいです」

 

 

なんか看護師さんから生暖かい視線を感じたけど、付き合ってるんだからいいよね。うん、大丈夫。

 

 

「はい、あーん」

 

「あむ」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

結局最後まであーんされて食べた。看護師さん、途中で壁ドンして病室出て行ったぞ……いないのかな、彼氏。

 

と、もう結構夜遅いな。ジーナさんは明日も仕事だろう。

 

 

「ジーナさん、もう夜遅いです。明日も仕事ですよね。そろそろ部屋に戻った方が」

 

「そうね……名残惜しいけど、そろそろ戻るわ。また明日来るわね」

 

 

そう言うと、ジーナさんがわっしの首に手を回してキスしてきた。最近、帰るときはいつもキスしていく。

 

 

「おやすみ、ショウゴ」

 

「おやすみなさい、ジーナさん」

 

 

むすっ、とジーナさんが不機嫌そうな顔をする。どうしたんだろう?

 

 

「ねぇ、そろそろ敬語やめない?」

 

「え?」

 

「その、付き合っているんだし、あなたがいつまでも敬語だと……」

 

 

確かにそうだ。ジーナさんも、いつの間にか君付けじゃなくなったし……じゃあ、わっしも。

 

 

「うん、ごめんジーナ」

 

「っ!?」

 

 

ジーナの顔がぼんっと赤くなる。

 

わっしも恥ずかしいんだけどな……。

 

 

「う、うん……それじゃあ、おやすみ」

 

「おやすみ」

 

 

ジーナはそそくさと退散して行った。あれかな……敬語からのタメ口の破壊力ってすごいのかな……わっしにもダメージあるから、かなり自滅技だけど。




ジーナさんマジ天使、ヤヴァイ。

もうジーナさんいればいいや。


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復帰

もう毎日2更新でもいい気がしてきた。

新しくタグつけたので、ご確認ください。


 

「本日付で、原隊復帰します。ご迷惑おかけしました」

 

 

二週間の療養が解かれ、防衛班のみんなの前で敬礼する。

 

 

「おう、お勤めご苦労さん。もう大丈夫だな?」

 

 

なんだかデジャヴ……。タツミさん、それ毎回言ってるのかな。

 

 

「はい。でも、しばらくはリハビリしろと言われました」

 

 

流石に二週間拘束されて、いきなり大型アラガミ討伐とか言われても、こっちから願い下げだ。

 

しばらくは小型アラガミと戯れることにする。

因みにツバキ教官命令である。

 

 

「そうか。じゃあ、しばらくは新人メニューだな」

 

「重ね重ね、迷惑かけます……」

 

「新人メニューなら、1人教官つけなきゃなぁ……」

 

 

タツミさんがニヤリと不敵な笑みを浮かべて、わっしを見る……嫌な予感が。

 

 

「タツミー、俺はジーナを推薦するぜ」

 

「え……」

 

 

シュンがニヤニヤとそんなことを……なんとなく予想はしていたけど。

 

ジーナは少し嬉しそうな顔をしてる。まぁ、わっしも嬉しいけど。

 

 

「そうだなぁ、ジーナなら問題ないだろう。なんせ2人は付き合ってるんだからな」

 

「そうそう、適任だろ?」

 

「目の前でいちゃつかれるのは、こっちも勘弁だからな」

 

 

カレルさんまでそんなことを……

まぁ、確かにいじりやすいネタだよな。

 

 

「おい、三人とも。あまり2人をからかうな」

 

「そ、そうですよ!お二人が付き合ってるのが本当だからって……」

 

 

唯一の良心はブレンダンさんとカノンだった。

 

でも、わっしもここまで言われて引き下がるわけにはいかない。

 

 

「わかりました」

 

 

そう言って、ジーナを抱き寄せた。

 

 

「ちょっ、ショウゴ!?」

 

「皆さんがそう言うなら、ジーナと行かせてもらいます。いいよね?ジーナ」

 

「わ、私は構わないけど……」

 

「じゃ、そう言うことで、早速行ってきますね」

 

 

タツミさん達は呆然としながら、わっしとジーナを見送った。

これだけはっきり言ってやれば、マシになるだろ。

 

 

 

 

「あまり、恥ずかしいことはしないでちょうだい……」

 

 

顔赤くしながら言われても、可愛いとしか思えない。

 

 

「あそこまで言われたら、言い返すしかないと思って……怒った?」

 

「怒ってないわ。それに、人目を気にしないって決めたしね」

 

 

軽くキスして来る。ジーナはキスするのが好きみたいだ。

 

理由を聞いたら、「あなたのせい」って言われたけど。

 

 

「さ、早く仕事を終わらせて、飲みに行きましょ?あなたの復帰祝い」

 

「そりゃ楽しみ。じゃ、サクッと終わらせよう」

 

 

久しぶりの仕事だ、気合い入れて行こう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「「乾杯」」

 

 

本当に仕事をサクッと終わらせ、2人でバーに来た。

ここで飲むのも久しぶりだ。

 

 

「復帰おめでとう」

 

「ありがとう、ジーナ」

 

 

グラスのウイスキーを流し込みながら、ゆっくりとした時間を過ごす。

療養中は、ジーナと会うことだけが楽しみだったからな。

 

 

「ねぇ、ショウゴ?」

 

「ん?どうした?」

 

「ふふ、なんでもないわ。ちょっと、呼んでみただけ」

 

 

お酒を流し込みながら、ジーナは笑いかける。

今日はペースが早いようで、既に一杯目はほとんどなくなっている。

 

 

「マスター、おかわりもらえる?」

 

「はい、ただいま」

 

「早いね、飲むの」

 

「ちょっと嬉しくて。ショウゴと一緒に来れたのが」

 

「真っ正面から言われると、結構恥ずかしい……」

 

 

アルコールのせいか、なんだか顔が熱い。

ジーナも、顔が赤いが、お酒だけのせいじゃないと思う。

 

 

「ふふ、可愛い顔してる」

 

「からかわないでよ。本当に恥ずかしいんだから」

 

「私だって、恥ずかしいわよ。すぐに酔いつぶれちゃいそうなくらい」

 

 

それはわっしも同じだ。

今日はやけにアルコールの回りが早い気がする……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ハッと目が覚めたら、そこは自室だった。

えっ?あれ?昨日、ジーナと飲んでて……その後……

 

 

「すぅ……」

 

 

……え?寝息が聞こえる……。

 

隣に誰が……

 

 

「んっ……ショウゴ。ふふ、もっと近くにきて」

 

 

上半身裸のジーナが隣にいて、すっごい甘えた声で抱きついてきた。

 

え?何が……まさか……

 

 

「酔った勢いで……やってしまった?」

 

 

復帰してすぐに、波乱の予感がした。




果たして、ショウゴはやってしまったのか。


作者はショウゴ×ジーナの薄い本を書くことになってしまうのか。

乞うご期待


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焦り

どこも出かけない日は電車の時間とかないから、書くのをだらけてしまいそうになる……です。

家で書いてると、よく寝落ちます。


とりあえず、混乱しすぎて逆に冷静になってる。状況を確認しよう。

 

 

昨日バーでジーナと飲んでた

おそらく、わっしが酔い潰れた

ジーナがわっしを部屋まで運ぶ

酔った勢いで……してしまう

現在

 

わっしアウトー。

勢いとはいえやってしまったのもそうだけど、覚えていないのもアウトー。

 

ジーナが起きる前に弁明だけでも……

 

 

「ぅん……すぅ……」

 

 

可愛いなぁ。

てか、抱きつかれてる腕にフニフニと柔らかい感触が……やっぱり、ちっちゃいな胸。

ああ、これはまずい。理性を保つのがキツい。

 

 

ダメだ。いくら付き合ってるとはいえ、それは犯罪だ……。

今理性を保ててるのは、まだ服を着ているから……ん?服を着ている?

 

わざわざやった後に服を着るか?

 

……心苦しいがジーナを起こそう。

 

 

「ジーナ、起きて。ジーナ」

 

「ん……ショウゴ?おはよう。少しギュッてしてくれない?」

 

 

うぐっ……理性にトドメを刺しに来てるのか!?

いや、耐えて見せるとも!

 

ジーナの望み通り、抱きしめてやる。

 

 

「ふふ、暖かい……」

 

「ねぇ、ジーナ」

 

「なに?」

 

「すごい申し訳ないんだけどさ……実は昨日、この部屋に帰った記憶が無くて……その……」

 

「心配しないで」

 

「え?」

 

 

ジーナがベッドから出た。水色と白の縞パン一丁って……机に近付くと、そこにはジーナの脱いだであろう服が畳んで置いてあった。

 

 

「私、服を着て眠るの、好きじゃないの。昨日は、一緒に寝ただけ」

 

「はぁ……よかった。酔った勢いでジーナのこと襲ったのかと思った……」

 

「あら、今からでもそうする?」

 

「心に傷を負わせないでくれ」

 

 

スクスクと笑いながら、服を着ていくジーナ。

なにもなかったのか……よかった。

 

 

「ショウゴ、シャワーを浴びた方がいいわよ?私もあなたも、少しお酒の匂いがしていると思うし、今日も仕事だからね」

 

「ああ、そうする。ジーナは、部屋に戻る?」

 

「ええ、ここに着替えはないしね」

 

「わかった。じゃあ、後で」

 

 

手を振って、ジーナを見送った後、安心したせいか頭痛がして来た。二日酔いかな……

 

シャワー浴びよう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

ショウゴと一緒に仕事に出ると、彼は私の方をチラチラ見てくる。今朝のことが、まだ忘れられないんだと思う。

 

昨日、バーで酔い潰れたショウゴを部屋まで送り届けたところで、少しショウゴを驚かしてやろうといつも寝る恰好で添い寝していた。

 

ショウゴなら見られても構わなかったし、もし彼が欲情しても、全て受け入れるつもりだった。

 

しかし、彼にも準備がいるみたい。

 

その時が来るのを、気長に待つことにしよう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

新人メニューは神機に慣れたわっしがやるには簡単すぎる。

小型アラガミなんて、ものの数分で終わらせることができる。

 

早く帰投できる分、ジーナと一緒に入れるから、それはそれでいいのだが……やってないとはいえ、今朝のことが尾を引きずっていた。

 

ジーナを前にすると、もう心臓が破裂しそうになる。

 

とりあえず、帰投して部屋に戻ったら、ジーナが着いて来て2人っきりなわけである。

 

 

「ショウゴの部屋、あまりものがないわね」

 

「まぁ、置くものもないしね」

 

 

会話が途切れ、気まずい雰囲気が流れる。

さて、この状況は一体どうすれば……

 

と、考えていると、部屋をノックする音がする。

 

誰だろうか?

 

 

「ショウゴいる?ちょっと頼みたいことあるんだけど」

 

 

姉ちゃんの声だ。

姉ちゃんなら、ジーナが部屋にいても問題ないか。

 

 

「今開けるよ」

 

 

扉を開けると、顔がリッカのように油で汚れた姉ちゃんが。

 

 

「姉ちゃん、顔汚れてるよ」

 

「そんなことはどうでもいいの。あ、ジーナもいたのね。お邪魔だった?」

 

「別に。何かしていたわけでもないしね」

 

 

ジーナがそう答える。言葉の通り、何かしていたわけじゃない。

 

 

「あらそう。まぁいいわ、ちょっと新しい神機パーツ作ったんだけど、テストして欲しいのよ。あんたなら、なんでも扱えるからね」

 

「便利屋みたいに言うなよ……父さんの実験台になった結果なんだから」

 

「それもそうね。で、テストしてくれるの?しないの?」

 

 

まぁ、やることなかったし、別にいいか。

 

 

「やるよ。どうせ断ってもダメなんだろ?」

 

「さっすが私の弟。ジーナも来る?」

 

「そうさせてもらうわ」

 

 

ギュッと、わっしの手を握ったジーナ。

わっしも、握り返してあげる。

 

 

「あんたら、なんかやな感じ……」

 

 

ジト目の姉ちゃんにそう言われたが、人目を気にしないってことになった原因はあんただよ。




次回、本編の時間軸を歪め、あのタイプの神機が登場。

完全に私の趣味←


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新たな神機

ネタがつきかけてます。

リハビリが終わった後、どんな話書こうかなぁと……

何か、ネタがあればメッセージまで送っていただけると助かります。

キャラ指定でも構わないので、よろしくお願いします。


 

姉ちゃんに連れられた場所は、なにやら厳重な扉のある部屋。なんだここ。

 

 

「ここは整備班の厳重倉庫。新型パーツとか、外に漏らせないものが保管されてる。まぁ、大丈夫と判断したら、フェンリル本部に連絡するけどね」

 

 

電子ロックを開き、扉が大きな音を立てて開き始める。中は真っ暗だったが、自動的に灯りがついた。

 

ゆっくりと中へ入ると、部屋の中央に神機が……神機にしては長い?刀剣の部分も、神機の長さに対して小さいような……あれは、槍か?

 

 

「これが新しく開発したポール型神機"チャージスピア"。もうひとつポール型があるんだけど、そっちはまだ完成してないわ」

 

「チャージスピアね……名前の通り槍なのか」

 

「そ、今までの近接パーツは全部剣だったからね。前からこういうのもあった方がいいんじゃないかなって思ってたのよね。サカキ博士とリッカ、後は……」

 

 

なぜか口ごもる姉ちゃん。

何か言いたくなさそうな……

 

 

「……ナズナに手伝ってもらって作ったの」

 

「あの人本当になにやってるんだよ」

 

「まぁ、隊長さんはここに来た時からそんな感じだったしね。無理もないんじゃないかしら」

 

「まさかリッカに習いながら設計図まで作って来るとは思わないわよ……」

 

 

鮮血の龍人はわっしの想像以上の変人のようだった。

 

しかし、ナズナさんが作って欲しいって言った神機なのに、わっしが最初に使っていいんだろうか……ナズナさんの神機パーツ、防衛戦の時に車に巻き込まれて木っ端微塵に吹き飛ばしちゃったし……

 

あの時のことは、許してくれたけど……

 

 

「とりあえず、初めての試みだし、しっかりテストしたいのよ。あんた、今新人メニューの任務しか受けれないんでしょ?その間、この神機使ってくれないかな?」

 

「わっしは構わんよ。ジーナもいいよね?」

 

「ええ、いざという時には私が援護するわ」

 

「ありがとう、ジーナ」

 

「いいのよ」

 

「人の前でイチャつかないでくれる?」

 

 

姉ちゃんがスパナを構えたから、名残惜しいけどやめよう。

 

しかし、やっぱりわっしは便利屋か何かと間違われているんじゃないんだろうか?

