クソマゾ提督の逆襲 (uncle_kappa)
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前段

人類史における未知の生命体との死闘「深海戦争」について、ここに語る。

皇起2600年、深海棲艦によって人類に対する宣戦が布告された。
後に「深海戦争」と呼ばれるそれは、世界を巻き込む大戦争となった。

大日本帝国(おおにほんていこく)も、西欧列強との紛争を中止し、人類連合軍としてソビエト同盟(C.C.C.P.:Common Communist Corps of Proletariat) および U.S.A. (Unite States of AhoIndia)、ライヒスドイチェラント、イタリ、自由フランス、BCフランス、神聖なるブリタニア帝国(U.K)と共に戦いを進める。


※※※

 

駆逐隊司令より提督へ昇進したばかりの彼、春仁少将が着任したのは此の年、8月の事であった。

 

※※※

 

春仁は、愛国心に燃えていた。

 

だが、人類史は、春仁の存在を容易には受け入れなかった。

より正確にいうと、受け入れ難かったのである。

 

一つには、深海棲艦の持つ圧倒的な技術の前に、人類は刃が立たなかった事。

 

もう一つには、人類に寄り添うべく突如顕現した謎の存在「艦娘」

その戦闘能力を活用すべく人類軍の再編成を余儀無くされたことである。

 

まるで我々が旧人類であり、彼女たちが「新人類」とでも云うべき超越さを有した存在、それが「艦娘」であった。

 

そして、旧人類の多くは、「艦娘」を回天の必殺兵器として取り扱うことにした。日本にあっては、本営の決定である。

 

このことにより、春仁提督は孤立した。

春仁提督は、「艦娘」を人として認識したのだから。

 

※※※

 

フィジー・サモア作戦。

人類中央協定においての作戦名称は「 F作戦 」

 

此れで、失態を演じた人類は、責任の擦り付け合いをしていた。

 

 

帝国海軍特殊水雷戦隊。春仁提督の現場

春仁提督は、司令室で本営と対峙する。

 

F作戦において、本営の馬鹿元元帥は、水雷戦隊に特殊攻撃を命じた。

春仁提督はこれを良しとせず。通常攻撃で対応したのである。

 

本隊の混乱の中、善く戦った。

奮戦といえよう。

 

だが馬鹿元閣下はそれが気に入らなかった。

 

※※※

 

参謀「馬鹿元閣下、落ち着いてください。」

馬鹿元「私は落ち着いている。」

 

馬鹿元は落ち着いていない。

軽巡洋艦娘に馬乗りになって殴打をした男が、どうして落ち着いて居ると云えようか。

 

 

参謀「…、では、着席してください。」

馬鹿元「命令するなっ、艦娘ごときがっ!」

 

春仁提督「閣下、ご冗談を。」

 

馬鹿元「私は冗談を云う男ではない。」

馬鹿元「欠陥特殊兵器と、貴様を罰するために来たのである。」

 

春仁提督「閣下は本気であらせられる。ゆえに正気ではない。」

馬鹿元「なんだその態度は。どけ。懲罰を邪魔するな。」

 

春仁提督「…懲罰 ? 私には老人の癇癪に見えますが ? 」

馬鹿元「何だと貴様っ。本営に逆らうかッ。」

 

「そこに直れッ。」

 

(元帥の突進かよ、猪侍じゃあるまいし)

 

※※※

 

春仁は、高貴なる者が義務を果たさないのが嫌いであった。

地位に相応しく無いものがその席に居るのは、人類戦争の時に嫌という程見てきたのだから。

 

これは帝国海軍の宿痾なのだろうか。本営を、自ら大本営と名乗る時点で春仁はすでにイラつくのであった。

 

気づいたら体の捌きで足払いを掛けていた。

 

(どったあああああああああああん)

 

本営代表は盛大なる爆死を演じた。

 

馬鹿元「おまえ、線家の…者だ…な、覚えと…け」

 

元帥は気絶した。

 

※※※

 

辞令 : 下記の者、本日をもって艦隊司令の任を解除す。

 

線 春仁 (せん・はるひと)

 

皇起2600年 八月六日 大日本帝国 本営 馬鹿元

 

※※※

 

参謀「春仁さん。」

春仁「なんだ。参謀か。世話になったな。」

参謀「さみしくなります。」

 

春仁「時化た面すんなって、俺はまた帰ってくるさ。」

参謀「期待してますので」

 

金剛「私は戦艦金剛級の一番艦、金剛です。」

 

春仁「おい、金剛、なんか言葉遣いへんだぞ。」

金剛「あは。THX Admiral.」

 

春仁「Do not mind. Kongo. Make your self. けけけ」

金剛「うー、テイトクぅ。どうしてサヨナラですかぁ」

 

春仁「馬鹿元大将閣下の指示だ。」

金剛「ティトクのコマンドは、Very Effective だったネ」

 

春仁「そうか、Sorry, My fellows.」

 

金剛「テイトクぅ、そこは Sorry じゃ、ナイネー」

春仁「そうか、では、Thank you my fellows.」

 

金剛「ソウネ。ワカッテルネ。テイトクぅ」

春仁「おいよせ、他のフネがみんなみてるぞ。」

 

春仁「っておい。…まあいい、じゃな。」

 

浦風「…行くんか。」

 

春仁「おう。」

 

 

※※※

 

これ以後、挨拶も壮行会もなし、荷物を纏め、即刻退去。

彼は追い出されたのだ。

 

馬鹿元の留飲は、下がった。

 

※※※

 



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春仁

春仁には少年の頃より、秘密の決意があった。
幼子の誓い、それは「命の価値を問い続ける」というものである。



太平洋の嵐作戦

インド洋のサイクロン戦線

 

深海棲艦との戦いの最中に、艦隊指揮官がいなくなる。

そのような事態に喜ぶ異様な男が馬鹿元閣下であった。

 

人類圏に対する真の脅威となることを、閣下は知らなかった。

閣下「はっはっは、これでやり易く成るぞ。」

 

※※※

 

春仁「よし、行くぞ、遠泳だ。」

 

意地で、内火艇(うちびてい)は使わない。

誰が用意されたものに甘んじるか。という偏屈である。

 

褌こそ、武人の誉れ

古式泳法による瀬戸内海の横断である。

尋常ではない。

 

※※※

 

運動は心の基礎である。帝国海軍として叩き込まれている。

春仁はとても良い事だと思うのだ。

 

(ヘコム暇なぞ、ない。俺は『命の価値を問い続ける』)

 

※※※

 

海鳥の鳴く季節、波頭の穏やかな瀬戸内海某所に春仁の実家はある。

かなり、遠い。

 

彼は、思い出す。

線家は旧家である。

 

本家、分家と何かと五月蠅い其れは、高貴なる者の証なのか、虚飾なのか。そんな事は、彼には判らないし、関係なかった。

 

天の采配か偶然にも旧家の長男として産まれたのだった。

 

※※※

 

「うーむ、遠いねぇ、おうちまで。」

 

※※※

 

お家の後継ぎを絶対と定める父の存在は大きく、叱咤しつつも良く躾ける。

 

市井の多くの家とは、気風や家柄が違う。

尋常小学校の童たちには「気持ちの悪いマセガキ」あるいは「風変わりな貴族気取り」と認知されるだろう。

 

「奥の屋敷のぼっちゃま」として、薄っすらと笑われて生きてきた。

大屋敷に対する嫉妬、反感、妬み、嫉み。

 

教師に授業中に的にされたり、年長組から悪戯に柔道の寝技で殺されかけたこともあった。

 

卑怯者のクソ野郎に背後から石を投げられた事もあった。

 

からかいの年少組の毎日に、自己肯定感は薄れた。

 

「父上、俺は、生きててはいけないのかな。」

 

父は応えて言う「何を馬鹿な、死んで良い命などない。」

武術の稽古中に、優しく返事をしてくれた。

 

※※※

 

「命の価値、それは何だ…。俺は知らない。知りたい。」

 

※※※

 

弟が殴られる場面を見るや否や即時介入する事もあった。

心が挫けかけている弟の襟首を掴み、「何をしている、お前も戦え。」と激励する男だった。

 

その為、弟達からは少なからず憎まれていた。

「兄貴は、肝心の時には居ない。」

「くそ兄貴」

 

(もはや喧嘩の収支は不明だが、本人は「馬鹿を正す、これは我が家と我が大日本帝国の利益ではあろうよ。」と言い張っている。)

 

 

線家は、自らを「線ノ」と呼称している。戸籍法にない呼び方であるが、父は一向に構わず抜け抜けと使っている。帝国の佞臣共とは一線を画すという気概が父にはあったのだ。

 

父は中学時代、国史の授業では、教諭に対して曽我氏、藤原氏、足利氏を軽蔑するとして、両親を呼ばれた事もあり、学内ではかなりの問題人物だった。

 

彼の好きな言葉は「ならぬものは、ならぬものです。」

座右の銘は「我に七難八苦を与えよ」というものである。

 

元々は武家だが、今では商売にも手を出していた。

この度の件、春仁の左遷は、父と家族を悲しませていた。

 

※※※

 

 

春仁「父上、只今戻りました。」

 

父上「着替えなさい。見っとも無い真似を。」

 

春仁「はい、済みません。」

 

 

女中が世羅茶を入れている。

 

父上「で、言い訳を聞こうか。」

 

春仁「ありません。父上。」

 

父上「成程。それでは、言い訳以外の『事実』を言いなさい。」

 

※※※

 

春仁「…うむ、旨い。」

 

父上「うむ、旨い、じゃない。」

 

(ポカリ)

 

春仁「何をご無体な。」

 

父上「あぁ? 」

 

春仁「私は何も。」

 

父上「五月蠅いのぅ、何でもええけぇ説明せぇ言うとんじゃ、この銅鑼息子」

 

(ばちん)

 

春仁「…なら、言いますよ。ふんっ。」

 

父上「何が、ふんっ、じゃ、いばるなや。はよう、説明せぇ。」

 

春仁「(ぱたぱたと着衣を整えつつ)…馬鹿元閣下をご存じですな。」

 

父上「知っとる。」

 

春仁「…では、艦娘との醜聞についてはご存じありませんか?」

 

父上「知っとる。ほいじゃが、お前やぁ遣りすぎじゃ、閣下に恥をかかしおってから。閣下も人の子じゃけぇの、ちぃたぁ人の気持ちを考えろや。」

 

春仁「(がたん)艦娘の気持ちはどうなんだっ。艦娘はカフェーの女給じゃないっ!」

 

父上「…るさいのぉ。」

 

春仁「うるさいのは、どっちなら!」

 

父上「親に口応えすなゃ!」

 

ばちーん

 

春仁「なんじゃと。」

 

どかっ

 

父上「お前の正義はわかっとる。じゃが、遣り方を考え云うとんじゃ。」

 

げしっ

 

春仁「閣下に注進した。艦娘の盾になった。それ以外に何ができるんなら、言うのは簡単じゃあ。」

 

父上「わしがおる。家族がおるじゃろ。なんで相談せんかったんなら。」

 

春仁「うるさい。うるさいんじゃ、わしが海軍に行く事に反対したくせに。」

 

ばーーーーん。

 

父上「おい、わしは反対はしたが、母さんの言葉、覚えとるんか。」

 

 

父上「言うてみい。」

 

春仁「…」

 

父上「言えんのか。」

 

春仁「【何かあったら、相談するんよ。】」

 

父上「馬鹿垂れっ!」

 

どかっ、どかっ、どかっ

 

※※※

 

父上「(はぁはぁはぁ。)ワシも年じゃけぇ。早よう楽隠居さしてくれぃや。」

 

春仁「…わかっとる、おやじ。わしがわるかった、すまんかった。わしはいちからやりなおしじゃ。」

 

 

すみっこの女中「(ヤレヤレ)」

 

女中「あの、せっかくの、お茶がぬるくなりましたが。」

 

父上「ああ、澄子さん。すまないね。」

 

春仁「はい、勿体ないのでこのまま頂きます。」

 

澄子「では氷をどうぞ。」

 

父上「よせ。せっかく旨いんが台無しじゃ。」

 

春仁「ええです。旨いもんは旨いけぇ。」

 

父上「あー、コホン。其れなら宜しい。」

 

 

※※※

 

春仁「すまんね。うちのオヤジは美食家気取りなんよ。」

 

澄子「いえ、私の雇用主様は、悪い方では在りませぬ。多分私たちにおすそ分けの意味があったのだと思います。」

 

春仁「…。確かにな、他家とウチは違って内々の仲が良いらしいな。」

 

澄子「御家は良い意味で普通じゃないです。」

 

春仁「うん、よく言われる。」

 

澄子「尊き事です。虐待する家が普通ですので。」

 

春仁「父上も出来たお方なのかなぁ。」

 

澄子「奥様もです。」

 

春仁「…母上は、俺をよく育ててくれたよなぁ。」

 

※※※

 

蒼天をあおぐ二人であった。

 

 




世羅茶は duckduckgo で検索しました。

「ある中国の修行僧が、世羅に伝えたと言われている。」


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春仁 その二

久々の我が家というのに、寝付けない。

じきに、うとうとが始まる。

何時か知らないが、ついに倒れ

そして、夢をみる。


「おい、お前ら、俺は海軍さんに行く事にしたけぇ。」

 

「はぁ、何いよるんなら。」

「家はだれが継ぐんなら。」

 

春「うるさい…。お前が本当の長男だろうが。」

 

春「わしは、橋の下で貰われてきた子供じゃけぇ。」

 

弟「前々から思うとったが、ついにイカレテしもうたんか。」

弟「兄ちゃん、嘘つけや。気が狂うたんか。」

 

春「畳に座れや、今から説明するけぇ。聞け。」

 

※※※

 

「橋の下、いうのは、嘘じゃが」

 

「わしは、妾の子じゃけ、家の相続はできんのじゃ。」

 

「…父上が決めた跡取りは、貴方だ。」

 

「知らん、親父とは昨日話を付けてきた。」

 

「家族会議で決める約束だった筈。」

 

※※※

 

「紐、引けや」

 

「はよう、引け」

 

※※※

 

それまで夕闇の勉強部屋を照らしていた松下製の電球は消え、子供部屋は真っ暗と化した。

 

その時である、燐光が灯ったのは。

 

弟達「な、なんじゃそりゃあああああああああああ」

 

※※※

 

春「みろ、これが俺の体だ。」

 

春「…父上の愛妾は、妖精族といわれる異人だったらしい。」

 

春「俺は、時々、化け物のように強くなる時があっただろう。」

 

弟「合気と柔道で、よく私に勝ってましたよね。」

 

春「それだけじゃ、ないんだ。」

 

春「遠目が効いたり、夜目が効いたりするんだよ。」

 

春「色も白い、燐光も出ちまう時がある。」

 

弟達「…妖精族。」

 

春「異人との混血児が頭では、色々と家が困るんだ。」

 

弟「そんなもの、どうとでもごまかせるはずじゃ。」

 

妹「ほうよ。家からでちゃあ、いけんのんよ。」

 

弟「うんうん」

 

弟「御国のためなら、私が海軍でも陸軍でも志願するつもりでしたが」

 

春「おまえ、まだはやかろうが。」

 

弟「しょうがないですよ。子供のころから家をでろといわれてたんです。」

 

妹「みんな、広島弁つこうちゃあ、とうさんに怒られるんよ。」

 

春「おまえがつかっとるじゃろうがwww」

 

※※※

 

はははは

 

※※※

 

ここで夢は途絶し、場面が切り替わる

士官学校卒業式もおわり、配属後、初陣前の、祝い酒である。

 

※※※

 

同期の桜「よーう、春坊ー、元気かー。」

 

春仁「春坊はよせ、大淀が見ている」

 

同期の桜「いよいよ、初陣ときたーか。」

 

春仁「そうだな。」

 

同期の桜「純米大吟醸、もーってきたーぜぇ、ぶるうわぁ」

 

春仁「お、そうか。」

 

同期の桜「気が利くだろ。大淀、しっかりたのむぞぉおお、ぶるうわぁあ」

 

春仁「なんだよ、その、『ぶるうわぁ』ってのは」

 

大淀「私、おさかな、用意してきますねwww」

 

春仁「おう。たのまぁ」

 

※※※

 

第十一駆逐隊、作戦行動に入る。単縦陣、機関全速

 

吹雪、初雪、深雪、白雪。行けっ。

 

吹雪「吹雪了解、発艦する。各員、単縦陣用意」

初雪「初雪了解、単縦陣用意…」

深雪「深雪、いくよ。単縦陣用意」

白雪「白雪、参ります。単縦陣用意」

 

吹雪「たんじゅーうじーん、よーし」

 

吹雪「機関ぜんそーく」

 

※※※

 

こぶしに力が入った夜。

 

海風が、すこし、そよいでいた。

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おまえら、無事だったか。
よし。どりこの飲めよ。

なに、羊羹もか。
よくばりゆきめ。

わはははは。


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春仁 その三

春仁駆逐隊司令が最も重要視したのが、科学的な考え方と、艦娘との信頼関係の構築である。

 

士官学校時代に、人類大戦の犯した罪、先達の過ちと、その招いた結果を痛感したからである。

 

彼は物知りであるため、知識は沢山仕入れている。

 

徴兵された市井の人々の尊い命の上に今があった事を知っていた。

陸軍の特殊兵器訓練。ベニヤ板ボートに適当な名前を付けてれば戦いに勝てるかもしれないとは。

 

これは愚かな過ちだった。

特殊潜航艇は、まだ有効であろう。

だが、ベニヤ板ボートや人間魚雷は狂気の賜物だろう。

 

科学的に云うと「戦闘収支の見積もり」が出来ていない。

必定、命の貸借では大赤字となる。

 

※※※

 

彼はまた、沢山の民間人犠牲者。学徒の踏ん張り、その辺にいる名もなき少年の少女の頑張りを見てきた。金属の供出、積立金の供出、森に赤松油を求める児童たちの指導もした。

 

そして食糧配給制度、税制の強化、ありとあらゆる戦時体制の実際を注意深く見て育った。

 

「市井をよく観よ」との、父親の教育信念であった。

 

そして、さらに、半島の人々との遺恨ある関係。

 

元々兄弟国であった半島人を雇用した迄は良かった。

次第に、優等意識に溺れ、互いに助け合う間から、憂さ晴らしに蔑みをぶつける間柄に変化していった経緯も厭と云うほど見てきたのだ。

 

「命の価値を問うな。」

 

 

先の人類大戦における原子爆弾の犠牲。

 

命の価値とは何だろうか。

 

「これでは、わが国も俺も、救われない。」

 

 

間も無くの、深海からの宣戦布告。

 

人類史の阿鼻叫喚、地獄の炎で育ったエリート教育の成果物。

悪く言えば、「坊や」が彼だった。

 

※※※

 

教育と訓練。

 

訓練では基本技術の反復を重要視する。

応用技術の追及は各自に任を置いて来た。

 

そのため、本営からの評判は良くなかった。

本営には本営の野望があったのである。

 

応用技術に特化した新型兵器を製造販売することにより、軍需財閥を復興する狙いがあったのだ。

 

しかし、彼は自らの考察で改善することを良しとし、財閥の新型兵器を使わない。

 

「なんじゃこの糞兵器は、これじゃあ現場が死ぬで。」と。

 

確かに現場は助かるが。

これでは納入実績が上がらないのである。

 

そこで彼は駆逐隊司令のまま据え置かれていた。

 

しかし乍ら、彼のお眼鏡に叶った兵器は、即大量導入する気立ての良さもあったのである。

 

が、しかし。

財閥の支配する兵器工廠には伝わらなかったのである。

 

※※※

 

立身出世

 

それを全く気にしていない当り、流石の彼ではあった。

 

※※※

 

「各艦、新型電探ノ具合ハ如何ナリヤ」

 

「吹雪ヨリ、キハメテ有効ナリ」

「初雪、オナジ」

「深雪、オナジ」

「白雪、不調ナリ」

 

「白雪ハ帰投セヨ、コレ以外各艦ハ、単縦陣用意」

「白雪、了解、ワレ帰投ス」

「吹雪艦隊、了解、単縦陣用意」

 

「たーんじゅーうじーんよーうい」

 

※※※

 

機関最大にて索敵を行いつつ目的港まで前進。

接敵に際しては、細心の用心を持って事に当たれ。

 

吹雪了解

機関最大。

 

※※※

 

本日の輸送作戦は成功に終わった。

しかし、接敵の無い日は、次第に減っていった。

 

 

 

 

 

 



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陸軍

我ガ大日本帝國ハ皇軍足ル陸軍ト海軍トヲ擁セリ。
然レトモ陸海軍間ノ關係惡シク。

先刻大戰ニ破レ足リ、ソノ理由足ルハ是、如何セラルルヤ?必定ナリヤト論ズル者、少ナカラズ在ル物也

(現代語訳)

我が帝国には陸海軍があったが、両軍の仲が悪く、そのため先の大戦に敗北したのではないのかと論ずる人間が少なからずいる。

※※※

帝国海軍は人類大戦の後半になって、ようよう陸海合同本部を設置した。
ある人によれば遅きに失した訳ではあるが、何もしなかった人に言われたくないだろう。

そして、現在、陸海共同であり、仲は普通に良かった。
人類共通の敵を前に、仲たがいする暇はない。

※※※



※※※

 

春仁は帝国陸軍船舶輸送司令部に出向となった。

階級は、なんと、特務少尉である。士官学校卒業資格取り消しで。

 

(特務少尉とは、名ばかりの少尉である。)

 

しかし、当の本人は何も考えていない。

いかなる時、場所でも事に当たっては任務に忠実たれとの教育の賜物であった。

 

※※※

 

陸門はん「春仁閣下」

春仁「閣下はやめてください。陸門殿。」

 

陸門はん「ああ、そうでしたな。では線ノ春仁少尉。」

春仁「はっ!」

 

陸門はん「陸門少佐より命ずる、線ノ春仁少尉は本日1000迄場内見学。船舶輸送司令部配属は同時刻をもって行う。」

 

春仁「はっ! 海軍、第零号 線ノ春仁(特務)少尉。本日1000迄場内見学を致しますっ!」

 

陸門はん「では、あきつ丸に案内させましょう。」

 

あきつ丸「私があきつ丸である。まずは工廠からだ、ついてこい。」

春仁「よろしくお願いしますっ。線ノ春仁特務少尉と申します。」

 

※※※

 

あきつ丸「設備は海軍さんと共同であり、先の人類大戦の反省を踏まえている。」

 

春仁「工業規格も製品も統一されていますね。」

あきつ丸「…」

 

あきつ丸「ここが、どっく、船廠だな。」

春仁「メモメモ」

 

あきつ丸「…特務少尉、記録は禁止されている。」

 

春仁「あっ、これは失礼しましたッ!」

  「あきつ丸殿、こちらを査収願いますっ!」

 

あきつ丸「よし(パラパラ…)56枚目と57枚目を頂く。(ベリベリ)」

 

※※※

 

あきつ丸「…最後が貴様の生活の場たる士官寮だ。荷物を整理して、0945に第一司令部に集合せよ。」

 

春仁「はっ!0945に第一司令部に集合しますっ!」

 

あきつ丸答礼。

 

春仁「(厳しそうだな…ニヤリ)」

 

※※※

 

(士官寮)

 

どかっ。

 

「ふう…、さて、身の回り整理を開始して、と。」

 

(おっ、そういえば今日から新しい服だったな。これは、、、凄いな、緑色で日本刀か…。帝国海軍からしたら少し重いぞ。)

 

(テキパキ。)

服を脱ぐ

陸軍装備に着かえる。

服たたむ。

 

(テキパキ。)

帯剣する。

立ち鏡で身嗜みを確認。

 

前より良し、後ろより良し。

時間だ。

 

※※※

 

たったったったっ。

 

(少し遠いな。まあ、いいか。)

 

たったったったった。

 

渡り廊下を超え、官舎に入り、定刻前に、船舶輸送司令部に到達する。

 

其の時である。

警報が発令したのは。

 

※※※

 

馴染みの高周波の音波が基地に響き渡る。

 

「空襲警報発令、空襲警報発令」

 

※※※

 

 

「敵機は深海棲艦戦闘爆撃隊と認む」

 

「さつき部隊、出撃用意っ」

 

※※※

 

「敵の情報、戦闘機64、爆撃機6」

 

「さつき部隊、出撃ぃつ!」

 

※※※

 

飛行第八九連隊「さつき」部隊は 急速上昇に秀でた鐘馗を主力とする。所謂「重戦闘機」を運用している。陸軍がノモンハンで学んだ成果であった。

 

急速発進と上昇迎撃行動は確かに早かった。

海外では「ズーム」とか「マニューバ」とか呼ばれる機動がこれに当たる。

 

※※※

 

警報音、戦闘行動中の班員。

 

発動機の音と飛行機雲だらけになる空を仰ぐ少尉。

やがて、さつき各機の機関砲が反重力戦の一撃をお見舞いする破裂音が木霊した。

 

※※※

 

大佐「春仁特務少尉。予定変更だ。手伝え。」

春仁「特務少尉了解。指示願います。」

 

大佐「我と共に第二さつき部隊として防空戦56号機により出撃せよ。」

 

春仁「…」

 

大佐「復唱はどうしたっ。」

 

春仁「はっ、防空戦56号機により出撃します。」

 

大佐「かかれっ、56号機はあそこだっ!」

 

※※※

 

少尉は、慎重に操縦席に入る。フムナの表記がない。

注意しながら入っていると怒鳴られた。

 

(計器類、操作類は海軍と共通だ、いけるっ!)

 

整備兵「56号機コンタークト」

 

整備兵が発動機を起動。

 

発進手順開始、昇降翼確認よし、左右翼確認よし。可変式空力抵抗装置確認よし。照星確認…つかない。」

 

大佐「後まわしだ。時間がないっ。」

 

整備兵に合図を送る大佐

 

大佐「第二さつき部隊 各機、俺についてこい」

 

※※※

 

整備兵「次、56号機発進!」

 

第二さつき部隊、急速上昇。

 

※※※

 

距離を縮める中、自機の武装、機関砲を確認する。

 

機関砲1よし。

同2よし。

安全装置解除

 

大佐は?

