少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE- 錯劇 -XSTAGE - (リカル)
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あるるXシャウトモン! 異次元の出会い!




新厄 開幕





 

 

「はっ!、はっ!、はっ!、はぁ・・・!」

 

 

金色のポニーテールを激しく揺らしながら走るのは、彼女にとって見慣れた街並み

 

 

ソレとそっくりな【異世界】。

 

 

「みんな大丈夫!?」

「は、はい・・・!」

「ララフィン、美空ちゃん

あまり大きな声を出さないでッ」

「あいつらに見つかっちゃうってば」

 

 

まるで照明が落ちた映画のセットのように造り物じみた空間をどれだけ進んでも、自分達5人しか人影はなく

 

 

「くしゅんっ、くしゅんっ」

「くっそぉ!、どこいきやがったぁ!?」

「ヘンなモンあびせやがってぇ!」

「ハナがゼンゼンきかねぇえええ!」

「「「「へぷしゅんっっ!!」」」」

 

 

代わりに居るのは

 

灰色の毛並みで大きな耳を持つ、二足歩行の

 

         モンスター。

 

 

「!、もうこんなに近くまで・・・!?」

「どうするの静羽?」

「やっぱり戦うしかないよ!」

「で、でも、ララフィン先輩

あたし達、このままじゃ・・・・・・・・・」

 

 

着々と距離を詰めてくる追跡者達の気配を感じ取り、制服姿の少女達が不安をぶつけ合う。

 

「お!、ハナもどってきたぁ!」

「くんくん!、くんくん!」

「におう!、におうぞぉ!

 

 

ニンゲンのにおいだぁ!」

 

 

「もうにがさないかんなぁあああ!!」

 

 

「「「「「ッ!!」」」」」

 

 

その間に最初に遭遇した際ぶちまけた制汗スプレーの効果が切れて・・・

 

「み、みん」

 

 

「「「「「みっっっけたぁ!!!」」」」」

 

 

「うわぁー!?」

「「「「あるる/ちゃん!!」」」」

 

 

あっという間に囲まれてしまった。

 

「あなた達!、一体何なの!?

私達に用があるなら、こんな風に追い掛け回したりしな」

「うっせぇ!」

「いっ!?」

「つかさ!!」「つかさ先輩!!」

「だ、だい、じょ、ぶ・・・!」

「全然大丈夫じゃないよ!、つかさちゃん!」

 

詰め寄る少女にモンスターが乱暴に爪を振るえば

制服の袖が大きく引き裂かれる。

 

「おい!、あんまやりすぎんなぁ!」

「そうだぁ!、そうだぁ!

ニンゲンのキラめきとソウル!

うばうまえにきずなんてつけたらぁ!」

「おれらまでジャングルモジャモンさんにしかられるだろぉ!?」

「ご、ごめぇん」

「ッ!?、ーーーーーー・・・・・・・・・」

 

言い争う4体の様子から、その目的を悟った

リーダー格の少女。

 

 

「キラめきですって?

 

あなた達

 

一体どこに目をつけているのかしら?」

 

 

「「「「え??」」」」

 

 

彼女の顔に浮かぶのは シニカルな笑み。

 

 

「この中でキラめきを持っているのは私だけよ

そんなこともわからないのかしら?」

「え?、えぇ??、そうなのかぁ?」

「わ、わっかんねぇ!」

「で、でも!、なんかこいつつよそう!」

「なら、まずはこい」

 

 

「静羽、ソレ、どういう意味?」

「そのままの意味だけど・・・

あら、もしかして本当のこと言われて傷ついちゃった?

ごめんなさいね、フフッ♪」

「この!!!、言わせておけば!!!」

 

 

「「「「えええぇぇぇ!!??」」」」

「や、やめろよぉ!」

「おまえらナカマだろぉ!?」

「そんなことすんなよぉ!!」

 

あまりの物言いに袖を引き裂かれた少女が目を吊り上げ、胸ぐらを引っ掴めばモンスター達が慌てて止めに入った。

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

2人が命懸けの即興劇を繰り広げる最中

1人は周囲を見渡して退路を

1人は武器になりそうなモノを探し

1人は

 

 

【観客達】の反応を一挙一動細かく観察し

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うんっ

 

 

静羽ちゃん!、つかさちゃん!

 

 

一端ストップ!!」

 

 

「「え!?」」「「あるる!?」」

「「「「んんっっ!!?」」」」

 

 

仲間が造り上げた舞台を自ら壊す・・・!?。

 

 

「ねぇ!、あなた達!

今の2人の即興劇を観てどう思った?」

「そっきょお?」「げきぃ?」

「ってことはぁ・・・」

「「「「おれたちだまされたぁ!?」」」」

「「「ッ」」」

「くっ!、ララフィン=」

 

激怒するモンスター達を前に3人は身を竦め

1人は表情を固くしながらバールのようなものを構えた。

 

「違うよ!、騙したんじゃない!

2人は本気で演じたんだよ!

だから、あなた達も本気で心配した!

でしょ?」

「そ、それはぁ・・・」

「そう、だけどぉ・・・」

「な、なんなんだよこいつぅ・・・」

「ぐ、グイグイくるぅ・・・」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

だというのに、構わず言葉を重ねる少女に4体も4人も呆気に取られ

 

「でもね、静羽ちゃんもつかさちゃんも

私も、美空も、ララフィンも

本当の本気の舞台は

 

 

キラめきはね!

もっっっと!!! すごいんだよ!!!

 

 

ソレを観ないで私達のキラめきを奪うなんて

そんなの、勿体ないって思わない?」

「もっと、すごい?」

「さっきのよりも?」

「う、うぅん・・・」

「ど、どうするぅ?」

「「「「どうしょう・・・・・・・・・」」」」

「「「「(・・・・・・・・・どうしょう)」」」」

 

全く同じ悩みを抱いた。

 

「それにね!、キラめきが欲しいのなら

あなた達が自分でキラめいてみるのはどうかな?」

「えぇ!?、き、キラめきってニンゲンしかもってないってぇ・・・」

「ジャングルモジャモンさんいってたよなぁ?」

「「なぁ?」」

「そんなことない!

舞台に立てばみんながキラめける!

あなた達モンスターだって!

ううん!

あなた達にしか見せられない舞台やキラめきが

 

 

あるよ、あるある!

あるある、あるよ!!」

 

 

「「「「お、おれたち、しか??」」」」

「ねぇねぇ静羽ちゃん

この子達にはどんなお物語が合うと思う?

やっぱり冒険物かな?、あ!、ラブロマンスもいいかも!

晶ちゃん達の美女と野獣みたいな!」

「・・・・・・・・・あるるちゃん

 

 

この子達にはどんな舞台が相応しいのか」

「どんな舞台をやりたいのか

 

 

まずはそれを知る為にも、この子達とちゃんとおはなししないとね」

「あ!、そっか!」

「お、おまえらまでなんだよぉ!」

「さ、さっき

おれおまえひっかいたんだぞぉ!?」

「も、もっとおこれよぉ!」

「なぁ!?」

「「「なぁ!?」」」

「子供達の相手をしてたら、こんなのしょっちゅうだもの

・・・・・・・・・まぁ、かなりビックリしたし

怖かったのは本当なんだけど

あなた達、よく見たら結構可愛い顔してるし♪」

「「「「か!?、カワイイっていうなぁ!

おれたちカッコイイんだぁあ!!」」」」

「それなら、ララフィンみたいに

格好よくて!、可愛い!、そんな配役はどう?」

「うんうん!

あなた達って身軽だし、足も早かったし!

一緒にアクションやったら絶対楽しいよ!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

(あんたってば   本当に   )」

 

 

すっかり毒気を抜かれモンスターや少女達を見つめ、その発端の少女の幼馴染みが苦笑いを浮かべる

 

 

「お前らナーニやってんだーーー??」

『!!?』

 

 

最中

侮蔑と嫌悪感に満ち溢れた声が響き渡った。

 

 

「ジャ、ジャングルモジャモン、さん・・・」

「こ、これはぁ」「そのぉ」「あのぉ」

「あーーー、言い訳とかいいから

 

 

ガジモンズ   強制デジクロス」

 

 

「「「「!?、うわぁああっ!?」」」」

 

 

『ソレ』・・・ジャングルモジャモンはモンスター達・・・ガジモンズを見下しながら、茶色い毛むくじゃらな手の中の機械を向ける。

 

「か」「からだ!」「すいこまれる!?」

「や、だ!、たすけ!・・・・・・ッ・・・」

「「「「「な!!?」」」」」

 

すると、ガジモンズの肉体【データ】が一瞬で崩れて取り込まれてしまった。

 

「ブフーーーッ、デジクロス完了っと」

「あ、あなたなにを?、さっきの子達、は」

「《パラライズブレス》」

「ッッ!!」

「あ!る、るッ?」

「「「ぅぁ・・・ぁ・・・・・・!」」」

 

鋭い爪とウサギのような耳を生やしたジャングルモジャモンの口から放たれる紫のガスは一瞬にして少女達を飲み込み、その身の自由を奪う。

 

「ったく、こうゆう便利な技持ってっから

連れてきてやったってのに・・・

ダークネスローダー仕込んでおいてよかったなーーー」

「ぁ?、ぁ!」

「「「「!!・・・ッ・・・!・・・!"!!」」」」

 

毛むくじゃらな腕が無遠慮に引っ掴むのは

 

 

金色のポニーテール。

 

 

「んっじゃ、ニンゲンのキラめきとソウル

 

 

イタダキマーーース」

 

 

「ーーー・・・ーーー・・・・・・!!?」

 

 

髪を掴まれ、宙吊りにされた自分の足元で

 

              大きく開かれる口

 

 

「(わたし、たべられちゃうの・・・?

 

 

やだな

 

 

まだ わたし 美空や

 

静羽ちゃん つかさちゃん ララフィン

 

 

みんなと やりたい 舞台が・・・!)

 

 

・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・るっ・・・よ・・・!」

 

 

「ん?、んんーーー??」

 

 

そんな、絶望的な光景を前に

 

まともに息すら出来ない体で

 

 

「あ、る・・・!、ある・・・!!」

 

 

声を上げれば

 

 

 

 

〔「  レ ダ

 

 

         マ エ ・・・・・・・・・」〕

 

 

 

 

「ぇ・・・ぁ!?」

「お前ナーニ言ってんだー?

って、いっけねーいっけねー

ニンゲンに興味持っちゃいけねーんだった」

「・・・ぅ・・・ぅぅ・・・・・・・・・・・・」

 

 

〔「苦しいのか!?

俺が今すぐそっち行ってやっから待ってろ!

 

 

だからもっと腹から声出せ!

 

 

諦めんな!」〕

 

 

『シャウト』が聞こえてきた。

 

 

「ッ、・・・・・・・・・ある!!」

「んん!?」

 

 

その力強くて熱い叫びに呼応するかのように

 

麻痺状態にも関わらず

 

一気に声のボリュームが上がる。

 

 

「あ!、るっ、よ・・・・・・・・・!、ぅ」

「こ、こいつーーーッ、まさか例の!?

だ、だったら」

 

 

手中に収めた少女が想定以上のキラめきを魅せつけてきたのでモンスターに迷いが生まれた

 

 

 

のと、同時に

   ‎

 

 

「YEEEEEEAAAAAAH!!!!!!」

世界に風穴が開く!!!!!!

 

 

 

「「「「「え・・・・・・・・・?」」」」」

「んんーーー!!??」

「ん?、うわああああああーーー?!!〕』

「ンッギャーーー!!!」

 

 

・・・・・・・・・ジャングルモジャモンの真上に。

 

 

「いってて!

お、おい!?、みんな無事か!?」

〔フンガ!〕

「ピックモンズ全員揃ってるかーい?」

『Yeeeeeah!!!』

「キュートモン!?、キュートモン!?

どこだ!!?、キュートモン!!」

 

 

「《スグナオール!!》」

「!、あ、あれ?、うごける?

・・・・・・・・・うん!!、動ける!!」

 

 

「きゅうううともおおおん!??!!

何でそんなッ、は?、ニンゲン?

いや!、それより!、お前の技を知らん奴に見せびらかすのはやめろっていつも言ってるだろうがぁ!?」

「ドルルモン、ごめんなさいキュ

でも、ぼく苦しんでるモンを放っとけンギュ~~~?!」

「助けてくれてありがとう!

君のお陰で私すっかり元通りだよー!」

「キュッ、げ、げんきになって、よかった

キュ~~~~~~・・・・・・・・・」

「ぁ!!!、ぅ!!!、う"う!!!」

「って!、美空ーーー!

お願い!、みんなにもさっきのやってあげて!」

「お、おい!、勝手なことを言ってないで

早くキュートモンを離せ!、ニンゲン!!」

〔フガ?、ニンゲン?、コレが、カ?〕

「ヘェ、こいつがニンゲンか初めて見たゼ」

『ニンゲン?、ニンゲン!』

「!、ーーーーーーッ」

「ん?、どうしたドルルモ」

「お!、ま!、らーーー!

俺の、上で!、いつまでゴチャゴチャしてん

 

 

ダーーー!!?」『わーーー!!?』

 

 

茶色い毛の上で繰り広げられる茶番に痺れを切らしたモンスターが暴れ出せば、少女も赤い仔竜もカブトムシロボも星軍団もピンクのウサギもドリルな狼もみんなみんな吹っ飛ばされる。

 

「あーーー!、ったく!

ナンナンだーーー?、お前らはよーーー?」

「ハッ!、俺のことを知らねぇのか?

だったら教え」

「《ジャングルボーン》」

「って!

聞けゴラァ!《ラウディロッカァー!》」

〔シャウトモン危ナイ!〕

「ピックモンズ!、助太刀に行くゼ!」

『Yeeeeeah!!!』

 

大振りな骨とスタンドマイクのぶつかり合いを皮切りに始まったのは人外同士の大乱闘。

 

「・・・・・・・・・プハッ!!、ハッ、ハッ!」

「ララフィン!」「ララフィン先輩!」

「動ける?」

「う、うん!、もう平気!

だから早く静羽を!」

「キュッ!《スグナオール!》」

「うっ、うう・・・・・・

あ、ある、るちゃん・・・あるるちゃん!!」

「わわ!?」

「よかった!!、無事で!!、本当にッ」

 

このすぐ側で、残りの4人も無事回復出来た。

 

「あなた、キュートモンだったかしら?

助けてくれてありがとう」

「キュ!、元気になって良かったキュ!」

「それから、あなたも」

「?」

「この子が私達を治すのを許してくれて

ありがとうございます、ドルルモンさん」

「・・・・・・・・・チッ、サンなんざいらねーよ

!、シャウトモンあいつまた!」

『!?』

 

 

「《ジャングルヘッド!》」

「うあああああ!!!」

 

 

一方、大乱闘の方はというとジャングルモジャモンの頭突きをモロにくらって

地面を転がるのは赤い仔竜・・・シャウトモン。

 

「ぐ!、へへっ!、やるじゃねーか!」

「お前も何度言えばわかる!?

一々見映えなんぞ気にして無駄な動きをすれば

そうなるに決まっているだろうが!?」

「チッ♪、チッ♪、チィ♪

お前こそわかっちゃいねぇな、ドルルモン

 

 

こんなイカしたステージに立ってんのによぉ

見映え気にしねぇでどうすんだ?」

 

 

「「「「「ッッ!!?」」」」」

 

 

「ステージ?、ステージだと!?

馬鹿なこと言ってないで真面目に戦え!」

「俺は真面目さ、マジで言ってんだよ

見ろ!、このワケわかんねぇ状況!!!

オーディエンスはニンゲン達で!!

とんでもねぇ強敵が立ちはだかるッ!!!

デジモンキングが主役張るには、これ以上無いってくらいお誂え向けじゃねえか・・・!」

 

握ったままのスタンドマイクを杖にして、自称・デジモンキングが声を張り上げ立ち上がる

 

 

ステージのド真ん中で誰よりキラめく為に。

 

 

「ワケわかんねぇのはお前だ!!!

ったく!、おいニンゲン共!

とっととここから・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

「キュッ!?」

「おっと!、そっから先

オーディエンスは立ち入り禁止だぜ?

まぁ、安心して俺のステージを観ときなよ」

「オーディエンス?

 

 

違うよ   私は、私達は!!」

 

 

『〔な!?〕』

 

 

その野望が彼女達のハートに灯をつけた!。

 

 

「煌めく弾丸 翼に込めて

 

荒野に目指すは 自由の舞台!」

 

 

足元から0と1の粒子を噴き上げさせ

 

身に纏う制服を分解

 

ウェスタン調の衣装へと再構築

 

 

「スポットライトがゴールドラッシュ

 

両手につかんで」

 

 

「!"!、ンギャギャギャギャ!!??」

 

 

「ヒュ♪ヒュ♪ BIG DREAM!!!」

 

 

2丁拳銃・ヘブンメイカーを連射し

 

ジャングルモジャモンの顔面に全弾命中!

 

 

「ナ?!、ナン!、うおーー!!?」

「ずっと近くにあるものだから

気づかず見えなくなっていただけ・・・!」

〔フガ!?、凄イ力ダ!〕

「私のッ舞台ッはぁあー!

 

 

この胸!!」「おふ!?」「この奥!!

 

 

『好き』で貫けッッ Fly!! High!!」

「おおーーーぁぁぁーーー?!?」

 

 

直後、示し会わせていたかのように毛むくじゃらな足をスピア・ワイルドパンチが掬い上げ

 

 

口上通りにしてみせる!

 

 

「小さな憧れ しゃにむに追って!

この手に掴んだ・・・!

 

 

大!!!   舞!!!   台!!!」

 

 

「あばっ!!」

 

 

「ヒュゥッ☆☆☆!!!

なんて奴だ!、いつの間にあんな高く!?」

『アメイジング☆!、アメイジング☆!』

 

 

その頭上から軽やかな身のこなしとは裏腹な大槌・ワンミリオンスによる重い一撃が

 

 

急所にクリーンヒット!

 

 

「吠えろ音響 轟け照明

私がHERO! 大・変・身!!」

「『Yeeeeeah!!!、イカしてるゼー☆!』」

「え?、えへへへ♪

君達!!、応援ありがとう!!」

「『ヒュー☆!ヒュー☆!』」

「ぅしにのるな!《ジャングルパンチ!》」

 

 

地べたを這いつくばる自分の上で格好いいポーズを決める不届き者を排除すべく振るった拳

 

 

「傷つく孤独に 羽折れ堕つるも

ネオンが誘う 絆のSTAGE」

 

 

は、大鎌ユニコーンメイデンが描く

 

 

美しい曲線により   真っ二つ!!

 

 

「こんな、モンッッすぐ再生・・・・・・・・・

し、ない?、だとーー?!」

「【今】も【うつつ】も一夜の夢なら

舞台に刻まん 羽ばたく証を」

「ーーーーーー!《ジャングルボーン!》」

「お、おい!」「危ないッキュ!」

 

 

大振りな刃をゆっくりクルクルと回す

隙だらけな背中に迫る

 

 

「舞台はどうやってつくるかって?

 

 

A!」

 

 

骨棍棒を片手のダストデビルでいなし

 

 

「B!!    C!!   からぁ!!

 

 

一緒に、学ぼう!」

 

 

もう片方の斧を毛むくじゃらな手首に投擲!

 

 

「ぐぅん!? !" ぅ"ぁ"っ?」

「CASTにSTAFF 仲間はFAMILY♪

手と手を繋いで みんなで開演!」

 

すっぽ抜けたジャングルボーンが脳天を直撃し、仰向けにブッ倒れるジャングルモジャモンの前で5人は手を取り合った。

 

「お、れの、レイドプログラムが機能不全?

まさ、か、まさかお前らは!

 

 

舞台少女ッッッ!!?」

 

 

「そう!、私達は舞台少女!!

 

 

大月あるる!!」「叶美空!!」

 

 

「野々宮ララフィン!!」

 

 

「胡蝶静羽・・・!」「恵比寿つかさ!!

 

 

新風巻き起こして!

 

 

すすめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・?!!」」」」」

 

 

「お、お前らどうした!?」

〔フガ!?、急ニ戻ッタゾ!?〕

 

 

「く、ククク!、ガハハハハハハーー!!!

そりゃーー、そーーだろーーよーー!

ここはなーー、この輝きを奪う空間はなーー

 

 

俺達『黒の逢魔』がーー

 

 

舞台少女を狩る為の場所なんだよーー!!」

 

 

『〔!?〕』

 

 

突如粒子化し、消失していく衣装と武器。

再び舞台少女がただの少女となっていく姿を見て、半死半生なままジャングルモジャモンは勝ち誇る。

 

「その邪魔モン共がデジタルワールドに繋がる穴を空けたせいで焦っちまったがなーー

ほれ見ろ、もうすっかり塞がっちまった」

「な!!、何!?

それじゃあ俺達はどうやって戻れば!!?」

「そんなモンの心配はいらねーーよ!!

こんだけコケにしてくれた礼だ

デジタマに還してゲームの駒にしてやっから

 

 

この俺に大人しく消されなーー!!」

 

 

「野郎ッ!、そうはいくかってんだ!

バリスタモン!!」〔任セロ!!〕

 

 

咆哮と共に大きく開かれた口目掛け、仔竜とカブトムシロボが踊り出る。

 

 

「行くぜラスサビ!!!《ソウル!!!

 

 

クラッ!!シャァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」

 

 

己のスタンドマイクとバディのスピーカー

 

 

この2つによって極限にまで増幅された

 

 

喉を潰しかねない程のシャウトは

 

 

「!、やっぱり!」

「あるる?」

「あの子だ、シャウトモンだったんだ!

 

 

舞台を越えるぐらいにスッゴくおっきくて

 

 

アッツアツな『声』!!!」

 

 

舞台少女・大月あるるのハートを

 

 

                『侵略』

 

 

「ーー!?、バーー!!」

 

 

ジャングルモジャモンの体内に残っていた

 

 

ヘヴンメーカーのキラめく弾丸と共鳴し合い

 

 

レイドプログラムをクラッキング

 

 

「か!!ナーー!!??・・・ッ"」

 

 

「わ!」「え?」「何?」「ッ!?」「おお☆」

 

 

すると、毛むくじゃらな肉体【データ】から

レトロマイクに似た形状の機械が5つ飛び出し、舞台少女達の手元に収まった。

 

「だ、ー・・・ナイ・・・・・・・・・ん・・・」

「たまごに、なった?、しかも5個?」

「デジモンは削除されればデジタマに還る

そういう造りなんだよ」

「!、それならッ他の4つは!!」

「あの子達・・・なのね・・・・・・・・・」

「え?、ララフィン?、静羽ちゃん?」

「あるる、残念だけど

あなたが誘ったモンスターと舞台をやるのは

 

 

もう無理みたい」

 

 

「つ、つかさちゃ」

 

 

「まいったなー

 

出遅れた挙げ句に、出る幕無しとは」

 

 

『〔!〕』

 

幸運にも脅威を退けた少女とデジモン達の前に現れたのは

 

 

とんがり帽子の下からクマが酷い目元を晒し

 

 

ずんぐりとした体格をボロボロなローブで覆う

 

 

「だ、誰だお前!?」

「誰?、と訊かれれば

 

 

魔法使い、さ!」

 

 

気取った仕草で指を立てる自称・魔法使い。

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、シークフェルト音楽学院。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふーーーっ」

 

 

高級感溢れる調度品に囲まれた生徒会室。

その部屋の主たる生徒会長は執務を終えるとおもむろにスマホを取り出し

 

「む?」

 

そんな自分の行動に疑問を抱いた。

 

「(今、私は何をしようとした?

いや、それ以前に・・・・・・・・・)

 

『コレ』はなんだ?」

 

訝しむ彼女の視線の先にあったのは画面いっぱいに表示される

 

 

タマゴ。

 

 

「あ、晶、お疲れ様ー」

「ミチルか、丁度良かった」

「え?、何?、何かトラブル?」

「トラブル、という程でもないのだが・・・

私のスマホに妙なモノが映っていて・・・」

「妙なモノって

 

 

ああ、晶のもまだタマゴなんだ」

 

 

「ッッ!!?」

「ミチルのもまだタマゴなんだよね」

「み、ちる?」

 

 

生徒会副会長の発言に生徒会長は愕然とし

 

 

「クラスメイトの中には、もう成熟期になってる子もいるし

ミチル達もま」

 

 

「蒼玉の君【フラウ・ザフィーア】!!!

鳳ミチル!!!」

 

 

「!!」

「私達の舞台に

『コレ』は本当に必要な物なのか?」

「!・・・・・・・・・ーーーーーーッ

ごめん、晶、私」

 

何者かに奪われていた彼女の意思を即座に奪還した。

 

「いや、謝る必要はない

私も違和感に気づけたのはついさっきだからな」

「『コレ』って例の?

でも、だとしたらいくらなんでも範囲が広すぎるよ」

「ああ、ミチルのクラスメイトまでも対象になる訳が」

「私のクラスだけじゃない・・・」

「何?」

「このゲームアプリ

 

 

シークフェルト全体に広まってるんだよ

 

 

それも、生徒だけじゃなくて職員にも」

 

 

「!?」

「しかも、誰もかれも尋常じゃない熱狂っぷりでね

かなりの額を課金してる生徒まで居るらしいんだけど・・・ソレをさっきまでの私は『普通』だと思ってた」

「明らかに異常だな」

「うん」

「他の3人を集めろ

 

 

気高き君【エーデル】の名に賭けて

 

 

ことの真相を暴き出す」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、はい、すみません、本当にすみません

・・・・・・・・・・・・・・・・・・わ、わかりましたッ

このシークフェルト音楽学院のキラめきを

 

 

必ず奪ってみせます

 

 

 

 

      私達のステージの為に」

 

 

 

 

 

 







『侵略』と開拓

果たして両者に違いはありますか?


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NEW CONTRACTS!! エーデル、舞台に立つ!!

☆輝きの無い世界・プライバシーエリア『エメラルドの宮』

 

 

「まいったなー、客を招くだなんて私史上初めてで一体何から手をつけたらいいのやら」

『〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕』

「そう警戒することもないだろう?

ホラ!、採れたてフレッシュな缶コーヒーでも飲んで落ち着いておくれよ」

「か、缶コーヒーって採れるもんなんですか・・・?」

「このサーバーでは採れるモン、さ!

後、もっと気楽に話しておくれ

その方が私も不慣れな舌を回し安い」

 

テーブルに置かれた黒と白のマーブル模様な缶をマジマジ見つめる美空に自称・魔法使い・・・ウィザーモンは指を差す。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(開設されたのはレイド帝国が現れる以前

しかも移転前は奴が特に捜索に力を入れていた神界の狭間だというのに、これ程肥沃なサーバーを見つけられなかっただと?

さっき、ニンゲン達に施した『光』のエレメントによる情報共用といい

明らかに通常のウィザーモンとは違う

 

 

 

一体、こいつは何モンなんだ・・・?)」

 

 

 

「キュウーー・・・・・・・・・」

 

そんな胡散臭いデジモンにキュートモンを頭に乗せたまま厳しい目を向けるドルルモン。

 

「さてさて、と!

私達デジモンやデジタルワールドで何が起きたのか、それについてはもう

えーっと、シャウトモン・・・だったかな?

この子達と同じぐらいにはわかったよね?

なので、これから先は口頭で説明するよ」

「ああ!、聴かせて貰おうじゃねぇか!

俺達が微笑みの里に帰れねぇ理由をよぉ!」

〔フガッ、リリモンヤジジモン達・・・

キット心配シテル・・・〕

「まぁまぁ、だから落ち着いて欲しいって何度も言っているだろう?

ちゃんと順番に話すから、さ!」

「ええ、そうしてくれると私達も助かるわ」

「さっきのピカッ!は格好良かったし、便利なのはわかるんだけど・・・

何か頭の中、勝手にグシャグシャ!ってされる感じがしたもんね・・・」

「あ、ララフィンもそう思った?

実は私も」

 

 

 

「デジタルワールドを救ったニンゲンのキラめきとソウルを狙い神々や聖騎士の目を掻い潜って人間界に忍び込んだ悪のデジモン軍団『黒の逢魔』!

そして!ここは!奴らが狩場として電脳と現実の狭間に造り出した輝きの無い世界!

本来ならデジタルワールドに繋がることは決して無いので微笑みの里とやらに帰るには『黒の逢魔』を何とかするしかなぁい!!!」

 

 

 

『ホワッツ?、ホワッツ?』

「そんなに慌ててどうしたんだーい?」

「べべべつにあわててるわけじゃない、さ!

とにかく!!、本当に君達は運が良いよ

奴らにとって舞台少女こそ最も狩るべ」

「よく、ないよッッ」

「?」

「あるる・・・・・・・・・」

「全然よくない!、だって、だって・・・!

私、わたし、あの子達を助けられなかった!

舞台に、さそったのにッ、いっしょにやりたいっていったのに・・・!」

 

涙に濡れた視線の先には5つのデジタマと例のレトロマイクに似た機械が並べられていた。

 

「ふむっ・・・

 

 

(まいったなー・・・

こんなんじゃ救世主役なんてとても頼め )

 

 

ってぇ!?なんだぁ!?」『〔!!?〕』

 

 

突然、ウィザーモンがすっとんきょうな声を上げるのと同時に戸棚の上で埃をかぶっていた

 

 

 

大1つ、少4つに割られた石が

 

 

エメラルドの屋根をブチ破って何処かに飛んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

この出来事から時間は少々遡る・・・・・・・・・。

 

 

 

「って、ワケなんだけど

生徒会として私達はどう行動すべきか

皆の意見を聞かせて欲しいんだ」

「そーですねー、一時的とはいえ晶さんすらも惑わすゲームとか明らかに普通じゃありませんし

私達が注意した所でどれだけ効果があることやら・・・」

「な!!、やちよ!!

エーデルともあろう者がそんな弱気でどうするのですか!!?」

「せ、先輩落ち着いて下さい!」

「うんうん、メイファンは今日も元気だねー

でも、やちよの言う通り

普通のやり方じゃこのゲームを辞めさせるのは不可能だったんだよね」

「ああ、私が直接言ったが

まるで聞く耳は持たれなかったからな・・・」

「な!!、なんですって!!?

どこの誰ですか!?、今度は私が」

「はいはーい、だから落ち着きなってばー」

 

 

生徒会役員が一同に介したシークフェルト音楽学院生徒会室は混迷と化していた。

 

 

「つまり、私達は普通じゃないやり方をするしかないんですよね?

例えば、そう

 

 

あえてこのゲームをやってみる、とか?」

 

 

「フッ、流石だなやちよ」

「え?、ええ!?

で、でも!、そうしたら私達また」

「あれ?、栞は自信ないの?

それなら、別に無理にとは言わないけど?」

「ッ」

「そんなことはありません!!

栞もまたエーデルの一員!、翡翠の君【フラウ・ヤーデ】に他ならないのですから!

そうでしょう!?、栞!!」

「は、はい!、勿論お供します!」

「決まりだね♪、じゃあまずは

 

 

あ、れ?」「「「「ッ!!?」」」」

 

 

5人の少女が各々のスマホを取り出せば

その画面が勝手に動き出し

 

 

 

〔「

 

 

世の中

 

 

 

F〇〇kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」」」〕

 

 

 

耳を塞ぎたくなるような騒音が発せられ、目の前に広がる世界が一変。

 

 

「こ、これはッ!、全員無事か!?」

「はい!、晶さん!

栞もミチルさんも怪我一つありません!!」

「ちょーーっとメイファーーン?」

「や、やちよ先輩もご無事で何よりです!」

「グスッ、栞だけよ~・・・

あたしの心配をしてくれるのは~・・・・・・・・・

 

 

な~んて、やってる場合じゃなさそうですねー

『コレ』は」

 

 

真っ黒な異形の骨で形造られ

 

 

血のような流体が其処ら中に張り巡らされ

 

 

壁の所々に大きな 目玉 が不気味に蠢く

 

 

【異世界】へと変貌した生徒会室の中

 

 

ふざけた態度とは裏腹な鋭い眼光を燃やす。

 

 

「あ、あれ?、やちよ、様??」

「!、貴女ウチの生徒?

どうしてここに?」

 

そんな彼女の前にシークフェルトの女生徒が現れた。

 

「どうしてって、だってここは・・・あ」

「?」

 

女生徒は生徒会役員との会話の最中にも関わらず、ポケットからスマホを取り出し

食い入るように画面を見つめ、指でなぞると

 

 

 

「       きゃはっ       」

 

 

 

嗤う。

 

 

「ふくっ、くく!!、そっ・・・かぁ

そっかぁ!!!そっかそっか!!!!

そうよね、私、ガンバったモンねー

だから【特典】もらってもイイ!ね♪!」

「え、えーーーっと・・・・・・・・・」

「や、やちよッ

あなた彼女に何をしたんですか!?」

「何もしてないって!!、何か急に」

 

 

 

「リロード   フェレスモン」

 

 

 

「「「「「ッッ!!?」」」」」

 

 

 

「フェレスモン《ブラックスタチュー》

 

ターゲットは

 

もっっっちろんあきらさまぁあーあ!!!」

「キキキ!」

 

 

 

女生徒が構えるスマホ

 

その画面から飛び出したのは   悪魔。

 

 

 

「ーーーーーー!!、させませんよ!!!」

「!?、メイファン!!?」

「やーだぁ、とおとーい

メイファンさまってばほんと情熱て♪

き♪キキキキキ!キ!キキキィイ!♪!!」

「ひっ!!」

「栞ッッ!!、呆けない!!

晶!!、メイファンの怪我は!?」

「けが、ならば、どれだけッッ」

「晶さん離れて

 

 

 

この手の【呪い】は移る可能性があります」

 

 

 

怪光線から生徒会長を庇った役員の

 

肘から下は黒く石化しており

 

ソレは 徐々に 広がっている。

 

 

 

「やちよ、後のことは頼みましたよ」

「ぇ」

「みんな走って!!!、早く!!!」

 

自分はもう助からないと悟った彼女が悪魔に体当たりを仕掛けた。

 

「キキキ♪、フェレスモンジャーンプ♪♪」 

「な!?」

「ジャンプじゃなくてフライングだっけ?

ま、どっちでもいっか

もっかい《ブラックスタチュー♪♪♪》」

「キキキ!」

 

決死の一撃は容易に飛び越えられ

再び放たれた怪光線が生徒会長

 

 

以外の3人の足に直撃。

 

 

「「くっ!」」「うご、けない!?」

「やちよ!!、栞!!、ミチルぅううう!!

何故だ!?、お前の狙いは私だろう!?」

「だぁーてぇんあきらさまを石にするんならー

キレイにゲージュツ的にするのがレーギィイ

 

 

ギ   ギギギキキキギィイ♪~!♪」」

 

 

「!!、ーーーーーー・・・・・・・・・」

 

 

悪魔と共に狂笑を上げる女生徒は完全に正気を失っており、自分の言葉は届かない。

 

 

 

 

(だから、諦めろと?

 

 

そんな   そんなこと   )」

 

 

 

「ッ、あきらぁあああ!!!」

「「《ブラックスタチュうー♪♪♪》」」

 

 

「絶対に許さん」

 

 

『!?』

 

 

故に少女は、真正面から迫る石化光線へと

 

自ら飛び込んだ。

 

 

「ぐ!!、ぐあああ"ああ"ーーー・・・!!!

 

 

(何人、たりとも!、奪わせない!

 

 

私の   わたし、たちのッッ)

 

 

 

シークフェルトのエリュシオンをーー!!」

 

 

 

「キ、き、ぁ?、ああっ!」「キキ!?」

 

 

体の大半が黒い石へと変わり果てながらも

 

 

その高貴なキラめきと魂【ソウル】に翳りなく

 

 

輝きなき世界に白金の0と1の粒子となって迸り

 

 

 

かつて虹色だった鉱石の欠片を引き寄せる!。

 

 

 

〔「嗚呼、やはり、貴女こそがワタシの」〕

「!?」

 

 

 

すると、欠片を取り込んだスマホの画面からやけに落ち着いた声が聞こえてきた。

 

〔「ならば、今一度

貴女様の、ワタシの王の御名をお聞かせ下さい

その時こそ、この翼、貴女様に捧げます」〕

「・・・・・・・・・どこの誰かは知らんが

 

 

聞きたいのならば存分に聴かせてやろう」

 

 

その持ち主に応えてやれば

シークフェルトの制服は一瞬にして分解。

 

 

「命の炎は一瞬なれど

 

煌めき絶えぬは真白の白金【プラチナ】」

 

 

高圧的な口上が異世界【舞台】を席巻する中で

 

全身から吹き上がる銀色をした0と1の粒子が

 

白いジャケットと軍服風な衣装へと変換

 

 

「人の舞台は一瞬なれど

 

永遠に継がるは王者の舞台 ・・・

 

 

白金の君 雪代晶!」

 

 

少女、否

舞台少女・雪代晶の恵まれた長躯を包んだ。

 

 

「神なき舞台に王者の光を!」

「はい、しかとこの目で拝見しますとも」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、誰だお前は?」

「嗚呼、これは失礼

ワタシはファルコモン

端末の中、画面越しにて

貴女様のソウル、そしてその神々しいキラめきを糧に産まれたモンでございます」

「何?」

「さて、つもる話は後程

今はあの不埒モンを排除すべきでしょう《ファルコラッシュ》」

「!、ああ、そうだな・・・!」

「ッキ?!」

 

謎の鳥・・・ファルコモンは綺麗な一礼をした後

凄まじい脚力で悪魔・・・フェレスモンへと接近。

すると、晶もまた健脚を発揮し

手にした白金のランス・プラティーンランツェを先行した猛禽類の爪より早く鋭く突き立ててみせる。

 

「さ

 

 

流石です!!!!! 晶さん!!!!!」

 

 

この光景に最初に石化させられた役員の熱意

 

 

 

点火!!!!!。

 

 

 

〔「      クカカ      」

 

 

 

「万里を越えし覇王の風に

 

巡り見つけた己の舞台

 

胸に秘めたる龍の紅玉 命を捧ぐは

 

貴き白金【プラチナ】!!

 

 

 

紅玉の君 リュウ・メイファン!

 

 

燃烧吧激情烈焔!!! 王道荡荡!!!」

 

 

 

晶のモノよりも小さい欠片をスマホに取り込み

 

レヴュー衣装を纏って

 

蛇矛・ルビーンヘッレバルデを雄々しく構える

 

 

 

舞台少女・リュウ・メイファン

 

 

 

の、頭の上では薬莢を巻き付けた細長い白狐が偉そうにふんぞり返っていた。

 

「私も負けていられません!!、ハァ!!」

「キキ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

白金の君と並び悪魔へと斬りかかる紅玉の君。

 

 

「ねぇ、ミチルの所にも居るんでしょ?

モンスターさん」

〔「ヒヒン!!?

ど、どうしてバレたんでっしゅー!?」〕

「あ♪、やっぱり居た♪

 

 

それじゃあ」

 

 

己の予想を越えて繰り広げられる舞台を前に

副会長は自身のスマホに愛らしく微笑みかけ

 

 

「煌めくゆえに陰りを知らず

 

無垢なるゆえに痛みを知らず 」

 

 

〔「ヒ、ヒン?」〕

 

 

「ならば照らさん蒼き灯火

 

玉座の白金【プラチナ】 王者の舞台をッ」

 

 

〔「ヒンっ!?」

 

 

 

「蒼玉の君 鳳ミチル

 

わが宿命は 王と共に

 

 

 

・・・・・・・・・うん♪、バッチリ♪」

「ヒンーーーーーーっっっ!!!

弾き飛ばされたでっしゅーーー!??」

 

全身全霊をかけて欠片を引き寄せ

舞台少女・鳳ミチルとして晶の隣に降り立った。

 

「よっと!」

「キキキ!」

「遅かったな、ミチル」

「ごめんごめん♪」

「ヒンーーーっ、ヒンーーーっ」

「み、ミチルさん!?

なんですか!?、あの緑色の芋虫は!!?」

「えー、メイファンがソレ言っちゃうの?」

 

小柄な体と同程度の大剣・ザフィーアベシュトラフングを全身を使って振り回せば、フェレスモンも血のような色合いの三股槍で応戦。

 

「(この流)」

「やい、鶴

いつまで棒立ちしてっヒョ、ヒョへ名乗れ」

「・・・・・・・・・そういうパターンもありなワケ?」

 

その横では、チョンマゲ頭で刀を背負ったヒヨコが役員のスマホを横取りして欠片を突っ込んでいた。

 

「というか、その喋りか」

「ヒョヒョっと名乗らんとワッチッチとヒョんしはこれまでヒョ」

 

はぁーーーっ、ふぅ

 

 

千代に八千代に独演かさね

 

磨き上げたる孤独の真珠・・・・・・・・・

 

舞台の境界

 

芝居の彼岸

 

 

そこで光るは真実の白金【プラチナ】」

 

 

急かされながらも

彼女の口上に焦りは見られない。

 

 

 

「真珠の君 鶴姫やちよ

 

この世は舞台 王すらも役者、ですよ?」

 

 

 

【普段通りの舞台少女・鶴姫やちよ】を

 

 

 

演じるだけだ。

 

「《唐竹割り!》ヒョストォオオオ!!」

「キ、キキーーー?!」

「あれ~?、ヒヨコさ~ん

今のちゃんと聴いてました~?」

「聴いていた、ヒョんで、見た

ワッチッチの刀よりヒョんしの矢が早いヒョコ」

 

奇声と共に振り下ろされた刀を隠れ簑に

ボウガン・ペルレンプファイルの矢が射抜いたのは、フェレスモンの両目。

 

「やちよナイス♪

これならさっきのビームももう怖くないよ」

「油断するな、このまま一気に畳みかける」

「はい!!!」

 

 

「先輩達・・・・・・・・・やっぱり、すごいッ」

〔「君はどうしたいヨン?」〕

「!」

〔「ブーン・・・ボクチャン的には危ないことして欲しくない、けど

君が望むならいくらでも力になるヨン」〕

「私の、力に?、本当ですか?」

〔「勿論だヨン!、ハニー!」〕

「え"っ、えぇ~!?、は、はにぃ??」

〔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメ、かな?」〕

「い、いえ、ダメというワケで

 

 

・・・・・・・・・

 

 

ダメじゃないよ」〔「ほんとに!!?」〕

 

 

「うん!」〔「ブブーーン♪♪♪」〕

 

 

そして、最後の1人は・・・・・・・・・

 

 

「守り包まるつぼみを開きて

 

導かれたる白金【プラチナ】の道

 

涙に濡れたる想い文

 

秘めて歩み出したる翡翠の夢路・・・

 

 

 

翡翠の君 夢大路栞

 

 

共に征きます 王の頂!」

 

 

 

「ブブーン♪、カワ格好いいよぉハニー!」

 

舞台少女・夢大路栞はスマホの中に密んでいた蜜蜂と心を通わせることで、小さな欠片を自分達の元へ誘った。

 

「《ギアスティンガー!》」

「キ?キキ?」

「お待たせしました・・・!」

「栞!!」

「これでエーデルが勢揃い

それでも、まだやるんですかー?」

「うっ、うう!!、ぅぁああああ!!!」

「!、待ってやちよ

あの子、様子がおかしい」

「わ、たし、なんで、こんなこと・・・?」

 

気高き君5人の崇高なキラめきを目の当たりにしたシークフェルトの女生徒の瞳に理性の光が

 

 

「《デーモンズシャウト》」

「!!、がぁきキァアアあああ!!?ッ!」

 

 

「ヒンっ!?」

『ーーーーーー!!?』

「あいつ!、自分のパートナーに!?」

「何と不埒なッ」

「・・・・・・・・・クカカ!」

「ヒョん?」

 

 

戻る寸前、フェレスモンの技が炸裂。

 

 

「キ!!き!!き!!!わ!た!し!のぉおオおおおお!!!!きキききキきききキキキィキききッッキィキ!!!!!!」

 

 

呪いのこもった叫びにより狂わされた彼女は

 

 

白目を剥きながら仰け反り

 

 

粘り気のある暗い色合いの0と1の粒子を

 

 

足元から大量に零れていく。

 

 

「こ、これはッ!! 暗黒のソウル!!?」

 

 

「クカ?、・・・・・・・・・・・・・・・・・・クカカ!!」

「だ、誰ですか!?」

 

そのタイミングで保管していた鉱石の欠片を追ってきたウィザーモンが漸く到着。

 

「私のことなどどうでもいいだろう!!?

早くここから離れろ!!

アレは貴君らの手に負う相手じゃない!!」

「何だと?」

「いきなり出てきて何という言い草!?」

「晶、メイファン2人共抑えて」

「そっちの・・・魔法使い、さん?も

まずは説明を」

「説明などしてる暇は無いわ!!」

『うわ!!』

「ーーーーーーッ

 

 

ニンゲンはその醜さ故に自ら滅びの道を選ぶ

 

 

あの言葉は コレのことだったのか!?

 

 

 

友よ!!!」

 

 

 

「「ウギギききぅキキキィキ!!!!!」」

 

 

『風』のエレメントによる突風でエーデル達を吹っ飛ばした自称・魔法使いはとんがり帽子を目深く被り直すと

 

「ならば!!、私が必ず止めてみせる!!

《サンダークラウドぉおーーー!!!》」

「「ウギ?」」

「!、効いてな」

「「キ♪キィー♪ー」」

「ゴァあ"っ」

 

肥大化していく悪魔目掛けて構えた杖から『雷』のエレメントを全力で放出するのだが

 

体皮の上を滑るばかりでまるで通じない。

 

「んキキ♪」ぎききィ♪!♪」」

「あぐ!!、ゴァ!!」

 

結果、見上げる程に膨れ上がった体躯に押し潰され、弄ばれるだけに終わったウィザーモン

 

 

「《ロックダマシー!》」

「《ホーンブレイカー!》」

『「《メテオスコーーール!》」』

 

 

を救ったのは

シャウトモン、バリスタモン、スターモンズ。

 

「ウィザーモン!!」

「うわぁあああ!?、何ここーー!?」

「黒い骨の、ダンジョンッ?」

「!、き、きみ、たち、までどうして!?」

「どうしてって・・・・・・・・・

あなたこそ、急に血相変えて家を出たかと思ったら」

「そんなボロボロになってッ

あのデジモンも『黒の逢魔』なの?」

「説明は、ぐっ!、後だ

いいから早く逃げろ!!、にげてくれ!!」

 

更には、あるる達5人まで現れたので

ウィザーモンは深手を負った状態にも関わらず声を張り上げる。

 

「「ウキウキうキ♪ぎきィキキキキ!!」

 

 

 

た      す!   け     ェ」

 

 

 

直後、フェレスモンの隣に立つ女生徒が

暗黒のソウルを垂れ流しながら

 

 

 

やつれた顔で 掠れた声で 助けを求めだした。

 

 

 

「!!」

「あるる!?、何やってんの!?」

「だってッ、あの子をあのままにしたら!!

またあんなことになっちゃう!!」

「だからってあんたに何が出来るの!?

ここだとあたし達舞台少女は戦えないって

さっき教わったばっかりじゃない!」

「でも!、さっきは戦えた

ううん違うッ、私達はこの舞台に立てた!」

「あ、あれは偶々シャウトモンが」

「シャウトモンが来てくれたのは偶々じゃない!!」

「!?」

「あのデジモンに食べられそうになった時

 

 

声が聞こえたの

 

 

だから私も声を出せた!!!、それで!」

「それであの子達がここに来たんなら

シャウトモン達が家に帰れなくて困ってるのはあんたのせいってことになるんじゃないの?」

「!!」

「ーーーーーー・・・・・・・・・ッッ」

 

自分の言葉に踏み出そうとした足を止める幼馴染みの姿に胸を痛める美空だが

 

 

 

ここで情けをかければ取り返しがつかない。

 

 

 

だからこそ、厳しくいさめようとすれば

 

「おーっとぉー!、そいつは違うぜぇー!

《ラウディロッカァー!!》」

「「?!キ♪」」

「え」

「シャウ、ト、モン・・・・・・・・・?」

 

ド派手なマイクパフォーマンスと共に放たれた熱い叫びにより遮られた。

 

「ミソラっつったか?

俺がこの世界に来ちまったのがそこのアルルのせいってのはお門違いもイイとこだ」

「で、でも」

「デモもストもねーんだよ!

俺が自分のハートで決めたんだ!

 

 

世界を、舞台を越えて声を届けた奴を

 

 

ぜってぇー助ける!!! ってんなぁ?!」

 

 

「「シャウトモン!?」」

〔フンガァーーー!!〕

 

あっけなく返り討ちにされるシャウトモンをフォローすべくフェレスモンへと突っ込むバリスタモン。

 

「いっつつ!、悪ぃなッ、相棒」

〔フガッ、イツモノ事、ダ

ソレヨリ続ケテヤレ、シャウトモン

ソノ間ハ俺ト〕

「スターモンズが引き受けた、Ze☆!

《メテオスコーーール☆☆!!》』」

 

すると、すかさずスターモンズも参戦

郡団デジモンとしての小回りを最大限に生かし相手の注意をそらす。

 

「その為にあいつらやドルルモン、キュートモンまで巻き込んじまった

けどよ、俺はアルルやお前らを助けに来たことをこれっぽっちも後悔なんざしちゃいねーのさ」

「ど、どうして?」

「帰れねーって言われてる方が帰った時に燃えるだろ!」

「・・・・・・・・・は?」」

「それによぉー!、2つの世界で暗躍する軍団をぶっ倒したとかデジモンキングになった時ハクがつくってモンじゃねえか!」

「で、でも!

ソレであなたが消えちゃったら!」

 

 

 

「命一つ賭けらんねー程!!!

 

俺の夢は小さかねぇーんだよ!!!」

 

 

 

「「!!」」

「へっ、安心しな

勿論、簡単に消えるつもりはねー

それにデジモンってのはな、デジタマになって

新しく生まれ変われんだ

 

 

だから、よ」「あぷ!?!」「あるる!?」

 

 

「そん時、お前らとあいつらが

 

 

デジタルワールドで始めての舞台が出来る!

 

 

そんな国を俺が造ってやっからよぉー!!

 

 

いつまでもシケた面すんな、アルル!!」

 

 

「・・・・・・・・・

 

 

うん♪   ありがとう、シャウトモン!」

 

 

黒い指先により乱暴にもみくちゃにされた顔に

 

 

大月あるるに やっといつもの笑顔が戻った

 

 

次の瞬間

 

 

「な!?、なんだ!?」「キュキュウ!?」

 

 

ウィザーモンの家から例のレトロマイクに似た形状の機械が真っ赤な炎のような色合いに染まりながら飛び出し

 

 

 

「「うわ!!」」

 

 

 

1人と1体の間に登場。

 

 

 

〔ARURU X SHOUTMON

 

CONTRACT!!〕

 

 

 

ソレ・・・クロスローダーの画面に文字が浮かび

 

0と1の粒子が放出すれば

 

あるるの姿が制服からレヴュー衣装へと変化

 

輝きの無い世界に金のキラめきが蘇った。

 

「今のって、まさか」

「ニンゲンとデジモンの契約って奴、か?

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ーーーーーー!!!!!

 

 

くぅうーー!!、燃えてきたぜぇーー!!」

「私も!!、すっごくアッツアツーー!!」

 

 

歓喜の叫びが《ソウルクラッシャー》と化し

 

ヘヴンメーカーが火を吹けば

 

 

「何を勝手に盛り上がっている

 

大月あるる」「!?、晶ちゃん!」「!!」

 

 

白金の王が4人の騎士を伴い、帰還。

 

 

「雪代さん達までどうしてここに!?」

「どうしてと言われましても

ここはシークフェルトなのですから!

私達エーデルが居るのは当然でしょう?」

「シークフェルト?、ここが?」

「はい、そうなんです・・・」

「あー!!、メイファン達変身してるー!?

あるるもそうだけど、どうして!?

教えて!、ウィザーモン!」

「・・・・・・・・・アルルについてはわからないが

恐らく、彼女達は私が持っていた神機の欠片を使ってデジモンと契約したから、だと、思う

 

 

って!!、そんなことはどうでもいい!!

 

 

全員逃げろ!!!

アレは!、暗黒のソウルは!、貴ッ・・・

きみ!、達の!、手に負えるモンじゃない!

 

 

かつて、デジタルワールドを救った救世主達

 

 

それすら全滅寸前に追いやられた破滅の力!

 

 

マトモにぶつかればタダじゃ済まないッッ」

 

 

ウィザーモンはメモリ深くまで刻み込まれた【あの出来事】を思い出し、震えながら舞台少女達に訴える。

 

「そう言われましてもねー・・・

エーデルがシークフェルトの生徒を見捨てて

無様に背中を見せる、なーんて」

「決して許されることじゃない

大体、あなただけで何が出来るの?

ミチル達を問答無用で吹き飛ばしたのに

結局あるるちゃん達に助けられたあなたに」

「ッッ」

「『救世主』というのがどういった者かは知りませんが!!

私達がソレよりも劣っているとなどと容易く決めつけないで下さい!!」

「し、しかし!」

「行くぞ、これ以上遅れを取るな」

「わかりました!」

「ま!、・・・・・・・・・ーーーーーーくっ!!」

 

 

だが、どれだけ必死に声を張り上げても

 

誰1人として歩みを止めない、止められない。

 

 

「まずはあの悪魔を倒すぞ

お前達も異存はないな?」

「うん!」

「お、おう!!」

「承知しました、王よ」

「キキ!、キィ"ーーー!!」

「あらあら~

思ったより深く刺さっちゃいましたか~?」

「・・・・・・・・・いえ、恐らくだけど

あのデジモンは鶴姫さんのキラめきに触れることが出来ないんだと思う」

「へぇー、アレってデジモンっていうんだ?」

「あの悪魔だけじゃなくて鳳さんの

足元で泣いてる、い、芋虫、もデジモン、なんだけど・・・」

「ヒンーーーっ、戻して欲しーでっしゅー!」

「詳しい理屈はよくわかりませんが!!

今が好機には違いありません!!」

「カカ」

「はい!!」

「ブブーーン!!」

「き"キィイー!イ」

「っキ!き・・・ぃ・・・っ・・・・・・・・・」

 

両目に矢が突き刺したまま暴れる悪魔の体にデジモン達の必殺技

弾丸や矢、斬撃や刺突が次々とヒット

 

 

 

「「

 

  《 デーモ ンズシャ !  ウト 》

 

                   」」

 

 

『ー~ー!ー"~ーッッ!!??』

 

 

 

するも、反撃として放たれた呪詛の叫びにより

 

少女達もデジモン達も膠着状態に陥った

 

 

 

「へへっ!!

お前も中々の声持ってんじゃねぇー・・・・・・」

 

 

 

ただ1体を除いて。

 

 

 

「かァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」

「ーーッ」

 

 

〔!、シャウトモン!!〕「あるる!!」

 

 

 

負けじと声を張り上げ真正面から突っ込むシャウトモンに歯を食い縛りながらついていくあるる。

 

 

 

〔「ーーーーーー!!!」〕

 

 

 

この2つのキラめきを目にした瞬間

 

叶美空/バリスタモンのハートに宿ったのは

 

 

 

前から引っ張る/後ろから支えるのは

 

 

 

自分だけだという   ワガママ。

 

 

「キュッ?!」「またか!?」

 

 

1人と1体のカタチは違えど重さと性質は同じソウルが交錯した時、2つ目のクロスローダーが外装を青い装甲へと変化させながら飛んできて・・・

 

 

 

〔MISORA KANO X BALLISTAMON

 

CONTRACT!!〕

 

 

 

新たな契約が交わされた

 

 

 

瞬間

 

 

 

〔ナ!?〕「体が!?」「「え!!?」」

 

 

 

舞台少女のパートナーとなった2体の体が

 

0と1の粒子と化し 再構築【RE LIVE】。

 

 

 

〔「シャウトモン!! X2!!」〕

 

 

 

あるると美空の前に堂々参上したのは

 

 

バリスタモンの装甲を纏ったシャウトモン。

 

 

 

「「「

 

 

 

 

かっこいいいぃいいい!☆!☆!☆!」」」

 

 

 

『ええぇぇぇーーー・・・・・・・・・』

「か、かっこいいと言うより・・・

かわいい、じゃないんでしょうか・・・?」

 

その姿にあるるとララフィンとメイファンは目を輝かせるが、他の反応は微妙。

 

「うギギきィーーーいーーー!ッ!"」

「おおーっと!、あらよっと!」

「!、あの体格差を物ともしない!?

 

 

見た目はあんななのにッ?」

 

 

「合体したことで

シャウトモンのスピードとテクニックに

バリスタモンのパワーと防御力が合わさって

パワーアップしたのね!

 

 

見た目は、その、ちょっとアレだけど・・・」

 

 

「鳳さんも静羽も言い過ぎ

って!、それより!、バリスタモンは大丈夫!?」

「あ・・・そうだよ!

ガジモン達みたいに飲み込まれてない!?」

〔フガッ問題無イ

シャウトモン、コノママ一気ニ決メルゾッ〕

「OK!」「あるる!」「うん!」

「ィきギキきいー"ー!ーー!」

 

暗黒のソウルを貪るフェレスモンを相手にシャウトモンX2がパートナーと一緒に大立ち回りを演じる。

 

 

「きっ

 

 

ア"ぎ

 

 

 

 

さァま・・・!・・・あ!!ェッ!ぃぃ

 

 

オおおオ""おおゥんんンン」

 

 

「!!」

「王よ、見えましたか?

 

 

貴女様が行くべき覇道が」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

肥大化する悪魔が追い詰められるにつれ

 

発狂していたシークフェルトの女生徒が

 

白金の君を、エリュシオンを求めだせば

 

 

 

「〔《ホーンブレイカーDX!!!!》〕」

 

 

 

シャウトモンX2が力強く熱い叫びを上げて

 

ヘヴンメイカーの銃火を纏い

 

ワイルドバンチと追随しながら

 

腹部から伸びる角を構えて強行突入

 

 

 

「御無礼ッ 《スクラッチスマッシュ!》」

 

 

「おおおおおおおぉぉぉーーー!!!」

 

 

 

直後、フロンティアが拓いた突破口目掛け

 

猛禽類に背中を押されたシークフェルトの王の

 

銀の槍が王者の舞台の中心に突き刺さった。

 

 

 

「ポジション・ゼロ・・・!」

 

 

「「ァ"」

 

 

あっ!

 

 

えェ、デル!フォン!!

 

 

 

しぃいいいくふぇるトォオオオー!!!」

 

 

 

待望の光景を目の当たりにした

 

シークフェルトの女生徒は歓喜し

 

 

 

フェレスモン と、共に     爆散。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

!"!!??"?』

 

 

 

コレには、舞台少女もデジモンも揃いも揃って顔面蒼白。

 

 

 

『〔ォオオオオオォォオ・・・・・・ッ〕」!!!

 

 

 

「成る程、そういう事だったのグエッ!?」

「どういう事だ!?、答えろ!!、魔法使い!!」

 

宿主を失った暗黒のソウルが迷宮に取り込まれていく様を観察していたウィザーモンの胸ぐらを晶が引っ掴む。

 

「つ、つまり!、さっきのニンゲンは!

き、きみたちやアルル達と違って現実の肉体ごとこの空間に来ておらず

ソウルそのものの状態だったんだ!!

だから、その、心配はいらない

・・・・・・・・・多分、おそらく、きっと」

「つまり、彼女は例のゲームのせいであんなことになったんだね」

「ゲーム??」

「シークフェルトの生徒や職員の間で流行ってるあっやしーソーシャルゲームですよー

私達もいつの間にやらダウンロードしてて」

「ヒョっからワッチッチらが産まれたヒョ」

「ブブーン♪♪

画面越しでもハニーは可愛いかったけど!

やっぱり実際のハニーはもっともーっと可愛いヨーン♪♪」

「あ、ありがとう・・・えっと・・・」

「ボクチン、ファンビーモンだヨン!」

「ちな」

「ヒョコモンヒョ」

「はいは~い、わかりましたよー

ヒヨコさん♪」

「ヒョッ!?」

 

 

栞にじゃれつくファンビーモン

 

やちよにからかわれるヒョコモン

 

 

「ヒンーーーっ、もどれないでっしゅー!」

 

 

ミチルのスマホに頭から突っ込む緑の芋虫

 

 

そして

 

 

「・・・・・・・・・」

「ん?」

 

 

管狐は

 

 

 

「ガブッッ」

 

 

 

メイファンの指先に牙を立てるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やちよ!!!、見て下さい!!!」

「グガッ!?」

「え、あ、うん・・・見えてるよー??」

「この子ったら私の指を噛んでます!!

甘噛みです!!、こそばゆいです!!」

「グガガガガァーーー!!!」

「め、メイファンほんとにだいじょぶ・・・?

ソレ、どう見ても本」

「ハッ!!、今気付きましたが

 

 

何と美しく!!、触り心地が良い毛並み!!

 

 

最ッ高です!!!」

 

 

「グァガァ~ー~ー~ー!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「はぁてさぁて

これはぁこれはぁ

面白いことになってきましたなぁ」


とある高層ビル


その社長室にて老人は他の面々に語りかける


「ズルルル!、んぐ!・・・・・・・・・そうだな」


カップラーメンを貪るフルフェイスのライダー


〔「あ、あんなに活躍するなんてッ
う、うらやましいーッ」〕
「フワァ~・・・ムニャムニャ・・・ァ・・・・・・」


喋るカラフルなバッグとぐっすり眠るコアラ


「フフフッ!、やっぱり若いっていいわねー

お姉さん、興奮しちゃった」


長い黒髪を無造作に垂らすジャージ姿の美女


「しかし、お膳立てがあった前回とは違い

今回の舞台を彼女らが成し遂げられるとは

俺には到底思えんのだが・・・」


フードで顔を隠す大柄な男


「それでもお前は静観しろと言うのか?」

「だって

その方が面白いモンが観れるだろ?」


そして、天使のような美少年


「でも、少しばかり『脚色』は必要みたいだ

今代の

僕らの玩具【舞台少女】には、ね」


無邪気な微笑みを浮かべる彼の手の中では

薄墨色をした懐中時計が


『神機』が 鈍いキラめきを放っていた。







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攻略! ダンジョン・オブ・シークフェルト

 

 

 

 

 

 

〔「

 

 

世の中

 

 

F〇〇kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」」」〕

 

 

 

 

凄まじいダミ声に乗って放たれる口汚い歌詞。

 

ソレを皮切りに斧のような形状のギターとベースが

 

そして、過剰にボルトが打ち込まれたドラムセットが粉砕されそうな勢いで演奏される。

 

 

〔「MO"ooo"oO限ッ!kAI!!

 

MO"ooo"oOダマんッ!nAI!!

 

MO"ooo"oOMO"ooo"oOMO"ooo"oO!!!!!

 

 

 

 と  ま れ な   い"eee"eeぃいeいいい!!!!"""!」」」〕

 

 

 

法に抵触しかねない騒音を発しながら

 

黒子ベーシストは制服やスーツを着たマネキンを次々と真っ二つにし

 

口裂け女ギタリストがマネキンの残骸や

ノートPC、スマホ、教科書等々に真っ赤なペンキをブチ撒け

 

トドメとばかりにフランケンシュタインドラマーが背景のセットを

 

 

 

自分達の世界をメチャクチャにしていった。

 

 

 

〔「醜い」〕

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

画面上で繰り広げられる目を背けたくなる惨事に頭を抱えるエーデル達。

 

〔「恐らく、このニンゲン達が『黒の逢魔』に協力し、デジモンを使ったソーシャルゲームを蔓延させ、『迷宮』を中心に輝きの無い世界を広げているのだろうが・・・」〕

「ソウルそのものとなった人間は欲望の化身

、でしたっけー?

確かに、例の彼女なんて明らかに異常でしたし」

「あの後、私とメイファン先輩で直接お話を聞きに行きましたが・・・」

「私達にやったこともゲームの記憶も全て消えていました、ウィザーモンの予想通りに無事だったのはよかったのですが・・・」

「例のメールも消えていた、か」

「残った手掛かりはミチル達のスマホに残っていたこの動画、だけど

正直、何度見ても『酷い』としか言い様が無いよね・・・」

「ああ、演奏のレベルが高い分

余計に歌詞と所業の酷さが際立つ」

 

動画が流れるスマホの中、眉をひそめるウィザーモンを交えての話し合いは難航するばかり。

 

〔「王よ、不埒モン共からシークフェルトを解放するには

やはり、かの迷宮を根本から削除する他ないかと」〕

〔「ボクチャンもファルコモンに賛成だヨン!

ハニーの大切な場所を取り戻すヨン!」〕

〔「ヒョッヒョっと行くヒョ、鶴」〕

 

口を挟むパートナーデジモン達が居るのは

銀を基調にしたナースウォッチのような形状の機械

ウィザーモンがエーデルのスマホからデータを抜き出し、クロスローダーの構造を元に作り出した

 

神機・イミテーション。

 

「(かつてデジタルワールドを救った救世主の

 

 

 

模倣、品・・・・・・・・・ッ

 

 

 

でも、コレ以外あの舞台に立つ方法が無い以上は贅沢を言ってられない

私達のシークフェルトを取り戻す為に)」

〔「ヒンっ

やりたいモンだけかってにやってるでっしゅー

ボキはぜーっ、たいーっ!

おことわりーっ、でっしゅー!」〕

「・・・・・・・・・

 

 

(だから、絶対に揺らいじゃダメだよ

 

蒼玉の君【フラウ・ザフィーア】 鳳ミチル

 

 

この先の物語に

 

 

どんな予想が着かないことが起きても)」

 

 

 

 

☆輝きの無い世界『迷宮』・中層

 

 

「《唐竹割り!》ヒョストォオオオ!!」

「きゃああああああ!!

 

 

やちよ様すてきぃー~ーッ!!」

 

 

「はいはーい♪、おーえんありがとねー♪」

 

 

「グガガガガァあああーーーーーー!!!」   

「!!、メイファンさまあぶなガフッ?!」

「成る程!、これが《弾丸旋風》ですか!

凄まじい気迫ですね!!、クダモン!!」

「チィッ・・・!」

「たぁああ!!」

「や、やだぁ

 

 

いとしいベルをこんな近くで・・・ぇッ!?」

 

 

「ハニーの舞台、特等席で観られて良かったヨン?

って、訊くまでもなかったヨン」

「ファルコモン」

「はっ!!

《ファルコラッシュ》そして《スクラッチスマッシュ!》」

 

 

 

『『『あきらさまばんざぁーーーいいぃ!!!!!!

えええーデルにえいこうあれぇーーーーーー!!!!!』』』

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ミチル」

「わざわざ言わなくても大丈夫だよ、ララフィンちゃん

わかってる、ミチルちゃんとわかってるから

ララフィンちゃんが何を言」

「HEY!、シスター!

あのガールズ、まるで昨日観せてくれた昭和の怪人みたいだZE!」

『かいじん!、かいじん!』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ああーー!!?、ミチルーー!!?」

 

想像の斜め上の舞台を前にし弱っていたミチルの心をへし折ったのは、ララフィンと契約済みのスターモンズ。

 

「〔《バディブラスタぁあーー!!》〕」

「バキューン!!」「それぇい!!」

「4人共!、あまり飛ばし過ぎないで!

攻略はまだ始まったばかりよッ」

 

一方、フロンティアの面々はシークフェルトの生徒ではない外部のゲームプレイヤーを相手取っていた。

 

「キュートモン、俺から決して離れるな」

「キュッ!、わかってるっキュ

シズハも落ちないように気をつけるっキュ」

「ええ、ありがとうキュートモン

あなたのお陰よ、私がこうして

ドルルモンの背中に乗せて貰えるのは・・・」

「フンッッ」

 

オレンジの鬣に指を絡ませ、ドルルモンに股がる胡蝶静羽。

彼女だけはレヴュー衣装を纏っておらず

 

 

 

制服姿のままで、ただの無力な少女のままで

 

 

この人外魔境の『迷宮』に居る。

 

「鳳さん、ちょっとい」

「そうだね、静羽ちゃんの予想通り

この『迷宮』や例の動画の影響にあるシークフェルトの生徒が使っているデジモンのレベルは成熟期やアーマー体が大半

だけど、みんな暗黒のソウルに飲まれても尚エーデルを求めているからミチル達なら成長期でも十分に対処出来てるし、外部からのプレイヤーもシャウトモンX2の敵じゃない

でも、問題は

 

 

 

この先に潜んでる『迷宮』のモンスター」

 

 

 

「流石、ね

恐らくだけど、この先に」

「居ると思うよ、完全体

それも、この前とは比べモノにならない奴が」

 

 

 

〔ケラ

 

ケラケラケラケラ・・・

 

 

 

ケラ!ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ・・ケラケラケラ・・・・・・・ケラケラ!ケラケラケラッ!ケラケラケラケラ!!ケラケラケラケラ!!ケラケラケラケラケラケラ!!ケラケラケラ・・・・!・・・・・〕

 

 

 

『!!!』

「噂をすれば、か」

「へっ!、随分とゴキゲンそうじゃねぇか!

いっくぜぇーー!、相棒!」〔フンガッ!

《ホーンブレイカーDX!!!!》〕

YEEEEEEAAAAAAH!!!!!!」

 

 

 

黒い骨組の奥底より、反響する笑い声目掛け

 

全速力で突貫するシャウトモンX2

 

 

 

〔《グレアーアイクレイジーギグルクレイジーギグルクレイジーギグルネイルスクラッチ》ケララ!《フールアウトグレアーアイ》

 

《デ ータ ク ! ラッシ  ャー》〕〕

 

 

 

を、待ち受けていたのは   手痛い歓迎。

 

 

 

「うげげぇー?!」〔ガッ!ッ"?〕

「兄貴ッ、バリスタモンッ

スターモンズ!!、カバーするZE!!

《メテオスコーーール!!》」』

〔ケララララ♪ケラケラ♪〕

「二人共大丈夫!?」

「お、俺は、なんとかッ

だけど、バリスタモンが・・・!」

〔・・・ガ・・・・・・・・・ガッッガ・・・!・・・・・・〕

「ま、待ってて!、今クロスローダーの中に」

「駄目よ美空ちゃん、それじゃ間に合わない

キュートモン、お願い出来る?」

「な!?、お、おいニンゲ」

「任せるっキュッ!」

「キュートモン!?

ーーーーーーー・・・・・・・・・くそ!、わかったよ!

だが!、これ以上は危険だと判断したらすぐに離脱する!、わかったな?」

「ええ、それで構わないわ

美空ちゃんは回復の間タンク

・・・・・・・・・じゃなくて、護衛をしてくれる?」

「はいッ!、任せて下さい!」

「次の曲までしっかり休んでなッ

それまで俺達でバッチリ盛り上げっからよぉ

なぁ?、アルル!、ララフィン!」

「「うん!!」」

 

 

傷だらけの熱い叫びに応えるべく

 

太股のホルスターから早撃ちのような動きで

 

 

「シャウトモン!!」「OK!!」

「スターモンズ!!」「HAY☆『YeaH☆』

 

 

真っ赤と星柄のクロスローダーを抜き放つ。

 

 

〔《コクーンアタック》〕

 

 

すると

 

 

不気味に蠢くモンスターの群れの中心部より

 

 

ナニカが勢い良く発射された。

 

 

「早替え中の乱入は」

〔!?〕

「御遠慮願います」

 

 

生きた砲弾・・・インフェルモンの甲殻を白金の穂先と猛禽の爪が真正面から受け止める。

 

 

「「ッ

 

デジクロス!!

 

 

 

シャウトモン+スターソード!!」」」」』

 

 

 

思わぬ横槍に戸惑いながらも、あるるとララフィンは新たなデジクロスを成功させた。

 

〔ケララ・・・ァ・・・〕

「!、王よ!」

〔《ヘルズグレネード》〕

「「がはっ!!」」

 

直後、嘲笑と共に開かれた口より銃口が覗き

乱射されたエネルギー弾が晶とファルコモンを叩きのめす。

 

「晶さんッッ!!?

クダモン!!

私達も遅れをとってはいられませんよ!?」

「グガ!?、グガガガガァアアア!!!」

 

高ぶるメイファンが蛇矛を掲げ、蠢く群れへと突貫すれば追随していたクダモンが

 

 

 

彼女の背中目掛け《弾丸旋風》。

 

 

 

〔〔〔ー~ー~ー~!?!!〕〕〕

「グガ?!」

「おお!!、ありがとうございます!!!

流石!、私のパートナーですね!!!」

「ガァアァァーーー!!!」

「・・・・・・・・・こいつ何ヒョッたくっヒョ?」

「さぁ~?」

 

だが!、しかし!

偶々割り込んできた幼年期デジモン・・・クラモンやツメモンを削除しただけに終わった!?。

 

「デジタマに還らない・・・?

ということは、このデジモン達が『迷宮』のデジモン!?」

「ミチル先輩の読み通りだヨン、ハニー

今、雪代先輩達が相手してるインフェルモンは

完全体だ」

 

複数体のケラモンを相手取る栞の頭上を飛行し、《ギアスティンガー》で援護していたファンビーモンは見た

 

「うおっ!?」「くぅ!」「早ッ」

「みんな!!、このこのこのこのぉ!!」

〔ケラケラララ~♪~~♪〕

「!!」

 

地面や壁を跳ね回り

星の剣を、猛禽の爪を、大槌を玩びながら

連射される弾丸を甲殻で弾き

白金の君に飛び掛かる種族不明なモンスターを。

 

 

 

 

 

ベチャァッッ

 

 

 

 

 

〔?、??〕

「ひ

 

 

 

ヒンーーーーーーっっっ!!!

なーーっ、んでとびこむでっしゅーー!?」

「あははっ、知らなかったの?

 

 

 

舞台はいつだって何が起こるかわからない」

 

 

 

だが、突然その姿が粘着性の糸まみれと化す

 

 「(そう、本当に、ね・・・・・・・・・)」

 

小さな体躯で堂々舞台に立つ蒼玉の君の眼前で。

 

 

 

「ヒ、ンっ?、・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

起死回生の一手をやってのけたのは

 

右腕にしがみついて、惚けた顔で

 

ヒトの顔をマジマジ見つめる

 

これっぽっちも期待してなかった緑の芋虫

 

 

 

鳳ミチルのパートナー、ワームモンだ。

 

 

 

〔ケラ、ラ・・・ァ《ヘルズ"!?〕

「同じ手が2度も通じると思うな!」

 

糸まみれのまま向けられた銃口にプラティーンランツェが突き刺さる。

 

「御見事です、王よ」

「ああ!、流石はこの俺!

未来のデジモンキングのライバルだ!!

負けてらんねぇーぞ!、スターモンズ!」

「『YeaH☆《スタぁーブレイドぉー!!!》』」」

〔ゲラララゲラァァア!?!!〕

 

 

「なっ!!?、待ちなさいシャウトモン!!

今のは聞き捨てなりませんよ!!?」

「メイファン、今それどころじゃないって」

「グガァーーー!!!」

〔ケラケラケラケラ~~~♪♪〕

「ほら!、また後ろ!、っていうか前!!」

「アレ成熟期のクリサリモンだヨン!?」

「メイファン先輩危ないッ!!」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ん?」

 

 

錯綜する戦場の真っ只中でドルルモンは気づいた。

 

 

「雪代さんとシャウトモンの攻撃でHPは1割削れたけど《ネバネバネット》の効果も後僅かまた動き回られたらやっかいねだけど2人がヘイトを稼いでいるから攻撃対象は限定出来るそこを狙えば或いはううんだけど結局現状のパーティじゃ決定打に欠けているわバリスタモンのリスポーンには回復のペースからして後3分はかかるしその間に逃げられでもしたらマズいここで仕留めないと後々の攻略に」

 

 

「(こ、こいつ・・・!?)」

 

 

背中に股がる少女が無色のクロスローダーに表示されているデータに素早く視線を走らせ、何やら小声で呟いているのを。

 

「ドルルモン」

「んな!、なんだッ!?」

「キュートモンの安全の為に、少しだけ協力して欲しいの」

「・・・・・・・・・チッ、内容次第では考えてやらんこともない」

「え?、ほ、本当に!?」

「フンッ!、勘違いするなよニンゲン!

インフェルモンが相手じゃキュートモンを連れての脱出は難しい、そう判断したまでだ」

「それで十分よ!、ありがとうドルルモン」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・フンッ」

 

静羽のダメ元の頼みが承諾された

 

「ララフィン=インパクトォ!!」

「《スクラッチスマッシュ!!》」

〔!、!、・・・・・・・・・ケ、ラ♪〕

「ヒッ、ンっ」

「みんな離れて!!」

 

 

 

〔《コクーンアタック!!!》〕

 

 

 

『『うわぁあああああああああ!!??』』

 

直後、束縛から解き放たれたインフェルモンの必殺技が炸裂。

 

「あるるちゃん!!」

「し、静羽ちゃん!?、近づいたら危」

「バリスタモンの復帰は2分後

そのタイミングで美空ちゃんから合図があるからX2へのデジクロスに備えて

 

 

 

それじゃあ、ドルルモン」「わかってるよ」

 

 

 

「え、え?、ええぇ!!?

静羽ちゃん!!?、何やってるの!!?」

「こ・・・、こちょう、しずは・・・?」

 

技の範囲から外れていた為、無事だったあるるの横をドルルモンが駆け抜けていく。

 

 

 

その背に少女を乗せたままでだ。

 

 

 

「《ドリルバスター!》」

〔?、ケラケラケラケラ・・・アソブノ??〕

「(ヘイトが向いたッ)」

〔《コクーンアタック》〕

 

額から発射された小型ドリルは《スターブレイド》が付けた傷に命中。

すると、インフェルモンは繭形態に変化し、凄まじいスピードで迫る。

 

「チッ、お前の狙い通りだな、ドラァ!!」

「う!、くぅ!」

〔?、???〕

 

ドルルモンは尻尾のドリルに乗ると

 

回転しながら『迷宮』の地面に突撃

 

自分が開けた風穴に静羽と共に潜ることで

 

間一髪、《コクーンアタック》を躱した。

 

 

 

「《ドルルトルネード!!!》」

 

 

 

穴から突き出した尻尾より竜巻を発生させれば

 

追い風となってインフェルモンは急加速。

 

 

 

〔ゲェッ!!? ラ、ゲェ!!?!!〕

 

 

 

顔面から壁に突っ込んだ結果、銃口に刺さったままのプラティーンランツェがより深くメリ込むハメに。

 

「(あんなに苦しんでるのに1割も削れてない!?

しかもダメージソースの殆どは雪代さんのッ

ドルルモンのステータスだって決して低い訳じゃないのに・・・

 

 

 

これが この世界での 舞台少女の )」

 

 

 

「おい!!、ニンゲン!!」

「!?」

「バリスタモンの回復は後何秒かかる!?」

「ーーーーーーッ、60秒!」

「シャウトモン聞こえたな!?」

「・・・・・・・・・ッ、ああ、バッチリなぁ!!」

「私もね!!」「『俺逹もだZE!!』」

「しゃ、シャウトモン!?

ララフィン!?、スターモンズ!?」

 

バリスタモンの復活を待ちわびるあるるの前に傷だらけの仲間逹が集う。

 

「フロンティアのみんな、すっごく盛り上がってるね」

「好きにやらせておけばいい

私は、私逹の役を

シークフェルトのエーデルを全うする!!」

〔ラゲェエエエエエーー!!!???〕

 

一方、晶もまた

手負いのままインフェルモンに急接近し、容赦なく半壊した顔面に手を突っ込むと

自身のキラめきを力ずくで引き抜いた。

 

「そうだね♪、っとぉ!!」

「ヒンーっ!?」

「御手伝いします、ミチル様」

「ありがとう、ファルコモン♪」

〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・キュートモン

俺ハ、モウ!、大丈夫ダ!〕

「キュウゥ!?」「バリスタモン!?」

〔ミソラ〕

 

白金の君と彼女に追随するモン逹の活躍が

何より、仲間逹の自分への期待が

クロスローダーが表示するデータよりも早く

 

 

 

〔デジクロスダ!!、アゲテクゾ!!〕

「!!、ーーーーーーッ」

 

 

 

青の重装甲を再起動させうる力となる!!。

 

 

 

「あるるぅうううううう!!!」

「み、みそら?、美空ぁーーー!"!"!"」

 

 

 

美空が《ヘヴィスピーカー》級の大声を出せば

 

あるるも《ソウルクラッシャー》並にシャウト。

 

 

 

「シャウトモン!! X2!!」

 

 

 

2つのハートとキラめきによるデジクロス

 

 

 

「ララフィン逹も行くよスターモンズ!!」

「『YEEEEEEAAAAAAH☆!☆!☆!』」

 

 

 

に、更にもひとつ重なった!?。 

 

 

 

「『+☆! スターアックス☆!』」

 

 

 

「X2の攻撃力がインフェルモンの防御力を上回った!?

すごいわ、ララフィン!」

「でしょっ☆!、でしょでしょっ☆!」

 

静羽の称賛にララフィンが得意気な笑みとサムズアップで応える。

 

 

〔      ケララ      ♪〕

 

 

その直後

 

 

 

 

 

バリィッッ

 

 

 

 

 

『『!!?』』

 

 

インフェルモンの体が真っ二つに裂け

 

 

〔《ヘルズグレネード!!!》〕

 

 

無傷の『インフェルモン』が登場。

 

「だ、脱皮したぁ!?」

「美空さがっ、ぅ!?、うあああ!!」

 

復活した銃口から乱射される破壊のエネルギー弾をヘヴンメイカーで迎撃するあるるだったが、いかんせん火力も手数も足りていない。

 

「!?、HPが全回!?

しかもスピードが倍以上に上がってる!!」

「チッ!、それでいて小型化した影響か小回りまで段違いだ!

さっきのように壁へぶつけるのはもう通用しないぞッ」

〔ケラケラケラケラァ~~~♪

コッチダヨ

 

         コッチダヨコッチダヨコッチ

 

 

        コッチダヨ      コッチダヨ

 

 

  コッチダヨコッチダヨ~~♪♪〕

 

 

縦横無尽の高速移動から繰り出される絨毯爆撃

 

 

「シャウトモン!!!

 

晶さんのライバルになりたいのなら!!!

 

まずはこのリュウ・メイファンを!!!

 

越えてからにして下さいッ!!!」

 

 

「離せぇ!!!、この痴れモンがぁ!!!」

 

 

その真っ只中にリュウ・メイファンが

 

右手にルビーンヘッレバルデ

 

左手にパートナー・クダモンを掴んだ状態で乱入してきた。

 

 

〔ケラ・・・・・・・・・??〕

「!!、我輩を、わらうなぁあああ!!!

 

 

《絶光衝ッッッ!!!》」

 

 

突然の事態に困惑するインフェルモンのビックリ眼をピアスから発する大きな輝きが襲う!。

 

〔!??!、"~ーーーッ~~!!??!〕

「おっ、イイカンジ♪」

 

目が眩んだことで生まれた隙を真珠の君は見逃さない。

ペルレンプファイルから放たれた7本の矢がインフェルモンの首や足全てに命中し、『迷宮』の壁へと縫い付けた。

 

「今よ!!、シャウトモン!!」

『〔YEEEEEEAAAAAAH!!!!!!〕』

「先輩逹ッ」

「「わかってる!!」」「ヒン・・・っ」

 

仲間の声に背中を押され

 

一気に加速した団結の斧が甲殻を断ち割れば

 

露となったナカミに長槍と大剣のキラめきが

 

深々と突き刺さる。

 

 

 

〔ケラ・・・・・・・・・ケ・・・、ラ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ!!!ケラケラケラケラケラ!ケラケラケラッ!ケラケラケラケラ!!ケラケラケラケラ!!ケラケラケラケラケラケラ!!ケラケラケラッ〕〕〕』

 

 

 

スターアックスやプラティーンランツェ

そして、ザフィーアベシュトラフングの刃から滑り落ちた腐肉に似たナニカが

 

 

十数体ものクラモンとなって

 

『迷宮』中の隙間に次々と潜っていく

 

 

 

 

 

筈だった 

 

 

 

 

 

「ドルル、モン?」「・・・・・・・・・」

 

 

 

傷つき、弱り果てたモン逹の背中を狙い

 

生命を刈り取る『風』さえ居なければ。

 

「ぁ、ぅ、っ・・・・・・・・・」

「!?、お、おいどうした!!?」

「あちゃー・・・やっぱりキツかったんだねー・・・」

「そういえば、静羽ちゃんって絶叫系のアトラクション苦手なんだっけ?」

「はい、なのに私達の為に無理をして・・・」

「なら!、僕が治すっキュッ!」

「い、いいのキュートモン・・・

そういうのじゃない、から・・・」

「やせ我慢はダ

 

 

 

め、だ   よ?   はれ~~??」

 

 

 

「大月あるる!?」

 

ドルルモンの背中で震え出した静羽を気づかうあるるだったが、彼女自身も晶に支えて貰わなければ立つことさえままならない状態に陥っていた。

 

「アルル!、シズハ!」

「一体全体どうしたんだーい!?」

『ホワッツ!?、ホワッツ!?』

「!、みんなのデジクロスが解けてる

って、ことは!、エネルギー切れ!!?」

「かもしれませんねー

だってあるるん、ここに来るまでずーっとデジクロスしてましたし」

〔美空ハ大丈夫カ?〕

「う、うん、体力だけは人一倍あるから!

・・・・・・・・・でも、私だけ元気でも意味ないし

今日はもう帰った方がいいかもしれません」

「そうですね、明日も学校がありますし」

「長期任務は引き際が大切だヨン」

「?、にんむ??」

「!!、ナ、ナンデモナイヨン!!」

「むぅっ、折角クダモンとの絆が深まってきた所だったのですが・・・」

「グガガァッ!!!」

「その口惜しい気持ち!!、よくわかりますよ!!

やはり私達は一心同体ですね!!」

「(こんの痴れモンがぁあああ!!!)」

 

 

 

「あ、あのっ・・・・・・・・・」

「ワームモンもお疲れ様♪、これからもよろしくね!」

「は、はいーっ!、でっしゅー!

 

 

 

おししょーしゃま!!」

 

 

 

「うんうん♪・・・・・・・・・あれ??」

「こんごともごしどーおねがいでっしゅ!」

「え?、ええーーー・・・・・・・・・」

「あらあら~、想像以上になつかれちゃいまたねーミチルセンパイ♪」

「そういうやちよは自分のパートナーを放っておいていいのか?」

「嗚呼、ヒョコモン様でしたら

退却の流れになるや否や退路の確」

「殿、今んチッヒョヘ帰るっヒョ」

「・・・・・・・・・『との』とは私のことか?」

 

序盤のイベントを乗り越えたフロンティアとシークフェルトの舞台少女逹が日常へと帰還する。

 

 

 

 

 

 

 

その同時刻、とある舞台裏には・・・・・・・・・

 

 

 

「どうしよ?、どうしよ?、どうする!?

ノルマどころかプレイヤーまでどんどん減ってるし!

このままじゃ私達の『ステージ』がぁあああ!」

「落ち着きなって!、大丈夫だって!、多分・・・」

「!、メールきたよ!

えーーーっと・・・あ!、これなら!!!」

「なに?、なになに??

もしかして良いニュース?、良いニュースでしょ?、良いニュースって言ってぇえええ!」

「うん!!!

 

 

 

うちの学校の同好会のキラめきさえあれば

 

 

 

ちゃんとライブさせてくれるって!!!」

 

 

 

『ステージ』の為に奮闘する『少女逹』が居た。

 

 

 

 

 

 









その頃、デジタルワールドでは・・・・・・・・・


part1









「いやー!、お陰で助かりましたぞ!
あんたがこの微笑みの里に立ち寄ってくれなければ今頃どうなっていたことやら」
「・・・・・・・・・」
「是非とも御礼をさせて貰いたい!
名物であるデジノワをありったけかき集めてきましたので、どうぞ好きなだけ持っていってくだされ」
「ドンドンもってきたぜ!、ドンドコ♪」
「・・・・・・・・・



ケッ、甘いモンなんざァ
オレサマはこれっぽっちも興味ねぇなァ」
「!、そ、それは!!」「ドドンッ!?♪」



自分へと群がるモンだかりを強引に掻き分け
向かった先にあったのは、粗末な掲示板。



「代わりにこいつを貰っていく
そいつはテメェらが食ってなァ、あばよ」
「ま、待って!、待って下さい!」
「い、いかんぞリリモン!!」
「でもッ、だって、ジジモン長老!!



ーーーーーーッ、ありがとうーーー!!!

バンチョーレオモーーーン!!!」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うるせぇなァー」



甲高い声をGAKU-RAN越しに受けながら歩みを進め、複数のデジモンの絵が描かれた一枚の紙に右目を走らせるのは



デジタルワールドを救いし英雄の1体

百獣番長 バンチョーレオモン。



「おい、今爺さんそこにいるかァ?」
〔「トーチャーン、バンチョーレオモンから通信ハイッタヨー★」〕
〔「マタドゥルモンッ、長と呼べ!、長と!
完全体になったのにいつまで成長期気分で居るつもりなんだ!?」〕
〔「ま、まぁまぁマッハガオガモンよ
あまり口煩くしてはいかんぞい
して、ワシに何の用かのぅ?」〕
「まァた行方不明だァ・・・」
〔「ッ、そう、か
今回は、どんなデジモンが被害に?」〕
「シャウトモンにバリスタモン
スターモンとピックモンが10体以上
それからァ、キュートモンとドルルモ」



〔「ドルルモンじゃとぉ!!?」〕



「アァン?」
〔「し、しかもキュートモンと一緒!?
ま、間違いないッ、そのデジモンは


                !!」〕


「!、・・・・・・・・・ケッ!
ったく、めんどくせぇことになってんなァ」



老人狼との通信を終えた後、顔半分に十字傷が深々と刻まれた獅子の顔に浮かぶのは



まるで強敵と相対したかのような



凶悪な形相。




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幕間劇 恵比寿つかさと胡蝶静羽のヒメゴト

☆作品用語集

輝きの無い世界
元ネタは△△△△△ー△のデジ△△ーツ
デジタルワールドとは全く異なる電脳世界に存在し、外観こそ人間世界を模しているが照明の落ちた撮影セットのように造りモノじみている
空間が不安定な為かあちらこちらにデジタルワールドや人間世界に繋がる入り口が出たり消えたりしており、そこから人間やデジモンが迷いこんでくることは少なくはない
『黒の逢魔』はソレらを狩ることで自分達の野望の糧としており、特に舞台少女は最高の獲物
だというのに、この空間内ではソウルやキラめきを異常に消耗してしまい、デジモンと契約することでしか抑える術は無い


そして、輝きの無い世界が造られてから
デジタルワールドと人間世界との時差は失われ
世界を跨いだ物語は同じ速度で進むこととなる



『迷宮』
シークフェルト音楽学院と重なる位相にある輝きの無い世界にて『黒の逢魔』が造り上げた所謂ダンジョン
不気味な内装からは一定時間ごとにクラモン系のデジモンが出現し、それらは削除してもデジタマには還らない
たまに『プレイヤー』用のアイテムもポップする
この『迷宮』は現実のシークフェルトへも影響を与えており、生徒や職員は無意識の内に『プレイヤー』と化し日常生活に支障がきたすレベルでのめり込んでしまう
だが、その状態でも尚、エーデルのキラめきを欲しているのでシークフェルト在住の『プレイヤー』相手に対し、エーデル5人とそのパートナーはレベル差を無視して優勢が取れる
シークフェルト音楽学院内でゲームを起動させればいつでも『迷宮』へと移動が可能
ゲームのデータから造り上げられた神機・イミテーションでもコレは可能なので舞台少女達も利用している
因みに、外部の『プレイヤー』は輝きの無い世界か人間世界を自力で移動しなければ『迷宮』へは入れない
なので、容易に経験値やアイテムをゲット出来るシークフェルト関係者はデジモンのレベルを上げやすく、ますますゲームにはまってしまう


何より問題なのが『迷宮』にて『プレイヤー』が【ゲームオーバー】になると肥育された暗黒のソウルが『迷宮』に吸収され



かつて
麗将や魔将が救世主達に対してそうしたように


『黒の逢魔』の糧となることだ



『プレイヤー』
デジタマと共にスマホへと送られたソーシャルゲームをプレイする人間達のこと
デジタマの内は無意識の内にログインする程度だが・・・

幼年期になると意識を持って育成を始め

成長期になるとソウル体が分離し、輝きの無い世界へと精神が誘われ

成熟期以上は最早手遅れな依存状態に陥る

ゲーム中、肉体は人間世界に放置され
周囲からはスマホに熱中にしているようにしか見えない
ソウル体と化した『プレイヤー』はゲームへの依存度が高い程・・・つまり、デジモンのレベルが高い程に理性を無くし欲望のままに行動してしまう


そうして養殖されたデジモンを、暗黒のソウルを『黒の逢魔』は狩り取るのだ


その人間が持つキラめきと共に・・・・・・・・・



『エメラルドの宮』
輝きの無い世界に存在するウィザーモンのプライバシーエリア
ここにはウィザーモンや【ある特殊なデジモン】による転移でしか入ることが出来ず(出るのは簡単)、並みのデジモンでは感知することさえ不可能
この特性により輝きの無い世界におけるセーブポイントとして機能している



クロスローダー
元ネタは言わずもがな・・・
原典同様のデジクロスやマップ表示、通信機能、デジモンの出し入れのみならず
デジモンのステータスが見れるアナライズ能力もある
尚、フロンティアの面々が扱うクロスローダー専用ホルスターは鶴姫やちよ監修の元作成された



デジクロス
これも元ネタは言わずもがな・・・
『黒の逢魔』がレイドプログラムの持つ特性を元に編み出した合体進化の力
既存の融合進化・ジョグレスとは違いダークネスローダー/クロスローダーを触媒にすれば現在のデジタルワールドのどんなデジモンでもデジクロスは可能


しかし、どういうワケか・・・
フロンティアの舞台少女の場合
シャウトモンを介さないとデジクロスは不可



神機・イミテーション
ウィザーモンが『何故か』持っていた虹色の鉱石がエーデルのキラめきとソウルに引き寄せられ、彼女らのスマホにインストールされていた『プレイヤー』データと化学反応を起こして産まれたモノをクロスローダーの外装構造を元にした銀一色ナースウォッチに納めた神機モドキ
クロスローダーのようにデジモンの出し入れやアナライズ機能、更には前述したようにシークフェルト音楽学院で起動させれば『迷宮』へ移動出来る
尚、外観のデザインはフロンティア芸術学校に比べ校則が厳しいシークフェルト音楽学院でも違和感が無いよう鶴姫やちよが監修している



 

 

 

幕間劇・恵比寿つかさのヒメゴト

 

 

 

フロンティアの4人が『迷宮』の攻略に挑んでいた頃

 

「おねえちゃんこっちこっちー!」

「はーい♪、今行くからね」

「はやくはやくーー!!」

「あ!、ちゃんと前見なくちゃダメよー!

・・・・・・・・・ボディーガードありがとう、ウィザーモン」

〔「なーに、気にすることはない

私も一度くらいは人間界をジックリ観てみたいと思ってたから、さ!

それにしても、ツカサは義理固いな

あんなことがあった後でも子供逹と交わした約束を守るとは」〕

「義理固いって、約束を守るのは当たり前のことじゃない

例えどれだけ小さくても、それが叶えられるものなら叶えてあげなくっちゃ」

〔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、だな」〕

 

つかさは卒園生としてボランティアに行っている幼稚園の子供逹から、とっておきの『秘密基地』の場所を教えて貰っていた。

 

「つかさおねえちゃん!、ここだよー!」

「あら?、もう着い

 

 

 

ッッ!!!?」〔「(これは!!!)」〕

 

 

 

彼女が案内されたのは細い路地

 

その奥に見えるのは

 

 

 

笑顔の子供逹を次々と吸い込んでいくのは

 

 

 

輝きの無い世界への入り口。

 

 

 

「みんな!!、ダメ!!、もどって!!」

〔「つ、ツカサ・・・!

(どうする!?、クロスローダーで連絡してもアルル逹に届くかどうかッいやそれ以前に間に合わない!!

だが、だからと言って、ツカサだけ死地に向かわせた所で彼女の身を危険に晒すだけ・・・!

私だけであの数の子供を全員脱出させるのは

到底無理!!!

 

 

 

むり   なんだ   わたしには・・・ッ)〕

 

 

 

クロスローダー内の苦悩を余所に

 

少女は全速力で造りモノめいた空間を駆け抜け

 

『秘密基地』へと踏み込む。

 

 

 

「そ~ーれぇー~♪~~ーー♪♪」

『わぁ~あーーああ~~い♪♪』

 

 

 

「「      え???      」」

 

・・・・・・・・・1人と1体の不安とは裏腹に子供逹はメチャクチャ楽しそうでした。

 

「あ!、つかさおねえちゃんきたよー!」

「もー!、おそいよー!」

「スパロー!、ちゃくりくー!」

「りょ~ーかー~い♪♪

 

 

 

ほ~ーらぁー~♪急転直下~ー♪♪」

『きゃぁ~ああーーあぁ~~♪♪』

 

 

 

「!!」

 

つかさの元にフリーフォールも真っ青の垂直落下で舞い降りたのは、戦闘機を思わせる黄色い翼の鳥型デジモン。

 

「(ハァーーー・・・よかったーーー・・・

この感じからして『黒の逢魔』とは無関係だな

これならツカサだけで子供逹を脱出させられ

)」〕

「こーら、あなた逹!」

『わっ!?』

〔「(わぁっ!!?)」〕

「シートベルト無しであんなスピードで飛び回るなんて危ないじゃない!」

「あ、あぶなくないよー!」

「そうだそうだー!!

スパロー、とぶのとーってもじょーずなんだから!」

「・・・・・・・・・そうね、さっきの宙返りも着陸もすごかったわ

思わず見惚れちゃうぐらいに」

「え?」

〔「(えぇーーー・・・?)」〕

 

ひっそりクロスローダーに出戻りしてたウィザーモンが度肝を抜かれている間にも、つかさの言葉は続く。

 

「でも、ね」

「あ・・・」

「私達人間はこの子みたいに固くて強い体じゃないし、飛ぶことだって出来ないから

もし、あんな高い所から落ちたらすごく痛いし

 

 

 

怪我して好きなことが出来なくなっちゃう」

 

 

 

『!!』

「そんなのは、みんなもイヤだよね?」

『う、うん・・・』

「だから、みんなで楽しく遊んで

帰りに笑顔で『またね!』って言えるように

これからこの子と遊ぶ時はつかさお姉さんも誘って♪、約束よ?」

『うん!!』

〔「(これから?!)」〕

「あなたは、えっとスパロー、だっけ?」

「そ、そうだよ!、ぼ、僕!、スパロウモンッッ!!」

「?、どうしたのー?」

「スパローかおまっかー!、まっかっかー!」

「あーー!!、わかったーー!!

スパロー、つかさおねえちゃんがスキになっちゃったんだーー!!」

「ええ!?」

「ちちちがうよ~ーーぉーー~!!!!!」

「だってぇ、ずーーっとおねえちゃんとてつないでるしー!」

『ヒューヒュー♪♪』

「ううっ!、ううう~ーーうーー~!!!」

「あらあら、ふふふ♪」

 

子供逹に囃し立てられ鳥型デジモン・・・スパロウモンはより一層赤面し黄色い翼をバタバタさせる

 

 

 

が、その白い手は、指は

 

少女のモノに絡んだままで離れない。

 

 

 

 

 

 

『バイバイ、スパロー!、またねー!!』

「バイバ~ーーイーー~♪♪

お、おねーちゃんも!、またねぇ~ーッ」

「危ないことがあったらすぐ逃げるのよ?」

「うん!!、わかったぁ~ー!!」

〔「・・・・・・・・・ツカサ」〕

「ごめんなさい、ウィザーモン

でも、独りぼっちで異世界に迷い込んで

やっと出来た友達と引き離すなんて、出来ない・・・」

〔「それが君の選択なら可能な限り尊重しよう

だが、忘れないで欲しい

 

 

 

この世界は子供の遊び場等ではない

 

デジモンによるニンゲンの狩り場であり

 

ニンゲンによるデジモンの狩り場だ」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔「君から話すまではアルル逹には黙っていよう

だから、ツカサ

どうか、この不義理な選択を君が後悔しないカタチで終わらせて欲しい

 

 

 

(私のようにならない為にも、さ・・・)」〕

 

 

 

 

 

 

 

 

幕間劇・胡蝶静羽のヒメゴト

 

 

 

「はぁっ はぁっ はぁっ はぁ」

 

 

 

 

真夜中の寝台で発せられる熱い吐息

 

 

 

「ふぅーっ ふぅーっ んぅっ!」

 

 

 

ソレに混じって吐き出されるのは

 

口内で必死に噛み殺した声

 

 

 

「ふ

 

 

 

んふふふふふふふふふふ!!!

 

 

 

はぁぁぁーーー・・・・・・・・・

 

たのしかったぁーーー・・・・・・・・・」

 

 

 

だが、結局堪えきれず

 

 

やけに潤った唇からは本音が漏れ

 

 

だらしなく緩み、上気する頬を両手で抑え

 

 

寝台の上ではしたなくゴロゴロ転がる姿は

 

 

まるで年端もゆかぬ少女のよう

 

 

 

「まだ、のこってる・・・」

 

 

 

震える指先を天井にかざして見れば

 

 

あの、手首まで埋もれる程に毛量豊かな

 

 

オレンジの鬣とその持ち主の活躍が脳裏に蘇る

 

 

 

「もふもふ ふさふさ! うふふふふふっ」

 

 

 

紙の上、画面やスクリーンに映る度に

 

 

何度夢見たことだろう

 

 

ソコでしか生きられない獣に股がり

 

 

その背中の上で風を感じることを

 

 

 

「わたし なりたい

 

 

ドルルモンのパートナーに、なりたい!!

 

 

私もあのSTAGEに、一緒に!!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメね」

 

 

あれだけ膨らんでいた夢が思い起こした現実【うつつ】によって萎んでいく

 

 

「(ドルルモンが私を乗せてくれたのは

キュートモンが頼んでくれたから

なのに、そのキュートモンを蔑ろにするような真似をすれば、きっと)」

 

 

今日のような体験はもう二度と出来ない

 

それがわかっているから

 

胡蝶静羽は己が願いに蓋をするのであった。

 

 




本作品の胡蝶静羽さんは大体このテンションでお送りします。


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独白劇 田中ゆゆ子はかく語りき

 

 

 

「塁ちゃん、駄目よ・・・」

「ですが珠緒先輩ッ、このままではッ」

 

 

 

教室の片隅で珠緒せんぱいと塁が身を寄せ合い

微かな声で話し合っているのが見えます

 

 

 

「うう~~!、どこにも繋がんないー!

こうゆう時って何か都合良く掲示板にだけは書き込めるのがお約束じゃなかったっけー!?」

「ちょっといちえッ、し、静かにしなさいよ

【アイツ】に気づかれたらどうするつもり?」

 

 

 

スマホ片手に慌てるいちえさんを文せんぱいが宥める声が震えています

無理もありません、彼女は怖い話が苦手

 

 

 

・・・・・・・・・いえ、この状況では苦手も何もあったもんじゃありません

 

 

 

今、私達凛明館演劇同好会の五人が居るのは見慣れた校舎

 

 

 

ソレとよく似た仄暗い【異世界】で・・・

 

 

 

「ブルルルルルルルゥ」

 

 

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

 

化け物が徘徊する危険な場所なんですから

 

 

 

事の発端は、そう

凛明館演劇部OBの関係者から届いた小包を部室で開封しようとした時に

 

 

 

「世の中

 

 

F〇〇kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」

 

 

 

凄まじいダミ声・・・所謂デスボイスという奴ですかね?

それが壁越しに聞こえてきたかと思うと

 

部室の風景が一変して

 

気がつけば私達五人は此処に居ました

 

最初は何かのレヴューが始まったのだと考えていたんですがね、いつまで経っても『彼女逹』は現れませんし、何より身につけている衣服も全員揃って制服のまま・・・武器も持たないであんな化け物に立ち向かうなんて無謀もいいところ・・・

 

 

 

「私が囮になります

その間にゆっこと先輩方は外へ」

「塁ちゃん・・・!!」

 

 

 

塁の馬鹿ッッ

 

 

 

「脱出すんのはみんな一緒じゃなきゃダメだってッ」

「そ、それに!、校内から出れても・・・!

あ、あの化け物がおお!、追ってこないとは限らないし・・・!」

「先輩方の言う通り、少しは頭を冷やして下さいよ」

「でもゆっこ!」

「声が大きい」

「ーーーーーーッ」

 

 

 

駄目だ、全然納得してない

このままの状態が続けば、いずれ先輩達が止めるのを聞かずに飛び出して化け物に

 

 

 

「ゆゆ子ちゃん?」

 

 

 

そんなことはさせない

 

絶対、誰1人欠けることなく元の世界に

 

凛明館演劇同好会の舞台に帰るんだ!

 

 

 

・・・・・・・・・などと、我ながららしくないことを考えつつ私は慎重に足を動かすと

 

例の小包の元へと歩み寄り、音を立てないように中を検めれば

 

 

 

「これは・・・・・・・・・」

 

 

 

そこにあったのは薄墨色の懐中時計が五つと

奇妙な紋様が描かれた紙だけ

拍子抜けにも程があります・・・

話の流れからして脱出の為の取っ掛かりが入っていると思ったのに

 

 

 

「ブルルルルルルルゥウウウ!!」

 

 

 

!?、近づいてきた!!

 

 

 

「「「「「ーーーーーーッ!」」」」」

 

 

 

低い唸り声と固くて重い足音が部室を揺らすと

 

辺りの空気が一瞬で冷えて

 

私達の吐き出す息が白く染まってしまいます

 

 

 

「ブルルルゥ!、ブルルルルルル・・・!」

 

「「「「「~~~~~~!!!」」」」」

 

 

 

とまるなきづくなはやくあっちいけ

 

 

塁!!!、お願いだから動かないで!!!

 

 

そう必死に念じ

力一杯口を押さえつけ、息を殺していると

 

 

 

「ブル、ブルルルゥ・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あきらめた?

 

 

 

「「「「「はぁーーー・・・・・・・・・」」」」」

 

 

気配が遠ざかていったので私達は一斉に安堵の息を漏らしました・・・

 

 

 

「《メテオヘイル》」

 

 

 

え??

 

 

 

「!!、ゆっこぉおおおおおお!!!」

 

 

 

るい?

 

 

なんでわたしの した にいるの??

 

 

「ゆっこ!!?ゆっこ!!大丈夫!!?だいじょうぶだっていって!!」

「やめて塁ちゃん!!、揺さぶらないで!!」

 

 

 

?、なんのはなしですか?

 

 

 

「こんの!!、よくもゆっこを!!」

「やめなさい!!、いちえ!!」

 

 

 

 

 

 

「ブルルルルルルルゥウウウ!!!」

 

 

 

いやだ だめ せんぱい あぶない にげて

 

 

 

「ーーーーーーッッ!!!」

「ブルルゥ!!?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・え??

 

 

 

「ふ、ふみ??、なにしたの??」

「な、なにって、わたしにもなにがなんだか

って!、それよりゆゆ子は!?」

 

 

 

いえいえ、私のことはそれ程重要とは

 

 

 

「うぅ!、ぁ?」

「ゆっこぉおおお!!」

「ああ良かったッ、意識はあるみたい・・・」

 

 

 

おや?、何故か声が出ません

それに、どうゆうことでしょう?

じわりじわりと体中が痛んでぇッ

も、もしかして

 

 

 

「わたし、じゅーしょー?」

「重症だよ!!、飛んできた壁の破片に吹き飛ばされたんだから!!」

 

 

 

・・・・・・・・・想像以上に深手を負っていました

通りで床に机や壁の残骸やら例の懐中時計が四つ転がって

 

 

 

四つ??、はて?、一つ足りませんね?

 

 

 

「文、さっきの怪物は・・・?」

「私にもよくわからないけど、この中に吸い込まれたみたい」

「どれど

 

 

 

ひぇあああ!!? つつめたぁいっ!!?」

 

 

 

「「いちえ!!?」」

「ふ、ふふみ、よよよくそんなのももってられるね??

あああたししもやけになっちゃったよ??」

 

 

 

これはいつもの冗談ではありません

本当に指先が霜焼けになっています

 

 

 

「もしかしたら、文せんぱいがあの氷の化け物を閉じ込めたからそうなったのやもしれません」

「だから文以外は触れられない?

・・・・・・・・・にわかには信じがたい話だけど」

「ですが!、これでもう安心ですよ!、早くここから出ましょう!

ゆっこを病院に連れて行かないと!!」

 

 

 

塁はそう言うと慣れた手つきで未だに動けないでいる私を背負ってくれた

 

 

 

「待って下さい塁、先輩達も」

「「「「?」」」」

「他にもあんな化け物が居ないとは限りません

念の為、懐中時計と後その紙も持って行った方が良いかと」

「確かに、その方

 

 

 

があぁ!!?」「「文!!?」」

 

 

 

別の懐中時計を持とうとした文せんぱいの手が弾かれた!?

 

 

 

「痛ッ、静電気?・・・じゃないわね、コレ」

「まさか、懐中時計を持てるのは1人1つということ?」

「何そのルール!?、厳し過ぎない!?」

「文句言ってても仕方ないでしょ

塁、ゆゆ子の分つけてあげられる?」

「わ、わかりました!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

化け物が徘徊する摩訶不思議な場所

 

それに対抗する為の摩訶不思議な道具

 

やっぱり、今私達に降りかかっている災難は

 

何かの意思によって引き起こされている?

 

だとしたら   誰が?   何の目的で?

 

 

 

「見えた!!、見えたよゆっこ!!」

「!!」

 

 

 

塁の背中であれやこれやを考えている間にも彼女は先輩達と一緒に私の分まで走ってくれました

その甲斐あって出口はもう目と鼻の先

 

 

 

 

「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」

 

 

 

 

だっ

 

 

たのに!!

 

 

 

「けほっ!、けほっ!

みんな!、怪我はない!?」

「は、はい!!」

 

 

 

天井が崩れ いや、それどころか燃えてる!?

 

 

 

「ふみ?、文!!、ふみぃいいい!!!」

 

 

 

!?、いちえさんの前に瓦礫の山が

 

 

 

まさか!!!

 

 

 

「そんなに叫ばなくても聞こえてるってば!!!」

 

 

・・・・・・・・・はぁーーーっ、よかった

 

 

「文!!、本当に大丈夫なの!?」

「勿論平気よ

だけど、これじゃそっちに行くのは無理そうね・・・

珠緒逹はそのまま校舎を出てて

私は裏口の方から脱出するから」

「そ、そんな!!、そんなのダメだよ!!

文を1人にするなんてあたし出来ない!!

 

 

・・・・・・・・・文?、ねぇちょっと文!!?」

 

 

文せんぱいからの返事が聞こえません

 

 

「きっと、もうここから離れたのよ」

「なら!、私達は外から裏口に回りましょう!

そうすれば文先輩と合流出来る筈です!」

「!、そっか!、その手があった!、ナイス塁!!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そう、なんですよね?

 

 

 

本当は、瓦礫に足を挟まれて動けないのに

 

 

 

演技してる訳じゃないんですよね?

 

 

 

そうだきっとそうなんだかりにもしもそうだとしても塁がいったとおりにうらぐちからたすければいいんだだからだいじょうぶだいじょうぶだいじょうぶ

 

 

 

・・・・・・・・・などと、自分に言い聞かせていた

 

その時

 

 

 

丁度、先輩2人に続いて私達が校舎を出た瞬間でした

 

 

 

 

 

 

「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」

 

 

 

 

 

 

 

炎の 化け物が

 

 

        凛明館を

 

 

 

まだ   ふみせんぱいがなかいるのに

 

 

 

 

 

            おしつぶしたのは

 

 

 

 

 

「あ?

 

 

ああっ あ ヤダ

 

 

         いや

 

 

やぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

 

ああ・・・・・・・・・

 

 

いちえさんがないてる

 

 

 

たまおせんぱいも るいも きっと わたしも

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

え? は? なんで??

 

 

なんであなたがここにいるの??

 

 

ねえ?    

 

 

         しおりん

 

 

 

 

 

 

 

 



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EVOLUTION&DIGIXROS!! 灼熱地獄を斬り裂いて!

☆輝きの無い世界

 

 

数分前・・・・・・・・・

 

 

『迷宮』入口

 

 

 

「晶ちゃーーーん!」

「よぉー!、待たせたなぁー!」

「いや、時間通りだ」

 

ここでフロンティアとシークフェルトの面々は待ち合わせをしていた。

 

「あれ?、今日はつかさちゃんも参加するんだ?」

「ええ、ララフィンや静羽にばっかり任せっ放しなのは先輩として気が引けちゃって

最も、私に何が出来るかって話なんだけど・・・」

「そんなことありません!、つかさ先輩が後ろで観ててくれるなんて百人力ですよ!」

「それに、私達デジモンと一緒の舞台にはまだまだまだ慣れないんで

周りを見てくれるだけでもありがたいんですよねー」

「実際!、先日の胡蝶さんの采配はとても素晴らしかったです!」

「ふふふっ、そう言って貰えると嬉しいわ」

「・・・・・・・・・フンッ」

「キュウ?」

 

静羽とつかさを背中に乗せ不機嫌そうに鼻を鳴らすドルルモンの顔を頭の上から不思議そうに見つめるキュートモン。

 

 

 

「キュッ!!?」

 

 

 

その長い耳が突然ピンッ!、と伸ばされ

 

小さな体がガタガタと震え出す。

 

 

「ど、どうしたんだーい??」

『ホワッツ!?、ホワッツ!?』

「こ、こんなに、怖い音!、聴いたことない・・・キュウウウ・・・ッ」

「キュートモン!?

 

 

 

!、アレは!!」『『!!』』

 

 

 

 

「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」

 

 

 

直後、舞台少女やデジモンの頭上を

 

粉塵を撒き散らしながら通過したのは

 

溶岩の化身のような姿をした翼竜。

 

 

 

「!、この気配はッ間違いない!!

 

 

レイド帝国産のデジモン

 

 

まだ生き残りが居たというのか!!?」

 

 

 

「なん、だと・・・!?

 

 

 

(まさか、あの時の『奴ら』か・・・!?)」

 

 

 

ソレの存在にウィザーモンとドルルモンの顔色が変わる一方

 

 

「ハニー!!?」

 

 

ソレの行き先に栞は妙な胸騒ぎを感じ

 

脇目も振らずに駆け出した。

 

 

「(どうして今まで気づかなかったの?

 

 

私達やフロンティアの人逹が狙われたのなら

 

 

お姉ちゃん逹だって!!!

 

 

 

お願い! 間に合って!)」

 

 

 

早まる脈拍を 四肢の震えを 息苦しさを

 

一縷の希望に縋ることで捩じ伏せ

 

辿り着いた先で翡翠の君が目にしたのは・・・

 

 

 

 

「やぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

火山翼竜に押し潰された木造建築の校舎と

 

 

その前でへたりこみ涙を流す少女が4人。

 

 

 

『あ・・・・・・・・・』

 

 

 

彼女達の視線が自分に集まっている。

 

 

ソレだけで充分だった

 

 

夢大路栞が炎の中へと飛び込む理由は。

 

 

 

「お姉ちゃん!! どこ!? お姉ちゃん!!」

 

 

 

脆くなった壁を、降りかかる火の粉をヤーデアングリフで払い

 

 

「聞こえてるよね!!?

私の声ちゃんと届いているよね!!?