少し対応を考えないと、そのうち人体実験されそうだ……いや、もう父さんにされてた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

翌日、早速チャージスピアを片手に任務に向かった。

 

今日の相手はヴァジュラテイル。旧市街に集まりつつあるヴァジュラテイルを狩るのが目的だ。オウガテイルよりも強く、種類によっては火や雷で攻撃する。囲まれたら厄介だが、各個撃破すれば苦戦する相手じゃない。

 

それに、後衛は頼れる彼女が着いてくれている。

 

 

「ショウゴ、調子はどう?」

 

「万全。使い方も姉ちゃんに習って来たし、問題ないよ」

 

「そう、じゃあ行きましょ?」

 

 

よっし、サクッと終わらせようか!




チャージスピアは私のジャスティス。

GEB時代はロングばっかりでしたが、GE2はスピアしか使ってないです。

GEBからロングを引き継いだ意味が……


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禁鳥

ギリギリの更新です。


明日は大丈夫だと思います。


 

新神機、チャージスピアを手にヴァジュラテイルを探す。

ジーナは狙撃ポイントに向かった。そこから標的を探すと言っていた。

 

さて、慣れないチャージスピアだけど、ちゃんと機能するだろうか……

 

 

「機能しなかったら、わっし返り討ちなんだけどな……」

 

 

まぁ、その時はジーナが助けてくれると信じてる。

とりあえず、今はヴァジュラテイルの捜索だ。

 

そろそろ見つけてもいい気がするけど……

 

 

ドス、ドス、ドス……

 

 

お、この足音はアラガミの足音。建物の角を曲がった所にいるようだ。足音からして一体。試し切りには丁度いい。

 

今日の神機は試験的に持ってきたから、銃形態はない。

一気に近づいて、まず一突きお見舞いしてやろう。

 

 

「行くぞ!」

 

 

神機を握り、アラガミの前に飛び出した。

 

さぁ、ヴァジュラテイル!覚悟……

 

 

『キシャァーーー!!』

 

「いっ!?」

 

 

これはヴァジュラテイルじゃない!!

シユウ神族の禁忌種、セクメトじゃないか!?いやいや、そんなの聞いてないって!

 

 

「ショウゴ!!」

 

 

ジーナさんの声。そしてスナイパーの銃声。

セクメトの剣のような翼を、バレットが貫いた。

 

セクメトの注意が逸れた。こうなったらやるだけやってやる!

神機を構えて、セクメトの腹部に突き立てた。

 

 

「かったい……」

 

 

刃先が少し刺さっただけ、対したダメージにはなってない。こりゃ、突く場所を考えないとなぁ……

 

 

『ギィシャアー!!』

 

「やっば……」

 

 

セクメトの手に光弾が形成される。シユウも同じなの作ってた……あれ、ヤバイよな。

 

 

「いよっ!!」

 

 

セクメトが光弾を放った瞬間に後ろに大きく飛び上がる。チャージスピアの特殊アクション「バックフリップ」だ。

 

他の神機ではここまで高く飛び上がれないらしい。姉ちゃん曰く、「チャージスピアだけできるのは、偏食因子なんか起こすから」とのこと。姉よ、それでいいのか?

 

光弾はわっしの下を通り過ぎ、壁に当たって破裂。

 

着地したわっしは、すぐに反撃移る。

腹に刺しても効果が薄い。なら、シユウと同じく……

 

 

「頭!」

 

 

神機を顔に向けて突き出す。しかし、セクメトは顔を反らしスピアを避ける。

 

さすが禁忌種、動きが達人のようだ。

 

 

「下がって!」

 

 

ジーナの声が聞こえ、再びバックフリップで後ろに下がる。正確な射撃が、セクメトの拳を射抜いた。

 

クリーンヒットしたバレットは拳を結合崩壊させ、セクメトは怯んだ。

 

今なら、頭を狙える。

 

 

「これで決める」

 

 

神機を構え、力を込める。

槍の部分が変形し、黒い靄が溢れ出す。

これがチャージスピアと呼ばれる所以、チャージグライドだ。

 

威力は姉ちゃんの折り紙つき。

 

 

「いっけぇ!!」

 

 

セクメトに向かい突進する。

 

槍が頭に突き刺さり、そして……

 

 

バァン!!

 

 

爆散した。

 

え、威力強すぎない?

 

姉はとんでもないもの作り出したのかもしれない。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「ショウゴ、大丈夫?怪我は……」

 

「大丈夫だよ。無傷だから」

 

「そう、よかった……ヴァジュラテイルは、あのセクメトに捕食されたようね。気配もないし」

 

「予想外だった……まさかセクメトが現れるなんて……」

 

「そうね、最近イレギュラーなアラガミの出現が多いみたい」

 

 

アナグラの探査力を疑っているわけではないけど、こんなことはこれっきりにして欲しい。

 

それとも、何か原因があるのか……

 

 

「ショウゴ」

 

「ん、ああ、どうしたの?」

 

「そろそろ帰投しましょう。アナグラに報告しなきゃいけないしね。その槍のことも」

 

 

確かに、わっしが考えていても仕方ない。報告してサカキ博士の指示を仰ごう。

 

チャージスピアの使い勝手も、姉ちゃんに報告か……やることいっぱいだ。

 

 

「ねぇ、疲れてるようなら私が報告しておくわよ?」

 

「いや、わっしも行くよ。ジーナ一人に負担をかけるわけにもいかないし。気遣ってくれてありがとう」

 

 

思わず、ジーナを抱きしめた。

 

 

「ちょっと……もう……」

 

 

ジーナも、優しく抱き返してくれた。




スピアのインフレが半端ない。

一体どうなるだろうか、私もわからないです。


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長話

ジーナとニャンニャンしたい。

いや、する←


 

《gina side》

 

帰投した私たちを待っていたのは、チャージスピアの性能が気になってウロウロしているリイヤだった。

 

私の見る限り、あれの性能は従来の神機と遜色ないものだった。実際に使ったわけじゃないから、ショウゴの手応えのほうが当てになるだろうけど。

 

 

「姉ちゃんただいま」

 

「ただいま、リイヤ」

 

「あ、二人とも、戻ったのね。どうだった?」

 

 

待ちきれずに、ここでショウゴの感想を聞くようだ。

まったく、せっかちなんだから……

 

 

「使い方に少し偏りがあるかな。上手く弱点を突かないと、大したダメージは与えることができないと思う。チャージグライドはいいと思う。結構威力出るっぽいから」

 

「そう、なら良かったわ。とりあえず、動作不良は起きなかったのね?」

 

「ああ、それは大丈夫」

 

 

テストでセクメトを倒したのだから、今後の期待が膨らむ。実用化できれば、大きな戦力となる。

 

 

「わかったわ。ショウゴ、悪いんだけど、しばらくはそれ使ってくれる?もっと実戦データが欲しいの」

 

「ああ、構わないよ」

 

「ジーナも、迷惑かけるかもしれないけどよろしくね」

 

「いいわよ。まぁ、セクメトを難なく倒すほど優れてるものだから、迷惑も何もないけどね」

 

「はぁ!?セクメトォ!?」

 

 

そういえば、セクメトと戦ったことを伝えていなかった。

驚くだろう、初めての実戦で禁忌種だなんて。

 

 

「ちょっ、それ本当に大丈夫だったの!?」

 

「うん、まぁ大丈夫だよ。頭にチャージグライドぶっ放したら爆散したし……」

 

「爆散!?」

 

「ショウゴ、そろそろ任務の報告に行かないと」

 

「あ、うん。今行くよ。じゃあ、また来るよ姉ちゃん」

 

「あ、ちょっと!」

 

 

ショウゴを連れてサカキ博士の元へ向かう。

後ろでリイヤが何か言っているけど、今は無視しておこう。

 

 

「セクメトってどういうこと!?」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ジーナがサカキ博士のラボをノックすると、いつもの気の抜ける声で「どうぞ」と帰ってきた。

 

いつも思うけど、支部長室あるんだからそっちに行けばいいのに……。

 

 

「失礼します」

 

「失礼するわ」

 

「おやおや、カップルで僕を訪ねるなんて。結婚の報告でもしに来たのかな?」

 

 

サカキ博士にまでいじられるとは……

 

 

「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」

 

「報告することがあったんですけど、ツバキ教官に報告することにします。ジーナも乗らないで」

 

 

ツバキ教官は唯一、わっしとジーナのことをいじらずに祝ってくれた。

 

 

「ごめんごめん、冗談だよ。それで報告とは?」

 

「はい、実は……」

 

 

討伐対象とは別のイレギュラーなアラガミについて報告。

しかし、サカキ博士も知っていたようだ。

 

 

「他にも、報告は受けているよ。そうか……少し対処を考えた方が良さそうだね」

 

「はい。リハビリしてるのに禁忌種が突っ込んで来るなんて、リハビリにならないです」

 

「それはすまないね。本当はすぐにでもリハビリを解いてもいいんだけどね。ツバキ君が怒るからね」

 

「まぁ、わっしも今はチャージスピアの実戦テストをしてますから、大丈夫です」

 

「おお、あれを使ってるのかい!?」

 

 

チャージスピアの話を振った瞬間に、サカキ博士が食いついた。

 

これは長くなりそうだ……。

 

ジーナだけでも逃がそう。

 

 

「ジーナ、なんか理由をつけてここから……」

 

「付き合うわよ。これくらい」

 

「あ、ありがとう……」

 

「で、どうだったんだい?性能は?使い心地は?」

 

 

解放されたのは夜だった。




次回、ジーナとニャンニャンニャンニャンします。

します。


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ある日の2人①

防衛班の追加シナリオとか出ないかなぁ……

GE2で赤カリギュラ狩るの面倒です……


 

ようやっとリハビリ期間が終わり、本日は非番。

今日は少し遅めに起きようと思っていたのだが、なにやら鼻腔をくすぐる匂いが……

 

 

「んん……いい匂いがする」

 

「あら、起きたの?朝ご飯、食べる?」

 

 

なぜか甲斐甲斐しく料理に勤しむジーナがそこに。

そういえば、ジーナも非番だって言ってたな……よく一緒の非番になるなぁ。

 

料理しているジーナの後ろから抱きついた。寝起きで少しぼうっとしてる……

 

 

「おはようジーナ。ご飯食べる」

 

「座って待ってて。すぐにできるから」

 

「もう少しこのままがいい」

 

「ふふ、甘えんぼね」

 

 

わっしとジーナは、日を追うごとに近づいていた。最近はずっとべったりである。

 

他の人たちからバカップルと呼ばれても仕方ない。

ジーナがここまでデレるなんて考えられないとか、みんな言ってたな……。

 

 

「盛り付けるから、今のうちに顔洗って来たら?」

 

「ん、そうする」

 

 

流石にもう目を覚まそう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ジーナの作ったハムエッグとフレンチトーストを頬張りながら、今日どうするか考えていた。

 

久しぶりに母さんのところに行ってもいいけど……そういや、母さんにしばらく会ってないな。

 

 

「考え事?」

 

「ん?ああ、今日どうしようかなって。非番は非番で、やることないなぁと思って」

 

「ふふ、そうね。少し散歩するのもいいかもしれないわよ?」

 

 

散歩ね……それもいいな。

ついでに、実家に顔を出そう。

 

 

「じゃあ、食べ終わったら行こうか。散歩」

 

「ええ」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ジーナがわっしの腕に抱きつきながら、居住区をぶらぶらと歩いていた。特に目的地もないけど、わっしの実家に行くのは決めていた。

 

ふと、装甲壁の一部に補修された跡を見つけた。これは……

 

 

「あなたがアラガミに襲われたときに、アラガミが侵入して来た時の跡ね。幸いにも、小型アラガミしか侵入してこなかったけどね」

 

「そうなんだ……あの時、ジーナはなにをしてたの?」

 

「たしか、侵入したアラガミの討伐だったかしら。アリサが倒れてたあなたを見て慌てふためいていたのを覚えてる」

 

 

凄いパニックになってたって言ってたな、ナズナさんが。

 

しかし、今思うと本当にラッキーだったな。

 

 

「あれがなかったら、わっしはゴッドイーターになってなかったんだな」

 

「そうね。私とショウゴが出会うこともなかったわね」

 

「はは、その通りだ」

 

 

喋りながら居住区を散策する。話は他愛もない話だけど、こうしているのが楽しかった。

 

 

「あ、あれだよ。あの家がわっしの家」

 

 

素人が作ったような……いや、素人が作った掘っ建て小屋を指差した。家を作ったの、姉ちゃんです。




続くんじゃよ。

いちゃジーナ可愛い可愛い可愛い


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ある日の2人②

ゆるゆると書いてます。

そして、ちょーねむいです。


 

《gina side》

 

「ただいま、母さんいる?」

 

 

ショウゴの実家であり、リイヤの実家でもあるその家は、随分と静かだった。リイヤから聞いた話では、母親は、結構やかましい人だと言っていたけど……

 

 

「ジーナ、とりあえずその辺に座っててよ。ちょっと母さん探してくるから」

 

「ええ、わかった」

 

 

ショウゴはバタバタと外に出て行った。さて、じっとしてるのもいいけど、彼の部屋も気になる。

そうね、ベッドの下とかにあるかしら、いかがわしい本。

 

 

「ここかしら」

 

 

目についた部屋に入ると、どうやら当たりだったらしい。特になにがあるわけじゃない、ベッドと机しかない部屋。アナグラの彼の部屋と少し似ている。何より、この部屋は彼の匂いがする。

 

……一応、ベッドの下を見てみよう。

 

 

「これは……」

 

 

金属製の箱が出てきた。箱の中身は……

 

 

「写真?彼の子供の頃のかしら」

 

 

まだ小さい彼が、少しお姉さんのリイヤと両親に囲まれてピースしている写真。

 

ショウゴもリイヤも可愛い。

 

他にも写真がある。最近のもあるみたい。

 

一枚一枚、写真をめくっていく。と、その時、外で何かが崩れるような音が。

すぐに家を出て、音のほうへ向かった。

 

彼の写真を一枚持って来てしまった。後でこっそり返しおこう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ジーナを部屋に残し、母さんを探す。

この時間は家にいると思ってたし、そんなに遠くへは言ってないはずなんだけど……

 

 

「裏の畑かな……」

 

 

自給自足をするため、うちの裏には畑がある。まぁ、対した作物ができるわけでもないから、本当に足しになる程度のものだけど。

 

わっしがいる時は、ずっとわっしが畑やってたけど……。

 

と、裏の畑を見ると、草むしりをしている人物が。

 

 

「あ、いたいた。母さぁん!!」

 

 

くるっと振り返った人物。そう、まさしくわっしの母親、リナである。

 

母さんはわっしを見るなりすっと立ち上がり、全力疾走して、わっしに近づいてきた。

 

 

「うぇ!?母さ……」

 

「ショウちゃーん!!」

 

「ごっふ!?」

 

 

母さんの体当たりを見事に鳩尾にくらい瓦礫に吹き飛んで、再起不能に。しかも母さんが上に乗ってる。

 

 

「きゃあ!ショウちゃん!大丈夫ショウちゃん」

 

「は、早くよけて……」

 

「ショウゴ、大丈夫?何か大きな音がしたけ……ど」

 

「ジー……ナ」

 

 

ダメだ、もう意識が……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

おかしい、なぜショウゴの上に女が?この人は一体……彼の母親?

