がっこうぐらし!RTA強化禁止縛り女装男子ルート (ナナシマのゴンベ)
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だいいちわ ゲーム開始~アウトブレイク発生

二番煎じなら、時間をかけて煮出せばいい。という事で初投稿です。


 はーい、よーいスタート。

一世を風靡したゲーム(ゲームとは言っていない)のRTA、はーじまーるよー。

 

 今回は「がっこうぐらし!」のウォンテンドーボッスン版をプレイして行きます。なお、このゲーム機は4時間以上プレイするとオーバーヒートする為、緊張感を持ってプレイしたいRTA走者にオススメのハードとなっております。

 

 とはいえ、本ゲームは様々なキャラ・バージョン・ハードでプレイされてきたので、今回は一つ縛りを設けさせていただきます。

 

 それは「強化禁止」縛りです!

 

 このゲームではレベルアップ時にポイントが一つ貰えて、それを消費する事で「体力=HP」「筋力=戦闘力」「持久力=スタミナ」「知力=クラフト能力」「直感=危険察知」の五つの基礎ステータス強化か、スキル一つの習得・強化ができます。今回は、ポイントを全てスキルの習得にのみ使用する、という縛りです。

 まあ、避難生活を続けていたら体力は落ちる一方でしょうし、多少はね?

 

 計測開始は先駆者兄貴姉貴たちに倣って「はじめから」を選択してからで、終了はエンディング後の「つづく」が表示されるまでとします。なお、難易度はUltra-HARDです。

 

 それでは、夢と冒険がちゃんとある、がっこうぐらし!の世界へ、レッツゴー!

デッデデデデデ! カーン! デデデデ!

 

 ますはキャラメイクです。ここは入力速度を考慮してランダムを選びました。縛りの性質上、基礎性能の低いキャラが出た場合はリセットです。(6敗)

 

 ファッ!?

 失礼、取り乱しました。なんと、レアキャラである女装男子「明日葉(あしたば) 十流(とおる)」が出ました。

 このゲームでは男性キャラの方が性能は高いものの、メインキャラの男女比率が0:10と非常に偏っている為、男性キャラだと信頼度の向上や好感度の管理が難しくなります。ですが、女装男子の場合は肉体・精神は男性で距離感は女性という、両者の良い所さんを両立できるのです。

 

 と、言っている間にポイント振りを終わらせて、現在はローディング画面です。え、ポイントなんて振ってなかった?

 強化禁止縛りなので、開始時点でのポイント振りも禁止です。ちなみに、ここで温存したポイントでスキルの獲得、なんてウラワザはできません。(ハイパー無慈悲)

 

 はい、オープニングをスキップして、ゲームが始まりました。開始場所・時間帯はランダムですが……、どうやら放課後の教室のようですね。早速ですが、廊下へ移動しつつスマホを確認しましょう。

 はい、アウトブレイク直前のようですね。タイム的には嬉しいものの、準備をほぼ一切できないのはまず味<あじ>です。

 まあ、切り替えて教室を確認しましょう。どうやらアス君は三年生で、原作キャラとは別クラスのようですね。理想はゆきちゃんと同じクラスですが、三年生ならリカバリーは可能です。

 

 と、いうわけで、まずは食堂に向かいましょう。ここではチョーカー姉貴こと柚村貴依が暇を持て余しています。おそらく、ゆきちゃんが園芸部で用事を済ませる(補習の代わりに奉仕活動でもしているのでしょうか?)のを待っているようです。

 ここで騒ぎを起こすのですが……、アス君は吹奏楽部なので、演奏でもしましょうか。リュックから楽器を取り出しましょう。ちなみに、サッカー部ならリフティング、落研なら落語を披露できるのでオススメです。

 出てきたのはアルト・サックスでした。リュックの中身はこれと筆箱・ノート、空の水筒くらいですね。どうやら置き勉派のようです。(知力無振り)

 

 それでは、演奏していきましょう。「音楽」スキルの数少ない使い所さんです。

 ちなみに、アルトサックスは当たりの部類です。フルート等の小さい楽器は武器としての性能が低く、大きすぎる楽器だと音楽室に備え付けなのでバチしか持ってない、なんて事もあります。

 その点、アルトサックスならば持ち運びが可能な大きさ、かつ攻撃に使える重さと長さがあります。欲を言えばテナーサックスの方が長いし良かったんですが、流石に望み過ぎですね。

 

 さて、アス君が親のOPよりも聞いたOP曲を演奏している間に、彼の特徴について説明していきましょう。

 アス君の最大の魅力は、何と言っても女装男子である事です。顔は中性的で、声もハスキーの範囲内、身長も女性としては長身程度に収まっており、体格も細身です。

 その代わり、体力や筋力は貧弱であり、知力と直感も残念となっております。まあ、全ステ無振りだから、多少はね?

 ただ、ブラスバンド部だけあって、持久力は高めです。肺活量の高さを反映しているのでしょうが、運動部の女子キャラで持久力極振りした場合と同程度ですね。

 

 お、演奏が終わりましたね。ラスサビまで演奏したせいで微ロスですが、聴衆から拍手が巻き起こっているので続行します。

 この演奏はリズムゲームですが、合気道のQTEに比べれば楽勝です。当然のようにフルコンボでした。

 

「やあ、いい曲だね」

 

聴衆の一人だったチョーカーさんが話しかけてきましたね。はんなま~(流行りの挨拶)

 

「は……、半生?」

 

戸惑っている間に二人分の飲み物を注文し、片方をたかえちゃんに差し出しましょう。ちなみに、ここでブラックコーヒーを差し出すと、見栄を張ってそのまま飲もうとするも顔を顰めて、恥ずかしそうに砂糖とコーヒーフレッシュを足す一枚絵(スチル)が貰えます。

 まあ、ロスなので普通にアイスティーを差し出しましょう。

 

 ここで、要介護(めぐねえ)の居場所について聞いておきます。T.Y.は確定でゆきちゃんと同じクラスであり、つまり彼女の国語教師も要介護(めぐねえ)です。

 先駆者兄貴姉貴も言及していらっしゃる通り、本作の要介護(めぐねえ)も補習を行っていません。なので、放置していると詩にます。アウトブレイクまでに見つけないと確定で食べられる(意味浅)ので、超特急で探しましょう。(93敗)

 

「めぐねえなら補習中だよ」

 

ミッ!?

 失礼、取り乱しまみた。どうやら、原作通りにゆきちゃんの補習を行うパターンを引いたようですね。

 正直な所さん、要介護(めぐねえ)に加えてゆきちゃんまでエスコートするのは難易度が高いんですよね。おまけにガバの温床にもなりかねません。

 まあ、続行しますけどね。()()()を頃した程度で減る好感度や正気度なんて、後で幾らでも回収できますし。

 

 その後は暫くチョーカーちゃんと会話し、貴依っちがトイレに立つまで倍速します。なお、ここで唐突に立ち上がったチョーカーネキに行先を聞いてはいけません。トイレと素直に言えず誤魔化す可愛い柚村さんを拝めますが、ロスなので手を振って見送ります。

 

 それでは、食堂を出て購買部に向かいましょう。ここでは、水の500mLペットボトルとコラボアイテム(がば飲みクリームソーダ)を1本ずつ購入し、更にお菓子を買います。

 余談ですが、水のペットボトルは現実でも傷を洗うのに使える為、登山する時には買っておきましょう。お菓子のオススメは興奮作用のあるチョコレート(個包装)と、お腹に溜まるヘビースターラーメン(4袋セット)を2つずつです。

 効率を考えるなら、ここでサンドイッチなどの食料品を買うべきなんですが、本格的な食料アイテムを持っていると怪しまれるんですよね。おにぎりくらい、健康な男子高校生なら()()()に持ち歩いても()()()くないと思うんですけどねえ。

 会計中に、購買の商品配置をメモしておきましょう。走者は方向音痴なので、手元には巡ヶ丘高校の地図も常備しています。

 

 さて、これで全ての準備が終わりましたので、要介護(めぐねえ)のいる所さんに向かいます。時間も押しているので、スタミナ酷使走法を使いましょう。

 

 はい、三年C組佐倉先生の教室に着きました。ゆきちゃんもいますね。

 

「……、誰?」

「明日葉さん?」

 

ゆきちゃんは警戒、要介護(めぐねえ)は疑念、といった表情ですね。まずは自己紹介をしましょう。

 

明日葉(あしたば) 十流(とおる)……。じゃあ、とーくんだね!」

 

ここでオリチャー発動、差し入れとしてコラボアイテム(がば飲みクリームソーダ)をゆきちゃんにプレゼントします。ついでに、きーちゃんから話を聞いた、と言っておきましょう。

 

「ありがとう!」

 

満面の笑みでお礼を言いつつ、アス君のクリームソーダ(意味浅)を飲み始めるゆきちゃん。守りたい、この笑顔。

 まあ、すぐに曇るんですけどね、初見さん。

 

 お、ムービーが入りましたね。アウトブレイクが始まったようです。ここからは時間との勝負です。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 そいつの第一印象は、変なヤツ、だった。何せ、学食に入ってくるなりサックスの演奏を始めたんだから。しかも、かなり上手かった。

「ご静聴、ありがとうございました」

ちょうどヒマしてたのもあって、優雅に一礼する彼女に声をかけてみた。

「やあ、いい曲だね」

「はんなま~。お褒めの言葉に、感謝感激ひなあられだぜ」

は……、半生? えっと、挨拶なのか?

「スタジオぐらし、ってアニメの主題歌なんだって」

あれ、ちょっと意外。というか、口調が安定しないヤツだな。

「へー、てっきりジャズか何かだと思った」

なんとなくだけど、サックスでアニソン演奏するイメージってなくない? なんて言うと、そいつはニヤリと笑った。

「音楽に貴賎なし、だよ。演歌もロックも8bitも、この明日葉(あしたば) 十流(とおる)の持ち歌さ。ところで、貴公のお名前を伺っても?」

……気候、機構、紀行、奇行。これだ、いや、これだけど違う。寄稿、聞こう、貴公か。

「私は柚村(ゆずむら) 貴依(たかえ)。よろしく」

 

 それから、明日葉にお茶を奢ってもらい、暫く話していると

「そういえば、たかっちは誰か待ってたりしたの?」

「ああ、友だちが補習中でね」

言ってから、しまった、と気がついた。また、ゆきに余計なちょっかいをかけるヤツが出るんじゃないか、って。でも明日葉は

「じゃあ、後で差し入れでも持っていこうかにゃあ。がばソーダなら、よもや嫌いな人はおるまいし……」

なんて、なんでもないように首を傾げた。

「まあ、ゆきは炭酸ダメじゃなかったし、いいんじゃない。でも、いいの?」

こう、お金とかさ。今も、流されて2杯目の紅茶もらっちゃったし。

「構へん構へん。拙者、可愛い子に貢いで破産するなら本望でござる」

「いや、破産はするなよ」

「前向きに検討させて頂きます。ところで、めぐねえ何処にいるか知らない?」

「めぐねえなら補習中だよ」

「ミッ!?」

何故か驚く明日葉。ゆきとは別の意味で、見てて飽きない。けど、話してて疲れるな。

「3-Cでやってるよ。そんじゃ」

休憩も兼ねて、トイレに向かう事にした。

「うん。またね~」

 

トイレには、誰もいなかった。丁度いいので、化粧を整え直す事にする。そういえば、明日葉は化粧かなり薄かったな、そのくせ美人だったけど。顔は整ってるし、今度いじってみよう……あ、管楽器なら口紅は邪魔かも。なんて考えてたら、

「キャーッ!」

「イヤァーッ!」

「グワーッ!」

突然、悲鳴が溢れる。トイレから出ると、廊下では人が人を噛んでいた。

「…………ひっ」

ヤバい。逃げないと。何処へ? さっきまでいた個室に飛び込み、鍵をかける。隣からも、誰かの飛び込む音がした。

「ねえ……、何があったの?」

隣に入った子に聞いてみる。

「わからない、けど、……、もう、ダメだと思う」

ダメ?

「突然、みんながおかしくなって、噛まれた人もおかしくなった」

「……、何、それ……。映画の見過ぎ……、じゃ、ないよね」

だって、まだ悲鳴が聞こえる。

「……ねえ、お願いがあるの」

「お願い?」

「今、私がいるここの扉、絶対に開けないで」

………………、その、意味は、理由は。

「私も、噛まれたから。だから、ここに閉じ込めといて」

私が答えに窮していると、外から声が聞こえた。

「トイレにいるなら鍵かけて! 絶対に誰も入れるな!」

「……明日葉?」

間違いない、アイツの声だ。切羽詰まったような、でも元気な声だから無事だろう。

「友達?」

「あー、うん。たぶん友達」

それから、何か重い者が落ちたような音が聞こえてきた。

「明日葉のやつ、大丈夫かな……」

「たぶん、屋上に、逃げてる。あいつら、みんな擦り足だったし、階段とか、のぼるの、苦手なん、じゃない、かな」

隣の部屋からの声が、途切れ途切れになった。

「……あなたは、生き、て……。ウゥウウウゥ……」

名前も知らない彼女は、()()()になった。

 

 




所持スキル
音楽、×××××、×××××、×××××

残りポイント:0


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だいにわ アウトブレイク~くるみ覚醒

本編に入ったので初投稿です。


 四時間以内に卒業するRTA、はーじまーるよー。

 前回は、アウトブレイクが始まる所さんまででしたね。

 

 それでは、リュックから楽器(アルトサックス)を出して装備しましょう。そのまま廊下に出て、周囲を確認します。

 はい、無事にさっきまで生徒だった物が生徒に噛みついていますね。このバージョンではプレイヤーキャラにも正気度(SAN値)がありますが、アス君の正気度は極めて高いです。

 まあ、頭脳と直感に無振りなおかげで「よく分からないけど何かヤバい事になっている」程度の認識だからなんですけどね。

 

 おっと、こちらに噛みついてくるかれら1体(チュートリアル矛盾塊)がいますね。せっかくなので、ここでアス君のもう一つの初期スキルをお見せしましょう。

 掴みかかるのを「しゃがみ」で回避し「逆立ち」に移行! その勢いのまま踵を矛盾塊の頭部に叩きこみます!

 これぞ、アス君のメインスキル「カポエイラ」です! 普通の「キック」スキルに比べると隙が大きいものの、威力・ふっとばし力に優れ、しかも倒れた状態からも繰り出せます。おまけに、脚力に補正が入る為、ステータス強化を禁止している本チャートには最適なスキルと言えます。

 

 では、教室に戻って要介護(めぐねえ)をパーティに加えましょう。

 

「とーくん、その足……、なに?」

 

レッ!? ……しまった、ゆきちゃんがいるの忘れてたぁああああっ!

 要介護(めぐねえ)なら誤魔化せましたが、直感極振りのゆきちゃんは無理です。あぁ~、ゆきちゃんの正気度が削れる音ぉ~。

 仕方がないので無視します。要介護(めぐねえ)要介護2(ゆきちゃん)を背負うように言いましょう。

 

「な、何が起きているんですか!?」

 

大惨事大戦だ!

 

 はい、要介護2(ゆきちゃん)を背負った要介護(めぐねえ)の手を引いて、廊下に出ました。二人そろって吐き気を催していますが、連れゲロなんてさせている場合ではありません。手を引いて走りましょう。

 要介護(めぐねえ)の筋力は学園生活部2位なので、要介護2(ゆきちゃん)を背負った状態でも問題なく歩けます。まあ、吐き気と混乱のせいで走れないので、積載過多の速度減少(ペナルティ)なしでも遅いんですがね。

 

 おっと、また矛盾塊(ロンリーかれら)が来たので、楽器を叩きつけましょう。アルトサックスは木管楽器なのに金属製なので強度があります。おまけに、武器ではなく楽器なので非殺傷属性です。

 

「うぷっ……」

 

うげ、要介護(めぐねえ)がフリーズしましたね。どうやらクリティカルが出て、大きく吹き飛んだ矛盾塊が柱に頭をぶつけて詩んだようです。しかも、装備が「鳴らないアルトサックス」になっていますね。破損時のクリティカルが出ましたか。

 って、言ってる場合じゃありません。仕方がないので、ゆきちゃんに要介護(めぐねえ)を引っ張るように頼みます。

 

「……う、うんっ!」

 

要介護(めぐねえ)の背中から降りたゆきちゃんと一緒に、要介護(めぐねえ)を引っ張りつつ廊下を走りましょう。

 

 現在地は二階、屋上まで続く中央階段の前です。ここで、女子トイレに向かって声をかけましょう。ここには確定でチョーカー嬢がいるので、静かにして個室から出ないように伝えます。

 え? ゆずっちの居場(ところ)さんはランダムじゃなかったのか? 実は例外があるんです。

 というのも、前回パンク少女にアイスティーを奢りました。これによって尿意を催したTKE姉貴は、確定で中央階段横のトイレを使います。まあ、図書館の奥のトイレなんて普段は使わないから当然ですね。

 これによって、首輪ちゃんの居場所を確定し、外に出て噛まれる事を防止できます。とはいえ、流石に三日目の朝には耐えられなくなって外に出て噛まれますけどね。

 

 さて、チョーカー女史の生存フラグを建てたら、階段を上がっていきましょう。上から来た正しい日本語(かれら複数)をサックスで搔き分けつつ進みます。落下詩させた場合でも経験値は入りますし、好感度も大して下がらないので、なるべく落として進みましょう。

 

 はい、三階に着きましたね。ここから屋上までの階段にかれらはいませんが、廊下には大量のかれらがいます。

 まずはサックスを口に咥えて、手すりを掴みます。そのまま体を捻り、跳躍。手すりを軸に変則回し蹴りを繰り出します! これで、階段付近のかれらは一掃できました。代償として要介護コンビ(めぐねえ&ゆきちゃん)の正気度と好感度は減りますが、ここは致し方の無い犠牲(コラテラルダメージ)と割り切りましょう。

 先に上に行くように伝え、階段を上がろうとするかれら軍団をアルトサックスで叩き落とします。

 

「でっ、でも、とーくんは!?」

「せ、せっ、生徒を置いては行けません!」

 

と口では立派な事を言う二人ですが、体は正直です(震えています)。だいたい、武器も覚悟もないのに、どうやって戦うつもりなんですかねえ?

 なんて正直に言うとゆきちゃんと要介護(めぐねえ)正気度(SAN値)が直葬される為、屋上を確保するように頼みましょう。これで屋上に向かってくれますので、三階にいるかれらを適当に倒しつつ待機します。

 アルトサックス薙ぎ払い、からの飛び回し蹴り! 着地狩りはしゃがみ回避、そのまま両手を軸に回し蹴り! 立ち上がりつつアルトサックス振り上げからのサマーソルト!

 

 おっと、上から扉の閉じる音が聞こえましたね。では、アス君も階段に向かいましょう。まあ、下の階段なんですけどね。

 5段ほど降りたら、手すりを乗り越えて飛び降りましょう。落下地点の矛盾塊を踏み潰しつつ、両手をついて着地の衝撃を抑えます。そのまま両手を軸に前蹴りでかれらを落下させつつ、自分も二階の廊下に落ちましょう。

 再び着地したら、立ち上がりつつ飛び回し蹴りで女子トイレ前のかれらを排除します。その勢いのまま女子トイレに飛び込み、一番手前の個室に入ります。

 

 個室の鍵を閉めたら、上から隣の個室を確認しましょう。誰もいないので、降りて鍵を閉めます。次の個室は……矛盾塊がいるので踏み潰しましょう。

 更に隣の個室を確認したら、要救助者がいました。上からYZMR姉貴に声をかけます。

 

「あ、明日葉!? 大丈夫なの!? 今、外で皆がおかしくなって……、」

 

パニック状態のパンクちゃんを宥めましょう。その為のチョコレートです。甘い苺チョコを選んだので、正気度を回復させる効果もあります。

 なお、ここで苺・抹茶・ホワイト以外のチョコを渡すと好感度が大きく下がります。まあ、トイレで茶色のお菓子を出したら、多少はね?