 

 

お姉ちゃゴホ・・・ッ!!ケホ!!おねえちゃん!!!」

 

 

気管が焼かれるのも構わず声を張り上げ、紅蓮に衣装を炙られながら燃え盛る廊下をひた走る

 

 

 

「・・・、・・・・・・・・・・・・ぉ・・・・・・?」

「お姉ちゃんッッッ!!!」

 

 

 

瓦礫に埋もれた大切な存在を目指して。

 

 

 

「待っててね、い・・・ま?・・・・・・・・・ぁ・・・」

 

 

 

やっと姉の元まで来れたのに何故だろう?

力が入らない。

 

 

 

一酸化炭素中毒だ。

 

 

 

「そ、んな・・・・・・・・・

 

 

ッ、ごめんなさい!!!

 

 

ごめ ごめん、ね   おねえちゃっ」

 

 

 

炎の牢獄に囚われた姉妹へと降りかかるのは

 

 

 

〔「ベビーヘイル」〕

 

 

 

どこからともなく吹き込んできた冷気と

 

 

 

「ヨ、ンんんん・・・!!!」

 

 

 

けたたましい虫の羽音。

 

 

 

「ファン、ビー・・・も・・・もえ、て・・・?」

「続けて、ハニー」

 

 

 

焦点が合わない目で自分を見上げるパートナーにデジモンは燃える瓦礫を背中で受け止めながら、優しく声をかける。

 

 

 

「なに・・・を・・・・・・・・・?」

「君がやりたいこと、君達がやりたい舞台」

「!」

「君が望むならいくらでも力になるヨン

 

 

 

この命は君から貰ったモンなんだから」

 

 

 

「・・・・・・・・・ーーーーーーほんと、に

 

 

 

本当に私の力になってくれるの?」

 

 

 

その翅は炎に焼かれ、徐々に力を失っている

 

 

なのに、ファンビーモンは

 

 

 

「勿論だヨン!、ハニー!」

 

 

 

初めて出会った時と何一つ変わらない。

 

 

 

甘える声を上げながら栞のことを甘やかす。

 

 

 

「それ、なら・・・わたしは・・・・・・・・・私達は!

 

 

 

こんな所で終わりたくないッ

 

 

だから!!!

 

 

 

         !!!」

         ‎

 

 

火の海の真っ只中で蕾が開く時

 

襟袖の神機・イミテーションより

 

翡翠が混じる銀色に彩られた0と1の粒子が放出

 

ソレが造り上げた銀幕に投影されるのは・・・

 

 

 

「蜜命受領、これより焦土作戦を実行する」

 

 

 

 

 

 

 

「〔《ホーンブレイカーDX!!!!》〕」

「ヴォッ」

 

 

 

栞とファンビーモンが校舎内へ入るのと同時にスターアックスを装備したシャウトモンX2が突撃。

溶岩翼竜を建物の上から強引に引っぺがした。

 

「ラヴォガリータモン、完全体

だけど、このステータスッ

インフェルモンとは比べ物にならない!」

「そんなの当然だろう!?

奴はデジタマまでもがレイドプログラムによって造られた産まれながらの殺戮兵器!

聖騎士や神々すらも苦戦を強いられたモンと同類なのだから!」

「!、クカカ・・・」

「誰が相手だろうと関係ありません!!

一刻も早く倒さなくては!!、栞や文さんが!!」

「ッ」

「鶴!!」

「わ、わかってますって!!」

「晶」

「・・・・・・・・・文のことは栞に任せ、私達は私達の舞台を完遂する!」

「お任せ下さい!!、王よ!!」

「で、でもーっ!

あんなのどうやってたおすでっしゅー!?」

「わかんない!、わかんない、けど!」

「とりあえず、やるだけやってみないと!」

「静羽とつかさは珠緒達をお願い!」

「わ、わかった・・・!」

「怪我してる子が居るっキュ!、治すっキュ!」

「お、おいキュートモン!?」

「お願いドルルモン!、怪我人の治療が終わったらあなた達は離れていいから!」

「・・・・・・・・・チッ!、わかったよ!」

 

 

 

「《ワイルドブラスト!!》」

「〔『ぅぁああああああーーー!!?』〕」

 

 

 

すると、ラヴォガリータモンの周囲を舞う粉塵が突如大爆発。

強化装甲形態が黒煙を上げながら力なく地面を転がっていく・・・。

 

 

 

「シャウトモン!!」「バリスタモン!!」

「い、つつ・・・とんでもねぇー野郎だ・・・!」

 

 

 

「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」

 

 

 

「こんのぉッ、飛ぶなぁーーー!!!」

 

鬼気迫る表情で連射されたペルレンプファイルの矢は

 

 

 

「《メルダイナー!!》」

「!?」「ヒヨォオオオ!!」

 

 

 

口から放たれた熱線により全て蒸発させられ

挙げ句、地上のやちよと彼女を庇ったヒヨコモンにさえも大ダメージを食らわせた。

 

「あ、あんなのが校舎に当たったら栞も文も危ないッ

もうこれ以上撃たせちゃダメだ!!」

「そんなことは百も承知!!」

「行きましょう晶さん!!」

「!?、待って下さい王!、メイファン様も!」

「弟子、粉塵を糸で絡め取って」

「は、はいーっ!、でっしゅー!

ってぇーっ!?、おししょーしゃまーっ!」

 

起爆装置たる粉塵を撒き散らし飛び回る溶岩翼竜目掛け、舞台少女達は地を駆ける。

 

「キュウウウーーー!!」

「す、すごい、本当にゆっこの傷が治ってる・・・!」

「はい、大分体が楽になってきました」

「よかっ、たぁ!?」

「つかさちゃん!!

なんでみんなこの舞台に立てるの!?

なんであたし達はこの舞台に立てないの!?

どうすればいいの!?、おしえてよぉ!!

あたしだって、ふみをたすけたいのにぃ!!

このままじゃしおりちゃんまで!!!」

「一体、何がいけないんですか?

私達には、何が足りないんですか?」

「「・・・・・・・・・ッ」」

「フンッ!、契約するデジモンも契約の為の道具も無いお前らじゃ土台無理な話だ

諦めて大人しくしていろ、足手まといだ」

「「「「「!!」」」」」

「ドルルモン・・・・・・・・・」

「お前らもだ!

今回の相手は今までとはワケが違う!

 

 

大体、ここは『舞台』なんかじゃない!!!

 

 

 

戦場だ」

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』「キュー・・・」

 

獣の口から放たれる厳しい叱責に少女達は何も言い返すことが出来ない。

 

 

 

         「対象発見」

         ‎

 

 

その時だった

 

 

 

高速で突っ走り、戦うことの出来ない存在を

 

 

 

「《アサルトクロー》」

 

 

 

爪で引き裂かんとする存在が現れたのは。

 

 

 

「なっ!?「馬鹿な!!

 

 

(気づかなかっただとぉ!!?)」」

 

 

 

新たな敵は動揺するドルルモンとウィザーモンの間を俊足ですり抜けると

 

 

巴珠緒に狙いを定め

 

 

《アサルトクロー》をズブリと突き刺す。

 

 

「ぅ

 

 

           ぐ!

 

 

 

 

 

捕まえた」「!?」

 

 

青く光る鋭い爪先を受け止めたのは

 

 

あの懐中時計。

 

 

乾坤一擲、命を賭して少女は

 

 

 

 

制服姿の舞台少女は

 

 

 

この戦場を己が暉る舞台に変えて魅せた。

 

 

 

「珠緒先輩ッッ!!!」

「心配しないで、もう大丈夫だから」

「と、巴、さん?、ソレは一体??」

「私達にもわかりません

ですが、もしかしたら

これこそが先程そちらの狼さんが言っていた契約に必要な物なのかもしれませんね」

「!」

「(神機?、いや、形状がまるで違う

何よりなんだ?、この妙な感覚は?)」

 

珠緒が新手を封じ込めた懐中時計を見せつける。

 

 

 

 

 

ズズ・・・・・・ッ・・・・・・・・・!

 

 

 

 

 

直後、凛明館の校舎が不自然に揺れた。

 

 

「ぁあ・・・!、あああああぁあああ・・・!!!

 

 

しおりちゃんッ   ふみぃ!!!

 

 

ぇ」

 

 

 

「ヴォオオオオオオオオオオオオ!!??」

 

 

 

炎上する建物を跡形も無く吹き飛ばしたのは

 

 

内部から発射された強力なレーザー砲と

 

 

 

「《ベア、バスター・・・!!》」

 

 

 

蜂型サイボーグデジモン。

 

 

 

「ワスプモン、成熟期・・・?

!、ファンビーモンの進化態!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・たあ」

「鶴?」

 

ソレは夢大路姉妹を両手で優しく包みながら忙しなく翅を動かし、癒しの力持つ妖精を目指す。

 

「「文!!」」「文先輩!!」

「ッ、私はもういいから!!、早く!!」

「キュウ!」

「・・・・・・・・・シオリは私が手当てしよう

これでも応急措置程度ならば出来る」

「たの、んだ、ヨ」

 

2人の元へ少女達や自称・魔法使いが駆け寄るのを見届けた所でワスプモンは・・・ファンビーモンは意識を手離した。

 

「「「・・・・・・・・・」」」

「!、王?」

「クカ?」

「お、おししょーしゃま??」

 

 

 

今の仲間越しに見える文の制服は

 

 

      皮膚は 所々が炭化しており

 

 

内部の『データ』が剥き出しになっている。

 

 

 

「ヴォオオオーーー・・・ン!

 

 

餌ぁ!!!、餌ぁあああーーー!!!

 

 

く わ せ ろ ぉ おおおーーー!!!」

 

 

「んなろぉー!

《バディブラスタぁあーー!!》〕」

「止まれぇえええーーー!!」

 

 

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

 

 

角からの砲撃や二丁拳銃による銃火を浴びせられているにも関わらず、諸悪の根源は止まらない。

右翼に穴を開けたまま輝きの無い空を飛び回り

高熱の涎と起爆装置たる粉塵を撒き散らして

『彼女』達を食おうとしている。

 

 

 

「「「「ーーーーーーッッ!!!!」」」」

 

 

 

この光景を前に気高きソウルとキラめきは

 

次のステージへと進化。

 

神機・イミテーションを起動させるに至った。

 

 

 

「《ツバメ二枚返し》ヒョオオオゥ!!」

 

 

 

銀幕の投影を待たずして二刀流の鳥人侍が褐色の翼を広げて飛翔。

 

 

 

「《スパイキングフィニっしゅーっ!》」

 

 

 

その斬撃に合わせ、緑と黒の人型甲虫が細身とは裏腹な痛打を浴びせる。

 

 

 

「ヴォオオオオ!?、ヴォッ?!!」

「クカカァ」

 

 

 

突然『餌共』に頭上をとられ苛立っていたラヴォガリータモンを鎌鼬が銀幕越しに放った不可視の刃が強襲し、ワスプモンが開けた穴を利用し右翼を切断。

 

 

 

「《メガダッシュインパクト・・・!!!》」

 

 

 

墜落と同時に接近した古代鳥の強脚が溶岩で出来た首をもぎ取った。

 

「ブライモン、スティングモン、レッパモン

 

ディアトリモン

 

(夢大路さん達が切っ掛けでパートナーを成熟期に進化させられた

 

だけど・・・・・・・・・)」

 

 

「「「「ハァハァ!、ハッ、ぐ!!」」」」

 

 

「晶ちゃん!!」

「ど、どうしたんですか!?」

「きっと、成熟期への進化はエネルギーの消費

 

 

 

!?、うそ、でしょ??」『『!!』』

 

 

 

「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」

 

 

 

「くそ!!、やはり奴もあのグリフォモン達のように超再生が出来たのか!!」

「そう、いうのは!

もっと、早くに言って欲しかったよッ」

「おおおおししょーしゃまのいうとーりっ!、でっしゅーっ!」

「鶴!!、まだいけっヒョ!?」

「当!、然!」

「レッパモン・・・!、私に構わずそいつを!」

「・・・・・・・・・」

「王、ここはワタシめにお任せを」

「くっ!!」

 

 

 

成熟期の維持で精一杯なシークフェルト

 

 

 

「行くぜぇーーー!!

『YEEEEEEAAAAAAH!!!!!!〕』」

「ララフィン先輩ッ」

「私に合わせて美空!

あるる!、援護射撃よろしく!」

「わかった!」

 

 

 

そして、ラヴォガリータモンを飛ばせまいと全力の接近戦を繰り広げるフロンティア

 

 

 

「《レーザーアイ》」

 

 

 

故に、狙われた凛明館。

 

 

 

「ぐぁああああああ!!?」

「「ドルルモン!!」」「キュッ!!?」

 

 

 

超高高度からの精密射撃により狼が少女達から引き離される。

 

「《サンダークラウドぉおーーー!!!》」

「ジャザァー!」

 

垂直降下してくる竜の戦闘機に『雷』のエレメントが直撃したが、まるで効果がない。

 

「《ソニック」

「ぁ」

 

 

 

「塁ちゃん!! みんな!! 危ない!!」

 

 

 

「バルカン》」〔「《ウォルレーキ》」〕

 

 

 

肩に備わる機銃が高速で連射されるのと

 

その射線上に巴珠緒が身を投げ出したのは

 

 

 

ほぼ、同時だった。

 

 

 

「え? あれ? たまお せんぱ?」

 

 

爆ぜる   爆ぜる

 

   爆ぜる   爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる

 

 

爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる爆ぜる

 

 

アノヤワラカナ 『データ』ガ   ハゼル

 

 

秋風塁の目の前で。

 

 

「対象「おまえ」破損「お前ッッ」回収不能

 

廃棄」「おまえええええええええっっ!!!!!!」

 

 

直後、少女は衝動に駆られるまま

 

垂直で離陸する竜の戦闘機に飛びかかると

 

 

「よくも!!!よくも!!!よくも!!!よくもよくもよくも!!!たまおせんぱいをよくもおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

 

 

例の懐中時計で角ばった頭部を何度も殴った。

 

 

「ジャザァーーーッ?!」

 

 

すると、絶叫と共に鋼鉄の体躯は文字盤に吸い込まれていき

その結果・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

ガチャアンッッッ!!!

 

 

 

 

 

「ぅ、ぅう!」

「る、るいぃいい!!      塁?」

 

空中に投げ出された塁が

 

 

 

突然出現した鉄の翼に包まれ地面へと落下。

 

 

 

「たま、お?」

「・・・・・・・・・ーーーーーー」

 

 

 

一方の珠緒も

 

 

盾のようなモノに全身が覆われており

 

 

 

傷だらけではあるが致命傷は免れている。

 

「ウィザーモン、アレ、なに?」

「し、知らないッ、わからない!

私には何も!!」

 

 

 

「《ワイルドブラスト!!》」

『ぐぁああああああ!!』

「「「うわぁああああああ!!」」」

 

 

 

「!!、みんな!!?」

 

戸惑うばかりのつかさや静羽の鼓膜を震わせたのは、凄まじい爆発音と仲間達の悲鳴。

 

「《ワイルドブラスト!!》《ワイルドブラスト!!》《メルダイナー!!》《ワイルドブラスト!!》《メルダイナー!!》《メルダイナー!!》

 

 

 

ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」

 

 

 

その元凶は完全再生した翼を広げて飛翔し

 

熱線を、粉塵を、バラ撒きながら咆哮する。

 

 

 

「あぁっ、ああ・・・!!」

「再生が早すぎるッ

ダメージを与えたそばから全回だなんて!」

「どうしょう静羽、私達どうしたらいいの!?」

「・・・・・・・・・せめて、シャウトモンが

 

 

 

空を飛べるデジモンとデジクロス出来たら」

「!!!」

 

 

 

「ラヴォガリータモンの再生を上回っているのはX2の攻撃だけよ

だから、成熟期に進化したシークフェルトのデジモン達と連携して空中戦が出来れば、まだ可能性があったッ」

「ーーーーーー!!!」

 

静羽の呟きにつかさが歯を強く食い縛り、拳を震わせていると

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(戦況は圧倒的に不利

しかも、まだ伏兵が潜んでいる可能性もある

幸い、奴の注意は『俺達』には向いていない

技の乱発で粉塵が減っている今がチャンスだ)

 

 

 

キュートモン、これ以上は無理だ

 

 

脱出するぞ」

 

 

『なっ!!?』

 

 

 

ドルルモンが覚束ない足取りで歩みを進めていた。

 

 

 

「ま、待って、まってよぉ!!」

「今この子が居なくなったら文せんぱいが!!」

「さっき言っただろうが

ここは戦場、弱いモンから消え

 

 

 

む?」

 

 

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

「やちよ、ちゃ!」

「メイファンさん・・・!」

「お前ら、なんのつもりだ?」

 

そんな狼の進路を塞いだのは

満身創痍なシークフェルトのエーデル達。

 

「それはこちらの台詞だ」

「フンッ、そこで転がってる命知らずは匂いが似てるからまだわかるが

お前らとそのニンゲンは無関係だろうが?」

「それが何?」

「!?」

「私達と関係が無いなら見捨てても良いとでも?」

「・・・・・・・・・」

「い、いいからどけ!!

『俺達』の邪魔をするな!!

キュートモン!!、早くこっちへ 」

 

 

 

「嫌っキュ」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 

 

 

キュートモンを想っての言葉を

 

キュートモン自身がハッキリ拒絶する。

 

 

 

「キュートモン、何を言」

「この子を放って逃げるなんて絶対嫌っキュ」

「!!、それこそ関係ないだろうが!!?

『俺達』とそのニンゲンは!!」

「・・・・・・・・・

 

 

 

僕の家族はもうどこにも居ないから」

 

 

 

「え」

「「「「「「!!?」」」」」」

「だから、もう

 

 

 

『家族』が離ればなれになるのは見たくない

 

 

キュ」

「き、きみ・・・・・・・・・」

「ありがとう!、ありがとう、ございますッ」

 

愛らしい口調で淡々と語りながらも治癒の手は一切止めない

 

「キュートモン? おまえ? きづいて?

 

いつから? え? え??」

 

「・・・・・・・・・」

 

「なら、それなら、なんだよ?

 

 

 

俺が今までやってきたことはなんだったんだよ

 

 

なぁ?、なぁ!!?、キュートモン!!!」

「ドルルモン

 

 

 

今までありがとう

 

 

でも、もういいっキュ

 

僕のことはもういいから

 

 

 

ドルルモンは独りで逃げてっキュ」

 

 

 

「あ」

 

「・・・・・・・・・その傷、治せなくてごめんなさいっキュ」

 

 

 

ドルルモンの方を見向きもしない。

 

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

 

トリアージされた狼に同情が集まる

先程まで怒りを抱いていたエーデル達すらもだ。

 

「は、はははっ

(俺は一体何を勘違いしてたんだ?

あのババアのケツに乗っかって

やりたい放題やってたモンが

 

 

 

今更受け入れられるワケがないだろうが)」

 

 

 

温もりを失い、鬣ごと震える背中

 

 

 

「ドルルモン 私と契約して」

「え」

「キュ?」

 

 

 

に、寄り添う少女・胡蝶静羽。

 

 

 

「今のあなたにとってここは戦場

弱い者は生きていけない場所

だけど、舞台ならそんな決まりは変えられる

 

 

 

『私達』なら変えられる」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「もし、もしもまだ

あなたがキュートモンと一緒に居たいなら

 

 

 

私を利用して   私もあなたを利用して

 

 

 

このクリア出来るかわからないステージでキラめいてみせる」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

チッ、わかったよ   シズハ」

 

 

 

「!?」

「(フンッ、とぼけた顔しやがって

断れるワケがないだろうが

ここで逃げれば、俺は、もう)」

「キュウーー・・・・・・・・・」

「ぅ」

「キュ!?」

「ふみ!!」「ふみせんぱい!!」「「「「!!」」」」

 

治癒が佳境に入った『支点』が見守る中

 

 

 

〔SHIZUHA KOCHO X DORULUMON

 

CONTRACT!!〕

 

 

 

1人と1体の契約が交わされ、新たな舞台少女が爆風にレヴュー衣装をはためかせながら

この狂乱のステージに舞い降りた。

 

「3人共、クロスオープン!!」

「「「ええ!?」」」

「早く!!」

「「「く、クロスオープン!」」」

「スターモンズはララフィンと美空ちゃんをラヴォガリータモンの所へ!

バリスタモン、ディアトリモンの《デストラクションロアー》に合わせて《ヘヴィスピーカー》!

他のデジモンは援護をお願い!!」

『『〔!〕』』

 

すると静羽は爪と牙の意匠が施されたオレンジのクロスローダー片手に指示を飛ばしまくる。

 

「行くわよ!、あるるちゃん!」

「わかったよ!、静羽ちゃん!

 

 

 

シャウトモン!!」「OK!!」

「ドルルモン!!」「ドラァ!!」

 

 

 

「「デジクロス!!

 

 

シャウトモン+ドルルキャノン!!」」」」

 

 

 

「ドルルモンが大砲になりましたよ!!?」

「あらあら、すっかり主役取られてますけどいいんですかー?、晶センパーイ?」

「・・・・・・・・・フッ、漸くこの舞台に『鶴姫やちよ』が登場したか」

「あははっ♪、そうゆう晶こそ

やっと白金の君としての余裕が出てきたんじゃない?」

 

 

 

フロンティアが開拓した新たなデジクロスを

 

息を吹き返した凛明館の少女を目の当たりにし

 

シークフェルトのソウルが研ぎ澄まされていく。

 

 

 

「嗚呼!、感じます王よ!

貴女様のキラめきが更なる高みへと昇っていくのが・・・!《デストラクションロアー!!》」

〔《ヘヴィスピーカー!!》〕

「ヴォオオオオオオ・・・ッ!?」

「ボキだーってぇーっ!」

「グガガガガァ!!」

「ヒョオオオゥ!!」

「HEY!、モーンズ!

盛り上がってるかーい?」『Yeeeeeah!!!』

「OK☆!、それならもっと目立ってこうZE☆!」

「もっちろん☆!」

「つかさ先輩の分も!!、あたしが!!」

「ヴォゥン?!、ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」

 

2体同時の音波攻撃により粉塵は吹き飛ばされた上、動きを封じられたラヴォガリータモンをスターモンズを足場にしたララフィンと美空

更には、スティングモンとレッパモンとブライモンが四方八方から攻撃を仕掛け

 

 

 

「「「「ーーーーーーーーー!!!」」」」

 

 

 

地上では2X2のエネルギーを充填。

 

 

 

「ヴォオオオオオオ!!!、餌ぁ!!!

くわせろぉおおおーーー!!!」

「そんなに食いたきゃコイツを食いなぁー!

 

 

 

《ドルルキャノン!!!!》」」

 

 

 

「《メイる!"ッ!"」

 

 

 

口内に熱線が見えた瞬間に狙い撃つ!。

 

 

 

「ォオオオオだいなぁあああ!!!》」

 

 

 

しかし、頭部が丸々吹き飛ばされたにも関わらずラヴォガリータモンは瞬時に再生

地面に落下しながらも必殺技を放ってきた。

 

「ああぁ!?」

「ら、ララフィンせんぱい!!」

「シスターはスターモンズに任せなぁ!

ミソラは兄貴達とフィナーレを決めるんだZE☆!」

「!、ふぅーーーっ、はぁーーー!

あるる!、静羽先輩!、バリスタモン!!」

〔フンガッ!!〕

 

空中と地上で声とハートが交錯した瞬間

 

 

 

「〔「シャウトモン!! X3!!!」〕」

 

 

 

「グガガ!?」

「アレは! オ、オメガモン・・・・・・・・・?」」

 

 

 

かの白騎士にソックリなデジモンが登場

 

 

 

「〔「《スリィイー!インパクトォオーーー!!》」〕」

「ヴォオオオオオオオオオオオオ"!!!」

 

 

 

その渾身の拳が溶岩翼竜の電脳核を粉砕!。

 

 

ラヴォガリータモンは消

 

 

 

「ヴォオ・・・オ・・・・・・!」

『『〔ッッッ!!!???〕』』

 

 

 

えない。

 

 

 

粉砕された核の欠片が一瞬で集まって再生し

 

体躯はかなり小型になっているが

 

まだ、生きている。

 

 

 

「今が好機、カナ?《ストライクボマー》」

 

 

 

更に、ここで、このタイミングで

 

最後の伏兵が現れ、緑の強靭な尾を振るった。

 

 

 

「もう、幕は下りているの、で!!」

「空気読んでよ、この

 

 

 

ばかぁああああああああああああーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

「カナ!?」「ヴォオン!?」

 

 

 

すると、制服姿の舞台少女達が懐中時計片手に

 

力強く躍り出て、デジモン2体を封印。

 

遂に獄炎のレヴューは終幕を迎えるに至った

 

 

 

「な、何よコレッ!?、どうして栞が倒れてるの!!?

それに珠緒!!、塁まで本当に何が!?」

 

 

 

身につけた衣類すらも全回復した夢大路文を置いてけぼりにして。

 

 

 

 

 

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

 

「ね、ねぇ!、ねぇねぇ!!

コレってさ『ゲーム』なんだよね!?、ね!、ねぇ!?」

「そ、そうよ!、そうに決まってんじゃん!

じゃなかったら、私達が今までやってきたことって・・・」

「だだだいじょうぶ!!!

 

 

 

デジモンなんてタダの『データ』なんだし!

ソウル、は、その、まだアレだけど・・・

 

 

 

キラめきなんて無くたって誰も困らないし!

 

 

 

全然問題ないって!!!」

「だよ、ね?

私達悪いことなんてしてないよね?」

「そうそう!、そうだよ!!

 

 

 

悪いのは現実と『ゲーム』の区別がつかない

 

 

 

『チート』使ってるクセに偉そうな

 

 

あいつらなんだから」「本当にズルいよッ」「現実でも良い想いしてるのにみんなの『ゲーム』でも

 

 

 

私達の舞台でも目立とうとするなんて・・・

 

 

 

絶対に許せない!!!」」」

 

 

 

 

 






その頃、デジタルワールドでは・・・・・・・・・


part2









『うひぃぃぃいいい~~~!!』
『おおおたすけぇえええ!!』
「・・・・・・・・・ったく」


バンチョーレオモンが訪れたのは微笑みの里から少し離れた所にある、あちこち抉れたり燃やされた跡が残っていたりするボロボロな酒屋。



「巨大肉、焼き加減はレア
酒はこの店で一番強いモンを全部出しなァ、一つたりとも薄めんじゃねぇぞ」
「は、はぁ・・・盃は、どうしますか?」
「一番デカいモン寄越せ」
「かしこまりました
でも、あの、連中を追っ払ってくれたのでお代はいりませんし、というか、その、いくらなんでも払い過ぎ・・・」
「ア"?」
「ウキャッ!?、な、なんでもありませーん!」

隻眼の圧に押された隻腕のゴリモンがそそくさとカウンターの奥へと引っ込んでいく。



「おーーーい!、やってるジャーーン?」



すると、入れ替わりでマルスモンが来店。

「ウッキャー!!?、カミサマァ!!?」
「あ、気にしなくていいから」
「いや!、だって!、ええぇ!!?」
「気にしなくていいから」
「でも」
「いいから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワカリマシター」
「ケッ、こんな辺鄙な所にテメェが食えるモンなんてねェぞ」
「ディアナモンに弁当作って貰ってっから平気!、ほら見ろ笹弁当!」
「おい、この店持ち込みはいいのかァ?」
「タスカリマス!!!」
「だってさ!」
「・・・・・・・・・」
「?、まだBit払ってなかったジャン?」
「まァなァ
で、そっちはどうだった?」
「やっぱダメだった、どこ探しても



アルフォースブイドラモン見つかんない」



「ケッ、そうかよ」
「!?、!!、!!?」

百獣番長と闘争神の会話を店主は
見ない、聞かない、絶対他には喋らない。

「とりあえずアルファモンがログ探って手当たり次第に回ってるジャン」
「んなチンタラやってる場合かァ?」
「ウチもそう思うけどアルフォースブイドラモンの分まで動かないといけないからメルクリモンメチャクチャ忙しいし」
「どんだけ抱えてたんだよ、あの青瓢箪」
「オ、オマタセシマシター」

そう心に誓いながら左腕で注文の品を差し出した。





ドボドボドボドボドボドボドボドボ!!!
バッシャバッシャバッシャバッシャ!!!
ムッシャゴックンムッシャゴックン!!!





「               」



「バンチョーレオモンだって持ち込みしてんジャン」

バンチョーレオモンは献じられた酒瓶全ての栓を抜き、一滴残らず盃へブチ込むと
表面を炙っただけの巨大肉にGAKU-RANから取り出した



月光神特性究極体必殺級激辛ソース



をこれでもかとブッかけ、自分の顔よりデカい肉の塊をたった二口で平らげる
尚、この光景にゴリモンがカウンター内でブッ倒れたのは余談である。



「・・・・・・・・・」



白濁とした液体で満たされた盃の真ん中に浮かぶのは、割れたランプの黄色い明かり



ソレはまるで一房の甘い果実を思わせて。



「ケッ!!」
「?、???、??????、急にどうしたジャン?」
「何でもねぇよ!」

脳裏を過った仕様もないことを振り払うかのように盃の中身を一気に呷れば、辛味と辛味が大喧嘩しながら腹の中へと落ちていく。

「・・・・・・・・・なぁ、バンチョーレオモン」
「ア"ア"ッ!?」
「例のドルルモン、やっぱバッチャンの所の奴ジャン?」
「ケッ!、んなモンオレサマが知るかァ!」
「だって、あの一族で一匹狼になったのってそいつしか居ないし」
「もしそうだとしたらァ、テメェはそいつをどうすんだァ?」
「ブッ飛ばす」
「・・・・・・・・・聞いたオレサマが馬鹿だったァ」



「バンチョーレオモン!!!、てめぇコラ覚悟しろやぁ!!!」
「キャーーーッ!!、たすけてぇーーー!!」



「「・・・・・・・・・」」

ただでさえ、ボロボロな酒屋の扉が粉砕したかと思うとモヒカン頭のガラが悪いデジモン・リベリモンが人質同伴で御来店。

「こいつの命が惜しかっ



ゲフッッッ!??!」「ギャフッ!!?」



・・・・・・・・・直後、燃える拳が2体纏めて店の外へと殴り飛ばした。

「「ま、マメモーーーン!!??」」
「ったく、そういう真似はこのアホが居ない時にやれっての」
「アレ?、バンチョーレオモンさっきBit払ってなかったっけ?」
「気のせいだァ」
「そっか!」
「ゴッフ!!ゲッフッッ!!て、め、!、おとこどうしのケンカにわりこむたぁ!どういう!?」
「あ、そういうのいいから



お前誰に何吹き込まれたジャン?」
「!!!」



「お!、キタキタキターーー!、チャンス到来!、ディアナモンの読み通りジャン!」
「ひっ!?」

右腕の重機から逃れたのと引き換えに顔面が変形したマメモンにもんざえモンとワルもんざえモンが駆け寄るのを尻目に
マルスモンは嬉々とした表情で拳を鳴らす。

「ちょ、ちょうしのんなよぉおおお!!!



リベリ団オールデジクロス!!!」



「「!?」」

すると、リベリモンの胴体にレトロマイクのような形状をした神機らしき機械・・・クロスローダーが浮かび上がり
その体が見る見るうちに巨大化。

「ガハハハハハハ!!!、どうだ恐れ



ゲブッッ"ッ!!???!!・・・・・・・・・」



「なんだァ?、見かけ倒しかよ」
「本当ジャン!、聞きたいこといっぱいあったのに!」

・・・・・・・・・でも、次の瞬間には筋骨隆々な2体同時攻撃によりデジタマに還った



『無傷』のクロスローダーだけを残して。



「で?、こいつは何だァ?」
「ウチわかんない!、わかんないからジッチャンとこに持」






ピィーーー・・・・・・・・・





「「?



ーーーーーー!!、ぐァア"アああ!!?」」



ソレがバンチョーレオモンとマルスモンの神機へと送信したのは



『迷宮』によって育てられた暗黒のソウル


         100人分。
         ‎


「こい、つはァッ!」
「や!、べぇ!、コレ!!」
「へー、まだ自我残ってんだ?」
「「・・・・・・・・・!?」」
「流石はエーユーサマ」
「でも、これで終わりだ」



百獣番長も闘争神も急激に『データ』が変質していくのを阻止するのに全力を尽くしている。



「マメモン」「もんざえモン」「ワルもんざえモン



デジクロス!!!」」」



故に、リベリモン達を焚き付け

自分達を罠に嵌めた『黒の逢魔』に為す術が無い。



「クロスアップ、キャッチマメモン《マジックアーム!!!》」
「ァ"」「ジャッ」



マメモンが操縦する機械から伸びる
右手のもんざえモン、左手のワルもんざえモンがバンチョーレオモンとマルスモンを包み込み



グニャグニャこねてこねて
            こねればこねるほど
            ‎


その体躯は縮んで輪郭を失い



やがて・・・・・・・・・



「『手』作りヌイグルミ2つ出来上がり~♪


キャーッキャッキャッキャッキャッ!!」




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迷えるドルルモン、メフィストモン卑劣なる罠!

☆輝きの無い世界・プライバシーエリア

 

 

『エメラルドの宮』

 

 

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

 

あの大惨事の翌日、外観は立派な家の中では自称・魔法使いと尾がドリルな狼が睨み合っていた。

 

「力を使い果たしたキュートモンが心配とはいえパートナーを放っておくのは関心しないな」

「・・・・・・・・・お前は、何モンなんだ?」

「自己紹介ならとっくに済んでいるだろう?

しがない魔法使いのウィザーモン、さ」

「ただのウィザーモンにこうも高度なサーバーを造れる訳が無いだろうが!?」

「そう吠えるなよ、キュートモンが起きて困るのは貴君の方だろう?

なぁ、ドルルモン

 

 

 

          隊長」

 

 

 

「ッ!!?、な、なぜ、おまえが・・・!?」

「さて、ね

痛くない腹を探られたくないのはお互い様、とだけ言っておこうか」

「チッ!!、・・・・・・・・・ーーーーーー」

 

ウィザーモンに言いくるめられたドルルモンは寝台で眠るキュートモンを一瞥した後、すごすごと外へ。

 

 

 

 

まいったなー   全然上手くいかないや

 

 

何をやってるだろうな、わたしは」

 

 

 

とんがり帽子越しにくぐもった泣き言

 

 

 

「(ウィザーモン   ドルル、モン)」

 

 

 

そして、遠ざかる聞き慣れた足音に

 

ピンクの長い耳がピクリと揺れた。

 

 

 

 

 

「(くそ!、くそくそぉ!

この世界に来てから全部滅茶苦茶だ!

どうしてだ!?、なんで!?、くそぉ!!)

 

 

 

!、この匂いッ、まさか!!」

 

 

 

 

 

☆フロンティア芸術学校・校内

 

 

放課後

 

 

「ありがとう胡蝶さん、いつも助かるわ」

「はい・・・」

「?、どうしたの?、疲れてるみたいだけど

それに、よく見たら目に隈も出来てるし

もしかして、寝不足?」

「え、いえ・・・」

「最近の舞台表現コース忙しそうだったものね

でも、体調管理はちゃんとしなくちゃ駄目よ?」

「はい・・・」

 

胡蝶静羽は舞台表現コース総代としての業務を終え、教員から助言を頂いているのだが

 

 

 

「(ドルルモン・・・・・・・・・)」

 

 

 

彼女の心はこの世界には無い。

 

 

 

「(もっと早くに契約を持ちかければ良かった

そうすれば、キュートモンがあんなこと言わなかったかもしれない

 

 

わたしに、勇気がなかったばかりに

 

 

ううん、それを言ったら

あんなのドルルモン弱みに付け込んだだけで

 

 

 

本当のパートナーなんかじゃ、ない・・・)」

 

 

 

鞄に隠したオレンジ色のクロスローダーのせいだろうか?、やけに重い足取りで静羽は歩く。

 

 

 

「「・・・・・・・・・」」

「え?」

 

 

 

校舎を出るとフロンティアの制服を着た生徒がスーツ姿の男性と歩いているのが見えた。

 

「(家族、には見えないけど

 

 

 

!?)」

 

 

 

静羽が見つめる中、2人は人気の無い路地裏へと入っていく。

 

 

 

「ッ」

 

 

 

嫌な胸騒ぎがした彼女がコッソリ後をつけると

 

 

 

そこに広がっていたのは輝きの無い世界。

 

 

 

「な!?」

「おっと!、逃がしませんよ?」

「!!」

 

 

 

即座に制服をレヴュー衣装へと変換しユニコーンメイデンを構えようとすれば、件の男性が大鎌を恐れずに近寄ってきた。

 

「胡蝶さん、ゲームでインチキしてるっていう話本当だったんだ」

「!?、ち、違う!、私は!!」

「だったら、その格好何?

そんなの実装されてないって運営の人が言ってるけど?」

「運営!?、まさかあなたが!!」

「はい、『通報』を受けましてね

不正行為をしたプレイヤーに罰則をと」

「あなたのせいでサービス終了するかもしれないんだって!

1万人の楽しみを奪おうとしたんだから!

ちゃんと責任取って罰を受けて下さい!」

「(1万人!!?)」

 

女生徒の理不尽な言いがかりよりも運営を名乗る存在や自分達の予想を遥かに越えたゲーム人口に静羽は衝撃を受ける。

 

「さぁ、今ですよ」

「リロード!、ゴートモン!《ミスティックベル!》」

 

 

 

 

 

ゴォオオ"オオ"オオンッッ!!!"!"!!

 

 

 

 

 

「!?!、ぁああああああーー!!??」

 

その隙をつかれ、スマホから飛び出た黒毛の山羊・ゴートモンの必殺技が炸裂。

首からぶら下げたベルから発生する独特の超音波に苦しめられた静羽はユニコーンメイデンを放り出して耳を押さえた。

 

「やっちゃえ!、ゴートモン!」

「メェエエエエーーー!」

「カハッ!!、・・・・・・ッ・・・・・・ぅ・・・」

 

次の瞬間、山羊の頭突きが腹部に突き刺さり

視界が暗転。

 

「フェッフェッフェッ!、それではいきましょうか」

「はい!!」

 

『運営』を名乗る男は哄笑を上げ、気を失った静羽を抱えると一連の光景に何の疑問も持たないフロンティアの女生徒を伴い、輝きの無い世界の更に奥へと進むのであった。

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界・『秘密基地』

 

 

「おねえちゃん?、ツカサおねえちゃん!」

「あ、ごめんなさいスパロウモン」

「大丈夫?、何だか元気無いよ?」

「そう、かしら?」

 

同時刻、つかさは1人スパロウモンの元を訪れていた

 

「・・・・・・・・・ねぇ、スパロウモン」

「?」

「あの、ね」

 

その手に無色のクロスローダーを握り締めて。

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界・『運営事務所』

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・う、ぅぅ」

「あ!、胡蝶さん目を覚ましましたよ!」

「そうですか」

「!?、くっ

(動けない?、この魔法陣のせい?

ここは、墓場?)」

 

覚醒するや否や、静羽は周囲に視線を走らせた。

 

「覚悟して下さいね!

これから貴女は、えっと、確か・・・・・・・・・

そう!、ちょさっけんじんかくしんがい!、で!、訴えられるんですから!

いくら美人で頭良くてすっごく演技が上手でも許されないんですよ!、わかってますか!?」

 

すると、フロンティアの一般女生徒は

魔法陣の上に横たわった総代を見下ろし

何かの頭蓋骨が所狭しと転がる非常識な空間で常識的なことを得意気にのたまっている。

 

「!、待って!!」

「待ちません!!」

「違う!!、後ろ!!」

「そんな手には引っかかりませんよ!!」

「そうですか、なら

 

 

 

いただきます」「へ?」

 

 

 

 

 

           バッグン!!

 

 

 

 

 

そんな彼女を頭から丸呑みにしたのは

 

 

 

顔が山羊へと変じたスーツ姿の男性。

 

 

 

「!ッ!、~~~!?!!~~!!」

「ングッ、ングッ

おお!、これは何とまぁ!

チープな自尊心と軽い食感の正義感

そして、何より薄いキラめき・・・

安っぽいスナック菓子だってまだマシだと思いいますよぉ~?」

「・・・!、・・・・・・・・・・・・」

 

綺麗に並んだ歯の隙間から覗く両足は激しくばたついているのだが、徐々にその勢いは弱まっていって・・・

 

 

 

やがて完全に見えなくなる。

 

 

 

「ゴッグン!、フェゥッ

だが、おやつ代わりには丁度良かった

さて、それでは食事を始めましょう」

「!」

「フェッフェッフェッ

いいですよその顔!、最高のスパイスだ!」

「~~~~~~ッ」

 

女生徒を丸呑みにした男性・・・

いや、山羊の頭持つ堕天使・メフィスモンは獣臭い息を静羽に吐きかけながら口を

 

 

 

「《ドリルブレーダー》」

「ェブッ?!」

「ドルルモン!?」

 

 

 

開けば、背後から音もなく忍び寄ったドリルにより電脳核を粉砕された。

 

「フンッ!、これで動けるだろうが?

とっとと起きろ、シズハ」

「ええ!、ありがとう!」

「ブハッ!!、ハァハァ!!」

「「!?」」

 

魔法陣を尾の一振りで削り、パートナーの自由を取り戻したはいいが、まだ終わっていない。

 

「あ、危なかった!

さっきのニンゲンから奪ったスケープゴートが居なければ今の一撃でッ

・・・・・・・・・背後から電脳核をドリルで一撃?

お前まさか、『あの』ドルルモンか?

 

 

 

麗将・ロゼモンの右腕だった 死神の風」

 

 

 

「!!!」

「え?」

「フェッフェッフェッ!!

やはりそうか!、ブフフフフフェッ!

よりにもよってぇ!、お前が!、なぁ!?」

「黙れぇええええええ!!!《ドルルトルネードぉおおおおおお!!!》」

 

物々しい二つ名を聞いた途端、ドルルモンは牙を剥いて吠え猛り、尻尾のドリルから竜巻を繰り出す。

 

「《デスクラウド》」

「んなぁ!?」

「《ドルルトルネード》を自分の技に取り込んだ!?」

「フェッフェッフェッ!、ニンゲンと契約してこの程度とは死神の風も大したことは無い」

「ッ!!、俺をその名で呼ぶなぁあ!!!」

「落ち着いてドルルモン!

あのデジモンが言ったことはキュートモンにも誰にも絶対言わないから・・・!」

「!」

「だから、今は戦闘に集中して」

「・・・・・・・・・相手は完全体、デジクロス無しで勝算はあるのか?」

「あるるちゃんじゃないけど、あるわ」

「フンッ!、そうかよ」

「最期の会話は楽しんでくれたようだな

では、消えろ!、私の食事の為になぁ!」

 

《ドルルトルネード》を吸収した《デスクラウド》は禍々しく渦を巻き、周囲の頭蓋骨を腐食させながら1人と1体に急接近。

 

「(私ならやれる、ドルルモンならやれる

キュートモンが居る限り『私達』はパートナーを演じられる!)」

「《ドリルブレーダー!!》」

「フェッフェッフェッ!、ェフ!?」

 

すると、静羽を背中に乗せたドルルモンがドリルに乗って高速回転

彼女が手にする大鎌のキラめきで呪われた竜巻を斬り裂きながら突撃し、メフィスモンの懐へと飛び込んだ。

 

 

 

「かかったな」

「「!?」」

 

 

 

山羊の顔が醜く歪んだと思ったその時

 

墓場全体が妖しい魔力に包まれ

 

空間全体が魔法陣と化す。

 

 

 

「「しまった!?」」

「フェッフェッフェッ!

四天王きっての策士家、その右腕だったモンにしては御粗末なことだ

高位の堕天使型は自分のテリトリーに仕掛けを施すモンだということを忘れたのかぁ~?」

「チッ!!」

「さぁて、これからどう料理を・・・・・・・・・

 

 

 

なんだ?、この気配?」

 

 

 

1人と1体を拘束し、勝ち誇っていたメフィスモンが突如虚空を見つめた

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

「うわぁあああーーーぁああーーー!!!」

〔「メェーーーデェーーー!!!」〕

 

 

 

 

 

ドカァン!

ガリガリガリッ!!バリバリバリバリィ!!

 

 

 

 

 

ナニかが悲鳴やら金属音を上げながら乱入。

 

「いったたたぁ!?

この!、もっとちゃんと飛んでよ!!」

〔「ジャザッ!?」〕

「あ、秋風さん!?」

「どうしてお前がここに!?

それに、その姿はなんなんだ!?」

 

飛び入りしてきたのは手に大太刀・流星丸

そして、和装を思わせる青緑色のレヴュー衣装

 

 

 

に、そぐわない鉄の翼を生やした秋風塁だ。

 

 

 

「説明は後程!

今はその山羊を消すのが先決です!」

「消す、だと?

フェッフェッフェッ!、舞台少女ともあろうモンが随分と物騒なことを言ってくれるな!」

「!、秋風さんダメ!、ここから離れて!」

「もう遅いわぁ!!」

 

メフィスモンは哄笑を上げ、再び魔法陣を発動

 

 

 

 

 

 

 

「な、に?」

「はぁああああああ!!!」

「ェッフ!?」

 

出来ない。

 

「ど、どうなっている・・・!?」

「ん?、お、おいシズハ!」

「ええ、理由はわからないけれど

 

 

 

動ける!」」

 

 

 

それどころか、いつの間にか静羽とドルルモンも呪縛から解放されている。

 

「な!、なななんだいった 」

 

 

 

〔「高位の堕天使型にしては御粗末だね」〕

 

 

 

「!?」

 

 

 

〔「この程度のテリトリー、私の玩具ならば存在するだけで打ち消せますなぁ」〕

〔「ズルッおい、ズルルルッ何勝手にお前だけのモンにしてんグ」〕

〔「怒りながら食うな」〕

 

 

 

「ぁ、ぁぁ・・・!」

 

 

 

〔「あら?、気づいちゃった?」〕

〔「きづかないほうがらくだったのにね~

フワァ~・・・ムニャムニャ・・・ァ・・・・・・」〕

 

 

 

大太刀による一撃によろめいていたメフィスモンの脳内に響く複数の声。

 

「(ままさか!、まさかまさかまさか!!)

そんなこと!!、あってたまるかぁあ!!」

「「!?」」

〔「敵!、データ量増大!、危険!、危険!

メーデー!、メーデー!」〕

「うるさい!!、黙れ!!」

 

ソレを振り払うべく、堕天使は溜め込んでいた暗黒のソウルを解放し、より山羊に近い姿へと変わる。

 

「塁!」

「遅いよゆっこ!」

「あなたが独りで突っ走るからでしょ・・・」

「あっつぅー!!、あっつーい!!

こんの!!、馬鹿!!、馬鹿坊!!」

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!、餌ぁ!!!、くわせろぉおおおーーー!!!」〕

「田中さん、音無さんも・・・

あなた達まさか

 

 

 

あの時のデジモン達と契約したの?」

 

 

 

「はい、非常に不本意ながら」

 

新たに飛び込んできたゆゆ子もレヴュー衣装に

 

 

 

竜の鱗を思わせる脛当てが加わっており

 

 

 

いちえに至っては扇子・いちえハリセンから

 

 

 

あのラヴォガリータモンと似た炎が垂れ流され

 

 

 

彼女の手を物理的な意味で焼いていた。

 

「ギャババババババ!!!」

「チッ!!、散開しろ!!」

「「「!」」」「あっつ!」

 

耳障りな鳴き声と共に山羊の口から放たれるのは、高密度に圧縮された呪詛のエネルギー。

 

「消えろぉおおお!!!」

「ギャバァ!?」

「フーッ!!、フーッ!!」

「あ、秋風、さん・・・?」

 

塁はソレを鉄の翼による飛翔で躱すと、目を血走らせながら力任せな斬撃を叩き込む。

 

「お前らがぁ!!、お前らが居るからぁ!!

あんなぁ!!、あんなことがぁ!!」

〔「敵!、損傷軽微!、損傷軽微!

『先輩』!、退避!、退避!」〕

「うるさい!!!、先輩って言うなぁ!!!

珠緒先輩を傷つけた癖にぃッ!!!」

「そいつに何を言っても無駄ですよ

どうせ話にならないんだから・・・」

「そう、だよ!!、あちち!!」

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「ギャバ!?、ババッ!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

ゆゆ子は竜の脛当てがもたらす俊敏性で

 

扇子から無作為に吐き出される炎を掻い潜り

 

荒れ狂う大太刀がつけた傷を両手の苦無で容赦なく抉る。

 

 

 

「(『魔封機』

コレに封じたデジモンの力をその身に宿すことで君達は電脳世界の舞台に立つことが出来る)」

 

 

 

彼女の脳裏に甦るのは、例の懐中時計・・・魔封機と一緒に入っていた紙に書かれていた説明文。

 

 

 

「(最初に見た時、模様にしか思えなかったのに封印してからは文字として読めるようになって

 

その内容に誰1人として疑いを持たなかった

 

そして、実際に舞台に立ってわかったことがある)」

 

 

 

「ギャバババババババババ!!!」

 

「消えろッ・・・!(今の私達はおかしい)」

 

 

 

冷静であろうとする意思とは裏腹に

口から飛び出す台詞は憎悪に満ちていた。

 

「な、なんなんだ・・・?、こいつら・・・!?」

「あんなことがあったんだから『黒の逢魔』のデジモン達に対して、怒りを抱くのは仕方ないと思う、けど、これは・・・」

 

ドルルモンや静羽が困惑している間にも、凛明館の舞台少女3人が一方的に攻撃を仕掛けている。

 

「ンギャッ、ババ!、バァー

 

 

 

《デス   ク ラウ   ドぉ!!!》」

 

 

 

「な!?」「うっ・・・!」「あつつ!!」

〔「気体成分解析!、高腐食性を確認!

先輩!、即時撤退!、即時撤退!」〕

 

だが、堕天使だった山羊もやられてばかりでは無い。

墓場のあちこちから《デスクラウド》を発生させ、サーバー全体に蔓延させた。

 

 

 

 

 

カチッ! カチッ! カチッ!

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ギャバ???」

 

 

 

すると、暗黒の雲は一つ残らず

 

 

3つの懐中時計に吸い込まれて・・・。

 

 

 

「!、ドルルモン!」「!?、フンッ!!」

 

 

 

窮地が一転した瞬間

 

フロンティアの総代がその背に飛び乗れば

 

狼は風のように駆け、メフィスモンに接近。

 

 

 

「「(あなた/お前に合わせるッ!!)」」

 

 

 

生命を正確無比に刈り取るドリル

 

暗黒を祓うキラめきを宿した大鎌

 

『パートナー』のハートを重ねたXの軌跡が

 

『黒の逢魔』の野望、その一端を砕く!!。

 

 

 

「・・・・・・ぅ、・・・ぁっ・・・・・・・・・」

『!』

 

 

 

メフィスモンと取り込まれていたゴートモンがデジタマへと還ると丸呑みにされていたフロンティアの女生徒が解放され

 

 

 

ソウル体が消滅。

 

 

 

「ドルルモン!、私の匂い追える!?」

「当たり前だろうが」

「胡蝶さん、彼女はもしや」

「ええ、私の学校のゲームプレイヤー

さっきのデジモンにソウルとキラめきを食べられていたの・・・」

「「ッ」」

 

ドルルモンの案内の元、舞台少女達が静羽が拐われた『入口』を通り人間界へと戻れば・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

彼女の肉体が無気力な棒立ちをしていた。

 

「大丈夫!?」

「え、あなた、誰でしたっけ??」

「「「!?」」」

「・・・・・・・・・胡蝶、静羽

フロンティア芸術学校、舞台表現コース2年生」

「フロンティア?、舞台?

ああ、そうだ私

 

 

 

あれ?、私何でそんなのやってたの??」

 

 

 

「「「!!」」」

「・・・・・・・・・ごめんなさい、その理由は私にもわからないわ」

「そう、ですよね

あの、私、もう帰ってもいいですか?」

「ええ、気をつけて」

「ありがとうございます」

 

 

 

キラめきを奪われた女生徒は

 

やる気の無い足取りで路地裏を出ていく。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドラコモン『さん』

 

 

 

私達もあの時、貴方達に食べられていたら

彼女のようになっていたのでしょうか?」

〔「そうだよ、良かったねユユ」〕

「!!、どこが良かったと!!?」

「やめなよ塁、一々こいつらの言うこと気にしてたら持たないって」

「だってこいつら

ニンゲンからキラめきを奪うこと!!

先輩達を傷つけたこと!!

何とも思ってないんですよ!!?」

「秋風さん・・・」

〔「・・・・・・・・・」〕

 

輝きの無い世界を出ても尚、凛明館・・・特に塁の『黒の逢魔』へ向ける怒りと嫌悪は衰えていない。

 

「静羽!!」

〔「ドルルモーーン!!」〕

「つかさ!?、それに・・・!」

〔「きゅ、きゅーと、も、ん?」〕

 

路地裏を流れる重い空気を払拭をしたのは、息を切らしながら現れた恵比寿つかさ。

そして、彼女が持つ『無色』のクロスローダーの中から声を上げるキュートモンだ。

 

〔「シズハ、無事で良かった」〕

「本当よッ

ウィザーモンから貴女のクロスローダーの反応がおかしいって聞いて、すっごく心配したんだから!!」

「ごめんなさい・・・

危ない所だったけど、音無さんや田中さん

それに、秋風さんやドルルモンのお陰でどうにか切り抜けられたの」

〔「・・・・・・・・・ドルルモン」〕

〔「!!」〕

 

 

 

〔「ごめんなさいっキュ」〕

 

 

 

〔「な、なんでおまえが、あやまる?」〕

〔「ドルルモンは僕のことを守ろうとしてくれたのに、僕はその気持ちを傷つけたっキュ」〕

〔「それはッ」〕

〔「なのに、ドルルモンは

まだ、僕と一緒に居たいって想ってくれて

シズハやニンゲンの皆を助ける為に戦ってくれて、ほんとにすごいっキュ」〕

〔「・・・・・・・・・俺は、そんな大層なモンじゃ、ないッ

 

 

 

自分がデジタルワールドに戻る為に!

 

『黒の逢魔』から自分の身を守る為に!

 

こいつらを!

 

 

 

お前の治癒の力を利用しているだけだ!!!

 

 

 

今までお前の『家族』なんてありもしないモンを探すフリをしていたようにな!!」〕

〔「それでもいいっキュ」〕

〔「!?」〕

〔「ドルルモンが、僕達みんなが一緒に居られるんなら

それが、誰かを傷つけるモンじゃないなら

理由なんて何でもいいっキュ」〕

〔「ッ」〕

〔「シズハも、ありがとうっキュ」〕

「え」

〔「あのままドルルモンと離ればなれになってたら

きっと僕達はこうやって気持ちを確かめられなかったから・・・

だから、ドルルモンのパートナーになってくれてありがとうっキュ!」〕

「キュートモン

 

 

 

(わたしのほうこそ   ありがとう)」

 

 

 

静羽とドルルモン。

 

 

 

この1人と1体の契約はキュートモンという

 

『支点』が無ければ成り立たない程に脆い。

 

 

 

 

けれど

 

 

 

「(・・・・・・・・・ごめんスパロウモン

やっぱり私

 

 

 

あなたを危険な目には合わせられない

 

 

 

あわせたく、ないのッ)」

 

 

 

己の『役』から抜け出せない者や

 

 

 

 

 

 

 

「「「(うらやましい)」」」

 

 

 

 

 

そのステージに立てない者にとっては

 

 

 

どうしょうもなく眩しかった。

 

 

 

〔「話が纏まったのならば、急いで『迷宮』へ向かおう」〕

「!、 そうだった!

静羽!、あるる達やシークフェルトのみんなが危ないの!」

「な!?」〔「どういうことだ!?」〕

「説明は道すがらで」

「『あっち』だとデジモンに邪魔されるかもしれないからこっちからシークフェルトに行こ!」

「待っていて下さい

 

 

 

珠緒先輩!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

カチッカチッカチッ

 

 

 

カチカチカチカチカチカチ・・・・・・・・・ッ

 

 

 

 

 

〔「イッ! イッ! イッ!

 

『針』がうごく! うごいてる!

 

おでの罪で!!

 

イッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッ♪」〕

 

 

 

 

 

 



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まほろばを取り戻す為に VS『迷宮』の主

 

 

 

胡蝶静羽がメフィスモンに拐われていた頃。

 

 

 

『『〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕』』

 

 

 

 

輝きの無い世界『迷宮』の最奥部の扉

 

 

 

その目の前にあるると美空、ララフィンはエーデル達と並び立っていた。

 

「ねぇ、みんなは気づいてる?」

「ここに来るまでプレイヤーにしか遭遇してないことですか?」

「『迷宮』のデジモンは幼年期すら姿を見せていません

恐らくは・・・」

「私達を誘っているな」

「望むところです!!!」

「行くよシャウトモン!!」〔「OK!!」

「バリスタモン!!」〔「フンガ!!」

「スターモンズ!!」「『YEEEEEEAAAAAAH!!』」

「「「デジクロス!!!」」」

 

 

 

神機・イミテーションやクロスローダー内でデジモン達の回復が終わるや否、X2が先頭になって扉を破る。

 

 

 

「オレにはオレがわからない」

『!?』

 

 

 

最奥部に佇んでいたのは

 

幾つもの目玉が浮かぶ漆黒の骸を鎧とし

 

両手には血のような色をした剣を備える

 

金の髪をした人型の『闇』。

 

 

 

「何故オレにそんなことが言える?

 

何故オレの罪から目を逸らす?

 

何故オレの救いがわからない?」

 

 

 

ソレは踏み込んできた舞台少女にもデジモンにも目もくれず、ヒトリ言を続けていた。

 

「や、やい!

お前がこの『迷宮』の親玉なのかよ!?」

「そうさ、救いさ

『黒の逢魔』はオレが救わなくちゃいけない

だからこそ、オレが必要なんだ

オレの罪を償う為に」

「さっきから何を言っている!?」

「オレは正常だ、異常なのはオレの方だろ?」

「・・・・・・・・・なんだか取り込み中みたいだけど」

「あれだけのことをしてくれたんですから」

「遠慮無く行かせて貰いますよ!!!」

「ファンビーモン!」

「お前の罪はハニーの大切なモンを害したことだヨン

だから

 

 

 

命で購えッ《ターボスティンガー!!!》」

「・・・・・・・・・」

 

 

 

激情によって舞い降りた銀幕

そこから放たれるのは大口径レーザー砲の連射と目に見えない風の刃

 

 

 

「ヒョオオオオオオゥ!!」

「《スパイキングフィニっしゅーっ!!》」

「《メガダッシュインパクト!!》」

 

 

 

更には

斬撃と刺突、強靭な脚力により体当たりが『闇』へと殺到。

 

 

 

「〔《ホーンブレイカーDX!!!!》〕

からのぉー!、《スターアックス!!!》」

「「「うぁああああああーーー!!!」」」

 

 

 

フロンティアも負けてはいられない。

X2に追随し、舞台少女達が銃火をランスをハンマーを思いっきり叩きつける。

 

 

 

「棒切れ振り回す猿共の何処がいいんだ?」

 

 

『ッッッ!!??』

 

 

 

彼女達も、パートナーも、誰もが全力だった。

なのに、『闇』は微動だにしない所か・・・

 

 

 

「?、聞こえなかったのかオレ?

猿だよ、猿

ああ、オレの方は子猿だっけか?

・・・・・・・・・何故怒る?

オレに八つ当たりするのは止めろ、オレ」

 

 

 

眼中にすらない。

 

 

 

「オレにはオレが本当にわからないんだ」

 

 

 

「ヒョオッ?!」

「ぶ、ブライモンさ!、がはぁっ!」

 

 

 

「『黒の逢魔』はオレの罪だ」

 

 

 

「だからお前の罪は、ー"ーー!!」

「グガァアアア!!」

 

 

 

「だからこそ、オレがこの手で償うべきだ」

 

 

 

「「!?!」」

「美空!!、ララフィン!!、んわ!!?」

「アルル!!?」

 

 

 

「新世界を造るべきはオレと『黒の逢魔』だ

 

オレみたいな猿に飼われたモン達じゃない」

 

 

 

「お前ぇーーー!!

さっきから何言ってんだよぉおーーー!!?

《バディブラスタぁあーー!!》〕』」」

 

 

 

無造作に振るわれる剣や光線により

エーデルのデジモン達が、パートナー達次々と吹き飛ばされていく最中、シャウトモンX2は強引に『闇』へと組み付くと

 

 

 

渾身の必殺技をゼロ距離でブッ放す!!!。

 

 

 

「今オレが何をしてるかって?

 

 

 

特に何もしてないが?」

 

 

 

「!!」

〔シャウトモン!!〕

「しっかりしろ!!、兄貴!!」『兄貴!!』

 

 

 

それでも   ヒトリ言は止まらなかった。

 

 

 

「嘘、アレでも通じないの・・・?」

「だったら!!

私達が自分でやるしかありません!!」

「は、はい!」

「待ってメイファン!!、栞も!!」

「ッ」

「晶まで!?

あーーー!!、もう!!

やちよ!、援護お願い!」

「ちょっ!?」

 

すると、エーデル達はパートナーの進化を解除。

消耗した状態にも関わらず気高きソウルとキラめきを迸らせると、戸惑いながら放たれたボウガンの矢と並走して駆けて行く。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・・・・・ーーーーーー!!!

 

 

 

何故? どうして? なんで!?」

 

 

 

その時だった

 

 

 

「オレは

 

オレのことを

 

 

 

わかってくれないんだッッッ!!?」

 

 

 

『闇』が負の感情を吐き出したのは。

 

 

 

「「「「「〔『!

 

 

あ"っ

 

 

ぁあああァァア!!あーッーアアあ"ぁあーー!!ーー!!!"〕』」」」」」

 

 

 

ソレに飲み込まれた途端

 

シャウトモンX2+スターアックスも

 

シークフェルトのエーデル4人も

 

『データ』が激痛と共に変質。

 

 

 

『テクスチャー』が『迷宮』に溶け始める。

 

 

 

「いい加減にしろ!!、オレ!!

そんなワガママ許されるワケないだろ!?」

「が!!、ぁ"!!、うあぁっ・・・!」

「あ、あきらちゃん!!!

やめてぇーー!!、もうやめてよぉ!!」

 

『闇』が地団駄を踏んでいる。

足元で這いつくばる晶の悲鳴も、あるるの絶叫も全て無視して。

 

「かつて、オレによって切り捨てられ!!

レイド帝国の一部とされ!!

それでも尚生き残ってくれた!!

あのレイドプログラムすらも克服し!!

自分達の力にして!!

 

 

 

それこそが『黒の逢魔』!!!

 

 

 

真なる新世界で生きるべきモ

 

 

ーーーーーー!!、なんだコレは!!?」

 

 

 

急に、『闇』の足が止まったかと思うと

 

 

 

 

 

カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・

 

 

 

 

 

「絶えぬ命は常世にあらず」

 

 

 

懐中時計の『針』が進む音と

 

 

 

「終わらぬ芝居も夢幻の如く

 

儚く燃え逝くさだめであれば、舞台に刻まん

 

刹那の瞬き」

 

 

 

静かな だが、よく通る声が聞こえてきた。

 

 

 

「お前は、一体何モンだ!!?」

「凛明館演劇同好会、巴珠緒」

「ぐっ!!」

「凛と咲きます、生命果つまで・・・!」

「珠緒ちゃん!!!」

「とも、え・・・?」

 

新たな舞台少女は口上が終わるのも待たずに間合いを詰め、白鞘から日本刀・咲散花を抜き放つ。

 

「こ、こいつッ、この力、まさか!!」

「・・・・・・・・・」

「チィイイ!!」

 

両手の剣で彼女の刃を受ける度に、今まで周囲の状況に目もくれなかった『闇』が焦りを見せた。

 

 

 

 

 

カチッカチッカチッ

カチカチカチカチ・・・・・・・・・ッ

 

 

 

 

 

「(取り込まれている!?

 

オレの呪詛が!?、怨嗟が!?)

 

オレに触れるなッッッ!!!

 

《ガイストアーベント!!》」

「《ウォルレーキ》」

「!!?」

 

一合ごとに

より早く、より鋭く、より強くなっていく

珠緒を振り払うべく漆黒の鎧に浮かぶ目玉より怪光線を発射。

すると、和風のレヴュー衣装に備わる肩当て

 

 

 

ソレが変質した鋼の盾が

 

 

 

《ガイストアーベント》を防ぎ切る。

 

 

 

 

 

カチッ! カチッ! カチッ!

カチッ! カチッ! カチッ!

カチッ! カチッ! カチッ!

 

 

 

 

 

「あ、れ?、体が・・・?」

「ハニィー!!?、ハニィー!!」

「なん、で??」

「おっししょーっ!、しゃまーっ!」

「チッ」

「!、クダモン!

私を心配してくれたんですか!?

ありがとうございます!!

でも、この通りもう大丈夫です!!、安心して下さい!!」

「グァガァ~ー~ー~ー!!!!!!」

「シャウトモン!、バリスタモン!、スターモンズ!」

「お、おれたち、たす、かったのか?」

〔フン、ガ〕

「ピックモンズッ、みんな無事かーい?」

『Nooooooo・・・・・・・・・』

 

 

 

「心を妬かれて逃げ堕ちし身が

 

再び登るは滅びの舞台」

 

 

 

「!!」

 

急展開に呆然とするばかりだったやちよの横をすり抜けていく舞台少女が1人。

 

「過ぎたあの日に栞を挟み」

「あ・・・」

「新たなこの日を果てなき舞台に」

 

彼女は栞達の体を蝕んでいた瘴気を懐中時計に取り込みながら悠然と歩き

 

「凛明館女学校演劇同好会!、夢大路文!

妹達が随分世話になったみたいじゃない!!

《アイススマッシュ!!》」

「同じモンがはぁ!?、ぶ!えたぁ!?」

 

かと思えば、力強く踏み込んで

 

 

 

氷を纏うソードブレイカー・川蝉にて

 

 

 

連続攻撃を繰り出した。

 

「ハァッ・・・ハァッ・・・ハッ・・・・・・!

なんなんだ?、何なんだよお前ら!?

 

 

ッ!!?

 

 

 

『ソレ』はダメだ!! 獣魂解放!!!」

 

 

 

「「な!?」」

 

珠緒と文の猛攻に怯んでいた筈の『闇』の体躯が突如弾け、大量の黒い霧が広がっていく。

 

 

 

「《ゾーンデリーターッッッ!!》」

 

 

 

直後、『迷宮』の最奥部が   抉れた。

 

 

 

「逃げられた?」

「みたいね」

 

冷静に語り合う2人の目と鼻の先に広がるのは

 

 

 

0と1の粒子が飛び交う、何も無い空間。

 

 

 

「珠緒せんぱぁああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

!!!!!!!!!!!!!!!!」

〔「先輩!、本機の限界速度を大幅に突破!

減速!、減速!、メーデー!、メーデー!」〕

「だから独りで突っ走らないでってば・・・」

「あちちちちちち!!」

「あっつ!、あつつ!」「キュウウウ!?」

「音無さん、難しいとは思うんだけど

その炎抑えて貰える?」

「ど、どうしたの静羽・・・?

なんか、目が笑ってないんだけど・・・?」

 

『闇』の姿が消えるのと入れ替わりに、別行動組が最奥部に登場。

 

「しず、は?

それに、ドルルモンにキュートモンも!?」

「だいじょぶ、なの?」

「フンッ、それはこっちの台詞だろうが」

「ララフィンもミソラも怪我してるっキュ!

治すっキュ!」

「キュートモン!、晶ちゃんもお願い!」

「・・・・・・・・・その必要は、無いッ」

「王よ、僭越ながら

ワタシ共の中で最も深手を負っているのは貴女様です

ここはどうか、御自愛を!」

「ファルコモンさんの言う通り

痩せ我慢は良くありませんよ、雪代さん」

「巴、珠緒ッ

お前達のその姿はなんだ!?」

「音無さんが出してる炎は間違いなく『アイツ』の!!」

「う、うん、ごめんね栞ちゃん・・・

だけど、コイツを使うしかあたしがこの舞台に立つ方法が無くって、あつ!?」

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!、餌ぁ!!!、餌ぁ!!!」〕

「全然制御出来てないヨン!?

それでハニーの大切なフミに何かあったらどうするつもりだヨン!?」

「は、はにぃ??

ちょっと、ウィザーモン!

シークフェルトやフロンティアのパートナーデジモンについての情報にこんなの入ってなかったんだけど!?」

「い、いやぁー、まいったなぁー

流石にそんな些細なことまで転写する必要は無いと思って、ね!」

『〔『うわ!!?』〕』

 

ただでさえ、色々と混乱していた場に『光』のエレメントが炸裂

舞台少女やパートナーデジモン達にウィザーモンの持つ情報が流し込まれる。

 

「~ー~ー~ー~!!

う"う"ーっ、あたまいたーい・・・!」

「でも、これでアルル達にも凛明館の事情はわかったろ?」

「な、なにゆえわたしたちまで~?」

「いたたたぁ!!、あつつつ!!」

「おっと!、すまない!

ついつい、うっかりして、ね!」

〔「先輩!、思考への干渉、改」〕

「うるさい!!、黙れ!!」

「塁ちゃん、あまり粗雑に扱わないの」

「・・・・・・・・・すみません」

「な、なんだか

秋風さんいつもと雰囲気が違いません?」

〔ソウ、ナノカ?〕

「しょうがないわよ

目の前で巴さんに酷いことされたんだし」

「・・・・・・・・・

 

 

 

(本当に、ソレだけが理由かしら?)」

 

 

 

凛明館の5人を見やる静羽の脳裏に

 

 

ナニかに取り憑かれたかのような様子で

 

 

メフィスモンを襲った時の姿が浮かぶ

 

 

 

「(力の出所がわからない以上

 

 

認識阻害は念入りにしなくてはな

 

 

『救世主達』に出番を与えない為に、さ)」

 

 

 

一方、とんがり帽子を目深く被り直す自称・魔法使いもまた彼女達を強く警戒するのであった・・・。

 







その頃、デジタルワールドでは・・・・・・・・・


part3









「キャッハッ♪キャッハッ♪」
「こら待て、待てったら
ここは危ないから立ち入り禁止だって何度言ったらわかるんだよ、ううん?」
「イヤだねー!」




辺り一面に広がる花畑で追いかけっこ。





字面だけ見れば何ともロマンチックなのだが

真っ暗な空には無数の亀裂が入っているし

何より、追い掛けているのは



行方不明となった最速の聖騎士を捜索中な抑止の聖騎士・アルファモン



そして、追い掛けられているデジモンは・・・・・・・・・どう言いつくろってもロマンという言葉からかけ離れた容姿をしていた。

「こうなったら、これでもくらうねー!
《ブー!、スト・アターーーック!!》」
「はい、つかまえたー」
「えええーーー!!?、なんでーーー!!?」
「昔、君みたいなモンとは付き合いがあったからね、うん」

『ガス』噴射で逃げようとすれば
黒騎士は『ガス』にも、その容姿にも全く怯まず手掴みでデジモンを確保。

「(懐かしいなー、うん
この系統のデジモンには近づくなって忠告した時



6人共一瞬で顔が真っ青になって
綺麗に首を縦に振ってたっけ・・・・・・・・・)」



「うわー!、はなせー!、はなすねー!」
「ダメだよ」
「そーねー!、ミーはダメモンねー!
だからダメでいいねー!」
「屁理屈言うな」
「その『屁』がなんできかないねー!?」
「・・・・・・・・・慣れだよ
大体、なんで君ひとりでこんな所に居るんだよ?」
「そ、それはー
い、いいたくないねー!、とくにユーみたいなカッコイイデジモンには!」
「うん、そうか
なら、強制連行するしかないね、うんうん」
「ダーーメーーねーー!!」

【独特の形状】をした小柄なデジモン・・・ダメモンは短い手足をジタバタさせていると



「う、ん?」



不意に拘束が弱まった。

「(な、なんだコレはッ?)」
「ど、どうしたねー!?、アルファモン!」
「君は、平気?」
「??」
「・・・・・・・・・平気なら、良かった
さぁ、急いでここから離れるんだ」
「で、でもー、アルファモンは?」

花畑の真ん中で片膝をつくアルファモン。
その手からやっと逃れられたというのにダメモンは何故か逃げようとしない。

「ボクの心配はいらないよ、うん」
「た、たってもへーきねー!?」
「平気、だよ」
「そーかー





残念ねー」「ッッ!!"??」





理由は至極単純


抑止の聖騎士を討ち取る。


それこそが、ダメモンの・・・・・・・・・否



「デジ忍法、武人変化ツワーモン
相も変わらず見た目や気配だけに囚われるとは
麗将にしてやられたことから何も学習していかなったのか?、本当にユー達はダメダメねー」
「!!、お、まえ!!、何故それを!!?
う、うぁうううん!!」
「体が上手く動かせないだろう?
この花畑の花は全て竜哭の花と交配させ
品種改良させたモンだから、ねー」
「う"ぅ!、んんうっ・・・?!」
「進化の過程で一度でも竜族を介したモンがこの花の花粉を吸えば麻痺状態に陥る
現デジタルワールド最強のユーや



アルフォースを持つ最速の聖騎士すらも、ねー」



「!!」



『黒の逢魔』ツワーモンの目的なのだから。



「獣が混じっていたせいで奴に比べて効果が現れるのに時間がかかったが・・・
まぁ、誤差の範囲内ねー」
「こ、の!《聖剣ッグレイダルファー!》」
「キャッハッ♪、ダメダメ!
そんな鈍い攻撃ミーには当たらないねー!」
「んぅ!?、ぅんんんうううあああ!!!」

苦し紛れに投げつけられた聖剣を首の動きだけで躱し、手にした鎌をより深く
漆黒の鎧の隙間に押し込んでやれば





パキッ ドゴォン!!!





アルファモンは強靭な肉体のみで刃を粉砕。
更には、ツワーモンの顔面を引っ掴んで頭突きすらも決めてみせる。

「ね"!?」
「ハァッ!、ハァッ!《デジタライズ・・・!」
「ま、待て!!、待てったら!!
み、ミーを消せばアルフォースブイドラモンの情報は手に入らない!、それでもいいねー!?」
「うん」
「ウンって!?
そ、それでもユーは聖騎士か!!?」



「まったくだ

流石、ゴミ捨て場育ち

品性の欠片も感じられないね」



「!、新手!?」
「いいや、真打ちさ



私による 私の為の 私の物語の、ね」



魔方陣を展開する抑止の聖騎士の前に

芝居がかった台詞を吐きながら登場したのは

両端に紅い穂が備わる槍を手にした暗黒騎士。



「そして、君はこれからその礎となるんだ



アルファモン   強制デジクロス」



「う!?、んぁああ"あ"あああっ!!!」



そのデジモンが高らかに宣言すれば

先程の攻撃によって埋め込まれていた

ダークネスローダーが起動した。



「ほぅっ?、流石にこの容量では容易くダウンロード出来ないか」
「プレジデント!、ダークナイトモン様!」
「ご苦労だったね、ツワーモン
君のお陰で労せずアルファインフォースが手に入りそうだ」
「ははっ!」
「!!、お、まえ、らぁあ"・・・・・・・・・ッ!」
「クク!、見えたかね?、私達の野望が
だがそれは、私の一部となった証明に他ならない!」



「うううっっ!!!、んぁあああぁ!!!」



抑止の聖騎士・アルファモンの【データ】はボロボロと崩れ、暗黒騎士・ダークナイトモンが掲げるクロスローダーへ少しずつ吸い込まれていく・・・。



「《ピラミッドぉ!パワぁーーー!!!》」



「「ッ!?」」
「ぅ、ん・・・・・・っ・・・」



その時



「しっかり狙えよ、ズィード!」
「わかってるって!、メタル!」
「《ガルルトマホーク!!》」「《フルメタルブレイズ!!》」



双子の機械狼による二重の集中砲火と



「チャツラモン!!」
「《シュヴァボージャナ!!》なんだなー!!」



細身で犬科の頭部持つ神人型が振るう

巨大鎚による衝撃が花畑を一掃!!。



「ユー達はッ」
「良くここがわかったね、『明けの遠吠え』の諸君」


〔「アルフォースブイドラモン

バンチョーレオモン、マルスモン

そして・・・


今、まさに【己】と戦っている始祖様達!


これだけやっておいて次の標的が誰になるか
ワシらが気づかんと思っておったのか?



『黒の逢魔』ァアアアアアアッッ!!!」〕



「!、あいつ自分語りだと口が軽過ぎねー!!」

拡声器を通した大音量の咆哮と共に焼け野原を横切ったのは

ワニの如き大顎を模した船体を持ち

聖なる輝きを放つ光の翼で飛翔する


『明けの遠吠え』の大型飛行艦・アケビ号だ。


〔「トーチャン吠えんの後!
イーニーチャン!、戦うのはいいけど絶対《ピラミッドパワー》解かないで!
キョーダイん中に入ってるモン切除しないと一瞬で全部持ってかれる!!
レオ坊!!、急いで作業室の準備!!」〕
〔「坊言うな!!!
ったく、なんだって俺がこんなゴ?!
いってぇ!?、何すんだよ犬野郎!!?」〕
〔「ゴチャゴチャ言ってる暇あんなら足と手ぇ動かしやがれぇ!!、アホンダラぁ!!」〕


「・・・・・・・・・やれやれ、識ってはいたが
これ程までにかの吸血公が絆されていたとはね」

ソレが四角錐の結界に護られるアルファモンを回収するのをダークナイトモンは悠長に眺めながらワザとらしく肩をすくめる。

「余所見してんじゃねぇ!
なぁ?、メタル!」
「ああ!、ズィードの言う通りだ!」
「お前らの相手はおいら達なんだなー!」
「全員、油断はするなよ
相手はバンチョーレオモン達すらもハメられた卑怯モン共だ」
「キャッハハハッ♪、ひ、卑怯モンって・・・!
ユー達だって『おこぼれ』で究極体や完全体に進化出来たクセに!、自己紹介も大概にするねー!!」

一方のツワーモンが腹を抱えて笑い、指を差しているのは、かつて救世主達と行動を共にした『明けの遠吠え』の精鋭メンバー

ファングモンが進化した究極体・アヌビモン

ガルル&グルルが進化した究極体・ブラックメタルガルルモン&ズィードガルルモン

シーサモンが進化した完全体・チャツラモン。

「ぅ・・・・・・んん!・・・うううっ・・・・・・」
「アルファモン!!、しっかりしろ!!
今更んなワケわかんねぇモンに負けてんじゃねぇぞ!!」
「お、おいジジイッ
コレ本当に外せんのかよ・・・?」
「出来るか出来ないかではないッ
何が何でもやるしか無いんじゃ!!」

一方、アケビ号艦内に存在する作業室では
ツナギ姿の老人狼・・・アケビ号を造る際に鎧を全て素材にしたクーレスガルルモンのワー爺が
ブラックマッハガオガモンと新入りのレオモンらと共にアルファモンのデータを調べていた。

「ふむっ、かの麗将からデータを受け継ぎ
己がスキルへと昇華させたデジモン


今ここで消すのが得策かもしれないね」


「「!!、させるかよ!!
《コキュートスブレス!!》」《ブローバックブレス!!》」
「デジ忍法ッ、う、うわーーー!!!」
「ツワーモン!?」

危険な気配を感知した双子の機械狼が同時にブレス攻撃を仕掛ければ、ツワーモンが自分の身を犠牲にして主を守る。

「な、なんてことをすんだね!?」
「「お前が言うな!!」なんだなー!!」
「ごふ・・・っ・・・・・・」
「「え??」」

動揺するダークナイトモンにアヌビモンはすかさず間合いを詰め、チャツラモンが変化した巨大鎚を脳天に叩き込めば・・・


焦土と化した花畑にデジタマが2つ転がった。


「り、リーダー・・・?、おわったん、だなー?」
「気配は無い、が
マタドゥルモン!、周辺の索敵を頼む!」
〔「わ、わかったッ」〕
「お、俺らも探すぞメタル!」
「わかってるって!、ズィード!」

あまりにも呆気ない終わり方に『明けの遠吠え』は警戒する





だが、それだけでは


「ダークナイトモン「ツワーモン

デジクロス!!」」


まだ足りない   まだ届かない。


「「何ィ!?」」
「い、いつのまに!?、なんだなー!?」
〔「こんだけ接近されてんのにセンサーに反応は一切無し!?
まさかあのニンジャ!、さっきのニニーチャン達の技に合わせてチャフばら撒いてやがった!?」〕

懐刀を砲台・強羅打雷銃に変え、砲身を『眼下』のアケビ号へと向けるのは無双の力を得たダークナイトモン・・・ムソーナイトモン。

「デジ忍法ッ、変わり身の術
そして、電波攪乱」
「後、これはおまけだね《魔重力呪縛陣・・・!!》」」
『!!??』

その身から放たれる超重力は周囲一帯に影響を与え、艦内及び地上のデジモン全員の動きを封じた。

「ガあぁあああ"ぁぁあ!!!」
「お!、さぁ!」
「つぶ、される・・・う・・・・・・?!」
〔「中が出ゴフッッ」〕
「痛いねー?、辛いねー?、苦しいねー?
でも、ミー達だってそうだったねー」
「「こんのぉおおおっ!!」」
「だからって!、なんだ、なーー!!」
「何をしても良い理由にはなりはしない!」
「ほうっ?、まだ辛うじて動けるモンが居るようだね
だが、それだけでは」
「「「「!!!」」」」
「ミー達は止められないねー」

亀裂の入った暗雲を背景にムソーナイトモンは強羅打雷銃にエネルギーを収束する。

「あいつアケビ号を盾にしてるぞ!?、メタル!」
「あれじゃ射てねぇよ!、ズィード!」
「長ぁー!!、みんなぁー!!」
「間に合えええええええ!!!」


「「《超力鳴動破!!!!》」」


アヌビモンが絶叫するのと同時に

最大出力での砲撃がアケビ号に直撃。

キラめきを追う為に造られた機械仕掛けの聖なる飛翔体が地上へと墜落する・・・・・・・・・



無傷で。



「「!?」」
「ガフッ!!、ゲホォ!!」
「「リーダー!!」」
「《ピラミッドパワー》でアケビ号全部を護ったんだなー!?」
〔「ハァッ・・・!、ハァッ・・・!、たす、かった、けど・・・!」〕

息も絶え絶えなマタドゥルモンの霞む視界に見える《ピラミッドパワー》は今まさに消えかけていた。

「《魔重力呪縛陣》」
「「「グギャ!?」」」
「ツワーモン」
「ははっ!、デジ忍法・・・隠者復活!!
甦るねー!、エントモン!、レアレアモン!」
「《ブラステッドディザスター》」
「《ディケイズン》」

ムソーナイトモンは他3体を超重力で押し潰すと変わり身に使った2つのデジタマを孵化すら飛び越えて完全体にワープ進化させ、アヌビモンにけしかける。

「ーー?!ーーーー!、ォ"ェッ」
「クク!、よく効くだろう?
何せこの2体は対アルファモン用に私が手ずから毒性強化を施していてね
長く浴びれば究極体といえども削除は免れない」
「早く《ピラミッドパワー》で自分の身を守ることをオススメするねー!」
「こと、わる!!」
「何故かね?」
「じ、ぶん、が一番上だからだ!」
「・・・・・・・・・何の、だね?」
「!、ダークナイトモン様ッ」


「兄弟で!!! 一番、上だからだ!!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・気にいらないね」
「あーあ」

猛毒に犯されながら吠えるケダモノに

無双の暗黒騎士が懐刀の呆れ声を無視して

強羅打雷銃の砲身を向けた。

「やーっと砲身の強制冷却が終わったのにー
ミーのプレジデントはそういう所がダメダメねー」
「いつも悪いね」
「・・・・・・・・・そんなこと、ほんとはちっとも思ってないクセに」
「「「りぃぃぃだぁぁぁあ!!!!」」」
「(きょーだい)」


「「《超力鳴動破!!!!》」」


ムソーナイトモンが再び放った最大出力の砲撃。



「・・・・・・・・・ごめんな」



ソレは真っ直ぐアヌビモンへと急接近していく


まるで



「《デジタライズ・オブ・・・アローー!!》」
矢を象った流星のように。




!   !   !   !   !   !




「う、うそねー!!、こんなのぉ!!」



ツワーモンに不意討ちを食らった際に投擲した

『水色』の聖剣が落ちてくる

《超力鳴動破》を一瞬でかき消しながら


「い"」「ア"」
「追尾式!!?、このエネルギー量で!!?
これがニンゲンの!!、舞台少女の・・・!!」


罪に引かれながら。




!   !   !   !   !   !




「だ、ダーーメーーねーー!!」
「躱せないッ」

《デジタライズ・オブ・アロー》がムソーナイトモンを飲み込む



〔「《ゾーンデリーターッッッ!!》」〕



寸前、『闇』がデジタルワールドを抉り取った。

〔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・システムはもう正常
なのにあいつらの反応は完全に消えてる
ーーーーーーッ、ちくしょ逃げられた!!!
キョーダイが!、アルファモンが!、あんなになってまでやってくれたってのに!」〕


「あ、アルファモン・・・!、ドルモンや・・・!
お前さんまでババモン様と同じことをッ"」


滅茶苦茶になった作業台の上で老人狼は愛する子供に泣きすがりながら


大きなヒビが入った腕時計型の機械


その修繕に取り掛かる。


「わ!、じー、あい、つら・・・!」
「わかっておる!、わかっておるとも!
『黒の逢魔』がデジタルワールドのどこに逃げ失せようともワシらが必ず見つけ出す!
だから、お前さんはゆっくり休んでるんじゃ!」


「(違う!!、違うよとーちゃん!!


あいつらの本当の目的はここじゃない!!


『黒の逢魔』が狙ってるのは



・・・・・・ュ・・・・・・ぅん・・・ァ!・・・・・・・・・・・・)」



自分の指先から


大切なモノがすり抜けるような感覚と共に


抑止の聖騎士・アルファモンの精神は


決して覚めることの無い悪夢の檻に囚われるのであった・・・。




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幕間・争乱ティータイム 水面下の謀

☆輝きの無い世界・プライバシーエリア『エメラルドの宮』

 

 

 

これは凛明館演劇同好会の5人が

輝きの無い世界での舞台に加わった後の出来事・・・。

 

 

 

 

 

「シャウトモン!、シャウトモン!

シャウトモンが言ってたデジノワってお菓子

作ってみたんだ!、食べてみて!」

「「「!!」」」

〔フガ?、ミンナドウシタンダ?〕

「おおぉー!、やるじゃねぇかアルル!」

「ありがたく頂くZE☆!」

『いただき☆!、いただき☆!』

「あ、ちょっ」

 

 

 

 

 

ガリィ!! ベッキ!! ゴリンゴリン!!

 

 

 

 

 

「「『ぐはぁあ!!!???』」」

 

 

 

一撃必殺!!!。

 

 

 

〔シャウトモンッ?!、スターモンズ!!〕

「間に合わなかった・・・・・・・・・」

「声を掛けるのが遅すぎたんだ・・・・・・・・・」

「お、大月さん??

このお菓子、その、チョコレートが完全に焦げてしまっていて、だから、えっと、あの」

「えええっ!!?、コレ焦げてたの!!?」

「「『み、みずぅううう!!』」」

「はい!!」

 

 

 

「「「はい??!!」」」

 

 

 

 

 

ゴックゴックゴッ?!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ドサッ パタ ボトトトトトト・・・・・・

 

 

 

 

 

RE:一撃必殺!!!。

 

 

 

〔フンガァーーー!!?〕

「シャウトモぉーーーン!!?」

「「し、静羽ぁー!?」」

「え、ええ?

今日のはいつもより飲み易くした筈なのに

ほら見て、キュートモンのこの飲みっぷり」

『んな!!?』

 

 

 

「ゴッキュー♪、ゴッキュー♪、ゴッキュー♪

プハァー♪、美味しいっキュ~~~♪♪♪」

 

 

 

「し、静羽先輩の

あの『ドリンク』を一気飲みしたぁーーー!!?」

「ドルルモン!、コレとっても美味しいっキュ!」

「そ、そうかッ、それはよかっ」

「ドルルモンも一緒に飲むっキュ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゑ???」

「ダメ、っキュ?」

「ダメ、なの?」

「う"」

 

 

 

キュートモンと静羽は瞳を潤ませている!。

 

 

 

「わ、わかったよ!、飲めば良いんだろうが!?」

 

 

 

 

 

グビ・・・グビッ・・・・・・ゴグン"・・・・・・・・・!!

 

 

 

 

 

『(ぜんぶいった!!?)』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごちそうさまでした」

「キュ?、ドルルモン何処行くっキュ?」

「あ、はははははっ

気にしなーい♪、気にしないーい♪

そ・れ・よ・り、どう?、キュートモンちゃん

あたしのパートナーやらない?」

「いえいえ、ここは是非私の」

「ああ!、いちえ先輩もゆっこもズルい!」

「キュウ!?」

「あらあら、モテモテね」

「放っておいていいの!?、つかさ!?」

「え?、何で私が?」

「消去法と言ってはなんですけど

つかさ先輩のパートナーはウィザーモンかキュートモンならキュートモンかなーって」

「私の、パートナー」

「?、つかさちゃん?」

「因みに、私を省いたその心は?」

「自分の胸に聞いてみて下さい」

「ぐわっはっはっ!、まいったなー!

こりゃまた一本取られてしまった、よ!」

 

 

 

 

 

ガタガタガタガタガタガタ!!!!!!

ジジジッ・・・

 

 

 

ボッ!!!

 

 

 

 

 

〔〔餌ぁ!!、くわせろぉーーー!!!〕〕

 

 

 

舞台少女やデジモンが和やか(?)なティータイムを繰り広げていると、念入りに布を巻き付けられていた魔封機が突如発火!。

 

 

 

「あーーーあ!!、もーーーう!!

こうゆう時ぐらい大人しくしてよ!!

この馬鹿!、馬鹿坊!!!」

〔「先輩!、本機体熱暴走状態!

危険!、危険!、メーデー!、メーデー!」〕

「・・・・・・・・・そのまま燃え尽きればいいのに」

「塁、気持ちは痛い程にわかりますが

アレが居ないと先輩達と舞台に立てないのでお互い我慢しましょう」

〔ユユ、我慢は体に良くないカナ〕

「ね?」

「う、うん!、ごめんねゆっこ!」

 

 

 

 

 

コポポポポポポ   チャプ・・・

 

 

 

 

 

「文様、紅茶の注ぎ方はこれでよろしいでしょうか?」

「ええ、初めてにしては

・・・・・・・・・というか、その翼で良くティーポットやカップが持てるわね?」

「これも文様や栞様の御指導の賜物

そして、何より王のお陰です」

「クカ?」

「フッ、当然だな」

「ガ!?」

「流石です!!、晶さん!!」

「グガァアアア!!?」

「ヒヨコさんもやってみたらどうですか~?」

「ワッチッチは啄む専門っヒョッ」

「ボキもムシャムシャムシャムシャ!!!

そうーっ!、でっしゅーっ!ムシャムシャムシャムシャムシャムシャ!!!」

「ねぇ弟子、独り占めなんてするんなら

破門、だからね?」

「ヒンっ?!

お、おししょーしゃまぁーーーっ!

こ、これはむ、虫デジモンのサガっ!、サガなんでっしゅーっ!」

「そう、なの?」

「風評被害はやめるヨンッッッ!!!

あ、後フミ

フミも氷蜥蜴・・・じゃなくって、ブルコモンを離した方が良いと思うヨン」

「心配してくれてありがとう

でも、大丈夫

いちえのヴォーボモンに比べれば大人しいし

塁やゆゆ子のジャザモンやドラコモンと違って殆ど喋らないから」

〔「ブルル」〕

〔「・・・・・・・・・」〕

「そういえば、珠緒ちゃんのルドモンも全然お喋りしないね」

「大月さんや雪代さん達と私達凛明館のデジモンは色々と違いますので・・・」

 

 

 

「(わたしのパートナー)」

 

 

 

外観は立派な家の中で多種多様なパートナー関係を目の当たりにした『少女』は考える。

 

 

 

「(デジモンの、パートナー

 

 

あの子がここに居たら

 

 

きっと、他のデジモンに負けないぐらいに

 

 

はしゃいで、お菓子を食べて楽しむんだろうな

 

 

 

・・・・・・・・・立ちたいな、あの子と一緒に舞台に

 

 

 

私のパートナーはもうあの子以外考え

 

 

 

!、駄目!!、そんなの絶対駄目よ!!)」

 

 

 

だが、その思考は他ならぬ彼女自身が停止させた。

 

 

 

「(私には、巴さん達みたいに舞台に立つ為だけにデジモンを利用するなんて出来ないッ

何より、独りぼっちで異世界に来てしまった

スパロウモンをこれ以上危険な目になんて合わせたくない

 

 

 

だから、私が我慢しないといけないの・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

恵比寿つかささんは舞台少女であることより

 

 

『おねぇちゃん』であることを選びました。

 

 

自分がキラめくことよりも

 

 

スパロウモンの安全を優先したのです

 

 

 

 

 

 

 

最もこの選択が

 

 

本当にスパロウモンが望んだモノかは・・・

 

 

今はまだ誰にも

 

 

 

           わかりません。

 

 

 

 

「ミチルセンパイ♪」

「・・・・・・・・・目星、つけられた?」

「ハイ♪、アレだけ扇情的な衣装なら

映像越しでも体のライン丸わかりでしたからね~」

「流石、やちよ

それじゃあ・・・

 

 

 

今度は私達の方から仕掛けようか」

「ええ、誰に喧嘩を売ったのか

 

 

 

わからせてあげましょう」

 

 

 

 

 




☆街中





とある高層ビルの最上階





ガシャアアアアアアアアアアンッッッ!!!





〔「ひっ!??」〕
「・・・・・・・・・コレが最後だということは



わかっているな?」



〔「は、はい!、もちろんです!」〕
「『スタジオ』の準備は既に済ませてある
明日、奴らをそこまで誘き寄せろ」
〔「え?、どうや
!、い、いえ!、なんでもありません!
わかりました!、かならずやります!、やりますから!、どう
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・醜いッ」

その一室にて通信を一方的に終わらせた『彼女』は侮蔑の言葉を吐き捨て、床に散らばったマグカップの欠片をパンプスで踏み砕きながら窓へと歩み寄ると・・・

「醜い醜い醜いミにククク!



クククくくくくくくッ!!ハハハハはははッ!!!」



クモの巣状にひび割れたガラスを掌でなぞり

『黒』く染まった夜景に赤を加え

その向こう側に存在する建物を穢した。



「お前に証明してやろう

連中にキラめき等存在しないことを

その、ために・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



歪に映り込んだ顔に語りかけた後

『彼女』は窓に背を向けエレベーターへ。





『〔ォオオオオオォォオ・・・・・・ッ〕」!!!





すると

パンプスが入り込んだ瞬間にソレの内観が一変。

壁や床が黒い腐肉と化し

ゴポゴポと音を立てながら突起や穴が出現



「クククくくくくくくッ」



エレベーター・・・闇のトレイルモンは輝きの無い世界

その地下にて網のように広がるツタの上を駆け

喜悦の表情を浮かべる『彼女』を目的地



「もうすぐはじ、まる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、ちがうう

終わる   おわるのだ   ニンゲンハ」



■■■■の入口へと運ぶのであった。




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LIVE A LIVE 暴かれた主張

☆輝きの無い世界・■■■■■■■■■■



「た、たすかったねーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・

って!!

元々ユーが口を滑らせなければこんなことにはなってなかったねーーー!!!」
「すまない」
「まぁまぁ、良いじゃないか
お互い手傷こそ負ったものの無事に離脱出来たのだしね」
「プーレージーデーンートー??
はぁーっ、まったく!、『黒の逢魔』って!
上層部が揃いも揃ってダメダメねー!」



「それはわ、たし、も含まれているのか?」



「当然ねー!
14人も舞台少女をデジモンと契約させて!
しかも、その内の3つは貴重な純帝国産!
挙げ句にシークフェルトのゲームプレイヤーをかなり減らして!
あそこにミーがどれだけ苦労して札造って札貼ったと!」
「まぁまぁ、ダメ出しもそれぐらいにね」
「何故猿の皮を被ったままなんだ?」
「・・・・・・・・・その説明は、何度、したッ?」
「まぁまぁ、お互い不毛な会話は止めよう
それで、どうだったかね?」
「奴等の機、熟し、腐り、果てた
それはそれはもう醜く



そう、醜くくククククククくくくッ!!醜くく!醜くく!ハハはははッ醜いいいい!!!



やハリニんゲンハミにクい!!!

これで、きみ、も、わかってくれるな?ー?

我が友よ・・・・・・・・・」





☆シークフェルト音楽学院

 

 

 

「(どうしてこうなっちゃったんだろ?)」

 

 

 

今朝のホームルームで生徒会・・・エーデルからの全校集会の報せを聞いてから心臓が痛い。

 

 

 

「(絶対ゲームのことだよね)」

 

 

 

どれだけ心が重くても、歩幅だけは周りの生徒達に合わせて講堂へ向かえば

 

 

 

「先日、他校の女子生徒がソーシャルゲームに没頭する余り成人男性とのトラブルに巻き込まれる事案があった」

「伝統あるシークフェルトにそんな生徒は居ないとは思うんだけど・・・

生徒会としてこの件を見過ごす訳にはいかない」

「なので皆さん!、今後校内は勿論のこと!!

街中でゲームをすることは控えて下さい!!」

「大体、歩きスマホは事故の元ですしね~」

「突然、こんなことを言われて皆さん不満があるかもしれませんが

何かあってからでは遅いので・・・」

 

 

 

「(ほら、やっぱり)」

 

 

 

案の定数日前にフロンティア総代って人をBANしようとした時のことを逆手に取られた。

・・・・・・・・・『私達』だって

あんなことやりたくてやったワケじゃない

『社長さん』に言われて仕方なくやった、それだけなのに。

 

 

 

「ああっ!!、栞様がとても悲しそうな顔をしてるわ!!」

「一体誰!?、私のベルから笑顔を奪ったのは!!?」

「やちよ様の言う通りよ!」

「私達一同!、シークフェルトの名に恥無いよう!、常日頃から心掛けています!、メイファン様!」

 

 

 

「(いや、あんたら

ついこの間まで楽しそうにプレイしてたじゃん・・・)」

 

 

 

講堂に居る生徒の大半が気高き君の横暴を受け入れてる。

 

 

 

「(それだけこの学校のプレイヤー数が減ってるってことなんだよね

『社長さん』に怒られるのも無理ないか)」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

!、今、雪代晶と目が合った!?

 

い、いや!、大丈夫!、気のせい気のせい!

 

ってか目が合っただけでバレるワケないじゃん

 

あんだけメイクしてんだしさ。

 

 

 

「(とにかく、早くこのことを他の2人に教えないと)」

 

 

 

全校集会が終わるや否や

 

鞄に隠したローダーの画面をなぞれば

 

すぐに返事が脳内に直接届

 

 

 

「へぇー、クロスローダーってそういう使い方もあったんですかー?

ミチル、ぜーんぜん知りませんでしたー」

 

 

 

あ、あれ??

 

 

 

「私に、何か用・・・?」

「はい♪、『先輩』♪」

 

 

 

白々しいッッ

 

どうせあんた!、私のことなんて年が一つ上の生徒としか思ってないんでしょ!?

 

 

 

「蒼玉の君が他人の鞄の中をコッソリ覗き見なんて、はしたないとは思わないの?」

「いえいえ、『先輩』に比べたら私なんて」

 

 

〔「世の中F〇〇kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」」」〕

 

 

 

!?

 

 

 

「今代の真珠の君を甘く見ないで下さい

画像越しでも持っているギターや背景のセットから体格を推定するぐらい造作もありません」

「どうしてッ」

「どうしてシークフェルト

 

 

 

そして、フロンティアや凛明館の生徒の中に

 

 

 

『黒の逢魔』と手を組んでいる人間が居るとわかったのか、気になります?」

 

 

 

!!?

 

 

 

「私達エーデルや同好会が全員揃った時

あるいは、静羽ちゃんが独りの時

どれもタイミングが良すぎたんですよ

ウィザーモン・・・私達に協力してるデジモンから聞いたんですけど、輝きの無い世界や端末越しだけでそこまで詳しく探るのは難しいって

あ、監視カメラとかがそこら中にあれば話は別らしいんですけど

ほら、凛明館の校舎ってあの通りですし

何より」

「同好会を引きずり込む為に部室の近くで歌わせたからね」

「・・・・・・・・・認めるんですね『先輩』?

自分達が『黒の逢魔』に協力してるって」

「認めた所で痛くも痒くも何ともないし

だって私達

 

 

 

『悪い』ことなんてやって無いんだから」

 

 

 

「ふーーーん

まぁ、確かにそうですねー

あなた達がやったことはこの世界の法律で裁ける物じゃありませんしー」

「でしょ?、だから」

 

 

〔「世の中F〇〇kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」」」〕

 

 

 

!!!

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・脅すつもり?」

「ミチルも『悪い』ことしてるつもりはありませんけど?」

「チッ!」

「あれ?、もしかして実力行使ですか?

だったら」

「こちらも相応の対応を取らせて貰います」

 

 

 

!、雪代晶!!

それに、他のエーデルまで!?

 

 

 

「あなたが!!、あなたがお姉ちゃんを・・・ッ!」

「栞、抑えて

『先輩』はただ『黒の逢魔』に利用されただけのカワイソウな被害者なんだから」

「は?」

「あっれ~??、違いました~??」

「やちよも栞のことを言えませんよ・・・」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

「さて、それじゃあ『先輩』」

 

 

〔「世の中F〇〇kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」」」〕

 

 

「ミチル達を案内して貰えませんか?

あなた達にデジモンについて教えた相手の所まで」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

「わかった、わかったわよ、もうわかったから!」

 

 

 

 

 

☆街中

 

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

 

「じゃあ、そっちの2人もやっぱり」

「ええ・・・」

「あの人!!、静羽を酷い目に合わせたのに全っ然反省してなかったよ!?」

「こっちの『先輩』もおんなじだよぉ!!

同好会になったんだからキラめきとかいらないでしょ?、だってさ!!」

「ちょっといちえ、野々宮さんも

周りの迷惑になるから騒ぐのはやめた方が」

「ーーーーーーッッッ!!!」

「文さーん、こっちも宥めて下さーい」

「ま~、あの3人の気持ちもわからないでもありません

デジモンやらデジタルワールドやら

どれもこれも、あまりに現実離れしてますからね~」

「そう、悪いのはあの人達じゃない

『黒の逢魔』ッ、今日こそは消してみせる・・・!」

「!、秋風さん!、何と強気な台詞を!?

私達も負けていられませんよ!!、晶さん!!」

「ああ、これ以上私達の舞台を好き勝手脚色されるの耐え難いからな」

 

 

 

「「「(わたしたちの、『舞台』?)」」」

 

 

 

「!!」

「?、どうしたの珠緒?」

「い、いいえ、なんでもないわ・・・・・・・・・」

 

舞台少女達やウィザーモンの調査により判明した『黒の逢魔』の協力者3人の身元は・・・シークフェルト、凛明館、フロンティアの3年生だった。

例の過激な動画とは打って変わってどちらかと言うと地味な印象の彼女達に案内され、15人が足を運んだのは・・・

 

「ここは」

〔「コンサートホールって奴か?」〕

「そうそう、そうだよ」

「最も、私達以外使う人間はいないけどね」

「・・・・・・・・・」

 

すっかり寂れた様子のコンサートホール。

 

「私達にデジモンのことを教えてくれて」

「私達のスポンサーになってくれた」

「私達の『社長さん』は、この中に

 

 

 

 

 

 

 

居ねぇよぉー"!!! 馬鹿がぁー"!!!」

 

 

 

『ぅぁぁ!!?』

 

突如、凛明館の3年生が豹変

鞄の中からダークネスローダーを

荒々しい動きで取り出し、口元に寄せる。

 

〔「Sss"ss"hut!!アァ"ァ"アップ!!!」〕

『『『ォアああ"オオオ"オァウウウオーーーーおおおおぅオオ!!!"!"!!』』』

 

すると、街路のど真ん中でマイク部分を通したデスボイスが炸裂した。

 

「ウィザーモンこれって!?」

〔「ぬかったッ、暗黒のソウルは現実世界のニンゲンにすらも影響を及ぼすとは・・・!」〕

 

 

 

「人間だけじゃない」「見て見て!、見ろ!

 

これが私達の、舞台!!!」」」

 

 

 

自身が持つクロスローダーに疑問をぶつけていたつかさの目の前でコンサートホールの風貌が一変。

 

 

 

外壁が捻くれながら上へと伸び上がり

 

所々に鋲が打たれ、斧が突き出る

 

この3人の為の『ステージ』が出来上がる。

 

 

 

「オぅ"おおお!!オーーーオ"!!ッオ」

「きゃあああ!?」

〔「ハニィイイイ!!

くそ!、何で出られないんだヨン!!?」〕

「だって、ここはまだ現実

ゲームキャラが出てこれるワケがない」

〔〔!?、ツマリココダト!〕〕

〔「シスター達は戦えないし俺達をリロード出来ないっことかーーい!?」〕〔『Nooooooo!!』〕

〔「鶴!!、ヒョッヘ中へ!!」〕

「わかってますッ、けど・・・!」

「これだけの人数に襲われてはッ」

〔「・・・・・・・・・」〕

「そんじゃあ♪、じゃあじゃあ♪

ファンのみんなの相手はシクヨロー♪」

「ま、待って・・・わわっ!?」

 

3年生3人組はあるるの制止を無視し

自分達の世界へと歩みを進めるのであった。

 

『アァ"ぁあーーあ"ァア!!ーー!"!』

〔「おししょーしゃまーーーっ!!!」〕

「!?」

「ララフィン=レスキュー!!」

「「ララフィン!!?」」

「先輩!、いくらなんでも無茶ですって!」

 

デスボイスを通じて放たれた暗黒のソウルにより暴徒化した通行人がミチルに殺到。

それを助けようとしたララフィンの小柄な体もまた人の波に飲まれて見えなくなる・・・。

 

「《ベビーヘイル!》」

『ァアぅ?!ー!?』

 

すると、2人の前にレヴュー衣装の文が立ち塞がり、川蝉から放つ無数の氷礫で暴徒の群れを牽制した。

 

「てい!、ドラマ式当て身チョーップ!」

「良い子の皆さんも悪い子の皆さんも決して真似しないように・・・!、っと!」

『ぐぅうう!!?、・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

更にはいちえやゆゆ子も制服を変換させ、手刀やら何やらで人々の意識を刈り取っていく。

 

「いちえちゃんまでどうして!?」

「よくわかんないけど!

あたし達、こっちの世界でも自由に着替えられ

アチチチィイイ!?」

〔「餌ぁ!、餌ぁ!、食う!、食わせろぉーーー!」〕

〔「ユユ、そんな面倒なことしなくても

《ジ・シュルネン》なら全部消せるカナ」〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

!、塁!!?」

 

 

 

「逃がすかぁあああああああああ!!!」

〔「先輩!、独断専行危険!、危険!」〕

 

 

 

「待ちなさい塁ちゃんッ!!」

「巴さんの声すら耳に入らないの・・・!?」

 

一方、塁は鉄の翼で人垣を飛び越え

変生したコンサートホールに独りで突入。

 

「行って珠緒!」

「ここはあたし達が!」

「・・・・・・・・・塁のこと、お願いします!」

「任せて、ゆっこちゃん」

「お姉ちゃん!」

「行くよ栞」

「ここに留まっても今のミチル達じゃ足手纏いにしかならない

それはわかってるよね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」

〔「急げアルル!、よくわかんねぇーけど!」〕

「うん、塁ちゃんもだけど

あの『ステージ』、何かイヤな感じがする!」

〔「すまないがツカサ

君だけはここに残ってもらえないかい?」〕

「え?」

〔「これだけのニンゲンが暴走したとあっては後始末は必要だろう?

幸い、記憶の書き換えならば端末越しでも可能というのは実証済みだ」〕

「・・・・・・・・・そういうことなら仕方ないわね

(ん?、あれ??、『記憶の書き換え』って

 

 

 

『誰』の、『何の記憶』を??)」

 

 

 

「つかさ、気をつけてね・・・」

「う、うん」

 

彼女の後を追うべく

つかさとウィザーモン、凛明館の3人を残し

他の舞台少女達は暗黒のソウル漂う輝きの無い世界へと突入するのであった。

 

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界・捻くれたコンサートホール

 

「ねぇ、巴さん

秋風さんのことについてなんだけど」

「元々、思い詰めるあまり暴走する所は多々ある人でしたけど、あなたの言葉も届かないなんて明らかにおかしいんですよねー

最も、ソレは

 

 

 

演劇同好会全員に言えることなんですけど」

 

 

 

「!?、それはどういう意味ですか!!?」

「私とララフィンちゃんを助けた時に

文は人間に向かって何の躊躇いも無くデジモンの技をぶつけてたでしょ?」

「!!」

「い、言われてみると確かにそうですね・・・

ですがやちよ、田中さんはいつも通りの様子でしたが」

「メイファンにはそう見えた?

私にはかなり無理して『田中ゆゆ子』を演じてるようにしか感じられなかったけど?」

〔「ああ、俺やシズハが捕まった時の奴からは

 

 

 

メフィスモン以上にヤバい臭いがした」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「た、珠緒ちゃん・・・」

「今は、目の前の演目に集中する

だが、幕が降りた暁には」

「はい、私達が知る限りのことを全てお話します」

 

壊れたマネキンやら机やらがあちこちに積み上げれた狭い回廊をレヴュー衣装姿の少女達が駆け抜けていくと・・・

 

「!!?、塁ちゃん!!!」

『ーーーーーー!!?』

「・・・ぉ・・・・・・・・・んっ・・・ぃ・・・」

〔「メ!、ェーーデェー・・・メーデッ・・・・・・」〕

 

最上階には奇々怪々な光景が広がっていた。

 

「あれ?、あれあれ?

思ったより早いんだけど何で何で何で!?」

 

床に散乱する教科書やノートの残骸を踏みにじる黒子ベーシスト。

 

「夢大路文と他2人が居ないってことは・・・

チッ!、囮使ってまで目立ちたいってワケ!!?」

 

口裂け女はイライラした様子で斧型ギターを振り回し、机やマネキンを真っ二つにしている。

 

「シュコーッ、シュコーッ、シュコーッ

ア"ッ!、ア"アああぁーーー、んんっ!!」

 

そして、フランケンシュタインのドラマーは

過剰にボルトが打ち込まれたドラムセット

 

 

 

に、傷だらけの秋風塁を張り付け

 

 

 

喉スプレーによるケアと発声練習をしていた。

 

「ん!!、チューニングおーけー

そんじゃー、次の曲

 

 

 

逝ってみよっか? 普通科の人気者ちゃん」

 

 

 

『!!!』

 

 

 

ドラムスティックが振り上げられた瞬間、パートナーをリロードさせながら舞台少女が『ステージ』に飛び入り

 

「おーっとっとーのぉーとっとぉ♪♪♪」

「どいつもこいつも遠慮しろっての!!!」

 

・・・・・・・・・しようとすれば、突如出現した

継ぎ接ぎだらけのスピーカーが進路を妨害。

 

〔「顔がee"eEEEぃいい"イイイ"いいいーーー"ーーー!!!"!!"!」〕

「!ッ!」

〔「声Moスきeーー"ーーーーぃ!!!!」〕

『ー~ー~ー~ー~ー~ーッッッ?!!』

 

『曲』が始まればソレから爆発に匹敵する大音量が放たれる。

 

〔「手足ナGuYィ"ッ!!!"!"!!」〕

「あ!!、が!!」

〔「ナによりやっpa顔がee"eEEEぃいい"イイイ"いいいーーー"ーーー!!!"!!"!」〕

 

 

 

打つ打つ打つ打つ打つ打つ  打ちまくる

 

 

 

両隣のギターやベースのメロディに合わせ

激しくヘッドバンキングしながらダミ声で歌い

『ドラム』に自身の想いを全力で叩き込めば・・・

 

 

 

〔「身長Wowを

 

YoこせEeeeeeぇえ"エエ"エエ"エエえ"えーーーーーー!"!"!"!"!

・・・・・・・・・ケフッ!、ちょい"たんまぁ!」〕

 

 

塁の身体より先にフランケンシュタインの喉が限界を迎えた。

 

「ーーーーーー!?!、なんって音ッ」

「まだ、みみのなか、のこってるぅ~・・・」

「し、静羽先輩!?、ララフィン先輩!!」

「2人共!、衣装が消えそうだよぉ!?」

「「!!」」

 

爆音による『演奏』を至近距離でくらった舞台少女達のレヴュー衣装が所々薄れ、制服に戻りかけている

原因は『音』に秘められた暗黒のソウル。

 

「るい、ちゃ!、塁ちゃん!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔「せん、ぱい、ぶそーかいじょ

そんがい、じん、だい、メェー、デー」〕

「ッ!!

『先輩』、何故こんな酷いことを!?」

「シュコーッ!、シュコーッ!、シュコーッ!」

「喉のチューニングしてるんだから喋れるワケないでしょ?」

「ってか理由なら今言ったよ!、言ったよね!?、言ったじゃん!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・、そうですか」 

「「!!」」

 

制服から露出した『データ』に痛々しい跡が残り、手足の『フレーム』がひしゃげた後輩の姿に

 

 

 

咲散花の鯉口が切られた。

 

 

 

「「「リロード ボルトモン!!!」」」

〔ーーー!!!〕

「デジモンッ、ですが!!」

 

すると、3年生3人が同時に掲げたダークネスローダーから巨大なバトルアックスを背負ったサイボーグ型デジモンが出現し

珠緒の一太刀を左手で受け止め、残る右手を勢い良く振るう。

 

「《ウォルレーキ!》」

〔「!」〕

〔ーーー!!!〕

「うっそぉーーー!?、マジマジマジぃ!?

成長期なのに受け止めたぁーーー!?」

「チッ!!、どんなチート使ってんの!?」

「ん!、ん"んっ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・関係ないよ

 

 

 

私達3人のパートナーは究極体

 

デジモンの最終進化形態

 

小手先の誤魔化しなんかに絶対負けない!」

 

〔《トマホークシュタイナー!!!》〕

 

 

 

「〔ッ!!?〕ぅぁぁああああああ!!!」

 

拳を防いでいた盾が真上から振り下ろされた斧により粉砕。

珠緒は絶叫を上げながら『ステージ』の上を転がっていく

 

 

 

「隙だらけだぞ」「?!」「「な!?」」

 

 

「フッ・・・」

 

 

 

演技をすれば

ドラマーの背後からドリルが突き出された。

 

「あっ

maAA"Aaaイ"イ"イーーーーーー!!!!!」〕

「ガッ・・・ぅぐ!、・・・・・・・・・そっち、がなぁ!」

「今度こそ!、ララフィン=レスキュー!」

「WithスターモンズだZeeeeee!☆!」』

「う!、うぅ・・・・・・」

 

《ドリルブレーダー》がドラムスティックと暗黒のソウルが秘められたデスボイスにより弾かれた瞬間、豊かな鬣の影に隠れていたララフィン達が飛び出し塁を助け出す。

 

「キュートモン、塁ちゃんをお願いします」

「タマオも怪我してるっキュ!、一緒に治すっキュ!」

「攻撃の直前に盾を自分で壊したから殆ど当たっていないわ、心配してくれてありがとう」

「キューーー・・・・・・・・・」

「(巴さんのHPが半分になっていることは色々な意味で触れない方が良さそうね

今、私が考えなければいけないのは)

ボルトモン、肉体ベースで造られたサイボーグ型、究極体

攻撃と防御のステータスだけで見れば今までエンカウントしてきたどのデジモンとも比べモノにならないわ」

「ふーん?、そうなんだー?