 

でも彼の母親がなぜ息子にむかってマウントポジションを……

 

 

「あら、あなたもしかしてジーナさん?」

 

「え、ええ。そうよ」

 

「いつもリイヤちゃんがお世話になってます。母のリナです。いつもあなたの話はリイヤちゃんから聞いてるわぁ。あ、どうぞ家の中に入って。今お茶用意するから」

 

「えっと……それより、彼……」

 

「え?……ああ!ショウちゃん!!」

 

 

なるほど、リイヤがやかましいと言った理由がわかった。

とりあえず、ショウゴを家に運ぼう。




電車での寝落ちしそうになりながら書きました。

誤字脱字ありましたら、教えていただけると助かります。


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ある日の2人③

テスト期間中だけど、気にせず更新します。

勉強しなくてもいいよね←


 

「じゃあ、改めまして……」

 

 

すぐに目が覚めたわっしは、ジーナに母さんを紹介する。

 

 

「わっしの母のリナです」

 

「どうも〜」

 

「で、こちらが……」

 

「ジーナ・ディキンソン。よろしく」

 

 

2人は握手をして、ようやっと落ち着いて話ができる。

わっしの姿を見た母さんがハイテンションになりすぎて、話どころではなかったからな。

 

 

「それで、ジーナさんはショウちゃんの彼女さんなのかしら?」

 

「なっ!?」

 

「ええ、そうよ」

 

 

驚いたのはわっしだけだったようだ。ジーナと母さんは2人で話に花を咲かせ始めた。

 

 

「やっぱり!なんとなくそうじゃないのかなぁって思ってたの。ショウちゃんにこんなに可愛い彼女ができるなんて、しかもリイヤちゃんのお友達。ふふふ、リイヤちゃんも複雑ね。どこまで行ったの?」

 

「まだ付き合って少しよ。あなたの期待する話はないと思うわ」

 

「あらそう?あ、ショウちゃんね。昔可愛かったのよ〜。感受性の強い子でね、読んだ本の影響を強く受けちゃって。自分のことをわっしって呼ぶ癖がついちゃって。今も、直ってないんでしょ?」

 

「母さん!そういうことは言わなくていいから!」

 

 

これ以上喋らせたら、余計なことまでジーナに吹き込みそうだ。

 

 

「母さん、今日は少し寄っただけだから!そろそろ行くからね」

 

「えー!もっと居たっていいじゃない!なんなら泊まって行ってもいいのよ」

 

「いや、明日仕事だから、わっしもジーナも」

 

「むぅ〜……もっとジーナちゃんとお話ししたいのに」

 

 

ジーナちゃんって……

 

 

「また来るわ。その時、いっぱいお話ししましょう?」

 

「約束よ!その時はリイヤちゃんも一緒だからね」

 

 

その3人が一緒になるのは、なんとか阻止しなければ……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

ショウゴの実家を出て、また当てもなく居住地を歩いていた。

リナと話すのが、そんなに嫌だったのかしら?

 

 

「ねぇ、ショウゴ。なんであんなに慌てて出て行ったの?」

 

「いや、なんかわっしの子供の頃のことをペラペラと喋りそうだったから……」

 

「私は聞いてみたかったけど」

 

「勘弁してください」

 

「ふふ、子供の頃のあなた、可愛いわね」

 

 

戻すタイミングを逃して持って来てしまった写真を見せる。ショウゴの子供の頃の写真だ。

 

 

「なっ、それどっから!」

 

 

取り返そうと手を伸ばすショウゴ。でも、返すつもりはない。

 

 

「ちょっと、ジーナ」

 

「ふふ、この写真、もらうわね」

 

「いや、本当に恥ずかしいから!」

 

「ダメ」

 

 

まるで子供の追いかけっこ。でも、たまらなく楽しかった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

アナグラに戻ったのは、もう夜も更けてきた頃だった。いい年して、子供みたいにはしゃぎすぎた。

 

アナグラには、もう仕事を終えて帰る準備をしていたヒバリさんがいた。

 

 

「あ、お二人とも今日非番だったんですね」

 

「ええ、まぁ。何か変わったことありました?」

 

「いえ、今日は特に何も。あ、でもショウゴさんに一つ報告があります。サカキ博士が明日ラボに来て欲しいと」

 

「ラボに……わかりました」

 

「では、私はこれで失礼しますね。お二人とも、明日も仕事があるので、夜更かしはほどほどにしてくださいね」

 

「なっ!?」

 

 

爆弾発言を投下し、ヒバリさんは帰って行った。

もしかして、アナグラで一番危険なのはヒバリさんなのでは……。

 

ジーナも顔をほんのり赤くしている。

 

 

「は、はは……ヒバリさんも、変なことを言うなぁ……。じゃあ、ジーナ。明日も仕事だし、そろそろ……」

 

「ねぇ、ショウゴ」

 

 

ぎゅっと、服の裾を掴まれた。

顔は赤いままで。

 

 

「その、夜更かし……する?」

 

 

その姿を見て、ノーとは言えなかった。




そのうち別作品で落とします。

夜の営みを。

さて、次回から少し話を展開させて行こうかと思います。


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実験

昨日は更新出来ず、申し訳ありません。

予想以上に忙しく、書く時間がありませんでした。

あと、テスト週間で更新が滞るかもしれませんので、ご了承ください。


 

「なんだか眠そうだね」

 

 

サカキ博士のラボに顔を出した瞬間これである。しょうがない、昨日は夜更かししてしまったから仕方ない。

 

そんなことより……

 

 

「それで、今日の用事ってなんですか?」

 

「うむ、君にちょっとした特務をして欲しくてね」

 

「特務?」

 

 

ナズナさんから聞いたことがあるな……確か、その時は前支部長のエイジス計画とかのために危険なアラガミのコアの回収をしてたって……

 

 

「特務については、少し知っているようだね」

 

「あの、それって隊長クラスがやるもんなんじゃ……」

 

「いやいや、心配しなくてもいいよ。特務と言っても討伐任務じゃない。実際に見てもらったほうがいいね。着いてきたまえ」

 

 

博士はラボを出てエレベーターへ。わっしも乗り込むと、サカキ博士は特別権限を持つ人しか入れない、地下へのボタンを押した。

 

これ、わっしも行っていいのかな?

 

 

「これから行く場所は、極東支部の極一部しか知らない。アナグラの中枢とでも言うべき場所なんだ」

 

「そんなところに、わっしを連れてきて何を?」

 

「ちょっとした実験さ」

 

「特務じゃないんですか」

 

「特務だよ?報酬も支払うし、危険もない」

 

 

そう話しているうちに、エレベーターは目的の階に到着した。扉が開くと、そこはコンピュータの画面で覆い尽くされ、そこら中にケーブルなどが張り巡らされていた。中央には、まるでカプセルのようなものがあり、人が入れるようになっている。

 

 

「ここは……」

 

「このアナグラのコンピュータや装甲壁を管理する中枢だよ。君にはこの装置に座ってもらい、アラガミ装甲壁を操作してもらいたい」

 

「装甲壁を……操作?」

 

 

何言ってるかわからない。どういうことだ?

 

 

「君の中には、君のお父さんが作った変異偏食因子が宿っている。前に簡単説明したように、変異偏食因子は他の偏食因子やオラクル細胞にに働きかけ、君の都合のいいように最適化されるんだ。その力は、オラクル細胞で出来た装甲壁も同じように動かせるとは思わないかね?」

 

 

確かに、理屈としてはそうだ。しかし……あくまでも机上の空論。できるとは限らない。

 

 

「もし装甲壁を自由に操作できれば、装甲壁の自動修復やアラガミに対して反撃を行うことも可能だ。そうなれば、居住区に住む人達も安心して暮らすことができる」

 

「サカキ博士は、本当にできるとおもっているんですか?」

 

「できるとも。僕は君と、君のお父さんのことを信じているからね」

 

 

いつもはちゃらんぽらんなのに、こういうときはそんな真面目な顔をして……

 

 

「わかりました。やってみます」

 

 

断れないじゃないか。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

上半身裸の状態でカプセルに入ったわっしは、サカキ博士から説明を受ける。専門用語ばかりで、何が何だかさっぱりだけど、とりあえずどこでもいいから装甲壁を最適化させて動かしてみろってことだと思う。

 

動かし方はイメージとか、大雑把すぎる。

 

 

「今日は試しだ。できなくても気負うことはない。またやり直せばいい」

 

「はい、わかりました」

 

 

胸に電極が貼られ、準備完了。

 

サカキ博士に言われた通りに、イメージする。イメージしたのは、昨日見た穴。修復された跡があった場所だ。

 

そこを想像して、修復跡が目立たないようにするイメージをする……。

 

頭の中に、映像のようなものが流れてきた。

あの場所の光景だ。修復の跡は……全く動く気配がない。

 

その場所の映像が見れただけだ。

 

想像するのをやめて目を開ける。興味深そうにわっしを見るサカキ博士の顔が映った。

 

 

「どうだい?何か出来たかい?」

 

「いえ……前に襲撃されたとき……わっしが初めて神機を使ったときの襲撃で開けられたときの穴が修復された場所なんですけど。そこの映像が見えただけでした。修復跡を、目立たないように出来ないかためしたんですけど」

 

「ふむ。しかし、意識を飛ばして、その場所を見ることが出来たということだ。それだけでも十分な進歩さ」

 

「そうですか……それならいいんですけど」

 

 

カプセルから出ようと、立ち上がると、ものすごい倦怠感に襲われた。立っているのもやっとだ。

 

 

「大丈夫かね?疲れたんだろう。今日はもう休みたまえ。他のみんなには、私が伝えておくよ」

 

「すいません……お願いします」

 

 

サカキ博士に後のことは任せ、部屋に戻った。

 

気絶するかのようにベッドに倒れこみ、意識を失った。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

ショウゴがサカキ博士に呼び出されたから、今日はカレル、シュンと正式に第三部隊に配属されたフェデリコと一緒に仕事だった。

 

簡単な討伐任務だったけど。少し時間がかかった。まぁ、私が昨日のことを思い出して、何回か誤射をしてしまったせいだけど……。

 

帰ってきたら、ヒバリに心配された。

 

でも、気にしない。ショウゴに会って話せば、少しは昨日のことを考えても大丈夫なはずだ。

 

彼の部屋に行くと、着替えもせずにベッドに横たわっているショウゴがいた。疲れているんだろうか?少し淋しい気持ちになる。

 

でも、寝顔を見るのは嫌いじゃない。

 

 

「ふふ、ちょっといたずらしようかしら」

 

 

下着一枚の姿になり、ショウゴと添い寝。前にもやったけど、反応が面白い。

 

もう、この部屋に住もうかしら。




R-18本は、テストが終わったら公開しようと思います。

ジーナがドンドンデレていくからかわいいのなんのって。


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傷跡

ちょろちょろと、GE2のプロットを練ってます。

ヒロインどうしようか考えていたり……。

多分、あの人かなぁと

※↑誰だよ


 

目が覚めて、昨日あっという間に寝てしまったのに気づいた後、目の前で寝ている裸のジーナを見て、またやってしまったかと考えた後、服を着ているからやっていないと気づいて、またジーナのイタズラだとわかった後、ジーナを抱き寄せた。

 

約1.5秒の出来事である。

 

まだ眠いし、もう少し寝よう。

仕事までまだ時間あるし、もう少しこうしていたい。

 

わっしは甘えん坊だろうか……。

 

 

「ん、ショウゴ……」

 

 

寝言かな。まだ眠ったままだ。

 

ふと、ジーナの眼帯に目が行った。

いつもつけてるけど、眼帯の下はどうなっているんだろう?外しているところを見たことがない。

 

今のうちに外せば……

 

いやいや、ジーナだって見られたくないだろうし、ちゃんと起きてるときにお願いしよう。これが原因で喧嘩とかしたくないし。

 

でもやっぱり……

 

 

「気になるの?眼帯の下」

 

「うん。……え?」

 

 

目をぱっちり開けたジーナと目があった。非常に気まずい。

 

 

「あ、その、これは……」

 

「別に見たいなら見てもいいわよ」

 

「……いいの?」

 

「これより恥ずかしいところ……いっぱい見たでしょう?一昨日……」

 

 

確かにそうだった。思い出すとわっしも恥ずかしい。

ジーナはいいと言ってるし……お言葉に甘えて。

 

 

「じゃあ、眼帯取るよ?」

 

「ええ」

 

 

ゆっくりと眼帯を外してあげると、そこには痛々しい傷跡が残っている。こっちの目は、完全に見えないんだな……。

 

