チートな幌筵泊地が異世界に転移した結果…… (提督兼指揮官兼トレーナー)
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設定集

背景とか色々です。


 

幌筵泊地

千島列島の最北端にある島の………、ってのはまぁ置いておいて、2030年代の技術者並びに工作機械の一斉転移によって、深海棲艦と戦闘中の1947年ながらここだけチートクラスの技術を持つようになった拙作の毎度の舞台。その力は凄まじいもので、1万隻の深海棲艦を全滅させるなど、手が付けられないものとなっている。今作ではロデニウス大陸沖80km程の地点にロケット基地を作った関係からか松輪島と、占守島などの付近の島々とともに転移した。

 

 

 

 

人物集

 

多元 実

 

元は国内最大手の重工メーカーで戦闘機開発のプロジェクトチームのリーダーをしていた。この世界に転移してからは幌筵泊地の提督をしつつ、戦闘機開発を行っている。実は出身が防衛大学校卒業の幹部学校まで出た海上自衛隊のエリートで色々あって退官し、国立大学工学部を卒業して、重工に入ったという経歴の持ち主。時折見える作戦立案能力はこの時培われたもの、設計、開発能力チートであり、過去には短期間で空母艦載機2個飛行隊分と、早期警戒管制機、空中給油機の開発、独学で学んでいた人工衛星の開発、ロケット発射場の建設指揮、を行った上で、通常業務もこなすというキチガイっぷりを発揮した人外。

 

名前の元ネタは源田実

 

 

 

腰堀二郎

多元と同じく、開発チームのメンバーで国立大学時代の多元の後輩。機体設計に関して抜群の才能を持ち、国産戦闘機開発でも機体設計を担当した。顔面チートであり、よく女にモテる上、人当たりもいいので男女問わず好かれている。幌筵泊地に転生した際は妖精だったが、どうやら建御名方とはアニメを通じて仲がいい模様。人間に戻れたことで進展があるか??

 

 

名前の元ネタは堀越二郎

 

 

 

 

小玉義雄

元は多元達と同じ重工メーカーで多元達とは違い戦車の開発を行っていた。そろそろ定年を迎える頃になって、ちょうど開発した戦闘機を売り込みたいがために交渉役を探していた多元に頼み込まれて開発チームのパイプ役を担当していた。チーム内最年長ということもあってか、磨かれた交渉力は絶大なもので、最終選考まで残れたのは彼の手腕無しでは考えられない。予算獲得なども上手いため、こちらの異世界でも今後も活躍が期待される。

 

 

名前の元ネタは児玉誉士夫

 

 

 

 

 

平河結弦

海自向けの護衛艦、潜水艦を担当していた造船メーカーで、異端児扱いされていた造船チームのトップだった男で、技術は確かなのだが、作るものがどいつもこいつもゲテモノ揃いだったため不採用になることがしばしばあった。(この癖はこちらに来ても治っていない。)魔改造という名の新造が多いこの泊地は天職なのかもしれない。建造チートなので、資材と予算さえあれば、最新鋭兵器への魔改造は容易いとのこと。

 

 

名前の元ネタは平賀譲

 

 

 

 

 

真多獅郎

平河の部下でMIT首席卒業の学歴チート。オーパーツやら超兵器やらへの対応力がえげつないため、彼の作るものは大概数十年から100年近く先をゆく場合がある。だが、同時に予算と資源も大量消費するため、元いた世界では活躍出来なかった不遇。幌筵泊地の超兵器の製造元である。

 

 

 

うp主

この作品の作者で、何故かたまに出てくる。会話の人手が足りない時や単純にネタ切れだったりする時によく出てくる。いたところで何かあるという訳では無い。

と、序盤は思われていたが、どうやらなんでもこじつけられることから万能屋として出てくるようだ。決してキャラ作りがめんどくさい訳では無い。まれに名前も付く

 

 

 

オリジナル艦娘

 

 

建御雷級戦略打撃艦

大日本合衆国という艦娘とも転生者達とも違う世界線からやってきた最新鋭艦。圧倒的な航空戦力或いは、砲撃によって敵中枢部に打撃を与えることをコンセプトとして設計された。同型艦は次の2隻

 

 

建御雷

建御雷級の1番艦で、種別は空母。頼れるお姉さん気質であるため艦隊でも人気が高い。

 

全長 350メートル

全幅 82メートル

機関 核融合、及び予備のディーゼルエンジン

速力 35ノット

艦載機 搭載機82機 F14Eハイパートムキャット×32機(トムキャット魔改造機)、F31グレイファルコン×16機(FC-31を艦載機化)、A12Cノイ・アベンジャー×16機(アヴェンジャー攻撃機を超音速機化)、EA18Gグラウラー×6機、E2Dアドバンスド・ホークアイ×2機、SH60K×6機、MV22×2機、C2(アメリカ海軍のやつ)×2機

武装 ファランクス×3基、レーザーCIWS×2基、Mk29×2基、RAM21連装発射基×2基

その他 レーダー等の各種装備はジェラルド・R・フォード級に相当

 

 

 

建御名方

建御雷級の2番艦で艦種は戦艦。オタクに優しいギャル、というか本人がオタク。腰掘とはいい感じなのでこの異世界での進展が気になるところ。

 

 

全長 360メートル

全幅 50メートル

機関 建御雷に同じ

速力 35ノット

武装 51cm三連装レールガン×4基、12.7サンチ連装両用COIL×2基、Mk41VLS×4基、SeaRAM×4基、ファランクス×4基

艦載機 榛名と同じ

その他 基本的には榛名に準ずる

 

 

 

海上自衛隊護衛艦 日護、日月、日波

多元達とは別の世界線の自衛隊が建造した護衛艦。幌筵泊地で何故か使用可能になった建造ドックを利用して建造された。(ちなみに本当は読者から頂いたオリジナル艦)

 

 

護衛艦日月

 

自衛隊が日護と共に建造した護衛艦

全長200メートル全幅30メートル

システム.マルチイージス(ノーマルイージス×10)

武装

主砲12.7センチ砲2機(レールガン、砲弾の両方射撃可能)

短魚雷発射管三連装2機

VLS.210セル

CIWS.6機(ファランクス2機ミサイル発射式2機レーザー砲2機)

航空機.ロクマル2機(耐熱加工しているためF35の運用が可能)

 

見た目と性格

灰色の髪と目

優しく影から見守る姉さん気質お節介してその人がだらけたりしない様に厳しくもある。

 

護衛艦日波

システム.ミニイージス(ノーマルイージスの半分の性能ノーマルイージスがミサイルを十発誘導可能に対してミニイージスシステムは五発)

自衛隊が領海を守る為に数が必要だった為にイージスシステムの性能を下げて量産化した艦

全長90メーター全幅20メーター

武装

7.6センチ砲1機

三連装短魚雷発射管1機(二次大戦の駆逐艦の様に艦中央に設置する事でコストを下げている)

VLS.64セル

CIWS.2機(ファランクス1機ミサイル発射式1機)

遠隔操作型の小型ボート30艇(おもちゃのボートみたいな見た目だが対空対潜レーダー搭載日波一隻で広大な範囲をカバー出来る)

見た目と性格

灰色の髪と目

性格は雷の様なお節介お母さん気質と違い親を手伝う様に手伝いを率先してやる良い子明るいので艦隊の癒し

 

護衛艦日護

 

自衛隊が作った戦艦相手が先制攻撃して来ても耐える様作られた。

全長400くらい

横幅80くらい

システム.マルチイージス(ノーマルイージス30個分ノーマルイージス1つでミサイル10発が誘導可能)

主砲.80センチ三連装砲3機(レールガンと実弾両用可能)

副砲.12.7センチ砲12機(オートメラーラ)

VLS. 4000個

対空.レーザー砲4機.CIWS10機(ファランクス6ミサイル型4)

短魚雷発射管三連装2機

航空機.ロクマル.10機.F35.15機

 

見た目は灰色の髪と目(イージス艦は灰色の塗装だから)

性格は仲間に優しいけれど上官がクソな命令をしたら徹底的に逆らう(例え総理大臣でも)けど命令ではなくお願いなら聞く

 

 

 

特殊艦ハボクック、エルドリッジ

他の艦娘とは明らかに異なる技術体系から生み出されたと見られ、深海棲艦によって洗脳されて運用されていたのを鹵獲したエルドリッジと、建造中の事故によって誕生した氷山空母ハボクックのこと。(どちらも読者からいただいたオリジナル艦)

 

エルドリッジに関しては依然として詳細不明。

 

ハボクックに関しては次の通り

 

 

 

全長 1800メートル

全幅 200メートル

機関 核融合炉

搭載機数 1200機

速力 10ノット

艦載機 JAS39グリペン、E2Dアドバンスド・ホークアイ、SH60K等

兵装 VLS×8基、レーザー兵器多数(艦艇攻撃も可能)

 

 

 

尚、転移によって船体維持が困難になりつつあったが、平河が一計を案じ、クワ・コウベに新しく作られた埋め立て地の1部として運用することとなった。

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国

ロデニウス大陸における3カ国の戦争が終結した後に、建国された国家。二院制の議会を持ち、大統領制を採用している。現時点では大統領はカナタ大統領。

 

 

政治体制は次の通り

 

 

・各国はそれまで行っていた業務のうち、各国の国内統治に関わる分野を除いた全ての権限を統一国家へ移譲する。

(移譲例:安全保障、外交等)

(残置例:各種公共事業)

 

・大統領については各国の代表者からなる貴族院と民衆院の合同会議によって決定する。(ただし初代大統領は除く)

 

・民衆院議員は6年に1度選挙する。

 

・民衆院と貴族院で意見が割れた場合、貴族院の議決を優越させる。(これはクイラ、ロウリアの2カ国の要望)

 

・軍の出動は別個に定められた事態を除き、大統領による命令を必要とする。

 

・軍に関しては幌筵泊地と協議の上、当面は海軍空軍を旧幌筵泊地部隊が、陸軍を旧クワ・トイネ公国、クイラ王国、幌筵泊地の三者で行うが、速やかに国軍の編成を行う。

 

・各国が有していた国交について、速やかにロデニウス連邦共和国に引き継ぐようにする。尚、その際大使館職員については既存のままとする。

 

 

軍備は以下の通り

 

 

陸軍

定員24万人

主要装備

M39メルニウス(メルカバみたいなもの)

61式戦車

75式自走榴弾砲

87式高射機関砲

73式装甲車

AH-1S

UH-1

パトリオットミサイル

その他各種装甲車

 

海軍

定員15万人

マイハーク級フリゲート(ペリー級フリゲート)

ジン・ハーク級砲撃型駆逐艦(はるな型に指揮能力と、対空兵装を増やした感じ)

エージェイ級航空母艦(だいたいいぶきぐらい)

ギム型潜水艦(おやしお型)

警備艇1型

各種輸送船、揚陸艦

P3C

P2J

SH60

 

 

 

オリジナル兵器紹介

 

 

M39メルニウス

 

 

車体重量70トンの重量級の車体は一貫して防御力を重視しており、アクティブ防御装置や、RWSの搭載、車体にはこれでもかと言うほど装甲が張り巡らせており、高い防御力を誇っている。

 

攻撃性能、機動性も決して妥協せず、55口径120mm滑腔砲を採用し、強力な打撃力によって敵を粉砕する。エンジンには強力なディーゼルエンジンを搭載し、最高速度は80km/hになるうえ、増加装甲を一時的に取り外すことで、さらなる速度アップが可能とされている。

 

 

 

ジン・ハーク級砲撃型駆逐艦

 

海上自衛隊のはるな型を参考に、防空能力や、各種戦闘能力の向上と指揮能力付与などを行ったロデニウス連邦共和国海軍初の駆逐艦である。

 

全長180m

全幅18m

機関CODAG

速力35ノット

武装127mm速射砲×2基、ファランクスCIWS×2基、Mk41VLS×2基、47式魚雷発射管改(短魚雷にも対応)、90式対艦ミサイル発射筒×4、

艦載機SH60K×3機

備考ミニイージスクラスの防空能力有り

 

 

エージェイ級航空母艦

 

ロデニウス連邦共和国海軍初の航空母艦である。

 

 

そのスペックは以下の通り

 

全長270m

全幅40m

機関CODAG

武装SEARAM2基、ファランクスCIWS2基

艦載機固定翼機20機、回転翼機等8機

 

 

S/VTOL機の運用を前提とし、戦闘機としてかつて幌筵泊地が他の泊地に向けて開発した超音速戦闘機FV-8剣風を搭載する。

 

 

名称 FV-8「剣風」

全長 17.8m

全幅 13.6m

全高 3.5m

翼面積 50.8cm²

空虚重量 12000kg

最大離陸重量 25000kg

エンジン 噴式火星四八型

推力 75.6kN、アフターバーナー使用時98.7kN

最高速度 マッハ1.6

航続距離 機内燃料タンクのみで700km

実用上昇限度 19600m

固定武装 20mmリボルバーカノン×一門(装弾数400発)

搭載可能兵器 サイドワインダー、スパロー、マーベリック、ASM-1、その他各種爆弾、ロケット弾等

 

見た目としてはステルス性の全く無くなったF35Bのような機体である。

 

 

 

 

空軍

定員10万人

F16C

F1支援戦闘機(ジャギュア要素・不整地離着陸能力等・が入っているために若干異なる)

C130

UH-1

CH-47

 

海兵隊

定員14万人

M1エイブラムス

AAV7

各種装甲車

AV-8ハリアー

SH60

MH53

 

 

統合司令部

定員2万人

 

 

 

 

 

 

 

歴史(ざっくり)

 

西暦1947年転生者幌筵泊地に相次いで転移

西暦19XX年北極海にいた深海棲艦部隊の撃破確認、人類の勝利となる。

中央歴1639年1月幌筵泊地転移

中央歴1639年4月18日ロデニウス大陸戦争勃発しかし、5日程は宣戦布告がなされていないため実際の開戦日は4月23日である。

中央歴1639年4月28日ロデニウス大陸戦争終結クワ・トイネ、クイラ側の死者は0人

中央歴1639年6月5日東部ロデニウス連合国とロウリア王国、幌筵共和国が合流しロデニウス連邦共和国誕生

 




後からまた追加するかもしれません。


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ロデニウス大陸編
第1話 異世界に転移してしまった幌筵泊地




「なれない国家元首の服を着るのは大変だったが、私には守らなければならない仲間がいた」

(後に統一国家に編入した後の多元へのインタビュー)


 

 

 

「ん?なんか暑くねぇか?」

 

そんなことを言っているのはこの幌筵泊地の提督である多元実少将だ。見た目はごくごく一般的な提督に見えるが、実は彼には秘密がある。

 

 

「そうですね、まるで南国みたいな気温です。」

 

 

秘書艦である鳳翔がそう答える。とりあえずエアコンつけましょうか、と言いながらリモコンを手に取る。

 

霧ヶ○から涼しい風が吹いてくる中で、執務を続けていた多元だが、そんな中でドタドタと走ってきて執務室に飛び込んでくる輩が居た。

 

 

「先輩……、じゃなかった提督!、大変です!」

 

「どうした腰堀?、愛しの建御名方とでも揉めたんか?」

 

 

(建御名方については設定集参照)

 

 

 

「<愛しの>じゃありません!!、それより僕の格好見てください!」

 

 

現れたのは多元の部下の妖精の1人である腰堀二郎だ、何やら慌てている様子なんでとりあえず顔をあげて見てみる。

 

 

「!?工エエェ(゚〇゚ ;)ェエエ工!?」

 

 

なんと妖精だったはずの腰堀が人間になっているのだ。

 

 

「お前いつからア○トキシン4869の解毒薬服用してたんだ?」

 

「ふざけないでください提督!、平河さんとかもみんな戻ってます。」

 

「てことはひょっとして俺達元の世界に戻れたのか??」

 

「どうなんでしょう……、そもそも艦娘の皆さんも居ますし……」

 

 

そう、既にうp主の書いた別作品を読んだ方ならお分かりの通り、こいつらは何故か2035年の日本から1947年の深海棲艦と戦っている日本へと転生してしまった転生者達なのだ。多元も腰堀も、本来はとある重工メーカーで自衛隊向けの新型戦闘機の開発に携わっていたのだが、何故か飛ばされ、提督に着任した上、他の技術者達は妖精になるという有様。

 

 

さらに、様々な方面の技術者達が追加で転生した結果、幌筵泊地は1947年のはずなのにとんでもねぇ戦力を保有することになってしまった。

 

 

しかも、科学技術も信じられないくらい発達してしまったので、もはや最近は日本全土を開拓しながら深海棲艦共を調理する日々であったが、深海棲艦側もミサイルの投入や、超音速機の開発などで、しのぎを削りあい、最終的に、北極海にて幌筵泊地に集結した全艦娘を魔改造し、深海棲艦との一大決戦に勝利して、人類に再び平和が訪れた。

 

 

まぁそんなわけでやべぇ状態の幌筵泊地なんだが、それはさておき。

 

 

 

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

 

 

 

また走ってくる者がいる。

 

 

 

「提督!、大変です!」

 

 

現れたのは幌筵泊地最初の戦艦である榛名

 

 

「どうした?遂に平河君達がショックカノン連発出来るようにでもなったんかい?」

 

 

また冗談を言う多元

 

 

「ふざけないでください、それより、私たちの艤装が全て装着出来なくなって港に実艦として浮かんでいます!」

 

 

「はぁぁぁ?(|| ゚д゚)」

 

 

さすがいても立ってもいられなくなった多元。急いで立ち上がり、港に向かおうとしたものの……。

 

「提督!、本土並びに単冠湾などの他泊地、鎮守府と連絡が取れません!」

 

「提督!、単冠湾並びに大湊に派遣していた第1、第2航空団とポセイドン隊が何故か戻ってきています!」

 

「提督!、衛星との信号途絶しました!」

 

「提督!、観測中の航空機より入電!、水平線が遠くなったとの事!」

 

「提督!………」

 

 

 

 

    「「「「「「ストップ!」」」」」」」

 

 

 

 

さすがに情報の飽和攻撃への対処は彼が元々在学していた防衛大学校でもやっていない。

 

 

「一旦待て、情報を整理する。」

 

 

 

 

 

「鳳翔さん、1時間後に会議を行うので主力艦クラス並びに各方面の代表者を集めておくように。」

 

「榛名は放送で全員に状況が把握できるまで大人しくするようにと呼びかけるように。」

 

 

一旦落ち着いた多元は矢継ぎ早に指示を出す。

 

 

「とりあえず、港に行くのはやめて、会議の準備だ。」

 

 

 

 

 

多元はそう言うと、幌筵泊地地下司令部へと向かった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「ではこれより、緊急の幌筵泊地転生者会議を始める。」

 

 

 

 

幌筵泊地には数百人ともされる大量の技術者達がそんざいする。

 

 

 

 

彼らの活動をスムーズに行えるように、多元発案の元、毎回定期的に行っているのが、この転生者会議なのだ。

 

 

 

 

だが、今回は各方面の艦娘に加え、幌筵泊地からも代表の艦娘が送り込まれているため、会議室はかなり人が多い。

 

 

 

「まずは状況整理だ。鳳翔さん、説明を。」

 

「はい、これまでにわかった情報を精査しますと………」

 

 

 

・幌筵泊地のある幌筵島並びに、生産設備や、ロケット発射場を置く周辺の島々が原因不明の通信障害にあった

 

・現時点で原因は不明、たまたま哨戒飛行していた機体のパイロットによると、水平線が遠くなったとの事

 

・燃料や、弾薬はこの規模の艦隊を維持するのには到底足りず、今後の対応が求められる

 

・食料についても非常食を取り出しても長くは持たない

 

 

 

「………です。提督はどのようにお考えですか?」

 

「まぁ、異世界にでも飛ばされたんだろ」

 

 

 

 

 

 

軽い、軽すぎる。異世界に飛ばされたかもしれないのに、この余裕。

 

 

 

これが2回目の転移故の余裕か………

 

 

 

「それで………、私たち以外はどうなりますか?」

 

 

 

 

別泊地から来た赤城が尋ねる。

 

 

 

 

 

「とりあえずだ、まずはこの状況でスムーズに動くためにも、幌筵泊地以外の艦娘についても一旦幌筵泊地に編入する。異論あるか?」

 

「異議なし」

 

「構いません」

 

「よろしく頼む」

 

 

 

反対者は出なかった

 

 

 

 

「よし、わかった。追って指示を出すから、燃料節約のために出撃等は禁止、待機するように」

 

 

 

 

ここで艦娘が退出し、転生者だけが残った。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

「提督、では今後どうしますか?」

 

「うむ、第1のハードルは乗り越えた、次のフェーズに進むべきだ。

 

 

 

 

多元のあげたハードルは3つ

 

 

・指揮系統1本化のための他の泊地、鎮守府の艦娘の編入

 

・食料品や、燃料、弾薬の確保

 

・人工衛星などのインフラ整備

 

 

 

 

このうち、艦娘の編入については早々に終わり、インフラ整備についても資材確保が必要となるため、まずは各種資源確保となる。

 

 

 

 

 

「ちょうど、近くに大陸がある。ここに偵察機を飛ばすか。」

 

「偵察機を飛ばすにしても、相手の領空を意図的に侵犯することになりかねませんよ、相手の技術レベル次第では撃墜される恐れも………」

 

「そう、だからそれ専門の機体を用意した。」

 

 

 

 

そう言って多元が資料を出したのはU-2

 

 

 

共産国家への偵察任務へ用いられた高高度偵察機である。

 

 

 

 

「こいつにレーダーなんかを取り付けて高高度から偵察させる。情報を得たところで接触する。」

 

「なるほど」

 

「後、体裁を整えるために国家を作りたい。」

 

 

 

 

そう言った瞬間、その場にいた全員が吹き出した。

 

 

 

「独立国家幌筵ですか……笑、元首はもちろん提督だとして、後は適当に編成しますかね笑」

 

「外務大臣は交渉の上手い小玉さんに任せますか」

 

「ほかはお飾りになりそうですが、まぁいいか」

 

「後で艦娘からの同意も得るとしてだ………、万が一交渉が決裂したら……」

 

 

 

その先には戦争だ。

 

 

 

「なりふり構っていられる余地は無い。燃料の消費しない核融合炉搭載艦を主体とした艦隊を差し向け、沿岸部含め周辺の主要軍事施設を破壊、短期間で油田などを確保して資源を調達する。詳細は私が詰める。」

 

 

 

 

ここで、多元が1人だけで物事を進めるのには理由があり、最悪負けたり上手くいかなかった時は、自分1人で責任を取るつもりだったのだ。

 

 

 

 

 

「提督、抱え込まないでください。我々転生者一同、何があっても付き従う覚悟です。」

 

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しい。」

 

 

 

 

 

 

この後、再度艦娘達に同意を取り付け、幌筵島とその周辺の島々を主体とした幌筵共和国を樹立。

 

 

 

偵察機を派遣し、その情報を元に動こうとしたのだが………

 

 

 

 

「報告!、レーダー反射面積の小さな艦艇と飛翔体が接近中!」

 

「恐らく大陸に住む住民たちの船舶だろう。軍関係の可能性もある。鳳翔さんと吹雪を呼んでくれ、接触を試みる。」

 

 

 

 

 

異世界という未知の世界に躍り出た幌筵泊地もとい、幌筵共和国。彼らが果たしてどのように動くのか………

 

 

 

 

 

 

 

 







原作のP3Cによる偵察が危なげに見えたので、その辺を工夫してみました。








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第2話 東部ロデニウス連合国(クワ・トイネ、クイラ)



さて、タイトルからお察しの通り問答無用で原作改変していくという……。


果たして東部ロデニウス連合国とはなんなのか、文中で語られますのでそちらをどうぞ




 

 

中央歴1639年 1月

 

 

東部ロデニウス連合国、2カ国間会議にて……

 

 

 

「………、つまり旧クワ・トイネ北部沖に突如として複数の島々が現れたと言うことですか?」

 

「はい、昨日未明、海岸線が突如として明るくなった後に複数の島々が新たに出現したとの事です。」

 

 

 

ふむふむ……、腕を組んで考えているのはロデニウス連合国首相のカナタ首相。

 

 

 

 

東部ロデニウス連合国

 

 

昨今異常なまでの拡張を続ける隣国ロウリア王国の脅威を感じたクワ・トイネ、クイラ両国が、それまで別々の国同士だった2国をまとめる形で成立した新国家。建国を急ぐために統治機構は両国の折衷という形なので、首相としてカナタ首相がいる他、国王としてクイラ王国の国王が就任するなど、立憲君主制、君民同治に近い形を取っている。

 

 

 

 

 

その東部ロデニウス連合国が今直面しているのが、ロウリア王国による軍事侵攻の可能性と、もう1つ、新たに出現した謎の島だ。

 

 

 

「今はロウリア王国による軍事侵攻を警戒すべき、そんな島は後にすればいい。」

 

「だが、あの島は大陸と僅か80km(異世界にメートル法があるかは別として一応こう表記した。)しかない。船なら1日、ワイバーンならあっという間に着いてしまう。もしあそこに国家があり、攻めてきた場合、二正面作戦を強いられることとなる。何らかの接触を持つべきだ。」

 

 

 

議論は紛糾したものの、結果的に島に対して調査のために軍船「ピーマ」とワイバーンを派遣することを決定し、速やかに実行された。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

そして、船舶を探知した幌筵泊地では……

 

 

 

「じゃあ俺は言ってくる。万が一に備えて臨戦態勢を整えて待機するように。」

 

「お気を付けて、提督。」

 

 

 

敵に威圧感を与えぬよう、幌筵泊地最古参にして歴戦の艦娘である「鳳翔」(軍艦としての見た目としてはいぶきに近い、今は……な)と、同じく最古参の「吹雪」を伴ってレーダーに反応のあった船舶へと向かう。

 

 

今回の接触において、幌筵側が用意した内容が以下の通り

 

 

・国家元首、並びに外交官の同行

・上空直掩機2機を投入(F35JB)

・搭載機を数機減らした上でオスプレイと陸戦隊を随伴

 

 

当初、相手側の飛翔体のレーダー反射面積が小さいことからステルス性を疑った幌筵泊地だが、実態は予想の斜め上を行くものだった。

 

 

 

「竜だ………」

 

 

そこに居たのはおとぎ話にしか出てこないはずの竜(実態はワイバーンだが、それを知るのはもう少しあとである。)

 

 

 

<<隊長、ロックオン出来るか?>>

 

 

多元は上空直掩機となっている鳳翔の戦闘機航空隊「雷光隊」の隊長に赤外線ホーミングなどの各種ミサイルのロックオンが可能か聞いてみた。

 

 

<<出来たな、さすがは熱源追尾式なのにドローンも撃墜出来るミサイルだな、でも火を吹かれたら厄介だぞ?>>

 

<<まぁ、そもそもマッハで飛んでくるミサイルとたかだか目で追える範囲で飛んでくる火炎放射じゃあ問題無いだろ?>>

 

<<それもそうだな、まぁ上は任せておけ>>

 

<<助かる>>

 

 

 

さて……、と多元は向かってくる船……、どうやら帆船、というかガレー船のようだ……の方を向き呟く。

 

 

 

「なんとか技術格差はありそうだが……、ここから上手くいくかは相手次第だな……」

 

 

 

向かってくるボートを迎え入れ、幌筵共和国国家元首としての初めての仕事に気合いを入れる多元であった……。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「な、なんなんだこの船は…………」

 

 

 

 

臨検するために乗り込んだ東部ロデニウス連合国の軍人ミドリはあまりの現実離れした光景に言葉を失った。

 

 

 

目の前の灰色の船はまるで島か何かように大きく、何より視界に捉えてから接近するまでが異様に速かった。

 

 

 

乗り込んで上に上がってみると、乗馬の練習ができてしまうほどの広い土地があり、見たことの無いものが並んでいた。

 

 

 

そして……

 

 

 

「安心しました。どうやら言葉は通じるみたいですね……」「(異世界転移定番の不思議な力ですね……)」

 

 

 

不思議な見た目をした男たちが居た。

 

 

 

「我々は東部ロデニウス連合国である。貴殿らは何者か?」

 

「我々は幌筵共和国という国で、多分あなたがたも推測している通り、突如としてこの世界にやってきた転移国家です。」

 

 

初老の男が答えた。

 

 

「何を法螺話を……、と言いたいが、こちらでも貴殿らが転移したことは確認されている。おそらく事実なのだろう。」

 

「はい、それで国交交渉のために会談を持ちたいのですがよろしいでしょうか?」

 

 

 

 

ああ、またとてつもなく面倒な仕事が回ってきてしまった。ミドリはそう思いつつも、魔信で本国に連絡をとることにした………

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

東部ロデニウス連合国、旧クワ・トイネ公国内首相官邸にて

 

 

 

 

「まさか転移したとはいえ、国のトップが直接来るとは思いませんでしたが………、それだけ貴国が我々との国交に本気だと言うことなのでしょうか?」

 

「もしかすると何か事情があるかもしれません。」

 

「おそらく食料事情などが逼迫してるのでしょう。ロウリアのこともあり、我々もあまり時間がありませんので、お互いに差し迫った分だけ交渉して、残りは先送りが望ましいかと。」

 

 

カナタの発言に閣僚達も意見を述べる。

 

 

 

会議室にて、両国(実質片方しか国では無い気もするが)の初めての会談が始まった。

 

 

 

「さて、この度はこのような場を設けて頂き感謝します。私は幌筵共和国国家元首の多元実です。」

 

「外務大臣を務めます小玉義雄です。」

 

「東部ロデニウス連合国首相兼クワ・トイネ地方行政長官のカナタです。」

 

「東部ロデニウス連合国外務卿のリンスイです。」

 

 

 

双方自己紹介の後に、お互いの基本情報を教え合うことになったのだが、ここで問題が生じた。

 

 

 

多元:「あ、やっぱり読めない……」

 

カナタ:「これは……、読めませんね」

 

 

 

まぁ当然の通り読めないのである。なので口頭での説明になった。

 

 

 

 

 

とりあえず内容は端折るが基本情報の交換が終わり、双方国交締結を行うことで合意した。

 

 

 

「(さて、あとは次の問題だ……)」

 

 

多元は貿易品についての会談をそのまま続けたい旨を表明し、同意した東部ロデニウス連合国とそのまま会談を続けた。

 

 

 

「我が国(幌筵共和国)としては貴国に武器、インフラを輸出したいと考えており、その代価として次のものを輸入したいと考えています。」

 

 

 

輸入品目は次の通り

 

 

食料部門

 

・小麦

・野菜

・肉類

・乳製品

・海産物

・食用油

・その他各種食料品

 

非食料部門

 

・石油

・石炭

・鉄鉱石

・レアメタル

・ウラン

・ボーキサイト

・その他各種鉱石

 

 

 

もちろんこれは上空を偵察していたU-2から得た情報を元に要求したものだ。

 

 

 

 

一方武器の輸出が行われると聞いたロデニウス側は歓喜の表情を見せた。

 

 

あれだけの船を作れる国なら、相当な軍事力が見込まれる。

 

 

その国の武器ならたとえ型落ちでもロウリアに対抗するなら十分だ。

 

 

「(海産物は我が国では厳しいものはありますがまぁそれ以外はいいでしょう。)」

 

「(セキユというものの内容的にはクイラ地方で産出する燃える水のようですな。)」

 

「(我が国の有り余る食料と無用の長物さえ輸出出来ればとんでもないものが手に入る。これは呑むしかありません)」

 

「わかりました。一部難しいものもありますが、それを除き全て輸出致します。ただ……、我が国としてはただ武器を輸出してもらうだけでなく。安全保障条約の締結と軍事訓練の支援を含めた包括的なものにしてもらいたいです。」

 

 

初見の相手に対してかなり踏み込んだ態度をとる東部ロデニウス連合国に対して多元は思考を巡らせる。

 

 

(踏み込むな……、東ロデ側に何か脅威でもあるかもしれんな。ちょうどいい、この脅威を利用する形で上手くやっていこう。まともな行政機構なんて無い、この世界でひとまずの間生き抜くためだけの体裁だけでしかない幌筵共和国。いずれこの*国*は無くなるべきなのだ。彼らが本当に信頼の置ける国だとわかった暁には、我々を合流させることもも視野に入れなければ……)

 

 

 

だが、色々考えるのはまず後だ。

 

 

 

「わかりました。我々としても最大限のバックアップをお約束します。」

 

 

 

一時的とはいえ、なれない国家元首の服を着せられた多元だが、どうにか落ち着いて話のできる相手と巡り会えたことに感謝し、最終的な合流を考える中で、国交締結に向けた最終調整に入った。

 

 

 

 

東部ロデニウス連合国と幌筵共和国との国交、並びに各種条約の調印は、双方に差し迫った事情はあるにせよ、僅か数日で締結。一気に両国に変化を促すこととなる。

 

 

 

また、これを契機として、幌筵共和国は東部ロデニウス連合国の指定地域の鉄道敷設権と鉱山並びに地下資源開発権を獲得。追加でクイラ地方に香川県の半分程の大工業地帯の建設に合意。食料については即時輸出可能分を直ちに輸出してもらうこととなった。

 

 

 

準備こそかかるが、これで残されたのは転移によって失われたインフラ(というよりほぼ衛星)の再整備。それはおいおいやっていけばいい。

 

 

 

 

 

 

 

資材不足から優先順位を下げざるを得ない衛星打ち上げを担当する、一つだけ仲間はずれな松輪島のロケット基地は未だ動くことは出来ない。一応資材はある程度確保できたので占守島の小型石油コンビナート、その他小さな島にも作った生産設備によって各種装備の製造は出来ないわけでは無いが、それらは幌筵泊地が決戦前の時ならなんとか間に合ったもの。当然それだけでは今の規模になった幌筵泊地の全ての艦娘と航空隊に必要な物資を賄うことは出来ない。

 

 

 

だからこそ、「無いなら作ればいい」の精神で作り上げることが大事なのだ。

 

 

 

 

なんとか間に合った国交締結の後、幌筵泊地地下司令部に集まった転生者一同に向けて、多元は気合いを入れた。

 

 

 

「さぁ、転生者一同、ここからが正念場だ。一刻も早く資源の供給体制を整えて、我々の力を取り戻す!!」

 

 

 

 

 

「「「「了解!!」」」」

 

 

 

 

幌筵共和国にあるリソースを最大限有効活用し、何としてもこの世界で生き残らなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

転生者一同の大奮闘が始まった。

 

 

 

 

 






はい、というわけで、幌筵共和国がようやく国交を締結出来ました。


ここから大発展が始まる東部ロデニウス連合国ですが、果たしてどうなる事やら……



次回もお楽しみに!!


間違い、指摘はコメント欄にお願いします。


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第3話 富国強兵、殖産興業 ver.東部ロデニウス連合国feat.幌筵共和国









「働かなければ生き残れない」









(幌筵泊地地下司令部に当時貼られていた紙)


やたらタイトルが長い上、なんか入ってますが、とりあえず内政編です。発展の速さがエグいですが………




気にするな!!!!


の精神でお願いします。



それではどうぞ








 

 

 

 

 

 

「とりあえず線路敷設を急げ!!、いつまでも電気自動車なんかの非効率輸送なんかやってられるか!!」

 

「提督!、また1台壊れました!!」

 

「もういい!、そいつは予備部品に回せ!!、鉄道敷設はあとどれ位で終わる?」

 

「急いでもあと1週間はかかります!!」

 

「島内の火力発電は問題無いですが、ロケット基地の施設の一部に不具合が!!」

 

「無視だ!、それより機関車は?」

 

「地下トンネルで使用していたものを流用する予定で、車両はEH800です!」

 

「電源艦担当艦娘達からの報告は?」

 

「金剛型の核融合炉に不具合発生との事!!」

 

「建御雷型を回せ!、それと金剛型の妖精達には軍事訓練をやらせるように伝えろ、建御雷型の連中と交代だ!!」

 

 

 

 

国交締結完了以降、真っ先にやる必要があったのは鉄道敷設。

 

 

クイラの港側とマイハークまでの線路を同時に敷設する必要があった。

 

 

(船を使うことを考えれば距離的にはクイラが近いが、すぐに船の入れる港はクワ・トイネ側にしか無かった、またタンクローリーの臨時輸送のためにも山を拓く必要があった。)

 

 

 

MOABとかで無理やり拓いた山道を使い道が当面無い爆弾を使って整地(爆撃)して勾配を減らしつつ、炸薬を調整して穴ぼこにしすぎないようにする。

 

 

幸い、付近の島々を地下トンネルで鉄道を結んでいた関係で、線路はたっぷり用意してあったので、これを流用する。

 

 

 

島内に置いてあるモーターカーからモーターを外して、島内にあった小型石油タンクで急造した大型タンクローリーで原油を運びその間を食いつなぐ。

 

 

 

 

 

道路は線路に転用する部分を使う。

 

 

 

 

 

備蓄がほとんどなかったことにより相当ギリギリなのもあって、転生者一同死にかけながら必死に作業を進めていた。

 

 

 

「提督!!、クイラ側の一部海岸線への爆破許可が下りたため、駆逐艦の入港が可能です!!」

 

 

吹雪の声に多元は安心することが無く……

 

 

「どうやってそこまで石油を食うやつを持っていけばいいんだ……」

 

「あっ……。」

 

「曳航するしかないか………、いや、もうダメだ、魚雷でもなんでも撃ち込んで強制的に核融合炉搭載艦の入港を可能にさせよう。」

 

 

 

画して、小玉が交渉した結果、大爆発とともにクイラ側に仮設の港ができた。

 

 

 

その結果、山越えの無くなった簡易タンクローリーの故障が減り、とりあえず石油、資材などについてのある程度の供給が出来たところで、コンビナートの建設に入る。

 

 

 

 

さらに………

 

 

 

 

「正しい引きつけ、正しい頬つけ、コトリと落ちるように………」

 

 

 

「装填したら顔を退けて耳をふさげ、耳をやられる。」

 

 

「あの的を狙って撃て。」

 

 

 

東部ロデ側との取り決めにあった軍事訓練を手隙の艦娘や妖精にやらせることで、リソースを最大限活用する。

 

 

 

「これが彼らの実力なのか………」

 

 

兵器の実力を見て言葉を失う男は西部方面師団のノウ将軍。

 

 

 

最初こそ、突然やってきたよそ者への態度は良くなかったものの、幌筵泊地から送られた兵器を前に大人しくなった模様。

 

 

 

尚、今回提供された兵器が次の通り。

 

 

陸軍

 

61式戦車

BMP-1

75式

MLRS

UH-1

73式

12.7mm重機関銃

7.62mm軽機関銃

64式小銃

 

 

 

空軍

C-1

F-1支援戦闘機(設定集参照)

E-2Cホークアイ

 

 

 

 

これらの装備は元々転移前に日本軍への供与品だったものをそのまま流用して提供している。尚、海軍に関しては後にフリゲートを建造することで合意、現在は乗組員に対して訓練を受けさせている。

 

 

 

ワイバーンに関しては、練度の高いものを除いて全員機種転換を行わせ、戦闘機に乗せることで空軍力の底上げを図る。

 

 

 

 

そして、転移からおよそ3週間で、クイラの仮設港と油田、クワ・トイネの食料地帯とマイハーク港を繋ぐ路線が完成。EH800型電気機関車を投入し、建御雷型を専属電源艦として回すことで一気に産業化を進めていく。

 

 

 

尚、幌筵泊地の核融合炉搭載艦は全戦艦と正規空母、一部艦娘であるため、電力には割と支障はないし、なんなら火力発電所があるのでその点でも問題は無い。

 

 

 

 

だからこそ他の資源が必要なのだ。

 

 

 

大多数の艦娘に必要な燃料、武器弾薬の生産に必要な資源。転生者全員がぶっ倒れてもやり遂げなくてはならない。

 

 

 

 

 

そして、その努力は実を結ぶ。

 

 

 

 

 

転移からおよそ1ヶ月と少々………

 

 

 

 

「ストレッチャー通ります!!」

 

 

 

けたたましい音と共にストレッチャーに乗せられた転生者が病院に運ばれていく。

 

 

「て、提督……」

 

 

多元を見つけ、体を起こそうとする転生者。

 

 

「起き上がらなくていい。どうした?」

 

「出来ました、京浜工業地帯や京葉工業地域、中京工業地帯を超えられるかもしれない工業地帯の第一フェーズが……」

 

 

0(:3 )〜 _(‘、3」 ∠ )_

 

 

 

「いかん、早く医者に!!」

 

 

 

ストレッチャーが再びけたたましい音を立てて通り過ぎていく。

 

 

 

「やっとか……、みんな……ご苦労……」

 

 

 

 

痩せこけた多元が語る言葉が全てだった。

 

 

 

 

中央歴1639年2月11日、東部ロデニウス連合国クイラ地方に大規模な工業地帯が完成。1月下旬に完成していた鉄道と合わせて、なんとか間に合った。

 

 

 

 

そして、ここから怒涛の大発展が始まる。

 

 

 

 

まずは線路網の拡大。石油の自給が可能となり、重機使用自由となったため、あっちこっちで使用方法を習得させ、ついでに大量生産。クワ・トイネ地方のギムや、クイラ地方のあちこちに大量の線路を敷設し、E235系電車や、E129系電車を大量投入。あっちこっちで人の移動と経済の促進を行い、クイラ地方の大規模な工業地帯への人材投入を進める。緊急で開発した路線も線形改良なんかを行うつもりで、山地に大量の長大トンネルをぶち抜くことで解決する。

 

 

 

 

そして、製鉄所、鉄鋼所、各種工場が稼働したことにより、いよいよ造船所をクイラ地方に大量建造。こちらは艦船関係の魔改造の匠で、全ての艦娘の魔改造を行った平河による指示で、流れ作業を行わせることで、もがみ型なら3日あれば完成可能な設備を大量に、超大型タンカーも建造可能な代物をぶっ建てている。

 

 

 

また、幌筵泊地の珍兵器枠、ハボクックは、埋立地に流用することで有効活用し、マイハークはさながら東京港並の設備を整えつつある。

 

 

 

そして、武器弾薬の再生産なんかも行い。あっという間に幌筵泊地は力を取り戻した。

 

 

 

 

ちなみに、この大量生産を影から、というより転生者転移後からずっと幌筵泊地の力の源となっているのが、多元や、平河などが元の世界にいた頃に開発していた工業用特殊3Dプリンターである。

 

 

 

こいつは従来のものよりも素早く、大型なものから小さなものまで大量生産に向いた代物で、しかもオーダーメイドが利きやすく、それまでの3Dプリンターでは作りずらかったものも作れるというスグレモノ。これにより国産兵器にありがちな高価格化をあっさり打ち砕き、それまで国産化の進まなかった兵器にも国産化の嵐が吹き荒れ、ブチ切れたアメリカによって多元達が開発した戦闘機を政治的圧力で撤回させたという背景がある。

 

 

 

 

(やっぱりアメリカはクズ)

 

 

 

 

そして、力を取り戻した幌筵泊地がするべきことは衛星による監視網の再構築である。

 

 

 

重力などを観測した後、とりあえず全世界をリアルタイムで結べるようにGPSや通信、監視衛星、気象衛星なんかを中心にどんどん打ち上げていく。

 

 

 

 

こうして、幌筵泊地によって魔改造された東部ロデニウス連合国の幌筵泊地転移から2ヶ月後(3月)の姿が次の通り。

 

 

 

鉄道総延長

300km

 

道路総延長

600km

 

工業地帯

クイラに京浜工業地帯並の大工業地帯が1個、さらに拡張中

 

造船所

6箇所

 

発電所

3箇所

 

陸軍

機甲師団を含めた近代部隊が6個師団

 

空軍

4個航空団

 

海軍

まもなくフリゲート6隻就役

 

 

 

 

 

 

      こ  れ  は  酷  い

 

 

 

 

 

A列○で行こう並だよ……。

 

 

 

 

原作でも大概ぶっ飛んだ発展をしていたこの国(正確には2カ国)だが、幌筵泊地の本気は日本すら霞むレベル。(GDP第3位が霞むレベルって何?)なんせこの幌筵泊地に来た転生者一同は、だいたい何らかの理由(政治的とか、社内の権力構造的にとか色々)でその才能を発揮することが出来なかった言わば不遇者の集まり。そんなもんだから、いざ資材使用自由になるととかく本気を出す。

 

 

・レール等級を納入期限はそのまま等級引き上げ(つまり高速化とかがやりやすくなる)

 

・予定より工場を拡張

 

・港をどんどん作る

 

 

インフラ整備とか、殖産興業とかガンガン進めたため、ざっと地球の中小国レベルはあっさり超す文化レベルを獲得してしまった。

 

 

 

まぁ当然、豊かな暮らしができることになった東ロデの国民が喜ばないはずもなく。

 

 

 

街の飲食店では

 

 

「幌筵共和国の皆様大歓迎!!」

 

「お代は安くします。」

 

「ワイン2杯まで無料。」

 

 

街中を転生者が歩く度に。

 

 

「救世主だ!!」

 

「神様~!」

 

「ありがたやぁ」

 

 

 

とか崇められるので、労働力をかき集めるのも事欠かず、みんなしっかり働く。

 

 

 

そんなもんだから当然転生者一同も……

 

 

「俺達も恩返しだ!!」

 

「ここで骨を埋めてやる!!」

 

 

 

とか言うんで、それがまた大発展に繋がるという有様。

 

 

 

これぞ正のスパイラル。

 

 

 

そんでもって、やべぇレベルの経済発展を横目に、幌筵泊地が次にすることは情報収集。

 

 

 

東部ロデニウス連合国側にも依頼して、最新テクノロジーを用いた情報収集を行い、この世界について正確に知ることとなる。

 

 

 

 

そして、そこで知ったのは有り得ないくらいの弱肉強食の世界。

 

 

 

特に、列強と呼ばれる国にしかまともに対等な関係を認めない方針は、幌筵泊地にとって怒りを覚えた。

 

 

 

「近い将来、列強が来ても返り討ちにしてやる。」

 

 

 

あの……、あなた方が本気を出すと返り討ちどころか滅亡に繋がるのですが……。

 

 

 

(詳細は後々語るが、現時点で米海軍を軽く上回る海軍戦力と、航空自衛隊を超えるくらいやべぇ数の戦闘機を保有している)

 

 

 

幸い、どんなに発展しても第二次世界大戦レベルということなので、物量で押されない限り、幌筵泊地に勝ち目があることが発覚したのでそれについては問題無い。

 

 

 

「ふぅ、どうやら核兵器を開発する必要は無いみたいだな。」

 

 

そう語った転生者もいたとか居ないとか。

 

 

 

 

こうして、平和のうちに発展していた東部ロデニウス連合国だが、ついにロウリア王国からの侵略の魔の手が迫る。

 

 

 

 

果たして、原作とは全く異なる進み方をした東部ロデニウス連合国と、その発展の源たる幌筵泊地はいかにして対応していくのか?

 

 

 

 

 

 

次回「ロデニウス大陸戦争」

 

 

 

幌筵泊地の魔改造艦娘がその力の一端を見せる(嘘)。







はい、というわけで、幌筵泊地による東部ロデニウス連合国魔改造編でした………、やべぇなこの泊地。


ちなみに、この泊地、その気になればヤマト作れるらしいです。その気になればらしいですが。(どうも資源とかの兼ね合いで厳しいそう)



ホントコイツら何者なんだよ……



まぁそれはさておき、いよいよ転移後初となる実戦です。



果たして何日で終わるのか?



次回もお楽しみに!!


間違い、指摘はコメント欄にお願いします。


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第4話 ロデニウス大陸戦争 ~新生東部ロデニウス連合国軍奮闘ス~








「幼い子とか老人とかの非戦闘員が巻き込まれる映像が伝わって全員参戦、万事解決という展開はよくあるけど、実際に助けを1番欲していたのは紛れもなくその殺された人々だろう」


(異例のスピード参戦となった今回の戦争について、後の新聞でのインタビューに答える多元)





まずは最初のサンドバッグ(?)、ロウリア王国戦です。


さぁロウリア諸君、小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?







 

 

 

ロデニウス大陸上空

 

 

単発の飛行機がロウリア王国上空をワイバーンの届かぬ高空から見下ろす。

 

 

 

RQ-4 グローバルホーク

 

 

アメリカ空軍や、航空自衛隊などの各国に採用されている無人偵察機だ。

 

 

 

異世界に転移する前のヨーロッパ大陸戦で偵察任務のために開発され、転移後しばらくは稼働しなかったのだが、東部ロデニウス連合国側からロウリア王国の脅威が伝わったことにより、偵察任務が与えられ、U-2と共にロウリア王国の監視を行っている。

 

 

 

そのグローバルホークが、両国の国境線に向けて動く大規模な軍勢を確認した。

 

 

送られた映像を分析した幌筵泊地偵察部隊は、ロウリア王国に東部ロデニウス連合国侵略の可能性ありとし、直ちに首相官邸へと伝わった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

東部ロデニウス連合国首相官邸

 

 

 

「やはり来ましたか……」

 

「侵攻勢力は先遣隊だけでおよそ3万と推察され、現在は国境線に向かって進軍中との事。」

 

「軍としての対応は?」

 

 

カナタ首相の質問に軍関係者が答える。

 

 

「既に国境線付近の住民には退避を行い、残るギムの村の住民も鉄道によるピストン輸送が行われています。侵攻が始まる前には退避できます。」

 

「ノウ将軍率いる西部師団は避難民の誘導を行いつつ、ギムに布陣し、敵を迎え撃つ方針です。これに加え、空軍も航空隊をダイタル基地から出撃させ、対応する予定です。ですが……」

 

 

言葉を詰まらせる関係者にカナタが先を促す。

 

 

 ・・

「彼らの力がやはり必要だと?」

 

「その通りです。我々も必死に訓練を重ねてはいるものの、未だ十分に戦える力を持っていません。彼らの力が不可欠です。」

 

「その彼らはなんと回答しているのですか?」

 

「<<要請があれば直ちに必要数の部隊を派遣し、対応することが可能>>との事。尚、我が方の部隊の指揮官であるノウ将軍とは既に協議が終わっているとのことです。」

 

「では迷う必要もありませんね、早速要請を。」

 

「了解!」

 

「ノウ将軍には<万難を排して、国民と国土を守り抜け>と伝えてください。多元元首には<貴国の健闘を祈る>と伝えるように。」

 

「はっ!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

エジェイ基地

 

 

 

「避難民の退避はまもなく終わります。」

 

「よろしい、我々も先遣隊に合流するために守備隊を残してギムへ向かう。」

 

 

 

 

幌筵共和国からロウリア王国の侵攻の恐れあり、との通信を真っ先に受けていた西部師団は、鉄道会社と連携して、ギムとその周辺の集落の住民を避難させていた。

 

 

 

「カナタ首相より通信!、<万難を排して国民と国土を守り抜け>との事!、幌筵共和国にも要請完了とのことで、直ちに機甲戦力を中核とした派遣部隊を向かわせるとの事です!!」

 

「わかった、本隊は直ちに出撃!、航空隊にも出撃要請を送れ!」

 

「了解!!」

 

 

 

この後、エジェイ基地から61式戦車を中核とした西部師団本隊が出撃し、ギムに設置された臨時司令部へと向かった。

 

 

 

 

 

~幌筵泊地にて~

 

 

「東部ロデニウス連合国首相より共和国軍の派遣要請!、<貴国の健闘を祈る>との事。」

 

「了解した、直ちに機甲戦力を中核とした派遣部隊を送るように、それと艦隊も編成してくれ。」

 

「了解、必要数を直ちに計算します。」

 

「航空隊でダイタル基地から飛べるやつは?」

 

「滑走路的には全部いけますが、基地航空隊から出すとなればマルチロール機の方がいいでしょう。」

 

「そうだな……、空飛ぶトカゲ……、まぁ一応竜か……。腰堀、竜の発祥と言えばどこだ?」

 

「そりゃあ中国でしょ先輩。」

 

「そうだな、となればこちらも竜……、いや猛龍を放つべきだろう。第2航空団を呼んでくれ、出撃だ。」

 

 

 

 

第2航空団

幌筵泊地最初の大規模作戦となった北方棲姫との戦いにおいて、A-10を運用していた航空団だが、航空団再編に伴い、J-10Dに変更された。

 

 

 

J-10D

 

 

幌筵泊地が欧州派遣前の航空隊の再編成にあたって、従来A-10の配備されていた第2航空団を戦闘機部隊に改編する際に、「中国製だろうが構わねぇ」との精神でおおよそのスペックと写真だけから作り上げた戦闘機。

 

 

 

 

下手したら元ネタよりも性能上がっているとかいないとか。

 

 

 

とりあえず航空団を送りつつ、造船所にて完成させた輸送船を使って増援……まぁ早い話が、幌筵泊地の主力師団を送り込んだのである。

 

 

 

 

んで、主力が次の通り

 

・10式戦車×200両

・89式装甲戦闘車改(偵察にも利用)×100両

・73式装甲車×80両

・87式高射機関砲改(スティンガー運用可)×30両

・48式自走地対空誘導弾(89式ベースに11式を搭載した車両)×20両

・99式自走榴弾砲×40両

・96式自走迫撃砲×20両

・MLRS×10両

・偵察用バイク×20台

・48式前線通信車(89式ベースに最新の通信能力を付与したもの)

・UH-60×40機

・AH-64E×15機

・各種トラック×300台

・各種支援車両多数

 

 

 

その数8000人(妖精って人なのか?)

 

 

まぁ、幌筵島自体が元の大きさの4~6?倍くらいに拡張済みだから問題無かろう

 

 

(人数じゃ片付けられない問題があるがまぁいい)

 

 

 

ちなみに陸上部隊に関してはおそらく3万人くらいいる

 

 

 

少ないねぇ(日本の最北端の泊地の陸戦隊という点を除けば)

 

 

 

 

んで、こいつらはさっさと合流して東部ロデニウス連合国軍と合同作戦………、よりも先に戦闘が始まってしまった。

 

 

 

 

だが、彼らは短い時間ながらも集中した訓練と、この世界なら列強越えの装備をフル活用し、フルボッコにしてしまったのである。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

最初に始まったのは制空戦だった。

 

 

 

国境線付近に築いた有刺鉄線などの防御に気づいたロウリア王国側が、伏兵の存在を疑い、ワイバーンなどを用いた掃射作戦を行おうとしたのだ。

 

 

これをE-2Cのレーダーで補足した空軍が、直ちに航空隊を出撃させ、空戦が始まったのである。

 

 

 

当然、宣戦布告無しで双方交戦しているのだが、戦いはほぼ一方的だった。

 

 

 

それもそのはず、各方の航空戦力の差が歴然としているのだ。

 

 

 

 

ロウリア王国側

 

 

 

ワイバーン

 

速度 235km/h

上昇限界 4000m

攻撃方法 火炎放射、導力火炎弾

離陸 専用の飛行場が必要

 

 

 

 

 

東部ロデニウス連合国側

 

 

F-1支援戦闘機(幌筵泊地仕様)

 

 

速度 マッハ1.6

上昇限界 15000m以上

攻撃方法 空対空ミサイル×4発、20mmバルカン砲

離陸 ある程度整地されていれば発進可能

 

 

 

 

 

性能差がありすぎる上、東部ロデニウス連合国側は早期警戒機すら持ち合わせているため、どこにどの高度でいるのか丸わかりである。

 

 

 

よって、先手を取ったのは東部ロデニウス連合国側であった。

 

 

 

 

「Fox2!!」

 

 

 

超音速で飛翔するガラガラヘビが空飛ぶトカゲに喰らいつく。

 

 

 

「機関砲掃射!!」

 

 

 

高レートで放たれる20mmの機関砲弾をまともに受け止められる生物はまず居ない。

 

 

 

たった1回の降下で30匹以上のワイバーンを喰った戦闘機。

 

 

 

その様を生き物に例えるならなんだろうか、F-1には愛称が無い、だが敢えて似た機体で辻褄を合わせるとするなら………

 

 

 

 

     「トカゲに喰らいつく夜豹」

 

 

 

 

 

この時、上空には40騎程のワイバーンがおり、対する東部ロデニウス連合国側は16機。数だけ見れば劣勢だが、急降下からの奇襲によってあっという間に壊滅させた。

 

 

 

 

「不味い、逃げろ!!」

 

 

逃げようとするロウリア王国軍のワイバーンだが、直後、有無を言わぬ肉片へと加工される。

 

 

 

「Fox2!」

 

 

AIM-9サイドワインダーが命中し、全騎全滅。

 

 

 

 

ロデニウス大陸戦争の序章とされた国境線付近における戦闘は航空戦から始まり、劇的な進化を遂げた東部ロデニウス連合国側が一方的な勝利を収めた。

 

 

 

 

 

さて、それでは陸を見ていこう

 

 

 

とはいえ、こちらもさして空と変わらなかった。

 

 

 

「撃てぇ!」

 

 

ノウ将軍の指示で61式戦車の61式52口径90mmライフル砲が一斉に火を噴き、ついで75式自走榴弾砲の75式30口径155mm榴弾砲がロウリア王国兵をバラバラにする。

 

 

 

散り散りになるロウリア兵が73式のブローニングなどで肉片にされ、降車した歩兵部隊によって撃ち殺される。

 

 

 

 

「ま、不味い!、撤退だ!!」

 

 

不利を悟ったロウリア王国軍の先遣隊指揮官であるジェーンフィルアが撤退を決意したが、もう遅い。

 

 

 

 

ゴォー!

 

 

「来たか」

 

 

 

ノウが見上げると、空には鉛筆のような細長い機体が大量の爆弾とロケット弾を積んでロウリア王国軍に襲いかかろうとしていた。

 

 

 

 

が………

 

 

 

「早期警戒機より報告!!、100騎以上のワイバーンが接近中!!」

 

「何?、そんなに多くの数を投入したのだと!?」

 

 

ノウは焦った。今上空にいるF-1は対地兵装、空対空ミサイル2発とバルカン砲では半分も殺れない。

 

 

「重機関銃と高射砲を……」

 

 

 

急いで指示を出そうとしたノウだが、続く通信が全軍に安心感を与える。

 

 

 

「こ、これは……、報告!!、幌筵共和国より戦闘機が接近中!、上空支援に当たるとのこと!!」

 

「おぉ!、本当か!?」

 

「はい、<<東部ロデニウス連合国軍へ、上空は任されたし>>以上です。」

 

 

 

わかった……、状況を整理しノウは決断する。

 

 

 

「全軍前進!!、航空隊と協力して奴らを叩きのめせ!!」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

国境線付近上空

 

 

 

 

「全機、目標を補足しろ!」

 

「了解!、どちらが本物の龍か思い知らせてやります!」

 

「その通りだ!、全機発射!!」

 

 

 

J-10Dから次々とR-77が放たれ、ワイバーンを撃ち落とす。

 

 

 

F-1の持つ空対空ミサイルならなんとか誰が撃ったかわかるレベルだったものの、西側からアムラームスキーとも呼ばれるこのミサイルは射程100kmは容易く、有視界外から一方的な虐殺を繰り広げていた。

 

 

 

 

「よし、このまま接近する!」

 

 

半分以上を撃ち落とした第3航空団はそのまま距離を詰めて格闘戦に入る。

 

 

 

「俺達も行くぞ!!」

 

 

 

そこに、爆弾や、ロケット弾を撃ち終えたF-1が戦闘に参加し、さらにワイバーンを撃墜していく。

 

 

ロケット弾を逃げ惑うロウリア兵に叩き込み、上昇、ワイバーンをミサイルで撃墜、爆弾を騎兵隊目掛け投下、J-10がすり抜けようとしたワイバーンをたたき落とす。

 

 

 

空は完全に東部ロデニウス連合国と幌筵共和国が握った。

 

 

 

「一気に決めるぞ!!」

 

 

 

ノウ将軍の掛け声に全員が攻撃で答える。

 

 

61式戦車隊

 

 

「Fire!」

 

「待ってました!!」

 

 

 

ズドーン!

 

 

 

 

火力支援部隊

 

「タスクフォース!、エンゲージ!!」

 

 

 

75式

 

ズドーン!、ズドーン!、ズドーン!

 

 

 

MLRS

 

バシュバシュバシュ!!

 

 

 

 

「こんなことが……こんなことがァ!」

 

 

 

ジェーンフィルアは自らの不幸を嘆きながらMLRSの攻撃で吹き飛ばされた。

 

 

 

 

中央暦1639年、4月18日、東部ロデニウス連合国西部師団と、途中参戦した幌筵共和国第3航空団、東部ロデニウス連合国空軍はロウリア王国軍先遣隊3万と交戦、損失0で全滅させた。

 

 

 

この戦闘から数日後東部ロデニウス連合国と幌筵共和国はロウリア王国に事態収拾の意思無しと判断し、宣戦布告。

 

 

 

ロデニウス大陸戦争が勃発した。

 







はい、別名ノウ戦記笑笑……、ノウ将軍原作だと目立つところなくて可哀想なんですよね、少なくとも風雲急を告げるクワ・トイネの西部国境線一帯の指揮を任されてる時点で多分普通に有能だとは思いますし………。



そんなわけで、彼にいいとこ見せてもらおうと言うわけで書いたわけなんですが……、



Q. R-77どうやって作った?

A. だいたい外見と大凡のスペックさえ分かればできる(By転生者)



この変態共め………。




次回は幌筵(泊地)共和国による実弾演習()です。




さて、一帯どうなる事やら……



次回もお楽しみに!!



間違い、指摘等はコメント欄にてお願いします。




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第5話 目指せロウリア~幌筵共和国with東部ロデニウス連合国~格別な朝のナパームとMLRS、処刑用BGM(トマホーク菊池版)を添えて




「音楽は士気向上に繋がるらしい」


(作戦後の報告書にて)










え、あ、はい、<<タイトルが長い!!>>


今回の内容を端的に表したつもりが長くなってしまった……-



まぁそんなわけで、幌筵共和国(泊地)による実弾演習です。



ゆっくりしていってね!













 

 

 

東部ロデニウス連合国、幌筵共和国合同会議にて………

 

 

 

「では、改めて確認させていただきます。我々幌筵共和国と東部ロデニウス連合国は共同でロウリア王国に対して逆侵攻を行い、再びロウリア王国が2カ国の脅威とならないようになるまで駐屯を続けるとのことでよろしいでしょうか?」

 

「異存はありません」

 

「賛成です。」

 

「その通りです。」

 

 

 

多元の問いかけに全員が賛同を示す。

 

 

 

「我が西部師団は全軍ギムにて待機しており、幌筵共和国軍の到着を待って合同作戦に移る見込みです。」

 

「空軍は幌筵共和国軍に制空任務を任せ、陸軍への近接航空支援を主体とした作戦を行います。」

 

「海軍は如何せん数が少ないため、本土防衛に徹し、現在接近中の4400隻に関しては幌筵共和国より艦隊を出撃してもらう予定です。」

 

 

 

ノウ将軍を初めとする東部ロデニウス連合国側はそれぞれ自軍の戦力と方針について語る。

 

 

 

「ところで、幌筵共和国は何隻用意されるおつもりか?」

 

「こちらからは戦艦2、駆逐艦4、空母1の合計7隻を投入する予定です。」

 

 

 

この7隻の詳細は以下の通り

 

 

 

日護(設定集参照)

 

榛名

諸元表

全長 320m

全幅 40m

機関 艦船用核融合炉(高速型)

速力 38ノット

兵装 48cm連装砲×4基、57mm機関砲×6基、VLS×2基(セル数270セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基、20cm艦首陽電子衝撃砲×1基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の20倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

吹雪

諸元表

全長 175m

最大幅 24m

機関 COGAG

速力 37ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41 VLS(セル数48セル)、誘導弾発射筒×12基(SM-6や極超音速対艦ミサイルの運用が可能)、対艦ミサイル専用VLS(セル数32セル)、5連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mm、25mmRWS各2基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基

艦載機 SH60K×1機、UAV×2機

備考 イージスシステムの半分並の艦隊防空能力を持つ他、あさひ型のFCS-3より進化したFCS-4を搭載

 

深雪、白雪、初雪

諸元表

全長 170m

最大幅 22m

機関 COGAG

速力 35ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41mod.9VLS、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数24セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×2基

艦載機 SH60K×2機

備考 陸自の03式中距離地対空誘導弾(改)を艦対空ミサイル化させた48式艦対空誘導弾の運用能力、並びに僚艦防空能力あり

 

鳳翔

諸元表

全長 270メートル

全幅 最大で42メートル

推進方式 COGAG

速力 30ノット

兵装 ファランクス2基、SeaRAM2基、Mk29×2基

搭載機数 F35B×15機、SH60K×4機、シーキングAEW2機

甲板 スキージャンプ付き全通甲板

エレベーター 2基

 

 

 

 

えっ?、つまりどういうことだって?

 

 

 

ナハナート沖海戦にこいつらがいたら瞬殺ゲーだった。

 

 

 

だいたい日護の存在(80センチ砲)が大きいが、あんまりピンと来ない東部ロデニウス連合国側は多元に対し………

 

 

 

「数が少ないようですが大丈夫ですか?」

 

「問題ありません。」

 

 

 

この言葉には嘘がある。

 

 

 

 

確かに、質的には問題が無かったのだが、実はこの時幌筵共和国で作戦行動が可能な艦艇は旧幌筵泊地所属の艦娘しか出来なかったのだ。

 

 

 

何故か?、それは幌筵共和国が東部ロデニウス連合国の軍備増強と国内のインフラ整備、補給の確保などを優先したため、指揮系統などがきっちり決まっていなかったのだ。

 

 

一応、最終決戦時に現場指揮としての指揮系統は確立させたものの、常時扱えるものでは無い上、このような場合でも動けるという保証は無かった。

 

 

 

まぁそんなことをわざわざ言う必要は無いので、とりあえず伏せておいたが、多元はそのまま他の部隊について説明を続ける。

 

 

 

「現在ダイタル基地には第2航空団が展開中であり、さらに追加で対地攻撃航空部隊Sturzkampfgeschwader、グリペン一個航空団(幌筵泊地では1個航空団36機)を展開予定です。またこれに並行して、幌筵共和国領内より爆撃機を飛ばし、徹底的に軍事施設を破壊します。」

 

 

 

航空隊は以上です。と言い終えた多元が周りを見渡すと全員固まっている。

 

 

 

「何か?」

 

「た、多元殿の対応が実にあっさりしていたのだが、よくよく考えると我が軍がもう1つ……、いやもう2つか3つほど出現したのと同じではないかね?」

 

「これでも全体の1割かそこらです。慣れてください。」

 

「う、うむ……、理解した。」

 

 

 

これにて会議は終了し、東部ロデニウス連合国から幌筵共和国艦隊に向けて観戦武官としてブルーアイが向かうことも決まった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

それからしばらく、ロデニウス大陸沖合にて

 

 

 

 

「提督より戦闘許可が降りました。」

 

「了解しました。日護さん、私と日護さんの艦載機は艦隊防空にとどめ、艦艇へは砲撃での対象ということでよろしいでしょうか?」

 

「問題ありません。」

 

「わかりました。日護さん、艦載機発艦のために指示を。」

 

「了解、全艦風上に向けて航行、艦載機発艦!!」

 

「風向き、ジェットブラストディフレクター良し、航空部隊発艦!!」

 

 

日護、鳳翔からF35Bが発艦、高度を上げて上空待機する。

 

 

 

「敵艦隊を補足!、数4400!、哨戒ヘリの警告に応じず接近中との事!」

 

「警告に応じないのなら躊躇う必要はありませんね、全艦対水上戦闘用意!、深雪のみ鳳翔の護衛を行い、ほかは私に続いてください!」

 

「了解!、対水上戦闘用意!!」

 

 

 

 

「主砲、RWS準備!」

 

白雪と初雪の主砲とRWSが敵艦隊を指向する。

 

 

「主砲、RWS、CIWS発射準備良し!」

 

吹雪のCIWSは火力の高いロシアの30mmがある。敵兵からしたら地獄以外の何物でもないだろう。

 

 

「主砲砲撃用意!」

 

榛名の48センチ砲には試作品のクラスター焼夷爆弾が搭載されており、広範囲を焼き尽くせる。

 

 

「主砲砲撃準備完了、副砲、機関砲も準備完了です。」

 

 

榛名にはさらに追加で25mm機関砲と57mm速射砲もあるので小型ボートも逃がさない。

 

 

「なぜ私が旗艦を任されたのか、その意義を問われる戦いです。油断せず叩きのめします!」

 

 

旗艦日護は80センチ三連装砲3基、副砲に12.7センチ砲12基、それ以外にもレーザー砲4基とファランクス6基という中々の代物であり、現状、幌筵泊地最強とも言われている。彼女が出てくれば勝利は揺るがない。

 

 

「日護~、景気づけに音楽かけようぜ~」

 

「音楽?、一体何をかけるの?」

 

 

妖精の突然の提案に驚く日護だが、とりあえず許可する。

 

 

 

「いやまぁ、自衛隊で海戦と来たらこれでしょう。」

 

 

 

金管楽器の音から始まった曲に聞いていた幌筵共和国サイドの人間が一瞬で察し、笑い出す。

 

 

 

 

 

 

 

「そんなに、僕たちの力が見たいのか?」

 

 

 

 

 

 

「米倉ァ!、貴s笑笑……、じゃねぇーよ、戦闘中だってのにこれはアカン笑笑」

 

 

 

 

まぁそんなこんなに言ってはいるんだが、もう既に戦闘は始まっている。

 

 

「うっww……、うちぃーかたァ始め!」

 

 

80cm、48cm、12.7cm、57mmが撃ち始め、木造船をスクラップにしていく。近づくボートは30mm、25mm、20mmがバラバラにする。

 

 

「こりゃあ新人向けの実弾演習だな」

 

 

 

砲雷長妖精がそう語る。

 

 

 

「レーダーコンタクト!、敵ワイバーン接近!」

 

「上空の直掩機は対応を!、数は?」

 

「およそ350!」

 

「直掩機だけでは厳しいですね、対空戦闘用意!!」

 

「「「了解!」」」

 

 

各艦娘がロウリア王国海軍を相手にしつつ、対空戦闘へ備える

 

 

「対空戦闘!、SM-2発射準備!」

 

 

榛名、日護がアドバンスド、マルチイージスシステムを起動し、やってくるワイバーンを狙う。

 

 

「対空戦闘用意!、SM-6、発射準備!」

 

 

イージスシステムの半分の性能を持つとされているFCS-4を有する吹雪はSM-6でワイバーンを迎撃しようとする。

 

 

「対空戦闘用意!、48式艦対空誘導弾発射準備!」

 

 

あきづき型護衛艦に積まれる予定だった03式の艦対空誘導弾仕様を使い、残りの駆逐艦娘はやってくるワイバーンに備える。

 

 

 

 

一方、直掩機はというと……

 

 

 

「各機目標を決定し、攻撃開始!」

 

 

F35Bは全部で30機、持っている空対空ミサイルは全部で180発。フレアもチャフも撒くことが出来ないワイバーンには死刑宣告に等しい。

 

 

 

 

ドカッ!

 

 

 

一瞬でワイバーンが肉片に加工され、海に落ちる。

 

 

 

「おい、何があったんだ!!」

 

「分からない、急に仲間が……ぐぁ!」

 

 

 

続けて急降下しながら機体下部に付いた25mm機関砲を撃ち込む。

 

 

 

A-10の後継としても考えられていたF35Bの25mmは強力で、たちまち穴だらけに加工してしまう。

 

 

 

「全機離脱!、誤射されないためにも離脱するぞ!」

 

 

もう1回分くらいの弾はあったが、艦隊の防空ミサイルから誤射を避けるために離脱する。

 

 

 

 

「撃ち方始め!」

 

 

 

護衛の深雪、空母の鳳翔を除いた全艦が対空戦闘を行う。

 

 

 

 

南国の空に白い槍が伸びていった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

ロウリア王国海軍のシャークン大将は目の前で起きている光景に戦慄し、恐怖していた。

 

 

 

4400隻の船を揃えられれば、文明国でも圧倒できそうなレベル、ましてや東部ロデニウス連合国など一瞬でケリがつくと思っていた。

 

 

 

だが、現実はどうだ?、島のごとく巨大な灰色の帆の無い船が先のとがったものをこちらに向けたと思ったら、数十、100を越すかの如く、味方の船がバラバラになっていく。

 

 

 

こちらの攻撃が当たる範囲よりもはるかに遠くからである。

 

 

 

そして………

 

 

 

上を見上げたシャークンには、先程までワイバーンが居たはずの空があった。

 

 

 

「あれは一体なんだったのだ………」

 

 

 

突如として船から煙が立ったと思ったら瞬く間にワイバーンが次々に落とされていく。

 

 

その前には羽ばたかない竜がワイバーンを落としていた。

 

 

 

「化け物……、我々は悪魔と戦っている。」

 

 

 

その時、砲撃の余波で、シャークンの乗った船が大きく揺れ、海に投げ出された。

 

 

「シャークン様!」

 

「引き上げるぞ!」

 

 

引き上げられた時、最早ほとんどの船が残っていなかった。

 

 

 

 

「シャークン様、既に我が艦隊は全滅に等しいです。如何されますか?」

 

 

 

見上げると、さっきとは別の鉄竜が飛び回っている。

 

 

「白旗を掲げて降伏せよ、そうすれば命は助ける。」

 

 

 

鉄竜はそう言う

 

 

 

「降伏しましょう、我々は最早戦う力は残されていません。」

 

「何を言う!、ここで逃げれば末代までの恥さらしぞ!」

 

「しかし、勝ち目の無い戦いで命を失うことの方が問題では?」

 

「だが……」

 

 

論戦を止めたのは他でもないシャークン自身だった。

 

 

 

「これ以上兵士の血を流すことは許されん。降伏しよう。」

 

「しかし、白旗などどこにもありません」

 

「船の帆でも使えば良いだろう。兵士に抵抗は禁止するように伝えよ、生き残りたければな………」

 

 

 

 

この後、シャークン座乗船が降伏したことを皮切りに、次々と投降。後年ロデニウス沖海戦と呼ばれることとなる大海戦は、幌筵共和国による圧勝、完勝に終わった。

 

 

 

 

 

 

そして、一方的な展開は陸戦でも繰り広げられていた………

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

エジェイ基地にて

 

 

「では、ロウリア王国軍は先遣隊が国境線付近で全滅したことを確認し、国境線付近の本部から出てこないということですか?」

 

「はい、どうやら我々を警戒している様子で、こちらから打って出ない限り対応しないでしょう。」

 

 

 

現地までやってきた多元にノウが質問に答える。

 

 

 

「なるほど、どちらにせよ、既に宣戦布告はなされていますので、こちらとしては叩きのめすのみです。」

 

「わかりました。」

 

 

 

2人が立てた作戦は以下の通り。

 

 

 

 

 

①第2航空団と、グリペン航空団による制空権確保

 

②MLRSと自走榴弾砲による砲撃

 

③特設航空団の支援を受けつつ、陸上部隊が進撃、トドメを刺す。

 

 

 

 

一応言っておこう、相手は中世程度の文明である。

 

 

 

オーバーキルだね………

 

 

尚、ここで特設航空団について説明しておこう。

 

 

 

端的に言えば、人外ズの集まりである。

 

 

1番機 ハンス・ウルリッヒ・ルーデル大佐(第1小隊及び、航空団団長兼任)

2番機 エルンスト・ガーデルマン

3番機 アルフレッド・シャルノブスキー

4番機 エルンスト・ニールマン

5番機 ハンス・ステーン大尉(第2小隊隊長並びに副団長)

6番機 クラレンス・マクラスキー

7番機 マックス・レズリー

8番機 リチャード・ベスト

9番機 江草隆繁(第3小隊隊長)

10番機 関衛

11番機 高橋赫一

12番機 阿部善次

13番機 アレクサンドル・イェイモフ大尉(第4小隊隊長)

(以降16番機まで在籍……、なんでこう書くかだって?、ネタ切れなんだよ)

 

 

 

 

調べて分かる人外ズ勢揃い。

 

 

 

そして、人外ズを支える機体もまたぶっ壊れ

 

 

 

A-10 シュトゥーカII

 

スペックは以下の通り

 

全長 16m

全幅 17m

全高 4m

エンジン推力 6000kg×2

最高速度 620km/h

航続距離 4200km

武装 40mmガトリング砲×1門(機体中心)、2トン爆弾(徹甲、榴弾を選択可能、約1名は2.5トン爆弾)、その他各種ミサイル等最大8トン

(ちなみに急降下するとサイレン音が鳴る)

 

 

 

従来のものと比べてステルス性などが向上した上で、複合装甲などを多用した結果、同じ質量でもさらに硬くなっている。

 

 

 

そして、人外ズのメンバーからお察しの通り、急降下可能。

 

 

 

まさに現代に蘇りし急降下爆撃隊なのである。

 

 

 

 

 

「我々、東部ロデニウス連合国軍は後方支援と、国境警備にあたります。多元元首、ご武運を」

 

 

 

(`・ω・´)ゞビシッ!!

 

 

 

ノウや、参謀達が綺麗な敬礼を見せる。

 

 

多元も、それに応え………

 

 

「ありがとう、では言ってくる。」

 

 

 

 

 

 

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エジェイ基地屋外、派遣部隊本部

 

 

 

「傾聴!、我が幌筵共和国は、突然の転移により混沌を極めていた。しかし、幸運にも、この世界で友人、東部ロデニウス連合国と出会うことができ、我々は今、こうしてここに立っている。今我々が食べている食料も、車両の燃料も全て彼らからの手厚い輸出の元に成り立っている。この恩は今や戻ることの出来ない日本の富士山よりも高く、また、深さは広大な太平洋よりも深い。ならば我ら幌筵共和国陸軍(便宜上の呼称)はその恩を返すべく、全力で戦わなければならない。彼ら東部ロデニウス連合国国民が再び枕を高くして眠れるようになるまで!!」

 

 

 

「「「「「「応!!」」」」」」

 

 

 

多元はあまりこういうことは得意ではないが、部隊の士気を鼓舞するため、幌筵共和国側の本気を見せるためにあえてこの形を取った。

 

 

 

 

「では、全員乗車!」

 

 

 

車両に搭乗し、全部隊が移動する。

 

 

 

一方、航空隊は……

 

 

 

「全機出撃!、制空権を我が手に!」

 

「是阿!」

 

 

機体が中国だからってわざわざ掛け声まで中国語にせんでも………、と言いたいところではあるが、とりあえず第2航空団が出撃していく。

 

 

 

 

そして、時を同じくして北欧の有翼の獅子が飛び立とうとしていた。

 

 

「バービー……、じゃなかった全機出撃!」

 

「それ桃色の髪の毛の方じゃないですか……」

 

「提督達アレ作れないのかな?」

 

 

 

A.無理 by転生者一同

 

 

 

(ちなみに主はベルクト派です。)

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、悪魔達が飛び立とうとしている。

 

 

 

「諸君、いい天気だ、素晴らしい、まさに絶好の急降下爆撃日和と言えよう。敵は対空火器もろくに持たぬ軍隊。我々だけで殲滅するのだ。」

 

「ヤボール。我々を敵に回した代価を命で支払ってもらいましょう。」

 

 

 

大佐は右手に持っていた牛乳を飲み干し、一同を見渡すと………

 

 

 

「では出撃だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国軍、東部ロデニウス連合国侵攻部隊本隊

 

 

 

「何が起きてるのですかァ!」

 

 

 

残虐性で知られる副将アデムは苛立っていた。

 

 

 

「先遣隊は全滅、海軍もたかが数隻の前に敗北、亜人共の集まりである東部ロデニウス連合国相手にどうしてここまでコケにされなければならないのですかァ!」

 

 

「あ、アデム様……、我々としても理解し難いほど東部ロデニウス連合国は信じられない力を身につけたようで………」

 

 

はい?、と発言した諸侯に対して目を向け………

 

 

「亜人共の集まりが?、バカバカしい。あんまり適当なことを言っていると、あなたも殺しますよ?」

 

 

 

ヒェッ、残虐なアデムの発言に完全に萎縮した諸侯達を見て、パンドールはとりあえず場を収める。

 

 

「まあまあ、とにかく、東部ロデニウス連合国が想定外に強かったのは事実。先遣隊はおそらく奇襲でもされたのだろう。だが、我らは違う。そうだな?」

 

 

 

はっ、との声に部下の1人が話し始める。

 

 

 

「現在12騎のワイバーンが偵察に出ており、国境線付近を偵察させています。また、上空には50騎のワイバーンを貼り付けており、この陣を突破することは用意では無いでしょう。」

 

「亜人共が何を手に入れたのかは後でわかる。諸君らにはより一層の奮闘を期待する。」

 

 

「はっ!」

 

 

 

しかし、彼らは全員消し飛ぶことになる。

 

 

 

 

 

 

偵察隊のワイバーンはまもなく国境線付近にたどり着こうとしていた。

 

 

 

「な、なんなんだアレは!?」

 

 

 

鋼鉄を纏い、角の生えた地竜が見渡す限りに広がり、一斉に国境線を超えている。

 

 

しかも、その後ろにも大きさの違う地竜が幾つも……

 

 

 

 

「大変だ!、早く連絡を………」

 

 

 

魔信を使おうとした彼らだが、その機会は永遠に訪れなかった。

 

 

 

「グワッ!」

 

 

 

 

直掩機として上空にいたグリペンが襲いかかって来たのだ。

 

 

 

 

「相棒、ダメだ、コイツらは不味い!」

 

 

 

初撃をかろうじて喰らわなかったムーラと相棒のワイバーンだが、直ぐに自らの危機をさとる。

 

 

 

「そこの竜騎士とワイバーンに告ぐ!、武器を捨て投降せよ、そうすれば命は奪わない。」

 

 

 

 

巨大な鉄の塊が目の前に陣取っていたのだ。

 

 

 

 

「仕方ない。降伏するか。」

 

 

 

こうして、ムーラと相棒のワイバーンは助かることとなった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ロウリア王国軍陣地より東部ロデニウス連合国側に5km程行った場所にて……

 

 

 

 

愚かにも侵攻を企てる連中に、鉄槌を下そうとしている幌筵泊地陸上部隊。

 

 

 

配置は以下の通り

 

 

 

99式155ミリ自走榴弾砲×40両

96式自走120ミリ迫撃砲×20両

MLRS×10両

 

 

 

処刑する気満々である。

 

 

 

 

もちろん、取り逃した場合に備えて、大佐率いる攻撃隊と、砲撃部隊の周囲に戦車などが集結している。

 

 

 

 

「攻撃用意!、音楽を流せ!!」

 

 

 

大音量スピーカーに繋げられたコンポの再生ボタンが押される。

 

 

 

 

 

(それでは皆さんご唱和ください)

 

 

 

 

 

 

 

「………HEY!、HEY!、HEY!、HEY!

 

もすかう!、もすかう!」

 

 

 

 

自走榴弾砲から放たれたクラスター砲弾と、MLRSのクラスター弾、それに120mm迫撃砲の迫撃砲弾が一斉にロウリア陣地に降り注いだのだった。

 

 

 

 

 






はい



知 っ て た


まぁ色々詰め込みすぎた感はありますが、まぁロウリアさんには遠慮なく散ってもらいますかね笑笑



次回でチュートリアルは終了です。




次回もお楽しみに!




間違い、指摘はコメント欄にお願いします。



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第6話 ロウリア王国の終焉と新たなる始まり




「ようやく慣れない服を脱ぐときが来た」

(会見時の多元)




というわけで前半でチュートリアルが終わり、大概の創作でありがちな統一国家形成へ向かっていきます。さて、多元達はどう動くのやら……



なんかオンドゥル語混じってますが気になさらず。




それではどうぞ






 

 

 

 

「偵察隊はまだ戻らぬのか!!」

 

 

 

苛立つパンドール。

 

 

「て、定時連絡が途絶えてしまい、そこから何も音沙汰が無いのでなんとも……」

 

「まさか落とされたわけではあるまいな?」

 

「そ、そんなはずは………」

 

 

 

言葉を濁すロウリア兵だが、この後絶望することとなる。

 

 

 

 

ゴォゴォ

 

 

 

突然雷鳴のような音が聞こえてくる。

 

 

 

その直後……!

 

 

「わ、ワイバーンが落ちてくるぞ!」

 

「どうなってるんだ!、相手は東部ロデニウス連合国じゃないのか!」

 

「な、一体何がおきているんだ!!」

 

 

 

雷鳴のような音が聞こえた直後、ワイバーンがバラバラになって落ちてきたのだ。

 

 

 

 

第2航空団から放たれた空対空ミサイルは、全てのワイバーンを外すことなく捉え、瞬く間に撃墜した。

 

 

 

 

 

「そんな………、あれだけ上げたワイバーンが……、ボドボドニ………」

 

 

 

混乱で呂律が回らなくなるパンドール……

 

 

 

 

「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!、

 

 

嘘だ!、ウソダドンドコドーン!」

 

 

 

 

取り乱すパンドールを横目にもしや……、と部下の1人が口を開く。

 

 

「まさか古の魔法帝国!?」

 

「何を証拠にズンドコドン」

 

 

その言葉にいち早く応答していたパンドールだが、その真偽について最早議論の余地は無かった。

 

 

 

 

上空哨戒中だったワイバーンを全て落とされた直後に、ちょうど幌筵泊地陸上部隊から放たれた大小様々な攻撃が命中、全滅した。

 

 

 

 

 

目の前の衝撃的な光景からか、次なる攻撃に気づくことが出来なかったロウリア王国軍侵攻部隊は無惨にも黒焦げた遺体となって散らばった。

 

 

 

 

 

 

 

作戦は大成功だった、1人の不満を除けば………

 

 

 

 

「ちっ、我々の出番は無かったか………」

 

「大佐、提督より入電、<工業都市ビールズを破壊せよ>との事。いかがなさいます?」

 

「決まっている、行くぞ」

 

「ヤボール、八つ当たりも込めて行きましょう。」

 

 

 

 

出番がなかったので、不満タラタラのルーデルは、追加の命令に憂さ晴らしも込めて全力で応じることとなる。

 

 

 

 

その結果、この後ビールズはルーデル率いるスツーカIIの攻撃を受けて、壊滅状態となる。

 

 

 

 

 

だが、最早ロウリア王国に立て直す力は無く、ズルズルと後退していく。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

ロウリア王国王都、ジン・ハークにて………

 

 

 

「40万を超えた軍隊は最早原型を留めることなくバラバラで、東部ロデニウス連合国軍を見るとたちどころに敗走しだす有様……、最早我が軍は戦えません!」

 

「戦うのだ!、諸侯たちの軍隊を根こそぎ集めて叩きつけろ!、この戦いは数を集めなければどうにもならぬ!、今一度諸侯たちに再度動員をかけるのだ!」

 

「その諸侯たちから優先的に集めた結果、最早王都守備隊の他にまともな軍はおらぬのだぞ!、それに、奴らは鉄の竜でビールズや、港を破壊している!、このままでは生計を立てることすら困難だ!」

 

「ではどうしろというのだ!、亜人どもに降伏するのか?」

 

「それしかあるまい」

 

「亜人風情に降伏するくらいなら、死んだ方がマシだ!」

 

 

 

 

この時、強硬論を訴えていた幹部は、終戦後に財産没収の上、追放処分となる。

 

 

 

 

「どうだろう………、パーパルディア皇国から今一度援助を………」

 

 

 

ローブを被った男に、貴族のひとりが話しかける。

 

 

 

が、その反応は冷酷なものだった。

 

 

 

「我らの援助は貴様らの統一の手助けだ、負けが見えた以上貴様らの戦いにこれ以上付き合う義理は無い。」

 

 

そう言って立ち去る男。

 

 

「まっ、待ってくれ……」

 

 

引き留めようとするが、止まることなく退出する。

 

 

 

 

(亜人どもに負けるとは……、こんなことが有り得るのか………)

 

 

絶望にあえぐのはロウリア王国の国王であるハーク・ロウリア34世。彼は先代からの悲願であった亜人撲滅のためにパーパルディア皇国からの援助を受けていたのだが、このザマである。

 

 

 

ロウリア王国の上層部による会議は続く。

 

 

 

 

 

 

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一方、ロウリア王国内に逆侵攻をかけている最中の幌筵泊地陸上部隊と、後続の東部ロデニウス連合国軍は、空爆の成果などを確認すべく、侵攻を中断し、暫しの休息を取っていた。

 

 

 

「多元元首、現在の状況は?」

 

「ビールズに攻撃に行った航空隊は全て帰投し、次の出撃に備えています。各港には第3、第4航空団が攻撃を行ったため、海上戦力は出撃不可能でしょう。」

 

「となれば後は………」

 

「敵の首を押さえるだけです。詳細はこちらに」

 

 

 

多元に渡された資料を読むノウ。

 

 

 

その中身は以下の通り。

 

 

 

 

 

・爆撃機隊による周辺軍事施設への徹底した爆撃

 

・制空権の完全掌握

 

・機甲師団などを囮にした敵部隊の誘引

 

・特殊機による城内掃討

 

・クイラ地方よりヘリボーンを行い、ロウリア王国国王の身柄の確保

 

 

 

 

「この特殊機とはなんだね?」

 

「あぁ、それについてはこちらを……」

 

 

多元が資料を渡す。

 

 

 

 

高速対地支援攻撃機(改造母体B-1B)

 

 

機体スペックに関してはほぼ同じ

 

武装として機体下部ウェポンベイにGSh-6-30を改良した対地掃射用機関砲を格納。

 

 

 

「多元元首、私はあまり詳しくないからアレだが、これの実用性はいかほどで?」

 

「心理的効果ぐらいですかね、後実戦データが欲しいので」

 

「確かに高速で襲いかかる機関砲は十分恐怖だが………」

 

 

 

 

こいつらはロウリア相手だと言うのに、恐ろしさが無いのか……、とノウは改めて規格外な彼らに驚いた。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

幌筵泊地飛行場

 

 

「爆撃機隊、出撃!」

 

 

エイのような見た目をした爆撃機が、次々と飛び立つ。

 

 

 

B2スピリットと、B21レイダーだ。

 

 

 

大量の小型爆弾を装備し、目指すは残ったジンハーク周辺の軍事施設。

 

 

 

「よし、ワイバーン共を殲滅するぞ!」

 

 

爆撃機隊の発進とともに、飛び立つのは第1航空団F-15J改。王都上空の制空権を完全に掌握する構えだ。

 

 

 

 

各航空団所属機は高度を上げると、編隊を組んで王都へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵ワイバーンは現在王都上空に100匹程が展開中の模様。」

 

「多いな、警戒されてるのか?」

 

「まぁあれだけ落とせばそりゃあなぁ……」

 

「まぁ、爆撃機の皆さんに更地にしてもらうためにも、さっさと片付けるぞ、アルファ隊、全機エンゲージ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

第1航空団のF-15が見事なタイミングで分離し、各自に振り分けられた目標をロックオンする。

 

 

 

「全機発射!」

 

 

 

99式空対空ミサイルが次々と放たれ、ワイバーンを捉える。

 

 

 

「爆撃機が通過する、誤射に注意!」

 

 

 

第1航空団の下方をB1とB21が通過し、爆撃体制へと移ろうとする。

 

 

 

「Bombs away!」

 

 

 

500ポンド爆弾をごまのように落としていく爆撃機隊。

 

 

 

木造や、石造りの建物、多少手を加えた程度の滑走路なら、500ポンドでも十分脅威となる。

 

 

 

 

 

 

ドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカンドカン!

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁ!」

 

「ぎゃああああ!」

 

 

 

阿鼻叫喚が響くが、高度を下げているとはいえ、爆撃中の機体には届かない。

 

 

 

 

 

「相棒、あれはもうダメだ。僕達じゃあ勝てる相手じゃない。」

 

 

 

新人のムーラは、飛び立とうとしていたものの、爆撃によって破壊された滑走路を見て、相棒の安全を優先した。

 

 

 

 

 

「爆撃終了、陸上部隊は前進されたし。」

 

「了解した、援護感謝する。」

 

「給料分の働きはしましたんで後は頼みます。」

 

「任せとけ」

 

 

 

 

爆撃を完了した爆撃隊と、護衛を兼ねていた戦闘機隊は退却していく。

 

 

 

 

「よし、王都を目指して前進!」

 

 

 

 

 

戦車隊を含めた主力部隊が、ジンハークを目指し、無人の荒野を進む。

 

 

 

 

 

ロウリア王国王都ジンハークは最早目の前だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

「へ、陛下!、ワイバーンと基地が全滅しました!」

 

「敵は途中の街に寄ることなく、最短ルートを通ってまもなく城門まで迫ってきております!!」

 

「慌てるな!、騎兵隊と重装歩兵を出せ!」

 

 

 

パタジン将軍が指示を出すが、最早その程度の力で止められないことは明らかだった。

 

 

 

 

 

 

事実、幌筵泊地陸上部隊は、向かってくる敵騎兵隊に対して……

 

 

 

「敵騎兵隊の突出を確認。」

 

「89式FV前へ、87式ガンタンク、水平射撃用意!」

 

 

 

 

ドッドッドッドッドッドッドッ!

 

 

ズバババババババババババババ!

 

 

 

 

89式の35mmと、87式の35mmの水平射撃によって騎兵隊は肉片に加工されてしまった。

 

 

 

 

ならばと、重装歩兵を展開するものの……

 

 

 

「99式、制圧射撃開始!」

 

 

 

ドンッ!

 

 

 

155mmの大口径砲弾が上空で炸裂。あっという間に全滅………

 

 

 

 

 

とはならなかった。

 

 

 

「おい、アレ榴弾の至近での炸裂に耐えてないか?」

 

「10式、M2撃ってくれ!」

 

 

何故か1人だけ耐えている歩兵に対してさらなる火力投射を行う。

 

 

 

ズドドドド!

 

 

 

「おい嘘だろ……、M2の直撃に耐えてる……」

 

「あれは鹵獲すべきだな。89式FV偵察隊小隊並びに第1戦車小隊は前進し、敵重装歩兵の救助と装備品の鹵獲にあたれ!」

 

「了解!」

 

 

 

ちょうど、魔道士を従えた魔道戦闘隊らしき部隊も確認されたため、10式の護衛の元、鹵獲に移る。

 

 

 

ズドーン!

 

 

 

120mm滑腔砲の砲撃で吹き飛んだ魔道戦闘隊を前に、装備品の鹵獲に入る。

 

 

 

「た、頼む、俺の命と引替えてもいいから、妻の安全を保障してくれ!」

 

「心配するな、我々の目的はロウリア王国国王の捕縛だ。それ以上でもそれ以下でもない。それに、我が軍では民間人への非道行為は禁止されている。」

 

「そう……か……」

 

 

ガクッ

 

 

「しっかりしろ!、衛生兵!!」

 

 

 

 

気を失った男を衛生兵に渡し、輸送部隊に鹵獲した装備を渡しつつ、陸上部隊は王都付近で停止した。

 

 

 

 

「99式HSP、監視塔に向けて攻撃開始!」

 

「目標補足、撃てぇ!」

 

 

 

 

ドンッ!

 

 

 

大きな放物線を描く曲射によって、監視塔だけを正確に撃ち抜く。

 

 

 

 

「間もなく日が暮れるな、夜襲に警戒しつつ、高速対地支援攻撃機の到着を待つ。」

 

 

 

多元の指示で、部隊は停止、いつでも攻撃できる体勢だけを整えて、夜間の作戦に備える。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国に終わりの時が近づいていた………

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ジンハーク、王城内にて……

 

 

 

「くそっ、我が軍は手も足も出ないのか!」

 

「こうなれば我らが闇討ちを……」

 

 

 

 

 

 

カルシオが得意の闇討ちを決意したその時……!

 

 

 

ゴォゴォゴォゴォ

 

 

 

 

 

「な、なんだこの音は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国王都付近上空…………

 

 

 

 

 

 

「いやぁ……、さすが提督だ、考えることに癖が強い!」

 

「やっぱりあれだけのメンツを率いているだけあって、本人自体のキチガイっぷりも半端じゃないっすわ。」

 

「まさかB-1ランサーにこんな代物取り付けるとは……」

 

「しかも、これ、北極海決戦で使う気だったんだぜ、予想以上の対空能力からやめたらしいけど………」

 

「嘘だろ!?、てことはお前……」

 

「ああ、シミュレーションだけだけどやってた。」

 

 

 

操縦士と副操縦士、航法管制官、それにガンナー(元爆撃手)が談笑しながら作戦開始を待つ。

 

 

 

 

ビーッ!

 

 

 

 

ブザーが鳴る。

 

 

 

 

「時間だ、行くぞ!、速度を上げて火の玉に向かって突っ込むぞ!」

 

「対空火器は無力化されてますって!」

 

 

 

 

航法管制官からのツッコミを受けつつ、機体は低空を這うように高度を下げ、速度を上げる。マッハとまではいかなくとも、それなりの高速で突っ込むのだから、昼に見ればその巨体故に恐怖でしかないし、姿見えぬ夜では効果はマシマシだ。

 

 

 

 

 

「マムシより位置情報共有完了!」

 

「コース設定良し!」

 

「掃射用意良し!」

 

 

 

 

マムシとは潜入、工作、支援を主軸として作られた、陸軍中野学校と海軍陸戦隊(多元達の転移した世界では後の大日本帝国海兵隊)が合同で設立した特殊部隊のコードネームで、今回は、ジンハーク内に潜伏し、兵舎や、軍事施設の位置を事細かに調べあげていた。

 

 

 

 

「掃射開始!!」

 

 

 

 

 

ズバババババババババババババババババババ!!

 

 

 

 

 

GSh-6-30がベースとなったこの機関砲は掠めるだけで戦闘機にダメージの入る強力なもの。では、木造建造物や、石造り程度の建物に直撃したらどうなるか?

 

 

 

 

答えは簡単。

 

 

 

ミンチよりも酷いことになる。

 

 

 

 

 

この攻撃で、ロウリア王国の数少ない残存勢力が削がれ、さらに王城にも攻撃が及び、近衛師団が壊滅。

 

 

 

崩れた城門などによって一時的に別の場所にいたパダジン、闇討ちを予定していたカルシオは身動きが取れず、配下の部隊も掃射によって壊滅といった有様だった。

 

 

 

 

 

「ヘリ部隊はどうなった?」

 

「王城に突入した模様、まもなく捕縛予定です!」

 

 

 

 

実はこの一連の攻撃はヘリ部隊突入のための陽動であり、その陽動は見事に図に当たったことで部隊は完全に王城から引き離され、無力化された。

 

 

 

 

 

 

そして、いよいよロウリア王国に終焉の時がおとずれる。

 

 

 

 

 

「ブリーチング!」

 

 

 

ドンッ!

 

 

 

 

ヘリ部隊から降下した歩兵部隊がロウリア王国国王、ハーク・ロウリア34世を囲む。

 

 

 

「ハーク・ロウリア34世、これ以上の抵抗は無意味だ。軍に降伏した旨を伝え、武装解除に応じさせなさい。」

 

「…………、わかった従おう。」

 

「ご英断、感謝します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この直後、魔信によって全部隊、全土に無条件降伏との内容が報告され、軍並びに政府要人と貴族はジンハークに集められ、武装解除と降伏文書調印に向けた会議が行われた。

 

 

 

 

 

そして、数日後の4月28日………

 

 

 

 

 

ジンハークにて締結された講和条約に基づき、正式にロデニウス大陸戦争は集結、複数の諸侯たちと、後処理を引き継いだパタジン将軍に対して、東部ロデニウス連合国軍秩序維持機構による間接統治がしばらく続くこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

5月2日、幌筵共和国地下司令部にて……

 

 

 

 

「さて、みんな集まったかな?」

 

「はい、全転生者並びに、各鎮守府、基地、国家出身の代表艦娘は集合完了しています。」

 

「では、始めよう。

 

 

 

 

 

幌筵共和国の東部ロデニウス連合国への合流に向けた会議を。」

 

 

 

 

 

ロデニウス大陸戦争集結からわずか数日、多元達が元いた世界ならゴールデンウィークの時期にあたるこの日、幌筵泊地の行く末を決めるべく、重要な会議が行われた。

 

 

 

 

「我々は、この異世界で周辺地域との対等な付き合いを目指して形の上での国という体裁をとった。しかし、東部ロデニウス連合国の実情や、我々と東部ロデニウス連合国の政府との付き合い方を考えるに、むしろ国家という体裁が我々と彼らとの間柄に少なからぬ障壁となっているのは事実だ。」

 

 

 

全員が頷く。

 

 

 

そもそも、幌筵泊地に決まった通貨がある訳でも無かったので、現状技術や、物資との物々交換であったり、僅かばかりに残った日本円などを利用しながらの為替などで対応していた。

 

 

 

さらに、ここが泊地とはいえ、軍基地だったこともあり、実質的な責任者が多元で、しかも戦闘指揮も多元しか行えないという状況で、先のロデニウス大陸戦争では、そのことについて、東部ロデニウス連合国側から説明を求められたこともあった。

 

 

 

 

他国と渡り合うためにあえて国という体裁を名乗ったのに、それが障壁になるのなら、いっそ無くした方がいい。

 

 

 

もとより、幌筵泊地にいる全員の生活のため、その場しのぎでなれない国家元首を名乗っていた多元からすれば、一刻も早くその服を脱ぎたいところだった。

 

 

 

 

だが、彼は幌筵共和国の元首である一方で、幌筵泊地の提督でもある。数万人を超える人々が、彼に元首としての立場を、泊地に国家としての地位を求める声があるのなら、自らの意思に関係なく、その服を着続けなくてはならない。

 

 

 

 

 

「各方面からの意見を求めたい。」

 

「転生者一同は、提督の意見に賛成です。我々とて、日々の技術支援で国境を越える煩わしさや、国が違うことによる障壁は常々感じています。」

 

 

 

実際に関わることの多い転生者達はすぐに賛成を示した。

 

 

 

「私達幌筵泊地出身艦娘は提督の方針に従う方針です。」

 

 

 

幌筵泊地所属の艦娘は納得してくれたようだ。

 

 

そのほか、日本出身の艦娘についてはおおよそ合意が得られた。

 

 

 

 

 

 

 

一方、海外艦娘については………

 

「我々も同意したいが、ひとつその前にお願いがある。いずれ元の世界に戻った時に、再度我々に自分たちの方針を定めるための裁量権を与えて欲しい。」

 

 

 

 

との事、これについて多元は

 

 

 

「元の世界に戻った時の対応はその方針でいい。ただ、この世界で幌筵泊地のメンバーとしてこのまま東部ロデニウス連合国への合流を認めて欲しい。」

 

 

 

との回答。これについて海外艦娘が同意したため、この内容を代表者を通じて全員に通達、妖精も含めた住民投票を取り、満場一致で東部ロデニウス連合国への合流を決定した。

 

 

 

 

全員の意思を確認した多元と小玉は合流の意志を伝え、直ちに東部ロデニウス連合国へと向かったが、その最中……

 

 

 

 

「ロウリア王国が合流を要望!?」

 

「はい、現在パタジン将軍と諸侯含めた数名が、カナタ首相と会談しています。」

 

「なるほど………、我々のお話は?」

 

「通達済みです。」

 

 

 

ふむふむ……、多元と小玉は昨日の夜、転生者のみで行われた転生者会議を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

----------------------------------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

「提督、合流を前提とした交渉を行うと同時に、新たな鉱産資源の開発権の獲得をお願いしたいのです。」

 

「というと?」

 

「ロウリア王国国内に、ルナ金属が出土する可能性があります。」

 

「ルナ金属だって!?」

 

 

 

腰堀の突然の提言に驚く多元。

 

 

 

「どうしてわかったんだ?」

 

「U-2には、現在地下資源捜索用の装備が取り付けられていることをご存知ですよね?」

 

「ああ、東部ロデニウス連合国内の資源事情もそれで調べていたんだよな?」

 

「その結果、ロウリア王国の一部地域に、かなり良質なルナ金属が手に入ることがわかりました。ガンダリウム合金の製造、それによる各種宇宙船や輸送機械、新兵器への転用が見込めます。絶対にこれだけは手に入れるべきです。最悪併合してでも。」

 

「併合はさすがに不味いだろうが……、租借権だけでも手に入れられるように努力する。」

 

「お願いします。」

 

 

 

 

 

----------------------------------------------------------

 

 

 

 

「あの件、割と簡単に解決できそうですな。」

 

「そうですね。」

 

 

 

小玉と多元が話し合っていると、カナタ首相が出てきた。

 

 

 

「お待たせしました。どうぞ。」

 

 

 

 

部屋に招かれ、会談が行われる。

 

 

 

 

「…………、我々としても、あなたがたの合流には賛成です。ただ………」

 

「ロウリア王国の1件ですね?」

 

「その通りです。」

 

 

 

 

曰く、ロウリア王国は現在捕縛中の元国王の莫大な借金により、パーパルディア皇国に隷属する恐れがあるという。

 

 

 

「領土野心の大きな皇国がこちらに向かってくることも考えれば、拠点を確保されないためにも合流は視野に入れるべきですが………」

 

「皇国に勝てるかどうか、ですね?」

 

「その通りです。」

 

「現在の貴国の戦力なら勝てないことはありません。しかし、貴国の生産力などを考慮すると、少し危険なところがあります。」

 

「その通りです。我々としても貴国が合流することは願ってもないことです。今後もこの世界で生き残るため、我々の仲間として加わって欲しいです。」

 

「もちろんです。ただお願いがあります。」

 

 

 

 

 

 

 

こうしてしばらく会談は続き………

 

 

 

 

 

 

 

「では、皆さん、合意の上でロデニウス連邦共和国を建国したいと思います。」

 

 

 

 

 

 

各国の代表者が合意し、その後、東部ロデニウス連合国内でも法案が通過

 

 

 

 

 

 

中央歴1639年6月5日東部ロデニウス連合国とロウリア王国、それに幌筵共和国が合流しロデニウス連邦共和国誕生。

 

 

 

 

 

今回の件で決まったことは以下の通り。

 

 

 

 

政治体制は次の通り

 

 

・各国はそれまで行っていた業務のうち、各国の国内統治に関わる分野を除いた全ての権限を統一国家へ移譲する。

(移譲例:安全保障、外交等)

(残置例:各種公共事業)

 

・大統領については各国の代表者からなる貴族院と民衆院の合同会議によって決定する。(ただし初代大統領は除く)

 

・民衆院議員は6年に1度選挙する。

 

・民衆院と貴族院で意見が割れた場合、貴族院の議決を優越させる。(これはクイラ、ロウリア出身者の要望)

 

・軍の出動は別個に定められた事態を除き、大統領による命令を必要とする。

 

・軍に関しては幌筵泊地と協議の上、当面は海軍空軍を旧幌筵泊地部隊が、陸軍を旧東ロデ、幌筵泊地の三者で行うが、速やかに国軍の編成を行う。

 

・各国が有していた国交について、速やかにロデニウス連邦共和国に引き継ぐようにする。尚、その際大使館職員については既存のままとする。

 

 

 

 

 

後に世界最強とも呼ばれることとなるロデニウス連邦共和国の誕生である。







はい、建国。(速い)


さて、というわけで統一国家形成に至ったわけですが………



当面転生者に休みは無いのかな?



ブラック企業よりもひでぇBy転生者



次回もお楽しみに!



間違い、指摘はコメント欄にてお願いします。


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外交・産業革命・軍事編
第7話 インフラ整備と異界の外交





「話がわかる人がいてくれてよかった………」



(ムー国で同じ境遇の存在を知った多元の呟き)




はい、というわけで、統一国家作ったら外交とインフラ整備は当然(?)のようなのでインフラ整備と外交パートです。



転生者、今度は休めよ?






 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国議会にて………

 

 

 

「国有鉄道法案が可決されました。」

 

 

 

パチパチパチ

 

 

 

拍手の元に可決されたのはロデニウス連邦共和国国有鉄道法案。

 

 

 

 

国内にて、整備された鉄道は、幌筵泊地が立ち上げた企業が主体となって建設した半官半民の鉄道路線と、東部ロデニウス連合国が自力で建設した鉄道と、現在ロデニウス連邦共和国が国策事業として、建設しているものに分かれる。

 

 

 

 

これらを一つにまとめ、利便性向上を行うことが目的だ。

 

 

 

 

 

また、これらと並行して………

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国、試験用路線

 

 

 

 

「345、346、347、348……、350!」

 

「量産車、350キロ運転達成!!」

 

「間もなく通過」

 

 

トンネルから超高速で車両が出てくる。

 

 

一体何をやっているのかというと、ロデニウス連邦共和国に新たに建設する高速鉄道計画、早い話が新幹線を建設するために、試験走行を行っているのだ。

 

 

そもそも、事の発端はロデニウス連邦共和国が成立する前から問題となっていた在来線の線路容量逼迫である。

 

特に東部ロデニウスの工業地帯、住宅地域間と新規開業したばかりのロウリア、工業地帯間の混雑率は酷く、鉄道駅周辺の住宅ラッシュも相まって、特急、普通問わず酷い有様となっていた。

 

 

さらに言えば、貨物列車が通っており、EF800が牽引する貨物は高速化と頻発化する旅客列車に対応するために待避や減便、夜間への振替なんかも行われており、経済活動への影響が懸念されていた。

 

 

オマケに、旧ロウリア王国の工業都市ビーズルは近々新たに工場が建てられるため、こちらでも貨物列車が走行する。こうなれば線路容量の逼迫は目も当てられない状況となる。

 

 

これを受けたロデニウス連邦共和国国土開発省は発足したばかりの共和国国有鉄道に対して改善を指示

 

 

そこで、ロデニウス連邦共和国国有鉄道所属となった幌筵泊地の技術者達によっていくつかの案が検討された。

 

 

①在来線の大幅増強

②新幹線の整備

③リニアの整備

 

 

この中で、転生者達は

①都市部では難しい

②速達化が見込めるが、費用がかかる

③速達化が見込めるが、輸送力に乏しい

 

 

この中から最も費用対効果に優れるものを選んだ結果、幌筵泊地出身の転生者達は新幹線、それも共和国を1周する形の環状新幹線の建設を決定したのだった。

 

 

 

車両についても、500系新幹線と、E7系新幹線を採用するとの事で話がまとまっており、こちらの事情に合わせて改良される方針だ。

 

 

 

急速な近代化は、ロデニウス連邦共和国の急成長を意味する。

 

 

 

 

国内で生産される鉄鋼、自動車などの重化学工業製品はまもなく国内だけではダブつく可能性が指摘されている。

 

 

 

 

ではどうするか?

 

 

 

 

答えはシンプル、輸出一択だ。

 

 

 

 

この世界で発展しているのは列強と呼ばれる国々だが、その中でも最もロデニウス連邦共和国が目をつけたのは、列強2番手のムー国だ。

 

 

 

この国は唯一の科学立国であり、ロデニウス連邦共和国の国力を正確に理解できる国と見られていた。

 

 

 

輸出に向けて、まずは国交関係の交渉を行うため、外交官を派遣することになったのだが………

 

 

 

「適任者がいない?」

 

「ええ、我が国の科学技術を正確に伝えられる人間はまだ多くないので……、それにアルタラスや、フェン、そのほかの第3文明圏系の国に大使を派遣している現状、あまり余裕が無いというか……」

 

 

 

なるほどね……、多元は閃いた。

 

 

(もしかして、俺が行ってもいいのかな?)

 

 

 

 

多元は唯一の科学立国であるムー国に関心を抱いており、出来ることなら行ってみたいと思ったのだ。

 

 

 

 

「外務大臣、私が行ってもよろしいでしょうか?」

 

「多元本部長が?、別に構いませんが……、既に幌筵泊地からは随伴員目的で人を出してもらっているのに……、よろしいのですか?」

 

「ええ、私としてもムー国には興味がありますので……」

 

「なるほど、ではお願いします。」

 

 

 

(*ちなみに、多元の現在の地位は軍のナンバー2、制服組トップにあたる統合作戦本部長である。お前さん仕事はどうする気なんだ?)

 

 

 

 

というわけで、ムー国に行くために軍艦の手配をしようとしたのだが………

 

 

 

 

「平河くん、何やったの?」

 

「いやぁ……、あの……、その……」

 

「はっきり言いなさい。」

 

「あ、鳳翔さんをCATOBAR式に改装しました。」

 

「はぁぁぁ?」

 

 

 

 

なんとこの平河、大陸戦争集結からわずか2ヶ月も立たぬうちに、鳳翔をCATOBAR式の空母に魔改造したのだ。

 

 

 

 

 

(艦娘形態では無い、既に実艦状態においてだ。)

 

 

 

 

 

「艦載機はどうしたの?」

 

「本人たちの希望を取りつつ、腰堀くんに開発してもらいました。」

 

「どうりでアイツ最近忙しいと思ったよ………、せっかく人間の体に戻れたんだから、建御名方との関係を進展させればいいのに……、どうも誰かさんに似て奥手だからダメだ、まぁそこは建御名方も理解してはいるようだが………」

 

 

 

呆れる多元(お前さんもクソボケ設定だよBy作者)

 

 

「んで、モデルは?」

 

「ほうしょうです。」

 

「知ってた。」

 

 

 

 

艦載機は計画案だけで終わったトムキャットのASF-14案をベースにした艦載機と、何故か水色と黒の塗装の入ったF/A18Eが8機ずつ、E-2DとSH60Kとなっている。

 

 

 

マニア発狂もんだろ……

 

 

 

「てか、なんであいつF35Cにしなかったんだ?、ほうしょうと言えばそっちだろ?」

 

「あ、建御雷とのメンテナンスの兼ね合いだそうです。」

 

「ならF-31……」

 

「隊員が反対したそうです。」

 

「まぁステルス機はコストもかかるけどなぁ……」

 

 

 

まぁいい、それはそれとしてだ……

 

 

「<鳳翔>の窓ガラスが割れてるのは?」

 

「隊長のせいです。」

 

「始末書書かせろ。」

 

「もう鳳翔さんがやってます。」

 

「さすが鳳翔さん。仕事が早い。」

 

「んで、提督、どうして戦艦を連れてかないんですか?、あっちの方が力が伝わる気もしますが……」

 

「ムー国は融和路線を取っている。そこに砲艦外交じみたことをやれば国交交渉や、通商交渉に悪影響が出かねん。」

 

「それで、我が国の技術力、軍事力をさりげなく伝えつつも、威圧に取られかねないようなレベルで、且つ道中の安全を担保出来る船……、軽空母と駆逐艦という訳ですか。さては小玉さんの入れ知恵ですね?」

 

「バレたか、まぁあの人は今フェンにいるからな、一応参考程度に聞いといたって訳だ。」

 

「なるほど。」

 

 

 

ちなみに、真多と平河を含めた船舶関係者は船舶関係の仕事が立て込んでいる都合上、残留組となっており、他にもアルタラスや、ドーパ、ネーツなどにも随伴員として転生者を派遣している。腰堀に関しては現在休暇を取っており、この休暇が終わり次第、パーパルディア皇国に向かう予定だ。

 

 

 

 

 

「鳳翔さん、ムー国に国交交渉のために向かいます。吹雪と一緒に出撃をお願いします。」

 

「わかりました。艦載機はこのままでよろしいですか?」

 

「いや、1機差し替えてくれ、ECV-22を頼む。」

 

 

 

要人輸送と、多元の普段の移動などにも使われるオスプレイの要人輸送型であるECV-22は、史実では実現出来なかった機内の与圧や、保温、NBC対策が成されており、チャフ・フレアディスペンサーなどを搭載し、空中給油も可能。

 

 

 

 

幌筵泊地では現在4機が運用されている。

 

 

 

(なんでアメリカが開発に失敗したのに出来てるかって?、つまりこいつらはそういうことだ。)

 

 

 

 

「わかりました。予備も含め2機搭載します。」

 

「頼んだ。」

 

 

 

 

こうして、多元は<鳳翔>に乗り込み、ムー国に向かったのだった……

 

 

 

 

 

 

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ムー国、アイナンク空港にて

 

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国か……、一体どんな機体がやってくるんだろうか」

 

 

 

 

空港で待っているのは皆さんご存知のムー国の技術士官のマイラス。

 

 

 

先程、軍の関係者と、外務省から呼ばれ、新興国であるロデニウス連邦共和国の技術力を探るよう言われたのだ。

 

 

 

 

相手はラ・ヴァニアを超える大型の船体でありながら、説明によると軽~中型空母だという。

 

 

さらに、巡洋艦並の大きさながら駆逐艦と名乗る軍艦もオマケで連れてきているそうだ。

 

 

 

追加で、会談場所を指定した際、空港に直接降りる許可を求めてきた。

 

 

 

これは艦載機を持っている可能性が大きい。

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国側も護衛機をつけるそうだが、一体どんな機体なのだろうか……」

 

 

 

マイラスはこの後受けることとなる衝撃を知らず、ただ待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

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空母<鳳翔>にて

 

 

「カタパルト、ジェットブラストティフレクター良し、航空部隊発艦!」

 

「鳳翔航空隊1番機、発艦する!」

 

「2番機、発艦する!」

 

 

 

 

カタパルトによって加速されたF-14が発艦する。

 

 

「続けてオスプレイ発艦!」

 

「さて、それでは行きますか……」

 

「提督、お気を付けて。」

 

「ああ、成果を持ち帰れるようにするよ」

 

 

わざわざ甲板まで見送りに来た鳳翔(なんでかって?、察せ)に答えた後、乗り込んだ多元。

 

 

 

「お艦、発艦しますんで離れてください。」

 

 

 

多元を乗せたオスプレイが発艦する。

 

 

 

発艦したオスプレイは、しばらく垂直モードで高度を上げた後、固定翼機モードに切り替えて、アイナンク空港へと向かって行った。

 

 

 

 

 

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アイナンク空港管制室にて

 

 

 

<<ロデニウス連邦共和国の双発機が垂直に飛びやがった!>>

 

「落ち着け、それは本当なのか?」

 

<<嘘じゃねぇ!、他の奴も見たんだ!、それに護衛機にはプロペラが無い、まるでミリシリアルの天の浮舟みたいだ!、でもそれよりずっと速い!>>

 

 

 

 

 

臨検を行っている軍艦からの衝撃的な光景の報告を素直に信じられない管制室。だが、全員が幻覚を見ているとも思えないので、一応マイラスに報告する。

 

 

 

 

「マイラスさん。どうやらロデニウス連邦共和国の機体は垂直に飛び上がったり、ミリシリアルよりも速く飛べるそうですよ。」

 

「えっ!?」

 

 

 

驚いたマイラスだが、すぐに現実のものとなる。

 

 

 

 

 

ゴォー!