(・・・・・・・・・でも私にとっては、『迷宮』のボスの方がよっぽど)」

「?、おししゃーしゃまー?」

「王よ、奴めの相手はフロンティアの皆様とワタシ共が勤めましょう」

「ヒョッヘおまんらのとこのモン止めっヒョい」

「・・・・・・・・・」

「みんな、デジクロスよ」

「「「うん/はい!!」」」

 

手短に役割分担を行った後、エーデル達の神機・イミテーションから銀幕が降り

フロンティアのクロスローダーから放たれるソウルとキラめきが交錯。

 

「〔「『シャウトモン!! X4!!!!」』〕」

 

『ステージ』上に4体の成熟期とシャウトモンの新たなデジクロス体が登場した。

 

〔ーーー!!!〕

「おぉーっと!、あらよっと!」

〔ーーー???〕

「攻撃や防御ではまだボルトモンには届かない

だけど、ほんの僅かでしかないけれど

スピードとテクニックはX4が上ッ

それに!」

「バキューン!、バキューン!」

〔ー!ー?ー!?〕

「へへっ♪、イカした演出じゃねぇーか!」

「『Yeeeeeah☆!』」〔フンガァ!!〕

「お前ら調子に乗り過ぎだ!、ったく!」

 

スターモンズとスタンドマイクが合体したスターソードDXでバトルアックスをいなし、鉄仮面の上で金色のキラめきが弾けるリズムに合わせてパンチやキックをお見舞いする。

 

「あるるちゃんが、私達がキラめきを見せれば」

「シャウトモンはパワーアップする☆!」

「つかさ先輩に見せられないのが残念だけど今のあたし達の全部をこの『ステージ』にぶつける!」

「失礼ながら、フロンティアの皆様」

「ボクチャン達を、エーデルのパートナーを

忘れてもらっちゃ困るヨン!《ターボスティンガー!》」

「そーっ!、でっしゅーっ!」

「・・・・・・・・・」

「《ツバメ二枚返し》ヒョオオオゥ!!」

〔!、!ーーー!?〕

〔コレハ負ケテラレナイ〕

「その通りだ相棒!、いっくぜぇー!!

《スリィイー!ビクトライズ!!!!》」』〕」

 

まるで踊るように戦うX4。

そのエネルギッシュなダンスを大鎌が、ランスが、ハンマーが、デジモン達の技の数々が盛り上げれば

胸の真っ赤なV字からド派手な光線が迸った。

 

〔「「「邪魔!!! 邪魔ーー"ー!"!"!

 

じゃまぁ!!!   邪ジャJAッッッ!!!

 

ぁマ嗚"呼A"AAaaーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」」」〕

 

『ステージ』の片隅に追いやられた腹いせのように掻き鳴らされるギターとベース

更には八つ当たり染みた動きで叩きつけられるドラムとデスボイスによる『音』がエーデルへと襲いかかる。

 

 

 

「《ウォル、レーキ・・・!》」

 

 

 

 

 

カチッカチッカチッ

カチカチカチカチカチカチカチ!!!

 

 

 

 

 

しかし、継ぎ接ぎだらけのスピーカーによって増幅された爆音・・・暗黒のソウルの全ては

5人の前に展開された盾により遮断された。

 

「ちょ!、ちょっとちょっとちょっとぉ!

あわわわ!?、足!、足に矢!、足元に矢ぁ刺さったぁーーー!!」

「!、真珠の君・・・鶴姫やちよッ」

「シュコーッ!?、シュコーッ!?、シュコーッ!?」

「「「「ーーーーーー!」」」」

 

連射されるボウガンの矢が退路を塞けば

他のエーデルが各々の得物を手に3年生へと殺到。

彼女達が持つダークネスローダーを打ち砕く

 

「ん"!、ん!、んん!

 

 

 

貴女達

デジタルワールドの救世主って知ってる?」

 

 

 

「「「「!」」」」

「雪代さん達を、止めた・・・!?」

 

 

 

と、思われた。

 

 

 

「救世主はパートナーとなったデジモンから

 

その恩恵を得られた、それは、そう

 

私達も同じ!!!」

 

 

 

斧型ギターはプラティーンランツとルビーンヘッレバルデを易々と弾き返し

 

 

 

「私達のパートナーが究極体なら!

 

私達だって究極体並み!

 

つまり今の私達はぁあああーーー最・強!」

 

「あぐ!」「ううぅ!」

 

 

 

斧型ベースはザフィーアベシュトラフングとヤーデアングリフごと使い手を押し倒す

 

「栞さん!!」

「ミチルセンパイ!!、って、うそ」

 

そして、ドラムスティックは・・・・・・・・・

 

 

 

「『社長さん』から言われたよ

 

私の学校の『後輩』5人には

 

何故か暗黒のソウルとかが効かないって

 

でも、これなら」

 

 

 

使われない。

 

 

 

代わりにドラマーの異様に盛り上がった腕が掴むのは

積み上げられた瓦礫の山。

 

 

 

「D"ooooooっダああaaaAAA"ァア"ーー"ーーーーー"ーーー!!!"!!!!"!"!」

 

 

「キュッ!?」「・・・・・・・・・」

 

 

「!、キュートモン!!」

〔ーーー!!!〕

「ドルルモン!!、前!!」

「な、しまっ!?」

 

 

 

〔《トマホークシュタイナー!!!》〕

 

 

 

ダミ声と共に放り投げられたモノ全てが

 

雨のように『ステージ』へと降り注ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




その頃、デジタルワールドでは・・・・・・・・・


part3







「ディアナモン様!、『黒の逢魔』を名乗るモン共が暴れているとの報告が方々より!」
「このままでは!、縛りを解いたメルクリモン様でも神罰が追い付きません!」
「くっ!、主神の奴らめは何をしている!?」
「あ、あの・・・!、つい今しがた天堂教教祖を名乗るモンと『今日こそは決着をつける』とのメールが!!、どうしましょう!!?」
「ア"ァァーーーーーーーーッッッ!!!」



月食の神殿。



大異変後、十二の神々のサーバーが統一されたことで産まれた昼と夜両方の性質を持つ神殿にて
デジタルワールドを救いし英雄の1体であり
十二の神の一柱・月光ディアナモンは信者達と共にデジタルワールド全域で巻き起こるテロへの対応に追われていた。

「アホからの連絡はどうなっている!!?」
『・・・・・・・・・』
「はっ!、百獣番長と会合するとのメール以降あ」



「《アロー・オブ・アルテミス》」



「!?!、~ー~ー~ーッ!!??」〕
「で、ディアナモン!、様!!?、何を」
『《第一曲【ポリフォニー】》』
「がぎやぁ?!!、・・・"ッーあ・・・・・・・・・」
「「!!」」
「シュウッ、逃がさん《アメノムラクモ!!》」
「んげっ」「ぐぶ!」
「シュウウウ、甘く見てくれる
かの闘神めに問題が多々あるとしてもだ
あの呼び方を肯定するのは躊躇するというのに」

その最中、報告をしていたハーピモンは氷漬けに
抗議しようとしたサジタリモンは自我を奪われ
一連の光景に全てを察した



『黒の逢魔』のスパイ達は



十二の神が一柱、蛇姫ミネルヴァモンの狂信者、八首持つ魔竜・オロチモンにより1体残らず削除。

「ディアナモン姉様、『釣果』は2つもあれば十分でしょう」
「ああ、『放流』はここまでデシテ
これより月光神の名の元にエリアを封鎖する
疑わしきモン共を1体たりとも逃すな!!』
『御心のままに!!!』



「・・・・・・・・・今のは聞こえていたな?
悪いがこちらではアルファモンの治療は受け入れられんし、ワタクシがアケビ号へ向かうのも無理
確か、はじまりの街に神樹性の回復薬をいくつかストックしているから、そこで」





ザザザ!!! ザァーーーザァーーー!!!





「!?、ジャミング!、デシテ!?
やもやここまでッ
おい始祖共!!、この状況はマズい!!
いい加減し・ず・まれぇーーーい!!!」

月光神が手首に収まる神機にヒステリックな叫びをぶつける。



「グルルルルルルァアアアアアア!!!!!!」
「ギャオオオオオォォォォォォン!!!!!!」
〔「プキイーォイーーー"ッッ」「ビルラビビビビキビ!!?」【ゲッゲゲゲゲゲェエ!!!!】〕



その向こう側の景色は

氷河や焦土 更には汚泥へと

不規則かつ目まぐるしく変化をしていた。



「「フゥーーーッ!!、フゥーーーッ!!」」
〔「ア"・・・」・・・・・・【ァ】・・・・・・・・・・・・・・・デ・・・?〕



この地獄絵図の中心で蠢くのは


氷の毛皮
   雷の角
 風の羽根
 ‎    水の触腕 土の肌 
 ‎          鋼の鏡 木の脚






体躯の所々から突き出ている 闇の腐肉。
始祖の魂が封じられた創造神召喚の為の祭具が
あの日切り捨てられた幾千幾万の怨嗟により
歪められ、呪詛の塊となった存在を



裂いて 叩いて 凍らせ 燃やすのは



かつて世界を救いし英雄にして
今まさに世界を穢しているモンの・・・・・・・・・。



「フゥウウ、フゥ」「ハァー、ハァーー」



這いずる腐肉の小間切れが足元を埋め尽くす中で光狼と炎竜が息を整える。



「《エターナル・ニルヴァーナ》ォォォオオオゥン!!」



その隙を狙い
飛来した球体が始祖達を   封印。



「・・・・・・・・・はい、ええ、御心配なく
全て回収出来ました



これから自分はアケビ号へと向かいます」



静寂が訪れたこの空間に

ボロ布を纏い、身の丈程の大きさの本に乗る

魔人・ワイズモンの呟きだけが響くのであった。









「神機レーダーからエンシェントガルルモンとエンシェントグレイモンの反応が消えた
ってことは、エリアが封鎖された以上ディアナモンには手は出せないだろうし
次に狙われるのは・・・・・・・・・



ギヒッ♪、オモシロオカシクナッテキタ♪」










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劇的登場!! 空舞う勇者!!

今回の敵役のモチーフは
舞台に立てない
バンドに夢を見れない
何者にもなれない、不透明な存在です。



☆街中

 

 

 

『『『うォアああ"オオオ"!!!オァウウウオーーーーおおおおぅオオオぅ"おおお!!オーーーオ"!!ッオ!!!"!"!!』』』

 

 

 

「増えてるぅうううーーーーーー!!??」

「な、なんでッ!?」

「突然あちこちから突き出てきたスピーカーのせいでしょうか・・・?」

 

珠緒達と別れた時の倍以上となった暴徒達にいちえも文もゆゆ子も困惑を隠せない。

 

「くっ!、これじゃ上に行く所か!」

「私達自身の身すら危ういッ、です、ね!」

〔「そうなる前に全て消せばいいのカナ?」〕

「・・・・・・・・・」

〔「餌ぁ!、餌だらけぇえええ!、全部我に食わせろぉ!、ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「アチチチチチチ!?

このぉー!、興奮するなぁ!、馬鹿坊ー!」

 

 

 

〔「D"ooooooっダああaaaAAA"ァア"ーー"ーーーーー"ーーー!!!"!!!!"!"!」〕

『オオぅウオーー"ー"ぁウおウウ!ッ!"!』

 

 

 

「「「!!」」」

〔「フミ!!、ブルルルルルルゥ!!」

 

継ぎ接ぎだらけのスピーカーから垂れ流される『音』・・・高密度の暗黒のソウルに呼応しより一層ヒートアップした人波の勢いはまさに怒濤。

 

 

 

「3人共息を止めて!!

 

リロード!、ウィザーモン!」

 

 

 

ソレに文達が飲まれる寸前、つかさのクロスローダーから杖を手にしたウィザーモンが出現し

 

 

 

「模倣!!《ロージィクレイドル!!》」

 

『『『オ"ぁオ?・・・ぅ・・・・・・ゥあぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』

 

 

 

『土』と『木』と『水』のエレメントで生成し『闇』属性を付与させた濃淡ピンク色の薔薇を『風』で広範囲に散布することで

辺り一面を甘ったるい香りで覆い尽くした。

 

『『『グゥーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』』

「「「!?」」」

「ブルルル?」

 

すると、川蝉から分離していたブルコモンの目の前で暴徒達が次々と倒れ伏し、穏やかな表情で寝息を立て始める。

 

 

 

 

 

ヒュゥウウーーーン!!

 

 

 

 

 

「《ブリング・ブリーズ》

フゥ、これでもう息をしても平気だ」

「プハッ!、ハァー!、ハァー!

こ、これってもしかして睡眠魔法って奴?」

「ま、まぁー!、ねぇー!」

「おーやー??、どーして口籠ってるんでしょーねー??」

「た、たたいした理由は

って!、それよりフミ!、何故そいつが外に居るんだ!?」

「え?、あ、本当に出てる

あなた、いつの間にこんなこと出来るようになったの?」

「ブルルル」〕

〔「ブルコモンだけズルい

どうすればドラコモンも出れるのカナ?」〕

〔「出せぇーーー!!、餌ぁ!!、出せぇーーー!!」〕

〔「ブルゥ」〕

 

氷の小竜は大人しくソードブレイカーに戻ったが、他2体はとてもうるさい。

 

「ねぇ、ウィザーモン

あなたがリロード出来るようになったのって・・・」

「恐らく例の3人組による『音』が原因、さ

あのコンサートホールを中心に輝きの無い世界が人間界を急速に蝕んで

 

 

 

!、あ、あれは!!」

 

 

 

状況説明をしていたウィザーモンのクマが酷い目が大きく開かれる。

 

「え?」

「なになに!?」

「嫌な予感が・・・・・・・・・うわ」

 

演劇同好会が視線を追うと

 

 

 

薄暗い空の至る所に無数の穴・・・ゲートと

 

 

 

『ギャギャギャ!』『グウオオオオン!』『ピュィーーー!』『バルルルルルル!』『キヒヒヒヒヒヒ!』『アアアアアアアアア!』

 

 

 

そこから多種多様なモンスターの大群が見えた。

 

「『黒の逢魔』の本隊ッ

だが、どうやって聖騎士や神々の監視を!?

い、いや、それより!マズい!この状況は本当にマズい!!」

「ぐ、具体的には何が・・・??」

「今!世界同士を隔てる壁はあの3人によって脆くなっている!そこにあれだけの大軍が無理矢理ゲートを通ろうモンなら!

 

 

 

境界が崩壊するッッッ!!!

 

 

 

そうなったら最後!!もう止められない!!

君達の時よりもっと酷いことが沢山のニンゲンに同時進行で降りかかるぞ!!!」

「「「!」」」

「それなら急いで『先輩』達を止めないと!!」

「あ、ああっ、そ、それはそうなんだが!

わ、わたしは、その、そう!、そうだ!

ここに居るニンゲン達の記憶を書き換えなければいけなかった!!だから貴君らは先に行っててくれ!!すぐに追い付く!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「わかったわ」

「ほら、ゆゆ子」

「早く行こ!」

「はい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

(ユユコにはすっかり疑われてしまったな

 

無理もない

 

だが、それでも、私はッ)」

 

 

 

別れ際向けられた眼差しから目を背けるかのように自称・魔法使いは帽子を目深く被り直すと、杖に記憶改竄の『光』を灯す。

 

「恵比寿さん、本当は気づいているんでしょう?」

「・・・・・・・・・ウィザーモンのこと?」

「はい、あのデジモン

嘘はついていないようですが」

「なーんか誤魔化してるっていうかー?

隠し事してんのがバレバレなんだよねー」

「何か目的があって私達の味方をしてる

最も、それはお互い様だからミチルもやちよも静観してるんだと思うわ」

「ま、まぁ、誰だって話せないことの一つや二つあるし」

「・・・・・・・・・それについては同意見ね」

 

ウィザーモンについて語り合いながら少女達は壊れたマネキンやら机やらがあちこちに積み上げれた狭い回廊を通り、捻くれたコンサートホールの最上階へ。

 

 

 

〔ーーー!!!〕

「ぐぅっ、うぁぁあああーー!!!」

「シャウトモン!?、みんな!!」

「お!、キタキタタき♪♪♪」

「「「・・・ぅ・・・・・・・・・」」」

「か、さ!・・・せ、・・・・・・・・・ぱ!」

 

 

 

すると、そこには

 

 

 

「珠緒?、ねぇ、ちょっと、嘘」

「バキバキシュコーッ、シュコーバリッ、シュコーッガリガガリ・・・」

「塁?、塁!、どこ!?、るい!!!」

「晶!!?ミチル!!メイファン!!やちよ!!

 

 

 

しおりぃいいいいいいいいい!!!!!!」

 

 

 

「今更騒いだって無駄だってだってもう私達が倒したんだってエーデルを、あのエーデルを!シークフェルトの気高き君を!私達が!わ・た・しがぁあああ!!」

 

彼女達の想像を越えた光景が広がっていた。

 

「ボルトモーン、そのののそ合体メカそのままま押さえてててー」

〔ーーー!!!〕

「!?」

「あは!あは!あは!、怖い?、コワイ?、ねぇこわい?

だいじょぶだいじょぶダイジョーブ!いたたたくしないかかからぁハハハはははーーー♪♪♪」

「つ、ツカサッ、にげ!、ろぐあああ!!」

「夢大路文は私がモモもってくけどイイいよね?」

「ん"!、う、うん!、おーけーおーおおけー!

他の『後輩』は『先輩』として私がヤややっとくクククハヒッ♪♪♪」

「《ベビーヘイル!!!》」

 

目を血走らせながらにじり寄る黒子と口裂け女とフランケンシュタインの顔面に氷の礫が容赦なく直撃。

 

「エーデル!!ああエーデル!!えぇでエぇえええルゥウウうう!!」

「ッ!!」

「文ぃ!!、んああ!!?」「がはっ!!」

「シュコー・・・・・・・・・ッ、バキッゴックン!

わたたたしをミ見ロぉお"オオオぅあ"アアーーー"ーーーー!!!"!!!」

 

しかし、まるで効果が無い。

痛みを感じていない様子でギタリストとドラマーが膨張した腕を振り回しながら突っ込んでくる。

 

「ハっは♪アハぁハ♪ハハはははハーーー♪

楽しい!楽しいな!すっすすごくタぁノシイッ

 

 

 

将来のこととかもうどうでも良くなりそう」

 

 

 

「『先輩』、あなたもしかして・・・・・・・・・」

 

 

 

独り無防備に立ち尽くす『後輩』に斧型ベースを引き摺りながらベーシストが歩み寄

 

 

 

「《ランダムレーザぁああーーー!!!》」

「はあはははあああ?!」

 

 

 

ろうとすれば、上空からの威嚇射撃によって止められた。

 

「ぇ、ーーーーーーッ」

「ツカサおねぇちゃん!!」

 

その隙に黄色い戦闘機を思わせる姿の鳥型デジモン・スパロウモンがつかさを掻っ攫う。

 

「スパロウモン!?、どうして!?」

「どうしては僕の台詞だよ!!

なんでこんな危ないことしてるの!?」

「そ、それは・・・」

「おねぇちゃん自分で言ってたでしょ!?

 

 

 

ニンゲンは固くて強い体じゃないし

 

飛ぶことだって出来ない

 

なのに、究極体なんてモンが居る場所でッ

 

逃げようともしないなんてッッッ!!!」

 

「!」

 

「グスッ!、ウウウ!

 

僕!、僕ヤだよぉ!!

 

おねぇちゃんが怪我したり、消えちゃうの!

 

やっと、ずっと、独りだった僕に友達が出来て

 

おねぇちゃんとであえたのに・・・!

 

おねぇちゃんが、いなくなったりしたらぁっ

 

ぼく、もう、みんなとたのしめないよぉっ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ごめんね

 

 

 

ごめんなさいスパロウモン

 

私、『考え』て無かった」

 

「ウウウ!ウゥウウウウウウ!!」

 

 

 

涙ながらの訴えが

 

役の無い《案山子》の少女にもたらしたのは

 

 

 

「ねぇ、スパロウモン」

「グスッ!、ウウウ?」

「私と契約してパートナーになって」

「パートナー??」

「うん」

 

 

 

「!!、させるかぁアーーア"ああ!!!

ボルトモぉおおおオオオーーーン!!!」

〔ーーー!!!、?!〕

「まぁーまぁー、待てって

今、最ッ高に良いシーンなんだからよぉー

 

 

 

邪魔すんなぁー!!《バーニングスタァクラッ!!シャァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」』〕」

 

 

 

〔!?ーー?!!ー?〕

「「「ボルトモンッッッ!?!?!?」」」

 

 

 

「今、あそこで戦っているのはね

私の仲間なの」

「おねぇちゃんの、なかま?」

「私は、みんなと同じ場所に居たい・・・

 

 

 

あなたと一緒に舞台に立ちたい!

 

 

 

だから!」「いいよ」「!?」

 

 

 

「僕も『ブタイ』、一緒にやってみたい!」

「ありがとうっ」

 

 

 

電《脳》世界でのキラめき。

 

 

 

〔TSUKASA EBISU X SPARROWMON

 

CONTRACT!!〕

 

 

 

明るまない空にて契約が交わされると

無色のクロスローダーはスパロウモンに良く似た黄色い機械翼風に、つかさの纏うモノもウェスタン風のレヴュー衣装へと変化し

両手には二対の斧・ダストデビルを構えた

 

その時

 

 

 

 

 

カチッ カチッ   カチッカチッカチッ

        カチカチカチ

     カチカチカチ・・・!

カチッ! カチッ! カチッ! カチッ!

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ーーーーーー」

 

「キュ、キュ~~~~~~っ」

 

 

 

「!!、キュートモン!!!」

 

「る、るい??」

 

 

 

地上では

 

制服姿の少女が瓦礫の山を持ち上げていた。

 

 

 

 

 

☆『舞台少女・秋風塁』

 

 

 

繧キ繝ウ閨エ隕壼ョ

 

 

 

ここは、どこ? わたしは いったい?

 

 

 

「へぇ、まさか君が一番乗りとはね」

「ズルルルルル!!、モグッ驚ろいングたな」

「そうですなぁ、最も早くここへ来るのは

巴珠緒嬢だとばかりに思っておりましたよぉ」

 

 

 

!、そうだ!!、珠緒先輩!!

 

 

 

「はいはい、慌てないの」

「今のお前が戻った所で何の意味も無いのだということがわからないのか?」

「そうだね~、フワァア・・・・・・」

 

 

 

でも!!、珠緒先輩が!!

また、あんなことになったら・・・!、私は!

 

 

 

「おちついてルイ

 

だいじょうぶ、だいじょうぶだよ

 

ここへこれたってことは

 

きみはもっとつよくなれる、進化できるんだ」

 

 

 

しん、か??

 

 

 

「舞台少女は日々進化中・・・おっと!、君は『彼女』に関する記憶が封じられていたね、僕としたことがうっかりしていたよ」

「白々しいッ、お前のそういう所が腹が立つ!!」

「んもぅっ、喧嘩しないの」

「ファ~りともあきないね~」

「さぁて、さぁて話を戻しましょう

 

 

 

凛明館演劇同好会、普通科一年生、秋風塁嬢

 

あなたは 私達に 力を求めますかぁ?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・欲しい

珠緒先輩を 文先輩を いちえ先輩を

ゆっこを、みんなを、私達の舞台を護る力が

 

 

 

 

 

欲しいほしいほしいホシイ欲しい欲しい欲しいホシイほしいほしいホシイホシイ欲しいほしいほしいホシイ欲しい欲しい欲しいほしいほしいホシイ欲しいッッッッッッ!!!!!!

 

 

 

「イッ!、イッ!、イッ!、イッ!、イッ!

 

いいよぉっルイぃ!!、すごくいいぃ!!

 

すっかりおでたちに堕ちてるぅっ・・・!!」

 

「ズルルルルルル!!、今回はサービス、な

 

期間限定で無料体験させてやんよ

 

 

 

 

 

 

      七大魔王の寵愛って奴をさ」

 

 

 

 

 

 

〔「先輩からの配給エネルギー急上昇」〕

 

自分達を押し潰していた瓦礫をまるで張物のように軽々と投げ捨て

 

〔「それに伴い本機の再起動を確認」〕

 

再び和風のレヴュー衣装と鋼の翼を装着

 

〔「先輩からのエネルギー配給尚も増大・・・

機体名・ジャザモンの容量を大幅に超過

よって本機はこれより」〕

 

 

 

だけに終わらない。

 

 

 

〔「成熟期

機体名・ジャザードモンへの進化を移行」〕

 

 

 

元々の機械翼がより洗練された形状へと変形し

 

両足には足底に噴射口が備わる装甲が追加

 

更には、頭部が兜のようなバイザーに覆われ

 

 

 

『眼』が開かれた懐中時計・魔封機からは

『脚』が伸び、肩当ての紐に絡まっていた。

 

 

 

〔「敵、データ収集終了」〕

「《レーザーアイ》」

〔?!!??!〕

〔「攻撃パターン及び損傷箇所解析済み」〕

「ふっ!!、やぁっ!!」

〔ーーー!!!???〕

「なん!?、なの!?、アレ!?」

「し、進化したからって、成熟期が究極体と互角とかありえんの・・・?」

「わわ、わわわっ、あわ!!」

 

自分達のパートナーがたった1『体』に翻弄されている光景がこの3人には到底受け入れられない。

 

 

 

「「「「ぐ!!

 

ぁあああっ!!! うぅうああああああああ!!!」」」」

 

 

 

故に、ソレに気づくのが遅れる。

 

 

 

「はぁっ!!、はぁっ!!、はぁぁああ!!

(あつい!!、あつい!!、あっつぃぃ!!

なのに、なんで、なんでこんな・・・!?)」

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

 

 

 

音無いちえは扇子のみならず

 

衣装のあちこちから溶岩と粉塵

 

そして、よりラヴォガリータモンに近づいた

 

ヴォーボモン・・・否、ラヴォーボモンが放出する熱に浮かされ

 

 

 

〔「ユユ!

ドラコモンはコアドラモンはなれたよ!

これでもっとユユの敵を消せるカナ?」〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

無言で顔をしかめる田中ゆゆ子の脛当て

 

その竜の鱗はスカートまでもが侵食され

 

腰辺りからは緑の強靭な尾が揺れていた。

 

 

 

「これってあの時の姿?」

〔「ブルゥ・・・」〕

 

 

 

掲げられる川蝉はより一層氷に覆われており

 

ソレを持つ夢大路文の腕周りの衣装と肩当てが

 

かつて自分達を襲った氷竜・ペイルドラモンを思わせる形に変化

 

しかも、背中には大きな氷の翼までもが生えている。

 

 

 

「《アサルトクロー》」

 

 

 

そして、巴珠緒は

 

ゆゆ子のモノよりスマートな脛当てがもたらす優れた俊足で『ステージ』上を駆け抜け

 

 

 

跳躍。

 

 

 

〔「先輩!!、巴珠緒が急速に接近!!

攻撃体制!!、回避!!、回避ーー!!」〕

 

独擅場を演じる後輩目掛け、両腕に備わる盾より伸びる鉤爪を突き出した。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔「ジャ!?、ジャザァーーー!!?

内部からのハッキング!!?、バイタル異変!!?、先輩!!?」〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

自分へと向けられる凛々しい薄紫の瞳

 

風に靡く美しい黒髪

 

憧れの先輩が刻一刻と迫り来るその光景を

 

忌まわしき存在から奪い取った高度な解析能力にて

 

髪の毛一本すらも鮮明に写る程の高画質を!

 

ミリ秒単位での超高速連写にて切り取る!。

 

これにより!、彼女の脳内メモリーは一瞬で!

 

 

 

巴珠緒一色に!!!。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔「せん、ぱい?、心配停止??

め、メェエエエーーーーーーデェエエエーーーーーー!!!!!!」〕

〔「うわあああーーーん!!!、ルイ!!!

ルイーーー!!!《カウダ!!カウダ!!カウダ!!カウダ!!カウダ!!カウダ!!カウダ!!》」〕

 

 

 

 

 

ドッッッグ!!ドッッッグ!!ドッッッグ!!ドッッッグ!!ドッッッグ!!ドッッッグ!!ドッッッグ!!ドッッッグ!!ドッッッグンンン!!

 

 

 

 

 

「ハッ!!、珠緒先輩!!」

「・・・・・・・・・塁ちゃん、私が見えてる?」

「は、はぃいい!!、よくみえますうう!!

あ、あれ?、私、今まで何を??」

 

 

 

〔「ふんぬぅっ!、俺の罪を弾き飛ばしただと!?

思っていたより面白い奴じゃないか!」〕

〔「・・・・・・・・・真面目な顔して、あの子が一番私の罪と相性が良いのかも」〕

〔「ねぇ~~~、そろそろだれかとめて~~~

さもないと俺がキレるぞ?」〕

〔「はいはい《グランドクロス》」〕

〔「イ"ッッッ!?!」〕

〔「止まりましたのでレイジモードは止めて下さいよぉ」〕

〔「ズルルルルル!!」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「た、たまお、せんぱい?、私の胸が何か?」

「ううん、もう大丈夫みたい」

「???」

 

塁の胸元に備わる魔封機の不気味な脈動が止まったことに珠緒は安堵の息をもらした。

 

「キュ、る、ルイ・・・げんきになって、よかっ

キュ~~~ゥ~~~・・・・・・・・・」

「キュートモン!!」

「あのデジモンもおねぇちゃんの仲間?」

「ええ!」

「だったら早く助けないと!、しっかり捕まってて!」

 

そんな2人の頭上から、つかさを乗せたスパロウモンが瓦礫に埋もれる長耳目掛けて急降下。

 

「「「Sァせえええるcaああ"ああああーーーー!!ーー!!!」」」

「「!!」」

 

すると、楽器を通して放たれる凶暴な『音』が

 

 

 

「「「それは!、こっちの台詞!!!」」」

 

 

 

銃弾の雨と投擲されたランス、ハンマー、大鎌のキラめきによって散らされた。

 

「みんな!!」

「あ、あんなにダメージを受けてるのに何で立てるの!!?」

「つかさ先輩の舞台、魅せて貰ったからッ」

「いつまでも、寝ていられないよ!!」

「うん!、うん!

こんなにワクワクする舞台で、休んでるなんてもったいない!」

「わ、ワクわク??、んで??、言えエの?」

「・・・・・・・・・逆に聞きますが

あなたはこのステージを楽しんでいないんですか?」

「?あ?」

「その反応、やっぱり」

「シズハも気づいてたか?

こいつら口や顔は笑ってんのによぉー

心はこれっぽっちも笑ってねぇんダ?!」

〔ーーーーーー!!!!!!〕

「シャウトモン!!」

「ダダママんッ!!!れェエエエええぇレえええ!!!」

「「ぐ!?ビぃ!!?」」

「仲間ごと!?」

「!、いけない!」

「ア"、キラァ"ーー!!」

『!』

 

逆上したベーシストが指先からデータの破片を撒き散らし、狙いも定めずに超重低音の衝撃波を放出すれば

その一つが未だ動けないシークフェルトの面々へ

 

 

 

「《メテオヘイル》」

 

 

 

『『な!?』』

〔「またペイルドラモンだけズルいカナ」〕

 

到達する寸前、和風衣装から飛び出た巨大な氷解が5体と5人の前に割り込み、彼女達を護り抜いた。

 

「ブルルルルルル・・・・・・・・・」

「よ、ヨン??」

「ハッ」

「!!、こ!、こい、つぅ!!」

「ブルルルルルル」〕

 

ペイルドラモンは横たわるワスプモンに冷えた一瞥をくれた後、再び文の元へ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・勝手なことしないで」

〔「ブルルゥ」〕

「(でも)」

「「な、んン?んんン?!あなたばッかリ」」

「!」

 

衣装と武器に氷竜の意匠が戻ると、薄汚れたギタリストとドラマーの血走った視線が彼女の方に。

 

「「文!」」「「文先輩!」」

「「「がァアああ"あアアアア"アアーーー!"!!」」」

〔《バトルトマホーーーク!!!》〕

「〔「『ぐあっあああああ!!!』」〕」

 

直後、暗黒のソウルを纏った一撃によりデジクロスが強制解除。

バラけたデジモン達を吹き飛ばしながらボルトモンが突進してきた。

 

「《アイスエイジ・・・!》」

〔ーーーーーー!!!!!!〕

「くっ!!、珠緒!、みんな!

今の内に『先輩』達を止めて!!」

「!」

「「な!?」」「「「「「・・・・・・・・・!」」」」」

「ちょぉっ!、文ぃ!?」

「このまま彼女達を歌わせたら大変なことになる!、だから早く!!!」

「それはッ、そう、だけど・・・

だけど、あたし!

 

 

 

やだ!!!」〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

〔《トマホークシュタイナーーー!!!》〕

 

 

 

叩きつけられる吹雪を容易く乗り越え、巨大なバトルアックスを文へと振るう究極体デジモンの前に踊り出るいちえ。

 

「(もうあんなの絶対に嫌!)」

〔「餌ぁ!、餌ぁ!、餌ぁ!」〕

「ッ、そん、なに食べたいんなら!!

 

 

 

コレでも食べてろ馬鹿ああぁーーー!!!」

 

 

 

絶叫と共に衣装の所々から発火性のある粉塵と高熱の溶岩を振り撒き、いちえハリセンから火の玉を飛ばせば

 

 

 

相手の凶器が根元から消し飛んだ。

 

 

 

〔「「「!!!???」」」〕

「あ"あっつぅううう~~~!!?」

「いちえ!!、熱ッ」

〔「ブルルルルルルルルル!!」〕

 

しかし、その反動は凄まじく

必殺技を放った扇子は完全に炭化し、両腕は大火傷、衣装の焼失は肩当て近くにまで及んでいるし全身が熱を帯びている。

 

「あ、ひんやりしてきもちいい~♪」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!

って、コレもしかして脱水症状!?」

〔「ブルルル・・・・・・・・・」〕

「え?、氷?、あ

いちえ、口開けられる?」

「う"~~~っ」

「しっかりしなさい!、まだ舞台は終わってないんだから!」

「文!、そのままいちえをお願い!

塁ちゃん!、ゆっこちゃん!」

「「はい!!」」

〔・・・!・・・・・・ーー!、ー!〕

 

文が腕の中に抱き止めたいちえの唇に

自身の意思とは関係無く零れていく小さな氷を押し当て、強引に水分補給させている間に

珠緒は後輩2人を引き連れ

武器を失ったボルトモンへと斬りかかった。

 

「か、かかっこいいなぁほんと

なんで?なんで?あなたたちあきらめないの?

もうえんげきかなくなったのに

もうゆるされるばしょなくなったのに

 

 

 

なんでまだ 舞台 つづけられるの???」

 

 

 

「・・・・・・・・・『先輩』」

 

「わ、わわたしはあきらめた!!あきらめたのに!!だ!だってゆるされないでしょ!?

 

 

 

伝統ある凛明館の生徒がデスメタルとか!?

 

 

 

だだ、だから、わた、わたしぃ

なのにズルいよともえさん

 

 

 

あァナタァばッッかりぃイイ"いいいおmooいしテぇえええ"えェエエ"エえぇえええーーーーーーーーー"ー!!!!"!!!"」〕

 

 

 

「!《フリスビッカー!》」

「逆恨みも甚だしいッッ!!《ストライクボマー!!》」

「ゆ、ゆっこ!?」

〔「先輩!、敵究極体エネルギー増大!

回避ー!、回避ー!」〕

「五月蝿い!!、体の中で騒がないで!!

鬱陶しい!!」

〔「ジャザッ!?」〕

 

 

 

 

 

カチッカチッカチッ

カチカチカチカチカチカチ・・・・・・・・・ッ

 

 

 

 

 

フランケンシュタインのメイクが崩れる程の涙を流して衝動のまま暗黒のソウルを『後輩』達にぶつけるドラマー。

 

「そうよ、そうだよ、ズルいんだよあんたら

 

気高き君 シークフェルトのトップ

 

エーデル

 

 

 

エーデル!!ああエーデル!!えぇでエぇえええ"ルゥウウ"う"ーーーうううう!!!!!」

 

 

 

「うっ!、くぅう!、が!」

「ふ、み・・・ぃ・・・・・・」

 

ギタリストは本当に口が裂けんばかりの音量で奇声を発しながら斧型ギターを元・翡翠の君へと何度も叩きつける。

 

「わたしたちにはもうここしかない

ここでしかもうLIVEできない

だからもうJamァあッッあ"あアスるナ"アァァああ"ああーーーーー"ーーーーー!!!"!」

 

そして、黒子ベーシストはこの歪んだステージの中央で思いっきり表立ち、鬱屈した本音を『音』として垂れ流し崩界を加速させた。

 

「おねぇちゃん!、空が変だよ!」

「急がないとッ」

「キュウウウ・・・・・・・・・」

「キュートモンッッッ!!!」

「ありがとうつかさ」

「ううん・・・・・・・・・その、みんなごめん

スパロウモンのことずっと隠してて、私」

「なぁーに気にすんな!、っと!

お陰でサイッコーにアガるモン魅せて貰えたんだからよぉー!、なぁアルル?」

「うんうん!、つかさちゃんとスパロウモンの舞台!、最ッ高にワクワクしたよ!」

「・・・・・・・・・ふたりとも」

「大丈夫ですよ、先輩

先輩の気持ち、ちゃんと伝わりましたから」

「なんてたってララフィン達は舞台少女☆!

言いたいことは舞台でわかる!、なんてね☆!」

「ヒュー☆!、イカしてるZE

シスター☆!」『Yeeeeeah!』

〔ソウイウコトダ〕

「みんな・・・うん、わかった!

これからの舞台で今までの分を取り戻す

ううん!、それよりもっと!、スパロウモンと一緒にキラめいてみせる!」

「任せて!、ツカサおねぇちゃん!」

「・・・・・・・・・」

「ドルルモン、キュートモンの具合は?」

「意識は無いが傷は軽い、呼吸もちゃんとしている」

「そう、よかった」

「良くは無いだろうが

この状況ではまた何が起こるかわからん

だからとっとと終わらせるぞ、シズハ!」

「ええ!」

 

穴だらけの薄暗い空の下で、遂にフロンティアの舞台少女とそのパートナーデジモンの5対が揃った

 

「となったらよぉー、やることは一つ!!」

 

 

 

「シャウトモン!!」「OK!!」

「バリスタモン!!」〔フンガ!!〕

「ドルルモン!!」「ドラァ!!」

「スターモンズ!!」「HAY☆『YeaH☆』

「スパロウモン!!」「たぁーー!!」

 

 

 

「「「「「デジクロス!!

 

 

シャウトモン!!!   X5!!!』

 

 

 

高く掲げられた5つのクロスローダーより

 

放射された0と1のソウルとキラめきが重なれば

 

彼女達のステージは新たな段階へと合体進化。

 

 

 

「シャウトモン飛んでるぅー!!

これがスパロウモンとつかさちゃんのキラめき!?、すごいすごいすごすぎだよー!!」

「なんか顔のカンジ変わった!?」

「おおおやくそくだよぉおおお☆☆!!」

「シャウトモンX5、合成型、完全体!

これなら!!」

「スパロウモン・・・・・・・・・、ッ、お願い!!

みんなで一緒にこの舞台を造り直しましょう!!」

「!、ボルトモォオーーオーオ"ン!!!」

〔!!!ーーー!!!ー!!!!!!〕

「「「ッッ!!?」」」

「シずめぇエeeeえええぃ!!」

「くっ!?、2人共私の後ろへ!」

 

ベーシストの喚き声に呼応したボルトモンが3人を弾き飛ばせば、ドラマーが肥大化した両腕を振り回して瓦礫を投げまくる。

 

「チィチーイッとっトトとオレれろろろ!」

「!!、!、・・・・・・・・・!」

 

 

 

「御取り込み中の所大変申し訳ありません

ですが、レディ」

「ぶつかる相手を間違えて貰っては困る」

 

 

 

「?ハ? !は! 雪代ォ晶ァあ!!!」

 

 

 

「「「「だけじゃないッッ!!!」」」」

 

 

 

「・・・・・・・・・遅かったじゃない、エーデル」

「それは悪かったな、同好会」

 

 

 

すると、ギタリストの背後で

 

手負いの騎士と獣を従えながら

 

シークフェルトの王が再び立ち上がった。

 

 

 

「弟子、合わせて・・・!」

「はいーっ!《スパイキングフィニっしゅーっ!》」

「《ツバメ二枚返し》ヒョオオオゥ!!」

「グガガガガガガガガァ!!」

「レッパモン!!、何と素晴らしい気迫!!

私も負けてはいらせませぇえええん!!!」

「な?!ン?!Dェ!?」

「どうして成熟期を維持したまま自分達も戦えているのかって顔してますねー?

 

 

 

それが舞台少女だからですよ 『先輩』」

 

「!!」

 

「だから!、舞台の上で

 

いつまでも無様な姿は晒せませんッ!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、だね栞ちゃん」

「!?、いちえ!」

「行こう文

珠緒達の所、あたし達の舞台に」

「ッ」

「ハニーのことなら心配いらないヨン!

研ぎ澄まされたあの子のキラめきには

もうあんな不純物なんて通用しないんだから」

「・・・・・・・・・頼もしいパートナーさんね」

〔「!?」〕

「ヘッ」

〔「(あ!、あい、つぅううう!!!)」〕

「さむッ!?、何か急に冷えてきたぁ!?」

「?、そう?」

「!!逃ガ」

「《デストラクションロアー!!》」

「!?す?!」

「王の舞台で余所見は禁物ですよ?」

「ーーーーーー、ーー"!!ーッー!"!ーーッッ!!」

「またソレか

ディアトリモン、わかっているな?」

「存じております、王よ

貴女様のパートナーを、臣下を勤める以上は

 

 

 

同じ手にやられる訳にはいきません・・・!」

「フッ、良く言った・・・!」

 

 

 

継ぎ接ぎだらけのスピーカーより放たれる爆音を古代鳥の咆哮が相殺し、道を均せば

 

 

 

己が王がその道の上を往く

         迷える『民』を導く為に。

         ‎

 

 

「MO"ooo"oOMO"oMO"ooo"oOMO"ooo"oOMO"ooo"oO!!oo"oOMO"ooo"oO!!!!!」

「ううう・・・!」

「珠緒先輩ッ、盾が!」

「だい、じょうぶ、大丈夫だから・・・!」

「でも!!」

「塁、この盾が壊れたら

その瞬間に一気に飛び込んであい

いえ、あの人を斬・・・止めましょう」

「ゆ、ゆっこどうしたの!!?、さっきから何か変だよ!!?」

「あなたがそれを言う?」

 

両腕の盾から氷の結界を展開することで『先輩』の猛攻を辛うじて凌ぐ珠緒。

 

「珠緒!、塁!、ゆっこぉ!、お待たせ!」

「「「!」」」

「!"ッ!"」

「いちえ、さっきのヤツ本当に出来るの?」

「えーっと

多分??、きっと??、おそらく??」

「不安しかないじゃない!

もう、手伝ってあげるから

その代わり、ちゃんと魅せなさいよ!」

「オッケェー♪、まっかせて!」

 

 

 

その頭上を文が氷の翼を広げて飛び越えれば

 

既に衣装も扇子も完全に再生させたいちえが

 

 

 

「《グレイトフレイム!!!》」

 

 

 

最大限の火の玉を全力で解き放つ!!!。

 

 

 

「O"おォオooo"oォOO"oO"ooo"oOおおおあO"ooo"oOO"ooo"oO!!oo"oOオ"O"ooo"oO!ーーー!!!!」

 

 

 

すると、フランケンシュタインドラマーもまた自身の周囲にスピーカーを展開。

過剰にボルトが打ち込まれたドラムセットを粉砕されそうな勢いで演奏し、《グレイトフレイム》を掻き消そうとするのだが・・・

 

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「ヒッ・・・・・・・・・!?」

 

火の奥に居る存在に臆し、手を止めてしまった。

 

 

 

「《レーザーアイ!》」「《グリーンフレアブレス!》」

 

 

 

その瞬間、バイザーから発射されたレーザーによりスピーカーが爆破され

 

ドラムセットは緑炎を纏う凛明亭遊眠にバスやタム部分を射抜かれ炎上。

 

「火ッ、や!、あ!?、あああっ!!」

 

 

 

「火に囲まれる気分はどうですか・・・?」

 

 

 

獄炎に囚われた『先輩』の目に映るのは

 

妖しい笑みを浮かべて白鞘に手を掛ける『後輩』

 

 

 

                の、残像だ。

                ‎

                ‎

 

〔ー!ー!ー!ー!ー!ー!〕

「へっ!、パートナーとやることが同じたぁ

芸がねぇーぞ!《バーニングスタァ!スラッシャー!》」

〔!ーーー?〕

「D"っダああaaaAAA"ァア"、!、・・・・・・・・・ーーー!!」

「あん?」

 

歪なステージの中央で瓦礫を投げまくるボルトモンを空中から飛来する赤い斬撃が一方的に打ちのめせば、一瞬の迷いの後に斧型ベースが放り込まれる。

 

〔!《バトルトマホーーーク!!》〕

〔フガッ!?〕

「『先輩』のベースが巨大化した!?」

「でも、これでもう彼女は演奏出来な

え?」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「ステージの中からベースが出てきた!?」

「でも、アレって普通の」

「そうだよ、そうそう

バイトして自分で買った安物

でも、さ

 

 

 

ソレでもコレは私の特別なんだよ

 

なのに

 

この先の私の未来でコレはただの飾りになる」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

「・・・・・・・・・ああ、その顔

 

あなた達も知ってるみたいだね、フロンティアって学校が敷くレールの先に何があるのか

それならさ、だったらさ、なおさらさ

 

 

 

『今』を私達に寄越せよぉォオ"オオーー"ー!!"!」

「「「「「ぁぁあああーー!?」」」」」

 

 

 

何の変哲も無いただのベースが爪弾くのは

 

ありふれた思春期の情動

 

だというのにソレがもたらす暗黒のソウルの破壊力は今までの比ではない。

 

防御も回避もままならぬまま

 

舞台少女5人が揃いも揃って吹き飛ばされ

 

 

 

「ゆずれねぇ

 

なァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」

「「「「「ッ、ーーーーーー!」」」」」

 

 

 

る寸前、熱いシャウトが彼女達の背中を支え

 

壮絶な向かい風の中を進む力を与えた。

 

 

 

「ソレがお前らのロックってんならよぉー

尚更俺達は譲れねぇーんだ!」

「!、ゲームキャラがッ

データのクセしてリアルに口出すな!」

「口だけじゃねぇー!!

手も出す!!《メテオインパクトォ!!》」

〔!?!!??〕

「ボルトモン!!、何やっでぇ!え!?」

「つか、まえたぁ!」

「この!、離

"、!、・・・・・・・・・ーーーッ」

「ソレがあなたにとっての特別で

でも、普通のベースなら

さっきまでみたいに出来るワケありませんよね?」

「!!」

「・・・・・・・・・バイトの苦労だったら、あたしも結構知ってるんですよ、『先輩』ッ」

 

全エネルギーを溜め込んだ拳が格上相手にクリーンヒット。

ソレと同時にララフィンが一目散に飛びかかかれば、美空達も追随し黒子ベーシストを取り押さえる。

 

 

 

「スパロウモン!!」「うん!!」

〔「!?ーーー!?ー!?」〕

 

 

 

パートナーのソウルに応えるべく

 

X5のイエローウイングがキラめけば

 

ボルトモンもフロンティアの少女達も

 

あっという間に空の果て。

 

 

 

「ぅっ、ぁっ、ぁあ・・・!」

「見える?

コレがあなた達のステージ

ここにあなた達のハッピーは

 

 

 

あるの?」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

          ないよ ない、ない」

          ‎

 

 

雲と風を越えた先から見下ろした景色は

 

捻れて 歪んで 汚れて 壊れて

 

しかもあちこち穴だらけで

 

どうしょうもなく酷くって・・・・・・・・・。

 

 

 

〔!!"、ーーー、!〕

「ぐ!、ア"、ギぃ!、や・・・!!」

「『先輩』!?」

「チィッ!、暗黒のソウルの逆流か!

シャウトモン!!」

「ああ、わかってるぜ」

 

 

 

パートナーを奪還すべく暗色のオーラを迸らせながら暴れるボルトモンをX5は右腕で掴んで抑え込み

 

 

 

「キャストも オーディエンスも

 

誰一人として

 

腹の底から笑えねぇステージなんざ・・・!」

 

 

 

加速しながら急上昇、成層圏まで駆け上がって・・・

 

 

 

「全部まとめて更地にしてやらぁああああーーーーーー!!!!!」《メテオバスターアタック!!!!!》。

 

 

 

この舞台の破壊を目的とした隕石が『ポジション・ゼロ』を穿つのと

 

プラティーンランツェが斧型ギターを貫いたのは/咲散花がドラムスティックを叩き斬ったのは

 

ほぼ、同時だった。

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界・捻くれたコンサートホール

 

 

 

跡地

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「シャウトモンめ、派手にやってくれたな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・白金の君が死体蹴りだなんてみっともない真似しないで欲しいんだけど」

 

地に墜ち、真っ平らになったこの場所で力なく横たわる口裂けギタリスト・・・シークフェルトの女生徒にエーデルを従えた晶が歩み寄る。

 

「ねぇ、『先輩』

あなた本当は気づいてましたよね?

コレがタダのゲームじゃないって」

「・・・・・・・・・まぁね」

「な!?

だったらどうしてこんなことを!!?」

「大方、他の2人に気を使って

そーゆー演技してたんでしょーねー」

「・・・・・・・・・途中から演じているのか、本気なのかが自分でもわからなくなってたけど」

「それだけ役に没頭していたのでしょう

ですが!!、本当に友を想うのならば!!

あなたは止めるべきだったと思います!!」

「・・・・・・・・・出来る訳ないでしょ

 

 

 

3年間王を崇める民の一員しか出来なかった

私に」

 

 

 

「「「「「!」」」」」

「ソレを弱さと断じるなら好きにすれば?」

「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

「出来ない?、でしょうね

だって貴女達は

 

 

 

エーデルは!、シークフェルトって学校は!

 

有象無象にソレを求めてるんだから!」

 

 

 

〔「ミにクい」〕

 

 

 

『『!?』』

「この、声・・・『社長さん』???」」」

〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕

 

不意に少女達の舞台へ割り込んできたのは

 

〔「やハリニんゲンハミにクい」〕

「え?、え?、え?」

「しゃ、『社長さん』?、な、何言って」

〔「クくく、ク!、く!

おま、えら3匹がソレを証明してくれた!

 

 

 

愚かで醜くキラめきなど無いニンゲン共の!

その醜さが自ら滅びの道を選んだのだ!」〕

 

 

 

「「「!?」」」

「ま!、まさか!」

「間に合わなかったの・・・?」

「ーーーーーー!」

「せ、先輩??、ゆっこ??、何を??」

 

 

 

『ギャギャギャ!』『グウオオオオン!』『ピュィーーー!』『バルルルルルル!』『キヒヒヒヒヒヒ!』『アアアアアアアアア!』

 

 

 

「見て!、空の穴全部にデジモンが居る!」

「しかもあんな沢山!?」

「ど、どうしよう・・・どうしよう静羽・・・

ウィザーモンが言ってた通りになっちゃった・・・・・・・・・」

「どうするって、これ以上の戦闘はッ」

「ですが!!、あんなモノ放っておいたら!!

また文さんの時のように!!」

「!!」

「栞抑えて!」

「闇雲に飛び出したって何も変わらないでしょ!?」

「でも!!」

 

 

 

〔「ああ!!、あああ!!

醜い!!、何て醜いんだ!!

やハリニんゲンハミにクいミにクい!!」〕

 

 

 

人間に対し異常な程の敵愾心が込められた雑音まみれの声と今まさに境界を破壊せんと殺到する『黒の逢魔』のデジモン達。

 

「ーーー!」

「おい、待てよアルル」

「待てないよ!!

だって!!、このままじゃ・・・!!」

「お前そんな顔でアンコールに出る気かよ?」

 

 

 

へ??」『え??』「はぁあああ!!??

 

 

 

おまっ!、本当にいい加減にしろ!!

あの大軍勢が見えないのかッ!?」

「勿論よぉーく見えてるぜ

 

 

 

俺のライブに来てくれたオーディエンスが出待ちしてる姿がなぁああーーー!!!」

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

 

「ぷっ!、くくく!、はははははは!!」

「あ、あきら??」

「オーディエンス、そうかオーディエンスか

 

 

 

ならば、王者の舞台を見せる他ないな」

「ふふっ♪、流石雪代さん

そうこなくては張り合いがありません」

「晶ちゃん・・・珠緒ちゃん・・・

 

 

 

ッ!"、ッ!"、うん!

 

 

 

やろうよみんな!

さっきよりも、もっと、ずっと!

凄い舞台をあのデジモン達に見せよう!!」

「へへっ♪、良い顔になったじゃねぇーかぁ!」

〔アア、オマエソックリダ〕

『ほっぺ真っ赤!、ほっぺ真っ赤!』

〔「・・・・・・・・・そうか、おま、えか」〕

 

自らが入念に描いた脚本の流れが変わった途端、『社長』の声音が狂喜から威圧へと変わる。

 

〔「奴がぜが、ひでもデジタマを欲していた

 

 

 

好都合だ」〕〔ー"ー"ーー"ーー"〕

「「「ギゃアアあぁあアア"ァーーッーーー!!???」」」

 

 

 

すると、ボルトモンの体躯が

 

不自然に浮き上がり盛り上がり

 

3つのダークネスローダーが各々の持ち主に牙を剥いて、暗黒のソウルは愚か生命エネルギーすらも強制的に吸収しだした。

 

〔「醜いモン共よ、せめて最期くらいは美しくあれ」〕

「せ、『先輩』達ッ!?」

「まさか自爆!!?」

「おのれ不埒モンが!!、ガアッ?!」

「ディアトリモン!?」

「だ、ダメでっしゅーっ!、おししょーしゃまーっ!」

「近つげんッヒョ!!」

「「!!、ぅぁっ!!?」」

「あるる!?」「やちよ!!」

 

暗色の奇っ怪なオブジェと化した究極体から発する禍々しいオーラはデジモン達の接近を阻み、キラめきの弾丸や矢すらも弾き返す程。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

パートナーが仲間の元に駆け寄るのを見つめながら、とあるデジモンは音を立てずに・・・。

 

「グガ!?、グガガガガガガガガガガ!!」

〔「ば、かなァッ」〕

「あああぁ!!?」

「ゆ、ゆっこぉ!?、今度は何なのぉ!?」

「ううぅ、コレってウィザーモン??

いえ、あのデジモンとは比べモンに・・・」

 

 

 

離れようとした四肢が見えないナニかに繋ぎ

止められたかのように急停止し、ゲートだらけの空を見上げた

 

 

 

 

 

『ギャウン?!『グアアーー!!』『ピピ!!?』『バルン!』『キヒーン!』ア"アーァ!!』』

〔!、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

 

 

 

次の瞬間、輝きの無い世界に瞬きが溢れ

 

突如発生した強風により大軍勢は強制退去

 

ゲートは閉鎖

 

ボルトモンだったモノは真っ二つ

 

3つのダークネスローダーの牙は粉砕

 

 

 

これらの現象が起きたのは 全て同時。

 

 

 

 

 

ィィィーーーーーーー・・・・・・・・・ン!!!

 

 

 

 

 

「あれって、デジモン・・・??」

「だが、あの姿、どう見ても」

「「「「騎士」」」」

「グガ!!」

「は、ハニィ??」

 

一拍遅れでジェット気流音が舞台を吹き抜ければ、舞台少女達とパートナーデジモンの顔が上向き

 

 

 

蒼い空

ソレと良く似た翼と鎧を持つモンに視線が集う。

 

 

 

〔「お、のぇ!、おのれぇええええ!!!

ニン、ゲンに!尾を振った!ぶん、ざいでぇええええ!!!

わ、たし、をヲぉ見下す!!なぁ!!

 

 

 

最速ぅ!!

アルフォースブイドラモンッッ!!」〕

 

「その声は王騎ロードナイトモン、か?」

 

 

 

「!?、あ、アルフォースブイドラモンに

ロードナイトモン、だとぉ!!?

どっちも聖騎士だろうが!?

デジタルワールドのセキュリティ最高位がなんだってこんな所にッ!?」

「・・・・・・・・・ーーーーーー

 

 

 

!」「!?

 

 

 

(  さん?

・・・・・・・・・え?、今、私、誰のことを?)」

 

 

 

痛みを堪えるかのような眼差しで地上を見下ろしていた聖騎士と目が合った刻、巴珠緒の中の

    が疼いた。

 

 

 

〔「ク!!、く!!

だが遅かった!!遅過ぎだ!!最速ぅ!!

ミにクいニンゲンの醜くくククククククくくくッ!!醜くく!醜くく!ハハはははッ!!!

 

 

 

まだわかってくれないのか?、我が友よ」〕

 

 

 

「!」

「ひぃっ!?あ!ああ!!?」

『ウィザーモンッ!?』

 

『社長さん』・・・ロードナイトモンの声が遠ざかる最中、アルフォースブイドラモンが一瞬で瓦礫を両断。

すると、『闇』が霧散しエレメントによる隠密で潜んでいたウィザーモンの

 

「どういうことか説明して貰うおうか?」

「な!なん!なんの!?」

「とっとと答えろ

 

 

 

ロードナイトモンの唯一無二の盟友

 

       飛竜の聖騎士デュナスモン!!」

 

 

 

本性が白日の下に晒されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 








OUT of the BLUE first chapter



「ふぇええええええ~~~ん・・・!
飛んでも!、飛んでも!、全っ然!、出られない!、デスぅううううう!
暗い暗い暗い怖い寂しい怖い怖いお腹減った喉乾いたもうやだやだやだぁーーー!



あ、出口見



えええええええーー・・・・・・・・・?
(何あの団体?、滅茶苦茶妖しい、デスぅ)
ん!、ん"ん"!!、ここで何をしている?」
「ああ?、決まってんだろ?
これから人間界に攻、め・・・・・・・・・ぇ?」
『『『『『あ、アルフォースブイドラモーーーンッッッ!!!???』』』』』
「ツワーモンのデジ忍法で封印されたは
ヤバッ!!、誰か止めろぉおーーー!!」
「(確かにちょっぴり危なかったデスよ?
でも、あいつやきみ達程度に止められる程
ブイは、アルフォースブイドラモンは、甘くない、デ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・い



い"やぁああああああーーー!!??


なぁにコレぇええええええええーーー!!??)」
輝きの無い世界に到着し状況を目視



「(わあわあわあわ!?)」
ゲート入り口付近の『黒の逢魔』の大軍勢への拳骨乱舞



「(わあああああああわああああああぁ!!?)」
出現している全てのゲートを封鎖



「(あああああ!わああああああああ!!!!)
何かキモチワルイヤツをアルフォースセイバー唐竹割り&ニンゲンに取り付いたヤバいののヤバそうな所にチョップ



以上の所要時間、僅か0.002秒



「(ふぇえええ・・・おなかいたいいたいぃ
おなかいたいいたいいたいデスぅ・・・・・・・・・)」



その代償は空きっ腹への割りと深刻なダメージ



〔「お、のぇ!、おのれぇええええ!!!
ニン、ゲンに!尾を振った!ぶん、ざいでぇええええ!!!
わ、たし、をヲぉ見下す!!なぁ!!



最速ぅ!!
アルフォースブイドラモンッッ!!」〕

「その声は王騎ロードナイトモン、か?
(ブイもあんまり他モンのこと言えないけど
きみ前と変わり過ぎ、デ



って!
カ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・いやいやいやいや!
ないない!、ないわー、デスぅ



あのワガママで自分勝手でやたらと偉そうな癖に何も出来ないダメダメニンゲンと
あんな見るからに優しそうでセージュンで色々お世話してくれそうなイイニンゲンを間違えるとかブイないわー、デスぅ



でも、何か、あいつと、匂い?が似



ってぇー!?、デュナスモン居るぅー!?
それにあのオメガモンモドキなにぃー!?
んもう!、本っ当に!、ナンナン!?、デスぅううううーーー!!??)」



最速の聖騎士・アルフォースブイドラモン


その内心は結構パニくってましたとさ


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自称・魔法使い、ぺてん師のホンネ




「はっ!、はっ!、はっ!、はぁ・・・!」



金色のポニーテールを激しく揺らしながら走るのは彼女にとって見慣れ始めた輝きの無い世界。

「飛ばし過ぎだぜ、アルル!」
「兄貴の言う通りだゼ」
『クールダウン!、クールダウン!』
「だって・・・!、早く見つけなくっちゃ・・・!



ウィザーモンを!」






☆輝きの無い世界

 

 

数十分前・・・・・・・・・

 

 

捻くれたコンサートホール跡地

 

 

 

「でゅ、デュナスモン、だと・・・!?

あいつが聖騎士きっての武闘派の転生体!?

いや、だが、あれ程レベルが高いプライバシーエリア

デジタルワールドの最高位セキュリティたる聖騎士ならば造れてもおかしくはないか」

「じゃあ、本当なの?

ウィザーモンが『先輩』達を唆した『黒の逢魔』の友達だっていうのも・・・」

「あの反応を見るにそうだろうが

チッ!、何が痛くない腹だ!?、くそ!!」

「う!うう!!ああああああ!!」

「デュナスモン」

「ひい?!!ひいいいいいいい!!!!」

「・・・・・・・・・ーーーーーー」

 

アルフォースブイドラモンの青く逞しい腕が伸ばされた途端、ただでさえ脅えていたウィザーモンはとんがり帽子ごと頭を抱え、ずんぐりとした体躯を限界まで縮こめてガタガタ震え出した。

 

「おぉーっと!、キャストに話があんならよぉーまずは俺を通しちゃくれねぇーかぁー?」

「お前は、なんなんだ?」

「ハッ!、俺のことを知らねぇのか?

だったら教えてぐむぅー?!」

「いやほんとにナンナン??」

「(え?)」「(あれ?)

 

 

 

(今のイントネーションどこかで・・・)」」

 

 

 

割り込んできた合成体の右腕が自分の口を塞ぐシュールな光景にさしもの聖騎士も困惑を隠せない。

 

「やめろシャウトモン!!

いくらなんでもコイツに逆らうのだけはマズい!!

この場の全員が一瞬で消されるぞ!!?」

『『!?』』

「いい加減泣くぞコンニャロー・・・ッ」

〔フガ?〕

「ん!、ん"ん"!、私はこいつやロードナイトモンが舞台少女を利用して何を企んでいるのかを知りたいだけだ

きみ達に危害を加える気はモトにニャイン」

『(噛んだ!?)』

「も、毛頭に無い!!」

『(しかも無理矢理誤魔化した!!?)』

 

最も、それは舞台少女達も同じである。

 

「・・・・・・・・・ーーー、ッーーーーーー

 

 

 

ぶたい、少女を利用だと?

 

 

 

ハッ!!、どの口がッ

 

貴君らとてそうだっただろう!?

 

黄金や白騎士、果てはレイド帝国の支配者!

 

それらの戦いに彼女達を巻き込んだのは!?

 

だというのに私ばかりを責めるのか!?

 

 

 

ええ?!!どうなんだよ『英雄』様!!!」

 

 

 

「!、・・・・・・・・・」

 

突然の開き直りにアルフォースブイドラモンが押し黙った

 

 

 

次の瞬間、《サンダークラウド》が炸裂。

 

 

 

「ーーーーーー!!」

「!?、ウィザー・・・モン・・・・・・?

ま、待って!!、待ってよぉ!!」

「アルル!!」

「うおっ!?」「わあ~ー!?」

『「兄貴!」』〔フンガ!〕

「ああ!?、もう!

先輩達!、あたし、行ってきますんでここをお願いします!」

「ララフィンも行くよ!!」

「わ、わかった・・・!」

「みんな、気をつけてね」

 

目映い稲光の中、消えていく自称・魔法使いを

 

ひとりぼっちで泣いている孤独なデジモンを

 

少女は追い掛けることにした

 

だって、その姿がまるで

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界・プライバシーエリア『エメラルドの宮』

 

 

そして現在、家主を欠いた外観は立派な家の中では舞台少女やパートナーデジモン

 

「そうか、コレが

 

 

 

ダガシか・・・!!」

 

 

 

更には最速の聖騎士が集っていた。

 

「ねぇ、見て文

あのすっごい綺麗な正座!、しかも何かちょっと浮いてるよ!?

未来から来たロボットとおんなじヤツだよ!」

「しーーーっ・・・!、静かにしなさい・・・!」

「あ、あのー

本当にそんな物で良かったんでしょうか?」

「ムモンだ、・・・・・・・・・無論だ!!」

「~"~"~"っ」

「鶴、ヒョラヒョっ」

「わ、わか、て、ま、ブフッ!」

「ねぇ、見て文

あんなにおっきな指で包装紙剥いてるよ!

しかもちゃんと並べてるよ!、聖騎士って結構几帳面みたい!?」

「いちえぇ・・・!、あんたねぇ・・・!」

「いや、聖騎士が皆ブ

私のようではない、一晩過ごした場所を汚部屋にするモンもいる」

「え、あ、はぁ・・・?」

「そ、そうなんですか??」

「はいデ、ん!、ん"ん"!

ああ、しかも出立の時に整理整頓すれば良いという考えの持ち主だ、理解にクムシム」

「ねぇ見て文!

あの口ってあんな風に開くんだね!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もういいわ」

 

天井に角をこすりつけながらつかさが持っていた駄菓子を器用に摘まむアルフォースブイドラモンにこの場の誰もがあらゆる意味で落ち着かない様子。

 

「あ、あの、紅茶をお持ちしました・・・」

「人間界の茶か、頂こう

 

 

 

ふぇ!?、おいしっ!」

 

 

 

『!!??』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・美味だ!!」

「ふぁ!?、は、はいぃいいい!!」

「怖がらなくても大丈夫だヨンハニー

上位種特有の無駄な威圧感振りかざしてるけどアルフォースブイドラモンは別に怒ってないヨン」

「ねぇねぇ文!、今の聞いた!?

栞ちゃんがいれた紅茶美味しいって!!」

「そんな風に言わなくてもちゃんと聞こえてるから・・・」

「ううっー~!、僕の駄菓子ぃー~!」

「ごめんね、後で酢イカ上げるから今は我慢してて」

「え!?、ほんと!?、わー~い♪♪

ひぃっ!!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

ガリガリガリガリガリガリガリガリ!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

 

 

 

『!!!!』

「ど、どうしたんでしょうか・・・ッ!?」

「イヤ、ベツニ、ナニモ」

「(だったら無駄にプレッシャーかけんな!

まったくコレだから上位種は嫌なんだヨン!

それでも『前』の情報よりかはマシだけど!

でも、どうせ聖騎士が来るんなら白騎士とか神威とか救世とか矛盾とかの比較的マトモなヤツに来て欲しかったヨン!!)」

 

何せ、少し身動ぎしただけで家が崩れるんじゃないかってぐらいの振動をもたらすような規格外と対峙しているのだ、さもありなん。

 

「(聖騎士

デジタルワールドの最高位セキュリティ

同じ究極体でもボルトモンとは格が違うんだって私にもわかる)」

「ヒ・・・ン・・・ー・・・っっっ」

「(弟子に至っては完全に戦意が喪失してる

最も、ソレは他のデジモンだって同じか

クダモンに至っては嫌がり過ぎて逃げ出したし

メイファン、見つられるといいんだけど)」

「んん、え?、あぁ!?、く!!」

「(あれ?、アルフォースブイドラモン

 

 

 

きなこボーンを食べる度にどうして?)」

 

 

 

「・・・・・・・・・さてそろそろ本題に入ろうか」

『(何か落ち込んでる!!?)』

 

綺麗に並んだ爪楊枝の列、その白い先端を見つめるアルフォースブイドラモンの羽が心なしか萎れているので、舞台少女達の困惑が更に加速した。

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

「成る程、やはりあいつも宝物・・・虹色の石を持っていたのか」

「虹色?」

「チラッとしか見てないけど私達が最初にここへ来た時にはタダの石にしか・・・」

「大方レイド帝国の探査から逃れる為に

『前』の記憶が戻った時点で破壊したんだろう

でなければとっくの昔にアイツに」

『あいつ?』

「!!」

「キュウ?」

「あ、いや、何でもないデん!、ん"ん"!

それにしてもえーでる?、だったか?

そんな神機で良くパートナーを進化させられたモンだ」

「・・・・・・・・・それは一体どういう意味、でしょうか?」

「ヒンっ?!」

「ふぁ、ファルコモン!、落ち着くヨン!」

「本来、神機一つにつき必要な虹色の鉱石は一つ

だというに、きみ達はソレを分割

しかも、機能停止していたモンを使っている

私からすれば有り得ないとしか言いようがな

い」

「王達のソウルとキラめきが優れていることの証左に他ありませんな」

「そう思いたければ思ってれば良い

最も、自分にとって都合の良いことばっか考えてたら酷い目に合うのはきみだけじゃ済まないが・・・」

「ホッホウ、言ってくれる」

「鷹、そこヒョイっヒョ」

「・・・・・・・・・御無礼」

「「ヒヨーーーンっっ」」

 

口の端をわざとらしく吊り上げ、やたらと嘴を差し込むファルコモンをヒョコモンが呆れ顔で諌めれば、ワームモンとファンビーモンが揃って安堵の息をつく。

 

「(あんなファルコモン始めて見た

よっぽど腹に据えかねてるんだね

なのに、何であなたは黙ってるの?)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「状況についてはオーヨヨ

ん!、ん"ん"!、おおよそ把握出来た

情報提供感謝デ、するぞ舞台少女達」

「あの、アルフォースブイドラモンは

ウィザーモンをどうするつもりなんですか?」

「・・・・・・・・・正直一発ブン殴りたい所デ、だ

しかし、『前』の時ならまだしも今のあいつにソレをすればタダの弱いモンイジメにしかならない」

「それじゃあ!」

「少なくとも、きみ達が心配するようなことをするつもりはない」

「「ふうっ」」

「ふーん、デジタルワールドの秩序を司る聖騎士ってそんな甘い対応で良いんだー、へぇー?

どおりで『黒の逢魔』があれだけ好き勝手出来る思ったよ」

「おおおしししょーしゃまーーーっ!?」

「反論の余地は無いな

最も、私は、このアルフォースブイドラモンは

秩序なんてモンはどうでもいいんだが」

「は?」

『え?』

 

 

 

「青い空の下で見たいモンがある

 

俺が騎士なんてやってる理由はそれだけだ」

 

 

 

『!』

「長居したな、そろそろオオトマさせてもらム

・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「?」

「た、珠緒先輩に何か!?」

「あ、い、いや、タダその、そう!!

 

 

 

そいつの匂いが気になっただけだ!!」

 

 

 

『            』

 

 

 

「それだけ!!、何でもない!!、アラバダ!!」

 

 

 

等と、とんでもない問題発言を残すと

アルフォースブイドラモンは一迅の風と化し

目にも止まらぬ速さで『エメラルドの宮』を出ていく。

 

「ぷ!!あはははははははははははは!!!

も、もうダメッ、くるしぃ・・・ぷふふふぅ!」

「わ、わたしってそんなににおう??」

「いいいえええー!!今日もそれはそれはとても素敵な香りがしますーー!!!」

「ファルコモン!?、その砂糖で何する気だヨン!?」

「塩の代わりに撒こうと思いまして」

「ならないヨン!、虫がわくだけだヨン!」

「そーでっしゅーっ!!」

「もうわいてっヒョ」

「お、おねえちゃー~ん・・・ぼくほんとにすいかたべてもいいのー~・・・?」

「大丈夫!、大丈夫だから!、ね?」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

「文!、栞ちゃん!、静羽ちゃんも!

無理に収めようとしなくていいから!

世の中なるようにしかならない時ってあるから!」

 

 

 

「なるようにしかならない、か」

「晶」

 

 

 

風が止んだ途端、嵐のように巻き起こる喧騒を尻目に緊迫した空気で語り合うのは

 

白金の君と蒼玉の君

 

王と宰相

 

雪代晶と鳳ミチル。

 

 

 

「もしかして、さ

アルフォースブイドラモンに出番を横取りされたこと『しょうがない』とか思ってる?」

「・・・・・・・・・思ってない」

「ふーーん?、そ、ならいいけど

でもさ、よく考えてみて

 

 

 

私達が立つべき舞台って

           この世界だっけ?」

           ‎

 

 

「ッ」

「『先輩』が正気に戻った今

これ以上シークフェルトの人間がゲームに巻き込まれることないと思う

ならさ、もう私達に出来ることって無いんじゃない?」

「まだ、奴が、迷宮の主が残っている」

「それこそ専門家に任せれば良いだけじゃん

素人が下手に手を出したって状況を悪化させるだけなのは『先輩』の件でよくわかったし」

「・・・・・・・・・ミチル」

「失敗したんだよ、私は

自分で自分が許せなくなるぐらいに」

「だが、それでも

まだ幕は降りていない

まだ、私達の舞台は終わっていない・・・!」

「そう思ってるんならさ

もっとシャンとしてよ、フラウ・プラティーン

でないと、あなたのパートナーの空回りがいつまでも止まらないよ?」

 

 

 

 

 

ファッサァ! ファッサァ! ファッサァ!

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そのようだな」

 

虫2体に群がられたまま砂糖を撒きだす地上派猛禽類の姿に端正な顔立ちが非常に珍しい形になったのは、余談である・・・。

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界

 

「はっ!、はっ・・・はぁ・・・はあ・・・・・・

ダメ、ここにも居ない・・・・・・・・・」

 

一方、その頃ウィザーモン捜索組はというと

思いついた場所へ片っ端から足を運んだが

全てが空振りに終わっていた。

 

「後、残ってるのはッ」

「ま、まさか『迷宮』に行くの!?

それはいくらなんでも無茶過ぎだって!!」

「ララフィン先輩の言う通りよ

大体、あんたどうしてそこまでウィザーモンのこと」

「・・・・・・・・・助けて欲しいって顔してた」

「「え?」」

「あの時、ウィザーモン

ううん、もしかしたら、出会った時からずっと

ウィザーモンは私達に助けて欲しかった

自分にとっての救世主が、欲しかったんだ!

なのに、私達は、なれなかった・・・!」

「それは、しょうがないよッ

だって、救世主は

HEROは!、助けを求められないとステージに上がれない!

だから!、ウィザーモン自身が『助けて』って言ってくれないと!」

 

 

 

〔『ソレ』ガ難シイモンダッテ居ルンダ〕

 

 

 

「「「え?」」」

〔『ソレ』ヲ言ッタ時

モシ、『ソレ』ヲ踏ミジラレタラ

モウ、駄目ダカラ

ソウナルノガ怖クテ、口ニ出セ無イモンモ居ルンダ〕

「へへっ♪、懐かしい話してくれるじゃねーか相棒」

「ああ!、兄貴とバリスタモンのビギンズか!」

『ビギンズ!、ビギンズ!』

「びぎんず」

「シャウトモンと」「バリスタモンの」

 

 

 

はじまり」」〔フンガ・・・〕

 

 

 

黄金の少女の足がようやっと止まったのを切っ掛けに、カブトムシロボは独特の電子音声で語り始める。

 

 

 

〔レイド帝国ガ倒サレル前マデ

 

俺ガ居タサーバーハモウ朽チ果テテタ

 

土モ 木モ 水モ 空モ 俺自身モ

 

ソノセイカ、俺ハ今ノ『俺』・・・バリスタモンニナル前ノメモリーガ殆ド無イ〕

 

「で、でも、ヒーロー・・・救世主がレイド帝国をやっつけて

デジタルワールドもデジモンもみんな助かったって」

 

〔・・・・・・・・・ボディハ直ッタ

 

デモ心ハ、アノサーバーニ置キ忘レタラシイ

 

新シクナッタデジタルワールドデ

 

体ダケガ動イテル内ニ

 

パーツガドンドン外レテイッテ

 

気ガ付イタラ、マタ、動ケナクナッテタ

 

ソシタラ〕

 

「兄貴が偶々そこを通りかかったんだゼ!」

「里ん中で発声練習してたらジジモンやリリモンにどやされるからよー

仕方ねぇから里の外でやるかぁーって思ってたら、岩の隙間でデッケェー体を縮めてるモンが居てさぁー

あん時はほんっとにビックリしたぜ!」

 

〔・・・・・・・・・シャウトモンハ

 

何度モ俺ニ会イニ来テクレタ

 

雨ノ日モ 風ガ強い日ノモ 雷ガ鳴ッテル日モ

 

デモ、俺ハ、ソンナシャウトモンガ

 

怖カッタ〕

 

「こわい?」「どうして?」

 

〔ワカラナカッタカラ

 

何デ、俺ニ

 

話シカケタリ、歌ッタリ、踊ッタリスルノカ

 

ダカラ、俺ハズット黙ッテタ

 

 

 

本当ハ誰カニ助ケテ欲シカッタノニ!

モウ、独リハ!、嫌ダッタノニ・・・ッ"〕

 

 

 

「「「!」」」

 

語り部の双眸たる黄色いライトが不規則に点滅し、曇っていく様はまるで目には見えない涙を流しているようで少女達は息を飲んだ。

 

 

 

〔俺ノ音ハ、声ハ、技ダカラ

 

壊ス事シカ出来無イカラ

 

ソレヲ知ッタラシャウトモンモ、キット〕

 

「つまりよぉー、俺とお前が組めばサイッコーにビッグなサウンドが出るってことじゃねぇーか!」

「「「!?」」」

「って、俺は言ってやったのよ

どうだアルル、イカしてんだろ?」

「・・・・・・・・・うんっ

うん!!、すっっっごくイカしてる!!」

 

〔ソレカラ、シャウトモンハ前ヨリモ俺ノ所ニ来テクレテ、里ノデジモン達ニ頼ンデ機械ノ部品ヲ集メテクレテ

 

ボロボロデ自分ノ事モワカラナクナッテタ俺ヲ

 

『バリスタモン』ニ生マレ変ワラセテクレタ〕

 

「そして、その一部始終を見ていた俺達は!☆

兄貴の漢気に惚れこんだってワケサ!☆」

『Yeeeeeah!!!』

「そう、だったんだ

バリスタモンにとっての救世主は、ヒーローは

デジタルワールドを救った人間じゃなくって」

「シャウトモンだったんだね」

「は?、お前ら何言ってんだ?」

「「へ?」」

「俺は救世主でもヒーローでもねぇー!!

 

 

 

全てのデジモンのキングに成るモンだ!!」

 

「そうだよ!、2人共!

そこは間違えちゃダメだよ!」

 

 

 

「「えーーー・・・・・・・・・」」

〔マァ、ソウイウ事、ダ〕

 

何ともしまらない〆方で昔語を締め括るバリスタモンでしたとさ、めでたしめで

 

 

 

「いやいや~

 

なぁんにもめでたくありゃしません

 

これじゃあ『はしたなし』もいいとこだ」

 

「「「「「『!?』」」」」」

 

 

 

!?。

 

 

 

「え?、『はしたない』のは

挨拶もなしに話に割り込むお前の方だって?

これは失礼~、ではここで名乗りを

 

 

ひとつ 人には秘めたる想いも

 

 

ふたつ 舞台が結わえてくれた

 

 

みっつ 未来の戯曲のために

 

 

魅せます古典の心意気・・・凛明館女学校演劇同好会」

 

 

「ゆ、ゆっこ!?」

「ゆゆ子ちゃん!!」

「田中さん・・・?」

「はい~、田中ゆゆ子でございます~

はてさて、皆々様

 

 

 

この話

綺麗にオチをつけたいとは思いませんか?」

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界

 

 

『秘密基地』

 

 

恵比寿つかさとスパロウモンが出会ったこの場所は太いパイプやらコンテナやらが多く

 

 

 

「(もうおわりだなにもかも)」

 

 

 

自称・魔法使いのぺてん師が身を隠すのにはうってつけだった。

 

「(最速が来た舞台少女達に知られたもう無理だ手が出せない何も出来ない結局私はあの頃と何も変われなかった!!!)」

 

 

 

世界の終末を前に抗えるモンなんて

 

 

実際問題ほんの一握りでしかなく大抵は

 

 

逃げて   隠れて   見ないフリをして

 

 

その時が来ることに内心怯えているだけ。

 

 

 

この飛竜の聖騎士の転生体もまた

いや、レイド帝国の恐ろしさを

『前』の記憶をハッキリ認知していたが故に

ありふれたデジモン達よりもその感情はひとしおで・・・。

 

「(だから世界樹から託された石を壊した

 

だから救世主達が神界に来た時傍観した

 

だから今の私は不義理ばかりを重ねている)

 

・・・・・・・・・ーーー、ッ"ーーーーーーく!!!」

 

物影に隠れながらウィザーモンは涙を溢す。

 

「クカカカァ!」

 

その姿をコンテナ上から見下ろす白く細長い獣の口元は喜悦に歪

 

「見つけましたよクダモーーーン!!!!!」

「ガガァッ?!」

「!?」

 

・・・・・・・・・んでたら、パートナーのリュウ・メイファンがどこからともなく騒々登場。

 

「め、めいふぁん??」

「な!?、ウィザーモン!!

クダモン!!、あなたが見つけてくれたんですね!?、流石です!!」

「ー!"ー!"ー!"ー!"ー!"ー!"」

 

熱い包容を受けたクダモンは掴み取りにされた鰻のように激しくのったくっているのだが、当の彼女はまるで気にしない。

 

「・・・・・・・・・」

「おっと、そうは問屋が卸しません」

「ゆ!、ユコぉお!?」

「ここで会ったが運の尽きって奴ですかね

まぁ、諦めて神妙に縛について下さいな」

「あ、ああ、それは、もうするしかないがッ

 

 

 

何故君は自分の首筋に刃を当てているんだ!?」

 

 

 

「何処ぞの誰かさんを黙らせるにはコレが一番手っ取り早いんで」

〔「カナァー・・・・・・・・・」〕

 

どさくさ紛れに逃げ出そうとするウィザーモンだったが、いつの間にやら背後を取っていたゆゆ子によりあえなく御用となった。

 

「ウィザーモン」

「あ、アルル、シャウトモン達も

・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「いや、あなたまで黙っていたらこの噺は終わりませんってば」

「はなし、といっても私に何を話せと?」

「とりあえずよぉー

お前が聖騎士サマってのは本当なのか?」

「・・・・・・・・・その転生体というだけ、さ

記憶こそ継承したが権現や精神性は一切引き継げなかったんだ、私は

だから、あの時、友が、ロードナイトモンが

かつての私達の共有サーバー、『エメラルドの宮』を訪れた時!、私は!、わたしはッ

 

 

 

なにも!!!   できなかったんだ!!!」

 

 

 

 

 

 

回想劇

 

 

元・電脳世界最高セキュリティ

現・自宅警備員のスタァテイングポイント

 

 

 

 

かの大異変より10年近くの時が流れても

飛竜の聖騎士デュナスモンの転生体であるウィザーモンは『エメラルドの宮』から出られなかった

 

 

 

「(まいったなー

 

また時間ばかりが過ぎて行く)」

 

 

 

もとい、出たくなかった。

 

 

 

「だが、それも仕方ないだろう?

 

安全圏でヌクヌクしていた私が

 

今更どの面下げて他のデジモン

 

特にあんな目にあった最速に何を言えば?

 

わからない?、そうだろう?、ええ?」

 

 

 

責めるモンなど何処にも居ないのに

 

言い訳ばかりを並べ立てながら農作業に勤しみ

 

味を感じられないのに食事を摂って

 

眠れもしないのに寝台に就く。

 

こんな生活を繰り返していたウィザーモンの前に現れたのが・・・

 

 

 

「やっと、やっと会えたな、友よ」

 

 

 

王騎の聖騎士ロードナイトモンだった。

 

 

 

「ロードナイト?、もん??」

 

 

 

だが、その姿は

デュナスモンだった時の記憶からは程遠くてウィザーモンは思わず口ごもる。

しかし、どれだけ心が疑おうとこの『エメラルドの宮』に容易く入れるのは聖騎士だけだし

何より、かつての己より継承した感覚がここに居るのは【ロードナイトモン】だと告げている。

 

「(まさか全身がレイドプログラムに犯されているのか!?だが何故!?救世主達のお陰でレイド帝国の支配者は最早存在しない筈だろう!?

 

なのにどうして!!?

 

私の友が!!

 

誰よりも美しいロードナイトモンが!!)」

 

「友よ、かつての契りを今こそ果たそう

 

我わ、わ私と共に」

 

「ちぎり?

 

!、まさか!!

 

人間界に攻め入るつもりなのか!!?」

 

「そう、大義は此方にあるのだから」

 

「!!」

 

 

 

かつての友がかつての自分が放った言葉を告げながら、今の自分に手らしきモノを伸ばす

 

 

 

その時、ウィザーモンは

 

 

 

「ま、まぁ!、アレだ!

積もる話は家の中でしよう!、そうしよう!」

 

 

 

あまりにも辛い現実から目を反らした。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「君が居ない間にこのサーバーに色々と手を加えてしまって、ね!

ホラ!、コレなんてどうだい!?、缶コーヒーの苗!

ブラック無糖や加糖クリーム入り何でもござれ、さ!

きっと君も気にいると思」

 

 

 

「君の答えはソレなのか?」

 

 

 

「ぁ」

 

「君でも私の想いはわかってはくれないのか

 

残念だ   我が友、デュナスモン」

 

「ま!、待て!、待ってくれ!!

 

ロードナイトモーーーンッッッ!!!」

 

「人間界に逢魔がくる

 

私我わ々『黒の逢魔』が連れてくる

 

ニンゲンにキラめきなどなく

 

く!

 

 

 

ククククククくくくッ!!醜くく!醜くく!ハハはははッ醜いいいい!!!ニんゲンハミにクいと証明する為に!!!」

 

 

 

「!

 

 

 

ーーー、ッ"ーーーーーーく・・・・・・・・・!!」

 

 

 

だが、いくら目を反らしても

 

 

現実は何も変わらない、変えられない。

 

 

ソレがわかったからこそ

 

 

運命の相手に与えられたからこそ

 

 

魔法使いを名乗るデジモンは・・・

 

 

 

 

 

 

「『エメラルドの宮』ごと飛び立つに至り

その結果、余計な混乱を貴君らにもたらしただけに終わったというワケ、さ

盗み見してた時は最速や隠士のやり方を好き放題言ってた癖に、いざ自分が同じ立場に成ったら、このザマだッ」

「同じ?、アルフォースブイドラモンとウィザーモンがか?」

「・・・・・・・・・ああ

だけど、あいつら救世主は、アルファモンは

ロードナイトモンと同じようになっていた

 

 

 

かつての友を斬り捨てて世界を救った」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・すてた?」

 

 

 

「メイファンだって言っていただろう?

本当に友を想うのならば止めるべきだったと

なのに私は出来なかった、なにもできなかったんだ!!

あの日誤った方向に進む友から目を反らして

何事も無かったようにするしか出来なかった!!

今の生を受けてから、ずっと、そうなんだッ

わたしというモンは!!」

「・・・・・・・・・」

 

語っている内に膝から崩れ落ちたウィザーモンに最早拘束はいらない。

故にゆゆ子は手を離す

 

だって

 

「(その段階で『黒の逢魔』のことを聖騎士とやらに通報なりなんなりしてくれさえすれば私達はあんな目に合わなかったのに・・・)」

 

支えてあげる所以など無いのだから。

 

「うーーーーーーん」

「どうしたのメイファン?」

「いえ、ウィザーモンが何をしたいのかがよくわからないんです

だって、ロードナイトモンの暴挙を止めたくてこの世界まで来たというのに

何故私達にそう言わなかったのでしょう?」

「~!"!ー~!"!ー~!"!ー!~"!ー~~!"!ー!"!」

「それ以前に自分の実力が足りないとわかっているのならばデジタルワールドに居る時にアルフォースブイドラモ

?、クダモン?」

「フゥウウウウウウーーーッッッ!!!」

「へ、HEYメイファン!?」

『噛まれてる!?、噛まれてる!?』

「はい!!、いつもの甘噛みですね!!

こそばゆいです!!」

「フゥグガガガガガガガガガア"!!!」

〔・・・・・・・・・怖クテ言エナカッタンダナ?〕

「ッ」

〔ソシテ

ドウシタライイノカワカラナッタンダナ?

 

 

 

友達ヲドウヤッタラ助ケラレルノカガ〕

 

「ーーー、ッ"ーーーーーーぅく・・・・・・・・・!!」

 

 

 

情けない姿を晒す自称・魔法使いに電子音声が優しく寄り添うと、クマが酷い目元を大量の涙が流れていく。

 

〔アルフォースブイドラモン達・・・

救世主達ニロードナイトモンノ事ヲ伝エレバ

ロードナイトモンガ消サレテシマウ

ソウ考エタラ、怖クテ

デモ、ドウシタライイノカモワカラナクテ・・・

誰ヲ信ジレバイイノカモワカラナクテ・・・

ズット、苦シカッタ

ズット、独リデ頑張ッテタンダナ、ウィザーモンハ〕

 

 

 

「独りじゃねぇえええーーーーーー!!!」

 

 

 

「ッ!?」『!?』〔フンガァ♪〕

 

 

 

その涙を吹き飛ばすのは、熱いシャウト。

 

 

 

「何をしたらいいのかわからない?

 

誰を信じればいいのかわからない?

 

 

 

わかった! それならまずは俺を信じろ!

 

 

 

お前には俺が居る このデジモンキングがな

 

 

だから!、ウィザーモン!」

 

 

 

「ッ?」

 

 

 

「腹から声出せ!!! 諦めんな!!!」

 

 

 

「ーーー、ーーーーーーぅ・・・うう・・・・・・」

 

 

 

攻撃性の高い煽りと共にスタンドマイクを突きつけられた口は開け閉めを繰り返すばかり・・・。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

『「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(な、長い!、間が長すぎます!

早く、早く次の台詞を)

え?」

〔「あ、ユユ!、やっと離してくれた!」〕

 

赤き仔竜の言葉には根拠もなければ責任もないし自称・魔法使いの願いに至っては『黒の逢魔』の被害者達からすれば知ったこっちゃない。

だというのに、この場の誰もが固唾を飲んで2体のやり取りに見とれている。

 

「う、ううぅ、ぁぁっあぁ・・・・・・・・・!」

 

【観客達】の集う視線に気づかぬまま主演の片割れは喉元にまで到達している【台詞】に抗っていた。

 

「(い、言いたい!頼りたい!任せたい!

でもそれでも言えない!いえるワケがない!

だって!そんな今更!そんなことをするのは

 

 

 

あまりにも不義理じゃないか!!)」

 

 

 

【台詞】の対戦相手は

 

礼儀

 

   忠義 信義

 

          武士道 そして、騎士道。

          ‎

 

 

デュナスモンであった時の想いを阻むのは他ならぬデュナスモンとしての性質

今のウィザーモンはデュナスモンではないのに・・・

 

 

 

「ロードナイトモンを助ける」

 

 

 

だから彼女が【台詞】を奪う。

 

 

 

「ア、ルル?」

「絶対に助けるよ、例えアルフォースブイドラモンや救世主が相手でも」

「ちょ、ちょっとあんた何言」

 

 

 

「だから、捨てたりなんてしないで」

 

 

 

「ッッ!!」

『ーーーーーーッ!?』

 

 

 

幼馴染みの暴挙を止めようとした手と口が

 

ミエナイナニカによって拘束されると

 

他の【観客達】もまた静観を強いられる。

 

 

 

「何も出来なかったなんて言わないでよ

 

ウィザーモンはロードナイトモンを

 

自分達の家に招き入れようとした

 

 

 

『おかえり』をしてくれたじゃない!!!」

 

 

 

「だ、だが、それは!!」

 

「ソレがどれだけロードナイトモンにとって

 

救いになったのか

 

ウィザーモンはわかってるの!!?」

 

「ぇ」

 

「どんな姿になっても、どんなことを言っても

 

ウィザーモンはロードナイトモンを

 

 

 

捨てなかった

 

 

 

世界を救ったっていうデジモンより

ずっと、すごいよ」

 

「!、・・・ッ・・・・・・」

 

 

 

自分を肯定してくれる舞台少女を前に自称・魔法使いが視線を泳がせていると

 

 

 

「おーっとぉー!」「あぷ!?!」『!?』

 

 

 

勢い良く突き出されたマクフィルド社製のマイクがパートナーの顔面にクリーンヒット!。

 

「お前さぁー、何シケた面してんだよ?」

「ひゃ!?ひゃひふふぉふぉん??」

「おー!、ちったぁ良い顔になったな!」

「えう"う"ううううーーーーーー!!!」

「シャウトモン!、メリ込んでる!

あるるの顔にマイクメリ込んでるから!」

「さーて、ウィザーモン

ギャップはまだ必要か?」

「・・・・・・・・・ぎゃっぷとやらは知らないが

貴君が何を言いたいのかは凡そ見当がつく」

「ぷはっ!?」

 

不敵な笑みを向けられたウィザーモンはとんがり帽子を脱ぎ捨てるとマイクの先端を糸で縫い合わせたような口に寄せて

 

 

 

「かつての私、飛竜の聖騎士デュナスモンの友

 

王騎の聖騎士ロードナイトモンを

 

どうか『黒の逢魔』から助け出して欲しい」 

 

 

 

漸く、ホンネを吐き出した。

 

「おお!、任せときな!

聖騎士を助けて、ライバルの白金の君にも勝ったってなりゃーデジモンキングになった時ハクがつくってモンよ!」

「んなぁ!!?、ちょっと待って下さいシャウトモン!!

何故晶さんに勝った前提で話をしているんですか!!?

それに!!、前にも言った通り!!

晶さんをライバルと呼ぶのならば!!

まずはこのリュウ・メイファンが御相手しましょう!!!」

「はいはい、メイファンさん

噺の腰を折るのはヤボってモンですよ」

「むぅっ」

「・・・・・・・・・」

「(ん?、あれ?

クダモンってあんな神妙な顔出来たんで)

 

 

 

ッッ!!??」

 

 

 

「ゆっこ?」

「どうしたんだーい?」

『ホワッツ?、ホワッツ?』

「あ、アルフォースブイドラモン・・・!!」

『『!!?』』

「グガッ!?」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

一段落が着いた直後

突然、顔面蒼白となったゆゆ子が指差す先

輝きの無い空に浮かんでいたのは最速の聖騎士。

 

「まいったなー

まるで気配を感じなかったが、一体いつから聞いていた?」

「問屋が卸さない、から、だ」

「殆ど最初じゃないか

どうやって私の感知から外れて

ああ、そうか

感知されるより早く離れるのを繰り返せば良いだけか」

「そうだ」

「グガガガァッ」

「それで、何故今になって堂々と姿を見せる気になった?」

「飛竜の転生体の真意を確かめたかった」

「成る程

で?、今の私は貴君の御眼鏡に適ったのか?」

「ああ」

「じゃ!、じゃあ!

ロードナイトモンのことは!?」

「きみ達に任せる」

『『!』』

「よ、よかったぁーー!!

よかったね!、ウィザーモン!」

「あ、ああ!、ありがとうアルル」

「なんだよー!、意外と話がわかる奴じゃねぇーか!」

「・・・・・・・・・」

「え?」

〔フガ?〕

 

ウィザーモンやあるるの問いに端的に応えるアルフォースブイドラモンがどんな顔をしているのか地上の者達にはわからない。

 

 

 

ただ独り

 

 

 

「(どうして?

あんなに大きな体で凄く強いのに

今のアルフォースブイドラモン

 

 

 

なんか、ちっちゃい子供が泣いてるみたい・・・・・・・・・)」

 

 

 

空の名を持つ舞台少女を除いて。

 

 

 

 

 







OUT of the BLUE second chapter



舞台少女とそのパートナー達と別れた翌日、『エメラルドの宮』にて聖騎士と元・聖騎士による会合が行われこととなった。

「貴君ならばもう気づいているだろうが
私はアルル達に『光』のエレメントによる認識阻害を施している」
「・・・・・・・・・」
「ゲキフェス、だったか?
まさか、あそこまで関わりが深いとは思わなかったよ」
「・・・・・・・・・何故、そんなことを?」
「怖かったんだ、私は
かつて舞台を盗み見した挙げ句
今度は人間界に危機をもたらしたのだから、さ」
「それでもきみは『みんな』を護ってた」
「無許可で住処に細工を施したり四六時中監視をすることのどこが護るに価する?
私が彼女達にやったことはストーカーと何ら変わらない・・・・・・・・・まいったなー!、自分で言ってて鳥肌が立ったよ!」
「デュナスモン」
「今はウィザーモンだ
しかも、魔法使いにすらなれないぺてん師、さ
だが、そんな私の想いをくんでくれようとしたモンが居てくれた
その義に応える為にこれから『黒の逢魔』のことを貴君らのパ」



「きみは凄いよ」

「・・・・・・・・・最速?」



すると、突然



「ブイもあいつもパートナーに出会うまで

ずっと、ずっと、俯いてた

でも、きみは違った、ひとりで立ち上がった

凄いよ、ほんとに

あの子の言う通りデス」

「あ、アルフォースブイドラモン?」

「ああ、そうだな、そうだよ、俺は捨てたよ

あんな必死に俺にすがろうとしたマグを

俺は仕方無かったなんて言うつもりは無いよ

何度謝ったって許されるとは思ってないよ

謝ることすら許されないってわかってるよ



でも、アルファモンは、ドルモンは、ちがう



下界のゴミ捨て場で生きてる間

育ての親や兄弟達の信頼に応えられなくて

かつての友に救われたことを悔やんで

それでも辛い現実に抗う力が無くて



ずっと、ずっと、ずっとずっとくるしんでた



ブイよりもずっとデス」


 
「え」



「だから、これから、ブイは、俺は



私は王騎以外の『黒の逢魔』を全て消しさる」



「な」



最速の聖騎士アルフォースブイドラモンは



「何の為にこのアルフォースブイドラモンが

独りで此処まで辿り着けたのかがやっとわかった



電脳世界の抑止力が介入する間を与えずに

最速でこの舞台に幕を降ろす



全てはきみとあの子のおはなしを」



「ま、待て!!」



「綺麗なままで終わらせる為に」



何もかも置き去りにして駆け抜ける



まるで、あの日の過ちを再演するかのように




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花散るらむ・・・アルフォースブイドラモン、閃華

☆シークフェルト音楽学院・生徒会室





コン・・・  コン・・・  コン・・・  コン・・・





「は~い♪、どうぞ~♪」
「・・・・・・・・・生徒会からの呼び出しとか三年間通ってて始めてなんだけど」
「あははっ♪、優等生だったんですね『先輩』♪」
「(顔と台詞の毒気がまるで合ってないっての!)」
「それで?、具合の方はあれからどうなんですか?」
「お陰様で色々スッキリ・・・『社長さん』とどこで会ったとか何の話をしたかの記憶も全部消えてる
他の2人も似たり寄ったり」
「ですよねー」
「・・・・・・・・・これだけの為に校内放送で呼び出したの?」
「はい♪
こんな話、おいそれとは出来ませんから♪」
「私、ここへ来る途中クラスメイトにメチャクチャ質問責めされたんだけど」
「お疲れ様です♪」
「・・・・・・・・・随分とゴキゲン斜めみたいだけどさ
私達が帰った後、ボルトモンを消したデジモンと何かあったの?」
「特に何もありませんけど?」
「・・・・・・・・・あ、そ
まぁ、私達にはもう関係無いし別にいっか」
「それはミチル達だって同じですよ
『先輩』が正気に戻った以上、もうシークフェルトからプレイヤーが出る心配はありませんし
後は全部専門家に任せれば安心♪、安心♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふーーーんっ」

愛らしい顔立ちで朗らかに笑いかけてくる生徒会副会長に一生徒の眉根がやや上がる。

「後、そろそろ劇フェスの準備に専念しないといけませんし」
「ああ、確かに
フロンティアや凛明館は同じ状況だけど『あの学校』は違うし」
「?、『あの学校』??
劇フェスの参加校って他にありましたっけ?」
「・・・・・・・・・は?、それマジで言ってんの?



      の 席・    を
      ‎


白金の君がメチャクチャ意識してるって三年生の間ですら話題になってるのに」



「!!!」



「え!?、何!?、私また何か変なこと言った!?」

無造作に吐き出された名称を聞いた途端、蒼玉の君の小柄な体躯が大きく飛び上がる。

「うそ、なんで、わたし、わすれてたの?」
「鳳さん?」
「・・・・・・・・・ああ、そっか
そういうことだったんだ救世主って
危なかったなー、私はまた選択を間違える所だったんだ」
「ちょ、ちょっとほんとにどうしたの!?」



〔「ヒンーーーっ!、おししょーしゃまー!
ウィザーモンから緊急のメッセージが届いたでっしゅーっ!」〕



「うえ!?」
「・・・・・・・・・内容は?」
〔「そ、それがーっ」〕





ズゥウンッ・・・・・・! ズズズズズズ・・・・・・!





「「!!」」
〔「ヒ?!、ヒンーっ!
あ、アルフォースブイドラモンを止めろって
ま、ましゃかぁーーーっ!」〕
「あ、あのデジモン『迷宮』で暴れてんの!?
で、でも、だからって、リアルのシークフェルトにまでこんなに影響出る!?」
「ーーーーーー!!」
「ちょっ!?、鳳さん!!
専門家に任せんじゃなかったの!!?」



魔法が解けた少女はそれでも尚

否、だからこそ舞踏会に居座ろうと足掻く



だって、そうしなければ・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 

 

 

OUT of the BLUE third chapter

 

 

 

〔ケラゲッ〕

 

〔ケラケラ・・・!?〕〔ケラ!〔ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ!!??〕〔ケラケラケラ!!!〕〔ケラケラ!ケラケケ?〕〔ケラァッ!〕

『〔〔〔ケラケラケラケラ!!ケラケラケラケラ!!ケラケラケラケラケラケラ!!ケラケラケラ・・・・ァ!・・・・・・・・・・・〕

 

 

 

ケラモン種特有の笑い声が断続的に響いたかと思えば、次の瞬間にはその全てが消えていく。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

アルフォースブイドラモンは暗くて自分にとっては窮屈な『迷宮』内の所々に存在する

 

真っ黒な異形の骨を粉微塵にし

 

血のような流体を干上がらせ

 

大きな目玉を根刮ぎ抉り出しながら

 

光よりも早い神速にて最奥部を目指していた。

 

 

 

「(速く!!、速く!!、速く!!、もっと!!、はやく!!

ロードナイトモン以外は全部消さな)

 

 

 

!?」

 

 

 

〔ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ〕〕〕〕〕』』』』』

 

 

 

最速の聖騎士の秘めた想いを嘲笑うかのように・・・・・・・・・いや、嘲笑いながら待ち受けて居たのは

 

 

 

ケラモン種の究極体・ディアボロモン

 

 

 

    十を越え    千を越え

                 百万体。

                 ‎

 

 

『『『『『〔〔〔〔ゲララ《カゲラゲラタゲラララスゲラットゲラゲラロフィゲラーララゲラララララカラノラゲラゲラゲラララン》ゲラゲラゲラゲラッ!!!!!!!!〕〕〕〕〕』』』』』

 

 

 

『迷宮』最奥部の空間を埋め尽くす大軍勢は胸部の発射口に破壊のエネルギーを収束すると、アルフォースブイドラモンに狙いを定めて一斉に放つ。

 

「《アルフォースセイバー・・・!!》」

 

しかし、ソレよりも最速の聖騎士が両手首のVブレスレットから伸びる光剣を振るわれる方が遥かに早い。

大半のディアボロモンは《カタストロフィーカノン》の発射体制のまま電脳核を斬り裂かれ、次々にデータの藻屑と化した

 

『ゲ・・・ラ・・・ァ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラララゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラララララッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラララララララゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラララゲラララ!!!!!!!!!!!!!!!!』〕〕〕〕〕』』〕』』』

 

 

 

すると、辛うじて生き残っていた数体が凄まじい勢いで増殖分裂を再開。

また『迷宮』の景観が塗り替えられていく。

 

 

 

「おっしゃ!!、やっとメンテ明けた!!」

 

 

 

そんな時だった

 

 

 

「一番乗りGET!!!」「ふざけんな!一番乗りはこっちだ!」『『〔〔『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!』〕〕』』「アレが新イベントのレイドボス、か・・・」「倒せば特別ポイントと限定アイテムが貰えるッ」〔『〔〔ゲララララララララララララララララララララララ!〕〕』〕「いっくぞぉー!

 

 

 

『リロード!!!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、れ・・・?・・・?』

 

 

 

ただでさえ、狭っ苦しくなっている最奥部に大量のプレイヤーが雪崩れ込んだ

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

ソウル体が無事現実へ帰還していったのは。

 

「ーーーーーー!、くぅ!?、ぅうううううう!!

(今のニンゲン達、周りのディアボロモンが全然見えてなかった・・・!

ッ、どんだけ汚ねぇんだよ『黒の逢魔』!!)」

 

超高速戦闘に特化した思考を加速させれば目に映るモノ全てが止まって見える。

その中で周囲の情報を瞬時に処理。

プレイヤーのデジモンに神速で接近し、削除する一瞬だけVブレスレットに隣接している桃色の神機からマイクロ単位のキラめきを解放することでソウル体を安全に肉体に戻したのだ。

 

 

 

 

 

ピシッ   ピキ・・・   ピキ・・・

 

 

 

 

 

「!?

(ほんのちょっと使っただけ、なのにッ)」

『『『〔『『〔〔〔〔〔『ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラララゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラウゲ!?ラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラァ!ララララッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラララララララゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッ?!!・・・・・・・・・ァ〕

 

コレと並行して、アルフォースブイドラモンは『栄養』を補給しようとするディアボロモンの電脳核を最優先で抉り出し、削除していく。

 

「(大丈夫!だいじょぶ!やれる!いける!できる!できてる!このまま!いや!もっと!もっと!もっと速く!速く!はやく!はやく!はやく!はやく!はやく!はやく!)」

 

最奥部の空間全体に蒼い軌跡を残しながら

 

最速の聖騎士がその二つ名に恥じぬ速度で

 

悪意の群れを減らしていると

 

 

 

「な!!?、なに?、これ・・・・・・・・・?」

 

 

 

追い討ちがかけられた。

 

 

 

「アルフォースブイドラモンが戦ってたのは『迷宮』のボスじゃなかった!?、なんなのあのデジモン達!?」

「ヒンーーーっ!!

お、おししょーしゃまーーーっ!!

でぃ、ディアボロモンでっしゅーっ!!」

「ケラモン系の究極体だヨン!!」

「きゅ、きゅうきょくたい!?」

「コレ全部がボルトモンと、同じ?」

「鶴ッ」

「ーーーーーー!!!」

「・・・・・・・・・チッ」

「怯むな!!、怯むんじゃない!!」

「王よ・・・」

 

 

 

悪夢じみた光景を目の当たりにし顔面蒼白となる4人の騎士を王は同じ表情で叱咤激励。

 

 

 

〔「先輩!、状況危険!、危険!、退避!、退避ーーー!」〕

〔「ユユも早く逃げた方がいいカナ!!」〕

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!、ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!、ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「うるさい!!、黙って!!」

「それに熱いんだってば!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

和装の3人に至っては異常事態にも関わらずパートナーと噛み合っていない。

 

 

 

「しかもプレイヤー達まで居るよ!?」

「た、確か、『黒の逢魔』のデジモンってッ」

「プレイヤーのソウルとキラめきを食べて力に出来る、舞台表現コースの子にしたように・・・!」

「つまり、あの究極体達は回復手段に困らない、ということですか」

「嫌な食べ放題があったものね・・・」

 

 

 

「へっ!、お前らなーにビビってんだ!」

 

 

 

『!』

「しゃ、シャウトモン・・・」

「どんな場所だろーが、どんなモンがどれだけ居ようがよぉー

 

 

 

俺が、お前らが立ってるココが舞台だろ?」

 

 

 

そして、5体合体進化の中心を陣取る赤き仔竜は・・・。

 

 

 

「だったら!、いつまでもシケた面!」

 

 

 

「んな、ま!!、くぅ!?」

『『『〔〔ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラララララララララララララ!!!!!!ンゲッ・・・〕

 

 

 

熱いシャウトで周りを鼓舞しながら

 

 

 

「してんじゃねぇえええーーー!!!〔『「「《バーニングスタァクラッ!!シャァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」」』〕」

 

 

 

キラめくイエローウイングで加速すると

スターソードDXでディアボロモンの1体を両断

 

 

 

「こ!、の!」「ぐえっ!!?」「マヌケ野郎!!が!!あ!!あ!!あ!!」

 

 

 

しかけたX5に、ディアボロモンの壁を滅し越えてきたアルフォースブイドラモンが神速鉄拳制裁を食らわせる

 

 

 

〔ゲ、ラ、ァ・・・《パラダイスロスト》〕

「《テンセ!グレート!シールドォ!》」

 

 

 

同時に、Vブレスレットより広範囲のバリアを展開。

体内のエネルギーを解放した自爆から人間やそのパートナーデジモンを護り抜いた。

 

 

 

『『『〔〔『パラダイスロスト』〕〕』』』

 

 

 

しかし、爆発の余波により数万近いディアボロモンが誘爆。

 

 

 

「ーーーーーー!、く!

 

ぅううううううああああああああ!!!!」

 

 

 

それでも、最速の聖騎士は止まらない。

 

 

 

〔「なぁにチンタラしてはるのー?

そんなんでデジタルワールド最速ー、なんて

よぉ言えますなぁー?」〕

 

 

 

疲労困憊の身体を酷使することで

 

与えられたスペック以上のスピードで

 

 

 

「ーーーぁーーーぁあ"ーーーッ!!」

 

 

 

〔「これしきのことで一々一々ギャーギャーみっともなく大騒ぎして!

あんたはんみたいな情けない青瓢箪が聖騎士なんて、ほんまないわぁー!」〕

 

 

 

大の苦手である暗くて狭い空間を飛び回り

 

爆発の全てを防ぎ、いなし、斬り裂いた。

 

 

 

〔「言ったなコンニャロー!!!、だったら!、ブイ!、なる!、デスよ!!〕

 

 

 

立派な聖騎士に!

        きみがッ、居なくても!」

 

 

 

胸のVの字の奥に秘めたあの日の誓いで

 

自分で自分を追い込みながら。

 

 

 

「え?、今、何が?」

 

 

 

アルフォースブイドラモンの所業は他の者達からすれば、光の明滅と強風にしか認識出来ない。

それは、この巴珠緒も同じで

困惑の余り無防備な棒立ちを晒し

 

 

 

「《エア」

 

 

 

ていると『闇』が血の色をした刃を向けた。

 

「オーベルんぐぅう?!」

「!?」

「た、珠緒先輩ッッ!!」

「「珠緒!!?」」「先輩!!」

「させる!、モン!、か、・・・よ?」

 

少女の胸元目掛けブルートエボルツィオンが迫る中、最速の聖騎士は一瞬で回り込み立ち塞がると

 

 

 

【デジタルワールドの創造神召喚の為の祭具が生命を持った事で生まれた存在】に光剣を一閃。

 

 

 

「出てこいゼロアームズ・オロチ」

『〔〔シャアアアア!!〕〕アアアアアア〔〔アアア!!〕〕』

 

 

 

例えどれ程動揺していたとしても、超高速戦闘に特化した思考の再起動は1秒にも満たない。

しかし、『闇』の器の割れ目から飛び出した

 

 

 

 

 

ガブッ    ゴリ・・・ 

 

     ブチブチィ        グチャ!

 

 

 

 

 

歪な大蛇の姿をした四つ首のデジタル生命体が

 

アルフォースブイドラモンの

 

最速の聖騎士の

 

 

 

二つ並んだ薄紅を喰らうにはソレで充分だ。

 

 

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界『迷宮』・中層

 

 

 

「あ!、レアモンスター見」

「模倣!!《ロージィクレイドル!!》」

『あが!?、・・・・・・・・・ぐぅうー』

「いやはやほんっとにまいったなー!

シークフェルトの情報改竄をしている間にこんなことになっているとは!?」

 

業務時間中の筈の生徒会不在を誤魔化す為

『迷宮』への到着が遅れていたウィザーモンが次々に湧いてくるプレイヤー達を昏倒させながら進んでいると・・・

 

「はっ、はは!、ハハハ!

 

 

 

アハハハハハハ〔ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲハハハハハハハハハラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲハハハラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラハハハハハハゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラハハゲラゲラゲラッゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ〕〕〕〕〕』』』』』ハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

 

 

最奥部から聞こえてきたのは哄笑の大合唱。

 

 

 

「ッ、ーーーーーーく!

最速!、アルル!、シャウトモン!」

 

竦みそうになる足を無理矢理動かし、杖を振るうと『風』のエレメントで進行速度を上げる。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

『〔『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』〕』

                「クカカッ」

 

 

 

「みんな!、ぶ、じ    ぇ?」

 

 

 

目的地に辿り着いたウィザーモンが目にしたのは

 

巴珠緒を庇うような格好で仁王立ちしている

 

アルフォースブイドラモンの   顔。

 

 

 

「さ?さいそく??なにやってるんだ??

は!はやくアルフォー」

 

「アルフォース等で治せると思うなよ?」

 

「ッ!?」

 

「かつて、一振りにて何億もの生命を屠った

ゼロアームズ・オロチに宿っているのは

世界樹に捨てられたモン達の呪詛と怨嗟!

一個体がどれだけ抗った所で意味は無い!」

『〔〔シャアアアア!!〕〕アアアアアア〔〔アアア!!〕〕』

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「ぜ、ゼロアームズ・オロチ!!?

創世神スサノオモンが持つとされる伝説のデジタル生命体!?

な!ならば!お前の正体は!そんな!?」

 

「簡単に消しはしないぞ?

お前はオレを惑わした

お前のせいでオレは使命を忘れてしまった!

精々、耐え難い苦痛の中で果てるがいい!」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

舞台の中心で我が物顔で勝ち誇る『闇』に対し

 

光を失った最速の聖騎士は

 

 

 

「《シャイニングVフォース 閃花》」

 

 

 

そのポジション・ゼロを

 

詩って   踊って   奪うことにした。

 

 

 

『〔〔『『『ゲラ?・・・」「!?、これ、は!?」『〔〔シャアアアア!?!〕〕ア"アアアアア!?〔〔アア"ア!!??〕〕』

 

 

 

今まで輝きの無い世界に来てから

 

アルフォースブイドラモンが描いてきた軌跡が

 

一瞬にして蒼の入り交じった桜吹雪と化す。

 

 

 

「こ、こいつは・・・?」「すごく、きれい」

 

「まさか、コレは、すべて

アルフォースブイドラモンの、キラめき?」

 

 

 

シャウトモンやあるる、晶達の周囲に流れる微風に乗り

 

 

ひらり、はらりと揺蕩う花弁。

 

 

 

「あ」

 

 

 

ソレに触れた途端

 

 

ディアボロモンもプレイヤーのデジモンも

 

 

果ては『闇』の器もゼロアームズ・オロチも

 

 

体躯を構成するデータが剪定されていき

 

 

ポロポロと落ちていっては儚く消えてゆく。

 

 

 

「ああっ!」

 

 

 

はんなりとした見た目とは裏腹な

 

 

有無を言わさぬ苛烈さを秘めたキラめきは

 

 

まるで   パートナーである彼女そのもの。

 

 

 

「ガ!?、ギ!、フゥーッ、フゥーッ

 

戻れゼロアームズ・オロチ!、獣魂解放!

