【東京喰種】僕の選択。 (わむ)
しおりを挟む

No,1 事故

皆さん、こんにちは。わむです。
初めて小説を投稿するので言葉の使い方が変だったり、読んでてコイツ語彙力ないって思うかもしれませんが、そういう時はビシバシ指摘してください!

では、どうぞ!!


「行って来まーす」

 

僕の声に応える音は聞こえなかったけど、気にせず玄関のドアを開けた。うん気にしない気にしない。大学受験という大切な日までテンションが下がることなんて考えたくないしねー。

 

僕は今から電車に乗るために駅に行くんだー。通勤ラッシュと微妙にかぶるからぎゅうぎゅう詰めになるのはウンザリだけど…そんなことを考えながら歩いていると横断歩道に差し掛かったので、僕は立ち止まった。赤信号かぁ〜。ついてないなぁ。ここの信号長いんだよなぁ。僕の他にも親子が信号待ちしていた。いかにも仲が良さそうだ。

 

「ねぇ〜お母さ〜ん!いつになったら信号変わるの〜?」

 

「もうすぐ変わるわよ。焦らなくてもサッカーの試合には間に合うから」

 

「みんなと練習する約束してるから早く行かないといけないんだよぉ〜」

 

「はいはいそうだったわね」

 

試合の前に練習とか気合い入ってるなー。試合の前に疲れない程度にしときなよ〜。にしても仲が良い親子って羨ましいなぁ。見てるだけでこっちまでほんわかしてくるし。

 

信号が青に変わった。少年が走っていく。

 

「やったぁ〜!!やっと信号変わったよ!お母さん早く早く!!」

 

「コラッ走ったら危ないでしょ!!」

 

さて僕も行かないと。そう思って右を見た時だった。猛スピードでトラックが突っ込んでくる。居眠りか?

 

「そこの君!!危ないから戻ってきて!!」

 

大声で叫んだのがダメだったのかもしれない。少年はビックリして転んでしまった。

 

ヤバいっと思って、気がつくと僕は飛び出していた。少年を抱えて走ろうとしたけどどうやら間に合わなかったみたい。足の速さには自信があったんだけどな。

 

 

   ドンッッッッッ!!!!

 

 

体に大きな衝撃が走って、目の前が真っ赤になった。そして僕の意識が飛んだ。

 

気絶していたのだろう…僕が目を開けると泣いている親子が視界に入った。道路が見えることから気絶していたのはほんの数分だろう。

少年はところどころ怪我をしてるが「お姉ちゃん、お姉ちゃんっ」と連呼しているくらいだから大丈夫だろう。良かったぁ。

母親の方は「救急車を呼んだからっ!もうすぐ来るからっ!」とパニックになっている。

 

でも…2人には悪いけどもうダメな気がする…出血のせいかだんだん寒くなってくるし、眠気が襲ってくる。ごめんね。君、サッカーの試合行けるかなぁ。

 

「落ち…着いて…くだ…さい…大…丈夫…ですか…ら…」

 

そう言って僕は少年がずっと握ってくれていた右手を握り返した。まただんだん意識が遠のいていく。

 

あっ。…なんで?ホントにごめん。

 

 

「〜〜〜…〜〜……〜〜〜」

 

「〜〜………〜〜〜〜〜〜〜……〜〜〜」

 

なんか聞こえるけど聞き取れないなぁ。もどかしい。

 

 

意識がはっきりして、音もしっかり聞こえるようになった。最初にテレビのニュースアナウンサーの声が耳に入った。

 

 

  『〇〇で喰種による捕食事件が起きました。被害者は………』

 

 

 

世の中物騒だ…ってはぁ!?喰種!?

 

 




どうでしたか?
また近々投稿して行こうと思ってますので読んでいただけると嬉しいです。
三日坊主にならないように気をつけます!

ではでは。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 2 うっかり屋の母

こんにちは!わむです!
第二話です!
小説のタグの付け方がイマイチ分かんないです!
(なんで今話すんだろう…)
ではどうぞ!!


喰種ね…うん…喰種…もしかするとさ…いやもしかしなくてもだけどココって『東京喰種』の世界ってこと!?つまり僕は死んで『東京喰種』の世界に転生したってことだよね?転生って憧れるなぁ⭐︎とか思ってたけど、いざ転生すると心残りあり過ぎる…!!

 

まず、試験受けれてないじゃん…!!僕結構頑張ったんだけどなぁ…まぁしょうがないか。。。

 

それに死んだ後って幽霊になってまわりの反応とか様子とか見れないの!?ちょっと興味あったんだけどなぁ。まぁ僕の家族はなんとも思わないか…これで泣いてたりしたら完全に演技だろうし。

優樹菜…前世で1番僕に優しくしてくれた子。僕に『東京喰種』を貸してくれたのも優樹菜だったなぁ…僕の愚痴もいくらでも聞いてくれて…でも…

 

一番の心残りは妹のことかな…

 

まぁ悔やむことはそれなりにあるけど、今の状況を整理せねば…

 

幸い少し前の記憶があるから、一から調べなくて済む。

 

ええと、僕の名前は優理らしい。天野優理。うん。多分2歳半ぐらいでお昼寝中だったっぽい。それから〜

 

「優理〜起きたのね〜」

 

ほい、起きました。そしてこのおっとりした女性は僕の現在の母親である。名前は天野優衣。前世の母親よりも断然優しい。

 

「ねぇ、聞いて〜優理〜!母さんお仕事決まったのよ〜。来週から来て下さいって〜!」

 

確か父親が事故で亡くなってこのアパートに引っ越したと聞いた覚えがある。ここまでくると曖昧だなぁ。まぁ、所詮2歳の記憶だもんね。それで母さんは面接を受けたりとか色々してたっぽい。

 

「お仕事は〜来週の月曜日からだって〜」

 

母さんはすごい嬉しそうに僕に抱きついた。前世じゃ、こんなことされたことなかったからビックリしたけど、悪い気はしないなぁ。

 

 

そして、月曜日。母さんが仕事に初めて行く日なんだけど…母さんは慌てていた。普通なら寝坊したのかって思うよね?ところがどっこいこの方はちょっと違うようだ。。。

 

「どうしよう〜!!優理が1人になっちゃうのに保育園のこと忘れてた〜〜!!どうしようどうしよう〜!!」

 

母さんはうっかり屋さんらしい。にしてもこれは酷い。重症だと思う。しかも玄関のドア全開で僕を抱っこして叫ばないで……近所迷惑だし僕の耳も痛い……

 

「あら、天野さん。どうしたの?」

 

心配して隣のおばさん出てきたじゃん…!

 

「清水さん〜!あの〜!」

 

母さんは清水さんに事情を話した。涙目で…。落ち着け落ち着け。

 

「あら〜そういうことなのね!それだったら私が優理ちゃんのこと見とくわ!どうせ私は家にいるから!」

 

「ありがとうございます〜!」

 

少しは遠慮しようよ。普通「そんな…申し訳ないです。」なりなんなりあるでしょ…。

 

「じゃあ、安心して行ってらっしゃい。」

 

「はい!行ってきます!」

 

この2人親子なの!?違うよね!?なんでこんなにスムーズに話が進むの!?

 

まぁこんな感じで僕は清水さんに預けられることになったのでした。はぁ…朝から疲れた…

 

 




どうでしたか?
あんまり進まなかったですね。
次回は原作キャラが出てくる予定です。
さぁ誰でしょう!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 3 迷子

こんニーゴ!!
わむです!
今回、キリがいいとこまで書いたんですけどすごい多くなりました…
1.5倍くらいかな…?

ではどうぞ!


寒い冬から暖かい春になりかけている3月下旬。僕は今6歳で来週小学校に入学する。今日は日曜日で母さんも仕事が休みで家にいるんだけど…

 

「優理〜火、気をつけてねぇ〜火傷しないでねぇ〜」

 

「そこでウロウロしてしてる母さんのが危ないよっ!僕は毎日料理してるから大丈夫だってばぁ〜!」

 

「ごめんねぇ〜母さん料理出来なくて…家事もほぼ優理に任せっきりだし…」

 

「そんなの気にしなくていいよって、ああ〜待って!手伝わなくていいからっ!」

 

母さんは全く料理出来ない。誰が見ても十中八九、いや必ず料理が下手だというはずだ。この前一緒に料理した時はタイマーをかけ忘れて火にかけたものが真っ黒焦げになっていたし、塩と砂糖を間違えたり、大さじと小さじを間違えたり…キッチンが散々なことになって、出来たものはとても食べることができないであろう…黒い物体やドロドロの物…母さんは隣で泣いてるし…どうやったらこうなるのか…謎である。これを見て僕は一生母さんに料理させないと誓った。

 

「でも…見てるだけなんて…」

 

だんだん母さんの目が涙目になってくる。

 

「じゃあ…洗濯とか掃除とかは…?」

 

「どっちも終わったから…今ここにいるんじゃない…」

 

ああ〜だんだんいつもののんびり声じゃなくなってくるよぉ〜

 

「あっ…えっと…じゃあもう使わない料理器具洗ってくれるかなぁ!?」

 

「わかったわ〜これはもう洗っていいのよね?」

 

「う、うん」

 

ほっ…危うく泣くところだった…もうこの様子を見ていたらどっちが親なのか分からない…

まぁ…6歳が料理してるのもなかなか珍しい光景か…だって中身高3だからっしょうがないじゃんっ!(?)

 

ちょっと大変だったけど、無事料理が完成したんだからよしとしよう…

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、母さん行ってくるわね〜」

 

「は〜い!いってらっしゃ〜い!」

 

玄関のドアの鍵が締まる音がして、しばらくしてから僕は居間に戻った。昨日の夜ご飯もなんとか無事に作れたなぁ。日曜日に疲れるって何事だろう…

 

僕はしばらくぼうっとテレビを見てから、家事に取り掛かった。因みにもう保育園には行っていない。中身高3だから元から生活力あるしね!

 

それから、冷蔵庫の中身が寂しくなっていたので、僕は買い物に出掛けた。

 

 

 

僕はいつも使っている道を通ってスーパーに行こうとしてんだけど…

 

「あっそこの君!ここから先、今工事中で危ないから違う道から行ってくれるかな?」

 

…なんと…!!

 

「そうなんですね!分かりました。ありがとうございます♪」

 

さて…困ったな…とりあえずこっちの道を進めば着くかなぁ?

 

 

 

待って…ホントに困った…道分からん!迷子になってしまったっぽい…ヤバい…ヤバいな…

自慢ではないけど、僕、方向音痴なんだよね〜!よっぽど使い慣れてないと迷うんだよなぁ…

 

そんなこんなでキョロキョロ、ウロウロしてると誰かが声をかけてきた。

 

「お前、そんなとこで何してんだよ?迷子か?」

 

僕は、ん?と思って振り向いた。そこに立っていたのは…ヒデだ。永近英良。『東京喰種』の主人公である金木研の親友だ。僕はめっちゃいい奴ってイメージがあるなぁ。

 

「あっもしかして僕のこと〜?」

 

「当たり前だろ!んでどうしたんだ?」

 

「いや〜実はね、いつもの道が工事中で、他の道を使ったらなんと迷子に…!ってことで〇〇ってスーパーまで連れてって欲しいんだよねぇ。因みに僕は方向音痴だから口で言っても分かんないよ!」

 

「なんで偉そうなんだよ!?まぁ、いーか…〇〇だな?確かこっちだ」

 

「おっ!お兄さんやっさしい〜」

 

「にしてもお前1人で行くのか?お前幾つだよ?」

 

「僕?今6歳後一週間で小1だよ!」

 

「はっ?小1!?危ねぇだろ!親は?」

 

「仕事だよ〜それに慣れてるから大丈夫店員さんの大体が僕のこと知ってるし!」

 

それに中身は高3だからなんかあったらそれなりの対応はできるしね!

 

「(そりゃ今どき小1が1人でスーパー歩いてたら気にするだろ…)そ…そーか…」

 

「お兄さんは幾つなの〜?」

 

「俺か?俺は今9歳だ」

 

「え〜そんな変わんないじゃん!」

 

「3つも違うだろ!…ほら着いたぞ」

 

「ホントだぁ〜ありがとう!」

 

「じゃあな!」

 

ヒデは手を振って帰っていった。僕は買い物を終わらせた後、また迷子になったのでした。

 

 因みに適当に歩いてたら知ってる道に出たからなんとか帰れたよ!

 

 




どうでしたか?
上手な文ってどうやったら書けるのか…
ヒデの喋り方めっちゃ不安…合ってるかなぁ…

ではまた!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 4 通学路

こんニーゴ!わむです♪
途中なのに間違えて投稿しました。。。
あー焦った、、、

ではどうぞ!!


今日は入学式!ということで、先程体育館で校長先生の話を聞いて、今は教室で担任の話を聞いている。母さんは今日、仕事を休んで来てくれたんだけど…ずっと僕に手を振ってくるし、何回もするから無視したら小声で「優理、優理」って呼んでくるから恥ずかしい…流石に先生たちの話してる時はしないけどさぁ。待ち時間中はずっとまわりから視線を感じるんだよぉ〜

 

「ねぇねぇ」

 

やっと解散になった時、後ろから声を掛けられた。

 

「ん?」

 

「名前何ていうの?私は岩瀬玲緒奈だよ!」

 

入学式初日から声を掛けるってコミュニケーション能力高いなぁ。

 

「僕は天野優理!よろしくね!」

 

「帰るわよ〜。あら2人も仲良くなってたのね〜」

 

うん、挨拶しかしてないよ?まぁそれは置いといて、どうやら親同士も話してたらしい。

 

「せっかくなので一緒に帰りませんか?」

 

「そうですね〜」

 

で、校門まで歩いてったんだけど…

 

「もしかして…方向反対ですね。」

 

「あら〜残念ですね…」

 

「バイバイ、優理」

 

「バイバイ!」

 

 

 

 

 

入学式の次の日。3限授業!楽だねぇ〜!ということでもう下校するんだけど…するんだけど…

 

「優理〜また明日〜」

 

「またね〜」

 

……み、道がわからな〜い!嗚呼〜!どうしよう〜…考えても仕方ない!とりあえず歩こう!

 

「あれ?この前の迷子じゃん。」

 

こ、この声は…

 

「また迷子か?なんてな!」

 

うぅ…図星…

 

「まっさか〜!流石に家までの道が分かんないとかそんなじゃないよ!」

 

あっ…口滑った…

 

「そーかそーか!きちんと帰れるんだな?」

 

ニヤニヤしながら言うなよ…

 

「………すみません。分かりません…」

 

「だろうな〜!でどこ住んでんだ?」

 

「〇〇ってアパート……」

 

「ん?そこ金木と同じじゃね?」

 

「うん、そうだね」

 

やっぱりヒデの後ろに立ってたの金木くんだったんだ〜

…というか同じアパート!?気付かなかった…

 

「おぉ〜!じゃあ連れてっておくれ」

 

「う、うん(なんか強引な子だな…)」

 

「ところで、金木くんとえ〜と、そういや名前聞いてなかったね」

 

「確かにな。俺は永近英良。ヒデって呼んでくれ」

 

「オーケーオーケー。僕は天野優理。それで2人は同級生なの?」

 

まぁ知ってるんだけどね〜知らないふり知らないふり!

 

「どう見てもそうだろ?」

 

「いや〜だってさ、金木くんのが落ち着いてるから頭に疑問符が浮かびまして」

 

「はぁ!?どういう意味だよ!?っと俺ん家こっちだからじゃあな!」

 

「切り替え早っ!じゃーね!」

 

「また明日」

 

…金木くん喋ってくれるかなぁ…?

 

「……こっち曲がってもうちょっとしたら着くから」

 

「ほーほー、道全然覚えてないけど」

 

「えぇ…」

 

「ずっと話してたからね!ところでどうやって金木くんとヒデは仲良くなったの?性格真反対じゃない?」

 

「あぁ、よく言われる。僕がうまくまわりと馴染めてないのに気づいて話しかけてくれたんだと思う。本人は引っ越して来たばかりで友達がいないからって言ってたけど」

 

「そっかそっか。」

 

「…ほら着いたよ。」

 

「ありがとう〜いや〜最初はあそこで一生を過ごすのかと…」

 

「(賑やかで変な子だな…)」

 

「なんか突っ込んでよ〜!1人で変なこと言ってるヤバい奴になっちゃうじゃん!」

 

「なんかごめん…」

 

「真に受けなくていいよっ!ところで金木くん何階?僕は2階だよ」

 

「3階」

 

「りょーかい!じゃあまたね〜!」

 

「うん、また」

 

 

  その後、数日程金木くんについてって登下校する優理であった。。。

 

 




どうでしたか?
優理はヒデを呼び捨てにしてますけどいいんでしょうか…?
まぁ、いいのかな?

ではまた〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 5 テスト勉強

こんニーゴ!わむです♪
タイトルつけるのすごい下手だよなぁっていつも思うんですよね…
なんか他の人の見てると凄い良いタイトルで…
どうやって思い付くんだろ、、、

では、どうぞ!


「優理〜ここどうやって解くんだよ〜」

 

「えっと、そこは〜」

 

今現在僕は中1です。今何をしているかというと、ヒデの家でヒデの勉強を教えています。本読んでんだよぉぉ!

 

「というか、お前は勉強しなくていいのかよ?」

 

「…ヒデが度々教えろ教えろ言うから勉強進まないし、まだテスト期間じゃないし!」

 

それに中身高3だから、授業聞いて課題に取り組めばいけると思うしね〜

 

「ヒデはもう少し授業中に覚える努力をした方がいいと思うよ。優理に迷惑かけるし」

 

「そうだよ!少しは金木くんを見習いなよ!あとテスト期間中は玲緒奈と勉強するからいつもみたいにずっと教えることはできないよ〜」

 

「えぇ!初耳なんだが!」

 

「今初めて言ったもーん!」

 

「えっ、てことは…」

 

「金木ィ〜頼む〜!」

 

「僕がいない間、ヒデに勉強教えてあげてね〜、金木くん!」

 

金木くんが不安になってるけど、大丈夫!この感じだと原作では1人でヒデの勉強見てたはず!

 

「大丈夫大丈夫〜!いつもよりもヒデの勉強を教えてあげる時間が増えるだけだから!」

 

「が、頑張るよ…」

 

「じゃあ、2人は勉強に戻りなさーい♪」

 

僕は金木くんが持って来てくれた本を読むから〜!因みにこれは『拝啓カフカ』!高槻泉の本だよ〜!読んでみたかったからめっちゃ嬉しい⭐︎まだ途中までしか読んでないけど、高槻泉は素晴らしい作家だってことが分かる。うん。でもエトって怖いなって感じたんだよね…漫画読んでて。いい人だとは思うけどさ。

 

 

 

 

「あっもう6時じゃん!そろそろ帰るね〜。本ありがと、金木くん」

 

「また読みたかったら言ってね。いつでも貸すから」

 

「ありがとう〜2人ともテスト頑張ってね〜!じゃ、また」

 

 

 

 

僕は玄関のドアをひねった。ガチャッと軽い音が部屋の中で響く。

 

「ただいま〜」

 

誰もいないけど。最近さぁ、母さんと日曜日ぐらいしか顔合わせてないんだよね〜。「もう中学生だから仕事が終わるの夜遅くなっても大丈夫?」って聞かれて、全然大丈夫だよ〜って答えたら、朝は僕が起きる前に行って、夜は寝た後に帰ってくるからさぁ。母さんって極端なところあるんだよね〜。

 

因みに金木くんはお母さんが亡くなっているから、叔母さんに引き取られてる。だから1人で帰ってきたんだけどね。僕も父さんは小さい頃に亡くなってるから、全然記憶にないけど母さんも自分の前からいなくなるなんて想像つかないな…

 

僕はキッチンでご飯を作って、食べて、後片付けした後、自分の部屋で勉強を始めた。はずだったんだけど、気づいたら玲緒奈とメールしてた。よくあるんだよね〜

 

 

 

 

 

 

 

今日は放課後に、玲緒奈の家で一緒に勉強してたところ、玲緒奈が突然、、、

 

「ねぇ、ちょっと休憩しない?」

 

「ん?いいよ」

 

「じゃあ、ちょっとついてきて」

 

えっめっちゃ広い!外から見て家、大きいなとは思ってたけど、手前の部屋使ってたからね、、、部屋多すぎる…お金持ちなんだなぁ…前世は裕福な方だったと思うけど、ここまでじゃない…

 

「ここ」

 

玲緒奈は1番奥の大きな部屋の扉を開けた。

 

「!…すごっ」

 

楽器がズラーと並んでいる。どっかのスタジオか?ここ。

 

「優理、音楽好きでしょ?…はいっ!」

 

玲緒奈は近くにあったギターを手渡してきた。そして、もうひとつギターを持って今度は自分で抱えた。

 

「えっ?なんでそう思ったの?」

 

「…なんとなく。息抜きに音楽はぴったりだよ!」

 

「…ギター弾けんよ」

 

ピアノとかヴァイオリンなら前世でもやってたけど。

 

「教えるから大丈夫」

 

それから僕たちは30分程練習して、勉強に戻った。

 

でもなんでか、玲緒奈は本当に言いたかったことを隠してるように見えたな。。。

 

  うまく笑えてた?……かな

 

 




どうでしたか?
後半なんか暗くなったなような気が……
音楽はただ僕が好きだから入れただけなんですよ。
次も恐らくめっちゃ飛びます!

ではまた〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 6 行方不明

こんニーゴ!わむです♪

投稿するスピードですが、3日に一度にしようかな、と考えています。

書いててやたらと台詞ばっかりな気がします、、、

ではどうぞ!


「名前見つけた?」

 

「んーん、まだ……いやあったよ!同じクラス!」

 

「やったー!!」

 

「ここの高校ずっと同じクラスだからねー。ホント良かったよー!1年2組だって」

 

「じゃあ行こっか!」

 

僕、天野優理は高校1年生になりましたー!つまり金木くん達は大学1年生ということで原作通りなら運命の年!えーどう関わっていくんだろ?できれば堀ちえちゃんみたいに情報屋がいいなぁ。なんか情報屋ってカッコよくない!?

 

「にしても中学の時、優理凄かったよね!テストずっと学年1位だったし。高校でもいけるんじゃない?」

 

元々高3までの知識があるからなぁ…

 

「どうだろうね〜。…というか玲緒奈は僕を抜かそうという気はないの!?」

 

玲緒奈は学年2位だからいけるような気がする。

 

「抜かせたら良いけどね!国語以外は勝てないから!」

 

「うっ…だって国語ってさぁ記述難しいじゃーん」

 

「優理はいつも点引かれるもんねぇ。ほら着いたよ」

 

なんで玲緒奈は記述でばっちり点が取れるのか…

 

「どんな先生かなぁ?優しい先生がいいなー」

 

「優理、毎回言うよねそれ」

 

しかし願いは叶わず、厳しいことで有名な先生だった。。。まぁ怒られることはしないけど!

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間後、見知らぬ番号から電話が掛かってきた。

 

「もしもし?天野です。」

 

『天野優衣さんの娘さんですか?会社の者ですが、天野優衣さんはいらっしゃいますか?』

 

「母がいつもお世話になっております。母はいませんけど…そちらにいるのではないのですか?」

 

『優衣さん、3日前から出勤されてなくて……どこにいるのかも分からないんです』

 

「え……そう…なんですね。私、母とはなかなか時間が合わなくて、日曜日にしか母と会えないんです。明日、母が帰ってくる様子がなければまたご連絡します。」

 

僕は受話器を置いた。どういうこと…?その後、何をしたのか全然覚えていない。ずっと待っていたが、母さんはいつまで経っても帰って来なかった。夕方になって昨日掛かってきた電話番号に掛け直した。何が起こっているのか分からない。母さんは何処へ行ったの?嘘だと信じたい。

 

次の日、僕は学校の帰りに交番に寄った。学校に伝えることと行方不明者届を出すように、と電話で言われたからだ。今日の朝、先生には伝えたが、まだ他には誰も言っていない。交番で書類に記入した後、家に帰った。

 

 

 

 

帰り道。

「ねぇ、玲緒奈」

 

「何?」

 

「母さんがさ、行方不明になっちゃって。帰って来ないんだ。無事…かなぁ?」

 

言っている途中で涙が出てきた。ずっと我慢してたのになんで泣くかなぁ?

 

「だから、辛そうだったんだ」

 

そう言って玲緒奈は僕を優しく抱いてくれた。

 

「優理は前から自分の気持ちを出さないよね。泣きたかったら泣いていいんだよ?」

 

それから僕はしばらく泣いていた。。。

 

 

金木くんとヒデに言った時も凄く驚かれて、心配された。ヒデが探してくる!!って飛び出してったのは、金木くんと一緒に止めたけど。流石にコレは笑ったなぁ。

 

 

 

 

 

それから約1ヶ月経った頃。

 

『ピンポーン』

 

と、玄関のベルが鳴った。

 

「どなたですか?」

 

「………」

 

返事来ないんだけど、画面に映った人を見ると見知らぬ男性が立っていた。いや、僕はこの人を知っている。

 

 

 

    四方さんだ。

 

 

 




どうでしたか?

四方さん。流石にインターホンだったら返事するんでしょうか。。。

あともう少しで原作に入れるはず、、、

個人的には学校行事の番外編も書きたい…!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 7 あんていく

こんニーゴ!わむです♪
少し遅くなりました…すみません!
早く『:re』書きたいなぁ。。。
まだ原作にも入ってないのに、、、

ではどうぞ!


…いくら待っても返事は返ってこない。かといって帰る様子も無い。……開けるしかないな…

玄関の扉を開けて、僕はもう一度尋ねた。

 

「あのーどちら様ですか?」

 

「……」

 

んんん〜〜?これ以上どうしろと?四方さん突っ立ったまま僕を見られても困るんですが。

 

「何か御用ですか?」

 

「…天野優理だな?ついて来い」

 

急に喋ったと思ったら、言ってる事も急なのですが…勝手に歩いてくし。知らない人について行ったら危ないっていうのが常識ですけど……僕がずっと立ち止まっているのに、気付いたのかすぐに止まったけど。

 

「あのっ!ちょっと待っててください!」

 

僕は部屋に戻って、とりあえずスマホをポケットに突っ込んだ後、家の鍵を閉めた。

 

「お待たせしましたー」

 

四方さんと僕は歩き出した。…全然喋らないんだけど。

 

「あのーお名前お伺いしても?」

 

「………」

 

「あのーお名前……」

 

「…四方蓮示だ」

 

「そうですか。ところで何故、僕の名前を知っているのですか?」

 

「……」

 

沈黙を貫かないでよぉ!普通に考えたら、知らん人に知らん所に連れて行かれて、何も話してくれないなんて不審者がやる事だよ、、、

 

「…今から何処に行くんですか?」

 

「……」

 

「……聞こえてますよね?」

 

「…ああ」

 

「返事来ないと凄い怖いんですけど…」

 

「……」

 

ここまで黙れるの、ある意味凄いよ…

 

「……ここだ」

 

やっと着いたのか…連れて来られた場所は喫茶店。目の前にある看板には『あんていく』と書かれていた。

 

 

 

中に入るとコーヒーのいい匂いがした。お客さんは誰もいない。まぁ、『close』って看板が下げられてたんだから当たり前だけど。なのに電気はついている。

 

オシャレなテーブルがいくつも並んでいて、壁には絵や写真が架かっている。奥のカウンターの皿に奥の棚には喫茶店らしい食器が入っている。

ほぉ〜と思いながら、じっくり見ていると足音が聞こえた。

 

「四方くん、連れて来てくれてありがとう。君が優理ちゃんだね?」

 

「はい。天野優理です。」

 

「少し話したい事があるんだ。奥に来てくれるかな?」

 

僕は奥から出て来た男性、芳村さんについて行った。そして……なんとなくこれから話される事は分かっていた。

 

「優衣さん、君のお母さんのことだけど…喰種捜査官に殺された。」

 

「…そうですか。」

 

なんとも…いえない。そもそも1ヶ月も行方不明で生きてる可能性などほとんど無に等しい。覚悟はしてたつもりだった。でも…。ただ泣かないように歯を食いしばった。…喰種捜査官、という事は……

 

「…母は喰種ですか?」

 

「そうだ。」

 

「それじゃあ僕はっ」

 

「君も喰種だ。」

 

はい?あの母さんの性格からして飼い人ではないだろう。てっきり孤児だった僕を育ててくれたのかと…。

 

「え?でも僕、普通に食事できますよ!?」

 

「それが何故かわからないんだ。だが一度だけ優衣さんは君の赫眼を見たことがあるらしい」

 

「でも、あのうっかりの母さんだったら見間違いも有り得ますよ」

 

娘の誕生日を一ヶ月も間違えたことがあるような人だ。一日ならまだしも。あり得る事だと思う。

 

「確かにあの子ならしそうだけどね。」

 

母さんは誰から見てもうっかり者だったらしい。。。

 

「それじゃあ、指を切って治ったら喰種かもしれませんね。確かめてみましょう!」

 

そういえば、あまり紙とかで指を切った覚えはない。瞬間的に治っているからかも。

 

「普通の刃物じゃ、傷はつけられないよ。怪我をしなければ、人では無いけれど」

 

そういや、そうだったー!なんか色々忘れてんなぁー。

 

「じゃあ、カッターとか包丁とかありますか?」

 

「カッターならこの引き出しに…はい、どうぞ。」

 

「ありがとうございます」

 

僕は人差し指をそっとカッターの刃に当てた。刺さらない。今度は手のひらに思いきり刺した。だが刺さらない。…という事は……

 

「喰種かどうか分かんないけど、人間では無いですね……」

 

「そうだね。まぁ自分の事をじっくり知っていけば、良いと思うよ。」

 

「そうですね…」

 

具体的にどうすればいいのか…不安だなぁ…

 

「君のお母さんの頼みも含めてなんだけど、優理ちゃん『あんていく』で働いてみないかい?」

 

「え?」

 

あの『あんていく』でバイト!?そんな夢のようなことが!?

