ご注文はその後の物語ですか? (影山明)
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向かう姉と迎える妹

━━━あれから10年の月日が流れた

 

 

15歳だった私も25歳の大人になった

 

 

高校卒業と同時に木組みの街を飛び出して都会に出てそのまま就職した

 

 

免許も取って車も買った、家だけはアパートだけど

 

 

 

しばらくは仕事仕事で思い出すことはなかったけどある時ふと思い出した

 

 

 

私の大事な人の名前を

 

 

思い出したら何だか会いたくなって半ば強引に休暇を取って木組みの街へ

 

 

 

急に来てなんて言われるかな………

 

 

怒られちゃうかな……

 

 

それとも……笑ってくれるかな

 

 

 

楽しみすぎてアクセルを踏む足につい力が入る

 

 

 

待っててね……今会いに行くから

 

 

 

 

━━━彼女は突然出て行った

 

 

高校を卒業してすぐに都会へ旅立って行った

 

 

彼女がこの街に来てからもう10年

 

 

ずっと賑やかだった、明るかった

 

 

母を亡くした寂しさなんて感じてる暇もなかった

 

 

 

彼女がこの街を去る時、寂しかったけど我慢した

 

 

 

涙も堪えた、無理して強がった

 

 

「私がいなくても大丈夫?何なら残ってもいいんだよ?」

 

 

「子供じゃないです、平気です、さっさと行ってください」

 

 

 

 

そして彼女は私に手を振り、この街を出た

 

 

 

それから全く音沙汰もない

 

 

 

ちゃんと食べてるのかな……朝、起きられてるのかな……人間関係はまあ、大丈夫だろう

 

 

 

もし、彼女が今ここに現れたら

 

 

何て言おう

 

 

「全く、しょうがないですね」なんて呆れてみようか

 

 

 

「おかえりなさい」って暖かく迎えようか

 

 

 

考えるだけで楽しくてクスリと笑いが溢れる

 

 

 

 

━━━━そして

 

 

 

 

???:あったあった、ここだ……変わらないなぁ……ふぅ

 

 

 

彼女はノブをグッと掴み、一息ついた

 

 

 

カランカラン、とベルが鳴りカウンターの中にいた人物が近づいてくる

 

 

 

「全く、もう帰ってきたんですか……ホント、甘えん坊で寂しがり屋で……しょうがない……」

 

 

 

そう言いかけて入ってきた人物をキュッと優しく抱き締めた

 

 

 

「…………お姉ちゃんです」

 

 

 

小さな声でポツリと呟いた、その時、涙が一粒ツーッと垂れて床に落ちた

 

 

 

抱き締められた人物もそっと抱き締め返した

 

 

 

「うん、来ちゃった……会いたかったから……ただいま………」

 

 

 

 

彼女もまたポツリと呟いた

 

 

 

 

 

 

「チノちゃん」

 

 

 

 

 

 

チノ:まったく、連絡も全くしないで……もう知りません

 

 

 

ココア:もーごめんってチノちゃ~ん

 

 

 

チノ:まあいいです、とりあえず座ってください……コーヒー入れますから

 

 

 

ココア:うん!ありがとう

 

 

 

 

しばらくしてコーヒーがやってきてココアは一口啜る

 

 

 

ココア:美味しいね、これはブルーマウンテンだね

 

 

 

チノ:カプチーノです

 

 

 

ココア:あれ?違った?

 

 

 

チノ:全く、昔から変わりませんねココアさんは……ふふ

 

 

 

ココア:えへへ、あ!ねえ、皆はどうしてる?

 

 

 

チノ:ああ、皆は……

 

 

 

「チノ!久しぶりだな!会いに来たぞ!」

 

 

「チノちゃん!新作の"黄昏し者の戸惑い"の試作品が出来たわ!」

 

 

「チノちゃんにピッタリのハーブティとクッキー持ってきたわ」

 

 

「よーチノ!久しぶりにシストやろうぜー」

 

 

「はぁ、はぁ、走るの速いよ~……置いてかないでよぉ~」

 

 

 

チノ:あ、噂をすれば影ですね……

 

 

 

ココア:おお~!

 

 

 

ココアはリゼ、千夜、シャロ、マヤ、メグとも再会を果たした

 

 

 

 

そして

 

 

 

ココア:うーん、皆をドライブに連れてってあげたいけどこれ2人乗りなんだよ~

 

 

 

リゼ:そうか、だったらチノ……代表で行ってこい

 

 

 

チノ:え?いいんですか?皆さんを差し置いて

 

 

 

千夜:うふふ、いいのよ?ねえシャロちゃん

 

 

 

シャロ:そうよ、遠慮しないの

 

 

 

マヤ:お土産買ってきてね~

 

 

 

メグ:もぉ~マヤちゃんってば~

 

 

 

ココア:ほらチノちゃん、乗った乗った

 

 

 

チノ:は、はい……

 

 

 

チノは助手席に乗り込みシートベルトをする

 

 

 

そしていざ出発しようかとした時マヤたちから待ってほしいと頼まれしばらく車内で会話する

 

 

 

しばらくしてOKが出てココアはエンジンをかけて車を走らせる

 

 

 

すると後ろからカラン、カランと何かが跳ねてる音がする

 

 

 

車を止めて見てみると

 

 

 

ココア:あ、空き缶がいっぱいついてる

 

 

 

チノ:マヤさんたちの仕業ですね……全く

 

 

 

ココア:じゃあチノちゃんは私のお嫁さんかなぁ、このまま連れてっちゃおっかな~

 

 

 

チノ:お嫁さんじゃないです

 

 

 

ココア:あ、そっか……妹だったっけ

 

 

 

チノ:妹でもないです

 

 

 

ココア:えー!

 

 

 

チノ:ふふ、さあココアさん……これ外してさっさと行きますよ

 

 

 

ココア:もぉ~チノちゃ~ん、わかったよぉ~

 

 

 

缶を外して再び走り出す

 

 

 

━━━━━2人の姉妹を乗せて




ちなみにココアの車はフェアレディZのS30z です


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契約のためなら脅迫する

なんか書けたので上げときます


ココアがチノ達と再会してしばらく経ったある日

 

 

ココアは木組みの街のある建物の一室にいた

 

 

 

そこはシャロの経営するティーカップなどの雑貨のデザインをしている会社である

 

 

 

 

ココア:さあシャロちゃん、この契約書にサインを

 

 

 

シャロ:いや、まだ契約するとは言ってないわよ……それに書類に目も通してないし

 

 

 

ココア:契約してくれないとこの動画をウチの会社にばらまくよ?

 

 

 

『どいてください!お願いします!』

 

 

シャロ:グピャッ!!

 

 

 

ココア:ふふふ、このワイルドギースに土下座しているシャロちゃんを見られたくなかったら今すぐ

 

 

 

シャロ:………ぐっ

 

 

 

シャロに動画を突き付け、契約を取ろうとしたココアだったが

 

 

 

シャロ:あら、チノちゃんいらっしゃい

 

 

ココア:え!?チノちゃん!?

 

 

 

シャロ:取ったー!!

 

 

 

ココア:あ!

 

 

シャロ:こんなもの……こうよ!

 

 

 

『削除しました』

 

 

 

ココア:あー交渉材料が……

 

 

 

シャロ:脅迫材料の間違いでしょ……ていうかどっから手に入れたのよアレ

 

 

 

ココア:………えっと、青山さんから

 

 

 

シャロ:撮られてた!?

 

 

ココア:青山さんシャロちゃんに入れ込んでたもんね、ラパンとかカフェインファイターとかモデルにされてたしね

 

 

シャロ:そういえばフルールでよくスカート覗かれてたっけ……そんなことももう何年も前なのね

 

 

 

ココア:ところで契約は

 

 

 

シャロ:保留よ……脅迫の罰でね

 

 

 

ココア:そんなぁ~

 

 

 

シャロの会社をトボトボと出ていくココア

 

 

 

ココア:あ、そろそろお昼か……せっかく木組みの街に来たんだし……よってこ

 

 

 

ラビットハウスに入り昼食を済ますココア

 

 

ココア:美味しかった~ありがとチノちゃん

 

 

 

チノ:いえ、それよりシャロさんのとこに行ってきたんですか?

 

 

ココア:うん、契約を取りにね

 

 

 

チノ:そうですか、上手くいきましたか?

 

 

 

ココア:それがね~ダメだったよ……保留だって

 

 

 

チノ:ココアさんのことだからまた強引に契約取ろうとしたんでしょう……まったく

 

 

 

ココア:えへへ、バレちゃった?実はね

 

 

 

 

ココアはチノに経緯を話し、チノはため息をついた

 

 

 

チノ:それは自業自得ですね……やれやれです

 

 

 

ココア:あはは、そうだね……じゃあまた来るから

 

 

チノ:はい、待ってますよ

 

 

 

ココアはラビットハウスを出て車に乗り込んで会社へと帰っていった

 

 

 

ココア:ふう、疲れた~

 

 

 

 

???:あ、保登さん……お疲れ様です、どうでした?契約は

 

 

 

ココア:んーダメだったよ~昔からの友達だから何とかなるかな~って思ったんだけどね

 

 

 

???:そうですか、オレの方は何とか一件取れましたよ、そうそう……先輩は三件取ったそうですよ

 

 

 

ココア:すごーい!さすがは加藤くんだね……そっか、木村先輩は三件かぁ、負けてられないね

 

 

 

加藤:ええ、頑張りましょう……保登さん

 

 

 

ココア:うん!あ、もう終わりだね……じゃっ、お先に

 

 

 

加藤:あ、はい……今日もまた、あそこですか

 

 

 

ココア:うん、まあね

 

 

 

ココアは会社を出て高速道路を軽くドライブしてから家へと帰っていった



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そして少年は走り出す

ある日の昼過ぎ、ココアは営業から帰る途中に立ち寄ったラーメン屋で昼食を済ませ、店から出たところに一人の少年がぶつかった

 

 

 

ココア:わわっ、大丈夫?

 

 

 

少年:へっ、別に平気だよ

 

 

 

ココア:それならよかった、でも危ないから無闇に走ったらダメだよ?

 

 

 

少年:今は走らなきゃダメなんだよ、アイツが追ってくるからな

 

 

 

ココア:ん?アイツって?

 

 

 

少年:それは……げっ、もう追いついてきたか

 

 

少年がそう言うと1人の女性が走ってきた

 

 

『こら!待て!はぁ、やっと追いついたぞ』

 

 

 

 

ココア:リゼちゃん!どうしたの?そんなに息切らして

 

 

 

リゼ:生徒を追ってたんだよ……そこにいるな

 

 

 

ココア:あ、この子だね……どこの小学校の生徒なの?名前は?

 

 

 

リゼ:名前は益名 瀬阿(えきな せあ)……私の勤務する小学校の3年だよ、ちなみに私のクラスの生徒だよ

 

 

 

ココア:ヴェア!?

 

 

 

リゼ:そ、そんなに驚くのか!?しかもなんか新しいし……短いし……って!そうじゃなくて!

 

 

 

瀬阿:あ!しまった!

 

 

 

リゼは瀬阿に近づき、カバッと捕まえた

 

 

 

リゼ:こら!暴れるな瀬阿、大人しく戻るんだ、それに今戻ればすぐ給食だぞ

 

 

 

瀬阿:やなこった、誰が帰るかよ

 

 

 

リゼ:強情なやつだな……ん、お前……顔色が良くないな、ちょっとおでこを触るぞ

 

 

 

瀬阿:わっ!何だよ!やめろよ!

 

 

 

リゼ:だから暴れるな、ってすごい熱だぞ!?これはすぐに帰った方がいいな……ココア、頼めるか?

 

 

ココア:え?いいけど、その子のお家、知らないよ?

 

 

 

リゼ:なら今教えるからナビで行けるか?

 

 

 

ココア:うん、じゃあスマホのナビに打ち込むね

 

 

 

 

ココアは瀬阿を乗せて瀬阿の自宅に向かう

 

 

 

 

ココア:瀬阿くん、何で学校抜け出したの?

 

 

 

瀬阿:別に、つまんないからだよ……授業も休み時間も

 

 

 

ココア:お友達は?

 

 

 

瀬阿:そんなのいたらこんなことしないよ……皆オレのことなんか興味ないし

 

 

 

ココア:じゃあ瀬阿くんから興味持ったらどうかな?

 

 

 

瀬阿:は?オレから?

 

 

 

ココア:うん、今度さ勇気出して話しかけてみるといいよ、きっと仲良くなれるから……私なんか昔『出会って3秒で友達』がモットーだったからね、瀬阿くんの担任の先生とだってすぐ友達になれたよ

 

 

 

瀬阿:ふーん、まっ出来たらね……

 

 

 

ココア:ふふ、あ……ここかな

 

 

 

ココアは瀬阿を自宅に送り届けたあと、リゼに電話する

 

 

 

ココア:もしもし、リゼちゃん?送ったよ

 

 

 

リゼ:ああ、すまないなココア……さっき母親から連絡が来たよ

 

 

 

ココア:あ、そうなんだ

 

 

 

リゼ:ああ、感謝してたよ……ホント助かった……ありがとうなココア

 

 

 

ココア:ううん、いいんだよ……じゃあ私仕事に戻るから

 

 

 

リゼ:わかった、じゃあな

 

 

 

リゼとの通話を切ってココアは一息ついた

 

 

 

ココア:ふう、さて……会社に帰らなきゃ……あ、もうこんな時間か……怒られちゃうかなぁ……私も瀬阿くんみたいに逃げちゃおっかなぁ……なんてね

 

 

 

クスリと笑ってココアは車で会社へと帰っていった



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パフェと和菓子と唐辛子

ある日の午後、ココアは商談から帰るために車で走っていた

 

 

ココア:ふう、何とか契約が取れた……なんか疲れちゃったから甘いもの食べたいなぁ

 

 

 

しばらく走っているとコンビニを見つけたので入ってみることにした

 

 

ココア:えっと……甘いものは……ん

 

 

 

ふとスイーツコーナーを見てみるとそこには見覚えのある物があった

 

 

 

ココア:あれ、これって確か……甘兎庵の黄金の鯱スペシャル……だよね……?

 

 

 

『鯛焼きが乗ったスペシャルパフェ』

 

 

 

ココア:………ん、取り敢えず買っていこう

 

 

 

商品名が違うことを不思議に思ったがとりあえず買って車の中で食べてみる

 

 

 

ココア:んー美味しいなぁ、生き返るよ~

 

 

 

あっという間に完食し車を動かし、コンビニから道に出るためタイミングを見計らっている時、ふと歩いてくる人物に目がいった

 

 

 

助手席の窓を開けて声をかける

 

 

 

ココア:千夜ちゃん!

 

 

 

千夜:あら、ココアちゃん……今帰り?

 

 

 

ココア:うん、商談終わって会社戻るとこ……千夜ちゃんは?

 

 

千夜:私は木組みの街に帰るから駅に行くところよ

 

 

 

ココア:じゃあ送っていくよ、乗って

 

 

 

ココアは千夜を乗せて駅へ向かう

 

 

 

ココア:千夜ちゃん、ここで何してたの?

 

 

 

千夜:ウチの和菓子を置いてもらえるお店を探していたの

 

 

 

ココア:甘兎のお菓子を?

 

 

 

千夜:ええ、甘兎の味を都会でも楽しめるようにって、この間は鯱スペシャルがコンビニに置かれることになったのよ

 

 

 

ココア:あ、じゃああれはそうだったんだ……さっき見つけて買って食べたよ、タイトルは変わってたけど

 

 

 

千夜:あら、食べてくれたの?嬉しいわ……タイトルはお客さんが分かりやすいようにってちょっと変えたの、でも甘兎ではそのままよ

 

 

 

ココア:よかった~あっ、着いたよ

 

 

 

千夜:ありがとうココアちゃん、お礼にこの新商品のサンプル、あげるわ

 

 

 

ココア:うん、ありがとう千夜ちゃん

 

 

 

千夜を駅に降ろしたココアは貰った紙袋を助手席に乗せて会社へと向かう

 

 

 

そして会社に戻り、仕事へ戻る

 

 

 

しばらく時間が経ち、終業のチャイムが鳴る

 

 

 

ココア:んー終わったぁ~さて、帰ろっと……そうだ

 

 

 

ココアは机の下に置いておいた紙袋を取り出し中を見てみる

 

 

 

ココア:………おお~立派な箱だなぁ……中身は

 

 

 

箱を開けると中には饅頭が複数個入っていた

 

 

 

 

ココア:わあ、美味しそうだなぁ……そうだ

 

 

 

ココアはちょうど帰ろうとしている先輩の一人に声をかけた

 

 

 

 

ココア:木村先輩!1つどうですか?

 

 

 

 

木村:ん?いいの?ありがと、貰うね

 

 

 

ココア:どうぞどうぞ、あ……加藤くんも食べる?

 

 

 

加藤:あ、いいんですか?いただきます

 

 

 

ココア:じゃあ私も食べよっと、どれにしようかな~

 

 

 

 

その時2人の女子社員が物凄い勢いで走ってきた

 

 

 

 

ココア:あ、山本さんと境野さんだ

 

 

 

 

山本:ズルーい!そんな美味しそうな物を!

 

 

 

境野:そうだそうだー!私たちにもよこせー!

 

 

 

 

ココア:あはは、すみません……さ、どうぞ

 

 

 

箱を差し出すと饅頭を1つずつバッとかっさらって口に入れた

 

 

 

 

ココア:じゃあ今度こそ……うん、美味しい

 

 

 

木村:これどこで買ったの?

 

 

 

ココア:ああ、高校の時の友達が和菓子の喫茶店をやってまして……

 

 

 

境野:ブフォ!

 

 

 

山本:ヒィッ!水!

 

 

 

 

加藤:ちょっ!何なんですかあれは

 

 

 

木村:ふっ、いい気味だ

 

 

 

ココア:あれ、私たちが食べたのにはなかったのに……あ、箱の裏に紙が

 

 

 

『6個のうち2つは唐辛子入りよ』

 

 

 

ココア:あはは、千夜ちゃんらしいなぁ……あ、部長もいかがですか~?

 

 

 

 

箱の裏の紙の文を見て昔と変わらない千夜にニッコリと笑ったあと部長におすそわけに行くココアだった



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先輩とお風呂に入りましょう

ある日の仕事終わり、ココアは会社を出て家に帰るため車で走っていた

 

 

 

ココア:ふう、今日も1日よく働いたなぁ……早く帰ってゆっくりお風呂に……ん?