 

《ゾーンデリータァアアアーーー!!!》」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

剣も目も殆どが欠けてしまった『闇』の器は自分同様に深手を負っているデジタル生命体を再び収納し、人型から獣型へ変生。

この空間ごとアルフォースブイドラモンを消し飛ばさんとする。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「な、がぁああああ"あああああ!!??」

『〔〔シャアアアア!?!〕〕ア"アアアアア!?〔〔アア"ア!!??〕〕』

 

 

 

なのに『迷宮』で反響したのは断末魔二重奏。

桃色を宿したアルフォースセイバーによる斬撃は

迫る《ゾーンデリーター》を真っ二つにし

その向こう側を飛ぶ巨鳥や『闇』の器に封じられているゼロアームズ・オロチにさえ致命傷を負わせたのだ。

 

 

 

 

神機に残されていた

キラめきとソウルの大半と引き換えにして。

 

 

 

「にがした」

 

 

 

なのに、最後の最後で踏み込みが足りなかった。

 

「にがさない」

「やめて!!」

「?、かォ・・・る・・・・・・こぉ・・・?」

「ッ、ーーーーーー!」

 

『迷宮』から撤退した『黒の逢魔』を深追いしようとするアルフォースブイドラモンに巴珠緒がすがりつくと、掠れた声が自分では無い少女の名前を呟く。

 

 

 

〔「イッイッイッイッイッイッ♪♪♪」〕

〔「酷いわ、こんな時に違うオンナの名前を出すなんて・・・」〕

〔「それにしても、これはぁこれはぁ中々に立派な呪いですなぁ」〕

〔「今の玩具共じゃどうにもならん、取り込んだ途端に壊れるだけだな」〕

〔「だから止めてあるんだよね~」〕

〔「最も

 

 

 

君達が更なる力を求めるのならば話は別なんだけどね」〕

「(ちから?)」

 

 

 

聖騎士がもたらした衝撃に刺されたばかりの胸の内から聞こえてきたのはダレカの甘言。

 

 

 

〔「ふふっ!、もっと僕らの方へと堕ちておいで」〕

〔「ズルルルルルル!、ゴクッ

そうすればお前らの求めるモノを俺達が与えてやんよ

その覚悟があればがな」〕

「・・・・・・・・・ーーーーーー」

 

 

 

 

 

 








その頃、デジタルワールドでは・・・・・・・・・


part4









「本当に貰っていいの?」
「もっちろん♪」
「それなら・・・みんなー!、遊んでいいよー!」
『わーーーい!!』



大異変により新しくなったはじまりの街の中心には



老人狼が手ずから建設した

鰐を思わせる形をした鉄屑の大顎に

薔薇の意匠が施された慰霊碑が存在する。



「やっぱり幼年期の子供達が遊ぶ姿はいいなぁ」
「そうだねー」

その前でデジタルワールドを救った英雄の1体であるラセンモンは幼年期達の為にヌイグルミを持ってきてくれたデジモンと談笑していた。

「これが、僕らのはじまりの街ならどれだけ良かったか・・・



どうして

あの日

僕らの子供達は跡形も無く消えて



レイド帝国なんかに媚売ってた連中の生まれ変わりなんかがワラいながら生きてんの?」



「!?」
「遅い」





ピィイイイイイイーーーーーー!!!!!!





すると突然、相手のデジモン・・・マメモンが豹変。
どこからともなく取り出したダークネスローダーより100人分の暗黒のソウル一斉送信した。

「く、ーーー・・・!!!」
「キャーッキャッキャッキャッキャッ!!
ざまぁーみろ!、エイユ~サマ~!
これでお前はまた激昂モードになって
この街を!、子供達を!、自分の手で



あ、あれ??」





ピィイイイイイイーーーーーーピィイイイイイイーーーーーーピィイイイイイイーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「フゥーーーーーーー」
「げ、激昂モードにならないまま色が変わった!?
しかも何だよコレ!?、なんで!?、どうして!?、暗黒のソウルが止まらない!!、こ、これじゃ」
「「マメモン!!」」

針毛を薄暗い色をした青に変えながらあらゆる感情を無秩序に無作為に無茶苦茶に無尽蔵にエネルギーとして取り込み続けるラセンモン。



「そんなにおかしいかなー?

パートナーじゃないモンのソウルを利用する

って、ロゼモンが出来たこと

エーが出来ない訳がないのに」



その顔に浮かぶのは貪欲で傲慢で罪深い妖獣の笑み。



「ひ、ひるむな!、マメモン!」
「もんざえモンッ!」「ワルもんざえモンッ!
デジクロス!!!、クロスアップ、キャッチマメモン!!!」」」
『わぁ!?』
「ーーーーーーー、フー、やっともどってきたー」

始めて目の当たりにするデジクロスに周りで遊んでいた幼年期達が驚く一方、ラセンモンは自身のカラーチェンジに忙しい。

「余裕ブッコクのも今の内だッ、ルーレットスタート!」
「7!」「7!」

キャッチマメモンは相手に動きがないのを良いことに両手のパペットで強引にルーレットの柄を揃えると



「7!《ミラクルボム》!!!」」」



子供達が遊んでいたライオンと豹のヌイグルミが光に包まれて・・・



「ケッ」「ぶはぁ!」『わぁ!?』

「「「へ???」」」

「レオー、ベアー、久しぶりー!」



百獣番長バンチョーレオモンと
闘争神マルスモンが元の姿を取り戻す。

「ラセンモーン!、ほんとのほんっとに本当本当助かったジャン!」
「アア、暗黒のソウルを奪われなきゃァ
いつ戻っていいかわかんなかったからなァ」
「エヘー!、どーいたしましてー!」
「う、ウソ、だろ?」
「俺らの必殺技がこんな簡単に!」
「こ、このインチキデジモン共め!!
それも!、この街も!、みんな!、ニンゲンにシッポ振って手に入れたんだろ!?
お前らどんだけ欲張りなんだよ!!?」



〔「無論」〕



「「「!」」」
〔「何処までも!、で御座る!」〕
「「「わああ"ああああ"あああー"ーー!?!?!?」」」

不平不満を喚き散らしていたクロスアップ・キャッチマメモンの足元から飛び出したのは規格外の大きさを誇る竜爪

持ち主は勿論オウリュウモン

デジタルワールドを救った英雄だ。

〔「それが舞台少女のパートナーとなったモンの業故に
下手に関わると痛い目等では済まんぞ!」〕
「がっ」「「!あああ!!」」
「オウリュウモン消すなよ!、でも逃がすなよ!
暗黒のソウルの出所とかアルフォースブイドラモンの居場所とか聞きたいこといっぱいあっから!」
「あいつらが素直に話すとは思えがなァ」
「大丈夫!、電脳核取り出してログから色々探るから!」
「みんなー、目つむっててー」
『??』
「くっ・・・なめるなぁあああ!!!」」」
〔「ぬぁ?!」〕

燃え盛る神の手にかかる寸前、自分達自身に《マジックアーム》を発動。



「「「《ミラクルボムッッッ!!!》」」」



身体がヌイグルミ化してオウリュウモンの拘束から逃れるのと同時に爆散

大量の細かな綿となって散らばり殺到する。



「「「(せめて味わわせてやる!

守りたかったモン達を理不尽に奪われる!!

         イタミヲ!!!)」」」


『ほへ?』



呆然と 上 を見上げる幼年期の元へ。





ポン・・・   パンパン・・・   パチッ・・・





「良い幻覚【夢】は魅られたか?、デシテ」
「ハッ♪、ハッ!♪、ハッ♪、ハッ♪!、ハッ♪、ハッ♪、ハッ♪、フハッ♪♪、ハッ♪、ハッ♪、ハッ♪、ハッ♪、ハッ♪、ハッ!♪、ハッ!♪」

遥か上空で弾けた粒子が降り注ぐ中



四つん這いで喘ぐ俊足神の背の上で



月光神は掲げていたクレセントハーケンを大仰に降ろすのであった。

「仔ウサギ!?」〔「ディアナモン!?」〕
「・・・・・・・・・お前メルクリモンにナニ見せた?」
「奴の言う所のゴシュジンに肉体のあらゆる箇所を刺され続け冷たい眼差しで罵倒されるという幻覚を108時間程体感させた
お陰で神々比1.5倍の速度でデジタルワールド全土を回れたのデシテ」
「そいつァタダの拷問じゃねぇかァ!?」
「エ?、何言ってんのレオー?」
〔「ぴ!」〕
「ハヒッ♪、ご、ゴシュジン!、そんな!



その紐にまだそんな使いガバァ?!!やややっぱりナマがいちば・・・んぐ・・・うっ・・・・・・」 



「ポチーおつかれさまーゆっくりやすんでねー
おきたらどんなゆめみたのかエーにちゃーんとおしえてねー」
「オウリュウモン!、オウリュウモン!
どうしてラセンモンはポチをさしたの?」
「どうしてポチはとってもうれしそうなの?」
〔「みんなー、目をつむるでゴザルヨー」〕
『???』
「お、おう・・・何かごめん、ジャン・・・・・・」
「わかれば宜しい、デシテ




《グッドナイトムーン》」




「「〔「ッ!!?」〕」」『ほへ~~~?』

『黒の逢魔』のデジタマ3つを回収し一件落着
・・・と思いきや、突如グッドナイトシスターズから月の光が放出。
周りに居た幼年期の大半が次々眠りに落ち



「ギッ・・・ギギ・・・・・・・・・!」



その中心の景色が揺らいで透明化していた元・戦場荒しの姿が露になった。

「ありがとうー、ルナー
これでやーっとコレを殴れる!!!」
「や・め・ろーーー!
今までワタクシ達が居たことを一切口に出さず
コレがはじまりの街を踏み荒らすのを我慢したことは誉めてやる!、が!、消すのは待つのデシテ!!」
「エ?、ナンデ?」
〔「そうで御座るよ!!、コレが何をしたのか御主とてよく知っている筈!!
だというのに何故!?」〕
「・・・・・・・・・テメェら一旦黙ってなァ」
〔「!」〕
「ナ!、なんでレオー!?
エー達の中でコレを一番許せないのは!」
「んな昔の話なんざより『今』だろうがァ
なァ?、月光神サマよ」
「その通り、デシテ」
「コレを生かさなきゃいけないぐらい不味いことになってんジャン?」
「ミ、ミン、ナ、ヒドクナイ・・・・・・・・・?」
「『黒の逢魔』の策略によりアルファモンが意識不明だ
覚醒するにはこいつの能力が必要デシテ」
〔「んな!?、あのアルファモンが!?」〕
「ケッ、んなことだろうと思ってたァ」
「ドルー・・・」
「スピー、スピーグフッ?!!
ネ、ネムイカラ・・・ネカセテヨォ・・・・・・」
「ワタクシ達の前で下手な芝居はやめろ
さっきの《グッドナイトムーン》は威力を落としてある
完全体である貴様が寝入るなどあり得ない
精々動けず、あの不愉快極まり無い声真似が出来なくなる程度デシテ」
「ルナー!、蹴るのは良いのー!?
だったらエーに代わってー!、かわってー!」
「あ!、ウチも!、ウチも!」





ドズンッ!!!ドズンッ!!!ドズンッ!!!ドズンッ!!!ドズンッ!!!ドズンッ!!!ドズンッ!!!ドズンッ!!!ドズンッ!!!





「次、寝たフリをしたら即座に明け渡す
わかったな?」
「グッ・・・、ワカッタヨ・・・クソッタレ・・・」

こうして、はじまりの街での騒動が本当に落着していた頃。



アケビ号艦内では



「ガフッ!!、ゴクン・・・!、ゲホォ!!、ガ・・・ンングゥ!!」
「「リーダー!!」」
「む、無茶なんだなー!!
薬飲んで薬草食べながら《ピラミッドパワー》を続けるなんて!」
「それでもやるっきゃっねーんだろ!?
おいレオ坊!、追加分持ってきたか!?」
「持ってきたけどこれで最後だぞ!?」
「ッ、はじまりの街はまだ見えんのか!?」
〔「まだだよトーチャン!
くっそ!、回路が焼き切れるギリギリまで飛ばしてんのに!」〕
「・・・・・・・・・マッハガオガモン、レオ坊
ワシらは機関室に行くぞい」
「!、ワン!」
「お、おい!、アヌビモンは放っといていいのかよ!?」
「そのアヌビモンがやるべきことをしている
ならば、長であるワシがソレをせぬ訳にはなるまいて」
「・・・・・・・・・チッ、通りで前の俺が消さゴ?!
いってぇ!?、何すんだよ犬野郎!!?」
「ゴチャゴチャ言ってる暇あんならとっとと動きやがれぇ!!、アホンダラぁ!!」
「ハァー・・・ッ!、ハァー・・・ッ!
持ちこたえてくれよ、兄弟・・・!」

アヌビモンが全身を猛毒に犯されながらも懸命に三角錘の結界を維持し、アルファモンに施された呪いの進行を抑えていた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「「「な!?」」」



その時、『明けの遠吠え』達の背後より

フードを目深く被った魔人型デジモンが出現。

奮闘するアヌビモンの肩に手を伸ばすと・・・



「リーダー、アルファモンは任せてくれ」



「その、声はッ、ドーベルモン・・・!?」
「今はワイズモンで通している
ほら、カルポスヒューレの回復薬だ
神実は使っていないモンだが良く効く」
「わか、た、あとは、たのむ・・・!」



『明けの遠吠え』のサブリーダーとしての務めを果たすのであった。



〔「アヌビモン、すまない
オレ達が自分で自分を押さえられなかったばかりにワイズモンが器の封印をするのが遅れてしまった」〕
「!、おいメタル、今の聞こえたよな!?」
「ああ!、聞こえたぞズィード!」
「竜の始祖様!
じゃ、じゃあ始祖様も一緒なんだなー!?」
〔「まだオレをそう呼んでくれるのか?」〕
「「「え?」」」
「ハア!!、ガフッ!!、無論!、です!
だから、『黒の逢魔』の戯言等にッ
まどわされないでください、始祖様!!」
〔「・・・・・・・・・ごめん」〕

ワイズモンの周囲を浮かぶ球体・・・時空石に封印されたエンシェントガルルモンは同類である闇の器の所業を今回の騒動の発端を知っているというのに
未だ、自分を慕ってくれるアヌビモンに慚愧の念が堪えない。



「あー、あー



あああああああああーーー!!!!!!
またかよぉ!?、オジチャンッッッ!!!」

この会話をモニターしていたマタドゥルモンは運転を自動操縦に切り換えた後、メインルームで独り吠え猛る。

「折角!!、あのヒトのお陰で!!
やっと!!、やっと!!、オジチャンがちゃんと笑ってくれるようになったってのに!!
くそくそくそ『黒の逢魔』のくそがぁ!!
ハァーッ、ハァーッ、・・・ヨッシー★
八つ当たりタイムオワリー★、こっからはマジメにシンキングタイム★」

フラメンコのような地団駄の後、ヒラリと身を翻し回転椅子に着席。
デスクに広がるダークネスローダーの細かな残骸や
エンシェントガルルモンの神機から送られた『闇』の器の会話
更には、ダークナイトモン達の行動等
散りばめられたピースを組み合わせるべく頭も椅子もグルグルさせた。

「(『黒の逢魔』の正体はかつてレイド帝国の侵略第1波により汚染され、世界樹がスサノオモンを使ってダークエリアに廃棄したサーバーの生き残り

そのせいか、ホストコンピューターが存在していた頃に比べ弱体化しているもののレイドプログラムを持っており、ある程度の再生力があるのと・・・

レイド帝国=那由多の廃棄思考の集合体
その最たる特性である結合を利用した新たな進化デジクロスが使えるのが特徴

このデジクロスは既存とされる融合進化・・・ジョグレスとは違い、事実上どんなデジモンとも合体進化が出来る

コレは消滅間近であったデジタルワールドを救うべく救世主を演じてくれた舞台少女の再生産によりレイド帝国の膨大なデータが補填として宛がわれたことに起因しているのだろう)



見たかったな

皆さんの舞台を   キラめきを



俺、全部見逃したんだよな・・・って、ダッセン★、ダッセン★、シューセイ★

(レイドプログラムを基とするデジクロスは
現在のデジタルワールドのデジモン全てと合体可能だと仮定すれば・・・

あのクソ野郎が言ってた新世界とやらも満更戯言とは言い切れない)

もしも



レイド帝国の支配者がデジクロスを使えたら



・・・・・・・・・なんて、考えただけでゾッとする

だが、もしかしたら『黒の逢魔』にはそのアテがあるのやもしれない

幹部らしきダークナイトモンがリスクを犯してまでアルファインフォースを狙ったのも恐らくソレが理由だ」

不意に椅子の回転が止まる、アケビ号前方を映すモニターにはじまりの街が見えたからだ。

「まだまだわからないことばかりだけど

これだけは言える



好き放題出来るのもここまでだ



逆怨みクソ野郎共ッッ」


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崩界 逢魔の幕開け


「《スグ!ナオール!》《ヨク!ナオール!》《スグ!!ナオール!!》《ヨク・・・な、オーーール!!》《ヨクナオオオオオオオルゥウウウウウ!!!》」
「キュートモン!!、もうよせ!!」
「キュウウウゥゥゥーーー・・・!!
どう、して!?、なんで治せない!、ッキュ!?」

一行が『迷宮』から『エメラルドの宮』に帰還してすぐにキュートモンがアルフォースブイドラモンへ治癒を施したのだが・・・
あまり効果は無かった。

「あたし達の魔封機も全っ然ダメ!!」
「同じ『迷宮』のラスボスの力なら前の時みたいに通じると思ったのにッ」
「ふ、フミ!、そんなことしたらダメだヨン!
仮にもしソレが使えても!、こんな強力な呪いを取り込んだりしたら君の命が危ない!」
「そ、そんな・・・!!」
「ファンビーモン、不用意な発言でしおりんに不安を与えないで下さい」
「あ、ご、ごめん、なさい・・・」

野外に力なく横たわる最速の聖騎士の変わり果てた姿に舞台少女もパートナーも動揺を隠せない。

「呪いは最速が体内に留めている、流失する恐れは無いだろう」
「だが、アルフォースブイドラモンが・・・」
「消えた瞬間に呪いは解き放たれるでしよう
そうなる前に聖騎士様のパートナーを見つけることが出来れば救えるやもしれません」
「「ッ」」
「!、それ!、ほんとう!?」
「だったらとっとと探しに行くぞ!!」
「(最早致し方無し、か・・・)
!?、2人共待ってくれ!!」
「「うあ?!」」
「「「あるる!?」」」〔シャウトモン!〕
「い、一体今度はどうしたんだーい!?」
『ホワッツ!!?、ホワッツ!!?』
「それは彼女達に訊いてくれ!」

ウィザーモンはあるるとシャウトモンの足を掬った『土』を消すと虚空に『鋼』の鏡を3つ展開。

〔「あ!、映った映った!、映ったよ!」〕

『光』のエレメントによる情報取得にて壊れかけのダークネスローダーとの通信を可能とした。

「鶴、こいつら」
「ロードナイトモンに利用された『先輩』達ですね」
「一体何の御用でしょうか!!?」
〔「・・・・・・・・・すっかり嫌われたみたい」〕
〔「む、むむりもないよ
けど!、今はそれ所じゃ、な、ないって」〕
〔「炎上炎上!、もう大炎上してるんだって!



例のゲームを造った会社が炎上してる!」〕



『な!?』
「ば、バカな!?、大体何故わかる!?
と・・・ロードナイトモンと関わった時の記憶は消されているんだろう!?」
〔「いや、それが、何か急に思い出して」〕
〔「そんなことより今一番大変なのは!
あのゲームが急にサービス停止になって!
プレイヤー達がその会社にリア凸してるってこと!」〕
「りあ、とつ?」
「リアルに突撃、って意味だよ珠緒
あ!、ま、まって、それってまさか・・・!」
〔「うう、うん、多分音無さんが考えてる通り
ま、ままえに私達にやらせたこと!
今度はその人達にやらせようとしてる!」〕
〔「炎上内容からしてもう30、ううん40・・・
うううあああー!、50人越えてもまだ勢い止まんないよーー!!」〕
〔「・・・・・・・・・それだけのプレイヤーがゲーム会社に集まって暗黒のソウルを解放すれば」〕
「再び世界の境界が崩れる!!
唯一ソレを正せる最速が動けないのを良いことに!!
いや!、それがわかっているからこその所業か!?、友よ!!」
「ど、どうしょう!?、ララフィン達アルフォースブイドラモンのパートナーを見つけなきゃいけないのに!?」
「こうなったら手分けして」
「駄目よ、つかさ
相手側に究極体が居るかもしれないのに
戦力を割くのはリスクが高すぎるッ」
「だからってここでウダウダやってる場合かよ!?」
「そうやってお前が考え無しに突っ込んだ結果!
アルフォースブイドラモンがこうなったんだろうが!?」
「!!」
『ーーーーーー・・・・・・・・・』

狼の一喝に赤の仔竜はおろか舞台少女達までもが言葉を失う。

「その会社の位置ってわかりますか?」
〔「え、えっと、確かこの辺りだけど」〕
「・・・・・・・・・うん、ここからなら」
「『黒の逢魔』の謀略を食い止めた後にアルフォースブイドラモンのパートナーの元へ行くのは容易いですね」
「!!、ミチル、タマオ、貴君らまさかッ」
「その話は後」
「今は現場入りを最優先に」
「あ、ああ・・・!」
「じゃあアルフォースブイドラモンは私」
「あたしのクロスローダーに居て貰うね」
「え?、う、うん」

その中で打ち出された案に魔法使いは複雑な表情を浮かべながら、杖を振り上げるのであった。



「ねね、ねぇ?
わ、わわたしたち、このままでいいの?」

「・・・・・・・・・だって、そうするしかないし」

「そうそう、そう、だよ」



一方、ダークネスローダーによる通信を終えた3人が各々の学校でスマホ越しに話し合っていると・・・











「え?」





・・・・・・・・・・・・・・♪・・・・♪





「ん?」





ーーー♪ーーー♪





「あ」



壊れかけた罪の証より、途切れ途切れのデジメロディが流れるのであった。





☆街中

 

 

 

高層ビル群

 

 

 

「ふざけんな!!「金返せぇえええ!!」ちょっと!?何で押すの!?「うるせえ黙れ!!」そっちこそ黙ってな!!「全員動くな!!うごくなぁ!!」「痛ッ痛ッ」やだ?ナニアレ?」「こ、こわいよぉ・・・」「何ィ!?私を誰だと思ってる!?「あああああああああ!!!!????」」』

 

 

 

その一区画にて、大勢の人間がひしめき

 

怒号や悲鳴を力の限りぶつけ合う。

 

 

 

「酷いな・・・」

「お、おまわりさんまでまざっていませんか?」

「プレイヤー、ってワケじゃなさそうだけど」

「まさか!!?、『先輩』達の時のように暗黒のソウルにあてられてしまったのでは!!?」

「だろうね」

〔「ヒョへな所で嘴突っついてる場合ヒョ?」〕

〔「ですが建物の周りには全てヒトだかりが・・・」〕

〔「ヘタに近づいたらまたおしょーしゃま達があぶないーっ!、でっしゅーっ!」〕

〔「ソレはわかっちゃいるんだけどッ」〕

〔〔歯痒イ、ナ〕〕

〔「ウウ~ーっ、ここがあの世界とかデジタルワールドなら一っ飛びなのに」〕

〔「そいつぁいくらなんでも悪目立ちってモンダゼ!」〕

〔『バッド!、バッド!』〕

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

「珠緒ちゃん??」

 

 

 

「例え悪だとしてもソレが舞台少女の業なれば」

 

 

 

『ッッ!!?』「お姉ちゃんッッ!!?」

 

 

 

地獄絵図を目の当たりにした5人の少女は

 

各々の魔獣を封じた懐中時計を高く掲げ

 

ヒトの群れの中に飛び込む覚悟を見せつけた。

 

 

 

「ウィザーモン、後始末は頼みましたよ」

〔「・・・・・・・・・わかった」〕

「わかっちゃダメだって!

ゆっこ達もだよ!、5人共何かずっとおかしいよ!?」

「どいてララちゃん

もうコイツ出る気満々だから危ないよ」

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「ひ!?」

「『先輩』達の時みたいにまた都合良くヒーローが現れるとは限らないのなら」

「私達が自分でやるしかありません」

「ぅ、うううっ」

 

咄嗟に飛び出したは良いが凛明館女子が放つ異様な雰囲気に飲まれ、たじろぐララフィン。

 

〔「(フミやルイの言うことは正しいし

ハニー達を危険に晒したくないんだろうけど

でも、だけど!、それでも!)」〕

「ーーーーーーッ!」

〔「(この子を悲しませて良い理由には成りはしないんだッ

何か!、何かないのか!?、彼女達を思い止まらせるような何か、が、あ?」〕

 

この現状を打破すべく、画面越しに周囲の状況を探っていた蜜蜂は気づいた

 

 

 

いつの間にか周りが静かになっていることに

 

プレイヤーらしきニンゲン達がスマホ片手に

 

目を血走らせながら此方を見ていることに。

 

 

 

〔「新、イベント限定開催、ちゅー・・・?

 

 

 

ッ"、上飛べ!!!、氷蜥蜴!!!」〕

「ブルルルルルルルルル!!!」

 

 

 

『うわ!!?』

 

ファンビーモンが叫ぶや否や

文の魔封機からペイルドラモンがリロード。

シークフェルトとフロンティアの舞台少女達を引っ掴み、大きな氷の翼を広げて飛翔する。

 

「しンイベんときタァあああアア!!!!!「限!定!!ア!イテム!!!」「邪魔すんな俺のもんだ!!!!!!」「ナニ?ナニ?アノこ達?」「おまえたちがゲンインかぁあああああああ!!!???」「キャーーーッかわぁいいいいいいい!!!!!!」「全員逮捕する!!!」「ソコをうごくなぁ!!」

「「!」」

「た、珠緒!、アッチ!?、文お願熱い!」

「任せて」

「・・・・・・・・・」

 

直後、プレイヤー非プレイヤー問わず発狂した人の群れが殺到。

間一髪の所で凛明館4人は魔封機を起動させ

衣装とデジモンを纏って飛び上がり、難を逃れた。

 

「わかってたけど、やっぱり罠ッ」

〔「ヒンーーーっ!

わ、わかってたんならーっ、おしえてくだしゃいおしょーしゃまーっ!」〕

「あ、あの、コレ、周りから丸見えなんですけど本当に大丈夫なんですか~?」

〔「努力はする

今はとにかくロードナイトモンを!」〕

「止めてみせる、必ずなッ」

「はい!!!」

〔「!、王よ!!」「鶴!!」「チッ」

「ブルルルルルル・・・!」

 

ペイルドラモンがビルの十階辺りを通過した途端、世界から輝きが失われる。

 

「「「「《ハイパーキャノン!!》」」」」

「《ターボスティンガー!!》」

「「「「ぎゃぎゃぎゃ?!」」」」

 

直後、窓ガラスをブチ破って超強力なミサイル4発が飛来したが舞台少女達に届く前に大口径のレーザー砲連射によって砲台ごと粉砕。

 

「くっ!、完全に相殺しきれなかった!

タマオ!!、フミに怪我は!!?」

「大丈夫!!」

「ペイルドラモン!!

お姉ちゃんの所へ戻って!!、早く!!」

「ブルルルゥ・・・、ブル!」

 

細かなガラス片や熱を含んだ粉塵が舞う中で制服をレヴュー衣装へと変換させたエーデルが成熟期へと進化したパートナーに飛び移る一方

 

「《ビークピアス》」

「「《クレイジーソニック!!》」」

「《モルフォンガトリング!》」

「《ホワイトスタチュー・・・!》」

「《マウントストーン》で叩き落とせ!!」リロード!アカトリモン!「《シザーアームズ》だぁああああ!!!」『リロード!!!』「うわあああ!!?ばバケモノだあああ!?!」「「ぃやああああああ!!!!!」」「たすけてぇ・・・!!!」

「上からも下からも?!」

〔「不味いッ、輝きの無い世界が徐々に広がっている!」〕

「あああっ、ただでさえパニックだったのにアレじゃみんな怪我しちゃうよぉ・・・!!」

「これじゃ『先輩』達の時と同じ!」

「同じじゃない、僕が最初からついてる!」

「そう!、スパロウモンのお陰で私達5人

も空中戦が出来る!」

「みんな!!、X5!!、行っくよーー!!

 

 

 

デジクロス!!!!!」」」」」

 

 

 

フロンティアの5人はX5の肩や腕に着地した。

 

「追っかけと出待ちのサンドイッチだなんてモテるモンは辛いな兄貴!」

「ーーーーーー」

「シャウトモン?」

「あ、ああ、そうだな」

〔(・・・・・・・・・ヤッパリ、アルフォースブイドラモンノ事気二シテルンダナ)〕

「ウダウダやってる場合じゃないだろうが!

とっとと終わらせるぞ!!《スリービクトライズ!!》」

『ギャアーーーーーー!!?』

「くっ」

 

己の胸のVの字から放たれた光線が頭上から襲いかかる敵の集団を一撃で一掃する光景にシャウトモンの口から呻き声がこぼれる。

 

「ブルルル」〕

「・・・・・・・・・もう平気、ここからは自分で飛ぶわ」

「そう、なら《フリスビッカー》」

「《アイスエイジ!》」

「《レーザーアイッ!!》」

「《グリーンフレアブレス・・・!》」

「ぶば!?」「キ?ッ」「ゴゲェエー!!」

『あ!?、あああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「アチチチ!!、みんな、熱ッ、ナイス!」

 

真下から這い寄ってきたプレイヤーのデジモン達も凛明館の手によって大半が削除されていった。

 

「ディアトリモン、屋上まで行けるな?」

「無論です、王よ

最も、後方の御二方には少々不自由を強いてしまいますが・・・」

「心配御無用~」

「もう、後ろではありませんから」

「ほう?」

「嗚呼、それは失礼」

 

デジモンの力を借りての飛行、あるいは垂直壁走りにて15人の舞台少女はこの物語の核心へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、デジタルワールドでは・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「《グレイソード!!》」」

「うっ!、ぅぅん!」

 

 

 

聖剣と打ち合うのは竜の剣。

 

始まりの名を持つ黒騎士と

 

終わりの名を持つ白騎士が

 

互いに剣を構えて対峙する気高き光景

 

その筈なのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

「や、やめろぉ!、やめてくれぇッッ!!」

 

 

 

アルファモンが叫ぶのは悲鳴にも似た懇願。

 

何故ならば、自分達が刃をぶつける度に

 

 

 

踏み締めたアスファルトが砕け

 

      水道管は破裂

 

衝撃波で電線は切断

 

       建物の外壁や屋根は捲り上がり

 

 

 

          次々に倒壊していく。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

直後、場面が切り替わる

 

黒騎士は紫の獣へ   戦場は瓦礫の山に。

 

 

 

「ひろ わないと うん   ぜんぶ」

 

 

 

獣は慣れた手つきで残骸を掻き分け

 

丁寧に掘り出したのは

 

 

 

バラバラになった達磨   破れた扇子

 

 

 

「まだ うん まだ やらないと」

 

 

 

千切れた白いリボン 真っ二つのカチューシャ

 

 

 

「ぅ   うう   ぐ、んっ」

 

 

 

綿が丸見えのスズタルキャットとMr.ホワイト

 

カニハニワ

 

 

         カエルのぬいぐるみ

 

 

 

「みつけたよ    ボクの、スタァ・・・」

 

 

 

 

光を無くした眼鏡

 

 

 

 

ソレら9つは一瞬で9人へトカワリケモノニミセツケル

 

 

オ マ 

 

     エ ノ    セイ 

 

        ダ     ト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔「フザケルナ」〕

「!?、ぅっ!、んん!!」

〔「コンナモン認メテタマルカ

 

オマエモオマエダ!!!

 

イツマデ茶番ニ付き合うツモリだぁ!!?

 

トットト

 

 

 

起キヤガレ!!!」「んぅぁがッッ!!?」

 

 

 

突如、悪夢の檻が

 

無数の赤い眼が浮かぶ黒い影に汚染され尽くし

 

獣がソレに飲み込まれたかと思うと 圧殺。

 

 

 

『アルファモンッッッ!!!!!』

「う!!・・・・・・・・・・・・ん・・・・・・?」

 

 

 

精神を握り潰された衝撃で覚醒すれば

仲間が、家族が自分を取り囲んでいた。

 

「ァ"ァァア"アアァアアア"!!!

おのれ、オノレェエエ!!!

『黒の逢魔』ァァア"アアァアアア"!!!」

「うお!?、影がシェイドモンぽくなってんジャン!?」

「アルファモンを蝕んでいた呪いをその身に宿し、己が力としたのデシテ!?」

「ワー君子供達の避難頼む」

「ワ、ワン!」

「《ジャイロスマッ」

「待ちなァ」

「!?、レオー!!、もーいいでしょ!?」

「オレも同感だ、コレを生かしておく理由がわからない」

「ダメ、だよ、うん・・・

その、気持ちはボクも良くわかる、わかってる

だけど、そいつを消すのは待って欲しい

じゃないと

 

 

 

ボク達の大切なモンが消されてしまうんだッ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハ?」

「ある、ふぁも?、いま、なに?、え?」

〔「せ、拙者達の大切なモンは

この世界には居ないだろう!!?」

「『黒の逢魔』の狙いは

 

 

 

       人間界ダッタンダヨォ!!!

 

 

 

今のイママデオマエラガァ!!

 

テンヤワンヤしてたのはナァ!!

 

全部!!そうゥ!!ゼーーーーーーンブ!!

 

陽動ダッタンだよォオオおおお!!!

 

バーーーーーーカ!!バーーーーーーカァ"ァァア"アアァアアア"!!!」

 

 

 

 

 

☆高層ビル・屋上

 

 

 

「ククククククくくくくくくッ!!ハハはははッ!!醜ぃぃいいいい!!!ナぁンてミにクいんだ!!!やハリニんゲンハミにクいいいい!!!」

 

 

 

遥か眼下の阿鼻叫喚に王騎の聖騎士と呼ばれていた存在が高らかな哄笑を上げる。

 

「ロードナイトモン!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・デュナスモン」

 

だがソレはずんぐりとした体躯の自称・魔法使いの登場により中断

 

「え?」

「あ、アレがロードナイトモンなのか!?」

「だが、あの姿どう見ても」

 

 

 

「「「「「ニンゲン!!?」」」」」

 

 

 

「ククククククくくくははハハハッッ!!」

 

と、思いきや・・・すぐに再開。

今の己の姿に驚愕する舞台少女達やパートナーデジモンを嘲笑う。

 

「ロード、ナイトモンッ

『彼女』は一体何モンなんだ・・・!?」

「君が気にかける必要の無い路傍の石さ

とはいえ、ニンゲン共への餌やりや

人間界で活動する為の皮としては使えたよ」

「!?、それ、は」

 

そう、ロードナイトモンは

 

この会社の女社長に取り憑いているのだ

 

まるで、あの

 

 

 

「戦場荒らしの所業ではないか!!!

 

 

 

誰よりも美を愛し、美であらんとした君が!

あんな穢れたモンの真似等しないでくれ!」

「!!、・・・・・・・・・それでもアレを晒すよりは」

「ああ、わかっている!、わかってるさ!

だが!、ソレでも!、君自身が己が美徳から

かけ離れた行いをしてどうする!!?」

「・・・・・・・・・ーーーーー、デュナス、モン」

 

人間の肉体越しにかつての友と語り合うロードナイトモンの顔には笑みも無ければ狂気も無い。

ただ、ウィザーモンを見据える眼差しに奇妙な熱がこもっているだけだ。

 

「静羽、気づいてる?」

「ええ、ロードナイトモンの様子が前とはまるで違う」

「『先輩』やララフィン達と話した時は色々おかしかったけど今は普通だよ」

「それならやっぱり、ロードナイトモンを止められるのは」

「どんなことになってもロードナイトモンを

捨てなかったウィザーモンだけ・・・!」

 

ふたりの会話をあるる達が固唾を飲んで見守る

 

 

 

「美しい友情だね」

 

 

 

「・・・・・・・・・なん、の用ダだ?」

「何の用とは御挨拶だね

この物件を紹介したのは私だろう?

なので、ここからの眺めを皆と一緒に見物したいと思ってね」

「そうか

そうだったタなぁアクククくくくくくくッ」

「!?、ロードナイトモン!!!

貴様ァあああ!!私の友に何をしたァあああ!!?」

「何と言われてもね、どれのことだがサッパリわからないな」

 

その空気をブチ壊し

 

芝居がかった足取りで登場したのは

 

両端に紅い穂が備わる槍を手にした暗黒騎士。

 

「それより、よく観て欲しい

ここからだとね

 

 

 

聖翔音楽学園がよく見えるんだ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・せい、しょー?

 

 

 

ッッ!!??』「「!」」「おししょーしゃまっ!?」

 

 

 

そのデジモンが黒のマントを翻し、槍を持たぬ腕を大きく横に広げ

 

 

 

不自然に

輝きの無い世界に飲まれていない場所を指差せば

 

 

 

13人の表情が一変し、残る2人に至っては弾かれたように駆け出す。

 

 

 

「どうかね?、舞台少女諸君」

 

 

 

すると、暗黒騎士・・・ダークナイトモンは

 

 

 

「私の殺陣も中々のモンだろう?」

「ぁ"、ぁっ、ぁ!」

 

 

 

ツインスピアで突いた獲物を見せびらかした。

 

 

 

「さ、さい、そく??」

「呪いに犯された状態でオーバーライトを発動させ、無理矢理体を動かすとは愚かなことを・・・」

 

 

 

「ぁ!、ああ!、ぅぁぁあ"あ"あ"!!!」

「クク!、流石最速の聖騎士殿!

気づいたようだね、我々『黒の逢魔』が

 

 

 

最も怨んでいたのが誰なのかを!!!」

 

 

 

胸のVの字に深々と槍が突き刺さったまま

 

アルフォースブイドラモンは光剣を振り回すが

 

黒い鎧に僅かな傷が入るだけで・・・

 

 

 

これから起きることを止められない。

 

 

 

「怨み!!、だとぉ!?

デジタルワールドを救った彼女達に何の怨みがッ!!?」

「だがッ!!、私達を救わなかったッ!!」

「!!!」

「なのに!!、私達のこと等眼中に無く!!

自分達の世界でのうのうとしている!!

これが怨まずにいられるものか!!?」

「なので、まずは

 

参加校の中で聖翔に次いで影響力がある

 

シークフェルトからキラめきを奪い

 

 

 

劇フェスとやらを滅茶苦茶にしてやろう」

『ッッッ!!!』

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、思っていたのだが

ゲームの駒にしようとしたモン達が5体揃って『少食』だったとは、ね?」

 

 

 

「ヒンっ!?」

「それが今世における本来の任務

だけど!!、今は違うヨン!!」

「ええ!、ワタシ達は生まれ変わったのです!

王の!、エーデルのパートナーとして!」

「そういうヒョヒョっと」

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「だが、まぁ、最後には全てが上手くいくとも

 

 

 

 

何故なら、この物語の主役は私なのだから」

 

 

 

 

「ぁ?!、あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「最速ゥうううううう!!!」

「デュナスモン、残念だがそいつは最早助からない、ただでさえ残り少ない寿命を自ら刷り減らしたのだからな」

 

無造作に放り捨てられた蒼い残骸へと駆け寄る自称・魔法使いに女社長の皮を被った王騎の聖騎士が熱のこもった眼差しを向ける一方

 

 

 

「私による 私の為の 私の物語の、ね」

 

暗黒騎士の独擅場は続く。

 

 

 

『ッ、!?、ーーーーーーーー!!!』

 

 

 

故に、舞台少女達は動けない

 

予め描かれていた筋書きは変えられない。

 

 

 

「さぁさ皆々様!!   御覧下さい!!

 

 

 

これより行われるは世紀の大イベント!!

 

 

 

逢魔の幕開け 人間界の終演でございます」

 

 

 

「ッッ?!ゴァあああああああ!!!」

「デュナスモ!、・・・・・・・・・ーーーーーー」

 

 

 

主催者の挨拶と共に

 

かの地に仕掛けられていた結界が破壊され

 

反動に術者であるウィザーモンが苦しむ最中

 

 

 

 

『〔ォオオオオオォォオ・・・・・・ッ〕」!!!

 

 

 

 

ソレは芽吹いた。

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界

 

 

 

聖翔音楽学園地下劇場

 

 

 

『〔ォオオオオオォォオ・・・・・・ッ〕」!!!

 

 

 

その中央に刻まれたTの字・ポジション・ゼロを真下から突き破って生えてきたのは大量のツタと

 

 

 

『〔《ワームフェイズ・・・・・・ッ》〕」!!!

 

 

 

完全体・突然変異型デジモン・・・アルゴモン。

望む舞台が与えれる空間の写し見を苗床に『迷宮』から送られる1万人分の糧を得たデジモンが急成長を遂げると・・・

 

 

 

世界と世界を区切る境界は崩壊。

 

 

 

『〔ォオオオオオォォオ・・・・・・ッ〕」!!!

 

 

 

すると、異なる位相に存在していた『本物』の地下劇場があっという間にツタで埋め尽くされる。

 

 

 

「これが、求められた新たな舞台・・・」

 

 

 

この光景を客席から長い斑模様の首を伸ばして見つめる一頭のキリン。

 

 

 

「わかりま

 

 

 

ソレすらもアルゴモンは容易く飲み込み

 

 

場内を突き破って地上へと出現すると・・・

 

 

 

 

「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

 

 

 

標的である9人

            のみならず

 

 

ニンゲンを  文明を 大地を空を   輝きを

 

 

     全てをツタに取り込みながら

更に増殖を繰り返し・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

       人間界のあらゆる国々を

 

 

 

『黒の逢魔』の新世界へと塗り潰すのであった。

 

 

 

 

 

「あ?」

「まぁ、つまりこういうことだったんだ」

「ああ??」

「聖翔への結界、並びに監視カメラを通じた24時間警備、舞台少女達への認識阻害

いやはや!、流石はかの騎士の転生体!

どれをとっても素晴らしい手腕だったよ!

 

 

 

最も、その全てが無駄だったんだが、ね?」

「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

あああ"ああああああうううあああ!!!!!ああああ"あああああ"あああううあああ"あああああ!!!!"!!!」

 

 

 

邪悪なツタが聖翔音楽学園を突き破った瞬間

 

人間界から全ての輝きが失われ

 

あらゆる生命が逃げる暇もなく取り込まれていく。

 

 

 

「もし、君が最初からあの9人に・・・いや、ロードナイトモンと接触した時点で他の誰かに全てを打ち明けてい」

「その時はそうなる前に消すしかなかった」

「ぁ」

「だから、デュナスモン

君が責任を感じることは無い

 

 

 

全ては、ニンゲンの醜さが招いたこ、とだ」

 

 

 

「!!」

「うーーん、まぁ、確かにそうだね」

 

この光景に絶叫を上げるウィザーモンにロードナイトモンは女社長の肉体越しに語りかければ、ダークナイトモンはワザとらしく肩を竦めた

 

 

 

「《V・・・ウィング・・・・・・ぅ・・・!!」「「「!?」」」

「ブレエええええええエエド!!!!》」

『ぅわあああああああーーーーー!!??』

 

 

 

次の瞬間、ビルの屋上が斜めに切断。

 

 

 

「お!まえらぁ!パートナー!まもれぇ!」

「「「んな?!」」」

「ヒンっ!」

「グガガガァ!!」

「ッ、アルル!!、みんな!!、ぐえっ」

 

 

 

直後、瓦礫の雨に紛れて自由落下していたデジモン達が最速の乱打によりパートナー諸共吹っ飛ばされた。

 

 

 

「おおお!、何ということだ!

まさかあの状態でアレ程に動けるとは!

流石は古来種!、繊細な割にしぶといね!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

綺麗な断面を覗かせる屋上にて

 

監督兼脚本家兼演出家兼主演俳優は

 

黒のマントを大袈裟にはためかせると

 

舞台少女達の落下予想地点・・・聖翔音楽学園付近に視線を走らせる。

 

「お、わ、ないのか?」

「クク!、その必要はないさ

君だって知っているだろう?

 

 

 

絶望というモンは

希望、そして真実から産まれることを!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

「さぁ!、急ぎたまえ舞台少女諸君!

この私が!

 

 

 

かつてレイド帝国と呼ばれた那由多の廃棄物

 

 

 

そのメインプログラムを手にする為に、ね」

 

 

 

 

☆聖翔音楽学園付近

 

 

 

中央公園

 

 

 

『ううううわああああああああああああーーーーーーーーーーーー!!!???』

 

 

 

輝きを奪い尽くされ、あちらこちらで邪悪なツタが蠢く異世界へと変貌を遂げたこの場所に舞台少女10人とそのパートナーデジモン達が悲鳴を上げながら落ちてくる。

 

「くっ・・・、は、ハニー、だい!、丈夫?」

「わ、わたしは平

!、お姉ちゃんッ!?、どこ!!?、おねえちゃん!!!」

「「「「!!」」」」

「た、珠緒ちゃん達も居ないよぉ!」

 

 

 

「皆さん、落ち着いて下さい・・・!」

「あたし達はここだよー!!、ここー!!」

 

 

 

「な、最速ッ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

頭上からの声にウィザーモンが顔を向ければ

青くて逞しい腕に収められた凛明館の少女達がゆっくりと降りてくるのが見えた。

 

「あ、ありがとうございます!、アルフォースブイドラモン!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「?、どうし」

 

 

 

 

 

ミシ・・・・・・・・・

       ボトッ

      ‎

 

 

 

 

「ぇ」

「は、はねが、とれた?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

5人を大地に立たせてあげれば、役目を終えたとばかりにマントを模した翼が根元から崩落。

 

 

 

 

 

ズズズズズズズズズズズズズズズズズズ!!!!!!

 

 

 

 

 

「!?、HEY!、兄貴!

シスター達もアレを見てくれ!!」

『ルック!!、ルック!!』

「ツタに捕まった人達が聖翔の方に集められてるッ!!?

ま、まさか、みんなからエネルギーを吸収して・・・」

「!!」

「〔「『ぐあ!』」〕」

「スパロウモン!!?

どこへ・・・・・・・・・つかさ先輩?、つかさ先輩!?」

 

眼前の光景に思考する暇すら与えられぬままどんどん状況が変わっていく、悪い方へ。

 

 

 

「や!めろぉお"おおーーーーーー!!《ウィングエッジィッッ!!!》」

 

 

 

自らの意思でクロスアウトしたスパロウモンはフルスピードで飛んでいくと、ツタに備わる蕾状の器官

 

 

 

友達を囚え連れ去ろうとする存在

 

 

 

を、黄色い翼で斬りつける。

 

「「《ブルートナックル》」」

「?!」

「《ボルトライン》」

「ううー!」

『〇◆△△~◎』

「こんのぉ、はなれろぉおおおーーー!!」

 

しかし、ソレには傷一つつけられず

揚げ句、デジモンの群れに囲まれ一斉攻撃の標的にされてしまった。

 

「戻ってスパロウモン!!」

「!、で、でもおねーちゃん!!、みんなが、みんながぁ!!」〕

「大丈夫だいじょうぶ絶対大丈夫だから!

おねがい!!!、あなたにまでなにかあったら、わたし、もう」

〔「う・・・ううう・・・・・・うああああ"あああーーーーー!!」〕

「ッ」

「アルゴモン、突然変異型

レベルは違うけれどアレ全部が同じ名前」

 

つかさがクロスローダーから発せられる慟哭に胸を痛める横で、静羽は少しでも戦況を把握しようと思考を巡らせる。

 

 

 

「見っーけけけけゲゲゲ!ゲゲけ!!」「「リロード」」「レア!!!アああーーー"アアッッ!!」「おれおれ俺?お!れのもの!だ!ダダダ♪♪」「邪魔するなどけ」「やぁぁだネネね!ね~え!」

 

 

 

すると、公園内のあちこちからデジモンを引き連れた人間達・・・『黒の逢魔』が仕掛けたゲームのプレイヤーが姿を現した。

 

「な!!、この状況でもまだコレがゲームだと思っているのですか!!?、貴方達は!!」

「・・・・・・・・・ちがう、違うよ、メイファン」

「こんな状況だからこそとても現実だなんて思えない、ってこと?」

「ヒョッけるな鶴!」

「グガ!?」

「ブライモン様!!」

「や、闇雲に突っ込むのはダメーっ!、でっしゅー!」

 

 

 

「みんな、安心して、欲しい」

 

 

 

『え』「さい、そく?」

 

 

 

「今度は、ちゃんと、やってみせるから

 

だからどうか、カレン達を

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・あと、ついでに、あの

フタバが居ないとダメダメなニンゲンを

 

 

 

ーーーーーー!!!、たのんだ!、デスッ」

 

 

 

『キいヒヒヒヒヒぃ!?!』

 

 

 

「ま!、待て!、待ってくれ!!

 

 

 

アルフォースブイドラモーーーンッッッ!!!」

 

 

 

少女達へと迫る包囲網を文字通り一蹴したアルフォースブイドラモンが建物から建物へあっという間に跳び移っていく。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり、アルフォースブイドラモンのパートナーは、彼女だったッ」

「!、珠緒!!、あなたまさか気づいて」

「だったらなんで言ってくれなかったの!!?」

「せ、先輩達!、今は兎に角聖翔へ急ぎましょう!」

「ここに留まったままではまた囲まれてしまいます!」

「・・・・・・・・・」

「ミチル、お前もか」

「うん」

「「「「!」」」」

「皆様、お話し中の所大変申し訳ありません

ですが、今は」

「いつまでもくっちゃべってらんねぇなッ

ツカサ!、スパロウモン!、もっぺんデジクロスだ!、X5で一気に飛ぶぞ!!」

「「!、う"ん!!」」

「ウィザーモンも、ほら、行こ」

「・・・!・・・ーー!・・・・・・ーーー」

「ウィザーモン?」

 

最速の聖騎士が活路を造り出してくれた一方で元・飛竜の聖騎士は・・・。

 

「どうしたアルル!?、ウィザーモン!!」

〔・・・・・・・・・行ッテコイ〕

「!!」

〔アルフォースブイドラモンノパートナー達ハ俺達ガ助ケル

ダカラ、ウィザーモンハアルフォースブイドラモンヲ頼ム〕

「ーーーーーッ、すまない!!すまない!!」

『あ』

「ク、カ」

 

ただ独り、その上は歩かず

 

 

 

 

かつての同胞の後を追うのであった。

 

 

 

 

 








OUT of the BLUE

        chapter f



「いたぞ!!「《ディノバースト!!》」「あそこか!?」HP残り「《スプリットォブゥメラァン!》」1割!」「「《デリションクローウ!!》」」「いける!いけるぞ!』「このままおしきれぇーーー!『いっっけええええーーーー」!」
「《ヒートブレスッッッ!!!》」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



ゴホウビを得る為の目を食われた揚げ句

夢を叶える為の翼もなくした

それでも、アルフォースブイドラモンは。



「おおい?なななんだー?」



固めておくのが困難な拳を振るい



「ステータスバグってんんだろだろ?!」「もうSPDもPWRも0なんにぃい」「デジモンがやられれれれれれ?!!、?」



ガクガクと震える足を無理矢理動かして



「うるさい」



戦う。



「最速!!アルフォースブイドラモン!!」



すると、雑音に紛れて『前』からよく知る声が聞こえてきた。



「もうやめろ!やめてくれ!それ以上は!
今の自分がどんな状態かわかっ」
「わかってる、デス」
「?!」



例え、目が見えずとも

パートナーから託された神機が限界なのも

自分自身の【データ】が消えかけているのも。



「わかってる、デス」
「ま!、・・・・・・・・・ーーーーーーくっ!!
なぜだ何故だ!?何故!!わたしはぁ!!」



『ヴォオオオオオオンっっっ!!!』



「!?、ヴォルクドラモン!!!」
「ヴぉるく、どらもん?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふ

ふははっ



フハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!!」
「え」



ウィザーモンの嘆きとは裏腹に、アルフォースブイドラモンの口から出てきたのは



今世最大   かつ   初めての大笑い。



「ふ!、フフフフフフ!!
ブイ、やっぱり、運命なんて、大嫌い、デス
でも、だけど!、これなら・・・!



あきらめも!、つく、デスッ」
「《ヴォルカニックフォーン!!!》」
「あ、あああ"ああああああうううあああ!!!」



灼熱攻撃が津波のように押し寄せる最中

元・聖騎士は見た

否、見ていることしか出来なかった。



「《シャイ、ニング・・・V、フォース・・・!」



半壊したVの字に


最速の聖騎士のキラめきが


舞台への想いが


   パートナーとの運命が


              残された時間が



ソレら全てが捧げられていく光景を。



「せめて、こんどは、青い空の下でって

ブイ、ずっと、きめてたのに・・・・・・・・・

ぜんぶ、きみのせい、デス  カオルコ」



悪態から『熱』が失せていくのを感じながら



「閃花」
蒼の入り交じった桜吹雪を放つ





「あいや」「ダ」寸前






「待たれよ!!!」「メェーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
「・・・・・・・・・ふえ?」

最速の聖騎士が最期の大舞台と決めたこの場に

真上から突き刺さってきたのは

捻れた棘が幾重にも備わる搭が如き



超   超   巨   大   剣。



『ぎいやああああああ"!?ああああーーー!??!!』

「これ、は    ほしのひかり?」

「オウリュウモ・・・・・・ラセンモ、ン・・・?」



ソレの宿すキラめきは

プレイヤー達の暗黒のソウルも

ウィザーモンの鬱屈とした感情も

アルフォースブイドラモンの見えぬ両目をも

全てを  スタァライト  する程だった。



「ぬぅう!、間に合った!、かッ!?」
「ブイーーー!!!、ブイーーー!!!」
「ぁ」
「テッメェエ何やってんだァアアア!!!」
「こんの、こんのぉ!、この青瓢箪!!!」
「みん、な?」
「え?、えっと、ウチら、こっち、ジャ」
「現実逃避してる場合かッ
貴様らもだ!!、発狂するのは後にしろ!!」
「わ、かってるッ
わかってんだよオレ達だって!!、なのにくそ、くそぉ!!、グルアアアアアアアアアッッッ!!!」
「お」



輝きの無い世界に

かつてデジタルワールドを救った英雄達が

飛び込み参上した結果



「そい!


おそすぎ!

デ ス ぅ う う う う う う!!!

ぶえ"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"え"ええ"え"ん"!"!"!"」




・・・・・・・・・今までの役作りはどこへやら、泣き虫弱虫に逆戻り。





ピシピシピシピシピシピシピシピシィ!!!





「ぶえ"えええええええええええええ!!?
じ、神機!、こわれるぅ!?、デスぅううううううああああああ!!??」「ああああああ!!??
ブイモーーーーーーーーン!!!
すまない!!!、ほんとうにすまないぃいいい!!!、だからだからどうかおちついてくれええええええええ!!!」
「まずは貴様がお・ち・つ・けぇーー!!」



「オマエモナー」



「エ"」「?!、貴ッ様ぁ!!!」



「まったく・・・
お前、あの頃からなーーんも変わってなかったのか



なぁーー?   ア   ル   ?」



その直後、耳元にあの【ブイドラモン】の声が聞こえてきて・・・



「ぐフ・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・」



ショックのあまり意識を手放すのであった。



「戦場荒らしのシェイドモン!!!
貴様ぁ!!!何を」
「何って・・・このまま起きてたら再契約までもたないだろ?
ってか、八つ当たりとかマジ勘弁ダワーー
王騎のヤツが穢れたモンの真似事したノっテ俺まっったく関係ナクネーー??」
「なん、ぐ!??」
「ーーーーーーーー!」
「ァ"!、ァァア"アアァアアア"!?
ナニ抜け駆ケしてヤガんだアイツぅ!!?」
「ドルー!?」
「待つで御座、ぅぁっ!!」」
「!?、テメェらァ!!」
「お、おい!、ディアナモン!、コレ!」
「そこで転がっている青瓢箪と同じこと
神機に内包されたソウルとキラめきを一度に大量消費すれば消滅の危機に陥るのは当然、デシテ」



「・・・・・・・・・うん、みんな、ごめんッ」
「謝るぐらいならば何故こんなことを!?」



白目を剥いて気絶してしまったアルフォースブイドラモンのことも

その上で我が物顔で語るルミナモンのことも

空間を突き破った反動に襲われるオウリュウとラセンモンのことも

アルファモンは全て振り切り

ウィザーモンを掻っ攫って飛んでいく。



「な、なん、の、これしき・・・!」
「エー、ダ!、てェーー!!」
「バカ!!、やめろ!!、やめろってば!!
お前らまでバッチャンみたいになったらどうすんだよぉ!!?」
「大人しく出来ないのならば《グッドナイト・ムーン》デシテ」
「ぬぅっ」「ヴー」
「マルスモン、ラセンモンは頼んだ
炎の、オレ達はオウリュウモンを運ぶぞ」
「あ、ああ・・・」
「ケッ」
「!、すまないバンチョーレオモン・・・!」



「みみ見つっけたケタケタケタケタ!!!』
「レアだ!激レア~~ーあー~ー♪♪♪」
『〇◆△△~◎』「おれおれオレヲ」「タッたたししシシシィ!」『〇Ω△△△◆!!』



「・・・・・・・・・ギャハッ」

取り残された英雄らが所々の【データ】が消えかけている仲間を気遣っていると《究極螺旋王竜剣》の影響を受けなかったプレイヤーやアルゴモンが群がってきた

「おまえラ先イッテロ」
『!?』
「早ク行けッテ」
『くっ・・・!』

かと思うと、なんと【あの】ルミナモンが自分から足止め役を名乗りでた!?。
この申し出に99期生のパートナーデジモン達(特にバンチョーレオモン)は苦い顔になりながらすぐさま離脱。

「ね、ねー、アレいいのー??」
「・・・・・・・・・まァー、そうだなァー」



「ひいやあああああああ!!!??」「やめてやめてやめてやだやだぁあああ!!!」「ちがうのおかあさんこれちがうの」「あは、あはは♪、はは?、は、・・・・・・・・・」



「ギャハ♪

ギャハハハははははハハハはは!!!!

たァーのしいーーー♪♪♪」



「ジゴージトク、って奴だァ」
「ソーデシテ」
「こんなになったアルフォースブイドラモンに手を出そうとした方が悪いジャン」
「「・・・・・・・・・」」
「まぁ、その、いくら奴とてニンゲンの生命までは取らない筈で御座るからして」

直後、戦場荒らしがその真価を思う存分発揮し
輝きの無い世界に阿鼻叫喚の地獄絵図を造り出したのだが・・・英雄達の足は決して止まることはない。

「アルファモン!!何故戦場荒らしを連れてきた!!?」
「王騎がニンゲンに取り憑いてるんだろ!?
その対策の為だよ!」
「な!!」
「なんで知ってるって?
ダークナイトモンにデジクロスされかけた時
あいつのメモリーが断片的に流れ込んできたんだよ、うん
その中に君のことや王騎がどんな状態かもあった」
「!、ーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・」

一方、アルファモンは腕の中のウィザーモンを無理矢理押さえつけながら単独飛行の真っ最中。

「ボクも君に訊きたいことがある



舞台少女のパートナーになったシャウトモンは今どこに居る?」



「!!?、しゃ、しゃうと、モン・・・?」
「しらばっくれても無駄だよ、うん
ダークナイトモンは君がそのデジモンをサーバーに連れ込んで自分に都合の良いこと吹き込んでいるのも監視していたんだからね」
「!!」
「・・・・・・・・・その手段まではわからない
だけど、君は、君達はずっと
あいつの手のひらの上で踊らされていたんだよ
かつてのボクらと同じようにッッ」
「だからとて何故ここでシャウトモンの名が出る!!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あいつは」

元・同僚の指摘により思い返すのは
今の兄弟から送られた『あるデータ』のこと。

「ッ、君といつまでも問答している場合じゃないんだ!
さっさと答えろ飛竜!!」
「だったら自分のパートナーを助けに行くことだな!!」
「なんでだよ!!?
あっちにはバンチョーレオモンやディアナモンが居るから大丈」
「そこにシャウトモンやアルル達が居る!!
貴君らのパートナーを救う為にだ!!」
「・・・・・・・・・う、ん?」
「だというのに!!今の貴君は何をやっている!?自身のパートナーを他者に任せてまでシャウトモンを優先する理由はなんだ!!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・



そのデジモンが『黒の逢魔』の手に堕ちれば
全てのデジモンが強制デジクロスの対象になる」



「は?」
「いや、デジモンだけじゃないデジタルワールド
ううん、違う



この世界すらも奴らのモンになりかねない



それが『黒の逢魔』・・・ダークナイトモンの脚本



新世界創造のシナリオなんだよ!!!」



「ッ!!?」



「それだけは絶対に阻止しなくちゃいけない



13番目の聖騎士

空白の席の主

電脳世界の抑止力



そう呼んでくれたあの子の為にッッ!!!」






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飛び込み参上! 救世主9X9!

爆弾爆発回


 

「ここが、セイショーって所で合ってんだよ、なあ??」

〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

サッキノ建物カラ見エタ位置カラシテ間違イナイ〕

 

シャウトモンの疑問にバリスタモンが答えるのは

 

この場所を知る少女達が言葉も出ないから。

 

 

 

「ッ」

「スパロウモン!」『ウェイト!、ウェイト!』

 

 

 

人々・・・いや、人間界で生きるモノ達を囚らえ

 

閉じ込めた蕾が鈴なりになり、垂れ下がった太い枝

 

 

 

「幹から見えるのは劇場、でしょうか?」

「まるで下界と天界みたいだ、ヨン・・・」

「クカカ!」

「ゲカイ?、テンカイ?、ヒョ?」

「ヒ!?、ヒンーっ!、あちこちからアルゴモンがいっぱいーっ、でっしゅーっ!!」

 

 

 

そして、本体である樹木部分は

 

聖翔音楽学園の校舎を突き破り

 

地下劇場を飲み込んだ状態で聳えていた。

 

 

 

「威圧感が『迷宮』の比じゃない!、鼻の奥までビリビリきやがる!

(クソ!、早まったか?・・・・・・・・・いや

どの道この世界そのものがヤバいってんなら

少しでも生き残れる方に賭けるしかないだろうが!)」

「キュウウウッ

 

 

 

キュ?!、タマオ待つッキューー!!」

「「「「!!」」」」

 

 

 

惨憺たる有り様に萎縮していた一団の中から和装の舞台少女が跳び出したかと思うと、優れた俊足を用いて独走。

 

 

 

「(居る)」

『△~ー◎!?』

《フリスビッカー》

 

 

 

「《インプリず・・・ぅ・・・!」

「(あの舞台に」

《アサルトクロー》

 

 

 

「彼女が!」

咲散花一閃

 

 

 

持てる技を駆使し、アルゴモン族の巣窟内を巴珠緒が駆け抜ける。

 

 

 

「花柳さんが!!」

 

 

 

そして、樹洞から覗く地下劇場へと飛び込めば

 

 

 

「《エリミネイションライン》」

 

 

 

無数の光線が彼女を待ち受けていた。

 

 

 

「〔「!」〕」

「不意討ちを防ぎ切ったか

流石はLegend-Armsの盾、その転生体」

「あなたは!?」

「我は、我々の名はアルゴモン」

「くっ・・・!」

 

劇場の中心・・・ポジション・ゼロに下半身を埋め込み

上半身のあちこちから邪悪なツタを伸ばす人型の完全体デジモンを前に

珠緒は消えかかった両腕のシールドを破棄。

険しい表情で白鞘から日本刀を抜き放つ。

 

「珠緒先輩!!!!!」

「無事!?」

「・・・・・・・・・みたいですね」

「みんなッ」

「もー!、独りで突っ走らないでよー!」

「お前らもな!!」

 

すると、背後より演劇同好会の4人や他校の舞台少女とパートナーデジモン達が次々と御出座し。

 

「これが所謂」

『!!』

「役者は揃った、という奴か」

 

それに対しアルゴモン完全体はツタを蠢かせ

 

 

 

赤、青、緑、黄、水、桃、紫、白、橙に

 

 

 

明滅する9つの蕾を自身の頭上に出現させた。

 

 

 

「コレが何か、わかるか?、シャウトモン」

「な!?」

〔何故シャウトモンニ聞ク!?〕

「早く答えてくれないか?

 

 

 

何せ後10分程で完全に消化してしまうのでな

そうなれば答え合わせも出来やしない

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

話の途中に割って入るのは関心しないぞ?」

『ーッ!"、ーーー!!!、!!?』

「み、みんなぁ!!、キュウウウーー!!」

 

挑発的な言動を目の当たりにし激情へと駆られる舞台少女達だったのだが・・・突如、あちこちから飛び出してきたツタにより四肢や口元が縛られ

挙げ句、天井に吊り上げられてしまう。

 

「ん"ん"むぅうううーー!!!」

〔「ヴ!ォオオオ・・・・・・ンンン!」〕

「!、《インプリズメント》で圧縮しているというのにまだこれほどに燻れるとはッ

それに」

「ブルルルルルルルルルゥウウウ!!!」

「くっ」

 

無事だったのは咄嗟に衣装から分離したペイルドラモンにより技の範囲から逃れた文だけ。

 

「フミ、みんなの拘束を解いてくれる?」

「!、任せて!」

「チッ」〕

「ブライモンとレッパモンはフミの援護

残りでアルゴモンを抑える」

「ヒョウ!」

「グガァ!?」

「シャウトモン、わかった?」

「え、あ、ああ・・・」

「ならいい《ターボスティンガー》」

『△~ー◎!?!」

 

我に返った彼女が氷の翼で鳥人侍や鎌鼬と共に飛翔すれば、同時にレーザー砲が連射。

 

「フッ、パートナーを奪われたというのに随分と冷静だなタイ」

 

 

 

「《メガダッシュインパクトォ!!!》」

「《スパイキングフィニッシュ!!!》」

「ム!?」

 

 

 

天井から湧いてきたアルゴモン幼年期達が次々と撃破される中

 

 

 

白目を剥いた古代鳥の蹴りと

赤眼を禍々しく光らせる甲虫のスパイクが

 

 

 

アルゴモン完全体に直撃した。

 

「シィィィィィイイィィィ!!!」

「キエエエエエエーーーッ!!!」

「古代種のオーバーライトか

なれば我々も相応の装いをせねばなるまい

 

 

 

アルゴモン   進化   アルゴモン」

 

『!!??』

 

 

 

すると、大きく抉り取られた【データ】から混濁した色合いの0と1が大量に噴出

より大きく、より強いカタチへの進化を促す。

 

「フン」

「「ガッ!!」」

 

究極体となったアルゴモンは下半身を舞台の中心に埋め込んだ状態のまま拳を振るい、ディアトリモンとスティングモンを叩き潰すと

 

「《ベアバス」

「遅い」

「あ、ア"!・・・あ?・・・・・・ぁぁ!!」

 

ワスプモンを百本以上のツタで滅多打ち。

 

「こ、この野郎ッ《バーニングスタークラッシャー!!》」

〔フガ!?〕

「ちょっと!!」

「兄貴!」

『ストップ!、ストーップ!』

「ダメだ!!、間に合わん!!」

「シャウトモン、さっきの問いの答えだが」

 

そして、真正面から斬りかかってきたX5を・・・

 

「正解は、聖翔音楽学園99期生の9人」

「「〔「『ぐあっあああああ!!!』」〕」」

「ガグ!!」「ビョブ!!?」

「かつて、デジタルワールド『を』救ったニンゲン・・・救世主だ」

 

天井へ到達寸前だった3体目掛けて投げ飛ばした。

 

「《メテオヘイル!!》」

「避けたか、ならば」

「ん"ん"んんん!!!、ン"ーーー!!!」

「フ、ミぃ!!、ダメだああああああ!!!」

 

レッパモンとブライモンが撃ち落とされる中

文は自分の体躯を氷塊に見立てアルゴモン究極体の頭部へ突

 

 

 

「《テラバイトディザスター》」

 

 

 

撃、したのだが・・・・・・・・・。

 

 

 

「なんだ

 

 

 

思ったより   柔かったな」

 

 

 

 

 

 

キュートモン

 

 

キュートモン   キュートモン

 

 

はやく     ふさいで 

 

 

 

おねがぃキュートモ」

「ーーーーーーーーッ

 

 

 

《スグ!ナオール!》《ヨク!ナオール!》《スグ!!ナオール!!》《ヨク・・・な、オ

 

 

 

          治、らない???」

 

 

 

「え

 

だって   フミ  フミは あ?

 

あ・・・あぁ・・・・・・・・・・・・・・・」」」」「グ、ガッ?」

 

 

 

口部から放たれた無数の光線による【悲劇】がシークフェルトのパートナーデジモン5体を退化させる。

 

「まずはひとつ

さて、残りの奴らも片付けておこうか」

「て、待ち、やがれぇえええ・・・!

させねぇぞ!!、コレ以上はもう、絶対に!!」

「何故だ?、自分の目的の為に邪魔モンを消すのはお前だってやっていたことだろう?」

「ううるせえええええええーーーーーーーー!!!!!!」

「《ディストーションライン》」

 

続けて、アルゴモン究極体は肢体に備わる眼部より破壊光線を発射。

 

 

 

 

「ガアああア"ア"あああああア"あああアアアああああああアア"アア"アアあ"ー"ーーーーー"ー"ーーー"ーーーーーーッッッッツッ!!!!!!"!!!!"!!"」

「な!!?」

 

 

 

 

次元すら歪ませながら天井へと直進していた

 

《ディストーションライン》を

 

血を吐くようなシャウトが

 

 

 

                『侵略』。

 

 

 

〔シャウトモン!?〕

「す、すげぇZE兄貴、だけど・・・」

『なんだか、こわいぃ・・・』

「ぼ、ぼくも」

「なんなんだ!?、このとんでもない力!」

「ハァー・・・!、ハァー・・・!、ハァー・・・!」

 

究極体の必殺技すらも急停止させ

更には霧散してしまったシャウトモンに体内の4体も驚きを隠せない。

 

「・・・・・・・・・遂に

 

遂に覚醒したか!!!

 

 

 

かつてレイド帝国と呼ばれた那由多の廃棄物

 

 

 

そのメインプログラムが!!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・な、んだと?」

 

「(はいきぶつ??)」

 

 

 

すると、アルゴモンが何やら興奮した様子で

 

 

 

「ふ、ふふ!

 

誰もおかしいとは思わなかったのか?

 

何故?、シャウトモンがデジクロスを使えるのか!

 

何故?、ジャングルモジャモンやガジモンズに組み込まれていたダークネスローダーがクロスローダーに再生産されたのか!」

 

 

 

真実を語り始めた。

 

 

 

「デジクロスとは

あの日、ダークナイトモンが・・・

 

 

 

サーバーごと世界樹から斬り捨てられ!!

 

それでも尚生き延び!!

 

ダークエリアの奥底で!!

 

自身を蝕んでいたレイドプログラムから造った!!」

 

 

 

「?!、ん"ん"ん!!、んんンンんん!!」

「(きり   すて   られた??)」

 

 

 

「そのプログラムの根幹

 

ニンゲン共がデータの海に捨ててきた

 

廃棄データの集合体

 

 

 

その中心が、お前だ   シャウトモン」

 

 

 

「(す、て、シャウトモンが?

 

だから、わたしの)」

 

「んんん"!!!、ん"ん"んーーー!!!」

 

 

 

「ハァー・・・、ハァー・・・

 

お、ま・・・なに・・・いってんだ・・・・・・??

 

おれが、あの、レイド帝国・・・??」

 

 

 

「正確にはその支配者

 

我々に降りかかった厄災の元凶!!!

 

お前さえ、おまえさえ居なければ!!!

 

 

 

捨てられることはなかったのに!!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

「ー!ー!ーッ

(あるる!ダメ!あるるッ)」

 

 

 

「だれもたすけてくれなかった!

 

だから我々は徹底的にやることにした!

 

お前が奪った希少なデジモンのデータを!

 

お前が造ったプログラムも!デジモンも!

 

お前に媚を売って生き延びたデジモンを!

 

全て! そう! 全てを利用して!

 

 

 

やっと!、やっとここまで辿り着けた・・・!

 

 

 

俺達の天国が造れたんだ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

捨てられた存在が

 

 

肢部から涙を流しながら訴える姿に

 

 

少女は      を見た。

 

 

 

 

 

パキ・・・ッ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「「〔「『え・・・・・・・・・・・・・・・・・・』」〕」」

 

 

 

ひとつの目的の元に統一されていた意思。

 

その中のどれかが

 

別の何かに惹かれ、離れてしまうと

 

結合は・・・デジクロスは

 

容易くほどけてしてしまう。

 

 

 

「だが、コレはまだ完全じゃない

俺達のことを無視して英雄面してる連中

あいつらが居る限りいつまた俺達の居場所が奪われるかわからない、安心出来ない

だからこそデジクロスの力を完成させないと

 

 

 

シャウトモン

 

 

 

お前をデジタマに還して

 

その力をダークナイトモンに捧げるんだ」

 

〔!?〕

 

「そうすればもうクロスローダーも

 

ダークネスローダーも必要無い

 

全てのデジモンが

 

いや、デジタルワールドそのものが

 

俺達のモンになる!!!

 

その為にお前をここまで誘い込んだんだ

 

 

 

有象無象のニンゲン共を餌にして」

 

 

 

 

 

な、ん、だ   なんなんだよ、ソレ?

 

 

そんなことのためにみんな、こんなことに?

 

フミだって アレ じゃ、もう・・・・・・・・・」

 

 

 

「そんなこと、だと?」

 

 

 

「(スパロウモン

あなたにとっては そう だけど・・・

でも、だけど)」

 

 

 

「生まれてこのかた

 

捨てられたことも無いモンにはわかるまい

 

 

 

あの日の我々の痛みも絶望も」

「(苦しみも、悲しみも)」

 

 

 

「縺オ縺悶¢繧な」

「「ッッ!!?」」

 

 

 

 

捨てられた存在により繰り広げられる独擅場に

 

 

 

 

「鮟吶▲縺ヲきいてれば螂ス縺肴叛鬘」

「繧医¥繧よくも文蜈郁シゥを」

「險ア縺ない」

 

 

 

 

飛び入りするのは

 

 

 

懐中時計に封じられていた【憤怒】の炎。

 

 

 

「かはっ」

「キュッ?!、フミ?、フミぃいいい!!」

「!!、いき、てる?、生きてる!

生きてる!!!、フミが生きてた!!!

ブズンッ、い!!!、い"きてたんだよおお"おお"ハあニぃいいいいいいーーーーーーー!!!!!!ブビビビビャアアアアア"アアアー"ー"ー"ーーーーー!"!"!!!!」

「嗚呼ッ、よ、よかったぁ・・・!」

「ででっしゅーっ!!」

「ヒョゥーーー・・・」

「はあ、はあ、な、に、何があったの?」

〔「レイドプログラムによる【データ】の超再生

あのダメージでも融合状態が維持されていて

ほんとうによかった」〕

「あ」

〔「ブルルル」〕

「・・・・・・・・・ペイル、ドラモ

 

 

 

 

いちえ!?、ゆゆ子!、塁!、珠緒!!?」

 

 

 

一方、文もまた危機的状況を脱したのだが・・・

 

超高熱の地獄の業火を纏いながら

 

奇っ怪な言語を発し

 

頭上に炎で形造られた紋章を浮かべる

 

仲間達の変わり果てた姿を起き抜けに目の当たりにしては、動揺するしかない。

 

 

 

〔「そうだ、コレこそ正しき【憤怒】!」〕

 

 

 

「ッ、誰!?」〔「ブルル・・・!?」〕

 

 

 

〔「降りかかる理不尽への怒り!

 

ソレをはね除けられぬ己が弱さへの怒り!

 

燃やせ!、燃えせ!、燃やすがいい!

 

 

 

敵も 悪も 善も 世界も 自分自身も!

 

全てを俺の為に焼き尽くすがいい!!!

 

ぬふははははははははははははは!!!」〕

 

 

 

そんな彼女の脳裏に何者かの声が

 

 

 

〔「はい、サービスタイムはここまで」〕

 

 

 

増えた。

 

 

 

「「「「う・・・!?」」」」

〔「ブル!?、フ

「消えた・・・!?」

〔「ふんぬぅっ!?、後少しという所で!!

リリスモン貴様!!」〕

〔「デーモン、貴方って本当に気が早いのね

そういうのは本番まで取っておくモノじゃないの?」〕

〔「正論だな!!、余計に腹が立つ!!」〕

〔「・・・・・・・・・腹が立つのはこっちもだ

おでより先にルイを自分色に染めるなんてッ

う、うらやましいぃいいーーッ!!」〕

〔「おやおやぁ、流石にここで暴れるのであれば私としても黙っていられませんねぇ」〕

〔「ふぁ~~~、どいつもこいつもめんどくくせぇなぁ~!」〕

〔「待て、ズルルルルルル!!

んぐ、ぐ!、もうちょっとで食い終わる」〕

〔「こらこら、君まで参加したら本当に収拾がつかなくなるからやめなって

 

 

 

あー、文ー?、聞こえてるんでしょ?」〕

「!!!」

 

 

 

しかも何か普通に話しかけてくる。

 

 

 

〔「おめでとう   君達の時は遂に満ちた

 

 

 

もう魔封機なんかじゃ君達という役者には釣り合わない

下手に扱えば暴発の危険があるからデジモンの収納以外機能を停止しておいたよ

それでも力を求めるなら

 

 

 

君達のまほろばまでおいで

 

僕達はそこで待ってるからさ」〕

 

 

 

〔「続きは直接、ね」〕

〔「コ~ラ」〕

〔「あんっ」〕

「・・・・・・・・・え?、えっと、あの

今、使えなくなるのは困るんですけど??」

「やはり

舞台少女の中で最も危険なのはお前らか

 

 

 

凛明館演劇同好会!!」

「あ」

 

 

 

謎の声の持ち主により進化も武装化も奪われてしまった文目掛け、振り降ろされるのはアルゴモン究極体の拳。

 

「ぶ、なかった!」

「また避けた

いい加減消えてくれ、頼むから」

「お断りよ!!!

珠緒!、みんな!、やれる!?」

「ごめ!、んなさ・・・ぃ・・・・・・」

「か、からだにちからが」

「はい、りま、せ」

「うううっ」

 

彼女は攻撃を躱せる程度に動けるのだが

他の同好会メンバーは例の炎を出した反動がかなり大きく舞台の上で這いずることすらままならない。

 

「それなら、まずはあいつらから仕留めよう」

「させると思う?」

「止められるとでも思っているのか?」

「フミ!!!、危ないっキュッ!!!」

「危ないのはお前もだろうが!!?」

〔シャウトモン!!〕

「兄貴!!」『兄貴!!』

「ぁ・・・ぅ・・・ぇ・・・・・・?」

「スパロウモン、今の内に上へ」

「ええー!?、で、でも!、タマオ達が!」

「あちらはワタシ達に御任せを」

「ヒョヒョッと行くっ」

 

 

 

『《ボルトライン》』

 

 

 

「びょ?!!」

「しびびびんーっ!!」

「ぐ!が!が!がぁ!」

 

文がアルゴモン究極体を引き付けている間に

パートナーデジモン達が天井に吊るされたままの少女達を助けようとすれば、10体ものアルゴモン成熟期が妨害してきた。

 

「ドルルモン」

「タマオ達を拾って、引っ掻き回せばいいんだろうが!?

キュートモン!、来い!」

「キュッ!」

「バリスタモン、スターモンズ

シャウトモンがほっとけないんならとっとと担いで逃げろヨン

どこまで本当かわからないけど、そいつがやられたら不味い」

〔フ、ガ〕

『ヘッドぉ・・・』

「に、にげるったってどこへ?」

「少なくとも、あいつの目が届かない場所」

「残念だが、そんなモンは無い」

〔『ア!』〕

「くそ!、退路が!」

「断たれた・・・!!」

「言っただろう?、誘い込んだと」

 

更に、劇場内で蠢いていたツタが突如激しく波打ったかと思えば幾重にも重なり合い

一行が侵入する際に使った穴を塞いでしまう。

 

「はぁ!、はぁ!、はぁ!、は・・・!」

「おい、お前はまだ走れるんだろうな

これ以上はもう乗せられねぇぞ」

「キュウウウ・・・!」

「は!、とう!、然ッ!」

「(どこが!?)」

「(もう限界じゃない!)」

「「(文先輩!!)」」

『「《メテオスコーーール!!!》」』

 

1体と4人を鬣に絡め、閉ざされた空間を駆け回る狼に少女は息を荒げながらも追随。

 

〔ホーンブレイカー!!!

ッ、駄目カ!〕

『Nooooooo~・・・』『ナノ~・・・』

 

カブトムシロボと星型軍団は道を切り開くべく、ツタの壁に全力でぶつかるも傷一つつけられない。

 

「おいシャウトモン!!、お前本当にレイド帝国の支配者だったんならあいつを何とかしてみせろヨン!!、今すぐに!!」

「そーーっ!!、でっしゅーーっ!!」

「い、や、俺、おれは・・・・・・・・・」

「蜂、芋、時間の無駄っヒョ」

「エーデルに関わるモンとして無様な姿を見せないで下さい」

「!!、ファルコ、モ」

 

 

 

この絶望的な状況の中

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

とあるデジモンは音を立てずに・・・

 

 

 

「グガ!?、奴め正気か!?」

「時間を掛け過ぎた、かぁ!!?」

 

 

 

 

 

   !   !   !   !   !

 

 

 

 

 

 

離れようとしたその時

 

 

 

異次元より召喚された伝説上のモンスターが

 

ツタも巨樹の一部も一瞬で食らい尽くし

 

アルゴモン究極体をも飲み込んだ。

 

 

 

「ウィザーモン、と誰だ?」

「あ、アレはッ

 

 

 

孤高の隠士!! アルファモンだヨン!!」

 

 

 

野外との境を失った劇場に

 

自称・魔法使いを伴って降り立つのは

 

裏地が『水色』な白のマントを羽織り

 

黒を基調に金の装飾が施された全身鎧を纏う

 

聖騎士。

 

 

 

「ぐ・・・!、やってくれたな!

だが、どうやって内部の配置を正確に!?」

「こいつがクロスローダーから情報を取得してくれたお陰だよ、うん」

「ーーッ」

「ぁ」

 

アルファモンから離れた後、ウィザーモンは杖に宿った『光』を消してとんがり帽子を目深く被る。

 

「盗み聞きに覗き見か

聖騎士ともあろうモンがはしたない真似を」

「ボクがゴミ捨て場育ちなのは知ってるんだろ?

使えるモンは何だって使うよ、うん」

「そういえばそうだったな

 

 

 

所で、お前にはコレが何かわかるか?」

 

 

 

「アレは!!」

「じゅ、じゅ、さ」

 

電脳世界の抑止力と相対しているにも関わらず

体躯の右半分を再生中の『黒の逢魔』が平静を装えるのは、左手に水色に輝く蕾を掴んでいるから。

 

「クックックッ!、勿論わかるよな?」

「・・・・・・・・・」

「え?、は?、お、おい!、止まれ!!

人質がどうなってもいいのか!!?」

 

 

 

「人質?、そんなモンがどこに居る」

 

 

 

『!?』

 

 

 

なのに、アルファモンは構わず距離を詰め

 

 

 

「ヒッ!!

 

(だ、だいじょうぶだ!!

 

『情報』の通りなら出来る訳が無い!!)」

 

 

 

「お前が掴んでるソレは、ボクの」

 

 

 

「それ以上近づいてみろ!!、握り潰

 

 

 

「スタァよ」??へ」

 

 

 

アルゴモン究極体の眉間に

 

 

 

           1本の矢

 

 

 

が突き刺さるの同時に聖剣で電脳核を貫いた。

 

 

 

「・・・ッ"・・・・・・お、のれええええ!!

 

こうなったらせめてあいつらだけでも!!」

 

「「!」」

 

 

 

だが、その状態にも関わらず上を向き

《テラバイトディザスター》の発射体勢を取ってみせる。

 

 

 

「そうは」

「がふっ?!」

「させるもんですか!!」

 

 

 

すると、天上より

 

レイピアとロングソードが舞い降りて

 

強く、何より、美しい剣劇を魅せれば

 

 

 

「同好会もエーデルもフロンティアのみんなも

私が守る!!」

「え、や、うちは別にー?」

「香子ちゃん・・・」

「はいはい、そーゆーことにしといてやるから

よっと!!」

 

 

 

大太刀と小太刀

 

薙刀、メイス、ハルバートが追随。

 

 

 

そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「華恋!!」「行こう、ひかりちゃん!!」

「ーーーーーーーーッ!!

 

 

 

きゆううううせいしゆううううううううううう!!!!!!」

「《聖、剣・・・グレイダルファー!!!》」

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

 

 

 

サーベルとスティレット

 

赤と青の上掛け

 

2人でひとつの運命が描くキラめきに合わせ

 

『水色』の聖剣がより深く刺し込まれた。

 

 

 

 

「ん、で? を、たすけてくれ・・・ぃ・・・・・・」

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ーーーーーー!」

「あるるぅうううううう!!!」

 

アルゴモン究極体の電脳核が完全に破壊されたことにより10人を拘束していたツタが枯れ、朽ちていく。

 

「栞!!、大じょ痛!?」

「ー~"・・・!・・・ーー~~~!ッ!!"」

「そ、そこはもう塞がってるってばぁ!!」

「よかった、ヨン」

「「「「!"、!"」」」」

 

 

 

「あらあら、この忙しい時に

何や羨ましい格好してはるなぁ、珠緒はん」

『!!!』

 

 

 

「お前、わかってて言ってるだろ

あー、その、ありがとな同好会

エーデルとフロンティアも」

『ッ』

「?、ララちゃん?、ゆゆちゃん?」

「皆さん、何やら顔色が優れない様子です

 

 

 

が・・・・・・・・・!?」」」」」」」」」

 

 

 

「天堂!!?、愛城!!、神楽!!」

「う、ううっ、なん、で?」

「衣装が、消えた?」

「デジモンとパートナーの契約を交わしていなければ、舞台少女はこの輝きの無い世界でのSTAGEには立てないの」

「そんな!!

これじゃあ、みんなを守れない!!」

 

アルゴモン究極体を討ち取り、他校の舞台少女達を解放することに成功した99期生達だったのだが・・・レヴュー衣装と武器が突如0と1に分解。

聖翔音楽学園の制服姿に戻ってしまう。

 

「アルファモン」

「うん?」

 

すると、眼鏡の少女が聖騎士の元へ。

 

 

 

 

 

バチッ    ポフン

 

 

 

 

 

「ううううん!!??」

 

彼女が有無を言わさず神機をもぎ取り

己の手首に装着すれば

アルファモンが一瞬にしてドルモンへ退化。

 

「な、何してるんだよぉおおジュンナぁああ!!?」

「何してる?、は!、こっちの台詞!!!

あなた!、なんで?、どうして?

神機がこんなになってるのにキラめきとソウルを使ったの!!?」

「う、うん、そそそれ、は、その、うん」

 

 

 

「そんな簡単に手放さないでよ」

 

 

 

「!!」

「あなたの言葉よ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん」

 

重厚な黒と金のラインが消失し、ヒビだらけになっている水色の機体を見せつけられ

上掛けに引っ掛けられた弓矢より鋭い視線に射抜かれた星見純那のパートナーは尻尾をピンと立てて膠着した後に、耳をしなだれさせながら頭を下げた。

 

 

 

 

 

ド!   ォ!   ゥ!   ン!!!

 

 

 

 

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・、!?』

「あいつも来てるの?」

「う、うん」

 

 

 

 

 

ドォン! ドォン! ドォンドォンドォン!

 

 

ドォォォオオオンッッッ!!!!!!

 

 

 

 

 

『ぼふっ?!』

 

その直後、劇場どころか巨樹全体が揺れる程に凄まじい衝撃と大量の土煙が舞台少女とデジモン達を襲う。

 

「ジャ!!、ジャ!!、ジャ!!」

「?、??、!!」

「ジャーーーーーーン!!!!!!」

『!!』

「ひかりちゃああああああーーーんんんん!!??!?!?!!!???」

 

薄茶のスモークを引き裂き、突き出されたのは筋骨隆々な腕。

 

「ヒカリ、頼む」

「なに?、を、あ・・・・・・・・・」

「ゥー・・・ゥ・・・・・・」

「エー、ちゃ??」

 

少女を掴む腕とは反対の肩にて

全身の至るところに小さな棘を生やし、捻れた9つの大きな棘を背負った凛々しい風貌の獣人が

 

 

 

【データ】を所々欠けさせた状態で

 

 

 

弱々しく息をついていた。

 

「エリスモンッッ!!」

「・・・・・・・・・ヒー、けが、してないー?」

「うん!!、う"ん"!!」

「エヘ、ヘー、よか、たー」

「ーー!!、あなたは、いつもそう!!」

 

再契約によりラセンモンからエリスモンへと退化した神楽ひかりのパートナーは、再び構築された青い上掛けに埋もれ

あどけない笑みを浮かべていると

 

「ドルモン、説め」

「《究極螺旋王竜剣》で無理矢理世界の壁を抜けてきた」

「!?、その技は!!!」

 

 

 

「グルルルルル・・・アアア・・・・・・ァ・・・!」

「ぐず!う"う"!ずび!うぐぅ"う"う!」

 

 

 

「エンシェントガルルモン!!?」

「エンシェントグレイモン!!?」

 

 

 

「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

露崎まひると石動双葉のパートナーが

 

規格外の巨体を誇る武者竜を担いで

 

此方に近づいて来るのが見えた。

 

 

 

「ーーーーーーーー!!!

 

 

 

りゆうううくうううううんんん!!!!!」

 

 

 

故に、愛城華恋は劇場から飛び降りた

 

 

 

今にも消えてしまいそうなパートナーを目指して。

 

 

 

「華恋!!?、バカ!!、バッ華恋!!!」

「!!」

「手を出すな飛竜」

「しかし!!」

「『風』なんて起きたらあいつがうるさいんだよ、うん」

『あいつ?』

 

 

 

「ア"ァアアーーーーーーーーーッッッ!!」

 

 

 

『!!?』

「な!、なんだ!?、今の声は!!?」

「この私、天堂真矢のパートナー

月光の神ディアナモンです」

「因みに、こっちが私のパートナー

闘争の神、マルスモンよ」

「か、み?」

「・・・・・・・・・いえ、神と言ってもデジタルワールドでは役割でしかありませんよ、王」

 

 

 

「リュー君!、リューくぅううん!!」

「ぬ、ぐ、かれんっ」

 

 

 

少女達の困惑を余所に華恋は《アロー・オブ・アルテミス》が造る氷の道をひた走ると

強く掲げた掌でオウリュウモンの指先を

そこに収められた刃が備わる赤い神機を掴んでみせる。

 

「華恋・・・面目無い・・・・・・」

「グス!、メモなんてぇ"いらないよお"!」

「ぬうぅ、御主、変わらんなー」

 

制服からレヴューのモノへと衣装替えをし

涙を流す舞台少女の腕の中、和風の鎧を身に纏う獣型デジモン・リュウダモンは困ったような・・・

だけど、どこか嬉しそうに口の端を歪めた。

 

「ふっぐ!!あう!!う"うあああうう"ううーーー!!!」

「相棒!!、リュウダモンはもう大丈夫だ!!

だから泣くなよ!!」

「・・・・・・・・・」

「ありがとうエンシェントガルルモン」

「・・・・・・・・・」

「え」

 

嗚咽を漏らし、氷の道を溶かす竜の始祖の横で

獣の始祖は片手に乗せた1人と1体をまひるの近くに降ろす。

 

「はなやぎさん」

「今話してる暇ないんで、後に」

「ごめんなさい」

「え?」

「ごめん、なさい、ごめんな、さ、わたし」

「ともえ、までなんだよ?

・・・・・・・・・ーーーッ(なんでいない?

 

 

 

お前 最速 なのに、なんで??)」

 

 

 

「ケッ」

「バンチョーレオモン!!!

 

 

 

ばんちょーれおもん?」

 

 

 

何も語れない2体の背を飛び越え、劇場に着地した大場ななのパートナーは

彼女の横をすり抜けて・・・

 

 

 

「ブイはん」

「・・・・・・・・・アア、そうだァ」

 

 

 

花柳香子の足元に

 

立派だった筈の鎧を欠いて

 

マントを模した翼を失い

 

ゴホウビを得る為のソレを無くしたパートナーを

 

アルフォースブイドラモンをゆっくりと置いた。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

劇場内がしんと静まり返る中

 

彼女はゆっくりとした足取りで歩みを進め

 

原形を留めているのが不思議な程に破損した

 

己が神機を震える指先で摘み取る。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「なんで

 

 

 

なんでめざめないんだブイモン」

 

 

 

再契約が交わされ、聖騎士から小竜へと退化したのだが・・・その体躯はやつれ果て、顔上半分の【データ】に変化は無い。

 

 

 

「ほ、ほら、おきて、おきてくれ、たのむ」

「やめろ炎の」

「カオルコがいるんだフタバもいる

ひさしぶりにみんないるんだ」

「やめろよ」

 

 

 

昏睡したままのブイモンにエンシェントグレイモンが己との体格差も弁えず近づこうとするので、エンシェントガルルモンが燃え盛る翼を掴んだ

 

 

 

「だって

 

きみ

 

ずっとがんばってたじゃないか

 

また

 

もういちど

 

 

 

カオルコの舞をみるために」

 

 

 

「ぁ」

 

 

 

「やめろっつってんだよ!!!」

 

『きゃああああ!!?』

 

 

 

直後、竜の顔面に獣の拳が突き刺さった。

 

 

 

「おい!!!、オヤジィ!!!」

 

「こんな時に何してんジャン!!?」

 

「ストラビモン・・・!」

 

 

 

「フーッ!!、フーッ!!

余計なこと言いやがって・・・!

 

 

 

んなモン関係無い子達に背負わせんな!!」

「ぅぅっ、うううう・・・・・・・・・」

 

 

 

 

息を荒げ、赤い眼を爛々と光らせる今のエンシェントガルルモンには仲間達やパートナーの声も聞こえない。

客席の残骸に埋もれ、咽び泣くエンシェントグレイモンを構わず怒鳴り散らしている。

 

「再契約は済んだようだな

ならば、とっととここから離れるのデシテ

ワタクシの幻術も長くは持たん」

「ディアナモン、何が

いったい、なにがあったんですか?」

「それは・・・」

 

 

 

「だれがやった」

 

 

 

『!』「いす、るぎ、さっ」

 

 

 

「誰がやった」

 

 

 

微動だにしない香子に寄り添い

 

声と拳を震わせる双葉

 

 

 

「わたしだ」

 

 

 

彼女の問いに答えたのは、自称・魔法使い。

 

 

 

「飛竜ッ、お前今そういうのは止めろ!!」

「わたしなんだ」

「おまえがブイモンを」

「ち、ちがう違うよ!!」

「そうだよ!

悪いのは全部『黒の逢魔』の奴らだ!!」

「お願いだから説明させて!!」

 

呆然自失な状態で問題発言を繰り返すウィザーモンをララフィンやスパロウモン、つかさが庇った

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

凄まじい『光』が劇場を目映く照らし

ウィザーモンが独占していた情報が・・・

 

 

 

「な、ん」「(うそ・・・)」

「キュウウ、ど、ドルルモン?、シズハ?」

 

 

 

神界における99期生とそのパートナーデジモンの活躍が

 

 

 

「わたし、なにも、まもれなかった?」

「ッ、ナナァ」

「私達は、救世主という役を演じきった

演じきったつもりだった

その結果が『コレ』?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・完全無欠、だなんて

ほんと、我ながら、よく言えたものね」

 

 

 

輝きの無い世界での3校の奮闘が

 

『黒の逢魔』の正体や目的が

 

 

 

 

 

          「ばか」

 

 

 

 

アルフォースブイドラモンの独演が

 

 

 

 

この場の全員に共有された。

 

 

 

 

 

「は」「ははっ」「「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

 

「!、スト、ラビモン、フレイモン」

 

すると、表情を無くした始祖2体の口から乾いた笑い声が上がる。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

『〇◆△△~◎』

「「「「「《ブルートナックル》」」」」」

『《ボルトライン》

『〇◆ーー△〇◆△△~◎△~◎』』

 

その姿を見た月光神が劇場の周囲に展開していた幻術を解除すれば、大量のアルゴモン族が一気に雪崩れ込み

 

 

 

 

「《オメガバースト》」「《アブソリュートゼロ》」

 

 

 

 

 

超爆発と超凍気の餌食となった。

 

 

 

 

 

「ヒンーーーっ!!!」

「ーーーーーーッ

(『いま』ので

コレぐらい出来ることはわかって筈なのにッ

なんで、ふるえとまんない・・・!!?)」

「お、おねえちゃ」

「だ、だいじょうぶよ、しおり」

 

 

 

 

「グルルルルルルァアアアアアア!!!!!!」「ギャオオオオオォォォォォォン!!!!!!」

 

 

 

 

「「ひっ」」「く・・・ぅぅ・・・・・・」

 

 

 

 

劇場の外からでも感じられる原始の怒気に気高き君は恐れ戦き

 

 

 

 

 

「ばか」「香子」「ばか」「もういい」

 

 

 

 

「ばか」「もういいって・・・!!」

 

 

 

 

「「「「ーーーーーーッッ」」」」

 

 

 

 

 

同好会は小竜の前の2人に唇を噛み締める。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

「デジモンキング?

 

お前が?

 

しかもなんだよ    あの姿は」

 

「ぁ」

 

「!、やめなさいドルモン!!」

 

 

 

 

始まりの名を持つ聖騎士の転生体は

 

背後から抱きすくめるパートナーの制止を無視して

 

全ての元凶の転生体へと詰め寄る。

 

 

 

 

「『今』のでわかったでしょ!?

その子には」

「記憶は無い?、だから関係無い?

 

 

 

 

だったら関係無いままでいろよ!!!」

 

 

 

 

「あ、あ」

「兄貴」『兄貴ぃ・・・』〔シャウトモンッ〕

 

 

 

 

「なんだよ?デジモンキングって

なんであいつの

 

 

 

オメガモンの姿使ってそんなこと言える?

 

 

 

どこまでおまえは

 

 

 

あいつを縛りつければ気が済むんだ!!?」

 

 

 

「!!」

 

 

 

 

真正面からぶつけられた渾身の叫びに情けなく彷徨う視線。

 

 

 

 

「ル、る・・・・・・・・・

 

 

 

 

え」

 

 

 

 

 

「あるる!!ねえあるる!!あるるうううううう!!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あるるちゃん!!!ソレはダメええええええええーーー!!!!!」

「大月さんッッ!!?」

 

 

 

 

その先に居たパートナーは

 

周りの声も届かない様子で

 

 

 

固くて     重くて     黒い

 

 

 

暗黒のソウルをポツ・・・ポツ・・・と落とし

 

真っ赤な炎のような色合いだった筈のクロスローダーを

 

 

 

 

『黒の逢魔』のダークネスローダーに変えていたのだった。

 

 

 

 




『黒の逢魔』の主張
デジタルワールドから追放された我々はチートを使って救世主と世界に復讐する
今さら気づいた所でもう遅い
新世界を造って真の仲間達と一緒に幸せなセカンドライフを楽しみます
ざまぁみろ←絶対コレが一番重要





ようは捨てられた幼児が周りに八つ当たりしながら騒いでいるという傍迷惑な連中なのである。



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いどめ向かい風 すすめ!、デジタルワールド!



輝きの無い世界の何処か・・・


「ああそうかそうか、そういうことだったのか
だから、彼女はシャウトモンと契約出来たのか
くくくっ!、これは面白いことになったね」

そこではダークナイトモンが大粒のルビーを片手で弄びながら嗤っていた。

「面白がっている場合か」
「おや、体の具合はどうかね?」
「お前のお陰で存分に『闇』を食えたからな
傷は完全に癒えたオレには問題は無い
・・・・・・・・・が、オレや他のモンの侵入を許したのはまずいだろう」
「そうでもないさ
結界によって終焉の音は遮っている以上
『奴等』の介入はあり得無い」
「確か『滅びを運ぶモノ』だったか?
アレと同じようにお前がオレ以上に警戒している存在の」



〔「ーーー!ー!!、ッ・・・ッ・・・・・・」〕



暗黒騎士の傍らで『闇』の器が見上げる鳥籠の中では人型の電脳生命体が目に涙を浮かべながら必死に足掻いている。

「同じようにすればいいんじゃないのか?」 
「直接は危険なんだよ
だからこうして間接的にその力を利用する」
〔「ーーーーーー・・・・・・・・・!!」〕
「精々囀ずっておくれ、ヒトに造られた金糸雀よ
君の歌とこの25の楽器達が奏でる音楽が
私の夢を叶えてくれるのだから、ね」
「よくわからないが
お前の為になるならオレは幾らでも力を貸そう
ソレがオレの贖罪なのだから」
「・・・・・・・・・それならば、一つ頼まれてくれるかね?」





☆輝きの無い世界

 

 

 

 

 

「「オオオオォォォオオオオオオオオオオオオーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」」

 

 

 

 

 

「エンシェントグレイモンもエンシェントガルルモンもいつまでやってるつもりジャン?」

「気が済むまでだろう、放っておけ」

 

聖翔音楽学園周辺で暴れ回る『火』と『光』に神々はしかめ面で眺めていた。

 

「・・・・・・・・・」

「まひる、ちゃっ」

「今はそっとしておいてあげなさいよ」

「でも!、でも、だってあたし達」

「いいから!」

「!?」

「お姉ちゃんッ」

「・・・・・・・・・ごめんなさい」

「う、ううん、あたしこそ、ごめん」

 

遠くで咆哮と爆音が聞こえる中、一応の安全地帯である大樹に飲まれた地下劇場内にて

少女達の大半が集まっていた。

 

「大月さんは本当に大丈夫なの?」

「うん、あの子が使ってるのはヒーのと違うから

あの時のエーみたいにはならないよ」

「そう・・・」

「そっちの心配は無くても

あるるんも、シャウトモンも

もうこの舞台には立てそうには」

「それでも!!

それでもッ、私達は!!、この物語を続けなくてはいけなんです!!」

「どうやって?」

「!、ミチル、さん??」

「『黒の逢魔』は世界中の人間から幾らでもソウルやキラめきを使えるのんだよ?

ソレを使ってまた究極体が現れるかもしれないのに

成熟期までにしか進化させられない私達じゃアルフォースブイドラモンの時みたいに足手纏いにしかなれないのに

どうやって続けるつもりなの?」

「え、あ、その・・・・・・・・・」

「やめろミチル」

「みんな荒れてる」

「無理もありませんよ」

 

あちこちで険悪の雰囲気が放たれる光景を見る次席と首席の表情はパートナーに負けないぐらい険しい。

 

「・・・・・・・・・」

「あ、あの、石動さん

アルフォース、じゃなくてブイモンは?」

「目覚めていないのでしょうか?」

「ああ」

「・・・・・・・・・花柳さんは」

「まだ」

「「「ッ」」」

 

双葉もまた、今まさにアルゴモン族を蹂躙している相棒に匹敵しかねない殺気を全身から漲らせているので

塁もゆゆ子も珠緒もこれ以上の言葉を掛けられなくなる。

 

「月光神ディアナモン」

「なんデシテ?」

「他の聖騎士や神々はこの世界に来れるのか?、ヨン」

「グ」

「ああーっ!!、そーっでっしゅーっ!!

そーだいしょーっ!!・・・・・・・・・ヒン??」

「ヒョン?」

「これだけ空間が歪み切っていれば

上位個体が強引にゲートを開くこと自体は可能だろう」

「!!、ならばすぐにでも!!」

「しかし、『黒の逢魔』はデジタルワールドでも暴れている

その鎮圧が終わらん限りは無理デシテ」

「そう、ですか」

「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・やっぱり)」

「でもさぁ、このままも不味いジャン

いくらあいつらが掃除したってどっからケラモン系とかアルゴモンが湧いてくっかわかんねーし

うーーん、やっぱアケビ号も一緒に持ってくりゃ良かった」

「まぁ、な

その方が奴の『監視』も楽だったろう」

 

エーデルのパートナーデジモンに囲まれるディアナモン。

その細められた眼差しの先では

 

 

 

赤い背中を丸めた小竜が

 

スタンドマイクを引き摺りながら

 

頼りない足取りで歩いていた。

 

 

 

「(おれがレイド帝国のうまれかわり)」

 

信じられない 信じたくない

 

なのに疑いの余地がない。

 

すっかり熱を無くしてしまったハートの中で

 

色んな感情がグルグルまわる。

 

 

 

〔ソロソロ休マナイカ〕

「!?」

「体を動かすばっかじゃクールダウンも出来ないゼ」

 

ソレに身を委ね、彷徨うばかりだった自分の前に現れたのは・・・

行く先で待っていてくれたのはカブトムシロボと星軍団。

 

「なん、で??、どうして」

〔野暮ナコトヲ言ウナ〕

「ーーーーーーッ、でも!」

〔デモモストモネェーンダヨ

俺ガヤリタイカラヤッテルンダ〕

「!!」

「それだけだ、ゼ」『ゼ!』

「おまえら・・・」

 

真っ向勝負の衝撃に赤い膝が折れ、シャウトモンが地べたにへたりこんだ両隣に

バリスタモンとスターモンズ腰かける。

 

 

 

〔凄カッタナ〕

 

 

 

返答は無い。

 

 

 

〔格好良カッタナ〕

 

 

 

返答は無い。

 

 

 

「憧れるよな!」『うんうん!』

 

 

 

返答は無い。

 

それでも構わず言葉を、想いを重ねていく。

 

 

 

〔聖翔ノミンナガ救世主ヲ演ジテクレタ

 

ダカラ、俺達ハ出逢エタンダナ〕

 

「・・・・・・・・・でも、そもそも、お前がッ」

 

〔バリスタモン〕

 

「え」

 

〔火ノ玉小僧ト呼バレルオマエノ砲台

 

オマエガクレタコノ名前、俺ハ好キダ〕

 

「!!」

 

〔ダカラ、オマエモ好キニスレバイイ〕

 

「なにをしようが

 

どこにいようが

 

俺達は兄貴の側に居るさ」『いるさ!』

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

体温など存在しない鋼鉄の体躯。

なのに、両隣からは確かな温もりが感じられて・・・

 

 

 

「なんだよ、ボクの出る幕無いじゃないか」

 

「だからって

 

謝らなくていいってことにはならないでしょ?」

 

「う"っ、うん・・・」

 

「〔「『!!?』」〕」

 

 

 

その時、シャウトモン達に歩み寄ってきたのは

大きな尻尾が特徴的な紫の獣ドルモンと

パートナーである99期生・星見純那。

 

 

 

ふたりの背後では大場なながバンチョーレオモンの手首を狙って何度も飛びかかっては往なされていた。

 

「アルファモ・・・・・・・・・ドルモン」

「うん、そうだよ」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

無言のまま見つめ合う2体。

 

その背後では大場なながバンチョーレオモンによじ登っては首根っこを掴まれ、何度も地面に降ろされていた。

 

「無駄に間を造らないの」

「ぅ"!、んんっ

その、さっきは八つ当たりしてごめん」

「え」

「今世の君には何の落ち度も無いのに前世の咎を一方的に責め立てるなんて・・・

そんな資格、ボクには無いのにあんなことを言って」

「無駄に卑屈にならないの」

「だって本当のことだしさ、うん・・・

それに、もうひとつ君に

君達に伝えたいことがあるんだ」

〔フガ?〕『「俺達も?」』

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

「〔「『!?』」〕」

「エーデル、同好会、そしてフロンティアの舞台少女・・・

彼女達が今まで無事だったのは間違いなく君達が世界の壁を越えてくれたお陰だ」

「で、でも!!、アルフォースブイドラモンは!!

俺がッ、おれをかばって・・・!」

「ソレを気に病んでるんなら、さ

 

 

 

次の舞台でキラめいて魅せろよ

どんな災厄も困難も絶望もひっくるめて」

 

 

 

「!」

「舞台馬鹿ってそういうモンなんだからさ」

「馬鹿は余計よ、もうっ」

「・・・・・・・・・ソレさ

 

 

 

ほんとにおれのモンなのか?」

 

 

 

〔!〕

「あ、あにき・・・?」『ホワッツ・・・?』

「おれが、ステージに立ちたいって思ったのも

 

デジモンの王様

 

デジモンキングになりたいって思ったのも

 

全部・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「全部、前世が望んだモンだって言うのなら

 

ボクだって同じだよ、うん」

 

「あ」

 

「ドルモン・・・」

 

 

 

謝罪   感謝   告解。

 

 

 

これらが行われている背後では、GAKU-RANを被せられた大場ななが何度も脱出を試み

その都度バンチョーレオモンの掌に阻まれていた。

 

「飛竜から情報を直接送り込まれた瞬間

あいつの、オメガモンのことしか頭になくて

君を傷つける言葉を吐いた時の衝動は

ほんとに、今のボクのモンだったのか

ボク自身にもわからないんだ」

「・・・・・・・・・」

「でも、それは結局言い訳でしかない

起源はどうあれ、あの言葉を出したのは間違いなく今を生きてるボクの口なんだから

 

 

 

それは、君も同じだよ シャウトモン」

 

 

 

「おなじ?」

「今、君の隣に居るふたりは

今の君の行動の結果、そこに居るんだろ?」

「あ」

〔フガ〕『「へへへっ☆!」』

「それは君にとって大切なことだとボクは思うよ、うん」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「ダァアアア!!!

テメェほんとにめんどくせぇなァー!!!」

「んんむぅうううーーー!!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ぶふっ!

 

 

 

あはははははははははははは!!!!!!」

 

 

 

〔!?、シャウトモン笑ッタ、笑エタ!〕

「ああ・・・ああ!、お陰様でな!」

『「Yeeeeeah!!」』

「う、うん・・・ならよかった・・・・・・・・・のかな?」

「わたしにきかないでちょうだい・・・・・・・・・」

 

自分達の背後で上半身をGAKU-RANに覆われ、足を何度もバタつかせながらバンチョーレオモンに担ぎ上げられる大場ななの姿にひとしきり大笑いした後、シャウトモンはマクフィルド社製のスタンドマイクを力強く握り直し

 

 

 

「さぁて、と・・・

 

んじゃ、いっちょやってみっか!」

 

「うん?、何を?」

 

「今一番俺がやりたいこと

 

スゥーーーーーーーーーーーーッッ」

 

〔!?、待〕

 

 

 

 

 

「ア!!!ルッ!!ルゥウウウウウウ"うううーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」〕《ソウルクラッシャー!!!》。

 

 

 

 

 

〔フガッ、間二合ワナカッタカ

スマナイ、ミソラ〕

 

 

 

「「「「「ー"ー~ー~~ー?!!ーー~ッ"ッ"ッ?!"!?"!」」」」」

 

 

 

バリスタモンが詫びるのは、スピーカーから拾った音声を『拡大』して今までの自分達の会話を流していたクロスローダーの持ち主とその仲間達。

超大音量のシャウトを諸にくらった結果

美空の周りではつかさやスパロウモン、ララフィンとキュートモンが両耳を押さえて悶絶し

 

 

 

「ぅぅぅ・・・み、みがぁーん・・・・・・!」

「い"!?ったぁ~~・・・!!」

 

 

 

ついでに、発生源の近くに居たドルモンと純那の聴力も一時的に麻痺状態に。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

しかし

 

《ソウルクラッシャー》を耳にした者の中で

 

大月あるるだけは微動だにしない。

 

 

 

〔「まだ、全部を飲み込めた訳じゃねぇ」〕

 

 

 

シャウトモンはそれでもダークネスローダーを握ったままのパートナーに語りかける。

 

 

 

〔「特に

 

なんで『黒の逢魔』にお前のハートが奪われちまったのか俺にはサッパリわかんねーんだ」〕

 

「・・・・・・・・・ッ」

 

〔「だから

 

 

 

力ずくでお前を奪い返す!!!」〕「?!」

 

 

 

〔「へへっ!、忘れんなよアルル!

 

俺の声が世界の壁だって越えられることを

 

声さえ届けば体だって越えられることを

 

 

 

お前の居る舞台に立てるってことを!!!

 

 

 

・・・・・・・・・ソレが

 

俺がレイド帝国の支配者の生まれ変わりだって証明に他ならないんだとしてもッ

 

 

 

 

全力で歌って   踊って   奪ってやる

 

 

 

お前のナカにあるモンが

 

とんでもねぇ強敵だったとしてもだ!!」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで?」

 

 

 

〔「その方が燃えるだろ?」〕

 

 

 

「ぁ」

 

 

 

この台詞は覚えている、忘れない

 

特に、彼女は忘れられない。

 

〔「それによぉー!!、やっぱニンゲンのファン第一号を他のモンにはやれねーんだよなぁー!!」〕

 

 

 

 

 

 

ちがう

 

 

違うよシャウトモン

 

 

 

あなたが私のファンになったんだよ」

 

「!?」

 

〔「・・・・・・・・・へへっ♪

 

 

 

俺が今すぐそっち行ってやっから待ってろ」〕

「うん、待ってる」

 

 

 

「(ああ、『また』だ)」

 

目の前で幼馴染みが『熱』を取り戻し始めた。

 

その切っ掛けが何だったのかすら今の美空にはわからない。

 

「(あたしが何度声を掛けてもダメだったのに

 

シャウトモンは・・・

 

この物語が始まってからずっとそうだ・・・

 

そこは、あたしの  なのに・・・!)」

 

 

 

 

 

ミシッ   ギ ギ ギィーー

 

 

 

 

 

〔?〕

 

 

 

1人と1体を繋ぐクロスローダーを握り締める力が増して、スピーカーにノイズが混ざる

 

 

 

その時だった

 

 

 

「《スモーキングブキ》」

 

 

 

『黒の逢魔』が奇襲を仕掛けたのは。

 

 

 

「クッ、ソ、たれがァ!!」

「ちょっ!?」「純那ちゃん!!」「ぅんあ!」

「ゲホッ?!ゴホゴホ!!」

「な、なんも見えねーゼ~ー!」『Nooooooo~ー!』

〔ミンナ!!〕

 

七色をした濃い煙が自分達を包むや否や、バンチョーレオモンは純那とドルモンをなな同様GAKU-RANへ。

 

 

 

「獣魂解放」

 

 

 

すると、《スモーキングブキ》に紛れて・・・

 

 

 

「《マスターオブダークネス》」

 

「!?」

 

 

 

シャウトモンを狙い飛来した『闇』

 

 

 

「「見

 

ィつゥけたぁああ"あァアアアああああアアアアア"アああーーーーーーーーー!!!!!"!!!!」」

「ぐあ?!」

「ネ"?!」

 

 

 

が、『光』/『炎』に焼かれた。

 

 

 

「や、やめろ!!、オレぇー!!」

「ギャオオオオオォォォォォォン!!!!!!」「グルルルルルルァアアアアアア!!!!!!」

「ウワアアアァーーー?!!?!」

 

【己】が姿を現した瞬間、怒り狂った獣と竜が

巨鳥の体躯に食らいつき至近距離から超爆発と超凍気を放つ。

 

「テメェら固まれえええい!!!」

「〔「『グエッ?!!』」〕」

 

その余波に巻き込まれる寸前、男魂の峰により吹き飛ばされるシャウトモン達。

 

「ば、バンチョーレオモン!?

