ケモ美少女になりたいやつ (変態の編隊)
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やんなやつの転生?

 私の人生に置いて、その日はとても重要な日になった。

 

 その日は、暖かな春の訪れと共に訪れた。

 私はいつものように実家の和室に、アザラシの様に横たわっていた。

 

 私はその日、暇を持て余していたのだ。

 

 近年稀に見る程暇な状態だった私は、

 暇を潰そうにも、暇を潰すのがめんどくさいと、思ってすらいた。

 

 コレは危険だ。

 過激な論調にはなってしまうが、暇という物は人を殺す、と私は考えていた。

 

 その日からの私の持論だ。

 

 暇というだけで私は賢い人、ホモ・サピエンスである事を忘れ、セイウチのように横たわり、怠惰を貪る。

 この姿を、勤勉で、知的で、人語を解するチンパンジー(いるかは知らない)が見たら、この猿ゥ!と罵り、霊長類として恥ずかしく無いのか!と弾糾し、憤りを露わにするだろう。

 

 それほどの痴態を晒している自信がある。

 これも全て暇のせいなのである。

 

 ん?

 喩えが、わかりにくい?

 

 ワカレ。

 

 どうだろう?

 言っただろう、暇が人を殺すと、

 あながち間違いでも無い気がしてこないか?

 

 

 そこで、そこまで暇な私は突如、普段絶対に口にしないであろう妄言を、近所迷惑を考えず叫ぶのだ。

 

 コレは失敗だった。

 コレのせいで私の人生は滅茶苦茶になったと言えるだろう。やはり暇は恐ろしい。

 

 …なんて叫んだかって?

 

 言わせんな、

 恥ずかしい…

 

 えっ?

 

 そう言うのいいからさっさと言え?

 しょうがないなぁ、一回だけさ、

 

 『ケモ美少女になりたい!』そう叫んだのさ。

 

 『ケモ美少女になりたい!』そう叫んだのさ。

 

 なんで2回も言ったかって?

 大事な事だからに決まっているだろう?

 

 馬鹿なのか?

 死ぬのか?

 

 ん?

 

 一回だけさ、と言っただろう?

 

 なんのことかな?

 

 

 いやはや、暇は恐ろしい。

 一応言っておくが私は全て暇のせいにすれば、自分の汚名を雪げるとは思っていないよ?

 

 

 思ってないんだからね!

 勘違いしないでよね!

 

 まあ、

 

 つまるところ…

 

 私は、今や、ケモ耳尻尾付き美幼女なのだ。

 

 微妙に要望とは違うが、

 アザラシからの大躍進である。

 

 そして、

 現在地は、鬱蒼とした森の中。

 サバイバル知識など微塵も持ち合わせていない私は、絶体絶命。

 

 ついでに、裸だ。

 なぜか靴下は、履いている。

 

 なぜだろうなあー()

 

 犯人は変態ハッキリわかんだね。

 

 とりあえず、我々探検隊は真っ直ぐ進むことにした。

 植物が、全て丸々、見た事がない事に目を瞑りながら。

 

 進めば進む内に、ここは地球ではない。

 そんな考えが、滑稽無茶な考えが、現実味を帯びてきた。

 

 誠に遺憾である。

 

 ケモ耳尻尾付き美幼女の姿で、現代日本で暮らすことは、容易では無いと思うが、何も知らない土地に放り込まれるよりは、遥かにマシなのだ。

 

 つまり、私は悪い方のくじを引いたわけだ。

 つくづく運がない。

 

 不幸中の幸い、靴下を履いているので、足の裏が切り傷でぐちょぐちょになり、破傷風で死ぬ事はない(ワクチンを受けていたがこの状況では効果は無いものと考えた方がいいだろう)

 そして、この靴下は妙に頑丈だ。

 

 進むところまで、進んだのであろう。

 

 森の終わりが見え、小屋が見えた。

 歩き疲れていた私は、喜び勇み。

 疲労困憊した、ケモ耳尻尾付き美幼女の体に鞭打ち(グヘヘ)小屋に駆け寄った。

 

 この小屋は、狩猟小屋だった。

 コレまた見た事の無い動物達の毛皮、干してある肉、水瓶に入った、飲めそうな水。

 

 犯罪を犯しそうになるほど、魅力的な品々だ(衣食住への欲求)しかし、私は日本人。

 世界的に善良かつ道徳的な民族なのだ!

 

 盗むなんて事はしない!

 

 しないのだ!

 

 私は、借りた毛皮を体に纏い、裸族から脱した。

 借りた水で喉を潤し。

 借りた干し肉を、探して見つけて借りたパンと一緒に胃袋へと詰め込んだ。

 至福である。

 

 突然、眠くなってきた…

 このケモ耳尻尾付き美幼女の体は、食べると眠くなる幼女ほでぇーらしい。

 

 油断していた。

 森の中をスイスイと行くものだから、よくあるチートボディーと誤認していたようだ。

 私は、せめて地べたで眠らぬように、薄れゆく意識の中毛皮の山に飛び込んだ。

 

 ふかふかもふもふだ(幼女並感)

 

 私の意識はそこで刈り取られた。

 毛皮は、ケモ耳尻尾付き美幼女の意識を刈り取る形をしていたようだ。

 

 斯くして、私の人生において重要な日が、終わりを告げた。

 

 

 起きたらそこは、知らない天井だった。

 

 ん?

 

 何かおかしいな?

 

 訂正する。

 

 起きたらそこは、知らない場所だった。

 

「知らない天井だ…」

 

 形式美である。

 私は、コレが言いたかった。

 

 時間の感覚が掴めない。

 私はどれほど寝ていたのだろう。

 

 とりあえず、親切な人に拾われた事は分かった。

 

 ベットはふかふか。

 

 清潔な服に変えられ、目の前には、知らん言語で話しかけてくる若い男女、三人いる。

 

 男女比は、男男女。

 パツキンのチャンネーと茶髪の男に金髪で尖った耳の男、どの声音もこちらを心配している。

 感じがする。

 

「助けてくれてありがとナス!」

 

 困惑の表情を浮かべながら笑いかける男女、やはり言葉通じない様子だった。

 だが、感謝は伝わったようだ。

 三人とも人の良さそうな笑みを浮かべながら、話しかけてきた。

 

 私はブチギレた。

 

 「何語じゃボケェェ!?日ノ本言葉しゃべらんかぁいッ!喋れんなら死ね!」

 

 困惑の色を一層強くした顔色に、笑みを送りながら一瞬前に怒鳴りつけた親切な男男女に感謝しながら寝た。

 

 

 

『情緒どうなっての…』

 

 

 

 茶髪のDQNが何か喋ったが気にしない。

 だって私は、ケモ耳尻尾付き美幼女(裸ニーソ毛皮を羽織るオプション付き)なのだから!

 



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