 

 

 

途中の信号待ちでふと銭湯の看板らしきものを見つけたココア

 

 

 

 

ココア(あれ、こんなところに銭湯なんかあったっけ?ま、いいや……たまには入っていこっと)

 

 

 

 

ココアは銭湯に向かい、駐車場に車を止めて中へと入っていく

 

 

 

ココア:そういえば昔チノちゃん達と温水プールに行ったっけ……懐かしいなぁ

 

 

 

 

番台にお金を払い女湯へ行き、脱衣所で服を脱いで中へ入る

 

 

 

ココア:あれ、お客さんいないのかな?貸しきりみたいでなんか悪いなぁ

 

 

 

そう言いながら洗い場の椅子に腰掛けて髪を洗いお湯で流したあと身体も洗う

 

 

 

ココア:まだ出来たばっかりなのかな……今度会社の人たちに教えてあげよう

 

 

 

身体の泡もお湯で流し、湯船の中に浸かる

 

 

 

ココア:はあぁ~気持ちいいぃ~

 

 

 

気持ちよさからほへーっとした表情になるココア

 

 

 

『あれ、保登さん?来てたんだ』

 

 

 

ココア:ヴェア!?だ、誰!?

 

 

 

突然聞こえた声に驚いて声のした方を見るとそこには木村がいた

 

 

 

ココア:なーんだぁ、木村先輩じゃないですかぁ、驚かせないで下さいよぉ

 

 

 

木村:ごめんごめん、そんなつもりじゃあなかったんだ、それにしても保登さんも来てたんだね

 

 

 

ココア:はい、本当は家のお風呂にって思ってたんですけどふと看板見かけたんでついでに

 

 

 

 

木村:そっか、私はちょっと前からここ知っててさ、帰りにたまに寄ってるんだ

 

 

 

ココア:あ、そうなんですか………ん?

 

 

 

 

木村:保登さん?どうかした?

 

 

 

 

ココアは木村のあるところをジーッと眺めたあとニヤニヤと笑ったあと木村の方にスイ~ッと近づいた

 

 

 

ココア:せんぱ~い、もしよかったらぁ、触ってもいいんですよ~?ほらほら~

 

 

 

木村:わわっ!バカッ!何を言っ……!やめっ!

 

 

 

木村はココアに背を向けて逃げようとするがココアはそれを阻止するためガシッとしがみついた

 

 

 

ココア:も~遠慮しなくてもいいのに~女同士なんですから~ね~?

 

 

 

木村:コラッ!しがみつくな!っていうか当たってる!

 

 

 

ココア:当たってるんじゃなくて当ててるんですぅ~

 

 

 

木村:ちょっ!待っ!このっ!

 

 

 

木村は強引にココアの腕を振りほどき、ココアの頭をグッと手で押し込み湯船に沈めた

 

 

 

ココア:ガボガボ……!

 

 

 

 

その後プンプンと怒って1人で出る木村

 

 

 

ココア:ブハッ!ちょっと~!木村せんぱ~い!待ってくださいよ~!

 

 

 

それを追いかけてトテトテと出るココア

 

 

 

服を着て髪を乾かした2人は番台へ戻る

 

 

 

木村:全く……いくら女同士とはいえあんなことを……ってちょっと!聞いてんの!?

 

 

 

クドクドと説教をする木村を尻目にコーヒー牛乳を2つ買うココア

 

 

 

ココア:はい、私の奢りです……これ飲んで仲直りしましょ、ねっ?

 

 

 

ニコッと笑いながらコーヒー牛乳を差し出すココア

 

 

 

木村:いや、仲直りって……ケンカはしてないけど……ま、いっか……ありがと

 

 

 

木村もまたニコッと笑ってそれを受け取り、ビンを合わせてカチンと鳴らして腰に手を当てて飲み干す

 

 

 

ココア:ふう、美味しいですね

 

 

 

木村:ホントにね、さあ……帰ろっか

 

 

 

ココア:はい!

 

 

 

二人は外へ出てお互いの車に乗って帰っていくのだった



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眠気とコーヒーと嫌味な人

ある日の仕事中、ココアは“ある物”と戦っていた

 

 

それは眠気である

 

 

パソコンを打ちながらこっくりこっくりと船を漕ぐ

 

 

そのためゲームのパスワードみたいな文が打たれ、我に返ってそれを消し

 

 

 

また打たれては消しの繰り返しだった

 

 

 

書類に目を通していてもボヤけていてロクに見えず

 

 

 

加藤:保登さん!大丈夫ですか?

 

 

 

ココア:………ああ……加藤くんか、うん……何とか

 

 

 

加藤:一体どうしたんですか?

 

 

 

ココア:いやぁ、昨日の夜家で持ち帰った仕事をやってたらテレビで面白そうな映画やってたから仕事そっちのけでつい見ちゃって、見終わって寝ようとしたら仕事が終わってなくて……それで徹夜になっちゃって

 

 

 

加藤:………まさか、そのまま寝ずに来たんですか

 

 

 

ココア:うん

 

 

 

加藤:よく事故起こしませんでしたね……

 

 

 

ココア:行く前にコーヒー飲んだから運転中は平気だったんだけど、今はこのザマ~

 

 

 

加藤:そ、そうですか……じゃあ、もう一度コーヒー飲んだらどうですか?オレ淹れてきますよ

 

 

 

ココア:いーよいーよ、私がやるよ~

 

 

 

スクッと立ち上がりコーヒーを淹れに行くがフラフラして壁に頭を打ち付けたりしてしまう

 

 

 

挙げ句の果てにお湯も手に引っかけてしまった

 

 

 

 

 

ココア:ヴェアアアア~!

 

 

 

 

ココアの悲鳴に部署全体がビクッとなった

 

 

 

 

加藤(大丈夫かなぁ……)

 

 

 

木村(変わった悲鳴だなぁ……)

 

 

 

ココア:す、少し目……覚めたかも

 

 

 

何とか席に戻りコーヒーを飲みながら仕事をこなす

 

 

 

ココア(ふう、コーヒーのおかげか今のところは大丈夫だ、ラビットハウスのコーヒーなら今頃シャキッとしてくるんだけどなぁ)

 

 

 

そして昼休みになり、昼食を済ませたあと机に突っ伏して一眠りしようとするが山本や境野の話し声や笑い声がやかましくて眠れなかった

 

 

 

午後の仕事が始まってしばらくすると部長に取引先へ行くように頼まれる

 

 

 

 

部長:だ、大丈夫かね……なんなら木村くんに変わってもらうが

 

 

 

ココア:へ~きへ~き、大丈夫れ~す

 

 

 

鞄を持ち、ふらふらとしながら部屋を出て廊下を歩いていると

 

 

 

???:あらあら保登さん、そんなにフラフラして、昼間からお酒でも飲んだのかしら?

 

 

 

ココア:あ、佐藤さん……

 

 

 

佐藤:ほほほ、ダメよ昼間から酔ってちゃ……お仕事が終わってから飲みなさいね~

 

 

 

そういって佐藤は戻っていく

 

 

 

ココアは佐藤の方をジッと睨んでいた

 

 

 

そして車に乗り込んで取引先へ向けて出発する

 

 

 

走っている間、ココアはあることに気がついた

 

 

 

ココア:あれ、全然眠くないや……もしかして、佐藤さんの嫌味のおかげ?

 

 

 

赤信号で止まり、ココアは佐藤の顔を思い浮かべる

 

 

 

ココア:はあ、何か複雑だなぁ……とりあえず感謝だね……

 

 

 

そんなことを考えているといつの間にか青信号になっており、後ろからクラクションが鳴る

 

 

 

ココア:おっと、青になってた……行かなきゃ

 

 

 

我に返ってココアは運転を再開するのだった



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再会とパスタと昼ごはん

ある日の昼休み、ココアは昼食を食べる店を探して街を歩いていた

 

 

 

ココア:うーん、何にしようかなぁ……昨日は社食のラーメンだったし……迷うなぁ

 

 

 

腕組みしながら考えていると後ろから声をかけられる

 

 

 

???:よっ!ココア姉!

 

 

 

 

ココア:………!?あ、マヤちゃん!

 

 

 

 

マヤ:どーしたんだ~?こんなとこで立ち止まってうんうん唸って

 

 

 

ココア:あはは、見られちゃった……実はね

 

 

 

 

マヤ:なーんだ、そうだったのかぁ、じゃあさ!今から私たちと昼食べにいかない?

 

 

 

ココア:……え?私たち?

 

 

 

マヤ:おう!メグと待ち合わせしてる店があるんだよ、どうかな?

 

 

 

ココア:うん!行くよ、案内して

 

 

 

マヤ:よしきた!こっちだよ~

 

 

 

 

マヤは走り出し、ココアもそれを追う

 

 

 

しばらく走ると店の前にいるメグが見えた

 

 

 

 

メグ:もぉ~マヤちゃん5分遅刻~

 

 

 

マヤ:あはは、ごめんごめん!でもほら、そのお陰でココアに会えたよ

 

 

 

メグ:あぁ~ココアちゃんだ~お久しぶり~

 

 

 

ココア:メグちゃ~ん!

 

 

 

マヤ:あの日以来だもんな、会うの

 

 

 

メグ:そうだね~ほら、入ろ~

 

 

 

マヤ:よーし!ココアもほら、入った入った

 

 

 

ココア:うん

 

 

 

3人は店の中へ入った

 

 

 

ココア:………ここは、何のお店なの?

 

 

 

メグ:んっとねぇ、スパゲッティーの専門店だよ~

 

 

 

マヤ:ここ、雑誌で美味いって書いてあったから来てみたかったんだ~

 

 

 

ココア:へえ~そうなんだ~

 

 

 

 

3人ともそれぞれ好きなパスタを頼み、話ながら完食する

 

 

 

 

マヤ:いや~食べた食べた~

 

 

 

メグ:ほんとだね~

 

 

 

ココア:あ、マヤちゃん……口にミートソース付いてるよ~?

 

 

マヤ:え?

 

 

 

ココア:ちょっとじっとしててね~

 

 

 

ココアは紙ナプキンでマヤの口を吹いてあげる

 

 

 

ココア:はい、いいよ

 

 

 

マヤ:えへへ、サンキュー姉貴

 

 

 

メグ:じゃあ、そろそろ出よっか~

 

 

 

ココア:あ、支払いは私がするよ

 

 

 

マヤ:え、いいの?

 

 

 

メグ:悪いよ~

 

 

 

ココア:大丈夫大丈夫!お姉ちゃんに任せなさい!

 

 

 

マヤ:おぉ~!姉貴~!

 

 

 

メグ:お姉ちゃ~ん!

 

 

 

ココア:エッヘン!

 

 

 

誇らしげにするココアと抱きつくマヤとメグを見て他の客はちょっと引いていた

 

 

 

そして我に返った3人は会計を済まし、外へ出る

 

 

 

 

マヤ:おっと、そろそろ現場行かなきゃ!先輩が先に行ってるんだ!タクシー!

 

 

 

 

マヤはタクシーを止めて乗り込んだ

 

 

 

マヤ:ココア姉!楽しかったよ!メグもまたね!

 

 

 

ココア:うん!こちらこそ!

 

 

 

メグ:バイバ~イ!

 

 

 

マヤはそのままタクシーで出発した

 

 

 

メグ:マヤちゃん、ジャーナリストだから忙しいんだねぇ~

 

 

 

ココア:あ、そうなんだ……メグちゃんは何してるの?

 

 

 

メグ:バレエ教室のインストラクターやってるよ~

 

 

 

ココア:木組みの街のお母さんのとこ?

 

 

 

メグ:違うよ~?この街のだよ?あ、そろそろ行かなきゃ~

 

 

 

ココア:そっか、皆立派に頑張ってるねぇ、お姉ちゃん嬉しいよぉ

 

 

 

メグ:ふふふ~、じゃあね~ココアちゃん

 

 

 

ココア:うん!またね~

 

 

 

 

メグと手を振り合って別れたココアは会社へと戻っていった



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着信と買い物と先輩と

ある日の仕事終わり、ココアは家に帰るため車で走っていた

 

 

 

しばらく走っているとスマホのバイブが鳴り始める

 

 

 

ココア(あれ、誰からかな……と、運転中はマズイな……どこかに止められそうな……お、あった)

 

 

 

キョロキョロと車を止められそうなところを探しているとコンビニを見つけた

 

 

 

ココアは駐車場に止めるとスマホを取り出し着信を確認する

 

 

 

 

ココア:えっと……あれ?木村先輩から?何だろ……仕事のことかな……?とりあえず出てみるか……もしもし?

 

 

 

 

『あ、保登さん!やっと出た……今どこ?』

 

 

 

ココア:……え?えっと、コンビニですけど……

 

 

 

『ちょうどよかった!悪いんだけどさ、ちょっとブラックコーヒーとパンを2つほど買ってきてくれない?』

 

 

 

ココア:はあ、それはいいですけど……先輩は今どちらに?

 

 

 

 

『会社にいるよ、じゃあお願い!』

 

 

 

 

ココア:……あ、切れた……さて、買ってくるか

 

 

 

 

ココアは木村の物と自分の飲み物を買って会社に戻った

 

 

 

ココア:失礼しま~す、あれ?先輩?いないなぁ……どこ行ったのかな?

 

 

 

ココアは机に買ってきた物を置いて部屋中を探し回る

 

 

 

ココア:せんぱーい、どこですか~

 

 

 

 

部屋の中だけでなく、何故かロッカーやゴミ箱の蓋を開けてみるココア

 

 

 

すると声がした

 

 

 

『そんなとこにいないってば』

 

 

 

 

ココア:あ、先輩!やだな~冗談ですよ

 

 

 

木村:ホントに?結構本気に見えたけどね

 

 

 

ココア:それよりほら、買ってきましたよパンとコーヒー

 

 

 

木村:あ、ありがと……ふう、少し休憩しよ

 

 

 

ココアからパンとコーヒーを受け取り、自分の席に座って食べ始める

 

 

 

 

ココア:そういえば、何してたんですか?会社に残って

 

 

 

木村:何って、残業だよ……終わんなくってさ、持って帰ってもいいんだけどここで終わらせた方がいいかなって思ってさ

 

 

ココア:大変ですねえ、先輩も

 

 

 

木村:まあ、もう慣れちゃったよ……ああ、もう帰っても大丈夫だよ……ごめんね、せっかく帰ろうとしてたのに

 

 

 

ココア:あ、いえ……それは別に……そういえば加藤くんとかには電話しなかったんですか?

 

 

 

木村:あー加藤くんは自転車だから大変かなって思って……それに山本や境野はやかましそうだし……佐藤さんは恩を売って来そうだし……

 

 

 

ココア:あはは、ですね

 

 

 

 

木村:そしたらあとは頼めるのは保登さんしかいなくてさ、でも保登さんなら来てくれるって信じてたよ……うん

 

 

 

ココア:あ、ありがとうございます……先輩

 

 

 

木村:うん、さて……食べ終わったし、続きをやろうかな

 

 

 

木村は伸びをしてから椅子をパソコンの方に向けて仕事を再開しようとする

 

 

 

ココア:あ、あの……私、お手伝いしましょうか?2人なら早く片付くと思いますけど

 

 

 

木村:え?そんな悪いよ、買い物までさせたのに仕事まで押し付けるなんて

 

 

 

ココア:大丈夫ですよ、せっかく会社に戻ってきたんですから、それに先輩だって早く帰りたいでしょ?

 

 

 

木村:……あー、うん……じゃあ、お願いできる?

 

 

 

ココア:はい!後輩に任せてください!

 

 

 

ココアは昔よくやっていたポーズを取る

 

 

 

木村:あはは、じゃあこれお願い

 

 

 

ココア:了解です

 

 

 

 

ココアもまた自分の席でパソコンに向かい、作業をする

 

 

 

ココアと木村は2人で仲良く残業をしていくのだった



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加藤、仕事辞めるかも知れないってよ

部長:おい、加藤くん

 

 

加藤:は、はい!何でしょう

 

 

部長:この書類は何だね、まるでダメだ……やり直し!

 

 

 

加藤:すみません!わかりました!

 

 

 

 

ある日、加藤は部長に怒られ続けていた

 

 

 

加藤:はぁ、まいったなぁ

 

 

 

 

加藤はため息を吐き、パソコンを打ち続ける

 

 

 

 

途中何度も腕を組んだり、頭を抱えたりしながら

 

 

 

 

昼休み、社員食堂でもなかなか食事が進まない

 

 

 

 

そんな様子を心配の眼差しで見るココア

 

 

 

 

ココア:あ、あの……加藤くん?大丈夫?

 

 

 

加藤:あ、保登さん……ええ、大丈夫ですよ

 

 

 

 

ココアが声をかけると加藤は笑顔で応える

 

 

 

午後、また加藤は怒られていた

 

 

 

 

営業に出ていくときも何処と無く元気がなかった

 

 

 

 

 

ココアは心配しながらも自分の仕事に集中する

 

 

 

 

そして、チャイムが鳴って終業時間になるとそれぞれは帰っていく

 

 

 

 

ココア:さて、帰ろっかな……あ、そうだ加藤くんはどうしたかな……あれ?どこ行ったんだろ

 

 

 

 

カバンに色々詰め込んで帰ろうとしたココアはふと加藤が気になりキョロキョロと探してみるがいない

 

 

 

 

ココア:もしかして……あそこかな

 

 

 

 

ココアは部屋を出て加藤がいるかもしれないところへ向かった

 

 

 

 

そして、加藤は

 

 

 

 

加藤:はあ、今日は1日怒られっぱなしだったなぁ……オレ、この仕事向いてないのかなぁ……もう辞めちゃおうかな……ここ

 

 

 

 

屋上で空を見上げながらそう呟いた

 

 

 

 

 

『えー!加藤くん辞めちゃうの~!?』

 

 

 

 

加藤:へ?

 

 

 

 

加藤が声がした後ろを見るとそこにはココアがいた

 

 

 

 

ココア:何で辞めちゃうの?

 

 

 

加藤:だって、オレ……今日、書類怒られてばっかりだったし……だからこの仕事、向いてないのかなって

 

 

 

ココア:そんなことない!

 

 

 

 

加藤:保登さん

 

 

 

ココア:そんなことないよ!

 

 

 

ココアは加藤にズンズンと近づいていく

 

 

 

加藤:いや近い近い!

 

 

 

加藤に顔をズイッと近づけたココアは次第に顔をくしゃくしゃにして泣き出す

 

 

 

ココア:ぞんなごどないよおぉぉぉぉ!

 

 

 

 

加藤:え!?ちょっと!?

 

 

 

ココア:がどうぐん頑張っでるよおぉぉぉ!

 

 

 

 

加藤:保登さん!誤解されますから!

 

 

 

ココア:辞めぢゃダメだよおぉぉぉぉ~!