 

「昔、アラガミの攻撃に巻き込まれて、そのときに」

 

「そっか……ごめん、なんか無理に……」

 

「私が見て欲しかったの。私の全部を見て欲しかった。ショウゴが謝ることじゃないわ」

 

 

強がってるわけじゃない。本当にそう思ってるんだ。

 

そっと、傷に触れた。

くすぐったいのか、ジーナがピクンと体を震わせた。

 

 

「ショウゴ、くすぐったい」

 

「じゃあ、もっと触る」

 

「やっ……んん……」

 

 

軽くさすったり、突っついたりしてみる。ジーナの反応が可愛すぎて、やめるにやめれない。

 

 

「もう……やめて……」

 

「嫌だった?」

 

「そうじゃ、ないけど……」

 

 

もじもじするジーナを見て、なんとなく察しがついた。

 

 

「うん、ごめん……準備、しよっか」

 

「……ええ」

 

 

なんとなく気恥ずかしくなって、そそくさと準備を始めた。

 

今度、また触ってやろう。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「おや、お二人さん早いな」

 

 

準備を終えてエントランスで他の人たちを待っていると、タツミさんが来た。まだ仕事の時間まで余裕がある。

 

 

「おはようございます。タツミさん」

 

「おはよう」

 

「おう。二人は朝から一緒か。いや、昨日の夜からか?」

 

「ちょっ!タツミさん!からかわないでください」

 

「その反応は本当に一緒だったみたいだな……くそ、お前らは爆発しちまえ」

 

 

そう吐き捨てると、タツミさんは受付のヒバリさんのところへ行ってしまった。

 

 

「はは……タツミさんは相変わらずだな」

 

「逆恨みされる筋合いはないんだけど」

 

「ヒバリさんとうまく行ってくれれば、少しはマシになりそうだけど」

 

「そうね」

 

 

まぁ、他の人達も似たようなもんだけど……

 

と、そんなことを考えていると第三部隊の面々が集まって来た。

 

 

「よう、ショウゴにジーナ。朝からイチャイチャしてんのか?」

 

「ショウゴ、仕事中はできるだけジーナのそばにいてくれ。お前がいなかったら、誤射が酷い。カノンほどじゃないが……」

 

「ショウゴさん、昨日はお疲れ様です!支部長から聞きました」

 

 

マシなのはフェデリコだけだ。

 

 

「フェデリコぉ……お前だけだよ。わっしらのこと弄らないのは」

 

「え、えぇっと……」

 

「おいショウゴ、フェデリコが困ってるぞ」

 

「シュンがわっしのことを弄るからだ。謝るならシュンだ」

 

「な、なんで俺なんだよ!」

 

「まったく……子供か、お前らは」

 

「ふふ、ほら。そろそろ仕事の時間よ」




ジーナの眼帯の下がどうなってるか、調べても出てこなかったので想像です。

傷を負ったときの話を書いて見たくなりました。


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約束

暑いですね。

気温もそうですが、ジーナとショウゴも熱いですね。


 

特務を言い渡されてから数日。仕事終わりとかに装甲壁を動かす訓練をしているけど、ピクリともしない。できるのは装甲壁に意識を飛ばして周辺の様子を探るくらいだ。

 

今日も今日とて、装甲壁の操作はうまく行ってなかった。

 

 

「はぁ……うまく行かないなぁ」

 

「場数を踏んで、慣れるしかないわね」

 

 

今日は姉ちゃんが付き添いだった。ここに入れるのはごく一部と言っていたけど、姉ちゃんはそのごく一部のうちの1人らしい。

 

装置から出ようと体を起こすが、やはり酷い倦怠感に襲われる。おかげで、この訓練をする時は部屋で気絶だ。この間は部屋の前で力尽きた。たまたまジーナが通りかかったからよかったものの……

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

「ちょっと、あんた大丈夫?なんか顔色悪いけど」

 

「大丈夫……明日には治ってるから。姉ちゃん、悪いんだけど肩かしてくれない?今日は、もう動けなさそう……」

 

「うん……わかった」

 

 

姉ちゃんの肩をかりて、なんとか装置から出る。訓練の度に倦怠感がひどくなってる気がする。どうやっても装甲壁を動かせないし、なにがいけないんだろう?

 

 

「やっぱり、机上の空論だったかな。これ」

 

「姉ちゃん?」

 

「これさ、私がサカキ博士に提案したの。というかお父さんの研究の最終目的がこれなのよ」

 

「そうだったんだ」

 

 

父さんの研究の最終目的……父さんは、人を守りたかったのか……今となってはわからないけど、これが成功したら、父さん喜ぶかな。

 

 

「ほら、足動かして。部屋まで運んであげるから」

 

「悪い……ありがと」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

姉ちゃんの肩をかりながら、なんとか部屋まで辿り着くと、姉ちゃんはわっしをベッドに寝かせて後片付けしに行った。

 

まだ仕事残ってるみたいだ。悪いことした。

 

姉ちゃんが部屋を出て数十秒後、姉ちゃんと入れ替わりでジーナが入ってきた。手には鍋を持っている。本当は体をおこして出迎えしたかったけど、そんな体力は余ってなかった。

 

 

「ショウゴ……大丈夫?」

 

「うん、なんとかね」

 

「お腹、空いてると思ってお粥作ったんだけど、食べられる?」

 

「食べるよ。ちょっと手を貸してくれるかな」

 

 

ジーナの手をかりて、なんとか起き上がった。これじゃ、入院している時と変わらないな……。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

ショウゴの体を起こして、ベッドの縁に座らせた。

余程疲れているようで、顔色が悪いし、今にも寝てしまいそうだ。

 

でも、何か食べさせないと、余計に悪くなってしまうかもしれない。

 

 

「はい、ショウゴ」

 

「あむ……」

 

 

お粥を掬って食べさせる。少し咀嚼した後、ショウゴは大きく咳き込んだ。

 

 

「うっ、げほっ!けほっ!」

 

「大丈夫!?」

 

 

背中をさすって、落ち着くのを待つ。

特務から帰る度に、この調子。次の日にはけろっとしていて、普通に仕事に戻るけど、流石に体を酷使しすぎている。

 

これ以上は……

 

 

「ありがとう、ジーナ……もう大丈夫」

 

「ショウゴ……あなた、もう特務は断った方が……」

 

「いや、やるよ……やらなきゃいけないんだ……」

 

「ショウゴ……」

 

 

彼の意思は強固だ……私がなにを言っても、彼は特務を続けるんだと、そう思った。

 

ショウゴには、このまま休暇を取って欲しいし、特務をやめてほしい。でも……彼がやると言うなら。

 

 

「無理しないで。休める時は休んで。何かあったら私に言って。絶対に」

 

「ジーナ……うん、わかった。無理はしない。約束する」

 

「ええ、約束」




ジーナがバニラバーを食べてて、溶けたバニラバーがジーナの胸元に!



……落ちませんでした


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由来

みなさんがGE2のヒロインの予想しているのを見るのが楽しいです。

まさかその人がっ!?ていう人をあげてたりと、楽しませてもらってます。

ヒロインにはならなくても、その人たちのお話を書くかもしれないです。


 

「どっせい!!」

 

 

ナズナさんの振り下ろしたバスターがウロヴォロスの頭を叩き潰した。相変わらずの変人超人……あのでっかい頭がぺっちゃんこってどゆこと……

 

 

「ふぅ、ショウゴ君、ジーナさん。お疲れ様」

 

「ナズナさん……どうすれば、刃のついた刀身で頭つぶせるんですか」

 

「ん?知りたい?」

 

「いえ、いいです」

 

 

知ったところで、わっしができるとは思えない。それに、しばらくはチャージスピアしか使わない。教えてもらったところで宝の持ち腐れだな……。

 

 

「そうだ。ショウゴ君、そのチャージスピアの調子はどう?私が設計したんだけど、不具合とか……」

 

「ないですよ。すこぶる調子いいです」

 

「そう、よかったぁ……これで不良品なんて渡したら、後でジーナさんに大目玉だったよ〜」

 

「いや、ジーナだってそこまでは……」

 

ガシャン

 

「「ガシャン?」」

 

「よかったわね、隊長さん。ちゃんと動いてくれて(・・・・・・・・・・)

 

 

にっこりしながらスナイパーを構えるジーナがいた。ジーナ最近過保護な気がして来たぞ……。

 

 

「は、はい……。あ、そういえば!ショウゴ君、最近特務受けてるんだよね?」

 

 

露骨に話を変えたなぁ……。

 

 

「受けてますよ。内容は言えないですけど」

 

「まぁ、特務だしね。私も受けてたよ、前の支部長の命令でね。エイジス計画……いや、あれはアーク計画の方だったかな?まぁ、支部長に利用されてたんだけどねぇ」

 

 

エイジス計画とアーク計画のことは知ってる。サカキ博士の前の支部長、ヨハネス・フォン・シックザールが計画していた、アラガミから人類を守るために計画したらしい。データベースに載っていたのを見ただけで、詳しいことは知らないけど……。

 

 

「そうそう、そういえばその時だよ。リイヤさんにあの呼び名がついたの」

 

「呼び名?」

 

 

ああ、そういえばたまに聞くな。確か、最強の整備士だのなんだの……

 

 

「私が聞いた話だと、リイヤさんはアーク計画で前支部長から渡された月へのチケットを支部長の口に突っ込んでからスパナで一発殴ったからからって聞いたな」

 

「どうしてそんなことに……」

 

「真相は知らないけどね。ジーナさんは知らないですか?」

 

「本人に聞いた方がいいわよ。私から聞くより、面白いと思うわよ?」

 

「じゃあ、今度問い詰めて見ます」

 

 

姉ちゃんが簡単に口を割るとは思えないけど……下手したら、うるさいと工具でめっためたにされてしまう。

ナズナさんのご武運を祈っておこう。

 

 

「まぁ、話を戻すけど、特務って体力使うよね〜。私の時は禁忌種狩りだったんだよね」

 

「それはご愁傷様です……」

 

「あの時は通常任務なんて、手がつかなかったけど……ショウゴ君、割と通常任務受けてるよね?」

 

「ええ、まぁ……姉ちゃんにこれ(チャージスピア)のテスト頼まれてますし、一晩寝れば元通りになるので」

 

「それは羨ましい……」

 

 

羨ましがられる理由がよくわからないけど……そのせいで、最近激務続きなんだ。ジーナに無理するなって怒られたばかりだし……

 

 

「まぁ、なんかあったら言ってよ。いつでも付き合うから」

 

 

ナズナさんがそう言った瞬間、ジーナが腕に抱きついて来た。どうしたんだろうか?

 

 

「私も一緒だから」

 

「は、はい……」

 

 

嫉妬かな。ジーナが嫉妬……素直に嬉しかったり。

 

 

「ショウゴ、大丈夫?具合悪い所は?痛い所とか……」

 

「大丈夫、ありがとうジーナ」

 

 

本当に、過保護だなぁ




ジーナさんの食事妄想その2(その1は前の話で)

フライドポテトにケチャップつけて食べてて、指についたケチャップを舐めとる仕草にエロスを感じる。


ジーナじゃなくてもいいとか言ってはいけない。


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苦悩

実は終盤に入っています。

はい、思いっきり終盤です。

60話か70話くらいで終わらせるつもりです。


 

「くっ……ふぅ……」

 

 

今日も今日とて、特務を行っているわけだけど、いつもより時間は半分程度だ。ジーナに無理をするなと言われたし、やっぱりわっしもぶっ倒れるのは嫌だ。

 

 

「ショウゴ、お疲れ。具合はどう?」

 

「ぶっ通しでやるよりはマシかな……疲れるには疲れるけど」

 

 

姉ちゃんがわっしの顔を覗き込む。多分、顔色悪いだろうな。ジーナにも心配させてしまう。

 

 

「少し休んでから部屋に戻りな。ほら、あんたの大好物」

 

 

初恋ジュースだ。流石姉ちゃん、わかってる。

 

 

「ありがとう」

 

「しかし、やっぱりうまく行かないわね……なにが原因なのかしら」

 

「わっしの努力が足りないかね……」

 

「それもあると思うけど」

 

「うっわ、辛辣……」

 

 

そこまではっきり言われても……一応努力はしてるんだけど。

 

 

「やっぱりあれをやるしか……」

 

「姉ちゃん?」

 

「……なんでもない。ほら、片付けるのに邪魔だから、もう帰りな。ジーナ待ってるんじゃないの?」

 

 

もうすこし休ませてくれてもいいんじゃないの?こっちはヘロヘロなんだけど……

 

 

「ほら、行った行った」

 

「わかった、わかったから引っ張らないで!?」

 

 

無理矢理エレベーターに乗せられた。

はぁ、がんばって部屋にたどり着こう……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《riiya side》

 

「はぁ……」

 

 

ショウゴの特務……アラガミ装甲壁の操作はうまくいかない。原因は……わかってる。お父さんの研究資料にも載っていた。

 

 

「中枢との完全な意識の統合……」

 

 

装甲壁……いや、この極東支部を全てを司るこの中枢コンピューターとの完全なるシンクロ。そうすれば、ショウゴは装甲壁を動かせる。装甲壁だけじゃない。コンピューターだって、なんだって動かせる。

 

でも、その代償は大きい。一度意識を中枢と統合してしまったら、ショウゴは永遠に目を覚まさなくなる。生きてるけど、死んでる……。

 

そんなの、できるわけがない。

 

 

「悩んでいるようだね」

 

 

突然、後ろから声がした。この声は……

 

 

「さ、サカキ博士!」

 

「驚かせてしまったかな。すまないね。それで、リイヤ君は何を悩んでいるのかな?」

 

「いえ、なんでも……」

 

「中枢との意識の統合」

 

「わかってるじゃないですか……」

 

 

本当にくえない人。全部わかってるのに。

 

 

「ショウゴ君にそれを強要することはしない。全て、君と彼に任せる。私が、口を出していい問題じゃないからね」

 

「サカキ博士……」

 

「でも、悩んで悩んで、どうしょうもない時は、相談にきなさい。ベストな答えを出せるかわからないけど、話を聞くくらいはできるからね」

 

「はい……」

 

「今日はもうあがりなさい。ここは、私がやっておこう」

 

 

いつもなら、私がやると言っているけど、今日はそう言えない……頭の中ぎごちゃごちゃなせいかも。

 

 

「ありがとう……ございます。すいません、今日はお言葉に甘えさせていただきます……」

 

「ああ、ゆっくり休みたまえ」

 

 

本当、この人はどうしてこう……




ジーナさんの食事妄想その3

実は麺類を食べたことがなくて、うまくラーメンをすすれないジーナさん。

しかし、邪魔なもの(胸)がないため、もう一歩のところである。


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すれ違い

昨日は更新出来ず、申し訳ありません。

前告知なしで更新しない時があると思いますが、お許しください。


 

《riiya side》

 

「最近ショウゴといる時間が少ない?」

 

 

突然、私の部屋を訪ねて来たジーナが、そんな悩みを打ち明けて来た。嫌味か、それは私に対する嫌味なのか?

