リコリス·スカル (ジョン·ウィックおじさん)
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髑髏の男
アニメが進むにつれて話が噛み合わないかもしれませんがその時は手直しします。
この日本はどの国より平和な国だ。
誰もがそう言っているがこの日本にも裏の顔がある。
ヤクザに半グレ、そして国際マフィア等々………あらゆる存在が跋扈している裏社会である話を聞く。
それは警察やDAには属さないフリーの掃除屋が存在する。
その名は「髑髏」。
髑髏に襲われた者はどんな奴でも必ず成敗されてしまう。
例えそれが大規模なヤクザの組長や政府のお偉いさんでも髑髏は此の世の汚れを綺麗にする。
そんな存在を裏社会は勿論、犯罪者を罰すDAも許すわけがなく全力で調べるが髑髏の尻尾すら掴めなかった。
今日も髑髏は此の世の汚れを落としに掛かる。
日本国 東京都 ショッピングモール
「政府のメス犬共だ!殺せぇ!!」
スペツナズヘルメット装着の重装備をした複数の男達がLMGの銃口を拳銃を携行している少女が隠れる花壇に向けて乱射する。
激しい銃撃に少女達は顔を出すことが出来ない。
「どうしたどうした!?そんなもんかよ!」
「くっ!クソ!!」
一人のリコリスが花壇から身を出して拳銃を発砲するが男が着ていた防弾ベストに当たるが弾は変形し地面に落ちる。
「そ.そんな……」
「ギャハハ!お前らの拳銃なんかで貫通するかよ!もし俺らとやり合うならショットガンでも持ってきて…」
ダァンッ!!
「ぐはっ!!」
「な.何だ!?」
突如拳銃より重い銃声がショッピングモールに響くと男の一人が倒れた。
男達のボスが慌てて倒れた男を見ると撃たれた場所から赤い血液が流れている。
「拳銃が防弾ベストを貫通するなんて……馬鹿な!?」
突然の出来事に慌てる武装集団だがリコリス達も何が起きたのか驚いた表情を浮かべている。
「一体誰が……?」
「あそこを見て!」
一人のリコリスの叫び声でこの場に居る者全員が二階のエスカレーターを見るとそこにはカスタムされたレミントンM870のレシーバーを操作して排莢をしている髑髏の目出し帽にスーツ姿の男が居た。
「ボ.ボス!アイツは噂の髑髏ですよ!」
「狼狽えるな!奴が噂の髑髏だろうが殺せば良いんだ!そうすれば俺達が最強になるんだ!」
「「おおっ!」」
髑髏の男がエスカレーターを駆け降り始めたと同時に男達は弾幕を髑髏の男に向ける。
「撃て撃て!」
激しい弾幕の中、髑髏の男はエスカレーターを駆け降りながらM870を構えて発砲。
「がはっ!?」
「ぐふっ!?」
二人を倒し髑髏の男は無傷でリコリス達が隠れている花壇に身を隠す。
「……」
噂の髑髏が目の前に現れたことに驚愕しているリコリス達を他所に髑髏の男は腰につけていたシェルポーチからスラッグ弾を取り出しM870に装填する。
「ま.待ちなさい!」
一人のリコリスが髑髏の男に拳銃を構える。
髑髏の男は怯える様子はなく黙ってリコリスを見つめる。
まるで獲物を狙う鷹のような目にリコリスは恐怖で拳銃を落としてしまう。
「あっ!?」
落ちた拳銃を髑髏の男が拾いリコリスが撃たれると思い目をつぶる。
しかし髑髏の男はリコリスを撃つ所か安全装置を掛けてリコリスに手渡す。
「え?」
本人もそして周りのリコリス達も髑髏の男の行動に疑問しか浮かばない中、髑髏の男は懐からグレネードを取り出してピンを抜いて男達に投げ込む。
投げ込まれてたグレネードのレバーが外れると突然煙が発生し男達の周りは白い煙に包まれる。
そして男は花壇から飛び出し煙に突入した。
激しい銃声に男の悲鳴が煙の中から聞こえていたが突然銃声や悲鳴が消えて次第に煙が晴れてくる。
リコリス達が拳銃を構えつつ恐る恐る近寄ってみると重装備の男達が全員倒されていた。
「あれが噂の髑髏………」
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「終わったぞ……」
髑髏の男は地下に止めていた車に乗り込んで運転中に電話を掛ける。
《それで首尾は?》
「依頼通り殺さず生かした」
《そうか……報酬はいつものところに送っておいた》
「わかった……それじゃあ」
髑髏の男は電話を切って助手席に投げる。
髑髏……日本の闇に潜む掃除屋が何者なのか誰も知らない…………。
_____________________
「ふぁ~~」
東京都にある雑居ビルの二階にある『田辺探偵事務所』。
小さな探偵事務所でソファーからあくびをしながら起きたのは探偵事務所のオーナーの田辺 一仁である。
「腹が減ったなぁ……何か冷蔵庫に」
目を擦りながら冷蔵庫を開けると何もなくまるで家電量販店で売ってるような状態だった。
「ってそう言えば買い物してなかった……仕方ないからいつもの所に行くか」
田辺はため息を漏らしつつシワシワのYシャツの上にコートを羽織り事務所を出ていく。
次回の投稿は未定なので気長にお待ち下さい。
P.Sたきなちゃんが可愛すぎる。
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古巣に巣食う大鷹
事務所から歩いて数十分。
東京にある小さな和風カフェ喫茶リコリコ。
ここは俺が色んな意味で良くお世話になっているカフェだ。
「こんちわ~。ミカさんいる?」
扉を開けて和風のインテリアが並んでいる中で褐色の肌に縮毛、口ひげに眼鏡をかけた着物姿
の男が立っていた。
「田辺か。また飯を食いに来たのか?」
「まぁね。食材を買うのをうっかり忘れていて……」
「はぁ……良くお前は一人でここまで生きて来れたな?」
「俺でも驚き……と言うわけでお団子を二つ!」
「了解……少し待ってろ」
田辺はカウンター席に座りお茶を飲みながら団子を待つ。
《続いて昨日起きた都内のショッピングモールでの爆発事故について消防庁は………》
「最近何だか物騒よね~?」
声が聞こえた方向を向くとこの店の従業員である中原 ミズキがゼクシィを片手にテーブル席で寝転んでいた。
「おはようございますミズキちゃん」
「おはよ~相変わらずシワシワのYシャツなのね。それだとモテないわよ?」
「アドバイスあんがとう。それで今日はミズキちゃん一人何ですか?千束ちゃんは?」
「少し用事でね……明日には顔を出すわよ」
「そうなんですか。この店の看板娘に会いたかったな」
「変なことぼやくな。ほら出来たぞ」
ミカはカウンターにリコリコ特製の串団子を置いて俺は串を握り口に運ぶ。
「相変わらずこの店の串団子は旨いな~!ずっと食べたくなる!」
「団子も良いが他のも食わないといつか倒れるぞ?」
「にゃはは!そんときは俺の見舞いに来てくれよな?」
「はぁ……お前って奴は」
呆れるミカを他所に冗談半分で言っていると懐の携帯が鳴り響く。
懐から携帯を取り出して通話を始める。
「はいもしもし。こちら田辺探偵事務所の田辺一仁で~す」
《おはよう。髑髏》
「····どちら様?」
《朝早くからすまないが清掃依頼だ。今すぐメールにある場所に向かってくれ》
「了解……」
通話を終了し懐にしまい席を立つ。
「ミカさん。すまないが急ぎの依頼が来たから帰るわ」