 

「君のお母さんから君の面倒をみてほしいと言われてね。」

 

「は、働いてみたいです!」

 

まだバイトしてなくて良かったー。探してたけどなかなか良いのが見つからなかったんだよね!

 

 

 

 こうして僕は『あんていく』で働くことになった。。。

 

 




どうでしたか?
優理、『あんていく』で働くことになりました!
次回は董香ちゃんが出てくるはず!!
原作キャラが出てくる程、話し方を気にせねばならぬ…

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 8 ふざけた奴

こんにちは!わむです♪
あんていくだ〜!やったー♪(?)
今5月ぐらいですね。それで鉄骨事故が9月の終わりくらいなのかな?
時間が経つのって早いですね…(?)


今日から『あんていく』でのバイトが始まる。

あの後、母さんのことを色々聞いたんだけど母さんはここの常連らしくてお昼休みとかに来てたらしい。そして時間ギリギリに仕事に慌てて戻っていくという、、、あの母さんならやりそうだな…

そして意外にも強かったらしい。捜査官と戦っても余裕で勝てるくらいだったらしいんだけど…見つかった相手も相当な手練れで勝てなかったらしい。

誰かは教えて貰えなかったけど、特等とかそこら辺の知ってる人(こっちが一方的に)だと思う。母さんが戦ってる姿とか、食事してる様子とか想像出来んな…

 

因みに学校から直で行く。玲緒奈に『あんていく』でバイトする事を話したら場所を知っているらしいから迷子の心配はない!その代わり玲緒奈は遠回りになるけど、、、

 

「にしても急に優理がバイトってビックリだなぁ。迷惑かけちゃ駄目だよ?」

 

「大丈夫だよ〜。僕をなんだと思ってるの?」

 

「不真面目。」

 

「…玲緒奈、僕の事そんな風に思ってたんだ…グスン」

 

「………。」

 

「なんかツッコんでよ〜。今の明らかに演技だったでしょ!」

 

「ハイハイ。まぁ不真面目は冗談だけど、そうやってふざける?ところはあるよね。」

 

「ユーモアだよ。いいこといいこと♪」

 

「そうねぇ。。。と『あんていく』に着いたよ」

 

「あっりがとー!また明日〜!」

 

「頑張ってね〜」

 

僕は思いっきり玲緒奈に手を振った後、お店のドアを開けた。

 

「こんにちは〜!!」

 

挨拶しながら入ると、1人女の子が近づいて来た。え、なんか怒ってる?

 

「新人ってアンタでしょ!?声デカい!?お客さんいるんだからもう少し静かにしなさい!」

 

「元気いっぱいでいいじゃん♪」

 

「自分で言うな!」

 

お客さんも今はそんなにいないんだけどなぁ。僕はいきなりこの美人な子、霧島董香に怒られた。

 

「まぁまぁ、ここで怒ってもうる…迷惑だからさっ!奥に行こ!」

 

「はぁ!?ちょっと引っ張んなよ!」

 

ということでトーカちゃんを奥に引きずって連れて行ったところ、声を聞いて出てきたらしい店長と鉢合わせした。

 

「こんにちは、優理ちゃん。今日からよろしくね。」

 

「こんにちは〜、店長!」

 

「店長!これからコイツと一緒に働かないといけないんですか!?」

 

「おや?さっきまで楽しみにしてたのに、急にどうしたんだい?」

 

「楽しみにしてくれてたの?嬉しい〜」

 

「ついさっきまでね。予想と違って、こんなふざけた奴が来たから!」

 

何も指まで指さなくても。

 

「えぇ〜明るい子って言ってよ〜」

 

「まぁまぁ。これから一緒に働く仲間なのだから、仲良くね?」

 

「そうだぞ、そうだぞ」

 

「アンタねぇ 」

 

「ところで名前は〜?」

 

「スルーすんなよ…ったく。…霧島董香。」

 

「トーカちゃんか〜!僕は天野優理ね!改めてよろしく!」

 

トーカちゃんは呆れた顔をして、ハァーとため息をついた。僕は無理矢理トーカちゃんの手を握って、もう一度「よろしくよろしく」と呟いた。

 

 

 

その後凄くトーカちゃんにはコキ使われた。まぁ、こっちもトーカちゃんのことを質問し続けた訳だけど。

 

 

 




どうでしたか?
ホントに芳村さんってどうやって喋ってたっけ…?
不安だなぁ…
今回の優理テンション高い気がする。

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 9 I'm tired.

こんにちは〜!わむです♪

え〜…また間違えて書き終わってないのに投稿してしまいました…
変なとこにあったったんかなぁ…?ホントにビックリする…

ではどうぞ!


あんていくでの仕事は意外と大変だった。まだ習ってないからコーヒーなどは淹れられないけど、注文を聞いたり、洗い物をしたりと…お客さんが少なくなったら、物が置いてある場所をそれぞれ覚えたり…でも楽しかったね!

 

「僕とトーカちゃんって同じ高校だったんだ〜」

 

「そうそう。そして私のが一個上なんだから、もうちょっと敬意を払いなさい。」

 

「ところでさぁ、なんで僕の事知ってたの?母さんが度々僕の事話してたとか?」

 

にしては一ヶ月も空いてるし、不自然だと思うんだよね。

 

「(コイツまた無視…!)えーとね…アンタの事は聞いてて、何かあった時に面倒を見て欲しいって言われてたんだけど…」

 

「だけど?」

 

「…アンタの名前しか聞いてなかったのよ」

 

「…名前…だけ?」

 

「その…優衣さんアンタの事だけは色々話してたんだけど、家の住所とか肝心なとこは全く話してなくて」

 

「あ〜母さんならやりそう…」

 

「それでみんなで必死に探してたんだけど、何の手掛かりも無いから時間掛かってね…」

 

成程…母さん何してんの…!?

 

「母がご迷惑おかけしました…」

 

「いや…優衣さんがそういう人だって事はこっちも分かってたし、優衣さんが鳩にやられるなんて思ってなかったから…今思うと先に鳩にアンタが見つからなくて良かったな…」

 

仮に見つかったとしても訳分からん気がする。

 

「捜査官は僕を探してるの?」

 

「いや、そもそもアンタの存在自体に気付いてる様子が無いから大丈夫だと思う」

 

「ほーほー。そんで結局、僕をどうやって見つけたの?」

 

「依子のお陰で」

 

「依子?あっ小坂先輩?先輩がどうしたの?」

 

「(依子は先輩呼びなのか…!)依子と委員会で同じグループでしょ。それで凄い手際がいい一年生のペアと一緒になったって言ってたの。1人の名前がアンタと一緒だったから、あとは組席を依子に聞いて、追跡したって訳」

 

「ストーカーされてたのか〜!全然気付か…痛っい」

 

ストーカーじゃないです。すみません。足思いっきり踏まれた…

 

「アンタの住所を店長に報告して、休みの日に改めて四方さんがアンタの家に行ったの」

 

「成程〜!で皿洗い終わったよ」

 

「じゃあ次は〜」

 

先程からトーカちゃんただ喋ってるだけに見えるんだけど…気のせいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ〜終わった〜!疲れた〜!早く帰ろーっと。

 

「ちょっとアンタ待ちなさい。」

 

「えぇ!なんで!」

 

「着いてきて」

 

と言ってトーカちゃんは歩いてく。意外と速い。僕はもう帰りたいんですが…?拒否権はないようだ。。。

 

 

 

 

 

ん?ここって地下だよね?こんなとこになんの用が…?暗くてヒンヤリしてて不気味な感じがする…

 

「さっき、捜査官はアンタの存在に気付いてないって言ったけど、万が一の場合に備えてアンタにはそれなりに戦えるようになって貰う」

 

「えっと…それはつまり…」

 

まさかまさか…予想が違ってて下さいぃぃ!

 

「赫子を出せる様になって貰う」

 

嫌です!なんて僕の願いがトーカちゃんに届く筈もなく…いきなり蹴りを入れてきた。

これは避けるしかない。うん、避けることに全力を注ごう!

 

「避けんな!」

 

んな事言われても!死にたくないもん!避けなかったら死ぬだけだよ!

最終的にトーカちゃんは赫子を使ってきた。羽赫…めっちゃ綺麗だなぁ…じゃなくて!当たんない様に逃げないと…

 

段々トーカちゃんの息が切れて、赫子が消えた。終わりっ?終わりだよね!?

 

「今日は…これで終わり。はぁ…明日は避けるな」

 

明日もあるんですか!?嫌なんだけど!

トーカちゃんへの文句を心の中でブツブツ呟きながら、トーカちゃんと僕は上に戻った。

これでやっと帰れる。

 

 

 

  家に着いたのは21時前であった。トホホ、、、

 

 

 




どうでしたか?
本当はコレ明日あげる予定だったんですよね…
これから気をつけよう…
書いた物が全部消えた事も2回あるんですよね…
元気出せっ自分!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 10 『ヒナみん』

こんにちは!わむです♪
少し遅くなりました。。。

それと毎週月曜日に投稿する事にします!
来週はお休みして次回は22日の予定です。

ではどうぞ!


「あ〜眠いなぁ…」

 

「今日もバイトあるんでしょ!それで昨日はどうだったの?」

 

「あ〜…楽しかったよっ!疲れたけどね〜」

 

「それで今日も私があんていくまで送っていく訳だけど、あと何回繰り返せば道を覚えるの?」

 

「ん〜どーだろう…5回位?」

 

「…道を覚える努力をしなさいよ!そんなんで帰りはどうしたの?」

 

「スマホを見て一生懸命帰ったよ!」

 

「道は?」

 

「うっ…覚えてない…」

 

「そういうところが駄目なのよ!」

 

「いや、でも、数をこなせばなんとか…」

 

「だからそういうところがっ」

 

「あーあんていく着いたー。玲緒奈また明日ー!」

 

僕は急いであんていくドアを開けた。じゃないと永遠に説教が続く気がする…

 

「全く…すぐ逃げるんだから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちはー」

 

昨日は声が大きいって言われたから、少し控えめにした。どうやらトーカちゃんはまだ来ていないみたいだ。

 

奥の部屋で着替えた後、カウンターでコーヒーを淹れていた店長に、今日はコーヒーの淹れ方を習うことになった。

 

コーヒーを淹れる様子を実演しながら、教えて貰っているとドアが開いた。

 

「こんにちはー」

 

「やっほー、トーカちゃん!」

 

「うっるさい!」

 

えぇ〜今日は昨日よりも音量下げましたよ!なんかずっと睨まれとるし…

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、やってみて」

 

「おぉ〜…なんか緊張しますね!」

 

そして意外と難しい。お湯はゆっくり入れないといけないし、器具自体を倒しそうになる。

時間が掛かってやっとコーヒーが淹れられた。

 

「出来た〜!」

 

「じゃあ、飲んでみて」

 

「あぁー…えっとー…飲めないんですよね…ブラックで。…砂糖貰っていいですか?」

 

「はぁ!?アンタ…ブラック飲めないって…恥ずかしくないの!?」

 

「一応は飲めるけどさぁ、砂糖入れた方が美味しいじゃ〜ん」

 

「コーヒーが台無しでしょ!」

 

「砂糖入れても美味しいコーヒーは美味しいよっ!」

 

「まぁまぁ、2人とも。はい、砂糖」

 

「あっりがとうございます、店長!」

 

と言って、僕は砂糖の入れ物を手に取り、スプーン一杯分の砂糖を入れた。

 

「アンタ…入れ過ぎじゃない…?」

 

「そんなことないよ〜」

 

僕は初めて淹れたコーヒーを飲んでみた。

 

「自販機の奴より美味しい〜」

 

「…アンタ店長のコーヒー飲んだの?」

 

「まだだよ。だってさっきのはお客さん用だったから。店長のコーヒー飲みたいです!」

 

「今から淹れるから、ちょっと待ってね」

 

「アンタが店長のコーヒー飲むなんて勿体無い気がするけど」

 

「そんなことないよ〜。あっトーカちゃんのも飲んでみた〜い!」

 

 カランカラン

 

僕たちが喋っていると、ドアが開く音がした。

 

「いらっしゃいませー!」

 

「あっリョーコさんにヒナミだ」

 

「こんにちは、笛口さん」

 

「こんにちは、芳村さん。ほら、ヒナミも挨拶しなさい」

 

「……こんにちは」

 

「こんにちは!」

 

僕が返すとヒナミちゃんはリョーコさんの後ろに隠れてしまった。漫画の金木くんの時と同じだな。

 

「ごめんなさいね。この子人見知りで。新人さんかしら?」

 

「はい!天野優理です!」

 

「私は笛口リョーコ、こっちは娘の雛実。よろしくね」

 

「よろしくお願いします!」

 

「では、笛口さん上へ」

 

「分かりました。今日はヒナミ下で待ってる?」

 

「う、うん」

 

店長とリョーコさんは二階に行った。ヒナミちゃんは今度はトーカちゃんの側へ行って、隠れてしまった。

 

「ヒナミ?」

 

「僕、嫌われちゃった?」

 

「アンタが大声で挨拶するからビックリしたのよ」

 

「そんなことないよ〜。ね〜、ヒナみん!」

 

「……」

 

「ほーら」

 

「えぇ〜!そんなぁ!」

 

「あ、えっと…あの…」

 

「ん〜なぁに?」

 

「…あの…女の人…ですか?」

 

「そうだよ〜」

 

「あっ…そうですか…すみません、失礼なこと…」

 

「全然そんなこと無いよ〜!たまにあるから!ズボン履いてるし、一人称が僕だからややこしいよね」

 

「あっ、えっと、それでお姉ちゃんは喰種ですか…?」

 

「ん〜、分かんない!けど多分喰種だよ〜」

 

「えっ、多分?」

 

「人の食事が食べれるから、色々謎なんだよね〜」

 

「羨ましいよね、コイツ」

 

トーカちゃんが僕の頭を押さえ付けてくる。痛い…

 

「あっだからちょっと違和感があったん…ですね」

 

「敬語じゃなくていいよ!タメ口で!よろしくね〜、ヒナみん!」

 

「「…ヒナみん」」

 

トーカちゃんとヒナみんがハモった。2人とも顔を合わせて笑っている。

早く自然に話せる様になるといいなぁ。ヒナみんと。

 

 

 

 




どうでしたか?

ヒナミちゃんが出てきました〜!
なかなか話が進まないのは何故でしょうか…
にしても、会話多いなぁ。

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 11 全然大丈夫

こんにちは!わむです♪

書いてて『あ、次から原作にはいれるのでは…!』って思ったんですが、
マスク作ってない事に気付きました。。。
危ない、危ない。

ではどうぞ!


「またね〜!お姉ちゃん達〜!」

 

「また来てねー!ヒナみん!」

 

「またね、ヒナミ」

 

暫くヒナみんと話してると、リョーコさんが戻って来て、一緒に帰って行った。

僕がヒナみんに向かって手を振っていると、大きく振り過ぎたのか…トーカちゃんに当たってしまった。。。

 

「あっ…ゴッメーン、トーカちゃん!」

 

いや、まぁ、流石にこれくらいじゃ…これくらいじゃトーカちゃんも怒んない…よね!?

 

「…優理!アンタ…程度ってモンが分かんないの!?」

 

「ま、まぁまぁ、そこまで怒んなくていいじゃ〜ん!…痛く無かったでしょ?」

 

「アンタねぇ!そういうことじゃ…」

 

カランカラン

 

と音を立てて、お店のドアが開いた。

 

「ホラ!お客さん来たし、落ち着いて…」

 

と言いながら、ドアの方を見ると…

そこには玲緒奈が立っていた。

 

「れ、玲緒奈!?なんで?」

 

「いらっしゃいませー、アンタの知り合い?」

 

「こんにちは。優理の友達の玲緒奈です。優理がお世話になってます」

 

なんでそんなに礼儀正しく挨拶してんの!?

 

「アンタとは大違いね〜。初めまして、霧島董香です」

 

「あっ、で玲緒奈、何しに来たの?」

 

「何しに来たの…って、コーヒー飲みに来たのと優理が迷惑掛けてないか見に来たのよ…どうやらさっきなんかしたんでしょ」

 

「いや〜何もしてナイヨ?ね、トーカちゃん?」

 

「コイツねぇ〜ほんっとにもう最悪なの!」

 

「えぇっ!」

 

そこまでしてないでしょ!玲緒奈もあぁ〜やっぱりね、って感じの呆れた顔しないで!!

 

「やっぱりそうですか…こういう子なので迷惑を掛けると思いますが、何卒よろしくお願いします」

 

だーかーらー!なんで玲緒奈は僕の親みたいに挨拶してるの!?

 

「え、と、あのさ本人の前でこういうこと…というか僕、いない扱いされてない?」

 

「あっ、そういえばコーヒー飲みに来たんですよね?席こちらにどうぞ。ご注文は何になさいますか?」

 

「あっじゃあ、これで」

 

「かしこまりました」

 

2人だけでドンドン話を進めていく。

なんでそんなに僕をスムーズに無視出来るのか…2人して。

 

「お〜い、僕を無視しないで〜」

 

「無視してないから。ただアンタの存在を空気として扱ってただけよ」

 

平然とした顔で酷い事を言うトーカちゃん。

後ろでは玲緒奈が一生懸命笑いを堪えているのだが…

 

「それを無視っていうんだってばぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあね〜優理。トーカさんもありがとうございました」

 

手を振りながらドアを開けた玲緒奈に手を振りかえそうとすると、トーカちゃんに思い切り腕を掴まれた。

そのまま何事もない様にトーカちゃんは玲緒奈に挨拶した。

 

「また来てね、玲緒奈ちゃん」

 

「また明日ー」

 

仕様がなく、手を振らずに僕は玲緒奈に声を投げた。

…いつまで掴んどるん?

玲緒奈が出てった後、トーカちゃんは僕を睨み付けて、

 

「アンタなんで手をわざわざ大きく振るわけ!?バッカじゃないの!?小さめにしなさいよ!」

 

「え〜あはは…」

 

「それとバレない様にしなさいよ」

 

「何を?」

 

なんとなく次にトーカちゃんから発せられる言葉は分かるけど、一応聞いておく。

じゃないと不自然だしねー。

 

「アンタが喰種だって事」

 

「今のところバレる要素無いから大丈夫!」

 

「万が一よ、万が一。もしバレたら…」

 

あの子殺すから、でしょ?

 

「あの子殺すから」

 

「…そっか。まぁ僕はそんなことさせないから安心してー」

 

と言って僕は笑った。

 

「こっちは真面目な話してんのに…ったく」

 

「ごめんごめん♪」

 

「反省の欠片が見えないんだけど……あっそういえばアンタ次の日曜の16時空いてる?」

 

「空いてるけど、どーしたん?」

 

「アンタのマスクを作りに行くの」

 

「へぇ〜マスク…」

 

「分かんないのに分かってるフリしなくていいよ…もし捜査官と戦闘になった時、決着が着かなかったら大変なことになるでしょ?」

 

知ってますけどね?

 

「顔バレてたら特定されるもんね」

 

「そういうこと。それを防ぐためのマスクってワケ」

 

「なーるほど」

 

「さ、話はこれで終わり。仕事に戻るよ」

 

 

 

 

 

 

 

仕事が終わった後にあの恐怖の特訓…!

まぁ今日も避け続けたからなんてこと無かったんだけど。

意外と避けるのも余裕だったから攻撃も出来るかなーって思ったんだけど…

後が怖かったからやめといた。((終わった後にトーカちゃんから殴られるかもしれない…))

 

 




どうでしたか?

来週もちょっとお休みさせていただきます。
次回は9月5日になると思います。

ではまた♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 12 時が来るまで

こんにちは♪
今回はマスク作ります。
喰種のマスクって独特だよね(個人の感想です)
僕がマスク作るなら霧島兄弟みたいに動物がいいです。

あと1話を少し変えたのでお知らせしておきます。
そんなに変えてませんが(´'ω'`)

ではどうぞ!


「……遅いな〜トーカちゃん…」

 

スマホの時計を見ると、4:30と表示されている。

僕は約束の10分前には着くようにしているから…かれこれ40分待っている。

まぁ音楽聴いたりなんなり、スマホをいじっているから待ち時間退屈だーってことはないんだけどね。

 

…やっぱ、1つだけ文句言っていい?

さっきからメール送ってんのに、全て既読スルー。

何かしら返事してよー!トーカちゃん!

『おーい』ってスタンプを何回も送ったのがアウトだったのだろうか。。。

 

そう考えながら次の曲を再生させようとすると、腕を蹴られた。

 

「おい」

 

言わなくても分かるだろう。

…僕を蹴ったのはトーカちゃんだ。

遅れてきた人の態度じゃな〜い!

 

「やっほほー、トーカちゃん!33分遅れだよ〜!」

 

「……」

 

無言で歩いていくトーカちゃん。

それを眺める僕。

ってあ〜!!置いてかれる!!

 

「トーカちゃん、ねぇ、トーカちゃん」

 

「……」

 

「無視しないでよ〜。それに33分ちこ…」

 

「うっさいな!周りから変な目で見られてんの分かんない!?」

 

「えっ、変な目で見られてんのは返事をしないトーカちゃんじゃ…」

 

「あ"?」

 

「じょ、冗談だよ〜。だから睨まないで!」

 

黙るが吉…

 

 

 

 

 

 

暫く歩くと目的のお店に着いた。

因みに道は覚えてない!

 

「なんか独特な感じのお店だね!え〜と、HySy ArtMask Studio?」

 

僕の言葉を気にせずトーカちゃんは表のドアを開ける。

 

「こんにちは、ウタさん。あれっいない?」

 

僕もお店の中を覗く。

 

「ホントだ。誰もいない。休みだったとか?」

 

「んな訳ないでしょ、ドアが開いたんだから。奥かな…何処ですか、ウタさ〜ん」

 

お店に入って行ったトーカちゃんに続いて僕も入る。

お店一面にマスクマスク…

喰種のマスクって奇妙だよな………シンプルな奴がいい

もう自分で作ってしまおうかな…

 

そうやって周りを見ていると、白い布が被さった、マネキンらしき物が目に入った。

……これ漫画通りだったらウタさんだよね?

……これ布取らなかったらどうなるんだろ?

ウタさん自分で出てくんのかな?やってみよー!

 

僕はそう考えながら白い布を見つめていたが、そうと決まればここから離れよう。

僕はトーカちゃんのところに向かおうとした。

 

「えっ?この布取らないの?」

 

まぁすぐその声で立ち止まって、振り向いたのだが。

トーカちゃんもこっちを見ている。

バサっと布が取れてウタさんが出てきた。

 

「何してんですか、ウタさん…」

 

「驚かそうと思って。でもいつまで経っても取ってくれないから」

 

「あはは、勝手にお店の物触ったら悪いかなーって」

 

全くの嘘だけどねー

 

「そんなの気にしなくていいのに。それで君が優理さんか。マスク作るために色々聞きたいからこっち来て」

 

「はーい」

 

言われた通りに僕は指定された椅子に座る。

 

「金属とかゴムとかアレルギーはある?」

 

「特に無いですね」

 

「じゃあマスクのデザインの希望とかあ…」

 

「シンプルな奴がいいです!」

 

「食い気味だね。じゃあヘンテコにしようかな」

 

え、意見聞く意味あった?

 

「…やっぱり変えます、え〜と、ん〜」

 

ダメだ。具体的なのは思いつかない…

 

「思いつかないなら僕の方で決めるから大丈夫だよ」

 

え?何がどう大丈夫なの?

 

「じゃあヘンテコだけはやめて下さい」

 

「え〜どうしよっかなぁ」

 

ひぇ〜…もう僕気に入らなかったら着けません!

 

「ところで優理さんは好きな人居る?」

 

「僕は僕に親切にしてくれる人はみんな好きです!」

 

「そういう意味の好きじゃなくって…まぁいいや。君みたいな子って友達多そうだね」

 

「まぁ、確かに多い方かもしれないです」

 

「そっか、何か趣味はある?」

 

「音楽聞くこと、楽器に触ること、リズムゲーム!」

 

「音楽関係ばっかだね、はい採寸終わり」

 

「ありがとうございます!」

 

採寸が終わったからか、さっきまで壁に掛けられているマスクを見ていたトーカちゃんがこっちに向かって歩く。

 

「それじゃあ、マスクが出来たらあんていくに届けたらいいかな?」

 

「それでお願いします」

 

「ウタさんありがとうございました」

 

「うん。また来てね」

 

 

 

 

 

 

数日後、あんていくに僕のマスクが届いた。

そのマスクのデザインはーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、優理、あの女の子と話したいから注文呼んでも絶対来んなよ!」

 

「ちょ、ヒデ!やめろよ、そんな事!」

 

「えぇ〜ヒデ、それはナンパに当てはまるんじゃ…」

 

「お前が名前教えてくれねぇんだから、本人に聞くしか無いだろ!」

 

「はぁ…もういいや。金木くん後よろしく」

 

「え、優理!?」

 

 

…何故か原作と違うタイミングでヒデが来てしまった。

始まりは偶然あんていくに寄った金木くんが僕がここで働いていることを知った。

そういや言って無かったなぁって思ってたら、今度はヒデを連れてきた。

で、この様である…

最初は2人して僕がバイトしてる事にビックリしてくれていたんだけどなぁ…

 

 

暫くしてトーカちゃんが僕のところに来た。

 

「ちょっとアンタ!どうにかしなさいよ!」

 

ほーら、やっぱり。文句がくるだろうなって思ったよ。

僕知らなーい。

 

「ほぇ?なんのこと?」

 

「とぼけても無駄だから!仕事の迷惑よ!」

 

「どーどー。もう帰ったんだからいいじゃん」

 

「良くない!」

 

その後なんとかトーカちゃんの怒りを収めることが出来た。

今のところ利世さんは見た事無いから『悲劇』はもう少し後だろうけど…

絶対止められないよね。あのリゼさんだよ?

邪魔したらこっちが死ぬね、十中八九。

となると見て見ぬふりかー

1番気分悪いけど、まぁ話も進まないしね。

ごめん、金木くん。

 

 

 

まぁ、時が来るまで気長に待つしか無いなぁ…

 

 

 

 

 




どうでしたか?
『あれっ?マスクは?』って思った方!
別に僕が思いついてないから書いてないなんてことはないですから!
信じて下さい…!

自分の趣味を押し付けたくなりますよね。
『楽器を触ること』は優理オリジナルですが。


ではまた〜


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 13 演技

こんにちは!
今回から原作に突入します!
なかなか長くなってしまいました…!
お待たせしてしまい、すみません!

後書きに優理のプロフィールを書くので是非見てください。
ネタバレになるのであんまり書けませんが…

ではどうぞ!


「ふん♪ふふ〜ん♪」

 

今日、バイトが休みだった僕は家で音楽を聞いていた。

休日でバイトが無いなんて珍しい。

学校の宿題も終わったし、午後からは自由な時間を満喫していた。

 

「あれっ?外暗い…今何時…って6:30!?」

 

自由な時間ってあっという間に過ぎるなぁ…

そう思いながらイヤホンを耳から外すと電話が鳴った。

こういうタイミングって嫌な予感するんだけど…!

 

「もしも〜し!ヒデどうしたん?」

 

「おい!落ち着いて聞けよ!…金木が事故に遭った」

 

「…え?」

 

「鉄骨が落下して重症だったらしい。今病院で手術が終わったところで命に別状は無いらしいけどな」

 

「ほっ…良かった」

 

その後ヒデから聞いた話をまとめると、金木君は無事だが、一緒にいた女性の方は亡くなってしまったようだ。

……これもう原作スタートしてるね。

一緒にいた女性は恐らくリゼさん。最近お店でも見かけてたし。

それで鉄骨落下事故。

ただ違うところがいくつかある。

今は9月中旬。原作よりも少し早い筈だ。

そして、金木君とリゼさんが初めて話してソッコー出掛けてるという事。

今まで話しているところを見てないから、そういう事のはず。

………色々と早いわ!なんでだよ!

んん"…

 

 

 

…もうご飯食べて寝よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事故の1週間後、金木君の面会OK!という事で今ヒデと一緒に病院へ向かった。

 

「金木!大丈夫かよ!?」

 

「えっと…心配させてごめん…」

 

「全くだよ〜!僕達がどれだけ心配したか…!」

 

「お前なんか白々しいな」

 

「そんな事ないよ!」

 

今の所、顔色的には元気な感じだったけど、不安が混じっているような雰囲気が漂っていた。

ヒデもそれに気付いていたのか、いつもより…まぁ騒がしかった。

ここ病院なんだけどなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金木君が退院して1週間後。

またヒデから電話があった。

 

「もっしも〜し!またまたどーしたん、ヒデ。もしかして大学の勉強ちんぷんかんぷんで僕に教えて欲しいとか?無理だよ!」

 

「そこをなんとか…っじゃなくて、金木の事だよ!俺を何だと思ってるんだ…!」

 

「金木君のこと?金木君がどうかしたの?」

 

「金木が退院してからも大学に来なくてな。イマイチ食欲もないみたいだし」

 

「そっかぁ。う〜ん。退院直後でまだ疲れてるのかなぁ」

 

「アイツ電話にも出ねぇんだよ」

 

「えぇ〜どうしたんだろ…やっぱ疲れて寝てるんじゃない?」

 

「流石に寝すぎだろ」

 

「狸寝入りかも」

 

「お前何が言いたいんだよ…!」

 

「僕も時々電話掛けてみるよ」

 

 

 

 

 

 

そういえば高槻泉のサイン会って……今日だ。

と、いう事は…?

西尾先輩と接触する日では?

