仮面ライダー 黒陽伝説 (黒太陽)
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プロローグ

グロンギ語は面倒なので勘弁してください。


遥か古

 

薄暗い洞窟の中、蠢く影が一つあった。

影の周囲には怪しげな薬、不気味な道具があった、実験室なのだろう……そして中央の台座には異様な物体が横たわっていた。

 

?「興味深い」

白いフードを被っているその者は物体を眺めつつ呟いた。

横たわる物体は全身を異形な姿で覆っておりその姿はまさに化物……いや人の形をしているから怪人か……

 

?「我らの技術とは違う方法で進化をしてきたのか……まさか我らの怪人と同等とは……「グロンギ」か、我らから干渉はせぬが牙をむけてくると厄介だな」

 

?「だがやつらは妙だが人間しか殺さない、しかも大量虐殺ではなく数がまちまちだ、ルールがあるかのような殺し方……意図はわからんが少なくとも我らには害は無かろう」

 

フードの者が怪人を見て呟く、その時どこからか声が聴こえた

 

??「ダロムよ……」

 

声は名を呼んだ、白いフードの者が驚き答える

 

ダロム「そ、創世王様!?」

 

ダロムと呼ばれる者は予期せぬ事に驚きながら主の名を口にする、同時に遠くで爆発音が聞こえ実験室を揺らした

 

ダロム「な、何事だ!?」

 

創世王「ダロムよ、今グロンギ族の攻撃を受けておる、怪人では敵わぬ強さよ」

 

ダロム「なんですと!しかしグロンギが攻撃をしてくるなど……」

 

ダロムは驚きの声をあげ不思議に思っていた、グロンギはルールで人を殺すだけの存在だ、我らを狙うなどあり得ないと。

 

創世王「攻撃に来ているグロンギはそこに居るのとは別の存在のようだ、はぐれグロンギとでも言うべきか、奴らの狙いはキングストーンだ」

 

ダロム「なんですと!なぜ奴らがキングストーンの事を!?」

 

創世王「わからぬが、余のキングストーンが何かと共鳴している、おそらくキングストーンに近い物を持つ者がいるのだろう、今はバラオム、ビシュム、ビルゲニアが相手をしている、ダロムよお前も向かうのだ」

 

ダロム「はっ!」

 

創世王の言葉に質問をしたい衝動にかられたが今はそれどころではないと感じ返事をする。

 

フードを翻すとその体は透けていきダロムは実験室から消えた。

 

 

 

 

洞窟より少し離れた場所で激しい攻防が繰り広げられていた、ダロムと同じフードを被った二人と甲冑を纏い剣と盾を持った者達と戦っていたのは人間の姿をした四人の男女だった。

 

バラオム「むぅん!」

 

バラオムの手から怪光線が出る、難なくかわした男は殴ろうとするが避けられる、ビシュムも同じ状態が続いていた。

 

ビルゲニア「はぁぁ!」

 

ビルゲニアの剣閃が敵を切り裂く

 

?1「#$€%」

 

切られた男が何かを言っているが理解出来ない言葉にビルゲニアは苛つきながらさらに攻撃を加えていく

 

今戦っている敵は男二人と女一人、もう一人いる男は座って見ているだけだが時折口元が妖しくつり上がっている

 

バサッ

 

そこへダロムが駆けつける

 

ビシュム「何をしていたのです!」

遅れてやってきたダロムに一喝するビシュム

 

ダロム「すまん……こいつらか……確かに普通のグロンギとは空気が違う、貴様ら!何故キングストーンの事を知っている!答えろ!」

 

ダロムの言葉に一瞬戦いが止まる

 

ビルゲニア「無駄ですな」

 

ダロム「何だと?」

 

ビルゲニアの言葉にダロムが言葉を返す、その直後座っていた男から言葉が飛んできた

 

?2「#%€$&#$€%#&€%$#$」

 

聞いた事の無い言語、それを聞いてダロムはしまったと感じた、グロンギの言葉は異質で理解出来ていない事はわかっていたからだ

 

ビルゲニア「お聞きの通り、我らには奴らの言葉が理解出来ないようです」

 

ビルゲニアの言葉に若干苛立ちを覚えながらもダロムは叫んだ

 

ダロム「もうよい!奴らは我らゴルゴムの敵、創世王様の敵だ!殺せ!」

 

ダロムの怒声が響く、再び攻防が始まろうとしたときビシュムの相手の女が喋りだした。

 

?女「ナ…ラ……ホン…キ……ダセ……」

 

片言で分かりにくかったがたしかに我らの言語で話している

 

ビルゲニア「ほぅ我らの言語を一応は話せるのか、よかろう切り刻んでやろう」

 

ビルゲニアの感心した言葉をよそにダロム達はお互いに顔を見合せ頷く

 

ダロム「我らが力の源、天地海の石よ我らに力を!」

 

バラオム「おぉぉ!!」

 

ビシュム「はぁぁ!!」

 

ダロムの詠唱と共にバラオム、ビシュムの咆哮が上がる、石から放たれた光に包まれた三人、光が収まるとそこには異形の姿となったゴルゴム三神官の姿があった

 

ダロムは三葉虫、バラオムはサーベルタイガー、ビシュムは翼竜の大怪人となる

 

その姿を見たグロンギ達は不気味な笑顔を作り体に力を込める

 

肉体が変貌していく、細胞が変化し新たな肉体を形成する、変異が完了した姿はダロム達と同じく異形だが質の違うものである事は明らかだった、座るグロンギの男は変わらず笑みを浮かべ様子を眺めているだけだが全く動じないその姿にダロムは少し不安を覚えたが

 

ダロム「奴らの目的を吐かすには一人で充分だ他は殺せ!」

 

そんな感情を振り捨て命ずる、殺せと、見た所奴らは四人しかいないほかに仲間はいないのだろう、あの喋れる女から目的を吐かす為に生かす、無論痛め付けはするが、他は用無し、だから殺す

 

ビシュム「くらえ!」

 

女?「がぁ!」

 

互いに本気になり戦いはより激しさを増す、互角の戦いのようだがビルゲニアだけは違い相手が本気になったにも関わらず優位を保っていた

 

ビルゲニア「ふん、本気を出してもこの程度か!この世紀王ビルゲニアの敵ではなかったな!」

 

ビルゲニアの剣閃が敵を切り裂く、グロンギの反撃も盾で防ぎ再び切り裂く、攻撃を全く受けないわけではないが戦況はビルゲニアが優勢だった

 

ダロム「貴様は変身せんのか?」

 

ダロムは近づきながら座るグロンギに問う、ダロムを見ながら男は何かを言いたそうに口を開いたが考えたような仕草をしたあと再び笑顔を作りダロムを見る

 

不気味な奴め、と考えながら残り数メートルまで近づく、近づいて締め殺してやるとさらに歩を進めた時異様な力を感じたじろいでしまった

 

ダロム(こいつ、なんという禍々しい力を放っている!)

 

ダロム「かぁ!」

 

近づくのは危険と判断したダロムは超能力を放つ

 

バシュ

 

ダロム「何!?」

 

超能力は男の前で弾けて消えてしまう、男は妖しい笑みを浮かべダロムを見る、効かないと言っているように・・・

 

男??「#€$%€$#&%€&€$##%€」

 

男は何かを喋り立ち上がる、その様子を見てバラオムと対峙していた怪人が慌てたように叫ぶ

 

怪人???「€$%€&%&#$&€&%#」

 

男??「€$#%$%$%」

 

男が話終えると男の回りから衝撃波が飛んだ、それは正確にダロム達だけを捉え吹き飛ばした

 

ビルゲニア「ば、ばかな!」

 

ビルゲニアが驚愕の声を出す、三神官も驚きの表情で男を見る

 

男が手をかざし力を込める、するとダロム達の体が一瞬で燃えだした

 

バラオム「うおおぉ!」

 

男??「ハハハハハハハハハ」

 

のたうち回るダロム達を見て男は笑う、そして止めを刺そうと再び手をかざしたその時

 

?「待てグロンギの戦士よ」

 

どこからともなく声が聴こえる、そしてダロム達を黒い光が覆い炎を消した

 

ダロム「そ、創世王様!」

 

創世王「ダロムよお前達では勝てん余に任せよ」

 

ダロム「不甲斐なき我らをお許しください」

 

創世王「構わぬ、共のものならばお前達でも任せられるがこやつだけは別格だ、その力余に匹敵するやもしれん」

 

ダロム「な、なんと!まさかグロンギごときが!?」

 

男??「€$#%&$%&€#$%$€%&€$#€%&&$#$€」

 

ダロムと創世王の会話を遮り男が何かを話す

 

創世王「ふっ、世紀王でも無いものにキングストーンはやれぬ」

 

創世王が男の言葉をわかったような言葉を出したその直後、男の周囲を黒い影が襲い飲み込んだ、驚き駆け寄った他のグロンギ達も影に吸い込まれた

 

創世王「こやつらは危険だ、封印する」

 

ダロム「殺さないのですか?」

 

創世王「こやつを殺すのは余の力の大半を使わねばならぬ、それをすれば寿命が大幅に減る、こやつは油断していてた、だから封印する事ができたのだ、この封印は余かキングストーンを持つ世紀王しか解けぬ、余が死ぬまでは安全だろう」

 

ダロム「では大事無いようこの場所は誰も近づけぬようにいたします」

 

創世王「うむ、任せたぞ」

 

 

これがゴルゴムとグロンギの間に出来た事件、その後ビルゲニアの乱がありビルゲニアも封印されたあと人間の戦士にグロンギが封印された事を知る、グロンギを研究する必要がなくなった為ゴルゴムは記録だけを残し研究は打ち切られた

 

そして三万年後、誕生した世紀王に暗黒結社ゴルゴムは滅ぼされる事になる



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南光太郎

現代

 

世界は平和になっていた、最近までは未確認生命体やアンノウンの事件で恐怖があったが解決し脅威が無くなった事で人々に笑顔が戻っていた、それより十数年前に暗躍した暗黒結社ゴルゴムの存在はテロリストとして扱われていた為、皆の記憶から忘れ去られ同時に仮面ライダーBLACKと言う存在も知る人ぞのみ覚えているのだった

 

 

 

とある山中を一台のバイクが駆けていた

休憩所に停まりヘルメットを脱ぐと凛々しいが暗い顔の青年の姿があった

 

青年の名は南光太郎

 

日蝕の日に生まれゴルゴムによって世紀王として選ばれ改造手術をうけた男、ゴルゴムに反抗し結社を壊滅させるが親友を殺してしまった男

 

光太郎はゴルゴムを壊滅させた後旅に出た、日本の各地を渡り歩いたが彼の心は癒されず放浪の日々が続いた、改造人間ゆえに肉体は老いることはなく周りの人間との差を感じさらに心を痛めた、だが人間を守ると決めていた光太郎は憔悴していても戦い続けた、未確認生命体ともアンノウンとも、彼の活躍は人知れず行われ表に出る事はなかった、せいぜいがネットで噂になる程度だった

 

休憩をとった後、光太郎は再び走り始めた、向かう先はゴルゴムの本拠地、光太郎は嫌な思い出を思いだし少しスピードを緩めた

 

 

光太郎「ここに来るのも久しぶりだな」

 

光太郎が来たのはゴルゴム本拠地から少し離れた採掘場、そこには墓があった、墓と呼ぶには質素だが確かに墓だった

 

光太郎「バトルホッパー……」

 

光太郎が呟く、バトルホッパー、世紀王専用マシンとして作られた意思を持つバイクである、光太郎と数えきれぬ戦いを共にした戦友である、ゴルゴムとの最終決戦でもう一人の世紀王にして親友である男に殺されたのだ

 

光太郎「あれから14年か……」

 

黙祷を終えた光太郎が呟く、暗い表情のまま光太郎は歩き始める、向かった場所はゴルゴムの本拠地、今は崩れてしまい中に入る事は出来ない、光太郎は洞窟の前で静かに黙祷する

 

光太郎(信彦……)

 

親友である秋月信彦、彼も世紀王としての宿命を背負わされ自我を消されかつての親友と殺しあう運命を強制された男

 

黙祷が済み立ち去る光太郎、その時体内にあるキングストーンが光り、何かに反応した

 

光太郎「なんだ!?」

 

光太郎は身構えるがキングストーンの光は消え静寂が戻る

 

光太郎「シャドームーンのキングストーンに反応したのか?」

 

周りに何も感じない光太郎はそう思いその場を去った

 

 

 

 

光太郎が去ったしばらく後、洞窟の近くにある封印の地が震えた

 

ズギャア

 

封印の地を凄まじいエネルギーが覆い、周りの物を吹き飛ばす、そして剥き出しになった黒い封印が弾け飛ぶ

 

??「€##$%&」

 

魔物が放たれた

 




BLACKRXでバトルホッパーが転生した時に死んだ状態で放置だったのが納得いかなかった、光太郎なら墓か持ち帰るくらいはするだろと思ってそうしました。



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五代雄介

光太郎がゴルゴムの本拠地へと向かった時と前後し

 

空港に一人の男が帰ってきた

 

?「2年ぶりかぁ久しぶりだなぁ」

 

大きく伸びをする男はそう言って歩き始める

 

?「皆元気かな……ん?」

 

ふと見ると男の子が大粒の涙を流し泣いていた、迷子なのだろう、男はふっと笑顔を作り男の子に近づく

 

?「どーしたの?お父さんやお母さんとはぐれたの?」

 

子「お父さんお母さんいなくなっちゃったぁ」

 

声を荒げ泣く男の子それを見てなおも笑顔を絶やさず

 

?「大丈夫!お兄ちゃんが一緒に探してあげるよ!ほら行こう!」

 

男の子に手を差し伸べながら男は言う

 

子「お兄ちゃんは?」

 

手を取りながらの男の子の言葉足らずな言葉、きっと名前を知りたいのだろう

 

?「俺は五代雄介!2000個の技を持ってるんだ」

 

男は答える、五代雄介、未確認生命体4号と呼ばれ自身をクウガと名乗りかつて封印の解かれたグロンギと死闘を繰り広げた男、人々の笑顔の為に戦い、伝説を塗り替え勝利した男

 

 

 

子「お兄ちゃん!バイバーイ!」

 

無事両親を見つけれた男の子に手を振り雄介は歩きだす

 

雄介「まずは椿さんかな」

 

雄介は空港に保管されていた、愛車ビートチェイサーに乗り込む、高性能バイクゆえか、誰か整備していたのかエンジンはスムーズにかかり、雄介を乗せて駆けていった

 

 

 

椿「五代!!」

 

雄介「椿さん!!」

 

関東医大病院にて再会した二人、お互い抱き合い再会を喜び合う

 

椿秀一、関東医大病院の医師にして雄介の世界ただ一人の主治医、未確認生命体の事件の際被害者の解剖医としても活躍し事件解決に大きく貢献した、後のアンノウン事件でも陰ながら協力していた

 

 

 

 

椿「お前が冒険に出てから大変だったんだぞ?アンノウンなんて奴らが現れてまた騒動があったんだ、お前に似た奴や警察の活躍で解決は出来たがな」

 

椿はレントゲン写真を貼り付けながら雄介に語りかける、雄介は体に異常はないが再会も兼ねて検査して貰うつもりだった

 

五代雄介の体内にはアマダムと呼ばれる霊石が宿っている、アマダムの力により雄介はクウガとなる事ができる、だが雄介の神経と同化しており摘出は不可能となっていた

 

雄介「えっ?アンノウン?なんですかそれ?」

 

雄介は聞いた事の無い単語に首を傾げる

 

椿「やっぱり知らなかったか、冒険してたもんなお前、アンノウンてのはな……」

 

椿はアンノウン事件を知っている限り話した、未確認とは別の怪物であること、クウガと似た存在が居た事、知りうる限りの話をした、雄介は嬉しそうな顔をしたあと悲しい表情を作った、椿はわかっていた、この優しい男が自分のように戦う宿命を良しとしないと……さっきの笑顔は仲間が出来た嬉しさなのだろう、だがすぐにその境遇に悲しみを感じたのだろうと

 

 

椿「まぁなんだ、レントゲン見たがベルトも修復してるし大丈夫だ、ところで桜子さんには会ったのか?」

 

雄介の悲しい顔を見かねた椿が話題を振る

 

雄介「いえ、これから行くつもりでした」

 

雄介の返事を聞いた椿の表情が激変した

 

椿「バカ野郎!なんで最初に行かないんだ!俺なんかより先に桜子さんの方が先だろうが!!」

 

椿の怒声にたじろぐ雄介、直感で感じた、また振られたのだろうと……

 

雄介「いや、その……つ、椿さんは掛かり付けだから……その……」

 

椿「良いから早く行け、彼女お前が冒険に出てからずっと窓開けたまま待ってるんだぞ?俺なんか入る隙間なんて無いんだよ」

 

椿の諭すような言い方に雄介はニッコリと笑顔を作り立ち上がる

 

雄介「はい!椿さんありがとうございました!行ってきます!」

 

椿「五代!さっきはああ言っちまったが俺の所に最初に来てくれた事は嬉しい、いつでも見せにこい、桜子さんや一条によろしくな!」

 

雄介「はい!」

 

椿に見送られ雄介はバイクで駆けていった

 

 

 

 

城南大学・考古学研究室

 

沢渡桜子は自身のデスクから窓を眺めていた

 

桜子「いつ帰ってくんのよ……」

 

桜子はため息をつく

 

沢渡桜子、城南大学・考古学研究室所属の大学院生、雄介とは大学時代の友人である、グロンギ事件の際に古代文字の解読にあたり事件の解決に大きく貢献した、雄介の事はとても心配しており彼の無事をいつも願っている、アンノウン事件には関与していない、現在は院を卒業し助教授として研究室にいた

 

お気に入りのブラックコーヒーを一口飲んでパソコンへ向きなおす、見ていたのは眉唾物の結社の資料、太古より存在し人類の歴史を裏から操っていたとされている物だ

 

 

 

資料を読みふける桜子の背後に忍び寄る謎の影があった

 

桜子「五代君!なんで普通に入ってこれ…ない……の?」

 

桜子は当たり前の様に言った自分の言葉に違和感を覚えて振り返った

 

雄介「相っ変わらず鋭いね!桜子さん」

 

目の前に居たのは冒険に出た友人、無事を祈り続けた友人、会いたかった友人……桜子は気付くと泣いていた

 

 

 

雄介「ちょちょ!?桜子さん?」

 

慌てる雄介、彼も泣かれるとは思っていなかった

 

桜子「連絡もしないで……もぅ……」

 

涙を流しながら笑顔作る、そして……

 

桜子「おかえり」

 

雄介「うん、ただいま」

 

 

その日は夜遅くまで語り合った、冒険の事、友人達の事

 

 

次の日、オフだった桜子を連れてポレポレへと向かいおやじさんに挨拶をした後妹のみのりの働く保育園へ向かった後、雄介のバイクで長野県警へと向かった

 

 

二人乗りをして走っている最中、反対車線から来たバイクとすれ違う

 

ドクン

 

体内にあるアマダムが反応し雄介はバイクを停めた

 

桜子「どうしたの?」

 

桜子は怪訝な顔で雄介を見る

 

雄介「いや……何でもないよ」

 

すれ違ったバイクを見ながら雄介は答える、そして再び走り始めた

 

 

すれ違ったバイクは避難所に停まり振り返る

 

光太郎「今のは……」

 

 

 

長野県警・刑事科

 

事務員「一条さん!面会ですよ!」

 

刑事科を高い声が響いた

 

一条「面会?」

 

デスクワークをしていた男が立ち上がる

 

 

一条薫

 

長野県警の刑事、未確認生命体の事件捜査にあたった男、その時五代雄介と出会う、彼と協力しながら未確認生命体を殲滅する事に成功した、事件を追う毎に彼との間に友情が芽生えるが彼が戦う事を苦悩する優しい男でもある

 

事務員「えぇ、身分確認をしようとしたら会えばわかると伝えろと言われまして」

 

事務員の話を聞いて一条は椿を連想した

 

一条(また振られたのか……)

 

一条「わかった、おそらく私の友人だ行ってこよう、君ありがとう」

 

一条は刑事科を出て一階のホールへ向かった

 

ホールについた一条は椿の姿を探すが見当たらない、イタズラか?と思っていると

 

桜子「一条さん!」

 

一条「沢渡さん!」

 

桜子が一条の名を呼び、一条は桜子を確認すると駆け寄って行った

 

一条「お久し振りです、まさか沢渡さんだったとは……てっきり椿の奴かと」

 

桜子「お久し振りです一条さん、いえ、私は普通にしろって言ったんですが……」

 

挨拶を交わした桜子の顔が少し歪む

 

一条「?」

 

一条が桜子を見て首を傾げていると背後から何者かに抱きつかれた

 

一条「うぉ!?」

 

一条は突然の出来事に驚いた、しかし驚いたのは一瞬ですぐに拘束を解き下手人を押さえつけた、体に染み付いた逮捕術がとっさに反応したのだ

 

雄介「痛い痛い!一条さんギブ!」

 

一条「五代!」

 

痛がる下手人を見ると知った顔、それもある意味恩人とも言える友人だった

 

一条「五代!いつ帰ってきたんだ!」

 

拘束をほどき喜びの声で話す一条

 

雄介「いてて……昨日です一条さん、元気そうですね痛いほどわかりました」

 

雄介が痛めた箇所を押さえながら話す

 

一条「お前がイタズラなんてするからだ」

 

桜子「もぉだから言ったのに」

 

三人は笑った

 

雄介「俺しばらく居るつもりですけど一条さん時間あります?ポレポレでみんな集めてパーティーやりませんか?」

 

一条「パーティーか、たまにはいいかもしれんな、有休も溜まってるしな」

 

雄介「やった!」

 

雄介が喜んでいると、警官が一条のもとに駆け寄ってきた

 

警官「一条さん……」

 

警官が一条に耳打ちをする、一条の顔が真剣な表情に変わる

 

一条「わかった直ぐ向かう」

 

警官が去った後一条は申し訳なさそうに雄介達を見た

 

一条「すまない、用事が出来てしまった、パーティーの件は私抜きでやってくれ」

 

雄介「事件ですか?」

 

雄介も真剣な顔で話す

 

一条「いやまだ事件と決まったわけじゃない、連絡の取れない家族を心配した通報だ……誘拐の可能性もある、すまないが私は行く、五代!時間が出来たら話そう、元気そうで良かった、沢渡さんもまた……」

 

そう言うと一条は駆けて行った

 

桜子「残念だね、一条さん」

 

雄介「しょうがないよ一条さんだもん、パーティーはやっぱり一条さんも居て欲しいから落ち着いてからにしようよ」

 

桜子「そうだね」

 

県警を出ながら話す二人、雄介は何か嫌な予感を感じ空を見た

 

 

太陽も青空も見れぬほど暗雲で覆われていた

 




雄介編は光太郎編に比べ長くなってしまいました、クウガは人間ドラマも濃いので必然的に雄介との関わりが深くなるのでこうなりました、桜子さんとの絡みは絶対に必要と思うほど私の中で大事な関わりと思っています。

光太郎・雄介編が終わったのでいよいよ物語が動き始めます。


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グロンギ

封印地

 

封印が解け、現代に甦った四人のグロンギ、彼等は自分達が復活した事を悟ると歩き始めた

 

向かった先はゴルゴム本拠地、既に崩壊しており中へは入れない、いや入ろうと思えば出来るだろうだがグロンギ達はゴルゴムの壊滅を悟り入らなかった

 

男?「$€%€#%&%$#€&&€$%」

 

リーダー格の男が何かを話す、男のグロンギの内の一人が頷きその場から消えた、残った三人のグロンギは場所を封印の地に戻り静かに目を閉じた

 

 

 

 

ゴルゴム本拠地跡より数キロほど離れた山中の中に二人の男女いた

この二人は噂などが大好きでネットの噂を見ては確かめにくるマニアだった、今回この二人はネットで見つけた都市伝説「暗黒結社」の真実を確かめる為にやってきたのだ

 

男「ここら辺のはずだけど……それらしい物はないな、もっと奥かな?」

 

女「暗黒結社って言うくらいだからねぇもっと奥の秘境みたいな所かもね、まっ本当だったらだけどね」

 

男「まぁあったらスゲェ、無かったら冒険楽しかったって所だからどっちでもいいっちゃいい……?」

 

女「どうしたの?なんかあった?」

 

会話をしながら進む男の足が止まった、女は首を傾げながら尋ねた

男「いや……なんか気配を感じてさ……なんか変なの居るんじゃないか?」

 

女「えっ!?もしかして熊とか?ここ熊とか出るの?」

 

男の言葉に動揺する女、向かい合い話す男の後方で何かが動いた

 

女「い、今なんかいた、人間位の大きさの・・・」

 

男は女の表情が嘘では無いと感じ護身用のナイフを取りだし周囲を警戒した

 

男「なんかヤバそうだな、ヤバい事になる前に帰っ……」

 

ズシャ

 

男の声を遮り真上から何かが落ちてきた

 

女「きゃああああああ!!」

 

落ちてきた物を見て女は叫んだ、落ちてきた物は怪物、恐怖で動転しその場にへたりこむ

 

男「う、おぉ!?」

 

男はかろうじて立ってはいたが怪物を目の前に震えていたがナイフは両手でしっかりと持ち攻撃の意思を見せていた

 

怪物は何も言わずナイフを刃を握りつぶし無造作に捨てた

 

男「ひぃ!?」

 

もはや動く事もままならない二人、怪物は二人を掴み引きずっていく

 

女「いやぁ!!離してぇ!!」

 

二人は必死に抵抗した、このまま行けば間違いなく死ぬだろう本能で感じた二人は逃げ出そうと抗う、だが怪物はそんな抵抗も意にも介さず引きずっていった

 

 

封印の地に連れてこられた二人、怪物に投げられ体を強く打つ、激痛に顔を歪めながら周りを見るとそこには違う怪物が二体と人間が一人いた

 

男「あ、あ……あぁ……」

 

もはや死ぬ運命からは逃れられないと悟った男、恐怖で震える事しか出来ない、女も同様だ涙を流しうつむき震えている

 

男?「&#€%$」

 

座る男が何かを喋ると女型の怪物が男の頭に手を乗せる、

掌が光る、男は何も出来ずただ身を強張らせるだけ、掌から光が消え手を男から離し女にも同じ事をした

 

女から手を離した女型は掌を上に向け力を込める、掌から光りの玉が三つ出てきて他の三人のグロンギの体内へ入っていった

 

10秒ほどたった時、グロンギの男が喋りだした

 

男?「ふぅむ、あれからかなりの時間が経ってるみたいだな、100年や200年ではないな」

 

女?「えぇそのようです、それにどうやらゴルゴムは壊滅したみたいですね、情報が断片的ですので確証はありませんが」

 

怪1「しかし今はずいぶんと様変わりしているようだな、リントの数が異常だ、ダグバの奴は死んでしまったのか?」

 

怪2.「それにしてもお前の力は便利だなリントの言葉や今の事すぐに理解できた、便利と言えばこの日本語もスゴいなグロンギ語と違って色々応用がきく」

 

捉えられた二人は唖然としていた、怪物が急に流暢な日本語を喋りだしたのだ、訳のわからぬ展開にどうしていいかわからなくなっていた

 

怪2「今後の事はこれから話し合うとして……さて」

 

怪物の一人が二人を見た

 

怪2「お前達は用済みだ、殺してやるよ」

 

怪物が喋ると同時に男の右腕が切り飛ばされた

 

男「あああああぁ!!ぎゃあああ!!」

 

女「イヤァァァァ!!」

 

のたうち回る男、悲鳴を上げる女

 

のたうち回る男を押さえつけた怪物は左足を踏み潰す

苦痛の絶叫をあげる男、怪物は笑みを浮かべ左腕をへし折った

 

怪2「時が経ってもリントの脆さは変わらんな」

 

怪物は男を蹴り飛ばす、女の側に転がった男は血塗れで息も絶え絶え、腕と足から大量の血を流し海を作っていた、数分の内に苦痛の内に死ぬ事は確実だった

 

怪「女の方はどうやって殺そうか」

 

怪物が女に近寄って行く

 

女「あ、あ……いや!いやぁ!」

 

女の悲痛な叫びがこだました刹那、二人の体は燃え上がった、一瞬にして骨も残さず灰になった二人を見て怪物はリーダー格の男を見る

 

怪2「楽しみが減っちまったじゃねぇか」

 

残念そうな怪物をよそに男は話始める

 

男?「ジザイ、今は遊ぶ時ではない、お前はダグバ達がどうなったか調べて来い、グルイとベベビはゴルゴムと王の石を調べて来い」

 

グルイ「わかりました、ゴラドは何を?」

 

グルイと呼ばれる女型の怪人が聞き返す

 

ゴラド「私はここで力の回復を待つ、封印が解きかけていたとはいえ無理をした、流石は王の石を持つ暗黒の王よ」

 

ベベビ「では行ってくるが、リントはどうする?」

 

ゴラド「邪魔をするなら殺せ、だが情報を得るまではなるべく我慢しろ、情報を得たのなら少しくらい遊んできても良いがな……」

 

ゴラドが笑みを作り話す

 

ジザイ「よっしゃ!ならさっさとダグバ探して遊んでくるぜ!」

 

ジザイは嬉しそうに言うと消えていった、ジザイが行ったのを見てベベビとグルイも同時に消えていった

 

 

一人残ったゴラドは呟いた

 

ゴラド「リントは増えすぎたな……すべてが終わった後は皆殺しだな……」

 

ゴラドは静かに目を閉じた

 

 




グロンギの名前考えるの難しい・・・

記憶を読み取って日本語を話せる設定にしましたが苦肉の策と言うかなんというか・・・
グロンギにそんな力はありませんがモ―フィングパワーの応用って事でご容赦を・・・


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遭遇

一条「この写真の人を見ませんでしたか?」

 

一条は写真を見せ尋ねる、写真には楽しそうに抱き合う二人の男女が写っていた

 

男「いや……見てねぇな、あんた刑事さん?事件ですか?」

 

首を振る老人

 

一条「いえ、家出した親戚を探しているんですよ、ありがとうございました」

 

礼を言って立ち去る一条

 

一条は通報のあった行方不明者を探していた、女の両親からの通報で旅行や遊びに行く時は先で必ず連絡する娘が連絡してこないとの事だ、普段は刑事である一条が事件にもなっていない件に出ることは無いのだが女の両親が政治家であったため駆り出されていたのだ

 

刑事「一条!」

 

一条のもとに同僚の刑事が駆けてくる

 

刑事「有力な情報が入った、二人は都市伝説を追って山に向かったらしい、なんでも暗黒結社だかなんだかって話だ」

 

一条「それで、その山はどこの山なんだ?」

 

刑事「あぁここから10キロほど離れた山だ、すぐ向かうぞ!」

 

一条「わかった」

 

話を聞いた一条は刑事と共に車に乗り込んだ

 

刑事「しっかし、なんだって俺達がこんな事しなくちゃなんねーんだろうなぁ?」

 

車を走らせながら刑事がぼやく

 

一条「ぼやくな、これも立派な仕事だ」

 

刑事「そうだけどよ、休み潰されてまで迷子探しじゃぼやきたくもなる……ん?……おい一条……あれなんだ?」

 

刑事の指は空を指していた、指す方を見る一条

 

一条「鳥……?」

 

遠目だが鳥のような物が空を飛んでいた、だがその鳥は常識外れに大きかった

 

刑事「まさかあれ未確認か?それともアンノウンってやつか?」

 

一条「まだわからん、だが怪物であるのは間違い無さそうだな、非常事態だ捜索は休止であれを追ってくれ、俺は本部に連絡を入れる」

 

刑事「わかった、けど追い付いても未確認なんかだとどうしようもないぞ?神経断裂弾も無いのにどうする気だ?」

 

一条「それでも俺達は警察だろう?」

 

刑事「そうだな、悪かった……じゃあ飛ばすぞ!」

 

車はスピードを上げ走る、一条は無線で本部に連絡を入れ拳銃の弾を確認する、怪物に近づいて来たその時、山の中から何かが飛び出して来た

 

刑事「うおぉ!?」

 

慌ててブレーキを踏むがスピードを殺しきれず20キロほどのスピード何かにぶつかった、車が一瞬浮いて落ちる、動揺した二人が確認の為前を見るとこちらを睨み付ける怪物がそこには居た

 

ジザイ「チッ」

 

ジザイは舌打ちをして考えていた

 

ジザイ(目立つなと言われた側からこれかよ……どうする殺すか?いやゴラドの為だここは退く)

 

拳銃を持ちながら車から出ようとする二人、それを見てジザイは車を吹き飛ばし走り去って行った

 

刑事「うっ……一条!血が出てるぞ!大丈夫か!?」

 

一条「軽く打っただけだ心配ない、それより車は動くか?奴を追うぞ!」

 

刑事「待て……なんとかいけそうだ!鳥の方は見失っちまったからさっきのだな!よし!」

 

車を走らせ追跡を開始する二人、無線で怪人が複数居る可能性を本部に告げそして……

 

一条「五代……五代雄介に連絡を頼みます」

 

拳を握り締め唇を噛む、戦わせたく無い男に頼らなければならない苦渋を感じ彼は顔を下げた

 

 

 

とある公園

 

子供達で賑わう公園に入っていく老人が居た、ベンチに座ろうと探した老人はベンチを見つけるもそこには先客が居た、三人は座れるベンチなので失礼と声を掛け隣に座る、持ってきたラジオを点けて隣の先客の顔を見た

 

老人「兄さんなんかあったんか?暗い顔してどうした?」

 

老人は先客に声を掛ける先客は老人を見て答える

 

先客「えぇ……人生について悩んでまして……」

 

暗い表情のまま答える先客

 

老人「色々あったみたいやな、でも兄さん若いんだからもっと元気ださなきゃ!そんなんじゃ日本の未来は守れんぞ」

 

先客「でも僕は日本は守れたけど友達は救えなかった・・・」

 

先客の日本を守ったと言う言葉を気にせず老人は続ける

 

老人「友達を亡くしたのか……それは辛いのぉ」

 

老人「だがいつまでも悲観するのは良くないぞ、兄さんこのままだと心が死んでしまう」

 

老人の説教のような言葉が飛ぶ

 

老人「兄さん、兄さんの目標はなんだ?夢や決意でも良い」

 

先客「人間を……守る事……」

 

老人「ハッハッハ!こりゃ大きく出たな!兄さんそれはすげぇ事だ、一生賭けても無理かも知れねぇ、でもする価値は十分ある方法はわからんが兄さんあんた素敵だよ、頑張ってくれよ」

 

男の心に老人の言葉が染み込んでいく、自分のする事を肯定してくれる、世辞かもしれない……だがそれでも嬉しかった、その感情につられ自然と笑みが浮かぶ

 

老人「やっと笑ったか!うんうん!その顔の方がずっといい、兄さんが元気出てよかった」

 

先客「おじいさん、ありがとうございます元気が出ました、本調子じゃ無いですがこれからも頑張れそうです」

 

老人「そいつはよかった、頑張んなよ若者!」

 

笑い合う二人、笑う二人を遮りラジオから音声が飛ぶ

 

ラジオ「緊急ニュースです、○○県の○○山中で怪物が出現したとの情報が入りました、付近の住民は避難を……」

 

老人「また化物が出てきたのか……結構近いな、日本は大丈夫なんだろうかねぇ」

 

老人がため息混じりに話す、その時先客の顔は真剣そのものでラジオの情報を聞いていた

 

先客「おじいさん、用事が出来ました、行かなきゃならない」

 

老人「そうかい、頑張んなよ兄さん!わしらを守ってくれよ!」

 

先客「はい!任せてください!ありがとうございました!」

 

礼をして走りだそうとする先客

 

老人「兄さん!名前は?」

 

光太郎「光太郎、南光太郎です!」

 

老人「光太郎か……良い名だ」

 

走る青年を老人は笑顔で見送った

 

バイクに股がり走り出す光太郎

 

光太郎(新しい敵か……何が来ても……守って見せる)

 

 

 

 

 

桜子「五代君警察から電話ー」

 

研究室に戻っていた桜子は雄介へ受話器を渡す

 

雄介「はい五代です……えっ?未確認ですか?わからない……はい……わかりましたすぐ向かいます!でも遠いんで少し時間が掛かります、はい!では……」

 

桜子「今未確認って……」

 

桜子が心配そうに尋ねる

 

雄介「うん、なんか未確認かはわからないけど怪物が出たみたい、ちょっと行ってくんね」

 

桜子「気を付けてね……帰って来てよ」

 

雄介「うん約束する!行ってきます!」

 

駆け出した雄介を見送る桜子、バイクで走り出す雄介を窓から見て桜子は思う、また戦いに行くのかと……雄介の無事を祈りながら電話を取る

 

桜子「もしもし、榎田さんですか?えぇそうです、五代君また戦いに行っちゃいました……それでゴウラムの用意をお願いします、五代君に必要かもしれないので……」

 

 

 

 

 

ジザイは苛ついていた、ゴラドの為とは言えリントから逃げている自分に、そして何より脆弱なリントに自分が追いかけられている事に

 

ジザイ「なんで俺がリントなんぞにこそこそ逃げなきゃなんねぇんだ!」

 

苛つくジザイは逃げ込んだ廃工場のドラム缶を殴る

 

「何か音がしたぞ!向こうだ!」遠くから声が聞こえる追ってきたリントだろう

 

ジザイ「チッ」

 

舌打ちをしながら移動するジザイ離れた場所でリントを監視する

 

ジザイ(奴等を殺せれば話は早ぇんだが・・・いや待てよゴラドはなるべく抑えろと言ったが殺すなとは言っていない邪魔なら殺せとも言った、そうだ何を我慢する必要があった!ククク……ぶっ殺してやる)

 

 

刑事「一条!居たか?」

 

音のした周囲を探索する二人、手には拳銃を構え警戒を怠らない

 

一条「いや……ドラム缶に殴られたような跡があった、まだ近くに居るはずだ」

 

お互いに頷き合う二人に突如何かが飛んでくる

 

ガァーン

 

飛んで来たのはドラム缶、回避した二人は飛んで来た方を見る

 

ジザイ「逃げるのはもうやめだ!リント!覚悟しろ!」

 

猛烈な勢いで突進してくる怪物を避け銃撃を食らわせる一条、だが銃弾は怪物の皮膚を通らず床に落ちる

 

ジザイ「リントにしてはマシな武器だな、だが俺には効かん」

 

一条に言い放ち突進の際に転んだ刑事へと近づく

 

一条「やめろ!グロンギ!」

 

尚も銃弾を放つ一条、刑事に掛けようとした手が一条の言葉で止まる

 

ジザイ「リント、お前は知っているのか?俺達の事・・・ダグバの事を」

 

グロンギと言う単語に反応したジザイは一条に問いかける

 

グロンギなのか?と思考を巡らせる一条

 

ジザイ「早く言え!こいつを殺すぞ!」

 

側に居る刑事に爪を突き立てるジザイ

 

一条「ダグバ?0号の事か?グロンギならバラのタトゥーの女一体を残し0号含めて全員死んだ!クウガの活躍によってな!」

 

ジザイ「ダグバ達は死んだのか・・・ハッ!ざまぁねぇなダグバも!・・・おい、その一体の場所は?それとクウガってのはなんだ?」

 

ジザイの問いに一条は不思議に思う

 

一条(クウガの事を知らない?)