「そうか。前みたいに途中で投げ出さずにちゃんと依頼をしろよ」
「はいは~い。わかってますよ~」
手を振りながら店を出たと同時に田辺は店の近くに止めていた白色のフェアレディZに乗り込みエンジンを掛けてアクセルを踏み出発する。
_____________________
「それで依頼の内容は?」
首都高を走行し目的地に向かう最中に田辺はもう一度電話を掛けて依頼の内容を聞く。
《今回の依頼内容は密輸した武器の取引を行う為に現れる犯罪組織の捕縛だ》
「殺すではなく捕縛か……もしかして依頼相手は中野*1か?」
《···それは言えないがこの日本を汚す汚れは早急に排除しなければならない》
(反論しないと言うことは当たりかよ。めんどくさい依頼を受けたな……)
「了解。そんじゃまいっちょお掃除をしますか!」
田辺はアクセルを踏み速度を上げて現場に向かう。
現場近くに停車させてトランクを開けて新品のスーツ一式と髑髏の目出し帽を取り出して装着し黒いウェポンケースからカスタムされたAK-12を出す。
(前みたいに相手が重装備だった場合、俺の弾だと対処出来るか不安だが殺さないように言われているからリスク覚悟で行くしかないか……めんどくせぇ)
ため息を吐きながら腰にあるマガジンポーチに予備のマガジンを入れて田辺は廃墟となった病院に入る。
_____________________
廃病院一階の病室から侵入して置くに進むと前から二人組の足音が聞こえて咄嗟に開いている病室に隠れる。
誰なのか確認するために顔を覗かせると目の前から軽装だがしっかりとした装備をしている男二人がやって来た。
「デルタ1よりCP。こちらは異常なし」
《こちらCP了解した。引き続き警戒せよ》
(確かあの装備は米軍が使用している防弾チョッキに無線機そしてM4A1。あんな装備がただの犯罪組織が調達出来るわけがないしどうやら今回の相手は単なる犯罪組織じゃないようだ)
「たく、こんな廃病院で取引なんて不気味だぜ」
「そう言うな。先日港で小娘共に襲われたんだから安全が第一だろ?」
「あの小娘共は一体何者なんだ?殺し屋か?」
「分からんが死ぬのも恐れていなかったようだから人間じゃないかもな」
「昔の日本がやっていた用にか?怖いもんだぜ」
「そうだな。だからさっさと小隊長に報告しよう」
「だな」
男二人組は来た道を帰り廃病院の置くに消える。
(アイツらが話していた言語は日本語ではなく英語だったから国際マフィアかもしくは……嫌だ嫌だそんなことだったらおじさん疲れちゃうぞ)
目を細める田辺は物陰から出て男達が消えた方向に進む。
アニメとは全然関係ない話になっていますがちゃんと千束ちゃんとたきなちゃんは出すのでご安心を!
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大鷹と猫
男達が消えた方向に進んでいくと二階に上がると先ほどの男達が部屋に入っていくのが見えた。
左右に敵が居ないか確認して接近し部屋の中の話に聞き耳を立てる。
「哨戒任務終わりました」
「ご苦労。もう少しで例の武器商人が来るからあれを連れてこい」
「了解です。隊長……少し聞いてよろしいですか?」
「何だ?」
「もしまたあの小娘達が現れたどうするんです?」
「その時は殺すしかない。奴らの存在は日本政府に悟られるわけにはいかないんだ」
「そうですか……ならあの小娘も排除ですか?」
(小娘……と言うことは連中に捕まったリコリスが居るのか?)
「まぁな。幸いなことにこれから会う武器商人が高く買ってくれるそうだから処分の手間が省ける」
「はい…それでは失礼します」
男達がこちらに向かってくる足音が聞こえ咄嗟に階段に隠れて男達をやり過ごした後、田辺は後を追いかける。
(彼らの話しぶりや装備を見て分かったことだな今回の敵はただの犯罪組織ではなく海外の諜報機関の実働部隊かもしくは特殊部隊だろう。そんな相手にゴム弾しか持ってないオッサンが勝てる訳がないがやらなければ報酬は貰えないしリコリスの命が危ないから少しぐらい頑張りますか)
連中の後を追いかけていると彼らは廃病院の中庭で立ち止まる。
田辺もいつでも飛び出でれるように一階の病室で隠れていると中庭の置くから複数の足音が聞こえて顔を少し上げると中華風の服を見にまとった男達が立っていた。
「ワタシが武器商人のリン·チャオだ。早速金と小娘をよこセ」
「先ずは武器を見てからだ」
「···分かったヨ」
部下に顔で合図すると大量の木箱が運ばれてくる。
そしてその中身を開けるとRPGやRPK-16等の東側の武器が大量に見える。
(あれだけ武器があれば小国の軍隊ぐらいになるんじゃないのか?)
「···確かにあるな。それではこちらも出そう」
そう言うとスーツケースを両手に持った男とその後ろから男に拘束された少女がやって来る。
中華風の男は部下にスーツケースを確認させ部下は軽く頷く。
「どうやらちゃんとあるようダヨ。それにこの娘は可愛い。何処からサラッタ?」
「我々を襲った連中の生き残りです」
「くっ……!」
「暴れるな!」
もがくリコリスに拘束していた男は怒りを現してM4A1の銃床部で頭を殴る。
殴れて少女は痛みのあまり動けなくなる。
「手荒な真似はするな。もうコイツの物なんだ……」
「そうでアル。この娘は我の物でアル」
中華風の男は少女の髪を乱暴に掴み引き寄せる。
「これから可愛がってやるから覚悟するデス」
「……」
男の下卑た笑みを向けられても少女はまるで人形のような無感情で居る。
(敵は油断しているし今が頃合いだな)
田辺は懐からスタングレネードを取り出してピンを抜き狙いを定めて投げ込む。
投げ込まれたスタングレネードは取引現場の中心に落下。
直後凄まじい閃光と爆音が響き渡る。
「何事だ!?」
「目が見えないヨ!」
混乱する現場に俺は病室から飛び出し男一人の何もつけていない頭部をドットサイトで狙いAK-12の引き金を引く。
「ぐはっ!?」
「がはっ!!」
閃光ももろに受けた敵達は動けずに次々と田辺が放つゴム弾に命中して倒れていく。
「クソ!あの小娘共がぁ!!」
隊長らしき男は閃光で見えなくなった目を手で押さえながら拳銃を抜いて発砲するが弾全て明後日の方向に飛んでいく。
(当たらないだろうが跳弾して彼女に当たると面倒だ)
田辺はAK-12を隊長らしき男に構えて引き金を連続で三回引く。
ゴム弾は隊長らしき男の腕·頭·喉に命中し男は口から泡を吹いて倒れる。
隊長らしき男が倒れてから敵は統制を失い殆んどの敵は戦闘不能になり地面に伏せる。
(後このエセ中国人と少女のみ。さっさと片付けよう)
「ヒ.ヒイィィ!!」
後ろに転び怯えて今にも失神しそうな表情で田辺を見上げる中華風の男に最後のゴム弾を叩き込んで依頼を終わらせた田辺は隣で倒れている少女の様子を見る。
(スタングレネードで気絶したようだがこのままにして良いものか?連れ帰ろうにもこの少女は俺の事を見たから連れ帰って正体がバレるのは避けたいがこのままにして仲間が帰ってきたら少女が危ない)
「はぁ…仕方ない」
田辺は懐から携帯を取り出して警察にこの場所を通報してから気絶したリコリスを抱き抱えて廃病院を出ると遠くの方からパトカーのサイレン音が聞こえてくる。
(やっべぇ!!)