様子を伺って来るべきかな…

まぁ生でも見てみたいし…

ただ一つ問題があるんだよなぁ…

…場所と道分かんない…

 

 

 

今現在僕は外を歩き回っている。

まぁ第一歩としてあのコンビニを見つけた。

もう中には居なかったけどね。

そしてその近くの路地裏を進んでいる。

段々と話し声が聞こえてきた。

 

「はぁ〜?あんていくのひよった奴らにごちゃごちゃ言われたくねぇんだけど〜?」

 

西尾先輩のイラついた声が僕の耳に入ってくる。

おお、お取り込み中だ…(知ってる)

 

「20区の決まりを守ってもらわないと困るんだよ!」

 

「俺さぁ、年下に生意気な態度取られるの大っ嫌いなんだよ…!」

 

「あっそ。私も年上だからって偉そーにする奴嫌いだわ」

 

やばいやばい!

というか後ろで金木君怯えてる!

えーとえーと取り敢えず…

 

「ストップ、ストップ、ストープッ!」

 

「はぁ?優理?アンタなんでここに居るのよ?」

 

「邪魔すんなよ、天野!なんならテメェから殺してやろうか?」

 

「ひぇっ…!あ…の…取り敢えずっ!…仲良くしましょ!」

 

手をパンッと合わせて、ニコーと僕は笑う。

絶対言葉ミスった…

 

「…ふざけてんのか?」

 

「ふざけてないですよ!ほら、僕敬語使ってますし!」

 

「そういう意味じゃねぇ…!」

 

「あの、あんまり暴れちゃうと捜査官来てしまいますし…!元も子もないですよ…!」

 

「捜査官なんて来てもぶっ殺してやるよ」

 

「うぅ〜どうすれば…」

 

僕は涙目で西尾先輩を見る。

西尾先輩のギョッとした顔が僕の瞳に映った。

 

「何すれば引いてくれるんですか〜!グスッ頭…下げれば…良いですか…土下座なら…やめてくれますか…!」

 

僕は肩を震わせ、手で目を押さえてこする。

 

「〜〜!今日のところは引いといてやるよっ!」

 

西尾先輩の走る音が遠ざかっていく。

…もう良いかな?

僕はトーカちゃんの方を振り向いた。

 

「大成功だねっ!イェ〜イ!!」

 

「はぁ…やっぱり演技か…」

 

「え?…え?一体どうなってるの?」

 

「ふっふっふ〜。凄いでしょー!」

 

「アンタバレたら殺されるよ」

 

「怖い事言わないでよ〜!」

 

「まぁアンタは誰かに殺されない内に早く帰りな。私はコイツに話があるから」

 

「?分かったーまた明日ー!」

 

首を傾げたが、僕は帰る。

ちょっと金木君が可哀想だけど…!

ごめん!金木君!

 

 

 

 

こうして僕は無事?家に着いた。

 

 

 




どうでしたか?


名前:天野優理
性別:女
種族:喰種?
血液型:O型
身長:164cm
体重:46kg
誕生日:4月9日
趣味:音楽
特技:演技

ぐらいかな?
また気になる事があれば聞いて下さい!(物語の関係で言えないかもしれませんが…)

誕生日を最初9月4日にしようとしたら、才子ちゃんと被ってる事に気付いて4と9を逆にしました!


ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 14 建前

こんにちは!

皆さんの中で優理ってどんなイメージがありますか?
是非考えて貰えると嬉しいです!

ではどうぞ!


「お前何か知ってんだろ?」

 

ヒデが珍しく真剣な顔をして僕を問い詰める。

 

「何かって……何?」

 

どうしてこうなったんだろう…

3日前にはこんなことになるなんて考えてなかっ…いや頭の片隅ではこの展開を望んでいたのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、何どーゆう事?」

 

あんていくに行ったら、金木君と気を失って寝ている(フリをしている)ヒデが居た。

戸惑っている風を装っているけど全て知っている。

こないだみたいにしっかり見た訳じゃないんだけどねー

流石に急に来たら違和感しかないと思うし!

僕が転生してしまったせいで原作通りにいくわけじゃないみたいだけど、ここは普通の展開だったっぽいねー

 

「クソニシキがコイツらに手を出したんだよ」

 

「西尾先輩が…それで当人の西尾先輩は?」

 

「重症負って逃走してる」

 

トーカちゃんは『はぁ…』とため息を吐く。

お疲れ様です。

 

「あっ、あの眼帯野郎ここで働くから把握しといて」

 

「そうなんだーりょーかいって…えぇっ!?」

 

我ながら演技上手。

 

「あー…よろしく、優理」

 

丁度、金木君が二階から降りて来た。

 

「よろしくー!バイト未経験の大学生♪」

 

「バイト未経験って大丈夫かよ」

 

僕の言葉に乗っかってトーカちゃんも笑う。

 

「…まぁ、頑張るよ」

 

苦笑いする金木君。

トラブル続きなのにごめんねー

こういう性格だからさ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして冒頭に戻る。

因みにここはヒデの部屋で誰かに聞かれてる、なんて事は無い。

 

「じゃあ、俺の推測を全て並べるけどな、あんていくの従業員は全員喰種。んで、金木はあの事故で喰種になっちまった。…お前も喰種だろ?」

 

「……全部せーかい」

 

「お前初めから猫被り過ぎるんだよ。お前何がしたいんだ?」

 

「…?言ってる意味がよく分かんないなぁ」

 

「それだよ、それ。そのお前の演技が…」

 

「ねぇ、取引しようよ」

 

「取引?」

 

「うん、取り敢えず金木君のこと気になるでしょ?分かる事は教えてあげるし、君の手伝いもしてあげる。だから………僕の事を探るの禁止。この話はこれでおしまい。どう?ウィンウィンだと思うけど?」

 

「…分かった」

 

僕はパチンと指を鳴らす。

 

「よしっ!決まり。じゃあいつも通りよろしくね、ヒデ!」

 

僕は帰る準備をする。

 

「じゃ、バイバイ」

 

「おう」

 

バタンと扉が閉まった後、『怖え奴』と言うヒデの声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、トーカちゃんにお礼を言いに来たというヒデはいつも通りだった。

やんわり営業妨害だよ、店員に言い寄るのは。

 

ヒデとはすれ違いで来たヒナみんに飛びついた僕に金木君は慌てていた。

まぁ、客に飛びつくなんて問題だからね。

 

「あ、こんにちはー!リョーコさんにヒナみんー!」

 

僕はヒナみんをぎゅーと抱きしめる。

慌てふためく金木君にトーカちゃんは言う。

 

「気にしないで、いつものことだから…」

 

頭を押さえて言う。

金木君は苦笑いしている。

 

「新人さん?私は笛口リョーコ。こっちは雛実。よろしくね」

 

「金木です。こちらこそよろしくお願いします」

 

僕はパッとヒナみんから腕を取る。

このままじゃ、ヒナみんの顔が見えないし、ヒナみんも息出来ないからねー

 

「こんにちは」

 

金木君がヒナみんに挨拶するけど、ヒナみんは僕の後ろに隠れてしまった。

 

「こ、こんにちは…」

 

「ごめんね、この子人見知りで」

 

なんか、デジャブ…

 

 

 

 

 

 

 

2人は二階に上がって行った。

 

「あの人達も喰種なの…?でもお客さんも居ないんだし、一階で話せばいいのに…」

 

「2人は今日荷物を取りに来ただけだから」

 

「…荷物って…?」

 

「…肉」

 

「え…なんで…?」

 

「なんでって…自分で調達出来ないから」

 

「調達出来ないって…年齢制限でもあるの?それとも女性は駄目とか?」

 

金木君、トーカちゃんも女性…

 

「ニャーニャーニャーニャーうるせぇんだよ!自分で考えろ!」

 

「ニャーニャー…」

 

トーカちゃんは怒って行ってしまった。

 

「そ、そういえば優理もここで働いてるって事は喰種なの…?」

 

「なんかめっちゃ今更感あるねー。多分そうだよー」

 

「多分…?」

 

「僕は人間の食事が出来るからさ!よく分かんないんだよね〜」

 

「えっ…何それ羨ましい…」

 

「でしょー。よく言われる!」

 

僕は笑いながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次にある大きな出来事といえば…

もうすぐリョーコさんが殺されてしまう。

助けたい…でもその時はテストだから僕もバイトは休んでいるのだ…

そして原作通りに行くとは限らない…

かと言って誰かに言う事も出来ない…不気味に思われてしまうはめになる…

どうしよう…

 

性格に合わず、一生懸命考えてみるも…期限は刻々と迫って…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論を言うと間に合わなかった。

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?

最近もう一つ二次創作を書き始めたんですけど…
オリ主の性格が違いすぎるのに、間違えそうになります。
そうでも無いかもしれませんが、今のところはね…

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 15 何者?

こんにちは〜

1日遅れてしまいすみません…!
その上少しお休みします…!
10月中には次回が投稿出来ると思いますが。

ではどうぞ!


「あぁ〜ヤバイ……」

 

窓の外を見て僕は呟く。

もう手遅れだ…

今まで人生経験(34年)の中を探っても無理だった。

34年って言っても繰り返してるから、純粋に34年ではないけど…

 

「そんなにテスト不安なの?珍しいね。いつもは『テストって早帰りで良いよね〜!』って言ってるのに」

 

テストどころじゃないんだ、玲緒奈。

 

「あぁ〜…もう帰ろっかなぁ…」

 

「え、体調悪いの?保健室行く?」

 

違う違う!というか僕は前世からあんまり体調崩さないから!

インフルエンザとか一回も罹った事無い。

凄くない?…じゃ無くて、、、もう現実逃避してるよ…

 

「ううん。めっちゃ元気!はよ帰りたいと思って!」

 

「あと一個しかテスト残って無いから、もうちょっとしたら帰れるよ。ってか雨降って来たね」

 

雨…雨!?タイムリミットだ…

はぁ…また役立たずだな…

 

「止まないと良いね〜」

 

「えぇ〜普通帰るまでに止んでくれた方が良いでしょ…」

 

「いや、ずぶ濡れで帰りたいと思って」

 

「何真面目な顔で変な事言ってんの…」

 

玲緒奈は呆れた顔で僕に言う。

ガララッと音を立てて扉が開くと先生が入って来て僕らは自分の席に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「止んだね〜」

 

「ずぶ濡れで帰れないね」

 

つい悲しい顔をしてしまった。

僕の顔を覗いた玲緒奈がギョッとする。

 

「…そんなにずぶ濡れになりたかったの…?」

 

勘違いだが良しとしよう。

 

「暑いからさ!」

 

「大分涼しくなって来たと思うけど…?」

 

やっぱり…いやそんな事無い。

…普通に的外れな答えをしてしまった。

まぁいっか。

 

「ささ、早く帰ろって今日バイトだ」

 

「そっか。じゃあ途中までだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はあんていくの前に立つ。

扉には『close』という看板が掛かっている。

開けるのか…あぁ、気が重い…

意を決して僕は扉を開けた。

 

「こんにちはー、なんか看板逆になってますよー」

 

お店の中には誰も居なかったが、2階から店長が降りて来る音がした。

そのあとに僕の後ろからトーカちゃんも入ってくる。

 

「なんだ店長居るんじゃないですか、看板逆でしたよ」

 

「あ、トーカちゃん、やっほー」

 

「2人とも二階に来てくれるかな?」

 

深刻な顔をして店長は言う。

僕とトーカちゃんは顔を見合わせて首を傾げた。

 

二階に上がり、店長に続いて部屋に入る。

部屋の中ではみんなが深刻な顔をしていた。

同じだ、原作と。都合よく変わる事なんて無かったか…

 

「リョーコさんが鳩に殺された」

 

店長が静かにそう言う。

隣からドンッッと壁を叩く音が聞こえた。

 

「…ヒナミは?」

 

怒りがこもった声でトーカちゃんは呟く。

 

「向こうで眠っているよ」

 

「……顔は見られたんですか?」

 

「残念ながら対処出来なかったようだ」

 

「…ヒナミを見た鳩達を殺せば…一匹残らず…」

 

そしたらいつも通りに暮らせるようになる、とトーカちゃんは付け足す。

 

「鳩に手を出したら好戦的な喰種がいると思われて、どんどん鳩が来る。そのような事になったらより物騒になるだろう…」

 

「だからって復讐出来ないと可哀想よ……!!」

 

「可哀想なのは復讐出来ない事じゃない、復讐に囚われて自分の人生を生きれない事だ」

 

「それ…私に言ってるんですか…!」

 

「………」

 

トーカちゃんは部屋を出て行こうとする。

僕はそんなトーカちゃんの腕を掴んだ。

 

「何よ、優理…!」

 

トーカちゃんは僕をキッと睨み付けた。

 

「…リョーコさんもヒナみんも、優しい人だから復讐なんて望んでない。ましてや、復讐なんてしたら悲しむと思う…」

 

僕は下に向けていた顔を上に上げ、恐る恐るトーカちゃんの顔を見た。

案の定トーカちゃんは怒った顔をしていた。

 

「…五月蝿いっ!」

 

トーカちゃんは僕の手を振り切って、走って行ってしまった。

僕は呆然とトーカちゃんが出て行った開いた扉を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…見つけた。待ってなよ、ヒナミ」

 

私はリョーコさんを殺した鳩を写真を見て探していた。

4人の内2人は見つけた。アイツらだ。

 

私は2人組の鳩に飛び掛かった…つもりだった。

私の手は捜査官を斬り裂く事は無く、何かに腕を掴まれて体勢を崩してしまった。

 

何が起こったか分からない。

そのまま地面へと無様に転がってしまった私はその原因となった奴と鳩を視界に入れた。

鳩は驚いて転んだようだが、目立つような怪我は見えない。

私を邪魔した奴…真っ黒なローブを纏っていて、フードを目深に被っているため、マスクが見えない。

誰だ?雰囲気からは店長やヨモさんだとは思えない。

 

ごちゃごちゃ考えるのは性に合わない。

取り敢えずコイツをどうにかしないと鳩は殺せない。

私はコイツに飛び掛かった。赫子は使えない。

他の鳩が来て赫子が使えなかったら、それこそやられる。

だが、コイツに私の攻撃が当たる事は無かった。

ことごとく避けられる。それもいかにも余裕だというように。

 

「クッソ…!!なんでだよ!マスク隠しやがって…!!」

 

軽々避けるのに、こちらに手を出して来ない。

それが余計にムカつく…!

すると急に私に近づいて来て押し倒して来た。

 

「ッテメェ…!!退けよ…」

 

コイツは違う方を向いている。

視線の先を見ると残り2人の鳩がいた。

恐らく攻撃され、庇ってくれたのだろう。

1人クインケを持っている。

 

「おやおや屑が二匹…ククッ、殺す気で攻撃したが避けるとは見事だ」

 

そう言って、雰囲気からそれなりに手練れと思える鳩は攻撃をしてくる。

私達はバラバラに避けた。そして私はそのまま攻撃体勢になる。

だが相手も私以上の経験者だ。こちらが押されている。

赫子ももうすぐ切れてしまう。

 

「ククッなかなかの動きだなぁ。先日殺した屑は何も出来ずに死んでったからなぁ。後ろで動かないお前もそうか?」

 

そういえばアイツの姿が見えない。

怖気付いたのだろうか?

それよりもリョーコさんを侮辱された事が私の怒りを膨らました。

 

「おやおや、動きが単調になってきているぞ。エネルギー切れか?」

 

そう言って動かしたクインケに私は当たってしまった。

 

「うぐッ…」

 

私は座り込んでしまう。

やられる…と思った瞬間、誰かに抱えられて次の攻撃は当たらなかった。

恐る恐る目を開けるとアイツに抱えられている。

鳩は追いかけて来れないだろう。

 

ある程度離れた路地裏で私は下ろされた。

 

「あとは自分でどうにかしな」

 

コイツは低い声でそう言ったあと、素早くここから離れて行ってしまった。

一体なんなんだ。何者なんだ。

 

 

 

 

 




どうでしたか?

な、何者だ、コイツ…!
大体予想つくと思いますが分からないフリをして下さい…!(なんで?)
後半はトーカちゃん目線で書いております。
なんか…どれだけ優理が不真面目か分かりますね。。。

感想・評価貰えると嬉しいです♪

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 16 役立たず

お久しぶりです!こんにちはー!

中々投稿出来ず、すみません!
毎週月曜投稿って言ってるけど、気まぐれ投稿になりつつあるのは気のせいだろうか…?

久しぶり過ぎて最初優理がヒナみん呼びじゃなかった…
途中で気づいて良かったー

ではどうぞ!


えぇ〜…なんであんなにイラついてんだろ…

リョーコさんが亡くなった翌日、変わらずあんていくのバイトはある。

そう、変わらず…いや、異常な程トーカちゃんがイライラしてる…

僕も金木君もトーカちゃんを刺激しないよう恐る恐る接客していた。

 

「ねぇ、金木君…なんでトーカちゃんが尋常じゃないくらいイラついてるの…?」

 

「昨日のリョーコさんのことじゃないかな…」

 

「なんか昨日よりも怒ってない?」

 

「何かあったのかな…」

 

「それよりもヒナみんはまだ泣いてるのかな…あとでちょっと覗いてこようかなぁ…」

 

「何喋ってんの!?口より手を動かす!」

 

僕と金木君がコソコソと話しているのがバレてしまった。

さっさと動かないとまずい…

僕と金木君はそれぞれの仕事についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと僕の休憩時間。

いやぁもうあのピリピリの空気を吸いたくないね。

まぁ戻らないとどうなるか分かんないんで、ちゃんと戻る、、、戻るよ?

 

そして現在、僕はヒナみんが居る部屋の前に立っている。

ふー、と息を吐き、ドアに手を伸ばした。

コンコンと軽い音を立てた後、僕は声を出した。

 

「ヒナみん!入っても良いかな?」

 

僕は程よい感じの明るい声を出す。

明るすぎても暗すぎてもアレだし…

 

「……どうぞ…」

 

ヒナみんの暗く小さな声が聞こえる。

やっぱりまだ泣いてるかな…

 

僕はドアを開けた。って暗っ!

電気ついてない…

僕はドアの近くにあるスイッチを押す。

 

急に明るくなったからヒナみんは眩しそうに目を細めている。

ホントごめん…せめて何か言えば良かったね、、、

 

「ごめん、眩しかった?」

 

「う、ううん、大丈夫…」

 

そう言いながらもヒナみんは目をパチパチさせている。

僕はソファに座っているヒナみんの隣に腰掛ける。

 

沈黙が流れる…

ま、まずい…!このままでは!

ヒナみんは気にした様子ではないけど、第三者から見ればただ休憩時間に落ち込んでいる人の隣に座るヤバイ奴(?)になってしまう…!

ていうかなんで何も考えずに来たんだ僕は…!

何か…何か話題を…!

 

「ヒナみん、あのさ…!」

 

「ん…?」

 

「本…読む…?」

 

「……え?」

 

何言ってんだ僕…

 

「ほ、ほら!ヒナみんここに居る間暇でしょ?だから本読んだりとかドウカナーって…」

 

「……(急に…?金木お兄ちゃんが言うなら分かるけど…)」

 

「ほ、他には絵でも描く?絵の具も鉛筆も種類あるし、資料もそこそこあるよ!」

 

「(慌ててる…折角だし持って来てもらおうかな…)…本読みたい。絵も描いてみたいな…!」

 

ヒナみんが少し笑顔になって言う。

…気使われてたりしない?しないよね!?

 

「よーし、じゃあ明日色々持ってくるね〜。本は金木君に頼む!」

 

「(やっぱり本は金木お兄ちゃんなんだ…)うん、ありがとう…!」

 

僕は腕時計を見た。

そろそろ休憩時間が終わるなー。

僕はソファから腰を上げた。

 

「それじゃあ、時間だから。バイト終わったらコーヒー持ってくるね!」

 

バタバタバターと僕は部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下に行くと店長と金木君が話していた。

いや、正確に言うと話終わって金木君は向こうに駆けて行った。

僕は店長のところに行って尋ねる。

 

「店長ー金木君どうしたんですか?」

 

「トーカちゃんのところに行ったんだよ」

 

「?トーカちゃんがどうかしたんですか?」

 

鳩に手を出したことがバレたシーンかな?

 

「…鳩に手を出したらしい」

 

「…!捜査官にですか…?」

 

「ああ…捜査官に手を出すことはそれなりの覚悟が必要。私達はトーカちゃんの手助けはしない、と金木君に伝えたんだ。」

 

「金木君はトーカちゃんの復讐手伝うつもりなんですかね…」

 

「それは金木君次第だね」

 

「……あっそうだ。ヒナみんに貸す本を金木君に頼むつもりだった!すぐ戻って来ますー!」

 

僕はターと金木君が行った方に走って行った。

後ろからさりげなく店長が笑う声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この廊下は裏口ドアにしか繋がっていない!

よって一発で探し出せるのだ!

外で話してる2人の声が聞こえるが、僕は遠慮なくドアを開ける。

 

「やっほー、金木君!ヒナみんに貸す本貸してくれなーい?」

 

「「………」」

 

「あれ?お取り込み中?」

 

「…え?アンタ聞いてた?」

 

2人は固まってたがトーカちゃんが口を開く。

 

「え?何を?それより本を貸して欲しいんだけど。返事くれたらあとは2人でいくらでもイチャイチャしてくれて良いからさー」

 

「「してない!!」」

 

「わぁ、びっくりしたー急に大声出さないでよー」

 

「誰が原因だと思ってんの…」

 

「まぁまぁ。それより本!」

 

「あ、えっと本だね。わざわざ優理に貸さなくてもそのままヒナミちゃんに渡せば良いと思うんだけど…」

 

「………確かに!!」

 

「アンタ馬鹿だよね」

 

「え〜トーカちゃんに言われたくな…」

 

「あ"?」

 

「いえ何でもないです。僕は馬鹿です」

 

ヒェ…!怖い…

 

「と、取り敢えず本よろしくねー金木君!」

 

僕は来た道を戻って自分の仕事に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちはーヒナみん!約束の品だよー!」

 

次の日、仕事に入る前にヒナみんに色々渡す為、僕は二階の部屋に寄った。

ガチャッと音を立ててドアを開けると、金木君が持って来たであろう本をヒナみんと金木君が一緒に読んでいる光景が目に入った。

まぁ細かく言うと、本を読みながらヒナみんが分かんない文字を金木君が教えてる図。

 

「お姉ちゃん!見せて見せて!」

 

「優理、何を持って来たの?」

 

キラキラした目で駆け寄ってくるヒナみん。

ちょっと元気が出たのかな?

ジャジャーンと僕は持っていた袋を掲げる。

 

「ふっふっふ。これが画材なのだ!」

 

僕は袋から出した物を机の上に並べる。

沢山持って来たからすっごい…重かった。

 

「ゆ、優理、これ持って来すぎでは…?」

 

「僕も入れる時思ったんだけどーヒナみんはどれが良いか分かんなくてさー!この中から使いたい物選んでもらおうかと思って!」

 

という事でヒナみんに選んでもらう。

結局ヒナみんが選んだのはスケッチブック、2B・Bの鉛筆、色鉛筆、色ペンだけだった。

水彩やアクリルを勧めたけど、水を使うから気軽に描けないと断られてしまった。油絵具はそもそも乾きにくいから勧めなかったけど。

他にも色々勧めたけど、まぁ気軽に絵を描くだけだから簡単な物だけでいいという事だった。

絵の具使うの楽しいのにー。

 

 

 

ヒナミは本を読んだり、絵を描いたりして暫く楽しんだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リョーコさんが亡くなって半月が過ぎた頃、ヒナみんが居なくなってしまった。

みんなでヒナみんを探しに行く。

みんなが顔を真っ青にして探しに行く中、僕は随分と心に余裕を持っていた。

だってヒナみんが無事に見つかると分かっているから!居場所を分かっていながら違う場所へ探しに行くっていうのは良心がチクチクするけど…許してください。

 

そして何より眼帯君と亜門さんの顔合わせがもうすぐ!

見たい…是非間近で。

 

だが僕は今、ヒナみんを探しながら悩んでいる事がある。

それは…!僕は何処に行けばいいのかという事…!

だってだってさ、なんなら今からヒナみんのところへも金木君のところへも行けるんだよ?…スマホで調べればなんとか。

でも最初から分かってるみたいにさ、動いたらさ、バレるじゃん!

という事で今この3択で悩んでいる。

 

1. ヒナみんのとこへ行く

2. 金木君のとこへ行く

3. このまま道に迷い続…んん"!ヒナみんを探してる風を装う

 

3番が1番安全かなとは思うんだよ?でもなんか勿体無いなって…

いやーでもなぁ。リスクと利益を天秤にかけた時、リスクは0に近い方がいいよねー…

3。もう3にする!なんか嫌なよく分からない視線が刺さっているような気がするけど!

 

 

 

暫くした後金木君と四方さんから、ヒナみんが見つかった、と電話があった。

急いで重原小学校の場所を調べて向かおうとしたが、そのままあんていくに戻れと言われてしまった。

僕が迷ったら大変だからって。。。

 

 

 

「ヒナみんー!無事で良かったぁ〜」

 

「お、お姉ちゃん…い、痛い…」

 

「あーはは…ごめんごめん」

 

「優理、ヒナミは疲れてるんだから」

 

「そういうトーカちゃんも疲れているように見えるけど。取り敢えず今日はゆっくり休みなよー」

 

「アンタは何もしてないからこのまま定時までバイトして来なよ」

 

「え」

 

「店長に私達が今から帰る代わりに優理は私達の分まで働いてくって約束したから」

 

「え〜!?」

 

「じゃあ、あとよろしくね〜」

 

僕は夕方のピークを普段の3人分動くことになってしまった。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒナみんも本調子になってきて、お店も中々繁盛して(元から賑わってるけど)いいこと尽くしの今日この頃。

店内のお客さんが誰も居なくなったと思ったら、いかにも自分は厄介者ですと言っている様な雰囲気を持つ奴がやって来た。

 

カランカランとドアのベルが鳴る。

 

「いらっしゃいませー」

 

決まり言葉を言った後ドアに目を向けると。

 

「久しぶりだね、諸君」

 

月山グループの御曹司、、、月山習が立っていた。

 

 

 




どうでしたか?

急に長くなりました!
いや、あの、今までの長さでやったら、中々進まないから、ゴニョゴニョ…

優理、3番が1番展開として面白くないんだ…

そういえば優理って美術部なんですよー
   僕「何で吹奏楽部じゃないの?」
優理さん「だって自由に楽器弾けないんだもーん。美術部は好きなように描けるけど」

だそうです。

ではまたー!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 17 もっと周りを

こんにちは〜!

凄い突然ですが、初めて活動報告を書いたので、興味のある方は是非!

ではどうぞ〜!


「久しぶりだね、諸君」

 

「ゲッ…月山…」

 

いかにも嫌そうな声をトーカちゃんが上げる。

 

「僕は初めましてかなー。この上から目線の人はよく来るお客さん?」

 

「月山習。20区の厄介者」

 

とんでもないナルシストだよねぇ。

ロゼヴァルト編では月山家の皆さんに感動したけど。

コレに関しては月山さん、家族想いの良い人だ…!と思ったけど。

 

「霧島さんは相変わらず冷たいなぁ。おや、其処の2人は見ない顔だね?新人君たちかい?」

 

「あ、どうも。金木研です」

 

「初めまして、金木クン。僕は月山習さ。其処の君は?」

 

「僕の本能がコイツと喋ってはいけないと言っている…」

 

「ある意味合ってるかも…」

 

トーカちゃんが小声で僕に同意する。

 

「oh…kitten…君の本能は当てにならないね…まぁ君が嫌だと言うなら言わなくて良い。僕は紳士だからね、girl?」

 

いや、僕の本能…というか勘は十中八九当たるよ!?

初対面で何が分かるんだろうね…?

 

「優理、失礼だし、ここはちゃんと名乗った方が…」

 

名乗るってなんか旅人みたいだね〜。

この危険人物との関係は限りなく0にした方が良いよ。

 

「いや〜相手が良いって言うなら必要無いかな〜。自称、紳士らしいし?」

 

「ちょっと、流石にそれは失礼だよ…」

 

「(why?なんなんだ、この女…!)良いんだ、金木君。まぁこれからよろしく頼むよ」

 

自称、紳士はそう言って金木君に近付き、軽く、まぁ、あの、…匂いを嗅いだ。

ビックリした金木君はオドオドしながら、月山さんから離れる。

 

「これは失礼。そう怯えないでくれ」

 

「自称、紳士だけど行動紳士じゃないよね?これは流石にへんた…モガッ」

 

喋っている途中で口を塞がれた。

お客さんに失礼か。

 

「それで?何頼むの?」

 

苛立ちを隠さないトーカちゃんが月山さんに尋ねる。

 

「いや、今日は顔を出しに来ただけなんだ。お陰で素敵な出逢いがあったしね」

 

月山さんは金木君の方を向いて、笑顔で言葉を並べる。

僕には一切目を向けない。

…よしっ、僕は多分嫌われた!これで身の危険の半分は無くなったと言っていい。

 

「じゃあ、これで失礼するよ。また近くにお邪魔するかもしれないが」

 

「いや、もう二度と来なくて大丈…モガッ」

 

もうこれ以上失礼な事は言いません。

ごめんなさい。

 

カランカランと音を立てて、ドアが開いた後月山さんは帰って行った。

 

「気を付けなよ。アイツとはなるべく関わらない方がいい」

 

「えっ?悪い人には見えなかったけど…?」

 

「そお?僕は一番関わりたくないタイプだったかな〜。なんかめんどくさそうっていうか」

 

執着強くて後々大変になるからね。

関係は0、最早マイナス、嫌われていた方がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、kitten、元気かい?」

 

なんで話しかけてくるんだ。

 

「何?このウザそうな人」

 

玲緒奈が僕の耳元で尋ねる。

知らないよ。僕がコイツに問い詰めたい。。。

学校からの帰り道にコイツがいた。

きっとたまたま、たまたまここを通りかかっただけだろう。

そう信じたい。

 

「分かんないなぁ〜。お客さんの中に居たかも?すみません、では失礼します」

 

僕はそう言って玲緒奈の腕を引っ張って駆けてく。

 

 

 

「やあ、kitten、今日もご友人と帰宅かい?」

 

……僕は一切何も答えず、玲緒奈の腕を引っ張って走って行った。

 

 

 

「やあ、kitten達、いつもそんなに慌ててどうしたんd…」

 

最早、月山さんの言葉を最後まで聞かず、走っていく。

……なんで毎日毎日おんなじ場所にいるん!?