 

 

 

 

轟音とともに、プロペラの無い2機の機体と、双発機がものすごい速さ(ムー国基準)で飛んでいく。

 

 

 

 

「こ、こんなのに比べたら我が国のマリンは………」

 

 

 

 

マイラスは絶句した。

 

 

 

航空機における格闘戦の重要な要素はいくつかある。

 

 

 

旋回性、速度性能、加速性能、そしてここに武装が加わることがある。

 

 

 

あの先頭の機体は間違いなく戦闘機のはずであり、その速度はマリンを上回り、天の浮舟と同等……

 

 

 

 

マイラスが思考していたその時だった。

 

 

 

 

護衛を完遂したらしい護衛機がターンして、速度を上げる。

 

 

 

 

「つ、翼が変形した!?」

 

 

 

F-14トムキャット最大の特徴と言えば、可変翼である。これにより、低速域と高速域のそれぞれにおいて、最適な角度に変形させて飛行することが出来る。

 

 

 

そして、可変翼を後退させた時のトムキャットは速い。

 

 

 

あっという間に母艦らしき方へ帰って行った。

 

 

 

「輸送機に合わせて速度を落としたのか……、ってなんだこれは!?」

 

 

 

オスプレイの特徴である垂直離着陸能力を見せられたマイラスはさらに驚いた。

 

 

 

 

「も、もうこの国の技術力には勝てないな……、どうにかして関係を結びたいものだ……」

 

 

 

 

マイラスは腰が抜けそうになりながらも滑走路へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……、ようやく着いたか……、おっ?、ここは複葉機使ってるのか……、どれどれ……。あっ、まずい仕事だった……」

 

 

 

一瞬本職(成り行きで提督やってるが本職は航空機技術者である)の頭になりかけたが、すぐに切り替える。

 

 

周辺を見回すと、1人の男がいる。

 

 

「はじめまして、ロデニウス連邦共和国ムー国外交大使の多元実と申します。今回はこの世界唯一の科学文明であるムー国を訪問することが出来て嬉しい限りです。」

 

「よろしくお願いします。ムー国技術士官のマイラスと申します。早速ですが、多元さんは技術系に詳しいんですか?」

 

「何故そのようなことを?」

 

「あそこに置いてあります飛行機械……、あえて言う必要はありませんね、飛行機の見方が素人の見方では無かったので……」

 

「いやぁ、ムー国の技術者の観察眼には恐れ入ります。実は普段は軍人なんですが、本職は技術者なもので……」

 

「よろしければこのまま両国の機体観察と行きましょうか?」

 

「いいですねぇ」

 

 

 

マイラスの粋な計らいで、まずはマリンを見ることとなる。

 

 

 

「これは我が国最新鋭戦闘機「マリン」です。最高速度は380km/hで、武装は7.7mm機銃を二門です。」

 

「プロペラ同軸型のようですが、同調装置はありますか?」

 

「さすがですね、この機体には我が国最新の技術であるプロペラ同調装置を取り付けてあるため、プロペラの回転を気にせず撃つことができます。」

 

「最新鋭機とのことで、この機体は複葉機とのことですが、単葉機の開発はしているのでしょうか?」

 

「それが……、中々進んでいませんね。」

 

「今後我が国との関係が深くなれば、ゆくゆくは技術交流をしてみたいですね。」

 

「あはは、ぜひそうしたいものです。」

 

 

 

次はオスプレイを見ることになる。

 

 

 

「このV-22オスプレイは固定翼機の長所はそのままに、垂直離着陸出来る機体として開発されました。速度は565km/h程で、主に隊員の輸送や、救難、強襲上陸などに使われます。」

 

「こちらは輸送機とのことですが、戦闘機の性能はどうですか?」

 

 

 

マイラスの質問に、多元は少し考える。

 

 

(まぁ、国内の出版社とかで図鑑とか出回ってるし、まぁいっか)

 

 

 

「我が軍の主力戦闘機はいくつかありますが、最も遅いものでマッハ1.6、最も速いものだとマッハ2.5ですね。」

 

「マッハ?」

 

「音速のことを表す単位で、速度に直すとざっと1900~3000km/h程ですね。」

 

 

 

なっ……、マイラスは固まった。輸送機の速さから、戦闘機の速さを800~900km/h程と見積もったが、完璧に甘かった。

 

 

 

(これでは我が国の機体は完全に負けてしまう……、しかし逆に言えば、彼らの技術力ならあの国にも対抗出来るかもしれない)

 

 

 

予想以上の技術格差を目の当たりにしたマイラスだが、それと同時に、なんとしてでもロデニウス連邦共和国の進んだ技術を入手したいと、この時既に考えていた。

 

 

 

 

そして、会議室に移動し、ムー国の歴史を話す。

 

 

 

「私たちの国は元々この星には無く、転移したことによってこの地にやってきたのです。」

 

そう言って、地軸の傾いた地球儀を出したマイラス。たまらず多元は今までロデニウス連邦共和国内でしか語ってこなかった真実を言った。

 

「あなた達もなんですか!?」

 

「あなた達も!?」

 

 

 

マイラスの説明を皮切りに、双方が驚く。

 

 

「多元さん、あなた達も、とはどういうことですか?」

 

「はい、ロデニウス連邦共和国の一部地域は、あなたがたと同様に、この世界に転移してきたのです。場所はこの…」

 

 

そう言って地球儀を回す。

 

 

「このヤムートと書かれた地域の北部、幌筵島を中心とした地域が転移しました。」

 

「な、なんと……」

 

「しかも、私たち幌筵島に住む人々の1部はこれが2度目です。」

 

「2度目!?、1度でも我が国に混乱をもたらし、大変だった転移を2度もしていたんですか!?」

 

 

 

 

(おい多元、あと数回すっ飛ばす予定だからその回数は間違ってるぞ?Byうp主)

 

 

 

 

「その通りです。詳細は……」

 

 

 

それから多元は、元いた世界線、そして艦娘達のいる世界線の歴史を全て包み隠さず説明した。同じ世界の住人だったもの同士、何としても仲良くなりたかったのだ。

 

 

 

「となると、数万年の時を経て、我々は出会うことが出来たのですね。」

 

「そうですね……、いやぁどう形容すればいいのやら……、このことは必ず……」

 

「もちろんです。会談後に必ず上に上げます。」

 

「お願いします。」

 

 

 

 

そして、マイラスはお互いの海軍艦艇を見ることを提案し、ムー国海軍の港へ多元を連れていった。

 

 

 

 

「こちらが、ムー国の誇る戦艦ラ・カサミです。」

 

「三笠だなこりゃあ……、防大時代を思い出すな……」

 

「三笠?」

 

「地球で、私が元いた日本で100年以上前に建造された戦艦ですよ。記念艦になっていたんです。」

 

「ひゃ、100年……」

 

 

 

(我が国の最新鋭の戦艦が100年以上前の骨董品扱い……、恐るべし)

 

 

「ちなみにロデニウス連邦共和国は戦艦を持っていないんですか?」

 

「いえ、15隻程持っていますね、尤も、戦術は変化しつつありますが……」

 

「ちなみに主砲口径は?」

 

「41cmから51cmですね。」

 

 

 

あはは……、マイラスは逃げ出したくなった。

 

 

自国の最先端の戦艦を軽く上回る戦力と火力を持つロデニウス連邦共和国と正面からぶつかりあったら、間違いなく負ける。ラ・カサミも跡形も無く消えるだろう……

 

 

 

 

(あ、マイラスさん正気を失いかけてるな……、やっぱりもうちょっとスペックを下げて言うべきだったかな……)

 

 

 

そう、幌筵泊地の最大口径は51cmではない。アイオワ級は55cmだし、扶桑型はガンランチャー式とはいえ、650mm、オリジナル艦娘である日護は80cm。さらに大和型2隻は現在改装中のものの、分間レートが機関砲並の88cm砲を装備している。

 

 

 

 

この泊地怖すぎ……

 

 

 

さて、若干正気を失いかけてるマイラスを何とか立て直し、オスプレイに乗せて鳳翔に着艦させる。

 

 

 

 

「ようこそ空母<鳳翔>へ、艦長の鳳翔です。」

 

「ムー国技術士官のマイラスです。」

 

 

 

 

軽い挨拶の後、艦載機の発艦に移る。

 

 

 

「おい誰だ!、トップガンの音楽かけてるやつは!」

 

<<あー、俺です。提督>>

 

「しかもお前塗装まで変えてるじゃないか……」

 

 

 

なんと発艦するF-14とF/A18Eの塗装がいつの間にか(ホーネットについては元からだが)トップガン仕様の色になっているのだ。

 

 

 

「間もなく発艦します。」

 

 

 

あっ、これ冒頭シーン再現するやつや……

 

 

 

「マーベリック、発艦!」

 

「ルースター、発艦!」

 

 

 

ゴォー!

 

 

 

デンジャーゾーンの音楽に合わせて発艦するF/A18EとF-14。

 

 

 

発艦直後、急上昇し、その出力を見せつける。

 

 

 

 

「あれだけの巨体をどうやって発艦させているのですか?」

 

「あれは電磁カタパルトと言って、電磁石の力で戦闘機を加速させる装置です。」

 

「それがあれば大型の機体でも発艦可能ですね。」

 

「ええ、我が国では必須の装備です。」

 

 

 

話している途中、上空哨戒中の機体が着艦する。

 

 

 

 

「あれだけの速度を出す機体を一瞬で止めるとは……、相当な素材が使われてますね。」

 

「鋭いですね、マイラスさん。詳細は語れませんが、それなりに強い素材を使っております。」

 

 

 

 

 

この後、ムー国とロデニウス連邦共和国は国交を結ぶこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

同時期、アルタラス王国にて……

 

 

 

「偶然が重なったとはいえ、何とか助かったな。」

 

 

自室で1人つぶやくのはアルタラス王国現国王であるターラ14世。

 

 

つい先日、アルタラス王国にいるパーパルディア皇国の外交官であるパーパルディア皇国第3外務局アルタラス担当大使ブリガスからとんでもない要求が出されたのだ。

 

 

○アルタラス王国は魔石鉱山シルウトラスをパーパルディア皇国に献上すること。

○アルタラス王国王女ルミエスを奴隷としてパーパルディア皇国へ差し出すこと。

 

 

魔石鉱山シルウトラスはアルタラス王国最大の魔石鉱山であり、国の経済を支える中核であり、世界でも5本の指に入るほどの大鉱山である。

 

 

これを失うと、アルタラス王国の国力は大きく落ちる。

 

 

さらに、王女の奴隷化。これはパーパルディア皇国に全く利の無いものであり、明らかにアルタラス王国を怒らせるためだけにある。

 

 

 

初めから戦争に持ち込もうとしているようにしか見えない。

 

 

しかし何故だ!!今まで屈辱的とも言えるパーパルディア皇国からの要請を飲んでいたのに、いきなり手の平をかえしてきたかのようなこの要求。全く持って不明である。

 

 

国王は、王都ル・ブリアスにあるパーパルディア皇国第3外務局アルタラス出張所に出向き、事の真相を確かめようとした。

 

 

 

だが、そこで待ち受けていたのはブリガスの国の為政者に対する最悪な態度。

 

 

あまつさえ、愛娘を自分のために手に入れようとする始末。

 

 

もはや妥協することは出来ない。

 

 

このまま進めば開戦まっしぐらだったが、いくつか策を講じたことでかろうじて逃れることとなった。

 

 

まず、ブリガスを訪れる前に、部下に命じてロデニウス連邦共和国から輸入した録音機で会話を録音させた。

 

次に、アルタラス王国をパーパルディア皇国の高官の方にもぜひ見てほしいとか何とか理由をつけて、来てもらうことにした。

 

最初はパーパルディア皇国も難渋を示していたが、政府の役人に金を掴ませるなど、表裏問わない交渉の末に、ある程度地位の高い、それも稀に見るまともな人間を呼ぶことに成功したのだ。

 

 

そして、視察の最中、隙を突いて例の録音を聞かせたところ…………

 

 

 

「蛮族相手とは言え、私利私欲のために皇帝陛下の名を使うなど言語道断!、厳罰に処する」

 

 

となったそうだ。

(そうだ、というのはパーパルディア皇国の不正がバレないためにもこのことはアルタラス王国には極秘だったようだ。)

 

 

 

このまま進めば間違いなく開戦となり、国が滅んでいたことは確実であったから、国王の行動は見事と言えよう。

 

 

 

「あとは、彼らと同盟を組み、彼らの武器が手に入れば、言うことは無いのだが……。」

 

 

 

そう感じていたターラ14世は娘をロデニウス連邦共和国に向かわせ、軍事同盟締結に向けて交渉することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







はいムー国と国交締結、ついで新幹線建設開始!(投げやり)



まぁそれはさておき……

転生者達とマイラス君は仲良くやってくれると思います。色々マイラス君としてはショックがでかいでしょうが………、まぁ、ラ・カサミの改修とかをどうするかは決まってるんですが、どうやって出すかはまだ検討中です……(正直幌筵泊地の面々で犠牲出して負けるはずが無いんだよなぁ……)



まぁまた考えます。



次回もお楽しみに!




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第8話 新たな外交と軍事同盟(1)




「巻き込まれるのはゴメンなんですけどね………」


(フェン王国にて、小玉のつぶやき。)




はい、フェン王国とその他やってきます。(雑ぅー)





 

 

 

 

剣の国、フェン王国

 

 

 

 

この国に魔法は無い。

 

国民全員が教育として剣を学ぶ。

 

 

剣に生き、剣に死ぬ。どんなに見下されるような出生でも、強い剣士は尊敬され、どんなに見た目が良くても、剣が使えない者、弱い者はバカにされる。

 

 

 

そんな国であるフェン王国に、今危機が迫りつつあった。

 

 

「皆、聞いてくれ、大切な話がある。」

 

 

家臣たちを集めたフェン王国剣王シハンは緊迫した面持ちで話し始めた。

 

 

「パーパルディア皇国と戦争になるかもしれない。」

 

 

 

 

きっかけはパーパルディア皇国からのとある要求だ。

 

 

 

[南部の森林地帯を引き渡せ]

 

 

 

それさえ渡せば庇護してやるという。

 

 

「して、剣王は何と?」

 

「やらん、と言ってやった。」

 

「奴らも怒り狂うでしょうな。」

 

「ところが、奴らめ、498年の租借でどうだとぬかしてきおった。」

 

「で、剣王は何と?」

 

「丁重にお断りしてやった」

 

 

 

自らの主の毅然とした態度に安堵する家臣たち。

 

 

 

確かに、領土を渡す代わりに庇護してもらうという手段は悪くは無い、時と場合によってはそれが最善の選択肢になるかもしれないが、その1度の譲歩が相手にさらなる要求と圧力を増やさせる根拠となり、結果的に国益を損なう恐れもあるのだ。

 

(別にどこが悪いとは言うつもりはないが)

 

さらに言えば、フェン王国自体は島国で、海そのものが天然の障壁として役立っている面もある。わざわざ敵国に侵略の拠点を渡すわけにもいかない。

 

 

 

「我らフェン王国民は剣に生きて剣とともに死す、列強とて我らの魂を簡単には屈服させられぬことを思い知らせてやろう。」

 

「剣王様、こんな状況下ではありますが、ロデニウス連邦共和国の者たちが面会を申し出ているそうです。」

 

「ロデニウス連邦共和国か、前身のクワ・トイネ公国はロウリア王国相手に損失0で勝ったとされる者たちか、よろしい、会ってみよう。」

 

 

 

こうして、ロデニウス連邦共和国の特使達は剣王シハンへの面会が許可された。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「いや〜、これはすごい、まるで日本の江戸時代とかそんな感じのというか、東○太○映○村に来た気分た。」

 

 

ロデニウス連邦共和国の特使随伴員であり、幌筵泊地最年長の男、小玉義雄はフェン王国をこのように形容した。

 

 

彼の言う通り、街並みや、人々の格好などはかつての日本のような見た目をしており、街自体も非常に清潔で、活気に満ち溢れていた。

 

 

 

城に案内され、待つことしばし。

 

 

 

「お待たせしました、剣王の御成です。」

 

 

剣王シハンが入ってくる。

 

その様子は完全に歴戦の武士の振る舞い。

 

剣道段位持ち、試し斬りや居合切りなどの経験を持つ小玉は瞬時にこの王が只者では無いことを感じ取っていた。

 

 

 

「余が剣王シハンである。ロデニウス連邦共和国の特使殿、ご苦労であった。」

 

 

ロデニウス連邦共和国外務省のダマは眼前の老人に圧倒されつつも、言葉をつむぎ出す。

 

 

「本日は、我がロデニウス連邦共和国から貴国との国交開設に先立ち、挨拶としてお土産をお持ちしました。」

 

 

そういうと、ロデニウス連邦共和国外務省の職員によって、荷物が運ばれてくる。

 

 

「全てロデニウス連邦共和国内で作られたものとなっています。どうぞご覧下さい。」

 

 

*言わずもがなとは思うが、実質幌筵泊地で作られたものである。

 

 

通気性に優れた素材を使った着物や、光に当てると暗がりで光る素材を使った扇子(これは一同かなり驚いていた)、最新の人間工学に基づいて設計されたスニーカーなど、なんか無駄にテクノロジーを使っているような気もするが、とりあえず優れた品々に家臣達は感心していた。

 

 

 

 

一方、剣王シハンはというと……

 

 

 

(やはり、そこに目が行きますか)

 

 

小玉が思ったとおり、シハンは幌筵泊地の転生者達が丹精込めて作った日本刀を手に取り、じっくりと見ていた。

 

 

「このような折に際して、余興を催したいと思いますが、いかがでしょうか?」

 

「ほう、どんなものかな?是非とも見せてもらおうか。」

 

「はっ、直ちに。」

 

 

そういうと、小玉は服装を普段居合道をする時に着ているものに着替え、自らの刀を持ち、4本袈裟に向かって構えると……

 

 

「セイヤー!!」

 

 

スッと、ほとんど音も立てずに切られた袈裟を見てフェン王国側は驚いた。

 

 

 

(なるほど、これほどの刀を生み出せる国ならばあの話も本当かもしれん、パーパルディア皇国の脅威がある今、どうにかして味方に引き入れたいものだ。)

 

 

「いかがでしたか?」

 

「素晴らしい技術を持つことはよくわかった。だが、我が国は未だに貴国のことについてあまりよく知らない。そこで折り入って頼みがある。」

 

「と、申されますと?」

 

 

折角の機会を逃してはならぬと前のめりになるダマだったが、次の瞬間度肝を抜かれることとなる。

 

 

「貴国の水軍を我が国に招待したい、廃船予定の船が4隻あるので、それを敵と見立てて、撃って欲しい。」

 

「ロデニウス連邦共和国海軍の力が見たいということですか?」

 

 

慌てつつも、言葉の内容を確かめるダマ。

 

シハンはその問いに毅然とした口調で答える。

 

 

 

 

「左様、国のあり方を見るには武が1番だ。」

 

 

 

 

 

 

この後、ダマから連絡を受けたロデニウス連邦共和国外務省は多元に対応を依頼。多元はちょうど手隙だった幌筵泊地艦隊所属の雪風を派遣することとした。

 

 

 

 

 

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数日後、フェン王国沖合にて

 

 

 

 

ガハラ神国 風竜騎士団長スサノウは、隣国、フェン王国の首都上空を飛行していた。

 

今日は、フェン王国が5年に1回開催する「軍祭」が行われるため、その親善として、3騎で上空を飛ぶ。

 

軍祭は、文明圏外の各国の武官も多数参加し、武技を競い、自慢の装備を見せる。各国の、軍事力の高さを見せる事により、他国をけん制する意味合いもある。

 

文明圏の国も呼びたいが、「蛮国の祭りには興味が無い」のが本音らしく、「力の差を見せ付けるまでもない」といった考えもある。

 

 

 

 

今回、明らかに文明圏外国の船とは明らかに異なる軍艦が1隻存在していた。

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍、幌筵泊地艦隊所属の駆逐艦雪風である。

(見た目はほぼあさひ型)

 

 

 

 

 

「まぶしいな」

 

 

 

相棒の風竜が話しかけてくる。

 

 

風竜は知能が高い。

 

「確かに、今日は快晴だ」

 

太陽がまぶしく、雲の少ない日だった。

 

「いや、違う。太陽ではない。あの下の灰色の船から、線状の光が様々な方向に高速で照射されているのだ」

 

「船から光?何も見えないが」

 

「フッ・・・人間には見えまい。我々が遠くの同胞と会話をする際に使用する光、人間にとっては、不可視の光だ。何かが飛んでいるか、確認も出来る。その光に似ている」

 

「飛行竜が判るのか?どのくらい遠くまで?」

 

「個体差がある。ワシは120kmくらい先まで判る。あの船の出している光は、ワシのそれより遥かに強く、そして光が収束している」

 

 

 

 

まさか・・・。

 

スサノオの脳裏に何かがよぎった。

 

 

 

「まさか、あの船は、遠くの船と魔通信以外の方法で通信出来たり、見えない場所を飛んでいる竜を見ることが出来るのか?」

 

「そのようだ、しかも、あれは下手したら魔法帝国のものを超えているかもしれん。」

 

「恐ろしい国だな、ロデニウス連邦共和国とは……」

 

 

 

上空でのやり取りの一方で、雪風艦内でも上空の風竜について話題に上がっていた。

 

 

「上空の風竜よりレーダー波を検知!」

 

「レーダー波?、あんな生き物が?」

 

「間違いありません、航空機用としてはかなりのものです。」

 

「すぐに提督に報告してください。」

 

 

雪風の指示で幌筵泊地にいる多元(国防省でしなくてはならない仕事以外は基本泊地にいる)にすぐに連絡がいく。

 

 

内容を受け取った多元は腰堀達に対応を依頼。これを受けて、幌筵泊地では、第14航空団(戦闘機はSu75チェックメイト)の創設を急ぐとともに、第15航空団向けに製造予定だったF3の初期配備型であるF3心神(多分動画検索すると出てくるやつ)、並びに今後創設される第16航空団の戦闘機としてSu57、第17航空団にイギリスが開発中のテンペスト、ノスフェラトゥ、モーガン、XFA-27、震電Ⅱ、を第18、19、20、21航空団に、第22航空団の戦闘機としてF3の性能向上、量産型であるF3蒼燕(オリジナル)を配備することを決定した上で、無人戦闘機の運用に特化した第99航空団を新設、RAVEN、モルガン、などの高性能機やサポート型UAVなどの運用を視野に入れている。

 

 

尚、特殊航空部隊も並行して新設され、アーセナ○バードやアイガ○オンなどの研究を開始した。

 

 

 

(オーバーキルじゃね?)

 

 

 

そして、このような特殊な生物に対応するために、幌筵泊地内に新たに 特生自衛隊 が新設された。

 

 

 

 

 

 

 

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「あれがロデニウス連邦共和国の軍船か、デカイな、まるで城のようだ。」

 

 

雪風を見たシハンはそう言った。

 

 

あさひ型をベースに艦娘形態だった頃に魔改造された雪風は、性能、見た目は元の面影は一切無くなっている。

 

 

「そろそろロデニウス連邦共和国海軍の軍船が標的に向けて攻撃を開始します。」

 

 

 

雪風に備えられた127mm砲が動き、フェン王国の廃船4隻に向け指向する。

 

 

距離、4km

 

 

 

雪風から煙が吹き出る、僅かな時間の後、音が聞こえる。

 

 

 

 

 

ダン・・・・ダン・・・・ダン・・・・ダン・・・・

 

 

 

 

 

4回、直後、標的船は猛烈な爆発を起こし、水飛沫をあげ、船の残骸が空を舞う。

 

 

 

 標的船4隻は、爆散、轟沈した。

 

 

 

 

「・・・・・・・これは・・・声も出んな・・・なんとも凄まじい」

 

 

剣王シハン以下フェン王国の中枢は、自分たちの攻撃概念とかけ離れた威力を目の当たりにし、唖然としていた。

 

 

1隻からの攻撃で、4隻をあっさり沈める。しかも、とてつもない速さの連続攻撃で沈めた。列強パーパルディア皇国でも、そんな芸当は出来ない事をここにいる誰もが理解している。

 

「すぐにでも、ロデニウス連邦共和国と国交を開設する準備に採りかかろう、不可侵条約はもちろん、出来れば安全保障条約も取り付けたいな・・・。」

 

 

 

シハンは満面の笑みでそう言った。

 

 

 

 

 

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雪風CICにて

 

 

「レーダー妖精さん、本当ですか?」

 

「ええ、つい先程レーダーが西側から近づく飛行物体を補足しました。時速にして約350kmで、20機ほどが近づいて来ます。」

 

「司令官のお話にあった通りだとすると、西にはパーパルディア皇国がありましたね。」

 

「ええ、今回のフェン王国軍祭に招かれているのか確認しましょうか?」

 

「お願いします。」

 

 

通信妖精が無線を通じてダマからフェン王国に確認を取ってはみたものの、返答は無かった。

 

 

「これはまずい予感がしますね。」

 

「雪風、提督に言われた通り、魔信を使った警告をして、何かあったら撃墜する必要があると思います。」

 

「そうですね、対空戦闘用意!」

 

「対空戦闘用意、VLSへデータ入力!」

 

「敵飛行物体に向けて警告開始!」

 

 

直後、魔信からこの船がロデニウス連邦共和国軍所属であること、半径500m以内に許可無く立ち入った場合は撃墜すると警告した。

 

 

(尚、風竜については事前に連絡済み)

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国 皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーンロード部隊20騎は、フェン王国に懲罰的攻撃を加えるために、首都アマノキ上空に来ていた。

 

 

軍祭には文明圏外の各国武官がいる。その目前で、皇国に逆らった愚か者の国の末路はどうなるか知らしめるため、あえてこの祭りに合わせて攻撃の日が決定されていた。

 

 

これで、各国は皇国の力と恐ろしさを再認識することだろう。そして逆らう者の末路、逆らった国に関わっただけでも被害が出ることを知らしめる。

 

 

ガハラ神国の風竜3騎も首都上空を飛行している。

 

 

風竜が皇国ワイバーンロードを見ると、ワイバーンロードは、不良に睨まれた気の弱い男のように、風竜から目を逸らす。

 

 

「隊長、ワイバーンロードが怯えています!」

 

「ガハラの民には、構うな。フェン王城と、そうだな・・・あの目立つ灰色の船を狙え!」

 

 

 

そう言った途端、ワイバーンロード達は散開し、フェン王城と雪風に顔を向け、次の瞬間口を開けて口内に火球が形成され始める。

 

 

 

「敵ワイバーン、攻撃態勢に入った模様!」

 

「高速回転用意!、対空戦闘始め!」

 

「主砲対空戦闘始め!」

 

「ESSM発射!」

 

 

雪風前甲板のVLSが開き、ESSMが発射される。ついで主砲が旋回し、ワイバーン目掛けて射撃を開始する。

 

 

 

風竜は雪風が攻撃態勢に入った途端、恐れをなしたのか岩陰に隠れた。

 

 

「どうした?」

 

「スサノオ殿、あれは……危険だ。」

 

 

怯える風竜に対してスサノオがもしやと思い聞く。

 

 

「あの白いはもしや……」

 

「そうだ、古の魔法帝国が使っていた誘導魔光弾と同じものだ。あの光る巨大な矢によって。あれは自ら目標に向かって進路を変えて、確実に目標を射落とす武器だ。」

 

「恐ろしい国だな……、ロデニウス連邦共和国という国は……」

 

 

 

 

 

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雪風はフェン王国側に向かったワイバーン10騎に対してESSMを発射しながら、接近したワイバーンに主砲とCIWSで対応する。

 

 

「本艦のESSM、ターゲットを撃破!」

 

「ワイバーン、残り3騎!」

 

「CIWS、コントロールオープン!」

 

 

 

ズバババババババババババ!

 

 

 

毎分数千発の発射レートを誇るCIWSによって、2騎が落とされるも、最後の1騎が迫る。

 

 

 

「ワイバーン、導力火炎弾を発射!」

 

「高速回転で回避します!、左舷側スクリューピッチそのまま、右舷ピッチ変換、後進!」

 

「総員何かに掴まれ!」

 

 

先任伍長妖精の指示で身構える妖精達

 

 

船体は雪風の指示でその場で艦首を大きく、高速で回転させた。

 

 

 

すんでのところで回避に成功したところで、雪風はすぐに次の行動に入る。

 

 

「左砲戦用意!」

 

「照準よし!」

 

「撃てぇ!」

 

 

雪風右舷側から急降下した敵は、高速回転で導力火炎弾を回避された後、そのまま左舷側を低空で離脱しようとしたが、直後に127mm砲の直撃を受けて爆散した。

 

 

 

「敵ワイバーンの撃墜を確認!」

 

 

 

運も良かったかもしれないが、雪風は損害を出すことなくワイバーンを全騎撃墜できたのだ。

 

 

 

 

しかし、この戦いはこのまま終わるはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

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剣王シハン及びその側近たちは、開いた口が塞がらなかった。我が国が、ワイバーンロードを追い払おうと思ったら、至難の技だ。1騎に対して一個武士団でも不足している。そもそも、奴らは鱗が硬く、弓を通さない。バリスタを不意打ちで直撃させるか、我が国に伝わる伝説の剛弓、「ベルセルクアロー」を使うしか無いが、ベルセルクアローは、硬すぎて、国に3名しか使える者はいない。

 

 

戦闘態勢にあるワイバーンロードを仕留めるのは、事実上不可能に近い。

 

 

文明圏外の国で、1騎でもワイバーンロードを落とすことが出来れば、国として世界に誇れる。

 

 

我が国は、ワイバーンロードを叩き落すことが出来るほど精強であると・・。

 

 

それをロデニウス連邦共和国はいともあっさりと、怪我をして動けなくなったハエを踏み潰すかのように、自分は全く怪我を負わず、列強の精鋭、ワイバーンロード竜騎士隊を20騎も叩き落してしまった。

 

 

 

文明圏外の武官が集まっている軍祭で、各国武官の目の前で、各国が恐れる

列強パーパルディア皇国の精鋭ワイバーンロード部隊を赤子の手をひねるように、叩き落とした。

 

 

 

歴史が動く、世界が変わる予感がする。

 

 

 

ワイバーンロードは、おそらく自分たち、フェン王国への懲罰的攻撃に来ていたのだろう。

 

 

 

ロデニウス連邦共和国をこの紛争に巻き込めたのは、天運ではなかろうか・・・。剣王シハンは、笑いながら燃え盛る自分の城を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

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「なんてこった、自衛とはいえこれは不味い!」

 

 

周囲にいた観戦武官などが歓喜の声を挙げる中で、外交官のダマは焦っていた。自衛のためとはいえ、他国のワイバーンを撃墜、運が悪いとしか言いようが無い。

 

 

ダマは自分の不運を呪ったが、どうしようもない。

 

 

とにかく情報収集を急がねばと事態の悪化を防ぐため、情報収集を行ったところ、下記の事項が判明した。

 

 

○ フェン王国及び各国武官の反応から、襲ってきた部隊は、フェン王国西側約500kmにあるフィルアデス大陸の第三文明圏に属する世界5列強国の一つ、パーパルディア皇国で間違いないと思われる。

 

 

○ パーパルディア皇国の皇国監査軍と呼ばれる部隊であり、文明圏外の国を対象とする第3外務局の影響により動く部隊である。

 

 

○ フェン王国に対する懲罰的攻撃を、各国関係者の集まる軍際に合わせ、自己の権威を高め、他国を従わせるために行われた、いわゆる砲艦外交のような攻撃と思われる

 

 

 

ここで、さらにダマの胃に穴があく事案が起こる。

 

 

○ 軍の情報によれば、フェン王国西側約200kmの位置を、速力15ノット程度の速度で東へ向かう22隻の艦隊が確認されている。

 

 

 

「どうする……、このままではロデニウス連邦共和国がパーパルディア皇国とフェン王国との戦争に巻き込まれてしまう!」

 

 

焦るダマに随伴員の小玉が助け舟を出す。

 

 

「ダマさん、とりあえずフェン王国にことの次第を確認しましょう。詳細な情報を得ないままの行動は危険です。」

 

 

小玉の声にハッとして

 

 

「そうですね、とりあえずシハン殿に話を聞くことから始めましょう。」

 

 

事態は切迫していた。本日の夕方、フェン王国側との会議が予定されていたが、外務省は急遽フェン王国外交部署に今回の件についての連絡を求める。

 

 

フェン王国側は、即時会談に応じた。

 

 

 

 

 

 

~フェン王国来賓室にて~

 

 

フェン王国は貧しい国ではあるが、外交のための来賓室は、豪華さは無いが、おくゆかしさ、趣のある部屋であり、非常に質が高い。

 

 

その来賓室にロデニウス連邦共和国の外交官であるダマと随伴員である小玉義雄、そしてフェン王国のシハンとフェン王国騎士長マグレブの4人が集まった。

 

 

「ロデニウス連邦共和国のみなさま、今回フェン王国を不意打ちしてきた者たちを、真に見事な武技で退治していただいたことに、まずは謝意を申し上げます」

 

 騎士長は深々と頭を下げる。

 

「いえ、我々は、貴国への攻撃を追い払ったのではありません。我々に攻撃が及んだので、振り払っただけでありあます」

 

 

続けて

 

 

「貴国は、もう戦争状態にあるのではないですか?、戦争状態の国とは如何せん国交締結とはなかなか難しいところがあります。我々としても巻き込まれたくはありません。」

 

 

その発言にマグレブが焦る。

 

 

「まっ、待ってください、それでは我々が謀をしたと仰っているようではありませんか!?」

 

 

「待て、マグレブ。」

 

 

シハンが慌てふためくマグレブを静止し、続けて

 

 

「ロデニウス連邦共和国の特使殿、申し訳ない、全ては儂の好奇心が故に起きたことであります。ですが、ただ1つ、これだけは、心に留めおいて下さい。あなた方があっさりと片付けた部隊は、第3文明圏の国、しかも列強パーパルディア皇国です。我が国は、パーパルディアから土地の献上という一方的な要求をされ、それを拒否しました。それだけで襲って来たような国です。過去に、我々のようにパーパルディアに懲罰的攻撃を加えられた国がありました。その国は、敵のワイバーンロードに対し、不意打ちで竜騎士を狙い、殺しました。かの国は、パーパルディア皇国に攻め滅ぼされ、国民は、反抗的な者はすべて処刑し、その他の全ての国民は奴隷として、各国に売られていきました。王族は、親戚縁者すべて皆殺しとなり、王城前に串刺しでさらされました。パーパルディア皇国、列強というのは、強いプライドを持った国というのを、お忘れなさらぬようお願いいたします。」

 

 

シハンは腹に抱えた何かを隠しつつ、しっかりとパーパルディア皇国の脅威を伝えた。

 

 

無論、ロデニウス連邦共和国の外交官であるダマはこの世界の人間である以上、パーパルディア皇国の脅威については重々理解しているつもりだった。小玉もまた、幌筵泊地の転生者会議にて話し合われていた内容から、パーパルディア皇国の恐ろしさについて当然理解はしているつもりだった。

 

 

 

 

しかし、改めて侵略を受けつつある1国の長から言われた内容にゾッとするのであった。

 

 

 

 

 

 

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会談を終え、戦いに巻き込まれることを回避するために急いで戻ろうとする一行だが、問題が生じた。

 

 

 

 

「何?、通れない!?」

 

 

 

なんと港まで向かう道が先程の空襲を受けた結果として瓦礫の山ができており、通行止めとなっていたのだ。

 

 

「何時になったら通れるんだ?」

 

「明日にはどうにかとの事です。」

 

「明日!?、それでは我々は戦いに巻き込まれてしまうぞ!」

 

「ダマさん、とりあえず本国に対応を依頼しましょう、これは現場レベルでどうにかなるレベルを超えています。」

 

「そうですね、私が本省に連絡しますので、小玉さんは軍の方に対応を依頼してください。」

 

「わかりました。」

 

 

 

ロデニウス連邦共和国にパーパルディア皇国の脅威が迫っていた…………

 

 

 

 

 

 







あっ、すみません……



「終わりませんでした………」



というわけで次回に行きます。




次回もお楽しみに!



間違い、指摘はコメント欄にお願いします。


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第9話 新たな外交と軍事同盟(2)




「複数の同盟国を抱えて、食糧生産も出来て、工業生産も可能な国って最早アメリカじゃね?」



(幌筵泊地の転生者のつぶやき)





はい、つづきです。



言うことないんで(思いつかないので)さっさと行きます。



 

 

 

幌筵泊地地下司令部

 

 

 

「それで、雪風の方はどうなんだい?」

 

「は、船団迎撃のため待機中とのこと。」

 

「いけるか?」

 

「問題ないそうです。」

 

「わかった、それでは任せる。」

 

「了解!」

 

 

 

 

 

 

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雪風CICにて………

 

 

「提督より、戦闘許可が降りました。」

 

「対水上戦闘用意!」

 

「中央対艦ミサイルVLS、1番から20番。対艦ミサイル発射準備良し!」

 

 

吹雪型以降の秋月型や島風などの1部を除いた駆逐艦艦娘は全てあさひ型並の装備となっているが、実際は1部の武装が異なっている。

 

 

中央に備え付けられている対艦ミサイル専用のVLSもその1つで、以前幌筵泊地がまだ今のような大規模なものではなかった頃に、1万隻の通常型深海棲艦による侵攻を受けた際、駆逐艦艦娘の多目標対艦攻撃能力が少ないことが問題視されたため、その当時睦月型駆逐艦(あさぎり型に近い形で改修していた)の後部ヘリ甲板に臨時で対艦ミサイル発射筒を増設していたのだ。その後、この装備は取り外されたが、これを受け継ぐ形で、あさひ型で言うところの対艦ミサイル発射筒が置かれていた付近に当たる艤装に、対艦ミサイル専用VLSを設置したのだ。

 

要するにセルフ飽和攻撃なのだが、読者の中には対艦ミサイルを山ほど抱えることに不安を覚える方もいらっしゃるだろう。改修を担当した幌筵泊地のマッドエンジニアの1人である平河くんによると、[消火、延焼対策、仕切りなどを強化してあり、他の装備から距離も取ってあるのでどこぞの巡洋艦なんぞに比べて問題ない]だそうだ。

 

ちなみに、他にも、現代では対艦攻撃としては潜水艦以外には載せられることのない長魚雷を戦艦攻撃用として積んでいたりしている。

 

 

 

あと追加で言うと、防空に関しても実質あきづき型くらいはあるし、対潜能力もあさひ型同等はある。

 

(これで防空能力をイージス艦レベルにまで上げたのが秋月達なのである。島風や吹雪型以前の艦娘についてはまたどこかで話すだろう)

 

 

圧倒的対艦攻撃能力を持ちながらも対空、対潜能力も引けを取らない幌筵泊地の駆逐艦艦娘達はまさに現代に蘇った特型駆逐艦なのだ。

(でも雪風は元々陽炎型だけどね)

 

 

 

さて、話を戻して、雪風は22隻いる敵艦のうち、対艦ミサイルで20隻を、残りを艦砲で叩くことにした。

 

 

既にSH60が発艦し、現場海域に向かっている。

 

 

もし、警告に従わなければ、即座に攻撃を開始する方針だ。

 

 

 

<<敵艦隊、魔信による警告に応じず、攻撃を開始されたし。>>

 

 

 

この通信で雪風は覚悟を決めた

 

「このまま進まめばフェン王国にいる外交官の皆さんに被害がでます。対艦ミサイル、攻撃始め!」

 

「対艦ミサイル、撃てぇ!」

 

 

砲雷長の指示で対艦ミサイルが発射される。

 

 

SH60からのデータを入力した対艦ミサイル20発はパーパルディア皇国監察軍目掛け全弾正確に飛んで行った。

 

 

 

 

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「やはり、フェン王国の海軍は大したことが無かったな。」

 

 

パーパルディア皇国、皇国監査軍東洋艦隊の司令官である提督ポクトアールはそう言った。しかし、そんな彼の中には今ひとつ不安があった。

 

 

<ワイバーンロード全騎未帰還>

 

 

エモールの風竜にやられたとしても、魔信すら発信することが出来ずにやられることはまず無い。そもそも奴らの風竜自体それほど数がいる訳では無い。

 

 

「まぁいい、このままアマノキへ向かえば全てわかる。」

 

 

そう口にしながら船を進めていた。

 

 

 

 

 

 

異変が起きたのはその後だった。

 

 

不意にアマノキの方からバタバタバタバタと空気を叩くような音が聞こえるようになったと思ったら魔信から何やら声がしてくる。

 

 

 

「こちらはロデニウス連邦共和国海軍である。貴艦らはフェン王国の領海を侵犯しており、このままでは滞在中の我が国民に被害が出る恐れがある。即刻反転し、離脱せよ!」

 

 

ロデニウス連邦共和国??聞いたことの無い国名だが、おそらく文明圏外の野蛮人共だろう。そんな連中が[自国民に被害が出るからさっさと帰れ]だと?バカバカしい。フェン王国民諸共皆殺しにしてやる。

 

 

不意に視線を音がする方へ向けると、そこには奇妙な形の鉄竜がいた。しかし、すぐに距離をおいた。どうやら他の船が銃を撃っていたらしい、だが反撃してこないあたり武装はないのだろう。大した武装も無いくせに不気味な鉄竜だが、攻撃してこない以上、ほっといてよかろう。

 

 

「相手にするな、武器を持たぬ相手に無駄弾を使う必要は無いからな。」

 

 

その一言で発砲がやめさせられ、再びアマノキへと進路をすぐに取れるパーパルディア皇国監察軍は無能の塊では無かったが、結果として自らの命をドブへ捨てることとなる。

 

 

 

 

 

「なっ、なんなんだあれは!!」

 

 

海上スレスレを飛翔する物体に気づいたのは見張り番をしていた兵士だが、それに気づいたとしても対処することはパーパルディア皇国なんぞのレベルでは不可能だった。

 

 

雪風から発射された対艦ミサイル20発は、予定通りのコースを取り、敵艦隊直前でポップアップ、斜め上から戦列艦の船体をぶち抜いた。

 

 

 

 

ズドォォォォォォン

 

 

 

転移前、数々の深海棲艦を屠ってきた対艦ミサイルにとって、木造かそれに毛が生えたレベルの船なんぞ相手にもならない。

 

 

 

あっという間に弾薬の魔石に引火して大爆発とともに消滅した。

 

 

 

比喩では無い。正真正銘の消滅である。

 

 

 

監察軍司令官である提督ポクトアールは座乗艦とともに一瞬にして冥界へと旅立った。

 

 

 

「クソっ、何が起きている!!」

 

 

 

瞬時に大部分が沈められた監察軍はまともに指揮権を移す機会もなく混乱していた。

 

 

しかし、そこに雪風がさらなる追い討ちをかける

 

 

「!?」

 

 

水平線に何かが見える。

 

 

「艦影と思われるもの発見!こちらに接近してきます」

 

「!?大きいな・・・フェン王国のものとは思えない・・・。」

 

 

小山ほどの物体が海上を動いている。船?と思われるが、常識から考えると規格外の大きさだ。

 

 

「総員、戦闘配備!!!」

 

 

城のように大きい灰色の船は、急速に接近してきた。

 

 

はっ、速い!

 

 

「!!!ま・・まさか、我が方の船速を凌駕している!?」

 

 

正体不明の巨大船は残った2隻に並走しながら近づいてくる。その数は1隻のみ。

 

 

「「パーパルディア皇国監察軍に告ぐ!、直ちに戦闘行動をやめ降伏せよ!」」

 

 

「降伏など出来るか!、一気に仕留めてやる!」

 

 

威勢だけはいいが、どうやらまだ状況が理解出来ていないようだ。

 

 

ここで、雪風はあることを思いついた。

 

 

「司令たちの研究材料のために鹵獲します。砲雷長妖精さん、マストを狙って攻撃してください!」

 

「了解!、腕の見せ所ですね!」

 

 

雪風砲雷長妖精は敵艦に向け、照準を合わせた

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「!?」

 

 

敵船の艦前方に設置された巨大砲が動き始める。

 

 

ドン!!!

 

 

発砲。

 

 

「敵艦発砲!!!!」

 

「落ち着け!、我が方よりも遠くから撃って当たるはずも無い!」

 

 

人間は常識の中ででしか物事を考えられない。

 

 

だが、時に現実は常識を超える。

 

 

前を航行していた戦列艦パオスの主要マスト下部が吹き飛ぶ。

 

 

マストはガラガラと音をたて、傾斜し、他のマストを巻き込みながら、倒れる。

 

「戦列艦パオス、マストが折れ航行不能!!!」

 

「なんだ!?発砲の後にマストが折れただと!?ま・・・まさか!!??」

 

 

 

敵はあの距離から攻撃し、当てることが出来るということなのか……

 

 

再び発砲、残った1隻のマストがへし折られた。

 

 

再び例の鉄竜が飛んでくる。

 

 

「直ちに降伏せよ!、さもなくば次は先程のように撃沈する!」

 

 

 

味方が一瞬にして殺られ、残された我々もマストをへし折られ航行不能。

 

 

 

もはや抵抗する手段はなかった。

 

 

 

 

 

 

フェン王国沖合で発生したこの海戦において、ロデニウス連邦共和国海軍所属の雪風は22隻中20隻を撃沈。2隻を拿捕した。

 

 

拿捕された船はロデニウス連邦共和国に向けて曳航され、今後の分析に役立てられることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国との戦闘からしばらくして、ロデニウス連邦共和国では、幌筵泊地の転生者たちと共に、今後の軍備について話し合っていた。

 

 

「それではこれより、会議を始める。今回の議題は、パーパルディア皇国の軍事力についてだ。主に装備や編成なんかが焦点となる。活発な会議のためにも自由に発言して欲しい。」

 

 

まずは、パーパルディア皇国の様子を見た事のある外交官からの報告だ。

 

 

「パーパルディア皇国には銃と呼ばれる遠距離を攻撃する手段があり、また、携帯型の魔道砲もあります。」

 

「外交官殿、それはこのような見た目の武器ではありませんか?」

 

 

多元が予め用意していた写真を見せる。

 

 

「何故それを!?、正しくそのような見た目です。」

 

「なるほど、携帯型の魔道砲というのはどれですか?」

 

 

再び多元が写真を見せる。

 

 

「これです。」

 

 

外交官がひとつの写真を指す。

 

 

「え、コレ?」

 

 

外交官が指を指したのは迫撃砲だった。

 

 

<魔法のせいか、技術体系がちぐはぐだなぁ>

 

 

「後、ワイバーンを運用可能な竜母というものもあります。」

 

 

 

兵器の時代のズレを感じた多元。

 

一筋縄ではいかないことを認識したが、いずれ本格的に衝突する可能性があるので、今後も調査を続けるとのことでまとまった。

 

 

 

続いては、幌筵泊地側からの今後の軍拡についての提言だ。

 

 

 

幌筵泊地は周辺国との軍事同盟を提案した。

 

 

 

まずまっさきに挙げられたのはアルタラスだ。

 

 

 

「……というわけで、最新の衛星による情報からも、アルタラス王国には空港があると言うことが確認されております。今後パーパルディア皇国と対峙する際に、この空港が使用出来れば、作戦に幅が出るものと考えています。」

 

「となると、外交の話にもなるな。アルタラス王国以外にも同盟を望む声があるかもしれん。」

 

「それについては外務省との調整となりますので、我々の一存では決められません。もうひとつ、気になったことが………」

 

「なんだい?」

 

「これを……」

 

 

 

 

そう言って、宇宙部門の転生者が取り出したのは衛星写真だった。

 

 

 

 

「これは、第八帝国、正式名称グラ・バルカス帝国の海軍基地らしき場所を撮影したものなんですが、注目すべきはこの軍艦です。」

 

 

ロデニウス連邦共和国内でも、列強レイフォルを滅ぼしたグラ・バルカス帝国については情報収集を急いでいた。

 

 

「これって……」

 

 

転生者全員が固まる

 

 

「「「大和じゃないか!!」」」

 

 

「はい、どう見ても大和です。さらに、各地の諜報員妖精が最近入手した情報によると、グラ・バルカス帝国は少なくとも近接信管を開発している恐れがあります。」

 

 

ロデニウス連邦共和国側の関係者も勉強してきているので、彼らの話は当然理解している。

 

 

「見た目大日本帝国、中身アメリカ合衆国って言うことか……」

 

「物量はアメリカ以上と見た方がいいです。」

 

 

宇宙部門が付け加える。

 

 

「これは、造船所を写したものなんですが、最近量産型軍艦の建造が始まっている様子です。」

 

「ガ○ラスみたいに万単位で揃えようってのか!?」

 

「間違いありません。それも駆逐艦や、フリゲートクラスから戦艦クラスまで揃える気ですね。」

 

「不味いな、航空隊の定数を倍、下手したら3倍にする必要が出てきたな。」

 

「ロデニウス連邦共和国空軍の戦闘機の更新も急がなくてはなりません。」

 

「一応自主開発になる予定だが、下手したら間に合わんな、F-16だと難しいから、F/A18Eを供与するかもしれん。」

 

「我々ロデニウス連邦共和国空軍としても全力を尽くす構えです。ですが、最悪の事態を備えて、幌筵泊地のみなさんも協力していただきたい。」

 

「もちろんです。」

 

「大和の装甲は対艦ミサイルで抜けるのか?」

 

 

そこは割と問題だった。なんせ、現代の対艦ミサイルの目標に戦艦は含まれていない。

 

 

「ASM-3改二なら問題ありませんが、全艦標準装備の対艦ミサイルではバイタルパートを抜けません。」

 

 

ASM-3改二とは、ASM-3に画像データ誘導能力と巡航ミサイル並の射程とマッハ5の速度を持たせ、戦艦等の装甲目標を仕留めることを主眼においた対艦ミサイルだ。発射可能な機体はF2スーパー改とA12アヴェンジャーを魔改造したA12Cノイ・アヴェンジャーのみだ。これ以外にも超音速ミサイルはあるが、いずれにせよ、搭載機が限られるのが現状である。しかも艦艇には搭載不可と来た。

 

 

 

「最悪数撃ち込んで無力化ってなるかもな………」

 

「だな、ミサイルがダメなら艦砲、魚雷は?」

 

「41cm以上なら抜けます。たかが大和に似てる程度で21世紀の技術で作られた大口径砲の砲弾が弾かれるわけがありません。魚雷についてももとよりそういう相手を目的に作ってあるので、なんの心配もいりません。」

 

「とはいえ、なんの対策もしない訳にもいくまい。」

 

「魚雷を当てるには音紋採取が必要だからな。」

 

 

基本的に軍艦のソナーか、ヘリなどから投下されるソノブイから音紋は採取している。

 

 

「もとより、ASM-3改二をベースに、既存の対艦ミサイル専用VLSから発射可能なSSM-3を開発中でしたからこいつを載せますね。」

 

「後、第二次世界大戦レベルとなれば核兵器を持っている可能性も考えられるぞ。」

 

「原始的な弾道ミサイルもな。」

 

 

ナチス・ドイツが大戦末期にV1を投入したのは有名な話である。

 

 

「ロデニウス連邦共和国国内にイージスアショアの建設を進めるか。」

 

「アー○バードも用意します。」

 

「パトリオットや、03式、THAADの配備も急がせろ。」

 

「核兵器の開発はやっているのか?」

 

「一応は、秘匿部門によると、指示さえあれば<皇帝>クラスでも数日で完成可能だとか」

 

「やべぇなうちの泊地。」

 

 

今更かよ、と突っ込みたい部分はあるが、ここでロデニウス連邦共和国側の代表者が挙手した。

 

 

「あの~、さっきからグラ・バルカス帝国の話題しか出てないのですが、最近国交を結んだムーやこの世界一の大国、神聖ミリシリアル帝国については何も研究しなくていいんですか?」

 

「あんなのグラ・バルカス帝国に比べたら全然平気、てか、グラ・バルカス帝国も敵じゃない。」

 

 

全員いっせいにそう言った

 

 

「ムーの戦艦なんぞたった今威力不足が指摘された対艦ミサイルでも撃沈出来るし、航空機も余裕で蹴散らせる。」

 

「神聖ミリシリアル帝国も最近入った情報によれば、ジェット機みたいなのを開発してるくせにレシプロ以下しか速度が出ないとかいう酷い有様。」

 

「てかさ、この世界の連中は魔帝対策してるとか言ってるけど、正直、万が一今魔法帝国が来ても、現状我々ロデニウス連邦共和国以外で対抗出来る国はいない。」

 

 

「嘘……でしょ……」

 

 

あまりの言い様に絶句する担当者。

 

 

「でも、グラ・バルカス帝国はどうなんですか?」

 

「神聖ミリシリアル帝国がギリ負けるかどうか、俺らからすれば数が多いとキツイが単体性能で見れば敵じゃない。」

 

「つまり魔帝にも勝てない。」

 

 

 

その事がわかるのはグラ・バルカス帝国が世界に宣戦布告してからはっきりするが、いずれにせよこの時は推測程度ではあるものの、おおよそはっきりとしていた。

 

 

「えぇ……」

 

 

 

 

まずは陸。グラ・バルカス帝国が大日本帝国に酷似した軍備をしているとなると、敵になるのはチハや、ハ号、やばめに見積もっても一式やチト、チヌやホリなら10式でどうにでもなる。(さすがに61式だと不味いところも出てくるかもしれないが。)オイ車が来ても全く問題が無い。てか、そもそも対戦車火器の充実しているロデニウス連邦共和国軍なら対戦車装備を持った歩兵でも余裕で勝てる。

 

 

続いて海。大日本帝国に似てるのなら、大和のような超弩級戦艦以外にも赤城や蒼龍と言った空母もいるはずだが、レシプロしか運用出来ない大戦空母なんぞ、軽空母ならF35Bを運用する幌筵泊地からすればただのカカシにしかならない。菊池にトマホーク撃たせとけ、戦艦については先程説明した通り。

 

潜水艦も余裕で撃沈可能。その他艦艇?、対艦ミサイルでも当てとけばよかろう。

 

 

空についても、ゼロ戦や、紫電改、烈風や飛燕では鴨撃ちに等しく、富嶽を運用してても余裕で止められる。

 

 

えっ?橘花はどうする?

 

 

心配いらん、鳳翔航空隊(F35B)が単機で1個中隊蹴散らしている。

 

 

 

 

「わ、我々はとんでもない存在を味方につけてしまったのかもしれない……」

 

 

怯える担当者だが、すまん、少々気づくのが遅い。

 

 

「で、とりあえずそいつらは置いておくとしてだ、ムーには提督が行って、国交を結んだし、神聖ミリシリアル帝国もそのうち接触することになるだろう。問題はパーパルディア皇国とアルタラス王国だ。アルタラス王国との関係をもっと深めるということで、近代兵器の供与を行うべきとのことだが、一体何を提供するべきだ?」

 

 

 

「ざっとこの辺じゃね?」

 

 

・61式戦車

・Mig28

・F-1支援戦闘機

・マイハーク級フリゲート(あさぎり型に近い)

・警備船

・UH-1

 

 

「ちょいお古だが、まぁいいか、ロデニウス連邦共和国は近々装備の更新するし、在庫処分にはちょうどいいな。」

 

「近々ルミエス王女が、大東洋諸国会議に合わせて来ロデするそうだ。その時に話してもらうってことでいいか?」

 

「来ロデって何よ……、てか俺らが決めてどうすんのよ……、外務省さんはそれでいい?」

 

 

 

その場に来ていた外務省関係者に確認を取る。

 

 

「はい、問題ないと思います。」

 

「じゃあそれで……、後はこれだな……」

 

 

 

そう言って持ち出したのは大陸戦争で回収された盾。

 

 

 

「この盾が古の魔法帝国のものであると言われたため、伝承なども参考にして、古の魔法帝国の技術力を見積もったところ、少なくとも我々と同水準レベル、下手したら上回っている可能性があるということだ。」

 

「この盾について調べてみましたが、隊員などの報告から少なくとも12.7mmまでは防ぐことはできるかと。」

 

「歩兵用の盾レベルでこれなら……」

 

「戦車レベルになれば120mmも防がれるかもな。」

 

 

多元の発言に全員が固まる。

 

 

「最悪我々が……、」

 

「お待ちください。」

 

 

秘匿部門の発言を遮ったのは、幌筵泊地転生者組の中でも最年長の小玉義雄である。

 

 

「これをご覧下さい。」

 

 

小玉が出したのは1枚の設計図

 

 

「これは??」

 

「私がまだ戦車の開発に携わっていた頃、近未来における戦車開発とは何か、と考え、設計していた新型戦車です。」

 

 

その戦車は、従来の戦車より大口径かつ、長砲身を有しており、また、防御面でも強力であろうと推測できた。

 

 

「名前は?」

 

「まだ決めていませんが、設計時にはXFHT-1と開発コードを振っていました。

 

「FUTURE HEAVY TANK(未来の重戦車)か、なるほど、理解した。開発を進めておいてくれ。」

 

「了解」

 

「大和型2隻の魔改造は?」

 

「魔法帝国復活までには間に合うでしょう、それが何時かは知りませんが、少なくとも明日とか近いうちでは無いはずですし。」

 

「エモールだったか?、が毎年出している予言らしいな。それにはまだ出てないらしいと……」

 

 

 

 

詳細がわかるのはしばらくしてからである。

 

 

 

 

「さて、そんじゃ大凡決まったところでよろしいですかね?」

 

「異議なし。」

 

 

 

 

これにて会議は終わった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

それからしばらく経ち、大東洋諸国会議にて

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………というわけで、我がマオ王国はロデニウス連邦共和国を危険な国とみなしている。なぜなら、前身の東部ロデニウス連合国は、自衛のためとはいえ、ロウリア王国を倒し、最終的に併合してしまったからです。」

 

 

何カ国かが、それに賛同する。

 

 

それに対し、ロデニウス連邦共和国側の代表者が発言を求める。

 

 

「我々は自衛戦闘以上のことをしません。我々の国の方針を定めた法律……、我々は憲法と読んでいますが、そこには<いかなる戦闘も侵略の為に行ってはならない>と記してあります。また、我々は第3文明圏外国に対するパーパルディア皇国の不当な圧力に対して、対抗したいと考えています。」

 

 

ここで、アルタラス王国のルミエス王女が発言を求めた。

 

 

「我が国はロデニウス連邦共和国の輸出品を使って国難を乗り越えました。しかし、さらなるパーパルディア皇国からの脅威に備えるためにも、ロデニウス連邦共和国には自国の兵器を輸出してもらいたいと思います。」

 

 

その通りだ。とネーツ王国

 

 

「貴国はパーパルディア皇国からの脅威に対抗出来る力があると聞いている。だからこそ、我々にもその力を分けて欲しい。圧力に対して対抗したいと言うならば、言うだけで無く実行してもらいたい。」

 

 

ここでロデニウス連邦共和国の代表者が発言を求める。

 

 

「もちろんです。我々ロデニウス連邦共和国は第3文明圏外国を中心とした軍事同盟を作り上げたいと考えています。」

 

「同盟加入のメリットは?」

 

「我が国の兵器の輸出と、その技術の提供、軍事訓練に、更には有事の際の軍事支援などを含めたあらゆる面でのサポートがあります。」

 

 

おお……

 

 

各方面から歓声が上がる

 

 

「ただし、同盟に参加出来るのは、現時点で我が国と国交を有する国のみとさせていただきます。それ以外の国に関しましては、国交締結後に別個でお話させていただくこととなります。」

 

「シオス王国です。我が国はこの同盟には参加しません。現時点で我が国はパーパルディア皇国並びにロデニウス連邦共和国共に関係は良好であるため、どちらかにつくということで双方の機嫌を損ねたくないからです。」

 

「もちろん同盟加入は任意です。各国の事情に合わせて選択してください。」

 

 

「アルタラス王国は参加します。」

 

「ドーパ王国も参加します。」

 

「ネーツ王国もです。」

 

 

この他の国はいずれも様子見となった(フェン王国は自国の諸問題によって不参加である)

 

 

多国間相互援助条約と呼ばれたこの同盟の通称はMMAT (Multilateral Mutual Aid Treaty)と呼ばれ、加盟国に対する軍事侵攻などに対して、加盟国全体で対処することを前提として締結された。

 

 

 

 

初期加盟国は以下の通り

 

・ロデニウス連邦共和国

・アルタラス王国

・ドーパ王国

・ネーツ王国

 

 

 

この同盟がこの世界にどのような影響を与えるのかはまだ誰も知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 







はい、軍事同盟と軍拡と、外交とが何とか終わりました………


これの投稿が終わる頃には多分序章が手直し(という名の改変)されていると思うので、そちらもぜひ見てください。



次回もお楽しみに!



間違い、指摘はコメント欄にお願いします。


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第10話 実録!、魔王討伐作戦



「Su-27Kは良い機体だが、魔王には火力不足だった。」

(ルーデルに戦果を譲ることになってしまったミハイの言葉)


というわけで、原作における魔王討伐をドキュメンタリー風に仕立ててみました。


 

 

 

 

 

1639年 11月

 

 

 

かねてよりDVD化が期待されていた、ロデニウス連邦共和国によるドーパ王国への魔王討伐作戦への部隊派遣をまとめたDVDがついに発売された。

 

 

 

以下はそれの内容である

 

 

(部隊編成と、太字はDVD内の字幕、それ以外は地の文)

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

♬︎♬︎♬︎♬︎♬︎♬︎~

 

 

ゴ○ラが出てきそうな音楽とともにビデオが始まる。

 

 

 

北方の国、ドーパ王国

 

 

 

ある日、突如として大量の魔物が群れを成して世界の扉を超え、ドーパ王国に攻め入ってきた。

 

 

警備番の生き残りから聞き取った情報を元にCG画像が流れる。

 

 

ドーパ王国からの要請を受けたロデニウス連邦共和国は直ちに部隊を編成し、対応することとなる。

 

 

画面に出撃する艦隊が映る。

 

 

そして、陣容が流れる

 

 

陸上部隊

 

10式戦車×10両

89式装甲戦闘車×15両

73式装甲車×10両

ジャベリン、84mm無反動砲、携帯型地対空ミサイルをそれぞれ100発ずつ

カミカゼドローン

 

 

海上部隊(具体的な装備は後ほど解説予定)

 

飛龍

蒼龍

鳥海

由良

比叡

高波

 

輸送艦8隻と護衛艦12隻(訓練のために派遣されたマイハーク級フリゲート)

 

 

航空部隊

 

 

A-10シュトゥーカII×32機(A-10魔改造機)

Su27K×5機

F/A18Eスーパーホーネット30機

AH-1S×20機

その他支援機多数

 

 

 

圧倒的な戦力を持ちながら、陸上部隊は最前線となり、何時魔王がやってきてもおかしくないトルメスに到着した。

 

 

ここからは現地部隊の撮影した記録映像が主体となる。

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国軍ドーパ王国派遣部隊陸上部隊司令官です。」

 

「ドーパ王国騎士団団長のアジズです。司令官殿、来て急にで申し訳ないが、もうすぐそこまで魔王が迫ってきている。奴らの進軍速度では明日にでもミナイサ地区が襲われるだろう。」

 

 

既に状況は逼迫していた、その時………

 

 

 

「マラストラスが出たぞー!!」

 

 

突如としてトルメス上空に現れたのは魔王軍のマラストラス。マラトラスと言えば、魔王の側近。変温動物であるワイバーンのいないドーパ王国にとって、この空飛ぶ魔物がどれだけ脅威であったのかは計り知れないレベルだった。

 

 

 

だが、こいつは直後、幌筵泊地所属のエースパイロット、ミハイ・ドゥミトル・マルガレータ・コルネリウ・レオポルド・ブランカ・カロル・イオン・イグナチウス・ラファエル・マリア・ニケタス・ア・シラージによって即座に撃墜された。

 

 

 

 

 

ガンカメラによって撮影された戦闘映像が流れる。

 

 

 

 

<<仕事が早いですねミハイ>>と僚機に言われたのに対して<<人々を危険に晒す訳にはいかないからな>>と答えたという

 

 

 

側近をあっさりと倒してしまうロデニウス連邦共和国軍の実力を見たドーパ王国は作戦遂行の一切をロデニウス連邦共和国軍側に委ねることにしたという。

 

 

 

そして、ついに、ドーパ王国、ミナイサ地区において、陸海空部隊の統合運用によるドーパ王国国内にて発生した魔王復活事案に対する討伐作戦案並びに各種軍事作戦、通称「ヤ○オリ作戦」が指導したのだった。

 

 

 

 

トルメス某所とテロップが流れ、映像が切り替わる。

 

 

 

 

 

 

「戦車並びに装甲戦闘車配置完了。」

 

「艦載機、所定の位置で待機中。」

 

「スピーカー、コンポ、セット完了、ヤ○オリ作戦用のCDもバッチリ入っています。」

 

「飛龍より入電、<そちらのタイミングで始めてよろしい>との事。」

 

 

 

「司令官、こちらはいつでもいけます。」

 

「しかし、ミナイサ地区の避難完了との報告がまだです。」

 

「いや、この期は逃せない、決行する。トーパ王国騎士団に対して作戦開始の合図を。」

 

「わかりました。トーパ王国騎士団並びにトルメス各所の詰所に対して連絡。以降24時間の外出自粛と屋内待機を要請。」

 

「了解、部隊コード<シンバシ>より入電、カミカゼドローン、全機発進完了、指定座標<ゼロポイント>通過。」

 

「では、ヤ○オリ作戦を開始する。

 

 

 

第1段階、陽動始め!」

 

 

 

 

(テロップ) 自爆突入型無人航空機「ウォーメイト」

 

 

 

 

 

 

冒頭のラッパに合わせて急降下しながら2体のオーガに向けて突っ込む様子が映像として流れる。

 

 

 

見事に命中し、爆発する。

 

 

 

 

「攻撃成功!、自爆突入型無人航空機、効果ありッ!」

 

「作戦第2段階、航空部隊攻撃開始!」

 

「了解、航空隊に連絡」

 

 

<<Hello This is BRAVO1.Target insight in engine.>>

 

<<Copy.>>

 

 

 

蒼龍攻撃隊F/A18Eスーパーホーネット

 

 

無誘導爆弾を大量に取り付けたスーパーホーネットが爆撃を開始する。

 

 

 

ドゴォォォォォォォォン!

 

 

 

爆弾の雨が降り注ぎ、魔物達が消し飛ぶ。

 

 

 

空襲は、第6派まで続けられ、魔物は吹き飛ばされつつも次の段階に向けて1箇所に固められた。

 

 

 

 

「目標の分断に成功!」

 

「キルポイント1へ誘導完了」

 

 

「作戦第3段階、海上部隊、攻撃開始!」

 

 

 

 

 

 

 

~戦艦比叡、重巡洋艦鳥海〜

 

 

「気合い、入れて、いきます!」

 

「撃てぇ!」

 

 

ドォーン!

 

バシューン!

 

 

比叡から41cm砲弾が、鳥海からは艦載型のMLRSから大量のクラスターロケット弾が放たれる。

 

 

 

 

固まっている魔物たちは動くことすらままならない。

 

 

 

 

ズドォーーーーーーーーーーーーーン!

 

 

 

画像からもわかる程、大地がひっくり返ったかのように、砲弾が落着し、土や石とともに魔物達が打ち上げられ、バラバラにされる。

 

 

 

面制圧を目的としたクラスターロケット弾と、Z弾の攻撃からは何者も逃れられない。

 

 

 

しかも、恐ろしいことに、比叡の41cm砲は毎分10発。

 

 

6秒に8発降ってくる計算。

 

 

こんなものの下に居たら、間違いなく死ぬ。

 

 

 

事実、砲撃された土地は見事に耕されていた。

 

 

 

「目標殲滅!」

 

「魔王及びその周辺、完全に孤立しました。」

 

「作戦第4段階、トマホーク、攻撃始め!」

 

 

 

そして、作戦はさらなる段階へと移る。

 

 

 

由良CICと、テロップが出たところで、由良のCICが映る。

 

 

「よーく狙って……、撃てぇ!」

 

 

CICにいる由良の掛け声とともに、画像が切り替わり、由良の前甲板から6発の高威力トマホークが発射される。

 

 

 

目標は魔王が乗る赤竜。

 

 

 

精密誘導が付近の森の中に潜んでいるロデニウス連邦共和国軍派遣部隊の偵察部隊の手によって行われているのも映る。

 

 

 

そして、トマホークが着弾する。

 

 

 

ドゴォォォォォォォォン!

 

 

場面が切り替わり、作戦本部が映る。

 

 

「殺ったか?」

 

 

この司令官の発言はフラグだと言われた。

 

 

当時の隊員が語る。

 

「トマホークの威力ってのは凄まじいもので直接的なエネルギーなら大和の主砲の100倍近くある高威力のトマホーク(エネルギー換算200万kJ)を6発撃ち込んでいるんだから周辺被害だけでも相当なレベルになるとまで言われていました。だからこそ、司令もああいった発言が出たのでしょう。」

 

 

ですが……、と隊員は続ける。

 

 

「我々は提督よりこう教えられていました。<効かぬなら 効くまで撃とう 弾はある>と………。効かないのなら効くようになるまで撃ち続ける方針でした。」

 

 

弾着観測班の連絡で、着弾の勢いで魔王は吹っ飛んだようだが、どうやら生きている。そして、赤竜もしぶといながら生きていたと報告を受けた。

 

 

ならば効くまで撃つ

 

 

 

再び由良からトマホークが6発、追加で鳥海からは8発放たれた。(後、比叡からも追加で4発発射)

 

 

さすがに今度は効いたようで、後にはクレーター以外、何も残らなかった。

 

 

 

 

ここで、魔王を観察していた部隊のカメラに切り替わる。

 

 

「大いなる大地の王よ、その絶大なる力を解放し、我が配下となりし古の魔人を呼び覚ませ。

 

 

エンシェントカイザーゴーレム!!!!」

 

 

 

グゴゴゴゴ・・・・

 

 

 

大地が盛り上がり、岩の塊が現れる。

 

岩は人の形をなし、動き始める。しかし・・・・大きい。

 

 

同行していたドーパ王国騎士団のモアの説明によれば、通常亜人最強の魔力を有すると言われるエルフ中で、最高クラスの魔導士が使役するゴーレムは高さ2mくらいであるが、このゴーレムは17mくらいの高さがある。

 

 

この映像はロデニウス連邦共和国軍陸上部隊の突撃部隊。10式戦車と89式装甲戦闘車によって構成された部隊は、残った魔王含めた勢力撃破のために森に隠れていた。

 

 

 

 

 

「下種な人間風情がァ、よくもオーガ達を……、我の手で直接葬り去ってくれるわ!」

 

 

この世のものとは思えない声で魔王は更に魔法を使用しようとする。

 

 

その様子は司令部からも見えていた。

 

 

「突撃部隊から入電!、突如として、巨大不明生物が出現した模様!」

 

「魔王らしき人影が接近中!」

 

「携帯式地対空ミサイルもってこい!」

 

「早くしないと殺られるぞ!」

 

 

映像にも入る司令部の慌てぶり、突如として現れた大型生物と、魔王自らが本陣に向けてやってくるという事態に大慌てする彼らだったが、結果的にこれは杞憂となった。

 

 

 

何故なら………

 

 

 

「魔界の王の名において命ず。魔界の獄炎の王、鳳凰、我の命により我に逆らいし愚かな敵を焼きt………」

 

 

魔法の詠唱らしき文言を唱えていた魔王がいきなり爆発を起こし吹き飛ばされたのだ。

 

 

 

しかし、奴の生命力はゴキブリのごとく強く、吹き飛ばされたとはいえ健在だった。

 

 

 

<<やはり1発では死なないか、だがまぐれで死んでもらってはつまらん>>

 

 

 

ミサイルを命中させ、追撃を加えていたのは上空を警戒していたミハイ。

 

 

ミサイルを当て続け、魔王を地上に追い落とす。

 

 

 

<<魔王は我々で地上へ落とす、予定通りの行動に移ってくれ>>

 

「わかりました、作戦最終段階、突撃部隊、行動開始!」

 

 

すぐさま地上部隊に連絡し、突撃部隊が行動する。

 

 

「了解、全軍突撃!」

 

 

森の中にいた突撃部隊がエンジンをふかしていっせいに突撃する。

 

 

 

音楽がエース○○バット6の「天○とダンス」に切り替わり、絶妙なタイミングでミハイが味方を鼓舞する。

 

 

 

 

<<行こうか、諸君>>

 

<<天使とダンスだ>>

 

 

 

再度飛び立とうとする魔王にすぐさまミサイルを当ててゆくミハイとその部下たち。

 

 

 

そして、突撃部隊が魔物たちに向けて攻撃を開始する

 

 

「ヒトマル、各車、射撃開始!」

 

「距離よし、撃てぇ!」

 

 

陸と空の緊密な連携の元、魔王と魔物達は追い詰められていく。

 

 

 

「あ・・・あれは・・・ま・・・まさか!!!」

 

「た・・た・・た・・・太陽神の使いの鉄龍!!!!」

 

「おのれ・・・人間どもめ!!!どおりでレッドオーガ、ブルーオーガ、赤竜や魔物たちがやられた訳だ!!!まさか太陽神の使いを・・・そんな大それたものを召喚していたとは!!!」

 

 

 

ここで、突然ロデニウス連邦共和国軍派遣部隊のことを太陽神の使者と呼ぶ魔王、詳細は不明だが、ギムで救出した1部のエルフ達も同じことを言っていた。

 

 

 

「チッ!!!!エンシェントカイザーゴーレムよ!!!眼前の敵を踏み潰せ!!!」

 

 

魔王の指示でゴーレムが動き出す。

 

 

 

「巨大不明生物、突撃部隊へ向け進軍中!」

 

「モアさん、あいつの弱点は?」

 

「胸にあるコアです。それを狙ってください!」

 

 

アドバイスを受けた隊長はすぐさま指示を出す

 

 

「ヒトマル各車に告ぐ、全車巨大不明生物の胸部に向け射撃用意!」

 

 

隊長の指示で10式戦車の主砲がエンシャントカイザーゴーレムの胸部を捉える。

 

 

「Fire」

 

「待ってました!」

 

 

正確な射撃によってゴーレムは倒され、トルメス周辺にとてつもなく大きな爆発音が鳴り響く。

 

 

 

残されたのは魔王のみ

 

 

「この期を逃すな、A-10、10式戦車、Su27K、89式装甲戦闘車、全部隊突撃せよ」

 

 

司令官は直ぐに指示を出す。

 

 

 

突撃部隊とともに上空にやってきたのはA-10サンダーボルトを幌筵泊地の爆撃のエース、ハンス・ウルリッヒ・ルーデル仕様に改装した特注品で、機体には2.5トン高性能爆弾が取り付けられていた。

 

 

 

本来は4000フィートから投下すべきものをエアブレーキ無し、垂直急降下を行い、投下地点は驚きの1300フィートを記録。

 

 

 

幸い、近くにいた突撃部隊は大慌てで退避したため、損害は出なかったが、危ないものである。

 

 

そして、爆弾が正確に命中し、大地を揺さぶらんばかりの爆発と振動、閃光を起こした。

 

 

後には巨大なクレーターが空き、もちろん魔王は跡形もなく消滅した。

 

           ・

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なお、このDVDは絶賛され、第3文明圏外国におけるロデニウス連邦共和国の友好国にも輸出され、各地で話題を呼んだという。

 

 

 

 

ちなみに、ムー国にも輸出され、今後のロデニウス連邦共和国との外交方針に大きく影響したとかしないとか……

 

 

 

 

 

 

 

 








はい、というわけで、ドキュメンタリー風、魔王討伐作戦でした。


原作でも、自衛隊の記録班がこういう感じでまとめたDVDを発売していたらと考えると夢がありますね。





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第11話 幌筵泊地によって生まれ変わったロデニウス大陸




「ホロムシロの力ってすげー」

(大型貨物船船長の言葉)



というわけで、最早かつてのロデニウス大陸とは似ても似つかないロデニウス連邦共和国です。


 

中央歴1639年12月

 

ロデニウス連邦共和国首都 ノイエ・ロデニウス

 

 

急速な発展に手狭となった旧首都クワ・トイネから新たに移転された首都で新しい鉄道の開業式典が行われようとしていた。

 

 

「ロデニウス環状新幹線の開業を宣言します!」

 

 

くす玉が割られ、祝福の紙吹雪とともにテープがカットされる。

 

 

 

ロデニウス環状新幹線

 

 

逼迫するロデニウス連邦共和国の鉄道需要に対して、ロデニウス連邦共和国国鉄と幌筵泊地転生者達による合同事業によって完成した異世界初の高速鉄道であり、転生者達が元いた日本でも例の無かった環状運転による新幹線だ。

 

ロデニウス大陸に建国されていた旧3カ国(クワ・トイネ、クイラ、ロウリア)の旧首都並びにノイエ・ロデニウスや経済発展によって作られた工業都市などを結びながらロデニウス大陸をぐるりと1周する形で完成し、コンクリート製高架橋やトンネル技術をふんだんに用いた結果、高速化を達成した。

 

全線を通した最高時速は360km/hを想定して設計され、1部区間では400km/hすらも到達可能な路盤を有している。

 

 

開業記念式典にはロデニウス連邦共和国国鉄取締役や、建設に携わった関係者、政府要人としてカナタ大統領などの多くの来賓がやってきた。

 

 

「それでは、ノイエ・ロデニウス駅駅長より1番列車の出発合図をお願いします。」

 

J○東日本をパクっt……、失礼リスペクトした白い制服に身を包んだ駅長がホームに待機する新幹線の先頭車両の横に立ち、出発の合図をする。

 

 

 

「出発、進行!!」

 

 

 

甲高い電子音の警笛を鳴らし、外回り1番列車であるのぞみ1号(どうしてそれを使ったかって?中の人が鉄だからだよ!)が出発する。

 

 

丸みを帯びた車体、青を基調としたデザイン。

 

カワセミをモチーフにした先頭車両

 

見るものを虜にするその見た目。

 

 

これもまた、転生者達(というより中の人のゴリ押し)によって異世界にて産声をあげた新幹線電車、500系である。

 

 

ただし、前後の車両を豪勢にしたり、体格の大きい異世界人に配慮したシートピッチや、配列の変更などを行った上で、モーターなどの電子部品の交換なんかも行ったため、全くの別物と化している。

 

 

最高速度は350km/hをたたき出し、加速性能も優秀で、車内の内装も相まってまさに看板特急と言える内容。

 

現在15編成が投入されており、更なる増備も見込まれる。

 

 

 

そして、他の駅でも……

 

 

 

「はくたか2号、出発、進行!!」

 

 

ジン・ハーク駅を出発したのは各駅停車型のはくたか号で、使用車両はE7系だ。オリジナルとは違い、グランクラスは廃止して、輸送力に特化、合わせてモーターなどを強化するなどの変更を行い、最高速度は320km/hとなっている

 

(出来るかは気にしてはいけないよ)

 

また、新幹線の整備と並行して、新幹線整備をするレベルでは無いものの、需要の大きな区間には路盤を改良した新線の開通と、そこを通る速達列車(スーパー特急的なやつ)を開業させ、速達化を図っている。

 

 

交通網の発達は鉄道だけにとどまらず、高速道路の整備も合わせて行われており、<ロデニウス連邦共和国全土どこからでも車で走って1時間以内に高速道路に乗れる>ことを目標に、高速道路の建設が進められている。

 

 

さらに……

 

 

「えっ?、民間機も扱うなんて聞いてませんよ!?」

 

 

びっくりしているのはハボクック。氷山空母である彼女は南国であるこの世界に転移したことで、船体崩壊のリスクがあったため、艤装の1部を空港に転用することで空港としてその姿を維持していた。

 

 

「頼む、ドーパ王国やらアルタラス王国やらムーやらへゆく民間線が逼迫してきてるんだ。新空港ができるまで小型機だけでも扱ってくれ!」

 

「でも、こっちにどうやって人を運んで来るんですか?」

 

「近くに貨物線があるだろ?」

 

「はい。」

 

「そこに仮設駅を作って、貨物線を走る臨時列車を通すことにした。幸い、小型機だけだからそこまで本数は多くならないと思う。」

 

 

仮設とは言え、駅を作るという言葉に反応する。

 

 

「一時期だけなんですよね??」

 

「一時期だけ。」

 

 

このまま恒久化しても困るので、ハボクックはそう言って念を押した。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国、クワ・コウベ

 

 

大型の貨物船に次々と荷物が積み込まれる。

 

 

「ムーと取り引きするようになってからというもの、ここの貨物の取扱量は今までの比じゃないレベルに上がっている。やはり重化学工業の輸出ができることが大きいな。第三文明圏外国との交易じゃあせいぜい雑貨や食糧がいいとこだった。」

 

 

港の管理者がそう漏らす。

 

 

 

ロデニウス連邦共和国の主要輸出品としては、ムーとの国交開設以前はクワ・トイネ県(旧クワ・トイネ公国地域一帯)の農産物や、転生者達の小遣い稼ぎの一環として始められた各種生活雑貨を中心としており、貨物船の規模もそれほどまで大きいものではなかった。

 

 

しかし、ムー国との国交締結が全てを変える。

 

 

クイラ県(旧クイラ王国地域)に作られたクイラ・ケイヒン工業地帯と、ロウリア県(旧ロウリア王国地域)からやってきた労働力を使い、ロデニウス大陸全土に張り巡らされた鉄道輸送網によって自動車、鉄鋼、石油、石油化学製品などを大量に生み出し、クワ・トイネ県のクワ・コウベ港から大型貨物船を使い一気にムー国へと輸出する。

 

 

自国で生み出した鉱産資源を自国で加工する。そして、圧倒的技術格差を利用して海外へ売りさばく。ロデニウス連邦共和国はこのやり方で莫大な利益を挙げ、後述する大軍拡への資金とした。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国国防省

 

 

「という訳でして、ロデニウス連邦共和国が今後まず第1優先していかねばならぬ国家は無論パーパルディア皇国ではありますが、それ以外にも近年影響を拡大し続ける第8帝国、通称グラ・バルカス帝国へも対応を迫られています。」

 

 

ロデニウス連邦共和国の国防を担うこの地で、転生者達の提言が成されていたのは、連邦共和国の今後の軍備だった。

 

 

「幸いなところに、目下の敵であるパーパルディア皇国は帆船程度の船しか持たないため、警備艇レベルでも何とかなりますが、間違いなく、グラ・バルカス帝国と戦う際には対艦ミサイルを装備、或いは装甲を貫徹可能な軍艦が必要になってくると思います。」

 

 

ロデニウス連邦共和国国防省の旧クワ・トイネ公国出身者がこう発言すると、各方面から意見が相次いだ。

 

 

「どうだろう、金剛型クラスの艦をロデニウス連邦共和国側でも量産したら良いのでは?」

 

「今はエージェイ級や、ギム級などの潜水艦の建造に忙しい。今後予定されている正規空母も建造ラインにのったらそんなものに時間を割く余裕はないぞ。」

 

「しかし、ヤマト型クラスと見積もられている敵の超弩級戦艦を対艦ミサイルだけで倒すのは難しいのでは?」

 

「対艦ミサイルをありったけ撃ち込めば何とかなるだろう。それにこれからの時代は航空主兵論だ、戦艦を保有する幌筵泊地のように上手く運用できる保証は無い。」

 

「戦艦はこちらの戦力をわかりやすく伝えてくれるいわば力の象徴だ、要らぬ争いを回避するのにも必要では?」

 

「金剛型クラスでは相手に侮られる可能性もある。長門クラスや、大和型並でないと難しいぞ。」

 

「だったらそのクラスの戦艦を作ればいい。」

 

「無茶だ、そんな予算は無いぞ。」

 

 

 

白熱する議論、尚ロデニウス連邦共和国が戦艦を保有するのはこれより更に時は流れ、先程槍玉に上がったグラ・バルカス帝国との戦争直前になるのだが、当の本人達はそんなことを知る由もない。

 

 

「とりあえず、我々幌筵泊地から新規で戦闘機を提供し、既存の機体は攻撃機運用するのはどうでしょうか?」

 

「確か現用機は対艦ミサイルを搭載できたと言ってたな。」

 

「ええ、こちらにあるのは提供予定の戦闘機です。」

 

 

そう言って転生者のひとりが紙を出す。

 

 

「これは……」

 

「私たち転生者が元いた世界ではアメリカと呼ばれている国が運用しているF16C戦闘機です。こちらを主力とし、F1は対艦攻撃と近接航空支援に専念させる方針です。」

 

「なるほど………、この機体は航空母艦への着艦は出来ますか?」

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍の正規空母推進派の官僚が転生者に質問する。

 

 

「かつてそのような事が検討されてはいましたが、様々な条件が重なった結果、不採用となりました。」

 

「なるほど、現状の艦載機はFV-8のみと……」

 

「ええ、しかし、提督含めた我々としても、ロデニウス連邦共和国が正規空母並びにその艦載機を取得できるよう、目下協議を重ねています。」

 

「お願いします。それと、カタパルトについてなんですが、今回建造計画として決定した船はこちらを検討しています。」

 

 

ロデニウス連邦共和国側が提示したのが次の通り

 

 

要目

基準排水量

62,580トン

満載排水量

79,758トン

全長

324.6 m

最大幅

75.5 m

吃水

11.0 m

最大速力

30ノット

乗員

2,300名

1,500名(航空要員)

搭載機

70機以上

 

 

「ウリヤノフスク級ですか、しかしこれならむしろニミッツ級や、或いは山東級でも良いのでは?」

 

「ええ、確かにそうです。しかし、これはあくまで計画です。実はロデニウス連邦共和国単体でカタパルトの設計、開発が上手くいかなかった場合、即座に切り替えられるように設計しているのです。」

 

「一応、我々からカタパルトを提供することもできますが……」

 

「いえ、迫る脅威に対して真っ先に対処していただくことになる幌筵泊地の方々にそこまでの仕事を負わせるわけには……」

 

 

どうやら自国単体で開発できたという実績が欲しいらしい。それなら話は別だ。

 

 

「となると、艦載機も自国開発ということになりますが、そちらについてはどのようなものにする方針ですか?」

 

「こちらです。」

 

 

担当者が図面を見せる。

 

 

それを見た転生者は唸った。

 

 

「FS-X初期案を空母艦載機化……」

 

「はい、空母艦載機に求められる性能として、対艦攻撃能力、空対空戦闘、十分な航続距離という要求を満たすために、海洋国家として類似の要件が必要だった日本を参考にしました。」

 

 

尚、これに電子戦機型も作られる模様。

 

 

そして、さらに支援機もぶっ飛んでいた。

 

 

「A-3スカイウォーリアーの改良機だと!?」

 

 

電子戦能力と早期警戒管制機としての能力をある程度持たせた早期警戒機型と、空中給油機型、対潜哨戒機型をそれぞれ用意していた。

 

 

(これすっ転ぶやつかな?)

 

 

と、転生者達は一同そう感じたらしいが、全員対パーパルディア皇国戦後の観艦式で度肝を抜かれることとなる。

 

 

「尚、これらの機体は空軍にも配備され、F-1などの機体の更新に使われる予定です。」

 

 

(;-ω-)ウームすごいヤツら……

 

 

 

こんなことがありながらも、ロデニウス連邦共和国の発展、軍備拡張は続いているのであった。




のっけからやべぇもんかましていますが、まだまだやばいです。次回は幌筵泊地の軍備や状況について詳しく書いていきたいと思います。

次回もお楽しみに!


間違い、指摘はコメント欄にお願いします


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第12話 最強泊地、幌筵泊地



はい、というわけで諸悪の根源、幌筵泊地の紹介です。


合言葉は

真面目に読むな!!


です。それではどうぞ





 

 

ロデニウス連邦共和国沖合、80km付近

 

 

護衛のマイハーク級フリゲートとともにジン・ハーク級砲撃型駆逐艦2番艦、ドルメーズⅠ世が幌筵泊地に停泊していた。

 

 

「お久しぶりです、閣下。」

 

「わざわざ船を使わなくても飛行機で来れば良かったのに、久しぶりに神通と演習でもしたかったのか?」

 

「いやぁ、あれはもう、一度受ければいいものです。」

 

 

出迎えた多元の元に現れたのはロデニウス連邦共和国海軍きっての名将、エルガ=ドルメ中将だ。さすがの彼も神通の昼夜問わない鬼訓練は身にこたえたようで、顔が引きつっている。

 

 

「まあ、そうだろ、傍目から見させてもらっていた俺でも引くレベルだからな……」

 

「それで、閣下、本日はどのような要件でお呼びになったのですか?」

 

「うむ、その件なんだが、ここではなんだ、とりあえず執務室に向かおう。」

 

 

そう言って、ドルメと多元は歩き出す。その後ろから何人かが合わせてついてくる。

 

 

 

 

 

ドルメ幕僚団

 

 

ドルメ中将率いる第七艦隊の優秀な軍人のことを、ロデニウス連邦共和国の一部ではそう呼ぶ。

 

 

メンバーは

 

ヴェル・バイデン(ドルメーズⅠ世艦長)

ライド・ゲットン(第七艦隊空母「デバッケン」航空隊隊長)

フォトム・バーガン(第七艦隊、駆逐戦隊長)

カリル・クライツェン(現代式魚雷戦並びに対艦ミサイル飽和攻撃を北上より伝授される)

 

 

 

そもそも、この第七艦隊自体が最初から遠洋作戦を前提として創設された艦隊となっており。

 

 

本隊(ドルメーズⅠ世並びに護衛のマイハーク級フリゲート)

機動部隊(デバッケン並びに護衛のマイハーク級フリゲート、本隊と一緒にいる場合が多い)

駆逐戦隊(マイハーク級フリゲートのみで構成、突撃担当)

突撃支援隊(マイハーク級フリゲートのみで構成、駆逐戦隊と共に突入し、主に雷撃や、対艦ミサイル飽和攻撃などを担当)

▶︎というのも、戦艦などを相手取る場合、対艦ミサイルだけでは威力不足であり、確実に仕留める必要がある。

 

 

機動部隊からの攻撃支援を受けつつ、駆逐戦隊と突撃支援隊による砲撃と撹乱でトドメを刺すという戦術は、ロデニウス連邦共和国艦隊で勝てるものは無く、幌筵泊地にはボコボコにされるものの、かの第二水雷戦隊旗艦である神通に「幌筵泊地を除けば世界一」と評される艦隊である。

 

 

 

 

そして、そんな彼らをわざわざ呼び寄せた理由とは?

 

 

「君たちの艦隊を更新したい。」

 

「と、申されますと?」

 

「具体的には、旗艦の変更、一部艦艇の変更を行う。パーパルディア皇国の脅威が差し迫る中で、遠洋作戦に従事することを前提とした貴殿らの艦隊の強化は不可欠だ、ロデニウス連邦共和国側でも増強は進めてはいるが、手っ取り早く行うなら我々がやるべきだろうと思ってね。」

 

「なるほど、それで用兵側である我々の意見を求めたという訳ですね。」

 

「うむ、これがその陣容だ。」

 

 

本隊 ダイタル級巡洋艦「ドルメーズII世」、ジン・ハーク級砲撃型駆逐艦×1、マイハーク級フリゲート×3

 

機動部隊 エージェイ級航空母艦「デバッケン」、ジン・ハーク級砲撃型駆逐艦×1、マイハーク級フリゲート×3

 

駆逐戦隊 ジン・ハーク級砲撃型駆逐艦「スヌーケン」、マイハーク級フリゲート×10

 

突撃支援隊 改ドルシラン級ミサイル駆逐艦「ドルシラン」、マイハークII級フリゲート×8隻

 

 

ここで、新しく出てきた艦について解説すると

 

 

ダイタル級巡洋艦

 

全長 200m

最大幅 26m

機関 COGAG

速力 33ノット

兵装 155mm連装砲×2基、Mk41VLS×2基(セル数112セル)、対艦ミサイル発射筒×12基、SeaRAM×2基、12.7mmRWS×2基、25mm機関砲×2基、47式魚雷発射管改(短魚雷、長魚雷両方に対応)

艦載機 SH60K×2機

備考 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の中期モデル並のイージスシステムを搭載

 

 

 

改ドルシラン級ミサイル駆逐艦

 

 

全長180m

全幅18m

機関CODAG

速力35ノット

武装127mm速射砲×1基、ファランクスCIWS×2基、Mk41VLS×2基、47式魚雷発射管改(短魚雷にも対応)、対艦ミサイル専用VLS×1基(セル数24)、12.7mmRWS×2基、25mm機関砲×2基

艦載機SH60K×3機

備考ミニイージスクラスの防空能力有り

 

 

 

 

マイハークII級フリゲート

 

 

全長130m

全幅13m

速力35ノット

機関COGAG方式

兵装76mm速射砲、ESSM発射機、アスロック発射機、ファランクス×2基(艦前方と艦後部にひとつずつ)、SSM発射機×8、12.7mmRWS×2基、25mm機関砲×2基、ファランクスCIWS×2基

 

 

 

 

「おぉ……、素晴らしい。これで我が艦隊は更に高い戦果を望めることになります。」

 

「なるべく早く更新するつもりだ、乗組員の訓練なんかも並行して行ってもらいたい。」

 

「わかりました。早速取り掛かりたいと思います。」

 

 

 

これにて要件は全て終わったのだが……、

 

 

 

「多元元帥、ひとつお願いがあります。」

 

「なんだね?」

 

「幌筵泊地を見学したいのです。前々からこちらに来る機会は多かったものの、その全容を見ることはなかなかできませんでした。ロデニウス連邦共和国の軍人として、是非とも幌筵泊地の全容を見てみたいのです。」

 

「なるほど、わかった。私が案内しよう、ちょうど仕事も一段落したところだ。ドルメ幕僚団御一行幌筵泊地見学ツアーと行こうじゃないか。」

 

 

 

こうして、多元とドルメ、そしてドルメ幕僚団は幌筵泊地の見学に出発することとなる。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

幌筵泊地、乾ドック

 

 

転移以降、艦娘は艤装としての装着が不可能になったが、依然として各艦娘は艦長として己の艦の指揮を取っており、整備もまた普通の船と変わらないものとなっている。

 

 

そして、ここでは現在3隻の艦が点検を受けている。

 

 

「左から順に、神風、如月、不知火だ。」

 

 

読者諸君からすれば、あっさり外見が想像出来るかもしれないが、ここは魔改造の巣窟、幌筵泊地。当然全く異なる。

 

 

 

 

全艦現代化改修済みである

 

 

 

 

当初、幌筵泊地では、海防艦をもがみ型に、防空駆逐艦などの特殊駆逐艦を除く全ての駆逐艦をあさひ型にしようとしたのだが、一部の旧式艦由来の艦娘はこの魔改造に耐えられないことが判明。結果として、幌筵泊地では現在駆逐艦以下の艦娘について次のように魔改造した上で運用している。

 

 

 

 

 

海防艦艦娘、神風型駆逐艦艦娘、松型駆逐艦艦娘

 

ベース:もがみ型

諸元表

全長 140m

最大幅18m

機関 CODAG

速力 30ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、12.7mmRWS×2基、Mk41 VLS×1基(ベースとは違い、ESSM対応)、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数12セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)

艦載機 SH60K×1機

備考 対空ミサイルの運用に関して若干の変更があるものの、概ねもがみ型に寄せているため、機雷戦などにも対応可能

 

 

 

睦月型駆逐艦艦娘、Z1型艦娘

 

ベース:あさひ型

諸元表

全長 160m

最大幅 20m

機関 COGAG

速力 35ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41mod.9VLS、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数24セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×2基

艦載機 SH60K×2機

備考 レーダー類はあさひ型に準ずる

 

 

 

秋月型、島風、吹雪除く残り全ての駆逐艦艦娘

 

ベース:あさひ型+あきづき型

諸元表

全長 170m

最大幅 22m

機関 COGAG

速力 35ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41mod.9VLS、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数24セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×2基

艦載機 SH60K×2機

備考 陸自の03式中距離地対空誘導弾(改)を艦対空ミサイル化させた48式艦対空誘導弾の運用能力、並びに僚艦防空能力あり

 

 

 

吹雪

 

ベース:見た目もがみ型、中身オリジナル

諸元表

全長 175m

最大幅 24m

機関 COGAG

速力 37ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41 VLS(セル数48セル)、誘導弾発射筒×12基(SM-6や極超音速対艦ミサイルの運用が可能)、対艦ミサイル専用VLS(セル数32セル)、5連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mm、25mmRWS各2基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基

艦載機 SH60K×1機、UAV×2機

備考 イージスシステムの半分並の艦隊防空能力を持つ他、あさひ型のFCS-3より進化したFCS-4を搭載

 

 

 

秋月型

 

ベース:まや型

諸元表

全長 180m

最大幅 26m

機関 COGAG

速力 35ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41 VLS(セル数合計96セル)、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数24セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×2基

艦載機 SH60K×2機

備考 レーダー類ははぐろに近い

 

 

 

島風

 

ベース:まや型だが変更点多数

諸元表

全長 180m

最大幅 26m

機関 COGAG

速力 37ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41 mod.HOROMUSIRO(特注品、セル数合計200セル、VLSから発射可能な全てのミサイルと、ASM-3の艦対艦ミサイル仕様であるSSM-4の運用能力あり)、5連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mm、25mmRWS各2基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基

艦載機 SH60K×1機、UAV×1機

備考 イージスシステム搭載

 

 

 

 

これが駆逐艦艦娘の全てであるが、読者諸君は不思議に思わないだろうか?

 

 

 

「なぜ対艦ミサイル専用VLSなんてものがあるのか?」

 

 

 

この理由は幌筵泊地が今のような規模でない頃に深海棲艦1万隻の大艦隊によって襲撃された際、緊急で取り付けた対艦ミサイル発射筒が役に立ったということがあり、圧倒的性能差を数によって覆されないために幌筵泊地では対艦ミサイル飽和攻撃を単艦で行えるレベルにまで用意しているのだ。

 

 

 

 

 

そして、見学中の一行に、歩いてくる女性がいる。

 

 

「お久しぶりですね、ドルメ中将」

 

「神通教官!!、お久しぶりです。」

 

 

現れたのはドルメ含めた第七艦隊の教官であった川内型軽巡洋艦2番艦の神通だった。

 

 

 

「今日はどうされたのですか?」

 

「はっ、多元閣下の案内で、幌筵泊地の見学に来ております。」

 

「巡洋艦はもう見たのですか?」

 

「いえ、これからの予定です。」

 

「では、私が案内しましょう。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

神通に連れられ一行は巡洋艦が演習しているエリアに向かう

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「これは………、すごい!!」

 

 

ドルメが感嘆を漏らしたのは、幌筵泊地に所属する巡洋艦達が一同に会して演習している様子だった。

 

 

 

幌筵泊地の魔改造によって改装された巡洋艦は従来の区分けと異なる方法で大きくわけて7種類に分類することができる。

 

 

 

長良型、球磨型(重雷装巡洋艦娘除く)、天龍型、アトランタ除く全海外軽巡洋艦艦娘

 

 

ベース:ズムウォルトは意識しているが、違いが目立つ

 

諸元表

全長 210m

最大幅 27m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲(毎分40発)、Mk41 VLS(セル数合計160セル)、57mm速射砲×2基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数48セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×4機

備考 後部のヘリ甲板が広く取られている。また、本級以降よりイージスシステムの発展型であるアドバンスド・イージスシステムを搭載、元の10倍以上の対空性能を持つ(本級は10倍)

 

 

 

川内型

 

 

ベース:長良型等から更に発展させたもの

 

諸元表

全長 220m

最大幅 30m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲×3基(毎分42発)、Mk41 VLS(セル数合計160セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数48セル)、4連装魚雷発射管×4基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 夜戦能力を重視、アドバンスド・イージスシステム搭載(元の12倍)

 

 

 

 

阿賀野型、夕張型、大淀型、香取型

 

 

ベース:特になし

 

諸元表

全長 240m

最大幅 35m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲×4基(毎分40発)、Mk41 VLS(セル数合計240セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数48セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機

備考 香取型のみ要人専用の区画あり、アドバンスド・イージスシステム搭載(元の15倍)

 

 

 

 

重雷装巡洋艦娘

 

 

ベース:キーロフ級、ズムウォルト他

 

諸元表

全長 240m

最大幅 40m

機関 艦船用核融合炉

速力35ノット

兵装 155mm単装砲×2基、57mm速射砲×2基、Mk41 mod.HOROMUSIRO(特注品、セル数合計300セル、VLSから発射可能な全てのミサイルと、ASM-3の艦対艦ミサイル仕様であるSSM-4の運用能力あり)、5連装魚雷発射管×6基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の12倍)、島風、後ほど紹介する扶桑型と共に重ミサイル打撃艦隊を編成

 

 

アトランタ

 

 

ベース:特に無し

 

諸元表

全長 220m

最大幅 35m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲×3基(毎分45発)、Mk41 VLS(セル数合計300セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数36セル)、5連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の18倍)

 

 

 

 

高雄型、航空巡洋艦除く全重巡洋艦艦娘(以降ベース無し)

 

 

諸元表

全長 260m

最大幅 40m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 203mm三連装砲×4基(毎分20発)、Mk41 VLS(セル数合計320セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×4基、対艦ミサイル専用VLS(セル数64セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の20倍)

 

 

 

 

高雄型

 

 

諸元表

全長270m

最大幅 45m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 203mm三連装砲×4基(毎分25発)、Mk41 VLS(セル数合計360セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×4基、対艦ミサイル専用VLS(セル数64セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の25倍)

 

 

 

 

航空巡洋艦艦娘

 

 

諸元表

全長 280m

最大幅 100m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 203mm連装砲×2基(毎分20発)、Mk41 VLS(セル数合計160セル)、57mm速射砲×2基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数32セル)、4連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mmRWS×4基

艦載機 F35D(カタパルト、折りたたみ機構に対応させたF35B)×6機、SH60K×2機

備考 本級のみイージスシステム搭載、V字型の飛行甲板を有し、後述の伊勢型とともに航空水上打撃艦隊を編成

 

 

 

 

 

 

「あれ?、電話だ……」

 

 

多元が一旦その場を離れる

 

 

「えっ?、うp主?、尺が詰まるから残りは次回に回せって?、わかった。」

 

 

 

 

次回に続く




えっ?、これじゃあ艦これ要素が無いって?



気にするな!!



次回は残った艦艇と航空隊、その他もろもろです。



次回もお楽しみに!!


間違い、指摘はコメント欄までよろしくお願いします。


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第13話 (絶対に)敵にまわしたくない泊地、幌筵泊地



はい、というわけで前回唐突に打ち切られてしまった幌筵泊地紹介編の後編です。


真面目に読まないように


本日もぶっ壊れます。



それではどうぞ



 

 

幌筵泊地地下ドックにて

 

 

「ここで戦艦の整備を行っているのですか?」

 

 

ドルメの質問に多元が答える

 

 

「ああ、上だけだと数が限られるからな、ちなみに空母もここで行っている。

 

「空母ですか?、私としては教官だった鳳翔航空隊の方々にお会いしたいのですが……」

 

 

ゲットンがそう要望する。

 

 

尚、空母鳳翔は、最近になって大規模な改修を受け、S/VTOL機を運用する軽空母から、CATOBAR機を運用する空母へと変貌したのだ。

 

 

その改装期間中に、ゲットンは鳳翔航空隊の戦闘機部隊、「雷光隊」から現代戦闘機の手ほどきを受けていたのだ。

 

 

「鳳翔は今訓練中だからな、ちょっと厳しいな。」

 

 

そう言いつつも、地下ドックを案内しながら幌筵泊地所属艦艇について紹介していく。

 

 

 

 

鳳翔、千歳型を除く全軽空母

 

 

モデル:いぶき、ひゅうが

 

諸元表

全長 270m

最大幅 44m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

艦載機 F35B×15機、SH60K×4機、EV-22サンダー・オスプレイ(早期警戒機型)×2機

兵装 Mk41 VLS(セル数32セル)×1基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×4基

備考 防空システムはひゅうが型に近い

 

 

 

 

 

千歳型

 

 

モデル:クイーン・エリザベス級航空母艦のカタパルト搭載仕様

 

諸元表

全長 290m

最大幅 84m

機関 艦船用核融合(高速型)

速力 38ノット

艦載機 F/A18H キャリアー・ホーネット(大量のミサイルを積むことを前提としたF15 2040Cのホーネット版)×8機、F-22N(元ネタと違い実機に近い)×8機SR-73Bダークスター(マーベリックにでてきたやつの艦載機型、武装はエスコン仕様)×8機、無人戦闘機(MQ-99みたいなもん)×20機、E-2Dホークアイ×2機、SH60K×8機、MV-22×4機

兵装 Mk41 VLS(セル数32セル)×2基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×6基

備考 汎用護衛艦並の対空能力あり

 

 

 

 

 

 

鳳翔

 

 

モデル:CGの空母ほうしょう

 

諸元表

 

全長 290m

最大幅 78m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

艦載機 F14Eハイパートムキャット(機関砲以外にエスコンのPSLSみたいなやつを積んだASF-14、建御雷も同様のものを艦載)×8機、F/A18Eアドバンスド・ホーネット(ブロック3要素も入ってる)×8機、E-2Dホークアイ×2機、SH60K×3機、MV-22オスプレイ×2機

兵装 Mk41 VLS(セル数32セル)×1基、SeaRAM×6基、25mm機関砲×4基

備考 戦闘機はトップガン仕様の塗装

 

 

 

 

 

 

 

大鳳除く軽空母以外の空母

 

 

モデル:フォード級航空母艦

 

 

諸元表

全長 350m

最大幅 95m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

艦載機 F-31グレイファルコン(FC-31の西側版だと思っていい)×32機、A-12ノイ・アヴェンジャー(超音速化したアヴェンジャーだと思っていい)×32機、EA18G×8機、E-2Dホークアイ×2機、SH60K×6機、MV-22オスプレイ×4機

兵装 21連装RAM発射機×2基、Mk41 VLS(セル数32セル)×2基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×6基

備考 汎用護衛艦並の対空能力あり

 

 

 

 

大鳳

 

 

モデル:アドミラル56

 

 

諸元表

全長 400m

最大幅 120m

機関 艦船用核融合炉

速力 37ノット

艦載機 Su75(艦載機仕様)×16機、F31グレイファルコン×16機、A-12ノイ・アヴェンジャー×16機、F-22N×16機、EA18G×8機、E2Dホークアイ×2機、SH60K×8機、MV-22オスプレイ×4機

兵装 21連装RAM発射機×2基、Mk41 VLS(セル数32セル)×2基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×6基

備考 電子戦能力あり、汎用護衛艦並の対空能力あり

 

 

 

 

「これが幌筵泊地の洋上航空戦力……」

 

「いや、一応まだある。」

 

「えっ!?」

 

 

驚きを隠せないドルメ幕僚団

 

 

「これが伊勢型だ。」

 

 

 

伊勢型

 

 

モデル:虎狼型

 

 

諸元表

全長 350m

最大幅 120m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 51cm連装砲×2基、Mk41 VLS×2基(セル数240セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×4基、対艦ミサイル専用VLS(セル数32セル)、4連装魚雷発射管×2基(短魚雷のみ)、12.7mmRWS×6基、25mm機関砲×6基

艦載機 F35D×16機、E-2D×2機、SH60K×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の14倍)、航空巡洋艦とともに航空水上打撃艦隊を編成

 

 

 

 

「お、恐ろしい……、航空戦力だけでこれだけの数を有しているのにまだ砲戦戦力の要である戦艦もいるのか……」

 

「まぁ、戦艦は正直なところ時代遅れなところもあるが、装甲が分厚い船もいたもんだから相変わらず必要だ。」

 

 

 

 

扶桑型

 

 

モデル:扶桑型以降は無し

 

 

諸元表

全長 300m

全幅 40m

機関 核融合炉

速力 33ノット

武装 650mm三連装ガンランチャー×2基、76mmスーパー・ラピッド砲×4基、57mm機関砲×4基、複合CIWS×8基、48式複殻型VLS(前後合わせ250セル)、大型ミサイル用煙突型VLS×1基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスドイージスシステム(元の16倍)などを搭載

 

 

 

 

 

この大型ミサイルから発射されるのは大型対地・対艦攻撃用ミサイル「48式大型対地・対艦誘導弾 ABM-1(Anti Boss Missile)」といういかにも物騒な兵器である。

 

 

kh-22や、東風21などの東側の大型ミサイルを参考に開発されたこのミサイルのスペックは次のようになっている。

 

 

名称 ABM-1

全長 12m

直径 3.2m(両翼展開時)

最高速度 マッハ6

射程 1500km

弾頭重量 1200kg

 

 

 

 

 

 

 

金剛型

 

 

諸元表

全長 320m

全幅 40m

機関 艦船用核融合炉(高速型)

速力 38ノット

兵装 48cm連装砲×4基、57mm機関砲×6基、VLS×2基(セル数270セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基、20cm艦首陽電子衝撃砲×1基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の20倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

 

アイオワ級を除く全海外戦艦

 

 

諸元表

全長 330m

最大幅 48m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 48cm三連装砲×4基、57mm機関砲×6基、VLS×2基(セル数300セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の23倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

 

 

アイオワ級戦艦

 

 

 

諸元表

全長 350m

最大幅 50m

機関 艦船用核融合炉(高速型)

速力 40ノット

兵装 51cm三連装砲×4基、57mm機関砲×6基、VLS×2基(セル数320セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の25倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

 

 

長門型戦艦

 

 

諸元表

全長 380m

最大幅 55m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 55cm三連装砲×4基、57mm機関砲×8基、VLS×3基(セル数330セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基、28cm艦首陽電子衝撃砲×1基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の30倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

「な、なんとも恐ろしい性能ですな……」

 

「なぁに、君たちなら勝てるだろ」

 

「「ムリです!」」

 

 

*実際、演習時に長門にドルメは初弾で轟沈させられている

 

 

 

(ま、大和型は今はまだ秘密だからな)

 

 

 

ここで、読者諸君には特別にその一部をお見せしよう

 

 

 

 

全長 700m(武蔵は634メートル)

全幅 90m

全高 160m(水中観測室含む)

推進方法 電気推進

速力 最大120ノット

機関 II型艦載用核融合炉×6基

武装 長砲身88cm3連装速射砲×4基(毎分90発)、20.3cm陽電子衝撃砲×2基(威力を落として速射性を上げている)、12.7cm連装高角砲×20基(毎分180発)、複殻式VLS(320セル)×4基、煙突型多目的VLS(32セル)×1基(武蔵は装備せず)、???×1基(まぁ、アレっぽいやつだと思ってください)、他武器多数

艦載機 新型垂直離着陸機×60機(武蔵は20機)

備考 現在改装中

 

 

 

 

 

こんなもん見せられたら全員ひっくり返りかねない

 

 

 

だが、結局全員ひっくり返りこととなる。

 

 

その他もろもろを見てしまったからだ。

 

 

 

「そういえば、幌筵泊地の陸上戦力や、基地航空隊なんかも気になりますね、良かったら見せて貰えますか?」

 

「さすがはドルメ、情報収集熱心だな。ついてきなさい」

 

 

 

歩き出す一行

 

 

 

幌筵泊地、航空基地

 

 

 

「こっ、これは………」

 

 

唖然とするドルメ幕僚団。

 

 

 

航空部隊(若干変更あり)

17戦闘機航空団(一個航空団36機)

第1航空団(所属機F15J改)

第2航空団(所属機F/A18E)

第3航空団(所属機J10)

第4航空団(所属機トーネードADV)

第5航空団(所属機F15改二)

(F15EXとSu30的要素の入った魔改造機)

第6航空団(所属機Su30)

第7航空団(所属機タイフーン)

第8航空団(所属機F22)

第9航空団(所属機F2スーパー改)

第10航空団(所属機ラファール)

第11航空団(所属機F35A)

第12航空団(所属機F-CK-1)

第13航空団(所属機Su37)

第14航空団(所属機Mig35)

第15航空団(所属機KF21)

第16航空団(所属機Su75)

第17航空団(所属機F3A)

(YouTubeで動画検索するとCGで出るやつ)

 

 

そして、ストレンジリアルなどから何故か参加した人外ズ

(エースコンバット主人公+その他エース)

30人強(司令直属航空団として第118戦術航空団を編成した)

 

 

ハボクック航空隊

JAS39Eグリペン1200機

 

 

幌筵洋上打撃航空艦隊

(対艦攻撃特化の脳筋部隊)

 

 

・制空隊

ミラージュ4000 64機

 

・直掩隊

F16V 96機

 

・先行打撃隊

J20 96機

 

・主隊(第1陣)

F-2 128機

 

・主隊(第2陣)

Tu22M 64機

 

 

 

支援隊

E-3センチュリー、EA18Gグロウラー、KC-46

 

 

 

(ちなみにまだ増える)

 

 

 

爆撃機、攻撃機航空団

1個航空団108機

第1爆撃航空団(所属機B1ランサー)

第2爆撃航空団(所属機B2スピリット)

第3爆撃航空団(所属機B21)

第4爆撃航空団(所属機B52)

特設航空軍団所属Sturzkampfgeschwader

(A-10の大佐魔改造機、ここだけ16機)

対地攻撃航空団

(所属機Su25、AC130、A-10)

戦闘爆撃航空団

(所属機F111、トーネードIDS、F3ストライク心神、Su34)

 

 

偵察、電子戦航空団

E767

EA18G

E2D

RF4

グローバルホーク

EC2

A350-900ULRを魔改造した早期警戒管制機

 

その他もろもろ

UH60、KC767、KC46、A350-900ULRを魔改造した空中給油機、U4、C-2、C130、C-17、C-5、P3C、P1対潜哨戒機、SH60K

 

 

 

超大型飛行艇「白鳳改」

正式名称 武装輸送飛行艇

全長 33m

全幅 42m

全備重量 64000kg

最高速度 940キロ

巡航速度 900キロ

航続距離 12000km

武装 20mmバルカン砲×4基、近距離ミサイル×6発

乗員 8名

乗客 装備状態の艦娘20名と人間40人

機関 耐水性ターボファンエンジン×4基

備考 純粋な輸送型や、防弾性を上げ、即時展開型もある

 

 

 

 

超弩級輸送飛行艇「噴式蒼空改」

 

全長 100m

全幅 110m

全高 25m

最大積載量 400トン

エンジン 噴式金星改8基

最高速度 880km/h

巡航速度 840km/h

航続距離 最大16500km

蒼空改の貨物室については次の通り

長さ 70m

幅 10m

高さ 10m

 

 

 

「ほ、幌筵泊地は神の軍隊なのか??」

 

「つくづく味方でよかった……」

 

「まだ陸があるぞ?」

 

「!!!( ゚д゚)ハッ!!!!」

 

 

 

陸上部隊

10式戦車

89式装甲戦闘車

ゲパルト対空戦車

16式装輪戦闘車

96式装輪装甲車

MLRS

99式自走榴弾砲

19式自走榴弾砲

12式地対艦誘導弾

03式地対空誘導弾

11式地対空誘導弾

パトリオットミサイル

AAV7

AH-64

AH-1S

MV22

UH60

その他もろもろ自衛隊装備

 

 

「そして、特殊生物対抗のための特生自衛隊という存在もいる。」

 

「確か、フェン王国の軍祭で風竜が確認されたからでしたっけ?」

 

「そうだ。」

 

 

 

特性自衛隊(ただのロマン)

10式戦車

ミサイル戦車

1式装甲車

99式指揮通信車

AH-88

C-4輸送機

大型指揮戦闘機(スー○ー○○では無いはず)

全長 40m

全幅 60m

全高 8m

装甲 航空機用特殊複合装甲

動力 核融合炉ターボファンエンジン

武装 76ミリ砲、対地ミサイル等

 

重強化歩兵部隊

強化歩兵部隊

 

 

 

「コレなら魔法帝国にも勝てますね!」

 

「まだ増えるぞ?」

 

「Σ(゚д゚;)えっ?」

 

 

 

新設

 

エスコン各種超兵器、宇宙戦艦ヤマトに登場した航空機(こっちは可能なら)

 

 

 

増強予定

 

ミサイル艇30隻

新波号型潜水艦(紺碧の艦隊に出てくるロ型潜水艦が現代チックな見た目と対艦ミサイルの運用が可能になったと思ってくれれば良い)45隻

▶️それぞれ15~20隻増強予定

 

航空団8個以上

 

 

 

「…………」

 

「元帥閣下は一体何を想定して軍備拡張を進めているのですか?」

 

「もちろん、古の魔法帝国だ。」

 

「か、過剰では?」

 

「いずれ復活するであろう古の魔法帝国相手にそのようものは不要では??」

 

「う、うーん……」

 

 

ダメだ、ドルメ幕僚団まともに答えられない。

 

 

 

(ま、いざとなったらこいつらぶっぱなせば解決するんだけどね)

 

 

周囲にまともに明かせない兵器が次の通り

 

 

移動式発射台(何とは聞くな)

36台

 

特殊衛生部隊(何を扱うかは聞かないこと)

901、902、903部隊

(ヒント大宮駐屯地)

 

 

 

まぁこれを使うのはほんとに存亡間際か、よっぽどアホな奴ら(国家)がケンカ売ってきた時だけである。

 

 

 

はてさて、これにて幌筵泊地紹介編はこれまで。次回より本編が進みます。






  ど う だ い !!


はい、というわけで艦娘とは名ばかりの現代艦艇以上の実力持ちのやべぇ泊地の紹介でした。果たしてこんな連中に喧嘩を売る奴がいるのやら……



次回もお楽しみに!!