 

でも、本人は至って真剣に私に話している。達が悪い

 

 

「まぁ、確かに特務とかあるし、特務の後は気絶したように眠るって言ってたけど……」

 

 

因みに、特務が始まって一ヶ月が経過しているが、成果はゼロだ。

 

 

「普通の任務が終わった後とかは時間あるんじゃないの?」

 

「最近、普通の任務の後に違う任務に行ってるみたい」

 

「1日に複数の任務を受けてるってこと?あいつ、無理するなってみんなに言われてんのに」

 

 

ただでさえ特異体質で、整備班から頼まれることが多いのに、自分から仕事を増やしてどうするんだか……。

 

もしかして、チャージスピアの性能テストのため?……いやいや、あれは先日完成してフェンリル本部に許可を得た。今では正式に採用されてる。じゃあ、どうして……

 

 

「任務も、一緒に行ってない。今まではずっと一緒に行ってたのに……」

 

 

こんなに落ち込んでいるジーナを初めて見た。からかいたいけど、後が怖い。

 

 

「何か隠し事よね。その調子だと。その任務、ショウゴ一人で行ってるわけじゃないんでしょ?誰と行ってるの?」

 

「……ナズナ」

 

 

ほう?ショウゴ、浮気か?年上とお付き合いしておいて、やっぱり若くて胸の大きい子がいいってか。

 

いい度胸だ。私が制裁を……

 

 

「リイヤ、顔が怖いわよ?」

 

「あんたね、ショウゴが浮気しているかもしれないのよ?問い詰めた方がいいわよ!?」

 

「そうかもしれないけど……」

 

 

ジーナってこんなにウジウジした性格だったっけ?ああ、あれか、恋愛初心者だからか。

 

 

「私は、ショウゴを信じたい」

 

「はぁ……悩み相談しに来たのに自己解決してるじゃない」

 

「ふふ、そうね」

 

 

ここに来た時の深刻な表情はどこに行ったんだか……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「いよっと!」

 

 

目の前で息絶えているハガンコンゴウを捕食した。

今日のお仕事はこれで終了だ。あっちで目的の素材が出てこなくて落胆してるナズナさんを連れて帰るとしよう。

 

 

「ナズナさん、いつまでうずくまってる気ですか。雲行き怪しいですし、帰りますよ」

 

 

年柄年中雪の降っている寺院では、吹雪で身動きが取れなくなることがある。今日は早く終わったし、ジーナと過ごしたい。

 

 

「ショウゴ君……物欲を捨てないとダメなのかね……」

 

「ただの運です。ほら、帰りましょう」

 

 

なんとかナズナさんを立たせて、帰投用のヘリに乗り込む。

案の定、雪が強くなって来た。

 

 

「ふう、危なかったですね」

 

「そうだね。しかし、ショウゴ君は隅に置けないなぁ。残業してまでお金貯めて、ジーナさんにプレゼントだなんて」

 

「ジーナの誕生日まで、時間がないんです。稼ぐには、少しオーバーワークしないと」

 

「あれかな、給料3ヶ月分ってやつ?プロポーズでもするつもりかな?」

 

 

ナズナさんはこういう話が大好きらしい。目はキラキラしていて、さっきまで素材が出ないと落ち込んでいたのが嘘のようだ。

 

 

「プロポーズって……まぁ、それも念頭においてお付き合いしてますけど」

 

「付き合って、2ヶ月弱くらいだよね?なんだか早すぎる気がするけど」

 

「わっしも、それは思ったんですがね……」

 

 

2ヶ月弱で結婚だなんて、わっしも考えていない。しかしまぁ、この仕事をしていると、いつ死ぬかわからないから。わっしは、前科があるし。

 

 

「明日も生きてるかどうかなんて、わからないですからね。早め早めに行動した方が得だと思っただけです」

 

「そっか。そうだね」

 

 

バカにされると思ったけど、ナズナさんはそんな人ではなかった。まぁ隊長を任せられるだけのことはある。

 

 

「それで、贈るものは?やっぱり指輪?」

 

「ええ、リッカに頼んで作ってもらってます」

 

「リッカなら、お金はいらないって言ってくれそうだけど……」

 

「まぁ、そうなんですけどね。作ってもらう立場なのに何も渡せないのは偲びないので。本当はお金払うつもりだったんだけど、冷やしカレードリンクを1年分でいいって」

 

「ああ、リッカあれ大好きだもんね〜」

 

 

わっしも好きだけどね。初恋ジュースの方が好きだけど。

 

 

「ま、無理はしないようにね。私の任務に同行するのはいいけど、それで怪我されたら私がジーナさんに……」

 

「わかってます。無茶はしてません。カレルさんとシュンに震え声で、無茶だけはするなって言われたし……」

 

「ああ……あれね……私もその現場見たよ……」

 

 

その様子を見ると、本当にひどかったんだな……。




ジーナさんの食事妄想その4

ポッキーのチョコレートをなめとる。

くっーーー!↑


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信頼

今更ですが、UAが10000を突破しました!

別サイトで書いてる小説より多いです。正直びっくりです。

書き始めて1ヶ月と少しくらいですが、これからも応援よろしくお願いします。


 

アナグラに戻ると、エントランスのソファにジーナが居た。まぁ、時間的に誰も仕事をしていない時間だ。居てもなんら不思議ではない。

それよりも、今日は早めに帰れたからジーナと一緒に居られる。

 

 

「ジーナ、今戻ったよ」

 

「お帰り、お疲れ様」

 

 

どちらからともなく抱き合う。ああ、久しぶりだなぁ。……ジーナの体温とか、匂いを嗅ぐのが久しぶりだ。

 

 

「あはは、私お邪魔みたいだね。じゃあ、二人ともまたね」

 

 

ナズナさんもそそくさと退散して行った。

返事をすることが出来なかったけど……今はジーナとくっついていたい。はぁ、安らぐ……。

 

 

「ねぇ、ショウゴ?」

 

「ん?」

 

「最近、あまり一緒に仕事行かないけど……何かあったの?」

 

「え?」

 

 

そう言えば、プレゼントのこと知られたくないからジーナのことを少し避けてたかも……それに、今の状態は完璧なオーバーワーク。ジーナに怒られても仕方ない。

 

 

「あなたといる時間が少なくて……私……」

 

 

口籠ってしまうジーナ。ジーナのためとはいえ、ジーナには寂しいおもいをさせてしまった。

 

はぁ……彼氏失格だな。

 

 

「ジーナ。確かに、最近少しオーバーワークしてて、ジーナと過ごす時間は少ない……わっしは特務もあるしね。でも、一週間待ってくれないか?一週間後に、全部解決するから」

 

「ショウゴ……」

 

「お願い」

 

「……うん、わかったわ」

 

 

体を離し、ジーナがわっしの目を見てそういった。

 

本当、迷惑をかけてしまった。でも、あと一週間。ジーナの誕生日までは……

 

 

「今日は一緒にいられる?」

 

「もちろん」

 

「じゃあ、あなたの部屋でね」

 

「ああ」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「アラガミの異常な活性化か……」

 

「はい。原因は不明ですが、ほぼ全てのアラガミに同じ現象が見られます」

 

「ふむ……なにか新種のアラガミの影響か……それとも……」

 

「まだ極東支部で対処できる範囲ですが……これ以上増えるとなると」

 

「そうだね。対処を考えなければ……気が進まないが、彼の力を使わねばならないかもしれない」

 

「しかし、あれは……」

 

「わかっている。あれは最後の切り札だ。できれば、私も使いたくはない」

 

「はい……そういえば、奴がこの書類を要望して来ました」

 

「これは……はっはっは、君の弟のリンドウ君よりも決断力があるようだね」

 

「そうですね。まぁ、あの愚弟も、私が催促しなければ、いつまでも答えを出し渋っていたでしょう」

 

「そうだね。まぁ、私達は盛大にお祝いしてあげようじゃないか。彼には、無理をさせて来たからね」

 

「はい。今のうちに、祝杯でも手配しましょう」

 

「気が早いのではないかね?」

 

「大丈夫でしょう。あの二人なら」




尚、最後の二人は独身である。

本日はジーナさんの食事妄想はお休みです。理由、ネタが浮かばなかった←

みなさんも、こんなのいいのではないか、というものがありましたら気軽に送っていただきたいです。

ジーナだけでなく、他のキャラでも可です。


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ショウゴの普段を補完。

本編でほとんど描写してなかったけど、彼は普段からこんなことをしています。

初のカノン回


《canon side》

 

最近、なんだか嫌な噂を聞きます。

 

ここ1ヶ月ほど続いているイレギュラーなアラガミの発生は、ショウゴさんが原因とか。

 

ひどい噂です!極東職員の人がこの話をしているのを見たとき、大声で怒鳴ってしまいました。一緒にいたナズナさんとアリサさんは驚いてました。

 

でもこんな噂は酷すぎます!ショウゴさんは、とっても頑張ってるのに!

 

ジーナさんのために残業してまでお金を貯めて(ナズナから聞いた)、整備班の人たちからも仕事を頼まれてるんです。とってもいい人なんです!

 

最近忙しそうで、あまり会えませんけど……

 

 

「かーのん、どうしたの?」

 

「ナズナさん……」

 

 

エントランスのソファに座っていたら、ナズナさんに話しかけられました。

 

 

「元気ないね。具合でも悪い?」

 

「いえ、そういうわけじゃなくて……その、最近ショウゴさんの変な噂がたってるの、知ってますよね」

 

「ああ、アラガミがどうのこうのってやつでしょ?なんか1人の職員が、防衛戦の時のショウゴ君の力を誇張表現したら尾鰭付きまくって原型とどめなくなったってやつ」

 

「え?そうなんですか?」

 

 

初耳です。

 

 

「まぁ、アラガミ全てを引き連れて大移動だもんね。確かに信じられないよ。私も目の前で見なかった信じなかったもの……」

 

「そ、そうですね……。でも、アナグラを守った立役者なんですよ!いくら尾鰭がついたからって、そんなのおかしいです!」

 

「確かにね。しかし、カノンはショウゴ君のことをえらく気にしてるね。この間も、ショウゴ君の噂している人達に怒鳴ってたし」

 

「ショウゴさんは、同じ防衛班ですし、それに……」

 

「それに?」

 

「なんだかお兄さんみたいじゃないですか。私、兄弟とか欲しかったんです!ショウゴさんみたいなお兄さんが」

 

「ああ、なんとなくわかるかも……ショウゴ君がお兄さんって……」

 

 

周りに気を配ってますし(最近はジーナさんにべったりですけど)、私より年上ですし、なんというか年下の扱いが上手いというか。

 

 

「一緒にご飯行く時は、必ず奢ってくれるしね。コウタが新人に奢られるなんてって落胆してたなぁ……」

 

「でも、ショウゴさんだと何故かしっくりきてしまうんですよね」

 

「そうなのよね……一緒に仕事行った時も、なんか気の配り方が本当にお兄さんっぽい」

 

「帰りのヘリでどこからともなくジュース出して渡してくれるんですよね」

 

 

こう話していると、ショウゴさんって本当に何者なんでしょう?なんだか、噂とかどうでもよくなってきました。

 

 

「そうだ、これからショウゴ君と仕事なんだけど、カノンもどう?」

 

「いいんですか?」

 

「もちろん」

 

「それじゃあ、ご一緒させていただきます!」

 

 

誤射しないように気をつけよう。




なお、この後ショウゴの噂は、さらに尾鰭が付きまくって極東のお兄ちゃんと呼ばれるようになったとかならなかったとか……

その噂を聞いたジーナが、ショウゴの部屋に突入して、上目遣いで……

「お兄ちゃん」

と言ったところ、そこはかとないエロスを感じ、そのあとめちゃくちゃ(ry


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再戦

ジーナの夢見てたらまた目覚ましに邪魔された……おのれ許すまじ……


「ふわぁ〜……ねむ」

 

 

エントランスのソファで大きな欠伸をしたわっしは、絶賛暇人である。非番じゃないんだけど、わっしの討伐対象アラガミの反応が突然消えたとか。おかげでお仕事もなく、こうしてぼんやりしているわけである。

 

リッカに払うお金……正確には冷やしカレードリンク一年分の資金は貯まったから、サカキ博士に頼んで冷やしカレードリンク定期券(一年分)を発行してリッカに渡した。

 

リッカは本当に持ってきたんだ、と若干引いてた。

そっちが所望したものなのに……。

 

まぁ、それと交換でジーナへのプレゼントは手に入ったわけだ。付き合って一ヶ月半くらい……ナズナさんにはプロポーズするのかと言われたけど、まだするつもりはない。

 

飽くまで、これはプレゼントだ。明日のジーナの誕生日用のプレゼント。

 

明日はわっしもジーナも非番。

 

「BAR.duranta」はこの間予約して、貸切にした。

(マスターには悪いけど、貸切にしなくてもわっし達以外はいないとおもってる)

 

明日が勝負だ。

 

 

「あ、ショウゴさん!緊急事態です!」

 

 

ヒバリさんが切羽詰まった様子でわっしのところまで来た。何があった?