あいつらをどこへやったんだよ!?」

「・・・・・・・・・一番信用出来るモンの所だァ

んなコトよりさっさとオヤジ達を

 

 

 

ッ! 来んなァ!!! 止まれ!!!」

 

 

 

懸念材料を安全圏に強制退避させたバンチョーレオモンの隻眼が捉えたのは

 

 

 

パートナーへと向かっていく少女2人。

 

 

 

「「ぅぁぁああああああ!!!!」」

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?

 

 

フ、タバ?」マヒル?」

 

 

 

「いやあああああああああ!!!まひるちゃん!?!やだ!!なんで!!なんで!!?また?!!やああああああ!!!!」

「キュートモン!!キュートモンどこ!??キュートモン!!」

「ひどい」

 

 

 

「「あ、あ?、あああ・・・・・・・・・!」」

 

 

 

何よりも大切な存在にいちえや塁、ゆゆ子が駆け寄っていくのをエンシェントグレイモンもエンシェントガルルモンも呆然と見つめる他無い。

 

「ディアナモンッッ!!!」

「わかっている!!、騒ぐなテンドー!!

貴様らも下がれ!!、治療の邪魔だ!!」

「「ぅぅう」」

「まひる!、双葉!、聞こえる!?」

「ハァ・・・ハァ・・・たり、まえ」

「ちゃんと、きこえてるよクロちゃん・・・」

「「「「「はぁーーーっ」」」」」

 

内部の【データ】が露出した部位にカルポスヒューレ産の薬品をありったけぶっかければ

即座に再生が始まり、2人共大事には至らなかった。

 

「おい!、コレどっちも『闇』と暗黒のソウルでガワだけ造ったニセモンジャン!?」

「『黒の逢魔』がァ!!、しょーもねぇ真似しやがって!!」

「「ぇ」」

「ハッ、ハァ!、目、覚めた?」

「マ、ヒ・・・ぅう・・・・・・」

「あい、ぼ、おれ、オレは」

「頭に血が昇ってたのは、あたしもだから

でも、それじゃ、ダメだッ

踊らされるだけは!!、もう!!」

「フタバ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「らしくない顔している場合かアホめ!!

とっととシャウトモンを回収してこい!!」

「わ、わかってるって!」

 

まひると双葉の経過を看ながらヒステリックに叫ぶディアナモンの指示に従い、マルスモンは跳ぶ。

バンチョーレオモンがシャウトモンの護衛として一番信用出来る存在

 

 

 

「ドルルモン」

「ッ」

 

 

 

オレンジ色をした豊かな鬣を持つ尻尾がドリルな狼の元へ。

 

「なんで、いわなかった?」

「言わない、じゃない

言えないの、私には」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ、お互い様って奴か」

「そうね」

 

ウィザーモンによりも齎された真実の数々。

そこにはドルルモンの秘密が隠されていた。

 

 

 

 

 

 

(こわい

 

 

 

こわくていえない

 

いま、あなたがわたしのまえからいなくなったら

 

 

 

わたし もう ココにたってられない)」

 

 

 

望んで立ったステージなのに巻き起こるイベントは己のキャパシティを越えるモノばかりで・・・

挙げ句、世界が滅亡してしまった。

 

これが本当にゲームだったのならば彼女は既にコントローラーを放り投げている。

 

でも、どれだけ非現実的でもこれは現実

逃げることすら出来ない。

 

だから、胡蝶静羽は己の胸の内に秘密を押し込めるのだ

 

唯一残されたヨスガを失わない為に・・・。

 

 

 

「〔「『ううううわああああああああああああーーーーーーーーーーーー!!!???』」〕」

「「ッッ!?」」

 

 

 

このタイミングでバンチョーレオモンに吹き飛ばされたシャウトモンとバリスタモン、スターモンズが1人と1体の間に落下。

 

「どうしたお前ら!!?」

〔グ・・・敵襲、ダ!〕

「『迷宮』のボスが攻めて来たんだ、ゼ!」

『ゼ!』

「そんな!!どこまでクソゲーなの!!?」

 

突然の事態にただでさえ荒んでいた心が悲鳴を上げ、口汚い台詞として舞台に響いた。

 

 

 

なのに

 

 

 

「・・・・・・・・・アルル?」

〔フガ?

 

!!、ソウダ!!

 

今ノミソラ達モ聴イテタ筈!!〕

「え」

「な、なのになんでシスター達に動きがないんだ!?」『ホワッツ!?、ホワッツ!?』

「まって

 

 

 

まさか」「キュートモン!!!!!」

 

 

 

異常な静けさが辺りを支配している

 

まるで、『誰か』に

 

音が奪われているかのように。

 

 

 

 

 

「デジ忍法   無音殺法」

 

「"・・・?・・・っ・・・・・・・・・」「ーー!、~~!!」

 

その『誰か』・・・ダークナイトモンの懐刀・ツワーモンの足元では、身動ぎすら出来ない程に打ちのめされたスパロウモンとキュートモン

更には、上掛けを奪われ機能停止に陥った舞台少女3人が横たわっていた。

 

「ドォオラアアアアアアアアアアーー!!!」

「デジ忍法、風神波」

 

ツワーモンは背後から迫る《ドルルトルネード》を印を結んだ左手から発生させた風で容易く相殺。

 

 

 

「?!?、あ、るるちゃ」

「《マンティスアーム》」

「あ・・・・・・・・・」

「シズハァ!!」

 

 

 

竜巻に乗って急接近してきた舞台少女には右肩の『盾』で動きを封じ、すかさず星のボタンを斬り飛ばして他の連中と同じようにしてみせる。

 

「思ったより早かったネー」

「お前!!!なんでアルルを!!?」

「さぁーネー?、ミーにはプレジデントの考えはわからいないよー

デジ忍法、世渡り」

〔フガ!?〕

「ゲートだとぉ!?」

「ヤバいゼ!!」『アルルーー!!』

 

シャウトモンの叫びに金髪の少女を担いだ肩をすくめると、ツワーモンは足元に出現させたゲートに素早く身を滑らせた。

 

 

 

「させっ

 

 

 

ガアああア"ア"あああああア"あああアアアああああああアア"アア"アアあ"ー"ーーーーー"ー"ーーー"ーーーーーーッッッッツッ!!!!!!"!!!!"!!"」

「!?、ゲートが、閉じないッ」

「!!」

「キュートモン!!?」

 

 

 

すると、あの血を吐くようなシャウトが炸裂。

レイドプログラムを元に造られたゲートをクラッキングすれば、同時にピンクの小さな体躯が大きく震え・・・

 

 

 

「《ミナ!!

ナオオオオオオオルゥウウウウウ!!!》」

「「「「「!」」」」」

 

 

 

ドルルモンですら見たことの無い広範囲治癒技で自らとスパロウモンの傷を癒し、衣装を再生させる。

 

 

 

 

「キャッハ♪

 

キャッハッハッハッハッハァーッ♪♪♪

 

イイヨー!!、来るがいいネー自分から!!

 

我らがプレジデント!! ダークナイトモン様の元へ!!」

 

 

 

『あ"あああああああああああああ"ああ"ああああああああ"あーーーーーーーッッッ!!!!!!』

 

 

 

 

フロンティアの舞台少女と

 

そのパートナーデジモン達はすすむ

 

荒れ果てた大地に穿たれた穴の先・・・

 

 

 

デジタルワールドへ。

 

 

 

 

 

第三部・人間界編 完

 

 

 

第四部・崩界編に・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「?

 

 

???

 

 

!?

 

 

うおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドド!!!!!

 

              バッ!

 

                 キュポッ

 

 

 

 

 

「《無限波動!!!》ジャーーーン!!!」

 

 

 

 

 

続く!

 

 

 

 

 

 

 



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パートナー&その他のデジモン紹介+

☆パートナーデジモン紹介&その他のデジモン紹介

 

シャウトモン

パートナー・大月あるる

好きなこと・歌や音楽を聴くこと

苦手なこと・何もせずジッとしていること

好きな食べ物・デジノワ、チョコ菓子

嫌いな食べ物・あるるの手作りお菓子

(尚、元々嫌いな食べ物は無かったらしい・・・)

全てのデジモンの王・デジモンキングになるというビッグドリームを掲げる赤き小竜。

ガサツで血気盛んな性格なのだが、あるる相手だとストッパーに回ることもしばしば。

 

その正体は

 

かつてデジタルワールドを崩壊寸前まで追い込んだ挙げ句、人間界をも侵略しようとし

99期生とパートナーデジモン9体により打ち負かされ

 

自らもキラめきたい   そう願った

 

レイド帝国【遺棄情報】の転生体。

 

 

バリスタモン

パートナー・叶美空

好きなこと・守ること

嫌いなこと・戦うこと

好きな食べ物・新品の電池

嫌いな食べ物・自分で出した電気

鉄砲玉なシャウトモンの砲台を務める縁の下の力持ちなカブトムシ型マシーン。

ただでさえ暴走しがちなシャウトモンがあるるとの相乗効果で更にパワーアップしたことで、美空共々苦労している。

だが、それがバリスタモンにとっては

 

 

何ヨリカケガエノ無イ大切ナ物

 

 

故に、真実ごときに揺れる筈などなかった。

 

 

スターモンズ

パートナー・野々宮ララフィン

好きなこと・シャウトモンとのライブ、戦隊物の鑑賞

嫌いなこと・シャウトモンのマイクが奪われること

好きな食べ物・デジノワ、金平糖

嫌いな食べ物・あるるの手作りお菓子

(尚、元々嫌いな食べ物は【以下省略】)

スターモンを中心に複数のピックモン&チビックモンからなる軍団で、全体揃ってシャウトモンを兄貴と慕っている。

ララフィンのこともまたシャウトモンと同等に想っており、一緒に戦隊物からインスパイアした軍団技の稽古に励むのが人間界での一番の楽しみ。

 

 

兄貴の真実?

 

 

それなら俺達よーく知ってるゼ!

 

 

超クールでイカしてるってことをYO☆!

 

 

ドルルモン

パートナー・胡蝶静羽

好きなこと・キュートモンが喜ぶこと

嫌いなこと・ヘタクソな若つくりする年寄りの世話

好きな食べ物・肉

嫌いな食べ物・静羽の健康ドリンク

(尚、【以下省略】)

文句を言いつつもフロンティアの面々の面倒を見ている義侠心に厚い、尻尾がドリルな鬣狼。

静羽のことは実力や統率力を認めていたのに中々契約に踏み切れなかったのはキュートモンにも話せない過去が関係しているらしい。

 

 

そして

 

 

かつて、死神の風と呼ばれたモンとしては

 

 

シャウトモンや麗将の真実は安易に受け止めきれるモンじゃなかった。

 

 

スパロウモン

パートナー・恵比寿つかさ

好きなこと・曲芸飛行、友達やおねえちゃんと歌って踊って遊ぶこと

嫌いなこと・ひとりぼっち

好きな食べ物・駄菓子

嫌いな食べ物・野菜全般

小型戦闘機のような見た目の鳥型デジモン。

性格は無邪気そのもので、それ故に軽はずみな行動を取ることがあったがつかさや子供達との交流を経て

契約に踏み切れなかったつかさを勇気づけられる程に成長した。

 

 

一刻も早く友達を、人間界を救い

 

 

『黒の逢魔』を打倒する

 

 

それが今のスパロウモンの最優先事項

 

 

だから、シャウトモンの真実など眼中にない。

 

 

キュートモン

所属・フロンティア芸術学校

好きなこと・ドルルモンと過ごす時間、フロンティアの舞台を観ること

嫌いなこと・騒音、ほったらかしのままな傷

好きな食べ物・サクラ鳥大根、静羽の健康ドリンク

嫌いな食べ物・あるるの【以下省略】

ピンク色のウサギのような姿をした妖精。

自分自身には戦う力はないし争いを好まないがそれでも懸命に舞台少女やパートナーデジモン達の心身を癒す頑張り屋。

 

 

だからこそ、治せないことが悔しかった

 

 

だからこそ、『侵略』を受け入れた

 

 

だからこそ、新たな力に目覚められたのである。

 

 

ファルコモン

パートナー・雪代晶

好きなこと・王に仕えること

嫌いなこと・根暗モンの相手

好きな食べ物・紅茶

嫌いな食べ物・特になし

進化形態

ファルコモン→ディアトリモン→??????→????????

晶を王と呼び、彼女の下で働くことを史上の喜びと謳う地上派猛禽類。

誰に対しても敬語+様付けで自分の知らない知識や技術を調べたり、習得するのに意欲的とデジモンらしからぬ所が多々目立つ。

 

 

根暗モンが『あんなこと』になり

しかも、比翼扱いされていたことは正直業腹モンだが、アイツのお陰で王に出会えたので一応の感謝はしないでもないらしい。

 

 

ワームモン

パートナー・鳳ミチル

好きなこと・褒められること

嫌いなこと・破門されること

好きな食べ物・植物系全般

嫌いな食べ物・ナマコ(こいつのせいで・・・!)

進化形態

ワームモン→スティングモン→????????→????????????

ミチルを師匠と呼び慕い、彼女の教えに奇声を発しながら従う騒がしい芋虫。

基本的にはミチルに従うが割と他のモンの意見にホイホイ乗っかる軽率な所が多々ある。

 

 

 

尚、このデジモン実は・・・・・・・・・

 

 

 

ミチルがナマコが嫌いな関係で通常の移動方法が出来ず、常時某蜘蛛男張りの糸か《ランダンロール》での移動を・・・

 

 

 

 

強いられているんでっしゅーーー!!!

 

 

 

 

ヒョコモン

パートナー・鶴姫やちよ

好きなこと・時短

嫌いなこと・遅刻

好きな食べ物・玄米茶、どら焼き

嫌いな食べ物・カップ麺(味云々ではなく待つのが嫌い)

進化形態

ヒョコモン→ブライモン→?????→繧ッ繝ュ繝弱Δ繝ウ

独特な喋り方をする気が早すぎなヒヨコ侍。

色々勿体振るやちよを何かとせっつくが

のらりくらりと躱され、からかわれてばかり。

 

 

だが、ソレが【鶴姫やちよ】なのだと口には出さないが認めており

 

 

故に、ヒョコモンの中での『王』は

 

 

晶でもシャウトモンでもなく 彼女だけだ。

 

 

 

ファンビーモン

パートナー・夢大路栞

好きなこと・栞に甘えること

嫌いなこと・氷蜥蜴が文に甘える姿

好きな食べ物・蜂蜜味ののど飴

嫌いな食べ物・ハチノコ

進化形態

ファンビーモン→ワスプモン→????????→??????????

栞にゾッコンな蜜蜂、語尾は8じゃなくて4(ヨン)。

基本的に誰にでも媚を売る末っ子気質だが

 

 

栞の姉である文のパートナーである氷蜥蜴ことブルコモンにだけは針の如きトゲトゲしい態度を取る。

 

 

尚、文のことは栞の次に好きらしい。

 

 

 

クダモン

パートナー・リュウ・メイファン

好きなこと・・・・・・・・・・

嫌いなこと・・・・・・・・・・

好きな食べ物・・・・・・・・・・

嫌いな食べ物・・・・・・・・・・

進化形態

クダモン→レッパモン→??????→??????

怪しい嗤いや罵倒以外は殆ど口を利かない謎多き管狐。

このとてつもなく胡散臭いデジモンをやちよは警戒しているのだが・・・肝心のメイファンが骨抜きにされているので強く言えない。

 

 

そして、どういう訳かアルフォースブイドラモンを異常な程に毛嫌いしており

 

 

大蛇に目を抉られた姿に口の端を歪めていた。

 

 

 

 

 

ルドモン

パートナー・巴珠緒

好きなこと、嫌いなこと、好きな食べ物、嫌いな食べ物

 

 

特になし

 

 

進化形態

ルドモン→ティアルドモン→???????→?????????

元・『黒の逢魔』、現・巴珠緒の道具、その果てに使い潰されたとしても本望。

 

 

何故ならこの身は盾なのだから

 

使い手が誰であろうが興味はないし持つ気もない。

 

 

ブルコモン

パートナー・夢大路文

好きなこと・文の食べる姿を静かに見守ること

嫌いなこと・羽虫が栞にすり寄る姿が視界に入ること

好きな食べ物・文の手料理(まだ食べたことはない)

嫌いな食べ物・蜂蜜(まだ食べたことはない)

進化形態

ブルコモン→ペイルドラモン→??????????→????????

とぼけた顔で間の抜けた鳴き声を上げる元・『黒の逢魔』の氷仔竜。

元・『黒の逢魔』の中では比較的接し易く、文も憎からず思っているのだが、珠緒達の手前あまりソレを表には出せないでいる。

尚、栞のことは文の次に好きらしいが・・・

 

 

彼女のパートナーである羽虫ことファンビーモンは

 

 

冷徹な眼差しを浴びせるぐらいに大嫌い。

 

 

 

ジャザモン

パートナー・秋風塁

好きなこと・先輩!

嫌いなこと・ジャザ?

好きな食べ物・ジャザ?

嫌いな食べ物・ジャザ?

進化形態

ジャザモン→ジャザードモン→????????→?????????

元・『黒の逢魔』の機械鳥。

解析能力特化型としてデザインされた純帝国産なのだが契約により得られた感情をコントロール出来ていない為、その能力を持て余しがち。

そのクセ、自分の所有者となった塁のことしか見ていないので

 

 

珠緒を傷つけたことに何の関心も持たない。

 

 

故に、秋風塁がこいつを好くことなど

 

 

決してありえないことだ。

 

 

ドラコモン

パートナー・田中ゆゆ子

好きなこと・ユユ!

嫌いなこと・邪魔モン全て

好きな食べ物・トマトって何カナ?

嫌いな食べ物・ピクルスって何カナ?

進化形態

ドラコモン→コアドラモン(緑)→????????→????????

元・『黒の逢魔』の純血竜。

幼い言葉使いとは裏腹にその思考は合理性に特化しており、ゆゆ子とは色々な意味で相性が悪い。

 

 

しかし、『ソンナコト』はドラコモンにはどうでも良いので今日も今日とて無邪気にユユについていく。

 

 

 

ヴォーボモン

パートナー・音無いちえ

進化形態

ヴォーボモン→ラヴォーボモン→ラヴォガリータモン→???????????

 

 

 

 

純レイド帝国産デジモンとして開発された本個体には重大なる欠陥が存在する。

製造過程に混入した■e■th-■プログラムによる影響か、孵化を行った実験場にて想定外の狂暴性と不死性を発揮。

一つのサーバーを放棄せざるおえない程の被害をもたらした。

これにより、レイド帝国の支配者はダークエリア内で発見した■■ンド■クモンのエリアから回収したその他のデータを凍結することを決定。

本個体もあらゆる手段を用いて完全削除を試みたのだが全て失敗に終わり、デジタマの状態での永久凍結処理を行い

 

 

レイド帝国四天王・麗将に管理を委任。

 

以降、本個体の活動は確

 

 

☆99期生パートナーデジモンの状態

リュウダモン

華恋との再契約済み

神機の状態は中破

本モン、パートナー共に心身比較的正常

進化は成熟期までならば安定して可能

 

エリスモン

ひかりとの再契約済み

神機の状態は中破

本モン、パートナー共に心身比較的正常

進化は成熟期までならば安定して可能

 

ディアナモン

真矢とはまだ再契約したくない

神機の損害は皆無

パートナーは比較的心身が正常だが、本モンは色々いっぱいいっぱい

 

ドルモン

純那との再契約は済み

神機の状態は大破

パートナーは比較的心身が正常なので、シャウトモンへの失言について懇懇とお説教されたが・・・お陰で本モンの精神は安定出来た

進化は成熟期への進化すら不安定なので純那にかなりの負担がかかる

 

エンシェントガルルモン

まひるとの再契約は一切頭に無い

神機の損害は皆無

本モンの精神疾患が再発しかも悪化、パートナーは治療の反動で体力を激しく消耗している

 

バンチョーレオモン

ななとの再契約はお断り

神機の損害は小破

本モンは心身共に正常であるものの、パートナーは不安で仕方ないので何度阻まれても再契約を狙っている

 

マルスモン

クロ公がやる気ならウチも本気でやるけどほんとにいいのか?

神機の損害は現在進行形

パートナーは比較的心身が正常だが、本モンは今結構大変

 

エンシェントグレイモン

双葉との再契約は一切頭に無い

神機の損害は皆無

本モンの精神疾患が再発しかも悪化、パートナーは治療の反動で体力を激しく消耗している

 

ブイモン

 

 

 

両目共に失明

 

意識不明の重体

 

しかも【データ】には未だ呪いが巣くっている

 

 

 

 

この姿にパートナーは・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

☆サブキャラなデジモン紹介

 

ウィザーモン

とんがり帽子の下からクマが酷い目元を晒し

、ずんぐりとした体格をボロボロなローブで覆う自称・魔法使い

その正体は飛竜の聖騎士デュナスモンの転生体。

『黒の逢魔』の幹部となったかつての友、王騎の聖騎士ロードナイトモンとの再会を切っ掛けにうらぶれた日常から脱却

 

 

・・・・・・・・・したのだが、デジタルワールドの救世主である99期生への鬱屈した感情から彼女達に関する情報規制にひた走り

 

その結果、人間界は滅んだ

 

どんな高尚な前世があろうとも

 

自宅警備員は自宅警備員のままだったのだ。

 

 

『明けの遠吠え』アケビ号クルー一覧

 

ワー爺(クーレスガルルモン)

黒いツナギがトレードマークの老人狼

進化したにも関わらず相変わらずワー爺で通している

最近腰痛が悪化してきたので戦闘は無理

 

アヌビモン

ファングモンが進化した究極体

《ピラミッドパワー》を使ってアケビ号のバリアを担当している

 

メタル&ズィード

ガルル&グルルが進化した究極体

アケビ号では遊撃を担当

双子特有の阿吽の呼吸での撹乱が得意

 

チャツラモン

シーサモンが進化した完全体

《宝鎚》に変化し《ピラミッドパワー》使用中のアヌビモンの武器になることが多い

 

ワイズモン

ドーベルモンがカルポスヒューレで修行し封印技を鍛えて進化した完全体

合流したばかりなのでアケビ号での役割はまだ決まっていない

 

マッハガオガモン

ワー爺の助手としてアケビ号に乗り込んでいる黒いボディが特徴の喧嘩早いサイボーグ人狼

背中に備わるロケットエンジンで滞空し、外壁の修理もなんのその

99期生達が旅立った後のウラル大陸に残り、『明けの遠吠え』を率いていた

 

レオ坊

ワー爺から直接指導を受けて技能を学ばされており、何かにつけて文句をたれてはマッハガオガモンにしばかれるカーキ色のツナギを着たレオモン

とある理由で産まれた時から【眼鏡恐怖症】を患っている

 

マタドゥルモン

アケビ号のオペレーターを担当しているストラビモンリスペクト口調の吸血『舞踏』家99期生達が旅立った後はマッハガオガモンと共に『明けの遠吠え』を率いていた

 

 

 

因みに、99期生達がウラル大陸に滞在していた当時サングルゥモンの能力を悪用して彼女らの寝込みを襲おうとしてストラビモンにリヒトってるアイアンクローを食らっていたという

 

 

 

 

アケビ号

ワニの如き大顎を模した船体を持ち、九色の聖なる輝きを放つ光の翼で飛翔する『明けの遠吠え』の大型飛行艦

動力源は八種のキラめきを取り込んだ古代鳥オニスモンの電脳核

そのエネルギーをクロンデジゾイドの装甲や黒獣偃月刀

 

 

更には、本モンたっての要望で提供された凄まじい量の針毛を材料にして

 

 

造り上げた回路を艦全体へ張り巡らせている。

コレによりゲート内の安全な航行が可能な他 製作者のロマン溢れる秘密兵器の数々が搭載されている

 

 

尚、一番の自慢は触れた湯を弱アルカリ性の温泉へと変換させる特殊かつ希少な鉱石から造り上げた大浴槽&小浴槽!!

もちろん、しゃんぷーやとりーとめんと

ぼでぃそーぷも完備してありますぞい!!

 

 

 

 

 

 

 

ダークナイトモン

一々芝居がかった言動が鼻につく『黒の逢魔』の幹部。

デジクロスやダークネスローダーの開発や輝きの無い世界、『迷宮』の作成

更にはデジタルワールド内での謀略等大体こいつが主導でやっている。

 

 

ある理由から大月あるるに興味を持っているらしいが・・・。

 

 

ツワーモン

ダークナイトモンの懐刀・・・だけど、割と辛辣なダメ出しもする。

デジ忍法なる謎の術の使い手でダークナイトモンの野望を実現すべく日夜暗躍している。

 

 

ロードナイトモン

王騎の聖騎士にして『黒の逢魔』の幹部、聖騎士きっての美の探求者なナルシスト・・・だったのだが、かの一斉攻撃の際にレイド帝国に囚われ

ウィザーモンが目を疑うレベルで【データ】を改竄された。

その影響か精神や言語に異常が多々見られる。

自分を救わなかった救世主達への復讐とニンゲンのキラめきへの否定に躍起になっており、ソレを実現する為ならば諸悪の根元たるレイド帝国の遺産を利用することも自らがニンゲンに憑依することも厭わない等、その行動は矛盾したモノが多い

 

 

踏みにじられ続けるこのデジモンへの救いは

 

 

一体どこにあるのだろうか?。

 

 

 

『迷宮』のボス

幻獣族と魔獣族の始祖の魂が封じられた創造神召喚の為の祭具・・・闇の器がその特性から取り込んだあの日の呪詛と怨嗟がスサノオモン消滅の折に堰を切り暴走、これにより世界樹の意思とは関係無く生命を持った。

光や火の器同様に人型(ダスクモン)と獣型(ベルグモン)の2つの姿を使い分けることが出来る。

誕生当初は自我が殆ど無くダークエリア内を彷徨うばかりだったのだが、この時にゼロアームズ・オロチを発見、器としての能力で収納

体内にて呪いの大蛇として変異させた。

この出生からか剪定されたサーバーの生き残りである『黒の逢魔』への贖罪を第一に考えており、その為ならば自分の身を顧みない

 

 

 

そう、まるで 光や火の器と同じように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『社長さん』

ロードナイトモンに憑依されている女性。

とある大手楽器製造メーカーの社長令嬢にして・・・

 

 

 

実は、聖翔音楽学園76期生

 

 

 

の、大ファンである聖翔音楽学園OB。

99期生が歴代最高との評価を浴びることに不満を抱いていた所をロードナイトモンに目をつけられてしまい、己の肉体はおろか親の会社まで『黒の逢魔』に好き勝手されている。

その代償として彼女が得たモノは学生時代の憧れのスタァ。

 

 

 

 

ルミナモン

パートナー・大場なな(自称)

好きなこと・推しの絶望顔鑑賞

嫌いなこと・百獣番長の存在全て

好きな食べ物・ななの手作り料理(まだ実際に食べたことは無い)

嫌いな食べ物・辛いモン(舞台少女と出会う前までは好物だった)

かつてデジタルワールドの下界、天界問わず出没し他のデジモンの体を乗っ取って周囲に混乱と絶望を撒き散らした元・戦場荒し。

進化に伴い憑依能力を失ったが、代わりに他者の記憶を覗いたり記憶を植え付ける特殊能力に目覚めた。

大場ななに憑依して以来、彼女や彼女の守りたい99期生に強い執着を持っており

大異変以降もバンチョーレオモンや他の8体を姿を隠して付け狙うなど相変わらず性悪。

姿形こそ愛らしいモノになったのだが

中身はシェイドモン時代と変わらず

 

 

 

他者を弄び、絶望させることが何よりの

「飽キタ」

 

 

 

!!?。

 

 

 

「アーア、モウ飽キチャッタな~

 

だーって、みーんなリアクションおんなじ

 

ワンパターンでツッッッマンナイナー!

 

 

 

この程度の存在だったんだ私がずっと求めてた

 

              ニンゲンって

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マ、イッカ♪♪♪

 

 

 

ななに、みんなに巡り会えたんだから

 

 

 

ああ、アアっ、はやくアイタイナぁ

 

早くハヤクはやく

 

 

 

 

            絶 望

 

 

 

 

サセタイなぁーーーーーーギヒッ、ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

 

 

輝きの無い世界に響き渡る耳障りな嘲笑。

 

 

 

その周囲ではプレイヤーのソウル体が大量に

 

 

 

【廃人】と、化していた。

 

 

 

「サーテ、こンだけやっとけば

暗黒のソウルすら出セナイダロウシー?

わたしはコレカラドーシヨッ

 

 

 

ンン??    なんだ、アレは?」

 

 

 

次のアソビを思案していたルミナモンの表情が引き締まる。

元・戦場荒し特有の感覚が世界の流れが変わるのを感じ取ったのだ。

 

 

 

 

 

ザァ!・・・ザ・・・・・・・・・・・・ッ・・・

 

 

 

 

 

「!!?」

 

 

 

気配を感じる方へと視線を向ければ

 

あの邪悪なツタの群れがまるで苦しむように蠢いており

 

挙げ句の果てには・・・・・・・・・。

 

 

 

「枯レテイく、だと?

 

一体アソコデナニが」

 

 

 

「お!!!経験値発見伝!!!」「ぜんぶゼーンブ俺のモノだあ!あ!ああ!!」「いいいいやあおれののののおおおお~!!~!」「だったらデジモンバトルできめよつで」『リロード!!』『リロード!!』

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァーーーあ

 

 

 

飽キタんだけど、ナ!!」

 

 

 

あの場所で何が起きているのか知りたい。

 

そんな己の欲求を押し殺して

 

元・戦場荒しは新たなプレイヤー達をPKしにいく。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

一方、ルミナモンの興味が注がれる先

 

『黒の逢魔』が仕掛けた邪悪なツタ

 

 

 

レイド帝国四天王・麗将のデータを元に創られた

 

 

 

すべてのニンゲンを囚え悪夢の檻に閉じ込める

 

筈のソレを、触れすらせずに枯らしていくのは

 

 

               黒衣の女。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

眼前の光景に柳眉をひそめながら彼女は崩壊してしまった世界を歩く

 

 

 

綺麗な断面を覗かせる高層ビルを目指して。

 

 

 

 

 

 

「それが貴女が選んだこの物語での役、ですか

 

 

 

 

 

 

わかります」

 

 

 

 



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無法者罷り通る 豪弩アトラーバリスタモン

デジタルワールド内にて秘密裏に建造された『黒の逢魔』の拠点の一つ

 

ダークナイトモンの館。

 

聖騎士や神々の目を逃れるべく幾重もの隠行術が張り巡らされこの場所は地下から上空までもが真っ黒いドーム状の結界に覆われており、多くのスカル系完全体デジモンが配備されているのだが・・・

 

 

 

『侵入者ダ!!』『討チ取レー!!』『ガアアアアアアアアーーー!!!』

 

 

「邪魔ッ」

「《ドリルバスター!!》」

「しないでよ!」

「『《メテオスコーール!!》』」

「《ランダムレーザー!!》」

「早く!!行かないと!!」

 

 

〔《ヘヴィスピーカー!!》〕

「《ソウル!!!クラッ!!シャァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」

『グワアアアアアアーーー?!!?』

「あるる!!!」

 

 

 

4人の人間と5体のデジモンにより騒然となっていた。

 

「デ、電脳核ガ、痺レル?!」

「コレガ、ダークナイトモン様ガ欲スル、レイド帝国支配者ノ力!」

「何トシテデモ捧ゲナクテハ!!」

『全テハ我々ノ新世界ノ為ニ!!!』

「シャウトモン」

「どうしたシズハ?」

「先へ行って」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「ここはララフィン達に任せて!」

「貴方ならあるるを助けられる!」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「シスター達は俺達でフォローするゼ☆!」

『Yeeeeeah!』

「け、けどよ、あの数はヤバいだろ!?」

「お前らが戻るまで引っ掻き回すだけなら問題無いだろうが」

「僕のスピードを舐めないでよ!」

「お前ら・・・

 

 

わかった!!、俺がすぐにアルルを連れてきてやっから待ってろ!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

フロンティアの面々にスカル系デジモンの大群を任せ、シャウトモンは館の中へ。

 

〔「ぼ、ぼくもッ」〕

「お前は休んでろと言っただろうが!!

ったく!、無理しやがって!」

〔「キュウウウ」〕

「(キュートモンのリキャスト・・・復帰には最大65分はかかる

ドルルモンの言う通り、せめてこの戦闘中は休ませてあげないと)

ララフィン、スターモンズとスパロウモンと連携して空中からスカルサタモンを撹乱

動き回って射線を定めさせないようにして

つかさは私やドルルモンと一緒にスカルグレイモンとスカルバルキモンのヘイト稼・・・注意を引き付けて

美空ちゃんとバリスタモンは

 

 

 

美空ちゃん?」「「え??」」〔フガ!?〕

 

 

 

 

 

「手荒な真似をして本当に申し訳ない

しかし、こうでもしなければ君と話は出来ないと思って、ね」

 

戦闘の真っ只中な外とはうってかわって、館の中は静かなモノだ。

何せ、喋っているのはダークナイトモンだけ。

相対するあるるは沈黙を守り、彼女の背後ではツワーモンが鎌を弄りながら無言で佇んでいる。

 

「(拘束はダメ、武器を奪うのもダメ

ほんと、そうゆう所がダメダメネー

・・・・・・・・・まぁー、それぐらいミーを頼ってくれてるってことにしておこう、そうしよう)」

 

ジト目で主を見据えながら、懐刀は内外への警戒を怠らない。

 

「どうして私を?」

「クックックッ!、いや、何

コレで舞台少女達のログを確認したんだが」

「それは?」

「電脳世界の中ならばどんな情報も覗き見ることが出来る優れモンさ

今の人間界も例外ではなくてね

君のことも調べさせて貰ったよ」

「!?、プレジデント!!」

「いいじゃないか、これぐらいは」

「あああっ、もおおお!」

 

なのに、肝心のダークナイトモンが大粒のルビーを見せびらかせながらあるるに近寄っていく。

 

 

 

「さぁ、ここからが本題だ」

 

 

 

主役は自分だと言わんばかりに一歩一歩が大仰

 

 

 

「大月あるる」

「・・・・・・・・・」

 

 

 

残る手は無遠慮に金の髪を梳くように撫でて

 

 

 

「君は

 

 

世界から捨てられた私達を知ってどう思った?」

 

 

 

兜の隙間から覗く眼が少女を見下「あなたはどう思ったの?」

 

 

 

「は?」

 

 

 

ダークナイトモンの舞台が、途切れた。

 

 

 

「ねえ、教えて」

 

 

 

この場の主役を奪った彼女は自分の髪を撫でていた手を引き寄せ、指を掴み

 

 

 

「あなたは私を知ってどう思ったの?」

 

 

 

【女】の顔でそう言った。

 

 

 

「あ」

〔!?〕

「プレジデント・・・?」

 

 

 

真正面に立つ彼女の瞳に【己】を見たダークナイトモンは激しく狼狽し後退る。

 

 

 

「デジ忍法!、クモ縛り!」

 

 

 

するとすかさず懐刀が動き出し、手元から白い糸を大量に噴射。

 

「あむ!?」

〔!!〕

「ま、待て兄弟!」

「下がってくれプレジデント

 

 

 

奴が来たネ」

「ア"ルルウウウウウ"ウーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"

!!!」

 

 

 

遠退いた筈のダークナイトモンが口元まで雁字搦めにされたあるるの体を抱き留めるのと同時にシャウトモンが飛び込んできた。

 

「良く来たネー歓迎するよ《マンティスダンス!》」

「《ラウディロッカァー!》」

「キャッハァ!、ダンスバトルネー!」

 

ツワーモンがマンティスアームを様々な武具に変形させつつ踊るように激しく舞う必殺の殺陣を披露すれば、ソレに即興で合わせたマクフィルド社製マイクによるマイクパフォーマンスで応戦。

 

「く!、だから、待てと言っているだろうッ

兄弟!!」

〔!!、!!〕

「?」

 

命懸けのダンスバトルが繰り広げられている間にダークナイトモンはあるるを連れて跳躍

館の2階に着地した

 

 

 

タイミングで

 

 

 

1人と1体を繋ぐ手目掛けて、ワイルドバンチが突き出された。

 

「くっ!!」

「むむむぅ!!」

〔ミソラ!!〕

 

しかし、力任せの刺突はダークナイトモンの左肩に備わる《ショルダーブレード》により弾かれ、美空は1階の床に叩き落とされてしまう。

 

〔大丈夫カ〕

「・・・ぇ・・・!・・・・・・せ・・・」

〔エ?〕

 

パートナーの身を案じ、慌てて追ってきたバリスタモンだったのだが当の彼女は目もくれない。

 

「返せ、あるるを、かえせッ」

「・・・・・・・・・いやだ」

「かえせ」

「わたさない」

「かえせ」

「いやだ!!」

「かえせ!!」

〔!!!〕

〔フガ!!〕

 

死に物狂いの様相でダークナイトモンと願望をぶつけ合う最中、突然ツインスピアから鋭い衝撃波が放たれ美空を庇ったバリスタモンを直撃、青い装甲が大きく凹んだ。

 

「バリスタモン!」

〔グ、問題無イッ〕

「(・・・・・・・・・不味いネ

今のプレジデントは正気じゃない、このままだと万一のこともある)

デジ忍法、御鏡の術」

 

 

 

〔「バオオオオーーーーン!!!」〕

〔『うわあああああああああ!!??』〕

 

 

 

「みんな!?」

「うむむむぅう!!」

 

ツワーモンがシャウトモンと切り合いながら印を結べば、虚空にスクリーンが展開され外の映像が映し出される。

 

「虎の子を出したか」

「マンモスだけどネー」

 

そこで上映されるのは電脳核剥き出しになった全身骨だけの究極体アンデッドデジモン・スカルマンモンによりフロンティアの面々が蹂躙される光景。

 

「デジクロスが出来ない今のあいつらじゃ

究極体には逆立ちしたって勝てはしない

それでも、ユーやバリスタモンが居ればああも一方的じゃなかっただろうネ

まったく!、先輩を無視して勝手に行動するなんてダメダメな後輩ネー!」

 

 

 

「かえせ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?、あれれ?」

〔ミ、ソラ??〕

 

 

 

しかし、ソレすらも

 

今の彼女の目には入らない。

 

 

 

「あるるをかえせ」

「いやだといってるだろう・・・!!」

「プレジデントッ

(と、とんだ誤算!

『情報』じゃこいつはまだ周りに気を配れる奴だったのに!)」

 

ダークナイトモン・・・の腕の中に囚われたあるるを真っ直ぐ見据えながらワイルドバンチを構え、突撃体勢を取る美空に危機感を覚えたツワーモンは

 

「これ以上我が主を乱すな!!!

 

 

 

強制デジクロス!!!」

 

 

 

「ッ!?」〔フガアアア!!??〕

「バリスタモン!!??」

「むうううう!?」

 

 

 

自分のダークネスローダーを掲げると

 

体内のレイドプログラムを大量に消費することで

 

彼女のクロスローダーを無理矢理ハッキング

 

パートナーの【データ】を奪い吸収した。

 

 

 

「無茶をする・・・」

「ハア!!、ハア!!

ミーにそうさせたのは、ユー、ネー!」

「悪い」

「そう思うんならいい加減下がれよ!!」

〔!〕

「むぐぅ!」

「・・・・・・・・・」

 

背部には2つの青い突起、腹部に黒色の巨大スピーカーを備えた懐刀に促されるまま、ダークナイトモンはあるるを連れて館の奥へと歩みを進める。

 

「バリスタモン!!バリスタモン!!聞こえてんだろ!?返事しろよ!!おい!!!」

「無駄だネー、もうユーの声すら届かない」

「なんだと!!?」

「他の『黒の逢魔』ならいざ知らず

ミーはプレジデントに直接色々手を加えて貰ってるからネー

ユーがレイドプログラムに干渉してもプロテクト出来る

 

 

 

それから」「・・・・・・・・・!」「ミソラ!?」

 

 

 

息を整え終わったツワーモンが睨む先

 

戸惑うシャウトモンの横に立っているのは

 

制服姿の叶美空。

 

 

 

「アルゴモンによって世界の境界は失われた

つまり、今のデジタルワールドは輝きの無い世界も同然!

デジモンと契約していない舞台少女は

ただのニンゲンって訳ネー」

「バリスタモンと、ミソラとの繋がりまで消えちまった・・・?

!"、!"、んなワケあるかよ!!」

「キャッハハハッ♪、つ、繋がりって!

お前と大月あるるの契約に引き摺られたオマケ同士がくっついただけじゃないかネー?」

「オマケじゃねええええ!!!」

「じゃあ、なんでこいつはさっきバリスタモンを見向き

いや、それ以前に

 

 

 

バリスタモンってダレのことネー?」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァッ?」

 

 

 

「今、ミーとデジクロスしているのは

 

下界のサーバー侵略を担当していた

 

レイド帝国の六曜たる金曜オレーグモンが造った

 

破壊兵器・ダークボリューモン」

 

 

 

「な、ん」

 

 

 

「だからユーが造り直せたんだよ

 

レイド帝国、支配者の転生体のユーだから」

 

 

 

「ぁ」

 

 

 

「なーのーにー!、ああも自分の都合の良い美談に仕立て上げてて!

チャンチャラ可笑しいったらありゃしなかったネー!!

キャッハッハッハッハッハァーッ♪♪♪」

 

 

 

 

 

 

笑えよ」「んん?」「笑いたきゃ好きなだけ笑え

 

 

 

その代わり、俺も好きなようにするからよ」

 

 

 

「!!」

「・・・・・・・・・」

「えーっと、まずは

 

バリスタモンを奪い返す

 

んで、ダークナイトモンからアルルも奪い返す

 

外出てシズハ達を助けたら全員で反撃して

 

人間界も奪い返す!!!

 

へへっ♪

 

とんだ過密スケジュールだ、燃えてきたぜ」

 

「!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

孤立無援の状況だというのにシャウトモンには不安も焦りも見られない。

ツワーモンの嘲笑をニヤリと笑って返す余裕すらある。

 

「む、う、ぅぅ」

「ッ」

〔!〕

「わかっている!!、わかって、る・・・」

〔ーー!!〕

 

熱い叫びが館全体に響き渡ると、今まで従順に連行されていたあるるの足が止まった。

そんな彼女の肩をダークナイトモンの左手が強引に引き摺ろうとするのだが、何故か右手に阻まれる。

 

 

 

「・・・・・・・・・

 

 

 

(まただ

 

              また

 

あなたは             そうやって

 

 

   あの子を奪う)」

 

 

 

大月あるるのハートが揺れ動くのを

 

叶美空は本能的に感じ取った

 

だから

 

 

 

「自惚れるなよお元凶ッッ!!

 

デジ忍法 怨霊災臺 そして!!

 

《アルティメットスピーカー!!!》」

 

「《ソウル!!!

 

 

 

!?「うぎ、!!!ああ"あああああ"あ!!ああああ"ああ"あ"あ"ああ"ああ!!!!!!」ミソラッ!?」

 

 

 

シャウトモンより前に出た。

 

 

 

「何やってんだ!?早く下がれ!!」

「い"ああ"・・・だ、ああああ・・・・・・!!!」

「な、なんなんだコイツはぁ!!?」

 

彼女が・・・生身のニンゲンが

聖騎士すらも存在が危ぶまれる呪いが付与された大音量の破壊音波を全身で受け止める姿にツワーモンすらも目を剥いた。

 

 

 

「(さがらない)

 

ぁ!!!」    ヒビが入る

 

 

「(さがってたまるか)

 

ぅ!!!」    崩れ落ちる

 

 

「(ゆずれないんだ)

 

う"ううううぅう"うううう!!!

 

(あんたを 舞台 に連れていく役は)」

 

 

 

塵と化す それでもすすむ 我欲のままに。

 

 

 

「ひゃ、ひゃくにんぶんだぞ?!

ソレほどの暗黒のソウルが何故ニンゲンひとりを消せない!?なんで??なんで?なんで?なんで?なんで?なんで???」

「ミソラぁ・・・ッ・・・・・・・・・」

 

 

 

【データ】が原型を留めているのが不思議な状態にも関わらず、破壊音波の中を強引に突っ切ろうとするのでデジモン達は目が離せない

 

 

 

つまり、この場の主役は彼女になったのだ。

 

 

 

「(みそら?)」

 

 

 

あらゆる輝きを奪う世界の中で

 

叶美空が生命のキラめきを魅せていることを

 

大月あるるは本能的に感じ取った

 

だから

 

 

 

「待っ!!ぐ?!違う!!そうじゃない!!

兄弟!!」

〔ー!?〕

 

 

 

すすむ

 

争い合う暗黒騎士の腕から抜け出して。

 

 

 

〔・・・・・・・・・

 

俺モ〕「(え)」〔俺ニモ譲レナイ役ガアル

 

オマエト同ジヨウニ〕「(バリスタモン・・・・・・・・・)」

 

〔ダカラ俺達ハ契約出来タ、ダカラ〕

 

「(今、あたし達はここに居ル!!」〕

 

 

 

「?!"ネ!」

 

すると、ツワーモンの腹部・・・《アルティメットスピーカー》の発生源である黒いスピーカーから

 

 

 

ダークネスローダーを掴んだ腕が飛び出た。

 

 

 

「バリスタモン!!!」

〔負ケルナ!!、シャウトモン!!〕

「!?、ッ、おう!!」

「う"ううああ"ああああ"あああああ!!!」

「な!ん!でえええ・・・!?」

〔直接色々手ヲ加エラレタノハ

オマエダケジャ、ナイ!〕

「や!、あっ、だ ダあメえねえええ!!」

 

まるでサナギが羽化するかのように内側から

噴噴アーマーを破ったバリスタモンは1人と1体が真正面から突っ込んできたタイミングですくい上げ

 

 

 

〔「「フ!ン"ンッ!ガァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」」〕

《ホーンブレイカー!!!》。

 

 

 

「やだ、いやだ、いかないで!!」

「(・・・・・・・・・ごめんね

 

でも、わたし、いかなくちゃ   舞台に」

 

「あ!、あああっ」

 

 

 

その余波でツワーモンのダークネスローダーが粉砕されるのと同時に、金色の髪を引かれる少女のホルスターに収められたダークネスローダーが真っ赤な炎のような色合いのクロスローダーに変化。

0と1の金色の粒子が迸ってクモ糸を吹き飛ばし

 

 

 

彼女を自由の舞台へと誘う!

 

 

 

 

 

コォォーーー・・・!   コォォーーー・・・!

 

 

 

 

 

「「「「「〔ゑ?〕」」」」」

 

 

 

このタイミングで白鳥乱入!!?。

 

 

 

「《シャープネスクレイモア》」

「バオン?!」

「《ガイアトルネード》」

「バオオオオオーーー・・・・・・・・・ンッ」

 

 

 

「ララちゃん!!」

「何とか間に合ったか・・・!?」

「ま、ひる?、ふたばも」

「たす、かった、ゼえ」『センキュ~~』

 

館の壁が粉砕され、垣根が失われると99期生達とフロンティアの面々が合流しているのが中からでも見えた。

 

 

 

 

 

コォォオオオオーーー・・・!!

 

 

 

 

 

「くっ!?」

〔!?〕

〔「《ゾーンデリーター》」

 

 

 

 

 

コオオオーーー・・・!?

 

 

 

 

 

そのまま白鳥がダークナイトモンへと突撃すれば、虚空から黒い霧を纏った巨鳥が出現。

白いキラめきとソウルの化身を異空間へと葬り去る。

 

「大チャンス到来!、キターーーーーー!」

「オラアアアアアア!!」

「!?、出てこいゼロアームズ・オロチ!」

『〔〔シャアアアア!!〕〕アアアアアア〔〔アアア!!〕〕』

 

白鳥に追随し筋骨隆々な2体が殴りかかれば

闇の器に秘められた呪詛の大蛇が解き放たれた。

 

「お前らも奴と同罪だ!、同じように果てるがいい!」

『〔〔シャアアアア!!〕〕

ア"ッアアアアア!?〔〔アア"ア!!??〕〕』

「ッ、それはオレの力!?」

「違うなァ、こいつはオヤジの」

「んで、こっちがエンシェントグレイモン

ジャン!!」

「がぁああああ"あああああ!!??」

 

致死性の呪いが込められた牙が『光』を宿した《フラッシュバンチョーパンチ》に弾かれるのと同時に

火に『火』が重ねられた闘神の炎拳が2体纏めてぶっ飛ばす。

 

「いいのデシテ?、そいつらばかりに構っていると」

「な・・・・・・・・・あ"!!?」

 

 

 

 

 

ォォーーー・・・

       コォォオオオオーーー・・・!!

       ‎

 

 

 

 

 

「ほーら、目立ちたがりの高慢ちきが御立腹だ!」

「誉め言葉として受け取っておきますよ」

「おいこらディアナモン!!、独り占めすんなよなー!!」

「ゴチャゴチャ言ってんなァ!!、とっととあいつら仕留めっぞ!!」

「あ、そっか!」

 

異空間を脱した白鳥が、舞台へと舞い戻るや否や

手負いとなった巨鳥と大蛇を鷲掴みにして上空へと連れ去ってしまったのでマルスモンとバンチョーレオモンが急いで追走。

 

「ディアナモン、あなた

天堂真矢のキラめきを制御出来てないの?」

「出来ると思うか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」

「静羽ちゃんッ、つかさちゃんッ」

「だ、いば、さ」

「れに、ブイモン、も・・・」

「治療するならデジタルワールドの方が良いってドルモンが言ってたの」

「うん、ボクが呪いに犯された時のデータをワー爺や兄弟が調べてくれているからね」

「ーーーーーー!!」

〔「ドルルモン痛いッキュ?、だったら治すッキュ!」〕

「違う!!、出てくるな!!」

〔「キュウッ」〕

「・・・・・・・・・チッ

(なにやってんだ、おれは?)」

「あ!、見ておねぇちゃん!、アルルが居るよ!」

『!!』

 

スパロウモンの指摘により99期生とフロンティアの視線が集う場所

 

 

 

「美空・・・」

 

「ねぇ、あるる

 

あたしのこと、みえてる?」

 

「見え、てるよ

 

 

見えたよ みえるよ   ッ、見る、よ!」

 

 

「・・・・・・・・・そっ、か

 

 

 

そっかあ♪」

 

 

 

崩壊した館の中

この舞台の中心

そこでは幼馴染み同士がクシャクシャになった顔を突き合わせていた。

 

「ツワーモン、まだ、やれるな?」

「ダ、メえ、ダメ

 

って

 

言ってもユーはミーの言うこと聞かないだろ?

 

だったら

 

ちゃんと命令しろよ!、プレジデント!」

「・・・・・・・・・!、ダークナイトモン!!」

「ツワーモン!!

 

 

 

デジクロス!! ムソーナイトモン!!」」

 

 

 

「うん!?、あれはあの時のッ!!

シャウトモン!!そこから離れろ!!早く!!」

 

このキラめきを奪うべく暗黒鳴動形態が動く。

 

「「《魔重力呪縛陣・・・!!》」」

「「ッ!ー~ー~ー~!!??」」

「あ・・・」

「プレジデントオオオオ!!!」

〔!!〕

「ッ、わかっている!!

もう離さない!!、絶対にだ!!」

 

自分の周囲に強力な重力をかけ、あるるとシャウトモンの声すらも封じたムソーナイトモンは目当てのモノへと接近。

 

「《アロー・オブ!」

 

 

 

 

 

ピシ・・・ィ・・・・・・・・・・・・・・・・・・!

 

 

 

 

 

「グ?!ギァ!!」

「ディアナモンッッ!!!」

「よ!、る、なああ!!、テンドォ!!」

「でもあなた神機が!!」

「このままじゃおばあさんみたいになっちゃう!!」

 

『黒の逢魔』を阻止すべく氷の矢をつがえたディアナモンだったが

その手首から不穏な音が聞こえてきたので真矢やクロディーヌ、ななが必死に止めた。

 

「「あるる!!」」『兄貴ぃいいい!!』

〔「シャウトモンッ」〕

「ーーーーーー!!」

「くそ!!」

「エンシェントガルルモンあるるちゃんを助

きゃああああああ!!?」

「マ、ヒルゥウウウ!!!

グルァアアアアアアアアアアアア!!!」

「させ、るモンかあッ」

「我!、ら!、の主の邪魔はさせん!!」

「こ、こいつら、もう体半分しか残ってないのに・・・!?」

「相棒!!」

「やめろ!!君達じゃまた巻き込む!!

ジュンナ!!」「ええ!!」

 

 

 

〔「・・・・・・・・・」〕

 

  

 

【観客達】がザワつく中

 

1人と1体は静かに佇んでいる。

 

 

 

この強力な重力波の中で微動だにせずに。

 

 

 

「え?、あれミーのダークネスローダー?」

「あいつらなにをするつもりだ!?」

 

 

 

〔「・・・・・・・・・」〕

 

 

 

最早両者に言葉はいらない

 

ただ、視線を

 

カタチは違えど重さと性質は同じソウルを

 

拳と一緒に交錯させるのみ。

 

 

 

 

 

 

バキ

         パァンッ!! 

         ‎

        ‎

 

 

 

すると、バリスタモンが手にしたダークネスローダーの残骸が

 

まるで夕焼け色の空を連想させる

 

青から金のグラデーションに彩られた0と1の粒子と共に飛散。

 

 

 

「!」「え?」「わ!?」「うあ!!」

 

 

 

「ミ、ミーのモンがあいつらのクロスローダーに取り込まれたあ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか」

 

 

 

〔プロテクトガ出来ルナラ逆モ出来ル〕

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

〔言ッタダロウ、直接色々手ヲ加エラレタッテ

 

俺ノボディモ、ハートモ

 

シャウトモンカラ貰ッタモン

 

ダカラ、コンナコトダッテ出来ルッ

 

《アルティメットスピー

 

 

 

カァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」〕

「・・・・・・・・・ーーーーーー!」

 

 

 

極限を越えて増幅された『侵略』する叫び。

 

ソレは隣に立つ舞台少女のソウルとキラめきを震わせ・・・

 

 

 

「近くにあるからこそ」〔ドレダケ遠クテモ〕

 

 

 

青い重装甲のクロスローダーをRE LIVE

 

外装が美しき空の色へと染まっていく

 

 

 

「〔誰ニモ譲ラナイ役ガ

 

誰ニモ譲レナイ役ガ

 

コノ舞台ニアル!!〕」

 

 

 

だけには終わらない。

 

新しくなったクロスローダーから放たれるスポットライトに照らされたバリスタモン自体にも変化が

 

いや

 

 

 

〔バリスタモン進化!

 

        アトラーバリスタモン!〕

 

 

 

進化が、訪れた。

 

 

 

「Sky highも貫いて

 

ススメ!!!   フロンティア!!!」〕

 

 

 

ウエスタン調の上掛けをはためかせ

 

ワイルドバンチの槍先で思いっ切り天を衝く

 

舞台少女・叶美空に並ぶのは

 

更に厚みを増したメタル質の体躯の所々で

 

バチバチと音を立てながら流れる電撃が目映い

 

 

 

完全体・マシーン型デジモン。

 

 

 

「レイド帝国の支配者」

「プレジデント?」

「奴らの中で最も強い願い・・・

自らもキラめきたいという意思を元に生まれ変わったのがシャウトモン

そのキラめきたいという漠然とした願望に

あのデジモンはパートナーのキラめきや君のダークネスローダー

そして、録音していた奴の叫びを使って指向性を持たせた

 

 

 

自分達の進化というカタチで・・・!!」

 

 

 

「えっと、つまり

僕も進化出来るってこと!?

やった!、やったよおねぇちゃん!」

「ええ、ええ!、すごいわ美空!」

「『ヒュー☆!ヒュー☆!イカしてるゼー☆!』」

「はしゃいでる場合か!?

まだ終わってないだろうが!」

「《ミナナオーーール!!!》」

「キュートモンあなたまだ!?」

「大丈夫ッ、キュッ!」

「みんな!!、今は純那達と一緒にまひる達を助けよう!!」

 

アトラーバリスタモンの登場により、物語の流れは一気に舞台少女側へ。

 

〔ーーーーーー!!!!!!〕

「・・・・・・・・・チャージ、完了ッ

《魔重力呪縛陣》出力最大!」

「な待ておまえら何をするつもりだ!!?」

「咎ならば後でいくらでも受ける

だから今は奴を!!」

「やめろおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 

ソレを覆すべく、ムソーナイトモンは重力波を強めながら強羅打雷銃の砲身を『黒の逢魔』の第一目標に向けた。

 

 

 

「《超力鳴動破!!》」

「あ"あ"ああああああるるうああああああ!!??」

 

 

 

絶叫と共に放たれる一斉放射が一直線に

 

 

 

アトラーバリスタモンの両拳に直撃。

 

 

 

〔《プラズマクラック・・・!》〕

「〔!?〕」

〔コンナ、ハートガバラバラナ攻撃ガ

今ノ俺ニ効クモンカ!!《ロケット!バンカーー!!》〕

「ょが!!ったあ」

 

重厚感溢れるメタル質の電磁装甲により《超力鳴動破》の威力を低減させた上、電撃で相殺すると

間髪入れずにどこまでも伸びるパンチを放ち

ムソーナイトモンの兜を凹ませる。

 

 

 

「・・・・・・・・・ーーーーーーッ"ッ!!!"」

「「(みそら!?)」」

 

 

 

すると、あるるとシャウトモンが身動き所か声すらも上げられらない超重力の中

 

美空は歯を食い縛り

 

ソウルとキラめきを全身から迸らせながら

 

ワイルドバンチを構えて突撃

 

 

 

〔!!〕

「で、デジ忍」

 

 

 

〔《ロケット〕「バンカー》」「ぽ?」

 

 

 

進化したパートナーの必殺技を推進材代わりにし

 

まさしくロケットになって

 

暗黒鳴動形態の前面・・・ツワーモンの腹部に轟音と共に突き刺さると

 

そのまま一気に急上昇

 

 

 

「う"ぶぶぅ・・・!!」

「ツワーモン!!?」

〔!!!〕

 

 

 

〔貫ケッッ〕

 

 

 

脆くなっていた噴噴アーマーを貫通し

 

 

 

「Fly!!   High!!」

 

 

 

館を覆っていた真っ黒なドームすらも突き破って

 

 

 

「・・・」

「え?、ブイモン?」

 

 

 

この舞台の天井を美しい青空へと一変させた。

 

 

 

「うごいた?いまうごいたよな?な?なあ!

 

~ー~ー~!!

 

ブイモンが!!うごいたあああああああ!!!!」

《オメガバースト!!!!》

 

『ぎやあああーーー?!?!』

 

『あっつう!!?』

 

「《アブソリュートゼロ・・・》」

 

 

 

「凄い!

 

・・・・・・・・・すごいよ

 

やっぱり、みそらはすごいんだ」

 

「ああ、俺も、負けてられんねぇッ」

 

 

 

「やったッキュ~!!」

「ヒャッホ~ー!!」

『Yeeeeeah!☆』

「って、待って!!

あの子様子がおかしい!」

「え、あ!、ほんとだ!!」

「お、おいまさかあいつ意識が!!?」

「美空ちゃん!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

仲間達の視線を一身に浴びながら

 

叶美空の体が無防備な状態で地面へ・・・・・・・・・

 

 

 

「ポジション・ゼロ」

『・・・・・・・・・!?』

 

 

 

否、舞台の中心へ轟音と共に落下。

 

ワイルドバンチを柄の半ばまで深々と突き立てて

 

見るモノ全てにあのTの字を幻視させた。

 

 

 

「《獅子!!!羅王漸!!!》」

『〔〔ジャ〕〕

ア"ッ!?〔〔・・・・・・・・・!!??〕〕』

「オ、ロチィイイ」

「しゃあ!、牙とったジャーーーン!!」」

 

 

 

 

 

コォォオオオーーー・・・!!

 

 

 

 

 

一方、舞台袖で行われていた闘争にも幕引きが近づいている。

闇の器は翼と両脚を切断され

ゼロアームズ・オロチも牙を全て失っており

最早、双方共に鬨を上げる白鳥の足元で足掻くことしか出来ない。

 

「勝ったの?」

「ハァ・・・!、ハァ・・・!、まだだッ

だから、ワタクシに近寄るなよ!」

「ですが」

「貴様の出番はまだ先だ

いつも通りデカイ顔してふんぞり返ってろ」

「「・・・・・・・・・ーーーーーー」」

 

主席と次席の不安げな眼差しを受けながら月光神は油断なくクレセントハーケンを構え、暗黒鳴動形態へ近寄ると・・・

 

 

 

目の前で暗い閃光が弾け

 

1体のデジモンが【3】体に分離した。

 

 

 

〔ー!!、ー!!〕

「うん?、ダークナイトモン、じゃない?」

「・・・・・・・・・デッドリーアックスモン

成熟期、魔獣型

それと」

 

 

 

「あ、あ?ああああああ!!!見るなみるなみるなみるなあああうわああああああーーーーーー!!!」

 

 

 

「スカル、ナイトモン??」

「!!?そのなでわたしをよぶなあ!!!」

 

土手っ腹に風穴を空けて沈黙するツワーモンの近くに居たのは屈強な鎧を纏う四足魔獣と

半狂乱で喚き散らし、静羽に赤い槍の穂先を向ける三頭身の骸骨騎士。

 

「・・・・・・・・・そういうことかよ」

「エンシェントガルルモン、あのデジモンを知ってるの?」

「知るモンぞ知る、って奴?

 

 

 

死を司る高位の天使サマ、賢者バグラモン」

 

 

 

「そのデジモンが死という概念に触れ続けた結果

データの内部で蓄積した絶望が!、闇が!

スカルナイトモンを産んだ!!

それを知った三大天使は!、世界樹は!」

「産まれてすぐに廃棄を決定した」

「!!!」

「それでも生きた!、生きていたんだ!

なのに!、なのにぃ・・・!、一度ならず二度までも!!、世界に!、捨てられたんだ!!

あんまりじゃないか!?、可哀想だとは思わないのか!?」

 

 

 

         「思わない」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

「ぁ」

「相棒」

「例えそうだったとしても

あいつのやった事も、やろうとしている事も

オレは決して許さない」

「オレ?、何でそんな酷いことを言えるんだ?」

「酷いのはお前達『黒の逢魔』だろ?

 

デジタルワールドのデジモン達にも

 

人間界のニンゲン達にも

 

どっちの世界にも迷惑をかけて

 

他の器まで汚染して

 

ブイモンの想いを踏みにじって

 

その挙げ句、未だに恥ずかしげもなく被害者面を曝して

 

 

 

キモチワルイ ヘドが出る」

 

 

 

「ど、どうしてだ!?、なんでだ!?

なんで!、そんなことをオレが言う!?

だってオレのせいで多くの犠牲が」

 

 

 

「自惚れるなよ」

 

 

 

「は」

 

 

 

「タダの道具の分際で、悲劇の主人公気取って

 

自分が贔屓したい連中の片棒担いで

 

それで救済した気になって

 

自己満足に浸って

 

キモチヨクなりたいだけだろ?、【オレ】」

 

 

 

「な、あ・・・・・・・・・」

 

 

 

「(マヒルと出会うまでは一度たりともあのゴミ捨て場で満足なんてしたことない癖に何言ってんだよ、この始祖様は)」

 

 

 

「・・・・・・・・・

 

 

 

 

ひは

 

ヒヒヒヒヒヒヒハヒヒヒヒヒヒヒヒヒハヒヒッ」

 

 

 

『!?』

 

 

 

そのデジモンは始祖同士で行われる自傷行為の最中、突然不気味な引き笑いをしだす。

 

 

 

「ああそうかそうか、そうだった

 

危うく私という存在を見失う所だった

 

ね!!!」

 

 

 

『〔ォオオオオオォォオ・・・・・・ッ〕」!!!

 

 

 

 

 

コオ・・・!?

「ギ」「ァ"!?」「ジャッ!!」

 

 

 

 

 

直後、スカルナイトモンは大仰な身振りで黒のマントをはためかせ

 

異空間からナニかの巨大な『腕』を召喚。

 

キラめきの白鳥も 百獣番長も 闘争神も

 

一瞬で蹴散らし配下達の自由を奪還した。

 

 

 

「『黒の逢魔』の舞台はこれからだ!

 

精々、一時の余韻に浸っていたまえ!

 

舞台少女諸君!!!

 

ククク!、ハーッハッハッハッハァッ!」

 

 

 

更に、捨て台詞まで吐いて高笑いと共に退場。

 

 

 

「あぁああああーーーーーー!!

逃がしたあぁああああーーーーーー!!

待てコラあぁああああーーーーーー!!」 

 

 

 

 

 

パキッ バキバキバキバキバキ!!!

 

 

 

 

 

「Arrête!!」

「止・ま・れーーー!!、アホぉー!!」

「あなたも安静にして貰えませんか!?」

「バンチョーレオモン!!!だいじょうぶ!!?」

「うる、せーなァ・・・ギャーギャー喚くなァ・・・」

 

『黒の逢魔』の幹部を全て取り逃がしてしまった一行だったが、究極体達の負担も大きく深追いは出来ない。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

〔ミソラ?〕

 

『え?』

 

「お、おい、どうした?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

美しい空の下に広がる館の跡地

 

その中心で主役は槍に寄りかかったままだった

 

敵役の退場の間も、ずっと。

 

 

 

「美空」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ねえ、きこえ

 

あ」〔ソレ、ハ〕

 

「ブイモンと、おなじ?」

 

「叶!?叶!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

あるるの手が触れる美空に触れる寸前

 

彼女の【データ】から呪詛が立ち上る。

 

 

 

「美空

 

みそ、あ、う

 

 

うあああああああああああああああーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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αの選定 デジモンキング、Ωなハジマリ!!

「美空あッッ!!」

「スパロウモン!!?はなして!!!」

「だ、ダメだよ!!!、危ないよ!!!」

「ほんっっとクソゲ・・・!!」

「呆けてる場合じゃないだろうが!!

シャウトモン!、アルル!、早く離れろ!

バリスタモンもだ!」

〔デ、デモ、デモ!!〕

「そいつの言う通りデシテ

ニンゲンのデータ強度では聖騎士共のようにはいかない!、いつ呪いが流出するかわからんぞ・・・!」

「それでは叶さんは!!?」

「どうなるのよ!!?」

「キュウウウッ」

「クソッ、タレがァ・・・!、アァン?」

 

 

 

「《エターナル・ニルヴァーナ》ォォォオオオゥン!!」 

 

 

 

「みそら!?」

「何しやがんだあ!!?」

「待ってッ、その子は味方だ

ワイズモン、彼女の容態は?」

「芳しくありません・・・!

すぐ艦内の設備で解呪に取りかかります!」

「え?、この声?」

「あなた、もしかして・・・!」

「うん、そうだよ」

 

 

 

「「「アォォォオオオン!!!」」」

 

 

 

「HEY!、みんな上を見ろ!」

『ルック!、ルック!』

「で、でっかー、どらもん??」

「その魂を受け継いだモンだ、相棒」

 

騒然となっていた舞台少女やパートナーデジモン達の頭上を・・・

件の彼女が奪い返した青空を双子の機械狼や

細身で犬科の頭部持つ神人と共に横切ったのは

 

 

 

ワニの如き大顎を模した船体を持ち

 

聖なる輝きを放つ光の翼で飛翔する

 

『明けの遠吠え』の大型飛行艦・アケビ号だ。

 

 

 

「お久しぶりです、ナナさん!」

「どうにか間に合ったな!、メタル!」

「飛ばした甲斐があったな!、ズィード!」

「『明けの遠吠え』のみんな!、進化してたの!?」

「はい!、積もるはありますが、今は・・・

《ピラミッドパワー!》」

「うお!?」

 

恩人への挨拶もそこそこに『明けの遠吠え』のリーダー・アヌビモンは四角錘の結界を展開。

マルスモンが持っていたゼロアームズ・オロチの牙を回収する。

 

「コイツと兄弟から採取したデータがあれば

『黒の逢魔』が扱う呪いへの完璧なワクチンプログラムを造れる・・・・・・・・・と、軍師の聖騎士が言っていました」

「!!、ならブイモンも!!」

「はい!、助かります!、きっと!」

「ーーーーーーッ、か、たあっ」

「みそらぁ・・・!!」

〔「皆の衆!、早くアケビ号へ!

傷の手当てや神機の応急処置の準備も出来とるぞい!」〕

「・・・・・・・・・うん、待ってワー爺」

〔「フォウ?」〕

 

球体内に封じられた美空やブイモンの搬送作業が行われる中、ドルモンが歩み寄るのはシャウトモン。

 

「シャウトモン」

「な、なんだよ?、改まって・・・」

「君、まだ自分がデジモンキングになれるって

そんな夢物語を見れる?」

「!!」

「ちょっとドルモン!?、今そんなことは」

「今じゃないとダメなんだよ、うん

それで、どう?」

「・・・・・・・・・出来るかよ」

「シャウトモンッ」

 

剣呑な雰囲気で語り合う2体を各々のパートナーが固唾を飲んで見守る中

 

「だって、俺は

 

 

 

俺は!、夢物語をみせるモン、だからな!」

 

 

 

『・・・・・・・・・!!?』

「うん、それだけ減らず口が叩けるなら心配いらないね」

 

舞台の流れが、変わった。

 

「っつってもよ、まだどうしたらいいのか

全ッ然わかんねぇーけどなー」

「うん、単純な力押しじゃ『黒の逢魔』が造った物語は変えられない

だけど、力が無ければあいつらと同じステージには立てない

だから

 

 

13番目の聖騎士

 

空白の席の主

 

電脳世界の抑止力

 

孤高の隠士、アルファモンとして

 

 

ボクは君に試練を与える」

 

 

「え?」

 

 

「それを乗り越えた時、君は

君とアルルは今よりもっとキラめける筈だよ」

「・・・・・・・・・へへっ♪、いいのかよぉー?

折角久しぶりのジュンナとの舞台だってのに

それじゃ俺達が出番を総取りしちまうぜ?」

「ううん?、そうかな?」

 

 

 

「そうとも限らないわね」

 

 

 

「!、純那ちゃん・・・・・・・・・」

「ケッ」

「痛?!、ううー!」

 

シャウトモンとドルモンの会話劇に向けられる眼鏡。

その奥の眼差しが熱く燃える様にななは思わず己の神機に手を伸ばし、黒い学生帽に阻まれる。

 

「く、くく・・・!、アッ☆ハッ☆ハァー☆」

〔「フォッ!?」〕

「「「「始祖様!!?」」」」

〔「・・・・・・・・・オジチャン相変わらず作り笑いヘッタクソ」〕

「メンゴ☆メンゴ☆

でもさ☆いつまでも☆シカツメ☆とか☆ウザくね☆」

「・・・・・・・・・ああ!!!、そうだな!!!」

「相棒」

「見苦しくてすまない!!!

だけど!!!、今は!!!

無理矢理でも役造りさせてくれ

でないとオレ達はすぐにアイツと同じになるんだ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかったよ」

「その代わり、この舞台の間に

あなたの本当の笑顔を見せてね」

「ワオ☆さりげに難易度が鬼☆

さて☆さて☆本題に入ろっか☆

フロンティアの舞台少女チャン達の中で☆

始祖の試練受けたいヒトーーー☆挙☆手☆」

「はい!!!」

「ララちゃん!!?」「野々宮!!?」

「おお!!!、迷いがないな!!!」

「だって!、迷ってる暇なんてないもん!」

「その通りだゼ!、シスター!」

『イエス!、イエス!』

「ララフィン・・・?」

「静羽、つかさも

後輩達にばっかり出番取られちゃってて

先輩として恥ずかしいって思わないの?」

「「!!」」

「わたしだって、ララフィンだって!

この舞台で良い所みせたい!!

その為だったらどんな試練だって受けて立つよ」

「・・・・・・・・・ッ」

「(シズハ、おまえ)」

「ドルルモン?」

 

 

 

「ならば、こいつはワタクシが貰うぞ?」

「え?へ?えええー~ー~ー~!!?」

 

 

 

「スパロウモン!!?」

「・・・・・・・・・無作法な」

「随分と強引ね、らしくないんじゃない?」

「言ってろ、デシテ

ワタクシとしてもこの機会を逃す訳にはいかないのでな」

「?、???、??????、・・・・・・・・・あ!

もしかしてお前!、ツカサ達にあいつらのどっちかを引き摺り出させる気かよー!?」

「フッ、流石のアホでもわかるか」

「あ、あの、出来ればちゃんと説明を

後、スパロウモンを離して欲しいんだけど・・・?」

「うう~ー!、おねぇ~ーちゃ~ーん!」

「詳しい説明は現地で話す

貴様らもそうするつもりだろう?」

「うん」

「ウンウン☆

とりま☆ワー君達☆ミソラチャンと最速殿のこと☆頼んだ」

〔『アォォォオオオン!!!』〕

〔「ハッ・・・!ハッ・・・!ハッ・・・!のらない?あいつら乗らない?ほんとにメガネのらない??」〕

〔「お前はいい加減覚悟決めやがれえアホンダラぁ!」〕

〔「い"っ!、てぇ!?、何すんだよ犬野郎!!?」〕

〔「ハイハイ★重症者の前でモメナーイ★

ほら★バリスタモンも怒ってるってば★」〕

〔〔オ、怒ッテハナイケド

出来レバ静カニシテ欲シイ・・・〕〕

 

流れに乗って話はトントン拍子に進み

アケビ号がドゥフトモンの元へと移動を始める中

神と聖騎士と始祖はゲートを展開

自分のパートナーを伴ってフロンティアの舞台少女達を試練の場へと誘うのであった。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キュ?

 

あ、あれ?

 

 

 

ドルルモンと静羽の試練はどうなるっキュ?」

 

 

 

「それは、消去法で考えると」

「バンチョーレオモンだろうが」

「アァン?、なんでオレサマがァんなめんどくせぇことしなくちゃいけねえんだァ?」

「「「え?」」」

「あああ!!?、手首隠すの反則ーー!!」

「グウーーー・・・・・・・・・」

「「寝た!!?」キュ!!」

「しかもごめん寝!!!

 

 

 

筋肉ムキムキなライオン獣人の明らかに無理のあるごめん寝!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャン!! ガチャガチャガチャガチャッッ

 

 

 

 

 

「ぐえっ!!?」

「い"っ?!たあ~い!!」

「・・・・・・・・・なんだか思い出すわね

あなたと始めて出会ったあの場所を」

「うん、ある意味似てるのかもね」

 

ドルモンが開いたゲートを抜けた先にあったのは、山積みとなった鎧や盾そして剣の残骸。

 

「何だってんだ?、ここは・・・・・・・・・

ッ!!」

「あれって、剣?」

「うん、正確には

レイド帝国が不要と判断して廃棄した

オメガモンのデジタルワールドを守りたいって強い想いが剣のカタチになったモン、だよ」

「「!!?」」

「お、オメガ、モ」

 

目を見開く2人と1体の頭上に聳え立つのは

地面を無理矢理くり貫いたような形状の台座に突き刺さった一振りの白い剣。

 

「レイド帝国の傀儡となったマルスモンとそいつから切り離された闘争心がクロディーヌのパートナーになったベアモンについては君達も知っているだろ?

あいつと同じようなことをオメガモンもされていたんだ

最も、ベアモンのようにデジモンとしては転生出来なかったみたいだけど」

「・・・・・・・・・ドルモン」

「そんな顔しなくていいよ、ジュンナ

あいつの転生体達と向き合ったから

もう、ボクは、ちゃんと、割り切れてるよ、うん」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

前世における唯一の友の遺産を見上げるドルモンの眼差しがあまりに切なくて、純那は胸の内から沸き上がる言葉を飲み込むしかない。

 

「あの剣をあそこから引き抜くことが出来たら

ボクは君をデジモンキングとして認めるよ

ほら、人間界にもあるだろ?

そういう有名な物語がさ」

「う、うん、聖翔のみんながやってた

純那ちゃんの泉の妖精、ほんとのほんとに綺麗だったんだよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・画像とかある?」

「あるよ、あるある」

「動画は?」

「あるあるあるよ」

「良し」

「良くない!!!」

 

閑話休題。

 

「い、いいのか??」

「ボクじゃアルファモンでもダメだった

他のデジモンも試したけどオウリュウモンでさえビクともしなかった

でも、君なら抜ける可能性がある」

「・・・・・・・・・それは俺がレイド帝国の支配者の生まれ変わりだからか?」

「うん」

「ッ」

「辛いだろ?、前世の持つ力の大きさを他のモンに勝手に期待されるのってさ」

「・・・・・・・・・でも、でもよぉ

お前はずっとソレと戦ってたんだよな?」

「逃げたけどね

最も、逃げられなかったけど

どっかの頭良くて物知りな癖に、夢物語ばっかで現実に喧嘩売ってばっかな舞台バカのお眼鏡にかなったばっかにね」

「ばかばか言い過ぎよ、馬鹿」

「・・・・・・・・・

 

 

 

(私も、なれるかな?

 

聖翔のみんなみたいに

 

美空みたいに

 

 

 

なりたいな

 

 

 

・・・・・・・・・だから) なるんだ、私はッ」

 

 

 

「アルル?」

 

棒立ちしているシャウトモンの横をすり抜けるあるる。

彼女の足が白い剣を目指して一歩をすすめた

 

 

 

〔〔『ォ』〕『オオ・・・ゥ・・・・・・!!!』〕

「「「!!?」」」

「来たか」

 

 

 

次の瞬間

 

 

世界を護るという固い決意【鎧と盾】と

 

 

侵略者を打倒せんとする鋭い戦意【剣】の

 

 

残骸が蠢き出した。

 

 

 

〔『カ』〕〔〔『ン、ジゥ!』〕〕

〔〔『『レイ!ドテイコク!』』〕〕

〔『削除セヨ!!』〕〔『ヤツ!ラ!』〕

〔〔『デ!タ!』〕〕〔『イッペン』〕〔〔『ノココァズズー!ゥゥ!!!』〕〕

 

 

 

「な、なになになにぃ・・・!?」

「アルル!!」

「ドルモン!?」

「デジタマからレイド帝国には不必要な精神を抜き取られて

利用されたのはオメガモンやマルスモンだけじゃない

デジタルワールドの最高セキュリティである聖騎士に仕え、レイド帝国打倒の為に戦い・・・

そして散っていったナイトモン達

 

 

 

その想いの成れの果てが コレだよ、うん」

 

 

 

「「「!!」」」

〔〔『ォ』『オオオォオ・・・・・・!!!』〕

 

語り部の淡々とした口調とは裏腹にソレらの動きは激しく、中身の無い鎧をぶつけ合いながら怨敵へと殺到する。

 

「《ラウディロッカ、ア"・・・ッ」

「う!、く!、うううぅーー!」

〔〔『ノオオオァズズー!ゥゥ!!!』〕〕

「「うわあああ!!」」

「大月さん!!、シャウトモン!!

ーーーーーー・・・・・・・・・ッ

コレが試練なのね?」

「うん、そうだよ

でも、意外だね

君はてっきり割り込むとばかり思ってたんだけど」

「パートナーが必死に考えた答えに水を差すのは気が引けるもの

・・・・・・・・・でも、そうね

本当にどうしようもなくなったその時は

飛び込み参上するのもやぶさかじゃないわ」

 

スタンドマイクや銃弾を弾かれ、為す術もなく吹き飛ばされるふたりを見て反射的に矢がつがえられるも・・・

僅かな逡巡の末に翡翠弓はおろされた。

 

「〔ソゥウイバッドウ!〕」

『〔ダ!!!ダカエエエ!!!〕』

『〔ヤヅァイルカギイン〕『〔世界ヲトリモドセ!アル!ベキ姿ニ・・・ーーーィーー!!!』〕〕

「な!、ん!、つー迫力だよ!?

ハートだけでここまでやるなんて!」

 

 

 

「君達9人がデジタルワールドが救った後も

 

あのナイトモン達の戦いは終わってなかった

 

・・・・・・・・・ううん、それ所か

 

再生産によってレイドプログラムが組み込まれた今のデジタルワールド全てが敵にしか見えてない」

 

「そんなッ」

 

「ボクや他の聖騎士達の言葉も届かなかった

 

だから、定期的に力で抑えつける他無かった

 

でも、ソレは、今の君達に出来るのかな?」

 

 

 

「く・・・・・・・・・!!」

 

 

 

正義の名の元にカタチ造られた

 

鎧が、盾が、剣が一方的に悪を打ちのめ

 

 

 

「させない!!!」

〔『ォ』『オオオォオ・・・・・・!?』

 

 

 

「銃で」「剣を」「「止めた・・・!?」」

 

 

 

単調かつチープな流れを強引に変えたのは

 

金色のキラめきとソウルを纏った二丁拳銃。

 

 

 

「〔何モン?ダ!〕」

「私、大月あるる!!

フロンティア芸術学校!、舞台表現コース1年!

舞台少女!!」

『〔デジモン、デハナイ??〕』

『ナラバ〔異分子!!削除ォオオオ!!〕』

「~~~~~~ッ、そう、だよ・・・!

わたしは、デジモンじゃない!

・・・・・・・・・救世主でも、ないッ

だけど、今、ここに居る!

あなた達と同じ舞台に居るの!

 

 

 

だから!   私を!   見てよ!!!」

 

 

 

 

次々と迫る攻撃をいなし、躱し、銃床で防げば

 

0と1の粒子が火花のように瞬き

 

同色のポニーテールが激しく踊る。

 

 

 

「(そうだ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう、なんだ

 

私も、貴方も見てなかったんだ

 

舞台少女とか 人間とか 『黒の逢魔』とか

 

そういう役名しか見てなかったんだッ)

 

 

 

だから!!!これからは私の全部を見「おーっとぉー!」「あぷ!?!」

 

 

 

「「うん!?」」

 

そのリズムの間隙を縫うように勢い良く突き出されたマクフィルド社製のマイクが彼女の顔面にクリーンヒット!

大月あるるの独擅場を無理矢理遮った。

 

「ひゃ、ひふふぉふぉん??」

「オーディエンスに見せたいモンがあんのはお前だけじゃねーぞ?」

「あ・・・・・・・・・」

「へへっ♪、さっきのこ~~んな顔もまぁー悪くなかったけどよぉー

やっぱ俺はお前のそういう顔の方が好きだな♪」

「そ、そんな絵本のオバケみたいな顔!!

私してない!!」

「いーや!、してた!」

「してないもん!!!」

「しーてーたーーー!!!」

「しーてーなーいーーー!!!」

「「むぅううううーーーーーー!!!

 

 

 

してないよね!?/してたよな!?」」

 

 

 

「なんでボクに振るんだよ!!?」

「それよりふたりとも前見て前!!」

〔〔『ォ』〕『オオオオオオォオォオオオオ・・・・・・ン!!!』〕

「「わあああああ~~~~!!?」」

 

シャウトモンのアドリブにより、パートナーが造ろうとした舞台は木っ端微塵に粉砕。

沢山のナイトモンの残骸に追われ

ふたり揃って素っ頓狂な叫びを上げながら逃げ回るという三流喜劇のような流れになってしまう。

 

「いっけねぇー!、アルルのことしか見てなかった!」

「んもうー!、シャウトモーン!」

「悪ぃ!、悪ぃ!、・・・・・・・・・だけどよ

それが上手くいく時だってあんだよな

セイショーのメンバーや

 

 

 

ミソラとバリスタモンみたいに」「!!」

 

 

 

「あんな風にやれたらカッコいいけどよ

誰かがやったことをタダなぞるだけじゃ芸がねぇ!」

「じゃ、じゃあ、どうするの・・・?」

「ドルモンが言ってたろ?、力じゃダメだったって

だから!、押してダメだってんならよぉー!

 

 

 

ここはいっちょ『弾いて』みようぜ!!」

 

 

 

そっか・・・・・・・・・えへへ♪   そっかあ♪」

「へへっ♪」

 

 

 

〔『オオオ』『ォ?』〕

 

鎧の大群による追撃の最中、1人と1体は反転

 

 

 

 

 

♪ ♪♪ !♪!♪!

 

 

 

 

 

「うん?」

「!、この音楽どこかで・・・・・・・・・」

 

 

 

すると、あるるのホルスターに収められていたクロスローダーからポップなメロディーが流れ出し・・・

 

 

 

 

 

♪~♪~♪~♪♪ ♪♪♪♪♪ ♪♪

 

 

 

 

 

 

「「あぁるけえーかかとをなら~してぇ♪♪」」

 

 

 

〔『おぉん!!?』〕「う"ん!!?」

 

 

 

ソレに合わせてふたりは歌って踊り出した。

 

『〔オ・・・〕〔オオオオオオオオオ!!!

メルナアアアアアアアアアアアア!!!〕』

 

この行為を挑発と受け取った残骸達は一斉に激昂。

再び剣を振りかざすと、鎧と盾をぶつけ合いながらあるるとシャウトモンへと迫る。

 

「舐めてなんてないッ」

「ジュンナ・・・?」

 

遺恨がつまったクロンデジゾイド同士が大音量で不協和音を奏でれば、明るい歌もメロディーも呆気なく掻き消され

純那とドルモンの立ち位置からでは殆ど見えない、聞こえない。

 

「ドルモンが、聖騎士が解けなかった問題に

 

ふたりが出した答えが この舞台!」

 

 

 

 

「おれたち」「の時代よ」「「はじまれ~~♪♪」」

 

 

 

 

 

ズンチャ♪ズンチャ♪ズンチャ♪ズンチャ♪

 

 

 

 

 

 

〔〔『ォ』〕『オオ・・・ゥ?』〕

 

 

 

なのに聞こえる

 

感じるのだ

 

360℃全てを害意に晒されても尚。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、そうか

 

つまりあいつらバカなんだね」

 

「な?!、だから!

 

ふたりとも真剣に舞台をやってるの!

 

それを馬鹿にしないで!」

 

「いいや、バカだよ、それも筋金入りの

 

舞台バカ」

 

「!、・・・・・・・・・普通に褒めなさいよ

 

バカ」

 

 

 

侵略者を打倒せんとする鋭く振るわれる戦意【剣】を皮一枚で避け、世界を護るという固い決意【鎧と盾】の突撃を無理矢理掻い潜り

あるるとシャウトモンはマイクスタンドを奪い合いながら歌って、踊った。

 

 

 

「「たぁてぇるまでえ~~~♪♪♪」」

〔〔『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』〕〕

 

 

 

「うん?、ナイトモン達の動きが」

「止まった、というよりも困ってる?」

 

すると、どういう訳か曲がラスサビに差し掛かった辺りで騎士の成れの果て達の動きが徐々に鈍っていく。

 

「イェイ♪」

「センキュ♪」

〔〔『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』〕〕

「どうよ!、オーディエンス!、俺達のライブは!?」

〔〔『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』〕〕

「あ、あれ?

もしかして!、イマイチだった!?」

〔〔『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』〕〕

「よ、よっし!!、なら次の曲行くぞ!!」

「うっ、うんうん!!、わかった!!」

〔〔『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや

 

 

 

待て」『違う』そうじゃない」〕〕

 

 

 

「うん?!」「喋った?!」

 

あるるとシャウトモンが歌い終わった頃には

ナイトモン達の残留思念は毒気を抜かれた様子でちゃんとした言葉で語り始めた。

 

〔お前は、レイド帝国ではないの、か・・・?〕

「ッ、俺は

レイド帝国の生まれ変わり、だ」

〔『うまれ、かわり?』〕

「そうだよ、あなた達も知ってるアルファモンやアルフォースブイドラモン

他にも沢山のデジモンが聖翔のみんな・・・

救世主である人間と一緒にレイド帝国にキラめきをみせてくれた

だから、今のシャウトモンが居るんだよ」

〔『アルファモン、卿?

 

 

 

そう、か

 

 

 

そうだったのか

 

 

 

オメガモン卿の、願いは

 

 

 

私達の戦い、はッ

 

 

 

無駄ではなかったのだ!!、な・・・!!

 

 

 

よかった ほんとうに よかった!!!』〕

 

 

 

肉体や生命を失っても

電脳世界の抑止力が何度聖剣を振るっても

決して止まることがなかった強い意思の群れが今

何もなくなった荒野に膝をつき、ヒビ割れた兜の隙間から流れる光を発していた。

 

 

 

〔〔『『ありがとう・・・ッ・・・・・・』』〕〕

 

 

 

「あ」

 

「還るのね、あるべき場所に」

 

「うん・・・」

 

 

 

やがて、その清廉な光は

 

鎧、盾、剣へと伝播していき

 

デジタルワールドを守る為に散っていった

 

残骸・・・否、英霊達が青く澄み渡る空へと

 

 

 

「って

 

待てゴラァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」

 

〔〔『『うお!!?』』〕〕

 

「「「う"ん!!?」」」

 

 

 

逝かない。

 

執着を失い、後数秒もしない内に消える筈だったナイトモン達の残留思念は貪欲で傲慢で罪深く

何より我儘な叫びにより、このレイドプログラムまみれな現世に無理矢理『結合』されてしまう。

 

〔「な、何をするッ!?」〕

「そいつは俺の台詞だ!

MCの途中で勝手に退席たぁどういう了見だっての!?」

「お、おま!、舞台バカもいい加減にしろ!!

これ以上ナイトモン達を縛るなよ!!」

「いーや!、縛る!」

「!!」

「だって俺のライブは・・・生き様は!

まだ始まってすらいねぇんだからなぁー!」

『〔な、に?〕』

「そう、だね、うんうん!、そうだよ!」

「大月さんまで何!?」

「だって純那ちゃん!

ナイトモン達ってデジタルワールドを守りたくて

だからずっとずーっと頑張ってたんだよ!?

なのにッ、その後のデジタルワールドを見れないなんて

そんなの!、すっっっごく!、もったいないって思わない?」

「・・・・・・・・・言われてみれば確かにそうね」

「ジュンナァ!!?」

 

この光景にドルモンはツッコミまくるのだが

何ということでしょう、味方が殆どいません。

 

「それによぉー、レイド帝国以外にもデジタルワールドを荒らしてるモンだって居るんだぜ?」

〔〔『『!!!』』〕〕

「そういう連中に俺の『この力』が奪われたらどうなる?

まーたおんなじことの繰り返しじゃねえーか

それじゃ、何の為にお前らが

 

 

 

オメガモンが!!

 

レイド帝国の支配者に最期の最期まで

 

食らいついたんだがわかんねーよ!!!」

 

 

 

「!!?、シャウ、トモン・・・」

 

 

 

「俺が俺を守れれば一番良いに決まってんだ

 

だけどッ、そう上手くいかねぇー!!

 

力が足りない時がある

 

騙される時がある

 

迷う時がある

 

・・・・・・・・・間違えちまう時だって、あるんだよッ

 

そのせいでアルフォースブイドラモンが

 

ブイモンが

 

見たいモンを見れなくなっちまった」

 

 

 

〔〔『『!!?』』〕〕

〔「アルフォースブイドラモン卿が!?」〕

〔「・・・・・・・・・しかし、ならばなおのこと」〕

〔「そのようなモン相手に」〕

〔「最早、繋がれているだけの私達に出来ることは」〕

 

 

 

「あるよ!!!」「あるある!!!」

 

 

 

〔〔『『ある、のか・・・・・・・・・?』』〕〕

「あるあるよ!!、ね?、シャウトモン!」

「ああ!、だからまだこのデジタルワールドに居てくれよ!」

〔「お前は、こんな私達に」〕

〔「一体、何をさせるつもりだ?」〕

「俺のライブを、生き様を最後まで見て欲しい

 

 

 

全てのデジモンの王 デジモンキングになる

 

この俺を」

 

 

 

〔〔『『ッ!!?

・・・・・・・・・・・・それは、贖罪の為か?」〕

「ハァ・・・!?」

〔「今ならばわかる」〕

〔「シャウトモンというデジモンには

レイド帝国のような邪悪なオーラは無い」〕

〔「そんなお前が、私達の醜態を知って尚そう言うのは」〕

〔「前世が犯した罪」〕

〔「それを精算すべくデジタルワールドを導かんとしているのだろう?」〕

〔「かつての天使達や四聖獣に代わって」〕

「なんだよなんだよ揃いも揃ってよぉー!

今まさにお前らの想いを踏みにじってるこの俺がそんな優等生に見えんのか?

 

俺の野望はな

 

こんな風に何もねぇ荒野を!

 

オーディエンスで埋め尽くしてよぉ!

 

俺の魂のロックを響かせて・・・

 

 

 

世界中をドハッピーに盛り上げんだ!!

 

争いだとか 悪巧みだとか 後悔、だとかッ

 

考える暇もないくらいに!!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、やっぱり

君はほんものの舞台バカなんだね、うんうん」

「おう!、応援ありがとな!」

「ううん、応援はしてない

今のは心から君を馬鹿にしたんだよ」

「にゃ?!、にゃあにぃおおお~~~~~~!?」

「う"ん!?、こんの!、やったなー!」

〔「あ、アルファモン卿!?」〕

〔〔随分と、大人げな・・・

いえその!、幼、でもなく!

親しみが持てる雰囲気になられましたなー!〕〕

「えっと、無理に言葉を選ばせてしまい本当に申し訳ありません」

〔〔『『いえいえ、お構い無く』』〕〕

「あははははははっ♪♪」

 

でも、結局はこの舞台に乗せられてしまい

シャウトモンと取っ組み合いの喧嘩を演じる形で視線を集めた。

 

 

 

 

 

!ィィィ!ーーー!ーーー!ー・・・・・・!・・・ン !

 

 

 

 

 

あの白い剣に宿った残留思念のモノすらも。

 

〔〔『『!、・・・・・・・・・く、くくくっ!!

はははははははは!!』』〕〕

「「うん?」」

〔「確かにそうだ

お前のような道理をわきまえん若造を」〕

〔「それも、とびっきり我儘で自分勝手なモンを

聖騎士の従者として

否!、かつて、この世界に生きた先達として!

 

 

 

放っては逝けん!!!』』〕〕

 

 

 

「うわわっ!?」

「剣がッ」

「オメガ、モン・・・・・・・・・?」

 

ソレを感じ取った騎士達は

盾や鎧を震わせ、ひとしきり笑った後

統制の取れた動きで剣を掲げ

自分達に残された情報を白騎士の遺産と共に0と1の粒子へと変換させる。

 

「う"っ?!、うううー!、うああああ・・・!」

「どうしたの!!?」

「データの容量が多過ぎるんだッ

なのにクロスローダーが処理能力を越えた分をアルルのソウルで勝手に補填してる!!」

「だったら!」

「だい、じょぶ!

わたし、だって、一緒に造りたい!

シャウトモンが、デジモンキングになって造る舞台を!

 

 

 

みんながドハッピーに盛り上がれる国を!」

 

 

 

「!」

 

 

 

「そ!、れがぁああーーー!!

 

 

 

この物語ッ! でのッ! 私のッ! 役ッ!

 

 

 

だ!からあぁー・・・!見ててよぉ・・・!「だったら見せてみな、お前のキラめき

 

 

 

あんなどうしようもねぇー状況だったってのに

 

世界を、舞台を越えて俺に『声』を届けた

 

 

 

あの日よりも、な♪」「!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・えへへ♪」「へへっ!」

 

 

 

その全てを受け止めながら

 

大月あるるはシャウトモンと

 

舞台少女はパートナーデジモンと

 

  は廃棄物の集合体の生まれ変わりと

 

互いに言葉を、ハートを、笑顔を交錯させ

 

大容量のデータをダウンロードしている

 

真っ赤な炎のような色合いのクロスローダー

 

 

 

         投げた

 

 

 

「「「!!!」」」

「バキューン☆☆」

「「「ッッッッ!!!???」」」

 

 

 

         撃った。

 

 

 

すると、同時に撃ち込まれた二丁拳銃・ヘヴンメイカーのキラめく弾丸が内部で暴れ回る騎士達の情報・・・メモリーを『侵略』

 

 

 

「煌めく弾丸!!

 

時空を越えて!!

 

ハートに刻むよ!! 未来のキング!!」

 

 

 

直後、金色の弾痕が刻まれRE LIVEされたクロスローダーからスポットライト照射!!

 

 

 

「スポットライトがGREAT!! XROS!!」

 

 

 

舞台少女のキラめきに目映く照らされながら

 

それだけでは飽き足らず自身もキラめきながら

 

天を指差す仔竜のシルエットはみるみる内に膨らみ・・・

 

 

 

「この手で造るぜ!!」

 

BIG!! DREAM!!」

 

 

 

舞台上に姿を現したのは

 

騎士達から授かった黄金の輝きを全身に纏った

 

キレのあるシャープな体付きの竜人。

 

 

 

「シャウトモン『超』進化!!

 

オメガシャウトモン!!」

 

「夢を、夢のまま終わらせない為に

 

 

 

ススメ!!」「フロンティ

ァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」」

 

 

 

 

 

 

 

〔「「く、くくくっ!、はははははは♪」」〕

 

 

 

「う、ん?、な、なん!、なんだよ?、なんだよ!?、なんでそんな

ーーーーーーッッ、うれしそうに・・・!!、しちゃってさあ・・・!!」

「・・・・・・・・・うん、そうね」

 

 

 

デジタルワールド全土に届きそうなシャウトを披露するふたりの背後で微笑む白騎士の幻影

 

 

 

が見えたような気がした

 

 

 

だから

 

 

星見純那はドルモンを後ろから抱き締める。

 

 

この意地っ張りなパートナーの

 

 

今の顔を見ない為に・・・。

 

 

 

 

 

 

騎士の試練、これにて終了

 

 

 

次回、神の試練に   続く!

 

 

 

 

 



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神の与えし試練 ラプタースパロウモン、TAKE OFF!!

☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間

 

 

「ここは、あなたの神殿?」

「でも、何だか雰囲気変わってない?」

「え?、そうなの?」

「ウィザーモンが見せてくれた記録とそんなに変わった所は無いけど・・・」

「新しくなったデジタルワールドに合わせ

随時アップデートを行っている

外観こそかつて貴様らを招き入れた時と殆ど差異は無いが、性能は段違いデシテ

そう、今ならば・・・どこぞの山姥なんぞに好き放題はさせん!!!」

「「「「(未だに根に持ってる!?)」」」」

「神殿の説明とかいいから

ウチにだけでも『どっち』か教えるジャン」

「逸るなアホめ

あれだけの深手を負わせたのだ『黒の逢魔』の幹部共もそう易々とは回復しないだろう

その間に舞台少女とパートナーデジモンのレベルアップを図り、かつての救世以上の爆発的化学反応を起こす為にも「バッカスモンだったら殴るからな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ツカサ、そしてスパロウモンよ

これから貴様らは鍛治神ウルカヌスモンの神域に行って貰うのデシテ」

「おう!、あいつならいっか!」

「・・・・・・・・・Nounours」

「鍛治神って、確か」

「デジタルワールドが滅びそうだったのに何もしなかったデジモンだ!」

「まさか今でも?」

「引きこもったまま、デシテ

それどころか、偶に出てきたかと思えば希少な素材を無理矢理奪おうとする始末でな」

「アケビ号ん時もしつこかったよなー」

「なので、貴様らは奴を懐柔し

神としての責任を果たさせろ

それがワタクシからの試練デシテ」

「かみ、さまを懐、柔・・・

(わたしに、できるの?

天堂さんや神楽さんみたいなことが

ッ、ううん!!、弱気になっちゃダメよ!!

ララフィンだって言ってたじゃない!!

後輩にばっかり頑張らせるなんて、『先輩』として恥ずかしいって!!

でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」

「おねえちゃん?、ツカサおねえ~ーちゃ~ーん!!」

「わっ!!?、な、なに??」

「そんな怠けモンなんて僕がバッキュ~ーン☆ってやっちゃうよ!

だから、おねえちゃんは自分の舞台をやって!」

「・・・・・・・・・ありがとう、スパロウモン

(私の舞台、私の、舞台

 

 

 

ワタシノブタイ、って   )」

 

 

 

「?、???、??????」

「マルスモンどうかしましたか?」

「いや、あの銃見てたらなーんか引っかかって」

「説明は以上!!、デシテ!!」

「「へ?

 

 

 

うわああああああ~ー~ー~ー!!??」」

 

 

 

「つかさ!?」

「恵比寿さん!?

ディアナモンッ、あなた先程から些か乱」

「ワタクシのパートナー面をしたければ契約してからにしろ、ニンゲン」

「!、・・・・・・・・・そう、します」

「(真矢)」

 

 

 

☆神域『鍛治神のアトリエ』

 

 

 

「「ぁああああああ~ー~ー~ー・・・・・・・・・!!!

 

 

 

あ"!?」っぶな!」

 

 

 

ディアナモンの強制転移により雑に放り出されたつかさとスパロウモンの眼下に広がっていたのは・・・

 

 

 

剣 槍 刀 鎌 弓 銃 矢 槌 盾 鎧 杖 ダガー 爪 手甲 フレイル 鎖 鉄球

モーニングスター ヌンチャク チャクラム

 

 

 

その他用途不明な武器の数々が抜き身のままに陳列、或いは虚空から伸びる透明度の高い糸に吊り下げられているという異様な光景。

 

「もしかして、コレ全部」

「ウルカヌスモンが造ったモンなのかな?」

 

危うく串刺しになる所をスパロウモンに救われたつかさは黄色い背中へと乗り移り

このプライバシーエリアを改めて見渡す。

 

 

 

 

 

カァ・・・・・・・・・ン    カーーーンッ

 

 

 

 

 

「!?、スパロウモン!」「任せて!」

 

すると、どこからか固いモノ同士がぶつかる音が聞こえてきて

見映えやらカテゴライズやら何やらを度外視したディスプレイの隙間から一筋の煙が立ち上るのが見えた。

 

 

 

 

 

カン!カン!カン!カン!カーーーン!!

 

 

 

 

 

「ーーーーーー!!、ーーーーーー!!」

 

 

 

ソレを頼りにふたりが向かった先にあったのは

 

火が入れられた大きな炉らしき建造物と

 

その前に座り込み、8本の腕を黙々と動かし

 

各々の手が握った道具を淀みなく扱いながら

 

腹部のバーナーから火炎を放射している

 

赤い体色をした5~6m級の人型デジモン。

 

 

 

「アレが、ウルカヌスモン」

「どうするの?」

「とにかく、まずは話をしないと・・・

あの!、すみません!、お邪魔します!」

 

 

 

「邪魔すんだったら帰れっちゅーの!!!」

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「ど、どどどうしよ~ーおねえちゃ~ーん!!」

「だだだいじょうぶ!!、大!丈!夫!

ちゃんと、そう!、ちゃーんと説明すればきっとわかって貰える筈!!」

 

にべもなく拒絶され、正直心にきたつかさだったが自分以上に狼狽えているパートナーのお陰でちょっとだけ冷静さを取り戻す。

 

「お忙しい所、大変申し訳ありません

私達、ディアナモンから」

「ディアナモン?」

「は、い"っ?!」

 

しかし、ウルカヌスモンの態度は彼女の想定を遥かに越えていた。

 

「おねえちゃん!!?

この!!、いきなり何するんだよ!!?」

「ナニ、って

それはこっちの台詞だっちゅーの

よくも俺の前であの自称神の名前を出せたな」

 

突然投げつけられた真っ赤に熱された鉄の塊をダストデビルで受け止めれば、足元でスパロウモンが二丁レーザー銃を構える。

 

「んだぁーーーーーーーー!!!

あんのザコ兎ッ、何度俺のアトリエに穴明けりゃ気が済むんだっちゅーーーーーーーーの!!」

「ざ、ザコってなんだよ!?

ディアナモンはデジタルワールドを救ったじゃないか!!、なんにもしなかったお前と違って!!」

「あ"?、ん?」

「スパロウモン!!」

 

更には、火に油を注ぐような台詞まで向けるので保護者としては気が気でない。

しかし、当のウルカヌスモンにとって・・・

 

「お、おま!、その銃!、どこで手に入れたっちゅーの!?」

「え?、コレ?

渡りの途中で群れとはぐれた時に、雨風を凌いでたデッカイ建物で見つけたんだけど」

「あなたそんなことがあったの!?」

「うん!!、そこからあの輝きの無い世界に迷い込んでおねえちゃんやみんな、と・・・・・・・・・」

「ッ、ごめんね」

「う、ううん!、僕だいじょうぶだよ!」

「へへーーーーーーーーー?

そーーーーかそーーーーか

ふーーーーーーーーん

 

 

 

つまり俺の作品を盗んだのはお前か」

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

「《ピンポイントウエポンワークス》」

 

 

 

「「ーーーーーー!!」」

 

 

 

最も琴線に触れたのは

 

銃を向けることでも

 

正論をぶつけられることでも、ない。

 

 

 

「そーそー、一応聴いといてやる

あいつ、俺に何させようとしてた?」

「か、かみとしての、せきにんをはた、してほしい、って・・・・・・・・・」

「神として、か

だったら、カミサマらしく

俺のモン勝手に使って良い気になってる奴に

 

 

 

天罰下すしかないっちゅーの」

 

 

 

今世における最高傑作に触れたことだ。

 

 

 

☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間

 

 

 

「あーーーーーー!!!!!!

思い出したあーーーーーー!!!!!!

アレ!!、ウルカヌスモンが造った奴!!」

「Il est tard!!!」

「・・・・・・・・・詳細を、説明して貰っても?」

「スパロウモンが持っていた銃の名はサナオリア

あのタコが先代のウルカヌスモンを越えるべく

七大魔王ベルゼブモンに献上されたとされる二丁のショットガン、ベレンヘーナのデータを元に造りあげたのだが

レイド帝国による侵略の際に紛失したらしい」

「ソレがどういう因果かつかさの・・・

舞台少女のパートナーデジモンの手に渡ったってたってこと?」

「ソーデシテー」

「あーあ、ウチ知んねーぞ

あいつ、ただでさえ頭に血がのぼりやすいのに」

 

 

 

〔「「わああああああああ!!??!」」〕

〔「逃がしゃしねえちゅー!、のぉ!」〕

 

 

 

「自分のモン勝手に触られんのが一番嫌いなんだよなー

それで神々とかの上位種以外は大体消されてるし」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「フッ、どうした?

ふたり揃ってらしくもないしおらしい顔をしおって」

「今の私達はタダの観客」

「この先、画面の向こうで何があろうと

見ることしか出来ません」

 

 

 

〔「ぃゃぁぁあああああーーー!!」〕

〔「まずは一匹」〕

〔「おねえちゃん!!おねぇちゃん!!」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・アレでもかよ?」

「「ッ」」

「そっか、ならウチはもうなんも言わねー」

 

月光神が虚空に浮かべるモニターを前に

唇を強く噛み締めるパートナーと彼女の好敵手。

そんなふたりの様子を闘争神は腕組みしながら静観

 

〔「え?、おま、お前!、まさか!

 

 

 

ほ、ほんもののニンゲンッッッ!!??」〕

 

 

 

「って!、今気づいたのかよぉ!!?」

 

 

 

・・・・・・・・・訂正、静かには出来そうにない。

 

 

 

☆神域『鍛治神のアトリエ』

 

「マジ!?」

「きゃ!?」

「え!、マジか!」

「やっ」

「マジだ!!、マジモンのニンゲンだ!!」

「ぁぁ・・・!」

 

上も下も所狭しと武具が並んだ空間をパートナーの飛行能力を頼りに逃げ回っていたのだが・・・

各々の腕から一斉に投擲された8本もの鎖文銅に絡め取られ、つかさの体はウルカヌスモンの懐まで引き寄せられてしまった。

 

「や、やめろお!!、嫌がってるだろ!!

早くおねえちゃんを離、ぐえ!?」

「スパロウモン!!!」

 

囚われの身となった彼女を救うべく

《ウィングエッジ》で突っ込んだスパロウモンだったのだが、無造作に投げつけられた鎖文銅により呆気なく墜落。

 

「はー?、なーんでやっと手に入った

 

 

 

【レア素材】

 

 

 

を手離さなきゃいけないっちゅーの?」

「そ、ざい???」

 

8本の腕に全身くまなくまさぐられている最中に聞こえてきた不穏な単語

コレを耳にした途端、つかさの脳内に不吉なイメージが沸き上がり、ただでさえ鳥肌が立っていた皮膚が更に粟立つ。

 

「んあー、安心しろって

俺のアトリエなら【加工】で消えることはない

 

 

 

その皮も 骨も 目も 歯も 毛も

 

 

 

          ナカミも

 

 

 

ひとつたりとも無駄にはしないっちゅーの」

 

 

 

「?!"、ッ"、!"!」

 

 

 

頭部全体を覆うヘルメット越しに【素材】を目利きする職人の眼差し。

その熱視線に晒された少女の生存本能は全力で警鐘を鳴らし、4本の腕に拘束された四肢が滅多矢鱈に暴れ出した。

 

「皮の強度は柔いし、取れる量も少ない

出来るだけ傷つけないように解体を・・・

って!、コラ!、今更足掻くなっちゅーの!

んあー、アレどこやったっけか?」

「ー~ー~ー~ー~ー~ー!!!!

(ダメ!!全然ビクともしない!!このままじゃほんとにわたし)」

「や、やめろ!!やめてよ!!

返す!!銃なら返すよ!!だからおねえち」

「なんで俺がお前の言うこと聞かなきゃいけないんだっちゅーの」

「え」

「ってか、返す、返さないって何様だよ

ニンゲンが一緒だろうが何だろうが下等種族は所詮下等種族

神に供物を捧げる以外に存在意義なんざありえ無い」

「ぁ・・・・・・・・・」

「んあー、まあ、ニンゲンをくれたんだ

特別に許してやるし、そのサナオリアはくれてやる

だから俺の邪魔すんな

さもないと、お前からバラすぞ?」

「ーーーーーーッ」

 

 

 

ウルカヌスモンはつかさの抵抗もスパロウモンの懇願もものともせず、己の工房内を残る4本腕で物色中。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

緩慢に、だが、着実に迫る■を前に

 

恵比寿つかさは走馬灯を見

 

 

 

 

 

 

〔「つかさ先輩!!」〕「!!」

 

 

 

 

 

 

「お♪、あった♪、あった♪

でも規格が合わねえな、ちょいとイジるか」

「い、や」

「んあー?」

「やだ、やだやだ・・・!

 

たすけて

 

スパロウモン

 

 

 

スパロウモオオオンッッッ!!!助けてええええええ!!!いやああああああああああああ!!!」

 

 

 

 

「!!」

「だーかーらー!

泣こうが喚こうが無駄だっちゅーの!!」

 

突然、火がついたように泣き出し、みっともなく成長期のデジモンなんぞに命乞いをするニンゲンに鍛治神は呆れながら作業を続けている。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

一方、助けを求められたパートナーデジモンは

 

 

 

          考えていた。

 

 

 

考えて 考えて 考えて 考えて ただ考える

 

 

 

その間に

 

ウルカヌスモンの作業が終わっても尚・・・。

 

 

 

「いよっし!、流石俺!、サイズばっちし!」

「いやあああ!!うぐ?!、ぅぅ・・・うぁ・・・・・・・・・」

「カルポスヒューレ産の麻酔だ

息止めても無駄だっちゅーの」

 

内部で乾燥植物が焚かれた鉄製マスクを無理矢理口元に取り付けられた直後

抵抗の為の動きが徐々に弱まっていき

今の今まで握っていた二対の斧ダストデビルが力なく落ちて「《ランダム

 

 

 

レエエエザアアアああああああ!!!!》」

 

その刀身目掛けて放たれたのは二条の光線。

 

 

 

「ん"!?あ!!」

「・・・・・・・・・信じてたッ」

「ー~ー~ー~!!、信じて、くれたッ」

 

 

 

スパロウモンの狙いは寸分違わず

 

恵比寿つかさのキラめきに直撃

 

渾身の《ランダムレーザー》は

 

金色がかかったオレンジのプリズムとなり

 

生産者の全身に突き刺さった!!。

 

 

 

 

☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間

 

「ふふっ、どうやらあのカミサマは知らなかったようですね」

「舞台の上で流す涙は時には武器になるってことを」

 

ウルカヌスモンの拘束から解放されたつかさをスパロウモンが音速で掻っ攫う姿が見つめる真矢とクロディーヌの顔に浮かぶのは

さも当然と言わんばかりの不遜な笑み。

 

 

 

「やたらと迫真の狸寝入り

 

ソウルとキラめきを用いた健常な状態のデータの再構築、再生産

 

舞台少女の武器にデジモンの力を付与

 

そして、極めつけがパートナーが命を懸けたアドリブに合わせてのエチュード

 

 

 

ククク!、どれもこれも見覚えのあるモンばかり・・・!」

 

 

 

ふたりの隣で月光神も鍛治神のマヌケ面が見られてご満悦の様子である。

 

「ウィザーモンから転写された『情報』

ソレを己の『知識』として昇華させたか

やはり、どこぞの借りモンの力での盗み見だけで知った気になっている逆怨み骸骨一行なんぞとはモノが違うのデシテ!」

「当然ジャン」

「「Exactement」」

「でもさ、ウルカヌスモンがウチらと情報共有してたら先にスパロウモンが消されてたと思うぞ」

「それすらもツカサの想定内、デシテ

舞台少女と関わりの無い神々とそうでないモンがどれだけ険悪かは想像に難くないからな」

 

 

 

〔「!? ! !!?? !?!」〕

〔「はぁ!、はぁ!、はあ・・・!」〕

 

 

 

「さて、本番はここからデシテ

今の攻撃も実質的なダメージには至っていない」

「それにアレ結構消耗激しいかんなー

クロ公だって始めてウチ進化させた時とかぶっ倒れてたし」

「倒れてない」

「・・・・・・・・・ああ、そうですね

『倒れて』はいませんでしたね、『倒れて』は」

「何で2回言うのよ!?、天堂真矢!!」

 

 

 

〔「おねえちゃん、まだやれるよね?」〕

〔「勿ッ、論ッ

美空だって、あんなにキラめいてみせたのに

あの子に、『先輩』って呼ばれてる私が!

ここで止まる訳にはいかない!

だから!」〕〔「うん!、やろう!

 

 

 

一緒に!!、舞台を!!」」〕

 

 

 

「お!!、キタキタキターーー!!、進」

〔「ちょおお、待てっちゅーのぉ!!!」〕

〔「「うあああ~ー!!?」」〕

「あー!?、今初進化する所だったジャン!!