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第14話 列強への備えと憂国の志士

 

 

ロデニウス連邦共和国、某所

 

 

ここでとある会議が開催された。

 

 

「それではこれより多国間相互援助条約会議を始めたいと思います。」

 

 

多国間相互援助条約

 

 

 

通称MMAT (Multilateral Mutual Aid Treaty)と呼ばれるこの同盟は加盟国に対する軍事侵攻などに対して、加盟国全体で対処することを前提としてロデニウス連邦共和国が大東洋諸国会議にて提唱し、同国の友好国との間で締結された。

 

 

 

 

現在の加盟国は以下の通り

 

・ロデニウス連邦共和国

・アルタラス王国

・ドーパ王国

・ネーツ王国

 

 

 

「アルタラス王国です。まずは先日の武器支援第1陣に関して深く御礼を申し上げます。」

 

 

こう発言したのはアルタラス王国の王女ルミエスだ。

 

 

アルタラス王国は以前、パーパルディア皇国第3外務局アルタラス担当大使カストからとんでもない要求を受けたのだ。

 

 

 

○アルタラス王国は魔石鉱山シルウトラスをパーパルディア皇国に献上すること。

○アルタラス王国王女ルミエスを奴隷としてパーパルディア皇国へ差し出すこと。

 

 

魔石鉱山シルウトラスはアルタラス王国最大の魔石鉱山であり、国の経済を支える中核であり、世界でも5本の指に入るほどの大鉱山である。

 

 

これを失うと、アルタラス王国の国力は大きく落ちる。

 

 

さらに、王女の奴隷化。これはパーパルディア皇国に全く利の無いものであり、明らかにアルタラス王国を怒らせるためだけにある。

 

 

 

はなから戦争に持ち込ませる気しかないパーパルディア皇国に対して、アルタラス王国は表裏を問わない外交の末、ある程度地位の高い、それも稀に見るまともな人間を呼ぶことに成功したのだ。そして、視察の最中、隙を突いて、予め録音しておいたカストの音声を聞かせたところ…………

 

 

 

・蛮族相手とは言え、私利私欲のために皇帝陛下の名を使うなど言語道断

 

・厳罰に処することとし、カストは死刑、財産没収

 

 

という成果を挙げ、とりあえず当面の間の平和は保たれたのだ。

 

 

 

だが、昨今のパーパルディア皇国の周辺国に対する要求は目に余るものがあり、アルタラス王国もいつまた同じような要求をされるかは分からない。

 

 

 

そこで、ターラ14世は先の大東洋諸国会議において、援助を打診。これに応える形でロデニウス連邦共和国から軍事支援を受けることとなったのだ。

 

 

 

その内容が以下の通り

 

 

・AK47

・M2ブローニング

・84ミリ無反動砲

・LAV

・迫撃砲

・T-55

・BMP-1

・F-5戦闘機

・マイハーク級フリゲート

・スティンガー

・その他各種必要装備

 

 

 

東側装備となってはいるものの、西側装備にも対応できるように改造されているため、問題は無い。

 

 

 

「いえいえ、同盟国に対し、援助するのは当然のことであります。アルタラス王国は我がロデニウス連邦共和国とムー国との間の通商路の監視なども行っていただく必要もありますので、当然の措置であります。」

 

 

ロデニウス連邦共和国側の代表が話す。

 

 

「そういえば、ルミエス殿、父上はどうされているのか?」

 

 

ドーパ王国の大臣の問にやや渋い顔をしつつ……

 

 

「<私もまだまだ現役だ!>と言って兵士と混じって訓練しています……」

 

 

(なんか地球によく似た国王が居たような……)

 

 

「ま、まぁ、そうやって国王自ら積極的に新しいものを取り入れようとする精神が、国民からの厚い支持を受けているのでしょう。」

 

「危ないのでやめて欲しいのですがね……」

 

 

 

 

実務をほとんど任されつつあるとはいえ、未だ王の座にある父親を心配したくなる気持ちはどこも同じようなものである。

 

 

 

 

「ドーパ王国です。まだ我々は多くの武器を受け取ってはいませんが、それでもあなたがたと同盟を組んで心から良かったと感じています。」

 

 

 

ドーパ王国が受け取ったのは機関銃や、無反動砲などの歩兵火器に留まるが、魔物との戦闘において相当役にたったようだ。

 

 

その後も順調に会議は進み、ロデニウス連邦共和国からのさらなる追加援助を元に軍の再編を進めていくことが加盟国内で確認された。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

パーパルディア皇国某所、ホテルにて

 

 

 

「それにしても、パーパルディア皇国との国交開設交渉は全く進みませんねぇ。」

 

「まぁ、彼らのプライドの高さはエージェイ山よりも高いのでね、治外法権を認めない云々の内容では受付時点で門前払いされてもおかしくはありませんよ。」

 

 

愚痴っているのは幌筵泊地の転生者である腰堀と、ロデニウス連邦共和国の外交官であるパトリック・ジェールドだ。

 

 

2人とも年の差はあるものの、お互いのことを話し合ういい仲であった。

 

 

「全く、どうして先輩もこんなめんどくさい国との国交開設交渉なんかに僕を参加させたんだか……」

 

「まぁまぁ、落ち着i……、ゴホッゴホッ。」

 

「大丈夫ですか?」

 

「全く、長年タバコを吸っていると肺がやられてしまいますねぇ。」

 

「国交開設交渉中に倒れるとかやめてくださいね?」

 

「大丈夫ですよ。」

 

 

そう言いながら彼は懐から1枚の写真を取り出す。

 

 

「息子さんでしたっけ?」

 

「ええ、今度結婚式を挙げるんです。一人息子でね、ようやく結婚するとわかってからは花束やプレゼント、生まれる子の名前の候補なんかをずーっと考えてて、今だってここに……」

 

 

そう言いながら彼は懐から紙を取り出す。

 

 

「結婚式で読む予定のスピーチを書いた紙を持ち歩いているんです。いつもこれに元気を貰って仕事をするんですよ。」

 

 

 

幌筵泊地が転移して以降、ロデニウス連邦共和国には様々な地球文化が入ってきており、その一つが大規模な結婚式である。

 

 

「良いですねぇ、僕も招待してくれませんか?」

 

「ええ、もちろん。同僚として招待させていただきます。」

 

 

 

ところで………、とパトリックは話題を変える。

 

 

 

「腰堀さんは彼女とかはいらっしゃるのですか?」

 

「ええ、幌筵泊地に所属する艦娘の中にいますよ。」

 

「名前は?」

 

「建御名方って言うんです。」

 

「どうですか?進捗は?」

 

「お互い色々忙しくて………、でもこの間、ようやく旧ロウリア王国に湧いたっていう、流行りの温泉街でデートできたんですよ。」

 

 

腰堀は建御名方と共に言ったロウ・ハコネ温泉を思い出す。まだ新幹線が全線開通する前だったので、在来線を進んでいく予定だったのだが、多元が気を利かしてくれたおかげで、基地の間を移動する定期便に乗せてもらい、ロウ・オダワラからロウ・ハコネユモトまで特急に乗り、温泉巡りを楽しんだ後、日本式の旅館で1泊してきたのだ。

 

 

(ちなみに、その夜めちゃくちゃうまp以下略)

↑あんまり言うと引っかかってしまうからね

 

 

 

「あの夜の建御名方は凄かった……」

 

「良いですねぇ、若いってのは。」

 

 

妻とあった頃を思い出しますねぇ、とパトリックは遠い目をしながら続ける。

 

 

「実は、この仕事が外交官として行う最後の仕事のつもりなんです。この仕事が終わったら、妻と2人で空気の綺麗な田舎でゆっくりすごすつもりなんですよ。」

 

「そうですか……、いつか呼んでくださいね?」

 

「もちろん、いつでも歓迎しますよ。」

 

 

 

 

 

そう言いながら、2人は仕事に戻った。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

その頃、パーパルディア皇国第3外務局にて……

 

 

 

 

「全く、この国は腐りきっている!!、そしてあまりにも調査が杜撰過ぎる!、しかもこのまま進めば、間違い無くパーパルディア皇国は滅亡するぞ!!」

 

 

そう憤るのはパーパルディア皇国で稀に見るまともな人材である第3外務局長のカイオス局長だ。

 

 

以前アルタラス王国において外交官カストによって行われた蛮行を偶然知ったカイオスは、彼を処罰した後、監察軍が敗退したという謎の新興国、ロデニウス連邦共和国について調べていた。

 

 

彼はもとより商人であった関係から、他の商人とも関わりが深いため、よく他国の商品などを買い、独自の視点から他国の軍事力や、技術について測っていた。

 

 

そんな彼が驚いたのはロデニウス連邦共和国から輸出されたという腕時計だ。

 

 

 

時計と言えば、ムー国のものが有名だが、これはそれを軽く凌ぐものであった。

 

 

 

それは、ムーのものより洗練され、水に落としても動き続けるうえ、暗闇では文字盤が光り、仕様書によれば、ロデニウス連邦共和国近辺ならロデニウス連邦共和国から送られてくる電波というものによってズレが修正される上、そもそもこの時計自体が長い年月を経てもズレないという代物だといい、オマケに太陽などの光によって半永久的に動き続けることができるという。

 

 

(こら、Gシ○ックとか言わないの)

 

 

 

しかも、これが量産されていることに気づいた。

 

 

 

 

となれば、少なくともムー国より高い技術がある国家が確かに出現してしまったということになる。

 

 

 

 

そして、極めつけはムー国の情報雑誌だ。

 

 

ムー国は情報収集能力が高く、その情報はたとえ民間発祥であっても馬鹿にできない精度を誇る。

 

 

そのムー国から発行された「ロデニウス連邦共和国陸軍、その強さに迫る」、「ロデニウス連邦共和国海軍の全て」、「ロデニウス連邦共和国空軍とは?」、「ロデニウス連邦共和国に存在する海兵隊について」と書かれた本を取り寄せたカイオスはロデニウス連邦共和国の戦力についてパーパルディア皇国の誰よりもよく知ることとなり、間違っても戦争をふっかけるべきではない国でないことを感じていた。

 

 

 

しかし、しかしだ!

 

 

 

「最近、レイフォルを陥落させたグラ・バルカス帝国との関係は無いとみて良い」

 

「文明圏外国としては強いが、恐るほどでは無い。」

 

 

などと的外れも甚だしい解釈が第1外務局や、軍部より出された結果、カイオスが用意した情報は全く共有されることはなかった。

 

 

 

更には……

 

 

 

 

「カイオスよ、ロデニウス連邦共和国との外交は、第3外務局ではなく、第1外務局が行う事とする。外務局監査室から私が第1外務局へ出向するという形をとり、私が行う事とする。カイオスよ、敵の欺瞞情報に踊らされ業務を停滞させていたとはいえ、今回処分されなかっただけでも、ありがたく思え。」

 

 

外務監察官であり皇族のレミールがこう言い放つと、カイオスから権限を剥奪したのだ。

 

 

「あんな女がロデニウス連邦共和国と外交なんかしたらこの国は滅んでしまう!!」

 

 

 

プライドの塊であるパーパルディア皇国を体現するかのようなあの忌々しい女がロデニウス連邦共和国の外交担当となれば、間違いなく戦争だろう。

 

 

 

「とにかく、ロデニウス連邦共和国との外交ルートを……、個人的な関係でもなんでも確保しなければ……」

 

 

 

つい先程、ロデニウス連邦共和国侵攻に際してその前段階であるフェン王国侵攻が決定されたのだ。

 

 

 

残された時間は少ない。パーパルディア皇国がフェン王国を制圧する前までに外交チャンネルを確保しようと動き始めたカイオスであった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

それから少し経ち、フェン王国西部のニシノミヤコにて

 

 

 

パーパルディア皇国と戦争になった場合、そこは最前線となるであろう場所のため、特別な訓練を受けた武人が約2千人常時配備されており、更には早期警戒のためニシノミヤコの約3km西側には人の住めない小島を利用した監視塔があり、警戒のため武人が2名常駐していた。

 

 

 

 

「その日」は良く晴れたその日、波は穏やかだった。

 

 極僅かなそよ風が吹く。

 

 

音といえば波と風、そして虫と鳥の鳴き声くらいのものだ。

 

心地よい風が吹く中で見張り員の目にけし粒のような小さな黒い点が多数見える。小さなけし粒は徐々にその姿を大きくし、それは自分たちに絶望を与えるものだと理解する。

 

 

 

「つ、つ、ついに来たぞ!!!!!!パーパルディア皇国軍だ!!!狼煙あげろ!!!!」

 

 

 

国家に対する攻撃の可能性がある場合のみに使用される最上級の警戒色、赤い狼煙が島からあがる。

 

 

 

「あ、あれは!!、ふ、笛を鳴らせ!!!」

 

 

 

 赤い狼煙を見たニシノミヤコの監視員は即座に通信用の笛を鳴らす。

 

 

 

「ピーーーッピーーーッピーーーッ」

 

 

 

 

その笛を聴いた武人たちは、さらに伝播のために笛を鳴らす。

 

 

 

ニシノミヤコの町全体に笛の音は鳴り響き、フェン王国の人々は何が起こったのかを理解し、事前の通達通り避難し始めた。

 

 

 

ニシノミヤコの港から内陸方向に約5km地点にある西城では、すぐに戦の準備が始まる。ニシノミヤコの港付近にある兵の詰め所でも武人たちが戦いの準備を進めていた。

 

 

 

ついに、覚悟はしていたが、列強パーパルディア皇国軍がやってきた。彼らがとてつもなく強いのは理解している。

 

 

 

しかし、タダでは負けない自信があった。

 

 

 

何故なら、あの監察軍を退けたロデニウス連邦共和国からパーパルディア皇国の戦い方や、その対策について書かれた本をこっそり買い集め、このニシノミヤコに集まる武人を中心に訓練させていたのだ。

 

 

 

 

「来るなら来い!!、パーパルディア皇国!!」

 

 

 

フェン王国軍は覚悟を決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

一方、パーパルディア皇国軍はと言うと……

 

 

「まずは、港近くの敵兵の詰所に艦砲射撃を行い、これを破壊する。続いて海岸に設置された木製の防壁を砲で破壊する。破壊後に、第一次上陸部隊として1000人の歩兵を上陸させ、海岸を確保した後、地竜や主力軍の陸戦兵器の揚陸を行う」

 

「はっ、蛮族に我が軍の恐ろしさをとくと見せつけてやりましょうぞ。」

 

「うむ。」

 

 

 

そう言うと、戦列艦が次々に砲撃を開始し、ニシノミヤコの街並みを瓦礫の山へと変えてゆく。

 

 

 

ドゴーン!

 

  

    ドゴーン!

 

 

   

       ドゴーン!

 

 

 

 

砲撃が起きる度に土や木が吹き飛ぶ。

 

 

 

 

あらかた破壊し尽くしたパーパルディア皇国軍は満を持して上陸を開始したのだが……、

 

 

 

 

<<ここからがパーパルディア皇国にとっての地獄の始まりだった。>>

 

 

 

「切り込め!」

 

「でやー!」

 

「Урааааааааааааа!」

 

 

 

上陸したパーパルディア皇国兵に対して、砂浜に隠れていたフェン王国兵士が切りかかる。

 

 

「不味い、銃k……」

 

 

ザシュッ、グサッ、

 

 

切り伏せられたパーパルディア皇国兵が倒れ、フェン王国兵士は次の相手に飛びかかる。

 

 

「1箇所に固まれ!」

 

「隣のものが切られても弾を込めて撃て!」

 

 

パンッ!、パンッ!

 

 

パーパルディア皇国兵が1箇所に固まったところで射撃が始まり、フェン王国兵士が倒れる。

 

 

だが、それこそがフェン王国の狙いだった。

 

 

 

「敵が1箇所に固まったぞ!」

 

「よし、砲撃開始!!」

 

 

 

ズドーン!

 

  ズドーン!

 

    ズドーン!

 

 

 

フェン沖海戦にて沈められたパーパルディア皇国監察軍の魔導砲が引き揚げられ、パーパルディア皇国に向けて襲いかかる。

 

 

 

「ぎゃああああ!」

 

「散れ!、散るんだ!」

 

「ワイバーンを呼べ!、森を焼き払え!」

 

 

散開し、砲撃を回避するパーパルディア皇国兵士。直後にワイバーンが来て、森を焼くが、そんなことはフェン王国側も織り込み済み。

 

 

「所定の場所に隠れろ!」

 

 

酒などを置いていた地下室などを利用した退避施設に身を隠す。

 

 

「とにかく森を制圧しt……」

 

「煙玉だ!!」

 

 

あたり1面を煙が立ち込める。

 

 

「再びフェン王国兵士!!」

 

「何ィ!?」

 

 

ザシュッ、ザシュッ!

 

捨て身の攻撃で固まらせ、その後砲撃。これによってパーパルディア皇国は、上陸戦力の半分以上を失い、一時的に上陸を断念せざるを得なかった。

 

 

 

「くそっ、こうなったら徹底的に砲撃して、更地にしてくれるわ!!」

 

 

 

数日後に再開された砲撃によってフェン王国沿岸防衛部隊及び森林に隠れていた部隊は壊滅。パーパルディア皇国は当初より大幅に遅れながらも、上陸場所を確保したのだった。

 

 

 

 

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一方、それから少し経った幌筵泊地。

 

 

「フェン王国は善戦するものの、ニシノミヤコを占領され、苦しい立場に置かれています。」

 

 

幌筵泊地の地下にて行われていた転生者達による今後の方針を決めていく会議。

 

 

通称

「転生者会議」

 

 

が開かれていた。

 

 

今回の議題はもちろんフェンとパーパルディアの戦争についてだ。

 

「しかし、思ったよりもフェン王国が善戦してますな。」

 

「多分うちから書籍を輸入したんだろ、それにサルベージした大砲も送ってあるし。」

 

「まぁ、何はともあれ事態をこのまま静観しt………」

 

 

コンコンコン!!

 

 

「どうした?」

 

 

 

 

「提督、緊急事態です!!、至急官邸に向かってください!」

 

 

 

 

次回、パーパルディア皇国の蛮行

 

 

第5話 多元実の暗黒面






次回より少々作風が変わります。




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パーパルディア皇国戦編
第15話 多元実の暗黒面




はい、というわけで、タイトルからお察しの通り、パーパルディア皇国がついにロデニウス連邦共和国に対して仕掛けます。

果たして多元は一体どうなるのか……





 

 

幌筵泊地滑走路

 

「つまり、ドーパ王国からロデニウス連邦共和国国民と見られる旅行客が、第三国を経由してフェン王国に入国した可能性があると連絡が入り、しかも狙い済ましたかのように今までなんの進展も無かったパーパルディア皇国から事実上の大使召喚にあたる出頭命令が出たということか?」

 

 

駐機している機体に向けて走っている多元は、鳳翔から追加の情報をうけとつていた。

 

 

「会談はあと45分ほどで始まります。ヘリにしますか?」

 

「ここから官邸までは直線距離で130kmは離れている、ヘリだと時間的に厳しい、XC97で行く。量産先行機ではあるが、使えるんだろ?」

 

「ええ、官邸のヘリポートも耐熱加工済みなので問題無いはずです。」

 

「行けるな。」

 

「提督の指示を前に準備済みです。それと………」

 

「救出部隊の編成だな。」

 

「はい、ドルメ中将の第七艦隊と、重ミサイル打撃艦隊、それに輸送艦隊はすぐに出れるそうです。その後第一航空戦隊と、その護衛艦隊となっています。」

 

「第七艦隊については、ハンキ大臣の許可が一応必要だが、緊急事態だ、事後承認にしてもらう。」

 

「わかりました。」

 

 

 

轟音を立てて、XC97が離陸する。

 

 

 

幌筵泊地によってオスプレイの後継機として開発されたこの機体は、ティルトウィングのジェットS/VTOL機で、見た目はまんまコスモシー○ル。というか、正式採用された暁にはアース・シーガルという名前が付くのだからもはや狙ってるまでもある。

 

 

 

「あ、靴紐が切れてる……」

 

 

先に起こる不幸を表したかのように紐が切れる。

 

 

 

鳳翔と多元を乗せた機体は、時速800km/hの高速で、わずかな時間で官邸へと向かうことができた。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ノイエ・ロデニウス、大統領官邸、特別対策室にて

 

 

 

 

 

「旅行会社との連絡は??」

 

「それが……、人数は多いものの、個人旅行だったようで……」

 

「迂闊でした……、まさか複数国を経由して行かれるとは……」

 

 

第三文明圏外国やムーとの貿易によって急速に経済の発達したロデニウス連邦共和国では観光ブームが巻き起こっていた。

 

国内では、旧ロウリア王国に湧いた一大温泉地がリゾート化され、国内に次々と旅行会社が設立された。

 

一方で、急速に広がりつつある観光ブームからロデニウス連邦共和国政府の対応が後手に回ることもしばしばあり、今回のパーパルディア皇国のフェン王国侵攻に際しても、何とか各旅行会社へのフェン王国旅行の無期限停止命令並びにロデニウス連邦共和国からフェン王国への渡航禁止令は出せていたものの、第三国経由への対応は、関係国との調整も相まって困難を極めていた。

 

 

「外務省、フェン並びにパーパルディア皇国からの連絡は?」

 

「ロデニウス連邦共和国国民を確認したとの報告はまだです。」

 

 

外務大臣も相当に焦っているようで、顔に汗が浮かんでいる。

 

 

 

ちょうどその時……

 

 

 

「多元本部長が来られました!!」

 

「おお、多元殿、緊急ですまない。」

 

「いえ、来る途中で事情は聞いています。今後どうする方針か、軍における実務を預かる身として大事なことですから。」

 

 

改めて外務大臣が一通り話したところでカナタ大統領が多元に問いかける。

 

 

「多元本部長、連邦共和国軍の出動は可能ですか?」

 

 

外交的解決が難しければ軍による救出を検討せねばならない。ましてや、相手はあのプライドだけは列強随一のパーパルディア皇国なのだ。穏便にいくことはまず無いだろう。

 

 

「現在第七艦隊と輸送艦隊に出撃準備を整えさせております。準備に関しては事後承認という形ではありますが、出撃にはハンキ大臣、ひいては大統領閣下の承認が必要です。これに加えて、私が動かせる幌筵泊地所属艦隊が出動体制を整え、待機しています。ご命令があれば非戦闘地域に限りフェン王国の了承を得た上で可能ですが、連邦共和国軍関連法に基づいた<戦闘地域からの国民救出>を行うためには、交戦国双方からの了承を得る必要があります。また、船での救出には最低でも数日かかることはご了承ください。」

 

「航空機は出せないのですか?」

 

「着陸する場所がありません。ヘリを出すにしても航続距離が足りないので、どの道途中まで艦隊を出す必要があります。ティルトローター機や、ティルトウィング機に関しても戦闘地域ではどの道不可能です。」

 

「パーパルディア皇国へ向かった外交官にはこのことは?」

 

「外交官へは私が。」

 

 

と、外務大臣が言った後

 

 

「随伴員には持っているペン型のカメラを取り付け、状況をこちらに伝えるように言っておきました。今開きます。」

 

と、多元がいい、持っていたパソコンを繋ぐ。

 

 

スクリーンに第1外務局の映像が映し出される。

 

 

以降、投影された映像記録となる

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「会談はこの部屋で行われます。どうぞ。」

 

 

 

第1外務局に通された2人は、そのまま会議室へと入る。

 

 

 

中には明らかに身分が高そうな女性が居たが、その態度はおおよそ外交に向かうものの態度とは思えない。

 

 

「パーパルディア皇国、外務監察官のレミールだ。お前たちの外交担当と思えば良い。」

 

 

おおよそ外交に向かうべき態度ではないが、とりあえず自己紹介から始める。

 

 

「ロデニウス連邦共和国外交官のパトリック・ジェールドです。こちらは随伴員の腰堀二郎。早速ですが、我が国からひとつお願いg…「その前にこちらから話がある」

 

 

話を一方的に遮り、自分の話を通そうとするレミール。この時点で嫌な予感がする。

 

 

「これを受け入れれば貴様らの今後を穏便に済ませてやる。」

 

 

付き添いの者から手渡された内容が以下の通り。

 

 

・ロデニウス連邦共和国には今後、パーパルディア皇国から送られる皇族を王につけ、自国にいる国王ないし、それに類するものは即座に断絶すること

 

・ロデニウス連邦共和国は今後自由に法を定めてはならぬ、またロデニウス連邦共和国で作られた法はパーパルディア皇国が自由に改正、制定できるものとする。

 

・ロデニウス連邦共和国軍は今後パーパルディア皇国の指揮下に入り、勝手に動かすことは出来ない。

 

・ロデニウス連邦共和国は勝手に国交を結んではならぬ。

 

・ロデニウス連邦共和国は自国の資源、魔法技術、その他全てをパーパルディア皇国に明け渡し、毎年決まった奴隷をパーパルディア皇国に納めること。

 

 

以下同様にロデニウス連邦共和国の国家としての機能を剥奪し、パーパルディア皇国の属国として扱うような文言が続く。

 

 

読み進めながらパトリックと腰堀は呆れ、外交官であるパトリックがレミールに対して応答する。

 

 

 

「呆れてものも言えないですね、このような内容を我が国が受け入れるとでも本気でお思いですか?」

 

「やはり蛮族だな、まぁいい、これを見ても同じことが言えるか?」

 

 

レミールが目の前にある装置を説明しながら起動する。

 

 

「これは皇国の進んだ魔法技術の1つで魔導通信を進化させたものだ。この映像付き魔導通信を実用化しているのは、神聖ミリシアル帝国と我が国くらいのものだ。」

 

「(要するにデケェテレビ電話ってことっすね)。」

 

「(まぁ、そんなもんだろうが、嫌な予感がする。」

 

 

小声で話す2人だが、次の瞬間………!

 

 

「これを見るがいい、蛮族共、これを見てまだそのようなことを言い張る余裕があるか?」

 

 

「なっ……」

 

 

2人は固まった。

 

 

なぜなら、そこに写って居たのは……

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国国民……!」

 

 

明らかに周辺国とは違う格好をした人々が首に縄をつけられひざまづかされている。

 

 

その数15人。

 

 

「アマノキに居た貴様らの国民だ、全員パーパルディア皇国へのスパイ容疑として拘束している。」

 

「スパイだと!?、ただ単に観光していた観光客が!?」

 

「口を閉じろ蛮族。もう一度聞こう、先程の内容を呑む気はあるか?」

 

 

どうする……、パトリックは考えた。ここで拒絶すれば間違いなく彼らは犠牲になる。しかし、国としてこんな要求を呑む訳には行かぬ。どうすれば……。

 

 

見ると腰堀も難しい顔をしている。彼もまた、どうすればいいのか悩んでいるのだろう。

 

 

(とにかく今は時間を稼ぐしかない!)

 

 

 

悩んだ末、あらゆる手段をとるために時間をかせぐことにしたパトリック。後世でも、この決断は非難できるものでは無いとされ、レミール悪玉論として確実に槍玉にあげられる内容である。

 

 

「私は一外交官です。国の全権を持っている全権大使ではありません。そのため、このような国の方針を決めるための重要な内容に関して決定権を有しておりません。一度本国に持ち帰らせてからでもよろしいでしょうか?」

 

 

フン、と鼻で笑うレミール。この後、信じられない暴挙に出る。

 

 

「蛮族らしく、小賢しく時間稼ぎをする気か?、貴様らに状況を決める権限は無い。」

 

 

 

そう言った次の瞬間……!

 

 

 

「殺れ」

 

 

 

ズシャッ!

 

 

大柄な男が刀を使い、ロデニウス連邦共和国国民を切り裂く。

 

 

「ぎゃああああ!」

 

「助けてぇ!!」

 

「痛いよぉ!!」

 

 

 

「おい!、一体なんのつもりだ!!」

 

 

最早外交儀礼を気にしている余裕はない。腰堀はレミールに対して非道を追及する。

 

 

「フッ、教育だ、貴様らのような身の程知らずの蛮族国家は逆らうとこうなるのだ!!」

 

「どっちが蛮族だ!、一方的に植民地になれと要求した挙句、呑めないからと言ってただ普通に観光を楽しんでいたはずの我が国の国民を虐殺し、これを教育だって!?、ふざけるな!!」

 

 

隣にいたパトリックは声こそ出さなかったが、気持ちは無論腰堀と同じだった。

 

 

声を荒らげる腰堀に対して、苛立ったのかレミールが立ち上がった。

 

 

「蛮族国家の分際で……、皇国を蛮族呼ばわりだと?

 

 

 

ふざけるな!!」

 

 

 

ドゴッ!

 

 

何とレミールは腰堀に蹴りを入れた。

 

 

「うぐッ……」

 

 

女性とはいえ、いきなり、それも格闘技をある程度習得した者の蹴りをくらった腰堀は倒れ込んだ。

 

 

 

「全く、蛮族はこうするに限るな。」

 

 

そして、腰掘を踏みつける。まるで奴隷を扱うが如くに。

 

 

 

それを見たパトリックがついに怒りを露わにする。

 

 

 

「レミール殿!、今ここではっきりと言わせてもらう!、確かに随伴員は外交儀礼を欠いていた、だが、そもそも貴国の暴挙に対して抗議していたのであって、決して貴国が無関係では無い!、しかもそれに対してなんの対応もしないばかりか、我が国が正式に任命した外交担当者に対して暴行を働くなど言語道断!、何故貴女のような外交官がパーパルディア皇国でそのような立場にいられたのかは全くもって理解が出来ない。今回の蛮行も含め、貴国に正式な謝罪を要求する!!」

 

 

 

「うるさい!、蛮族の分際で私に、皇国に要求するな!!」

 

「これはお願いすべきことではない。我が国の国民が不当に殺され、外交担当者へ暴行を働かれた側としての当然の権利である!!。これ以上ことを荒立てるのなら我がロデニウス連邦共和国は総力を結集し、貴国に対してあらゆる手段を通じて責任を取らせる!!」

 

 

パトリックの剣幕に気圧されたように見えたレミールだが、この後、さらなる暴挙に出る。

 

 

「蛮族とはいえ外交官を安易に呼んだのは間違いだったな。貴様らのような身の程知らず国の人間は最早外交官ですらない。」

 

 

そういうと、レミールは拳銃を取り出し。

 

 

「死ぬがよい。」

 

 

 

 

バンッ!

 

「グッ…」

 

「なっ……」

 

 

 

腰堀が、カメラ越しに一部始終を見ていた官邸の特別対策室の全員が固まった。

 

 

 

「パトリックさん!!、しっかりしてください!!」

 

 

カメラには胸元を撃たれ血を流すパトリックが居た。

 

 

 

まさか、外交の場であろうことか一応は列強であるはずのパーパルディア皇国の外交担当者が自分の機嫌しだいで外交官を射殺したのだ。

 

 

 

さすがにこれには腰堀も完全にキレた。

 

 

 

「蛮族らしく、しぶといのぉ、まぁいい、先程から口うるさい貴様も死ぬがよい。」

 

 

レミールのさらなる挑発にもはや体面を気にする必要の無くなった腰堀が行動に出ようとする。

 

 

「んだとォ!」

 

 

 

不測の事態に備え、腰堀含めた随伴員には9mm拳銃が持たされている。この時、完全に頭に血が昇った腰堀は真っ先こいつを抜いてレミールに応戦しようとした。

 

 

 

 

 

 

 

戦場になりかねた応接室を鎮めたのは、ノックだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンコン

 

 

 

「失礼します。レミール様、陛下がお呼びです。至急宮殿にお戻りください。」

 

 

現れたのは第3外務局のカイオス。

 

 

「陛下が?、わかった直ぐに行く。」

 

 

そうしてレミールは立ち去り際

 

 

 

 

 

「命拾いしたな、貴様。まぁ尤もそいつは助からんが。」

 

「このアマ……」

 

 

ぶっ殺す。明らかにこちらの神経を逆撫でする言葉に再度拳銃を取り出そうとした腰堀だったが、カイオスによって止められた。

 

 

そして、この取り押さえの最中にボタンが触れたのか、音声と、映像が止まったことで、ロデニウス連邦共和国では2人は死亡ないし行方不明という扱いとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが……

 

 

 

「おい、離せ!!」

 

「ダメだ、抑えさせてもらう。」

 

「落とし前付けずに終われるか!」

 

 

完全に頭に血が上っている腰堀に対し、周りが手下と自分だけになったところで声をかける。

 

 

「今ここで命を落として何になる!!、外交官はとりあえず別の場所へ運ぶ!、君は私とともに来たまえ!」

 

 

レミールとは違う雰囲気を感じた腰堀が一旦落ち着く。

 

 

「待ってくれ、その前にパトリックさん……、外交官と話がしたい。」

 

「ここではダメだ。馬車の中で頼む。」

 

「わかった……」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

一方、外交官と音信不通となってしまったロデニウス連邦共和国では、重い空気に包まれていた。

 

 

 

<観光客の虐殺並びに外交官の射殺>

 

 

 

前者ですら開戦事由になってもおかしくはない内容なのにあまつさえ、外交官を射殺してしまうなど、常軌を逸している。

 

 

ふと、カナタ大統領は多元の方を見た、随伴員は彼にとって相当親しいものだったはずだ、カメラが壊れたのか、カイオスと呼ばれる人物が入ってきたからの様子が不明だが、生死が分からない状況に部下を追いやってしまったことは相当な負担になるはずだ。

 

 

 

「多元本部長……」

 

 

と言いながら視線を向けた先には、ものすごい勢いで、ペンをとり、紙に書いている多元の姿があった。

 

 

 

それは、怒りに駆られて自暴自棄になっている訳でもなく、悲嘆にくれ、絶望する訳でもない。まるで何かアイディアを思いつき、作曲を始めた作曲家のように見える。

 

 

「出来ました、カナタ大統領。」

 

 

ひとしきり書き終えたのか顔を上げ、カナタの元にやってきた多元の顔を見て、大統領補佐官は固まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       驚く程に無表情なのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もはや恐怖すら覚えるその表情をしながら、多元はその紙をカナタ大統領に渡した。

 

 

 

「これは……」

 

 

 

そこに書き上げられていたのは、怒りに任せて作られた作戦なんかでは無い。

 

 

 

細部まで正確に書き上げられ、それでいて繊細

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

 

確実にパーパルディア皇国を死に至らせる作戦だった

 

 

 

「閣下、作戦実行の承認をお願いします。」

 

「わかりました。ハンキ大臣、あなたも書類へ判を押してください。」

 

 

 

 

そのうえで………

 

 

 

「パーパルディア皇国へ宣戦布告します。この後の記者会見で述べる条件を呑まない限り、我々は実力を持ってパーパルディア皇国に責任を問わせます。」

 

「多元本部長。しっかり職務を遂行するように。」

 

 

多元は顔を上げる、その目にはハイライトが無かったが、しっかりとカナタ大統領を見据えて

 

 

「必ず、職務を遂行します。」

 

 

 

遂に、多元の隠された裏側が明らかになった。

 

 

 






一応言っておきます。私の作品全てで、主人公サイドの主要メンバーは、死にません。不測の事態でも乱数調整されます。


次回、ぶつかり合う2国、ロパ戦争開戦


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第16話 ぶつかり合う2国、ロパ戦争開戦



というわけで、いよいよ衝突寸前まで行くことになります。


多元実の暗黒面がより強く出てくるので、ご注意ください。



最後に重要なお知らせがあるのでしっかりと読んでください。





 

 

 

 

「そんな………」

 

「本当なんですか!!」

 

 

多元が持ち帰った情報を受けた幌筵泊地では、言葉が続かなかった。

 

 

 

<外交官の殺害並びに、転生者が行方不明>

 

 

 

幌筵泊地において、腰堀次郎という名を知らぬものは居ない。

 

 

 

幌筵泊地の初期の転生者にして、多元の右腕とも呼べる存在であり、機体設計等に抜群の才能を持っていながら、それをひけらかすことも無く、人あたりの良い男だった。

 

 

幌筵泊地にとって彼は大切な仲間だった。

 

 

そんな彼がパーパルディア皇国によって行方不明にされた。

 

 

 

幌筵泊地に訪れた沈黙の中からふつふつと、怒りが湧き出してくる。

 

 

不意に小玉が口を開く

 

「皆、わかっていると思うが、もう外交で解決出来る範囲を超えた、いや、奴らがその綱を切ったのだ!、最早何も躊躇することは無い!、我々は決して彼らを野放しにすることなく、この愚行の導く結末を奴らに味あわせてやる義務がある!、いいな!!」

 

「その通り、奴らには我々が動き出したことの意味を叩きつけてやる必要がある。」

 

 

とてつもなく落ち着いた雰囲気で多元が同意する。

 

 

 

「建御名方、辛いなら泣いていいんだぞ。」

 

 

沈んでいる建御名方に、多元が声をかける。

 

 

 

しかし、彼女は突然顔を上げると

 

「提督!!、私に、先陣を切らせてください!!、あの国は居ていい国家では無いんです!!、ぜひあの国への一撃は私が!!」

 

 

そこを多元が諭す

 

「建御名方、君には君なりの役割がある。くれぐれも独断では動くな、まずはフェン王国に取り残されている可能性のあるロデニウス連邦共和国国民の救出が最優先だ。彼らへの復讐はそれからでも遅くない。いいな?」

 

「了解……」

 

 

 

 

普段多元に対してもフランクな感じ、見た目通りで話しかけるはずの建御名方が姉と同じように話す辺りに異常を感じる。

 

 

 

別の転生者が多元に話しかける。

 

「提督、901、902、903衛生部隊の出動許可を。」

 

「903については認める、ただし証拠は全て消せ、他の国に知られると色々とまずい。確殺を入れることも忘れずにな。」

 

「わかりました。シアンでもVXでもばらまいてやります。」

 

「やりすぎて証拠を残すなよ?、

 

 

 

それと……」

 

 

多元がおもむろにある方向を向く

 

 

 

「秘匿部門、皇帝を開発しろ、許可があり次第発射する。」

 

「わかりました。50メガトン、直ちに開発しましょう。」

 

「何を言っているんだい?、君は」

 

「はっ?」

 

 

確かツァーリ・ボンバ実際の出力は50メガトンだったはず…、それは多元自身も知っているはずだった……

 

 

 

 

 

 

まさか………

 

 

 

 

 

「何故、パーパルディア皇国に慈悲を与える必要があるのかね?」

 

 

既にこの時点で、秘匿部門や、1部転生者は多元の暗黒面に気づいてしまった、いや気づいていたが無視したかった。

 

 

 

「まっ、まさか……」

 

「計画値でやれ」

 

 

それは100メガトンで撃ち込むことを意味する。

 

 

「しかし……、輸送手段が……」

 

「弾道ミサイルもしくは大型ロケットを改修すれば良いだけの話だ。」

 

「し、しかし……」

 

 

 

 

それでもまだ汗の止まらぬ秘匿部門に多元が圧力をかける。

 

 

「復唱はどうした?」

 

「は、はい!、皇帝は計画値で行います。」

 

 

 

 

 

 

 

そして、多元は一同をぐるりと見渡し、

 

 

 

「みんな、慈悲は必要ないのだよ?、これは彼らの始めたコンクールだ。我々はただ演奏家としてこのステージに上がれば良い。尤も、金賞は我々がいただくことになるのだがね。」

 

 

普段は決して使うことの無い例えを用いる多元。

 

 

 

最早恐怖でしかない。

 

 

 

「建御名方、クラスター弾、白リン弾、サーメート弾の使用を許可する。フェン王国侵攻部隊の連中をサイコロステーキにして焼き尽くせ!!」

 

「了解!」

 

 

 

不意に立ち上がった多元が建御名方に指示を出す。

 

 

 

「陸戦隊を海兵隊とともに派遣しろ!、ジャベリンも、パンツァーファウストも、ろくな対戦車火器はおろか、火炎瓶すら持たない愚か者共の手下を戦車で轢き殺し、MLRSでバラバラにし、毒ガスと機関銃で殺せ!!、航空隊も航空艦隊もフル稼働で、ベニヤ板の船ごと奴らを消し飛ばせ!!、移動発射台部隊は昼夜問わない連続射撃に備えて待機!、あの国の建物をひとつ残らず破壊し、核で都市部を殲滅しろ!!、爆撃機隊も合わせて待機しろ!、奴らの首都に燃料気化爆弾の雨嵐を叩きつけるんだ!!、奴らを旧石器時代、いや、類人猿の頃まで戻してやる!!、いいか?、奴らは我々のことをたかが第三文明圏外国の蛮族国家としか見ていない!、尤も、国家という形をとる以上、いかなる国家も差別されること無くキチンと国として扱うことが大切なのだ!!、だが、奴らはそれをしなかった。我々をそこらの虫けらと同然のように扱い、罪のない国民を非道にも殺した!!。奴らは完全に舐め腐っている!!、そして数だけは立派だ!。だが、私は知っている。我々幌筵泊地は地球でも、そしてこの世界でも最先端の技術と、最強の軍隊を持つ存在であることを!!、ならば我ら幌筵泊地は、同朋ロデニウス連邦共和国国民とともに復讐の業火となり同朋の命を無惨にも消した憎むべき敵、パーパルディア皇国の全てを焼き尽くすことができるだろう!!、権力と富の象徴を破壊し、大切な仲間すら奪った連中を処刑台、いやモルモットにするべくこの地まで引きずり出してやるんだ!!、我々の手で連中に恐怖の味を思い出させ、永遠の、死すら生ぬるい恐怖を味あわせてやる!、連中に我々の精強なる軍隊の力を見せつけてやる!、この世界で我がロデニウス連邦共和国と幌筵泊地に手をかけたことを後悔させてやる!!、そして、奴らが自ら起こした火種によって全てを焼きつくされる時、その断末魔の叫びで、無情にも命を奪われた同朋達への鎮魂歌とするのだ!!」

 

 

 

「提督と共に!!」

 

 

「「「「多元元帥!、多元本部長と共に!!!!」」」」

 

 

 

建御名方の掛け声に合わせるかのごとく、転生者達が一斉に声を上げる。

 

 

 

 

 

幌筵泊地が、漆黒の炎を滾らせ、パーパルディア皇国に向け、持てる力を叩きつけることを決意した瞬間であった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国首都ノイエ・ロデニウス

 

 

 

転生者達からの技術供与によって、生まれ変わったのはマスコミも同じだった。

 

 

 

日本や、他の地球の国家同様に、カメラが構えられた室内に、ロデニウス連邦共和国初代大統領であるカナタ大統領が入室してくる。

 

 

 

「本日、ロデニウス連邦共和国にとって、非常に悲しい事態が発生しました……」

 

 

 

悲壮な表情を見せるカナタ大統領にただならぬ気配を察した記者達のカメラのフラッシュが一斉に激しくなる。

 

 

 

「フェン王国に侵攻していたパーパルディア皇国軍によりロデニウス連邦共和国国民が惨殺され、さらに解放を要求していたロデニウス連邦共和国の外交官が殺害、随伴員が行方不明となってしまいました。」

 

 

記者達に動揺が広がる。

 

 

「我々はこの蛮行を決して許すことはできません。我がロデニウス連邦共和国は、フェン王国におけるパーパルディア皇国の行為と、外交官に対する非道を非難すると共に、このような行為を働いたパーパルディア皇国に対して宣戦を布告し、責任を問うことを決定しました!、もはや外交交渉はかの国では意味をなさないので、ここでパーパルディア皇国が戦争を回避したい場合の条件について公開します。」

 

 

 

記者達が一同にカナタの持つ紙へ注意を向ける。

 

 

その内容は以下の通り

 

 

・パーパルディア皇国は今回の行為について公式に謝罪し、被害者への賠償金を支払うこと、尚この額については1人あたり100000000パソ(皇国通貨)分とし、一括で支払うこと

 

・パーパルディア皇国はフェン王国への侵攻をやめ、直ちに撤退し、与えた損害に関して、然るべき額を補償すること、捕らえた人は軍民問わず解放すること

 

・パーパルディア皇国は今回の件に関して関わった人材を全てロデニウス連邦共和国側に引き渡すこと、尚、我々には外交交渉の様子は全て筒抜けであるので今回の最大の首謀者たる皇族レミールも含まれる

 

 

「以上を呑むことが条件となります。2日以内に受け入れない場合、ロデニウス連邦共和国は総力を挙げてフェン王国よりパーパルディア皇国をたたき出した上で、これよりさらに厳しい条件を突きつけることとなります。我がロデニウス連邦共和国はパーパルディア皇国を殲滅する能力を持ちますが、戦争を好みません。健全な判断を。」

 

 

 

もはや宣戦布告、最後通牒としか言えない内容に記者達は驚く。

 

 

ロデニウス連邦共和国が発展したとはいえ、第3文明圏の列強にとんでもないことを要求したのだ。

 

 

 

そして、このニュースは全世界を駆け巡る。

 

 

 

 

 

 

アルタラス王国

 

 

 

「父上、パーパルディア皇国に対してロデニウス連邦共和国が宣戦布告とも取れる発言をしました。」

 

「ん?、どれどれ……、なるほど、パーパルディア皇国は終わりを迎えるな。」

 

「私もそう思います。なんせあのロデニウス連邦共和国に対してとんでもないことをしでかしたのですから。」

 

 

 

アルタラス王国は、ロデニウス連邦共和国からの軍事援助によって大体1990年代の中規模国家並の軍事力を有しており。

 

 

 

例を挙げると

 

・61式戦車

・Mig28

・F-1支援戦闘機

・マイハーク級フリゲート

・警備船

・UH-1

 

 

 

等々……、正面戦力だけならパーパルディア皇国を容易く捻る事が可能な装備を持っている。

 

 

 

故に、アルタラス王国はパーパルディア皇国の滅亡を容易く想像出来た。

 

 

 

同じように、ドーパ王国もまた、ロデニウス連邦共和国との軍事同盟などからパーパルディア皇国の滅亡を容易く予想した。

 

 

 

 

一方で………

 

 

 

 

「なんなんだこのふざけた要求は!!」

 

「陛下、最早このような要求をしてくる国家などこの世に必要ありません。殲滅戦のご用意を。」

 

「レミールよ、私が間違っていた。蛮族と言えど慈悲を与えるべきだと思ったが、最早ここまで図に乗るとは……、手始めにカイオスの元にいるあの男を殺せ、そして、その様子を映像にした上で、送るのだ。<貴様らはもうこの世に存在してはならぬ>とな。」

 

「承知致しました陛下。」

 

 

 

自らの過ちすら認めず、逆上するパーパルディア皇国中枢部、彼らに最早救いは無い。

 

 

 

「カイオスよ、貴様が捕らえているあの男を殺せ!」

 

「承知しました。」

 

 

 

 

 

カイオス邸宅

 

 

 

 

カイオスの許可を得たものしか入れない部屋に1人の男が棺を前に座っていた。

 

 

 

棺には、冷凍魔法などの腐敗を抑止する魔法が使われており、遺体が腐敗することは無い。

 

 

 

「パトリックさん…………」

 

 

男はそう呟く。

 

 

この男は幌筵泊地の転生者にして、危うくレミールによって殺されかけた所をカイオスによって救われた腰堀次郎である。

 

 

 

ふと、腰堀はポケットに入れた手紙を取り出す。

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

数日前、カイオスの馬車内にて

 

 

 

「腰堀さん………、もしあなたが……生きてロデニウス連邦共和国に……帰ることが出来たら………この手紙を息子の結婚式の時に読んでやってください。」

 

「何を言ってるんですか!、パトリックさん!!、あなたも生きて帰って、奥さんと2人で空気の綺麗な田舎でゆっくり過ごすんですよ!!」

 

「無理ですよ………、実は私………、肺がんを患ってまして……、余命宣告を受けていたんです……。」

 

「でも!!」

 

「せめて………、せめて息子の結婚式までは生きていたかった…………」

 

「パトリックさん!!、しっかりしてください!」

 

 

パトリックは、最後の力を振り絞って声をだす。

 

 

「腰堀さん。息子と、妻のことと…………、ロデニウス連邦共和国を頼みます。あなた達が来てくれたおかげで息子は……………」

 

 

だが、言い切ることは出来なかった。

 

 

 

 

 

「パトリックさん!!、パトリックさん!!、目を開けてください!!、パトリックさん!!」

 

 

涙が止まらなかった

 

 

 

「なんで………、なんでこの人を死なせるんだ!!、まだ孫にも会えていないのに!!」

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

手紙を開いて読んでいると再び涙が溢れてきた。

 

 

 

 

 

と、その時、何人かの従者が入ってきて、腰堀を捕まえ、服を脱がせようとする。

 

 

「おい、やめろ、何をする、離せ!」

 

 

従者によって腰堀が服を脱がされるが、さすがにいきなりなので腰堀も抵抗する。

 

 

 

そこにカイオスがやってきて説得を試みる。

 

「別に殺そうってわけでは無い、服を脱いでくれ。」

 

パーパルディア皇国の人間にしては随分とまともなカイオスの言葉に耳を傾ける腰堀。

 

「どうしてそんなことを?」

 

「皇帝陛下が君を殺すように命令したのだ、私としては君は貴重な外交ルートだ、君を助けたい。」

 

「そんなことをすればあなただって……」

 

「ああ、タダではすまないな。だからこそ手を打つんだ。」

 

 

 

カイオスは、パーパルディア皇国で人を処刑する際に、布を被せて殺害するという手段を話した。ちょうど腰堀に背丈が近い罪人がいるので、これを腰堀とすり替えることで表向きは腰堀を殺したように見せかけるのだ。

 

 

「君は私の屋敷で匿うことにする。お互いにとって悲惨な結末を産まないためにも協力してくれ。」

 

 

 

憂国の志士に心動かされた腰堀は、申し出を承諾。しかし、通信機器の不調から、ロデニウス連邦共和国本国との連絡には更に数日を有することとなった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国、ムー国大使館

 

 

「本当によろしいのですか?」

 

「あのような身の程知らずの国を我が国としては許す訳にはいきませぬ、亜人1人に至るまで皆殺しにするつもりです。」

 

「そうですか………」

 

 

まるで子供の戯言を見るような目でパーパルディア皇国大使を見るムーゲ。

 

 

「とりあえず、仕事ですから、こちらは受け取っておきます。それと……」

 

 

 

そう言いながらムーゲは腕の時計を見せる

 

 

 

「これは……、随分と洗練されたデザインの時計ですね。貴国で作られたのですか?」

 

「これは夜になると文字盤も光るんですよ、ちなみにこれはロデニウス連邦共和国製の時計です。最近になってムーにいても自動で時刻を修正してくれるようになったようですが、ここではまだのようですね。」

 

「なっ………」

 

 

パーパルディア皇国の大使は言葉を失った

 

 

 

(どういうことだ?、ここまで洗練されたデザインの時計がムーではなくロデニウス連邦共和国なんぞに作られたのか?いや、そんな事があるはずが無い)

 

 

 

ムーゲは滅亡へと向かうかもしれないパーパルディア皇国に対して、ここに来ることの無いロデニウス連邦共和国に代わってさりげなくロデニウス連邦共和国の実力を見せたつもりだが、パーパルディア皇国大使の無理解によって、このことは中枢部にしばらく伝わることは無かった。

 

 

 

 

一方で、ムー国では、今後起こるであろう戦いに関して、どちらに観戦武官を派遣するか検討していたが、昨今の貿易品などを判断した結果

 

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国に向けて派遣する方が良い」

 

 

 

との結論になり、ムー国の中でも貴重なロデニウス連邦共和国通のマイラス、ラッサンの2名をロデニウス連邦共和国軍に派遣することを決定。即日、ロデニウス連邦共和国外務省に通達した。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国、国防省地下司令部

 

 

 

 

既にロデニウス連邦共和国並びに幌筵泊地から艦隊が抜錨し、フェン王国での戦闘態勢を整えている。

 

 

 

そんな中…………

 

 

 

「パーパルディア皇国に潜入中のスパイより報告!、腰堀さんらしき人物が本日処刑されたとのこと!」

 

「ムー国大使館よりロデニウス連邦共和国外務省へ通達、パーパルディア皇国が我が国に対して殲滅戦を宣言!、これは全国民を処刑するとの意味です!、合わせてムー国より、観戦武官派遣の申し入れがありました。」

 

 

 

「愚か者め………」

 

「腰堀……」

 

「アイツら…………」

 

 

 

さらなる蛮行にその場にいる全員が怒りを隠せない

 

 

 

 

全員を見回した多元が不気味なほど落ち着いた口調で声を出す。

 

 

「諸君、まずは仕事を始めよう。とりあえずムー国の観戦武官を迎えにいくために白鳳改を出してくれ。それと、航空艦隊に出撃命令を、攻撃手段はkh-22、弾頭はヘリオスを選択。1人残らず殺れ。私は一旦帰るが、すぐに戻る。」

 

 

 

ムー国の飛行機では時間がかかりすぎるとして、ロデニウス連邦共和国はムー国に自国の機体を派遣することを明言。ムー国からの承諾を得て、武装輸送飛行艇白鳳改を派遣した。

 

 

武装輸送飛行艇白鳳改の詳細なデータが次の通り。

 

 

正式名称 武装輸送飛行艇

全長 33m

全幅 42m

全備重量 64000kg

最高速度 940キロ

巡航速度 900キロ

航続距離 12000km

武装 20mmバルカン砲×4基、近距離ミサイル×6発

乗員 8名

乗客 装備状態の艦娘20名と人間40人

機関 耐水性ターボファンエンジン×4基

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、一旦幌筵泊地へ戻った多元は1人ある部屋にいた。

 

 

 

 

多元の目の前には1台の大きなグランドピアノ。

 

 

幌筵泊地に転生者が来る前からあったもので、相当立派なものだった。

 

 

 

「提督、1時間後に航空艦隊が出撃しますが………」

 

 

入室してきた鳳翔を黙らせたのは音楽だった。

 

 

 

激しいピアノの音色が部屋に響き渡る。

 

 

 

モーツァルトの作曲した曲の中でもいわく付きとも言われた名曲

 

 

 

「レクイエム<<怒りの日>>」

 

 

 

 

だ。

 

 

 

 

 

 

後に鳳翔は「○○として見た多元実(作品のネタバレに関わることなので伏字)」というタイトルの週刊誌にこのことを記載している。

 

 

 

 

「提督がピアノを弾けるということは知っていました。小さい頃から教え込まれたものだけに、かなりの腕でした。でも、その時だけは何かが違いました。まるで、あのパーパルディア皇国の行く末を暗示したような、ただ命を奪われた国民に対して弾いていたわけでは無い気がしたんです…………」

 

 

 

元々の曲調故か、はたまた別の何かがその時、その空間を支配していたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

次回、終わりの始まり、フェン沖海戦

 

 

 

 

 

 

次回更新予定2023年3月




はい、やたら次回更新が遅いのには理由があります。


現在、うp主自身のやむを得ない事情で、創作にかけられる時間が非常に短くなっています。


よって、今後創作にかけられる時間が無くなることを理由としまして、


投稿している全ての小説に関して、次回投稿が終わったものから順に活動休止とさせていただきます。


(停止期間2022年9月~2023年3月)


尚、コメント欄の返信などについても10月頃を目処に返信を控えさせて頂きます。



ここまで多くの皆さんに楽しんでいただき、暖かい言葉をかけていただいていたのですが、申し訳ございません。



ですが、必ず戻ってきます。


その時までお待ちいただけたらな、と思います。



それでは次回の更新をお楽しみに!



間違い、指摘等はコメント欄にてお願いします。


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第17話 終わりの始まり、フェン沖海戦




「決して奴らを生きて帰すな、殲滅させろ、彼らが今までそうしてきたように」




(全軍に布告された多元の発言とおぼしき内容)




はい、というわけで、闇堕ち済みの幌筵泊地と、怒り心頭のロデニウス連邦共和国によるパーパルディア皇国戦の最初です。



初手から殲滅させてますが、まぁこれくらいなら健全だと思います。



 

 

フェン王国 ニシノミヤコ沖合い約30km先海上

 

 

パーパルディア皇国皇軍 海上竜母艦隊は隊列を組み、整然と並んでいた。艦隊の中でも一際目立つのが中央にいる竜母、竜母はワイバーンロードの発着を行うため、他の戦列艦に比べ、2回り大きい。

 

 

 

その圧倒的な存在感をもたらす竜母艦隊を眺め、艦隊副司令のアルモスは満足そうに頷く。

 

 

「竜騎士長!!」

 

すぐ横に立つ竜騎士長に話しかける。

 

「はっ!!」

 

「皇軍は強い!!!」

 

「存じております。」

 

「何故強いと思う?」

 

「総合力です。」

 

「そうだ!!だが、皇軍はその総合力が優れていることもさることながら、この中核たる竜母艦隊がいるから強いのだ。どんな戦列艦の大砲よりも、この竜母があればアウトレンジから攻撃できる。騎士長、制空権を制する者が結局制海権、制地権を制する。私はそう思うのだ。」

 

「はっ!!先進的な考え方であります!!」

 

 

実際、この考えはかなり先進的なものである。魔法などのため技術体系が一部異なっているとはいえ、この考えが地球世界で一般的になるのは20世紀半ばのことであり、竜母やワイバーンを除けばおおよそ産業革命前の欧州並の技術体系であるパーパルディア皇国の軍人がこのような考えを持つことは大変先進的であると言えよう。

 

 

 

「パーパルディア皇軍が、今までの海戦で無敵を誇ったのはこの竜母艦隊があってこそ、この艦隊がある限り、皇軍は覇王の道を突き進むであろう!!」

 

「そして見よ!!この竜母艦隊の中でも、最新鋭の旗艦ミールを!!……すばらしい。艦は大きく、機能美に満ちている。」

 

 

通常の竜母に比べ、砲弾への耐性を持たせるため、対魔弾鉄鋼式装甲をふんだんに使用した美しく、強く、そして大きな竜母がそこにあった。

(装甲空母、というのが我々にはわかりやすいだろう)

 

 

 

 

満足そうな表情を見せるアルモスだが、この後来る殺戮劇によって命含めた全てを失うこととなる。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

フェン王国沖合にて

 

 

 

洋上迷彩を纏った機体が低空を飛行する。

 

 

 

 

原作でこの前振りなら間違いなくF-2ということになるが、この機体はそれよりはるかに大きく、可変翼を後退させ、高速で飛行している。

 

 

 

Tu22M3(mod.HOROMUSIRO)

 

 

ソ連が米空母機動部隊に対抗するために取った戦術である対艦ミサイル飽和攻撃、その中核を担う長距離対艦攻撃機として超音速巡航対艦ミサイルを装備して任務に当たることを目的として開発されたTu22M、これを幌筵泊地はさらなる改良により西側兵器を利用した運用や、さらなる高性能化を行ったモデルで、カラーリングも洋上迷彩に改良された機体である。

 

 

 

全20機、空中給油機からの支援を受けつつ、竜母艦隊より150kmまで距離を詰める。

 

 

 

機体下部には多元の指示で直前になって変更された大型のミサイルが装備されている。

 

 

 

 

 

「全機攻撃開始!、パーパルディアのクソ野郎共を消し炭にしてしまえ!!」

 

 

 

 

 

大型のミサイルが投下され、直後点火して敵艦隊へと飛翔する。

 

 

 

 

今回使用する兵器はkh-22大型対艦ミサイル、NATOコードネーム「キッチン」、その幌筵泊地改良型である「kh-22P 大型対地・対艦ミサイル」である。

 

 

 

幌筵泊地の改良によってマッハ5まで最高速度を引き上げられ、特殊弾頭を搭載したこのミサイルは、僅かな飛翔時間の後、低空から竜母艦隊を殲滅すべく襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

ピカッ!!

 

 

 

目を焼かれるような青白い光が命中した船を包み込む。

 

 

 

 

次いで内臓を揺さぶらんばかりの衝撃波と、轟音を撒き散らす。

 

 

 

かつてそこにあったはずの船は残骸すら残らず"消滅"した。

 

 

 

 

これも幌筵泊地の転生者達がなせる技

 

 

 

空中炸裂型弾頭「へライオスII」

 

 

 

 

エー○コンバット7に登場する架空兵器「ヘリ○ス」を対地攻撃などに転用出来るように改良されたもので、温度は最高で5000℃にも達する。

 

 

 

まともな現代式の建造物ですら破壊されてしまうのだから、たかが強化されてるとはいえ、木造船ごとき相手にもならない。

 

 

 

 

幌筵泊地所属の航空艦隊、幌筵洋上打撃航空艦隊所属のTu22M20機はフェン沖にてパーパルディア皇国竜母艦隊20隻と交戦、150kmからの完全なるアウトレンジ攻撃によって全艦を文字通り消滅させた。

 

 

 

 

 

 

竜母艦隊副司令のアルモスは何が起きたのかすら正確に理解することなく、遺体すら残さずこの世を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着弾とほぼ同時刻、

上空を一機の戦闘機が飛行していた。

 

 

 

 

この機体は、観測機器を搭載し、攻撃隊の戦果を観測し、追加攻撃の有無を確認するためにいる。

 

 

 

 

 

 

撮影された映像は直ちに付近に待機しているバックウイング級巡洋艦「ドルメーズⅡ世」に送信される。

 

 

 

 

 

「弾着」

 

 

 

 

 

 

 

「敵竜母艦隊の全滅を確認」

 

 

 

 

 

 

 

「敵艦隊を殲滅する!、

 

 

突撃隊前へ!、

 

 

楔を打ち込め!!」

 

 

 

 

エンジンが唸り声を上げながら、ミドル級駆逐艦(フライト1)を先頭に艦隊がパーパルディア皇国艦隊めがけ突撃していく。

 

 

 

ミドル級に座乗しているのはバーガンだ。

 

 

 

「平らげろ!!」

 

 

127mm、76mmの砲弾が次々と非道な侵略者に向けて降り注ぐ。

 

 

 

幌筵泊地の精鋭たちから手ほどきを受けていた艦隊だ。外す弾は無く1発1発正確に当たる。

 

 

 

 

木片、肉片を飛ばしながら、形あるものが細かく加工されていく。

 

 

 

揚陸艦、砲艦、その他もろもろの………、パ皇の力の源であった海軍戦力が全て消えてしまう。

 

 

 

 

「クソ!、撃て、とにかく撃つんだ!!」

 

 

勇敢にも反撃してくる船もいるが、バーガン麾下の軍艦か砲撃の合間を縫って対艦ミサイルを放ち、沈黙させる。

 

 

 

「後1隻!」

 

 

バーガンの座乗艦の127ミリ砲二門が最後の砲艦を捉えた。

 

 

 

ドン!、ドン!

 

 

 

放たれた砲弾が舷側を貫き、中の弾薬庫で引火、たちまち爆沈する。

 

 

 

 

 

「こちら突撃隊司令、バーガン中佐、敵艦隊の殲滅を確認、奴ら揃ってサメの餌になりつつあります。」

 

 

 

仁王立ちしたまま報告を受けるドルメ

 

 

 

「パーパルディアおそるるに足らz「敵を甘く見るなバーガン」

 

 

血気盛んなバーガンを諌めつつ、ドルメは指示を出す。

 

 

「突撃隊は支援隊と合流、向かってくる幌筵泊地艦隊の援護にあたれ。」

 

「了解!!」

 

 

無線が切れたところを見計らってバイデンが苦言を呈する

 

 

「バーガンのやつ調子に乗りおって………、まぁ、これで奴らは完全に袋の鼠ですな。」

 

「そうだな、艦隊殲滅をしたい貴様の楽しみが消えたが……」

 

「全くです。ハッハッハ!」

 

 

 

軽口を叩く彼らだが、その心の中にはパーパルディア皇国への怒りが当然あった。

 

 

 

「奴らを地獄にたたき落とすまで、我々は止まることを許されない。そうだな、バイデン?」

 

「はっ、奴らに地獄を見せてやります。」

 

 

 

 

 

 

 

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同時刻、フェン王国沖合5km

 

 

「揚陸艇、発進!!」

 

 

マウンテンシャドウ級ドック型揚陸艦

1番艦「マウテンシャドウ」

2番艦「キャピタルシティ」

3番艦「パーククラブ」

4番艦「シップヒル」

5番艦「ディラック」

6番艦「フロント・アキュパンクチャー・カレッジ」

7番艦「セサミ」

8番艦「アンダーマウンテン」

 

諸元表

全長 211.2m

最大幅 33.2m

機関 CODAG

速力 22ノット

揚陸能力 上陸部隊用人員最大780名収容可能、LCAC2隻

武装 Mk41(ESSM用、16セル)、RAM近接防空ミサイル21連装発射機×2、35mm単装機関砲×2

艦載機 MV22オスプレイ×2

 

 

だいたいサン・アントニオ級ぐらいである。

 

 

 

揚陸内容は以下の通り

 

M39メルニウス 10両

M1エイブラムス 30両

BMP-1R(25ミリ機関砲と砲塔両側に対戦車ミサイル発射装置を装備) 10両

MLRS 20両

AAV7 20両

トラック

陸軍、並び海兵隊500人

 

 

 

 

この部隊は川内型全員と陽炎型9人、神風と春風によって護衛され、第七艦隊と合流しつつ、揚陸を完了。フェン王国周辺の制海権も完全に掌握した。

 

 

 

 

 

 

一方、同時刻、フェン王国近海

 

 

本隊とは別の場所に5隻の艦隊が揚陸体制に入っていた。

 

 

 

あきつ丸

諸元表

全長 260m

最大幅 35m

機関 複合電気推進方式

速力 22ノット

兵装 Mk41 VLS(16セル)、ファランクスCIWS×2基、21連装RAM×2基、25ミリ機関砲×4基、12.7ミリ重機関銃×4基

搭載能力 エアクッション艇×3

モデル ワスプ級

 

 

 

そこに吹雪、白雪、初雪、愛宕が護衛している部隊であり。この艦隊と揚陸部隊の存在は現場司令官レベルにならなければ知らされておらず、任務もほとんどが知らされていない。

 

 

揚陸されたのは以下の通り

 

 

化学防護車、NBC偵察車、液体散布車、粉末散布車、他厳重に守られたトラックが数両

 

 

この部隊は化学防護衣を身にまとった隊員が多くいる。

 

 

 

「きい剤、ちゃ剤、それから妖術……、この表現は嫌だな」

 

「仕方ありません。他に適当な隠語が無いのですから。わかりやすさ優先です。」

 

「それもそうだな……」

 

 

 

明らかに厳重に梱包された物を見ながら雑談する隊員。

 

 

 

 

「あきつ丸と乗員の皆さん、お世話になりました。」

 

 

 

 

淡々と挨拶をして出撃していく隊員たちにあきつ丸の妖精達は奇妙な感覚を覚えたのだという。

 

 

 

<奴らは真っ当な軍人とはちょっと違っていた、どちらかと言えば研究室に居そうな人間すらいたような部隊だ、しかし、そんなヤツらなのに我々は何か恐ろしい部隊を運んでいたと感じた、そんな気がずっとしていた>

 

 

 

(出典:機密文書解除後に行われた当時の隊員へのインタビューより)

 

 

 

 

 

 

 

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一方のパーパルディア皇国フェン王国侵攻部隊

 

 

 

「おい、一体どうなっているんだ!」

 

「分かりません、突然竜母艦隊などの海軍の艦隊との連絡が取れなくなったので、不審に思って浜辺まで偵察を出したらこれが流れ着いてました………」

 

 

 

将軍ベルトランは、苛立っていた。

 

 

 

事の発端は、突如として陸戦隊を除いた自分たち以外の全ての侵攻部隊と連絡が取れなくなったことだ。

 

 

 

最初は魔信の不具合かと思い、ものを変えてみたのだが、一向に繋がらない。

 

 

 

 

 

なので、部下に命じて、海岸線まで向かわせ、状況を確認させたのだが………

 

 

 

 

「1隻も見えぬとはどういうことだ!、如何に皇国の技術が優れていようと、陸上支援のためには海岸線から目視で見える範囲まで接近しなければならないはず、それに通信すら繋がらないとはどういうことだ!!」

 

「もしや……」

 

「もしやとはなんだ」

 

 

 

 

部下の1人が申し訳なさそうに手を挙げる。

 

 

 

 

 

「ありえない事実ではありますが、フェン王国に我らに対抗出来る力はありません。となるとロデニウス連邦共和国という可能性があります」

 

「ロデニウス連邦共和国?、あの蛮族がか?、バカバカしい、文明圏外国風情が我らの大艦隊を殲滅することなど出来るはずがない。」

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国の正しい軍事力について理解しているのはパーパルディア皇国ではカイオスくらいである。故にベルトランは完全に慢心し、部下の意見を退けた。

 

 

 

「まぁいい、我らがフェン王国を落とせば済むこと、居なくなった艦隊は無視して先に進む。ところで竜騎士とは連絡は取れるのか?」

 

 

 

そう言って見渡すと誰もが目をそらす。

 

 

 

 

「おい、どうして目を合わせようとしないのだ!」

 

「………全滅です。」

 

「何ィ?」

 

「全滅です!、死体も確認しました。最早飛んでいるワイバーンロードは1騎もおりません!」

 

「な、なんだと!、そんな有り得ぬ、蛮族風情に我らのワイバーンロードが負けるはずがない!!」

 

 

 

 

フェン王国上空に待機していたワイバーンロードを迎撃したのはTu22Mの護衛としてやってきていた幌筵泊地洋上航空打撃艦隊の直掩機であるF-16Vだ。

 

 

 

 

 

中距離ミサイルを叩き込んで、一方的なワンサイドゲームを展開し、あっという間に肉片に加工したのだ。

 

 

 

 

 

「それでは我々は空から丸裸ということではないか!!」

 

 

制空権を失う。

 

 

 

 

 

 

その事がベルトランに重くのしかかった。

 

 

 

 

 

しかし、彼にとっての本当の地獄はここからだった。

 

 

 

 

 

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一方、少し時間を遡り、ムー国

 

 

 

「な、なんなんだこのバカでかい船は!」

 

「ラッサン、これは船じゃない、飛行機だ!」

 

「飛行機!?、余計にバカでかいじゃないか!、しかも海に浮かべるなんて!」

 

 

 

今回、ロデニウス連邦共和国に派遣される観戦武官として選ばれたのは、多元との関わりも深い、マイラス、そしてそのマイラスとの関係があるラッサンである。

 

 

 

当初、ムー国側は観戦武官派遣のために航空機をまわそうとしたのだが、戦いに間に合わなくなるとのことで、ロデニウス連邦共和国側から白鳳改を送るという旨を受け取っていた。

 

 

 

まあ、それはいい、だがどういう訳か、港に待たされていたのだ。

 

 

そして、先程の様子に至るというわけだ。

 

 

 

 

「観戦武官のお2人には、まずはロデニウス連邦共和国に向かっていただき、そこからティルトローター機で第七艦隊に向かってもらいます。その後観戦となりますので、長旅となりますが、よろしくお願いします。」

 

 

長旅、と聞いたラッサンが尋ねる。

 

 

「艦隊に向かうまではどれくらいかかりますか?」

 

 

「白鳳で1日強のフライトと、ティルトローター機による移動なので、移動だけなら2日ほどで着きます。ですが、移動の都合上、3日ほどかかります。」

 

 

 

なっ……、ラッサンは固まった。

 

 

およそ3万キロも離れた場所までいくのに、3日、ムー国なら1週間はかかる行程を半分以下で済ませてしまう技術。

 

 

 

「とんでもない国だな、ロデニウス連邦共和国というのは……」

 

「だから言っただろ?ラッサン。私だって初めは信じられないのだが、あの人達の技術は相当なものなんだ。」

 

「お前さんが言っていた多元実本部長のことだな?、我々ですら1回転移で大混乱なのに、2回もこなしているとは余程肝が据わってると言える。」

 

 

肝が据わってるというより、異世界転生モノが多すぎるからわかっていたということもあろう。

 

 

 

話に夢中で、飛んでいることに気づかなかったのだが、ここでマイラスは1つ、気になることがあった。

 

 

 

「この機体の最高速度はどれくらいですか?」

 

「巡航速度は900km/hです。」

 

「速い……」

 

 

 

機内食が運ばれると、更に2人は驚く。

 

 

 

「温かい、それに種類も多い。これがロデニウス連邦共和国の最高クラスなのか……」

 

「えっ?、いや、この機体については普段は通常の運行にも使われますよ?」

 

「嘘だろ!?」

 

 

 

そう、この機体、実は普段は国交のある国のうち、滑走路が貧弱な地域の海上に降り立つことで、旅客や貨物輸送に従事しているのだ。白鳳改自体は武装装備型と非武装型があり、この白鳳改は武装が付いているが、これは海賊や、ワイバーンなどに対処するためで、万が一何かあっても観戦武官を守るための措置である。

 

 

 

「このレベルの機体が政府専用機とかのレベルでは無いのか……」

 

「多分あの人達が作ったんだろうね………」

 

「俺も会いたくなってきたな、マイラス、後で紹介してくれよ。」

 

「ああ、俺も話したいことがあるからね、頼んでおくよ」

 

 

 

 

だが、マイラスは知らなかった。この時、多元は完全に闇堕ちしており、まともに話せる状態では無かったということに………

 

 

 

 

 

 

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ロデニウス連邦共和国、ハボクック臨時空港

 

 

 

 

マイラス達を乗せた白鳳は、ハボクックの艤装を転用した臨時の軍民共用空港であるハボクック臨時空港に着陸した。

 

 

 

白鳳改は、US-2同様に、陸地に降りられるように改装されており、これが白鳳改の機体寿命の延長に役立っている。

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、ロデニウス連邦共和国へ、案内役の平河結弦です。短い間ですがよろしくお願いします。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。観戦武官のマイラスです。」

 

「同じく観戦武官のラッサンです。」

 

 

 

仕事の多い多元に代わって、案内役として抜擢されたのは、平河。彼の案内で、2人はホテルに案内された。

 

 

 

「平河さん。多元さんに会いたいのですが、会えますかね?」

 

「あ〜、やめといた方がいいですよ、今すごく闇が深いので、まぁ私もですが………」

 

 

一瞬黒い表情を見せたが直ぐに戻した。とはいえ、多元程どす黒い訳でもないので、マイラスは一応流して質問を続ける。

 

 

「と言うと?」

 

「ニュースをご覧になるとわかるんですけど、提督の後輩にあたる腰堀さんがパ皇のクソ野郎に殺されたんですよ」

 

「えっ……」

 

 

 

絶句した、まさか文明圏外国で格下相手とはいえ外交関係者に対してそこまでの非道をしたとは聞いていなかったのだ。

 

 

 

 

「まぁ、奴らが死にたいのなら望み通りにシテヤルダケデスヨ」

 

「ヒィッ」

 

 

びっくりした。なんせ穏やかに話していたはずの平河が突然闇夜も真っ青な程のどす黒い感情を見せたのだ。

 

 

 

「あぁ、すみません、つい感情的になってしまって……、とりあえず今日はゆっくり休んでください。ティルトローター機とはいえ、移動に時間がかかりますんで。」

 

 

 

 

直ぐに元に戻った平河だが、マイラス達は確かに幌筵泊地全体の隠された雰囲気を読み取った。

 

 

 

 

 

 

そして、次の日、マイラス達は冒頭の第七艦隊の戦闘風景を見ることになる。

 

 

 

 

「…………、なぁマイラス、俺は夢でも見てるようなんだが、全弾命中していないかコレ?」

 

「ラッサン、君の目に狂いは無いと思うよ、俺の目にもそう写ってる。」

 

「これ仕組みとかどうなってるんだ?」

 

「さぁ……検討もつかない。」

 

「観戦武官のお2人、次は陸戦となりますので、移動の準備をお願いします。」

 

 

 

 

バーガンの言葉に慌てて移動し始めた2人だった。

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国軍は、フェン王国沖合にて、パーパルディア皇国の侵攻部隊、その海上部隊と衝突、被弾なし、負傷者及び死者0で完封した。

 

 

 

 

そして、いよいよ陸戦へと移ることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、死神達のパーティータイム

 

 

 

 

 

怒りに燃えたロデニウス連邦共和国軍がパーパルディア皇国軍を襲う。







さて、何やら怪しい雰囲気がしますが、吹っ切れた転生者達が一体何を持たせたのかは次回明らかになると思います。




次回もお楽しみに!



間違い、指摘はコメント欄にお願いします。


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第18話 死神たちのパーティタイム





「今回のフェン王国での戦いには大統領閣下自らが我々にフリーハンドをくださった。つまり、なんでもありだ、元の世界の国際法だけ守って、どんな手段を使っても敵を抹殺しろ。」



(派遣部隊への訓示における多元)




陸戦です。残酷な描写が多数含まれていますので、ご注意ください。







フェン王国、ゴトク平原にて

 

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国フェン王国派遣軍前線司令部

 

 

 

「では、ドローン及び、偵察隊の報告によれば、侵攻してきたパーパルディア皇国軍はこのままゴトク平原を目指す構えなんだな?」

 

「はい、そのようです。」

 

「これ以上の蹂躙を見過ごす訳にはいかないからな、ここで食い止める。既に、建御名方を旗艦とする支援艦隊が来援するとの事だ。彼らと連携して、侵攻部隊の撃滅を行う。」

 

「了解!」

 

「尚、侵攻部隊殲滅後、部隊はニシノミヤコ奪還を進めるが、その際、立てこもる部隊がいた場合は、無理に放置せず、後続の別働隊が対処してくれるそうだ。」

 

「別働隊?、本隊とは別の部隊がいるのですか?」

 

「詳しくは話せんが、そういう立てこもる部隊との戦闘に特化した部隊らしい。BMP-Tとか連れてきてるかもな。」

 

 

 

 

この後、詳細を詰めた後に出動、侵攻部隊の迎撃にあたることとなる。

 

 

 

 

 

 

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一方のパーパルディア皇国軍は、ゲリラ戦によって、大幅に遅れながらもゴトク平原を目の前にしていた。

 

 

 

 

「クソっ、フェン王国の奴らめ、奴らのせいで貴重な皇国兵が殺られた。」

 

 

歯ぎしりするベルトラン

 

 

ニシノミヤコをなんとか落としたとはいえ、フェン王国兵の戦意は全く衰えるところを知らなかった。

 

 

むしろ、ロデニウス連邦共和国とかいう蛮族の国家が参戦するとわかってから、昼夜を問わず、あちこちから攻撃を仕掛けてくる有様。

 

 

 

(たかが蛮族の塊が1つ増えたところで、我々に勝てると思っているのか……、いやしかし……)

 

 

 

ベルトランの手元の時計が彼の心に不安を生じさせる。

 

 

 

それは処刑したロデニウス連邦共和国国民の着けていた腕時計だ。

 

 

 

「暗がりで文字が光る上、洗練されたデザイン。ムー国の機械式時計に似ているが、こちらの方が優れている………」

 

 

 

もしかすると、我々はとんでもない存在を敵に回したのか、とまではいかなかったものの、彼の不安は死ぬまで消えることは無かった。

 

 

 

 

「ベルトラン様!、まもなくゴトク平原です。ここを制圧すれば、フェン王国の完全制覇は目前です。」

 

「う、うむ、そうだな。」

 

 

ドルボの声で我に返ったベルトラン。

 

 

 

平原を進む皇国軍は真っ直ぐ処刑台へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

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「パーパルディア皇国軍を確認。」

 

「戦車隊は突撃し、地竜を排除せよ。」

 

「了解、陸軍戦車隊突撃!」

 

「海兵隊戦車隊、突撃!」

 

 

 

 

ガスタービンエンジンとディーゼルエンジンが唸りを上げて突撃する。

 

 

 

 

「目標正面、地竜。撃てぇ!」

 

 

 

ドーン!

 

 

 

120mm滑腔砲が次々と放たれ、地竜を肉片にする。

 

 

 

「命中、続いて撃て!」

 

 

ズドーン!

 

 

 

また地竜が肉片に加工される。

 

 

 

地竜は抵抗出来ぬまま、為す術なく撃ち殺されていく。

 

 

 

戦車兵達にとっては、演習程度の難易度だが、殺された家族や、友人、知り合いの敵討ちと考え、真剣に戦っていた。

 

 

 

(これは、幌筵泊地と、ロデニウス連邦共和国軍で協議した結果であり、半ば意図的に関係者混ぜたとされている)

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

「あのバカでかい鉄の地竜を撃て!」

 

 

ベルトランの指示で魔導砲が放たれる。

 

 

何発かは命中するが、まるで効果が無い。

 

 

 

それもそのはず。

 

 

 

ここにいる戦車は化け物以外のなんでもないからだ。

 

 

 

 

M-1エイブラムスは、その頑丈さと、性能によって、湾岸戦争でモンキーモデルとはいえ、数的不利で最新のT-72を完封している上、鹵獲を防ぐために撃破しようとした味方戦車の砲弾すら、余裕で耐え抜く性能を持つ。M39メルニウスは、そもそもの設計のベースがメルカバ戦車であるため、防御は当然優れており、特に搭乗員を守るという点においては、並ぶ物は無い。

 

 

 

 

「ば、化け物め……、我々の魔導砲が通じないのか………、なぜこのような敵を本国は伝えなかったのか………」

 

 

ベルトランは絶句し、自らの不幸を呪った。

 

 

 

「ベルトラン様!、敵の地竜の後ろにもさらに部隊が!」

 

 

 

 

戦車隊後方に控えていたのは、BMP-1を改良したBMP-1R、AAV7、そしてトラックだ。

 

 

 

「なんなんだあの軍隊は……、このままではまずい、撤退だ。」

 

 

 

そう言って最早全滅しかけている地竜を放棄して逃げ惑うパーパルディア皇国軍だが、彼らは着実にキルゾーンに向けて追い込まれており、別の方向に逃げようとすれば、戦車隊の砲撃か、BMP-1Rから25mm機関砲を喰らう有様。

 

 

 

 

「ベルトラン様!、不味いです。我々は完全に追い詰められました!」

 

 

 

気づけば、崖っぷちに追い詰められている。

 

 

 

どうする……

 

 

 

降伏か、死か、

 

 

 

 

ベルトランは迷った。

 

 

 

 

 

だが、ロデニウス連邦共和国は、選ばせなかった。

 

 

 

そもそも、ロデニウス連邦共和国国民を無惨にも殺した敵に情けがあるわけが無い。

 

 

 

白旗を振って降伏したなら別だが、そうでなければ容赦はしない。

 

 

 

 

「降伏を……」

 

 

 

決断は最早無意味だった……

 

 

 

 

 

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フェン王国沖合

 

 

 

陸上部隊支援艦隊旗艦「建御名方」

 

 

 

「砲撃予定地点到達!、陸上部隊より、キルゾーンへの誘導完了との報告!」

 

「わかりました。直ちに攻撃を。」

 

「りょ、了解……」

 

 

 

 

建御名方、建御雷、雪風、黒潮、満潮、大潮で構成された支援艦隊は、その火力をフェン王国の海沿いのちっぽけな崖に集中させようとしていた。

 

 

 

 

「風向きが悪いので、茶色弾(シアン化水素)は使用しません。サーメート弾用意」

 

 

 

サーメートは加害範囲こそ狭いが、5000℃にもなる高温で、鉄骨すら焼き切る性能を持つ。9.11陰謀論でもよく引き合いに出される有名な兵器である。

 

 

 

問題は、化学兵器を使用しようとしたこと、建御名方の事情はその場にいる全員が知っているため、無理に咎める訳では無いが、一応<今回のパーパルディア皇国との戦争に限り、最低限のレベルでの毒ガスと生物兵器の使用を認める>とはしているものの(核兵器は協議した後に使える)、やり過ぎな感じは否めない。

 

 

「本当はもっと即効性のあるものが良かったのですが、しかたないですね。」

 

 

ここは艦橋内で、通信を開いているのは建御雷だけだから、それ以外に通信は漏れない。

 

 

「建御名方………、艦載機発艦の許可を」

 

「許可します、姉さん。」

 

 

 

万が一砲撃でもしぶとく生き残ったものに攻撃するために、艦載機を発艦させる。

 

 

 

「陸上部隊より連絡!、砲撃を開始されたし、との事。」

 

「砲撃開始!」

 

 

 

 

ズドンッ!、ズドンッ!、ズドンッ!

 

 

 

TOT射撃を行った建御名方。

 

 

 

 

一方、陸上部隊でも………

 

 

 

「クラスター弾を喰らえ!、パ皇のクソッタレ共!」

 

 

 

 

バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ!

 

 

 

 

 

陸と、海の両方からの攻撃を受けるパーパルディア皇国軍。

 

 

 

 

「降伏の旗を……

 

 

 

 

言いかけたその時。

 

 

 

 

ドーン!、ドーン!、ドーン!

 

 

 

着弾と共にサーメート弾が威力を発揮する。

 

 

 

 

「ギヤァァァ!」

 

「熱い!、熱い!、助けt………」

 

 

 

皮膚に穴が開き、骨は焼き切られ、顔はドロドロになり、髪は燃え上がる。

 

 

 

サーメート弾の効力範囲はまさに地獄そのもの。

 

 

 

人だったものが、絶叫し、人ならざるものへと変化していく。

 

 

 

そこにクラスター弾が弾着し、焼け死ぬ苦しみから爆発によってあっという間に死ぬことで解放されるのだ。

 

 

 

馬も、人も関係ない。その場にいた生けるもの全てが焼き尽くされ、バラバラになった。

 

 

 

 

 

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陸上部隊

 

 

 

「焼けてますね。」

 

「汚ぇ花火だ。」

 

「いい気味ですよ。」

 

「全くだ。でも、死体処理がめんどくさいな。」

 

「このまま燃えちまうんじゃないんですかね?」

 

「それもそうか……、このまま死体ごと燃やしてくれるなら好都合だな。」

 

「サーメート弾ってありがたいッスね。」

 

「そうだな、さて、これで後は進軍しながらニシノミヤコを解放するまでだ。全部隊前進!」

 

 

 

 

荒野を進む派遣部隊。

 

 

 

 

 

「ここら辺だな……」

 

「師団長、ここら辺とは?」

 

「もうすぐわかる。」

 

 

 

茂みから、誰かが出てくる。

 

 

 

 

「あなた方がロデニウス連邦共和国軍ですか?」

 

 

 

まるで戦国時代の甲冑のような装備をした男たちが次々に出てくる。

 

 

 

「そうだ、貴官らは何者か?」

 

「我々はフェン王国騎士団。是非とも同行させて欲しい。」

 

「わかった、後ろの車両に乗れ」

 

 

 

フェン王国の兵士と合流しながらニシノミヤコ解放を目指すロデニウス連邦共和国軍。

 

 

 

 

ニシノミヤコでは、パーパルディア皇国軍の本隊が、侵攻部隊と連絡の取れなくなったことにより混乱していた。

 

 

 

 

 

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ニシノミヤコにて

 

 

 

「ドローン発進。」

 

 

 

熱感知器を持たせたドローンが次々に発進し、建物に立てこもる敵兵を見つけ出す。

 

 

 

「師団長!、おそらくここら一体の建物にはパーパルディア皇国兵が立てこもっていると見られます。尚、建御雷からの報告によれば、この近くの開けた場所に、本隊が見られるとのこと。」

 

「わかった。ここら一体の始末は後続部隊に任せることとする。包囲網を形成し、後続部隊が来たところで合流せよ。合言葉は……、わかっているな?」

 

「はい。大丈夫です。」

 

「ムー国観戦武官の方はこのまま来てください。このまま本隊を叩きます。」

 

「わ、わかりました。おいマイラス。さっさと行くぞ」

 

 

 

 

ラッサンとともに装甲車を乗り換え移動するマイラス。

 

 

 

(ドローンと呼ばれる無人機を使った情報収集から始まり、戦車による地竜の撃破、装甲戦闘車という戦車や歩兵との共同作戦を前提とした車両、ロケット砲の一斉攻撃に、海軍との連携………、ロデニウス連邦共和国、いや、幌筵泊地は一体どこまで我々を驚かせるのか………)

 

 

 

 

 

 

「マイラス、なにかわかったことがあるのか?」

 

「我が国では勝てない。」

 

「だよなぁ……」

 

「後、俺が思うに、この国と同盟、或いは技術交流をすべきだと思う。」

 

「俺もそう思うんだが……、この内容、素直に信じてくれるのかなぁ……」

 

「俺もそう思うんだ。まずは味方作りからだな。」

 

「ああ。」

 

 

 

ムー国観戦武官のふたりは、持っていたカメラや、メモを使って、必死に情報収集に勤しむのだった。

 

 

 

 

 

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それからしばらくして

 

 

 

「派遣部隊の皆さん。到着しました。」

 

「合言葉は?、コールお願いします。」

 

「マシマシ」

 

「正解ですね。後は頼みます。」

 

「了解しました。お疲れ様です。」

 

 

 

引き継ぎを終えた部隊が立ち去る。

 

 

 

「なあ、あいつら装甲戦力無かったが、本当にあれで大丈夫なのか?」

 

「俺も知らされていないからわからんが、おそらく大丈夫なんだろう。」

 

「俺、あいつらの顔見たことないんだが……」

 

「俺もだ、きっと幌筵泊地の隠し部隊なんだろう?」

 

「そうだな……」

 

 

 

 

立ち去る彼らが見覚えのないのも無理は無い。

 

 

 

 

彼らの部隊名は、903部隊。

 

 

 

幌筵泊地で秘匿される部隊の1つで、同じように901部隊が核兵器、902部隊が生物兵器と、おおよそ現代では存在すべきでは無い部隊であり、本来はNBC兵器からの防御を担当する部隊だが、当然攻勢にも投入可能であり、この903部隊は化学兵器を専門とする部隊で、サリン、マスタードガス、シアン化水素、VXガス、ノビチョクなどを開発、運用しており、このような立てこもった部隊の対処にはうってつけの部隊である。

 

 

 

 

「魔信を使った通信で、対策を練られないように、それぞれに流す毒ガスは種類をずらせ。ここはシアン化水素、あそこはサリン、こっちはマスタードガス、向こうはルイサイトだ。各出口には軽機関銃を構えて待機。出てきたところを撃ち殺せ。」

 

 

 

 

ここにいる連中が用意した毒ガスはそんじゃそこらのテロリスト程度の濃度では無いので、流し込まれた時点で死は避けられない。

 

 

 

また、出口では、装甲車や、歩兵が機関銃や小銃を持って待機しているため、どちらにせよ、死は避けられない。

 

 

 

 

「隊長、時間です。」

 

「良し、毒ガスを流し込め!」

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国軍にとって地獄の毒ガス戦が始まった………

 

 

 

 

 

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一方、立てこもるパーパルディア皇国軍

 

 

「クッソ、なんなんだよあいつら……」

 

「みんな殺られちまった……、もう降伏した方がいいんじゃないか?」

 

「馬鹿野郎!、栄光あるパーパルディア皇国の軍人が蛮族なんぞに降伏できるか!」

 

「しかし!」

 

「黙れ!、現場指揮は俺だ!」

 

「隊長、落ち着いて……」

 

 

 

立てこもるストレスから、言葉が乱暴になるパーパルディア皇国兵。しかし、その間、自らの身に危険が迫っていることを知らない。

 

 

 

 

 

 

「うっ……、気持ち悪い……」

 

「どうした?」

 

「なんか……、吐きっぽいです……」

 

「どうした?、生水でも飲んだのか?」

 

「そういえば……、俺も頭痛が……」

 

「俺もなんだか目眩が……」

 

 

 

少し落ち着いたところで、次々に体の異変を訴える兵士たち。

 

 

 

「お前、顔赤くなってないか?、熱でもあるのか?」

 

「いえ……ハアハアハアハア」

 

「おい……、大丈夫か?、おい……おい!」

 

 

 

リーダー格の男は、突然降って沸いた不安感にさい悩まされていた。

 

 

 

その場にいる全員が吐き気、頭痛を訴え、過呼吸をおこし、倒れ込む。

 

 

 

 

「隊長、こいつ息してません!」

 

「なんだって!?」

 

「嘘だろ……、不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い!」

 

「落ち着けって!!」

 

「うわぁぁぁ!」

 

 

タッタッタッ

 

 

 

興奮して外へ飛び出す兵士。

 

 

 

 

すると次の瞬間……!

 

 

 

 

ズバババババババババババババババババ!

 

 

 

外で控えていた903部隊が容赦なく撃ち殺す。

 

 

 

 

 

「おい……、もしかしてこれって毒ガスか!?」

 

 

 

そう、903部隊が流し込んだのは、シアン化水素。

 

 

 

化学兵器の中では血液剤と呼ばれる細胞内呼吸を阻害することで死に至らしめる致死性の毒ガス。

 

 

 

 

初期症状として、吐き気、頭痛、目眩などが発生し、次いで過呼吸や、興奮、呼吸困難、不安感などに悩まされ、最後は全身が痙攣し、脈が遅くなったり、血圧が下がって死に至る。

 

 

 

 

対処方法はガスマスクで防護することだが、この世界にそんな代物は無い。

 

 

 

 

(もう……、ダメ……だ……)

 

 

ガクッ

 

 

 

最後まで苦しんだ隊長クラスの男が逝く。

 

 

 

第1段階として、シアン化水素を投入された40名の立てこもったパーパルディア皇国兵は、途中で飛び出して撃ち殺された1人を除いて、全員中毒死した。

 

 

 

 

 

だが、悲劇はまだ続く。

 

 

 

 

別の立てこもり場所では………

 

 

 

 

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」

 

「ゴホッゴホッ!」

 

「苦しい……、酸素……」

 

 

たまらず酸素を求めて外に出ようとすると……

 

 

 

ズバババババババババババババババババ!

 

 

 

軽機関銃の弾幕で次々に倒れていく。

 

 

こちらでは、ガスの投入数時間後から、赤い斑点を生じ痛みを伴う症状を起こしている上、目や呼吸器の粘膜を冒し、水疱、潰瘍を生じるようになった。

 

 

 

 

毒ガス界の王様とも呼ばれるマスタードガス(サルファマスタード)を投入された連中は、皮膚に対する酷い症状でのたうち回った挙句、外に出たところを集中砲火された。

 

 

 

 

さらに別の場所では………

 

 

 

「おい、小便漏らすな……」

 

「オロロ……」

 

「吐いたやつがいます……」

 

「おい、しっかりしろ……」

 

 

ガクッ

 

 

 

「地獄だ……ここは地獄なんだ!!」

 

 

 

 

猛毒で知られるサリン……、日本人なら誰もが知っている毒ガスをぶち込まれた連中は、あの凄惨な事件の被害者同様の症状を示しながら死んでいった。

 

 

 

 

 

このように、もはや筆舌に尽くし難い徹底した毒ガス戦が行われた結果として、負傷者無しで制圧に成功した903部隊は、その後証拠隠滅を行った後に撤収。

 

 

 

完璧なまでの証拠隠滅故に、機密文書開示までその全容は全く掴むことが出来なかった。

 

 

 

 

パーパルディア皇国は、この戦いで、フェン王国侵攻部隊の陸上戦力の2割を喪失、既に失われた7割と合わせて、9割の喪失により、もうまもなく終わりが見えてきた。

 

 

 

 

 

 

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ニシノミヤコ近郊、パーパルディア皇国上陸拠点

 

 

 

 

「どうして蛮族風情に我々が負けるのだ!」

 

 

苛立つシウス。

 

 

 

彼はたまたま陸に上がっていたところ、乗っていた船が第七艦隊によって撃沈され、さらに目の前でワイバーンロードが落とされる様子を見ていた。

 

 

 

さらに、侵攻部隊との連絡も取れないことも相まって、怒りを募らせていた。

 

 

 

 

「シウス様!、大変です!、ロデニウス連邦共和国とフェン王国の軍がすぐそばまで迫ってきております!」

 

「なんだと!、市街地に立てこもっていた部隊はどうなったんだ!」

 

「それが、どうやら奴らは市街地を迂回してきたようで……」

 

「馬鹿な!、市街地に立てこもった連中を無視すれば、側面から突かれるのは自明の理、立てこもっていた部隊は動いたのか?」

 

「それが……、毒ガスを撒かれたと」

 

「毒ガス!?、蛮族め、卑怯な手を使いおる」

 

 

 

 

シウスは侮蔑するが、そもそもパーパルディア皇国でも立てこもった敵勢力に対して毒ガスを撒いたり、毒液を撒いたりする程度のことは普通に行っており、はっきり言ってお前が言うのか?、というレベルだ。

 

 

 

 

 

<<パーパルディア皇国軍に告ぐ!、直ちに白旗を揚げて降伏せよ!>>

 

 

 

魔信からロデニウス連邦共和国軍と思われる勢力からの降伏勧告が送られる。

 

 

 

「おい!、誰だ我が軍の周波数を教えたやつは!!」

 

「有り得ません!、精強なるパーパルディア皇国軍が魔信の周波数を勝手に教えるはずが……」

 

 

 

 

端的に述べさせてもらえば、転生者達が魔信の構造を完全に理解しきったため、パーパルディア皇国軍の周波数を割り出したのである。

 

 

 

 

「くっ<<降伏などするか!、蛮族なんぞに降伏するくらいなら、我らパーパルディア皇国軍は皇帝陛下のために命を散らせる!>>」

 

 

 

流れ続けた降伏勧告に、いらだちを覚えたシウスは、周りが答えるよりも先に、降伏勧告を拒絶した。

 

 

 

 

 

 

 

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支援艦隊旗艦「建御名方」

 

 

 

 

<<降伏などするか!、蛮族なんぞに降伏するくらいなら、我らパーパルディア皇国軍は皇帝陛下のために命を散らせる!>>

 

 

 

「誰が蛮族よ!、私の大切なジロウを奪っておいて、無辜な市民を殺しておいて!、自分達は立派な人間のつもりで華々しく散るつもり!!、巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな巫山戯るな!!

 

 

 

 

無線を掴み取り、全軍に達する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「建御名方より全軍へ!、これより艦砲射撃を行う!、至急退避せよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、「全滅」

 

 

 

 

 

 

 

 







反応次第では修正します。


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第19話 全滅





「一筋の光が見えたとしても、我々は戦う。現実を見て戦うのだ。」


(腰堀生存が期待される中、ほぼそのまま作戦続行となる中での多元の言葉)




はい、パーパルディア皇国のフェン王国侵攻部隊を撃滅して、次なる戦場へと向かいます。果たして原作とは違うアルタラス王国はどのような展開を迎えるのでしょうか?






 

 

 

 

「COILレーザー用意!!」

 

「ちょっと待て!、建御名方!、COILレーザーだと接近する必要がある上、非装甲目標とはいえあの数を焼き切ると、砲塔内部の電子機器が焼け付くぞ!!」

 

「どの道交換が必要なのだから関係ない!!、奴らに恐怖を植え付けるのには、全長300mの巨艦である本艦の威圧が最適!、復唱を!」

 

「は、は!、機関増速!、海岸線をソナーで警戒しつつ、COILレーザー用意!!」

 

 

 

 

 

全長300mの巨艦、各藩の勢力が強いまま明治維新を迎えた建御雷型の世界では、アメリカを手本に連邦制を取り、大日本合衆国として出発。多くの戦乱を経て、侵略者に心理的負担と、圧倒的航空戦力、あるいは圧倒的対地火力をもって敵の侵攻意欲を削ぐことを目的として作られた戦略打撃艦。その2番艦で、戦艦タイプの建御名方が、その矛先をパーパルディア皇国の残存勢力に向ける。

 

 

 

 

 

「で、デカい!、なんて大きさなんだ!!」

 

 

当然その大きさはパーパルディア皇国の兵士たちにとって、絶望的ななにかに写り、早くも降伏を訴える声が大きくなった。

 

 

 

 

だが、今更もう遅い。

 

 

 

 

いや、全てが遅すぎた。

 

 

 

 

 

「COILレーザー照射!!」

 

 

 

まずは味方に近いところから。高威力のレーザーは、目に入れば失明、皮膚に当たれば火傷。当てられた時間と場所次第で死に至る。

 

 

 

 

 

 

「ぎゃあああああああああ!」

 

「熱い!、熱い!、熱い!」

 

「目がぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

そして、やがて………

 

 

 

「おい!、燃え上がってるぞ!!」

 

 

 

辺り一面を人間が焼けるような嫌な臭いが漂い、最初の犠牲者達が誕生した。

 

 

 

 

「目の前の戦艦が何かやってるんだ!、そうに違いない!!」

 

「馬鹿な!、何もやってないぞ!」

 

 

 

交錯する情報でパニックに陥るパーパルディア皇国兵。

 

 

 

残された者たちも火傷や失明でまともに抵抗できない。

 

 

 

 

 

「建御名方!、ダメだ、やっぱり泊地で開発中のショックカノンとかじゃないと攻撃できない!!」

 

「わかった、サーモバリック弾用意!」

 

 

 

 

 

今度は主砲がパーパルディア皇国兵を狙う。

 

 

 

 

「撃てぇ!」

 

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

 

51cm三連装砲4基が一斉に火を噴く。

 

 

 

 

弾着、その瞬間高熱の炎と熱風がパーパルディア皇国を包み込み、死に至らしめる。

 

 

 

 

 

 

「射撃完了、生存者0」

 

 

 

 

 

もはやあえて語る必要は無い。フェン王国に侵攻したパーパルディア皇国兵は、1人残らず死亡した。

 

 

 

 

 

 

軍事上の定義における全滅では無い。辞書的な、一般用法的な意味での全滅だ。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

同じ頃、幌筵泊地

 

 

 

 

「フェン王国で支援中の建御名方より入電!、パーパルディア皇国フェン王国侵攻部隊は、1人残らず死亡した。以上です。」

 

 

「そうか」

 

 

顔色1つ変えない多元以下転生者。

 

 

 

「カナタ大統領。パーパルディア皇国はこのことについてどう動くと考えますか?」

 

 

 

テレビ会談中のカナタ大統領に話しかける。

 

 

 

「恐らく隠蔽し、再度侵攻を企てるでしょうか、あの国は異常なほどプライドが高い国です。それこそ、負けたとなれば自らのプライドが許さないでしょう。」

 

「では、我々はパーパルディア皇国国民、いや世界にこれを知らせる意義があると思います。もし勝てると思って、殲滅まで言い切った相手に逆に殲滅されたということを大々的に報じれば、国民や、属国などに大きな影響が与えられると考えています。」

 

「なるほど、それは確かにそうですね。上手くいけば、国内の混乱を引き起こせるかもしれません。」

 

「そこで、カナタ大統領にお願いがあります。」

 

 

 

多元は自らのプランについて話した。

 

 

 

「なるほど……、確かに有効的ですね。それともうひとつ……」

 

「なんでしょうか?」

 

「今回はあくまで我々が殲滅させられそうになったため、そして、我が国の怒りと力を示すためにあらゆる戦い方を許可しました。その結果、少ない労力で敵を殲滅することが出来たのは良しとすべきでしょう。ですが、それはそれです。あの兵器のやりすぎは後々に禍根を残すことになると私は考えます。次の2発は許可しますが、それ以外、またこの戦い以降は秘匿兵器の使用を禁止します。万が一使った場合はたとえ幌筵泊地と言えども処罰です。」

 

「わかりました。」

 

 

 

先程の戦闘経過を見たカナタ大統領。今回ばかりはパーパルディア皇国側に非があるとはいえ、やり過ぎれば相応のデメリットを生むとして、NBC兵器は次の2発までで禁止となった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

一方、戦場から視察を終えたマイラスとラッサンは、帰りのティルトローター機でロデニウス連邦共和国への帰路に着いていた。

 

 

 

 

「……………」

 

「…………、なあマイラス。」

 

「なんだい?、ラッサン。」

 

「もしかすると、俺たちはとんでもない連中と出会ったのかもしれない。」

 

「そうだね」

 

「そして、とんでもない光景を見た。」

 

「その通り。」

 

「彼らは最早世界トップクラス。ミリシリアルすらも超えるとんでもない連中なんだろう。」

 

「ああ、そして、そのとんでもない連中が怒りを露わにしている。4番手とはいえ、列強国に………。そして、パーパルディア皇国は無惨に、完膚なきまでに叩きのめされている。もしこの拳が我が国に降り注いだら………」

 

「俺達も同じ運命を辿る。恐らくグラ・バルカス帝国相手でも同じ運命を辿るのだろう。」

 

「俺たちがこれからどうすべきか……」

 

「その答えは……」

 

「ひとつしかないよ、ラッサン。」

 

「俺は軍部を通じて外交部を説得してみる。」

 

「僕も、軍部上層部にデータを送るよ。」

 

 

 

 

「「ロデニウス連邦共和国と軍事同盟締結に向けて」」

 

 

 

迫り来る第八帝国の脅威に対抗すべく、それまでの中立政策を放棄する方針の大転換に向けてマイラスとラッサンは頭を捻るのであった。

 

 

 

 

 

 

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一方、幌筵泊地諜報部はある重大な事実を掴んだ。

 

 

 

 

「何!、腰堀さんが生きてる可能性有!?」

 

「ええ、現地諜報員の話によると、処分された遺体を間近で確認させたところ、腰堀さんの服を着た全くの別人だとわかりました。」

 

「どういうことだ!?」

 

「パーパルディア皇国では処刑の際、布を被せることでその人物にいつ殺されるか分からない恐怖を与えるそうです。その制度を利用して誰かが腰堀さんをすり替えた可能性があります。」

 

「じゃあ!、腰堀さんは……!」

 

「交渉材料としての切り札か、はたまた何らかの理由でどこかに匿われている場合があります。」

 

「すぐに提督に知らせろ!、それと詳細の確認を現地諜報員にやらせるんだ!」

 

 

 

 

諜報部は大急ぎで情報を精査することとなった。

 

 

 

 

情報はすぐに官邸と地下司令部に回る

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国大統領官邸地下

 

 

「諜報部、それは本当なのか!?」

 

「ええ、生きているかどうかはともかく、処刑された人は別人です!」

 

「すぐに確認しろ!、状況次第では救出作戦すら考えなくてはならない。」

 

「大統領!、このことについて公表は?」

 

 

 

 

その場の人間全員がカナタを見つめる。

 

 

 

 

「公表はしません。パーパルディア皇国はとてもプライドが高い国です。もし処刑したのが人違いなら、全力で腰堀さんを探しに回るでしょう。安易に情報を公表するのは彼の生存率を下げることになります。」

 

「はっ!」

 

「諜報部は引き続き情報の精査と協力者の調査をお願いします。あの国でそうしたことを行える立場にある人間はそうそういないはず、となれば後々の外交で切り札になるかもしれません。」

 

 

 

 

 

とりあえず対外的には腰堀は死亡、もしくは行方不明という扱いとなった。

 

 

 

 

そして、幌筵泊地地下司令部でも……

 

 

「本当か!」

 

「ええ!、腰堀君は生きているかもしれません!」

 

「そうか……、建御名方には?」

 

「まだ伝えていません。大統領より機密扱いとなったため、迂闊に伝える訳には………」

 

「希望を持たせたい。彼女だけには伝えられるように、俺が大統領を説得する。」

 

「はい!」

 

 

 

転生者の顔が少しずつ明るさを取り戻す。

 

 

 

失われた仲間が生きているかもしれない可能性に賭けて、諜報部にさらなる調査を命令した。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ただ1人パーパルディア皇国で生きている腰堀はカイオスと2人で食事を摂っていた。

 

 

 

 

 

「腰堀さん、我が国はこれからどうなりますか?」

 

「恐らく、良くて縮小、悪ければ滅亡ですね。」

 

「良くて縮小とはどう言った意味で?」

 

「つまり、ロデニウス連邦共和国と戦って敗北した後、この国が存続し続けるにはパーパルディア皇国は明らかに肥大化しすぎてしまったのです。この先どのように動くかはあなたがたの選択次第です。ですが、はっきり言えば領土は減らざるを得ないでしょう。フェンで大きく戦力を失って尚も戦闘を続ければ、広大な領土を維持するだけの戦力が無くなり、国力も落ちてきます。」

 

「それを続けるとどうなるかは……、もちろん私も分かります。」

 

「いえ、カイオスさん。あなたがたは、というより私のような一部の人間を除いて、人々は多元実という男の危険さを分かっていない。」

 

「と言うと?」

 

「あの人は、先輩は、仲間を大変大事にするんです。」

 

「つまり?」

 

「結果的にカイオスさんが私を助けてくれたとはいえ、表向きはパーパルディア皇国は私とパトリックさんを始末したことになっています。そして、殲滅戦……、民族浄化まで宣言した。これが幌筵泊地、というより先輩にどう映ったか」

 

「大切な仲間を殺された……、まさか彼は!!」

 

「ええ、これが先輩が軍人になれなかった理由です。軍人として、高級士官にしては危険すぎるほど仲間想いなのです。普段は落ち着いていて、クセの強いメンツをまとめることが出来ている優秀な提督という一面がありますが……」

 

「普段落ち着いている分、吹っ切れると危険ということですか……」

 

「ええ、特にフリーハンドになればなるほど危険なんです。自分の裁量で物事を進めることができてしまうので。」

 

「トップにしてはいけない秀才か……」

 

「ええ、ですから彼は自分から国防大臣の座を譲りました。もし万が一のことがあっては危険なので。」

 

「だが、起きてしまった。しかも最悪の状況で。」

 

「はい。」

 

「さらに言えば、他の転生者も似たような状況なのだろう?」

 

「ええ、幌筵泊地では基本的に先輩はその道の専門家には可能な限りフリーハンドを与えてきました。彼らの背景事情、そして幌筵泊地の成り立ちなんかもお伝えした以上、これ以上の説明は不要でしょう。」

 

「部下、というより仲間の忠誠心も異次元になりつつあるのか……」

 

 

 

 

こうして、腰堀が幌筵泊地の裏事情を話す一方、カイオスもまた、パーパルディア皇国のあらゆる情報を引き出して、腰堀に伝えることで、腰堀とカイオスはお互いに話せる限りの情報を交換し、互いの未来を話し合っていた。

 

 

 

 

「つまり、下手を打てばパーパルディア皇国全土が焼き払われる可能性もあるのか……」

 

「下手を打てば所の話ではありません。確定です。」

 

「何とか回避できないのか!?」

 

「ロデニウス連邦共和国の要求を全て飲み、賠償金を確実に支払わなければ難しいでしょう。」

 

「不可能だ……、そんなことは………」

 

 

 

 

カイオスは、パーパルディア皇国の腐った現実を知っているとはいえ、この国で生まれたことに誇りを持ち、この国を愛していた。故にこの国が滅びの道を突き進むことが我慢ならなかったのだ。

 

 

 

 

「あの女が中枢にいる限り、そんなことは……」

 

「でしたら、諦めるしかありません。冷酷なようではありますが、国が滅びるのは外的要因故ではなく、内的要因が外的要因を呼び起こすのです。」

 

「だが、それでも私はこの国を救いたい!、頼む、この国を救うために力を貸してくれ!!」

 

 

 

 

少しの間があり………

 

 

 

 

「分かりました、私としても最大限協力したいと思います。」

 

「ありがとう、必要なものがあれば言ってくれ。」

 

 

 

 

憂国の志士は動き出す。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

数日後、パーパルディア皇国上空

 

 

 

 

「な!、なんなんだあのデカブツは!!」

 

 

 

 

空前絶後の巨人機がパーパルディア皇国内に侵入する。

 

 

 

 

「何かばらまいているぞ!」

 

 

 

 

ビラが投下され、エストシラントは大混乱に陥る。

 

 

 

紙にはこう記されていた。

 

 

 

 

「目覚めよ!、パーパルディア国民!、フェンでパーパルディア皇国軍は全滅している!、政府は事実を隠蔽し、諸君らを死地に追いやるぞ!!」

 

「精鋭とは一体?、20万人が帰って来ない!」

 

「時は迫れり!」

 

 

 

 

全滅した写真、ワイバーンが火を噴いて国旗を燃やす絵、船が沈む様子を描いた絵と一緒にビラをばらまくのはベトナムても実績のあるB-52。

 

 

 

 

その巨体と、ワイバーンオーバーロードですら追いつけない瞬速さは、見るものに恐怖を与える。

 

 

 

 

 

「どういうことだ!、息子はどうなった!」

 

「旦那を返して!!」

 

「恋人はどうなったの!!」

 

「弟は無事なのか!!」

 

 

 

 

人々は疑念に駆られ、政府機関に詰め寄る。

 

 

 

情報が伝わらない上、常に結果しか報じられていないこの国で、敵国からダイレクトに届く情報は国民を動揺させるのに十分だった。

 

 

 

あちこちで暴動が起こり、兵士が出動する。

 

 

 

エストシラント、パールネウス、デュロ、その他各都市でも同様の事例が発生し、皇国は一時的に大混乱に陥った。

 

 

 

 

 

 

 

「なんなんだこのふざけたビラは!!」

 

 

 

怒りを撒き散らすのは皇帝ルディアス。

 

 

 

フェン王国侵攻部隊との連絡が途絶えた矢先に発生した敵鉄竜による領空侵犯とビラまき。パーパルディア皇国の威信に傷をつける大失態だ。

 

 

 

「アルデ!、これは本当なのか!」

 

 

 

怒りそのままアルデにことの真偽を確かめる。

 

 

 

 

「恐れながら陛下、事実であります。フェン王国侵攻部隊との連絡は完全に途絶えてしまいました。」

 

「魔信の不調というのは?」

 

「全部隊のあらゆる魔信が使用不能となることは有り得ないと結論づけました……」

 

「敵の戦力を見誤り、皇国の兵士の命を犠牲にするとは……、この責任は重いぞ!」

 

「はっ、誠に申し訳ございません!!」

 

 

 

深々と頭を下げるアルデ

 

 

 

「鉄竜は何処へ向かった?」

 

「アルタラス王国方向へ飛んで行ったとの報告があります。」

 

「アルタラスだと?、確かあのロデニウス連邦共和国との同盟国だな、カイオスよ」

 

「はっ!」

 

「アルタラス王国に対して鉄竜の着陸を拒否させろ、さもなくば攻め入ると脅してな。」

 

「わかりました。そのように……」

 

 

 

口では従っていたものの、内心は腰堀との会話の内容からその後の動きを考えていた。

 

(アルタラスに手を出せばロデニウス連邦共和国は面子を守るために軍をさらに抽出するだろう。確かに分散するかもしれないが、その程度の分散で勝てる相手では無い!、それに、兵力を分散させられるのは我々とて同じ事。むしろ悪手ではないだろうか………)

 

 

 

 

「報告!、属領にも同様の事例が発生し、反乱を煽るような文言になっているそうです!!」

 

「何だと!、おのれ……、ロデニウス連邦共和国め……!」

 

 

 

 

力づくで支配してきた代償は、力によって自らが覆された時にその威力を発揮する。パーパルディア皇国が持っていた圧倒的軍事力が覆された時、果たして属領はそのままでいるのか………

 

 

 

 

重い空気が御前会議の場を覆っていた。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

ルディアスが指示したすぐ後、パーパルディア皇国からの呼び出しを受けたターラ国王はある文書を受け取っていた。

 

 

 

「これは……、どう言った意味で?」

 

「ロデニウス連邦共和国に協力するなと言っている。」

 

「お分かりですかな、我が国はロデニウス連邦共和国と同盟を組んでいる。同盟国なら、その国が戦争中、可能な限り手を貸すのが普通でしょう。」

 

「わからんのか?、貴様らを滅ぼすことだってできるのだぞ?、皇帝陛下は寛大な慈悲を与えているのだ。」

 

「は!、儂の大事な娘を奪おうとしたパーパルディア皇国に協力する義理はない」

 

 

 

突入しろ、とターラ国王が無線機で兵士達に声をかけると、外から装甲車に乗った兵士達が次々と降りてきた。

 

 

 

「貴様ら!、この私に銃を向けるのがどういうことかわかっているのか!!」

 

「貴様らのような連中より、ロデニウス連邦共和国の方が比較するまでもなく良い!、国王命令で国内のパーパルディア皇国の全ての権益を没収、職員は全員追放だ!」

 

 

 

 

兵士達が、パーパルディア皇国の職員を捕まえて、パーパルディア皇国船籍の船に乗せる。

 

 

 

 

 

「とっと失せろ!、パーパルディア皇国!」

 

「消えちまえ!」

 

 

 

 

罵詈雑言を浴びせられながらパーパルディア皇国船籍の船はアルタラスを去っていった。

 

 

 

 

 

そして、ターラ14世はその日のうちに、軍に臨戦態勢を指示すると共に、ロデニウス連邦共和国に対して援軍要請を行った。

 

 

 

 

 

 

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大統領官邸地下

 

 

「アルタラス王国より援軍要請、パーパルディア皇国から幌筵泊地の爆撃機受け入れ拒否を命令されたものの、これを拒否、職員全員の国外追放と、財産没収を行い、臨戦態勢を整えたようです。」

 

「わかりました。多元本部長に連絡を、救援部隊の選定に入るように。」

 

「了解!」

 

 

 

 

 

 

幌筵泊地地下司令部

 

 

 

「大統領官邸よりアルタラス王国への救援部隊の選定との事!」

 

「時間的に海上部隊は厳しい。第118戦術航空団と、輸送機を回せ、上陸阻止支援だ。海上はアルタラス王国に任せる。」

 

「提督、大丈夫なのですか?、確かアルタラス王国は哨戒艦とフリゲートしかいないですが……」

 

「大丈夫だ、彼らと既に作戦については共有してある。」

 

「と言うと?」

 

「まず、航空隊は、ワイバーンを撃退することを前提に制空装備、一気に出すのではなく、3個に分けて出させ、継続的な航空支援を行わせる。次に艦艇は、揚陸支援を行う竜母艦隊への攻撃に特化し、揚陸艦などは戦車隊と、火砲に任せる。まだアルタラス王国自体は沿岸海軍のレベルでしか無いから、上陸されることを前提とした戦略になっているんだ。」

 

「なるほど、で、制空権は死神に任せると」

 

「その通り、上陸部隊はこれから編成するが事前に考えていたものとさして変わらん。数日以内に対応できるだろう。」

 

「提督、

 

 

 

 

第118戦術航空団の方々がこられました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、空を支配する者たち「アルタラス王国防衛戦①」

 

 

 







というわけで、次回からアルタラス王国防衛戦です。





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第20話 アルタラス防衛戦①




「この戦いの中で唯一我々の予定通りに行った戦いだ。他は全部あの人(多元)があの時仕上げた」


(参加したロデニウス連邦共和国軍関係者)



さて、タイトルからネタバレしてますが、アルタラス王国防衛戦です。



原作未登場のあの兵器の活躍が見れます。






 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国は、パーパルディア皇国を仮想敵国としていた時、次のような侵攻ルートでパーパルディア皇国は来ると考えていた。

 

 

 

 

 

・直接侵攻

・フェン王国ルート

・同盟国への侵攻後上記ルート

 

 

 

このうち、直接侵攻は、パーパルディア皇国の実力では難しいということから、フェン王国が主戦場となるか、こちらの前線基地を無くす意味合いでアルタラス王国などに攻め入る可能性が考えられていた。

 

 

 

 

フェン王国には当初、無理やり自国の外交問題に巻き込まれたということから安全保障関係の協力には否定的な見方があり、また、当時外洋での活動が可能な艦隊が少なかったこと、アルタラスと先に同盟関係にあったことからも、後回しとなった。

 

 

 

しかし、その一方で、なんの抵抗も無しにやられてしまっては困るので、ある程度のゲリラ戦の指導を行ったのだ。

 

 

 

 

一方、アルタラス王国は、ムー国との海上交易路の重要地点にあったこと、良質な魔石が取れる(魔法研究に役立つ)などの様々な事情から、幌筵泊地頼みになってでも助ける相手となっていた。

 

 

 

 

しかし、アルタラス王国はロデニウス連邦共和国から遠く、海兵隊と海軍の支援は時間がかかるため、初動は空軍と陸軍によって行われることとなった。

 

 

 

 

(尚、これは後にロデニウス級航空母艦の完成と、10個空母機動部隊の設立によって変更された)

 

 

 

 

そして、その初動は、陸軍の即応機動師団の設立と、幌筵泊地第118戦術航空団、輸送航空団の協力によって成立することとなる。

 

 

 

 

つまるところ

 

 

①第118航空団護衛の元、輸送航空団によって即応機動師団を素早く輸送。

 

②アルタラス王国海軍、第118戦術航空団によるA2AD

 

③アルタラス王国陸軍と、ロデニウス連邦共和国軍即応機動師団による水際作戦

 

④持久戦にもつれ込んだ場合に備えて、幌筵泊地からの空母機動部隊出撃。

 

⑤空母機動部隊の出撃と同時に輸送部隊も出撃、一気に巻き返す。

 

 

 

 

尚、④~⑤の間、輸送航空団はピストン輸送で弾薬の供給を行うものとし、必要に応じてラピッドドラゴンによる攻撃も行うこととした。

 

 

 

 

 

そして、その初動を担う即応機動師団については

 

 

本土防衛即応機動連隊を元に

 

16式MCV×20両

16式改APC×20両

16式改IFV×10両

16式改MSP×20両

16式改対空車両×10両

16式改良型指揮通信車両×4両

高機動車×10台

偵察用オートバイ×10台

トラック×40台

 

 

 

ここに戦闘工兵大隊を加えたものとなる。

 

 

 

 

これらを大量の輸送機で一気に運ぶことで、戦力の機動運用を可能としている。

 

 

 

 

さらに、フェン王国で出番のなかった第一航空戦隊をアルタラス方面に向けて派遣。場合によっては戦闘参加もさせる。

 

 

 

 

 

 

そして、今回の作戦の要となる第118戦術航空団のメンバーが以下の通り

 

 

 

メビウス1(コールサイン メビウス1)

 

メビウス2(コールサイン ブレイズ)

 

メビウス3(コールサイン サイファー)

 

メビウス4(コールサイン タリズマン)

 

メビウス5(コールサイン トリガー)

 

メビウス6(コールサイン ネモ)

 

メビウス7(コールサイン 中佐)

 

メビウス8(コールサイン グリフィス)

 

メビウス9(コールサイン リーパー)

 

メビウス10(コールサイン アンタレス)

 

メビウス11(コールサイン スカーフェイス)

 

メビウス12(コールサイン フェニックス)

 

メビウス13(コールサイン ピクシー)

 

メビウス14(コールサイン チョッパー)

 

メビウス15(コールサイン ハートブレイク1)

 

メビウス16(コールサイン シュトリゴン)

 

メビウス17(コールサイン ヴァンピール)

 

メビウス18(コールサイン ガッツ)

 

メビウス19(コールサイン アクーラ)

 

メビウス20(コールサイン カウント)

 

 

 

他16人(ネタ切れなので誰か教えてください)

 

 

 

 

 

オリジナルのコールサインが入っているが、だいたいわかるようにここにいるのはエスコンの主人公と僚機と敵エースの塊である。

 

 

 

 

 

当初、幌筵泊地の中では、経験豊富な第1航空団や、第2航空団を推す声もあったものの、アルタラス王国全土を長時間飛び回り、単機でも適切な航空支援を出せるという部隊は彼らしかいなかった。

 

 

 

 

特に、カウントや、トリガーと言った長距離飛行に慣れているメンバーが在籍しているということもあり、結果として彼らの派遣に繋がったのだ。

 

 

 

 

尚、第118戦術航空団は次のような内容が認められている。

 

 

 

○各隊員が乗る機体は幌筵泊地にある航空機であれば作戦時いつでも使える。(無くても間に合えば作ってもらえる)

○弾薬などは必要な分、必要な時に渡される。

○早期警戒管制機は3機、それも専属。

 

 

 

 

 

第118戦術航空団は、即応機動師団を載せた輸送機を護衛しつつ、アルタラス王国へと向かって言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

アルタラス王国

 

 

 

「国王陛下!、来ました!、ロデニウス連邦共和国の増援部隊です!!」

 

「来たか!」

 

 

 

王城のベランダから外を眺めると、ロデニウス連邦共和国の巨大な輸送機が次々とリバイル基地に着陸していく。

 

 

 

もちろん、出迎えとして、ロデニウス連邦共和国からの輸出機であるMig28、中古のF-1支援戦闘機も護衛についている。

 

 

 

 

 

「陛下、増援部隊の指揮官がぜひ会いたいと申しております。如何しましょう?」

 

「決まっておる。行くぞ、救国の戦士達を訪問せずして、何が国王だ。」

 

 

 

 

ターラ14世は、ロールスロイスの高級車(幌筵泊地が作った車)に乗って、アルタラス王国最大の基地で民間空港も兼ねたリバイル基地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

リバイル基地にて

 

 

 

 

 

「ようこそ、ロデニウス連邦共和国軍の方々、私はアルタラス王国国王、ターラ14世である。」

 

「お目にかかれて光栄です陛下。即応機動師団団長です。今作戦における現場指揮を預かっております。」

 

「うむ、アルタラスは今、危機にある。我が軍は貴国の援助によって見違えるほど強くなったが、それでもまだまだなところがある。どうかこの国を守って欲しい……」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

 

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一方、パーパルディア皇国では

 

 

 

「第3外務局の監察軍からも兵を出せ。」

 

「はっ」

 

 

 

アルタラス王国へはパーパルディア皇国軍と第3外務局所属の監察軍が合同で攻め入ることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

「腰掘くん、具体的な安全保障の問題は中々話せないとは思うが、1つ教えてくれ、アルタラス王国には勝てるかね?」

 

 

 

しばらく考え……

 

 

 

「もし、アルタラス王国単体と戦うのなら、最悪物量で押せば時間はかかっても制圧することが可能かも知れません。尤も、その犠牲に見合うものが得られるかどうか、そして、この仮定はまずありえないということです。」

 

「やはりか」

 

「幌筵泊地は、要請48時間……、いえ24時間以内に先遣隊を派遣することが可能であり、72時間以内に即応機動師団と呼ばれる部隊を送り込むことが可能です。この部隊だけでもあなたがたの軍隊では太刀打ち出来ない上、1週間以内にさらなる増援部隊が派遣可能です。」

 

「となれば……、監察軍には貧乏くじを引かせることになるな。」

 

「はっきりいってそうなりますね。」

 

 

 

 

 

やはり、このままの政府ではダメだ。この国を将来に渡って残すためには既存勢力を無くさなければならない。

 

 

 

 

 

密かにクーデターの決意をしたカイオス。

 

 

 

 

 

だが、それを実現するには、あまりにも問題が山積みとなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「早く塹壕を掘れ!、そこに戦車を入れて敵の揚陸部隊を迎え撃つ!」

 

「建物の影に隠れてゲリラ戦を行わせることで、敵の勢力を分散させ、各個撃破を狙うんだ。」

 

「制空権確保、維持のためにも飛行場の防衛は徹底しろ!」

 

「MCVは、海岸線と市街地周辺を支援要請を受けつつ遊撃、上陸阻止に当たれ!」

 

 

 

 

実は、アルタラス王国、ロデニウス連邦共和国共に、今回の迎撃作戦はあくまでもその先を見据えた仮のものであった。

 

 

 

 

元々、ロデニウス連邦共和国は大規模な軍拡をムー国との貿易開始以降行っており、最終的に総勢400万人程の正規軍を整えるつもりであったが、パーパルディア皇国の動きが早かったため海外派遣部隊などの編成が間に合わないということが予見された。

 

 

 

 

また、アルタラス王国側の軍拡も間に合わないことが推測され、アルタラス王国側とロデニウス連邦共和国側の双方の検討の結果、上陸前の撃破は諦め、海軍は竜母艦隊攻撃と、揚陸支援阻止、空軍は制空権確保と上陸阻止。陸軍は上陸されることを前提とした作戦を練ることになった。

 

 

 

 

 

それが前回多元の語っていた防衛計画である。

 

 

 

 

 

今作戦における要は航空戦力と、MCV。ロデニウス連邦共和国とアルタラス王国連合軍はやってくるパーパルディア皇国軍並びに監察軍14万人を迎え撃つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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アルタラス王国沖合、パーパルディア皇国アルタラス王国侵攻部隊直下水面下100m。

 

 

 

 

 

 

「うーみの中からこんにちは~、ゴーヤだよぉ~、なんて言ってる余裕はないでちねぇ………」

 

「そうだなぁ……、なんせ上にいるこいつらを監視する必要があるからな……、しかしまぁ、提督も随分キレているみたいだなゴーヤ」

 

「あれだけ怖い顔したてーとくは見たことないでち。」

 

「何はともあれ、兵器の準備はできてるぞ。」

 

 

 

 

 

伊58含め、いわゆる水上機搭載型の伊号潜水艦(伊401除く)は次のような性能になっている。

 

 

 

 

 

全長 110m

全幅 12m

機関 核融合炉

推進方式 ポンプジェット推進

最高速度 水中において50ノット以上

最大潜行深度 1000m

武装 660mm魚雷発射管×8基、多目的一体型VLS(8セル)

艦載機 SUAVを複数搭載、VLSより発艦

 

 

 

 

 

「現在VLSには自走機雷を装填、魚雷発射管には対艦ミサイルを装備しており、ご命令があれば直ちに発射可能です。」

 

「攻撃予定時刻までこのまま追尾でち。」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

水面下に潜むサメは密かに刃を研ぎ続ける。

 

 

 

 

 

 

 

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パーパルディア皇国最新型竜母「パルキマイラ」

 

 

 

 

 

 

空の覇者とも言われたワイバーン、それに対してさらなる品種改良した結果、生殖機能との引き換えに空戦能力を高めた種がワイバーンロードである。

 

 

 

長く空の覇者として君臨し続け、周辺諸国との軍事的優位を保ってきたものの、第2文明圏の列強ムーが飛行機と呼ばれる機械を作り、ワイバーンロードの優位性が失われつつあった。

 

 

 

さらに近年ムーが開発した「マリン」と呼ばれる最新鋭戦闘機の登場により、ワイバーンロードの空戦能力は劣勢に立たされる。この状況を打破するため、パーパルディア皇国はその高い魔導技術を使用し、ワイバーンのさらなる品種改良に成功する。それが、ワイバーンオーバーロードである。

 

 

 

 

生殖機能はもとより寿命すら削ったことにより、ワイバーンロードに比べ、速度、旋回能力及び戦闘行動半径が向上した。副作用として、離陸滑走距離が長くなるため、竜母を造った場合は、滑走路を長くとる必要がある。ワイバーンオーバーロードの最高速度は時速430kmにものぼり、列強ムーの最新鋭戦闘機に比べても、優位性が確保できると予想されていた。

 

 

 

 

 

「蛮族め!、不遜にも我が国の要求を蹴るとは……、この最新鋭の竜母であるパルキマイラが来たからにはロデニウス連邦共和国諸共滅ぼしてくれる!!」

 

 

 

 

 

アルタラス王国侵攻部隊指揮官の乗る竜母「パルキマイラ」は、ワイバーンオーバーロードの搭載を可能にした最新型の竜母だ。

 

 

 

 

 

これを含め、およそ15万人に陸海合わせ上る軍勢がアルタラス王国を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

だが、それが片道切符となることを彼らは知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

アルタラス王国沖、アルタラス王国海軍主力艦隊

 

 

 

タス級フリゲート(あさぎり型に近い)

 

「タス」

「アールティーエー」

「チート」

「カミワザ」

 

 

マイハーク級フリゲートの輸出版であり、状態的にはあさぎり型に近いが、対艦ミサイルを8発では無く、10発積めるようになっており、全艦合計で、パーパルディア皇国侵攻部隊の竜母を全滅させることができる。

 

 

 

 

「パーパルディア皇国艦隊を補足!」

 

「まっすぐアルタラスに向かっています!!」

 

「今までの俺たちならただ殺られるだけだった。でも今の俺たちは違う!!」

 

「そうです艦長!、お世話になったロデニウス連邦共和国のためにも、我らの力を見せてやりましょう!!」

 

「対艦ミサイル発射用意!、目標、パーパルディア皇国竜母!」

 

「数6!、残りは戦列艦を殺ります!」

 

「その後は接近しながら砲撃だ、今までの砲撃訓練を思い出せ!、奴らの砲撃はこっちには届かない!!」

 

「対艦ミサイル発射用意良し!」

 

「全弾発射!!」

 

 

 

 

 

対艦ミサイルが発射筒を突き破り、次々と放たれる。

 

 

 

 

 

「着弾まで10秒!、9、8、7、6、5、4、弾着……今!!」

 

 

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

 

 

100門クラスのフィシャヌス級戦列艦と竜母がまとめてなぎ払われる。

 

 

 

 

「なっ、何が起きたんだ!?」

 

 

 

 

 

 

竜母艦隊の外縁部で竜母が吹き飛ぶのを見たフィシャヌス級戦列艦の艦長は何が起きたのか全く理解が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「やったぞぉ!!」

 

「パーパルディア皇国め!、思い知ったか!」

 

「まだまだ行くぞ!、全速前進!」

 

 

 

 

アルタラス王国海軍は歓声を上げていた。

 

 

 

 

列強であるパーパルディア皇国の力の象徴を消し飛ばし、こちらに被害が一切無いのだから。

 

 

 

 

 

更なる戦果を求めて、アルタラス王国海軍は突き進む。

 

 

 

 

「主砲射撃用意!」

 

 

 

76mm速射砲がパーパルディア皇国艦隊に向けられ、照準を合わせる。

 

 

 

「撃てぇ!」

 

 

 

ドン!、ドン!、ドン!、ドン!