 

 

 

 

加藤:わ、わかりました!辞めませんって!辞めませんから!ねっ?泣き止んでくださいよ

 

 

 

ココア:うん

 

 

 

加藤(ふう、よかった……)

 

 

 

ココアは加藤の一歩先へ移動し、上を見上げて話始める

 

 

 

ココア:私ね、イヤなんだ……仲間が誰か一人でも欠けるの

 

 

 

加藤:………

 

 

 

ココア:だって、寂しいもん……今までいた人がいなくなるの

 

 

 

加藤:保登さん

 

 

 

 

ココア:ずっと一緒にやってきたのに急にいなくなるなんて、ダメだよ

 

 

 

ココアはクルリと加藤の方に向く

 

 

 

 

ココア:加藤くんはよくやってるよ?商談も書類も、私ずっと見てきたからわかるもん

 

 

 

加藤:あはは、ありがとうございます

 

 

 

ココア:部長に怒られたってさ、次見返してやればいいんだよ、前よりいいもの作って『これでどうだー』って

 

 

 

加藤:そうですよね……その通りだ……教えられたなぁ、保登さんに……よし!やってやりますよ!

 

 

 

ココア:うん!じゃあ今からご飯食べに行こっ、木村先輩も誘ってね……何か予定ある?

 

 

 

加藤:い、いえ……特には

 

 

 

ココア:よーし!じゃあ今夜は『加藤頑張らん会』だー!

 

 

 

加藤:何ですかそのダジャレみたいなタイトルは!

 

 

 

ココア:さー行くよ~加藤くん、早くしないと木村先輩帰っちゃうよ~

 

 

 

そして部屋に戻って木村を誘い、3人は会社を出ようと歩き出す

 

 

 

ココア:ふふふ~ご飯が楽しみだな~ぶへっ!

 

 

 

少し早足になってたココアが転けて倒れた

 

 

 

ココア:ぜんば~い!おごじで~!

 

 

 

木村:甘えんな、自分で立て

 

 

 

ココア:もー!木村先輩のケチー!

 

 

 

 

木村:うっさい

 

 

 

加藤(やれやれ、さっきまでいいこと言ってたのに……しょうがないなぁ)

 

 

 

クスリと笑った加藤は後ろから前を歩く二人をゆっくりと追いかけて行くのだった



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感じたことを素直に

ある休日、ココアは木組みの街へ行く途中のレストランで昼食を食べていた

 

 

 

食べている途中、店員が店内が混雑してきたので1人と相席にしてもいいかと確認しにきたのでココアはこれを了承する

 

 

そして1人の女性がココアの目の前に座り、メニューを見て注文するとココアに声をかけた

 

 

 

???:すみません、せっかくお一人でゆっくり食べていたのに

 

 

 

ココア:いえいえ、大丈夫ですよ

 

 

 

???:ありがとうございます

 

 

 

しばらくして女性の料理が運ばれてくると女性は店員に料理の撮影の許可を取り、鞄の中からケースを取り出して中からデジカメを出し料理を撮影する

 

 

 

 

???:よし、撮れた……じゃあ、いただきます

 

 

 

 

ココア:写真、趣味なんですか?

 

 

 

 

???:え?あ、これは参考資料にしようと思って……

 

 

 

ココア:参考資料?

 

 

 

 

???:はい、小説の……私、大学のサークルで書いてまして……それで

 

 

 

ココア:あ、大学生かぁ……大変だねぇ

 

 

 

???:いえいえ、そんな……楽しく通ってますよ

 

 

 

そういったあと女性は自己紹介を始めた

 

 

 

女性:あ、申し遅れました……私は西沢 恵梨香と言います、明日見学院の一年です

 

 

 

ココア:私は保登心愛、ココアって呼んでね

 

 

 

恵梨香:はい、ココアさん

 

 

 

ココア(なんかチノちゃんに呼ばれてるみたいだなぁ……)

 

 

 

恵梨香:ココアさん?どうかしましたか?

 

 

 

ココア:あ、ううん……恵梨香ちゃんは何で小説書き始めたの?

 

 

 

 

恵梨香:実は、ある方の作品を読んでからその世界に憧れまして、それでサークルを探して入ったんです

 

 

 

ココア:へぇ、それでそのある方の作品って?

 

 

 

恵梨香:『青山ブルーマウンテン』先生の『うさぎになったバリスタ』です

 

 

 

ココアはその名前と作品名を聞いた途端、飲んでいた水を吹き出し咳き込んだ

 

 

 

恵梨香:ココアさん!?大丈夫ですか!?

 

 

 

ココア:だ、大丈夫……そ、それより……青山先生の……うさぎになったバリスタって……私も知ってるよ

 

 

 

恵梨香:ほ、ホントですか?

 

 

 

ココア:それに、本人とも知り合いだし……そうだ、恵梨香ちゃん……今から木組みの街行くんだけど一緒に来る?青山先生に会えるかも知れないよ?

 

 

 

恵梨香:いいんですか?何か悪い気がしますけど

 

 

 

ココア:そんなの気にしない!それに青山先生だってファンが会いに来てくれたら嬉しいよ!

 

 

 

ココアは恵梨香の手を掴んで2人分の会計を済ませて半ば強引に車に乗せて木組みの街へと走らせた

 

 

 

しばらく走り、車は木組みの街へと到着した

 

 

 

 

恵梨香:す、すごい……外国みたい……素敵な場所

 

 

 

恵梨香は歩きながら色々なところを写真に納め、最後はココアの案内でラビットハウスに行く

 

 

 

ココア:ここにいると思うよ、青山先生

 

 

 

恵梨香:そ、そうですか……なんか緊張してきました

 

 

 

緊張する恵梨香を尻目にココアはラビットハウスのドアを開け、声をかけた

 

 

 

ココア:ただいまー!お姉ちゃんのお帰りだー

 

 

 

恵梨香:え!?ちょっ!ココアさん!?わっ!

 

 

 

ココア:青山さんはどこかなー?出てこないとこの子をくすぐっちゃうぞ~?

 

 

 

ココアは恵梨香をグイッと中に引っ張り入れたあとまるで人質をとるように恵梨香の首に腕を回した

 

 

 

チノ:ちょっと通報してきますね

 

 

 

ココア:チノちゃんダメェ~!!

 

 

 

 

そんなやりとりのあと、後ろの席からクスクスと笑い声がした

 

 

 

そこには青山がニコニコとコーヒーを飲みながら見ていた

 

 

テーブルには原稿用紙が置いてあった

 

 

 

青山:ココアさん、お久しぶりです~

 

 

 

恵梨香:あ、青山先生……本物だ……感激

 

 

 

ココア:よかったね、恵梨香ちゃん……ほい、いってらっしゃい

 

 

 

ココアはポンッと恵梨香の背中を押した

 

 

 

青山:あら~?あなたは?

 

 

 

恵梨香:あ、あの……私、西沢 恵梨香と言います……その、青山先生のファンでして……

 

 

 

青山:わぁ~ありがとうごさいます~

 

 

 

青山は恵梨香が持っていた自身の著書にサインを書いた

 

 

 

そして、恵梨香は青山に語り始めた

 

 

 

恵梨香:実は私、大学のサークルで小説を書いてまして……でも、なかなか上手く書けなくて……休みの日に外に出て街の写真や料理の写真なんかも撮って参考にしたりするんですけど……表現が上手くいかなくて……青山先生はどうしてあんなに上手く書けるんですか?どうしたら青山先生みたいに上手く書けるようになるんですか?

 

 

 

 

しばらく沈黙が続き、青山はコーヒーを一口啜ったあと口を開いた

 

 

 

青山:………私は上手く書いているつもりはないですよ?

 

 

 

恵梨香:え?

 

 

 

青山:私はただ、自分の感じたことをそのまま書いているだけですよ

 

 

 

 

恵梨香:………

 

 

青山はデジカメを操作して恵梨香がココアと会ったレストランで撮った写真を見て言った

 

 

青山:例えばこの料理……これを誰かに話すときただ料理が美味しかったと言うのではなく、どう美味しかったのか…例えばエビフライのタルタルソースが美味しかったとか……自分の感想を付け加えると行ってみたい、食べてみたい、と話を聞いた相手も感じるんですよ

 

 

 

 

ココア:うんうん、わかるよ~

 

 

 

チノ:はい、確かにそうですね

 

 

 

 

青山:だから上手く書こうとか思うのではなく……あなたが感じたことをそのまま素直に書けばいいんですよ?書き手が素直な気持ちで書いたものは絶対に相手に伝わります

 

 

 

恵梨香:青山先生……

 

 

 

青山:もちろん、万人受けはしません……ですが必ずその中にあなたの書いた作品を好きになってくれる方はいます、あと大事なことがもうひとつあります

 

 

 

 

恵梨香:何ですか?

 

 

 

青山:書き手が楽しむことですよ、嫌々書いてもいいものは生まれません、私に言えるのはそれだけです

 

 

 

恵梨香:はい

 

 

 

恵梨香は笑顔になり、そう返事をした

 

 

 

 

そして、ココアと都会へ帰っていき、ココアとも別れた

 

 

 

その夜ココアはパソコンで書類作成をしていた

 

 

 

 

ココア:うーやることがいっぱいだぁ

 

 

 

ココアは頭の中で青山がいった言葉を思い出した

 

 

 

ココア:書き手が楽しむこと……かぁ、よし……やってみよう

 

 

 

 

しばらく青山の言った通り、楽しくやってみようとしたが

 

 

 

 

 

ココア:む、ムリ……数が……多すぎる……はあ

 

 

 

床に両手を広げて仰向けに寝転びため息を吐くココア

 

 

 

ココア:と言ってても始まらないや……さ、仕事仕事っと

 

 

 

ゆっくりと起き上がりまた夜遅くまでパソコンのキーボードを打つココアであった



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海だ水着だ慰安旅行

ある日、ココアは会社の慰安旅行で海へと来ていた

 

 

 

水着に着替えて社員たちは大はしゃぎである

 

 

 

加藤:ふい~暑いなぁ~それにしても保登さんたちまだかなぁ

 

 

 

キョロキョロとココアたちを探す加藤

 

 

 

 

ココア:か・と・う・く~ん!

 

 

 

 

加藤:わっ!保登さん……驚かさないでくださいよ

 

 

 

ココア:えへへ、で?どう?私の水着姿は

 

 

 

加藤:え?あ、いや……その

 

 

 

ココア:ほらほら~何か言ってよ~セクシーだとか~可愛いとかさ~

 

 

 

ジリジリと加藤に迫るココア

 

 

 

加藤:あ、あの……その……か、かわい……

 

 

 

 

加藤がそう言いかけたとき

 

 

 

 

木村:やめんか!加藤くん困ってるでしょうが!

 

 

 

 

ココア:ヴェア!

 

 

 

木村に殴られ首根っこ掴まれたココアは海へと引きずられていった

 

 

 

 

加藤:………はは、助かった……じゃあオレはちょっと一眠り……

 

 

 

 

部長:いかん!いかんぞ加藤!

 

 

 

 

加藤:ゲェッ!部長!

 

 

 

部長:そんなことをしていては体が鈍ってしまうぞ!さあ!私と一緒に筋トレをしようではないか!わははは!

 

 

 

加藤:えぇ~!!

 

 

 

 

 

部長:まずはこの砂浜をランニングだ!いくぞ!

 

 

 

加藤: ノオォォォォ!!!

 

 

 

 

加藤は部長に徹底的にしごかれたのだった

 

 

 

 

その頃、ココアたちは

 

 

 

 

ココア(気持ちいいなぁ、チノちゃん達も連れてきてあげたかったなぁ~)

 

 

 

 

木村:あはは、加藤くんも災難だ……旅館に帰ったら労ってあげよう

 

 

 

ココア:それより先輩?

 

 

 

木村:ん?

 

 

 

ココア:浮き輪なんですね

 

 

 

 

木村:う、うるさいな……ノコギリなの!

 

 

 

ココア:あー何となく沈むって言うのはわかりました

 

 

 

しばらく海で遊んでいると日が暮れ始めたので、全員旅館へと引き上げ、入浴する

 

 

 

 

ココア:はぁ~生き返りますねぇ~

 

 

 

木村:ホントだね、お風呂はいいもんだ

 

 

 

ココア:ところで先輩~

 

 

 

 

木村:………な、何

 

 

 

 

ココア:この前の銭湯でも言いましたけど~触ってもいいんですよ~?

 

 

 

木村:わわっ!バカ!寄るな!シッシッ!

 

 

 

ココア:もぉ~先輩ってば照れちゃって~

 

 

 

木村:そんなんじゃないやい!

 

 

 

山本:じゃあ代わりに私たちが~

 

 

 

境野:堪能させてもらいますぜ~

 

 

 

ココア:いいよ~?

 

 

 

木村:そのかわり1分間潜ってられたらな

 

 

 

山本:よしきた

 

 

 

境野:がってんだ

 

 

 

 

2人はお湯の中にザブンと潜った

 

 

 

木村:さーもう上がろうか……そろそろ夕食だしね

 

 

 

ココア:あ、はーい!何が出るんでしょうね~

 

 

 

 

ココア、木村と続き、女子社員たちが次々と上がる

 

 

 

 

そして部屋に戻り、夕食の時間

 

 

 

ココア:わあ、これが1人分かぁ……マヤちゃんとか喜びそうだなぁ……んー美味しい

 

 

 

 

木村:ホント、来てよかったなぁ

 

 

 

 

 

夕食を堪能するココアと木村

 

 

 

 

その頃、風呂では

 

 

 

 

山本:ブハッ!もう一分経ったかな

 

 

 

境野:ぷうっ!さーて保登さん、早速

 

 

 

 

お湯から顔を出した2人だったが辺りはシーンとしていた

 

 

 

 

山本:あーやられましたなぁ……境野さんや

 

 

 

境野:そのようですなぁ、山本さんや

 

 

 

 

すごすごと風呂から上がって部屋に戻り、2人も夕食にありつくのだった



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参観日の約束

ある日の夜

 

 

 

瀬阿:何だよ!約束が違うじゃんか!

 

 

 

 

父:ごめんな瀬阿、父さん明日は大事な会議があってな……行けなくなってしまった

 

 

 

母:お母さんもパートさんが風邪を引いてしまって、明日代わりに出なきゃいけなくなってしまったのよ……ごめんね

 

 

 

瀬阿:もういいよ!2人とも大嫌いだ!

 

 

 

 

瀬阿はドタドタと走り部屋へ戻ってドアを思い切り閉めた

 

 

 

 

父:無理もないな……約束を破ってしまったんだ

 

 

 

母:そうね……

 

 

 

翌日、瀬阿は学校へ行くが元気がなかった

 

 

 

 

休み時間も教室に籠り、机に突っ伏していた

 

 

 

そこへリゼが来て声をかける

 

 

 

リゼ:どうしたんだ?今日は朝から元気がないな……何かあったのか?

 

 

 

瀬阿:別に……何にもないよ

 

 

 

 

リゼ:そうか?ならいいが……無理はするなよ、辛くなったらいつでも言っていいんだぞ

 

 

 

 

リゼはそう言うと職員室に帰ろうとする

 

 

 

 

瀬阿:なあ、天々座先生……

 

 

 

リゼ:……ん、何だ?

 

 

 

瀬阿:約束ってさ……何なんだろうな

 

 

 

リゼ:え?どうしたんだいきなり……やっぱり何かあったんだな……話してみろ

 

 

 

 

瀬阿:……うん、実は………

 

 

 

瀬阿は顔を上げて話し始めた

 

 

 

 

リゼ:……そうか、ご両親が仕事の都合で今日の授業参観に来れなくなったのか……

 

 

 

瀬阿:うん、そうなんだ……前から約束してたのにさ……急に会議だとか、パートの代わりだとかさ……

 

 

 

リゼ:でもご両親だって辛かっただろう……それに、仕事は大事だしなぁ

 

 

 

瀬阿:………それはわかってるけどさ

 

 

 

リゼ:ま、まあ……そんなに気を落とすな……何も来れないのは瀬阿のご両親だけじゃないさ

 

 

 

そう言うとリゼは職員室に戻りスマホである人物に連絡を取る

 

 

 

 

リゼ:もしもし……悪いな、急に……今、いいか?実は……

 

 

 

 

そして、五時間目の授業参観が始まった

 

 

 

教室には生徒の母親や父親達が入ってきていた

 

 

 

授業中、瀬阿は度々チラッと後ろを見ては軽くため息を吐いた

 

 

 

 

しばらく授業が続いた時、突然ドアがガラッと開いた

 

 

 

 

リゼ(お、来てくれたか……)

 

 

 

瀬阿(………黒いスーツにメガネをかけた人……あれって)

 

 

 

 

瀬阿の両親の代わりに来たのはなんと

 

 

 

 

 

リゼ:もしもし?悪いな、急に……

 

 

 

『構わないよ、何?』

 

 

 

リゼ:実はな、今日の午後、五時間目に授業参観があるんだけど……その、瀬阿のご両親が急に仕事の都合で来れなくなっちゃってな……すごく落ち込んでしまってるんだ

 

 

 

『ほうほう、それで私に代わりに来てほしいんだね?』

 

 

 

リゼ:あ、ああ……察しがいいな……何とか頼めるか?

 

 

 

 

『大丈夫!お姉ちゃんに任せなさい!ちょうど近くに行く用があるし時間もそれくらいなら何とかなるよ』

 

 

 

リゼ:ああ、悪い!瀬阿も喜ぶぞ!埋め合わせは後でする

 

 

『そんなの気にしなくていいよ、じゃあね』

 

 

 

ココアだった

 

 

 

ココア:ごめーん!少し遅れちゃった~!

 

 

 

 

リゼ:はいはい、じゃあご来賓の方は後ろの方に立っててくださいね~

 

 

 

ココア:はーい、瀬阿く~ん!頑張れ~!

 

 

 

 

ブンブンと手を振るココア

 

 

 

瀬阿:………は、ははは……

 

 

 

瀬阿は苦笑いしつつも嬉しそうな顔をしていた

 

 

 

 

リゼ:はい、じゃあこの問題がわかる人

 

 

 

 

瀬阿:はい!

 

 

 

リゼ:お、ちょっと難しいがわかるかな?

 

 

 

瀬阿:えっと……こうだ!出来ました

 

 

 

 

リゼ:うん、正解だ、よくできました

 

 

 

瀬阿:へへ

 

 

 

ココア:すご~い!いいぞ~!その調子~!

 

 

 

 

ココアは指笛をピーピー鳴らしてそういった時

 

 

 

リゼ:おっと手が滑ったぁ!

 

 

 

ココアの顔スレスレをチョークが飛んできた

 

 

 

リゼ:ああ、すみませんね……

 

 

 

リゼはチョークを拾って顔を上げた直後、ココアの耳元で囁いた

 

 

 

リゼ:授業中は静かにしてろ……返事は

 

 

 

ココア:サ、サーイエッサー

 

 

 

ココアはゾゾッとした表情で小声で返事をした

 

 

 

そして授業が終わり、ココアが仕事に戻ろうと教室から出て廊下を歩いていると後ろから瀬阿が声をかけてきた

 

 

 

瀬阿:な、なあ……何で来てくれたんだ?