良い所で邪魔すんなよなーー!!」

「「「・・・・・・・・・」」」

 

闘争神の癇癪に概ね同意な2人と1体は固唾を飲んでモニターを見つめた。

 

〔「俺が造ったサナオリアにあんな機能は無い!!!、なのに今のは何だ!?、どうやってやった!?、その斧か!、斧だよな!?、見せろよ!、ってか寄越せよソレぇ!!!」〕

〔「な~ーんでおねえちゃんがお前の言うこと聞かなきゃいけないの~ー?」〕

〔「あ"!?」〕

〔「ダメよ、スパロウモン」〕

〔「でも!」〕

〔「見たいなら、欲しいなら、最高のモノをあげましょう

だって、ウルカヌスモンだってCASTの一員なんだから!、ね?」〕

〔「!、うん!!」〕

 

 

 

「それがあなたの答え

 

この電脳世界で造る舞台ですか

 

恵比寿つかさ」

 

「なら、見せてみなさいよ

 

あんた達が至ったキラめきを・・・!」

 

 

 

〔「ゴチャゴチャゴチャゴチャとうるせぇっちゅーの!!《ボンバーアート!!!》」〕

 

 

 

すると、画面全体が一瞬にして炎に満たされ

 

ふたりの姿が見えなくなる。

 

 

 

「!、ディアナモン上ジャン!」

「わかっている!!、デシテ!!」

 

 

 

〔「舞台はどうやって造るのか」〕

〔「んあ?!」〕

 

 

 

即座にアトリエ上空へと場面展開させれば

 

そこに映っていたのは目映いスポットライト。

 

 

 

〔「アルファ、ブラボー、チャーリーから

 

学んでいっくよ~ー~ー!!」〕

 

〔「あの輝きッ、クロンデジゾイドか!」〕

 

 

 

黄色い機械翼風の外装に金色がかったオレンジのラインが加わった恵比寿つかさの新たなクロスローダーから照射される光に照らされて

難易度の高い曲芸飛行を披露するのは・・・。

 

 

 

〔「スパロウモン進化!!

 

      ラプタースパロウモン!!」〕

 

 

 

全身がクロンデジゾイドの装甲となり

 

欠点であった打たれ弱さが解消され

 

飛行能力に磨きかかったスパロウモンの進化系

 

 

 

〔「翼、はためかせて・・・!!

 

 

 

すすめ!!   フロンティア!!」」〕

 

 

 

成熟期サイボーグ鳥デジモン

 

ラプタースパロウモンだ。

 

 

 

☆神域『鍛治神のアトリエ』

 

「【ロード】も何も無しに進化、した・・・?

コレがニンゲンの性能・・・?」

「いいえ、私だけの力じゃない」

「ッ、だー!かー!らー!

ゴチャゴチャゴチャゴチャするなっちゅーの!!」

「ゴチャゴチャゴチャゴチャなのはお前だ!!

鍛治神ウルカヌスモン!!」

「あ"!?、んあ?!」

 

新しくなった自分の性能を見せつけるようにパートナーを乗せたまま高速で飛翔

上も下も所狭しと並べられた武具の数々を物ともせず、ウルカヌスモンの周囲に残像を産みながら飛び回る。

 

「ひとりぼっちで!、こもりっきりで!

自分が、楽しむことだけ考えて・・・!!

だからココはこんなにゴチャゴチャゴチャゴチャなんじゃないの!?」

「こ、こんのぉ!、ちょこまかちょこまかブンブンブンブン!、鬱陶しいっちゅーの!《ピンポイントウェポンワークス!》

からの《アプロプリエートワークス!》」

「は、ハエ叩きぃー!?」

「僕ハエじゃないやい!!」

「叩き潰せば同じだっちゅーの!!

安心しな!、ニンゲンは避けてやるから!

な!な!な!な!な!な!な!な!」

「「!、ー~ー~ー~ー~ー~ー!!!」」

 

すると、鍛治神はこの状況に合わせた最適な武器・・・巨大なハエ叩きを8つ製造。

全ての腕に装備しまるで暴風雨のように操るのでラプタースパロウモンは急速旋回による撤退を余儀無くされた。

 

「離れたって無駄だっちゅーの!!!」

「!!、!!」

「くうう~ー~ー~ー!!」

 

すると、ウルカヌスモンはハエ叩きを捨て

アトリエにある武器を空飛ぶふたりに向けて次々と投げつける。

しかも、タダの投擲ではない。

 

8本の腕を有効活用し

 

4本が投げている間に、2本が次弾を装填

 

残りで武具をかき集めるという三段撃ち方式だ。

 

これにより、つかさとラプタースパロウモンを襲う刀剣類の弾幕は一切途切れることがなく

進化し大幅に向上した飛行能力を持ってしても尚

二対の斧で防いでも尚

クロンデジゾイドのボディを幾度となく掠めていく。

 

 

 

「下ばっか見てていいのかー?」

「「!!??」」

 

 

 

その時、頭部全体を覆うヘルメットの中で

 

鍛治神の表情が喜悦に歪んだかと思うと・・・

 

ふたりの遥か上に飾られていた無数の武具が落下。

 

 

 

「あのね、ツカサおねえちゃん

 

さっきの台詞、演技だってわかってたけど

 

僕、嬉しかったんだよ」

 

「え」

 

「えへへっ!、みんなと『オナジ』ように僕を見てくれるのはそれはそれで嬉しいんだけど・・・

やっぱり僕はみんなと『チガウ』から」

 

「スパロウ、モン」

 

 

 

固いモノ同士が激しくぶつかり合う騒音が迫る中で

 

ラプタースパロウモンの機首が上がる

 

 

 

「だから、頼ってくれて」

 

上がる

 

「信じてくれて、嬉しかったんだ」

 

上がる

 

 

 

「ーーーーーー・・・・・・・・・」

 

 

 

最早、この機体の空中姿勢は垂直に近い。

 

だというのに、乗り手たる舞台少女は不動。

 

その足はクロンデジゾイドのボディから決して離れることはなく

 

重力を無視して堂々と張られた胸の上では二対の斧が交差していた。

 

 

 

「これで仕上げ!!、だっちゅーのぉ!!」

 

 

 

己が造り出した鉄の雨により【レア素材】が逃げ場を失ったと確信したウルカヌスモンは即席で精製した対クロンデジゾイド用の刀剣やハンマー、ペンチ

更には、捕獲用の麻酔銃を装備

頭上の獲物を目指し一気に跳び上がる。

 

 

 

「この舞台を仕上げるのは!!」

 

「私達!!《クラッシュチャージ!!」」

 

「んあ・・・!?」

 

 

 

そのタイミングでパートナーを乗せたイエローウィングは急上昇。

 

大量に降り注ぐ武具の中へと自ら飛び込み

 

 

 

「「SPECIALマニューバ!!」」

 

 

 

進化により磨きがかかった得意の曲芸飛行による航跡を

 

武器とダストデビルとクロンデジゾイドの衝突の度に飛び散る火花を

 

金色がかったオレンジをした0と1の粒子へとRE LIVEさせながら更に速度を上げれば・・・

 

 

 

「「T U M B L E W E E D ! !》」」

 

 

「ー~ー~ー~ー~ー~ー!?!!」

 

 

 

恵比寿つかさのキラめきとソウルに触れた凶器は全て彼女の舞台に巻き込まれ、球のような形状で取り込まれるのであった。

 

 

 

「「とお!!んでぇ!!けえええええええええええええええええええええええええーーーーーーーーー!!!!」」

「ッ、舐めんな!っちゅーのおおおお!!!

《ボ!ン!バ!ァ!ンアァアッ!!トオオオオオオオオーーーーーー!!!!》」

 

 

 

舞台少女とパートナーが描く軌道に乗って急接近するソレを鍛治神が最大火力で迎え撃てば、『作品』の大半が一瞬で熔解していく。

 

 

 

「とっ!!!たあ!!!」

「!"!」

 

 

 

間髪入れずに真っ赤なベールへと突き出した伸縮自在のペンチは正確に黄色い翼を捉え

 

 

 

粉砕。

 

 

 

「ぐ!!ラップル!!!》」

「うあああああああああ!!!」

「ーーーーーー!!」

 

 

 

激痛を振り切ってラプタースパロウモンが放つのは《ラプターグラップル》、本来鷲掴みにした敵を高所から叩きつける必殺技だ。

コレに文字通り背中を押されたつかさは

 

ムソーナイトモンを貫通した美空以上の勢いで

 

ウルカヌスモンの懐に飛び込む。

 

 

 

「腕が、足りなかったな・・・!」

 

 

 

だが、色々あって腐っていたとはいえやはり神。

 

パートナーの力を借り、渾身の力とキラめきとソウルを込めた二対の斧は・・・

 

その身と引き換えに対クロンデジゾイド用の刀剣とハンマー5本を砕くには至ったが、肝心のウルカヌスモンにまでは届かない。

 

空中で無防備になった【レア素材】には麻酔銃の銃口が

 

 

 

すっかり勝った気になった生産者には

 

 

 

「・・・・・・・・・、!!」「BANG」

 

 

 

サナオリアの銃口が向けられた。

 

 

 

 

 

 

「ツカサおねえぢ!あ"ゃん!?」

「・・・・・・・・・、!」

 

自分を掴んでいたペンチが緩むや否やラプタースパロウモン・・・否、スパロウモンは即座につかさを掻っ拐おうとしたのが

やはり片翼が折れていては上手くいかない。

空中でパートナー同士が激突してしまい、もつれ合った状態で墜落してしまう。

 

「いたたたぁ~ー、ご、ごめんっ」

「う、ううん・・・お陰で助かったわ・・・」

「?、あ!!、ウルカヌスモン!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「動、かない?、倒せたのかな?」

「倒しちゃダメよ・・・」

 

一方のウルカヌスモンも受け身一つ取らないで地上に落下。

腹部のバーナーから二条の細長い煙を上げながら仰向けに倒れている

 

 

 

「!!!!!!!!」「「!!??」」

 

 

 

と、思いきや急に弾かれたように飛び起き

 

つかさとスパロウモンの方に近づいてきた。

 

 

 

「う!?、ううううーーー!!!」

「(不味いッ)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「「え・・・?」」

 

 

 

ウルカヌスモンは警戒するつかさとスパロウモンを素通りし、あの大きな炉らしき建物へ。

 

 

 

 

 

カン!カン!カン!カン!カーーーン!!

 

 

 

 

 

「ーーーーーー!!、ーーーーーー!!」

 

 

 

アレだけの騒動があったにも関わらず未だ燃え続けていた火の前に座り込み、一心不乱に8つの腕を振り回す。

 

 

 

「違う、ちがう!、こうじゃない!

こうじゃない!、っちゅーのぉおおお!!!

なんでだよ!?、なんで!、頭には浮かんでんのに!、どうして造れないッ!?」

「・・・・・・・・・何、を?」

「あ"?」

「おねえちゃん?」

「あなたは、何を造りたいの・・・?」

 

 

 

ベレンヘーナを越えるモン、だっちゅーの」

 

 

 

「べれんへーな?

なんか、このサナオリアに名前が似てる」

「名前だけじゃねえよ

サナオリアはベレンヘーナのデータを元に造った

だけど、まるで届かねえ!

先代のウルカヌスモンが造ったモンには!」

「先、代・・・?」

「俺ら十二の神々はデジタルワールド全体のアップデートに合わせて代替わりしてたんだよ、記憶や能力を引き継いでな

 

 

 

だけど!、・・・・・・・・・なのに、俺はッ

 

先代が七大魔王に献上したっていう一品を造れねぇし!、それより上のモンも造れねぇ!

 

同じウルカヌスモンなのにおかしいんだっちゅーの!!!」

 

 

 

「ちがう・・・」

 

 

 

「何が!!?」

 

 

 

「その、先代のウルカヌスモンと・・・

今、私の目の前に居るウルカヌスモンは・・・

あなたは、違うデジモン・・・」

「そうだよ!

それにさ、その先代ってデジモンが居た時と今のデジタルワールドは全然違うじゃないか!」

「・・・・・・・・・言いたいんだよ?、お前らは」

「ひとりでゴチャゴチャゴチャゴチャしてても造りたいモンが造れないなら

他のモンと一緒に造ればいいんじゃない?

 

 

 

例えば!、デジモンキングとか!」

 

 

 

「でじもん、きんぐぅう~~~???」

「そう、ね・・・あの子なら・・・きっ・・・ぉ・・・・・・・・・」

「あ、あれ?、おねえちゃん?

おねえちゃん!?、どうしたの!!?、ねえ!!」

 

赤い背中に語りかけていたつかさの声が徐々に弱々しくなっている

ソレに気づいたスパロウモンが耳元でいくら騒いでも返答は無い。

聞こえてくるのは、異常に深い寝息だけだ。

 

 

 

「(んだよ、お前も当たってたのか)」

 

 

 

鍛治神が振り返れば、成長期デジモンに強く揺さぶられても固く目を閉じたままなニンゲンの防具・・・

舞台少女のレヴュー衣装に小さな穴を発見。

 

「おい、お前、スパロウモン・・・だったな?」

「!、な、何ッ?」

「そのデジモンキングって奴は何モンだっちゅーの?」

「・・・・・・・・・

レイド帝国、その支配者の生まれ変わり」

「!!!」

「僕が進化出来たのも

おねえちゃんと契約してパートナーになれたのも

元をたとればそのデジモン・・・シャウトモンの力だ」

「とんだ嘘八百並べたモンだな」

「嘘なんかじゃない!!!」

「んあー、もうこの際ウソとかホントとかどうでもいい

俺にとっての全ては

 

 

 

俺が造りたいモンを造れるかどうかってこと

 

それだけだっちゅーの」

 

「!!」

 

 

 

☆デジタルワールド・月食の神殿 祭壇の間

 

 

 

 

 

ブツ・・・ン・・・・・・・・・・・・・・・!

 

 

 

 

 

「グギャア!!?」

「ッ、映像が!」

「途切れた!?」

 

ウルカヌスモンが意識を失っているつかさと片翼が折れたままなスパロウモンに近づいた

その瞬間、アトリエの様子を映していたモニターに黒い影が疾り、映像が不自然に途切れる。

 

「ディアナモン、もういいよな?」

「くっ!、致し方無い、デシテ・・・!」

 

 

 

「なーにが致し方無いだっちゅーの」

 

 

 

「「「「!!」」」」

「ったく、勝手に穴開けた挙げ句

盗み見とか相変わらずやることセコいな」

「た、ただいま~ー・・・」

 

マルスモンが突入を決断した直後、2人と2体の前にゲートが出現。

中から現れたのは勿論、今の今まで彼女達が観劇していた舞台の主演達だ。

 

「つかさ!!」

「恵比寿さん!!」

「よせ貴様ら!!、迂闊に近づくな!!

奴にとってのニンゲンがどういう存在かさっき観たばかりだろう!?」

「だ、大丈夫だよディアナモン!

ウルカヌスモン、わかってくれたから!

これからは、デジタルワールドの為になるモンを造ってくれるって!」

「ソーユーコトだっちゅーの」

「そっか!、なら!」

「ん?、んあ!?」

「うわわわぁ~ー!!?」

 

 

 

 

 

パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パァンッ!

 

 

 

 

 

「よっし!、データ連動完了!」

「ーーーーーーーー!!!!!!!!、お!、まえさぁ!!、俺の時だけ何で無駄に殴るんだっちゅーのぉ!!?」

「腕いっぱいあるから!!」

「こんのアホッ

・・・・・・・・・でも、お陰で知りたい情報は手に入った

知りたくもないモンも混ざってたけどな!!

んだぁーーーーーーーー!!!、よりにもよってあの色ボケ達の二の舞かよぉ!?

はっずーー!!、壺があったら入りてぇーー!!」

「そんな気にすんなって!!」

「するっちゅーの!!」

「と、というか・・・

僕とツカサおねえちゃん降ろしてからやってよ~ー・・・!

3回ぐらいかすったよぉ~ー・・・!

こ、こわかったよぉ~~ーー・・・!」

「そんな気にすんなって!!」

「するに決まってるでしょ!!」

「ディアナモン、今のウルカヌスモンの動きは見ましたね?」

「・・・・・・・・・ああ」

 

4本の腕だけで闘争神の八連撃を防いだ鍛治神の姿を目の当たりにし、月光神は深く頷く。

 

「とりあえず今の所は信じてやらんこともない

精々今までサボっていた分を働いて返して貰うぞ」

 

 

 

「はー?、なーんで俺がお前の言うこと聞かなきゃいけないんだっちゅーの」

 

 

 

「            」

 

 

 

しかし、想定外の台詞を耳にした途端

その首がグリンッと不気味に傾斜。

 

 

 

「勘違いしてるみたいだから教えてやる

俺は俺の造ったサナオリアでキラめきって奴を見せたツカサとスパロウモンのことは認めてやった

んで!、その力の大元なデジモンキングとツルめばベレンヘーナを越えるモンを造れるかもしれねーから試練に乗ってやっただけだっちゅーの

 

 

 

俺は俺の造りたいモンを造る

 

ソレをデジタルワールドの役に立てられっかどーかはそいつ次第ってこった

 

だから、お前の指図を受ける謂れはねーよ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ふ   フフフ!

 

 

 

ふ・ざ・け・るなぁーーーーーー!!!」

 

 

 

「うわあああ~~~ーーー!!!

だからぼくたちおろしてからにしてよぉ~~~ーーー!!!!」

 

ウルカヌスモンの煽りにディアナモンはヒステリックな叫びを上げながらクレセントハーケンを

 

 

 

「いい加減に」「しなさい」

 

 

 

振り回そうとした次の瞬間

 

この輝きを奪われた電脳世界の中で無理矢理存在感を放った

 

白いキラめきとソウルが/橙のキラめきとソウルが

 

レイピア/ロングソードに変化

 

天堂真矢/西條クロディーヌはソレを握ると

 

胸の内より沸き上がる欲求のまま駆け抜け

 

 

 

「・・・・・・・・・!?」「なんでウチまで!?」

 

 

 

神々の手首に備わる出演権を自力でもぎ取り

 

その証を舞台上で示さんとばかりに

 

刀身が消えかけていた刃を再生産させ

 

レヴュー衣装と赤い上掛けを翻すのであった。

 

 

 

「決まってるじゃない、ノリよ」

「そっか!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、ちくしょーー!!

 

 

 

やられたああああああーーーーーー!!!」

「ふふっ♪、油断したわね!、Nounours」

 

成長期へと退化し心底悔しがる小熊・ベアモンをクロディーヌは見下ろし、勝ち誇る。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ああっ、やはり良いですねぇー

あなたのこの耳の手触りは」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ルナモン?

『耳はやめるのデシテーーー!』はどうしました?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「???」

 

一方、真矢の方はというと好き放題撫でくり回しているウサギ・ルナモンが妙に大人しいので困惑気味。

 

「だって、ずっと怖がってたことになったんだから、限界が来ても仕方ないジャン」

「「「怖がってた?」」」

「何をだっちゅーの?」

「テンドーとの契約」

「・・・・・・・・・だから妙に私から距離を」

「でも、どうして」

「クロ公、お前さ

誰かに盗られてたテンドー取り戻したろ?」

「!!?」

「なんであんたがソレを知ってんのよ!?」

 

 

 

「盗られてる間

 

こいつの中からテンドーが消えてたから」

 

 

 

「「!!!」」

「き、きえるって、なに・・・?、なんなの・・・?」

「い、意味わかんねー・・・!」

「ウチもわかんねー!」

「まさか【削劇】!?」

「アレの影響がルナモンにまで起きていたの?」

「アレが何なのかはウチわかんねーけど

自分の中からパートナーだった舞台少女が消えるのってスパロウモンも嫌だろ?」

「イヤに決まってるだろッッ!!!」

「な?

で、テンドーと契約したらまたそうなるんじゃないかって『黒の逢魔』に人間界が狙われてるって言われた時からずっとずーっと怖がってたジャン」

「それならそうと早く言って下さい」

「んあー、そのウサギのビビりとプライドの高さは俺が叩いても曲がらない筋金入りだから無理無理」

「だったらあんたが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんでもないわ」

「?」

「ウハハハッ!、さっすがパートナー様!

このアホの取り扱いをよーく御存知で!

さーて、今の内にっと!」

「へ?、うわあ~ー!?なげるなあー~!」

「・・・ぅっぅ・・・・・・・・・」

 

 

 

「兎が巣穴に隠してる

 

レアアイテム発掘しちまおう、そうしよう」

 

 

 

 

 

ガン!ガン!ガン!ガン!ガァーーーン!!

 

 

 

 

 

「ほーらみっけー♪♪」

「おおーー!!、床の下からケレスモンの薬がいっぱいジャン!!」

「相変わらずケチ臭ぇんだっちゅーの

どうせ他にもしこたま溜め込んでるんだろうから

この際ぜーんぶブン盗って・・・・・・・・・じゃなくて

セカイノタメニユーコーカツヨーシテヤロウゼー」

「わかったー!!」

 

 

 

 

 

ドッカン☆ドッカン☆ドッカン☆ドッカン☆ドッカン☆ドッ☆カンカーーーン☆☆☆

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「い、いいのかな??」

「いいんじゃない?

どうせつかさも起こさないといけないんだし」

「そう思って今の内にいくつか回収しておきました

スパロウモンもその傷を治して下さい

この舞台の幕はまだ上がっているのですから」

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

何はともあれ、さておいて

 

 

 

神の試練、これにて終了

 

 

 

次回、伝説の試練に   続く!

 

 

 

 



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キラメキ億千万!? 大合体☆シューティングスターモン!!

 

 

 

 

何の背景もない

 

 

フレームが剥き出しの電脳空間。

 

 

「アッハッハァ☆☆☆

 

 

いやぁ☆ここに来るのも☆ひっさしぶり☆だぁねぇん☆」

 

 

 

この静まりかえった空間では調子外れな笑い声がやけに大きく聞こえた。

 

「まひる、双葉、ここって・・・」

「うん」

「あたし達が

 

 

デジタルワールドで最後のレヴューをした所」

 

 

「レイド帝国の終わりと

シャウトモンの兄貴の始まりのステージ」

『・・・・・・・・・』

 

 

 

真っ暗なディスプレイ、その残骸が所狭しと並んでいる

 

かつて9人と9体が救世を成し遂げたこの場所が

 

エンシェントガルルモンとエンシェントグレイモンが野々宮ララフィンとスターモンズに与えた試練の間。

 

「はは!、は、ははっ

そんじゃま☆ララフィンチャン・・・うーん☆

オジサンもララチャンって呼んでいい?」

「え?、いいけど」

「んじゃ☆ララチャンwithスターモンズへの試練を発表したいと思いまーーす☆☆☆」

「という訳で!!!

フタバ!!!、受け取ってくれ!!!」

「ヘイ!、パス☆」

「うひゃあ!?」「うお!!」

 

 

 

 

 

アォォォオオオオオオーーーン!!!!!!

ギャオオオオオオオオオオオン!!!!!!

 

 

 

 

 

「『ほわっつ!?』」

「その衣装は!!、二段変身形態!!?」

 

 

 

突然、各々の神機を投げ渡されたかと思うと

 

咆哮と共に2人の頭上にあの幕が降りてきて

 

聖翔音楽学園の制服からレヴュー衣装へと変化

 

更に、まひるのモノには獣の始祖の

 

双葉のモノには竜の始祖の意匠が加わる。

 

 

 

「ルールは普段のレヴュー通り」

「ただし、時間切れには注意してくれ」

「ふたりの変身が解けるまでに上掛けを落とせ、ってコト?」

「「その通り」」

 

そう宣言するのは仔人狼と子供の亜人。

殆ど無傷の神機にパートナーから授かったキラめきとソウルを全て彼女達に返還し、再契約した結果だ。

 

「だったら、早く始めるよ」

「『Let's go!!』」

「!?、ララちゃんすごいキラめき・・・!」

「だろうな、なんてった野々宮は

 

 

 

救世主・・・ヒーロー役を演じることにかけちゃ

舞台少女の中でトップクラスだ」

 

 

 

星軍団を伴い、大胆に構えるララフィンに

 

相対するまひると双葉は

 

開いた口元から鋭利な牙を覗かせ

 

スカートから伸びる尻尾をピンッ!と立てると

 

 

 

「やぁあああーーー!!」「でぇりゃあ!!」

 

 

 

緑光と化して/紫炎の翼を広げ 急接近。

 

 

 

「そこぉ!!」

「ッ、引っ、かけた!?」

「伊達に師匠やってなかった!!!」

「『《ウィッシュアポンアスター!!!》』」

「ひゃあ・・・!」

 

光速で迫るメイス・Love Judgementに大槌・ワンミリオンスの先端が掠った瞬間、スターモンズがシスターの願いを叶えるべく片側に勢い良く集結

彼女の打撃力を強化させ、正面から襲いかかってきた『狼』を弾き返してみせる。

 

「はぁぁあ!!」「『Yeeeeeah!!』」

「う、そだろ?!お!?おお!おおお!!」

 

すると、すかさずララフィン=大ジャンプ。

その軽やかな跳躍に合わせ、星形の足場が『竜』の周囲を絶え間無く飛び交うことでファイアウォールの性質を持つDeterminaterを思うようには振らせない。

 

「くっ・・・・・・・・・!?

 

 

 

(舞台少女とパートナーデジモンの連携って

 

こんなに厄介だったのか!?)」

 

「双葉ちゃん!!

 

(ちゃんと動けてないッ

 

もしかしてブランク?

 

ううん、前にこの衣装を着たのはたった2回

 

ブランク以前の問題だよ!

 

これじゃ、ララちゃんの試練っていうより)

 

 

 

!!!」」

 

 

 

「ふたりとも、やっと気づいたの?

 

 

 

この試練が一体誰の為のモノなのか」

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

地上から舞台を眺めるストラビモンとフレイモン

 

2体の視線が、ハートが向いているのは

 

露崎まひると石動双葉

 

この事実に野々宮ララフィンは最初から

 

否、試練が始まる前から気づいていた。

 

 

 

「それでも構わない」

 

「「!!」」

 

「この試練が、舞台が

 

あなた達の為に造られたモノだとしても関係ない

 

その前提を覆せなきゃ

 

 

 

『黒の逢魔』は倒せないッッッ!!!」

「「ーーーーーーッ"ッッ"!!!」」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

翼無き身で空を舞う『竜』の頭上を取り

 

星の力を得て振り下ろされた大槌で

 

『狼』の方へと殴り飛ばす。

 

 

 

「あいつらの描いた脚本で!!!

 

 

 

救世主は、舞台少女は!、やられ役!!!」

「『《メテオスコーーール!!!》』」

 

 

 

縺れ合いながら地面を転がるふたり目掛け

 

ピンクに金のラメが入ったキラめきとソウルをすることで大量放出

 

パートナー達と共に急速落下。

 

 

 

「もうその流れは止められない・・・ッ

 

だから!!!変える!!!変えてやる!!!

 

あの子達み」「ごめんねララちゃん」「!!?」

 

「ありがとな野々宮

 

お陰でやっとわかったよ

 

 

 

この舞台でのあたしの」「私の「役が」」

 

 

 

隕石が如きワンミリオンスの打撃を

 

双葉とまひるは止めてみせた

 

 

 

素手で。

 

 

 

最も、その手はヒトのモノではなかったのだが。

 

 

 

「異形化ッ、しかも片手だけ・・・!?」

「ウィザーモンから『台本』を渡されただけじゃ

あたしもまひるも上手く落としこめてなかったんだ」

「だけど、ララちゃんのこの舞台に懸ける想いが

キラめきが!!」

「シスター!!」

『バック!!、バック!!』

「くぅ!!」

「教えてくれたんだよ!!、野々宮ァ!!」

 

 

 

「『火』がついたな、相棒」

「『光』ってるね、マヒル」

 

 

 

スターモンズに強い力で引っ張られ、ララフィンの小柄な体躯が一気にふたりから離される

 

 

 

「ダメだ!!みんな!!離れて!!早く!!」

「『!!』」

 

 

 

が、デジタルウェイブとの一体化による光速の前ではこの行動は無意味でしかなく

即座に距離を詰められた。

 

 

 

「(大丈夫、さっきと同じ!

 

光になる寸前の目の動きと呼吸を読んで

 

まひるの動きの癖を合わせればッ)

 

当たる!!!

 

 

 

           え」

 

 

 

「がるるるるるるるるるぅううう!!!」

 

 

 

ララフィンの中で造り上げた自信を確信へと変換させて振るった大槌

 

その柄の部分に食い込んだのはまひるが演じる獣の牙。

 

 

 

「がるぅ!!!、るるるるるぅ!!!」

「ぅぁ!!?、あああ"あああ!!」

 

 

 

狩猟本能剥き出しで口に咥えられたワンミリオンスごと振り回され、地面へと叩きつけられる。

 

 

 

「~ッ!~~!!~!~~~!!、!!!」

 

 

 

寸前、得物を手離し

 

キラめく連続バク転で勢いを殺しつつ後退

 

軽やかな着地と共に万の名を冠する大槌を再生産

 

 

 

「すぅうううっ ぎゃおおおおおおう!!」

 

「!?、ドラゴン、ブレス・・・・・・・・・!!」

 

 

 

するとすかさず火竜を演じる双葉の口から放たれた炎の吐息が真上から迫ってきた。

 

 

 

「スターモンズ集合!!!」「『Yeeeeeah!』」

「ララフィン=スタァインパクトォ!!!」

 

 

 

「「ッッ!!?」」

 

 

 

ソレに飲まれるか否かのタイミングを見切り

 

片側に集った星軍団と共に足元に広がるディスプレイの残骸へと

 

ピンクのラメ入り粒子を纏ったダイナミックな打撃を御見舞いすれば

 

 

 

『柱』となって勢い良くセリ上がり

 

 

 

ララフィンの体はさながら、ヒーローショーにおけるヒーロー役のようにポップアップ

 

炎の海を乗り越えるのと同時に

 

光速の追撃をも振り切って魅せる。

 

 

 

「《バーニング」「《ツヴァイ」

 

「『!!、シスタァアアアアアア!!!』」

 

 

 

 

このキラめきが双葉とまひるの心に『火/光』を灯した。

      ‎

 

 

「サラマンダー!!!》」

 

「ハンダー!!》」

 

「!"!・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・」

 

 

 

躱した筈の炎は火炎竜となって背後から襲いかかり、パートナーと共に造り上げた『柱』はメイスから伸びる緑光の斬撃により根元から切断。

 

 

 

「あっ   あ   (ダメだ)   」

 

 

 

小さな体が空中に投げ出され

 

重力に従い落ちていく最中

 

彼女の脳裏を過るのは

 

 

 

このふたりには勝てない/このふたりには負けても良い

 

という、舞台少女にあるまじき弱音

 

 

 

 

 

 

この物語におけるフロンティアの仲間達の今までの活躍だ。

 

 

 

「(ジャングルモジャの時、あるるはシャウトモン達を呼び込んでくれた

 

ラヴォガリータモンの時、静羽はドルルモンと契約して逆転の糸口を掴んでくれた

 

ボルトモンの時、つかさとスパロウモンが居てくれたから5体合体のX5になれた

 

美空は

 

 

 

美空はあんなになってまでキラめいた!!!

 

 

 

なのに、わたしだけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

まだ   なにも   できてない

 

 

 

くやしい!!! くやしい!、よぉ・・・!

 

 

 

わたしが一番ヒーローになりたいのにッ)」

 

 

 

「「ーーーーーー」」

 

 

 

幼さの目立つ顔立ちの上を止めどなく流れる涙

 

 

 

ソレを感じ取りながら『狼』と『竜』は各々得物を構えると、上掛けを留める星のボタンに狙いを定めて飛ぶ。

 

 

 

「落ち込んでるシスターもかっこ良いZE」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

「「え?」」

 

 

 

その時だった。

 

 

 

「もふもふナノ~☆」

『ほんとナノ~☆』

『耳!、耳!、フッサフサー!』

「えええ!?、うひゃあああーーー!!!」『シッポでブランコ~☆』

『コッチはすべりだ~い☆』

「ふあ!!、ひゃ、ひやめほぉ~・・・!!

ち、ちからがぬけ、って!、まひる!、避」

「ふたばちゃっ?!」

 

 

 

 

 

ゴッ☆☆  チーーーン☆!☆!☆!

 

 

 

 

 

「「ああああぁぁ~~~・・・・・・・・・!!?」」

 

 

 

「!、流れが」「変わった!?」

 

ヘッドの統制を欠いたピックモンズとチビックモンズが好き放題やり出したのは。

 

「す、スターモン???」

「そんなに驚いた顔をしてどうしたんだーい?

 

 

 

仮面のヒーローの後は戦隊ヒーロー☆!

 

ソレがSUPER HERO TIME☆!

 

そう教えてくてたのはシスターだZE☆!」

 

「え、あ、うん、そう、だね?」

 

 

 

肝心のスターモンもララフィンの肩の上で何やら意味不明なことを宣っている。

 

「人間界には色んなヒーローが居るよな!

 

科学に魔法に未来に宇宙に大昔!

 

乗り物に動物に恐竜に天使や悪魔!

 

愉快なモンからトレンディなモンまで!

 

それから

 

 

 

どんなに傷ついたって

 

ヒーローを求めて頑張ってる

 

 

 

カワイくてイカしたガールズヒーロー☆!」

 

 

 

「!!」

 

 

 

「さあ☆!、そんなヒーローにみんなからのREQUESTダ☆!」

 

 

 

「シスターかおこわいノ~」

「でもその顔もカッコいいノ~」

「COOL☆!」「COOL☆!」

「だけどもっと違うシスターを見せてくれYO☆!」

「笑ってる顔もだーいすきだゼー!」

『ナノ~☆!』

『Show me☆! Show me☆!』

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

不時着したまひると双葉に未だまとわりつきながらピックモンズもチビックモンズも好き勝手言ってる

 

 

 

まるで   テレビの前の子供達みたいに。

 

 

 

「ねぇ、みんな

女の子のスカートはね

そんな風に引っ張ったらダメ、だよ?」

「その翼、炎だから触ると火傷じゃ済まねぇぞ・・・!」

『!!、Nooo"oooo~~~ッ!!?』

 

 

 

すると、流石に我慢の限界を迎えたのか

 

『光』の重圧と『炎』の熱波が放たれ

 

小さな星軍団が軽々と吹き飛ばされる。

 

 

 

「ララちゃんは、ッッ!!?」

「まひる・・・?、どうし !!」

 

 

 

その直後、ピコピコ動く狼耳の導きに従い

 

視線を向けた先に居たのは・・・

 

 

 

「・・・!"・・・ーーー・・・・・・・・・!!・・・ッー」

「HEY!、シスター!

スーパーヒーロー着地、バッチリ決まってるZE☆!」

 

 

 

ブリキのように固まったいった身体に

 

みんなのハートをいっぱいに詰めて

 

細かなヒビが入ったディスプレイの残骸の上

 

両足と片手による独特な着地ポーズを取り

 

残る手で星柄が流れるようにピンクのラメ入り塗装が加わった新たなクロスローダーを構える

 

 

 

舞台少女・野々宮ララフィン。

 

 

 

「あの子のキラめき、だけじゃない・・・!!

 

デジタルワールドが、この舞台が求めて

 

あの子『達』に力を貸してるッ」

 

「つまりは『アレ』ってことだな!!」

 

「うん!!」

 

 

 

この先の展開を予想してまひると双葉が牙を剥いて笑っていると

 

 

 

「小さな声にしゃにむに応え!!」

「みんなで立とうZE!

 

 

 

ON THE STAGE!☆!『Yeeeeeah!☆!』」

 

 

 

バラバラに動いていたピックモンズとチビックモンズがスターモンズの元に再集結

 

 

 

「吼えろ!!!「『ROAR!!!』」」

 

 

 

「轟け!!!「『BOOM!!!』」」

 

 

 

だけには終われない。

 

 

 

「わたしが・・・・・・・・・

 

私、が!

 

 

 

私がぁッッッ!!!ヒーローッッッ!!!

 

 

 

大!☆!   合!☆!   体!☆!」」』

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

新たなクロスローダーが放つスポットライトが煌々と照らすのはレヴューの相手

 

 

 

「『スターモンズ ジョグレス進化☆!』」

「シューティング、スターモン☆!」

 

 

 

その光の線の上を炎の星となって翔ぶのは

 

多くのピックモンズがスターモンの周りに集い

 

想いをひとつにしてシスターを前面に押し出している

 

巨大隕石のような姿の超メジャー型デジモンだ。

 

 

 

「夢と希望で・・・!!」「『ススメ

 

 

 

 

ティ!アァアアアアアア☆!☆!!!☆!!!』」」

 

「「ーーーーーーッ!!」」

 

 

 

《アストロボンバー》を背負い突っ込んでくるワンミリオンスをLove JudgementもDeterminaterも真正面から受け止める。

 

 

 

「あう!、うぅう!?(重い!、けど!)

 

 

 

がるるるるるるううううううう!!!」

「ぎゃおおおおおおおおおおおお!!!

 

 

 

(それでも!、勝つのは!)」

 

 

 

あたしだぁ!!!/わたしだよ!!!」」

「ウアァアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

この舞台の中心を照らすスポットライトの上

 

各々のソウルとキラめきを纏いながら

 

全力でぶつかり合う舞台少女達。

 

 

 

「『《ダイナマイトソウルッッッ!!!》』」

 

 

 

すると、パートナーの小さな背中を支えているシューティングスターモンズの必殺技が

 

 

 

「がんばれ!☆がんばれ!☆シスター!☆」

「まけるなまけるなフタバ!☆!」

「GO!☆GO!☆Let's go!☆Let's goマヒル☆!」

「すごいぞ☆すごいぞ☆ストラビモン☆」

「熱いZE!熱いZE!フレーイモン!!」

『ファイトファイトお☆!れ☆!た☆!ち☆!Yeeeeeah☆☆☆!!!』

 

 

 

「「「「!!!」」」」

 

 

 

全方位無差別応援が炸裂した。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・えへへ♪」

 

「ふふっ!」

 

「へへへ!」

 

「「アッハッハァ☆」」

 

 

 

コレにはメインキャストもオーディエンスも思わず笑みをもらす。

 

 

 

「「「「「「『

 

 

いっ!!!

 

 

けえええーーーーーー!!!』」」」」」」

 

 

 

舞台が 客席が キラめきが

 

光が 炎が 星々が ソウルが

 

全ての『熱』が一体感に包まれながら

 

 

 

弾け

 

 

 

この舞台の幕が下ろされるのであった。

 

 

 

 

 

 

「ララ、フィン・・・、ララフィン!」

「?、ぁ、るる?、それにつかさ、も?」

「おはよう

・・・・・・・・・と、言っても

私も起きたのがついさっきなんだけどね」

 

始祖の試練を終えたララフィンが目を醒ますと

目の前にあったのは仲間達の安堵の眼差し。

 

「ッ、そうだ!、試練は!?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「ぁ」

 

その視線が無言で外され

 

 

 

「「シスター!、コレもらったノ~!」」

 

 

 

 

 

         え

 

 

 

ええええええーーーーーー!!!???」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・た、先では

星のボタンをふたつ担いだチビックモンズが嬉しそうにピョンピョン跳ね回っていた。

 

「おー、野々宮も起きたか」

「よかったぁ」

「双葉!、まひる!、あ、アレって!!」

「うん、私達の上掛けのボタン」

「はぁーーーーーー・・・・・・・・・

まさか、退化すんのと一緒に

あのチビ達が飛び込んでくるとは思わなかったなー」

「「金メダルナノ~~~☆!」」

「ふふふっ、大切にしてね」

「・・・・・・・・・そう、なんだ、そっかぁー」

「わっ!?、と!」

「ララフィン!?」

 

通常のモノに戻り、再生産も済ませたレヴュー衣装を纏った双葉とまひるからの説明を聞いた途端、再び虚脱感に襲われたのかララフィンは一番近くに居たあるるに体を預けてしまう。

 

「野々宮さんの試練はあの衣装を纏った露崎さんと石動さんとのレヴューでしたか」

「そだよ、マヤチャン」

「つかさに負けず劣らず贅沢なこと」

「正直凄く羨ましい、けど

私達はソレ以上の舞台を造ってみせるわ

ね?、ドルモン」

「うん」

「ウチも!!」

「ああ!!、これからはオレ達だって!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ね、ねえスパロウモン

私が眠ってる間にルナモンに何があったの?」

「あ、はは、はははっ」

「兎のことなんざ一々気にしなくたっていいっちゅーの

それより、例のデジモンキングって奴の方を気にかけてやった方がいいんじゃないか?」

「あっ」

「・・・・・・・・・」

 

多くの舞台少女やデジモン達が集うこの場所には、寄り添う合うふたりのパートナーも勿論居た。

 

「やっぱり、なーんも思い出せねぇや」

「兄貴」

「んな顔すんなって

此処に来てちゃんとわかったんだからよ

俺の故郷はやっぱり微笑みの里だってことがな!」

「・・・・・・・・・Allright」

「んじゃ!、そろそろシズハとドルルモン

キュートモン達の所へ戻ろうぜ!」

「うん!、静羽ちゃん達の試練もきっと終わってるだろうし!」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「んあー、ソレはどうだろうなー」

『?』

 

 

 

「?、???、??????」

「ベアモンどうかしましたか?」

「いや、なーんか大事なこと忘れてるような気がして・・・、うーーーーーーん???」

 

 

 

☆デジタルワールド・ダークナイトモンの館

 

 

 

跡地

 

 

 

「グウーーー」「ふーんだ!」

 

 

 

そこでは、百獣番長が明らかに無理のある体勢で眠りこけており

このデジモンのすぐ傍では制服姿の少女がほっぺたをプックリ膨らませ、ご立腹の様子。

 

「なーな」

「・・・・・・・・・みんなだけズルいッ」

「ご、ごめんね、ばななちゃん」

「まー、あいつの性格的に仕方ねぇって」

「むううう!」

「ほら、そろそろその顔やめなさい」

「折角の美人が台無しですよ」

「や」

「し、静羽?、コレって」

「ララフィン、みんな、ごめんなさい

 

 

 

私達の試練まだ始まってすらいないの・・・」

 

 

 

「ええええええ~ー~ー!!?

お姉ちゃんなんてあとちょっとでバラバラだったのにぃ~ー~ー!!?」

「ば、バラバラ?!

ツカサ!!、怪我はないっキュ!?」

「私もみんなも回復してるから大丈夫」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ワタクシの貯蓄を無断で使い放題してなッ」

「『そ、ソーリー』」

「それより!、バンチョーレオモン!

どうして試練をしてくれないの!!?」

「グウーーー」

「この期に及んで寝たフリしてんじゃ!

ねぇえええええーーーーーー!!!

《ロックダマシィイイイーーー!!!》」

「ば?!、やめろ!!」

「別に止めなくていいよ、うん」

 

あるるの訴えに一切聞く耳を持たないバンチョーレオモンの頭頂部目掛け、燃える拳骨が繰り出される。

 

 

 

 

         ゴ・・・!

            グキッ!!

 

 

 

 

「あ"!いててでででてててぇええ"え"ええ"えーーー"ーーーー!!!??!!」

「「「「「シャウトモン!!?」」」」」

「『兄貴ーーー!!?』」

「グウーーー」

「《ヨクナオール!》」

「てててぇ・・・、せ、センキュッ

くっそぉー!、目線一つくれねぇとはよぉー!」

「うん!?、そっち!?」

「本当に舞台少女に負けず劣らずの舞台バカ、ね」

 

・・・・・・・・・しかし、結果は御覧の通り。

 

「ウハハハッ!、お前からの情報通りだ!

百獣番長の奴すっかり丸くなってやがんなー!、闘争よー!」

「うーーーーーーん???

・・・・・・・・・あ!、ごめんなウルカヌスモン!

今ウチ違うこと考えてた!」

「いや、俺の方こそ悪い

お前に話振る方が間違ってた」

「Exactement」

「あ、あの?、ウルカヌスモン、さん?

バンチョーレオモンが丸くなったというのはどういう意味でしょうか?」

「確かに今丸くはなってるけど・・・」

「そうだなシスター!、マンマルだ!」

『Ball!、Ball!』

「そっちじゃねーっちゅーの!

お前らは知らねえだろうがバンチョーってデジモン共はどいつもこいつも自分勝手でよー

他のモンことなんざこれっぽっちも考えない連中なのさ」

 

 

 

『ハイ・・・・・・・・・???』

 

 

 

「つまり、あんな風に殴られっぱなしとかありえなかったんだよ」

「む、無視した!?」

「スパロウモン、シッ!」

「う、うん・・・ウルカヌスモンの言う通り

生まれ変わって、ナナと契約して

『前』と今のバンチョーレオモンは大分違う

だけど」

「それでも☆ボウヤはオジサン達の中じゃ☆

イッチバーン☆ムッツカシー仔なんだよね☆

アッハッハァ☆」

「そうだな!!、光の!!」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「コホンッ、一番かどうかはさておき

あの通り、大場さんのパートナーは彼女の言葉すらも容易には聞いてくれません」

「だからこそ、あんたが自分の力で言うことを聞かせる他無いのよ

フロンティア芸術学校・舞台表現コース総代

胡蝶静羽」

「私、が」

「グウーーー」

『『・・・・・・・・・』』

「ッ」

「(シズハ)」

「キューーー・・・」

 

紆余曲折を経て、自分に多くの視線が集まるのを肌で感じ取った静羽は今まで開いていた手を固く握るとパートナーと並んで難敵の前に立つ。

 

 

 

「ふぅーっ」

 

 

 

すると、停滞していた物語を動かすべく【裏方】によるテコ入れが行われた。

 

 

 

「ブハッ!?、な、なんだぁー?」

「どうしたのシャウトモン?」

『ホワッツ?、ホワッツ?

 

 

 

ホワッツ!!?』「こ、こいつは!!?」

 

 

 

「スターモンズまでなに!?」

「その『紙』がどうかしたの?」

「あれ?、おねえちゃんコレ」

 

 

 

柔らかな弧を宙に何度でも描きながら

 

シャウトモンの顔面に張り付いたのは・・・

 

 

 

「ここに描かれてるのってシャウトモン達、だよね?」

「「「!」」」

 

 

 

スパロウモンを除いたフロンティアのパートナーデジモン達の似顔絵が載った捜索願。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

あああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!!

 

 

思い出したああああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

 

 

『『!!?』』

 

 

 

「ケッ、遅ぇんだよアホがァ」

「なら自分から言えば良かったんじゃない?」

「うるせぇなァ、何も知らねえクセに余計な手出ししやがって」

「知らなくってもわかっちゃいました♪

だって、私は、あなたのパートナーだから」

「・・・・・・・・・相変わらず

テメェほんとにめんどくせぇなァー」

 

 

 

この一枚の紙を目にした途端、ベアモンがにわかに騒がしくなる。

 

 

 

「ドルルモンッ、お前!!!、おまえ!!!」

「な・・・!?」

「ちょ!、ちょちょちょお!

闘争!、お前急にどうしたっちゅーの!?」

「離せ!!!、はなせよ!!!

あいつは、あいつは!!!」

 

 

 

「レイド帝国四天王、麗将ロゼモン

 

その直属部隊の隊長を務めてたデジモンだァ」

 

 

 

「は、?」「あ・・・」

 

 

 

『え』

 

 

 

「確か通り名は、死神の風だったかァー?」

 

 

 

その理由を仁王立ちしたバンチョーレオモンが告げれば

 

 

 

「ドルルモン、が

 

 

 

レイド帝国の、デジモン・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

 

 

 

だから、『あの場所』がわかった、キュ?」

 

 

 

「ュー、ト、もッ、ーーーーーー!!」

 

 

 

ドルルモンは

 

 

 

『ドルルモン!?』

「・・・・・・・・・っぱり、こう、なった!」

 

 

 

逃げた。

 

 

 

仲間達も   パートナーも

 

 

 

キュートモンのことも置いて。

 

 

 

「静羽ちゃん!!!、追って!!!」

「え」

「え、じゃ!、ねぇええーーー!!!

早く行けよ!!」

「ッ、わか」

 

 

 

「《フラッシュ!、バンチョーパンチ!!》」

 

 

 

「ぁぁあ!!?」

「「静羽!!」」

 

遠ざかるドリルの尾を慌てて追おうとする静羽を襲ったのは、極限まで研ぎ澄ました気合を輝く拳に乗せて放った衝撃波。

 

「な、なにするんだよぉー!!?」

「ナニってのはこっちの台詞だァ

あんなモン追いかけてナニになる?」

「あ、あんなモンだってぇえーー!?」

『ドルルモンは俺達の大切な仲間!!』

「仲間ァ?

シャウトモンの事情知った上で

テメェが何やったか黙ってたモンがかァ?」

「「「「「『!!』」」」」」

「《スグナオール!!》」

「ぅっ、きゅう、とも」

「シズハ

 

 

 

シズハは知ってた、キュ?」

「!、・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、ごめ」

 

 

 

「謝らなくていい」

 

 

 

「ッ!?」

「黙ってたことを謝らなくてもいいから

ドルルモンをお願いっキュ」

「で、でも!!、わたしよりあなた」

「今のドルルモンに必要なのは僕じゃない」

「な」

「・・・・・・・・・ねぇ、シズハ

 

 

 

君はこの舞台で

 

君がクリアしたいって願ったステージで

 

君とドルルモンが契約して

 

一体何がしたいっキュ?」

 

 

 

「!!」

 

 

 

「きっと、その答えが

 

今のドルルモンには必要っキュ」

 

「きゅうと、も・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「ゴチャゴチャゴタク」

「「!」」

 

 

 

少なくは無い手傷をキュートモンに癒され

 

激励されていた彼女に百獣番長が隻眼を向ける。

 

 

 

「並べんなァ!!」

「《ソウル!!!クラッ!!シャァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」

「ガ!ハァ!?」

「ゼェ・・・!、ゼェ・・・!、ゴホ!!」

 

再び《フラッシュバンチョーパンチ》が放たれる寸前、熱いシャウトが両者の間に割り込んだ。

 

「・・・・・・・・・なんだ

ちゃんと試練する気あったんだな、あいつ」

「そのようだな!!、相棒!!」

「ほんっとに丸くなっ

んだぁーーーーーー!!!、そろそろ暴れんのやめろっちゅーーーのぉ!!!」

「はーーー!!!なーーー!!!せーーー!!!

あいつは!!バッチャンの残したモンは!!

全部ウチの獲物ジャーーーン!!!なのに横取りすんなコラァーーー!!!」

「忘れてたあんたの『負け』よ

いい加減諦めなさい」

「うぐぐぅ!!?、うううううう!!」

「ん、んあー・・・さっすがパートナー様

こいつが一番堪えることを何の躊躇いもなく言いやがるとは」

「ちなみにルナモン、あなたは知っていましたか?」

「いいや、しかしそこで磔のまま泣きべそかいてるアホではあるまいに

この状況で一々指摘する必要もないだろう?」

「うん、そうだね」

「だからこそ、今じゃないと・・・

『黒の逢魔』から言われる前じゃないといけなかったんだとオレは思うよ」

「前にあなた達の来歴を私達に教えた時みたいに?」

「ショユコト☆」

「で、でも大丈夫かな・・・?

ララちゃん達怪我は治ってるけど」

 

 

 

「大丈夫」

 

 

 

「!、ばなな、ちゃん」

 

 

 

「心配しないで

 

あの子はちゃんとわかってるから」

 

 

 

この光景を聖翔の舞台少女達は遠巻きに観劇。

 

 

 

叶美空のキラめきと生命の光によって

 

指し示された進化へと至るべく

 

フロンティアの面々に与えられた

 

騎士 神 始祖 の試練

 

その中でも最も険しい番長の試練は・・・

 

 

 

 

 

「くそ!!

 

 

 

 

 

くっそおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

 

未だ、幕すら開かれていない。

 

 

 

 

 



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番長の試練! ケダモノ達のレヴュー、開錠!




前日譚『麗将解散宣言』



「って、ワケで!
今日でアタシの部隊は解散ってことでヨロシク!」
「遂に耄碌したかババア」
「カッカッカッカァ♪、ひっどい言い草だねぇー!」

突然、何の前触れもなく
直属の上司であるレイド帝国四天王・麗将ロゼモンから一方的に解雇を告げられたドルルモン隊長は赤いサングラスの奥の目を極限まで吊り上げると、緑色をしたトゲ付き肩パッドをワザとらしく揺らして辛辣に返すのであった。

「せめて理由ぐらいは聞いてやるからとっとと話せ」
「理由は、そうだねぇー
勝たなきゃいけない相手がもうすぐ来るから、さ」
「だったら尚更俺達を使えばいい!!
その為にお前は俺達みたいなレイド帝国のはみ出しモンばっかりを集めたんだろうが!?」
「カカカ、あんたらじゃ足手纏いなんだよ



何せ相手はデジタルワールドの救世主

ニンゲン、なんだから」



「!?、ニンゲン、だと!!?」



(嘘だ

あんたの本当の相手は・・・)



「あんたらみたいな半端モンぶつけたって
救世主様達に経験値を与えるだけさね
ま、後は自分達で上手くケツを拭くこった」
「ぐ!」



(嘘だ

あんたは本当は俺達を・・・)



「・・・・・・・・・本気、なんだな?」
「あんたの上司は冗談でこんなことを言うモンかい?」
「チッ!、わかったよ!
俺だって好き好んで消えたいワケじゃない」
「そのワリにはこの麗将サマの電脳核を背後から狙ってきたじゃないかーい?
いやぁー、あん時は冷や汗が出たねぇー!」
「嘘つけぇ!!

《ロージィクレイドル》で一瞬で眠らせて!

《ローズベルベッド》でふん縛った挙げ句!

朝まで放置したのはどこのどいつだ!!?」



「アタシだよ!!」



「うるせえぞババア!!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・精々ッ

ニンゲンなんかにやられないようにしろよな!



お前の生命を刈るのは、この俺なんだから」



(嘘、だ

俺は、本当は、あんたを・・・)



「カッカッカッカッカッ!
ほんっとにケモノ型は口だけは立派だね~
だったら、ひとつ賭けでもしようか」
「?、なんだこのデータ」
「宝の地図、さ
今のデジタルワールドで『ふたつと無い』モン
その隠し場所を記しておいたから



次、会った時ソイツをアタシに見せておくれ



そしたら、ちゃーんと相手をしてやるよ」



「!、その言葉!!、忘れるなよ麗将!!」
「ああ、あんたのことは忘れないよ隊長」



(ーーーーーーッ



嘘!、だった!!!



あんたは本当はもう俺と会う気なんてなかった!



だから、あいつを・・・・・・・・・・・・・・・・・・



キュートモン族最後の生き残りを俺に託したんだろうが!?)




「ドルルモンはどうやってあんな所に居た僕を見つられたっキュ?」
「それはな、たまたまだ」




(嘘だ)




「ドルルモンはどうして僕と一緒に居てくれるっキュ?」
「それはな、お前の家族を探す為だ」




(嘘、だ)




「ドルルモンはどうして僕の家族を探してくれるっキュ?」
「それはな、それは・・・
チッ!、見つけちまった以上はしょうがないだろうが!」
「キュ~~~!?
グリグリは角が当たるっキュ~~~!!」



(うそだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・



嘘だ

嘘だ嘘だウソだ嘘だ嘘だ

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だうそだ嘘だ嘘だウソだ嘘だうそだ嘘だ嘘だウソだ嘘だ嘘だ嘘だうそだ嘘だ

うそ、ばっかりなんだ



だから、おれは





 

 

☆デジタルワールド・ダークナイトモンの館跡地

 

「《ラウディ、ロッカァー!》」

「『《ウィッシュアポンアスター!!!》』」

「ララフィン=スタァインパクトォ!!!」

「《ランダムレーザぁああーーー!!!》」

「ケッ、どいつもこいつも鬱陶しい

 

 

 

なァッ!!」

 

 

 

「「「「!"!」」」」

 

バンチョーレオモンが自分へと群がる舞台少女とデジモン達を気迫だけで一掃すると、足に力を込めて大きく一歩を踏み込む。

 

「!?」

「「静羽/ちゃん!!」」

「オラァ!」

 

それだけで胡蝶静羽との距離は一瞬で縮まり

驚愕する彼女目掛けて傷だらけの刃を振るった。

 

「「ああ!!?」」

「つ、つかさ!?、あるるちゃん!!」

「ー~ー~ー~ッ、行っ!、て!、静羽ちゃん!!」

「ドルルモ、ンと、一緒に

ハァ、ハァ、戻ってくるまでは私達で繋いでおくから!」

「ここは任せて先に行け!!!

・・・・・・・・・くぅううううう!!!

この台詞ララフィンも言ってみたかったんだぁ☆!」

「『Yeeeeeah!』」

「オレサマがやらせると思ってんのかァ!?」

「思ってる、だけじゃ!

ねぇえええエエエエエエ"エエエエエーーーーーーーーーーーー!!!!!!"」

「ガァ?!、クソッ、タレぇ!

またソレかァ!?」

「ゴホ・・・ッ!、ゲホゲホ!!」

 

すると、フロンティアの仲間達が各々体を張って総代をフォロー。

 

「んあー?

シャウトモンさっきからおかしくねーか?」

「どうやら、あの『叫び』による反動はニンゲンのソウルと同様に回復薬では治らないようデシテ」

「『黒の逢魔』との戦いやボクの試練でも使い続けたんだ、限界がきていても不思議じゃないよ、うん」

「でも、自分から舞台に上がった以上ソレは言い訳にはならないわ」

「星見さんの言う通り

私達と競い合い、共に頂を目指すというのならば・・・」

「息切れしてる暇なんてない」

「ワオ☆、マヤクロジュンナチャン☆キッビシィ☆

だけど、群れの長にはそうゆうの必要なんだよね

ワー君とか彼女には難しいことなんだろうけど」

 

 

 

「ーーーーーーッ

 

(ほんとうに、わたしが

 

ドルルモンを舞台に誘えるの・・・・・・・・・?)」

 

 

 

かつてデジタルワールドを救った救世主達と鍛治神が見守る中、胡蝶静羽のハートは未だ定まっていない。

 

 

 

「《クラッシュブーム!!》」

「!、スパロウモン?!」

「黙ってたっていいじゃないか!!」

「え」

「何でもかんでも知ってるからって仲間なんかじゃないよ!!

『黒の逢魔』がそうじゃないか!?」

「・・・・・・・・・!」

「例え大切なことを知らなくたって

本当に知らせなきゃ、知らないといけない時が来るんだ

 

 

 

僕とおねえちゃんがそうだったように」

「あなたと、つかさが」

 

 

 

すると、少女の迷いを振り払うかのように

高速で飛翔するイエローウィングが恵まれた体躯を掻っ攫い、あっという間に空の上へと連れていく。

 

「だから ぅぁ!!」

「いかせるかってんだァ!!」

「「「「「『ぐ、・・・う・・・・・・!』」」」」」

 

空舞うスパロウモンの翼を飛ぶ斬撃で欠けさせたバンチョーレオモンの足元では、コテンパンにのされたフロンティアの面々が力無く呻いていた

 

「シャウト、モンン!」

「スパロウモンッ

 

 

 

デジクロス!!

 

 

 

シャウトモン+ジェットスパロウ!!!!」」」」

 

 

 

と、思いきや

 

早撃ちの要領で抜き放たれた2つのクロスローダーの輝きが静羽の頭上で交錯し、新たなデジクロス体『音速巡航形態』が出現。

 

「スターモン、ピックモンズ、チビックモンズ

 

 

デジクロス! スタァウィイイップ!!!」

 

 

 

『!!?』

 

 

 

「ど、どうなっているのデシテ!?」

「あいつらのデジクロスって確かシャウトモンが居ないとダメだったジャン!?」

「デジクロスまで進化したってことかよ?

野々宮!!」

「や、やっぱり、ララちゃんすごい・・・!」

 

更には、スターモンズがデジクロスしたことで星の鞭が生み出された。

コレには百獣番長はおろか観客達も驚きを隠せない。

 

「やあああーーー!!!」

「「ナノ~~~!」」

「つっかまえたZEEEEEE!☆!」

『御用だ!☆!、御用だ!☆!』

「ケッ、こんなモン、・・・・・・・・・!?」

「どんなもん!、だよ!」

「1人1人じゃ敵わなくても!

みんなの力をひとつにすれば究極体とだって!」

「チィイ!」

 

ララフィンが操るスターウィップはまるで新体操のリボンのように軽やか、かつ素早く軌道を描きながらバンチョーレオモンに巻き付く。

すると、力任せに振りほどかれるより早く

取手のチビックモンズの上にあるるとつかさが手を重ね

黄金がかったオレンジにピンクのラメが加わったキラめきとソウルを流すことで、この筋骨隆々なデジモンすらも容易には逃がさない。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「へへへっ♪、良い顔してんなぁー!、シズハ!」

「え?」

「あのステージに今すぐにでも立ちたいって思ってんだろ?

 

 

 

初めて『迷宮』入りした時

 

ドルルモンの背中に跨がってた時とおんなじ

 

ウズウズキラッキラした顔だ」

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

「あん時から、いやあいつと始めて会った時からお前のハートは決まってたんだろ?

なら、さ

 

 

 

腹から声だせ   諦めんな」

 

 

 

「ーーーーーー!」

 

 

 

「オラァアアアアアア!!!」

「『Nooooooo~~~!!?』」

「「「うっ!!?」」」

「あ!、おねえちゃん!!」

「「!!」」

「使い過ぎ、だったなァ」

 

しかし、やはり相手はかつてデジタルワールドを救いし英雄の1体。 

各々の試練を終えたばかりの舞台少女達では留め切れず、スターウィップは獰猛な闘気に弾かれた挙げ句

3つの上掛けが男魂により次々と斬り裂かれていった。

 

「《ミナ!!

ナオオオオオオオルゥウウウウウ!!!》」

「「「「『!』」」」」

「ケッ、あんだけボコったってのに

妙に動きが良かったのはァそういうカラクリかァ」

 

その瞬間、癒しの波動が3人とクロスオープンしたスターモンズを包み

衣装もダメージも全て回復させていく。

 

「スパロウモン!!」

「任せて!!、行っくよぉーシズハ!!」

「・・・・・・・・・

 

 

 

ーーーーーー!、うん!!!」

 

 

 

地上で仲間達が造る舞台に想いを馳せ

 

故にこの場を離れる決意を固め

 

 

 

「「《エア!!!

 

シュウッッッ!!!

 

タアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》

》」」

 

「ー~ー~ー~ー~ー~ー~!!!!!!」

 

 

 

咆哮と共に撃ち出された圧縮空気に乗って

 

【蝶】が飛ぶ

 

 

 

        キミに会いに行く為に。

 

 

 

 

 

 

 

「( これでよかったんだろうが)」

 

 

 

ダークナイトモンの館から少し離れた崖の上

 

ドリルな尾を揺らしながら一匹狼は駆けていく。

 

 

 

「( 最初からわかってただろ?

 

俺みたいなモンが今更どの面下げて・・・)

 

 

 

!?、この匂いッ、まさか!!?」 

 

 

 

「ドルルモンッッッ!!!」

 

 

 

すると、風に乗ってすっかり嗅ぎなれた匂いと耳慣れた声が近づいてきた。

 

 

 

「ば?!、ヤロォ!」「・・・・・・・・・!」

 

 

 

自分目掛けて飛んでくる静羽を鬣で受け止めれば

スースーしていた背中に温もりが舞い戻る。

 

「何してやがる!?、危ないだろうが!!」

「ぁ」

「ど、どうした・・・?、どこか挫いたのか?」

「ううん、ちがう、違うの

 

 

 

あなたの背中に乗るのが久しぶりだから

 

嬉しくて」

 

 

 

「!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・久しぶりつっても

 

まだ、あれから大して経って無いだろうが」

 

「そうね、私達があなた達と出会ってから

 

まだ、ひとつきも経って無いわ

 

 

 

だから、こわかった」「怖かった?」

 

 

 

手首まで埋もれる程に毛量豊かなオレンジの毛並み。

ソレを掴む指先が震えているのを感じて

狼は思わず少女の言葉を聞き返した。

 

 

 

「付き合いの浅い私なんかがでしゃばって

 

あなたとキュートモンの間に入ったら

 

あなた達が私の前から消えてしまいそうで

 

すごく、こわかった」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「でも、だけど、それでも!

 

私は、あなたのパートナーになりたい!!

 

一緒にこのSTAGEを攻略したいの!!」

 

「!?」

 

「だから、改めて言わせて貰うわ

 

 

 

ドルルモン 私のパートナーになって」

 

 

 

「ーーーーーーッ

 

 

 

なんでそうなる?

 

 

 

お前は、俺が、何をしたデジモンなのか

 

知っただろうがぁ!!!」

 

「!!、・・・・・・・・・ええ

 

レイド帝国四天王・麗将ロゼモンの右腕

 

だけど、ロゼモンの目的は」

 

「救世主の舞台を整えてデジタルワールドを救うことだった?

 

ハッ!!、そんなん理由にならねぇーよ!!

 

俺は自分の力を思う存分振るいたかっただけだ

 

里の中だけで満足している同族共なんかとは違うってことを証明したかっただけだ

 

 

 

ただそれだけの理由であのババァに!!!

 

レイド帝国のケツに乗っかったんだよ!!!

 

俺は!!!

 

 

 

・・・・・・・・・だから、おれは

 

生まれ変わって微笑みの里で真っ直ぐに育った

 

あいつとは

 

 

 

シャウトモンとは!!!ちがうだろうがッ」「ちがっててなにがわるいのよ!!?」

「?!」

 

 

 

1人と1体が繰り広げる会話劇の最中

 

ケモノが吼えれば 少女も吠える。

 

 

 

「はぁっ!、はぁっ!

 

だって!、シャウトモンはシャウトモンで

 

あなたは、あなたじゃない・・・!

 

 

 

あなただからわたしは!!

 

パートナーになりたいの!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

フロンティアの総代という今の彼女の根幹を成す役。

 

ソレをかなぐり捨てて胡蝶静羽が叫んでいる

 

 

 

まるで、夢にうつつを抜かす子供のように。

 

 

 

 

 

「それはお前のエゴだろうが」

 

 

 

 

 

「!!

 

 

 

そうよ、わるい?」「ああ、悪い」

 

 

 

「ーーーーーーッ!!

 

 

 

(やっぱり ダメだった!!)」

 

 

 

しかし、ドルルモンの返答は

 

 

 

残酷に現実を突きつけるモノだった。

 

 

 

☆デジタルワールド・ダークナイトモンの館跡地

 

 

 

「ったく、わかりきってただろうがァ」

 

 

 

建物の残骸があちこちに散らばる大地には

 

大月あるるとシャウトモン

 

野々宮ララフィンとスターモンズ

 

恵比寿つかさとスパロウモン

 

が、ピクリとも動かない状態で転がっている。

 

 

 

「デジタルワールドでニンゲンやデジモンが動くにはソウルが必要だァ

いくらテメェが傷を治した所でそいつらのソウルがスッカラカンじゃア意味がねえ」

「キュウ・・・ッ」

 

 

 

「はあああ~~~」

「双葉ちゃん、我慢我慢」

「だって、あいつ殺陣ヘタクソ過ぎ!

歩幅滅茶苦茶!、酷い時は台詞言ってる間ずっーーーと足止まってたぞ!?

ああー!!、許されるなら今すぐ指導に入りてぇー!!」

「それはいくらなんでもダメだぞ相棒!!」

「あははは・・・」

「んで?、どうするよ?

そろそろツカサ達下がらせるか?」

「・・・・・・・・・そう、だな」

「なあ!、なあ!、ならウチがドルルモン殴ってきても良い?、いいよな!!?、なあ!!」

「J'ai dit assis!」

「もう少し待っていて下さい

胡蝶さんならば必ず最高の舞台をみせてくれる筈」

 

この光景を遠巻きに見つめていた聖翔勢も主演の登場を今か今かと待ちわびているのだが・・・

未だ兆しすら見られない。

 

 

 

「アア、そーいやー

 

なんでレイド帝国の連中が回復能力持ってかァ

 

なんでお前以外のキュートモン族が絶滅したのかァ

 

テメェは知」「今その話関係あるっキュ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうかよ」

 

 

 

「ワオ☆、カワイイ見た目で中身モッサモサ!

・・・・・・・・・オレより余程立派だな」

「うん、ボクも同じ意見だけど

それ『明けの遠吠え』の皆の前では言うなよ」

「あなたもよ」

 

 

 

「最も、テメェには関係無くても

 

あのウソツキ野郎はどうだかなァ」

 

「ドルルモンは嘘つきなんかじゃないっキュ」

 

「アアン?」

 

「ドルルモンは僕に嘘なんてついてないっキュ」

 

「ついてただろうがァ

 

ありもしねぇテメェの『家族』を探すとかいう」

 

 

 

「家族なら、居るっキュ」

 

 

 

「!!」

 

 

 

『え・・・・・・・・・?』

 

 

 

そんな舞台で独擅場を演じているのは

 

ウサギのような愛らしい姿をした妖精。

 

 

 

「何処だかよくわからない地下深くから僕を掘り出してくれた

 

それからずっと同じ景色を見て

 

同じ匂いを嗅いで

 

同じぐらいにお腹をすかせて

 

同じ雨に打たれて

 

同じ風を感じてきたっキュ

 

 

 

そんなドルルモンが僕の家族

 

 

 

だから」『!!?』「もう、これ以上」

 

 

 

キャストとオーディエンスの視線が集まる中

 

ピンク色の小さな手が掴むのは

 

 

 

己が体躯の倍以上の大きさはある瓦礫だ。

 

 

 

「僕の家族をバカにすんなぁーーー!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

キュートモンが放った投石はGAKU-RANに直撃

 

つまり、バンチョーレオモンへのダメージは

 

0。

 

 

 

「オレサマに手ぇ出した以上

 

覚悟、決まってんだろうなァ?」

 

「勿論っキュ」

 

「ケッ、そうかよ

 

ならァ、これからテメェがどうなるのかも

 

・・・・・・・・・わかって、るよ、なァ!!?」

 

 

 

「うわあああああああああ!!!!!

もう無理!!!、限界だ!!!」

「え!?、乱入アリなのか!?

ならウチも!!」

「だーかーらー!、やめろっちゅーのー!」

「「はーーなーーせーー!!」」

 

 

 

傷だらけの刃を手に究極体が成長期へと迫る。

 

それでもキュートモンは譲らない。

 

レベルも体格も段違いの相手を前にしてもだ。

 

 

 

 

 

「だって、主役は遅れてやって来るモノだから

 

 

 

 

 

ばなナイス♪

 

 

 

 

 

静羽ちゃん、ドルルモン」

 

「「ーーーーーー!!!!」」

 

「ア"ァ"ン?」

 

 

 

 

舞台上の光景に【裏方】は微笑む。

 

まるで、全てを見透かしていたかのように。

 

 

 

 

 

 

『元・悪役狼と舞台少女の舞台裏』

 

 

 

 

 

「でもな、シズハ知ってるか?

 

俺達デジモンはお前達ニンゲンの

 

そんなエゴで出来てるんだぜ」

 

「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「フンッ、何とぼけた顔してやがる

 

元・悪党に相応しいぐらいに好き放題言って

 

俺をその気にさせたのはお前だろうが?

 

 

 

精々、骨の髓までしゃぶってやっから

 

 

覚悟しとけ、パートナーさんよ」

 

 

「!!

 

 

~ー~ー~ーッッッ

 

 

うん!!!

 

 

 

でも、わたし

 

 

 

私は!、舞台少女・胡蝶静羽は!

 

 

 

簡単には丸呑みなんてされないから 狼さん」

 

「ハッ!!!、言ってろ小娘!!!」

 

 

 

☆デジタルワールド・ダークナイトモンの館跡地

 

 

 

「待たせたな、百獣番長」

 

「待ってねえよ、部隊長」

 

「あら、そのワリには

 

随分と疲れているみたいだけれど?」

 

 

 

パートナーの背に跨がり、その尾のドリルと共に大鎌・ユニコーンメイデンで男魂を受け止める舞台少女・胡蝶静羽の顔に浮かぶのは、シニカルな笑み。

 

「よし!、貴様ら!

フロンティアの連中を回収するのデシテ!」

「もうやってるっちゅーの!!」

「あるるちゃん、ララちゃん、これで見える?」

「う、うん、ありがと~~」

「やってく、れたんだね・・・!、静羽ッ」

「へ、へへっ

お"い"じい"どごろ"を"どら"れ"ちま"っだぜ」

「兄貴ぃ!!?」

『声カスカスーー!?』

「シズハを飛ばす時無茶したからだよ・・・」

「でも、そのお陰で見れる

この物語での静羽の本気の舞台」

「ふふふ!、待っていた甲斐がありますね!」

「ほら、双葉もベアモンも大人しく座って」

「わ、わかったよクロ子」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「闘争チャーン☆、そろそろゴキゲンなおそ☆

ロゼモンのことばかりに縛られてたら

お前一生クロチャンに勝てないぞ?」

「!!、う、うっせえ!!!

勝つぞウチは!!、全部!!、絶対の絶対に絶対絶対!!!」

「なら、今は見守ろう

自分達の試練を乗り越えたフロンティアの皆が限界にまで温めたこの熱いステージを!!」

 

 

 

「それで?

 

テメェはココに何をしにきやがったァ?」

 

「ハッ!、決まってるだろうが!

 

 

 

舞台だよ」

 

 

 

「・・・・・・・・・血迷ってんなァ」

 

「そうね、あなたと同じぐらいに」

 

「ア"ァ!?」

 

「「ぐっ!!」」

 

 

 

観客側が沸き立つのを余所に主役達が獰猛な闘気により大きく吹き飛ばされた。

 

 

 

「《ヨクナオール!》」

 

「ありがとう、キュートモン」

 

「お礼を言うのは僕の方っキュ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ドルルモン、おかえりなさいっキュ!」

 

「ーーーーーーッ、ああ、ただいま」

 

 

 

すると、即座にキュートモンが駆け寄りふたりを纏めて治癒する。

 

 

 

「キュートモン、俺はとんだ半端モンなんだ」

 

「キュ!?」

 

「ケッ、よくわかってんじゃねえかァ」

 

「今更わかったんだよ

 

一族の連中みたいに里の中だけじゃ満足出来ない

 

それでいて一匹狼になる度胸もない

 

ロゼモンみたいに汚れ役に徹することも出来ない

 

 

バンチョーレオモン

 

あんたや他の英雄達みたいに

 

 

パートナーの為に自分が犠牲になる覚悟も俺には無いんだ!!」

 

 

 

「ッ」

「なな」

 

 

 

「こんな、どうしようもない俺だけど

 

 

俺を必要としてくれる奴らが居るから

 

 

俺がそんな『ドルルモン』である為に

 

このデジタルワールドにたったひとりしかいない

 

お前みたいな凄い奴が必要なんだよ」

 

「ドルルモン・・・」

 

「私がこのSTAGEに立ち続けるにも、ね」

 

「シズハ・・・」

 

 

 

戦場を舞台と定めた1人と1体の間に『支点』が並び立つ時

 

金色に濃い影を造る青緑色のソウルとキラめきが舞い上がり

 

牙と爪が備わるクロスローダーが震えて・・・

 

その外装を包むように蝶の羽にも、長い耳にも

 

 

 

死神の鎌にも見える

 

 

 

二対の装飾が追加。

 

 

 

「力に溺れて 悪へと堕つるも」

 

「このSTAGEでは孤独にさせない」

 

 

 

 

「ケッ・・・・・・・・・」

 

 

 

直後、バンチョーレオモンの欠けた視界には

 

 

 

「【今】も 【うつつ】も 夢だろうが」

 

 

 

眼前の【敵】がクロスローダーから放たれるスポットライトに照らされて

 

そのシルエットが獣から獣人へと変わっていき

 

 

 

「舞台に残さん その爪痕を・・・!」

 

 

 

光が弾けて消え失せると

 

二足で立ち上がった逞しい体躯には騎士を思わせる鎧とマントを纏い

 

右手には巨大なドリル状のスピア・シュツルムスティンガー

 

左手には斬撃と防御を両用する鉄爪・ザッシュシールドを装備しているのが見えた。

 

 

 

「ドルルモン進化、イェーガードルルモン

 

 

 

シガラミ、ブチ抜いて

 

 

 

ススメ!   フロンティア!!!」」」

 

 

 

「オラアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

 

 

舞台少女とパートナー『達』の口上が終わるや否や、百獣番長はGAKU-RANを翻しながら突撃。

 

傷だらけの刀身が目立つ短刀・男魂を振り上げて斬りかかる。

 

「《ザッシュシールドォ!!》ラァ!!」

 

すると、イェーガードルルモンは左手の新装備で応戦

盾部分を削りながら格上の斬撃をいなすと

すかさず左手のドリルスピアを剥き出しの胸板目掛けて突き出した。

 

「《ヴァイスシュピラーレ!!!》」

「甘えなァ」

「が?!」

「あなたも!!」

「ケッ!、それはァ・・・」

 

渾身の力で放った必殺技は突如足元から伸びてきた蹴りによって不発に終わり、体勢が崩されたのと同時に狼の顔面へと刃が迫れば

ソレを阻むべく大鎌を持った蝶が乱舞。

 

バンチョーレオモンはソウルとキラめきが迸る連撃をGAKU-RANでガード

 

 

 

「どうだか、なァ!」

「!!」

 

 

 

しつつ、素手で静羽の体躯をワシ掴み。

 

 

 

「《グラウンド!ベルベットォ!!!》」

「!!!」

『!!?』

 

 

 

パートナーの身動きが封じられた瞬間

 

シュツルムスティンガーが大地を穿ち

 

周囲にかの棘の群れを連想させる亀裂が発生

 

英雄達の脳裏に苦い記憶を呼び起こす。

 

 

 

「《ドルルトルネード!》」

「はああああああ!!」

「ガァア"ッ」

 

 

 

必要以上に飛び退くことで生じた隙をイェーガードルルモンも静羽も見逃さない。

 

ドリルから放たれた竜巻を上掛けで受け止めると

 

拘束からの脱出と同時に攻撃の為の追い風にし

 

幾重にも渦を巻く曲線をみせつけた。

 

 

 

「奴と共にあった時間では負ける気がしねぇよ

 

若造」

 

「!、妙なマウント取ってんじゃねえ!!」

 

 

 

「まっっったくジャン!!!!!」

「五月蝿い、座ってろアホめ」

「・・・・・・・・・ーーーーーー」

「ナナ、大丈夫?」

「うん、へーき」

「胡蝶さん、本気なのね」

『ッ』

 

 

 

観客達の視線が集まるのは

 

 

 

ソウルとキラめきが込められた斬撃により

 

獅子の顔左半分に刻まれた無数の傷痕。

 

 

 

「《フラッシュバンチョーパンチ」

 

 

 

すると、バンチョーレオモンは黄色い神機が備わる腕を天高く掲げ・・・

 

 

 

 

 

「重音》」『!!!???』

 

 

 

 

 

ビキイッッ

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そう、だった いらないんだ あなたには」

 

 

 

自分で自分を殴った。

 

パートナーのキラめきとソウルを消費し

 

神機に大きくヒビを入れ

 

 

 

顔面の左半分を大きく陥没させてでも

 

静羽が造った傷を跡形も無く消し去る為に。

 

 

 

「(あ、あんなんタダの自殺行為、だろ・・・?

 

丸くなったなんてチャチなレベルじゃあ、ねえ

 

 

 

イカれてやがるッ)」

 

 

 

ベアモンと情報を同期させたウルカヌスモンにはこの行為がどれだけのリスクを含んでいるのが理解出来る。

だからこそ、困惑が隠せない。

 

 

 

「大道芸はコレで終わりかァ?

 

だったらァ」

 

「・・・・・・・・・!?」

 

「!!《シュバルツナーゲル!!!》」

 

 

 

顔色が紫な鍛治神の心情などバンチョーレオモンの眼中には無く、残る右目に血に飢えたケモノのような光を宿しながら静羽をねめつけていた。

 

 

 

「とっとと下がりなァッ!!!」

 

 

 

「ぅっ?! ぁ"!!」

 

 

 

「シズハアアアアアア!!!」

 

 

 

咄嗟に突き出した鉄爪は肘鉄によりヘシ折られ

 

直後、パートナーには黒い塊が・・・力任せに投げつけられたGAKU-RANが絡み付き

 

此方の反応速度を遥かに上回るスピードで投擲された男魂が彼女に直撃

 

先程の《エアシューター》以上の勢いで

 

 

 

舞台少女・胡蝶静羽   強制退場。

 

 

 

「オラァ!!」

「う"!?」

 

 

 

イェーガードルルモンの視線がその行方を探っていると、バンチョーレオモンの拳が容赦無く鎧をブッ壊す。

 

 

 

「《スグナオール!!》」

「がはっ!、はぁ!、はぁ!、ドラァ!!」

「ッ、結局、ソレかァ!?」

「うぐ!!」

「《ヨクナオール!!》」

「ああ!、そうだよ!!」

「ア"ァ!!?」

 

 

 

すると、いつの間にやら裏地がオレンジの白いマントの中に潜んでいたキュートモンが癒しの波動を放ち、消えかけの意識を呼び戻した。

 

 

 

「俺みたいな半端モンがこうでもしなくちゃ

 

 

 

あんたに勝てる訳が無いだろうがぁあああ!!!」

「堂々と恥ずかしいこと言ってんなァアアア!!!」

「《スグ!!!ナ、オール!!!》」

 

 

 

バンチョーレオモンが殴る

 

キュートが癒す

 

イェーガードルルモンが殴り返す

 

 

 

 

「オラァ!!」「ドラァ!!」「《ヨクナオール!!》

 

 

 

《スグ!!ナオール!!》《ヨク・・・な、オーーール!!》《ヨクナオオオオオオオルゥウウウウウ!!!》」

 

 

 

殴る 殴り返す 癒す 殴る 殴り返す 癒す

 

殴る 殴る 殴る 殴る 殴る

癒す 癒す 癒す 癒す 癒す 殴り返す

 

殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る癒す癒す癒す癒す癒す癒す癒す殴り返す殴り返す殴られる

殴る殴る癒す癒す癒す癒す癒す

 

 

 

殴る殴られる殴り返す癒す・・・

 

 

 

舞台の真ん中で繰り広げられる

 

上半身剥き出しの獣人同士によるノーガードの殴り合い。

 

「あ、あっちもあっちでイカれてやがるッ

鎧や武器より肉体の回復を優先したって相手は番長!!、タイマンだったら神や聖騎士にだって勝つっちゅーのに!!

格下が勝てるワ」「意外とイケたぞ?」

「!?、・・・・・・・・・そうだっ、たな」

 

 

 

殴る度、殴られる度

 

両者の鬣が激しく揺れ

 

毛の残骸が、治癒の波動が弾けて飛び散る。

 

 

 

「ァ" あ   ハッ・・・ハッ・・・・・・・・・」

 

「キュウウウううううううぁああああああ!!!」

 

「ケッ」

 

 

 

果たして、どれ程の時間そうしていただろう?

 

長かったのか? 短かったのか?

 

演じていた主演にも見ていた観客にもわからない。

 

ただわかるのは

 

 

 

最早、イェーガードルルモンはいくら治癒を受けても立っているのがやっとの状態で

 

 

 

対するバンチョーレオモンは顔右半分が余裕の表情ということだけ。

 

 

 

「次で終わらせるぞ」

 

「「!!」」

 

「歯ァ!!!、食いしばれ!!!」

 

 

 

棒立ちの子連れ狼に引導を渡すべく

 

黄色い光を宿した獅子の正拳突きが放たれる

 

 

 

 

 

 

 

黒い塊に柔らかく受け止められた。

 

 

 

 

 

「アァン?!」

 

「ふっ・・・!」

 

 

 

驚愕に見開かれる隻眼。

 

 

 

己の拳を止めたのは舞台に舞い戻った舞台少女

 

胡蝶静羽が上掛けの上から纏うGAKU-RAN

 

敵の物理攻撃を89.9%無効化する防御機能の対象は・・・

 

 

 

持ち主であるバンチョーレオモンとて例外では無い。

 

 

 

「ぅがらあああああ"ああああああああああああ"あーーーーーーーーーーーー!!!!!"」

「デ!!、メェらァ!!」

 

 

 

このタイミングを

 

狙い 澄まして 最後の力を振り絞って

 

狼の牙が獲物の 急所 に突き立てられる。

 

 

 

「狙いは コイツ かァ!?」

 

「「ウウウウウウウッッゥッッ!!!!!」」

 

 

 

キュートモンと共に唸り声を上げるイェーガードルルモンに【フレーム】の奥まで齧りつかれ、硬いモノ同士が軋む音を奏でるのは真っ直ぐに伸ばされた腕

 

その先にあるのは大場ななから【奪った】神機。

 

 

 

「させるかァ!!《フラッシュ!!!」

「やってみせる・・・!!、かならず!!!」

「バンチョーパンチ!!!》」

 

 

 

パートナー達がくれた千載一遇のチャンスを掴むべく、静羽は全身から金色に濃い影を造る青緑色のソウルとキラめきをみなぎらせながらユニコーンメイデンを振るった。

 

 

 

 

 

パキ・・・ィ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

『『あ』』

 

「サイズを振るには間合いが近過ぎだっちゅーの」

 

 

 

直後、観客達が固唾を飲んで見守る中

 

歪な金属音が響く 鋭い破片が舞う 舞台の上で

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そう、彼女のSTAGEの上で。

 

 

 

「そういえばさ」

「どうした光の?」

 

 

 

己がキラめきを木っ端微塵にした太い腕の上を

 

まるで四足獣のような前傾姿勢で駆け抜ける。

 

 

 

「人間界じゃ獅子って雌が狩りをするんだっけ?」

 

 

 

靡く長い髪は鬣 掌に埋もれた刃の欠片は牙

 

胸に宿すはLionHeart【勇敢な心】

 

 

 

「ド

 

ラァアアアアアアああああああああああああ!!!!」」」

 

 

 

 

想いを込めて吐き出した台詞はケモノ達の咆哮。

 

 

 

「ありがとう、静羽ちゃん」

 

 

 

大きく仰け反ったバンチョーレオモンの体が

 

すっかり縮み、二足から四足へと変わる中

 

大場ななは観客席に落ちてきた星を摘み取り

 

白を基調とした衣装を、赤い上掛けを揺らす

 

 

 

「だけど」

 

 

 

すると、その時、舞台上では・・・・・・・・・

 

 

 

「勝つのは私のパートナー、だよ?」

「《クリティカル・・・バイト・・・!》

 

 

 

オラァアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 

 

隻眼の仔獅子が 不屈の獅子が レオルモンが

 

 

 

敵の【急所】を狙い 噛みちぎる。

 

 

 

「ポジション・ゼロ

 

 

 

ケッ!!

 

 

 

やっぱりオレサマには似合わねぇなァ!!」

 

 

 

舞台少女・胡蝶静羽

 

彼女のパートナー・ドルルモン、キュートモン

 

が、累々と倒れ伏した舞台の中心で嫌々ながら行われた勝利宣言

 

 

 

つまりこれにて、番長の試練   終了。

 

 

 

「静羽ちゃん!!」

「ドルルモン!!」

「『キュートモォーン!!』」

「た、確かこの回復薬ってララフィン達の衣装にも効くんだよね!?、ねえ!?」

「効くっちゃ効くけどよー

んな勿体無いことする必要あんのかー?」

「ウルカヌスモン?」

「どういうこと?」

 

フロンティアの面々が倒れたまま動かない仲間達の元へ駆け寄ろうとすれば、鍛治神が何やらシャシャリ出る。

 

「フン!、かつての戦いの折に貴様が居さえすればそれだけで戦略の幅が大きく違」

 

 

 

 

 

トッカントッカントッカントッカン!!!ボォーーーボォーーーボボボボボボォウ!!!チュイイイインッッッ!!!

 

 

 

 

 

「無・視・す・る・なぁーーーーーー!!!

そしてドサクサ紛れに耳を弄るなテンドォーーー!!!」

「おっと失礼

手持ちぶたさだったので、つい」

「ルナモンはブタじゃなくてウサギジャン」

「そういう意味じゃないから」

「いよっし!、流石俺!、修繕完璧!」

「う!、く・・・」

「「「静羽/ちゃん!!?」」」

「す、すごい!!!、あっという間!!!」

「あ、いや、マヒル・・・?

あいつ『一応』は鍛治の神だからね?

自分が下等種族って見下してたワー君達が命を懸けてた間なーんもしなかったけど武器と防具にかけちゃスペシャリストだから

あれぐらい出来て当然だから」

「う、うん、アケビ号の件についてはボクも同じ意見だけど、さ

目に光を宿して下さいお願いします始祖様」

「しかしドルモン、オレも又聞きしただけだが奴の所業を簡単には許せそうに無い

最も、どこかのドボカゲよりは遥かにマシだが」

「相棒、お前も目から火が消えてるぞ・・・?」

 

静羽の上掛けの紐を瞬く間に修繕して見せたウルカヌスモンに様々な意見が飛び交う一方

 

「まけ、たよ

百獣番長・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「キュウウウッ」

「アァン?」

 

未だ動けない子連れ狼と威風堂々と立つ仔獅子は厳かに語り合っていた。

 

「テメェはなァに言ってやがんだァ?」

「「え?」」

「テメェは、テメェらが造った舞台は

 

 

 

勝ったんだよ   百獣番長にはなァ」

 

 

 

「キュ!?」

「し、しかし・・・!」

「手負いのテメェらに勝ったのは『大場なな』のパートナーだァ、間違えてんじゃねぇぞ」

「ーーーーーーッ、だったら!

次俺達とやる時はナナと一緒に相手しろよ?

若造!!」

「ケッ!!、御断りだァ!!、クソッタレ!!」

「ま、待ってっキュ!

レオルモンも早く傷を治した方が」

「生きてりゃア傷なんざ幾らでもつく

一々気にしてられっか、ア"ァンッ?!」

「・・・・・・・・・君はそうでも

君のパートナーはそうじゃないみたいっキュ」

 

 

 

すると、その最中

ななに背後から抱き上げられるレオルモン。

 

 

 

「おおい!、テメェ何

 

ブハァ!!?やめろ!!ブッかけんなァ!!

 

その薬甘ったるく嫌いなんだっての!!!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ったく

 

 

 

テメェほんとにめんどくせぇなァー」

 

 

 

 

 

「お互い様、よ」

 

 

 

 

 

親友と彼女のパートナーのやり取りを呆れたような

 

なのに、どこか嬉しそうな顔で眺める純那であった。

 

 

[newpage]

「さぁーて!、無事試練も終わったってことで

・・・・・・・・・いいんだよな?」

「イイんじゃないのかーい?」

『Yes!、Yes!』

「ケッ、勝手に言ってろってんだァ」

「はいはい♪」

「大場さん何だか嬉しそう

って、あら?、そういえばシャウトモン」

「喉はもうへーきなの?」

「ああ!、シズハ達のステージ見てたら治った!」

「・・・・・・・・・どういう体質っキュ?」

「キュートモン、一々気にしてたら負けだ」

「とにかく!、試練が終わったんなら!

美空を迎えに行こうよ!

ね?、静羽ちゃん!」

「え、あ、うん、そうね」

「(静羽のあの顔、やっぱりバンチョーレオモン・・・レオルモンとのレヴューの結果が不満なんだ

 

 

 

でもソレはわたしだって)」

 

 

 

「『シスター?』」

「それでどうすんだっちゅーの?

アッチは例のレーダーでコッチの位置はわかるけど、コッチはあの飛空艇の位置がわかんねーんだろ?」

「しかも『黒の逢魔』のジャミングにより通信の類いが使えんのデシテ」

「ストラビモン、遠吠えは?」

「・・・・・・・・・スカルナイトモンがバグラモンの遺産を持っている以上、遠吠えの暗号も解読されてる筈

だから、下手に使うのはリスクがある」

 

 

 

 

 

ゥォーーーーーーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・!

ゥォーーーーーーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・!

 

 

 

 

 

『『!!?』』

「のに、これだモンなぁ!!

 

 

 

ワォーオーォーン!!! ワォーオーォーン!!!」

 

 

 

フロンティアの舞台少女達がパートナー達と共に数々の試練を乗り越えた矢先

一同に届いたのは『明けの遠吠え』による遠吠えネットワーク。

 

 

 

 

キャンッ バウ! ワーー・・・ゥ!

 

ウゥゥーーー・・・ワンワン!

 

 

 

 

「「「「!!?」」」」

「み、美空ちゃんとバリスタモン!

それにブイモンまで拐われたの!?」

『『な・・・!?』』

 

ソレが示す符丁にストラビモン、ブイモン、ルナモン、レオルモンは顔色を一変させ

まひるに至っては頭頂部に生やした狼耳を世話しなく動かしている。

 

「(露崎さんの獣の始祖のパートナー役への没入感が格段にあがっているッ!?)」

「(野々宮さん達との試練を自身の糧にしたってこと?)」

「(ということは双葉も・・・)」

「(ウカウカしてたら守る所か何も出来ない

頑張らないと)」

「まひるちゃん!!!

美空が拐われたって誰に!!?どこに!!?」

「え、えっと・・・

拐った、ていうより運ばれた、かな?

ドゥフトモンさんとクレニアムモンさんに」

「よ、よかったぁ!!

あるるの次は美空が『黒の逢魔』に連れて行かれたかと思ったよぉっ」

「で、でも、それならどうして遠吠えを?」

「危ないんじゃなかったの?」

「う、うーーーんっ

どんどん複雑になってて私じゃ『まだ』ちょっと聞き取れない、かな?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

フレイモン」「なんだストラビモン」

 

 

 

「冷静に聞いて欲しいことがある」

「既に欠いているんだが?」

「なら単刀直入に言う」

「・・・・・・・・・」

 

掠れた遠吠えが未だ鳴り止まない中、始祖の間に緊張が走るを感じ取った双葉は徐に両手を竜のモノに変化させ、相棒の背後へ。

 

「3人が軍師達に連れて行かれたのは

 

 

 

幻の里だ」「は?」

 

 

 

『へ?』 「「「うっわ・・・」」」

 

 

 

ストラビモンの告げた名称に

 

フレイモンの声音に殺気が宿り

 

舞台少女や一部のデジモンは首を傾げ

 

ドルルモンとベアモンとウルカヌスモンはすっっっごく顔をしかめた。

 

「マジかー、マジかー」

「あ、ありえねーっちゅーの」

「うそだろおい」

「ど、ドルルモンは知ってるっキュ?」

「・・・・・・・・・お前らにもわかるように言うとな

 

 

 

【あの】ブイドラモン族の住み処だ」

 

 

 

            は?』

 

 

 

「うん、ついでに言うと

 

 

 

【アイツ】が引きこもってる場所でもあるんだ」

 

 

 

「ねえドルモンまさかとは思うんだけど【アイツ】っていうのは石動さんにもななにも一切謝らなかった【アイツ】のことなの?ねえ?というか引きこもってるって何?この一大事に【アイツ】は何をやっているの?大体どうして【アイツ】が居る所にブイモンが運ばれたの?しかもあの人間嫌いの【アイツ】が居る所に叶さんまで運ばれたっていうの?ねえ?」

「じゅ、純那ちゃん落ちついて!!!」

「無理だなァ」

 

 

 

 

 

ジュウウウウッ ジジジジジジ・・・・・・・・・!

 

 

 

 

 

「焼く焼く焼く燃やす焼く燃やす今度こそ」

「あ、相棒、まだそうな熱ッ

たって、決まったワケじゃアッツ?!ないから!!、なアチチチチチチ!!?」

「ルナモン、ゲートを開いて下さい、今すぐ」

「無理デシテ」

「なんで!!?」

「場所がわかってんなら開けんだろ!!?」

「アルル、シャウトモン

幻の里ってのはあのババァや他の四天王達ですら手を出すのを躊躇ってた難攻不落の要塞なんだ」

「そんだけセキュリティが厳重だから

ゲートを開けられんのは聖騎士だっけなんだっちゅーの」

「だったらドルモンなら開けるんじゃないのかーい!?」

『ハリィ!、ハリィ!』「「ナノ!、ナノ!」」

「・・・・・・・・・いや、それもダメ、ジャン」

「Quoi?」

「うん、【アイツ】

ボクにだけアクセス拒否してるんだ」

「ほんとにしょーもないな」

「ー~ー~ー"~ー~ー~"ー~ッッッ!!!」

「炎の、オレも同意見だが

そろそろその放熱止めろ

フタバチャン、鱗越しでも熱いって」

 

 

 

 

 

アォォォ・・・・・・・・・ン アォォォ・・・・・・・・・ン

 

 

 

 

 

 

「!?、ストラビモン今の遠吠え!」

「合流?

幻の里へのアクセス方法がわかったのか?」

「だったら!!

X5ですぐにでも飛んで行こうよ!!」

「ま、待ってスパロウモンッ」

「私もつかさ達も、まだソウルが回復してないし・・・」

「それに5体合体はバリスタモンが居ないと無理だよぉ!」

「あ!!、そうだったぁー!!」

「こうなったら走るっきゃねえェエエエエエエ"げほっ?!!」

「あ!、やっぱり喉治ってなかったっキュ!!」

「美空ぁ・・・・・・・・・!!!」

 

 

 

【アイツ】への不安に苛まれながら99期生&フロンティア一行は大急ぎでアケビ号との合流を目指すのであった。

 

 

 







同時刻、彼女らが目指す幻の里にて・・・。



「ふ

ふふふっ



ブルァハハハハハハハハハーーーッ!!!



ついに、つゥいにこの時が来たぁー!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



高笑いをあげる軍師の聖騎士・ドゥフトモンが

消滅の剣の切っ先を向けるのは



石壇に寝かされた舞台少女・叶美空。



〔ミ、ソラ・・・ァ!〕

「動くな」

〔グ!!〕



この光景を前に彼女のパートナーであるバリスタモンが割って入ろうとすれば、矛盾の聖騎士・クレニアムモンにより拘束されてしまう。



そして、件の【アイツ】は・・・・・・・・・












「ぁ、ぅ」










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廻る運命、きずなのV字回復




輝きの無い世界の何処か、『黒の逢魔』の拠点



「プレジデント、スカルナイトモン・・・ッ」
〔ーー!、ーー!"〕

そこでは昏睡状態のスカルナイトモンが治療用ポッドに収納されており、悲痛な表情を浮かべたツワーモンやデッドリーアックスモンに見守られながら傷を癒していた。

「回復は順調のようだな」
〔!!?〕
「・・・・・・・・・」

すると、2体の背後から五体満足な闇の器が歩み寄る。
どうやら、前回同様『闇』を食らって【データ】の欠損を補ったらしい。

「く、くくく!、キャッハハハハ!」
「?、どうしたんだ?」
「い!、いや、なに・・・!
ユーって、ほんっと【数字】しか見て無いんだなって思ったらッ、おかしくて!!」
「そうか、オレはお前の役に立てたのか」
「キャッハッハッハッハッ!、ハ、ハハ・・・」

この闇の器の言葉にツワーモンは肩を震わせ
デッドリーアックスモンは



〔!!!!!!〕《エアスライサー》。



「な?!」
「やめるネー」
〔ー!?、!!〕
「今そいつが消えて困るのはユーのブラザーだ
わかるな?」
〔!、・・・・・・・・・ーーーーーーッ〕
「で、デッドリーアックスモン?
お、オレは何か間違えてしまったのか?
ならば、謝る!、本当にすまない!」
〔!"!"!"!"!"〕
「え、あ、な、なんで?」

懐刀の制止により牙を納めようした矢先
中身の無い謝罪をぶつけられた魔獣は怒りを剥き出しにし、唸り声を上げながら口から溶解液を垂れ流す。

「なんで、って
プレジデントの影からアレを一部始終観ていたユーにそう言われれば、ネー」
「あ、アレ?、アレとはなんだ?
教えてくれツワーモン!!」
「・・・・・・・・・ユーにはいくら言ったって無駄だよ



火や光なら兎も角、ネー」



「!!!、そ、そんなワケがあるか!!!



オレはオレ達と違ってお前達を「自慰のネタだと思ってる」は、へ?」



「だからタイセツ、なんだろ?
別にユーが何考えてても構わないから
精々ミー達の気も知らずに贖罪するネー」
〔!!〕
「あ、待、まっ、て・・・・・・・・・」


  
「今更ユーが何をしたって

スサノオモンに消されたチューチューモンは

ミーの元へは帰って来ないんだから」

「!!!」




イキリ立つ魔獣を懐刀は無理矢理引っ張り出し、治療エリアを後にした。

尚、会話が始まってから終わらせるまで

ツワーモンは闇の器の顔を一瞥すらしていない。



「(回復は順調?



それこそそんなワケがあるか!!!



スカルナイトモンの心が



大月あるるに奪われたっていうのに!!!



ーーーーーー、だったらまた奪ってやる・・・!



ミーを利用したお前を利用してな!!!)



待っていろ   叶美空ァアッッッッ」





☆デジタルワールド

 

 

幻の里

 

 

希少な古代種たるブイドラモン族の隠れ里であるこの場所は聖騎士創設の立役者であるインペリアルドラモンを象った像から発生する結界と・・・

 

 

 

「・・・ぁ・・・・・・ぅ・・・・・・・・・」

 

 

 

守護の要の異名を持つ黄金の聖騎士・マグナモンにより護られていた。

そのマグナモンが今、3m近い体躯を無理矢理縮め、焼け焦げた喉の奥から声にならない音を漏らしているのは

幼い頃、かつての友と暮らした住処。

 

 

 

「・・・・・・・・・ぁ"・・・・・・ぁ"」

 

 

 

最早、黄金の2つ名は見る影も無いこのデジモンの隣には

 

刀身が『黄金』に輝くロングソードが壁に立て掛けれており

 

 

 

両目に深すぎる傷を負い

 

 

枯れ枝のようにやつれ果てたブイモンが

 

 

洞窟の中心で横たわっている。

 

 

 

「ぁっ、ぁ"」

 

 

 

軍師の聖騎士・ドゥフトモンの手により呪いは解かれたというのに未だ昏睡状態の青い小竜を目の当たりにし

辛うじて焼き付くのだけは免れた瞼の隙間から

零れ落ちた涙が火傷しかない顔の上を、溶けたゴールドデジゾイドが一体化した体の上を流れ

幾つものシミを地面に作っていた。

 

 

 

「ぅ、ぅーーー、うーーー・・・・・・・・・!"」

 

 

 

手を伸ばす でも、すぐに降ろす。

 

こんな自分が今のブイモンに触れてしまえば

 

 

 

そのまま 砕けて 消えてしまいかねない。

 

 

 

 

 

 

♪ー♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 

 

 

 

 

 

〔「の空ひろがる~♪」〕

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

などというクダラナイ思考に耽っていると

外から耳慣れないメロディとパートナーの機能を使ったであろう拡大されたニンゲンの歌声が聞こえてきた。

 

『ワーーーイ♪♪』

「ミソラおうたじょうずーー!!」

「そう、かな?、えへへっ」

 

マグナモンがキマグレで外へと出れば

ブイモンと共にこの里へと運び込まれた舞台少女・叶美空が10体程のチビモンに囲まれているのを発見。

 

「あ、マグさん・・・」

「チビモン達の心配なら御無用ですよ」

「俺らがちゃんと見張っときますんで!」

「だから、マグさんは

アル、じゃなくって!

アルフォースブイドラモン、でもなくて!」

「・・・ォ・・・ゥ・・・・・・・・・ェ・・・」

〔《ライトスピーカー》〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんなボクが見ていたって

ア、のブイモンは起きない、起きるワケが無いんだ」〕

『マグ、さん』

 

すると、彼女を監視していたブイドラモン達が自分の元へと集まって気を使ってくる

しかも、バリスタモンまで。

 

〔マグナモン〕

〔「なんだよ?、お前が勝手にやってることへ礼でも言えっていうのか?」〕

〔礼ヲ言ウノハ俺ノ方ダ

俺トミソラガコノ里ニ残レルヨウニシテクレテ

アリガトウ〕

〔「・・・・・・・・・チッ、妙な勘違いはするな

もし、ア、のブイモンが目を醒ました時

真っ青な他モンばっかりじゃ不安になるだろ?

お前らの存在価値なんてソレ以外には無」〕

 

 

 

「こらーー!!」

 

 

 

『!?』〔フガ!?〕

〔「ゴ、じゃなくってチビモン?」〕

「マグナモーーン!

バリスタモンをいじめるなーー!!」

〔「い、いじめてるんじゃ・・・」〕

「ぶーー!!」

〔「う、あ、ごめん、なさい・・・」〕

「あやまんのおれじゃないーーい!!」

「ば、バリスタモン?、何かあったの?」

〔大丈夫ダミソラ

マグナモント少シ話シテタダケ

ダカラ、チビモン、落チ着ツイテクレ〕

「ほんとーーにーー?」

〔本当ダ〕

「そっかーー・・・

おれはやとちりしちゃったのかーー・・・

ごめんなーーマグナモン・・・」

〔「う、ううん、へーき、だよ・・・」〕

『ッ』

 

乱入してきた1体のチビモンにタジタジなマグナモンを見て両者の関係を知るブイドラモン達は思わず目を伏せる。

 

「マグナモン、ブイモンの具合は?」

〔「僕なんかよりお前らが側に居ろよ」〕

「なんか、って」

〔「なんかだろ・・・

護らなきゃいけないモン全部蔑ろにして・・・

挙げ句、自分で消そうとしたドボカゲなんかが近くに居たら

ア、のブイモンは絶対に目覚め無い・・・」〕

「そんなこと無いッ!!!」

〔「お前だって知ってるんだろ・・・?

僕がア、のブイモンに何をしたのか・・・」〕

「・・・・・・・・・うん、ウィザーモンが

あなたの昔の仲間が教えてくれた

聖翔の先輩達やあなた達のこと、いっぱい」

〔フガ〕

〔「・・・・・・・・・だったら、なんでそう言える?」〕

「それは

 

 

 

あたしがそうあって欲しいって願ってるから」

 

 

 

「・・・・・・・・・?」

「だって、ずっと近くで想ってた大切な存在を

 

 

 

違う世界の

 

違う生き物に盗られたら

 

取り返したいって思うからッ

 

あたしが、そうだったから」〔「馬鹿かお前は」〕「え」

 

 

 

〔フガ!?〕「マグナモン!!」

〔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前は

 

 

 

          勝ったんだろ?

 

 

 

でも、ぼくは負けたんだ

 

 

 

だから、同情なんかされてたって迷惑だ」〕

 

 

 

「どう、じょう

 

 

 

そうかもしれない

 

 

 

だけど

 

 

 

 

 

(あたし   まだ   勝ってないよ)」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ま、マグさん!、どこへ?」

 

 

 

「(どうかしてるよ

 

 

あいつも   ぼくも)」

 

 

 

アレだけ怨み、憎んでいたニンゲン。

 

だというのに、そのニンゲンの・・・

 

美空の言葉に心が惹かれている自分が居る。

 

マグナモンはそんな自分が自分で許せなかった。

 

だから、距離を取ることにした

 

美空からも、バリスタモンからも、同胞達からも

 

 

 

あの、ブイモンからも。

 

 

 

「ミソラ、ごめんねーー・・・」

「え?」

「マグナモンはね、ずーーっとアルフォースブイドラモンとなかなおりがしたかったんだ

でも・・・」

「あたし達を庇って

あんなことになっちゃったから」

「っざけんな!!」

〔「!?」〕

「ア、ルフォースブイドラモンはなぁ!!

自分の意思で戦ったんだよ!!」

「それを勝手にお前らニンゲンなんかの為にすんな!!」

『そーだ!!、そーだ!!』

〔・・・・・・・・・モシカシテ、慰メテクレテルノカ?〕

「そ、そうなの?」

『バ!!、ちげーし!!』

「ちがうならおれおこるよーー??」

『おれたちもーー!!』

『う"っ』

 

マグナモンが去った後も美空とバリスタモンの周りの喧騒はまだ終わりそうに無い。

 

 

 

 

 

チャプ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ン・・・

 

 

 

 

 

〔・・・・・・ーー・・・・・・・・・・・・!〕

 

 

 

故に、足元にまで迫る脅威に誰も気づけていないのである。

 

 

 

「はじめましてネー、マグナモン」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

そして、黄金の聖騎士に『黒の逢魔』の魔の手が迫っていることにも・・・。

 

「え?、どうやって結界を越えてきたって?

その気になったらいつでも入れたんだけど特に用が無かったからネー

おっと!、そう身構えなくたっていい

ユーやユーの同胞達に危害を加えるつもりはナッシング!、だから、ネー」

「・・・ぁ・・・ぃ・・・・・・・・・・・・?」

「ミーの目的はユーが憎んでやまないニンゲン

そして、そのパートナーデジモン

こいつらさえ引き渡してくれれば

 

 

 

ユーの『アル』を取り戻す手助けをしよう」

「・・・!?」

 

 

 

いつでも技を放てる体勢でツワーモンと対峙していたマグナモンだったのだが、この提案には焦げだらけの奥に隠れた深紅の瞳が大きく見開らかれた

 

「正直、あのブイモンにはミー達『黒の逢魔』だって同情してるんだ」

「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・同情?)」

 

ゴールドデジゾイドと一体化した体が震えた

 

「何せ、奴隷を越えた部品扱い!

あんな半生を送れば誇り高き竜族の『アル』が消えてしまっても仕方ないネー」

「(・・・・・・・・・消えた?)」

 

心が、震えた

 

「でも、プレジデントの力を持ってすればサルベージ出来る

勿論あの目も元通りネー!

ニンゲンのペットなんかじゃない

ユーの『アル』として完全に蘇るんだ」

「(ぼくの、『アル』・・・?)」

「どうだ?、悪い話じゃないだろ?、ええ?」

「・・・・・・ぅ・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぃ・・・」

「ん?」

「う

 

 

 

      る

    

           さ   い・・・!」

 

 

 

「へ?」

 

 

 

           怒りで。

 

 

 

だから、馴れ馴れしくすり寄ってきた不届きモンに《シャイニングゴールドソーラーストーム》を超至近距離からブッ放した。

 

 

 

「ぁぁめえ"え"ええ"ええ"ええ!!??!!」

 

〔ー!ッ"?〕

 

 

 

『!!?』

「(もう1匹居たのか?)」

 

ツワーモンを黄金のレーザー光で滅多撃ちにすれば、その中の一発が『奇跡』的に地面に溶け込んでいたデッドリーアックスモンに直撃。

 

「な、なんで!?、どうして!!?」

「ぃ・・・ぁぇ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔!《ライトスピーカー!》〕

〔「ゴミも公害も越えた汚物の分際で

いつまで選ばれし存在であるこの僕と同じ目線で物をいうつもりだ?」〕

「おぶつ?、が!!」

〔「何が、同胞に危害を加えるつもりはないだ?

もうやってるだろ?、ええ?

それとも自分達がやったことすらメモリーに残せないぐらいに容量が少ないのか?」〕

「ぐぎゃ・・・ぁ・・・・・・!!」

〔~!?!~ーー!!!〕

〔「そんな低脳だから

お前らは世界樹からも捨てられたんだよ」〕

「〔ーー"ー!!ー"ー"ーー・・・・・・・・・ッ〕」

 

一瞬で展開したバリアで侵入者2体を左右から挟み込み、カタチが変形する程に締め付け

挙げ句、罵声を浴びせながら《マグナムキック》を四方八方から叩きつける。

 

〔フ、フガッ〕

「ね、ねぇ、バリスタモン・・・」

〔ウ、ウン

声ヲ拾ワナイ方ガ良カッタカモシレナイ〕

 

どちからが悪役かわからなくなる光景を前に舞台少女もパートナーデジモンも呆然とするばかり。

 

「うしに、乗、ウッ?!

レイドプログラムがきのうふぜん!?

デッドリーアックスモン!!」

〔ー!!ーー!!〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「なん!、エ"!?

 

 

 

なんでユーがキラめきをヲヲヲヲゥウ!!??」

 

 

 

〔「なんで?、だと

 

僕が纏うデジメンタルは

 

デジタルワールドが産んだ『奇跡』の輝き

 

ニンゲンなんかが垂れ流してるモンよりも

 

もっとずっと高尚なモンなんだから当然だろ」〕

 

 

 

〔・・・・・・・・・イヤ、アレハ多分〕

「石動さんが焼いた時のキラめきとかが

マグナモンの体に残ってた、のかな??」

〔フガフガ〕

「マグさんすっげぇーー!!」

「ア、ルフォースブイドラモンを傷つけたこと報いを受けやがれ!!逆怨みモン共ぉーー!!」

〔ン?〕

「大体!!、そもそもの元凶と戦ってねぇクセに違うモンに八つ当たりとか性根が腐ってんだよ!!

なあ?」

『そーーだ!!、そーだ!!』

「ええええええ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

マグナモンはバリアから目を焼くような黄金の0と1の粒子を迸らせ『黒の逢魔』幹部2体を圧倒。

反撃を一切許さず一方的に攻撃し続けた。

 

「(チッ、思ってた以上に・・・)」

「ま、た、汚物っていったあ!!

ミーはソレにすら成れアガガがぁ?!!」

〔「うるさいなぁ・・・

お前の来歴とか本当にどうでもいいから

とっとと消えろよ今すぐに」〕

「・・・・・・・・・じぶんじゃ、消せないから

か?」

「!!」

『な!?』

「キャハ、ハ!

どんなに偉そうにしてても所詮この程度、ネー♪」

「ー♪」

〔「くっ」〕

 

ソレはつまり、幾ら攻撃しても決定打に至っていないことの証左に他ならない。

だからツワーモンもデッドリーアックスモンも未だ存命し、マグナモンを嘲笑う余裕すらも見せる

 

「ほんっとに、ユーはダメダメ、ネー

そんな低脳だから

 

 

 

同じ過ちを繰り返すんだよドボカゲぇ!!」

 

 

 

「ウワアアアアアアーーーー!!??」

「ち、チビモン!!?」

『チビモン!!』

〔ーーー!〕

〔「ゴルゥ・・・!!」〕

〔デ、デッドリーアックスモン、ガ

フタリ!!?〕

「デジ、忍法ッ、影分身のジュツぅ!!!」

〔ー♪、・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕

 

 

 

だけではなかった。

 

 

 

バリアの中に挟まれ、激しい攻撃に晒されながらも耐え忍び、とっくに液状化して脱出済みであった相方の幻影を出し続けていたのである。

 

〔!!、!!〕

「ッ」

「まぐな、も・・・!!

バリア、けしたら、ダメーー・・・!!」

〔!!〕

「フギャア・・・!!」

「チビモン!!」

〔「や、やめろぉ・・・!

わかった・・・!、わかったからぁ・・・!」〕

〔ー♪〕

 

影分身の輪郭が徐々に失われていく中

本物のデッドリーアックスモンは口の中に囚えたチビモンをマグナモンにワザとらしく見せつけ、仲間の解放を催促。

 

「ハァッ、ハァッ、は、ハハ!

キャッハハハハハハハハハ♪

 

 

 

マーグナモン!、マーグナモン!

 

アーマーターイ!

 

聖騎士唯一のアーマーターイ!

 

外はキンピカ御立派だけど!

 

中はお子ちゃまバーブバブ♪

 

守りの要?、うん!、そうだね!

 

 

守れるのは自分だけだけど、ネー!!

 

 

 

キャッハキャッハキャッハキャッハッハァ!!!!!」

 

 

 

「!!!!」

〔ア、アイツゥ!!

モウイッペン土手ッ腹ブチ抜イテヤル!!〕

「や、やめろよぉ!!」

「下手に動いたらチビモンがぁ!!」

『うううぅ・・・!!』

〔グッ〕

 

バリアが解除されるや否やツワーモンはナニカノウタを歌い、手拍子まで加えて全力で馬鹿にした。

この行為には温厚なバリスタモンでさえ怒りのメーターが振り切れ殴りかかろうとすれば

周りの幻竜達により抑え込まれてしまう。

 

「あんた達の目的はあたしでしょ!?