 

 

 

幌筵泊地やロデニウス連邦共和国のそれと比べれば練度は多少落ちるものの、戦列艦の射程外から一方的に殴りつけられるため、次第に精度は良くなる。

 

 

 

 

ズドーン!

 

 

 

大きな爆発音と共に、戦列艦が沈む。

 

 

 

 

 

アルタラス王国海軍はたった4隻ながら、圧倒的多数のパーパルディア皇国艦隊を圧倒していた。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、パーパルディア皇国艦隊付近海面下

 

 

 

「アルタラス王国海軍は中々やり手でちね。」

 

「我々も負けていられませんな。」

 

「そうでちね、自走式機雷用意!」

 

「自走式機雷用意良し、VLSハッチオープン」

 

「全弾発射でち!!」

 

 

 

 

バシュ、バシュ、バシュ

 

 

 

紺○の艦隊に出てくるような浮遊機雷が続々とゴーヤのVLSから分離され、パーパルディア皇国艦隊を襲う。

 

 

 

 

 

 

ズゥーン!

 

 

 

 

 

如何に小型とはいえ、強力な浮遊機雷の前には木造船ごとき大したことはなく、水面下に風穴を開けて次々と沈んでいく。

 

 

 

 

 

 

「対艦ミサイル発射!」

 

「ハープーン発射!」

 

 

 

 

追加でハープーンを発射、揚陸支援を行う船を優先的に狙って撃沈。揚陸部隊を丸裸にする。

 

 

 

 

 

「リージャック様!、このままでは上陸は不可能です!、海軍に頼んで撤退を!!」

 

「ならぬ!、今回の侵攻は陛下のご意志、逆らえば首が飛ぶぞ!、第一……」

 

 

 

 

 

リージャックは空を見上げる。

 

 

 

 

「まだオーバーロードが空にいるではないか!!」

 

 

 

 

リージャックが空を見上げて指を指した次の瞬間!!

 

 

 

 

 

「メビウス1、Fox2!」

 

 

 

突然飛来してきたSu35が、オーバーロードを撃墜した。

 

 

 

 

 

 

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「メビウス1、敵ワイバーンを撃墜。」

 

「トリガー、昔みたいに撃墜数勝負しないか?」

 

「ビショップ、まだまだ敵はいるみたいだぞ。」

 

「よぉ相棒、俺はもう2体は落としたぜ。」

 

 

 

 

 

そう、わかる人からすれば悪魔の塊のような航空隊、第118戦術航空団のメンバーが全機Su35で出撃。近距離空対空ミサイルと、ロケット弾を装備して空で暴れまくっていたのだ。

 

 

 

 

 

「タリズマン、目標を補足」

 

「トリガー、敵戦列艦を捉えた」

 

「ブレイズ、ロケット弾発射」

 

 

 

 

揚陸支援の曲射型の戦列艦が次々と炎を上げて撃沈されていく。

 

 

 

 

 

 

 

「そんな………、第3文明圏最強のワイバーンオーバーロードが…………」

 

 

 

絶望にあえぐ将兵

 

 

 

 

「あれは一体………」

 

 

 

 

正体不明の飛行物体に対して様々な憶測が飛び交う中で、ある憶測が指示を得る。

 

 

 

 

 

「もしやムー国の飛行機械!?」

 

 

 

 

その言葉にハッとするリージャック。

 

 

 

 

「なんだって!?、そうか、ロデニウス連邦共和国の連中はムー国の飛行機械を入手していたのか!、道理で我々が苦戦するはずだ!!」

 

 

 

そう言うと、リージャックは通信士を呼び出し、直ぐに連絡させる。

 

 

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国はムー国から飛行機械を輸入し、我々に対して攻撃を仕掛けたようだ!!」

 

 

 

 

まぁ、はっきり言って間違いなのだが、極端に情報が少ない(そもそも調べる気がない)では勘違いを起こすことも前線の兵士なら有り得るだろう。

 

 

 

 

問題は、これを上層部が信じ込んでしまったということ、この事がきっかけで、パーパルディア皇国は更なる犠牲を生み出すこととなる。

 

 

 

 

 

 

「では、ムー国の兵器を輸入しているとして、我々はどうするべきでしょうか。既に竜母は沈められ、揚陸支援の戦列艦も撃ち減らされています。」

 

 

「ロデニウス連邦共和国が味方しているとはいえ、所詮はアルタラス王国。兵器の質はこちらの方が上だ、このまま侵攻し、後続の部隊の応援を待てば良い。ここの魔石は質がいいからな。現地で魔石の調達も上手くいくだろう。」

 

 

 

 

 

勘のいい読者は早々に察したと思うが、はっきり言って不可能である。

 

 

 

そもそも先程竜母艦隊を攻撃していたのが、アルタラス王国海軍の主力艦隊であり、パーパルディア皇国は手も足も出ない有様である。

 

 

 

 

 

が、リージャックは見てないので、ロデニウス連邦共和国が攻撃したと勘違いしたのだ。

 

 

 

 

 

 

さらに、ここから先、別の艦艇……、沿岸部の防衛を担当する警備船……、ロデニウス連邦共和国では哨戒艦として運用されているのだが、それもそれで高い戦力(パーパルディア皇国からすれば)を保有している。

 

 

 

 

 

沿岸哨戒艦

全長 88m

最大幅 12m

機関方式 CODAG

速力 30ノット

武装 57mm速射砲、40mm機関砲(後部ヘリ甲板に対艦ミサイル発射装置を搭載可能)

レーダ類 サンウェルス級(現在開発中の新型フリゲート、もがみ型に近い)のダウングレード版

 

 

 

 

 

「リージャック様!、あれを!!」

 

「あれは………、アルタラス王国海軍!?」

 

 

 

30ノットの高速で突っ込んでくるのはアルタラス王国海軍の沿岸部防衛が主任務の哨戒艦。

 

 

 

 

アルタラス王国海軍の旗を掲げ、最大戦速で突っ込んでくる。

 

 

 

 

 

「右砲戦!、57mm撃ち方始め!!」

 

 

 

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッ!!

 

 

 

 

口径が小さく、その分近寄らなければならないが、それでもパーパルディア皇国に対してアウトレンジができるため、その速射性を活かしてどんどん命中精度をあげていく。

 

 

 

 

「なんて砲撃!!、こちらの射程外から一方的に叩いてくるとは!?」

 

「リージャック様!、もうダメなのでは?、既に戦列艦は大多数が海中に没しております。」

 

 

 

 

リージャックは迷った。しかし、ある一言が彼を破局へと向かわせた。

 

 

 

 

 

「まもなくアルタラス王国です!」

 

 

「前進だ!、ここで敵を打ち破り、増援を待つ!」

 

 

 

 

その決意を表すままに、揚陸艦は1発も攻撃を受けずに揚陸地点に向かう。

 

 

 

 

 

 

勢いよく、揚陸艦が砂浜に乗り上げ、地竜が中から出てくる。

 

 

 

 

 

と、その時!

 

 

 

 

「撃てぇ!」

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

61式戦車の90mmライフル砲がいっせいに火を噴く。

 

 

 

 

「グワァァァ!」

 

 

 

さらに、その地竜が乗っていた揚陸艦が見事に吹き飛ぶ。

 

 

 

 

「一体なんなんだこの高威力魔法は!」

 

 

 

正体不明の攻撃に晒されたリージャックが海岸線を見ると、ものすごい速度で沿岸砲(61式のこと)の周りを動き回りながら、砲撃を命中させている地竜がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国即応機動師団所属、16式機動戦闘車だ。

 

 

 








序盤で言っておきながら、最終カットに無理やりねじ込んだ感がありますが申し訳無いです。次回に回します。



次回「アルタラス王国防衛戦②」





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第21話 アルタラス王国防衛戦②




「防衛戦で最も活躍したのはMCVと61式だ。やはり機動力や、ある程度防御のある火砲が火力支援を行えば、それだけで敵は崩壊する。」



(アルタラス王国陸軍、戦車師団長の言葉)



アルタラス王国防衛戦Part2です。



MCVの実力はいかに?





 

 

 

 

アルタラス王国第一防衛線司令部

 

 

 

 

「いいか、歩兵にとって最も脅威なのは地竜だ。火炎放射は例え最新のボディアーマーと言えど脅威になる。一応これについてはアルタラス王国の61式戦車が応戦するが、撃ち漏らす可能性もある。これと敵兵の盾となる可能性もある揚陸艦を含め、16式MCVで機動力を活かして相手を撹乱しろ!、地竜は先に始末するんだ!」

 

「了解!、隊長、ボートに乗って上陸する敵兵は?」

 

「歩兵は重機関銃と榴弾で対応!」

 

「了解!、もう1つ質問をよろしいでしょうか?」

 

「許可する!」

 

「ひとつ心配なのは敵の揚陸支援です。情報筋によれば、フェン王国侵攻の際に、曲射を行う揚陸支援艦がいたとの事です!」

 

「心配するな、敵の砲撃支援はアルタラス海軍が抑えてくれる!」

 

「了解!」

 

「ただ、念の為MSPは陣地移動を行うように。建物にいる兵士も、何かあったらすぐに隠れるようにすることを徹底させろ。」

 

「了解!」

 

 

 

 

 

 

司令部で、こう指示が出ている間も、アルタラス王国の浜に上陸しようとしているパーパルディア皇国に対して、熾烈な反撃を食らわせているロデニウス連邦共和国軍とアルタラス王国陸軍。

 

 

 

 

 

元々、パーパルディア皇国侵攻に際して、ロデニウス連邦共和国とアルタラス王国軍は3つの防衛線を展開、状況に応じて対応することとしていた。

 

 

 

 

第1防衛線

 

海岸の浜辺に塹壕などを掘り、61式を固定砲台とした上で、沿岸部の建物に観測兵や歩兵を配置、MCVの機動力が機動力を活かして火力支援を行い、上陸阻止をはかる。

 

 

 

 

第2防衛線

 

沿岸部の建物が最前線となり、建物を盾にしつつ、61式が簡易的で移動可能なトーチカとなって道を塞ぎ、MCVの火力支援を受けつつ、本土からの増援まで持ちこたえる。途中ゲリラ戦なども仕掛けることで相手に出血を強いる。

 

 

 

第3防衛線

 

沿岸部を放棄し、平原まで後退、本土戦車師団などの到着をもって反撃、戦闘ヘリを駆使しつつ、沿岸部まで敵を押し返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

現在は、冒頭の通り第1防衛線での戦闘が行われており、61式は固定砲台として地竜へ対処し、揚陸艦の撃沈は、火力の高いMCVが行っている。

 

 

 

 

 

 

 

第1防衛線左翼部分

 

 

 

 

 

揚陸艦が乗り上げ、中から地竜が出てくる。

 

 

 

 

「正面、地竜が出てきたぞ!!」

 

「徹甲弾よりも炸薬の多い榴弾にして発射!!」

 

「撃てぇ!」

 

 

ズドーン!

 

 

 

 

命中した榴弾は直ちに炸裂し、地竜を肉片へと加工する。

 

 

 

 

一方、上陸した揚陸艦を撃破するために、アルタラス王国軍からロデニウス連邦共和国軍のMCVに要請が届く。

 

 

 

「左翼側に新たな揚陸艦!、支援を求む!!」

 

「MCV4台とIFV2台を回せ!、それと付近の建物にジャベリンとハチヨンを持たせた歩兵も展開させるんだ!!、射撃支援も行え!!」

 

 

 

 

 

要請を受けた司令部は近くにいるMCVを向かわせる。

 

 

 

アルタラス王国は、ロデニウス連邦共和国との国交開設後、急速に発展が進み、道路舗装や、街並みの更新なども行われた。

 

 

 

 

「MCVが通過します!、道路に飛び出さないで!!」

 

 

 

戦車や自走砲が通ることを前提として、道幅の拡張などを行ったため、MCVは街中を疾走して移動することができる。

 

 

 

 

「海岸線に出た!、目標右40!、弾種HEAT、目標揚陸艦!!、撃てぇ!」

 

 

 

道が開け、海岸線に飛び出たMCVはそのまま目標の揚陸艦に向けて105mmライフル砲の照準を合わせる。

 

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

 

10式にも搭載された高性能の射撃管制装置によって正確に揚陸艦を撃ち抜く。

 

 

 

複数のMCVが同時に砲撃し、これをまともに食らった揚陸艦は大爆発を起こし、沈む。

 

 

 

「目標撃沈!」

 

 

 

しかし、それでも尚、ボートに乗ったパーパルディア皇国兵が上陸を試みる。

 

 

 

「重機M2!、掃射開始!!」

 

 

 

ボートなどで上陸してきたパーパルディア皇国兵士に対してM2と同軸機銃で歩兵対処をIFVと行う。戦闘はまだ長い、MCVの105mmライフル砲は強力だが、揚陸艦以外に使うには弾が足りなくなる。まだまだ敵の数は多いのだ。

 

 

 

「中央がいちばんは激しいらしい、掃討はIFVに任せてMCVはそのまま中央の防衛に回れ!」

 

 

M2を操作してした隊員が中央を見ると、確かに複数の揚陸艦が上陸を試みようとしている。

 

 

 

「了解、MCV全車転進!」

 

 

 

8輪の装輪戦闘車が速度をあげて再び市街地を経由して今度は中央に出る。

 

 

 

見れば、まもなく接岸するところである。

 

 

 

「1号車と3号車は左手に、2号車と4号車は右手にそれぞれ別れろ、旋回完了次第射撃!」

 

「撃てぇ!」

 

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

 

「こっちも加勢しろ!、中央防衛線ロクイチ4両攻撃初め!!」

 

「撃てぇ!」

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

 

MCVと61式の砲撃を受けて、また一隻、揚陸艦が沈む。

 

 

 

しかし、それでもなお、ボートで上陸を試みる兵士が多数いる。

 

 

 

 

 

MCVと61式が同軸機銃とM2で対応するが、如何せん数が多い。

 

 

 

「くっそ、数が多いぞ!、同軸機銃の弾あるか?」

 

「ダメです、後1回斉射したら無くなります!」

 

「MCV各車へ、APCがこっちに来るらしい、上陸した敵兵はそっちで対応するらしいからMCVは交代するように。」

 

「了解!」

 

 

 

優れた後退速度を活かして、素早く撤収、そのまま補給地点に行き、弾薬を補給する。

 

 

 

「おい、お前ら、今のうちに飯食え。」

 

「了解!」

 

 

 

弾と簡単な点検の合間に食料と水を補給し、次に備える。

 

 

 

 

 

その間、ボートで上陸しようとしていた中央防衛線では……

 

 

 

 

「APC到着!、歩兵展開始め!」

 

 

 

 

16式機動戦闘車を改造した、現実世界では採用されなかった兵員輸送車型が中央の戦線に到着し、素早く歩兵を展開する。

 

 

 

 

 

「上から重機で援護する!」

 

「了解した!、マスケット銃に注意!」

 

 

 

乗ってきた車両を盾にしつつ、APC搭載のM2の援護を受けながら、89式小銃を構え、射撃する。

 

 

 

練度だけでなく、銃自体の命中精度も上回るロデニウス連邦共和国軍の歩兵部隊がパーパルディア皇国観察軍を圧倒する。

 

 

 

「ウグッ……」

 

「グハッ……」

 

 

 

それでも尚、数にものを言わせるパーパルディア皇国に、今度は建物の上から攻撃が降り注ぐ。

 

 

 

 

「ハチヨン、榴弾、撃てぇ!」

 

 

 

84mm無反動砲を持った歩兵が建物の屋上から、パーパルディア皇国兵を狙って攻撃する。

 

 

 

コミック版でもブルーオーガを葬るために使われたこの無反動砲の威力は強力で、大きめのボートごと消し炭になる。

 

 

 

 

「重機M2、射撃開始!!」

 

 

 

 

 

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!

 

 

 

 

 

 

また、別の建物からはM2ブローニングが濃密な弾幕を張り、パーパルディア皇国兵をこれでもかと言うほど肉片にする。

 

 

 

 

「敵全滅!」

 

「全員APCに戻れ、後退する。」

 

 

 

 

隊員を収容したAPCは戻り、61式が次なる脅威に備える。

 

 

 

 

この一連の攻撃で、パーパルディア皇国は次々と揚陸艦と兵士を失っていった。

 

 

 

 

 

それでも尚、侵攻意欲を失わないパーパルディア皇国に対して、更なる追い討ちが空からかけられる。

 

 

 

 

 

「全機突撃!!、サメ共の餌にしてやれ!!」

 

 

 

 

 

轟音を上げながら戦闘空域にやってきたのは、爆弾やロケット弾で武装したアルタラス王国空軍F-5戦闘機(輸出名Mig-28)とF-1支援戦闘機である。

 

 

 

 

 

当初は第118航空団とともに制空戦となるはずだったが、アルタラス王国海軍による竜母艦隊攻撃が予想以上に上手くいったため、制空戦を第118戦術航空団に任せて対地攻撃兵装に切り替えたのだ。

 

 

 

 

 

「ロケット弾発射!!」

 

「爆弾投下!!」

 

 

 

 

幌筵泊地や、ロデニウス連邦共和国のそれと比べると命中精度に関してはお粗末にも見えるが、ひとたび命中すれば落とされる爆弾や、放たれるロケット弾は疑いなく強力だ。

 

 

 

 

ドカーン!

 

 

 

 

揚陸艦に巨大な水柱が上がり、真っ二つに折れる。

 

 

 

 

 

 

その様子を見て、更に別部隊が動き出す。

 

 

 

 

 

「アルタラス王国空軍が攻撃を始めた模様!」

 

「こっちも揚陸艦を狙うぞ、装填しろ!」

 

「装填用意よし!」

 

「発射!!」

 

 

 

 

 

追加で、市街地に潜伏していた120mm迫撃砲搭載の16式改良型MSPも砲撃を始める。

 

 

 

 

本来彼らは、第1防衛線が突破された事態に備えて海岸線一帯を攻撃する役目ではあったが、第1防衛線での上陸阻止が順調に進んでいるため、その射程を活かしてアルタラス王国空軍とともに揚陸艦攻撃に回った。

 

 

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

上から降り注ぐ120mm迫撃砲弾により、揚陸艦が大破する。

 

 

 

 

普通科が持ちうる最大火力の120mm迫撃砲の威力の前には、木造の巨大揚陸艦も脆いものである。

 

 

 

 

 

 

 

「再装填!」

 

「再装填用意よし!」

 

「発射!!」

 

 

 

ドーン!!

 

 

 

「発射地点移動!!」

 

 

 

 

一応訓練通り、事前に想定された発射地点の特定を避けるために一旦場所を変え、別の場所から攻撃する。

 

 

 

 

 

「屋上の観測兵よりデータ受信!」

 

「調整よし!」

 

「発射!!」

 

 

 

ズドーン!!

 

 

 

今度はボートを狙う迫撃砲弾。

 

 

 

 

 

この攻撃でボートごとパーパルディア皇国兵8人が一気に消し飛んだ。

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国とアルタラス王国は、今までの演習通りに戦闘を進め、着実に戦力を削っている。

 

 

 

 

 

 

一方、未だまともに上陸すら出来ていないパーパルディア皇国はと言うと……

 

 

 

「リージャック様!、もうこれ以上は無理です。降伏しましょう!!」

 

 

 

 

相次ぐ攻撃を前に戦意を失い、降伏を訴える部下。

 

 

 

 

「降伏だと!?、降伏手段を知らない我々が降伏できると思っているのか?」

 

 

 

自らのプライドが邪魔をして降伏の検討の余地すら与えなかったフェン王国侵攻部隊に比べれば理性的な発言を行うリージャック。彼の物言いは尤もであったが、最早議論している暇は無かった。

 

 

 

 

「上空に鉄竜!!」

 

 

 

 

見れば一際鋭い鉄竜が襲いかかろうとしていた。

 

 

 

 

「喰らえパーパルディア皇国のクソ野郎共!!」

 

 

 

 

バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ!

 

 

 

 

ロケット弾の攻撃が揚陸艦を蹴散らす。

 

 

 

 

事実上の総司令官(海軍司令官は既に死んだ)を失ったことで、いよいよパーパルディア皇国軍は混乱を抑えられなくなる。

 

 

 

 

なんせ、ここにはもう揚陸艦しかいないのだ。

 

 

 

戸惑えばMCVからの砲撃か、120mm迫撃砲の攻撃を食らって沈む。

 

 

 

何とか陸に上がっても、90mmライフル砲の榴弾か、IFVの機関砲、歩兵の軽機関銃によってなぎ倒される。

 

 

 

 

沖に逃げるものには戻ってきたフリゲートが砲撃を喰らわせる。

 

 

 

 

そして、更に………

 

 

 

 

「メビウス4、ロケット弾発射!!」

 

 

 

 

すっかりワイバーンを肉片に加工し終えた第118戦術航空団がロケット弾に武装を切り替え、今度は揚陸艦に襲いかかる。

 

 

 

 

F-1や、F-5とは比べ物にならない程の兵器搭載量を誇るSu-35の航空攻撃は、アルタラス王国のそれと比べ長く、強力かつ、確実にパーパルディア皇国軍の残存勢力を削る。

 

 

 

 

 

船を捨て、命からがら陸に上がっても、例え迂回して上陸しても彼らに希望は無い。

 

 

 

 

 

「居たぞぉ!」

 

「逃がすなぁ!」

 

「国民に手は出させないぞ!!」

 

 

 

 

 

装甲車に乗ったアルタラス王国兵士がアサルトライフルを持って駆けつけ、直ちに制圧される。

 

 

 

 

 

中にはマスケット銃がたまたま当てることができてしまう者もいるが、そう奇跡は何度も起こるわけが無い上、弾込めの最中のところをそのまま撃たれる。

 

 

 

 

 

 

海岸線はパーパルディア皇国軍の兵士たちの血で赤く染まり、海には大量の木材と人だったものが浮かんでいる。

 

 

 

 

 

「こんなことが……、こんなことが……、こんなことがあるはずが無い……ぐわぁあぁぁあああぁあぁぁあぁぁあぁあぁぁ!!」

 

 

 

 

 

最後に残った揚陸艦は悲惨だった。

 

 

 

「残り1隻だ!」

 

「照準合わせ!」

 

「俺達も狙うぞ!」

 

「装填用意よし!」

 

 

 

 

 

「「「「「発射!!」」」」」

 

 

 

 

 

残っていたことが仇となり、射程内になっていた各MCVと61式、MSPと歩兵のジャベリンからいっせいに攻撃されたのだ。

 

 

 

 

 

大型船とはいえ、木造の船に過剰なほどの火力が注ぎ込まれる。

 

 

 

 

結果、戦場に巨大な火柱が上がる。

 

 

 

 

これでもう決着は着いた。

 

 

 

 

 

 

「逃がすなぁ!!」

 

 

 

 

別の場所から上陸し、市街地へ入り込もうとする敵兵や、アルタラス王国の更に奥へと向かおうとする敵兵ももちろん逃がすわけがなく、APCや軽装甲車、バイクなどを駆使して追い詰める。

 

 

 

「ヒッ、ヒィィ!!、く、来るなぁ!!」

 

 

 

来るなと言って来ない奴はいない。

 

 

 

 

震えた手でマスケット銃を撃つが当たる訳もなく、あさっての方向に飛ぶ。

 

 

 

 

 

「撃てぇ!」

 

 

 

 

ズババババ!!

 

 

 

 

 

残った最後のパーパルディア皇国兵が歩兵の小銃で容赦なく撃ち殺される。

 

 

 

 

もちろん、最初の頃に降伏の手段について教えていた以上、ロデニウス連邦共和国にもアルタラス王国にも降伏手段を知らないからと言って慈悲は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、パーパルディア皇国は無惨な結果をフェン王国に続いて引き起こすこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国側 投入戦力全滅

 

アルタラス王国側 負傷者12名

 

ロデニウス連邦共和国側 損害無し

 

 

 

 

 

 

アルタラス王国、ロデニウス連邦共和国連合軍の完勝である。

 

 

 

 

 

そして、ロデニウス連邦共和国とアルタラス王国はパーパルディア皇国を揺さぶる更なる一手を打つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

アルタラス王国、沿岸部

 

 

 

 

魔信を手に取り、ルミエスが話し始める。

 

 

 

「アルタラス王国王女のルミエスです。今日は皆さんにお伝えすることがあります。我が国は、パーパルディア皇国からの侵略を受けていました。しかし、我が国はロデニウス連邦共和国とともにこれに立ち向かい、倒すことが出来ました。我が国はこれまでも不当な要求を受けており、属国になりそうになったこともありました………」

 

 

 

 

一旦一呼吸おいて話し出す。

 

 

 

 

「パーパルディア皇国の不当な支配に苦しむ皆さん!、今こそ立ち上がり、パーパルディア皇国の支配を終わらせようではありませんか!!、パーパルディア皇国は決して無敵ではありません!、この間各地にばらまかれたビラをご覧になった方はお分かりでしょう!、彼らはフェン王国で20万人の将兵を失い、ここアルタラスでも15万人の兵士を失っています!!、パーパルディア皇国は2度も負けているのです!」

 

 

 

続けて

 

 

 

「ですが皆さん。まだ動くのには早いです。どうか皆さん、力を蓄えてください。アルタラス王国とロデニウス連邦共和国は近々大規模な攻撃をパーパルディア皇国本土に行います。この攻撃を受ければ、パーパルディア皇国は瀕死となります。皆さんが独立するチャンスです。どうかその時まで力を蓄え、パーパルディア皇国から独立を勝ち取りましょう!!」

 

 

 

 

 

として放送は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

そう、これこそがロデニウス連邦共和国、ひいては幌筵泊地が考えた揺さぶりのための一手。

 

 

 

 

ビラを撒くだけでなく、魔信を通じて、パーパルディア皇国のあらゆる地域に呼びかけることで、内乱を誘発させ、内外から崩壊させようとする算段である。

 

 

 

 

原作とは違い、アルタラスが独立を保っているため、若干効果は薄れてしまうものの、女性や、子供が必死に訴える様は男性が行うそれよりもよく届いてしまうというのが現実。

 

 

 

 

(実際、ナイラ証言なんてものが存在するのだから地球世界でも間違っては無い)

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ………」

 

 

口を抑えるルミエス。

 

 

「ルミエス様………」

 

 

 

護衛のリルセイドが近寄りそっと支える。

 

 

 

目の前に広がっている光景は、さすがに年頃の女性が直視するのにはあまりにも惨い光景だ。

 

 

 

 

 

それが例え、侵略してきた者の死体とは言え、綺麗な浜辺は大量の血で赤く染まり、海も赤く色づいている。

 

 

 

 

海の上には死体が浮かび、揚陸艦だった木片が辺りを漂い、燃える炎が人のものか、地竜のものかも分からぬ死体を焼き上げ、人を焼いた時に臭う、独特の鼻につく嫌な匂いが辺りに漂っているのだ。

 

 

 

 

 

「姫様、やはりここに来るのはよした方が……」

 

 

 

ここに来る前から慎重意見を述べていたリルセイドにそう言われるも、首を振るルミエス。

 

 

 

「いえ、王女として、この国で起きた出来事は例えどんなものであっても直視していかなければなりません。この戦いから目を背けては我が国のために命懸けで戦っていた兵士たちや、我が国を救うべく戦ってきたロデニウス連邦共和国の兵士たちに失礼です。どんなに辛い光景でも、私個人の感情で目を背けて直視しないことは許されません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

強い。そばにいてロデニウス連邦共和国軍即応機動師団の団長は感じた。

 

 

 

 

 

 

 

(この女性のような方がこの国の中枢にいる限り、国民は決してこの国を見捨てないのだろう…………)

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国、大統領官邸地下

 

 

 

 

「即応機動師団より入電!!、<パーパルディア皇国アルタラス王国侵攻部隊の撃滅に成功!!>やりました!!」

 

 

 

 

うぉぉぉ!、と歓声が上がる。

 

 

 

「そうですか……、隊員の皆さんの働きのおかげですね。」

 

 

 

カナタ大統領の言葉に頷く国防大臣のハンキ

 

 

 

「幌筵泊地は何と?」

 

「既に次の作戦の発動の許可を申し出ています。」

 

「次の作戦……、L作戦ですね?」

 

 

 

 

L作戦とは、パーパルディア皇国軍における外征能力の重要な要素である海軍を完全に仕留めるための作戦である。

 

 

 

 

LとはLeyte(レイテ)のことで、大日本帝国海軍が事実上の艦隊消滅をしたことから、パーパルディア皇国の艦隊戦力の消滅を狙う作戦である。

 

 

 

 

「作戦参加部隊は?」

 

「我がロデニウス連邦共和国軍からは新編された第1艦隊より第1空母打撃群、第1、第2駆逐戦隊が参加、幌筵泊地からは赤城、加賀、金剛、比叡、榛名、霧島、高雄、愛宕、摩耶、鳥海、アトランタ、阿賀野、能代、矢矧、酒匂、長良、五十鈴、名取、由良、阿武隈、特型駆逐艦10隻と、涼月、冬月、フレッチャー、睦月、如月、弥生、卯月です。これに加え、上空警戒のため、早期警戒管制機が3機交代で参加し、その護衛機として第1航空団が付くそうです。」

 

 

 

 

「本気だな……、この後の全土空爆、その後のメギドの炎作戦、作戦コード310、更にニュー・ダウンフォール作戦も控えているのにこの戦力とは……」

 

「我が国とて、負けてません。新編された第1艦隊には新鋭空母であるロデニウス級航空母艦の1番艦、「ロデニウス」が編成され、更には幌筵泊地協力の元、完成に漕ぎ着けた国産機「F-101 アルバトロス」や、大型艦上多用途機である「M-3 オールラウンダー」などを搭載しており、バックウィング級とミドル級は、最新のイージスシステムへと更新されています。」

 

「それは陸軍も同じです。ニュー・ダウンフォール作戦に備え、第1段階で36万人を派遣する体制を整え、海兵隊と合わせて40万人の戦力を整えてあります。」

 

 

 

 

 

 

ロデニウス級航空母艦。

 

 

幌筵泊地から提供された資料と、アルタラス王国との交流によって得られた潤沢で良質な魔石と、転生者の異常なまでの魔法適応(分析ができるとかそういう意味)、クイラ地方に完成した超大型ドックなどによって実現した、ロデニウス連邦共和国初の正規空母。

 

 

 

 

その巨体は凄まじく、外見は完成することのなかったウリヤノフスク級航空母艦である。

 

 

 

全長 330m

最大幅 78.3m

速力 33ノット

艦載機 戦闘機60機、大型艦上機8機、回転翼機×6

武装 40mmCIWS×4、30連装対空ランチャー×3、Mk41(32セル)×1、極超音速巡航大型対艦ミサイル発射用VLS(8セル)、その他舟艇対策用兵装を複数搭載。

動力 核融合炉

 

 

 

また、スキージャンプでも大型機を発艦させるために魔導発艦補助装置という風神の涙をスキージャンプ前方に配置し、大型のジェットブラストディフレクターを立ち上げ、艦首から後方にかけて強い気流を発生させることで発艦効率を向上させる一種の合成風力装置を搭載。これにより、従来のスキージャンプ方式よりも効率よく発艦できることとなった。

 

 

 

 

これらの戦力を叩きつけることで、パーパルディア皇国の軍事力を根こそぎ奪う方針だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦開始を承認します。」

 

 

 

カナタ大統領が承認した。

 

 

 

 

 

 

次回、艦隊集結

 







発展速度の速さについては今更感があるのでツッコミは無しでお願いします。


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第22話 艦隊集結





「提督と戦うのはこれで二回目だけど、あの時に比べて提督達の雰囲気に何かが違った。」


(旗艦赤城の言葉)



というわけで、双方の部隊が集結していきます。




果たしてロデニウス連邦共和国の戦力は如何程なのか。その実態が明らかになります。


 

 

 

 

皇都エストシラント

 

 

 

「な、なんなんだこの巫山戯た内容は!!」

 

「申し訳ありません………」

 

「1度ならず2度も神聖なる本土に敵の鉄竜の侵入を許すばかりか、あまつさえまたもこんな巫山戯たビラまでばらまかれたのか!!」

 

 

 

 

怒りをぶちまけるのは、皇帝ルディアス。

 

 

 

 

またしてもロデニウス連邦共和国軍傘下にある幌筵泊地のB-52が本土に侵入し、ビラを撒いたのである。

 

 

 

 

「しかも、デュロには対空魔光砲があったというのになんという体たらく!!、アルデ!!、この責任は重いぞ!!、オマケにアルタラスすら落とすことの出来ない失態、どうしてくれるのだ!!」

 

 

 

 

そう、デュロはミリシリアルから輸入(非正規ルート)した対空魔光砲があったのだが、操作を担当する者が外に出ており、間に合わなかったのだ。

 

 

 

 

普通ならこの時点でアルデの首が飛んでもおかしくないのだが、ここで、アルデを直ちにクビにしない理由はいくつかある。

 

 

 

 

ひとつはまともにアルデ以外に指揮を取れるまともな人材がいないのだ。

 

 

 

 

パーパルディア皇国内では権力争いが酷く、軍内部ではアルデの派閥が完全に幅を効かせており、有望な人材が排除されているということだ。

 

 

 

また、もう1つとしては、指揮官の交代には少なからず混乱と時間がかかり、それによる軍の混乱を避けたい思惑がある。

 

 

 

「今後はどうする気だ」

 

「観察軍を完全に軍へ吸収し、戦力を整えます。それと属領統治軍の引き上げも考えております。」

 

「その後はどうする。」

 

「敵は間違いなくこの皇都に向かってきます。ここで奴らに一大決戦を挑み、奴らの戦力を削ります。防衛基地からも応援を呼び寄せ、全力で叩きます。」

 

「うむ、失敗は許されぬぞ。」

 

 

 

 

 

 

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一方、カイオスの屋敷では……

 

 

 

 

「腰堀くん、君の予想通りだ。パーパルディア皇国は2度も負け、その戦力は大幅に減った。陸海軍合わせて35万人が死亡し、本土にはビラを撒く爆撃機に2度も侵入され、現地では反乱の兆しが見えている。この状況で尚も皇帝陛下とその周りの人間は戦争を続けることしか考えていない!!」

 

「カイオスさん。貴方からパーパルディア皇国の軍事力をおおよそ知らされている以上、はっきりと言わせてもらいます。次は本土です。」

 

 

 

 

カイオスの顔の表情が更に暗いものになる。

 

 

 

 

「これまで、ロデニウス連邦共和国の動きは、貴国の軍事行動に合わせて動きでした、まず、アルタラス王国に侵攻しようとしたパーパルディア皇国軍はもちろんのこと、フェン王国にいるパーパルディア皇国軍を駆逐しなければ、その先のアクションは取れないからです。」

 

「常識として、そうだろう。」

 

「はい、ロデニウス連邦共和国はこの2回の戦いで、パーパルディア皇国の外征能力をほぼ奪いつつあります。次はその残された海軍戦力を根こそぎ奪う方針になるでしょう。」

 

「我が国は勝てるかね?」

 

「無理です。」

 

 

 

即答した腰堀

 

 

 

「そもそも、長距離航海とはいえ、ロデニウス連邦共和国……、というより幌筵泊地からすれば長距離航海のレベルはパーパルディア皇国の何倍も違います。馬車と徒歩、もっと言えば自動車と徒歩です。長距離になればなるほどロデニウス連邦共和国側に傾きます。」

 

「そうだな……、はっきり分かりきっている事だったな。しかし、今回は本土からの援護も入る。単純な今までの戦いと比較する訳にはいかないだろう。」

 

「恐らく先輩なら、まずはその援護を断ち切りに来ます。」

 

「まさか………!!」

 

 

 

 

 

 

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在ロデ幌筵泊地基地航空隊基地

 

 

 

 

 

妖精仕様の機体の実機化によって、手狭になってしまったため、一部機体をロデニウス連邦共和国国内に移したものであり、指揮系統は幌筵泊地となっている。

 

 

 

 

 

その基地には、巨大な機体が何機も並び、出撃の時を待っている。

 

 

 

 

戦略爆撃機のB-21レイダーである。

 

 

 

その横にはSu-57を有する第18航空団(テンペストの開発が間に合わなかつたため第16航空団配備予定だったこれを当て、第16航空団にはSu75に差し替えた)が待機しており、出撃の時を待っていた。

 

 

 

 

 

「全機出撃!、まずはアルタラス王国を目指して飛び、燃料を補給した後エストシラントを目指す。防衛基地の能力を完全に奪うことで、敵を艦隊決戦に確実に引きずり出す!」

 

「了解!」

 

 

 

 

ブーメランの形をした全翼機と、最新鋭のステルス機が飛び立ち、アルタラス王国、その先にのぞむエストシラントを目指していった。

 

 

 

 

 

 

 

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「先輩がどう動くかは分かりません。ただ、パーパルディア皇国の残存艦艇を確実に引きずり出すためにあらゆる手を用いるでしょう。」

 

「我が国には、それを止める術は無く、本土を蹂躙されるだけなのか………」

 

「ええ、ですが、この先待ち受ける現実を見れば、これでもまだ手ぬるい可能性があります。」

 

「腰堀くんが言っていた核攻撃………、我々の世界で言うならコア魔法か………」

 

「はい。この世界に似たようなものがあったことに驚きはありますが、幌筵泊地がこの兵器を用いる可能性は高いです。」

 

「それは、復讐という意味かね?」

 

「それもありますし、幌筵泊地としても実際使ってみたデータが欲しいところでしょう。かつて、私たちがいた国が戦争していた相手……、アメリカは自国の優位性と核兵器の実戦データを得るために、広島と長崎に性質の違う2種類の爆弾を投下しました。」

 

「広島だけで20万人以上に上る被害者を出したというあの爆弾だな……」

 

「不味いことに、この国は殲滅戦を宣言してしまいました。これは文明レベルの差があろうとなかろうと確実にロデニウス連邦共和国にとって存立危機に等しい状態と判断するはずです。普通の交戦国なら……、かつての大陸戦争の時のロウリアなら有り得なかったことが、パーパルディア皇国相手には起きてしまうのです。」

 

「抑止力としての核攻撃……、最早私の理解が及ばぬ範囲だな……、私はこの国を救いたいが、それをするには時間がかかる。国内の軍人の掌握も進まぬ現状ではクーデターは起こせない。腰堀くん、本国と連絡は取れるかね?」

 

「現状では数日かかると思います。機材の修理が終わっていないので………」

 

「なんてことだ………、あの場を収めるためとはいえ、手荒にしてしまったことが完全に裏目に出てしまった………」

 

 

 

 

 

現状では無力なカイオスは項垂れるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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ロデニウス大陸沖合

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍の第1艦隊所属、第1空母打撃群、第1駆逐戦隊、第2駆逐戦隊が幌筵泊地との合流を目指し出航する。

 

 

第1空母打撃群

ロデニウス級航空母艦1番艦「ロデニウス」

バックウィング級巡洋艦1番艦「バックウィング」、2番艦「フォーチュンアイランド」、3番艦「バンブーウッドフィールド」、4番艦「ガーデンスロープ」

 

第1駆逐戦隊

ミドル級駆逐艦1番艦「ミドル」、2番艦「ゴッドパディフィールド」、3番艦「クリスタルフラットブリッジ」、4番艦「ティーウォーター」、5番艦「ウォーターサプライブリッジ」、6番艦「ライスパディフィールドブリッジ」、7番艦「カウプットイン」、8番艦「シティバレー」、9番艦「フォースバレー」

 

第2駆逐戦隊

ミドル級駆逐艦10番艦「シナノタウン」、11番艦「サウザントバレー」、12番艦「ダブルインステッドウッド」、13番艦「ニューホテル」、14番艦「ビックサムタイムホールド」、15番艦「イーストミドルフィールド」、16番艦「ミドルフィールド」、17番艦「ハイサークルテンプル」、18番艦「アサガバレー」

 

 

 

 

ミドル級駆逐艦は、ほぼアーレイ・バーク級フライトⅡAとなっておりバックウィング級も船体が延長され、15.5cm三連装砲を装備している以外はタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦フライト4となっている。

 

 

 

また、ロデニウス級航空母艦には最新鋭国産戦闘機であるF-101「アルバトロス」が搭載されており詳細スペックは以下の通り

 

 

全長 17.3m

全幅 13.4m

全高 4.95m

兵装搭載量 最大9.7t

主武装 30mm機関砲(GSh-30-1ベース)×1(装弾数210発)

エンジン RD-F9(XF-9をベースに幌筵泊地から技術提供)、ドライ出力110kNを2基搭載

航続距離 通常型対艦ミサイル4発を積んだ上で空母より飛び立ち戦闘行動半径530海里

最高速度 マッハ2.2

 

 

見た目はFS-X初期案に近いが、F/A18Eのように2枚の垂直尾翼を持ち、LERXを持つ点やエアインテークの構造などはフランカー系統寄りで洋上迷彩を採用、アビオニクスはF-2スーパー改をベースにしている。

 

 

 

ステルス性については未だ発展途上の航空産業に負荷を与え過ぎないために省略し、電子戦能力などに重きを置いた。

 

 

 

また、これと併せて、大型艦上機としてM-3「オールラウンダー」を搭載している。

 

 

 

全長 24.2m

最大幅 21.3m

全高 6.2m

エンジン GE-RD-F118(ドライ出力120kN)

乗員 操縦士2名他任務に応じて変更可、最大8名

搭載物等 早期警戒機、電子戦機モード時:機体上部にレーダードームを搭載し、警戒ユニットを装備する。輸送、空中給油機モード時:輸送ユニットに換装する。対潜哨戒機、機雷敷設モード時:対潜哨戒、掃海ユニットに換装する。

最高速度 860km

 

 

 

A-3スカイウォーリアに近いが、垂直尾翼がツインテールになっている他、後退角が若干緩めになっているなどの外見上の差異がある。

 

 

 

 

*RDはロデニウスの略

 

 

 

 

 

第1艦隊の指揮を取るのは、第1空母打撃群司令官のパンカーレ少将であり、かつての東部ロデニウス連合国の第二艦隊指揮官である。

 

 

 

 

「ブルーアイ、貴官の船はいい船だ。」

 

 

 

かつての側近であり、ロデニウス級航空母艦「ロデニウス」の艦長となったブルーアイに乗った感想を口にする。

 

 

 

「ええ、私もいい船だと思います。そして何より美しい。」

 

「そうだな………、今までパーパルディア皇国という存在は恐怖でしかなかった。それが今の我が国なら、圧倒出来る。だが、くれぐれも油断するな。」

 

「はい、心得ております。まもなく幌筵泊地から出撃した艦隊との合流です。」

 

 

 

 

 

 

 

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幌筵泊地艦隊旗艦「赤城」

 

 

 

 

「前方、ロデニウス連邦共和国軍第1艦隊所属第1空母打撃群と駆逐戦隊です。」

 

「時間通り、さすがですね。」

 

「みっちりしごいてやりましたからな、あそこの司令官は。」

 

「上空直掩機は?」

 

「加賀のところからF-3Cが、うちからはF-31が、それとロデニウスからアルバトロスですね。それぞれ4機ずつ飛んでいます。」

 

 

 

F-31は小型軽量ステルス機としては優秀だが、加賀航空隊は、長時間の上空直掩を行うために、代替機を要望した。

 

 

 

もとより、時間が足りずに既存の機体を量産していたという都合上、幌筵泊地もこの要望に答え、第17航空団にF-3Aが配備されると同時に艦載機型を開発して搭載したのだ。

 

 

 

もちろん、他の空母艦娘ものちのち切り替えることにはなるが、現状ロデニウス連邦共和国の早期の戦力拡充を行うために転生者一同が駆り出されているため、なかなか進んでいない。

 

 

 

 

 

「発光信号を、空母は輪形陣の中へ、駆逐戦隊と巡洋艦は艦隊外縁部に布陣し、輪形陣を形成するように。」

 

「了解!」

 

 

 

 

輪形陣の概要は以下の通り

 

 

 

 

艦隊前方哨戒

 

 

 

睦月、如月、弥生、卯月

 

 

中央

 

 

赤城、加賀、ロデニウス

 

 

1周目

 

 

金剛、比叡、榛名、霧島、高雄、愛宕、摩耶、鳥海、アトランタ、五十鈴

 

 

 

2周目

睦月型除く全艦

 

 

 

艦隊上空

 

早期警戒管制機と護衛のF-15

 

 

 

 

 

 

「パンカーレ少将、艦隊、輪形陣に再編完了しました。」

 

「SH60Kを出してくれ、今回の司令官である赤城に会いに行く。」

 

「わかりました。赤城に発光信号を。」

 

 

 

 

 

この後、ロデニウスからSH60Kが発艦し、空母「赤城」に着艦した。

 

 

 

 

 

 

 

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「赤城」艦内にて………

 

 

 

 

 

「では予定通り、爆撃隊の攻撃完了をもってエストシラントへ向かい、迎撃に出てくる敵艦隊をそのまま叩くという方針でよろしいですね?」

 

「ええ、既に爆撃隊はアルタラス王国に向けて飛行し、補給を終え次第空爆に向かうようです。」

 

 

 

 

赤城の会議室では、戦艦と空母の艦長、第1艦隊司令が直接、それ以外の艦長はリモートで参加している。

 

 

 

 

「敵のワイバーンの数は推定300騎程です。各艦載機は対空ミサイル搭載の上で制空戦を行い、弾薬と燃料を補給して攻撃隊を編成、敵船団を艦艇とともに攻撃します。」

 

「艦隊殲滅後、高速戦艦「榛名」が敵海軍本部を砲撃、敵の組織的海軍戦力を完全に奪います。」

 

「敵の海軍戦力はこの海戦後もある程度は残りますが、組織的反抗はほぼ出来ないでしょう。」

 

「その後は………、まだここで話すべきではないでしょうな。」

 

 

 

 

この後は作戦の詳細を話し合い、各々自艦へ戻った。

 

 

 

 

 

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同じ頃、幌筵泊地、諜報部

 

 

 

 

「恐らく、パーパルディア皇国で腰堀さんを匿っている可能性の高い人物はこの人物で間違いないかと………」

 

 

 

 

現地諜報員からの報告を受けて情報をまとめあげた諜報部は、元々腰堀を匿っているとされる人物について、次のように予測していた。

 

 

 

 

 

 

 

・それなりに身分の高く、秘匿性の高い場所を作り出すことができる

 

・ロデニウス連邦共和国についてある程度の情報を掴んでいる、または掴める立場にいる存在

 

・出世争いに敗れ、冷遇されていた、あるいは冷遇されており、自らの地位を高めるために何らかの手を打ちたい人物

 

 

 

 

 

以上の内容を元に、現地諜報員との調査の末に、ある程度の特定を行ったところ、1人の人物が該当した。

 

 

 

 

 

「第3外務局、局長のカイオス氏か………」

 

 

 

 

諜報部中枢妖精がつぶやく

 

 

 

 

「信じられんな、確か第3外務局って文明圏外国を担当する部署だろ?、左遷先とすれば妥当かもしれんが、出世争いに敗れてそんな所に来るやつがまともな感性をしているとは思えんが………」

 

「調べてみたところ、この人物は家が元々商人で、本人も貿易関係を取り扱っているらしい、ムー国辺りと貿易した時に、たまたまウチの製品に触れたということも考えられる。」

 

「なるほど……、商人ゆえの視野の広さか……、商人なら、自分の家や近くに倉庫を持っていたりするからな、そのひとつに匿うことだってできるだろうし、身分も高いから、兵士や、官憲なんかも迂闊に立ち入らせることも無いだろう。」

 

「ま、最初は打算もあったんだろうよ、実際ドーパ王国の支援を蹴っている所を見る限り、文明圏外国に対する目線は他のパーパルディア皇国の連中とそう変わることは無いと見ていいだろうな。」

 

「んで、どうする?」

 

「提督に上げる。外交官を白昼堂々射殺したくせに、単なる随伴員に過ぎない腰堀さんの死体が偽物で、本物が確認できてない時点で生きていることはほぼ確定みたいなものだし、場を収めるかのように出てきたカイオス氏の動きからして、単に上からの話を伝えたいだけじゃないことは予想できる。この人物の行動を正確に知ることが出来れば腰堀さんが生きているかどうかも分かるかもしれない。」

 

 

 

 

情報をまとめあげた諜報部は多元へと報告を急ぐ。

 

 

 

 

 

 

幌筵泊地地下司令部

 

 

 

 

「なるほど……、なら腰堀が生きている可能性はあるんだね?」

 

「確証は無いですが、この人物が何らかの手を打った可能性があります。」

 

 

 

諜報部の妖精が写真を見せる。

 

 

 

「第3外務局、局長カイオスか……、上手くいけば講和のためのキーマンになるかもしれない、この件は大統領にも上げるが、とりあえず我々としてはこのまま作戦を続行する。君たちは引き続き、カイオス氏と腰堀の関係について探ってくれ。」

 

「了解!」

 

 

 

 

 

 

 

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パーパルディア皇国、エストシラント海軍基地。

 

 

 

 

 

「………、でありまして、敵は恐らくムー国のラ・カサミクラスを運用している可能性があります。また、マリンなどの飛行機械なども保有していると推測されるため、これまでのようにはいきません。艦隊を密集させ、ワイバーンを常に上空に待機させることで、敵の飛行機械からの攻撃を防ぎつつ、こちらから攻撃を仕掛ける際は、海と空から同時に攻撃することで、押し潰すわけです。犠牲は避けられませんが、列強の兵器相手では致し方ありません。」

 

「観察軍からも、状態のよく、戦力になるものから編入することで、圧倒的数を用意するしかない。」

 

「後は皇帝陛下の発案したアレだな………」

 

 

 

 

 

 

将校たちが作戦を練っている間、エストシラント沖合には800隻の戦列艦と竜母、400騎のワイバーンロードが集まり、出撃の時を待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、カイオス邸宅

 

 

 

「腰堀くん、こんなことを聞いてしまっては問題だとは思うが、ロデニウス連邦共和国の、いや、幌筵泊地の爆撃機とやらの性能について教えてくれないか?」

 

 

 

 

いきなりぶっ込んでくるカイオス。匿っているとはいえ、交戦国の外交関係者に軍事機密を聞くのは色々とまずいところではあるものの………

 

 

 

 

カイオスは知りたかった。

 

 

 

一体、どれほどの被害が出てしまうのか、たとえ皇帝に信じて貰えなくても、話さなくても、自分だけでもその脅威について知りたかったのだ。

 

 

 

 

「我が幌筵泊地の保有する爆撃機はいくつか存在しますが、そのどの爆撃機でも貴国の保有するワイバーンオーバーロードに速度で打ち勝つことが出来ます。上昇限界についても、人が剥き出しになり、羽ばたく必要のあるオーバーロードに勝ち目は無いでしょう。」

 

「そ、それでは……」

 

「幌筵泊地の爆撃隊は難なく貴国の迎撃を躱し、爆撃を行うことが出来ます。更に……」

 

「丸腰で爆撃隊を送る訳が無い……、か。」

 

「ええ、幌筵泊地の戦闘機はいずれも空中給油を可能としてますので、爆撃隊に合わせて進出が可能であり、その戦闘力は、この世界全ての航空戦力……、ミリシリアルですら勝つことはできません。」

 

「こちらが向こうに発見されたら最後……、ミサイルの餌食となるわけか……」

 

「そうです。ミサイルへの対抗手段を持ちえない以上………、いえ、たとえ原始的な対応法を持っていても、その程度では到底対処不能です。」

 

 

 

 

幌筵泊地の戦闘機が搭載するミサイルは、使用する機体にもよるが、近距離ミサイルとしてAIM-9X、AAM-5などの最新型空対空ミサイル。中距離ならAMRAAMや、AAM-4、更に長射程なものならAIM-260や、フェニックス、PL-15などがあり、その全てがワイバーンオーバーロードの視界外から撃ち込むことが出来るものであり、ワイバーンオーバーロードは何が起きたかも分からぬまま駆逐される。

 

 

 

 

 

「そうか……、腰堀くん。これは君を信頼して話すことなんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇帝陛下は、二線級部隊によるロデニウス連邦共和国の直接攻撃を画策している。」

 

 

 

 

 

 

 

次回、エストシラントの戦い

 

 

 

 

 







一体何時になったらパーパルディア皇国がロデニウス連邦共和国のことを超大国だと気づくのやら……。



ま、気づいたところで手遅れなんですけどね。






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第23話 エストシラント大海戦①




「俺たちの国は、多分魔帝に喧嘩を売ったんじゃないのかな?、その時はそう思った。」


(元掃除夫で、現在は新生パーパルディア共和国の海軍大臣のシルガイアへの戦後のインタビュー)




というわけでエストシラントでの戦いです。



幌筵泊地が5%くらい本気出します。






 

 

 

「皇帝陛下は、ロデニウス連邦共和国への直接攻撃を計画している。」

 

 

 

 

カイオスから放たれた衝撃的な一言に、腰堀は驚きを隠せない。

 

 

 

「何を馬鹿なことを考えているんですか!、そんなことをしてもロデニウス連邦共和国が本気になる口実を与えるだけです。核兵器の数が増えかねませんよ!!」

 

「ああ、私とてそう思った。だが、この国で皇帝陛下にまともに逆らうことはできない。よもすれば処刑されかねない。」

 

 

 

その言葉を前に続く言葉を飲み込み、話題を切り替える。

 

 

「くっ……、攻撃する部隊は?」

 

「観察軍と二線級の戦列艦、あとは新規建造した最新のものが何隻か、竜母は皇都防衛のために回したいために、もう数がないから少しでも確率を上げるために夜間に出撃するそうだ。」

 

「不可能です!、たとえ夜に出たところで、幌筵泊地の潜水艦と、新規就役しているロデニウス連邦共和国の潜水艦、幌筵泊地の哨戒機部隊と、ロデニウス連邦共和国の哨戒艦の監視網をくぐり抜けられません!。」

 

「私だってそう思う。私だって観察軍の人間を犬死させたくない。だが、皇帝陛下は未だにロデニウス連邦共和国の正しい力に気づかず、奇襲だの、ムー国からの兵器輸入だのといった根拠の無いデマを信じている!、ロデニウス連邦共和国のことが知りたかったら、他ならぬムー国の資料を見れば良いのに!、それもこれも全部レミールのせいだ!、あの皇族レミールがのさばっている限り、戦争を止めることは不可能だ。」

 

 

 

 

皇族レミール、その名前を聞いた時、あの忌々しい記憶が蘇る。外交官のパトリックを殺し、危うく腰堀すら殺しそうになった女である。

 

 

 

「レミールは死刑確定です。ルディアスもおそらく責任は免れません。もはやこの国はまともに皇帝存続を願うことすら恐らく出来ないでしょう。」

 

「それは滅べと言っているようなものだぞ!」

 

「仮に皇帝存続が認められたとしても、もうまともに国政には関われません。私のかつての国がそうでした………。」

 

 

 

腰堀が日本のことを説明する。

 

 

 

第二次世界大戦終結後、天皇の権力は制限され、それまでの憲法を大きく変更された日本は、戦闘機を購入することですら、激論を呼ぶようになる………

 

 

 

「我が国も同じ末路を辿るのか……?」

 

「分かりません。ですが、少なくも国土は荒廃し、領土は没収され、賠償金を支払わされることとなるでしょう。」

 

「しかし……、なんとかならないのかね?」

 

「私からこれ以上は言えません。私とて今はロデニウス連邦共和国国民です。命を救った恩人とはいえ、国家再編に口を出し過ぎれば、それは外国人による内政干渉です。」

 

「わかってる……」

 

 

 

 

この後、カイオスは、クーデターを成功に移すため、時を待つことを選び、さらにムー国経由でロデニウス連邦共和国の書物を集め、国家再編に向けた動きを加速させて行った。

 

 

 

 

 

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エストシラント沖、ロデニウス連邦共和国艦隊

 

 

 

 

 

旗艦赤城

 

 

「早期警戒管制機より入電!、敵ワイバーンをはじめとする多数の敵反応有り!」

 

「やはり防御を固めてますね……、爆撃隊は?」

 

「まもなく攻撃態勢に入る模様、先程無線封鎖の符牒を示すコードFを金剛が受信しました!」

 

「分かりました。全艦に発光信号、戦闘配置!、航空隊は空戦装備としてワイバーン迎撃に当てます。ロデニウスに航空隊発艦後のRV-1の発射用意を、前衛艦隊にも攻撃用意を。」

 

「了解!」

 

 

 

P-800や、P-700、トマホークなどをベースに開発された超音速対艦ミサイルであるRV-1は、射程450kmとマッハ3の飛翔速度を持つ大型のミサイルであり、命中すれば戦艦クラスの大型艦も無事では済まない。

 

 

 

愛称はオニキスで、今回が初の実戦投入だ。

 

 

 

一方、睦月、如月、弥生、卯月も対艦ミサイル専用VLSから対艦ミサイルの発射体制を整える。

 

 

 

 

「初撃で竜母を叩き、次弾で敵を削り、最後は砲撃戦と航空攻撃で仕留めます。」

 

 

 

 

 

幌筵泊地とロデニウス連邦共和国の全力攻撃が行われようとしていた………

 

 

 

 

 

 

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同時刻、エストシラント付近、高度8000m

 

 

 

 

「艦隊より入電<爆撃隊は直ちに、皇都の軍事基地を爆撃せよ>との事、第18航空団は全機攻撃態勢に入り、上空の脅威を排除せよ!」

 

「了解!、全機マスターアームON、攻撃態勢へ!」

 

 

 

 

 

B-21を護衛するSu-57は、空対空ミサイルの発射体制に入る。

 

 

 

ミサイルは、中距離空対空ミサイルのR-77を選択。

 

 

 

距離、100km

 

 

 

各機体2体ずつ目標をロックオンした。

 

 

 

皇都自体の防空にはわずか20騎程なので、ロックオンする目標が無い機体は、システム統合に成功した西側巡航ミサイルのストーム・シャドウを使って、現地諜報員から送られてきた情報などを元に、倉庫などを狙う。

 

 

 

「全機……、発射!!」

 

 

 

ガコン!

 

 

 

ウェポンベイから、中距離空対空ミサイルと、空対地巡航ミサイルが放たれ、目標に向かって突き進む。

 

 

 

「2番機は俺に付いてこい、奴らに礼儀ってもんを見せてやらないとな?」

 

 

 

隊長機はそう言うと、2番機を連れて皇都、それも宮城の方へと向かっていった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

一方、その頃のパーパルディア皇国サイドでは……

 

 

 

第18竜騎士団第2中隊のワイバーンオーバーロード20機は、皇都エストシラントの少し南方に位置する空域を、警戒飛行中だった。

 

 

 

中隊長デリウスは、中隊1のベテラン騎士、プカレートに魔信で話しかける。

 

 

 

「もう少しあちらの海域も警戒しますか?」

 

「そうですね。」

 

 

 

ワイバーンオーバーロードの編隊は、一糸乱れぬ動きで、錬度の高さが伺える。

 

 

 

「中隊長殿、敵についてなのですが……。」

 

「何です?」

 

「数日前の通達文のとおりであれば、あのロデニウス連邦共和国はムー国の飛行機械で戦いに来るでしょう。しかし、それにしては、先の2回の戦いで、我が方の被害が大きすぎるような気がするのです。いくらムー国が列強とはいえ、我々とて列強。そこまでやられることはないと思うのです。しかも、我々が戦っているのは文明圏外国。軍の上層部に今の疑問を呈しても、通達文のとおりとしか言わない。中隊長はどうお考えですか?」

 

 

 

 

皇国上層部は、ロデニウス連邦共和国の兵器について、完全にムー国の兵器だと判断し、部隊にもそう伝えていた。

 

 

 

「たしかに、今回の戦いについて、相手がムー国の兵器を利用していなかったとしても、結局なぜここまで被害が出るのか解りません。しかし、仮にムー国以外で軍事援助をしたとして、ムー以上の敵って、何が考え付きますか?」

 

「古の魔法帝国か、神聖ミリシアル帝国、まあ無いですな。」

 

「ところで……。」

 

「何だ!!!あれは!!!!」

 

 

目の良い部下の一言で、会話は途切れる。

 

 

各竜騎士は、何かを発見した竜騎士の指差す方向を注視する。

 

 

透き通るような青い空に、数点の斑点が見える。

 

 

 

綺麗な写真に落とされた汚れのような斑点は、徐々に大きくなり、それが飛行物体である事を認識する。

 

 

「は……速い!!、か、回避だ!!」

 

 

 

常軌を逸した速度で竜騎士隊に向かってくる「それ」を見たデリウスの本能は危険信号を全力で鳴らす。散開したワイバーンオーバーロード竜騎士隊、しかし「それ」も向きを変え、彼らに迫る。

 

 

 

「そ……そんな!!!」

 

 

 

 

結果的に、全弾が空中哨戒中の竜騎士隊に命中し全滅。

 

 

 

 

ここに、皇都の制空権は、ロデニウス連邦共和国が握ることとなる。

 

 

 

 

さらに攻撃は続く。

 

 

 

 

航空隊から放たれた巡航ミサイルが目標目掛け、明け方の空を進む。

 

 

 

 

その前座のように、列強たるパーパルディア皇国、そしてその中でも最強の皇都防衛軍、その最強なはずのワイバーンが雨のように上から降ってくる。ある者は、ワイバーンの首、胴体、足、羽等のパーツとなり、ある者は胴体から上の無い状態、そして人の原型を留めたもの、多数の肉と血が落ちていく。

 

 

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

皇都エストシラントの様々な場所から、その凄惨な光景に耐え切れなくなった女性の悲鳴が上がる。住民はざわつき、様々な建物の扉や窓が開く。

 

 

 

 

彼らが上空を見上げたまさにその時…………

 

 

 

 

轟音を立てながら、飛行物体が、基地に目掛けて飛んでいく。

 

 

 

 

 

「一体!、何が起きているんだ!」

 

「パーパルディア皇国は第3文明圏最強の国家ではなかったのか!!」

 

「私たちはどうなるの!!」

 

 

 

恐怖と不安で騒ぎ出す市民の上を舐め回すかのように、巡航ミサイルは通過して行った。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

皇都エストシラント北方陸軍基地

 

 

 

 

 

装飾が施された豪華な石作りの建物の1階で、女性魔信技術士のパイは、魔力探知レーダーを確認していた。ワイバーン等の空を飛べる高魔力生物は、その存在そのものから、人間とは比較にならない魔力があふれ出ている。その魔力を探知出来るように作られたのが、魔力探知レーダーであり、これは対空のみではなく、対地としても有効に機能する。

 

 

 

 

上空に関して、現在レーダーには友軍の騎影しか表示されておらず、付近上空にも高魔力生物は確認できない。

 

 

 

 

「ん?何かしら?」

 

 

 

レーダー画面の変化にパイは気付く。

 

 

今まで綺麗に隊列を組み、飛行していた友軍のワイバーンの動きが乱れ始める。パイが上司に報告しようと思ったその時、レーダー上に写されていた友軍の点20騎が大きく光り、画面から消えた。

 

 

 

 その現象が意味する事すなわち………

 

 

 

 

 

パイはすぐに隣に置いてある魔信機に向かって叫ぶ。

 

 

 

 

「緊急事態発生!緊急事態発生!!皇都南方空域を警戒中の第18竜騎士団第2中隊20騎がレーダーから消えた!、撃墜された可能性大!!、待機中の第3中隊にあっては、緊急離陸を実施し、皇都上空の警戒に当たれ!なお、レーダーに敵機影は確認出来ず。飛行機械の可能性大!!」

 

 

 

 

 

パイが指令した直後、陸軍基地に連続した炸裂音がこだまする。

 

 

 

異常事態の発生は、この炸裂音により、すべての者が認識するに至った。

 

 

 

「20騎すべての反応が消えただと!?」

 

 

 

 

 パイの上司が血相を変えて、画面の前に来る。

 

 

 

 

「はい、短時間に次から次へと、連続して反応が消失しました!!」

 

「20騎!20騎もだぞ!!!警戒隊としての数は申し分無い量であり、しかも世界最強のワイバーンオーバーロードだぞ!!、それがそんな短期間でやられてたまるか!!」

 

「しかし、事実です!ものの20秒もかからずに消えました!!」

 

「故障ではないのか?」

 

「ありえません!!」

 

「くっ!!我々はいったい何と戦っているんだ!!、ムー国の飛行機械でここまで被害が出るのか!?」

 

 

 

レーダー室でそんな会話がされる中、指令を受けた第3中隊は滑走路から離陸しようとしていた。

 

 

 

「第2中隊がやられただと!?ちくしょう!!油断した第2中隊を殺ったところで、いい気になるなよ!!!!」

 

 

 

翼を広げ、ワイバーンオーバーロードは離陸するために走り出す。

 

 

 

 

普通なら、1騎ずつだが、今回は緊急のため、縦1列に連続して走る。

 

 

 

 

「敵接近!!」

 

 

 

誰かが魔信で叫ぶ。騎士は空を見上げる。

 

 

 

「なっ!!」

 

 

 

黒っぽい何かが、一直線に滑走路に突っ込んでくる。

 

 

 

 

ただでさえ、距離のいるワイバーンオーバーロードではこっちに来るまでに離陸が間に合わない。

 

 

 

 

「離陸中止……」

 

 

 

あと一歩遅かった。

 

 

 

 

ズドーン!!

 

  ズドーン!!

 

    ズドーン!!

 

      ・

      ・

      ・

      ・

      ・

 

 

 

 

立て続けに巡航ミサイルが着弾し、滑走路を含めた施設を破壊する。

 

 

 

 

 

だが、これでさえ、まだ序章に過ぎない。

 

 

 

 

「おい!、なんだあの機体は!!」

 

 

 

エイのような、ブーメランのような平べったい機体が超低空で侵入してくる。

 

 

 

 

先程の巡航ミサイル攻撃で、皇都周辺の滑走路は全て潰した。最早彼らを止める手だては無い。

 

 

 

 

「全機目標地点に到達次第、攻撃開始!」

 

 

 

わざわざ皇都の真上で編隊を分け、あからさまにどこを狙っているのかわかるようにする。

 

 

 

 

「全機投下用意……………投下!!」

 

 

 

 

各基地の上空に着いた機体が次々に爆撃を始める。

 

 

 

 

1機当たり500ポンド爆弾80発を積んだB-21の爆撃からは、如何なるものも逃れられない。

 

 

 

 

 

爆発、閃光、衝撃………

 

 

 

 

後には瓦礫しか残らなかった。

 

 

 

 

さらに、指導者達を恐怖に陥れるために、もうひと手間行うロデニウス連邦共和国軍。

 

 

 

「2番機、好きに荒らせ!」

 

 

 

ズバババババババババババババババ!!

 

 

 

Su-572機が、宮城を掃射し、荒す。

 

 

 

<次はお前たちだ>との認識をはっきりと持たせるのだ。

 

 

 

 

「爆撃の効果を確認。離脱する。」

 

 

 

最後に、攻撃の成果だけ確認し、2機は離脱していった。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

(暗い……全身が痛む……私はいったいどうしてしまったのだろうか?)

 

 

 

皇都防衛隊の魔信技術士パイは、意識を取り戻す。全身の痛みに少し混乱するが、考えを巡らし、記憶の糸をたどる。

 

 

 

(笛のような甲高い連続した音が聞こえた後、私は吹き飛んで来た誰かに当たって意識を無くして………、建物が崩れるような音がした気がするんだけど……)

 

 

 

パイは記憶を辿りながら、何が起きたのか推測する。

 

 

 

 

 

 

(ロデニウス連邦共和国は警戒態勢にある皇都防衛隊基地に攻撃を加えて、その攻撃は運悪く、私のいる建物に当たったのかしら)

 

 

 

 

 

 

「あっ、光!!」

 

 

 

自らの上を見ると、僅かに光が差し込んでいる。

 

 

 

(体は痛いけど……幸い動くわ、骨まではいってないと思う)

 

 

 

 

「よし!!」

 

 

意を決し、自分の上にある岩に力を入れる。

 

 

 

 

「誰か助けて!」

 

 

 

 

(基地にはまだ人が多くいるはず……だから、私の声を聞けば誰かが駆けつけてくれるはず……、なのに……、誰からも返答は無い)

 

 

 

「……そっか。」

 

 

 

(多分、みんな敵の第2次攻撃を警戒し、戦闘態勢を整えるために皆忙しく動きまわっているのね)

 

 

 

「う……ん!!」

 

 

 

渾身の力を込める。

 

 

 

音をたて、レンガと彼女の服とが摩擦し、所々服が破れる。

 

 

 

 

(外に出たら、恥ずかしい視線を受けそうな気もするけど、命には代えられないわ)

 

 

 

「もう一息……やった!、外に出られた!!」

 

 

 

 

彼女はあたりを見回す。

 

 

 

 

が、次の瞬間

 

 

 

 

「そ、そんな!!」

 

 

 

彼女の目に映ったもの、それはすべての建物が原型を留めずに破壊された、元基地の残骸だった。

 

 

 

 

動いているものは、自分以外誰もいない。

 

 

 

目に映る肉は全て死体だ。

 

 

 

「こんな……こんな事がっ……」

 

 

 

列強たるパーパルディア皇国の中でも最強の陸軍基地、圧倒的な制地能力と、突破力を誇る地竜も、他国を圧倒し続けてきた魔導砲兵団も、制空能力が極めて高いワイバーンオーバーロードの竜舎も、全てが砕け、破壊されつくしていた。

 

 

最強の陸軍基地に、これほどの破壊をもたらす存在を彼女が知るはずもなく、魔信技術士パイは、呆然と立ち尽くし、その情景を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

「お、おのれ……、ロデニウス連邦共和国などという蛮族ふ、風情が……、よ、よくも………」

 

「へっ、陛下………」

 

 

 

宮城にいた、ルディアスは怯えながらも、ロデニウス連邦共和国への怒りを上げていた。

 

 

 

整えられた宮殿の庭は、見る影もなく荒らされ、宮城のてっぺんは見事に破壊されていた。

 

 

 

 

[貴様の命は我々次第だ]

 

 

 

 

それをしっかりと見せつけたのだ。

 

 

 

 

 

「海軍はどうした!!」

 

「集められるだけ集めて、皇都沖合で待機中です。」

 

「奴らは間違いなくここに来る。奴らを1人たりとも逃すな!」

 

 

 

そして……、と、一息ついたルディアスは続ける。

 

 

 

「本土攻撃部隊は奴らの本拠地を徹底的に潰せ!、余を完全に怒らせたことを後悔させてやる!!」

 

「御意!」

 

 

 

 

怯えた表情から一転して怒り心頭のルディアスは、徹底的に倒すことを決めていたが、その程度で止められるロデニウス連邦共和国では無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

空母「ロデニウス」空母戦闘指揮所(CDC)

 

 

 

 

「赤城よりオニキスの発射指示を受けました!」

 

「よし、直ちに発射、目標達成は大型の竜母だ。」

 

「了解!、RV-1発射!!」

 

 

 

 

ロデニウスの艦橋前に設けられたVLSから噴煙を巻き上げて超音速対艦ミサイルが放たれる。

 

 

 

 

 

「睦月、如月、弥生、卯月、対艦ミサイル発射!」

 

 

 

 

ウィーン

 

 

 

ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

 ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

  ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

   ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

 

 

 

 

 

各艦娘から対艦ミサイル24発、合計96発が発射され、竜母を狙う。

 

 

 

 

 

 

 

後に、第3文明圏における覇権国家の交代を決定づける戦いとまで呼ばれることとなり、ロパ戦争におけるパーパルディア皇国が、制海権を決定的に失った海戦とされているエストシラント沖海戦。

 

 

 

 

その戦いは、爆撃機隊による基地爆撃と、戦闘機による掃射によって火蓋が切られ、海戦自体の最初の、大きく重たい一撃はロデニウス連邦共和国の最新鋭空母と、幌筵泊地の対艦ミサイル攻撃によって始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







次回に続きます。


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第24話 エストシラント大海戦②




「全てが終わった時、浜辺に流れ着いていたのは栄光ある皇国の艦隊の破片だった。」


(沿岸部に住む住人の言葉)


対艦ミサイル飽和攻撃。皆さん1度は聞いたことがあるでしょう。



今回はそんなミサイル飽和攻撃のロデニウス連邦共和国版です。









 

 

 

 

 

「主力艦隊の全力出撃は歴史上初めてだな。」

 

 

 

船上でそうつぶやくアルカオン

 

 

 

「報告!、皇都の陸軍基地等が攻撃を受けた模様!」

 

「来たか!、ロデニウス連邦共和国軍!」

 

「しかし……まさか皇都が攻撃を受けるとは!!」

 

 艦橋にいる幹部の面々は、驚嘆の言葉を発する。

 

「ロデニウス連邦共和国軍の艦隊の侵攻も、極めて可能性の高い状態となった。索敵のワイバーンの数を3倍にしろ!!」

 

「ははっ!!!」

 

 

 

 

透き通るような青空に向かい、第3艦隊の竜母数隻から次々と飛び立つワイバーンロード。彼らは風を掴み、空に羽ばたく。

 

 

 

その姿は、誇り高く、力強い。

 

 

 

 

提督アルカオンは来るであろうロデニウス連邦共和国軍に対し、敵意を燃やすのであった。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国 海軍主力 第3艦隊所属 竜母艦隊南方約50km空域

 

 

 

 

 

ワイバーンロードに騎乗する竜騎士ラカミは哨戒飛行中、海に何らかの違和感を感じ、全神経を集中して海上を見る。

 

 

 

 

 

と、その時!!

 

 

 

「いったい何だ!?あれは!」

 

 

 

彼は低空を超高速で飛行する矢のようなものを、多数発見した。

 

 

 

「索敵隊より艦隊司令!我、海上を竜母艦隊方向へ向かう超高速未確認飛行物体を発見!総数100以上。うち数発は恐ろしく速すぎる!、注意されたし!繰り返す……。」

 

 

 

 

たまたまRV-1が対艦ミサイルを追い抜く所を見つけられたラカミは、そう報告する。

 

 

 

 

『了解、迎撃は可能か?』

 

「無理だ!既に通過した。遅い方も恐ろしく速すぎて追尾不能!」

 

『了解』

 

 

魔信を終了する。

 

 

竜騎士ラカミは敵の発見のため南へ向かうのだったが、その後、艦載機によって叩き落とされることになる。

 

 

 

 

 

 

一方、竜母艦隊では…………

 

 

 

 

 

ウゥゥゥゥーーー!!!!

 

 

 

 

 

竜母艦隊に最大級の警戒音が鳴り響く。

 

 

 

 

「上がれる竜は上がれ!!!」

 

「急げ!、時間はないぞ!!」

 

 

 

それぞれの竜母あっちこっちで怒号が飛び交う。

 

 

 

各竜母からは、皇国の航空戦力、ワイバーンロードや、オーバーロードが続々と飛び立ち、上空で編隊を組む。

 

 

 

 

竜母100隻からは、各12騎づつ、計1200騎がすでに上空に舞い上がり、さらに竜を排出し続ける。

 

 

 

 

離陸した竜騎士は、魔信で報告のあった方向に向かい、導力火炎弾の発射準備を行い、おそらくはロデニウス連邦共和国軍の攻撃と思われる超高速未確認飛行物体の迎撃に備える。

 

 

 

 

「これほどの竜が、正体不明の物体の迎撃に上がるのは、歴史上初めてだな。」

 

 

 

竜母艦隊司令バーンは、飛び立つ竜騎士を見て側近につぶやく。

 

 

 

 

「そうですね、敵のお手並み拝見といきましょう。」

 

 

 

竜母艦隊の軍師アモルは、自信のある態度をもって、司令のつぶやきに答える。

 

 

 

「ん?始まりましたな。」

 

 

 

 

アモルがそう語った次の瞬間!!

 

 

 

 

 

 

「ぱ、パルキマイラ級が、全て沈みました!」

 

「なんだって!?、まだ飛翔体は到達してないのでは!?」

 

「恐ろしく速い飛翔体がいくつかあり、これがパルキマイラ級を全て沈めてしまいました!!」

 

 

 

 

パルキマイラ級とは、ワイバーンオーバーロードの運用を行うために作られた最新の竜母で、皇国と言えどわずか数隻しか存在しない新鋭艦。

 

 

 

 

それが沈められた…………

 

 

 

 

「な、何としても他を落とすんだ!」

 

 

 

 

遠くの方で、導力火炎弾の発射光が微かに見え、魔信からは次々と「発射!」の報告が入る。

 

 

 

 

2400騎を超える精鋭竜騎士団の導力火炎弾の放出、遠くに見える炎の輝きは次々と連続して光り輝き、幻想的にさえ見える。

 

 

 

 

軍師アモルは両手を広げ、少し大げさに話し始める。

 

「しかしながら、バーン様、ご覧下さい。あの光の量、凄まじいまでの火力の放出を!!!、もはやこれはすでに人の領域の戦いを超えています。これこそが……まさに、神々の領域の戦いだ!!!これほどの火炎弾を受ければ、正体不明の飛行物体も、もう存在しないでしょう。」

 

 

 

 

なおも火炎弾の放出は続くが、その報告は虚しいものばかりだ

 

 

 

「報告!!!!」

 

 

 

 

 

突然通信士が絶叫し、竜母に乗艦する幹部の誰もが彼を見る。

 

 

 

「比較的低速の方の飛翔体に至っても、我が方の竜騎士団の火炎弾は命中弾なし!!、繰り返します、1発も命中していません!!!、飛行物体は無傷で艦隊に向け、なおも進攻中!!!総数………、90以上!」

 

「何!?」

 

 

 

 

と、その時、90発以上の対艦ミサイルが一斉にポップアップして、竜母に目掛けて突っ込む。

 

 

 

 

 

「化け物め…………」

 

 

 

 

そう呟いたのが、アモルの最期だった。

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国軍皇都防衛竜母艦隊は、幌筵泊地所属の睦月、如月、弥生、卯月、から放たれた対艦ミサイルと、ロデニウス連邦共和国海軍所属第一艦隊旗艦空母「ロデニウス」から放たれた極超音速対艦ミサイル「RV-1」の飽和攻撃を一斉に受け、全滅。

 

 

 

 

残されたワイバーンオーバーロードや、ワイバーンロードはそのままパーパルディア皇国の戦列艦隊の上空直掩に向かう。

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

竜母艦隊全滅直後、パーパルディア皇国主力海軍第3艦隊 旗艦ディオスにて

 

 

 

 

 

旗艦ディオスの艦橋で、第3艦隊提督アルカオンは、前方の海を睨んでいた。

 

 

 

 

「奴らは来る」

 

 

 

 

確信的予感。

 

 

しかし、衝撃的な報告が彼を襲う。

 

 

 

「報告します。」

 

 通信士が声をあげる。

 

「何だ?」

 

「我が方の竜母艦隊が、正体不明の攻撃を受け、全滅しました!!、すでに上空にあった竜騎士2400騎は、南方方向に向かい、敵艦隊の捜索及び発見と、攻撃を行う予定との事です。」

 

「な……なんと!!」

 

「そんなバカな!竜母艦隊は主力戦列艦よりもはるかに後方ぞ!!攻撃が届くはずが無い。」

 

 

 

予想だにもしない報告にその場がざわつき、艦橋にいた幹部はそれぞれ驚愕の声をあげる。

 

 

 

そこで、提督アルカオンが手をあげると、場が静まる。彼はゆっくりと話し始める。

 

 

 

 

「敵には、長射程かつ正確に攻撃できる兵器があるのだろう。しかし、一気に全ての戦列艦を叩かず、海戦において最も重要なコアである竜母艦隊のみを狙った……敵の長射程攻撃の数に余裕が無い証拠だ。

 

 

 

うろたえるな。」

 

 

 

 

悲壮感に溢れていた艦橋は、提督アルカオンの冷静な分析により、我を取り戻す。

 

 

 

 

「まずは、敵を発見してもそのまま攻撃することはなく、位置を知らせろ。ロデニウス連邦共和国には恐ろしく命中精度の高い大砲があるという。だが、門数は少ない。空と海から一斉に襲いかかれば、必ず隙が生じる。そこを逃すな。」

 

「はっ!」

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国への対応に追われるパーパルディア皇国。

 

 

 

 

しかし、幌筵泊地とロデニウス連邦共和国は攻撃の手を緩めない。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

竜母艦隊の全滅を確認したロデニウス連邦共和国軍

 

 

 

「竜母艦隊の全滅を確認した。赤城、加賀、ロデニウスの各艦載機はワイバーンを撃滅、制空権を確保せよ!」

 

 

 

 

全艦載機がワイバーンロードやオーバーロードに向けて食らいつこうと、空を進む。

 

 

 

 

「ターゲット補足!」

 

「ミサイル発射用意よし!」

 

「全機発射!!」

 

 

 

 

パイロンから、ウェンポンベイから、空対空ミサイルが次々と切り離され、落下し、ロケットモーターに点火して飛翔する。

 

 

 

 

 

「誘導を早期警戒管制機に引き継いだ!」

 

「第二斉射!」

 

 

 

ロデニウス連邦共和国も幌筵泊地も、クラウドシューティングや、共同交戦能力を当たり前のように保有している。

 

 

よって、ロックオンなどの手間がほとんどかからず、パイロットは次の目標を攻撃可能だ。

 

 

 

 

そして、今回赤城、加賀、ロデニウスは、戦闘機全てに空対空ミサイルをフル装備であげているため、パーパルディア皇国のワイバーンは単純計算でも半分が落とされる。

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

「全機突入!」

 

「誤射、衝突に注意!」

 

「殺れ」

 

 

 

ミサイルを撃ち終えた機体が続々と、パーパルディア皇国の上方から襲いかかり、機関砲で仕留めていく。

 

 

 

 

赤城と加賀はご存知のように第一航空戦隊として、もとよりその練度や実力は知られている。転生者が魔改造した順番の都合上、ジェット転換が遅かったが、それでもレシプロ時代からの積み重ねは大きく、その練度たるや、鳳翔航空隊が、F35BではなくF-3への機種転換を求めたほどだ。

 

 

 

 

そして、空母「ロデニウス」艦載機乗り達も、赤城や加賀。鳳翔などのエースパイロットから手ほどきを受けた熟練搭乗員であり、その実力は機関砲だけでオーバーロード4体を落とせる程。

 

 

 

 

 

結果、ワイバーンオーバーロード並びにワイバーンロードは、この航空隊による空戦だけで8割近くを損失。

 

 

 

 

残された者たちは一旦退避を試みるも、ロデニウス連邦共和国軍と幌筵泊地はそれを許さない。

 

 

 

 

「SM-6、攻撃始め!」

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍第一艦隊、第1空母打撃群所属バックウィング級巡洋艦1番艦「バックウィング」

 

 

 

 

「攻撃開始!、サルボォー!」

 

 

 

ウィーン

 

 

 

ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

 ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

  ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

   ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

             ・

             ・

             ・

 

 

 

同第1駆逐戦隊ミドル級駆逐艦1番艦「ミドル」

 

 

「攻撃開始!」

 

 

ウィーン

 

 

 

ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

 ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

  ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

   ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

             ・

             ・

             ・

 

 

幌筵泊地艦隊、L作戦参加艦、防空担当「摩耶」

 

 

 

「いくぜ、VLS、一斉射!」

 

 

ウィーン

 

 

 

ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

 ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

  ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

   ズッ、バシューン!!、バシューン………!!

 

             ・

             ・

             ・

 

 

 

 

 

イージスシステムを搭載した全艦艇から対空、対弾道ミサイル、対艦用に開発されたSM-6が一斉に放たれる。

 

 

 

 

その数、およそ500発。

 

 

 

 

発射後、超音速まで加速して、ワイバーンオーバーロードやワイバーンロードに向けて襲いかかろうとしていた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「頼むから来るなよ………」

 

 

 

オーバーロードに乗り、味方が次々と正体不明の攻撃に食われるのを見て、大急ぎで逃げていた竜騎士達。

 

 

 

最早誇りとか、竜騎士としてのプライドとかは関係ない。

 

 

 

とにかくその場から逃げたかった。

 

 

 

 

 

だが、幌筵泊地もロデニウス連邦共和国も逃がさない。

 

 

 

逃がすはずがない

 

 

 

射程370km、超音速で飛来するRIM-174スタンダードERAMことSM-6から空飛ぶ火吹きトカゲもどきが逃れるはずが無いのだ。

 

 

 

 

「ぐわぁあぁぁあああぁあぁぁあぁぁあぁあぁぁ」

 

「ぎゃああああ」

 

 

「き、来た!、く、来るなぁ!」

 

 

 

仲間が断末魔を上げる様子で、絶望が迫ることを知る。

 

 

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!、嫌だ、死にたくない!、俺にはまだ……、ア゙ア゙!!」

 

 

 

 

 

最期に残った男にも死は平等に訪れる。

 

 

 

 

摩耶から放たれたSM-6が最後まで残ったワイバーンロードに命中。近接信管を作動させ、弾頭から飛び出た破片によってワイバーンロード、竜騎士共々粉々にした。

 

 

 

 

 

 

 

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「敵ワイバーンの全滅を確認。」

 

「やりましたね、加賀さん。」

 

「ええ、でも慢心してはダメですよ赤城さん。」

 

「その通りです。お二人とも、既にロデニウスには艦載機を着艦させ、補給と整備を終わらせ次第、2次攻撃の構えを取ります。」

 

「私達も攻撃隊の準備を、空母以外の艦艇は、対艦ミサイル飽和攻撃へ切り替えます。」

 

 

 

 

 

対艦ミサイル飽和攻撃

 

 

 

 

かつて米空母機動部隊に対して、空母の保有数や海軍力で劣るソビエト連邦が、圧倒的力を持つ空母機動部隊に対抗するために編み出した対艦ミサイルによる物量作戦。

 

 

 

 

その力は凄まじく、アメリカの武器開発に多大な影響を与えたのだ。

 

 

 

 

幌筵泊地では、深海棲艦との数的不利を覆すために、この戦術が注目され、運用のため、元海上自衛隊幹部学校あがりの多元を中心に、中国などの資料も参考にして幌筵泊地に合わせて多種多様な発射装置、発射母機を開発しつつ、最適な戦術を組み上げていた。

 

 

 

そしてそれは、幌筵泊地に所属することになった他の艦娘達や、ロデニウス連邦共和国側にも伝えられ、魔帝などを想定したものへと変化を遂げつつあった。

 

 

 

だが、今回は幌筵泊地の最も得意とする亜音速対艦ミサイル飽和攻撃を行う。

 

 

 

まだVLSから発射可能な極超音速対艦ミサイルは開発できていないのだ。

 

 

 

 

「対艦ミサイル飽和攻撃用意!」

 

 

 

 

対艦ミサイルに転用可能なSM-6、巡洋艦以下が保有する対艦ミサイル、艦載機にも対艦ミサイルを満載して攻撃態勢を整える。

 

 

 

 

「アルバトロス全機、発艦」

 

「オールラウンダー、同じく全機発艦!」

 

「F-31、発艦を確認!」

 

「F-3C、発艦完了!」

 

 

 

 

 

 

 

対艦ミサイルの総数は軽く4桁にまで届くが、これでも全力には程遠い。

 

 

 

 

だが、パーパルディア皇国はこの数も絶望にしかならないのだった…………

 

 

 

 

 

 

 

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一方、ワイバーン全滅の報告が入ったパーパルディア皇国皇都防衛艦隊では………

 

 

 

 

 

「な、なんだって!、ほ、本当なのか!?」

 

「間違いありません、先程、竜騎士団との通信が途絶、故障や通信不調も考えられましたが、一斉に発生してしまった以上、それでは確実に矛盾が出てしまいます。現時点をもって、我々は制空権を、それも皇都にまで渡る広範囲の制空権を 完 全 に失いました。」

 

「そ、それでは我々は空から完全に丸裸ではないか!!」

 

「うろたえるのでは無い。奴らが対空用の長射程兵器を持っていた、ただそれだけの事、我が艦隊に攻撃の手が及んでおらぬということは、敵は恐らく水上での決戦における決め手を欠いているということだ。敵は未だどこにいるかはっきりしないが、先に見つければこちらが圧倒的な物量で捻り潰すことが出来る。」

 

「おお………」

 

 

 

アルカオンの理路整然としているものの、結果的には全然合っていないが、その場の解釈としては最良の内容に感心する幕僚達。

 

 

 

「小型艦を中心に艦隊の外周より少し遠目に配置し、敵を見つけ次第一気に襲いかかる。奴らがムー国から兵器を輸入しようと、数は少ないはず。如何にムー国の兵器と言えど、最終的に操るのは我々より数段劣る文明圏外国。数で襲いかかれば、隙も生まれよう。そこを突くのだ。」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

アルカオンの分析は、その場に与えられた情報の中では恐らく最良の回答だったのかもしれない。

 

 

 

 

しかし、幌筵泊地とロデニウス連邦共和国はその予想を全て覆せるだけの力を持っていたのだ。

 

 

 

攻撃が及ばなかったのは、艦載機換装作業のためであり、弾切れでは無い。

 

 

 

 

そもそも、ミサイルの洋上補給も想定した改装を施された幌筵泊地、ロデニウス連邦共和国の艦艇達をサポートするため、海戦前に幌筵泊地とロデニウス連邦共和国から補給艦18隻と、駆逐艦8隻、軽巡4隻を主体とした支援艦隊が向かっており、たとえ弾切れでも速やかなサポートが受けられる。

 

 

 

また、よしんば接近しても、ロデニウス連邦共和国には砲撃戦の得意なバックウィング級。幌筵泊地なら巡洋艦や、海の王者である戦艦などが控えており、まず勝ち目は無い。と言うより、駆逐艦どころか哨戒艦ですらアウトレンジが決められる相手が懐に飛び込むには相当な何かがなければ不可能だ。

 

 

 

 

「我がパーパルディア皇国の海軍力を結集した攻撃、ロデニウス連邦共和国よ、お前にこれが耐え切れるか?」

 

 

 

 

 

水平線の彼方を見つめ、そう呟いたアルカオンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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一方、艦載機の発艦が終わったロデニウス連邦共和国、幌筵泊地による連合艦隊

 

 

 

「対艦ミサイル飽和攻撃用意!」

 

 

 

各艦艇のVLSなどの蓋が一斉に開き、攻撃開始を待つ。

 

 

 

 

この最も一般的な飽和攻撃では、飽和攻撃を担当する艦艇ないし機体(今回は次弾装填を行ったロデニウス)が全体の発射権限を握ることで、同時攻撃にありがちな時間差を合わせることが出来る。

 

 

 

(尚、迎撃能力を飽和させるためにあえて別タイミングで行うこともある)

 

 

 

 

今回は、亜音速の対艦ミサイル、超音速のSM-6、極超音速のRV-1という順番で発射することで、弾着を同時に行わせるのだ。

 

 

 

 

 

「全艦攻撃開始!」

 

 

 

 

ロデニウスの砲雷長がボタンを押すと、リンク済みの巡洋艦と駆逐艦、上空で待機していた航空部隊から一斉に亜音速の対艦ミサイルが放たれる。

 

 

 

 

 

 

その数だけで4桁に及び、空を埋め尽くさんばかりの膨大な対艦ミサイルが飛翔する。

 

 

 

 

 

だが、それだけでは終わらない。

 

 

 

 

「対艦ミサイル第1波、発射完了、続けて戦艦よりSM-6発射」

 

 

 

金剛型のVLSから対艦ミサイルとしてSM-6が放たれる。

 

 

 

 

対艦ミサイルとしても転用可能なSM-6が、戦艦より500発程放たれる。

 

 

 

 

「RV-1第二斉射開始!」

 

 

 

最後に残ったロデニウスから放たれた極超音速対艦ミサイルは、旗艦と推定される全ての艦船をロックオンして、発射された。

 

 

 

 

 

 

 

800隻にはオーバーキルすぎる対艦ミサイル飽和攻撃がパーパルディア皇国を襲うのだった………

 

 

 

 

 

 

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「まだ見つからんのか!?」

 

「はい、外周部の見張り員は限界まで増やしているはずなのに、一向に見当たりません。」

 

「やはりワイバーンロード、オーバーロードを失ったのは痛いな………」

 

 

 

 

 

アルカオンと部下達のやり取りに幕僚達は仮説を出すことにした。

 

 

 

 

 

「アルカオン様、もしかして敵は我らに恐れおののいて逃げたのでは?」

 

「いや、それはありえない。竜母艦隊を蹴散らし、ワイバーンロード、オーバーロード達を蹴散らした奴らがそのまま逃げることはありえない………

 

 

 

 

ま、まさか!?」

 

 

 

ひとつの可能性に思い至ったアルカオン。

 

 

 

 

「奴らはあの長射程兵器を補給しているのでは!?」

 

「ま、まさかそんなことが……」

 

「しかし、これなら先程から攻撃が無いのにも、まっさきに竜母艦隊を狙ったのにも説明がつく。補給中を狙われないためにも、空の脅威を先に片付けておきたいからだ。」

 

「で、では………」

 

「こうしちゃおれん、一刻も早く探さなければ竜母艦隊を葬ったのと同じ攻撃が我らにもやってくるぞ!」

 

 

 

 

 

その言葉を聞いて、大急ぎで動き回る幕僚達。

 

 

 

 

 

 

だが、全てが後手だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうロデニウス連邦共和国艦隊は、攻撃を終えていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 







次回はエストシラント海戦の終結と、本土へ向かった攻撃部隊の末路を書きます。


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第25話 エストシラント大海戦③



「一連の攻撃はパーパルディア皇国にとって甚大な被害をもたらす結果となった。だが、我々がさらに驚くべきことだったのは、これらがロデニウス連邦共和国単体の力によってもたらされたものであるということだ」


(戦後に出版されたカイオスの半自伝書籍<我、亡国の国に思う>の一節より抜粋)








 

 

 

 

 

突然だが、皆さんは対艦ミサイルがどのように飛翔するのかご存知だろうか?

 

 

 

 

 

無論、恐らくこの作品を読む多くの読者が知っているかもしれない

 

 

 

 

それは、迎撃を避けるために超低空を這うようにして敵艦隊懐深くまで向かう。

 

 

 

 

その後、撃墜を避けるためポップアップし、突入することが一般的な対艦ミサイルの命中までの一般的な流れとなる。

 

 

 

 

 

もちろん、幌筵泊地が保有する全ての対艦ミサイルは基本的にその軌道を取る。

 

 

 

 

だが、今回放たれた数千発ともとれる対艦ミサイルは全て高度を上げて飛翔していた。

 

 

 

 

今回、ロデニウス連邦共和国は、敵への恐怖を煽るため、示威行為のためにあえて低空飛行をしなかったのだ。

 

 

 

 

 

想像して見てほしい。

 

 

 

空に無数に存在する対艦ミサイルを、

 

 

 

 

それが自らの元に降ってくると考えた時、

 

 

 

 

何が我々の中に芽生えるだろうか………

 

 

 

 

 

 

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「なっ、なんだあれは!」

 

 

 

突然空を見ていた見張り員が絶叫した。

 

 

 

 

「おい、こっちに向かってくるぞ!」

 

 

 

 

見えずらいが、黒い点のようなものがいくつも降ってくる。

 

 

 

 

「か、回避だ!」

 

 

 

操舵手は大急ぎで舵を回すが、間に合わない。

 

 

 

 

 

 

木造船なら1発でも致命傷の対艦ミサイル。

 

 

 

 

今回は贅沢にも、数発同時着弾となった。

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国皇都防衛艦隊のいた場所は太陽のように明るくなった後、何も残らなかった。

 

 

 

 

「敵艦隊の全滅を確認!」

 

「榛名、睦月、如月、弥生、卯月は前進!、敵海軍司令部を叩いてください!」

 

「核融合炉、出力上昇!」

 

「榛名、全力で参ります!」

 

 

 

 

核融合炉から生み出された豊富な電力が、榛名の推進部に伝達され、加速する。

 

 

 

 

35ノット以上の快速を誇る榛名は、瞬く間に睦月達前衛艦隊に追いつくと、そのまま海軍本部を目指す。

 

 

 

 

 

 

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パーパルディア皇国海軍本部にて

 

 

 

「ろ、ロデニウス連邦共和国軍を迎撃していた艦隊との通信途絶。恐らく撃沈されたものと思われます」

 

「そ、そんな!」

 

「パーパルディア皇国の海上戦力を総結集させた部隊がか!?」

 

「それも、健闘しているとか、善戦しているとの報告すらなく沈んだのか!?」

 

「待て、まだ沈んだとは……」

 

「だが、こんな近くで通信が届かないということもあるまい、やはり全滅したのか………」

 

 

 

 

 

 

 

幕僚達は状況の把握と整理に務めていた。

 

 

 

 

だが、それが後に悲劇を生むことになる。

 

 

 

 

 

 

 

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海軍本部近くの港にて

 

 

 

 

臨時職員として雇われていたシルガイアは、港で掃除をしていた。

 

 

 

 

「おい、おまえ!!その地面にゴミが落ちてるじゃないか!!掃除という、簡単な単純作業が仕事なんだから、掃除くらいきちんとしろ!!」

 

「すいません。」

 

 

 

シルガイアは、海軍の下っ端兵から罵声を浴びながら掃除をする。

 

 

 

 

情けない。今の自分があまりにも情けない。

 

 

 

 

彼は、パーパルディア皇国海軍本部を見上げる。

 

「奴は……出世したな。」

 

 

 

 

彼は、目に涙を浮かべ、先日の同窓会を思い出す、その同窓会には、皇国海軍の将、バルスが出席していた。

 

 

 

学生時代、バルスとはライバルだった。

 

 

 

成績、運動能力、ほとんど変わらなかったが、少しだけ自分が劣っていた。その学生時代のほんの僅かな差、この差の積み重ねが、今の圧倒的な差となって現われていた。

 

 

 

月とスッポン、天と地、神と虫けら、それほどの差があるように、彼には感じられた。

 

 

 

同窓会で戦死の話が出た時の海将バルスの言葉が思い出される。

 

 

 

 

「はっはっは!!前線に出る事の無い列強国の海将が戦死する事などありえぬよ。もしも、私が暗殺以外で戦死し、断末魔をあげるような事があれば、その断末魔は列強パーパルディア皇国の滅びの呪文となろう。」

 

「すべてを手に入れた者と、何も手に入らなかった者か……。」

 

 

 

 

彼は、人生の不条理に、嘆きたくなる。

 

 

 

 

シルガイアは、ふと違和感に襲われ、海を見る。彼は目が良い。

 

 

 

 

 

「な、なんなんだあれは!」

 

 

 

 

一角獣のようなマストを持つ船と、一際大きな巨体を持つ船が、突如としてパーパルディア皇国の海岸に現れたのだ。

 

 

 

 

「ま、まずい、逃げないと!」

 

 

 

見ると、先程シルガイアを怒鳴りつけていた水兵も、恐怖で足がすくんで動けていない。

 

 

 

「急げ!、敵の砲撃が来るかもしれない。早く逃げるんだ!」

 

 

 

そうは言ってもなかなか動けない水兵に肩を貸しつつ、シルガイアは丘を登っていった。

 

 

 

 

 

 

 

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戦艦「榛名」艦内

 

 

 

「海軍本部、艦首陽電子衝撃砲の軸線に乗った。陽電子衝撃砲、エネルギー充填開始!」

 

 

 

 

途端に、榛名の前部甲板の一部が開き、中からコードに繋がれた大砲のようなものが取り出される。

 

 

 

 

「艦首陽電子衝撃砲エネルギー充填率60%、80、90、100……、エネルギー充填120%!」

 

「目標、パーパルディア皇国海軍本部、誤差修正良し、照準固定!」

 

 

 

 

<<睦月より入電!、敵沿岸砲が出現!>>

 

「近寄らせないでください、睦月さんお願いします」

 

「了解です!、砲撃用意!」

 

 

 

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 

沿岸砲の動きを察知した睦月と弥生が主砲を放ち、沿岸砲を瞬く間に沈黙させる。

 

 

 

 

「発射用意良し!」

 

「ショックカノン、発射!!」

 

 

 

青白い光が、スルスルと伸びていき、海軍本部に命中する。

 

 

 

別世界で、太陽系に侵攻してきた異星人の宇宙船を撃沈せしめたショックカノン。

 

 

 

見た目こそ違えど、異世界転移以降、コツコツと改良された「ソレ」は、オリジナルと寸分違わぬ性能を持つに至った。

 

 

 

 

幌筵泊地所属、戦艦「榛名」と睦月型4隻は、海軍本部並びに周辺施設への砲撃を敢行。

 

 

 

海軍本部は壊滅し、海将バルスは戦死した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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発射とほぼ同時刻、エストシラントの丘陵地帯にて

 

 

 

 

 

「何をする気なんだ………」

 

 

一際大きい軍艦の艦首が青白く、発光し、海軍本部に向けられる。

 

 

 

シルガイアは本能的に、それが皇国へ向けられた攻撃であると理解する。

 

 

 

「何をしてるんだ!、バルス、早く逃げろ!」

 

 

 

海将バルスは、シルガイアにとって、ライバルではあったが、良き友だったであり、バルスはシルガイアの誇りでもあった。

 

 

 

 

沿岸砲が向けられるが、護衛らしき周りの船に撃たれ沈黙する。

 

 

 

「まさか、出られない……、出る気がないって訳じゃないよな……」

 

 

 

そのまさかである。海軍本部にはそれなりの防御が施されており、下手に外に出ると危険と判断したバルス以下の海軍将校は、立てこもることにした。

 

 

 

 

だが、シルガイアは本能的にアレは不味いと思った。

 

 

 

 

「バルス!!!」

 

 

 

彼は、海軍本部に向けて発射されたショックカノンを見て、海将の、親友の身を案じ、本能的に叫んでいた。

 

 

 

海軍本部に突き刺さり、猛烈な閃光と、爆発音がした。

 

 

 

 

「そんな……、海軍本部が………」

 

 

 

横にいた海兵の言葉が全てだった。

 

 

 

 

 

幌筵泊地とロデニウス連邦共和国は、バルス以下パーパルディア皇国海軍本部にいた全ての将校を全滅させ、パーパルディア皇国の海軍指揮系統の完全破壊に成功したのだ。

 

 

 

 

「もうダメだ……、何とかしてまずは助かる道を探さないと……」

 

 

 

悲嘆に昏れる海兵を叱咤激励しつつも、シルガイアは生き残る道を探し始めた………。

 

 

 

 

 

 

 

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もう1箇所でショックカノンを見ていた者がいた。

 

 

 

 

 

「は、榛名のやつ、まさかショックカノンを撃つ気か!?」

 

「それは一体何だね?」

 

 

 

 

庭に出ていたカイオスと腰堀である。

 

 

 

「ショックカノンは……、原理は説明出来ませんが、とにかく強力な兵器です。我々もいくつかの決戦でこれを使いました。」

 

 

 

 

そう言っている間に、榛名がショックカノンを撃つ。

 

 

 

 

「なっ……、アレはミリシリアルの魔光砲!?」

 

「えっ!?」

 

「腰堀くん!、君たちはミリシリアルとも繋がっているのかね!?」

 

「違います!、アレは純粋な科学文明の兵器です!」

 

「でもあの色はミリシリアルの軍艦の砲撃にそっくりだ!」

 

 

 

 

カイオスは実家が貿易を生業にしていて、カイオスも何度かミリシリアルに行ったことがある。そこでミリシリアルの軍艦の砲撃を見たことがあるのだ。

 

 

 

 

「確かにミリシリアルの軍艦の砲撃もあの色をしていますが、根本的に構造が違います。そもそもミリシリアルとは国交すらありません」

 

「なっ………、すまない取り乱した」

 

 

 

 

 

 

すると、榛名が取り舵を取って全門を港に向ける。

 

 

 

 

「殺る気か!?」

 

 

 

腰堀が言うが早いか、毎分15発のレートを誇る48cm連装砲の砲撃が行われ、港を含めた地域を更地にしていく。

 

 

 

「ちょっと待て!、まだ各国へ退避勧告を出てないだろ!、巻き込んだらどうする気だ!」

 

「いや、この海戦を前に、ムー国が自国の大使館職員を含めた、全在パ外国人への退避勧告と、陸上移動を伴った在パ外国人の退避を行っている」

 

「えっ!?」

 

 

 

 

腰堀は、匿われている身故に、周りの情報に疎かった。

 

 

 

 

幌筵泊地とロデニウス連邦共和国の協議の元、ムー国大使館を通じてムー国本国からパーパルディア皇国にいる全ての外国人を退避させる活動を行ったのだ。

 

 

まだ爆撃の及んでいないデュロを中心に、攻撃前のエストシラントからも多数避難させたため、残っているのはパーパルディア皇国で諜報目的に入り込んでいるやつくらいしか居ないのだ。

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃあ……、ロデニウス連邦共和国と幌筵泊地は……」

 

「ああ、心置きなくあちこちを破壊して回れる、我々も行動を急ごう」

 

 

 

 

 

そう言うと急いで2人は部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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L作戦参加中のE-767早期警戒管制機

 

 

 

 

「ん?、なんだコイツら……」

 

 

 

一足先に帰投しようとしていた矢先、レーダーの端に何かが映った。

 

 

 

 

「艦艇か?、商船か……?、ここからじゃ見分けがつかんな………」

 

 

 

 

 

とりあえず報告した。

 

 

 

 

<<了解した、偵察機を向かわせる>>

 

<<なんとなく嫌な予感がします>>

 

 

 

 

 

「平河くん、航空隊に偵察機としてTu22Mを出すように伝えるように」

 

「はっ!」

 

 

 

 

腰堀が生きているかもしれないとなったことで、少し黒さが薄くなった多元だが、依然としてその心は暗い。

 

 

建御名方は、無事の可能性について触れられると、へたりこんでしまい、休養中となっている。

 

 

 

 

 

 

「偵察機から報告!、旗を隠していますが、主砲の特徴などからパーパルディア皇国の本土攻撃部隊と確認されます!」

 

「なんだって!?」

 

 

平河が驚く。

 

 

 

「平河くん、焦ることは無い。要は奴らが死にたがってるだけだ。望み通りにしてやろう。近くで演習中の部隊は?」

 

「と、特設航空団が、間もなく着陸する見込みです……」

 

「大佐も出番が無くて暇だろう。兵装変更を済ませ次第、直ちに攻撃開始、護衛には第1航空団を当てろ。アイオワを旗艦とした臨時部隊を編成する。アイオワ、千歳、サミュエル・B・ロバーツ、Z1、神通、川内だ。恐らく夜戦になる」

 

「了解!」

 

「念の為、哨戒艦などを主軸とした警戒艦隊を出すようロデニウス側にも報告してくれ」

 

「了解」

 

 

 

 

 

さて、一報を受け取ったロデニウス連邦共和国では……

 

 

 

「パーパルディア皇国の本土攻撃部隊だって!?」

 

「本土を犠牲にしてでもこっちへの攻撃を優先するなんて正気じゃない!」

 

「下手したら絶滅戦争になるのでは?」

 

「いや、それは無い。そもそも、パーパルディア皇国の属国に、色々仕込み済みだ、それに外国人に軒並み引き上げられては面子云々以前に立ち行かないだろう」

 

「とにかく警戒部隊を出すんだ!、自走砲も沿岸部に進出させろ!」

 

 

 

哨戒艦や、P-3対潜哨戒機が出撃し、すり抜けに対処すると共に、活動中の潜水艦にも戦闘配置が伝えられた。

 

 

 

また、これに並行して、沿岸部にM39メルニウスや、自走砲であるM203 170mm自走カノン砲が配備された。

 

 

 

 

尚、170ミリ自走カノン砲は次のようなものである。

 

 

 

M203 170mm自走カノン砲

全長 15m

最大幅 3.5m

車高 3.6m

重量 50t

主兵装 66口径170mmカノン砲

副武装 12.7mm重機関銃、M61バルカン

射撃速度 毎分5~6発

最高速度 60km/h

最大射程 通常弾45km、RAP弾使用時75km

見た目 K9とM-1989を組み合わせたような感じ

その他 渡河能力有り

防御性能 15mmまでの機銃を防ぎきる。

 

 

 

 

 

K9とコクサン自走砲の良いとこ取りという感じである

 

 

 

 

 

これを現在30両程保有するロデニウス連邦共和国は、上陸阻止のために沿岸部に緊急配備した。

 

 

 

 

 

 

「平河くん」

 

「なんですか?」

 

「松輪と占守は出せるかい?」

 

「出撃可能ですが………」

 

「近海にて訓練中の伊19が正体不明の潜水艦2隻を捕捉したらしい。機関停止中の探知で、相手は2次大戦か、それ以下の潜水艦と、冷戦期の原潜らしき潜水艦のそれぞれ2隻だ。既にP-1が向かっているが、水上艦による迎撃も行いたい。アレも出す」

 

「アレですか!、しかし過剰では?」

 

「冷戦期並の技術レベルなら、警戒対象だ。対潜装備、及び特殊部隊を搭載する」

 

「了解、1時間で出撃準備させます」

 

 

 

 

 

 

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パーパルディア皇国ロデニウス連邦共和国本土攻撃部隊

 

 

 

 

「報告!、エストシラントが敵の攻撃を受けたとのこと!」

 

 

 

 

「なんだって!」「ロデニウス連邦共和国め……」

 

 

 

幕僚達が口々に声を漏らす。

 

 

 

 

「静かにしたまえ、ロデニウス連邦共和国は総力を結集して我が国を叩こうとした。文明圏外国らしい、捨て身の戦法だ。だが、奴らは皇国の恐ろしさを知らない。我が国には工業都市デュロの造船技術によって多数の船が生み出せる。」

 

 

 

本土攻撃部隊の指揮官が語る。

 

 

 

 

それに納得し黙った幕僚達だが、当然こんな話は見当違いもいい所である。

 

 

 

 

まず、エストシラントへの攻撃は、ロデニウス連邦共和国の総力ではなく、創設予定の10個艦隊のうちの1個艦隊、それもたった1個空母打撃群と駆逐艦隊に、幌筵泊地から増援を加えただけである。

 

 

 

創設予定とあるように、その戦力は未だ発展途上だが、それでも2番艦の「クワ・トイネ」、3番艦「クイラ」、4番艦「ロウリア」が訓練中であり、5番艦「ホロムシロ」、6番艦「リョンネー」、7番艦「シャントー」が進水済み、8番艦「フォッケン」、9番艦「クワァントー」、10番艦「テンシェー」が建造中であり、たとえここで本土をそれなりに叩いても確実に反撃される。

 

 

 

また、そもそも幌筵泊地が10隻以上の空母機動部隊を、ロデニウス連邦共和国にも軽空母を軸にした数個の機動部隊の運用が可能であるため全く勝ち目は無い。

 

 

 

さらに言えば、本土防衛戦となるため、空軍からの支援としてF-16Cや、退役間近のF-1、幌筵泊地の基地航空隊なども参戦するため、航空戦力は絶望的である。

 

 

 

海上戦力に至っては金剛型を除いてほぼ戦艦が幌筵泊地に残っているため勝ち目が全くない

 

 

 

そして、極めつけには工業都市デュロだが、そもそもロデニウス連邦共和国がムー国に依頼して在パ外国人の退避を行っているのがデュロなので、攻撃しないだけである。よって収容完了後は直ちに「皇帝」によって攻撃されることになっている。

 

 

 

 

 

というわけではなから間違いだらけなのだ。

 

 

 

 

 

 

そんな中で行われる本土攻撃。

 

 

 

 

 

その最初の刺客は空からやってきた。

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国ロデニウス連邦共和国本土攻撃部隊前方40km地点、上空8000m付近

 

 

 

 

 

<<久しぶりの出撃は艦艇への攻撃か……、それにしてもロケット弾の比率が多いな>>

 

<<まぁ、大佐好みの爆撃が出来ないのは仕方ありませんね、相手は木造船なんで、急降下爆撃なんかしたら過貫通しかねませんし………>>

 

<<まぁいい、どんな相手、どんな装備であれ、出撃を命じられたらその場に赴くのが私の仕事だ。一応確認だが、火吹きトカゲことワイバーンについては大丈夫か?>>

 

<<レーダーにそれらしきものは確認できませんな、正直、トカゲだろうとレシプロ機だろうと、ジェット機だろうと、空母に載せて運用するならそれなりに費用がかかりますし、さすがにそろそろ払底したんでしょうな>>

 

<<まあいい、たとえ奴らが飛んできても私がきっちり空戦で叩き落としてやる>>

 

 

 

 

(ルーデル以下特設航空団はロデニウス連邦共和国に残っていたワイバーンとの空戦にて、圧倒的差で勝利しており、ルーデル達がワイバーン相手に圧倒できることについては各方面で確認済みである)

 

 

 

 

<<それをされると私らの存在意義が無くなってしまうので…………、ですが万が一の際はお願いします>>

 

 

 

 

一応、護衛として付いてきている第1航空団のF-15J改の隊長機が苦笑を漏らす。

 

 

 

 

<<そろそろ見えてきましたな、我々は上空で待機します。ご武運を>>

 

<<承知した、護衛感謝する>>

 

 

 

そう言うと、護衛のF-15J改は、翼を軽く振ってさらに上空に向けて上昇する。

 

 

 

<<特設航空団全機、用意は良いかね?>>

 

<<もちろんです大佐、奴らに我々の恐ろしさを骨の髄まで叩き込んでもらいましょう>>

 

<<その意気だ諸君、では突っ込むぞ!>>

 

 

 

 

 

言うが早いか、ルーデルの機体が速度をあげて突っ込んでいく。

 

 

 

 

<<もうちょい……、もうちょい……、撃てぇ!>>

 

 

 

 

バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ!