 

今までのグロンギは皆クウガの事を知っていた、クウガの事を知らないグロンギに一条が不思議に思うのは当然だった

 

一条「バラのタトゥーの女は生死不明だ、今も見つかっていない、クウガとはお前の言うリントの戦士の事だ」

 

ジザイ「リントの戦士か……戦ってみたいな」

 

ジザイが嬉しそうに顔を上に向ける

 

一条「今だ!」

 

一条の言葉にジザイの側で居た刑事が脱出する、頭を下げ一条と刑事を見るジザイ

 

ジザイ「俺も運が良い……こんなに早く知る事が出来た、お前には感謝しているぜ……礼代わりにぶっ殺してやる!さっきは殺し損ねたからな!さぁ……遊びの時間だ!」

 

一条「まさか……お前!?」

 

一条はジザイの言葉に行方不明の男女が襲われたのではと感じる

 

一条「殺し損ねたとはどうゆう事だ!」

 

ジザイ「うるせぇー!!」

 

ジザイが吠えると二人に襲い掛かってきた、懸命に回避しながら銃弾を撃ち込むが効果は無い、ジザイの拳が一条を打つ、防御した腕ごと一条は吹き飛ぶ

 

刑事「一条!」

 

吹き飛んだ一条を見て叫ぶ刑事、一条に歩み寄るジザイ、拳銃の残弾も尽きなすすべがなかった

 

刑事「うおぉ!!」

 

ジザイに組み付く刑事、彼にはこうするか逃げるしか手はなかったが彼に怪物と相対する道を選ばせたのは正義感と怪我をした一条の姿、必死に抑えようとする刑事を鬱陶しそうに払うジザイ、ジザイの力は軽く払った動きでも人間にダメージを与えるには十分だった

 

ジザイ「次に殺してやるから待ってろ」

 

一条に近づき首を持ち上げる

 

刑事「い、一条!!」

 

痛みでもがきながら一条の名を叫ぶ、助けられない歯痒さに目を閉じる

 

今まさに止めを刺さんというその時

 

 

「や"め"ろ"ぉ"!!」

 

 

声が響いた

 

 

声にジザイと刑事が振り向く、そこに居たのは一人の青年

 

ジザイ「なんだリント?」

 

ジザイは一条を持ち上げたまま青年に問う

 

光太郎「その人を放せ!僕が相手だ!」

 

光太郎の思わぬ言葉にジザイは一条を放し光太郎に体を向ける

 

ジザイ「面白い!リントごときがこのジザイに勝てると思っているのか!かかってこい!」

 

ジザイの言葉に応えるように飛び掛かる光太郎、攻撃せず受け止めるジザイ

 

ジザイ「何だとぉ!?」

 

ジザイの体のバランスが崩れる、その隙に腹に蹴撃を食らわされ大きく後退するジザイ

 

光太郎の予想外の力に驚くジザイ、リントの攻撃など効かんと思っていたジザイは体に力をあまり込めていなかったがそれを差し引いても光太郎の力に驚きを隠せなかった

 

光太郎「大丈夫ですか!?」

 

光太郎が一条に話しかける、ゴホゴホと咳をする一条

 

一条「あぁ大丈夫だありがとう、だが逃げるんだこのままでは君も危ない!」

 

一条は青年に逃げろと言う、警察官としては当然だ、たとえ自分が死ぬことになっても市民を守る、一条の言葉にはそんな思いが籠っていた

 

光太郎「大丈夫です、それよりあなたはもう一人の人を看てください」

 

一条「お、おい!」

 

一条の制止を聞かず怪物と対峙する光太郎、満足に動かない体を立たせ光太郎の背を見る

 

ジザイ「お前リントの割に意外に強いな、だがそれじゃあ俺には勝てん」

 

ジザイの余裕の言葉に光太郎は拳を握る

 

左腕が風を切り右頬の辺りで右腕と添うように合わさる

 

ギリギリと音を立てる両腕、視線は真っ直ぐジザイを見据える

 

腕を前で交差させ左腕が斜めに天を衝く

 

光太郎「変……」

 

左腕が右から左へスライドし

 

光太郎「……身!!」

 

納められた右腕と共に両腕を右斜め上に伸ばした

 

瞬間、目を覆うほどの光りがジザイと一条達を襲う

 

光りが収まると先ほどまで居た青年の姿は無く、黒い勇者がそこには居た

 

一条「き、君は……」

 

一条は突然の出来事に驚く、しかしクウガと言う存在を知っている一条は驚きながらも落ち着いていた

 

驚いていたのはジザイも同様だった、目の前のリントが突如変化したのだ当然だ

 

ジザイ「お前何者だ!!」

 

ジザイの言葉に応えるように勇者は腕を振り名乗る

 

 

 

 

「仮面ライダー!BLACK!!」

 

 

 

 

 




ついにライダーが出せました!
光太郎が迷う事無く辿り着いたのは光太郎だからです、それ以外に説明ができませんすいません。


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邂逅

BLACK「とぉ!」

 

BLACKはジザイに向かって飛び上がり掴み掛かる、揉み合いながら工場の外へと移動する

 

一条「大丈夫か?」

 

刑事の側に向かい安否を問う

 

刑事「あぁ・・・なんとかな・・・それよりアレは4号の仲間か?一条、味方と思って良いのか?」

 

一条「わからない、だが少なくとも敵では無さそうだ」

 

 

 

その頃、雄介は走っていた、近くまでは来ているが場所がおおまかな位置しか聞かされていない雄介はそれらしい場所を見つけるため奔走する

 

雄介(見つからない・・・このままじゃ・・・)

 

走り続ける雄介は視界にある物が見えてバイクを停める

 

雄介「工場?……あそこか?」

 

遠目に見えた工場に何かを感じた雄介は走り出した

 

 

 

 

 

 

 

BLACKとジザイの攻防は続いていた、工場の外で繰り広げられる戦い、戦いはBLACKが優勢だった

 

BLACK「とぁ!」

 

BLACKのパンチにジザイは後退する

 

ジザイ「ぐっ・・・・・・仮面ライダーBLACKと言ったな・・・リントがどうやってそんな力を手に入れたのかは知らんが・・・楽しめそうだ」

 

ジザイはそう言いつつも相手を舐めたりしていなかった、今まで戦ってきた勘が相手を強者だと告げ冷静にBLACKを見ていた

 

ジザイ「!!お前のその左胸の紋章・・・」

 

ジザイはBLACKの左胸にある紋章に気付く

 

ジザイ「そいつはゴルゴムの紋章・・・なるほどお前もゴルゴムの怪人だったのかそれも上位怪人と見た、道理でリントとは違うはずだ」

 

ジザイ「・・・と言うことはゴルゴムはまだ存在しているのか?」

 

ジザイの言葉にBLACKは動揺する

 

BLACK「なぜゴルゴムを知っている!」

 

肉体の質、リントやジザイなど謎の単語からおよそゴルゴムとは無関係と思っていたBLACKは怪人の発言に動揺したのだ

 

ジザイ「知りたいなら半殺しにしてから教えてやる!お前が上位怪人なら俺も本気で相手をしてやる!」

 

ジザイが体に力を込める、体の細胞が目に見える形で変貌していく、肉体が一回り大きくなりより筋肉質になる、異形だった肉体はさらに異形に変化した、そして先程まで無かった角が形成された

 

BLACK「サイ・・・なのか?」

 

変異が完了したジザイを見てBLACKは身構える、グロンギとも戦った事もあるBLACKは変異に驚きはしなかったが自身が飛蝗の改造人間であるBLACKはモチーフ、元になったであろう動物をジザイから連想した

 

ジザイ「本番だ!」

 

ジザイが猛烈な勢いで突進してくる、受け止め反撃しようとしたBLACKは予想外の力に押され吹き飛ばされた

 

BLACK「くっ・・・」

 

BLACKは以前対峙したゴルゴムのサイ怪人を思い出していた、サイ怪人も強力な力を持っていたがこの怪人はそれを上回る力を持っていたのだ

 

尚も突進してくるジザイ、正面からの対峙は厳しいと判断したBLACKは突進を避け、追いかける

 

BLACK「とぁ!」

 

BLACKの飛び蹴りがジザイを打つ、BLACKは間髪入れず攻撃を加える

 

ジザイ「ぐおっ!?」

 

BLACKの攻撃により後退するジザイ、ジザイは咆哮した後、突進をやめ肉弾勝負に出る

 

ジザイの攻撃はなかなか当たらなかった、当たっても満足な感触とは言えず、逆にBLACKの攻撃はジザイに次々と当たっていた

 

ジザイ「ぐぅ・・・!?」

 

BLACKの猛攻に再び後退するジザイ、ジザイは怒っていた

 

ジザイ(なんだこいつは!?この俺が苦戦だと!かつてゴの上位と言われたこの俺が!)

 

ジザイは怒りの中にも戸惑いを持っていた、強者と自負していた自分がここまで苦戦している事に

 

それもその筈、目の前にいるこの勇者・BLACKは数えきれぬ戦いを生き延びた真の強者、ジザイとて戦いの数は少なくは無い、だがジザイの戦いの経験を凌駕するほどBLACKは戦士として成長していたのだ

 

後退したジザイに飛び掛かるBLACK

 

BLACK「ライダー!チョップ!!」

 

BLACKの赤光に光る手刀がジザイの肩に当たる

 

ジザイ「ぐあっ・・・!?」

 

強烈な一撃によろめくジザイ、痛みで無意識に放った拳がBLACKを撃ち、目の前に居たBLACKを遠ざけた

 

BLACKは体勢を立て直し両手足に力を込める

 

BLACK「パワーストライプス!」

 

BLACKが叫ぶと首周りと手足の首にある赤と黄の紋様が輝いた、パワーストライプス、紋様に蓄積されたキングストーンのエネルギーを放出し打撃の威力を上げる技だ

 

BLACK「とぁ!」

 

BLACKの攻撃がジザイを打つ

 

ジザイ「かはっ!?」

 

BLACKの怒涛の攻撃にジザイは膝をつく

 

ジザイ(ぐぅ・・・ち、力が上がった!?俺より強いとでも言うのか!?)

 

BLACKが足を下げ跳躍しようとしたその時

 

一条「あそこだ!」

 

ジザイの視界に遠くではあるが一条と刑事の姿が見えた、遠くであるため常人には一条の声は遠すぎて聞こえないが改造人間であるBLACKの聴力は声を聞き取り一条へ顔を向けた

 

ジザイ「!!」

 

顔を背けたBLACKを見たジザイは近くにある木に駆け寄り力任せに引き抜いた

 

BLACK「!?何を!?」

 

BLACKが気付き視線を戻す

 

ジザイ「うおおおおおぉ!!」

 

叫びと共に木が投げつけられる、しかしそれはBLACKに向かわず一条達に向かっていた

 

BLACK「クソッ!!」

 

BLACKは身を翻し駆けた

 

怪我をおっていた二人は動く事も声も出せず目を閉じる

 

ドォーン

 

轟音が鳴り響く

 

目を閉じていた二人は音が離れて聞こえた事に気付き目を開ける

 

BLACK「危ない所でした」

 

目の前に普通ならざる者が立っていた、木は離れた場所に落ちており木の幹には衝撃を加えたような跡があった

 

一条「また・・・助けてくれたのか・・・?」

 

一条がBLACKに問う、BLACKが頷いた背後で怒声が上がる

ジザイ「ゴルゴムの戦士!!今回は退いてやる!だが覚えておけ!貴様は必ず殺す!貴様を殺した後はリントも皆殺しにしてやる!」

 

工場の屋根に移動していたジザイはそう叫ぶと身を翻し工場と森の中に消えていった

 

BLACK「逃がしたか・・・」

 

BLACKが呟く

 

BLACK「大丈夫ですか?」

 

怪我をした二人を気遣うBLACK

 

一条「あぁ・・・なんとか・・・それより聞かせてくれ、君もクウガなのか?」

 

一条は自分の疑問をBLACKへ問う、クウガを知る一条からすれば当然の疑問だった

 

BLACK「クウガ・・・ですか?良くわかりませんが僕は違います」

 

一条の考えは微妙だが否定される

 

一条「では・・・君は人間の敵なのか?味方なのか?」

 

一条の問いに隣の刑事の顔に緊張が走る

 

BLACK「この姿を見て疑うのはわかります、信じて貰えないかもしれません・・・でも僕は味方です」

 

BLACKの真剣な言葉を受ける一条

 

一条「いやすまない、私達を助けてくれたのに失礼な事を聞いた・・・許してくれ、そしてありがとう」

 

一条は頭を下げた、言葉に嘘は無いと感じた一条は疑った事を恥じ、謝り、そして感謝した

 

BLACK「顔を上げてください、僕は当然の事をしただけです、それよりお二人が無事で良かった」

 

BLACKの言葉に顔を上げた一条と刑事の顔には緊張が抜け少し弛緩した表情が出ていた

 

刑事「はぁ~」

 

ため息を付いた刑事がその場に座り込む

 

一条「大丈夫か?」

 

座り込む刑事に片膝をついて一条は聞いた

 

刑事「緊張が解けて体の力が抜けちまった・・・すまん、やる事たくさんあるけど少しだけ休ませてくれ」

 

一条「あぁ・・・だが休んだらすぐ行くぞ」

 

刑事「わかってる・・・しかし彼の事は報告するのか?」

 

一条「大事な事だが俺は報告しない方が良いと思・・・」

 

「変身!!」

 

一条の言葉を遮り聞き覚えのある声が三人を刺した

 

振り替えるや否や一条と刑事の前を青い何かが通り過ぎた

 

BLACK「うっ・・!?何だ!?」

 

BLACKを押さえながら一条達から離れる何か、その背を見た一条は呟く

 

一条「五代・・・?」

 

刑事「おい!今の!4号じゃないか?」

 

一条「あぁ・・・不味いな、五代の奴、敵と勘違いしたみたいだ、止めないと!行くぞ!」

 

刑事「さっきの状況じゃ襲われる寸前にも見えるもんな・・・よし!わかった行こう!」

 

立ち上がった刑事と一条は満足に動かない体を引きずる様に歩いていった

 

 

 

二人の戦士は揉み合いながら工場の壁を破壊し中に飛び込んだ、着地の際に二人は離れ、飛び起き際にお互いを確認する

 

BLACK(青い・・・さっきの奴とは違う・・・?改造人間か?)

 

身構えたまま相手を観察するBLACK

 

BLACK「お前はなんだ!改造人間か!」

 

雄介(か、改造人間!?つーか喋ってる・・・)

 

聞き慣れない単語と喋る事に驚く雄介

 

雄介「お、俺はクウガ・・・クウガだ!」

 

自身をクウガと名乗り駆け出す

 

BLACKはクウガと聞き一瞬考えるがクウガの駆け出しに思考を切られる

 

BLACK「速い!?」

 

クウガの予想外の速さに驚くBLACK、懐へ入られ連続で殴打され回し蹴りを受ける、回し蹴りを放ったクウガは飛び退き、辺りをキョロキョロと見回し何かを探している

 

BLACK(速さは凄いが力はあまり無いみたいだな)

 

受けた攻撃がほとんど効いていない事、特殊な攻撃をされた訳では無い事を確認したBLACKはクウガへ視線を戻す

 

クウガ(棒がない!なら赤だ!)

 

周囲の探索をやめたクウガは手を伸ばし力を込める

 

クウガ「ハッ!」

 

瞬間、クウガの青かった体は赤くなり肩にアーマーが追加される

 

クウガとはいくつかのフォームを持つ戦士、赤のマイティ、青のドラゴン、緑のペガサス、紫のタイタン、各フォームは、格闘、俊敏、射撃・感覚、防御・力に秀でている

 

先程の青のクウガ、ドラゴンは俊敏性が上がるが逆に腕力が落ちると言った弱点もある、それを補うためドラゴンロッドと言われる武器を使うのだが武器を生成するために棒状の物が必要であるが付近に無かった為、雄介は攻防のバランスに優れるマイティにチェンジしたのだ

 

BLACK「変わった!?」

 

クウガの変化に驚いたBLACKにクウガは攻撃を仕掛ける、クウガの攻撃を捌きながら相手の変化を体感する

 

BLACK(さっきより力が上がっている)

 

二人の応酬は続く、クウガの放った拳を避けカウンター気味にBLACKの拳がクウガを打った

 

クウガ「ぐっ!?」

 

クウガは少し体勢を崩しながら後退するがすぐ体勢を立て直し再び攻撃を仕掛ける、だがBLACKに攻撃は捌かれまたも反撃を食らう

 

クウガ「クソッ!力も速さも足りてない!なら!」

 

相手の力量を肌で感じたクウガはこのままでは分が悪いと判断しBLACKと距離を空ける、腰を落とし全身に力を込める

 

クウガ「超変身!!」

 

クウガの全身を電撃のような光りが走る、肩のアーマーに金のラインが入り、右足首に金の足環が浮かび上がる、そしてクウガのベルト・アークルが赤から金に変わる

 

クウガは各フォームに強化形態を持っている、ライジングと呼ばれるその形態は電気エネルギーを受け変質した霊石アマダムの力の具現である

 

BLACK「何!?」

 

再び変化するクウガを見てBLACKはまたも驚く、だがすぐ落ち着きを取り戻し身構え様子を窺う

 

クウガ「はぁ!」

 

クウガの攻撃を再び捌くBLACK、だがその様子は先程より焦りが見える

 

BLACK(また力が上がった!スピードも!)

 

お互い拳が当たり後退する二人

 

対峙しあう二人は拳を握り互いに殴りあう、拳が互いを打つその時、キングストーンが輝きBLACKは動きを止める、同時にアマダムも輝きクウガも動きを止めた

 

クウガ「何だっ!?」

 

BLACK「これは・・・」

 

自分のベルトを見る二人に声が響く

 

一条「五代!やめろ!その人は味方だ!」

 

一条の言葉に戦いは終局を迎えた




ジザイはシロサイのグロンギです、少し脳筋です。


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前兆

雄介「ほんっとーにすいません!」

 

手を合わせ必死に謝る雄介

 

光太郎「気にしなくて良いよ、あの状況じゃ誰でも勘違いするさ」

 

笑って応える光太郎

 

あの後、一条に誤解を解かれた雄介は戦いを止めずっと謝っていた、光太郎も苦笑するほどの謝りっぷりに一条も苦笑する

 

雄介「しっかし、凄いですね南さん!赤の金のクウガでも互角なんて!いや・・・なんかまだ余裕があった感じもするな」

 

光太郎「五代君にも驚かされたよ、あんなに変わったりするのは初めてだ、それに君もまだ奥の手があるように感じたけどどうなんだい?」

 

雄介「えぇまぁあるにはあるんですけど・・・あんまり使いたくは無いですね」

 

一条「すまない、話が盛り上がっている所すまないが私達は行く、今後の対策を練らないといけない」

 

二人の会話に一条が口を挟む

 

雄介「わかりました一条さん、なんかあったら連絡下さい、すぐ駆けつけます!」

 

一条「わかった、五代・・・また迷惑を掛けてしまうな・・・すまない・・・」

 

雄介「大丈夫です!俺、クウガですから!」

 

そう言って親指を立てる雄介、ふっと笑う一条

 

一条「南さん、貴方も戦われるんですか?」

 

雄介から視線を光太郎に移した一条が問う

 

光太郎「えぇ、そのつもりです」

 

一条「なら出来れば五代と一緒に居てください、こちらから五代に連絡が行くので側にいれば情報は早いと思います、それとあなたの事は報告しておこうと思います、しない方が良いと思いましたがグロンギと区別をつけるためあなたの身体特徴など伝えておきます、これで怪人に間違われるような誤解は減ると思います」

 

光太郎「わかりました、お気遣い感謝します、では五代君と行動します、色々と気になる事もあるので」

 

一条「協力感謝します・・・ではお願いします」

 

頭を下げた後、刑事と共に歩き出す一条達を見送り、残る二人も歩き出す

 

雄介「じゃあ俺達も行きましょう、良い店知ってるんでそこ行きましょう、迷惑掛けたんで奢りますよ」

 

光太郎「いや、そこまでしなくて良いよ五代君」

 

雄介「良いから行きましょう」

 

雄介の笑顔に光太郎の顔も綻んだ、二人はバイク股がり廃工場を後にした

 

 

 

 

山中に一つの影が動く、影は少し引きずる様に進む、進む影が微光を放つと影は大柄な男に変わる

 

ジザイ「クソッ!あの野郎・・・」

 

座り込みながら呟くジザイ、体の痛みに耐えながら思考を巡らす

 

ジザイ(絶対に殺す・・・だが今は回復と報告が先か・・・少し休んだらゴラドの所に向かうか)

 

訪れかけている夜が静かにジザイを闇へ同化させていった

 

 

封印の地より数キロ離れた町にある男が居た、男の体型は細く成人男性としては病弱かと思うほど痩せていた、男の名はベベビ、四人のグロンギの内の一人、男は夜の町に紛れ獲物を探していた

 

ベベビ(リントがウジャウジャいるな・・・フフ・・・これだけいれば当分退屈せずにすみそうだ)

 

街の喧騒を眺めながらベベビは口元を吊り上げる

 

ベベビ(情報収集はグルイとジザイに任せるか、グルイがいればなんとかなるだろう・・・その間は楽しむか・・・フフフ・・・)

 

ベベビは街を歩く女性に声を掛け路地裏に入っていった、しばらくした後、路地裏からべべビが満足そうに出てくる、しかしいくら待っても女性が戻ることはなかった

 

 

翌日、路地裏から女性の死体が発見された

 

 

 

 

雄介と光太郎は別れていた、戻って来たのが夜だったため明日会うと約束し光太郎は近くのホテルへ雄介は研究室へ帰っていた

 

雄介「ただいま!聞いてよ桜子さん!凄いんだって!」

 

帰るなり子供のようにはしゃぐ雄介に少し呆れたようにお帰りと言う桜子、雄介の話を遅くまで聞いた後二人は眠りについた

 

翌朝、起きた二人は光太郎の泊まるホテルへ向かう、光太郎と合流した二人は桜子を紹介し、ポレポレへと向かった

 

おやっさん「いらっしゃい!おぉ雄介と桜子ちゃんか!ん?そちらの男前さんは?」

 

おやっさんに光太郎を紹介し席に座る三人、食事をしながら昨日の出来事について話し合った

 

桜子「うーん・・・南さんの話を聞く限りじゃグロンギで間違いないと思う、それより五代君のベルトと南さんのベルトが光ったのが気になる・・・共鳴だと思うんだけど・・・南さん、そのキングストーンについて教えて貰えますか?」

 

桜子は難しい顔をして考える

 

光太郎「僕もキングストーンについてはよくわかっていないんです、不思議な力はあるのはわかるんですが・・・ゴルゴムは壊滅しましたし」

 

桜子「ゴルゴム・・・?あっ!ちょっとまって!」

 

光太郎の言葉を聞いて何か頭に引っ掛かった桜子は考える

 

桜子「思いだした、最近読んだんだ!ゴルゴムって暗黒結社の資料!ホントだったんだアレ・・・」

 

雄介「ゴルゴムって何?」

 

話についていけない雄介はしきりに首を傾げている

 

桜子「また今度話すね、とにかく今はわからない事だらけね・・・南さん、私の方でもゴルゴムについて調べてみます」

 

光太郎「すいません、お願いします」

 

桜子「じゃあ私は行くね、何かわかったら連絡するから、御馳走様でした!」

 

そう言って桜子は足早に出ていった、残される二人

 

雄介「相変わらずだなぁ桜子さん・・・」

 

笑いながら呟く雄介

 

雄介「南さん、聞いていいですか?」

 

桜子を見送った雄介は神妙な顔で光太郎に向きなおす

 

光太郎「なんだい?」

 

光太郎も真剣な話だと感じ雄介を真っ直ぐ見つめる

 

雄介「南さんは戦うの辛くないですか?」

 

雄介の質問に光太郎は瞬時に悟った

 

光太郎(そうか・・・彼も戦いに苦悩を持っているのか・・・)

 

光太郎「辛いさ・・・五代君と同じように・・・」

 

光太郎は話した、自分が改造された事、戦いの末に親友を殺してしまった事、仲間と異なる時間を生きる苦悩を

 

光太郎「何度も挫けそうになったさ・・・戦いが終われば僕には存在理由が無いんじゃないかってね、それでも戦い続けれたのは人間を守りたいから、人間が好きだから今もこうしてここに居られる、そのおかげで五代君みたいに人間を守る人に出会えた、嬉しいさ、僕独りじゃないってね」

 

光太郎の話に雄介はまるで苦虫を噛み潰したような表情で光太郎を見ていた

 

雄介(この人は俺なんかよりよっぽど苦しい目にあってたのか・・・この人に比べたら俺なんて幸せな方じゃないか・・・)

 

雄介「すいません・・・嫌な事を話させてしまって」

 

光太郎「いいさ、僕もいつかは消化しないといけない事だ、それより五代君、僕達も見回りにいかないか?じっと連絡を待つのは苦手なんだ」

 

雄介「わかりました!行きましょう南さん!」

 

話を終えた二人はおやっさんに挨拶し外に出る

 

光太郎「美味しかったよ、御馳走様、それに懐かしい感じがして嬉しかったよ」

 

光太郎は喫茶店キャピトラの事を思いだし笑みを向ける

 

雄介「でしょ!またいつでも食べに来てください!じゃあ南さん行きましょう!」

 

二台のバイクがポレポレを後にした

 

 

 

桜子「うーん・・・他にはないなぁ」

 

研究室に戻った桜子は資料を漁っていた、自分が読んでいたゴルゴムの資料は情報が少なく、参考に出来るものでは無かったので他の資料を探していた

 

桜子「あるのは都市伝説みたいなのしかないなぁ・・・」

 

溜息をついて椅子に座る桜子、手に持っていた資料を机に放る

 

桜子「どうしようか・・・」

 

桜子が途方にくれていると研究室のドアがノックされ一人の男性が入ってくる

 

桜子「ジャン!」

 

ジャン「桜子さん久し振り!」

 

ジャン・ミッシェル・ソレル、桜子と同じ大学院生で未確認事件の際ゴウラムの研究に力を貸した、現在は院を卒業し、知り合った考古学者の助手をしながら様々な遺跡などを巡っている

 

桜子「帰ってたんだ!どう?そっちは?」

 

ジャン「楽しいよ、ゴウラムみたいな凄い発見は無いけど新しい発見があって毎日とても楽しいね」

 

桜子「へぇ~面白そうだね!今度私も行ってみようかな」

 

ジャン「是非来てください!待ってますよ!あ!そうそう今日は桜子さんにお土産があるんですよ」

 

そう言ってジャンはバッグから封筒を取り出し桜子に渡す

 

桜子「なぁにこれ?」

 

桜子は受け取った封筒を見てジャンに聞く

 

ジャン「前に電話した時、桜子さん暗黒結社の資料見てるって言ってたでしょ?僕が先生と見つけて探索した場所がどうやらその暗黒結社の基地だったみたいでそこで見つけた資料なんだ、コピーだけどね」

 

桜子「えっ?」

 

桜子の時が止まった、探していた資料がこのタイミングでこんな簡単に手に入った事に驚いたからだ

 

ジャン「もしかしてもう興味無かった?」

 

桜子の様子にジャンが不安そうに聞いた

 

桜子「えっ!?ううん!そんな事無いよ、むしろすぐにでも欲しかったぐらい、ジャンありがと読ませてもらうね」

 

封筒を開け資料を取り出す桜子、資料はとても分厚く100枚はゆうに超えている事は数えずともわかった

 

ジャン「よかった、じゃあ僕は行くよ、先生と次の遺跡に行く約束があるから」

 

桜子「わかった、ジャンありがと!気をつけてね」

 

ジャンを見送った桜子は早速資料に目を通す、資料にはゴルゴムの活動記録や怪人についての事が記載されている

 

桜子「あった・・・」

 

桜子が望む項目を見つけ出した

 

「キングストーン」

ゴルゴムの至宝、次期創世王候補である世紀王の証にして力の源、その石は未知の部分が多くゴルゴムの科学力を持ってしても全貌を知ることは出来ていない、石の起こす奇跡に関しても条件・過程がわかっていない、使い手の意思が関係しているのではとされているがあくまで推測であり根拠は無い、太陽・月の二種類が存在するが基本的な性質は変わらない、キングストーン単体でも優れた力を持つがそれもキングストーン本来の力の一端であり、二つのキングストーンが揃う時、真の力が発揮されるとされる、キングストーンの全貌を知るのは我等が主である創世王様のみであろう

 

桜子「ゴルゴムもわかっていないみたいね・・・」

 

桜子は資料を次々と捲る

 

桜子「あっ!これね・・・」

 

「研究カテゴリー・グロンギ」と書かれる資料を見つけ目を通した、専門用語があり理解が困難な部分もあったがわかる範囲でノートに書き込んでいく

 

桜子「こんな所か」

 

書き出したノートを見て呟く、ノートに書かれていたのは、グロンギは霊石を力の源とする一族、精神の力に霊石が左右される事、キングストーンと共鳴したため同種・近似種の可能性を示唆する事、そしてはぐれグロンギと称された四体のグロンギがゴルゴムに攻め入り封印された事が書かれていた

 

桜子(まだ何かわかるかも)

 

ノートを確認した桜子は再び資料に目を通し始めた

 

 

 

 

ある街の一角、行き交う人混みの中に一際目立つ女性が居た、装飾品が多く付けられ露出の大きい服装を着た女性、一般的に美人とされるその女性は腕を組み壁にもたれ考え事をしていた

 

グルイ(情報が集まらない、それどころかゴルゴムすら知らないのがほとんどだ・・・)

 

力を使い何人かの記憶を読んだグルイだったがそのどれもが自分の望む情報を持っておらず辟易していた

 

グルイ(どうするか・・・)

 

思案していた彼女に突然声が掛かる

 

男「お姉さん暇してる?良かったら俺等と遊ばない?」

 

二人組みの男が話しかけてきた

 

グルイ「・・・・・」

 

無言で立ち去るグルイ

 

男「ちょちょ!?待ってよ・・・うわっ!」

 

立ち去るグルイの腕を掴んだ男だが巨木を引っ張るかの如くビクともせずグルイに引き摺られる形で地面を擦る

 

グルイ(チッ・・・非力なリントの振りをするのも難しいな)

 

男「お、お姉さん力強いね、ハハ・・」

 

立ち上がりながら話す男を見てグルイは無駄と知りつつも尋ねてみた

 

グルイ「この辺り・・・いや少し遠くても良いんですが昔の記録とか見れる場所知りませんか?」

 

突然の女性からの言葉に男達は少し慌てる

 

男「昔の記録・・・図書館?とか?いや、あんな所には無いか・・・」

 

男2「あっ!あそこにはあるんじゃね?俺等の大学のあれ・・なんてったっけ?」

 

男「あぁ!考古学研究室か!確かにあそこならあるかもな」

 

グルイ「その大学はなんて名前ですか?」

 

男「城南ですよ、城南大学!」

 

グルイ「そう・・・どうもありがとう」

 

礼を言うとグルイは踵を返し立ち止まる事無く歩いていった、呆気に取られた男達は互いに溜息を吐き顔を見合わせていた

 

コツコツとヒールを鳴らしながら歩くグルイは呟く

 

グルイ「城南大学・・・」

 

人混みの中に一体の魔物が消えていった




ご都合主義でごめんなさい。


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戦士

関東医大病院

 

手術室の自動ドアが開き、手術着を着た椿が出てくる

 

椿「ふー・・・」

 

一仕事を終えた椿は一息つく

 

一条「どうだ?」

 

待っていた一条が椿に問う

 

椿「あれは蛇だな」

 

一条「蛇?」

 

椿「毒って事だ、解剖したら身体中が毒素でやられていた、その毒を調べると蛇毒に似てたんだ」

 

一条「だが毒蛇に咬まれただけではすぐには死なないだろう?何かあるのか?」

 

椿「あぁ、ハブなんかもヤバイ毒だがこいつはそんなもんが可愛く思えるほど強力な毒だ、まず咬まれた時に毒と一緒に神経毒が流される、数秒で動けなくなる強力なやつだ、そして動けなくなった所に毒が回る、およそ5分で人間は絶命する、世界にはハブなんかよりヤバイ毒蛇がいるがそれより遥かにヤバイ毒だ」

 

一条「血清は作れるのか?」

 

椿「難しいな・・・既存の蛇毒とは全く異なるから1から作る事になる、だが仮に作れたとしても5分では・・・」

 

一条「そうか・・・」

 

お互いに苦しい顔で見合わせる、待機所の空気が重く、苦しい物に変わる

 

一条「これで犠牲者は17人・・・クソッ・・・」

 

一条が拳を握りしめ呟く、そんな一条に椿は真剣に声を掛ける

 

椿「一条、お前は早く行け!避難でも何でもすることがあるだろう?俺も無駄かも知れんが血清を作ってみる、だから行け」

 

一条「すまない・・・頼む・・・」

 

一条は待機所から足早に出ていく、一条の背を見送る椿

 

椿(五代、あいつを頼む・・・無茶ばっかりするやつだからな・・・)

 

椿はよし、と自分に鼓舞し待機所を出ていった

 

 

光太郎達二人は警察の連絡を受けて女性の死体が出た街を調査していた

 

光太郎「怪しい人を見ませんでしたか?」

 

事件があった為、普段より人が少ない街で二人は聞き込みをしていた、知らないと首を振られ歩いていく人間をすれ違う様に見知る男が光太郎に近づく

 

雄介「どうですか南さん?」

 

光太郎「いや、ダメだ・・・」

 

雄介「こっちは情報入りましたよ、普段見ない妙に痩せた怪しい男が居たって、でも居場所はわかんないです」

 

光太郎「そうか・・・」

 

二人が相談していると雄介のバイク、ビートチェイサーから無線の入る音がした、駆け寄る雄介

 

雄介「はい!五代です!」

 

無線「新たな犠牲者が出ました、○○町です、犯人の特定はまだ出来ていません」

 

雄介「わかりました、すぐ向かいます!」

 

連絡を受けた雄介は光太郎を見る、光太郎は雄介の力強く握る拳を見た後頷いた

 

 

 

薄暗い高架下に怪しい男が立つ

 

ベベビ(もぅ何人殺したか・・・フフ・・・動けず苦しみながら死ぬリントを見るのはいつ見ても愉快だ、やはりダグバ達から抜けて正解だったな・・・ゲゲルなど真面目にする奴等の気が知れん)

 

ニヤニヤと笑うベベビ、自分の牙を撫でながら暗い高架下で一人たたずむ

 

ベベビ(少しリント達も慌ただしくなってきたな・・・潮時だ、もう少し遊んだ後ゴラドの元に帰るか・・・)

 

ベベビは妖しく笑みを浮かべ高架下を後にした

 

無線の情報にあった街に来た光太郎と雄介、すぐに周囲の人びとに聞き込みを開始する

 

女「えぇ見ましたよ、病気みたいに痩せた人でしょ?」

 

別れて聞き込みをしていた二人は先の街で得た痩せた男の事も含め聞き回った末、ついに情報を得る

 

光太郎「それで、その男はどこに?」

 

女「どことはわからないけど駅の方に向かって歩いてましたね」

 

光太郎「そうですか、ありがとうございます」

 

礼をして駆ける、光太郎は駅へと走った

駅には一足早く雄介が来ていた、雄介も男の情報を聞きやって来ていた

 

雄介「それらしいのは見つからないな・・・高架下行ってみるか」

 

駅を正面にして右側の高架下に走る雄介、その後に光太郎が遅れてやって来る、雄介と同じように駅を探した後、左側の高架下に走って行った

 

右側の高架下

 

雄介(誰も居ないな・・・反対側かな?)