 

 

 

 

ココア:ん?それはねぇ、リゼちゃんの頼みだったから……それに

 

 

 

瀬阿:それに?

 

 

 

ココア:瀬阿くんに元気になってほしかったからね

 

 

 

瀬阿:し、仕事……忙しいんじゃないの?

 

 

 

ココア:まあね……あ、そろそろ行かなきゃ……じゃあまた……

 

 

 

ココアが背を向けて歩き出そうとした時

 

 

 

瀬阿:あ、ありがとう!オレのために来てくれて!嬉しかった!

 

 

 

それを聞いたココアは振り向いてニコッと笑った

 

 

 

ココア:どういたしまして!瀬阿くんが頑張ってる姿見てたら私も頑張ろうって思えたよ!こっちこそありがとね!

 

 

 

ココアはそういって車に乗り込んで仕事へと戻っていく

 

 

 

ココア:さて、と……これから商談だ……よし!やるぞー!

 

 

 

ココアは車の中で気合いを入れるのであった



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たまの歩きと昔の思い出

ある日の午後、ココアの席に男性社員が来て声を掛けた

 

 

男性社員:すまん!保登!お前の車貸してくれ!

 

 

 

ココア:……え?どうして?

 

 

 

男性社員:実はオレの車、今修理中でさ……明日になんないと返ってこないんだよ

 

 

 

ココア:はあ

 

 

 

男性社員:木村にも借りようかと思ったんだけど今いないから使ってるし、な?頼むよ!

 

 

 

ココアはしばらく考えて

 

 

 

ココア:ん、別にいいよ?えっと……鍵はっと……あった、はい

 

 

 

ココアはスーツの内ポケットからコーヒーカップと兎のキーホルダーが付いた鍵を取り出して差し出す

 

 

 

男性社員:悪い!借りてく!

 

 

 

男性社員は鍵を受け取り、取り引き先へ向かった

 

 

 

ココア(無事に帰ってくるかなぁ……車)

 

 

 

それからしばらくしてココアも商談へ行かなくてはならなくなった

 

 

 

ココア:あ、そうだった……貸してるんだ

 

 

 

駐車場に車がないのを見たココアはハッとしてそう呟いた

 

 

 

ココア:しょうがない、歩こう

 

 

 

ココアは歩いて取引先へ向かった

 

 

 

その途中、色々な景色を見る

 

 

 

ココア:あ、こんなところに花が咲いてる……あれ、あんな建物……あったっけ

 

 

 

歩きながら様々な発見をしていくココア

 

 

 

そしてあっという間に取引先へたどり着き、商談を済ませた

 

 

 

ココア:ふう、終わった……思ったより早く片付いたなぁ……ん?

 

 

 

ココアは近くに池のある公園を見つけ入ってみる

 

 

 

 

公園の中を歩いていると爽やかな風がココアの髪や頬を撫でる

 

 

 

ココア:気持ちいいなぁ……そう言えば昔もよく皆で歩いたっけ

 

 

 

しばらく歩いていると自販機とベンチを見つけたので缶コーヒーを買って座り、一息つく

 

 

 

目の前にある池を眺めていると無邪気に走る男の子とそれを追い歩く母親が見えた

 

 

 

男の子:わーい!

 

 

 

母親:こら、走ると転ぶわよ

 

 

 

 

男の子:わあっ!

 

 

 

母親:もう、だから言ったのに

 

 

 

男の子:わ~ん!痛いよ~

 

 

 

母親:大丈夫?ほら、立ちなさい

 

 

 

母親が手を差し出すと男の子はその手を取り立ち上がり泣き止んで母親と手を繋いで歩き出した

 

 

 

 

ココアはそれを見て昔を思い出していた

 

 

 

 

━━━━━

 

 

ココア:ほらチノちゃん!見てみて!あっちすごいよ~

 

 

 

チノ:そんなに走ると転びますよ

 

 

 

リゼ:やれやれ、元気なやつだな

 

 

 

ココア:わっ!

 

 

 

チノ:………はあ、だから言ったじゃないですか

 

 

 

リゼ:おい!大丈夫か

 

 

 

ココア:ヂノぢゃあぁん~!いだいよ~

 

 

 

チノ:全く、しょうがないココアさんですね……ほら、立ってください

 

 

 

ココア:……うん、グスッ

 

 

 

リゼ:ははは、これじゃあチノの方が姉だな

 

 

チノ:そうですね、では今日から私が姉です

 

 

 

ココア:そんなぁ~

 

 

 

━━━━━

 

 

 

ココアはそんな光景を思い出してクスリと笑った

 

 

 

ココア:ふふ、そんなこともあったなぁ……さて、そろそろ行こうかな

 

 

 

立ち上がり伸びをして空き缶をゴミ箱に捨ててココアは会社へと帰っていった

 

 

 

 

そして

 

 

 

男性社員:いやー助かった、ほい鍵

 

 

 

ココア:うん、確かに

 

 

 

木村:ただ今帰りました!あれ、保登さん……何かいいことあった?

 

 

ココア:え?

 

 

 

木村:だって、何か嬉しそうと言うか、楽しそうと言うか……そんな顔してたよ

 

 

 

ココア:ああ、ふふ………車とは違う景色を見たんです……たまにはいいですね、歩いてみるの

 

 

 

木村:……そうだね、うん

 

 

そして仕事も終わり、家に帰ったココアは夜、チノに電話をかけ

 

 

今日のことを話してチノと語り合うのだった



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姉妹でドライブ

ある日のラビットハウス

 

 

 

チノ:はい、コーヒーとタマゴサンドです

 

 

 

ココア:ありがとー!いただきまーす!

 

 

 

ココアはほわーんとした顔をしながらコーヒーとタマゴサンドを堪能する

 

 

 

ココア:コーヒー美味しかったよ~!えっと、キリマンジャロ!

 

 

 

チノ:カプチーノです

 

 

 

ココア:ヴェア!?

 

 

 

チノ:全く、昔からコーヒーの味が全くわかってませんね、会社でコーヒー入れるときどうしてるんですか

 

 

 

ココア:ん?インスタントだから別にどうもしてないかなぁ~

 

 

 

チノ:はぁ……そうですか、で、これからどうする予定なんですか?

 

 

 

ココア:それなんだけどね、チノちゃん今外出れる?

 

 

 

チノ:え?まあ、お客さんも来てませんし……

 

 

 

チノがそう言った直後、ココアはカウンターに両手をついてガタッと立ち上がった

 

 

ココア:ホント!?じゃあドライブいこっ!さあさあ!ほらほら!

 

 

 

チノ:え!あ!ちょっと!ココアさん!

 

 

 

チノの手をガシッと掴んでダッと外に出るココア

 

 

 

チノはclauseの札を扉に掛けてココアの車に乗り込んだ

 

 

 

ココア:よ~し!いっくよぉ~!

 

 

 

チノ:あ、安全運転でお願いします

 

 

 

ココア:お姉ちゃんに任せなさい!

 

 

 

チノ(不安です)

 

 

 

車は走りだし、ココアとチノは2人きりのドライブに出発した

 

 

 

高速に乗り、都会へと向かっていく

 

 

 

ココア:さあチノちゃん、今日は私に1日付き合ってもらうよ~!

 

 

 

都会に着いたココアとチノは色々な所に足を運んだ

 

 

【ココアの会社】

 

 

ココア:私の会社だよ!

 

 

チノ:はあ、そうですか

 

 

 

ココア:反応薄い!

 

 

 

【ココアのアパート】

 

 

ココア:私の部屋は2階のあそこだよ!寄ってく?

 

 

 

チノ:いえ、結構です

 

 

 

ココア:ヴェアアア!

 

 

 

チノ:うるさいです、ていうかさっきから案内する場所変です、お店とかを案内するんじゃないんですか?普通は

 

 

 

ココア:あはは~ごめんね~

 

 

 

その後、ココアはチノを連れて服屋に行ったり、食事に行ったり、ゲームセンターに行って2人で遊んだりした

 

 

 

そして日も暮れ始め、辺りはすっかり夕焼け空だった

 

 

 

2人は最後に湖のある公園に来ていた

 

 

 

湖の前のベンチに1人座っているチノはジーッと水の流れを眺めていた

 

 

 

チノ(なんか、疲れました……でもいい疲れです……来て良かった……それにしてもココアさん遅いな……)

 

 

 

『ちょっとお手洗い行ってくるからここで待っててね』

 

 

 

チノ(迷ったのかな……探しにいった方がいいかな……でも入れ違いになったら……)

 

 

 

チノが立ち上がり考えていると頬に冷たい感触が伝わる

 

 

 

チノ:ヒャッ!

 

 

 

驚いて後ろを見ると缶ジュースを持っていたココアがそれを差し出していた

 

 

 

ココア:えへへ、驚いた?

 

 

 

チノ:も、もう!せっかく心配してたのに……ココアさんなんか知りません!

 

 

 

ジュースをひったくってそっぽを向いたチノ

 

 

 

ココア:ごめーんチノちゃ~ん!怒らないで~

 

 

 

チノ:まあ、無事ならいいです……ココアさん、1つ聞いていいですか

 

 

 

ココア:ん?何?

 

 

 

チノ:何で私だけなんですか、リゼさんや千夜さん達も誘えばよかったのに

 

 

 

ココア:あーそれはねぇ、2人しか乗れなかったから

 

 

 

チノ:そうなんですか?まあ、あの時もそう言ってましたね

 

 

 

ココア:なーんて言うのは冗談で、チノちゃんとお出かけしたかったんだ、2人だけで

 

 

 

チノ:え?

 

 

 

ココア:チノちゃんと2人きりってあまりなかったからね、遠くに行くときはいつも皆と一緒だったし

 

 

 

チノ:そうでしたね

 

 

 

ココア:だからたまにはって思って、 前から思ってたんだけど遅くなっちゃった

 

 

 

チノ:ココアさん

 

 

 

ココア:………私の独断で強引に連れてきちゃったけど、嫌だった?

 

 

 

チノ:…………いいえ、楽しかったです

 

 

 

ココア:チノちゃん

 

 

チノ:一緒にお洋服見たり、ご飯食べたり、遊んだり……マヤさん達と離れてからしなくなりましたし……だから、楽しかったです……ココアさん、ありがとうございます

 

 

 

ココア:うん!どういたしまして!

 

 

 

そして車は木組みの街へと向かっていく

 

 

 

道中チノはココアを見ていた

 

 

 

━━━ワイシャツ着て、ジーパン履いて、ハンドルを握るココアさんはすごく

 

 

 

 

 

 

カッコよかったです ━by.香風智乃



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迷子と平手打ち

ある日のデパートの中、ココアは1人の少女と休憩所の椅子に座っていた

 

 

 

ココア(時間大丈夫かなぁ……)

 

 

 

ココアはスマホの時計を見て心の中で呟いた

 

 

 

 

ココア(もう30分かぁ……探しにいった方がいいかな……でもこの子をこの人混みの中歩かせるわけにはいかないし、かといってここに置いておくわけにもいかないし……)

 

 

 

実はココアはこの日、デパートの中のファミレスで取引相手と会うことになっていた

 

 

デパートに入り、エレベーターでレストランのある階に向かおうとしたところ子供の泣き声が聞こえたので行ってみると1人の少女が泣いていたので話を聞いたところ母親とはぐれてしまったと答えた

 

 

サービスカウンターに話をして放送で呼び出してもらい、ココアはスタッフに預けて行こうとするが少女がココアを放さずにいたため一緒に親を待つことになり現在に至る

 

 

 

ココア:お母さん、どうしたのかなぁ……放送聞こえなかったのかなぁ

 

 

 

少女:どうじよ、おがあざんにおごられちゃう

 

 

 

ココア:あ、えっと……大丈夫だよ!もし怒られたら一緒に謝ってあげるから!ね?

 

 

 

少女:うん、ありがど

 

 

 

ココア:ふう、早くお迎えに来るといいねぇ

 

 

 

その後も待ってみるがまだ来る気配はなくココアは無意識に足を床にトントンとする

 

 

 

ココア(何してるのかな……子供が心配じゃないのかな……)

 

 

 

ココアの表情は少し険しくなっていた

 

 

その時、ココアに声がかかる

 

 

 

『どうしたんだ?そんな怖い顔して』

 

 

 

ココア:あ、リゼちゃん!実は

 

 

 

ココアはリゼに経緯を話した

 

 

 

リゼ:なるほど、そう言うことか……なら私が代わりに待ってもいいけど……お?

 

 

 

少女:いや!このお姉ちゃんがいい!

 

 

 

少女はココアの腕をガシッと強く掴んだ

 

 

 

リゼ:ははは、すっかり嫌われたな……じゃあまたなココア

 

 

 

ココア:うん、ってリゼちゃんは何しにここに?

 

 

 

リゼ:ああ、私は授業で使える参考書を買いにな……じゃあ、私はこれで

 

 

 

ココア:うん

 

 

 

リゼと別れた直後、一人の女性が駆ココア達にけ寄ってきた

 

 

 

少女:あ、お母さん

 

 

 

ココア:見つかってよかった、もうはぐれないようにね

 

 

 

少女:うん!お姉ちゃんありがとう!

 

 

 

そしてココアが立ち上がり、鞄を手にエレベーターに向かおうと歩き出した直後

 

 

 

 

パシンと平手打ちをする音が聞こえた

 

 

 

少女は泣き出してしまった

 

 

 

母親:このバカ!あれほど離れるなと言っといたのに!なんで付いてこないのよ!放送までされて!ああ恥ずかしいったらありゃしない!

 

 

 

少女:だ、だっで……ひどがいっばいで……おがあざん、あるぐのはやいじ

 

 

 

母親:言い訳をするんじゃ……!

 

 

 

 

リゼ:おい!ちょっと……!

 

 

 

音を聞いて振り返って様子を見ていたリゼが再び少女を叩こうとする母親を止めようとしたがそれも空しく、平手打ちの音が響いた

 

 

 

リゼは目を閉じて顔を背け、少しして目を開けてみると少女の前に立ち塞がり母親の平手打ちを受けていたココアがいた

 

 

 

リゼ:ココア!

 

 

 

少女:お、おねえ……ちゃん?

 

 

母親:な……邪魔しないでよ!私はあの子にきょうい……くふぉっ!

 

 

 

母親がそう言いかけたとき、ココアは思い切り平手打ちを母親にくらわせた

 

 

 

母親:痛っ!ちょっと!何すん……ヒィッ!

 

 

 

 

リゼ(ココア……)

 

 

 

 

ココアはキッと母親を睨み付けながら声をかけた

 

 

 

 

ココア:あなた、あの子がどんな気持ちで今まで待ってたかわかりますか?

 

 

 

母親:ほ、本人じゃないのにそんなのわかるわけ……

 

 

 

 

ココア:ああわかりませんよねぇ、そりゃそうだ……だって自分の子供よりも買い物が大事ですもんねぇ!

 

 

 

 

母親:ヒィィッ!

 

 

 

リゼ:ああ、そうだな!ココアの言う通りだ、それにやっと会えた母親に抱き締めてもらったり、撫でて貰ったりするどころか()たれてしまうんだからよっぽどだな……家でも手を上げてるんじゃないのか?

 

 

 

母親:そ、そんな……わけ……か、帰るわよ!

 

 

 

 

少女:わっ!お、おかーさん!待っ……!

 

 

 

母親は少女の手を掴んでそそくさと出ていった

 

 

 

 

リゼ:やれやれ、図星ってとこかな……これに懲りて優しくなるといいけどな……それにしてもお前があんなに怒るなんてな

 

 

 

ココア:えへへ、あの子の気持ちを考えたらつい

 

 

 

リゼ:でもカッコよかったぞ、チノが見ても同じこと言うんじゃないかな『ココアさん、カッコいいです』って

 

 

 

ココア:もー!チノちゃんはもっと可愛い声で言うよー!

 

 

 

リゼ:ははは、似てないか……悪い悪い……ってココア、時間はいいのか?

 

 

 

 

ココア:え?あ、ヴェアアアア~ッ!!待ち合わせに遅刻だぁ~!!!

 

 

 

 

ココアもまたそそくさとエレベーターへ急ぐのだった

 

 

リゼ:やれやれ、いつものココアだな……さ、私も行かなきゃな



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田舎へ帰ろう

ある日の休日、ココアは故郷の田舎へ向かっていた

 

 

ココア(しばらく帰ってなかったしなぁ……お母さんとお姉ちゃん、元気かなぁ)

 

 

高速に乗り、しばらく走って実家のある田舎へと入る

 

 

ココア(えっと、どこだっけ……あ、こっちか)

 

 

 

途中で止まりスマホで地図を確認して実家へ向かう

 

 

 

ココア(あ、ここだ……やっと着いたぁ)

 

 

 

車を止めて家に入ってみる

 

 

 

ココア:た、ただいま……!?

 

 

 

言い終わった直後モカがダッシュで駆けてきて抱き締められた

 

 

 

モカ:もー!会いたかったぞ!マイ・シスター!

 

 

 

ココア:ムギュ……おむぇひゃん……くむふぃ……

 

 

 

モカ:あ、ごめんココア……嬉しくてつい……ほらお母さん、ココアだよ

 

 

 

母:お帰りなさい、ココア……すっかり大人になったわね

 

 

 

ココア:ただいま、お母さん

 

 

 

ココアを優しく抱きしめる母

 

 

 

しばらくリビングで3人で談笑しているとモカが立ち上がる

 

 

 

モカ:そうだ、そろそろパンの配達しないと……ココア、スクーターで一緒に

 

 

 

ココア:お姉ちゃん、それは必要ないよ……何故なら

 

 

 

モカ:………?

 

 

 

ココア:私の車があるから!

 

 

 

 

モカ:今度はココアが私の想像の上をいったよ!

 

 

 

母:あら~免許取ってたのね、すごいわココア

 

 

 

ココア:えっへん!さあお姉ちゃん!トランクにパン乗せて

 

 

 

モカ:了解!

 

 

 

車のトランクに積み込み、ココアとモカは家を何件か回る

 

 

 

 

モカ:おお~なかなかやるねぇココア

 

 

 

ココア:えへへ~すごいでしょ

 

 

 

 

モカ:もうドリフトまで出来ちゃったり?

 

 

 

ココア:出来ないよ!?例え出来てもしないよ!?