田辺は急いで助手席に気絶したリコリスを乗せて装備していたAK-12をウェポンケースに入れると力任せにトランクに放り込んで運転席に飛び乗りエンジンを掛ける。
エンジンの始動音が車内に響きギアチェンジをしてからアクセルを踏み込み白色のフェアレディZは廃病院を後にした直後、複数のパトカーが廃病院に到着した。
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酒場『アダム』
廃病院を脱出し再び首都高を走行している田辺は携帯を取り出して電話を掛ける。
《そっちから掛けてくるとは珍しいな髑髏?》
「少し立て込んでいてな。それでこれで良いんだろう?」
《あぁ。あの相手に依頼通りに完遂するとは流石だ》
「それでシャドー。アイツらは何者だ?ただの犯罪組織が米軍の装備をパクれる訳がないのに……」
《···ここでは話せん。いつものところにこい》
電話が切れると田辺は眉をひそめ携帯を懐にしまう。
(聞きたいなら来いってそうしたいのは山々だが今回はとんだ荷物があるから行けるわけがねぇーだろうが!)
シャドーの対応に内心イライラが止まらない田辺はため息を漏らしながら助手席を見ると気絶していたリコリスの少女が目を覚ましていた。
黒髪のロングヘアーに紫色の瞳の少女は手足を縛られた状態でじっと田辺を見つめている。
(一応暴れたら困るから手足を拘束バンドで縛っているが……確かにこれは端から見たら拉致監禁だが決っして君に変なことはしない!。だからそんな目で見ないでくれ!!)
「···貴方は何者なんですか?」
「…………」
「なぜ答えないです?」
(私は貴方達DAが探している髑髏ですってそんなカミングアウト言えるかぁ!!)
「………」
「私をどうするんです?」
「………」
「「………」」
少女はこれ以上質問しても無駄だと思ったこかこれ以降口を開かず車内は静寂に包まれる。
田辺は少女からの冷たい目線や息苦しい空気を何とか耐えながら首都高を降りる。
_____________________
首都高を降りてから一時間弱、田辺は繁華街の人通りが全くない裏路地に白色のフェアレディZを停車させる。
エンジンを切ってキーを抜いて運転席を降りた田辺さトランクを開ける。
そしてそこから救急箱を取り出して助手席に向かう。
助手席を開けると少女が相変わらず冷たい目線を向けてくるがお構い無しに田辺は救急箱からパウチタイプのアルコール綿を取り出し中身を開けて少女の傷を消毒し絆創膏を貼る。
突然のことに少女は状況が読み込めないのか目をパチパチとまばたきをしている。
救急箱をトランクにしまった田辺は折り畳みナイフを取り出す。
「!?」
ナイフを見るなり少女は身構えるが田辺は躊躇するこなくナイフを少女に徐々に近寄らせて足を縛っていた拘束バンドを切る。
「え………?」
何故拘束を解いたのか分からず困惑する少女に田辺は親指を立てて上下に上げたり下げたりして車内から出るように諭す。
少女は数秒間止まっていると突然、田辺に向かって前蹴りをかます。
しかし田辺は前蹴りの足を手で受け止める。
田辺はため息を漏らし受け止めた手で少女の足を掴み車外に投げ飛ばす。
「!?」
投げ飛ばされた少女は山とつまれたゴミ袋に落ちる。
少女がもがいてゴミ袋が潰れる音が裏路地に響く中、田辺は白色のフェアレディZに乗り込みエンジンを掛ける。
「待って下さい!」
ゴミ袋の山から何とか這い出てきた少女は叫ぶが足場が悪いのと手をまだ拘束バンドで縛られている為に田辺を止めることが出来ない。
田辺は叫んだ少女を見てダッシュボードから携帯電話と折り畳みナイフを少女の目の前に投げてアクセルを踏み路地裏を後にした。
_____________________
少女を路地裏に捨ててから目出し帽と綺麗なスーツからシワシワのYシャツに着替えた田辺は白色のフェアレディZを走らせて数時間、六本木にある『アダム』というバーに入る。
店内に入ると薄暗い照明に照らされたシンプルなカウンターにはバーテンダーと思われるメガネを掛けた男がコップを磨いていた。
田辺は無言でカウンター席に座るとバーテンダーがロックのウイスキーを目の前に置く。
「···頼んでないぞ?」
「依頼の褒美としてだ」
「こんなのより先ずは金を出してくれよ?」
バーテンダーは呆れた表情でカウンターの下から銀色のスーツケースを取り出す。
そして中身を開けて田辺に差し向ける。
そこには大量の札束が綺麗に並んでいた。
「確かに受け取った。これで今月の家賃と光熱費に水道代が払える~」
「前の仕事で受け取った金はどうした?」
「えっと……それは
「それをギャンブルだろう……それでスッカラカンになったのか」
「てへぇ☆」
「てへぇじゃね。ギャンブルなんて金をつぎ込んでも逆に取られるって分かっているのにお前は本当に学ばない男だよな?」
「男は元々学ばない生き物だろう?」
「そんなわけあるか!!」
田辺は苦笑いしながら出されたウイスキーをすする。
「それで連絡からだいぶ経ってここに来たがどうした?」
「いやぁ~依頼中に
「黒猫?動物を飼うなんてこと生活破綻者のお前には無理だろう?」
「破綻はしてません~ギリギリの所で保ってます~!」
「あっそうかい(適当)。それでその猫はどうした?」
「手当てしたら噛みつかれたからゴミ山に捨ててきた」
「····はぁ」
バーテンダーはため息をして頭を押さえて項垂れる。
「お前いつか動物保護団体に訴えられるぞ……?」
このバーテンダーとは一体何者なのか!?
時間をお楽しみに!