 

走りながら考える雄介はふと何かを見つけ立ち止まる

 

雄介「あれは・・・」

 

雄介が見たのは女性が誰かに話しかけられている所、ナンパだろうか、話しかけている相手は曲がり角で隠れてよく見えない、雄介が足を止めてみた訳は女性がとても嫌そうに見えたからだ

 

雄介「あっ!!」

 

女性が腕を引っ張られ曲がり角の向こうに消えるのを見て雄介は声を出す、嫌な予感が脳裏をさし雄介は後を追いかけた

 

曲がり角を向こうは三方向に枝分かれしており、大通りに出る二本と脇道に入る一本の道があった、大通りへ出る二本を見回し誰も居ない事を確認すると雄介は脇道へかけていった

 

女「ちょっと離してよ!!」

 

引っ張られる女は抗議しながら手に持つバッグで男を叩く、それを意に介さず女を引っ張り続ける男、脇道の奥に進み回りに人の気配が無い空き地へやってくる

 

女「キャ!」

 

男が投げる、地面に転んだ女は男を睨む

 

女「ちょっとあんた!何がしたいのよ!」

 

気の強い女性なのだろう、普通なら怯える所を強い目と言葉で男を威圧する、そんな女性の心は男の言葉で一変する

 

男「殺すんですよ、私の楽しみの為に」

 

殺す、その言葉が女の心に恐怖を植え付ける、それでもなお怯えが入りながらも強い目をする女、男は楽しそうに笑顔を作り肉体を変化させた

 

女「ひっ・・・!?」

 

突如変化し、怪物となった男に女の目と心はすでに強さは消え、怯えと恐怖が支配していた、言葉にならぬ言葉を出しながら後ずさる女、ゆっくりと近づいて行く怪物、怪物が口を開け牙を剥き出しにする、今にも噛みつきそうなその瞬間

 

雄介「やめろ!」

 

雄介が間に合う、視線を雄介に合わすベベビ、腕に付いている装飾品をちぎり力を込める、装飾品がU字型の棒に変わりその棒を女の足に打ち込む、足を拘束され動けない女を確認すると雄介に体を向ける

 

ベベビ「邪魔が入ったか、気の毒だが死んで貰う、フフ・・・可哀想に・・・」

 

ベベビが雄介に歩み寄る、雄介はベベビをしっかりと見据え、手を下腹部の前に出す

 

雄介「ハッ!」

 

雄介の下腹部にアークルが出現する

 

右腕を斜めに前に出し叫ぶ

 

雄介「変身!!」

 

右腕を納めてあった左腕に乗せスイッチを入れる様に上から押す、アークルが赤く輝き始める、そして両腕を腰より少し浮かせた状態で伸ばす、雄介の体が変化していく、変化が完了し身構える雄介

 

赤を基調としたその毅然とした姿はまさしくグロンギを殲滅した戦士クウガであった

 

 

ベベビ「これは・・・」

 

目の前で変化したリントを見てベベビは驚きはせず冷静に分析を開始する

 

ベベビ(これは我等と同じ・・・仲間か?・・・いやこの敵対心を感じる目は違うな・・・)

 

クウガ「おおおぉ!」

 

ベベビの分析に待ったをかけるようにクウガは駆け出す

 

クウガ「おりゃあ!」

 

クウガが拳を出してくる、クウガの拳を受け止めたベベビはクウガの足を払い、蹴り飛ばそうとする

 

クウガ「くっ!」

 

体勢を崩したクウガは飛んできた足を掴む

 

クウガ「おりぃやぁ!」

 

直ぐ様体勢を立て直し、掴んだ足を振り回し投げ飛ばした、ベベビがクウガと女から離れる、ベベビの様子窺いながらクウガは女に近付き拘束している棒を引き抜く

 

クウガ「大丈夫ですか?動けますか?」

 

女「あっ!?え、えぇ・・・」

 

クウガ「逃げてください、あいつは俺がなんとかします」

 

驚く女に逃げるよう促すクウガ、女はコクコクと頷き急いで逃げていった

 

ベベビ「私の獲物をよくも・・・」

 

獲物を逃がされたベベビは怒りをあらわにし、クウガを見る、しかしそれは偽りの怒りであり内心はクウガの事をさらに分析していた

 

ベベビ(やはり敵か、見たところリントを守る戦士のようだな・・・ふむ・・・こいつを殺せばゴラドにも顔は立つか・・・よし)

 

思考が終わったベベビは体の装飾品をちぎり力を込める、装飾品が変化する、それは刺又に変化する、ただ通常の刺又より少し短く160センチほどしか無い、そして先は尖り、刺が無数についていた

 

ベベビ「ふっ!」

 

刺又を構えクウガに攻撃を仕掛ける、避けながら攻撃を仕掛けるクウガだが間合いが遠く、さらに刺又に阻まれ攻撃を与える事が出来ずにいた

 

ベベビ「ハッ!」

 

ベベビの刺又の刺がクウガを切り裂く、怯むクウガに間髪入れず追撃するベベビ、数回刺がクウガを裂き、よろめきながら壁にぶつかるクウガ、その隙を見逃さずクウガの首目掛けて刺又を打ち込む

 

クウガ「グッ!?」

 

壁に刺した刺又に首を固定されたクウガ、拘束から抜け出そうと刺又に力を込める、しかし壁に深々と刺さる刺又はビクともしなかった

 

ベベビ「ハハァ!」

 

刺又を押さえながらベベビはクウガに蹴りを放つ、もちろん拘束が外れぬよう刺又を持つ力は緩めない、何度も蹴りあげクウガがダメージで抵抗が弱まったのを見るとベベビは口を開け、その牙を見せつける様に剥き出し、毒を滴らせた

 

クウガの肩にその毒牙を刺し込む瞬間

 

クウガ「超変身!!」

 

クウガの声と共にクウガの体が変化する、ボディが硬質化し、肩のアーマーは肥大化しより堅牢になる、アークルは紫に輝きを変化させる、銀のボディに紫のラインが入ったその姿はまるで鎧を纏う西洋騎士にも見える

 

ギンッ

 

アーマーに遮られた牙が鈍い音を出す、同時にクウガは拳に力を込めベベビを打つ

 

ベベビ「グゥ!?」

 

吹き飛ぶベベビ、立ち上がりクウガを見る、クウガは拘束していた刺又を引き抜き立ち上がる

 

クウガ「ふぅ~」

 

クウガが息を吐くと手に持った刺又が形を変化させ剣へと変わる

 

クウガのこの形態はタイタンフォームと言う、紫のクウガと呼称されるこの形態は防御・力に秀でており代わりに敏捷性が失われる、棒状・剣状の物を変化させタイタンソードと呼ばれる専用剣を操る

 

ベベビ(力と防御力が上がったのか、そしてあの剣・・・厄介そうだな・・・)

 

変化したクウガを見て戦力を測るベベビ、再び刺又を生成し攻撃に出る

 

ベベビ「ふん!」

 

力を込め刺又を突き立てるベベビ、避けようともせず受けるクウガ、ギンッっと鈍い音がし刺又は弾かれる、すかさずクウガは手に持った剣をベベビに突き刺す

 

ベベビ「くおっ!?」

 

間一髪避けたベベビは刺又を振り上げクウガ目掛けて振り落とす、クウガは剣を刺又目掛け振り上げる

 

キンッ

 

乾いた音と共に刺又が二つに別れる、直ぐ様距離を取ったベベビはクウガを睨む、だがその様子は焦りが見える

 

ベベビ(相性が悪い・・・このままやり合えば負けは必至か・・・ならば!)

 

装飾品を小さい刺又状に変化させた物をクウガに投げつける、そして同時に反対方向へ走り出す

 

クウガ「えっ!?」

 

刺又を弾いたクウガはベベビの行動に驚く、すぐに我に帰りマイティフォームに戻し、戻った刺又を手に持ち追いかけた

 

女「キャアアアアァ!!」

 

ベベビは街中に出ていた、怪物を見た人間達が悲鳴を上げる

 

ベベビは装飾品を小さい針に数本生成し牙に密着させる、牙から出る液体を針に付け、逃げ惑う人間に投げつけた

 

針の刺さった人間がその場で倒れる、そこにクウガが駆けつける

 

クウガ「あっ!」

 

倒れる人間に駆けつけようとするクウガにベベビが立ち塞がる

 

クウガ「クソッ!」

 

クウガは再びタイタンに変化し刺又を剣に変え、攻撃の意思を見せるクウガ

 

ベベビ「待てリントの戦士、こいつらはまだ死んではいない麻痺しているだけだ」

 

ベベビの言葉にクウガの動きが止まる、すぐに人質だと悟ったクウガは剣を下げる

 

ベベビ「理解したようだな、まずその姿をやめろ、そしてわかっていると思うが抵抗はするなよ?」

 

ベベビの言葉に剣を強く握り締めるクウガ、そしてタイタンからマイティに戻し、戻った刺又を手放す

 

ベベビ「まぁその姿なら良いか」

 

クウガの前へ歩み刺又を手にする

 

ベベビ「フハハハハ」

 

高笑いしながら刺又を振るいクウガを裂き、打ち、いたぶる

 

クウガ「ぐあっ・・・!?」

 

堪らず膝をつくクウガ、そんな事を意に介さず、なぶり続けるベベビ

 

ベベビ「ヒャハハハハ」

 

ベベビの声に狂喜が混じる、刺又に更に力を込めクウガを打つ、クウガは拳を握り耐えるしかなかった

 

ベベビ「はぁ・・・はぁ・・・楽しませて貰った、リントの戦士、そろそろ殺してやる」

 

口を開け牙を露出させる、クウガに組み付こうと手を差し出す

 

 

 

「そうはさせん!」

 

 

 

声と共に飛び出してきた者にベベビは吹き飛ばされる

 

BLACK「大丈夫か五代君!」

 

声の主はBLACK、クウガに駆け寄り安否を問う

 

クウガ「すいません南さん・・・人質を取られちゃって」

 

倒れている人間を確認するBLACK

 

BLACK「そうだったのか、すまない、遅れてしまって、後は任せてくれ」

 

クウガ「いえ、大丈夫です、俺がやります!」

 

BLACK「だが・・・大丈夫なのか?」

 

立ち上がるクウガの傷を見てBLACKは聞く、軽傷ではない、痛々しい傷を受けているクウガにBLACKは気遣う

 

クウガ「大丈夫です、南さんは倒れている人をお願いします」

 

 

ベベビ(なんだあいつは・・・いや、それよりこの状況は不味いな、退くか・・・)

 

謎の来訪者に驚くベベビだが自身の危機的状況を察知し逃げる算段を考えていた

 

クウガ「超変身!!」

 

クウガの声にベベビがビクッと体を跳ねさせる、思考を叫びで遮られ驚いたのだ、クウガに視線を向けるベベビ

 

クウガはタイタンに三度変化する、だが今度は体に電撃が走り、さっきまでとは違う事を示していた、タイタンのボディに金のラインが入り、アークルも金になる、強化形態ライジングタイタンとなるクウガ

 

ベベビ「くっ・・・」

 

相性の悪い姿を見たベベビはこの場をどう逃げるかで頭がいっぱいだった

 

歩み寄るクウガに思考を鈍らせる

 

ベベビ「チィ!」

 

装飾品を小さい刺又に変え投げる、だが全くクウガには効かずクウガは歩みを止めない、手に持つ刺又をクウガに突き出すがそれもクウガには意味をなさなかった、それどころか刺又を握ったクウガが刺又を剣に変化させる、剣の先にはタイタンの時にはなかった金の剣が追加されリーチが伸びている、無論威力も上がってる

 

ベベビ「うっ・・・ぐっ・・・ひ、ひぃ!?」

 

ベベビの声が怯えに変わる、後ずさるその様子はハンターに追われる獲物の様だ

 

クウガ「はぁぁ・・・おりゃあ!」

 

クウガが剣をベベビに突き刺す、剣から封印エネルギーが流れ、ベベビの体に亀裂を作る

 

クウガ「うおおお!」

 

剣を刺したまま走り出すクウガ、少し離れた誰もいない広場に着いた時、封印エネルギーがベベビのベルトに到達する

 

ベベビ「うっぐっ!?うおあああぁ!」

 

ベベビの叫びと共にベベビの体は弾け大爆発を起こした

 

BLACK「爆発!?くっ!」

 

爆発の衝撃から人間を守るように立ち塞がる、爆発が済んだ後爆風の中からクウガが姿を表し歩いて来た

 

 

 

 

雄介「すいません一条さん、街壊しちゃいました」

 

雄介は遅れてやって来た一条に謝る

 

一条「なんで誰もいない所に運ばなかったんだ」

 

一条は少し怒りを見せ話す

 

雄介「いや、あいつ逃げそうだったんで、逃がすよりは良いかなって・・・それにゴウラムも使えるかわかんなかったし」

 

一条「まぁ良い、幸い爆発の被害は広場が壊れたぐらいで人的被害は無いからな、それに、ゴウラムだが榎田さんが使える様にしてくれてるぞ?沢渡さんから連絡を受けたと言っていた、聞いてないのか?」

 

雄介「そうだったんですか?聞いてないです、多分桜子さん言い忘れたんじゃないかな」

 

一条「南さん、協力ありがとうございます、おかげでこれ以上の被害は出なくて済みました」

 

光太郎「いえ、今回は僕はほとんど何もしてません、五代君のお手柄ですよ、それにまだ他にもグロンギはいます、頑張りましょう」

 

一条「そうですね、では引き続きお願いします」

 

話を終え捜査に戻る一条は何かを思い出した様に足を止め戻って来た

 

一条「沢渡さんで思い出した、関係あるかはわからないが一応耳に入れておこうと思う、城南大学の学生が妙に力の強い女性に城南大学の考古学研究室の場所を話したと言う情報が入ったんだ、城南大学の考古学研究室と言えば沢渡さんの居る場所じゃないか?」

 

雄介「えぇそうです」

 

一条「やはりか、まぁただの考古学好きの可能性もある、沢渡さんには五代が側にいるから心配無いか・・・では私は行く、また何かわかったら連絡する」

 

一条はパトカーへと駆けていった

 

雄介「桜子さん・・・」

 

何か嫌な感じが頭を離れず桜子の名前を呟く雄介

 

光太郎「五代君、沢渡さんの所へ行った方がいい、いや行くんだ」

 

一条の言葉に同じく不安を感じた光太郎は雄介に促す

 

雄介「いや、でも・・・」

 

光太郎「沢渡さんは大事な人なんだろう?なら守ってやらなければならない、俺には出来なかった事だが五代君なら出来る、行くんだ」

 

雄介「南さん・・・はい!行ってきます」

 

光太郎に笑顔を向けた雄介はバイクに乗り走って行く、雄介の姿を見送った光太郎は一人空を見上げる

 

光太郎(信彦・・・バトルホッパー・・・)

 

 

 

ある家庭で男はテレビを見ていた、新種の怪物のニュースを見ている、実は雄介達が戦っていた場所には監視カメラがあり警察の介入より早くその映像を入手したテレビ局が独断で放送していたのだ

 

テレビに写されているのは異形の怪物とそれに対するコメント、かつて未確認生命体4号と呼ばれたクウガの再来を喜ぶコメント、そして最後に写し出されたのは謎の怪物と称されたBLACK、アナウンサーは敵の可能性も充分あるとして警戒を促している

 

その謎の怪物に目を見開き男は見る、そして呟く

 

?「仮面ライダー・・・BLACK・・・」




ベベビは蛇のグロンギです、階級としてはゴの下位クラス、リントを殺す事が楽しみの快楽殺人者でゲゲルが肌に合わずゴラド達の仲間になったグロンギ、力は弱いが毒が強力で食らえば例えクウガでも復活する事無く死ぬ可能性もある毒といった設定です。

最後の人物はBLACKに縁のある人物です。予想してください。


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友愛

雄介「いて・・・」

 

 

城南大学へと向かう雄介のバイクがふらつく、ベベビとの戦いに勝利した雄介だかダメージは少ないものでは無かった

 

雄介「桜子さん・・・」

 

雄介は体の痛みを堪え、アクセルを更に回した

 

 

 

城南大学・考古学研究室

 

桜子「うーん・・・専門用語がわからないのが辛いなぁ・・・南さんならわかるかな」

 

難しい顔で唸る桜子、ゴルゴムの資料を見ていた桜子は専門用語の多さに解読は困難を極めていた

 

桜子「あっ!」

 

何かに気付く桜子

 

桜子「そうだ!確か白竹教授の所に似た資料があったんだ!」

 

言葉と共に立ち上がる桜子、荷物を纏め研究室を後にする

 

桜子が研究室を後にし、暫く経った研究室のドアがノックされる

 

事務員「面会です、教授、沢渡さん・・・あれ、誰もいない、外出中みたいです、どうします?ここで待ちますか?」

 

ドアの開けた先で事務員が壁に隠れる同行者に尋ねる

 

グルイ「そうですか、では失礼して待たせて頂きます」

 

研究室に入る人の皮を被る魔物、ドアを閉め、残された魔物は静かに行動を開始した

 

 

 

光太郎は一条と行動を共にしていた、連絡手段の無い光太郎は一条と行動する事にしていた

 

一条「何か進展はあったか?」

 

無線越しに一条は捜査本部に連絡を取る

 

無線「有力な情報は得られていません、引き続き調査を続けてください」

 

無線を切る一条、側の刑事達と話をし、光太郎の元へやって来る

 

光太郎「情報はありませんか?」

 

一条「えぇ、今は情報が無いので南さんと交戦したグロンギの居た廃工場の周辺を捜索しようと思っています」

 

光太郎「わかりました、僕も同行します」

 

一条「申し訳ない、お願いします」

 

一条達と共に光太郎は街を後にした

 

 

桜子は同じ大学内にある白竹教授の研究室を訪ねていた

 

桜子「教授が以前見せてくれた資料を拝見したいのですが」

 

白竹「資料?何の資料かね?」

 

桜子「確か・・・生物学の資料でした、生物学の他に変な組織の事を書いていた物です」

 

白竹「あぁ・・・黒松君の研究資料か、少し待ちなさい」

 

白竹は桜子に待つよう言い、棚を探す

 

白竹「あった、これだろう?」

 

取り出したファイルを桜子に差し出す、黒松と書かれたファイルを受け取る桜子

 

桜子「これです、教授、この資料少しお借りしてもよろしいですか?」

 

白竹「構わないが、用が済んだら返してくれよ?それは友人の物だから」

 

桜子「わかりました、ありがとうございます」

 

礼を言って白竹の研究室から出る桜子、歩きながら昼食がまだだと気付き、食堂へ入っていった

 

 

 

とある民家のガレージ

 

光の入らぬ暗いガレージ、静寂が支配するガレージが突然破られる

 

ガラガラと音を立てガレージのシャッターが開く

 

シャッターを開けたのは男、ガレージの持ち主なのだろう、男は物言わずガレージの電気を点け、奥に進む、ガレージの中は車が二台と数台のバイクがあった、車は何処にでもある乗用車だったが、バイクはすべてチェーンされた後があり、外装も凝っている

 

男は車とバイクの間を抜け、一番奥にある物の前で止まる

 

その物にはシートがかけられ中身がわからない、男はシートを引っ張り、その物を露にする

 

男はその物を見て小さく呟く

 

男?「まさかまたこれを使う日が来るとはな・・・」

 

 

 

 

昼食を済ませた桜子は研究室に戻る、ドアの前で人の気配を感じた桜子はふっと笑顔を作りドアを開ける

 

桜子「五代君帰ってたんだ」

 

ドアを開けながら話す桜子、だが研究室に居たのは望んだ人物ではなく、初めて見る女性だった

 

桜子「あっ!すいません、知り合いと勘違いしてしまって・・・見学ですか?」

 

グルイ「こちらこそ勝手に入ってしまってすいません・・・えぇ、来年入学する予定の者です、考古学に興味があるので入学の際の下見に来たんです」

 

お互いに謝る二人、見学者の言葉に桜子は胸のプレートを見る、見学者は事務所で書類に記載し、見学者用のプレートを貰う決まりになっている、桜子はプレートに書かれる名前を見ていた

 

桜子「鷲宮さん・・・ね、どんな事に興味があるの?」

 

鷲宮と書かれたプレートを見て質問をする桜子、鷲宮と呼ばれる女性は少し考えた素振りを見せ

 

鷲宮「遺跡なんかも好きなんですが、今は古い歴史等を調べています、中でも本当かわからない様なオカルト的な物なんか面白くて好きです、ゲルダム団やガランダー帝国みたいな」

 

桜子「そうなんですか!私も今、ゴルゴムって暗黒結社について調べてるんですよ、全然進展してないですけど・・・」

 

そう言って苦笑する桜子を見てグルイは考える

 

グルイ(ならこいつの記憶を読む必要は無いか・・・ゴルゴムと王の石の情報を得たら立ち去るか・・・)

 

鷲宮「暗黒結社・・・ですか?面白そうですね!私も見せて貰って構いませんか?」

 

グルイは鷲宮と言う女を演じ、笑顔を作った

 

 

 

雄介「もう少しだ」

 

城南大学まで目前となった雄介、信号で止まり、遠目に見える大学に思わず声が出る

 

歩行者信号が点滅し、赤に変わると告げているのを見て雄介はニュートラルから1速へギアを入れる

 

雄介「ん?」

 

ギアを入れた雄介は気になるものを見つける、歩道の脇で泣いている女の子を

 

雄介「あー・・・・・・良し!」

 

バイクを道路の端に寄せ、女の子へ駆け寄る

 

雄介はすぐにでも桜子の元に行きたかったが目の前で泣いている女の子を放っておけなかった、女の子をあやし、手を繋ぎ、雄介は辺りを回った

 

 

 

桜子「それで、このキングストーンって言う石が・・・」

 

鷲宮に説明をする桜子だが、桜子は違和感を感じていた

 

桜子(聞いてないし・・・さっきからゴルゴムの活動記録とかしか見てないし、それに何か変な感じが・・・)

 

桜子の説明を無視し資料を読みふける鷲宮を見て桜子は不安にも似た違和感を感じる

 

桜子(まぁ敵意は無いみたいだし、まっいっか、それより私も調べなきゃ)

 

桜子「ちょっと前ごめんね」

 

読みふける鷲宮の前にある本立てから以前、グロンギについて書き出したノートを取る、ノートを取った拍子に隣り合うアルバムが落ち、鷲宮の前で広がる

 

桜子「あ、ごめん」

 

落ちたアルバムを取ろうとした桜子は鷲宮の言葉で動きを止める

 

鷲宮「ダグバ・・・?」

 

鷲宮の前に広げられたのは未確認生命体の事件の際の遺跡で撮った写真が納められたアルバムだった、開かれたアルバムにのっていた写真は、4本角の戦士・クウガの禁忌の姿のリント文字、元々はグロンギ文字でダグバを表す文字をクウガを表す為にリント文字に変換した物、そのため形状が似ている文字だ

 

桜子「えっ・・・?」

 

桜子は驚きを隠せない、世間には知られていないリント文字を意味は違えど即答できる一般人が居るはずがないと

 

鷲宮は呟いた後、アルバムをどけ桜子をチラリと見る、だが視線を再び資料にすぐ戻した

 

桜子(ま、まさか・・・)

 

桜子は研究室を出ようとする、だが動揺を隠せず、少し慌て気味に研究室を出た、研究室から出る桜子をまたチラリと見る鷲宮

 

桜子「はぁ・・・はぁ・・・」

 

廊下に出た桜子は恐怖で息切れしている、慌てて携帯電話を取り出し連絡を入れる

 

桜子「あ、一条さんですか?い、今多分私の研究室にグロンギが来ています!」

 

 

 

 

一条達と共に廃工場に来ていた光太郎は周辺を捜索するもこれと言った成果は見つけだせれていなかった、強いて挙げれば光太郎と交戦したグロンギと思われる者が休んだらしき跡を近くの森の中で見つけたくらいだ

 

一条「これ以上は特に無さそうだな・・・」

 

休んだ跡の周辺を捜索しながら一条は言う

 

光太郎「そうですね、では僕は五代君の所に戻ります、五代君、怪我してるので少し心配なので」

 

一条「わかりました、我々も引き上げるとします」

 

二人が森の中を出て廃工場に戻った時にその携帯電話は鳴った

 

一条「沢渡さんか・・・はい、もしもし一条です・・・なんだって!?何故グロンギとわかるんです?・・・碑文を読めた!?・・・えぇ、すぐ応援を寄越します!沢渡さんはすぐ逃げてください!」

 

一条の慌てよう、会話の端に出るグロンギの単語に危機を感じた光太郎は一条に詰め寄る

 

光太郎「一条さん、貸してください!・・・沢渡さんですか?南です、そちらに五代君が向かっています、もう着く筈です・・・僕もすぐ向かいます・・・えぇ・・・早く避難してください・・・気をつけて・・・」

 

光太郎「すいません、先に向かいます!」

 

携帯電話を切った光太郎は一条に携帯電話を渡しながら焦りを見せ話す

 

一条「お願いします、我々もすぐ向かいます!」

 

話終えるや否や光太郎はバイクへ走った、一条も無線で指示を飛ばした

 

 

 

桜子「はぁ・・・」

 

電話を終えた桜子は息を吐き心を落ち着かせる

 

桜子(逃げなきゃ・・・)

 

桜子が走ろうと身を前に出そうとしたその時

 

ガチャ・・・

 

研究室のドアがゆっくりと開いた

 

方唾を飲み込む桜子はドアを注視する

 

ドアからゆっくりと出てきたのは鷲宮、その目は桜子を見下し、睨み付ける

 

桜子「ひっ!?」

 

鷲宮の刺すような視線に恐怖を感じたじろぐ桜子

 

鷲宮「お前を殺すつもりは無かった、だが邪魔をするなら話は別だ・・・」

 

鷲宮の低く冷たい声に桜子の恐怖は増す、鷲宮が一歩踏み出した瞬間、弾ける様に走り出す桜子

 

階段を下り、出口に向かって走る、出口が目の前に迫ったその時、出口の先に何かが落ちる

 

桜子「あ・・・うそ・・・」

 

出口の先に落ちてきたのは鷲宮だった、桜子を冷たく見据えながら入ってくる

 

歩きながら鷲宮は両手を広げ力を込める、鷲宮の体が変化し異形の怪物となった

 

桜子「う・・・あ・・・」

 

声にならぬ声を出し、再び階段に走る桜子、階段を登ろうとする足に激痛が走る

 

桜子「いたっ・・・痛い!」

 

転んだ桜子は自分の足を確認する、右足に鳥の羽が深々と刺さっており血を流していた

 

グルイ「逃げると苦しむ事になる、楽に殺してやるから動くな・・・」

 

迫るグルイの言葉は桜子にはもはや聞こえていない、階段の手すりに捕まり力無く逃げる桜子、グルイが羽を一枚ちぎり構えた

 

雄介「桜子さん!」

 

雄介の声が建物に響いた、グルイは雄介の声を聞いた瞬間、振り向き様に手に持つ羽を雄介に投げつける

 

雄介「わっ!?」

 

咄嗟に避けた雄介に声が届く

 

桜子「五代君!」

 

桜子の声を受けて走り出す雄介、グルイへ飛び掛かり際に叫ぶ

 

雄介「変身!!」

 

クウガに変身し、グルイに掴み掛かる、揉み合いの末グルイを窓に投げた、窓を破壊し投げ出されるグルイをクウガが追う、外に出た二人は互いに牽制しあうように睨み合う

 

学生「うっお!?か、怪物だー!!」

 

通りかかる学生がクウガとグルイを見つけ逃げた

 

クウガ(こいつを抑えとかないと・・・)

 

今の学生が怪物の事を伝えるだろう、避難が終わるまで倒す事は出来ないし無闇に暴れさす事も出来ない、クウガは今、維持の戦いを強いられていた

 

グルイ「お前はリントの記憶にあったな・・・4号か」

 

クウガ「こいつも喋れるのか!?お前達の目的は何だ!また人殺しのゲームか!」

 

グルイ「ゲーム・・・?あぁゲゲルの事か、安心しろ我等はゲゲルに興味は無い、いや・・・これでは心配しろか・・・フフフ」

 

グルイ「我等の目的は王の石を手にする事だ、邪魔をするなら殺す!」

 

グルイは殺意と共に羽をクウガに飛ばす、回転し避けるクウガ

 

クウガ「ぐっ・・・!?」

 

避けきれず腕に羽が突き刺さる

 

クウガ「クソッ!」

 

刺さった羽を引き抜き、クウガはグルイに向かい走る

 

殴りかかるクウガの拳を避け、クウガを殴る、受け止めるクウガはグルイの腕の力に押され膝をつく、その態勢のクウガに膝蹴りを食らわせ、掴まれていない腕でクウガを殴り飛ばす

 

クウガ「がっ・・・!?」

 

吹き飛ぶクウガを見てグルイは手の感触を感じながらグルイはクウガに話す

 

グルイ「お前・・・手負いだな?誰かとやりあった後か・・・ジザイかベベビか・・・」

 

クウガの体捌きや拳の感触で感じるグルイ、クウガも戦い始めて数分にも関わらず既に肩で息をしている

 

グルイ「お前が生きているということは、どちらか死んだか・・・ベベビなら良いんだがな・・・」

 

クウガ「はぁ・・・はぁ・・・クッ!?」

 

肩で息をするクウガは間合いを保ちつつ回復につとめる

 

グルイ「お前はリントを守る戦士と言った所か、お前は我等の障害になりそうだな!」

 

グルイ(殺すなら手負いの今か)

 

グルイは腕に力を込める、腕に生えている羽が伸びる

 

グルイ「ハッ!」

 

腕を大きくクウガに向け振る、腕から大量の羽が飛びクウガを襲う

 

クウガ「うがっ!?」

 

クウガを大量の羽が突き刺さる、激痛に倒れるクウガ

 

クウガ「ぐっ・・・うぅ・・・」

 

桜子「五代君・・・」

 

必死に立ち上がるクウガを壊れた窓から見ている桜子は不安そうに呟く

 

クウガ「はぁ・・・はぁ・・・超変身!!」

 

立ち上がるクウガは体を変化させ、タイタンフォームになる

 

グルイ「ふっ!」

 

再び放った羽がクウガを襲うが鎧に弾かれ落ちる

 

クウガ「ぐあっ!?」

 

鎧のない部分に羽が刺さり激痛が襲う

 

グルイ(そろそろか・・・何やら妙な事をしたが限界だな)

 

グルイが手に力を込めると爪が大きく鋭く伸びる、クウガへ歩み寄るグルイ

 

クウガ「ふぅ・・・ふっ・・・はああぁ!」

 

クウガの叫びと共に体に電流が走りながら変化する、ライジングマイティとなったクウガはグルイに飛び出し拳を打ち込む

 

グルイ「ぐう!?」

 

よろめくグルイにクウガは休まず攻撃を仕掛ける、拳が腹を打ち、蹴撃が腕を打つ、怒濤の攻撃に反撃出来ないグルイ

 

クウガ「はぁ!」

 

小さく跳躍したクウガの飛び蹴りがグルイの延髄を打ち、グルイは大きく後退する

 

クウガ「はっ!」

 

クウガは構え、足に力を込める、グルイに向かい走り出し跳ぶ、空中で回転し足を突き出す

 

クウガ「おりゃあ!」

 

クウガの叫びと共に渾身の飛び蹴りがグルイに当たる、だが当たる直前にアマダムが輝き、金から赤に戻っていた

 

グルイ「ぐがう・・・!?」

 

蹴りを受けて吹き飛ぶグルイ、体に紋章が浮かび苦しむグルイ

 

グルイ「はぁぁぁ!」

 

グルイが体に力を込めると紋章は消える、だがグルイはよろめき、ふらついている

 

グルイ「くっ・・・リントめ・・・」

 

グルイの健在を見てクウガは再び構えを取る

 

グルイ(手負いと侮り過ぎたか!?ここは・・・)

 

グルイは背に力を込める、背中から巨大な羽が現れ、グルイは飛んだ

 

凄まじい速さで空へ駆けて行くグルイはすぐに見えなくなり、静寂が残った

 

桜子「五代君!」

 

桜子が足を引きずりながらクウガに駆け寄る

 

構えを解いたクウガは桜子を見て変身を解く

 

雄介「遅くなってごめん」

 

桜子「ううん、ありがとう」

 

雄介「ちょっと来る時に女の子が迷子になっててさ、それで来るの遅れちゃったんだ」

 

桜子「そっか、五代君らしいね、うん!間に合ったから許す!」

 

雄介は桜子の笑顔を見た後、力無くその場に倒れた

 

桜子「ちょっと!?五代君!?」

 

慌てて雄介を抱き抱える桜子、雄介の体から大量の血が出ているのを視認する

 

桜子「うそっ!?五代君!しっかりして」

 

桜子の言葉は近付くサイレンの音で消されていった




前回に続きクウガ活躍です。

全く関係ありませんが、BLACKとクウガならBLACKの方が好きです、てつを最高です。


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傷心

関東医大病院

 

桜子「五代君・・・」

 

ベッドに横たわる雄介を見て心配気に呟く、側には一条と光太郎もいる

 

光太郎「すいません沢渡さん・・・僕も一緒に行っていれば・・・」

 

桜子「南さんが悪い訳じゃありません、気にしないでください、五代君も同じ事を言うと思いますし」

 

頭を下げる光太郎に桜子は答える、同時に部屋の扉が開く

 

椿「待たせた」

 

椿がカルテを持ち入室してくる

 

一条「どうだ?五代は大丈夫か?」

 

椿「あぁ、命に別状は無い、だが血を流し過ぎたのと体のダメージが大きい、常人なら数回死んでいるくらいだ・・・今はアマダムが体の治療に力を使っている、だが怪我が大き過ぎて五代は寝続けている状態だ、その内目を覚ますだろう」

 

命に別状は無いと知りホッと胸を撫で下ろす桜子、一条と光太郎も顔の緊張が解け、少し笑顔が戻る

 

一条「そういえば南さん、あの鳥のグロンギはどうなりました?」

 

一条が光太郎に問う、あの後、城南大学へ向かう光太郎はグルイを発見し追跡をしていた、一条等も追跡をしたが車では走行が困難な場所に逃げた為、バイクの光太郎に追跡を任せたのだ

 

光太郎「すいません、逃げられました、後少しだったんですが・・・」

 

一条「そうですか・・・五代も無事なので私は行きます、目撃者がいないか調べて見ます」

 

一条はそう言うと病室を後にした

 

光太郎「では僕も行きます、・・・・・・その前に・・・」

 

光太郎は無言で雄介の横に立ち、手を雄介の下腹部に掲げる

 

ボゥと雄介の下腹部が光る、光太郎の手も淡く光り、光太郎の下腹部も光を放った

 

椿「今のは・・・?」

 

不思議な現象に椿は問う

 

光太郎「僕も良くわかりませんが、多分これで五代君も早く良くなると思います」

 

椿の不思議そうな顔に返答する光太郎、桜子は驚きながらも悟った顔をし雄介を見ていた

 

椿「南さん・・・でしたか、今度検査させてもらってもよろしいですか!」

 

椿のマッドサイエンティストの顔が覗き、光太郎に詰め寄る

 

光太郎「やめといた方が良いと思います、嫌な物を見ることになるので・・・」

 

光太郎は暗い表情のまま椿を見て、病室を出ていった

 

椿「?・・・桜子さん?」

 

事情が良くわからない椿は桜子に困惑の顔を向ける

 

桜子「私も詳しくは知らないんで何とも言えないですけど、きっと辛い事があったんだと思います」

 

椿「そうですか・・・今度会った時に謝らないとな」

 

 

 

光太郎は病院の廊下を歩きながら思う

 

光太郎(そうだ・・・五代君と違って僕は人間じゃ無いんだ・・・)

 

光太郎の顔は更に深く沈む、体を改造され、人間を逸脱した力を持つ光太郎、それに対しアマダムと言う石が同化してはいるが他は人間である雄介

 

光太郎は改めて自分が人間とは違う事を思い知る

 

光太郎(僕は人間じゃない・・・それでも・・・)

 

光太郎は強く拳を握り、病院を後にした

 

 

 

 

封印の地

 

ゴラド「・・・・・・・・・」

 

ゴラドは静かに瞑想していたが、封印の地に近付く気配を感じ目を開ける

 

グルイ「今帰りました、ゴラド、体調は戻りましたか?」

 

ゴラド「今少しと言った所だ、それよりベベビはどうした?」

 

ゴラドの言葉に周囲を見る、ジザイの姿はあるがベベビの姿は見えない

 

グルイ「ベベビとは途中で別れたので・・・ですがここに居ないと言うことは恐らく死んだかと思われます」

 

ゴラド「・・・何?」

 

グルイの返答に眉をひそめるゴラド

 

ジザイ「どうせあの野郎、仕事せずにリント殺して遊んでんだろ」

 

ジザイは少しイラつきを混じらせ言葉に出す

 

ゴラド「何故そう思う?」

 

グルイ「私と交戦したリントの戦士が傷を負っていました」

 

ジザイ「何!?グルイ!その戦士は黒い奴か!」

 

戦士に反応したジザイがグルイに大声で捲し立てる

 

グルイ「いや、私が交戦したのは赤い奴だ、紫にも変化する奴だ、お前こそ黒いのとは何だ?」

 

ゴラド「ジザイが交戦したらしいゴルゴムの戦士だ、どうやらゴルゴムはまだ健在らしい」

 

二人の会話にゴラドが口を挟む

 

グルイ「馬鹿な!ゴルゴムは既に滅びています、私が得た情報を元に推測するとゴルゴムはリントの世から消えています」

 

ゴラド「ならジザイの交戦した戦士はゴルゴムの生き残りと言った所か・・・グルイ、王の石については?」

 

グルイ「残念ながら王の石の所在は得られませんでした、ただ、ゴルゴムの記録によりますと世紀王と呼ばれる二人に石は分けられ、与えられたとありました」

 

ゴラド「つまり不明という訳か・・・」

 

ゴラドは呟き、何かを考え始める

 

ゴラド「・・・お前達、もう好きに遊んで来て良いぞ」

 

思考の後、二人に告げられる、それは虐殺指令

 

グルイ「ハッ!・・・ベベビはどうします?」

 

ゴラド「放っておけ、死んでいたならそれで良い、所詮リントを殺す事しか頭に無い奴だ・・・気にするな」

 

グルイ「わかりました、ですが私はゴラドの為、王の石を探して参ります」

 

ゴラド「そうか、見つからない様なら遊んでくると良い」

 

グルイ「では・・・」

 

森の中に消えるグルイを見たゴラドはジザイに話す

 

ゴラド「お前は行かないのか?」

 

ジザイ「うざったいリントは皆殺しにしたいが、それよりも殺したい奴がいる・・・ゴラド・・・力をくれ!」

 

ゴラド「ゴルゴムの戦士か・・・良いだろう、だが力を与えるのでは無い、きっかけを与えるだけだ」

 

ゴラドはジザイに来るよう手招きする、ジザイの下腹部に手を当て力を込める

 

ゴラド「我等の石は精神の力でその力を決める、お前が望む力を得るかはお前次第だ」

 

ゴラドの手から光が放たれジザイに入り込む、ジザイから手を放しジザイを見る

 

ゴラド「さっきも言ったがきっかけに過ぎん、お前が強く望むなら石も力を出すだろう・・・」

 

ジザイ「・・・ぐっ!?何だこれは!?」

 

ジザイは自身の下腹部を抑え苦しむ

 

ゴラド「急激な変化は痛みをともなう、我慢しろ、それより意志を強く持て」

 

苦しむジザイに言い放った後、ゴラドは再び目を閉じ瞑想を始めた

 

ジザイ「グオオオオオォ!」

 

慟哭が響き渡る

 

 

 

 

光太郎は宛もなく走っていた

 

光太郎(手懸かりは何も無い、でも何かしてないと・・・僕にはこれしか出来ない・・・)

 

バイクを走らせながら光太郎は苦悩する、その訳は雄介、雄介の回りにいる仲間達の姿がかつて共に居た仲間達を思い出させ、光太郎を苦しめる

 

光太郎(嫉妬しているのか・・・?五代君に・・・くそっ!)