 

 

 

モカ:あはは、冗談だよ……ココアは可愛いなぁ

 

 

 

ココア:もーお姉ちゃんったら

 

 

 

配達を終え、家に帰って3人で夕食を食べてココアは入浴する

 

 

 

ココア(ふう、実家はいいなぁ……久しぶりに帰って来たけど、やっぱり落ち着くなぁ)

 

 

 

湯船に浸かりながらそう考えていると

 

 

 

モカ:ココアー!お姉ちゃんも入れて~

 

 

 

ココア:わっ!お、お姉ちゃん!?

 

 

 

モカ:背中流してあげる~!

 

 

 

ココア:じゃあ私はお姉ちゃんの背中を流してあげるよ~

 

 

 

モカ:ありがと~!

 

 

 

そして風呂から上がり、ココアは自室に戻ってスヤスヤと眠る

 

 

 

翌朝、ココアは朝食を食べて店を少し手伝ってから都会へ帰るため車に乗り込んだ

 

 

 

モカ:ココアー!また帰って来てね~!

 

 

 

母:風邪に気を付けるのよ~

 

 

 

ココア:お姉ちゃん!お母さん!また来るね!

 

 

 

そういってココアは車を都会へ走らせた

 

 

 

ココア(楽しかったなぁ、また近いうちに帰ってこよう)

 

 

 

しばらく走り車は都会へと入り、ココアは大変な日々へと戻っていくのであった



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あなたの声が聞きたくて

ココア(うーん、ダルいよぉ……頭痛いよぉ)

 

 

 

ある日の朝、ココアは風邪を引いてしまいダウンしていた

 

 

ココア:そ、そうだ……取り敢えず連絡しなきゃ……ゴホッ

 

 

咳き込みながら何とか会社に連絡をしたココアはとりあえず用を済ました

 

 

 

ココア:えっと……熱を冷ますシート……どこだっけ……ここかなぁ

 

 

ゴソゴソとあちこち探し回り、よくやく見つけた

 

 

 

ココア:あったあった、よっ……と……ふわぁ、気持ちいい~

 

 

 

シートを額に貼ったココアは食欲もないのでとりあえず寝ることにした

 

 

ココア(風邪の時は寝てるのが一番だもんね……おや……すみ……スゥ)

 

 

 

スヤスヤ眠るココア、しばらくして何かの匂いを感じた

 

 

 

ココア(クンクン……いい匂い……美味しそうで、なんか……優しい匂い……)

 

 

 

目を開けて上体を起こし、キッチンを見るとそこには木村がいた

 

 

 

木村:あ、起きたね……ごめん勝手に入って、カギ開いてたから

 

 

 

ココア:えっ!?あぁ~昨日残業でクタクタで帰ってすぐ寝ちゃったから閉め忘れたんだぁ~

 

 

 

木村:大丈夫だよ、私も時々やるから……それにそのおかげで私が入れたんだし……結果オーライかな

 

 

ココア:あはは、そうですねぇ

 

 

 

木村:あ、そうだ……お粥作ったけど食べられそう?

 

 

 

ココア:あームリそうなんで先輩、食べさせてくれません?『あーん』って

 

 

 

木村:はいはい、しょーがないなぁ……はい

 

 

ココア:あーん、うん……美味しいです

 

 

 

木村:そう?よかった……じゃあ私そろそろ行くね、昼休み終わっちゃうから

 

 

 

ココア:はい、わざわざありがとうございます

 

 

 

木村:ああ、スポーツドリンクとかそこに置いといたから飲めそうだったら飲んどいた方がいいよ

 

 

 

そういって木村は帰っていった

 

 

 

 

ココア:ふう、少し楽になったかな……お粥もうちょっと食べとこ……ドリンクも飲んであと薬も飲まやきゃ

 

 

 

お粥を食べてスポーツドリンクと薬を飲んだココアは再び横になる

 

 

 

ココア(そういえば……前に私が風邪引いたとき、リゼちゃんたちがお見舞いに来てくれたっけ……チノちゃんは雪の中、切れた風邪薬をもらいに行ってくれたんだよね……そうだ)

 

 

 

ココアはスマホでチノに電話をかけた

 

 

 

 

『はい、何ですか』

 

 

ココア:ケホッ……チノちゃん、元気?

 

 

 

『え、ええまあ……ココアさんは……風邪ですか?』

 

 

 

ココア:うん、そうなんだ……会社の先輩がお見舞いに来てくれてね、お粥とか作ってくれたんだけど、帰っちゃったら何か寂しくて……昔私が風邪を引いたときの事思い出してたらチノちゃんの声が聞きたくなって電話したんだ

 

 

 

『そ、そうですか……』

 

 

 

ココア:チノちゃんは今お店?

 

 

 

『いえ、買い物帰りです……コーヒーの豆を買ってお店を出たとこです、そろそろ家に帰るんで切りますよ』

 

 

 

ココア:えー寂しいよぉ……もっとチノちゃんとお話ししたいなぁ……その方が私、良くなる気がするんだ……でもワガママだよね……ごめんねチノちゃん

 

 

 

『…………』

 

 

 

ココア:じゃあ気をつけて帰ってね、チノちゃ……

 

 

 

『待ってください……ココアさん』

 

 

 

ココア:………?

 

 

 

『私が家に着くまで……話しませんか……帰り道、一人なんで……その、退屈なので』

 

 

 

 

ココア:………チノちゃん

 

 

 

『ダメ、ですか』

 

 

 

ココア:ううん!そんなことないよ!お姉ちゃん大歓迎!

 

 

 

『大きな声出さないでください、耳が痛いです』

 

 

 

ココア:あはは、ごめんごめん……ねえ、チノちゃん

 

 

 

『はい?』

 

 

 

 

ココア:ありがとね

 

 

 

『……!い、いえ……あの……こ、こちらこそ……です』

 

 

 

ココア:あーチノちゃん照れてる~

 

 

 

『て、照れてません!それよりココアさん、何か話を振ってください』

 

 

 

ココア:あ、ごめん……えーっと何話そうかなぁ~

 

 

 

しばらく話す2人、だがココアはチノと話しているうちに眠ってしまう

 

 

 

 

電話口から聞こえてくるココアの寝息にチノはクスッと笑う

 

 

 

チノ:おやすみなさい、ココア……お姉ちゃん

 

 

 

 

そしてチノは電話を切り、ラビットハウスへと帰っていった



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お蕎麦と変わらぬツッコミ

ココア:ふう、商談終了っと……あ、そろそろお昼かぁ……何を食べようかなぁ

 

 

取引先での商談を終えたココアは腹の虫が鳴いたので昼食を考えながら歩き出す

 

 

ココア(………そういえば加藤くんが美味しいお蕎麦の店があるって言ってたっけ……えっと、確か……うーん)

 

 

 

店の名前を思い出せず、唸りながら歩いていると

一人の女性とぶつかってしまう

 

 

ココア:わっ!

 

 

 

女性:ピャッ!

 

 

 

ココア:………あ、シャロちゃん?

 

 

 

シャロ:いたた……え?あ、なんだココアだったの……気を付けなさいよ

 

 

 

ココア:ごめん!お店の名前思い出そうとしてたんだけどなかなか思い出せなくて

 

 

 

シャロ:ふーん、まあいいけど……で、どんなお店なの?

 

 

 

ココア:えっとね、お蕎麦が美味しくて、ネギも多めなんだって……前に聞いたんだけど忘れちゃって

 

 

 

シャロ:それって、もしかして……そば屋鉄平ってとこじゃない?

 

 

 

ココア:え?あ!そうかも!確か磯田鉄平って人がやってるって言ってた!シャロちゃんよく知ってたね

 

 

 

シャロ:前に雑誌で見たのよ、行くの?

 

 

 

ココア:うん、よかったらシャロちゃんも来る?奢るよ?

 

 

 

シャロ:あら、悪いわね……じゃあお言葉に甘えるわ

 

 

 

ココアとシャロはそば屋鉄平に向かって歩き出した

 

 

 

ココア:そういえばシャロちゃんはここで何してたの?

 

 

 

シャロ:今日は休みだから観光がてらティーカップのデザインの研究よ

 

 

 

ココア:研究?

 

 

シャロ:ええ、他の会社のティーカップを見て参考にするのよ、最近何かいいデザイン浮かばなくてね……はぁ

 

 

 

ココア:へえ~そっかぁ……大変だねぇ

 

 

 

そんなやり取りをしているとそば屋鉄平が見えてきたので2人は入ってみる

 

 

 

 

ココア:たのもー!磯田鉄平はおられるかー!

 

 

 

シャロ:道場破りじゃないのよ!

 

 

 

すると中から1人の男が出てきた

 

 

 

男:おう!いらっしゃい!オレが磯田鉄平よ!ほれ、この座敷に座んな

 

 

 

ココア:ありがとうございまーす

 

 

 

シャロ:ど、どうも

 

 

 

ココア:シャロちゃん、何にする?

 

 

 

シャロ:そうね、ざるそばでいいわ

 

 

 

ココア:私もそれにしようっと……すみませーん!

 

 

 

 

ココアが呼ぶと同時に鉄平はざるそばを2つ持ってきた

 

 

 

鉄平:へい、お待ち

 

 

 

ココア:あれ、まだ頼んでないですけど

 

 

 

 

鉄平:なぁに、ここに来た初めて客は大体ざるそばを頼むんだぜ

 

 

 

シャロ:なるほどね

 

 

 

ココア:わぁ、ホントにネギが多めだぁ……加藤くんの言う通りだ

 

 

 

鉄平:ほう、お嬢ちゃん……健坊と知り合いかい

 

 

 

ココア:はい、同僚です!

 

 

 

鉄平:そうかい、この前の先輩さんといい……お嬢ちゃんといい、こんな可愛い子と働けるなんて……あの野郎も隅に置けねえなぁ

 

 

 

ココア:やだぁ~もう~そんなことないですよぉ~

 

 

 

シャロ:おばちゃんか!

 

 

 

 

そんなことを言いつつ、そばを平らげた2人

 

 

 

ココアが2人分払い、外へ出る

 

 

 

シャロ:ふう、美味しかったわ……ココア、ご馳走さま

 

 

 

ココア:え?私作ってないよ?作ったのは磯田さんだよ?

 

 

 

シャロ:わかってるわよ!奢ってくれたお礼よ!

 

 

 

ココア:あはは、冗談だよシャロちゃん

 

 

 

シャロ:もう、昔っから変わらないんだから

 

 

 

ココア:えへへ、シャロちゃんも変わらないね、そのツッコミのキレ

 

 

 

シャロ:何よそれ

 

 

クスリと笑ったシャロは言葉を続けた

 

 

 

シャロ:ココア、ありがと……久しぶりにココアとお喋りしてご飯一緒に食べたらいい気分転換になったわ

 

 

 

ココア:えへへ、どういたしまして

 

 

ココアがそういった後シャロは財布から500円玉を出してココアに渡した

 

 

シャロ:はい……これ、奢ってもらったお返し……飲み物でも買いなさい

 

 

 

ココア:あ、ありがとう

 

 

シャロ:じゃあ私はもう、行くわ……帰ってデザイン考えなきゃ

 

 

 

ココア:うん!またねシャロゃん!

 

 

 

シャロは木組みの街へと帰っていった

 

 

 

ココア:さて、私も会社に戻らなきゃ……あ、加藤くんに行ったよって教えてあげよっと

 

 

 

ココアも会社へと帰るのであった



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魅惑のホームベーカリー

ある日の休日、ココアは家電量販店に来ていた

 

 

 

ココア:炊飯器……掃除機……色々あって見てるだけでもワクワクしちゃうなぁ……

 

 

 

あちこち見て回るココアはふとあるものに目を奪われた

 

 

 

ココア:あ、これは……ホームベーカリー!確か家でパンが作れるんだよね、んーどうしよう……値段は……そこまで高くない、か……うーん

 

 

 

ココアが悩んでいるとそこに店員がやって来た

 

 

 

店員:お客様お目が高い!そちら最新式のホームベーカリーとなっておりまして何とドライイーストやドライフルーツなどの具材を専用の投入口にあらかじめセットしておきますと自動的に的確なタイミングで投入してくれるんですよ!

 

 

 

ココア:おお~それは手間が省けていいなぁ

 

 

 

店員:作れるメニューの豊富さもこの商品の売りです!ご覧ください、このメニューの種類の多さ!

 

 

 

ココア:わぁ~ホントだ……こんなに出来るんだ

 

 

 

店員:さらに!タイマーをセットして予約しておけばその時間に焼き上がるようにしてくれますよ!

 

 

 

ココア:ムムム、それはすごい!

 

 

 

店員:もし今買っていただけるなら今回はお客様に特別価格で……

 

 

 

店員は電卓を素早く打ち、ココアに見せた

 

 

 

店員:こちらのお値段でご提供いたします!

 

 

 

ココア:安い!買ったぁ!

 

 

 

店員:ありがとうございます!これからも当店をご贔屓に!!

 

 

 

ホームベーカリーを買ったココアは家に帰って段ボールを開けてみる

 

 

 

ココア:んふふふ~お、これこれ……これで家で焼きたてのパンが食べられる~!

 

 

 

 

ココアはコンセントを繋げて電源を入れ、説明書を読みながら操作してみる

 

 

 

ココア:ふんふん、なるほど……で、ここをこうして……っと、よし……あとは待つだけか

 

 

 

 

パンの焼き上がりまで雑誌を読んだり、テレビを見たり仕事を片付けたりしながら待つココア

 

 

 

そして、ついにその時がきた

 

 

 

ココア:あ、焼けたかな……どれどれ

 

 

 

音がしたのでココアは蓋を開けて中を見る

 

 

 

ココア:おぉ~焼けてる焼けてる、いい匂い~

 

 

 

早速取り出し、包丁で切って一切れ食べてみる

 

 

 

ココア:んん~!美味しい~サクサクふわふわ~!そうだ、後で会社に持ってって皆に分けよう

 

 

 

数日後

 

 

 

 

ココア:先輩、おひとつどうぞ

 

 

 

木村:あれ、パン?これどうしたの?

 

 

 

ココア:家で焼いたんです、最近ホームベーカリー買ったんで

 

 

 

木村:へぇ~そうなんだ……じゃあもらうね、あ……美味しい

 

 

 

ココア:えへへ、よかった……あ、加藤くんも食べて食べて

 

 

 

加藤:え、いいんですか?では……お!こりゃ美味いですよ保登さん!

 

 

 

ココア:ふふ、ありがと加藤くん!あ!部長~!

 

 

 

ココアはこの日、沢山の人にパンを分けて回ったのだった



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あの時の場所にまた皆で

ある日、ココアはチノ・リゼ・千夜・シャロ、そしてマヤとメグも加えた6人を乗せて山道を走っていた

 

 

ココアの車では全員乗れないのでレンタカーのワゴンで来ている

 

 

 

マヤ:おお~!懐かしい景色が見えてきたぞ~!

 

 

メグ:ホントだ~

 

 

チノ:あの時以来ですね

 

 

リゼ:はは、チマメ隊はすごくはしゃいでるな

 

 

シャロ:そうですね、でも気持ちはわかりますよ、私も少しワクワクしてます

 

 

 

千夜:ふふふ、シャロちゃんもしかして興奮して寝れなかったんじゃない?

 

 

 

シャロ:ちゃんと寝たわよ!興奮してたのは確かだけど……ていうか、あんまり寝てないのは……

 

 

リゼ:ああ、そうだな

 

 

 

チノ:ココアさんですね

 

 

 

ココア:はぁ~い、そうで~す

 

 

 

ココアは前を向いたまま左手を上げてヒラヒラと振りながら返事をした

 

 

 

リゼ:大丈夫か?路肩に止めて少し仮眠でも取るか?

 

 

ココア:大丈夫大丈夫、あともう少しだからこのまま行っちゃうよ~

 

 

千夜:夜中までお仕事してたのに運転までさせちゃってごめんなさいねココアちゃん

 

 

ココア:いいよ~運転は好きな方だから、でもこんな大きな車は初めてだからちょっとここからは集中させてね~

 

 

千夜:そうね、山道から転げ落ちたら大変だものね

 

 

 

シャロ:不吉なこと言うな!!

 

 

 

しばらく走り続け、千夜の言った通りに転げ落ちはせずに無事、皆で昔来た山へたどり着いた

 

 

 

 

ココア:ふわぁ~着いたぁ~

 

 

 

マヤ:お疲れ~アネキ!よっと、一番乗り~

 

 

マヤはそそくさと外へ飛び出した

 

 

メグ:マヤちゃん待ってぇ~

 

 

チノ:あ、私も行きます

 

 

 

リゼ:コラコラお前たち、まずは昼食を食べてからだぞ

 

 

外に飛び出し、走り出そうとしているチマメ隊をリゼが制止してバンガローへ入り、昼食の用意をする

 

 

 

リゼ:今回はちゃんと食材があるから大丈夫だな

 

 

マヤ:前はサバイバルしたもんな~

 

 

メグ:あれはあれで楽しかったけどね~

 

 

チノ:貴重な体験しましたね

 

 

ココア:うん、そうだね!あ、これもよかったら食べてね

 

 

 

千夜:あら、パンじゃない……どうしたの?これ

 

 

ココア:えへへ、実はこの間電気屋さんでホームベーカリー買ったんだ

 

 

シャロ:ああ、それで焼いたのね……じゃあ1つもらうわね

 

 

 

リゼ:私も貰おう

 

 

マヤ:へへ~2つも~らい!

 

 

メグ:も~!マヤちゃん私の無くなっちゃう~!

 

 

 

千夜:いただくわ、ココアちゃん

 

 

チノ:私も、いただきます

 

 

 

ココア:どうぞどうぞ~いっぱい食べてね~私も食べよっと

 

 

 

皆でワイワイとパンや持参した食材で作った物を食べる

 

 

食べ終わると皆それぞれ川に入ったり、森の中を探検したり、釣りをしたり様々な事をして過ごす

 

 

そして、夜になり、夕食を済ませ、またそれぞれ思い思いに過ごしていた

 

 

 

しばらく経った頃、チノはココアの姿が見えないのが心配になり、バンガローの中を見て回るがいなかったので外に出てみるとそこにココアはいた

 

 

チノ:ココアさん、こんなとこにいたんですか

 

 

 

ココア:あ、チノちゃん……うん、星を見てたんだぁ

 

 

 

ココアはチノの声に気づいて振り向いた

 

 

 

チノ:懐かしいですね、あの時もこんな感じでしたね

 

 

 

ココア:うん、楽しかったねぇ

 

 

 

チノ:ええ、それにあの時はゾンビドッキリとかフォークダンスとかしましたし、結構騒がしかったです

 

 

 

ココア:ふふ、あの時のチノちゃん可愛かったなぁ、寝袋のままテントから飛び出してきたっけ

 

 

チノ:もう!ココアさん!あの事は忘れてください!