 アス君も苺チョコを食べてスタミナと正気度を回復します。ここでチョーカーガールの正気度が極端に低いようであれば、コラボアイテム(がば飲みクリームソーダ)を渡しましょう。今回は大丈夫そうですね、というか持ってませんでした。(ガバ)

 

 では、落ち着いた貴依ネキと一緒に外へ出ましょう。正直、夜まで待った方が道中の難易度は下がるのですが、早く行かないと要介護(めぐねえ)の正気度が徐々に減って、着いた頃には発狂してたり、突撃して自滅してたりするんですよね。

 

「ねえ、手……、繋いでもいいかな? ほらっ、途中ではぐれたらマズいし、コケた時の保険にさ!」

 

LEVEL UP

 

おや、このタイミングで信頼イベントが起きましたか。これは嬉しい誤算ですね。「投擲」を取得しましょう。道中で経験値を稼いで取得するつもりでしたが、これでゆずゆず護送の安定度が上がりましたね。

 

 それでは、個室の扉を蹴破って外に出ましょう。

 

LEVEL UP

 

あ、レベル上がりましたね。まあ、レベル(こんなの)幾つあっても嬉しいですからね。

 右手にサックス、左手に首輪ガールを装備して廊下に出ましょう。楽器でかれらの掴み攻撃を払い除けつつ、ダッシュで駆け抜けます。

 

「きゃっ!」

 

おっと、階段を上る途中で、チョーカーJKが矛盾塊に捕まれましたね。サックスからマウスピースを外して「投擲」しましょう。

 「投擲」は現在Lv.1なので、1m以内であれば狙った相手に必ず当たります。目に投げ込んで脳を潰しましょう。

 

 三階の廊下の前に着いたら、かれらの群れ目掛けてきーたんを「投擲」しましょう。ぶつかって落下してきたブーメランサーを抱き止め、その反動で後退しつつ後ろ蹴りを放ちます。これで前後に安全圏ができたので、文句を言う少女を立たせて屋上への階段を駆け上がりましょう。

 

「はっ、はっ!」

 

ドッ!?

後ろから先輩(再臨素材)を背負った少女が追いかけてきました。

 

 アス君

・要救助者は歩ける状態

・武器としてサックス装備

・かれらを頃した経験あり

・戦闘スキルあり

・荷物はリュックのみ(10kg未満)

・二階からスタート

 

 くるみ

・要救助者は歩けない状態

・武器なし

・かれらを頃した経験なし

・戦闘スキルなし

・荷物は先輩(50kg以上)

・校庭からスタート

 

 えー、アス君と貴依ちゃんの正気度が減少していますね。そら(体育着姿の子がかれらを躱しつつ駆け上がる姿を見たら)そう(ありえない者を見る目をする)よ。

 

「「開けて!」」

 

一般人の少女と逸般人の少女に合わせて、屋上組に声をかけましょう。なお、ここで開けてくれなかったらリセです。(1敗)

 無事に開けてくれたので、まずは普通の少女を「投擲」で投げ込みましょう。それから、普通のゴリラが屋上に出たのを確認して、アス君も扉を潜り抜けます。

 

 屋上に着いたら即座に後ろ蹴りで扉を閉めます。そうしたら扉を押さえに……、行く前に倒れましたね。どうやらスタミナが尽きたようです。

 いくら持久力極振りといっても、道中でレベルアップしないと限界があります。まあ、要介護(めぐねえ)たちの護送とチョーカー娘の回収を連続で行ったので、今日やる事は何もありませんからね。

 ちなみに、アス君と一緒に走っていた柚村嬢も倒れています。持久力極振り脚力強化と同じ速度で走ったら当然ですね。なお、くるみネキは平然と先輩(もうすぐ消えます)を介抱しています。なんだコイツ……(畏怖)

 

 はい、矛盾塊(一介のかれら)と化した先輩がくるみ(まだ人間?)を突き飛ばしました。親の覚醒シーンより見た覚醒イベントですね。

 ここで、ちゃんと大丈夫か声をかけましょう。黙っているとワンチャン詩にます。(1敗)

 

「うわぁあああああっ!」

 

 はい、無事にゴリラ(くるみ)が覚醒しましたね。なお、先輩(必要な犠牲)の脂肪は有事に含まないものとします。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 その人は、いきなり教室に入ってきた。

「……、誰?」

「明日葉さん?」

めぐねえは知ってる人みたい。

「はんなま~。あたしちゃんは明日葉(あしたば) 十流(とおる)! ゆずむーから、ゆっきーが頑張ってるって聞いて差し入れに来たっす!」

! たかえちゃんのお友達なんだ!

明日葉(あしたば) 十流(とおる)……。じゃあ、とーくんだね!」

「誰がクリボーだ」

クリボー? わたしは机の脚を踏んでみる。めぐねえもジャンプしてた。

「いやいや、クッパ王国じゃあなくて、古代エジプトの方なのよさ。閑話休題、これどうぞ」

そう言って、とーくんがリュックの中から出したのは

「がば飲みクリームソーダ! ありがとう!」

「どういたしまして」

良い人だった。でも、なんで男の子なのにスカートはいてるんだろう?

「それで、ゆきっ子。補習の進みはどうだい? もしよければ、当方が微力ながら協力いた……、せねえや」

わたしのプリントを見て、とーくんが顔を顰めた。

「ああ、明日葉さんも補習ギリギリだったものね」

「楽譜さえ読めりゃあ、生きていけると思うんじゃがのお」

「思いません!」

「助けてゆーたん、めぐねえがいじめる~」

「もう、めぐねえじゃなくて佐倉先生!」

 

 なんて、楽しくお勉強してたら、変な音が聞こえてきた。なんだろう……、人の、うなり声? それに、物が倒れる音もする。

「ちょっと見てくる。二人は隠れてて」

そう言って、とーくんが出て行った。

「……ふっ!」

彼の掛け声、それから何かが潰れて、倒れる音。教室に飛び込んだとーくんは、地面に赤い足跡を付けていた。

「とーくん、その足……、なに?」

「話は後! めぐねえ、ゆきちゃん背負って! 走るよ!」

「な、何が起きているんですか!?」

「大惨事大戦だ!」

 

戸惑うめぐねえ、叫ぶとーくん。気づいたら、わたしたちは廊下にいた。

「「うっ……」」

そこには、頭が潰れた人が倒れていた。どこかが嚙まれて、血を流している人たちが立っていた。顔をめぐねえの背中に押し付けて、頭に浮かぶ怖い風景を追い払う。

「うぷっ……」

でも、めぐねえの背中が大きく揺れて、血の匂いや人の悲鳴がして……やっぱり、これは本当だった。

「ゆき! めぐねえ引っ張って!」

弾かれるように顔を上げる。とーくんが、おかしくなった人たちを大きな笛で叩いて追い払っていた。

「……う、うんっ!」

めぐねえの背中から降りて、今度はわたしが引っ張っていく。とーくんと一緒に走って、階段の前に来た。

「トイレにいるなら鍵かけて! 絶対に誰も入れるな!」

「……明日葉?」

たかえちゃんの声、かな? ()()()のうめき声とは違う、ちゃんとした言葉だ。

「よかった……」

でも、嬉しいのはそれだけだった。階段にも()()()がいて、とーくんが笛で叩き落として進んでいく。いつの間にか、わたしがめぐねえに引っ張られてた。

「うぅううっ!」

とーくんが笛に嚙みついた。それから、手すりを使って回し蹴りした。動きはダリオマンみたいでカッコイイのに、なぜだか全然楽しくない。

「上、先に行ってて」

倒れてる人たちを壁にして、近づいてくる()()を笛で叩きながら、とーくんが言った。

「でっ、でも、とーくんは!?」

「せ、せっ、生徒を置いては行けません!」

わたしも、めぐねえも反対する。

「先に、上を安全にしといてほしいんだ。キノコ王国が平和じゃなきゃ、ピーチ姫がクッパに嫁いじゃうからね」

……きっと、彼はピーチ姫(たかえちゃん)を助けに行くつもりだ。わたしは、キノピオ(役立たず)だ。だから、

「うん、あっちは任せて。行こう、めぐねえ!」

また、めぐねえを引っ張って、屋上に行った。

 

 それから、とーくんがたかえちゃんと一緒に屋上に来て、ツインテールの子が男の人を背負って入ってきて……、その人がおかしくなって、ツインテールの子がシャベルで(ころ)して、あっちこっちから煙が上がって。世界は、おかしくなった。

 

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××

取得スキル
投擲

残りポイント:1


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だいさんわ 屋上に籠城~朝食

初感想をいただいたので初投稿です。


 チョーカー救出RTAを終えたRTA、はーじまーるよー。

 前回は、胡桃が覚醒(種割れ)した所さんまででしたね。

 

 現在、屋上はどうなっているかといいますと

・元先輩をシャベルで突き刺し続けるくるみちゃん

・それを泣きながら抱き止めるゆきちゃん

・扉を押さえつつ覚醒の余波を浴びているりーさん&めぐねえ

・オロオロしているたかちゃん

 

 という状態です。まずはアス君を立ち上がらせ、Ms.チョーカー・Ms.隠れ発狂・Ms.要介護に声をかけましょう。

 

「……手伝う、たって……」

「ええと、ロッカーと、洗濯機?」

「運ぶんですか?」

 

そうだよ。(肯定)

 四人がかりでロッカーを運び、扉の前に倒します。これで屋上はセーフゾーン判定が出ましたね。 

 

 それでは、交流していきま、せん!

 というのも、今、屋上には話上手姉貴がいるからです。正気度の回復も好感度の増加も彼女が解決してくれます。なのでタイム短縮の為に寝ましょう。

 そもそも、ロッカーを運んだ時点で本格的に限界なので「バッグの中身を好きに漁って良い」とだけ言って眠りましょう。

 

 おはよーございまーすっ!

 

 朝焼けと共に起床したら、まずは使用済み覚醒素材を捨てましょう。ご遺体が残っていると正気度に悪影響ですからね。ちょうど柵の横で処理されたので、持ち上げて投げ落とすだけで済みます。

 では、捨てていき、いきま……、全然持ち上がらないんですが、なぜでしょう? 筋力無振りのせいですね。

 

「お前、何やってんだ?」

 

あ、覚醒済みゴリラ(くるみ)が起きてきましたね。ここでは正直に「隠そうと思った」と答えましょう。なお、ここで「捨てる」と発言するとごく稀に発狂くるみ(ゴリラ)との戦闘になります。(1敗)

 

「あー……、確かに、ゆきやめぐねえには、見せられないよなあ……。手伝うよ、あたしが頭を持つから、えーっと……」

 

はい、無事に協力してくれましたね。それと、どうやら初対面のようなので、ここで自己紹介しましょう。ここでは、ふざけた感じで言うと好感度を稼げます。

 本官は明日葉(あしたば) 十流(とおる)であります! 階級は三年生で、吹奏楽部に所属しております!

 

「ははっ、なんじゃそりゃ。あたしは恵飛須沢(えびすざわ) 胡桃(くるみ)、よろしくな」

 

握手はしましたが、レベルアップはしませんでしたね。まあ、何度か共闘すれば大丈夫でしょう。

 では、改めて死体遺棄事件を起こしていきましょう。

 

「警官がやっちゃダメだろ」

 

などとお喋りしつつ、二人で元先輩を投げ捨てましょう。ちなみに、クルミ・クルミは一人でも不法投棄が可能です。ただ、正気度の維持を考えるなら二人がかりで行うべきですね。

 

「うーん……」

 

おや、りーさんが起きてきましたね。まあ、他のメンバーと違い、初日に体力や正気度を消費していませんからね。あれ、校庭から屋上まで全力疾走した上で札傷事件(正当防衛)を起こしたのに早起きなゴリラがいますね……?

 

「おはよう、恵飛須沢さん、明日葉さん」

 

 おはよーございまーすっ!(使い回し)

 

「おう、おはようさん」

 

どうやら、ゴリラ(くるみ)アサシン(りーさん)の仲は悪くなさそうですね。流石は大天使タカエルと大正義ゆきちゃん。人間関係に関しては、このコンビがいれば大丈夫ですね。

 

「あ、そうだわ。明日葉さん、チョコレートありがとうね」

 

どうやら、りーさんはアス君のチョコレート(意味浅)を食べたようです。ついでに、マウンテンくるみにもチョコを食べたか聞いてみましょう。

 

「あー、その、赤いのはちょっとな……」

 

苺チョコはピンクだと思うんですが……。まあ、傷口とかピンク色ですし、是非もないですね。

 それはさておき、りーさんに野菜を食べる許可を貰いましょう。あ、ついでに何があるかも聞いておきます。

 

「ミニトマトなら良いわよ。でも、キャベツは生だと……」

 

菜園ガチャは微妙でしたね。まあ、どちらもビタミンを補えますし、火を入れる必要のある食材なら三階制圧へのフラグが立つから十分です。

 ちなみに、本バージョンではキャベツはちゃんとした姿になっております。収穫済みのキャベツが置かれているのはベータ版(オリジナルドラマ)だけで、製品版(実写映画)ではちゃんとしてますので、誤解なさらぬよう。

 

「えっ、千切りのキャベツとかって生じゃないの?」

「それは生ね。でも、ザルとかで水にさらすくらいはしたいもの。ほら、土が付いてるでしょ?」

 

あれ、生でも食べられるのがレタスで、ダメなのがキャベツだと思ったんですが(素)

 それに、キャベツは葉野菜で、レタスも葉野菜! そこに何の違いもないだろうが!

 

「違うのよ! そもそも、キャベツはアブラナ科でレタスはキク科なんだから」

「へぇ~」

 

ニシローランドくるみと一緒に、りーさんの野菜講義を聞きましょう。一見ロスに見えますが、どうせ全員が起きるまで行動できないので問題ありません。

 それに、りーさんの正気度回復と好感度稼ぎができると考えれば、このイベントはかなりお得です。

 

「おはよー。……アンタら何やってんの?」

「おはよう、柚村さん。今は畑を耕してるのよ」

 

おっと、チョーカー未装備の子が起きてきましたね。

 

「こんな時に何やって……、ああいや、こんな時だからか」

 

うーん、チョーカー装着中の子の正気度は少し減ってそうですね。ゆきちゃんの正気度が予定より下がってしまったので、それに引きずられたのでしょうか?

 まあ、動けるのなら問題ないでしょう。種まき(意味浅)でも手伝ってもらいます。ただ、RTAなので収穫する前に燃え尽きるんですけどね。

 

「いいよ。で、何の種なの?」

「にんじんだってさ」

 

クルミ・クルミ・クルミとタカエが会話していますね。どうやら、ここも問題なさそうです。体力温存も兼ねてサボりましょう。

 

「んんっ……」

 

ゆきちゃんも起きてきましたね。元気がないので、やはり正気度が低いようです。それもこれも、寝坊助(要介護)が真面目に補習してたのが悪い(責任転嫁)

 

「おはよー、ゆき。アンタも種まきやってみる?」

 

早速、チョーカー姐さんがフォローに入りましたね。やっぱり正気度は三年C組コンビに任せるのが一番、はっきりわかんだね。

 では、今のうちにアレを用意しましょう。あ、ここから暫くは会話もないので倍速です。

 

「ふぁ~、おふぁよう、ございまふ……」

 

やっと要介護(めぐねえ)が起きてきましたね。それでは、朝ご飯にしましょう。メニューはこちらです。

 

・主食:アス君の買ってきたヘビースターラーメン

・サラダ:屋上菜園のプチトマト

・デザート:アス君の買ってきた苺チョコ

・ドリンク:水道水(空きペットボトル、水筒の蓋・本体など)

 

実に充実した朝ご飯ですね。

 って、そんな訳あるかーいっ!(ノリツッコミ)

 

「やっぱ、このまま屋上に立て籠る、ってのは無理だよな」

 

森の賢人くるみ(成績は微妙)が口火を切った所さんで、秘密兵器を取り出しましょう。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 はい、畑仕事をさりげなく押し付け、空いた時間に書いた学校の地図です。まあ、縮尺や精度はガバガバですが、細かい事は良いんだよ。

 赤い×印が階段で、青線の場所にバリケードを築く事を提案しましょう。

 

「あー、生徒会室にはキッチンあるもんな」

「確かに、トイレは確保しておきたいわね」

「2Aの机とかでバリケード作るのかい?」

 

早起きトリオは乗り気のようですね。

 

「「……」」

 

一方で、ピンク髪コンビは浮かない顔です。だらしねえな、同じピンク髪のアス君だって頑張ってるんですよ。

 

「それでしたら、職員室も確保しませんか? シャワーもありますし」

 

おっと、要介護(めぐねえ)が参加してきましたね。どうやら、思ったより正気度が高いようです。

 

「確かに。恵飛須沢とか汗臭いもんな」

「くるみでいいよ。でも匂いは嗅ぐな!」

「でも、めぐねえ。それだと塞ぐ場所が多くなりませんか?」

「めぐねえじゃなくて佐倉先生。それに、階段だけ塞げば、かれらも入ってこれないと思うわ」

「……あれ、エレベーターは非常電源で動いたような……」

 

なら、エレベーターは一度3階まで呼んで、扉に物を挟んでおきましょう。扉が閉じない限り、動く事もないでしょうし。

 しかし、シャワーの事は失念してましたね。まあ、有能なNPCがフォローしてくれたので問題はありません。

 高難易度でもNPCが無能にならないのは、がっこうぐらし!の良い所さんですね。もっとも、AIが優秀すぎるせいでガバが生じたりもするんですが。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 気がついたら、(わたし)の手には血の付いたシャベルがあって、目の前には、先輩が転がっていた。先輩の体に傷が増えていく、違う、(あたし)が突き刺している。

 

 ドンッ!

 

 何かがぶつかってきた。そっちを見ると、あたし(ワタシ)を抱きしめている人と目が合った。泣いていた。

「なんでお前が泣いてんだよ……」

また、誰かが立ち上がった。そいつの手にも血が付いている。こいつも、なるのか?