 

光太郎は心に傷を負っていた、14年の孤独な戦いの日々は光太郎の心に大きく深い傷をつけていたのだ

 

月日が人間と異なる光太郎に人間との差を思い知らせる、光太郎の肉体は改造された時と同じ19歳のままだ、かつての仲間は自分に変わらず接してくれたが次第に光太郎の方から距離を取っていた、病んだ心は光太郎から絆も消し去っていた

 

光太郎(少し休むか・・・)

 

光太郎は道端にバイクを停め、人混みを眺める、通勤者に散歩をする老人、じゃれあいながら進む子供達

 

光太郎(今の僕が守れるだろうか・・・)

 

病んだ心が光太郎とは思えぬ言葉を紡ぎ出す

 

光太郎の前を家族が通る

 

子供「お父さん!今度霞流拳法教えてよ!武器で戦うやつ!」

 

父「もう少し大きくなったらな!それまで我慢だ!」

 

楽しげな家族を見て光太郎は思う

 

光太郎(もし・・・改造されていなければ僕もあんな風に家族と一緒に信彦達と・・・)

 

そんなもしの想像をして光太郎は顔を下げる

 

光太郎(・・・行くか)

 

光太郎はバイクに跨がり街の中に消えていった

 

 

 

一条は県内の考古学者の自宅に来ていた、桜子の証言で人間時の人相と共にグロンギがゴルゴムと言う暗黒結社について調べていたと聞いた一条は考古学者のいる場所に現れるのでは無いかと思い、行動していた

 

一条「ではそんな来客は無いと?」

 

学者「えぇ、誰も訪ねて来てません」

 

一条「そうですか、ひとつお聴きしたいのですが、ゴルゴムとはご存知ですか?」

 

学者「いや、知らないねぇ」

 

一条「そうですか、では伝えた女性が来た時にはすぐ連絡してください」

 

一条の言葉に返事を返し自宅に戻る学者を見た一条はパトカーに戻る

 

一条「そっちはどうですか?」

 

無線を手に喋る

 

無線「こっちも来てないですね、でも妙な話は聞きました、ゴルゴムでしたっけ?それに関係しているかも知れない人物の場所を教えて貰いました」

 

一条「それはどこですか?」

 

無線「坂田龍三郎と言う、昔、EP党だかの党首をしてた男だ、今は党も解散して別荘で暮らしているらしい場所は・・・」

 

伝えられた場所をメモした一条は無線の周波数を変え、伝える

 

一条「南さん、情報が入りました、一緒に来てもらえますか?」

 

一条は雄介が入院した際に光太郎に渡していた無線に連絡を入れる、光太郎の了承を受けて一条はパトカーを走らせた

 

 

 

一条のパトカーが目的地に着く、外に出て光太郎を探す一条の耳にバイクのエンジン音が届く

 

光太郎「遅くなりました」

 

一条「私も今来た所です、行きましょう」

 

二人は別荘へ向かい歩き出した

 

呼び鈴を鳴らし出てくるのを待つ二人、鍵の解ける音が鳴りドアが開く

 

坂田「どちら様で・・・!?南光太郎!」

 

慌ててドアを閉めようとする坂田、一条が慌てて阻止する

 

坂田「何の用だ!ゴルゴムは滅びた!私はもうゴルゴムとは関係無い!」

 

阻止された坂田が怒声を上げる

 

光太郎「今日はあなたを裁きに来た訳ではありません、あなたのした事は許されませんが今日は別の事で来ました、話を聞いてもらえますか?」

 

坂田「・・・・・・本当だろうな?」

 

一条「私が保証します、話を聞いてもらっても良いでしょうか?」

 

坂田は少し考え

 

坂田「・・・良いだろう、入れ」

 

二人を招き入れた

 

坂田龍三郎、かつてゴルゴムに協力した男、ゴルゴムが壊滅した事により、党を解散し世俗から離れ、一人別荘で生活していた

 

坂田「なるほど、それで私の所に来た訳か」

 

一条から説明を受け納得する坂田

 

坂田「しかしその女は来ていない、知るはずが無いのだ、この場所を知るのはかつてゴルゴムのメンバーだった者とメンバーの活動記録を持つ者だけだ、その女がここに来ることはないだろう」

 

そう話す坂田の話に疑問が出た一条は坂田に聞く

 

一条「メンバーの活動記録?」

 

坂田「あぁ、ゴルゴムメンバーの活動の詳細が記された資料だ、それにはここの住所も載ってある、ここは以前ゴルゴムの隠れ家として作られた物だからだ、それにその女が記録を手に入れる事は出来ん、記録はメンバーも知らぬ秘密基地にあるのだからな」

 

坂田の言葉に二人は顔を見合わせる

 

光太郎「一条さん・・・」

 

一条「えぇ・・・恐らく間違って無いと思います」

 

二人が顔を見合わせたのは桜子、正確には桜子の手にいれたゴルゴムの資料、調査の進展を病院で聞いていた光太郎、その話を聞いていた一条は、坂田が危険である事をお互いに確認したのだ

 

坂田「な、何だ?どうした?」

 

二人の様子に不安になる坂田

 

一条「坂田さん、実は・・・」

 

一条が話をしたその時

 

ピンポーン

 

呼び鈴が部屋にこだました

 

坂田「次は誰だ?こんな時に・・・」

 

坂田が玄関へ向かおうと立ち上がる

 

光太郎「待て!」

 

坂田「な、何だ!?」

 

光太郎の鋭い言葉に坂田は止まる

 

光太郎「一条さん・・・」

 

一条「わかってます」

 

坂田の話が本当ならここに来客はまずあり得ないと言う事になる、言わずとも理解した一条と光太郎はゆっくり玄関へ向かい歩き出す

 

一条「どなたですか?」

 

拳銃を構えドア越しに尋ねる一条

 

鷲宮「私、鷲宮と申します、坂田さんにお話を伺いたく参りました」

 

鷲宮の単語に二人は顔を見合わせ頷く、拳銃を見えない角度に隠し、鍵を開け、ゆっくりとドアを開ける、ドアの前に立つ鷲宮を見て一条は聞いていた容姿と一致し、さらに警戒を強める

 

鷲宮「突然すいません、是非ともお話を伺いたくて」

 

鷲宮は頭を下げ話す、頭を上げた鷲宮の視界に光太郎が映る

 

鷲宮「・・・・・・!?」

 

鷲宮が光太郎を凝視した後、後ろへ下がる、鷲宮は本能的な物で光太郎に何かを感じ、身を下がらせた

 

鷲宮「そちらの方は・・・いえ、それよりあなた方は坂田さんではありませんね?」

 

資料に記されていたゴルゴムの活動記録は14年前、当時から歳を取っていた坂田がこんなにも若い訳が無いと知っていた鷲宮は眼前の二人に質問を投げる

 

一条「あなたこそどうやってこの場所を知ったんですか?ここはゴルゴムのメンバーしか知らない場所のはずですが?」

 

鷲宮「・・・・・・・・・」

 

黙る鷲宮

 

一条「グロンギか!」

 

鷲宮「!?何故!?」

 

一条の言葉に反応し身構える鷲宮、鷲宮の反応に確信を得た一条が拳銃を撃つ

 

鷲宮「チッ・・・」

 

撃たれた鷲宮は舌打ちをし体に力を込める、体が変化し異形の怪物へと姿が変わる

 

光太郎「一条さん!後は任せてください!」

 

光太郎が一条の前に立ち変身する

 

グルイ「お前か、ジザイとやり合った黒いゴルゴムの戦士とは」

 

変身したBLACKを見てグルイはジザイの言葉を思いだし話す

 

BLACK「ジザイ?あのサイのグロンギの事か!あいつはどこにいる!」

 

グルイ「奴の事など知らん、そんな事より私は坂田に用がある、邪魔だ!」

 

グルイは羽をBLACKに向け放つ、避けるBLACKは別荘から離れるように移動し、グルイも後を追う

 

グルイ「はぁ!」

 

腕を振るい大量の羽を飛ばすグルイ、BLACKはグルイに向け高く跳躍し避ける、BLACKの拳がグルイを打ちよろける、すぐさま体勢を立て直したグルイはBLACKに詰め寄り、腕を振りかぶりBLACKを打つ、防御ごと打ち抜かれよろけるBLACKに追撃するグルイ、組み合い、お互いに打ち合う姿を見て一条は感じる

 

一条(南さんの動きが変だ、前はあんなものじゃなかった、どこか悪いのか?)

 

一条の推測は当たっている、BLACKの心に貯まる負の感情が戦闘にも影響していた

 

BLACK「くっ・・・」

 

普段の精彩さを失っているBLACKは、避けれる攻撃を避けれず、与えられる攻撃を与えられずにいた

 

グルイ「はぁぁ!」

 

グルイのラリアットにBLACKは大きく後退する、直ぐ様詰め寄り強力な腕の一撃を食らわせる

 

一条(まずいな・・・そうだ!あれがあった!)

 

一条はパトカーへ走り、トランクを開ける、トランクにある小さい箱を開けると銃弾が二発入っていた

 

一条(かなり古いが・・・やるしかないな)

 

一条は銃弾を拳銃に込め、グルイに狙いをつける、組み合うグルイに慎重に狙いをつける、グルイがBLACKから離れた瞬間、その銃撃がグルイを撃った

 

グルイ「グッ!?・・・グゥ!?」

 

銃撃を受けたグルイが苦しむ、一条が撃ったのは神経断裂弾、未確認生命体用の特殊弾丸である、未確認生命体の後に現れたアンノウンには効果が無かった為、製造はされていなかったが一条は未確認生命体事件の際に余った弾を密かに持っていた

 

グルイ「なんだ・・・これは・・・!?」

 

苦しむグルイ、その様子を確認したBLACKはグルイに向かい駆ける

 

グルイ「!?」

 

自身に駆けるBLACKを見たグルイは翼を広げ宙へ飛んだ

 

一条「くっ・・・やはり劣化してたか!」

 

グルイを見て叫ぶ一条、通常の弾丸と違い特殊な化学品を使った弾丸であるその弾は2年という歳月に劣化していたのだ

 

BLACK「追います!」

 

飛び去るグルイを見たBLACKはバイクに走りながら一条に叫ぶ、バイクを走らせ追跡するBLACKを見て一条は拳銃をしまいパトカーに乗り込んだ

 

グルイ(リントめ・・・厄介な物を!)

 

体の痛みを堪えながら飛ぶグルイ、痛みのせいで普段よりスピードが出ず時折ふらつく

 

グルイ(チッ・・・ついてくるか)

 

後方から追ってくるBLACKを見る

 

グルイ(あれほどならじきに巻けるな・・・)

 

BLACKのスピードを見て考えるグルイ

 

BLACK「クソッ!このままじゃまた逃げられる!」

 

BLACKの乗るバイクはチェーンされていない一般車である為そのスピードの限界は低く、グルイを追跡するには不十分だった

 

BLACK(どうする!?)

 

BLACKが打つ手を懸命に考えているその時、前から何かがやって来た

 

BLACK「あれは・・・」

 

ブレーキを掛け停まるBLACK、何かもBLACKの前で停まる

 

BLACK「大門さん!」

 

大門「仮面ライダーBLACK!良かった、会えた!」

 

大門明、元GP世界チャンピオン、父、洋一郎がゴルゴムに殺された為、復讐の為に息子に特訓を行った男

 

大門「話は後だ!あの飛んでる怪物を追うんだろ?これを使え!」

 

大門はBLACKに自分の乗っていた物を差し出す

 

BLACK「ロードセクター・・・」

 

ロードセクター、ゴルゴムが大門洋一郎に作らせた文明破壊用マシン、既存のバイクを遥かに凌駕するそのスペックは大門明と言えども扱えず、BLACKのみがその性能を完全に引き出せる

 

BLACK「ありがとうございます!またお借りします!」

 

ロードセクターに乗り換えたBLACKは凄まじいスピードで駆けていき、遠目に見えるグルイを追いかけていった

 

大門「がんばれ・・・仮面ライダーBLACK・・・」

 

大門はBLACKの残したバイクに寄り添い呟いた

 

 

 

雄介「うっ!?」

 

桜子「五代君!よかったぁ~」

 

雄介が目を覚ます、安堵の声を出し笑顔を作る桜子

 

雄介「おはよう!あ、桜子さん足大丈夫?」

 

桜子「うん、ちょっと引きずるけどすぐ良くなるって、それより五代君大丈夫?」

 

雄介「うん!全然平気!むしろ力が有り余ってる感じ!あ!そうだ!一条さん達は?」

 

桜子「私を襲ったグロンギを探すって言ってたよ、考古学者を中心に聞き込みするって」

 

雄介「そっか・・・良し!じゃあ俺も行ってくんね!椿さんには大丈夫って言っといて」

 

ベッドから起き上がり着替えを始める雄介

 

桜子「ちょっと!五代君!大丈夫なの?」

 

驚いた桜子が雄介に心配そうに話す

 

雄介「さっきも言ったけど力が有り余るくらい元気だから大丈夫!よし!じゃあ行ってきます!」

 

着替え終わった雄介は桜子に親指を立て、駆け足で出ていった

 

ビートチェイサーに乗り込んだ時に無線が喋りだす

 

一条「怪物は○○方面へ向け逃走したと思われます、現在は協力者が追跡中です」

 

雄介「南さんが追ってるのか、よし!」

 

エンジンを掛け、雄介は走り出して行った




今回は重めの話です、RXの時も佐原夫妻が光太郎を見つけた時は憔悴していたらしいのでその延長といった感じです。

謎の男は大門明でした、BLACKはゴルゴム壊滅後、ロードセクターを返した設定の為、この様な出番になりました、BLACKに専用車無いのも格好つかないので・・・



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再起

長野県警にある家族達が来ていた

 

女「テレビを見て来たんですけど、新種の怪人を捜査している人に会えますか?」

 

大勢いる内の一人が事務員に問う

 

事務員「情報提供でしょうか?でしたら捜査員をお呼びしますので少々お待ち下さい」

 

女「いえ・・・情報提供と言う訳ではないんです、お忙しいのは承知ですがなんとか会う事は出来ませんでしょうか?」

 

事務員「わかりました、捜査員の方に連絡を取ってみます、ですがご期待に添えない事もあるのでその際はご容赦ください」

 

女「わかりました、お願いします」

 

家族達は頭を下げ、近くの長椅子に座り時を待った

 

 

 

 

グルイは焦っていた、リントに撃ち込まれた何かが激痛を呼び、普段通りに飛ぶことが出来ない事に

 

グルイ(まだ追って来る・・・しつこい奴だ)

 

グルイの焦りは痛みだけでは無い、一旦巻いたと思っていたBLACKが再び自分に追い付いている事に対してもだ

 

グルイ「死ね!」

 

グルイは空中で回転し羽をBLACKに向かい撒き散らす

 

飛来する羽を見たBLACKはロードセクターのアクセルを回し加速する

 

グルイ「何っ!?」

 

飛ばした羽が目標の遥か後方に着弾する様を見てグルイは思わず声を出す

 

グルイ(チィ・・・)

 

攻撃を諦め、再び飛行に集中するグルイ、グルイはロードセクターの走行出来ない山中に逃げる事が出来た、だがそれをせず道路のある場所を飛んでいたのはグルイがロードセクターを知らない事と身を蝕む激痛がグルイに山中に飛ぶ選択を考えさせなかった

 

 

山中に続く国道を走るバイクが一台、雄介の乗るビートチェイサーだ、怪人の情報を聞いた雄介は先回りする形で怪人の飛ぶ方向へ走っていた、途中、同じく現場へ走るパトカーを見つけ並走する

 

杉田「五代君じゃないか!もう大丈夫なのか!?」

 

乗っていたのは一条の同僚の杉田

 

雄介「はい!もう大丈夫です!杉田さん!拳銃を貸して貰えませんか!?」

 

並走しながら叫ぶ雄介

 

杉田「緑か!わかった!気を付けろよ!」

 

察した杉田は窓越しに拳銃を渡す、危なげなく受け取る雄介

 

雄介「ありがとうございます!・・・変身!!」

 

雄介の掛け声と共にクウガとなる、赤のマイティフォームになるクウガ、同時にビートチェイサーの配色も変化する、アクセルを回し、杉田の乗るパトカーを抜き、走り去って行った

 

 

科学警察研究所

 

所員「所長!ゴウラムが出ていきました!」

 

所員が慌てて所長室へ駆け込む

 

榎田「あー・・・行っちゃったか、うん、ありがと!」

 

報告を受けた榎田は椅子にもたれる

 

榎田「ガンバレ!五代君・・・」

 

 

 

BLACK(このままではいずれ逃げられる・・・何か・・・何かないか!?)

 

追跡を続けるBLACKは追跡の限界を感じ焦っていた、このままの状況が続けばいずれ追跡不可能な山中等に逃げ込まれる、そうなればオンロードタイプのロードセクターには追跡出来ない、超高性能と言えども完璧では無い事を理解しているBLACKは解決策を模索する

 

グルイ(クソッ!振り切れない!この体では満足に戦う事は出来ない・・・・・・そうだ、奴の来れない森へ逃げれば・・・)

 

グルイは体の向きを少し調整しBLACKを見る

 

BLACK(くっ・・・逃げられる!?)

 

グルイの様子を見て感づく、それと同時に遠くから来る何かを感じとる

 

BLACK「五代君か!」

 

 

クウガは遠目にグルイを視認していた、走りながら拳銃を構える

 

クウガ「超変身!!」

 

クウガの肉体が緑になり電流が流れる、感覚・射撃に優れるペガサスフォームに変化したクウガはさらに強化形態のライジングペガサスになる、拳銃に力を込めると拳銃は大きく変化する、ペガサスボウガンと呼ばれる武器に変化したその先には金のロングバレルの様な物が装着されている

 

クウガ「フウゥゥ・・・」

 

大きく息を吐き集中する、ペガサスの持つ超感覚を駆使しグルイの動きを感じ、予測する、ボウガンを構えグルイに狙いをつける

 

クウガ「今だ!」

 

引き金を引いたボウガンから光矢が三発放たれる

 

グルイ「!?」

 

突然の前方からの攻撃にグルイは反射的に身を避ける

 

グルイ「グアアッ!?」

 

一発目を避けたグルイの背の片翼に二発、三発目が当たる、飛び続ける事が出来ず墜落するグルイ、撃たれた翼には刻印が浮かび上がり、封印エネルギーを体に流す為流れて来ている

 

グルイ「ガアァァァァ!!」

 

グルイは背の片翼に手を掛け、咆哮と共に引き千切った、千切られた翼は小さい爆発を起こし空に消える、グルイは飛べず、地に落ちていった

 

雄介「良し!!」

 

構えたボウガンを下ろした雄介はすぐにペガサスからマイティへと変わる、ペガサスフォームはその超感覚ゆえに多大なエネルギーを使う、使い過ぎるとクウガの姿を保てなくなるほどだ、さらにライジングともなると更に顕著であり30秒程しか変化していられないのだ

 

戻った拳銃をビートチェイサーに引っ掛け、雄介は墜落した場所へ走った

 

 

グルイ「うぅ・・・グゥゥゥ・・・ガアァァァァァァァ!」

 

アスファルトに叩きつけられたグルイは身体中の痛みでのたうち回る、神経断裂弾による内部からの痛み、翼が千切れた痛み、アスファルトへ叩きつけられた痛みで

 

そこへ追いついたBLACKが現れる、同時にクウガもその場に到着する

 

グルイ「グゥ・・・オノレ・・・キサマラァ!!」

 

痛みを堪えながらグルイはBLACKとクウガを交互に睨む

 

雄介「一条さん!この辺りの無人の場所はどこですか!」

 

無線に向かい雄介が叫ぶ

 

一条「五代か!目が覚めたのか、別荘と街の間にいるなら別荘への道の途中に建設放棄された団地がある、そこなら大丈夫だ!」

 

クウガ「わかりました!」

 

クウガの言葉と同時にクウガの頭上にクワガタの形をした飛行物体が現れる、飛行物体はその体を分離させビートチェイサーに装着される

 

ゴウラムと呼ばれるこの飛行物体はクウガをサポートする兵器、クウガの乗るバイクに装着される事でその力を最大限発揮出来る、ビートチェイサーに装着されたゴウラムはビートゴウラムとなる

 

クウガ「南さん!着いてきて下さい!」

 

BLACKに叫びビートゴウラムをグルイに目掛け発進させる

 

グルイ「グガッ!?」

 

避ける事が出来ないグルイにビートゴウラムが衝突する、ビートゴウラムの前面に張り付けられた形になったグルイと共にクウガはBLACKの横を通り過ぎる

 

BLACK「わかった!」

 

BLACKもロードセクターを反転させクウガに追走する

 

建設放棄された団地に到着したクウガはブレーキを掛け急停止する、反動で吹き飛ばされるグルイ、遅れてBLACKが到着する

 

グルイ「ガッ・・・ア・・・グゥ・・・」

 

既に満身創痍のグルイはヨロヨロと立ち上がるが体を支えきれず膝をつく

 

クウガ「このまま行きます!」

 

BLACKに告げるクウガ、クウガの言葉と共にクウガの体に電流が走り、ライジングマイティとなる、同時にビートゴウラムの前面の鋏の部分が炎に似たエネルギーを纏う

 

BLACK「わかった!合わせる!」

 

クウガより先に発進したBLACKはグルイを大きく避け通り過ぎる、かなりの距離を取った後、旋回し、スピードを上げグルイに向かい走る

 

BLACK「アタックシールド!」

 

ロードセクターの上部にあるシールドが展開し、BLACKは身を屈める

 

クウガ「良し!」

 

BLACKの行動を理解したクウガがビートゴウラムを発進させる

 

グルイを中心に挟み合い、走る二台の超マシン、マシンがグルイを捲き込み交差する

 

グルイ「ウガァァァァァ!?」

 

交差した瞬間、グルイの体がきりもみ回転を起こしながら宙を舞う

 

ビートゴウラムがグルイを突いた刹那にロードセクターの体当たり、スパークリングアタックが炸裂し、その余りの威力にグルイは飛んだのだ

 

交差し、立ち位置が逆になる二人はマシンを停めグルイを見る

 

グルイ「カッ・・・ゴォア!?グゥゥゥゥゥ!!」

 

落ちたグルイは死力を振り絞る様に立ち上がる、立ち上がるがその体は左腕が消えていた、さらに体に巨大な紋章が浮かんでいる

 

グルイ「ゴ・・・ゴラ・・ド・・・ゴラドォォォォォ!!」

 

断末魔の叫びと共に封印エネルギーがグルイのベルトに到達し、グルイは大爆発を起こした

 

 

 

クウガ「やりましたね!」

 

BLACKへ向けサムズアップを行うクウガ

 

BLACK「あぁ・・・五代君のお陰だ!」

 

グルイの吹き飛んだ腕の消滅を確認したBLACKはクウガに向いて頷く

 

変身を解いた二人の後方から一条が駆けつけてくる

 

一条「終わったのか?」

 

雄介「はい、南さんとやりました!」

 

一条にもサムズアップをする雄介

 

一条「なら後はサイのグロンギだけか」

 

光太郎「いや、さっきのグロンギが最後にゴラドと言っていました、サイのグロンギの名前かも知れませんが他のグロンギの事かもしれません」

 

一条「・・・もしそうならグロンギは少なくとも後二体いる訳か・・・いずれにせよ捜査は継続だな」

 

その時パトカーの無線が鳴り一条はパトカーに向かう、グロンギを倒した報告を兼ね、応対した一条は連絡が終わると二人に駆け寄り

 

一条「今連絡があったんですが、先日放送された監視カメラの怪人を捜査する人物に会いたいと言う家族が今長野県警にいるんですが、捜査員が話を聞くと黒い方に会いたいと言っているらしいです、黒い方とは南さんの事です、気になるので着いてきて貰えませんか?」

 

光太郎「えぇ、わかりました、行きましょう」

 

一条「それと、ここへ来る途中に大門と名乗る人に会い事情を聞きました、大門さんから伝言を受けています、終わったら返しに来い、だそうです住所はこれです」

 

光太郎に紙を渡す

 

光太郎「えぇ・・・終わったら必ず」

 

一条「五代はどうする?」

 

雄介「じゃあ俺は桜子さんのとこに戻ります」

 

一条「そうか、また何かあれば連絡する」

 

そう言って一条等は団地から離れ、途中で別れて行った

 

 

 

 

長野県警にたどり着いた二人はエントランスに入る

 

「光太郎さん!!」

 

突然掛けられる声に二人は驚き顔を向けるとそこには二組の家族がいた

 

光太郎「克美さん・・・杏子ちゃん・・・」

 

家族は光太郎のかつての仲間、いや正確には守るべき存在だった人達

 

紀田克美、秋月杏子、それぞれ親友・信彦のかつてのガールフレンドと妹、ゴルゴムの日本支配の際に渡米していた二人はゴルゴム壊滅後、日本に戻っていた、14年の月日に二人は結婚し家庭を作っていた

 

杏子「テレビを見て来たの、どうしても光太郎さんに会いたくて・・・」

 

泣きそうな顔の杏子と克美、一条はそんな様子を見て察し、光太郎に捜査に戻りますと耳打ちし、さっていった

 

光太郎「ここじゃ何だから、近くの公園に行こう」

 

光太郎の言葉に頷いた二人は子供を呼び、長野県警を出た

 

克美「良かったわ光太郎さんが元気そうで・・・今も戦い続けてるのね」

 

杏子「光太郎さんが居なくなった後、ずっと探したんだけど見つからなくて・・・どれだけ心配したか・・・」

 

光太郎「ごめん・・・でも僕は人間じゃないから君達の側に居るのは迷惑だよ・・・」

 

杏子「そんな事ない!そんな事ないよ・・・光太郎さんは人間だよ・・・私達と同じ・・・」

 

杏子の強い言葉と裏腹に目には涙が溢れていた

 

光太郎「杏子ちゃん・・・」

 

克美「光太郎さんは人間よ、確かに改造されてるけどそんな事関係無い、皆を守るために戦う心、私達を心配する心は人間その者よ、他の人はあなたを怪物と呼ぶかも知れない、けどそれでもあなたは人間よ!少なくとも私達は光太郎さんを怪物なんて思わない!」

 

杏子「兄さんの事で辛いのもわかる、でもそれでいつまでも苦しまなくても良いの、兄さんはもう帰ってこないんだから」

 

光太郎「・・・・・・・・・」

 

二人の言葉に光太郎は何も返せず黙るしかなかった

 

克美「信昭!ちょっとこっちに来て」

 

公園で遊ぶ我が子を呼ぶ

 

克美「この子の名前、信彦さんから一文字貰って信昭にしたの、あの人を忘れない為に、夫も理解してくれたわ、夫も信彦さんと友人だったから」

 

抱いた子供の頭を撫でながら話す克美に光太郎の堪えきれない感情が目から大粒の涙となって流れる

 

光太郎「克美さん!杏子ちゃん!僕は・・・僕は・・・」

 

杏子「光太郎さん、もう十分苦しんだ筈よ、そろそろ前に向かって進まなきゃ・・・それに私達はいつでも光太郎さんの帰りを待ってるから」

 

光太郎「ごめん・・・ありがとう・・・ありがとう!!」

 

光太郎の心が洗われる、傷は癒え、心に貯まった苦しみが涙と共に流れる

 

信昭「お兄ちゃん辛いの?どこか痛いの?」

 

光太郎「大丈夫!もう平気だよ!」

 

涙を拭い笑顔で話す光太郎

 

光太郎「克美さん、杏子ちゃん!ありがとう!もう僕は悩まない!迷わず前に行くよ!」

 

杏子「良かった・・・」

 

涙を拭いながら杏子は笑顔で光太郎を見る、克美も笑う

 

光太郎「じゃあ僕は行くよ!まだ戦いは終わってないから・・・全部終わったら帰ってくるから!」

 

少し恥ずかしそうな光太郎に笑顔で頷く二人に見送られ、光太郎は走った、その足はしっかりしており、顔にも生気がみなぎっていた

 

 

闇は涙と共に消え、太陽は輝きを取り戻した

 




光太郎復活!

グルイは鷲宮と翼等で分かると思いますが鷲のグロンギです、階級はメの最上位、ゴになれる実力を持つがゲゲルに興味を無くし昇格せず、その昔、決闘で敗北し忠誠を誓ったゴラドと共に抜けたという設定です、ジザイはどうでもいい、ベベビは生理的に合わないと言った感じです、固有の武器は無く、羽と肉弾戦がメインです。


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決闘

桜子「う~ん・・・・・・」

 

研究室に戻っていた桜子は唸っていた

 

桜子「白竹教授に借りた資料でもダメか・・・・・・」

 

椅子にもたれ天井を見つめる

 

桜子(結局わかったのはアマダムとキングストーンが似ている事くらいか・・・・・・あ、一条さんにグロンギが四体いる事伝えてなかった)

 

携帯電話を取るためバッグに手を掛ける桜子は廊下から聞こえる物音に気づき、ドアに視線を向ける

 

雄介「ただいま桜子さん!どう?なんかわかった?」

 

桜子「うん、あんまり・・・・・・わかったのはアマダムとキングストーンについて少しだけ」

 

雄介「へぇ~どんな事?あ、南さんは一条さんと居るよ」

 

椅子に座りながら雄介は問う

 

桜子「ゴルゴムの資料によるとアマダムとキングストーンは元々は同じ物か、かなり近い性質を持つ事が書かれていたの、それは五代君も感じてると思うけど」

 

雄介「うん、そんな気はしてた、俺が早く目覚めたのもそのお陰でしょ?なんか力を感じたから南さんが何かしたんだと思うけど」

 

桜子「うん、南さんも自分では良くわかってないって・・・・・・それでこれは私の推測なんだけど、多分アマダムとキングストーンはゴルゴムの研究にもあるように元々は同じ物だと思うの、グロンギとは共鳴せずに五代君と共鳴するのはわからないけど・・・・・・」

 

雄介「うーん・・・・・・」

 

桜子「それでね、キングストーンは太陽と月の二つがあって合わせる事で本来の力を出すらしいの、単体でもすごい力を持つけどそれも本来の力の一端だって、だから南さんも良くわからないんだと思う」

 

雄介「そっか・・・・・・でも共鳴する訳はわかるよ!」

 

桜子「えっ?何かわかったの?」

 

雄介「南さんと俺、似てるから!」

 

雄介が笑顔でサムズアップを行う

 

桜子「もう、茶化さない・・・・・・」

 

呆れ顔の桜子は言葉を止め、何かに気づいたように考える

 

桜子「そうか・・・・・・多分、五代君の考えは間違ってないかも!おそらく・・・・・・精神的なものかも」

 

容姿では無く、精神の事を考えた桜子、精神の力で力を出すアマダム、それと同種と思われるの存在のキングストーンが共鳴したのは人間を守るという共通した精神の力が関与していると推測したのだ

 

桜子「でも結局はわからないか」

 

ふーと息を吐きコーヒーを飲む

 

雄介「まぁ・・・・・・でも良いじゃん!南さんは悪い人じゃないし、誰かの笑顔の為に頑張ってるすごい人だよ!・・・・・・それで十分じゃない?」

 

雄介の屈託の無い笑顔に桜子も微笑み頷く

 

桜子「そうだね、あ!そうだ五代君、グロンギの事なんだけどゴルゴムの資料に書いてあったの、グロンギは四体いて創世王が封印したって、創世王って言うのが何か良くわからないけど・・・・・・ゴルゴムのボスだとは思うけど」

 

雄介「じゃあやっぱりもう一体いたのか、桜子さんを襲った奴は倒したから後はサイの奴と多分ゴラドって奴か」

 

桜子「封印したって書いてあっただけだから詳しい事はわかんないけど・・・・・・」

 

雄介「わかった、一条さんと南さんにゴルゴムの事と一緒に伝えとくよ!ありがと桜子さん!じゃあ行ってくる!」

 

桜子「お願い、五代君・・・・・・無理しないでね」

 

雄介は桜子に親指を立て、微笑んだ後、研究室を出ていった

 

 

 

光太郎「すいません、こんな時に・・・・・・」

 

一条「いえ、構いませんよ、南さんにはお世話になりっぱなしですので、あの方達は親戚ですか?」

 

頭を下げる光太郎に一条は聞く、光太郎が改造人間である事を知らない一条は克美達の容姿から関係を想像した

 

光太郎「いえ・・・・・・家族です、長い間疎遠だったんですが・・・・・・」

 

一条「そうでしたか、疎遠だった家族と再会されたんですか、通りで南さんの雰囲気が変わった訳だ、こう言ってはなんですが、前の南さんは今と比べて生気の無い顔をしていました」

 

光太郎「やはりそんな風に見えてましたか、ですがもう大丈夫です!皆の為にやれる限り戦います!」

 

光太郎の力強い声と表情に一条も笑みを浮かべるが、すぐ表情は戻る

 

一条「ですが残りのグロンギの情報はまだありません、今は地道な捜索しか手が無い状態です」

 

光太郎「わかりました、では僕は五代君と合流して捜索してみます、何かわかったら連絡して下さい」

 

一条「わかりました、五代の事を頼みます、この前の様に無茶をしかねない奴なので・・・・・・」

 

光太郎「わかってます、僕にとっても彼は後輩の様な者ですから、任せてください」

 

一条「お願いします・・・・・・では・・・・・・」

 

頭を下げた一条はパトカーに戻り走っていった、光太郎も一条と雄介の絆を感じ、微笑んだ後、走り出した

 

 

 

 

封印の地

 

ゴラド(もう少しか・・・・・・)

 

手に持つ小石を燃やしながらゴラドは自身の回復具合を計る

 

ゴラド(あの時油断せねば今こうしている事もなかった、お陰で王の石の在りかは知れず、世界はリントが支配する様になった・・・・・・)

 

ゴラド(ダグバも死んだ・・・・・・残るのは我等のみか)

 

封印の地に座るゴラドは虚空を見据え思いを巡らす

 

ゴラド(ダグバ・・・・・・我が宿敵・・・・・・決着はもう叶わぬ事か)

 

想いを馳せるゴラドに不意に声が掛かる

 

ジザイ「ハァ・・・・・・グゥ!?・・・・・・ゴラド、これはいつまで続く!?」

 

物陰からジザイが苦しみを露に出てくる

 

ゴラド「・・・・・・いつまでか決めるのはお前自身だ、耐えろとしか言えん・・・・・・何なら止めてやるが、お前が望んだ事だろう?」

 

ジザイ「あぁ・・・・・・わかってる!すまん、俺らしくもない事を言った!あの野郎を殺す為にこれぐらい耐えてやる!」

 

痛みを堪え、再び消えるジザイを見てゴラドは少し笑みを浮かべる

 

ゴラド(ふ・・・・・・あれぐらい正直だと好感が持てる、ジザイは化けるだろう、問題は十分に強かったジザイにああも言わしめるゴルゴムの生き残りか・・・・・・)

 

笑みを浮かべたゴラドは再び瞑想を始める

 

 

 

 

日本は平和だった、光太郎と雄介、一条等警察の必死の捜索にも関わらず、グロンギは発見出来なかった

 

二日、三日と時間が経つがグロンギは一向に現れなかった

 

雄介「どうしたんでしょう?逃げたんですかね?」

 

無線に雄介が話す、側には光太郎もいる

 

一条「それは無いだろう、だが不気味だ、一切奴等の情報が出なくなった、考古学者の所にも来ていない、他県でも同じだ、幸いなのは死傷者も出てない事だけだ」

 

雄介「なんか、嵐前の静けさ・・・・・・って感じですね」

 