 

※※※

 

大佐「各機、反重力戦、開始。」

 

※※※

 

重力戦の真逆が反重力戦である。

急速上昇中に敵機のどてっばらに機関砲をお見舞いするのだ。

 

※※※

 

春仁の機関砲がどてっぱらに炸裂した。

鐘馗の急上昇により、高度は爆撃機より遥か上方に占位している。

 

少尉はとっさに振り返る。

しかし、爆撃機は無事だった。

 

大佐「少尉。左ペラ基部を狙え。俺と同時に重力戦にかかるぞ。」

少尉「56号機了解、左ペラ基部を狙う、重力戦にかかります。」

大佐「鐘馗は慣性が独特である。見て合わせろ。」

 

失速機動(マニューバ)により、重力戦を仕掛ける。

先ほどの爆撃機が対象だった。

 

 

大佐「逃がすなよ。」

少尉「逃がしません。真っ二つにしてやる。」

 

 

割れた。

真っ二つに割れた。

 

 

大佐「更なる敵機、同軌道にて続けてこいっ!」

少尉「了解」

 

※※※

 

空襲警報解除

空襲警報解除

 

二次攻撃の危険はなし。

 

空襲警報解除

空襲警報解除

 

二次攻撃の危険はなし。

 

※※※

 

特務少尉春仁の陸軍勤務における初の戦果が、爆撃機(共同)撃墜2であった。

 

今頃、馬鹿元には報告が上がっているだろう。

 




ども、かっぱのおじさんです。
俄なので描写が甘いのです。
すまんのぅ。


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転戦

荒川軍曹は問題児として評判である。

 

その嗜虐指向は、酒保で遺憾なく発揮されており、毎日のように癇癪を爆発させていた。特に艦娘が応対する場合に於いて。

 

男性主計が居る場合は、比較的大人しいのであるが、艦娘に対しては、態とではないかと疑われる行為を繰り返していた。

 

齢は50位であるが、タバコと酒の飲み過ぎにより、見た目は60代に見えていた。日焼けした容貌で、よく通るダミ声で、威張る。

 

例えば、伝票(Receiptの事)一つ取っても、艦娘が手渡しすると「いらん。ゴミなんか渡すな」といい、またある時は「伝票なんか、だれが呉れといった、阿呆が。」という。

 

兎に角、艦娘に文句が言いたいだけの輩なのである。

 

暴言だけでなく、暴力も伴うので性質が悪いのだ。

が、しかし艦娘は人では無い。なので、法では裁け無かったため、船舶輸送司令部でも規律が整備出来ていなかった。

 

荒川「伝票、くれんのか、わりゃ。殴られんとわからんのか」と言いつつグーで艦娘を殴るのである。

 

※※※

 

そんな荒川軍曹が、春仁と同じ飛行連隊に配属になった。

 

元の配属、「船舶工兵隊」が、軍曹を嫌った為である。

ひばり隊、通称「カモ番隊」と呼ばれる職場であった。

 

荒川「ふん、つまらんボロ機体じゃのう。」

 

春仁「…」

 

大佐「貴様は文句ばかりだな。」

 

荒川「文句ではありません大佐殿、鐘馗の評判は、良しくありません、むしろ悪いのであります。」

 

大佐「そうか。」

 

荒川「だいたい、このカモ番隊に来たのは、司令部のインチキ人事であるので、私は、そく原職に復帰願いを提出したのであります。」

 

大佐「ひょっこがよくしゃべるな。カモ番隊とか。」

 

荒川「事実、司令部ではそう呼ばれております。」

 

春仁「大佐殿、飛行小隊は彼と編成でありますか?」

 

大佐「そうだ。貴様と荒川、そして、戦闘妖精と組んでもらう。」

 

二人「戦闘妖精?!」

 

大佐「彼がそうだ。名前は、そうだな、シルフとでも。」

 

春仁「シルフどの、よろしく。」

 

シルフ「よろしくであります。」

 

荒川「知るか」

 

驚いたことに、荒川の耳には妖精の声も聞こえず、姿は朧気であった。

 

彼は特に耳が遠いとか、目が悪いとかの類として気にしていなかったが…。

 

荒川「馬鹿バカしい。」

 

春仁「おいっ。さっきから何を、大佐殿の前だぞ荒川っ!」

 

荒川「特務少尉がなにいってやがる。」

 

喧嘩は大佐のドデカイ声で制された。

 

大佐「せいれーつッ!」

 

ザザッ

 

大佐「番号ッ!」

 

春仁「いちっ」

荒川「にっ」

シルフ「さんっ」

 

大佐「荒川の失言を連帯責任として罰する。全員、歯を食いしばれッ。」

 

ばちーん。

ばちーん。

ばちーん。

 

春仁「…(父上を思い出すな)。」

荒川「(いたいのぅ、クソが偉そうにしゃがって)」

シルフ「怨」

 

大佐「現時刻をもって、ひばり小隊を結成する。」

 

荒川「大佐殿、小隊長は階級順で、私に願うものであります。」

 

大佐「貴様では無理だ。」

 

荒川「では、この若造に?」

 

大佐「若造ではない、海軍さんの春仁特務少尉殿だ。」

荒川「ちっ」

 

大佐「春仁特務少尉、規律訓練を開始せよ。本日はそれ以外の行為を禁ずる。」

春仁「はっ!」

 

 

その日は規律訓練だけで終了した。

 



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指揮権

貴様に指揮権は無い。


大佐「誰に指揮権が無いと言った?大佐か?」

馬鹿「…」

 

大佐「貴様の目の前にいる大佐殿かといってんだよ、はぁ?」

馬鹿「っ…」

 

大佐「きおーつけ。」

馬鹿「なんだっ、俺の方が年上だぞッ」

 

大佐「階級は俺の方が上だが?」

  「俺は気をつけろといっている。」

 

馬鹿「ふんっ、やるならやれよ。」

大佐「やらん、こぶしの無駄だ。お前懲罰房行き決定」

 

馬鹿「なんだっ、無駄とはっ。」

大佐「あきつ丸、この馬鹿を連れていけ」

あきつ丸「は。」

馬鹿「馬鹿とはなんだっ、馬鹿っ」

あきつ丸「静かにしろ。五月蝿い。」

 

※※※

 

大佐「…というわけだ、すまんな、ひばり小隊は解隊となった。」

春仁「…敬礼っ」

妖精「ザッ」

 

※※※

 

海軍特務士官には、指揮権が、なかった。

 

※※※

 

大佐「海軍さんの決まりは、俺は知らん。春仁、お前が指揮官だ。」

春仁「…」

大佐「今日からは、貴様らは、俺の小隊指揮下となる。」

春仁「はっ」

妖精「はっ」

 

※※※

 

緊急、緊急。

戦闘爆撃連合、接近中

 

緊急、緊急。

これは訓練ではない、繰り返す。これは訓練ではない。

 

※※※

 

大佐「小隊、おれにつづけ。」

 

 

春仁「はっ」

妖精「はっ」

 

※※※

 

鐘馗、緊急発進。

コンターク。

 

鐘馗、緊急発進。

コンターク。

 

※※※

 

大佐「行くぞっ。急降下戦闘、開始っ」

春仁「了解、急降下戦闘開始」

妖精「開始」

 

※※※

 

大佐「いいぞっ、お前らは、いいっ。」

春仁「大佐殿、前ッ。」

妖精「無問題」

 

※※※

 

爆散する敵機。

妖精さんのしたり顔。

 

※※※

 

大佐「多謝だ、お前ら。」

妖精「無問題」

大佐「続けて二機目」

 

春仁「はっ」

妖精「はっ」

 

※※※

 

行くぞの号令。

 

大佐小隊は、号令通り、行った。

 

※※※

 

偵察機「小隊、共同撃墜6、隊長機単独撃墜2とミトム」

 

※※※

 

鐘馗は、着地し辛い機体として有名だった。

大佐小隊の評価は、どうだか判明しない。

 

※※※

 

偵察機「小隊、共同撃墜6、隊長機単独撃墜2とミトム」

 

大佐「上々だ、貴様ら。」

 

大佐「Go Home 、帰還する。」

大尉「I will be Home、了解。」

 

妖精「Aye,Sir。明白了。」

 

※※※

 

今宵も戦闘と舞う。大佐と舞う。妖精と舞う。

 

鐘馗。

天翔ける突撃兵。

 

そんな妖精空間では、あった。

 

※※※

 

少尉「むは。」

妖精「少尉。食べ過ぎ。銀蠅したか?」

少尉「むせる。」

妖精「…ごまかしやがった。」

 

※※※

 

少尉はひばり原隊の隊長となる予定である。

今月の戦果は、クソ本営を震撼たらしめるのに十分ではあっただろう。

 

それは9月の空の事であった。

隊長拝命と並行して、ソロモン諸島に転戦する命令が下る事となるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 



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ひばり隊、強襲す

-藍より蒼き、大空に大空に-

これは「空の神兵」という歌の冒頭である。

人類大戦の開戦劈頭、帝国陸海軍がパレンバンに有って落下傘部隊を投入した。当時の活躍を歌った詩である。

臣民である市民階級に受け入れられ、市井では大いに流行したものだ。

今、現在。
妖精小隊は、中隊に編成替えが行われる。

現在では深海棲軍を相手取るのは、人類と妖精、そして艦娘の合従軍であった。

「藍より蒼き」ソロモンの大空に。




管制塔「こちら管制塔、ひばり中隊、応答せよ」

(This is Operation Control Tower, "Hibari Squadron." Answer Me.)

 

隊長「管制塔へ、こちら、ひばり中隊長。」

(To the tower, This is "Hibari Squadron.". I am a leader.)

 

※※※

 

管制塔「CODE Δ(Delta) 、Sixty-Six 、Repeat(繰り返す)。CODE Δ 、Sixty-Six」

 

中隊長「SK Roger(ひばり了解), CODE Δ ,Sixty-Six. Repeat! CODE Δ 、Sixty-Six!」

 

※※※

 

CODE Δ (Delta) は、「DENGEKI-SEN O IDOME : 電撃戦を挑め」の頭文字Δである。Sixty-Six は、「(秘匿座標系における)位置(6,6)へ」だ。

 

※※※

 

ソロモン諸島は、かつての人類大戦における激戦海域であった。

どうやら現在でもそうらしい。

 

※※※

ーその純白に赤き血を、捧げて悔いぬ奇襲隊。ー

 

中隊の乗機は、隼2型改、電探搭載、自発推進弾搭載の最新型。

格闘戦重視であるが、零式と違い、航続力が無い。

 

基本、電探で索敵、所定座標に遷移する。

 

奇襲戦闘。

それは自発推進弾による遠隔攻撃。

 

帰還はその後の事になる。

 

2型改にとって、格闘性能は最早、予備性能の類である。

奇襲時に予期せぬ対空戦が発生しなければ良いのだ。

 

敵は戦闘機ではない。

 

主敵は、わが輸送船団を狙い来る水雷戦隊、潜水艦隊だ。

(潜水艦の恐怖は、まだ、ないのであるが。)

 

※※※

 

ひばり中隊、春仁中隊長の率いる中隊は、妖精中隊と呼ばれ、深海棲艦共から恐れられていた。

 

妖精の舞う空は美しく、それでも残忍ではあったであろう。

戦果がそれを証明していた。

 

※※※

 

夕焼けに染まる隼、ひばり中隊。

 

急降下爆撃、「Dive:ダイヴ」と呼ばれる機動による位置取りが完了する。

 

後は自発推進弾(じはつ・すいしん・だん)の仕事に任せ、敵機、または、艦砲射撃の餌食とならぬよう急速離脱を行う。

 

敵さんからしたら歯がゆい敵。それが「ソロモンのスカイラーク」

 

ひばり中隊だった。

 

※※※

 

春仁「各隊へ。第一小隊から順に被害報告を。」

 

シルフ「第一小隊。損失機なし」

オベロン「第ニ小隊。損失機なし」

オンディーヌ「第三小隊。…損失機…2」

春仁「ご苦労、帰還だ。」

 

※※※

 

春仁「(第三小隊は、残念だったな。)」

 

※※※

 

自発推進、乃至、爆進弾。

帝国陸海軍共同による研究の成果物である。

 

直進性はやや西側のそれに劣るものの、悪くはない。

発射速度で互角。命中距離が2パーセント程、西側の「ロケッティア技術」に勝っていた。

 

帝国の誉れである。

 

※※※

 

水偵005「駆逐艦撃沈3、巡洋艦大破とミトム」

 

※※※

 

あきつ丸「こちら船舶輸送師団、あきつ丸である。ヒ隊の船団護衛に感謝する。」

 

春仁「ヒ隊了解。【よいお食事を。】」

 

あきつ丸「貴様らもな、少尉。【よいお食事を。】」

 

※※※

 

ひばりは、ソロモンの空を、海を守護しつづけていた。

船舶輸送司令部からの感謝状が届くだろう。

 

※※※

 

後日、なんと、陸海合同本営から感謝状が来たのである。

馬鹿元閣下も、さぞや悔しがったろう。

 

※※※

 

「かも番隊」に追放したハズの彼、春仁が、成績を残し、海軍に帰ってくる。

 

このままだと原隊である駆逐隊に復帰する…。

 

馬鹿元「まずいのぅ」

 

※※※

 

馬鹿元閣下は、身の振り方をどうすべきか愛人と寝屋で相談している最中であった。

 

最も、その愛人とやらは、線家の手配の者であったのであるが…。

 

※※※

 

愛人「馬鹿元閣下は、やりすぎましたな。」

父上「お静かに。」

 

愛人「は。」

 

※※※

 

発 帝国陸海本営

宛 ソロモン船舶輸送司令部

 

海軍少尉、線春仁、原隊ヘノ復帰ヲ命ズ。

仔細ハ追ッテ沙汰ス。

 

※※※

 

大佐「しまったな…。我が飛行連隊の撃墜王殿を失うとは。」

 




参考資料

https://dic.pixiv.net/a/%E7%A9%BA%E3%81%AE%E7%A5%9E%E5%85%B5
https://ameblo.jp/sorano-shinpei

https://www.youtube.com/watch?v=bOEqvCkrV_o


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壮行会の夜

春仁の離任の日が来た。

制服を返却。
陛下より賜われし日本刀もお返しを済ませている。

再び、帝国海軍へ。
緑から白への旅立ちである。


※※※

 

あきつ丸「寂しくなるな…。」

大佐「なんだお前。今頃デレてるのか。」

 

あきつ丸「そういうの、やめてください。」

大佐「冗談だよ。」

あきつ丸「私には冗談に聞こえません。」

 

大佐「ま、そんな事より。」

あきつ丸「壮行式でありますな。」

大佐「よし。行くぞ。」

 

※※※

 

大佐「帝国陸軍 船舶輸送司令部 輜重第二大隊 飛行隊 空飛大佐である。」

春仁「敬礼(ザッ)」

空飛大佐「休め。」

春仁「ザッ」

 

空飛大佐「有難いことに、ソ諸島に於ける制空権、制海権は、帝国の掌握する処となった。これは我らが飛行戦隊「ひばり大隊」の活躍に寄るところが大きい。」

 

春仁「…」

 

空飛大佐「あきつ丸。」

あきつ丸「はっ、感謝するであります。ひばり大隊のおかけです。」

信州丸「こちらに、酒保を」

 

大佐「…よって、細やか乍ら、ここに大隊長のお別れ会を設けるものである。」

 

妖精「ガヤガヤ」

艦娘「にこにこ」

 

※※※

 

大佐「海軍では、【無礼講】という方式でやるらしい。線さん、本日は海軍式でやろう。」

 

春仁「ぎょぎょっ( ゚д゚)」

 

大佐「なにが、【ぎょぎょっ( ゚Д゚)】だ。はよう乾杯するで。」

 

あきつ丸「では、カンパーイ、で、あります。」

皆さん「カンパーイ」

 

シルフ「で、あります。」

 

春仁「こら。失礼だぞ」

シルフ「てへ。」

 

大佐「無礼講、無礼講」

あきつ丸「…(ジト目)シルフどの、じゃなかったシルフ、飲みんさい。」

 

春仁「ぎょぎょっ( ゚д゚)」

 

※※※

 

あきつ丸「私だって、一人の艦娘なんよ。」

春仁「はぁ。」

 

あきつ丸「飲みんさい。」

 

とくっとくっとくっとくっ。

 

春仁「はい。いただきます。」

 

大佐「やあ、春さん。もりあがってるかね。」

 

春仁「ちょっと、海軍式すぎますけどぉ…」

 

大佐「なになに、海軍さんの壮行会だろ。けけけ。」

 

※※※

 

あきつ丸「だからぁー、聞いとるんかいねー。あんたぁー。」

あきつ丸「あんたにゃあ、感謝しとるんじゃけぃねぇ。」

 

春仁「飲みすぎでは…」

 

あきつ丸「無礼講じゃ、ゆうとろうがいねー」

 

(すぽっ)

 

春仁の口にラッパ飲み砲が命中した。

 

 

 

あきつ丸「うち、大佐の次にあんたを好い取るんよ」

 

春仁「(あ艦これ。)」

 

シルフ「大佐に告った。」

ウンディーヌ「告った。」

 

ヒューヒュー♬

 

ウェーイ( ^^) _U~~

 

あきつ丸「しまった。( *´艸`)」

 

大佐「おいおい、今日の主役は、線さんじゃが。」

 

あきつ丸「あー、もー。( ;∀;)」

 

あきつ丸「うぇーい。酒じゃー、酒がたらんでぇーー、もってこいやー」

 

※※※

 

厠にて

 

春仁「ヒック、はぁ、めちゃめちゃじゃなぁか。」

 

じょろろろ。

 

大佐「これが海軍式じゃあなかったんかいね。」

 

春仁「あっ、大佐殿」

 

大佐「空飛じゃ。わりゃ海軍式のなんたるかを知らんようじゃのぅ」

 

じょろろろ。

 

春仁「お世話になりました」

 

 

※※※

 

グノメ「うぇーい。」

シルフ「それでは、空の神兵、歌いまーす。」

 

キンコンカンコン♪

「藍よりぃ、蒼きぃ」

 

ワハハハハ

 

あきつ丸「この、サザエ、うまいのぅ。」

 

※※※

 

大佐「よーし、空飛、隼飛行隊するでぇ。線さんも来いっ。」

 

ウンディーネ「まって、あきつ丸さんが…。」

 

大佐「はぁおそいで、チャックおろしたけぇのぅ」

 

※※※

 

ぶるんぶるんぶるん。

 

シルフ「コンタークト。」

大佐「隼飛行隊、はっしーーん。」

 

春仁「(とほほ)はっしーん。」

 

妖精「はっしーーーーーーん。」

 

ウェーーーイ

 

艦娘「きゃっ。」

 

※※※

 

わははは。




こち亀の、中川さんが、やってるアレです。


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海軍輸送艦隊

海軍だー。
戻ってきたぞー。


??「お前が新しく着任する輸送艦隊司令か、はぁ?」

 

春仁「そうですが。貴殿は」

 

??「俺の名は、天龍、最新鋭軽巡洋艦だ。」

 

春仁「お噂はかねがね。」

 

天龍「ふん。しっかり覚えとけよ。」

 

※※※

 

長官「第八艦隊長官です。我が艦隊へようこそ。」

 

春仁「はっ( ゚Д゚)」

 

長官「休んでください。」

 

春仁「はっ。」

 

長官「線春仁【大佐】にあっては、天龍艦隊の指揮をお願いします。」

 

春仁「線春仁、拝命しました。」

 

長官「よろしい。1000に第一会議室で顔合わせだ。」

 

春仁「はっ。」

 

※※※

 

帝国海軍ノ伝統タル夜戦ニオイテ必勝ヲ期シ突入セントス。各員冷静沈着ヨクソノ全力ヲツクスベシ

 

※※※

 

去る8月8-9日の第一次ソロモン海戦において、天龍、夕張、夕凪は急遽参加。深海棲艦南方部隊を壊滅に追い込んだ一助を担った。

 

その、天龍が今、春仁の目の前にいた。

 

※※※

 

0950 第一会議室

 

古鷹「各艦整列」

 

大佐「そのままで。あと五分あります。」

 

古鷹「はい。」

 

大佐「少し早く来すぎました。1000より着任します。」

 

古鷹「はい。」

 

大佐「どうかしましたか。私の顔になにか?」

 

古鷹「いえ、なんでもありませんっ(ガクガク)」

 

大佐「ふむ。(姿見で確認したハズですが)再点検してみます。失礼」

 

カラカラ…

 

※※※

 

古鷹「今度の司令は、【いい人】だと聞いてますが、さすがに緊張します。」

 

天龍「あまり期待すんな…、失望するとデカいからよぅ。」

 

浦風「体罰司令はもう、ええけぇねぇ…。」

 

※※※

 

(成程、そういうことか)

 

※※※

 

ぷっぷくぷぅ

 

※※※

 

古鷹「整列」

 

ザッ

 

大佐「私が本日本時刻をもって着任した、線春仁大佐である。」

 

大佐「早速であるが、自己紹介を兼ねて、訓練を行う。」

 

大佐「古鷹。」

古鷹「はっ。」

 

大佐「ん・天龍がいないな。本日、任務当直艦はいるか。」

 

古鷹「巡洋艦、天龍、駆逐艦望月が哨戒中です。」

 

大佐「よし、その他は全員いるな」

古鷹「はっ。」

 

大佐「各艦は、体操着に着かえて、1030に体育館に集合せよ。」

古鷹「えっ( ゚Д゚)」

 

大佐「古鷹、復唱は」

古鷹「はっ、各艦は体操着に着かえて、1030に体育館に集合します。」

 

大佐「解散せよ。私も直ちに向かう。」

 

カラカラ…

 

(ざわざわざわ)

 

浦風「海に出んのんけ?」

古鷹「だめ、浦風ちゃん。聞こえちゃう。」

浦風「聞こえるように言うとんじゃが。」

 

※※※

 

ガラッ

 

大佐「聞こえたデ。」

古鷹「ひー(>_<)」

 

大佐「浦風、集合場所は埠頭じゃなあよ、体育館じゃ。」

 

浦風「( ゚Д゚)パクパク」

 

ガラッ

 

※※※

大佐「集まれ」

 

古鷹「基準( ゚Д゚)」

浦風「よしっ。」

 

大佐「よーし。みんなー。柔軟からじゃ。」

 

大佐「柔軟からいくデ( ゚Д゚#)」

 

大佐「いっちにー、さんーしー」

 

古鷹「…( ゚д゚)」

 

大佐「古鷹さん。はようしてや、時間がなあで。」

 

古鷹「ハッ。(つд゚)(ブルブル)」

 

大佐「いっちにー、さんーしー」

 

古鷹「ごーろく、しーち、はーち。」

 

大佐「いっちにー、さんーしー」

 

古鷹「ごーろく、しーち、はーち。」

 

大佐「いっちにー、さんーしー、はい、次浦風!」

 

浦風「わわわ。」

 

谷風「浦風!」

 

浦風「わかっとる。ごーろくしーちはーち。」

 

大佐「谷風!」

 

谷風「いっちにー、さんーしー」

 

大佐「よし来た、浜風」

 

浜風「ごーろく、しーち、はーち。」

 

大佐「各艦、順番に号令してください。私はまだ皆さんを把握してませんので。」

 

※※※

 

古鷹「(いい人だといいな。本当に。)」

 

大佐「古鷹っ、」

 

古鷹「はいぃ」

 

大佐「少し疲れたか、休め」

 

古鷹「いえ、平気です。」

 

大佐「…なら、顔をふけ。柔軟はもう終わる。嚮導艦は君だ。」

 

※※※

 

大佐「よし、四角儀の周りを軽くスキップしながら、四週」

 

古鷹「了解。」

 

※※※

 

大佐「あー、みなさん? 【楽しく】やってくださいよ?」

 

艦隊が「ぎこちなく」スキップしている間に、司令が網と風船を用意して来た。

 

※※※

 

古鷹「司令、四週終わりました。」

大佐「よしよし。こっちも用意が終わったで。」

 

※※※

 

大佐「今から俺と古鷹の班と、駆逐隊の班とで、風船排球(Volley Ball)を行います。」

 

※※※

 

1150まで、体育の時間が終わった。

 

各艦が驚いたことに。体育の訓練は午後も続くのであった。

 

※※※

 

1500 少し楽しかった

 

大佐「よーし、俺と古鷹に買ったら、紅茶と羊羹おごるで。」

 

※※※

 

1630 メシウマだった。

 

※※※

 

赴任初日に、体育しかしなかった提督は、彼が初めてではないだろうか。

 

異色提督。風来提督。

 

始末の負えないことに、旧家の坊ちゃんであるために手も足もだせないのだ。

 

 

 

 



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第一號特殊兵器

俺の名は、天龍だ

艦娘は「特殊兵器」として使われているが、知るかって。

この時代にあって、たまたま、俺は、艦娘として生まれたんだっての。

 

生まれて悪いかよ。

 

俺は、好きに生きる。

妹、龍田との約束だからだ。

 

(天龍ちゃんは、天龍ちゃんらしく、生きてね。)

 

当り前だッつの。俺たちは世界標準をはるかに超えた姉妹艦だぞ。

 

なのに、な、の、に。

 

「あら~。私ま~た強くなっちゃったみたい。」てのは、何だったんだよ。

 

糞、気に入らねぇ。

 

 

5500tに負けそうになった俺を導いてくれたお前が。

輸送に錬成に、俺にとっての光を見つけて呉れた矢先だった時に、お前が先にッ

 

「っきしょう。」

 

(この角の先だな。)

 

憲兵「第一號特殊兵器、待たんか!

 

「ああ、ウルセエナぁ。どけよ、司令部に話があんだよ」

 

※※※

 

失礼する、天龍、意見具申の儀ありて参る。

 

※※※

 

参謀長「第一號特殊兵器、待たんか!」

 

天龍「俺の名は、天龍、艦娘だ。【特殊兵器】じゃ、ねぇよ。」

 

参謀長「一號、貴様の提督から聞かなかったか?貴様のような旧式に出撃機会は、無い」

 

天龍「俺は、【艦娘】天龍だって云ってんだよ、艦の娘、だっての、耳聞こえてんのかよ、あ?」

 

参謀長「海軍魂、注入開始ッ」

突貫である。

刃を抜く参謀長

しかし!