「手、貸してくれない?」

ロッカーに向かう足取りはフラフラしている、けど、呻き声じゃない意味の通る声だ。

「……手伝う、たって……」

「ええと、ロッカーと、洗濯機?」

「運ぶんですか?」

生徒が二人と、めぐねえが、そいつを手伝って、扉を塞いだ。

「バッグの中身、好きに漁っちゃっていいよ。んじゃ、おやすみ」

そいつは屋上のコンクリートの上に笛とリュックを投げだして、倒れ込むように寝転がる。

「あー、えっと、アンタ、園芸部だよな? 悪いけど、なんか布団の代わりになるモン、ないかな?」

派手な化粧の女が、カーディガンを羽織った女に問いかけた。

「ええっと、ブルーシートでも良いかしら? でも、なんで分かったの?」

「サンキュ。分かった理由は、ほら、それだよ」

と指差したのは長靴だった。

「そんなの、学校の中で履く奴なんていないだろ」

「ああっ! 言われてみるとそうね」

「柚村さん、よく見ているわね」

そんな会話で、空気が少し柔らかくなった。

 

 それから、とりあえず自己紹介をして、眠ったはずだ。気がついたら、朝になっていた。

「重い……。陸上部ってミニ四駆や飛行機みたくギリギリまで軽量化してるんじゃあないのかよ……」

誰かが、先輩を持ち上げようとしていた。

「お前、何やってんだ?」

「……ん、ああ。隠さなきゃなあ、ってさ」

「あー……、確かに、ゆきやめぐねえには、見せられないよなあ……」

ゆき、そうだ、そんな名前だった。わたし(アタシ)の為に泣いてくれた人の名前は。ふわふわした意識のまま、この体は立ち上がった。

「手伝うよ、あたしが頭を持つから、えーっと……」

名前が出てこない。

「本官は明日葉(あしたば) 十流(とおる)であります! 階級は三年生で、ブラスバンド部に所属しております!」

そいつ、明日葉が敬礼した。

「ははっ、なんじゃそりゃ。あたしは恵飛須沢(えびすざわ) 胡桃(くるみ)、よろしくな」

自然と笑い、手を差し出していた。明日葉が、(アタシ)の手を取った。血で濡れた、けれど、人を救う為に戦う手だ。……我が身可愛さに先輩を殺した、恵飛須沢胡桃(どこかのだれか)とは大違いだ。

「では、改めて死体遺棄事件を起こしていきましょう」

「警官がやっちゃダメだろ」

そんな軽口と一緒に持ち上げた、先輩の体は軽かった。そりゃそうだ、昨日だって、(ソイツ)一人で運べたんだから。投げ落とす。なら、なんのためにはこんだんだろう。はこんで、ころして、おとして。

「うーん……」

後ろで、何かが動いた。気がついたら、彼女(あたし)はシャベルを手にしていた。違う、ずっと持ってた、ただ脇に抱えていたのを握っただけだ。

「おはよう、恵飛須沢さん、明日葉さん」

「おはよーございまーすっ!」

「おう、おはようさん」

そんな返事を若狭に返す。

「くるみちゃんも食べた?」

明日葉が何かを向けてきた。お菓子の袋だ、イチゴのチョコレート、赤かった。

「あー、その、赤いのはちょっとな……」

「あらら。りーさん、なんか青菜ある? できれば、今すぐ食べれるやつが良いのですが」

「青菜って……。すぐに食べられる野菜ねえ……、黄色いのもあるし、ミニトマトなら良いわよ。でも、キャベツは生だと……」

えっ、千切りのキャベツとかって生じゃないの?

「それは生ね。でも、ザルとかで水にさらすくらいはしたいもの。ほら、土が付いてるでしょ?」

それもそうか。

「あれ、生でも食べられるのがレタスで、ダメなのがキャベツだと思ったんですが。それに、キャベツは葉野菜で、レタスも葉野菜! そこに何の違いもないだろうが!」

明日葉が、何処かで見た画像のような大仰な身振りで叫んだ。

「違うのよ!」

若狭もノリノリで返した。

「そもそも、キャベツはアブラナ科でレタスはキク科なんだから」

「「へぇ~」」

めぐねえも、ゆきも、柚村も、明日葉も、若狭も、誰かの為に動いていた。あたしも、そうなりたい。だから

「なあ、キャベツってどう育てるんだ? やれる事があるんなら、手伝うよ」

そんな風に声をかけてみた。

 

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××、投擲

残りポイント:1


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だいよんわ 3F制圧開始~2-A確保

クソデカLEVEL UPを教えていただいたので初投稿です。


 全編会話パートだったRTA、はーじまーるよー。

 前回は、3階奪還計画を立てた所さんまででしたね。

 

 早速、準備をしていきましょう。まずは「工作」スキルを取得し、高枝切りバサミを改造していきます。筆箱からカッターナイフを取り出し、刃で高枝切りバサミのネジを外せば……。

 はい、枝切りバサ槍さんの完成です。欲しい人を募集しましょう。さあ、今回紹介致しますのは、こちらの枝切りバサ槍! なんとこの商品、従来の製品と比べて半分の重さとなっております! なのに攻撃力は据え置き! 今回はお試し価格という事で、なんと無料で提供させていただきます! 先着2名、欲しい方はお早めに!

 

「「「「「……」」」」」

 

返事がない、ただの……。おっと、この先は不謹慎ですね(手遅れ)

 

「じゃあ、私が持つよ。まあ、使えるかは分かんないけどさ」

「わ、私も持ちます!」

 

チョーカー生徒と佐倉先生がお買い上げですね。お代は出世払いという事で。

 

 それでは、進軍開始です。陣形は以下の通りです。

 

・くるみ(シャベル)

・アス君(サックス)

・めぐねえ&りーさん(ロッカー)

・ゆきちゃん(めぐねえ用バサ槍)

・たかえ(バサ槍)

 

 まずは短距離では最速(長距離も2位)のシャベルくるみが偵察します。その後、アス君と一緒に露払いを行っている隙に、筋力2位と3位がロッカーを運びます。また、保険として殿(しんがり)に筋力4位を配置しています。

 それでは、アス君が扉を開けて突入開始です。まずはシャベルゴリラが駆け下りて、踊り場にいた矛盾塊を排除します。

 

 アス君も突撃しましょう。前衛二人が3階に着いたら、廊下にいる正しい日本語(複数のかれら)を始末します。

 かれらの残骸が残る為、後続の正気度にダメージが入りますが、仕方ないと割り切りましょう。恵体コンビがロッカーを運び終えたら、階段に置いて即席バリケードの完成です。

 

 では、前衛コンビでトイレのクリアリングを行いましょう。ゲームの仕様上、初期状態ではほぼ全ての扉が閉まっています。ただ、トイレだけは扉がなく、個室が開けっ放しなんですよね。なので、稀にかれらが出てきます。

 今のうちに、丸腰コンビには屋上へ戻ってもらいましょう。なお、ここでバリケードに使える物を探すように頼んでおかないと、りーさんが発狂します。(いつもの)

 トイレを確認したら、バサ槍組に隠れてもらいます。机でバリケードを作る際、人手は多い方が良いですからね。

 

「わ、私もやります。生徒だけに任せられません」

「それに、頭数は多い方が良いでしょ」

 

うーん、チョーカーのランサーはともかく、要介護(めぐねえ)は普通に足手纏いなんですよね。屋上の防衛でも頼みましょうか。

 

「それなら、悠里たちがやってくれてるよ。予備のスコップもあったし」

 

……あ、くるみちゃんのシャベル、1本だけじゃなかったんですね。

 

「しゃあねえ、4人で行くか」

 

ああ、諦めないでゴリラちゃん! ……知力1位・3位・4位の説得には、知力無振りのアス君では勝てませんね。ただでさえ「三人に勝てるわけないだろ!」と言いますし。

 それに、制圧するのは2-A教室だけです。まさか一発で確率1%のモンスターハウスを引くなんて……、

 

「ウゥウウウゥ……」×50くらい

 

はい、引きましたね。

 難易度Ultra-HARDでは、1クラス50人となっております。なのでモンスターハウスの上限は、担任と副担任を足して52人です。つまり、ほぼ上限という事ですね(白目)

 現在、窓から教室を覗いた所さんですので、まずは扉を蹴り飛ばしましょう。詩なないまでも、数体まとめて動きを封じる事ができます。

 

「くそっ、窓からも来やがった!」

 

教室の廊下側にも窓があるので、そこを突き破ってかれらが出てきました。B組からD組までの教室にいるかれらはシュレディンガーのかれら現象によって反応しないのが不幸中の幸いですね。

 では、ゴリラちゃんに廊下の防衛を頼んで、アス君は教室に突入しましょう。

 

「ああ、こっちは任せろ!」

 

 まずは落ちている扉に飛び乗り、下敷きのかれらを踏み潰します。そうしたら、廊下に出ましょう。

 

「十流!? おまっ、何やって」

 

はい、正しい日本語が追いかけてくるので、一人ずつ頭を蹴り飛ばしましょう。数に劣る維新志士が使っていた方法ですね。

 終わったら飛び蹴りでダイナミックエントリーして、再び逃げます。で、追いかけてきた相手に後ろ回り蹴り、からの飛び回し蹴りです。

 

 そろそろですね。ある程度かれらが減ったので、教室に突入します。まずはロッカーを開き、すぐさま扉を蹴って閉じましょう。

 

LEVEL UP

 

どうやら、ロッカーの中に矛盾塊がいたようですね。

 はい、RTAのお約束を回収したところで、窓際のかれらから蹴り頃しましょう。その際、出入り口へ気を配るのを忘れずに。放っておくと要介護とか柚村とか佐倉先生とかめぐねえとか恵体教師とかが詩にます。(いっ敗)

 おっと、生徒のランサーがかれらの1体を刺札しましたね。見事な喉への突きです。が、放心状態になってしまいました。

 サックスを投擲して、後続の動きを止めましょう。ここで一つ小技、狙うのは敵ではなく床の適当な傷にします。

 そうすると、「投擲Lv.1」によって狙った通りの場所に当たり、毎回同じ軌道で反射します。1m圏外の相手でも確実に転倒させられる小技です。まあ、素直にスキルレベルを上げれば済む話なんですがね。

 

「……っ、ごめん!」

 

おや、どうやら覚醒たかえになったみたいです。刺し頃しては詩体を蹴り飛ばし、後隙なく攻撃を続けていますね。

 ちなみに、めぐねえは硬直しています。彼女のバサ槍は綺麗なままですね。

 

 はい、無事に2-A教室を制圧できました。これからバリケードを設置していきますが、消耗が激しい槍チョーカーさんには屋上組を呼んできてもらいましょう。こうすれば、りーさんとゆきちゃんが来てたかえさんが休んで、頭数は差し引き一人増えますからね。

 

「ああ……、わかった」

 

やはり、体力と気力が限界のようですね。フラフラと階段を上がっていきます。なお、噛み傷がない事は確認済みなのでご安心を。

 では、めぐねえとシャベルくるみにバリケードを建設させましょう。アス君の筋力は最下位タイなので、運搬に関しては戦力になりません。

 

「みんな、怪我してない!?」

 

おっ、りーさんが来ましたね。手には紐が握られています。え、まさか……(脳裏によぎる紐ルートへの恐怖)

 

(つる)植物を育てる時に、支柱を組むのに使うのよ。ゆきちゃんが見つけてくれたの」

 

さすゆき、やゆN1。正直、今は机を重ねただけのバリケードで済ます予定でしたが、紐があると大幅に時間を短縮できます。

 まずは、机運びを頼んで紐を受け取りましょう。

 

「ええ、任せて」

 

快諾してくれたりーさんから紐を受け取り、机や椅子の足を繋いでいきます。っと、刃物がないですね。

 

「あ、忘れてたわ。これ使って。まあ、とおるさんのなんだけど」

 

どうやら、アス君のカッターナイフを持ってきてくれたようですね。お礼を言って受け取りましょう。(一瞬、そのまま刺されると思ったのは内緒です)

 

「どういたしまして」

 

やはり、りーさんの正気度は高いようですね。流石TYコンビ。

 さて、工作スキルを活かしてバリケードを改造したら、適当なタイミングでOKを出します。アス君が作成担当、筋力上位三名(くるみ・めぐねえ・りーさん)が運搬担当になった事で、切り上げるタイミングをアス君が指示できるようになりました。

 バリケードに強度が求められるのは七日目(あめのひ)以降なので、性能の向上は翌日以降で構わないんです。ただ、NPCに判定を任せると、安全を求めるがあまり可能な限り最高品質のバリケードを作ろうとします。だから、アス君が作成する必要が、あったんですね。

 

「次は階段か……」

 

誰ともなしに呟き、ロッカーの上に机や椅子を置いていきます。最下段をロッカーで嵩増ししているので、こっちは短時間で作成できました。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「じゃあ、私が持つよ。まあ、使えるかは分かんないけどさ」

 そう言って、私は槍を受け取った。だから今、二年生の教室の前に立っている。

 

「「「ウゥウウウゥ……」」」

「「「「「ウゥウウウゥ……」」」」

 それなのに、教室を埋め尽くす程に多い()()()を見た途端、固めたはずの覚悟が()けていく。

「ノックもしてないってのに、熱烈な歓迎だね」

十流が呆れたように呟き、扉を閉める。けれど、その扉についている窓の向こうには、迫り来る大群が

「どうぞ、お構いなくってな!」

蹴り飛ばされた扉に押し潰された。

「くそっ、窓からも来やがった!」

胡桃の声で、意識が廊下に戻る。そっちにも、()()()の群れがいた。

「背中は任せた!」

「ああ、こっちは任せろ!」

十流が教室に飛び込み、胡桃は廊下でシャベルを振るう。と、急に十流が戻ってきた。

「十流!? おまっ、何やって」

「ビンゴっ!」

教室から出てきた()()()が、次々と頭を蹴り潰されていく。その後も、教室に入っては出て、釣られた()()()を蹴り倒していく。

「そろそろですね」

十流が教室に飛び込み、その中で暴れ始めた。胡桃は廊下の()()()を倒している。私の目の前の出入り口から、一体が出てきた。

 怖い。血に塗れた制服、生気のない肌、不気味な足取り。

 

『……あなたは、生き、て……』

 

 ふと、声が聞こえた。名前も顔も知らない誰か、でも、人を傷つけないように自らを封じた尊い人。ああ、そうだ。私は、生きなきゃいけない。だから!

「うあああぁあああああぁああああっ!」

そいつの首に槍を突き立てる。動きが止まった、死んだ。足音。また来た。

「たかちゃん!」

十流が叫んだ。()()が転ぶ。脚に物が当たったみたいだ。()()()の足元に、見覚えのある金属が転がっていた。サックスだ。十流のサックスは新品同然だった。なのに、それを惜しげもなく振るって、私を守る為に戦っていた。昨日、口を付けるパーツを捨てた。今日は、本体さえも捨てた。私を守る為に。

「たかえっ!」

胡桃のシャベルが目の前にあった。()()の腕を阻んでくれた。引き戻す勢いのままシャベルを振り、胡桃は()()()の群れを斬り払う。あいつは、好きな人を殺した道具で、私たちを守ってくれている。二人とも、大切なものを失って、それでも、残ったものを守る為に戦っていた。

「……っ、ごめん!」

死体を蹴って、槍を引き抜く。そのまま、転んでいる()の頭を貫く。

 

 もう、迷いはない。

 

「こっちは任せて!」

めぐねえを背中に回し、槍を構える。これで、十流も胡桃も、誰かの安全に気を配る必要はない。

「「任せた!」」

二人の声に合わせるように、槍を突き出した。

 

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××、投擲

習得スキル
工作

残りポイント:1


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だいごわ 職員室制圧

活動報告を書いてみたので初投稿です。



 低確率ばかり引いていくRTA、はーじまーるよー。

 前回は、3階の奪還を開始し、力天使タカエクシアが覚醒した所さんまででしたね。

 

 今回は、三階の様々な設備を解放していきます。まずは、物理実験室と、その準備室からですね。

「ごめん、待たせたね」

お、覚醒した方のTY(タカエ・ユズムラ)と覚醒してない方のTY(丈槍由紀)が来ましたね。どうやら、背の低い方のYTが背の高い方のYTのメンタルケアをしていたようです。では、全員が揃ったので、軽く方針を話しておきます。

 まず、アス君とゴリラが教室に突撃します。その間、バサ槍持ちはバリケードの警戒をし、りーさんとゆきちゃんには解放した教室を漁ってもらいます。実験室などはモンスターハウス化しても10体程度しかいないので、ほぼ危険はありません。

 つまり、倍速です。

 

 はい、生徒会室まで解放した所さんで、等速に戻しました。そうしたら、一回ここで簡易バリケードを作成します。

「それじゃ、ご飯にしましょっか」

りーさんの指示に従い、被害のない(かれらのいなかった)生徒会室を掃除しつつ昼食の準備をしていきます。メニューは以下の通りです。

 

・主食:カップ麵(各準備室にあった先生のへそくり)

  or ポテトチップス(各準備室にあった部員のへそくり)

・サラダ:千切りキャベツとプチトマトのサラダ(化学室の酢酸・食塩味)

・デザート:一口羊羹(LL準備室のへそくり)

・ドリンク:紅茶(校長室のティーパック)

    or コーヒー(生徒会室のインスタント)

 

朝食との被りがないため、正気度がかなり回復しました。特に、化学室の塩を使ってサラダを用意してくれたのは予想以上のファインプレーですね。これだけで一気に日常っぽさが出て正気度が大きく回復します。

 やっぱり、正気度がある時のりーさんを、最高やな!

 

 では、職員室の解放を始めていきます。厳密に言うと職員室・職員休憩室・職員更衣室(男子)・職員更衣室(女子)の4部屋ですね。

 職員室(広義)の厄介な点は、職員室(狭義)と職員休憩室の間の扉が開けっ放し、という点です。その為、部屋の中のかれらを倒しきったと考えた直後にお替りが来る可能性が高く、かといって閉めに行くと発見されて戦闘になります。

 なので、職員室と休憩室のどちらで戦うかが重要です。アス君は回し蹴りや楽器で薙ぎ払う動きが多いので、遮蔽の少ない休憩室で戦いましょう。逆に、突きを主体にするなら机の多い職員室がオススメです。

 ちなみに、シャベルは薙ぎも突きもできるので、くるみちゃんは場所を選びません。もはやゴリラを通り越してゴジラと言っても過言ではありません。(過言です)

 

 と、いうわけで、職員室制圧作戦を開始します。前衛はアス君とゴジラザウルス(変異前のくるみ)で、後衛は残り全員です。

「いいえ、先生も戦います」

めぐねえが参戦してきましたね。ですが、バリケードは現在2箇所で、戦闘要員も二人です。大人しくバリケードの警備をしてて、どうぞ。

「バリケードなら、若狭さんと柚村さんが対処してくれます」

あ、そういえば、りーさんもシャベル装備してましたね。……、正気度が高いのに余計な事をするりーさん、初めて見ました。

 え、これどうしましょう。ぶっちゃけ、元教師は当然めぐねえと顔見知りなので、正気度が大きく下がるんですよね。クルミザウルスとアス君なら、今まで面識がなかった事から、どの教師が相手でも面識の薄い方がフォローに入れます。ですが、めぐねえがいると常にどちらかが要介護のフォローに入るハメになって、その間に顔見知りの先生と戦えば正気度が減るなら良い方、最悪噛まれる可能性すらあります。

 まあ、動揺したアス君が噛まれるか、アス君をクッルーゥミがフォローしている隙に要介護(めぐねえ)が噛まれるか、の二択なんですがね。ちなみに、シン・クルミはめぐねえ以外なら担任でも顧問でも躊躇なく処理します。ゴジラだってもう少し動揺すると思うんですがねえ……。

 

 さて、言い合いの末にめぐねえも同行する事になりましたね。知力4位のゴリラと知力トップの要介護では、仕方ありませんね。

 こうなると、休憩室から攻略するのは正解でしたね。どさくさ紛れに禁書(マニュアル)を回収される可能性がないだけマシです。では、行きましょう。

デッデデデデデ! デーン! デデデデ!