 

 

 

 

機体のあちこちに取り付けられたロケット弾ポッドから大量のロケット弾が一斉に放たれ、本土攻撃部隊に火柱を上げさせる。

 

 

 

 

「ロケット弾ポッドはまだある、今度は旋回して仲間の攻撃が及んでいない所へ………、撃てぇ!」

 

 

 

 

バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ!

 

 

 

 

また数隻が一気に火柱を上げ沈んでいく。

 

 

 

 

「素晴らしい!、陸に比べれば鈍重でバカでかい代物だが、大きい獲物ほど心躍る!、もっとだ、もっと戦果を……!!」

 

 

 

 

 

完全にゾーンに入ったルーデル。

 

 

 

 

 

さて、突然の攻撃を浴びたパーパルディア皇国ロデニウス連邦共和国本土攻撃部隊はこの攻撃をどう受け止めていたのか………

 

 

 

 

 

次回に続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







少々締りが悪いですが、次に進みます。


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第26話 海上の脅威と、水面下の戦い




「我々にとって幸運だったのは、皮肉にも我々自体の存在がまだ世界に認められていないことだった」


(幌筵泊地特殊艦隊指揮官を兼任していた多元への後のインタビューにて)



前回の後半でちらっと触れたとある相手と、本土に接近する敵の掃討です。






 

 

 

 

「出撃!、Admiralは他の仕事があるわ、私たちは私たちとしての任務に専念しましょう」

 

 

 

すっかり闇が辺りを覆う夜間に、アイオワ、千歳、サミュエル・B・ロバーツ、Z1、神通、川内の6隻は、幌筵泊地を出撃し、本土攻撃部隊の迎撃を担当する。

 

 

 

 

「直掩機、発艦!」

 

 

 

 

無人機と、F-22の艦載機仕様が飛び立ち、艦隊の上空を旋回する。

 

 

 

 

 

 

千歳はその間気になったことをアイオワに伝える

 

 

「そういえば、提督は何を見つけたの?」

 

「Admiralは忙しがったからヒラガの話だと、潜水艦が2隻いたらしいわ」

 

「潜水艦ですか……、噂のミリシリアルですか?」

 

「神通、それは違うと思うよ、この間の報告書だと、ミリシリアルは潜水艦がいないみたいで、ムー国も同じ、だとすると………」

 

「グラ・バルカス帝国……」

 

 

 

 

 

川内と神通も会話に入ってくる中で、全員の頭に浮かんだのは現在第2文明圏での侵略行為が目立つグラ・バルカス帝国である。

 

 

 

 

 

「そんなに長距離移動できる潜水艦なんているのかなぁ?、だって性能的には大規模改装前の私達なんでしょ?」

 

「でも、僕が思うに、どこかに基地を作っている可能性もありそうだよ」

 

「私もそう思います」

 

 

 

Z1や、サミュエル・B・ロバーツも会話に入る。

 

 

 

「でもさ、わざわざあの船持ち出すあたり、それだけじゃなさそうだね」

 

「センダイの認識は当たっているわ、実はね……」

 

 

 

 

アイオワが川内の指摘に答える。

 

 

 

 

「えっ!?、冷戦期並の原子力潜水艦!?」

 

「そんな性能の潜水艦を私達以外で作れる国ってあるの?」

 

「もしかして、古の魔法帝国??」

 

「かもしれないわね、いずれにせよ、Admiralが直接艦隊を率いて向かうのだから、よっぽどのことなんでしょうね」

 

 

 

 

 

 

艦娘達は、ルーデルが暴れ回る戦場に向けてとりあえず進むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

一方、同時刻、幌筵泊地沖合にて

 

 

 

 

 

「艦隊抜錨、単縦陣」

 

「松輪、艦隊先頭に出ます!」

 

「占守、艦隊後方につくっしゅ」

 

 

 

幌筵泊地から4隻の軍艦が出撃した。

 

 

 

 

艦隊先頭と後方にいるのは海防艦の松輪と占守。

 

 

 

 

中央にいるのは、いずれも幌筵泊地が転移してから建造した2隻の通常軍艦で

 

 

 

大型嚮導駆逐艦「秋雨」

 

多目的戦闘艦「磐城」

 

 

 

である。諸元は以下の通り

 

 

 

 

多目的戦闘艦「磐城」

全長 180m

最大幅 25m

機関方式 統合電気推進+COGAG

速力 30ノット

兵装 5inch単装砲×1基、30mmCIWS×2基、24連装RAM×1基、VLS48セル、対艦ミサイル発射筒×8基、両用魚雷発射管×6門

輸送能力 LCAC×1と戦車含めた車両20両、兵員350名

機雷戦能力 機雷600発

指揮能力 200人の指揮要員の乗船

 

 

 

 

 

大型嚮導駆逐艦「秋雨」

全長 185m

最大幅 22m

機関方式 統合電気推進+COGAG

速力 35ノット

兵装 5inch単装砲×1基、40mmレールガンCIWS×1基、36連装RAM発射機×1基、多目的VLS×200セル、両用魚雷発射管×8門

艦載機 SH60L×1

 

 

 

 

 

磐城のモデルはアブサロン級とサン・アントニオ級。秋雨のモデルは南昌級だ。

 

 

 

 

艦隊は磐城を旗艦として、目標の潜水艦が潜航していると考えられる海域へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

海面下80m。グラ・バルカス帝国シータス級潜水艦

 

 

 

 

「なぁ、俺ら仕事あるのか?」

 

「どうした?」

 

 

 

非番のふたりがベッドで寝ながら話をしている

 

 

 

 

「だってよー、ムー国なんてじいさん達が現役の頃の軍艦だし、それ以外の国は基本的に帆船だぞ?、それはここ第3文明圏とやらでも変わんないだから、別に偵察しなくても良くね?」

 

「それがな、ここの列強……、とは言っても俺らからすればカスみたいな国がここ最近立て続けに負けているらしい。その相手を探るためにも最近整備した潜水艦基地の運用も兼ねて俺らはここにいるって訳」

 

「ま、なんにせよ俺たちグラ・バルカス帝国に勝てる国なんていないだろうよ」

 

「だな」

 

 

 

 

 

潜水艦の中で不必要におしゃべりするのはアウトだが、異世界に来てからというもの、潜水艦に出くわさなかったグラ・バルカス帝国の潜水艦乗組員達はすっかり油断していた。

 

 

 

 

 

 

 

一方、ほぼ同じ海域の深度300m

 

 

 

 

「なんだあのうるさい潜水艦は、うるさすぎて隠れる気が感じられんな」

 

「仕方ないさ、我々光翼人と違い、奴らは下等種族。潜水艦が何たるものかまるでわかっていないのさ」

 

 

 

 

 

グラ・バルカス帝国の潜水艦について酷評していたのはアニュンリール皇国海軍のコア利用型潜水艦である。

 

 

 

まぁ、早い話が、原潜みたいなもんである。

 

 

 

んで、魔帝が絡まない限り外界のことに全く興味を示さないこいつらがなんでこんなところに来てるのかと言えば、端的に言えばグラメウス大陸にいる工作員の支援である。

 

 

 

コア利用型ならずっと潜っていられるから見つかりにくいし、仮に近くに他国の海軍の軍艦がいたとしても下等種族なら見つけることは不可能と見ていたのだ。

 

 

 

「それにしても、少し気がかりなことがある」

 

「なんだ?」

 

「先程何かが上空を通過したのだ、音が小さくてよく聞き取れなかったようだが、天の浮舟のような音がした」

 

「天の浮舟?、蛮族がか?、有り得んだろ」

 

「だよなぁ、疲れているかもしれん」

 

「この任務が終われば休める。しっかり頼むぞ」

 

 

 

 

 

そう言って仕事に戻る2人だが、彼らは知らなかった。

 

 

 

 

 

グラ・バルカス帝国の潜水艦も、アニュンリール皇国の潜水艦も、幌筵泊地によって完全に見つかっていたことを………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間違いない、片方は恐らくグラ・バルカス帝国、もう1隻はわからんが、もしかしたらアニュンリール皇国の可能性がある」

 

「ミリシリアルの可能性は?」

 

「それは無い、奴らはせいぜいグラ・バルカス程度と見積もられている上、民間諜報員の情報によれば、そもそも潜水艦の概念がない、というか魚雷という概念が無い」

 

「なるほど……、それで謎の鎖国政策と、異常に発達しているくせにそれを徹底的に隠しているアニュンリール皇国ということですか……」

 

「そうだ、出来ればどちらも鹵獲したい。アニュンリール皇国の異常な発達具合は科学文明では無く魔法文明の可能性がある。魔帝への対策にも応用できる」

 

「鹵獲目的は<交戦地域への軍艦の無許可侵入>ですね」

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国はパーパルディア皇国への宣戦布告後、指定海域への船舶の進入禁止を発表しており、許可なくやってきた場合は撃沈することもあると警告していた。

 

 

 

 

「そうだ、松輪と秋雨はグラ・バルカス側を、磐城と占守はアニュンリール皇国をやる。対潜戦闘用意!」

 

 

 

 

 

幌筵泊地とロデニウス連邦共和国の双方が警戒しているのは、グラ・バルカス帝国と、魔法帝国、そしてアニュンリール皇国である。

 

 

 

 

きっかけは、人工衛星による偵察写真だった……

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

開戦前

 

 

 

 

「ん?、何だこの国、めちゃくちゃ発展してるじゃないか!?」

 

 

 

宇宙部門が見つけたのは、南方世界を撮影した映像だが、1カ国だけ妙に発展しているのだ

 

 

 

「こりゃ提督に相談だな」

 

 

 

そう言って提督の元に運ばれた写真を、ロデニウス連邦共和国側の有識者と共に解析したのだが………

 

 

 

 

 

「これ……多分アニュンリール皇国ですけど………、こんなに発展してるもんなんですか?」

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国側の有識者によると、アニュンリール皇国は文明レベルとしては昔のクワ・トイネよりも劣るレベルとも言われており、まさに文明圏外国としてさほど重要視されるものでもなかったのだが………

 

 

 

 

「どうしてこんな発展具合を隠すんだろうか……」

 

「変ですね……、この世界はどこも大抵見栄っ張り、というより舐められたら終わるみたいな思考があるのに、自分から弱く見せようなんておかしいですよ」

 

「しかしまぁ……、調査しようにも遠いな」

 

「伊401を向かわせてはどうでしょうか?」

 

「いいアイディアだ、向かわせよう」

 

 

 

 

幌筵泊地の古参潜水艦である伊401は、長距離航行を前提とした魔改造を施されており、具体的には……

 

 

 

 

全長 200m

最大幅 20m

機関 核融合炉

速力 水中 40ノット

   水上 20ノット

航続距離 1年間の無寄港、完全潜行状態での戦闘行動が可能

武装 533mm魚雷発射管×8門、多目的VLS 16セル、格納式レーザーCIWS×4基、電波妨害機複数、艦尾魚雷発射管×4門、対魚雷・爆雷防御装置

艦載機 F-3S 新・晴嵐(ATD-Xを単発機化した上で、垂直離着陸に対応、格闘性能と精密攻撃、探知能力に優れている)×4機

 

 

 

 

 

こうして、長時間の単独行動が得意な伊401が選ばれ、監視行動についていた。

 

 

 

 

 

そこでわかったことが次の通り

 

 

 

・アニュンリール皇国は、予想通り国力としては冷戦中期並の技術力を保持しており、意図的に発展具合を隠している

 

・魔力検知装置を使用したところ、一般的な種族に比べて高い魔力を感知した

 

 

 

 

ということから、<高度文明が何らかの目的(悪意も含めて)のために国力を偽ることで、目的を達成しようとしている>というように結論付けた幌筵泊地とロデニウス連邦共和国は、引き続き監視を継続することとし、アニュンリール皇国の技術力をどこかで測りたいと考えていた。

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

 

「磐城と松輪は、アニュンリール皇国と見られる潜水艦を追跡せよ、秋雨と占守はグラ・バルカス帝国の潜水艦を追尾だ」

 

「了解」

 

「了解」

 

「了解しゅ」

 

 

 

二手に分かれて潜水艦を追尾する幌筵泊地、一方、海面下にも別の潜水艦が潜んでいた。

 

 

 

 

 

「………、この窪地、便利ですね」

 

「ああ、水中調査船のおかげで見つかったこのポイントなら、地理を理解していない潜水艦からは絶対見つからないでしょう」

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国のギム級潜水艦 ギ-101潜水艦である。

 

 

 

 

元々は、対パ皇対策として監視任務についていたものの、幌筵泊地の出撃を知った艦長が独断でこの窪地に隠れ、2隻の監視を行っていたのだ。

 

 

 

おやしお型並とはいえ、十分現役クラスに値する潜水艦。それもエンジン停止の上で完全無音潜航されては、探知することは容易ではない

 

 

 

「水雷長、魚雷は?」

 

「全弾装填完了、いつでも撃てます」

 

「よし、とりあえず待機だ。幌筵泊地が撃沈に動くなら、こちらも援護する。もし幌筵泊地が危険と判断したら、直ちに行動できるよう待機せよ」

 

「了解、伊58教官から指導されましたからね、無誘導撃ちもおまかせください」

 

 

 

海中からも逃さない構えだ。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

「2軸推進、推定4隻を探知!、うち2隻はこちらに向かってきます!」

 

「見つかったか……、魔雷戦用意!」

 

「魔雷戦用意!、目標正面大型艦、発射用意!」

 

 

 

アニュンリール皇国は魔法文明における魚雷である魔雷を用意して、迎え撃つ気である。

 

 

 

もちろん、アニュンリール皇国なので誘導付きであり、撃たれればアウトである。

 

 

 

 

 

一方、グラ・バルカス帝国側も……………

 

 

 

 

「2軸推進、巡洋艦と大型駆逐艦来ます!」

 

「バレたか、魚雷戦用意!」

 

「魚雷戦用意!」

 

 

 

 

 

2カ国とも、躊躇なく雷撃戦になるのは理由がある。

 

 

 

 

バレたくないのと、力量を測りたい(点数稼ぎしたい)からだ。

 

 

 

 

バレないためなら黙って潜っているという方法も無くはないが、自らを絶対的とする彼らは実力を測ることを体裁にした、点数稼ぎのために撃沈させることを選んだ。

 

 

 

 

「注水完了!、魔雷発射用意よし!」

 

 

 

「注水完了、魚雷発射用意よし!」

 

 

 

 

「魔雷発射!」

 

「魚雷発射!」

 

 

 

 

 

双方共にそれぞれのタイミングで発射した。

 

 

 

が、その攻撃は見事に裏目に出る。

 

 

 

 

魚雷戦に慣れっこの、しかも彼らにとって未来の技術によって開発された最新の対潜戦闘能力を保持した幌筵泊地に喧嘩を売ってしまったのだから……

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

磐城CIC

 

 

「注水音探知!、秋雨も探知しました!、2隻ともやる気です!」

 

「どっちもか……こいつらやっぱり偵察だけじゃないみたいだな……、対潜捕獲戦闘用意!、対潜ネット発射用意!、最大戦速!」

 

「マスカー用意!、迎撃魚雷発射用意良し!」

 

「松輪、そっちのタイミングで回避してよし、とにかく1発も被弾するな!」

 

<<了解!>>

 

 

「敵潜水艦、魚雷発射!」

 

「対魚雷戦開始!」

 

「ハッチオープン、迎撃開始!」

 

 

 

磐城の左舷ハッチが開き、両用魚雷発射管から迎撃魚雷が放たれる。

 

 

 

 

 

秋雨CIC

 

 

「グラ・バルカス帝国潜水艦、魚雷発射!」

 

「迎撃魚雷発射用意!、回避運動!」

 

 

 

 

グラ・バルカス帝国の魚雷は無誘導であると予想されたため、回避運動で対応した。

 

 

 

 

 

「敵魚雷回避成功!、対潜ネット発射用意よし!」

 

「撃てぇ!」

 

 

 

VLSのハッチが開き、対潜ネット弾を搭載したミサイルが放たれる。

 

 

 

 

「対潜ネット弾、指定高度に到達、指定座標に降下します!」

 

 

 

 

 

海面に着水した対潜ネット弾は、魚雷となってそのまま海中を進み、グラ・バルカス帝国潜水艦のスクリュー付近で炸裂、ネットを展開して絡まる。

 

 

 

 

「推進部になにかが絡まりました!」

 

「何!?、一体何が起きているんだ!」

 

「分かりません、どうすれば……」

 

「絡まった物を取り外せないか?」

 

「ダメです!、浮上しない限り外せません!」

 

「敵前でそんなことが出来るか!」

 

「艦長!、或いは砲撃で奴らを沈めるのはどうでしょう?」

 

「潜水艦がまともに水上艦と戦えるか!」

 

「しかし……、このままでは我々はどうすることもできません」

 

「くっ……、仕方ない。浮上し、降伏しよう。機密文書は全て破棄せよ」

 

 

 

 

 

 

この後、秋雨から発艦したヘリから移乗した特殊部隊によって武装解除が確認されたグラ・バルカス帝国潜水艦は鹵獲され、乗組員はロデニウス連邦共和国へ、潜水艦は幌筵泊地に送られ調査されることになる。

 

 

 

 

 

 

一方、アニュンリール皇国潜水艦と交戦中の磐城では……

 

 

 

 

「敵魚雷の迎撃を確認!」

 

「対潜ネット弾発射用意よし!」

 

「……!?、これは……ギ-101が動いています!」

 

「どっちへ向かってる?」

 

「敵潜水艦の逃げる方向を抑える気です」

 

「なるほど……、我々の目論見に気づいたか……、よし、その期待に答えよう、潜水特殊部隊用意!」

 

「特殊潜航艇発進準備よし!」

 

「松輪に護衛要請を」

 

 

 

 

磐城は、戦闘艦としての機能もさることながら、支援艦として揚陸能力も有しており、今回はその機能を活かして特殊部隊輸送用の潜水艇を用意したのだ。

 

 

 

<<松輪、対潜ネット弾発射用意!>>

 

<<了解!、あ、敵潜水艦魚雷発射!、ギ-101へ向けて撃ちました!>>

 

 

 

 

 

水中という逃げ場のない世界でも雷撃戦が始まる……

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「敵潜水艦、魚雷発射を確認!」

 

「デコイ発射用意……!」

 

「待て副長、この距離では間に合わない。マスカー開始!、急速転舵、面舵で交わせ!」

 

 

 

 

ギ-101の艦長は冷静に魚雷への対処を行う。

 

 

 

 

 

一方、アニュンリール皇国の潜水艦はちょっとした混乱に襲われていた……

 

 

 

 

「敵水上艦、魔雷を迎撃しました!」

 

「何!?、魔雷を迎撃しただと!」

 

「ぜ、前方に敵潜水艦!」

 

「ちっ、待ち伏せされたか、魔雷発射!」

 

 

 

 

再び魔雷が放たれるものの、ギ-101艦長の見事な指揮で回避される。

 

 

 

 

「敵魚雷回避成功!」

 

「やられてばっかじゃ性にあわん!、信管微調整、取り舵いっぱい、射線確保後直ちに発射!、目の前で爆発させて驚かしてやれ!」

 

「了解、射線確保、発射用意良し!」

 

「1番2番、撃てぇ!」

 

 

 

 

89式魚雷が放たれ、アニュンリール皇国の潜水艦めがけて突き進む。

 

 

 

 

「ま、不味い、か、回避だ、取り舵!」

 

「しかし、そちらには水上艦が!」

 

「死にたいのか!!」

 

 

 

取り舵をとりながら回避するアニュンリール皇国の潜水艦。

 

 

 

しかし、魚雷自体は命中せずに爆発して船体を激しく揺さぶる。

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁ!」

 

「か、各部損害報告!」

 

「異常無し、ですが聴音できません!、爆発音が収まらない限り聴音不能!」

 

「そんな……」

 

 

 

 

爆発音が収まるまで待機しようとしたアニュンリール皇国の潜水艦だが、その必要は無かった。

 

 

 

 

ガコンッ

 

 

 

「動くな!、ロデニウス連邦共和国海軍だ!」

 

 

 

潜水艇に乗り込んでいた潜水特殊部隊が、逃げた先で潜水艦に接舷。乗り込んで来たのだ。

 

 

 

「くっ……、アニュンリール皇国バンz……」

 

 

ビリビリ!!

 

 

 

電気ショックで自害を試みた敵を気絶させる。

 

 

 

 

「妙な真似はよせ、既に貴様らを引き上げるために船も用意されている。大人しく浮上し、我々の指示に従え、命だけは助けてやる」

 

 

 

 

最早反発するものは居なかった。

 

 

 

機密文書を破棄した上で、暗号なども消す余裕があったグラ・バルカス帝国潜水艦に対して、何もする余地の無かったアニュンリール皇国は、隅々まで調べられて、貴重な機密文書がロデニウス連邦共和国の元に渡ることとなる。

 

 

 

 

また、今回の1件は完全にロデニウス連邦共和国が指定した海域の中で起きていたということ、両国共に国交が無いことから、どちらからも返還などの交渉は無く、調査担当者らは心置きなく調査することに成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

一方、こちらもそろそろ片付く頃合いだった。

 

 

 

「ちっ、弾切れか……、まぁいい、後続は来ている。特設航空団全機に告ぐ、弾薬を使い切り次第帰投せよ」

 

「了解、レーダーでも確認しました。千歳のところのF-22です。残存艦艇は……100切ってますね、伝えておきます。」

 

「頼む。さぁ、帰ったら牛乳だ」

 

 

 

 

 

 

ルーデル達特設航空団は引き上げ、残りは臨時艦隊の仕事である。

 

 

 

 

 

<<無人機隊、全機突入、突入コードを入力せよ!>>

 

 

 

千歳のCICから突入コードが送られ、無人機に突入命令が下る。

 

 

 

 

<<copy, we engage !>>

 

 

 

受信を示すコードが千歳CICの画面に表示されると、無人機達が突撃を開始する。

 

 

 

 

ウェポンベイから対艦ミサイルが放たれ、残った敵艦を攻撃する。

 

 

 

 

<<命中!、こちらも行くぞ!>>

 

 

 

F-22や、ミサイルキャリアー仕様のF/A18Eが攻撃を開始する。

 

 

 

 

小型爆弾を改良した木造船用火炎弾や、対地ミサイルを駆使し、敵を沈める様は、相手に絶望と恐怖を抱かせる。

 

 

 

 

<<敵艦隊全滅を確認!、汚ぇ花火が上がっています!>>

 

 

 

結果、燃え盛る一部敵船を除いて、本土攻撃部隊は全滅。

 

 

 

 

ルディアスの考えた本土攻撃は、何の成果も挙げなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






投稿遅れました。すみません。


いやぁ……、新生活が始まって創作に時間がかけられなくなってましてねぇ……


失踪とかはしないんで大丈夫です。





次回、「ツァーリ・ボンバω」



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第27話 ツァーリ・ボンバω




「魔法帝国に勝つための力は、タダで手に入る訳では無い」


(ツァーリ・ボンバω投下を含めた一連の攻撃についての幌筵泊地並びにロデニウス連邦共和国の回答)




秘匿兵器も登場します。







 

 

 

 

幌筵泊地地下司令部にて

 

 

 

 

「………、ということでして、ツァーリ・ボンバωについては既に実戦段階にこぎつけており、また、パールネウス攻撃のための新型兵器についても、現在準備が進んでおります」

 

「ツァーリ・ボンバωと、新兵器、それを皮切りに行われる巡航ミサイルと通常弾頭の弾道ミサイル、超音速滑空弾による各地へのアウトレンジ攻撃と、その後の爆撃機による爆撃、艦隊による艦砲射撃、さらに現地住民の一斉蜂起も加われば、さすがのパーパルディア皇国と言えど、こちらが上陸作戦を行わなくとも崩壊するだろう」

 

「尚、城や、要人のいるとされる建物は意図的に目標には入れません。奴らには攻撃による死などという生ぬるい手段で死なせず、きっちりと責任を取らせるとのことで我々とロデニウス連邦共和国との間で話がついております」

 

「そう、だが、奴らがそれでも戦いたいと望むのなら、我々とて望み通りにしてやるのもまた事実だ」

 

 

 

そう多元が言うと、一同が頷く

 

 

 

「はい、この後まだ交戦意欲を失わなかった場合に、ニュー・ダウンフォール作戦を開始するという決定がなされています。具体的には、首脳部を皇都に釘付けにした上で、残された継戦能力をあらゆる手段………、炭疽菌や、毒ガス、戦術核や、ダーティーボム、山林への枯葉剤散布といった様々な手段を投じて、エストシラント周辺を除いた地域を死の大地へと変化させ、継戦能力を完全に奪い、総勢200万人近い数の部隊の上陸をもって殲滅する方針です」

 

「アルタラス王国とはどうなってる?」

 

「現在調整中ですが、10万人もの大軍を出す用意をしているとか、しかし、烏合の衆になってはいけないので、そこについてはおいおいとの事、また、ドーパ、ネーツ両国は部隊派遣が難しいとの事で、補給部隊を送るとのことです」

 

「まぁ、そんなものだろう、ところで……」

 

 

 

 

 

秘匿部門の担当者が辺りを見渡して言う。

 

 

 

 

 

「そろそろ新型兵器について述べてもよろしいのでは?」

 

「うむ、この場にいる君たちには馴染みのある兵器だろう。許可する」

 

 

 

 

 

多元の許可を得た秘匿部門が話し始める。

 

 

 

 

 

「真多氏との連携のもとで開発に漕ぎ着けた新型兵器………

 

 

 

・・・・

遊星爆弾について、お話したいと思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国カイオス邸宅

 

 

 

「カイオスさん、準備はいいですか?」

 

「ああ、出来ている」

 

「では始めます」

 

 

 

腰堀がスイッチを押し、喋り始める

 

 

 

 

「こちらロデニウス連邦共和国外交随伴員の腰堀二郎です。ロデニウス連邦共和国外務省、応答願います」

 

 

 

ボタンを離し、一旦待つ

 

 

「どうだ……」

 

 

カイオスが固唾を呑んで見守る。

 

 

 

と、すぐに反応があった

 

 

 

<<こちらロデニウス連邦共和国外務省!、腰堀さんで間違いないですね!!>>

 

 

 

「繋がりました!」

 

「やったな!」

 

 

 

反応を見て喜ぶ2人

 

 

 

 

 

「はい、幌筵泊地航空部門所属、ロデニウス連邦共和国外務省出向組の腰堀二郎です!、先輩を……、いえ多元本部長と建御名方を早くお願いします!!」

 

<<建御名方さんは療養中です。多元本部長も今作戦会議中なので少し時間がかかります。ですが、その前にどこにいるのか、今安全なのかを教えてください>>

 

「その件については私から説明しよう。パーパルディア皇国第3外務局局長のカイオスだ」

 

 

 

腰堀からマイクを渡され、話し始めるカイオス

 

 

 

「腰堀さんは、私の家で客人という体裁の元、匿っている状態だ。射殺されてしまったパトリック外交官も腐敗阻止を行った上で地下に安置してある」

 

<<では、腰堀さんは安全なのですね?>>

 

「無論だ、如何に皇族とて、勝手に敷地内を荒らすことは許されていない、この部屋の機密も保たれている。お互いにとってより良い未来のための話がしたい」

 

<<わかりました………、3時間後に再び連絡をお願いします。外務大臣等を交えての通話となります>>

 

 

 

 

 

そういうと無線は切れた

 

 

 

 

 

「良かった……、これで皇国を救える」

 

「ええ、でもここからです。軍部の掌握は?」

 

「既に皇都とその周辺の部隊のうち、実働部隊は実質的な私の指揮下にある。私の合図でクーデターは起こるが、一つだけ問題がある」

 

「それ以外の部隊が動く……、ということですね?」

 

「ああ、そこも含め交渉を続けたい」

 

 

 

 

 

 

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一方、腰堀生存確認がなされた幌筵泊地ではもうそれはとんでもないことになっていた。

 

 

 

 

「何!?、腰堀が通信を!?」

 

「確かなのか!?」

 

「はい、先程外務省に連絡があり、腰堀さんは諜報部の予想通り、第3外務局のカイオス氏の元で匿われており、パトリックさんの遺体も彼の手で安置されている模様です」

 

「そうか……、建御名方には伝えたか?」

 

「はい、泣いていましたよ」

 

「帰国するまではまだ引き合わせられないな、俺も外務省に飛ぶ、ヘリを用意してくれ」

 

「了解!」

 

 

 

 

 

 

そして、この流れは官邸も同じだ

 

 

 

 

「外務省より報告!、幌筵泊地より出向していた外交随伴員の腰堀二郎さんの生存が確認されました!」

 

 

 

うぉぉぉ!、と歓声が上がる。

 

 

 

「そうですか……、生きていたんですね………」

 

「匿っていたのは諜報部の予想通り、第3外務局の局長カイオス氏であり、カイオス氏は我が国との講和交渉を求めている様子です。」

 

「わかりました。外務大臣と多元本部長を交えての交渉とします。多元本部長は?」

 

「現在ヘリで向かっています。」

 

「わかりました。そのまま向かわせるようにお願いします」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

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3時間後

 

 

 

 

「………、では、貴国の皇都の周辺はほぼあなたの指揮下にあるということでよろしいですね?」

 

<<ああ、表向きは皇帝陛下に従っているが、実質的な実働部隊は完全に反旗を翻す準備が出来ている。合図があれば要所の制圧も簡単に行えるが………>>

 

「更にその外側が問題なのですね?」

 

<<ああ、我々の総戦力だけでは力不足だ>>

 

「でしたらその辺は心配無用です。我が軍の攻撃で沈黙させられます」

 

 

 

 

 

議論は順調に進むこともあれば時に白熱することもあった

 

 

 

 

<<それは認められない、皇族の存続は我が国を保つために必須だ!>>

 

「開戦に至った経緯を考えれば、我が国としては皇族の存続は危険とみています。」

 

<<しかし………、国民が混乱の中にある時だからこそ、精神的象徴の存在は必要なのだ!>>

 

「だとしても、我々が許容できる範囲でとなれば、飾り物にしかなりませんよ?、それに多すぎる皇族も減らさせていただきます。今回のように溢れた皇族が国政に関わられると困るので」

 

<<いずれ、腰堀くんいた国のように継承問題に揺れることになってもか?>>

 

 

ここには多元が反応する

 

 

「それはマスコミの報道姿勢や、国民の関心の低さが招いた結果………、すなわち国民と国家運営の問題です。米国による介入だけが直接的な引き金ではありません」

 

<<…………、陛下はどうなる?>>

 

「この戦争が終わった後のルディアス自身の反応次第ですな、ですが、我が国以外でなくアルタラスやフェン、ドーパ、ネーツなども講和会議に参加することをお忘れなく………。それとレミールは助からないことはお分かりですな?」

 

 

 

黙るカイオス。

 

 

 

カイオスとの交渉は、外務大臣と多元2人で行っていた。

 

 

 

軍事的な内容や、今のように転生者達が対応した方がいい所は多元が、それ以外は外務大臣が行っていた。

 

 

 

 

<<カイオス殿、わかっておられるとは思いますが、貴国を滅ぼすことなどいくらでもできます。徹底的な国土の破壊の後、属領に土地を明け渡させたり、同盟国に領土を引き渡す。或いはこちらが直接占領することだってできるんですよ?>>

 

 

 

 

外務大臣から、軽く脅しのような言葉が飛ぶ。

 

 

 

 

経済発展と人口の多かったロウリアにおける食糧事情の改善。全民族の生存権の保障によって、多産種族が安心して子供を増やしたことなどが起因して、人口爆発が発生していたロデニウス連邦共和国では、人材のダブつきを抑える目的もあって、大軍拡と海外への進出が進んでいた。

 

 

 

全軍通じて300万人に到達するとも試算される軍人。ゴトク平原への入植を認めさせたことを皮切りとしたフェン王国への入植政策と今後予定されるグラメウス大陸への入植活動。

 

 

更に潤沢な労働力と、幌筵泊地由来の科学技術はもとより、ロデニウス連邦共和国との合同研究による魔法研究が将来的に民間にも回されることも相まって経済発展は進む一方だった。

 

 

(この年のGDPは中国を超えてアメリカに匹敵するレベルともされており、人口はそろそろ8億人を超えると見られ、即急の対応が必要とされている)

 

 

 

 

 

最早、パーバルディア皇国程度でどうにかなる国家では無いのだ。

 

 

 

 

 

<<最早、致命傷抜きでは助からない領域まで来ていたのか………、しかし………>>

 

「苦渋の選択ではあります。ですが、貴方がここで悩んでも仕方がありません。我々からすれば腰堀さんの回収とパトリック外交官の遺体の回収さえ済めば、貴国の全土に爆弾の雨を降らせることも可能です」

 

<<…………、わかった。同意しよう。パールネウス共和国時代までの領土の明け渡しと、デュロとパールネウスのロデニウス連邦共和国による直接管理。賠償金の代わりの鉱産資源の優先採掘権、港湾施設の接収、皇族の引渡しを含めた内容を認める>>

 

「ご英断、感謝します。それでは数日の間は軍にも大人しくするように伝え、万が一に備えて屋外への外出自粛をお願いします」

 

 

 

 

 

 

そう言って会談は終わった。

 

 

 

 

 

 

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幌筵泊地地下司令部

 

 

「ということで、エストシラント周辺への空爆は無くなった。その分は他の地域に回せ、艦隊の用意は?」

 

「トマホークや、12式改良型を積んで待機中、命令があれば何時でも撃てます」

 

「今回は降伏勧告を行う、応答が無ければ直ちに攻撃する見込みだ」

 

「了解」

 

 

 

 

 

地下司令部での話し合いが進む中で、部隊も着々と準備を進めていた。

 

 

 

 

 

「真多とエルドリッジは?」

 

「小惑星の回収を行っています。落着地点までの最終調整は田代砲で行う見込みです」

 

 

 

 

田代砲

 

幌筵泊地の真多と田代が反射衛星砲と波動砲、ショックカノンをベースに作り上げた核融合炉のみで使用出来る最高火力。その威力は島根県ほどの大きさの小惑星を蒸発させるほどの威力であり、威力を調整することで、反射衛星砲のように遊星爆弾の最終調整能力を持つ。大和、武蔵にも改装によって搭載予定。

 

 

 

「了解した、ところで、そろそろムー国外務省はあっちに着く頃だな」

 

「ええ、驚きました。まさか列強国なのにあそこまで我々の提案を承諾してくれるとは………」

 

「それだけグラ・バルカス帝国の脅威が近いということか………」

 

 

 

まだ見ぬ脅威、グラ・バルカス帝国に対して気を引きしめる幌筵泊地転生者であった………

 

 

 

 

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パーパルディア皇国、大広間

 

 

「ムー国の大使が来られました」

 

「すぐに通すように」

 

 

 

この日、パーパルディア皇国では、突然の在パ外国人の一斉退避勧告と、退避を行ったムー国に対して、ことの次第を尋ねるために、最後まで残っていた大使を呼んでいた。

 

 

 

 

 

呼ばれたムー国大使は補佐官を伴って、大広間に向かう。

 

 

「さて……、さすがにそろそろ彼らも気づいたんじゃないか?、ロデニウス連邦共和国が超列強とも取れる超大国だということに」

 

「そうですよね、いくら文明圏外国だからといって侮っていても、さすがに気づくはずなんですが………」

 

 

呼ばれていたムー国大使のムーゲと、その部下の補佐官との話はやはりロパ戦争だ。

 

 

 

「しかし……、もしかすると本当に気づいていないのかもしれないな……」

 

「情報収集能力が致命的に低いということなりますよ……」

 

「いずれにせよ、今回の会談で明らかになるはずだ」

 

 

 

 

そう言っていると、部屋に着き、会談が始まった。

 

 

レミールがまずは口を開く

 

「我が国がロデニウス連邦共和国と戦争状態に突入している事は、知ってのとおりだと思う。今回のムー国の一連の対応について説明を願いたい。」

 

レミールの問いに対し、ムーゲが対応する。

 

「はい、このたびパーパルディア皇国と、ロデニウス連邦共和国が戦争状態に突入いたしました。今戦争は、今までとは常識はずれとなる程の激戦となる可能性があります。ムー国政府は、ムーの民の安全を確保するため、また、貴国に存在する全ての外国人の安全を担保するために貴国からの避難指示を発令するに至りました。今回の指示には、大使館の一時引き上げをも含みます。この措置は、全土……、それ即ち皇都にも被害が及ぶとの判断からなされています。」

 

 

この発言を受け、レミールの表情が曇る。

 

「いや、上辺は良いのです。調べはついています。本当の事を話してはもらえませぬか?」

 

「?」

 

 レミールの発言が理解出来ずに、ムーゲは戸惑う。

 

「我々がロデニウス連邦共和国との戦闘の際、飛行機械を目撃しているのです。本当の事を話してください。」

 

 

まさか……、

 

最悪の予想が当たってしまうムーゲ。

 

 

「……いったい何がおっしゃりたいのか、理解出来ないのですが……。」

 

「解らぬのか?これは、ムーもとんだ狸を送り込んで来たものだ。私は今、飛行機械をロデニウス連邦共和国が使用しているのを目撃したと発言した。飛行機械が作れるのは、あなた方ムーくらいのものだ。あなた方ムーは、今まで決して輸出して来なかった武器をロデニウス連邦共和国に輸出した。そして、今回の皇都だけでなく全土からの自国民の引き上げ、これが何を意味しているのかは馬鹿でも解るだろう。何故ロデニウス連邦共和国に兵器を輸出した!!そして何故我々の邪魔をするのだ!!」

 

 

 

激昂するレミールを見て、ムーゲは確信した。この国はまともな情報収集をしていない。

 

 

 

「貴国は、1度もロデニウス連邦共和国へ調査団を派遣したことはないのですか?」

 

「無い、第3文明圏の列強国たる我々がどうして蛮族の元へ調査団を送らなければならないのだ」

 

 

 

嗚呼、これはダメだ……

 

 

ムーゲは列強国の地位に甘んじるパーパルディア皇国の上層部を見て哀れに思えてきた。

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国は一部国民が転移者で占められており、その技術力は我が国よりも……、いえ、魔帝よりも上です!」

 

「文明圏外国風情がそんなことあるまい、第一、転移者などおとぎ話だろ」

 

「違います、我が国は少なくとも信じます。何故なら、我が国もまた転移国家です。彼の国の国民の1部は我が国の転移前の友好国、ヤムートの国民で、ヤムートは邪馬台国、ヤマト政権、大日本帝国、日本国と名前を変えながらも、今に至っていた国家です。その彼らが作ったものがこれです」

 

 

ムーゲは腕に着けた時計を見せる。

 

 

「これはロデニウス連邦共和国の最新モデルの時計です。この時計は太陽や灯りの光を元に半永久的に動き続け、人工衛星……、まさにあの魔帝の僕の星です。そこから常に情報が送られ、正しい時刻に修正します」

 

 

 

そしてこれを……、と言って次に見せたのは写真だ。それもカラー写真。

 

 

 

「ロデニウス連邦共和国は、このような超大型の空母……、貴国の竜母のような、飛行機械を飛ばすための船を10隻以上建造しています。そこにミリシリアルの天の浮舟に似ているようで、遥かに高性能な飛行機械を載せて飛ばせます。これだけでも我が国が滅びるレベルです。ですが、それすらあの国では軍事力を測る指標として足りないのです。コア魔法らしき兵器も持っているとのことです。そして、この写真はカラー写真ですが、これもロデニウス連邦共和国の写真です。ミリシリアル並の技術で何とか出来るものをこんなにも容易くできてしまうのです。それなのにあなた方は殲滅戦を宣言した。彼らは怒り狂っています。国家を消滅させる勢いです。あの魔帝の持つコア魔法らしきものすら持ち出して滅ぼすつもりです。これでは我が国の国民や、そのほかの外国人が巻き込まれるかもしれません。故に、我が国は人道的配慮に基づいてロデニウス連邦共和国への承諾も取りつつ、自国民を含めた外国人の避難をさせることにしました。この会談が終わったら、私も立ち去ります。また生きておられたらお会い出来ることを期待します。」

 

 

 

そう言ってムーゲは立ち去った。

 

 

 

 

 

会議の後、小会議室に残された第1外務局の者たち。ムー国大使の言が正しかったとすれば、自分たちは超列強国相手に侮り、挑発し、そしてその国の民を殺してしまった。

 

 

 

さらに、最悪な事に国の意思として殲滅戦を宣言してしまっている。列強国の大使の言は重く、あまりの衝撃に全員が放心状態となり、具体的な対策は一切思いつかない。

 

「さて、これからどうするかな。」

 

 レミールが発言する。

 

「ムー大使が言っていた事が本当とは限りませぬ。ムーが代理戦争を行うためにロデニウス連邦共和国を利用していた場合は、勝機はあります。」

 

「フハハハハハ!!!」

 

 レミールが突然笑いはじめる。

 

「最悪の想定が、唯一の望みになるとは!!これほどの喜劇があろうか!!フハハハハ!!」

 

「レ……レミール様!?」

 

 

 

エルトは、レミールの精神が壊れたのではないかと心配する。

 

 

思い返せば、何度も何度もロデニウス連邦共和国の国力に気付く機会はあった。しかし、その全てを無駄にしてしまった。

 

 

 

ロデニウス連邦共和国が自ら力を示さなかった事がもどかしい。しかし、行った行為は消せず、失った時間はもう戻らない。

 

パーパルディア皇国外務局、この日の会議は深夜にまで及んだ。

 

 

 

 

しかし、ロデニウス連邦共和国は待たない。

 

 

 

 

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「ムー国大使の引き揚げを確認との事」

 

「幌筵泊地に通達を、作戦開始です」

 

「了解、幌筵泊地に通達、作戦コード、<石器時代に戻せ>を送信」

 

 

 

 

幌筵泊地地下司令部

 

 

 

「作戦コード受信」

 

「提督!」

 

「わかっている……、全部隊、及び弾道ミサイル部隊に通達、作戦開始。

 

 

 

 

 

 

 

殺れ」

 

 

 

 

 

 

次回、パーパルディア皇国全土焦土化、メギドの火作戦

 

 

 








次回は核兵器、遊星爆弾、弾道ミサイル、巡航ミサイルの一斉攻撃です。


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第28話 パーパルディア皇国全土焦土化、メギドの火作戦



「彼ら(パーパルディア皇国上層部)にはふたつの選択肢があった。自らの非を認めて然るべき対応をすることと、全滅するまで戦いを続けること、わが身可愛さに、負けと非を認めずに事態を悪化させたのは彼ら上層部であり、我々が責められるべきことなどない」


(とある国の追及に対して、ロデニウス連邦共和国の反応)








 

 

幌筵泊地弾道ミサイル基地

 

 

「全弾発射せよ」

 

 

 

ミニットマン、火星17型、東風41D、RS-28、アグニV、エリコ3等、核保有国が所有していた数々の弾道ミサイルが通常弾頭で一斉に発射される。

 

 

 

目標は、皇都の要人施設と属国の民間人地域を除く全土、つまりは民間人も含めた全地域と、属国のパーパルディア皇国関連施設を攻撃することとなる。

 

 

 

次々打ち上げられていく弾道ミサイルだが、普段は衛星打ち上げに使われる発射台に大型のロケットが備え付けられた。

 

 

「ツァーリロケット、発射!」

 

 

 

                        ・・

数々打ち上げられた弾道ミサイルの中でも一際大きいソレは、新規開発されたツァーリ・ボンバωを載せるために作られた大型ロケット、ツァーリロケットである。

 

 

 

サターンVなどをベースにした超大型弾道ミサイルが、ツァーリ・ボンバωを載せて、デュロを狙う。

 

 

この他にもトマホーク、ツィルコン、12式地対艦ミサイル改良型巡航ミサイル、トライデント、ブラモス改良型巡航ミサイル、JSM、ASM-3改良型極超音速巡航ミサイルが、艦艇と潜水艦、地上発射装置から相次いで発射される。

 

 

 

「極超音速滑空弾、発射!」

 

 

さらに、ロデニウス連邦共和国各所の自走砲部隊と幌筵泊地自走砲部隊から極超音速滑空弾が相次いで発射され、パーパルディア皇国全土を狙う。

 

 

 

「Kh-22P、発射!」

 

 

中に超強力な気化弾を搭載したKh-22の改良型をも予め離陸していたTu22Mから放たれる。

 

 

 

この他、離陸していたB-52、B-2、B-21、Tu160、ラピッドドラゴン搭載の各種輸送機、攻撃機などから巡航ミサイルが発射された。

 

 

 

 

さらに、パーパルディア皇国沿岸部には、改装中の大和、武蔵、療養中で艦長が戦線離脱中の建御名方を除く全ての戦艦が集結し、片っ端から砲撃する。

 

 

 

「我が日護の目標は、エストシラントの沿岸部一帯、80センチの砲弾で穴だらけにしなさい!」

 

 

 

その言葉通りに破壊されていくパーパルディア皇国。

 

 

こうなれば、どんなにやられっぱなしとはいえ、迎撃されるはずだが、そんなことは無い。

 

 

 

完全に更地になってしまうデュロとパールネウスを除いた主要地域には、幌筵泊地の空母機動部隊と、ロデニウス連邦共和国の空母が基地向けのピンポイント攻撃を行っており、まともに抵抗することは不可能だった。

 

 

 

まぁ、最も地獄なのは民間人なのだが、再三にわたるビラ撒きによる降伏勧告を無視した上で、決起やサボタージュ、戦争反対運動すら行わない連中なんぞ、軍関係者と同然である、と解釈した。

 

 

 

(さすがにこの解釈には無理がある上、これに近い動きが無い訳では無かったが、無いに等しいパーパルディア皇国国民に大日本帝国同様の精神を考え、かつて日本で想定された地獄のような本土決戦が行われるかもしれないと判断したロデニウス連邦共和国は、根回しを十分にした上での徹底破壊を命じた)

 

 

 

「ま、町が……、悪魔だ!、俺たちは悪魔に喧嘩を売ったんだ!!」

 

 

破壊されていく街並みに絶望する国民達。当然地獄みたいな光景を目の当たりにするわけであるが、まだ弾道ミサイルが弾着していない。

 

 

 

 

「おい、あれはなんだ!?」

 

「あれはまるで伝承の……」

 

 

 

まるで隕石……、いや、星が降るように落ちてきている数々の弾道ミサイルを見て、絶望する国民。

 

 

                       ・・・

今回の弾道ミサイルは為政者たちへの威嚇を込めて意図的にエストシラントから見えやすい位置を中心に落とした。

 

 

 

当然、為政者もまた、パニックに陥る。

 

 

 

「あ、アルデ!、軍は星を落とせぬのか!」

 

「無理です陛下!、あんなものを落とすような力は、いくら皇国とはいえ……、それどころか、ミリシリアルですら持っていないでしょう」

 

「何故だ!、何故全土徴兵令を出した後にこんなことになるのだ!」

 

 

 

ちょうど、攻撃が決定される数日前に、パーパルディア皇国全土の国民を徴兵する勅令を出したルディアス。

 

 

 

だが、これがロデニウス連邦共和国側に非戦闘員は居ないとの根拠を与えることとなり、結果としてこのような大規模攻撃が行われることとなった。

 

 

 

そもそも、パーパルディア皇国含め、この世界の防諜というのはかなりザルな部分が多く、正当化工作も大して行う必要が無いほどのものだった。

 

 

 

赤熱した弾頭が次々と落着し、辺り一面を更地に変える。

 

 

 

その様子をしかと見届けていた男がいた。

 

 

 

「これはもう戦争じゃない!、一方的な虐殺では無いのかね!?」

 

 

カイオスである。

 

 

「全土徴兵令の結果です。この勅令さえ下らなければ、まだ先輩方も良心の呵責があったでしょう。もしかしたら攻撃はもう少し限定されたものになったのかもしれません……」

 

「全土徴兵令となれば、パーパルディア皇国国民全員が軍属、或いは軍人になる……、だから攻撃しても構わないのかね!?」

 

「確かに、僕がいたような世界なら非難されたでしょう、しかし、ここは異世界で、今までこのような攻撃で国際的な非難を受けた国は無いでしょう、それにそもそも、他ならぬあなたがたパーパルディア皇国が非武装の、旅行中の国民を殺害した時点で、このような事になっても反論しようが無いのでは?」

 

 

 

黙り込むカイオス。

 

 

 

「失礼、度を越した発言でした」

 

「いや、いい。どの道我が国はかろうじて生き延びさせてもらえる身なのだ」

 

 

 

 

 

彼らが話し合う間にも、鉄の嵐は降り続き、そして遂にデュロにはあの兵器が落ちることとなる。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

幌筵泊地地下司令部にて

 

 

「弾着まで残り……、ってまた提督ピアノ弾きに行ってんのか」

 

「今度は何弾く気なんですかね……」

 

「前々から思っていたけど、提督って結構イカれてるよな」

 

「狂気を理性で封じてるっていうか……、理性が飛んだら何するか分からないあたり、だいぶやべぇよな」

 

 

 

 

 

毎度指摘されている事だが、多元は本来は、軍人になるべき器では無かった。

 

 

では、何故、防衛大学校に入ったのか?、端的に言えば逃げたかったのだ。

 

 

 

多元の家庭は父親が大変厳しく、小中高生の頃は成績が低迷するとすぐに手が出た。

 

 

 

いや、はっきり言えば虐待なのだが、多元もまた、このころはやられたら反撃する性格が出ており、家の中で激しい乱闘が繰り広げられていた。

 

 

 

当然怪我も多く、同級生や腰堀に心配されていたし、そんな荒んだ生活の中で癒しだったのがピアノだった。

 

 

母方が文化系ということもあってか、ピアノはよく教えこまれており、ピアノを練習する時は父が来なかったということもあって、熱心に取り組んでいた。

 

 

 

だが、そんな母は、高校時代に交通事故で亡くなった。

 

 

原因は、運転手の不注意だったが、多元が希望した夕飯を作ろうとしたため、本来は外出しない時間に出ていたということもあった。

 

 

 

この時から、父親は何も無くても酒を飲む度に多元を殴るようになる。

 

 

厳しい束縛と暴力から逃れようと多元は遠く離れた国立理系の大学に行こうとした、

 

 

工学系に進み、技術者になるのなら文句の付けようがないと考えたのだが、父親は関東圏の大学に進学することを強要した。

 

 

つまり、自宅から通えとの事だった。

 

 

「このままでは逃げられない」

 

 

絶望した多元が、それでも逃げようと思って向かったのが、基本的に外出が許可制の防衛大学校だった。

 

 

元々、旧帝クラスでも余裕で合格する頭もあってか、余裕で合格し、関東圏ということもあって、親も渋々同意した。

 

 

防衛大学校時代は、いい意味でも悪い意味でも先輩や教官からの指導によって、荒れた性格は収まっていた。

 

 

だが、それと同時に問題となったのが、相手を徹底的に追い詰めてしまうある種の非道さと、相手を倒せばいいという短絡的な思考だった。

 

 

 

優秀なのは間違いない、格闘技も陸自向きとも言われていたし、三半規管も強かったため、空自に入ってもパイロットになれたし、海自でも揺れる船で安定して指揮を取れると言われたのだが、自らの過去故に、目の前の敵を絶対に滅ぼすという思考(相手に反撃されないように、立ち直れないようにするという考え)が当時の日本の安全保障環境に合致しなかった。

 

 

一応、卒業はしたものの、翌年の幹部学校や、実戦部隊配備後の演習で、一度味方に損害が出ると、優秀ゆえの徹底した反撃で、降伏すらさせない攻撃っぷりを発揮し、勝ちはするものの、上司は扱いに苦慮した。

 

 

要するに、一度攻撃すると止まらないのである。特に味方がやられた時は……

 

 

当時は欧州での正規戦があったものの、依然として日本近海では領土問題で、グレーゾーンの問題が挙げられていた頃だったため、過剰なまでに相手を殲滅してしまう多元の存在は、優秀だとしても邪魔にしかならない。

 

 

(この点、ある意味相手を殲滅させなければならない深海棲艦との戦いは最も多元の得意とした分野であった)

 

 

だが、ちょうど多元が過労で倒れたことを理由に、本人から同意を得た上で、閑職への異動、その後退官させた。

 

 

運良く、その頃父親が癌で亡くなったこともあり、貯めておいた給料を使いつつ、バイトをしながら国立大学へ通った。

 

 

そして、1度は文系を選びながらも、理系に進むことを決意し、再び大学に通うこととなった腰堀と再開して、勉強した後、今に至るという訳だ。

 

 

 

「だが、現状誰も提督に代わることが出来ない……」

 

 

そして、ロデニウス連邦共和国では現状、後方から現代軍を指揮する人物が居ない。いや、厳密には旧クイラ王国の軍人で、現在多元の部下にあたるディーニツ参謀総長がそれにあたるが、彼にしたって後1年程度は経験を積まなければならない。

 

 

それに、幌筵泊地の指揮は、今後も多元がしていかなければならない以上、何処かで彼の狂気を抑えられるものが彼の理性以外で必要だった。

 

 

「それに、理性が吹っ切れると、健康すら気を遣わなくなるんだよな………」

 

 

既に徹夜によって目の下に真っ黒な隈を作っている。

 

 

「なにか心の支えがあればな………」

 

 

 

それが何か、いや、誰かわかっているからこそ、転生者一同は、彼女の力を借りてでも正気に戻って欲しいと願っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幌筵泊地某所

 

 

 

ピアノの音が響き渡る。

 

 

ショパン作曲、ノクターンだ。

 

 

まるで核兵器着弾の合図となるように始まったこの曲の間に、デュロにこの世界初の科学文明が生み出したコア魔法……、核兵器が着弾した。

 

 

 

 

 

 

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中央暦1640年、10月30日

 

 

同年9月30日に開戦したロパ戦争に同日の全土空襲、沿岸部砲撃に引き続いて、強力な一手が打たれた。

 

 

幌筵泊地から発射されたツァーリ・ボンバωがデュロ工業地帯に命中、激しい爆発とともに辺り一面を吹き飛ばし、パーパルディア皇国の工業生産力は確実に消え去った。

 

 

放射線被害は凄まじく、デュロ近郊の住民は数年以内に死亡、まともに助かった人間は少なく、特に優秀な工員を失うこととなったパーパルディア皇国がロデニウス連邦共和国の実質的属国となる要因にもなる。

 

 

 

中央暦1640年、10月31日

 

 

リーム王国が介入を要請、ロデニウス連邦共和国はこれを拒否し、全世界に向けて、全土攻撃中であることを強調しつつ、如何なる国の介入を拒否した上で、リーム王国の領土目的での介入を非難。気化弾によるエストシラントへの爆撃が行われる。

 

 

 

中央暦1640年、11月1日

 

 

パールネウスに遊星爆弾落着、巻き上げた噴煙により、パーパルディア皇国の農業生産量(属領除く)に致命的打撃、パールネウスの住民は全滅。周辺地域の人間も落着に関連した災害によって多数の死傷者が発生する。聖地を破壊された衝撃は大きく、ルディアスは目に見えてやつれるようになる。

 

 

 

中央暦1640年、11月2日

 

 

 

全土に向けて再度空襲、これによりカイオス氏の掌握した部隊を除き、ほぼ全滅した。尚、船舶用木材生産地に枯葉剤が撒かれたとの未確認情報あり。リーム国境線付近に皇都に向かう謎の部隊がいたものの、これも吹き飛ばした

 

 

 

中央暦1640年、11月3日

 

 

属領地域、一斉に独立宣言。

 

 

2度の全土空襲により、統治軍含め壊滅しており、障害は無かった。尚、巻き込みを防ぐために各国にパーパルディア皇国への侵攻禁止を要請、了承した72カ国は独立を達成し、MMAT参加国は直ちに承認。

 

 

 

 

 

 

5日間の攻撃で、パーパルディア皇国の人口はおよそ1~2割程度にまで落ち込んだが、皮肉にも、残された土地で生活していくにはこれくらいがちょうど良い人口であった………。

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「………、カイオス様、以上で報告を終わります」

 

「ご苦労だった、下がって良い」

 

 

 

空を仰ぐカイオス

 

 

(もっと早く気づいていれば!!)

 

 

 

カイオスは激しく後悔していた。

 

 

 

自らの愛し、誇りとしていたパーパルディア皇国は見るも無惨な結末となった。

 

 

 

栄えある皇国軍は自らが掌握した部隊しかなく、残りは塵と消え、広大な属領は全て独立された。

 

 

 

挙句、工業地帯のデュロも、聖地パールネウスも消滅し、人口は戦争前の15%ほどに落ち込んでいる。

 

 

 

軍も、経済も、技術も、何もかもを失ったこの国は最早二度と日の目を浴びることは無いだろう。

 

 

(せめて……、せめてこの国の存在を過去のものになることだけでも避けなければ!)

 

 

 

クーデターは明日の10時、御前会議で要人が集まる隙を突く形で行う。

 

 

 

アルデ、レミール、ルディアス含めた要人の確保が絶対条件だ。

 

 

 

それが出来なければ、ロデニウス連邦共和国の特殊部隊が腰堀氏を奪還し、そのまま地上戦になる可能性がある。

 

 

 

そうなれば、パーパルディア皇国の人口は1割を切るだろう。

 

 

 

(パーパルディア皇国国民が絶滅してしまうことだけは避けなければ……!)

 

 

 

 

「腰堀くん、明日、いよいよ決行するが……、もし上手くいかなかったら、直ちにこの国を離れてくれ………、パトリック外交官の遺体と共に………」

 

「カイオスさん………」

 

「君のような存在に会えて良かった。我が国はとんでもない罪を重ね続けた。このクーデターが成功しても、その事実は覆らない。私もいずれその罪を負わされる………、だが、その前に、何としてもこの国が後世に残らなければならない。どんなに小さくとも、どんなに弱くとも、我々パーパルディア皇国国民一人一人が平和を愛し、他人を尊重する、そんな国に私が変えていかなければならない………」

 

 

 

 

カイオスは天を仰ぎ、そして誓った。

 

 

 

 

<必ず、この国を救う!>

 

 

 

 

 

次回、終戦と狂気の終わり

 

 

 

 

 






さて、本日のストーリーはいかがでしたか?


私の作品にだいたい出てくるの主人公多元は、絵に描いたようなわかりやすいチート技術者ではありません。ある意味、彼自身が環境に適応した結果生まれた存在なのです。彼の頭の良さも、戦闘能力の高さも全ては自由に生きるためなのです。それが必ずしも果たせている訳ではありませんが………



彼個人に関する話はパーパルディア皇国戦の後に触れるとして、今回はもうひとつ、作者の製作事情についてお話します。



というのも、作者は、おおよそ数話〜10話程度先まで、ある程度見通しを立ててから細かいストーリーを作っていきます。


これは私のどの作品でも同じなので、「この作品、異常に更新早くね?」とか、「この作品、全然進んでないじゃん」と思われるかもしれません。



上記の通り、細かいストーリーができてから書き始めることが多く、新生活が始まって以降、時間の取れなくなった作者は、細かいストーリーができたものを片っ端から書いていくという手法に切り替えました。



そのため、今後は今以上に、更新ペースに偏りが見られる恐れがあります。



いずれの作品についても失踪するつもりはございませんのでご了承ください



長々と失礼しました。次回もお楽しみに!










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第29話 終戦と狂気の終わり



「犠牲となった方への追悼の意を示すと共に、二度とこのような惨禍を引き起こさないよう、自らの行いを常に振り返っていこうと思います」

(ロパ戦争、慰霊の塔の除幕式におけるカイオス国家元首の結びの言葉)



いよいよパーパルディア皇国戦終了です。


例の名言は腰堀に言ってもらいます。








 

 

 

パーパルディア皇国皇都エストシラント

 

 

宮城、皇帝執務室

 

 

 

だいぶやつれたルディアスにアルデが報告する

 

 

「………、報告せよ」

 

「はっ……、まずは軍の被害です。エストシラントの防衛と治安維持を担う部隊を除き、皇帝直下の騎士団含め、軍は全滅しました」

 

「………、続けよ」

 

「デュロは消滅しました……、周辺住民には謎の健康被害が出ており、毎日のように人が死んでいきます。パールネウスも消滅しており、周辺の農村部は日照りが悪くなっております。本国の農業生産量は大きく減りました……、また、良質な木材の産出地だった地域が、草1つ生えぬ荒地に変貌してしまったため、船も作れません」

 

「属領は?」

 

「統治軍含め、支配能力を完全に消し去られました。連中は独立を宣言しており、最早再度支配は不可能です」

 

「……、ワイバーンはどれほど残っておる」

 

「………、ありません」

 

「魔導師達もか?」

 

「忽然と消息を絶っています」

 

 

魔導師達は、身の安全と引替えに、幌筵泊地諜報部によってロデニウス連邦共和国へ送られており、戻ってくることは無い。

 

 

「国民はどれほど残っている」

 

「各地の田舎と、デュロやパールネウス以外の都市に残っている人口をまとめても2割に届かぬでしょう」

 

「最早これまで……、いや、野蛮人に降伏するならいっそ……」

 

「陛下……」

 

 

 

 

思い悩むルディアス。

 

 

 

 

しかし、ルディアスに決断の時間は無かった。

 

 

 

「失礼します」

 

「カイオス!、貴様!、承諾もなく勝手n…」

 

 

スッ…

 

 

そう言わせる前にアルデに剣を向けるカイオス。

 

 

 

扉から続々と兵士が入り、ルディアスを取り囲む。

 

 

 

「貴様ら!、気でも狂ったか!」

 

「狂ってなど無い!、陛下とそれに従う貴様らが相手の国力もまともに把握することなく、多くの国民を道連れに戦争を仕掛け、多数の犠牲を出した、その幕引きをする必要がある。ここにおられるカイオス様は、その鍵を握っているのだ!」

 

 

1人の兵士がそういうと、アルデとルディアスに手錠をかける。

 

 

 

「余に逆らっておいて……、タダで済むと思うな!」

 

「このままいけば、パーパルディア皇国国民全員が消滅します。陛下としては今1度冷静な判断をお願いします」

 

「カイオス!、貴様は一体どの立場からものを言っておる!」

 

「私はロデニウス連邦共和国と交渉して、終戦のための合意を取り付けました。最早パーパルディア皇国は助かりません。1人でも多くの国民を助けるためにも、陛下含めた主戦派には退場して頂きます」

 

「カイオス……、貴様……」

 

「尚、レミール様についても同様です。彼女はロデニウス連邦共和国側の怒りを買った張本人でs……」

 

「か、カイオス様!、レミールが逃げました!」

 

「何だって!?」

 

 

 

 

 

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エストシラント沖、100km地点

 

 

 

「ジェットブラストディフレクター良し、航空部隊、発艦!」

 

「鳳翔航空隊1番機、発艦!」

 

 

 

爆装したトムキャットが発艦して、パーパルディア皇国沿岸上空で待機する。

 

 

 

<<隊長~、俺ら必要なんですか?>>

 

<<どうした2番機、今更説明する必要があるのか?>>

 

<<いえ……、作戦支援って言ったって近衛兵ぐらいなんで余裕で制圧出来ますし、そもそもなんで鳳翔航空隊フル爆装で上空待機するんですか……>>

 

<<あぁ、お前らにはまだ説明してなかったな、実はな、俺たちの本命は協力者の支援じゃない。最悪の場合に備えて協力者諸共吹き飛ばすのが俺たちの任務だ>>

 

「諸共吹き飛ばす!?」

 

<<そう、予定通りに協力者が被疑者……まぁ要は戦争犯罪者だな、こいつを確保するのにしくじったら、直ちに本土上陸作戦が発動される。その際に、確保に必要な連中……、つまるところ最低限の連中を除いた皇都防衛部隊を消し飛ばすんだ。そしてもう1つは………>>

 

<<まさか……>>

 

<<そう、そのまさか、相手が裏切ったと判断した場合、腰堀さんを安全に避難させた上で、パトリック外交官の遺体を回収した後、さっきと同じことをやる。場合によっては、爆撃隊を呼んでもう1回焦土化させる。そのために伊14と伊13が特殊部隊を輸送して、待機してるんだ>>

 

<<で、なんで隊長は知ってるんです?>>

 

<<えっ?、出撃前にお艦に聞いておいたんさ、本当はどういうつもりなんだって、隊長である以上、そこはきっちり教えてもらわないとダメだからな、本当にそうなった時に、速やかに情報を共有して、行動に移れるように聞いたんさ>>

 

<<隊長、不真面目な癖に妙に頭が回りますね?>>

 

<<うるせぇ>>

 

 

 

そう言っていた隊長だが、次の瞬間入ってきた無線で緊張が走る。

 

 

 

<<鳳翔航空隊へ、予定時間に協力者からの確保情報が来ない、爆撃体制に入れ>>

 

<<なっ……>>

 

<<繰り返す、鳳翔航空隊は、パーパルディアに残る戦力を残さず消し飛ばせ、既に特殊部隊は行動開始済みだ>>

 

<<ちょっと待ってくれ提督!、いくらなんでも少しの遅れで……>>

 

<<各機体は上空を偵察し、結果を報告せよ、目標を確認次第、攻撃に入れ>>

 

 

 

そこで無線は終わった。

 

 

 

<<隊長!、どうしますか!?>>

 

<<飛び回るだけ飛び回るぞ>>

 

<<了解!>>

 

 

 

 

部下を引き連れ、エストシラント上空に向かう隊長

 

 

 

(もしクビになったら……、アイツの元で働こうかな?)

 

 

不意に、ロデニウス連邦共和国に住んでいる友人の農家の顔を思い出し、彼はそう思った。

 

 

 

 

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エストシラント近郊、カイオス邸宅付近の海岸

 

 

 

「いいか、俺たちは鳳翔航空隊の支援を受けて行動することになる。既に我々の作戦は発動されており、万が一カイオスが裏切ったとなれば、速やかに彼の家の警備を排除して、2人の身柄を確保する」

 

「了解」

 

「では、そのまま待機」

 

 

 

幌筵泊地所属特殊工作部隊「霞部隊」

 

 

潜入、破壊、拉致、拷問、暗殺といった基本的な任務の他に人質の救出、敵国での諜報活動など、その活動は多岐に渡る。

 

 

この部隊の存在は上層部の限られた人物しか知らされておらず、その全貌も謎に包まれている。

 

 

元々は、深海棲艦への対処を巡って対立していた米国などへ対抗するために設置されたが、異世界に来て以来、その活動は大きくなり、近頃はパ皇だけでなく、グ帝やア皇にも潜入して諜報活動を行っている。

 

 

 

<<霞部隊、活動開始、航空隊による航空攻撃を待って突入せよ>>

 

<<了解>>

 

 

 

突入指示が出て航空攻撃を待つ霞部隊だが、待てど暮らせど航空攻撃が無い。

 

 

 

<<こちら霞部隊、航空攻撃が起こらない、どうなっている?>>

 

<<こちらでも確認する>>

 

 

 

航空攻撃が無くても一応活動は可能だが、下手を打てば皇都守備隊との戦いとなる。技術有利があるとはいえそれは避けたい。

 

 

 

「全員待機、航空攻撃が無ければ動けない」

 

 

 

歯ぎしりしながらも次に向けて備える霞部隊だった

 

 

 

 

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空母鳳翔にて

 

 

<<鳳翔さん、航空隊に航空攻撃を>>

 

<<そうしたいのは山々ですが、稼働機に部品の脱落が確認されています。すぐには動かせません>>

 

<<他の機体は?>>

 

<<隊長機が無線の不調で何も言わずに戻ってきたので、飛行甲板は収容した機体で大忙しです>>

 

<<そうか……>>

 

 

 

無線はここで途絶えた

 

 

 

 

 

 

その後……

 

 

「隊長さん?、どうするつもりなんですか?」

 

「すまんお艦!、でも提督があんな強引に物事を進めていたんじゃ、きっとどこかで破綻する!!」

 

「それはわかっていますけど、何も言わずに行動してたんじゃ私も困ります」

 

「だいたい、作戦に遅れなんてよくある事だし、そんなの提督が1番よくわかっているはずなんだ、だから今一度冷静になってもらいたいんだ!」

 

 

 

それは私たちの仕事では無い、とは言わなかった。

 

 

今の提督はかなり不味い状態だ。

 

 

 

仲間が死にかけて、守るべき国民が無惨にも殺されてしまったという状況で、まともな状況で居られるわけが無い。

 

 

オマケに、提督は戦争勃発以降、まともに寝ておらず、真っ黒な隈を作ってまで仕事を続けている。

 

 

命令不履行は重罪だが、今の提督を止められるのは転生者や首脳陣でもなく、艦娘だけなのだ。

 

 

 

「とりあえず、他のルートでも止められるようにしないといけませんね」

 

 

鳳翔は多元よりさらに上層部と連絡を取るべく、行動を始めたのだった。

 

 

 

 

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一方、その頃、パーパルディア皇国某所

 

 

「はっ、はっ、はっ……、なぜ私がこのような目に!!」

 

 

メイドから渡された服に袖を通し、ナイフと僅かばかりのお金を持って逃走しているのはパーパルディア皇国の皇族であり、今回の大戦犯であるレミール。

 

異常を察した屋敷のメイドたちから着替えの服と護身用のナイフ、それに加えて逃走用にと、僅かばかりの資金を受け取った彼女は皇都を彷徨いながらも逃げ出そうとしていた。

 

既に首都一帯をカイオスの部下たちが探し回っており、グズグズしていれば見つかってしまう。

 

 

「おやおや、お嬢さん、こんなところを歩いていたら危ないよ」

 

 

誰かに声をかけられハッと振り向くと、そこには小汚い服を着た掃除夫が居た。

 

 

「なんだ」

 

「ここには気性の荒い鳥が居てね、いつも檻の中にいるけど中から見える範囲に唾を吐いてくるんだよ、もう少しこちら側を歩きなさい」

 

「そ、そうか……、礼を言う」

 

「お嬢さんどちらまで?」

 

 

そう話をしながらレミールはふと考えた

 

 

(あのデカイ鳥は乗れる奴だな、ちょうどいい、この薄汚い掃除夫を殺して金を奪い、この鳥に乗って逃げよう)

 

 

この期に及んで他人から奪うことしか頭にないレミール。

 

 

とはいえ、彼女の本性がどうであれ、一応皇族。

 

 

護身用とはいえ武術の類は習っている。

 

 

そして、掃除夫の後ろに音を立てないように近寄り

 

 

「……っ!」

 

「あ、お前何すんだ!」

 

 

すんでのところで回避され、そのまま揉み合いになる。

 

 

「くっ!、なぜ当たらぬ!!」

 

「お前、殺す気か!、このっ!」

 

 

ドカッ!

 

 

「うっ……」

 

 

男が腹に強烈な正拳突きを喰らわせる。

 

 

所謂腹パンである。

 

 

「ゴホッゴホッ……、うっ……」

 

 

成人男性の、それも一応元軍人からの正拳突きを諸に腹に喰らったレミールは吐瀉物を出しながらその場にうずくまる。

 

 

「おい!そこ!、何をやっている!」

 

 

ただならぬ雰囲気を察した皇都に居た兵士たちが寄ってくる。

 

 

「こいつが俺の事を殺そうとしてきたんですよ!、ほら、ナイフまでもっている!、あんまりにもしつこかった上、危ないもんで腹に一発入れてやりました」

 

 

うずくまる女を確かめようと顔を見た兵士たちは驚いた

 

 

「れ、レミール!、お前たち、この女を捕まえろ!!」

 

 

直ちに手錠が掛けられ、兵士に両側を挟まれ、連れていかれる。

 

 

「よくやってくれた、こいつはこのパーパルディア皇国を滅亡寸前にした凶悪な犯罪者だ、お前の名前はなんという?」

 

「シルガイアと申します」

 

「シルガイアか、よし、お前さんは近いうちにカイオス国家元首様から直々に褒美を賜わることになるだろう」

 

「えっ!?、国家元首から!?」

 

 

予期せぬ形で褒美を得ることになったシルガイア。

 

 

かつてバルスにも劣らない程の実力を持つとされていたシルガイアは、後に再建されたエストシラント共和国にて海軍大臣を務めることとなる。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国外務省にて

 

 

<<こちらカイオス、現在そちら側から要求された全ての戦犯を捕縛することに成功した。我が国は降伏する>>

 

「わかりました、我が国が引取りに向かいますので、腰堀さんの安全を確保しておいて下さい」

 

<<わかった>>

 

 

通信は終わった。

 

 

「ようやくですね……」

 

「ああ、これを急いで官邸に」

 

「はい」

 

 

 

ロデニウス連邦共和国官邸地下

 

 

「本日夕刻、現地協力者のカイオス氏よりパーパルディア皇国における重大戦犯の捕縛を確認したとのこと。これによりロデニウス連邦共和国海兵隊より3個海兵大隊、幌筵泊地より陸上部隊2個大隊が上陸部隊として向かいます」

 

「そうですか……、ようやく終わりが見えましたね」

 

「はい、それで……、もうひとつ、幌筵泊地より……」

 

「どうされましたか?」

 

「多元統合作戦本部長の休暇願いです」

 

「休暇だって?、どうしてまた……」

 

「実は……」

 

 

鳳翔経由で多元の現状を知らされた閣僚達は驚いた

 

 

「冗談じゃない、シビリアンコントロールを逸脱する重大事態だぞ!、さすがに幌筵泊地のメンバーと言えど厳罰処分だ!」

 

「いやまて、心理的負担が大きい中で業務を続けさせていたのは我々だ、そもそもまともに全軍を俯瞰した指揮ができる人間が少ない中で酷使していた我々にも責任が出てくる」

 

「それは軍の都合だろ!」

 

 

多元の処遇に真っ二つに割れる閣議だが、ひとまず大統領が収める。

 

 

「今は戦争の終結が大事です。多元本部長の処遇は後に回すべきでしょう、彼の処遇については一旦私が預かります」

 

 

軍の最高指揮官にあたる大統領の言葉にさすがに矛を収める両陣営。

 

 

「まずは腰堀さんの無事な帰国と、パトリック外交官のご冥福を祈りましょう」

 

 

流石は異なる3カ国をまとめあげる大統領というところか、速やかに本題に戻した。

 

 

 

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1週間後、パーパルディア皇国皇都エストシラント

 

 

 

「な、なんなんだよアレ……」

 

「俺たち、こんな奴らと戦っていたのか……」

 

 

街の人々が驚き、絶望しているのはロデニウス連邦共和国の上陸部隊。

 

 

旧海軍基地に接岸した揚陸艦からエイブラムスや10式、89式等が下ろされ、市中を通過する様子は、見るものに敗戦の絶望感を与えると共に、皇国がいかにして負けたかをひしひしと思い知らされるのだった。

 

 

「ロデニウス連邦共和国軍統合作戦本部長の多元実です」

 

「パーパルディア皇国臨時政府、国家元首のカイオスです」

 

 

両名が挨拶した後、まずは2人の帰還となる。

 

 

「先輩……」

 

「腰堀、無事でよかった……」

 

「大分やつれてますね」

 

 

一応、公式な場では化粧などで分からなくしているのだが、付き合いの長い腰堀は一瞬で見抜いた。

 

 

「まぁ……な」

 

「何はともあれ、2人とも無事で帰ってくることが出来ませんでした」

 

「お前のせいじゃない、俺達ももっと事前調査をすべきだった」

 

「いえ……、最後に判断したのは俺です」

 

「それでも……、もっと考えるべきだったよ……」

 

「責任論は後にしましょう、俺はとりあえず戦犯の確認をしなくてはなりません」

 

「すまんな、最後まで」

 

「仕事ですから」

 

 

続いて、パトリック外交官の遺体が運ばれる。

 

 

「生命の保障を行うべき外交官に対するこの仕打ち、誠に申し訳無い」

 

「貴国には、全ての実態を明かす義務がある。それを放棄しないことがまず求められるということを理解して頂きたい」

 

 

腰堀の時とは打って変わって端的なやり取りだった

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

パーパルディア皇国の宮城の地下には地下牢があり、重要戦犯はここで捕らえられている。

 

 

「ここか……」

 

 

腰堀が最後に確認したのはあの女……

 

 

「貴様……」

 

 

レミールだった。

 

 

どうやら、他国民に対するそれと同じかそれ以上に犯罪者に対する扱いは酷いらしい。

 

光の差し込まぬ暗い部屋に、ボサボサになった髪と、陵辱されたためか、肌や瞳にもツヤや光もなく、ボロ布を纏わされた*元*皇族がそこに居た。

 

 

「レミールだな」

 

「こんな扱いをして……、タダで済むとは思うな!」

 

「俺はこの指示は出してないぜ、そもそもてめぇの国が犯罪者に対する感覚が欠如してるからだろ」

 

 

まぁ、酷い目に遭わされた上に、こんな時まで口うるさいやつに丁寧に接する義理はない。

 

 

「犯罪者だと!、私が一体何をした!、なぜ私がこんな目に遭わねばならない!、たかが蛮族を殺して教育してあげただけだろ!!」

 

 

ブチリッ!

 

 

さすがに温厚な腰堀もキレる。

 

コイツは未だに自分が何をしたのか理解していないのか?

 

 

「外務省、少し荒れます」

 

<<殺すなよ>>

 

 

無線を入れて、外務省に断りを入れてから牢に入る。外務省も止めなかった(止める気も無かった)

 

 

ドカッ!

 

 

扉を開けてもらった腰堀は、寄ってきたレミールにあの時の腰堀に対するソレと同じように強烈な前蹴りを入れた。

 

 

「くっ……」

 

 

壁に激突し、うずくまるレミールの胸倉を掴み、そのまま激昂する腰堀。

 

 

「お前、自分のしたことが何か、わかんねぇのかよ!!、おまえの気分で、お前のその身勝手な振る舞いで、一体何人死んだと思って居るんだ!!」

 

「人間はな、愛情が無ければ育たないんだよ!!!、おまえが殺した人間は、みんな誰かの親で、子で、兄弟で、家族だったんだよ!!、それをおまえが奪ったんだ!、なのになんでそんな平気で居られる!!」

 

 

一旦呼吸を整える腰堀、流石のレミールも気圧されて何も言い返さない。

 

 

「なぁ、知ってるか?、知らんだろうから教えるが、おまえがあの外交交渉の場で気分で殺した外交官……、パトリックさんはな、もうすぐ孫が産まれるはずだったんだよ……、元々体あんまり強くなくて、仕事上の付き合いとかもあるからって、タバコ吸ってたりとか、それでいて仕事の負担とかで体調崩して余命宣告されていたのに、孫が産まれるからって、必死で……、必死で生きようとして、どうにかして余命延ばそうと病院に通って、仕事で行けない時も、自分なりに生活を改善したりしながら孫に会う日を楽しみにしていたんだよ……、名前までいっぱい考えていたんだぜ……それをお前は奪ったんだ!!、子供ってのは祖父母に会うのが楽しみなのに、お前はそれを奪ったんだ!、なのに謝罪の言葉は愚か、自分は悪くないだと!?、巫山戯るな!!!!、お前こそが蛮族だ!!」

 

 

出てくるだけの怒りをぶつけて、腰堀は牢を出る。

 

 

「お前だけはきっちり罪を意識して死んでもらう、ここまで酷いやつは初めてだ、もう顔も見たくない」

 

 

腰堀が立ち去った後、余りの気迫からか、すすり泣く声が聞こえてきたが、腰堀は意に介さない。

 

 

(泣きたいやつは……、お前じゃなくてお前に殺された人たちの家族だ!!)

 

 

この後、腰堀はパトリック外交官の遺体と共に皇都付近の空港を占拠した部隊が均した仮設飛行場から、C-130輸送機に乗り込み、空中給油を受けつつロデニウス連邦共和国に帰国した。

 

 

 

 






腰堀の言葉は長い言葉になりました。

ちょっと表現的に不味いやつが入っていますが、パーパルディア皇国の倫理観的にこれくらいは有り得そうなので変更しました。


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再出発編①
第30話 多元実という男の真実①




「狂ってる、提督の家系が、方針が、そしてそれを全て隠しおおせていた提督自身が、なぜ今まで我々はこのことに気づけなかったんだ」


(幌筵泊地転生者の言葉)









 

 

 

中央歴1640年 11月3日 パーパルディア皇国宮城

 

 

「では、こちらにサインをお願いします」

 

 

パーパルディア皇国正統政府のカイオス国家元首が降伏文書に調印する。

 

主な内容は以下の通り

 

・パーパルディア皇国正統政府は今後半年間の移行期間の後に解体とし、その後の処遇は講和会議参加国との合議の上で決定する。

・パーパルディア皇国正統政府とその先の新政府は当面の間はデュロなどを含めたエストシラント除く周辺地域一帯の領有を認めない。

・パーパルディア皇国正統政府の軍は治安維持のみに使って良しとする。

・ロデニウス連邦共和国は、講和会議終了までの間の旧属国含めたパーパルディア皇国支配地域の治安維持と防衛の責務を負う

・皇族はルディアスの先代皇帝の弟であるヴィルへ三世と、その直系の家系を除いて全て追放とする。尚、正式に確認されていた者を隠していた場合、または、隠し子などを勝手に復活させた場合は断絶処分も辞さない

 

 

 

このような処遇の上で、12月を目処に開催される講和会議において今後が話し合われることとなる。

 

 

 

「これが敗戦国の末路か……、我々は多くの物を失い、大勢の人が亡くなった……、我が国は何とかして立ち直る機会を得ることが出来たが、これもどうなる事やら……」

 

 

先ゆく不安を胸に抱くカイオス。

 

尚、幸いなことに、軍の規律は保たれていたこともあって、トラブルが少なかった(0には出来ない)のは幸いであった。

 

 

 

 

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ロデニウス連邦共和国、首都、ノイエ・ロデニウス

 

 

ピーポーピーポー

 

 

3000dBの音を響かせて夜の首都を日本のハイメディック型の救急車が突っ走る。

 

 

<<ロデニウス大病院へ、緊急搬送です。患者は多元実さん、国防省で過労で倒れているところを秘書艦が発見したとのこと!>>

 

<<わかりました、夜間入口に回してください!>>

 

 

遂に訪れてしまった多元実の意識喪失。

 

 

統合作戦本部での書類仕事を終えたところを鳳翔が迎えに行こうとしたところ、倒れている多元を発見した。

 

 

「提督!、しっかりしてください!、提督!!」

 

「鳳翔さん!、落ち着いてください」

 

 

呼び掛けにも一切反応せず、鳳翔は着いてきていた妖精に救急車を呼ぶように伝え、自らは心肺蘇生法を救急車到着までに行っていた。

 

 

「ロデニウス大病院到着しました!」

 

 

ストレッチャーが移動する間も、救急隊員によって心臓マッサージが行われる。

 

 

「幌筵泊地から医療関係者が飛んできました」

 

 

比喩では無い、S/VTOL機で急いできたのだ。

 

 

「お医者様、提督をお願いします!」

 

「大丈夫、私、失敗しないので」

 

 

髪を短く切りそろえ、スカートを履いた女性外科医がそう話す。

 

 

「任せてください、我々は幌筵泊地転生者なのですから」

 

 

近くにいた別の転生者が鳳翔を宥めていると、鳳翔はその場に座り込んでしまった。

 

 

 

一方、女性外科医は、病名の特定を行っていた。

 

 

 

過労で倒れるとして、心肺蘇生法を行うレベル……。

 

優秀なのは彼ら転生者共通の特性だった。

 

血液検査の結果から直ぐに病名を特定する。

 

 

「急性心筋梗塞ね、直ぐにオペ入れて」

 

 

ロデニウス連邦共和国一の大病院の手術室が赤く光った。

 

 

 

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幌筵泊地地下司令部

 

 

「何!?、提督が心筋梗塞!?」

 

「先程医療部門から通達があり、医者がS/VTOL機に乗り込んでロデニウス大病院に向かい、直ちに手術を開始したとのこと」

 

「まずいな……、手術は大丈夫なのか?」

 

「発症から何時間経っていたかが重要です。治療開始が発症から6時間以内なら9割で助かります」

 

「執刀医は?」

 

「大紋美智子先生です」

 

「あの女医さん!?」

 

「腕は確かです。態度悪いですけど」

 

「ま、まぁいい、とりあえず提督のことは任せよう、幌筵泊地の代理司令は当面俺がやる」

 

「まぁ、平河さんなら大丈夫でしょう」

 

「とにかくだ、まずは提督の無事を祈ろう」

 

 

 

幌筵泊地は、当初から緊急事態を想定して作られていた組織であったため、万が一の際の指揮系統の移乗もスムーズに行われるようになっている。

 

 

 

そして、この情報は直ちに官邸にも共有される。

 

 

 

「幌筵泊地と国防省より報告!、多元実統合作戦本部長が緊急入院!、手術まで行われているようです!」

 

「なんだって!?」

 

「病名は!?」

 

「過労による心筋梗塞だそうです」

 

「過労!?、まさか国防省!、本部長1人に仕事を押し付けて長時間労働させていたのか!?、本部長の労働時間は一体どれほどだったんだ!」

 

 

厚生労働省の大臣が厳しい目を向ける。

 

1640年に入ってからロデニウス連邦共和国国内で過労で倒れる事案が立て続けに発生しており、厚生労働省では警戒を強めていた。

 

 

「幌筵泊地が積極的に長時間労働を無くそうと動いている最中で、他ならぬ幌筵泊地トップの彼自身が倒れるなんて……、死にでもしたら国防省はどう責任を取るんだ!!」

 

「とはいえ、それは彼が自発的に行ったことでもあり……」

 

 

うっかり制服組が喋ったことはさらに事態を悪化させた。

 

 

「自主的だろうがなんだろうが、過労で倒れる事自体が問題なんだ!、もしや今回のシビリアンコントロール逸脱疑惑の一件もそういうことが念頭にあったのでは無いのかね?」

 

 

現在、閣議では僅かな遅れも許さずに爆殺を試みた多元への処罰を考えていたのだが、多元入院と緊急手術は、それ自体を有耶無耶にしてしまった。

 

要するに、過労による判断力の低下が招いたのではという疑いがかかったわけだ。

 

 

「ほ、本省としては直ちに原因を究明し、速やかに再発防止を行います」

 

「厚生労働大臣、状況次第では彼は心神喪失の状態で働いていたという見識も出来はします。ですが、今回のロパ戦争、我々にも責任があったのではないでしょうか?」

 

「と言うと?」

 

「我々は建国以来、転生者の力を借りすぎてしまった。今回の一件が、例え多元本部長の暴走として片付けても、結局根本的なところが変わっていない以上、同じことの繰り返しでしょう」

 

「はい」

 

「で、あるならば、ここは彼の負担を減らすという方針を取るべきです。多元本部長は本部長相談役に移ってもらい、ディーニツ参謀総長を本部長に立て、自力で国軍の運用が出来るようにすべきです。国防大臣、確か、この後空母4隻と、戦艦6隻の就役が控えていましたね?」

 

「そうです」

 

「我が国は今後、第三文明圏の盟主たる存在になっていくためにも、軍拡は進めなければなりません。その我々が特定の存在に頼りきりになるのは宜しくないでしょう、我々も変わらなければならないのです」

 

 

カナタ大統領の言葉に全員が頷く。

 

そう、最早ロデニウス連邦共和国は文明圏外の小さな国では無いのだ、いつまでも転生者に甘えることなく、自立する必要がある。

 

 

「多元本部長は本部長解任、別枠で新たに設けられる相談役を経た後、幌筵泊地の司令に戻ってもらいます。尚、今回の件は当然重く見なければなりませんので、相談役の給料は本部長の給料の30%とし、それに加えて退院後、1ヶ月の停職命令とします。いいですね?」

 

 

異論は出なかった。

 

 

 

多元への辞令は多元の意識回復後とし、当面の間は幌筵泊地の司令は平河が行うこととなる。

 

 

 

 

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それから数日後

 

 

「うぅ……」

 

「提督!!」

 

「テンプレみたいな言い方だが……、知らない天井だ」

 

「提督!、大丈夫ですか!」

 

「鳳翔さん……、今、何日です?」

 

「11月7日です、提督、貴方は心筋梗塞で倒れたんですよ!」

 

「マジか……、まだ若いから問題無いとおもつたんだが……」

 

「そんな考えしてるから倒れるのよ」

 

 

フッと振り向くと、女医がいた。

 

 

「大紋先生……」

 

「あんたさ、働きすぎ、そんなんじゃ早死するよ」

 

「でも……」

 

「でもじゃない、あんたが死んでもいいと思っても、周りはそうはいかない。もうあんたはここに残る日本人数百人と、艦娘数百人のトップなの、死んでどうするの?、少なくともあんたには夢があるんでしょ?」

 

「夢……か……」

 

「ま、経過観察は続けるからしばらく頭冷やしなさい」

 

 

そう言うと大紋は病室を出る。

 

 

「なんだかなぁ……」

 

「提督?」

 

「いや……、正直、死ぬならそれも天命かなって思ったよ、責任を死んでなんて取れるとは思ってないけど、もう俺に出来ることは無いからね」

 

「……さい……」

 

「鳳翔さん?」

 

 

パチンッ!

 

覚悟を決めた表情の鳳翔が、多元に平手打ちを喰らわせる

 

 

「いい加減にしてください!、あなたは人に対しては命を大切にしろと言っておきながら、そうやって自分の命を簡単に蔑ろにして!、もう貴方はただの技術者でもなんでもなく、この世界にいる数百人の日本人と艦娘を引っ張る存在なんです!、貴方の存在でどれだけの人が助けられたのか、貴方を信じて従ってきた人がどれだけいるか、それすら分からずに居るんですか!」

 

「鳳翔さん……」

 

 

今まで一度しか多元の前で切れたことの無い鳳翔がものすごい勢いでまくし立てる。

 

 

「あなたは簡単に死んではいけないんです!、死ぬことだって許されないんです。この世界に来た日本人が、艦娘が、元の世界に帰って平和に暮らせるまで、あなたは死ぬことは出来ないんです!、そもそもまだあなたから指輪も貰ってないのに死んで欲しくありません!」

 

「………」

 

 

黙り込む多元。

 

 

「失礼する、多元本部長、君に処分を言い渡す」

 

 

国防大臣が入室し、多元への処罰を伝える。

 

 

「多元本部長は職権乱用とシビリアンコントロールの逸脱が見られた、本来ならば罪に問うべき重大事件ではある。しかし、ことに我が国が幌筵泊地出身者に頼りすぎていたこと、心理的に不安のある状況で職務を遂行させ続けたことなどの我々の落ち度や、本件が最終的に安全に落ち着いたことを加味した結果、多元実氏を本部相談役に異動の上で、病気療養のために退院後の1ヶ月の休職期間を与える」

 

「了解」

 

「それと鳳翔、君は幌筵泊地より、命令不履行とのことから緊急時を除いた1ヶ月の休職処分とする。時期は多元実氏と同じとする」

 

「はい」

 

 

そう言うと、国防大臣は出ていった。

 

 

「何も鳳翔さんまで処罰食らうことは無かったのに」

 

「失礼します」

 

 

多元がつぶやいたと同時に、別の男が入ってきた。

 

 

「甲原です。手術代の請求に来ました」

 

「あー、そういえばそう言う契約だったね」

 

「メロンです」

 

「美味しそう」

 

「請求書です」

 

「不味そう」

 

「どうぞ」

 

「まぁ、一応受け取りますか……」

 

 

紙を開く多元。

 

 

「いっ、1000万……」

 

 

高ぇ、手術代とメロン代合わさってても高ぇ。

 

普通の5倍ぼったくってるぞ……

 

 

「えっ?、高くない?」

 

「提督のお財布からすればこの程度大したことでは無いものだと思われますが?」

 

 

それは確かにそうではある。

 

多元は、1948年時点で大将、その前も少将であったことからも、給料は高く、現在のロデニウス連邦共和国の価値に当てはめれば、貯金は優に2000万を超える。

 

しかし、だからと言ってこの出費が軽いものなわけが無い。

 

 

「えぇ……」

 

「乙女心に比べればなんともお安いことですよ?」

 

「乙女心?」

 

「まぁ、これは私の話すことではありませんね」

 

 

そう言うと、甲原は去っていった。

 

 

「なんなんだ……?、さっきから一体……」

 

「とりあえず、提督はまず体を治してください」

 

「ああ……、まぁ、そうね」

 

「それより……、さっきの話聞いてました?」

 

 

若干顔が赤い気もする鳳翔さん。

 

 

「えっ?何が?」

 

「えっ……、何も聞いてなかったんですか?」

 

「とりあえず、体には気をつける必要があるのかなって」

 

「この朴念仁!」

 

「えぇ!?、俺が悪いの!?」

 

 

どうみたって多元が悪い。

 

 

「それにしても……、1ヶ月の休養か……、航空機の設計でもしてよっかな?」

 

「話聞いてました?」

 

「えっ?」

 

 

ガチャ

 

 

「失礼します……、鳳翔さん、どうでした?」

 

 

入ってきたのは平河、果物を持ってきたようだ。

 

 

「ダメですね」

 

「えぇ!?、さっきっからずっと聞いてましたけどまさかここまで酷いんですか!?」

 

「ええ、ダメです。仕事しようとしています」

 

「ダメです。幌筵泊地司令代行として命令します。多元提督は一切の仕事を禁止です」

 

「はっ!?」

 

「それとこれ渡しときますね、鳳翔さんに」

 

「あ、わざわざありがとうございます」

 

「もういい加減こちらも焦れったいのでさっさと決めてください」

 

「はっ!?、えっ?、何が言いたいの?」

 

 

さっきからなんのことを言ってるのか全く分からないという表情を見せる多元。

 

 

「失礼ですが高校時代、異性との関わりは?」

 

「えっ?、無いけど?」

 

「クソボケにぶにぶ乙女心知らず朴念仁提督め!」

 

「なんで罵倒なの!?」

 

「嘘だろ!、なんでここまでリードして気づかないの!?、ふざけてるの!?」

 

「えっ?、何が??」

 

「あっ……、ダメだ……、ここまで来てダメって何か事情がないと無理だ、これもう腰堀さんに聞くしかない」

 

「えっ?」

 

 

 

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幌筵泊地、総合病院にて

 

 

「あ、平河っち!、ダーリンに用?」

 

 

病室に入ると手前のベッドの上に腰堀と、奥の方にすっかり顔色の良くなった建御名方が居た。もう場所問わずイチャつきおって……、まぁ、すっかり調子の戻ってギャル語が戻り……んんんん?、ダーリン???

 

 

「あー、もうねぇ……、こっち来てからずっとこんな感じで……、心配かけて悪いとは思いましたけどね……、病室なのに押し倒されました……」

 

 

こいつら夜戦(意味深)したんだ!!

 

 

 

よーく見れば指に何かが光っている。

 

 

「おー、おめでとさん。それに引替えあの人は……」

 

「えっ?」

 

「鳳翔さんが割とストレートに発言してもダメだった」

 

「あー」

 

「何?、提督ってまだ鳳翔さんとくっついて無いの?」

 

「うん」

 

「鈍すぎない?」

 

「いや、そう言う感性剥ぎ取られてるからね」

 

「誰に?」

 

「父親に」

 

「えっ?」

 

「おい、どういうことだ腰堀」

 

「いや…、僕も正直これは推測が含まれるのでなんとも言えないんですけど、多分先輩の家って結構古臭いというか、そういうところ結構あったんですよ。門限とかありましたし……」

 

「門限は割とありそうだが……」

 

「いや…、もっと酷いのが自由恋愛とか禁止で、確か高校の頃、「後輩から手紙貰ったんだけど……、宿題の相談?」って言ってきて……、明らかにそれ普通の手紙じゃないでしょ……って突っ込んでも、えっ?、そうなの?、って言う有様で……、家帰ったら親に破かれたそうです。確か父親もお見合いだったから一人っ子の先輩もそういう格式の高いところの人じゃないと結婚させないとかって言ってて……、他にも、家から近い国立に通わなければ親不孝者、国家公務員か大企業に入らなければ俺の息子じゃない、アニメはダメだとか、明らかに毒親でしょ、って思う教育がちらほらどこからめちゃくちゃあるんですよ」

 

「でも俺らとアニメ見てんじゃん」

 

「あれ、結局父親が死んで、僕と再開した後にようやく見始めたんですよ、でも、恋愛系の作品は見てもつまらないって言うんですよ、分からないから、そういう感性を親に消されたから。だから、先輩にとって結婚って、相手を親が呼んでくるもので、自分で探す、或いは相手がやってくるっていう概念が無いんですよ」

 

「じゃあ鳳翔さんのことはどう思ってるの?」

 

「特別な存在とは認識してますけど、それが少なくとも恋愛感情とわかっているかは分かりません」

 

「ずーっと秘書艦としてそばにいて恋愛感情の1つすら湧かないってヤバくない?」

 

 

朴念仁と思っていた多元の存在が急に怖くなる。

 

 

「だからヤバいんですよ、性欲とかはあるはずなんですけど、多分知識以上のことは教えられてないから、あ……、待て、じゃああれって……」

 

「どうした?」

 

「いや……、ちょっと整理させてください……、おい待てよ……、狂ってるだろあの家!!」

 

「えっ?、どうしたんだよ!?」

 

「先輩って多分、性欲の発散すら親に管理されてます」

 

「嘘だろ!?」

 

「いや……、中学の頃は知りませんけど、高校時代の先輩って、たまに部活休むんですよ。そういう時、何回か家の近くまで行ったことあるんですけど、そういう時は裏手から女の人が出てきてて、しかも先輩と同じ歳ぐらいの女の人が出てきたこともあったんですよ」

 

「おい待て、それって……」

 

「この推測が外れてくれることを祈ってます」

 

「いや、だとしても状況証拠から判断すりゃあ、成年が、しかもよりによって父親が未成年を買○した上で息子にやらせてたとか冗談でも済まされねぇぞ!」

 

「だから狂ってるんですよ!、ちょっと雰囲気が上流っぽい感じもしてましたから、もしかしたらお見合いって可能性もありましたけど、どう考えたって服装がおかしいんですから!」

 

「いや……、聞いたことがあるな……、ガチの金持ちぐらいしか使えないって話のそういうサービスだ。滅多に表には出ない上、ある程度法も無視できるから顧客の要望を最大限叶えてくれるとか」

 

「おとぎ話かと思いましたが……、実在するんですね」

 

「というか、提督の家って本当にナニモンだ?、ガチの上流階級っぽいところがあるが、それにしては普通の高校に通わせてるじゃないか」

 

「いや、先輩は私立の中高一貫の男子校に落ちてそれで来たんですよ、本人が言ってました」

 

「袖下は?」

 

「通じなかったというか、行きたくないってダダこねたって言ってました」

 

「実際どうなんだろうな?」

 

「平河さん?」

 

「いや、厳しい父親がダダこねただけで引っ込めるのか?」

 

「えっ……」

 

「例えば、母親がそこで何か言ったとする。それで渋々引っ込めた、そして、君と同じ高校に通わせたとする。自由恋愛を禁止してはいるものの、性欲は溜まるし、早まっては困るから、例の手で封じ込む。腰堀くんは母親については何か聞かされていたか?」

 

「父親の嫌なところは沢山聞きましたが、母親はそういうのは無かったですね」

 

「しかも、亡くなった理由ってのも提督の好きなご飯を作ってあげたかったってことなんだろ?、文化系という話は知っていたが、手先が大事な人がわざわざご飯を作ろうとしていたとなれば母親は少なくとも敵では無い、むしろ味方だった可能性がある」

 

「なるほど」

 

「そして、母親は父親の方針に反対していたという構図ができると……」

 

「それって……」

 

「証拠は無い、異世界に居て、当の本人も死んでる以上、提督が全てを確かめることは出来ない、でも提督には何か思っているところがあるはずだ、こんなの胸の奥にしまっておくには、闇が深すぎる」

 

 

 

次回、多元実という男の真実②

 

 

 

 

 

 







多元家、意外と闇が深いかもしれませんね。


詳細は次回以降、彼の口によって明らかになります。





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第31話 多元実という男の真実②



「仮面を1つずつ剥いだ先にあったのは泣きじゃくる男の子でした」

(鳳翔が転生者一同に向けて書いた手記の書き出し)


というわけで、前回に引き続き、多元くんの内面に迫るお話ですが、色々キツイ描写(性的含む)があるので、ご注意ください。






 

 

 

多元入院から1週間後、ロウ・ハコネ温泉にて

 

 

「さぁ、温泉ですよ!」

 

「なんで鳳翔さんと一緒なんですか……」

 

「お互い休職期間中ですから、疲れを癒すために温泉旅行ですよ」

 

「ええ……」

 

 

引き気味の多元を他所に、鳳翔は温泉旅行を楽しむ。

 

荷物は平河が手配したおかげで、先にホテルに運び込まれているため、手荷物だけで観光できている。

 

「提督、射的やりましょう」

 

「提督、足湯へ行きましょう」

 

「提督、アイスを食べましょう」

 

 

(なんというか、すんごいグイグイ来る……)

 

(でも何故か嫌にならない自分がいる……)

 

(なんでなんだろう……、この感じ……、前にも経験したような……)

 

 

多元が何かをふと思い出そうとした

 

と、その次の瞬間……

 

 

「うっ……」

 

「提督!?」

 

 

突然うずくまる多元。

 

 

「あ……、嗚呼、ア゙ア゙!」

 

「提督!、私がここにいますよ!」

 

「止めて、やめてよ父さん!!」

 

「提督!、もうお父様は居ませんから!」

 

 

背中を擦りながら、多元の感情を落ち着かせる鳳翔。

 

やはり彼と父親の間に何かあったのだ。

 

 

「大丈夫です。私が付いてますよ、提督」

 

「ハァ…ハア…、あれ?、鳳翔さん?」

 

「提督?、大丈夫ですか?」

 

「えっ?、大丈夫だよ」

 

「いやっ……、でもさっき……」

 

「ん?、あー、まぁなんでもないよ」

 

「またそうやって逃げて……」

 

 

と、言ったそばから気づいた。多元の体に。

 

彼の体はまるで水でも被ったかのように汗がびっしょり付いており、ただならぬ気配を感じた。

 

 

「汗かいちゃったな……」

 

「一旦ホテルに行って着替えますか?」

 

「そうだな」

 

 

幸いまだ時間はある。ゆっくり楽しむのも悪くないと思った2人は、先にホテルに向かうことにした。

 

 

 

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一方、多元の居ない幌筵泊地では……

 

 

「それじゃあ、腰堀くんが知っている提督のことは、全て本人が話していたことだけで、ほかはなんにも知らないのか?」

 

「ええ、僕と先輩が出会ったのは高校からですし、それより前のことについては、本人が語る内容ぐらいしか知る由もなく……」

 

「えーっと、確か資料によれば提督の家ってのは、かなりの土地を持つ地主だったってことらしいよな?」

 

 

幸い、幌筵泊地の地下には膨大な書庫が何故か用意されていたため、多元自身の出自を辿るのは難しくなかった。

 

 

「ええ、それも百姓とか、商人とかの類ではなく、荘園とかそういう方面の……」

 

「貴族や華族ってことか」

 

「そうです。つまり、伝統的な上流階級の人間だった可能性があります」

 

「それにしちゃあ、昔昭和天皇に謁見した時に、固まっていなかったか?」

 

「恐らく、直接謁見できるほどではなかったのかも知れません。その証拠に礼儀作法についてはしっかりしてましたから」

 

「なるほどな、しかし驚いたな、まさかあの人が華族だったなんて……」

 

「でも、そう仮定すると全てがまとまります」

 

「有力な分家と見るのが正解かもな」

 

「そうですね、祖父は既に亡くなっているとの事だったので、恐らく当代は父親だったんですね」

 

「んで、父親からの厳しいというより半ば洗脳教育と……」

 

「せめてもの救いが母親からの愛情だったんですかね」

 

「んで、父親は自由恋愛を禁じて、性欲の発散には御用達の店を使うと……、例の事件じゃねぇが、厳しい教育の反動からテロリストにならなかったのが奇跡だよな」

 

「今回なりかけましたけどね」

 

「それもそうだな」

 

「そして、多分影響は防衛大時代から出てると思いますよ」

 

「あー、なるほどな……、それで幹部も無理だったのか」

 

「厳しい教育の反動はいつだって過剰なまでの攻撃性に現れるって事ですね」

 

「今回はたまたまトリガーが僕だったってとこでしょう」

 

「腰堀くん、冷静だな」

 

「敵地で死にかけたことに比べればどうってことないですよ」

 

「そういえば……、自衛官を辞める前後、父親が死んでからが提督にとっては本当の自分らしい人生なのかもな」

 

「なんとか逃れられたのかもしれませんね」

 

「子供にあんなこと仕込むくらいだから相応に死んでもらいたかったが、そうもいかなかったか」

 

「タイミング良く死んでくれたのが好都合というか……」

 

「ま、なんにせよ、提督の固く閉ざされた心の扉を開けるかは鳳翔さん次第だな」

 

「そうですね……」

 

 

 

 

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旅館「大ハコネ」にて

 

 

「えっ?、鳳翔さんと同じ部屋なの!?」

 

「そうですよ?」

 

「なんでこうなった……」

 

「私が頼みました」

 

「ダメでしょ、だって……」

 

「だってなんです?」

 

「いや……、その……」

 

 

(たまに家に帰ってこいとか言われた時に来ていた女性とやっていたこと変わんなくない?、鳳翔さんそういう職業の人じゃないでしょ?)

 

 

「提督、貸切風呂まで用意されてますね」

 

「えっ?、風呂??」

 

「広々とした露天風呂ですね」

 

「えっ?、結構いいホテルじゃん」

 

「結構?、大分いいホテルじゃないですか」

 

「えっ、部屋に大きい風呂付くのって当たり前じゃない?」

 

「えっ?」

 

 

鳳翔がかなりの違和感を覚える。

 

 

(大きいお風呂が付くのが当たり前……??)