 

「キん」

 

彼のサアベルは敗北した。

初撃で根元から分離し、放物線を描した参謀長の其れ。

彼の技は、天龍にとっては児戯に等しかったのだ。

 

天龍「ナマクラ参謀が、何か【注入開始】だっつの、オラ。」

 

※※※

 

参謀A「(おい、きゃつは反逆罪で解体だろ、つれてけ)」

参謀B「(まあ待て、勇ましいチビだ、使ってやろう。)」

 

※※※

 

天龍「失礼します。」

 

司令「何事かッ」

 

天龍「軽巡洋艦、天龍です。意見具申許可願います。」

 

司令「参謀長はどこか。」

 

天龍「参謀長さんは、お体の具合が悪く、私が衛生所にお連れしておきました。」

 

司令「ではA,B、貴様らの二名の職務とする。第一號特殊兵器の提案を検討せよ。」

二人「はっ。」

 

※※※

 

天龍「ソロモンに俺を使え。龍田の代わりをしてやる。」

参謀A「第二号艦【龍田】の代わりとは何を指すのか」

 

天龍「龍田は、もう居ねぇ、その代わりに俺が【被害担当】になってやるっていってるんだよ。」

 

参謀B「言っている意味が判りかねるな。被害担当任務など、存在しない。」

 

天龍「言葉の綾だな。いいから、第一攻略経路に俺を使えっていってるんだよ。」

 

参謀A「第一攻略経路は第33号駆逐艦【望月】が担当している。」

参謀B「ということは、第一号艦、具申内容は、水雷戦隊の編成変えであろうか。」

 

天龍「具体案を書き入れておいた、お前らの頭で検討しとけ。」

 

参謀A「待て、一号艦」

参謀B「待たんか!」

 

※※※

 

待たない。

 

 



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飢えないガ島

人類はルンガ飛行場(別名をヘンダーソン飛行場という)を巡る戦いの最中である。

其んな時に問題児、線春仁が海軍に戻って来た。
少し困った艦隊司令は、彼に天龍を当てがう事にした。

天龍戦隊。
狂犬戦隊、捨て艦の墓場、といわれた其処は、果して彼を何処に導くのか。



天龍「望楼作戦の丸ごと真似じゃねーか。」

大佐「お、わかるか。」

天龍「馬鹿にすんな。軽巡洋艦の魂を受けし、天龍様だぞ。」

 

大佐「褒めてるんだがなぁ。」

 

天龍「…、あー。もぅ。」

 

天龍「それより、書類整備だ、ちゃっちゃと終わらせんぞ。」

大佐「わかったわかった。」

 

天龍「わかったは、一、回、だ、ろ。」

 

大佐「…了解した。こちらが設備点検詳報、こちらが訓練報告」

天龍「…ふん、こっちは在庫点検報告書だ。」

 

大佐「よしッ、相互点検の前に、小休止だ」

天龍「俺はいらねぇよ。」

 

大佐「馬鹿。休みは取れ。命令だぞ。」

天龍「いらねぇって言ってんだよッ。」

 

ガタッ

 

大佐「(つかつか)」

 

天龍「やんのかよ」

 

大佐「ジリジリ」

 

大佐「あー春仁ですが。古鷹さん、第三次TKC(Tenryu KomattaChan)事案ですが…。」

 

天龍「おい、ちょっと。マテ」

 

(ひょい)

 

古鷹「待ちませんよ(#^ω^)ピキピキ」

 

天龍「ぎゃあああ」

 

※※※

 

数分後

 

天龍「…巡洋艦、天龍、ただいまより小休止開始します。」

 

古鷹「はい。どうも(#^ω^)ピキピキ。」

 

大佐「よきよき ニマニマ」

 

浜風「…紅茶と、サトウキビもってきました。」

 

大佐「いつも。あんがとね。」

 

浜風「…。」

 

※※※

 

大佐「うまいね。」

 

天龍「…。否定はできねぇ。」

 

 

※※※

 

天龍「おめー、なんでこんな最前線に来たんだよ。」

大佐「辞令出したのは基地司令だよ、聞いてみてよ。」

天龍「…。」

 

大佐「まあ、制空権取り戻した功績じゃねーの。しらんけど。」

 

ガタッ

 

天龍「ひばりの隊長、おまえかよ!」

 

大佐「ソロモンのスカイラークってね、ニマニマ」

 

※※※

 

大佐「紅茶は淹れ立てを飲もうぜ。」

天龍「あ、あぁ」

 

むぐむぐ…。

 

天龍「…駆逐隊の元気と練度が今までと、違う。」

大佐「お、」

天龍「見たら、直ぐ判るだろ…。」

 

 

大佐「なに、甘味と紅茶はたっぷり陸さんからもらってるからな。」

天龍「それだけじゃ、ねーよ。戦闘詳報見たか。」

 

※※※

 

天龍「(むぐむぐ。)これが駆逐隊の日報だ、読んだよな」

大佐「おう。(ごくごく。)」

 

天龍「今までの、あいつ等の文章じゃ、無ぇ。先づ字が違う。」

大佐「…。(ごくん)」

 

※※※

 

天龍「【何月何日、特になし】唯、之だけだぞ、先月までの奴らの日報」

大佐「(ごくん)良くないね。」

 

浜風「失礼します。片づけに参りました。」

大佐「天龍どの、サトウキビはもういいかな?」

 

天龍「あ、もう一本。」

大佐「ニマニマ」

 

天龍「…じゃ、なくてぇ。調子狂うなぁ」

 

浜風「どうぞ(⌒∇⌒)」

 

※※※

 

(ガタッ)

 

天龍「見たか( ゚д゚)、あの、浜風が【ニコ】だぞ!」

 

大佐「良きことだね。(⌒∇⌒)」

 

天龍「…、よーし、ちゃっちゃと終わらせて、哨戒イクゾ、オラぁ」

 

※※※

 

埠頭にて

 

大佐「おぉい。天龍ぅ、望月ぃ、いってらー。これ差し入れな。」

 

天龍「おうっ。」

望月「…応」

 

大佐「気を付けてやぁ」

 

※※※

 

8時間後

 

浦風「天龍さん、望っちゃん。お帰り」

浜風「ご苦労様です」

谷風「お疲れさんっ、交代の時間だよ。」

 

天龍「おう。」

望月「…」

 

※※※

 

大佐「おおぃ。浦風ぇ」

 

浦風「提督さん、なんじゃ。」

大佐「これを…」

 

天龍「なんじゃい。」

大佐「秘密の指令書だ。」

 

浦風「駆逐隊、了解。(やった。)」

 

 

浦風「駆逐隊哨戒任務に入る。発進じゃ。」

浜風「浜風よし、行きます。」

谷風「谷風よし。行くよ」

磯風「磯風よしっ。参る。」

 

大佐「気を付けてやぁ~」

 

浦風の「我ニ続ケ」が見えなくなると。大佐は宿舎に帰った。

 

※※※

 

中身は、各艦への手紙と、欧州からのチョコリッツであった。

 

手紙の内容は、秘密である。

 

※※※

 



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旧家の暗躍(1)

「陸軍としては、海軍の提案に反対である」

帝国陸海軍に有っては、嘗て人類大戦の前線では仲良くやっていた例は多いのだが、司令部では徴収(ちょうしゅう)閥、殺馬(さつうま)閥に分かれて仲互いしていた例は多かった。

帝国海軍軍令部は奥州を押さえるには20万人程度の軍が必要と試算、陸軍側と折衝したが中国戦線を主戦場と見る陸軍側はこれを拒否した例がある。

そして現在、船団護衛を至上の命題と覚え、共通の認識で手を取り合って居るは奇跡に近い。

尤も、内国の財閥の与える黒い影も影響していただろう。
内国に資源がないことには商業が廻せない。そこで暗躍する旧家もあった。



※※※

 

司令「参謀長、ガ島奪還作戦につき、今のところ補給については心配が無いと判断していいか。」

 

参謀長「資料の通りです。」

 

司令「…陸軍飛行戦隊に掛かっているか。」

 

参謀長「その点が問題ですか?」

 

司令「飛行戦隊の消耗率が知りたい。何時まで庇護が期待できるかな。」

 

参謀長「申し訳ございません、問い合わせてみます」

 

司令「陸さんの庇護のあるうちに決戦をしたい。」

 

参謀「早急に通信妖精を手配しました。」

 

参謀長「頼む、秘匿情報だからな。」

 

※※※

 

司令「その他に事案はあるか?」

 

参謀A「司令」

 

司令「発言許可。」

 

参謀A「はっ。有難うございます。」

 

参謀A「線大佐をどうにかできませんか。」

 

司令「あ奴か。」

 

参謀A「特殊兵器に過干渉が目立ちます。」

 

参謀長「戦績をこちらに」

司令「…そうなんだよな。3枚目から急激に改善してるんだよ。」

 

参謀A「戦績を理由にクビにはできませんが、軍規上問題行動が多い」

 

司令「あー、諸君に言っておこう。ヤツは旧家のB(ぼっちゃん)だ」

 

司令「軍閥からの後押しもある。」

 

参謀A「何ということを。四菱閥ですかなッ(# ゚Д゚)」

参謀長「それ以上は言うなッ。」

 

司令「仕方ないだろう。我々の組織はまだ旧弊を消し切れていない。」

 

参謀長「…」

 

参謀A「わが海軍の風紀が乱れます。」

 

司令「…ヤツは基地から切り離して好きにさせよう。」

 

参謀長「ツラギに送りますか」

 

※※※

 

発、海軍軍令部 根田増以蔵中将

宛、第二輸送護衛艦隊司令 線春仁大佐

 

ツラギヘノ転属ヲ命ズ、貴官ノ益益ノ活躍ヲ期待スルモノナリ

詳細ハ追ッテ沙汰

 

※※※

 

天龍「如何いぅ事だよ。司令。」

 

春仁「読んで字の如くだ。判らないかな。」

 

浦風「ツラギへの転属を命ず。貴官の益益の活躍を期待するもの也」

 

浜風「益益の活躍を期待…」

 

春仁「そういう事さ。」

 

谷風「上等じゃねぇか。てやんでぇ。(#^ω^)ピキピキ」

磯風「武人の誉れだな、提督。」

 

春仁「磯、お前良いこと言うな。」

磯風「…磯ですか。」

 

 

春仁「さて、出立用意だ。期限は明日1000迄。」

 

天龍「速っ。」

 

春仁「天龍艦隊、各艦かかれっ」

 

天龍「応っ」

 

※※※

 

春仁「ふぅ…」

 

ウンディーヌ「…隊長」

 

春仁「わあぉ。お前か。久しぶりだな。元気か。」

 

ウンディーヌ「はい…。」

 

春仁「…。」

 

春仁「久しぶりなのに、元気がないな。話そうか」

 

ウンディーヌ「はい…。」

 

春仁「おい、紅茶でも飲め。海軍さんの紅茶だ。」

 

※※※

 

バリーン

 

春仁「なんだとっ。」

 

ウンディーヌ「はい、大佐は間もなく左遷されます。」

 

春仁「なんであの人が( ゚Д゚)」

 

ウンディーヌ「司令部は私たち妖精飛行大隊の活躍を快く思っていません。」

 

春仁「…、度し難いな。」

 

春仁は妖精の手をとって言った。

 

春仁「よく知らせに来てくれたね。」

 

ウンディーヌ「(´∀`*)ポッ」

 

春仁「ちょ、ま、俺、男色の気はないぞ。」

 

ウンディーヌ「私怒りますよ。」

 

※※※

 

春仁「えええええええっ」

 

春仁「お前、女妖精だったのかーーーーー」

 

※※※

 

ウンディーヌ「妖精に性別はありません。」

 

春仁「そうか…。兎も角、善く知らせに来て呉れたね。対応は早い方がいいからな。」

 

ウンディーヌ「有難うございます。でも、どうやって。」

 

春仁「実家に相談してみるさ。」

 

 

 

 



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秘密艦登場

古鷹「司令、彼は。」

大佐「彼は俺の分身、妖精サンダーさんだ。」
古鷹「分身?」

大佐「そうだ。護衛艦は彼に作ってもらった。」

サンダーさん「サンダーさんだー。古鷹よろしくな。」
古鷹「アッハイ」

大佐「はっはっは。俺は妖精の眷属でな。」
古鷹「御冗談を」

大佐「俺は嘘はつかないぞ。」

古鷹「…旧家の長男だと聞いてますけど」

大佐「実は俺は橋の下で拾われた子でな。」

古鷹「…(・・?」

大佐「いや、なんでもない。悪かった」

サンダーさん「サンダーさんだー」

ビリビリビリ

二人「ゲフンゲフン」

春仁「ぷぅ(なんだよこれ。)」
サンダーさん「無視するのだめ。稲妻サンダー食らえ」

春仁「ゲフッ。ごめんごめん。ラムネあげるけぇ許してや。」






且て米豪遮断を目的としたフィジー・サモアの海で再び戦う事になった大日本帝国である。

 

帝国陸海軍士官の想いは如何程だろうか。

 

海は、広い。

 

※※※

 

南太平洋は既に深海帝国の領土と化していたのである。

とりわけ豪国は姫を戴き、深海豪国と名乗りを変えていた。

 

深海豪国から我が日本本土、およびユナイテッドステイツを守護し奉る事。

此れが今次深海大戦におけるソロモンの戦いの目的である。

 

※※※

 

島から島への拠点構築、陸の前線を支えるための補給、補給、補給、

航空哨戒、輸送艦隊、対潜哨戒。基地爆撃。

 

戦う敵が人類では無くなっても、兵器技術が交代しても。

採用する戦略と戦術は同じらしかった。

 

※※※

 

フィジー・サモアを奪還すれば、インド・台湾の人類連合軍で深海豪国の挟み撃ちが可能である。

 

我々人類の望みはそこにあった。

 

※※※

 

大佐「輸送第一艦隊、出撃。」

 

天龍「応」

 

輸送艦の速度は、遅い。

艦隊行動は、速度の一番遅いフネに合わせる。

よって、天龍(と望月)は、接敵有事の用心棒に徹していた。

 

旅客船の如き速さで、輸送第一艦隊はハシケからはなれてゆく。

 

隊列をなし、遠ざかる天龍隊。

 

大佐「輸送第二艦隊、出撃。」

 

望月「…うん。」

 

※※※

 

大佐「望月はいい子だよ。行ってこい、そして、必ず帰って来い。」

 

望月「…」

 

望月「望月、了解だよ。帰ってくるよ。」

 

大佐「ああ、行ってこい。」

 

※※※

 

大佐「輸送護衛隊、出撃。続け!」

 

浦風「了解、輸送護衛隊、出撃じゃ!」

 

大佐「頼むぞ、輸送の成功は君達に掛かって居る。」

 

※※※

 

古鷹「船舶輸送司令部より入電、【敵影未ダミズ】」

 

大佐「よし。」

 

古鷹「大佐、何処へ。」

 

大佐「俺も出る。」

 

古鷹「え?」

 

大佐「特務艦【あやなみ】、出る。」

 

古鷹「え?」

 

※※※

 

大佐「【あやなみ】の由来は、帝国海軍駆逐艦「綾波」によるんだ。」

 

古鷹「え?」

 

大佐「つまり、強い。(^▽^)/」

 

※※※

 

 

大佐「よし、まもなく合流するぞ。情報中継たのんだからな。」

 

古鷹「ええー?」

 

※※※

 

大佐「お、浦風、発見」

 

※※※

 

浜風「浦風、6時方向、国籍不明艦発見、距離15,000 急接近中」

 

浦風「わかっとる。」

 

「【ワレ大日本帝国海軍ウラカゼ也、旗艦ニ告グ、停船セヨ】」

 

※※※

 

大佐「ワレ帝国海軍特務艦【あやなみ】ナリ、コレヨリ旗艦隊ニ合流ス」

 

浦風「嘘つけやぁ!」

 

大佐「おいおい、嚮導艦なら古鷹にすぐ照会せぇいうとろうが。」

 

浦風「はぁあ?( ゚д゚)」

三人「( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)」

 

 

大佐「こんなぁ見いや。(゚∀゚)アヒャ」

 

浦風「こんなぁ見いや。はウチのセリフよぉね!」

 

大佐「はっはっは。味方は一艘でも多い方がいいだろう。」

 

 

 

※※※

 

大佐「さて、【指揮権ハ我ニ有リ】」

 

浦風「護衛隊浦風、【作戦行動ハ如何】」

 

大佐「【作戦行動ニ変更ナシ。ワレニツヅケ】」

 

※※※

 

単縦陣編成。

 

 

大佐「…冗談だと思うかもしれないが、このフネには最新鋭の電探が積んである。つまり、護衛隊司令部にピッタリ仕様だ。」

 

浦風「…何で事前に言わんのや?」

 

大佐「俺の妖精と今、開発したばっかりじゃけぇ。」

 

浦風「…」

 

サンダー「サンダーさんだー」

 

浦風「わあぉ」

 

ビシャアアアン

 

その場の全員が稲妻サンダーを食べされられた。

 

※※※

 

浦風「ゲフンゲフン…わかったわかった。すまんかった。」

 

サンダー「うちの春仁がお世話になってます。」

 

浦風「ぷぅ…いえ、こちらこそ…」

 

※※※

 

浦風「今うちらの電探と聴音機にゃ感はないで。皆はどうや?」

 

浜風「東、ありません。」

 

谷風「西、同じだよ。」

 

磯風「南、無し」

 

大佐「そこで新型なんよ、これは自動走査が出来る優れモノじゃけぇ。」

サンダー「サンダーさんだー」

 

※※※

 

大佐は、舷側を、ゴツンと浦風にぶつけた。

ふらりと浦風が寄り添う。

 

浦風「【結局どうするんじゃ。】」

大佐「【ゴニョゴニョ】

 

※※※

 

護衛隊、前へ。

 



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旧家の暗躍(2)

四菱財閥、須美友財閥に関しては、大日本(おおにほん)帝国成立時に於いて大いに活躍し、国家の基幹を成す政商の元祖である。

尤も、その成立には黒い噂が多いのだが。
実際問題、帝国に有って両者は門閥貴族であるかのように振舞っていた。

例えば四菱財閥は、前身組織、海淵隊(かいえんたい)からして怪しいという情報屋、新聞屋(所謂「ブン屋」)供が居たのだが、彼等は自殺したり失踪したりして消えていった。

有体に言えば、明治の御一新の成立過程自身が黒かったと言えるのかも知れなかった。

線家は、その「門閥貴族」に対抗すべく商売に手を広げていたのだ。




※※※

 

名月の夜である。

 

春仁の父、秋仁は「ソロモンは何処の方角だろうか」と、空を見上げていた。

 

※※※

 

澄子「こちらにお団子を用意いたしました。」

 

秋仁「そうか、有難う。君も座りなさい。」

 

澄子「恐縮です。」

 

※※※

 

澄子「奥様は素敵な方でした。」

 

秋仁「…そうだな。」

 

※※※

 

秋仁「おまえらも食えよ。母さんの供養だ。」

 

月仁「はい。父上。」

 

星仁「…はい。」

 

※※※

 

月仁「むぐ。…わぁ、おいしい。(⌒∇⌒)」

 

※※※

 

星仁「…ところで父上、兄上からの催促ですが。」

 

秋仁「星、月、おまえらどっちか、助けてやれんかのぅ?」

 

星仁「私には支店業務があると命じたのは父上ですが…」

 

月仁「私がまいりましょう。父上。」

 

星仁「月、お前は学生の本分を全うする義務がありますよ。」

 

星仁「ですから、父上。わたくしが参ります。」

 

秋仁「ほうか…。実は工作はすでに澄子さんに頼んであるんじゃ。」

 

※※※

 

星仁「食えないな。」

 

秋仁「団子くらい、食えや。」

 

星仁「父上の事ですよ、ハハ。」

 

(ガタッ)

 

秋仁「生意気に育ったのぅ、春譲りか。わしの教育が悪いんかのぉ。」

 

※※※

 

澄子「旦那様、喧嘩はおよし下さいませ。今日は奥様の命日ですので。」

 

秋仁「お、おぅ、すまんすまん。」

 

星仁「澄子さん、すみませんでした。私の不徳の致す処。」

 

秋仁「星が、偉そう気に」

 

※※※

 

澄子「…皆様、御茶ですよ。」

 

三人「ありがとうございます。」

 

※※※

 

秋仁「で、二人に聞こう。ソロモン戦線はどうなる思うや?」

 

星仁「良くないですね。まず、人。本営の人事が悪い。馬鹿元派閥で固めてます。」

 

秋仁「…(クソ)閣下か。」

 

星仁「次に資源、こちらは私の支店からわずかに支援していますが。」

 

秋仁「持たんのぉ…。ハシタじゃけぇのォ。」

 

星仁「はい。此れだと、十月には元の木阿弥です。」

 

秋仁「陸門閣下が派閥争いに負けたのはどうしてだと思うや?」

 

星仁「私では判りかねます。噂の検証もして折りませんので。」

 

月仁「噂なら、なんぼでもあるもんねぇ。」

 

星仁「…おまえの大学校でも、噂が立っているんだね?」

 

月仁「まあ、…ソロリティいう社交界があるようなクソ大じゃけぇ。」

 

秋仁「そのクソ大を選んだのは、月、おまえじゃろ、誰が支援したおもうとるんなら。」

 

月仁「えへ。」

 

秋仁「まさにこの時、諜報のためじゃ。星、月、わかっとるな?」

 

二人「はいっ、わかっとります。」

 

秋仁「ソロモンの補給線が絶たれたら、ワシら大日本帝国は終わる。」

 

二人「…。そのとうりです、父上。」

 

秋仁「人類大戦の時の二の轍は、踏むのを許しちゃいかんのじゃ。」

 

二人「…。」

 

秋仁「月、お前は澄子さんと噂の検証をたのむ。星は急ですまんが、陸軍大佐の肩書を用意しておいた。すぐに自家用航空機で向かってくれ。」

 

月仁「合点承知。」

 

星仁「…。判りました。支店はお頼み申します。」

 

秋仁「ワカっとるわいや。…そういえば、お前らももう成人したんじゃけ、お酒でも飲もうや。」

 

※※※

 

秋仁「澄子さん、熱燗二合たのむ。」

 

澄子「千ノ福(せんのふく)でよろしいですか。」

 

秋仁「お、ええのぅ。頼みます。」

 

※※※

 

星仁「なんでこんな流れに…。」

 

月仁「まあまあ、兄貴、あきらめろや。(乾杯)」

 

星仁「だまれ不良学生。(乾杯)」

 

月仁「あは、なんせ僕ぁ、名家の三男じゃけぇねぇ。」

 

星仁「こんなァ、言うようになったのぅ。(ちびりちびり)」

 

月仁「まあのぉ、『こんぱ』じゃの『倶楽部』じゃのあるけぇねぇ。(ぐびぐび)」

 

星仁「ふん。こっちは従業員と顧客の板挟みじゃわい。うーい。」

 

月仁「ありゃ、もう『うーい』かいな。明日から陸さんになるんじゃけぇ。大丈夫かいね。兄貴」

 

星仁「うるさいわ。お前にいわれんでも。ヒック、わかっとるわい。」

 

秋仁「お前ら、仲がええけぇ、わしも嬉しいデ。」

 

※※※

 

わははは。

 

あははは。

 

※※※

 



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増援部隊、到着

下郎少将「整列」

 

「敬礼っ」

 

「さっ」

 

星「初めまして。船舶輸送大隊の皆様。私が、新任の【星三郎太】、大佐であります。」

 

「さっ」

 

下郎少将「諸君、今をもって星大佐がひばり大隊の指揮下にはいる。」

 

※※※

 

ざわざわ

 

シルフ「(おいおい、ひよわなメガネかよ。大丈夫か)」

 

星「ひ弱メガネとは私のことですかな?」

 

シルフ「わお!( ゚Д゚)」

 

※※※

 

星「そうですね、確認のために、今日は柔道をします。」

 

※※※

 

星「神前に、礼」

 

ザザッ

 

星「各員に、礼」

 

ザザッ

 

星「柔軟の後、えび開始」

 

※※※

 

星「…では乱取りです。僭越ながらひ弱メガネがご相手しますよ。」

 

シルフ「すみませんでしたッ!」

 

星「いいから来い、じゃなかった、来なさい。(#^ω^)」

 

シルフ「(やばい)」

 

先手を取るシルフ。

手捌きを仕掛ける。二度、三度。

 

しかし大佐は襟を取らせない。

払いが上手いのだ。

 

腰もダメだった。

やむなく足捌きに変えたが、後の後、悪手だった。

 

シルフは、足捌きを逆利用され、飛ばされていた。

 

何時投げられたか。

気づかない。判らないまま、宙を舞っていた。

 

横受け身、そして「一本ッ」の掛け声。

 

…ヤバイッ

 

続く寝技に無対応は、ヤバい。

 

させじとばかりに、バッと跳ねる。

跳ね上がる。

 

そして、手捌き。

 

星「…今のはいい対応でした。」

 

しかし、高速で懐に入られ、鮮やかに一本背負いが決められた。

妖精の完敗だった。

 

またしても。

 

星「いけませんね。ひ弱メガネに負けては。」

 

シルフ「サーせんしたっ。」

 

さらに、またしても。

 

星「一本くらい取りなさい。ひ弱メガネに、はやく勝ちなさい」

 

シルフ「すみませんでした。何卒ご容赦をッ。」

 

星「なんですか」

 

その時、サイレンの音がシゴキの邪魔をした。

 

空襲警報である。

 

※※※

 

下郎少将「空飛大佐ッ、貴様に指揮権を与えるッ。」

 

空飛「私は謹慎の身であります。」

 

下郎少将「非常時であるッ、ひばりを指揮し、直ちに防空対応せよ」

 

空飛「空飛、了解、直ちに防空対応」

 

下郎少将「出撃」

 

※※※

 

うーーーーーー

 

飛行ヒ大隊へ、飛行ヒ大隊へ、迎撃用意。

 

繰り返す

 

飛行ヒ大隊へ、迎撃用意。

 

※※※

 

こちら飛行ヒ大隊、空飛大佐である。

鍾馗01より指揮を執る。

 

各中隊は、整列後、出撃

我に従え。

 

※※※

 

星「飛行ヒ司令部、こちら星中隊、点呼完了。」

 

司令部「出撃ッ。ぐずぐずするなっ」

 

星「了解ッ」

 

星「シルフ君、先導しなさい。君が先任です。」

 

※※※

 

シルフ「了解、鍾馗06、先導にあたります。出撃っ。」

 

星「続けて、我が鍾馗08、出撃するっ。」

 

さらに、鍾馗09、出撃。

 

 

※※※

 

空中点呼である。

各隊の整列、そして点呼。

 

空飛「各隊揃ったな。」

 

シルフ「H01 Ready! 」

ウンディーヌ「H02 Ready! 」

グノーム「H03 Ready!」

 

空飛「Control Tower, We are Hibari'es. Got Ready, Code Please.(ヒ隊準備完了。指示を頼む)」

 

管制塔「Ok Hibari'es This is Control Tower, Code Eighty-Three, Code Eighty-Three, I saw 88's Fighters and 7th Bombers.(了解、コード83、我々は戦闘機隊88、爆撃隊7を確認している。)」

 

空飛「Roger Code Eighty-Three , Here we go!」

 

空飛「護衛の奴等は後回しっ、D機関をぶん回すぞ。続けっ」

 

星「綺麗な軌道だ。」

 

空飛「新任、私語は慎め。しくじるなよ。全速要撃開始っ」

 

星「はっ。全速要撃開始っ」

 

だんっ。

 

深海護衛戦闘機隊は、遥か後方に置き去りにされた。

 

鍾馗に新開発の加速装置が搭載された為、手に負えなくなっていた。

 

だだんっ。

 

今、音を立てている此れは、西側のロケッティア技術と、帝国陸海軍の共同開発品で在った。

 

爆発により、「だん」という独特の音を出すのでD機関と呼ばれている。

 

それの何が「ひばり」だと言われても仕様のないほどの獰猛さだった。

 

しかも、鍾馗が得意とする重力戦である。

 