 

「1、2の、3、で行くぞ」

ゴジラちゃんが扉に手をかけたら、少し下がって助走を付けましょう。

「1!」

クラウチングスタートの構えを取ります。

「2の」

発射台は要介護(めぐねえ)で代用します。

「3っ!」

扉が開くと同時に突撃し、飛び蹴りでかれらを纏めて吹き飛ばしましょう。着地と同時にしゃがみ、シャベルの薙ぎ払いを回避します。その後、腕を軸にして回し蹴りし、あとは倒れている元教師を踏み潰していきましょう。

 こうすれば、第一陣は顔を見る事なく行動不能にでき、比較的面識の薄い相手から始末できます。この中に担任や顧問がいれば楽なんですが、反応が薄いのでいないようです。

 では、扉を確認しましょう。更衣室はどちらも閉まっているので大丈夫ですね。職員室からお替りが来ましたが、まあ問題はありま

「神山先生……!」

したね。要介護(めぐねえ)が恐慌状態になりました。しかも、アス君もフリーズしてます。彼の担任も神山先生だったみたいですね。

 おまけに、他の教師も大量に来ています。数はおよそ10体、どうやらモンスターハウスだったようですね。(白目)

「とーる!? めぐねえ!? ……くそっ!」

難易度Ultra-HARDだと、実は恵飛須沢胡桃(無辜の怪物(ゴリラ):A)が弱体化しているんですよね。具体的に言うと、逃げられない状況で10体以上のかれらに囲まれると対処しきれず、噛まれたまま暴れて殲滅します。アキレウスかよ。

 まあ、陸上部のスピードも併せ持つゴリラなので、意図的に閉じ込めない限り走って逃げられるんですけどね。クーフーリンかよ。

 ただし、動けない状態の味方がいる場合は精神的に逃げられません。……つまり、今ですね。

 

 仕方がないのでリセットしましょう。最後にセーブしたのは……、あれ? そもそもセーブしましたっけ? してませんね、一回も。

 

 え、これ無理じゃね? くるみちゃんの実力では、雨の日に女子トイレの中のゆきちゃん一人を守るのでも精一杯だったのに、すぐ隣にいる二人を守りながら戦うとか。しかも今のくるみちゃんは、覚醒素材先輩で童貞を捨てた(札人を経験した)ばかりであり、生への執着が最も薄い状態です。

 アス君や要介護(めぐねえ)を庇って噛まれる、とか普通に起こりえま……。……庇う? 行けるか? 賭けの部分は多いが、いや、やるしかない!

 

 2-A教室(モンスターハウス)で稼いだ経験値で「全力」を取ります。これは、武器が壊れやすくなる、いわゆるデメリットスキルです。が、このタイミングで取得する事で「鳴らないサックス」が握力によって壊され、地面に落ちて音を立てます。

 これで、神山先生だったかれらの標的がアス君に固定されました。

 賭けその一、めぐねえがアス君より先に噛まれたらアウトです。

「とーるっ!」

よし、めぐねえの近くには何もいませんね。

 賭けその二、バスターゴリラが庇いに来なかったらアウトです。

「ああもうっ!」

来てくれましたね。まあ、ここは同時にめぐねえが襲われてない限り、確定で来てくれます。

 賭けその三、バスタークルミが「庇う」を選ばなかったらアウトです。かれらを倒す、要救助者を吹っ飛ばす、では状況が改善しませんからね。めぐねえが襲われた時に噛まれて詰みます。

「これで、」

よし、庇ってくれました。

 賭けその四、元神山先生が首筋を狙ってくれなかったらアウトです。

「いいんだよな……」

今、くるみがアス君を正面から抱きしめている状態で、彼女の後ろにかれらがいます。

 賭けその五、最後の賭けは、この状況でアス君が覚醒する事です。このバージョンではプレイヤーキャラにも正気度があるので、覚醒もするんです。そして、プレイヤーキャラの覚醒条件は基本的に「信頼イベントを起こした相手が危機的状況にある」です。

 じゃあ無理だろ、と思う方もいるかもしれませんが、上の条件には一つ例外があります。それは「信頼イベントを起こせる状況でないと信頼イベントは発生しない」という点です。

 つまり、職員休憩室での戦闘から庇う瞬間までに、くるみからアス君への好感度が信頼イベントの条件に達していて、かつアス君が覚醒に成功する乱数を引く事ができれば、この状況を突破できます。

 なお、戦闘中のくるみちゃんは好感度によらずフォローしてくれるので、好感度があるかは分かりません。むしろ、覚醒素材の遺棄と菜園での作業しかしていない現状で、好感度が足りている可能性の方が低いでしょう。

 

【うるせえよ】

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

【と、いうわけで、まずは食堂に向かいましょう。】

 突然、そんな声が聞こえてきた。確か、この何か、が起きる直前の事だった。

「まあ、暇だし」

その声に従う事にした。就職先は決まってるから勉強をする必要はないし、ギター部が音楽室を使う日だし、モールまで足を伸ばす気分でもないし。

 

 それから、声に従って動くと色んな事が上手く行った。めぐねえとゆきちゃん、たかえちゃんも無事だったし、拠点にできそうな生徒会室も確保できた。

 あの声の言う「投擲スキル」とか「工作スキル」のおかげもあって、僕は今まで以上に動けている。だから、自分の実力と声への信頼……、何より、頼れる友達への信頼もあって、油断していた。

「……そう、だよな」

()()を殺す事は簡単だけど、人を殺すのは簡単じゃない。目の前にいるのは代名詞でぼやかす事のできる何かじゃなく、どうしようもない程に神山(担任の)先生だった。

「ああ……」

分かっている。めぐねえは動けない。くるみちゃん一人には任せちゃいけない。僕が動くべきだ。でも、それでも……、

「あぁ……」

動けない。楽譜を度忘れした時に即興で演奏したり、マークシートに2を連打したり、そんな苦し紛れもできない。

「……」

パキリ、と手元でサックスが折れた。悲しいとも思えない。高校入学のお祝いに貰った相棒で、こうなってからは戦友だったはずなのに。

「これで、」

体が何かに包まれる。

「いいんだよな……」

抱きしめられた。くるみちゃんだ。

【なお、戦闘中のくるみちゃんは好感度によらずフォローしてくれるので、好感度があるかは分かりません。むしろ、覚醒素材の遺棄と菜園での作業しかしていない現状で、好感度が足りている可能性の方が低いでしょう】

ムカついた。足掻いているようで諦めている声にも。自分の命をなんとも思っていない少女にも。何より、ただ怒っているだけの自分にだ。

「うるせえよ」

弱音を吐く暇があったら動け! 拳を強く握り、サックスの破片を掌に突き立てる。痛みはある、体は動く!

「ガァアアアっ!」

くるみちゃんと自分の位置を入れ替えつつ、足を振り上げ、神山先生の頭を蹴り飛ばす。

「普段のお前の方がうるさいだろ!」

そう叫びつつ、くるみちゃんがシャベルを握り直す。

「そりゃ失礼。今後はパントマイムに、徹しよう!」

嘆きも感謝も抱えて、それでも止まらず、日本史の先生の足を払う。

「まあ、静かなよりはマシだけどさ!」

彼女も、シャベルで生物の先生の頭を潰した。アイコンタクト。めぐねえの防衛をくるみちゃんに任せ、彼女たちの後ろに回り込んだ人から蹴り殺す。

「これでっ、」

「ラスト!」

飛び回し蹴りと、首への突き。体育の先生の首が吹き飛んだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 アス君がくるみちゃんを軸に回転し、回し蹴りでかれらと化した神山先生の頭を破壊しました。それにしても、このゴリラ体幹が全くブレませんね。

 ……えー、はい、無事に覚醒しました。…………………………っしゃあっ!(渾身のガッツポーズ)

「普段のお前の方がうるさいだろ!」

文句を言いつつ、くるみ姉貴も戦闘モードに入ります。

「まあ、静かなよりはマシだけどさ!」

はい、ゴリラ姉貴にめぐねえの防衛を任せて、アス君は彼女たちが囲まれないように数を減らしていきます。タイマンならゴジラ姉貴は負けません。

「これでっ、」

ラスト! 首にシャベル、頭にキックをお見舞いして、最後の1体も倒しました。

 

LEVEL UP

 

 レベルアップしましたね。おそらく、連携攻撃によるフィニッシュが信頼イベントなのでしょう。その証拠に、レベルアップしたにも関わらず経験値バーが長いままです。

 では、職員室の中を確認し、残党がいない事を確認しましょう。よし、いませんね。更衣室も確認して……、いませんね。

 

 安全を確認できたので、エレベーターを呼びましょう。音に釣られて階段から来る連中は、キャスター付きの椅子を落っことして迎撃しましょう。スタミナが残り少ないので、楽できる所さんでは楽をしましょう。

「来たな」

エレベーターが来ましたね。ここはシャベルの一振りで処理できます。モンスターハウスの乱数を引いたとしても、エレベーターの重量制限があるので大した数にはなりません。むしろ、逃げ場がない分だけ楽まであります。

「いないな」

どうやら、今回は誰も乗っていない乱数を引いたようですね。では、適当な物を置いて扉が閉じないようにしましょう。

 これで階段以外は封鎖できましたね。後は、後衛3人と戦力外1人にバリケードを作ってもらえば制圧完了です。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××、投擲、工作

習得スキル
全力

残りポイント:1


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だいろくわ 第一次物資回収

今月最後の初投稿です。


 神山先生の屍を超えて進むRTA、はーじまーるよー。

 前回は職員室を制圧し、主人公のアス君が覚醒した所さんまででしたね

 

 さて、皆さまは七日目<あめのひ>を乗り切る条件を覚えておりますでしょうか?

「故意感染ルート」の「霞身」兄貴姉貴によると、イベントを素早く終わらせる校内放送の発生条件は、

 

・元生徒の『奴ら』を確認する〇

・教室に集まる『奴ら』を確認する〇

 

・混雑時(昼)の食堂を確認する

・非混雑時の食堂を確認する

 

・夜間には『奴ら』が減ることを確認する

・朝から増えてくることを確認する〇

 

の3組です。〇の付いているものは、既に確認済みです。え? 朝から増えてくる事は確認してない? 朝の畑仕事の最中に確認済みです。ちょっと外を見れば済む話ですからね。

 

 なので、既に下校時刻である今「非混雑時の食堂を確認する」を行いたいと思います。まずは、購買と調理実習室を覗く事を提案しましょう。

 

「もう、今日は休んでもいいんじゃないかしら……」

 

やはり、要介護(めぐねえ)が反対してきましたね。まあ、説得材料はあります。りーさん、食料の残りはあるかね?

 

「それは……、そうね、ほとんどないわ」

 

次に、くるみちゃん。このままだと、シャワーを浴びてから、また血まみれの制服を着る事になるよ?

 

「だよなあ。……それに、とーるの靴も変えないとマズいだろ」

 

あ、そうでしたね。カポエイラのせいで耐久度の減少が早いんですよね。普通なら、一足あれば十分なので忘れてました。

 

「けど、胡桃も十流も疲れてるだろ?」

 

チョーカーさんが心配してくれますが、押し通します。もし、二階にかれらが大量にいたら諦める、と譲歩しましょう。

 

「そうね。生鮮食品とか、今のうちに保存が利くように料理したいもの」

「わかったよ。でも、危ない事はなし。奪って逃げるだけだからね」

 

りーさんとチョーカーさんが賛成に回ってくれました。では、作戦を立てましょう。まずは二階の地図を出します。これも、後衛組+要介護(めぐねえ)がバリケードを作っている間に作成しました。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「バックヤード?」

「確か、倉庫だったり、休憩室だったりする場所よね」

「あれ? 倉庫って、一階にもなかったか?」

「って事は、こっちのバックヤードはただの休憩室か」

 

そうなると、食料は厨房で、服は購買で買うしかないですね。厨房で食料を確保し、一人か二人を購買に派遣して服を回収しましょう。

 もうすぐ下校時刻なので、食堂にいる人も少ないはずですし、厨房から投擲物で誘導・処理できます。

 

「よし、じゃあ購買には……あたしとゆきで行くか」

「え、わたし!? とーくんじゃなくていいの?」

「十流と胡桃は分けるべきだろ。私も一応は戦えるけど、自衛くらいしかできないよ」

 

ごりらちゃんとゆきちゃんが購買に行くみたいですね。ゆきちゃんなら全員に合うサイズの服や靴を判別できますし、護衛兼荷物持ちのクルミがいれば問題ないでしょう。

 また、厨房に「料理」と「目利き」を持つりーさんが残るのも必要です。運搬兼要介護のめぐねえは監視しておきたいですし、たかえとの二人態勢を取れるのはうま味<あじ>です。うん、最適なチーム分けでしょう。

 

「それじゃ、出ぱーつ!」

「待って、ゆきちゃん。その前に、鞄を持ってこないと」

「あ、りーさん頭いい!」

 

では、鞄を用意している間に校長室の元校長<かれら>からマスターキーを奪ってきましょう。合流して二階に降りるまでは倍速です。

 

 はい、二階に着いたら、まずは階段で待機します。ゴリラが厨房に入り、処理したタイミングで非戦闘員を護衛しつつ厨房に向かいましょう。

 あ、やっぱり購買のバックヤードから飛び出すかれらがいましたね。靴の耐久度がギリギリなので、帰り道を考慮してカッターナイフで処理しましょう。

 刃を伸ばし、首に突き立ててカウンターします。カッターナイフは破損しても刃が折れるだけであり、刃を伸ばすか変えるかすれば再利用が可能です。しかも確定で破損クリティカルが出せる上に、破損時はかれらの体内に刃が残るので出血も少ない優れものです。

 

「……来たか」

 

食堂を監視していたクルミ・クルミが振り向きましたね。その顔には疑念が浮かんでいます。

 

「一人しかいなかったぞ。食堂(あっち)も、ほら」

「少ないわね……」

 

よし、「非混雑時の食堂を確認する」をクリアできましたね。

 

「何はともあれチャンスだね。廊下にもいなかったし」

 

では、手はず通りに進めましょう。まず、アス君には「持ち運び」スキルを習得させます。職員室でレベルアップした分を使います。

 この「持ち運び」スキルは、あくまで()()の持ち運びにおけるデメリットを無効にするだけであり、積載量を増やす事はできません。逆に言えば、積める限り積み込んでもデメリットが発生しないという事です。

 まずは、しゃがみ状態になって適当なバッグを1つ背負いましょう。次に、両肩に米袋10kgを1つずつ担ぎましょう。で、立ち上がります。

 しゃがみ状態になって、腰ではなく足で持ち上げる。現実世界でも有効な持ち運びテクニックですね。

 更に、頭の上に炊飯器でも乗せてもらいましょう。りーさん、その炊飯器ちょうだい!

 

「え、炊飯器? 乗せるの? 頭に?」

 

疑問符を大量に浮かべつつ、アス君の頭に炊飯器を乗せてくれました。本来、頭の上に物を乗せると、バランスを取る為にQTEが必要という()()()()()があります。が、デメリットなので「持ち運び」で踏み倒せます。

 では、厨房の警備をチョーカーネキに任せて、アス君は三階に戻りましょう。一回、汚染の少ない職員更衣室に置いて戻ってきます。

 

「ん、ああ、分かった。とりあえず、主食は確保できたな」

「私も着いて行っていいかしら?」

 

あ、りーさんも荷物を置きに行くんですね。では、未来の学園生活部部長をエスコートしつつ階段を上り、職員更衣室に炊飯器と米と食材を置きましょう。

 荷物を置いたら厨房に戻ります。まだまだ生鮮食品はありますからね。

 

「触るな!」

 

! くるみちゃんの声ですね。厨房は無視して購買に向かいましょう。あ、りーさんは先に厨房に戻っててください。

 

「わかったわ、二人をお願い!」

 

正気度が高いのか、聞き分けが良くて助かります。では、改めて購買へ向かいましょう。

 

「……ごめん、ごめんね……」

「あ……、違う、ちがうんだ……」

 

えー、ゆきちゃんがうずくまって泣いていて、くるみちゃんが立ちつくしていますね。周囲にかれらの姿はありません。

 え、何があった? 知力が再下位タイのアス君では、状況の判断も聞き取りもできません。とりあえず、カポエイラの基本ステップであるジンガを踏んで、ワンパターンボーナスでも稼ぎましょう。

 ワンパターンボーナスとは、スキルに合う動作を何回も行う事でスキルのレベルアップを行えるシステムです。え? 強化禁止じゃなかったのか?