何!?僕狙われてる!?

 

「ねぇ、毎日居るけどあの人…大丈夫?」

 

「大丈夫大丈夫、身の危険感じたら警察官っぽい人を呼ぶから」

 

「警察官っぽい人って…」

 

 

 

「やあ、kitten達、どうして毎日避けるんだい?」

 

「………」

 

僕がいつも通り走り去ろうと玲緒奈の腕を引っ張ったら…

 

「ちょっと!毎日毎日何なんですか!?優理のストーカー?それなら今警察に通報しますよ!?」

 

「落ち着いてー玲緒奈ー。僕はストーカーされる価値ないし、ストーカーだったらその人凄い目が悪いことになっちゃうよ。…まさか玲緒奈狙い?」

 

「はっ、僕の何処がストーカーだというんだい?僕みたいな素晴ら…」

 

「待ち伏せしてるところと雰囲気かな」

 

「why!?」

 

「まぁ、この人に割く時間ほど無駄なモノは無いから、早く行こー玲緒奈」

 

「まぁ、そうだね」

 

僕と玲緒奈は足速にここから去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え…ここ何処!?

目の前真っ暗なんだけど!?

っていうか縛られて動けない…それに身体も痺れてる…!

 

「なんで縛られて真ん中に放置されているのかしら?いつもと違うわね?」

 

「提供はMM氏らしいが、新しい演出かなんかか?」

 

「でもまだ追加で三人居るらしいわよ?」

 

MM氏ってアイツ〜!

次会ったらボコボコにしてやる!

 

僕が何故月山に捕まったのか…記憶を辿ってみる。。。

 

 

 

「ふんふふーん♪」

 

土曜日の今日は定休日であんていくがお休み。

だから僕はふらふら街中を歩いている。

道に迷ってもこれだけ時間があれば、問題ない。

だけどこの僕の習慣(という程行ってる訳じゃないけど)が仇になってしまった。

 

う、後ろから気配を感じる…!

この気配は月山さんだ…

 

僕は早歩きで引き離そうとする。

だが、月山さんも合わせて早歩きになる。

走ると向こうも走る。

 

なんで今日はこんなにしつこいの!?

でも家に戻ろうと思ってもすぐ戻れるか分からないし、家の場所知られたくないし…!

 

どんどん距離が縮まって来る。

そして人が少ない場所に来てしまった…

まずい…まずい…

 

そして全く人が見当たらない場所に追い込まれてしまった後…

僕は月山さんの甲赫で足を貫かれてしまった。

当然、まぁこける。なんとか逃げなければと慌てるも、間に合わなかった。

 

ハンカチで口と鼻を塞がれる。

あ…もしかして知らない?

 

「んーんんんーんんんんん…」

 

「な、何故気絶しない!?」

 

今から説明するから、ハンカチどけろ。

手は抑えられて使えん…

 

「んんんん、んんん!」

 

月山さんはなんとなく雰囲気を察したからか、ハンカチを外した。

 

「ぷはっ。これクロロホルムでしょ?クロロホルムって確かに麻酔効果があるけど、そこまで強いモノじゃないし、ハンカチに染み込ませるような微量だと何分間も吸い込んで、ようやく気絶するんだよ。ドラマとかアニメの失神は演出だし、現実でそうなったとしても、ビックリした勢いとか、恐怖とかが原因だよ、きっと。それにクロロホルムには毒性があるからこういう使い方はオススメできな…ガッ」

 

聞き飽きたのか、頭に強い衝撃が走った。雑だなぁ。

そこからの記憶は勿論無い。

 

 

 

で、この有り様である。。。

時間が来るまで待つしかないな…

っていうかこれ解いて貰えるよね?

 

コツコツという音がして来る。

続いてドアが開く音。

そして最後に…

『晩餐の準備が整いました。……本日のディナーの4人です!!』

 

「は?どういうことよ、これ!」

 

「な、なかなか凝った演出だなぁ。たまにあるんだよ、こういう客を脅かすレストラン」

 

「あのさー誰かこれ外してくれない?動けないんだけど」

 

「えっ?優理?」

 

「おぉ〜金木君〜!悪いんだけどさ、これを外してくれまいか!」

 

金木君は急いで僕の目隠しと縄を外してくれた。

 

「あっりがと〜。あぁ〜やっと動ける〜」

 

『本日のスクラッパーはマダムAの提供です!』

 

うん、まぁ色々騒いでいるけど、さっさとここから出たいんだよね〜。

 

「諸々、紹介は終わったみたいだね〜。それじゃあ…」

 

僕はテクテクとスクラッパーに近づいた。

スクラッパーは僕に向かって、武器を振り上げるが僕は勿論避ける。

 

「ねぇ、これちょーだい?」

 

僕はスクラッパーが握っていた武器を無理矢理取り上げる。

無理矢理だったからか、痛い痛いとうめき声をあげているが知らない。

 

「よし、これで準備完了!おーい聞こえてるよねー?」

 

ザワザワと喰種達が騒ぎ始めた。

僕は持っていたスマホを出す。

 

「これ見えるー?スマホなんだけどー!今これからCCGに連絡したらどうなるか、分かるよねぇー!」

 

さらにざわつきが大きくなる。

中には、なんで荷物を回収していないんだ、とかどういうつもりだMM氏!、と言った声も聞こえる。

そしてマイクを司会者から奪う月山の様子が見えた。

 

『どういうつもりだい?それにCCGに連絡したら君たちも捕まるんじゃないのかい?」

 

「えっ?いや、どーみても僕達は被害者だし、疑わないでしょー」

 

『其処にいる2人が黙っていてくれるとは限らないがね?』

 

「え〜黙っててくれるよ〜。僕人畜無害だし、今から一緒に助かるんだからー。……ね?」

 

僕は2人の方に向くと、コクコクと頷く様子が見えた。

 

「脅しちゃダメだよ…」

 

「脅してないよー、仲良しだよー。まぁ、僕達を今すぐ逃してくれたらCCGには連絡しないよ?どうするー?」

 

ザワザワと喰種達が相談している。

 

『落ち着け、鳩に連絡してからここに到着するまで暫く時間がかかる筈だ』

 

『そもそも連絡する隙を与えなければ良いのでは?』

 

『あの小娘…何を仕出かすか分からないぞ…』

 

『鳩が来たとしてもこの人数なら対応出来るんじゃないか?』

 

『私は嫌よ。そこまでリスクを冒したくないわ』

 

『いくらかレートが高い奴らもいる。ソイツらに任せよう』

 

なんかめっちゃ話してる…待ちくたびれるのだが…

 

「おーい!まだ〜?」

 

声を掛けると、反対の扉から喰種が1人入ってきた。

……手にはクインケを持っている。

 

「えーと?これNoって事でいーの?」

 

スクラッパーがクインケを展開させた。

僕はスマホでCCGに連絡…しようとしたのだが…。

 

「あ、あれ?」

 

「ど、どうしたの…?」

 

「どなたかースマホをお持ちの方はいらっしゃいませんか?…充電切れた」

 

「……え?」

 

『大口叩いておいてなんだ、そのザマは!!』

 

あちこちから笑い声が上がった。

 

「ん〜しょうがないね〜。ごめん、もっかい貰うね!」

 

『はっ?』

 

次の瞬間、ガンッという衝撃音が響いた。

僕が貰ったクインケで壁を壊した音。

みんなあんぐりと口を開けていた。

開いた口が塞がらないとはこういう事を言うんだなー。

 

「じゃあこれで万事解決だね!ほらほらみんな脱出するよ?急げ急げー」

 

 

 

レストランからそれなりに離れた頃、、、

 

「はぁ、はぁ…た、助かりました」

 

「あー良かったー。無事逃げ出せて。それで1つお願いがあるんだけど、CCGには連絡する必要無いからね?僕達人間だから」

 

「「え?」」

 

「僕等は正真正銘人間だよ?あの喰種達が嘘を吹き込んだだけ。いやー怖いね、喰種って。それで勘違いされてると困るなぁって。だから連絡しないでね?」

 

「あっはい…取り敢えず分かりました…」

 

「よし、じゃあ家まで気をつけてね〜。ばいば〜い」

 

全員分かれて、僕は家の方向が分からないから金木君について行った。

 

「いいの?」

 

「何が?」

 

「あんな嘘、信じてないかもしれないし…」

 

「あぁ〜アレね。始終混乱してた人がさ、自分で考えて正しい判断ができると思う?」

 

「…難しいと思う」

 

「あの2人はきっと鵜呑みにしちゃうね、いくら目の前の出来事と伝えられたことが矛盾してても」

 

「………」

 

「それにね、嘘も方便。人って出来るだけ記憶を美化したいモノだから、喰種に助けられたーってよりも、人間に助けられた方が良いと無意識に思ってるよ。丁度良い嘘でしょ?」

 

 

 

今日は色んな事があり過ぎた。

帰り道、僕は優理の隣を歩いて、話を聞いている。

優理は一度も怯えた顔も慌てた顔もしなかった。

まるで全て客観的に見ている様だった。

 

僕は今日、初めて優理を怖いと思った。

 

 




どうでしたか?

優理がなんか性格悪い奴みたいになってる…
とことん雑に扱われている月山さん。

うん、まぁ皆無事で良かった!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 18 本当は、正しい道は。

こんにちは〜

先週投稿しなくてすみません。
もしかしたら来週も投稿出来ないかもです。。。

ではどうぞ!


「…これ、どーしよーかなぁ…?」

 

月山さんから酷い目に遭って、家に帰ってきた僕は今目の前にある、白い箱型物体を眺めている。

白い箱型物体ークインケをそのまま持って帰ってきてしまった。

 

「これバレて捕まったりしないよね?」

 

もし誰かに見られて、署へレッツゴーだったら僕の人生は終わりだよ…。

即座に駆逐か、コクリアで死を待つか、どっちも嫌だけど。

 

「まぁこれ、アレに使えるかぁ」

 

取り敢えず、見つかんない様なとこに隠しとこー。

 

僕は押し入れの奥にクインケを仕舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも通り、バイトに専念していた休日。

なんてことなくカランカランと音を立ててドアが開いた。

 

「いらっしゃいませー」

 

ここまではいつもの流れなのだけれど、どうも入ってきた人は客ではなく、金木君に用事があるみたい。

まぁ、言ってしまうと西尾先輩の彼女サンの貴未さんだ。

彼女は金木君を見つけると細く呟いた。

 

「あ…金木君…お願い、助けて…このままだとニシキ君が…!」

 

「!貴未さん…!取り敢えず外で話しましょう」

 

2人は一旦外へ出て行った。

ジーと2人を眺めていた僕にトーカちゃんが近寄って来た。

 

「何あの女?金木の知り合い?」

 

僕は小首を傾げて「さぁ…?」と呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バイトから帰って来た後、部屋のテレビで録画を見ながらご飯を食べていると、コツンッと窓から音がした。

ガラガラッと窓を開けると、一輪の薔薇が挟まれた紙と少し離れたところに小石があった。

 

…紙に気付かなかったからって小石を投げるな暇人。

あーもう微妙に窓が傷付いてるよ!

まぁよく見ないと分かんないし、取り敢えずそれは置いといて。

 

僕は手紙を開いた。

 

『dear,kitten

  今夜金木君をこの場所に呼び出した。

 君も来たければ来ると良い。

              月山』

 

という文字と共にその下に地図が載せられている。

コイツ…ふざけるな…!

僕は地図が読めないんだよ…!

 

仕方なく僕はトーカちゃんに電話をかけた。

 

「もしもし、トーカちゃん?今何処に居る?」

 

「はぁ?…家だけど?」

 

「じゃあ今から行くね!」

 

「え、はぁ?待て待て、私が行くから、アンタがこっちに来ようとすると迷うでしょ!…ところで何があったの?」

 

「実はかくかくしかじか…」

 

「はぁ!?今すぐその場所教えなさい!」

 

「無理だよ!目的地の名前書いてないし、何処か分かんないもん!」

 

「ったく!」

 

 

 

僕はアパートの外でトーカちゃんを待っていた。

暫くして息を切らしたトーカちゃんが走って来た。

 

「ハァハァ…それで、早くその手紙を見せなさい」

 

「ほい、これ。早く行こ行こ!」

 

「…近くにある教会ね。こっち」

 

僕は駆けて行ったトーカちゃんを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕達はやっと件の教会に辿り着いた。

トーカちゃんがそっと扉を開ける。

段々と3人の声が聞こえてきた。

 

僕達は静かに音のする方へ進んで行った。

 

 

 

僕達は3人がいる広間に入ったが、まだ誰も気づいていない様だ。

丁度金木君達が押されている状態。

威張り散らしている月山にトーカちゃんが切り掛かった。

 

「じゃあこんなのどう?不意打ち」

 

トーカちゃんが月山さんの相手をしているうちに僕は倒れている西尾先輩に声を掛ける。

 

「大丈夫ですか、西尾先輩?取り敢えず彼女サンがここにいるの危険だと思うんで、外に連れ出しますね!勿論僕がちゃんと守ってみせるんで!」

 

「ああ…頼む」

 

「了解です!」

 

僕は月山にバレない様に貴未さんの拘束具を外していく。

やっと拘束具が外れた貴未さんを背負って広間から出た。

 

 

 

 

 

「ん…ん…」

 

「あーやっほ〜。目が覚めたみたいだね!」

 

僕はにこーと笑顔を向けるが、貴未さんは戸惑いの表情を浮かべている。

キョロキョロと辺りを見渡してさらに疑問の顔になってしまった。

 

「んーと、どっから説明しようかなぁ…。取り敢えず僕は西尾先輩の知り合いだから、彼女サンに危害を加えるつもりは無いから安心してね!」

 

「え、あ、うん…」

 

「取り敢えず得体の知れない不気味なモノに襲われたのは覚えてる?酷いことされてない?」

 

「えっと、確か…後ろから口を押さえられて気を失って…」

 

「うんうん」

 

「そこからの記憶は無いかな…気が付いたらあなたが声を掛けてくれたって感じ」

 

「なるほどなるほど〜。」

 

「…あなたも喰種…?」

 

「うん、まぁそんな感じ。その様子だと西尾先輩が喰種だってこと知ってたみたいだね〜」

 

「ニシキ君は大丈夫なの?」

 

「大丈夫大丈夫。まぁもうすぐその屑を懲らしめて、西尾先輩が出てくるはずだから安心してね〜」

 

そういうのが早いか遅いか、バンッと広間に続く扉が開いた。

 

「ほら、丁度出てきた…」

 

言いながら振り返るとそこに立っていたのは西尾先輩ではなく、赫子を出したトーカちゃんだった。

 

「と、トーカちゃん!?どうしたの!?」

 

「私達のこと喰種だって知ってたら生かしておけない…!危険すぎる…!」

 

僕は貴未さんを自分の後ろに庇って、トーカちゃんに言う。

 

「ちょ、ちょっと待ってトーカちゃん!彼女サンは大丈夫だよ、きっと良い人だし!」

 

「そんなの分かんないでしょ。手のひら返すかもしれないのに」

 

「おい、トーカ!」

 

「トーカちゃん!」

 

西尾先輩を金木君が支えて後から歩いて来た。

 

「やめてくれ、貴未を殺さないでくれ…!」

 

「そんなの頷けるわけないでしょ…!」

 

「…トーカちゃんは依子ちゃんにバレたら依子ちゃんを殺すの?」

 

「…そうならないために今すぐ危険な奴を消すんでしょ…!!」

 

「僕は貴未さんは大丈夫だと思う。僕は2人を信じてみたい…!」

 

僕は黙って3人のやりとりを見ていた。

結論を言うと今貴未さんが亡くなってしまったら、めちゃくちゃ困る。

困り過ぎてやばい。

まぁ僕がその時生きてるか、その場に立ちあってるかどうか謎だけど。

 

「〜〜〜!!」

 

悩んでいるトーカちゃんを眺めていると、僕の背中からヒョコッと貴未さんが顔を出した。

 

「…綺麗」

 

貴未さんは少し見惚れた様な顔をしてからそう呟いた。

そのあとトーカちゃんは気まずそうに外へ走って行った。

 

「どうしたんだろ…?…ってニシキ君大丈夫!?」

 

「貴未こそ、怪我してないか…?」

 

心配しあってる2人を他所に、僕はトーカちゃんがいるであろう屋根の上辺りを見上げていた。

頑張って声を殺している泣き声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴未さん誘拐事件の後、西尾先輩もあんていくで働くことになった。

これは金木君の提案である。

まぁ貴未さんを安心させるためにも、良い解決策だよねー。

 

そして絶賛あんていくに向かっている僕は、ポストの上に乗っかって辺りを見渡している少年を見つけた。

勿論側から見たら不審者に近いものだからか、横を通る人が怪訝な目で見ているのは言うまでもない。

まぁ僕は声をかけるに決まっているけどね?

 

「おーい、そっこの君っ!何してるの〜?」

 

「道を探してるです!」

 

そう言って少年はヒョコンとポストから降りた。

はわぁ、可愛い…。

もう言ってしまおう、この子は鈴屋什造君です。

僕の推し!推しなんだよ!?

推しを目の前で見れるとかやばい!ヤバいよ!?

コホン、それでは気を取り直して…。

 

「もしかして迷子?僕も良くなるよ〜」

 

「そうなんですかー?ところでCCGがある場所って分かるです?」

 

「ちょっと待ってね〜。ジャジャーン、今はスマホという便利なものがあるのだ!」

 

僕はスマホで現在地とCCGの場所を調べる。

 

「ふんふん、10分くらいで着くみたいだよ!それじゃあレッツゴー!」

 

「ありがとうです!」

 

「えーと、それじゃあこっち…あいや、あっち…?」

 

「?」

 

 

 

ー30分後ー

 

「やったー!着いたよー!」

 

「着いたです!ありがとうです!」

 

「良かった良かった!じゃあまたねー!」

 

僕は手を振って駆けていく…予定だった。

ピタッと止まり恐る恐る腕時計を見る。

……時間…過ぎてる…!

 

「やっばい!バイト遅刻っ!」

 

もう一度僕は走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いっ、優理!」

 

「ごめん、ごめん。まぁ見逃してよ、僕もわざとじゃないからさ〜」

 

「遅れた人間が言う台詞じゃないだろ…」

 

「道に迷ってる人を案内してたんだよ〜」

 

「「余計迷うだけだろ…」」

 

「ひっど!ちゃんと辿り着いたんだから〜!」

 

「ハイハイ、あなた達きちんと動きなさい」

 

「「「はい…」」」

 

入見さんの一声で僕達は手を動かし始めた。

 

 

 




どうでしたか?

次アオギリ出てくるかな?ワクワク
方向音痴のキャラって多いような…気のせい?

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 19 アオギリ

こんにちは。
なんとか投稿出来ました。
来週は投稿出来ないです…

アンケートが前話にあるのでジャンジャカ投票して下さいね!

ではどうぞ!


ガッチャーン!と食器が割れる音が響いた。

音源の方を見ると、割れた皿と唖然とそれを見下ろしているトーカちゃんが立っている。

 

「あちゃー…危ないから早めに片付けよ!」

 

誰にでも失敗はあるもの。わざわざ咎める必要はな…

 

「このドジッ!何枚皿割るんだよ!」

 

咎める必要はない…

そういう西尾先輩も一昨日カップ割ってましたよね?

あれ?僕の幻覚かな?

 

「はぁ?ちょっと手が滑っちゃっただけじゃない!」

 

「それが多いっつってんだよ!このクソトーカ!」

 

「なんでアンタにそんなこと言われないといけないのよ!?このクソニシキ!」

 

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて!」

 

言い合っている2人の仲裁に金木君が入るが、2人は全く聞き耳を持たなかった…

しょうがないと言った顔で割れて破片となったものを片付けている。

…なんで割った本人が片付けないのか…

僕はビニール袋を持って3人のところに行った。

 

「はぁ…全く…なんで金木君に片付け任せるかなぁ…。はいコレ、ビニール袋」

 

「ありがとう」

 

そう言って金木君は塵取りに集めたものを袋に入れて、口を結んだ。

 

「割っちゃったものは戻らないんだから、言い合ってもどうしようも無いじゃん!お客さんが怪我したら危ないし、早く片付けるのがベストだと思うよ〜」

 

「次から気を付ける…」

 

しょんぼりしたトーカちゃんを横に西尾先輩が得意げに笑う。

 

「西尾先輩も手伝うべきだよねー。自分のが年上年上言うくせに、何もしないんだもん。頼れる先輩にはなれないかなぁ…精神年齢、トーカちゃんとどっこいどっこいな気がするなぁ…」

 

「精神年齢一番低いのお前だろ…」

 

「かもね〜」

 

「……(優理は一番精神年齢が高い気がする…なんとなく…)」

 

「取り敢えず、私はヘタレに餌をあげてくる…」

 

そう言ってトーカちゃんは2階に行った。

ヘタレとは、先日ヒナみんが保護したインコのこと。

このインコは…口が悪い…とにかく口が悪い…

口を開いたと思えば、悪口悪口悪口…

その中でも『ヘタレ』というのが口癖だったから、ヒナみんがそう付けた。

まぁヒナみんが満足してれば良し!

 

それよりも…最近トーカちゃん元気ないなぁ…

僕が何言っても言い返してこないし…

原因はこないだの貴未さんのことだって分かってるけど。

 

 

 

「そういえば最近お店に来る人減っちゃいましたね…」

 

金木君がふと呟く。

考えてみれば確かにそうだ。

 

「そりゃ、みんな鳩に警戒してんだろ」

 

「それよりも11区がヤバいらしいね〜。想像以上に大変な事になるかもよ?」

 

「「「大変なこと…?」」」

 

小間さんの言葉にみんなが呟く。

 

「例えば…戦争とか…!これはまた僕が魔猿と呼ばれる日が来るかもね〜」

 

フッフッと笑いながら小間さんは言った。

 

「……(魔猿…?)」

 

「……(確かに猿顔だよな)」

 

「……(当たってて怖い…言霊とはまさにコレだなぁ…。)」

 

「…そういえば、トーカちゃんヘタレ見に行ったまま帰ってこないね?」

 

「確かに…僕様子見て来るよ」

 

そう言って金木君は2階に上がって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…あ、しばらくしたらちゃんと2人戻って来たからね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

段々と寒くなって、冬を感じ始めた今日この頃…って言いたかったけどもうとっくに冬!

寒い!寒すぎる!なんで12月ってこんなに寒いんだ!

あーあ、夏と冬足して割ったらちょーど良いのに…。

早くあんていくに行ってあったまろ…。

あんていくは丁度いい温度に保たれてるからね〜。

 

「あ!篠原さん、この前のあの子ですよ!」

 

「そうなのか?…待て、どの子だ?」

 

え、もしかして僕?

什造君の声だし?

いやでも周りに沢山人居るしなぁ…。

 

「茶髪の短い子ですよ。ボーイッシュな感じの子です!」

 

じゃあ、僕だ。

トンっトンっと音がして肩をポンっと叩かれた。

 

「ん?あ、この前会った子だ〜」

 

「久しぶりです!」

 

「久しぶり〜!もしかしてまた迷子?」

 

「今日は篠原さんと一緒だから大丈夫です!」

 

「篠原さん?ああ、このガタイの良い人?」

 

「そうです!」

 

「この間は什造をどうもありがとう。なんか遅刻って言ってたって聞いたけど、迷惑じゃなかったかい…?」

 

「ああ、ばっちり遅刻しましたよ!でも店長優しいので1回くらい全然問題ないです!」

 

「…什造は他に何かやらかさなかったかい…?」

 

「?いいえ?」

 

いや、推しと会えて話せるとかこっちが感謝だよ。

 

「そっか…なら良かった…」

 

篠原さんがホッとしながら呟く。

うんまぁ、色々と什造君は問題を起こすからなぁ…。

ツンツンッと肩を叩かれて、振り向くと什造君が何かを差し出した。

……え!?思わず二度見…ではないか、視線を移動させてるわけじゃないから。

僕はそれをビックリした顔で見つめる。

……え!?

 

「クインケです。この間のお礼です。篠原さんには内緒ですよ?」

 

コソコソと呟く。

いやいや、え、ダメでしょ、え?

頭がこんがらがっている間にクインケを袋に入れ、僕の鞄にポンっと投げた。

…もう考えるのやめた。

 

「そういえば…私は篠原幸紀、CCG捜査官だ。こっちは鈴屋什造。改めて礼を言うよ」

 

「鈴屋什造です。改めてよろしくです!」

 

「…僕は天野優理。よろしくね。それより僕、初めてCCG捜査官って見たかも!」

 

「篠原さんは特等捜査官で凄く強いんですよ〜」

 

「へぇ〜。それより仕事の途中だったんじゃない?こんなにずっと話してて大丈夫?」

 

「お気遣いどうもありがとう。そろそろ仕事に戻らせてもらうよ」

 

「頑張ってください。またね〜什造君!」

 

「バイバイです!」

 

手を振って、その場から離れようとすると後ろからパシャッと音がした。

 

「…人の写真、勝手に撮ったらダメですよ?」

 

僕が後ろを向くと、カメラを持った小さめの女の子…人が立っていた。

 

「ごめんごめん。これが私の仕事だからさ。取り敢えず近くにある路地裏で話そうよ。誰かに聞かれたら、君も僕も面倒でしょ?」

 

近くのカフェで話そうのノリで路地裏って…初めて聞いたよ。

 

 

 

 

「君は天野優理でしょ?喰種なのに捜査官と普通に話してて面白いなーって。あ、私は掘ちえ」

 

「…君、情報屋?スパイ?…ストーカー?」

 

「その中だと情報屋かな。本職はカメラマンだよ」

 

「へぇ〜情報屋なんだ。もしかして月山さんの知り合い?」

 

「そうだよ。高校の時の同級生なんだ。…まさか逆に当てられるとはね」

 

「月山さんに待ち伏せされてた時、周りに大体居たからね」

 

「まぁいいや。それより何か欲しい情報無い?」

 

「自分でやるから良いかな。…強いて言えば…情報の集め方を教えて欲しいかな〜」

 

「ふーん、いいよ。君変わってるね」

 

なんとでも。

 

「あ、あと連絡先教えてー、先生?」

 

「ホリチエで良いよ、はいコレ」

 

「ありがと、チエちゃん!」

 

よし、チエちゃんの連絡先ゲット!

分からないことがあったら聞き放題だ〜!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えー今日は12月22日…終業式があって午後からは冬休みでめちゃくちゃ嬉しいとこなんだけど…

あれ?アオギリさん?

ノロが持ってた時計に12月20日って示されてたような…?

 

カランカラン

 

「いらっしゃ…」

 

「店長はいるか?」

 

えー遮られたんだけど!

僕達3人は顔を見合わせる。

 

「今は居ませんけど、用事ならコーヒーの一杯くらいお出ししますよ」

 

トーカちゃんが答えると、男は驚いた表情になった。

 

「ヒッ…!…な、なんだ女か…」

 

「はぁ…?」

 

「いや…お前らにも聞きたいことがあってな。…神代リゼって知ってるか?」

 

「…取り敢えず2階に」

 

 

 

「どうしてリゼさんを探してるんですか?」

 

金木君が口を開くと、先程『万丈』と名乗った男がとても嬉しそうな顔をした。

 

「やっぱりリゼさんはここに来たんだな!それでリゼさんは今何処に?」

 

「え、え〜と、その…」

 

僕達3人は困った顔を合わせた。

 

「今何処に居るかはちょっと…」

 

「…うん、まぁ、そうだよな。前から気まぐれな人だったからな…」

 

そう言った後万丈さんは不思議そうな顔で金木君の匂いを嗅いだ。

 

「…なんでリゼさんの匂いがするんだ?」

 

ガタッと音を立てて万丈さんは立ち上がった。

 

「………なのか…?」

 

「へ?」

 

「リゼさんの男なのか!?」

 

「「「「「………」」」」」

 

「い、いえ、僕はリゼさん、彼女とは…」

 

「彼女ォォォ!?」

 

「違います、違います!」

 

「いつもあんな感じ?」

 

「まぁ、はい…。すみません」

 

呆れたトーカちゃんは万丈さんと一緒にいた3人に聞く。

3人も万丈さんのこういうところには困っているみたいだ。

まぁそりゃそうだよね。

 

金木君は殴りかかった万丈さんの拳を避け、体勢を変えた後、後頭部を肘で殴った。

万丈さんは床に倒れて伸びてしまった。

 

「弱…」

 

「ホントにリーダーがすみません…」

 

その後僕達は万丈さんをソファーの上に運んだ。

 

 

 

カランカラン

 

「…いらっしゃいませー」

 

遂に来た…!

ヤモリとニコ…。

ヤモリはアオギリ幹部で拷問が趣味なんだよね…。

そしてなかなか強い。

まぁ最後は金木君に10分の9殺しぐらいされて、什造君に止めを刺されてクインケになるんだけど。

 

ヤモリ達が動くのはアヤト君が窓から突っ込んで来たあとだからなぁ。

因みにアヤト君はトーカちゃんの弟。顔そっくり。

 

それよりもなんか時期ズレてるよなぁ。

学校休まないで済むのはありがたいけどさ?

 

「僕、ちょっと万丈さんの様子を見て来るよ」

 

「オッケー、行ってらっしゃい!」

 

僕は先程注文されたコーヒーを運んでいく。

はぁ、もうこの後のこと考えるのがホント怖い!