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謎の正体
「それで本題何だがアイツらは何者何だよ?」
「これを見たら分かる」
バーテンダーがカウンターに置いた書類を手に取り内容に目を通すと田辺は眉をひそめる。
「···これはマジの話なのかバーテンダー……いやシャドー?」
「本当も何もラングレー*1から日本に潜入している工作員に送られた書類なんだからマジだよ」
書類に書かれていたのは武器の販売先で有名なヤクザや半グレ等や巷で良く聞く武力によって革命を目指す過激派や新興宗教等の反社会的勢力等がズラリと書かれている。
「コイツはまた多いことで……それで俺がボコボコにして放置した連中はSOGだろうな」
「特別行動センター……通称SOG。CIAに置ける隠密作戦や準軍事作戦を行う準軍事部門で有名なベトナム戦争でのフェニックス作戦やアフガン戦争のソ連軍への対抗作戦等々…アメリカ政府があからさまに関与したくない秘密活動を含む軍事作戦を行っている暗部の連中だ」
「ハァ…あんまり関わりたくない連中だよ」
(こういう黒い輩達に関わると大抵ろくでもないことに巻き込まれる)
「今頃警察は驚いているだろう。何せ逮捕した外国人が国籍に載ってないもしくは昔に死んだことになっているし外務省から即刻釈放するように要請が来たんだから」
「それで警察は解放したのか?」
「いいや、取り調べや身元を探るとか何だかんだ理由をつけて拘束しているが解放は時間の問題だろうよ」
「外務省の圧力があるから仕方ないだろうがSOGの連中は何で反社に大量の武器なんかを売ろうとしたんだ?」
「それは分からないが連中が出てくるということはろくでもないことを起こす気なんだろうよ」
「ろくでもないこと……悪いがシャドー。ラングレーがここで起こそうとしていることを調べてくれないか?」
田辺は先ほど貰ったスーツケースを開けて中身の半分以上の金をカウンターに置く。
「調べてやるのは良いが少し時間が掛かるぞ?」
「構わないが出来るだけ急いでくれ」
「了解だ」
シャドーはカウンターの現金を袋に積めてカウンターの下にある箱にしまう。
「それじゃあ俺は帰るわ」
「おい待て髑髏!」
店内を出ようと田辺をシャドーは呼び止める。
「なんだよ?」
「お前が無断で助けたリコリスの少女に後で良いから謝ってやれよな?」
「おま……!?何で知っているんだよ!?」
「DAの通信でお前と遭遇したリコリスの少女が本部に報告しているのを傍受したんだよ」
「そうか……ちゃんと保護されたんだな」
田辺は何処か寂しそうな笑みを浮かべる。
「今思ったんだが指名手配にしてお前を殺そうとするリコリスの少女をなんで助けたんだ?」
(助けてた理由か………)
「確かになんで俺は助けたんだろうな」
「···相変わらず変わり者だよお前は」
「へいへい……それじゃあな」
ほくそ笑みシャドーに見送られながら田辺は手をヒラヒラと降りながら扉に手を掛けて店を出ていく。
「···本当アイツは昔から責任感が強すぎる男だよ」
店に一人になったシャドーはコップを吹きながら呟く。
_____________________
山梨県の富士山の麓。
土地の多くが国有地で木々しか生えていない場所に監視カメラやゲートが何重にも張り巡らされている謎の施設が建っていた。
ここは秘密裏に犯罪者や犯罪を行おうとする人物を秘密裏に抹殺することで国の治安を維持する独立治安維持組織『DA』の関東本部でその司令室には白いスーツを着たマッシュルームカットの中年がスーツを着ている女性から報告を受けていた。
「---以上が今回発生した事件の全貌です。楠木司令」
「そうか……それで現場にいた犯人達の身元は分かったのか?」
「それが…今回の犯人である外国人達の身元を調べた所、全員が既に死亡していることになっているのです」
「何……?」
眉をひそめる楠木に女性は説明を続ける。
「それで身元を調べるため引き渡しを政府に要求したのですが却下されました」
「政府の連中が断るなんて……この件は意外と根が深いぞ」
「はい……再要求はして変わらずですがどうしますか司令?」
「ならば知っていそうな奴から聞くまでだ」
楠木はディスクから書類を取り出してディスクの上に置く。
「髑髏からですか……確かに井ノ上たきなからの報告にも現場に現れた彼ならば何か知っていそうですね」
「全リコリスに『髑髏』を最優先に捕縛するように通達してくれ」
「分かりました」
女性は出ていくと楠木は髑髏の書類を見ながら椅子に座る。
「『髑髏』……DAの創設から名前が上がっているお前は一体何者なんだ……?」
日本で活動するCIAの目的とは?
そしてDAに追われる田辺の運命とは!?
次回もお楽しみに!
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消えた少女を追い求めて
廃病院の事件から翌日、起床し朝の支度を整えながらテレビの電源を入れると早朝のニュースが流れる。
《ーー昨日起きた事件は以上です。引き続きエンタメに移ります!》
「出てないか…」
(昨日の現場には大量の武器に死んでいることになっている外国人達を警察は発見したにも関わらず事件として報道されていない所を見るにアメリカ政府からの要請で外務省当たりが警察に圧力を掛けてもみ消したな)
「例え独立したといえも未だに属国みたい扱いとは
帰りにコンビニで寄って購入した缶コーヒーとおにぎりを食べながら呟いているとテーブルに置いてある携帯が鳴り出す。
「こんな早朝に一体誰だ?」
嫌な表情を浮かべつつ携帯を開き通話相手の名前が表示される。
「この人は……」
急いでおにぎりをほほ張り缶コーヒーで流し込み携帯の通話ボタンを押す。
「もしもし、こんな早朝にどうしたんですか阿部さん?」
「おはよう田辺。すまんが今から少し会えないか?」
「良いですけどどうかされました?」
「少し相談したいことがあってな……いつもの場所で待っているぞ」
(相談したい内容が気になるが今はリコリコに向かうか)
通話を切りポケットにしまい田辺は待ち合わせ場所である和風カフェ喫茶リコリコに走って向かう。
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「いらっしゃいって…あ!田辺さんじゃんおひさ~!」
事務所から走って和風カフェ喫茶リコリコに到着し扉を開けるとホワイトブロンドのボブカットに赤いリボンをつけた少女が着物姿で出迎える。
「おっ!この店の看板娘の千束ちゃんが居るとは今日は運が良いぞ」
「そんなに褒めてもなにもでないよ~?それで今日もお団子を食べに来たの?」
「いや今日は別件でね……」
「おう、こっちだ!」
不思議そうな表情をする千束を他所に店内を見渡しているとオレンジ色のコートに黄色のネクタイをした中年の男が手を振る。
「阿部さん遅れてすみません」
「いや俺も今さっき着いたばかりだから。まぁ座れよ」
阿部にすすめられて田辺はテーブル席に座る。
「久しぶりに見ましたけど最近は忙しいですか?」
「まぁな。最近変な通報が多く振り回されているんだよ」
眉間にシワを寄せながら語る阿部は近くの警察署に勤務している刑事で和風カフェ喫茶リコリコの常連の一人でもある。
「すまんがミカさん。団子を二人前を頼みます」
「はいよ」
「それで阿部さん。相談したいことって?」
ミカが団子の準備をする中、田辺が本題を聞くと阿部は難しい表情を浮かべる。
「相談と言うか探偵のお前に依頼をしたいんだよ」
「成る程……それで依頼内容は?」
「先ずはこれを見てくれ」
阿部は懐から一枚の写真を田辺に手渡す。
その写真には入学記念に撮ったであろう女子高校生が映っていた。
「この可愛らしい女子高校生は?」
「名前は
「その女子高校生がどうしたんです?」
「昨夜、彼女が家に帰ってこないと通報があった。当初は家出だと思っていたんだが彼女が良く通る通路で彼女のバックが落ちているが見つかった」
「それで家出じゃないと思ったと?」
「そう思って俺も捜査しようとしたんだが何故かこの件の捜査から外された」
「なんでいきなり外されたんです?」
「分からんが……この件は何だかきな臭く感じるんだよ」
「それで自分に依頼しにきたんですね」
「確かにお前さんは廃人レベルの金欠ギャンブラーでモラルの欠片もない男だが探偵としての腕を見込んで頼む」
「うん。だいぶ酷いことを言われているのは一旦置いておいて俺もその女子高生が心配だからしらべてみますね」
「すまんが頼む」
_____________________
刑事の阿部から女子高生の捜索を依頼されて和風カフェ喫茶リコリコから出た田辺は白色のフェアレディZに乗り込み手にした顔写真を手掛かりに街中を捜索を開始する。
「ここにも居ないか……」
彼女のよく来ていたショッピングモールで聞き込みをしてみるも収穫を得られるず田辺はメモ帳にチェックを入れながら白色のフェアレディZに戻る。
捜索を開始してから数時間が経過し彼女が居そうな場所に行ってみるが痕跡すらない状態で捜索は難航していた。
(ここまで捜索しても痕跡すら見つけられないとなるとこれは単なる家出ではなく事件に巻き込まれた可能性が高い。もし本当に事件に巻き込まれたならば失踪から24~36時間以内に見つけないと著しく生存率が下がる。だからその前に見つけ出さないといけない)
「こういう時はあの人に聞きに行くのが一番だな」
田辺は白色のフェアレディZのエンジンを掛けてショッピングモールを後にする。
リコリスのWikipediaを見たら千束の髪色は白と書かれていましたがどちらかと言えばホワイトブロンドじゃないかと思ったので変更しました。
そんなことはさておき刑事の阿部から依頼を受けた田辺が会う人とは一体誰なのか?