 今回の縛りは、あくまでポイントをスキル習得にのみ使う、という縛りです。ポイント振り以外の方法で強化する事は、縛りに抵触しません。

 え? そんな解説している場合か? うるせえ、走者も混乱してんじゃ!(開き直り)

 

「えーっと、何があったの?」

 

あ、話上手姉貴が来ましたね。そういえば、今回のりーさんはシャベルを装備していました。だから、自衛くらいは、できるんですね。

 ちなみに、りーさんのシャベルは不壊属性ではありません。検証の結果、覚醒イベントで恵飛須沢胡桃が先輩を頃した場合、使った武器の耐久が無限になると分かりました。

 ここで精密ドライバー等の使い捨て緊急回避アイテムを使うと、何度でもカウンターを繰り出す事ができます。ただ、無限になるのは耐久だけなので、銃を使っても弾数は有限のままです。なぜか制音器(サプレッサー)や銃剣は付けている間のみ無限耐久になりますがね。

 

「あー、落ち着いたか?」

 

はい、冷静になりました。では、チョーカー師匠が調査した情報を基に作成しました再現VTR、どうぞ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 由紀と胡桃は、バッグを二つずつ持っていた。

「うし! これで大丈夫だな」

胡桃が棚を倒して、美術室側の扉にバリケードを作った。

「おぉ~、くるみちゃん力持ちだね」

それを見て、由紀は目を輝かせた。

「そうかあ? それより、さっさと集めちまおうぜ」

「うん!」

 

 それから、二人は順調に荷物を集めた。全員分の制服(なぜか男物も)とジャージ、下着、更に十流の分の上履きも調達した。

「あ、ホテチ持ってこうよ!」

「嵩張るし微妙じゃね? そっちのフルブリングにしようぜ」

「筒のやつ?」

「それそれ」

なんて言いながら、床に置いたバッグに荷物を詰めていった。

「あとは……、ウェットティッシュでも隙間に入れてくか」

「らじゃ!」

そうやって、詰め込めるだけ詰め込んだバッグは、結構な重さになった。

「う~、重い~」

由紀は、一つ背負うだけで精一杯だった。

「持つよ」

両肩に一つずつバッグを吊るしていた胡桃が、最後のバッグを取った。その時、シャベルは床に置いていた。さっきまで両手で荷繕いしていたから。

「じゃあ、シャベルはわたしが持つね」

少しでも胡桃の負担を減らす為に、由紀は最後の荷物を持とうとした。

「触るな!」

胡桃が由紀の手を弾いた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 どうやら、くるみちゃんは「ブランケット症候群」の精神異常を発症していたようですね。

 ブランケット症候群――或いは「ライナスの毛布」とは、スヌーピーのキャラであるライナスが常に毛布を持ち歩いている事に由来する、特定の物を常に手放さない依存状態です。

 このゲームでは、依存対象が奪われそうになると一時的に正気度が減少し、短絡的に取り返そうとします。そして、取り返すと正気度が本来の値に戻ります。

 つまり今回の場合、

 

1. ゆきがくるみのシャベルに触れる(奪おうとする)

2. くるみの正気度が一時的に減少。ゆきを突き飛ばす。

3. ゆきの正気度が下がる。

4. くるみの正気度が回復する。自分の行いを把握し、正気度が減少する。

 

という流れですね。…………、なんだこれ地獄かな?(なお、外の状況)

 せめて喧嘩になっていれば良かったのですが、自罰的な状態では正気度が減少する一方ですね。とりあえず、シャワーでも浴びてきてもらいましょう。

 

「……ああ、少し頭冷やしてくる」

「……、え、でも、とーくんの方が汗かいてるのに……」

 

渋るゆきちゃんには、やりたい事がある、と言って断りましょう。実際、今のうちにやっておきたいですからね。

 それでは、厨房に戻って荷物を回収してから、三階に帰りましょう。炊飯器をもう一つと、バッグ2つを持っていきます。

 

 はい、三階に着いたら、まずは職員休憩室の詩体を捨てていきましょう。「持ち運び」スキルがあれば、工夫して持ち上げた者を運ぶ事もできます。これで、一人で死体遺棄が可能になりました。

 それと、捨てる前にポケットを漁っておきましょう。スマホと財布、教師からは更に車の鍵を入手できます。

 無事に職員休憩室を綺麗にして、シャワーを浴びられる状態まで復旧できました。ちょうど、食材も生徒会室に運び終えたようですね。

 

 えー、シャワーの順番ですが、ゆきちゃん&くるみ(女子更衣室)、めぐねえ&たかえ(男子更衣室)、りーさん&アス君(空いた方)の順番になりましたね。りーさんは料理をする為、アス君はやりたい事がある為、辞退した形です。

 では、まずは物理実験室に向かいましょう。実験用の振り子や上皿天秤用の錘、スマホを使ってボーラを作っていきます。

 今回作る簡易ボーラは、2つの手頃な重量物を紐で繋いだ道具になります。これを回してから投げる事で、相手の足などを縛って転倒させる事ができます。また、単純に重量物なのでダメージも期待できます。

 特に、投擲武器なので「強肩」スキルでのノックバックは転倒を誘発するボーラと相性が良く、転んで頭を打って詩ぬ事も期待できます。また、手にした武器が壊れやすくなる「全力」スキルも、着弾時には手放している投擲武器には適用されません。

 

【あ、これロックないや】

 

おっと、ロックのないスマホは別で使うので取っておきましょう。指紋や網膜・顔認証も詩体を使えば突破できるので当たりですね。まあ、今回は既に詩体を遺棄しているので手遅れですが。

 

 よしよし、大量にできたので配っていきましょう。ボーラは用途を説明すれば非殺傷武器扱いになるので、ゆきちゃんやめぐねえも装備できます。特にゆきちゃんの射撃センスなら、的確にかれらを倒してくれるでしょう。

 なお、このバージョンではNPCの武器も耐久・弾数は有限です。ただ、ボーラは修理も簡単なので、七日目<あめのひ>でも最終日でも使用できます。

 では、配っていきましょう。

 

「あ、とーくん!」

「あら、もう終わったの?」

「……ん、おう」

 

ゆきちゃんは……元気そうですね。ちゃんと仲直りできたようです。

 りーさんは料理中ですね。一つしかないコンロでカレーを作り、炊飯器でご飯を炊いているようです。いや、片方の炊飯器では何かを作っていますね。

 そして、くるみちゃんは顔が暗いですね。ただ、野菜をみじん切りにする気力はあるようです。というか、まな板や包丁も持ってきたんですね。

 

「ちょうどいいわね。とおるさん、このお鍋をテーブルに持ってってくれる?」

 

おかのした。

 

「ゆきちゃん、ひき肉取って。くるみ、野菜ちょうだい」

「らじゃ!」

「おう」

 

どうやら、りーさんはそぼろ煮を作るようですね。大量の塩分で腐敗を防ぐ、というのは理にかなっています。

 そうだ、要介護<めぐねえ>のいない今のうちに、ボーラを渡しておきましょう。好感度を稼ぐには良いタイミングです。

 

「ありがとう!」

「サンキュ」

「あら、くれるの? ありがとう、大事にするわね」

 

レベルアップはしませんでしたね。まあ、いいでしょう。(KMNライダーSLMN)

 劇的なイベントではなく、こうして少しずつ好感度を稼ぐ方が、依存される確率が下がりますからね。

 

「上がったよ」

「お待たせしました」

 

おお、チョーカー生徒と要介護教師も来ましたね。では、アス君もりーさんと一緒にシャワーへ向かいましょう。

 ここで、りーさんの好感度を稼ぎます。バリケード作成などで少しずつ甘えていましたし、ボーラを渡した時の反応を見るに嫌われている事はないはずですが。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××、投擲、工作、全力

習得スキル
持ち運び

残りポイント:0


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だいななわ シャワー~夜の読書

今月最初の初投稿です。


 説明ばかりしていたRTA、はーじまーるよー。

 前回は、厨房と購買から物を盗んできた所さんまででしたね。

 

「盗む……。確かに、お金払ってないものね」

 

現在、アス君とりーさんは更衣室で服を脱いでいます。残念ながら、声は聞こえますが姿は見えません。これは全年齢版だからではなく、単に間仕切りがあるからです。R-18版なら二人で一つのシャワー室を使えるから時短になるんですけどね。

 閑話休題。りーさんの正気度を保つ為に、お金を払う事を提案しましょう。まあ、現金は災害用の自販機を使うのに必要なので、小切手でも使いましょうかね。

 

「小切手? ……ああ、映画とかでお金持ちが、好きな金額を書きたまえ、ってやるアレね」

 

……まあ、間違いではありませんね。

 

「でも、とーるさんの言いたいのは借用書だと思うのだけど……」

 

そうとも言います。

 

「そうとしか言わないわよ。あ! それなら家計簿も書きましょう!」

 

家計簿は良いですね。物資が枯渇しない限り、りーさんの正気度を維持できます。また、単純に何が幾つあるかも把握できるので、遠足や肝試しで見に行く場所を絞る事ができますからね。

 賛成しつつ押し付けましょう。アス君の知力では役に立ちませんからね。

 

「ええ、任せて」

 

LEVEL UP

 

レベルアップしました。地道に好感度を稼いだ甲斐がありましたね。なお、レベルアップしたにも関わらず握手が行われないのは、単に手を握れる場所にいないからです。

 うーん、驚くほど順調ですね。正気度が足りているりーさんは有能、はっきり分かんだね。行動が軒並み自主的である事を考えれば、正気度が高く見えるだけ、ではなく実際に高いとみて間違いないでしょう。

 ……ん? りーさんが順調なら、ケアすべきは要介護(めぐねえ)だったか? いえ、要介護(めぐねえ)は夜の見張りで好感度を稼ぐからロスではありませんね。あのイベントを起こすわけですし、見張りをスキップするわけにもいきません。

 

 生徒会室では、佐倉慈(ようかいご)が料理の続きをしていますね。流石は独身の社会人、作り置きが手慣れています。

 それでは、夕食にしましょう。メニューは以下の通りです。

 

・主食:カレーライス(具材は細かく切ってある)

・サラダ:浅漬けの端材で作ったサラダ

・デザート:購買のロールケーキ

・ドリンク:ホットミルク

 

………………、マジか。二日目の夕飯としては、今までにない充実ぶりですね。

 

「「「「「いただきます!」」」」」

 

くるみとアス君を含めた全員が、すごい勢いで食べ進めていきます。肉を細切れにした事で、戦闘要員でもフラッシュバックが発生しなかったようですね。更に、カレーの香りで食欲を増進させて、昼にポテトチップスしか食べてなかったゴリラ・チョーカー・アス君の満腹度が大きく回復しました。

 では、一服したところで見張りの件を切り出しましょう。

 

「そうね……、悪いけど、私は参加できないわ。ガスが止まる前に、もう少し料理しておきたいのよ」

「あー……。水と電気は龍征貯金の設備があるけど、ガスはないもんな。私も手伝うよ」

「わたしも手伝う!」

 

りーさん、たかえ、ゆきちゃんの3人が保存食を用意してくれるようですね。あれ、学校のガスってプロパンだから止まらない気が……、いえ、正気度と好感度を勝手に高めてくれるし放置しましょう。

 

「では、見張りは先生が行います」

「とーる、どっちがやる?」

「恵飛須沢さん!?」

 

アス君がやります。が、ゴリラには早起きしてもらい、途中で変わってもらいましょう。めぐねえの見張りは任せてください。

 

「明日葉さん!?」

「いいよ。朝練で慣れてるし」

 

では、見張りをする……前に、七日目(あめのひ)を乗り切る条件を確認しましょう。

 「【SZKちゃんで】がっこうぐらし_全員生存ルート」の「黒巛清流」兄貴姉貴によると、イベントを素早く終わらせる校内放送の発生条件は、

 

・元生徒の『奴ら』を確認する〇

・教室に集まる『奴ら』を確認する〇

・非混雑時の食堂を確認する〇

・朝から増えてくることを確認する〇

 

・夜間には『奴ら』が減ることを確認する△

・混雑時(昼)の食堂を確認する

 

ですね。今回は夜間の確認に加えて、緊急避難マニュアルのイベントを行います。

 数々の先駆者兄貴姉貴を苦しめてきた禁書(マニュアル)ですが、これを要介護(めぐねえ)と主人公だけが読む方法を発見しました。

 

 では、禁書(マニュアル)への対処を行うまで倍速しま……、せん。廊下で待機していると、りーさんが来ました。

 どうやら、寝る前に差し入れを持ってきてくれたようです。なんか、妙に優秀ですね……。るーちゃんが生存しているのでしょうか? そうなると、この後の揺り戻しが怖いですね。

 なお、ULTRA-Hardでは、るーちゃんの確定生存日数は一日のみです。なんと、二日目の午前中には詩んでいる可能性があります。また、アウトブレイク前に詩んでいる場合が大半なので、本チャートではるーちゃん救出は諦めました。

 

 では改めて、禁書(マニュアル)への対処を行うまで倍速します。まあ、薄暗い廊下でひたすら座っているだけなんで、多少はね?

 さて、差し入れのコーヒーも飲み終わり、見張りを除く全員が寝静まった頃なので、行動していきましょう。

 まずは、要介護(めぐねえ)にバリケードの見回りに行く、と伝えましょう。

 

「わかりました。気をつけてくださいね」

 

了解を得たら、まずは教室側のバリケードを確認しましょう。まあ、かれらも来てないので損傷はありませんね。

 では、寝室にしている放送室の前まで戻り、要介護(めぐねえ)に異常がなかった事と、職員室側のバリケードも確認する事を伝えます。

 

「私が見てきましょうか?」

 

と気遣ってくれますが、アス君が行くと伝えましょう。説得は、ついでにトイレに行く、とでも言えば十分です。

 

「あ、そうですか」

 

無事に了解を取れたので、職員室に向かいましょう。

 バリケードにもエレベーターにも異常なし。ついでにしていきますか。トイレで用を足して、顔を洗って眠気を覚ましましょう。

 では、要介護<めぐねえ>の所さんに戻ります。

 

「あの……、少し、見張りを任せていいですか?」

 

ヨシ!(現場猫)

 これで要介護(めぐねえ)もトイレに向かってくれますね。もちろんOKを出します。そして、この時に要介護(めぐねえ)が向かうトイレは、先ほどまでアス君が使っていた、職員更衣室のトイレです。

 これで、トイレから出た後、要介護(めぐねえ)が職員室にある禁書(マニュアル)を確認しに行ってくれます。水音がしなくなってから……、よし、そろそろ確認しに行きましょう。

 まずは、シャワー室でりーさんから搾り取った(意味浅)ポイントで「忍び歩き」を取ります。これで足音がなくなったので、要介護(めぐねえ)にバレないよう、こっそりと職員室に突撃します。

 はんなま~。(奇策な挨拶)

 

「ひっ! あ、明日葉さん……」

 

明らかに、後ろ手に何か(マニュアル)を隠していますね。では、奪い取っていきます。

 まずはボーラをプレゼントします。ここでは「投げる」ではなく「渡す」を選びましょう。敵対状態になりますからね。(1敗)

 

「……あ、ありがとうございます」

 

右手だけを差し出してきましたね。なので、ボーラを渡したら、すぐに要介護(めぐねえ)の左側に回り込み、持っている物を奪います。

 

「あっ!」

 

では、中身を読みましょう。そして、この時、裏表紙から開きます。

 

【連絡先……なんでランダル? このページは地図で……、っ!】

 

読み終わると同時にアス君の正気度が減少していきますね。正気度が大きく減ると、何らかの精神異常が付与されます。例えばシャベルクルミの「ブランケット症候群」とかですね。

 そして、今回の正気度減少で付与されるのは、確定で「憎悪(ランダル)」になります。この事件の黒幕がランダルだ、と理解したからですね。

 ランダルの名前を連絡先で確認後、最も正気度の減少が大きい2ページと3ページを確認する事で、怒りの矛先がランダルに向いて「憎悪(ランダル)」になります。

 

【ランダル……、ランダル、ランダル、ランダルゥウウウッ!】

「十流、さん……」

 

この「憎悪(ランダル)」が発症すると、かれら札傷などランダルが原因となるストレスによる正気度の減少がなくなります。また、要介護<めぐねえ>の精神異常「自責」を無効化・緩和する事が可能になります。

 現に、今も要介護<めぐねえ>が「私たち大人のせいで……」とか言い出していません。ランダルに責任を押し付ければ、要介護<めぐねえ>たち一般の大人は悪くない事になりますからね。自滅確率が大幅に下がりますので、安定を取るにはオススメです。(自滅しないとは言っていない)

 さて、アス君が冷静になった所さんで、禁書<マニュアル>を他の生徒に見せるか相談しましょう。見せると正気度こそ下がりますが、地下から大量の物資を搬出できます。見せないと正気度は維持できますが、地下の物資を持ち出しにくくなります。

 

「………………、少なくとも、一階を安全にするまでは、言わない方が良いと思います。明日葉さんも、一人で調べに行ったりしないでくださいね」

 

アス君の暴発を懸念して、伝えない事が選択されましたね。正直、ここはどちらでも構わないので、要介護<めぐねえ>の指示に従いましょう。

 「憎悪(ランダル)」の良い点は、ランダル関係者が相手でなければ暴走しない点ですね。なお、ランダルの職員などと接すると瞬時に敵対状態になりますが、皆かれらか遺体になっているので(問題)ないです。

 

 では、再び放送室の前に戻って見張りを行いましょう。要介護<めぐねえ>には、顔を洗ってから戻ってくるように伝えます。

 

「…………そうですね。こんな顔では、皆を心配させてしまいますから」

 

では、要介護<めぐねえ>が戻ってくるまで倍速します。

 お、戻ってきました。しかも、肩が触れ合うくらい近くに座りましたね。

 

「ごめんなさい。私たち、大人のせいで、あなたたちを苦しめてしまって……」

 

ここは「そんな事はない」と答えます。なお、この先は選択肢が全て一択です。悪いのは大人でも要介護(めぐねえ)でもなくランダル、はっきりわかんだね。

 

「ですが……」

 

ですがも縁<よすが>もあるか! アス君の成績以外、全てランダルが悪いんです!

 

「そう、なんでしょうか……」

 

よし、もうひと押しですね。このように「憎悪(ランダル)」は他のキャラにも伝染させる事が可能です。まあ、正気度が低い場合に限りますがね。いざとなったら、りーさんにも伝染させて大粛清を回避しましょう。

 

【月に蟹がいない今、アヴェンジャーこそ最優です。復讐するは我らにあり。ランダル以外の誰も悪くないんですから、気に病む必要はないんですよ】

 

うーん、やはり「言いくるめ」や「説得」スキルがないと利きが悪いですね。でもアス君、どちらも覚えないんですよね。確か、説得力の上昇は「美声」スキルでもできたか?

 まあ、ポイントが足りないので今は習得できませんがね。

 

【あなたは生徒を守ろうとした。ランダルは生徒を見殺しにしようとした。どこに共通点がありますか? 何より、緊急時しか開けないマニュアルなんですから、先生だって見殺しにする気だったはずです。めぐねえも見捨てられる側で、被害者なんですよ?】

「そう、ですね」

 

LEVEL UP

 

 はい、堕ちましたね。

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 明日葉さんについて、私は詳しくない。彼女の教科担当になった事がないからだ。けれど、ある程度の事は知っていた。

 例えば、国語の職員会議の時。

『いっそ、明日葉の奴も佐倉先生の補習に放り込むか?』

『でもあの子、音楽の特待生でしょ? 部活が最優先だから日程を調整しないと』

いわく、国語が苦手な生徒である。

『授業中に寝てもいないし、宿題も出してるのになあ』

『自習は……してなさそう』

いわく、授業態度は真面目だが、やる気がない子だ。

 また、担任である神山先生からも話を聞いていた。

『調査書……、どう書いたものか?』

『どうしたんですか、神山先生?』

『佐倉先生も覚えておくといいわ。三年生の担任になると、大変な事が増えるのよ』

どうやら、明日葉さんは問題児らしい。

『隣の学校の生徒を殴って補導されたけど、ウチの生徒がカツアゲされたお金を取り返すためだからねえ……。調査書は生徒を良く見せる為に多少は盛るものだけど、隠すべきか書くべきか……』

どうやら、暴力的な人物らしい。

『この前も万引き犯を捕まえて、そいつに万引きを命令してたいじめ<・・・>の犯人と喧嘩してたし……。もう少し穏やかに生きられないものかしら』

けれども、義侠心のある人のようだ。

『コンクールでは優秀な成績だし、暴力沙汰の度に誰かしらが庇うし、授業中の態度は真面目だし、あれでもう少し喧嘩っ早くなければねえ』

ただ、私は一つ、知らない事があった。

 

 そんな事を思い返していた私は、目当ての物を見つけ出す。

「……あった」

職員用緊急避難マニュアル。表紙には、物々しい警告が書いてある。けれど

「非常事態……だよね」

私は震える手で封印(シール)を剥がす。ただの避難指示だ、大して役に立たない。そう願った。そうでない、という確信もあった。

「あ……、ああ……」

一読しただけで理解できた。理解、してしまった。

 知らなかった、知らなかった、関係ない、私のせいじゃ――違う。あの子たちを巻き込んだのは、私たち大人だ。誰か(わたし)がちゃんと確認していれば、胡桃さんも十流さんも貴依さんも、手を血に染める事はなかった。悠里さんも由紀さんも、死体に触れる必要はなかった。もう大人はいない、私だけだ。だから全部、私の

「はんなま~」

いつの間にか、職員室の中に十流さんがいた。

「ひっ! あ、明日葉さん……」

マニュアルを後ろ手に隠す。取り繕う、表情も顔も、いつもの佐倉先生に。

「どうしたんですか? もしかして、トイレにGでもいたんすか?」

紐で繋いだスマートフォンを片手で弄びつつ、彼女が近寄ってくる。

「あ、いえ、なんでもないわ」

「ほーん。あ、そうだ。めぐねえには渡しそびれてたんだった。こちら、お納めください」

と、手にしている紐付きスマホを差し出してきた。

「……あ、ありがとうございます」

それが何かは分からないけれど、高枝切りバサミを槍にしたり、バリケードを作ったりしていたし、これもサバイバルに役立つ物なのだろう。そう判断して受け取った。

「あっ!」

私の目が謎の道具に向いている隙に、マニュアルが奪われた。表紙を開き、月明かりを頼りに読み始めてしまった。

「連絡先……なんでランダル? このページは地図で……、っ!」

斜め読みして、パラパラとページをめくる。

「ランダル……、ランダル、ランダル、ランダルゥウウウッ!」

読み終えたであろうマニュアルが、十流さんの握力でシワになる。

「十流、さん……」

彼女の顔を見る。笑っていた。…………………………なんで?