未来が大体分かるってことが嫌だとこんなに思ったの初めてだよ!

 

そんなことを考えていると2階からガシャーン!と大きな音がした。

アヤト君が来てしまった…。

 

「何事!?私は2階を見にいくから一応お客さんを避難させて!」

 

「…了解…!」

 

ヤモリ達を除くとお客さんは1組しか居ない。

パパッと僕はその一組のお客さんを避難させた後、2階に上がった。

因みにヤモリ達は居なくなってたからほっといた。

まぁすぐ2階に行ったんだろうけど。

 

僕はガチャッと勢いよく扉を開けた。

 

「ねぇ、大丈…。え…どういうこと?」

 

部屋がボロボロに荒されていた…知ってたけど。

2人は所々人間だったら命の危機に晒されるような怪我を負い、気絶している…知ってたけど。

 

「あらぁ、カッコいい子。女の子かしらぁ?」

 

「黙って言うこと聞きゃ、痛い目には合わせねぇよ。そこを退きな」

 

「残念。僕はこの状況を見て黙るような人じゃないんだよね」

 

「そうか、ならそこにいる平和ボケと同じようにするしかねぇなッ!」

 

アヤト君はいきなり…ではないか、僕に殴りかかって来た。

今のところ、赫子は使わないみたいだね。

 

「平和ボケの何処が悪いの?平和っていいことじゃない?」

 

僕は迫って来た腕を掴んで腹部に蹴りを入れた。

バキッと音がした後、グチュッと何かが潰れた。

 

「…グッ…ガハッ」

 

アヤト君は痛みに顔を歪める。

その後、血も吐き出した。

 

「テ、メェ、調子乗るなよ!!」

 

アヤト君は赫子を出した。

羽赫…弾丸のように赫子が飛んで来る。

 

赫子はやだなぁ…

対処のしようがない。

それにアヤト君って燃料切れが狙えないから。

 

だから相手の死角から攻撃すれば良い。

 

「…!何処だッ…」

 

「下」

 

僕は膝目掛けて足を回す。

メキッと音を立てて、アヤト君の右脚があり得ない方向に曲がった。

左脚は巻き込めなかった…残念。

 

取り敢えずこれで後はヤモリとニコ…。

僕はさっきまでヤモリ達が居た位置に目を向ける。

…ニコしか居ない。

ヤモリは…後ろッ!

体を後ろに回し掛けた時だった。

グサッと下から聞こえて。

 

「〜〜!ガハッゴホッ…ゴホッゴホッ…」

 

血を吐いた。

 

ずるりと僕を突き刺した赫子が腹部から抜ける。

 

「囮になってくれてありがとう、アヤト君」

 

「…なったつもりはねぇよ」

 

「取り敢えず隻眼君を袋に詰めて、万丈君」

 

「お姉さんとこの子も連れて帰るの?」

 

「平和ボケなんて役にたたねぇよ。コイツは使えそうだな」

 

「アヤト君がボロ負けするなんて珍しいわねぇ」

 

「…チッ。ちょっと油断しただけだ」

 

会話を聞きながら、僕は気を失った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フリをした。

 

 

 




どうでしたか?

間違えて投稿してしまった…月曜日のつもりが…!

優理は茶髪なんですよ。
先生に一回呼び止められたとか。
地毛なんだけどね…

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 20 仮面の裏側の入り口

お久しぶりです!

アンケートに投票してくれた方々!ありがとうございます!
恐らく本編が終わってから番外編を書く事になります。
何書こうかなぁ。。。

ではどうぞ!


うぅ…袋の中動きづら…

いやまぁあんま動いてもバレるんだけどさ?

ふっふっふ…さてさてSOSだぁ!

 

という事で僕はバレないように最低限の動きでスマホを取り出す。

メールのアイコンを押し、上の方にある連絡先をもう一度押した。

まぁヒデの連絡先なんだけど。

長文になってしまうが、しょうがない。

僕はタタタッと文を打ち込んで送信ボタンを押した。

 

『やっほー、ヒデ!

 

 あのさめっちゃ急なんだけど、今僕と金木君が

 

 噂の11区の喰種集団に攫われ中でさー

 

 僕はバッチリ元気だけど、金木君は気を失ってるよ多分。

 

 それでさ!着いたらアジトの場所を現在地マップ

 

 スクショして送るからなんかの方法でCCGに連絡してくれない?

 

 それじゃ着いたら送るねー

 

 あ、質問があったら遠慮なく連絡してねー

 

 通知切るけどw』

 

通知を切っているため、ヒデのメールにすぐ気付けるように、ちょこちょこ電源を付けたりしていると暫くしてメール着信の表示が目に入った。

表示をタップするとヒデが送ってきたメールが広がる。

 

『お前何いつものノリでメール送ってきてんだよ!?

 

 ったく、金木になんかあったら許さねーからな!!

 

 CCGの件は任せとけ、俺がバッチリしといてやる

 

 ちゃんと地図送れよ』

 

了解ですー!

ん、待って?

金木君になにかあったら許さないって…

こっから半年ぐらい消息不明になる予定ですが?

なんならお腹貫通されて、拷問を受けるんですけど?

…全部止めろと?

…出来るけどやらないかなぁ。ごめんね、金木君。

 

まぁあとは着くのを待つだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ

イッタいなぁ…

もっと丁寧に扱ってよ!

まぁアオギリに優しさの欠片なんてあるわけないか…

 

先程まで閉まっていたチャックが開く。

うわ、眩し…なんて事はなく、目に映ったのは廃墟の暗い天井だった。

 

「ん〜おはよー」

 

「…チッ。なんでテメーはそんなに呑気なんだよ。自分の立場分かってんのか?」

 

僕はスマホを付ける…うおっ、眩し…

暗いところでスマホを見ると目がウッてなるよね。

僕は現在地を調べる。

えーと…どうやるんだっけ…あ、ここか。

よし、地図出た!この赤いピンが現在地の筈…

これでスクショっと。

よし、これで送信。

あとはヒデに任せて、僕は金木君が起きるまで音楽聞いて待とーっと。

 

僕はお気に入りに入っている音楽を流した…途端、大声が僕の耳に入った。

 

「おい!!人の話無視してスマホいじり始めて、挙句音楽流すとかどういう神経してんだよ、テメェ!!」

 

「え、あ、居たんだ、アヤト君。ごめんごめん、気付かなくてさぁ。アヤト君も音楽聞く?」

 

「聞くわけねぇだろ!」

 

「えぇ〜ほらこれとかいいじゃん〜!どう?騙されたと思って聞いてみてよ!MVとかも良いんだよ、これ!」

 

「はぁ?ったく、悪くはねぇな…」

 

「ふふん。ほらこっちも。さっきとおんなじ人が作ってる曲!」

 

「これもいいな…」

 

「ふっふっふ。僕の耳に間違いはないね!」

 

何曲か流し終わった後、アヤト君の部下らしき人が話しかけて来た。

 

「アヤトさん。タタラさんから準備が整った、と」

 

「ああ、分かった。ったく、いつまで寝てんだ、アイツは」

 

そういうとアヤト君は寝ている金木君に近寄って、ドカッと蹴った。

ひ、酷い…

 

「わっ…!?」

 

「ったく、いつまで寝てんだよ。さっさと来い。うえのヤツ脱いどけよ、喫茶店やるわけじゃねぇからな。お前もだ」

 

僕達2人を待たずにアヤト君はさっさと歩いていく。

 

「大丈夫?金木君」

 

「ああ、うん」

 

「で、僕は思うわけですよ」

 

「うん?(嫌な予感が…)」

 

パシッと金木君の腕を掴み、アヤト君とは逆の方向に走り出した。

今なら逃げられる!フッフッフッ!

 

「ちょっ、優理!優理が逃げようとしても…」

 

「あれ?行き止まり?」

 

「ほら…」

 

はぁ…と頭を押さえる金木君。

 

「じゃあ窓から飛び降りる?」

 

「い、いや心の準備が…」

 

「お前ら…!」

 

「わぁ、アヤト君。鬼の形相でどうしたの?」

 

「痛い目に遭いたくなければ、大人しく着いて来い…!!」

 

グッと胸倉を掴まれて、脅される。

 

「あ、うん!分かった…」

 

 

 

僕達は大人しくアヤト君に着いて行った。

歩いてる途中で金木君が口を開く。

 

「あの、アヤト君。トーカちゃんは無事かな…?」

 

金木君の声でアヤト君は振り返ると、金木君のお腹目掛けて拳を入れた。

 

「グッ…」

 

「アヤトさんだろ?誰が喋っていいって言ったんだよ?」

 

「え、僕めっちゃアヤト君って呼んでたけど…」

 

「……お前も気を付けろ」

 

「えぇ〜、もうアヤト君で良くない?」

 

「……全て『はい』で答えろ」

 

「なんで?」

 

「……はぁ?」

 

「だって僕自分の意思あるし…。なんかそういう組織って早く潰れるからやめといた方がいいよ。いわゆるブラックだよね」

 

「…お前ら愚図だから忠告しておくが、『上の人ら』は俺みたいに優しくねぇからな」

 

あ、流した。

 

「……(上の人…?)」

 

曲がると突き当たりに小部屋が見えた。

部屋の中には沢山の喰種が居た。

幹部や下の喰種、ノロやエトもいる。

そして視線の先にはタタラが居た。

 

「連れてきました」

 

「遅かったな。こっちに来て」

 

「行け」

 

タタラとアヤト君の言う事を金木君は大人しく聞いたが、僕はその場で立ち留まった。

 

「おい、お前もだよ」

 

「いや、わざわざ行く必要なくない?だって話すだけならここでも声聞こえるし。僕、無駄なことしないんだ」

 

「……まぁいい」

 

金木君はそのままタタラの前に行った。

ズズッと金木君のお腹にタタラの腕が貫通する。

 

「こっちは左か」

 

「うっ…」

 

タタラは、はぁ…とため息を吐き、こう告げた。

 

「アヤト、コイツ要らない。君にやるよ。目がダメだ」

 

「分かっ…」

 

「なら俺が貰ってもいいか?」

 

アヤト君の返事を遮って、ヤモリが問う。

え、え?駄目に決まってんじゃん。何言ってんの?

 

「別に構わない。アヤト、いい?」

 

「別に。使えなさそうだし、やるよ」

 

アヤト君、駄目って言わないと。

ほら、人は多い方がいいじゃん?

人の事使えないとか言っちゃダメだよ!

 

………終わりだ……

 

「じゃあもうこれで解散。持ち場に戻って。…そこの君は動かないで」

 

「ヒィ…!」

 

集団に紛れて逃げようとしたところ、見事見つかった。

僕はもう用無しだよね?それこそ使えないよ?

アヤト君に引っ掴まれて部屋に放り戻された後、部屋は僕とタタラ、エトとノロの4人を残して扉を閉めてしまった。

 

「えぇ〜、なになに!?怖いんだけど!?なんで僕だけ!?」

 

「………」

 

僕の話には答えず、3人で顔を合わせている。

何ですか!?相談でもしてんの!?エスパー!?

 

「黙んないでよ!?余計怖いから!」

 

「…単刀直入に言おう。アオギリの幹部にならないか?」

 

「急に何で…なるわけないじゃん」

 

「君を一緒に連れてくるとは思ってなかったが。丁度良かった。勧誘するつもりだったからな」

 

「僕は雑魚だけどー?人違いじゃない?」

 

「君がずっと演じてるだけだろう?」

 

さっきまでずっと黙っていたエトが口を開いた。

 

「……どーゆうこと?」

 

「どれが君の『本質』かは知らないが、少なくとも『それ』ではない筈だ」

 

あーあ。これだから作家は。

 

「……」

 

「演じてるのは自分が周りより上だと驕っているから?いや、違うね」

 

「……」

 

はは、と人を馬鹿にするように笑いこう続けた。

 

「君はただの臆病者。でしょ?」

 

「……は?」

 

 

 




どうでしたか?

〜優理のメールを見たヒデ〜

「金木からメールの返事、全然来ねぇ…!」

ピロン♪

「金木か!?」

『やっほー、ヒデ!……以下略』

「…っざけんな!アイツの感覚どうなってんだよ!?」

以上。

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 21 裏表の差

こんにちはー!
また、書き終わってないのに投稿してしまった。。。
気を付けねば…!

ではどうぞ!


「……は?」

 

「ふふ。君とはもうちょっと話したかったけど、私達にも予定があるんだ」

 

「……」

 

急にエトが僕の手を取って、一枚の紙を包み込むように乗せた。

 

「だから、指定の日時にこの場所に来てね」

 

じゃあまたね、とエトは手を振り消えてしまった。

 

「扉の向こうに案内係がいる。着いていけ」

 

タタラはそう言った後、ノロと一緒にエトと同様、消えてしまった。

 

はぁ…

 

僕はバンッと扉を開けた。

と同時にグチャッと音が聞こえた。

ん?

 

「ヒ、ヒィ…!」

 

目の前の喰種が怯えた声を上げる。

その目線は扉の向こうに向いていた。

そっと扉を動かす。

ズル…という音の後にベチャッと音が再び耳に入った。

そこには潰れた喰種が1人居た。

簡単に言うとグチャグチャ。それだけ。

 

「君が案内係?さっさとしてくれない?」

 

「ヒ、は、はいぃ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ〜…僕としたことが取り乱してしまったー!

気を取り直して笑顔、笑顔。

 

「あ!一応言っとくけど、さっきのこと誰にも言っちゃダメだよー!」

 

「は、はい…」

 

何をそこまで怯える必要があるのさ!

失礼だよ!

 

「あの…ここです…」

 

その部屋には万丈さんとガスマスクをつけている3人が居た。

 

「優理じゃねぇか!無事か!?」

 

「めっちゃ元気だよ!僕は無傷!それより金木君は?」

 

「…悪りぃ。ヤモリの野郎に連れてかれた…。ヤモリはその…」

 

申し訳なさそうに言う万丈さんは続きを口にするのを躊躇った。

 

「その?」

 

「…その…拷問が趣味のヤツなんだ…。金木に何かあったら俺のせいだ…」

 

「えー…やばいなソイツ…」

 

「ウチらも申し訳ないッス…」

 

「いやいや!万丈さん達は悪くないよ!どうしようも無かっただろうし…」

 

「ホントにすまねぇ…」

 

「それよりも!こんなところでウジウジしてる訳じゃないよね?」

 

「だけど、ウチらには出来ることなんて何も無いッスよ…」

 

4人はガックリと肩を落とす。

 

「さっさと金木君を誘拐して、さっさとここから脱出すれば良い話じゃん」

 

「簡単に言うなよ!ここには何百人も喰種がいるんだぞ!」

 

「要は見つからなければ良いんでしょ?」

 

「…不可能だ、そんなの」

 

「そうかなぁ…」

 

何もかも諦めモードの4人の横に僕はヒョイッと座った。

そしてうーん、と唸る。

 

「いくら考えても無駄だぞ」

 

「ふっふっふー、人生の中には無駄な事など無いのだよ!どんな作業でも大事な事なんだよ。辞書に書いてあるでしょ?」

 

「俺は字が読めねぇんだ」

 

「大丈夫、大丈夫。僕にも読めない字はこの世界に沢山あるから!」

 

「どうもお前と話してると通じてない気がするんだが…」

 

「?僕は日本語を喋ってるよ?」

 

「「「……(万丈さん…ウチらもそう思います…彼女はズレてる…)」」」

 

「…?」

 

何故か後ろの3人が苦笑いをしている。

何か変なことでも言っただろうか?

 

 

 

「おい」

 

「ふぁい」

 

「ちょ、馬鹿!なんつー返事を…!」

 

振り向くと僕達に声を掛けたのはヤモリだと言うことが分かった。

万丈さんは僕のふざけた返事にビクビクしながらヤモリの様子を見ていたが、特に危害を加えられる様子は無かった。

 

「お前らの中で1人俺に着いてこい」

 

「え、なんで?説明が無いと怖くて誰も行かな…」

 

むぐっと後ろからジロさんに口を塞がれた。

 

「お前は黙っとけ。…俺が行く」

 

万丈さんは僕を咎めた後、ヤモリの後に着いて行った。

 

 

 

万丈さんが帰ってきたのは約30分後。

その間わたわた焦って、万丈さんの心配をしている3人を僕は面白がって見ていた。

今、性格悪ぅ、って声が聞こえた気がするけど気のせいか。

 

「おかえりなさい、万丈さん!大丈夫ですか!?」

 

「…あ、あぁ。俺は大丈夫だ。でも、金木が…」

 

「…金木君がどうかしたの?」

 

「酷い有様だ。俺の口からじゃとても…」

 

「「「「………」」」」

 

無言で僕達4人は顔を合わせる。

万丈さんは疲れていたようだし、誰もこれ以上深くは聞かなかった。

 

「あぁ…それと…また誰か1人来て欲しいらしい。ニコが迎えに来るみたいだ」

 

「……じゃあ次はウチが行きますよ」

 

「その次は自分が…」

 

「じゃあその後俺」

 

「…そしたら僕が最後かな」

 

必須事項を決めた後、もう話す気力も無く、雰囲気でないからか、一斉に黙ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次か、僕の番。

ジロさん、サンテさん、イチミさんが順に行って帰ってきたが、みんな暗い顔をしていた。

大体予想はつく。

これから何処に行って、何をし、何を見るのか。

僕は全て知っている。

だからーー驚く必要はない。

 

よって落ち着いて脱走まで事を運べるのである。

まぁ、上手く行く確証は無いけど。

なんなら失敗する可能性のが高い。

そうなるようにしたから。

…あとは君次第だね、金木君。

 

「はーい、じゃあ次の子、お願い!」

 

「んー、僕だねー。すぐ帰ってくるねー」

 

呼びにきたニコに僕は大人しく着いていく。

そして辿り着いた先には大きな扉があった。

ニコはノックもせずに、遠慮なく扉を開けた。

 

「ヤモリー!連れて来たわよぉ〜」

 

そんなに大声を出してよく殺されないね。

……やっぱりか。

扉の先にはヤモリ、そしてその斜め後ろに金木君がいた。

金木君は酷く疲れ切っていて、髪も黒から白に変わっていた。

体全体もボロボロであったが、さらに酷いのは手足だろう。

しかも…指が無い。一本も。

代わりに金木君が座っている椅子の前には赤黒い血溜まりが出来ていた。

もっと言えば、ヤモリの横には大量の指が入ったバケツが置いてある。

 

「君には掃除を頼みたいんだ。あそこの血溜まりとかね。このモップを使って」

 

そう言って水が入ったバケツとモップを渡された。

水は綺麗だったが、モップの先は…赤黒く変色している。

 

「………」

 

いや、よくこんな事、人に頼めるな!?

頭に脳が入ってないんじゃない!?

つーか!そもそも!拷問なんてすんな!

命をよく娯楽に使えるな!?命の重さはみんな等しいんだぞ!?

 

「じゃあ、部屋の外にいるから。よろしくね」

 

パタン、と扉が閉まるのを見て僕は小声で金木君に話しかける。

 

「金木君?大丈夫…じゃないよね…」

 

僕の声に反応して、俯いていた金木君は顔を上げた。

 

「…優理…。僕は大丈夫…」

 

「いや、大丈夫じゃないよ!今からアイツ潰してくる!」

 

「お願いだから、止めてくれ…。誰も傷つくところを見たくないんだ…」

 

「………」

 

僕は無言で金木君の手足に付いている金具を取ろうとする。

 

「…!?優理、何して…!」

 

「僕だって金木君が傷つく姿を極力見たくないよ。あんていくのみんなもそう。だから…

 

   ここから逃げよう!」

 

「…!?そんな無茶な…!!」

 

「僕も上手く行くなんて思ってない。でも世の中、出来ないと出来るで判断してたら回らないんだよ?100%はどこにも存在しない。でも0%も存在しない。やる価値はあるよ!」

 

「(…確かに、優理の言う通りだ)…分かった、優理を信じるよ。でもどうやって逃げるつもり?」

 

「金木君が自由に動けるようになったら、扉を突き破って外まで全速力!」

 

「……(あ、無理な気がして来た…というかやりたくない…)」

 

僕は金木君の心内など知らず、金具を外そうと奮闘していた。

因みに、掃除はすでに秒で終わらせた。

 

 

 




どうでしたか?

闇抱えてるキャラって多いですよね。
まぁ悩み事が無い人は居ないですし。
辛いことがあったら、ノートを作って思った事をダラダラ書くと良いかもです。
人に相談って案外難しい。周りは簡単に言うけどね。

それでは良いお年を!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 22 当事者の苦しみ

明けましておめでとうございます!

思っていたよりもアオギリから抜け出せなくて苦しんでおります。
読み返した時に一人称が違うことに気が付きましたが、知りません。
僕は知らない、僕は知らない…。

ではどうぞ!


………ガチャガチャ…

 

「金木君。金属を素手で曲げられる訳ないよね?」

 

「え、うん」

 

「と、いうことで。…ジャジャーン!ナイフで切ろー!」

 

「………(いやいや!ナイフでも無…)」

 

スパッ。

おおー!

流石、什造君が愛用してるナイフ型クインケ!

めっちゃ切れ味良いじゃん!

そのままスパスパと全ての金具を切っていく。

 

「これでよし!さ、金木君動ける?」

 

「……(ナイフで金属って切れるものだっけ…?)…あ、うん。大丈夫」

 

結構な間を空けて金木君の返事が聞こえる。

もしかして、脱出する事に不安があるのだろうか?

でも正直に言って、扉から出るしか方法が無いんだよな…。

窓は無いし。

あ、壁を切り崩す?

 

「金木君!扉から出るのが嫌だったら壁に大穴空けよー」

 

「??」

 

「コンクリートだけど、赫子でドーンって。イケるよ、多分!」

 

「いや…今Rc抑制剤打たれてて出せないから無理かな…」

 

む、Rc抑制剤…。

Rc抑制剤とは赫子を形成しているRc細胞の働きを抑える薬である。

まぁつまり、それが体内に入ればただの人間同然。

赫子は形成できず、破損した身体も再生出来ない。

運動能力も落ちるし、中には体調不良を訴える人も居る。

 

「そっかぁ。じゃあ、あそこを強行突破だね」

 

そーっと扉まで歩いていく。

 

「本当に大丈夫かな…?」

 

「分かんない。扉を開けたらすぐダッシュだよ」

 

1、2、3!

ガチャッと扉を外に押す。

 

「すぐに逃げられる訳ないじゃない。アタシ耳が良いのよ?」

 

「おい!話を聞かずに逃げるなぁ!!」

 

ニコとヤモリは扉の前に居たが、僅かな隙間を見い出し、金木君を引っ張って走った。

つまり、ニコの話を1ミリも聞かず、走っている。

 

「元寇の時に敵に向かってゆっくり名乗るのは日本軍だけだったらしいよ!モンゴル軍は有無を言わず攻撃してきたんだって!」

 

「そういう優理も日本人だけど…」

 

「細かい事は気にしなーい」

 

「クッソ!上手いこと避けやがって!」

 

走っている前からもアオギリの喰種が来るが、なんとか避けて前に進んでいる。

このまま壁にぶつからず、外に出れれば勝ち…!

ガンッ。

え、嘘。

僕は派手に石に躓いて転んでしまった。

石というよりも煉瓦サイズの瓦礫。

 

「え!?大丈夫、優理!?」

 

僕が転けていたら、もちろん優しい金木君は先に行く事なんてしない。

ドスっとヤモリの赫子が2連発で刺さる。

斜めに刺さっているため、まだそれなりに離れているのだろう。

立ち上がれたら起き上がって逃げることも可能だ。

だが、赫子で固定されて動けない。

ごめん、金木君。

大事な場面は抜かせないんだなぁ、とこの世界の誰も考えないようなことを頭に浮かべながら僕は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グチュ。

僕は自分の眼から有り得ない音を聞いて目を覚ました。

何かが流し込まれている。

ぼや〜んとする頭を整え、起こったことを整理する。

金木君の脱走をしようとして、途中までは良かったんだけど転んで、グサッってなってウッってなってバタッ。

で今は何故か注射器で目頭からRc抑制剤を打たれてるわけだ。

普通に打とうとすると針が通らないから粘膜に打つんだよね。

別に目じゃなくて良いじゃん。

そして手足は固定されてて動かない。

詰んだ。

 

「ふぁ〜、よく寝たー」

 

そう言って背伸びをしようとして出来なかった。

そういや手固定されてたんだった。

気がつくと前にヤモリ、隣に金木君という状況である。

同じく金木君も縛られてるようだ。

プラス目隠しされている。

呻き声も出てるため、おそらくムカデを耳に入れられたのだろう。

僕はあのシーン読んだ日の夜、大量のムカデが夢に出てきたんだ。

ホントに思い出したくない光景だった。

 

バチン、と音を立ててヤモリが僕の右足の親指を切る。

その次は中指。

指を切ることなんて滅多にないから僕はじっとその様子を見ていた。

だが、僕のその様子に不審そうにヤモリは眉を寄せた。

 

「痛くねぇのか?」

 

「いやどう考えても痛いでしょ、これは」

 

「今までの奴はみんな怯えて泣き叫んで面白かったんだけどなぁ!?」

 

「うーん…。僕にとって痛いイコール泣くには繋がらないかな。痛いっていうのは一瞬で終わるし、身体に起こってる事実ってだけでそこまで興味ない。僕はね、どっちかというと痛いだけで涙として水を体から零すことが無駄だって感じるかな。泣いても良いことないし」

 

「じゃあどうしたらお前は苦しみに顔を歪めるんだ?」

 

「僕は大抵のことは大丈夫な自信があるね」

 

「自分が死んでもか?」

 

「全然大丈夫かな」

 

何せもう一度は死んだ身だからね。

 

「じゃあお前が苦しむような拷問を施してやるよ」

 

そう言ってヤモリは不気味に笑う。

 

「へぇ。それは楽しみだ」

 

「ただ今は時間がねぇ。だから寝とけ」

 

ズブブッとお腹にヤモリの赫子が刺さる。

二度目は肩。

三度目は太腿。

 

「…カハッ…ゴホッ…」

 

僕はカクンと頭を下げる。

さっきは眠かったから意識飛んだけど、ちょっと寝たから気絶出来ないんだよなぁ。

と、いうことで気絶のフリ。

 

椅子を動かす音の後、シュルシュルと布が皮膚を擦る音が聞こえた。

前者は金木君から僕の様子が見やすいようにしたのだろう。

後者は目隠しを外したため。

 

「かーねーきーぃ?見えるかぁ?コイツにお前と同じことやったらさぁ、あんまり泣き喚くもんでイライラしちまってさぁ。ニコもいねぇし、やり過ぎちまった!死んではねぇけどな?」

 

いやいや何を根拠に!

僕は一粒も涙を零してませんが?

めっちゃ嘘じゃん!盛ってんじゃん!

 

「嘘だ…。なんで優理まで…!」

 

はい、めっちゃ嘘です。

嘘つきは泥棒の始まりだよ!

 

「まぁ安心しろぉ?アイツもお前以上に虐めてやるからさぁ!」

 

そう言ってヤモリは一度部屋を出て行った。

というか早くCCG来てくれないかな。

スマホ使えないしなぁ。

 

「……の………ごめ………たす………ん……だ……」

 

金木君からポツポツと話し声が聞こえるが、上手く聞き取れないというか、上手く声が出ておらず何を言っているのかよく分からない。

そっと目を開けると、金木君の目は焦点が微妙に合っておらず、僕を見てるわけでも無ければ、ヤモリが出て行った扉を見ているわけでもなかった。

僕はバレないうちに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤモリが帰って来るまで暇だったため、いやもう暇過ぎて夢の世界に飛びかけてた。

だってさぁ!目を瞑ったまま、30分以上の暇を保てる訳無いじゃん?

まぁ今はとてもそんなこと言えるような状況じゃないのだが。

 

「なぁ、カネキィ。ハトの連中が今アジトに乗り込んできてるらしいんだ」

 

しゃあ!意外と早いすなぁ。まだ連絡して1日半ぐらいだと思うんですが。

早よ来い!って言ってていざ来ると早っ!てなるのはあるあるだよね。

 

「だから俺も加勢に行かなきゃなんねぇ。だからよぉ…

 

                   最後にお前を俺に奪わせろ」

 

……ひぇぇ。

僕は少しだけ目を開いて様子を見る。

何気にこの首の角度は痛い。

 

ヤモリの手が金木君に伸びる…が。

 

ブチッ。

 

何かを引き裂くような音が部屋に響いた。

 

「…確かにマズイな。腐りかけの魚の腑みたいだ」

 

勿体ぶらずに言おう。

金木君がヤモリの肉を噛みちぎる音、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喰種は人間よりもマズイらしい。

だが、中には共喰いを好んで繰り返す者もいる。

色々な理由があるのだが、1番多いのは喰種の力を高めるためらしい。

簡単に言うと、Rc濃度が高くなる=強固な赫子を形成出来る=強い

ということらしい。

 

スー………

この動けない中で隣からドッカンドッカン戦われることの恐怖を誰か共有してくれ。

もう起きて良いかな?

大音量で目が覚めました。うん、自然だ。自然過ぎる。

いつ巻き添えを喰らうか分からないんだ。

この際、攻撃が飛んできたらクインケで真っ二つにしてやる。

 

というわけで僕はそーっと動き出す。

袖に隠しておいたクインケを手元にちょっとずつ近づけて取り出し、金具を一個ずつ切る。

ようやく自由になった手足を閉じたり、開いたりしてから背伸びした。

身体、痛い…。

 

今は金木君もヤモリも五分五分。

ただヤモリの方は赫者になっているね。

赫者とは増えた赫子が身体に巻き付いた喰種のこと。

Rc細胞も増えてるため、普段よりも攻撃が重くなる。

しかし、正常な意識を持つことが出来ないため、簡単に言うと狂っている状態。

 

段々、金木君が押してきたな…。

ここに突っ立ってるのも気まずいんだよね。

万丈さんを呼んでくるか…、でも迷うから止めよう。

もうすぐ終わりそうだし。

 

あぁー………。

漫画を読んでる人が実際に金木君の変わり様を現実で、本人の目の前で見たらこうなると思う。

めっちゃ気まずい…。

この!状況を!見て!僕はどう金木君に接したらいいんだよぉ。

有名な戦闘シーンだ!((キラキラ!((ヒャッホー!