 

 

 

ココア:あはは、ごめんごめん……でもまたこうやって皆で来られるなんて凄いね

 

 

 

チノ:はい、ココアさん……ありがとうございます、ココアさんが企画してくれなかったらこんなに楽しいこと出来ませんでした………て、ココアさん……なんかフラフラしてませんか?

 

 

ココア:えへへ~だいじょ~ぶだいじょ~ぶ、何でも……な……い

 

 

 

ココアは数回フラフラとしたあとグラッと前向きに倒れようとしていた

 

 

 

それを間一髪、リゼが受け止めた

 

 

 

リゼ:おっと!間に合った

 

 

 

チノ:リゼさん、よかった

 

 

 

リゼ:よっぽど疲れてたんだな……仮眠するのすら忘れてはしゃいでたからな

 

 

チノ:そうですね、一番はしゃいでたかもしれませんね

 

 

リゼ:ああ、きっとココアが一番楽しみにしてたんだな

 

 

 

千夜:そうね、きっとそうだわ

 

 

 

シャロ:絶対そうよ、ホンッと昔から変わらないわねこの子は

 

 

 

マヤ:へへへ、まあそれがココアなんだよなぁ

 

 

メグ:楽しいこと大好きだもんね~

 

 

チノ:はい、それは言えてます

 

 

 

リゼ:さて、じゃあ私はココアを布団に運んでくる……そうしたら私たちも休むとしよう

 

 

マヤ:さんせ~なんか今日はもう眠いや

 

 

メグ:昼間い~っぱい遊んだもんねぇ~

 

 

千夜:そうね、じゃあ寝る前に怪談話を

 

 

シャロ:するかぁ~!

 

 

そして、ココアを布団に寝かせ、他のメンバーも全員布団に潜り、眠りにつく

 

 

翌朝、朝食を済ませて木組みの街、そして都会へ帰った皆はまたそれぞれの生活へと戻っていくのであった



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抜き打ちの社会科見学

リゼ:じゃあ今日はこれで終わり、寄り道しないでまっすぐ帰って親にちゃんと言うように

 

 

生徒:はーい!先生さようなら

 

 

ある日、リゼの勤務する小学校は風邪の流行のため午前授業となった

 

 

瀬阿:さて、帰るか……

 

 

 

リゼ:瀬阿、今日親は家にいるのか?

 

 

 

瀬阿:いや、1人だよ……今日は2人とも仕事だから、じゃあ

 

 

 

リゼ:あ、ああ……気を付けてな

 

 

 

瀬阿は学校を出て家に向かって歩いていた

 

 

 

瀬阿(帰って何してようか…と…その前に昼ごはんか、何かあったっけ)

 

 

???:おーい!瀬阿く~ん!

 

 

帰宅後のことを考えていると後ろから声がしたので後ろを振り向く

 

 

 

そこにはココアが車の中から手を振っていた

 

 

 

 

瀬阿:………

 

 

 

 

瀬阿を乗せて車は瀬阿の自宅へ向かっている

 

 

 

 

ココア:そっか、風邪が流行ってるから午前中で終わりなんだ……嬉しい?

 

 

 

瀬阿:………別に、今日2人ともいないし、帰って昼食べて適当に過ごすだけだから

 

 

 

ココア:…………

 

 

 

瀬阿の話を聞いてココアは少し考えたあと

 

 

 

ココア:……よし!予定変更!

 

 

 

瀬阿:え?

 

 

 

ココア:瀬阿くん、これから2人で昼ごはん食べに行こう!

 

 

 

瀬阿:……は!?ちょっと!

 

 

 

ココア:いいからいいから、遠慮しないで、ね?

 

 

 

瀬阿:……わかったよ……全く、強引だなぁ

 

 

 

ココアは瀬阿を連れてファミレスへ入る

 

 

 

ココア:さあ、瀬阿くん……何でも好きなもの頼んでいいよ?お姉さんの奢りだよ

 

 

 

瀬阿:はは、当たり前じゃん、子供に出させる気かよ……えっと、じゃあこれかな

 

 

 

ココア:ふふ、えっと私は……これにしようかな

 

 

 

2人で食事を済ませた2人はまた車に乗る

 

 

 

瀬阿:えっと、ごちそうさま……ありがと、昼ご馳走してもらって

 

 

 

ココア:うん、どういたしまして

 

 

 

瀬阿:じゃあ家に……

 

 

 

ココア:そうはいかないよ!

 

 

 

瀬阿:え!?

 

 

 

ココア:今日は私に付き合ってもらうよ

 

 

 

瀬阿:いや、そんな、ウソだろ

 

 

 

ココアは瀬阿を連れて会社に向かった

 

 

 

ココア:はい、到着~

 

 

 

瀬阿:………これってマズいじゃないの、オレ部外者だよ

 

 

 

ココア:まあまあ、誰もいない家に帰るよりこっちの方がいいって、社会科見学だと思ってさ

 

 

 

瀬阿:………はあ

 

 

 

ココアは瀬阿を連れて社内へ

 

 

そして部署に行く途中の廊下で佐藤とすれ違う

 

 

 

佐藤:あら、保登さん……あなたのお子さん?ダメよ勝手に連れてきちゃ

 

 

 

瀬阿:んなわけないじゃん、何だよこのおばさん

 

 

 

佐藤:お、おばさん!?

 

 

 

ココア(………グッジョブ)

 

 

 

ココアは心の中でガッツポーズを決めた

 

 

 

佐藤はプンプン怒りながら出掛けていった

 

 

 

ココアは部署に着くと部長に事情を説明して許可を得た

 

 

 

ココア:お待たせ

 

 

 

瀬阿:あ、ああ……うん

 

 

 

ココア:ん?どうしたの?

 

 

 

瀬阿:……あ、いや……初めてみたから……こういうとこ、なんか……学校の職員室みたいだなぁ

 

 

 

ココア:なるほど、近いかもね……じゃあ、えっと……ここに座ってていいよ

 

 

 

ココアは自分の席の近くにパイプ椅子を置いた

 

 

 

瀬阿はそこに座ってココアや他の人たちの仕事姿を見ていた

 

 

 

しばらくして仕事の終わりの時間になると瀬阿は女子社員に囲まれ、お菓子を大量に貰う

 

 

 

ココア:おやおや、モテモテだねぇ~

 

 

 

瀬阿:う、うるさいな

 

 

 

ココア:あはは、ごめんごめん……じゃあ帰ろっか

 

 

 

瀬阿:うん

 

 

 

そして、ココアは瀬阿を自宅に送り届けて自分も自宅へ帰った

 

 

 

ちなみに瀬阿は帰り際に加藤、木村、そして部長からもお菓子を貰ったのであった



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思い出の説明会

ある日の休日、ココアは部屋で探し物をしていた

 

 

ココア:えーっとあれはどこだっけ……ここかなぁ?

 

 

あっちこっちゴソゴソと探しているとヒラリと1枚の紙が出てきた

 

 

 

 

ココア:………ん、何かな……よっと

 

 

 

拾い上げるとそれはココアが現在働いてる会社の説明会の案内だった

 

 

 

ココア:わぁ、懐かしいなぁ……あれ見てあそこに決めたんだよね……ふふ

 

 

 

ココアはクスリと笑って当時を回想する

 

 

 

 

高校を卒業したココアは木組みの街を飛び出し、都会へと旅立った

 

 

都会に来てしばらくはアルバイトを転々としながら生活していたがどれもしっくりこなかった

 

 

そんな中、街で配っていたチラシを見て行ってみることにした

 

 

当日、ココアは説明会へと向かった

 

 

ココア:えっと、ここか……

 

 

 

中へ入り、受付で会場の場所を教えてもらいトイレに寄ってから会場へ行き椅子に座る

 

 

 

説明会が始まり、それぞれの部署がアピールをし始める

 

 

 

ココア(うーん、どこもちょっとイマイチだなぁ……ここもダメかなぁ)

 

 

 

パンフレットを眺めながらそんなことを思っていた、そして木村の部署のアピールが始まった

 

 

 

『えー私の部署では……』

 

 

 

ココア:………

 

 

 

木村の部署の説明が始まり、しばらく聞いているとある事が起こった

 

 

 

『木村さ~ん!固いですぜ~』

 

 

『そうだ~!もっと笑え~』

 

 

『あははは!あひひひひ!』

 

 

 

ココア(ここなら……いいかも)

 

 

 

『お前らぁ~!』

 

 

 

『ひいい~!』

 

 

『ぎゃあああ!』

 

 

 

ココア(うん、決めた……ここにしよう)

 

 

 

説明会を終えたココアはその後、面接を受けた

 

 

希望部署はもちろん木村のいるところだ

 

 

 

面接後、しばらくしてココアは無事採用になり、しかも運良く木村のいる部署に配属された

 

 

 

ココア:やった……やった……やったあぁぁぁ~っ!!

 

 

 

採用通知を見てしばらく震えていたココアは立ち上がり通知を放り投げ両手を広げて大きな声で喜んだ

 

 

そしてココアが入社して現在に至る

 

 

 

ココア:あの時、もしも木村先輩がくすぐられなかったら、今の私はまだアルバイト生活だったかもしれないなぁ……

 

 

案内の紙をそっと床に置いて部屋の窓を開けて外を見る

 

 

 

外はすっかり夕方になり空は真っ赤に染まっていて弱い風が吹いていた

 

 

 

ココアは風で髪と頬を撫でられながらジッと外を見つめていた

 

 

ココア(今の部署に決めてよかった……おかげで今は楽しく働けてる……もちろん嫌なことだってたくさんあるけど、それを打ち消すくらい私は今の部署と仲間たちが大好き!)

 

 

 

そしてニコッと笑ったあと窓を閉めたココアはあることに気づいた

 

 

 

ココア:あ、探し物してたんだっけ……えーっとぉ……何探してたんだっけ

 

 

回想に夢中になっていたココアはそれ以前に探していたものを忘れてしまっていた

 

 

 

ココア:………ふう、まっ……いっか

 

 

 

開き直り、探していた時に散らかしたものをせっせと片付けるココアであった



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憧れの人のように

部長:木村くん!ちょっといいかね

 

 

木村:あ、はい!

 

 

加藤:先輩!取引先からお電話です!

 

 

木村:ありがとう、あ……お電話変わりました

 

 

 

ココア(すごいなぁ……あんなに沢山テキパキとやれちゃうなんて……憧れちゃうなぁ……)

 

 

ある日の仕事中、ココアは先輩である木村の仕事振りに見とれていた

 

 

 

ココア(はー私もあんな風になれたらなぁ)

 

 

 

木村:ほら保登さん! 手が止まってるよ!

 

 

 

ココア:はわっ!す、すみません!

 

 

 

木村:気をつけてね、じゃあちょっと取引先行ってきます!

 

 

 

ココア:………はぁ、スゴいなぁ

 

 

 

加藤:ですよね、オレも憧れてますよ……いつかああなれたらなぁって

 

 

 

ココア:だよねぇ~

 

 

 

部長:こら!お前たち!喋ってないで仕事せんか!減給するぞ!

 

 

 

加藤:ヒィッ!すみません!

 

 

 

ココア:はわわ、ちゃ、ちゃんとやりますからそれだけは!

 

 

 

部長に叱責されココアと加藤は仕事に戻る

 

 

時間が経ち、昼休みになったのでココアは食堂へ行き昼食を済ませた

 

 

 

そして昼休みが終わり仕事が再開された

 

 

 

ココア(あ……そろそろ行かなきゃ……)

 

 

 

ココアは取引先へ行くために立ち上がるがそこで女子社員達に話しかけられた

 

 

 

女子社員:保登さん!ごめん!私今日用事があるの、だから仕事少し任せていい?

 

 

 

女子社員:私もちょっと

 

 

女子社員:友達と食事の約束が

 

 

 

ココア(仕事の量増えるけど……せっかく頼ってくれてるしなぁ……よし)

 

 

 

女子社員たち:おねが~い

 

 

 

 

ココア:わかった!皆まとめて面倒見るよ!私の机の上に置いといていいよ

 

 

 

女子社員:ありがと~!

 

 

 

ココアはお礼に手を上げて応えたあと部屋を出て取引先へ向かうため車へ

 

 

 

その道中

 

 

 

ココア(はぁ、今日はいつ帰れるかな……でも仕事いっぱいこなせば木村先輩みたいになれるかも!よし!)

 

 

 

そしてココアは取引先での商談を終え戻ってきた

 

 

するとかなりの量の書類が積まれていた

 

 

 

ココア:なんとまぁ……やるか

 

 

 

その量に唖然としたがとりあえず手をつけ始める

 

 

 

 

退社時間になり、社員たちは帰りはじめ、木村もココアの様子を見ていたが帰っていった

 

 

 

 

そして社内にはココアのみが残された

 

 

 

一心不乱にキーボードを打ち続けるココア

 

 

 

時間はどんどん過ぎて時刻は既に9時を回っていた

 

 

 

ココア:はぁ……終わらないよ……引き受けるんじゃなかったかなぁ……っと、ダメダメ……せっかく頼ってくれたんだから精一杯応えなきゃ!よし、コーヒー飲んでリフレッシュしよっと

 

 

 

ココアは椅子から立ち上がりコーヒーを淹れようとするが

 

 

 

ココア:あ、終わってる……豆も切れてるみたいだし……どうしよう……お茶でいいかな

 

 

そういってお茶の用意をしようとした時

 

 

 

『コーヒーならあるよ、缶コーヒーだけどね』

 

 

 

ココア:……あ、木村先輩

 

 

 

木村:はい、それにパンもあるから休憩にするといいよ

 

 

 

ココア:あ、ありがとうございます

 

 

 

木村:うん、んで……これだね……よっと

 

 

 

木村はココアにパンとコーヒーが入った袋を渡すと、ココアの机に積んであった書類を半分持っていった

 

 

 

ココア:あ、それは

 

 

 

木村:………全く、無茶するよ……こんな量1人で終わらせるのに何時間かかると思ってんの

 

 

 

ココア:………あ、あはは……すみません

 

 

 

木村:こんなの一人でやってたら保登さん、壊れちゃうよ

 

 

 

ココア:だって、皆が私を頼ってくれたから嬉しくてつい……それに

 

 

 

木村:……それに?

 

 

 

ココア:木村先輩みたいになりたかったから

 

 

 

木村:私みたいに?

 

 

ココア:何でもテキパキとこなせて、皆に頼られて……そんな先輩に憧れたから……だから沢山仕事こなせばなれるかなって

 

 

 

木村:はぁ、バカだねぇ……そんなわけないでしょ

 

 

 

ココア:え?

 

 

木村:私みたいになりたいって思ってくれるのは嬉しいけど、こんなことしてたら逆効果だよ

 

 

 

ココア:………

 

 

 

木村:私だって何も初めからテキパキとできた訳じゃなくて、コツコツとやり続けていくうちにやり方や効率とかわかってきてそれで今の私があるんだよ

 

 

ココア:………先輩

 

 

 

木村:それに、保登さんが無理して体壊したりしたら、せっかく頼ってくれた皆も悲しむと思うよ、『私が頼ったせいで』とか『あの時頼らなければ』とかね

 

 

ココア:……はい

 

 

木村:だからこれからはあんまり無茶はしないこと、それと無理そうならちゃんときっぱり断ること、いい?

 

 

 

ココア:了解です!

 

 

 

木村:わかればよろしい!じゃあ2人で終わらしちゃおうか

 

 

 

ココア:あ、ありがとうございます先輩、助かります

 

 

木村:いえいえ、それに保登さんは前に手伝ってくれたし……えっと……先輩に任せなさい!てね

 

 

ココア:ふふ、そうですね

 

 

 

そして、ココアと木村は協力して仕事を終わらせた

 

 

 

ちなみに翌日、ココアに仕事を任せた女子社員たちは木村に説教を食らったのだった



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Cocoa s Magic show

ある日の仕事中、ココアは佐藤に声をかけられた

 

 

佐藤:保登さん、ちょっといいかしら?

 

 

ココア:……はい?何でしょう

 

 

 

佐藤:あなた、来週の飲み会……出れるかしら?

 

 

 

ココア:はぁ、特に予定はありませんが……

 

 

 

佐藤:じゃあ参加でいいわね……えっと次は

 

 

 

ココア:ちょっ!ちょっと!待ってくださいよ、何がなんだかさっぱりですよ

 

 

佐藤:うるさいわねぇ、ほら前に部長が言ってたでしょ……大口の契約が取れたから近々料亭で打ち上げしたいって

 

 

 

ココア:あ、そういえばそんなこと言ってたような

 

 

 

佐藤:で、それが来週に決まったって訳……わかった?

 

 

 

ココア:はい……じゃあ仕事に戻りますね

 

 

 

佐藤:あーそれと……各自余興を披露するってのも忘れてないわよね?

 

 

 

ココア:ヴェア!?

 

 

佐藤:その様子じゃあ忘れたようね……ほほほ、どんな余興か楽しみにしてるわね

 

 

 

そういって佐藤は他の社員たちに出欠を確認しに行った

 

 

 

ココア(しまった……そういえばそれも言ってたっけ……確か、1人でやってもグループでやってもいいってことだったよね……)

 

 

 

 

腕組みをしながら考えているとココアはあることを思い出した

 

 

 

ココア(そうだ!あの時探してた物のはあれだ!すっかり忘れてたよ、帰ったら探してみよう)

 

 

 

そして時間は過ぎていき、退社の時間へ

 

 

 

ココアは急いで家に帰り、部屋中をガサガサと探し回ってようやくそれを見つけた

 

 

 

ココア:あ、あったー!昔、ブロカントで買った手品セット!

 

 

 

ココアは箱を横にして床に置いて一息ついた

 

 

ココア:ふう、やっと見つかった……そうそう、余興やるって聞いてから私は手品をやろうって決めてそれまで練習しなきゃって思って探してたんだった……えっと中身は入ってるよね?念のため確認っと

 

 

箱を開けて中を見てみると全て揃っていた

 

 

ココア:よかった、全部ある……早速練習しようっと

 

 

 

 

ココアは早速ステッキからやり始めるがブランクがあったため自分を打ち付けてしまった

 

 

 

ココア:ぐえぇっ!なんの、まだまだ

 

 

 

 

今度はやった位置が悪く部屋の壁に先端がぶつかり、隣の部屋から壁を叩かれた

 

 

 

ココア:ヒィッ!す、すみません!

 

 

 

その後もひたすら手品の練習に明け暮れるココア

 

 

 

出勤前、帰宅後、そして休日は丸一日使ってようやく当時のように手品を出来るようになった

 

 

 

ココア:はぁ、はぁ……で、出来たぁ……これで、準備はできた……あとは本番だね

 

 

 

日にちがあっという間に過ぎ、ついに飲み会の日がやって来た

 

 

 

しばらく食事や会話を楽しんだ後、余興が始まりコンビやグループで漫才をしたり、物真似を披露する者もいた

 

 

そして、ついにココアの出番がやってきた

 

 

 

ココア:さあさあ、皆様ご注目~!今から私がとっておきのマジックを見せてしんぜよう!