一条「私もそう思う、奴等は二年前のグロンギの様にゲームをしないと言っていたんだろ?だとすれば奴等が動き出す時は大量の死者が出る可能性もある、油断出来ない、今は捜査員を増員して県内にくまなく配置している、神経断裂弾も榎田さんが製造してくれた、もし奴等が現れても対処は出来る筈だ」

 

雄介「うーん・・・・・・とにかく今は探すしかないわけですね、よし!一条さんまた何かあったら連絡ください、南さんとまた聞き込みとかやってます」

 

わかったと言って無線は切られる

 

雄介「だそうです、南さん今度はあっちの街に行きませんか?」

 

光太郎「わかった、行こう!」

 

 

二人はバイクを走らせる、街について聞き込みを行うがやはり有力な情報は得られなかった

 

光太郎「五代君、ほら!」

 

手に持つ缶ジュースを雄介に渡す

 

雄介「ありがとうございます、しっかしホント何もわかりませんね・・・・・・」

 

缶ジュースを飲みながら雄介は話す

 

光太郎「あぁ、さっき五代君が言ってた様に嵐前の静けさの様だ、大変な事にならなければ良いが・・・・・・」

 

雄介「所で南さん、変わりましたよね、力が溢れてる感じですよ!」

 

光太郎「どうしたんだ突然」

 

突然の雄介の言葉に思わず笑みが出る光太郎

 

雄介「いや、ここの所忙しかったから聞けなかったんですけど、あの戦いの後何かあったんですか?」

 

光太郎「ああ、僕にも大切な人がいた事を思い出したんだ」

 

雄介「そっか・・・・・・良かったです!南さんが元気になって!」

 

笑顔での光太郎に同じく笑顔で返す雄介、雄介は多くは語られなかったが不思議と理解していた

 

光太郎「よし、そろそろ行こう」

 

休憩を終えた二人はバイクに向かう、バイクを目前にした時にビートチェイサーの無線が鳴り響く、同時に光太郎の持つ無線も音を発する

 

無線「全車に連絡、新種の未確認と思われる怪物が○○町に出現しました、現在現場の警察官が応戦中、付近の捜査員は直ちに現場へ急行してください」

 

光太郎「○○町?あの廃工場の近くだ!」

 

雄介「南さん!行きましょう!」

 

その時再び無線が鳴る

 

一条「聞いたか五代!南さん!」

 

雄介「はい!聞きました!今から向かいます!」

 

二人はバイクに跨がりグロンギが出現した町へ駆けた

 

 

 

町では警官隊が怪物と交戦していた

 

警官「撃て!撃て撃てー!」

 

警官隊が怪物に向け拳銃を発砲する、しかし怪物には効かず警官隊は一人、また一人と倒されてゆく

 

ジザイ「鬱陶しいんだよリントどもがぁ!」

 

警官を放り投げながら叫ぶジザイ、そこに二台のパトカーが現れる

 

一条「サイの奴か!」

 

パトカーから飛び出した一条と共にもう一台から杉田が飛び出す

 

杉田「まだ五代君達は来てないみたいだな、一条!俺達でやるぞ!」

 

拳銃を構えた二人は頷き合い、ジザイに狙いを定め、引き金を引いた

 

ジザイ「!?」

 

ジザイは衝撃を身に受け動きを止める

 

一条「弾いた!?」

 

銃弾はジザイを穿つ事なく、その身に弾かれ空へ消えた、一条等が撃ったのは支給された神経断裂弾、生産コストが高いため刑事にしか支給されていないその弾丸は通常の弾丸では効果が無いグロンギに対抗するため貫通力を強化している、その弾丸さえもジザイは弾いたのだ

 

ジザイ「お前は・・・・・・また会ったな!ゴルゴムの戦士はどこだ!」

 

一条を視認したジザイは一条に詰め寄る

 

一条「くっ!?」

 

尚も銃弾を放つがジザイには通じず、距離だけが詰まる

、ジザイが一条を捕まえようと手を伸ばす、手を避け距離を取った一条を援護の銃撃がジザイを撃つ

 

ジザイ「チィ・・・・・・鬱陶しい!」

 

銃撃を受け苛つくジザイ、自分に効きはしないがこうも好き勝手に攻撃されると腹も立つ、ジザイは一条に一気に詰め寄り、一条の身を締め上げた

 

一条「ぐぅ・・・・・・」

 

杉田「一条!」

 

杉田の声と共に銃撃は止む、一条を捕らえるジザイの回りを囲む事しか出来ない

 

ジザイ「ゴルゴムの戦士はどこだ!言わねば殺す!」

 

締め上げる力を少し緩め一条に脅迫する

 

一条「くっ・・・・・・・・・・・・」

 

苦悶の表情を見せる一条だがその口は固く閉ざされる

 

ジザイ「なかなか骨のあるリントだ、良いだろう!望み通り殺してやる!」

 

「一条さん!」

 

そこへ雄介と光太郎が駆けつける

 

光太郎「その人を離せ!」

 

ジザイ「・・・・・・来たか、待っていたぞ!俺と勝負しろ!ゴルゴムの戦士!」

 

光太郎「何!?」

 

光太郎は突然の決闘の申し込みに驚く、側に居た雄介も同様だ、グロンギがこの様な行動をするとは想像もしていなかったのだ

 

ジザイ「受けろ!受けねばこのリントを殺す!」

 

捕まえる一条に力を込める、一条の表情が苦痛でさらに歪む

 

光太郎「わかった!受けてやる!だからその人を離せ!」

 

ジザイ「・・・・・・良いだろう、だが約束を違えばお前を殺すのは最後になるぞ」

 

一条を光太郎に向け投げるジザイ、受け止めた光太郎、一条の解放を確認した警官隊が拳銃を構える

 

光太郎「止めろ!奴の相手は僕がします!」

 

一条「ゴホッ・・・・・・銃を下ろせ!ここは彼に任せろ!」

 

光太郎の制止に戸惑っていた警官隊は一条の言葉に拳銃を下ろす

 

光太郎「ありがとうございます」

 

一条「良いんです、どうせ奴には銃弾は効かないので・・・・・・それより場所を変えれますか?町中では被害が出てしまいます」

 

光太郎「わかりました・・・・・・ここでは満足に戦えない!場所を変えるぞ!前に戦った廃工場だ!」

 

ジザイ「良いだろう・・・・・・先に待っている」

 

ジザイは言い放つと警官隊を抜け走り去っていった

 

光太郎「大丈夫ですか一条さん?」

 

一条「ええ・・・・・・それよりも役に立てなくて申し訳ない」

 

光太郎「気にしないでください、それじゃ行ってきます」

 

雄介「俺も行きます!」

 

光太郎「ああ、だが手は出さないでくれ、それが奴との約束だ」

 

雄介「わかってます、南さんの戦い、しっかり見ときます!」

 

頷き合った二人はバイクに乗り廃工場へ走る

 

 

 

ジザイ「・・・・・・・・・・・・」

 

光太郎「・・・・・・・・・・・・」

 

廃工場にて対峙する、お互い言葉は無く睨み合う

 

光太郎「変・・・身!!」

 

構えと共に変身する光太郎

 

ジザイ「待っていたぞこの時を!!勝負だ!ゴルゴムの戦士!いや!仮面ライダーBLACK!」

 

決闘の幕が上がる

 

 




今回は戦闘無しです、期待してた方がいたらすいません。



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死闘

ジザイ「オオオオオォ!!」

 

BLACK「トアアァァァ!!」

 

咆哮と共にBLACKへ突進し腕を振りかぶる、拳を強く振りかぶり迎え打つBLACK

 

拳が互いを打ち、互いが怯み後退する、怯んだのは一瞬、直ぐ様体勢を立て直し掴み合う

 

BLACK「パワーストライプス!」

 

声に呼応し、首と手足の首の紋様が輝きを放つ

 

ジザイ「グッ!?」

 

BLACKの力が増し、ジザイは押される、押し返そうと力を込めるがBLACKを押し返す事は出来ずジザイは体勢を崩される

 

BLACK「トゥア!」

 

体勢を崩したジザイに力の増した蹴りを打つ、怯むジザイに拳を打ち込み追撃する、ジザイの反撃を避け攻撃を与え続けるBLACK、再起した勇者は本来の力を取り戻す、その力はジザイを全く寄せ付けない程だった

 

雄介「スゲェ・・・・・・絶対強いとは思ってたけど、こんなに強いなんて!」

 

BLACKの強さに感嘆の声を出す雄介、ずっと戦い続けて来た事は知っている、それでもグロンギに圧倒的とも言える程の攻勢を見せるBLACKに雄介は尊敬にも似た感情を抱いた

 

BLACKとジザイの違い、それは戦闘経験、ジザイは人間を殺す事がほとんどで戦闘と呼べるものは数える程しかない、それでも数少ない戦闘は同じグロンギのゴの上位達、質は決して低いものではない、だがBLACKの14年の戦闘経験は質も量もジザイを圧倒的に上回っていた、その差がジザイに劣勢を、BLACKに優勢を与えていた

 

ジザイ「グゥ!?」

 

ジザイ(前より強い!?)

 

攻撃を受けるジザイは以前より格段に動きの良くなったBLACKを見て思う、BLACKが心の迷いが晴れた事により本来の力を出している事をジザイは知りはしない、だがその身に受ける痛みで以前より手強くなった事を感じる

 

ジザイ「ガアァ!!」

 

拳を振るいBLACKを攻撃する、しかしジザイの拳は空を切る、小さく跳躍したBLACKの蹴りが側頭部を打つ

 

ジザイ「ウグッ!?・・・・・・か、仮面・・・・・・ライダァァァァァ!」

 

大きく後退したジザイはBLACKをその憎悪の目で睨み、咆哮する、咆哮と共にジザイの肉体が光を放つ、肉体の所々に突起が出来、肉体を一回り大きくする、角もさらに大きく、そして鋭くなり、その肉体はグロンギ特有の茶色では無く、黒色よりの赤黒い体色となった

 

BLACK「!?」

 

ジザイの変化にBLACKは警戒する、肉体を大きく変化させたジザイの目を見て、それがこけおどしでは無い事をBLACKは理解する

 

ジザイ「お前を憎む事でこうなった・・・・・・お前に似ているのは皮肉だがな・・・・・・」

 

BLACK「お前はどうしてそこまで僕を憎む!」

 

ジザイ「知れたことだ!お前が俺より強かったからだ!ゴルゴムの怪人とは言えリントごときに負けるなど……俺が負けて良いのはゴラドだけだ!お前がリントだろうがゴルゴムだろうが関係ない!お前を殺し!俺が勝つ!!」

 

ジザイ「ガアッ!!」

 

叫びと同時に駆け出し、BLACKに腕を振るう、速くなった攻撃に反応が遅れ、BLACKは回避出来ず防御する

 

BLACK「グッ!!」

 

予想以上の力に堪えきれずよろける

 

ジザイ「ウラァァァ!!」

 

よろけるBLACKにジザイの渾身の拳が入り、BLACKは吹き飛んだ

 

BLACK「グ・・・アッ!?」

 

強烈な一撃にBLACKは膝をつき、痛みを堪える、さらに攻撃を加えようと突進してくるジザイの攻撃を寸前で回避したBLACKは腕に力を込める

 

BLACK「ライダーチョップ!!」

 

ジザイの身に直撃し、ジザイはよろけ、数歩下がる、だが直ぐ様走りだしBLACKに体当たりを食らわせる

 

BLACK「グアッ!?」

 

吹き飛ばされたBLACKは立ち上がるが動かず距離を保つ

 

BLACK(強い・・・・・・)

 

強さを直に体感したBLACKはジザイを強敵と認める

 

雄介(すごく強い!俺がやったら赤の金じゃ・・・・・・いや黒の金でもキツイかもしれない)

 

雄介もジザイの力に驚き、もし自分が対峙した時の事を考える

 

ジザイ「どうした!恐れた訳では無いだろう!かかってこい!」

 

BLACK「・・・・・・ふっ!」

 

ジザイの言葉に応え、構えを取り、力を込める、キングストーンが輝きを放ち、BLACKの体に力がみなぎる

 

バイタルチャージ、キングストーンエネルギーをベルトから発生させる技、パワーストライプスとは違い、直にキングストーンからエネルギーを出す為、パワーストライプスより技の威力は更に高まる

 

BLACK「トゥ!」

 

跳躍したBLACKはジザイに向け拳を放つ

 

ジザイ「そうだ!そうでなくちゃな!」

 

受け止めた拳の力の増大を感じたジザイは嬉しそうにBLACKに語る、ジザイはBLACKに勝ちたいが、だからと言って戦意を無くしたBLACKに勝つのはプライドが許さない、ジザイは今、戦士として己のプライドを賭け、戦っているのだ

 

BLACK「トゥア!」

 

ジザイ「ハァッ!」

 

一進一退の攻防が続く、BLACKが蹴ればジザイも拳を打つ、ジザイが投げればBLACKも投げる、戦いは激しさを増し、雄介は息をのみ見守る

 

雄介「あっ!!」

 

ジザイの攻撃を避けたBLACKがカウンターを決める、体勢を崩したジザイに連続攻撃が決まり、最後の回し蹴りでジザイは吹き飛ぶ、立ち上がるジザイ、BLACKに攻撃するが避け、受けられ、反撃される、渾身の拳もBLACKに避けられ、強烈な拳を受け、ジザイはまた吹き飛ぶ

 

ジザイ「まだ・・・・・・まだ勝てないのか!?」

 

起き上がるジザイは怒りを含ませ叫ぶ

 

ジザイ「仮面ライダァァァァ!」

 

叫びと共にジザイの角に黒い炎の様なエネルギーが纏う

 

ジザイ「仮面ライダーBLACK!最後の勝負だ!これで殺してやる!」

 

BLACK「来い!受けて立つ!」

 

同時に足に力を込める、右足にエネルギーが収束する

 

ジザイ「ウオオオオオ!!」

 

角を突き出し、全身全霊を込め、BLACKに突撃する

 

BLACK「オオオオォ!ハァ!!」

 

その場で跳躍したBLACKの右足が迎え撃つ形でジザイの角に当たる

 

ジザイ「グアァァァ!」

 

ジザイの角はへし折れ、ジザイは苦しみに悶える

 

BLACK「ムンッ!」

 

衝撃の反動で飛び退いたBLACKは構えと共に拳に力を込める、キングストーンが輝きを放つ、両手を上に上げ、下げると同時に足を下げ、跳躍する、空中で屈伸し、力を込めた拳を突き出す

 

BLACK「ライダー!パンチ!」

 

ジザイ「グオオオッ!?」

 

赤光を放つBLACKの拳がジザイを打ち、吹き飛ぶ

 

ジザイ「ガッ・・・・・・ハッ!?」

 

立ち上がるもその体は満身創痍、だがジザイは目前に迫るBLACKに対し、避けようとせず身を差し出した

 

ジザイ(ゴラド・・・・・・すまん、後は任せた)

 

BLACK「ライダー!キック!」

 

BLACKの必殺の蹴りがゴラドを打ち、ゴラドは飛ぶ

 

ジザイ「フゥッ!?・・・・・・グォォ!!」

 

力を振り絞り立つ、だがその体にもはや戦う力は残っていない、立ち上がる事が精一杯だ、戦う力が残っていない事を悟ったBLACKは構えを解き、ジザイを見つめる

 

ジザイ「仮面ライダー・・・・・・BLACK!お前の・・・・・・勝ちだ!」

 

宣言と同時にジザイの肉体を炎が包む、その身を焼く炎に微動にせずBLACKを見つめ、爆発した

 

 

 

雄介「やりましたね!南さん!凄かったです!」

 

BLACK「あぁ・・・・・・」

 

笑顔で語りかける雄介、だがBLACKはジザイの爆発跡をじっと見つめている

 

雄介「なんかあいつ・・・・・・凄かったですよね、上手く言えませんけど・・・・・・」

 

そこへ一条の乗るパトカーが現れる

 

一条「倒したのか!」

 

雄介「はい、南さんが倒しました」

 

一条「そうか、こっちも警官に死傷者は無い、軽傷が殆どだ、妙な話だが奴は現れてから誰も殺していない」

 

実際、ジザイは封印を解かれてから人間を誰も殺していない、二人の男女を痛めつけはしたが実際に殺したのはゴラド、現代に蘇ったジザイはBLACKと出会った事で戦士としてその生を全うしたのだ

 

光太郎「封印される前は人間を殺していたのでしょう、それは許される事ではありません、ですが、今の奴は誇りを持った一人の戦士の様に感じました・・・・・・すいません、こんな事を言ってはダメですね」

 

変身を解いた光太郎は少し物悲しそうな顔で話す

 

雄介「俺もそんな風に感じました、まぁ一条さん、これでグロンギは後一体です!頑張りましょう!」

 

微妙な顔をする一条に雄介が話を進める

 

一条「そうだな、南さんありがとうございます、残るグロンギの情報が出たら連絡します」

 

一条はパトカーに乗り走って行く、ジザイの爆発跡を二人で眺めた後、二人も走って行った

 

 

 

 

封印の地

 

ゴラド(ジザイ・・・・・・逝ったか)

 

瞑想を続けていたゴラドは何かを感じ思う、確証は無い、だが確信にも似た思いがゴラドにジザイの死を悟らせる

 

ゴラド(戦いの果てに死んだか、奴も本望だっただろう・・・・・・今の世のあいつは好きだったんだがな)

 

ゴラド(グルイも帰って来ないという事はおそらく生きてはいまい、ゴルゴムの戦士か、リントの戦士か)

 

夜の星を見上げながらゴラドは思う

 

ゴラド(残るは俺だけか・・・・・・ふっ、そういえばリントは流れる星に願いを託すのだったな)

 

星を見上げるゴラドの頭上に流れ星が墜ちる

 

ゴラド「どうかリントが絶滅しますように・・・・・・」

 

流れ星に願った後、妖しく笑ったゴラドは再び目を閉じ、夜の闇に紛れ、消えていった

 

 

 




今回は戦闘中心なので少な目です。

台詞の関係で4話グロンギを少し修正しました。

ジザイは他の3人と違い、昭和怪人の様な明快さを出しました、それにクウガの戦士テイストを加えた感じです、ジザイも固有の武器は無く肉体で戦うグロンギです、ザインのゴ版と思ってください。

正直ジザイがこうなるとは思ってませんでした、詳細等決めずにその場の勢いで書いてたので当初からは考えられない立場になりました、でも書いてて楽しかったグロンギです。


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理由

ジザイとの死闘から二日、残るグロンギの情報は得られず、光太郎と雄介は海に来ていた、ちょっとした息抜きにと雄介が提案し、二人は近場の海岸線へ捜索がてらやって来たのだ

 

雄介「ふー・・・・・・見つかりませんね」

 

光太郎「あぁ、だが必ず何処かにいるはずだ」

 

海を眺めながら話す二人の前に若者達が現れる、その若者達は砂浜で花火をし、持ってきた飲料缶を飲み干し、海に捨てる

 

光太郎「・・・・・・」

 

苦い顔の光太郎は黙って海に近づき、波で打ち上げられるゴミを拾う

 

若者「善人気取りかよ!チッ!行こうぜ!」

 

光太郎の行動にイラついた若者達は光太郎に暴言を吐き、消えていった

 

雄介「南さん・・・・・・俺も手伝います!」

 

二人でゴミを拾う中、光太郎がそっと口を開いた

 

光太郎「昔・・・・・・海を愛した怪人がいたんだ、怪人なのにとても優しい奴だった、これはあいつとの約束なんだ」

 

雄介「そんな怪人もいたんですね、会ってみたかったです、俺」

 

雄介の言葉を受けて悲しく海を見る光太郎

 

光太郎(クジラ怪人・・・・・・すまない)

 

海を愛した友人に心の中で深く詫びた

 

 

 

結局、その日は情報を得られず、二人は帰路に着いた、雄介は研究室へ、光太郎はホテルへ別れる

 

 

光太郎「ふぅ・・・・・・」

 

一息つき、テレビをつける

 

光太郎(後一体は何処にいるんだ・・・・・・)

 

ベッドに座り考える

 

光太郎(犠牲者が出る前に倒さないと)

 

光太郎は様々な事を考える、人間を殺す気は無いのか?実は既に死んでいるのか?クジラ怪人の様にわかりあえるのか?

 

そんな希望の様な考えが出るほど、残るグロンギの情報は出なかったのだ

 

光太郎「・・・・・・?」

 

光太郎の思考は、目に見えた何かに中断される、ゆっくりと立ち上がり窓に近寄る

 

光太郎「何だ?」

 

光太郎に見えた物、それは遠くに見える街が赤い光を放っている光景、遠すぎて光の原因はわからないが何かが起こっているのは確かだった

 

光を凝視する光太郎の耳に声が入る

 

テレビ「緊急ニュースです!○○県、○○市で突如大規模の火災が発生しました!原因は今の所、不明、付近の住民は・・・・・・」

 

光太郎「何だって!」

 

ニュースを聞いた光太郎は驚愕する、ニュースの言っていた場所は今、まさに光太郎が見ていた場所だったからだ、慌てて部屋を出る光太郎、バイクに乗り、走る

 

 

 

桜子「そんな所で寝たら風邪引くよ五代君!」

 

研究室のソファーに寝そべる雄介に桜子が呆れるように言う

 

雄介「大丈夫だよ!だって俺、クウガだもん!」

 

桜子「もぉ!関係ないよそんな事」

 

二人に穏やかな時間が流れていたが、その時間は桜子の持つ携帯電話に終わりを告げられる

 

桜子「一条さんだ!・・・・・・はいもしもし?・・・・・・五代君に変わってって、なんかすごく焦ってる感じだけど」

 

雄介「残りの一体が出たのかな?・・・・・・変わりました、五代です!・・・・・・えっ!?わかりました!すぐ行きます!」

 

桜子「どうしたの?ホントに出たの?」

 

電話を終えた雄介から携帯電話を受け取りながら聞く

 

雄介「○○市で大火災があったって、それがグロンギがやった可能性が高いからすぐ来てくれって!行ってくる!」

 

桜子の返事を待たずに飛び出す雄介、バイクに乗り、走る

 

 

 

 

時は少し遡り、○○市

 

市内を一人の男が歩いていた、その男は体格も良く、堂々としていた、男は物珍しそうに周囲を見ながら歩く

 

男の名はゴラド、四体のグロンギ、最後の一体、ゴラドは力の回復を終え、封印の地を出た後、街に出た、自分が居た時とはまるで違うその光景、グルイの力で何となくわかっていたが実際に見るのでは大きく違っていたその光景にゴラドは街を徘徊し、見識を深める、そして徘徊の末、夜の市内にたどり着いていた

 

ゴラド(あの脆弱なリントがここまで進化するとはな)

 

夜の街を見回すゴラド、ふっ、と笑う

 

ゴラド(リントは戦う種族では無い・・・・・・元々はこういった事に秀でた種族だったか、我等とは異なる文化を持つリント、こうして見ると中々面白い)

 

徘徊を続けるゴラドはふと目に入った光景に足を止め、それを注視する

 

ゴラド(リント同士の争いか・・・・・・)

 

ゴラドの視界に入ったのは、人間同士の喧嘩、だがそれは喧嘩とは言えず、数人が一人をいたぶるリンチだった

 

ゴラド(リントも争いをする様になったのか、俺の居た頃は争いを好まぬ種族だったが・・・・・・リントも変わったな)

 

回りの人間が見てみぬ振りをする中、その光景を注視していたゴラドに声が掛かる

 

若者「何見てんだコラァ!」

 

いたぶっていた内の一人がゴラドの視線に気づき、怒声を浴びせる、怒声に呼応した数人にゴラドは回りを囲まれる

 

若者「お前も善人気取りかコラ!ぶっ殺すぞ!」

 

若者の怒気の混じる声がゴラドを脅す、だがゴラドは不敵な笑みを浮かべ若者達に話す

 

ゴラド「この俺を・・・・・・殺す?リントごときが?・・・・・・フハハハ!リントも上手い冗談が言えるのだな!・・・・・・笑わせて貰った、帰って良いぞ?」

 

若者「・・・・・・!!なめてんじゃねぇぞコラァ!!」

 

若者は怒りを露にゴラドを殴る、脅した相手が笑うだけでも許せないのに、あまつさえ帰れと言われた事に完全に頭に血がのぼった若者の拳はゴラドに直撃する、しかしその瞬間

 

若者の体が宙に浮く、拳ひとつ分程の空間をあけ、若者の体は宙に浮いた

 

ゴラド「まさか・・・・・・本当に俺を殺す気だったとは・・・・・・リントごときが!」

 

ゴラドの腕から血が滴る、ゴラドの腕は若者の体を貫き、掲げていた

 

男「え?・・・・・・あ・・・え?」

 

目の前の出来事を理解出来ない若者達、マジックを見ている様に貫かれた友人を見ている

 

「ウギャアアァァァァ!」

 

回りに居た若者達が突然燃え上がり、悲鳴を挙げる

 

ゴラド「・・・・・・もう少しリントの世を見てからと思ったが、気が変わった・・・・・・いや、変えられた・・・・・・皆殺しだ」

 

貫いた若者を捨てたゴラドは手を人間達に向ける、次々に人が燃え上がり、飛び火して行く

 

「フッ・・・・・・ハハ・・・ハァーッハッハッハ!」

 

炎の中、悲鳴を掻き消し、ゴラドの笑い声がこだまする

 

 

 

 

 

光太郎「うっ!?酷い・・・・・・」

 

駆けつけた光太郎は市内の状況を見て絶望する、建物は壊れ、車は炎上し、道路は火の海を作っている、火の海をゆらゆらと何かが揺らめき、倒れる、肉の焼けた臭いが鼻をつき、黒焦げになった人間らしき物がそこら中に転がっている

 

光太郎(事故か?だがこれだけの被害を一瞬で・・・・・・グロンギの仕業か!)

 

光太郎は怒りを噛み締め、生存者を探すために炎の中を走って行った

 

 

ゴラド「・・・・・・」

 

「ギャアアアアアァ」

 

無言で人間を焼き殺しながら歩く、進む先で悲鳴が上がり、悲鳴が止むと、また歩く、ゴラドは目に写る人間を全て燃やしていった

 

男「た、助けて・・・・・・い、痛いんだ・・・・・・」

 

足元で息のある人間がゴラドに助けを求める

 

ゴラド「・・・・・・」

 

無言のゴラドは足を高く上げ、男の頭上に持ってくる、足に力を込め踏み抜く

 

光太郎「やめろぉ!!」

 

突然掛かった声にゴラドは足を止め、光太郎に視線を移す、だがすぐに視線を戻し、光太郎の目の前で男の頭を踏み潰した

 

光太郎「あ"っ"!?・・・・・・キサマァ!!」

 

目の前で人が殺された事に激怒する光太郎

 

ゴラド「何か文句があるのかリント?」

 

口元を妖しくつり上げながらゴラドは光太郎に問う

 

光太郎「お前の目的は何だ!何故人間を殺す!」

 

ゴラド「・・・・・・人種差別は知っているな?それと似たような物だ、忌避か殺意かの違い、我等と違うから殺す、それだけだ」

 

光太郎「そんな理由で!お前はどれだけ残酷な事をしようとしているのか分かっているのか!!」

 

ゴラド「分かる分からないの話では無い、死ぬか生きるかだ、お前等が死にたく無いのなら抗えば良い・・・・・・出来るならな」

 

そう言い放ったゴラドは手を光太郎に掲げる

 

光太郎「うわっ!?」

 

光太郎が一瞬で燃え上がり、苦しむ

 

ゴラド「ふん・・・・・・所詮はリントか」

 

体を翻し歩き始めるゴラド、その瞬間、背後から声が聞こえ振り返る

 

光太郎「変身!!」

 

炎に焼かれる光太郎は変身する、変身が完了した際に出るキングストーンの過剰エネルギーが蒸気となり出ていく、その蒸気が炎を消し去る

 

BLACK「仮面ライダー!BLACK!」

 

 

ゴラド「・・・・・・お前がジザイを倒したゴルゴムの戦士か」

 

変身したBLACKを見たゴラド、その姿を凝視しようとしたその時、バイクのエンジン音が聞こえ、バイクが飛び出してくる

 

クウガ「南さん!大丈夫ですか!」

 

BLACK「五代君!ああ!奴が最後のグロンギだ!気をつけろ!」

 

バイクを降り、BLACKの横に並ぶクウガ

 

ゴラド「ほぅ・・・・・・ならお前がリントの戦士か、なるほど我等と同じ力を持つのか・・・・・・まさかダグバを倒したのはお前か?」

 

クウガ「ダグバ?0号か!そうだ!俺が倒した!」

 

クウガの言葉にゴラドは顔を歪める

 

ゴラド「こんな奴にダグバが?究極の闇を終える前にこんな奴にダグバは倒されたのか!」

 

クウガ「ぐわっ!?」

 

クウガの肉体が燃え上がる、肉体の焼ける苦痛を堪え、クウガは全身に力を込める

 

クウガ「ハァァ!!」

 

クウガの肉体が一瞬にして黒く変化しアークルも金になる、変化と同時に炎は小さくなっていき消える

 

ゴラド「・・・・・・どうやらダグバが倒されたのも嘘ではないらしいな、更なる力を感じる」

 

BLACK「大丈夫か五代君!その姿は・・・・・・」

 

クウガ「前に言ってた奥の手です、もうひとつあるんですがそれは出来れば使いたく無いんですが」

 

BLACKが変化したクウガに駆け寄った瞬間、キングストーンとアマダムが光を放ち共鳴する

 

ゴラド「!!その石は!」

 

共鳴を目撃したゴラドは驚きを見せBLACKに告げる

 

ゴラド「フハハハ!まさかこんな所に王の石があるとはな!良い日だ・・・・・・その石を貰うぞゴルゴムの戦士!」

 

BLACK「何!?キングストーンを!?何のために!」

 

ゴラド「リントを根絶やしにするためだ、王の石があれば俺の力はリントを瞬時に根絶やしに出来る様になる」

 

BLACK「そんな事はさせん!!」

 

ゴラド「・・・・・・良いだろう、今は気分が良い、お前達に合わせてやろう」

 

クウガ「何!?」

 

ゴラド「お前達に本気で戦う機会をくれてやる、ゴルゴムの本拠地の近くに我等が封印された場所がある、そこで雌雄を決するとしよう、逃げても良いぞ?その時は王の石無くともリントを皆殺しにするだけだ」

 

BLACK「勝手な事を言うな!」

 

ゴラド「ではこのまま戦うか?俺はそれでも構わんが、リントは大勢死ぬだろうな」

 

BLACK「クッ・・・」

 

ゴラド「では待っている、待つのは嫌いではないが限度がある、二日待ってやろう、決心が着いたら来い、それとゴルゴムの戦士、我等の封印が解けたのはおそらくお前の石のお陰だ、礼を言う・・・・・・」

 

ゴラドは手を掲げ、回りの炎をより一層大きくし、見えなくなった、炎がおさまった後にゴラドの姿は無く、BLACKとクウガの二人だけが残された・・・・・・

 

 

 

 

 

一条「○○市は全域に壊滅的な被害を受けた・・・・・・復興の目処しばらく立たない程だ」

 

翌日、合流した一条から被害状況を知らされる

 

雄介「一条さん・・・・・・犠牲者の数は?」

 

一条「・・・・・・現在確認されるだけで一万三千人だ、これから更に増えるだろう・・・・・・」

 

雄介「クソッ!一条さん!俺!悔しいです!救えなかった!」

 

拳を握り、悔しさを口に出す雄介

 

一条「お前が悪い訳じゃない、お前も南さんも懸命にやってくれてた、誰も君達を責めはしない」

 

光太郎「五代君がそう思うのはわかる、僕も同じだ、でも今はこれ以上被害を出さない様にする事が先決だ」

 

雄介「はい、わかってます、あいつを倒さないと!」

 

一条「だが奴は0号と同じ力を持っていたんだろう?五代、まさかまた凄まじき戦士に!?」

 

雄介「出来れば使いたく無いんですけどね、それにあの時は大丈夫だったけど今回は大丈夫って保証が無いんです、それだけ凄まじき戦士は恐い力なんです」

 

一条「ではどうするんだ?」

 

雄介「黒の金で頑張ってみます!0号の時は全く敵いませんでしたけど、今回は南さんがいます!大丈夫です!きっと!」

 

心配そうな顔で雄介を見た後光太郎を見る一条、雄介の言う黒の金とはアメイジングマイティフォーム、その力は赤のマイティを強化したライジングマイティを更に強化した形態である、アマダムが全ての力を出した状態に一番近い状態、だがその形態もアマダムが全ての力を出した状態には遠く及ばない、一条の心配は雄介がこのままでは勝てないのではないかと言う不安だった

 

光太郎「任せてください一条さん!五代君となら必ずやれます!」

 

一条「わかりました、では私は復興に協力してきます・・・・・・五代の事、お願いします!」

 

力強い光太郎の言葉に安心する一条は光太郎に頭を下げ、走って行った

 

雄介「明日・・・・・・ですね」

 

光太郎「ああ、五代君、今日中に会いたい人に会っとくと良い・・・・・・会えなくなるかもしれない」

 

光太郎の言葉には死が含まれていた、歴戦の光太郎にそう思わせる程、ゴラドは強く、不気味だったのだ、それは雄介も感じているため二人の空気は重かった

 

雄介「・・・・・・わかりました!明日合流しましょう!行ってきます!」

 

スッと立ち上がりバイクに乗り走り去る雄介

 

光太郎「僕も行くか・・・・・・」

 

光太郎もバイクに乗り、走って行った

 

 

二人の戦士は生死を賭けた戦いを前に、走る

 

 

 




ついにゴラドが動きました、ゴラドの台詞は考えるのが難しい、小物臭くなければ良いんですが・・・・・・

BLACKとクウガの強さの設定は、BLACK>アメイジングとしています、スペック通りならBLACKが勝ってる(アメイジングはパンチ力が不明)のでその通りに、ただクジラ怪人の命のエキスで甦った際に力も上がっているのをどうするかでした、設定だと数倍だとか、スペックに合わせるとクウガ余裕で越えちゃうしって事で、命のエキス使用状態でスペック通りとしました。


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決意

「部隊の編成は出来たか?」

 

「はい、追跡によりC4号が潜んでいると思われる場所も特定しました、ですが本当によろしいのですか?」

 

ある会議室で二人の男が話す

 

「当たり前だ、あれだけの事をされて警察が黙っている訳にもいくまい」

 

「しかし、総監が海外へ視察に行ってらっしゃる時によろしいので?」

 

「ならば我々は怪物は4号ともう一人に任せて指をくわえていろと?良いか?市民の安全の為に警察があるのだ、その警察が相手が怪物と言えど傍観して良いわけがない!」

 

「・・・・・・その通りです、わかりました、部隊の装備には科警研に作らせた、神経断裂弾があります、以前の奴とは違うなら効果はあるかもしれません」

 

「よし、総監には私から言っておく、夜を待ち、攻撃を仕掛けろ、捜査員には伏せておけ、余計な混乱を起こす必要は無い」

 

「わかりました、ではその様に手配してきます」

 

「待て、それと今回の攻撃でもし死亡者が出た場合は死亡者の家族に十分な手当を出せ・・・・・・死にに行けと言っている様に聞こえるか・・・・・・?」

 

「いえ、そんな事は・・・・・・では私は手配してきます」

 

男は部屋を出る、残された男は祈る様に呟く

 

「すまない・・・・・・勝ってくれ・・・・・・」

 

 

 

 

 

椿「五代!来てたのか!」

 

雄介「はい!・・・・・・忙しそうですね」

 

雄介は最初に関東医大病院に来ていた、病院内は慌ただしく、怪我人が溢れ、医師や看護婦が走り回っている

 

椿「すまん!今手が放せない!今度にしてくれるか?」

 

その場で足踏みをし、忙しさを強調する椿

 

雄介「すいません、椿さん!会えて良かったです!」

 

椿「五代?」

 

椿の体が止まる、雄介の目を真っ直ぐ見つめ、悟る

 

椿「死ぬかも知れないのか?」

 

雄介「わかんないです、でも勝ちます!絶対!」

 

椿の真剣な問いに笑顔で返す雄介

 

椿「そうか、行ってこい!待ってるからな!」

 

椿も笑顔で返す

 

雄介「はい!忙しい所すいません!行ってきます!」

 

病院を出ていく雄介を見て、椿は頑張れと呟き、喧騒の中に走って行った

 

 

 

「光太郎さん!」

 

光太郎「克美さん!杏子ちゃん!」

 

光太郎は克美と杏子に会いに来ていた、会いたい友人は他にもいる、滝竜介、東堂勝、少年戦士達、だが行方を知る術を持たない光太郎は友人達に会うことを諦め、克美と杏子と会っていた

 

克美「テレビを見たわ、凄い有り様になってた、もしかして前にテレビで出た怪人の仕業?」

 

光太郎「そいつとは違う奴だけどそうだよ」

 

杏子「じゃあ光太郎さん、戦いに行くのね」

 

克美「こうやって私達に会いに来たって事は・・・・・・まさか光太郎さん!」

 

悟る克美、そんな克美の様子を受けて

 

杏子「死ぬかも知れないの?光太郎さん!」

 

杏子も悟る、二人の心配を受けて光太郎は笑う

 

光太郎「だーいじょうぶだって二人共!僕は絶対勝つよ!それに約束したじゃないか!帰って来るって!」

 

杏子「でも・・・・・・兄さんが死んでしまったのに、光太郎さんまで死んでしまったら・・・・・・」

 

光太郎の笑顔が無理をしている様に感じ、杏子は堪らず涙を浮かべる

 

克美「光太郎さん・・・・・・必ず、必ず帰って来て!」

 