空飛「五十粍砲用意」

 

かちり。

 

空飛「う・てーッ」

 

どおん。

 

どおん

どおん

どおん

 

ばぎゃああん

 

※※※

 

爆撃機は、海の藻屑と化した。

 

残り作業は、本来なら鍾馗の苦手とする格闘戦である。

が、しかし、熟練搭乗員の駆る鍾馗は、最早別物だった。

 

※※※

 

星「(…D機関は欠陥品の可能性がある。不味いな。)」

 

大佐「新任、何かいったか?」

 

星「なんでもありませんっ。失礼しましたッ」

 

大佐「任務完了だ。帰るぞ。」

 

※※※

 

美しい着陸、それは空飛大隊の研鑽の結果であった。

 

機体から飛び降りる妖精、そして仰ぎ見る夕焼け。

ここは船舶護衛基地、ソロモン。

 

爆炎の最前線。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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提督かく戦えり

第一遊撃部隊・第三部隊の諸君、聴こえているな。

 

私が提督である。

私は、人類の代表として、あなた方艦娘と共にあることを誇りに思う。

 

比島作戦の大局については朝礼で説明した通りだ。

 

本作戦により、深海棲艦との対等講和条約を締結せしめること。

つまり、我々人類の意地をもって、彼女たちを震撼せしめることが本作戦の絶対目的である。

 

 

各艦、一層、奮励努力せよ。

私も努力する。

 

「共に戦おう。」

 

今、貴艦に捧げよう。

 

「頑張ろう。頑張れは良い事がある。」

 

「今は大雨だが、止まない雨は無い。」

 

本官からは以上である。

 

各戦隊は作戦行動を開始せよ。

 

※※※

 

提督はいつもやさしい。

私達は胸が温かくなる。

長い絶望の中、私たちは、いとも簡単に強くなれる気がするのだ。

 

妹もこの点については同意見だった。

もちろん、「もがみん」もだ。

 

私は、私たちは、絶対に、勝つ。

 

不幸を希望に変えて見せる。

 

※※※

 

偵察妖精A「電探に感あり」

偵察妖精B「10時の方向、距離20000、不明機・多数!」

 

扶桑「提督、如何なされますか?」

 

提督「不明機の数は。」

参謀「およそ300!」

提督「三式弾で迎え撃て、その後に、航空戦隊は戦闘機を射出せよ。」

 

扶桑「航空戦隊、扶桑了解、三式弾で迎え撃つ、その後に航空戦隊は戦闘機を射出」

 

山城「山城了解、三式弾で迎え撃つ、その後に航空戦隊は戦闘機を射出」

最上「最上了解、三式弾で迎え撃つ、その後に航空戦隊は戦闘機を射出」

 

提督「駆逐隊は周辺警戒、後、輪形陣」

駆逐隊「駆逐隊了解、周辺警戒に入る、電子戦闘開始」

 

※※※

 

提督「参謀、第二遊撃部隊はまだか。」

参謀「はっ、第二遊撃部隊とは、未だ確認とれていません。」

 

提督「那智め…。」

参謀「すみませんでしたっ!」

 

提督「参謀、君の責任ではないっ、濫りに謝るな。」

参謀「はっ!」

 

※※※

 

扶桑「行きますよ。皆さん。」

 

各艦はうなづく。

 

艦隊主力たる航空戦隊の誇りにかけて。

 

扶桑「扶桑、諸元入力用意」

 

山城「了解、山城、諸元入力用意」

最上「同最上、諸元入力用意」

 

扶桑「電子諸元獲得よし。諸元にゅーりょーく」

扶桑妖精「諸元にゅーりょーく」

山城妖精「諸元にゅーりょーく」

最上妖精「諸元にゅーりょーく」

 

扶桑「各艦諸元入力、よろし。」

 

扶桑「三式弾で迎え撃つ、撃ち方用意」

扶桑妖精「用意完了」

山城妖精「用意完了」

最上妖精「用意完了」

 

扶桑「妖精各員は耐衝撃用意」

妖精各員「了解、耐衝撃用意完了」

 

提督「対空戦開始。」

 

三人「対空戦開始。」

 

妖精「交互打ち方用意。」

妖精「交互打ち方、始め。」

ダァアアアン

 

雷が空気を貫いた。

三式弾を打ち抜く艦隊主砲塔から放たれた響きであった。

 

ダ・ダァアアアン

 

航空戦隊の各艦が「くらり」と揺れる。

 

「弾撃つ響きは雷の」と、詩にある、それである。

 

扶桑「水観。弾着確認は」

水観001「敵損害、およそ三機。」

 

提督「弾着はどうか、参謀」

参謀「よろしくありません。」

 

提督「あれは信管の調整が難しいんだよ。」

 

扶桑「今、調整してます。」

提督「扶桑、たのむ。各艦もだ。」

 

ダ・ダァアアアン

 

提督「弾着観測は待つな、まにあわん。戦闘機隊の射出急げ。」

 

扶桑「了解、扶桑、射出機準備よし。各艦はどうか。」

山城「よし。」

最上「ボクもいいよ。」

 

扶桑「射出、開始いーーー。」

各艦妖精「開始いーーー。」

 

バァアン

 

炸薬による射出により、航空甲板から、戦闘機隊を発艦せしめている。

これは提督と明石の工廠による最新式の射出機であった。

 

扶桑「第一戦闘機隊、射出完了。」

 

提督「第二の用意をせよ。波状攻撃時の訓練を忘れるな。」

各艦「了解」

 

 

提督「駆逐隊、現況報告せよ。」

 

 

第四駆逐隊「15時の方向、PT群発見。およそ5」

 

提督「けちらせ!」

 

第四駆逐隊「了解。けちらします。諸元入力」

 

山雲「山雲、25粍機銃、電探諸元入力完了。」

 

満潮「同、満潮、諸元入力完了。」

朝雲「同、朝雲、諸元入力完了。」

時雨「時雨も完了したよ。」

 

山雲「うちーかた、はじめっ。」

三人「はじめっ。」

 

ダッダッダッダッ。

 

バキャ。(血しぶき)

 

ドキャ。(悲鳴)

 

ズギャ。(涙)

 

 

深海棲PT群の放つ恨み節は時空を切り裂き、船体は真っ二つに倒れていく。

 

ダッダッダッダッ。

ダッダッダッダッ。

 

山雲「打ちー方、やめ。」

三人「打ちー方、やめ。」

 

 

山雲「駆逐隊より報告、現在時刻を持って、PT群の駆逐を完了しました。」

 

参謀「水偵001号、ただちに確認せよ。」

水偵001号「我ただちに確認す、残PTなしと認む。」

 

参謀「確認完了しました。提督」

提督「よろしい。山雲たち、よくやった。」

山雲「はっ。」

 

提督「参謀。」

参謀「はっ。」

 

参謀「駆逐隊は続けて輪形陣。対空戦闘を用意せよ。」

 

提督「参謀。戦闘機隊の様子は?」

参謀「扶桑、報告せよ。」

 

扶桑「こちら扶桑、射出後の稼働率7割5分にて、対空戦闘用意完了」

提督「すまない。私の力不足だ。妖精さんとの連携が取れない。」

 

扶桑「そんなことないです。(あやまらないで。)」

 

山城「…接敵までおよそ5分。(私が頑張らなければ。)」

最上「…接敵。」

 

提督「参謀、俺の妖精さんとの連携力は、あと幾許だろうか。」

参謀「…」

 

提督「参謀!」

参謀「…今会戦で提督の力は、つきます。」

提督「…そうか。…ありがとう。」

 

提督「扶桑、聴いたか。」

提督「今日までの力だそうだ。悔いなくやる。だから、許せ。」

 

山城「…具申します。」

提督「許可」

 

山城「提督、私の姉の力を信頼してください。」

提督「信頼している。」

 

最上「山城さん、ボク、伝わってるよ。提督の心。」

山城「…私も分かってますっ。」

 

扶桑「戦闘機隊、不幸をふきとばせ。」

 

妖精A「了解、不幸をふきとばす。」

 

妖精A「(やってるっての)隊長より各機へ、重力戦の後で反転上昇。巴戦に入るぞ。」

 

重力戦とは、文字通り、地球の重力加速度による急降下戦闘である。

先手により20粍機銃による打撃の効果を狙っているのだ。

 

妖精A「よし、上出来だ貴様ら。反転上昇」

 

妖精B「中隊長、前。」

妖精A「わかってるっての。」

 

ダーン!

ばこん。

 

深海戦闘機は真っ二つに割れて悲鳴を轟かせた。

 

妖精B「さすが中隊長」

妖精A「うるさい。」

 

中隊は急速反転上昇。

敵機編隊の高度へ向け、機関砲をカラになるまで発射する。

その後、敵編隊の占めるまで自らの高度を等しくし、7粍7を使うのだ。

 

妖精A「いいか、ここからが本番だ、巴戦、かかれっ!」

妖精B「巴戦、開始っ」

 

巴戦、ドグ・ファイトと訳されるそれは、帝国海軍航空隊の伝家の宝刀であった。

 

蝶のように舞う機体。

蜂の様に刺す機体。

 

敵機の機体にじわじわと刺さる小さな穴、それは虫歯の様に新海戦闘機を侵食してゆく。

 

水偵「残敵20、うち戦闘機5、雷撃機15と認む」

 

提督「戦闘機隊、さがれ。」

提督「これより残敵掃討に移る」

 

提督「航空戦隊各機、よくやった。」

 

各機「(こくり。)」

 

 

提督「駆逐隊、輪形陣は適ったな。」

山雲「我、輪形陣完了す。」

 

提督「今だ、参謀。」

 

参謀「各艦、対空砲火用意。」

扶桑「了解、各艦、対空砲火用意」

 

提督「参謀、【暁の水平線】の様子はどうか?」

参謀「はっ、小職は【未だ勝機は来たらず】と認識してます。」

 

提督「よろしい。油断するなよ。」

参謀「はっ!」

 

 

提督「対空砲火うて」

扶桑「うちます。対空砲火てー。」

山城「対空砲火てー。」

 

駆逐隊「駆逐隊、てー。」

 

だっだっだっだっ

だっだっだっだっ

 

ばんっ

 

だっだっだっだっ

だっだっだっだっ

 

ばんっ

 

山城「噴進弾、用意よし。」

最上「用意よし。」

 

扶桑「噴進弾うて。」

二人「てー。」

 

しゅんしゅんしゅんしゅんしゅん

 

ばんっ

ばんっ

ばんっ

 

水偵「命中5」

最上「次発、よし。」

扶桑「噴進弾うて。」

最上「次発てー。」

 

水偵「敵機撃墜3」

 

山雲「報告します。電探に感あり。」

山雲「10時の方向、第二次攻撃隊を確認。雷撃機多数」

 

水偵「敵機撃墜5」

 

扶桑「噴進弾、次次発用意」

扶桑「てーっ」

 

かちん。

 

 

最上「提督、機器不調だよ。どうしたの。」

 

かちん。

かちん。

 

扶桑「(提督さん、疲れているの?)各艦は通常機器で対応」

山城「了解、25粍機銃対空砲火用意」

 

最上「用意完了。」

扶桑「対空砲火開始っ、不幸をふきとばせっ。」

 

だんだんだんだん

だんだんだんだん

 

ぶぅーーーーーーーーーーーーーん

 

だんだんだんだん

だんだんだんだん

 

ばっぎゃああん。

 

最上「最上被弾」

 

だんだんだんだん

だんだんだんだん

 

ばっぎゃああん。

 

最上「最上被弾」

 

最上「くっそうっ。」

 

 

駆逐隊「最上さん、ライセキっ!」

 

最上「えっ、どうしたのさっ!」

 

扶桑「最上さん、回避してっ!」

 

しゅるしゅるしゅる…

すいーん。

 

最上「最上、回避完了するも、被害は小破相当。」

 

最上「それより、扶桑さんっライセキだよっ」

 

扶桑「しまったッ!」

 

提督「(がたん)聴音機に感はなかったのかッ。」

 

参謀「ありませんでしたッ!」

提督「再度確認せよ。」

 

扶桑「扶桑、中波、このライセキは、フネからのものです。」

 

提督「(くそっ。フネかっ)基地航空隊にて、対空戦闘を担当させる。各艦、退避しつつ敵さんのフネを索敵するぞ。」

 

提督「よし、みんなへ、輪形陣は解除だ。」

参謀「各艦は複縦陣で、之字。」

 

扶桑「了解、各艦は複縦陣で、之字。」

 

提督「参謀、私もでる。」

参謀「いけません提督。」

 

提督「妖精さん、瑞雲をたのむ。」

 

提督「遅いな、参謀。今は合流するまで残存させる時だ。」

 

提督「妖精さん、だしてください。」

妖精「瑞雲、今発進する。」

 

大淀参謀「だめですっ。無茶しないでくださいっ」

提督「瑞雲飛行隊、出る。」

 

大淀参謀「馬鹿提督、自らでるバカがいますか。」

提督「人材不足だ、許せ大淀。」

 

 

 

 




この物語はフィクションです。
実在するいかなる存在とも関係ありません。

私の脳内の物語を記しただけのもので、実在するいかなる存在からの苦情は、これを受け付けません。


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この物語はフィクションです。

現実の団体、特定の人物とは一切関係ありません。



皇紀2620年、大日本帝国は深海棲艦の前に敗北した。

 

幾度かの新型爆弾爆撃により、本土、および各諸島は焦土と化したのだ。

 

敗戦後、やんごとなきお方による、一億臣民への反省、および、帝国のために献身努力した艦娘を「兵器である」として虐待したことへの反省から、やんごとなきお方と共に一億総国民は、一体となって、焼け跡からの再起を共に、固く、固く、決意したのである。

 

「二度とこのような悲劇は起こさない。」と。

 

やんごとなきお方は、この決意を臣民に対して具現化するために、旧来の大日本帝国を解体し、この国を再建することを宣言した。

第二日本帝国の誕生前夜と言える。

 

深海棲艦に無条件降伏した我が大日本帝国は、深海占領軍との講和条約を締結したのであった。

 

2625年 を以て皇紀は廃止され、新日本の「商和時代」がはじまる。

 

深海進駐軍は表向きは去った。

そして、第二日本帝国憲法により、日本国民自らによる、自国の主権回復について国際からの承認を受け、第二日本帝国として、再出発。

 

国民による新帝国議会への信託統治が開始されたのである。つまり、日本は主権を取り戻したのだ。

 

これは、そんな時代の物語である。

 

 

(この物語はフィクションです。実際の団体、実際の特定の人物とは関係ありません。)

 

※※

 

第二日本帝国憲法について、おおよその内容をここに紹介する

 

全文

 

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び艦娘差別の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに、艦娘は女性であって、女性には女性権が存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者たる女性がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

 

これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 

我らは、いずれの国家も、提督、男性のことのみに専念して艦娘、女性を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると固く信ずる。

 

第二日本帝国国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う

 

第一条 国民の権利と女性

全ての女性は生まれながらにして女性権を有する。なお、全ての男性において、女性権に相当する男性権は、これを認めない。

 

第二条 男女不平等と是正義務

全ての女性は弱者であり、全ての男性は強者である。これにより、国は強者である男性を監視し、男女平等に違反する事案のある場合においては正義において罰さねばならない。

 

第三条 国民と女性権

国民の自由、国民の権利、国民の義務、これらに関しては女性権により、女性が定める。男性が定めてはならない。

 

第四条 表現の自由

表現の自由について、とりわけ服装表現の自由、性的表現の自由などは、女性権により、女性が定める。男性がこれらを定めてはならない。

 

第五条 表現の自由と男性への罰則

女性が表現の自由を行使した結果、男性の生理作用が発現することは女性権の侵害であり、国はこれを罰さねばならない。

 

第六条 国民の生活と義務

性生活、婚姻、婚姻後の生活にかかる全ては、女性権によって女性が独裁する。男性はこれに従わなければはらない。

 




はい、なんというかその、特殊性癖の話を書いてみたくなったのです。


「鬼畜提督与作」、すごくすきなんです。マッチョな男提督さんが。
あの方の作品を目指しています。


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神前に礼

ここは呉鎮守府、時刻は 0600前

総員起こしの少し前だ。

 

「ふん。今日も海軍の朝か。」

 

なにが海軍だ、負けたくせに。クソが。

いかん、海軍の事を悪く言ってはだめだ。

 

俺は朝の鍛錬を怠らない。

 

俺には帝国臣民であり、なにより男子としての矜持があるからだ。

 

「男は、負けたからと言って、精神まで折れてはならない。」

 

俺は士官学校時代に教えていただいたのだ。

俺の恩師に。

 

、、、。

 

そんな俺は、0400にすでに起床をすませ、身辺整理を行っていたのである。

まぁ当然だ。俺は提督だからな。

 

さて、柔剣道は提督の嗜みである。

今日の鍛錬は剣道だ

内容は素振りにしておく。道着は剣道袴なのだ。

いくぜ。

 

※※

 

「神前に、礼!」

 

うーん。清々しい。

 

解説をする。

剣道や柔道の道場には神棚が祀られているのだ。

そして稽古の前後には必ず神前への礼を行うことを慣習としているのであーる。

 

これが、実に俺には尊い慣習に思える。

清々しいことこの上ない。

 

諸兄よ、俺と共に汗を流そうではないか。

とはいえ、0430近くの道場には俺しかいないのではあるがね。

 

 

「よしっ。道場に、礼っ」

「でちっ」

 

※※

 

なんだ?

誰かいるのか

 

「皆さんに、れいっ」

「ですぅ。」

 

うるさいな。

誰もいないはずの道場に声が聞こえてきた。

 

なんだか調子が出ない。

敗戦処理の疲れから少しおかしくなっているのだろうか。

 

フン。

 

それがどうした。

男にはそんなものは普通だ。

 

※※

 

、、、素振りができない。

艦娘の声が聞こえている。

現実のことが不確かだ。

 

あの敗戦時の作戦で、全ての艦娘はおれの失策で沈めてしまったはずだ、いや、俺が自ら沈めたようなものだ。

 

おかしいぞ。艦娘はいないのに。

 

今の俺は一人提督だ。公的身分はそうだが、任務内容は廃屋の管理と進駐軍へのおもてなしに過ぎない。

 

道場も廃屋になっている。

 

妖精さんも居ないはず、、居ないんだ。

 

妖精さんにはあの日、終戦の詔の日に涙のお別れをしたはずだ。俺は忘れていないぞ。帝国海軍軍人として忘れるものか。

 

「ゴメンナサイ、デモ、ナカナイデ」

「サヨナラ」

 

妖精さんなど、居ない。

 

※※

 

「いますよ」

 

「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーああああ」

 

おれは素振りをやめ、稽古中に有るまじき大声をあげた。

竹刀は放り投げたのだろうか。

よくわからない。

 

さっきから俺の目が見えていないのは、涙による遮蔽効果である。

俺の視界は涙的で機能しなかった。

 

「大日本帝国バンザイ。帝国海軍バンザイ。」

 

アノタタカイデ

オレハ、

オレダケイキノコッテシマッタンダ。

 

ゴメンナサイ。センパイテイトク。

ゴメンナサイ、オトフサン、オカアサン。

 

ゴメンナ、オレノアイシタ、カンムスタチ、、。

、、、、

 

 

fade-out

 

 

(Openingが聞こえる。海の色を見ても何も感じなくなった俺に。)

 

※※

 

0600総員起床

 

大淀「朝礼を始めます。明石さん。提督さんのご容態は?」

明石「、、、」

 

各艦の泣き声、すすり泣きや、悔し涙、が講堂を支配していた。

しかし、鳴き声で始まる朝礼などない。私は帝国海軍の秘書艦としてそれを許さない。

 

大淀「明石、もう一度言うぞ。提督の現状を報告せよ。これは上官命令、、、だ」、、、どうだ、私は泣いても言い切ったぞ、褒めろ長門。

 

明石「ひっく。」

 

大淀「あかしぃいいい、ふくしょうしろぉおお。報告だぁあ。」

 

私は教育的指導の制裁のため、明石に接近した。

 

「やめろ。」

 

これは長門の声だ。私は長門に羽交い絞めにされた。長門め、秘書艦に逆らうとはな。くそっ。くそっ。

 

長門「大淀、貴艦は涙腺および感情面に不具合をきたしている。よって長門が貴艦の業務の代行を行う。」

 

なんだと、この馬鹿が、秘書官は私だ。

 

「各艦は休め。明石は私と大淀とともに執務室に来い。」

 

うるさいな。

 

うるさいんだよ長門。

前から気に入らなかったんだ。

 

 

 



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新鎮守府から

※※

 

長門「大淀め、軽巡のくせに意外と重いな。痩せた方がよい」

私はのん気なことを小声でつぶやいた。

 

私は、ずるずると荷物を引っ張る作業員のように廊下を渡っていく。

 

最近は殆ど毎日の要に大淀を連れていくので慣れてしまった。あまり慣れたくは無かったんだけど…

 

明石「大淀さんは最新鋭軽巡ですから。」

 

明石は漸く私と会話をしてくれた。

 

大淀のやり方は、正しいんだけどキツイんだよ。

私のやり方でなければ、新鎮守府は廻せないことは判っているってぇの。

…おっといかん、死んだ妹に叱られるな。

 

※※

 

執務室という名前の小屋の扉を開けると、私の吹雪ちゃんが、笑顔で挨拶を

 

…じゃなかった、駆逐艦吹雪が敬礼をしていた。

 

吹雪め。相変わらず可愛い。

 

※※

 

0800 執務室

 

(じょぼぼぼ。)

 

吹雪ちゃん、じゃなかった、吹雪が私と大淀、明石のために入れてくれた紅茶を頂いている、入れ物は欠けた茶碗なんだけどね。

悪くない。

 

一息付くと、彼女が再度敬礼してくる。

何だろうか。

 

可愛い…じゃなかった。何か儀があるのだろうか。

私は答礼する。

 

吹雪「長門秘書艦代行、吹雪、意見具申します。」

 

長門「不許可だ。今は大淀と明石の三人で話をしている。」

 

吹雪「はっ。失礼しました。」

 

消沈気味。

御免なさいね。又、後でね。

 

※※

 

吹雪が扉を閉める、0900 には進駐軍殿が来る手筈だ。

今の事を手短にせねば公務に支障が出る。

 

長門「明石さん、提督への投薬の効果は出ていますか。」

 

明石「経過観察の結果は望ましく有りませんでした。」

 

長門「何が精神障害回復への隘路と成って居ますかね。」

 

明石「敗戦による罪の意識かと」

 

長門「すみません、何の事か良く判りません。」

 

明石「あ、御免なさい。認知の問題なのですが、提督は敗戦したことを自分のせいで、かつ、自分の罪だと認知しています。この事が正常な情動や精神活動を妨げているのではと推測しました。敗戦の日から現在にいたるまで。」

 

長門「判り易い説明を有難う。でも、どうすれば対策できるのでしょうか。」

 

明石「そうですね…。まずは、私達が敗戦後に提督の愛によって再生された船であることを、先ずは認知して頂く事が必要です。」

 

大淀「、、、提督には目の前に居る、私達、艦娘が見えていないんです。」

 

明石「見えては居ると思います。認知が出来ていないんです。」

 

大淀「言葉遊びはいいですよ。」

 

明石「いいえ、言葉遊びじゃありませんっ。科学的な見解です。」

 

大淀「言葉遊びじゃないですか。」

 

明石「科学は言葉遊びじゃないです。大淀さんこそ言葉遊びを止めてくださいっ。」

 

大淀「何だとっ!貴様っ」

 

明石「何ですか!」

 

長門「二人とも止めろ!小休止だ。五分休憩を命ずるッ。」

 

長門「大淀、羊羹食え。」

 

大淀「要りませんっ…って。あっ…」

 

長門はスポっと大淀と明石の口に羊羹をぶち込んだ。

 

大淀「むぐ」

大淀「(射撃兵装を使いやがったな。)」

 

※※※

 

長門「…話が横道に反れました。」

 

明石「私達は敗戦後に提督の愛によって再生されたフネです。」

 

吹雪「お手元の明石さんの資料です。ここの図が愛についての項目です。」

 

長門「提督の愛…、愛とは何なのですかね…。あ、吹雪ちゃん御代わり頂けます?」

 

吹雪「長門代行、その前に発言許可を戴けますでしょうか。」

 

長門「許可します。」

 

吹雪「はっ。明石工作艦のいう「愛」については本艦も、確かに感じておりました。暖かく、そして優しい情動に包まれている。愛に相当すると思います。」

 

長門「そうですね。」

 

長門はグラフが苦手である。

しかし、吹雪の言葉で「情動」情けの動きと云うのだが、それについては雰囲気で判った。

 

暖かく、そして優しい情動…

 

愛…

 

提督の愛。

敗戦まで戦った提督。

諦めなかった提督。

あの強かった彼が、どうして壊れなきゃいけなかったんだろう。

 

長門「…有難う御座いました。…駆逐艦吹雪、秘書艦補佐は解除。任務に戻れ。」

 

吹雪「はい、駆逐艦吹雪、秘書官補佐を解除し、任務に戻ります。」

 

吹雪「各艦に朝礼の続きを行うように致しますか?」

 

長門「その前に涙の後をお互いに拭きましょう…。海軍軍人として提督の前に立てません。恥ずかしいですからね。」

 

吹雪「了解です…。長門さん。」

 

お茶碗はすでに配膳されていたので吹雪ちゃんは涙を拭いて任務に戻った。

 

私は引き続き業務に戻る。

 

余り時間が無い。

行動指示書を手短に作成しなければならない。

 

※※

 

0845 指示書掲示をもって朝礼の代わりとする。

 

明石と大井を工作艦小隊として特務を命ず。

吹雪は進駐軍殿のお迎えを準備

 

その他、各艦は休めを継続

 

0900 わたしもつかれました。

 

おおよどさん、あなたもやすんでください。めのしたにくまができてますよ。かわいいのにもったいないですよ。



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認知の問題

俺は誰だ。

 

大日本帝国海軍の提督だ

鎮守府として、臣民の盾となり、人類の砦を作るのだ。

起立せよ、俺が自身へ命令する。

 

※※

 

なんだ、執務室が暖かい。誰か不法侵入したのか。

憲兵を呼び出すか、今日はなんて日だ。まったく。

 

 

※※

 

提督「憲兵さん、こちらです」

憲兵「はっ。提督殿」

 

何だ、妙に艶めかしい憲兵だな。俺には男色の気はないぞ。

 

※※

 

長門「明石さん、映像状況記録」

明石「進行中につき」

長門「了解しました。感謝。」

 

長門「大井さんは、秘匿通信、ソノママケイゾク」

大井「了解、ソノママケイゾクでーす。」

長門「こら、まじめに。」

大井「はーい。」

長門「ふむぅ。大戦前と変わりませんね。」

大井「お互いねー。」

 