 

 

やはり、この男、何かがおかしい。

 

鳳翔は一人訝しむ。

 

 

「あ、鳳翔さん、俺先にここの風呂入るからその間に着替えておいて」

 

「わかりました」

 

 

 

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その頃、幌筵泊地精神科医を交えて話す腰堀と平河

 

 

「………、なるほど……、それで提督は……」

 

「何か思い当たるところでもありますか?」

 

「いえね、私もこれは疑っていただけなんですが、こういう家庭内の教育が原因で起こる事件のトリガーってのは一般的には母親からの指導だったんですよ、今でこそこの傾向自体は多少程度になりますが、昔は父親は仕事で居ないことが多いですからね、しかし、多元家はこれが逆だったと……」

 

「と言うと?」

 

「実は、私たちが転生してすぐ、提督が内緒でこちらに来られて、診察をお願いしたんですよ」

 

「と言うと?」

 

「なんでも「前から定期的に診察してもらうように言われていた」との事で、カルテの共有は当然無かったですが、提督の手元の資料に診察の記録があったので、そちらを元に診てました」

 

「初耳なんだが……」

 

「提督が内緒にして欲しいとの事で……、それで、診察中に気づいたことがあったんですよ」

 

「一体なんですか?」

 

「お母様は文化系とだけ仰っていましたが、以前提督の特技を看護師などに見てもらった時、ピアノだけでなく、生け花や茶道の心得もあったんですよ」

 

「えぇっ!?」

 

「そこまで多芸な母親なら、教室を開いていることもありそうですし、大会などで家に居ないこともあるでしょう」

 

「あー、なるほど……」

 

「反対に、腰堀さんの推測を元に考えれば、父親は家にいても仕事はできる身分でしょう、というか、不労所得が相当あるはずなので、外出して働く必要はありませんね」

 

「父親が実質的に家に居て、提督を支配していた……」

 

「はい、しかし……」

 

「ん?、どうした?」

 

「過労だけで自衛隊は閑職に飛ばしますかね?」

 

「はっ?」

 

「いえ、私からすると少し疑問なのは、仮に問題はあっても、結局軍隊というのは敵の排除です。使い方を考えれば提督の存在というのは役に立つはずですから、わざわざ退役を示唆するような部署に移動させる必要があるんですか?」

 

「えっ……」

 

「そもそも自衛隊の処分は免職、降任、停職、減給、戒告、訓戒及び注意だけ、懲罰的異動なんてありますか?」

 

「降任……いや、それは違うな……」

 

「もう1つ、ここに提督の持ってきたものがあるんですが、ここだけ黒塗りとQRコードになっています。QRコードは読み込んでもパスワードが必要な場所が多く、黒塗りも何か工夫しないと見れないんですよ」

 

「そんなことがあるのか?」

 

「いや……、患者のプライバシーは確かに配慮するのは医者として当然ですが、提督本人にすらこの部分は読めないみたいなんです」

 

「うーん困ったな……、とはいえ、これを多くの人の目に晒す訳にもいかんしな……」

 

「真多さんに頼んでみますか?」

 

「ああ、奴なら口は硬いし大丈夫だろう」

 

 

 

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幌筵泊地地下

 

 

幌筵泊地は限界まで地下開発が進められた泊地でもあり、優秀な転生者には、贅沢にも広々とした研究施設が与えられる。

 

幌筵泊地の最強転生者としても名高い真多獅郎は、そんな中の一人であった。

 

 

「それで……、このQRコードの中身と黒塗り資料の内容を明らかにして欲しいということですか?」

 

「そうだ、極秘にやってもらいたい」

 

「わかりました。やってみます」

 

 

そう言うと、真多は持っていた端末でQRコードを読み取り、まるで物置かと見間違えるほどの大きな処理装置に接続されたノートパソコン(会社名が刻印されてないことから、完全自作と見られる)で解析を始める。

 

 

「で、こっちは……」

 

 

プリンターのような機械の中に、黒塗り資料を挟んで、同じように解析を始める。

 

 

 

「随分としっかりしたセキュリティですね」

 

「やっぱりか?」

 

「ええ、民間のこの手の機密保持のやり方としては最高クラスですね」

 

「きっと、相当な内容が書いてあるんだろうな」

 

「ええ、おそらくは……、提督の全てが書かれたような資料ですが、わざわざこんなところまでして守ろうとするあたり、そして、僕がここで調べた限り身元保証人が偽名であることからも、身元保証人含めて特定の相手以外は秘匿したい何かが含まれているのかもしれませんね」

 

「提督の両親はこの時期死んでいるから……、親戚か?」

 

「親戚……、まさか本家の人間か?」

 

「精神疾患持ちを晒す訳にはいかないって事ですかね?」

 

「それにしたっておかしくないですか?」

 

「真多?」

 

「だって、結局提督って分家とはいえ良家の人間で、偽名は使って無いんだから結局バレません?」

 

「それもそうだな……」

 

「あ、解読終わりました」

 

 

Enterキーを叩き、カルテとQRコードの中身が出てくる。

 

 

「おい……」

 

「これって……」

 

「嘘でしょ先輩……」

 

「それでこの偽造……」

 

 

まさかの内容にその場にいた全員が驚愕する。

 

 

「……、確か大統領からは提督の現状についての報告せよとの指示があったよな?」

 

「はい」

 

「関係閣僚のみにしろ、こんなもんプライバシー云々以前に特級クラスの機密だ」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

一方、大ハコネでは……

 

 

「ふぅ……、いい湯だな」

 

 

一人風呂に入る多元。

 

 

「なんか……、鳳翔さんといると変だな……」

 

 

何か心の中に安心感がある。ふわふわとした何かがある。

 

 

「なんなんだろう、感じたことの無い感覚だ……」

 

「失礼します」

 

「うえっ!?、えっ!、えっ!?、鳳翔さん!?」

 

 

タオルで前を覆ってはいるが、なんにも身につけてない秘書艦が居た。

 

 

「ちょ!、鳳翔さん!、マズイですよ!」

 

「何が不味いんですか?」

 

「混浴が問題無いわけが無いでしょう!」

 

「私は別に構いませんよ?」

 

「俺が問題です!」

 

「どうしてですか?」

 

「どうしてって……そりゃあ……、法的に……」

 

「混浴の禁止は共同浴場で、プライベートに近い部屋付き露天風呂は例外ですが?」

 

「鳳翔さん?」

 

「何か合理的な反論はありますか?」

 

 

言われて黙る多元。

 

正直言って、女性の裸を見る機会なんて閑職に飛ばされる前まで何回もあった。

 

それこそ鳳翔さんよりスタイルの良い女性ばかりだったし、裸を見た程度では正直ぐらつかなかった。

 

だから転生して以降、艦娘達が中破したりしても、なんの反応もしなかった

 

それがどうだ?、鳳翔さんの裸を見て、何故かぐらついている自分がいる。

 

混浴だってやってたし、なんならその先もやっていたのにぐらつく。

 

 

(この感情はなんなんだ……)

 

 

分からない、レンアイ感情なるものが世の中にあるらしいが、それがこれなのかも分からない。

 

 

[貴様は将来本家の人間として家を継ぐ、そのための行動だけが貴様の人生だ]

 

 

思い出したくもない男の声が頭に響く。

 

 

「提督?、こっち向かないんですか?」

 

「えっ……、いやぁ…、ちょっと……」

 

 

チラッと目を向ければ、乳白色の温泉に体を沈めている

 

 

「提督?、顔赤いですよ?、のぼせましたか?」

 

「えっ……、ああ、そうかもしれない……」

 

 

とりあえず撤退する口実ができた多元はそのまま露天風呂から上がり、部屋に戻った。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

大統領官邸にて

 

 

「多元提督について何かわかったことがあると?」

 

<<ええ、このことは全員に共有すべき内容ですが、如何せん内容が内容ですので、関係閣僚のみを集めて頂きたいです>>

 

「それで……、転生者側としては今後の多元提督についてどう為さるお積もりですか?」

 

<<我々はあの人に導かれ、助けてもらい、そして、生き甲斐を与えてもらいました。であるならば、今度は我々が支えるべきですし、彼の進退については自らの身で決めるよう促すべきです>>

 

「わかりました。閣僚の方には私から伝えます」

 

<<ありがとうございます>>

 

 

ガチャリ

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

その夜、夕食を終えて部屋に戻った多元と鳳翔は……

 

 

「ちょっと!、鳳翔さん、何するんですか!」

 

「提督、貴方がどんな人生を辿ってきたのか、何故今回のように我を失ったのかは知りませんし、知る必要も無いと思います。ですが、それとは別に、いつまでも焦らされて進展が無い現状にしびれを切らしています。私はあなたに伝わらない想いを伝えるために行動に出ることにしました。それがこれです」

 

 

現在鳳翔は、敷布団の上で多元に覆い被さるようにして構えている。

 

まぁ、要するに夜戦()の構えだ。

 

 

「提督、私はあなたのことが好きです。1人の男性としてあなたを見ています。あなたは私のことを1人の女性として見てくれていますか?」

 

 

ストレートな想いを伝えて多元の反応を見る鳳翔。

 

 

「いや……、その……、わかんないです」

 

「分からないんですか?、じゃあ、なんで私をずっと秘書艦に置いていたんですか?」

 

「それは……、仕事に慣れているから……」

 

「仕事の能率や、慣れの話なら大淀さんでもいいですよね?、パソコン使いこなせるようになってからなら彼女の方が仕事が早いですよ?」

 

「て、手続きが……」

 

「軍規によれば、泊地並びに鎮守府や、警備府、基地の秘書艦任用については、原則として司令官の命令によってのみ決まるとなっています。これはこの世界に来てからでも変わりませんよ?」

 

「いや……、その……」

 

「じゃあもう1つ聞きます。どうしてあの決戦の前に、試作艤装なんて身につけてやってきたんですか?」

 

 

幌筵泊地が転移する前、深海棲艦との最終決戦を決意するきっかけとなった事案として、武器や艦娘単体の性能だけで見れば世界最強だった幌筵泊地の艦隊が、極超音速ミサイルの攻撃(深海棲艦のもの)を受け、全艦大破という非常事態になり、初の敗北を喫したのだ。

 

この時、大破した鳳翔を助けるため、試作艤装を背負ってきたのが多元だった。

 

 

「あの時、確かに航空燃料が漏れて危険だったとはいえ、私だけをあの場で抱きかかえてでも助けようとしたあの動きに納得のできる合理的な回答はありますか?、別に幌筵泊地にはまだ量産艤装をつけていた人がいましたよね?」

 

「それは……」

 

 

回答につまる多元。

 

 

「どうして改装されたとはいえ、あの場にいた建御雷さんより私を優先しましたか?、核融合炉が万が一暴走した時のことを考えないはずが無いですよね?」

 

「未だ誰が放ったかも分からない上、まだ攻撃意志を持った相手がいる可能性があるかも分かる前に、SM-6は愚か、SM-2すら持たない提督の試作艤装で助けに来た理由は何ですか?」

 

「分からない……、分からないんですよ、あの時のことは今でも!、あの時だけじゃない!、イギリスでスパイの言葉に激昂して殺した理由も!、艦娘の、秘書艦の命が大切だということしか!」

 

「理由が付けられないなら教えます。愛です」

 

「はっ?」

 

「愛によって引き起こされた行動に理由なんてつきません。だってそれ自体が理由なんですから」

 

「でも……、俺は……」

 

「あなたがお父様に感情をコントロールされていたのは知っています。ですがコントロールされたとしても無くなるわけじゃありません。理解する手段を破壊されて、見えなくなって、分からなくなっただけです」

 

「俺は……」

 

「さっき、秘書艦の命が大切だからとおっしゃいましたよね?、それだけですか?」

 

「えっ?」

 

「私と今日一緒にいて、嫌だと思いましたか?」

 

「いや……、嫌じゃ無かったです」

 

「丸1日、異性と行動を共にして、混浴までして、そこまでしていた相手に何も感じませんでしたか?、今こうやって馬乗りになって、襲われるのに、口では抵抗しているのに、体では抵抗の意志を見せていませんよね?」

 

「いや……、それは……」

 

 

鳳翔の立て続けに放たれた言葉の前に、何かを受け入れようとしたその時……

 

 

----------------------------------------------------------

 

 

[卑しい女狐なんぞに化かされるとは、お前も哀れだな]

 

[違う!、彼女はそんなんじゃ!]

 

[まぁ安心しろ、お前の前にもうあの女は表れない]

 

[おい親父てめぇ、何しやがった!]

 

[親に対する口か!]

 

 

持っていた木刀で殴られる中学生の多元。

 

 

《ごめんね、もう君には会えない》

 

 

書きなぐったような文字とボロボロの紙に全てを悟った多元。

 

 

[うわぁぁぁぁぁ!]

 

 

ショックのあまりに、叫び、座り込む。

 

その次の日、やってきた女

 

 

[よろしくお願いします。夜のお相手をさせていただきます]

 

[性欲の溜まった猿みたいな男では本家は継げないからな、定期的に呼んでやるからそこで発散しておけ]

 

 

自分が継げなかった本家を息子である自分に継がせるために、自分が本家に返り咲くための道具として多元を扱ってきた父親。

 

 

[実、母さんが付いてるからね]

 

 

家庭内の唯一の味方だった母。

 

 

[お前が晩飯に無理を言ったから死んだんだ!]

 

[お前のせいだ!、悔しかったら、本家を継いで、母さんを安心させろ!]

 

[そんなの母さんは望んでいない!]

 

[黙れ!]

 

 

彼女が死に、味方の居なくなった家は地獄だった。

 

 

防衛大に入り、自衛隊に入り……

 

 

そして……

 

 

 

---------------------------------------------------------

 

 

 

今までのことがフラッシュバックする。

 

 

「ダメです……、鳳翔さん……、僕と関わったら……、きっと……、酷い…こと…に……」

 

「大丈夫です。もうお父様は死んでいますよ、私だって艦娘ですよ?、普通の人に比べれば力は強いですし、何より、あの子たちも居ますからね」

 

「本当……に……?」

 

「ええ、遠慮なくぶつけてください、あっ、でも焦らされたぶん、私から襲わせてもらいますよ?、今までの女の人なんか忘れさせるほど激しくね」

 

 

大の大人が突然泣き出した状況にも、慌てずに、そっと頭を撫でながら落ち着かせるその様は、洋上を飛ぶ荒鷲達の母(艦)としての姿そのものだった。

 

その後はもう凄かった。

 

タガの外れた鳳翔がガンガン襲い。多元から一方的に搾り取った。

 

最初こそ、襲われている状況に恥ずかしがっていた多元だが、次第に身を委ね、最後には密着していた。

 

 

「ふぅ……、さすがに疲れましたよ、提督」

 

「鳳翔さん……、その……」

 

「何ですか提督?」

 

「僕は……、こういう感情について、長いこと知らなかったし、理解出来なかったんですけど、もしかしたら、鳳翔さんのことを愛しているのかもしれません」

 

 

ようやく絞り出した一言に鳳翔は喜びつつも呆れて

 

 

「ほんと……、乙女を待たせるなんて罪な人ですね」

 

 

月夜の宿の一室で、一糸まとわぬ2人が抱き合い、互いに口付けをした。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

数十分後、露天風呂にて

 

 

「提督、指輪はいつ下さりますか?」

 

「えっと……、ちょっと気が早くないですか?」

 

「遅いくらいです!」

 

「えぇ……」

 

「それにしても……、提督。1つ気になったことがあったので聞いていいですか?」

 

「はい?」

 

「お父様は癌で亡くなったのに、どうしてそこまで怯えていたんですか?」

 

 

鳳翔の疑問はそこだった。

 

何故病死して二度と蘇ることの無い父親にそこまで怯えたのか?、死ぬ前に何か言われたのだろうか?

 

そう思って聞いてみた鳳翔。

 

だが、多元から返ってきたのは予想外の言葉だった。

 

 

「違いますよ……、鳳翔さん……」

 

「えっ?」

 

「親父は癌でなんか死んでません」

 

「と言うと?」

 

「もう時効だから話しますが……

 

 

 

 

 

 

 

殺したんです。俺が」

 

 

 

 

 

 






次回の③をもって、内面編については終了です。

謎の多かった主人公の内面が明らかになります。


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第32話 多元実という男の真実③



「人間らしさを取り戻したのはいいんだが、イチャイチャしすぎんな、俺らのお艦だぞ!」
(あんまりにもイチャつきが激しい2人をみた鳳翔航空隊妖精一同)



というわけで、前半の報告書が終わったら、色々あります。最後にお知らせがあるので、是非ご覧ください。








 

 

 

[多元実の家庭内環境に関わる調査書]

 

 

多元実は生まれが名家の分家ではあるものの、実の所、多元の父親は本家の実の息子であった。

 

ただ、両親に中々子供が産まれなかったため、別の分家から養子を呼んで養育していたのが、現在の本家当主となる。

 

しかし、養子として呼んだ直後、多元実の父親が産まれたことで、一時的にお家騒動になりかねない事態となった。

 

この時、判断の決めてとなったのが、両者の性格だ。

 

現在の当主は温厚にして、堅実、根回しが上手い。

 

一方の父親は、粗暴にして、支配的で、野心が強い。

 

かつてのGHQの戦後改革で根回しの重要性を理解していた本家はバブル崩壊後の経済不況を乗り越えるためにも、血ではなく実力で判断。実の息子を分家に送ることとした。

 

これが、父親のコンプレックスとなる。

 

多元の父親は見合い結婚であり、翌年に多元が産まれてからしばらくはおとなしかったものの、あることがきっかけで野心を露わにする。

 

当主に子供が出来なかったのだ。

 

ここに来て、分家に追いやられた恨みを晴らすべく、自らの息子を当主にしようと教育を開始した。

 

幼稚園、小学校をそれぞれ有名私立に入らせ、知識、体力、作法を一流にしたて、妻には文化的な面での教育を指示した。

 

もちろん、母親は、厳しすぎる教育に懸念を示していたものの、家同士の関係から受け入れることとなり、多元に対してピアノ、生け花、茶道などを教える。

 

一方、厳しすぎる教育で息の詰まる生活をしていた多元のために、教育と称して外出させていた。

 

これが小学校までの話である。

 

順当に行けば私立中学にそのままエスカレーター方式で上がれていたが、父親は本家に向かわせるために、よりエリートを作るために中学受験をさせた。

 

しかし、多元は不合格となり、怒った父親は竹刀で多元を叩いた。

 

ここで、母親が、当主に事情を説明。当主は父親に対して公立中学校に入れるよう勧告し、母親からの話とは知らぬ父親はしぶしぶ多元の公立中学校入学を認める。

 

だが、ここで厄介なことが持ち上がる。

 

多元は、完璧なイケメンという訳ではなかったが、顔は整っており、成績もよく、スポーツも万能、礼儀などもきちんとしており、何より家が分家とはいえ有力者の子供となれば、モテにモテる。

 

無論、厄介な追っかけには辟易していた多元ではあったが、多感な中学生、そろそろ恋に落ちることもある。

 

初恋は、女子テニス部の年上である部長だった。

 

垢抜けた存在だった多元は上下問わず人気者で、学年のマドンナ的存在の彼女もそんな人の1人だった。

 

多元は家が家なので、テニスも上手く、放課後の部活で何度か一緒に打つ中で距離を縮めていたのだ。

 

アニメにあったような甘酸っぱい恋は、突如終わりを告げる。

 

 

 

父親が介入したのだ。

 

 

 

権力を傘に横暴な振る舞いをする人間ほど恐ろしい存在は居ない。

 

夜道を暴漢に襲わせ、酷い目に遭わせた挙句、両親に圧力をかけて交際を無理やり辞めさせたのだ。

 

一夜にしてボロボロになり、逃げるようにして去っていった元カノを見て、ただならぬ気配を察した多元が下駄箱で発見したのが、[ごめん、もう君には会えない]の文言だった。

 

ショックを受けて家に帰った多元に対して、父親の物言いは、邪魔者を消してやったという自分勝手な内容だった。

 

反抗する多元に今度は木刀で殴る父親。

 

幸い、母親の介入で事なきを得た多元だが、この事件以降、自己防衛と親の教育の結果からか一部の感情……特に恋愛感情を失うことになる。

 

高校は、地域有数の進学校である公立高校に進学。

 

ここで後の部下である腰堀と会うことになる。

 

高校時代も中学時代とさして変わらぬ生活だったが、締めつけの強い父親は、中学の頃から継続してアニメやゲームを禁止し、自由恋愛は無論禁止、性欲処理のために、本家御用達の店から女を引っ張ってきて、月数回、多いときで週一のペースで相手をさせた。

 

しかし、これでもまだ、多元には母親という心強い味方がいた事から、父親に面と向かって殴り返すことはまだ無かった。

 

しかし、高校生になり、母親が交通事故で亡くなると、暴行の酷い父親に反抗すべく、ついに殴り返し始めた。

 

両者武道の心得はあったが、常日頃から木刀を持ち歩く父親に対して、多元は灰皿を投げつけるなど、徹底的に抗戦。

 

家に来ていた家政婦が「地獄のようだった」と語る暗黒期である。

 

この時の多元を知る腰堀はこう語る。

 

 

「先輩に化粧の無い日は無かった」

 

 

如何に激しい喧嘩をしていようと、名家の人間たるもの、顔や腕に傷を見せてはならないとして、家政婦が化粧を施して傷を隠していたのだ。

 

とはいえ、完全に隠し切ることは出来ないこともあり、学校側も対応を試みたが、相手が相手なので放棄せざるを得なかった。

 

そして、進学にあたって多元は親元を離れることを決意。

 

家のある東京から離れた国立大学に行くことを決意したが、関東圏でなければ認めないという父親の判断によって防衛大学校に変更、入学後は優秀な成績を収めていたものの、攻撃的な性格から、演習などで問題が起こることもあった。

 

また、もとより優秀な肉体と頭脳を持つ多元は各方面から引っ張りだこだったが、ここで多元が選んだのは海上自衛隊。

 

理由は洋上勤務主体の海上自衛隊なら、あの父親から離れられるということだった。

 

もとより、海上自衛隊では人手不足もあって、この決定はすんなり通り、江田島の幹部学校にて訓練を受けることとなる。

 

だが、そんな中、再び父親の影が忍び寄る。

 

きっかけは、過労で倒れたあとの職場だった。

 

洋上勤務から外され、関東圏の陸上勤務となったのだ。

 

この決定には当然家の力を傘にきた父親の横暴であり、帰省した際に、激しい口論になった。

 

そして、ここで多元の理性の紐が切れる。

 

 

[貴様の母親も、家を継ぐ邪魔ばかりしていた。お前が家を継ぐための障害になるものは全て排除する。全てだ、そして、何が邪魔かは俺が決める]

 

[親父……、てめぇ、まさか母さんを!]

 

[自分の責任と感じれば素直になると思ってな]

 

 

運転手は父親から金を受け取り母親を撥ねたのだ。

 

 

[お前なんか人間じゃねぇ!]

 

[父親に逆らう気か!]

 

 

再び家庭内で起きた戦争。しかし、もう父親の前にいた多元は今までの彼ではなかった。

 

一瞬にして間合いをつめ、ジャブを決めて右肩を掴んで破壊。

 

2階から突き落としたのだ。

 

 

[お前……、タダじゃ済まされないぞ……]

 

 

まだ息のあった父親の顔面目掛け、家にあった相当重い壺を叩きつけた時、たまたま見ていた叔父に見つかった。

 

 

[叔父さん……、自首します……、それか死にます]

 

[待つんだ実君、君はまだ若い。君の置かれた事情も理解している。ここは私に預けてくれ]

 

 

たとえ分家でも殺人事件が起きたとなれば家にとって問題となるということ、家が違うとはいえ、虐待、殺人を止められなかったことについて後悔のあった叔父は、自殺か自首を選ぶ多元を説得。とりあえず自衛隊を退官させて、家の息のかかった精神科病院を内密に受けさせると共に、父親の死を偽装。このことを秘匿させた上で、彼に対して自由に生きるようにと伝えた。

 

彼は叔父の助けを借りて国立大学の工学部の航空宇宙工学科に進学。ここで腰堀と再開して重工メーカーに入社したのである。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

報告書を読んだ閣僚達は黙ったまま喋らなかった

 

 

「…………」

 

「…………」

 

「以上、報告書です。出典は精神科医に提出された資料を元に制作されているので間違いは無いと思います」

 

 

平河の言葉の後にようやく口を開く閣僚

 

 

「こんな男に我々は重責を与えていたのか……」

 

 

厚生労働大臣のつぶやきにディーニツが素早く反応する。

 

 

「我々の任官が問題だったとは思いません。彼の実力は普通に仕事をする上では極めて有能です。それに、ここで彼を辞めさせる方が問題だと思います」

 

「それは我々転生者としても同じです。ここで彼から仕事を奪うことは、結局は彼にとって宜しくないことになります」

 

「しかし……」

 

 

歯切れの悪い厚生労働省大臣に、平河が畳み掛ける。

 

 

「提督の精神の安定に寄与していたのは間違いなく軍事分野、そして、もとより学ぼうとしていた工学分野、早い話が航空宇宙分野です。そこに力を注ぐことは彼の精神安定の上で非常に有意義なことと言えます。何より……」

 

「何より?」

 

「提督の心の支えとなる存在が新たに誕生したことは、今後の活動の上で無駄では無いでしょう」

 

「それで彼女と同じ時期に停職処分を言い渡すよう進言したのか?」

 

「はい」

 

「しかしそれでは……」

 

「厚生大臣」

 

 

カナタ大統領が尚も難色を示す厚生大臣を諭す。

 

 

「私たちは物乞いをしている訳でも、完璧超人を求めているわけでもありません。一国民の今後を我々が勝手に考えているのです。如何に彼が軍人とはいえ、軍人である前に国民なのです。そして、ここで安易に彼をクビにする必要は無いと思いますが?」

 

「しかし、万が一政権へのダメージとなったら……」

 

 

厚生大臣が心配しているのは、万が一情報が漏れた際に起こる政権へのダメージだった。

 

 

「政権へのダメージはいくらでも取り返せます、しかし、自らの保身のためにトカゲの尻尾切りのような形で如何に落ち度があろうと、ここで多元相談役を切り捨て、つかの間の安心を得たところで、魔帝に勝てますか?」

 

 

現状、現代兵器を使った戦術に精通しているのは多元しかいないのだ。

 

 

「厚生大臣。あなたの言いたいことは理解できます。しかし、国家が守るべきは政権の安泰ではなく、10年、100年先の国家の安全を守ることなのです。そのために多元相談役の存在は不可欠なのだと私は判断しました」

 

 

ここまで言われればさしもの厚生大臣も納得せざるを得ない。

 

 

「今回の件、第1級の国家機密として、扱いには厳重に注意すること、封印期間は魔帝戦集結までとします」

 

 

ここにカナタ大統領の決定によって、ここまでの内容を機密化することを決定。魔帝戦まで然るべき手段をとることとなった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

一方、鳳翔と多元は

 

 

「テレビ観ますか?」

 

「いいですね」

 

 

肩をくっつけて仲良く並んでテレビを見ていた。

 

ちょうどテレビでは、テニスの試合が放送されていた。

 

 

「鳳翔さん。テニスはお好きですか?」

 

「やってみたいとは思うんですが、手ほどきしてくださりますか?」

 

「もちろん」

 

「じゃあこの後、行きましょうか?」

 

「はい!」

 

 

密着しながら話す両名。

 

うーんこの……、なんとまぁ仲良くやってるのはいいんだが、マジでイチャつきがすんごい。

 

前の夜2桁に及ぶ夜戦(意味深)やってたってマ?

 

 

「あっ、ニュースやってる」

 

 

チャンネルをいじっていた多元が発見したのはロデニウス連邦共和国の軍事に関するニュース。

 

 

「ロデニウス連邦共和国政府は、軍備拡張のため、本日、空母4隻と戦艦6隻の進水を公開しました」

 

 

映像が切り替わり、ロデニウス級航空母艦4隻の船体が進水する。

 

 

「フォッケン、クワァントー、テンシェー……、後は対潜哨戒向けの小型空母か、それにゼルゲート計画も進んでいたのか」

 

「ゼルゲート計画……、ゼルゲート議員が提唱していたアレのことですね?」

 

 

ゼルゲート計画とは、軍人系貴族のゼルゲート貴族院議員からの提案によって計画された戦艦整備計画。

 

多種多様な戦場に対応するために、様々なタイプの戦艦の建造に向かったのだ。

 

 

「進水したのは1番艦から6番艦までか……、ホント建造速度早いよなぁ、平河くんは素で時間断層でも持ってるのか?」

 

 

進水したのは次のタイプ

 

指揮統制型

 

1番艦「ゼルゲート」(ほぼゼルグート)

全長 400m

最大幅 150m

全高 60m

速力 30ノット

機関 核融合炉

武装 490mm四連装砲×5門、57mm速射砲×4基、短魚雷発射機×2基、CIWS×2基、VLS 64セル×2

艦載機 無し(但し艦後方にヘリポート有り)

見た目 ゼルグート級みたいだが、水上艦艇にするにあたって変更点有り、ゲルバデス級なんかも参考にされている

特徴 指揮能力、単純な砲戦火力以外はかなり低いが防御は硬い

レーダー類等 汎用護衛艦並

 

2番艦「ドルメーズⅢ世」(ほぼゼルグート)

 

 

 

砲撃型

 

3番艦「播磨」(近代化改修した通常戦艦)

全長 330m

最大幅 45m

高さ 70m

速力 33ノット

機関 核融合炉

武装 51cm3連装砲×4基、76mm速射砲×10基、30mm機関砲×8基、複合CIWS×6基、VLS 200セル、魚雷発射管×2基

艦載機 ティルトローター機2機、UAV4機

見た目 近代化改修された二次大戦の戦艦に近い

特徴 奇を衒ってない分バランスが良く、優秀。だが、その見た目故にステルス性は他に劣る。

 

4番艦「摂津」(近代化改修した戦艦)

 

 

 

潜水戦艦型

 

5番艦「ツェマヴァルト」(ズムウォルト拡大型、精密射撃型、潜水戦艦)

全長 270m

最大幅 40m

全高 20m

機関 核融合炉

速力 水上33ノット、水中30ノット

武装 艦首魚雷発射管×6門、収納型38cm単装レールガン×2門、VLS 96セル、格納型SeaRAM×2基、後部魚雷発射管×4門

艦載機 UAV×6機

見た目 ズムウォルト級を大型化し潜水可能にしたゲテモノ

レーダー類 潜水艦と駆逐艦のものを併設

特徴 潜水することでレーダーをかいくぐろうという考えの元建造された究極のステルス、一方、戦艦のくせに直接撃ち合うのは苦手、でも潜るだけあってそれなりに硬い

 

6番艦「ミッシェリー・モンスーア」

 

 

 

「提督、そういえば、私のところの隊長さんが来てるんですよ、会って貰えますか?」

 

「えっ?、いいけど」

 

「下のエントランスにいるので、そちらで会ってください」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「よう!、提督!、顔色は大分戻ったみたいだな」

 

「苦労をかけたな、それよりお前は訓練をしてなくていいのか?」

 

「ん?、どっかの誰かさんの命令に虚偽報告したせいで小隊仲良く停職処分中だからな」

 

「すまない……」

 

「いや、まあいいさ、俺が決めたことだ」

 

「そうか……、それより話って何だ?」

 

「まぁ、立ち話もなんだし、座ろう」

 

 

ホテルのエントランスの椅子に座る多元と隊長。

 

 

「提督、単刀直入に言おう。お前にお艦を任せたくない」

 

「はっ?」

 

「わかるだろ、俺たち下の人間が、今回の件でどれだけ振り回されたか、司令代行はお艦の存在が不可欠だと言ってはいるが、俺やお艦の航空隊の面々はそう簡単には同意できない」

 

 

それは、長らく鳳翔の元で仕えていた鳳翔航空隊の隊長故に言える内容だった。

 

自分たちにとって大切なお艦だからこそ、その相手の見極めには慎重だった。

 

無論、お艦には内緒である。

 

 

「お前たちの言い分はわかった、だが、俺にどうしろと言うんだ?」

 

「俺たちはお艦の気持ちに逆らうつもりは無い。だが、俺たちはお艦のそばにいる存在として、提督が相応しいのか見極めたい。提督としての技量はこの際置いておくとして、多元実という1人の男としての覚悟を見たい。

 

 

そこでだ……

 

 

提督、空を飛んでみるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 






はい、というわけで、数話ほど主人公の内面に迫る話題でしたが、ここで一旦本編を中断して、次回は夏休み企画ということで、本作以外の自分の作品から人(?)を呼んでこようと思います。

というわけで夏休み企画をお楽しみに!


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夏休み企画
夏休み企画 夏休みだよ!、全員集合!(その1)





というわけで、夏休み企画ということで、私の作品「最強の艦娘と唯一の艦息」と「トレセン学園で数学教師をしていたらいつの間にかサトノのトレーナーになっていた件」から3人(?)を呼んできました。


夏休み企画は本編とのリンクはありませんので、最近のキツイ展開を見ていた方はどうぞ肩の力を抜いてご覧下さい。







 

 

ロデニウス連邦共和国沖、南西300km

 

 

「んっ………、ふあああ、あれ?ここはどこだ?」

 

「おはようございます。艦長」

 

「ん?、副長か、ここはどこだ?」

 

「あなたの艦内ですよ、ゆうなぎ艦長」

 

「えっ?、俺の艤装の?」

 

「ええ、我々も気づいたら艦内に居ました」

 

「状況は?」

 

「私ども含め、現在全員がこのゆうなぎに乗船していますが、座標が分かりません」

 

「分からない?、多元さんの低高度衛星とのデータリンクがあるはずだろ?」

 

「ええ、それが無いんです。というか、ここが地球かどうかも怪しいんですよね……」

 

「えっ?、そいつはどういうことだ?」

 

「分かりません。とりあえず艦橋に来てください」

 

 

言われてゆうなぎと呼ばれた男は立ち上がる。

 

彼は艦息だ。

 

 

いわゆる現代とほぼ同じ世界に現れた深海棲艦の猛攻に対して、少しでも頭数を増やしたかった各国は、人工艦娘の製造を試みた。

 

だが、結果は失敗。

 

製法としては、深海棲艦から得られた細胞を培養し、一定レベルまで体を鍛え上げた女性に培養したそれを埋め込むのだが、この細胞との適合が上手くいかず、適応障害で死亡したり、凶暴化して深海棲艦になるものも多かった。

 

そこで、この世界に辿りついた転生者達が各々の会社から出向する形で設立された企業、新日本重工は、新たなアプローチを取る事にした。性別の枠を越えて、新しく人工艦娘プロジェクトを進める。すなわち、従来の女性を使う試みではなく、男性を使って艦娘……、いや艦息を作る試みを行ったのだ。

 

その結果誕生したのが、現在この異世界にやってきたゆうなぎなのだ。

 

 

全長 190m

最大幅 25m

機関方式 統合電力システム

速力 35ノット

兵装 60口径203mm単装速射砲(毎分15発)×1基、76mmスーパーラピッド砲×2門(実物における艦橋前部)、57mm速射砲×2基(実物におけるヘリ格納庫上部)、SeaRAM×1基(実物における艦橋前部)、21連装RAM発射機×1基(実物におけるヘリ格納庫上部艦橋側)12.7mmRWS×4基(実物における両舷に二基ずつ)、Mk41 VLS(96セル)(前に64セル、ヘリ甲板後方に32セル)、対艦ミサイル専用VLS(32セル、改装前のMk41に配置)Mk57 VLS(24セル)(ヘリ甲板両脇に装備)、三連装短魚雷発射管×2基、艦首魚雷発射管×6門

艦載機 哨戒ヘリ1機

その他 もがみ型同様にフィンスタビライザーを搭載している

見た目 海自が計画中のイージスシステム搭載艦のイメージを踏襲しつつ、あたご型、ズムウォルト級、アンドレア・ドーリア級の武装配置を参考にしている。

 

 

まぁなんともいえぬ近接特化のイージス艦なんだが、そんな事はこの際些細なことでは無い。

 

 

「地平線が……、遠くなってる……」

 

「地球外の可能性もあります。どうされますか?」

 

「全艦警戒態勢。なんでもいいから人工衛星との通信ができないか確かめてくれ」

 

「了解!」

 

 

そう言われて妖精たちが慌ただしく動き出す

 

 

「副長、燃料並び弾薬食料は?」

 

「燃料に関しては経済航行でだいたい1000kmです」

 

「弾薬は?」

 

「VLSにフルで搭載してありますが、対空ミサイルに限ってカウントするとSM-6が70発程度、ESSMは32発で、その他ミサイルはアスロックが16発、トマホークが8発、対艦ミサイルは極超音速タイプが8発、通常タイプが24発です」

 

「弾薬は問題無い訳だな?」

 

「はい、ですが、問題は食料です」

 

「何日分だ?」

 

「3日から5日程度です」

 

「不味いな……、SH60K出せるか?」

 

「行けます」

 

「よし、場合によってはすぐに上げる。準備させろ」

 

「了解!」

 

「艦長!、衛星の存在が確認できましたが、それよりまずいです!」

 

「どうした!?」

 

「後方より木造船接近中!、海賊かもしれません!」

 

「何!?」

 

「国旗が掲揚されていません、武装も確認できます。艦長指示を!」

 

「総員戦闘配置!、スピーカーによる警告を!」

 

 

言われてすぐに行動に移る。

 

 

<<こちらは日本国海上自衛隊所属、艦娘部隊、呉鎮守府特務艦隊所属のイージスシステム搭載型護衛艦「ゆうなぎ」である。そちらの木造船は本艦に近づきすぎている。直ちに進路を変更せよ、繰り返す。直ちに進路を変更せよ>>

 

「艦長、依然接近中!、艦首にはバリスタが備えられている模様!」

 

「……、振り切れるか?」

 

「いけます」

 

「よし、進路このまま、速度で振り切る」

 

 

速度の差を活かしてそのまま振り切るゆうなぎ。

 

 

「艦長!、正面に木造船!、後ろのと同じやつです!」

 

「ちっ!、不味いな」

 

 

見れば前にも似たような見た目の木造船が広がりながら接近している。

 

 

「ちっ……、最終警告だ」

 

「艦長!?」

 

「警告射撃と最終警告をしろ、その後も変化が無ければ攻撃開始」

 

「しかし!」

 

「自衛隊法95条並びに対特殊生物対策法の艦娘の自己防衛に関する項目が根拠だ」

 

「はっ!?」

 

「これから行う武力行使は、我々の武器たるこの船を守るためと、艦息である俺の命を守るために使う」

 

「りょ、了解!」

 

「全周波数帯にて通達。本艦はこれより日本国が定めた法律に基づき場合によっては敵船を攻撃する。周囲を航行中の船舶、航空機は注意を」

 

「了解!、直ちに通達します」

 

 

<<こちらは海上自衛隊所属艦娘部隊呉鎮守府特務艦隊所属、イージスシステム搭載型護衛艦「ゆうなぎ」である。本艦に異常接近中の船舶に対して警告射撃を行った後に、場合によっては撃沈する。これは本艦の所属する日本国における法律に則った正当な自己防衛である。周囲の船舶並びに航空機は砲撃や銃撃に警戒し、場合によっては進路を変更せよ>>

 

 

続けて接近中の木造船に最終警告をする

 

 

<<これ以上の接近をした場合、もしくは今後何らかの形で攻撃をした場合、こちらは自己防衛の必要性からそちらを撃沈する、これは最終警告だ!>>

 

 

だが、なおも接近する木造船、回避行動を執るが、遂に……

 

 

「撃ってきました!」

 

「警告射撃の後船体射撃!」

 

 

遂に武力行使に動くゆうなぎ、果たしてどうなる……

 

 

 

 

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一方、ロデニウス大陸某所

 

 

「あれ?、ダイヤさん、なんか風景が……」

 

「はい、不思議ですね……、さっきまでお出かけをしていたはずなのに……」

 

「もしかして、異世界転移かな?」

 

「トレーナーさん?」

 

「いやね、学生時代によく読んでいた本の中にこんな感じである日突然異世界転移しちゃう作品を読んでいてね」

 

「へぇー、今度読んでみたいです」

 

「ま、それはそれとしてこの状況どうするか……」

 

「あっ!、トレーナーさん!、私のカバンからこんなものが」

 

「うん?、どれどれ……」

 

 

ダイヤのカバンの中に青色の紙がある。

 

表には謎の言語(読者諸君に言えば大陸共通語)が書いてある。

 

 

「ん?、なんだこの字、マジで異世界来ちゃった感じなのか?」

 

「あっ!、でも裏に日本語で何か書いてありますよ!」

 

「読んでみて」

 

「えーっと<<幌筵泊地の諸君、以下のバーコードを指定の機械に読み込んでくれ、持ち主はサトノダイヤモンドと中田洸希。以上物主右作>>です!」

 

「ますますわからんなぁ……」

 

「とりあえず、この幌筵泊地について聞いてみましょうよ」

 

「そうだね、テンプレ通りの異世界転移なら多分言葉は通じるはずだしね」

 

「そうと決まれば……」

 

 

ダイヤが辺りを見渡すと、弓道着を着て山盛りのポテトを食べている女性が居た。

 

 

「すみませんちょっとよろしいですか?」

 

「ええ、大丈夫ですよ」

 

「この……、この紙に書いている幌筵泊地についてお尋ねしたいんですが……」

 

 

紙を見た女性、言ってしまえば赤城なのだが、紙を見て驚いた。

 

(艦娘含め幌筵泊地一同は大陸共通語について勉強済みである)

 

 

「幌筵泊地!?、私の所属している泊地ですよ!、どうしたんですかこの紙!」

 

「えーっと、私もなんだかよく分からないんですけど、気がついたらここにいて、カバンの中にこの紙が……」

 

「あっ、ダイヤさん、僕もこの紙ありましたよ!」

 

「そうですか!、良かった」

 

「お二人の出身は?」

 

「日本ですが……」

 

 

さらに驚く赤城。

 

 

「そうなんですか!?、ちょっと待ってください。すぐに提督に連絡を取りますから」

 

 

そう言いながらスマホを取り出す赤城。

 

 

「もしもし……、はい、赤城です。転生者と見られる方が居ます。………はい……至急回収をお願いします」

 

 

すぐに電話を切ると赤城は2人に振り返る

 

 

「急ですみません、私は幌筵泊地所属、赤城です。これより提督の元に向かいますので私についてきてください」

 

 

そう言って赤城はスマホを操作する

 

 

「隊長さん、車回してください、場所は○○○○……」

 

 

すぐに、日本と同じような車がやってくる。

 

 

「乗ってください」

 

 

言われて乗り込むと、すぐに赤城がスマホを持って助手席から身を乗り出してくる。

 

 

「紙とお顔を撮らせてもらっていいですか?」

 

「どうぞ」

 

 

撮った写真は幌筵泊地で絶賛執務中の多元に送られるのだった……

 

 

 

 

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幌筵泊地地下司令部

 

 

「ではこれより緊急転生者会議を始める」

 

 

多元の言葉で始まった転生者会議にて、多元は開幕早々グランドスラム並の爆弾を投下する

 

 

「30分前、ロデニウス大陸の艦娘療養指定地域にて新たな転生者らしき存在が確認された。男とケモ耳の付いた女性だ。男性の名前は中田洸希、女性の名前はサトノダイヤモンドだそうだ」

 

「中田くん!?」

 

「どうした真多くん」

 

「あ、あの!、その人の写真ってありますか?」

 

「まもなく送られてくるが……、それがどうした?」

 

「もしかすると……、僕の高校時代の同級生かもしれません」

 

「同級生!?、同級生がケモ耳の女の子と一緒に異世界にやってきたってのか!?」

 

「分かりません……、でも名前だけなら僕の高校時代の同級生と同じ名前です」

 

 

と、パソコンを操作していた転生者が声を上げる

 

 

「赤城さんからのデータ来ました!」

 

「どれどれ……、真多くん、どうだ?」

 

「間違いありません、中田くんです!」

 

「よしわかった。つまり、状況証拠から察すると、何らかの世界線に居た真多くんの同級生が、その世界のケモ耳の女の子と一緒に来たってことだな?」

 

「はい、そうなりますね……」

 

「問題は……、この時期になんで来たんかってことだ、確か今は夏……、ん?、ちょっと待て2枚目の紙を見ろ」

 

「あっ」「あっ」「あっ」

 

「そういう事か……」

 

「あんにゃろぉ……」

 

 

何人かが察し、多元は顔を歪ませる。

 

 

「おい、大和に連絡しろ、物主のバカは来てるかって」

 

「あ、はい」

 

「俺は本人を探す」

 

 

そう言うと甲冑に身を包む多元。

 

 

「て、提督??」

 

 

なんかもう展開が読めてきた……

 

 

「とりあえず、中田さんの対応は真多くんと平河くんに任せる。データの解析を急げ」

 

 

そう言うと、多元は地下司令部の扉をぶち開けて

 

 

「うp主のバカはどこいった!!(╬◣Д◢)」

 

 

甲冑姿のまま走り出した。

 

 

「えっ!、提督!?」

 

「物主のバカはどこいった!!(╬◣Д◢)」

 

「さ、さっきまで大和さんのところに居ました!」

 

「(`Д´)……チッ!!!!、逃げやがったな!!、こんなところでふざけてるから必修の単位落とすんだぞクソッタレ!!」

 

(個人情報バラすなByうp主)

 

<<提督!、戻ってきてください!、演習中の幌筵洋上打撃航空艦隊から通信!、所属不明艦が海賊船と交戦していたとの事!>>

 

「何!?、(・д・)チッ、命拾いしたな」

 

 

急いで地下司令部に戻る多元。

 

 

「所属不明艦は?」

 

「本人は海上自衛隊の艦娘部隊所属を名乗っています」

 

「幌筵洋上打撃航空艦隊に偵察に向かわせろ、吹雪、睦月に出撃命令を出せ幌筵泊地に連れてくるためにも案内しろ」

 

「はっ!」

 

 

 

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幌筵泊地に通信の入る少し前

 

 

「敵船を全て撃沈!」

 

「救助の準備を、ヘリとボートを出せ」

 

「それが……」

 

「どうした?」

 

「レーダーに感あり、大型の爆撃機と見られるものと、ステルス機を含む大編隊が接近中です」

 

「木造船の次は航空部隊か……、対空戦闘用意、ただしこちらからは仕掛けるな」

 

「了解、警告を送ります」

 

<<こちらは日本国海上自衛隊所属艦娘部隊、呉鎮守府特務艦隊所属イージスシステム搭載型護衛艦「ゆうなぎ」である。貴殿の飛行目的と官姓名を答えろ>>

 

<<こちらは幌筵泊地所属幌筵洋上打撃航空艦隊、現在訓練中である。貴殿への攻撃の意図は無い。状況を説明されたし>>

 

 

 

 

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幌筵洋上打撃航空艦隊がゆうなぎを見つける少し前

 

 

<<トリガー、お前が実技担当で、俺が教官とはな、ああいいさ、それで、お前はとことん無口だからな、必要以外全くっていいほど喋らないんじゃ、教官としては不向きだろうな>>

 

<<……カウント……>>

 

<<ん?、ああ、こっちでも確認した、早期警戒管制機、そっちから何かあるか?>>

 

<<木造船らしきものが近くにいる。動きからして戦闘中だ、すぐに向かってくれ>>

 

<<はいよ!、全機訓練中止、不審船に対処する>>

 

 

すると、すぐに不審船から通信が入る。

 

 

<<こちらは日本国海上自衛隊所属艦娘部隊、呉鎮守府特務艦隊所属イージスシステム搭載型護衛艦「ゆうなぎ」である。貴殿の飛行目的と官姓名を答えろ>>

 

<<(トリガーより俺が答えるべきか……)、こちらは幌筵泊地所属幌筵洋上打撃航空艦隊、現在訓練中である。貴殿への攻撃の意図は無い。状況を説明されたし>>

 

<<応答感謝する。現在こちらは正体不明の現象によりさまよっている状態である。そちらから情報提供と補給を受けたい>>

 

<<了解した。上に伝える>>

 

 

そこで通信は終わった。

 

 

 

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「ふぅ……、穏やかに話が出来る相手で良かった」

 

「みたいですね……」

 

「漂流者の救助は?」

 

「ダメです。自決しています」

 

「そうか……、報告書をまとめてくれ」

 

「了解」

 

「進路このまま、相手側の出迎えがあるはずだ」

 

「はっ!、しかし……、幌筵泊地ですか……」

 

「確か第二次世界大戦までの日本軍の泊地ですよね?」

 

「ああ、確か深海棲艦との戦いにおける国連軍撤退とロシアの島嶼部放棄に伴って一時的に管理権を移譲されたとはいえ、泊地は設立されてないはずなんだがなぁ……」

 

「いずれにせよ、我々とは違う存在なんですかね?」

 

「多分な」

 

 

そうこうしていると、護衛艦らしき艦艇が2隻来た

 

 

<<幌筵泊地所属、駆逐艦吹雪です!>>

 

<<同じく幌筵泊地所属、駆逐艦雪風です!>>

 

 

無線を聞いたゆうなぎと副長妖精は驚いた

 

 

「吹雪!、雪風!、この声、まさか艦娘!?」

 

「艦長!、雪風と言えば呉鎮守府にいたはずでは?」

 

「いや、幌筵泊地所属と言っている以上、もしかしたらパラレルワールドの艦娘かもしれん」

 

「そ、そうですね、とりあえず応答お願いします」

 

 

言われてゆうなぎが無線を取る

 

 

<<こちらは日本国海上自衛隊所属艦娘部隊、呉鎮守府特務艦隊所属イージスシステム搭載型護衛艦「ゆうなぎ」である。貴殿の出迎えに感謝する>>

 

<<うちのしれーが言ってたんだけど、青い紙があったら両面写真を撮って送って欲しいって>>

 

<<青い紙??[艦長、ありました、艦長のお部屋に][何?、そんなもの置いたつもりは無いが……、まぁいい]見つかったようだ、今送る>>

 

 

ゆうなぎから送られた写真は幌筵泊地にいる多元に向けて送られた。

 

 

 

 

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雪風と吹雪が出発するすこし前

 

 

「では、2人には例の軍艦の誘導を行ってもらう」

 

「はい!、司令官!」

 

「頼んだぞ」

 

 

そう言って2人を見送る多元。

 

地下司令部にて対応を検討していた多元だが、突如現れた転生者と軍艦に対して各種手続きを行うために執務室に戻っていた。

 

 

 

 

そして………

 

 

 

 

「提督、まもなく赤城さんのヘリから中田さんが到着されます」

 

「わかった、すぐ行く」

 

 

執務を切り上げ、ヘリポートに向かう多元。

 

向かった先には既にヘリが来ていた。

 

 

「はじめまして、幌筵泊地の司令官の多元実と申します」

 

「はじめまして、トレセン学園中等部非常勤数学教員兼トレーナーの中田洸希と申します」

 

「はじめまして、サトノダイヤモンドです」

 

 

簡単な挨拶の後、執務室に向かう3名。

 

 

「(結構若い方なんですね)」

 

「(軍人だからね、あんまり年寄りでもダメなんでしょ)」

 

 

多元の後ろで話す2人。

 

 

「こちら執務室になります。お2人は紅茶とコーヒーどちらにされますか?」

 

「紅茶でお願いします」

 

「了解しました。鳳翔さん、3人分の紅茶を」

 

「わかりました」

 

 

鳳翔は今退出したところなのでお茶は届かないが、とりあえず話をはしめる。

 

 

「お2人はいわゆるウマ娘がいる世界からやって来られたということで間違いないですね?」

 

「はい」

 

「我々幌筵泊地は、元々は20世紀に存在していた千島列島の先端にある小さな泊地、幌筵島に泊地を構えていたんだ。そして、我々の世界では、深海棲艦と呼ばれる謎の生命体が暴れ回っていた」

 

 

多元は話せる限りの全てを話した。転生者のこと、幌筵泊地で何が起きていたのか、そして異世界への再度の転移。

 

 

「なかなか大変な生活をされていたんですね……」

 

「まぁもう慣れたがな」

 

 

それでだ……、と多元は続ける。

 

 

「我々としては君たちを受け入れることは出来るが、1つ確認したい、真多獅郎という男を知ってるか?」

 

「真多君!?、もしかしてめちゃくちゃ頭の良かった真多君のことですか!?」

 

「ああ、恐らく君の推測通りの人物だ。君に会いたいと言っているが、1つ気をつけて欲しい」

 

「何です?」

 

「我々は君たちと少し違う世界からやってきている。だから細部の記憶などで差が出てくることもあるだろう。或いはその時にショックを受けるかもしれないが、気をつけてくれ」

 

「わかりました」

 

「では、君たちの部屋を部下に案内してもらう。私は仕事があるから失礼するよ」

 

 

そういうと多元は、地下司令部へと戻る。

 

 

「………、重武装のイージス艦、一体何者なんだ……」

 

 

 

 






1話で終わるはずが、考えていたらどんどん膨らみました。


多分3話くらい続きます。


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夏休み企画 夏休みだよ!、全員集合!(その2)



はい、というわけで第2回、今回はウマ娘メイン回となります。


が、その前に例のイージス艦を迎えに行きます。






 

 

 

「それで?、例の重武装イージス艦っていうのは艦息と名乗っていたんだって?」

 

<<はい、なんか私たちのことも知ってそうな素振りを見せていました>>

 

「ふーん……、つまるところ、彼もパラレルワールドの人間ってわけだ」

 

 

元々、多元達が最初に転移していた1940年代の世界では、平河や小玉を中心に、いわゆるパワードスーツ的なノリで量産型艤装なるものが作られていた。

 

ただ、それは沿岸戦闘艦レベルの性能に留まり、本格的な交戦能力を持つ艤装は量産性や、肉体への負荷(こっち理由がデカい)の都合で実現しなかったのだ。

 

 

「例の青い紙ってのはあるのか?」

 

<<写真をもらいましたよしれー>>

 

 

受け取ったデータを見ていると、あることに気づいた。

 

 

「これ……、俺達が魔改造したってことになってるな……」

 

「あ、提督、この主砲……」

 

「平河君何かわかる?」

 

「ええ、アメリカ軍で開発されていた8inch砲です」

 

「ふむ……、採用されていないということはお察しというわけか……、平河君。もし君がこれを開発するとしたらどういう状況かな?」

 

「対艦ミサイルを使うまでもない戦場や、対艦ミサイルだけでは決定打に欠ける相手ですかね………あっ」

 

「どうした?」

 

「以前、艦娘への魔改造案として8inch砲を積んだ試作案があったんですよ、もし、別世界線の私なら直接打撃能力を上げるために搭載したということも有り得るかもしれません」

 

「ちなみにそのときはどうして積まなかったんだ?」

 

「本土からの航空支援や、空母の航空支援が受けられるからというのが理由です。もし、深海棲艦に対する航空攻撃が我々の泊地ほど確立されていない環境なら、主砲火力も上げることで単艦での戦力を引き上げますから」

 

「ま、そもそも俺たちみたいな連中が規格外だからな」

 

「それはそうと、彼の処遇についてはどうします?」

 

「国防省は俺たちに任せるとさ、いいんじゃないか?、場合によっては訓練担当にでも回ってもらえば」

 

「そうですね……」

 

 

そうこうしていると、例のイージス艦が入港していた。

 

 

 

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「すごいですよ艦長!、イーグルにライトニング、ヴァイパーゼロにスーパー改、ラプター、ホーネット、ライノにタイフーン、ラファールにグリペンまで、西側だけでも沢山居ます!!、おっ!、こっちには東側!、ジュラーブリクにフェロンに殲撃10、31や20、フランカーシリーズだけでも相当居ますって!」

 

「副長落ち着けって」

 

「落ち着いていられますか!、ストラトフォートレスにランサー、スピリット、バックファイヤー、ブラックジャック、アードヴァーグなんかも揃ってるなんて、常任理事国の空軍戦力だってこんなに居やしませんよ!」

 

「確かに、揃えてる戦力がどれも東西双方で主力で用いられてきた機体ばかりだ。泊地と名乗る割にめちゃくちゃ戦力高いな……、普通に自衛隊の総戦力まで越えていないか??」

 

「あ、あっちに10式も!、12式や03式までいますよ!」

 

「機甲戦力や地上発射兵器まで充実してるなんて、さながら1つの国家だよな」

 

「君が噂のイージス艦の艦長かね?」

 

「はっ!、イージスシステム搭載型護衛艦、DDG-100「ゆうなぎ」と申します………って多元さん!?」

 

「あー、やっぱり俺たちが関わってるんだ……」

 

「関わってるって何ですか!、それになんでこんなところに!?、というかこの間の麻雀勝ったんですからアイス下さい!」

 

「あー、ゆうなぎ、一旦落ち着け」

 

 

 

 

~かくかくしかじか説明中~

 

 

 

「なるほど……、じゃあ多元さん達新日本重工の皆さんがパラレルワールドの存在ということですね?」

 

「理解が早くて助かる」

 

「なるほど……、これでは賭け麻雀の報酬は請求出来ませんね」

 

「突っ込むとこそこかよ!?」

 

「あ、いえ、僕の元いた世界の多元さんには随分とお世話になっていましたから」

 

「高校生に賭け麻雀教えるとか別世界線の俺大丈夫か……?」

 

「この反応やっぱりいつもの多元さんですね」

 

「あ、ああ、とりあえず君は幌筵泊地司令部直属ということで加わってもらう」

 

「はっ!、イージスシステム搭載型護衛艦「ゆうなぎ」、幌筵泊地に着任します!」

 

「よろしく頼む」

 

 

 

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ロデニウス連邦共和国大統領官邸

 

 

「………、以上で報告を終わります」

 

「ご苦労さまです。それで……、その3人とイージス艦については大丈夫ですか?」

 

「問題ありません。この世界のあらゆる文明……との関わりがない上、我々と似たような文化圏で生きていたことは閣下もお読みになられたでしょう」

 

「そうですか……、実は、ロデニウス連邦共和国外務省にムー国教育省がムー国外務省を通じてあることが伝えられています」

 

「あること?」

 

「こちらを」

 

 

そう言われて、カナタ大統領は多元に手紙を渡す。

 

 

「……、なるほど、それで今回の措置という訳ですね?」

 

「理解が早くて助かります。何分急なことではありますがよろしくお願いします」

 

「わかりました。本人達への説明と、本人からの承諾の上で改めて連絡を入れさせていただきます」

 

「頼みます」

 

「はっ!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

「はっ、はっ、はっ……」

 

 

幌筵泊地の全天候型グラウンドを走るサトノダイヤモンド。

 

 

「うん、タイムは短くなってるね、一旦休憩しよう」

 

「はい!」

 

 

タオルを受け取り、汗を拭きつつ、水分補給をしっかり行っていると、その場に多元がやってきてた。

 

 

「あっ、多元さん」

 

「お疲れ様です」

 

「すまない2人とも、邪魔してしまったかな?」

 

「いえ、ちょうど休憩中でしたので」

 

「そうか、ではちょうどいい、君たちに我がロデニウス連邦共和国陸上長距離代表としてムー国で行われる国際体育大会に出場してもらいたい」

 

「国際体育大会??」

 

「昨日の説明会で読んでもらった通り、この世界にはムー国という我々の住む地球と同じルーツを持つ人々が居る。彼らは現在は国際的な立場も大きく、その立場故に、友好国から優れた選手を招いて体育大会を開いているのだ。今年はロデニウス連邦共和国からも人を呼ぶことになったのだが、ここで1つ問題がある」

 

「と言うと?」

 

「我が国には多種多様な人種がおり、今回はその中から選抜レースをすることで人員を確保したはずだったのだが、ムー国側から急遽、長距離選手を出して欲しいと言われた」

 

「なるほど」

 

「元々、我が国ではスポーツを専門にする団体も少ない上、国際大会となれば中途半端な人材ではダメだ」

 

「そこで……、ダイヤさんというわけですか?」

 

「そうだ、距離2400、天然芝のグラウンドとなる。やれるか?」

 

「構いませんが……、彼女は今、勝負服もレース用の蹄鉄もありませんよ?」

 

「それは心配いらない。我々は転生者だ」

 

 

と、幌筵泊地転生者縫製部の女性縫製員が勝負服を持ってきた。

 

 

「朝起きたら縫製部の机の上に設計図があったそうだ」

 

 

(つまり作者のせーへき)

 

 

いつの間にか、移動式の試着室まで用意されている。

 

 

「ちょっと着てきますね」

 

「切り替え早いね……、で、そっちがシューズですか?」

 

「うちで採れた鉱石から最新の金属加工技術によって製造されたガンダリウム合金だからね、軽くて丈夫だ」

 

「そのうちモビルスーツ作りません??」

 

「似たようなやつの計画はある」

 

「戦術機ですか?」

 

「おっ、腰掘と話し合いそうなやつ来たな」

 

「いや……、えぇ……」

 

「とりあえず、これも使ってみてくれ」

 

 

そうこうしていると、ダイヤは勝負服に着替えた。

 

 

 

<<髪飾りはそのままに、勝負服は白と黒を基調としたものとなっており、首から胸元には、いつもの勝負服の飾りを黒色にし、光り輝くダイヤモンドをレース状の飾りで囲んでいる。>>

 

<<白いシャツは、所々に模様が縫い付けられており、所々で彼女の魅力を引き立てる。>>

 

<<一方、軽量化のためか、お腹は丸出しになっており、くびれのある綺麗なお腹を見ることが出来る。>>

 

<<手の手袋は、黒であり、模様を編み込んでおり、その生地のうすさからうっすらと肌が見えるのが、見るものを引きつける>>

 

<<スカートは縁にレースがつき、その少し上に金色のラインが入る。そして、その足はぴっちりとした黒色のタイツで覆われている>>

 

<<そして、靴は品のある見た目となっているが、軽量化がなされており、着用者に羽がついたような履き心地を提供する>>

 

<<完璧なまで作り上げられた勝負服は、彼女のもつ美しさを最大限に引き出s……>>

 

 

ドンドンドンドンドン!

 

 

と、ここで解説していた天の声(うp主)の部屋に特殊部隊がやってきた。

 

 

「「「「FBI OPEN UP!!」」」」

 

「おっと!、そうはさせねぇ!、今回は推しのために俺の持つ知識をフル稼働させたんだ邪魔させねぇぞ!」

 

「「「「うっせぇ!、へそ出し、黒手袋、タイツ、その他もろもろぶち込んで何がフル稼働だ!、ただの性癖紹介だ!!」」」」

 

「「「開けろ!、死刑だ!!」」」

 

 

ドーン!

 

 

 

「うわぁぁぁ、やめろ、一体何をする……、

 

 

くぁwせdrftgyふじこlp!」

 

 

 

(今回の元凶たるうp主はHK416×8、MP5×12等によって蜂の巣にされました)

 

 

 

まぁ、それはそれとして。

 

 

 

「ダイヤさん、どうします?、こういうのってだいたい異世界あるあるで、だいたい強敵が出てくるのが決まり事、いわゆるジンクスなんですが……」

 

「素晴らしいジンクスですね!、ぜひあやかりましょう!」

 

 

おっと……、そう来たかダイヤちゃん……

 

 

「じゃあ参加しましょうか、多元さん。お願いします」

 

「ああ、任せておけ」

 

 

こうして、サトノダイヤモンドは異世界の陸上競技大会に出場することとなった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

数日後、幌筵泊地所属機機内

 

 

「私がいつも乗るプライベートジェットよりも豪華な作りですね……」

 

「ああ、そういえばダイヤさんもこういうの乗りますもんね……」

 

「本来は最高権力者クラスまでのの前線視察を行うために開発した機体だからな、STOL、ECM、ESM、機動性、通信能力、そして居住性はピカイチだ」

 

「こ、凝ってますね……」

 

「うちの技術者、資材と資金さえあれば無限に極めるヤツらだからな」

 

「えぇ……」

 

 

尚、今回搭乗しているのは、ガルフストリームのG700魔改造機で、増槽や、自衛ミサイル、各種防御装置を積める様に魔改造したものである。

 

 

若干洸希が引いてる気がするが、果たしてそれはダイヤに向けたものか、はたまた転生者に向けたものかは分からない。

 

 

「見えたぞ、あれがムー国だ」

 

 

おおよそ20世紀前半の都市の見た目をした土地が眼下に現れる。

 

 

「あれがムー国なんですね」

 

「ああ、伝説のムー大陸はどうやらここのことらしい」

 

「なんであれ、私はダイヤさんと共に勝ちにいきます」

 

「君たちの奮闘を期待する」

 

 

滑走路の強化された空港に降りる機内で、固い握手を交わした多元と中田であった……。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

それから数日後……

 

 

 

<<世界中の快晴を、ここムー国に持ち込んできたかのような、素晴らしい青空です>>

 

 

ラジオの放送局から流れるアナウンサーの声とともに、ムー大陸全土にわたって国際体育大会の開催が示された。

 

 

プシュ…

 

 

「先輩、乾杯といきますか」

 

「おう、だがまだ仕事があるからな」

 

 

在ムー国ロデニウス連邦共和国大使館の一室で、サイダーの入った缶を開けて(一応仕事中の身であるため、酒は飲めない)ラジオの声に耳を傾ける多元と腰掘

 

 

「サトノダイヤモンドさんと中田さん。頑張って欲しいですね」

 

「まぁ、あの真多くんが<彼が工学や電気の道に本気で進んでいたら富嶽を超えるスパコンの開発は容易い>って言うくらいの秀才っぷりだからな。サトノダイヤモンド曰く、菊花賞も勝ってるくらいなんだから、指導力も確かにあるんだろ」

 

「レースは明後日ですよね?」

 

「予選が明後日、決勝はその次の日らしいな」

 

「頑張って欲しいですね」

 

「ああ、それより……」

 

「例の小惑星ですね?」

 

「ああ、今どこを飛んでいる?」

 

「宇宙部門によると、このままの速度で進めばおおよそ5日後には落着する見込みです」

 

「落着予想地点は?」

 

「ロデニウス連邦共和国本土より南に1500km、佐渡ヶ島並の大きさの島に落ちる見込みです」

 

「迎撃の必要は?」

 

「隕石というのは厄介で、仮に反射衛星砲を用いても破壊は困難であり、むしろ細かく砕けた破片の落下で被害を拡大する恐れがあるとか」

 

「本当か?、ならエラいデカいやつじゃないか!」

 

「それが……、落着地点とされている島は無人島で、粉塵が大規模に拡散されても、大して問題ないということから、放置した方がむしろいいのでは?、との事です」

 

「落着した隕石も調査したいな」

 

「はい、そこで*彼*に仕事を与えてはどうかと」

 

「ゆうなぎか、雪風と吹雪を付けて調査に向かわせろ」

 

「なんか居たら嫌ですね……」

 

「君の隣、戦う度、生まれ変わる……」

 

「カ○ト……」

 

「マジで中から侵略生物出てきたらシャレにならんからな、そのためのゆうなぎ達の派遣だ」

 

 

彼らの最悪の想定は後に具現化することとなる。

 

だが、それに気づいたものは誰も居ない。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

<<国際体育大会、女子長距離部門、2500m予選、まもなくスタートです!>>

 

 

天然芝のグラウンドに選手達が並ぶ。

 

この世界で作られた勝負服に身を包んだサトノダイヤモンドは、周りを見ることなく、ただ前を見ていた。

 

 

パァン!

 

 

競技用の銃の音とともに、スタートした選手達。

 

慣れない人間仕様のスタートに若干スタートが遅れたが、脚質差しの彼女からすればさしたる問題では無い。

 

 

(位置は……ここです)

 

 

後方から少し前、多種多様な種族達12人が走る中で8番目に付けた。

 

 

 

<<選手達は現在1200mを通過>>

 

 

おおよそ中間地点を通過し、ペースを維持できなかった他の選手が垂れてくる。

 

 

(さすがはトレーナーさん、読みが当たってますね)

 

 

レース直前に話していた洸希の話が蘇る。

 

 

 

 

-----------------------------------------------------------------------

 

 

 

「僕が推測するに、この世界での人間工学というか、スポーツ科学という学問は現代の日本ほど発展していないと思う。みんな自分の力を確実に発揮出来るようにはなっていないんだ」

 

「と言うと?」

 

「うん、これを見てほしい、これは昨日の100m走の予選の様子を撮ってもらったビデオだ」

 

 

ビデオを再生すると、選手達は皆バラバラの走り方で、人によってはしっちゃかめっちゃかな走り方をしている。

 

 

「この世界には多種多様な種族がいるとは聞かされていたけど、データを貰えた種族だけ分析……、真多君が居たからね、彼に頼んでスパコンを貸してもらったんだけど、ウマ娘と肉体的に勝っている種族というのは極わずかで、しかも今回の大会に出場しているかと言われると、そうでは無い。はっきり言ってダイヤさんからすれば格下になる」

 

「なるほど……」

 

「そう、だから君には確実に勝ってもらいたい」

 

「はい!」

 

 

 

----------------------------------------------------------

 

 

 

(目指すは勝利です!)

 

 

残り1000mを切った瞬間、ダイヤは勝負に出た。

 

大きく外に出て、一気に選手を抜き去る。

 

 

<<ロデニウス連邦共和国代表、サトノダイヤモンド、あっという間に抜き去ります。後ろの選手は追いつくのか?>>

 

 

追いつけるわけが無い。

 

と、監督室にいる洸希は口にする。

 

 

「ダイヤさんの仕掛けたタイミングは完璧だった、終盤にスタミナを活かしたロングスパートを掛けられる彼女に追いつけるわけが無い」

 

 

その読み、考えは当たっていた。

 

 

かたや、21世紀の最新のスポーツ科学を元に、徹底した分析を行ったウマ娘。

 

かたや、そもそもスポーツ科学という概念すら怪しいレベルの選手。

 

 

どちらが有利かは火を見るまでもない。

 

 

<<大会レコード大幅更新!、ロデニウス連邦共和国代表サトノダイヤモンド、1位で見事決勝進出です!>>

 

 

「トレーナーさん!、見てくれましたか!?」

 

「しっかり見てたさ。よく頑張ったよ、次もあるからゆっくり休んで」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「先輩、ダイヤちゃん、予選勝ったみたいですよ」

 

「そうか、そりゃ何よりだ」

 

 

割と仕事が少ないため、比較的暇になりやすい腰堀に比べて、何処にいても仕事の多い多元だが、大使館で仕事をしながらも、やはり結果は気になるようだ

 

 

「それと……、例の機体、修理がもう少しで終わるみたいです」

 

「そうか…、幌筵空襲での最大の被害がアレだったが、ようやく飛ばせるのか……」

 

「量産体制に入ればどんな機体にも勝てる最強の戦闘機ですね」

 

「そうだな……、ま、何はともあれ、とりあえず俺は今の仕事を終わらせないとな………、そっちの方に手が回せん」

 

「その間は任せてくださいよ」

 

「おう、頼んだ」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

<<女子2500m決勝、今スタートが切られました!>>

 

 

女子2500m決勝は、1番内側でのスタートとなり、囲まれるようにして進んでいく。

 

 

(囲まれてる……、抜け出せない!)

 

 

やはり予選のレースの影響か、周りは思った以上に警戒し、周囲のガードは固く、中々抜け出せない。

 

 

「………、ダイヤさん、抜け出せずに苦戦していますね……」

 

 

レースを見つめる洸希も厳しい反応を示す。

 

 

「苦しそうだな」

 

「多元さん……」

 

「仕事が少し空いたからね、来てみたんだが……、内側しか空いてないね……」

 

「ええ、でも内側はかなりぬかるんでいて、下手に足を取られれば危険です」

 

「しかし、現状狙うならそこしかないだろ」

 

「なんとかして他の選手達の隙間を突くしかないんですが……」

 

「難しいな……」

 

 

多元も大学の友達と競馬に行ったことがあるため、ある程度の知識はある。このレース、サトノダイヤモンドにとってかなり厳しいものになると読んでいた。

 

 

 

が、我らがジンクスブレイカーことサトノダイヤモンドは、こんな程度ではへこたれない。

 

 

 

(確か、皐月賞でゴールドシップさんも似たような現象が……、あっ!)

 

 

見えた一筋の道、一か八かのギャンブル。

 

ジンクスが絡むほど燃えるダイヤは、以前トレセン学園でゴールドシップから聞いた皐月賞での勝ち方を思い出した。

 

 

「狙うは……、ここです!」

 

 

ダッ!、と持ち前のロングスパートで一気に駆け上がる。

 

 

 

 

<<サトノダイヤモンド、内から上がっていきます>>

 

「嘘だろ!?、まさかゴールドシップのアレか!?」

 

「洸希君?」

 

「つまり、こういうわけなんです!」

 

 

 

----------------------------------------------------------

 

 

 

読者諸君の中にはウマ娘ファン、競馬ファンも一定数いるかもしれないが、念の為説明すると、2012年、皐月賞に出走したゴールドシップは、前日の雨で馬場状態が思わしくなく、11Rのメイン皐月賞までに、コース内回りは多くの馬が通過したために芝がボロボロになっていた内側を一気に追い上げて勝ったというまぁなんともえげつない話がある。

 

 

「ゴルシはあのパワーでなんとか押し切ったイメージだが、ダイヤさんだと……、いや、あれは……」

 

 

そう、ダイヤもなんの考えも無く走った訳では無い。

 

前を走る選手と、ボロボロになったコース内側の僅かに空いた隙間に体をねじ込むように走っているのである。

 

 

「凄い……」

 

 

もとより足の速さは折り紙付きのダイヤ。あっという間に先頭に向かった。

 

 

<<これはすごい、サトノダイヤモンドがワープしました!>>

 

 

実況すらそう言ってしまうように、あっという間に先頭に躍り出たダイヤはそのまま着差以上の差をつけて見事ゴールイン。

 

 

見事女子2500mを制したのであった。

 

 

 

「トレーナーさん!」

 

 

レースが終わるなり飛びついてきたダイヤ。

 

 

「ちょ、ダイヤさん!?」

 

「仲がいいな」

 

「多元さん!、茶化さないでください!、ダイヤさんも離れて……」

 

「やーでーすー」

 

「ダイヤさんのお家の方になんて言われるか……」

 

 

名家の娘を預かる立場として不安になる洸希。

 

 

「あ、そうそう……、洸希君」

 

「はい?」

 

「これ、我々幌筵泊地からのささやかなプレゼント、温泉旅行券だ、幌筵泊地の資源関係の連中が、ロデニウス連邦共和国国内で温泉を掘って、箱根温泉みたいな温泉街を作ったんだ、ぜひ楽しんでくれ」

 

「えっ……、あっ……、ありがとうございます」

 

「トレーナーさん!、早速行きましょう!」

 

 

 

結局、この後、終始戸惑ったままの洸希は、サトノダイヤモンドに引っ張られる形で温泉街へと向かったのであった。

 

 

 

 

 







さて、なんかレースの最中に不穏な気配がしますが、次回に持ち越します。

夏休み企画と言っておきながら、9月に投稿する体たらく……、残りもさっさと投稿します。




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夏休み企画 夏休みだよ!、全員集合!(その3)



学生はまだ夏休みだから夏休み企画です(`・ω・´)キリッ✧

というわけでその3です。

隕石の正体がわかります。




 

 

 

 

ムー国で、サトノダイヤモンドが圧倒的勝利を挙げ、その後、ロデニウス連邦共和国の温泉街で中田と共に観光に勤しんでいた頃……

 

 

 

「小惑星、3時間以内に大気圏突入!」

 

「衝突予想範囲の船舶は!」

 

「待避完了!、調査部隊も離れています」

 

「QU-2の上空待機完了、落着後直ちに偵察行動に移ります!」

 

 

幌筵泊地地下司令部では、ロデニウス連邦共和国国防省とデータ共有しつつ、隕石の行方を追っていた。

 

 

「落着、今!」

 

 

白昼に無人島へと落着した隕石は、轟音と共に周りのものを吹き飛ばした。

 

 

「隕石落着!、余波が収まるまで後……、おい嘘だろ……」

 

「報告を!」

 

「はっ!、偵察可能状態まで72時間!」

 

「あれだけの大きさの物体でそれだけだと!?」

 

「なにかの間違いじゃ……」

 

「本当に何も分からないんです!」

 

 

つまり……、と、多元は結論付ける

 

 

「これで、あの隕石が人為的な可能性が確定したわけだ」

 

「相手は何ですかね?」

 

「さあな、隕石にでも聞くしかないな、爆発が収まり次第、直ちに偵察機を向かわせろ、調査部隊に警戒態勢を敷かせろ」

 

「了解!」

 

「カナタ大統領、場合によっては戦闘になる恐れもあります」

 

<<相手に交渉の意思が無いと判断した場合、躊躇なくお願いします>>

 

「了解!」

 

 

その一報は幌筵泊地を通じてゆうなぎ達にも伝えられる。

 

 

「……、つまり相手が敵対意志を持っていたら躊躇するなということですね?」

 

「ああ、友好的な連中ならともかく、アニメに出てくるようなやつの可能性も捨てきれん。十分に警戒してくれ」

 

「了解」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

落着より72時間後

 

 

「無人偵察機、これより偵察を開始します」

 

「調査部隊、海岸線より20km地点に待機中、尚、地表付近の砂埃はまもなく収まる模様」

 

「光学、赤外線の双方を用いて確実に捜索せよ」

 

「了解、捜索を開始します」

 

「退避していた偵察衛星、まもなく上空に到達」

 

上空を飛ぶのはU-2を無人機にしたQU-2である。

 

機体各部のセンサーや、カメラによって地表付近の目標を正確に調査できる

 

 

そして、そこから驚愕の事実がもたらされる。

 

 

「あ、あの構造物は……」

 

「提督、どうします!?」

 

「ゆうなぎ達はなんと言っている!」

 

「偵察機に光学カメラによる偵察を行わせる模様!」

 

「航空隊、発進準備!、全艦緊急出港用意!」

 

「ロデニウス連邦共和国国防省より通達!、先程空軍機が状況確認のため基地を離陸しました!」

 

「どれを出した!」

 

「BP-3Cです!」

 

 

大陸戦争において、爆撃機の必要性を感じたロデニウス連邦共和国は海軍と共にP-3対潜哨戒機を導入、対潜哨戒能力を削いで、爆撃用に仕立てあげたBP-3Cを保有していた。

 

 

「まさか爆装してるのか!?」

 

「はい、無誘導爆弾と、対地ミサイル搭載の機体が半々との事です!」

 

「爆装できる量からして、こっちの奴らの半分以下だろ!、中途半端な攻撃で例のアレが出てきたらどうする!」

 

「国防大臣からの指示だそうです……」

 

 

だが、これを止める余裕は無かった。

 

 

「くっ……仕方ない、こっちも爆撃機を出せ!、但し兵装は射程500km以上の巡航ミサイルだけにしろ!」

 

「了解!」

 

「ゆうなぎ光学カメラの映像、来ました!

 

 

 

 

落着部より手前の構造物……」

 

 

 

それを見た幌筵泊地転生者達は固まった。

 

 

 

要塞級です

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「ゆうなぎ」艦内

 

 

「映像より推察するに、既に師団規模のBETAが展開している模様!」

 

「全艦戦闘配置!、誘導弾並びに主砲攻撃用意!」

 

「ジグザグ航行開始!」

 

「雪風、吹雪も戦闘態勢に移行しました!」

 

 

BETAの厄介さは転生者に混じってアニメを見ていた艦娘もゆうなぎも当然理解していた。

 

 

 

航空戦力を無力化する光線級

 

前面がとにかく硬い突撃級

 

数の多い上、取り囲まれると厄介な戦車級

 

そして、光線級を輸送する要塞級

 

 

それ以外も厄介すぎる奴らが物凄い物量を押し寄せてくる

 

 

「対艦ミサイル、トマホーク、その他地上目標へのロックオン可能な兵器を直ちに投射する!」

 

「57mm、76mm、射程延長弾セット完了!」

 

「吹雪、雪風、攻撃準備完了!」

 

「こちらゆうなぎ、攻撃許可を!」

 

<<現有戦力での交戦は危険すぎる!、撤退しろ!>>

 

「このままではBETAによる本土侵攻になります!、攻撃許可を!」

 

<<最大戦速で離脱だ!>>

 

「有機物に確実に反応するBETA相手なんかに逃げて何とかなるわけないでしょうが!」

 

 

と、ここで、ゆうなぎが飛ばしていた無人偵察機が光線級が無いことを正確に確認した

 

 

「上空にいた無人偵察機より報告!、まだ居ません!」

 

<<仕方ない、増援が来るまで各自攻撃を許可!、攻撃しつつ弾が無くなったらすぐに離脱しろ!、増援はすぐに向かわせる!>>

 

「了解!、攻撃開始!」

 

 

Mk41と、対艦ミサイル専用に設計されたVLSからいっせいに対艦ミサイルとトマホーク、それに対地転用された対空ミサイルも含めた大量のミサイルが発射される。

 

 

「砲撃開始!」

 

「お願い、当たってください」

 

「雪風は沈みません!」

 

 

続けて5inch、8inch、76mm、57mmの各種砲弾が要塞級、突撃級を中心に降り注ぐ。

 

 

「硬い……」

 

「吹雪さん、雪風さん!、攻撃を海岸線の小型種に絞ってください!、大きいのは僕がやります!」

 

 

やはりピンポイントを制圧することを主眼に置いた現代の兵器ではBETA相手の戦闘は難しい。

 

 

「戦艦部隊の増援を!」

 

<<今やってるが、光線級の出現までに間に合わない!>>

 

「じゃあどうするんです!?」

 

<<戦略爆撃機による長距離ミサイル攻撃と、ロデニウス連邦共和国軍の絨毯爆撃だ、光線級出現までに叩く>>

 

「間に合いますかそれ!、戦略核の投入を!」

 

<<今交渉中だ!>>

 

 

北米に落ちた落着ユニットは戦略核の集中運用によって壊滅したのは有名であり、幌筵泊地としてもそれしかないと判断していた。

 

 

「カナタ大統領、事態は一刻を争います。相手は物量が桁違いです。戦略核……、ツァーリ・ボンバωの使用許可を!、4発で終わらせます!」

 

<<多元統合本部長、戦略核含めた核兵器の使用は認められません>>

 

「大統領!、相手はBETAです。その力は恐ろしく、我々の築き上げてきた航空戦力が無力化する恐れがあります!」

 

<<それは以前の世界にいたあなたがたの見ていたアニメでの話です。便宜上そう呼んでいるだけで、本当に同じとは言えません>>

 

「閣下!、既に外見的特徴は一致しています。本当に光線級が出現したら取り返しのつかない事態になります!、BETAの学習速度を元に計算すれば、後4日以内に核兵器による集中攻撃を行わなければ光線級の排出を許し、既存の航空戦力は無力化されます!」

 

<<財務省と国土交通省、経済産業省、文部科学省が、無人島を編入することと、飛来した物体の分析による科学分野における利益について、計算してきています。ここで国防省と幌筵泊地が安易に核兵器を使用すれば、内閣が瓦解する恐れもあります>>

 

「……ここに来て政治ですか!」

 

<<本部長、耐えてください。ココだけの話、予備費から2兆円を幌筵泊地にまわしました。これで別の対策をお願いします>>

 

「………っ!、我々は何でも屋では無いんですよ!、無限に早急に新しい力を生み出せるほどこちらは完璧ではないんです!」

 

 

通信を切り、腰堀を呼ぶ。

 

 

「緊急事態だ、1週間以内に

 

 

第三世代戦術機の製造ラインを整えろ」

 

「わかりました。機体の指定は?」

 

「不知火と建御雷……と言いたいが、それだけじゃ不安が残るな、世代が違うが、ストライクイーグルと本命の不知火、エースパイロット向けに武御雷も用意しろ、政治屋の阿呆で国が滅んでたまるか」

 

「了解、5日で揃えます」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国大統領官邸地下、執務室

 

 

「国防大臣、本部長の話は本当ですか?」

 

「資料とデータを元に分析してみてもほぼ間違いないかと、あれで他人の空似というのは無理があります。中身を分析して見たいという学術的好奇心は尊重したいところですが、はっきりいってそんなことする暇があったら全て燃やすのが先です」

 

「しかし、我が国はそれが出来ない……、能力はともかく意思が揃わないから……」

 

「国防省も予備費として4億を用意しました。内部留保で残しておいた余力で核ミサイル1発にしかなりませんが、無いよりはマシでしょう」

 

「国防大臣、本部長、それに幌筵泊地の他の転生者達が核兵器の使用を考え、訴えるということは余程のことなんですね……」

 

「財務省は基本金を使わないようにする機関です。一方我々は湯水のように金を使ってでも国を守るための機関です。反りが合わないのは当然でしょう」

 

 

財務省などが反対する理由の中には、BETAの脅威が分からないという問題もあった。目に見え、思考することが出来る脅威には人は敏感になるが、そうでないものには鈍感にならざるを得ない。

 

しかし、時にその違いは大きな代償を払うこととなる。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

調査部隊改め、威力偵察部隊の攻撃開始から数時間が経過……

 

 

「ダメだ……、これ以上は弾が無い。撤退だ」

 

「後は航空部隊に任せましょう」

 

「むぅ……、弾切れです…」

 

<<こちらロデニウス連邦共和国空軍爆撃機隊、こちらが引き継ぐ>>

 

「対空砲火が無いとはいえ、油断するな」

 

<<了解した>>

 

 

P-3対潜哨戒機を爆撃機改装したBP-3Cが爆弾の雨を降らせようと無人島に接近する。

 

 

同時刻、無人島沖合500km地点

 

 

「全機、ミサイル発射!」

 

 

幌筵泊地が投入可能な全航空戦力を投入して行われる今回の巡航ミサイル攻撃、何としても光線級の出現までにBETAを掃討するべく、輸送機まで引きずり出している。

 

 

「ヘリオス弾着!」

 

「気化弾爆発!」

 

「クラスター爆弾、小型種を掃討中」

 

 

衛星軌道上の偵察衛星からの情報を元に、徹底的に攻撃を続ける。

 

 

「BETAはどれくらい掃討できている!」

 

「全然ダメです。アイツらかなりの数を抱え込んでいたみたいで、まるで減る気配がありません!」

 

「各種巡航ミサイル10万発は投入される見込みだぞ……、それでも足りんのか……」

 

「本当に最悪の事態を想定する必要があります」

 

「環境汚染を最小限に抑えろとかいう馬鹿どものせいで重金属雲も使えん、それに、誘導兵器をまともに使うのなら、レーザー撹乱剤を作るしかない。真多君!、3日で作れ!」

 

「そんな無茶な!」

 

「急げ!、1日置いたら10万人規模の被害が出るぞ!」

 

「提督!、機種転換対象者は!?」

 

「空母艦載機の連中だ、次点で戦闘機隊の連中」

 

「シミュレーション設備の工事、開始しました」

 

 

例の無人島に落着した落着ユニットはおそらく偵察の始まるまでの3日間に大量のBETAを生産していたに違いない。

 

大量の巡航ミサイルとロデニウス連邦共和国空軍の爆撃機からの爆撃も受けているため、数が減ってもいいはずだが、一向に減る気配がない。

 

 

「クソっ、なんつー物量だアイツら!」

 

「ヘリオス弾頭と気化弾の増産も急がせろ!、核を使えない以上、破壊力で通常弾上回るものをどんどん回せ!」

 

「なんならハイヴに向けて撃ちますか?」

 

「気化弾程度じゃまるで足りん。性質の似通ったヘリオスでもな、反射衛星砲の中継衛星の打ち上げを急がせろ」

 

 

1発撃つだけで、幌筵泊地の全艦艇が1週間フル稼働するだけのエネルギーを消費する反射衛星砲は、とある艦艇への装備のために開発されていたものだが、中継衛星と、反射用のディフレクターの数が足りておらず、今回の攻撃では見送られている。

 

 

<<こちら長門、提督、出撃準備完了だ>>

 

「ブツがまだ届いていないだろ、まだ待て」

 

 

ここで言うブツとは、対異世界文明用装甲であり。マブラヴ世界における対レーザー塗布膜などに近い。

 

ミリシリアルの砲撃の原理が科学的には考えられなかった幌筵泊地は、検証を重ねた結果、最悪の事態として、実体弾を使っているのではなく、偏向性を持たせたレーザーに近い何かと推測していたため、既存の装甲では太刀打ちできないと判断し、旧来の装甲だけでなく、レーザーに対抗できるよう、吸着型の新型装甲を開発していたのだ。

 

ここで、もし対レーザー塗布膜の装着を先送りにすれば間に合ったかもしれないが、制圧自体が間に合わない可能性がある中で、頑丈さで言えば戦艦にも引けを取らない構造を持つはずのタンカー、その設計を流用したと見られるロケット制圧艦が原作の甲21号作戦でやられていた所を知る彼ら転生者は、レーザー系統の攻撃に対して無防備な彼女達を向かわせる訳にはいかなかった。

 

 

「量産にかかる費用を計算してくれ、終わったら俺は大統領官邸に向かう」

 

「了解!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国大統領官邸地下会議室

 

 

「全く……、多元本部長も用心深すぎる。如何に相手が多いとはいえ、対空砲火すら挙げてこない雑魚相手に核を使うなど……、軍人は経済が見えておりませんな」

 

「財務省としても、諸外国に対峙するためとはいえ、大量の資金を投入する軍部には正直呆れております」

 

「財務大臣。あの生命体は恐らく我々の知らない何かを持っているはずだ。それを活かせれば我々独自の技術体制を確立することが出来る。彼ら幌筵泊地には世話になってはいるが、いつまでも彼らから技術を貰い続ける訳にはいくまい」

 

 

財務大臣を始めとした慎重派は、単なる政治的打算だけで動いたわけではなかったのだが、結局無能な働き者としての謗りを受けることとなる。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

攻撃開始から3日後………

 

 

「………っ!、5番機が落とされた!」

 

「マズイ、回避っ!」

 

 

慌てて回避を行うも間に合わない。

 

 

<<こ、こちら爆撃隊!、敵がレーザーらしきもの……>>

 

「つ、通信途絶!、爆撃隊との連絡が途絶しました」

 

「なんだって!、対空砲火も上げてこないやつじゃなかったのか!」

 

「急いで官邸に上げろ!」

 

 

慌てて動き出す国防省。

 

官邸に上がる撃墜報告

 

 

「そんな……、馬鹿な!」

 

「偵察に向かっていたF-16も落とされました」

 

「BETA、なおも増加中、爆撃が止んだことで飛躍的に個体数が増加しています!」

 

「島の中心部にいたBETA群……、我が国に向けて移動を開始!」

 

「嘘だ……、幌筵泊地と国防省の懸念は……本当だったのか!」

 

 

突然航空戦力が無力化されたことに驚きを隠せない閣僚達。

 

 

「か、核兵器だよ!、核兵器を撃つんだ!、な!、幌筵泊地に頼もう!」

 

 

今更慌てたように言う財務大臣。戦死者の遺族に支払う遺族年金や、自身の政治生命へのダメージを計算したのだろうか?、損得勘定だけは早いようだ。

 

 

しかし……

 

 

「お言葉ですが財務大臣……」

 

「な、何かね?」

 

「幌筵泊地の分析によれば、彼らに長距離ミサイルはほとんど通用しません。核兵器をぶつけることはほぼ不可能です」

 

「そんな……!」

 

 

一方、幌筵泊地では……

 

 

「れ、光線級の排出が確認されました……」

 

「やっぱりか……」

 

「それと……、国防省より核攻撃の許可が来ました……」

 

「弾道ミサイルは?」

 

「まもなく発射完了」

 

 

画面には超大型ロケットが打ち上げられる様子が映されている。

 

幌筵泊地が開発した弾道ミサイル。

 

 

[ツァーリ・ロケット]

 

 

ツァーリ・ボンバの計画値型ツァーリ・ボンバωの搭載を前提とした超大型弾道ミサイルであり、一撃で都市圏を崩壊させられるとされている。

 

 

 

 

 

 

 

が、しかし………

 

 

 

 

 

 

 

「撃墜されました」

 

 

バンッ!、机を叩く音が次々に響く。

 

 

「だから!、遅すぎたと言ってるんだ!!」

 

「巫山戯んなよ!、どうみたって今回の件、初手の核攻撃で殺れただろ!」

 

「人災だろ!、こんなの!、どうすんだよ!、あの島の近辺には他に島ないんだから、100%こっちに来るだろ!、本土決戦になったら核兵器含めた焦土作戦すら考えておかないと本気で負けるぞ!?」

 

「クソが!、何がシビリアンコントロールだ!、シビリアンに委ねたところで結局手遅れにしてるじゃないか!」

 

 

ブチギレる転生者一同。

 

 

「お前ら……、さすがに国家体制には文句を言うな、だがお前らが怒る理由も分かる。とりあえず5分だけそのままやってろ、5分後に指示を出す」

 

 

そんな中でも、多元は冷静になって次の手を考える。

 

 

(なんとか戦術機の量産体制には持って行った。とりあえず本土にどれだけ来るかが問題だ。本土に来ることをとりあえず阻止出来ればいい。潜水艦隊を一帯に緊急配備、機雷原の設置と音響ソナー、対潜哨戒機は……、場所だけ気をつけて配置。艦隊への例のブツの貼り付けを急ぐと共に、爆撃機を除く全航空機パイロットへの戦術機転換訓練の緊急実施、戦車部隊の沿岸配備と………)

 

 

5分間の間、愚痴を吐かせた後、多元は口を開く。

 

 

「落ち着いたか?」

 

「はい」

 

「我々はやるべきことをやろう」

 

「了解」

 

「現時刻をもって、幌筵泊地の警戒レベルを3から4に引き上げる。迎撃戦準備!、光線級持ちのBETAとの戦闘マニュアルに従い、作戦行動の準備を行う。全部隊、行動開始!」

 

 

幌筵泊地警戒レベルとは以下の通り

 

 

レベル1:通常レベル、不明機、不審船に注意

 

レベル2:不審船、不明機接近中、警戒を強めろ

 

レベル3:遠方での戦闘発生、近海にも及ぶ可能性あり、もしくは不審船、不明機と接触中

 

レベル4:敵勢力接近中、直ちに迎撃せよ

 

レベル5:島内での戦闘リスクあり、全員武装して警戒せよ

 

 

 

である。

 

 

 

 

「提督!、大和と武蔵は?」

 

「間に合わんな、最悪の場合は彼女たちだけでも逃がせ」

 

「はっ!」

 

「潜水艦隊と機雷敷設能力を持つ艦娘は、直ちに執務室に集合、指示を出す」

 

「了解、一斉放送をかけます」

 

「戦術機の量産体制は?」

 

「現在不知火が20機/時間、ストライクイーグルが35機/時間、武御雷が5機/時間です」

 

 

戦時体制を想定したためか、なんとか生産力を確保したものの……

 

 

「やっぱり武御雷は少ないか……、機種転換を急がせろ!」

 

「了解!」

 

「潜水艦娘並びに機雷敷設能力を持つ艦娘が集合しました!」

 

「よろしい、指示を出す」

 

 

艦娘を集めた多元は矢継ぎ早に指示を出す

 

 

「君たちの役割は、敵の進路上に機雷敷設を行うことと、水中からBETAの迎撃にまわれ、大きいやつを先に頼む」

 

「了解!」

 

「尚、敷設支援のためにロデニウス連邦共和国からも輸送艦を回すことにした。そっちとも連携を取ってくれ」

 

「了解!」

 

「では解散!、敷設場所の詳細は追って伝える」

 

 

艦娘達が退室すると、次の指示を出す。

 

 

「戦車部隊並びに自走砲部隊、ロケット砲部隊は、沿岸部集中配備!、歩兵部隊には大至急例の装備を回せ!、平河くん!」

 

「はい!」

 

「君に幌筵泊地の防衛の指揮を命じる。司令代行として任務を果たせ!、いいな?」

 

「了解!」

 

「俺は国防省で迎撃並びに殲滅作戦の指揮を執る。なんかあったら連絡しろ」

 

「了解!」

 

「そして大事なことを言う。生き残れ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

 

 

 

間に合わなかった制圧、そして、本土決戦の想定。

 

幌筵泊地はかつての深海棲艦との戦いの頃のように全力で戦うこととなる。

 

 

 

 






もう1話だけ夏休み企画をやったらメインに戻ります。




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夏休み企画 夏休みだよ!、全員集合!(その4)



というわけで、対BETA戦です。

いつも通りテクノロジーでぶん殴ります。






学ばれるなら 学ぶ前に殺そう (幌筵泊地の標語)

足りぬなら 足るまで撃とう 弾はある (幌筵泊地の標語その2)

BETAなら 慈悲は要らんな 殺すまで (幌筵泊地の合言葉)




殺意マシマシな幌筵泊地とロデニウス連邦共和国によるBETA蹂躙、はーじまーるよー。


というわけで、今回からいよいよ幌筵泊地の技術チートがBETAに対して本気を出します。


BETAも総力戦ですが、幌筵泊地も(大気圏内でできる範囲限定で)ほぼ総力戦です。



  た だ の 超 兵 器 祭 り






 

 

 

「多元本部長、来られました!」

 

 

その声に立ち上がって敬礼をしようとするのを押しとどめる多元。

 

 

「こんな状況だ、挨拶は抜きにしろ、潜水艦をありったけ出せ、進路上に構えて迎撃させる」

 

「哨戒機は?」

 

「対潜魚雷撃とうにも低空飛行すれば要塞級の餌食だ、避難民の輸送に徹して、爆撃機と共にクイラ側で待機」

 

「了解!」

 

「現在までに推測されるBETA予想進路は?」

 

「こちらです」

 

 

マップを見た多元は思わず叫んだ。

 

 

「不味い、佐渡の悲劇が起こる!」

 

 

予想進路のど真ん中に島がある。

 

大きさはだいたい佐渡ヶ島くらいだ。

 

 

「参謀長、ガドサ島の防衛部隊は?」

 

「戦車部隊を有する一個師団と、哨戒機のみです」

 

「不味いぞ、連中の数が飽和するまで後何日だ?」

 

「2日です」

 

「すぐに向かえる艦隊を出せ、間に合わなくなる!、民間機も使って島民の強制避難を!」

 

「了解!」

 

<<平河くん、俺だ。今すぐ出せる艦隊と戦術機をガドサ島に送ってくれ!>>

 

<<了解、第118戦術航空団……、いえ第118戦術機甲師団を大至急送ります!>>

 

<<機体は?>>

 

<<武御雷です>>

 

<<レベルは?>>

 

<<色は黒ですが、中身は紫です、XM3も装備してます>>

 

<<わかった>>

 

 

電話を置くと一呼吸置く

 

 

「腰堀の野郎……、タケルちゃん補正かけたいからって色々やりやがって……」

 

 

だが、今はそれがありがたい。

 

 

「現場指揮官と連絡を」

 

「了解」

 

 

メインパネルに現場指揮官の映像が映る。

 

 

<<多元本部長、ご苦労さまです>>

 

<<すまん、こんな状況だ、いきなり本題に入る。ガドサ島にBETAが接近している。こちらからも増援を送るが、先ずは住民の避難を行ってくれ>>

 

<<強制避難ですか?>>

 

<<無論だ、命に変えられるものは無い。民間人全員を直ちに避難させろ>>

 

<<本島は駐留部隊の家族含め65000人、それをいつまでに避難させろと?>>

 

<<2日だ、今民間機や、高速船を集められるだけ集めて送っている>>

 

<<そんな!、無茶な!>>

 

<<無理は承知だ。だが、避難が間に合わなければ全員死ぬことになる>>

 

<<………、わかりました。やります>>

 

 

ここで通信は終わった。

 

 

「BETAを想定した防護壁が無い以上、上陸すれば間違いなくOUTだ。歩兵なんぞ簡単にねじ切られる。艦隊の支援が間に合わなければアウトだ」

 

「ドルメ将軍から連絡です」

 

<<本部長、我がドルメ艦隊なら、10時間以内にガドサ島に到着可能です>>

 

<<了解した、すぐに行動してくれ>>

 

<<はっ!>>

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

幌筵泊地、飛行場

 

 

「第118戦術機甲師団、全機出撃!」

 

 

黒く染められた武御雷が一斉に飛び立つ。

 

 

<<カウント>>

 

<<ん?、ああ、さすがのお前でもこんな機体に乗ったことは無いよな>>

 

<<カウント>>

 

<<ああ、おれだってそうさ>>

 

<<カウント>>

 

<<ん?、ああ、そうだな、それが俺たちが止まる理由にはならねぇな、あのタコ野郎共を殺さなければ何が起こるか、それはみんな知っているさ>>

 

<<こちら司令代行、中佐、全員異常は無いな?>>

 

<<問題ありません>>

 

<<ビショップ、死ぬなよ?、まだ俺たちの戦いは終わっちゃいないんだからな>>

 

<<マルコフ、 傲 慢 な アメリカ人として一言言っておこう。お前も死ぬな>>

 

<<フッ、空で死んだはずの俺が、こんなことになるとはな>>

 

 

飛び立った武御雷は、途中推進剤の補給を受けながらも、一路ガドサ島に向けて飛んで行った。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

一方、連絡を受けたガドサ島守備隊は大忙しだった。

 

 

 

「皆さん!、落ち着いて避難してください!、次の飛行機もまだ来ますので!」

 

「子供と病人、年配の方が優先です!、慌てないで!」

 

 

ガドサ島唯一の滑走路には、空軍や、幌筵泊地、民間機が次々に降りてきては避難民を載せて本土へと向かう。

 

 

「離陸します!、下がって!」

 

 

轟音を立てながら、C-130が離陸する。

 

次の離陸は旅客機、その次はC-2と、次々と離陸していく飛行機達。

 

一方、海上でも……

 

 

「飛行艇、まもなく離陸します!」

 

「高速船への移乗を早く!」

 

 

こちらも幌筵泊地から飛んできた飛行艇や、各地からやってきた高速船、近い港から集まったフェリーなどで避難民を乗せて移動する。

 

 

「住民の避難完了までどれくらいだ?」

 

「およそ40時間です」

 

「ギリギリか……、本土からの増援は?」

 

「海軍はドルメ将軍率いるドルメ艦隊、それと沿岸防衛の艦隊が複数と、第1、2艦隊が来ます」

 

「空軍……はダメらしいな、陸軍は?」

 

「現在即応部隊などを中心に派遣準備を整えています。相手が相手なので、空挺部隊では到底太刀打ちできるものでは無いようです」

 

「幌筵泊地は?」

 

「戦艦8隻と、空母1、巡洋艦12隻、駆逐艦20隻、潜水艦4隻と第118戦術機甲師団の武御雷が30機強、遅れてストライクイーグルが64機です」

 

「陸上部隊は?」

 

「パワードスーツ着用の強化歩兵部隊が2000人、状況次第では機甲師団も送る模様」

 

「パワードスーツって幌筵泊地が研究していたあれか?」

 

「ええ、重強化歩兵については本土防衛の都合で来られないそうですが……」

 

「確かアレか?、なんかの特撮番組に出てたって言うやつをモデルにしてるんだろ?」

 

「はい、通常の強化歩兵部隊の正式名称がArmed Combat SystemでACS-1、確か平成ライダー2作品目、仮面ライダーアギトに出てきたG3XとG4、後顔だけは仮面ライダーオーズのバースがモデルだとか」

 

 

ACS-1

幌筵泊地の名前付き転生者の中の1人で(割と空気扱いされがちで)ある小玉によって開発された強化外骨格。

 

見た目はG3-XとG4を混ぜたような見た目をしており、そこに各種マガジンポーチなどを装備している。前述の通り顔だけバースという仕様。

 

力は強く、人とほぼ同じ大きさ、可動性を持ちながら、闘士級や、兵士級とまともに格闘できるほどである。

 

また、大変硬い素材で出来ているため、さすがに噛まれて大丈夫かと言われれば別問題だが、噛みつきなしの兵士級との戦闘程度では破壊されることは無い。

 

身長:200cm

■体重:200kg

■パンチ力:6t(大体時速30km/hの中型トラックがぶつかるくらい)

■キック力:15t(多分時速30kmくらいの大型トラックがぶつかるくらい……のはず)

■ジャンプ力:一跳び30m

■走力:100mを5.5秒

 

武装:強化外骨格向け12.7mmSMG(全員所持、装弾数200発)、強化外骨格向け超音波カッター(全員所持)、折りたたみ式20mmバルカン砲(火力支援隊員のみ)、4連装ミサイルランチャー(ミサイル支援隊員のみ)

 

 

 

 

お前もうステゴロだけで小型種倒せるよ

 

 

 

なんでココ最近の仮面ライダー初期フォーム並の性能出せてんだよ……。

 

小玉さん影薄いと思ったらこんなバケモン作るんだからつくづくやべぇよ。

 

 

 

「とはいえ、間に合わなければ意味が無い……」

 

「ええ、早く住民を避難させないと……」

 

 

ガドサ島の避難は続く。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

一方、ガドサ島に向けて進行中の幌筵泊地艦隊

 

 

「最大戦速で飛ばしても、BETA到達に間に合うか……」

 

「焦っちゃダメよ長門。光線級が出ない限り、本土からも巡航ミサイルによる攻撃支援があるのだし、ドルメ艦隊や、他のロデニウス連邦共和国艦隊もいるのだから、私たちは確実に到着することを大切にしましょう?」

 

「ああ、そうだな」

 

 

陸奥の言葉に一旦は落ち着きを見せた長門。

 

 

 

今回の艦隊陣容は以下の通り

 

 

旗艦

長門

 

戦艦

陸奥、ウォースパイト、リットリオ、ローマ、コロラド、アイオワ、ガングート

 

空母

大鳳(戦術機支援)

 

巡洋艦

高雄、鳥海、矢矧、阿賀野、青葉、衣笠、プリンツ・オイゲン、ヘレナ、五十鈴、川内、神通、那珂

 

駆逐艦

サミュエル・B・ロバーツ、薄雲、叢雲、五月雨、暁、電、雷、響、不知火、陽炎、浜風、黒潮、フレッチャー、Z1、タシュケント、夕雲、秋雲、高波、時雨、夕立、村雨

 

潜水艦

伊58、伊26、伊14、伊13

 

 

当然ながら、トマホークやら12式改やら山ほど積んでいる。

 

 

また、ロデニウス連邦共和国艦隊などの今まで挙げた戦力以外にも、海底に多数の<置き土産>が配置されつつあり、BETAブッ殺体制が整っていた。

 

 

ちなみに、先程陸奥がチラリと言っていた通り、光線級が出現するまでは、幌筵泊地が長距離から巡航ミサイル、弾道ミサイル、極超音速滑空弾etc…をもろぶっ込みする予定なので、火力支援は十分。

 

衛星による監視も続いているため、動きも詳細に調べられる。

 

 

幌筵泊地艦隊が、ロウリア県沖合を通過する頃、タイムリミットはまもなく1日となりつつあった。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ガドサ島避難開始から2日後……

 

 

「BETA、移動を開始しました!」

 

 

衛星写真から入水する突撃級と戦車級、要撃級、要塞級等が確認された。

 

 

「予想進路に変更無し、ガドサ島到達までは?」

 

「およそ20時間と見られています」

 

「住民の避難は?」

 

「まもなく最終便が出ます」

 

「部隊派遣は?」

 

「海軍は展開完了、陸軍については2個戦車連隊がまもなく配置完了、空軍並びその他ミサイル部隊も射撃準備完了です」

 

<<平河くん、幌筵泊地は?>>

 

<<艦隊はまもなく配置に、戦術機は全機展開完了、強化歩兵はこれから到着する見込みです>>

 

「よし……、準備は整えた……、もしガドサ島が落ちれば、光線級の射程圏内に本土が入る!。出し惜しみは無しだ!、何としても目標を潰せ!」

 

 

 

鉛筆を折りながら、多元は指示する。

 

 

 

BETAがガドサ島に到達するまでは後20時間。だが、既に海底には大量の置き土産と観測装置が置かれていた………。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ガドサ島、司令部

 

 

「BETA先遣群を観測装置が探知!、到達まで後2時間!」

 

「先遣群、機雷原に接触し全滅。主力第1波、海底設置式魚雷により全滅!」

 

「第2波、潜水艦隊が攻撃を開始」

 

「上陸地点に変更は無いな?」

 

「はい、幌筵泊地の事前予想の通りです」

 

「うむ……、海軍に通信!、予定座標へのアスロック攻撃を要請する!」

 

「了解!、通信します!」

 

 

通信士が通信を行っている間にも、設置された大量の機雷原と、海底設置式魚雷によってBETAは数を減らす。

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国、臨時連合艦隊。

 

 

「ガドサ島司令部よりアスロックによる一斉攻撃の要請あり!」

 

<<ドルメ将軍、準備はいいかね?>>

 

<<いつでも大丈夫です>>

 

「うむ……、全艦対潜アスロック、攻撃始め!」

 

 

VLSの蓋が一斉に開き、対潜ロケットであるアスロックが飛翔する。

 

 

島の反対側から射出されたアスロックは、弧を描くようにして飛翔し、指定座標に着水。そのままBETA目掛けて襲いかかる。

 

 

「全弾着水、命中まで5秒」

 

「全弾発射後、我が艦隊は上陸したBETAを攻撃する。主砲攻撃準備!」

 

「了解!、島内観測部隊とのデータリンク開始」

 

 

その後、アスロックが命中し、第3波は全滅した。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ガドサ島沖合、幌筵泊地派遣艦隊。

 

 

「予定地点に到達!、現在まで第3波を迎撃。第4波以降は砲撃の必要性有りとの事!」

 

「うむ……、戦艦隊、全艦砲撃準備!」

 

 

妖精からの報告を受けて、長門以下戦艦隊が攻撃態勢に入る。

 

 

<<12式改やトマホークはどうします?>>

 

<<まだだ、上陸し始めてから撃つ>>

 

 

準備をしつつ、神通の質問に答える長門。

 

上陸地点付近一帯の農耕地帯と砂浜海岸は、火力投射のために敢えて開けてある。陸に上がってきたところを集中砲火で叩きのめすのだ。

 

 

「まもなく第4波、浅瀬に到達!」

 

「全砲門、一斉射!」

 

(絶対にガドサ島を守ってみせる!)