なのになんでチビモンを!?」

「キャッハキャッハ♪、イー顔ネー叶美空ぁ

その面拝めただけでもこーーんな面倒臭い辺境まで足を運んだ甲斐があったネー♪」

〔~~♪♪〕

「こん!!のぉおおお!!」

 

美空もまた歯噛みしながらワイルドバンチを握り締めているのだが、やはり動けない。

 

「さーて、お楽しみもこれぐらいにして

その槍もクロスローダーも捨てて手を頭の後ろに組んで跪くネー」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔ミソラッ、ウ!!〕

「バリスタモン!!?」

「デジ忍法、風神波

コレで奴の『叫び』も使えまい」

〔フ、ガ・・・ァ・・・・・・・・・〕

 

チビモンの生殺与奪を握っているのをいいことにツワーモンはやりたい放題。

美空の武装を解除させた挙げ句

印を結んだ手を一閃させ、バリスタモンのスピーカーを鎌鼬で引き裂いた。

 

「人質なら、あたしだけで充分でしょ!?

だから早くチビモンを解放して!!」

「やだネー」

『んな!!?』

「だーってオウゴンノセイキシサマには

ミー達と一緒に舞台少女達とまた戦って貰わないとネー♪」

「・・・・・・・・・!」

「あんた!!どこまで汚いの!!?」

「忍者は汚い!!、コレ常識ネー!!

さあ、どうするマグナモン?

 

 

 

また自分のせいで『ゴル』を消すのか?」

 

 

 

「・・・ッ」

〔ゴ、ル?〕

「このチビモンはネー

こいつや『アル』の育ての親の転生体なんだよネー」

「え」

「な、なんでお前なんかがソレを知ってんだよぉ!?」

「戦う相手の来歴ぐらい

予め知っておくのはアタリマエ、ネー」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「そういうことは自分達では一切やらないクセに軍師達を小馬鹿にして暴れるしか能が無い!

選ばれし一族が聞いて呆れるネー!

キャハハハハハハハハハ♪」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」「って、あまり時間を掛けるのも良くないな

マグナモン、ニンゲンとそのペットを連れ」

 

 

 

「ダメだ」

 

 

 

その時だった

 

 

 

「!、ぉ、ぅ・・・?」

「ンー?」

〔ー?〕

「そんなことしたら、マグナモンは

 

 

 

お前は、もう、二度と自分を許せなくなる

 

もう、二度と、あいつと笑い合えなくなる」

 

 

 

「!!」

『あ』

「チビ、モン?」

 

 

 

「そんなの、おれ、やーーだーー・・・!!」

〔ー!?、ー!?〕

 

 

 

魔獣の牙に囚われた幼竜が暴れ始めたのは。

 

 

 

「ユー、まさか『前』のメモリーが残っているのか!?、世界樹のフォローも無しに!?」

「んなモンしるかーー!!」

「へ!?」

 

 

 

「おれがその『ゴル』だったらなんだ!?

 

おれがだれだろうとおれは

 

おまえらなんかにはまけないぞーー!!」

 

 

 

〔ー!?、ー!?〕

「え?、コイツどうするって?

うーーん、そーネー、とりあえず

 

 

 

そこのドボカゲとお揃いにしてあげたら

大人しくなるんじゃないかなー?」

〔ー♪〕

 

 

 

 

 

ゴポン・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・

 

 

 

 

コレに困ったデッドリーアックスモンがツワーモンにアイコンタクトを送ればナイスなアイディアが返ってくる。

 

「ウッ?!」

「チビモン!!ダメ!!」

〔大人シク、シテロォ!!〕

「いーー!!、やーー!!、だーー!!」

『チビモオオオオオオン!!!!』

 

不穏な音と共に立ち上る異臭。

ツワーモンの台詞からチビモンがどんな『運命』を辿るのかを察して

美空もバリスタモンも同胞達も声を荒げる。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

          ぁ   ぅ    ?」

 

 

 

 

ただ、ひとり、マグナモンだけは

 

焦げだらけの奥に隠れた深紅の瞳を見開いて

 

魔獣の足元を

 

 

 

「お前らうちのチビ達に何しやがる

 

                デス」

 

 

 

そこに立つ ぼくの『光』だけを見ていた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふえ?

 

 

 

ここ、どこ?

 

ま、まっくら、デスぅううう・・・って、違うか

 

だって、ブイにはもう瞼も目も無いんだから

 

もう、何も、見えないん、デス・・・

 

でも、ソレはしょうがない

 

きっと、バチが当たったんだ、デス

 

 

 

今まで、ずっと、逃げてたバチが・・・・・・・・・

 

 

 

レイド帝国の武器工場で働いてた時も

 

下界でみんなと一緒に戦ってた時も

 

天界でマグ、ナモンからも連絡が来た時も

 

あの、殆ど名前も知らない舞台少女達からも

 

 

 

逃げて

 

   にげて にげて にげて にげて

   ‎

にげてにげてにげてにげてにげてずーーっとにげまわってた、デス

 

 

 

ブイになる前の『俺』と同じように

 

 

 

「だからお前は頑張ってたのか?」

 

 

 

!?

 

 

 

「同じ日に産まれて、同じように育った

 

だけど、アイツの方がすごいと思って・・・

 

だけど、ソレを認めるのが怖くて・・・

 

だから、少しでも差を広げる為だけに

 

アイツから逃げる為だけに頑張ってたのか?」

 

 

 

はいデス

 

 

 

「・・・・・・・・・ったく、相変わらずだな

 

お前だって本当はわかってるだろ?

 

ただ、苦しくて、怖くて、逃げてただけじゃ

 

 

 

『アルフォース』には至れない

 

 

 

お前が選んだ道の中には喜びや楽しみ

 

守りたい大切なモノだってあった筈だ

 

俺が知ってるチビだったお前にも

 

俺が知らないブイである今のお前にも」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

このまっくらな世界で

 

何でかは知らないけど

 

後ろだけが明るくて温かい

 

『俺』の大好きなあの金色のニオイまでする

 

きっと、振り返ったらそこには綺麗な青空が・・・

 

 

 

「行くのか?」

 

 

 

はいデス

 

 

 

「お前が進もうとしてるのは

 

今までよりもずっと怖くて痛くて逃げたくなる道だぞ?

 

それでもいくのか?」

 

 

 

はいデス

 

 

 

だって、きみの方へいったら

 

 

 

今のきみを助けに行けないから

 

 

 

それに

 

 

 

「それに?」

 

 

 

あいつブイのことバカって言ったんデスよ?

 

 

 

「ふえ!?」

 

 

 

しかも4回もデスよ!?、4回!!

 

こっちの気も知らないで勝手言って!!

 

だから!、あの!、ダメダメニンゲンに!

 

四言文句言ってやらないとブイの気が済まないん

 

デスぅううううううううう!!

 

 

 

「・・・・・・・・・ハハ♪

 

 

 

そーーか!、そーーか!

 

 

 

約束通りに強くなったんだな、チビ

 

 

 

俺よりも、ずっと」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい、デスッ

 

 

 

「だったら出来るさ!

 

お前がやりたいこと!、全部!」

 

 

 

うん、だから、今すぐ行くよ、『ゴル』

 

 

 

きみの元へ

 

 

 

          最速で

 

 

 

 

OUT of the BLUE       Fin

 

 

 

 

 

〔! " !〕

 

 

 

その登場      まさに蒼天の霹靂

 

 

 

「ワッ!?」

 

「デッドリーアックスモンッッ!!」

 

〔ク、首ヲ・・・?〕「落とした!?」

 

『あ、ぁぁ!!』

 

『ブイモンおきたーー!!』

 

「ぅ"!!ぅーーー!!うーーー!"!"!」

 

 

 

すっかり濃い群青へと変わった空の下

 

刀身が『黄金』に輝くロングソードを振るい

 

魔獣の口から同胞を奪還してのけて

 

幻の里に立つモン全ての視線を一身に集めるのは

 

 

 

「えっと、だいじょぶ、デス?」

「うん!!、へーーき!!

ブイモン、ありがとーー!!」

「・・・・・・・・・はい、デス」

 

 

 

両目を無くした青い子竜。

 

 

 

「でも、今のは危なかった、デス

これから無茶する時はちゃんと自分の実力に合った無茶をしような、デス」

「はーーい!!」

「いい返事、だ、デス」

「ブイモン!?、今ソレ所じゃないってば!!」

〔早クチビモンヲ連レテ下ガルンダ・・・!

後ハ俺トミソラニ任セロ!!《ホーンブレイカー!!》〕

「!?、しまったぁ・・・!!」

「ふえ?」

 

幼竜が『黒の逢魔』から解放されるや否や

美空は足元のクロスローダーとランスを引っ掴み

バリスタモンは頭の角を掲げてツワーモンに突っ込む。

 

〔フン!!!ガアアアァアーーー!!!〕

「ぐううう!!?、やはり力比べでは分が悪いッ」

 

そのままの勢いでカブトムシロボが不倶戴天の敵とがっぷり四つに組み合った。

 

 

 

 

「な~んちゃってぇ♪」〔ーー!!!!ー!〕

 

 

 

 

すると、地面に倒れ伏していた筈の魔獣の胴体が突然動き出し、残像が見える程のスピードで相方が動きを封じている獲物を背後から

 

 

 

〔!!!!「遅い」?!・・・"!〕

 

 

 

粉砕しようとした頑丈な身体が『黄金』の刃により一刀両断、今度は胴体から真っ二つに。

 

「ぁぅぁうあぅあーーー」

『あ、あああるうさあああーーん!!!!』

「だから!、ブイ!、『アル』!、違う!

デスぅううううううううう!!」

『あ、すいません・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「ぉぇん、ぁぁぃ」

「ぶ、ぶいもん??、あなたさっきから

 

 

 

みえてるの?」「いや、全然デス」

 

 

 

〔フンガァ!!?〕

「だったらどうしてデッドリーアックスモンを斬れるネー!!?」

「うーーん、勘?、デスぅ?

だから、まだ、頭が生きてるのも、わかってる

デス!」

〔ー・・・"〕

「え?、あ!」

「きみ、確か、ミ、ソラ、だった、デス?

自分の足元も気をつけた方が良い、デスぅ」

「あ、ありがと・・・」

「ブイモンすごいすごーーい!!」

 

更に、溶解液を発射寸前だったデッドリーアックスモンの頭部をも斬ってみせる。

 

「(どうして?

あんなに小さくて、あんなに痩せてるのに

今のブイモン

アルフォースブイドラモンだった時より)」

「聖騎士に見える、デス?」

「!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブイ、きみに

きみ達にカッコ悪い所いっぱい見せてたから

そう思われても仕方無い、デス

でもミソラ、それからバリスタモンも」

〔フガ?〕

 

空の名を持つ舞台少女の前でナヨナヨした口調で語るのは、この世界で最も『空』に憧れる泣き虫で弱虫なデジモン。

 

「きみ達

 

 

 

ここをどこだと思ってやがる」「ネ"」

 

 

 

〔!?、変ワリ身!!、イツノ間ニ!!?〕

 

 

 

青い手が握る『黄金』のキラめきは

直前まで取っ組み合っていたカブトムシをも惑わし、背後から音もなく忍び寄っていた忍者の腹部を無造作に貫く。

 

「幻の里は聖騎士を創設したインペリアルドラモンが同胞達の為に造った場所

そのデータを受け継いだブイドラモン族が次の世代のチビ達を守って育てて

そのチビ達がブイドラモンになった時、次のチビ達を守れるようにする為の場所

 

 

 

だから下がるのは、きみ達の方、デスッ」

 

「グ!!ギ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

            キャハ♪

 

 

 

キャッハキャッハキャッハキャッハァー!!

さっすがは義兄弟!!

口だけは達者なのがそこのドボカゲと一緒ネー!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ォ?」

『なんだとぉ?!!』

「直に体験してみてユーのカラクリはもーバッチリわかっちゃったネー♪

今のユー、アルフォースブイドラモンだった時の光速思考と風読み・・・つまりは周囲の情報を処理する能力は残ってるんだろー?

ソレを使ってそこでボケーっと突っ立ってる連中がキラめきとソウルで造った傷を感知してなぞってる

タダそれだけの話ってワケ!!

そっちのドボカゲと同じでミーもデッドリーアックスモンも消すことが出来ないんだろ?

青瓢箪!!!」

「バッチリじゃなくってバッチィデスぅー」

「キャッキャッキャッ♪

ず、図星を突かれたからって減らず口とか!

戦場荒らしが言ってた通りカーワイー♪♪」

「今突かれてるのはお前だろ?、デスぅー

後、ミソラ、バリスタモン、動かなくて、いい、デス」

「でも!!」

〔俺達シカソイツラハ倒セナイ!!〕

「ミソラのソウルもキラめきもほとんど空っぽなのにどうやって、デス?」

「!!?」

〔フ、ガ〕

「あの呪いがどんなモンかはブイだって知ってる

それでも、きみは、この里のチビ達を楽しませてくれた」

「へ?、あれ??」

 

 

 

「守ろうとしてくれた!!!」「ンネ"ぇ」

 

 

 

そのままブイモンはツワーモンを持ち上げ

 

 

 

「(こ、こいつ!、どこからこんな力が!?

 

しかし、これは好機!!)

 

ミーごとやるネー

 

 

 

デッドリーアックスモン」〔!!!!!〕

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから」

 

 

 

バラバラになった魔獣の体が溶けることで発生する溶解液の濁流《アクアレジア》が迫る最中

 

「今度は」

 

 

 

 

 

 

ギィィィーーーーーーー・・・・・・・・・ン!!!

 

 

 

 

 

「へ?」「ぁ」〔石像ガ〕「うごいた?」『御先祖様!!』

 

 

 

 

 

この里の中心・・・ポジション・ゼロに聳える

 

 

白亜の像と共に

 

 

ロングソードを/オメガブレードを

 

 

 

 

 

 

「ブイの!!      番!!」

 

 

 

 

 

振り下ろし

 

 

            振り上げ

 

 

描いた軌跡のそのカタチは

 

 

 

☆デジタルワールド・アケビ号メインルーム

 

 

 

『皆さん!!!

 

この度は本当に申し訳ありません!!!』

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・説明を、して欲しい」

「は、はいですじゃ始祖様!!」

「ドゥフトモン所に行ったらいきなりミソラさんとバリスタモンとブイモンを幻の里へ連れてくって言われたんだよな?、メタル」

「ああ、そうだズィード

くそ!!、究極体に進化したってのに!!」

「自分達では止めれませんでした!!」

「く、くやしいんだなぁ・・・!!」

「めめめめがねだめがねいるめがねめがね

い"っ!、てぇ!?、何すんだよ犬野郎!!?」

「まだゴチャゴチャ言ってんならとっとと引っ込めアホンダラァ!!」

 

幻の里を目指す大型飛行艦の艦内では『明けの遠吠え』の面々が舞台少女やパートナーデジモン達の前で深々と頭を下げていた。

 

「それで?、幻の里のセキュリティを破る当てはあるのデシテ?」

「おっまかせクダさいディアナモンサマ★

あのイカれ走り屋・・・じゃなくって★

セイキシソウセツシャサマの住処でしたらとっっっっっくの大昔に探ってあるんで★

後はオレチャンがヒラケゴマー★すればイケますヨ★」

「!、マタドゥルモンソレは!」

「今の状況って出し惜しみしてる余裕あるのか?

キョーダイ」

「そ、それは、そうだけどッ」

「そうか、ならば任せた」

「ミコママ★」

「月光!!?」

「信者がやると言っている以上

神はただ見守るだけ、デシテ」

「ドルモン、いくらお前の兄弟でもこればっかはディアナモンも譲れないジャン」

「ちゅーか、信者が仕える神の為に身を削るのはアタリマエだっちゅーの」

「ッ」

「チョイ★チョイそんな顔すんなッテー★

何も生命全賭けってワケじゃナ」

 

 

 

〔「フッフッフッ!!」〕

 

 

 

「な!?」

『マタドゥルモン?』

 

 

 

現・デジタルワールド最高位セキュリティエリアへの侵入方法を模索していた

その時だった

 

 

 

〔「ベソカキの弱者かと思ってたが

 

存外骨があるようで何よりだチビ助

 

いいぜ、この俺の力を貸してやる」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・ブイモン、あんた何をやった?

あの自分以外興味0モンがここまで言うとか信じられん」

「マタドゥルモン!!!?

ブイモンの身に何かあったのか!!!?」

「え、エーット・・・」

 

 

 

〔「おい、ケチャップその船邪魔だ

 

とっとと降ろさなねーと一緒に斬るぞ?」〕

 

 

 

「何かはあったらしいケド

トリマ大丈夫っポイんデー

 

 

 

下ニマイリマーース★」『『!!?』』

 

 

 

何モンかの思念を感じ取ったマタドゥルモンがアケビ号の進路を無許可で変更。

一気に地面スレスレまで急降下させた

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

 

 

 

ギィィィーーーーーーー・・・・・・・・・ン!!!

 

 

 

 

 

巨大なV字状の閃光が大型飛行艦の真上を過った。

 

 

 

「ー~ー~ー~ッッ、な、なになにぃ!?」

「なんだってんだぁ!?、今のは!!」

「へ、HEY!!、アルル!!、兄貴!!

みんなも見てくれ!!」

『ルック!!、ルック!!』

 

 

 

アケビ号全体を襲った凄まじい振動からいち早く復帰したスターモンズが指(?)差す先にあったのは、前方を映すモニター

 

 

 

そこに表示された集落らしき場所。

 

 

 

「ドルモン!、もしかしてアレが」

「う、うん、そうだよジュンナ」

「幻の里ッ

しかし、一体全体何があったのデシテ!?」

「最速の聖騎士殿がやってくれたようです

ディアナモン様」

「ブイモンが!!!?」

「って、ことは

あいつ、目、さめたのか・・・・・・・・・?」

「!?、双葉ちゃん!!」

「大丈夫!!?」

「あ、悪ぃばなな、まひるも

なんか、急に、気が抜けて・・・

ったく、こんなに早いんなら、さ

無理矢理にでも連れてくるんだったなー」

「双葉」

「・・・・・・・・・例え、予想外の展開があったとしても

ソレが『彼女』が選んだ舞台」

「ッ、わかってる、わかってるよ、天堂」

 

この光景に99期生達が色めき立つ一方

 

「マタドゥルモン!!、お願い!!」

「超特急で飛ばしてくれ!!」

「なんだったら僕がひとっ飛びするよ!!」

「「『ハリー!!ハリー!!』」」

「ワ~!、噛んでもヨロシイデスカー!?」

「スパロウモン落ち着いて!!、みんなも!!」

「そんな一斉に詰め寄ったら操縦なんて出来ないわ!!」

「・・・・・・・・・いや、あいつ結構余裕有りそうだぞシズハ」

「キューキュー」

 

フロンティアの面々も興奮が隠せない。

 

「トーチャン!、トーチャン!

ミナサンこう言ってるしサ★

アレ使ってイイ?、イイヨネ★」

「フォウン・・・オニスコアの限定解放、か

しかしアレは外装への負担が、のぅ」

「結界の復帰まで後数分って所だから

急がないとマジで間に合わない」

「皆の衆!!、衝撃防止姿勢じゃ!!」

『ワン!!』

『わん!?』

 

すると、マタドゥルモンがアケビ号の秘密兵器の使用を申請

最初は渋っていたワー爺だったが、幻の里の様相が徐々にボヤけていることに気がつくと直ぐ様全員に指示を出す。

 

「マタドゥルモン!!」

「カシコマ★、すうーーーーーーっ

 

 

 

       【 起 キ ロ 】」

 

 

 

 

 

 

"ー!ーー!!ー・ー?!~!ーーー・"""!

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・結局、その【声】使うんだ」

「隠士殿」

「うん、わかってるよ

前世から継いだモンをどう扱うかは

今を生きる兄弟次第なんだってことは」

 

 

 

「ウゲッ、ゲゲゲゲゲゲェーーー オエェ」

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

尊い犠牲により動力炉として搭載されている

 

かつての大敵オニスモンの電脳核が起動

 

聖なる輝きを放つ光の翼が巨大化し

 

飛行速度が格段に上がった。

 

 

 

『ーーーーーーーーーッッッ!!!!!!』

 

 

 

「オロロロロロロロォゥン」

 

 

 

『マ、マタドゥルモーーーン!??』

「耐えろ!!!、耐えるんじゃあ!!!」

 

 

 

直後、凄まじいGが襲いかかり

 

モニターに映し出された場所との距離が一瞬で縮まる

 

 

 

そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「「!!」」

 

 

 

呆然と立ち尽くす彼女/相棒の姿が見えた。

 

 

 

 

 

 

バ     ギ     ィ     !

 

 

 

 

 

 

「ぅ、ん?、ううううううん!!?

 

こ、コォラアアアアアア!!!

 

艦を壊すなぁああああああ!!!」

 

 

 

憤るドルモンの叫びは最早遠い。

 

何故ならば、あるるもシャウトモンも

 

全身から発するソウルとキラめきを推進材にして、既に地上へ降下済み。

 

 

 

「んみ"いいいいいいぞおおおおらああ"ああああああ"ぁああぁあーーーーーー!!!!!!」

「バリスタモン!!!

よぉおおおっっっくやったぁー!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕

「え?、あれ?、みそら?」

「お、おい!?、ど、どうしたお前ら!!?」 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔・・・・・・・・・・・・・・・・・・〕

 

 

 

転がるようにふたりの元へと駆け寄った

 

だというのに、美空もバリスタモンも

 

ある一点を見つめたまま微動だにしない。

 

 

 

「あれ?、きみ達も来てたんデスゥー?」

 

 

 

「!」「ぶ、ブイモン・・・??」

 

 

 

「はいデス、ブイはブイモンデス」

 

 

 

すると、件のデジモンが自分から近づいてくる。

 

「あ、あの・・・・・・・・・」

「あの時何がマズかったかわかったデス?」

「え?、あ、うん」

「ならよかったデス

次はもう庇わないから今度はちゃんと自分で何とかしろよ、デスゥー」

「!、ソレってつまり

俺のこと一人前って認めたってことかよ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

は、い、デ、ス」

「って!、そこは即答しろよぉおおお!!」

〔フガッ?!、シャウトモン!!?〕

「いつの間に!!?」

「わ"たしもいる"よおおおお"おお"!!!」

「わ!!、わ!!?、あるる!!?」

「うわあああああああんんんんっっっ!!!」

「ちょ、ちょっとぉ・・・・・・・・・ もうっ」

 

ブイモンとシャウトモンとの会話を切っ掛けにあの光景からの衝撃から立ち直った美空を大泣きしている幼馴染みの全体重が襲った。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「マグ、ナ、モン」

 

 

 

一方、もう一組の幼馴染みもまた、やっと

 

 

 

「寄るな ドボカケ」

 

 

 

『!!?』

 

 

 

「「アルダモン!!?」」

 

 

 

向き合える

 

と、思っていた矢先

 

炎竜の融合魔人が両者の間に飛び込み参上。

 

 

 

〔マ、待ッテクレ!!〕

「マグナモンはもうあんなことしない!!」

「わかってるよミソラ」

「え・・・」〔フ、ガ?〕

「コレって、所謂『感動の和解』って奴なんだよな?

いくらオレが空気読めなくてもそれぐらいはわかるんだ

 

 

 

わかってても許せないんだ、オレは」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「なんなんだよ、お前は?

 

あの時ブイモンを消そうとしたクセに

 

お前は知ってるのか?

 

この10年、何もしなかったお前の分までブイモンは寝る間も惜しんで飛び回ってたんだぞ?

 

その結果」〔「お前の同族にやられた」〕

 

「・・・・・・・・・は?」

 

 

 

 

「ば、バリスタモ!!?」

〔・・・・・・・・・ブイモンヲ想ウモン同士、チャント話シ合ッタ方ガイイ〕

「そ、それは、そうだけど

大丈夫なの?、アレ」

 

 

 

〔「八つ当たりなら他を当たれって言ってるんだよ

それとも、ニンゲンに寄生して始祖になれたからって調子に乗ってるのか?

『黒の逢魔』みたいに」〕

「そういうお前は手負いで成長期に退化しているブイモンに何をさせたんだ?

何でブイモンが武器を持っている?

さっきのもブイモンがやったんだろ?」

〔「・・・・・・・・・お前、相変わらずうるさいな」〕

「そういうお前の守護も相変わらずザルだな

障子の方がよっぽど守ってくれそうだ」

 

 

 

〔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「《ブラフマシ」〔「《エクストリーム」〕

 

 

 

 

「だぁあああーーー!!!

やっぱダメだあいつらぁーーー!!!」

「は、早く止めないと!!」

「タンマタンマ☆

ここはオジサンに任せて☆」

「「「ガルムモンッ!!?」」」

〔ソレニ、マヒルトフタバモ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・大丈夫カ?〕

「だい、じょぶ、じゃ!、ねぇー!」

「はぁーっ、はぁーっ」

「お疲れマヒル

後はストラビモンでも大丈夫だから休んでて」

「う、うん、おねがい・・・」

 

 

 

アルダモンとマグナモンが一触即発の雰囲気へと陥っていると、背中に息も絶え絶えな舞台少女2人を乗せた機械狼が漸く到着

仔狼へと退化すると文字通り怒髪天している同胞の元へ臆することなく歩み寄る。

 

 

 

「炎の」

「光の、下がれ」

「お前が【アイツ】を許さないのは勝手だし

【アイツ】がかつてのことを謝らないのも自由だ

だけど、その場合誰が君達の分まで頭を下げると思う・・・

 

 

 

そこで土下座している最速殿だ」

 

 

 

「「

 

 

 

!!!???」『ふえええん!!??』

 

 

 

ぶぶいもん?やめようソレいますぐやめよう

わるかったオレがわるかったからやめよう」

 

 

 

そして、容赦無く事実を指摘。

 

すると、顔色を失ったアルダモンは一瞬でフレイモンに退化

 

泣き崩れるマグナモン+αを無視して全力で謝り倒すのであった・・・。

 

「ストラビモンあの構文知ってるの!!?」

「ララチャン☆ララチャン☆

そこ今ツッコむ所チャウチャウ☆」

「はっ!!、そうだった!!

美空ぁああああああーーーーーー!!!」

「『Yeeeeeah!』」

「へ?、ふあ!?」

「美空!!!美空ぁ!!!」

「よかった、ほんっっっとうに、よかった・・・!」

「つ、つかさ先輩と静羽先輩まで~?!」

〔流石ミソラ力持チ〕

「だな♪」

「えへへ♪」

「わ、わらってないでたすけてよぉ~!!」

 

竜族の混乱を余所にフロンティアの面々もまた混沌とした再会劇を繰り広げる。

 

 

 

〔「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

フッ」〕

 

 

 

この地上の風景を見下ろす白亜の像。

 

動かぬ筈のその口元が微かに上がっていたのは

 

余談である。

 

 

 

 







瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に・・・



一度わかれたってまた会えるさ、きっと何度でも


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Gift その名は魔神機

☆輝きの無い世界



時間は少々遡る



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



変わり果てた聖翔音楽学園

その校門前に佇む少女の名は



聖翔音楽学園99期生   愛城華恋。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「華恋」



邪悪なツタに覆い尽くされ、見る影も無くなった赤い塔を遠い眼差しで見つめる彼女にパートナーが寄り添っていると



「ねぇ リュー君 覚えてる?」

「ぬ?」

「わたしとあなたがはじめて出会った

あの日のこと」

「・・・・・・・・・一瞬たりとも忘れたことは無い

で、御座るよ」

「あの時、リュー君は



わたしに何の役をくれたっけ?」「!



救世主」



「あなたにとってのわたしは、何?」



「救世主」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



うん そうだった そうだったね



なら、まだ、演じられるッ」「!!」



俯いていた少女は突如胸を張り



天へと掲げる、己がキラめき

             青春の可能性を。





「ギャオオオオオォォォォォォン!!!!!!」「グルルルルルルァアアアアアア!!!!!!」






「「!?」」



このタイミングで

怒り狂った獣と竜の咆哮が1人と1体の耳にまで届いた。

「リュー君!!」
「任されよ!!」

異変を察した華恋は手首の神機から赤い0と1の粒子を放出。
リュウダモンが進化したギンリュウモンに跨がり争乱の真っ只中へ。

「ひかりちゃん!!」
「ッ、華恋!!」
「かれ、ちゃ・・・」
「ぐ!、うぅ!」
「まひるちゃん!!?」
「双葉殿まで!!



そして何故マルスモンは穴の中ッッ!!?」



「『黒の逢魔』にアルルが拐われた!!
その直後!!、他のフロンティアの連中が独断専行で救出に向かったのデシテ!!
あの!!、シャウトモンも!!、な!!」
「「な!!?」」
「敵が開いたゲートを今闘争が開いているが
所詮は無理筋ッ、長くは持たん!!」
「ンジャジャジャジャジャジャ・・・ァ・・・・・・ン!!」





ピシピシビシシ・・・ィ・・・・・・!!





「あ!!」
「マルスモン!!」
「ッ」
「おい始祖共!!、もう頭は冷えたな!?
だったらとっととゲートを安定させろ!!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「ゲートが安定し次第!!
ワタクシ達究極体を中心にアルルの救出及びシャウトモン達の回収へ向かう!!
カレンとヒカリはこの場を任せた!!」
「う、うん!!」
「わかった!!」

困惑するふたりにディアナモンは状況を説明しつつ矢継ぎ早に指示を飛ばしまくる。

「隠士!!」
「わかってる!!
カオルコ、その青瓢箪の解呪はデジタルワールドの方が都合が良い
だから」



「うち、行かんよ」



「う、ん?」
『え?』
「はなやぎ、さ?」
「連れて行きたいんならどうぞ御勝手に」
「お、まえ・・・・・・・・・ったく、わかったよ」
「双葉ちゃん!!?」
「ブイモンは、あたしが背負うッ」
「で、でも石動さん!?
あなたさっき大怪我したばかり」
「譲れないんだよ、この役だけは」
「ーーーーーー!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ』



パートナーを切り捨てるような言動をする香子。

彼女の意図を汲み取るかのように手負いの双葉がブイモンを背負う姿に塁も他の舞台少女達も息を飲むのであった。





☆輝きの無い世界・樹に埋もれた地下劇場内

 

 

 

そして、現在

 

 

 

待てど暮らせど、フロンティアの面々と彼女達の救出に向かった99期生達から未だ連絡すらない。

 

・・・・・・・・・実はこれは例の試練が原因なのだが

残された者達はこのことを知る術が無いので気を揉むばかりだ。

 

「そういえば、さ

何でアルゴモンが消えたのに世界は元に戻らないんだろ?」

「いちえ、今その話要る?」

「だって気になるじゃん」

 

 

 

「劇場があるのはここだけじゃないから」

 

 

 

『!?』

「きっと、王立演劇学園も同じようになってるんだと思う」

「ヒー・・・」

「え、ちょっと待って下さいよ神楽さん

じゃあ、なんですか?

あたし達がやってきたことって

 

 

 

全部、無駄だったってこと、ですか?」

 

 

 

「!!?、やちよ!!!」

「そうだね」

「ミチルさんまで何を!!!?」

「例え、シークフェルトを奪還出来ていたとしても

この結末を変えることは出来なかったということだ」

「え、あ、きら、さん・・・・・・・・・??」

「ッ」

「た、珠緒ごめん!!

あ、あたしそんなつもりじゃ」

「いいの、気にしないで」

「でも!!」

「いちえさん、少し落ち着きましょ、ね?」

「ーーーーーーッ」

「(不味い、どんどん空気が悪くなってる)」

 

結果、劇場内の雰囲気が暗くなっていく。

この状況に『衣装』の裾を掴まれたままの文が危機感を抱いていると・・・

 

 

 

「取り戻すよ 全部」

 

『え?』

 

「かれん・・・?」「カー・・・?」

 

 

 

「だって、それがこの物語での私の役

 

 

 

          救世主の役目だから

 

 

 

私達の世界もリュー君達の世界も

 

 

 

全部救って スタァライトしちゃいます!」

 

 

 

『      ぁ      』

 

 

 

「・・・・・・・・・そう、だった」「!、ヒー」

 

 

 

「例え、悲劇が起きようとも

 

例え、奈落に落ちようとも

 

私達の舞台はまだ終わってない」

 

「拙者の武勇伝もで御座る!!!」

 

「リュー、今は空気読もうねー?」

 

「ぴ!」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

 

この全ての輝きが奪われた世界で

 

ふたりでひとつの運命がキラめきをみせつけた。

 

 

 

 

 

ィャァァァーーーーーー・・・・・・・・・!!!

 

 

 

 

 

 

「!?、今のって」

「女の人の悲鳴!?」

「・・・・・・・・・プレイヤーとは感情の種類が違う

多分、ニンゲンだよ」

「ぬぅん!、まだ生き残りが居たか!

行くぞ!!、華恋!!」

「うん!!」

「・・・・・・・・・って、2人共待って下さい

あたし『達』も行きますッ」

「やちよ?」

「ほら!、メイファンぼさっとしない!

栞も行くよ!」

「え!?」

「(やちよ・・・)」

 

その直後、どこからか絹を裂くような叫びが聞こえてきたので

華恋とひかり、更にはやちよにより強引に連れられたメイファンと栞が各々成熟期へと進化させたパートナーに乗って現場に急行。

 

「鶴」

「らしくない、ですか?

だって、しょうがないでしょ?

ミチルさんもう限界だったんだから」

「ソレはワッチッチもわかっヒョル

ヒャットも、今の殿に道の『荷物』を受け止められるっヒョは限らん」

「それは」

「鶴、ワッチッチはヒョんしの供っヒョ

ワッチッチの翼の扱い決めんはヒョんしだけ

 

 

 

ヒョケェ、覚悟決めヒョケ  鶴姫やちよ」

 

 

 

「・・・・・・・・・ちゃんと呼べるんですね、ブライモン

 

 

 

(信じてますからね、晶センパイ)」

 

 

 

 

 

「ねえ、みんな」

 

 

 

妹達が地下劇場から離れるのを確認すると

文はまるで、堰を切ったかのように

仲間である演劇同好会に語りかける。

 

「デジモンの力を取り戻す

・・・・・・・・・ううん、『アレ』以上の力を得るチャンスがあるって言ったらどうする?」

「「「「え?」」」」

「ど、どうするって、まさか文ッ」

「私は行くわ」

「行くって、どこへ、ですか・・・?」

「凛明館女学校、演劇同好会部室」

「「!!」」

「そこで待ってるって言ってたわ

私達に力を授けた『声』のヒト達は」

「『声』ってまさかあの?

なら、それなら!、呪いについても!?」

「知ってるかもしれない」

「・・・・・・・・・」

 

語りかけながら、彼女への目配せも忘れない。

 

「それで?、どうするの?、珠緒」

「行きます」

「「「!」」」

「3人は別に無理しなくてもいいのよ?」

「こ、こーゆー時だけ優しくすんのやめてよぉー」

「そうですねー、出来ればレッスンの時まで取って置いて貰った方が有難いのですがー」

「ちょっ!

いちえ先輩!?、ゆっこぉ!!」

「じょーだんですよー

・・・・・・・・・ドラコモンさんのことはともかく

その『力』とやらに興味がありますので

塁もそうでしょ?」

「う、うん!」

「あたしも!」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「(先が思いやられるわー)」

 

パートナーとの仲最悪トリオの反応に珠緒と文は疎か香子までもが整った眉をひそめるのであった。

 

「という訳で私達は一旦ここから離れるから」

「・・・・・・・・・文」

「何?」

「何故、栞の前では言わなかった?」

「言えば絶対止められると思ったから」

「・・・・・・・・・だろうな」

「私達が止めるとは思わなかったの?」

「止められるのですか?

今の貴女達に」

「「ッ」」

「ヒンーっ!!

た、タマオがなんかこわいでっしゅーー!!」

「(王・・・)」

「では、失礼します」

「「ーーーーーー!!」」

 

こうして、地下劇場に残されたのは2組だけに。

 

「ファルコモン」

「はっ」

「ワームモンを連れて下がれ」

「ヒンーーーっ!!?」

「了解しました」

「お、おししょーーーしゃまーーー!!?

なんでーーーっしゅーーーっ!!!???」

「・・・・・・・・・強引過ぎだよ、三流」

「他に方法が思いつかなかった」

「あ、そ」

 

更に、パートナーまでもが退場すると

シークフェルトの王と宰相は一対一で対峙。

 

「まいっちゃうよねー

後輩や部外者にまで気を使われるなんて

そうゆうの本当は『ミチル』の役目なのに

 

 

 

ほんと

 

 

 

何やってるんだろうね? わたし」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「エーデルだけで解決しようとして失敗して

 

『先輩』達の実力も見誤って

 

救世主が聖翔の9人だってわかってたのに

 

認めたくなくて、つまらない意地張って

 

その結果

 

 

 

シークフェルトも

 

 

 

    エリュシオンも

 

 

 

    わたし たち の約束の舞台も

 

 

 

ぜんぶッッッ!!!奪われたッ!!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「挙げ句後輩にやつあたりして!!!

 

 

 

あきらめてた

 

 

 

かれんちゃんはスタァライトするき

 

 

 

まんまん、なのに・・・・・・・・・

 

 

 

わたし、ぜんぜん、かんがえられなくて」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「ーーーーーーッ、なにかいってよ!!!」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

吐露 或いは、告解

 

罰を求める蒼玉の君が白金の君へとすがりつく。

 

 

 

「そんな弱気でどうするって!!!

 

 

 

それでも蒼玉の君かって!!!

 

 

 

こんな無様な姿!!!

 

 

 

舞台の上で曝すなんて!!!

 

 

 

三流以下の!!!舞台少女失格だって!!!

 

 

 

言ってよあき「ごめん」・・・・・・・・・え?」

 

 

 

だけど、彼女がすがった『王』は

 

 

 

「ごめん、ごめんね・・・!!」

 

「あ」

   死んでいた。

 

 

 

恵まれた体躯も よく通る声も 洗練された美貌も

 

全てそのまま

 

なのに、彼女は、もう

          舞台少女として・・・。

 

 

 

「!!!」

 

「うぐ!!?」

 

「ッ」

 

「あ・・・」

 

 

 

だからミチルは晶を力任せに突き飛ばし舞台を降りる。

 

細い肩を震わせ、小降りな唇を噛み締めながら

 

脇目も降らずに幼馴染みの元を去る

 

 

 

だって、そうしなければ、もう二度と

 

 

 

彼女との約束が果たせないから。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ぅ、く、ぅぅっ」

 

 

 

役者も

 

観客も

 

主催者も

 

誰も居ない 何も無い朽ち果てた地下劇場。

 

でも、だからこそ

 

 

 

タダの少女の涙を受け止められるのかもしれません。

 

 

 

☆輝きの無い世界

 

 

 

凛明館女学校

 

 

 

かつて、ラヴォガリータモンとの戦いの折に炎上

 

更にはワスプモンが内部からブッ放した《ベアバスター》により木造校舎の写し身は跡形無くなった

 

 

 

筈、だった。

 

 

 

「も、元通りになってる・・・?」

「ウィザーモンはこの世界で破損したモノはそのままになる、っと言っていましたが

最も、あのぺてん師の言うことがどこまで本当だったのかはわかりませんし」

「ゆっこ、なんかウィザーモンに当たり強くない?」

「・・・・・・・・・そう、ですかね?

って!?」

「「花柳さん!!?」」

 

 

 

かつての争乱の痕跡が一切残っていない建物を前に、同好会の5人が二の足を踏んでいると

香子が彼女達の横をすり抜け無断で中へ。

 

 

 

「「「「ヒュウウウーーーッ♪♪♪」」」」

 

 

 

「!?」

 

直後、聞こえてきたのは

木造校舎全体に響かんばかりの大歓声。

 

「い、今の『声』って」

「ええ、間違い無く例の、だけど・・・」

「も、もしかして中でパーティーでもやってる?」

「いやいや、いちえさん」

「流石にソレはありえないと思います・・・」

 

 

 

結論から言おう

 

 

 

「いやはや!、まさかの急展開ですなぁ!」

「フゥ、おねえさんあつくなってきちゃった」

「んぐ?!、おいジジィ!!

それは俺のポップコーンだぞ!!

後リリスモン!!、コーラのストローは噛むな!!、舐めるな!!」

「いっぱいあるんだからどれでも好きにすればいい~んじゃな~い?」

「お前にしては珍しく正論だな!!」

「あ!、みんな!、演劇同好会が来たよー!」

〔「ワーーイ♪、ルイだーー♪」〕

 

 

 

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」

 

 

 

 

めっちゃパーティーしてた

 

 

 

演劇同好会の部室半分が埋まるぐらいのソファーの上で

 

天井ギリギリサイズのスクリーンに投影される映像を肴に

 

よくわからない団体が大ハシャギしてた。

 

「あんたはんら誰?」

「その質問はクライマックスを観終わった後でもいいかい?」

「クライマックス?、何の

 

 

 

って、な・・・・・・・・・は?、はあ!!?」

 

 

 

 

 

 

          〔「だから」〕

 

 

 

 

 

 

「何って、君のパートナーの独擅場だけど?」

 

 

 

〔「今度は」〕

 

 

 

 

 

 

ギィィィーーーーーーー・・・・・・・・・ン!!!

 

 

 

 

 

〔「ブイの!!      番!!」〕

 

 

 

 

 

「おおおおおお!!!、決まったぁ!!!」

「でも、トドメはささないのは怠惰だよ~」

「恐らくはぁ、あえて生かしたのでしょう

あの里の脅威を他の『黒の逢魔』に伝えさせる為に」

「メッセンジャーボーイね」

「ガツガツガツガツガツガツ!!

ズゾーーーーーー!!!、ゴックン!!

・・・・・・・・・どっちも『ボーイ』って面じゃないけどな」

〔「ルーーイ♪♪ルーーイ♪♪ルーーイ♪♪」〕

 

天使のような美少年が気さくに指差す先

 

大画面いっぱいに上映されていたのは

 

 

 

白亜の像と共に剣を振るう

 

顔半分に大きな傷を負った青い子竜の雄姿。

 

 

 

「あ

 

 

 

あんの!青瓢箪!

ほんまに、もう!!、んもおおーー!!」

「よ、よかった!!、よかったですね花柳さん!!」

「よくない!!!」

「「えええ!!?」」

〔「る、ルイに気をつかってもらうなんてぇ!

う、うらやましいぃーーーーッ!!」〕

「どーどー、おさえてーおさえてー」

「うちにいらん心労かけて!!

御褒美どころか賠償や!!、賠償!!

覚悟しときぃいいい!!!」

「・・・・・・・・・声、届いて無いと思うんだけど」

「その通りですよぉ、夢大路文嬢」

「フフフッ!、やっぱり若いっていいわねー」

「ガラガラガラガラガラガラ!!!」

「おぉい!!?、いくらなんでも食い過ぎだっての!!」

 

 

 

スクリーンに向かって水仙花を突き出す香子

 

彼女の形相にドン引きしている同好会

 

相変わらず好き放題してる謎の集団

 

 

 

「あ、あの!!!、すみません!!!

 

あなた達は何者なのでしょうか!!?」

 

 

 

この混沌の真っ只中で巴珠緒は無理矢理我を通した。

 

 

 

「ぷ!、あははは!、珠緒ったら必死だね!」

 

「わ、笑い事ではッ」

 

「笑い事だよ」

 

「そだね~~~、ふわぁ~~~」

 

 

 

すると、天使のような美少年は少女の想いを嘲笑い

 

コアラは興味なさげに欠伸を噛み殺す。

 

 

 

「何せ、今貴女が・・・

 

いえ、貴女方がすがろうとしている相手はぁ」

 

「『黒の逢魔』なんぞより余程たちが悪い存在なのだからな!!」

 

〔「イッイッイッイーーッ♪♪」〕

 

 

 

老人は舞台少女達全員に値踏みをするような無遠慮な眼差しを向け

 

フードで顔を隠す大柄な男のオーバーリアクションは木造校舎を容赦無く揺らし

 

カラフルなバックは『推し』に生で会えたのでまだまだ御満悦の様子。

 

 

 

「ふーーーっ、ごっそさん 痛ッ!?

 

地味に《ナザルネイル》すな!」

 

「御不満?

 

それなら次はもっと派手にいこうかしら?」

 

「「「「「「!!?」」」」」」

 

 

 

フルフェイスのライダーがアメリカンサイズのポップコーンとコーラを平らげれば

 

ジャージ姿の美女

 

 

 

の、右腕に備わる魔爪でオシオキされた。

 

 

 

「あらあら、そんなに見つめちゃって

おねえさんのカラダに興味津々?」

「コ~ラ」

「あんっ、ベタベタするぅ」

「かけるなよ!!、もったいねぇ!!」

「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ーーーーーーーーー」」」」」」

〔「イッイッイッ♪

気になる?、気になるよね?

おでたちのこと」

「え、ひぃ!!?」

「これなら少しわかってくれるかなー?

ルーイ♪」

「「「「「!!?!!?!!」」」」」

 

謎の団体の自由過ぎるやり取りに唖然としていた舞台少女達の頭上を突如埋め尽くしたのは

あのカラフルなバッグと同じ配色をした

 

 

 

ワニのようなナニカ。

 

 

 

「おでは嫉妬の魔王リヴァイアモン」

 

 

 

「ま、おう?、魔王のデジモン、7

 

 

 

!!、まさか!!!」

 

 

 

「あ~、気づいちゃった~?、ふぁあ~・・・」

 

「察しがいいね、香子

 

この傲慢の魔王ルーチェモンが誉めてあげるよ

 

後それからリヴァイアモン、邪魔、縮んで」

 

「イ"ッ」〕

 

「改めまして御挨拶させて貰いますよぉ、お嬢さん達

 

私はバルバモン、強欲の魔王と

 

この世界ではちょっとした企業のCEOとやらを務めさせて頂いおります

 

よろしければ、名刺をどうぞ」

 

「ぬふははははははははははははは!!!

 

急な展開についていけず棒立ちしてる連中に無理矢理押し付けておいてヨロシケレバは無いな!!!」

 

「・・・・・・・・・これでも食うか?」

 

「不発のポップコーンをすすめないの

 

ごめんなさいね

 

無精者と無礼者に変わってリリスモンおねえさんが教えてあげる

 

あっちの寝坊助さんが怠惰の魔王

 

それからこっちのデリカシーが無い

 

大きい方が憤怒のデーモンで

 

面白味の無いサイズが暴食のベルゼブモン

 

・・・・・・・・・勿論体長のことよ?」

 

「もう1本いっとく?」

 

「だからやめろ!!!、俺によこせ!!!」

 

「はいはい

 

さて、これだけ説明すれば後はもう

 

 

 

わかるよね?」

 

 

 

「な、な、だい、魔王・・・!!?」

 

 

 

「クスッ!、正解!

花丸の代わりに

 

 

 

お待ちかねの『力』を君達にあげるよ

 

 

 

田中ゆゆ子   音無いちえ

 

 

     夢大路文   秋風塁

 

 

 

        巴珠緒」

 

 

 

美少年・・・ルーチェモンが無邪気に微笑んでいる。

だが、正体を知った以上

この誘いが所謂『悪魔との取引』であることは一目瞭然。

 

「あかんで、珠緒はん」

「花柳さん」

「七大魔王いうたら、おばあはんとそのパートナーやった舞台少女がデジタルワールドから追っ払ったって話

あんたはんかて知っとるやろ?

しかも、そん時のゴタゴタのせいで世界が滅びるかどうかの瀬戸際まで聖騎士と神が協力せんかった」

「それは」

「それだけ根深いもん残した連中なんかの力借りるなんて絶対あかん

どう考えても取り返しがつかんことになるに決まっとるわ」

 

故に香子は珠緒を引き止めた。

 

 

 

 

だから自分達が舞台を独占しても良いと?」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?

 

 

 

はぁ!!?、何言うてん!!?」

 

 

 

「言った通りの意味ですが、何か?」

 

 

 

「さぁてさぁて盛り上がって参りましたなぁ!!!」

「バルバモン直接の観劇中は抑えてよ」

「おぉっとぉ、これはこれは失礼しましたぁ」

 

だが、彼女はソレをハッキリと拒絶。

 

「花柳さんにはわかんないよね

あたし達の気持ちなんてさ」

「救世主という大役に見初められ」

「あんなにも、眩しいパートナーが居る

あなたにはッ」

「え、は、ちょ・・・」

「だからこそ、私達は

あなた達聖翔と同じやり方じゃ

同じ土俵、舞台には立てない」

「夢大路はんまで何!!?」

 

すると、他の同好会部員までもが続く。

 

「舞台少女である以上

舞台の上で己が望む役を演じるのは至極当然のことでしょう?」

「そ、れは・・・

だけど!、流石にコレはあかんやろ!!」

「なら、どうしますか?、救世主様」

「ッ」

 

古くからの付き合いのある少女が今まさに

『道』を踏み外そうとしている

だから、花柳香子は狭い室内にも関わらず薙刀を流麗に構え

 

 

 

「《エ~ビ~ル~ス~ノ~ア~》」

「ぼふぅ!!?ぼふぼふ?!ぼ

 

 

 

ふぁぁ~~~っ」

 

 

 

「「「「「花柳さん!!?」」」」」

 

・・・・・・・・・ようとしたのだが

突如頭上から怠惰の魔王の成長期・ファスコモンが降ってきて、顔面に張りついたかと思うと膝から崩れ落ちた。

 

「んにゃぁーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ね、寝てる?」

「それも羨ましくなる程にグッスリと!!」

「ゆっこ!?」

「冗談ですよ

なので、あの、嫉妬の魔王さん?

纏わりつくのはやめて下さい」

〔「イッイッイッ!

そーゆーことにしておいてあげるー♪」〕

「珍しいねベ・・・じゃなくってファスコモン

君が自分から動くなんて」

「しかも、確か彼女は聖翔での推しではぁ?」

「ふ

 

 

 

ふとももふとももふへへへへぇ~~~っ」

 

 

 

「おんやまぁ、推しだからでしたかぁ」

「ちょっとやめなさいよ

そうゆうことやられると私の立つ瀬が無いんだけど」

「良い【憤怒】だ!!!、【色欲】の魔王よ!!!」

「ポリポリポリポリポリポリ

それで?、お前らどうする?」

「・・・・・・・・・話を進める前に

あのコアラを花柳さんから離して貰えませんか?」

「はいはい、っと」

「ぶぁ!!こぉ?!」

「これで良い?」

「(さ、さっきからこの子

解決方法が肉体言語ばっかり・・・)」

「言葉が通じない相手にはボディランゲージが一番だからねー」

「へ?!」

「「「「!?」」」」

「ん?、そんなに驚くこと?

仮とはいえ、契約した以上

君達の思考は丸っとお見通しだよ

・・・・・・・・・まぁ、人間の単純な思考回路なんてワザワザ覗くまでも無く手に取るようにわかるけど」

「「「「「ーーーーーー!!」」」」」

「さあ、部外者も大人しくなったことだし

話の続きをしようか凛明館演劇会同好会

愚かで愛おしい僕らの玩具」

「「「「「・・・・・・・・・ッ」」」」」

 

少女を眠らせた挙げ句不貞を働きまくってた毛玉をサッカーボールのように蹴り飛ばした後も美少年・・・ルーチェモンは微笑みを絶やさない。

なのに、纏う雰囲気は妖しく

台詞の端々に舞台少女達を

否、己以外の全てを見下す【傲慢】さが滲み出ている。

 

 

 

「君達は七大魔王に力を求めるのかい?」

 

「「「「「はい」」」」」

 

 

 

ソレを理解して尚5人は止まらない。

 

 

 

「ぬふははははははははははははは!

 

いいだろう!! くれてやる!!

 

もっとも、お前らが扱いきれるかどうかは別問題だがな」

 

 

 

すると、デーモンは彼女達の理不尽に抗う【憤怒】の意思を尊重し、件の炎でカタチ造られた紋章を召喚。

 

 

 

「うらやましいかったんだよね?

 

妬ましかったんだよね?

 

 

 

自分達には無いモノを持ってるあの子達が

 

 

 

イッーイッイッイーーッ♪

 

いいよぉ!、すっっごくイイィイ!」

 

 

 

すると、バック形態に戻ったリヴァイアモンは彼女達の【嫉妬】を全肯定しながら上機嫌に雷で紋章を描く。

 

 

 

「やれやれ、平穏に暮らしていた貴女方がこのようなリスクを冒す必要なんてありませんよぉ

 

だというのに、自分から争いの渦中へと飛び込むなんて

 

しかも、その為に危険な魔王と契約しようなんて

 

 

 

じっっっつに欲深いことですなぁああ!!!

 

 

 

これは是非とも投資せねばいけませんねぇ!!!」

 

 

 

バルバモンに至っては舞台少女という存在そのものが宝。

故に彼女達の【強欲】の行く末に期待し、右手から球体に包まれた紋章を撃ち上げた。

 

 

 

「はあ~~ぁ

 

自分達が無力だからって他人からの力を貰って

 

それで我が物顔しようだなんて

 

君達ほんとに怠惰だね~~~・・・・・・・・・」

 

 

 

一方、ファスコモンはノロノロとした動きで蹴られた腹を擦り無造作に紋章を放り投げる。

 

 

 

「こえろ そして、うまくなれ じゅるり」

 

 

 

ベルゼブモンはヘルメットの下で舌なめずりすると、どこからともなくショットガンを取り出し発砲。

弾痕の代わりに紋章を刻み込んだ。

 

 

 

「私の罪はあなた達にはまだ早い

 

でも、だからこそ、私は観たい

 

 

 

無垢な少女がこの快楽に墜ちる様を

 

 

 

クスッ、ふふふふふふふ・・・!!」

 

 

 

そして、リリスモンは長い黒髪をかきあげ

さざめく影から呼び出した紋章で天井を破壊

 

 

 

すると、この輝きの無い世界の空を覆うように

 

 

 

傲慢の紋章が浮かんでいるのが見えた。

 

 

 

 

 

 

カチ・・・ カチ・・・ カチ・・・ カチ・・・

 

 

 

 

 

 

     ガ     チ     ン

 

 

 

 

 

直後、七つの紋章が堕ちる

 

 

 

罪の証が5人を蝕む

 

 

 

魔封機の色がジワジワと変わっていく

 

 

 

「魔封機じゃないよ」

 

 

 

薄墨一色から

 

本体が漆黒

 

装飾は深紫と深紅に

 

そして、最も大きなチガイが

 

懐中時計の文字盤を囲う

           七本の剣。

 

 

 

 

「あれは魔『神機』

 

 

 

人間とデジモンを繋ぐ 呪縛とエゴの象徴

 

 

 

それに僕らの罪をトッピングしてみたんだ

 

 

 

さて!、ここで皆さんにクイズです!

 

 

 

舞台少女は何にでもなれます

 

 

 

そんな彼女達に七大魔王全員の力を注ぎ込んだら

 

 

 

一体何が出来上がるでしょうか?」

 

 



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禁手 強制暗黒進化+X七

 

 

 

 

 

「「「いいいやあああーーーーーーーーー!!!!!!」」」

 

『〇◆ーー△〇◆△△~◎△~◎』

 

 

 

 

 

 

崩壊した世界、瓦礫の山々の隙間から溢れるのは丸みをおびた緑の体に大きな目のような模様が特徴のモンスター達に追われている

うら若き乙女3人の悲鳴だ。

 

「ひっ?!、あ・・・」

「「あ!!」」

 

アルゴモン幼年期Ⅰ・Ⅱの群れから必死に逃げる最中、1人の足がもつれ転んでしまう。

 

『〇◆△△~◎・・・』

「あ!、ふあっ、あ」

 

『少女』が地べたを這いつくばりながら振り替えれば・・・モンスター達がもう目の前まで迫っていた。

まさに絶体絶命、危機的状況

 

 

 

何故自分がこんな目に合わないといけない?

 

『彼女』の中で湧き上がるのは

 

絶望、恐怖、怒り つまりは

 

 

 

「kY〇〇ーーーーーーーー""""ーーーー"!!!!!""!」

『◆!ー?△』

 

 

 

暗黒のソウル。

 

 

 

「いよっし!、よっしゃ!、きたぁああ!」

「私達もいくよ!」

 

『少女』・・・凛明館演劇同好会の『先輩』が

この想い全てをデスメタルとして吐き出し

壊れかけのダークネスローダーにぶつければ

衝撃波となってアルゴモン達を吹き飛ばす。

すると、残る2人・・・フロンティアとシークフェルトの3年生達もまた暗黒のソウルを解放

斧型ベース&ギターを具現化させながら過剰にボルトが打ち込まれたドラムセットの両隣を陣取った。

 

 

 

「くびも無いのにGun首そろえて!!!

 

Gunつけんなよ!!!ほじ苦っゾ"!!!」

 

『○!◎!?●・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!』

 

 

 

ギターやベースのメロディに合わせ、激しくヘッドバンキングしながらダミ声で歌い

ドラムスティックで【歌詞の通り】にしていけばアレだけ群がっていたモンスター達が次々と消滅。

 

「げほぉ!!うぇっ!!、も、む、り"ぃ"」

「大丈夫、十分よ」

「あんがとあんがと!、サンクス♪」

 

アルゴモン幼年期Ⅰ・Ⅱの群れを蹴散らした直後、凛明館の3年生が激しく咳き込みながら崩れ落ちる。

 

「(チッ、やっぱりパワーが落ちてる

『前』のままならあんな幼年期ごときに手こずらなかったのに・・・!)」

 

その丸まった背中をフロンティアの3年生と一緒に優しくさすりながら、シークフェルトの3年生が危機感を募らせていると

 

「ねえ」

「え?、なになに?」

「ぉぅぇぁぉ?」

「まだ演奏出来る?」

「わ、わたしはへーき、だけど」

「・・・!、・・・!、!」

「だよね

じゃあ、【アレ】どうしよ?」

 

 

 

『ブルートナックル』「ボルトライン」

 

『インプリズメント』

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしよ??」」

 

今度は成長期を数十体引き連れた成熟期が登場。

 

「《棒陣破ぁー!》」

「《ツバメ二枚返しッ》」

「《クリムゾンスラッシュー!》」

「・・・・・・・・・」

「その調子ですよ!!、レッパモン!!」

「・・・・・・・・・!」

「リューくんとエーちゃんもグッドグッド♪」

『『「■▽ッッ!!?」』』

「「「あ」」」

 

しかし、この団体は突如飛び込み参上した

舞台少女とそのパートナーデジモン達によって一掃された。

 

「な、た達・・・」

「!、『先輩』!?」

「どうして貴女達が無事なんですか!!?」

「この舞台を造った立役者への恩赦って所か、ヨン?」

「「「・・・・・・・・・」」」

「何にせよ、無事で良かった」

「うんうん♪」

「!、神楽ひかりッ、愛城華恋ッ」

「「え?」」

「?、嫉妬ー?」

「フィルモン、御主その姿でも感情は感じとれるので御座るか?」

「ちょっぴりだけどねー」

「・・・・・・・・・別に嫉妬なんてしてない

あ、『あの2人』にギターを

手取り足取り教わって?

 

 

 

挙げ句に一緒の舞台で共演したとかぁ!?

 

もうぜんっぜん!、これっ!、ぽっちも!

 

うらやましくなんてないんだからぁ!!!」

 

 

 

「ぬ、ぬぅん?

『あの2人』というのが誰なのかは皆目検討がつかんのだが・・・

それを嫉妬と呼ぶのではないか?」

「リュー、ワザワザ本当のこと言わなくていいから」

「まさか『先輩』!!?

あなたはソレが理由であんな悪事に手を染めたと!!?」

「え、いや、違うけど」

「わ、わわたしたち・・・

ここ、高校卒業前に

思い出作りがしたかっただけ、だから・・・」

「は?」

「!」

「おもいでつくり、って・・・

(これなら、まだ

メイファンが言った理由の方がよっぽどマシじゃないッ)」

 

この崩壊した世界で探していた生存者の正体が切り捨てられた末端とはいえ、元凶の一派。

更には、彼女達が『黒の逢魔』に荷担することになった動機があんまりにもあんまりなので

やちよはもう皮肉を返す余裕すらない。

 

「ヒョへな所で嘴突っついてる場合ヒョ?

ヒョッヒョッと連れてけ」

「連れてく必要あるヨン?」

『え』

「ヘー」

「んな?!、ワスプモン!!

御主は何を言っているので御座るか!!?」

「だってこいつら曲がりなりにも『黒の逢魔』だったんだヨン?

そんな連中を不用意に拠点へ連れていったりして

はじまりの街の長老として救世主一行に潜り込んでいた麗将みたいなことをされたらどうするつもりだヨン?」

「「!!」」

「そ、それは・・・ッ」

「フーン」

「こいつら自身に自覚が無かったとしてもだ

『黒の逢魔』から何かしらの処置を施されている可能性もある、ヨン」

「い、言わんとすることはわかりますが・・・

ですが!!、やはり!!、私は!!

『先輩』達をこんな危険な場所に放っておくことは間違っていると思います!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁーーー

メイファンさんがそこまで言うなら

でも、ボクチャンからは距離を取って欲しい良いんだヨーン」

「あ、うん、うんうん」

「そそその方が、こここっちも・・・」

「たすかる、っていうか」

「アマアマだなー」

「フィルモン??」

「なんでもないよー、ヒー」

 

ワスプモンの身勝手により乱れた足並みが

ぎこちなくだが再び揃う最中で、フィルモンが針のように目を細めながら見つめる先

黄色と黒の警告色の上に立つ少女の表情は、まさに・・・

 

 

 

「《ゾーンデリーター》」『ッッ!!?』

 

 

 

その時、何の前触れも無く空間が抉り取られ

 

多くの瓦礫が一瞬にして消失。

 

 

 

「なんで?、どうして?」

 

 

 

「!、ヴァアアアーーー!!」

「あれは!!」

「『闇』の器ッ」

「フレイモンやストラビモンと同じで・・・

ブイモンを、あんな目にあわせた!!」

 

咄嗟に自分達を掴み、飛び退いてくれたパートナーのお陰で危機を脱するや否や

ふたりでひとつの運命が各々のキラめきを構えた。

 

「け、たのに!

なんで?、ツワーモンもデッドリーアックスモンも、オレに、あんな・・・・・・・・・」

「ッ、相変わらず

あたし達のことは眼中に無いってこと!?」

「鶴!!」

「早まっちゃダメだヨン!!」

 

《ゾーンデリーター》の痕跡から吹き出す大量の黒い霧の中から飛来した巨鳥・・・闇の器の獣形態が

ここには居ない誰かへの疑問が垂れ流す。

 

「でも、ソレもしょうがないんだ

だって、オレは許されない罪を犯したんだから

でも、だったらなんでオレは許されているんだ・・・?

オレはオレなのに

なんでオレだけが許されない?

そんなのおかしいだろ?

だったら、オレが正さないと

もうオレが過ちを繰り返さない為に」

『!!?』

「「「うわああああああ!!!???ゾンビだああああああ!!!」」」

 

すると、牙が生え揃った嘴の隙間から

真っ黒い腐肉が溢れて次々と滴り落ち

その雫ひとつひとつがヒトガタのナニカと化して少女達を取り囲んだ。

 

「スカルナイトモンが動けない分

オレが新世界を造る、オレがみんなを救う

そうすればきっとみんなオレを」

「それは!!、ノンノン!!、だよ!!」

「そんなものは救いなんかじゃない!!」

「カー、ヒー

あいつには何を言っても入らない」

「「え?」」

「だって、あいつの中身

自分じゃない誰かのドロドログチャグチャでいっぱいだから」

「!、それって!!」

「あ、あのときのおぬしとおなじ??」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「エー、ちゃ」

「奴の詳細については後程聞く、ヨン

だから今はこの状況を打開することに集中しろ

相手は、あの最速の聖騎士さえも」

 

 

 

「それが!!!

 

一体!!!

 

どうしたというのです!!!!!!」

 

 

 

「グガ!!?」

「メイファン先輩ッ!!?」

「待って!!」

「待ちません!!!」

「ちょ・・・!」

 

『闇』の包囲網に勇み足で飛び込むのは

シークフェルトのエーデルが1人

紅玉の君、リュウ・メイファン。

 

 

 

「確かに!!!、アルフォースブイドラモンのキラめきは素晴らしかった!!!」

 

 

 

彼女は蛇矛・ルビーンヘッレバルデを構え直すと声を張り上げ突撃

 

 

 

「ですが!!!だからといって!!!」

 

自分へと殺到する腐肉人形達を

 

「私の、私とクダモンのキラめきが!!!」

 

横からの一閃で凪ぎ払い、胴から真っ二つにしながら

 

「劣っているなどと決めつけないで下さい!!!」

 

「!!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・めい、ふぁ

 

ーーーーーーッ、く!」

 

 

 

更に前へ。

 

 

 

「るぅううう!!! 裂空斬!!!》」

 

「!?、あいつまた!!!」

 

「メイファン!!!」

 

 

 

無茶で無謀な前進をする無防備な背中に

鎌鼬の必殺技が迫ると、蜂型サイボーグと真珠の君がソレを阻止すべく銃身を向ける

 

 

 

「面白いなーー」

 

一方、針鼠は細く笑う

 

だって

 

 

 

「!!、レッパモン!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「あ

 

 

 

ありがとうございます!!!!!

 

 

 

あなたが私の背中を護ってくれるなら!!!

 

私は!!!、思う存分前に進めます!!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「さあ!!!、行きますよ!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・痴れモンめがァッ」 

 

 

 

1人と1体の感情があまりにもおかしいから。

 

「「え?、あ、あれ??」」

「鶴、蜂、敵はアッチっヒョ」

「「う、うん・・・」

 

ブライモンの指摘にやちよとワスプモンは釈然としないモノを覚えるのであった・・・。

 

「シークフェルトを穢す迷宮の主!!!

今日こそ討ち取ってみせましょう!!!」

「ぬぬぬぅ!、何と熱く気高き闘志!

拙者も負けてはおれん!

華恋!!、ヒシャリュウモンで行くぞ!!」

「わかったよ!!」

「私達も!!」「ヴァーー!!」

 

メイファンとレッパモンの活躍に触発された

華恋とひかりの手首に収まるヒビ割れた神機からソウルが迸る。

 

「ッ、来たか!」

 

その瞬間、闇の器は地上の舞台少女とパートナーデジモンに視線を

 

 

 

向けない。

 

 

 

「ど、どどこ見て あ」

 

舞台から少し離れた瓦礫から凛明館の3年生は身を乗り出し、巨鳥が警戒する相手を見た。

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

「凛明館演劇同好、会?」

 

「お姉ちゃん!!   おねえ、ちゃん?」

 

「今のオレは前とは違う!!

 

『黒の逢魔』のみんなが頑張ったお陰で

 

更なる力を得られた、この力でみんなを救う

 

それがオレの贖罪だ

 

お前らのような面白半分で首を突っ込む

 

猿モドキなんぞとは覚悟が違うんだよ!!」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

「たまおちゃん??」

 

「なんで、ござるか?、なに、この、コレ」

 

「ヒー、あの子達」

 

「・・・・・・・・・ーーーッ、しんじ、たくない!

 

だけど!!!」

 

「なんですか一体!!?

 

文さん達に何があったんですか!!?」

 

「鶴ッ」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

満を持して登場した5人の舞台少女。

 

 

 

「闇に埋もれろ!!!《ゾーンデリーター!!!》」

 

『!!!』「フミ逃げ

 

 

 

て? え え?』なん だと?」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

空間ごと彼女達を消し去る筈の闇が呆気なく吸い込まれていく・・・

 

本体が漆黒で

 

装飾が深紫と深紅の懐中時計に。

 

 

 

「「「「「莉翫%縺髢区シの譎」」」」」

 

 

 

直後、不気味に吊り上がった唇が理解不能な言語を口吟むと

 

文字盤を囲う7本の剣が装飾からホンモノにカワリ

 

持ち主の周りを浮遊してクルクル・・・

 

クルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルクルと

 

愉快なダンスをしながら

           貫いた

まるで蝶の標本にピンを刺すみたいに。

 

 

 

「自爆? いや 違うッ コレは!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

刃が埋もれた柔肌から血が・・・

 

ソレと同じイロの 暗黒のソウル が噴出。

 

【膜】となって少女の肢体を飲み込み急速に

 

 

ナカミ を造り変えていく。

 

 

 

「さ、させるモンかあああああああああ!!!」

 

 

 

巨鳥が吼える

 

爪と牙を剥き 急降下しながら しかし

 

 

 

「《繧√kダ縺繝ー》」「《繝輔Ο繝シ繧コ繝ウ繧ッ繝ュ繝シ》」「《繧√▲縺ー繧ケ繝代う繝ゥ繝ォ》」「《繝。繧ャ繝医Φ縺ッ縺セー縺上iッ繧キ繝・》」

 

 

 

闇の器の攻撃が到達するよりも

 

少女達の再生産が終わる方が早かった。

 

 

 

「ぐ!! うわ?! が!! なん、のおっ」

 

 

 

熱光線 氷の爪 回転突撃 鉄球。

 

【膜】を突き破って襲いかかる攻撃の数々がモロに直撃

すると、闇の器はこの世界に満ちる瘴気を吸収し即座に傷を

 

 

 

 

 

カチッ カチッ   カチッカチッカチッカチッ!カチッ!カチッ!カチッ!カチッ!

 

 

 

 

 

治せない。

 

 

 

「そんな!?なんで!?奪われる!!?

 

猿モドキごときヒィイ?!!」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

 

 

何億もの人々が垂れ流す暗黒のソウル

 

かつて世界樹にサーバーごと切り捨てられたデジモン達の呪詛と怨嗟

 

デジタルワールドの最高位セキュリティすらも存在が危ぶまれる致死性を含んだ筈のソレらは今の凛明館演劇同好会にとっては

 

 

 

衣装や武器はおろか【データ】そのものが魔物と化している存在にとっては

 

 

 

「鬆ゅ″縺セす」   餌だ。

 

 

 

黒い髪だったナニカをくねらせながら

全身が赤黒いモノに覆われた盾のカイブツが

闇の器の背に立っている。

 

4【体】がデタラメに放った技に紛れることで巨鳥の背後を易々取ったのだ。

 

 

 

『〔〔ジャアアアア〕〕アアアアアア〔〔!?!〕〕』「オロチ!!?バカ!!やめ!!やめろやめろおおおおおおお!!!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

ソコに鉤爪を突き立ててやればまるで障子紙を引き裂くように簡単に引き裂けた

 

中に潜んでいた四つ首の大蛇を引き摺り出せた

 

 

 

あのアルフォースブイドラモンが/ハヤギカオルコのパートナーを倒した強敵がこんなにも・・・

 

 

 

『〔〔シャ!!〕〕アア!!〔〔ア"!!〕〕』「痛い!!!いたいいたいやめていたいぃ!!!」

 

 

 

         か弱い。

 

 

 

『あ・・・ぁ・・・・・・・・・』

 

地上の少女とデジモン達が呆然と見上げる中

 

「やだぁ!!もおいやだああああ!!」

 

残るカイブツ達が巨鳥と大蛇に群がり

 

「たすけて熱いさむいぃ!たすけてよおおお!!」燃やして凍らせて

 

「だれか!!なんでぇ?!!だれも?!」砕いて斬って

 

「まて!まって!!そっちのばしちゃ

 

おああ"!!あ"あ"あとれたああああああ!!!!」一方的に弄ぶ。

 

その度に腐肉が飛び散っては即座に掻き消え

 

悲痛な声と非難の声が上がった。

 

 

 

「マズイッ」

「どれ、が・・・?」

「あの子達、攻撃しながらアイツの中の

ドロドログチャグチャを心と体に取り込んでる

あの時のエーと一緒

放っておいたらほんとにもどれなくなる」

「!!!」

「ハニー待って!!おねがいだから!!!いまかんがえてるからまって!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・だ」

 

暗黒進化経験者の指摘に今まで棒立ちしていた彼女が動き出す。

 

「いやだよ

 

やだ

ぜったいやだそんなの

       ゆるさない

みとめない

             お姉ちゃんが

 

 

 

わたしのおねえちゃんじゃなくなるなんて」

 

 

 

「ぐ?!、ぅ、ああああああ!?!」

「蜂ィ!!」

「「栞!!」」

「ちょぉちょぉちょっとお!!?」

「んなななんであのこMO"ooo"oO!!?」

「夢大路、栞・・・!!」

 

襟袖に備わる神機・イミテーションを

翳った翡翠・・・暗黒のソウルで軋ませながら。

 

「堪えろワスプモン!!

今御主まで暗黒進化したらッ」

「かっ!てる"・・・!!」

 

夢大路栞の負の感情が急激な勢いで流れ込み黄色と黒の隙間から噴出。

ワスプモンの正気が大きく削られていく。

 

 

 

 

 

カチカチカチカチカチカチ・・・・・・・・・ッ

 

 

 

 

 

「「え?」あ、れ・・・・・・・・・?」

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

「ひっ や ァ アアッ〕〕』

 

 

 

しかし、ソレも長くは続かない。

 

だって、今、この舞台を支配しているのは

 

暗黒を糧とするバケモノ達なのだから。

 

 

 

「え、ちゃ」

「栞!!?、どうしたんですか!!?」

「気絶、してる?

それに衣装まで消えて?」

「奪われた、ヨン・・・」

 

崩れ落ちるパートナーを先輩2人が介抱しているのを尻目にファンビーモンがうわ言のように呟く。

 

「暗黒のソウルを介して

生命エネルギーの殆どがフミ達に・・・

いや、違う

あの子達の中に居るナニかに奪われたんだ

ーーーーーーッ、だれだよ?

 

 

 

誰なんだよ!!? お前らは!!?

 

返せよ!!!返せぇええええええ!!!

 

 

 

       かえして、よ・・・ぉ・・・・・・」

 

 

 

愛する存在を通して感じ取った底無しの脅威に

心をへし折られた蜜蜂が天を仰いで

声の限りに叫んでも奇跡は起きない。

 

 

 

「《ア

 

メ ミッ

 

トォオオオオオオオオオオオオーーーーーー!!!!!!》」

 

 

 

「「「「「!」」」」」『〔〔「ァ」〕〕』

 

 

 

「お待たせしました、カレンさん」

「え!?、あ!」

「あなた、もしかして!」

 

だって、舞台が、世界が

味方するのはいつだって

己が命を賭して生き様を魅せる者だけなのだから。

 

「「ファングモン!?」」

「ファグー!、って、ことは」

 

 

 

「「勿論俺達も居ますよ!!

 

 

 

《フルメタルブレイズ!!》」「《グレイスクロスフリーザー!!》」

『〔〔「ーー~~ーー!~?!!」〕〕』

 

デジ文字の魔方陣より召喚された地獄の魔獣に食いつかれていた巨鳥と大蛇の残骸にミサイルの嵐が追い討ちをかけ、遥か彼方までブッ飛ばす。

 

「ブラック、メタルガルルモン?

ズィードガルルモン??

それに、ダークエリアの監視員のアヌビモン?

なんで?、舞台少女のパートナーじゃない

あいつらが究極体に・・・?」

「グゥ、ガァ」

 

 

 

「「「「「繧ヲ繝ゥやま縺励>ーッ」」」」」

 

 

 

『ッッ!!?』

「・・・・・・・・・マタドゥルモンの予想通り、か」

「覚悟はしてたけど、やっぱこえーよなメタル」

「そうだな、ズィード」

 

すると、狂気の矛先が

『黒の逢魔』から『明けの遠吠え』に変わった。

 

「や、やめてよ珠緒ちゃん!!!

この子達は私達の味方!、知ってるでしょ!?」

「カレンさん、後の説明はアケビ号にて兄弟からきいて下さい

ワイズモン、頼む」

「《エターナル・ニルヴァーナ》」

『!

「縺・・・励♀、り」

 

華恋の必死な叫びにリーダーは細面を強張らせ

サブリーダーへと指示を下せば

突如飛来した時空石がこの場に居た舞台少女とパートナーデジモン+部外者を一瞬で封印。

 

「リーダー、メタル、ズィード」

「「「なんだよ?」」」

「難しい提案だと承知の上で言っておく

 

 

 

頼むから生き延びてくれよ・・・!!!」

 

 

 

「善処はするさ

何せ自分、まだナナさんのバナナマフィンを食べてないからな」

「「リーダー、リーダー

ソレって死亡フラグじゃね?」」

「なーにそんなモンひとつやふたつ増えた所で誤差の範囲って、奴だ

だって相手がアレだぞ?」

 

 

 

 

 

「「「「「繧ッイッ繧ッ繧ッイッ

繧ッイッ繧ッー!!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

「「ワーー、オニスモンヨリデッカーイ」」

 

「ーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!

 

アレ、が?

 

嫉妬の魔王リヴァイアモンの必殺技

 

デジタルワールドすらも呑み込むという

 

 

 

巨大なる顎《ロストルム》の再現ッ」

 

 

 

残る2組・・・雪代晶とファルコモン

鳳ミチルとワームモンを封印した

もう一つの《エターナル・ニルヴァーナ》を回収した後、ワイズモンは本を介した転移でアケビ号へと帰還した

 

 

 

根元的な悪と空元気で相対する兄弟達を残して。

 

 

 

「さぁ、やるぞ兄弟達!!!」

 

「ああ!!、やってやるさリーダー!!」

 

「前の時はやりたくても出来なかったこと!!」

 

 

 

「「「かませ犬をまっとうする!!!」」」

 

 

 

 

 

 

アォォォオオオン!!!

 

 

 

 

 

 

細身で犬科の頭部持つ神人が双子の機械狼と遠吠えによる決意のハーモニーを奏でながら

世界を食らう大顎へと挑む

 

 

 

キラめきを見失った少女達を

 

       次のステージに進める為に。

 

 

 




[newpage]





断章 『無罪ホウメン』






『明けの遠吠え』の活躍により
バケモノ達から引き離された『黒の逢魔』。



「はぁ!はぁ!は・・・ぁ!

たすかっ!たぁ!!

         たすかった?」



舞台から遠く離れた舞台裏ですらないその場所で
ダメージにより獣型の維持が出来ず人型となった闇の器がある事実に気づいた。

「え?あれ?おかしいな?
だってオレはみんなを救う為に戦っ
なのになんで?なんで今オレ・・・
ッ、も、もどらなきゃ!
あんな奴等放っておいたらみんなが危ない!!
そうだろう!?、オロチ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・オロチ?」

だからこそ動こうとするのだが傍らの蛇の形をしたデジタル生命体は微動だにしない。

「なにやってるんだ?
お前までそんなことじゃダメだろ?
オレ達は自分がやったことを償わなきゃいけないん「だったら君がその子の分まで頑張ってみたらどうかな?



ん?、どうしたんだい?」「へ?、え、ぁ」



イキり立っていた闇の器の目の前に

白と黒の三対六枚の翼を持つ美丈夫が

何の前触れもなく出現。



「ボーっしてちゃダメだろ?

ほらほら!、剣を構えて!

彼女達にあの力を与えている悪を倒すんだ!

かつての自分が犯した罪を償う為に!



『黒の逢魔』を救う為に!!」
「・・・ぃ・・・・・・・・・・・・・・・や、だぁ」

ソレが放つ激励に人型の『闇』が金の髪を振り回しながら何度も何度も首を振る
まるで幼い子供のように。

「何を言っているんだ!
そんなワガママ許されるワケないだろ!?」
「ひぃぃっ・・・!!」
「敵の方が強いからといって決意を曲げてしまうのか!?
君にとっての贖罪とはその程度のモノだったのか!?」
「めん、なさい・・・ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「謝って済む問題じゃない!!!」
「ぁ!?、ぁ!、ああ・・・・・・・・・!」

真正面から怒鳴りつけられ
挙げ句、あのバケモノ達以上のプレッシャーを浴びせられた闇の器は
全身の目から涙を流してへたり込んでしまう。



「えっと、ごめん、言い過ぎた」



すると、美丈夫が急に優しくなった。



「え?え」
「やりたくないことはやらなくても良いんだよ
無理なモノは無理だって諦めたって良いんだ
他の誰かが許さなくても僕が君を許すよ」
「あ・・・・・・・・・」



そのまま、抱き寄せられ、頭を撫でられる。



「だから、もう



画面の上からしか知らない有象無象の為に



頑張らなくても良いんだよ」「!!?」



「本当は、どうでもいいんだろ?」「ちが」

「本当は、誰でも良かったんだろ?

それなら、本当は君のことなんてどうでもいい

『黒の逢魔』に代わって僕が君を許してあげる」「なせ」「だからもう
世界から不必要だと断じられた連中の



逆怨みなんか全部投げ出していいんだ」「はなあせええええええええ!!!!!!」



顔の間近で甘く囁かれたのは
今の自分をカタチ造る存在理由を壊す言葉。
だからこそ、もうコレ以上聞きたくなかった



なのに






パチ・・・ パチ・・・ パチ・・・ パチ・・・






「良く出来ました、誉めてあげるよ」



言う通りにしてしまった

負の感情を全て吐き出してしまった

呪詛も怨嗟も何もかも奪われてしまった。



「そろそろ出てきたらどうだい?
それとも、この僕のエスコートが必要なのかな?」
〔「!!、ーーーーーーッ」

美丈夫が物言わぬ人形と化した闇の器を興味が失せた玩具のように無造作に放り捨て
あらぬ方向へと問いかければ自称・魔法使いは即座に穏行を解除。
七大魔王の前でみっともなく震えながらも姿を現す。

「まさかとは思うけど
そんな玩具達程度しか騙せない隠蔽なんかで気づかれないと本気で思っていたのかい?」
「って、ない
だから、疑問に、おもっていた・・・!」
「君の疑問はそれだけじゃないんだろ?
遠慮なく言ってご覧、答えてあげるから」
「で



なんで今更動くんだ!!?」「・・・・・・・・・」



「人間界を滅ぼしたいのなら!!!

『黒の逢魔』を打ちのめしたいのなら!!!

自分達でやれば良いだろ!!?

なのにどうして!!?なんであの子達を巻き込」「その方が面白いモノが観れるからさ」

「!!!」

「あの物語を舞台裏まで盗み見ていた君は薄々気づいているんだろ?
ロゼモンとそのパートナーが僕ら七大魔王とどんな契約を交わしたのか」



〔「ダカラカ」〕「!!?」〔「ダカラ



トーチャンノカーチャンハ
アアスルシカナカッタノカ」〕「そうだよ



吸血公グランドラクモン



おっと!、今は『明けの遠吠え』のマタドゥルモンだったね
ごめんごめん!、うっかりしていたよ」

ウィザーモンが決死の覚悟でかつての己すら歯牙にかけない存在と対峙していると・・・
魔王の視線を遮るように不気味な牙が出現。

「ああ、そういえば
香子の件は助かったよ
ちゃんと受け取って貰えるか心配でさ」
〔「モウジューブンアソンダロ
トットト席ニモドレ、オトナシク観劇シテロ」〕
「それもそうだね、
あれ?、わぁ!、ふたりとも見て!



ゼロアームズ・オロチが空っぽになった器を食べてるよ!

脱皮した後の自分の皮を食べる爬虫類みたいでかわいいね!」



「!!?!」
〔「ヤメトケ
イマノオマエジャ、イッショニクワレルダケダ」〕
「し、しかし!!」
〔「舞台少女サンタチニマカセテオケ
カナラズノリコエラレルトシンジロ」〕
「うーーん、それは難しいんじゃない?



自分のことすら信じられないのに他者を信じられる訳がない



でも、それは当たり前のことなんだ
そんな想いで過ごしている存在はデジモンにも人間にも多い

だから君は悪くない」

「・・・・・・・・・ッ」

〔「ルーチェモン!!!」〕



しかし、この傲慢には関係無い。

薄板を乗り越えるような気安さでウィザーモンに寄り添うと



「だって君はもうデュナスモンじゃないんだ

舞台少女のパートナーでも無いのに

聖騎士が背負っていたモノを背負う必要なんて無い

違うかい?、ウィザーモン」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〔「チッ」〕



天使のような微笑みであらゆる罪を赦し



「それで無理をした結果がコレだ

もう誰も君に期待なんてしやしない」

「・・・・・・・・・」

「だから、もう



そんな重荷は全て捨ててしまおう」



悪魔のような提案を持ち掛けるのであった。




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鬼事のレヴュー

☆輝きの無い世界・アケビ号メインルーム

 

 

 

「今の現状を単的に説明すれば災厄級の最悪、デシテ」

 

 

 

そこでは聖翔音楽学園、フロンティア芸術学校

シークフェルト音楽学院の舞台少女達と彼女らに味方するデジモンが集まり、月光神の言葉に静かに耳を傾けていた

 

「おおおおおっ、すっげぇえええええ!!

やっぱナマは迫力が違うっちゅーのぉ!!」

 

最も、約一柱だけは外の様子を映す大型ディスプレイに齧り付いているが・・・。

 

「タダでさえ『黒の逢魔』によって人間界がこの有り様だというのにかの七大魔王の介入だと?

許されるのならば今すぐにでもベッドへ潜り

全て悪いゆ」

「前置きはええから

珠緒はんらを元に戻す方法はよ教えてや」

「(カオルコ・・・)」

「うぅっ、ううう!!」

「弟子、糸追加しておいて」

「で、でっしゅー!!」

「・・・・・・・・・あの5人は魔王共の力で

無理矢理暗黒進化とパートナーデジモンとの融合をなしている

その源を断つことが出来れば或いは」

「つまりよぉー、あの魔封機だったモンをタマオ達から外せばいいんだな?

だったら俺に「貴様では絶対に無理デシテ」んなぁ?!」

 

ルナモンの説明に突破口を見出だしたシャウトモンが熱くマイクを突き上げれば、間髪入れずに水を刺される。

 

「な、なんで!?

シャウトモンなら珠緒ちゃん達だって!!」

「・・・・・・・・・」

「レイド帝国の支配者の転生体

『黒の逢魔』への数少ない対抗手段の持ち主だからか?」

「そうそう!!」

「だからこそ、デシテ」

「え?」

「『ホワッツ?』」

〔ドウイウコトダ?〕

「今の同好会が七大魔王の力を使えることは貴様らも知っているだろう?」

「フミがアルゴモンに撃ち抜かれた時のアレか」

「!!!」

「おまえぇ!!!」

「やめてファンビーモン!

栞さんごめんなさい!

辛いことを思い出させてしまって」

「ふぅー・・・!!、ふぅぅ・・・!!」

「ドルルモンも謝るっキュ!」

「わ、悪かった!」

「蜂も退くっヒョ」

「く!!」

「ね、ねぇ、おねえちゃん

シオリをあのままにしてたらまた・・・」

「わかってるけど

だからって除け者にするのは、ちょっとね」

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

厳粛な雰囲気漂うメインルームに時折紛れる唸り声。

その声の発生源・・・シークフェルトの上級生らが憐憫の眼差しを向ける先では《ネバネバネット》で椅子に縛りつけられた夢大路栞が激しくもがいていた。

 

「話を戻すぞ

【ワタクシ】の推測ではあの5人が使える七大魔王の力は奴らの感情によって左右される可能性が高い」

「人間世界にもある七つの大罪

傲慢、色欲、怠惰、強欲、暴食、憤怒

そして」

 

 

 

「嫉妬」

 

「・・・・・・・・・

 

 

 

そっか、だからシャウトモンじゃダメなんだ」

 

ルナモンとストラビモンの語りに

想う所があるであろうまひるの呟きに美空が深く頷く。

 

「自分には無いモノを持って舞台に立ってる

その嫉妬が凛明館のみんなを駆り立ててるんならシャウトモンだと余計に悪化させるってこと?

だったら」

「察しが良いな蒼玉の君よ

その通り、ワタクシを含めた9体

並びに聖翔音楽学園99期生も例外ではない」

「そんな!!

じゃあどうやってゆゆ子ちゃん達を助ければいいの!!?」

〔シャウトモン抜キデヤルシカナイ、カ〕

「やめときなァ」

「うん・・・

いくら試練を乗り越えた君達でもああやって一方的に蹂躙されるのがオチだよ」

「ウォンッ、ォォーーゥ!」

「な、泣くなよジジィ」

「おじいさん・・・ドルモン・・・」

「うぎゃあー?!めがねぇえええ!!!」

「だからお前は下がってろって言ってんだろアホンダラァ!!!」

 

アケビ号の外では『明けの遠吠え』の究極体3体が命懸けで時間稼ぎをしているのだが・・・

相手がアレではいつまで持つかわからない。

 

「なので今最も有効な手立ては

 

 

 

デジクロスも使えない

 

世界を救ってもいない

 

そんな【格下】が足元を掬うこと、デシテ」

 

「つまりアキラ達ってことかー

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

 

 

 

ウチなんか変なこと言ったジャン?」

「思いっきり言ったっちゅーの」

「ハァーーー・・・

少しは成長したと思ってたのに・・・」

 

そんな空気を一切読もうともしないベアモンの失言に大半の面々は凍りつき

今までディスプレイに夢中だったウルカヌスモンすらも思わずツッコミ

 

「で?、あんた達は

言われっぱなしで悔しくないの?」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

「ちなみに、エーデルの皆さんが失敗した時

発案者はどう責任を取るおつもりで?」

「その時は

こいつらの名をエンドロールに飾ってやる

だから安心して逝ってこい、デシテ」

「ちょちょちょちょお!!

お前もお前で好き放題言い過ぎだっちゅーの!!」

「「「「・・・・・・・・・

 

 

 

勿論場所はキャスト欄の一番上だろうな?」

 

「フッ!、上手くいったらこの傲慢ちきの真上にしてやるとも」

 

「!!?」「Quoi?」「あは

 

 

 

あはははっ!、流石神様♪」

「サービス精神旺盛ですねぇー♪」

「お陰で俄然やる気が出てきましたよ・・・!!」

「え?、ええーーー??」

「なんだよー、情報同期してやったのにわかってなかったのかー?

舞台少女ってこうゆう生きモンなんだぞ」

「サイデスカー」

 

を、入れたのだが

言われた当のエーデル達はやる気満々の様子。

 

「ハニー今のは聞こえてたよね?

フミは君じゃないと助けられないんだ、ヨン

でも、その為には負の感情に飲まれないようにしないといけなんだけど大丈夫?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・そっかぁ、まだちょーーっと難しいかぁ

じゃあまずは深呼吸から始めよう

大丈夫、まだあの子の心は完全に魔王なんかに奪われていないから

時間は、まだ、あるから、ね?」

 

ちなみに栞はファンビーモンが全力で甘やかしてますので御心配なく。

 

「そうと決まればワー爺!」

「フォウン?!」

「早急にこいつらの神機擬きをアルル達のクロスローダーの構造を元にパワーアップさせるのデシテ!!」

「って、月光チャン!

肝心の手段はワー君に丸投げなの!?」

「材料ならば問題無い!!

メルクリモンと『黒の逢魔』を鎮めた折

連中のダークネスローダーを大量に回収してある!!」

「ーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

「?」

「ぴ!」

「え、エーちゃん??、おこってる??」

「お取り込み中の所大変申し訳ありません」

「どうした?、信者マタドゥルモンよ」

「ディアナモン様の持つモンは全て量産機

【見た】所パーツの強度が足りません

これではソフト面は兎も角としてハードに不安が・・・」

「そこの鍛冶神の手を借りても難しいデシテ?」

「万近い精密部品一つ一つの強化

最低でも数日はようするかと」

「可能ではあるが圧倒的に時間が足りない、か」

「お、おい待て!

今そいつサラっと恐ろしいこと言ったぞ?」

 

微かに見えていた光明に再び暗雲が

 

 

 

「だだっ!、だったら!、コレ使える!?」

 

 

 

立ち込めたその時、凛明館の生徒・・・

『黒の逢魔』に荷担した人間が動いた。

 

「い、いいまさら先輩風とか寒いだけなのはわかってるッ

だ!、だけど!、今ここで何もしないのは!

ロックじゃ、ない、から、だからその

えっとあの、う、ぅぅぅ・・・」

 

かつてのデスメタルはどこえやら

たどたどしい喋り方で声に負けないぐらい震えながら差し出されたのは

壊れかけのオリジナルダークネスローダー。

 

「確かにそうかも」

「『先輩』?」

「言ったでしょ

私は3年間王を崇める民の一員しか出来なかったって

 

 

 

だから私はあんたらを信じるよ」

 

 

 

すると、シークフェルトの3年生も自分のダークネスローダーを恭しく取り出す。

 

「んじゃ私も」

「軽ッ!?」

「だってさ、この流れ乗っかるしかないって

なんてったって私『あの』フロンティアの生徒なんだから」

「あ」

「「・・・・・・・・・」」

 

不貞腐れた顔で最後のひとつを手の中で弄ぶ『先輩』に後輩達の表情が曇った。

 

 

 

「おーっとぉー!」「はぽぅ?!!

 

 

 

い、いきなりなにすんのぉー!!?」

「お!、良い顔になったなぁー♪」

「はぁ!?」

「流れがどうとか

フロンティアがなんだろうが

乗っかるって決めたのはお前だろ?

だったら、後は大船に乗ったつもりで任せとけって!」

「・・・・・・・・・ゲームのキャラの癖に何言ってんだかッ」

「今お前が居るのはそのゲームの中だろ」

「!」

「つまり!、特等席で俺達の神プレイが見れるってこった!

しっかりサービスしてやっから一瞬たりとも見逃してくれるなよ?」

「ー~ー~ー~!、意味わかんない!!」

「うーふーふーん♪♪♪」

「ん?、どうしたアルル?」

「なーんでもなーい♪、ふふふ!」

「?、??」

 

そんな空気を一変させたわたしのおうさまに

パートナーのほっぺはすっかりヘニョヘニョに。

 

「・・・・・・・・・」

「美空ちゃん」

「へ?、あ、す!、すいません!!

あたしなんだかぼーっとしちゃってて・・・」

「頑張ってね、私はあなたを応援してるよ」

「つ、つゆざきさん??」

「(ほんとはエーもそう言いたいけど

ミソラが困るだけだから黙ってよーっと)」

 

 

 

閑 話 休 題。

 

 

 

「どうデシテ?」

「これだけあれば5機全ての強化は可能かと

って、ワケで★ガンガレ★トーチャン★」

「フォウッ?!」

「「「「お願いします!」」」」

「アキラさん達までー!?

ア、アゥゥーッ

こ、こうなったらやるだけやるしかないぞい!

マッハガオガモン!、レオ坊も手伝っとくれ!」

「ワン!!」

「なんで俺まで!?」

「うん?、なんか文句ある?」

「アリマセーンッ

ダカラメガネチカヅケナイデクダサイィ!」

「ねぇ、あのレオモンってもしかして」

「うん、アイツの転生体だよ

君の矢をたっぷり受けたせいか普通のデジモンに比べて進化が早いんだ」

「・・・・・・・・・平気?」

「うん、君達のお陰で禊は済んでるんだ

それ以上のことをボクらはあいつに求めるつもりは無いよ」

「そう・・・」

 

純那の物憂げな眼差しを知ってか知らずか

『明けの遠吠え』の3体が足早に作業室へと向かう。

 

「それから、ディアナモン様

もうニーチャン達限界ですから早く代わってくださぁあああい!!!」

「し・が・み・つ・く・なぁーーー!!!

というかその内の1体はかつての貴様が組んだプログラムを使っているのだろう!?、どうにかならんのか!!?」

「無理です!」

「五月蝿い!、耳元で叫ぶな!」

「いや、まさかアレを馬鹿正直に組み込むとは思わなくて・・・

ロゼモンのデータをトーチャンに見せて貰った時はマジでこの魔眼を疑いましたよ、ええ

なので今の俺じゃ止められないので

兎に角はやくしてくださぁあああい!!!」

「わかったオレが行く」

「付き合うぞ光の」

「いや待てよ!!」

 

その直後、マタドゥルモンは信仰する神にビタリと縋り尽き、顔を涙やら鼻水やらでグシャグシャにしながら必死に懇願。

すると、始祖勢が無茶しようとするので双葉が慌てて止めれば

 

「ようはあの5人の気ぃ引いて

小道具が出来上がる時間稼げばええだけの話やん

なあ?

 

 

 

珠緒はんを身体張って護った聖騎士様」

 

 

ふえ??、あ、あれ?、おかしいな・・・?

 

ブイ、ついさっき、生死の境、から

 

その、這い上がった、ばっか「表行こか?」

 

 

 

 

 

(ごめんゴル

 

あんな別れ方しておいてなんだけど

 

またすぐに君に会えそう)」

 

 

 

 

 

香子は病み上がりなパートナーにもっと酷い無茶ぶりをするのであったとさ。

 

 

 

 

 

 

「な、なんだかーっ

どんどんボキ達がアレの相手する方に話が進んでるでっしゅー!?」

「それの何が問題があると?

あ!、ハニー♪

呼吸のリズムも瞳孔の収縮も安定してきたねー♪

その調子♪、その調子だヨーーーン♪♪」

「芋、覚悟決めヒョケ」

「ヒンーーーっ!?

ふぁ、ファルコモンもなんか言うでっしゅー!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「「ファルコモン?」」「ヒョ?」

「お」

「「「お?」」」

 

 

 

 

 

         オエーー!!!!」

 

 

 

 

 

☆輝きの無い世界・廃墟

 

「ガフ・・・ッ、ゲホ!!ハァッ、ハァッ・・・!」

「「りぃ!!だぁ、あ」」

「縺斐aん縺ェさい」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

虚空を浮かぶ盾のバケモノ。

その赤黒いシルエットから伸びる鉤爪の先で

片翼を貫かれたボロボロのアヌビモンが荒い息をついていると

 

 

 

「あらあら

 

 

 

凛明館演劇『愛好会』の皆はん

 

 

 

何や、えらい楽しそうでよろしおすなぁ?」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

や縺」縺ィ譚・た!!!!!」」」」」

 

 

 

「「か、カオルコ、さんッ?」」

「まに、あっグハッ」

 

 

 

待ち人、登場。

 

 

 

再会早々の『宣戦布告』により

バケモノ達の標的が半死半生の究極体から

盲目の成長期を引き連れ

はんなりとわらう舞台少女へと変わる。

 

「揃いも揃ってお似合いな格好して

ほんまにまぁー仲良しこよしなこと」

「「??、・・・!!」」

 

五つの禍々しい視線に晒されながら

片手を優雅にヒラヒラさせればメタルとズィードはすぐさま彼女の意図を察し

意識の無いアヌビモンを担いでコッソリ退場。

 

「カオルコ、カオルコ、もういいデス

い、いいデスよね?、ね!!

は、はやく!、次」

 

香子が喋る度、殺気が増している。

ソレを肌で感じたブイモンが控え目にスカートを引っ張

 

「で?

 

 

 

そない『安物』の衣装着たくらいで

 

うち『ら』に勝てると本気で思ってはるん?」

 

 

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

「               」

 

 

 

っていると・・・唐突に抱き締められた。

 

 

 

「カオルコさん

コレってもしかして当てつけてる?」

「はいです」

「そこ即答する所じゃないデスぅ!!!」

 

 

 

「《繧√kダ縺繝ー!!》」《繝輔Ο繝シ繧コ繝ウ繧ッ繝ュ繝シ》「《繝ゥ繧、繝医ル繝ウ繧ー繝舌せ繧ソ繝シッ》」

 

 

 

パートナーの行動にツッコミを入れた次の瞬間

 

熱線 氷爪 電撃 が殺到。

 

 

 

〔「《エターナル・ニルヴァーナ!!!》」

 

 

 

すると、香子が隠し持っていた時空石からワイズモンが飛び出し、三種の必殺技へ身一つで突入

 

「《パンドーラ・ダイアログ!!!》」

「「ッ?!」」

「う!、ウ、ォォォオオオゥン!!!」

 

殆どを取り零し、【データ】にかなりの損傷を受けながらも攻撃の保存に成功

間髪入れずに連続高速再生し

既に眼前まで迫っていた機竜と緑竜のバケモノへとぶつけ、怯ませた。

 

「グルァアアアアアア!!」

「キュウンッ」

「あかんあかんあかんあかんアレほんまあかんってほんまこわい」

「だったら!、必要以上に!、挑発すんな!

デスぅーーーーーー!!!」

「「「「「!」」」」」

「ハァ!、ハァ!

はは!!、かませてもらいましたよ・・・!」

 

その際に発生した爆風を利用し

香子とブイモン、キュートモンを乗せたガルムモンが廃墟を一気に駆け抜ける。

 

「縺翫▽縺九l縺輔∪縺ァす」

「が!!」

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

始祖様と回復要員を封じた時空石を持ちながら

自分自身を時空石に封じ恩人に手渡す・・・二重の封印を利用してまで舞台を整えたワイズモンに盾のバケモノが鉤爪を一閃。

非情に意識を刈り取ると、他の4体を引き連れ標的を追う。

 

 

 

 

 

☆アケビ号・作業室

 

「フォー・・・ゥン」

「お、おいジジイ!

ンなモタモタしてていいのかよ!?」

「黙って見てやがれアホンダラ

アレが長のやり方だ」

「やり方って・・・

神機のばったもんやらクロスローダーやらを

弄くり回してるだけじゃ」

「近くで見て、直に触って、どう加工すれば思うように動くかを探る

そうやって長はウラル大陸中のスクラップ品が捨てられてたゴミ捨て場でデッカードラモン号を完成させたんだ

 

 

 

マッハレオモンに一切気取られることなく」

「!!」

 

 

 

「だから、信じろレオ坊」

「・・・ったよぉ!!」

 

子供達に見守られながらワー爺は作業を続ける。

精密部品のパーツひとつひとつを

少しずつ、だが確実にカタチにしながら。

 

「始まったな」

「うん」

 

作業室・・・舞台裏で裏方が奮闘する中

晶とミチルは舞台上を映す大型ディスプレイを仰いでいる。

 

「・・・・・・・・・ーーーーーーッ」

「(必死に取り繕ってるけど

及第点ギリギリだよ『雪代晶』)」

 

僅かな距離を取って。

 

「うおっぷ!オ"エ"!!」

「いやはやマッカサー★

オレチャン以外がこのetiquetteboxを使うことにナルナンテネー★

・・・・・・・・・よくその程度で我慢出来るな、銀翼

前のお前なら目についた瞬間この艦を消」

「ぃ、まのワタシには関係なウプ!」

「ハイハイハーイ★オクチウォーッシュ★」

「ロロロロロロ」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

尚、ファルコモンからはもっと離れていた。

 

 

 

 

 

「「ぁ~~~あ~~~ああぁ~~~!!」」

「きゅうううぅぅぅ~~ーーー~~ー!!」

 

 

 

3つの悲鳴がドップラー効果を残しながら輝きを失った廃墟に響く。

 

「《繧√▲縺ー繧ケ繝代う繝ゥ繝ォ》」

「な!、もう追い付かれた・・・!?」

 

ガルムモンは全速力で飛ばしているというのに

ワイズモンが捨て身で開いた差があっという間に縮められ、振り返ればもう尻尾の先にまで機竜のバケモノが迫っている

この事実に黄金の眼が大きく見開かれ

 

 

 

「なーんつってぇん☆ 目からビーム☆」

 

目眩ましが放たれた。

 

「ッ !? ~ー!~~

 

縺阪lい縺ェ邏。譛ィ縺」縺ヲ縺ェ縺ォ!!?」

 

 

 

しかもこの小技、光回線を通じて電脳空間に乱立するネットミームをこれでもかと詰め込んでおり、彼女にとっては未知かつ意味不明な情報が満載。

 

「《パワーメタル!》」

「《クリティカルストライク!!》

オラァ!!」「ドラァ!!」「「「!」」」

「!"」

 

解析特化型故の処理落ちをしている隙を狙い獅子と狼の爪と大太刀、小太刀、矢

更には大鎌までもが合わさり急加速した鉄球がクリーンヒット

先行する機竜のバケモノをノックバックさせ後続の勢いを挫く。

 

 

 

 

 

フワァ~~・・・ ポフポフポフ・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「「「「繧上▲!」」」」

「驥」り野莨上○・・・!」

 

すると、背面より大量の泡・・・《ムーンナイトボム》が風に乗ってやってきた。

 

「まるで効かんッ、が、想定内!」

 

 

 

〔《アルティメットスピーカー!!!》〕

「「「「「~~~~~~!」」」」」

 

 

 

「よし!!」「今の内デスぅううう!!」

「う"っ」「《ヨクナオール!!》」

 

催眠作用で一瞬動きが鈍った所に破壊音波による超弩級のプレッシャーを浴びせられてはさしものバケモノ達も大人しくならざるを得ない。

 

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

〔フガッ?!〕

「グギャアーーー!」

 

最もほんの数秒しか止められなかったが・・・。

 

「「「「「ーーーーーー!、?」」」」」

 

《ワイルドブラスト》でバリスタモンも《ムーンナイトボム》も凪ぎ払い、標的を再び追おうとするのだが姿が見えない

見えるのは、地面に空いた大穴だけ。

 

「この先揺れますのでご注意クダサーイ☆」

「キュ!キュ!キュ!キュウーーーン!」

「ふええええん!

暗い暗い暗い暗い暗いぜったいくらい!

ブイ!、今!、目ぇ!、見えないけど!

こわいモンはこわいんデスぅううう!」

「ちょ、ま、ちょまままま・・・うぷ!?」

「ハ!!、キュートモン!!」

「キュウンッ《スグナオール!!》」

 

舞台が始まる前に予め空けておいたその穴は地下鉄の線路へと通じている。

血管とも呼称される程複雑に入り組んだこの場所はマッピングさえ出来ていれば逃げ隠れにはうってつけなのだ。

 

「ぐ!、ぎぃ

あの距離、しかもかすっただけでこの様、か・・・!?」

「レキスモン!!」

「だ、だいじょうぶ!?」

 

一方、爆心地から離れた場所にてスパロウモンに乗ったつかさが傷だらけな上に薬品まみれなレキスモンと合流。

 

「ワタクシの治療ならば既に済んでいるッ

バリスタモンは、どうだ?」

「今ミソラが薬かけてるよ!」

「あなたより距離が近かったから・・・

復帰するにはまだ時間がかかると思うわ」

「そうか、ならば貴様らだけでも次のポイントに急ぐのデシテ

連中、思った以上にキテいるぞ」

 

 

 

「「「「「!"!"!"!"!"!"」」」」

 

 

 

 

「「ひぃ?!」」

 

プルプル震える指が差す先ではバケモノ達が吠え猛っており、ただでさえ荒れ放題な廃墟を闇雲に引っ剥がしていた

 

 

 

アレだけ煽られたのだ

 

目に見えるカタチで叩きのめしたいのだろう

 

 

 

という此方の目論み通りに。

 

「スターモンズは上手くやってくれているようだな!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・みたいだな」

「双葉ちゃん、やっぱり香子ちゃんが心配?」

「え?、あ、ああ

それもあるにはあるんだけど・・・」

 

実は、ガルムモン達が突入した地下鉄の線路内にはワー爺がチャフとして開発した救世主のパートナーデジモン・・・彼女らが求めてやまないブイモンと同じ反応がする特殊な塗料をぬりたくった星軍団が分散して配置

更に、鼠が入り込める程の隙間を一斉に駆け巡ることで彼女らの感覚を惑わしているのである。

 

「名付けて!、星を隠すなら☆!」

「流・星・群☆!大・作・戦・だZE☆!」

 

・・・・・・・・・などとパートナーとヘッドが得意気に決めポーズをしていたのは、余談である。

 

「相変わらずワー爺は凄いな!!

昔フタバが望んだモンもしっかり実現させるなんて!!」

「あ、うん

確かにバイク造って欲しいって言ったのはあたしだよ?、あたしなんだけど、さ」

「お爺ちゃん、凄いの造ってくれたね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

フレイモンとマヒルを後部座席に乗せて

難しい顔をしている双葉が駆るのは紫炎を象ったボディが映える前輪が異様に幅広い大型3輪バイク。

『火』をエネルギー源とし、荒野を物ともしない走破力と成熟期の四足型をも凌ぐ速度を持つ

ワー爺が何年もかけて造り上げた一品だ。

でも、だからこそ乗り手は想う

 

「マヒルの言う通り本当に凄いな!!

このタキビ丸は!!」

「(名前ちゃんと考えておけば良かったか・・・?)」

 

と。

 

「ーーー、!!」

「あ!」

「立ち直ったか、秋風!」

「今のは聞こえたていたな!?、光の!!」

〔「ハイハイハーイ☆」〕

 

種種雑多なネットミームをどうにかこうにか処理し終えたバケモノが大型デパートの残骸を睨みつける

 

 

 

「スカーイハーイ☆」

「ぁ~~~あ~~~ああぁ~~~!!」

「きゅうううぅぅぅ~~ーーー~~ー!!」

「やぁっと外出られたデスぅううう!!!」

 

 

 

「「「「「!?!」」」」」

 

 

 

すると、3階辺りからガルムモンがシュポーンと登場。

これには理性が無い筈の追跡達すらも戸惑いを隠せない。

 

「・・・・・・ッ」

 

しかし、バケモノ達の首魁はいち早く再起動

頭部に高出力の電撃をチャージ

空中を無防備に漂う機械狼に狙いを定める。

 

「「おーっとぉー!!」」

「縺キ!?」

 

すると、どこからともなく現れた1人と1体がマイクスタンドを槍のように構え

彼女の顔面目掛けて突っ込んできた。

 

「ーーーーーー」

「んなぁ?!」「に、コレぇー!?」

「縺ゥいて縺上□縺輔>」

「「ぅぁあ!!」」

 

しかし、あるるとシャウトモンの攻撃は

見えない壁のようなモノにより防がれ

挙げ句、ふたり纏めて弾き返される羽目に。

 

「まだだよ珠緒ちゃん!!」

「《棒・陣・破ぁー!!》」

「スタァはルコーだけじゃなーい!!」

「私達からも目を離さないで!!」

「・・・・・・・・・」

 

直後、入れ替わるかのように二組の舞台少女とパートナーデジモンが乱入。

 

「《繝ュ繧アット繝。ッサー!!!》」

「エ」「ぬぅん!?」「「な!!?」」

「ッ、シャウトモン!!」「く・・・!」

 

真下から迫る【敵】に対し盾のバケモノは両腕を向け、連続射出

鋭利な鉤爪がついたロケットパンチの雨霰が

先程叩き落としたばかりのモン達をも巻き込みながら降り注ぐ。

 

「《ソウル!!!クラッ!!シャァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"》」

「ー~ー~ー~ッ、たす、か、たぁ!」

「気を抜くなで御座る!!!」

「他のみんなが来るよ!!」

「ヴァアアアーーー!」

「華恋立って!!」

「!?」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

異常な回復能力で次々と生産されては勢い良く放たれる《ロケットメッサー》を『叫び』で掻き消せば

【嫉妬】の眼差しがトクベツナソンザイに集まる。

 

 

 

「「どこを見ている!?」」「ジャン!!」

「「「「ッ!?」」」」

 

 

 

だが、ソレを面白く思わない首席と次席と大熊が直上より落下。

必殺技の発射態勢に入っていた3体に痛打を浴びせ、シャウトモンへの集中砲火を阻止した。

 

「ーーーーーー!!!」

「「あわあ!?!」」

「田中さんッ」

 

しかし、緑竜のバケモノだけは形振り構わず突入

赤黒い背中から伸びる緑色の複腕を振り回し

ながら襲ってくる。

 

 

 

「獣魂解放!!!

 

 

 

そして、タキビ丸もモードチェンジ!!!」

 

 

 

「「      ゑ?      」」

 

 

 

その場へと急行していた大型3輪バイクの上を『火』の魔竜が飛べば、呼応するかのように異様な大きさを誇る前輪が真っ二つに分離。

ドライブシャフトもヴリトラモンが掴み易い長さに伸びた。

 

「あ、あいぼお!!?」

「相棒!!、運転は任せた!!」

「はえ?!」

「大丈夫だ!!!

君ならばこの形態さえも制することが出来るとオレは信じてる!!!」

「      」

 

 

 

「《フレイム!!! ブースター!!!》」

 

 

 

「「!"!」」

 

 

 

バギー形態へと変形したタキビ丸は

 

《フレイムストーム》の火炎エネルギーを

 

ボディの全体に纏わせることで

 

爆発的な加速力を得られるんですぞい!!

 

By製作者。

 

 

 

「ああああああ!!もおおおおおおお!!!

やあってやるよおおおお!!!」

「ッ、わたし、だっ!てええええええ!!」

「「「「「「「へ・・・?」」」」」」」

 

《ソウルクラッシャー》にも負けない『叫び』を引き連れながら、炎の塊が猛スピードでこっちに突っ込んでくる。

 

 

 

〔「デッカーカタパルト、発進準備完了ッ

 

チーニーチャン!」〕

 

「行ってくるんだなー!」

 

 

 

このタイミングでアケビ号が動いた

否、ずっと動いていた

先程から舞台少女やパートナーデジモンを順次カタパルトから飛ばすことで理性無きバケモノ達の意表をついていたのだ。

 

「マヒルさん!!!」

「!」

「ッ!?」

「「《シュヴァボージャナ!!!》」なんだなぁー!!!」

 

タキビ丸の上で仁王立ちしていたまひるは

目の前を横切ってきた大槌を獣化させた片手で掴むと

その勢いに振り回される所か味方につけ

衝撃波を伴う殴打として緑色の複腕を跡形も無く消し飛ばす

 

 

 

 

 

ガ!!   ゴ!! ギ ! ン" ! !

 

 

 

 

「ぴ!!」「ヴァ!!」

 

と、間髪入れずにバケモノの顎目掛けLove Judgementをジャストミート!!!。

 

 

 

「!゜

 

『         』

 

「あ、あれ??、ゆゆ、ちゃん??」

 

 

 

首の辺りから人体からは出たらいけない音を立てながら、赤黒いシルエットは大きく後ろに仰け反り・・・動かなくなる。

 

〔「うっわぁー・・・」〕

〔「普通あそこまでやりますかぁ?」〕

〔「あの子いっちゃったんじゃない?」〕

〔「いっちゃったね」〕

〔「腹立たしい言い方をするな!!!」〕

〔「あ、ごめんバアルモン

ビックリし過ぎてカーペットにとんこつラーメンひっくり返しちゃった」〕

〔「はいぃいいい!!?」〕

 

これには、観劇中の魔王達すらもドン引き。

 

「!!!!」

「「ッ、秋風/さん!!」」

〔「イッイッイー♪」〕

 

しかし、機竜のバケモノと彼女を推す者だけは違った。

周囲の困惑をよそに音速飛行でタキビ丸に急接近。

フルスイング直後から再び動き出すまでの僅かなタイムラグを抜け目なく狙い、無防備に立ち竦むまひるを《フレイムブースター》を制御するので手一杯な双葉へと襲いかかる。

 

「やらせないんだなぁあああ!!!」

「・・・・・・・・・」

 

すると、チャツラモンは《宝鎚》を解除。

狛犬となってバケモノへと覆い被さろうとした

 

 

 

出来なかったが。

 

 

 

「ぁ・・・ッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「「「チャツラモン!!!」」」

「縺ゥ縺薙r隕九※いる?」

「「「ーー!?」」」

 

軽く腕を一振りしただけで自分より大柄な獣を彼方まで吹き飛ばし、動揺する舞台少女とパートナーデジモンに至近距離からレーザーを照射。

 

「双葉はん!!?」

「マヒルぅうううう!!!」

「ッ、大丈夫!!、気配はある!!

だから!早く!離れる!デスぅうううううう!!」

 

爆煙に包まれ、先にやられたチャツラモンの方へと飛んていくヴリトラモンとタキビ丸に1人と1体が絶叫すれば

ブイモンが負けじと声を張り上げ警告を発する。

 

 

 

「逃が縺輔い」「「な!」」「寒ッ」

 

 

 

その直後、氷竜のバケモノが全身から凄まじい冷気を放出

真矢とクロディーヌ、グリズモンが局所的な吹雪に飲み込まれた。

 

〔「「『ーー?ーーーー・・・!・・・・・・・・・・・・・・・

』」」〕

 

だけには終わらない。

 

「ララフィン!!?ララフィン!!!」

「み、みんな凍っちゃったよぉー!!?」

「くっ・・・!