私は大井をたしなめることをあきらめた。

代わりに今度は大井っち呼びでもしてみるさ。

 

※※

 

憲兵「提督殿、これは不届者の仕業ではなく、艦娘の仕業です。」

提督「そんなバカな。」

憲兵「いえ、確かに証拠があります。」

提督「何が証拠ですか。」

憲兵「此れです。この茶碗にある反応は人類である提督殿とは異なります。」

提督「申し訳ない。人類とか言わないで呉れますか、艦娘も人間です。」

憲兵「解りました提督殿、申し訳ありませんでした。」

 

提督「お詫びはいいですから聞いてください。深海講和協定により、人類の定義が拡張されてですね、わかりましたか。これによって艦娘の人権は認められています。」

 

※※

 

提督「…おい憲兵、聞いているのか。失礼だろうが」

 

※※

 

長門「うふふ。」

明石「なにが可笑しいんですか、長門代行。」

 

長門「ごめんなさい。あの情熱、あの信念ある態度が可愛くて。」

明石「その態度は代行として感心できません。」

長門「愛情の裏返しです。認知ですよ。」

明石「それと今は関係ないですよぅ。」

 

大井「二人ともー、監視監視ー。」

二人「了解」

 

※※

 

俺は憲兵と格闘した。こいつは艦娘を侮辱したのだ、提督を侮辱したのだ。だが流石だ、格闘術で俺と互角だとはな。俺は何時のまにか鈍らになっていたようだ。

 

※※

 

ケンペー

(*´Д`)テートクサン、モウヤメニシマセンカ。

 

提督「ソーダネー」

 

はぁはあ、もう思考も格闘もできなくなっているのか。

くそっ。

 

※※

 

商会「しつれいしまーす。出入りのテルマ商店でーす。」

 

ああ、業者か。

 

商会「販売許可証と入場許可証をここに。ってありゃあ。」

 

何がありゃあだ、失礼な奴だ。

 

商会「てーとくさん、ハナジでとるけぇ。これでふきんさい」

 

ぎゃふん。

俺としたことが、、、。

 

提督「、、、忠告ありがとうございました。」

 

商会「えーよえーよ。」

 

※※

 

商会「テートクサン、肩で息をしよるけぇ、なにしよるん。」

 

提督「や、これはしつれい」

憲兵「しつれい」

 

商会「ありゃ、ケンペイサンもかいねー。おふたりさん、ぎゅうにゅうどうじゃね」

 

がさごそ。

 

商会「カルシウムが豊富にあるよぉ。」

 

なんだか毒気が、、、まあいいか。

ごくごくごく、ぷー。はいお金。

 

商会「ありがとーね、、、ってけんぺいさん、いつからおなごになったん。」

 

提督「何っ、貴様ッ、深海棲艦の間諜だなッ!!」

 

※※

 

 

明石「入電、「ワレアヤマチテタイキャク」」

 

 

長門「計画を代案2.に変更、初雪を」

 

初雪「ん、がんばる」

 

明石「お願いします。私たちが深海から蘇った事を認知して貰うために」

初雪「ん。」

 

面倒そうにいう初雪の顔は上気していた。体温が2度上がっていたので間違いない。このツンデレめ、本気だすなら今だぞ。

 

大淀も指令室にいた。画面をみている。

 

(寝とけばいいのに。)

 

だが、今の大淀を追い返す気には、わたしは成れ無かった。

 



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提督あいしてる

0930 憲兵の偽物を取り逃がしてしまった俺は始末書を提出していた。

つかれた。そういえば本物の憲兵には今日は会っていなかったな。

 

9月の調印式をもって我が大日本帝国の無条件降伏が確定したのだが。

うーむしかし。最近、日誌を書くのが億劫になっている。これでは私の上官殿に叱られるな。そういえばまだ墓参りにも行っていない。

え、今何月何日だっけ。

 

いつから俺はこんなポンコツになったんだろう。

初雪が生きてたら滅茶苦茶からかわれるだろうな。

 

※※

 

よし、お墓参りだ。

お花にお水に、お祈りだ。

 

上官殿、わたくしは罪を一生懸命償おうとしていますが、いまだかなっていません。上官殿に合わせる顔がないのです。

 

せめて、この新鎮守府で一人だけの任務を全うした給金を元手に、全国の被災者に行脚をしたく思っています。それまではあの世でお待ちください。私もすぐにまいりますので。お待ちください。

 

さて、初雪の墓もつくらなければな。

 

あれは俺が水雷戦隊分艦隊の司令として着任仕立ての時だったな。

なんだこいつくせぇ。って強烈な印象しかなかったもんな。

 

大日本帝国軍人としてどうかって説教しても、全然応えてない。

制裁をしようとして、吹雪に止められたんだよな。

吹雪に説教されたっけな。司令の心得がなーんたるかを。

 

おれは士官学校出のボンボンだった。

駆逐隊と飲みにいったとき、坊ちゃんにしては見込みがあるぞってからかわれたっけなぁ。海軍は飲み会がよかったな。

 

あいつらってバカだけど、強かったな。俺の作戦以上の頑張りをいつもみせてくれたっけなぁ。ほんと特型駆逐艦は強い奴が多かった。あの時も、この時も。そのとき、、も、、、、

 

、、、

、、、

 

ふぶき、、、は、つ、ゆ、、、きぃ、、、み、ん、な、ぁ、、、

ごめんなぁ、、、、おれがよわくて、、、おれのせいでぇえ。

 

俺はまた気を失った。

 

※※

 

明石「入電、ワレマニアワズ、シジヲコウ」

長門「返信、サクセンニヘンコウナシ、ビンタシテ、ツヅケヨ」

明石「了解、サクセンニヘンコウナシ、ビンタシテ、ツヅケヨ」

長門「大淀さん、お水を。あと、応援お願いします。」

大淀「はい。」

 

※※

 

長門に命令された私は、急いで水筒を用意して初雪の援護任務についた。

長門に命令されたのは最後の海戦の時だっけな、、、。

 

長門「いそいでください。」

大淀「いまいそいでますっ。」

たったったったっ

 

※※

 

長門「大淀さんの可愛さ指数が回復したようです。」

明石「なにわけのわからないこといってるんですか。」

 

いかん、私もおかしくなっている。

 

※※

 

あれ、ここはどこだ。

 

初雪「はつゆきだよー。しれーい。」

大淀「お久しぶりです、大淀です。まずはお水をどうぞ。」

初雪「あい、おみずー」

 

え、はい。

 

「ごくごく」うーむ熱中症対策もできない提督があるか、俺のばかたれ。

でも、うまい。

 

ウーン。ナーイス。

 

ってオイ。

 

提督「初雪、初雪なのか。」

おまえはあの時に沈んだだろう。幻覚じゃないのか。

 

初雪「痛い痛い、痛いよー。しれーい。」

大淀「提督、その、初雪ちゃんのほっぺが、、、。」

 

びよよよーん。←ほっぺがのびた

 

提督「初雪ー、はつゆきー」

大淀「ただでさえ、その、芋、じゃなかった、まるいのに」

提督「はーづーゆーぎぃーーーーー」

 

びよよーん。←ほっぺがさらにのびた。

 

初雪「どかっ」

大淀「痛い痛い、なんですか初雪さん」

初雪「初雪は芋じゃありません。特型駆逐艦です。」

 

三人「あははははは。」

 

※※※

 

初雪「はじめまして、特型駆逐艦初雪、本日をもって着任しました。」

大淀「軽巡大淀、本日をもって入渠から復任しました。」

 

提督「ようこそ新鎮守府へ、私が提督です。」

 

(工作艦明石の判断で少しの嘘は許可されています。)

 

※※※

 

長門は、大声で泣いた。

 

提督がはじめて自分たちを認知してくれたことに泣いた。

今日この日、この時刻まで、大声を我慢していたのだった。

 

帝国海軍の誇りが許さなかったのと、妹、陸奥との約束だったからだ。

 

陸奥のお別れの言葉が「私は先に逝きます。提督をお願いね。」

それから、「もう負けたんだから、大声は要らないわよね。おねえちゃん。」だったのだ。

 

長門「陸奥、すまん。」

吹雪「いいんですよ、いいことがあったんですから。」

長門「あいかわらずだな吹雪。」

吹雪「はいっ、長門さんっ。」

 

休めを実行していた艦娘達に伝令が行われたのは、五分後のことだった。

 

鎮守府の裏でセミの音が鳴いている。

鎮守府の表で海がさざめいている。

 

提督は初めて海の色とセミの音を認知した。

 

科学的に言うと、あの日から失われた彼の脳機能が回復したことを意味していた。

 

科学的に言わなければ、「おかえりなさい。私たちの提督さん。」を意味していた。

 

 

 

初雪のほっぺはのびたままだったけど、まもなく回復する見込みである。



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第十七駆逐隊と提督さん

深海棲艦進駐軍は表向きは撤収したことになっていた。

しかし、それは偽情報である。

 

実際には日本の各鎮守府に駐留していた。

日本の国家の成立過程を監視させるためにである。

 

鎮守府から少し離れた色町には、深海棲艦の経営するナイトラウンジが一件立っていた。

 

「ソコノテイトクサン・ヨッテカナーイ」

 

会社帰りの民間人が数人、まんざらでもない顔でウカレ提督と化している。

もともと深海棲艦である、その体つきに魅力を感じない男性は少数派だろう。

 

さらに、勤勉だったため、深海棲艦のお店の評判はよかった。

お熱を上げすぎて「結婚してください」から「ダメヨ」の流れでうっちゃられた

トホホ提督も数人いた。

やれやれである。

 

※※

 

さて、場面は変わって新鎮守府である。

提督さんの回復によって威力を取り戻した妖精さんにより、順調に機能回復をしている。

復員省によって収集がかけられる日も近いであろう。

 

今日は非番である。

のんびりとした週末、これも無条件降伏がもたらした効果であるといえる。

 

明石によって心を治療中の提督だったが、まずは順調のようである。

 

今はお散歩タイムであった。

てくてく歩く提督の周りを数人の陽炎型駆逐艦が嬉しそうに囲っている。

第十七駆逐隊である。

 

 

提督は困惑してした。

「こいつら妙に色気が上がってるよな、、、。」

 

それもそうで、提督の愛によってよみがえる際に、改二になった娘もいたのである。

(愛つよすぎ。)

 

そんな提督だったが、その、男性の特有現象で、アレがナニになりそうになっていた。

 

もともとが第十七駆逐隊は、吹雪から「ありえなーい」と嫉妬された船体を有しており、それが

改二になったので、かなり「ありえなーい」度数が上がっている。

特に谷風。

 

提督「おい谷やん。」

谷風「谷風様に何のようだい。」

 

おまえくっつけすぎだろう。

 

谷風「谷風様におまかせだよ」

 

駄目だ、話が通じてない。

こっちはブチこまっとるっつの。

 

アレがヤバいことになってる提督だった。

このままでは憲兵事案である。

 

前かがみになったところを今度は浦風に責められていた。

 

「うちが浦風じゃ。提督さん、アーンしんちゃい。」

 

軍人として立ち食いは許されない。

 

しかし、蠱惑的な浦風につい、アーンしそうになる提督さんだった。

 

「いかんいかん。俺は提督だぞ」

 

ブルブル。

首を振り振り逃げようとする提督

 

すると浜風が追撃。

「現行法では、提督に拒否権はありません。」

 

えぇぇぇぇぅぅぇぇええええええええっ。

そういえばそうだった。

 

深海棲艦との講和条約により、日本は女権国家として生まれ変わったのだ。

なんというかその、それでいいのかよ。

 

「おい。離れろ、提督命令だ。」

 

四人「今日は非番(です|じゃ)提督」

 

提督「あのなぁ、アーンする提督があるかっ!」

 

怒りのあまり、血流が移動して事なきをえた提督。

 

「しかも、お前のアーンはポッキーじゃろうが。」

「sneg事案だぞ。なんの罰ゲーじゃあ。」

 

解説しよう。

sneg事案とは、「ソレナンテエロゲ事案」と言われている。

エロゲとは、その、あの、恰好つけていうとセクシュアルな事どもを題材として発売されるゲームである。

詳しくは「鬼畜提督与作」をご覧いただきたい。

 

磯風だけが( ゚д゚)としていた。

sneg事案の意味を全く分かっていなかったのだろう。

さすがですね。

 

ニヤニヤと谷風と浦風が提督に接近する。

ポッキーを咥えたε(イプシロン)の口をした浦風が提督に急接近中である。警戒せよ提督。

あ、こいつエロゲの主人公ムーヴかましてやがる。まんざらでもない顔しやがった。

 

「デヘー」

 

そこで初めて驚愕する磯風であった。←もう遅い。

 

ハッいかん。いかん。俺は帝国軍人としてー。

 

正気に戻った提督。しかし彼の血流は再び頭脳から下に降りてゆく。

 

「磯さん、助けて。」

 

目で訴える提督。

しかし磯風もモジモジとしている。

 

提督「あ、こりゃ駄目だ。」

磯風もegのヒロインになりやがった。

 

浜風「磯風、提督はみんなのものだから順番にしましょう。」

 

磯風と提督「ええええええぇえええっ」

 

ブー

 

磯風はハナジを出して戦線を離脱した。

海軍にもとる行為である。大変残念だ。←誰が?

 

顔に磯風のハナジをあびた提督だったが、浜風がハンケチを出してそっと吹いてくれた。

優しいね。浜風。

 

提督「仕方ない。わしも男じゃ。うけてたっちゃるけぇ。こいやぁ」

 

浜風「いいましたね、録音しましたよ。」

 

提督「優しくしてね、、、トホホ」

 

浦風接近、距離1。唇がその、あの、、、。

 

おやっ、浦風の様子が。

 

モジモジ。

なにこいつ、急にモジりやがった。

ヘタレ浦風である。略してへたかぜ。

 

二人の顔はマッカッカのマッカーサーになった。

(だったらやめればいいのに、、、。)

 

谷風はむかついた。

 

「てやんでぇいっ、こんちくしょうめぇ。はやくしなよぅ。」と叫んだ。

80デシベルである。目をひくねぇ。

 

騒音で目覚めた磯風が立ち上がる。

 

スック。

 

目が座っているぞ磯やん。

が、二人の頭を押し付けた

 

ぶっちゅううううううううううううう。

 

「な、なんじゃそりゃあああああああ」

「う、うちのセリフじゃあああああああ」

 

磯風によって強制的に衝突させられ、提督と浦風は気絶した。

彼はよく気絶する男ではあるが、浦風も付き合いの良いヤツではあった。

 

読者には気の毒ではあるが、この話はこれで中断する。

水上偵察機を飛ばしていた大淀の介入がその理由である。

 

「ぬ、ぬわにやってるんですかぁっ、みなさあああああん。」

 

十七駆逐隊と提督は厳罰に処されたのであった。

 

かわいそうだね、提督さん。

でも、浦風とのちゅうができたし、おあいこかねぇ。←違う。

 



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懲罰の夜

暑い夏の日、反省房で雑魚寝をする十七駆逐隊と提督である。

 

提督「あのさぁ。浦風」

浦風「なんじゃ、ウチは機嫌が悪いんじゃ」

 

またまたコミュニケーション障害である。

これには戦前から悩まされていた。

 

提督「ならいいや、今から独り言をいうから。」

 

ゴロゴロし始めた提督。蚊取り線香に気を付けてね。

 

提督「おれは敗戦の日から一年間お前らとの生活を棒に振ってた。」

  「けど、一日たりともお前らの事を忘れたことはないぜ。ただ具合が悪くてお前らを認知できなかったそうだから。それはすまなかったよ。」

 

浦風はまだ無視を決め込んでいる。

 

提督「こうしてまたお前らと話が出来てうれしいよ。幸い明石の出してくれている処方は、いまの俺を助けてくれているからな。」

 

科学的にいうと、認知は情動によって阻害されやすい。

例えば恐怖、後悔、嫉妬、怒り、悲しみ、哀しみ等々が情動であり、提督の場合は怒りと哀しみが脳を支配していたのだ。

それに加えて艦娘との別れの記憶である。

 

提督「あの日、みんなでお帰りなさい会を開いた時は、嬉しかったな。泣いちゃったもんなおれ。」

 

浦風「、、、ダメ提督。泣き虫提督」

 

提督「( ゚д゚)え、そこディスるとこなん。」

 

浜風「提督、浦風は好きという感情表現が少し苦手なようです。わたしもですが。」

 

提督「、、、あ、そうなんだ。ま、いいや。ありがとうな、みんな。」

 

磯風「それはもう何回も聞いたぞ。まあ、何回聞いても悪くはないな。」

 

提督「あ、う、え。まあその、なんだ。俺の障碍は対症療法で一生かけてしまわなければならないものらしいよ。」

 

浦風「何が言いたいんじゃ。提督」

 

提督「科学的にいうとおれは障碍者なんだってさ。つまり欠陥品なのかなぁ。」

 

浦風「うるさいで。だまれや。ハブて虫。」

 

提督「とほほ。事実を科学的にいっただけなんじゃけど。具合が悪くてすまんかったのぅ。」

 

浜風「提督の具合の良しあしは関係ありません提督。浦風の怒りの原因は貴方が自分のことを欠陥品なのかなぁといったことです。」

 

提督「、、、そうか。」

 

浦風「怒ってなんかおらん。みんなの顔をみてみんさい。」

 

提督「何々、泣いてるのけ。」

 

浦風「ばかたれ、今気づいたんか。」

 

提督「知るか、俺は辞令が出るかもしれないから早めにお前らに言おうとしただけだ。」

 

浦風「うわああああ、うわあああ」

 

提督「やめろ。いきなりうるさい」

 

谷風「てやんでぇいっ、まだ判ってないようだねぇ提督。にぶちん。あたい達はみんな提督と別れたくないんでぇいっ。」

 

提督「あ、、、。」

 

磯風「海底の泡から再び浮かび上がることが出来たのは、提督、あなたの優しくて強い愛のお陰です。私はそう信じています。」

 

提督「磯風、おまえ、ちゃんとしゃべれるんだな。」

 

磯風「、、、どうも。」

 

谷風「そんなことより、提督も、大の男が、泣くんじゃねぇってんでぃ。あと、磯風も。」

 

 

涙を拭いた五人は懲罰の夜を思い出話をして過ごすことに決めた。

 

初めての出会い。磯風の料理。浦風と谷風の鉄板焼き対決。浜風の意外な趣味。

話すことはいくらでもあったからだ。

 

新鎮守府の近くの畑ではキリギリスが鳴いていたが、五人は聞いていなかった。

話に夢中だったからだ。

 

監視用機器の向こうで、大淀がまたすすり泣きをしていた。



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大淀

私は大淀、帝国海軍の誇る艦隊指揮艦である。

 

私は長門が嫌いだ。当新鎮守府の指揮系統をすぐに乱すからだ。

今日も駆逐隊と提督の懲罰は明日で明けさせると長門が命令した。

 

まあ良い、本当の指揮を見せる機会はもう二度と来ないのだから。

それよりも長門ができない事を私がしてやる。あいつをつけあがらせない為に。

 

※※

 

吹雪「長門秘書艦代理、おはようございます。」

長門「吹雪さん。おはようございます。今日もよろしくお願いします。」

長門「大淀さん、おはようございます。」

大淀「、、、。」

明石「長門さん、おはようございます。

長門「はいおはようございます。これで全員ですね。」

 

最近は提督が治療中なので、敬礼がおざなりになっている。

このことも大淀の癪にさわるのだった。

正式な敬礼をしていたのは吹雪ちゃんと私だけじゃないか、これで新鎮守府といえるのか。

 

大淀はそういう苛立ちと若干の哀愁を想うのだ。

提督の愛に応えられないなら、私たちがここにいる意味はなんだろうかと。

 

 

長門「本日の議題は、当新鎮守府の将来予定についてです。」

大淀「帝国海軍から復員省に移管されることはすでに決定済みです。皆さんこちらを。」

吹雪「すごいです大淀さんの資料。素敵。」

大淀「素敵かどうかは関係ありません。それより早く読んでくださいね。」

吹雪「あっはい。すみません。」

 

長門は知っている。戦前の大淀の頑張りを。

提督と一緒に支えあう姿に嫉妬心を覚えたこともあったからだ。

あの作戦指揮は、わたしにはできなかった。もし、わたしにその能力があれば、あの戦いに負けることはなかった。

だから大淀のことをいつも見つめそして、大淀が辛いときは、自分のことのように辛くなるのだ。

 

 

長門「いや、これは素敵とよんでいいと思いますよ。私には無理ですから。」

大淀「、、、どうも。」

長門「さて、困りましたね。最大の問題がここにあります。2ページ目」

大淀「っ」

明石「私の担当でもあるので、私から説明させていただきますがよろしいでしょうか。」

長門「いえ、大淀さんお願いします。」

大淀「大本営は解体されます。人事権は深海棲艦にゆだねられました。」

長門「大淀さん、提督に辞令が下りると思いますか。」

大淀「申し訳ありませんが、私には判りません。私に判るのは推定工数だけです。復員にむけての」

 

大淀が驚いた事に、長門は直球で最大の問題点を言い当てた。

私の、いや、私たちの提督と、もしかしたら別れが来るのではないかという問題点を。

思わず背筋を伸ばし、眼鏡の焦点を合わせなおして長門を見つめた。

長門は哀し気に、それでも優し気に会釈気味に応えた。

 

長門「明石さんは。」

明石「私は辞令が降りる前提で行動計画を考えるべきだと思います。」

大淀「っ」

吹雪「っ」

 

吹雪と大淀は見つめあう。

やっぱり。

でも、

そんなのひどくないのか。

と。

 

大淀と吹雪が同時に発言許可を求めた。

 

長門「大淀さんお願いします。」

大淀「明石さん。では具体的にその行動計画を示してくださいませんか。」

 

吹雪は顔を伏せたまま猫背気味だ。

偉そうにしても、自分はただの駆逐艦だと思い知らされたのだった。

神通さんごめんなさい。と小さくつぶやいていた。

 

明石「想定される期日をマイルストーンとして、それまでに提督の治療をすることです。」

大淀「治療計画。」

明石「提督の精神健全性を示すことです。健常者と変わらないということを。」

大淀「意味が分からない。もっとわかりすく。」

 

長門「大淀さん、すみません。まだ明石さんがお話していますので。」

大淀「、、、申し訳ありません。代行。」

長門「さんづけでいきましょう。戦前の提督もそうおっしゃっていました。」

大淀「では長門さん、私気分が悪くて、退出許可をお願いします。」

吹雪「吹雪ですが、わたしもおねがいします。」

長門「お二人には申し訳ありませんが、休憩の許可しか出せません。」

長門「お茶にしましょう。たまには私が入れますよ。」

 

※※

 

処は変わって、内閣総理大臣室である。

 

総理「陛下に申し訳ありません。大和さん。私を殺してください。」

大和「いけません。陛下はそんなこと、望んでいらっしゃいませんよ。」

総理「どうすればよかったんですかね、大和さん。」

大和「申し訳ありません、私の戦闘力が役に立ちませんでしたので。」

総理「だめだ。大和さん、大和さんがそんなこと、、、。」

 

二人は肩をよせて泣いた。

 

※※

 

明石「以上をまとめますと。責任能力の判定試験、おそらくそれに合格すれば辞令は我々の手で反対できます。」

長門「ありがとうございました。

長門「長くつらい日々だったけど。明石さんのお陰で希望が持てるようになりました。」

大淀「明石さん、、、。」

吹雪「頑張りましょうねっ。」

長門「ああ、そうだな。」

吹雪「ふふふっ、長門さんが久しぶりに威張った。」

全員「あははは。そうだそうだ。」

 

※※

 

今日はどうかしている。

私が長門と笑いあえるなんて。

 

、、、いや、戦前はいつも笑いあっていたな。

、、、それにしても長門の入れた紅茶、旨かったなぁ。

 

※※

 

吹雪は転属していった友達、睦月と夕立に手紙を書いていた。

「今日は希望が持てました。私たちも頑張りましょうね。やまない雨はないということを抱いて。」

 



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初雪

あー、俺が当新鎮守府の提督だ。秘書艦は大淀、じゃなかった、長門が代理でしてくれている。

 

今のところの業務は、妖精さんと鎮守府の修復をすることになっている。

なぜか全体会議でそう決まった。

 

提督、、、まあ仕方ないか、日本は女権国家だしな。

 

戦前がひどすぎたよなぁ。

俺と俺の同期で三人だけだったもんな。艦娘好きって、、、。あ、元帥と、総理もいたっけ。

総理の鼻の下、、、受けターヨwww

アッハッハッハ度スケベソーリ。

 

「提督もスケベ、、、」

 

俺はあせった。

俺の認知の混乱がまた出たのかと。

 

こんなこともあろうかと俺は音響測定器・デシベルメータを常に持ち歩いている。

 

初雪「はつゆき、無視嫌い」

 

メータに感あり。というと、俺様の部屋の中に、、、。

 

って、あほ雪、じゃなかったエロユキさん。

なにしよるんなら。人の布団で。

 

初雪「あいのいとなみ。」

 

ガツン

 

初雪「いたい」

 

お前も痴女かよ。

 

初雪「ちがう、あいのいとなみ」

 

ってなんだよ、そのイプシロン。

たんこぶさすさすしながら口寄せおねだりマスカットかよ。

 

初雪「んー。」

 

ドカ

 

初雪「むー。初雪、本気出すから見てて。」

 

ばーか。艤装の使用は禁止されて、、、ってオイ。すげえ体術だな。

 

くそ、負けねえぞ

どうだ、寝技返しだ。

 

初雪「寝技返し返し」

 

がーん。提督の俺が、、、。これってよー、馬乗りにされてるってやつじゃねーか。

同期の好きなシチュだ。

 

一部のへんた、、、、って、

 

ええええええええええええ、太もも柔らかいぃぃぃぃ。

 

あのー、はっちゃんさん。えーと。俺も男の子だから、あの、その、反応してしまうわけでぇ、、、。

 

いやー、やめてぇええ。特殊性癖が解放されちゃうううん。

 

初雪「んっんっんっ」

提督「んふーーーーーーーーー。」

 

乳首舐めんなぁ。ボケがぁ。

 

よーし、妖精さん、カムヒア。

 

「アイサー」

 

かつーん。

 

どっかあああああん。

 

突然、初雪の頭に花瓶が当たった。これは妖精さんの攻撃。

そして、大淀の爆撃機が、、、あれ、戦闘行為は禁止されているのでは、、、。

 

大淀「問題ありません。条約で規定されている仕事量以下の打撃力ですので。」

 

おい、重力加速度。

 

大淀「問題ありません。風紀の乱れを正しているだけですので。」

 

ぜってーうそだろー。

 

大淀のメガネがギラリと輝いたので、俺はそれ以上何も言えなかった。

 

妖精「パンツ、パンツ、ナンデス。」

大淀「その、早く、ナニをアレしてくださいませんか。私はこの痴女を片付けますので。」

 