克美は分かっている、本心は死ぬかも知れない場所に行かせたくない、だがどんなに二人で止めても光太郎は行くだろう、それが南光太郎と言う男だと、だからこそ克美は帰って来る事を約束させる、それが見守る事しか出来ない克美のただ一つの心配だった

 

光太郎「約束するよ!必ず、必ず帰って来る!だから杏子ちゃん、もう泣かないで・・・・・・」

 

そっと杏子の頭に手をのせ撫でる光太郎に杏子の涙は止むどころか大粒がいくつも頬へ流れて行く

 

杏子「絶対だよ?絶対帰って来てよ?」

 

子供の様に光太郎にすがり付き、光太郎の胸で涙を流す、杏子を撫でながら光太郎は克美に言う

 

光太郎「そろそろ行かなくちゃ、克美さん、杏子ちゃんをお願いします」

 

杏子を胸から離し、克美に杏子を預けた光太郎は二人に笑顔を向ける、何か言いたそうに口を動かすが言葉に出来ない

 

光太郎「・・・・・・じゃ、行ってきます!」

 

そう言った光太郎はすぐ背中を見せバイクに走っていく、バイクに乗った後も二人を見ずに走って行った、バイクで走る光太郎の背を二人は見つめ、静かに祈った

 

 

 

 

雄介「おやっさん!!」

 

ポレポレへ来た雄介は勢い良くドアを開ける

 

おやっさん「おぉ!雄介!どうした?」

 

雄介「いや、おやっさんにも会っとかないとって思って」

 

カウンターに座る雄介の言葉におやっさんの顔は曇る

 

おやっさん「・・・・・・戦いに行くのか?」

 

雄介「はい、0号と同じぐらい強い奴が出てきて、俺、クウガだから戦わないと」

 

おやっさん「クウガ・・・・・・か、そういえば、俺は最後まで気づかなかったなぁ、お前が4号だって事」

 

雄介「隠してたつもりは無かったんですけどね、おやっさん、俺がクウガだって知ってどうでした?」

 

おやっさん「そりゃあ驚いたさ、あの雄介が4号で未確認と戦ってた!?って・・・・・・同時に悲しかったよ、優しいお前が戦い続けてた事に・・・・・・」

 

二人に沈黙が流れる、思い出したようにコーヒーを作りながらおやっさんは話し出す

 

おやっさん「そうゆうの嫌いだったもんなお前、みんなに笑顔でいて欲しいって、色んな技覚えて・・・・・・似合って無いよ、お前に戦いは」

 

背を向けコーヒーを作るおやっさん、雄介にはその背が泣いている様にも感じ、顔を伏せる

 

雄介「確かに俺は戦いは好きじゃ無いです、でも、それ以上に誰かの涙は見たくないんです、みんなに笑顔でいて欲しいから、だから戦ったんです」

 

おやっさん「そうだよなぁ・・・・・・お前はそうゆう奴だもんなぁ・・・・・・ほら雄介!これ新作のコーヒーだ!名付けてアルティメットクウガブレンド!」

 

笑顔を作り雄介にコーヒーを差し出す

 

雄介「名前長く無いっすか?それにアルティメットって・・・・・・うまっ!これうまいっすよおやっさん!」

 

賛美の言葉に更に笑顔になるおやっさん、雄介も夢中で飲んでいる

 

おやっさん「行ってこい雄介」

 

多くは語らない、だがその一言には想いが込められていた、帰って来いと

 

雄介「はい!おやっさん!ご馳走様でした、売れますよこれ!名前はあれだけど・・・・・・奈々ちゃんにもよろしく言っといてください!行ってきます!」

 

カランカランとドアが音を立て、雄介は出ていった、コーヒーカップを片付けながらおやっさんは小さく呟く、頑張れよと

 

 

 

光太郎はホテルに帰っていた、光太郎がロビーに入ると自身を呼ぶ声が聞こえ、声の主を探す

 

光太郎「沢渡さん!」

 

桜子「一条さんから聞きました、今、お時間大丈夫ですか?」

 

二人は光太郎の部屋に入り、テーブルを挟み座る

 

光太郎「どうしたんですか?突然?」

 

桜子「一条さんから聞きました、0号と同じぐらい強いグロンギと戦うって!大丈夫なんですか?五代君いなくなっちゃったりしませんよね?」

 

矢継ぎ早に質問する桜子、そんな桜子の様子に光太郎は察する

 

光太郎「落ち着いて下さい沢渡さん、五代君が心配なのはわかります、でもあなたがそんな様子だと五代君は困りますよ」

 

何とか桜子をなだめる光太郎、落ち着きを取り戻す桜子

 

桜子「すいません・・・・・・でも私、心配で・・・・・・今度こそ五代君が死んじゃうんじゃないかって・・・・・・」

 

頭を下げ、手を強く握る桜子

 

光太郎「大丈夫です!五代君は必ず僕が守ります!だから桜子さんは変わらず接してあげてください、五代君も今の沢渡さんは見たくないと思いますし」

 

桜子「そう・・・・・・ですね、ごめんなさい、五代君の心配ばっかりして南さんの事、何も考えてなかったですね、南さんも必ず帰って来てくださいね」

 

光太郎「わかりました、約束します!さぁ、沢渡さんは戻った方が良い、五代君がもうすぐ来ると思いますよ」

 

桜子「はい、ありがとうございます南さん・・・・・・五代君の事、よろしくお願いします」

 

頭を深く下げて部屋を出る桜子を見て光太郎は、ふっと笑う

 

光太郎(負けられないな・・・・・・)

 

 

 

 

榎田「あら!五代君じゃない!どうしたの?」

 

雄介「榎田さん!ゴウラムありがとうございました!俺、0号と同じぐらい強い奴と戦うんで先にお礼に来ました!」

 

科学警察研究所に来た雄介は榎田を見つけ、礼を言う

 

榎田「私も聞いた、0号と同じぐらい強い奴が出たって、でも五代君なら大丈夫でしょ!それに今回は強い味方が居るんでしょ?尚更大丈夫でしょ!」

 

榎田は笑顔で五代に話す、彼女も0号の恐ろしさは知っている、だがここで弱気な言葉を吐いて不安を煽るのは良くないとわかっている榎田は軽口を叩いて雄介を鼓舞する

 

雄介「そうなんですよ!今回はすっごい強い味方がいるから大丈夫です!あ!そうそう、ジャンは何処にいるかわかります?」

 

榎田「ジャンはどこかの遺跡に行ってるわよ、確かドグマだかマグマだかの痕跡を調べるって言ってた、ジャンにはあたしから言っとくね、それよりあんたは桜子ちゃんの所に行かなきゃ!まだ行ってないんでしょ?」

 

雄介「なんでわかったんですか!?まだ桜子さんの所に行ってない事」

 

榎田「乙女の勘かな、さぁ行った行った!桜子ちゃんによろしくね!」

 

雄介の背中を叩く榎田、少し痛そうに榎田に笑顔を向ける

 

雄介「はい!行ってきます!榎田さんありがとうございました!」

 

走る雄介の背を見てうんうんと首を振る榎田は笑顔で所長室に戻っていった

 

 

 

 

封印の地

 

ゴラド(・・・・・・招かれざる客か)

 

周囲に気配を感じ顔を上げる、スッと立ち上がり声を荒げる

 

ゴラド「リントごときが俺に挑みに来た事は誉めてやろう!何処からでもかかってこい!」

 

ゴラドの声が辺りに響いた瞬間、銃声と共に大量の特殊部隊がゴラドを囲む

 

ゴラド「中々の武器だ、ゴの下位程度までには効くだろうな」

 

ゴラドを襲う銃弾はゴラドの皮膚に触れる事なく燃え尽きる、銃弾の薬品が燃え上がり青白い炎を放つ

 

ゴラド「・・・・・・」

 

「ぐわあああぁ!!」

 

ゴラドが手をかざすと回りの特殊部隊は次々と燃えていく、炎に焼かれ、倒れる

 

「バカな!耐火服だぞ!?」

 

他の隊員が焼死したのを見て驚く隊員

 

ゴラド「ふっ・・・・・・炎を出している訳ではない、そんな物では防げん」

 

「うわああああ!ああああああ!!」

 

悲鳴と炎が辺りを地獄絵図に変える、不敵に笑うゴラドは残る特殊部隊を燃やして行く

 

「あれを出せ!早くしろ!」

 

ゴラド「・・・・・・?」

 

闇の中から出てきたその物にゴラドは注視する、炎によって朧気に映し出されたその姿はクウガにもBLACKにも似た青い体を持つ物だった

 

ゴラド「リントはこんな物まで作れるのか」

 

ゴラドの前に現れた物、それはG3マイルド、アンノウンとの戦いの為に開発されたG3の量産試作型、アンノウンとの戦いの後、G3シリーズは解体されたが、解体を免れた三機のG3マイルドは警察の特殊部隊に接収され有事の際の切り札になっていた、今までの戦いに出なかったのは神出鬼没なグロンギの行動に間に合わなかったからである

 

ゴラド「・・・・・・どれ」

 

手をかざし一機を燃やす、炎を気にせず手に持つ銃器を構える、ゴラドが力を込めると一機は小刻みに震えだし炎を纏いながらその場に倒れた

 

ゴラド「マシなのは外側だけか」

 

ゴラドのこの能力は超自然発火能力、原子に干渉しプラズマ発火を起こす能力、原子に干渉するため、何処からでも発火させる事が出来る、例え耐火服だろうが特殊装甲であろうが内から燃やす事の出来るゴラドにはどんな高性能も無意味だった

 

ゴラド「少し遊ぶか」

 

残る二機に歩み寄るゴラド、二機は銃器を構え発砲するがゴラドの前で燃え尽きる、二機の内の一機の前に立ち、拳を打ち込んだ

 

ゴラド「ほぉ・・・・・・予想以上だな」

 

拳を打ち込んだ一機を見て呟く、打ち込まれた一機は健在であり、まだ戦えた、だが殴られた箇所が大きくへこみ、亀裂が入っている

 

ゴラド「・・・・・・」

 

ゴラドの肉体が変化し、異形となる、その姿に臆する事なく殴りかかる無傷のG3マイルド、だがその拳は空を切り動かなくなった

 

ゴラド「・・・・・・」

 

G3マイルドの装甲を中の体ごと貫き、引き抜いたゴラドは残る一機を見る、近づけずジリジリと後退する一機に歩み寄るゴラド、頭を掴まれ、地面に叩きつけられる、そして背の部分を踏み抜かれ、くの字に体が逆に反る

 

ゴラド「暇潰しにはなったな・・・・・・」

 

残る特殊部隊を視認したゴラドはゆっくりと歩いて行った

 

 

 

 

雄介「桜子さーん!ただいま!」

 

桜子「おかえり五代君!」

 

ソファーに座る雄介に桜子は一瞬顔が曇るがすぐに笑顔に戻す

 

桜子「ねぇ五代君、明日だね」

 

雄介「うん、任せといてよ!絶対勝つから!」

 

桜子「わかってる、五代君なら絶対勝てるよ!」

 

雄介「桜子さん・・・・・・約束するよ、絶対勝って帰って来るって」

 

突然の雄介の真剣な表情に桜子の心が揺れる

 

桜子「・・・・・・ホントは!五代君に戦って欲しくなんて無い!何で・・・・・・何で五代君なのよ・・・・・・」

 

抑えていた感情がせきをきって溢れだす、その瞳には涙が溢れる

 

雄介「俺だって戦いたくないよ、でもクウガになっちゃったから・・・・・・ごめん」

 

桜子「わかってる!わかってるけど・・・・・・五代君が居なくなる気がして!それで・・・・・・それで・・・・・・」

 

雄介「ごめん・・・・・・」

 

そっと抱き寄せ、胸を貸す雄介、その顔は苦い

 

雄介「桜子さん・・・待っててよ、絶対帰って来るから」

 

桜子「うん・・・・・・」

 

雄介「じゃあ・・・・・・行ってきます!」

 

桜子「行ってらっしゃい」

 

桜子に見送られ、雄介は研究室を出る、バイクに乗り走り出して数分後、一条からの無線が入った

 

 

 

 

 

雄介「すいません、遅くなりました」

 

一条に呼ばれ合流した雄介、既に光太郎も居る

 

光太郎「何かあったんですか?」

 

一条「ああ、ついさっき、警察の特殊部隊がC群4号、残るグロンギに攻撃を仕掛けたらしい」

 

雄介「えっ!?それでどうなったんですか!?」

 

一条「・・・・・・一名を残し全滅した、その一名も瀕死の重症を負っている」

 

雄介「そんな・・・・・・」

 

光太郎「何故攻撃を仕掛けたんですか?銃器では奴には勝てないのは分かってる筈です」

 

一条「すいません、我々捜査員には知らされていなかったんです、知っていれば反対したんですが・・・・・・」

 

光太郎「・・・・・・もうこれ以上の被害を出すわけにはいかない!」

 

雄介「一条さん!俺、絶対倒します!だからこっちの事、頼みます!」

 

一条「わかった、任せてくれ、それとゴルゴムの本拠地の近くの街にホテルを取ってある、使ってくれ、すまない、こんな事しか出来ない」

 

雄介「いえ、その気持ちだけで嬉しいです」

 

光太郎「すいません、使わせて貰います」

 

一条「五代、南さん、心苦しい願いですが、お願いします」

 

 

 

そして二人は走った、ホテルに着いた後、二人は眠りにつく

 

勝利を誓いながら




ドラマパートです、おやっさんの所が私的に良く出来た感があります。


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憎悪

雄介「おはようございます南さん」

 

光太郎「ああ、おはよう五代君」

 

ロビーで合流した二人は外に出る、そして空を見る

 

雄介「曇り・・・・・・ですね」

 

光太郎「・・・・・・」

 

空を見上げた二人の頭上には一切の光を通さぬ暗雲が覆っていた

 

雄介「南さん・・・・・・昨日話した様に、もし俺が大変な事になったら、ベルト・・・・・・お願いします」

 

光太郎「ああ・・・・・・だがそんな事はしたくない、だから五代君も頼む」

 

二人は昨夜、話をした、戦いに行く者の、偽りの無い、二人の時にしか喋れぬ本音

 

仲間には勝つと強がったが、本人達は分かっていた、死を賭けねば勝てないと、雄介はある決心を光太郎に話し、光太郎もそれを了承していた

 

雄介「なんか・・・・・・あれですね、俺今スゲー怖いのに南さんと一緒ならなんか大丈夫って言うか」

 

光太郎「僕も同じさ、五代君が居るからここまで落ち着いていられる」

 

二人にはいつの間にか奇妙な友情が生まれていた、それは同じ戦う者の共感か、死の同行者への憐れみか、奇妙な感情に二人は顔を見合わせ笑う

 

光太郎「行こう」

 

雄介「行きましょう」

 

二人は共に走り出した

 

 

 

 

光太郎の案内でゴルゴムの本拠地に辿り着く二人、そこで二人は覚悟していたが見たく無かったものを見つける

 

雄介「南さん・・・あれ」

 

光太郎「・・・・・・行こう、あれの先に奴は居る」

 

二人が見つけたもの、それは人間だった物、黒く焼け焦げたその姿に二人は歯噛みする、道標の様に点々と間隔をあけて居るそれは、おそらく逃げて来た者、肉体を焼かれながら逃げたのだろう、どのそれも助けを求める様に手を伸ばしている様に見える

 

雄介「こんな・・・・・・クソォ!!」

 

怒りを露に雄介は歩く

 

光太郎「落ち着くんだ五代君、憎しみにとらわれてはいけない、今は我慢するんだ」

 

 

 

 

 

数十の屍を越えた先、二人は目的地に辿り着く、頭を下げ、座る男、それを真っ直ぐ見据える二人、視線を感じ、男は口を開く

 

ゴラド「待っていた」

 

雄介「・・・・・・」

 

光太郎「・・・・・・」

 

ゴラド「そう構えるな・・・・・・少し話をしないか?俺も聞きたい事がある、お前等も聞きたい事があるなら言うがいい、答えられる物なら答えよう」

 

雄介「なんでこの人達を殺した!」

 

ゴラド「何故、か・・・・・・お前は自分が攻撃されたら黙って耐えるだけなのか?」

 

雄介「それは・・・・・・」

 

ゴラド「先に仕掛けたのは俺だ、だが報復だろうが何だろうが俺に攻撃を仕掛けたのは事実だ、俺は火の粉を払ったに過ぎん」

 

ゴラド「それにどの道リントは死ぬんだ、気にする事はなかろう・・・・・・」

 

雄介「この!!」

 

飛び出しそうな雄介を光太郎が抑える

 

光太郎「お前の聞きたい事とは?」

 

ゴラド「ゴルゴムの生き残りはお前だけか?暗黒の王は死んだのか?」

 

光太郎「暗黒の王・・・・・・創世王か、ゴルゴムは僕がすべて倒した、創世王も・・・・・・世紀王も」

 

ゴラド「そうか・・・・・・」

 

光太郎「お前は人間を滅ぼした後はどうするつもりだ?」

 

ゴラド「・・・・・・考えて無かったな、リントを殺す事しか考えていなかった・・・・・・仲間ももう居ない・・・・・・自然と共に生きるか、死ぬかだな、殺し終えたら考えよう」

 

ゴラド「・・・・・・ 最後に一つ聞こう、お前等は何故リントの為に戦う?」

 

光太郎「お前には仲間を想う気持ちはないのか?」

 

ゴラド「ふっ・・・・・・そうだな・・・・・・愚問だった・・・・・・」

 

下げていた頭を上げ、二人を見るゴラド、妖しく口をつり上げる

 

ゴラド「始めるか」

 

 

立ち上がったゴラドは肉体に力を込め、その姿を変化させる、その姿は爬虫類を思わせる様な外見に0号を思わせる白い肉体に装飾品がつけられている、0号より一回り大きいが角は無い、代わりに巨大な尻尾と鋭利な牙を備えていた

 

光太郎「この世界をお前の好きにはさせん!」

 

雄介「絶対にお前を倒す!」

 

二人は同時に構える、光太郎の腕がギリギリと音を立てる、雄介にアークルが現出する、光太郎の腕が空を来る、雄介が腕を前に出す、魂を込め、二人は叫ぶ

 

 

「変身!!」

 

 

強烈な閃光を放ち、その肉体を戦士の体に変化させる、閃光が収束した後に立つのは、黒い体に赤い目を持つ二人の戦士

 

 

「仮面ライダー!BLACK!」

 

「仮面ライダー・・・・・・クウガだ!」

 

 

ゴラド「来い」

 

ゴラドの言葉に同時に駆け出す二人、二人の拳がゴラドを打つ

 

ゴラド「こんなものか?」

 

二人の拳を受けて平然としているゴラド、二人は攻撃を繰り返す、だが無抵抗のゴラドをその場から動かす事すら出来なかった

 

ゴラド「・・・・・・」

 

BLACK「グッ!?」

 

ゴラドの拳がBLACKを打つ、防御ごと吹き飛ばされ、地面を数メートル抉る

 

クウガ「南さん!クソォ!!」

 

飛ばされたBLACKを気にかける暇も無く攻撃を続けるクウガ、その様子を無抵抗で呆れる様に見るゴラド

 

ゴラド「本気を出さなくて良いのか?」

 

クウガ「うわっ!?」

 

突如クウガは衝撃を受け吹き飛ぶ、地面を転がり、体勢を建て直したクウガは謎の攻撃に警戒する

 

ゴラド「なに、霊石の力を衝撃にして飛ばしただけだ、その気になればお前も出来る」

 

BLACK「トゥア!!」

 

クウガに語るゴラドにBLACKの蹴りが炸裂する、しかしゴラドはそれを意に介さずクウガに話を続ける

 

ゴラド「それより、そのままで良いのか?」

 

クウガ「!?」

 

ゴラドはクウガに本気を出すように促す、クウガもこのままでは勝てない事は薄々わかっている、しかし内なる力への恐怖がクウガの決心を鈍らせる

 

BLACK「ライダー!パンチ!」

 

攻撃を続けるBLACKは腕にエネルギーを集め、ゴラドを打つ

 

渾身の力を込めた拳はゴラドに止められる

 

ゴラド「お前の方はどうしようも無いな、欠片の王の石ではそれが限界だろう」

 

掴んだ腕を引き、引き込んだBLACKに強烈な蹴りを叩き込む、吹き飛ぶBLACKに指を指し、衝撃波で追い討ちをかける

 

クウガ「南さん!?・・・・・・ハッ!!」

 

両足に力を込め、ゴラドに向かい走る、跳躍し、必殺の両足の蹴りを叩き込む

 

ゴラド「・・・・・・!?」

 

強烈な一撃にゴラドは一歩下がる、紋章が体に浮かび上がる

 

ゴラド「今のは中々だ」

 

言葉と同時に紋章が消える

 

クウガ「クソッ!あれでもまったく効かないのか!」

 

アメイジングマイティの最強の攻撃でさえ、ゴラドを一歩下がらせるだけの結果にクウガは歯噛みする

 

BLACK「五代君!諦めるな!」

 

戻ったBLACKがクウガに叫ぶ、直ぐ様攻撃を仕掛けるBLACK、クウガも後に続く

 

ゴラド「・・・・・・」

 

二人の攻撃を受け続けるゴラドは時折、思い出した様に二人を攻撃し、吹き飛ばす、吹き飛ばされた二人はまた立ち上がり攻撃する、そんな一方的な事が数度続く

 

クウガ「はぁ・・・はぁ・・・クソッ!」

 

BLACK「このままでは・・・・・・」

 

何度も攻撃を受け、飛ばされた二人は体にダメージを負い、疲れも出ていた、一方のゴラドは無傷、クウガの一撃がなんとか傷とも言えぬダメージを与えれたかもしれない様な状況

 

クウガ「もう一度、やります!」

 

BLACK「わかった、一緒にやろう!」

 

頷きあった二人はゴラドに駆ける、BLACKは跳躍し、クウガも跳躍する

 

クウガ「おりゃあ!」

 

BLACK「ライダー!キック!」

 

二人の同時キックにゴラドは拳に力を込め、迎え打った、相打つ攻撃にぶつかったエネルギーが凄まじい音を出す

 

ゴラド「・・・・・・ハアァッ!」

 

力を更に込めたゴラドの拳が二人のキックを押し返す

 

BLACK「何!?」

 

押し返されたキックは威力を無くし、エネルギーは消える、消されたエネルギーの力の余波で二人は吹き飛ばされる

 

BLACK「グアッ!」

 

クウガ「そ、そんな・・・・・・」

 

膝をつく二人は肩で息をしながらゴラドを見る

 

ゴラド「・・・・・・終わりか?」

 

その場に佇むゴラドの声が二人に絶望を感じさせる

 

クウガ「こうなったら・・・・・・」

 

BLACK「オオオオオォ!!」

 

クウガの声を遮りBLACKが駆ける

 

BLACK「トゥア!!」

 

全力のBLACKの拳が蹴りがゴラドを打つ、しかしその攻撃はゴラドを揺らす事すら叶わない

 

ゴラド「・・・・・・」

 

BLACK「グアッ!?」

 

クウガ「南さん!?」

 

ゴラドの振り上げられた拳がBLACKを地面に叩きつける

 

BLACK「グッ・・・・・・!?グガッ!!」

 

立ち上がろうとするBLACKをゴラドの足が垂直に蹴り上げる

 

ゴラド「・・・・・・」

 

宙に舞い、落下するBLACKに手を掲げる、BLACKのキングストーン以外の部分が燃え上がり、炎を纏いながら墜落する

 

クウガ「南さん!!・・・・・・うわっ!!」

 

駆け寄るクウガはゴラドの放つ衝撃波に吹き飛ばされる

 

BLACK「ウ・・・・・・ウオオオオォ!!」

 

キングストーンのエネルギーを使い自身を焼く炎を消す

 

BLACK「はぁ・・・はぁ・・・負けられない!!」

 

再びゴラドに向かって行くBLACK、攻撃の効かぬ相手に尚も挑む、たとえ勝ち目が無くとも信念は曲げない、BLACKは拳を握り締めゴラドに挑む

 

ゴラド(良い目だ、ジザイを倒しただけはある、力が俺に釣り合って無いのだけが惜しい)

 

BLACK「必ず・・・・・・お前を倒す!!ウオオオオォ!!」

 

信念を込めた攻撃を放つBLACK、しかしゴラドにダメージを与える事は叶わない

 

ゴラド「・・・・・・もう良いだろう?」

 

BLACKの攻撃を受け止め、殴り飛ばす、飛んだBLACKに歩み寄る、BLACKの反撃を避け、蹴り飛ばす、そしてまた歩み寄る

 

BLACK「グ・・・・・・アッ!?」

 

力無く膝をつくBLACK、目前に迫ったゴラドに何も出来ない

 

BLACK「ウッ!?・・・・・・ガ・・・・・・アッ!?」

 

BLACKの首を持ち上げるゴラド

 

ゴラド「これで最後だ・・・・・・本気を出さなくて良いのか?」

 

クウガ「南さん!!」

 

ゴラドが話し掛けたのは戻って来たクウガ

 

クウガ「南さんを放せ!」

 

ゴラド「そんな事は聞いていない」

 

掴む腕に力を込める、苦痛の声を出すBLACK

 

ゴラド「お前がそのままでいるならそれでもいいだろう、お前達を殺し、王の石でリントを皆殺しにするだけだ、そこに転がる惨めなリントの様に・・・・・・」

 

ゴラドの言葉にクウガは回りを見る、焼けただれた死体、既に乾いた大量の血を流す機械、そして苦しむBLACK

 

クウガ「お前は!!・・・・・・お前はぁぁぁぁぁ!!」

 

目の前の惨状にクウガの心を黒い感情が蝕む

 

クウガ「うああああああ!!」

 

地を揺らすかの様な叫びと共にクウガの肉体を黒い霧が覆う、霧の中を赤い瞳だけがゴラドを見据える

 

ゴラド「・・・・・・」

 

掴んでいたBLACKを放したゴラドはクウガに向き、その様子を凝視する

 

BLACK「ゴホッ!?・・・・・・いけない!ダメだ五代君!憎しみで変身してはダメだ!!」

 

BLACKの言葉に何の反応も示さないクウガ、霧の中見える赤い瞳が徐々に黒く染められて行く

 

BLACK「やめろ!やめるんだ!」

 

ゴラド「黙っていろ」

 

クウガを見据え、ジッとその変化を見つめるゴラド

 

クウガ「あぁ!!・・・・・・う、ウアアアアアアア!!」

 

叫びが響いた瞬間、纏う霧が稲妻を発しクウガに吸収される

 

ゴラド「・・・・・・」

 

クウガ「・・・・・・」

 

そこに立つのは姿の変わったクウガ、肉体は生物的になり、手足に突起が生えている、黒を基調としたボディに金のラインが入っている、角は四本になり、アークルも黒い、そして、その瞳は雄介の憎しみを現す様に黒く、深く沈んでいた

 

BLACK「そんな・・・・・・五代君!」

 

クウガから感じる憎しみにBLACKは名を呼ぶ、だが自分を見もしないクウガにその心は絶望に変わる

 

ゴラド「・・・・・・来い」

 

クウガ「・・・・・・」

 

クウガが手をかざすとゴラドの体は燃え上がる

 

ゴラド「ダグバに効かない事が俺に効く訳があるまい」

 

炎を消し、クウガに話すゴラド

 

クウガ「・・・・・・」

 

BLACK「うわっ!?」

 

衝撃がBLACKを襲い、BLACKは弾き飛ばされる

 

ゴラド「わからないのか?そんな物では俺は倒せん」

 

衝撃波を自身の衝撃波で打ち消したゴラドはクウガに語る、しかしクウガに反応は無い

 

ゴラド「・・・・・・自我すら消したのか、ただの戦闘生物に成り果ててまで俺を倒したいか・・・・・・」

 

歩み寄るクウガに落胆の混じる口調で話す

 

ゴラド「それでは仮に俺を倒してもお前がリントを殺すだけだ・・・・・・ふっ、どちらにしろリントは死ぬ、これはこれで望む所だ」

 

目前に迫るクウガに苦笑したゴラドは体に力を込める、久しく本気を出していなかったゴラドの感情は昂って行く

 

ゴラド「フハハハハ!!・・・・・・行くぞぉ!」

 

放った拳に合わせクウガも拳を放つ、拳が相打ち、互いの体が衝撃で飛ぶ

 

クウガ「・・・・・・」

 

何も話さず、無言で攻撃するクウガ

 

ゴラド「オオオォ!!」

 

咆哮を上げ、猛る言葉で攻撃するゴラド

 

互いが互いを打ち、血が飛散する、飛び散る血にも、肉体のダメージも気にせず打ち合う二体の魔物、幾度となく殴りあった末、軍配が上がったのは白い魔物

 

ゴラド「・・・・・・自我なくして俺には勝てん」

 

クウガ「・・・・・・」

 

膝をつくクウガにゴラドが見下ろしながら話す

 

ゴラド(興が醒めた、やはり戦闘生物では力を持とうがこれが限界か・・・・・・)

 

クウガ「・・・・・・」

 

立ち上がり際にゴラドに拳を打ち出すクウガ

 

ゴラド「・・・・・・」

 

避けたゴラドに拳を打たれ、クウガは血を散らしながら大きく後退する

 

ゴラド「楽しめた、これ以上は期待出来まい・・・・・・」

 

腕に力を込める、腕に異様なエネルギーが集まり黒く燃え上がる

 

BLACK「クッ・・・・・・五代君・・・・・・」

 

戻ったBLACKはよろめきながら二体を見て呟く

 

ゴラド「・・・・・・?」

 

構えたゴラドはクウガの様子を見て動きを止める

 

クウガ「ガ・・・・・・ウ・・・ア・・・・・・」

 

呻く様な声を出すクウガ

 

BLACK「あ、あれは・・・・・・」

 

ゴラドとBLACKが見たもの、それはクウガの黒い瞳が呻き声と共に赤に変わり、黒に戻る様子

 

ゴラド「・・・・・・」

 

その様子を興味深く見つめるゴラド

 

BLACK「そうか・・・・・・五代君、苦しいのか・・・・・・今助ける!」

 

よろめくBLACKは体に力を込め、クウガに叫ぶ

 

BLACK「キングストーンフラッシュ!!」

 

BLACKのベルトから放たれる光、光はクウガに与えられる、光の中で苦しみもがくクウガ、両手をつき、悶える

 

BLACK「頑張れ!憎しみを吐き出すんだ!」

 

光を放ち続けるBLACK、苦しむクウガはやがてその動き止める、その瞬間、クウガのアマダムが光を放ち、キングストーンと共鳴しさらに強い光になる、クウガの体から黒い何かが出現し、空に消える

 

BLACK「・・・・・・」

 

クウガ「・・・・・・南さん、ありがとうございます、心配かけました」

 

立ち上がるクウガの声、その声はいつもより力強く、その体は傷付きながらも先程より力に溢れていた、そして、その瞳は赤く輝き、憎しみに打ち勝った事を示していた

 

BLACK「大丈夫なんだな?」

 

クウガ「はい!やりましょう!南さん!」

 

力強く答えるクウガにBLACKも頷く

 

ゴラド「取り戻したか」

 

自我を取り戻したクウガを見つめるゴラド、その表情は変わらないが言葉には嬉しさが出ている、真の力を出した相手と戦える喜びをゴラドは感じていた

 

 

聖なる泉枯れ果てし時 凄まじき戦士雷の如く出で 太陽は闇に葬られん

 

 

憎しみの中、残った一握りの清き心は太陽の輝きに救い出される

 

友の苦しみを解放した黒陽は、再び現れた伝説と共に敵の眼前に立つ

 

 

 

黒陽と伝説、戦いの終結は近い

 

 

 




ゴラドはコモドオオトカゲのグロンギです、別名コモドドラゴンと言われています。
ゴラドはダグバと同等の力を持ち、ザギバスゲゲル関係無しの戦いを行った宿敵関係、グロンギの王に興味は無く、ゲゲルもほとんど行っていない為、階級はズのまま、ゲゲルをしなかったのは面倒な事をせずリントを殺したかったから、同族の事は好きである。

こんな感じの設定です。



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終焉

ゴラド「それがダグバを倒した力か!!」

 

クウガを見据え、ゴラドは呟く、クウガから感じる力に自身の感情の昂りを感じる、一度落胆した感情は目の前から感じる強大な力に再び火をつけた、戦士としての感情は人間を殺す時とは違う、子どもの様な表情を作る

 

 

BLACK「!?・・・・・・これは?」

 

体に力を感じたBLACKはクウガを見て尋ねる、BLACKとクウガのベルトが淡い光を放つ

 

クウガ「今だけの一時的な物です、俺と南さんだから出来ました!!」

 

BLACK「そうか・・・・・・よし!!」

 

構えを取るBLACK、それを見て頷いたクウガも構える

 

ゴラド「ここからは戦士の戦いだ、覚悟を決めろ!俺も死ぬ覚悟は出来ている!」

 

BLACK「覚悟は最初から出来ている!」

 

クウガ「ハアァッ!!」

 

クウガの叫びをきっかけに対峙する戦士達は、その覚悟を拳にのせ打ち合う

 

ゴラド「・・・・・・!!」

 

クウガと打ち合った拳が弾かれる

 

ゴラド(強い!)

 

弾かれた反動を利用し、裏拳を放つ

 

BLACK「トアッ!」

 

裏拳をBLACKの蹴りが迎え打つ

 

ゴラド(こいつも力が増した!)

 

BLACKの蹴りはゴラドの裏拳を相殺する事は出来なかったが威力を多少殺す事が出来た

 

クウガ「ハッ!」

 

ゴラド「グウ!?」

 

威力の下がった裏拳を避けたクウガの拳が胸を打ち、後退する

 

ゴラド「・・・・・・いいぞ!戦いはこう有るべきだ!」

 

体に更に力を込め、ゴラドは叫ぶ

 

ゴラド「二対一を卑怯とは言わん!代わりに死力を尽くせ!行くぞぉ!」

 

 

猛る咆哮と共に駆けるゴラド、戦いは熾烈を極める、鮮血を散らし、骨は軋み、肉体は痛みに悲鳴を上げる

 

己と同等の力を持つ相手に、それに近しい力を持つ相手、二体を相手にゴラドは退かず、寧ろ拮抗していた、それは大きな差、クウガが自我を無くしていた時に打ち込まれた楔、その楔が本来圧倒的に不利なゴラドに今の状況を作り出していた

 

ゴラド「ハァッ・・・・・・ハァッ・・・・・・!!」

 

クウガ「グッ!?・・・・・・ハァッ・・・・・・!!」

 

BLACK「グゥ!?・・・・・・ハッ・・・・・・!!」

 

膝をつき、互いを睨み合う、同等の様ではあるが違いがある、それはBLACK、自分を超える力を持つ相手に攻撃は通じない、ならばクウガの援護をする、それがBLACKの出した結論、だが攻撃を受けぬ訳ではない、すべて避けれる訳でもない、受ければ例え防御していても多大なダメージを負う、この場で一番傷ついていたのはBLACKだった

 

BLACK(このまま戦い続ければ・・・・・・)

 

自身の体のダメージを元に考える

 

BLACK(・・・・・・例え僕が死んでも、五代君が勝てば・・・・・・それでも良い!それでも僕は・・・・・・構わない!!)

 

BLACK「・・・・・・!!」

 

ゴラドに向かい走る、それに呼応し、クウガも、ゴラドも走る

 

ゴラド「ヌアアアァ!!」

 

BLACKへ向け拳を放つ

 

BLACK「ウゥグ!?・・・・・・ご・・・・・・」

 

受け止めたBLACKは叫ぶ

 

BLACK「・・・・・・五代君!!」

 

友の名を

 

ゴラド「グ、アカッ・・・・・・!?」

 

クウガの拳がゴラドを打った

 

ゴラド「ウ・・・・・・アアアアアアァ!!」

 

クウガ「!!グアッ!?」

 

一瞬の静寂の後、ゴラドはクウガを殴り飛ばし、BLACKに掴みかかる

 

ゴラド「ハァッ!!」

 

掴んだBLACKを上空へ蹴り上げる、そして足に黒いエネルギーを纏いながら跳躍し、BLACKに追い付く

 

ゴラド「死ね、ゴルゴムの戦士!」

 

黒く燃え上がるその足でBLACKを蹴り抜いた

 

クウガ「あっ!?」

 

体勢を立て直したクウガが見たのは蹴り抜かれたBLACK、凄まじい勢いで森の中へ落下して行く様をクウガは見ている事しか出来なかった

 

ゴラド「後はお前だけだ・・・・・・グッ!?」

 

降りてきたゴラドは口から血を吐きながらクウガに話す

 

クウガ「ハァッ!ハァッ!・・・・・・!!」

 

拳を握り

 

クウガ「アアアアアアアァ!!」

 

残る力を振り絞り、ゴラドに一人立ち向かって行った

 

 

 

 

 

 

 

光太郎「ウグァ!?・・・・・・カッ!?・・・・・・ゴホッ!!」

 

気絶していた光太郎は自分を襲う激痛に目を覚ます

 

光太郎(こ、ここは・・・・・・?)