次回もお楽しみに!
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情報通と再会
いやぁ~題名でこれからの展開が気になりますし人工心臓だと聞いたときは驚いて声が出ましたw
そんな話はさておき本編をどうぞ!
車を走って数十分、田辺は都内にある公園に車を止めて公園の広場に向かった。
公園の広場に向かうとそこには親子連れやカップル等が公園で優雅な時間を過ごしている。
「確かこの辺に………居た!」
辺りを見渡すと噴水近くにキッチンカーが止まっているが見えて田辺はキッチンカーに駆け寄る。
「へいらっしゃい!……って何だ田辺かよ」
「おうガー爺。景気はどうよ?」
田辺の目の前には右目に傷痕がある白髪のガテン系の老人がタコス片手にキッチンカーに立っていた。
「たった今お前が来たことで悪くなったよ」
「それは御愁傷様(ニヤニヤ)」
「ケッ!冷やかしに来たならさっさとけぇーれ!」
「まぁまぁそう言わずに注文をするから許してくれよ」
「たく調子の良い奴だ……それで何を頼むんでぇい?」
「そうだな……なら
直後不満そうな表情だったガー爺が真面目な顔つきに豹変する。
「少し待ってろ……」
ドスの効いた声でガー爺はカウンターのシャッターを閉めて木製の看板を裏返し『CLOSED』にする。
「ほら…こい」
ガー爺の後にキッチンカーに乗り込み後ろの扉を閉める。
扉を閉めて振り返るとそこには壁一面には裏社会の有名人達の顔写真や反社の規模や今後の行動等が張り出させれていた。
「相変わらずごちゃごちゃしているキッチンカーだな……」
「余計なお世話だいぁ!それで…お前さんが聞きたい情報はこれだろう?」
ガー爺はキッチンカーに固定されている鉄製の引き出しからファイルを取り出して田辺に渡す。
田辺がファイルを開けるとそこには依頼対象者である伊藤美芳が失踪してからの足取りが書かれていた。
「···ガー爺さん。何で俺がこの子のことを知りたいと分かっていたんだ?」
「おいおい!勘違いすんじゃねーぞ?!俺はメガネから連絡を受けてお前さんがこの娘を探しているから調査してくれって頼まれんだい!」
慌てる表情で弁明するガー爺を見て殺気を放ちつつじっとガー爺を見つめていた田辺は開いていた目を薄目にしいつものヘラヘラした顔つきに戻る。
「だよね!ガー爺がそんなことする分けないのに疑ってごめんね」
「そうだぜぇ。俺はこうして立派なカタギになっているんでぇいから疑うんじゃねぇやい!」
「ごめんごめん!金を二倍払うからさ~!」
「まぁいい。それでだがその娘さんを拐ったのは最近この辺で調子にのってやがる犯罪組織でい」
「犯罪組織か……だとしたらコイツが拐った理由は女目的か?」
「それはちと違うでい。どうやらこの娘さんは偶然道端で武器の密輸現場目撃しちまって連れ去れたようだい」
「口封じ…だとしたら早く助けないと手遅れになる」
「そんな奴らが別の女を拐うつもりらしい何だが…」
「場所は?」
_____________________
「そろそろだな……」
空は暗闇に包まれ街灯が光る都内のとある道路に『髑髏』の格好をした田辺が腕時計を見て呟く。
ガー爺から情報を聞いた田辺は紅蘇都が今夜誘拐する場所が見える曲がり角に待機していた。
腕時計から視線を戻すと遠くの方からメガネをかけた一人の女性が歩いてくるが見えた。
田辺は懐から顔写真を取り出し女性の顔を見る。
その写真には女性と彼氏だろう二人が記念撮影をしている。
「どうやら狙っているのはあの女性のようだ……」
懐に写真をしまいいつでも動けるようベルトにつけていたホルスターからH&K P30を抜きセイフティーを解除する。
「うん………?あの制服はリコリスか?」
警戒の為周囲を見渡すと一つ前の曲がり角に紺色の制服を着たリコリスがサイレンサー装着のM&Pを取り出し待機していた。
(あの顔は確かSOGに捕まっていた所を助けだけどお礼に前蹴りをかました少女じゃないか。なぜこんなところ………もしかしてあの女性を狙っているのか?)
少女の目的が分からない為様子を伺っている間にも女性が少女が隠れている曲がり角に近づくに連れて少女はジリジリっと前に出てくる。
(これ以上待つのは女性の身が危険だ)
田辺は少女にバレないように足音を消しながら走り抜け少女が隠れている曲がり角に飛び入る。
「!?」
突然曲がり角に田辺が飛び込んできたことに驚いた少女は咄嗟にM&Pを構え引き金を引く。
銃口から放たれた弾丸は田辺の頭部に向かうが
田辺はまるで事前に弾道予測してたかのように弾丸を躱して少女の両手を掴むとコンクリート壁に押し当てて固定する。
「くっ……!」
腕の自由を奪われながらも諦めない少女は膝蹴りを繰り出すが意図も容易く足で受け止められてその勢いのまま足を絡ませて動きを封じた。
(反応速度や的確な急所の狙撃は見事だが狙う場所を目で追いすぎて丸分かりだ)
「···放してください」
身動きを封じられた少女は俺を睨み付ける。
(俺もこんな少女を襲うようなことはしたくなかったが君の目的を聞くまでは放せられないが声を聞かれて特定されても面倒だしここは大金をはたいて買ったコイツを使う時だな)
「ゴホンっ!···その前に質問する。これはDAの命令か?」
まるで初老の老人の声を更に低くしたような声で田辺は話す。
これ俺の喉に埋め込んだ超小型変声機で咳払いをすると声を自由に変えられる優れものでシャドーに頼んで買ったハイテクグッズである。
「私達の敵である貴方に話すと思いますか?」
「君が言っていること最もだが話さなければこのままだが良いのか?」
「それは………」
《きゃあぁぁぁ!!》
少女が罰が悪そうな表情をした直後、女性の悲鳴が田辺の鼓膜を揺らす。
リコリス1話を話に被せて見ましたが今さら遅くね?っと思ってしまった作者でした。
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EASY GAME
(女性の悲鳴…まさか!?)
咄嗟に拘束していた少女を放して道路に出ると5人組の男達が女性をワンボックスカーに押し込んでいた。
(見てない間に襲われるとは俺としたことが……今は後悔や反省よりも女性を助けなければ!)
「待てお前達……!」
道路に飛び出して呼び止める田辺に男達は驚愕した表情を浮かべると咄嗟に懐から拳銃を取り出し銃口を田辺の方に向ける。
『死にやがれぇ!!』
銃撃が始まる寸前に田辺は曲がり角に飛び込み銃撃の雨を避ける。
(所構わずぶっぱなしたら周りの家に跳弾して危険だ。早くアイツらを無力しないと)
「その女を入れてさっさと逃げるぞ!!」
男達は弾幕を張りながらワンボックスカーのエンジンを掛ける。
(このままだとあの女性と依頼の手掛かり達が逃げられてしまう。何か良いものは……?)