とはならない事が僕は分かったよ。

結論、当事者は困る。僕は悪くない。何も知らない。何も見てない。………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたを非道にしたのが人間ならあなたも被害者かもしれませんね」

 

「あ………たす………」

 

「鳩が来ているんでしょう?だったらもうすぐここにも来るでしょうし、勝手に死ぬか殺されるかして下さい」

 

「……かぁ……あく………」

 

そう告げて金木君はヤモリから離れる。

その時僕はというと……反対側の壁とジッと睨めっこしてます。

 

「優理、大丈夫…?」

 

クルッと首を回すと、髪色は変わっていたり、あちこちボロボロだが、いつもの優しい顔の金木君だった。

強いて言うなら、前よりも悲しげな雰囲気を感じる事だろう。

 

「僕は大丈夫!全然無事!元気だよ!」

 

そう言って立ち上がりジャンプする。

 

「そう、良かった…鳩に見つからないうちに早く行こう」

 

「そうだね」

 

僕たちは静かに部屋から出た。

 

 

 

 




どうでしたか?

この前、優理ってどんな感じの容姿だろう…と考えていたんですが、自分が上手く想像出来ないという有り得ない事態が起こりました。

・茶髪で短い。(初対面で男子に間違えられる事が多い)
・背は高くて細い。意外と華奢。
・黙っているとカッコいい。一回喋ると台無し。
・そのギャップが周りに好かれてる。

くらいのイメージしか無かったんです。
ま、まぁ?似たような人、沢山いますよね??

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No,23 切り捨てんな

お久しぶりです!

アオギリからもうすぐで脱出だぁ!

ではどうぞ!


僕は金木君と部屋から出た。

とりあえず、万丈さん達と合流しようという話になった。

 

「ここにはまだハトが来てないみたいだね。……万丈さん達といた場所分かる?」

 

「ふふん。僕が分かると思う?」

 

「……思わない」

 

金木君は僕の返事に苦笑する。

いやだって覚えられる訳ないじゃん。

 

「でもだんだん近づいて来てると思うよ?」

 

「………」

 

金木君は呆れた顔で僕を見る。

あ、コレ!絶対信用されてない!ヒドイ。

 

突き当たりを曲がると見覚えのある人影が目に入る。

大柄なものが1つと似たような影が3つ。

 

「あ、アレじゃない?」

 

僕は見えた影を指差す。

丁度4人だし、だんだん近づいて来た。

 

「金木に優理!無事か!?」

 

向こうも僕達に気付いたのだろう。

そう言いながら走ってくる。

 

「僕は全然元気だよー。心配掛けてごめんねー」

 

僕がそういうと呆れた顔で万丈さんは僕を見る。

 

「本当に反省してるのか…?」

 

「んー半分くらい?」

 

「いつも通りの優理さんで安心するっスね…」

 

イチミさんがさりげなく良い方向に話を進めようとする。

ありがとー♪

 

「ったく…。金木は…大丈夫か…?」

 

「はい、大丈夫ですよ。色々変わっちゃいましたけど…」

 

そう言って悲しそうに笑う。

確かに髪は白くなっているし、全体的にボロボロになっている。

 

「大丈夫なら良いんだけどよ。というかお前らどうやって抜け出したんだ?ヤモリは…?」

 

「あ、それなら大丈夫です。もう動けませんから」

 

金木君の言葉に驚きを隠せない4人はもう一度尋ねる。

 

「は…?動けないって…?」

 

「死なない程度に痛めつけましたが、もう死んでるかもしれませんね」

 

「「「「…………」」」」

 

4人はさりげなく僕に視線を向けるが、僕はブンブンと首を横に振る。

きっと僕がやったと思っているのだろう。

お店の時に見ていたから気持ちも分からんでもない。

4人は僕の反応を見るとまた驚いた表情をする。

 

「そ、そうか…。とりあえず、ここから抜け出そうぜ。リゼさんのことも調べたいしな」

 

「そうですね」

 

そう言ってみんなで歩き出した、が金木君が立ち止まる。

 

「金木…?」

 

みんなが振り返ると金木君はこう告げた。

 

「すみません。大事な用事が出来ました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐ追いつきますから先に行って下さい、という言葉を残し、走って行った金木君の背中を眺め、僕は考えた。

そうして、僕も金木君を追いかけよう!という結論が出た。

 

「…やっぱ、僕は金木君を追いかけようかな!それじゃあ、またね!」

 

「あっ、おい!」

 

万丈さんの制止の声も聞かず、僕は急いで金木君を追いかけた。

だって見失ったら迷子になる…!

僕は金木君と程よく距離を空けて金木君に着いて行った。

 

 

 

 

 

 

階段を登っていくと誰かが戦っている様子が見えた。

西尾先輩…とアヤト君の部下…かな?

西尾先輩が少しずつ押されているように見える。

金木君は西尾先輩を庇い、敵をあっという間に薙ぎ倒した。

因みに僕は一つ下のブロックの階段で様子を見ている。

 

「誰だ…って金木…か?」

 

「はい、西尾先輩。すみません、心配掛けて」

 

「いや、おま、髪…いや、いろいろと…」

 

「説明は後で。トーカちゃんが上にいるんでしょう?急ぎましょう」

 

「お、おう」

 

屋上に続く階段を上がって行く金木君に続いて西尾先輩も駆けていく。

カンカンカンという金属特有の音が辺りに響く。

僕はその音が鳴らないように、静かに階段を登った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にっしお先輩!」

 

「うおっ!お、脅かせんなよ!?」

 

「ごめん、ごめん。それよりトーカちゃん大丈夫?」

 

屋上に着いてすぐ金木君はトーカちゃんをアヤト君から助け出し、現在トーカちゃんに代わり戦闘中だ。

怪我を負っているトーカちゃんは西尾先輩に渡されている。

そんな西尾先輩に僕はスタッカート込みで後ろから呼び掛けた。

 

「あぁ、怪我は酷いが致命傷じゃない。しばらく休めば復活するだろうよ」

 

「そっかぁ。良かった!」

 

そう言ってトーカちゃんの頭をなでなでする。

 

「……それよりもお前の方は…大丈夫そうだな。お前を見ると拍子抜けしちまうぜ…」

 

呆れたような、嬉しそうな顔で西尾先輩は呟く。

その次の瞬間、ガコンッという大きな音が辺りに響いた。

 

「か、金木君が消えた!?」

 

「大丈夫か、金木!?」

 

見ると地面には大穴が空いており、そこから砂煙が出ている。

覗くと、金木君とアヤト君が見えた。

 

「……西尾先輩。ここ、いつか巻き込まれて崩れるよ」

 

「……そうだな。下に避難するぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運良く捜査官にもアオギリの連中にもぶつからないように、僕達3人は下に降りた。

運良くって言っても入見さんの指示を聞いて移動してたんだけどね。

 

「あそこか、出口!」

 

横の道から誰かと接触しないことを確認し、さっさと外に出た。

夜に吹く冷たい風が身体を刺す。

 

「やっと外〜…って寒…」

 

「…みんな同じだ。我慢しろ。入見さんによると四方さん達も外に向かうらしい。森の方で集まるらしいから行くぞ」

 

「は〜い」

 

 

 

「…見つけた、あそこだ。金木もいる」

 

「…ちょっと待って。僕の目がおかしくなければ月山さんがいるんだけど?目が疲れたのかなぁ…」

 

「いや、お前の目は正常だ。あのクソ野郎が異常で」

 

「そっかー」

 

スタスタと四方さん達のところに向かう。

いち早く僕達に気付いた月山さんが手を上げ、呼び掛ける。

 

「ウィ!西尾クンにkittenじゃないか!」

 

「…kitten…?仔猫?」

 

「…とりあえず、スルーするべきです」

 

月山さんの声によって僕達に気付いた四方さんも声を上げる。

 

「……3人共、無事だったか」

 

やっと四方さん達と合流した頃には太陽の頭が見え掛けていた。

トーカちゃんも目を覚まし、西尾先輩の背中から下りた。

 

「はぁ〜。こんだけ死にそうな思いして、またカウンター立つなんて信じらんねぇよなぁ」

 

「日々の平和を実感するね!」

 

いかにも疲れた声で呟く西尾先輩に月山さんは同意する。

僕も同意する、けど。

トラブルメーカーが真っ先に同意するなよ…。

 

「金木!無事だったか!」

 

「…万丈さん」

 

森の中から万丈さん達が出てくる。

どうやら4人共無事に脱出できたみたいだ。

 

「あー…金木?」

 

「うん?」

 

「あの、さ……また店立つんならその髪どうにかしろよ。すっごい目立つし…」

 

金木君から目を逸らしてトーカちゃんは呟く。

そんなトーカちゃんに向き合って金木君は申し訳なさそうに告げた。

 

「ごめん…あんていくには戻れない」

 

「「「……はっ?」」」

 

驚くのも無理はない。

というか驚くに決まっている。

 

「…え、それ、どういう…?」

 

「やりたいことがあるんだ。…そのためには時間を無駄にできない」

 

…は?

 

「…金木!俺もお前を手伝いたい。役に立たねぇかもしれねぇけど…」

 

「ありがとうございます、万丈さん。こちらこそお願いします」

 

「万丈さんが行くならウチらも…」

 

「万丈さんだけじゃ迷惑かけるもんな!」

 

万丈さんに続き、3人も着いていくらしい。

万丈さんを貶すこと忘れないね?

 

「最大の友人である金木君の手助け!これを行わないなんて選択肢は無いだろう!」

 

「「………」」

 

「ぜひ僕を君の剣にしてくれ」

 

「おい、金木、そんなヤツやめとけって」

 

そんな西尾先輩の声も虚しく。

 

「月山さんが力になってくれると心強いのは確かです。力を貸してください」

 

「もちろんさ」

 

「ですが余計なことをしたらすぐ……殺しますので」コソ

 

耳元から遠ざかり、ニコリと金木君は月山さんを見る。

 

「よろしくお願いします」

 

…怖い。

 

「か、金木…。私も」

 

金木君はトーカちゃんの方へ振り向く。

 

「私も連れてっt…」

 

「トーカちゃんは来年受験だっけ?」

 

わざとらしく被せるなよ…。

 

「え、あ」

 

「勉強頑張ってね。お店は僕が穴開けちゃうけど…」

 

「………」

 

「僕、トーカちゃんが描いてくれるウサギ、好きだな。またお店に行くよ」

 

「…ッ……」

 

「またね、トーカちゃん」

 

「……ッ…!!」

 

トーカちゃんは何も言わず、走り出してしまった。

……そりゃそうだ。

 

「あ、おい!」

 

西尾先輩はトーカちゃんを追いかけようとして、ピタッと止まった。

 

「えぇ〜と、その、なんだ。〜〜無茶すんなよ、クソガキが!」

 

トーカちゃんと西尾先輩が遠かったのを確認して、呟く。

 

「金木君、一ついい?いや、二つ」

 

「うん、何?」

 

「バイトや大学の時間は無駄じゃない。あっさり切り捨てんな。それと…トーカちゃんにあの言い方は酷い」

 

「………そっか、ごめん」

 

僕は一度深呼吸をして、笑顔を作った。

 

「じゃあ、またね」

 

そう言って僕はもう随分と小さくなったトーカちゃん達を追いかけた。

 

 

 




どうでしたか?

投稿速度遅くてすみません…。
いや、ホント、申し訳ないと思ってますから…。
頑張ります…。

ではまた〜。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 24 秘密

こんにちは!

今回、ヒデが出てくるんですけど…
なーんかヒデの口調じゃないような気がするんですよね…

どうすれば…

ではどうぞ!


「ご、ごめんなさぁ〜い!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピンポーン。

昨日、アオギリのアジトから抜け出して無事に家に帰宅した僕は、まだ家でまったりしていた。

可能な限り、ここ数日は家から出たくない。

バイトは休みだし、出る用事もほぼ無いのだが。

だが、流石にチャイムを鳴らされて無視はできない。

渋々、僕は立ち上がり、インターホンを覗く。

無視した。

僕は元いた場所に戻ろうと背を向けたところで騒音がそれを邪魔した。

 

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン……

 

僕は扉まで歩いて行き、ガチャリと鍵を回す。

外に扉を押し出し、こう言い放った。

 

「あぁ〜!うるっさい!一回で聞こえてるって!」

 

「じゃあ、一回ですぐ出ろよ!?あの間は無視してるとしか思えねーよ!」

 

「え?いやだって無視したし…」

 

「おま、ふざけんなよ!?」

 

僕はインターホンの相手を見た瞬間、思ってしまったのである。

やべ、ヒデに何も連絡してなかった、と。

よし、居留守だ!と。

さらには金木君は何処かに行ってしまったのである。

これ、絶対怒られるな、と。

 

「まぁ、こんなとこで話すのは寒いし、しょうがないから入って良いよ」

 

「当たり前だ!」

 

 

 

僕はヒデを家の中に入れ、扉を閉めた。

 

「はい、それで何の用?」

 

「玄関で話をしようとすんなよ!…お前都合が悪くなったら追い出すつもりだろ」

 

ジトーッとヒデは僕を見る。

 

「えぇ〜そんなわけないじゃん!酷いな〜」

 

「じゃあなんでドアノブに手を掛けてるんだよ…?」

 

「……いやぁ、時と場合によってヒデがここから外へ瞬間移動する必要があるなーって」

 

僕はヒデに向かってパチンとウインクをする。

 

「…手短に済む話じゃねーから、リビングに移るぞ」

 

次の瞬間、扉の鍵は締められ、僕はヒデの手によってリビングへと引きずられて行った。

ひん…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕とヒデは対面になるように座る。

そして、ヒデが最初に口を開いた。

 

「そんで、俺が何言いたいか分かるか?」

 

「え、え〜と…ワッカンナイナァ!」

 

ヒデはグイッと僕の耳を引っ張る。

 

「絶対分かってんだろ…あぁ?」

 

「あ〜〜!千切れる!千切れる!僕の耳がぁ!」

 

ヒデはパッと手を離し、座り直した。

 

「はぁ〜。俺が言いたいのは2つだ」

 

「ほう」

 

「まず1つ。帰ってきたら連絡しろよ!無事かどうか分かんねーだろ!こっちは心配してんだから!」

 

「つ、疲れてたから…」

 

「次に2つ。……金木どこだよ?」

 

「い、いやぁ、そのぉ…」

 

僕は背中を汗で湿らせ、ヒデから目を逸らす。

 

「約束したよな?さっき見に行ったんだが、アパートには…居なかったぞ?」

 

もう言い逃れできない。

いや、僕のせいでは、というか、まぁ、止めなかったけど…

あーだこーだ、頭の中で考えては消して考えては消して。

諦めた。

 

「ご、ごめんなさぁ〜い!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カクカクシカジカ。

これほど便利な言葉は無い。

因みに僕は本当にこう言って両耳が千切れるところだった。

 

「ふざけてる場合じゃねーからな?」

 

「ひゃい…」

 

涙目になって僕は耳を押さえる。

意外と痛い。

だいぶ前だけど前言撤回。

 

次はちゃんと説明した。

ほとんどそのままの事を話したけど、一つだけ僕は嘘をついた。

『金木君とは別行動をした後に合流出来ず、逸れたままになってしまった』と。

ま、ヒデも僕が馬鹿正直に答えるとは思ってないでしょー。

 

「なるほどな…」

 

「だから僕だけを責めるのはやめて欲しいんだよね…。まぁ僕の力不足って言われたらそこまでなんだけど」

 

「お前さ…いや、やっぱりいい。これ以上話す気は無いんだろう」

 

ヒデは悩みながらそう呟く。

僕はそれに応える気なんてサラサラ無い。

 

「んー、さぁ?それよりもさー、ヒデ、ヤモリに盗聴器か何か付けてたでしょー。靴の裏に」

 

「気付いたのかよ…」

 

「チラッと見えてね。ヒデの部屋に似た物が仕舞ってある箱があるし。遠くからしか見てないから機能は分かんないけどね?」

 

気を付けて見てたら、発見したんだよねー。

ここもキッチリ原作通りって訳か。

 

「とりあえず、お前が無事だったのは不幸中の幸いだ。もう帰る。あとスマホの電源付けとけ」

 

「あ、忘れてたー」

 

「おい……」

 

「ありがと、ありがと。気を付ける、気を付ける」

 

「ったく…じゃあまたな」

 

「ばいばーい」

 

僕はヒデを玄関まで見送ったあと、リビングに戻りテレビを眺めた。

テレビの画面にはいつも通りの日常を表すニュースばかり流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬休みが終わり、1月の下旬。

僕はエトに渡された紙に従い、書いてある日時にその場所へ向かった。

最近あった大きな事件といえば、11区である特等捜査官が殺されたことだろうか。

金木君に関してのニュースを見ることは無いからまだ派手に動いている訳じゃ無いのだろう。

 

そんなことを考えながら、歩いていると目的の場所にたどり着いた。

ここはあまり人目に付かず、辺りも暗い為話すのに最適だったのだろう。

そこにはもうすでにエトが居た。

エト1人か。

 

「来た来た。こっちこっち」

 

手を振って跳ねるエトを視界に入れ、僕はため息をつく。

 

「ホントは来たくなかったんだけどね」

 

「まぁまぁ。ところでアオギリに入る気にはなってくれた?」

 

「なる訳無いって」

 

「残念だなぁ。君にとっても良い話だと思うんだけど」

 

そんな言葉に食いつくと思ってるのだろうか?

無論、その言葉に僕は答えない。

 

「だーかーらー、僕は入るつもり無いし!それにアンタらに目を付けられるような強さは持ってないよ?」

 

僕がそう言うとエトは『ふふっ』と笑った。

気味が悪い。

 

「ねぇ、最近特等が喰種に殺された事件あったじゃない?」

 

「あーあったね?それがどうかしたの?」

 

「あなたでしょ?『クインケ使いのシャドウ』さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたでしょ?『クインケ使いのシャドウ』さん?」

 

『クインケ使いのシャドウ』

最近出てきた喰種。

最初に確認されたのは20区。

母親喰種の報復に出た喰種の中に混じっていた奴だ。

直近だと、特等捜査官をクインケで殺した。

周りには他の捜査官も複数人居たらしいが、目もくれなかったという。

そのため復讐という線が高いようだ。

現在推定レートは『S +』。

 

私はその正体を知っている。

目の前に居る少女だ。

ずっと前から目を付けていた。

 

私の言葉に反応した少女は口角を上げた。

 

「へー、どうやって突き止めたの?…まぁいいか。誰かに知られてると面倒なんだよねー。だからさ……死ね」

 

そう言った次の瞬間、少女は私の目の前にいた。

手には小型のナイフ。

この前に使ったクインケは刀型だった筈だ。

私は後ろに飛び下がって、赫子を出す。

少女は軽くそれを避け、または切断していく。

 

「私が死んでもタタラさんが知ってるんだけどなぁ。まぁ、言いふらしたりはしないし信用してくれないかな?」

 

私が動きを止めると少女も止まる。

少女は眉を顰め、考えているようだが、瞳はこちらを見ている。

この少女は一度も私を視界から外さない。

目を逸らしたように見えても視界から相手を消さない。

何が起こっても対応できるようにだろう。

抜け目の無いガキだ。

 

「今の様子じゃアンタは殺せない。信用せざるを得ないんだけど?」

 

あの元気一杯の喋り方がこの冷たい口調になったと思うと普通なら背筋が冷たくなるだろう。

どうやら私が手を抜いてることに気付いたらしい。

さっきはどちらかというと少女が押していたのだ。

私はもう一度、問い掛ける。

 

「本当にアオギリに入らない?あなたが知りたいことも私は知ってるし、周りに隠し通すのも大変じゃない?」

 

「へぇ。でも、僕は不必要な殺し合いをしたくないから」

 

「そっかぁ」

 

私はそう答え、少女が対応出来ないであろう速さで赫子を突き刺した。

勢いのまま、少女ごと赫子が壁に刺さる。

少女の口から血が溢れる。

 

「カハ…ゴホッ…。完全に誤算だった。ここまで速いなんて…」

 

少女が気づいた時には間に合わなかったということだろう。

仮にも私が舐められていたら困るのだが。

そこで1つ疑問に思う。

 

「重傷を負ったのに、赫眼にならないんだね?」

 

お腹を貫かれているにも関わらず、赫眼にならない。

少女は赫子を出さなかったから、Rc細胞のコントロールが出来ないのだと思っていたが。

赫眼にならないということはコントロールをしていることになる。

なるほど、やっぱりそうか。

 

「あなた、本当は赫子を出せるでしょ?」

 

「………」

 

少女は黙る。

顔色も変えない。

ロボットと喋ってるみたいだなーと思いながら私は言葉を続けた。

 

「赫子を出す時は赫眼になるからねー。そうなると困るんだ?」

 

「………」

 

ふふっと私は笑みを浮かべる。

いいモノを見つけた!

 

「あなた、隻眼の喰種なんだ!人間と喰種のハーフ!」

 

 

 




どうでしたか?

活動報告の方で番外編について書いたので見てもらえると嬉しいです!

ではまたー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 25 先生

最近玲緒奈が出てこなかった事に気付きました。


半喰種…!

まさか私の他にも居たなんて…!

会った時から匂いが普通じゃないなと思ったけれど。

 

「あったりー」

 

少女は抑揚の無い声で呟いた。

ギン、と右眼が染まる。

少女は少し首を傾け、睨め付けるように私を見る。

 

「もしかして、周りにもずーっと黙ってたの?」

 

「…バレたら面倒じゃない?」

 

いかにも面倒だというように言い放つ少女に私は違和感を持った。

 

「じゃあ、なんで私の言葉を素直に認めたの?」

 

少女は肯定した上に証拠まで見せたのだ。

否定しても良かった筈なのに。

 

少女はまたも口角を上げる。

まるで背筋がゾッとするような。

 

「お互いに知りたいことがあるだろう、高槻泉?」

 

私は驚く。

なんで少女が気付いたのか。

この少女に調べる術などない筈なのに!

 

「なんで君が知ってるのかなぁ?」

 

「手品の種明かしを進んでするやつはいないと思うよ。…芳村エト?」

 

いや、なになになに!?

自分の名前を連発されると怖いんだけど!

私は揶揄われてるのかな!?

 

「君がどこまで知ってるのか分からないけど、とりあえずその話に乗ろうか」

 

「じゃあ、僕が隻眼の喰種だってことを知ったから次はこっちの質問に答えてね?」

 

少女は最初の時のような明るい口調に戻る。

…というか今すごい無理矢理で理不尽なこと言わなかった?

 

「取引をする前の話は普通無効じゃないかな?」

 

「うん、僕はそう思わないかな。じゃあまず、なんで取引にこの場所を選んだの?」

 

笑顔でスパッと切り捨てられた。

私の意見なんて最初から聞くつもり無いんだろうね、酷い。

 

「ふふっ。君にとって思い出深いところでしょ?」

 

「うん、ここは…『先生』の居場所だった」

 

「だから迷わずに来れるだろうなぁって」

 

この少女は酷い方向音痴である。

それを配慮したのは本当だ。

 

「でもそれだけじゃない筈」

 

「うん、ここに来ればあの人の話を出すと思って」

 

「ふーん。何が知りたいの?」

 

「あの人…『ミラ』について知りたいんだ」

 

「うーん…昔話なら出来るけど…『先生』について詳しい訳じゃないよ?」

 

「大丈夫。ちょっとでも『ミラ』のことが分かればいいから」

 

「分かったよ。僕と『先生』が初めて会ったのはーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー優理が小学1年生の頃に遡るー

 

暑ー…

夕方になっても蝉が忙しなく泣いている夏休み。

またしても僕は道に迷っていた。

いつも贔屓にしているスーパーの改装工事によって、しばらく違うスーパーに行くことになったのだが、そうなればもう迷うしかないのである。

自動的に長時間、外にいる事になるので食べ物を腐らせぬよう、保冷剤を詰め込んだ小型保冷バックは欠かせない。

 

「やばい…いつの間にか路地裏に入り込んじゃった…!暗いし不審者に襲われたらどうしよう…いや返り討ちにしたらいいか」

 

真っ直ぐに道伝いに進んでいると、行き止まりに辿り着いた。

そこは先程の道よりだいぶ広くなっていて、部屋のようになっている。

公園にあるようなベンチが置いてあり、その上に女性が座っていた。

女性の近くには大きめのボストンバックが置いてある。

 

この状況だけでも異常である。

中には幽霊かと逃げ出す者もいるかも知れない。

まぁ、幽霊じゃなくても多くの人間がその場から逃げ出すだろう。

何故ならーー人間の死体が女性の側に転がっているのだから。

 

詳しく言うと、女性はその死体を喰べている。

要するに彼女は喰種だと言う事だ。

 

「わぉ」

 

僕がそう声を上げると女性はゆっくりと顔を上げた。

鎖骨辺りまで伸びた色素の薄い金髪がサラサラ揺れる。

その女性は華奢で口元に少しついた血を手の甲で拭う様子はとても妖艶だった。

 

「ちびっ子がこんな所に来るなんて珍しいな。どうしたんだ?」

 

口調は見た目とギャップがあり、少し驚いた。

彼女は僕をじっと見る。

 

「道に迷いました」

 

僕はそう端的に答えた。

いや、まぁホントだし?

 

女性はずっと僕のことを見ている。

グサグサと刺さり続ける視線に耐えていると、ふっと視線の重みが消える。

そのあと、彼女は僕の目を見てこう呟いた。

 

「…喰種か?なんか雰囲気が普通じゃないな。あと顔色悪いぞ?ちゃんと喰ってんのか?」

 

「一応、喰種ですけど…。人の食事が食べれるので、大丈夫です」

 

「へぇ、初めて聞いたな。…でも明らかに栄養失調の顔色してるぞ?」

 

た、確かによく玲緒奈に『顔色悪い』とか、『いつも血の気が無い』とか言われてるけど。

大体の人は僕のこと『色白で羨ましい』と言ってくる。

 

「気のせいじゃないですか?」

 

「いいや、気のせいじゃない。とりあえずコレ喰べとけよ」

 

そう言って彼女は手に持っていた腕を差し出す。

 

「………」

 

「?…あぁ、人間が喰いたくないなら安心しろ。コレ喰種だから」

 

それもそれで驚きである。

僕が黙ったまま突っ立ていると、彼女が近寄ってくる。

 

「……?」

 

圧を感じ、少し後ろに退がる。

彼女は腕をひと口サイズに千切った。

 

「はい、あーん」

 

ポカンと開いていた僕の口に少々無理矢理ソレを入れる。

僕は無意識にソレを咀嚼する。

喰種は不味いと原作で読んだが、僕はそう思わなかった。

甘い血の味が口に広がる。

 

「意外と美味いだろー?周りは不味いって言うけどな」

 

そう言いながら彼女は追加を僕の口に入れる。

まるで小さな子供の口に飴玉を落とすように。

 

美味しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

言われるがまま喰べているとソレはすぐに無くなった。

 

「そういや君、優衣さんとこの子だろ?」

 

「?母のこと知ってるんですか?」

 

「知ってるも何も、ここら辺では一番親しい間柄だ」

 

彼女はふふんと胸を張って、宣言した。

 

「母さんにそんな人居たんだ。そういえば名前を伺っても?」

 

「私はミラだ。えーと、君は確か…うーん…一回聞いたんだけどな…」

 

腕を組んで思い出そうと奮闘している様だが、出てきそうにない。

 

「優理です」

 

「そうだ、そう!優理だ、優理!」

 

うんうんと納得しているミラさんを見ながら、一つ気になったことを尋ねる。

 

「そういえば、母さんは僕と自分が喰種だってこと隠してるんですけど、こんなことしていいんですか?」

 

「へっ?」

 

目をこれでもかと見開き、ミラさんは僕を見つめる。

 

「母さんと仲良いのに知らなかったんですか?」

 

僕がもう一度そう尋ねると、あっと声を上げた。

 

「そういや、そんなこと言ってた様な…でも君はさっき自分から喰種だって言ったよな?」

 

「はい」

 

「どうやって知ったんだ?」

 

「察しました」

 

 

 

ミラは思った。

きっと優理はこれ以上この事に首を突っ込むなと言いたいのだろうと。

ミラは優衣がのんびりおっとりしながら、地雷を踏むとかなり物騒な人間…いや喰種であることを知っている。

心の隅で思った。

優理も同じタイプだろう、と。

 

 

 




どうでしたか?

ちょっと無理矢理だった気がする。。。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 26 可哀想な条件提示

お久しぶりです!

中々投稿出来ずにすみません…。
反省はしております…。

あと評価・感想等、本当にありがとうございます!
バーの色が赤になってて嬉しい限りです。ワァ!

