私と姉さんと召喚獣 リメイク版 (秀吉組)
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1話

 

 

「ここが文月学園か」

 

 

校舎へと続く両脇を桜が咲き誇っている坂道を上がるとその建物はあった。

 

 

今日から私が通う学園、私が大好きな姉さんが通う学園、そして……

 

 

私を励まし生きる希望を与えてくれた人、私の初恋の男の子がいる学園……

 

 

君は覚えていてくれているのかな……私のこと……

 

 

それとも忘れちゃったかな?

 

 

生徒手帳にこっそりと忍ばせている一枚の写真を見ながら校舎の入り口に入ろうとした時

 

 

「そこのお前、ちょっと待て」

 

 

そう呼ばれ、振り返ってみると

 

 

 

浅黒い肌をした短髪のスポーツマン然としたマッチョさんがそこにいました

 

 

 

「あ、あの、ど、どちら様でしょうか?」

 

 

いきなり現れたこのマッチョさんは一体どなた?

 

 

「ああ、驚かせてすまん。俺は西村 宗一、この学園の生活指導担当の教師だ。 お前が編入してきた霧島夢希だな?」

 

 

 

まさか出会い早々一発目からこんないかにも戦場で一騎当千で戦っていそうな濃い先生に会うとはさすが文月学園……

 

 

普通の学校とは一味違うということですか……

 

 

 

「うん? どうかしたか?」

 

 

 

「い、いいえ! なんでもないです! き、霧島夢希です……。よろしくお願いします」

 

 

 

「? まあいい。ほれ、編入試験の結果だ」

 

 

 

先生が懐から封筒を取り出し、私に差し出してくる。宛名には「霧島夢希」と書かれてあった。封筒を開け紙を開くとそこには

 

 

 

「霧島夢希 Aクラス」

 

 

と書かれていた

 

 

「私がAクラス? 本当に?」

 

 

Aクラス、それはその学年で優秀な成績を収めている生徒が集まるクラス

 

 

つまり、その学年の最高クラスだ

 

 

「何かの間違い、とかじゃないですよね?」

 

 

「安心しろ。何の間違いもない、Aクラスだ。 お前の姉と同じクラスのな」

 

 

そう言われた途端、私は嬉しさの余り顔が綻ぶのを抑えられなかった

 

 

できれば姉さんと同じクラスになりたかった

 

 

だけど文月学園のことをネットで調べていくうちにそれはとても難しいことだということが判った

 

 

正直一度は諦めようとした

 

 

でも昔、彼が言ってくれたあの一言を思い出し諦めずにここまで来た

 

 

そして今日、その結果が今、目の前にある

 

 

「うちの学園でAクラスに入るというのは並大抵の努力では難しい。だがお前はそれを乗り越えこの結果を出したんだ。 胸を張れ霧島」

 

 

私の肩に手を置き西村先生はそう言ってくれた

 

 

「はい!」

 

 

「うむ。 では学園内を案内するのでついてきてくれ」

 

 

そう言われついていこうとすると「ああ、そうだった」と西村先生がこちらに振り

 

 

「ようこそ、文月学園へ」

 

 

こうして私の学園生活第一日目がスタートした



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2話

 

 

 

西村先生について行くと職員室の前に案内された

 

 

「職員室には担当の高橋先生が居られるので、後は高橋先生の指示に従うように」

 

 

「え? 西村先生がこのまま案内してくれるんじゃないんですか?」

 

 

「そうしてやりたいのも山々なんだがな……」

 

 

そう言って先生は懐からさっきの試験結果が入った同じ封筒を取り出した

 

 

「これを渡さなきゃならんバカが一人いるのでな。すまんな」

 

 

西村先生は一つの封筒をヒラヒラさせながら去っていった

 

 

私は去って行く西村先生に一礼すると職員室の扉を開いた

 

 

「し、失礼しまーす」

 

 

「お待ちしていました、霧島夢希さん。私がAクラス担当の高橋洋子です。よろしくお願いします」

 

 

職員室に入るとそこには髪を後ろでお団子状にまとめ、眼鏡をかけてスーツをきっちり着こなした知的女性の代表のような先生がいた

 

 

格好いい女性だな……

 

 

今はコンタクトしているけど家では私もメガネを掛けることのほうが多い。けどあそこまでは決まらない……

 

 

「ん? どうかしましたか?」

 

 

「ふぇ? あ、いいえ!? 何でもないです!! 霧島夢希です、よろしくお願いします」

 

 

いけないいけない、考え事すると周りが見えてないな私……

 

 

「そこのソファーに座って楽にしてください。ふふ、そう緊張しなくてもいいですよ。」

 

 

「あ、はい……」

 

 

緊張してるのバレバレだし……。 しかも気を使ってもらってるし、うう、恥ずかしいな……

 

 

「では簡単にこの学校について説明しますね」

 

 

「はい、お願いします」

 

 

私は高橋先生からこの学校の特色、 自身の召喚獣のこと、その召喚獣を使って行う試験召喚戦争、 そしてその戦争の勝利のメリットと敗北した時のデメリットの説明を受けた

 

 

「では、そろそろ教室のほうに移動することにしましょう」

 

 

「は、はい」

 

 

先生に連れられ階段で二階に上がるとそこには厳しい現実があった

 

 

端からまるで廃屋みたいな教室、木造の教室、一般的な教室、隣の教室より倍近くあるだろう教室、そして今目の前にある明らかに普通とは違う雰囲気を醸し出している教室

 

 

生徒の成績によって待遇の違う教室に振り分ける。 このように目に見える形で……

 

 

それがここ、文月学園の方針だった

 

 

確かここの授業料はみんな一緒だったような…。 それでこんなにも待遇が違ってたら不平不満も出るだろうに

 

 

「では、外で待っていて下さい。Aクラスの生徒と少し話をしたら呼びますので呼ばれたら入って来て下さい」

 

 

高橋先生はそうとAクラスに入っていった。しかし何だろうこの広い教室にこの設備は……

 

 

 

教室の窓から見えてきたのは壁を覆うほどのプラズマディスプレイにノートパソコンに冷蔵庫、リクライニングシートなど他にも色々な設備がありそれはまるで高級ホテルのようだった

 

 

唖然としている所に「どうぞ、入ってきて下さい」と高橋先生の声が聞こえた

 

 

「さて、いよいよだ……」

 

 

私は緊張ながらも教室の扉を開き、中へと入った

 

 

たくさんの視線に耐えながら先生がいる教壇に向かい、前を向くとその人物はいた

 

 

「夢……希……?」

 

 

普段はあんまり表情を出せないけどこの時は見事なくらい顔に驚きの表情が出ていた

 

 

私はそれを見ると思わず笑みがこぼれた

 

 

久しぶりだね、姉さん♪

 

 

「それでは自己紹介をお願いします」

 

 

「はい。 今日から文月学園に編入して来ました霧島夢希です。 よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 



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