田辺が打開策を考えているとサイレンサーの音が聞こえた為振り向くと隣に居たリコリスの少女が曲がり角がら上半身を出してM&Pを発砲し始める。
「ちょ.ちょっと待てぃ!」
想像もつかない行動に俺は驚きつつも少女の肩を掴んで曲がり角に引っ張る。
「何をするんですか!?」
曲がり角に着くとリコリスの少女は田辺の腕を振り払い不満な表情を浮かべる。
「民間人に当たったらどうすんだ!?」
「そんなミスはしません」
(その自信は一体何処から来るのか分からないがこの状況を打開できる方法を閃いたぞ)
「射撃に自信があるならあのワンボックスカーのフロントタイヤを撃ってくれ」
「何故ですか?私ならこの距離でも犯人達を射殺できます」
「良いからやってくれ。それともやっぱり
「!?………やれます!」
眉をひそめて不満そうな表情を浮かべるリコリスの少女は曲がり角から上半身だけを出しM&Pの引き金を二回素早く引く。
弾丸は見事フロントタイヤに命中。
撃たれた場所から空気が漏れ出す。
(この距離で当てれるとは……流石だと褒めたいが本来こんなことを誉めるべきではないからやめておこう)
「それで次はどうす…」
「そこで待機していろ」
リコリスの少女が振り返る前に田辺は曲がり角から飛び出た。
(頭を出ずに敵に警戒しないとは…コイツらは
敵の男達は車のドアや後ろに隠れて顔を出さない数十秒間に田辺はワンボックスカー手前まで接近し運転席側のドアに向かう。
「うわ!?」
敵の男はそっと顔を上げて田辺を見つけると慌てて拳銃を発砲する。
放たれた弾丸を男の目線や長年の感で回避しドアを力強く蹴り飛ばす。
「ガハッ!?」
閉まるドアが男の顔面にぶつかり男は鼻から血を流して倒れる。
(先ずは一人)
一瞬横目で倒れたことを確認した直後男の仲間二人が隠れていたワンボックスカーの後ろから飛び出してくる。
「死ねやぁ!」
田辺は咄嗟に腰のホルスターからH&K P30を取り出し胸前中央で構えて引き金を連続で二回引く。
放たれた弾丸は二人組の頭部に命中し白目を向いて地面に頭を打つように倒れた。
(これで三人。最後は…)
「この野郎!!」
突如後ろから最後の生き残りがナイフを片手に襲い掛かる。
田辺は突き出されたナイフを避けて相手の腹を殴りつけ怯んだ隙に右膝を蹴り体勢を崩した所に顔面を殴る。
殴られた敵はフラフラと身体を揺らし力なく倒れた。
(これで全員片付いたな。そしたら助けますか)
田辺はワンボックスカーのドアを開けると麻袋を被されている女性を見つけた。
「何々!?どうなってるのよ!」
視界を奪われた状態で銃撃戦に巻き込まれて混乱状態の女性に田辺は女性に被せられた麻袋を取る。
麻袋を取ると女性は田辺を見るや悲鳴を上げる。
「写真は消したんだから殺さないでぇ!!」
(どうやら俺の姿を見て犯人の仲間だとおもっているようだ)
ワンボックスカーから悲鳴を上げる女性を車外に出すと女性は唖然とした表情で田辺を見つめる。
「貴方は…彼らの仲間ではないの?」
女性の問いに田辺は頭を横に降ると女性は安心した表情を浮かべているのを見ていると曲がり角から足音が聞こえて振り返る。
「ちょっとタンマタンマ!!私達争うつもりはないよ!」
そこには先ほどのリコリスの少女と月の光で輝くホワイトブロンドのボブカットに赤い制服を着ている錦木 千束が手を上げて向かってきていた。
(戦っている時から気配は感じていたがやはりここに来ていたとはな)
「たきなちゃ~んっ!!」
女性がリコリスの少女の元に駆け出して少女抱きつくと少女はM&Pの銃口を田辺に向けるが千束がM&Pを掴んで下げさせる。
「何をするんですか!?」
「良いからここからは私に任せて」
千束はゆっくりと田辺の方に近寄り手前で立ち止まる。
「先の戦闘を見せてもらったけど凄いね『髑髏』さん?」
「俺もこんな場所で『歴代最強のリコリス』の錦木 千束に会えるとは光栄だ」
「私のことを知っているんだ。まぁ今はそれよりも私達はコイツらに用があるからごめんけど引いてくれない?」
「すまないが俺もコイツらに聞きたいことがあるから去るのはそれからだ。これは譲れない」
田辺と千束は牽制するようお互いを見つめ合う。
「わかった……ならちゃっちゃと済まして~」
「感謝する」
折れた千束に感謝を言い田辺は近くで倒れている男の胸ぐらを掴むと男の腹部に拳をめり込ませる。
「がはっ!?な.何が起きたんだ……?」
気絶から目覚めた男は状況が掴めていない中、田辺は顔を近づける。
「起きたな」
「ど.髑髏!?」
「俺の質問に答えたらこれ以上なにもしない」
「も.もし答えないなら…?」
男の問いに帰ってきたのは田辺のH&K P30の銃口だった。
それを見た千束は焦った表情で止めようするが田辺は手でそれを制止する。
「この弾は特製ゴム弾でお前を殺すことは出来ない。だが苦痛を与えることは出来る。俺はお前が答えたくなるまで身体に撃ち込んでやるさぁどうする?」
「わかったわかった!何が聞きたいんだ!?」
田辺は懐から女子高生の顔写真を取り出して男に見せる。
「この少女を何処にやった?まさか殺していないだろうな?」
「殺してない殺してない!神に誓って殺してない!!」
「なら何処にいる?」
「そ.それは……」
「答えないのか?」
田辺はH&K P30のスライドを引いて男の額に銃口を当てる。
「コイツは今日海外に売り飛ばす為に横須賀の港近くにある倉庫にいる!」
「場所は?」
「俺の胸ポケットで調べればわかるはz」
「そうかご苦労」
田辺は立ち上げると腹部にゴム弾を数発撃ち込んで男を気絶させる。
そして胸ポケットから男の携帯を取り出して場所を調べる。
(ここか……車で行くならそう遠くないから今から行けば間に合う)
「ちょいと待ってよ髑髏さん」
H&K P30を腰のホルスターにしまい着崩れた上衣を直し携帯にあった場所に向かおうと歩き出すと千束に呼び止める。
「今は急いでいるんだが?」
「ごめんけど少しだけ聞いて。今からそいつらのアジトに向かうんでしょ?なら私達も手伝うよ」
(何!?)