(暗黒進化による暴走中は理性の欠片も無い

故に予め仕組んでおいた策に嵌まる

だが、やはり、それでも)

地力の差を埋めるには至らんかッ」

 

《カロスディメンション》により一瞬にして辺り一面が地下ごと氷漬けにされてしまい

通路内に潜伏していたララフィン達までもが完全に凍結。

この光景にはつかさを乗せて飛ぶスパロウモンと並走するレキスモンも戦慄を禁じ得ない。

 

「くそ!!、アレじゃさっきみたいに引っかき回せねぇ!!、キュートモン!!!」

「ドルルモン!!私を飛ばして!!早く!!」

「ドルガモン!!、私もお願い!!」

「なな!?」

「一々騒ぐなァ!!」

「ッ、ボクとジュンナもすぐ追いかける・・・!

《パワーメタルゥ!!!》」「《ドルルトルネードォ!!!》」

 

背景が一変したのを皮切りに静羽となながデ技を使っての移動を決断すれば、ドルガモンもドルルモンもすぐさま実行に移す。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「!?」

 

「ゆゆこ、ちゃ」

 

 

 

竜巻、或いは鉄球に乗る2人を阻んだのは

 

首を大きく仰け反らせたまま複腕を伸ばす

 

緑竜のバケモノ。

 

 

 

 

 

ゴリ・・・ ギ ! シ!    メキョ

 

 

 

 

 

 

「「あぐ?!ぅあああーーー!!!」」

「シズハァ!!!」

「ナナァアアア!!!」

「《キャノンボールッッッ!!》《キャノンボール!》《キャノンボール!》《パワーメタルッッッ!!》」

「やめて田中さん!!やめてぇ!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

先程のお返しだと言わんばかりに

《スクラップレスクロー》で挟んだふたつの恵まれた体躯から出てはいけない音を奏でれば

鉄球と矢の雨が竜鱗を叩く音と

獣達の咆哮や少女の悲鳴が加わり舞台に響き渡った。

 

 

 

『ーーーーーー!!!』

 

 

 

この悪夢じみたハーモニーを耳にした途端

舞台少女とパートナーデジモン達

今まで逃げ回っていたガルムモンすらも血相を変えて発生源を目指す。

 

 

 

 

「縺九°縺」った」「!?」

 

 

 

悪辣なバケモノの目論み通りに。

 

「とまれええ!!」

「ガルァ!?」

 

唯一、ソレを感知することが出来た青い子竜が機械狼の顔面にロングソードを叩きつけ無理矢理停止させた

 

 

 

次の瞬間

 

世界は大量の粉塵により黒く染められた

 

 

 

「バ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(《ワイルドブラスト》? いつの間に)」

 

『あ「逃げ

 

 

 

囚われたパートナーの元へ駆けていたドルルモンは眼前の光景を理解するのが遅れた

 

『叫び』の限界が近かったシャウトモンは呆然とする仲間達を退避させようとするが間に合わなかった

 

 

 

「「《ボーリンストーム!!!!》」」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

ただ一組

 

『守る』という意思だけが

 

起爆寸前の悪意を払い除けて魅せた。

 

 

 

 

 

「げほっ!、はっ、はあ・・・!」

「フタバッ

(やはり前よりも負担が大きいッ)」

「だい、じょぶ!、あたしはまだやれる!」

「・・・・・・・・・!、わかった!!」

 

フレームが大きくひしゃげ、走行不能となったタキビ丸の下から這い出る双葉とフレイモン。

 

「うっ」

「マヒル!?」

「無事か!?」

「私は、平気・・・

だけど、チャツラモンが・・・」

「「!」」

 

ふたりのすぐ側ではまひるが目に涙を浮かべながら、手持ちの回復薬全てをチャツラモンに振りかけていたが目覚める気配は見られない。

 

「コレは、単純なダメージじゃない

暗黒のソウルによる呪詛も混じってる」

「それってブイモンの目と同じ」

「ああ、あいつのせいだ

あいつの」

「フレイモン」

「・・・・・・・・・すまない」

「と、とにかく!

チャツラモンはここで休

 

 

 

 

          

《ワ イ ル ド ブ ラ ス ト》

 

 

 

 

 

う・・・ぅぅ・・・・・・・・・・・・・・・!」」」

 

舞台の中心で突然起きた大爆発

その余波をモロにくらい、2人と1体は数秒程意識を飛ばしてしまう。

 

「な、なん、なんだ?、なにが、おきた?」

「ーーーーーー」

「相棒?、どうし

あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「うそ」

 

 

 

未だ揺れる視界で彼女達が見たモノは

 

凍てつく廃墟に穿たれたクレーター

 

明るまない空まで立ち上る濃い黒煙・・・。

 

 

 

「ブハァ!、やぁっと出られたジャ

え?」

「「!!?」」

「『兄貴?あにきぃいいいいい!!!!!』」

「み、みんなどこいっちゃったの・・・?」

 

氷の下から脱した者達もまたこの惨状に驚きを隠せなかった。

 

 

 

〔「先輩達!!!」〕〔来ルゾ!!!〕

 

『・・・・・・・・・!?』

 

「《繧ョ繧ャ繧ッ繝ゥック》」

 

 

 

故に狙われる、次なる贄を求めしバケモノに。

 

 

 

「~ー~ー~ー!!、あ、ぶな!!」

「せんきゅ~しすたぁ~」

『せんきゅ~~・・・』

 

バリスタモンのスピーカーにより拡大された美空の警告により難を逃れたララフィン。

衣装のあちこちにスターモンズを貼り付け

冷や汗を流しながら恐る恐る視線を落とせば

爪先近くにまで地割れが迫っていた。

 

「《繝ゥ繧、繝医ル繝ウ繧ー繝舌せ繧ソ繝シッ》」

「ぐ!」

「チィイ!」

 

一方、真矢とクロディーヌの方には漆黒のスモークを引き裂きながら高出力の電撃が襲いかかる。

 

「いっただぐえ?!」

「・・・・・・・・・」

 

Odette the MarvericksとEtincelle de Fierteが《ライトニングバスター》を受け止めている隙にグリズモンが盾のバケモノに接近戦を仕掛けようとしたのだが・・・

例の見えない壁に阻まれ近づけない。

 

 

 

 

 

ジュウウウーーー・・・・・・!!!!

 

 

 

 

 

「剣が!!」

「溶ける!?」

「この縺セ縺セ」

 

電熱か、或いは邪気による影響か

首席と次席の鋭利なキラめきが徐々に溶解してゆく

 

 

 

「《ミナ!!

ナオオオオオオオルゥウウウウウ!!!》」

 

 

 

「!?」

「「ッ、はあああああああああ!!!」」

 

その最中、広範囲かつ強力な癒しの波動が拡散。

コレを受け、再びレイピアとロングソードの刀身が輝きを放つと

互いに高め合うふたりの勢いが増して《ライトニングバスター》を両断するに至った。

 

「ーー!!」

「はっ」

「「「!」」」

「だから!、必要以上に!、挑発すんな!

デスぅーーーーーー!!!」

「キュウッ・・・キュウゥ・・・・・・・・・」

「(かなり息が上がってきてる

無理もない、か

今の技はこの子のスペックを遥かに越えている

でも、そのお陰で)」

 

ドリフト走行で盾のバケモノの視界を横切りながらガルムモンは想う。

 

「《クリティカルバイト!》

オラァアアアアアアアアア!!!!!!」

「ドラァアアアアアアアアア!!!!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

緑色の複腕へと食らいつく己に連なるモン達と

 

 

 

天に瞬く星々を。

 

 

 

「「「「「・・・?」」」」」

 

「へへっ♪、どうだい凛明館ガールズ

 

イカしてんだろ?、このプラネタリウム!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

 

マクフィルド社製のマイクを介してMCがマイクパフォーマンスを響かせれば、バケモノ達は黒煙の中に

鉄球と矢尻、銃弾、針毛の残骸・・・

色とりどりのキラめきが漂っていることに気づいた。

 

 

 

「つかさちゃん!!、スパロウモン!!」

 

「「《ランダム!!

レエエエザアアアああああああ!!!!》」」

 

「「「「!?、ッ!、ー~ー!"!」」」」

 

「!!」

 

「「ラァ!!」」

 

「大場さん!!」「ななぁ!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

舞台少女とパートナーデジモンがハートと銃身を交錯させて放った拡散型の《ランダムレーザー》はソレらに当たり乱反射。

舞台全体を席巻し、盾以外のバケモノ達を撃ちのめす。

 

「《アイス&ダークアーチェリー・・・!》」

「!?」

「《アニマルネイル!!

つめたいのとまっくら!!》ジャン!!」

「・・・・・・・・・!」

「しゃあ!!

キタ!、キタ!、キターーーーーー!」

「「チャンス到来!!」」

「ぐぇええええ?!」

「!?」

 

すると、どこからともなく飛来した冷気と闇の矢が見えない壁に張りついたまま荒れ狂う獣の爪を正確に射抜いた。

コレにより強化されたパンダモンの必殺技が不可視のバリアに亀裂を生じさせれば、真矢とクロディーヌが白と黒の丸い頭を踏み台にしバケモノの懐へと飛び込んでいく。

 

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「やらせないよいちえええええ!!!」

 

キラめきに晒されていた溶竜のバケモノが再び起爆する粉塵を大量散布するのを阻止すべく

ララフィンは宙に浮かぶパートナー達を足場にしタンブリングを連想させる動きで接近。

 

「『《ウィッシュアポンアスター!!!》

Yeeeeeah!!!』」

「ララフィン=スタァ」インパクトォ!!!」」

「ッ!、まひる!?」

「伊達に弟子はやってなかったよ!

ララちゃん!!」

「!だ・・・繝。ぇ・・・・・・・・・!!」

 

赤黒いシルエットが彼女の眼前まで迫った所で分散していたスターモンズが大槌・ワンミリオンスの片側に勢い良く集結し、彼女が思い描くアクションを実現させれば

デジタルウェイブと一体化したまひるが緑光を弾けさせながら登場、かつての師匠と同時に痛烈な殴打を叩き込んだ。

 

「みんな!」「うん!」

「《成! 竜! 刃!》」「《ギガ!」

「・・・・・・・・・」

「「ーーー~~~ッッッ!!!」」

「ぬ、ぬ"うううっうううんんんん"!!!」

「クリムゾン!ダイブーーーーーー!!!》」

 

一方、機竜のバケモノには赤と青の輝きが交わる渦を纏った巨大な刀が

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

「合わせろ叶!!!」

「はい!!!」

「・・・・・・・・・」

〔《ホーンブレイカー!!!》〕

「「でぇえええりゃああああああ!!!」」

「!?」

 

氷竜のバケモノにはヴリトラモンに投げられた双葉と美空が自分ら同様投擲されたバリスタモンの角により空中で予想外の方向転換+加速し突撃。

 

「胡蝶さん!!ななは!!?」

「駄目ッ、完全に気を失ってる!

しかも衣装まで消えているし」

「さっきの《ワイルドブラスト》を吹き飛ばした時にソウルを使い切ったんだろうが」

「ケッ、鈍ってんなァ」

「しょうがないだろ!

世界樹からのバックアップが失われてるのに

この世界だとソウルとキラめきの消費量が上がるんだから!

君だってそれがわかってるからあんなに再契約を嫌が」

「ゴチャゴチャ言ってんなァ!

まだ終わっちゃいねぇぞ」

「・・・・・・・・・ーーー!!」

「田中さん、首、治ったのね」

 

地上でも獣達と2人の舞台少女が意識の無い制服姿の少女を守るべく、食いちぎられた複腕を再生させながら此方をねめつける緑竜のバケモノに立ち塞がる。

 

「だ、め

みん縺ェ・・・縺ォげてぇ・・・・・・・・・・・・・・・ッ」

「「え」」

「『イチエ?』」

 

 

 

その時だった

 

 

 

「「「「目のつけところは悪くなかったよ」」」」

 

 

 

バケモノ達が巨大なる顎《ロストルム》を

 

   4つ   同時に再現したのは。

 

 

 

 

 



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あの子の願いは星になって










「「ああぁ・・・!!」」




画面の向こう側で繰り広げられる舞台を
『彼女』は隣の『友達』と共に震えながら観ていた



「もう、こんなのどうしようもない、どりゅ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ーーーーーーーーー」



みていることしかできなかった



「ッ」
「ちょ!、どこ行くどりゅ!?」



だけど『彼女』はソレがイヤだった

だから走る

細い腕の中に一冊の『台本』を携えて







 

 

 

「レイド帝国支配者の力は最小限」

「「ぁ」」

「さがらせろ闘争ぉおおお!!!」

「う、うおおおおおお!!!??」

 

 

 

砕かれる

 

 

 

「進化は完全体まで」

『Nooooooo!!!』

「「ーー!?!」」

「だ、ダメだ、間に合」

 

 

 

砕かれる

 

 

 

「だけど、ソレだけじゃないんだ」

「ああああああああ"あ!!!」

「《メタルメテオオオオオオオオ!!!》」

「星見さん・・・!?、ドルグレモン・・・!?」

「止まるなシズハぁ!!!

アレでも抑えられん!!!」

「クソッッッタレェええええええ!!!」

 

 

 

砕かれる

 

 

 

「ルイ達が求めていたのは」

 

 

 

砕かれる

 

 

 

今まで積み上げてきたモノが魔王によって。

 

 

 

「ゆめおおじ?」

「う、そ」

 

 

 

超然とした存在により磐石がひっくり返される最中、空中の双葉と美空は各々が手にするDeterminaterとワイルドバンチの穂先が氷竜のバケモノの・・・

 

 

 

文の腹部を貫く感触に顔色を変えていた。

 

 

 

「おで達魔王の力があっても手に入らない」

 

 

 

「!、いや違う!!」

 

〔アレは!!〕

 

 

 

「パートナーとの確かな絆だけは」

 

 

 

「〔氷!!??〕」

 

 

 

「なのに、あんなに見せつけられたら、さ」

 

 

 

「じゃ、じゃあ・・・!」

 

「ほんものはど

 

 

 

「「「「【嫉妬】   しちゃうよねぇ?

 

 

 

君以外は」」」」「《繧ォ繝ュ繧ケディ繝。繝ウ繧ク繝ァ繝ウ》」

 

 

 

そんなふたりの真上で猛吹雪が発生する

 

 

 

《ロストルム》から逃れべく必死に足掻くモノ達を丸呑みにするように。

 

「「!!」」

「マヒルゥッ」

 

ガルムモン達の目の前が一瞬でホワイトアウトしたかと思えば、機械狼は仔人狼へと退化。

 

「ま

 

(まずい

 

 

 

きてる!!きてる!!こっちきてる!!)」

 

 

 

すると、パートナー達共々空中に投げ出された小竜の感覚がより一層鋭敏化し、自分らへと迫り来る魔の手《ロケットメッサー》を感知・・・・・・・・・したのだが超高速戦闘特化の思考に成長期の肉体はついてこれない。

 

「(カオルコ・・・!)」

 

大気の流れがネットリと躯にへばりつくような錯覚が焦燥感を加速させ、すっぽ抜けかけのロングソードを必死に握り直そうとするのだが、その動きは「おっそ」

 

 

 

 

 

   れ   が!! 遅いって!!?」

 

「はんっ

 

         (やれば出来るやん)」

 

 

 

静かに吐き捨てられた許されざる単語により

あらゆる感情が荒々しい衝動に上書きされたブイモンの一閃が光すらも超越してみせれば

 

この最速の動きに花柳香子はぴったり合わせ

 

風に舞う花弁を連想させる柔らかさで水仙花を振るい

 

無遠慮に伸ばされた『手』をペシャリと叩

 

 

 

「繧ヲ繝ゥやま縺励>ーッ」「ぎゅっ!!

 

 

 

「「え」」

 

「キュートモ・・・!?」

 

き落とした直後

 

 

 

【嫉妬】が入り雑じった《ライトニングバスター》がふたりの間近で漂っていた妖精を射抜いた。

 

 

 

「「「「繧ッ「もう終わり?」

 

イッ繧ッ「だったら」

 

繧ッイッ「このまま」

 

繧ッイッ繧ッー!!!!」」」」「糧になれ 

 

 

 

救世主と未来のデジモンキング御一行」

 

 

 

「「ーーーーーーッッ!!」」

 

「く!!

 

(ワー君の改造はまだ終わらないのか!!?)」

 

 

 

 

 

「「終わりじゃない」」『!』「へぇー?」

 

 

 

 

 

魔王の力で暗黒進化した者達に囲まれた

香子、ブイモン、ストラビモンの前に降り立つのはかつてその力に溺れた罪人・・・神楽ひかりとエリスモン。

 

「君も無事だったんだ」

「暗黒進化した時に耐性ができたのかな?」

「だけどそんな壊れかけた神機じゃ」

「おでの玩具は止められないよぉ~

イッイッイッイッイッイッイッイッー♪♪♪♪」」」」

「止めるよ」

「「「「イ?」」」」

「それが私の、私達の贖罪だから」

「あ、そ・・・」

「だったらやってごらん」

「もう物語の紡ぎ手たるフローラモンは消え

世界樹からのバックアップも失われた」

「この舞台でおのれのキラめきを示してみせろ

ほしつみの舞台少女」」」」

「「「「「!!!!!」」」」」

「神楽はんッ」

「ヒカリチャン!!」

「ううぅ・・・!!」

 

 

 

 

      パ  キ ン  ッ

 

 

 

 

バケモノ達の禍々しい視線が

 

今の舞台で最も強い『光』へと移れば

 

溶けない氷に赤いヒビが入る

 

 

 

 

 

 

「はぁっ! はぁっ! はぁーっ!」

 

「ぜぇー・・・ぜぇー・・・

 

きゅ、急にどうしたど

 

どりゅぅー!?、そ、それは!!」

 

 

 

丁度その時だ

 

息を切らせた『彼女』が煮えたぎる溶鉱炉の前に到達したのは。

 

 

 

「!」

 

「あああーーー!!?」

 

 

 

『友達』が止める暇もなく

 

腕に抱えていたモノを投げ放てばあっという間に炎上

 

残骸が真っ赤に溶けた鉄の海へと沈んでいく

 

 

 

「おねがい!!! とどいてぇー!!!」

 

 

 

目に涙を浮かべながら

 

祈りを捧げる『台本』

 

そのタイトルは・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

逆境のオリオン。

 

 

 

 

 

「「!!!!」」

「「「「「!!?」」」」」

「な、なんだぁ?!」

「まさかアレッ」

「え?、え?、え?」

 

舞台少女とパートナーデジモンがバケモノ達とぶつかり合う寸前

この耀きの無い世界の空に6つの星が瞬く。

 

 

 

「オリオン座のリゲル、ぎょしゃ座のカペラ」

 

「ふたご座のポルックス、おうし座のアルデバラン」

 

「こいぬ座のプロキオン」

 

「そして

 

 

 

おおいぬ座のシリウス!!!!」」」」

 

 

 

「ひいぃっ!!」

「か、カオルコォ?!

な、なんかこう!、空がパァン!、ってなってから!、どんどん魔王の気配が弱まってるんデスけどぉおおおお!!?

一体!、全体!、何が!、起きてるん!?

デスぅうううううう!!?」

「よ、よわまっとる?、アレで?

うちのことめっちゃ睨んどるけど?

って、あら?」

「《ロストルム》が、消えていく??」

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ

 

 

 

そうだね」あの星は」決して遠くない」

 

 

 

君達で掴めるモノだよ 凛明館演劇同好会」

 

 

 

星々の軌跡が描くダイヤモンド

かつて行われたレヴューのキラめきに照らされながら【嫉妬】が薄らいでいった

 

「「「「「ーー!!」」」」」

「ッ、魔王が居なくても関係無しか・・・!」

 

が、しかし

暗黒進化による暴走が止まった訳ではない。

 

 

 

「ーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

 

 

未だ窮地の真っ只中だというのに

ひかりの隣に立つエリスモンが睥睨するのは

相対するバケモノ達ではなくその向こう側

 

 

 

輝く大六角形の一点、オリオン座のリゲル

 

 

 

自分にとっての唯一無二【0と1のイチ】が

 

 

 

運命の相手と共に摘み取った星。

 

 

 

「わかってたよ」

 

「エリスモン?、!」

 

故にこの針鼠は

 

「わかってた筈だった、わかった気になってた

 

エーが居なくたって君があの子と光るのは」

 

「・・・・・・・・・、なら、どうするの?」

 

「ヒー、おぼえてないのー?」

 

「ううん、覚えてる

 

だから

 

 

 

なってみせて スタァに!」「ウーー!!」

 

 

 

ヒビ割れた爪を天へと掲げる

 

この舞台を、物語を

 

次へと繋げる道にする為に。

 

 

 

 

 

ギュインギュインギュインギュイーーーン!

 

 

 

 

 

すると、ダイヤモンドの一角が渦を巻き

 

金属音を伴いながらふたりを穿つと

 

青く輝く0と1の粒子、ソウルとキラめきに

 

 

 

再製産。

 

 

 

「エリスモン進化ーーーー!!!!

 

スティフィルモン! リゲルモーーーーード!!!!

 

ヴァアアアアアアーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

 

 

折り重なった光を貫くのはエリスモンの完全体

スティフィルモンの新たな姿

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「晶」

 

 

 

かつてパートナー達が自分から奪い取った星

巨大なブレードへと変換、左足に装着させ

バケモノ達に格闘戦を仕掛けにいくそのデジモンを画面越しに見つめる少女は

 

 

 

「ふっ、くくく!、ははははははは!」

 

「!?」

 

 

 

舞台少女は 不敵に 尊大に 笑っていた。

 

 

 

〔「くっ・・・!、はあ!はあ!」〕

「神楽さん!!?」

「やっぱり、あんなにヒビが入ってる神機じゃ負担が」

「問題無い、ヨン」

「ヒョ?」

「あの子が動ける状態でスティフィルモンとの連携でキラめきをみせたって

さっきの二の舞にしかならない、ヨン」

「た、たしかにそーっでっしゅけどー・・・」

〔「「「「「!!!!!」」」」」〕

〔「ヴァーッ!!」〕

 

エーデルと彼女達のパートナーデジモンが固唾を飲んでメインルームの大型ディスプレイを仰ぐ中、件のスティフィルモン・リゲルモードは次々と迫り来る

電撃、氷爪、爆発、レーザー、鉄球を

全身の針毛を逆立たせながら懸命に立ち向かう。

 

「ほらほらーっ!!

ぜーっんぜんダメでっしゅー!!」

「だからこそだ、ヨン」

「ヒンっ?」

「デジモンの力や舞台少女との絆

そういったモンで今のフミ達を上回れば

またあの魔王に介入される、ヨン」

「じゃ、じゃーっどうやったらーっ?」

「それを今探っている」

「ヒンーっ?!、おししょーしゃまーっ!

ファンビーモンが怖いーっ!、でっしゅー!

・・・・・・・・・おししょー、しゃま??」

 

 

 

「(もどってきた

 

誰かに求められたからでもなく

 

勿論、強がりなんかじゃなく

 

 

 

あなたがあなたとして   舞台に!!)」

 

 

 

「そうだった

 

 

 

(そうだったな、神楽ひかり)」

 

 

 

〔「《ブライ、テストォー・・・!」〕

 

 

 

単騎で五体による一斉攻撃の隙間を縫い

両手のハリケンナックルにリゲルのキラめき・・・

演劇同好会にとって決して遠くはない

【手に入らないと認めてはならない】

一等星の『光』を収束。

 

「(かつてお前達は『彼女』の台本を書き換え

あのレヴューを私から奪い取った)

ならば、私に出来ない道理等ありはしない」

「!、晶さん!!」

「取り戻す・・・いや、違うな

 

 

 

奪いに行くぞ」「私達の舞台の全てを

 

 

ね♪」「ふっ」

 

 

 

「ー~ー~ー~ー!!!!、はい!!!!」

「ヒョッタ取り越し苦労ヒョ」

「ぷ!、ですねー♪♪」

 

白金の君が王たる者の威厳を纏わせながら宣言すれば彼女に仕える騎士もまた呼応するかのように鋭い眼光を再燃させた。

 

「ゼェ!ゼェ!オ"ッく!!」

「もういいのか銀翼」

「い、いらぬ心配だ吸血公・・・

いえ、マタドゥルモン、さま」

「俺にまでそのキャラ造らなくても」

「つく!、り、ますとも

でなければ、あの方の元に居る意味がない」

「彼女は別に気にしないと思う

・・・・・・・・・と、言うのは無粋か?」

「えエ"」

「そうか

ダラッタラ~★、チョッパその空前絶後★ナ

拒絶反応ナントカしてチョンマゲ★」

「し!ま!すとオロロロロぉぅ・・・!

フウー!!」

「(コレがニンゲン

舞台少女のパートナーをやるってことか

大変ですね、始祖様)」

 

すると、臣下もまた

その気高さに追い付くべく『前』の記憶を全力で振り払わんとする。

 

 

 

「スタァーーーー!!!!

 

ダイブーーーー!!!!》」

 

 

 

シークフェルトの者達が生まれ変わった志を胸に抱いていた間にも舞台は進み、スティフィルモン・リゲルモードが左足のブレードから竜巻を発生させバケモノの群れに錐揉み回転しながら

 

 

 

「なにがうらやましいだよ

 

 

 

うらやましいのはエーのほー!!」

 

「!!?」「ーー!」

 

貫く

 

「ソレ、エーだって出来るのに

 

エーじゃ絶対手に入らないモン捨ててー!」

 

「「・・・・・・ッ」」

 

貫く

 

「あの子と同じ生きモンで!!!

 

あの子と同じ世界で生きられて!!

 

 

 

うらやましいーーーーーーーーー!!!!」

 

 

 

「繧ィ繝ェ繧ケ繝「繝ウ「だけどエーはソレで終わったりしない」?!」

 

貫く

 

 

 

鉄球とレーザーを 氷爪と爆発を 電撃を。

 

 

 

「だって、そんなモンに負けるモンが

 

スタァになれるモンかーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

 

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も

 

その度針毛が欠けていくのを自覚しながら

 

この逆境に何度でもぶつかっていく。

 

 

 

 

 

   みのひかりよ

 

  ひ  うみに  そそげ  !  」

 

 

 

 

 

すると、赤いヒビの入った氷の隙間から

 

 

 

 

 

 

「!     の、うたごえが・・・!」

 

 

 

 

 

 

獣の唯一無二【0と1のイチ】の乾いた唇から

 

歌が紡がれて・・・

 

 

 

 

 

「せ「を!! も めてるぅッ

 

キラめく星にぃいいい!!

 

な ぁ り ! た あ い!!!!」」

 

 

 

 

 

交錯する

 

距離も環境も何もかも凌駕して

 

だって、此処は舞台の上。

 

 

 

「ーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

「「「「「・・・・・・・・・!「いいよー」

 

!!?」」」」」

 

「好きなだけあげるよー、エーのこの想い

 

ぜんぶーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

「「「「「がはぁ!!!!!」」」」」

 

 

 

〔「あらあら

あんなに大きいのは飲み込めなかったみたいね

・・・・・・・・・勿論暗黒のソウルのことよ?」〕

〔「何てたって、あの子

産まれた瞬間に舞台の罪を背負ってるからねー

有象無象のありふれた憎しみや呪詛

理不尽に対する憤怒と違って」〕

〔「ズルルルル!

玩具共があたまごなしに、んく!

否定なんざ出来る訳がないよな」〕

〔「えぇ!えぇ!届かないとわかっていながら!!それでも尚!貪欲に!【強欲】にぃ!

あのキラめく星に手を伸ばし続ける!!!そお!れこそがぁ!!舞台少女!!!で!しょうう!!!」〕

〔「バアルモンうざ~い」〕

〔「だが、言わんとすることはわかるだろう?

リヴァイアモンお前もその筈だ」〕

〔「・・・・・・・・・」〕

 

 

 

本気の歌が そこに込めた想いが

 

観客や共演者に届かぬワケが無い。

 

 

 

「(いつだってそーだ

 

エーがどんなにがんばったって・・・)

 

《ギガ!!!」

 

「「「「「ー~ー~ー~ー~"ー~!!!!!」」」」」

 

「(あの塔の頂上には とどかないッ)」

 

 

 

ふたりでひとつのキラめきをみせつけられて赤から薄暗い色をした青へと明滅する針毛から発せられる暗黒のソウルはバケモノ・・・凛明館演劇同好会のハートと体に突き刺さる。

 

 

 

「(だけど)スパイラル!!!(それでも)」

 

「「「「「あきらめたく、ない・・・!」」」」」

 

 

 

胸を刺す衝撃に顔を歪めながら

 

スティフィルモンはスタァという標を目指し

 

左足の巨大なブレードを高速回転させながら

 

痛みを共有する舞台少女達の頭上へと跳躍。

 

 

 

「フォーーーーーーーーーーール!!!》」

 

 

 

 

『ポジション・ゼロ』へと踵落としを決めれば

 

氷の亀裂がオリオン座を描き・・・

 

一等星のキラめきが轟音と共にはぜた

 

 

 

 

       凛明館演劇同好会の5人ごと。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・や

 

 

 

やりすぎぃいいいいいーーーーー!!!!!」

 

 

 

《ギカスパイラルフォール》により穿たれた奈落もかくやな大穴を前に花柳香子は力の限り絶叫する。

 

「いちえちゃーん!!、ゆゆちゃーん!!

聞こえるんなら返事してぇえーー!!」

「やったか!!?やったか!!?やったか!!?やったかあ!!?」

「マヒル、みんなも

後、ララチャン、ソレやってないフラグ・・・

あ、だからか」

「華恋が文殿の氷を溶かしたので

拙者達も出てこられたので御座る」

「リュー・・・」

「無理に喋るでない

御主の舞台は観えていた

何を言いたいのかはわかっている」

「ウー・・・」

「んなことより!!

今はタマオ達を探さねぇーと!!」

「『レスキュー!!、レスキュー!!』」

「スパロウモンお願い!」

「まっかせて~ー!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「おぉいッ?!

神共おお!!、薬はもうねぇのかあ!!?」

「五月蝿い!、吠えるな!、デシテ!」

「ご、ごめんなさいルナモン・・・

だけど、キュートモンが・・・」

「深手を負ってるのはキュートモンだけじゃないよ、うん」

「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」

「大丈夫だ!!、ジュンナ!!

君のお陰でナナは凍らずに済んでる!!」

「ばななはあたしと相棒で温めとくから

委員長は休んどけよ」

「ごめんな、さッ」

「ぐえ!!」

「ちょっと純那?!」

「(星見さんも大場さんと同じように衣装から制服に戻っている

薄々気づいてはいましたが

やはり、私達はこの輝きの無い世界に・・・

舞台に未だ馴染めていない)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「?、ブイモン?」

〔ドウカシタノカ?〕

 

彼女の周りに続々と聖翔やフロンティアの舞台少女が集う中で盲目の小竜だけはソレを感じていた。

 

「ぎゅってなった、デスぅ」

「ぎゅ??」

「いま、まで

あっち、こっち、いってたのがあつまった

デス」

『え?』

「華恋」

「うん・・・!!」

 

美空やバリスタモンの隣であるるが首を傾げ

もう限界寸前のひかりと華恋が刃を構えた

 

 

 

その時

 

 

 

「うわああ~ーーー~~!!??!」

 

「スパロウモンッ!!?」

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

 

 

 

ヒビだらけの赤黒いシルエットが5つ。

 

【敵】を弾じきながら

 

どん底から舞い戻ってきた この舞台の上に!。

 

 

 

「エリスモン」

「なにー?」

「どうやら御主、あの5人の闘志に」

「ウー、火、つけちゃったー」

 

 

 

「「「「「!!!!!」」」」」

 

『『!!??』』

 

〔「「「「「「「イェイイェーイ♪♪♪♪♪♪♪」」」」」」」〕

 

 

 

リュウダモンとエリスモンが他人事のように囁きあった直後、バケモノの体躯を覆っていた血の色をしたナニカが内側から破裂

 

七大魔王の喝采と共に露になったのは

 

肩当ての紐に絡まる『眼』が開かれた懐中時計・魔神機から伸びる『脚』

 

 

 

そして・・・・・・・・・。

 

 

 

「アレまさか   双葉はんと おなじ?」

 

 

 

和をモチーフにした衣装の『上』に

 

重ねられた各パートナーデジモンの意匠。

 

ソレが魔封機の時のような一部ではなく

 

まるで甲冑のように彼女達の体躯を覆っている。

 

 

 

「こ、ここで第二形態ははんそくだよぉ!!!」

「もうHPもMPもアイテムも無いのに・・・ッ」

「ま

って待ってうそやだダメやめて」

 

棒立ちしながら譫言を呟く同級生達の隣で恵比寿つかさは見た。

 

 

 

「う、ぅぅ・・・ ぁ」

 

 

 

虚空に浮かぶ少女達が大穴の内壁にメリ込む己がパートナーを兜やバイザー越しに見下し

 

 

 

露出した口元が不気味に吊り上がっていくのを。

 

 

 

「《ボ ン バ ァ ア あ ト オ オ ! ! ! ! ! ! ! !》」

 

 

 

『『!!!』』「「ウルカヌスモン!?」」

 

「んんん"あ"ぁ!!!」「わ?!

 

あ・・・」

 

 

 

その邪悪な視線を遮るように真上から灼熱のカーテンが降ろされたかと思えば、一本の赤い腕が黄色い体躯を無遠慮に掴み

バックハンドパスで一同の方へと放り投げる。

 

 

 

「は

 

ハハハ! 良い太刀筋してんじゃねぇか」

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

 

 

ウルカヌスモンの広い背中が遠ざかる中で

 

スパロウモンの青い瞳に映ったのは

 

暗色のキラめきとソウルを纏う

 

咲散花 川蝉 流星丸 凛明亭遊眠 が

 

 

 

8本ある内の半分を斬り飛ばす光景。

 

 

 

「う、うるか〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

 

 

 

神の名を呼ぶ声は直後に起きた咆哮と爆発音により掻き消され、あのヘルメットが木っ端微塵となりながら大きく仰け反るウルカヌスモンの姿が黒煙に飲み込まれて見えなくなった。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「空気を読む気は無いってワケ?」

 

 

 

手にした扇子・・・いちえハリセンから粉塵の残滓を漂わせながら

兜からはみ出た髪を蛍火のように妖しく光らせ、揺らめかせる音無いちえに西條クロディーヌが若干強張った好戦的な笑みを向けていた

 

 

 

その時

 

 

 

 

 

ヒュッルルルルルルーーーーーー!!!!!

 

 

 

 

 

舞台全体に鳴り響いたのは甲高い音。

 

「こんなこともあろうかと、でしたっけ?」

『あ!』

「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

「クスッ♪、ほんとは星見さんの為だけの小道具みたいでしたけど

ちょーっと演出が足りないかなーって思いまして

事後承諾ですけど、一応お爺さんからの許可は貰ってますし問題ありませんよね?」

「はぁーっ・・・はぁーっ・・・

ええ、でも、その代わりに・・・!」

「はい!!!、見せますとも!!!」

「シークフェルトの舞台を、キラめきをな」

「雪代さん!!」

「へへっ♪、ソイツがお前らの新しい神機か

よぉく似合ってるぜぇー!、アキラ!!」

「とーぜん♪

なんたって元々のデザインが良いんだから」

「ミチルセンパイったら

そんなに煽てられたら逆にこわいんですけど・・・」

 

開幕の合図の余韻が未だ空気を震わせる最中

ワー爺が開発した矢につけるだけで鏑矢へと変換させるリング状の装置を真珠の君がよく手入れされた爪先で弄びながら登場すれば

他のエーデル達もまた傲岸不遜を体現したかのような足取りで舞台に上がる。

 

「フロンティア並びに聖翔の皆様方」

「待たせヒョッタら」

「クカカカ!!」

「ヒンーーーっ!」

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

彼女達に次いで、パートナーデジモンもまた登場。

しかし、【敵役】5人が視線を向けるのは

 

 

 

「(見違えただろ? 凛明館演劇同好会

 

そして

 

 

 

魔王共!!!)」

 

 

 

ほくそ笑み、眼を爛々と光らせる蜜蜂を従え

 

自分達に・・・最愛の姉にヤーデアングリフの剣先を向ける

 

揺るがぬ心を得られた最年少の少女だけ。

 

 

 

 

 







「ああ、見違えたよ」



この光景を観客席から眺めていた天使のような美少年は周りの同格達と共に満足気に頷いた。



「分割した神機の残骸を核に

出力不足をクロスローダーの結合で補った

シークフェルト、エーデルの新たな力・・・



ロード・デヴァイサー



クスッ!!、面白いね!!」



喜悦に彩られた眼差しが品評を下すのは
己が玩具の舞台に飛び込む少女5人の首元に備わる銀のナースウォッチ。
鶴姫やちよのデザインはそのままに装飾やラインを各エーデルが象徴する宝石が加えられ、より一層彼女らに相応しいカタチに仕上げれている。




「望まぬままに掘り出され・・・

理不尽な悪意を、ソレに抗えぬ己の無力に胸を焦がし

知らぬまに高みへと到達していた好敵手達の『光』に削られ、割られ



それでも尚、舞台に立つことを選んだのなら

どうか見せておくれよ

舞台少女と電脳の獣が起こす未知の化学反応

その更に先を





君もコレを楽しみにしてたんだろ?

キリン」「わかります?」








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Omnibus of the Revue オープニングアクト

☆輝きの無い世界・アケビ号作業室

「フォゥー・・・ン」
「お、おい!
ほんとにアレでよかったのかよ!?」
「今更ウダウダ言っててもしょうがねぇって」
「それは、その、そうなんじゃが、のぅ・・・」

エーデルらが舞台へと上がっていた頃
レオ坊とブラックマッハガオガモンに挟まれたワー爺が落ち着かない様子で外部の状況を映すディスプレイを注視している。



神機・イミテーションをベースに
フロンティアの進化したクロスローダーより抽出したデータや
各々独自の発展を遂げた5つの実物から文字通り手探りで読み取った構造を参照
オリジナルダークネスローダーのパーツを流用したことによって得られた結合の特性を元に、白金の君たる雪代晶を中心としたネットワークを形成
コレにより5人のソウルとキラめきは相互に高め合い、カタログスペック上では成熟期以上の進化が可能となった・・・のだが、現在のロード・デヴァイサーにはある欠点が



「構造上は何も問題が無いというのに

なんで電源がつかないんじゃあああ!!!

あ、アレでは成熟期すらも出来んぞい!」




もとい欠陥があった。




故に、生産者としては気が気でないのである。

「だ、大丈夫ですって長!
エーデルの皆さんあんなに自信満々でしたし!
心配いりませ





ドン

  ドン!!  ドオオオオン!!!!!





「「         」」
「やっぱ駄目じゃねえか!!!」
「フゥオオオーーーーーーン!!!」
「ないちゃだめだよとーちゃあん!!!」





☆闇落の章

 

「くっ・・・!」

「ヒョゥ!」

 

五体同時に放たれた完全体の必殺技により

スティフィルモン・リゲルモードが空けた大穴の縁東部へと吹き飛ばされたやちよはパートナーのヒョコモンと共に空中で一回転

しっかりと足裏から着地するや否や素早く視線を巡らせる。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

「蜂!、塩!」

「大丈夫?」

「はい」

 

すると、忙しなく翅を動かすファンビーモンに抱えられた栞が彼女らの傍らにゆっくりと着地。

 

「私は大丈夫です」

「ヒョ?」

「栞?」

「もう二度と

舞台の上で無様な姿は晒しませんから安心して下さい」

「あ

(コレ、別の意味で大丈夫じゃない奴

 

 

 

!?」」「来るヨン!!!」

 

 

 

 

 

 

ピシィ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ

 

 

 

 

 

 

その直後、2人の吐く息が白に染まり

空気が軋む音が聞こえてきたかと思うと

荒廃した大地より鋭利な氷が次々と生えてきた。

 

 

 

「あたしが相手でいいんですか?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

後輩と分断された真珠の君がペルレンプファイルの銃口を向ける先に浮かぶのは夢大路文。

 

 

 

「ーー!!ッ!! ! !"!!」

 

「く!う!あ?!がはっ!!」

 

 

 

一方、氷壁の向こう側では

翡翠の君がヤーデアングリフを必死に振るい

猛攻を仕掛ける秋風塁に抵抗の意思を見せていた。

 

 

 

☆獄中の章

 

 

 

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!、ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!、ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

 

「ヒンーーーーーーっ!!!ヒンーーーーーーっ!!!ヒンーーーーーーっ!!!!ヒイイインンンーーーっ!!!!!」

 

 

 

大穴の縁、北東部。

輝きが失われる前までは高級感が溢れていた大通りも今では絶え間ない爆発と奇声が入り交じり、カオスの様相を呈している。

 

「弟子、叫ぶ暇があるならその分糸出して

さもないと丸焦げだよ?」

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「ひ!!ヒンーーーっ!!!」

「そうそう!、その調子♪、その調子♪」

「・・・!」

 

障害物である高層ビルを突き破り・・・もとい溶解させながら飛翔する音無いちえの扇子が揺らぐ度、彼女の周囲で粉塵が舞い、爆発が起きる

コレに対し蒼玉の君が取った対抗策は

半泣きになりながら己の腕にしがみつく芋虫が出す糸を駆使することで建物と建物の間を神楽ひかりばりに立体的かつ高速で移動すること。

 

 

 

「(さあ、本番はここからだよ

 

いちえちゃん)」

 

「!

 

(やっぱり、ミチルちゃん、気づいてる)」

 

 

 

☆抑制の章

 

東側で喧騒が始まる中

大穴を挟んで向かい側にある南部では

 

 

 

まだ、何も起きていない。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「(動かない

 

いえ、違いますね

 

私が動くのを待っているのでしょう

 

その上で叩き潰せる自信がある、と)」

 

 

 

身の丈以上の質量を持つ緑の複腕を構えたまま微動だにしない田中ゆゆ子を前に紅玉の君は・・・

 

 

 

「でしたら私もあなたが動くのを待ちましょう!!!

 

根比べでも負けませんよ!!!」

 

「               」

 

 

 

あえて相手の土俵に上がるのであった。

 

 

 

☆影光の章

 

 

そして、大穴の縁中央部

 

丁度聖翔やフロンティアの舞台少女達が集う場所の対岸では・・・

 

 

 

「既に幕は上がっている

 

だというのに

 

お前達はいつまでそうしているつもりだ?」

 

 

 

プラティーンランツェの穂先が見えない壁にぶつかる度に生じる火花に合わせ

白金の君が踊り、歌う

 

 

 

すると

 

 

 

「いつから気づいていたんですか?」

 

 

 

一方的な攻撃を直立不動で受け入れていた巴珠緒が流暢に喋り始めた。

 

「観客席だからこそ見える物もある」

「成る程

つまり、私達の自我があるとわかっていたから

只でさえ性能が低い神機の模造品

その電源すら入れずにこの舞台に上がってこれた、と」

「魔王等にすがる愚か者を相手にするのならば

丁度良いハンデだろう?」

「愚か者・・・?」

 

この会話劇の間にも晶の動きが止まることはない。

恵まれた体躯を用いてランスを大胆に扱えば

見えない壁の表面で目映い火花が散る。

 

 

 

「ソレこそが舞台少女」

 

「!」

 

 

 

その輝きが兜の下にある影をより濃くし

 

白金の穂先を阻んでいたナニかが突如消失。

 

一瞬、勢い余って体勢が崩れかけた晶だが

 

鍛え抜いたバランス感覚で即座に修正

 

甲冑の隙間で揺れる懐中時計・魔神機目掛け

 

プラティーンランツェを正確に突き出した。

 

 

 

「違いますか?」「!?」

 

 

 

すると、たおやか指先が2本

 

まるで繊細な硝子細工でも扱うようにそっ・・・と尖った穂先に添えられて

 

それだけで白金の君は急停止してしまう。

 

 

 

「雪代さんもあの日、あの時に見たでしょう

 

最速の聖騎士、アルフォースブイドラモン

 

その輝きを」

 

「!、!"」

 

「遥か高みにあると思っていたあの光が

 

実は、彼女のモノだと知った瞬間

 

 

 

あなたは諦められましたか?」「くっ!!」

 

 

 

背中に嫌な汗を流しながら柄を握る両手に渾身の力を込めるも、己がキラめきの象徴は微動だにしない。

間近に相対する珠緒から放たれる禍々しいプレッシャーも相まって、晶の顔から徐々に余裕が無くなっていると

 

 

 

「あなたがどう思っていようが関係ありません

 

私は捕りにいきます、どんな手段を使ってでも

 

例え、世界を滅ぼす魔王に身も心も捧げることになろうとも

 

 

 

ね・・・」「!?、巴!!、貴様ぁ!!」

 

 

 

〔「あらあら珠緒ったら

 

でも、そうよね

 

実際にヤッタことが無くても舞台の上なら・・・

 

それがあなた達舞台少女だもの」〕

 

 

 

色欲の爪《ナザルネイル》により

 

プラティーンランツェが 腐食。

 

だが、問題はソレだけでは無い。

 

 

 

「ふふっ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ーーーーーーーーー」

「ふえ?、カオルコどうした、デス?

なんか急に顔が変あっつぅッ?!

あついいたいあついいたいあついいたいあついいたいフレイモンあついたいデスぅううううう!!!?」

 

魔神機の文字盤にリリスモンの紋章を浮かべながら、残る片方の指先で淫靡に唇をなぞり

対岸の観客達にアプローチをかけている

レヴューの相手であるこの白金の君越しに。

 

「私を!!!無視!!!するなぁ!!!」

「遅い」

「なっ、が!!ぐ!ぁ"!」

「王!!!」

「来る!なぁ!

お前の出番はまだだろうッ!?」

「!、・・・・・・・・・はい!!」

 

憤懣たる想いを白金の0と1の粒子とし放出し

柄まで腐食したプラティーンランツェを再生産しようとすれば珠緒は容赦無く《ロケットメッサー》を、それも暴走時の再生能力すらもモノにした連射で晶を徹底的に打ちのめした。

 

「よおーし!!、ガンバれリンメーカン!!

そのままベルゼブモンの技も使えええーーー!!」

「「ウルカヌスモンッ??!!」」

〔無事ダッタノカ!?〕

「で、でもよぉ・・・・・・・・・」

『うでがぁ・・・・・・・・・』

「んあー?、瘴気込められてなかったし

こんだけ断面が綺麗なんだから縛っときゃその内くっつくっちゅーの」

『ひっ!!』

「んなモン見せんなァ!!」

「デジタルワールドの神様って変なのばっかり」

「ヒカリ、お前

言って良いことと悪いことあっからな?」

「言われたくないならあのポチなんとかしてよベアー」

「・・・・・・・・・」

「どうしかしたのデシテ?、テンドー」

「ルナモン、あなたがあの提案をした真の目的は・・・

凛明館とシークフェルトをぶつけ合わせ

両者の成長を促すことだったのですか?」

「フッ!、やっと気づいたか共演者よ

最も、エリスモンの新たな姿と

それに伴って連中が正気を取り戻したのは想定外だったがな」

「何故、こんなことを」

「ならば、逆に問おう

貴様、この輝きの無い世界でワタクシを究極体に進化させるのに後どれくらいかかるのデシテ?」

「2日あれば「遅過ぎる」!!」

「ほら見ろ、傲慢ちきの貴様すらもこの弱音だ

他のモンも似たり寄ったりだろう?

実に頼りない」

「ッ、言ってくれるじゃないLapin・・・!」

「なればこそ、より多くの舞台少女とそのパートナーデジモンを高みへと押し上げ

『黒の逢魔』の想定しない化学反応を誘発し

選択肢を増やす必要があったのデシテ」

「!、お前あのババアからの忠告」

「何故このワタクシが

あんな山姥の指図に従わねばならない?」

「んな!?・・・・・・・・・いや、確かにそうだな

もう居ないモンのケツにいつまでも乗っかる訳にはいかねーか」

「ドルル、モン」

「それに」

「「それに?」」

「ワタクシのパートナーとソレを追うモンがそう容易く他の舞台少女に負けるとは思っておらんからな」

「「!!、ふふっ」」

「ええ、そうよ!」

「晶ちゃんや珠緒ちゃん達がより一層キラめくなら私達だって」

「!?、ばななちゃん!!」

「目が覚めたみたいだね☆」

「だって、こんなに凄い共演、見逃しせませんから♪」

「ケッ」

「(あ!、レオルモン尻尾振ってる!)」

「(あんな態度取ってますけど

ほんとは嬉しいみたいですね、ララフィン先輩)」

「(うんうん!☆)」

「テメェら目が喧しい!!!

オレサマなんぞよりアッチ見てなァ!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

らしくねぇなー

 

 

 

ソレが今のお前の殺陣かよ?   秋風塁」

 

 

 

☆闇落の章

 

「はぁ・・・!、はぁ・・・!、は!!」

「ーーーーーーッ

(頭では、理解出来てるッ

今の状態で加勢に入った所で意味は無い

寧ろルイの嫉妬を駆り立てるだけ)

だけど!!、こんな」

「ぁ」

「ああ!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

観客達のざわめきも側で見守ることしか出来ない蜜蜂の煩悶も何もかも意に介さず、仔鹿のように膝を震わせる少女目掛け

大太刀・流星丸が乱暴に叩きつけられる。

 

 

 

「もう、大丈夫ですよ」

 

「え?」

 

「は?」

 

 

 

すると、懸命にヤーデアングリフを握る栞に

彼女は優しく声をかけてきた。

 

「秋風、さん?」

「後の事は任せて下さい」

「任せるって」

「『黒の逢魔』は私達

凛明館演劇同好会の5人で消します」

「!?」

「だから、もう安心して下さい

栞さんや他の学校の皆さんが

苦しむことも傷つくこともありません」

「正気に戻って言う台詞がそれか?、ヨン」

「・・・・・・・・・そう、ですね

確かに、普段の『私』ならこんなことは言えません

だけど、今の私は違います

 

 

 

この力さえあれば」「「!!」」

 

 

 

〔「わ、傲慢!、すっごい傲慢!

リヴァイアモン見て見て!、君の推し

うっわキッモ!?、信じらんない!!

こいつ眼球だけ元のサイズに戻してる!」〕

〔「塁嬢はいつか悪い宗教に引っ掛かってしまいそうで将来が心配になりますなぁー」〕

〔「ぬふははははははははははははは!!!

ば、ばるばもんおまえ・・・!

じょーくがうますぎる・・・!

た、たつはらがよじれそうだ・・・!、ぬふ!

ぬふははははははははははははは!!!」〕

 

 

 

「ッ、いい加減に

 

 

 

・・・・・・・・・!?」「(ハニー!!?)」「?」

 

 

 

塁の一方的な物言いに反論しようとするが

 

何故か言葉が出てこない。

 

 

 

「か・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?

 

ぁ? ひゅー・・・ひゅー・・・ ごほっ!!!」

 

 

 

栞が自身の状態を訝しむ暇も無く

力が入らなくなった手からサーベルが抜け落ち

体が勝手に『く』字に曲がって・・・

不自然な呼吸を繰り返す内にガクリと倒れ込んでしまう。

 

 

 

「(なんなんだよいったいなにがおきた?いや待て取り乱すなんなモン後だ情報を精査しろ

 

主な症状は呼吸困難並びに指先の変色、毒か?

 

いや、ルイの様子からして色欲の罪は)」

 

「げほ!!!う"あ"!!あ"!!あ"ぁ!!」

 

「!?

 

(く、口から針!?、いや、違う、アレは

 

こお、り?? 氷!? そ、んな、なんで?

 

なんでだよぉお!!?フミぃい・・・!!!」

 

「どうやら

 

あなたのお姉さんも私と同じ意見のようですね」

 

「ぉ・・・・・・・・・ぇえ・・・ちゃ・・・あ"・・・!」

 

「この一太刀で楽にしてあげましょう」

 

 

 

「あっちはそろそろ終わりそうね」

 

「ッ、レヴューの最中に余所見とか・・・!」

 

 

 

先が見えない程に広大な氷の壁を越えて

向こう側に居る妹の体内へと届く程

大量の冷気を無造作に垂れ流す夢大路文に

照準を合わせたペルレンプファイルから

真珠を思わせる淡い桃色が混じった銀を纏う矢が快音と共に発射。

 

「だったら、目を向けさせたらどう?」

「な!?」

「ヒョウッ?!」

「ヒヨコさん!!?」

「最も、自分の周りすら見えてないんじゃ

話にならないけど」

 

しかし、必中の意を込めた一矢は猛吹雪に阻まれあらぬ方向へ。

挙げ句、隣に控えていたパートナーすらも何処かへ飛ばされてしまった。

 

「ーーーーーーッ

相!、変わらず!、厳し

 

 

 

い"!?!」「言った筈よ

 

 

 

周りも見ろって」「!、~ー~ー~ー!!」

 

 

 

歯噛みしていたやちよの足元から突如として噴出した氷の柱は彼女の下半身を・・・

しかも、ボウガンを手にした左手までもを一瞬で飲み込み動きを封じる。

 

「はぁー、アレだけ他校にお膳立てされたのに結末がコレ?

拍子抜けね、フラウ・ペルレ」

「ーーーーー!!

まだ、まだですよ文さん・・・!!

舞台はまだ終わってません・・・!!」

「あら、そう?」

 

とらえた獲物が生き汚く足掻く姿を見据えながら、己が造り上げた背景よりも冷たい笑みを浮かべる文。

その足が氷の柱に掛かれば一段一段と段差が生まれる

 

まるで

 

 

 

「だったら

 

 

 

この手で幕を下ろしてあげる」「ー!!」

 

 

 

        断頭台を登るように。

 

 

 

 



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Omnibus of the Revue ゴクチュウ

☆獄中の章

 

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

「ッ」

 

忌むべき存在【パートナーデジモン】の咆哮が脳内を通して体外へと発散される度、下半分からでもわかる程

顔をしかめながら音無いちえは飛んでいた。

 

〔「ヴォッ!、餌ぁ!」〕

「!」

 

すると、彼女と一体化していたラヴォガリータモンの嗅覚がレヴューの相手を捕捉。

蛍火のように揺らめく髪を振り回しながら視線を移せば、廃墟と化した建物の中にあの金髪が僅かに見える。

 

「!!!」

 

するといちえは魔神機を通じて溶岩の如く沸き上がる飢餓感と破壊衝動のまま直進。

全身から発する高熱で障害物を溶解させながら標的の元へ。

 

「・・・・・・・・・?」

〔「ヴォ?」〕

 

そんな彼女を廃墟内・・・かつて高級ブティックだったであろう一室で待ち受けていたのは

 

 

 

柄に金髪のカツラを乗せた

      ザフィーアベシュトラフング。

 

 

 

「今」「でっしゅー!!!」

 

 

 

ご丁寧に《ネバネバネット》で特徴的なはねっ毛まで再現した囮に見事引っ掛かったいちえの頭上

天井に張り付いていた本物のミチルが指示を飛ばせばワームモンは口から伸びる粘糸を即座に切断

支えを失った小柄な体躯が重力に従い始めるのと同時に、黒いブーツに包まれた両足が足場を鋭く蹴りあげる。

 

「ー!!」

〔「《メル、ダイナー!!》」〕

「ヒンーーーっ!?」

 

一直線に急降下してくる『餌』を丸呑みにするかのように扇子から放たれたレーザー状の熱線が迫る中、腕にしがみつている芋虫の情けない悲鳴を耳にしながら

 

 

 

蒼玉の君は床に突き立てられた大剣を

 

0と1の粒子に変換 己が手の中で再生産

 

 

 

「はぁ!!」

 

〔「ヴォ?!」〕

 

「ッ」

 

 

 

鳳ミチルの体重にザフィーアベシュトラフングの重量が加わることで落下速度がグンと上がり

目算が狂った《メルダイナー》が天井を穿つ

 

 

 

ソレと同時に

 

蒼玉の輝きが大半を占めながらも

 

銀を引き立てる0と1の粒子を纏った剣先が

 

音無いちえの胸元に揺れる懐中時計を抉り取る

 

 

 

〔「ヴォオオオォ・・・!!」〕

 

「!?、しくじった!!

 

いちえちゃんごめん!!」

 

「ヒン?」

 

「縺。が、うよ・・・

 

い縺セの、あたしがタイミング間違、て・・・」

 

「ヒンっ!?」

 

 

 

筈、だった。

 

 

 

「ど、どういうことでっしゅーーっ!!?」

「どうって、見ての通りだよ

弟子は気づいなかったの?」

「き、気づく・・・??」

「いちえちゃん、聖翔やフロンティアとの共演で魔神機の方は乗り越えられたんだよ

だけど、一心同体になってるラヴォガリータモンの方は制御出来てないみたい」

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

 

ピンクを基調にした和風の衣装、その上に重なる溶岩竜の甲冑から起爆性のある粉塵が撒き散らされ自分諸共爆発さえしなければ。

 

「縺斐aん・・・

ごめんね、ミチルちゃ・・・

ほんとは、あたしが・・・

なんとか、しなくちゃいけないのに・・・

でも、だけど、どうしても止められんないッ

 

 

 

なんでこんな奴があたしのパートナーなんだ

 

 

 

って え?

 

う!!

 

あ・・・あ繧・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

繧ヲ繝ッ繧「ああ"あ繧「繧「ああああああーーーーーーー!!??!」

 

 

 

いちえが傷ついた体を震わせながら再生を始めたかと思った次の瞬間、彼女の体の至る所より憤怒の炎《インフェルノフレイム》が噴出。

 

〔「そうだいちえ!!

お前のその怒りは正しい怒りだ!!」〕

「!、誰?!」

〔「あぁ、どうかお気になさらずにぃー」〕

〔「それは無理じゃな~い?」〕

「も、もしかしゅてぇーっ」

「あなた達が、七大魔王・・・?」

〔「正解だよ

シークフェルトのエーデル

フラウ・ザフィーヤ、鳳ミチル」〕

「いちえちゃんに何をしたの?」

〔「心外だな」〕

〔「同感だ!!、ベルベブモン!!

俺は頑張る玩具・・・もとい、舞台少女に贈り物をしただけのこと

ファンとして推しを応援するのはごく当たり前なことだろう?」〕

〔「だね!、そんなワケで僕の《パーガトリアルフレイム》もあげちゃおっと♪」〕

〔「それではぁ、私からは《パンデモニウムロスト》をひとつ」〕

〔「へい《カオスフレア》、お待ち」〕

〔「ええ~・・・

コレ俺もやんなきゃダメ~・・・?」〕

 

 

 

「あ"あ繧「ああ"あ繧「繧「ああああああ

繧ッッッッ!!!!!!」

 

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!!!!」〕

 

 

 

「「!!」」

 

タダでさえ埒外の熱量を持つ地獄の業火に

【傲慢】と【強欲】更には【暴食】の炎までもが加わった結果、ソレの熱波が表面を撫でただけで廃墟が蒸発していく。

 

「ぐ!」

「ヒンっ!」

「あ?繧「繧「あ!あああ・・・・・・・・・!!!」

〔「餌ぁ!餌ぁ!く!わせろぉお!!!」〕

 

間一髪、溶解する建物からの脱出に成功し

荒廃した大地の上を転がるように着地したミチルと彼女の腕にしがみつくワームモンの頭上ではいちえが頭を抱えながら溶岩の翼を激しく不規則に動かし

ラヴォガリータモンはやはり餓えに餓えていた

 

 

 

が、この場における一番の問題は・・・。

 

 

 

〔「「「「

 

もぉ~~えろよもえろぉ~~よ~♪♪♪♪

 

ほのおよぉも~え~ろぉ~~~♪♪♪♪

 

ひぃ~~のこをまきあぁ~~げぇ~♪♪♪

 

 

 

天までもを焦がすが良い!!!!」」」」〕

 

 

 

〔「うわぁ!?、急にキャラ変すんな!」〕

 

〔「あなたもよ」〕

 

 

 

やはりこいつら

 

 

 

七大魔王の介入により顕現した黒い球体。

 

 

 

「ア"っつゥ?!

あつあつ!あつーい!でっしゅーっ!!」

「(まるで太陽の黒点・・・!)」

「う、繧「、あああぁあああ!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いちえちゃん

ソレ、もうちょっとだけ抑えてくれる?」

「!

蟆代@、すこし、だけな繝ゥ

だから、逃げ「大丈夫」繧ィ?」

「ミチルには取って置きの切り札があるから」

「ほ、ほんとでっしゅーっ!?、

だ、だったらはやく

あ、あれ?、あっれれぇーっ??

な、なんでボキを指差して・・・」

「頑張れ弟子♪

ミチルはあなたのことを信じてるよ♪」

「「えーーー!!?」」

〔「ヴォオオオーーーーーー!!!」〕

「は!!、しまったぁ!!

こんのぉ馬鹿坊!、勝手に暴れんなぁ!!」

 

ソレがビリビリと地上を炙る中で蒼玉の君は

勝負に出た。

 

「むむむむムリムリムリ!!!

無理にきまってるでっしゅーーーっ!!!」

「ふーん、そうなんだ、へぇー

じゃ、あなたの目的も果たせないね」

「もく、てき??」

 

 

 

「ミチルを利用して力をつけるって目的」

 

 

 

「へ!!?、何ソレ!!?

っと!、そう何度も上手くいくと思うなぁ!

このこのこのこのこのこのこのぉ!!!」

〔「ヴォ・・・ン!」〕

「え、えーっと、あ、あのーっ

 

 

 

イッタイゼンタイナンノコトデショウカ?」

 

 

 

「わぁーー!!、図星だぁーー!!

わかりやす!!、ある意味素直!!」

「いちえちゃん、集中」

「そ、それはわかってるん、だけど・・・!

ワームモンがミチルちゃんを利用って」

「だって、弟子入りって結局

師匠を踏み台にして

自分が上にのし上がるってことじゃない?」

「!!!、・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだね」

〔「ヴォ!?」〕

「だから、あんなに嫌がってたのに

ミチルのパートナーを続けることにしたんでしょ?」

「エ、ア、ソノ、アノーっ」

「ああ、最初からわかってたから

今更誤魔化さなくても大丈夫

というか、全然誤魔化しきれてないし」

「ヒン?!」

「わかった上でお互い様だって思ってた

だけどソレじゃ

 

 

 

この物語を『黒の逢魔』からは奪えない」

 

「「!!」」

 

 

 

〔「ヴォ・・・ッ・・・・・・オ!」〕

 

鳳ミチルが言葉を、台詞を読む度に

いちえの胸の内より何らかの力が溢れて

荒ぶるラヴォガリータモンを強引に鎮静。

一方のワームモンは

 

「この舞台が舞台少女を

人間を貶す為に造られたモノなら

その上に居る限りあいつらの脚本を越えられない

だからこそ『鳳ミチル』は生まれ変わる

 

 

 

あなたに 任せる」「ぁ・・・・・・・・・」

 

 

 

「例え、踊らされていただけだとしても

 

(例え、選択が過ちだったとしても・・・)

 

私はずっとこの舞台で全力だった

 

あなたはソレを一番近くで見ていた

 

 

 

だから 今 ここで その結果を出してよ」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

ボキが逃げたらどうする、でっしゅーっ?」

 

 

 

「うーん、そうなったらー

 

 

 

ミチルがその程度の舞台少女で

 

 

 

そんな私を見初めたあなたの目が狂ってた

 

 

 

って、ことになるね♪」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

          ッけんな」

 

 

 

自尊心をこれでもかと傷つけられた。

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!

 

 

 

 

「「(入った・・・!!)」」

 

〔「ヴォッ!?」〕

 

 

 

直後、ロード・デヴァイサーより宝石を研磨するような甲高い音声が流れ出し

 

画面からはスクリーンが照射。

 

震えながら俯くワームモンの姿を覆い隠すと

 

サファイアが収められた王冠が刻印された銀幕の下、芋虫のシルエットが人型へと変わり・・・

 

 

 

「キ エ エ エ エ エ エ ッ!!!」

 

 

 

「スティングモン・・・じゃ、ない!」

「ジュエルビーモン、完全体だよ

(マタドゥルモンから聞いた通り

古代種って本当はプライドが高い

例え、どんな『役』を演じていたとしても)」

 

奇声と共に鳳ミチルの弟子が新たな姿を顕にした。

 

「ねぇ、いちえちゃん」

「へ?」

「ミチル、想うんだ

舞台少女とパートナーの関係に決まった形は無い、って」

「!、・・・・・・・・・」

「ラヴォガリータモンのやったことを許さなくたっていい、怒ったままでもいい

だけど、舞台少女なら

ステージの上に立ってるのなら

ソレをあなたのキラめきにして欲しい

あなたの舞台をちゃんと見せて欲しい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

赤い眼をギラつかせながら前傾姿勢を取る玉虫色の甲虫戦士に己がキラめきの化身・ザフィーアベシュトラフングを授けながら彼女はレヴューの相手に語りかける

 

「私は私のカタチをお披露目したよ?

だから今度は」

「あたしの番、だね!!」

〔「ヴオオオ!!」〕

「ふふっ♪」

 

 

 

まつりあげる

 

 

 

ソレこそが画面の向こう側から好き勝手されるばかりだったシークフェルトの宰相が出した答え。

 

「たぁ

 

 

 

まやああああああああああーーーーーー!!!」

 

〔「ヴォオオオオオオオオオオオオーーーーーーン!!!」〕

 

〔「んぬぁ!?」〕

 

 

 

ミチルの狙い通りにいちえは吹っ切れたのか

 

今の今まで抑えていたモノを思いっきり解放。

 

【憤怒】をベースに【傲慢】、【強欲】、【暴食】が加えられた極炎の暗黒球体を

 

 

 

遥か上空へ打ち上げた!?。

 

 

 

 

ヒュルルルルルル・・・ッ・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

〔「《ランプランツス》」〕

 

 

 

 

 

ド  オ  オ  オ オ ン!!!!!

 

 

 

 

「きゃあああ~~~!!??」

 

〔「「「「か~~~ぎや~~~」」」」〕

 

〔「結局あなたも参加してるじゃない」〕

 

 

 

真っ黒な玉は輝きの無い空をバックに破裂。

一際目立つ火球を中心【センター】に

大小様々な百近くの鬼火がバラバラに

だが、一定の法則の元に広がっていく様は

まさに打ち上げ花火か、或いはとあるアイドルグループの・・・。

 

〔「自分らしさなんぞを貫く為だけに

勝てる勝負を自ら捨てる、だと?

 

 

 

なんと愚かな!!! 実に腹立たしい!!!

 

 

 

が   それもまた舞台!!!」〕

 

 

 

「キエエエエエエッ!!!」

 

「ー~ー~ー~!、こんできたぁ!?

 

(さっきの奴よりかはマシだけど

 

コレ1個1個魔王パワーなのに!?)」

 

「ェエ"エ"エ"エ"ィアアアアアアーーーーーー!!!!!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

技を放った反動により空中でグルグルしているいちえ目掛け、右手に槍を左手に剣を携えたジュエルビーモンが奇声を発しながら突撃。

 

彼女の周囲を舞う百火繚乱が目には入らないのか愚直に飛び込んでくる。

 

「まさかとは思うけどさ

飛んで火に入る夏の虫で終わらないよね?」

「ア"・・・・・・・・・!」

「おわっちゃったぁーーー!!?」

〔「「「「「ぶっふぅーー!!」」」」」〕

 

魔王の力が宿る火の玉が一つ

玉虫色の甲殻へとぶつかれば瞬く間に炎上

全身へと燃え広がった

 

 

 

「エ"ィアアアアアアァア!!!」

 

「!?」

 

なのに

 

 

 

何故かジュエルビーモンに変化は無い。

 

相変わらずの奇声を発しながら飛んでいた。

 

「(んなこと許せるモンか・・・!)」

 

虚空を揺らめく無数の鬼火

 

「(ぜってぇ証明してやんよ)」

 

この熱と己が輝きを掛け合わせ造り上げた陽炎

 

「ボキがおししょーしゃまに弟子入りしたのは」

 

「!?、ミチルちゃんの剣が・・・!」

 

「ふふっ♪

 

(どんな使い方をするのかと思ったら

 

まさか武器じゃなく燃料として使うなんて)

 

舞台はいつだって何が起こるかわからない

 

教えたことちゃんと覚えてたんだね 弟子」

 

「ボキが選んだボキの生き方は」

 

ソレにキラめきを宿らせれば

 

舞台上で実体のある幻影となり、盾となり

 

魔王の火球を紙一重で躱すに至る。

 

 

 

「まちがいなんかじゃないぃーーーっ!!!

 

でっ!!!しゅーーーーーーっ!!!」

 

「だったら!、あたしももう遠慮しない!

 

真っ向勝負!!」

 

 

 

 

 

     パ ァ ア ン ! !

 

 

 

 

 

「《スパイクバスター》キエエエィッ!!」

 

「よこせ馬鹿坊!!《メルダイナー!!》」

 

〔「ヴォオオオオオオン!!〕」

 

 

 

遂にいちえの真ん前にまで到達したジュエルビーモンが右手の槍を光速で振るい、衝撃波を放てば

今まで開かれていた扇子が勢い良く閉じられ

レーザー状の熱線を模した突きが繰り出された。

 

 

 

 

 

      ジ!! ュゥッ!!!!

 

 

 

 

 

両者の技がぶつかり合った結果

 

 

 

玉虫色の甲虫戦士の手から武器が失われ

 

 

 

舞台少女の懐からは懐中時計が滑り落ちる。

 

 

 

「ーーーーーー!!」

 

「ヒ、ン・・・っ」

 

 

 

直後、いちえの衣装からラヴォガリータモンの意匠が喪失。

自由落下が始まる中で彼女は見た。

己の魔神機が蒼玉のキラめきを含んだ糸に絡め取られているのを。

 

「《シルクスレッド》

先端が尖った針のように硬質な糸

さっきの《スパイクバスター》は熱を取り除く為の布石?」

 

ミチルが『制服』の襟首に備わるロード・デヴァイサーの画面をなぞればパートナーのデータが脳内に送り込まれる。

 

「それにしたって

残ったソウル全部使っちゃうなんて・・・・・・・・・勝ったけど、負け、かな?

コレは」

「ヒンーーーっ!!?

ボキおっこちてるでっしゅーーーっ!!」

「あたしも~~~~~~!!」

「あははは♪

 

 

 

          は?」

 

 

 

音無いちえの衣装からデジモンの意匠/鳳ミチルのレヴュー衣装

が消えたことでレヴューの幕が降りた舞台上に降り注ぐのは

 

 

 

粉塵〔「《ワイルドブラスト!!!》」〕

 

 

 

「ヒ?」「ば

 

 

 

ばああああああかああああああ!!!」

 

 

 

 

 

ヂュッ ドオオオォーーーーーーン!!!

 

 

 

 

 

〔「「「「「

 

 

 

爆発オチなんてサイテー!!!」」」」」〕

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

コレにて獄中の章 改め 哭虫の章、終了。

 

 

 

 



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Omnibus of the Revue アンラク

☆闇落の章

 

剣を振り上げる時に大きく息を吸い込み、息を吐きながら振り下ろす。

秋風塁が人生の中で幾度となく行い、すっかり体に馴染んだ動作だ。

 

「な、んで・・・・・・?」

 

故に、正面で繰り広げられる光景が信じられない。

 

「なんで!?どうして!?どこからそんな力が!!?」

「ーー"!ーーー"ー!!!」

 

流星丸を振り下ろした先で蹲っていた少女は

か弱くて、年下で・・・

まして此方は魔王の力まで宿しているというのに何故?

 

 

 

夢大路栞は見事な真剣白羽取りをしている!?。

 

 

 

「(体の内側から攻撃を受けているのになんでまだ動」

 

パキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「え」

 

ガリッ

 

 

 

 

 

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

                ゴクン

 

 

 

 

「ひ!!」

 

「(ちゃんと みててくれたんだ)」

 

彼女はしっかり咀嚼し、飲み干す

 

〔「先輩!、敵異常!、敵異常!

 

即時削除推奨!、削」〕

 

「う、る、さい!、五月蝿い!!」

 

「(わたしのこと

 

 

 

おねえちゃんは!!!」「!"」

 

必要な栄養素を!!!。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「栞に、なにかあったんですかぁー?」

 

「ヒトの心配をするよりも自分の心配をしたらどう?」

 

「あはっ♪、その反応もしかして図い"ッ」

 

「今更何が出来るというの?

 

あの子も、あなたも」

 

「ーー!ー・・・・・・・・・!!"」

 

 

 

ソレが翡翠の君に染み渡れば

 

大太刀を掴む両手に力が入り

 

不純物まみれの刀身をへし折るに至った。

 

 

 

 

 

コチ コチ コチコチコチコチコチ・・・ッ

 

 

 

 

 

「ありがとう、ルイ」

「へ?、え?、ええ!?」

 

塁が武器を破壊されたことに狼狽えるより早く

今の今まで静観を余儀なくされていたファンビーモンから拍手が送られる。

 

「こんなにも良いモンが観れたのは

君が最高にイカれた悪役を演じてくれたお陰だヨン」

「ど、どういたしまして??

だけど、あの、さっきのは本気」

「舞台少女の本気は舞台の上での演技だろ?

レイド帝国産のデジモンとの融合は

そんな大事なことまで忘れてしまうのか?」

「え?、ぁ!、ちが!」

「違っていようが何だろうが

君の演技があの甘美な絆を引き出したのは事実

感謝してもしきれない、だから」

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!

 

 

 

 

 

〔「敵個体名ファンビーモン

 

エネルギー急激に増大中!」〕

 

 

 

 

 

「ぅ! ぁ! あ"っ

 

 

 

ああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

やっと、あたしだけをみてくれたぁ・・・!」

 

「な!?」

 

 

 

 

 

 

「キャノン、ビーモン?、完全体!?」

 

「受け取れ《スカイロケット∞(ムゲン)》」

 

 

 

その直後、称賛の言葉と共に舞い降りる銀幕の内より姿を現した大型の蜂型サイボーグが背負った巨大な武器コンテナからの一斉砲撃が開始。

 

舞台少女達の共演がもたらした『熱』が

 

 

 

この場の氷を全て溶かす!!!。

 

 

 

同時に

 

「ここならどれだけ吹雪こうが」

 

 

 

踏みにじられていた鶴姫やちよの上半身が

 

銃火舞う空中で勢い良く跳ね

 

 

 

〔「フミ!!!」

 

 

 

左腕をブラつかせながら

 

右手に握ったペルレンプファイルを文の魔神機に密着

 

 

 

「ー!」「関係ありませんよね?」

 

 

 

川蝉が振るわれるより先に引き金をひくのであった。

 

 

 

 

 

〔「先輩!!、回避!!、回避ー!!」〕

「ッ、きるわけがないでしょ!?」

〔「ジャザア?!」〕

 

一方の塁もまたこの激しい絨毯爆撃に曝され

・・・・・・・・・否、あえて受け止めていた。

何故ならコレは自分達のキラめきに胸を刺されたモンによる焦がれる気持ちの具現化。

舞台少女である以上逃れることは許されない。

 

〔「先輩!!、敵増援急速に接近中!!

ライブラリ照合、敵個体名ブテンモン

完全体!!」〕

「またかんぜんたいぃ!!?」

 

 

 

「ヒョウ義!!!《 日 輪 ノ 舞 》」

 

 

 

「ー~ー~ー~ッ」

「ヒョオオオオオオオオオオオオオ!!!」

「(なんて剣気・・・!!

でも、鶴姫さ)」

「今のワッチッチには

ヒョンシしか見えヒョらっヒョオ!!!」

「!?、なんで・・・?」

 

そんな彼女に弾幕を引き裂きながら斬りかかったのは、大柄な武将の姿をした翼持つ神人

真珠の君・鶴姫やちよのパートナーであるヒョコモンが完全体に進化した姿。

 

「どうしてふたりともわたしばっかり!?」

〔「ほんとにわからないの?」〕

「ぇ」

 

武骨な大剣を防ぐ為か

はたまた、戸惑う自分を抑える為か・・・

鉄翼の内に閉じ籠る玩具を嫉妬の魔王が諭す。

 

〔「イッイッイッイッイーッ♪

おで、きみのそういうザンコクな所もダ~イスキなんだ~♪」〕

「ざん、こく??」

〔「ああ、『今』はわからなくていい

パクっと噛みしめてやればいいんだ

きみが舞台の上で放ったキラめきは

確かに誰かの心を掴んだって事実を」〕

「・・・・・・・・・」

〔「(そして、ソレもまた成長のカタチの一つ

パートナー以外に視野を、世界を広げたからこそアレを起動させるに至った)」〕

「風、ヒョヘ剣抜け

ヒョエンのならこのまま」

「抜かせられるモンなら抜かせてみなさい

 

 

 

《メッサースパイラル!!!》」「?!」

 

 

 

すると、出資者の言葉に何かを感じ取ったのか

『脚』が蠢き、『眼』が大きく開かれた懐中時計より暗色の入り雑じった緑青色の0と1の粒子が放出。

ブテンモンの巨体を軽々と弾いた挙げ句、東洋風の甲冑を高速スピンで貫く

 

 

 

「《ツバメ二枚返しぃーー!!》」

 

 

 

寸前、翼持つ神人は鳥人侍へと姿を変えた。

 

 

 

「退化・・・!?、だけどこれしき!!」

 

「ヒョッ!」

 

 

 

しかし、塁は突然のサイズ変化にも即座に対応。

一体化しているジャザリッヒモンの解析能力でブライモンの動きを

 

「そして、ソレも読めていますよ

 

 

 

栞さん!!!」「うあぁ・・・!!」」

 

 

 

そして、褐色の羽毛の影より飛び込んできた翡翠の君の動きすらも先読み

 

白地のスカートから伸びる鉄の尻尾からレーザーを連射し次々に迫る3本の刃

 

更には、後方より大口径のレーザー砲の発射体勢に入っていたキャノンビーモンすらも正確に射抜いていく。

 

 

 

「ッ、が!」

 

「今度こそ・・・! 終わらせる!!」

 

 

 

塁の懐にまで到達した栞が得物の再生産を行おうとしたが、鉄甲に覆われた手がジャケットを繋ぐ紐を掴む方が早い。

 

掌の中で繊維がブチブチ解れていく感触を噛みしめながら一気に引きち「やっぱり

 

 

 

あなた『達』には任せられません」

 

「は・・・!?」

 

〔「不発弾?、起動?、ジャザ?

 

 

 

ジャ

 

 

 

ジャザーーー!!?メェーーデーー!!」〕

 

 

 

突如、ジャザリッヒモンによる警戒アラートが発令

 

原因は夢大路栞がレヴュー衣装の中に秘めていた

 

 

 

「でも、ボクチャンの一番はハニーだヨン」という蜜言/起爆寸前の超小型ロケット弾。

 

 

 

 

〔「

 

 

 

【嫉妬】 間に合わなかったね、ルイ」〕

 

 

 

リヴァイアモンが心底残念そうに呟いた直後

 

甘い香りと共に銀と翡翠のキラめきが爆ぜ

 

彼女との繋がりが木っ端微塵に砕かれるのであった。

 

 

 

 

 

「このレヴューはあなた『達』の勝ちよ

 

エーデル」

 

 

 

「・・・・・・・・・!!」

「不満気ね

ま、そんな格好じゃ無理もないけど」

「ぶ、ブルルウウウゥ!」

 

妹のパートナーにより焦土と化した舞台の上

夢大路文がかつての後輩達の大健闘を称えている。

しかし、肝心のやちよの方は

力無く横たわっており微動だにしない・・・もとい出来ない。

何故ならば、あの時

ペルレンプファイルの引き金をひいた瞬間

銃口の先にあった魔神機から氷の竜が飛び出し

 

 

 

銀のジャケットをもぎ取ってしまったから。

 

 

 

「フミ、あの!、コレは、その、えっと!」

「前にも言った筈よ、勝手な真似はしないで」

「ぶ!ぶるるる・・・ぅ・・・・・・」

「コイツを御せなかった以上

この舞台に立つ舞台少女としては失格

例えレヴューとしては勝っても私の負けに変わりは無い」

「(・・・・・・・・・文さん、あなたもしかして)」

「やい氷、ヒョヘ羽織返せ」

「ブルッ!

!?、シオ・・・・・・・・・ブルル」

「栞」

 

文が一方的な主張をしていると手負いのヒョコモンとファンビーモンが深傷を負って意識不明の栞を担いできた。

 

「腹部の損傷は見た目より酷く無い

爆発の瞬間に体内を君の氷が護ってくれたお陰だヨン」

「・・・・・・・・・」

「カルポスヒューレ産の薬、置いておくね」

「ありがとう」

「蜂、運ぶ手伝っヒョ」

「今行くヨン」

 

蜜蜂は最愛のパートナーを姉の足元に運んだ後

雛侍と共に未だ機能停止に陥ったままな真珠の君を退場させる。

 

「ブ、ブルルルルルうううぅ~~~!!」

「・・・・・・・・・」

 

すると、ブルコモンは一本の矢が深々と突き刺さっている魔神機を拾い上げ

そのまま全力失踪。

 

 

 

コレでこの場に残ったのは夢大路姉妹のみ。

 

 

 

「私も、塁も本気だった

 

なのに、あなたったら

 

こんな、ボロボロになってまで・・・・・・・・・」

 

 

 

薬液を浸した文の手が優しく患部を撫でる

 

 

 

「でも、そうね

 

 

 

そんなあなただからこそ

 

 

 

私は、誇りに思うわ」

 

 

 

 

 

 

その度、栞の指先は小刻みに震えるのであった。

 

 

 

 

 

コレにて闇落の章 改め 安楽の章、終了。

 

 

 

 



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Omnibus of the Revue ヨクセイ

☆抑制の章

 

舞台の各所でエーデルと演劇同好会が激闘を繰り広げる中、リュウ・メイファンと田中ゆゆ子の間にだけは静寂が広がっていた。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・ッ・・・ハ・・・ぁ・・・」

 

 

 

この場にある音は時折漏れる微かな吐息と

頬を伝う汗が荒廃した大地へと落ちた時のみ。

 

 

 

「(いやはや、本当に参りましたね~

 

こちらはもう、兜の下が汗だくだというのに

 

あちらは剣先すらも揺れていないとは)」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

それすらも、ゆゆ子のモノだけだ。

 

メイファンの方は呼吸も表情も一切乱れていない上に汗ひとつかいておらず

 

堂に入った構えで蛇矛・ルビーンヘッレバルデを掲げたまま微動だにしていない。

 

 

 

「(完全に当てが外れてしまいました

 

コレが幼少の砌より舞台に立っていたヒトと

 

そうでないモンの差・・・

 

よもや、こんな時にまで思い知らされるなん

 

て!?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「(ほ、ほんの少し複腕を降ろしただけ!

 

 

 

なのに!! 危ういと思わされたッ!?)」

 

 

 

思案に暮れるあまり生まれた隙は僅か。

 

その瞬間を狙い済ましたかのように紅玉の君から放たれるプレッシャーが膨れ上がり、完全体と一体化している己が身を飲み込み

気圧した。

 

 

 

「(く!、最早根比べでは敗けを認める他ありませんか・・・!

 

とはいえ、このまま開き直ってデジモン頼りのゴリ押しをするのはあまりにも無様)」

 

〔「ユユ!、ユユ!

 

グラウンドラモンに頼ってくれるの!?

 

だったらもう抑えるのやめて欲しいカナ!

 

コレじゃユユの敵を消せないから!」〕

 

「・・・・・・・・・ーーー!!」

 

 

 

ただでさえ動揺していたゆゆ子の脳内に『不愉快な雑音』が混じれば、兜の影に隠れた唇が真一文字に強く結ばれる。

 

 

 

「クカカ・・・」

 

「(え?)」

 

その時だ

 

「クカ♪

 

 

 

クカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカァ~♪♪♪」

 

 

 

彼女の右隣からもっと耳障りな哄笑が聞こえてきたのは。

 

 

 

「(

 

 

 

なんで今まで思いつかなかったんでしょう

 

この舞台、パートナーとなるデジモンが居なければ舞台少女は無力

 

 

 

ならば)《メガト「《疾風天翔剣》」

 

 

 

 

        ぁ?        」

 

 

 

脳裏に浮かんだ『脚本』を実行すべく体を捻った途端

懐に衝撃が走り、植え付けられた破壊衝動が霧散。

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!

 

 

 

 

 

「!? !! !?! !!!」

 

 

 

一拍遅れで宝石を研磨するような甲高い音が舞台上に鳴り響き、銀幕の残滓と白い羽が舞う。

 

 

 

「(コレは、クダモンの完全体?

 

いつ?、さっき?、いくらなんでも早すぎるッ

 

まるであのアルフォースブイドラモンの・・・

 

!、いけない!!)」

 

「グガガガ!」

 

 

 

冷えた頭を少し下げれば、魔神機の文字盤に中国神話に現れる伝説上の聖獣に似た姿をしたデジモンの角が刺さっているのが見える

 

・・・が、ゆゆ子がもっと危惧しているのは

 

 

 

「やはり、あなたは最高ですクダモン

 

 

 

いえ!!!!! チィリンモン!!!!!」

 

 

 

「(来る!!)」

 

 

 

この大山鳴動。

 

 

 

極限にまで抑えていたモノが解き放たれ

 

まるで火山が噴火したかのような勢いで深紅と銀のキラめきとソウルを熱く迸らせながら

 

ルビーンヘッレバルデを構えたリュウ・メイファンが突っ込んできた。

 

 

 

「離「《改心の波動》」ッ!?」

 

「やあああああああああああああ!!!!!」

 

「ぁ・・・・・・・・・」

 

 

 

独特の曲線を描く刃が到達するより先に

 

ゆゆ子はチィリンモンを引き離そうとしたが

 

聖なる翼から放たれる破邪のオーラにより

 

今の彼女の力の源・・・魔王の呪縛が弱まる。

 

つまりは

 

 

 

「ユユに何をするのカナ?」「「!?」」

 

 

 

魔神機に封じられていた凶暴な地竜・グラウンドラモンへの枷が失われたということ。

 

「まに」

 

 

 

「《ギガクラック》」

 

 

 

「あええええええええええ!!!!!!」

 

 

 

輝きの無い空に浮かんでいた緑色の巨体が

 

紅玉の君とそのパートナーデジモンごと荒れ果てた大地へと落下すれば

 

 

 

抑制改め翼聖の章は真っ二つに裂け

 

 

 

続行不能となるのであった。

 

 

 

 

 

 



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Omnibus of the Revue エイコウ

☆輝きの無い世界・大穴の縁南部








ふぁ   さ



ー~ー~ー~ー~ー~ッ



メイファン!!!、さ!!!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



よかっ、た      いき、してる」



底が見えぬ程に深い亀裂の内壁に
苦無を突き立てて這い上がらんとするのは
凛明館演劇同好会部員・田中ゆゆ子。
彼女の背中にはリュウ・メイファンが
頭の上にはクダモンが
意識が無いのかグッタリとした状態で収まっていた。

「はぁっ、はぁっ、まさに間一」





ギチッ ギ ギ ギ ギギィー・・・・・・・・・! 





「つう!?!」

真っ黒になった細い指先が崖の縁にまで到達すれば、土で汚れた小豆色の和風衣装の上で
不気味な悲鳴が上がり、火花が踊る。
発生源は・・・



もう一本の凛明亭遊眠に貫かれた魔神機。



グラウンドラモンの《ギガクラック》が完全に決まる寸前、ゆゆ子が自刃したのだ。
でなければ、メイファン達のダメージはこんなモノでは済んでいない。

しかし





ギギギギギギギギギィイイイイイイ!!!




「!?、か・・・!、あ!!」



そんな彼女の事情等、七大魔王からの贈り物にとっては知ったことではない

だから、自己修復機能を勝手に発動させ

持ち主から生命エネルギーを奪っていく。



「そ、んな!

(あと少し なのに! 『また』!?)」



縁にかけた指から力が抜けていく最中
ゆゆ子の脳裏を過るのはあの獄炎のレヴュー
己が無力を心の底から嘆いた忌まわしい記憶。

「(結局、私は、あの時となにも



       「ゆっこお!!!」



                るい?」



「の、ぼって!! はやくッ!!」「!!」




この絶望に飛び入りするや否や
塁は崖から身を乗りだして友を掴んだ。
すると、虚脱感に苛まれていたゆゆ子の体に力が戻る。



そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「「はっ! はっ! はっ! はぁ!!」」



無事、メイファン達共々引き上げに成功。
ふたり並んで荒れ果てた大地の上にへたり込むと激しく呼吸を繰り返すのであった。

「あ、ありがとうございま
!!?」
「ゆっこ、私『今度』は間に合った?」
「は、い
だけど、るい、ソレ・・・」
「大丈夫、その内治るから」
「ーーーーーッ
メイファンさんに負けず劣らず
しおりんもキラめいたようですね」
「すごかったのは彼女だけじゃない
ヒョコモンも、それにファンビーモンも・・・」



〔「舞台少女の本気は舞台の上での演技だろ?」〕



「(あんなこと言って、私を褒めてたのに
本当は栞さんのことだけを一途に想ってた)
あの子の方が私よりよっぽど役者だった
舞台少女じゃないのに、デジモンなのに
舞台、してたんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

暫しの時間を経てお互いに息は整った
しかし、心の整理はまだつかないらしい。
塁は盛大に焼け焦げた衣装に手をやりながら俯いており、ゆゆ子は友の痛ましい姿を目の当たりにして何も言えない様子。



「うわあああーーーーーーん!!!

ミ チ ル ちゃああああああああ!!!」

「ヒンーーーっ!!!ヒンーーーっ!!!」




「!?」
「い、いちえさん??」

すると、落ち込んでいたふたりの元に
何とも騒がしい一団が近づいてきて・・・。

「あ、ははっ、ふたりともごめんねー・・・
ミチルいまみみきこえなくて・・・
なにいってるかわかんない・・・」
「「うわあああーーーーーーん!!!」」
「だ!、けど・・・
できればしずかにしてほしい、な・・・?
ろっこつ、いた・・・ぃ・・・・・・・・・」
「「(もっと重傷なヒト居たぁ!?)」」

その正体は和風衣装にしがみつきながら泣き喚き散らすワームモンと
同レベルに声を張り上げ涙を流す音無いちえ。

「ひっぐ!、ぅぅ!
るい"~~!!!、ゆ"っこぉ~~!!!
ミ"チ"ル"ちゃんがああ"あ~~!!!」
「な、なにがあったかはとんと存じませんが・・・!」
「兎に角落ち着いて下さい先輩!!
ワームモンも!!
鳳さん痛がってますから!!」
「「あ"あ"あ"ぁ~~~!!!」」
「         」
「鳳さん?、鳳さん!!?」
「顔色までもが蒼玉になってますよ!!?」

彼女におぶさる鳳ミチルは
普段は一部の隙も無く着こなしている白い制服を乱し、汚し、破いており・・・
裂け目からは0と1の粒子をポタポタと溢している。

「(まるで爆発に巻き込まれたかのよう
・・・・・・・・・いえ、恐らくきっとそうなんでしょう
大方、私同様にレヴューの最後の最後で)
!!」
「ゆっこまでなに!?」
「アイツ!!!、どこへ!!?」
「あなたのパートナーならあそこで凍ってるけど・・・」
「は?、え!?、あ!!」
「本当に気づいてなかったんだ・・・」

喧騒の最中、突如目の色を変えて辺りを見渡すゆゆ子に塁が若干引き気味で指を差せば
そこにはターコイズグリーンの鱗を持つ竜が氷漬けにされていた。

「アイツの足元に落ちているのは文さんの?」
「だと思う」
「・・・・・・・・・ということは」
「うん」
「「・・・・・・・・・」」
「(ゆゆ子ちゃん、塁ちゃん
落ち込んでる所申し訳ないんだけどさ)」
「うわあああ~~~ん!!!」
「おししょーしゃまーーーっ!!!」
「(そろそろ代わってくれないかなー?
あ、まずッ・・・いしき・・・・・・・・・)」





リリリリリリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・!





「ぁ」

「「「「ん?」」」」




「お姉ちゃんコレって!」

「・・・・・・・・・」





ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!





「開幕のベルが鳴ってるヨン」

「鶴」

「はぁーっ、拗ねてる暇もありませんねー」





ジリ「あきらさん!!!!!」「「「「うわぁ!?」」」リリリ!!?







☆輝きの無い世界・大穴中央部

 

 

 

 

 

ジ! ジャリッ

 

ジリリリリリリリリリ・・・・・・・・・・・・!!!

 

 

 

 

 

「(この音「役作りが甘いな」は!?」

 

 

 

絶え間無く迫る鉤爪がついた魔の手の群れ。

 

ソレに向けてランスを振るう度

 

腐食していた穂先とぶつかり

 

 

 

「こんなモノか?

 

貴様が演じる七大魔王の遣いとやらは」

 

 

 

【色欲】に犯された上部が削ぎ落とされ

 

より鋭利、より目映い

 

王者のキラめきへと再生産された。

 

 

 

「其方の底は知れた

 

ならば、これより先は」「王の舞台となります

 

 

 

御無礼」「!!?」

 

 

 

直後、舞台が暗転

一寸先も見えぬ程に濃い闇夜が両者を包む。

 

「聖翔やフロンティアの攻撃を防いでいたのはその『囲い』か?、貴様らしい能力だな」

「くっ!」

 

その中で光を放っているのは

尊大な立ち振舞いで相手を見定める白金の君と

肩と腕に装着された盾より発生される電気のバリア。

突如発生した闇夜により、見えない壁のカラクリを暴かれた珠緒は薄ぼんやりとした電光に照らされた口元を固く結び

 

「よもや、こんな方法で此方の種を割るとはッ

 

 

 

ですが、闇はマモノのナワバリですよ?」

 

消灯。

 

 

 

己をすっぽり覆っていたバリアを喪失させると

闇夜に紛れ、音も無く晶の元へと忍び寄る。

 

 

 

「その通りですね、珠緒様」

 

「!、!?、!! (動けない!!?)」

 

しかし

 

「ですが

 

この場のマモノは貴女だけではありません」

 

 

 

鉤爪を突き出す寸前、盾越しに両肩を鷲掴みにされてしまった。

 

「まさか、貴方は・・・!」

「嗚呼、それからひとつ付け加えさせて下さい

闇は潜むだけでなく」

 

最も、相手は鷲ではなくて八咫烏・・・ファルコモンの完全体・ヤタガラモン

その漆黒の翼から発する黒い光《羽黒》にてこの一帯を闇夜に変えた張本鳥。

 

「光を

 

 

 

王の威光を引き立てる!!!」「!"!?」

 

 

 

動きを封じられた珠緒の眼前で

苛烈なる白金のキラめきとソウルが放たれる。

 

 

 

「が・・・・・・!!」

 

「はああああああああああああ!!!」

 

 

 

暗闇に慣れた目を容赦無く焼かれ

悶えるマモノの胸元にプラティーンランツェが

 

 

 

「足りない」「!?」「な・・・!」

 

 

 

届かない。

 

珠緒は白金の穂先を超小型バリアで防ぐと

 

兜の頂点に至極色のキラめきとソウルをチャージして・・・

 

 

 

「あの日、あの『迷宮』で、あの絶望で見た

 

 

 

あの輝きはこんなモンじゃなかった!!!」

 

《ライトニングバスター》発射!!!。

 

 

 

「~"ー~ー~ーッ」

 

「ヤタガ「あなたも見たでしょう?」!?」

 

「白金の君、シークフェルト音楽学院生徒会長

 

雪代晶さん」

 

「く!」

 

「お・・・!、王!!、今いきます!!」

 

 

 

「光が強ければ影も濃くなる」

「ゲーテの言葉ね」

「うん」

 

雷光と共にバケモノは闇夜を引き裂き

盾から伸びる鉤爪に少女を捕らえ、輝きの無い空を上がっていく。

 

「ぶ、え!、ぇ・・・・・・・・・」

「炎の!、お前いい加減にしろ!

最速殿はおいもさんじゃないんだから!

低温でじっくり熱入れたってデンプン質は変化しない!!!」

『『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』

 

大穴を越えて届けられた悲痛な叫びを耳にし

何が彼女をあそこまで駆り立てているのかを知った聖翔とフロンティアの面々が視線を件のデジモンに集中させるも・・・当の『光』は今それ所じゃない。

 

「なぁ、香子」

「うちには関係無い話どす」

「いや、でも」

「それに」

「それに?」

「あの子があそこまで自分を追い込んではるんは多分ブイはんに助けられただけが理由やないと思うんよ」

「え」

 

 

 

「ここから何が見えますか?

 

 

 

何も見えませんよね?」「ーーーーーー!」

 

 

 

観客達が仰ぎ見る遥か上空にて

 

珠緒は異形の膂力を振るい、晶に頭を垂れさせ

 

どこまでも続く凄惨たる光景を見せつけた。

 

 

 

「もうここには何も無いんですよ

 

フロンティアも聖翔もシークフェルトも

 

 

 

ッ、私達の凛明館も・・・!!、ぜんぶ!!

 

 

 

わたしが   いじなんてはったから」

 

 

 

「珠緒、様?」

 

 

 

ヤタガラモンが今だ痺れが取れない翼をはためかせていると、雨雲ひとつ無い空より温かな雫が落ちてきて・・・。

 

 

 

「きづいてたのに!!

 

アルフォースブイドラモンが花柳さんのパートナーだって!!

 

なのに、なのに私

 

わたしソレをいえなくてッ

 

 

 

だから、だから・・・! こんなことに!!」

 

 

 

「たまおちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

悲劇を嘆く叫びに地上の華恋は目元を潤ませ

 

 

 

         「なるよ」

 

 

 

「ぇ」「あるる、殿?」

 

 

 

 

「(あの時珠緒ちゃんが話していたとしても

 

 

 

あの子「おーっとぉー!」あぷ!?!」

 

 

 

「「ぴ!」」

 

あるるの顔面は陥没!?。

 

「舞台の最中に余所見は禁物だぜ?」

「ぷは!

よ、余所見なんて私してない!」

「いーや!、してた!」

「してないもん!!!」

「しーてーたーーー!!!」

「しーてーなーいーーー!!!」

「「むぅううううーーーーーー!!!」」

「ふ、ふたりともそんな騒いだら周りの迷惑だから・・・!」

〔デモ、ミソラモアルルノ方ヲ〕

「わー!!!、わー!!!」

「あるるちゃん、シャウトモン、美空ちゃん

静かに」

「「「ひっ!?、ひゃい!!」」」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

舞台少女の熱演には距離も鼓膜も関係無い。

故に、制服姿の少女の元にも届く。

同じ痛みを抱え、同じ相手に吐き出した彼女に。

 

「(まるで、あの時の再演)

 

だけど、今は」

 

 

 

「ワ   タ   シ   が   い  

 

 る   ぅ   !   !   !」

 

 

 

『『!?!』』「あははっ♪」

 

突然、ミチルを含めた観客達と

演者との間に割り込んできたのは天涯の翼。

 

「ケキキキキキキィ★、マッカーサー★

『前』のでしゃばりを『今』の自分

舞台少女のパートナーに生かすとは・・・!」

 

オーバーライトを用いて無理矢理王の元へと馳せ参じた臣下の姿に裏方は悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「《甕布都神(ミカフツノカミ)!!!》」

〔「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」〕

「シィィィィィイイィィィ!!!」

 

一方、舞台上の主演は究極体からの攻撃すらも耐え切る程に強固な電気のバリアを展開、迫るふたつの鉤爪を防げば

 

 

 

内側で鉤爪の破片が舞う。

 

 

 

「え?」

 

「無駄ではない そして 何も無い筈がない

 

 

 

私が立つ場所が」「王の舞台なのですから

 

 

 

直後、『3』本目の脚がバリアを粉砕。

 

 

 

「待「貴様がこの絶望の底で

 

悲劇のヒロインを演じたいのならば」

 

「どうぞ御自由に」!?」

 

「その間にも、王は上へと往きます

 

ワタシがこの翼で連れて往きます・・・!!」

 

「ふっ!、お前も随分と言う様になったな」

 

「何せ、厄介なモンに観られていますので」

 

 

 

そのままヤタガラモンは自力で拘束を解いた晶を乗せて更に上へと飛んでいく。

未だ衝撃から立ち直れない珠緒を置き去りにして。

 

「ロード・デヴァイサーはアキラサンのモンを中心にネットワークが形成されている、が!

エネルギーの相互関係がエーデルだけじゃなくてパートナーデジモンのモンにまで影響しているとは・・・!

やっぱトーチャンスッゴーい!★!」

〔「え、ワシ、知らんけど」〕

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

名付けてオーバーライトリンク!!★!!

 

 

 

古代種の荒ぶる感情がパートナーの身体能力を格段とパワーアップさせるんだゾ★」

〔「アイツ勝手に名付けてっぞ!?」〕

〔「後で《ウィニングナックル》な」〕

「イヤーン★、ガオチンキッビシー★

さて、貴女はどうで・・・ソーキマシタカー」

 

 

 

「私が演じているのは

 

只の悲劇のヒロインではありません・・・!」

 

「「ほぅ?」」

 

 

 

「あれは!!」

「ヒー?」

「あのバリアの使い方

デッカードラモンの、最期の出番と同じ」

『・・・・・・・・・ッ』

「はっ!、当てつけてくれるわー」

 

直後、広範囲のバリアが1人と1体に並ぶ様に発生。

地上で聖翔の舞台少女と彼女らのパートナーデジモン達が苦渋の表情を浮かべるのを余所に

巴珠緒は進化により失われた筈の優れた俊足を

体で覚えた感覚と飛行能力で再現し、電気の上を駆け上がる

 

 

 

「ならば なんだ? お前の役は!?」

 

上がる

 

「絶望の底から舞い上がり・・・!」

 

上がる

 

「主役をも食う! 悪女!」

 

上がる

 

 

 

上がる!上がる!上がる!上がる!!上がる!!

 

 

 

八咫烏に騎乗せし王の槍と

    己が盾をぶつけ合いながら!!!。

 

 

 

「ホッホウ!、随分と【傲慢】な ッ!?」

 

 

 

「ソレが私の罪」

 

 

 

「お、おい!!

アレ七大魔王最強のルーチェモンの必殺技《グランドクロス》ジャン!!」

「Quoi!?」

「そのような技までも彼女は演じられる、と?」

「うひょひょひょひょお~~~~い♪♪♪」

「よ・ろ・こ・ぶ・なぁあーーーーーー!!!」

 

 

 

その最中、魔神機の文字盤には紋章が浮かび

 

頭上では10個の超熱光球が惑星直列の様に十字を描く。

 

 

 

「ヤタガラモン!!!」

 

「はっ!!」

 

 

 

「《グランドクロス!》」「「《甕布都神(ミカフツノカミ)!!!》」」

 

 

 

「「「真っ向勝負!!?」」」

「へへっ!、さっすがは俺のライバル!」

 

全身から白金の0と1を迸らせた晶とヤタガラモンが、最強魔王の必殺技へ自ら飛び込む様にフロンティアの2年生トリオが絶叫を上げ、シャウトモンはニヤリと笑った

 

 

 

が、しかし

 

 

 

『『え?』』     「「な・・・!」」

 

 

 

その表情は一瞬にしてカワル

 

他の観客達も、演者も、裏方もみんな。

 

何故ならば、巴珠緒の《グランドクロス》が

 

呆気なく消滅してしまったから・・・。

 

「まぼ、ろし? 偽り? いや、違うアレは

 

 

 

【虚飾】!!? まさか、彼女の真の罪は」

 

 

 

〔「彼女だけじゃないよ、舞台少女という存在は誰もがその罪を背負って生きているんだ

 

クスッ!、面白いだろ?」〕

 

 

 

「・・・・・・・・・自分の技を前座に使われたというのに随分とご機嫌ではないか?」

〔「そっちこそ、口調が前世帰りしてるけどいいの?」〕

「チッ!!」

 

脳内に直接届く軽口をスルーし、マタドゥルモンがディスプレイを隈無くチェックすれば珠緒の衣装にある変化が起きていた。

 

「思わず全力で突っ込んでしまう程に

 

 

 

名演技、だったでしょう? 雪代さん」

 

 

 

兜が消え、露になった顔は勝ち誇っており

たおやかな指先は咲散花の柄にかかっている。

 

「巴!!、貴様ぁー!!!」

「く・・・!」

 

晶の叫び声を耳にしながら、ヤタガラモンは急速旋回。

大分離れてしまった珠緒との距離を再び縮めるべく、大きく翼をはためかせた。

 

 

 

 

 

     バ チ ィ ン ! ! !

 

 

 

 

 

『ぅわあああああああーーーーー!!??』

 

直後、凄まじい稲妻が大気全体へと行き渡り

 

王と臣下の行く手を阻む。

 

「ふーーーん

 

 

 

ひゃかひゃかひゃるひゃひゃいいいいいっ」

 

 

 

「ひゃか!!ひゅひゃっへほお!!!」

「フレイモン!!フレイモン!!?

盾になってくれるのは嬉しいけど!!

おもいデスぅうううううううーーー!!!」

「                」

 

そのエネルギーは地上にまで伝わり

地上の観客達にさえ襲いかかる程に狂暴、凶悪。

 

 

 

「あの構えは、居合い!?」

 

「珠緒も新技出す気なんだ!!」

 

「せんぱぁああああああああああああああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

同好会の面々が固唾を飲んで見守る中で

 

虚空に浮かぶ部長が抜刀の動きに入れば

 

手にしたキラめきにライジルドモンの頭部を模した鍔が追加され

 

高出力の電撃が白鞘の内に集束

 

 

 

「《ライトニングバスター・一閃・・・!》」

 

 

 

稲妻の斬撃が居合いの要領で放たれ

 

電流の網に囚われた八咫烏に直撃

 

 

 

空中で至極色の0と1が爆煙のように広がった。

 

 

 

『『あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・』』

 

 

 

その中から力なく落ちていくのは

 

小さな鳥型デジモンと黒焦げになったランス

 

 

 

「「「「「まだ

 

 

 

まだよ

 

 

 

まだ晶は終わってないわ!、珠緒ぉ!!!」

 

 

 

「!?」

 

 

 

だけ。

 

 

 

「ゴホッ!! 御無礼・・・!!」

 

 

 

エーデルが確信していた通り

 

雪代晶は衣装を所々焦げつかせながらも健在。

 

《ライトニングバスター・一閃》が直撃する瞬間

 

臣下を名乗るパートナーデジモンはプラティーンランツェを避雷針にし、それでも逃がしきれない電撃は己が身で受け止め

 

 

 

そして

 

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

「!?」

 

 

 

王を勝利への道まで飛ばしたのだ。

 

 

 

「(雪代さんもまだ武器を出せない・・・?

だけど、あの気迫間違いなく何かがあるッ)」

 

ボロボロな銀のジャケットを翻し、勇壮に宙を舞う白金の君が迫る中で盾のバケモノが取った選択は最大の防御

すなわち、圧倒的な攻撃。

 

「このレヴュー「勝つのは

 

 

 

        私だぁ!!!」」

 

 

 

互いに我欲を剥き出し【傲慢】をぶつけ合えば

 

 

 

両者の間で星々が十字を描き 穿たれる。

 

 

 

「ぇ」

 

 

 

「同じ展開が何度も通じると思うなよ」

 

 

 

珠緒が再現した実体のある《グランドクロス》

 

その支点たる中央の星を射抜いたのは

 

晶が投擲した独鈷杵・・・《甕布都神(ミカフツノカミ)》。

 

臣下が文字通り身を削って残した献身が

 

かの七大魔王の必殺技を発生前に潰し、突き抜け

 

 

 

バケモノが構えた両手の盾をも0と1の状態にまで分解するのであった。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッッッ!!!」

 

 

 

〔「ちょっと、ルーチェモン」〕

 

〔「ふふふっ!、ごめんね珠緒

 

だって、今の彼女には」〕

 

 

 

驚愕に見開かれた巴珠緒の瞳に映るのは・・・

 

 

 

「(古代種というのは誇り高い種族

 

それでも尚、お前が私を『王』と呼ぶのなら)

 

        わたしを」

 

 

 

〔「この演出こそが相応しい!

 

僕にそう思わせてしまったんだから!」〕

 

 

 

《グランドクロス》の残骸が無数の白い羽と化し

 

 

 

「導け!!! ポジション・ゼロへ!!!」

 

 

 

雪代晶の背に集い、彼女の翼となる光景。

 

 

 

『『銀の、翼・・・・・・・・・?』』

 

「あの輝き

 

古き時代のデジタルワールドを制した聖鳥

 

ヴァロドゥルモンと同じ!?」

 

 

 

ソレは白金のキラめきとソウルを受け

 

銀の輝きを放ちながら王を運ぶ、光の速さで。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

ギィイイイイイイイイイイイイ!!!!!!

 

 

 

 

 

「う!!」

 

白く染まっていた視界が色を取り戻せば、突き出した独鈷杵は魔神機を粉砕しており

断末魔の叫びが晶の耳をつんざく。

 

「ーーーーーーッ

(呆けている場合か『雪代晶』!?

この程度のことで、このレヴュー

終わらせることなど・・・

『白金の君』としてあってはならない!)」

 

一瞬、大音量の怨嗟に体が固まりかけるも

彼女はすぐさま自分で自分を奮いたたせ

手の中で消滅寸前の独鈷杵を横へと滑らせた。

狙うは肩当ての紐、目指すは完全勝利。

 

 

 

「このまま「繝、だ」は・・・?」

 

 

 

その時だった

 

 

 

「繝、だやだ繝、だやだ繝、だいやだ繝、だ!!!

 

繧ウ繧ウで負けたら繝ッ繧ソ繧キなんの為に

 

みんなを蟾サ縺崎セシ繧薙□の?」

 

 

 

珠緒の全身に赤黒い傷痕が浮かんだのは。

 

 

 

「珠緒ッッ!!?」

 

「アレは壊したのになんでまだ!!?」

 

この光景に姉妹は悲鳴を上げ

 

 

 

「ウィルス種?   魔人、型??」

 

 

 

宰相はロード・デヴァイサーを通じて送られた情報を飲み込めないのか譫言を呟くばかり。

 

「双葉ちゃん!!!」

「ああ!!、巴の奴外しやがった!!」

「外したってなにぃ!!?」

「「ニンゲンとデジモンを隔てる壁」」

「ふえ?」

「ッ、飛竜め!!

アイツは余計なことしかしないのか!?」

 

 

 

〔「ほら、ルーチェモンが贔屓なんてするから

珠緒が人の道を外しちゃったじゃない」〕

〔「いーけまけんなぁ♪、いっけまけんなぁー♪」〕

〔「え~?、コレって僕のせい?

まあ、ここは寛大な心でそういうことにしておいてあげるよ、ゴメンネゴメンネ~!!」〕

〔「ぬふははははははははははははは!!!

い、良い煽りだッ、ムカつく!!!」〕

〔「というか、俺らと契約した時点で

人の道も何もあったもんじゃないだろ?」〕

〔「そだね~~~」〕

 

 

 

「く・・・あぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

 

 

 

観客席が混沌の坩堝にはまっているが、演者も大概な状況だ。

何せ、今の珠緒は

 

 

 

爪が鋭く伸び 開いた口からは牙が見える

 

 

 

が、もう飛べない。

 

 

 

故に、空中で彼女に組伏せられた晶は共に大穴・・・奈落へ。

 

「ッ、珠緒先〔「駄目だよルイ」〕い"?!」

〔「二人も、今は手を出す場面じゃない」〕

「「ぐ!!」」

〔「(フミは、大丈夫そう・・・いや違うな

『頭』を信じているのはあの子だけじゃない

だから、君達も)

ちゃんと観るんだ巴珠緒が雪代晶と演じる

 

 

 

命がけの大舞台を」〕「「「!」」」

 

 

 

思わず飛び入りしそうになった玩具らの足を魔王が地面に縫い付けたのはほんの数秒。

だが、それで十分だ

焦りに曇った眼を舞台に向けさせるには。

 

 

 

 

 

「ああああ繧ヲ繝ッ繧「ああ"あ繧「繧「ああああああ!!!!!「おおおおおおおおおおおおおおおーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

落ちていく

 

互いの衣装に備わる紐を

 

     鋭利な爪/独鈷杵に引っ掻けたまま

 

落ちていく

 

 

 

魔王の玩具/白金の君を最後まで演じる為に。

 

 

 

 

 

 

        ブ チ ッ ! !

 

 

 

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

鈍い音と共に各々の象徴が天を舞ったのは

 

 

 

完全に同時

 

 

 

コレにて影光の章 改め 栄光の章は終了。

 

 

 

しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「あ

 

 

 

アキラァアアアアアア"アアアアーーーーー"ーーーー!!!!!!"!"!"」

 

 

 

「あの子ッ、ほんま!! もう・・・!!」

 

 

 

『『!!!』』

 

 

 

レヴューが終わると晶も珠緒も限界を迎えたのか気を失ってしまい、ふたつの身体は大穴の中に消えた

 

 

 

次の瞬間『土』が轟音と共に隆起する!?。

 

 

 

『『え』』

「「ウィザー、モン・・・?」」

 

呆然と呟くあるるとシャウトモン並びに観客達の目の前に広がるのは、大穴の内よりクモ巣状に盛り上がる大地。

その一部に引っ掛かっているのは勿論

 

 

 

傷つき 迷い 悩み抜いた挙げ句に

 

ハートとハートでぶつかり合った主演達だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにはぁともあれぇさておいてぇ・・・

 

めでたしめでたし!、ですなぁ!」

 

 

とある高層ビル

 

 

その社長室に投影された舞台で

 

 

爆発する歓声を福耳でとらえながら

 

 

部屋の主たる老人はほくそ笑む

 

 

「めでたし?、何を言っている?

 

あんなモノはタダの空騒ぎだろう?」

 

「だ~よね~・・・ぐぅう~~~・・・・・・・・・」

 

 

フードで顔を隠す大柄な男は正論で煽り

 

コアラは寝言で同意を示す

 

 

「確かに、今回のレヴューがどう転んだって

 

『黒の逢魔』には何の影響も無い

 

だけど、『針』は確かに進んでる、うごいてる

 

イッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッイッ♪」

 

 

カラフルなワニは推しの泣き顔からしか得られない栄養素をゆっくりじっくり咀嚼している

 

 

「ああ、どいつもこいつも旨そうにこえたな

 

ジュルリ ゴクッ」

 

「ほんと、おいしそう・・・フフフッ!」

 

 

フルフェイスの下ではヨダレが止まらず

 

黒髪の美女は紅潮した頬を両手で押さえている

 

そして、首魁たる美少年は・・・・・・・・・

 

 

 

〔「友よ

 

 

 

デュナスモンよ

 

 

 

奴等を救った意図を今此処で問おう」〕

 

〔「直接この手を下さねば私の気が済まない

 

それだけの話だ、友よ

 

 

 

ロードナイトモンよ」〕

 

 

 

 

「く・・・

 

くっくっくっ!

 

あはっ

 

 

       は!

 

は! は!

 

はははは

はははははははは!!!ははははははははははははははは!

 

 

         ははははははは!!!!」

 

 

天使のような貌を

 

 

       悪魔のように歪めるのであった

 

 

 

 

 




週間更新はこれにて終了
再開は6月頃を予定しています。


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