「みつけた」

ポツリ、と呟いた。

 笑顔は、攻撃的な表情だ、と聞いた事がある。十流さんは気まぐれな――猫のような人だ、と思っていた。でも、違った。

 怠惰で、義理堅く、暴力的で、恩も恨みも忘れず、気まぐれな……人ではない。明日葉十流は化け猫(カイブツ)だ。

「どうします、めぐねえ? これ、皆にも教えるべきかな?」

眉間にシワを寄せ、首を傾げていた。その姿は、酷く人間的に見える。

「………………、少なくとも、一階を安全にするまでは、言わない方が良いと思います。明日葉さんも、一人で調べに行ったりしないでくださいね」

だから、隠すように命じる。

「押忍! あ、そうだ。めぐねえ、顔洗ってきた方が良いですよ」

思惑通り、彼女は今まで通りの態度に戻る。誰かを思いやる事のできる、人の姿に化ける。

「…………そうですね。こんな顔では、皆を心配させてしまいますから」

 

 顔を洗い、見張りに戻る。けれど、その前に、やるべき事があった。

「ごめんなさい。私たち、大人のせいで、あなたたちを苦しめてしまって……」

十流さんの隣に座り、謝罪する。由紀さん達には隠すと伝えた以上、せめて十流さんにだけは謝らなくてはならない。けれど

「そんな事はない」

と十流さんは否定した。

「悪いのは大人でもめぐねえでもなくランダル、はっきりわかんだね」

「ですが……」

それを止められなかった私にも責任が

「ですがも(よすが)もあるか! 俺チャンの成績以外、全てランダルが悪いんです!」

「そう、なんでしょうか……」

そうだ。私は悪くない。……、本当に?

「月に蟹がいない今、アヴェンジャーこそ最優です。復讐するは我らにあり。ランダル以外の誰も悪くないんですから、気に病む必要はないんですよ」

ところどころ意味は分からないけれど、甘い声に引き込まれていく。

「あなたは生徒を守ろうとした。ランダルは生徒を見殺しにしようとした。どこに共通点がありますか? 何より、緊急時しか開けないマニュアルなんですから、先生だって見殺しにする気だったはずです。めぐねえも見捨てられる側で、被害者なんですよ?」

「そう、ですね」

だから、十流さんの言葉を肯定した。そうすると、彼女は納得したように頷いて、再び廊下の先を睨み始める。

 どうにか、踏みとどまる事ができた。あと少しでも聞いていたら、心の底から肯定していた。それはダメだ。私は教師だ、だから、人でなければならない。そうでないと、十流さんが人でなくなってしまうから。

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××、投擲、工作、全力、持ち運び

習得スキル
忍び歩き

残りポイント:1


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だいはちわ 二階制圧

評価バーに色が着いたので初投稿です。


 恩讐の彼方を目指すRTA、はーじまーるよー。

 前回は、めぐねえを闇落ちさせました。

 

 今回は、見張りの途中に寝落ちした所さんからです。予め、くるみに早起きを頼んでおいたので、眠っている姿を見られてもお説教はありません。

 それにしても騒がしいですね。レバガチャでアス君を叩き起こしましょう。

 

【知らない天井だ】

 

どうやら、アス君と要介護(めぐねえ)は放送室の前にいるままで、掛け布団代わりのカーテンをかけられたようですね。

 まあ、放送室にも碌な寝具はないので、わざわざ運び込む必要はない、と判断したのでしょう。……簡易布団を集めなかったのはガバですが、昨日の食事でお釣りが来ているので続行します。

 さて、アス君が起床したので、周囲を確認します。

 

「それじゃあっ、くるみ達が噛まれたらお終いじゃない!」

「ゆうりが噛まれても終わりだろ!」

 

えー、くるみちゃんとりーさんが言い争ってますね。なんで? え、なんで? りーさんが発狂するのはいつもの事ですが、ゴリラの正気度低くないですか?

 ……とりあえず、話を聞いてみましょう。

 

「あー、その、な……、りーさんが、戦い方を教えてくれ、って言いだしたんだ」

「だって、今戦えるのって、くるみととおるさん、一応たかえさん、の三人だけでしょ? やっぱり、一度くらいは()()()と、その……」

「その一度で、殺されかねないって言ってるだろ!」

「それは、あなただってそうじゃない!」

 

おおう、話を聞いたら、またギスギスし始めましたね。とりあえず、めぐねえを起こし……、いや、ダメですね。生徒が自主的に戦おうとするとか、要介護(めぐねえ)の正気度を削る案件です。

 話上手ネキを呼ぶ……、いや、ダメですね。くるみに賛成するでしょうし、宥めようとして逆効果になるのが目に見えてます。

 

「おっはよー!」

 

ゆきちゃん! 空気清浄機YUKI-Chanと称えられる彼女なら、この空気を換えてくれるはず!

 

「どうしたの? みんな、顔怖いよ?」

「な、なんでもないのよ。ただちょっと、焦りすぎてたみたいで」

「あ、ああ。それより、たかえ起こしてきてくれ。めぐねえも起こして、飯にしようぜ」

 

りーさんもゴリラも冷静になってくれましたね。りーさんの戦闘訓練に関しては、二階の制圧の時にでも行うとしましょう。

 

 では、食事をしつつ本日の方針を決めましょう。ちなみに、メニューは昨夜のカレーです。カレーの日の翌日に残ったカレーを食べるのはよくある事なので、同じメニューが続いても正気度が下がらないのが嬉しいです。

 閑話休題。本日の目標としては、図書館・食堂・購買・美術室・家庭科室の確保になりますね。

 

「やっぱ家庭科室は必要だよね。今は購買に制服があるからいいけど、どっかで洗濯しないと」

「そうですね。じゃあ家庭科室まで確保して、美術室との間にバリケードを作りましょうか」

「何で作る? 家庭科室の机って、床とくっついてなかったか?」

「食堂から運ぶしかないわね。図書室のも使えるかしら?」

 

個人的には、美術室で「工作」スキルを使いたいんですがね。ただ、他のメンバーが美術室の攻略に乗り気でないのなら、今は諦めましょう。

 無理に行動して紐ルートになるくらいなら、今ある設備で装備を整える方がうま(あじ)です。

 

 それでは、編成を決めましょう。二階制圧はアス君とゴリラ、三階の死体遺棄は残りのメンバーに任せます。特に、りーさんとチョーカーさんには「バリケードに取り付いたかれらを倒す」事も伝えておきましょう。

 

「あ……、そうね。なにも、正面から戦う必要はないものね」

「だね。ところで十流、あの振り子みたいなやつ、私にはくれないの?」

 

そういえば、たかえ嬢には渡していませんでしたね。お詫びも兼ねて、大きめのをプレゼントしましょう。

 

「え、どこから出したの?」

 

これも「持ち運び」スキルの恩恵ですね。ポケットに物を入れすぎて服の耐久度が減る、というデメリットも無視できます。

 

「はー、なんかコツがあんだね。今度、ヒマな時にでも教えてよ」

 

お、スキル習得イベントが出ましたね。二階の物資を運ぶ時にでも手伝わせつつ教えましょうか。

 

 では、購買のバックヤードから制圧していきましょう。といっても、部屋のサイズ的にモンスターハウスでも10人程度で、味方には無敵のゴリープラチナがいます。いえ、今は精神が不安定なクレイジーゴリラモンドでしたね。

 いずれにせよ、制圧シーンは倍速です。正直、破壊力AスピードAのゴリラから、どれだけ多くの経験値(かれら)を掠め取れるかの勝負ですからね。アス君も覚醒した今、負ける要素が一切ありません。

 

【ドラァッ!】

 

はい、バックヤード・厨房・食堂の制圧が終わりました。図書室は本実況では初めて訪れるので等速で流します。

 

「……、いないな」

 

誰もいませんね。いえ、司書室に一人いました。せっかくなので、ボーラの試し打ちをしましょう。

 おっと、まだ「強肩」スキルを取っていませんでしたね。めぐねえを闇落ちさせて貰ったポイントで取得しましょう。

 では、投擲開始です。錘の一方を持って紐ともう一方の錘を回転させ、足元の模様めがけて投げる! 反射したボーラが元司書の足に絡みつき、錘の衝撃で倒れましたね。

 

LEVEL UP

 

しかも、頭を打ったようです。確率とはいえ、即詩の入る飛び道具は便利ですね。

 

「へー、そう使うのか」

 

そういえば、使い方を説明していませんでしたね。後で「投擲」スキルの講座も開きましょうかね。

 では、購買を確認しましょう。まあ、奥側の扉は前日に棚で封鎖してあるので、やはり入り込んではいませんね。その代わり、廊下に三体ほどいるので倒しておきましょう。

 

「やってみていいか?」

 

シャベルゴリラがボーラゴリラに転職するようです。大人しく見守りましょう。……身も蓋もない事を言いますと、投げ物なんか使わず突撃しても倒せると思いますけどね。

 

「よしっ!」

 

一体を倒してガッツポーズするくるみちゃん、可愛いですね。まあ、脚がへし折れている標的(かれら)を見なければの話ですが。これ、(スマホ)を頭に投げるだけでも十分だったのでは?

 あ、残りが気づいたようなので処理しましょう。ニュー上履きキックを食らえ。

 

「よし、残りは家庭科室か」

 

一応、準備室もありますが無視して良いでしょう。用があるのは洗濯機と、裁縫するならミシンが欲しいくらいですからね。

 当然、制圧は倍速です。まあ、シャベルの隙間を縫ってキックするだけですからね。

 

「楽勝だったな。……なんか、少なくないか?」

 

まあ、二日目(実質初日)に2-Aと職員室でモンスターハウスを引きましたからね。それに、特別教室は頻繁に利用する場所でもないので、かれらの数は控え目だったりします。

 

「あー、週に一回使うかどうかだよな、平均したら」

 

閑話休題、二階の制圧が終わったので、三階の掃除をしているメンバーを呼びにいきましょう。

 

「そうだな。……いや、ちょっと待って。なんか、嫌な予感がする」

 

それを聞いたアス君も警戒態勢になります。

 

「気のせいかな……。なんか、やつらの声が多くなってないか?」

 

(気のせいじゃ)ないです。というのも、本日の起床時間は遅めだったからです。前日に厨房や購買を漁ったおかげで、疲れが溜まっていたんですね。

 そうです、七日目(あめのひ)を乗り切る最後のフラグ「混雑時(昼)の食堂を確認する」です。

 

「やべえ! 来るぞ、どうする!?」

 

逃げます。先頭集団の一体にボーラを当てれば、転ぶなり詩ぬなりしたかれらに後続が足を引っかけ、即席バリケードの出来上がりです。

 動きを封じている隙に逃げましょう。あ、当然ながら試し打ちしたボーラ2つは回収済みです。

 

「よし、行くぞ」

 

味方にぶつからないよう、少し離れてからボーラを回しましょう。勢いがついたら投げて、結果も見ずに走ります。道中で制圧した部屋の扉を閉めるのも忘れずに。

 階段まで来れば一安心です。そうだ、後で階段や踊り場に有り余っている食器を置いて足場を悪くするのもありですね。

 

「二人ともどうしたの!?」

 

職員準備室の掃除をしていたりーさんが出迎えてくれました。シャベルは……綺麗なままですね。使い方を教えていないので、ボーラでキルスコアを稼いでもいないでしょう。

 

「あいつら、いきなり集まってきやがった!」

「こっちに来てるの!?」

 

来ては……なさそうですね。

 

「良かった……。それにしても、なんで集まってきたのかしら?」

 

りーさんの疑問を聞いたら、時計を確認しましょう。くるみとりーさんも、つられて時計を見ます。

 

「もう昼か……」

「もしかして、お昼ご飯を食べに来た、とか?」

「あー……、あるかもな。あいつら、夜にゃいなかったし」

 

これでフラグ回収は完了しましたね。では、我々も昼食にしましょう。おお、カレーうどん……、そろそろカレーライスに飽きてくる所さんですからね。

 

 ご飯を食べ終えたら、引き続き二階の制圧をしていきましょう。といっても、扉を破られた部屋で残党狩りをし、廊下のかれらを処理してバリケードを作るだけですね。

 

「授業をしませんか?」

 

あ、要介護……もとい、めぐねえが誘ってきましたね。闇落ちした結果、罪悪感や使命感に押し潰される事がなくなり、要介護を脱却しています。闇落ちとは。

 

「…………まあ、午前中の方が、あいつらも少ないみたいだしな」

 

ごりらちゃんは二階の制圧を明日に回すつもりのようですが、ここは押し通しましょう。というのも、ここで確保しておきたい物があるからです。

 矛盾塊をボーラで倒した(ダブルミーニング)事で得た経験値を使い「美声」スキルを取ります。では、説得していきましょう。

 

【購買のお弁当とか、冷凍庫に入れておきたくない?】

「それは、そうですが……」

【CDを聞き終えたら、ケースにしまってから次のCDを開けるでしょ? 誰だってそーする、僕もそーしたい】

「あー……、そうか?」

【何より、授業をサボる為なら何でもする!】

「明日葉さん!」

「だな! いっちょやりますか!」

 

はい、無事に説得できました。なお、翌日は確定で授業となりますが、体育と称してボーラの使い方を教えられるのでうま(フレーバー)です。

 では、二階の制圧からバリケードの設置まで倍速で流していきます。正直、もう負け筋も見所さんもないんですよね。

 どうして等速に戻す必要があるんですか?

 

「…………なあ、りーさん呼んできてくれないか?」

 

はい、朝の約束を果たす為ですね。かれらを購買と食堂に1体ずつまで減らしたので、ここで恵体コンビの(かれら札害)処女を散らしましょう。

 では、三階に戻って二人を呼びましょう。

 

「ええ、すぐ行くわ!」

「…………わかりました」

 

ヤる気マンマンなりーさんと、静かに闘志を燃やすめぐねえ。彼女たちを引き連れて二階へ行きましょう。

 

「早かったな」

 

まずは食堂に入りますと、既に調理済みの矛盾塊がいました。手足は折れて、うつ伏せなので嚙みつく事もできません。

 ちなみに、購買の方の矛盾塊はどうなりました?

 

「あっちも同じようにしといた」

 

手際が良いですね。ならば、二手に分かれましょう。食堂をゴリラとめぐねえに任せ、アス君はりーさんと購買に行きます。これなら、りーさんが頃し損ねても拗れる事はないはずです。

 

「ああ、そっちは任せた」

 

 では、りーさん。無防備な詩に損ないに慈悲を与えましょう。

 

「…………………………ええ、そうね。そうよ、これは慈悲。必要な事。私は、私は、私は、私は、私は、私は、私は、できる!」

 

シャベルが矛盾塊を貫きました。詩体蹴りを続けると正気度が下がりますので、りーさんを宥めましょう。

 流石りーさん、よくできました。あなたならヤれると信じてました。でも、もう成し遂げたんだから、リラックスして大丈夫ですよ?

 

「ええ、そうね。私……、やったわ! やれた、やれた、やれた、やれた、やれた!」

 

うーん、正気度が低いのが見て取れますね。まあ、サイレント発狂よりは断然マシです。それに、戦闘での正気度減少が減るので七日目(あめのひ)にはお釣りが来るでしょう。

 何より、そろそろ誰かの正気度を下げておきたかったんですよね。そうしないと学園生活部を結成できませんし。

 閑話休題。「美声」スキルを使いつつ、りーさんを落ち着かせましょう。

 

【よく頑張ったね、りーさん】

「……とおるさん、手を、握ってもらってもいい?」

【もちろん。では、お手を拝借】

 

LEVEL UP

 

おお、二回目の信頼イベントが来ましたね。これで半覚醒までは行ったはずなので、ゲームオーバーの危険性が大幅に減少しました。

 りーさん由来のガメオベラが、試走の半分を占めますからね。(超いっ敗)

 

「さ、行きましょ! めぐねえから聞いたんだけど、お弁当を厨房に持って行くのよね?」

 

では、弁当・おにぎり・パンを厨房に運んでいきましょう。ここで、りーさんの「目利き」スキルが括約します。消費期限に関わらず、食中毒を引き起こす物を除外してくれます。

 あ、仕分けするのは良いんですけど、どうやって運びましょう? いくら「持ち運び」スキルがあっても、物理的な積載量は増えませんからね。

 

「……え? 普通にレジ袋使えばいいじゃない」

 

…………あ、そうでしたね。エコバッグを日常的に使っているので忘れてました。(唐突な善人アピール)

 

「とおるさん、たまにポンコツになるわね」

 

いえ、アス君は素でポンコツです。それを走者のリアル知力で補っています。え、走者もポンコツ? せやな。

 では、食糧を仕分けしている間、みーなーさーまーのーたーめーにー(詠唱開始)

 

 「美声」スキルの解説をします。(詠唱破棄)

 このスキルの効果は「良い声を出す」だけです。が、そのシンプルさゆえに応用の幅が異様に広いのが特徴です。

 まず、良い声なので説得力が高まります。実際、話の内容よりも話し方の方が重要、という研究結果が出ています。

 次に、良い声なので遠くまで届きます。オペラ歌手とか声優とか、声量も求められますからね。

 更に、大声を出せるので肺活量も高まります。つまり、持久力が向上します。

 

 ただ、ここまで優秀な「美声」スキルにもデメリットがあります。それは「キャラボイスが実装されているバージョン(しかもフルボイスのみ)にしか存在しない」という点です。ウォンテンドーボッスン版では、つい先日のアップデートで追加されました。

 それと、知力への上昇補正がないので、説得するにしても説得内容そのものを用意できない点が欠点ですかね。話すネタを用意するには別のスキルか味方のサポートが必要となります。

 

 ちなみに、アス君は「音楽」スキルと「美声」スキルをバラバラで持っていますが、複合スキルである「歌唱」も存在します。

 ただ、こちらは複合スキルなので習得に2ポイント必要ですし、初期スキルとして見ると楽器を所持できないので微妙ですね。

 

 さて、荷造りも終わったので厨房に向かいましょう。さて、めぐねえの覚醒ガチャはどうなっているでしょうか?