 

 

長門の決意が込められたかのように、戦艦隊が各自の主砲を一斉に放った。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ガドサ島司令部

 

 

「幌筵泊地戦艦隊、砲撃開始しました!」

 

「第4波、砲撃により数を減らしています!」

 

 

幌筵泊地の戦艦は、自動装填装置により全艦戦車並みの砲撃レートを確保している。

 

また、火力については長門型が55cm、アイオワ除く全艦48cm、アイオワが51cmと、派遣艦隊の高火力っぷりが伝わる。

 

 

「第4波、全滅!」

 

「第5波……、要塞級が居ます!」

 

「海軍、対艦ミサイルによる要塞級攻撃を提案しています!」

 

「国防省は?」

 

「現場判断に任せるとのこと」

 

「よし、奴が光線級を排出する前に叩け!」

 

「了解!、海軍に対艦ミサイル攻撃を要請します!」

 

「…………!、突撃級と戦車級の一部が第1防衛ラインに向かっています!」

 

「第118戦術機甲師団に攻撃要請!」

 

「了解!、要請します!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国艦隊

 

 

「対艦ミサイル攻撃用意、目標要塞級。トップアタックで確実に仕留める」

 

「了解、全艦対艦ミサイル攻撃始め!」

 

 

対艦ミサイル発射筒からハープーンが発射され、リンクした情報をもとに上陸地点の要塞級目掛けて上から襲いかかる。

 

 

中に装填された220kgの炸薬が炸裂し、真っ二つに叩き割る。

 

 

「命中!命中!、要塞級、撃破5体」

 

「新たな要塞級、12体」

 

「まだまだ対艦ミサイルはたんまりある。光線級の排出の隙を与えず徹底的に叩き込め!」

 

 

見れば、第5波は突出した1部を除いて全滅し、後を追うように6、7波がやってくる。

 

 

「データリンク……異常はないな?」

 

「は!」

 

「よし、全艦砲撃開始!」

 

「全艦、撃ちー方始め!」

 

 

127mmや、155mmの砲弾が上陸したてのBETAに向けて襲いかかる。

 

 

「幌筵泊地艦隊も艦対地ミサイル含めた全火力での攻撃を開始しました!」

 

「我が連合艦隊の対艦ミサイルの数は後幾つだ!」

 

「後60発です」

 

「この調子で撃ち続けると無くなるぞ……」

 

「………!!、本土より巡航ミサイル飽和攻撃です!」

 

 

本土で待機していた幌筵泊地所属の爆撃機隊の巡航ミサイル飽和攻撃がこの時刻になって到達。キルゾーンとして定められていた沿岸部一帯に着弾。第6波を全滅させた。

 

 

「第1防衛ラインに突入してしまった戦車級と突撃級は?」

 

「現在陸軍と第118戦術機甲師団が応戦中」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

第118戦術機甲師団

 

 

<<メビウス1より全機へ、我々の主な目標は突撃級だ。後方に素早く回り込み36mmを撃ち込んで沈黙させろ>>

 

<<了解!>>

 

 

普段から機銃縛りでエースパイロット撃墜とか、指定高度以下だと問答無用で叩き落とされる世界線で生きてきたパイロット達は気合いが違う。

 

例え乗るものが戦闘機から戦術機に変わっても大したことでは無い。

 

 

<<突撃級、3体目沈黙>>

 

<<戦車級、8体沈黙>>

 

 

36mmの弾丸を突撃級の柔らかなケツに容赦なく叩き込むことや、戦車級を撃ち殺すことなど朝飯。いや、へそで茶すら沸かせる勢いである。

 

 

 

 

が、厄介な敵は他にもいた

 

 

 

<<こちら第1歩兵中隊!、戦車級だ!、助けてくれ!>>

 

<<こちら第118戦術機甲師団まもなく掃討が完了するが、強化歩兵部隊を先に送った。安心されたし>>

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

強化歩兵部隊

 

 

「ミサイル発射!」

 

 

肩に担いだランチャーからミサイルが放たれ、戦車級を吹き飛ばす。

 

 

「バルカン砲掃射!」

 

 

ブーンという音とともに、戦車級が次々穴を穿たれながら倒れ込む。

 

 

戦車級にとっては強化歩兵部隊は地獄に等しかった。

 

つい先程まで、戦車を丸かじりしながら歩兵を食い漁っていたと思ったら、いきなり仲間が蹴られただけで体に風穴が空き、パーツが吹っ飛ぶ。

 

持っている武器ですら当たり所次第では抜かれ、カッターでは簡単に切断される。

 

個で戦うことをしないため、各個撃破しようにもできない。

 

力が強すぎるので抑え込めないし、噛み付こうとすれば殴られるか、蹴られて顔が吹き飛ぶ。

 

 

そうこうしているうちに、突撃級を倒し終えた戦術機が上から撃ち込んでくる始末。

 

 

地球では衛士とかその他もろもろ殺していたらしいが、ここはロデニウス連邦共和国。原作通りには行くわけが無い、

 

 

「残りの戦車級は何処だ!?」

 

「あそこです!」

 

「戦車隊が対処してるな、加勢するぞ!」

 

 

 

上手くすり抜けたはずの突撃級も戦車級も、数自体はさして多いわけでも無いため、強化歩兵部隊と戦術機、展開していた戦車によって掃討された。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ガドサ島司令部

 

 

 

「報告!、第1防衛ラインに突入した突撃級と戦車級は掃討されたとの事!」

 

「被害は?」

 

「死者……150人、負傷者多数、戦車8両に被害です」

 

「無傷とはいかなかったか……」

 

「第7波の掃討、間もなくです」

 

「第8波来てます!」

 

「第8波以降は!?」

 

「来ていません!」

 

「よし、ここで食い止める。参加中の全部隊に火力を集中させるよう要請しろ!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国国防省

 

 

「ガドサ島司令部より入電!、BETA群最終波を確認。全火力の集中投射を求めてきています」

 

「どうやら連中、とりあえず島に引きこもることにしたんだな……、まぁ、焼き尽くさせてもらうが……。まずは目の前の敵だ」

 

 

飲み物として用意した特注600mlのMAXコーヒーを飲み干し、すぐに命令する

 

 

「巡航ミサイル第3波、並びに幌筵泊地艦隊も全部投入しろ、一旦要塞級以外への攻撃を止めて、奴らを一旦陸に上げる。タイミングが重要だ。ここで決める」

 

「了解!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

幌筵泊地艦隊

 

 

「国防省より入電!、第1防衛ライン手前まで敵を引きつけろとのこと」

 

「陸に上がったところで、残った火力を叩きつける気か……、さすがは提督だな。容赦がない」

 

<<どうする?、長門>>

 

「無論その方針で行く」

 

<<OK、観測している人達との連携は任せて>>

 

「頼んだぞ、陸奥」

 

 

 

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ロデニウス連邦共和国艦隊

 

 

「国防省より入電。我が艦隊はハープーンによる要塞級への攻撃を継続せよとのこと。それ以外は他部隊と連携し、陸に上がった所を叩けとの事です」

 

「了解した、ドルメ将軍。準備はよろしいか?」

 

<<お任せ下さい司令。確実に殺ってみせます>>

 

「よし……、海上に姿を現した要塞級からどんどん叩くぞ!、ハープーン発射始め!」

 

 

 

駆逐艦や、巡洋艦からどんどんハープーンが撃たれる。

 

光線級の援護がない要塞級なんぞ、タケルちゃんのおやつ以前にハープーンのおやつである。

 

 

「要塞級の全滅を確認」

 

「目標、キルゾーンに到達」

 

「全兵器使用自由!、攻撃始め!」

 

 

このタイミングでロデニウス連邦共和国艦隊だけでなく、作戦参加中の全部隊が、キルゾーンに誘い込まれた要塞級を除く全てのBETAにありったけの火力をぶつける。

 

 

「トマホーク、攻撃始め!」

 

 

上陸が始まって以降、アスロックの発射は終わった(というより撃ち尽くした)ハープーン発射筒以外は沈黙していた兵器が一斉に動き出す。Mk41VLSが開き、トマホークが一斉に放たれる。

 

幌筵泊地に比べ数は少ないが、それでも威力は絶大で、光線級のいないBETAにとっては脅威となる。

 

 

「主砲、撃ち方始め!」

 

 

5inch、6inchの主砲が島の丘陵部を越える軌道を描きながら次々に落着する。

 

ゆうなぎや、雪風、吹雪は難渋していたところだが、精密砲撃メインとはいえ、数が揃えば話は別だ。

 

 

「キルゾーンのBETA、掃討完了」

 

「良し!、このまま……」

 

「………!?、海底設置の音響装置より報告!、正体不明の振動が複数……、4つもあります!」

 

「直ちに国防省と幌筵泊地に回せ!」

 

 

 

 

 

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幌筵泊地

 

 

「この波形……、嘘だろ!?」

 

「やはり奴もいたか……、さっさと仕留める。真多くん、彼への改装は?」

 

「もう済んでいます。現在作戦行動前の慣熟航行中、射程圏内まで後5分」

 

「さては見越してたな?、まぁいい、恐らくこれこそが最後だろう」

 

「ええ、提督に回しますか?」

 

「いや、おそらく提督も同じ判断を下すはずだ。となれば彼になるだろうよ

 

 

そう言うと平河は無線を取る

 

 

<<幌筵泊地より臨時特務艦隊へ、状況が変化した。速やかに戦闘態勢に入れ>>

 

<<了解、発射体制に入ります>>

 

 

 

 

 

通信を受け取ったフネの先端には、

 

巨大な主砲が付いていた。

 

 

 

 

 

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国防省司令部

 

 

「現地部隊より正体不明の振動が観測されたとのこと!」

 

「こういう状況で正体不明の振動っていうのはアイツぐらいしか居ないんだよ、<彼>に任せる。全部隊へ、振動に近い部隊は撤退せよ」

 

「了解……、でいかほど?」

 

「座標は幌筵泊地が送ってる」

 

「了解」

 

 

 

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現地部隊(幌筵泊地艦隊、ロデニウス連邦共和国艦隊、ガドサ島守備隊、第118戦術機甲師団等)

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国艦隊

 

 

「指定座標まで後退せよ、それが国防省からの命令です」

 

「超弩級のBETA出現の可能性あり……か。おそらくBETAもこの被害は想定外なのだろう。これを気に片付ける気だ」

 

「司令、しかし幌筵泊地はこれまで読んでいたと?」

 

「まぁ、彼らの世界のアニメの敵と変わらないということだから敵の様子だって読めるんだろう」

 

 

 

幌筵泊地艦隊

 

 

「我々はおそらくこのままで大丈夫そうですね」

 

「島への砲撃から帰ってすぐに換装、想定訓練までこなしてるのだから大したものだな」

 

<<長門、私たちはどうするの?>>

 

「来るのは母艦級というやつらしい、中から出てきたやつにすぐに反撃できるように準備」

 

 

 

ガドサ島守備隊

 

 

「後退!、強化歩兵部隊と連携して速やかに後退しろ!」

 

「一体、幌筵泊地は何を考えてるんでしょうか」

 

「ま、なんか手は打ってあるんだろうよ」

 

 

 

第118戦術機甲師団

 

 

<<稜線部に退避、攻撃完了後再度攻撃らしい>>

 

<<トリガー、やつのお手並み拝見といこうか>>

 

<<カウント>>

 

<<ああ、俺も疑っちゃいねぇさ>>

 

 

 

 

 

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幌筵泊地臨時特務艦隊

 

 

「全部隊待避完了、間もなく母艦級が出現!」

 

「弾は4発しかない、命中させるぞ!」

 

「はっ!、横にいる金剛型とリンクして確実に決めます」

 

<<こちら霧島、ゆうなぎさん、準備はいいですか>>

 

「いつでも構いません」

 

<<出現したらすぐに撃ちます。よろしいですね>>

 

「はい」

 

 

と、その時、異常なほどの揺れの後、悪趣味な筒状の馬鹿でかい構造物が、海上と陸上に現れた。

 

 

<<こちら幌筵泊地臨時特務艦隊旗艦ゆうなぎ、試製三式融合弾並びに試製汎用投射砲の発射体制に移行!、金剛以下、比叡、榛名、霧島は、ショックカノン発射用意!、目標、海底、ないし地面より出現した母艦級!、統制陽電子衝撃砲戦、及び投射砲連続撃ち方用意!>>

 

 

その指示を受けて、ゆうなぎのと艦隊を組んでいた金剛型4隻が、艦首から発射器を露出させる。

 

砲口は青白く光り、母艦級のど真ん中をぶち抜くために、艦首を動かして微調整する。

 

 

<<田城さん!、反物質は?>>

 

<<充填完了、1発につき、ほんの800g程度だが足りるだろう>>

 

<<ゆうなぎ!、準備完了ネ!、発射の合図は任せるネ!>>

 

 

金剛の言葉で発射準備が整ったことを理解したゆうなぎは一呼吸おいて指示を出す。

 

 

<<艦首陽電子衝撃砲、撃てぇ!>>

 

 

指示を受けた金剛の砲雷長が引き金を引くと、データリンクによって他の姉妹艦達もいっせいにショックカノンを放つ。

 

 

金剛型搭載のショックカノンは、異世界に来てもさらに改修が進められた結果、直径18inchという高火力を手にした。

 

 

(尚、波動エンジン搭載の金剛改型の威力には及ばない)

 

 

そのショックカノンが放たれ、母艦級の表面を穿つ。

 

原作ではありったけの艦砲射撃を浴びせても倒れることのなかった体に穴が空く。

 

 

「砲雷長!、奴らの穴にぶち込んでやれ!」

 

「了解!、試製汎用投射砲発射!」

 

 

固定された直径51cmの砲台から物凄い速さで試製三式融合弾が発射される。

 

 

「スラスター全開!、連続撃ち方!」

 

 

スラスターを思いっきり動かして艦首を動かし、2発目を装填しつつ、発射体制に移行する。

 

 

「撃てぇ!」

 

 

2体目、3体目と次々に命中し、体の奥底に潜り込んだ弾は、中の信管が起動することで爆発する。

 

 

「1体目爆散!、2体目、3体目も!」

 

「4体目、爆散!、全部消し飛びました!」

 

「良し!、このまま特務艦隊はハイヴ攻略に向かう。全艦最大戦速!」

 

 

 

 

 

 

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幌筵泊地地下司令部

 

 

「母艦級の爆散を確認!」

 

「良し!、これでハイヴに専念できる」

 

 

幌筵泊地の転生者達は手を叩く。

 

 

 

 

今回のBETA騒動、幌筵泊地は初めからハイヴ攻略のための策を練り続けていた。

 

政府の 無能共 慎重派によって難易度こそ上がったものの、我らが幌筵泊地には真多や田城のような素のチート、別世界での留学を終えた変態共がたむろしており。BETA抹殺のためにあらゆる手段を講じていたのだ。

 

 

 

その最たる例がゆうなぎ特殊改装と、彼を旗艦とする臨時特務艦隊である。

 

 

旗艦

ゆうなぎ(特)

 

戦艦

金剛、比叡、榛名、霧島、扶桑、山城、ビスマルク、イタリア、ネルソン、ノースカロライナ、メリーランド、サウスカロライナ、リシュリュー

 

戦術機戦艦

伊勢、日向

 

戦術機母艦

赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴、雲龍、天城、葛城、サラトガ、アークロイヤル、グラーフ・ツェッペリン

 

巡洋艦

最上、三隈、鈴谷、熊野、加古、妙高、那智、足柄、羽黒、ノーサンプトン、北上、大井、木曽、他残存海外軽巡

 

駆逐艦

残存吹雪、陽炎、白露型並びに全秋月型、フレッチャー級

 

潜水艦

残存全日本潜水艦

 

その他艦艇

無人補給母艦×6隻、無人ロケット制圧艦×10隻、揚陸艦30隻

 

 

 

ここに、爆撃機からなる航空団も臨時編成されており

 

 

臨時特務航空団

 

確認機×1

B-52×108機

B-1×108機

B-2×108機

その他哨戒機やラピッドドラゴン搭載可能輸送機多数

 

 

 

 

おいおい、光線級はどうした?、との声が聞こえるだろう。

 

 

 

心配無用

 

 

こいつら幌筵泊地だから

 

 

 

 

まぁ、それでは説明がつかんので、色々説明していこう。

 

 

 

 

話は、多元が国防省に行った後まで遡る。

 

 

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「ゆうなぎ、君に緊急改装とハイヴ攻略のための現場指揮を任せたい」

 

「現場指揮!?、つまり僕が旗艦!?」

 

「ああ、そうだ」

 

 

平河が多元にかわり説明する。

 

 

「ロデニウス連邦共和国と幌筵泊地との間で取り決められた内容として、幌筵泊地には本土防衛の支援と、速やかなハイヴ攻略を要請された」

 

「はい」

 

「君も知っての通り、ハイヴ攻略には不確定要素が多数存在し、場合によっては、艦隊をかなり近づける必要も出てくる」

 

「なるほど」

 

「この時、接近するのに使うのは戦艦であり、突入の際に被害を受ける可能性も当然ある、なら空母……、いや今は戦術機母艦か、こいつはどうかと言えば、これも戦術機展開の都合前進せざるを得ない」

 

「はい」

 

「で、巡洋艦も砲撃に駆り出されることを考えると、後方で指揮を執らせるには君がうってつけというわけだ」

 

「僕だって8inch砲が……」

 

「まぁ落ち着いてくれ、実は、君の世界の俺は君の艤装をブロック式とも呼ぶべき取り外しを前提として作っていた。これは深海棲艦の進化……言い方としては変化が正解か、これを受けて速やかに艤装を変更することができるシステムだ、近いものを挙げれば、沿海域戦闘艦が1番わかりやすい例えだ」

 

「はい」

 

「これを活かして、田城と真多の作った新兵器を載せた。それ以外にも取り扱いに注意すべき兵器を山ほど載せた都合、迂闊に前線には近づけないフネになっちまったんさ」

 

「あー、なんか副長がグダグダ言ってた気が……」

 

「まぁ、そんな感じだ。そんで、君の通信能力は元々高いから、近づけないならいっそ情報処理能力を上げて旗艦にしてしまえとなったわけだ」

 

「なるほど、納得しました」

 

 

 

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ということで、ゆうなぎへの特殊改装を見ていこう。

 

 

・武装の変更

Mk41VLSと8inch砲をとっぱらい、固定式の汎用投射砲を設置、発射はレールガン同様に行われる。

 

・特殊弾頭の搭載(その1)

結局3日で作れたレーザー撹乱剤という光学兵器を無力化する兵器で光線級の力を無力化、これを後部対艦ミサイル専用VLSに搭載して対応。

 

・特殊弾頭の搭載(その2)

それでも倒せない母艦級などの出現に備えて、反物質を利用した試製三式融合弾を搭載、火力で消し飛ばす。

 

・特殊弾頭の搭載(その3)

弾数の少ない試製三式融合弾だけでは困るので、戦術核や戦略核を積んだトマホークを搭載。場所はヘリ格納庫潰して作った。

 

・指揮能力の向上

電子戦や、対空戦を主体となって行うという性質上、指揮通信能力が高いゆうなぎの指揮能力をさらに強化した。

 

 

 

 

 

これと急遽制作したロケット制圧艦とか補給艦を合わせたのが今回の臨時特務艦隊である。

 

 

うん、ぶっ壊れ。

 

 

佐渡にこの戦力があればなぁ…(遠い目)

 

 

ちなみに、空母と航空戦艦については戦術の通り戦術機母艦に改装、航巡は一時的に巡洋艦に戻した。

 

 

 

さすが幌筵泊地、仕事が早い(脳死)

 

 

あとは各種超兵器をポンポン投入することで、早急なるハイヴ攻略を行うこととなる。

 

 

ちなみに、万が一ハイヴ攻略失敗した時に備えてちゃんとツァーリ・ボンバも用意した。

 

 

 

歪みねぇな

 

 

 

 

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ハイヴのある無人島の沖合35km付近……

 

 

「レーザー撹乱剤発射用意!」

 

「レーザー撹乱剤発射用意、後部VLS、1番から32番、諸元入力完了、散布予定地点にズレ無し!」

 

「全弾発射!」

 

 

VLSのハッチが開き、中から対艦ミサイルが発射される。

 

 

 

 

弾頭には普段の成形炸薬弾や、徹甲榴弾では無く、レーザー撹乱剤。

 

 

 

 

ミサイルは高度を上げて、島全体にバランスよく着弾するように飛翔する。

 

 

 

「光線級、迎撃行動に入りました」

 

 

もちろん座して待つような光線級では無く、次々にレーザーによって迎撃されて撃墜される。

 

 

 

が、それが命取りになる。

 

 

 

「レーザー撹乱剤、予定通り展開中」

 

「確認機を向かわせろ」

 

 

確認機というのは、特生自衛隊装備のスー○ーXⅢじゃなかった、大型飛行機である。

 

こいつには原作同様レーザー装甲が取り付けられており、光線級なんぞの攻撃で怯むわけが無い。

 

 

<<こちら確認機、これより上空を飛行する>>

 

 

黄色粒子の漂う空間を確認機が飛行する。

 

レーザー撹乱剤は散布されると黄色の粒子をばらまくため、散布当初は空が黄色に染る。

 

光線級からの照射はなかった。

 

 

<<こちら確認機、照射は無し!>>

 

<<了解した>>

 

 

無線を全部隊に向ける。

 

 

<<配達完了、攻撃開始!>>

 

<<了解、配達完了、攻撃開始!>>

 

 

 

特務航空団

 

<<全機、奴らに礼儀を教えてやれ!!>>

 

 

爆撃機と哨戒機からいっせいに爆撃が投下される。

 

 

<<死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!>>

 

<<光線級が効かなければお前らなんて雑魚なんだよ!!>>

 

 

これまでロデニウス連邦共和国が受けてきた仕打ちを代わりに晴らすかのごとく爆弾の雨嵐を降らせまくる幌筵泊地の爆撃機。

 

 

<<ミサイル投下!!>>

 

<<超重光線級が来る前に殺す!、たとえ来ても殺す!!>>

 

<<うちの提督達に喧嘩売ったことを後悔させてやれ!!>>

 

 

輸送機隊も巡航ミサイルを雨のように投下する。

 

 

艦隊も当然雨のように砲弾を降らせる。

 

 

「主砲!、砲撃開始!」

 

 

榛名の掛け声以外にも多くの艦娘達が掛け声と共に主砲や、VLSから砲弾やミサイルをぶっぱなして攻撃する。

 

 

48cmや、51cm、65cm、20cm、127mm、その他もろもろの砲弾が雨嵐の如く降り注ぐその様に、まともな迎撃手段を失ったBETAは為す術なく消し飛んでいく。

 

 

トマホーク、17式、12式改、も命中する中で、水中からある戦術機が浮上してくる。

 

 

そう、水中と言えばの海神である。

 

 

どっから来たのかと言えば、潜水艦。

 

緊急改修によって海神の運用能力を得た潜水艦艦娘達によって海神を輸送したのである。

 

もちろん原作通り、潜水艦は誘導弾で支援を行っている。

 

 

「海神、上陸地点を確保」

 

「戦術機母艦より戦術機発進準備完了」

 

「全機発進、ロケット制圧艦、攻撃開始!」

 

 

洋上に待機していた戦術機母艦に改装された空母から、不知火や、建御雷が発艦する。

 

 

ちなみに今回は陽動は無い。

 

 

真正面から殴り飛ばす。

 

 

海神が沿岸部を掃討している途中、ロケット制圧艦からのロケット弾の集中砲火で、爆薬の整地がなされる。

 

 

<<海神やロケット制圧艦が頑張っている!、陸上部隊の揚陸を急がせろ!>>

 

 

エアクッション艇によって、戦車や、IFVが上陸し、BETA共に熾烈な砲撃を浴びせる。

 

 

<<新型重戦車の五式と新型装甲戦闘車、ヒトマルの装甲強化版に、180mmの新型自走砲までフルラインナップだ!>>

 

 

幌筵泊地が如何に周辺国家に比べて軍事力に勝っているとはいえ、決してその歩みは止めてはいない。

 

むしろ、その軍事力をますます強める方針に向けていたのだ。

 

そして、幌筵泊地の技術を最大限陸に振った結果が次の新兵器達だ。

 

 

 

戦車「5式重戦車」

 

スペック

全長 11.5m

車体長 9.0m

全幅 4.0m

全高 3.0m

最高速度 120km/h

加速性能 200mを17秒

主武装 155mm複合砲×1(火薬とレールガン。片方での発射も可能)

副武装 25mmガトリング砲×1、12.7mm重機関銃×1、多用途投射機×1、7.62mm機関銃×2

乗員 3名

その他 油気圧サスペンションを搭載し、74式同様の挙動が取れる。

見た目 10式の大型化バージョン

 

 

 

新型装甲戦闘車

 

全長 6.55m

全幅 3.07m

全高 2.61m

重量 基本 27t、最大30t

乗員数 3名+兵員7名

主武装 70口径40mmレールガン×1基、中距離多目的誘導弾×4基、91式携帯地対空誘導弾×4基

副武装 7.62mm軽機関銃×2基

速度 前進時130km/h

エンジン エンジン+電気ハイブリッド

 

 

新型自走砲

 

全長 14.2m

最大幅 3.5m

車高 3.6m

重量 50t

主兵装 40口径180mm超電磁カノン砲(射程調整可能)

副武装 12.7mm重機関銃、M61バルカン

射撃速度 毎分5~6発

最高速度 60km/h

最大射程 通常弾60km、RAP弾使用時100km

見た目 砲がデカいK9

その他 渡河能力有り

防御性能 15mmまでの機銃を防ぎきる。

 

 

当然BETA相手にも猛威を振るう結果となり、レーザー装甲の取り付けが終わり、近接も当然のように強化されているため、接近することすら難しい上、周囲をACS-1を装備した歩兵が固める。

 

 

<<赤城戦術機隊!、戦車級を狩るぞ!>>

 

<<了解した加賀戦術機隊!>>

 

 

当たり前だが、全戦術機にはXM3を搭載しており、ハチャメチャな機動を行い、片っ端からBETAを血祭りにあげる。

 

 

<<日向戦術機隊、参る!>>

 

 

中には長刀を駆使し、BETAを刻む妖精もいる。

 

 

「デカイのはほとんど艦隊に食われたな、なら小型種を狙う!」

 

 

そう言うと、翔鶴戦術機隊は不知火の灰色の機体を赤く染めながら、小型種を中心にキル数を稼ぐ。

 

 

「ハイヴ到達まで後10km」

 

「新たなBETA群を補足」

 

「艦砲射撃をそっちに割り当てろ、地上部隊に近い」

 

「了解、金剛以下の4隻を割り当てます」

 

 

高火力の戦艦を優先して割り当てることで、早急な殲滅を図る。

 

 

「増援、来ます!」

 

 

その言葉の後に、艦隊のすぐそばを黒い建御雷に率いられたストライクイーグルが通過する。

 

 

<<第118戦術機甲師団へ、まもなく反射衛星砲によるハイヴへの直接射撃が行われる。突入は任せる>>

 

<<メビウス1了解。全機突撃!>>

 

 

黒い建御雷を先頭にストライクイーグルが島に上陸、戦闘中の味方を横目に迂回してハイヴを目指す。

 

 

<<攻略方向と逆方向にBETA出現!>>

 

「迂回して向かうつもりか……、主砲だと射線が通りにくいし、何より今別の敵を掃討中だ。

 

 

 

核で殺る。戦術核発射!」

 

 

ゆうなぎのVLSから核を搭載したトマホークが次々と放たれる。

 

 

幌筵泊地からは

 

<影響の出ないレベルの核兵器を選定してあるから、いざとなったら徹底的に殺れ、必ずこの戦いでケリをつけろ>

 

とまで言われている。

 

 

核を撃っても問題は無い。

 

 

「着弾、今」

 

 

落着した時の報告は無機質なものだが、この時確実に着弾地点にはキノコ雲が上がっている。

 

 

「新たなBETA出現。先程と同じ座標です」

 

「核トマホーク、第2射、始め」

 

 

再び核兵器が空を飛び、キノコ雲も巻き上げてBETAを消し飛ばす。

 

 

「幌筵泊地より入電、反射衛星砲まもなく発射」

 

「了解」

 

 

 

 

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幌筵泊地、地下特殊兵器工廠

 

 

「反射衛星砲発射準備!」

 

「反射衛星砲発射準備、中継衛星を選択、1号、10号、28号、リフレクター展開」

 

 

慌ただしく動く指揮所で2人の艦娘が話す。

 

 

「前線で皆さんは必死に戦っているのね……」

 

「姉さん………、だからこそ私達の兵器が皆を救う」

 

 

少し曇り顔になった大和を鼓舞する武蔵。

 

 

「そうね……、それなら、やるしかないわね!」

 

 

前線で指揮を執るゆうなぎ……、曰く大和の遺伝子を一部受け継いでいることから事実上の弟にあたるらしい……、の無事を姉として祈りつつ、覚悟を決める。

 

 

「反射衛星砲、発射!」

 

 

極太の赤いビームが空へと伸びる。

 

 

 

大気圏を出て、さらに伸び続ける光線は、中継衛星に衝突すると、反射され、次の衛星、次の衛星へとビームが反射、中継されていく。

 

 

28号衛星に反射された光線は、ハイヴのすぐそば、今まさにBETAの湧いて出ている場所を薙ぎ払い、ハイヴの中、奥底へと続く風穴を空けた。

 

 

 

 

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「反射衛星砲命中を確認!」

 

「突入せよ!」

 

 

依然として残るBETA群を飛び越え、建御雷とストライクイーグルがハイヴに突入する。

 

 

<<トリガー、俺たちの最後戦いを思い出すな、あの時もこんな感じのトンネルを通ったもんだな>>

 

<<カウント>>

 

<<ああ、俺もあれから訓練したさ。もうお前を先に行かせたりはしないさ>>

 

<<カウント>>

 

<<ああ、お出ましのようだな>>

 

 

見れば要撃級や、戦車級などのBETAがわらわらと集まって戦術機に襲いかかる。

 

 

<<ストライクイーグル隊は通信設備の敷設と援護だ、メビウス隊、全機抜刀!>>

 

 

後方からやってきたストライクイーグルが援護射撃をしつつ、第118戦術機甲師団……隊長機のコールサインからメビウス隊と呼ばれる……は両手に長刀を持って吶喊する。

 

閉所での戦闘にも当然慣れきっているメビウス隊は、長刀を駆使して薙ぎ払う。

 

 

   戦  狼

<<ウォーウルフとしての力を見せてやるぞ!、ガッツ!>>

 

<<任せてください、隊長!>>

 

 

背中の突撃砲で掃討しながら、さらに奥へと進む突入隊。

 

 

しかし、恐るべきはBETAの物量。ハイヴ中枢には簡単には行かせてはくれぬ。

 

 

<<クソっ!、数が多すぎる!>>

 

<<カウント!>>

 

<<ああ、わかっちゃいる!、わかっちゃいるんだけどよ!、コイツら諦めってのを知らねぇのかよ!>>

 

<<こちら中継機設置隊!、新たなBETA群の襲撃を……グワッ!>>

 

<<どうするメビウス1!、新手だぞ!>>

 

<<待て!、ここで下手に後退すればここで戦っているBETA達をそのまま彼らの元に連れていくことになるぞ!>>

 

<<……ザザ……私が何とかしよう……>>

 

<<おい誰だ今の無線!>>

 

<<俺じゃない>>

 

<<私だ>>

 

 

そう言うと、遠くで爆発音と共に無線から歓喜の声が上がった。

 

 

<<特設戦術機甲師団だ!、ルーデル閣下だ!>>

 

<<特設戦術機甲師団!?、ルーデルのとこだとは察するが、機種転換間に合ったのかよ!?>>

 

 

彼らが操るのは不知火壱型丙。

 

 

おい、そこでピーキーなやつを出すのか!?、と言ってもさすがにハイヴの中でA-10はアカンのよ……。

 

オマケに大佐ソ連大っ嫌いだし……。

 

密集格闘戦に強いソ連機出す訳にも行かず、新たに製造ライン作る訳にも行かずということなので不知火の改修機を出した次第。

 

 

<<平河代行より預かってきた代物だ。私を含め何人かが装備している>>

 

 

合流したルーデル達が見せたのは何と電磁投射砲

 

ただでさえ燃費の悪い不知火壱型丙に電磁投射砲持つとかさすがJu87に37mm付けただけはある。

 

 

<<よし、陣形を再編成する。まもなく最深部だ。反射衛星砲によってショートカットしてきたとはいえ、弾薬や燃料に乏しい機体もいる。損傷した機体は下がらせて、我々は反応炉に向かおう>>

 

 

メビウス1の指示で、第118戦術機甲師団が先頭、真ん中を特設戦術機甲師団、後方をストライクイーグル隊に変更した。

 

 

<<よし、全機突撃!>>

 

 

増援を加えた突入隊は、さらに奥深くへと向かう。

 

 

 

 

 

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一方、ハイヴの外で戦っていた部隊はまたしても厄介な敵と遭遇してしまう。

 

 

「超重光線級だ!、核ミサイル用意!」

 

 

さすがのレーザー撹乱剤とはいえ、超重光線級の極太レーザーに耐えられるかは不明、というよりかなり怪しい。

 

さっさと潰さなければならない。

 

あのデカブツ相手にはまともな砲撃よりも核ミサイルの方が効果的と判断、追加のレーザー撹乱剤を撒きつつ、急いで撃とうとする。

 

 

<<落ち着きなさい、ゆうなぎ>>

 

<<山城さん……>>

 

<<ここは私と姉様に任せて>>

 

 

そう言うと、扶桑と山城は砲撃目標を超重光線級に切り替え、即座に射撃する。

 

 

65cmのガンランチャーとはいえ、そこは幌筵泊地、威力は同口径のものと寸分たがわぬ威力であり、用意されていた僅か200g程の反物質で消し飛ばす。

 

 

幌筵泊地では、かつての北極海決戦の際に、豊かな自然を持つ北極海を核で汚染しないために様々な対策を取ろうとしており、その1つとして反物質爆弾を考えていた。

 

 

幸い開発は間に合い、火力的には問題ない。

 

 

弧を描く様に飛翔した砲弾は、超重光線級の上方で炸裂し、対消滅効果によって破壊した。

 

 

「超重光線級、撃破確認」

 

「突入隊との連絡は?」

 

「途中、新手のBETAの影響で、通信が途切れていたこともありましたが、特設戦術機甲師団のおかげで何とかなりました」

 

「ストライクイーグル隊にせよ、第118戦術機甲師団にせよ、特設戦術機甲師団にせよ、長距離を飛翔してきてよく戦闘できるな……、だが我々も負けていられない。核トマホーク用意!、島から逃がすな!」

 

「はっ!、攻撃開始!」

 

 

巡洋艦クラスながら、作戦の指揮を任されたゆうなぎも、持てる戦力を投入してBETA群を撃滅する。

 

 

<<こちら陸上部隊、支援攻撃を要請する>>

 

「了解した、まもなく幌筵泊地爆撃機隊による爆撃が行われる座標を送信して待て」

 

 

やはりBETAは穴を掘って新しい場所から出現し、陸上部隊への攻撃を行っているようだ。

 

 

「早く反応炉を破壊したいものだ」

 

「全くですよ艦長、なんのためにわざわざ田城さんと真多さんが反射衛星砲の投入を訴えていたのか、反射衛星砲で無理やり下までぶち抜いて、ショートカットできるようにしたのか」

 

「あれで反応炉ぶち抜ければ良かったんですがね……」

 

「波動エンジンでもない限り無理だろ、核融合炉の限界だ」

 

 

そう話していると、待ち望んでいた連絡が来た。

 

 

<<こちらメビウス1!、反応炉到達。これより反物質爆弾で破壊する!>>

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

反応炉付近

 

 

 

<<ルーデル大佐、感謝する>>

 

<<何、送られた牛乳分の働きをしたまでさ>>

 

 

やはり、レールガンを持っていたことは大きく、反応炉付近のBETAを掃討するのに複数回レールガンを発射、瞬く間に掃討した。

 

 

<<起爆は任せました隊長>>

 

<<ありがとう中佐、しばらく引き付けてくれ>>

 

 

反応炉付近のBETAを周りの味方がレールガンや、長刀、突撃砲で対処しつつ、メビウス1が反応炉に接近する。

 

 

「ストーンヘンジに比べれば簡単なものだ」

 

 

そう言うと、幌筵泊地特別仕様の反物質爆弾(反物質を1.2kg程充填)を取り付け、タイマーを起動する。

 

 

<<レールガンをぶっぱなせ!、ありったけの火力で強引に突破して脱出だ!>>

 

 

その言葉で動いた各戦術機達が、進路を確保し、何とか空けた風穴から逃げ始めた時、轟音と共に反物質爆弾が起爆した。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

旗艦ゆうなぎ

 

 

「反物質爆弾の起爆成功!、ハイヴ崩壊します!」

 

「よし!、やったぞ!、巻き込まれないように部隊は後退しているな?」

 

「ええ」

 

「奴らはどうなった?」

 

「崩壊に巻き込まれている奴らもいますがしぶとく生きてる連中もいます」

 

「良し、掃討戦だ」

 

 

艦隊と地上部隊が連携して敵を掃討する。

 

 

火力でごり押す戦術を使えれば、BETAも怖いものでは無い。

 

 

「掃討完了!」

 

 

その言葉に全員が歓喜した。

 

 

落着ユニット落着からおよそ2週間、死者300人近くを出した今回の事案。最後は幌筵泊地の総力の前に崩れ去った。

 

 

 

 

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幌筵泊地地下研究室

 

 

「それにしても奴ら、どうしてきたんでしょうか?」

 

「ああ、その理由はシンプルだよ」

 

 

帰還したゆうなぎに真多が答える。

 

 

「落着ユニットに損傷があった。調べたところ、小惑星が衝突したと考えられる。他の惑星に向かう最中、小惑星に運悪く衝突した結果、コースがズレてこの星に落着したってわけさ」

 

「つまり、この星を元々開拓する気は無かったと?」

 

「ああ、推測でしかないが、BETAが送り込まれる星はシリコニアンにとっての生命が居ない場所って訳だ。俺達もこの星に来て長い訳では無いから、この星には恐らくケイ素を主体とする生命がいるんだろうな」

 

「なるほど……」

 

「でだ、恐らく今後は来ることは無いが、今回の件を受けて、宇宙空間の防衛も必要になるから、また忙しくなるわけだ……」

 

「ま、何はともあれ、本土蹂躙を防げたのは良かったです」

 

「哨戒任務だけは続くがな、これからも頼む」

 

「はい」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「………という脚本なのですが幌筵泊地の皆さん、どうでしょうか?」

 

「代行として答える。ダメだ」

 

「ダメ?、そんなぁ……」

 

 

ロデニウス連邦共和国指折りのSF作家が持ち込んだ自慢の映画脚本は、主たる登場人物となっていた幌筵泊地の平河司令代行よってあっさり却下された。

 

 

「俺たち以外の転生者……、ウマ娘だっけ?、こいつらどうなったか書かれてないでしょ、それから……」

 

 

平河の忙しい仕事の中でのダメ出しはその後も続き、結局映画の話は流れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 





要塞級「上からなんか降ってきたんですけど」

ロデニウス連邦共和国艦隊「うるせぇとっとと逝け」


光線級「こんな敵知らない」

幌筵泊地転生者「うるせぇとっととタヒね」


兵士級&戦車級「なんかバケモノいる……」

強化歩兵部隊「お前が言うな」



ちなみに、今作に出てきた新兵器達の一部は今後今作で出てくるものの先行登場ということになっています。

うーむこのバケモノめ……。


夢オチは以前使ったので今回は台本オチとさせていただきました。


夏休み企画と言っておきながら10月まで長引きましたが、次回より本編に戻ります。











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再出発編②
第33話 国内改革と新たなる隼の誕生




さて、季節外れの夏休み企画が終わりまして、いよいよ本編再スタートです。

多元が休みの間に司令代行のあの人の疲労がMAXです。






 

 

 

多元の休職中にて

 

 

「クソが!、なんつー仕事量だ!、提督素面でこんな量こなしてたの有り得ないだろうが!」

 

「平河代行……」

 

「いい!、平河さんで!、つーかあの人が休んだと思ったら今度は俺が過労死しそうだよ!」

 

 

膨大な書類を大淀と共に捌く平河。

 

過労死ライン確実に超えている仕事量をこなしているのは訳がある。

 

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国の改革と、それに伴う幌筵泊地の改革だ。

 

 

 

 

きっかけは、ロパ戦争終戦後のとある会議での事だった。

 

 

 

 

 

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「………、というわけで、我が国と幌筵泊地は総力を挙げて戦っていたのですが、今1度、幌筵泊地の立ち位置というのを再定義するのはどうでしょうか?」

 

「再定義………ですか?」

 

「はい、これまで幌筵泊地からは技術者の派遣や、軍事技術の提供。更には有事の際の戦闘などに関わってきたのですが、ここで1つの疑問が生じます……

 

 

 

この先、国軍が整備しきった場合、幌筵泊地の立ち位置はどうなるのでしょうか?」

 

 

確かに、その事実は大きな問題だった。

 

幌筵泊地の実力はあらゆる面で確かに高い上、その戦力は恐らく世界でもトップクラスだろう。

 

だが、それこそが問題なのだ。

 

 

自国内に独立した軍事組織が2つあるというのは運用上にも支障があり、特に予算配分では、どこから予算を持ってくるべきかしばしば議論の的となる。

 

 

 

予算を預かる立場の財務省はいっそ吸収すれば……と言うと国防省は彼らが再転移した際の戦力喪失と、吸収した結果、各部隊へ編入されることで新部隊を埋め合わされる問題から拒絶し、幌筵泊地としても提督含めた艦娘や、妖精達の処遇、部隊配置、更には新兵器開発への制約を嫌ったため、この吸収案について問題視してこれを拒絶。

 

 

軍拡したい(せざるを得ない)国防省

VS

予算何とかしたい財務省

VS

なるべく独自性を保ちたい幌筵泊地

VS

ダークライ

 

 

という構図なのだ(なんか紛れてる)

 

 

財務省は予算を突きつけ、国防省は仮想敵国を突きつけ、幌筵泊地は技術を突きつけ互いに譲らない会議の中、ロデニウス連邦共和国大統領たるカナタ大統領は、三方をまとめあげる折衷案を出した。

 

 

 

「幌筵泊地は国防軍傘下の独立部隊、幌筵軍として、主に遊撃戦力、即応戦力として活用します」

 

「遊撃戦力はまだしも、即応戦力ですか?、しかしそれは海兵隊が………」

 

「あれは敵地上陸専門ですが、こちらは友好国や、味方部隊が既に展開している状況での運用です」

 

「わが国でも既に即応戦力として即応機動連隊がいますが、あれとはまた違う組織になるのですか?」

 

「あれは防衛戦や、国内テロにおける機動戦力としてです。攻勢的防御や、すぐに増援として投入出来る存在としての幌筵泊地です」

 

 

財務省の指摘に淡々と答えていくカナタ大統領

 

 

つまりどういうことだってばよ……

 

 

・海兵隊は敵前上陸を専門とする都合、沿岸部での戦闘を重視しており、内陸部への戦闘を長期にわたって行うには陸軍を待たねばならない。

 

・即応機動連隊は、確かに機動性は高いが、国内のようなインフラの整備された地域でしか展開できず、依然としてインフラが(ロデニウス連邦共和国と比較して)低い同盟国並びに友好国に派遣するのは難しい

 

・陸軍空挺部隊は火力が低く、今後の仮想敵に対して相対的に不利

 

・軍編成の都合、ロデニウス連邦共和国軍は、幌筵泊地のような多種多様な兵器を運用することは出来ない

 

 

最後の部分に関しては兵器を見ればわかりやすい。

 

 

現在、幌筵泊地で新規に運用されている、あるいは予定されているもののうち、ロデニウス連邦共和国で運用されていない、する予定が無いものは以下の通り

 

 

・戦術機部隊

▶︎従来兵器との違いから、ロデニウス連邦共和国軍は管轄と運用能力の都合で運用できない

 

特生自衛隊並びに各種兵器

▶︎一点特化の都合、汎用性を求めるロデニウス連邦共和国では運用出来ない

 

各種最新兵器(これから先の話の中で出す予定)

▶︎全部隊配備をすると予算が足りなくなる、新たな生産ラインの構築の必要性、運用者の実力不足等

 

艦娘

▶︎艤装等関する運用上の問題がある

 

 

 

こういった特殊な側面を持つ幌筵泊地を陸海空軍の1部として運用してきてしまったのはロデニウス連邦共和国の戦力が揃わなかったという事情もある。

 

だが、ロパ戦争を経て一応は成立しつつある国軍を背景に、さすがにそろそろ幌筵泊地に頼り切りという状況でもないので、今回の会議というわけだった。

 

 

今回の会議と、後の国際会議を経て、ロデニウス連邦共和国の軍事が再編成されることとなる。

 

 

 

 

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一方、鳳翔航空隊隊長と多元

 

 

「提督、空を飛んでみてくれ。あんたが一空(第1航空団)の連中と訓練していたのは知ってるし、何より提督自身が元々空母艦載機志望だったんだろ?」

 

「何故それを?」

 

「一空の連中が言ってた。<明らかに専門教育を受けた痕跡がある、カンさえ取り戻せればすぐにでもジェットに乗れる>って、それで俺、代行に聞いてみたんだよ、<どうして海上自衛隊出身の、船乗りだったはずの提督が航空機の指導を受けているのかって>そしたらさ……」

 

「<航空護衛艦計画>……」

 

「ああ、代行も同じことを言っていた。中国海軍の影響が増大したことを受けて、いずも型よりも高性能なフネを作ろうってことで、戦闘機30機に加えて支援機を載せた海上自衛隊初の本格的な空母。従来のパイロットに加えて、空自側20名、海自側10名の戦闘機乗りを新規に育成するって話だ。その10人の中に……、航空学生とかもいる中で、数少ない防衛大海自幹部出身者として、選ばれたって話だ」

 

 

そこまで知っているのなら、もう隠す必要も無い。

 

多元は重く閉じた口を開いた。

 

 

「卒業して、幹部学校出てすぐ……。いや、防大や幹部学校でも並行して訓練、さらに横須賀とアメリカを往復しながら勉強、訓練していたよ、なんせ海自からすれば、ようやく手にした空母機動部隊のチャンス、搭乗員や、艦長含めた主要幹部を全部空自に取らせる訳にはいかなかったんだろうな、さっさと育成しなければ空自にポジションを横取りされる。セクショナリズムみたいなもんは結局少なからずあるわけだ。俺含め防衛大出身者は4人いたが、そいつらも艦長や、艦隊司令としての教育と、空母艦載機としての訓練を並行で、しかも過密スケジュールでやっていたよ。体調を崩したのは一度や二度じゃないし、倒れたのも俺だけじゃなかった」

 

          悪 魔

それなのに……、実 の 父 親 は、それをチャンスとして文官側にいた親戚を通じて圧をかけた。

 

とは言えなかった。

 

言うべきではなかった。

 

 

「あともう少しでジェット機にも乗れたって聞いている。閑職に飛ばされた挙句、なんで辞めたのかは知らんが、嫌になったわけじゃないんだろ?、なら訓練を続けて戦闘機で飛んでみてくれ。提督に何があったのかとか、病気とか、俺たちは難しいことは分からない。でも俺たちはパイロットとしての生き方なら知っている。だから、俺たちが提督の人としてのなりを測るなら、俺たちなりのやり方がある。

 

 

 

提督、お艦を嫁にとるということに対して、覚悟があるのなら……

 

 

 

俺と戦え」

 

 

鳳翔航空隊隊長と戦う………

 

 

読者諸君は薄々察してはいるかもしれないが、鳳翔航空隊は極めて練度が高く、特に鳳翔航空隊隊長は、空戦、対艦攻撃、対地攻撃のどれをとっても比肩しうる妖精は居ない。いや、例外を挙げるなら第118航空団の一部や、ミハイだが、逆に言えば彼らぐらいしか勝てないのだ。

 

 

そこにまだジェット訓練もまともに終わってない多元が挑む……。

 

 

明らかに無理難題……

 

と思っていたが、そんなのは隊長も知っていた。

 

 

「模擬戦の機種は問わない、だが俺はF-35Bに乗る。提督が一番最初に俺にくれた機体だ、2対2の空戦。ペアを誰にしても構わない」

 

 

そう言うと隊長は席を立ち、去る。

 

 

「覚悟……か」

 

                     

(それでタイマンとか、昭和かよ……)

 

                    俺達のお艦

そう思いながらも提督である自らの行いで 鳳 翔 と隊長が罪を被る結果になり、事実は伏せられてはいるものの、詳細を知る鳳翔の妖精達に動揺と怒りが広がっていることは事実である。

 

鳳翔航空隊隊長としては、鳳翔の伴侶は鳳翔自身で決めるべきとの考えは揺らいではいないし、鳳翔の決定に異論は無いが、自分はそうでも、部下達は納得しないとわかっていた。

 

 

(だから自分が真正面から戦うことで、納得させる……、回りくどいが間違ってはいない)

 

 

とはいえ、彼らも一流の航空機乗り。手を抜けば1発でバレるだろうし、隊長としても手を抜くわけが無いだろう。

 

 

そう長く時間はかけられないが、やれることをやろう。

 

そう決意し、改めて模擬戦の内容について振り返る。

 

 

模擬戦の内容を思い返せば、機体は問わないとの事。

 

しかし相手はF-35B

 

生半可な機体では勝てないし、パイロットの腕は一世代、場合によっては2世代の差を埋めることとなる。

 

 

となれば……

 

 

多元の脳裏にある機体が思い当たった

 

 

「蒼い燕……、やるか」

 

 

幸い、明日にはチェックアウトして幌筵泊地に戻ることとなる。

 

幌筵泊地に戻ってもしばらくは仕事は無いから本業の戦闘機開発とパイロットとしての訓練に専念できる。

 

        多元 実      

自衛官としての  俺  と

 

        多元 実

技術者としての  俺  。

 

 

どっちでも負けるつもりは無い。

 

 

 

そう決意を固めて部屋に戻った多元だった。

 

 

 

 

 

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幌筵泊地、試作機工場

 

 

「あ、先輩おかえりなさい」

 

「ただいま」

 

「訓練はどうです?」

 

「順調さ、もうすぐジェットだ」

 

「それは何よりです。医者からはなんと?」

 

「仕事を休んでいるからメンタル的にもいいとの事だ。あと少しで完全に治ったと断言できるらしい。アレはどうなってる?」

 

「モックアップの修理は終わりましたが、まだエンジンの最終チェックや、機体のステルス塗装、武装の開発が終わっていません」

 

「俺はしばらく休みだから、ここで開発作業を進めよう」

 

「あっ……はい!」

 

 

そう言いつつ、モックアップを眺める多元。

 

 

「待たせたなあ……、

 

 

 

蒼燕」

 

 

 

F-3C 蒼燕

 

幌筵泊地転生者が本当に作りたかった航空機。元世界における最新技術を惜しみなく使い込んだだけあって、その性能は「トーシロでも同世代機以下なら圧倒できる」とまで評される。現実世界でも計画が進められているF-2後継機であるF-3だが、本作においてもF-3として存在しており、蒼燕は完成度の高かったF-3をベースに量産可能なギリギリのラインまで性能を向上、空力なども見直した結果ではあるものの、事実上の新型機として扱われている。(F3HとF-4みたいなもの)

 

それ故に転生者一同の気合いの入り方は凄まじいものがあり、本機での運用を視野に入れた各種ミサイルの開発や、材料力学の奇跡とも称されたファンブレード等、時代遅れとも言われる一騎当千の力を秘めている。

 

尚、蒼燕開発のために改修機を兼ねた実証機が投入されることになっていた。

 

 

 

それが次の機体である。

 

 

 

多用途戦闘機F-58

 

全長 19.2m

全高 5.1m

翼幅 13.8m

翼面積 80.2㎡

空虚重量 20600kg

運用時重量 30560kg

最大離陸重量 40210kg

エンジン 噴式瑞星×2

エンジン出力 AB使用時220kN

最大速度 M2.5(通常時はM2.0)

実用上昇限度 20000m

固定武装 25mmガトリング砲×1

機関砲装弾数 500発

追加兵装(通常空戦時) 長距離空対空ミサイルAAM-7×6、近距離空対空ミサイルAAM-5×4

追加兵装(対地攻撃時) 長距離空対空ミサイルAAM-7×2、近距離空対空ミサイルAAM-5×4、空対地ミサイルAGM-65×8またはGBU-39×10、その他長射程兵器は数発

追加兵装(対艦攻撃時) 長距離空対空ミサイルAAM-7×2、近距離空対空ミサイルAAM-5×4、極超音速対艦ミサイル×4発

リミッター解除時 空対空ミサイル、空対地ミサイル、空対艦ミサイルなどが数発増加

見た目 F-22(中身やエンジンをF-35やF-3に寄せたもの)

 

 

 

ロデニウス連邦共和国のステルス戦闘機としての納入を視野に入れた第5.5世代戦闘機、蒼燕の開発データを得るために、先に幌筵泊地で試作機として完成。新型空対空ミサイルAAM-7や、極超音速対艦ミサイルを装備。技術実証機という面を持ちながら、F-22や、F-35すら上回る能力を持つ。現在2機が制作完了し、ロパ戦争中に幌筵泊地で初飛行を行った。

 

 

 

 

F-15イーグルIII

乗員 1名+高性能AI

全長 20.44m

全幅 13.05m

全高 5.63m

エンジン F10噴式「誉」×2

最大航続距離 6200km

常用最大G(限界値) ±15G(±18G)

兵装搭載能力 空戦時8t、対地時20t

固定武装 軽量型バルカン砲×1

推力重量比 2.0

 

イーグルを限界まで魔改造した格闘戦主眼の戦闘機で、有人機でまともに勝てる機体は同世代では存在しないとされている。機体自体はガンダリウム合金によって構成され、軽量化と強靭さを兼ね備えている。F10「誉」エンジンはアフターバーナー時220kNもの出力を誇り、これは、戦闘機用に開発されたものとしては最高出力を誇る。推力偏向ノズルは多元たちの開発したものであり、機動力が高く、エンジン自体の性能から、急起動後の加速性も良好である。軽量化したバルカン砲は1200発まで装弾しており、装弾数の少ない機体と戦えば長い空中戦になればなるほど有利に傾くうえ、AIが周囲の警戒などを担当する他、パイロットが失神等で動けなくなれば、AIが戦闘空域からの離脱を支援する。ステルス性は皆無だが、格闘性能と兵装搭載能力などを活かして暴れ回る。一応技術実証機だが既存機からの改修で第1航空団に配備予定。

 

 

 

 

ここで、既に登場したAAM-7について紹介しよう。

 

 

これは、中華人民共和国などで配備が進められているPL-21やPL-15の完全上位互換、完全次世代モデルとして開発された長射程空対空ミサイルで、射程500kmで、優秀なシーカーと追尾性能を有している。尚、幌筵泊地はさらなる上位互換を作る予定。

 

 

 

「平河くんは大丈夫かい?」

 

「ものすんごい文句言ってました。今は大和さんや、武蔵さん、大淀さんと交代で仕事回してますよ。なんか勢い余ってとんでもないフネまたつくりそうです」

 

「精神的に負荷かかると技術的変態度に磨きがかかるタイプだったか……」

 

 

 

 

 

(彼の開発した最新艦艇は数話以内に公開予定)

 

 

 







えー、国内改革編とか終わったらすぐに愚帝戦と行きたいんですが、まだロパ戦争の後始末とか、周辺地域のゴタゴタ収まってませんし、何より戦力揃えたいのでもう少しお待ちを……。

(これ以上増やしてどーすんのって指摘は置いといて)


ちなみにAAM-6は飛ばしました、多分現実世界でそのうち出てきそうなんで。


次回はいよいよ講和会議です。








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第34話 エストシラント平和条約締結



「今この瞬間、第3文明圏と周辺文明圏外国の盟主はロデニウス連邦共和国になった」

(ロデニウス連邦共和国国内メディアの談話)


さて、幌筵泊地が色々騒がしいですが、とりあえず外部のゴタゴタ納めに行きます。





 

 

 

中央歴1640年12月15日

 

 

旧パーパルディア皇国

 

旧皇都エストシラント

 

 

「では、これよりロパ戦争における戦後処理を始めます」

 

 

ロデニウス連邦共和国外務大臣の言葉で始まった今回の会議最初の議題は領土だった。

 

 

「まずは、旧属領は全て独立。そのうえでMMATによる保護下に置くということで各国代表よろしいですか?」

 

「異存ありません」

 

 

当然ながら旧パーパルディア皇国正統側に発言権は無く、ただ進みゆく議題について見聞きするだけだ。

 

 

「続けて、各国への賠償金請求ですが、今回の戦争の被害者となったフェンに15%、主要の交戦国である我が国、ロデニウス連邦共和国が20%、アルタラスが10%、ドーパ、ネーツがそれぞれ7.5%ずつ。残り40%を旧属領に配分しますが……」

 

 

ここで一旦1呼吸おく。

 

 

「パーパルディア皇国正統政府から旧属領には、賠償金とは別に独立支援として支援金と自立支援をしてもらいます」

 

「待ってくれ!、それでは我々は負債まみれではないか!」

 

 

たまらず抗議したパーパルディア皇国正統政府代表を対して、ロデニウス連邦共和国側が放った言葉は酷く冷淡なものだった

 

 

「貴国の地下資源を放出すれば良い」

 

「なっ……」

 

「尚、我が国には人権というものがある。たとえ敗戦国と言えど、国民全員の奴隷化は望んでいない」

 

 

地下資源を差し出せというのはロデニウス連邦共和国からするとむしろそうして欲しいという願いがあった。

 

大量の通貨を一度に発行すれば激しいインフレーションを招き、せっかくへし折ったはずのパーパルディア皇国の再来、賠償金が新たなる反ロ国家を生み出すことに繋がりかねないからだ。

 

むしろ地下資源を提供させることで、国内企業の進出を促し、依然として残る人材を使ってさらなる拡大を誘発する方が得策と考えていたロデニウス連邦共和国は、あることを代表に言った。

 

 

「無論、賠償金支払いの過程で支払いの滞りや、国家自体が滅亡しては困る。我が国としてはそのための支援を惜しまない」

 

「おぉ……、いや、ありがとう…ございます…」

 

 

一瞬喜びかけた代表だが、すぐに裏に隠された真意を読み取り、厳しい表情をする。

 

 

滅亡はさせないが、カネはきっちり払わせる。

 

 

はっきりと飼い殺しすると言っているようなものでは無いか、と代表側が思ったのも無理は無かった。

 

 

「続いて、領土です。先程言った通り、旧属領は全て独立とした上で、デュロ、エストシラント、パールネウス、アルーニの一部、または全てを我が国の直轄地とさせていただきます。尚、エストシラントはMMATの共同管理領も設けます。その上で、エストシラントの内陸側に新首都を置く形で、後継国家を置いてもらいます」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

「リーム王国代表、何か?」

 

「我が国には何も無いのですか?、我が国とてパーパルディア皇国の圧力が……「今回の貴国が行った行いを包み隠さずこの場で出されたいのか!?」

 

 

その場の警備を担当していた新本部長のディーニツ本部長が一喝した。

 

 

 

 

リーム王国が何をやったのか、その内容は半月前に遡る。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

パーパルディア皇国沖合、空母ロデニウス

 

 

「司令!、リーム王国の軍勢が国境線付近に集中しております!」

 

「何!?、まさか侵攻する気か!?」

 

「どうします?」

 

「魔信で呼びかけろ、応答なく国境線を越えた場合は躊躇するな、バックウィングにトマホーク発射要請!、艦載機は対空兵装と爆装の上で発艦用意急げ!」

 

 

パーパルディア皇国は原作とは異なり、ロデニウス連邦共和国が主体となったMMAT単体で落とした(属領除く)、そのため原作で言うところのリーム王国の介入などが戦時中に行われなかった(似たような動きはあったが消し飛ばした)。

 

また、属領含めた地域は降伏後、暫定的にロデニウス連邦共和国が防衛するとしており、講和会議前に勝手なことを諸外国にやらせないという意志を示していた。

 

 

「オールラウンダー、爆装にて発艦!」

 

「アルバトロス、2小隊分発艦!」

 

 

M-3オールラウンダーは、元ネタのA-3スカイウォーリア同様、爆撃も出来、その爆装量は12tと、下手な爆撃機よりも多い。

 

 

「戦闘機には防空を、M-3には爆撃させろ」

 

「了解、リーム王国、反応ありません」

 

「致し方ない……、直ちに攻撃開始!」

 

 

そこからのリーム王国侵攻軍は悲惨の一言だった。

 

 

上空のワイバーン30騎が瞬く間にロデニウス連邦共和国海軍艦上戦闘機、F-101アルバトロスが放ったAIM-120の餌食となり、壊滅。

 

地上部隊は爆装したM-3が徹底的に絨毯爆撃し、残存勢力はトマホークで狙い撃ちにした。

 

この1件を受けて、ロデニウス連邦共和国外務省は、リーム王国に対して裏で抗議し、第3文明圏内外の平穏を乱す行為として即刻侵攻中止を要求、脅しとして完成したばかりのゼルゲート級戦略打撃戦闘指揮艦の装甲強化型戦艦の1番艦、ゼルゲートを護衛艦付きで派遣。ヒルキガ付近の海上を遊弋して圧力をかけたのだ。

 

さすがに参ったのか、リーム王国は侵攻を中止し、撤退。今回の一件が影響して、講和会議には招かれていたものの、各種利権、援助は当然貰えずただのお客さん扱いになっていたのである。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「ぐぬぬ……」

 

 

さすがにここで自分達のしでかした行為についてばらされては、確実に孤立する。

 

最早、ロデニウス連邦共和国は第3文明圏外の弱小国家ではなく、第3文明圏周辺を抑える超大国なのだ。

 

そして、ロデニウス連邦共和国に追従する国家は多く、ここでことを荒立てれば確実に孤立する。

 

 

「し、失礼しました……」

 

 

この場は一旦抑えたものの、領土拡張意欲を失わないリーム王国。

 

ロデニウス連邦共和国は同国を警戒すると共に、有事に備えることとなる。

 

 

「では続けて、独立した旧属領並びに圧力を受けていた各国に対して、我が国より1つ提案がございます」

 

 

外務大臣が出した提案とは……

 

 

「我が国は、独立された各国と、第3文明圏で支援を受け入れると表明された国々の経済的自立と成長を助けるために、支援政策を発表させていただきます」

 

 

これはロデニウス連邦共和国カナタ大統領発案の元で作られたもので、第3文明圏復興計画として、国内で検証が進められたきたものだが、発案者の大統領の名前からカナタ・プランと呼ばれるものである。

 

 

その内容はいくつかの段階に分けられており

 

 

第1段階

・各国への食料、衣料、医療支援

・安全保障のためのMMATへの加盟

 

第2段階

・インフラ、国家機構の設立支援

・魔導技術、科学技術双方にわたる指導

 

第3段階

・各国への経済的自立に向けた投資と、働き口確保のための工場等の進出

・留学生の受け入れ

 

 

「尚、この政策はパーパルディア皇国後継国家も対象となっており、旧属領、戦勝国、敗戦国問わず繁栄と安寧を享受していくための政策です」

 

 

この言葉が出た瞬間、MMAT参加国、フェン王国、旧属領などからいっせいに拍手が起こり、多くの国々が受け入れを表明するものだった。

 

 

(言わずもがな、元ネタはマーシャル・プランである)

 

 

「この政策を受け入れられた国には、我が国から武器の提供をさせていただくと共に、訓練も行わせて頂きます」

 

 

これにより、ロデニウス連邦共和国の影響は第3文明圏全体に浸透することとなり、パーパルディア皇国無き現在、第3文明圏の超大国として君臨することが確定した。

 

 

尚、戦後処理という重大案件でありながら、この会議はおよそ1週間で終わることとなる。

 

その理由は、ロデニウス連邦共和国とパーパルディア皇国正統政府の代表であるカイオス氏が、入念なやり取りを行っていたこと、旧属領に意外にも多くの指導力を持つ人々が生存していたこと、MMAT参加国が理性ある国であったこと、リームのような拡張意欲のある国を排除出来たことになる。

 

 

このような背景がありつつも、中央歴1640年12月23日、エストシラントの旧宮城にて、締結された条約が以下の通り

 

 

エストシラント平和条約

 

・パーパルディア皇国は解体し、新たにエストシラント公国として旧属領と、デュロと周辺地域、エストシラント沿岸部、パールネウスと周辺地域、アルーニの一部を除く全土を統治する。

 

・旧属領は全て独立、72ヶ国が独立国となる。

 

・エストシラント公国は、自国の治安維持と防衛のために必要最低限の軍備を持つことを認める。

 

・エストシラント沿岸部は70%をロデニウス連邦共和国が管理、30%をMMATが管理する。

 

・デュロ、パールネウスとその周辺地域はロデニウス連邦共和国が管理し、速やかな復旧を行う。

 

・アルーニはロデニウス連邦共和国とMMATと共同管理とする。

 

・旧属領の治安維持は当面MMATの持ち回りとするが、速やかなる国軍の創設に向け、MMATと各国で協力する。

 

・エストシラント公国はパーパルディア皇国の予算10年分を指定比率の元、各国に支払う、尚地下資源による代替も可能とする。

 

・エストシラント公国は旧属領の自立支援のために、パーパルディア皇国の予算5年分を人口や土地、地下資源などの内容を加味した比率で各国に払う。

 

・エストシラント公国は皇帝一族について、皇族はルディアスの先代皇帝の弟であるヴィルへ三世と、その直系の家系を除いて全て追放とする。尚、正式に確認されていた者を隠していた場合、または、隠し子などを勝手に復活させた場合は断絶処分も辞さない。尚、当然ながら今回の戦争に関わった皇族は全てロデニウス連邦共和国に引き渡すこと。

 

・エストシラント公国は5年以内に民主政治へ移行するが、移行前も移行後も皇族を政治に関わらせてはならない。

 

・エストシラント公国はロデニウス連邦共和国と安全保障条約を締結する。

 

・ロデニウス連邦共和国はエストシラント公国が円滑に賠償金を支払えるように、監視と支援を行う。

 

 

 

などなど色々あるがざっと要約すると

 

 

・金払え、地下資源でもいいから

・皇族追放、政治に関わんな

・領土はこんだけ、あとは渡せ

・軍備こんだけな、あとはこっち(ロデニウス連邦共和国)で面倒見る

 

 

 

ということである。

 

 

尚、これと並行して、MMATについても加盟国が大幅に増えたため、実力に応じて、MMAT参加国の中で新たに定義が必要となり、MMATの中にも複数の組み分けを作った。

 

 

 

MMAT参加国

 

第1条国(経済的に自立しており、他国に向けて軍を派遣することができる)

ロデニウス連邦共和国

アルタラス王国

トーパ王国

ネーツ公国

 

・役割

▶︎平時における他国への軍事訓練

▶︎有事の際の部隊派遣

 

備考

事実上、ロデニウス連邦共和国が単独で行うことが多い

 

 

第2条国(経済的には自立できているものの、装備などの問題から他国に向けて軍を派遣することは難しい国)

マール王国

ガハラ神国

パンドーラ大魔法公国

 

・役割

▶︎派遣に向けた訓練と調整

▶︎緊急時の他国への派遣

 

備考

将来的には1条国へ移動

 

 

第3条国(経済的に自立しておらず、軍の派遣も困難な国)

フェン王国

ナハナート王国

 

・役割

▶︎経済的自立と訓練

▶︎自国防衛

 

備考

まずは2条国への移行

 

 

第4条国(旧パーパルディア皇国属領)

72ヶ国

 

・役割

▶︎経済的自立と国軍整備

▶︎有事の際の国民避難

 

備考

当面は自国の運営に専念

 

 

加盟準備国(加盟に向けた具体的交渉を行う国)

マオ王国

シオス王国

 

 

 

 

尚、MMATでは、科学技術主体の通常軍と、魔導技術中心の魔導軍に分けることで、各国の強みを活かせるように検証を重ねている。

 

 

 

 

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時間は少し戻り、中央歴1640年11月25日

 

 

「剣王様、ロデニウス連邦共和国の開拓団が畑作を始めました」

 

「おお、もうなのか!、港と飛行場ができたと思ったら、あれよあれよという間に畑作なのか!?、しかもあの痩せた土地を見事なまでに開拓してしまうとは……、ロデニウス連邦共和国は科学技術の国とは聞いていたがさすがよのぉ」

 

 

フェン王国への入植者は、ロパ戦争中に決定され、多くの国民が入植、開拓を進めていた。

 

 

トーパ、ネーツ両国との合意の元、グラメウス大陸への入植もあったが、現時点で最も近い入植地は、フェンのゴトク平原で、土地は痩せていたとは言うものの、幌筵泊地から提供されたサツマイモの育成に適しているとの事から、芋好きな転生者の主導で入植と栽培が進められていた。

 

 

現在、フェン王国にはロデニウス連邦共和国海兵隊と海軍が駐留しており、フェン王国軍の強化も並行して行われる予定となっている。

 

 

 

 

 

 

 

 






はい、パーパルディア皇国は解体されました。

デュロやパールネウスなんかを直轄地にしたのは核汚染とか隕石衝突のアレを処理したり研究するのに必要だからです。

まぁ、引き渡したところで彼らがどうこうできた訳では無いですが……

次回は軍事面の詳細な説明を扱う予定です。



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第35話 MMATの軍事力①




えー、なんかもう色々ぶっ飛んでいる本作のロデニウス連邦共和国なんですが、ここいらで一度軍についてざっと整理しておくために、軍編成について、ロデニウス連邦共和国と同盟国の一部をまとめました。

今回はロデニウス連邦共和国陸軍と海軍です。

各種兵器は各話の最後に扱います。

あ、そうそう、念の為作者より一言。

大隊以下等の細かい数調整は割愛だ!、仕事が追いつかん(By作者)








 

 

 

1641年1月、ロデニウス連邦共和国の軍事情報雑誌がMMATの軍事に関わる書籍を発行した。

 

 

タイトルは「MMAT主要国の軍事力の全て」

 

 

それによれば、各国の戦力は以下の通り

 

 

 

ロデニウス連邦共和国

 

 

MMATの盟主にして、超軍事大国へと変貌しつつある国家。陸軍、海軍、空軍、海兵隊、防空軍、魔導軍、そして転移者によって構成される幌筵軍の7軍から構成される。幌筵軍除く6軍の合計は予備役含め300万人を超えるとされ、幌筵軍の推計と合わせるとその数は400万とも500万とも言われている。

 

 

 

*兵器説明は部隊紹介の後

 

 

ロデニウス連邦共和国陸軍

 

ロデニウス連邦共和国陸軍は、主にロデニウス連邦共和国本土と同盟国の防衛を担う陸上部隊である。部隊の部隊インフラ整備の進んだ国内に機動力の高い即応機動戦闘団を置くことで広い国土に対応する機動防衛の概念を持つ機動師団。第3文明圏内外における平均的なインフラ程度でもバランスの良い戦力を保有する普通科師団高い対人戦闘力を持つ装甲突入歩兵大隊を指揮下に、打撃力の要として戦車を中心とする機甲師団対地攻撃にも転用可能な地対艦誘導弾を装備する砲兵師団回転翼機を保有し、航空戦力による空中機動を重視する航空騎兵師団特殊部隊を複数抱える歩兵師団がある。

 

 

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国の陸軍編成

 

 

 

 

大隊(大隊本部と本部中隊と4個中隊)

旅団(団本部本部中隊と7個大隊)

師団 約15000人(団司令部とヘリ中隊に3個旅団)

(旅団戦闘団≒旅団)

軍 約60000人(4個師団)

軍集団 約12万人 (本土なら2個軍、海外の場合は在外司令部と2個軍)

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国陸軍の師団編成

 

 

機動師団

団司令部とヘリ中隊(UH-60とUH-2装備)、3個即応機動戦闘団からなる師団。本土のみ配備。主要装備はカッコ付で表記

 

 

即応機動戦闘団(4500人)

団本部並びに本部中隊

機動歩兵大隊×3

▶︎大隊本部と本部中隊、機動歩兵中隊×3と迫撃砲中隊

(パトリアAMV、共通戦術装輪兵員輸送車型、LAV、共通戦術装輪迫撃砲型、中距離多目的誘導弾、3トン半トラック、オートバイで編成)

機動砲兵大隊×1

▶︎大隊本部と本部中隊、機動砲兵中隊×3、機動ロケット砲中隊×1

(19式自走榴弾砲、HIMLRS、その他装輪式支援車両で編成)

機動戦闘大隊×1

▶︎大隊本部と本部中隊、機動戦闘中隊×4

(16式装輪戦闘車、共通戦術装輪歩兵戦闘車型、共通戦術装輪偵察戦闘車型、パトリアAMVで編成)

機動工兵大隊×1(機動性以外は変わらない)

▶︎大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信ネットワーク中隊×1、支援中隊

(共通戦術装輪工兵車型、その他通信設備を持つ専用車両で編成)

機動支援大隊×1

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

(戦闘救急車、11式地対空誘導弾、93式地対空誘導弾、その他支援車両で編成)

 

(共通戦術装輪のうち、試作車の無いものは将来装輪戦闘車両ファミリー化イメージ図が参考)

 

 

 

普通科師団

団司令部とヘリ中隊(UH-60とUH-2装備)、2個歩兵旅団戦闘団と1個機甲旅団戦闘団で構成

 

 

歩兵旅団戦闘団(4500人)

団本部

本部中隊

歩兵大隊×3

▶︎大隊本部(団司令部も兼ねる)と本部中隊、歩兵中隊×3と迫撃砲中隊×1

(共通戦術装軌兵員輸送車型、迫撃砲搭載型、中距離多目的誘導弾搭載型、LAV、オートバイなどで構成)

偵察戦闘大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、偵察中隊×2と戦闘中隊×2

(CV90Rと、M39メルニウス、OH-1)

砲兵大隊

▶︎大隊本部と本部中隊自走砲中隊×2と機動ロケット砲中隊×2と観測小隊

(99式自走榴弾砲、HIMLRS、OH-1、その他支援車両)

旅団工兵大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信ネットワーク中隊×1、支援中隊

(施設作業車などを装備)

旅団支援大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

(即応機動戦闘団と同じ)

 

 

機甲旅団戦闘団(4800人)

団本部

本部中隊

機甲大隊×3

▶︎大隊本部と本部中隊、戦車中隊と機械化歩兵中隊がそれぞれ2個ずつ

(M39メルニウス、CV90R、共通戦術装軌兵員輸送車型で編成)

偵察戦闘大隊

▶︎ 大隊本部と本部中隊、偵察中隊×2と戦闘中隊×2

(CV90R、M39メルニウス、OH-1で編成)

機甲自走砲大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、自走砲中隊×3、ロケット砲中隊×1、観測小隊

(K9自走砲、MLRS、その他支援車両とOH-1で編成)

旅団工兵大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信ネットワーク中隊×1、支援中隊

(機動師団と同じものが装軌化)

旅団支援大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

(機動師団の車両を装軌化したものになる)

 

 

機甲師団

 

団司令部とヘリ中隊(UH-60とUH-2装備)、機甲旅団、砲兵旅団、支援旅団で編成。

 

機甲旅団(4800人)

団本部

本部中隊

戦車大隊×5

▶︎大隊本部と本部中隊、戦車中隊×4

(M39メルニウス、共通戦術装軌兵員輸送車型、CV90Rで編成)

装甲突入歩兵大隊×2

▶︎大隊本部と本部中隊、歩兵中隊×2、装甲突入中隊×2

(BMP-T、CV90R、共通戦術装軌兵員輸送車型で編成)

 

砲兵旅団(4800人)

団本部

本部中隊

砲兵大隊×5

▶︎大隊本部と本部中隊、自走砲中隊×4

(K9自走砲と支援車両、OH-1で編成)

ロケット砲大隊×2

▶︎大隊本部と本部中隊、ロケット砲中隊×4

(MLRSと支援車両、OH-1で編成)

 

支援旅団(4000人)

団本部

本部中隊

工兵大隊×1

▶︎大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信ネットワーク中隊×1、支援中隊

支援大隊×1

▶︎ 医療中隊×2と整備中隊×2

(旅団支援大隊と同じ)

偵察大隊×1

▶︎ 大隊本部と本部中隊、偵察中隊×3と戦闘中隊×1

(CV90R、M39メルニウス、OH-1で編成)

対空大隊×2

▶︎自走対空機関砲中隊×3、近距離地対空ミサイル中隊×2

(87式に携SAMを装備した改修車両と、共通戦術装軌に11式、携SAMを載せた対空車両)

航空大隊×1

▶︎戦闘ヘリ中隊×2と空中機動中隊×2

(AH64Eアパッチガーディアン、AH-1Z、UH-60で編成)

 

 

火力師団

 

団司令部とヘリ中隊(UH-60とUH-2装備)、地対艦誘導弾旅団と火砲旅団、支援旅団で編成。

 

地対艦誘導弾旅団(4500人)

団本部

本部中隊

地対艦誘導弾大隊×7

▶︎大隊本部と本部中隊、4個地対艦誘導弾中隊で編成

(12式地対艦誘導弾、支援車両、高機動車、トラックなどで構成)

 

火砲旅団(5000人)

団本部

本部中隊

カノン砲兵大隊×4

▶︎ 大隊本部と本部中隊、カノン砲砲中隊×4

(M203 170mm自走カノン砲と、各種支援車両、トラックなどで編成)

ロケット砲大隊×3

▶︎ 大隊本部と本部中隊、ロケット砲中隊×4

(MLRS、支援車両、トラックなどで編成)

 

支援旅団(4000人)

(機甲師団のものと変わらない)

 

 

 

航空騎兵師団

 

団司令部とヘリ中隊(UH-60とUH-2装備)、航空歩兵旅団と航空戦闘旅団、支援旅団で編成。

 

航空歩兵旅団(4800人)

団本部

本部中隊

航空歩兵大隊×7

▶︎大隊本部と本部中隊、火力支援中隊×1、航空歩兵中隊×3

(火力支援中隊にはハインドとブラックホーク、航空歩兵中隊にはブラックホークとチヌーク)

航空戦闘旅団(4500人)

団本部

本部中隊

航空戦闘大隊×7

▶︎大隊本部と本部中隊、戦闘ヘリ中隊×4

(アパッチガーディアン、ヴァイパー、ニンジャで編成)

支援旅団(4500人)

(機甲師団と変わらない)

 

 

歩兵師団

 

団司令部とヘリ中隊(UH-60とUH-2装備)、空挺旅団と航空戦闘旅団、支援旅団で編成。

 

空挺旅団(4800人)

団本部と本部中隊、5個空挺大隊と2個空挺火力大隊(2S25スプルートと迫撃砲、BMD-4等保有)

特務旅団(4300人)

団本部と本部中隊、5個特殊大隊と2個支援大隊

支援旅団(4500人)

(機甲師団と変わらないが、秘匿性がある)

 

 

歩兵師団の具体的な内容については不明

 

 

 

ロデニウス連邦共和国の配置

 

 

*数字は概数

 

 

本土配備部隊

 

本土防衛総軍 48万人

 

4個軍集団

 

 

ロウリア方面軍集団(1個軍集団12万人)

 

ロウリア東部軍(主にテロ対策)

 

第21師団(機動)

第22師団(機動)

第23師団(機甲)

第24師団(航空)

 

ロウリア西部軍

 

第17師団(機動)

第18師団(機甲)

第19師団(砲兵)

第20師団(航空)

 

 

 

クワ・トイネ方面軍集団

 

クワ・トイネ東部軍

 

第1師団(歩兵)

第2師団(機動)

第3師団(機動)

第4師団(航空)

 

クワ・トイネ西部軍

 

第5師団(機動)

第6師団(火力)

第7師団(機甲)

第8師団(火力)

 

クイラ方面軍集団

 

 

クイラ東部軍

 

第9師団(機動)

第10師団(火力)

第11師団(航空)

第12師団(火力)

 

 

クイラ西部軍

 

第13師団(機動)

第14師団(機甲)

第15師団(機動)

第16師団(火力)

 

 

 

 

教導、後方支援軍集団

 

 

教導軍

 

第101歩兵教導師団

第102工兵教導師団

第103機甲教導師団

第104航空教導師団

 

 

 

後方支援軍

 

第201兵站支援師団

第202輸送支援師団

第203整備師団

第204実験、整備師団

 

 

 

アルタラス王国配備部隊

 

 

アルタラス王国派遣軍 24万人

 

 

 

アルタラス王国派遣軍第1軍集団

 

 

在ア陸軍司令部

 

 

第1軍

 

第25師団(普通科)

第26師団(普通科)

第27師団(歩兵)

第28師団(航空)

 

 

第2軍

 

第29師団(普通科)

第30師団(機甲)

第31師団(火力)

第32師団(航空)

 

 

 

アルタラス王国派遣軍第2軍集団

 

 

(第1軍集団にあるため司令部は無い)

 

 

第3軍

 

第33師団(火力)

第34師団 (普通科)

第35師団(普通科)

第36師団(火力)

 

 

第4軍

 

第37師団(普通科)

第38師団(火力)

第39師団(普通科)

第40師団(機甲)

 

 

トーパ王国配備部隊

 

 

トーパ王国派遣軍 12万人

 

 

トーパ王国派遣軍集団

 

 

在ト陸軍司令部

 

 

第5軍

 

第41師団(普通科)

第42師団(普通科)

第43師団(機甲)

第44師団(航空)

 

 

 

第6軍

 

第45師団(火力)

第46師団(火力)

第47師団(歩兵)

第48師団(普通科)

 

 

 

ネーツ王国配備部隊

 

 

ネーツ王国派遣軍 12万人

 

 

 

ネーツ王国派遣軍集団(ドーパ王国のものと同じ)

 

 

在ネ陸軍司令部

 

 

第7軍

 

第49師団(普通科)

第50師団(普通科)

第51師団(機甲)

第52師団(航空)

 

 

第8軍

 

第53師団(火力)

第54師団(火力)

第55師団(歩兵)

第56師団(普通科)

 

 

 

フィルアデス大陸派遣部隊

 

 

 

フィルアデス大陸派遣軍 36万人

 

 

フィルアデス大陸派遣軍第1軍集団

 

 

第9軍

 

第57師団(普通科)

第58師団(普通科)

第59師団(火力)

第60師団(機甲)

 

 

第10軍

 

第61師団(航空)

第62師団(機甲)

第63師団(火力)

第64師団(歩兵)

 

 

 

フィルアデス大陸派遣軍第2軍集団

 

 

第11軍

 

第65師団(普通科)

第66師団(機甲)

第67師団(火力)

第68師団(航空)

 

 

第12軍

 

第69師団(普通科)

第70師団(普通科)

第71師団(機甲)

第72師団(航空)

 

 

フィルアデス大陸派遣軍第3軍集団

 

 

第13軍

 

第73師団(普通科)

第74師団(火力)

第75師団(火力)

第76師団(歩兵)

 

 

第14軍(機甲軍)

 

第77師団(火力)

第78師団(機甲)

第79師団(火力)

第80師団(機甲)

 

 

(マール、パンドーラ、エストシラント公国、72ヶ国全体が一応の範囲だが、海兵隊や、MMAT第1条国とも協力している)

 

 

 

尚、現在、追加で48万人の訓練を行っているため、ロデニウス連邦共和国陸軍の大凡の戦力は、約160万人程である。(予備役を含めると200万を超える)

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍は、ロデニウス連邦共和国沿岸部と、同盟国または、第3文明圏並びにロデニウス連邦共和国が交易する全てのシーレーンの防衛と、海外派遣された際に陸上部隊の支援にあたることを目的としている。その実態は、外洋での長期にわたる作戦行動を前提とした外洋艦隊沿岸部防衛に特化した沿岸艦隊情報収集から通商破壊、場合によっては

S L B M

戦略兵器の運用も想定されている潜水艦隊陸上部隊の輸送や、有事の際の民間人退避などを行う輸送艦隊機雷敷設や、情報収集艦の運用、損傷艦の現地修理などを行う支援艦隊対潜哨戒や海上救難、A2ADを担当する大型機の運用を行う航空艦隊の6個艦隊から編成される。

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国の海軍編成

 

ロデニウス連邦共和国海軍では、作戦行動の際は各艦隊より抽出した戦力を編成した任務部隊を編成し、対処することが多い。

 

 

 

 

外洋艦隊

 

1個艦隊につき、1個機動艦隊と1個打撃艦隊、2個水上艦隊からなる全10個外洋艦隊で、艦隊司令部はアルタラス王国に駐留する第5外洋艦隊司令部を除き、全てロデニウス連邦共和国国内を母港としている(1640年12月末現在)、外洋艦隊の特徴として、機動艦隊には潜水艦隊以外で唯一の攻撃型原潜が配備されているという点である。

 

 

機動艦隊

▶︎艦隊司令部と1個空母打撃群(空母1、巡洋艦4、攻撃型原潜1)、1個駆逐戦隊(駆逐艦10)から編成

(駆逐艦はミドル級、巡洋艦はバックウィング級、空母はロデニウス級、原潜はホオジロ級)

 

 

打撃艦隊

▶︎艦隊司令部と1個打撃群(戦艦1、巡洋艦4)、1個駆逐戦隊(駆逐艦10)から編成

(戦艦はゼルゲート級戦略打撃戦闘指揮艦、それ以外は全て同じ)

 

 

水上艦隊

▶︎艦隊司令部と2個水雷戦隊(巡洋艦2、駆逐8)から編成

(以降、特記しない限り艦種は同じ)

 

 

 

 

 

沿岸艦隊

 

1個艦隊につき、1個駆逐艦隊と3個ミサイル艦隊からなる全6個沿岸艦隊で、艦隊司令部は全て本土に置かれている。有事の際は、沿岸部の対潜哨戒と、警備を航空艦隊とともに行い、接近した敵艦隊を陸海空の三軍で対応する立場にある。尚、航続距離よりも武装や、速度面に振り分けた艦艇が多い。

 

 

駆逐艦隊

▶︎艦隊司令部と2個駆逐戦隊(駆逐艦4)から編成

 

ミサイル艦隊

▶︎艦隊司令部と1個フリゲート戦隊(フリゲート6)、1個ミサイル戦隊(コルベット1、ミサイル艦×4、潜水USV×16)から編成

 

 

潜水艦隊

 

1個艦隊につき、2個潜水隊または2個攻撃潜水隊もしくは2個戦略潜水隊と1個潜水支援艦隊で構成される全10個潜水艦隊。性質上秘匿性が高いが、近海行動前提のディーゼル潜水艦から、特殊部隊の支援なども行う攻撃型原潜、SLBMに対応した戦略原潜まで保有する海中艦隊。幌筵泊地との合同訓練の比率も高い。

 

 

潜水隊

▶︎ディーゼル潜水艦3隻で編成

(ギム級)

 

攻撃潜水隊

▶︎攻撃型原潜3隻で編成

(ホオジロ級)

 

戦略潜水隊

▶︎戦略原潜2隻で編成

(エターナル級)

 

潜水支援艦隊

▶︎潜水母艦2隻で編成

(セ号潜水母艦)

 

 

輸送艦隊

 

1個艦隊につき、1個遠征打撃艦隊、2個輸送艦隊で構成される全10個輸送艦隊。海兵隊を乗せて敵地に上陸する際は、他艦隊との連携を取ることが基本となる。

 

*兵器説明で扱うため、以降名前は割愛

 

遠征打撃艦隊

▶︎強襲揚陸艦1、ドック型揚陸艦5で編成

 

輸送艦隊

▶︎車両貨物輸送艦6で編成

 

 

支援艦隊

 

1個艦隊につき、1個掃海部隊、1個補給部隊、1個整備部隊、1個情報部隊からなる全10個艦隊。外洋艦隊と連携して作戦行動を行うため、基本的には外洋艦隊と同じ場所に司令部を置く。

 

 

掃海部隊

▶︎掃海母艦1と掃海艦4で編成

 

補給部隊

▶︎補給艦2と護衛の駆逐艦4で編成

 

整備部隊

▶︎弾薬補給機能や、点検機能を持つ、超弩級半潜水式運搬船2と支援艦6で編成。

 

航空艦隊

 

1個艦隊につき、1個固定翼対潜哨戒機航空隊、1個回転翼対潜哨戒機航空隊、1個救難航空隊、1個対艦攻撃機航空隊からなる航空部隊。MMAT3条国までの全ての国に配備されている。

 

 

固定翼対潜哨戒機航空隊

▶︎P-3対潜哨戒機16機で編成(P-1に置き換える話も出てきている)

 

回転翼対潜哨戒機航空隊

▶︎SH60K16機で編成

 

救難航空隊

▶︎UH60、V-22、US-2の8機で編成

 

対艦攻撃機航空隊

▶︎H-6×2、M-3オールラウンダー×4、A-6イントルーダー×8で編成

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国の海軍配置

 

 

 

マイハーク基地

 

ロデニウス連邦共和国海軍の中で最も大きな軍港。外洋、沿岸、潜水、輸送、支援、航空のそれぞれが揃っており、第1~第3、第8~10外洋艦隊と、第1、6沿岸艦隊、第1~3、第8~10潜水艦隊、第1~第3輸送艦隊、第1~3支援艦隊、第1~3航空艦隊が母港、基地とする大規模な海軍基地で、民需も含めると、その大きさは地球ですら比肩するものは少ないというか恐らくない。地理的に幌筵泊地とも近いため、幌筵泊地から来た艦艇も停泊する。

 

 

クワ・ツラカマシ基地

 

ロデニウス連邦共和国、クワ・トイネ県の西部に位置する海軍基地。第2沿岸艦隊と第4航空艦隊が母港、基地としており、さほど大きいわけではないが、有事の際は陸軍クワ・トイネ西部軍と共同して沿岸防衛にあたる。

 

 

 

ロウ・コヨスカ基地

 

ロデニウス連邦共和国ロウリア県に作られた大規模な海軍基地、こちらには第4、6外洋艦隊、第3沿岸艦隊、第4、5潜水艦隊、第4、6輸送艦隊、第4、6支援艦隊、第5航空艦隊が母港、基地とする。大規模な民用施設も隣接するマイハーク基地とは異なり、こちらは民用施設は少ない。

 

 

 

ロウ・ギツア基地

 

ロウ・コヨスカ基地より内陸側に作られた航空基地、第6、7航空艦隊が駐留しており、後述する空軍基地も併設されている。

 

 

 

クイラ・レク基地

 

ロデニウス連邦共和国クイラ県に作られた大規模海軍基地。第7~9外洋艦隊、輸送艦隊、支援艦隊と第4沿岸艦隊、第8航空艦隊が母港、基地とする。こことロウ・コヨスカ、マイハークを合わせてロデニウス連邦共和国海軍三大母港とする。

 

 

 

クイラ・ミオナオト基地

 

ロデニウス連邦共和国クイラ県に作られた海軍基地で、民間との共用。第5沿岸艦隊と、第9航空艦隊が所属。対パ皇や、対グ帝あまり想定しなくていいクイラ側では過剰との指摘もあり、レク基地と統合する話も出てはいる。

 

 

 

アル・ラパオ基地

 

アルタラス王国ルバイル基地(原作と場所はほぼ同じ)にほど近い場所に新規で作られた海軍基地。現時点(1640年12月末現在)でロデニウス連邦共和国海軍唯一の第5外洋、輸送、支援艦隊の国外における母港となっており、ロデニウス連邦共和国海軍の第3文明圏内外における重要な位置づけとなっている。

 

 

 

その他MMAT参加国向け海軍航空艦隊基地

 

いずれも、トーパ、ネーツ、マール、ガハラ、パンドーラ、ナハナート、フェンにそれぞれ第10航空艦隊から、第16航空艦隊が派遣されている。海軍については、外洋艦隊が交代で寄港することで影響力を維持しているが、状況の整った国から順次派遣される。

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国陸海軍主要装備(架空兵器)

 

 

陸軍

 

戦車、自走砲等

 

メルニウスMk.2

全長:10.96m

全幅:3.7m

全高:2.7m

武装:50口径180mm滑腔砲×1基(JAGMやマーベリックを発射できる)、25mmチェーンガン×2基、12.7mm機銃×1基、7.62mm機銃×2基、60mm迫撃砲×1基、アクティブフェーズドアレイレーザーAPS、ドローン垂直発射ハッチ×8基

名前の通り、メルニウスの進化型。VRAINS技術群(仮想現実、人工知能、ネットワークシステムの総称。元ネタは遊戯王VRAINSから)をこれでもかと搭載しており、操縦に関してはライオトルーパーのような戦闘服を纏うことで、原型の強みであった人的資源の保護を更に強化している。

武装は対戦車ミサイルも発射できる180mm滑腔砲を無人砲塔で装備し、これを防げる戦車は存在しない。

砲塔上面には25mmチェーンガンと60mm迫撃砲を装備する。25mmチェーンガンと60mm迫撃砲はRWS化されており、人的資源の保護につながっている。60mm迫撃砲は通常弾のほか、ヘリオスⅡや戦術核砲弾をも発射できる。

また、新型のAPSであるアクティブフェーズドアレイレーザーAPSは4面、合計1200本のレーザーを同時に照射することで、全方位かつ連続したミサイル攻撃も完全に耐えることができる。

装甲に関しても格段に強化されており、ルナチタニウム合金により軽装甲部でもRPG-7を完全にガードすることができ、最も厚いパートではなんとFGM-148 ジャベリンをも無効化してしまう。

機関に関してはメルニウスよりさらに強化されたディーゼルエンジンをハイブリット推進で駆動する。このディーゼルエンジンは圧縮水素燃料にも対応しており、二酸化炭素を出さなくなり環境にも優しくなった。

 

搭載しているドローンは偵察以外にも、迫撃砲弾を積んで特攻したり、赤外線レーザーで巡航ミサイルを誘導したりなど、多彩な運用ができる。

操縦系統には全天周囲モニターとPS5のコントローラーを搭載している。どちらも民生品を活用しており、非常に安価である。また、必要に応じてファーストパーソンシューティング/サードパーソンシューティングモードを切り替え可能。

 

現在は、量産に向けて試作車両を評価中。ただ、如何に転生者によってバフが膨大にかかったロデニウス連邦共和国といえど量産には未だ漕ぎ着けていない。

 

 

(DESPAIRED様、アイディアありがとうございます)

 

 

M39メルニウス Mk1

 

 

ロデニウス連邦共和国陸軍の主力戦車。その見た目はメルカバに類似しており、車体重量70トンの重量級の車体は一貫して防御力を重視しており、アクティブ防御装置や、RWSの搭載、車体にはこれでもかと言うほど装甲が張り巡らせており、高い防御力を誇っている。

 

攻撃性能、機動性も決して妥協せず、55口径120mm滑腔砲を採用し、強力な打撃力によって敵を粉砕する。エンジンには強力なディーゼルエンジンを搭載し、最高速度は80km/hになるうえ、増加装甲を一時的に取り外すことで、さらなる速度アップが可能とされている。

 

Mk2の採用にあたり、それまでの車両をMk1と呼称した。

 

 

共通戦術装輪派生型

 

ご存知の通り、16式機動戦闘車の車体をベースにした防衛省が絶賛研究中のアレ。本作では不採用に終わったAPC型、現在(作品執筆時点)であっちこっち動き回ってるIFV型、RCV型、一応計画にはあるはずのMSP型、16MCV以前に話が出ていた将来装輪戦闘車両ファミリー化イメージ図を参考にした支援車両の他にも、イメージ図の架橋車両をベースに考案された工作車両、指揮通信車後継として日本でも一応話の出ている指揮通信車型、見た目はAPCとほぼ変わらない戦闘救急車型もある。

 

 

 

共通戦術装軌派生型

 

こちらも防衛省で開発が進められている89式や73式の後継と見られる車両。ロデニウス連邦共和国には既にCV90のロデニウス連邦共和国採用型が居たのでIFV型は採用されず、複数の派生型としてAPC型、対空車両型、高機動車の発射機に装填装置を取り付けた見た目の中距離多目的誘導弾型、迫撃砲搭載型などが採用された、なお、共通戦術装輪の派生型と同じタイプは全て存在する。

 

 

 

87式改自走対空砲

 

87式に携SAMハンドアローを使えるように改修したタイプで、空を飛ぶもの全般に対処している(さすがに巡航ミサイルなどは厳しい)

 

 

 

M203 170mm自走カノン砲

 

全長 15m

最大幅 3.5m

車高 3.6m

重量 50t

主兵装 66口径170mmカノン砲

副武装 12.7mm重機関銃、M61バルカン

射撃速度 毎分5~6発

最高速度 60km/h

最大射程 通常弾45km、RAP弾使用時75km

見た目 K9とM-1989を組み合わせたような感じ

その他 渡河能力有り

防御性能 15mmまでの機銃を防ぎきる。

 

 

ロデニウス連邦共和国陸軍が海軍戦力の届かない奥地でも、高い火力による面制圧能力を持たせるために開発した自走榴弾砲。機甲師団などには機動力の都合、K9が随伴するが、こちらは機動性より破壊力を重視したため、北朝鮮のコクサン自走砲がベースとなっている。尚、厳しい天候に耐えるために、車両の大型化を周知の上で発射機周辺を覆っている。

 

 

 

CV90R

全長 6.55m

全幅 3.17m

全高 2.71m

重量 基本 27t、最大30t

乗員数 3名+兵員7名

主武装 70口径40mm機関砲×1基、対戦車ミサイルランチャー×2基、対空ランチャー×2基

副武装 7.62mm軽機関銃×1基

速度 前進時70km/h

エンジン ディーゼル

 

重装甲と破壊力を両立した歩兵戦闘車。増加装甲装着時の防御力はひと世代前の主力戦車にも匹敵する。また、対空兵器も備えており、対空目標への対応も可能である。尚幌筵泊地は採用しなかった。

 

 

 

 

ヘリ、輸送機

 

 

Mi-24R

 

ロデニウス連邦共和国陸軍が歩兵輸送と、着陸地点の安全確保の両立を図るために考案したハインド派生型、Mi-24VPをベースに、西側系電子部品に交換することで高性能化と、整備性向上を図った。西側兵器も運用可能。

 

 

(尚、陸軍は当面の間ティルトローター機の運用は行わないとしている)

 

 

 

 

 

海軍

 

 

 

戦闘艦艇

 

 

 

ロデニウス級航空母艦

 

全長 330m

最大幅 78.3m

速力 33ノット

艦載機 戦闘機60機、大型艦上機8機、回転翼機×6

武装 40mmCIWS×4、30連装対空ランチャー×3、Mk41(32セル)×1、極超音速巡航大型対艦ミサイル発射用VLS(8セル)、その他舟艇対策用兵装を複数搭載。

動力 核融合炉

 

ロデニウス連邦共和国海軍の目玉の1つである超弩級空母、空母打撃群の中核を成すその船体は、ウリヤノフスク級航空母艦をベースに作られており、魔導技術の発展と、国産核融合炉の出力不足への懸念、極超音速対艦ミサイル搭載にあたっての重量上の問題などから幌筵泊地魔導技術研究部と、アルタラス王国の魔導技術者達の協力によって実現した発艦補助装置を搭載したものである。これは風神の涙をスキージャンプ前方に配置し、大型のジェットブラストディフレクターを立ち上げ、艦首から後方にかけて強い気流を発生させることで発艦効率を向上させる一種の合成風力装置。これにより、従来のスキージャンプ方式よりも効率よく発艦できることとなった。アルタラス王国の新型空母にも導入予定。尚、何故ウリヤノフスク級になったのかは、幌筵泊地がフォード級みたいな真面目なやつから、QE級並の微妙にネジの外れたやつ、大きなアスパラガス級じゃなかった、シャルル・ド・ゴール級みたいなちょっと小ぶりなやつ、額面の数だけは揃いそうなヘリ搭載型護衛艦系空母、採用されたウリヤノフスク級系、頭のネジがぶっ飛んでたヒュウガ系、ガイペロン系、ゲルバデス系の中から、提案したうち、海軍が選考した結果である。尚、ロデニウス連邦共和国海軍に対して、幌筵泊地はウリヤノフスク級系を採用するのなら、いっその事重航空巡洋艦にするのはどうかとという提案も若干あったらしいが、条約をくぐり抜けるためならともかく、まともな軍縮系条約の無いこの世界でわざわざそんなことをすることは不要だったので、早々にたち消えた。

 

 

 

同型艦

 

ロデニウス、クワ・トイネ、クイラ、ロウリア、ホロムシロ、リョンネー、シャントー、フォッケン、クワァントー、テンシェー

 

(五番艦以降は中国海軍の実在、もしくは架空空母の名前より)

 

 

 

ゼルゲート級戦略打撃戦闘指揮艦

 

地球世界における大艦巨砲主義を知ったゼルゲート貴族院国防議員連盟会長は、「我が国にも戦艦を!」とゴリ押ししだした(どっかの星の青い肌に自信もってる系貴族さんよりはマトモ)、彼の意見によれば、この世界には未だ戦艦から航空機への戦略転換が起きていないため、戦艦を持たない我が国は列強から舐められる恐れがあり、それは将来的なロデニウス連邦共和国の国益上不利になると主張した。また、彼は幌筵泊地に対しても「強くてでっかい殴りあえる船のアイディア沢山出して(意訳)」と言ったため、まさか作るわけが無いと思った幌筵泊地は一応は多種多様なアイディアを出したところ、見事採用されてしまった。そのため、現在ロデニウス連邦共和国海軍には下記タイプの戦艦が居る。経緯が経緯なので、一応同型艦扱いされているが、はっきり言って別タイプである。

 

 

 

重装甲戦艦タイプ

 

その名の通り、重装甲を施した戦艦。見た目はほぼ某宇宙戦艦アニメ映画の敵将が乗っていたあれと変わらない。水上艦にするにあたって、様々な変更があったものの、見る人が見れば一発で分かるその見た目は、傾斜装甲故に弾を弾き、490mm×20門の火力で敵を殴り飛ばす。後に紹介する潜水戦艦タイプが潜水艦隊に移される場合、増産が想定されているタイプの一つであるが、硬さと火力以外だとせいぜい指揮能力程度でバランスがわるいため、わざわざ新規建造する必要があるか議論されている。

 

1番艦「ゼルゲート」(ほぼゼルグート)

全長 400m

最大幅 150m

全高 60m

速力 30ノット

機関 核融合炉

武装 490mm四連装砲×5門、57mm速射砲×4基、短魚雷発射機×2基、CIWS×2基、VLS 64セル×2

艦載機 無し(但し艦後方にヘリポート有り)

見た目 ゼルグート級みたいだが、水上艦艇にするにあたって変更点有り、ゲルバデス級なんかも参考にされている

特徴 指揮能力、単純な砲戦火力以外はかなり低いが防御は硬い

レーダー類等 汎用護衛艦並

 

2番艦「ドルメーズⅢ世」

 

 

 

 

標準戦艦タイプ

 

いわゆる架空戦記などに出てくる現代化改修戦艦としておなじみのタイプ。バランスにも優れているため、同盟国に準同型タイプを引き渡す計画もある。が、ステルス性などは皆無のため、今後の改装に期待。

 

3番艦「播磨」(近代化改修した通常戦艦)

全長 330m

最大幅 45m

高さ 70m

速力 33ノット

機関 核融合炉

武装 51cm3連装砲×4基、76mm速射砲×10基、30mm機関砲×8基、複合CIWS×6基、VLS 200セル、魚雷発射管×2基

艦載機 ティルトローター機2機、UAV4機

見た目 近代化改修された二次大戦の戦艦に近い

特徴 奇を衒ってない分バランスが良く、優秀。だが、その見た目故にステルス性は他に劣る。

 

4番艦「摂津」

 

 

潜水戦艦タイプ

 

某チート転生系架空戦記の戦艦を見たロデニウス連邦共和国海軍の一部青年将校が頼み込んだ結果生まれたタイプ。特殊要素が多すぎる上、戦略的意味についてはイマイチだが、とりあえず幌筵泊地の技術で何とかなった。性質上潜水艦隊への移行が考えられている。

 

 

 

5番艦「ツェマヴァルト」(ズムウォルト拡大型、精密射撃型、潜水戦艦)

 

6番艦「ミッシェリー・モンスーア」(ズムウォルト拡大型、精密射撃型、潜水戦艦)

全長 270m

最大幅 40m

全高 20m

機関 核融合炉

速力 水上33ノット、水中30ノット

武装 艦首魚雷発射管×6門、収納型38cm単装レールガン×2門、VLS 96セル、格納型SeaRAM×2基、後部魚雷発射管×4門

艦載機 UAV×6機

見た目 ズムウォルト級を大型化し潜水可能にしたゲテモノ

レーダー類 潜水艦と駆逐艦のものを併設

特徴 潜水することでレーダーをかいくぐろうという考えの元建造された究極のステルス、一方、戦艦のくせに直接撃ち合うのは苦手、でも潜るだけあってそれなりに硬い

 

 

 

ミサイル戦艦タイプ

 

ミサイル万能論はどこの軍にも一定数いるため、ミサイル戦艦という声も当然でてきた。幌筵泊地にはミサイル戦艦に改装された扶桑山城がいるが、あれよりもミサイルに特化させた艦艇を要求されたため、作った。誘爆のリスクはちゃんと考えられてはいる。

 

 

 

7番艦「ソビャトゥッキー・ザユース」(キーロフ発展型)

全長 300m

最大幅 40m

高さ 30m

速力 36ノット

機関 核融合炉

兵装 127mm速射砲×2基、57mm速射砲×2基、複合CIWS×6基、大型対艦ミサイル用VLS 30セル、通常VLS 300セル 魚雷発射管×2基、

艦載機 ヘリ3機

見た目 キーロフ級を塗り替えて大型化した感じ

特徴 キーロフ順当強化型、遠距離攻撃は一番得意。ミサイルへの対策も優秀だが、セル内のミサイルに誘爆したら不味い

 

8番艦「ソビャツカ・ウゲラァイーヤ」

 

 

 

 

航空戦艦型

 

ボツになったヒュウガ系を採用してしまったタイプ。色々やって飛行機への影響は抑えている。が、やはり構造上の防御力だけはどうしようもなかった。

 

9番艦「ジャン・パーラー」(航空戦艦型)

(戦闘空母ヒュウガの後方2段型)

全長 320m

最大幅 90m

高さ 40m

速力 35ノット

機関 核融合炉

武装 30.5cm3連装速射砲×2基、57mm速射砲×2基、複合CIWS×4基、VLS 64セル、短魚雷発射機×2基

艦載機 戦闘機48機、支援機等16機

特徴 キエフ級や戦闘空母ヒュウガなどをベースとした航空戦艦、中型空母並の打撃力とポケット戦艦を軽く上回る火力を持つ反面、やや打たれ弱い

見た目 ヒュウガとキエフ級のハイブリッド、中央から後方にかけての飛行甲板は2段で、発着艦を同時にこなせるようになっており、前方に向けて伸びる1段目が発艦、2段目が着艦である。ヤマトのゲーム版空母が近い。

 

10番艦「リシュリー」

 

 

 

バックウィング級巡洋艦(Mod.2)

 

全長 200m

最大幅 26m

機関 COGAG

速力 33ノット

兵装 155mm三連装砲×2基、Mk41VLS×2基(セル数128セル)、対艦ミサイル発射筒×24基、SeaRAM×2基、12.7mmRWS×2基、25mm機関砲×2基、47式魚雷発射管改(短魚雷、長魚雷両方に対応)

艦載機 SH60K×2機

備考 タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦最終モデル並のイージスシステムを搭載

 

ロデニウス連邦共和国海軍のダイタル級の後継として作られた次世代巡洋艦。砲撃能力、防空能力、対艦攻撃能力を高いレベルでまとめあげた巡洋艦で、他国の1個艦隊を軽々壊滅させるだけの実力を持つ。イージスシステムの強化以降は、武装変更が中心となるが、ミドル級から大改装によって本級に組み込まれるものもある。

 

 

ミドル級駆逐艦

 

アーレイ・バーク級最終モデルに、さらにVLSを追加タイプ、単独または少数でも対艦ミサイル飽和攻撃が可能となっている。尚、ドルシラン、ジンハーク、マイハークなどの建国当初のフリゲートや駆逐艦を同盟国に大量に供給するために、早急に建造されたという背景がある。そのため、アーレイ・バーク級最終モデルをベースにしたという話がある

 

 

サンウェルス級フリゲート

 

全長 140m

全幅 16.5m

機関 CODAG

速力 30ノット

武装 127mm単装砲×1、RWS×2、SeaRAM×2、Mk41VLS(セル数32)×1、国産VLS(対地、対艦攻撃用のミサイル装填、12セル)×1、610mm四連装両用魚雷発射管×2

艦載機 SH60K×1

レーダー もがみ型に近いが対空、対艦能力が強化されている。

 

沿岸艦隊向けに製造されたフリゲート。マイハーク級は早急に同盟国に送り出さねばならなかったために、もがみ型をベースとした新型艦の大量投入となった。尚、本級に限った話では無いが、急速なフネの世代交代には当然財務省は激怒した。フリゲート戦隊は、後述するミサイル戦隊とは違い、どちらかと言うと、占領された島嶼部の奪還支援や、潜水艦の駆逐などを担当している

 

 

 

001型コルベット

 

ロデニウス連邦共和国海軍沿岸防衛における高速艦艇の指揮を執る艦艇として、建造が進められている新型コルベット。ロシア海軍のブーヤン型をベースに中国海軍のホウベイ型をモデルとして作られた双胴船で、後述する2型ミサイル艦と設計を一部共通化させている。高いステルス性と電波妨害能力で敵艦隊の懐深くに潜り込むことが出来、機動部隊ですら島嶼部では危険である。

 

全長 75m

全幅 16m

機関 ガスタービンエンジン

推進方式 ポンプジェット推進

速力 40ノット

兵装 76mmステルス速射砲×1、ファランクスCIWS×2、91式携帯地対空誘導弾艦載改良型×30発、極超音速ステルス対艦ミサイル×6発

 

 

2型ミサイル艦

 

ロデニウス連邦共和国最小の戦闘艦艇(ボート等除く)。防空能力含め、制空権が無ければ確実にやられるが、ステルス性と電波妨害能力を高めた双胴船体に積んだステルス極超音速対艦ミサイルは、現在沿岸防衛を担うミサイル戦隊の切り札であり、12式改ようにステルス性が高く、短距離で極超音速まで加速すると、炸薬と速度にものを言わせて大型艦でも仕留められるようになっている。対空防御はほぼ不可能で、コルベットとの共同しなければ危険である。

 

全長 45m

全幅 12.5m

機関 ガスタービンエンジン

推進方式 ウォータージェット推進

速力 55ノット

兵装 57mm速射砲×1、91式携帯地対空誘導弾艦載改良型×6発、極超音速ステルス対艦ミサイル×8発

 

 

 

ホオジロ級潜水艦

 

バージニア級を元に、日本製(幌筵泊地開発)の各種誘導弾への対応を行った攻撃型原潜。空母打撃群への随伴用と、潜水艦隊への配置が行われている。

 

 

 

エターナル級潜水艦

 

コロンビア級潜水艦をベースに開発されたSLBMを運用可能な戦略原潜。幌筵泊地から提供されたトライデントを活用するために新規建造された。尚、核兵器を扱う都合コストはあるが、幌筵泊地が気合いで抑えたため、財務省からの評価は良好。

 

同型艦の名前にはエターナル、ポセイドン、イカロス、ソーサラー等、関連性が特定のオタクにしか分からなくなっている。

 

 

ギム級潜水艦

おやしお型のロデニウス連邦共和国仕様、近々後継に置き換わる。

 

 

 

 

 

輸送、揚陸、支援艦艇

 

 

ウィングオーバー級強襲揚陸艦

 

075型を西側兵器に合わせた強襲揚陸艦。耐熱処理を施してS/VTOL機にも対応したが、武装にMk41が追加されるなど、割と重武装になっている。尚、これに乗っかる海兵隊もなかなかキチガイじみた艦載機なのだが、それについては次回説明する。

 

 

マウンテンシャドウ級ドック型揚陸艦

全長 211.2m

最大幅 33.2m

機関 CODAG

速力 22ノット

揚陸能力 上陸部隊用人員最大780名収容可能、LCAC2隻

武装 Mk41(ESSM用、16セル)、RAM近接防空ミサイル21連装発射機×2、35mm単装機関砲×2

艦載機 MV22オスプレイ×2

 

元ネタはサン・アントニオ級ドック型揚陸艦で、フェン王国に陸上部隊を送ったのもコイツら。なんならエストシラントに上陸した部隊を送ったのもコイツらであり、ウィングオーバー級が完成するまでの間、幌筵泊地のあきつ丸などと共に揚陸能力の主力を務めた。

 

 

 

RO-RO-01型

 

車両貨物輸送艦で、米軍のワトソン級のロデニウス連邦共和国仕様。ここまで来ると逆に独自仕様の方が高くつくので、如何に変態な優秀な技術を持つ幌筵泊地といえど、さすがに正気だった。

 

 

MT-01型

 

掃海母艦で、元ネタはまんまうらが型。ただし、ちゃんと考えられてはいるので、76mm速射砲だけでなく、SeaRAMも付いている。

 

 

MSC-1型

 

掃海艇でモデルはえのしま型。こいつにまで対空装備はついてはいないが、逆にこんな奴にまで対空させるようならとっくの昔に負けている。

 

 

AOE-A型

 

補給艦で、モデルは14500トン型補給艦。CIWSは一応付いている。

 

 

超弩級半潜水式運搬船

 

空母でも戦艦でも輸送出来る超大型運搬船として開発された運搬船。ロデニウス連邦共和国以外にはまともな造船技術を持ってない(ロデニウス連邦共和国基準)ので、本土まで持って帰る必要性から作った。特に名前は決まってない。

 

 

 

支援艦

 

上記船舶の輸送支援や、艦隊への弾薬補給を担う。こちらは民間船を流用している。

 

 

 

セ号潜水母艦

 

潜水艦の救難と支援を目的とした支援艦艇。ちよだとエモリー・S・ランド級を合わせた能力を持つ。

 

 

 

 

航空機

 

 

F/A-101アルバトロス艦上戦闘攻撃機

 

全長 17.3m

全幅 13.4m

全高 4.95m

兵装搭載量 最大9.7t

主武装 30mm機関砲(GSh-30-1ベース)×1(装弾数210発)

エンジン RD-F9(XF-9をベースに幌筵泊地から技術提供)、ドライ出力110kNを2基搭載

航続距離 通常型対艦ミサイル4発を積んだ上で空母より飛び立ち戦闘行動半径530海里

最高速度 マッハ2.2

 

ロデニウス連邦共和国空海軍の多用途大型戦闘機として、海軍では主力艦上戦闘攻撃機、空軍では戦闘攻撃機として採用された。見た目はラファールや、FS-X初期案に近いが、F/A18Eのように2枚の垂直尾翼を持ち、LERXを持つ点やエアインテークの構造などはフランカー系統寄りで洋上迷彩を採用、アビオニクスはF-2スーパー改をベースにしている。素直にF/A18Eを導入する案もあったが、国内の航空産業を育てるためにも、気合いで何とかした。ロパ戦争後に名前を1部改称した。

 

 

 

M-3「オールラウンダー」

全長 24.2m

最大幅 21.3m

全高 6.2m

エンジン GE-RD-F118(ドライ出力120kN)

乗員 操縦士2名他任務に応じて変更可、最大8名

搭載物等 早期警戒機、電子戦機モード時:機体上部にレーダードームを搭載し、警戒ユニットを装備する。輸送、空中給油機モード時:輸送ユニットに換装する。対潜哨戒機、機雷敷設モード時:対潜哨戒、掃海ユニットに換装する。

最高速度 860km

 

 

機体各部のユニットに、予め用意したユニットを結合させることで、様々な用途に用いることが出来る多用途機。明らかにポシャりそうなアイディアだが、ロデニウス連邦共和国は気合いで解決した。A-3スカイウォーリアに近いが、垂直尾翼がツインテールになっている他、後退角が若干緩めになっているなどの外見上の差異がある。航空艦隊にも一部配備。

 

 

 

H-6爆撃機

 

H-6Kをロデニウス連邦共和国仕様にまとめた対艦攻撃機。西側兵器へ対応した以外は変わらない。

 

 

 

A-6攻撃機

 

A-6Fを日本製(幌筵泊地製)の兵器に対応させたタイプ、尚何故か知らないが、ロデニウス連邦共和国海軍のA-6は状況次第で空戦が出来るらしい。

 

 

 

 







ロデニウス連邦共和国の人的は子沢山早熟な種族のおかげでめちゃくちゃ増えました

亜人系を抱える国の強みですね。

次回は海兵隊と空軍、防空軍と諸外国軍になります。





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第36話 MMATの軍事力②




前回の続きです。







 

 

ロデニウス連邦共和国空軍

 

 

ロデニウス連邦共和国空軍の主な役割は、戦闘地域の制空権確保、並びに同盟国の防空と、接近する敵部隊の阻止、及び地上部隊の支援と、飛行場の防衛にある。基本的に、方面、地域ごとに航空軍が設置されており、その下に複数の航空団と地上部隊を有する。(本土防空は、戦闘機や攻撃機を空軍が担当し、戦略爆撃機含めた核兵器関係と、弾道ミサイルへの対応は防空軍の担当)

 

 

 

ロデニウス連邦共和国空軍の配置

 

戦闘機部隊▶︎1個飛行隊につき32機

爆撃機部隊▶︎1個飛行隊につき16機

早期警戒機部隊▶︎1個飛行隊につき4機

電子戦機部隊▶︎1個飛行隊につき8機

輸送機部隊▶︎1個飛行隊につき16機

練習機▶︎1個飛行隊につき36機

 

防空部隊▶︎11式や93式、87式改を装備し、飛行場防衛を行う。

 

 

いずれの部隊にも、最低4機のUH-60が用意されており、搭乗員の救出を行う。

 

 

クワ・トイネ東部方面軍

 

クワ・トイネ県の東部、すなわち首都含めた地域に配備される航空隊で、練度、兵器ともに一線級が常に配備されている。

 

 

 

第1航空団(戦闘機部隊)

 

第101飛行隊(F/A-101アルバトロス戦闘攻撃機)

第102飛行隊(同上)

連絡機数機(T-7)◀︎アメリカの方

 

 

第2航空団(戦闘機部隊)

 

第103飛行隊(F-16C)

第104飛行隊(同上)

連絡機数機(T-7)

 

 

第3航空団(戦闘機部隊)

 

第105飛行隊(F-16C)

第106飛行隊(F-16C)

連絡機数機(T-7)

 

 

第101航空団(支援部隊)

 

第201飛行隊(E-767)

第202飛行隊(EA-18G)

連絡機数機(T-7)

 

 

第102航空団(支援部隊)

 

第203飛行隊(C-130)

第204飛行隊(KC-46)

連絡機数機(T-7)

 

 

第103航空団(支援部隊)

 

第205飛行隊(C-5)

第206飛行隊(C-17)

連絡機数機(T-7)

 

 

 

 

 

クワ・トイネ西部方面軍

 

クワ・トイネ県西部方面に展開する航空軍。核攻撃を前提とするB-3爆撃機が初めて配備された方面軍でもある。

 

 

第4航空団(戦闘機部隊)

 

第107飛行隊(F/A-101アルバトロス戦闘攻撃機)

第108飛行隊(同上)

連絡機数機(T-7)

 

 

第5航空団(戦闘機部隊)

 

第109飛行隊(F-16C)

第110飛行隊(同上)

連絡機数機(以降省略)

 

 

第201航空団(爆撃部隊)

 

第301飛行隊(B-3ゼットン)

第302飛行隊(同上)

 

 

第202航空団(爆撃部隊)

 

第303飛行隊(B-3ゼットン)

第304飛行隊(B-3ゼットン)

 

 

第104航空団(支援部隊)

 

第207飛行隊(E-767)

第208飛行隊(EA-18G)

 

 

第105航空団(支援部隊)

 

第209飛行隊(C-130)

第210飛行隊(KC-46)

 

 

 

 

ロウリア東部方面軍

 

ロウリア県東部方面に展開する航空軍。爆撃機の更新が進んでいないが、戦闘機は完全にアルバトロスになっている。

 

 

 

第6航空団(戦闘機部隊)

 

第111飛行隊(F/A-101アルバトロス戦闘攻撃機)

第112飛行隊(同上)

 

 

第7航空団(戦闘機部隊)

 

第113飛行隊(F/A-101アルバトロス戦闘攻撃機)

第114飛行隊(同上)

 

 

第203航空団(爆撃部隊)

 

第305飛行隊(BP-3C)

第306飛行隊(同上)

 

 

第204航空団(爆撃部隊)

 

第307飛行隊(BP-3C)

第308飛行隊(同上)

 

 

第106航空団(支援部隊)

 

第211飛行隊(E-767)

第212飛行隊(EA-18G)

 

 

第107航空団(支援部隊)

 

第213飛行隊(C-130)

第214飛行隊(KC-46)

 

 

 

 

 

ロウリア西部方面軍

 

ロウリア西部方面に展開する航空団。こちらは爆撃機航空団の数が少ない、戦闘機もF-16である。

 

 

 

第8航空団(戦闘機部隊)

 

第115飛行隊(F-16C)

第116飛行隊(同上)

 

 

第9航空団(戦闘機部隊)

 

第117飛行隊(F-16C)

第118飛行隊(同上)

 

 

第205航空団(爆撃部隊)

 

第307飛行隊(BP-1)

第308飛行隊(同上)

 

 

第108航空団(支援部隊)

 

第215飛行隊(E-767)

第216飛行隊(EA-18G)

 

 

第109航空団(支援部隊)

 

第217飛行隊(C-130)

第218飛行隊(KC-46)

 

 

第110航空団(支援部隊)

 

第219飛行隊(C-5)

第220飛行隊(C-17)

 

 

 

 

クイラ東部方面軍

 

クイラ県東部に展開する航空軍。仮想敵となる敵が近くにいないため、こちらには教育部隊が置かれる。

 

 

第901航空団(飛行教導隊)

 

第1000飛行隊(Su-30)

第1001飛行隊(アグレッサー仕様F-16)

 

 

第902航空団(飛行教育航空隊)

 

第1002飛行隊(T-7)

第1003飛行隊(初等練習機)

 

 

第903航空団(飛行教育航空隊)

 

第1004飛行隊(T-7)

第1005飛行隊(初等練習機)

 

 

第111航空団(支援部隊)

 

第221飛行隊(E-767)

第222飛行隊(EA-18G)

 

 

第112航空団(支援部隊)

 

第223飛行隊(C-130)

第224飛行隊(KC-46)

 

 

第113航空団(支援部隊)

 

第225飛行隊(C-5)

第226飛行隊(C-17)

 

 

 

クイラ西部方面軍

 

クイラ西部方面に展開する航空軍。こちらも東部と同じ理由から、研究部隊が置かれる。

 

 

 

第991航空団(研究部隊)

 

第9001飛行隊(各種試験機16機)

第9002飛行隊(同上)

 

 

第992航空団(研究部隊)

 

第9003飛行隊(各種試験機16機)

第9004飛行隊(同上)

 

 

第10航空団

 

第119飛行隊(F/A-101アルバトロス戦闘攻撃機)

第120飛行隊(F/A-101アルバトロス戦闘攻撃機)

 

 

第114航空団(支援部隊)

 

第227飛行隊(E-767)

第228飛行隊(EA-18G)

 

 

第115航空団(支援部隊)

 

第229飛行隊(C-130)

第230飛行隊(KC-46)

 

 

第116航空団(支援部隊)

 

第231飛行隊(C-5)

第232飛行隊(C-17)

 

 

 

 

海外展開中の空軍

 

海外派遣されている航空軍は、本土のソレと比べて大きさが異なるものもある

 

 

 

MMAT1条国派遣航空軍

 

こちらは本土と変わらないが、戦闘機がアルバトロスであること、爆撃機がBP-1であることの他に、早期警戒機がE-2Dになっている。

 

 

戦闘機部隊

 

2個航空団からなる4個飛行隊で、機種はいずれもF/A-101アルバトロス戦闘攻撃機

 

 

爆撃機部隊

 

2個航空団からなる4個飛行隊で、機種はBP-1

 

 

支援部隊

 

2個航空団からなる4個飛行隊で、機種はE-2D、EA-18G、C-130、KC-46

 

 

 

MMAT2条国以下の国に派遣される航空軍

 

本土に比べ規模が小さく、小型の機体がほとんどであるが、防空部隊は本土なみである。

 

 

 

戦闘機部隊

 

2個航空団からなる4個飛行隊で、機体はいずれもF-16C

 

 

爆撃機部隊

 

1個航空団からなる2個飛行隊で機体はBP-3Cのみ

 

 

支援部隊

 

2個航空団からなる4個飛行隊で、機種は、E-2D、EA-18G、C-130、KC-130である。

 

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海兵隊

 

 

ロデニウス連邦共和国海兵隊は、敵地への上陸作戦と、陸軍展開までの持久を目的としている都合、1個の戦闘集団で全てが完結するように作られており、制空、対地、機甲、歩兵、全てが1つの戦闘集団で完結するようになっており、海兵遠征軍が殴りかかるということは、ほぼ同数の空陸軍が殴りかかるのと同じである。

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海兵隊の配置

 

 

6個海兵遠征軍のうち、国内に残る第1海兵遠征軍を除き、アルタラス、フェン、トーパにそれぞれ1個海兵遠征軍が駐留しており、残る2個海兵遠征軍はフィルアデス大陸に派遣中である。

 

 

 

 

海兵遠征軍

 

1個につき、海兵師団と海兵航空団、海兵兵站群と、指揮連隊に4個海兵遠征隊を組み合わせた部隊で、総勢約85000人からなる大部隊である。上陸の際は、複数の海兵遠征隊が上陸するか、大規模な上陸戦‎の場合はそれらとともに海兵師団が上陸する流れとなっている。幌筵泊地からの提案でアメリカ海兵隊をモデルに作られた。

 

 

 

海兵師団

 

3個歩兵連隊と、1個砲兵連隊、1個強襲大隊と2個威力偵察大隊、1個戦車大隊と1個特殊偵察大隊からなる師団。兵員数20000人の大部隊で、これの上陸に成功すれば、上陸地点はほぼ占領できたようなものである。

 

 

 

歩兵連隊(2500人)

▶︎2個大隊からなる機械化歩兵連隊。戦車を保有している他、水陸両用の兵器を重視している。

 

主要装備

BMP-3R、M1A2R、AAV7R、各種小型車両

 

 

砲兵連隊(2200人)

▶︎2個砲兵大隊からなる機動砲兵連隊。牽引式の榴弾砲が存在せず、全て車両搭載となっているため、速やかな陣地転換が可能

 

主要装備

M155R自走砲、改96式自走迫撃砲、車載81mm迫撃砲、車載60mm迫撃砲

 

 

強襲大隊

▶︎水陸両用戦車と新型水陸両用車、無人車両から構成されるカチコミ部隊。兵員数が限られることを承知の上で装甲と速力を強化したため、防御性能は高く、海兵遠征隊と同様、上陸の際は先陣を切る。

 

主要装備

改05式水陸両用戦車、新型水陸両用車、無人水陸両用車

 

 

 

威力偵察大隊

▶︎偵察任務を行う部隊で、水陸両用車両他、装輪車両も備えている。上陸地点制圧後、奥地へ浸透する際に先陣を切る。

 

主要装備

LAV-25、新型水陸両用車、オートバイ

 

 

 

戦車大隊

▶︎ほとんどを戦車で構成した機甲部隊。防衛側の機甲戦力に対抗出来る存在のため、上陸に成功すれば、機甲戦力に不安はなくなる。

 

主要装備

M1A2R、EFV

 

 

特殊偵察大隊

▶︎敵地の偵察を行う部隊。潜入任務主体のため、詳しい装備は不明。特殊部隊に近いが、特殊作戦群というより第一空挺団の方が内容としては近い。

 

 

 

 

海兵航空団

 

1個航空群52機からなる3個航空群と、司令部、その支援部隊から構成される航空団。戦闘機以外も含まれるため、一概に空軍と比較してはいけない。

 

主要装備

 

Yak-141R、AV-8R、KC-130、MV-22、CH-53R、UH-60、AH-1Z

 

 

海兵兵站群

 

大隊規模の衛生部隊や、補給部隊を集めた後方支援部隊。災害時には現地の医療支援も行なう。

 

 

 

海兵遠征隊

 

上記部隊を統合して、輸送艦隊で輸送できるレベルまで小型化した部隊。戦略的機動性を重視しており、国家の危機にはまっさきに殴り込むことを目的とした精鋭である。基本的にアメリカ海兵隊と人員装備共に変更は無いものの、ロデニウス連邦共和国で運用するにあたって装備の軽微または大規模な変更がある。

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国防空軍

 

敵対国の戦略兵器(核搭載の戦略爆撃機や、弾道ミサイル)、同盟国への支援のために出撃した空軍の穴埋め等を行うロデニウス連邦共和国の空における最後の砦である。敵国の攻撃で滑走路が全滅した場合や、核攻撃などで司令部をやられることまで想定しているため、強固な掩体壕の整備や、高速道路や一般道路の利用などは、他の航空戦力を有する軍に比べはるかに進んでいる。防空戦闘機やSTOL機、国内の防空、監視設備を保有している。国外には絶対に出ない。

 

(まぁ、覚悟が決まっているのは結構だが、ロデニウス連邦共和国をそこまで追い込めそうなのはせいぜい魔帝くらいである)

 

 

 

ロデニウス連邦共和国防空軍の配置

 

敵対国の攻撃による機能不全に備え、部隊の分散配置を行っている都合、それぞれの基地の戦闘機の数自体は少ない。

 

 

防空団

 

防空システムの整った基地とその所属部隊でカウントされる。各県に4個、つまり12個の防空団が存在しており、いざとなれば対空火器のハリネズミとなって最悪の事態を防ぐ。

 

 

防空団の装備編成

 

対空火器

▶︎イージスアショア×1、THAAD×4、S-400×6、03式×8、11式×10、93式、87式改多数

 

防空戦闘機

▶︎ASF-14ハイパートムキャット×8、Mig-31CCV×4、JAS39グリペン×8

 

その他

▶︎E-2D、EC-2、警戒レーダー(車載、固定問わず)

 

 

ロデニウス連邦共和国のその他実力部隊

 

これ以外にも、魔導技術の分析と対抗のために設立された魔導軍、宇宙、サイバー関係を目的とする宇宙・サイバー軍の設置が予定されているが、予算問題から宇宙・サイバー・情報領域(そもそも必要性が薄いという問題もある)幌筵泊地に丸投げされている

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国空軍・海兵隊・防空軍主要装備(架空兵器)

 

(前回紹介したものは省略)

 

 

B-3ゼットン

 

全長 45m

全高 12m

全幅 45.5m

エンジン ターボファンエンジン×4基

速度 マッハ0.96

航続距離 12000km

兵装搭載量 通常爆弾35tまたは核兵器、巡航ミサイルなどを搭載可能

見た目 大きいバルカン

 

低空侵入能力を持たせ、高速で侵入することを目的とした爆撃機。B-1ランサーよりも手軽に扱える機体として開発された。尚、ロデニウス連邦共和国はステルス爆撃機を欲していたものの、費用がかかるため断念した。しかし、予算の問題からこの機体すら導入が進んでおらず、尚も繋ぎとして、BP-1の導入に至ることになった。

 

 

 

BP-3C、BP-1

 

いずれも元は哨戒機、爆撃機を一刻も早く欲していたロデニウス連邦共和国空軍に対して、海軍に提供することを想定していたP-3CやP-1を改造することで爆撃機とした。原作よりも爆撃に特化してる都合、対潜装備はほぼ外されている。

 

 

BP-3C

爆装量9t、もしくは巡航ミサイル

 

BP-1

爆装量12t、もしくは巡航ミサイル

 

 

 

M1A2R

M1A2エイブラムスをM1A2Cレベルにした上で、海兵隊仕様にしたもの。燃料ドカ食いについては補給量を増やすことで何とかした

 