 

 

「どうしたんですか?」

 

「装甲壁近くで、大きなアラガミの反応がありました。おそらく、ハンニバルです!」

 

「なっ!?あいつが!?」

 

 

いつかは現れるだろうと思ってたけど……みんな出払ってる時に。

 

 

「今、装甲壁の見回りをしていたタツミさんとブレンダンさんが向かっています。ショウゴさんは2人の援護に」

 

「わかりました!」

 

 

急いで出撃ゲートへと向った。神機の保管庫には、今の知らせを聞いたのか慌ただしく整備班が動いていた。

 

 

「ショウゴ、こっち!」

 

「姉ちゃん!」

 

 

わっしの元々の神機(今はチャージスピアに換装され、銃もついている)ともうひとつ、誰のかわからないけどチャージスピアのみの神機を姉ちゃんに渡された。

 

 

「サンキュー!」

 

「無茶すんじゃないわよ!」

 

 

リベンジだ、ハンニバル!

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

目的地に着くと、すでに交戦しているタツミさんとブレンダンさん。

 

 

「あれは……赤いハンニバル?」

 

 

前に見たハンニバルとは色が違う。なんなんだあれは

 

 

「ショウゴ、援護頼む!こいつ半端じゃねぇ!」

 

「わかりました!」

 

 

神機を銃形態にする。今日はスナイパーだ。

 

 

「貫け!」

 

 

赤いハンニバルの頭を狙い引き金を引く。

しかし、ハンニバルは腕の籠手でそれを防いだ。

 

 

「な、何だよ今の反応速度は」

 

「ショウゴ、ぼけっとするな!」

 

 

赤いハンニバルがこちらを向いている。完全にわっしにターゲットを絞ったようだ。

 

 

「くっ!?」

 

 

急接近してきたハンニバルは拳を振り下ろしてきたが、バッフリップで避ける。

 

一瞬の隙を、ブレンダンさんが逃さない。

 

 

「うおりゃぁ!!」

 

 

渾身のチャージクラッシュが、ハンニバルに叩き込まれた。だが、ハンニバルはそれに反応することなく、わっしをターゲットにしたままだった。

 

そして、なんの前触れもなくハンニバルが火球を放った。

 

 

「嘘だろ!?」

 

 

咄嗟に装甲を展開し、火球を弾いた。

 

 

「大丈夫か、ショウゴ!」

 

「大丈夫です……あいつ、なんの予備動作もなしに火球を」

 

「ああ。とにかく今は装甲壁突破されないようにしろ」

 

「了解!」




近々、R-18本上げます。

その時にまた予告させていただきます。


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イレギュラー

赤ハンニバルは、ダウンロードコンテンツとかの強化アラガミだと思ってください。


 

赤いハンニバルの動きは、普通のアラガミの常軌を逸していた。スピードもパワーも尋常じゃない。このままじゃ防戦一方だ。

 

 

「3人で相手するには荷が重い!」

 

「弱音を吐くなブレンダン!少しずつでも、ダメージを与えて行けばいい話だ」

 

「タツミさん、簡単に言わんでくださいよ!ついていくので精一杯なんですよ!?」

 

 

チャージスピアも思うように当たらず、自慢のチャージグライドも当たらなければ意味はない。

 

今できるのは、他の部隊が帰るまで時間を稼ぐくらいしかできない。

 

どうすれば……

 

 

「ショウゴ!!危ねえ!!」

 

「え?」

 

 

気づいた時には、目の前にハンニバルの尾が迫っていた。間に合わな……

 

 

「ぐわぁ!?」

 

 

ハンニバルの尾は、わっしではなく、ブレンダンさんを弾き飛ばした。ブレンダンさんがかばってくれたのか!?

 

 

「ブレンダンさん!大丈夫ですか!?」

 

「も、問題ない……まだ行ける」

 

 

くっ……早く誰か来てくれ……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

アラガミの討伐任務を終えカレル、シュン、フェデリコとヘリに戻ると、パイロットがアナグラからの通信を受けていた。

 

 

「どうかしたの?」

 

「みんな、急いで乗ってくれ!装甲壁近くでハンニバルが現れたらしい。防衛班の3人が対応してるらしいが、苦戦しているらしい」

 

 

防衛班……今日装甲壁の点検はタツミとブレンダンのはず……もう1人は?

 

今日1人で任務の人は、確か……

 

 

「ヘリ、早く離陸させて」

 

「どうしたんだ?ジーナ」

 

「ジーナさん?」

 

「早く飛んで!」

 

 

パイロットの胸ぐらを掴んだ。早く戻らないと、ショウゴが……

 

 

「わ、わかってる!だが、途中で第一部隊も拾っていくからな!?」

 

 

 

ショウゴ……

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《nazuna side》

 

さっさと任務を終わらせて、ヘリを待っていると、通信機に通信が……ヘリかな?

 

 

「はい、こちらナズナ……」

 

『第一ヘリだ。もうすぐそちらにつく。また、すぐに戦闘に入るから、準備しておいてくれ』

 

「え?戦闘って……」

 

『合流したら話す』

 

 

そう言って通信は切れてしまった。

さすがの私も、キョトンとせざるを得ない。

 

その様子を見てか、アリサとコウタは何が起きたのか聞いてくる。

 

 

「どうしたんですか?ナズナさん」

 

「あ、うん。もうすぐヘリくるって。でも、また戦闘に入るから準備しろって……」

 

「どういうこと?今日の任務はこれだけじゃ……」

 

「イレギュラー、かな?」

 

 

ただのイレギュラーなら、他の部隊を向かわせる気がするけど……もしかして、普通じゃない?

 

だとしたら……

 

 

「結構危ないかも……」




最近、ページ数少ないですが……盛り上がるところを書くのが苦手なだけです←


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降下

書く時間の確保が難しくなってきました。

夏休み?何それおいしーの?


 

「ハァ……ハァ……」

 

 

赤いハンニバルを目の前に、わっし達の息は上がり、正直立っているので精一杯と言ったところだった。

 

そんなわっし達を見て、ハンニバルはもう終わりかとでも言うかのように、余裕を見せていた。

 

 

「こりゃ、結構やばいな。そろそろ持たない……」

 

「ああ……もう少しで増援がくるはずだが……もうこれ以上戦える気がしない」

 

「ハァ……ハァ……やらなきゃ、何もできない」

 

 

わっしは2本のスピアを構えて、ハンニバルと距離を詰めた。ハンニバルは炎の槍を作り出し、わっしに向けて突き出した。

 

 

「ふんっ!!」

 

 

左手のスピアを地面に突き刺し、棒高跳びのように飛び上がった。ハンニバルは一瞬、わっしを見失う。

 

わっしはチャージグライドを発動させハンニバルの頭上で構えた。

 

 

「くらえぇーーー!!」

 

 

スピアはハンニバルの右目に突き刺さり、ハンニバルは咆哮を上げた。

 

 

『グゴアァァ!?』

 

 

傷つけられたハンニバルは闇雲に腕を振るい、わっしを吹き飛ばした。

 

 

「ぐぅ!!」

 

 

地面に叩きつけられ、痛みで動くことが出来ない。ハンニバルは目の前にいるのに……

 

 

『グルルゥ……』

 

 

以前もあったみたいに、ハンニバルが腕を振り上げた。このまま叩き潰すつもりか。

 

振り下ろされた拳に、わっしは衝撃が来るのを覚悟した。

だが衝撃は襲ってこない。

 

 

「え?」

 

 

ハンニバルの右目を波打つレーザーが正確に貫き、空から影が降りてきた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

装甲壁近くまでヘリが来ると、戦闘の様子が見えた。赤いハンニバルにショウゴ、タツミ、ブレンダンが立ち向かっている。

 

しかし、三人はボロボロだ。

 

 

「ヘリを下ろして。すぐに救援に行かないと」

 

「アラガミに気づかれる!もう少し遠くじゃないと……」

 

 

そんな悠長なことは言ってられない……こうなったら。

 

私は、ヘリの扉を開け放った。

 

 

「お、おい!ジーナ、何してんだよ!」

 

「飛び降りる」

 

「はぁ!?」

 

 

シュンが信じられないといった顔をする。でも、こうしないと間に合わない。

 

 

「いいね、ジーナさん!私も一緒に行く!」

 

 

ナズナが隣にきて楽しそうに言ってきた。

 

私は、迷いなく飛び降りた。

 

 

「な、ナズナさん!私も!」

 

「え!?アリサも!?女子に負けてられない!」

 

「お、おいお前ら!?くそ!どうなっても知らねえからな!!」

 

「ったく……揃いも揃ってガキか、あいつらは」

 

 

私とナズナに続き、他のみんなも飛び降りた。ゴッドイーターの身体能力なら、これくらいは大丈夫だろう。

 

私は落下しながらも神機を構え、ハンニバルに狙いを定めた。前みたいに、ショウゴを傷つけさせない。

 

ハンニバルの頭を狙い、引き金を引いた。

 

バレットは装飾された波を打ちながら、目標に吸い込まれた。

 

それを確認し、地面に着地する。

 

 

「あなたの花、どんな花かしら?」




ゴッドイーターの身体能力が世界水準を軽く超えて……。

ジーナの射撃が恐ろしいほど強化されておる。どういうことだ←


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覚悟

ちょっと不定期更新になるかもです。


 

「ジーナ……みんな……」

 

 

どうして空からとか、そんなことは聞かない。なんとなく想像できるから。どうせジーナを筆頭にヘリから飛び降りたんだろう。ジーナも無茶をする……人のことを言えない。

 

しかし、これだけの人数がいれば、規格外の赤いハンニバルも倒すことができるはず。ここが正念場だ。

 

わっしは神機を握り直し、ジーナの横に立った。

 

 

「まったく、ジーナも無茶してるじゃないか……」

 

「あなたのこと言えないわね」

 

「そうだね……その通り」

 

 

赤いハンニバルに神機を向けた。

ジーナも、ナズナさんも、他の皆も。

 

赤いハンニバルは、わっし達を睨むと、拳を地面に叩きつけ、咆哮。

 

その瞬間、背中の部分が割れ、真っ赤な炎が吹き出た。

 

 

「なっ!?自分で背中の部分を!?」

 

 

コウタが狼狽したように叫ぶ。コウタ以外も驚きを隠せていない。

 

 

「あの時と同じ……さながら逆鱗ってところかしら」

 

「あのハンニバルも本気ってことか……私も本気を出さないとね」

 

 

ナズナさんの本気とか……アラガミからすれば迷惑極まりないだろう。

 

全員臨戦態勢に入る中、活性化した赤いハンニバルはこちらに攻撃する素振りを見せない。

 

 

「なんだ?あいつ、動かない?」

 

「……違う、周りを見て」

 

 

ナズナさんの言うように、周りを見る。

 

いつの間に集まったのか、小型、中型、大型アラガミがわっし達を囲むように集結している。これは……

 

 

「イレギュラー……なのか?まさか、このタイミングで」

 

「いけない……コウタ!タツミさんとブレンダンさん、ショウゴ君をアナグラに運んでください!ここは私たちが足止めします」

 

「ナズナさん!わっしはまだ……」

 

「その疲労と怪我じゃ足手まといです。今は支部にこの状況を伝えてください」

 

 

ナズナさんの言うとおりだ……でも、ここを離れるなんて……いや、ここで口答えしても仕方ない……それに、わっしにはまだアレがある……。

 

 

「……わかりました」

 

「ショウゴ、行こう。タツミさんとブレンダンさんを運ばなきゃ」

 

「ああ」

 

 

コウタに呼ばれ、アナグラに向かう。

 

その前に……

 

 

「ジーナ」

 

「ショウ……んむっ!?」

 

 

ジーナがいい終わる前に、唇を塞いだ。

 

 

「……無茶はしないでくれ」

 

「ええ……必ず戻るから」

 

 

ジーナに背を向け、わっしはコウタとタツミさん、ブレンダンさんとアナグラに戻った。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《riiya side》

 

「みんな、大丈夫なの!?」

 

 

戻ってきたショウゴは、ボロボロだった。タツミもブレンダンも。

 

ショウゴに関しては、神機を一つなくしたみたいだ……そんなに酷かったの?

 

 

「リイヤさん、すぐに3人を医務室へ。俺はすぐに戻ります」

 

「わかった」

 

 

コウタはすぐにみんなのとこへ戻った。

 

 

「すぐに医療班を読んで来る。少し待ってて」

 

「姉ちゃん」

 

 

医療班を呼びにいこうとすると、ショウゴに呼び止められる。

 

 

「わっしを地下まで運んでくれ」

 

「地下って……あんた、今使える状況じゃないでしょ!?それに、万全の体調でも、満足に動かせないじゃない!」

 

「それでも、やらなきゃいけないんだ。頼む」

 

 

まっすぐに、私の方を見てくる。本気なの?ショウゴ……。

 

 

「……ああ!もう!!ちょっと待ってなさい!タツミとブレンダンを医務室に連れてって、サカキ博士とツバキ教官に報告してからよ!」

 

「ああ、ありがとう!姉ちゃん」

 

 

やらなきゃいけない……

 

 

中枢との完全な意識の統合




R-18、なかなか筆が進まないです。

もう少し時間かかります。申し訳ありません。


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姉弟

あと2〜4話ほどでしょうか。

そのくらいで、この物語は幕を閉じると思います。

でも、すぐにGE2の執筆に入ります。GE2に関しては、おそらく不定期更新になると思います。


《gina side》

 

「囲まれないように!1人で戦わないで!」

 

 

ナズナが指示を飛ばしている。私はナズナと即席でコンビを組み、アラガミを討伐していた。

 

この状況、まるで前の防衛戦のようだ。あの時はショウゴが囮になって引きつけてくれたけど、今回は通じない。

 

赤いハンニバルがアラガミ達を引きつけているように見える。でも、アラガミ同士で連携はできていない。無作為に呼び寄せることができるということか……。

 

とりあえず、今回はあの時の作戦は使えない。

 

この事態を解決するには、赤いハンニバルを倒さなければ……でも、このアラガミをかき分けてあのハンニバルにたどり着くのは至難の技。

 

 

「ジーナさん、大丈夫ですか?」

 

「ええ、たくさん撃てるから。気分が良いくらい」

 

「そんな顔はしてなかった気がしますけど……まぁ、いいです。ジーナさんもわかってると思いますけど……」

 

「赤いハンニバルをどうにかしないと、どうにもならないわね」

 