 

「「…………っ!」」

 

りーさんのシャベルを見たゴリラ(くるみ)要介護(めぐねえ)が凄い顔をしましたね。ええ、はい。ルビでお分かりの通り、覚醒ガチャは爆死しました。

 その証拠に、要介護(めぐねえ)のバサ槍は綺麗なままですね。しかも、矛盾塊の周りには刃物の跡が大量にあります。無駄に耐久度を減らさないで欲しいんですがねえ。

 いえ、この際なので覚醒2号(ゆずむらたかえ)のバサ槍と一緒に強化改造を施しましょう。というか、購買にあった高枝切りバサミ(片刃)からカバーを外して槍にする方が効率的ですね。

 

「くるみ、運ぶの手伝って。まだ購買に沢山あるのよ」

「……ああ、わかった」

「運ぶのはレジ袋に入ってるのだけよ。他のは危ないから捨てちゃって」

「……おう」

 

やっぱり、くるみの正気度が低いですね。要介護(めぐねえ)が詩に損ないを始末し損ねるのを何度も見て、精神が擦り減ったのでしょう。生徒の心を守るんじゃなかったんですかねえ? ……まあ、いいでしょう。(IZK)

 とりあえず、アス君と要介護(めぐねえ)でバリケードを作成しましょう。ついでに「美声」で話しかけて、少しでも正気度を回復させましょうか。あ、それなら三年C組のYTコンビも呼んで、人手とヒーラーを増やしましょう。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「知らない天井ね。……なんちゃって」

一回言ってみたかった台詞を言ってみる。ここは放送室で、私たちはカーテンを布団代わりに眠っていた。

「うーん、昨日よりはマシだけど、やっぱりお布団が欲しいわね」

「だな」

誰かが返事してきた。金属が床を擦る音がする。くるみのシャベルだろう。

「んじゃ、見張り代わってくる」

「なら私も一緒に行くわ。コーヒーでも淹れましょ」

「おっ、サンキュー」

 

 放送室の外では、めぐねえととおるさんが眠っていた。

「どうする、運ぶか?」

「んー、そうね……。あんまり変わらないんじゃない?」

「だよなあ……。じゃ、掛け布団くらいはかけてやるか」

「そうね。何処かで、ちゃんとしたのが手に入らないかしら」

「校長室とかのソファーだけじゃ足りないよな」

「購買、後はバックヤードに何かないかしら」

くるみと相談しながら、めぐねえ達に布団(というかカーテン)をかける。

「あら、これ何かしら?」

「ん、何それ? パンフレット?」

「緊急避難マニュアル、だって」

二人で顔を見合わせ、

「「あ」」

気づいた。何処かに、非常用の備蓄とか、ある筈よね。

「なんか、こう、避難所とかにある、簡易布団だっけ? あんなの、ウチにもあるよな」

「そうよね……、後で探しましょっか。ていうか、めぐねえ知ってる筈よね」

先生用の避難訓練とか、あるわよね?

 

 二人で見張り……、といっても、何も来ないから、ただ座っているだけだった。

「ねえ、くるみ」

「ん、なんだ? りーさん」

「戦い方、教えてくれない?」

「……ッ!」

ザリッ、と床を削る音が響いた。

「ダメだ。戦うのは、あたしだけで……、あ、いや、とーるもか。あたしととーるの二人だけで良い」

それじゃあっ、くるみ達が噛まれたらお終いじゃない! それに、私たちは同じ学校(いえ)で暮らす家族だ。辛い事を、誰かに押し付けて、自分は綺麗なままなんて、許される筈がない。

「ゆうりが噛まれても終わりだろ!」

それから、とおるさんも交えて言い争い(今から思えば、狼狽えているだけだったけど)、掴み合いになる直前で

 

「おっはよー! どうしたの? みんな、顔怖いよ?」

なんて、底抜けに明るい、ゆきちゃんの声がした。

「な、なんでもないのよ。ただちょっと、焦りすぎてたみたいで」

頭が冷えていく。少し、焦り過ぎていたのかもしれない。余裕ができた時に、また頼んでみよう。

 

 それから、職員室の見張りをしつつ簡易布団や非常用持ち出しバッグを集め、途中でくるみ達が慌てて上がってきたりして。

「りぃーさぁん、めぐねえぇー、生きてるー?」

のんびりとした声で、とおるさんが呼んできた。

「どうしたの?」

「何かあったんですか!?」

めぐねえが慌てて寄ってきた。

「安全確保できたし、一回()ってみない?」

くるり、とカッターナイフを回した。

 

 めぐねえとくるみを食堂に残して、私たちは購買に入る。そこには、手足を折られた何か(かれら)がいた。

「これって……」

園芸部のシャベルを握りしめる。くるみのと違って、綺麗なままだ。だって、これは予備のシャベルで、土を耕す事も人を殺す事も、やっていないから。

「では、りーさん。無防備な死に損ないに慈悲を与えましょう」

…………………………ええ、そうね。そうよ、これは慈悲。必要な事。私は、私は、私は、私は、私は、私は、

「私は、できる!」

シャベルを振り上げ、振り下ろす。肩に掠った程度だ。これじゃない。先端を()()の頭に突き付け、体重をかける。突き刺さり、止まった。本当に? シャベルを抜いて、もう一度突き刺す。またシャベルを抜いて

「流石りーさん、よくできました。信じてたよ。でも、もう成し遂げたんだから、リラックスして大丈夫ですよ?」

その手をとおるさんが拭いてくれる。血が付いていた。

「ええ、そうね。私……、やったわ! やれた、やれた、やれた、やれた、やれた!」

「よく頑張ったね、りーさん」

喜びと、少しの恐怖。ああ、手が震えている。

「……とおるさん、手を、握ってもらってもいい?」

【もちろん。では、お手を拝借】

 

握った手は、思ったより大きかった。

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、×××××、×××××、投擲、工作、全力、持ち運び

習得スキル
強肩、美声

残りポイント:1


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だいきゅうわ 二階掃除~学園生活部結成

お盆の終わりに初投稿です。


 皆の(札害)処女を奪っていくRTA、はーじまーるよー。

 前回はりーさんを半覚醒させつつ二階を制圧しました。

 

 今回は、バリケード設置の為に人手を集める所さんからです。

 

「あ、とーくん」

「ああ、二階も終わったんだね」

 

どうやら、チョーカーさんとゆきちゃんは三階のバリケードを補強していたようですね。それに廊下も掃除されています。

 そうなると、このままバリケードの作成をさせるのはまず(テイスト)ですね。同じ作業ばかりやらせると正気度が下がります。ここは、一つ気分転換を入れましょう。

 という訳で、購買に行きましょう。新型バサ槍を作成しつつ「持ち運び」スキルを伝授します。

 

「おおっ、待ってました!」

 

チョーカーたかえも乗り気のようです。では、購買に着いたらアイテムを集めましょう。欲しいのはドライバーとカッターナイフ、あとはカッターナイフの替え刃です。

 二人に探してもらう間に、アス君は片刃の高枝切りバサミを持ってきましょう。本数は……バサ槍持ちが二人だから2本、七日目(あめのひ)にアス君とゆきちゃんに持たせる用にもう2本、みーくんとKも救出するから最終日用にもう2本、合計6本ですね。

 

「これでいい?」

「たくさんあったよー」

 

柚村からはドライバーとカッターナイフを貰えました。ゆきちゃんからは……、良質なカッターナイフだと!?

 失礼、取り乱しました。良質なカッターナイフは刃渡りが長く、替え刃1本で3回使えます。しかも本体の耐久度も高く、先端に金属が使われている為、いざとなれば刃なしでも緊急回避に使えます。

 ちなみに、ゆきちゃんを購買に連れて行くと確定で風船を入手します。これでおてがみ<クリアフラグ>イベントを立てられますね。

 さて、それでは高枝切りバサミをバサ槍に改造していきましょう。まあ、ネジを外してカバーを外すだけなんですけどね。この程度なら「工作」スキルなしでも、一定以上の知力があればできます。アス君は無理です。

 

「いっ!」

 

あ、ゆきちゃんが指を切りましたね。絆創膏で治療しましょう。この程度の回復アイテムなら、購買にもあります。

 

「私がやるから、十流は休んでなよ」

 

どうやら、今回のたかえちゃんは「応急手当」スキル持ちのようです。このスキルや「運転」スキル、あとは「霊感」スキルを初期習得している事があるんですよね。

 この現象は他のキャラでも起こります。ちなみに、これらの確率習得スキルをデフォルトで持っているキャラの場合はスキルレベルが上昇します。「運転」レベル2のゴリラとか、どんだけレースゲームをやり込んだんでしょうか?

 そういえば、今スキル習得画面を見たらアス君は「運転」と「霊感」を持っていました。ぶっちゃけ「霊感」は不要ですが「運転」は後で使うのでポイントが浮きましたね。

 

 閑話休題。無事にバサ槍の作成もゆきちゃんの治療も終わりました。なので「持ち運び」講座を開きましょう。といっても、やる事は単純です。

 まずはバサ槍に背負い紐を付けます。靴下にカッターナイフを挟んで、腰のベルトにボーラを吊るします。カーディガンのポケットにはカッターナイフの替え刃入れを入れて、最後にバサ槍を背負ってフル装備です。あ、袖口にドライバーも仕込んでおきます。緊急回避用です。

 

「ほえ~」

「よく入るね……」

 

では、このままバリケードの作成に移ります。特に、机や椅子の運び方を通して「持ち運び」スキルを教えていくわけですね。アス君の知力は無振りなので、実際にやって見せる事でしか教えられません。

 しゃがんで机を持ち上げ、少し体を反らしつつ前進して食堂から建設現場へ向かいましょう。チョーカーさんが習得したらレベルアップするので、それまで倍速します。

 

LEVEL UP

 

はい、親のレベルアップより見たレベルアップを確認できました。なので、ここからはアス君が「工作」スキルでバリケードを作成、他のメンバーで資材を輸送してもらいます。

 その間は暇になるので、みーなーさーまーのーたーめーにー(詠唱開始)

 

Q:なんで等速に戻す必要があるんですかねえ?

A:かれらが建築中のバリケードの向こうにいるからです。

 

 ちょうどいいので、新しい技をお見せしましょう。使う道具はカッターナイフの替え刃入れで、スキルは「投擲」です。

 投げる物を「替え刃入れの中のカッターナイフの刃」にして、狙う場所を「替え刃入れの取り出し口」にして、適切な角度で振ります。

 そうすると、替え刃入れの取り出し口から、振った方向へ替え刃が一本だけ飛び出します。それがかれらに当たると「強肩」スキルでノックバックを誘発し、破損クリティカルで大きくバランスを崩します。首や目などの急所に当たれば即詩も取れますが、そうでなくとも受け身も取らずに倒れれば、頭を地面に打ち付けて詩にます。

 

Q:そうはならんやろ……

A:なっとるやろがいっ!

 

 七日目(あめのひ)はこれでバリケードの隙間からかれらを狙撃します。ちなみに、通常のカッターナイフの替え刃入れには40枚、良質な(大型の)カッターナイフの替え刃入れには30枚の刃が入っています。

 なので、飛び道具としては通常の方を使い、良質な方は緊急回避にのみ使うのが理想です。というか、連続で3回、最大で90回も使える緊急回避アイテムって、それもう通常攻撃アイテムなのでは?

 

 閑話休題。バリケードが完成したので、お弁当の回収を手伝いに行きましょう。

 

「お、そっちも終わったか」

「お疲れ様。それじゃあ、お茶にしましょうか」

 

どうやら食糧の輸送は終わったようですね。しかも、りーさんがお菓子を持っています。この手の嗜好品は正気度を回復させますが、正気度が高くないキャラは見向きもしないんですよね。

 

「わーい!」

 

大喜びするゆきちゃんと一緒に食堂へ向かうと、詩体が転がっていました。誤差レベルですが、また正気度が下がりましたね。

 

「はぁ……、片づけるか」

「そうですね」

「あれ、食堂ってモップあったけ?」

「たかえさんの真後ろにあるわよ」

「え、あ、このロッカー?」

 

はい、サクサク死体遺棄と証拠隠滅をしていきます。それにしても、職員室からガバが全くないですね。なぜか嫌な予感がしますが、きっと気のせいでしょう。要介護(めぐねえ)の覚醒に失敗したからですかね?

 

「ねえ、部活始めてみない?」

 

おや、りーさんが話を切り出してきましたね。これは「学園生活部」設立のイベントなのですが、なぜ今なんでしょうか?

 要介護(めぐねえ)とりーさんの正気度が下がったのはついさっきですし、明日になると思ったんですが……、いや、その前に禁書(マニュアル)の正気度ダウンがありましたね。

 

「部活?」

「ええ。学園生活部、って言うの」

「私が顧問ですよ。顧問!」

 

いち早く話に食いついたゆきちゃんとりーさん、要介護(めぐねえ)が話を進めていますね。あれ、要介護(めぐねえ)にも話が通っている? じゃあ、正気度が低いのはめぐねえ(要介護)ではない? あ、単にアス君の正気度が低いだけですね。精神異常を発症する程度には正気度が低いわけですし。

 

【兼部ってありっすか?】

「ええ、大丈夫ですよ」

「私だって園芸部だもの」

【では、入部させて頂きます】

 

こうして入部の意思を示す事で、他のキャラもサクサク入部してくれます。ちょっとした時短ですね。

 

「じゃあ、私も入ろうかな」

「わたしも入る!」

「あー……、まあ、兼部ありなら」

 

はい、全員が入部しましたね。

 

「ねえねえ、記念写真撮ろうよ! 記念写真!」

 

ゆきちゃんから記念写真の提案が出ましたね。この記念写真、正気度の回復に有効なのですが……、本チャートでは必要ないんですよね。三年C組YTコンビがいるのに、追加の正気度回復とか過剰戦力です。

 まあ、あって困る物でもありませんし、イベントを中止させるよりは乗った方がタイムも短くなります。なので、スマホを取り出してカメラにしましょう。

 確か、時間調整できる機能があったはず……、あれ、どこだ? というか、アス君のスマホ、裏面からキーボードが出てくる変わり種なせいで、操作感も中身も違いすぎて

 

「ああもう、私ので撮るよ。ていうか、たぶん画素数とか一番あるし」

 

たかえちゃんのスマホで撮影する事になりました。まあ、最終的にはプリンターで印刷するので何も問題ないですね。(負け惜しみ)

 

「そうだ! これ、部室に貼ろうよ!」

「「「「部室?」」」」

「ほら、ご飯食べたりしてる……、」

「生徒会室のこと? まあ、もう生徒会もないし、貰っちゃうか」

「そうね。ふふっ、三階に部室かあ……、ずっと欲しかったのよねえ」

【わかる】

「なんで? 一階の方が楽だろ」

「若狭さんと明日葉さんは、屋上や音楽室で部活してましたからね」

「そうなの、一階から荷物を持ってくるのは手間なのよ」

「あぁ~。そういえば、たかえとゆきって何部なんだ?」

「私たちは帰宅部だったね」

 

よしよし、お互いの好感度は問題ないですね。アス君の性別バレが発生しても、追放されたり依存されたりする事はないでしょう。

 さて、それでは後は夕食とシャワーの後に寝るだけなので倍速です。

 

「とーる、今日はどっちが見張る?」

 

あ、そういえば見張りがありましたね。今日はくるみちゃんに任せて、アス君は早起きする事にしましょうか。

 

「うん? ねえ胡桃、別に見張りいらなくない?」

「え?」

「だってさ、昨日もロクに来なかったんだろ? それに、あいつらは、あー……」

「人間だった頃と同じように動いている、かしら」

「そうそう。悠里の言う通りなら、夜に来る奴はいないだろ?」

「それは、そうだけど……」

 

妙に渋りますね。仕方ないので、アス君も後押ししましょう。

 放送室の中にバリケードを作れば、もし来ても気づけるから大丈夫ですよ。それに、ゴリラ一人いれば、やつらの一人や二人どうとでもなりますし。

 

「……、そっか、あたしがいれば大丈夫か。って誰がゴリラだ!」

 

お前だよ。なんでリミッター解除した成人男性と筋力対抗ロールを振れるんですか?(畏怖)

 

「そう言われると、確かにそうね……実は噛まれてるとか、ないわよね?」

「ねえよ!」

「え、じゃあ素でその腕力なのかよ。……そういえば、人を背負ったままグラウンドから屋上まで避難してきたんだよね」

「え、そうだったの!?」

 

そうでしたね。なお、このゴリラには「持ち運び」スキルも「シャベル格闘術」スキルもありません。全部、素のステータスです。一応「トラック競技」スキルでスピードとスタミナは上がってますし「全力疾走」スキルで短距離なら更に加速できますが、一階から人を抱えて屋上へ上がるだけの筋力は素です。パワーもスピードもあるとかヘラクレスかよ。

 なんなら、その時点では覚醒してませんし、夕方だから部活も中盤から終盤に差し掛かっている筈なので、ある程度は疲れていたと思うんですよね。

 ……深く調べれば調べるほどヤバみが増すって、ルーデルやシモヘイヘじゃあるまいに……。

 

「くるみちゃんすごい! 人を抱えて歩けるって、ドンキーコングみたい!」

【ダッシュできるからドンキーコング以上なのでは? ボクは訝しんだ】

「その、胡桃さん、ゴリラは森の賢人と呼ばれるくらいで、実は穏やかな生き物なんです。だから、決して悪気があるわけでは」

「めぐねえ。まずゴリラの方を否定してくれ……」

 

何はともあれ、これで見張りなしに同意させる事ができましたね。

 後は夕飯を食べて寝るだけですね。一番風呂(シャワー)を頂いて、早めに就寝しましょう。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「う~……、もうだめー」

運んでいた机に、ゆきが突っ伏した。私も少し疲れたし、

「はあ、少し休むか」

と言っても、何もしない訳じゃない。十流から教わったみたいに、服のあちこちにカッターナイフやハサミ、後はドライバーやコンパス(円を描く方)なんかを詰めていく。あ、このキーホルダー十徳ナイフだ。

「たかえちゃん、さっきから筆箱ばっか集めてどうしたの?」

「ああ、使える物があるかと思ってさ。おっ、ソーイングセットだ。いや、なぜ筆箱に入れといた」

というか、変な物を持ってくる奴多いな。とりあえず、これは家庭科室にでも置いてこよう。

「うぅ~ん……」

「どした、ゆき」

「なんか、すごいなー、って思ってさ」

すごい?