俺はまたしても懲罰委員会に裁かれた。今度は長門と吹雪も加わっていたのである。

悪質であると判断されたわけだ。

 

なんでや!わしゃあひがあしゃなぁか。

 

大淀「すみません提督、現行法では、提督は被害者でなく加害者ですので。」

吹雪「えっち。」

長門「スケッチワンタッチだ、馬鹿者。」

 

とほほ。どぼちてだすかー。

田舎帰ろかな。ひとつ人よりちからもちだし。

 

やめた。

こいつら可愛いし。二つふるさと後にしてきたんだものな。

 

でも、はっちゃんドバっと丸裸なのはやめてほしいなぁ。

 

提督「吹雪君」

吹雪「わかってます。司令。初雪ちゃんの罪は特型駆逐艦の全体責任です。」

提督「あー。うー。ウン。気を付けたまえよ」(`・ω・´)

吹雪「司令もおねがいします。」

 

スマソ、、、。でも俺、提督だよね、、、。

 



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望月

望月だよ。

最近は気分転換に新鎮守府の雑用を担当してるよ。

提督さんに引きもどされて、まだ生きてるんだ。

ずっとお部屋にこもってたんだけど、初雪ちゃんに叩き出されたんだ。

「食料輸送任務、大事」ってさ。

 

初雪ちゃんてさ、妙なときにやる気出すよね。

でも、そこがいいんだろうね。知らんけど。

 

今日は買い出しに行くよ。

間宮さんはもういないけど、司令がカレーつくってくれるんだってさ。

リハビリテーションがどうとか言ってたけど、ま、いいよね。

 

※※

 

市場にて。

 

謎の市民「おい、おまえ、帝国海軍の駆逐艦か。」

望月「ちがうよ、望月は望月だよ。」

謎の市民「その服見せてみろや。」

望月「やめてよ。」

謎の市民「あぁん。おい、見てみろや、この錨のヤツを。」

望月「やめてください。お願いです。」

 

「うるさい。俺の家族は新型爆弾で全員死んだんだ。お前らのせいだ。」

「そうだそうだ。なにが帝国海軍だ。ばかたれが」

 

※※

 

警報がなっている。

間違いない。90デシベル。

 

俺は警戒態勢に入る。執務室にゴーだ。

 

提督「、、、大淀、現在状況報告」

長門「長門が報告します。現在、望月が行方不明。」

提督「最終連絡は」

長門「某商店街某通2」

提督「、、、わかった。大淀、じゃなかった、長門、着替えと車の用意を。」

全員「提督」

提督「私が直接出る。出なければならない理由は理解している。」

長門「いけません。提督は現在治療中の身です。」

提督「提督命令である。出せ。」

大淀「こちらに。」

提督「大淀、来い」

大淀「長門さんでは」

提督「いい、おまえの艦載機が必要だ」

大淀「はっ」

長門「くっ、、、大淀さん、頼みます」

 

※※

 

提督が久々に私の指揮を執ってくれている。

そうとわかって私の艦娘としての魂は高揚していた。

 

提督「偵察機を」

大淀「偵察機よーうい」

妖精「はっかーんよし。てー。」

 

※※

 

三十分もかからないうちに、市民に暴力行為を受けている望月を発見した。

どうだ、これが大淀の実力だ。

 

って、「いけません、ていとくっ」

 

提督「うるさい。かまうなっ。」

 

提督は軍用車からダッと駆け抜ける。

望月をかばい投石や角材を自らの体で受けた。

たちまちよろける提督。

 

市民A「なんならわりゃ」

提督「わたしは帝国海軍の現場責任者です。望月をかえしていただけませんか。」

市民B「おー、われが提督かいや。」

提督「どうか望月をお返し願います。敗戦の責任はすべて私にあります、望月は悪くありません。」

市民C「やかましい、カバチタレなや。」

提督「いえ、私が現場責任者ですので彼女には罪はありません。」

市民A「あんたがどう責任とってくれんなら」

提督「それは、もう少しお待ちください。」

市民C「うるさいわ、くそったれが」

 

再び投石や角材を自らの体で受ける提督、私はなにをしている。あの人を一人にさせてはいけないっ。

 

提督「大淀、いいっ。貴様は連絡業務をっ。」

 

※※

 

まもなく警察と市長がとりなして事なきをえた。

望月ちゃんは入渠。もしかしたらケアが必要かもしれない。

わたしが帰っている間中、提督は彼女を抱きしめて、謝り続けていた。「すまんのぅ。すまんのぅ。」

私はまた具合が悪くて、機嫌が悪い。

だが、事の顛末をつけなくては。

 

長門さんにどう詫びればいいのだろう。

いつになったら、私たちは以前の様にもどれるのだろう。

どうか海の色を返してください、よそ風の優しさを返してください。

お願いします。

 

※※

 

妖精さんの超能力ですべてが中継されたため、彼等は裁判所送りになった。

でも、提督と望月ちゃんは。壊れたままだ。

 

私はあいつらの不法行為をまとめ、民事訴訟を提起する書類を提出した。

大淀を舐めるなよ。

 

※※

 

また大淀が泣いてる。

私が提督を止めておけばよかった、、、。

紅茶を入れてあげようとしたけど、断られてしまった。

陸奥、、おねえちゃん、もっとがんばるよ。

 



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いやらしい

長門「長門だ。望月と提督の様子は。」

吹雪「見ればわかりますよ。見てください。」

長門「わかった。」

 

※※

 

提督は症状が悪化していた。

所謂PTSDにより。悪夢がふと蘇るようになった。

私たちのことは認識してくれているが、ふとした瞬間におかしくなっている。

 

望月ちゃんはまた、お部屋に戻ったままだ。

 

あ、提督。

 

※※

 

「ばーか、何シリアスになってんだよ。」

 

って提督、、、。

 

提督「精神的外傷が来た時だけ辛いって思えばいいんだよ。そうとしかいいよーがねーじゃんこれ」

 

明石「無理です。」

 

提督「治療は続けてるんだ。改善はしてるっていったよなあ。」

 

明石「、、、それは一日前のことです。今は判りません。」

 

提督「、、、ま、いっか、判らないんじゃどぉおーでもいいや。お前らのことは認知できてるんだ。まえよかずっとましだよ。」

 

提督「しけたつらしてんなよ、薬飲んだらちょっくら望月のとこ、いってくらぁ。」

 

しけたつら、、、。私、そんな、、、。

 

提督「あーあ、緑バケツ、おれにも効けばいーのによー。くっそがー。ま、いっか。」

 

提督が広島弁をつかっていない時はまだ安心できるのは確かだけど、、、。

後で鏡みようかしら。

 

※※

 

提督「よっ望月、この前はどうも」

望月「、、、。」

提督「はいるぞっ」

 

って、ええええええええ。

なにこいつ。

 

提督「あのさぁ、、、、おれ、水雷戦隊においては司令相当なんだけどなぁ。」

望月「あのさぁ、普通、人の布団、はいるかなぁ。」

提督「ヤー、おれ、ハレンチなんだよね。」

望月「シラネ」

提督「俺もシラネ」

 

※※

 

私が「ざまぁ」事案を片付けて帰ってくると、明石さんがぶつぶつ何かいってた、「しけた」とかなんとか

海の満ち引きと鏡の関係について何の関係があるのだろうか。

 

※※

 

長門「遅いぞ大淀」

大淀「すみません。」

長門「まあいい。提督と望月なんだがな」

大淀「っ」

 

長門「要経過観察というのが明石からの認識だ。」

大淀「了解、経過観察に入ります」

 

おいまて、上官の話はさいごまで。

って、、、、大淀ぉ、頼むから一緒に紅茶をぉお、、、。

 

大淀はいつもそうなんだ。

あいつ意外と直情的なんだよね。

って、提督が言ってたっけなぁ、、、

 

吹雪ちゃんと飲むか、、、。

 

※※

 

望月「しらないよ、あたし、襲っちゃうよ」

提督「Zzzz」

望月「ってぇえぇ。くっそお、望月のドキドキを返せぇ」

提督「んあ、なんだ、望月。」

望月「あのさぁ。あんたを襲っちゃうっていったんだけど。」

提督「べつにいーよ。へるもんじゃないし。」

望月「っ」

 

よーし、えーいっ。

 

提督「く、、、くすぐったいよ。もっとこう、、、。」

望月「うっひゃあ」

 

提督「どーだ、わかったか。」

望月「くっそう。こうかー。」

提督「いーや、こうだー。」

望月「いやぁああん。」

 

提督「ど、どうした。すまなかったよ。具合悪いか、いま水を。」

 

望月「いや、その、その反対。」

提督「あ、そうなんだ。ならいいや。」

 

望月「え、やめんの、せっかくいいとこなのに。」

提督「なんだよ、めんどくさいやつだな。今からカレー作んだよ。手伝え」

望月「ちゅーしてくれたら」

 

ゴン

 

望月「それはない。」

提督「あるよ、皆腹減らしてんだよ。わがままいうな。」

望月「わかったよ、パンツかえたら行くから」

 

ドガ

 

望月「望月は死んでしまった」

提督「おお、望月よ、死んでしまうとはなにごとだ、カレーがつくれないではないか。」

望月「はいはいはいはい。」

 

※※

 

私が望月ちゃんのお部屋にいくと、提督が出てきた。

今日はもう疲れたのであとは長門さんにお仕置きしてもらうことにした。

 

※※

 

長門「吹雪、証拠がない、証拠をさがせー」

吹雪「望月ちゃんまで、、、いやら司令」

長門「あったぞ」

 

濡れたパンツだ

 

吹雪「もうやだー。いやら司令ーを殺して私も死にますぅ。

 

※※

 

夕立ちゃんへ。

司令は死刑です。

あと、みんなカレーでウマー(゚д゚)してました。

 

かしこ。

 

※※

 

うーん。司令って、前からエロかったっけ。

 

まもなく消灯時刻である。

吹雪は手紙を片付けて、考えるのをやめた。

 

明日から輸送業務が開始される。

海の色は何色だろうか。

 



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明石のクレーン

提督だお。おはー。

 

なんだよ、いきなり誰も相手してくれなくなっちゃったよ。

なんだっけ、あ、思い出した。昨日言ってたっけな。

 

鎮守府は今日から北極海で捕鯨任務と、深海棲機雷除去任務が始まっている。

 

暇なんだお

はしけにいってくるお。

 

あ、吹雪だ

 

提督「おーい」

吹雪「はいっ、吹雪、行ってきますっ」

提督「よーし、元気でなー」

 

吹雪艦隊かぁ、あいつ、いっぱしの嚮導艦になりやがったな。

よく浜辺で泣いてたっけ。大和ラムネおごってやったら、スッカリ機嫌よくなっちゃってさ

 

ガキあつかいしたらすぐ切れるし。金剛に泣きつくし、、、。

金剛の墓に行かなきゃな。

 

テートクサンテートクサンって、、、。

 

あ、また涙が勝手に

 

具合悪い。

確かに明石の見立ては正しい。

 

テートクサンの映像が脳内でリフレインされて自分じゃ止められなくなっちまった。

 

あいつの目。

あの人懐っこさ。

誰に対してもさわやかな態度。

俺は彼女を本当に尊敬したてんだ。

 

あんな風に艦娘と接点を持ちたいと思っていたし、あいつの艦隊がいれば本当に心強かったんだ。

だけど、意味もなく映像がリフレインされるのはどうしたものかなぁ。

 

あ、今日が何日かわからなくなった。

しかも何をしていいかも決められなくなった。

 

これを通過するしかないんだな、俺は一生。

 

寝るか、、、。

 

※※

 

、、、

、、、、

、、、、、

 

ね、ねれねぇ。

 

※※

 

おい明石、とんぷくで睡眠剤たのまぁ。

 

明石「駄目です、今飲んでは。まだ時刻が早いですから」

提督「え、そうなんだ。」

 

 

提督「、、、非番の艦いねーし。」

明石「私と大井さんなら。」

 

提督「おめーらは確か任務があったぞ。えーと。うーと。くそ、ポンコツ脳だなあ俺の脳」

 

明石「っ」

提督「なんだよ。」

 

明石「自分の事をポンコツとかいわないでください。」

提督「事実だしー。」

 

明石「わたし、余りおとなしくないですよ。」

提督「え、怒るの。」

明石「そうですね、今の発言でみんなアウトになりましたから。」

 

提督「そんなこと、そんなアウトとか言うなよ、たのむよ。」

明石「クレーンで殴っていいですか。」

提督「殴りたきゃ殴れ」

 

ズギャ

 

明石「あーもう、私がなぜオコなのか説明しますね。」

提督「なんだよ、、、いや、すまねえ。たのむよ。」

 

明石「私たちの命は一度海に帰りました。」

提督「、、、そうだった、、、俺が悪い、あの時、戦略爆撃機の基地を取られちゃいけなかったんだ。」

 

「バン」

 

グワラゴワカキーンぐ( ´∀` )

 

提督「いてて、イテー」

オイ。地球一周しちまったじゃねーか。

 

明石「してません。ついでにいうとパイタッチしないでください。」

提督「え、俺してないよ、艤装点検してただけ。」

 

明石「艤装は禁止され、、、いや、すみませんでた。些末事したね。」

提督「、、、。それじゃあ説明の続きをしてよ。」

 

明石「俺が悪いとか、ポンコツだとか、いつもいってますよね、提督」

提督「事実だ。俺は有能な提督とは言えなかった。」

明石「でも、そうしたら、提督から生まれた私たちはポンコツってことになるんですよ。」

 

提督「っ」

明石「私たち、死んだ方がよかったっていうことになるんです。」

 

バーン

 

二人「大淀。扉」

大淀「はい大淀です。扉はあとで修理します。でも、聞いてください。」

 

二人「えっ。艦隊指揮任務。」

大淀「問題はありません。もうすませてますから。」

 

つかつかつか。

大淀は怒っていた。

 

大淀「小艦は無能ですか。貴方と戦った戦績、戦闘詳報統計を資料化しましょうか、提督。」

 

提督「なんだよ、つっかかるな。」

大淀「つっかかります。貴方は科学的に言っていません。感情でものを言っています提督」

 

提督「違う。俺はそうじゃなくて。」

二人「違、い、ま、せ、ん。」

 

痛い痛い痛い、おれのほっぺが伸びるからやめください。

っていうか、俺、提督なんだけど。

馬乗りになってほっぺのばすのやめろ。

 

明石「大淀さん、提督の発言記録を電子化して、統計化してくださいませんか。」

大淀「ここにあります。死にたい、ポンコツ、俺のせいで、ダメだ、俺は無能だ、それぞれの発言を日別、時間帯別に表にしました」

提督「おいっ、何の意味があるんだ。」

 

明石「あります。提督の自己評価を羅列したものだからです。」

大淀「私頑張りました。褒めてくださいませんか。」

 

提督「わけわからない。それは大淀の任務なのか。」

 

バーン

 

扉は全壊した。

 

長門「長門だ、失礼する。」

長門「なかなか楽しんでいる処、すまないな。」

三人「えっ。デバガメですか。」

 

長門「ちがう、そこはどうでもいい。聞け提督。統計化任務は私の指示だ。」

 

長門「貴様は科学的に可視化しないと聞いてくれないだろうと踏んだからな。」

提督「小職は許可してないんだが。」

 

大淀「提督、私さっき言いました。艦隊指揮任務は完了しましたと。問題ありません。」

提督「指揮系統。」

長門「特権例外だ。あと、大淀へのパイタッチはやめろ。」

 

提督「あっ、体が、、、気づいていなかったすまない。」

三人「ええええっ。」

 

明石「私記録します。認知の衰えと、自己評価が低い。と。あとパイタッチ。」

 

吹雪「失礼します。吹雪、任務完了しました。」

吹雪「みなさん、お茶が入りましたよ。お茶をどうぞ。

 

吹雪「あと、大淀さん、着衣の乱れ。」

大淀「、、、。」

 

※※

 

ずずず、、、

 

提督「つまり、科学的にいうと、俺の認知機能の衰えは、情動が俺の脳機能を阻害した結果ということか。」

明石「はい。」

 

大淀「吹雪さん、着衣はこれでいいですか。」

吹雪「はい、痴女艦さん。」

大淀「痴女艦、、、。」

 

大淀の眼鏡は定位置より5cm下方に位置している。

重力による仕事の結果であるが、端的に言うと「へぼめがね」化したのだろう。

 

吹雪「ハァハァ言ってたじゃないですか、馬鹿艦さん。」

三人「認めなさい。大淀。」

 

大淀「がーん。わたし、痴女艦で馬鹿艦だったのですか。」

 

提督「吹雪。」

吹雪「はい、上官侮辱による懲戒は覚悟しています。でも、問題はそこじゃあありません。発言許可をお願いします。」

 

提督「まあいい、許可する。」

長門「許可する。」

 

吹雪「司令が自分の事を馬鹿とか無能とか言う毎に、私の情動がおかしくなります。」

提督「馬鹿になるということか」

 

明石「結果、そうなります。」

吹雪「時に悲しくなって哀しくなって業務に差支えがるんです。何もできなくなって、何もしたくなるんです。」

提督「おまえ、、、」

吹雪「明石さんに相談済みです。」

 

提督「あ、、、。」

明石「そうです。提督の症状です。」

提督「なんでだよ、おれのせいか。やっぱりおれはここにいちゃだめなのか。」

 

キーン

 

提督は金的をやられた。

明石のクレーンは正確に機能していた。

さすが明石である。さすあか

 

 

明石「艦娘の特性としては、心が提督と連動しているんですかね。研究でもよくわかっていないんですが。」

提督「、、、。キンタマイテー」

三人「問題はそこじゃあありません。」

 

明石「これは心理学なんですが、心の伝搬効果ということです。」

提督「鏡面効果か。そういうのがあったな。スッカリ忘れてたよ、すまない吹雪。」

吹雪「今度デートしてくださいませんか。司令」

長門「却下だ。」

 

提督「俺はいいよ。許可。」

三人「えっ。」

 

吹雪「やったwww」

 

大淀「提督、具申します。もう二度と自分の評価を下げないでください。」

提督「努力はしてみるが約束はできないかもしれない。それでいいか。」

 

長門「長門、了解しました。」

明石「はい、明石、了解しました。」

大淀「大淀、了解しました。」

 

大井「大井だよー。りょーかーい。」

 

四人「わぁぉ。」

 

提督「さすが大井だな。吹雪、お茶お替りたのむ。大井のも含めて。」

 

吹雪「デートだデートだ嬉しいなっ。えへー。」

提督「駄目だこりゃ。吹雪行動不能につき、長門に移管」

 

長門「了解、私の腕はすごいぞ、なんせ金剛ゆずりだからな。」

明石「そうだったんですか、、、。」

長門「ああ。誰かに伝えたかったって。」

 

大淀「金剛さん、、、。」

 

それから皆は金剛の思い出話に華を咲かせた。

 

大淀に衝突した回数、吹雪との心温まる交流。長門は戦闘の思い出が、大淀はハレンチ行為がいかに凄かったかを語った。

 

話すことはいっぱいあったので、妖精さんに制止されるまで業務時刻のアラートに誰も気づいていなかった。

 



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雨はやむだろうか

よし、皆さん提督のアサデス。

 

最近は、朝は、みんなと一緒に鍛錬をしてますよ。

毎日でち公にくっかれてますけど、まあ、重りになるので筋力鍛錬にはいいんですかね。

 

でち公「提督ひどすぎ」

提督「うるさい、朝からパイ押し付けられる男の気にもなれ。」

 

提督「それより、トラック10週だっ。」

トラックの曲率による慣性でエロ公を振り切ってやろうとしたが、疲れただけでした。

 

ふーっふーっふーっ。

 

ベリベリベリ

 

でち公「マジックテープじゃないでち。」

伊号軍団「お前が悪い」

でち公「お前呼ばわりするんでち。」

 

伊号軍団「するよ。自分ばっかり。」

提督「ん、おまえらもくっつきたいのか。」

 

よーし、伊号軍団 カム・ヒア。

 

ぐ( ´∀` )

 

バッチこいやぁ。

 

帝国海軍の威信にかけて、この提督様が全力で指揮しちゃる。

 

っておい。

おおいいぃいいい。

 

ぐわぁあああ。ヤーラーレーター。

 

ドテ

ぽき

グシャ

 

モマエラ、、、人大杉

 

提督と伊号軍団はくんずほぐれつになった。

 

※※

 

明石「提督、脊椎、折れますよ。」

提督「しょうがねぇじゃん、まさか伊号軍団があんなにエロイとは。」

大井「くっつかれすぎ。」

提督「パイが背中に来るからいいと思ってたんだよ。」

大淀「全員同時にアタックされたらパイどころじゃないでしょうに。はぁ、、、」

 

※※

 

大淀「エロ号事案ですね。」

長門「うーん。吹雪はどう思う。」

 

吹雪「みんなエロすぎますぅ。もとはそうじゃなかったですよぅ」

 

提督「じょぼぼぼ。うーん、うまい。朝は紅茶がいい。」

大淀「海軍は英国式ですから。」

 

吹雪「司令、わたしの話、聞いてました」

提督「や、そろそろ総員起こしだぞ。」

 

吹雪「ちぇっε、、、了解しました。総員起こし。」

提督「ちぇっε、、は無しだ。後ろ向きの言葉や汚い言葉は無しだと話し合っただろ。」

吹雪「すみませんでした。総員起こしにかかります。」

 

提督「かかれ。」

吹雪「了解しました。行ってきます。」

提督「まて、俺も行くぞ。」

 

※※

 

明石「大井さん、大淀さん。」

大淀「はいなんでしょう。」

大井「なにさー。」

 

明石「提督が突然過去の記憶に捕らわれてしまう回数を纏めたので見てください。」

二人「これは、、、」

明石「はい、わずかですが改善しています。」

二人「、、、。」

 

※※

 

大井「何か祝い事しよーよー。」

 

大淀「そうですねカレー会、か魚バーベキューか、キャンプか」

大井「魚秋田。カレーは材料がない。なので、キャンプー。」

 

大淀「エロイベント発生の危険性があります、却下。」

大井「エロイベントってなにさー」

 

大淀「ここにあきぐ、、、じゃなかった、オータムクラウドさんの漫画本がありますので参考にしてください。」

大井「何々、、、、」

 

明石「大淀さん、さすが痴女艦ですね。【提督とドッキリ】ってわりとレア本ですよ。」

大淀「大淀は情報戦担当艦ですよ。痴女艦ではありません。」

 

大井「、、、、うっわー、えっろ。なにさこれー。よく買ったねー。」

 

明石「でしょ、これ、呉(ご)ちゃんねるで有名でしたからね。」

大井「ねらーなんだ、、、。」

 

望月「失礼します。望月でーす日誌もって。って、、、あっ大井さん」

大井「ほーい」

望月「わーあの本持ってるんだー。エッロ。ドスケ。」

 

大淀「おまえがいうんかい。パンツヌレヌレ。」

望月「望月は提督の被害者だって。」

 

大井「帝都漫画祭りで売ってんだってね。敗戦してからみんなドスケになったねぇ。」

明石「平和になりましたので。」

 

大井「まーねー。みんなが焼夷弾や破砕弾の脅威に対応しなくてよくなったからねぇ」

大淀「平和じゃありません。私は現状を平和とは呼びたくありません。」

長門「いや、平和だ。そう思え。でないと死んだ船に申し訳がたたん。」

 

大淀「、、、提督はどうなんですか。一生の障碍なんですよ。」

長門「立ち聞きしたが、改善がみられるとさっき言ってなかったか。」

 

全員「、、、」

望月「お茶にしよーよー。」

 

長門「私はそのつもりで来たんだ。深海棲艦払い下げのいいスコーンがあったからな。」

大淀「え、あの店いったんですか。よくも。」

 

長門「講和条約を締結したからな。今は敵じゃない。」

大淀「そういえばそうでしたね。」

 

長門「提督も最近じゃ埠頭で海の色を聞いてるぞ。」

明石「『恋の2-4-11』まで歌っちゃってノリノリでしたよ。」

望月「ん。」

大井「うっひゃあ、すごいね、テートクサン。ノリノリじゃん」

 

明石のサーモグラフィ画像によれば、全員の体温が2度上昇したことが分かった。

皆の心が「雨はいつか止むさ。」と思えたからだろう。

吹雪は今日の手紙に書くネタがいっぱいで胸がいっぱい。

皆が本当に嬉しかったのだ。

 

紅茶はうまかったし、深海棲艦の作ったスコーンも絶品だったのだ。

 



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悔いのないように生きよう

※※

 

大淀「納得できません。提督。どうして私たちの艦隊が深海棲艦の機雷を除去しなければならないのですか。」

提督「講和条約の条件だからだな。」

明石「無条件降伏しましたから。」

長門「やめないか、大淀。明石の言う通りだ。」

大淀「でも、私はこれ以上艦娘の命を失いたくありませんっ。」

提督「大淀、気持ちはわかるよ。大淀はやさしいもんな。」

大淀「やめてください。私がやさしいとか、そんなこと問題じゃあないんです。道理の話をしているんですよ。提督。」

 

 

長門には大淀の持つ情動はよくわかっていた。

 

あの戦争の為とはいえ、勝手に設置された深海兵器を、負けたからという理由で我艦隊が代償を払わなければならないのだろう。

命を賭してだ。

 

、、、しかしながら、無条件降伏の前においては感情的議論は無意味なのであった。

それは法の問題だ。

法は冷徹に作られているのだ。

 

あと、大淀、涙ふけ。

それと、照れながら泣くな。

馬鹿艦。

 

※※

 

艦隊は結局、提督と長門により編成された。

運用管理は大淀と吹雪。

既に運用は開始されている。

 

※※

 

提督「おーい、おまえら、気を付けていってこいよおおおおお。」

初雪「えー、なーにー。聞こえなーーーーい。」

 

提督「初雪愛してる。」

初雪「ブー」

 

吹雪「初雪、被害報告。」

初雪「はなじでた。」

 

提督「お前、聞こえてるじゃん。うそつき。」

吹雪「私はどうなんですか、愛してるんですか。」

 

提督「ネタニマジレス、カコワルイ」

 

吹雪「くっそお、艤装がないのが悔しいなぁ。」

深雪「あははは。」

 

白雪「もう、皆さん集中してください。」

 

第十一駆逐隊は頑張った。

 

※※

 

提督「え、なに、お泊り会。」

 

長門「そうだ。」

提督「大淀さん、そんなお金ありましたかね。」

大淀「予算は、チャリティーコンサートで確保可能です。」

 

提督「えーと、じゃあ書類まとめて提出してくれる?」

大淀「こちらに。」

 

提督「、、、再提出。」

長門「提督、理由を。」

提督「俺も参加する。」

長門「がたたん。」

 

 

※※

 

長門「秘書艦長門です。本日の朝礼を始めます。」

大淀「初めにこちらの資料をお読みください。」

 

えーーーーーーっ。

なんだってーーーーーっ。

 

と、いう騒めきが講堂を支配するのは10分後の事だった。

演目に、提督の「恋の2-4-11」が入っていたからだ。

 

提督あんた、はっちゃけすぎ。

 

提督「うるせー、俺はもう迷わねーぜー」

 

何を

 

提督「悔いのない人生をおくるためにきまってるだろーがーーー。」

 

※※

 

満点回答ありがとうございました。提督さん。



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宇宙アイドル

0500 提督部屋

 

宇宙歴ハテハテ年、帝国歴ナニナニ年。

なんとやら海域にて、同盟のかんちゃら提督が、それそれを冒した。

これが、宇宙の(どこかに二つか三つある)銀河回廊に(何個か)存在する宇宙要塞を舞台とする「第二次(紅茶でびしょびしょ)要塞攻略戦」の発端であった。

 

、、、なんだこれ。

 

提督「はっ」

 

夢か

 

望月「ンアー」

 

瑞雲「どっかあああん」

 

提督「、、、まあ、瑞雲もね、戦爆だったのですけどね、ゲフンゲフン。」

 

望月「おーよどー、ケッコンカッコカリセイカツの邪魔しないでよねー。」

提督「ゴスツ」

 

望月小破により気絶

 

※※※

 

やぁ、おれも提督だよ、楊さんじゃあないんだけどね。イテテ。

夕べは治療の一環としてアニメを徹夜で見てたんだけど、そのせいであんな夢を

 

妖精さん「徹夜はだめ。」

 

わーったよ、っせーなー。俺は提督だよ?