 

 

ココアがそう言うと周りから拍手が贈られる

 

 

 

ココア:ではまずはこの魔法のステッキで……ワン、ツー、スリ……ぐふぇ!!

 

 

 

ココアは伸びたステッキの先端が腹にヒットし、腹を抱えて悶えてしまった

 

 

 

ココア:こ、こんな……はず……では……うぅ

 

 

 

ココアの手品は社員の中で1番笑いを取ったのだった



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カラオケと酔っ払いと大雨

ある日の夜、ココアのスマホがブルブル震えた

 

 

ココア:………う、う……ん……

 

 

 

手探りでスマホを探して触れた感触でスマホを見つけて掴んで目の前に持っていく

 

 

ココア(あれ……木村先輩だ……こんな夜中にどうしたのかな……)

 

 

 

時刻は既に深夜2時を回っていた

 

 

 

ココア:もひもひ……

 

 

 

『あ、保登さん!ごめんこんな時間に、寝てたよね』

 

 

 

ココア:………はい、それで何か用事ですか?

 

 

 

『悪いんだけど今から言うカラオケボックスに来てくれない?』

 

 

 

ココア:………今からカラオケ大会ですか

 

 

 

『違う違う!とりあえず急いで!詳しいことは現地で話すから!場所は……』

 

 

 

木村はカラオケの場所を教え『じゃあ!』とだけ言って通話を切った

 

 

 

ココア:…………あ、切れた……はぁ、行くかぁ……よっと

 

 

 

ベッドから降りてパジャマを脱いでワイシャツとジーパンに着替えて車に乗って木村の言ったカラオケへ

 

 

 

 

ココア:えっと……ここか、よいしょ

 

 

 

カラオケに車を入れ、駐車場に停めて車を降り、木村のいる入り口へ向かう

 

 

 

 

ココア:先輩!一体何が……って山本さんと境野さんと佐藤さんが何でここに?

 

 

 

木村:ああ、保登さん……実はね

 

 

 

木村はココアに事情を話した

 

 

 

ココア:なるほど~3人でカラオケで盛り上がってお酒を飲みすぎて酔いつぶれたから木村先輩に迎えに来てほしいと連絡があったと

 

 

 

木村:そういうこと、それにコイツらだけならまだしも佐藤さんまでいるときた……だから保登さんに佐藤さんをお願いできないかなって呼んだんだけど……いいかな

 

 

 

ココア:はぁ、それはいいですけど

 

 

 

木村:ごめんね、この二人だけで精一杯で、じゃあよろしく!ほら、帰るから立って車に乗った乗った

 

 

 

山本・境野:うぃ~す

 

 

 

木村たちは車に乗り去っていった

 

 

 

ココア:さ、私たちも行きましょ佐藤さん、家教えてもらえますか?

 

 

 

佐藤:う~私の家知ってど~すんのよ~

 

 

 

ココア:どうするって……送っていくのに知らないとダメでしょ、じゃあとりあえず車に乗ってください……ほら

 

 

 

佐藤は立ち上がりフラフラとしながら車に乗り、シートベルトをする

 

 

 

そしてココアに自宅を教えた

 

 

 

ココア:………これでよし、と……じゃあ行きますよ

 

 

 

スマホのナビに打ち込んで音声案内に従って佐藤の家に行って送り届け、そのまま帰る

 

 

 

ココア:………はーようやく家に着い……臭っ……お酒の匂いか……

 

 

 

部屋から消臭スプレーを持ってきて全体に吹き掛けて部屋に戻って寝る

 

 

 

翌日、部長から休日に出勤してほしいと頼まれる

 

 

 

ココア(あーその日は木組みの街に行こうかと思ってたんだけど……仕方ないか)

 

 

 

とそう思って諦めかけた時

 

 

 

佐藤:部長、その日は私が出ます……特に予定もないので

 

 

 

ココア:………

 

 

 

昼休み、ココアは佐藤に声をかけた

 

 

 

ココア:佐藤さん、あの……何で

 

 

 

佐藤:勘違いすんじゃないわよ、昨日の借りを返しただけなんだから……借りっぱなしってのは私の性に合わないの

 

 

ココア:佐藤さん、ツンデレみたいですね

 

 

 

 

佐藤:んなっ、誰がツンデレよ!

 

 

 

ココア:ふふふ、雨が降らないといいですけど

 

 

 

佐藤:降るわけないじゃない、あんなにいい天気なのに

 

 

 

 

そして仕事終わり

 

 

 

ココア:…………

 

 

 

佐藤:…………私のせいじゃないわよ

 

 

 

ココア:ふふ……ホントかなぁ?

 

 

 

あれから天気が突然崩れ始め、大雨が振りだした

 

 

自分のせいじゃないと否定する佐藤にココアは意地悪そうに笑って言ったのだった



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イカを焼いて喋っていたらイカが日焼けした

ある日、ココアは木村と共に何故かイカを焼いていた

 

 

ココア:美味しくなれ~美味しくなれ~

 

 

そんな言葉を掛けながらパタパタと団扇を扇ぐ

 

 

木村:いや、そんなことしなくていいから……ほら、ひっくり返して裏面も焼いて

 

 

ココア:はいはい、よいしょ……と

 

 

 

木村:全く、何で休日にわざわざ商店街でイカ焼かなきゃならないんだろう

 

 

 

ココア:お祭りですからねぇ、それにくじ引きで当たりましたから

 

 

 

商店街の祭りにココアたちの会社も出店を出すことになったのだがたこ焼きや焼きそばなどの店は他の部署が既に決めていたため余っていたイカ焼きに強制的に決定した

 

 

 

そして店員として2名が行くことになり、部長の案で社員全員でくじ引きを行ってココアと木村が当たりを引き、現在に至る

 

 

 

木村:はぁ、これじゃあ外れみたいなもんだよ、あ……いらっしゃいませ

 

 

 

 

ココア:安いよー!安いよー!

 

 

 

木村:ここは八百屋か

 

 

 

お客さんがやって来てそれに対応する2人

 

 

やがて匂いに誘われ次々とイカ焼きは売れていく

 

 

 

そして客足もとりあえず一段落したとき

 

 

 

木村:あ、電話だ……ちょっとお店頼んだよ

 

 

 

ココア:サー!イエッサー!

 

 

 

木村:はいはい、じゃあ任せたよ

 

 

 

木村はココアの敬礼を軽くあしらって電話に出るため店を離れた

 

 

 

ココアはイカを串に刺してコンロに乗せて焼いていく

 

 

 

ココア:美味しくなれ~美味しくなれ~

 

 

 

また言葉を掛けながら焼いていると

 

 

 

『あはは、何だよそれ~』

 

 

『面白~い』

 

 

『全く相変わらずですね』

 

 

 

ココア:あ!チマメちゃん!らっしゃい!

 

 

 

マヤ:八百屋かよ~でも一個もらうよ!

 

 

 

メグ:ココアちゃん、私にも~

 

 

 

ココア:はいはい~

 

 

ココアからイカ焼きをもらい、代金を払った2人はチノに声をかけた

 

 

マヤ:チノー!私たち他のとこ見てくるからココアと話してて!

 

 

メグ:ケンカしちゃダメだよ~

 

 

 

そう言い残して2人は去っていった

 

 

 

チノ:しませんよ、全く

 

 

ココア:はい、チノちゃん……タダでいいよ

 

 

 

チノ:そんなわけにはいかないですよ、ちゃんと払います

 

 

 

ココア:イカだけに『いかない』かぁ、チノちゃん上手いね~

 

 

 

チノ:そ、そんなつもりじゃないです……はい、お金です

 

 

 

ココア:うん、確かに……でチノちゃんは何でここに?

 

 

 

チノ:マヤさんから連絡が来て久しぶりに3人で遊びに行かないかって誘われたんです、で……どこに行こうか迷ってたらメグさんが都会で祭りをやってるからどうかと言うので来たんですよ

 

 

 

ココア:ふーん、そうなんだぁ

 

 

 

チノとの会話に花が咲くココア、しばらく話しているとマヤたちが戻ってきたので2人ともお喋りをする

 

 

 

そして3人と別れたココアはあることに気がついた

 

 

 

ココア:……くんくん……あれ、焦げ臭いなぁ……どこからだろう……ってヴェアアア!!ここからだったあぁぁ~!!

 

 

 

 

急いでコンロの火を落としてイカを皿に乗せた

 

 

 

ココア:あ~あ、みんな真っ黒になっちゃった……どうしよう……う~ん

 

 

 

あれこれ考えているとそこへ木村が帰ってきた

 

 

 

木村:ごめん保登さん!お待たせ……って、それは一体何かな?

 

 

 

ココア:あ、その……これは……日焼けしたイカです

 

 

木村:へ~で?何でそんなになっちゃったの?

 

 

 

 

ココア:あの~さっき私の知り合いが来まして~その~ちょっとお喋りしてたらイカたちが黒くなってました、はい

 

 

 

木村:なるほどね~よ~くわかったよ

 

 

 

ココア:あ、あの……もしかして……(いか)ってます?

 

 

 

木村:あはは~イカだけに怒ってるか~上手いね~

 

 

 

ココア:そ、それほどでも~

 

 

 

木村:バカ~!どうすんの!?在庫それで全部なんだよ!今から新しいイカ買って焼いてたら間に合わないよ

 

 

 

ココア:えっと……その……手品でお許しを

 

 

ココアは手品セットの箱を取り出し、ステッキを手に持った

 

 

木村:いや何で持ってきてんのその手品セット

 

 

 

ココア:えっと、焼いてる間遊ぼうかと思って

 

 

 

木村:言っとくけどこれ仕事のうちだからね、まあいいや……とりあえず一回だけ見せて

 

 

 

ココア:はい!では……ワン、ツー、スリ……ごふっ!

 

 

ココアはまた伸びたステッキの先端で腹を打った

 

 

 

木村:……はぁ

 

 

 

木村はココアが落としたステッキの頭でココアをコンッと叩いた

 

 

 

そしてそれと同時に祭りは終了した

 

 

 

ココアは命拾いしたのだった



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風邪引きが1人かと思ったら2人いた

ある日、ココアが出勤するとある人物がいなかった

 

 

ココア(あれ?どうしたのかな……何か用があって遅刻かな?)

 

 

キョロキョロと探してみるも見当たらなくそう思うココア

 

 

しかし、しばらく経っても姿を現さなかったのでココアは昼休みに加藤に尋ねた

 

 

 

ココア:ねえねえ、加藤くん……ちょっと聞いていい?

 

 

加藤:何ですか?

 

 

 

ココア:えっと、木村先輩はどうしたのかなって思って……今日1度も見てないからさ

 

 

 

加藤:ああ、先輩なら今日休みですよ

 

 

 

ココア:あれ、そうだったんだ……休暇とってたっけ?

 

 

 

加藤:風邪らしいですよ、部長に休むって言ったみたいで

 

 

 

ココア:そっかぁ……心配だなぁ

 

 

 

そして昼休みも終わり、午後の仕事へ

 

 

 

ココアはパソコン操作をしながらチラチラと木村の席の方を見てみるがそこに木村はいなかった

 

 

 

ココア(………仕事終わったら、お見舞いに行ってみよう)

 

 

 

時間は過ぎていき、退社時刻となった

 

 

 

ココアは荷物をまとめていそいそと会社を出てまずはスーパーに寄って色々買い込んだ

 

 

 

そして、木村のアパートへ向かい部屋のドアをノックした

 

 

 

ココア:せんぱ~い、いますか~?

 

 

 

声をかけてみるが返事がない

 

 

 

ココア:あれ?車はあったけどなぁ……ん、開いてる?

 

 

 

ココアがノブを回してみると部屋の鍵が開いていた

 

 

 

ココア:とりあえず入ってみよう、お邪魔しま~す

 

 

 

声をかけてからゆっくりと部屋の中へ入る

 

 

 

するとそこにはベッドに腰かけて誰かと電話で話している木村がいた

 

 

 

ココア:お~い、木村先輩

 

 

 

 

木村:……え?あ、保登さん?どうしたの?

 

 

 

ココア:風邪引いてるって聞いたんで、お見舞いに来ましたよ~

 

 

 

木村:あ、そうなんだ……わざわざありがとう、ごめんね恵梨香ちゃん……お客さん来たから一旦切るね……じゃあまた……

 

 

 

ココア:待った!!今、恵梨香ちゃんって言いました!?

 

 

 

恵梨香の名前を聞いたココアは電話を切ろうとした木村を止めて尋ねた

 

 

木村:……え?そうだけど……

 

 

ココア:それってもしかして、西沢 恵梨香って名前ですか?

 

 

 

木村:あれ?何で保登さんが知ってるの?

 

 

 

ココア:前にレストランで相席になって会ったんです、その後恵梨香ちゃんが青山さんの小説のファンって言ってたんで木組みの街に連れてって会わせたんです

 

 

 

木村:そうだったんだ

 

 

 

ココア:先輩、ちょっと電話替わってもらっていいですか?

 

 

 

 

木村:うん、もしもし恵梨香ちゃん……今来たお客さん、保登さんだったよ…… ちょっと替わるね

 

 

 

木村はそういってココアにスマホを渡した

 

 

 

ココア:もしも~し、ココアだよ~覚えてるかな~?

 

 

 

『あ、ココアさん!お久しぶりです!あの時は青山先生に会わせていただいてありがとうございます、ゴホッ』

 

 

 

ココア:いやいや、どういたしまして……って、恵梨香ちゃん風邪引いてるの?

 

 

 

『はい、そうなんです……何だか寂しかったので話してたんです』

 

 

 

ココア:そっかぁ、だったら恵梨香ちゃんもこっち来ればいいよ!わざわざ電話で話さなくてもいいし、それにもう風邪引いてるからお互い移る心配もないしね

 

 

 

『あはは、そうですね……じゃあ今から行きます』

 

 

 

ココア:うん、待ってるよ~

 

 

 

ココアは電話を切って木村に返した

 

 

 

ココア:はい、先輩

 

 

 

木村:あ、ありがとう……って保登さん大丈夫?風邪引きが2人もいて保登さんに移らないかな

 

 

 

ココア:大丈夫ですよ、これでも体は丈夫な方ですよ

 

 

 

木村:へ~この前風邪引いて私がお見舞いに行ったのは誰のところかな~?

 

 

 

ココア:あ、あはは……そーでした

 

 

 

2人でクスクスと笑っていると、恵梨香がタオルケットを持ってやって来た

 

 

 

恵梨香:お、お邪魔します

 

 

 

木村:いらっしゃい恵梨香ちゃん

 

 

 

そして木村と恵梨香は再び会話に花を咲かせた

 

 

 

ココアは買ってきた材料でお粥を作る

 

 

 

作ってる間、2人で話している木村と恵梨香を微笑ましそうに見つめる

 

 

 

ココア(ふふ、楽しそう……何か妬いちゃうなぁ~なんてね)

 

 

 

クスッと笑って2人にお粥を出す

 

 

 

その後ココアは少しウトウトとうたた寝してしまい目を覚ますと木村と恵梨香がテーブルに突っ伏して眠っていた

 

 

 

ココア(ふふ、可愛い寝顔だなぁ……お休みなさい先輩、恵梨香ちゃん)

 

 

 

ココアは木村にベッドの掛け布団、恵梨香に彼女が持ってきたタオルケットをかけてあげてそっと部屋を出て家に帰るのであった



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白熱の運動会開催

ある日、瀬阿の通う小学校で運動会の開催を知らせる花火がドンドンと上がった

 

 

 

校庭には生徒たちの椅子が置かれ、保護者たちもブルーシートやレジャーシートを広げていて学校内はガヤガヤと賑わっていた

 

 

 

リゼ:いいかお前たち!今日のためにお前たちは血のにじむような努力をしてきた!今日はその成果を私に見せてくれ!

 

 

 

生徒たち:はーい!

 

 

 

リゼ:よし!いい返事だ!応援に来てくれているお父さんやお母さんたちにも頑張ってる姿を見せてあげようじゃないか!

 

 

 

生徒たち:はーい!

 

 

 

瀬阿(天々座先生こういうことになると張り切るんだよなぁ……生徒たちより燃えてるよ……それにしても)

 

 

 

 

瀬阿は保護者席を見回してため息をついた

 

 

 

瀬阿(はぁ、いないよなぁ……わかってるけどさ……ん……?)

 

 

 

 

瀬阿は視線をグラウンドに戻そうとしたとき、あるものに目がいった

 

 

 

それは丸まったレジャーシートを脇に抱え、肩に荷物を下げてキョロキョロと場所を探している人物だった

 

 

 

瀬阿:………はは、また来たんだ……天々座先生が頼んだな

 

 

 

言葉とは裏腹に嬉しそうな顔な瀬阿

 

 

 

 

リゼ(お、来たな……)

 

 

 

リゼはその人物に近づき声をかけた

 

 

 

リゼ:おーい!ココア!

 

 

 

ココア:あ、リゼちゃん!

 

 

 

リゼ:悪いな、来てもらって……せっかくの休日だったのにな

 

 

 

ココア:ううん、気にしなくていいよ?どうせやることなかったし、多分寝てたかもしれないしね

 

 

 

リゼ:はは、そうだな……あ、あの辺が空いてるぞ?荷物運んでやるから貸してみろ

 

 

 

ココア:あ、悪いねリゼちゃん

 

 

 

リゼはココアの荷物を持って行ってココアの敷いたレジャーシートに置いた

 

 

リゼ:よし、と……ほら、プログラムだ……保護者の出るやつもあるから頑張れよ

 

 

 

ココア:うん、わかったよ

 

 

 

リゼ:じゃあまたな

 

 

 

リゼは運営へと戻っていった

 

 

 

ココアは荷物から缶コーヒーを取り出して一息ついた

 

 

 

ココア:はぁ~美味しいなぁ~でもラビットハウスのコーヒーの方が一番かなぁ

 

 

 

 

そして開会式が始まり、運動会が本格的にスタートした

 

 

 

リゼ:よーし!位置について!よ~い!

 

 

 

 

競技のスターターピストルをリゼが撃つ

 

 

 

リゼ(おお……この音…この撃つ感覚……いい……先生やっててよかった……)

 

 

 

リゼは感動のあまり涙を流した

 

 

 

瀬阿(おいおい、泣いてるし……でも何で泣いてんだ?)