改めてこれからもよろしくお願いします。


「察しました」

 

「へ、へぇ〜…そ、そっかぁ」

 

私は端的に答える優理に無難な返事をしながら考えた。

実際、私は優衣さんと面識があるしそれなりに会って話す仲である。

きっかけはあんていくのカウンターで隣の席になり、言葉を交わしたことだ。

すっかり意気投合したんだよな…って、それは置いといて。

 

まぁ、つまり。

私は全て、という訳では勿論無いが、ある程度優衣さんのことは知ってるつもりだ。

例えば、意外と容赦無いところとか。

その他諸々、外見からはイメージ出来ない中身が入っていると分かっている。

娘のそのタイプだろう。

要は猫被り。死んでもこんなこと言えないが。

 

に、しても。

 

「あぁ〜!やばい…この状況が優衣さんにバレたら…。最悪殺される…」

 

「…母は一体何をしたんです?まぁ、僕から言うつもりは無いですし、安心してください」

 

「本当か!?…私は今までこんなに感謝したことがない…礼を言う…!」

 

全くもって冗談ではない。

話も盛ってないし、事実しか言ってない。

 

「マジで母さん何したの…?(…ホントに仲良いのか…?)…だけど条件があります」

 

「お?なんでも良いぞ。何か欲しいもんでも有るのか?」

 

やっぱり子供は子供だよなぁ。

ちょっと安心したわ。

 

「体術と赫子の使い方を教えて下さい」

 

「あぁ、いいぞ…ってはぁ?」

 

「ですから、体術と、赫子の使い方を、教えて下さい」

 

もうその発想は子供じゃねぇだろ!?

只者じゃない子供と知り合いになっちまった…。

鷹は鷹しか産まないのか…。

 

「あ〜優理?それは…ちょっと…」

 

次に優衣さんに会ったら私は平常心で居られるかどうか分からない…。

 

「では、母に報告を…」

 

「ま、待て!いいか?そこから動くなよ?」

 

私は、悲しそうな表情を浮かべ(私にとって)物騒なことを言いながら踵を返す優理を必死に止める。

最早、頷くしか選択肢が無い。

私がこうして悶々と悩んでいる間、優理はニコニコとこちらを眺めている。

頑張って平常心を保つしか無いのか…はぁ…。

 

「しゃーない…。教えてやるよ」

 

「では、普段の母の様子も教えて下さいね?来週もこの時間にここに来ますので。今日はこれで。さようなら」

 

「ちょっ!?おい!?」

 

優理は早口でさらに条件を付け加え、言いたいことを言い終えるとさっさと走って行ってしまった。

今日ほど不運な日は無いと思う。

私はとんでもない少女と知り合いになってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は随分と強引だね?ミラが可哀想になってきた…」

 

ここまで話し終えると、エトさんが呆れた様な表情を浮かべ呟いた。

 

「取引は自分が有利になるように仕向けるものじゃないの?」

 

「優理だけに?」

 

「駄洒落じゃないよ…」

 

というか、この人もこの人で強引じゃないか。

僕を咎めることできないでしょ。

 

「ちょっとした冗談だよ。でもそうだなぁ…。取引っていうのは最初はお互いがwin-winな条件を提示して納得する、という上で成り立つものだと思うよ」

 

「じゃあ、どっちもwin-winだから大丈夫だね?」

 

「君の場合は、私もミラも納得してないというか…」

 

「よし、じゃあ続き行こー!」

 

「とりあえず、君は自分の都合が悪くても話を聞くべきだ…」

 

僕はエトさんの言葉を適当に流し、続きを話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んーと?何処だっけ…?」

 

まぁ僕が一回で場所を覚えられる筈がない。

テキトーにどっかの裏路地に入れば辿り着くでしょーっていう考えで動き、絶賛迷子中なのだ。

裏路地なんて灰色のコンクリートやらパイプやら室外機やら何やらで目印が一切無いのだ。

まぁ…僕の場合目印が合っても迷うのだが。

こんな薄暗いところをウロウロして、不審者に目を付けられたら一体どうするんだ(自業自得)。

まぁ、返り討ちにすれば良いか。

 

そんなこんなでウロウロしていると聞き覚えのある声が空から聞こえた。

 

「おーい、優理!」

 

「あ、ミラさん」

 

首を上に曲げると、屋根の上からミラさんが手を振っていた。

僕が気づいた事が分かると屋根から飛び降りてくる。

結構な高さから降りてきたにも関わらず、トン、と体重を感じさせないような音しかしなかった。

 

「お前が来るの待ってたのに、中々来ないから探しに来たぞ?」

 

「道に迷いました」

 

「デジャブ…」

 

僕は申し訳なさのカケラも感じられない表情と声色で言うと、ミラさんは手を額に当て、そう呟いた。

 

「じゃあ、早く連れてって下さい」

 

「お前なぁ…!」

 

頬をヒクヒクと引き攣らせながらも、ミラさんは先週の場所に連れて行ってくれた。

もう何を言っても無駄だと思ったのだろう。

 

 

 

 

「じゃあーーー」

 

その場所に着くなり、ミラさんは僕と距離を取って呟く。

 

「まずはお前の実力を見せてもらう」

 

僕は思った。

この人もスイッチが入ると人が変わるタイプなんだな、と。

 

 

 




アンケート回答お願いいたします((ペコッ

ついでに活動報告の方の番外編アイデア募集もお願いします!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 27 少しでもが裏目

え〜…お久しぶりです…。

別にサボってた訳じゃなくってそのぉ……。

………うん。


ではどうぞ!((知らんふり


「お前の準備が出来たらいつでも掛かってこい」

 

ずっとずっと知りたかった。

自分がどれくらいの能力を持っているのかを。

 

自分が喰種だと知ったあの日から。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん…僕ってこの世界でどういう立ち位置なんだろー…?」

 

『東京喰種』の世界か恐らくそれに似た世界に転生したということは分かったものの…自分は何処の誰なのか…。

というか前者に関してはほぼ確定している。

95パー『東京喰種』の世界だろう。

だってまぁ、上の階に『金木』という表札あったし、散歩に出掛ける金木親子を見掛けたからほぼビンゴの筈。

幼稚園バスに乗るところも見たし、僕より少し年上〜ってとこだろう。

 

同性の激似の人かもしれないけど。

話したこと無いし、会ったこと無いし。

 

まぁ、原作に『天野優理』という人間は出てきてないし、何処ぞのモブかもしれない。

え、なんかやだ…。

せめて!せめて!トーカちゃんのクラスメイト!クラスメイトにはさせてください、神様ぁ!

でもトーカちゃんと同い年かは分からないしなぁ…。

 

考えたら頭痛くなってきた。

まだ3歳だし、長時間考え事をすると疲れるのかもしれない。

もうご飯もお風呂も済ませたし、寝よ。

 

「母さ〜ん、おやすみ〜!」

 

「おやすみ〜、優理〜」

 

 

 

 

 

 

 

……トイレ行きたい。

 

僕は尿意によって夜中に目を覚ました。

隣には母さんが寝てるし、静かに移動しないと。

そ〜と足を動かしながら、僕はトイレに向かった。

 

ひんやりとした廊下を歩きながら、ふと思った。

なんだか、右眼が痛い。

眠いからだろうか?いや、そんな筈は無い。

きっと寝てる間に目を擦り過ぎてしまったのだろう。

こんなに痛くなるなんてどんだけ擦ったんだ…。

 

痛みのせいでやや飛びつつある眠気を少し感じながら、トイレを済ませ、手洗い場の前に立って手を冷たい水で濡らす。

いや、冷た!

手をタオルで拭きながら、ふと目の前の鏡に目を向けた時だった。

 

「…………は…?」

 

いやいや!僕が寝惚けてるだけでしょ!

丁度この水冷たいし、顔洗お。

……つめった!

寒……。

まぁ、でもコレで目は覚めた、よし!

いざ!

………。

…………。

……………。

………………。

……………………はぁぁぁぁ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何がどうなってこうなった!?」

 

何故、何故、僕の右眼が赫眼に!?

しかも右眼だけって隻眼じゃん!?

の前に喰種じゃん!?

 

いやいや、普通に米も野菜も肉も魚も食べれますが!?

毎日、朝昼晩ご飯食べてますが!?

ははは、、、

いや、はははじゃねーよ、自分!

 

でも訳分からない現象が起こってるのは確か…。

夢だと願いたい。

 

だって隻眼なんて、面倒じゃないか。

 

 

 

その前に喰種であること自体が嫌だ。

 

 

 

 

あぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ますます自分が嫌いになった。

 

 

 

 

 




え、短い?

気の所為ですね!((違う

アンケートよろしくお願いします。
実際に叶えるかは僕次第!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 28 彼女の前世〜1〜  『私と僕、生と死』

なんか初期と最近の小説の雰囲気が違い過ぎて…。
だいぶ、黒く濁っております…。
苦手な方いらっしゃいましたら、すみません…。

あと、小説を上手く書けるようになりたい…。

あと、もう一つタグに『シリアス』って付けた方が良いのだろうか…?
他に付けた方が良いってタグあります?


あぁ、嫌いだ。

昔からそう。

自分を好きになる理由が見当たらない。

生きていて、自分の欠点しか目に付かない。

 

あぁ、死にたい。

もっと素晴らしい人間に生まれ変わりたい。

何故、一回死んだというのに僕は喰種なのだろう。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

 

あぁ、僕なんてさっさと死んで仕舞えば良いのに。

周りだってきっとそう思う。

僕はいつだって出来損ないの役立たず。

みんなそう言った。

 

あぁ、なんでアイツらは生きて。

あの子は死んだの?

みんなみんな死んで仕舞えば良いのに。

 

あぁ、間違えた。

あの子の死は僕の所為だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苦しそう。

 

私の目の前でツバメの雛が弱々しく口をパクパクしている。

木の上の巣から落ちてしまったのだろう。

他の雛達の鳴き声がピーチクピーチク聞こえる。

 

見つけた時こそまだ口を動かしていたけれど、段々動かなくなっていく。

私は雛の上に足を持っていった。

 

苦しい?

私が助けてあげようか?

 

私は雛を踏み潰そうと足を下げていく。

だが、その足は雛の体スレスレのところで止まった。

 

「お姉ちゃん!」

 

私は声が聞こえた方へ目を向ける。

その子は、はぁはぁ…と肩で息をしていた。

 

「……玲花」

 

私はさりげなく足を退ける。

玲花は私に近寄って、深呼吸をしてから問い掛けた。

 

「何してるの?」

 

「何って別に何もしてないよ?」

 

僕は、にぱっと玲花に笑い掛ける。

すると玲花は僕の足元に転がっている雛をそっと掬い上げた。

もう、雛は死に掛けているのか殆ど動かなかった。

 

「もうダメそう、だね…」

 

玲花は悲しそうに雛を見つめる。

僕もそれに目を向けた。

そしていかにも悲しそうに呟く。

 

「…そうだね」

 

この雛はきっと、私が来るずっと前から此処で鳴き声を上げていたのだろう。

バサバサと親鳥が巣に戻って来る。

巣の上の雛に餌を上げ、また飛び立って行った。

何回も来ていた筈なのに。

私が遠くから見ていた時でさえ、助けようとはしなかった。

親鳥から見捨てられた雛ーーーまるで私じゃないか。

 

「……えちゃん?お姉ちゃん?」

 

玲花の呼ぶ声が聞こえ、僕はハッと引き戻された。

あ、と声を漏らし、そのまま言葉を続ける。

玲花の手の中では既に雛が息絶えていた。

 

「ごめんごめん。ちょっとぼーっとしてて…」

 

玲花は心配そうに僕を見つめ、はぁ…と息を零した。

 

「お姉ちゃん、いくら苦しそうでも…きっとお姉ちゃんがしようとしてた事は酷い事だよ」

 

玲花の凛とした目に僕が映る。

 

あぁ、この子は私と違って綺麗で優しい。

それでいい。それがいい。

この子は私に似てはいけない。絶対似ない。

 

「…そうだね。きっとそうだ」

 

でも私は歪んでいるから。歪んでしまった。

きっと私はどうしようもないくらい真っ黒だ。

玲花にはきっとバレてしまっているけれど。

玲花の前では明るく元気な『僕』を演じるし。

みんなの前では双子の兄には敵わない、優等生の『私』を演じる。

 

 

 

でも自分は『私』が嫌いだし、『僕』も嫌い。

 

あぁ、私って何だろう。

 

自分が分からない。

 

僕って価値あるのかな?

 

偶に聞いてくる人がいるけど。

 

いつも兄に負けてる人生ってつまんなくない?って。

 

私はいつも、どうだろうね…でも生きている事は常に充実してる、って答える。

 

でも、分からない。

 

生きている事に対して、どんな感情を抱いているのかも。

 

楽しいのか、苦しいのか。

 

分からないから、偶に死にたくなる。

 

自分を殺したくなる。

 

でも、死にたくない。死ぬのは怖い。

 

例え全人類が望んでいても。

 

玲花と会えなくなるのも嫌だ。

 

きっと生きる意味なんて、価値なんて何処にも無い。

 

でもそれで良い。

 

無くたって生きていいでしょう?

 

どんなに僕が無価値な人間でも。

 

死ぬのは怖い。

 

少なくとも生きているって実感出来るまで。

 

道のりでどんなに死にたくなっても。

 

もし、誰か一人でも僕を愛してくれるなら。

 

寿命を全う出来るよう頑張ろうじゃないか。




エトさんに話す→ミラさんと出会った過去→自分が喰種だと知った時(エトさんに話している訳ではなく、頭の中の回想)→前世(回想してたら思い出しちゃった。エトさんに話している訳ではない)

という事に今なっております。うん。

この間取ったアンケートが現時点綺麗さっぱり分かれておりまして。
とりあえず今週はちゃんと書きました。

沢山投稿してる方凄い((キラキラ
尊敬します!

我儘を一つ(我儘ばかりですが)
感想が…欲しい…!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 29 彼女の前世〜2〜 『双子の兄と可愛い妹』

アンケートの結果、毎週約1500文字書くことになりました。
でも、忙しい時は出来ないことがあるので、
パタと投稿が途絶えたら『コイツ、忙しいんだ…』って思って下さい。

……感想が欲しい…。


私は普通に産まれることが出来ないのだろうか?

前世は双子だった。

今世は喰種。

でも普通ってなんだろう。

普通の基準を自分自身に置いてしまったら。

自分は普通で。

周りは異端だ。

誰に置いてもそうなってしまう。

普通なんて。

有りもしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は私達双子に差なんて存在しなかった。

否、あったのだけれど、小さい頃ではその差はあまり目立たない。

差が段々と目立ち始めたのは中学生の時。

 

小学生の時はいつも褒められた。

テストはいつも100点。運動神経抜群。

習字や絵も毎度のように賞を取るし、出来ない事を探す方が大変だった。

 

子供ながらに私はまるで人間の形をしたコンピュータみたいだと思った。

 

でも、賞が付く場では、もう既にはっきり差があった。

 

双子の兄の方が良い賞を取る。

私が上だったことは一度だって無かった。

 

両親は兄を褒める。

別に気にしなかった。

事実、兄のがスゴイのだから。

 

別に私だって出来の悪い子では無かったし、兄に嫉妬する必要も無かった。

 

でも年齢が上がるにつれて、差はどんどん開いていく。

兄はずっと満点だったテスト。

だのに私の点数は下がっていく。

はっきりと数字で評価が表れるテストが嫌いだった。

周りと比べればそこまで悪い点数ではなかった筈だ。

 

だが、双子、故に。

常に比較の対象は双子の兄。

私達の周りからの評価は『優秀な兄と出来損ないの妹』になってしまった。

 

 

 

 

「うお!すげぇな…。また1位じゃねぇか!」

 

「しかもほぼ満点…」

 

「流石、悠樹君だね!それに比べて…」

 

「やめてやれよ。アイツだって取りたくてあんな点数取ってるわけじゃねーんだから」

 

彼はまた1位なのか。

私は手元の成績表を見る。

国語を除いて、どの教科も90点前後だった。

順位は8位。

 

別に言う程悪い訳では無いのだが。

だが、誰も私の成績表を覗かないし、兄も『あんな点数』と言ってしまうから、皆、相当悪い点数を想像してるのだろう。

兄に言いように操作されて…馬鹿だな。

いや、何も言い返さない私も同類か。

兄は庇っているように見えるアレは、私の評価を下げる言葉だ。

策士か、無自覚か。どうでも良いけど。

 

私はさっさと成績表を折り、鞄に仕舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん…」

 

「玲花?どうしたの?」

 

私が部屋で勉強していると、申し訳無さそうに玲花が入って来た。

玲花は8歳年下の妹。凄く可愛いし、あのクソ兄…んん"、『お兄様』と違って、とっても優しい可愛い私の妹だ。

うぇ…『お兄様』って…気持ち悪。

まぁ、玲花のことを語り始めると話が終わらないからココで区切るけど。

 

「…お姉ちゃんが中々降りて来ないから、さっきお母さんがご飯片付けちゃって…。…大丈夫?」

 

「…え?ご飯出来てたの?」

 

「え?うん」

 

…嵌められた。

あの屑(兄)!

『今日は俺が料理の手伝いするからお前は勉強しとけよ』

『へぇ、珍しいね?』

『どうせ、成績悪かったんだろ?復習するべきじゃない?』

『………ニコ(今、ここが法律の効かない場所だったら殴ってるね)』

『感謝しろよ〜、母さんには俺が言っとくから』

『どうも(誰が感謝するか、性悪。絶対何か企んでるな…)』

 

しかも、私の部屋は家の3階の一番奥。

両親が医者で無駄に広い家の一番奥、ということは誰も使わない、来ない部屋。

初めは封印されるかと思ったよ。

 

「待って、知らなかった」

 

「……お兄ちゃん、呼びに来たよね?」

 

え、と驚いた表情で玲花は恐る恐る尋ねる。

私ははぁ…と溜め息を吐き、ふるふると頭を動かす。

 

「彼(あの屑)が呼びに来る訳が無い。そうなったら世紀末だね」

 

さぁー…と玲花の顔が青くなる。

 

「私が呼びに行こうとしたら、お兄ちゃんがもう伝えてあるって言ってて…。…ごめんなさい……」

 

段々と声が小さくなっていき、必死に涙を堪えている。

ぐしゃりと掴んだ服は皺が寄っていた。

私はそんな玲花をそっと抱き締めた。

 

「大丈夫だよ。玲花は全く、これっぽっちも悪くない。悪いのは………嘘ついたあの屑」

 

玲花はまだグズグズと泣いていた。

私は部屋の鍵付きの棚を開け、物を取り出す。

 

「玲花、見てご覧」

 

玲花は目をゴシゴシと擦り、顔を上げる。

 

「…?乾、パン?」

 

「いやぁ、こんな事態になっても大丈夫なように、乾パンを5個常備してたんだよね」

 

私は一応消費期限を確認し、缶を開けた。

 

「パサパサ…水も常備してあって良かったー。取りに行くの気まずいもんね。玲花も食べる?氷砂糖もあるよ?」

 

玲花はポカンとしていたが、思わず、笑い始める。

そして、「食べる」とポソッと言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時には思いもしなかった。

学校だけじゃなく、此処でも蔑まれるようになるなんて。

 

 

 

 




アンケートにご協力お願いします!
なんか面倒臭い人みたいな内容ですけど…。
(最後の選択肢は…まぁ気にしないで下さい。)
前世の話の長さを決める手掛かりにするだけなんで!はい!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 30 彼女の前世〜3〜 『命の綱』

アンケート、ご協力有難う御座います!
皆さん、気を遣ってらっしゃったのか、『つまらない』に誰も入れてなかったんですよね。
お気遣いありがとうございます!
僕はメンタルダイヤモンドなので!全然入れてもらっても大丈夫ですよ!

一応短くしようかなと思っていますが、あと二話ほど掛かってしまうかと…。
すみません!


「………」

 

私は、はぁ…と溜め息を零し、自分の机の上に出来ているクシャクシャの紙の山を見た。

計算用紙に使われた紙を丸めたものも有れば、悪口を書かれているものも有る。

教室に居るクラスメイトは私を見て、クスクスと笑っていた。

 

まぁ、これは誰がどう見ても『イジメ』だろう。

だが、私は捻くれて意地っ張りな所があるので最早、最近のクラスメイトがハマっている馬鹿げた行動だと認識するようにしている。

今回の場合、『環境問題の解決のために資源を大事にしよう!』と政府、そして国際的に広まっているのにも関わらず紙を無駄遣いし、挙句の果てには人の机をゴミ箱か何かと認識したのである。

こう考えると、もう馬鹿というより、脳に異常が起きてないか心配になってくる。

 

心が汚いのではなく、お腹が黒いのではなく、頭が足りない人間、と考えれば、自分の中で私は悪戯をする幼稚園児の世話をしているも同様。

今時、幼稚園児でもこんな事しないが。

更に言えば、幼稚園児の方が精神年齢高いよな?

 

と、こんな具合に考え、私はイジメのダメージを軽減している。

 

しかし、私も初期は怒りに囚われた時もある。

机が傷だらけになり、油性ペンで書かれた悪口でぐちゃぐちゃになっていた時。

すぐさま先生を呼んだ。

しかし先生からも嫌われている私。

こんな酷い対応をされたのである。

 

「…はぁ。ったく、周りから悠樹と比べられて、腹が立っていたとしてもコレは有り得ないぞ!学校への嫌がらせか?」

 

「まさかとは思いますが、私がそんなに器の小さい人間だと思っているのですか?人を勝手に比べて下に見る哀れな人間と一緒にしないでくれます?それに私は物に当たるなんてまどろっこしい事しません。直接、脅し…んん"話し合った方が早いです。それに他人の所有物なら弁償の手続き諸々面倒じゃないですか。あぁ、もしかしたら外部の人間がこの学校に恨みを持っているのかもしれませんね?警備員、防犯カメラなど増やしたら如何でしょう?よろしければ私の方から警察へ連絡しましょうか?事件解決は早い方が良いですもの。これは立派な器物損害ですから。…学校の管理不足のせいで私に迷惑がかかったというのに私を責めるなんてもっての外。ですよね、先生?」

 

と、言い返したら先生は「あ、あぁ…」と若干引いてらっしゃった。

いや、私、間違った事言ってませんし。

 

所詮、学校。周りにどれだけ嫌われていようが、人生懸けて付き合っていくわけではない。

だから正直、どうでも良かった。

 

 

でも、こっちはそうも行かないのである。

 

「アンタはなんで産まれてきたの!?」

 

ゴッ、と嫌な音が身体に響く。

残念ながら子供は産まれるところを選べなくてね。

僕だって好きでアンタらから産まれたわけじゃないよ。

私はケホケホと咳き込み、両親を見上げた。

 

何か言えば、相手を刺激する。

感情を込めた目を向ければ、また殴られる。

何も抵抗せず、無でいることが最適解。

流石に、なるべく衝撃を弱められるように受け身は取るけど。

 

「アンタの所為で悠樹にも私達にも迷惑が掛かってるの!!妬みや嫉妬でこんな嫌がらせ繰り返すことがどんなに恥ずかしいことか!!碌に人の役に立てないんだからせめて邪魔だけはしないでくれる!?」

 

あの屑兄貴、今度は何を言ったんだ…。

全くの濡れ衣じゃあないか。

こっちの言い分も聞かず、アイツの話を鵜呑みとか…。

よく詐欺に引っかからないね。

 

なーんで、みんなアイツばっかりなのかなぁ?

暴力、暴言。これ、虐待じゃないか。

私にお金を払う価値など無いらしく、習い事も次々と辞めさせられた。

大好きだったピアノまで。

 

私はゴホッゴホッと咳き込んだ。

両親が私の前を立ち去り、しばらくして玲花がやってくる。

 

「お姉ちゃん…!大丈夫!?」

 

「あはは…。僕は大丈夫!と言いたいところだけど…取り敢えず肩貸してくれる?」

 

「あ、うん!!」

 

玲花は慌てて僕の下に潜る。

いや、ホントこういう時に3階の奥の部屋が自分の部屋ってことを恨むよ。

 

……一番迷惑を掛けてしまっているのって玲花だよなぁ。

ごめんね、玲花。

こんな僕に優しい目を向けてくれるのは玲花だけだよ。

僕が居なくなれば玲花に迷惑は掛からない。

でも、此処に玲花を置いて行くのは無理。

玲花に何かあったら、そう考えると。

玲花は良い意味でも悪い意味でも、僕を現世に留めてくれる。

 

「お姉ちゃん、着いたよ。手当てするね…!」

 

自分で出来るのに、って言っても玲花は聞かない。

玲花は優しく可愛く育って欲しい。

こんな息の張り詰めるところじゃなくて、誰か暖かい幸せな場所に連れてってあげて。

僕には出来るかどうか、分からないから。

 

 

 

 

 

僕が事故に遭うまで生きてられたのは玲花が居たから。

もう一人のお陰でも有るんだけどね。

あぁ、また会いたい。

 

 

 




あ、そういえば優理の前世の名前当てられる!って方居ますか?
この小説内には多分出して無いですけど…。
当てようと思えば、当てられると思います!
是非皆さん考えてみて下さいね!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 31 彼女の前世〜4〜 『光の雪』

これ…あと一話で前世の話、終わるかな…。
終わらせなければならない…!
…。
……。
………。
…………。
……………。
終わらなかったらすみません…。


人間が嫌いだ。

私は暫くそう思って生きてきた。

いや、今も思ってる。

僕が人間を好きになる日が来ない限り、喰種も好きになれないだろう。

 

そんな私の光は玲花だけだった。

きっと僕はこの子にしがみ付かなければ生きていけないんだと思ってた。

でも、あの日僕にもう一筋の光が差して、暫く照らしてくれていたのは間違いない。

 

「今日から転校生がこのクラスに加わる。『木下優樹菜』だ。簡単に自己紹介を」

 

朝のホームルームで先生がそう告げる。

僕は窓の外をボーッと眺めたいなぁ、なんて思いながらも、一応優等生のつもりなので先生の話を黙って聞いていた。

どうせ、誰が来ようと僕の生活は変わらない。

折角、空は雲が多くも少なくもなく、とても綺麗なのだから見なければ損だ。

だが、私はジッとその転校生の方を見る。

 

少し長めの髪をサイドテールにし、その笑顔からは彼女が明るい性格な事が表れている。

あぁ、誰にでも好かれるタイプだ、コレ。

 

「木下優樹菜です!好きな事は音楽を聴いたり、漫画を読んだり、お買い物したり…兎に角いろいろです!これからよろしくお願いします!」

 

ペコッと勢いよく頭を下げる。

同時に少し癖のある髪もブン、と揺れた。

 

「木下の席は窓側の列の一番後ろだ」

 

私の後ろ…だろうなとは思った。

普通机を足すならココだろうし、学校に来た時からこの場所に机があったのだから。

後ろから人の視線を感じるの苦手なんだよなぁ。

別に殺される訳では無いけれど、安心出来ないというか、不安というか。

 

そんな事を考えている内に彼女は席に座り、私に「よろしくね!」と声を掛けた。

私は少し微笑んで「よろしく」と返した。

きっと大した付き合いにはならない。

 

「ねぇねぇ、今日の放課後ウチに来ない?」

 

な、ん、で、話しかけてくるんだ、この女は!

どう見ても、私がこのクラスで蔑まれているの分かるだろう!

ほら、そこら辺の女子なんか、えぇ…って顔してボソボソ喋ってるぞ!

見兼ねた私は優樹菜にそっと伝えた。

 

「あのさ、私とあまり会話しない事をお薦めするけど…」

 

「なんで!?」

 

うん、察せ。

私はこのクラスの兄貴信者に嫌われてるから、私と話してると碌な目に合わないよ?なんて言えるかぁ!

というか、こういうのは周りが言うんだよ!

というか言ってやれ!普段何食わぬ顔で悪戯しといて、何で今行動に起こさない!?

私はまたにっこり微笑んで、呟いた。

 

「何でだろうね?」

 

「別にこのクラスの生徒が理不尽だからとか、まだ気付いてないよ!」

 

気付いてんなぁ!?

というか、何処からこのクラスの生徒が理不尽だって気付いた!?

えぇ、こわ…。

 

そんな私に対して、優樹菜は、にぱぁと笑う。

眩しい。

 

「で、ウチに来てくれる?」

 

頷かないと引かなそうだし…。

私に予定と言える程の予定も部活しか無いので。

 

「まぁ、部活終わった後のちょっとなら…」

 

でもこの少女は17:00に終わる部活の後に連れて行くのだろうか?

流石に遅くない?

 

「部活!?何部!?」

 

「……サッカー部」

 

「サッカー!?確かにカッコイイ雰囲気あって似合う!」

 

そんな事初めて言われたね。

私は黒髪を顎よりちょっと下まで伸ばしているし、クールな雰囲気は有るかもしれない。

私はボソッと「どうも」と呟いた。

 

「じゃあ、ウチもサッカー部入る!」

 

「分かっ……はぁ?」

 

サッカー部、と言ってもこの学校は人数も少なく、男女混合だ。

優樹菜が入れば丁度1チーム作れるな…ってくらいである。

中々の実力者揃いだが、大会に出れなければ結果は出ない。

他校との練習試合だけには毎回勝つという謎の高校であった。

…と、いうのを優樹菜に説明したが、無駄だった。

 

「もう決めたもん!これで一緒に帰れるしね!」

 

キラキラとした優樹菜の曇りなき眼に私は「そうだね…」と頭を抱えながら呟くしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ささ!中にどうぞ!」

 

「お邪魔します」

 

部活を終え、優樹菜の家に来た。

部活仲間や顧問とは仲が良いし、学校で唯一、居心地の良い時間である。

まぁ、仲が悪かったら、私キャプテンなんて出来ない。

部活終わりに、玲花に友達の家に寄るという連絡はしておいたし、両親は私に興味などほぼ無いので帰りが遅くなっても心配はされない。

 

そんなこんなで着いた優樹菜の家は普通の一軒家、という感じだった。

コレが普通で、私の家が無駄に大きいだけである。

 

「ただいま!」

 

「おかえり〜。あら、お友達?」

 

優樹菜の元気な声に気付いた女性がエプロンを付けて出てくる。

母親だろう。

何処か優樹菜に似た雰囲気がある。

 

「同じクラスメイトのーーーーです。突然お邪魔してしまってすみません」

 

私は少し頭を下げる。

 

「いいのいいの。さ、上がって上がって!」

 

「じゃー私の部屋にレッツゴー!」

 

優しげなお母さんの言葉と同時に優樹菜が私の背中を押す。

私はされるがまま、二階にある優樹菜の部屋に向かった。

 

 

 

 

 




優樹菜、覚えてますか!?
二話に名前だけ出て来てるんですけど…!
覚えてた人挙手!(何言ってるんだ、自分…)

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 32 彼女の前世〜5〜 『勘』

これ30話超えてるんだなぁ…。
自分が何を書いたか分からなくなって読み返そうと思ったけど、いざ読み返すとなんか恥ずかしいんだよね。
あと、最初の方書き直したいな、て思った。
そんな時間あったら新しいの投稿すべきだから、出来ないけど。

めっちゃre編書きたーい!