唐突で予想外な提案に無感情なリコリスの少女も驚いた表情をし田辺は外見は冷静だが内心驚愕していた。
(DAの敵である俺を手伝うだと?これ何かの罠なのかは分からない状態で答えるの危険だ)
「俺は君たちの敵なのにどうしてだ?」
「そうです!この人はDAから最優先捕縛せよと命令が来ているんですよ!?」
(捕縛命令……殺されるよりかは良いが捕まる訳にはいかない)
「今はそんなの関係ないよ。それに髑髏さんが使っているその弾。私と同じ非殺傷弾でしょ?」
「···それがどうした?」
「そんな弾を使う人が悪い人じゃないよ。それに今回現れたのは写真の女の子を助けるためでしょ?なら私達の出番じゃん!」
誇らしげに胸を叩く千束をリコリスの少女は呆れた表情を浮かべながら見つめている。
(確かに『歴代最強のリコリス』が居れば戦力的に優位に立てるがそれは俺の
「助けは要らない。俺一人でやれる」
「良いからさ~」
次の瞬間、田辺は素早くホルスターからH&K P30を引き抜くと引き金を引く。
銃声が鳴り響き遅れてリコリスの少女は田辺に銃口を向けるが再び千束が止める。
リコリスの少女は何故止めたのか疑いの目を千束に向けるが千束が指をさした方向には一機のドローンが黒煙を上げながら墜落した。
「···もう一度言うぞ。これ以上俺に関わらず今すぐ家に帰れ。良いな?」
田辺は何か言おうとしている千束達を置いて次の場所を目指すのだった。
田辺の信念とは!?
次回をお楽しみに!!
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後ろにはご注意を
「ここが取り引き現場だな」
千束達とあまり良くない雰囲気で別れた田辺はコンビニで拝借したバイクに乗り携帯にあった横須賀の港近くにある倉庫にやって来た。
フェンスをよじ登り携帯に示されている倉庫が見える場所から顔だけを出して覗くと武装した集団が入り口に屯していた。
(どうやらまだ取り引きの途中で来れたがさぁこれからどうする?何か良いものは……!)
辺りを見渡すと小型のタンクローリーが停車しているを見つけると田辺は悪い笑みを浮かべる。
_____________________
一方倉庫の内部では作業着姿にサングラスを掛けた男達とスーツ姿の男達が居た。
その中でも赤い短髪の作業着姿の男と右目に傷痕があるスーツ姿の男が先頭に立ち話し合っていた。
「それで例の物は?」
「···おい」
スーツ姿の男は部下に命令すると部下達がフォークリフトで大型の木箱を男達の目の前に運ぶ。
そしてスーツ姿の男が部下に持ってこさせてバールで木箱のフタの釘を抜いて中身を開ける。
「注文通りに揃えた」
「コイツはすげぇ…!」
赤髪の男は驚きながら木箱から大量にあるゴツい軍用ヘルメットを取り出す。
作業着の男達は驚きの声を上げながら他の木箱も開ける。
他の木箱の中身は爆発物処理に使う耐爆スーツの上に更に装甲を付けた特注の防弾スーツ、M240や弾薬携行用のリュックが付属しているM134等の重火器が入っていた。
「た.確かに受け取ったぜ」
「あぁ。それでこちらに引き渡す女は?」
「少し待ってくれ。おいあの小娘を連れてこい!」
赤髪の男がどなり声を上げてると部下の男が手首を拘束バンドで縛られている女子高生を連れてくる。
「やめて離して!」
「黙ってろ!」
必死に抵抗する女子高生に苛ついたのか部下の男が頭を殴る。
「きゃぁ!」
「良いか。次に騒いだら手を切り落とすからなぁ!?」
「は.はい…」
殴れた女子高生は痛みと恐怖で涙で顔を濡らしし震える身体で男の言うことを聞く。
「···こんな恐怖で怯えている小娘が我々が探していた正体だと?」
「え.えぇ!勿論ですよ!!」
スーツ姿の男の疑い目線に赤髪の男は苦笑いをして目をそらす。
「ふむ……まぁいい。たとえ小娘が偽物でも我々はある人物からお前達を支援しろと命令を受けているだけだ。それに……おい」
スーツ姿の男は部下に女子高生を連れてくるように合図をして女子高生を目の前に連れてくる。
「小娘を囮に使えば連中が現れるかもしれないから貰っておくぞ」
「えぇ。ソイツは好きにして良いので今後とも是非お願いしますよラングレーのダンナ!」
「次に口を滑ったらナイフで切り刻むぞ……?」
「す.すまない……」
睨み付けたスーツ姿の男は女子高生に手を掛けようとした直後、クラクションの音共に小型のタンクローリーが倉庫の入口を破壊して突っ込んできた。
「何だ!?」
「全員避けろぉ!」
スーツ姿の男は叫び全員が迫り来るタンクローリーを避ける。
タンクローリーは直進し木箱を破壊し倉庫の壁に激突する。
「敵襲だぁ!」
男達の部下達は拳銃や小銃を黒煙を上げるタンクローリーに向けるとタンクローリーの運転席の扉がゆっくりと開くが車内には誰も居なかった。
「だ.誰もいない?」
無人のタンクローリーに部下達は不思議に感じ辺りを見渡すが誰もいなかった。
「誰も居な」
ダァンッ!
直後、倉庫内に銃声が鳴り響き一人の部下が地面に倒れる。
「何だ!?」
突然の出来事に混乱する部下達だがスーツ姿の男は咄嗟にホルスターから拳銃を取り出して倉庫入口に向ける。
銃口の先には髑髏姿の田辺がH&K P30を横に構えていた。
「う.うわぁ!?」
「貴様…何者だぁ!?」
腰を抜かす赤髪の男にまるで目線で殺す勢いの目で睨むスーツ姿の男。
数秒遅れて部下達も田辺の存在に気付き銃口を向ける。
「隊長…コイツがチーム1を倒した例の人物です」
「何!?なるほど…貴様が我々の妨害している小バエだとは探す手間が省けた」
(話の内容からコイツらは廃病院に居た連中『SOG』の仲間で作業着の連中はさっき女性を襲っていた連中。もしかしてコイツらはグルだとは予想外だった)
「さぁ…マスクを外して素顔を見せろ」
「………」
「嫌なのか?なら殺してから拝んでやる!」
男達が引き金に指を掛ける瞬間、壁に激突したタンクローリーが爆発。
倉庫内は白い煙に包まれた。
「み.見えねぇーぞ!?」
「クソ!タンクローリーに何か仕掛けていたな!全員注意しろ!奴が襲ってくるぞ!」
「了か…がはっ!」
スーツ姿の男が叫んだ直後、一人の部下が一瞬悲鳴を上げた。
「何処にいやがる!?」
「撃て撃て!!」
何も見えない状態で何処から襲ってくるか分からないが状態の部下達は錯乱し至る所で銃撃を始める。
「止めろ!やみくもに撃つな!」
スーツ姿の男は叫ぶが彼の声は部下達の耳には入らず銃声と悲鳴が倉庫内に鳴り響き続けること数分後、先ほどまで銃声と悲鳴が止み白い煙が晴れていく。
「やっと見えてき…どうなってやがる!?」
二人の男の目には部下達が全員地面に倒れていた。
「クソ……報告通り奴は化け物だ」
スーツ姿の男は眉をひそめて歯を食いしばる。
そして部下達を無力化した田辺はゆっくりと男達の元に向かう。
「クソ!こうなったら焼けだぁ!動くな髑髏野郎!!この小娘がどうなっても良いのか!?」
赤髪の男は女子高生を無理やり立たせて頭に拳銃を突きつける。
田辺はそれを見て足を止めて立ち止まる。
「そうだぁ……そのまま動くなよ」
(うん?上から何か来るぞ?)