 

痛みを堪えながら回りを確認する、回りは瓦礫や岩が散乱している、ここは洞窟内のようだ、天井を見上げるとうっすらと明かりが見える、相当な深さを突き抜けたのだろう

 

光太郎「ウグッ!?」

 

既に変身は解け、その体は傷付き血塗れ、いかに改造人間と言えども生きているのが不思議な状態

 

光太郎「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 

息も絶え絶えながらも辺りを注意深く確認する

 

光太郎(ここは・・・・・・ゴルゴムの神殿・・・・・・)

 

光太郎が落ちた場所、そこはゴルゴムの本拠地、落盤で入れなかったその場所にゴラドの一撃で地上から突き抜けて来ていた

 

光太郎「グッ・・・・・・!!」

 

立つことすら出来ない光太郎は地を這いながらある場所に進む

 

光太郎「の、信彦・・・・・・」

 

光太郎が向かった場所は、親友・信彦であり宿敵・シャドームーンの眠る場所、落盤により全貌は見えないが、錆び付いた顔と片腕、そして輝きを失ったキングストーンが見えていた

 

光太郎「すまない・・・・・・お前を殺してまで人間を守ろうとしたのに・・・・・・僕には・・・・・・出来なかった」

 

信彦の亡骸に涙を流し話す光太郎、しかし亡骸は何も反応せず、光太郎の独白に終わる

 

光太郎「向こうへ行ったら・・・・・・またお前とスポーツとかしたいな・・・・・・」

 

光太郎の命の灯火が消えかかる、信彦に寄り添う様に目を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄れ行く意識の中、体に違和感を覚え、そっと目を覚ました

 

光太郎「これは・・・・・・」

 

目を覚ました光太郎の回りには光の粒子が現れており、光太郎に吸収されていく

 

光太郎(痛みが和らいだ・・・・・・傷も少しだが回復している・・・・・・一体これは?)

 

「ブラックサンよ」

 

謎の現象に思考を巡らせていた光太郎に謎の声がかかる

 

光太郎「その声は・・・・・・創世王!!」

 

声の主、それは今は亡きゴルゴムの守護神であり、支配者、五万年前にゴルゴムの首魁になった者

 

光太郎「お前は僕が倒した筈だ!何故生きている!」

 

創世王は自分にゴルゴムと共に倒された者、それが生きている事が光太郎は信じられない

 

創世王「余はお前に言った筈だ、人間の心に悪が有る限り、必ず甦る、と」

 

光太郎「そんな・・・・・・馬鹿な!」

 

尚も創世王が甦った事を信じない光太郎、気にせず創世王は話を進める

 

創世王「甦ったと言ったがまだまだ力は足りていない、お前を癒し、話しかける事ぐらいしか出来ぬ」

 

光太郎「何のために僕を回復した!」

 

創世王「奴を・・・・・・グロンギを倒してもらう為だ」

 

光太郎「なに!?」

 

創世王がグロンギを倒させる為に自分を回復させた事に驚きを見せる

 

光太郎「何故だ!」

 

創世王「・・・・・・余が復活出来ぬからだ」

 

光太郎「何!?どういう事だ!?」

 

創世王「先程言ったが、余が復活するには人間の悪が必要になる、だがお前が余を倒した後も人間を脅かす存在が現れた、そうグロンギやアンノウンだ、奴等のお陰で人間は悪より恐怖が強くなった、それ故に余は未だこの程度の事しか出来ぬのだ」

 

光太郎「そんな事はさせない!」

 

創世王「・・・・・・ならば今戦っておる霊石の戦士に全てを賭けるのか?もし奴が倒されれば間違いなく人間は皆殺しにされるであろう」

 

光太郎「くっ・・・・・・だが・・・・・・」

 

創世王「今からでも遅くはない、シャドームーンのキングストーンを抉り出し、融合させるのだ、そうすればお前は霊石を超える力を手に入れる事が出来る」

 

光太郎「・・・・・・そんな事は・・・・・・出来ない・・・・・・」

 

創世王「まだそんな事を言っているのか!このままでは人間は皆殺しにされるのだぞ!お前がゴルゴムを裏切り、人間に組みしたのは何の為だ!」

 

光太郎「それでも僕は!!・・・・・・信彦のキングストーンを奪う事は・・・・・・出来ない・・・・・・」

 

拳を握り締め、葛藤する光太郎、人間を守ると決めた事ではあったが、その為に親友を利用する事は光太郎の心が許さなかった、人類の未来と親友をかけた天秤は揺れた末に親友を選んだ

 

創世王「・・・・・・どうしてもシャドームーンのキングストーンは使わぬと言う気か?」

 

光太郎「そうだ・・・・・・信彦のキングストーンは奪わない」

 

創世王「・・・・・・愚かな・・・・・・」

 

瓦礫をどけ、外に出ようとする光太郎に創世王が呟いたと同時に光太郎の体は強い光に包まれる

 

光太郎「何をする気だ!」

 

創世王「余の残る力をお前にやろう、戦いが終われば消える程の力だが無いよりはマシだろう」

 

光太郎「何故そこまで・・・・・・」

 

創世王「言った筈だ、人間なくして余の復活は無いと、余が再び復活した時には、ブラックサン、その時は命は無いと思え・・・・・・」

 

光太郎「わかった、その時は受けて立つ!」

 

創世王の言葉の後に光が強く輝く、光が収まった後にはBLACKが立っていた

 

BLACK「信彦・・・・・・」

 

シャドームーンの亡骸を見てBLACKはシャドームーンの最後の言葉を思い出す

 

「お前は一生苦しむ事になるんだ、親友を、この信彦を抹殺したんだからな、永久に苦しんで生きていくが良い」

 

BLACK「もう大丈夫だ信彦・・・・・・行ってくる」

 

別れの言葉と共に天井の穴に跳躍したBLACKは直ぐ見えなくなる、そして生きる者の居なくなった神殿で、シャドームーンのキングストーンが仄かに光を放っていた

 

 

 

 

 

クウガ「ウッ!?・・・・・・ガッ・・・・・・ハァッ・・・・・・ハァッ!」

 

ゴラド「ゼェ・・・・・・ゼェ・・・・・・ふっ・・・・・・」

 

BLACKがゴルゴムの神殿に居た間も二人は戦っていた、体は傷付き、大量に流した血、二人に当初の力は既に無い、それでも互いの信念と誇りの為の戦いは終わらなかった

 

ゴラド「ほんの少しの差だが・・・・・・俺の勝ちだ」

 

クウガ「グッ・・・・・・フゥ!?・・・・・・!!」

 

立つ足がしっかりせずガクガクと震えるクウガは堪えきれず膝をつく、まだ戦える、心はそう言っているが体がついてこない

 

ゴラド「終わりだ、良い時間を過ごせた」

 

ふらつきながらもクウガに歩み寄るゴラド

 

「待てっ!」

 

声に動きを止め振り返るゴラド、クウガも声の方向に向く

 

ゴラド「生きていたのか」

 

クウガ「み、南さん!」

 

戻ってきたBLACK、クウガも喜びの声を上げる

 

ゴラド「しつこい奴だ」

 

BLACK「トォア!」

 

ゴラドに向かい跳躍し攻撃を仕掛けるBLACK

 

ゴラド「・・・・・・クッ!?」

 

攻撃を受けよろめく、BLACKに攻撃するが受け止められる

 

ゴラド「ヌアアアァ!!」

 

互いに一進一退の攻防が続く、実はBLACKは力が上がっている訳ではない、体を回復しただけで力は以前と変わらない、完全に癒えてない分力は劣る、なのに力が拮抗しているのはゴラドが受けたダメージがその力を大きく下げていたからだ

 

BLACK「グアッ!!」

 

ゴラドの攻撃が当り、大きく後退するBLACK、弱体化してなおBLACKに有利に戦うゴラド

 

BLACK「クソォ!」

 

クウガに大幅に削られ、完全とはいかずとも回復した力でさえ倒せぬゴラドにBLACKは悔やむ

 

BLACK(後・・・・・・後少しなんだ!信彦!俺に力を貸してくれ!)

 

BLACKが祈ったその時、不思議な事が起こった、キングストーンが何かと共鳴し、空に光の粒子が集まっていく、粒子が集束し、物体が出現する、それはBLACKの目の前で突き刺さる

 

BLACK「サタン・・・・・・サーベル・・・・・・」

 

出現した物、それはサタンサーベル、キングストーンと共に創世王の証とされる魔剣、世紀王シャドームーンの武器として使用され、ゴルゴムの壊滅と共に空に消えた武器

 

BLACK「信彦・・・・・・!!」

 

サタンサーベルを手に持ち構える

 

BLACK「オオオォ!!」

 

咆哮と共に投げられるサタンサーベル

 

ゴラド「!?・・・・・・ゴハッ!!」

 

サタンサーベルはゴラドのベルトに直撃し、亀裂を作り切っ先を食い込ませていた

 

ゴラド「グッ・・・ゴフッ!?お・・・のれ・・・・・・」

 

力の源であるベルトに亀裂を作られ苦痛に悶える

 

BLACK「五代君!行けるか?」

 

クウガ「後、一発くらいなら!」

 

BLACK「よし!これで終わりにするぞ!行くぞ!」

 

構えを取り、右足に全てのエネルギーを集めるBLACK

 

クウガ「ハアアアアア!!」

 

同じく構えを取り、両足にエネルギーを集めるクウガ

 

「トォウ!」「ハッ!」

 

同時に跳躍する

 

ゴラド「ヌアアアアアアアアアア!!」

 

右腕に残る全てのエネルギーを集めるゴラド

 

「ライダァァァァァ!キィィィィィック!!」

 

「ハアアアアァァァァァ!!」

 

ぶつかり合う最後の攻撃、互いに一歩も退かず、激しいエネルギーのぶつかりに大地が震動する

 

「オリャアアアアァァァ!!」

 

 

凄まじい轟音が鳴り響き、辺りに衝撃が飛ぶ

 

 

大量の砂鉾が舞い、その勝敗を覆い隠していた

 

 

砂鉾が晴れていき、徐々に三人の様子を映し出す

 

 

 

BLACK「・・・・・・」

 

クウガ「・・・・・・」

 

ゴラド「・・・・・・見事だ・・・・・・俺の・・・・・・負けだ」

 

映し出されたのはサタンサーベルをベルトに貫通させたゴラド、その体に戦う力は無く、静かに二人の戦士を見ている

 

ゴラド「これから先もリントは様々な脅威に晒されるだろう・・・・・・お前達が・・・・・・守れよ」

 

BLACK「わかった」

 

クウガ「約束する」

 

ゴラド「良い戦いだった・・・・・・お前達に敗れるなら俺も本望だ・・・・・・さらばだ」

 

ゴラドのベルトが音を立て崩壊していく、同時に肉体にも亀裂が入り、肉体が裂けて行く、一瞬、満足な顔をしたゴラドはその瞬間巨大な火柱を上げ、天を衝いた

 

空を覆っていた暗雲はゴラドの火柱によって巨大な穴を開け、広がって行く、そして太陽の光が辺りを強く照らした

 

 

 

 

 

雄介「終わりましたね!」

 

光太郎「ああ!全て終わった・・・・・・」

 

話ながら光太郎は視線を雄介から移し、歩き出す、その先はゴラドの死んだ場所に刺さるサタンサーベル

 

光太郎「ありがとう・・・・・・信彦!」

 

サタンサーベルを手に取り、感謝の言葉と共に祈る

 

光太郎「さらばだ!信彦!」

 

サタンサーベルを空に投げる、いつかの時と同じ様に宙で粒子となり空にサタンサーベルは消える

 

雄介「帰りましょう!南さん!」

 

よろめきながらも笑顔の雄介は光太郎にサムズアップを行う

 

光太郎「ああ・・・・・・・・・・・・ゴフッ!!」

 

突然血を吐く光太郎、雄介に微笑み、ゆっくりと倒れた

 

雄介「南さん!?しっかりしてください!南さん!南さーーーん!!」

 

 

光太郎の視界は徐々に闇に染まって行き、やがて何も見えなくなった・・・・・・

 

 

 

 




終わりです。


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エピローグ

光太郎「うっ・・・・・・ここは?」

 

目を覚ました光太郎は回りを見る、そこは真っ暗な空間で自分以外何も見えない

 

光太郎「死んだのか僕は・・・・・・」

 

何も無い空間、無傷の体に自分の死を悟った

 

光太郎「奴は倒せた、五代君も生きている、それで良いさ・・・・・・」

 

一人呟く光太郎、辺りを見回したがやはり何も無い

 

光太郎(死の世界はこんなにも寂しいのか・・・・・・)

 

どれだけの時間が過ぎただろうか、数分だろうか、数年だろうか、時間の感覚が狂わされたその場所で何も無い空間をじっと見つめる光太郎に

 

「光太郎・・・・・・」

 

声がかかる

 

光太郎「信彦・・・・・・」

 

声に向いた光太郎は口にする、死んだ親友の名を

 

信彦「どうしたんだこんな所で」

 

笑顔で話す信彦

 

光太郎「お前を待ってたんだよ・・・・・・ここで待ってれば会えるような気がした」

 

少し力の無い声と笑顔で答える

 

光太郎「あの時、力を貸してくれたのはお前なんだろう?」

 

ゴラドを倒す契機になったサタンサーベル、出現の際にキングストーンが共鳴した相手、光太郎は信彦だと確信していたが確認する

 

信彦「ああ、親友の願いだからな!当然だ!」

 

光太郎「ありがとう、お陰で奴を倒すことが出来た、そして・・・・・・すまない・・・・・・お前を救えなくて」

 

感謝と共に深く謝罪する、それは14年前に信彦に言えなかった事

 

信彦「気にするな光太郎、お前に責任は無いよ、それより、お前はいつまでそこに居るんだ?」

 

光太郎「えっ?」

 

信彦「お前はまだ帰れるんだよ、早く帰れ、みな心配している」

 

光太郎「だが信彦、お前は・・・・・・」

 

信彦「お前もわかっている筈だ、俺はもう死んでいるんだ、気にする必要はない、ほら!迎えが来てるぞ!」

 

上を指差す信彦、光太郎が上を見ると、そこには小さい光が見えた

 

信彦「これが俺に出来る最後の手助けだ・・・・・・光太郎、俺の分まで生きろよ・・・・・・克美と杏子を頼む」

 

信彦にキングストーンが出現し光を放つ、光太郎のキングストーンが共鳴し、光太郎は光に包まれる

 

光太郎「信彦!!」

 

上に上がっていく光太郎は親友の名を叫ぶ、信彦の笑顔を見たのを最後に、光太郎は光に吸い込まれて行った

 

 

 

 

 

光太郎「・・・・・・!!」

 

再び目を覚ました光太郎、目の前には知らない天井が広がっている

 

光太郎(夢・・・・・・だったのか?)

 

先程の奇妙な体験は夢かも知れない、しかしどこか現実味を感じていた

 

「光太郎さん!!」

 

声と共に体を抱き締められる

 

光太郎「杏子ちゃん・・・・・・みんな・・・・・・!!」

 

抱き締めたのは杏子、そして回りには今回の戦いで知り合った人達

 

克美「よかった・・・・・・」

 

一条「南さん・・・・・・!!」

 

桜子「椿さん!南さんが目を覚ましました!」

 

雄介「南さん・・・・・・お帰り!」

 

ベッドを囲むみんなが安堵の表情と喜びに満ちている

 

光太郎「みんな、心配かけてごめん」

 

謝る光太郎、そこへ椿が入ってくる

 

椿「目を覚ましたのか!良かった!南さん、あなたは一週間も寝ていた、いや、死んでいたんですよ、あなたの体にある石が辛うじてあなたを仮死状態にしてたんです、それとあなたが目を覚ましたのは五代君のお陰ですよ」

 

光太郎「五代君が?」

 

雄介を見る光太郎、雄介はサムズアップで応える

 

椿「あなたの石に五代が力を貸したんです、本来あなたは死ぬはずだった、石の力も次第に弱って行ってたんです、それほどあなたは体にダメージを受けてた、五代に感謝しといてください」

 

光太郎は思い出す、あの時、上から差した光は雄介の物だったのだと

 

光太郎「五代君、ありがとう」

 

雄介「いーんですよ!前に俺もやってもらったんで!おあいこです!」

 

椿「さぁ南さん!あなたはもう退院です!体も完治しています、ですがもし何かあればすぐ来てください」

 

光太郎「わかりました、ありがとうございました椿さん」

 

 

支度を済ませ、病院を出ようとする光太郎に椿が話しかける

 

椿「南さん・・・・・・あなたの体を見せてもらいました、正直、とても嫌な気分です、あの時に軽々しく言ってしまって申し訳ない」

 

光太郎「気にしないでください、僕も最近までこの体が憎かったんです、ですが今はこの体が僕の誇りです」

 

椿「わかりました、あまり力にはなれないと思いますが、さっきも言った様に何かあればすぐ来てください」

 

光太郎「はい、その時はお願いします」

 

椿「それと・・・・・・」

 

光太郎「?」

 

椿「いえ、何でもないです、では南さん!お元気で!」

 

光太郎「ありがとうございました!」

 

礼をして去る光太郎達を見送りながら椿は光太郎が運び込まれた時を思い出す

 

椿(あの時、南さんの体は崩壊寸前だった、裂けた部分から機械が露出し、人工筋肉もズタズタ、おまけに失血が酷すぎた、血も普通の血液じゃ無かった、手術室に入れたのに俺には何も出来なかった・・・・・・)

 

フーと息を吐き、光太郎達が歩いて行った場所を見つめる

 

椿(あの二人が来なかったら南さんは本当に死んでいたな・・・・・・確か、ホンゴーとユーキとか言ってたな、何者何だろうな・・・・・・まさか悪の組織だったりしてな!)

 

ふっ、と笑い空を見上げる、空には青空が広がり、太陽が光り輝いていた

 

 

 

 

 

 

 

最後の戦いから三ヶ月後

 

壊滅的な被害にあった市は、光太郎や雄介達のボランティアもあり、復興の兆しが見えてきた、犠牲者の数は合計2万4000人、その傷は一生忘れる事は無いだろう

 

 

 

 

雄介「カンパーイ!!」

 

「カンパーイ!!」

 

雄介達は復興が一段落したのでかねてより計画していたポレポレでのパーティーを行っていた

 

桜子「えー!榎田さんそんなんじゃないですよ~!」

 

榎田「ホントに~?実は案外・・・・・・だったりして!」

 

パーティーに来ているのは雄介の仲間達、一条、沢渡、榎田、椿、ジャン、奈々、おやっさん、そして

 

光太郎「おやっさん!アルティメットクウガブレンド飲んでみたいです!」

 

おやっさん「おっ!わかってるね!ちょいと待ってな!」

 

杏子「私もお願いします!克美さんは?」

 

克美「じゃあ私も頂こうかしら」

 

光太郎、杏子、克美の三人が招待されていた

 

ジャン「桜子さん、あの資料役に立ちました?」

 

桜子「すごく役に立った訳じゃ無いけど役に立ったよ!ありがとねジャン!そう言えば遺跡どうだったの?」

 

ジャン「残念ながらドグマの痕跡は無かったよ、次はある伝記にあったクライシス帝国について調べる予定です」

 

あちこちで談笑が始まる

 

榎田「コラ!五代雄介!あんた一回、悪い戦士になったでしょ!」

 

雄介「えっ!?なんで知ってるんですか?」

 

榎田「ゴウラムが一回、砂になっちゃったのよ!その後すぐに戻ったけど・・・・・・この悪い子め!」

 

雄介「痛い痛い!すいません榎田さん!」

 

奈々「ちょっと!五代さんイジメんといてください!」

 

一条「ふっ・・・・・・変わらないなあいつは」

 

椿「一条!なんで俺は女運が悪いんだー!」

 

楽しい時間は過ぎていく

 

光太郎「フー・・・・・・」

 

休憩に外の空気を吸いに来た光太郎、夜空を眺め、微笑む

 

雄介「南さん!どうぞ!」

 

光太郎の後を追いかけた雄介が飲み物を渡す

 

光太郎「ありがとう、楽しいな五代君、これも五代君が頑張ったお陰だ」

 

雄介「違いますよ!二人で!ですよ!」

 

光太郎「ふっ・・・・・・そうだな」

 

雄介「所で南さん、聞きたかったんですけど」

 

光太郎「なんだい?」

 

雄介「仮面ライダーって何ですか?あの時、勢いで俺も言っちゃいましたけど」

 

光太郎「ああ・・・・・・フフッ・・・・・・あれは、僕が小さい頃に見たヒーロー番組の主人公から取ったんだ、仮面ライダーに、変身した時の色でBLACK、だから仮面ライダーBLACKだ」

 

雄介「あー!なんかわかりますそれ!そっか・・・・・・ヒーローかぁ!じゃあ俺も名乗ったから南さんが先輩で俺が後輩ですね!」

 

光太郎「ああ!よろしく頼む!・・・・・・今日はありがとう、僕だけでなく杏子ちゃんや克美さんまで誘ってくれて」

 

雄介「当然ですよ!南さんにはお世話になりっぱなしだし、南さんの仲間は俺の仲間です!」

 

光太郎「僕の方こそ五代君には世話になった・・・・・・五代君、これから君はどうするんだい?」

 

雄介「復興も一段落したんでまた冒険に行こうと思ってます、南さんも一緒にどうですか?」

 

光太郎「冒険か・・・・・・いや、やめとこう、僕は日本を守らないといけない、だから五代君、世界は任せる!何かあった時は先輩に頼ってくれよ?」

 

雄介「わかりました!南さんこそ先輩だからって抱え込まないでくださいよ?」

 

光太郎「わかってる、困った時には頼む・・・・・・いつ日本を出るんだ?」

 

雄介「明日にも行こうと思ってます、みんなには話しました、南さんは?」

 

光太郎「僕は大門さんにロードセクターを返したら杏子ちゃんや克美さんと暮らしながら敵に備えようと思う」

 

雄介「じゃあ・・・・・・今日が最後ですね」

 

光太郎「ああ、五代君、もう一度乾杯しないか?」

 

雄介「良いですよ!」

 

グラスを構えた光太郎は雄介に微笑み、告げる

 

光太郎「仮面ライダークウガに」

 

雄介「!!仮面ライダーBLACKに!」

 

 

 

「乾杯」

 

 

 

 

月が太陽に照らされ、月光が二人を照らしていた

 

 

 

 

黒陽と伝説、封印されたグロンギと仮面ライダーBLACKとクウガの戦いは終わる、だがいつ新たな敵が現れるかわからない、人類の平和と笑顔の為、二人の戦士の戦いは終わらない

 

 

 

仮面ライダー 黒陽伝説 おわり

 

 

 

 




完結です。

ホンゴーとユーキは誰なのかはわかりません、きっと科学者なのでしょう。

タイトルの黒陽伝説はBLACKの伝説では無く、BLACKとクウガを示しています、ちなみに続きません。

初めての小説でしたが、最初はホント叩かれると思ってましたが、感想で応援してくれたのがとても嬉しかったです、ありがとうございました。

短期集中連載だったので粗が目立つかもしれません、ちょくちょく直していきます。

RXも好きなんですが、私はやっぱりBLACKが好きなんでBLACKのifを妄想したのが始まりでした、そこに石繋がりのクウガを持ってきて話を膨らませました。

短い間でしたが楽しかったです、次回作はおそらく作りません、今作で終わりと思っています。

では皆さんありがとうございました、BLACK、クウガが好きな人が多くて嬉しかったです、さようなら。


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外伝~正義の系譜~

感想に刺激されて書きました、あまり期待せずにお読みください。


とあるホテルの喫茶店に二人の男が入っていった

 

?「おぉ!茂!良!ここだ!」

 

声のする方に顔を向けると5人組の男の内の一人が手を振り呼んでいた

 

良「先輩!」

 

茂「へっ……ちょっとした同窓会だなこりゃあ」

 

?「元気そうだな二人共」

 

座っていた男の一人が話した

 

茂「まぁね、良い生活とは言えねぇが楽しくやってますよ」

 

良「俺もですね、先輩達も元気そうでなによりです、他の先輩方は?」

 

茂と良と呼ばれる二人は席に着きながら問いかけた

 

?「今、アマゾンがトイレに行っている、だから今8人だな、志郎と洋はもうすぐ来るだろう」

 

答えたのはコーヒーを飲んでいた初老の男

 

良「結城さん……お元気そうで安心しました」

 

結城「あぁ、なんとか生きてるよ、俺だけ老いが来るのが皆には申し訳ないがな」

 

苦笑しながら再びコーヒーを飲んだ

 

?「いやいや、寧ろ喜んでますよ俺達」

 

?「そんなこと気にしないでください結城さん、ねぇ?本郷さん!一文字さん!」

 

テーブルに座る青年が力強く話す

 

本郷「あぁ、敬介と一也の言う通りだ、お前はよくやってくれた、そのまま生きてくれるだけで俺達は嬉しい」

 

一文字「そうそう!お前はそのままで良いんだよ、老いて死ぬ、俺達に叶わない事はお前に任せた、かわりに俺達はお前の意志を継いでいく、それで良いじゃねぇか」

 

結城「ふっ……ありがとう皆、もう戦闘の方は厳しいが科学者としてはまだまだ現役だ、これからもよろしく頼む」

 

本郷「あぁ、この間も世話になったからな、頼りにしている」

 

茂「この間ぁ?何かあったんすか先輩?」

 

本郷「あぁ、重要な話だから皆が揃うまで……」

 

?「シゲル!リョウ!」

 

本郷の話を遮り、男が茂と良に抱きついた

 

良「お久しぶりです先輩、相変わらずですね」

 

茂「イテテ……イテー!ちょっと離れろっての!」

 

しかし男は何かを喋りながら離そうとしない

 

敬介「ハハハ、俺達もやられたんだよ、会えたのがよっぽど嬉しかったんだろうなアマゾンは」

 

アマゾンと呼ばれる男を振りほどいた二人と同時に声が掛かった

 

?「皆集まっているようだな、久し振りです」

 

?「お久し振りです皆さん」

 

アマゾン「シロウ!ヒロシ!」

 

現れた二人に抱きつこうと駆け寄るアマゾン

 

シロウ「抱きつかなくて良いぞアマゾン」

 

アマゾンの頭を押さえながらシロウは話す

 

ヒロシ「ふふっ……変わらないですね先輩は」

 

アマゾン「うー……」

 

不満げなアマゾンと共に席に座りながら再会の挨拶をする

 

本郷「志郎、洋、遠い所をわざわざすまんな」

 

志郎「構いませんよ、ちょうど時間が空いていたので」

 

洋「いやーしっかし何年ぶりですか?俺達全員が集まったのって?」

 

良「十年以上は経つんじゃないですか?」

 

一文字「あー……そうだろうなぁ、個人で会うことはあるが全員となるとなぁ……一也なんか宇宙だしなぁ」

 

一也「ほとんど宇宙にいますからね俺は、すぐには帰れませんし」

 

茂「惑星開発って今どんくらい行ってんだ?」

 

一也「今はですね……」

 

談笑をする一同を本郷は喋らずその様子を穏やかに見つめる

 

本郷(皆元気で良かった……戦い続ける地獄、その道連れにしてしまった九人の男達……お前達を見るたびに俺は後悔で潰れそうになる……だがお前達は運命を受け入れ戦ってくれた、そして……)

 

本郷(仮面ライダーとなってくれた……)

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダー

 

それは人間を悪から守る為に戦う戦士達の通称

様々な経緯があるが一名を除き肉体を改造された「改造人間」である

 

本郷猛(仮面ライダー1号)

 

一文字隼人(仮面ライダー2号)

 

風見志郎(仮面ライダーV3)

 

結城丈二(ライダーマン)

 

神敬介(仮面ライダーX)

 

アマゾン(仮面ライダーアマゾン)

 

城茂(仮面ライダーストロンガー)

 

筑波洋(スカイライダー)

 

沖一也(仮面ライダースーパー1)

 

村雨良(仮面ライダーZX)

 

 

結城丈二は改造されておらず右手の義手と強化スーツで戦う人間、その為普通の人間と同じように歳をとる

 

 

この十人の仮面ライダー達により世界は平和を保たれていた、世間にはほとんど情報は出ないようにしている為、彼等の活躍を知る者は少ない、過去、世界で暗躍した組織達は彼等によって壊滅させられ世界を幾度も救っているが一部のライダー関係者や救助された人々がその存在を語るだけで半ば都市伝説と化していた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

茂「あ、そういや本郷さん、さっきの話って?」

 

先程話題に出た「この間」の事を思いだし尋ねた

 

本郷「そうだな、全員揃ったし話そうか」

 

志郎「それが今回集まった理由ですか?」

 

本郷「いや、理由の一部だ、久しく会ってなかったお前達に会うのが大半の理由だ」

 

フッ……っと皆が微笑する、アマゾンは大喜びだ

 

結城「この間の事を話す前に……暗黒結社ゴルゴムと言う組織を知っているか?」

 

暗黒結社ゴルゴムと言う言葉にほんの少しだが不安と緊張が走った

 

良「俺は知らないですね」

 

アマゾン「うー……オレも」

 

洋「俺もです」

 

一也「俺もです、まぁ宇宙にいましたし」

 

四人は知らないと答えたが表情は険しい

 

茂「ゴルゴムってのかはわかんねぇけど昔、身元不明の怪人一体倒したぜ、可能性でいやぁそいつがゴルゴムって奴になるな」

 

志郎「俺もです、その時は敬介と共に倒しました」

 

敬介「組織名を名乗らなかったから色々探ったんですが結局わからずじまいだったんですよね」

 

志郎「あぁ、あれからは現れなかったからな」

 

一文字「俺も知らないがもしかして新しい敵か?」

 

言葉を受けた結城は微笑し答えた

 

結城「すまん、含んだ言い方をしてしまったな、安心してくれ、ゴルゴムは既に壊滅している」

 

一文字「なんだ、緊張して損したぜ、それで?そのゴルゴムってのがどうしたんだ?」

 

本郷「俺達は皆、日本を離れ海外で戦っていた、その間日本は誰も居なかった、その隙を狙ってゴルゴムは活動していた様だ」

 

洋「俺達に気付かれない様に動いていたのか……」

 

結城「そうだ、活動拠点をほぼ日本に限定していた上に日本の企業や政治家を操り情報統制も行っていた、だからわからなかった、そして風見達が戦った怪人はおそらく日本征服を間近にした海外への偵察だろう」

 

本郷「一時期、ほんの僅かな期間だが日本は征服されていたんだ、公の記録ではテロリストの仕業になっているがな」

 

一文字「あぁ!あれか!テロリストが鎮圧された後に情報が出た奴ね、知ってりゃ俺が駆けつけたんだが」

 

敬介「ある意味、俺達が戦った組織より上手ですね」

 

ゴルゴムについて話している中、アマゾンは難しい顔をしながら聞いた

 

アマゾン「ダレが倒した?」

 

本郷と結城以外がハッっとなりアマゾンに視線を向ける

 

茂「そうだ!壊滅してるって事は誰かが倒したって事だ!」

 

志郎「本郷さんと結城の口振りからは二人が倒した様には思えない……」

 

洋「かといって日本の自衛隊が怪人に敵うとは思えない……」

 

一也「ってことは……」

 

良「まさか先輩!?」

 

皆が本郷と結城を見る、皆、答えは想像していたが答え合わせをするように二人を見て、回答を促した

 

結城「……皆の想像通りだ」

 

本郷「ゴルゴムは……新しい仮面ライダーによって滅ぼされた」

 

一文字「マジかよ……」

 

 

新しい仮面ライダー、その言葉を聞いた戦士達の顔は曇る、仮面ライダーとは戦い続ける地獄の道を行く者、その地獄への道にまた一人入ったのを誰も快くは思わない

 

茂「……まぁなっちまったもんはしょうがねぇわな」

 

敬介「そうだな、その新しい仮面ライダーが日本を守ってくれた事に感謝しよう」

 

一文字「そうゆう事だな、それより本郷、そいつは仮面ライダーを名乗ったのか?」

 

本郷「仮面ライダーBLACKと名乗ったそうだ、俺達の存在は一部しか知らないはずだがどうやって……」

 

良「もしかしてあれじゃないですか?昔特撮でやってたじゃないですか仮面ライダーって番組」

 

一也「それ知ってます、確かあれ事実を元に制作されたらしいですね、本当なら本郷さんか一文字さんがモデルのはずですが」

 

一文字「あぁあれな、ありゃあ本郷がモデルだ、人気が出たんだが監督がショッカーに殺されて打ち切りになったんだよ」

 

本郷「……普通俺達の事を知ることは出来ん、案外そうかもしれんな」

 

志郎「それでその新しい仮面ライダーがどうしたんです?」

 

本郷「あぁすまん、話がそれたな、その新しい仮面ライダーが死にかけていたのを結城と共に助けたんだ」

 

洋「死にかけた?」

 

結城「あぁ、日本のある県で起きた事件が気になって俺は向かったんだ、そこで同じくやってきた本郷さんと合流したんだ」

 

本郷「少し前、アンノウンと呼ばれる奴等と戦っただろう?その前に日本に出現したグロンギと呼ばれる怪人、そのグロンギの生き残りが現れて殺人を行っていたんだ、もっとも俺達が向かった時には全て終わった後だったがな……」

 

結城「そして仮面ライダーを名乗る男が瀕死の状態にあると知った俺達は病院へ向かい助けた訳だ」

 

本郷「あの時は結城が居てくれて助かった、何せ俺達とは異なるベクトルの改造人間だったからな、俺だけでは助けられなかった」

 

アマゾン「オレ達とチガウ……?」

 

結城「そうだ、基本的にはお前達の様に肉体を改造した形なんだが異なるのはそのエネルギー源だ、彼のベルトに埋め込まれている石が肉体に変化の切欠を与える、アマゾンに似たタイプだ、もっともその石が無事だったからこそ助けられた訳だが……」

 

良「なるほどそんな事が……」

 

本郷「それと……もう一人、グロンギと戦った男がいた」

 

志郎「まさか未確認生命体4号……ですか?」

 

本郷「そうだ、先のグロンギとの戦いの後、消息不明だったがライダーと共に戦っていた様だ」

 

一也「その人は仮面ライダーでは無いんですか?」

 

結城「あぁ、クウガと名乗ったそうだ、だがその心は俺達と変わらない物を宿している」

 

洋「嬉しいですね、俺達以外にも人間の為に戦ってくれる人がいる……」

 

茂「その新しい仮面ライダーはどんな野郎でした?未確認の方は見たんすか?」

 

本郷「逞しい、良い男だったよ、眩しさを感じる程な……あれはまさに、太陽と言うべきかな」

 

結城「もう一人は優しさが滲み出ているような男だったよ、戦いには向かないと思う程な」

 

一文字「また後輩が出来ちまったな……そのクウガってのも入れて二人もな」

 

アマゾン「オレ、会いたい」

 

敬介「気持ちはわかるがやめとけアマゾン、向こうの事情も知らずに俺達仮面ライダーです!じゃ混乱するぞ、このままで良いんだよ、もし会うとするなら戦いの中だろう」

 

アマゾン「うー……わかった……」

 

良「でもせっかく後輩が出来たんだから何かしたいですね、激励の様な」

 

一也「激励か……うーん……」

 

洋「とっさには浮かびませんね」

 

茂「手紙で良いんじゃねぇの?」

 

志郎「フッ……仮面ライダーからの手紙……か、茂、お前もなかなかロマンチックな事を言うんだな」

 

茂「べ、別にそんなつもりじゃ!?」

 

一文字「良いんじゃねぇの?きっと喜ぶぜ?」

 

一也「俺も手紙に賛成です、それで……」

 

洋「誰が何を書くか……だな」

 

敬介「でも、彼が番組から取ったのだとすると……」

 

結城「本郷さんだろうな」

 

アマゾン「オレ、書きたいけど我慢する」

 

一文字「だとよ本郷?」

 

皆の視線が本郷に集まる、本郷は戸惑い、気はずかしそうに言った

 

本郷「皆がそう言うなら俺が書こう、内容はそうだな……」

 

談笑を交えながら手紙を書いていく、一字一字丁寧に……

 

そして……

 

 

本郷「これで手紙は彼の元に行くだろう」

 

一文字「結局おまけまで付いちまったがな」

 

良「喜んでくれますかね?」

 

一也「喜ぶさ……きっと……」

 

洋「じゃあそろそろ……」

 

茂「解散……だな」

 

アマゾン「ミンナ……元気で!」

 

敬介「また会いましょう」

 

結城「元気でな」

 

志郎「行こう結城、では、また……」

 

仮面ライダー達は散っていく、束の間の再会は終わり、再び戦いの生活へ戻る為に……

 

一文字「行っちまったな……本郷、お前はどうするんだ?警視総監に戻るのか?」

 

本郷「お前も知っているだろう、警視総監とは名ばかりで実際は世界を駆け回っているのを」

 

一文字「悪い悪い、ちょっとからかっただけさ、名前貸してるだけだもんな、情報を貰う為に就いてるんだったな」

 

本郷「あぁ、だから彼を助ける事が出来た」

 

一文字「さぁて、俺もジャーナリストに戻りますかね、じゃあな本郷!また会おうぜ!」

 

歩きながら手を振り一文字は人混みに消えていく

 

本郷「また会おう……友よ……」

 

そして、残った本郷もまた都会の喧騒の中へ消えていった

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

杏子「光太郎さーん!手紙が来てるわよー!」

 

玄関で靴を脱ぎながら杏子は光太郎を呼び出した

 

光太郎「手紙?僕に?」

 

本来、行方不明扱いになっている光太郎に手紙が来る事は無い、それにここは杏子の家だ、少し不安になりつつも光太郎は杏子に問う

 

光太郎「差出人は?」

 

杏子「えーと……本郷…猛ってなってるわ、知ってる人?」

 

光太郎「いや……知ら…ない人…だ……」

 

知らないと答えた光太郎だったが、何かを感じ考える

 

光太郎(でも何故だかとても懐かしい感じがする……)

 

杏子「ふーん、まぁ変な物は入ってないみたいだし読んでみたら?」

 

そう言いつつ手紙を光太郎に差し出した

 

光太郎「そうするよ、ありがとう杏子ちゃん」

 

手紙を受け取った光太郎はベランダへ向かう、その足取りは些か早い、自分に手紙が来たことに少なからず興奮していたからだ、階段を登りながら光太郎は差出人について心当たりを考えた

 

光太郎(知らないのに知っている感覚、ずっと昔から知っている様な……)

 

ベランダに出た光太郎は手紙の封を切り中身を取り出した、中身は一枚の便箋とカードが一枚、便箋を選択し視線を走らせる

 

光太郎「えっ……」

 

光太郎は手紙の内容に動きが止まった、そして何度も、何度も手紙を読み返す

 

「突然の手紙、申し訳ない、単刀直入に言おう、私は、いや私達は仮面ライダーだ、陰ながら戦い続ける者達だ、その昔にあった特撮番組の様に……君がゴルゴムやグロンギから人間を守ってくれた事は知っている、間に合う事は出来なかったが礼を言わせてくれ、ありがとう。

 

君も改造人間なら多くの苦悩があったと思う、挫けそうになったと思う、だが君は乗り越え、仮面ライダーとなった、私から始まる正義の系譜に君は名を刻んだ、だがそれは決して喜ばしい事では無い、地獄への道連れとも言えるからだ、だから君が戦いを辞めると言うなら私達は止めない、だがそれでも戦い続けると言うなら君は私達の仲間だ。

 

これから先も戦いは続くだろう、君が戦い続けるならその時は思い出してくれ、仮面ライダーは、仲間は共に戦っていると……もう一人の仮面ライダーにも会うことがあれば伝えておいて欲しい。

 

私達が会うならそれは戦いの中だろう、その時はよろしく頼む、いずれ会おう十一人目の仮面ライダーよ……

 

本郷 猛

 

 

PS:もう一枚のカードは君の先輩方からのメッセージだ、読んでやってくれ」

 

 

光太郎「…………」

 

言葉が出なかった、幼少の頃に頭に焼き付いたヒーロー、テレビの中の存在と思っていたヒーローが現実に存在する、それも十人も……無論イタズラの可能性もある、だが光太郎は真実だと確信していた、理由など無い、ただ魂がそう感じたのだ

 

光太郎「先輩からのメッセージ……」

 

もう一枚のカードを取りだす、そこには九枚綴りで一枚一枚にメッセージが刻まれていた

 

「仮面ライダー2号だ、頑張れよ!」

 

「仮面ライダーV3だ、仮面ライダーの名に恥じない様にな」

 

「ライダーマンだ、辛い事があってもめげるなよ」

 

「仮面ライダーXだ、仲間は大切にしろよ!」

 

「オレ、アマゾン、俺達仲間!」

 

「仮面ライダーストロンガーだ、やられるんじゃねぇぞ!」

 

「スカイライダーだ、活躍を楽しみにしているよ」

 

「仮面ライダースーパー1だ、人間の未来の為に頑張ろう!」

 

「仮面ライダーZXだ、体に気を付けてな」

 

光太郎「先輩……」

 

光太郎はいつの間にか泣いていた、感動で涙が溢れて来たのだ

 

光太郎は一時期孤独だった、親友を亡くし、仲間から離れ、戦い続けていた、五代雄介との出会いで孤独から解放され、改造人間となる以前の光太郎に戻ったがそれでもなおこの手紙は心に響いた

 

光太郎「わかりました……頑張ります……先輩……」

 

頬を伝う涙を拭い、青空を見上げる

 

光太郎(五代君、俺達は二人じゃない、十人の先輩がいるんだ……五代君……今はどこを冒険しているんだい?)