「私の部屋にようこそ〜!」

 

優樹菜は元気良く扉を開けて、私を中へ促す。

私はそっと足を踏み入れてから、そういえば親戚以外の家にお邪魔した事なんて無かったな、と思った。

まぁ、嫌われてたし?

 

ぼーっと私は優樹菜の部屋を見渡す。

一言で言うと優樹菜の好きな物で埋め尽くされたような部屋だ。

綺麗でも無ければ、汚くも無い。

何処か愛着が持てるような、そんな部屋だった。

 

「早速だけどコレ知ってる?」

 

彼女はある書籍を持って、私に見せる。

その書籍は『東京喰種』と書かれていて、一人の青年の絵が描かれている。

優樹菜の後ろを見ると、そのシリーズがズラーッと順番に並べられていた。

 

「タイトルは聞いた事あるかな…」

 

「是非!読んで!」

 

少し食い気味で優樹菜は私にその漫画を押し付ける。

私は大人しくページを一枚ずつ進めていった。

 

そもそも私は漫画を一冊も持っていないし、殆ど読んだ事も無い。

漫画やアニメ、ゲームといったものは禁止されていたからだ。

だから『東京喰種』が初めてまともに読んだ漫画だろう。

 

私は最後のページを捲り終え、パタンと漫画を閉じた。

それに気付いた優樹菜は、キラキラした目で感想を求めてくる。

 

「読むの早いね!どうだった?」

 

「面白かった…と思う。人間でしか栄養が取れない喰種になってしまった金木君に、勘の良いヒデ…ね。彼らは大変だね。この嘉納という医者は黒幕…いや、彼も利用されている人間か…?」

 

目を伏せながら考える僕に優樹菜は、へ、と驚いた声を上げた。

 

「一巻だけでそんな予測出来る!?…ところで金木君みたいに喰種になっちゃったらどうする?」

 

「首吊って死ぬ」

 

これなら自分一人で解決出来るしね。

 

「いや、もうちょっと解決策考えよう!?」

 

「え、じゃあ自分の指を一本ずつ切って食べる?」

 

「拷問か何か!?」

 

淡々と告げる私に優樹菜がツッコむ。

……何故、私がボケで優樹菜がツッコミになっているんだ…?

まぁ、いいや。

 

「そういう優樹菜はどうするの?」

 

「私は金木君みたいに騙されない!」

 

質問を根っからひっくり返したような答えが返ってきた。

ガクッと転けそうになる。

 

「あぁ、そう…」

 

「と、こ、ろ、で。学校と雰囲気違うね?多重人格者?」

 

グイッと身を乗り出して、私の顔を覗く。

優樹菜の瞳に映る自分を見て、はぁ…と溜め息を吐いた。

 

「別に。何も無いデータに上書きするのは簡単でしょう?」

 

「うーん?まぁ、これから分かってけばいいや!私達はすっごい長い付き合いになるよ〜?覚悟しといて!」

 

ふふ、と優樹菜は笑いながら宣言する。

だが、この宣言は果たされていない。

あの後、予言者だの、勘が当たるだの言っていたが見事に外れたのだから。

……嘘吐き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……り。ゆ……。優理!」

 

「う、るさ…」

 

「助けて貰ってなんだよ、その反応は!?」

 

ミラさんの大声に耳を押さえながら、ゆっくり身体を起こす。

僕は片手を耳から後頭部は動かし、撫でるように動かす。

特に腫れているところも、パックリ割れているところも無い。

ただ、痛みがジンジンと響いているだけだ。

 

「そもそも僕を思い切り蹴飛ばしたのはミラさんでしょ!?はぁ、何処から考え事が夢になったのか…」

 

「だって、想像より速かったから吃驚したんだ!お前なら避けると思ったんだよ!」

 

必死で言い訳を並べるミラさんを僕は睨み付ける。

そしてはぁ、と溜め息を吐いた。

 

「どう見ても僕は考え事してたでしょ。配慮してよ」

 

「出来るかぁ!」

 

まぁ、なんでこんな事になってるかというと。

僕がミラさんに思いっきり突っ込んで、蹴りを放とうとしたところ、ミラさんは避ける。

まぁここまでは予測済みだ。

いくらミラさんが手を抜いたところで、ただ馬鹿のように突っ込んでは勝ち目が無い。

だから私は事前に置いておいたレンガにミラさんが引っ掛かるように、場所を計算して追い詰めたところ…。

返り討ちされた。

 

「それに卑怯だろ、あれ!」

 

「じゃあ、僕がミラさんに愚かな獣の如く突っ込んで勝てるとでも?そもそもレンガに引っ掛かって転けるアナタが馬鹿だ。周りが見えてない証拠ですね」

 

う"…と歯切れが悪そうにミラさんは後退る。

だが、すぐに反論を並べた。

 

「でもあれ、コンクリートと同じ色で塗ってあったじゃないか…。それに!お前も中々体術が出来るんだから、それで勝負すれば良かったじゃないか!…っていうかどっかで習った事が有るのか?」

 

前世でいつ殺されかけても大丈夫なように、勉強してた。

とは言えない。

じゃあ、どう言えば良いのか。

こうである。

僕は人差し指を立て、ズイッと近寄って告げた。

 

「仮面ラ◯ダー」

 

「仮面◯イダーの動きを観察する奴、初めて見たぞ」

 

疑いのある目でミラさんはジーッと僕を見る。

そりゃそうだ。

僕もそんなバトルシーンをじっくり見た覚えないよ。

僕はそっぽを向いて、「あっそ」と呟いた。

 

「まぁ、そんな事どうでも良いや。ところでミラさんは普段何の仕事してるの?いや、無職か」

 

「ちゃんと働いてるわ!…何だと思う?」

 

僕はうーん…と頭を傾げる。

ミラさんがこの時間は働いていないとなると…。

 

「勤務時間に自由が効く仕事、若しくは夜勤。と、なるとサラリーマン、公務員等は除外。医師等、医療関係者でも無いね。…まさか、キャバ嬢…」

 

「違うからな!?一体、何処で覚えたんだ!?」

 

「どうせ、どっかの工場勤務でしょう?」

 

喰種が働きやすいとなれば、大企業は向いてない。

そりゃあ、あるにはあるが。月山財閥とかね。

でも、ミラさんはそういう所じゃ無さそうだ。

と、なると、小さめの工場が働きやすいんじゃ無いか。

 

「ふっ、ハズレだ。私の職業はなーーースクールカウンセラーだ」

 

スクールカウンセラー…。

彼女が??

ミラさん……。

 

「嘘は良くないですよ」

 

「嘘じゃなーーい!!」

 

 

 

 




皆さん、お待ちかねのミラさんですー!
過去編、グダグダ始まってグダグダ終わりましたね…。
もっと入り方決めて書くべきだったかも…。
でも、他に入れるとこないんですよね…。
……許して!!

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 33 戻って

またまた赤バー…。
嬉しいです!ありがとうございます!

ついでに良かったら感想も…。((図々しいわ!


「嘘じゃなーーい!!マジで!ホント!」

 

ミラさんは大声で叫ぶ。

いくら路地裏でも近所迷惑でしょ…。

 

「ミラさんに相談して何になるんですか?」

 

「酷いな!マジで!」

 

それにスクールカウンセラーって、結構な技術が必要な筈だ。

そもそもミラさん、学業は何処まで…。

 

「ミラさんって大学通ってたんですか?」

 

「あぁ、大学生時代は大変だった…。夜までバイトで勉強とか…寝不足で倒れるかと…」

 

そう語るミラさんの目は光が差していなかった。

うん、まぁ、人生は大変だと思う。

僕の好奇心でもう一つ踏み込んだ質問をする。

 

「因みに何処ですか?」

 

「ふっ!上井だ!」

 

キリッとミラさんは言い放った。

上井?上井ってここら辺では一番偏差値が高い…よね?学部によるけど。

ミラさん…賢そうには見えない。(失礼だよ!)

 

「簡単に嘘吐く人がスクールカウンセラーになんてなれます?」

 

「だからホントだっつーの!…じゃあ、今ココで相談に乗ってやろうか?」

 

またも、キリッと言い放つ。

此処まで食い下がるという事は本当なのか…。

まぁ、ミラさん相手に人生相談というのは…。

 

「え"全身全霊で遠慮します」

 

「そんなに嫌そうな顔するなよ…。まぁ、いいか。…ところで、赫子の方も使えるのか?」

 

僕は、ツーと視線を逸らす。

別に赫子が使えるようになりたい訳ではない。

それに体術だけで、自分の身くらい守れる自信が有るからね。

でもさ、気になるじゃん?赫子、何かな〜って。

だから単なる好奇心です。

 

だが、赫子の使い方を知らない。

それなら教えて貰うしかない。

しかし、教えてくれる人も居なかった!

 

「使えたら教えなんて乞わないです」

 

スン、と告げる僕にミラさんはヒクヒクと顳顬を動かした。

 

「だったら教えて貰う態度になれよ!?常に偉そうじゃないか!!」

 

叫ぶミラさんの声に僕は耳を塞ぐ。

うるさい。

態度がなってないのか。知ってるけど。

それならこれで如何だ。

 

僕はキュルンと可愛こぶって、こう言った。

 

「教えてくださぁい、せんせー?」

 

「気持ち悪…」

 

ひっど!

でも同意。

自分でやってても気持ち悪くなって来た…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は幾つになっても、人の神経を逆撫でするのが上手いんだね」

 

「人がムカつきそうな言葉はスラスラ思い付くんだよね。うっわ、要らん才能…」

 

クスクスとエトは笑っている。

話している間にもこれをやられると普通に怖いんだが。

 

「というか、君に何時迄も思い出話が出来るほど、僕も暇じゃないんだよねー。それに君が知りたいのは『先生』の性格。今、コクリアに居る先生を勧誘したいんでしょ」

 

エトはずっと笑っている。

僕は表情の消えた顔でジッとエトを見つめた。

包帯の下の顔がニンマリと動いている気がする。

 

「まぁ、今までの話を聞いてミラが大人しく頷く可能性は低いかなー」

 

「低いどころかゼロだよ。スクールカウンセラーが人々を怖がらせて如何するんだ」

 

僕は、はぁ…と呆れた顔で溜息を吐く。

人間大好きのあの人がアオギリなんて組織には入らない。

例え天と地がひっくり返っても。

 

「君を勧誘出来たら可能性大かも」

 

「だーかーらー!僕も先生も絶対に入らないよ!」

 

というか、コクリアに居る先生を勧誘…。

今の時期にコクリアを破壊しに行くのか?

金木君は漫画のように反アオギリだ。

だが、漫画は僕らがアオギリに居た時にコクリアに攻撃をする筈…。

しかし、現実はその時ではなく、これから…?

 

漫画とアニメの設定が入り混じっている…。

僕という特異点の所為だろうか…?

 

「君に関しては見逃すけど、ミラの場合は断ったらそこで殺すしか無いねー」

 

「先生はそんな柔じゃねぇよ。…殺せるものなら殺してみろ」

 

ケタケタとエトは笑う。

凄く不気味だ。

 

「頑張るね。良い話が聞けたよ。また会おうね?バイバイ!」

 

エトは手を振って、僕の目の前から消えた。

 

『優理、逃げろ』

 

あの時、僕は物陰から先生が傷付く様子を見てた。

あの捜査官が先生を殺していない事は分かったよ。

だから、先生がコクリアに居るんだろうなって事は頭にあった。

 

先生ならあの捜査官ぐらい容易く殺せたじゃないか。

手を抜いてた事ぐらいすぐ分かったよ。

自分の命よりも人間の事が大事だったのか?

人間好き過ぎ。

 

人間も喰種も嫌いな僕には分からないなぁ。

 

それにしても。

あの捜査官は何故僕から奪うかなぁ。

先生も母さんも。

 

これでも情報屋の端くれだ。

それくらい調べられる。

不破特等捜査官。

 

調べたところ、捜査官としては優秀だけど人間としては最悪だったみたいだ。

家庭内暴力・パワハラは日常茶飯事だったよう。

CCGは目を瞑っていたようだけど。最低だね。

故に同僚からも煙たがられていた。

 

それに原作に居た覚えも無い。

だから遠慮なくーーークインケで突き刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございまーす!いやぁ、寒い!」

 

「朝からうるっさい!」

 

元気良く挨拶した僕にトーカちゃんが怒鳴る。

西尾先輩も既に来ていたようで、もう制服に着替えていた。

 

「うるさいのが僕という人間だよ、トーカちゃん!」

 

「いちいちムカつく!さっさと着替えて来い!」

 

「はいはーい!」

 

そう言ってお店のカウンターに向かうトーカちゃんをチラ見しながら、西尾先輩に話し掛けた。

 

「段々、いつも通りに戻って来ましたね!」

 

コソコソと、トーカちゃんに聞こえないように喋る。

 

「金木が居なくなった直後は如何なるかと思ったけどな」

 

その時のトーカちゃんはバイトを休む事が多かったし、僕が騒いでも何も言わなかったのだ。

西尾先輩にしかツッコまれないの、意外と寂しい…。

 

「漫才はボケとツッコミが居て成り立ちますからね!」

 

「此処は喫茶店だよ!っていうかお前らのは、考え無しに騒いでるだけだろ…。五月蝿くするくらいなら元気無い方がマシかもな…」

 

「またまた〜!先輩が一番心配してたくっせっにっ!」

 

僕はツンツンと西尾先輩の腕を突つく。

 

「トーカが居ねぇと大変だったから早く調子戻して欲しかっただけだ!」

 

「トーカちゃん、今年から受験に向けて勉強するみたいですから、また大変になりますね!」

 

「喋って無いで早くしろ、優理!」

 

カウンターからトーカちゃんの怒鳴り声が響く。

 

「なんで僕だけ!?」

 

「ザマァ」

 

西尾先輩に煽りを含んだ笑いを投げられ、トホホと奥の控え室に向かった。

 

 

 




僕の二次創作ってなーんかグダグダに見えちゃうんですよね…。
そして、更新ペースが遅いのが気になる所…。
みんなどんな風に書いてるんだ…。

明るい愉快な感じに段々、戻る…かな!(多分!)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 34 久しぶり

お久しぶりです、わむです!

あ、タイトルは僕のことを言っている訳では無いです…!

今回は日常回というか平和回というか…。

そんな感じです!

これからも多分休むことが多いですし、話が短くなったりしますが、お気に入り登録をしてくれたり、感想を貰えたりするととても嬉しいです!

僕の都合で読者の皆様を待たせてしまいますが、これからも読んで頂けると幸いです。


「路上ライブ?」

 

「そう、私達来年受験でしょ?」

 

新学期早々、玲緒奈が唐突にこんな話を持ち掛けてきた。

僕たち二人で路上ライブをしないかと。

来年は受験のため今年をエンジョイしようという訳だ。

 

今年、ね…。

 

普通は高校二年から受験勉強に取り掛かるべきでは…?

玲緒奈は成績も要領も良いから大丈夫か。

しかし路上ライブってそんな気軽に出来るものなのか?

 

「路上ライブって許可とか要るんじゃないの?」

 

「もう取った」

 

「はっや!」

 

これは…玲緒奈もう断らせるつもり無いな?

………まぁ、別に音楽は好きだし。

 

「じゃあやろうか!!」

 

「やった」

 

やるからには手は抜かない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いう訳で今一週間に五回バイトが入ってると思うんですけど、四・五回に減らして貰えませんか?」

 

「おいテメェ、ふざけんな」

 

「西尾先輩には聞いてません!!」

 

練習して最高のライブをしたい訳で!

少し休みを増やしてもらえる様、交渉中です。

つまり二週間に九回という事ですな!

 

「構わないよ」

 

店長はすぐ肯定の返事を聞かせてくれた。

わぁ、隣に絶望の色をした西尾先輩が。

 

「やった」

 

「クッソ、人減ってばかりじゃねぇか…」

 

「言うて変わらん」

 

「お前が言うな」

 

二週間に一回、西尾先輩が二人分働けば良いんです。

問題はナッシング!

それくらい出来るっしょ、西尾先輩なら。

 

「二人とも、実はバイトの子が来週から一人入ってね」

 

「えー正規だったら、西尾先輩に現在進行形で睨まれていなかったのに」

 

さっきからずっと睨まれてますん。

いや、気持ちは分かr……分かんないけど。

正規だったら、先輩の負担が減るから睨まなくなると……。

 

「んな訳あるか」

 

思ったんだけど、そんな事なかった。

そして、この時期のバイトって嫌な予感がするねぇ。

 

「店長!その子、女の子ですか!?可愛い?」

 

前のめりになって、キラキラお目々で尋ねる。

その様子を見て、西尾先輩はケッと吐き捨てた。

 

「小学校の時に転校生の事を尋ねるクラスメイトBかよ」

 

「例えが長い!そして僕、Aですら無い!」

 

酷い!

名前無いだけでも酷いのに!

さらにメンタルを砕いていく!

流石、先輩。

 

「テメェはAになる価値ねぇ」

 

「それ、先輩が言いますぅ?」

 

「どう言う意味だ…!!」

 

ふははは…。

いや、待って僕ってAになれない??

西尾先輩はA以上ですよ。

言葉の綾というやつです。

 

「それで新しい子ってどんな子ですか?名前くらい事前に教えて貰っても良いですよね?」

 

「優理ちゃんの言った通り、女の子だよ。名前はーー帆糸ロマちゃんだよ」

 

……やっぱり。

ま、現段階で何かしてくる訳では無いし。

ほっといていっか⭐︎

折角、楽しい事するのに嫌な事を考えるのは勿体無い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、僕がボーカル?」

 

「何か文句ある?」

 

今現在、練習を含め、打ち合わせ中。

別に歌うのは好きだけども、玲緒奈も歌上手いではないか。

態々僕が歌う必要有ります?

 

「別に無いけど、玲緒奈が歌えば良いんじゃない?」

 

「私は優理の歌声が好きだから」

 

………。

 

『お姉ちゃん、曲作ったの!これ歌って!』

 

『えへへ、お姉ちゃんの歌声って落ち着くなぁ。大好き!』

 

玲花…。

 

「そう、まぁ良いけど」

 

少し素っ気無い返事をしてしまった。

待って、こんなの僕のキャラじゃ無いのだけど。

 

「じゃ、優理がボーカルとギターね。私は曲によって変わる。勿論、優理一人では歌いきれない所は私も入る。そして二人で演奏しきれないところは録音で流す」

 

「了解!因みにいつを予定してるの?」

 

「明日」

 

そっか、明日かぁ。頑張って練習しないと……。

ん?明日?

 

「はぁぁぁ!?」

 

玲緒奈の家で僕の大声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、僕たちは駅前の広場に立っている。

玲緒奈への説得は出来なかった。無意味だった。

何この行動力。ボケは僕だけで良いんだよ?

 

そう思いながらも、手はテキパキと楽器や何やらを用意してしまう。

 

夕方五時。

加えて駅前なのだから勿論、人通りも多い。

こんなところで歌うのか??

え、本気??

 

もうすぐで準備が出来てしまう。

スゥゥゥ…。

……やるか。此処まで来たらやるしかない。

 

「じゃあ、優理。よろしく」

 

「はぁい」

 

【あーあー。皆さんこんにちはー!】

 

マイクを通して僕の声が響く。

準備している時から不思議そうに視線を向ける人は居たが、僕の呼び掛けでそれが更に増えた。

中には足を止める人も出てくる。

 

初めてのことってこんなに緊張するんだな。

久しぶりに感じたよ。

 

【僕たちは今から三曲演奏します!お時間があれば聞いていって貰えると嬉しいです!】

 

声が震えそうだ。

らしくないなぁ。

視線が痛い。

 

【まず一曲目!『○。。。。。。。』】

 

この曲は、僕の歌から始まる。

それに僕と玲緒奈の演奏を合わせていく。

この曲は一人では歌いきれない。

途中から玲緒奈の声が入ってくる。

 

でも、一人では歌えないことがこの曲の魅力を引き出している様な。

 

この歌詞は人の心に染み渡る様で、僕は好きだ。

 

この曲が、僕の歌が、僕たちの演奏が。

 

多くの人達に届きます様に。

 

 

 

 




ホントに久しぶりに玲緒奈が出てきたなぁと。

玲緒奈ってこんな性格だったっけ??

なんか、今回の話はあんまり原作に関係無さそうですけど…まぁ、少しは話を進めるに当たって必要なんですよ…!
あとは僕の遊び心ですね、許してください。

ちょっとやってみたかった!人気オリキャラランキング!主なオリキャラ三人しか居ないけど。
でも、これからもっと増えるんだよね、オリキャラ。
苦手な人居たらごめんね。
あ、アンケートの最後はネタです。気にしないでね。

ではでは〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 35 マジか。

二週間ぶりです、わむです。

遅いし、短いっていうね……
スミマセン…。

でも、感想と評価下さい((


………一曲ってこんなに長かったっけ!?

段々、人も集まってきたし、声も手も震えてきた…。

でも、緊張するとか僕のキャラじゃないから!?

乗り越えてやりますよ、こんなの。

文化祭では何回も演奏したことあるんだからなぁ!

 

っていうか、なんで一切緊張していない玲緒奈さん!?

うわぁ、流石作曲の父親と演奏家の母親を持つ娘。

 

段々、曲も終盤になってくる。……一曲目だけど。

 

「なぁ、シラギン!路上ライブやっとるで!」

 

「はぁ?聞きたいならお前だけ聞いてけ。俺は帰る」

 

「そんなんやから彼女出来へんのやで」

 

「関係ないだろ…」

 

あれは…。マジか!?なんで居るんやろ…?

あ、でも集中しないと…。

 

よーく見たら、原作キャラが数人…!?

みんな、暇か??

 

あ、冗談です、すみません。

丁度、帰宅時間と重なってるし、人通りも多いから居てもおかしくない。

 

どんどん人が入れ替わり乍らも、無事三曲演奏し終えた。

 

僕らが楽器を片付けていると、声を掛けられた。

 

「お姉さんら、歌上手いなぁ!才子、鳥肌立ったわ!」

 

「おい、才子!迷惑だろ!」

 

少し小さめの少女、才子ちゃんと背の高い不知君だ。

この二人はreから出てくるはずなんだけど…?

 

「全然大丈夫!聞いてくれてありがとうね!」

 

「そうそう、感想言って貰えたらモチベーションも上がりますから」

 

反応した僕の言葉に続いて、玲緒奈も口を開く。

才子ちゃんがジーッと僕の顔を見る。

あんまり見られると困るんだけど…。

 

「お姉さん、イケメンやなぁ…!」

 

「お前…女の人にそれはどうなんだよ…」

 

スンマセン、と不知君が代わりに謝って来た。

 

「よく言われるな〜!」

 

「黙ってたらイケメンだからね。黙ってたら」

 

「僕はずっとイケメンでしょーが!」

 

全く…これでも女子から告白されたことがあるというのに…。

 

「お姉さんら、またライブやるん?」

 

僕は玲緒奈を振り返って見る。

また、やるのか…?

 

「やるよ、来週」

 

やるんかーい!!

まぁ、良いんだけど…。

 

「また見に来るわ!!じゃあな、お姉さん!!」

 

「お、おい!?あ、ありがとうございました…スンマセン…」

 

「あはは、いいよぉ、別に」

 

ダッと走り出した才子ちゃんを追いかけながら、ぺこぺこと頭を下げる不知君。

二人ってこの時から既にこんな感じなんだ…。

苦労してんな、不知君…。

 

「優理、私達も帰るよ」

 

「はーい」

 

玲緒奈を追いかけて僕も帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新しく入りました、帆糸ロマです!宜しくお願いしまーす!」

 

カエルのピンを付けた少女っぽい人ーー帆糸ロマはペコリと頭を下げる。

あんていくで働くということは、この子も喰種で有ることを示している。

まぁ、この子はね…。

僕、個人の感想だけどあんまり好きじゃない。

出来ることなら関わりたく無い。

 

普通に仲良くはするけどね?

 

「僕は天野優理!よろしくね、ロマちゃん!」

 

先輩達を差し置いて、元気良く挨拶する。

これ、本当だったら怒られると思う!!

あんていくのみんな優しいし、正直誰も序列なんかを気にしたりしないんだよね。

僕に続いて皆が各々、挨拶をしていく。

 

最後の一人が口を閉じた時、ロマが不思議そうな顔をした。

 

「あれ、カネキ様は?」

 

此処にいるロマ以外、全員が固まった。

董香ちゃんなんてもうカッチンコッチン。

漸く西尾先輩が眉を寄せて言った。

 

「様…?カネキなら数ヶ月前に辞めたが…」

 

今度はロマちゃんが固まる。

そしてやっと開いた口から出てきたのは…。

 

「嘘でしょ!?カネキ様を拝むためにバイトを応募したのに!!」

 

その発言にみんな唖然とした。

……マジか、この子。

 

 

 




うん…。早くreが書きたい((

この前の回にアンケートがあると思うんですけど…。
玲緒奈が一番ですね、今のところ。
ミラさんがあんまり入ってないことに驚きだった。

ではまた〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

No, 36 皿と一緒に気力も割れる

今回も短いです…。
すみません…!

そして来週は多分投稿できないです。

なんか、今回…文を書く能力が家出してしまった文章となっております。

では、どうぞ!


「「「…………」」」

 

みんなが唖然として黙る。

いや、そんな理由で職場を選ばれましても…!

もっとオブラートに包んだ方がいいんじゃないかな…?

 

「か、金木君には〜また機会があったら会えるんじゃないかな〜?と、取り敢えず、これからよろしくね、ロマちゃん!?」

 

焦って僕は口を開いた。

なんとか空気を戻さねば…!

 

「よろしくお願いしますぅ〜…」

 

いや、泣くなよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!ロマァ!テメェ、一日に何回皿割るんだよ!!」

 

「ヒィィ…!ごめんなさい、ごめんなさい…!」

 

ロマがパリン、と食器を割り、西尾先輩の怒号が飛ぶ。

洗っている食器だったり、食べ終わった、飲み終わったものだったらまだマシだが、今回は配膳時の皿割り事件だった。

これがまた悲惨なんだよ…。

 

「泣かないで、ロマちゃん…!ほら、片付けよ」

 

「うぅ…優理ちゃーん!!」

 

こういう手助けを毎回してたらすごく懐かれてしまった。

全然懐かれなくて良いのだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な、なんかロマちゃんが来てから人数増えている筈なのに疲れる…!

皿が割れる回数増えたからだ…!

僕はベットに寝転んで、天井を見上げる。

暫く、ぼーっとしていて、スマホの着信音で我に返った。

着信先を見て、急がなくていいや、とスマホを放り投げた。

 

あ、着信音切れた。

やぁーっと静かになっ……。

 

……出るか。

僕はゆっくりボタンを押して、電話に出た。

 

「はぁい?もしも……」

 

「やっぱ出れるじゃねぇか!!無視すんなよ!!」

 

スマホを耳から遠ざける。

ヒデは相変わらず、電話する時の声量を把握出来ないようだねぇ…。

 

「無視したんじゃなぁい。ヒデだったから急ぎで出なくていいやって思っただけー」

 

「それを世間一般は無視って言うんだよ!!」

 

知るか。ヒデに世間一般なんぞ通じないわ。

このままスマホ放り投げて寝ようかなー。

 

「お前、このまま寝ようとか思ってねぇだろうな?」

 

「思ってますが?」

 

「ふざけんな!!」

 

えー…僕は正直に言っただけだというのに…。

なんでこんな大声で夜中に怒られないといけないのさ…。

電話の向こうでヒデの溜め息が聞こえる。

溜め息吐きたいのはこっちだよ…。

 

「ところで明日空いてるか?」

 

「残念ながら、明日はとても珍しい何も無い休日だよ」

 

「いちいちムカつく言い方すんな!!」

 

もう…鼓膜破れるってば…!!

疲れてんだよ、こっちは…!

 

「で、何?さっさと用件伝えて寝させてくれる!?」

 

「おい、まだ10時半だぞ!?高校生にしては早くねぇか!?」

 

高校生が早く寝たらダメなのか?良いでしょ、別に。

僕は眠いし、疲れたの!!

別に起きてる時は普通に日を跨いでることもあるわ!!

 

「あ〜五月蝿い五月蝿い。で、用件」

 

「明日、飯食いに行かねェ?」

 

………。

今すぐ電話切ってやろうか。

こんなくだらない事になんで付き合わされなきゃいけないんだ。

 

スマホを耳から話し、通話終了ボタンを押そうとした。

 

「待て待て!切るな!」

 

エスパーかな。

 

「お前に会いたいって人が居るんだよ!!」

 

「……用事で来れませんって言っといて」

 

「奢りだ、奢り」

 

「よし、行こうじゃないか」

 

その後、詳しくはメールで明日送ると聞いて電話を切る。

そして、力尽きたように布団に倒れ、ぐっすり眠った。

 

 

 




優理が眠い眠いと言ってる部分。
僕は起きて顔洗って身支度を整えて書いてました。
十分に睡眠取った後。

どうでもいい話なんですけど、優理って中身グレてる気がする。
僕のイメージでは、明るく振る舞ってるけど、中身絶対不良。
お酒渡したら、普通に飲みそう。

以上、どうでもいい話でした。

ではでは〜!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。