 

、、、でさぁ、【Heldensagen von der Kosmoinsel 銀河ナニナニ伝説バイソーン】を見てたんだけど。

 

楊さんも Reinhard銀河皇帝も、つらかったんだねぇ。(楊さんのは半分自業自得だけど。)

見てる俺たちも感情移入しててつらたんなんよね。

 

泣けるわ。ヨヨヨ。

 

俺、ストーリー厨なんだけど、もっちーがキャラ萌えでさあ。

後でジュース飲みながら盛り上がったんだけど、どうも話が合わなくてさぁ。

もっち、キャラ萌えなんだね。

どーりで嚙み合わない、、、、とっ

 

総員おこーしの用意を開始だ。

もっちーは特別任務としてこのまま睡眠業務を命ずる。

 

望月「望月了解しました。痛いけど。」

 

あと、提督、社会の窓が、、その、、

 

※※※

 

0600 執務室

 

敬礼

 

長門「秘書艦代行の長門、業務をお返しします。大淀さん。」

大淀「大淀了解。いただきましたよ。」

 

大淀「はい、みなさん。おはようございます。いい朝ですね。」

全員「おはようございます。」

 

大淀「朝礼を始めます。」

 

大淀「提督さん。」

 

提督「あー、提督です。皆さん。休んでください。」

大淀「休め」

 

ざっ

 

提督「えー、任務の後での居残り練習、日々練習ご苦労様です。」

 

皆さん「ありがとうございます。」

 

提督「うー、第一回呉(ご)新鎮守府祭りの開催までいよいよ残すところ一か月となりました。」

 

提督「頑張っていいものにしませう。」

皆さん「了解。」

 

 

提督「大淀さん。各演目の再確認をお願いします。」

大淀「開会式として、深海棲艦司令と市長の挨拶、提督挨拶です。」

大淀「その後で平和行進と各演目の開催となりますね。お手元の資料をご覧ください。」

 

浦風「なんじゃこりあああああ。」

提督「あれ、今気づいたの。」

谷風「いや、浦風のヤツ、『那珂ちゃん提督』ってなってんのに驚いてんでさぁ」

 

皆さん「げぇえ、提督。」( ゚д゚)

 

提督「おれ、周瑜、提督嘘つかない」

大淀「ハーっ」ヤレヤレ

 

 

提督「これはしたり、妖精殿、今じゃ。赤壁艦隊提督として命じようぞ。」

 

妖精「妖精なんとかパワー、メイーかアーッ。」

くるりんちょ。

 

きっらりーんッ☆彡

 

皆さん「げぇえ、那珂ちゃん提督ぅうううう。」( ゚д゚)

 

 

 

那珂「那珂ちゃん、だよーっ。」

 

那珂ちゃんメイツA ( ゚д゚)

 

同B ( ゚д゚)

 

同C ( ゚д゚)

 

※※※

 

那珂ちゃん提督「えっとお、きょうからぁ、わったしがぁ、艦隊のアイドルだ、よーーーーん」

 

長門「あっ大淀さん、、、衛生兵さん、バケツを」

 

ざばぁ

 

大淀「ブルンブルン」

 

那珂ちゃん提督「大淀さぁん、眼鏡がずっれてる、よーーーん」

 

きっらりーんッ☆彡

 

※※※

 

提督「、、、まあ、歌ってる間しか『妖精なんとかメイカーッ』ができないのが弱点なわけだが。」

 

長門「やられました。ハイ。」

大淀「(眼鏡をついっと。)秘書艦もビックリです。」

 

提督「ふむん。これからよろしくお願いします。」

大淀さん「これにて朝礼を終わります。では、各艦は業務にかかれ。」

 

各艦「アッハイ」

大淀「ではなくて。」

 

各艦「了解。」

 

ざっ

 

提督「うむうむ。」

妖精さん「よきよき。」

 

※※※

 

第17駆逐隊は南極捕鯨業務である。

ダイハツ、じゃなかった第八駆逐隊は、とれた鯨の輸送業務。

 

そのほか、機雷除去業務、復員業務は雪風の編入した駆逐隊だった。

第16駆逐隊は雪風、時津風、初風、天津風の陽炎型駆逐艦4隻。

 

提督は、振り付けの練習を妖精さんと行っていた。

 

一方そのころもっさんは、、、、

いびきをかきながらも、「でべそ」をだしておならを、、、

 

望月「ぷうぅ」

 

深海棲艦のスパイA「新兵器や」

深海棲艦のスパイB「スカウトやで」

 

大淀「だが断る。」

 

スパイども「わー」

 

ツピュー

 

※※※

 

提督「そうだな、あえて言うならば『へ号』決戦兵器か」

明石「ですよねぇ、、、。」

 

望月「あの、、望月はもう、おきてるんですがぁ(;_;)」

 

※※※

 

妖精さん「今日も提督さんは元気」

 

提督さん「あい。」

 

メビウス博士「科学的に言うと、、、提督さんに拘わらず、各個人の情動が安定する要件は心理学者によって」

大淀「って、博士、どこから。」

 

提督「あの、、もしもし民間人の方? 許可証は?」

メビウス博士「このように統計推定の結果、どうちゃらがこうちゃらで、要するに、、、」

 

提督「憲兵さん、メビウスさんとおっしゃる民間のお方を出口までご案内してください。」

憲兵さん「あい。」

 

※※※

 

提督「知り合い?」

明石「科技顧問の方ですが、暴走気味なかたでして。」

 

提督「あっ、職員さんでしたか。」( ゚д゚)

明石「普段は優しくてよい方なんですよおっ。にこり」

 

提督「どうりで。」

明石「科学技術ろくろを廻す様が格好よい方ですよねっ。」

明石「にっこり」

 

提督「こうか?」

 

「バッ」

 

明石「いーえ、こうです。」

 

「ババッ」

 

提督「それだな。」

明石「はい。それです。」

 

アッハッハッハ

 



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ヲこのみ女王様

「皆さんお元気ですかぁ。

明石ですよぉ。」

 

「おは~。」

 

わたしってぇ技師ですけどぉ、博士って恰好いいって思うんですょお。

じ、つ、に、すってきですよねぇえっ。

 

提督「だから、なんで俺の部屋にいんの」

 

えっ

 

明石「一緒にろくろ廻しの練習」

提督「一緒にそんな事する約束はしてないはずですけど。」

 

明石「明石のお部屋にようこそぉ。んー。ε(イプシロン)」

 

妖精「それ以上はいけない。」

 

あと、防空警戒。

 

 

ドン

(キホーテ)

 

 

提督「遅かったんだよねぇ、ゲフッ。」

明石「やられましたねぇっ。フはッ」

 

爆撃により背中が煤けてる二人であった。

 

乳紐みえてんよ。

大丈夫かこいつら?

 

大淀「おーっほっほっほっ。私の勝利ですわねっ。」

 

大淀も大概だめ艦だな。

 

後、(キホーテ)ってなんだよ。意味が判んね。

 

駄目だ、こいつらには勝てねえ。

勝てる気がしねぇ。

 

※※※

 

「ガラッ」

 

長門「懲罰委員会だ、身柄を確保させてもらう。」

 

※※※

 

大淀「判決。兄弟ろくろの刑に処す。」

提督「まてまてまて、業務が滞るぞ。」

 

長門「兄弟ろくろの刑に処す。」

明石「それだけはやめてください。」

 

妖精さん「執行します。」

 

提督「うわわわわわわ」

 

廻るまわるまわる、まーわーるーーーーーーーーー

 

明石「いやあああああーーーーーーーー」

 

窓(TM) で、笑ってお死事(しじ)(R)ですかね。

リンゴくうか、齧られてるけどな。

 

わわわわわわわわわわわわわわわわわ

どっひゃああああ

 

顔面が blue screen により down する二人であった。

 

天罰覿面 (pray for your Life. : ご自愛下さい)

 

※※※

 

チーン

 

※※※

 

ところ変わって埠頭では、カラーガード隊の練習が行われていた。

 

 

吹雪ちゃん「みなさーん、用意は整いましたねーっ。いっきますよぉー」

 

吹雪嚮導艦「せーのっ、さん、はいっ。ん、あーさーのー」

十一駆逐隊「ひかーり、まーぶ、ーしく、てー」

 

吹雪ちゃん「うえぃ、かーっぷ」

 

※※※

 

長門「まてまてまて、そこは Wake Up でなくてだな、その。」

 

吹雪ちゃん「あっ長門さん、おはようございますぅ。」

初雪ちゃん「う。」

 

※※※

 

長門「あは、おあよう、フブキタン(*´Д`)」

 

提督「明石、長門さんを修理しろ。」

明石「了解、明石、長門さんを修理しますよぉ。」

 

長門「ややっ、提督さん、明石さん、これはおはようございます。」

長門「ってうわやめろ明石。」

 

※※※

 

物の数秒で長門さんの修理が終わった。

 

※※※

 

長門「ウェーイ」

11駆「ウェーイ」

 

長門「アンカァ」

11駆「アンカァ」

 

なるほど、修理か。

でもね、音程と音階が、その。

 

提督「こまけーこたぁもーーーいいーんだよ。けけけ。」

 

アッハイ

 

※※※

 

0630 朝礼

 

大淀「最近なにかしら淫らな行為をされた方は私にお申し出ください。」

提督「わたしされました」

 

大淀「最近なにかしら変な行為をされた娘の方は私にお申し出ください。」

全艦「了解」

大淀「では、いつも同りで。」

 

提督「あの、もしもし大淀さん?」

大淀「あっ提督さん。ちょうどよかった。今期の予算が」

 

※※※

 

提督「えっ、足りないの?」

大淀「その、ちょっと。」

長門「うーん。」

 

じょぼぼぼ

紅茶とメシです。提督。

 

(゚д゚)ウマー

 

提督「良し判った。足りないなら工夫するさ。大淀さん、(ヒソヒソ)。」

 

 

※※※

 

0900 某所にて

 

提督「<まんまんしょ>いらんかねー」

市民さん「あら、テートクサン。いつ見てもハンサムガーイねぇ」

 

提督「1円でーす。あざーす。握手会やるんでよろしおざーす。あと、越呉(えちご)のまんまんしょ問屋でーす。」

市民さん「朝からエッチねぇー、んもー。」

 

提督「あっあっあっ。おさわりは禁則事項ですので。これ以上は有料ってことで、、、」

 

市民さん「アテクシは10円だすデ」

市民さん「アテクシは15円ヤ」

 

提督「ニヨニヨ。これでええんヤ」

 

その時であった。

 

「バァアアアアアアアン(炸裂音)」

 

提督「(なんだ、なんだこれは)えらぁでかぁ音ですのぉ」

 

「ソノ勝負、マッタア」

 

(ユラユラユラ)

 

市民さん「ヲ級や」

市民さん「ヲ級さんやで」

 

提督「進駐軍さんですかぁのぉ。」

 

この勝負は、進駐軍さんの預かりとなったため、市民の預かりしらぬナニとなった。

 

※※※

 

提督「あの、その、あんっ」

レロレロ

 

※※※

 

長門「大淀、なんとかならないか」

大淀「っ」

妖精さん「任せて」

 

※※※

 

レロレロ

 

って。

 

深海棲艦ヲ級「どっひゃああああ」

 

ヲ級はひっくり返って悶絶してしまった。

妖精さんの「忍法くすぐりの術」である。

 

深海棲艦ヲ級「ひくっ、ひくっ。」

 

※※※

 

提督「おせーよ、もう少しでアレがナニされるところだったじゃんか。」

妖精さん「提督の過失」

 

提督「そうねー、あんなん想定外やデ」

妖精さん「無事でよかった」

 

提督「あんがと(パタパタ)」

妖精さん「ん」

 

提督「すげー性欲。さすがは私の深海棲艦様ですわ。」

妖精さん「さすヲ」

 

提督「刺され懸けたお」

 

まじですか。

あれ、、、提督の目がやる夫の目に、、、、。

 

提督「進駐軍の秘密を知ったお」

 

 

 

   / ̄ ̄\

 /   _ノ  \

 |   ( ●)(●)  <おっと、それ以上は言うなよ…

. |     (__人__)____

  |     ` ⌒/ ─' 'ー\

.  |       /( ○)  (○)\

.  ヽ     /  ⌒(n_人__)⌒ \

   ヽ   |、    (  ヨ    | そっ・・・

   /    `ー─-  厂   /

   |   、 _   __,,/     \

 

 

うんこのにおいがするぜーっ!

 




↓ヲこのみ女王様の元ネタ

(c) ビッグ錠 集英社「一本包丁満太郎」

参考資料(に、ならないかもw)

https://www.excite.co.jp/news/article/E1510203803441/

https://subnacchi.hatenablog.com/entry/2018/02/23/205935


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鐘がゴンとね。

ズドーンと、熱い毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
アテクシはヒジョーにダラダラしてます。

ダラダラしててもよくねーよなーと思い、奮起して書き上げた次第です。




※※※

 

聞こえてるか。提督。すまない。

カーター大佐が今、その、お話があるそうだ。

 

※※※

 

提督「提督了解。時と場所伝達願います。」

 

※※※

 

「新たなユニット、使用可能、新たなユニット、使用可能」

 

※※※

 

みーんみんみんみんみーん

 

提督「ん、なんかおかしいな」

 

みーんみんみんみんみーん

 

カーター元大統領ならしっているが、カーター大佐はしらん

(´・ω・`)知らんがな

 

※※※

 

どっかああああああんんんん。

 

え、( ゚д゚)大淀さん?

あれ・なに・カクミサイル?

和平プロセスはどうなったので、、、。

 

あー

うー。

 

※※※

 

どっかああああああんんんん。

 

「試合は Bratskiv NODE の勝利です。 GE DE I は敗れました」

 

※※※

デーンデデーンデデーンデンデン、デーンデデーンデデーンデンデン。

(I ama Kanegon man.)

 

チャット画面 「うむ。はつゆき NODE、つよいです。」

 

※※※

 

みーんみんみんみんみーん

 

提督「あーうるせー、あーあちーーーー」

 

深雪「う、うまい。アイスクリンがこれほどうまいとは、うめーなー。生きててよかったぜー。」

提督「これ、みゆきちさん、食べすぎですよ。」

提督「え?俺のは無いの・フーン」

初雪「初雪、勝負にかった。約束」

提督「( ´_ゝ`)フーン」

 

初雪「昨夜、提督と初雪がローカルエリアネットワークで【Kanegon man i Bratskiv】を仕合ったのである。」

 

初雪は華麗なる戦術で、提督を圧倒したのであった。

もともとNODEのバイクと軽戦車は、Kanegonの軽戦車を圧倒しているのであるが、提督は防衛戦術を駆使し、血べりうむタンクを駆使し、序盤を圧倒したかに見えたのだが

 

それは初雪の罠であった。

初雪は華麗なる戦術で、提督を圧倒したのであった。

 

デーンデデーンデデーンデンデン、デーンデデーンデデーンデンデン。

(I ama Kanegon man.)

 

初雪「初雪は、提督の陣営が整うまでは、バイクと軽戦車のみを量産し、提督の施設が整うとみるや否や、カーゴに技術者を満載し、提督の陣営に乗り込ませてこれを占領したのであった。」

 

デーンデデーンデデーンデンデン、デーンデデーンデデーンデンデン。

(I ama Kanegon man.)

 

デーンデデーンデデーンデンデン、デーンデデーンデデーンデンデン。

(I ama Kanegon man.)

 

提督「あ、どせいさんのスイッチ切り忘れてるぞ、初雪」

初雪「愛アマ鐘ゴンマン」

 

提督「明石さんたすけて(; ;)、話ができてないよ、こいつと」

初雪「愛アマ鐘ゴンマン」

 

提督「スイッチきるから、助けてよ。(; ;)」

提督「あと擦りよるな、みゆきち、あつい。はっつもだ。どけ。」

 

提督「あと、さっきから彩雲が、、、もしもし偵察機?そのオイル俺の体はって稼いだ銭でかったかしら?」

 

妖精「命令絶対、司令はイケメン、あくだ、あくだ、きょーわこくー」

 

デーンデデーンデデーンデンデン、デーンデデーンデデーンデンデン。でんでん

(I ama Kanegon man.)

 

提督「大淀さんタスケテ」

 

と、その時であった。

彼方よりの「カキーン」が間に合ったのである。

 

ざっぶううううん。

(はやてザブングル)

 

※※※

 

あーあー、カーター大佐?聞こえてますか。おれおれ、おれです。

 

すごいのが来ましたよ。ハイ。

明石のクレーンがカキーンとね。

そりゃあもう、凄いのを貰いました。

 

最近の懲罰委員会は即断即決。痴女艦を見つけたら容赦しなかったそうだね。ウン。

当直のブッキー以外の全員が海に叩きこまれたんですがー。

 

痴漢提督も見つけたら容赦しなかったそうだね。

俺のことだそうだけど。

 

あばよ、俺たちのアイスクリン。

アイスクリンまで捨てることないじゃない。モノに罪はないよね。

 

俺たちのアイスクリンですがー。

めっちゃ銭くぃましたんですが、あれー。

 

深海Haagen-Dazsっつうんんですがねー、、、。

、、、。ゆっくりして。いってねー。

 

 

※※※

 

デーンデデーンデデーンデンデン、デーンデデーンデデーンデンデン。でんでん

(I ama Kanegon man.)

 

Das Ende

 

※※※

 

あーあ。もう、暑さでうだって、頭がパーになってんよ。

せっかくの非番のお楽しみ会だったのに、、、。

 

※※※

 

まあ、俺たちのパレードは大盛況だったし、花火大会がもうすぐだし、あついを楽しみますかね。

皆様の提督さんですしおすし。

 

えー、外地の復員兵さんも続々と、内地にお帰りくだすったので。

ただいま当鎮守府のほこる温泉で慰労しておりますし。

 

うー。その。

 

ではまた。

 

どっとはらい。




いかがでしょうか。
ではまた。


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ぬぬぬ

※※※

 

本日は深海棲艦連合軍からの降伏宣言を受諾した日である。

多数の新型爆弾投下により、疲弊した臣民を慮った陛下が決断あそばされたのである。

 

臣民の中には、耐えがたきを耐えずに決起したものもいた。

例えば厚木(あついぎ)基地の反乱、例えば千島(せんのしま)列島の戦車第十一連隊

 

しかしながら多くの臣民は、陛下の決断あそばされた内容に涙で受容し、静かに従ったのである。

 

※※※

 

帝都からは台風が去った。

まんが祭りは大盛況のうちに終わったらしい。

 

※※※

 

提督ですよ。

みなさんおはこんにちは。あついひびがつづきますが、みなさんげんきでしょうか。

私はあいかわらず喧嘩したりわめいたりしながら艦隊指揮をしてマス。

 

みーんみんみんみんみんみー

 

※※※

 

望月「テートクー、アツイヨー、扇風機くらいつけなよー」

初雪「んだんだ。」

 

提督「空襲警報」

 

初雪「はつゆき、こげた」

 

提督「、、、もぉいいかげんだな。ゲフンゲフン」

 

長門「テンプレ展開あきらめなよ、バ艦隊。」

大淀「読者にあきられるよ。」

吹雪「えっ。」

 

 

※※※

 

大淀「本日の朝礼は以上です」

提督「あー、解散の前に、憲兵さんから、持ち物検査の指示がでています。」

 

初雪「えっ。」

望月「えっ。」

 

※※※

 

憲兵「それではいきますよ。あきつ丸さんお願いします。」

巻雲「しまった。」

 

艦隊の数が多く、なかなか摘発が続かない。

そのときであった。

ティアラがハレーションしたのは。

 

リズミカルにターンするイケメンがそこにいた。

提督のまわりに妖精さんがハリケーンのようにくるくる舞う

 

「でっで、でれ、でってでんてーん♪」

 

提督「提督なんとかハレイション、めーかっ」

 

「でっで、でれ、でってでんてーん♪」

 

提督の手にアイドル手袋が「ぼふん」

足にはブーツが装着されたのである。「ぽふん」

 

「でっで、でれ、でってでんてーん♪」

 

これすなわち、ティアラによる、ハレイションなメイカーッである。

知っている君はもう手遅れなアレな。

 

※※※

 

きっらりーん☆彡である。

 

流れ星ひとつ。

 

※※※

 

那珂提督「那珂ちゃん提督もボディチェック、いっくよーん。」

 

秋雲「ちっ、ハレイションかよ。強化されてやがる。」

那珂「にっがさないんだから、ねーっ」

秋雲「わぁお」

風雲「わぁお」

 

那珂「わあぉ、って、なんのことー。那珂ちゃん困っちゃったなー。にぱぁ。」

 

ばーん。

 

提督「妖精さん、ありがとう。」

 

※※※

 

大淀「漫画祭りと思しき薄い本を所持された方々は、あとで説教と懲罰があります。」

提督「以上解散、けけけけ。」

大淀「どか」

提督「あのー、なんで私がー、金玉けられるんですかー」

あきつ丸「けけけけ、が該当しますな。」

提督「アッハイ」

 

※※※

 

提督「、、、大淀、吹雪、長門、書類整備と計画書提出は完了したな。」

大淀「大淀完了」

吹雪「吹雪、7割程度」

長門「長門完了」

提督「吹雪分を確認する。大淀は長門分を確認せよ。」

 

※※※

 

大淀「1502、業務の完了を確認しました。」

提督「よし、では、長門、お茶をたのんでいいか」

長門「長門了解」

吹雪「私も、手伝います。提督」

提督「よし、お願いするぞ。」

 

※※※

 

妖精「ウマー」

提督「むぐむぐ、このワッフルもなかなかいいな。」

長門「この前の祭りで大量に仕入れることができましてね、むぐむぐ」

大淀「ああ、そうですね。ごくり。」

提督「(゚д゚)ウマー」

 

提督「さて、お墓参りにいきますか。各艦用意」

大淀「完了しています。」

提督「よきよき」

 

※※※

 

大淀「あの、提督。」

 

吹雪「お話があります。」

 

さいきん自虐的な行為はやめていただいているのですか?