 

心地好い一陣の風が光太郎を突き抜けて行った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雄介「うおっ!?気持ちいい風!」

 

突如吹いた一陣の風に思わず声が出る

 

雄介「なんか……なんか知んないけど嬉しいな!光太郎さん元気かなぁ……」

 

自身を突き抜けて行った風にふと先輩の事を思う

 

雄介「その内会いに行かなきゃな、皆にも」

 

青空を見上げニッコリと笑顔を作る

 

雄介「よっ!」

 

青空に向かいサムズアップを行う、何だかよくわからないが無性にそうしたくなったからだ

 

雄介「さぁ、冒険の続きだ!」

 

そうして雄介は再び歩き出した、その顔に笑みを浮かべて……

 

 

 

 

 

この世から悪が消える事は無い、それは人間の中にも存在する、いつの時代にも悪は存在するのだ、だが悪があれば必ず正義も存在する、時代が望む限り仮面ライダーは必ず甦る

 

 

 

この世に悪が有る限り、正義の系譜に終わりはない

 

 

 

外伝:正義の系譜 おわり




アギトは……残念ですが登場しません、彼等にはもう自分の生活に戻って欲しいので。

BLACK寄りになりましたがこんなのしか書けませんでした、申し訳ありません。


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-IF- 太陽の子

時系列的には最終決戦、クウガがアルティメットを制御してBLACKがゴルゴム神殿に蹴り飛ばされた後の話になります。


 

 

 

「ウッ!?……ガッ……ハァッ……ハァッ!」

 

 

 

「ゼェ……ゼェ……ふっ……」

 

 

 

ゴルゴムに封印されしグロンギの最後の一人であるゴラドと戦うクウガ

 

BLACKがゴラドによりゴルゴムの神殿に居た間も二人は休む事なく戦っていた、体は傷付き、大量に流した血、二人に当初の力は既に無い、それでも互いの信念と誇りの為の戦いは終わらなかった

 

 

 

「ほんの少しの差だが……俺の勝ちだ」

 

 

 

「グッ……フゥ!?……ッ!?」

 

 

 

これはその時に起きた奇跡の可能性の一部である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わりだ、良い時間を過ごせた」

 

ゴラドが戦いの終着を見てクウガにトドメを刺すべく歩み寄る

 

 

 

「待てっ!!」

 

 

 

響く声にゴラドは足を止め振り向き、次いでクウガも声の方へ向く

 

「……生きていたのか」

 

「み、南さん……!!」

 

そこに立つのは創世王によって復活したBLACK、それを見たゴラドは少々意外な声を出すも動揺は無く、クウガは無事を喜ぶ声を出す

 

「トゥア!!」

 

勇ましい掛け声と共に鋭く飛び込み攻撃を仕掛けるBLACK

 

「……クッ!?」

 

まともに受けた攻撃によろめくゴラド、すかさず反撃するもBLACKに受け止められる

 

「……ヌアアアアアッ!!」

 

そこから一進一退の攻防が始まる

 

「オオオオッ!!」

 

実はBLACKは力が上がっている訳ではない、体を回復しただけで力は以前と変わらない、完全に癒えてない分力は劣る、なのに力が拮抗しているのはゴラドがクウガから受けたダメージがその力を大きく下げていたからに他ならない

 

「グアッ!?」

 

ゴラドの尻尾が直撃し大きく吹き飛ぶBLACK、大幅に力を落としていてなおその力はBLACKを上回る

 

(南さん!?クソッ……!動けオレの体……!?)

 

限界まで打ちのめされたクウガは動けず偉大な先輩の戦いを見る事しか出来ない

 

「ウゥ……ハァ……ハァ……」

 

「しつこい奴だ……だがもう終わりだ、そろそろ眠れ、ゴルゴムの戦士よ」

 

満身創痍のBLACKにゴラドが手を翳す

 

(ダメだ……勝てない……!?後……少しなのに……後、少しなのにッ……!)

 

トドメを刺される刹那

 

(頼む……!僕に……力を貸してくれ!!)

 

 

 

 

光太郎は願う

 

 

 

(信彦ッッ!!)

 

 

 

己の無力を嘆いた黒き太陽が、今際の際に思うのは最も親しかった友への願い

 

 

 

黒陽から月影ではなく

 

 

光太郎から親友(信彦)への……願いにも似た、祈り

 

 

 

もはや遥かに遠く、遠い過去となり果てたがそれでも今だ魂に遺り続ける亡き友へ向けた、まるで縋るかの様な……

 

 

 

世紀への祈り

 

 

 

そんな……誰にも届かぬ祈りを捧げた……まさに……その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不思議な事が起こった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……この、光は……?」

 

突如出現した緑色に輝く光がBLACK・光太郎を優しく包む

 

(な、なんだ……南さんが……か、変わる……!?)

 

「その光……もう一つの……王の石か……!!」

 

BLACKの異変を見てクウガは変化を感じとり、ゴラドは予期せぬ現象に驚愕する

 

「信彦……お前……なのか……?」

 

包む光がBLACKのキングストーンに吸い込まれた、そして次の瞬間、目も眩む閃光を放ち暗雲を切り裂き目映い太陽を天上に出現させる

 

「ッッ……」

 

閃光が収まり視界が回復したゴラドがBLACKを見る

 

「な……に……」

 

ゴラドは驚嘆の声をあげた、閃光こそ収まったがBLACKの体は今だ輝きを残しており全体像は見えない、しかし明らかに肉体が変わっていたのだから

 

 

「……俺は」

 

BLACKが右手を掲げると纏う光が粒子となって拡散しその神々しい姿を出現させる

 

「俺は太陽の子!」

 

生まれ変わる黒い太陽

 

それは世紀王を超えた先、骨肉の争いを征した末に至る筈であった、無限の領域

 

即ち、創世の王

 

 

 

 

 

 

 

    「仮面ライダー!BLACK!RX!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    ″″永遠(とわ)の為に、君の為に生まれ変わる″″

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  




約、6年振りの更新……書きたかっただけです。

RXが疑似創世王って考察を見て成程なぁと思いサタンサーベルの代わりにこの展開も有りかと思い誕生までですが書いてみました、創世王的な事書いてますがスペックは一緒です。
この作品にRXは出さないって決めてたんですがIFだからまぁ……いいか。

流石に見てる人は居ないでしょうけど目に止まったなら幸いです。


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-IF- Ⅱ Riders Forever

 

 

 

 

        君を連れて行こう

 

       悲しみの無い未来まで

 

    君がくれた笑顔だけポケットにしまって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行方知れずの王の石、太陽と……お前は言ったな、ならば月、か……対になる力が合わさる事でその姿……いや、力に至れたという事か」

 

新生したBLACK、即ちRXを見定めてゴラドは呟く

 

(先にリントの戦士と見せた共鳴による上昇などまるで話にならん……そんな次元ではない、存在の格を上げたのだ……ダグバやガミオ、俺や暗黒の王、そしてあのリントの戦士が立つ……「究極の闇をもたらす者」そう称される我等の領域まで)

 

その感情に怒りは無い

 

土壇場に起きた奇跡を忌々しく思ってもいない

 

「まだ楽しませてくれるか、ゴルゴムの戦士……!フッ……ハハハッ……!!」

 

胸中にあるのはただただ高揚

 

 

ゴラドは強い者が好きなグロンギ、異常とさえ言える弱肉強食主義者、それがゴラドと言うグロンギの本質、グロンギの王など興味も無い

 

故に力を持つ者には差はあれど敬意を持つ、RXとクウガに決闘を提案したのもそれ故

 

そしてそれ故にリントを許せないのだ、己達と非常に近い種族でありながら力を持たず、なのに争いを好まず綺麗事ばかり抜かすリントに異常な嫌悪を抱くからこそルールに縛られる面倒なゲゲルなどせずに容赦無く根絶やしにしようとするのだ

 

 

そんなゴラドが抑えれぬ歓喜の声を出したのだ、それはRXを死合うに足る対等の敵と認めたからに他ならない

 

本来ならゲゲルを経て段階的に上がっていく力をズの階級のまま自力でンに匹敵するまで高めたグロンギからはぐれた異端にして最悪の天才

 

昂り続ける闘争本能の怪物が獲物を狙うハンターの如くRXを鋭く見据える

 

 

 

「大丈夫か五代君!?」

 

「い、一応……なんとか……」

 

そんな刺す様な視線を受けながらRXが優先した事はゴラドではなく友・雄介だった

 

「南さん、その……変身?は……いや、それよりオレも……戦います……!」

 

クウガは立ち上がろうと体に力を込める

 

「無茶するな!後は僕に任せろ」

 

「そんな……!?南さんにだけ戦わせられないです!」

 

RXが制止するもクウガは止まらない

 

「こ……こんな奴等の……」

 

五代雄介という魂が掲げる信念

 

それがクウガを、雄介の歩みを止めさせない

 

「……カッ……ゲホォッ!!?」

 

クウガは血を吐き、立ち上がる寸前で……崩れた

 

「五代君ッ!?」

 

倒れる体をRXが受け止め、支えた

 

「……ハァ……ハ……ァ……すみま……せん……ハァ……」

 

雄介の意思は止まらなかった、しかし、クウガである肉体は限界を迎え動けなかったのだ

 

「すまない……君にばかり辛い目にあわせてしまった」

 

クウガを寝かせ、アマダムが内包されるベルト・アークルへRXは手をかざす

 

「ありがとう……五代君」

 

RXのキングストーンと手が輝き、共鳴する様にアークルも弱々しく淡く輝き、RXの手からアークルへ光が送られると変身が解け、優しく寝かし付けられた様に雄介の体から力が抜けた

 

 

 

 

 

 

「……済んだか?」

 

邪魔する事なく見ていたゴラドが問う、戦闘が唯一の楽しみであるゴラドは相手の弱味や不意を突かない純粋な戦いを好む、だからこれは当然の事

 

「……」

 

無言のRXは答える様にクウガから離れ、ゴラドと向かい合う

 

「貴様は……俺が倒す!!」

 

新しき体に力を込め、漲らせ、RXは構える

 

「そうだ……もはや余計な言葉は要らん……!」

 

ゴラドも歓喜を表し呼応して構える

 

「それでいいッ!来い!ゴルゴムの戦士!リントを覆う闇!晴らせるものなら晴らしてみせろ!!」

 

クウガから受けたダメージなどまるで感じさせず、むしろ自らの血に濡れたゴラドはかつてない狂喜を感じ、叫ぶ

 

 

ズッ……ズズズッ……!

 

 

その狂喜に応えたかのように、霊石から溢れた黒い靄がゴラドの肉体をまるで暗雲が覆うように纏い隠す

 

 

バチッ……バチチッ……!!

 

 

雷光が走り、朧に見える肉体が金色を加えながらより刺々しく、より禍々しく変貌していく

 

 

「さぁ!!オレに……勝ってみせろォ!仮面ライダァァァ!!」

 

 

強烈な電撃の拡散と同時に意思の具現である究極を超えた先(ライジングアルティメット)の姿にて対峙する

 

 

 

「……オオオオオオオオッッ!!」

 

「……ヌアアアアアアアッッ!!」

 

 

 

そして……光の戦士と闇の戦士はぶつかり合った

 

 

 

ドウッ!!

 

 

 

互いを打つ拳が凄まじい衝撃音を響かせる

 

 

「グアッ!?」

 

「ゴハッ!?」

 

 

血が飛散し、よろめきながら互いに数歩後退するも直ぐ様体勢を立て直した両者は同時に相手へ駆ける

 

「ヌグゥ!?」

 

RXの強烈な蹴脚が脇腹を打つ

 

「オアアッ!!」

 

メキメキと体組織を破壊する音が鳴るがゴラドは構わず切り返し、RXの顔面を掴み引き込んで背中に苛烈な肘打ちを食らわせる

 

「ウグァァ……グッアッ!!?」

 

RXの甲虫を思わせる装甲の様な背にヒビが入り陥没している、更に体勢を崩されたRXが動くよりも早くゴラドはRXを首から掴み上げ殴り飛ばす

 

「クッ……!?」

 

凄まじい砂埃を巻き上げ大地を深く抉りながら100メートル近くも飛ばされたRXは全身から感じる激痛を堪えながらも立ち上がろうと体を起こす

 

「ッ!!?」

 

BLACKのマルチアイから進化し、新たに透視能力を得た知覚、マクロアイが砂埃で閉ざされた空間の外から飛来する力を視認し瞬時に跳び上がる

 

直後にゴラドが放った衝撃波が砂埃を吹き飛ばしRXが一瞬前に居た場所を突き抜ける

 

「……!!」

 

跳んだRXはゴラドを視認しその両足に力を込める、空中で後方宙返りを行い横に回転しながら摩擦によって赤熱した両足を突き立てる

 

 

「RXキック!!」

 

 

凄まじい勢いでゴラド目掛け一直線に空中を疾走するRX

 

「……ムンッ!」

 

それを見てゴラドは拳を突き出し衝撃波を連射で放ちRXにぶつける

 

 

「何ッ!?」

 

驚愕の声をゴラドはあげた

 

自身が放った衝撃波はRXの勢いを全く止める事無く全て打ち払われたのだ

 

「チィィ……!!?」

 

予想外の事態に避ける機を失ったゴラドは舌打ちしながら防御に構え、BLACKの時の3倍の威力を持つ跳び蹴りを受ける他無かった

 

「グッ!?オオオオオオオオッ!!?」

 

受け止めたゴラドだったが余りの威力に堪える事が出来ず、吹き飛び、数十メートル離れた大地に巨大なクレーターを作る程の勢いで叩きつけられた

 

 

「ハァ……ハァ……ウグゥ!!?」

 

必殺技とも言える技を防御の上からとは言え決めたRXだったが息は荒く、痛みに悶え膝をつく

 

(わかってはいた……だけど、何て強さだ……!信彦の力を借りて回復した僕を、強くなった僕を……ここまで……!?)

 

本来ならばRXに非常に有利な戦いの筈だった

 

新生しクウガやゴラドと同等の力を得た上に体は完全に回復した、対してゴラドはクウガとの戦いでかなりのダメージを負っている筈

 

なのに一進一退の攻防を繰り広げているのだからRXはゴラドに驚愕する他無い

 

(それに……今のでも倒せていない)

 

ゴラドの居るクレーターを見つめる

 

 

 

 

 

 

「ゴフッ……ハァ……ハァ……」

 

クレーターの底でゴラドは左腕を見ていた

 

(やってくれる……左腕がほぼ死んだか、リントの戦士と戦っていなければ受けきれたかもしれんが……ククク……!)

 

感じているのは歓喜と愉悦

 

(幸運と言えるだろう、宿敵であるダグバが死に、害虫のごときリントのみが蔓延るつまらん世でこれ程の戦士、それも二人も戦えるなど)

 

闘争を求めるゴラドにRXを卑怯だと思う感情は無い、始めから二体一を容認し、クウガがアルティメットを制御した後も喜んでいた程だ、RXが回復し強くなった程度に卑な感情は一切出ないしもしそれで結果敗北しようと自ら望んだ故に後悔する事も無い

 

戦士として本懐を遂げられているという己が位置ではもはや到底得難い生の実感のみが満たしている

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

クレーターからゆっくりとだが確実に歩み、姿を見せたゴラドにRXはやはりかと思い立ち上がる

 

「死の覚悟と必倒の決意が混ざった良い顔だ……やはり戦いとはこう在るべきだ」

 

RXを見据えるゴラドは変化に気付く

 

(傷が縮小している……自己再生……陽の光を浴びて、か……我等の持つそれを遥かに上回る速度……)

 

RXは太陽光が射す下では無類の回復力を持っている、それは軽い傷程度なら瞬時に回復してしまう程の異常とも言える回復力なのだがゴラドの強過ぎる力からなる攻撃はダメージが凄まじく回復が追い付いていない

 

(長期戦に構えれば俺が負けるのは明白……だから……だからこそ……!面白い!)

 

確定的に不利な状況を知るもゴラドはそれでも全てを肯定する好戦的な笑みを見せた

 

 

「フフ……ハハハハハ……!!」

 

 

死の淵に立ち、それでも尚戦いを望む戦士が笑う

 

 

ズズ……ズオッ!

 

 

その魂が決めた強靭な意思に、意思で力の高を決める霊石がベルトから漏れ出す様におぞましい黒い力を立ち上らせる

 

 

「……ヌアアアアアッ!!」

 

 

雄叫びをあげRXへ駆けた

 

「トアッ!」

 

迫るゴラドへタイミングを合わせ小さく跳躍し左側頭部へ蹴りをカウンターで放つRX

 

「ヌオアアーーッ!!」

 

左腕の防御が間に合わず直撃を受けたがゴラドは止まる事無く空中に浮いたRXの腹に右手の鉄槌を食らわせる

 

「ッッ!!?……ツアッ!」

 

大地に叩きつけられ追撃に踏みつけようと脚をあげたゴラドより速くRXは倒された状態からゴラドの背に蹴りを打ち、バランスを崩した隙に立ち上がり右手を手刀に構えた

 

 

「RXチョップ!!」

 

「オオッ!!」

 

 

斜に構えた上段から振り下ろされた手刀をゴラドの右拳が刀の腹を狙う様に打ち払う

 

 

ドギャ!

 

 

打ち払われた勢いをそのままに回転して放った裏拳がゴラドの頭部を打ち抜く

 

「アッ……グアァ……!?」

 

虚を突かれた攻撃故か、クウガから連なるダメージのせいか、ゴラドの動きが鈍る

 

(今だ!!)

 

その隙を逃すRXではない

 

「ウオオオオッ!!」

 

勝機と見て一気呵成に攻め立てる

 

「グッ!?ヴゥ!?ゴアアッ!!?」

 

RXの怒涛の攻めを迎え撃つゴラドだが押されている

 

左腕を満足に動かせない事が災いし手数において差が出ているのだ、そしてそれはこのレベルの戦いにおいて致命的な差だった

 

「ハァ……ハッ……~~~~ッ!!」

 

肉体の反射のままに攻撃を続けるRX、今はただそれを使う機を得る為に無我夢中でゴラドを打ち続ける

 

 

ドンッ!

 

 

RXの回し蹴りに堪えきれなかったゴラドが吹き飛び

 

「グオァァァ……!!?」

 

直ぐには立ち上がれぬ苦声をあげたまさにその瞬間

 

「……!?今だ……今しか無い!!」

 

ついにその時は来た

 

「ハァ……ハァ……!!」

 

息を整えRXはベルトであるサンライザーに力を込める

 

 

「リボルケイン!!」

 

 

サンライザーから柄が出現し、RXは初めから知っていた様に柄を握り引き抜くと光輝く剣の様な物を形成していた

 

 

 光子剣・リボルケイン

 

RXの持つ太陽のキングストーンから光粒子を凝縮させて生成される光のスティック、スティックとあるが光子剣と称す通りに斬撃も出来、打突・斬撃をこなせる万能武器

 

「……!」

 

だがその程度では宇宙をも支配出来る次期創世王の位に叶う武器とは言えない、このリボルケインの真価は他にある、それこそがリボルケインが創世王が造り出したに恥じぬ由縁がある

 

「トアッ!!」

 

大地をリボルケインの柄で叩き、RXは跳躍しリボルケインを構える

 

「!!?」

 

立ち上がったゴラドだったが遅かった、RXは既に目前まで来ていたのだから

 

「ウオオオオーーッ!!」

 

リボルケインがゴラドに迫る

 

「ヌッグッ……オォ……グオオオオオオオオオオッ!!」

 

ゴラドはただ……拳を突き出す

 

 

ドギャアッ!!

 

 

相克する意思の果て

 

「…………」

 

「…………」

 

一瞬の静寂

 

「……」

 

RXの出した技の名は「リボルクラッシュ」

 

突き刺したリボルケインから太陽とキングストーンのハイブリッドエネルギーを注ぎ込み爆散させる技

 

原理としてはクウガが封印エネルギーを相手に打ち込みベルトに届かせ破壊するプロセスに似ているが問題はそのエネルギーの量

 

太陽とキングストーンから無限に生まれるエネルギーを限界を超えて爆散するまで注ぎ続けるのだ、故にベルトに伝わらせる必要も無く、エネルギーを制御し爆散を防ぐ事も不可能、際限無く無限大なのだから

 

決まれば正しく必殺、創世王の力に恥じぬまさに究極の一撃

 

 

 

「……」

 

「……ア……ウァ……ァ……」

 

 

そう、それは決まれば、の話

 

「ァ……ガハッ!?」

 

崩れ始めたのはRXだった

 

「……運が……味方したか……」

 

リボルケインはゴラドの脇腹を掠め、逆に戦士であるゴラドが放った無意識の拳はRXのサンライザーを打ち、亀裂を入れていた

 

「紙一重……だが、勝負あった、な……!」

 

「ウグッ!?」

 

衝撃波でRXは吹き飛ばされリボルケインも消滅する

 

「楽しかったぞ……本当に楽しかった、一生涯に匹敵する充実があった……礼を言う、ゴルゴムの戦士」

 

「グゥゥ……クアッ!?」

 

力の源であるキングストーンが破損しRXはもはや死に体、太陽光による回復は始まってはいるが深刻なダメージを瞬時に治せる筈も無く、立ち上がる事もままならない

 

「リントの戦士もすぐに送ってやる……」

 

死神が、人に仇なす闇の権化が今、守護者を葬ろうとしている

 

「ま……けられ……ない……んだ……!?」

 

そこにもはや不思議や奇跡が起きる事は無い、起こるべく事しか起きない

 

「さらばだ」

 

ゴラドが、構えた腕をRXのサンライザーへ向けて……振り下ろした

 

 

 

 

「やめろおおおおおおおぉッ!!」

 

 

 

 

ゴラドは殴り飛ばされた

 

 

「ヌゥ……お、お前は……!?」

 

邪魔者を視認したゴラドは驚愕する

 

「ハァ……ハァ……南さん……」

 

「五代……君……」

 

それはRXによって眠りにつかされた雄介だった

 

「どうやって……いや、どうして……」

 

RXは雄介がこんなに早く目覚めるとは思っていなかった、いくら同じ位同士とはいえ回復にはもっと時間が掛かる筈

 

だがそれも雄介をよく見ると納得した、回復が僅かにしかされていない、意思の力で無理矢理起きて来たのだ

 

だからRXは問うた、五代雄介にそこまでさせる意思とは何なのかと

 

「……こんな奴等の為に!」

 

雄介は叫ぶ、魂からなる、五代雄介の想いを!

 

「これ以上誰かの涙は見たくない!皆に……笑顔で居て欲しいんです!」

 

悲しみの無い未来の為に

 

「だから南さん……見ててください!」

 

大好きな……笑顔の為に!

 

「オレのぉ!変身!!」

 

青空の様な心優しき男は今一度、究極の戦士へ成る

 

 

 

 

 

「フッ……立つかリントの戦士」

 

ゴラドはクウガを見て笑みを浮かべる

 

「願ってもない事ではある、永遠に楽しみたいとさえ思う、だが……潮時だ」

 

嬉しさはあるが変身出来ただけでクウガもRXも満身創痍、そして己も

 

これ以上戦いは続かないと見たゴラドは決着の時だと言い渡す

 

「南さん……あいつとんでもなく強いです、0号より強いかも……オレじゃ勝てないかもしれません……」

 

「かも……しれないな……」

 

クウガの言葉を肯定するRX、それだけゴラドの力は今までに無く強大であり恐ろしき闇であった

 

「いや、勝てるさ五代君……!」

 

だがRXは直ぐ様口に出した、同時に二人のベルトは強く共鳴する

 

 

「今は僕と君でダブルライダーだからな……!!」

 

 

誇り高き希望を胸に立ち上がる、平和の祈りを込めて……!

 

 

「いつでも来い、それがこの闘争の幕となる時……出し惜しむな、リントの自由を賭けるのならばなぁ!」

 

ゴラドも最後を飾るべく強烈な雷撃を放つ黒いオーラの全てを右手に集め、光の戦士達を待ちわびる

 

 

「行くぞ!!」

 

「はいっ!!」

 

二人は動く

 

RXが大地を叩き、クウガが一歩下がると同時に腰を落とし両手を斜めに開き構えを取り、踏み出す

 

「トオッ!!」

 

同時に跳び上がり、跳躍の頂点で前方宙回転を行い、寸分の狂い無く右足を突き出す

 

 

「ライダァァァダブルキック!!!」

 

 

ゴルゴムとキングストーン、グロンギとアマダム

 

それぞれの時代で人間を守り抜いてきた二人の戦士が繰り出す最後の合技

 

 

「ヌアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

ゴラドも戦士の誇りを拳に全霊を賭けて粉砕せんと迎え撃つ

 

 

「ハアアアアアアアアアアッ!!」

 

「オオオオオオオオオオオッ!!」

 

 

ぶつかり合う終焉を決める攻撃、尋常ならざるエネルギーの衝突が封印の地を激しく鳴動させる

 

「グアア!?」「ウアア!?」

 

二人の足が異常に赤熱していく、余りの負荷に限界を迎えた身体では耐えられないのだ

 

「フッ……ハハ……!!」

 

それはゴラドも同じだが己の身体など厭わぬ気概が僅かにだが二人を越えていた

 

 

「終わりだァァァ!!」

 

 

勝敗が決する……刹那

 

 

「ッッ……キングストーンフラッシュ!!」

 

 

黒陽の咆哮

 

 

「み……なみ……さんッッ……!!?」

 

 

RXのヒビ割れたキングストーンから出た淡く弱々しい光がアマダムを照らし、輝かせる

 

それは一瞬の閃光となって二人の戦士を包み

 

黒き剣と化した

 

 

「……オリャアアアアアアーーーーッ!!」

 

 

直後に凄まじい轟音が鳴り響き、未曾有の衝撃が封印の地を吹き飛ばす

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

大量の砂鉾が舞い、その勝敗を覆い隠している

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

砂鉾が晴れていき、徐々に……三人の様子を映し出す

 

 

 

 

「……見事だ……」

 

 

 

 

映しだされたのは右腕が消滅したゴラド、その離れた背にはクウガとRX

 

 

 

 

「俺の……負けだ……」

 

 

 

 

そして……ゴラドの下腹部はベルトごと消滅していた

 

 

 

 

 

 

 

「満足だ……悔いは無い……」

 

死を悟ったゴラドは二人に振り向き、今際の言葉を向ける

 

「これから先もリントは様々な脅威に晒されるだろう……お前達が……守れよ」

 

人間を嫌っていたがゴラドにとって人間の絶滅は目的ではあったが野望ではなかった

 

本当に望んでいたのは強き戦士との死闘

 

それが成せた末に死ぬのならばもはや達成出来ないリントの事など悔やむに値しない、だからそのリントを守った二人を称え、激励する様な事を言うのだ

 

「わかった」

 

「約束する」

 

迷い無き確かな覚悟を乗せた返事にゴラドは笑みを浮かべながら目を閉じる

 

「良い戦いだった……さらばだ」

 

全身に亀裂を走らせ、爆散する

 

それは二人の戦士を極限まで追い詰めた最強のグロンギとは思えない程の小さな爆発だった

 

「……」「……」

 

それでも……ゴラドは確かな死を迎えたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……終わりましたね!」

 

「ああ……!全て……終わった!」

 

はぐれグロンギとの戦いに勝利した二人

 

クウガが変身を解き、傷だらけながらも屈託の無い笑顔でサムズアップを取る

 

それを見たRXは頷き、青空を見上げる

 

「……うっ!!?」

 

RXの今だヒビ割れたサンライザーが光る、その光は全身を包み、緑光となってRXから飛び出た

 

「あ……南さん……」

 

すると、そこにはRXではなく、BLACKが立っていた

 

「お前のお陰だ信彦……ありがとう」

 

変身を解いたBLACKは宿敵シャドームーンではなく、南光太郎として亡き親友へ聞こえる様に感謝を声に出す

 

『気にするな光太郎!お前が勝って……生きてて良かったよ』

 

その声に光太郎は驚くが自分にしか聞こえない声だと悟り、救えなかった申し訳なさに顔を下げる

 

「……お前は、生き返れないのか?」

 

光太郎は問う

 

BLACKをRXに生まれ変わらせる事が出来たのだから可能なのではないかと思ったのだ

 

『……それは無理だ光太郎、俺はキングストーンの持つ可能性を見せただけだ、アレはほとんどお前のキングストーンの力……俺はただ切欠を与えたに過ぎないんだよ』

 

「そう……なのか……」

 

淡い希望が無くなり光太郎は悲しみと後悔にうちひしがれる

 

『泣くな光太郎……お前は俺がいなくたって大丈夫だ、新しい親友も出来たのに情けない顔を見せるな』

 

ハッとして光太郎は雄介を見た、雄介は何が起きているか何となく察して笑顔で何度もサムズアップを繰り返している、光太郎に笑って欲しいのだろう

 

「……わかったよ信彦、ありがとう……五代君も……ありがとう」

 

信彦の言葉と雄介の笑顔を受けて光太郎はようやく吹っ切れた様に……笑顔を見せた

 

『……時間だ、もう行かなきゃな……生きろよ光太郎!俺の分まで!……克美と杏子を頼む』

 

「ああ!任せろ!」

 

光太郎の返事を聞いて信彦は青空へ昇っていく

 

『光太郎!最後に……俺からプレゼントをやるよ!俺は無理だったがお前の相棒なら何とかなりそうだ……!あの皆既日食の日から随分遅くなったけど……受け取れ光太郎!達者でな!!』

 

そして信彦は緑光の粒子となり、消えていった

 

「プレゼントだって……?どういう事だ信彦……?相棒……?」

 

「どうかしたんですか?」

 

光太郎が疑問に首を傾げ雄介が問うた直後

 

 

ブォン……

 

 

そう遠くない場所で何かが音を出した

 

「……!!……そんな……まさか……」

 

光太郎は瞬時に気付く、誰よりも知っていて誰よりも長く一緒にいたのだからその音が何なのかわからぬ訳がない

 

「今の……バイクのエンジン音?まさか一条さんがバイクに乗って来てたりとか……?それは無いか……いや、あるかもしんない」

 

知らない雄介が気楽な予想を立てるなか

 

光太郎は一点を見つめ続けている、その昔……決して忘れ得ぬ辛苦を経験した……あの採掘場を

 

「一条さんだと思うんだけどな~桜子さんは絶対無いし……待てよ?昔おじいちゃんがバイクに乗る正義のバッタ男を見たとか言ってたような……もしかして?」

 

音は凄まじい速さで二人の居る場所に近付き、最後に知らせる様に轟音を出した後、一台のバイクが丘から飛び出し、二人の……いや、光太郎の前に着地した

 

「え!?何このバイク!スゲェ!バッタの……バイク?スゲェ!つーか無人?あ!ゴウラムみたいな感じ?スゲェ!」

 

はしゃぐ雄介とは対称的に光太郎は動けず、確かめる様に名を呟く

 

「バトル……ホッパー……」

 

そのバイクの名は「バトルホッパー」

 

ゴルゴムが次期創世王、つまり世紀王の為に造りあげた意思を持つ専用マシン

 

光太郎がゴルゴムを脱出する際に邂逅し、光太郎の長きに渡るゴルゴムとの戦いをロードセクターと共に支えた愛車

 

ゴルゴムとの決戦時にシャドームーンにより致命傷を与えられ、BLACKの為に自爆特攻を行い命を散らした無二の相棒

 

そのバトルホッパーが今、在りし日のままの姿で光太郎の前に居る

 

『……!!』

 

バトルホッパーが目を点滅させ喜びを表す様に首を振る

 

『ラ……ライダー!』

 

拙いが確かに伝えられた光太郎に向けた言葉

 

「バトルホッパー!!」

 

確信した光太郎はもう抑える事など出来なかった、相棒の名を叫び、走り、抱き締める

 

『タダイマ……!』

 

「ああ……!おかえり……おかえりバトルホッパー……!」

 

互いに涙を流し再び会えた奇跡を喜び合う

 

(ありがとう……信彦!!)

 

月影から黒陽への贈り物をもって、古から続くゴルゴムとグロンギ、今を生きるBLACKとクウガの戦いは終わりを迎えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーエピローグー

 

「五代君!」

 

待ち合わせの公園で光太郎が手を振る

 

「南さん!久し振りです!皆でパーティーした以来ですね!元気でしたか!?」

 

「ああ!君も元気そうで良かったよ」

 

再会に笑みを向け合う

 

「そうそう!桜子さんに聞きましたよ南さん!南さん今バイクショップで働いてるって!」

 

「ああ、君が冒険に出た後に偶々出会った人に放っておけないって強引に連れていかれてね……不思議な人なんだ、まるで僕みたいな人を何人も見てきたみたいな……そんな人なんだ」

 

「え?じゃあオレの事もわかったりしますかね?」

 

「どうだろうな……でもおやっさんならもしかしたら……ああ、おやっさんは愛称なんだそうだ、昔から呼ばれてたらしい、本名は立花……五代君、立ち話もなんだからどこか行かないかい?長くなりそうだしそこで話そう」

 

「ならポレポレ……と言いたい所ですけど良い店があるみたいなんですよ南さん!これも桜子さんから聞いたんですけど「AGITΩ」って名前のレストランがあってそこがメチャクチャ美味しいらしいんです!」

 

「ならそこにしよう、行こうか」

 

「はい!……ところで南さん?バトルホッパーは元気ですか?」

 

「勿論元気さ!今日も五代君と会うと言ったら自分も行くと言って聞かなくて困ったよ、バトルホッパーには悪いけど流石に街中は走れない」

 

「あー……ふつーに違法改造車にしか見られませんもんね」

 

「だから後で会ってやってくれ、バトルホッパーも会いたがってる」

 

「全然良いですよ!オレも会いたいですし!」

 

「ありがとう……じゃあ、行こう」

 

二人はバイクに跨がり駆けていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ライダー達よ永遠に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  




気が向いたので戦闘描写増し増しです。

ゴラドのパワーアップは所謂ライジングアルティメットです、好きじゃないけどRXとクウガに対抗するにはこれしかなかった……

最初の構想ではRX主体のIFとしてリボルクラッシュで終わらせようと思ったんですが黒陽伝説はBLACKとクウガが主役の話だからと変更しました、そのお詫び?にバトルホッパーをてつをへ贈りました。
ちなみにこのIFからは光太郎が瀕死になってないので正義の系譜に繋がりません、その代わりにおやっさんが出てます。

それとサブタイを見てニヤリとした人は中々のライダーファンと見受けます、ネタもかなり詰め込んだので楽しんでくだされば幸いです。


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