「たかえちゃんやとーくんは色々できるし、くるみちゃんもめぐねえも力あるし、りーさんは頭いいし」

「そうかあ?」

少なくとも、私は十流ほど多芸じゃない。戦う音楽家とか、ゲームじゃあるまいし。

「というか、めぐねえと胡桃はどうなってんだ? あの細腕であの腕力はおかしいだろ」

特に胡桃。長物<シャベル>使ってるとはいえ、なんで十流のキックと同じくらい人<かれら>を吹っ飛ばせるんだよ。いや、腕力だけじゃなく全身の力で振り回すなら……、そんな高等テクニックある方がおかしいか。

「……わたし、こんなのでいいのかな」

ポツリ、とゆきが呟いた。

「別に、いんじゃね?」

ことさら明るく、私は答える。そして

「ゆきにだって、良い所あるし」

なんて言ってやれば、コイツはすぐに調子を取り戻す。

「えっ、どこどこ!?」

ほら来た。というか、調子に乗った。

「ん-、その笑顔、とか」

まあいいか。こんなご時世だし、調子に乗ってるくらいで丁度いい。

「……それ、あんまり嬉しくないかも」

あれ、なんか失敗した。

「なんで? 笑顔あると元気出るじゃん」

「そうなの?」

「そうなの。皆でドヨーンとしてるのとか、嫌だろ?」

ゆきは虚空を見つめ、苦い顔で頷く。

「…………うー、いやだね」

それから(珍しい事に)きりっとした真剣な顔になる。

「よし! わたしがんばる! すごくがんばる!」

うん、まあ、心掛けは良いけど。

「さっそく笑顔じゃないぞー」

「おっとっと……、むー、うー、むずかしいー」

そりゃそうだろ。頬を手で動かして笑顔作るとかしなくても

「いつも通りでいいんだよ……」




所持スキル
音楽、カポエイラ、運転、霊感、投擲、工作、全力、持ち運び、強肩、美声

残りポイント:2


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だいじゅうわ 地下探索~お手紙フラグ

小説パートはないけど初投稿です。


 ぼのぼのHurtfulな名作のRTA、はーじまーるよー。

 前回は二階の一部を解放し、学園生活部を設立しました。

 

 今回は、四日目の朝から……ではありません。

 

【……眠い……】

 

はい、時刻はギリギリ四日目に入った所さんですね。当然ですが、学園生活部の皆様は眠っています。

 まずは、バリケードを抜けて外に出ましょう。「工作」スキルはバリケードを作るのにも使えますが、作り方を知っているという事は壊し方も知っているという事です。なので、こっそり分解して一人分の通り道を作るくらいはできます。

 

 それでは、まずは化学室に向かいましょう。ここでは、硫酸と塩酸、それに実験用のゴーグルを回収します。

 回収しましたら、次は生徒会室、ではなく部室に向かいます。ここでフル装備になり、レジ袋に二つの薬品瓶を入れます。これは、あくまで「持ち運び」スキルを持つアス君だからできる事であり、危険な薬品を雑な運び方してはいけません。

 では、地下倉庫への隠し扉がある、一階の階段へ向かいます。道中は何もないので倍速します。

 

 はい、到着しました。それでは、シャッターを開けていきます。暗証番号を入力して……、開きませんね。当然ですが、まだ停電はしていません。

 そう、この難易度Ultra-HARDでは、数人が地下に避難しているんです。今回は校長室にかれらがいたので、いるのは教頭と理事長、最初期のバージョンなら避難してきた謎の老人(雪野しずくの祖父)ですね。

 偶に彼らの息子とか孫がいますが、多くても10人程度ですね。当然ですが、立てこもっている連中は外の生存者に対して敵対的です。そら(最初から見捨てるつもりだった相手が感染しているかもしれない状態で訪れたら)そう(敵対もする)よ。

 

 ところで、アス君は「憎悪(ランダル)」の精神異常を発症していましたね?

 

 はい、アス君は地下に避難している人物をランダル認定しています。なので自動的に敵対状態になりますし、頃しても正気度が減少しません。

 では、学校を裏切ったモグラ共を天誅しに行きましょう。まずは「工作」スキルを使ってから、電子錠に硫酸と塩酸をかけます。これで塩化水素が発生し、導線を溶かしてくれます。

 電子錠が導通しなくなったら、手動でシャッターを開けましょう。

 

「なんだ!?」

 

誰かがシャッターに駆け寄ってきましたね。シャッターの真下で反射するようにカッターナイフの刃を「投擲」します。

 

「ぎゃっ!?」

 

心配する声は聞こえませんね。どうやら、今は一人だけのようです。では、隙間を潜って中に入りましょう。

 

「なっ、人っ!?」

【お前よりはね】

 

まだ生きていてほしいので、まずは足払いします。転んだ所さんで、両肩に一回ずつカッターナイフを突き刺します。

 では、他に人がいるか拷問しましょう。

 

【あと何匹いる?】

 

おや、階段の向こうを見ましたね。ならば、この階にはいないのでしょう。それだけ分かれば用済みなので、首を切って処理します。

 ちょうど三回使ったので、良質なカッターナイフの刃を交換しましょう。まあ、使う事はないと思いますが。

 おっと、処理した相手が何者か確認しておきましょう。

 

【…………見覚えが、あるような、ないような……】

 

おそらく教頭ですね。理事長なら面識がなく、生徒なら生徒だとは分かります。

 ならば、残りは理事長一人だけですね。生徒がいるなら見張りをさせるか、二人で見張っているでしょうし。

 そして、向こうから物音がしないので、眠っているか臨戦態勢を取っていると考えられます。では、地下二階の避難区域に向かいましょう。

 

 あ、そういえば、りーさんの(かれら札害)処女を奪い、たかえさんの身体に(持ち運びスキルを)教えた事で2ポイント貯まってましたね。保険として1ポイント使い「不屈」スキルを取っておきましょう。ここで習得しないと、出待ちしている相手に頃されます。(2敗)

 こんな凡ミスを3回も繰り返す訳にはいきませんからね。

 

【大丈夫か?】

 

おっと、アス君が地下二階へ続く階段で立ち止まりましたね。待ち伏せしているモグラの気配を感じ取ったのでしょう。

 が、特に対策せず突撃します。

 

「死ねぇえええええいっ!」

 

老人が消音器の付いた拳銃を構えていますね。アス君もカッターナイフの刃を「投擲」しましょう。

 銃弾がアス君の胸を、刃が老人の首を切り裂きました。当然、老人は詩にます。

 

【刑事ドラマかよ】

 

胸ポケットに折りたたんで入れていた「学園生活部の写真」が弾丸を受け止めたようですね。折り畳んだだけの紙すら貫けない拳銃ってなんなんですかねえ。(煽り)

 ちなみに「不屈Lv.1」は一回だけ致命傷を受けても体力1で耐えるスキルです。使用回数は、本作では十分な睡眠を取る事で回復します。アス君は比較的ショートスリーパーなので、6時間も眠れば回復しますね。

 

 さて、それではお目当てのアイテムを物色していきましょう。欲しいのは3つです。

 

1. 地下シェルターの安全

2. CD-ROM(サバイバル百科事典)

3. ステーキの枚数

 

 最初のはクリアに必要だからです。なんと、最終日に避難する際にシェルターが開いていないと詩にます。どうにかして開けても戦闘になり、かれらになっていない人間との頃し合いをすると正気度が減少し、りーさんや要介護<めぐねえ>が自害します。

 

 二つ目は、今後の外出時に入手できるアイテムが増加します。他にも「工作」スキルで作れるアイテムも増えますし、卒業後のプレイでは野草を調理できたりもします。

 

 最後のステーキの枚数ですが、これは「巡ヶ丘学院高校の生存者」と「学校の外にいる人物」の合計となります。

 この仕様が特殊であり、まず教頭や理事長のようなモブ敵(バンディット)、ラジオ姉貴のように空気感染するキャラは含みません。逆に、スミコのように確定で外出するキャラクターは含まれます。彼女を除く聖イシドロス大学の学生や滑川小学校の生徒は含まず、モール組もみーくんとK以外は含みません。

 というか、モールスタートでリーダーを全力で守っても空気感染から発症するんですよね。かといってリーダーを事前に始末すると残り全員がストレスで発症するし……。モール全員生存縛りに自信のある兄貴姉貴は走って、どうぞ。

 

 はい、そうこう言っている間にサバイバル百科事典を入手できました。では、冷蔵庫を除いてみましょう。

 枚数は……10枚ですね。学園生活部(ゆき・くるみ・りーさん・めぐねえ・たかえ・アス君)で6枚、モール組(みーくん・K)で2枚、スミコで1枚だから、あと一人だけ生存者がいるのでしょう。

 このバージョンでは、プレイアブルキャラがランダムに何人か配置されています。が、既に詩んでいる場合はステーキの枚数に含まれません。生き残りが一人だけ、というのは寧ろ多いと言えますね。大抵の場合、初日で全滅しますからね。

 というか、プレイヤーが介入しないと学園生活部(ゆき・くるみ・りーさん)とモール組(みーくん)以外はすぐ死にますからね。いや、たかえとKは数日は生きるから良いんですよ。メインキャラなのに初日で落ちる要介護<めぐねえ>はさあ……。(呆れ)

 

 閑話休題。欲しい物は手に入れたので図書室に向かいます。が、その前に理事長と教頭の口に銃を入れて発砲しましょう。これで自札したっぽく見えます。あ、投げつけたカッターナイフの刃はシェルターの外に捨てておきましょう。七日目<あめのひ>に投げた物に紛れてくれるので証拠隠滅できます。

 では、DISCをレジ袋に入れて図書室に向かいましょう。道中は倍速です。

 

 はい、着きました。それでは、本を探しましょう。狙いは「サバット」か「サッカー」の本ですね。

 サバットはフランス発祥の、靴を履いた状態で戦う事を前提とした格闘技です。なので靴の耐久度・移動速度・攻撃力を向上させてくれますし、カポエイラとは違う隙の小さな足技が追加されます。その分吹っ飛ばし力は低下しますが、サバットによる靴への補正そのものはカポエイラの足技にも適用されます。

 サッカーは足で行う「投擲」ですね。威力が投擲より高い代わりに、咄嗟に手持ちアイテムを投げるような事はできません。普段は「投擲」に比べるとワンテンポ遅いものの、周囲に物が転がっていれば、その全てを弾丸に変える事ができます。

 また、これらのスキルは「足技系」に該当する為、脚力を向上する事ができます。アス君の攻撃力と移動速度が更に上昇するわけですね。

 

 スポーツ関連の棚に着いたら、スマホの明かりを頼りに探します。貸出中でない限り、サッカーの教本はあります。逆に、サバットはそもそも図書室にない事が多いので、モールの本屋で探すのが定番ですね。

 って、なぜかサバットの本だけありました。では、この本を読みつつ寝落ちしましょう。どうせ一晩では身につきません。

 ちなみに、基本的に「武術系」のスキルはキャラメイク時か、そのスキルを一定レベル以上で習得しているキャラから教わる事でのみ習得できます。

 ただし、アス君は「カポエイラ」を習得している為、教本さえあれば「足技系」のスキルを自力で習得できます。また、ゴリラのように特定の武器を使い続けていれば、該当する「武器術系」のスキルを習得できます。まあ、流石に「シャベル格闘」の本なんて図書室にはないですし、なんならモールの本屋にもない事が多いですね。

 

 おっと、画面が暗転したと思ったら明るくなりましたね。朝になり……、学園生活部の全員に囲まれていますね。

 はい、お説教タイムです。基本は倍速で、質問が来た時だけ等速にします。

 

「そのカーディガンに付いてる血はなんだ?」

【やつらを片付けてきただけですぞ】

「なんで一人で行った?」

【図書館に行く途中で見つけただけなのよさ】

「怪我してないわよね?」

【当然】

 

うーむ、好感度が下がってそうですね。お土産で機嫌を取ります。

 こちら、図書館で見つけた体術<サバット>の本とサバイバルのCDです。あと、緊急回避用のドライバーもカッターナイフさえあれば十分だから差し上げます。

 

「そんな物より、自分を大事にしてください!」

 

おおう、めぐねえにガチで叱られました。よしよし、好感度の減少は最低限で済んでますね。素直に謝りましょう。

 

【ごめんなさい】

 

……それでも、もうしない、とは言えないのがアス君です。外見に反して中身が雄々しいんですよね。

 いずれにせよ、お説教は終わったので朝食の後に授業です。一時間目は国語なので、知力向上のミニゲームが入る、はずなのですが……、

 

 

学園生活部心得

 

第一条 学園生活部とは、学園での合宿生活によって、授業だけでは触れられない学園の様々な部署に親しむとともに、自主独立の精神を育み皆の模範となるべし

第二条 学園生活部は施設を借りるにあたり必ずその恩に報いるべし

第三条 夜間の行動は単独を慎み常に複数で連帯すべし

第四条 部員はいついかなる時も互いに助けあい支えあい楽しい学園生活を送るべし

第五条 部員は折々の学園の行事を大切にすべし

 

 はい、黒板には学園生活部の心得が書かれていますね。めぐねえが当てた人物が読み上げるようです。第一条は部長であるりーさん、第二条はたかえさんで……

 

「では、明日葉さん。第三条を読んでください」

 

あ、これまだ怒ってるやつだ。仕方がないので読みましょう。

 

【第三条 夜間の行動は単独を慎み常に複数で連帯すべし】

「よろしい。では、恵飛須沢さん。第四条をお願いします」

 

その後は普通の授業だったので倍速します。あ、一瞬ですが暗転しましたね。起きろ。(寝)落ちたな。

 

 はい、無事に一時間目を乗り切りました。では、二時間目は体育、という事でボーラ講座を開きます。三時間目は保険で、サバットの本を読み合わせしましょう。四時間目はサバイバル百科事典を読むわけですが、生物で良いんですかね?

 

 えー、二時間目以降の授業内容は既に説明したので、みーなーさーまーのーたーめーにー(滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器)

 

綺麗好き度と不潔耐性に関する授業を行います。(破道の九十「黒棺」)

 まず最初に覚えるべき事として、綺麗好きである事と不潔への耐性が低い事はイコールではありません。ゆえに、四つのパターンに分かれます。

 

 一番良いのは、綺麗好きかつ不潔耐性が高い、ですね。みーくんが該当する他、意外にもりーさんが該当します。おそらく、園芸部で土いじりに慣れているからでしょう。ちなみに、虫などへの耐性も高いです。

 このパターンだと積極的に掃除をしてくれますし、血や詩体の処理をしても正気度が減りにくいです。掃除をする際にはリーダーとして組み込みましょう。

 

 次に良いのは、綺麗好きではなく不潔耐性が高いパターンですね。要するにズボラです。これには、くるみちゃんとアス君が該当します。

 このパターンだと掃除による正気度の減少は少ないものの、やる気の減少が多く、長時間の掃除には向きません。上記の掃除リーダーに監視させる必要があります。

 

 次にマシなのは、綺麗好きではないが不潔耐性も低い、というパターンです。ゆきちゃんが該当します。

 このパターンだと、掃除中に遊び始めます。逆に言うと、正気度を自力で回復してくれます。掃除ははかどらないものの、時間と引き換えに安定を得ていると考えれば妥協できます。

 

 最悪なのが、綺麗好きかつ不潔耐性が低いパターンです。Kとめぐねえが該当します。はい、詩亡組です。

 無理に掃除をして正気度を擦り減らし、それでもパンデミック前の環境には劣るせいで正気度回復の効率も悪い、というSAN値直葬っぷりです。

 なお、たかえも該当はしますが、ゆきちゃんと一緒に遊び始めるので正気度減少は無理をしない範囲に収まります。

 

 分かりやすくまとめると、綺麗好き度は掃除へのやる気、不潔耐性は不潔な環境に耐えられるか、ですね。

 さて、そろそろ本編に戻りましょう。あ、なんか不屈が発動していますが、りーさんが大暴投したボーラがアス君の顔面に直撃しただけです。図書室のソファーが硬かったら詩んでましたね。

 あと、「サバット」スキルも習得しました。

 

 本日の午後はバリケードの強化となります。サバイバル百科のお蔭で、より丈夫なバリケードの作成が可能となりました。

 ここで重要なのはメンバー分けですね。こちらの地図を見ながら説明します。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 まず、青い線が作成済みのバリケードで、緑の線が七日目(あめのひ)までに作るバリケードです。今回は、A-2,C-2強化班とB-1,B-2強化班に分かれます。家庭科室前のバリケードは平地かつ最前線なので、全員で合流してから行いましょう。

 今回、アス君がどちらのバリケードを作るか、は重要ではありません。大切なのはメンバー分けです。

 まず、戦闘要員であるアス君とゴリラは分ける必要があります。次に、運搬要員であるくるみちゃんと要介護(めぐねえ)は分ける必要があります。また、工作要員であるアス君とりーさんは分ける必要があります。最後に、まだ信頼イベントを起こしていないゆきちゃんをメンバーに組み込みたいです。

 なので、ゆきちゃん・アス君・要介護(めぐねえ)ゴリラ(くるみちゃん)・りーさん・たかえちゃんの二組に分かれましょう。

 

 と、いうわけで、ゆきちゃんを誘います。一緒に作ろう?

 

「うん!」

 

当然ですが、ゆきちゃんは誘われたらホイホイついてきます。私が守護(まも)らねばならぬ。(使命感)

 そして、この不安なコンビのお目付け役として、要介護(めぐねえ)が来てくれます。

 

「とおるちゃん、二人をお願いね」

「悠里さん!」

 

おや、りーさんからの呼称が代わりましたね。年下認定されたようですが、好感度も依存度も問題ないはずなので続行します。

 

「でもさ、戦力が十流だけって、割とマジで危なくない?」

「あたし達が二階のバリケードをやれば大丈夫だろ。いざとなったら、ボーラ投げて逃げりゃいいし」

「そうだな。まあ、約一名に後ろから殺される可能性を除けば、だけどさ」

「たかえさん!?」

 

ちなみにですが、正常な状態のりーさんには「身内特効」スキルはないようです。どの道、筋力三位が勢いを付けた錘が頭に当たれば詩にますけどね。というか、精神面でのデバフがない、または発狂でバフがかかる分、りーさんの方が要介護(めぐねえ)よりパワーあるのでは?

 

 閑話休題。それでは、バリケードを作っていきましょう。ここで重要なのは、ゆきちゃんの好感度を稼ぐ事……、ではありません。あるイベントのフラグを建てる事です。それさえ行えば、好感度も稼げます。

 と、いう事で、机を運んできたゆきちゃんと会話しましょう。

 

【これ、学園生活部としては初めての活動かもね】

「あ、本当だ! 午前は授業だったもんね。でも、たかえちゃんやりーさんとも一緒にやりたいなあ」

【だな。じゃあ、ここを終わらせて向こうを手伝いに行こう】

「うん! がんばろー!」

「【えい、えい、おーっ!】」

 

LEVEL UP

 

よし、レベルアップしましたね。

 まあ、やっとA-2バリケードの強化が終わった所さんなので、これからC-2の強化なんですよね。なので、向こうのメンバーがB-2バリケードの強化を手伝いに来る形になるでしょう。

 別にどちらでも良いので、更に会話を進めましょう。せっかくだし、もっと部員を増やしたいですよね?

 

「部員? ……そうだ! 勧誘しようよ、かんゆー!」

 

計画通り。(月並感)

 

【勧誘かあ……、ブラスバンド部では演奏とかしたけど】

「学園生活部って、どんな宣伝したらいいかな?」

 

おっと、知力ドベ二人では良い案が出ないみたいですね。とりあえず作業を続けて、りーさん達と合流しましょう。倍速です。

 はい、りーさんと合流したので等速に戻し、先ほどの相談をしましょう。

 

「そうねえ……。生存者を集めるなら、何処にあるかを伝える必要があるから……」

 

りーさんの目が、ゆきちゃん、化学室、足元に移動しました。つまり、

 

「お手紙を出す、っていうのはどう?」

「お手紙!」

 

勝ちました。おてがみイベントRTA、たぶんこれが一番早いと思います。

 このタイミングでおてがみイベントを起こすメリットは幾つかありますが、最も大きいのは学校外の生存者を呼べる事です。七日目(あめのひ)より前に()()()を飛ばすと、確定でスミコが来てくれます。しかも、防衛線の最中に車のクラクションを鳴らす事で手助けしてくれるオマケ付きです。

 また、が十四日目で固定になります。日程の短縮こそできませんでしたが、手紙を出し忘れるガバを防止できるのはうま味<テイスト>です。(1敗)

 

【よし! サクッとバリケードを作ってお手紙を……、どう出すのん?】

「それは……、あれ? 学園生活部なんだから、学校から出ちゃダメだよね?」

「ふふっ、明日のお楽しみよ」

 

あ、手紙を出すのは明日みたいですね。では、あとは夕食の後に寝るだけなので倍速します。

 

 今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。

 

 




所持スキル
音楽、カポエイラ、運転、霊感、投擲、工作、全力、持ち運び、強肩、美声

習得スキル
不屈、サバット

残りポイント:1


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