 

提督「なんだよ。」

 

※※※

 

バアアアアン

 

明石「その話、ちおおおおっとまったあああああ」

姫「マッターアアアアア」

 

大淀「( ゚д゚) コレハコレハ」

大淀「占領部司令殿デハナイデスカー」

 

※※※

 

提督「敬礼っ」

 

ざっ

 

※※※

 

司令「すみません、私の配慮が足りずに部下が迷惑をかけました。」

提督「いえ、姫司令閣下、あれは、私の独断専行です。」

 

あきつ丸「提督か売春行為をした容疑については、大淀さんから報告が上がっています。」

提督「被疑」

あきつ丸「失礼、被疑があることについては、大淀さんから報告が上がっています。」

提督「証拠は」

 

大淀「私をなめないでください。」

 

大淀「妖精さん」

妖精「証拠一号、および、証拠二号」

 

提督「むむむ」

 

長門「なにがむむむだ!」

大淀「提督がむむむをすることによって誰も得をしませんが」

 

提督「あー、みなさん、横山三国志がスキナンデスネー」

 

※※※

 

明石「提督の行為は、病理学的にいうと自傷行為に該当しますが。」

大淀「でも、それですと治療の後に裁かれることになるんですよ。

 

提督「姫司令閣下、私はどうすればよかったんですか。」

提督「焼け跡を放置することは私にはできかねます。私のしたことで市民に迷惑をかけてしまいました。」

 

大淀「夏祭りイベントの予算不足は私の失態です。なぜ相談してくださらなかったのですか。」

長門「そうですよ、提督」

吹雪「です。」

 

提督「相談はした。私にいい考えがある。と。ここに記録がある、大淀の印鑑も押してある。」

大淀「つ」

 

※※※

 

姫司令「提督の行為はこうです。最初、彼は「まんまんしょ」(コイワシの天ぷら:古い広島弁)を売るつもりでした」

提督「、、、」

 

姫司令「かくかくしかじかで、私の部下が性行為に及ぼうと仕掛けたのです」

大淀「、、、」

 

姫司令「私の部下の不徳のいたすところであります。」

 

大淀「よくも提督を。」

提督「よせ。」

 

姫司令「いえ、提督、裁かれなければならないのは私です。私が部下を放任していた罪です。」

姫司令「どうぞ私を撃ってください。」

 

大淀「では、撃ちます。たまごめ用意」

大淀「打ち方用意」

 

吹雪「やめてくださいっ。」

 

明石「大淀さん、怒りでは誰も得しませんよ。大淀さんにとって一時のうさははれるかもしれませんが。」

大淀「、、、では、どうすればいいんです。」

 

提督「よさないか大淀。」

大淀「私は明石さんに質問しているだけです。」

 

(みーんみんみんみんみんみーん)

 

吹雪「皆さん、お茶を、お茶を飲みましょう」

 

姫司令「いえ、私のしたことで市民に迷惑をかけてしまいました。」

 

妖精さん「誰も悪くないです。閣下。」

 

吹雪「そうですよ。はい閣下のぶん」

 

※※※

 

吹雪「、、、どうして誰も飲まないんですか。せっかくのお茶なんですよ。」

吹雪「金剛さんのお茶なんですよ。」

 

(みーんみんみんみんみんみーん)

 

提督「、、、閣下、どうぞ。」

閣下「私の部下の不徳のいたすところであります。」

 

提督「おやめください」

 

※※※

 

???「あのー」

 

大淀「だれですかっ」

 

※※※

 

テルマ商会「誰ですかあいうても、はあ、わしゃあ出入りの業者ですがね。」

テルマ商会「テートクサン、支払いまだなんじゃがね。」

 

大淀「、、、」

 

テルマ商会「これ、麦酒はまったるけぇのみんさい。」

テルマ商会「べっぴんさんと色男が泣きっ面でけぇ、もったいなあで。」

 

吹雪「そうですよ。私から飲みます。」

 

ゴクリ

 

長門「おい、その、閣下の御前だぞ」

吹雪「毒見ですね、閣下の御前ですので。ぷしゅうううううう」

長門「、、、わかった。涙を拭いてからだな」

 

テルマ商会「ハンケチあげるけぇ、鼻水もふきんさい。」

長門「私は鼻水を出していたのか」

 

テルマ商会「ふきふき」

テルマ商会「はい麦酒、うまもんですけぇ。」

 

(みーんみんみんみんみーん)

 

※※※

 

それからは、親睦会の名目で、講堂でみんなが飲んだ。

(テルマ商会には気の毒だったが。)

 

※※※

 

望月「イーナー。もっちーも飲みたいなー」

あきつ丸「皆様には、梅ジュースです。」

 

望月「( ゚д゚)アッハイ」

初雪「どりこのが飲みたいのです。」

 

あきつ丸「あきつ丸だけに、あきまへん。」

初雪「( ゚д゚)アッハイ」

 



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近寄ると"いびせぇ"

おは。
俺様提督だよ。

呉にいこうデ。
みんなで。



テルマ商会「こんなにいらんよ、明細みたんかいね。」

提督「先日の親睦会のぶんも加算していますので。」

 

テルマ商会「はぁ、わしらからの個人的なナニカだったんですがのぅ。」

 

大淀「お気持ちはうれしいのですが、公務員法改正により、ナニがアレでして。」

テルマ商会「わぁお、たまげたのぉ」

 

テルマ商会「ワシのナニがアレになるけぇ」

 

テルマ商会「近寄ると"いびせぇ(ヤバい:古い広島弁)"けぇ。」

 

テルマ商会は手をふりふりとして、遠ざかった。

 

提督「貴君も意外とウブな方だ」

 

テルマ商会「はぁ、そりゃどうも。」

 

あっはっは。

 

(みーんみんみんみんみーん)

 

※※※

 

ひーふーみーよーこのーとー、もう一回、ひーふーみーよーこのーとー。

 

テルマ商会「確かに頂きましたよ。」

 

テルマ商会「そりゃあええんですが、最近復員兵さんらが悪さしよるけぇ、こまるんじゃがねぇ」

 

提督「え?」

 

テルマ商会「なんでも、けん銃もって深海棲艦らに喧嘩売ったりしよるげなで」

 

提督「わかりました。対処します。」

 

(みーんみんみんみんみーん)

 

※※※

 

提督「大淀、なぜだまってた。」

 

※※※

 

提督「もう一度いうぞ。大淀、なぜだまってた。」

 

※※※

 

提督「、、、もういい大淀。貴艦には問わない。」

 

提督「吹雪、軽車両をだしてくれ。偵察にいくぞ。」

 

※※※

 

提督「吹雪、、、お前もか。」

提督「では、私みずから運転しよう。妖精さんたのむ」

 

※※※

 

明石「提督、待ってください。提督の修理はまだ終わっていません。」

提督「工作艦明石、意味が分かるように説明したまえ。」

大井「工作艦大井が説明するよ。」

提督「よろしい。」

 

※※※

 

メビウス博士「私が説明しますよ。科学的にね。」

三人「わお。」

 

( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)

 

メビウス博士の科学的説明は、長い。

かいつまんで言うと、提督が行動を行おうとすると、彼の精神的外傷がよみがえる危険があるのであった。

 

メビウス博士「以上です。」

 

提督「分かりました。では、私の偵察は、今後の公務に差し支えがある危険があるということですね。」

提督「大淀、それであっているのか。」

大淀「はっ」

 

提督「吹雪、それであっているのか。」

吹雪「はっ」

 

※※※

 

大井「提督さん。お客さんだよー。」

 

提督「どなたですか。」

 

 

※※※

 

「わぁお、たまげたのぉ」

 

( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)

 

「すみません。」

 

姫司令であった。

 

※※※

 

提督「司令、スコーンをどうぞ。」

司令「おかまいなく。」

 

(じょぼぼぼぼぼぼ)

 

提督「それでは、原因の一端は深海棲艦側にもあると。」

大淀「すみません、提督。そのとおりです。」

 

大淀は偵察情報の入っている16mmテープ媒体を取り出した。

映像投射機により、再現された偵察情報には、深海棲艦が町内の男性に性的いやがらせをしている姿が映し出されていた。

耐えかねた一部の復員兵と市民が、深海棲艦と銃撃戦をしている姿も。

 

姫司令「本当に申し訳ありません。部下は厳罰に処しましたので。」

提督「司令、待ってください。それでは問題の解決になっていません。」

 

市長「そのとおりです提督さん。」

 

提督「市長さん」

市長「加害者側に罪の意識がなければ、またやってしまいます。」

提督「はい、艦娘兵器派もそうでしたね、市長」

市長「はい」

 

姫司令「どうすればいいのか。教えてくださいますか。」

 

大淀「それはあなたが考えるべき問題でしょう。占領軍司令として。」

提督「大淀、その発言は許可しない。司令だって人間だ。完璧ではない。」

 

大淀「なぜですか。」

提督「深海棲艦も人間だからだ。」

 

姫司令「もうしわけありませんでした。」

提督「頭を上げてください司令。そもそも、どうして深海棲艦は人類の男子に欲情してしまうかという問題を考えましょう。」

 

吹雪「発言許可を、提督」

 

提督「許可」

 

吹雪「私が昔、深海棲艦だったころ、司令への愛を強く意識していました。」

大淀「続けてください。」

 

吹雪「はい、多分ですが、情動の抑えが効かない体になっているのではないでしょうか」

 

メビウス博士「科学的にいうと、深海棲艦の身体内部では(一般に地球人類と比して)情動のゆさぶりが激しいことがわーかっています。」

明石「(素敵です)博士。」

メビウス博士「おそらく性愛情動も、我々人類よりも激しく揺さぶられるだろうと推論します。」

 

吹雪「そう、ですね。私、提督でごはん食べてましたから。」

大井「わたしもだー。ごはん三杯はいけたね。」

 

提督「おまえらあとで説教な。」

大淀「はっ。」

 

大井と吹雪は「ギヌロ。」と睨まれた。

 

姫司令はうつむいたままであるが、発言した。

 

姫司「私達は、あの戦争の末期に勝利を確信した際に、その欲望を開放しました。」

 

姫司「カエリタイカエリタイカエリタイ」

姫司「これでかえれる。かえれた。」

姫司「その結果、人類として生まれ変わったわけです。」

 

提督「司令、どうぞ頭をお上げください。」

 

提督「私はあの戦争の初期段階から、あなた方を人類として認識していました。」

 

※※※

 

提督はソロモンの戦いで、水雷戦隊を率いたことがある。

その際に俘虜として深海棲艦を数人尋問したのだが、その結果、彼女たちを化け物としてではなく。

 

「恨み、つらみ、悲しみ」を持った普通の人間だ。

 

という結論に達していたのだった。

 

※※※

 

提督「だから、今一度言います。司令、どうぞ頭をお上げください。」

司令「うわぁあああん」

提督「司令、どうぞ頭をお上げください。」

 

その場にいた全員がもらい泣きをしたため、室内のデシベルが長門なみに上昇した。

長門は内海沖で公務中だったのだが

 

※※※

 

「はっくしょん。」

 

※※※

 

この後、またしても親睦会になった。出入りの業者が「ニマニマ」するだろう。

 

親睦会には、あのヲこのみ女王や、その他の加害者と、呉市民の被害者を交えた、壮大なものになったのだ。

 

※※※

 

ヲこのみ女王「ぐすん、うちがわるかったけぇ、ゆるしてつかーさい。」

その他a「うちもわるかったけぇ」

その他b「ずびばぜん」

 

※※※

 

提督「意外と泣き上戸なんだ。(ぐびぐび)」

姫司令「そうですね(ぐびぐび)私も指揮に苦労しました」

提督「Ha Ha Ha」

 

なんだか和む提督と姫司令だった。

 

が、しかし、ここで浦風登場。

 

ばん

提督は腹パンされた。

「く」の字になる提督。

 

浦風「こりゃ、姫司令、雰囲気つくってからに。」

姫司令「そうですね」

 

浦風「そうですね、いやーえーか、おもぅて(ぐびぐび)ぐすん。」

 

提督「泣きむし艦はっけーん(ぐびぐび)のみんちゃい。」

 

浦風「提督のバカ。もうしらん。うわーん。」

 

 

※※※

 

某出入りの業者「(儲けたデ)飲んでつかーさい、たっぷりありますけぇーのぅ。」

 

「ニマニマ」

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

テルマ商会「しめしめ、もうけたデ。」

 

 

 

 




んじゃまた。


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麦酒まだ飲むんか

※※※

 

ここは復員省、技術工廠である。

現在、提督と明石が無線機を操作していた。

 

ザッ…

 

「警邏中の各車両に告げる。ザッ…通り<ピー>にてG事案発生。」

 

提督「明石、聴いたか?」

明石「G事案ですね。」

 

※※※

 

G事案とは、General Head Quarters 事案である。

General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied Powers

つまり、現在時刻において、深海棲艦連合国軍最高司令官総司令部にまつわる何らかの事案がどこかの通りで起きている事を意味していた。

 

明石「大淀より入電!」

 

大淀「ワレホンドオリニチョウメヲテイサツチウ」

 

大井「最近また増えてるね…┐(´∀`)┌」

 

明石「あっ( ゚Д゚)」

 

明石「提督さん、どこに( ゚Д゚)」

 

※※※

 

提督は、鏡の世界を潜り抜けている最中であった。

すなわち、鏡男の誕生である。

鏡男は現代科学のエキスパートたちを集めた調査組織とは関係ありません(ネンノタメ)

 

 

鏡の世界をくぐり抜けるということは、すなわち。位相空間(x,y,z,t)を一度転移して後に、再び(x+dx,y+dx,z+dz,t+dt)に戻ってきたのだと推測できる。

 

ともあれ、今の提督は、光学的な鏡面反射を行い、いわば「テイトクサン」から「ンサクトイテ」ともいえるナニカになっていたのである。

 

※※※

 

一方ここは、呉(ご)本通り二丁目

 

復員兵A「おんどりゃあ、毎日毎日、ええかげんにせぇや。ぶちころしちゃるけぇのぉ」

深海棲艦B「ころせるもんなら、はようころせいや」

 

復員兵B「聞いたか。」

復員兵C「聞いたで。」

 

復員兵A「ステゴロでやろうや。わしらからハジキ捨てるけぇ。おまえらもこいや。」

 

復員兵A「どさっ」

復員兵B「どさっ」

復員兵C「どさっ」

 

深海棲艦B「私は最初からその気です。」

 

復員兵A「なめんなや。どかっ」

深海棲艦B「うるさい。ばきっ」

 

復員兵A「いたいの、わりゃ。ばこっ」

深海棲艦B「お互い様です。ぼくっ」

 

※※※

 

市民「おまわりさん、たすけてください。お店がこわれてしまいます。」

巡査「すみません。私達じゃ何もできない決まりなんです。」

市民「なんでなら。現実被害がでとるんで。」

 

巡査「ただいま占領軍司令殿に伝達中です、しばらくお待ちください。」

市民「なんなら、クソおまわり。なんとかしてくれいや。」

巡査「すみません。私達じゃ何もできない決まりなんです。」

 

市民「それしかなあんか(# ゚Д゚)」

 

※※※

 

乱闘は小一時間続いていた。

 

深海棲艦B「ばきっ、どかっ、どかっ。がつっがっ」

復員兵A「…どうやら、ワシを怒らせたようじゃのぉ。柔道使わせてもらうで。」

 

復員兵B「少尉さん、やめんさい。そりゃステゴロじゃなあで。」

復員兵A「軍曹、わしゃ、はぁ我慢できん。」

 

復員兵A「こいや、無法者が」

深海棲艦B「それは、私のセリフです。」

 

謎おやじ「おふたりさん、いつまでけんかなさるんかのぉ」

 

復員兵A「五月蠅あけぇ、黙りんさい」

 

謎おやじ「五月蠅いのは、あんたらじゃが。」

 

深海棲艦B「今すぐ終らせます。」

 

謎おやじ「べっぴんさん、復員兵さん、周り見てみんさい(; ・`д・´)

「子供泣かして迄、せにゃいけん喧嘩なんかの。」

 

(どかん!)

 

深海棲艦B「うわあ。( ゚Д゚)」

 

復員兵A「( ゚Д゚)なんじゃ、なにしよんなら。とっつあん。」

 

謎おやじは、大きな樽を投げ飛ばし、それで二人の間をふさいだ。

二人は腰砕けになったみたいだ。

 

※※※

 

謎おやじ「麦酒飲みんさい。こりゃあ麦樽じゃ。」

 

※※※

 

復員兵A「っさぁのぉ、関係なぁもんが、しゃしゃり出てくんなゃ」

謎おやじ「あ、ほーか。ほいなら兄貴さんは飲まぁでええよ。飲みとぉ無ぁ者に、分けてやるブンは無あけぇ。」

 

※※※

 

深海棲艦B「いただきましょう。」

謎おやじ「よしよし、別嬪さん、えらい。かんぱいじゃ。」

 

復員兵A「(ゴクリ)だ、だれも飲まんたぁ、言うちゃあおらんので…」

謎おやじ「よしよし、少尉さん、かんぱいじゃ。」

 

復員兵A「元…、じゃけぇ…。…今はタダののやくざもんじゃけぇ。」

 

謎おやじ「よしよし、元、少尉さん、タダのやくざもんさんも、かんぱいじゃ。」

 

※※※

 

深海棲艦B「市民の皆様、申し訳ありませんでした。」

復員兵A「申し訳ありませんでした」

 

謎おやじ「子供らにゃ梅ジュースがあるけぇ、あんたらも、飲みんさい。(/・ω・)/」

 

子供「やったー(^O^)」

子供「わーい(^O^)」

 

巡査「ぐぬぬ。本官は公務中なのである(#^ω^)」

 

※※※

 

鏡おとこ「ありゃ、問題は解決しとるデ、鏡おとこいらんがな(#^ω^)」

 

※※※

 

謎おやじ「物陰提督さん、あんたものむか。」

鏡おとこ「なんのことですかな、私はただのンサクトイテですが。」

 

謎おやじ「ほうか、なら麦酒はなしか。」

鏡おとこ「俺、ンサクトイテ。麦酒、好き好き」

 

謎おやじ「ほうか、なら麦酒のもうで。ンサクトイテさん。」

 

※※※

 

謎おやじとンサイトクテ。

じゃなかったンサクトイテ

 

は、小一時間飲みながらも市民のみなさんと一緒に、喧嘩の痕跡である瓦礫を修復した。

 

巡査は、公務が終了したので、姫司令たち、占領軍と合流した。

深海棲艦Bは、深海フラダンスの刑を、復員兵達は、街角修復の刑をいいわたされた。

 

※※※

 

おーしつくつくおーしつくつく

 

またしても宴である。

 

組み立て式「ゼロ戦」(零式艦上戦闘機の事)が子供たちに配られた。

子供たちはみな大喜びで発射している。

 

大人たちは、深海フラダンスに鼻の下をのばしていた。

 

※※※

 

浦風「妖精パワー、キレ取るデ」

提督「アレ、ホンマジャ」

浦風「あんなんに鼻の下のばしてからに…」

浜風「提督、早く仰ってくだされば、私達で可能でしたのに」

提督「アレ、ホンマジャ」

 

谷風「どかっ」

 

提督「あー、イテテ。」

「たにかぜさん、そのー、頭突きは反則よ?」

 

※※※

 

盛夏である。

しかし、「みんみんぜみ」から「つくつくほうし」にそろりと交代しつつある夏の夕べではあった。

宴の夕べ。

 

ソロモンの思い出。

雪風の奮闘。

陸戦隊の闘いと玉砕。

俘虜交換

 

泣き笑い、語りあったこの夜を忘れない。

そんな夕べではあった。

 

おーしつくつくおーしつくつく

 

 

 

 

 



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縦、縦、縦

残暑の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。


※※※

 

提督「あー、線形代数の講義は以上です。」

提督「何か質問はありますか。」

 

(シーン)

 

※※※

 

復員省に管轄が移ったとしても、教育業務は引き続いているわけで、盛夏の教室での講義はつづいていた。

居眠りしている甲型駆逐艦を除いて。

 

※※※

 

「月面宙返り的な水晶の合力、化身上昇ッ」

 

暑さにだれている雰囲気にいらついた提督は、キガツクト、バイド、もとい、メイクアップをしてしまっていた。

「ツカハラの神技」、「宇宙遊泳」等と讃えられた空中技、すなわち、ムーンサルトである。

 

すね毛がムーンサルトをする。

 

水晶の発振により空間がゆがみ、提督の重心に合力が整う。

微分方程式を美しく簡略化した演算子、それは、すなわち、線形代数ッ

 

足柄「衛星に代わって、懲罰よッ。」

 

化身は上昇し、ティアラの代わりに、チョークを持った重巡洋艦足柄提督がまさしく今、顕現した。

 

その刹那「ばちん」と響くその音は、瞬きのそれか、20.3サンチ砲の轟きか、駆逐艦には認知ができなかった。

 

足柄「あらぁ、休憩時間かしらん。」

「10分後は、歴史かしら、頭冷やしててね、甲型さん」

 

甲型さん「やだぁーもうー、避けれなかったぁ痛ったったぁ」

 

※※※

 

ぷっぷっくぷー

 

※※※

 

甲型「起立、礼っ」

提督「はいみなさん、歴史ですね。それでは時津風さん。」

時津風「はいしれぇ」

 

提督「線形代数の時と違い、いい返事ですね。けけけ。」

時津風「しれぇ、本日は、遣欧作戦についてですね。」

 

提督「参考資料を読んでください。時津風さん」

 

※※※

 

提督「ありがとうございました。」

時津風「はいしれぇ」

 

提督「ご存じの通り、第一次作戦にてウルツブルグレーダの導入に失敗したわが軍は、後逸の憂き目に沈みます」

提督「帝国海軍では科学の力を軽視した結果、我々は列強に敗北しました。」

 

提督「時津風さん。」

時津風「はいしれぇ。」

 

提督「線形代数も科学の力なので、あとで居残りですね。けけけ。」

 

時津風「はいしれぇ。(^O^)」

 

提督「(^O^)じゃねぇよ、ごきっ」

時津風「ずびばぜんでじだ」

提督「泣くな。後で梅ジュースやるから。」

 

天津ん「いーなー」

提督「おっ、おまえも来るか、線形代数、おもしれえぞ。」

 

※※※

 

ぷっぷっくぷー

 

※※※

 

提督「カッカッカッカッ」

提督「よし、これだ。わかるか。あまつんならわかるよな。」

 

天津風「了解。では解きます。カッカッカッカッカッ」

提督「ちがうちがう、こうだ、カッカッカッカッカッ」

 

天津風「こうですか、カッカッカッカッカッ、天津風わかりません。」

 

提督「たてたてたて、よこよこよこ、ここだ、間違えてるところは、カッカッカッカッカッ」

 

天津風「たてたてたて、よこよこよこ、たて、、、、hoge...」

 

提督「あー、もー、ちょっち休憩な。妖精さん、梅休憩」

 

妖精さん「あい」

 

天津風「ウマー」

時津風「ウマー」

 

※※※

 

ぷっぷっくぷー

 

※※※

 

まあ、そんな日々もあるにはあるのである。

捕鯨小隊も、もうすぐ帰艦してくるだろう。

 

 

 

 

 




あづいのでこれが限界でつ。
もやしみ。


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降伏文書調印

その所在地に関わらず日本軍全軍へ無条件降伏布告。全指揮官はこの布告に従う。日本軍と国民へ敵対行為中止を命じ、船舶・航空機、軍用非軍用を問わず財産の毀損を防ぎ連合国軍最高司令官及びその指示に基づき日本政府が下す要求・命令に従わせる。


ぷっぷくぷっぷっぷー

 

※※※

 

浦風「ちいと質問じゃ。提督さん」

提督「なんじゃ。」

浦風「どおして、深海棲艦占領軍と、日本政府が調印したんじゃ?」

提督「お、ええしつもんじゃの。」

 

※※※

 

提督「本来、政府対政府の交渉事とすべきだが、なぜか、軍と陛下の交渉事にすりかわっとるけぇ、そこがしりたいっちゅうことじゃの」

 

浦風「うん。(#^.^#)」

各艦「じーっ(こくこく。)」

 

 

提督「おっ、食いつきがええのぉ。(#^.^#)」

 

提督「そ、の、こ、た、え、は。」

 

各艦「(うんうん。)」

 

提督「深海政府が深海連合軍に委任したからじゃけぇといわとるデ」

 

浦風「ぬ、ぬなー。」

 

各艦「( ゚д゚) ナンジャ ソリャア」

 

 

※※※

 

ぷっぷくぷっぷっぷー

 

※※※

 

提督「続きはまた来週な。」

 

浦風「起立、礼ツ」

 

全員「ありがとましたっ」

 

※※※

 

提督「うんうん、よきよき。」

 

大淀「大淀です。すみません。事案です」

 

提督「ん、第三会議室だな。」

 

※※※

 

提督「ぬ、ぬなー。」

 

大淀「そうです、姫司令は昨日付けで罷免されました。」

 

提督「( ゚д゚) ナンジャ ソリャア。」

 

提督「(#^ω^)ピキピキ」

 

大淀「(さっ。)」

 

提督「通せ。」

 

大淀「長門さん呼びましたよ、私」

 

提督「ふん、大淀にしては上出来だな。」

 

大淀「(#^ω^)オセジドウモ 」

 

※※※

 

長門「提督、考えてくれ、私達に出来ることは、もうない。」

 

提督「二人とも、考えろ、何かあるはずだ。」

 

※※※

 

ぷっぷっくぷ~

 

※※※

 

提督「ふむゥ。何もなしか、この能無し艦娘め。」

大淀「あら、では何か妙案がおありで。提督めめ。」

 

提督「ぬぬぬぬ。」

 

長門「大淀、へんなあおりいれんな。提督さんが(#^ω^)ピキピキしとるで。」

 

提督「ながもんはん、広島弁うつっとるデ」

 

長門「あっ、わたしとしたことが(#^ω^)」

 

(ガラッ)

 

吹雪「紅茶の時間ですよっ、みなさんっ(#^ω^)マタケンカシテカラニ 」

 

※※※

 

提督「ふぅ、、、」

 

各艦「んまーい。」

 

長門「こんど ヴラジボストーク基地からソビエト紅茶を仕入れよう。」

 

提督「おっ、いいねっ長門。ヴェル子、生きてるかな」

 

大淀「元気にやってるようですよ。」

 

※※※

 

提督「さて、何かないかな諸君。」

 

提督「では、小職に妙案がある。」

 

各艦「ぬぬぬ。」

 

提督「先ずは現状確認することだ。司令部に上陸許可を求めよう。」

 

※※※

 

大淀「司令部より打電、ナニヨウカ・ワレニヒマナシ」

提督「新鎮守府より返電せよ。エッケンシタキ、ギ、アリ。オチャナドイカガ?」

大淀「了解、エッケンシタキ、ギ、アリ。」

提督「大淀、つづきだ。」

大淀「了解、オチャナドイカガ?」

 

※※※

 

大淀「( ゚д゚)あっさりとおしてくれちゃってからに」

提督「まあ、竹原のウヰスキーやらブランデー茶を断る占領軍じゃなかろうよ。」

大淀「…(眼鏡をつぃっとね)へー。そーですかー。」

 

※※※

 

提督「ソウナンスヨ」

 

大淀「で、費用はいかほどナンスカネー」

 

※※※

 

提督「なに、実家のアレをヨッとね。」

 

大淀「うっわ。」

長門「きったね。」

 

吹雪「アレって何かしらドキドキ」

 

(続く)



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閑話休題

秋です。みなさんぜひ自営業者のお寿司やさんに行ってください。

所謂、大将のいる店です。職人さんともいいますよね。

戻り鰹の季節ですし、なにより刺し盛りを頼むと、旬のお魚がお安く食べられます。

 

広いひろい太平洋の各諸島を有する我が日本は、近年、周辺諸国との関係が悪化しています。

 

その背後に潜む影は、恨み言なのですが。もう、すでに過去の話なのですよね。

 

この、恨み節の背景には、私的に思うところでは、お互いがきちっと納得のする「けじめ」のない、曖昧な講和をしてしまったことに原因の一端があると思っています。

 

茫然自失の状態の本営、屈辱にまみれた宮家、そこにコーンパイプのヤンキー軍人が、国を代表して、講和を行いました。本来なら国と国の戦いなのに関わらずです。これは我が国にとって不幸な出来事だったと思います。

 

※※※

 

私たちは戦後世代です。

焼け跡闇市を、占領時代の横暴を、真の貧困を知りません。

 

真の貧困体験を無かった事にしたいのは、山々ですが、忘れるのもどうかと思います。

 

※※※

 

素敵な小説を読んだ後は、自分も挑戦したくなりますよね。

艦隊これくしょん小説は、いつか書いてみたいと思ってみました。

試しに書いてみたら、もどかしくもあり、楽しくもあり。

私にとって新鮮な体験でした。

 

※※※

もともと海軍の軍人さんは好きでしたのですが艦隊これくしょんで再熱しました。

私の好きな作品と主人公は以下の通りです。

 

・サクラ大戦の大神一郎

・同じく大河進次郎

・松本零士版宇宙戦艦ヤマトの土方提督

・同じくキャプテンハーロックと大山寿朗

 

・三国志の周瑜提督

・阿片戦争の名もなき提督

・艦隊これくしょん経由で知った、たくさんの名提督。

 

以上です。

 

※※※

 

艦隊これくしょんの威力はすざまじいもので、擬人化して覚えると

あっというまに知識を入力できてしまいます。

 

田宮のガイドブックでは、文字の羅列なので、いつの海戦で何がおこって

どの艦隊が壊滅したか、すぐにわすれてしますのですよね。

 

私の好きな艦娘は

 

まあ、タグのとおり駆逐艦編重なんですが、第八と第七は、今後書いてみたくはあります。とくにキタコレ娘と、クソ提督娘

 

ぜったい描き切ります。エタニティの彼方に沈ませてたまるものですか。

 

俺は、艦これか、すきじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。

 

以上おわり。

 

ではまた。

 

 

 

 

 

 

 



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