 

 

 

ココア(リゼちゃん泣いてるなぁ……そんなに子供たちの頑張りが嬉しいんだねぇ……さすがは先生だねぇ)

 

 

 

 

競技が次々と進み、保護者が参加する追いかけ玉入れが始まった

 

 

 

保護者が組別の籠を背負って逃げ回り、子供たちがそれを追いかけて玉を投げ入れる競技だ

 

 

 

 

ココアも瀬阿のクラスの籠を背負って逃げ回る

 

 

 

ココア:わぁ~大変だぁ!

 

 

 

あちこち走り回るココア

 

 

そして生徒が外した玉が頭にドカドカぶつかる

 

 

 

ココア:痛っ!いたたた!流れ弾が!

 

 

 

 

競技が終わり、昼休憩になる

 

 

 

瀬阿を呼んで昼食にするココア

 

 

 

瀬阿:なぁ、このシートどうにかならないのかよ

 

 

 

ココア:え~?どうして?

 

 

 

瀬阿:いや、だって……ウサギ柄だし……オレ男だし……恥ずかしいし

 

 

 

ココア:こんなに可愛いのに~

 

 

 

瀬阿:まあ、可愛いっちゃ可愛いけどさ……とりあえず食べようかな

 

 

 

ココア:はいはい、いっぱい食べてね!たくさん作ってきたから

 

 

 

弁当を堪能するココアと瀬阿

 

 

 

そして午後の競技も次々と進み、いよいよチーム対抗のリレーが始まった

 

 

 

瀬阿はアンカーだった

 

 

 

バトンを渡され、徐々にトップに追い付き横並びになり並走する瀬阿

 

 

 

瀬阿(よし!並んだ!あとは抜くだけだ!)

 

 

 

リゼ(お!瀬阿がトップと並んだ!いけるか!?)

 

 

 

ココア:頑張れー!瀬阿く~ん!

 

 

 

ココアは立ち上がり大きな声で応援する

 

 

 

ココア:GoGo!瀬阿!フレフレ瀬阿!

 

 

 

瀬阿(全く……あんな必死になっちゃってさ……恥ずかしいんだよ)

 

 

 

 

瀬阿はココアの応援を受けて徐々に前に出る

 

 

 

 

瀬阿(でも………悪い気分じゃないけどね!!)

 

 

 

 

瀬阿はトップの生徒を大きく離し、トップに躍り出る

 

 

そしてそのままゴールテープを切った

 

 

 

瀬阿:あ、あれ?勝っちゃった……トップで

 

 

 

瀬阿はクラスメイトたちに囲まれ称賛された

 

 

結果は瀬阿のチームが好成績をおさめ、トップの成績で勝利した

 

 

そして閉会式が始まり、白熱した運動会は幕を下ろした

 

 

 

瀬阿はココアに送ってもらい家に帰って両親に今日の事を話すのであった



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あの日あの時あの車

これはココアが免許を取ってから少しあとの話である

 

 

 

ココア(うーん、どれもピンとこないなぁ……5件回って収穫なしか……今日はもう帰ろうっと……明日は仕事だし)

 

 

 

会社に入ってからココアは電車で通っていたため通勤に使う車を求めてあちこち見て回って話を聞いたりしていたがどのディーラーでもピンと来るものがなく決めかねていた

 

 

 

アパートへ帰るため歩いているココア、しばらく歩くと道の端でうずくまる老人がいた

 

 

 

老人:う、うぐぐぐ……!

 

 

 

ココア:………っ!大丈夫ですか!?

 

 

 

 

老人:あたたた、ちょっと転んでしまってな……う、ぐうっ

 

 

 

老人は何とか立ち上がろうとするがなかなか立てない

 

 

 

老人:ふふふ、ワシも年じゃのお……若い頃はもっと軽快に歩いたもんじゃ

 

 

 

ココア:………

 

 

 

ココアは老人の前に背中を向けて屈んだ

 

 

 

ココア:おじいさん、乗ってください……家までお送りしますよ

 

 

 

老人:ふふ、すまないね……ちと重いが大丈夫かな

 

 

 

老人はココアに体を預けて肩に掴まった

 

 

 

ココア:………よい、しょっと……じゃあ行きますか

 

 

 

ココアは立ち上がり老人の案内で老人の家に向かう

 

 

 

そして、しばらく歩くと見えてきた

 

 

老人:おう、ここじゃ……ありがとう

 

 

 

ココアは家の中の玄関に降ろして座らせる

 

 

 

ココア:どういたしまして、じゃあ私はこれで

 

 

 

老人:ああ

 

 

老人に別れを告げ帰ろうと歩き出すココアだったが外のガレージらしきところに置いてある一台の車が目に止まった

 

 

 

ココア:………?

 

 

 

ココアは近づいてその車を見てみる

 

 

 

そして老人がそこへやって来た

 

 

 

老人:それが気になるかな……?

 

 

ココア:……え?あれ、おじいさん体は……

 

 

 

老人:はっはっは、お前さんに背負ってもらってたらすっかりよくなったよ、それより

 

 

 

老人はココアの隣に立ち、車を見た

 

 

 

老人:それはワシが昔乗っとった車じゃよ、まあ色々といじってあるがな

 

 

 

ココア:………色々?

 

 

 

老人:そうじゃ、マニュアルがオートマになってたり、窓が自動になってたり、おまけにマフラーにはサイレンサーがついておる

 

 

 

ココア:私車にあまり詳しくないからよくわからないけど、色々と元の車より変わってるんですね

 

 

 

老人:ああ、ワシも若い頃はこれのマニュアル車に乗って走り回っとった……年を取るにつれ、クラッチを踏んだり、シフトチェンジするのにキツくなってな、自分でやったよ、窓も前は手回しのハンドル式じゃったが自動にした

 

 

 

ココア:………え?おじいさんが自分で?

 

 

 

老人:はっはっは、これでも若い頃は車の整備士じゃったんじゃよ、腕がいいと評判のな

 

 

ココア:はぁ~すごいですねぇ

 

 

老人:話を戻すが……ある時街を走っていたら事故を起こしそうになってな……車もワシも無事じゃったが危険を感じ、すぐに免許は返納した……それ以来コイツには乗ってやってない……

 

 

 

そういうと老人はココアのほうへ向いて言った

 

 

 

老人:どうじゃ、お嬢ちゃん……この車、貰ってくれんかの

 

 

 

ココア:え!?私が!?

 

 

老人:そうじゃ、その方がコイツも幸せじゃろうて

 

 

ココア:でも……おじいさんの大切な車なのに……

 

 

 

老人:だからこそじゃよ……ここで誰にも乗られず埃を被ってるより……誰かに乗られてまた走り回れる方がワシも嬉しいんじゃ……頼む!ワシの大切な車を、お嬢ちゃんが受け継いで乗ってくれんか……ワシからの……最初で最後の頼みじゃ!

 

 

 

ココアの手を両手で掴んで懇願する老人

 

 

ココア:お、おじいさん……わ、わかりました……あ、お金は……いくらですか

 

 

 

老人:金などいらんよ、と言いたいとこじゃがそれじゃお嬢ちゃんの気が済まんだろう、じゃあ十万じゃな

 

 

 

ココア:えっと……ちょっと待って下さいね……ひぃふぅみぃ……っと

 

 

ココアは財布を取り出し万札を数えてみる

 

 

 

ココア:あ、あった……じゃあちょうど十万!

 

 

 

老人:ああ、確かに……じゃあちゃちゃっと乗れるようにしてやろうかの

 

 

 

ココア:お、おじいさん!さっきまで体痛くしてたんだし、無理しない方が

 

 

 

老人:大丈夫じゃ、それにこれがワシの整備士としての一世一代の仕事じゃ!黙ってやらせてくれ!

 

 

 

ココア:…………は、はい

 

 

 

老人:家の中で待っててくれ……出来たら呼びに行く

 

 

 

ココアはそれを聞いて家の中に入り茶の間に座り待つことに

 

 

 

老人は車を手入れしながら車に語りかけた

 

 

 

 

老人:なぁ、覚えとるか……ワシがお前を手にしてすぐ女の子をナンパしに行ったろ……何人にもフラれたのぉ……夜中に高速に行って飛ばした……埠頭でドリフトもした……ゼロヨンなんてものもやった……無茶ばかりしとったが今となってはいい思い出じゃ……それが何故かわかるか

 

 

 

 

老人は汗を腕で拭った

 

 

 

老人:お前と一緒だったから……お前と走ったからじゃ!ワシはこれから先も忘れはせん!お前と駆け抜けた日々を!そしてお前はワシからあのお嬢ちゃんにパートナーを変えてまた走り続けるのじゃ!そのためにワシがお前を再び蘇えらせてやる!

 

 

 

 

老人は休むことなく車をメンテナンスする

 

 

 

 

そして日が暮れ、昇った

 

 

 

 

スズメがチュンチュン鳴いていた

 

 

 

老人は車の中で、ココアは家の中でテーブルに突っ伏して眠っていた

 

 

 

先に目を覚ましたのは老人だった

 

 

 

老人:おお、寝てしまったか……

 

 

 

老人は車から降りてエンジンルームを見てみる

 

 

 

老人:ふむ、よし……久しぶりにお前の声を聞いてみるとするか

 

 

 

老人はエンジンをかけてみる

 

 

 

老人:ふふ、元気な声じゃな……新しい門出にワクワクしているのかの……さて、呼びに行かんとな

 

 

 

 

老人は一旦エンジンを切り、ココアを起こしに家の中へ

 

 

ココアは老人に起こされ、外へ出た

 

 

 

老人:ほれ、整備完了じゃ!これで走れるぞ

 

 

 

ココア:あ、ありがとうございます……おじいさん

 

 

 

老人:おっと、これも付けんとな

 

 

 

老人は初心者マークをペタッと貼り付けた

 

 

 

老人:ワシが昔付けてたやつじゃ、これも受け継いでもらおうかの

 

 

 

ココア:あはは、わかりました

 

 

老人:ほれ、鍵じゃ……今度はお前さんがコイツの声を聞いてやってくれ

 

 

 

ココア:は、はい

 

 

 

ココアは運転席に乗り、エンジンをかける

 

 

 

老人:はっはっは、そうか!嬉しいか!ワシも嬉しいぞ!

 

 

 

ココア:ありがとうございます!おじいさん!私、これ大切に乗ります!

 

 

 

老人:うむ!では最後に……コイツにワシを乗せて走ってくれ……どこでもいいから適当にな

 

 

 

 

ココア:はい、わかりました

 

 

 

ココアは老人を乗せて街中を走っていく

 

 

 

老人(おお……久しぶりじゃ……この感じ……あの時のままじゃ……それにこのお嬢ちゃん……見事な運転じゃ……よかったのぉ、この子ならお前を大事に乗ってくれそうじゃ)

 

 

 

 

しばらく走って信号待ちになった時、老人はココアに名前を訪ねた

 

 

 

老人:お嬢ちゃん、名前は

 

 

 

ココア:………ココアです、保登 心愛

 

 

 

老人:………ココア、か……よい名前じゃ……ではココアちゃん、ワシの相棒を、よろしく頼むぞ!

 

 

 

ココア:はい!お任せください!!

 

 

 

老人:うむ!よい返事じゃ!

 

 

 

 

そして様々な手続きを経て、ココアは正式に老人の車を譲り受けた

 

 

老人を家に送り、自分も自宅へ戻っていく

 

 

 

 

老人(最後にいい仕事ができた……ありがとよココアちゃん、そして……元気でな、ワシの相棒よ……可愛がってもらえよ)

 

 

 

老人は夜、外で星空を見上げて心でそう呟いたのであった



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全てが始まったあの日とあの場所

ある日、ココアのスマホにメールが1通届いた

 

 

 

ココア:……ん、誰からかな……千夜ちゃんからだ……何々?

 

 

 

『ココアちゃん、お仕事中ごめんなさいね

今日お仕事終わったらラビットハウスに

来れるかしら?』

 

 

 

 

ココア:………?ラビットハウスに?今日?何かあるのかな……えっと……

 

 

 

『大丈夫だよ ところでラビットハウスには行けるけど何かあるの?』

 

 

 

『よかったわ 何があるかは来てからのお楽しみよ じゃあ待ってるわ』

 

 

 

ココア:……何だろう、とりあえず仕事しなきゃ……

 

 

 

ココアは千夜とのメールを終え、仕事に戻る

 

 

 

仕事が終わって退社時刻になるとココアはすぐに会社を出て車に乗り、木組みの街へと走らせた

 

 

 

ココア(ラビットハウスに何かあったのかな……でもあのメールを見る限り深刻な感じじゃなさそうだけど……)

 

 

 

 

ココアは道中、そんなことを考えながら走っていた

 

 

 

 

そして車は木組みの街へ

 

 

 

 

 

ココア:………至って普通だなぁ……ふう

 

 

 

 

ココアはドアノブを掴んで一息ついてドアを開けた

 

 

 

しかし、中は真っ暗だった

 

 

 

 

ココア:………?何も見えない……えっとスマホのライト……わっ!

 

 

 

ココアがスマホを取り出そうとした時、突然パッと電気がついた

 

 

 

 

そこにはチノ、リゼ、千夜、シャロ

 

 

そしてマヤとメグというメンバーが勢揃いしていた

 

 

 

 

マヤ:よっ!やっと来たなココア

 

 

 

メグ:いらっしゃいませ~

 

 

 

 

ココア:………あれ?皆揃ってどうしたの?今日は誰かの誕生日か何かかな?

 

 

 

シャロ:ふふ、違うわよ……それよりほら、こっち座んなさい

 

 

 

ココア:えっ?ここ?カウンターじゃなくて?

 

 

 

千夜:ええ、今日はここがココアちゃんの特等席よ

 

 

 

リゼ:ああ、そうだ……チノ、用意はいいか?

 

 

 

チノ:………はい

 

 

 

窓際のテーブル席へ座らされたココア

 

 

 

チノはそこへコーヒーを3つ、置いていく

 

 

 

 

ココア:チノちゃん、これは一体何かな

 

 

 

チノ:何ってコーヒーですよ、冷める前に全部飲んでください

 

 

 

 

ココア:……いや、そうじゃなくて……まあいいや、いただきます

 

 

 

ココアはコーヒーを1つずつ飲んでいく

 

 

 

チノ:ココアさん、どれがどの味かわかりますか?

 

 

 

ココア:えっと……これがブルーマウンテンで……

 

 

 

チノ:いえ、コロンビアです

 

 

 

ココア:あ……えっと、こっちがキリマンジャロで

 

 

 

チノ:いいえ、それがブルーマウンテンです

 

 

 

 

ココア:あ、あれ?えっと……これはインスタント……

 

 

 

チノ:うちのオリジナルブレンドです

 

 

 

 

ココア:あはは、そ、そうだったね……はぁ

 

 

 

 

チノ:ふふふ、相変わらずですね

 

 

 

ココア:面目ない、です

 

 

 

リゼ:ところでココア……今のやり取り、何か思い出さないか?

 

 

 

 

ココア:?何かって?

 

 

 

リゼ:わからないか?じゃあこれならどうかな

 

 

 

 

リゼは懐からモデルガンを取り出してココアに突きつけた

 

 

 

 

リゼ:お前は誰だ!!

 

 

 

ココア:リ、リゼちゃん!?私はココア……あ、もしかして………

 

 

リゼ:お、思い出したか

 

 

シャロ:ようやく気づいたのね

 

 

 

千夜:そうよ、ココアちゃん

 

 

 

 

マヤ:今日は~

 

 

 

メグ:ココアちゃんが~

 

 

 

チノ:初めてこの街に……そして、初めてラビットハウスにやって来た日です

 

 

 

 

ココア:………あ、そうだ………忘れてた

 

 

 

 

 

『うさぎがいない!?』

 

 

 

『早くコーヒー全部飲んでください』

 

 

 

『そんなこと聞いてないぞ!怪しいやつめ!』

 

 

 

 

ココア:そうだ……あの日……ここから全てが始まったんだ

 

 

 

チノ:ええ、だから今日はお祝いです

 

 

 

リゼ:また今日から皆で再出発だ!

 

 

 

マヤ:料理持ってきたぞ~!ていうか宅配物だけど

 

 

 

メグ:いっぱい来たよ~

 

 

 

チノ:急に決めてしまったので作る時間なかったので……さあ、ココアさん……食べる前に何か一言……ってココアさん!?

 

 

 

リゼ:泣いてるのか!?

 

 

 

ココアは話を聞きながらポロポロと涙を溢していた

 

 

千夜:誰かにいじめられたの!?誰!?シャロちゃん!?

 

 

 

シャロ:んな訳あるかぁ~!

 

 

 

千夜:ふふふ、冗談よ

 

 

 

ココア:ご、ごめんね……心配させちゃって……違うんだ、嬉しかったから……私のためにこんなにしてくれて……だから

 

 

 

マヤ:へへ、姉の目にも涙ってヤツだな

 

 

 

メグ:それを言うなら鬼の目にも涙だけど今日はそうだね~

 

 

 

ココア:あはは、そうだね~

 

 

 

ココアは涙を流しながらクスリと笑ったあと眼鏡を取って腕で涙を拭って立ち上がった

 

 

 

ココア:えっと、今日は皆ありがとう……私のためにこんなパーティー開いてくれて……また私たちはバラバラになるけど……お互いこれからも頑張っていこうね

 

 

 

リゼ:ああ、場所はバラバラになるけど心は1つだ

 

 

 

千夜:ええ、また皆で昔みたいに会いましょう

 

 

 

シャロ:大丈夫よ、この前皆で山に行ったんだし

 

 

 

マヤ:お~楽しかったなぁ

 

 

メグ:また遊びに行きたいねぇ~

 

 

チノ:では、皆さん……冷めないうちにどうぞ

 

 

 

マヤ:寿司は冷めてるけどなぁ~

 

 

メグ:も~!マヤちゃん空気読んでよ~

 

 

マヤ:え~だってさ~

 

 

リゼ:ほらほら喋ってないで食べないとなくなるぞ

 

 

 

千夜:シャロちゃん、どれが食べたい?わさび取りましょうか?

 

 

シャロ:自分で取るわ!それにわさびくらい食べられるわよ!子供じゃないのよ!

 

 

 

チノ:ココアさん、はい……どうぞ

 

 

 

ココア:あ、ありがとう……チノちゃん

 

 

 

チノ:ココアさん、また時々遊びに来てくださいね……私はいつまでも待ってますから

 

 

 

ココア:うん、行くよ……絶対に……ラビットハウスは……ううん木組みの街は私の

 

 

 

 

ココアは窓の外を見て言った

 

 

 

 

 

ココア:第二の故郷だから……

 

 

 

 

 

こうしてパーティーは一晩中盛り上がり、全員眠ってしまった

 

 

翌日、それぞれ別々の場所へと戻っていく

 

 

 

またここからココアたちの新たな日々が始まるのだった



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