「はい、倒しても倒しても……アラガミの数が減りません。大元を叩くしか」

 

 

ナズナも、それが難しいとわかっているのか、怪訝そうな顔を浮かべる。

アラガミをどうにかできれば……

 

 

「ジーナさん、サリエルも来ました。お願いできますか?」

 

「任せて」

 

 

今は、自分の身を守ることに専念しなければ。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「くぅ!?ぐあぁぁ!?」

 

 

中枢装置に座り込み、何度も意識を装甲壁に飛ばした。しかし、戦闘の様子を知ることはできても、装甲壁を動かすことはできない。しまいには、意識を飛ばすのも困難になって来た。

 

 

「ショウゴ!もうやめて!?これ以上は、あんたの体が……」

 

「やら……せてくれ……みんなを守るには……こうするしか……ないんだ……」

 

 

息も絶え絶えだ。もう一ミリも体を動かせそうにない。

 

 

「ショウゴ……」

 

「姉ちゃん……もう一回……」

 

「ショウゴ、よく聞いて」

 

 

姉ちゃんがわっしの目の前に立った。

 

何の話を……

 

 

「いい?あんたが装甲壁を動かすには、この中枢と完全に意識を統合しなきゃならない」

 

「意識を……統合?」

 

「それで、あんたは装甲壁を動かすことができる。でも、意識を統合すれば……」

 

 

口ごもる姉ちゃんを見て、察しはついた。

だけど、姉ちゃんの言葉を待つ。

 

 

「あんたは、意識を体に戻せなくなる。体と完全に分離されるのよ」

 

「……」

 

 

そんなことだろうと思った。父さんの研究のツケがここまで回って来たか。どんだけ貧乏くじ引けばいいんだか。

 

 

「意識を統合しないで動かせれば、それに越したことはない。でも、もうこの方法じゃないと……」

 

「姉ちゃん……すぐにその準備をしてくれ」

 

「ショウゴ……あんた……」

 

「もう悠長に考えている暇はないんだ。頼む」

 

 

じわっと、姉ちゃんの目に涙が浮かんでいる。はは、初めてかもな、姉ちゃんがなくところ見るの。いつも強がって泣かないから。

 

 

「ごめん……私がちゃんとできてれば……」

 

「姉ちゃんのせいじゃない。それに、死ぬわけじゃない」

 

 

姉ちゃんは涙をぬぐい、操作パネルに指を走らせた。

 

 

「ショウゴ……何か言っておくことはある?」

 

「ありったけの神機を、戦闘中の装甲壁の近くに持って行って欲しい。それと……心配ばかりかける弟でごめん」

 

「あんたは……自慢の弟よ」

 

 

意識はそこで途切れ、外の光景が鮮明に映った。




やっぱりクライマックスは苦手です。

終わらせたくないのか、終わらせたいのかわからん←


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守護

GE2のヒロインはGE2組で私が一番好きなキャラです。

以外と思う人もいれば、なんだと思う人もいるかもしれません。

なお、GE2も行き当たりばったり更新でいくのでよろしくお願いします。


 

《nazuna side》

 

いやはや……さすがの私もバテバテですよ。

 

倒しても倒しても減らないアラガミに、ここにいるゴッドイーターはもう心が折れかけている。まだ立ち向かっているのは私とジーナさんだけだ。

 

一旦、みんなを下げた方がいいかな。リンドウさんやソーマはまだ任務から戻ってないみたいだし……。

 

 

「みんな!一回帰投して、体勢を立て直して!ここは私が食い止めるから!」

 

「ナズナさん1人で!?そんなの無茶です!」

 

「1人じゃないわ」

 

 

頼もしい声。私とコンビを組んでるジーナさんだ。

 

 

「私も食い止める。リンドウ達が戻るまで、そんなに時間はかからないでしょう。それくらいなら大丈夫よ」

 

「ということだよ。アリサはみんなを率いてアナグラまで戻って」

 

「でも……」

 

「隊長命令。大丈夫だって」

 

 

アリサは小さく頷くと、他の人達を連れてアナグラに戻った。

 

さて、大見得切ったはいいけど、行けるかなぁ。

 

 

「顔が不安そうよ。隊長さん」

 

「あ、顔に出てました?」

 

「ええ、ハッキリと」

 

「それは失礼しました。あんな事言った手前、やるしかないですからね。切り替えます」

 

 

ごちゃごちゃ考えてる暇はない。

アラガミは待ってくれないんだ。なんとか、この状況を打開しないと。

 

それには、まず赤いハンニバルをどうにかしないと。

 

 

「隊長さん、来たわよ」

 

「了解!」

 

 

誰か、道を開いてくれないかな。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

私とナズナだけになってどのくらい経っただろう。30分経ったようにも感じるし、5分しか経ってないようにも感じる。

 

先に戻ったショウゴは大丈夫かしら……引き金を引きながら、考えているのはショウゴの事だった。

 

もしかしたら、もう会えないかもしれない。そんな不安にかられていた。

 

そんな事を考えていたせいだろう、ナズナの声が聞こえるまでそれに気づかなかった。

 

 

「ジーナさん!よけて!」

 

 

サリエルのレーザーがこっちに向かってまっすぐ向かっていた。回避は……間に合わない。ギュッと目をつむり、痛みに身を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みも衝撃もない。ゆっくり目を開くと、私の目の前に大きな壁があった。防衛班ならよく見る……これは……

 

 

「装甲壁……」

 

 

アラガミ装甲壁の一部が、私の目の前あった。

これは一体……

 

考える間も無く、アラガミの断末魔が聞こえた。

その方向を見ると、オウガテイルの頭にバスターブレードが突き刺さっていた。

 

すると、違う方向からもアラガミの声。今度はアサルトにうち貫かれている。

 

この神機は……

 

よく見ると、神機にはケーブルのようなものが繋がっている。ケーブルは装甲壁から伸びている。

 

 

「ジーナさん、これは……」

 

「わからない……でも……」

 

 

この感じは何だろう、安心できるような暖かい感じ……もしかして……

 

 

「ショウゴ……?」

 

 

あなたなの?




今日中に完結させたいです。

いまならできる気がする。


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決着

連投二つ目!

今日で書き切りますよ!!


《nazuna side》

 

ジーナさんを守った装甲壁はすぐに元の場所に戻っていった。それと入れ替わりに、大量の神機がアラガミを殲滅し始めた。

 

神機に繋がれてるケーブルみたいなのは、私達が神機と腕輪を接続するのと同じ物だ。全て装甲壁から伸びてる……複数の神機を扱えるという点から推測するに、おそらく操ってるのはショウゴ君……。

 

こんなチート技あったのか、彼は。

 

 

「ショウゴなの……これを動かしているのは」

 

「きっとそうです。ショウゴ君が助けてくれたんですよ」

 

 

アラガミをどんどん倒していく神機の中には、さっきアナグラに戻した人達の神機もある。

 

アラガミの数も減ってきた。これなら……

 

 

「ジーナさん、赤いハンニバルを叩きましょう。ショウゴ君がアラガミの相手をしている間に」

 

「ええ!」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《gina side》

 

赤いハンニバルに近づくにつれて、アラガミの妨害が激しくなる。しかし、ショウゴが動かしている神機がアラガミを引きつけてくれる。

 

赤いハンニバルが射程内に入った。

 

 

「喰らいなさい」

 

 

波打つバレットが、赤いハンニバルを捉える。ハンニバルは籠手で防ぐが、それは大きな隙だ。

 

ナズナがぐんっと加速し、ハンニバルの懐に入り、ロングブレードを振り回した。

 

 

「うりゃぁ!!」

 

 

鋭い剣閃が、ハンニバルの腹を切り裂いている。

 

しかし、ハンニバルはしぶとく、尻尾を振り回しナズナを弾き飛ばした。

 

いつものナズナならガードできるであろう攻撃だったけど、連戦で疲労が溜まっていたのか、受け身も取れず、ゴキンと骨が折れるような音がした。

 

 

「ナズナ!」

 

「ジーナさん!!胸のところにコアが露出してます!そこを潰してください!」

 

 

おそらく折れたであろう足を抑えながら、ナズナが叫んだ。

 

スコープを覗くと、確かに胸のあたりに赤く光るコアが見えた。でもここから狙うには小さすぎる。

 

私はハンニバルに向かって走った。ハンニバルも私を目視し、こちらに向かってきた。

 

止まれない、走りながらの狙撃。距離的にチャンスは1度。

 

もう感覚だけで撃った。

 

バレットはコアに向かって行った。

 

当たった、そう思った瞬間……

 

 

ガキン!

 

 

ハンニバルの籠手に阻まれた。

 

ハンニバルは、手に炎の槍を作り出し、私に向かってくる。

 

咄嗟に横に避ける。

 

それと同時に、ショウゴの神機の銃声が聞こえ、ハンニバルの槍が私から遠く離れた場所に突き刺さり、爆風を生んだ。

 

直撃はしなかった。ショウゴが援護してくれたおかげだ。

 

今なら……

 

 

「これで!!」

 

 

神機を構えた瞬間に気づいた。

 

オラクルが切れている……。こんな時に限って!!

 

 

「何か……」

 

 

咄嗟に目に着いたのは、地面に突き刺さったチャージスピア。ショウゴが使っていたものだ。

 

ためらいはなかった。神機を握り、起動。

 

 

「ぐぅっ!?あぁぁぁ!?」

 

 

激しい痛みに襲われた。適合してないのだから当たり前だ。でも、これを使うしかない。

 

ハンニバルは、私に向かい、また槍を作り出している。

 

今度こそ……

 

 

「仕留める」

 

 

ハンニバルは跳躍し、私に向かって飛んでくる。

 

私はハンニバルの下をくぐり抜ける。それと同時に、チャージスピアをハンニバルのコアに向けて投げた。

 

槍が地面に突き刺さり、近くにいた私は爆風に煽られ、吹き飛ばされる。

 

地面を転がるが、何かに止められた。

 

装甲壁だ。ショウゴが操作して止めてくれた。

 

 

「ハンニバルは……」

 

 

ハンニバルの方を見ると、コアの部分に刺さったチャージスピアが結果を物語っていた。

 

ハンニバルは、ゆっくり倒れこみ、黒い靄となって消えて行った。

 

終わった……。

 

緊張の糸が切れた私は、そのまま意識を失った。




次のもすぐに今日中に上げます。


次回、最終話。


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薬指の輝き

3投目。

頑張りました。


 

《gina side》

 

目が覚めると、そこには顔中に絆創膏を貼り、松葉杖持ったナズナがいた。

 

 

「あ、ジーナさん!目が覚めましたか?」

 

「ええ……医務室にいるってことは……」

 

「はい、全て終わりました」

 

 

そう……終わったのね。

 

 

「被害状況は?」

 

「住民への被害はゼロです。装甲壁に若干の損傷が見られましたけど、もう修復されました」

 

「あら、仕事早いわね……」

 

「ええ、まぁ……なんというか……」

 

 

ナズナは気まずそうに口ごもる。一体どうしたというの?

 

 

「ナズナ、私が言うわ」

 

 

そう言って入ってきたのは、リイヤだった。目元が赤い……泣いてたのかしら?

 

何に対して泣いていたの?

 

 

「リイヤさん……」

 

「ナズナ、あんただって疲れてんでしょう?もう休みな」

 

「……わかりました。ジーナさん、また」

 

 

医務室から出て行くナズナに軽く手を振る。

リイヤは、小さくため息をつく。

 

 

「ジーナ、先に謝らせて。今回は、私の力不足だった。ごめん……」

 

「リイヤ、何に対して謝ってるのか教えてくれないかしら?私にはさっぱりなのよ」

 

「わかってる……ジーナ、歩ける?」

 

「ええ」

 

「疲れてるところ悪いんだけど、着いてきて」

 

 

嫌な予感が拭えない。

 

リイヤ……ショウゴになにかあったの?

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

《riiya side》

 

ジーナを中枢区画に連れてきた。ショウゴに会わせるために……

 

 

「あそこ……」

 

 

ショウゴが入ってるカプセル状の装置を指差した。

 

ジーナのめが見開かれる

 

 

「ショウゴ……」

 

 

覚束ない足取りで、ゆっくりショウゴに近づく。

 

眠ったようにそこにいるショウゴを、ジーナが揺する。当然、反応はない。私が1番わかってる。

 

 

「ショウゴ、帰ってきたのよ?ねぇ……目を覚まして……」

 

「ジーナ……」

 

「目を覚ましてよ……アナグラを守り切ったのよ。あなたのおかげ。ほら、このあと祝勝会やるのよ?あなたの好きな初恋ジュースだってある……」

 

「……」

 

 

おかしいな……さっき散々泣いたのに……また……

 

 

「目を覚ましてよぉ……バーにいって、2人で飲んで……酔っ払って……そういうことをこれからするんでしょ……?」

 

 

ショウゴ……

 

 

『……こえ……ーナ……』

 

 

スピーカーにノイズ?でも、今の……

 

 

『き……えるか……ちゃん……ジーナ、聞こえてる?」

 

「え?」

 

 

スピーカーから聞こえてくるのは、紛れもないショウゴの声だ。一体どういう……

 

 

『今、やっと極東支部の全システムを把握したんだ。スピーカーとか施設内のカメラとか』

 

「ショウゴなの?本当に……」

 

『わっしだよ。まぎれもなく』

 

 

声も、口癖も。ショウゴだ。本当に……

 

 

『まさか極東支部全てのコンピュータとかを掌握できるとは思わなかったよ。もうすぐでツバキ教官のプライベートメール見るところだった』

 

 

今はそんなことどうでもいい……またこうして話せることができるなんて……。

 

ジーナは、その場に崩れ落ちた。

 

 

「ショウゴ……ショウゴぉ……」

 

 

泣き崩れた。こんな状況だけど、カメラを持っていないことを後悔した。

 

 

『ジーナ!?ちょっ、泣かないで!!』

 

「だって……ううぅ……」

 

 

泣き止んだのは、夜だった。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

泣き止んでくれたジーナに状況を説明した。

 

説明が進むごとに、ジーナの顔から怒気が……

 

 

「ショウゴ……」

 

『な、なんでしょうか?』

 

「勝手に一人走りして……どうしてそんな大切な事を……」

 

『いや……あの時はこうするしか……』

 

 

お説教タイムに入るとは……予想だにしなかった。

 

 

「本当に……いつも心配かけて……」

 

『ごめん……そのぉ、お詫びと言ってはなんだけど、後でリッカのところに行ってくれないかなぁと……』

 

「どうして?」

 

『本当は直接渡したかったんだけど……その……』

 

 

まさかこの状態で言うとは思わなかったけど……

 

 

『わ、わっしと!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《After 3years 》

 

「ただいま、久し振りね」

 

『久し振りって、一応毎日話してるんだけど……』

 

「あなたの本体と会うのは久し振りでしょう?」

 

『本体って……まぁ、いいや。それより、今度のサテライト拠点は本当に未踏の地になるから、危ないことしないでよ』

 

「私の夫は心配性ね。大丈夫よ。昔のあなたじゃないんだから。それより、あなたも大丈夫なの?」

 

『感応種でしょ?大丈夫、一歩たりとも足を踏み入れさせないよ』

 

「そう。じゃあ、そろそろ行くわね。一度、私の受け持ちの拠点も見に行かないと」

 

『わかった。じゃあ、また後で』

 

「ええ、またね」




はい、これにてGOD EATER〜煌めく波と手向けの花〜は完結となります。

拙い文で申し訳ないです。

今回のタイトルは、最後の場面のことを言ってますね。

わかりづらくてすいません。

約一ヶ月半ほどでしたが、楽しんでいただけてたら幸いです。

続編書くので楽しみにしていただけたらと思います。

それではありがとうございました!