「おい何処を向いてやが」
『そぉい!!』
「がぁは!?」
突如天井のガラスを突き破り千束が落下し着地点に立っていた赤髪の男の真後ろに着地しすかさず拳銃を発砲し赤髪の男を倒す。
「何!?他に仲間が居たのか!?」
スーツ姿の男は驚いた表情を浮かべて千束に拳銃を向けようとするのを田辺は見逃さずに手にしていたH&K P30の引き金を引いて男の頭部にゴム弾を叩き込む。
「く…そぉ……が!」
スーツ姿の男は田辺を睨みつつ地面に倒れる。
敵を無力化した田辺は女子高生を確保しようと振り向くと既にリコリスの少女が女子高生を保護していた。
「一人でも大丈夫な割には危なかったね?」
「···付いてきたのか。帰るように言っただろう?」
「まぁね。でもこうして助かったんだから恨みっこなし!」
明るく笑みを浮かべる千束に田辺はため息をして折れる。
(確かに助かったことは事実だから責めるわけにもいかないから今回だけは許してやるか)
「ねぇねぇたきな!さっきの私カッコよくなかった!?」
「それよりもこの男を拘束しましょう千束」
「···ハァ。たきなってば相変わらずお固いな~」
二人でワイワイと騒ぐ中、田辺は後ろから見られている気配を感じて振り返ると遠くから見えるビルの屋上に一瞬光りが見えた。
(まさか!?)
田辺は咄嗟にリコリスの少女の元に駆け寄った直後、光の線がリコリスの少女に向かい赤くそして生温かい液体が宙に舞い地面を赤く染める。
突然の狙撃にたきなはどうなったのか!?
次回をお楽しみに!!
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激痛の逃走劇
「たきなぁ!?」
千束は顔を真っ青にし慌てた様子でリコリスの少女に駆け寄る。
千束の目にはリコリスの少女の顔や制服に血がベットリと付着し制服が紺から黒色に変色していた。
「そんな………たきなぁ!たきなぁ!しっかりしてよ!」
「う..うるさいですよ千束…」
「たきなぁ!大丈夫!?」
「私は大丈夫です」
「でもこんなに血が…」
「何処も撃たれてないので大丈夫ですよ」
「ならこの血は一体……?」
『うぅ!!』
悲鳴に喘ぐ声が聞こえて二人が田辺を見る。
田辺はリコリスの少女を解放し仰向けに寝っ転がると右腹部から赤い血液がYシャツから滲み出ていた。
「もしかして髑髏さんがたきなを庇ったの!?」
「それよりも敵は何処ですか!?」
「そんなことより今すぐ物陰にこの人も連れていくの手伝って!!」
「敵なんですよ!?」
「敵でも命大事にそれにたきなを助けてくれたんだから見捨てることは出来ないよ!」
千束とリコリスの少女は再びの狙撃を警戒し大人の身体である田辺の身体を引っ張り物陰に移動する。
(クソ…もしものために着ていた防弾ベストを貫通するとは予想外だ)
「着いた~!」
田辺を物陰に運んだ二人は千束が警戒しリコリスの少女は田辺を救急処置を行うとするが勿論のこと倉庫には医療箱や手術道具等はない。
「く…ここでは治療が出来ない。千束!今すぐ病院に行きましょう!」
「そうだね。今すぐ病院に…」
「待て……」
田辺は立ち上がるリコリスの少女の腕を掴んで制止する。
「このままだと死にますよ!?」
「落ち着いて…よく外の音聞くんだ……」
二人は静かに耳を澄ませると外からパトカーのサイレンの音が聞こえる。
「この音はまさか警察ですか!?」
(タンクローリーが倉庫に突っ込んで更に日本じゃ起きるはずがない銃撃戦が起きていたら誰だって警察に通報するもんだ)
「どうします千束!?」
「どうしよう……ちょっと待って!……もしもし、ミカさんちょっと頼みごとが……」
千束はポケットから携帯を取り出し誰かに電話をする。
「そうなの…今外に警察が居て……逃げろってそれができたら苦労しないよ!」
(話を聞く限り期待は出来ないな……クソ視界がボヤけてきた。このままだと仲良く捕まることになるがそうなれば俺のこともそうだが千束達の正体がバレるのは避けなければならない。こうなったら……!)
田辺は痛みを耐えるために歯を食いしばり立ち上がり狙撃で空いた右腹部を手で押さえながらゆっくりと警察が待ち構えている入り口に歩く。
「ちょい待ち!そんな重傷の身体で何をしようとしているの!?」
「ハァハァ…俺が警察の目を引く。その間に女子高生と共に逃げろ…」
「ハァ!?何を言い出すの!?そんなのこと出きるわけ…」
「このままだと…俺達は警察に捕まる…それだけはお嬢ちゃん達も避けたいだろう?」
「それは……そうだけど」
千束は険しい表情で言い淀む中、リコリスの少女は歩きだし田辺の目の前に立ち止まる。
「貴方はどうして私を…」
(助けたのかって言いたいんだろう?それはだな…)
田辺は気まずそうなリコリスの少女の頭に手を置いて『行け…』と呟き倉庫入り口に歩く。
(これが俺の犯した罪に対する贖罪だからだ)
_____________________
『そこのマスクの男!!手にした銃を地面に置いて手を上げろぉ!!』
倉庫を出た直後、拡声器の声が鼓膜を揺らしライトの光で目が眩み目を細める。
(ま.眩しいなぁ!)
段々と目が光に慣れて視界がハッキリと見える。
視界には複数のパトカーに拳銃を構えている警官隊が田辺を待ち構えていた。
(一人にこんな大層な出迎えとはお巡りさん達もご苦労なこった)
『もう一度だけ言う。銃を置いて手を上げろ!これが最終警告だぁ!!』
(うん?あれは阿部さんじゃないか?)
拡声器で叫んでいる野郎を見るとその人物は俺に女子高生の捜索を依頼した刑事の阿部だったのだ。
(依頼者に殺される訳にもいかないからそろそろとんずらするとするか)
『言うことは聞かないと本当に』
ダァンッ!!
田辺は警官隊に向けてH&K P30を乱射する。
田辺が使用している弾丸がゴム弾とは知らずに警官隊はすかさずパトカーに隠れる。
「クソぉ!!あのマスク野郎は容赦ねぇな!!」
(今のうちにとんずらだ!)
一瞬の隙をついて田辺は警官隊が居る場所の反対側に走り出す。
「逃がすかよ!!」
「あ.阿部刑事!?」
阿部はパトカーから飛び出し逃げた田辺を追いかける。
「ま.待てぇ...マスク野郎…!!」
右腹部の痛みに耐えながら走っていると後ろから息を切らしながら走ってくる阿部が見える。
(犯人を絶対に逃がさないと言う信念とは流石刑事の阿部さんだ。だが……)
田辺は波打ち際に着くと荒れ狂う海に飛び込む。
「クソ…逃げられた」
眉間にシワを寄せ歯を食いしばり悔しい表情を浮かべる阿部は田辺が消えた海を睨み付けるのだった。
_____________________
首都高にあるパーキングエリアで大きなケースを背負ったバイクスーツを着た女性が携帯を取り出して電話を掛けていた。
「ご命令通りに始末を完了しました。シンジ様」
『ご苦労。これで我々の存在が露見することはない』
「はい。それで第二目標なんですが邪魔が入り失敗しました。申し訳ありません」
「ほぉう?君が失敗するなんて珍しいね?」
「はい…例の男が邪魔に入りました」
『例の……『髑髏』のことだね?その件はこちらで対処するから心配ないから帰ってきてくれ』
「分かりました…」
電話を切れると女性は携帯を持っている方の手に力を入れる。
「髑髏……私に恥をかかせた罪は必ず晴らす!」
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