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その後の彼ら

閑話が書きたくなり、完結したけど書かせていただきます。GE2はもう少し時間がかかりそうなので、ゆっくり待っていただければと思います。

あと、遅くなりましたが、R-18本を公開させていただきました。よろしければどうぞ。コーヒーの準備をお忘れなく。


どうも、ナズナです。

 

今回はこちら、アナグラの中枢部分に来ております。

どうしてかっていうと、実はここで本日結婚式が行われます。

 

誰と誰がって?もちろん、アナグラを救った英雄であるショウゴ君とジーナさんです。

 

ショウゴ君は、アナグラを救うために中枢と一体化して、自分の体を動かせなくなりました。そこで、ショウゴ君の本体があるここ中枢で式が行われます。

 

因みに、発案者は意外にもサカキ博士とツバキ教官です。

 

まぁ、と言うわけで、式が行われるんですが、今日は他の人達にショウゴ君とジーナさんのことを聞いて回りたいと思います。

 

まずは……あ、コウタがいますね。ちょっと話を聞いて見ましょう。

 

 

《コウタ》

 

ショウゴ?うん、すごいと思うよ。こういう命懸けこ決断ができるの。これで彼女……今はもう奥さんか。いるんだもんなぁ〜。しかも、あのジーナさんだよ?どうやって口説いたのか教えてほしいよ。2人の事?お似合いの2人だと思うよ。リンドウさんとサクヤさんに負けないくらい、いい夫婦になって欲しいな。あ、でもたまに部屋のカメラからバガラリー覗き見るのやめて欲しいかな。

 

 

《アリサ》

 

最初にあった時は、度肝を抜かされました。アラガミの死体の前で神機握りしめてるんですから。あれから数ヶ月しかたってないですけど、大切な仲間です。アナグラの人達からすれば、全員の命の恩人ですから。ジーナさんとは、これからも仲良くして欲しいです。ご結婚、おめでとうございます。

 

 

《リンドウ&サクヤ&ソーマ》

 

リ:あー、あいつとはそこまで深い付き合いはなかったけどな。何回か話はしたな。勉強熱心なやつでよ

 

サ:私もソーマもそこまで付き合いはなかったかしら。でも最近はよく話すわよ?

 

ソ:俺も、たまにスピーカーから話しかけられる。いきなり話しかけないでほしいくらいだ。

 

リ:まぁ、あいつには帰る場所を守ってもらった。今度は、俺らがあいつを守る番だ。

 

サ:ジーナとも、幸せになって欲しいわね。

 

 

《タツミ》

 

惜しい人材を亡くしたなぁって思ったね。いや、死んではいないか。でも、あいつは自分のやるべき事をわかって行動できる。こうなっても、後悔はしてないんじゃないか?本当、対した奴だよ。借りっぱなしは好きじゃないからな。いつかあいつが体に戻れる時が来たら初恋ジュースをたらふく奢ってやるよ。

 

 

《ブレンダン》

 

尊敬している。ゴッドイーターとしても、人としても。俺はアーク計画の時にその決断ができなかった。だから、尊敬している。ジーナとのこと?ジーナとはそれなりに付き合いが長いが、あそこまで気を許しているところを見たことがない。結婚も当然だろう。今日は、お祝いしてやらないとな。

 

 

《カレル》

 

面白い奴、だったな。一緒に仕事して稼げる奴はそうそういないからな。あいつは合格点だ。ジーナも最近は調子いいな。ま、この調子で俺を稼がせてくれればいいさ。

 

 

《シュン》

 

あいつはすげぇよ。命懸けでこんなことできるんだから。俺は敵わないなって、心の底からそう思う。だから、もっと強くなるんだ。強くなればがっぽがっぽ稼げるしな!ジーナ?あんまりイチャイチャすんなって感じだな。

 

 

《カノン》

 

今思い出しても悲しいです。もう私の作ったお菓子食べてもらえませんし、頭も撫でてくれません。本当にお兄さんみたいな人でした。ジーナさんとは末長く幸せになって欲しいです。私も、お二人を守れるように、誤射を減らします!

 

 

《ヒバリ》

 

助かってます。コンピュータの資料整理とか、手伝ってくれるので。オペレーターとしての仕事に集中できます。話し相手がいないと、よく寂しそうに私にコールして来ますね。その度にジーナさんに見つかって、見てて楽しかったです。あと、結婚おめでとうございます。

 

 

《榊》

 

彼には感謝してもしきれない。この恩は、彼を元の体に戻すことで返したいね。今回の結婚式は私たちからのほんの感謝の気持ちだ。本当にありがとう。

 

 

《ツバキ》

 

奴は、ゴッドイーターの鑑だ。私から教えることは何もない。いつも無茶ばかりさせてすまないと思っている。結婚式は私と博士からの、ささやかなお礼だ。ありがとうと、言わせてくれ。

 

 

《リッカ》

 

指輪の支払い、冷やしカレードリンク1年分がまだ来てないから、体に戻ったら請求するつもり。まぁ、別に指輪くらいタダで作ってあげるんだけどね。私も2人みたいな恋人が欲しいかも。でも、今は仕事が恋人かな?

 

 

《リナ》

 

お母さんに黙って、こんなことになってるだもん。ショウちゃんのいけず。でも、こんな可愛いお嫁さんを捕まえるなんて。ふふふ、さすが私とお父さんの子供ね。あとはリイヤだけね。

 

 

《リイヤ》

 

忙しいから手短にしてね。ショウゴのこと?バカ。大バカ。アホ。根性無し。器用貧乏。甲斐性無し。あとは、自慢の弟。私の親友手篭めにしたんだから、浮気とかしたら許さないから。あ、でも今の体じゃ浮気できないか。

 

 

《ナズナ》

 

実は狙ってました。なんて言って見たりして。でも、ジーナさんと付き合ってなかったら、私がもらってたかもなぁ。ショウゴ君なら別にいいかもってよく思ってたよ。でも、やっぱり1番はジーナさんだね。そう思うよ。

 

まぁ、こんな感じでみんなからお話聞かせてもらいましたけど……あ、そろそろ式が始まる。

 

それではまたいつか、何処かで。




結婚式のコメントみたいな感じで。

続きはGE2でご覧いただけたらと思います。


ここでぶっちゃけトーク。

主人公の設定が最後まで決まらなかった←


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例えばこんな未来。

無性にショウゴ×ジーナが書きたくなったので。

ショウゴが生体コンピュータにならなかったらこうなっていたんじゃないかというGE2の妄想。


 

「よいしょっと!」

 

 

両手に持ったロングブレードでピターを斬り伏せた。

 

ふう、いくら人がいないからって、一人で相手するアラガミじゃないだろうに……。

 

 

『アラガミの反応消失。ショウゴさん、お疲れ様でした』

 

「ヒバリさん、サテライトに被害は?」

 

『ショウゴさんが迅速に対応してくれたので、被害はゼロです」

 

「了解。念のため外周回ってみるよ。新しいアラガミが近づいたら、また連絡入れて」

 

『はい、お願いします。あ、それと……』

 

「ん?」

 

『極東支部で待ってますよ。奥さんが』

 

「はは、了解。すぐに片付けて戻るって伝えてください」

 

 

通信を切り、わっしはサテライト拠点の外壁の点検を始めた。

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

極めて迅速に点検を終えて極東支部へ戻ると、仏頂面で出迎えてくれる我が姉がいた。

 

なんで不機嫌なんでしょう……。

 

 

「ね、姉ちゃん……ただいま」

 

「ねぇ、私言ったわよね?しばらく()()使えって」

 

 

これ、というのは新しい神機パーツ、ヴァリアントサイズのことだ。例によって例のごとく、わっしは神機のテストを姉に任されていた。

 

 

「いや、ほら、今回はかなり急を要する任務だったし、わっし一人でピターを相手しなきゃいけなかったから……」

 

「言い訳はいらん!」

 

「いってぇ!?」

 

 

脳天に振り下ろされるスパナ。神機使いじゃなかったら死んでるぞ、全く……

 

 

「はぁ、もういいわ。明日はちゃんと使ってよ。ほらジーナ待ってるんでしょ?早く行きなさい」

 

「うん」

 

 

この人使いの荒さ……どうにかならんものか……。

 

殴られた頭をさすりながら、エントランスへ向かうと、最近極東支部へ配属となった新人2人が、何やら言い争いをしていた。

 

 

「エミール!なんであんた、あそこで突っ込むのよ!あの時は距離をとって、バレットで十分仕留められたでしょ!」

 

「そんな卑怯な真似を、騎士である私ができるわけないだろう」

 

「あんたの銃は何のためについてんのよ!」

 

 

ああ、またやってる。コウタも大変だな。こんなじゃじゃ馬2人をまとめなきゃいけないんだから。

 

 

「ほらほら、2人とも。喧嘩はそこまでにしな」

 

「ショウゴ先輩!でも、エミールが……」

 

「2人とも新人なんだから、今は自分の戦い方を見つけることに集中しな」

 

「さすが我が盟友!わかっているじゃないか!」

 

「だが、ちゃんと銃使えよ。突っ込んでばかりじゃ、命がいくつあっても足りないぞ」

 

「う、うむ……心した」

 

「じゃあ、わっしはヒバリさんに報告書届けなきゃいけないから、これで」

 

 

2人にそう断りを入れ、ヒバリさんの元へ向かった。

 

 

「はぁ、本当にショウゴ先輩頼りになるなぁ。どっかの誰かと違って」

 

「はっはっは、我が盟友なのだから頼りになるのは当然さ」

 

「はぁこんな奴とじゃなくて、ショウゴ先輩と仕事したいなぁ……これで結婚していなければ……」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

ヒバリさんに報告書を渡し、自分の部屋のあるフロアへ向かう。

 

1週間ぶり、かな。

 

わっしは各地のサテライト拠点の防衛。

ジーナは新しいサテライト拠点候補地の捜索……明らかに、ジーナの仕事の方が危険度が高い。

 

でも、わっしの特性上、極東を離れるのはダメ……らしい。まぁ、希少価値なのはわかるけど……。

 

部屋の前に立ち、ノックする。

 

数秒後、扉が開きトンッと体に軽い衝撃。そして口に柔らかい感触。

 

 

「んっ……はぁ……。おかえり、ジーナ」

 

「ええ、ただいま。ショウゴ」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

コーヒーを淹れ、2人で部屋のベッドに腰掛ける。

 

お互いにコーヒーをすこし啜ると、ジーナがわっしに体を預けてくる。

 

 

「久しぶり、この感じ」

 

「1週間だからね」

 

「ええ。ショウゴといれないのは、本当に辛いわ。朝起きたら、あなたの顔が見れないんだもの……」

 

「わっしだって……寂しかった」

 

「ふふ」

 

 

お互いに微笑み合い、どちらからともなくこの1週間の話を始める。

 

 

「姉ちゃんが新しいパーツのテストしろって、さっきもドヤされた」

 

「なんていうパーツだったかしら……さっき聞いたんだけど」

 

「ヴァリアントサイズだって。鎌なんて使ったことないから、勝手がわからないよ」

 

「それでも、1週間もすれば使いこなすんでしょ?」

 

 

器用貧乏とは、こういうことを言うのかな。

 

 

「はは、どうだろうね。そっちは、どうだった?」

 

「いい候補地は見つからなかったわ。地形や気候を見ても。めぼしい拠点はほとんど出尽くしてしまった感じね」

 

「そっか……わっしも手伝いたいけど、守りを薄くしてしまうのは得策じゃないだろうし」

 

「大丈夫よ。そんなに危険はないんだから」

 

「でも……」

 

「私はショウゴの方が心配よ?」

 

「え?」

 

 

わっしの方がって……。

 

 

「ヒバリから聞いたけど、一人でアラガミと戦ってるんでしょ?」

 

 

ヒバリさん、話したのか……。

いつも一人ってわけじゃないんだけど……

 

 

「緊急のときは……」

 

「無茶しないで。あなたがいなくなったら、私は生きていけないわ」

 

「ジーナ……」

 

「今は、あなたとのつながりが、生きてる実感をくれているんだから……」

 

 

そう言って抱きついてくるジーナ。

ふぅ、こんなことを言われたら、本当に無茶できないじゃないか。

 

 

「うん。ごめん」

 

「……ねぇ、明日は?」

 

「非番だけど?」

 

「それじゃ、私にもっと実感させて。生きてるって」

 

「ああ」

 

 

ジーナの唇をそっと奪い、そのままベッドに倒れこんだ。




突発的に書きたくなったから書いたけど……まぁ、ジーナが書きたかっただけ。

GEオンリーイベント行きたかったなぁ……


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