BMP-3R

BMP-3Fを西側兵器に対応させた上で、ロデニウス連邦共和国仕様にした兵器。東側兵器は西側に比べ狭いことが多いらしいので獣人族から不満が出ている。

 

AAV7R

AAV7のロデニウス連邦共和国採用型、元ネタ同様多数の派生型が採用されている。

 

M155R

オープントップの装軌車両に155mm榴弾砲を載せた車両。バラして空輸もできる上、牽引タイプに比べ機動性も高い。

 

改96式自走迫撃砲

水陸両用機能を付与した96式自走迫撃砲。幌筵泊地からの技術提供で完成した、尚、これ以外の車載式の迫撃砲については、AAV7に取り付けたものである。

 

改05式水陸両用戦車

05式水陸両用戦車の装甲を強化した車両。

 

新型水陸両用車

自衛隊が開発を目指している水陸両用車。EFVのような見た目を持つ。

 

無人水陸両用車

自衛隊が研究を進めている無人車両と同じ。

 

 

Yak-141R

S/VTOL超音速機を欲していた海兵隊だったが、幌筵泊地が開発したS/VTOL非ステルス戦闘機や、F-35Bは予算の都合で海兵隊には配備出来なかった。とはいえ、ハリアーでは防空に支障が出ると判断したロデニウス連邦共和国は、旧ソ連の試作機Yak141を西側仕様にした機体の導入を決定して量産した。元の機体の都合上、防空が主体となる。

 

AV-8R

ライト・サンダーボルトを目指して開発されたハリアー重装甲型。音速機とは気合いが違うとばかりに、重要区画の強化を行った機体は超低空・低速飛行を行いつつ、ロケット弾と機関砲で敵を吹っ飛ばす。前線だとYak-141よりも頼りにされる存在である(そもそもYak-141は機体の特性上爆装がほとんど出来ない)

 

CH-53R

大型へりCH-53を近代化した上でロデニウス連邦共和国仕様にした機体。弾薬や傷病者の輸送など、あらゆる面で活躍する万能屋。

 

ASF-14

トムキャット近代化改修モデルの1つをロデニウス連邦共和国で採用した。日本製の空対空誘導弾運用も可能。

 

Mig-31CCV

全長 22.7m

全幅 13.5m

全高 6.15m

エンジン スーパークルーズ対応型高高度対応ターボファンエンジンエンジン×2(アフターバーナー使用時200kN、多次元推力偏向ノズル装備)

最高速度 マッハ3.0(高速巡航時2.2)、経済巡航時マッハ0.9

航続距離 最大2500km

固定武装 GSh-6-30(幌筵泊地の魔改造が入っている。)

搭載兵器 近距離~長距離空対空ミサイル、対衛星ミサイル。

防空軍が戦闘機選定の際に選んだが、何故わざわざ改造してまでこの機体を採用したのかは謎である。CCV技術と推力偏向ノズルにより格闘性能はもちろん高い。上昇性能は高いのでそこら辺を買ったという指摘もあるが、だったらトムキャットでも良い気はするので、相変わらず謎。チタンで覆われているため、軽量化にも成功している上、幌筵泊地お手製故の相変わらずのチートっぷりで爆撃隊を返り討ちにできる。(実は弾道ミサイル迎撃能力があると噂されている)

 

EC-2

同名の機体が日本にもいるが、こちらは早期警戒管制機としての能力も持たせてある機体。滑走路がやられても不整地から離陸して防空網の目となる。

 

 

 

アルタラス王国

 

ロデニウス連邦共和国からの供与品を元に急速に軍備を整えた国家で、兵力はおよそ10万人。主力は陸軍が61式戦車、海軍はルミネス級空母、空軍がMig-28であり、国内の装備がちぐはぐではあることが問題視されている。これはロデニウス連邦共和国の供与品等の都合であり、まもなく戦車はM1エイブラムスへ、戦闘機はF/A18E等、最新装備に置き換わる。

 

 

 

アルタラス王国陸軍

 

総戦力約5万人の部隊で、ロデニウス連邦共和国陸軍を手本にして創設された。本土防衛と海外派遣で装備が一部分けられており、国内向けの師団では装輪車両でも、海外派遣される部隊は装軌車両であったりする。

 

 

 

アルタラス王国陸軍の配置

 

 

1個師団約16000人からなる部隊で、ロデニウス連邦共和国陸軍の1個師団より若干数が多いとされている。

 

師団より下には4500人の常設戦闘団(旅団)が置かれており、機甲系や歩兵系と偏りを出しつつ構成されている。

 

 

 

第1師団(王都防衛)

 

3個旅団

 

機動旅団戦闘団(4500人)もしくは同数の歩兵旅団戦闘団

団本部

本部中隊

歩兵大隊×3

▶︎大隊本部(団司令部も兼ねる)と本部中隊、歩兵中隊×3と迫撃砲中隊×1

(96式装輪装甲車、牽引式迫撃砲)

偵察戦闘大隊(機甲戦闘大隊になることもある)

▶︎大隊本部と本部中隊、偵察中隊×2または偵察中隊1、戦闘中隊×2ないし3

(偵察戦闘大隊の場合は16式機動戦闘車、機甲戦闘大隊の場合はM1エイブラムス)

砲兵大隊

▶︎大隊本部と本部中隊自走砲中隊×2と機動ロケット砲中隊×2と観測小隊

旅団工兵大隊

大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信

旅団支援大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

 

 

第2師団(本土防衛)

 

機甲旅団戦闘団(4500人)、歩兵旅団戦闘団×2で構成される。

団本部

本部中隊

機甲大隊×3

▶︎大隊本部と本部中隊、戦車中隊と機械化歩兵中隊がそれぞれ2個ずつ

(61式戦車と、73式装甲車、BMP-1)

偵察戦闘大隊

▶︎ 大隊本部と本部中隊、偵察中隊×2と戦闘中隊×2

(BMP-1で構成)

機甲自走砲大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、K9自走砲による自走砲中隊×3、ロケット砲中隊×1観測小隊

旅団工兵大隊(560人)

▶︎大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信ネットワーク中隊×1、支援中隊

旅団支援大隊(560人)

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

 

第3師団(海外派遣)

 

歩兵旅団戦闘団×3

団本部

本部中隊

歩兵大隊×3

▶︎大隊本部(団司令部も兼ねる)と本部中隊、歩兵中隊×3と迫撃砲中隊×1

(73式装甲車、牽引式迫撃砲)

機甲戦闘大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、偵察中隊1、戦闘中隊×3

(61式戦車、BMP-1)

砲兵大隊

▶︎大隊本部と本部中隊自走砲中隊×2とロケット砲中隊×2と観測小隊

(K9自走榴弾砲、MLRS)

旅団工兵大隊

大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信

旅団支援大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

 

 

アルタラス王国海軍

 

アルタラス王国海軍は、ロデニウス連邦共和国から送られた軽空母と、中型空母によって構成される機動部隊が多い。これはロデニウス連邦共和国が地政学上の問題からこの地の安定化を重視しているためである。海軍戦力は高いため、海軍だけならパーパルディア皇国も倒せたとされている。

 

 

第一艦隊

ルミエス級航空母艦

ターラ級イージス艦

ジンハーク級駆逐艦

ドルシラン級駆逐艦×2

潜水艦×1

補助艦複数

 

第二艦隊

アルタラス級航空母艦(旧エージェイ級航空母艦)

ジンハーク級駆逐艦

ドルシラン級駆逐艦

マイハーク級フリゲート×2

潜水艦×1

補助艦複数

 

第三艦隊

アルタラス級航空母艦

ジンハーク級駆逐艦

ドルシラン級駆逐艦

マイハーク級フリゲート×2

 

第四艦隊

ジンハーク級駆逐艦

ドルシラン級駆逐艦

マイハーク級フリゲート×2

 

第五艦隊

ドルシラン級駆逐艦

タス級フリゲート×4

 

 

陸上航空戦力

P-3対潜哨戒機、SH60K

 

 

 

アルタラス王国空軍

 

アルタラス王国空軍の戦闘機は第三世代機のみで、ロデニウス連邦共和国との連携に支障をきたすため、次世代機としてF/A18Eが選定された。

 

 

第1航空団

 

王都飛行隊(Mig-28)

東部飛行隊(F-1)

支援機(E-2C、KC-130)

 

 

第2航空団

 

西部飛行隊(Mig-28)

南西飛行隊(F-1)

支援機(E-2C、KC-130)

 

 

第3航空団

 

訓練飛行隊(T-38)

教育飛行隊(初等練習機)

支援機(UH-60、C-130)

 

 

 

アルタラス王国陸軍・海軍・空軍主要装備(架空兵器)

 

 

M1エイブラムス

初期型の105mmタイプ。まもなく改修予定

 

ルミネス級空母

インド海軍のヴィクラントに、ロデニウス級航空母艦でも採用された魔導技術を使った発艦補助装置を取り付けた。ロデニウス級と違って他にカタパルトは設置しておらず、これのみだが、その分維持費を抑えることができたため、新生海軍として多数の空母を運用することに成功した。

 

艦載機F/A18E、SH60K

 

アルタラス王国攻撃型イージス艦ターラ級

全長 180m

最大幅 22m

速力 30ノット

機関 COGAG

武装 8inch単装速射砲×1門、76mmスーパーラピッド砲×3門(アンドレアドーリア級と同じ配置)、SeaRAM×1基、ゴールキーパー×1基、Mk41VLS(ストライク仕様)前に48セル、後ろに32セル、対地・対艦攻撃用国産VLS48セル、5連装両用魚雷発射管×2門、12.7mmRWS×4基、25mm単装機銃×2基

艦載機 攻撃ヘリ×1機、哨戒ヘリ×1機

レーダー類 世宗大王級や、あたご型に近い

 

 

ジンハーク級は高火力が売りの駆逐艦だったが、さらに強力な対地火力を求めたアルタラス王国は、戦艦を欲した。しかし、戦艦は保有に莫大な資金がかかる上、ロデニウス連邦共和国のように投入できる場面を整えられないアルタラス王国軍では、まだ戦艦の導入は難しかった。そこで、幌筵泊地の提案で作ったのがこの攻撃力を高めたイージス艦であった。本艦は、イージスシステムとしては世宗大王並と、高く、火力も強力に設定されており、砲撃能力では、アルタラス王国海軍が保有する全ての艦艇を上回る。

 

 

 

Mig-28

F-5Eタイプ並の能力を持つ。F/A18Eで更新予定

 

 

 

 

トーパ王国・ネーツ公国

 

両国は、密接な関係にあり、北方における魔物等に対応するために共同で対策にあたっている。また、人口、予算の関係や、両国の歴史的背景から、軍に関しては共同で整備してるため、ここでまとめて紹介する

 

 

トーパ・ネーツ陸軍

 

耐寒装備を充実させた部隊が特徴的で、国内インフラの関係から、装軌車両が中心である。グラメウス大陸への睨みを聞かせる都合、アルタラスよりも先に機甲部隊がアップデートされた。その他装備はさして変わらない。尚、アルタラス王国にも言えることだが、ロデニウス連邦共和国のような急速な人口増加バフはまだかかっていない。そのため、人的リソースが少なく、両国合わせて15000人程度しかいない

 

 

 

王立騎士団(10000人)

 

歩兵旅団戦闘団と1個機甲旅団戦闘団

 

歩兵旅団戦闘団(4500人)

団本部

本部中隊

歩兵大隊×3

▶︎大隊本部(団司令部も兼ねる)と本部中隊、歩兵中隊×3と迫撃砲中隊×1

(73式装甲車と、96式自走迫撃砲)

偵察戦闘大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、偵察中隊×2と戦闘中隊×2

(M1エイブラムスとBMP-1)

砲兵大隊

▶︎大隊本部と本部中隊自走砲中隊×2とロケット砲中隊×2と観測小隊

(K9とMLRS)

旅団工兵大隊

大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信

旅団支援大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

 

 

 

機甲旅団戦闘団(4500人)

団本部

本部中隊

機甲大隊×3

▶︎大隊本部と本部中隊、戦車中隊と機械化歩兵中隊がそれぞれ2個ずつ

偵察戦闘大隊

▶︎ 大隊本部と本部中隊、偵察中隊×2と戦闘中隊×2

機甲自走砲大隊

▶︎大隊本部と本部中隊、K9自走砲による自走砲中隊×3、ロケット砲中隊×1観測小隊

旅団工兵大隊(560人)

▶︎大隊本部と本部中隊、戦闘工兵中隊×1、通信ネットワーク中隊×1、支援中隊

旅団支援大隊(560人)

▶︎大隊本部と本部中隊、対空中隊×2と医療中隊×1と整備中隊×1

 

 

 

トーパ・ネーツ海軍

 

人数の都合、1個艦隊しか整備できておらず、フリゲートと砕氷船のみである。

 

 

ラドス級フリゲート×1

マイハーク級フリゲート×3

砕氷船×3

 

 

トーパ・ネーツ空軍

 

付近にワイバーンといった脅威的な航空戦力が無いため、対地攻撃に注力している。

 

F-1支援戦闘機×4機

AH-1S×4機

 

 

 

トーパ王国・ネーツ公国の主要装備(架空兵器)

 

 

トーパ王国迎撃型フリゲート

ラドス級フリゲート

全長 160m

最大幅 20m

速力 30ノット(水流墳進発動時45ノット)

機関 COGAG

武装 長砲身170mm高初速砲×1基、76mmスーパーラピッド砲×1基、20mmCIWS×2基、多目的VLS×16セル、Mk41VLS×32セル、5連装両用魚雷発射管×2門

艦載機 SH60K×1機

レーダー類 あさひ型に近いが見た目はアドミラルゴルシコフをいじった感じ

 

 

魔王の強靭な防御力を目にしたトーパ王国が、強力な火砲を持つ艦艇を要望。それに応えたのがこの艦艇である。主砲の一撃はたとえ戦艦級でも無視できるものではなく、レールガン等を除けば貫徹力は同口径中トップクラスである。

 

 

 

 

 

 








幌筵泊地については次で扱います。


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第37話 MMATの戦力③




本作最大の戦力を誇る幌筵泊地の軍事力となります。初期より大分増えてますので楽しんでください。







 

 

幌筵軍(幌筵泊地)

 

幌筵泊地は、1639年にロデニウス大陸沖合に突如として転移した島であり、当初は幌筵共和国という名で存在していた。その特徴は、各種戦力がロデニウス連邦共和国の軍の中では最大規模であり、多種多様な兵器を使うことで、任務を完遂する力を持っている。陸海空のあらゆる装備を有している点で、別格であり、単独での戦闘が可能となっている。

 

 

 

幌筵軍陸上部隊

 

幌筵泊地防衛と、同盟国への迅速な展開を行う陸上部隊で、数こそさほど多くは無いものの、最新鋭の装備や、多種多様な戦場に対応可能なその力は、ロデニウス連邦共和国陸軍の司令官達をうならせる実力を兼ね備えている。陸上部隊は機甲、重機械化、防衛の3軍と、戦術機甲軍から構成されており、車両もロデニウス連邦共和国で採用されているものだけではなく、オリジナルの車両も多数含まれる。

 

 

 

 

幌筵軍陸上部隊の編成

 

 

幌筵機甲軍

幌筵泊地唯一の機甲部隊にして、最新鋭装備で固められた最高の機甲部隊。現在では廃れてしまった重戦車から、MBT、軽戦車までを保有し、その実力は、ロデニウス連邦共和国のノウ将軍をして「幌筵泊地に敵無し」と言わしめすほどである。

 

 

 

 

第1機甲師団

 

機甲軍隷下の4個師団のうちの一つ。重戦車を基軸とした突撃破砕戦闘を主軸とする

 

 

 

第1機甲旅団

 

第1機甲師団隷下の3個機甲旅団のうちの1つ。この下に2個連隊を従える。

 

第1重戦車連隊

第2重戦車連隊

(五式重戦車保有)

 

 

 

第2機甲旅団

 

重戦車部隊の周りを囲む歩兵戦闘車で構成される旅団。重戦車と組むだけあって防御はMBT並である。

 

第1重機械化歩兵連隊

第2重機械化歩兵連隊

(三式歩兵戦闘車)

 

 

第3機甲旅団

 

自走砲を軸とする火力支援旅団。第1機甲師団自体が前線展開する都合、防御を重視した自走砲中心となっている

 

第1装甲自走砲連隊

第2装甲自走砲連隊

(四式自走榴弾砲)

 

 

 

 

 

 

第2、3機甲師団

 

10式戦車を主軸とする機甲師団。機動力で掻き回すが、10式は改修が加えられており、装甲もフル装備がデフォルトとなっている(さすがに輸送時には外すこともあるが)

 

 

第4、第7機甲旅団

 

10式甲型を装備する機甲連隊を配下に置く旅団。練度は高く、相手が例え装甲に優れたメルニウスでも圧倒することができる

 

 

第4機甲旅団隷下

・第1戦車連隊

・第2戦車連隊

 

第7機甲旅団隷下

・第3戦車連隊

・第4戦車連隊

 

 

(10式甲型を装備)

 

 

第5、8機甲旅団

 

共通戦術装軌歩兵戦闘車型、幌筵泊地呼称二式歩兵戦闘車乙型を装備する機械化歩兵旅団。対戦車ミサイルの代わりに中距離多目的誘導弾を使用している。

 

 

第5旅団隷下

・第1機械化歩兵連隊

・第2機械化歩兵連隊

 

第8旅団隷下

・第3機械化歩兵連隊

・第4機械化歩兵連隊

 

(二式歩兵戦闘車乙型を装備)

 

 

第6、9機甲旅団

 

自走砲とMLRSによって構成された火力支援部隊。こちらは装甲を装備する必要が無いため、MLRSはロデニウス連邦共和国と仕様がほとんど変わらないものの、自走砲については99式を改良した自走榴弾砲となっている

 

 

第6旅団隷下

・第1火力支援連隊

・第2火力支援連隊

 

第9旅団隷下

・第3火力支援連隊

・第4火力支援連隊

 

(MLRS及び99式丙型を装備)

 

 

 

 

 

 

 

第4機甲師団

 

市街地や山岳地帯に特化した機甲師団。戦車の持つ装甲や、走破性などはそのままに、交戦距離が短い中でも実力が発揮できるようになっている。

 

 

第10機甲旅団

 

対歩兵、市街地戦を重視した10式乙型を装備した戦車連隊を有する旅団。市街地戦を想定しているとはいえ、対戦車戦闘も決して妥協していない。

 

第5戦車連隊

第6戦車連隊

 

(10式乙型)

 

 

第11機甲旅団

 

探知能力に優れた二式歩兵戦闘車丙型を装備する市街地戦特化の機械化歩兵連隊を有する機甲旅団。

 

第5機械化歩兵連隊

第6機械化歩兵連隊

 

(二式歩兵戦闘車丙型)

 

 

 

第12機甲旅団

 

ヘリや無人機等の航空機を扱う部隊。特科のような火力支援は他の旅団に任せるため、もっぱらゲリラ対応が主体となる

 

第1航空騎兵連隊

第2航空騎兵連隊

 

(AH-2シノビ、無人機、UH-60JL改)

 

 

 

 

 

 

幌筵重機械化軍

 

強化外骨格歩兵を軸に、対地・対艦攻撃を専門にする長射程ミサイルから対空砲まで保有し、有事の際は機甲軍と共に出撃する部隊。機甲軍が戦車を軸とした機動戦なら、こちらは圧倒的火力を活かした縦深戦を行う部隊である。

 

 

 

第1重歩兵師団

 

強化外骨格歩兵によって構成された歩兵師団。歩兵師団ながら、その戦力は高く、機甲戦力をもってしても容易ではない。自力移動も素早い強化外骨格歩兵だが、基本は装甲車での移動となる

 

 

 

第1、2重歩兵旅団

 

幌筵泊地が開発した強化外骨格であるACS-1を装備した強化外骨格歩兵によって構成される重歩兵。格闘性も高く、パワーもあるため、決して歩兵が戦ってはいけない。

 

 

第1重歩兵旅団隷下

・第1重歩兵連隊

・第2重歩兵連隊

(ACS-1を装備した歩兵と六式兵員輸送車)

 

第2重歩兵旅団隷下

・第3重歩兵連隊

・第4重歩兵連隊

 

 

 

第1、2後方支旅団

 

強化外骨格部隊の支援を行う部隊。強襲降下作戦に使うジェットパックや輸送機、火力支援からパーツの交換など、幅広く支援を行う。

 

重歩兵火力支援連隊

(AC-3 しらさぎを装備)

重歩兵後方支援連隊

(支援車両を装備)

 

 

 

 

第2重歩兵師団

 

構成は第1重歩兵師団と同じ

 

 

 

第1火力投射師団

 

A2AD、遠距離砲撃、長距離攻撃、防空など、戦術レベルの多種多様な火力投射を行う師団。機甲軍の後方に展開し、進軍支援を行う。連隊内に支援部隊がいるため、個別の支援部隊を持たない

 

 

第1特科旅団

 

地対艦誘導弾を装備する誘導弾部隊。装軌車両で装備しているため、地形に関わらず安定した火力投射が可能、もちろん対地攻撃にも転用される。

 

 

第1対地・対艦誘導弾連隊

第2対地・対艦誘導弾連隊

(三式地対艦誘導弾を装備)

 

 

 

第2特科旅団

 

極超音速滑空弾等の強力な長射程兵器を運用する火力支援部隊。戦艦や大型建造物も盾にはならない。

 

 

第1極超音速兵器連隊

第2極超音速兵器連隊

(零式極超音速滑空弾、ツ式極超音速対地誘導弾装備)

 

 

第3特科旅団

 

超長距離地対空ミサイルから、高機動、高速度の近距離地対空ミサイル、対空砲までを保有する対空部隊。味方部隊が直面するありとあらゆる空からの脅威に対応する。

 

 

第1地対空誘導弾連隊

第2地対空誘導弾連隊

(一式超長距離地対空誘導弾、零式長距離地対空誘導弾、03式地対空誘導弾甲型、11式地対空誘導弾甲型、93式地対空誘導弾甲型、四式対空機関砲、五式ガ型対空機関砲を装備)

 

 

 

第2火力投射師団

 

編成は第1火力投射師団と変わらない

 

 

 

 

 

 

幌筵防衛軍

 

幌筵泊地は、幌筵泊地のある幌筵島含めた千島列島の一部も同時に転移しており、島全体の防衛は絶対である。そのため、その防衛に当たる部隊の持つ装備は、敵を撃退ではなく、二度と上陸させないために「殲滅」することを目的としている。補給は基地から行われるので考える必要が無い

 

 

 

第1師団

 

機甲戦力を主軸とした師団。重要拠点の防衛や、上陸阻止を行うことを目的としている。火力に集中した車両が多く、上陸しようとすれば圧倒的火力の前に地獄を見る。

 

 

第1装甲旅団

 

五式重戦車を主軸とした戦車部隊。揚陸戦力の機甲戦力に対応する他、水陸両用車などにも対応する。

 

第3重戦車連隊

第4重戦車連隊

 

 

 

第2装甲旅団

 

10式戦車乙二型を主軸とする部隊で、飛行場や、ロケット発車場付近の防衛を担当する。乙型に比べて開けた場所での戦闘を想定している。

 

第7戦車連隊

第8戦車連隊

 

 

第3装甲旅団

 

ナ式自走砲を主軸に、10式丙型を装備した火力特化部隊。司令部付近の最重要区画を守るために存在する。

 

対戦車自走砲連隊

対戦車自走砲連隊

(ナースホルンⅡ、10式丙型を装備)

 

 

 

第2師団

 

対艦長射程兵器を主軸とした部隊で、火力投射師団では装軌車両だったものが、島内での機動性を重視した結果、装輪車両となっている。

 

 

 

第1地対艦誘導弾旅団

 

核攻撃すら辞さない大型地対艦誘導弾を扱う部隊。大型の空母や、戦艦を仕留めるために、通常弾頭以外にも、原水爆や反物質の使用を許可されている。

 

 

第1対艦攻撃連隊

第2対艦攻撃連隊

 

(北鎮二型を装備)

 

 

 

第2地対艦誘導弾旅団

 

1発辺りの威力重視の第1旅団に比べ、手数を優先した対艦攻撃部隊。12式改二甲型を装備し、空を覆い尽くさんばかりの対艦ミサイルで敵の防空能力を飽和させ、殲滅する。

 

 

第3対艦攻撃連隊

第4対艦攻撃連隊

 

(12式地対艦誘導弾改二甲型を装備)

 

 

 

滑空弾旅団

 

極超音速滑空体を使用して、装甲目標や、空母の甲板破壊などを担当する部隊。滑空弾を扱う都合、核が使えない状況下で装甲目標を倒すことを目的とされている。

 

 

第1滑空弾連隊

第2滑空弾連隊

(零式極超音速滑空弾を装備)

 

 

 

 

第3師団

 

島内で戦闘になった際に、白兵戦含めた戦闘をこなす部隊。これで守りきれなければ、自爆覚悟で島内の反物質(キロトン級)を作動させることとなる。

 

 

 

第3、4重歩兵旅団

 

幌筵泊地が開発した強化外骨格であるACS-1を装備した強化外骨格歩兵によって構成される重歩兵だが、島内向けに出力の20%アップが行われており、徒手格闘で敵を制圧することすら求められる。尚、緊急時には幌筵泊地の対応可能な全ての隊員が強化外骨格を着て戦うこととなる。

 

 

 

第3重歩兵旅団隷下

・第5重歩兵連隊

・第6重歩兵連隊

(ACS-1を装備した歩兵と六式兵員輸送車)

 

第4重歩兵旅団隷下

・第7重歩兵連隊

・第8重歩兵連隊

 

 

 

第1火力支援旅団

 

中距離多目的誘導弾並び自走砲、ロケット砲で構成された火力支援部隊。狭く、建造物の多い島内では長距離の火力支援はほとんど効果がなく、上陸舟艇への対応が専らである。

 

第1火力支援連隊

第2火力支援連隊

 

 

 

第4師団

 

防空と火力支援を目的とした部隊。万が一航空戦力を失った状況下では、対空火器をハリネズミのように張り巡らせた彼ら含めた部隊が頼みの綱である。

 

 

 

 

第2火力支援旅団

 

中距離多目的誘導弾並び自走砲、ロケット砲で構成された火力支援部隊。狭く、建造物の多い島内では長距離の火力支援はほとんど効果がなく、上陸舟艇への対応が専らである。

 

第3火力支援連隊

第4火力支援連隊

 

 

 

 

 

第1高射特科旅団

 

超長距離地対空ミサイルから、高機動、高速度の近距離地対空ミサイル、対空砲までを保有する対空部隊。味方部隊が直面するありとあらゆる空からの脅威に対応する。島内事情に合わせて装輪車両になっている

 

 

第5地対空誘導弾連隊

第6地対空誘導弾連隊

(一式超長距離地対空誘導弾、零式長距離地対空誘導弾、03式地対空誘導弾乙型、11式地対空誘導弾乙型、93式地対空誘導弾乙型、四式対空機関砲、五式ガ型対空機関砲を装備)

 

 

第2高射特科旅団

 

 

 

第7地対空誘導弾連隊

第8地対空誘導弾連隊

(一式超長距離地対空誘導弾、零式長距離地対空誘導弾、03式地対空誘導弾乙型、11式地対空誘導弾乙型、93式地対空誘導弾乙型、四式対空機関砲、五式ガ型対空機関砲を装備)

 

 

 

 

幌筵戦術機甲軍

 

戦術機から構成される軍。元々、幌筵泊地では魔王討伐の際に登場したゴーレムのような存在を魔法帝国も使ってくるのではと推測し、人型兵器の研究を進めていた。本来ならばモビルスーツを開発する予定であったものの、開発を進めていた腰堀の開発危機(生命的な意味での)が生じていたこと、ビームサーベルの開発が難航していたことから、早期配備を目指して、戦術機へ切り替えることとなった。とはいえ、決して妥協した訳では無いため、XM3の搭載などは当然行われている。カラーリングは、幌筵泊地で協議され、決定されたものである。尚、既存兵器と運用形態が異なる都合、構成が異なる。

 

 

(尚、戦術機の呼称は国によって異なるが、幌筵泊地には既に戦闘機が配備されている都合、日本式の呼称で統一している)

 

 

 

戦術機甲師団

 

第1戦術機甲連隊(TSF-Type04)

第2戦術機甲連隊(TSF-Type04)

第3戦術機甲連隊(TSF-Type04)

▶︎不知火弐型、第1は露軍迷彩、第2は黒塗装、第3は国連軍塗装(UNは省いた)

第4戦術機甲連隊(TSF-Type00)

第5戦術機甲連隊(TSF-Type00)

▶︎建御雷(黒塗装、冥夜仕様、XM3搭載)

第6戦術機甲連隊(TSF-Type22)

▶︎F-22Aラプター(XM3搭載)

第7戦術機甲連隊(TSA-Type10)

▶︎A-10サンダーボルト(XM3搭載)

 

 

戦術機甲支援師団

 

戦術機の補給や、整備、運搬などの支援装備を持った部隊。これが無ければ戦闘継続は不可能である。

 

(超大型輸送機他、補給ユニットなどを装備)

 

 

 

 

幌筵軍海上部隊

 

幌筵泊地に所属する海上部隊は、対深海棲艦最終決戦時に世界中から集まってきた艦娘と、幌筵泊地で建造された数人の艦娘、発見された艦娘数人の計約270人が在籍しており、それがそのまま海軍戦力となる。正面装備となる。また、ミサイル艇や、特殊潜航艇、高速輸送艦、エクラノプラン、戦術機母艦などの特殊装備も多数保有しており、ロデニウス連邦共和国以外で並ぶ海軍はいない。

 

 

 

艦娘部隊

 

元々深海棲艦に対抗するために人型の体に艤装を身につける存在だったものの、転移してからは艤装が実体化、装着は不可能になっている。だが、依然として各艦の艦長的ポジションを担っており、彼女たちが居ないとフネを動かすことは出来ない。元々は第二次世界大戦レベルの装備だったものの、旧幌筵泊地所属艦娘は転生者転移直後、最終決戦時集合した艦娘はその時に、幌筵泊地転生者によって現代化されたため、全く面影を残さない。尚、この世界に来てから度々改装を受けており、その内容も大きく変わっている。元となった旧海軍の編成に縛られず、作戦に応じて柔軟な編成が行われる。

 

 

 

 

 

海防艦艦娘、神風型駆逐艦艦娘、松型駆逐艦艦娘

 

ベース:もがみ型

諸元表

全長 140m

最大幅18m

機関 CODAG

速力 30ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、12.7mmRWS×2基、Mk41 VLS×1基(改装によりSM-6に対応)、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数12セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)

艦載機 SH60K×1機

備考 対空ミサイルの運用に関して若干の変更があるものの、概ねもがみ型に寄せているため、機雷戦などにも対応可能

 

 

 

睦月型駆逐艦艦娘、Z1型艦娘

 

ベース:あさひ型

諸元表

全長 160m

最大幅 20m

機関 COGAG

速力 35ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41mod.9VLS、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数24セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×2基

艦載機 SH60K×2機

備考 レーダー類はあさひ型に準ずる

 

 

 

秋月型、島風、吹雪除く残り全ての駆逐艦艦娘

 

ベース:あさひ型+あきづき型

諸元表

全長 170m

最大幅 22m

機関 COGAG

速力 35ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41mod.9VLS、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数24セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×2基

艦載機 SH60K×2機

備考 陸自の03式中距離地対空誘導弾(改)を艦対空ミサイル化させた48式艦対空誘導弾の運用能力、はそのままに味方艦娘との連携により若干の艦隊防空能力を持つ

 

 

吹雪

 

ベース:見た目もがみ型、中身オリジナル

諸元表

全長 175m

最大幅 24m

機関 COGAG

速力 37ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41 VLS(セル数48セル)、誘導弾発射筒×12基(SM-6や極超音速対艦ミサイルの運用が可能)、対艦ミサイル専用VLS(セル数32セル)、5連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mm、25mmRWS各2基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基

艦載機 SH60K×1機、UAV×2機

備考 FCS-4(改)を搭載、イージスシステム並の防空能力を持つ

 

 

 

秋月型

 

ベース:まや型

諸元表

全長 180m

最大幅 26m

機関 COGAG

速力 35ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41 VLS(セル数合計96セル)、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数24セル)、四連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×2基

艦載機 SH60K×2機

備考 レーダー類ははぐろに近い

 

 

 

島風

 

ベース:まや型だが変更点多数

諸元表

全長 180m

最大幅 26m

機関 COGAG

速力 37ノット

兵装 62口径5インチ砲×1基、Mk41 mod.HOROMUSIRO(特注品、セル数合計200セル、VLSから発射可能な全てのミサイルと、ASM-3の艦対艦ミサイル仕様であるSSM-4の運用能力あり)、5連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mm、25mmRWS各2基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基

艦載機 SH60K×1機、UAV×1機

備考 イージスシステム搭載

 

 

 

 

長良型、球磨型(重雷装巡洋艦娘除く)、天龍型、アトランタ除く全海外軽巡洋艦艦娘

 

 

ベース:ズムウォルトは意識しているが、違いが目立つ

 

諸元表

全長 210m

最大幅 27m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲(毎分40発)、Mk41 VLS(セル数合計160セル)、57mm速射砲×2基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数48セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×4機(由良のみ水上ジェット戦闘機×1)

備考 後部のヘリ甲板が広く取られている。ステルス性が意識された結果、漁船程度にしか映らない。また、本級以降よりイージスシステムの発展型であるアドバンスド・イージスシステムを搭載、元の10倍以上の対空性能を持つ(本級は10倍)

 

 

 

川内型

 

 

ベース:長良型等から更に発展させたもの

 

諸元表

全長 220m

最大幅 30m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲×3基(毎分42発)、Mk41 VLS(セル数合計160セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数48セル)、4連装魚雷発射管×4基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 夜戦能力を重視、アドバンスド・イージスシステム搭載(元の12倍)

 

 

 

 

阿賀野型、夕張型、大淀型、香取型

 

 

ベース:特になし

 

諸元表

全長 240m

最大幅 35m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲×4基(毎分40発)、Mk41 VLS(セル数合計240セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数48セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機

備考 香取型のみ要人専用の区画あり、警備要員が乗り込めるようになっている。アドバンスド・イージスシステム搭載(元の15倍)

 

 

 

 

重雷装巡洋艦娘

 

 

ベース:キーロフ級、ズムウォルト他

 

諸元表

全長 240m

最大幅 40m

機関 艦船用核融合炉

速力35ノット

兵装 155mm単装砲×2基、57mm速射砲×2基、Mk41 mod.HOROMUSIRO(特注品、セル数合計300セル、VLSから発射可能な全てのミサイルと、ASM-3の艦対艦ミサイル仕様であるSSM-4の運用能力あり)、5連装魚雷発射管×6基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の12倍)、島風、後ほど紹介する扶桑型と共に重ミサイル打撃艦隊を編成

 

 

アトランタ

 

 

ベース:特に無し

 

諸元表

全長 220m

最大幅 35m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 155mm連装砲×3基(毎分45発)、Mk41 VLS(セル数合計300セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数36セル)、5連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の18倍)

 

 

 

 

高雄型、航空巡洋艦除く全重巡洋艦艦娘(以降ベース無し)

 

 

諸元表

全長 260m

最大幅 40m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 203mm三連装砲×4基(毎分20発)、Mk41 VLS(セル数合計320セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×4基、対艦ミサイル専用VLS(セル数64セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の20倍)

 

 

 

 

高雄型

 

 

諸元表

全長270m

最大幅 45m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 203mm三連装砲×4基(毎分25発)、Mk41 VLS(セル数合計360セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×4基、対艦ミサイル専用VLS(セル数64セル)、6連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応) 、12.7mm、25mmRWS各4基ずつ、複合CIWS(SeaRAMとAK630を組み合わせている)×2基 、12.7mmRWS×4基

艦載機 SH60K×2機、UAV×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の25倍)

 

 

 

 

航空巡洋艦艦娘

 

 

諸元表

全長 280m

最大幅 100m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 203mm連装砲×2基(毎分20発)、Mk41 VLS(セル数合計160セル)、57mm速射砲×2基、SeaRAM×2基、対艦ミサイル専用VLS(セル数32セル)、4連装魚雷発射管×2基(短魚雷、長魚雷の両方に対応)、12.7mmRWS×4基

艦載機 F35D(カタパルト、折りたたみ機構に対応させたF35B)×6機、SH60K×2機

備考 本級のみイージスシステム搭載、V字型の飛行甲板を有し、後述の伊勢型とともに航空水上打撃艦隊を編成

 

 

 

 

 

鳳翔、千歳型を除く全軽空母

 

 

モデル:いぶき、ひゅうが

 

諸元表

全長 270m

最大幅 44m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

艦載機 F35B×15機、SH60K×4機、EV-22サンダー・オスプレイ(早期警戒機型)×2機

兵装 Mk41 VLS(セル数32セル)×1基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×4基

備考 防空システムはひゅうが型に近い

 

 

 

 

 

千歳型

 

 

モデル:クイーン・エリザベス級航空母艦のカタパルト搭載仕様

 

諸元表

全長 290m

最大幅 84m

機関 艦船用核融合(高速型)

速力 38ノット

艦載機 F/A18H キャリアー・ホーネット(大量のミサイルを積むことを前提としたF15 2040Cのホーネット版)×8機、F-22N(元ネタと違い実機に近い)×8機SR-73Bダークスター(マーベリックにでてきたやつの艦載機型、武装はエスコン仕様)×8機、無人戦闘機(MQ-99みたいなもん)×20機、E-2Dホークアイ×2機、SH60K×8機、MV-22×4機

兵装 Mk41 VLS(セル数32セル)×2基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×6基

備考 汎用護衛艦並の対空能力あり

 

 

 

 

 

 

鳳翔

 

 

モデル:CGの空母ほうしょう

 

諸元表

 

全長 290m

最大幅 78m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

艦載機 F14Eハイパートムキャット(機関砲以外にエスコンのPSLSみたいなやつを積んだASF-14、建御雷も同様のものを艦載)×8機、F/A18Eアドバンスド・ホーネット(ブロック3要素も入ってる)×8機、E-2Dホークアイ×2機、SH60K×3機、MV-22オスプレイ×2機

兵装 Mk41 VLS(セル数32セル)×1基、SeaRAM×6基、25mm機関砲×4基

備考 戦闘機はトップガン仕様の塗装

 

 

 

 

 

 

 

大鳳除く軽空母以外の空母

 

 

モデル:フォード級航空母艦

 

 

諸元表

全長 350m

最大幅 95m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

艦載機 F-31グレイファルコン(FC-31の西側版だと思っていい)×32機(赤城と加賀はATD-Xの艦載機仕様、F/A-3を搭載、新型機の都合、名前が変わった)、A-12ノイ・アヴェンジャー(超音速化したアヴェンジャーだと思っていい)×32機、EA18G×8機、E-2Dホークアイ×2機、SH60K×6機、MV-22オスプレイ×4機

兵装 21連装RAM発射機×2基、Mk41 VLS(セル数32セル)×2基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×6基

備考 汎用護衛艦並の対空能力あり

 

 

 

 

大鳳

 

 

モデル:アドミラル56

 

 

諸元表

全長 400m

最大幅 120m

機関 艦船用核融合炉

速力 37ノット

艦載機 Su75(艦載機仕様)×16機、F31グレイファルコン×16機、A-12ノイ・アヴェンジャー×16機、F-22N×16機、EA18G×8機、E2Dホークアイ×2機、SH60K×8機、MV-22オスプレイ×4機

兵装 21連装RAM発射機×2基、Mk41 VLS(セル数32セル)×2基、SeaRAM×4基、25mm機関砲×6基

備考 電子戦能力あり、汎用護衛艦並の対空能力あり

 

 

 

伊勢型

 

 

モデル:虎狼型

 

 

諸元表

全長 350m

最大幅 120m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 51cm連装砲×2基、Mk41 VLS×2基(セル数240セル)、57mm速射砲×4基、SeaRAM×4基、対艦ミサイル専用VLS(セル数32セル)、4連装魚雷発射管×2基(短魚雷のみ)、12.7mmRWS×6基、25mm機関砲×6基

艦載機 F35D×16機、E-2D×2機、SH60K×4機

備考 アドバンスド・イージスシステム搭載(元の14倍)、航空巡洋艦とともに航空水上打撃艦隊を編成

 

 

 

扶桑型

 

 

モデル:扶桑型以降は無し

 

 

諸元表

全長 300m

全幅 40m

機関 核融合炉

速力 33ノット

武装 650mm三連装ガンランチャー×2基、76mmスーパー・ラピッド砲×4基、57mm機関砲×4基、複合CIWS×8基、48式複殻型VLS(前後合わせ250セル)、大型ミサイル用煙突型VLS×1基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスドイージスシステム(元の16倍)などを搭載

 

 

 

 

 

この大型ミサイルから発射されるのは大型対地・対艦攻撃用ミサイル「48式大型対地・対艦誘導弾 ABM-1(Anti Boss Missile)」といういかにも物騒な兵器である。

 

 

kh-22や、東風21などの東側の大型ミサイルを参考に開発されたこのミサイルのスペックは次のようになっている。

 

 

名称 ABM-1

全長 12m

直径 3.2m(両翼展開時)

最高速度 マッハ6

射程 1500km

弾頭重量 1200kg

 

 

 

 

 

 

 

金剛型

 

 

諸元表

全長 320m

全幅 40m

機関 艦船用核融合炉(高速型)

速力 38ノット

兵装 48cm連装砲×4基、57mm機関砲×6基、VLS×2基(セル数270セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基、20cm艦首陽電子衝撃砲×1基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の20倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

 

アイオワ級を除く全海外戦艦

 

 

諸元表

全長 330m

最大幅 48m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 48cm三連装砲×4基、57mm機関砲×6基、VLS×2基(セル数300セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の23倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

 

 

アイオワ級戦艦

 

 

 

諸元表

全長 350m

最大幅 50m

機関 艦船用核融合炉(高速型)

速力 40ノット

兵装 51cm三連装砲×4基、57mm機関砲×6基、VLS×2基(セル数320セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の25倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

 

 

長門型戦艦

 

 

諸元表

全長 380m

最大幅 55m

機関 艦船用核融合炉

速力 35ノット

兵装 55cm三連装砲×4基、57mm機関砲×8基、VLS×3基(セル数330セル)、SeaRAM×6基、25mm機関砲×8基、3連装短魚雷発射管×2基、28cm艦首陽電子衝撃砲×1基

艦載機 SH60K×2機、ドローン3機

備考 アドバンスド・イージスシステム(元の30倍)効果的運用のためにスーパーコンピュータを設置

 

 

 

 

大和型戦艦

 

 

全長 700m(武蔵は634メートル)

全幅 90m

全高 160m(水中観測室含む)

推進方法 電気推進

速力 最大120ノット

機関 II型艦載用核融合炉×6基

武装 長砲身88cm3連装速射砲×4基(毎分90発)、20.3cm陽電子衝撃砲×2基(威力を落として速射性を上げている)、12.7cm連装高角砲×20基(毎分180発)、複殻式VLS(320セル)×4基、煙突型多目的VLS(32セル)×1基(武蔵は装備せず)、反射衛星砲改修型×1基(まぁ、アレっぽいやつだと思ってください)、他武器多数

艦載機 新型垂直離着陸機×60機(武蔵は20機)

備考 現在改装中

 

 

 

潜水艦娘(伊四〇〇型を除く伊号)

 

全長 110m

全幅 12m

機関 核融合炉

推進方式 ポンプジェット推進

最高速度 水中において50ノット以上

最大潜行深度 1000m

武装 660mm魚雷発射管×8基、多目的一体型VLS(8セル)

艦載機 SUAVを複数搭載、VLSより発艦

 

 

潜水艦娘(呂号含めた他国潜水艦)

 

全長 100m

全幅 10m

機関 ディーゼルエンジン+AIP、リチウムイオン電池

推進方式 ポンプジェット推進

最高速度 水中にて35ノット

最大潜行深度 800m

武装 660mm魚雷発射管×8

 

 

 

伊四〇〇型潜水艦娘

全長 200m

最大幅 20m

機関 核融合炉

速力 水中 40ノット

   水上 20ノット

航続距離 1年間の無寄港、完全潜行状態での戦闘行動が可能

武装 533mm魚雷発射管×8門、多目的VLS 16セル、格納式レーザーCIWS×4基、電波妨害機複数、艦尾魚雷発射管×4門、対魚雷・爆雷防御装置

艦載機 F-3S 新・晴嵐(ATD-Xを単発機化した上で、垂直離着陸に対応、格闘性能と精密攻撃、探知能力に優れている)×4機

 

 

 

日進

 

全長 200m

全幅 22m

機関 核融合炉

速力 33ノット

武装 76mm速射砲×2、Mk41 VLS(32セル)、SeaRAM×2、三連装短魚雷発射管

艦載機 水上ジェット戦闘機×12

能力 高速補給と、対艦ミサイル補給能力を持つ

 

 

Commandant Teste

 

全長 180m

全幅 28m

機関 核融合炉

速力 30ノット

武装 155mm単装砲×1、76mm速射砲×2、Mk41 VLS(16セル)、SeaRAM×2、三連装短魚雷発射管

艦載機 水上ジェット戦闘機×8

能力 高速補給と、簡易的な補修能力を持つ

 

 

瑞穂

 

全長 200m

全幅 20m

機関 核融合炉

速力 35ノット

武装 52口径5inch砲×1、Mk41 VLS(32セル)、SeaRAM×2、三連装短魚雷発射管

艦載機 水上ジェット戦闘機×10

能力 高い対艦攻撃能力を持つ他、高速補給能力を持つ。

 

 

速吸

 

全長 170m

全幅 21m

機関 核融合炉

速力 33ノット

武装 57mm速射砲×3、Mk41VLS(16セル)、三連装短魚雷発射管

艦載機 F-35B×4、無人機

能力 高速補給能力と生鮮食品の大量輸送、全通甲板を持つ

 

 

神威

 

全長 160m

全幅 20m

機関 核融合炉

速力 30ノット

武装 57mm速射砲×2、Mk41VLS(16セル)、三連装短魚雷発射管

艦載機 水上ジェット戦闘機×4

能力 高速補給能力と生鮮食品、入浴設備を持っている

 

 

宗谷

 

全長 85m

全幅 14m

機関 ディーゼルエレクトリック

速力 18ノット

武装 20mmCIWS、93式地対空誘導弾艦載型、三連装短魚雷発射管

艦載機 小型ヘリ×1

能力 砕氷船としての能力と、高い通信能力、寒冷地でも居住性を持つ

 

 

 

迅鯨型

 

ロデニウス連邦共和国の潜水母艦と同等のスペックを持つ

 

 

明石

 

全長 500m

全幅 100m

機関 核融合炉

速力 25ノット

能力 200mまでの艦艇を自艦のドックに収容して修理可能

備考 北極海決戦前の全世界同時空爆によって大破、幌筵泊地によって修復されたため、原型より大幅に変わっている。この時のデータは大和型戦艦改装に活かされた。

 

 

 

秋津洲

 

全長 150m

全幅 15m

機関 核融合炉

速力 30ノット

兵装 20mmCIWS、SeaRAM

能力 エクラノプランを洋上にて補給、管理することが出来る

 

 

 

あきつ丸・神州丸・熊野丸

 

全長 260m

最大幅 35m

機関 複合電気推進方式

速力 22ノット

兵装 Mk41 VLS(16セル)、ファランクスCIWS×2基、21連装RAM×2基、25ミリ機関砲×4基、12.7ミリ重機関銃×4基

搭載能力 エアクッション艇×3、航空機最大20機

モデル ワスプ級

 

 

まるゆ

 

全長 60m

全幅 8m

機関 ディーゼルエレクトリック

兵装 対魚雷防御装置

能力 特殊部隊輸送能力を持つ

 

 

 

 

 

 

オリジナル艦娘(作者の創造、或いは読者より送られた艦艇)

 

 

建御雷級戦略打撃艦

大日本合衆国という艦娘とも転生者達とも違う世界線からやってきた最新鋭艦。圧倒的な航空戦力或いは、砲撃によって敵中枢部に打撃を与えることをコンセプトとして設計された。同型艦は次の2隻

 

 

建御雷

建御雷級の1番艦で、種別は空母。頼れるお姉さん気質であるため艦隊でも人気が高い。

 

全長 350メートル

全幅 82メートル

機関 核融合、及び予備のディーゼルエンジン

速力 35ノット

艦載機 搭載機82機 F14Eハイパートムキャット×32機(トムキャット魔改造機)、F31グレイファルコン×16機(FC-31を艦載機化)、A12Cノイ・アベンジャー×16機(アヴェンジャー攻撃機を超音速機化)、EA18Gグラウラー×6機、E2Dアドバンスド・ホークアイ×2機、SH60K×6機、MV22×2機、C2(アメリカ海軍のやつ)×2機

武装 ファランクス×3基、レーザーCIWS×2基、Mk29×2基、RAM21連装発射基×2基

その他 レーダー等の各種装備はジェラルド・R・フォード級に相当

 

 

 

建御名方

建御雷級の2番艦で艦種は戦艦。オタクに優しいギャル、というか本人がオタク。腰掘とはいい感じなのでこの異世界での進展が気になるところ。

 

 

全長 360メートル

全幅 50メートル

機関 建御雷に同じ

速力 35ノット

武装 51cm三連装レールガン×4基、12.7サンチ連装両用COIL×2基、Mk41VLS×4基、SeaRAM×4基、ファランクス×4基

艦載機 榛名と同じ

その他 基本的には榛名に準ずる

 

 

 

海上自衛隊護衛艦 日護、日月、日波

多元達とは別の世界線の自衛隊が建造した護衛艦。幌筵泊地で何故か使用可能になった建造ドックを利用して建造された。(ちなみに本当は読者から頂いたオリジナル艦)

 

 

護衛艦日月

 

自衛隊が日護と共に建造した護衛艦

全長200メートル全幅30メートル

システム.マルチイージス(ノーマルイージス×10)

武装

主砲12.7センチ砲2機(レールガン、砲弾の両方射撃可能)

短魚雷発射管三連装2機

VLS.210セル

CIWS.6機(ファランクス2機ミサイル発射式2機レーザー砲2機)

航空機.ロクマル2機(耐熱加工しているためF35の運用が可能)

 

見た目と性格

灰色の髪と目

優しく影から見守る姉さん気質お節介してその人がだらけたりしない様に厳しくもある。

 

護衛艦日波

システム.ミニイージス(ノーマルイージスの半分の性能ノーマルイージスがミサイルを十発誘導可能に対してミニイージスシステムは五発)

自衛隊が領海を守る為に数が必要だった為にイージスシステムの性能を下げて量産化した艦

全長90メーター全幅20メーター

武装

7.6センチ砲1機

三連装短魚雷発射管1機(二次大戦の駆逐艦の様に艦中央に設置する事でコストを下げている)

VLS.64セル

CIWS.2機(ファランクス1機ミサイル発射式1機)

遠隔操作型の小型ボート30艇(おもちゃのボートみたいな見た目だが対空対潜レーダー搭載日波一隻で広大な範囲をカバー出来る)

見た目と性格

灰色の髪と目

性格は雷の様なお節介お母さん気質と違い親を手伝う様に手伝いを率先してやる良い子明るいので艦隊の癒し

 

護衛艦日護

 

自衛隊が作った戦艦相手が先制攻撃して来ても耐える様作られた。

全長400くらい

横幅80くらい

システム.マルチイージス(ノーマルイージス30個分ノーマルイージス1つでミサイル10発が誘導可能)

主砲.80センチ三連装砲3機(レールガンと実弾両用可能)

副砲.12.7センチ砲12機(オートメラーラ)

VLS. 4000個

対空.レーザー砲4機.CIWS10機(ファランクス6ミサイル型4)

短魚雷発射管三連装2機

航空機.ロクマル.10機.F35.15機

 

見た目は灰色の髪と目(イージス艦は灰色の塗装だから)

性格は仲間に優しいけれど上官がクソな命令をしたら徹底的に逆らう(例え総理大臣でも)けど命令ではなくお願いなら聞く

 

 

 

特殊艦ハボクック、エルドリッジ

他の艦娘とは明らかに異なる技術体系から生み出されたと見られ、深海棲艦によって洗脳されて運用されていたのを鹵獲したエルドリッジと、建造中の事故によって誕生した氷山空母ハボクックのこと。(どちらも読者からいただいたオリジナル艦)

 

エルドリッジに関しては依然として詳細不明。

 

ハボクックに関しては次の通り

 

 

 

全長 1800メートル

全幅 200メートル

機関 核融合炉

搭載機数 1200機

速力 10ノット

艦載機 JAS39グリペン、E2Dアドバンスド・ホークアイ、SH60K等

兵装 VLS×8基、レーザー兵器多数(艦艇攻撃も可能)

 

 

 

尚、転移によって船体維持が困難になりつつあったが、平河が一計を案じ、クワ・コウベに新しく作られた埋め立て地の1部として運用することとなった。

 

 

 

 

その他海上部隊

 

 

ミサイル艇

全長 55メートル

全幅 9メートル

機関 ガスタービンエンジン

速力 48ノット

兵装 76mmスーパーラピッド砲、対艦ミサイル発射機×4基、SEARAM×1基、12.7mm重機関銃×2基

備考 対艦ミサイルを47式魚雷に変更可能

 

 

 

 

特殊潜航艇(波号潜水艦)

 

 

全長 65メートル

全幅 8メートル

速力 最大22ノット

武装 魚雷発射管4門(対艦ミサイルも発射可)

備考 無艦橋型

 

 

 

高速輸送艦隊「東京急行艦隊」

 

おおみや級高速輸送艦

「おおみや」「つだぬま」「いずみ」「こが」「こうのす」「ぬまづ」「しずおか」「はままつ」「なかつがわ」「たじみ」「みずなみ」「たいた」

 

全長 260m

全幅 35m

主機関 核融合炉

推進器 ウォータージェット×4

速力 40ノット(満載時)

搭載能力 F-35B×8機とV-22オスプレイを6機、SH60Lを4機搭載した状態で、LCAC2隻と、上陸部隊2000名の輸送を可能だが、普通は人員800名と、幌筵泊地の戦車もしくはロデニウス連邦共和国のMCVと装甲車両からなる即応連隊が割り当てにしたがって乗船する。

武装 ファランクスとSEARAM、VLS 18セル、短魚雷発射管と、いくつかのRWSのみ

外見 全通甲板になったナッチャンWorld

 

 

制圧ロケット砲艦×10隻

タンカーを改造して大量のMLRSを搭載した船、SM-MLRS(Shipborne Multipurpose MLRS)を搭載、これは、M270 MLRSを艦載型として再設計したもの。12連装(MLRS)と六連装(HIMARS)MLRSから発射可能な全てのミサイル・ロケットと新規に開発された対潜ロケットが運用できる。また、必要があればMLRS以外のロケットも装備できるようモジュール化されている。

 

 

小型護衛艦「鴻」

全長 140m

最大幅 15m

機関 COGAG

速力 37ノット

兵装 5inch単装砲×1、複合CIWS×2、対空VLS(32セル)、多目的VLS(16セル)、短魚雷発射管×8門、極超音速滑空弾投射機×2

艦載機 無人VTOL哨戒機×1

 

 

対潜護衛艦「敷島」

全長 170m

最大幅 18.5m

機関 COGAG

速力 33ノット

兵装 5inch単装砲×1、多目的VLS(64セル)、複合CIWS×1、SeaRAM×1、多目的発射器×8、短魚雷発射管×6門

艦載機 対潜哨戒ヘリ×4機またはVTOL機×2機

 

多用途任務対応型護衛艦「輝龍」

全長 270m

全幅 68m

機関 レーザー核融合炉

推進 統合電気推進

速力 30ノット

兵装 多目的VLS(64セル)、40mmレールガン×4基、20mmRWS×6基、SeaRAM×4基、短魚雷発射管×6門、その他必要に応じて甲板上に陸上長距離攻撃部隊の積載が可能。

カタパルト 電磁カタパルト×2

艦載機 戦闘機や、哨戒機などを任務に応じて変更可能、最大40機以上

見た目 シャルル・ド・ゴール似

 

 

 

多目的戦闘艦「磐城」

全長 180m

最大幅 25m

機関方式 統合電気推進+COGAG

速力 30ノット

兵装 5inch単装砲×1基、30mmCIWS×2基、24連装RAM×1基、VLS48セル、対艦ミサイル発射筒×8基

輸送能力 LCAC×1と戦車含めた車両20両、兵員350名

機雷戦能力 機雷600発

指揮能力 200人の指揮要員の乗船

 

大型嚮導駆逐艦「秋雨」

全長 185m

最大幅 22m

機関方式 統合電気推進+COGAG

速力 35ノット

兵装 5inch単装砲×1基、40mmレールガンCIWS×1基、36連装RAM発射機×1基、多目的VLS×200セル

艦載機 SH60L×1

 

 

のぞみ型超大型戦術機母艦×10

「のぞみ」「ひかり」「こだま」「はやぶさ」「こまち」「とき」「やまびこ」「なすの」「つばめ」「さくら」

 

全長 400m

全幅 80m

機関 核融合炉

速力 35ノット

搭載機数 戦術機48機

兵装 Mk41VLS(32セル)、近接防空火器

備考 双胴船

 

 

 

 

幌筵軍航空部隊

 

ある意味幌筵泊地を表す部隊。多種多様な航空機を保有し、圧倒的に多い空軍力で敵を追い詰める。

 

 

戦闘機部隊(1個航空団32機)

 

第1航空団(所属機F15J改)▶︎まもなくイーグルⅢに置き換え

第2航空団(所属機F/A18E)

第3航空団(所属機J10)

第4航空団(所属機トーネードADV)

第5航空団(所属機F15改二)

(F15EXとSu30的要素の入った魔改造機)

第6航空団(所属機Su30)

第7航空団(所属機タイフーン)

第8航空団(所属機F22)

第9航空団(所属機F2スーパー改)

第10航空団(所属機ラファール)

第11航空団(所属機F35A)

第12航空団(所属機F-CK-1)

第13航空団(所属機Su37)

第14航空団(所属機Mig35)

第15航空団(所属機KF21)

第16航空団(所属機Su75)

第17航空団(所属機F3A)

(YouTubeで動画検索するとCGで出るやつ)

第18航空団(所属機Su57)

第19航空団(所属機テンペスト)

第20航空団(所属機ASFX震電Ⅱ)

第21航空団(所属機F/A-27C)

第22航空団(所属機SM-36)

第23航空団(所属機XFA-27)

第24航空団(所属機XFA-33)

 

 

他、第36航空団まで配備予定の機体は決定しており、早期の戦力化が望まれている

 

 

そして、ストレンジリアルなどから何故か参加した人外ズ

(エースコンバット主人公+その他エース)

30人強(司令直属航空団として第118戦術航空団を編成した)

 

 

ハボクック航空隊

JAS39Eグリペン1200機

 

 

幌筵洋上打撃航空艦隊

(対艦攻撃特化の脳筋部隊)

 

 

・制空隊

ミラージュ4000 64機

 

・直掩隊

F16V 96機

 

・先行打撃隊

J20 96機

 

・主隊(第1陣)

F-2 128機

 

・主隊(第2陣)

Tu22M 64機

 

 

 

支援隊

E-3センチュリー、EA18Gグロウラー、KC-46

 

 

 

(ちなみにまだ増える)

 

 

 

爆撃機、攻撃機航空団

1個航空団108機

第1爆撃航空団(所属機B1ランサー)

第2爆撃航空団(所属機B2スピリット)

第3爆撃航空団(所属機B21)

第4爆撃航空団(所属機B52)

第5爆撃航空団(所属機Tu-95)

第6爆撃航空団(所属機Tu-160)

第7爆撃航空団(所属機H-6)

他増備予定

特設航空軍団所属Sturzkampfgeschwader

(A-10の大佐魔改造機、ここだけ16機)

対地攻撃航空団

(所属機Su25、AC130、A-10)

戦闘爆撃航空団

(所属機F111、トーネードIDS、F3ストライク心神、Su34)

 

 

無人航空機航空団(100機以上)

リーパー、MQ-9等

 

 

偵察、電子戦航空団

E-767

EA-18G

E-2D

RF-4

グローバルホーク

EC-2

A350-900ULRを魔改造した早期警戒管制機

(E-350)

U-4

 

 

空中給油航空団

KC767

KC46

A350-900ULRを魔改造した空中給油機(KC-350)

 

 

輸送航空団(200機程度保有)

C-2、C-130、C-17、C-5

 

 

哨戒航空団

P-3C(まもなく退役)

P-1対潜哨戒機

SH60K

 

 

 

水上飛行団(エクラノプラン合わせて100機程度)

 

超大型飛行艇「白鳳改」

正式名称 武装輸送飛行艇

全長 33m

全幅 42m

全備重量 64000kg

最高速度 940キロ

巡航速度 900キロ

航続距離 12000km

武装 20mmバルカン砲×4基、近距離ミサイル×6発

乗員 8名

乗客 装備状態の艦娘20名と人間40人

機関 耐水性ターボファンエンジン×4基

備考 純粋な輸送型や、防弾性を上げ、即時展開型もある

 

 

 

 

超弩級輸送飛行艇「噴式蒼空改」

 

全長 100m

全幅 110m

全高 25m

最大積載量 400トン

エンジン 噴式金星改8基

最高速度 880km/h

巡航速度 840km/h

航続距離 最大16500km

蒼空改の貨物室については次の通り

長さ 70m

幅 10m

高さ 10m

 

 

 

 

超弩級エクラノプラン「48式巨艇」

全長:147.6m

翼幅:43.2m

全高:38.4m

速力:マッハ1.6

固定武装

固定角式ミサイル発射筒×16基(SM-6、RV-1、ASM-3改二、その他各種超音速/極超音速ミサイルの運用が可能。また、ミサイル発射筒そのものがレールガンになっている。配置は2列×8基)

パルスレーザー×4門(機首)

旋回式20mm四連装機関砲×3基

機関:核融合ターボファンエンジン×8基

搭載可能兵装:次のいずれか

完全武装の兵士400人

爆弾×600t

ラピッドドラゴン改×16基(新たにASM-3改二が運用可能となった。合計144発)

かつてソ連が開発したカスピ海の怪物ことエクラノプランを幌筵泊地が復活させたもの。元は外洋での運用にはあまり向いていないが、そこは幌筵泊地の気合いと根性でどうにかした。

元のエクラノプランとは異なり、逆三角形の翼を持ち、超音速飛行が可能である。武装は大型ミサイルやレーザーなど極めて強力であり、さらに対艦絨毯爆撃や対艦ミサイルによる艦隊殲滅攻撃も可能である。

カラーリングは洋上迷彩。秋津洲によって管理される。

 

 

 

 

開発中試作機

 

アーセナルバード

アークバード

GAF-1

YR-39

R-101系

R-201系

X-49

XR-900

UI-4054

X-02系

コスモファルコン

コスモタイガー

コスモパイソン

 

 

 

 

 

幌筵軍戦略兵器部隊

 

 

 

各種弾道ミサイル

 

ラグナロクH-4戦略SLBM

H-3ロケットの後継機であるH-4ロケットを発展させた超大型SLBM。サターンVほど大きくはないものの、新開発のツァーリ・ボンバω2を50発搭載できる。北欧神話の最終戦争たるラグナロクの名を冠するに相応しいといえよう。

 

ツァーリ・ボンバω2

100メガトンの威力を有するツァーリ・ボンバωを再設計し、熱核爆発に必要なプルトニウムを反物質に置き換えた究極の核弾頭。原型よりも遥かに小型化されており、従来型SLBMのMIRVの代替のみならず、トマホークなどの比較的小型(魚雷発射艦あるいはVLSから発射可能な程度)の対艦ミサイルや巡航ミサイルの弾頭にも搭載できる。

 

 

 

 

 

幌筵軍その他部隊

 

 

航宙自衛隊

衛星や隕石の監視を担当。今のところ戦闘用装備は持っていない

 

900番台部隊

NBC兵器を扱う専門部隊。滅多に表には出ない

 

霞部隊

特殊部隊らしい、情報が無さすぎる

 

沿岸防衛部隊

51cm沿岸砲や、イージスアショアを運用する部隊。固定兵器を扱う部隊。

 

 

特生自衛隊

魔王や、魔物、各種特殊生物の分析と対応を行う部隊。ロデニウス連邦共和国からの人員出向で成り立ってはいるものの、幌筵泊地管轄となっている。

 

 

メーザー戦車

ミサイル戦車

1式装甲車

99式指揮通信車

AH-88

C-4輸送機

大型指揮戦闘機(スー○ー○○では無いはず)

全長 40m

全幅 60m

全高 8m

装甲 航空機用特殊複合装甲

動力 核融合炉ターボファンエンジン

武装 76ミリ砲、対地ミサイル等

 

 

 

 

 

幌筵軍架空兵器(説明あったものを除く)

 

 

 

戦車「五式重戦車」

 

スペック

全長 11.5m

車体長 9.0m

全幅 4.0m

全高 3.0m

最高速度 120km/h

加速性能 200mを17秒

主武装 155mm複合砲×1(火薬とレールガン。片方での発射も可能)

副武装 25mmガトリング砲×1、12.7mm重機関銃×1、多用途投射機×1、7.62mm機関銃×2

乗員 3名

その他 油気圧サスペンションを搭載し、74式同様の挙動が取れる。

見た目 10式の大型化バージョン

 

 

幌筵泊地の小玉が開発した重戦車。MBTとは比べ物にならない火力と防御力を誇り、これをMBTという括りに収めることは出来なかったため重戦車となった。

 

 

三式歩兵戦闘車

 

全長 6.55m

全幅 3.07m

全高 2.61m

重量 基本 27t、最大30t

乗員数 3名+兵員7名

主武装 70口径40mmレールガン×1基、中距離多目的誘導弾×4基、91式携帯地対空誘導弾×4基

副武装 7.62mm軽機関銃×2基

速度 前進時130km/h

エンジン エンジン+電気ハイブリッド

 

 

MBT並の防御力を誇る歩兵戦闘車。中距離多目的誘導弾搭載で破壊力は高く、省電力化に成功したレールガンで装甲目標の破壊を行う。

 

 

 

四式自走砲

 

全長 14.2m

最大幅 3.5m

車高 3.6m

重量 50t

主兵装 40口径180mm超電磁カノン砲(射程調整可能)

副武装 12.7mm重機関銃、M61バルカン

射撃速度 毎分5~6発

最高速度 60km/h

最大射程 通常弾60km、RAP弾使用時100km

見た目 砲がデカいK9

その他 渡河能力有り

防御性能 15mmまでの機銃を防ぎきる。

 

 

戦車部隊に直接随伴できる自走砲を目指して開発された自走砲。火力は全てを解決するが如く、180mmのカノン砲を持ち、艦砲射撃並の攻撃力を持っている。直接随伴する都合、歩兵などに対抗できるようにしている。

 

 

 

10式戦車甲型・乙型・乙二型・丙型

 

10式戦車は幌筵泊地に転生者が現れた当初から配備されている。だが、異世界転移後の環境の変化を元にこれに対応する改修を行った。これが上記モデルである。

 

 

甲型

55口径に換装し、モジュール装甲を全体に纏わせた48tモデル……ではなく、色々いじって50tにした90式並の重量を持つ10式。10式のほとんどに標準的に搭載されているアクティブ防護システムである零式自動防御装置を備えている。

 

 

乙型(乙一型とすることもある)

こちらはモジュール装甲を纏わせない代わりに、HEATなどの攻撃から、全周囲の防御を行うために市街戦用装備として、を纏わせたタイプ。こちらは通常の44口径であり、市街戦での取り回しを重視している。

 

 

乙二型

乙型に甲型の要素を加えたモデル。エンジンの換装は行われているため、機動力は強化されている。

 

 

丙型

火力特化タイプ。パンター並の130mm砲を搭載し、乙二型相当の改修を行ったもの。派遣に使うにはさすがに燃費が悪すぎるので、防衛以外では使えない。

 

 

 

二式歩兵戦闘車乙型

 

共通戦術装軌歩兵戦闘車モデルの幌筵泊地タイプ。対戦車ミサイルとして従来の対戦車ミサイルではなく、中距離多目的誘導弾を採用したことで、攻撃力が上がっている。乙型が基本タイプ、丙型が市街戦特化タイプで装甲などが強化されている

 

 

AH-2 シノビ

 

OH-1の設計をベースに対戦車ヘリとして新造したヘリ。コブラの置き換えを行いつつ、揚陸艦などにも搭載予定

 

全長 13.4m

全高 4.2m

胴体幅 3.3m

巡航速度 230km/h

最高速度 280km/h

戦闘行動半径 250km

武装 GAU-12イコライザー×1、中距離多目的誘導弾×8、LAU-130/A×2、91式携帯地対空誘導弾×2

 

 

UH-60JL

SH60Lを陸上仕様にした上で、武装を取り付けられるように発展させたもの。塗装は陸上迷彩となっている。

 

 

99式丙型

99式をデータリンクや、新砲弾に対応させ、防弾性能を上げたタイプ。幌筵泊地ではK9より使い慣れた99式を選んだためこうなった。

 

 

ACS-1

幌筵泊地の名前付き転生者の中の1人で(割と空気扱いされがちで)ある小玉によって開発された強化外骨格。

 

見た目はG3-XとG4を混ぜたような見た目をしており、そこに各種マガジンポーチなどを装備している。前述の通り顔だけバースという仕様。

 

力は強く、人とほぼ同じ大きさ、可動性を持ちながら、自動車を受け止められるという有様。

 

また、大変硬い素材で出来ているため、さすがに大砲に撃たれて平気と言うほてはでないが、歩兵の銃程度で抜かれはしない。対戦車ライフルくらいまでなら耐えられる。

 

 

身長:200cm

■体重:200kg

■パンチ力:6t(大体時速30km/hの中型トラックがぶつかるくらい)

■キック力:15t(多分時速30kmくらいの大型トラックがぶつかるくらい……のはず)

■ジャンプ力:一跳び30m

■走力:100mを5.5秒

 

 

武装:強化外骨格向け12.7mmSMG(全員所持、装弾数200発)、強化外骨格向け超音波カッター(全員所持)、折りたたみ式20mmバルカン砲(火力支援隊員のみ)、4連装ミサイルランチャー(ミサイル支援隊員のみ)

 

 

六式兵員輸送車

五式重戦車をベースにした兵員輸送車。広いスペースは輸送力を高め、戦車由来の装甲と対地雷防御により、乗員を守る。

 

 

AC-3 しらさぎ

機龍を運んでいたアレ。貨物室を設けて降下作戦用に仕立てた。バルカン砲だけでなく、対地ミサイルも積むことで味方を支援する。

 

 

三式地対艦誘導弾

装軌車両の上に12式地対艦誘導弾を載せたタイプ。展開する地域が不整地でも機動性を発揮する。12式はステルス化と長射程化が施されている

 

 

零式極超音速滑空弾

長射程型と軽量化型があり、長射程型だと、射程は中距離弾道ミサイル並に飛翔する。軽量化型は射程こそ短いものの、中型のトラックや装軌車両から発射が可能で、いずれの場合でも戦艦クラスの装甲をぶち抜くことが出来る

 

甲型(長射程で射程は3000km)

乙型(軽量化型で射程300km)

丙型(高機動型で射程は様々)

 

 

ツ式極超音速対地誘導弾

ロシアのツィルコンをベースに開発された極超音速対地ミサイル。ツィルコンよりも小型化(9m▶︎6m)され、命中精度を向上させた。

 

 

一式超長距離地対空誘導弾

S-500をヒントにした地対空ミサイル。射程800kmの長射程で戦域全体を支配する。弾道ミサイルへの対処能力も持っており、戦術核へ対応している。

 

零式長距離地対空誘導弾

SM-6をベースにした地対空ミサイル。元ネタ同様、巡航ミサイルとして使われることもある

 

03式地対空誘導弾甲型・乙型

03式のシーカーを更新した上で、装軌車両に載せたタイプ。低空目標への対処能力が高く、超音速巡航ミサイルにも対応可能、乙型は元の車両と変わらない。

 

11式地対空誘導弾甲型・乙型

装軌車両に搭載するに当たってVLS方式にした地対空ミサイル。東側の車両に感銘を受けた陸上部門が作り上げた。乙型は装輪車両を牽引式にした。

 

93式地対空誘導弾甲型・乙型

共通戦術装軌兵員輸送車型に載せたタイプ。こちらは対応力を重視して従来と同じタイプである。乙型は共通戦術装輪兵員輸送車型がベースになった。

 

四式対空機関砲

87式の後継として作られた対空機関砲、10式の車体をベースに、徹甲弾と榴弾の混ざった35mm機関砲を放つ。91式携行地対空ミサイルも装備

 

五式ガ型対空機関砲

共通戦術装軌兵員輸送車ベースの対空車両。ガ式と言ってはいる理由は25mmイコライザーを載せた対空車両であるため。ミサイルを突破された際に四式と共に最終ラインを守る。

 

 

ナ式自走砲

ナースホルンⅡの幌筵泊地呼称、一応の正式名称はナースホルンII(仮)である。主力戦車の車台に小型の極超音速ミサイル2発及び連装固定装備式極超音速ミサイル発射管1基を搭載した戦車駆逐車で、小型とはいえ極超音速ミサイルなのでその弾頭重量は割と大きなものとなり、それ故に重装甲でも難なく破壊することが可能。一方でミサイル2発しか武装が無いので(スペースの都合取り外した)、ミサイルを撃ち尽くしたら補給に戻らなければならないという難点がある。とはいえ車台が主力戦車なので主力戦車の部隊に随伴可能であることから主力戦車の数的劣勢をある程度カバーし得る上に小型艦艇限定ながら対水上戦闘も可能という汎用性の高さから補助兵器としてはかなり使えることだろう、とされていたが、幌筵泊地はこれを本島防衛の切り札として活用することで、補給問題を解決させた。

 

 

水上ジェット戦闘機

 

名称を噴式強風と言いい、幌筵泊地がパラオ泊地向けに開発した小型ジェット戦闘機。超音速に達することができる他、近距離用空対空誘導弾を持つことで、ヘリ以上の航空戦力を手軽に用意出来る。近距離空対空誘導弾はハイドラロケットをベースに開発した直撃前提の空対空誘導弾で、爆撃機もバラバラにできる。

 

全長 12m

最大幅 17m(格納時12m)

全高 5.8m(飛行時4.8m)

エンジン ターボファンエンジン

速力 最大マッハ1.2

航続距離 3200km

固定武装 20mm機関砲(300×2)

追加武装 近距離空対空誘導弾他

兵装搭載量 5.0t

 

 

 

北鎮2号

 

東風21の幌筵泊地仕様であった北鎮1号の発展型。モジュール化された多彩な弾頭を持ち、ツァーリ・ボンバω2も搭載できる。射程も遥かに延長されており、ICBMと同等の射程を有する。弾道ミサイルの難点であった命中精度の悪さも、制御システムに小型AIを搭載することで外部からの誘導なしに自律して攻撃でき、CEPは0.1mmにまで減少している。

拠点防衛またはA2/ADを担うとされる地対艦ミサイルでありながら、自国から海外派兵部隊に対して物理的に介入することもできるが、使い方によっては海軍そのものを不要にしかねないので気をつけねばならない。










カイオス「幌筵泊地怒らせたらロデニウス連邦共和国よりも不味くない?」

腰堀「もう1回やってますけどね??」


なんでここまでの戦力になったのかは、作者もよくわかってません。



抜けていた所あれば指摘お願いします



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第38話 戦犯への審判と、国際情勢



「罪の意識を味わうまで貴様らには死すら許さぬ」

(反省のない犯罪者に向けた裁判長の一言)


のっけから物騒ですが、とりあえず始めます。


物騒なのは序盤だけなのでご安心を




 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国最高裁判所内、特設裁判所

 

 

通称パーパルディア裁判と呼ばれる、パーパルディア皇国の戦争首謀者を裁く裁判が始まった。

 

 

「被告人、前へ」

 

 

囚人服の全身オレンジの服に身を包むのは、パーパルディア皇国の皇帝ルディアス。

 

 

「旧パーパルディア皇国皇帝ルディアス。あなたはアルタラス王国と我が国への直接侵攻を行い、同地に対する治安と秩序を破壊しようと企てました。これは、我が国の法律における内乱罪に該当します。本来ならば死刑が妥当である。しかしながらあなたには罪の意識が欠けているため、処刑を無意味と判断。よって、離島へ流刑の後、労役を課した上で基本的に死刑とします。尚、自殺や病死はさせない為、常に監視します」

 

 

もちろん、税金で養って肥えさせる訳では無いので、生きるために農作業や漁業をさせた上で、刑務作業に従事させる。

 

まだ若い皇帝にとって、その残りの人生全てを他者から監視され、搾取され続けるという最悪な流れを作り出した。

 

 

「ルディアス、何か言うことは?」

 

「蛮族共が……」

 

「口を開けば蛮族と罵るが、領土意欲から、他国を根絶やしにしようとし、大国の権力者として節度ある君主でないあなたの方が蛮族だ。まだ先祖の代の方がまだマシだったといえます」

 

「巫山戯るな!」

 

「静粛に」

 

 

なおも喚くルディアス。しかし、両サイドにいた警備が塞がらない口を閉じるために、持っていたアサルトライフルの銃床で殴る。

 

 

「ガッ……」

 

 

話の通じない輩にはこれが一番だ。

 

 

「連れていきなさい。次!」

 

 

ボロボロになったレミールが連れてこられた。

 

 

「皇族レミール。あなたにはフェン王国にて行われた虐殺の首謀者であり、我が国の外交官の殺害、及び随伴員への暴行が確認されています。人数的にも死刑が妥当ですが、罪の意識無いまま殺しても意味が無いので、ルディアス同様、離島へ流刑の後、労役を課した上で基本的に死刑とします。尚、ルディアスと同じ島には送りません」

 

「このような恥辱……、断じて許さぬ!」

 

 

ロデニウス連邦共和国に引き渡される前に、監視の兵士から何度も○された体はボロボロであり、囚人服の上からでも未だに傷が残っていた。

 

 

「被告人、発言は許可していません。それに、あなたが○辱されたのは旧パーパルディア皇国での出来事であって、我が国ではありません。パーパルディア皇国は 一 応 先進国扱いされていたようですが、犯罪者とはいえ、抑留中の人間に対する扱いがぞんざいだったからそのような目にあったのでは?、あなた方は武力で他国を侵略する前に、先ず自国の国民を教化した方が良かったと私は思いますが?」

 

「巫山戯るな!」

 

 

今にも掴みかかろうとしたレミールもまた、銃床で殴ることで押さえつけ、連れていった。

 

 

尚、これはレミールだからある意味見逃されたことではあるが、パーパルディア皇国の犯罪者に対する扱いは下劣なもので、男なら殴る蹴るは当たり前、女なら陵○も平気で行われていたということらしい。

 

 

(大衆にもその姿を記憶されていた皇帝ならまだしも、たかが皇族ごときでは監視達がストレスのはけ口にすることぐらい、造作も無いことだろう)

 

 

無論、エストシラント公国ではこのような扱いはさすがに問題視されていたため、ロデニウス連邦共和国に習った新しい犯罪者の扱い方へと移行することとなる。

 

その他、各種犯罪者の裁判はスピーディかつ淡々と行われ、その一部始終は国外に向けても発信された。

 

 

 

 

そして、それは敗戦国であるエストシラント公国にも届くこととなる。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

エストシラント公国、首相官邸

 

 

 

かつての王宮の一角に用意された執務室では、カイオスが書類の海に溺れながら激務をこなしていた。

 

 

「クソっ……、人手が足りん……」

 

 

おびただしい犠牲によって終結したロパ戦争は、パーパルディア皇国に深刻な人材不足を引き起こしており、カイオスの頭痛のタネとなっていた。

 

 

「陸軍は決起した部隊の指揮官なんかを集めてとりあえずは固めたが、海軍に関しては人が居なすぎる……、誰か優秀な人材は居ないのか……」

 

 

榛名の艦首陽電子衝撃砲によって消し飛ばされた海軍本部には、海将バルスをはじめとした高級士官が多数含まれており、その喪失はかなりの痛手となっていた。

 

 

「カイオス様、失礼します」

 

「皇帝みたいに呼ぶんじゃない、総理と呼べ」

 

「はっ、失礼しました。カイオス総理、例の男についてはどうしましょうか……」

 

「例の男?」

 

「レミールを捕まえたシルガイアという男です」

 

「おぉ……、そういえば忘れていたな……」

 

 

と、ここでカイオス、あることに気づいた。

 

 

「シルガイアという男、仕事は何だ?」

 

「昔は海軍にいたようですが、今は掃除夫だそうです」

 

「海軍時代の資料は?」

 

「こちらに」

 

 

資料を読んだカイオスの頭に電流が走った。

 

 

「彼だ!、彼こそ我々が求めていた人材だ!」

 

 

 

 

数日後………

 

 

 

 

「シルガイア殿。貴殿はパロウル地区において、第1級指名手配犯を、手傷を負いながらも検挙した。その功労は特に多大であるため、これを賞すると共に、我が国の海軍立て直しのために、実力のある貴殿を海軍将校として採用することを決定する」

 

 

シルガイアからすればただ襲いかかる女をとっちめただけなのに、あれよあれよという間にすごいことになっていたようなものだから、ただただ萎縮するだけだった。

 

しかも、再び海軍に入り、かつてのバルスのように将校として働くこととなるとは!!

 

シルガイアは後に著作「人生は運」という本を出版することとなるが、これが国内外問わずベストセラーとなり、映画化までされることとなる。

 

そして、シルガイアは、バルスとかつて出世を争ったほどの優秀さであることから、エストシラント公国は、速やかに海軍戦力を立て直すことに成功するのだった………。

 

 

 

 

 

 

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一方、ムー国

 

 

「観戦武官はいつになったら戻るんだ!」

 

「申し訳ございません、彼ら曰く<戻ろうとしても次々に新しい情報が手に入ってしまうから一向に戻れない>と言っており……」

 

「ロデニウス連邦共和国……、一体どれほどの国なんだ、資料は見ているが、イマイチピンと来ない」

 

「少なくとも、資料によれば、我が国を遥かに上回る技術力と、強大な軍事力を保有しているそうです」

 

「それはそうだが……、ん?、君の持っているその時計はなんだね?」

 

「これですか?、ロデニウス連邦共和国の時計で<R-SHOCK>と呼ばれているものです。すごいですよ、海水に沈めても動きますし、落としても平気です。しかも、電波で時間を自動で修正して、太陽の光で無限に動き、暗くなると文字盤が光るんですよ」

 

「頑丈だな」

 

「しかもこれ、ロデニウス連邦共和国だと普通に売っている代物なんですよ」

 

「何!?、軍事用では無いのか!?」

 

「はい、若者を中心に人気の時計だそうです」

 

「ここまでの性能が民需向けなのか……」

 

「恐ろしい技術力ですね……」

 

「話が逸れたな、それで?、ロデニウス連邦共和国が一体何をしでかしたというのかね?、戦艦でも進水したのかね?」

 

「それが……、戦艦が推定10隻程度進水したそうです、空母と護衛艦艇も一緒に……」

 

 

ブーッ!

 

 

統括軍司令は飲んでいた紅茶を噴いた。

 

 

「そんなに!?、我が国ですら、ラ・カサミを数年かけて建造したのに、ものの数ヶ月で10隻!?」

 

「これで、ロデニウス連邦共和国の空母は10隻、戦艦も10隻です」

 

「化け物め……、しかし、その程度なら駐在武官からも送られてくるだろ?」

 

「それが………、例の泊地が絡んでいるようで……」

 

「ホロムシロか……」

 

 

 

 

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幌筵泊地訓練用滑走路

 

 

<<こちらコールサイン:アドミラル、アドミラルより管制塔へ、着陸許可を>>

 

<<こちら管制塔、アドミラルへ、着陸を許可する>>

 

 

T-50がランディングギアを下ろして着陸する。

 

その動きは綺麗で、訓練生としてはかなり優秀な部類に入る腕前だ。

 

 

「訓練完了、提督、お疲れ様」

 

「ありがとうカウント」

 

「何、トリガーが俺を指名したんだ、しっかりやらせてもらうさ」

 

「また後で頼む」

 

「ああ」

 

 

パイロットスーツを脱ぎ、着替えてマイラスとラッサンの元に行く。

 

 

「すまない、待たせたね」

 

「いえ、ここに来ると毎回様々な技術を見せてもらえるので、なんてことはありませんよ」

 

「そうか、国に帰らなくて大丈夫か?」

 

「統括軍司令からは<いつまでそっちにいる気だ!>なんて言われてますよ、ただ、やっぱり例の国が気になるみたいで……」

 

「グラ・バルカス帝国か」

 

「ええ、我が国より進んだ技術力を持つ国であることは把握しているので、我が国としてもロデニウス連邦共和国の技術力は欲しいんです。本来なら観戦武官の仕事を終えたら帰らなければならないのですが、ちょうど幌筵泊地の提督が休職中だと言うんで……」

 

「無理やり延ばしてもらったってことか」

 

「ええ、幌筵泊地で色々教わりたいですからね、昨日教えてもらったことはノートにまとめましたよ、小玉さんから教わった<空間装甲>と<避弾経始>、<成形炸薬弾>、こっちには一昨日真多さんから学んだ<バルバスバウ>、<ハリケーンバウ>、<カタパルト>、今日は多元さんの番ですよね?」

 

「ああ、俺からは<ジェットエンジン>と<金属製航空機>の設計に関わる内容を教えようと思う」

 

「いよいよジェットエンジンですか!」

 

「ああ、もし、国が許せば、ジェット戦闘機の輸出とエンジンのライセンスも渡す予定だから、きっちり学んでくれよ」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

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「もう既に、マイラスとラッサンは、各種資料と幌筵泊地からの助言を元に、新型戦車、航空機、駆逐艦、空母、戦艦、センスイカンの設計図をまとめているようです」

 

「すごいな……、もうまとめきったのか」

 

「ええ、ロデニウス連邦共和国も、グラ・バルカス帝国については懸念を評しており、政府の交渉次第で、兵器輸出もするそうです」

 

「輸入だけでは不味いな、マイラス達の設計した兵器については幌筵泊地から何か言っているのか?」

 

「手本として作ってくれるそうです」

 

「随分と協力的だな、彼らが同じ惑星出身ということもあるのか?」

 

「ええ、おそらくは」

 

「それで?、マイラス達は何を作ったんだ?」

 

「とりあえず戦車だけだったのですが、書類だとこのようなものです」

 

 

 

ムー国新型主力戦車

「ラ・ガマフ」

 

全長 7.0m

全幅 3.6m

重量 55t

主砲 105mmライフル砲

副武装 12.7mm重機関銃×1基、7.62mm同軸機銃×1基

装甲 均質圧延装甲

乗員 4名

エンジン 空冷ディーゼル

最高速度 45km/h

 

 

「イレール砲並の主砲を持つ戦車だと!?、あんなものが戦車に乗っかれば、どんな敵でも粉微塵だろう……」

 

「これ以外にも、多種多様な装備を計画中との事です」

 

「なんという……」

 

「しかし、問題は過激派ですよ……」

 

「ああ、そういえばそうだな」

 

 

ムー国内には第2文明圏の列強として、自分たちが最強だと過信し、グラ・バルカスとすぐにでも戦おうとする連中が一定数いる。

 

彼らはグラ・バルカスの実力を甘く見ており、統括軍などの良識派の頭痛の種となっていた。

 

 

「彼らに言わせれば、<ロデニウス連邦共和国など足元にも及ばない、兵器を輸入するなど以ての外>なんて適当なことを言っていますからね……」

 

「そう、だが、彼らを黙らせるために我々も手を打つという訳だ」

 

 

そう言って統括軍司令が取り出したのがとある資料。

 

 

<ムー国海軍観艦式>

 

 

ムー国をはじめとした第2文明圏の海軍と、ロデニウス連邦共和国、アルタラス王国が参加する大規模な観艦式であり、ロデニウス連邦共和国も大々的に艦隊を派遣すると通達していた。

 

 

 

「マイラスとラッサンについてはしばらく向こうに派遣しておこう、しかし、その分きっちり仕事はさせないとな」

 

 

 

マイラス達の技術に対する熱意にはある程度寛容な統括軍司令だった………

 

 

 

 

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グラバルカス帝国

 

 

第2文明圏、列強国ムーのさらに西にある大帝国であり、突如としてこの世界に現れ、瞬く間に周囲の国を制圧、ついには第2文明圏のパガンダ王国すらも落とし、さらに列強レイフォルをたったの1艦で倒すという伝説級の戦果を挙げた国。

 

 

 

この世界の人々にとって、それは恐怖であり、一部では、神聖ミリシアル帝国よりも強いとすら噂される。

 

そんな世界の注目を集める国、グラバルカス帝国、帝都ではその繁栄を自室から眺め、考えにふける男が一人。

 

 

 

帝王グラルークスは、栄華を極めし帝都を眺める。

 

 

「この世界は我々に何を求める?」

 

 

国ごと異世界に転移するなどという、バカげた事が現実となった。前世界、ノルースと呼ばれた星で最大の勢力を誇ったグラバルカス帝国。前世界では、始世の国、ミルーク神を祭りしケイン神王国と世界を2分し、戦争を行っていた。

 

資源力、生産力、そして軍事力、そのどれもを比べても、グラバルカス帝国が戦争に勝利する事は、誰の目にも明らかだった。

 

豊富な資源、圧倒的な生産力、世界最高の技術力があった。

 

しかし、あまりにも突然起こった転移と呼ばれる現象により、本土のみがこの世界へと来てしまう。

 

広大な土地を失ってしまったが、敵国への本格侵攻、上陸作戦準備のため、大部隊を本土に一時帰国させていた時に転移が起こったため、外国駐在陸軍基地を除き、戦力のほとんどは失われなかった。

 

 

ライバルたるケイン神王国は消えた。

 

 

変な星に転移し、一時帝国は混乱したが、東を向くと眼前には広大な土地と貧弱な武装を持つ現地人たち。

 

 

彼我の優劣は明らかであり、皆歓喜した。

 

 

当初、周辺国はグラ・バルカス帝国に対して攻撃的であるにも関わらず、あまりにも弱く、あっさりと制圧した。しかし、それらの弱小国を支配する事で、この世界には文明圏と呼ばれる、上位の共同体があることが判明する。文明圏がどの程度の国か、当初は解っておらず、全く未知の世界であるため、慎重な意見が相次ぎ、話し合いによる国交の設立といった融和政策が模索された。

 

 

 

手探りによる外交。

 

 

 

しかし行く国行く国、噂と比べてもあまりにも能力が低く、にも関わらず文明圏外国と侮られ、外交は全く進まない。しびれを切らした融和政策の代表格たる皇族が、わざわざ足を運んで交渉したにも関わらず、

 

 

「世界の事を全く知らない蛮族」

 

 

 

と罵られ、同皇族は反論したところ、不敬罪で殺されてしまう。

 

 

この1件で、この世界で融和政策を推進しようとする者はいなくなった。

 

 

前世界と同様、武力による統治、及び領土拡大政策が推し進められる事になった。

 

 

まずは皇族を不敬罪で殺すといった大罪を犯した国、パガンダ王国を強襲制圧。これをあっさりと落とす事に成功する。その後、帝国は第2文明圏に宣戦を布告し、世界の5本の指に入ると呼ばれた列強国レイフォルも、あまりにもあっさりと降伏、この世界において、文明圏外国家も列強国もグラ・バルカス帝国の前では弱小国に過ぎない。

 

「全く……おもしろき世界よ。」

 

 

帝王グラルークスは世界を統治する夢を見る。

 

 

だが、そのためには相手を知らねばならない。

 

 

帝国の情報局では、列強のムー、ミリシリアルの他に、ロデニウス連邦共和国もその対象になっていた。

 

 

 

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グラバルカス帝国 情報局

                                          

 

薄暗い部屋、鳴り響く電子音、まるでモールス信号のような音が鳴り続ける通信室の隣にある茶色を基調として格式高き部屋、その部屋に1人の男が報告のために訪れる。

 

男は上司に報告を行うため、ドアをノックする。

 

 

「入れ。」

 

 

中から低い声、命令を受け男は中に入る。

 

 

「閣下、ロデニウス連邦共和国に潜入している諜報員から情報が手に入りました」

 

「ほう、聞かせてもらおうか」

 

「はっ!、ロデニウス連邦共和国とパーパルディア皇国はつい先月終戦し、ロデニウス連邦共和国は直轄地を統治し、それ以外は統治せず、諸国を独立させました」

 

「ほう、それではさほど国力は無いのか?」

 

「いえ、そうとは言いきれません」

 

「何?」

 

「我が国は調査目的で、複数の潜水艦を送り込んでいたのですが、そのうちの一隻が近海で行方不明になりました。最後に送られた電文によると、ロデニウス連邦共和国海軍に見つかったとの事です」

 

「我が国の潜水艦を探知できたのか!?」

 

「はい、また、建造速度も驚異的です」

 

「建造速度もか?」

 

「ロデニウス連邦共和国海軍は、空母を10隻保有していますが、これらが就役したのはわずか一年に満たない期間です」

 

「大きさは?」

 

「グレードアトラスターどころか、建造中の新型戦艦すら上回るとの事です」

 

「何!、そこまでの大きさなのか!?」

 

「はい、こちらに関しては写真もあります。ロデニウス連邦共和国の進水式の様子が、映像資料であったので、これを送ってもらいました」

 

「どれどれ……」

 

 

そこに映されていたのはロデニウス級航空母艦である。

 

 

「デカイな……、これだけ大きいと200機は載るんじゃないか?」

 

「具体的な数は不明ですが、軍港めぐりのクルーズ船もあり、そこでも確認できたので間違いないかと、今度、民間に軍事力を載せた図鑑が載るそうなので、買いに行かせます」

 

「しかし、ロデニウス連邦共和国は何故そこまで軍事情報を明らかにするのだ??、陽動では無いのは明らかだろう」

 

「軍事力を明らかにすることで、戦わずして勝つつもりなのでしょう」

 

「なるほど、だとするとあまり予算に余裕は無いかもしれないな」

 

「ええ、後、各軍事施設は警備こそあれど、基地祭などがあり、時には解放はされているようです、ですが……」

 

「ん?」

 

「1箇所だけ、立ち入りすら行われない場所がありました、とある離島群です」

 

「なんだねそれは」

 

「ホロムシロ泊地という場所です。立ち入るには許可証が必要らしく、そもそも入る手段がありません」

 

「そんなにか」

 

「はい、観光客として潜入させている以上、これ以上無理は……」

 

「非合法滞在に切り替えろ、要注意国家だ」

 

 

 

グラ・バルカス帝国の情報収集は続く。

 

 

 

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神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス

 

 

誰もが……世界中の誰もが認める世界最強の国、神聖ミリシアル帝国、その他とは隔絶した栄え方、そのあまりにも高度な発展を前に人々は『世界の中心』という意味を込め、帝国の存在する大陸を中央世界と呼ぶ。

 

 

 神聖ミリシアル帝国は

○世界で最も高い魔法技術

○国の基礎を安定して支える高度な政治システム

○広大な国土と優秀な物質の量産化システム

○優秀な学問体系

 

 

これらが高度に入混じり、この世界の文明圏国家や、列強国と比べても国力の優位性は疑いようがない。

 

 

帝国は、国土の所々に残る、古の魔法帝国の遺跡を解析し、高度な技術を支えてきたため、地球の歴史を基準にすると、軍事技術はいびつな発展をしている。

 

 

帝都ルーンポリスにある外務省、その建物の1室で、2人の男が会談をしていた。

 

 

「しかし……まさか、第3文明圏唯一の列強国、パーパルディア皇国がロデニウス連邦共和国にコテンパンにやられてしまうのだからな……、しかも、あれは元々、国土は広くとも、食料と人口だけが取り柄だったはずの文明圏外の国に……。未だ信じられないよ。」

 

 

外務省統括官リアージュはつづける。

 

 

「我が国の魔導船団をもってすれば、パーパルディア皇国など、吹けば飛ぶような軍隊、しかしそれでも第3文明圏の技術水準から考えれば、皇国の軍事力は付近の国よりも隔絶していた。ロデニウス連邦共和国、興味の沸く国だな。」

 

「はい、ですから是非早期使節団の派遣を……。」

 

「アルネウス君、情報局長である君が、話題のロデニウス連邦共和国の情報を集めたいのは解るが、我が国は世界最強の国だよ?、ただ単に国交樹立を目的として、我が国側から打診し、使節団を派遣するなど……しかも、列強国ですらない、文明圏外国に。」

 

「リアージュ様、ロデニウス連邦共和国は今後、第3文明圏の列強に代わって第3文明国……、いえ、それどころか東方大陸国家群の代表的存在であり、列強の1つになると思われます。我が国の開く先進11か国会議にパーパルディア皇国の代わりにロデニウス連邦共和国を呼び、それらの準備すべき事柄の指導という形で、国交樹立の準備も含め、使節団を派遣するといった形ではいかがですか?」

 

「うーん、それならば、あのプライドの高い議員の方々も納得するかもしれないな、検討と、根回しをしてみよう。」

 

後日、神聖ミリシアル帝国は、ロデニウス連邦共和国へ使節団の派遣を決定した。

 

 

 

 

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一方、幌筵泊地空母艦載機ハンガーにて

 

 

「おう、それで?、今の提督の飛行機の進捗はどんなもんだ?、もうジェットに行ったか?」

 

「それが……、もう高等練習機に乗ってて……、飛行も問題ないレベルです」

 

「嘘だろ!?、如何に仕事が無いとはいえ、そこまで早いのか!?」

 

「空母計画の海自側の意地として派遣されただけあって伊達じゃないですね………」

 

「それに、乗る機体も決めてるらしいですよ」

 

「何持ち出す気だ?、F-3Aか?、F-22か?」

 

「F-3Cっていう新型機です」

 

「提督が作る予定だったっていうアレか?」

 

「はい、モックアップの復旧から、試作1号機の製造に向かっているみたいです」

 

「やる気だな……、それでいい。俺も腕を磨かないとな……」

 

「隊長、勝てますか?」

 

「勝てるさ、如何に成長速度が早くたって、向こうは高々一年やってるかどうか、俺はレシプロ時代や、人間の頃からカウントすれば、30年は飛んでる大ベテランだぜ?、一世代上の機体を使われようが、負けるわけが無いだろ?」

 

 

部下相手に大見得を切った鳳翔航空隊隊長

 

 

(だが、提督の熱の入れようは本物だ。あの機体、パッと見ただけでわかるが、かなり強い。そして、提督の練習相手はあの第118戦術航空団だ。生半可な覚悟じゃ勝てない。だが、俺だって鳳翔航空隊の隊長だ。そう簡単にお艦を渡す訳には行かない)

 

 

 

鳳翔の立場をめぐり、男達は戦いの準備を整える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







はい、なんか後半物騒な話が出ましたが、とりあえず今回はここまでとします。次回から数話ほど幌筵泊地関係のお話を続けた後、ミリシリアルや、外伝の国々との接触を書いていこうと思います。






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幌筵泊地のアレコレ編
第39話 チート先生~俺みたいになれよ!~





「仲間に何かあった時以外は大人しい人々だと思って我々は接触したんですよ……、


恐ろしい人々でしたよ」



(あまりの制作スピードにぶっ倒れてベッドで事情を話すマイラス)











 

 

 

「……、というわけで、ジェットエンジンというのは、複数種類に分けられる。そして、工作精度次第でエンジンの性能や耐久が決まってくる。しっかりやろう」

 

「はい!」

 

 

多元の指導の元、ジェットエンジンについて学ぶマイラス。

 

 

「では、ここにターボファンエンジンとターボジェットエンジンを持ってきた、両方とも戦闘機用だ」

 

「展示品なんですか?」

 

「まさか、うちは基本関係者以外立ち入り禁止だ、昨日訓練が終わった後作った」

 

「えっ?」

 

 

サラッととんでもないことを言いながらJ3エンジンとF5エンジンを持ってきて説明する。

 

 

「J3はターボジェットエンジンだ、こっちのF5はターボファンエンジン。学んだことを実物をもって見れば理解が進むだろう?」

 

「ええ、本当にターボファンエンジンはターボジェットエンジンにファンを取り付けた感じなんですね」

 

「実際には若干異なるが、おおよそその認識で間違っては無い。だからターボジェットエンジンを理解出来ればそこまで難しい話では無いはずだ。それより、昨日の宿題はやったかい?」

 

「ええ、もちろん。亜音速機の設計でしたね?、資料をヒントに出来ました」

 

 

出されたデータを見て、採点する多元。マイラスには幌筵泊地から支給されたコンピュータで転生者達から課題を行っている。

 

 

「素晴らしい。しっかり出来ている」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「じゃあ、早速この提出した課題を元に、機体を作ろう」

 

「えっ!?」

 

「机でやったところで身につかんだろ?、だからまずやるんだ」

 

「あっ………はい」

 

 

今回、マイラスが設計したのは、T-1中等練習機。

 

空自で中等練習機として使われていた機体で、マイラスの手によってきちんとした設計図が作られていた。

 

 

「さて、エンジンを取り付けて……」

 

 

きちんとはまったようだ。

 

 

「うむ、後は飛べば完璧だな、俺がやろう」

 

「えっ!?」

 

 

驚くマイラスを他所に、滑走路に向けタキシングさせ、そのまま飛び立つ多元。

 

 

「ぶ、ぶっ壊れ……」

 

 

言葉を失うマイラス。ここに来てからというもの、転生者達の規格外っぷりにその都度驚かされていた。

 

 

 

 

〜小玉による戦車関係の技術指導~

 

 

「では、私からマイラスさんに現代の主力戦車、所謂MBTについての関連技術について、指導したいと思います」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

「まずは、一旦倉庫に行きましょう」

 

 

そう言って、マイラスがついて行くと、目の前に巨大な鋼鉄の車両がいた。

 

 

「これは、私たち転生者が居た日本で長らく主力戦車だった74式戦車を、私なりに改修した74式H型です」

 

 

この車両、元は入社した頃に、74式改修型であるG型の話が出ていたものを小玉がさらに進化させるべく、エンジン周りを含めた内部の大規模改修と、爆発反応装甲への対応をG型の改修内容にプラスして作ったものであり、ペーパープランだったものの、今回の指導に合わせて数日前に「4両ほど」作った。

 

 

「まずは全体をざっくり見てみましょう」

 

「滑らかというか、全体的に斜めになっていますね」

 

「はい、74式には避弾経始という考えがあります」

 

「避弾経始?」

 

「図を使って説明しましょう」

 

 

そう言って図を使って避弾経始について説明する小玉。

 

マイラスも熱心に説明を聞く。

 

 

「……という訳です。とりあえず中も見てみましょう」

 

 

案内されたマイラスは、実際に車内に乗り込み、戦車の中で実際に装填から発射までを体験する。

 

 

「けっ、結構重たいですね……」

 

「ええ、ですからこちらに装填補助装置を取りつけてあります」

 

「なるほど……、おっ、これは楽ですね」

 

「そういうことです。慣れるとこのように……」

 

 

マイラスに比べ、洗練され、素早く装填する小玉

 

 

「だ、大丈夫ですか!?、小玉さん!?」

 

 

定年退職前の白髪混じりの男を気遣うマイラス。

 

 

「いやぁ、何、鍛えてますから」

 

「えぇ……」

 

 

涼しい顔をしてそう語る小玉に驚くマイラス。

 

 

(60を超えている男でも力強く動けるこの国の医療はとんでもないものだな……)

 

 

と、外から軍靴の音が聞こえてくる

 

 

「あれはなんです?」

 

「今度の観閲式に合わせた練習ですよ」

 

 

20式小銃を持ち、息を合わせて歩く様は、陸上部隊の練度の高さを示していた。

 

しばらく見送りながら、彼らが去っていくのを見た後、空に轟音が響くのを耳にした。

 

 

「えっ!?、モビルスーツ!?」

 

 

マイラスが口にした日本の有名アニメに出る人型兵器の単語。アニオタが多く含まれる幌筵泊地で、息抜きに見ていたマイラスも当然その名を知っていた。

 

 

「モビルスーツではありませんよ、幌筵泊地戦術機甲軍所属、第2戦術機甲連隊の不知火弍型です」

 

 

そう話す間に、市街戦仕様に塗装された漆黒の機体が上空を通過する。

 

 

「ロパ戦争中にはありませんでしたよね??」

 

「講和会議頃から作っていました」

 

「えぇ……」

 

「まぁ、魔法帝国対策ですね」

 

「なるほど……」

 

(この時点で既に魔法帝国の対策を始めるとは……、やはり幌筵泊地、というよりロデニウス連邦共和国にとって、グラ・バルカス帝国は取るに足らない相手ということか??)

 

 

自国の技術では圧倒的に不利な相手よりも、いずれ復活するとされる魔法帝国への備えを進めることが出来るロデニウス連邦共和国を、幌筵泊地を恐ろしく思うマイラス。

 

 

「では、少々脱線しましたが、主砲砲弾と装甲の種類について説明します」

 

「はっ、はい!」

 

「この74式には、主砲から発射可能な各種砲弾として、APDS、HEP、APFSDS、HEAT-MPが用意されています。それぞれ装弾筒付徹甲弾、粘着榴弾、装弾筒付翼安定徹甲弾、多目的対戦車榴弾といい、目的に合わせて使うことができます。マイラスさんに覚えていただくのは、APFSDSを除く全てです」

 

「APFSDSはダメなんですか?」

 

「極秘のものです。さすがに同盟国でもない友好国にはたとえ旧式のものでもまだ提供出来ません」

 

 

ここで機密の問題が出てきた。

 

幌筵泊地がマイラスに技術提供しているのは、ロデニウス連邦共和国の国益の問題というのもあるが、幌筵泊地転生者の個人的な便宜というのもある。

 

ロデニウス連邦共和国にとって、ムーは、重化学工業製品の輸出先という見方があり、如何に第3文明圏の一部地域で科学文明を推し進めているとはいえ、既に基盤のあるムーの方が輸出しやすいのは言うまでもない。

 

(また、同盟国であるアルタラス王国が、魔石の輸出を行っているため、あまり競合してしまうのはまずいという問題もある)

 

また、パーパルディア皇国を下し、一応列強扱いされているとはいえ、未だに第3文明圏外の国という地理的問題から、外交上の問題は多く、そこにムーを挟むことで、外交上の利点が生まれているのだ。

 

というわけで、ロデニウス連邦共和国にとっては、さっさと関係強化をするなり、その一環で同盟を結びたいのだが、ここで問題となるのがムーの国内問題だ。

 

特に機密管理や、技術格差などの現実的問題ではなく、ムーに蔓延る過激な思想や、ロデニウス連邦共和国に対する誤った見方が問題となり、友好国ではあるものの、未だに同盟を結ぶのに十分な環境が整っていない。

 

だから機密にあたる兵器輸出は簡単には出来ないし、技術者派遣も難しい。とはいえムーが置かれる状況は無視できない。

 

そこで考えられたのがロパ戦争に来た観戦武官に、我が国の様子を見てもらおう。なんならちょっと技術を持ち帰らせてみよう。との試みだった。

 

転生者にとって幸運だったのは、この時派遣されたのが、かつてムーに多元が向かった際に親しくなったマイラスということだ。

 

実際、多元含めた転生者一同の闇堕ち(多元以外はさほどだが)があったものの、マイラスの熱心な研究姿勢と、故郷を想う気持ちは本物だと転生者達は理解しており、偏見抜きで他国を見ることが出来、それでいて冷遇されることなく、結果を残しているマイラスには転生者一同好意的だったため、幌筵泊地は彼への援助を決めた。

 

それが、各方面(陸海空軍)の専門家によるマイラスへの技術指導だった。

 

そして、公開範囲は「ロデニウス連邦共和国が十分に優位を残せる程度」とされており、誘導弾や、ステルス技術、各種最新鋭技術は禁止されていた。

 

だが、転生者は、その規制の中で最大限のバックアップを行うため、そのキチガイっぷりを全力発揮してマイラスに教えていたのだ。

 

 

「やはり機密ですか……」

 

「貫徹が同口径でも倍違うこともあるので……」

 

 

肩を落とすマイラス。だが、無い物ねだりをしても埒が明かない。今は一刻も早くグラ・バルカス帝国に対抗出来るように技術習得を急がなければならないのだ。

 

尚、現代戦車の基本である複合装甲も当然禁止されており、爆発反応装甲についても現在協議中である。

 

 

「ですが、グラ・バルカス帝国対策には十分です。APFSDSでは過貫通する恐れもありますからね、むしろ榴弾でもいいくらいです」

 

「そこまでなんですか?」

 

「ええ、我が国の諜報機関によれば、グラ・バルカス帝国の戦車のスペックは、推定で最大でも旧軍の5式戦車程度、六号戦車がいても対抗できます」

 

 

幌筵泊地がマイラスに最終的に作らせるのは同盟国に供与した一般的な61式ではなく、Gen2MBTを予定している。ケーニヒティーゲルと61がぶつかったら危険だが、パットンや、T-65なら話は別だ。

 

(オイ車が来たらロデニウス連邦共和国の出番になるかもしれないが)

 

このあとも装甲、駆動系、砲弾、更には戦術までに話が及び、実技、座学織り交ぜの内容のかなり濃い授業が行われた。

 

 

「はい、授業はここまでです。課題として今回の74式のレポートをまとめてください」

 

 

さて、読者の諸君にはこんな疑問を抱えた人々が居ないだろうか?

 

<幌筵泊地のキチガイ共はともかく、マイラスくんにここまで詰め込んで平気なの??>

 

安心してくれ

 

<本作のマイラスも大概ぶっ壊れ>

 

である。

 

 

さすがに幌筵泊地の技術系人外ズどもに比べれば劣るものの、その吸収力と応用力はさすがといえ、あの急速発展したロデニウス連邦共和国を支える数々の技術者達=マイラス一人並なので、まぁぶっ壊れではある。

 

 

「さて、パソコン開いて……」

 

 

幌筵泊地から支給されたパソコン(機密にアクセスできる機能は無い)で課題をこなす。

 

 

「………、パソコン便利だな……、今度外務省に輸出して貰えないか聞いてみよう……」

 

 

課題は着々とこなすマイラスだった。

 

 

 

 

 

 

〜平河による軍艦関係の技術指導~

 

 

 

 

「おはよう、マイラスくん。今日は俺の担当だったね」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

朝食を取りながら平河は資料を見せる。

 

 

「これが今日見てもらうカタパルト搭載型試験艦2号だ。今作っているところだが、もうすぐ完成する。食べ終わったら見に行くぞ」

 

「あっ!、はい!、ゴホッゴホッ」

 

 

急いで食べようとするマイラスだが、牛乳を飲もうとして盛大にむせた。

 

 

「ゆっくりでいい、工程は早いが、早食いしたところでさして変わるわけじゃない」

 

 

そう言われて、落ち着きを取り戻したマイラスだが、マイラスが焦る理由もちゃんとある。

 

 

<ロデニウス連邦共和国、建造速度異次元問題>

 

 

たった数ヶ月で、大型兵器をポンポン生み出すロデニウス連邦共和国の実力の源たる幌筵泊地の建造速度はどれほどのものか、気になって仕方ないマイラス。

 

 

「お、食べ終わったか、それじゃ行こう」

 

 

食べ終わったマイラスを連れ、平河は幌筵泊地艦艇研究所に向かう。

 

 

「マイラス!、あれを見ろ!!」

 

「ええぇぇ!!」

 

 

そこでマイラスが目にしたものとは……!

 

 

「ふ、船が浮かび上がっている!」

 

 

粉末を吹き付けられた下から徐々に船の形が出来上がっているのを見て、マイラスは石像のように固まった。

 

 

「そうさ、これが幌筵泊地、いや、ロデニウス連邦共和国の力の源、超大型3Dプリンターとガントリークレーン型三次元印刷機だ!」

 

 

 

 

超大型3Dプリンター

 

流体力学含めたあらゆる分野に秀でた転生者達がその力を結集させて完成させた夢の技術。船体や、航空機の主翼など、大型のものをポンポン印刷可能。細かいところは苦手な分、後述のガントリークレーン型三次元印刷機に任せている。

 

 

 

ガントリークレーン型印刷機

 

ガントリークレーンのクレーン部にインクが出るノズルを設けた形の三次元印刷機。艦艇や船舶をドライドックに印刷してしまうことで工期や材料ロスを大幅に削減することが出来る。また、上部構造物の修理期間もかなり短縮出来る。尚、これでも作りずらい小物は、大量に設置された別の中型、小型3Dプリンターが担当する。

 

(G-20様、アイディアありがとうございます)

 

 

台座など、本体以外の余分な部分は水溶性の素材でできており、簡単に外せるため、驚異的な建造速度を実現した。

 

 

大凡の建造時間(最新鋭設備の場合)

 

もがみ型護衛艦▶︎2日

いずも型護衛艦▶︎2日半

まや型護衛艦▶︎3日

シャルル・ド・ゴール級空母▶︎5日

(以下は、幌筵泊地で建造した場合)

ロテニウス級航空母艦▶︎7日

ゼルゲート計画艦▶︎10日

 

 

(時間断層かな?)

 

 

「こいつがあれば、今日の試験艦も1日で出来る」

 

「アハハ……、こんなの勝てるわけない……、バケモノぉー……キュウ!」

 

バタン!!

 

「おい、マイラス君!?、しっかりしてくれ!」

 

 

アカン、マイラスが倒れた

 

 

「あぁ……、今宵星が瞬いて……」

 

「ってそんなこと言ってる場合か!」

 

 

どどどどどうすんの?、どーすんの?

 

 

(おいまて)

 

なんか地の文に混ざったが、訳の分からぬ言葉を放つマイラスを叱咤し、とりあえずマイラスをベッドに運ぶ。

 

 

「大丈夫かい?」

 

「ホントに……、なんなんですかあなた達……」

 

「ん?、転生者だが?」

 

「それで片付けないでください……」

 

 

ちなみに、機密云々については、ほぼ気にする事はないため、スルーしている。

 

 

<だってこんなもの現代でも作れるか怪しいもん>

 

 

 

まぁ妥当である。

 

とりあえず、マイラスの回復を待って、試験艦に連れていく。

 

 

「今日教えるのは、艦首部分の構造だ」

 

 

そう言って入るものの、実際には艦首部だけでなく、船体全体のの指導を行う。

 

 

「……そしてもう1つ、君に教えるのが、カタパルトだ」

 

 

そう言って、平河は試験艦に乗り込むと、完成したての試験艦でいきなり海に出た。

 

 

「これから、カタパルトの様子を見せようと思う。今回は君たちにも供与できるように、あえて蒸気カタパルトにした」

 

 

そして、飛行甲板に出てきたのは双発の低翼配置の複座機。

 

 

「これは第三世代ジェット戦闘機のF-4ファントムだ」

 

「第三世代……?」

 

「ジェット機については提督が触れるし、俺はあんまり詳しくないから割愛するが、この機体ももしかすれば供与される可能性があるとの事だ」

 

「速度は?」

 

「マッハ2.2、速さだけ見ればうちの主力並だ」

 

「凄い……、圧倒的だ」

 

 

音速については既に勉強済のマイラスにとって、ファントムがどのような機体かはすぐにわかった

 

 

「まずは外から見てみよう」

 

 

カタパルトに載せられたファントムが轟音と共に射出される。

 

 

「速い……、多元さんが我が国に来た時にも見ましたが、この技術があれば、大型機でも楽に飛ばせる!」

 

「実際A-5ヴィジランティとかいうゲテモノが居るからなぁ……」

 

「なんですそれ?」

 

「全長23m越えの艦載機、ウチだとロデニウス級の艦載機が同じくらいだな」

 

「本当に艦載機ですか?」

 

 

マイラスの頭の中には、自国の旅客機が頭の中に浮かんでいた。

 

(あれを飛ばせるのか(^_^;)

 

 

つくづく呆れるほどの技術だ。

 

 

そうマイラスがため息をつくと、発艦したファントムが着艦してきた。

 

 

「よし、じゃあアレに乗るか?」

 

「えっ!?」

 

「技術を実感するには乗った方が早い。後ろに乗れるようにしておいたから、着替えるように」

 

「えっ!?」

 

「あ、パイロットスーツはこれね」

 

「ええええ!?」

 

「30分後には飛ばすから急いでね」

 

「いや早すぎ!」

 

 

思わず突っ込むマイラス。

 

とはいえ、ササッと着替えて乗り込む。

 

 

「射出する際は、体をシートに押し付けてください」.

 

 

言われて押し付けると、直ぐに発艦する。

 

 

「うわぁぁぁ!」

 

 

体をシートに押し付けられるような感覚を受けて、一気に発艦する。

 

 

「はい、旋回しまーす」

 

「えっ、ちょ、ちょ……、ぐえー!」

 

 

急旋回によるGであっという間にやられるマイラス

 

 

(結局この後吐いた)

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

話は再び、冒頭の多元による指導に戻る。

 

 

「ふぅ……、上出来だ。これならすぐにでも国に帰って戦闘機を作ることが出来るはずだ」

 

 

早速飛行から戻ってきた多元は、そのまま評価に入った。

 

 

「ありがとうございます!」

 

「君たちの国に供与できそうな兵器は少なくとも第1世代機、最大で第三世代までの戦闘機と、第2世代のMBT、それと同時期の軍艦ぐらいまでは出来るはずだ。それらを上手く使いこなした上で、君にはその現地生産や、技術指導が出来るようになって欲しい」

 

「はい!」

 

「では、今日の宿題を出しておこう。先に言うが、提出期限は定めない」

 

「えっ?」

 

「その代わり、自国で生産することが可能な第1世代ジェット戦闘機の設計図を提出するように。性能だけじゃなく、生産力も考慮する必要がある。しっかり学ぶように」

 

「はい!」

 

「資料が必要になったら遠慮なく言ってくれ。ここには全部揃ってる」

 

「ありがとうございます」

 

 

マイラスは早速部屋に戻って作業を始める。

 

 

「第1世代ジェット戦闘機……、第1世代ジェット戦闘機……、これか……、沢山あるな」

 

 

貰った資料を元に探すマイラス。

 

 

「供与予定の戦闘機は確かF-4……、ならそのベース機となるF3Hならどうだろう?」

 

 

設計図を貰い、早速設計を開始する。

 

と、ここで設計していて気づいたことがある。

 

 

「全金属製で単葉の機体か……、うちの国じゃ試作機がようやく完成しそうな程度だよ……」

 

 

木製ジェット戦闘機はそう多くはなく、しかも性能的にも厳しいものがある。

 

 

とはいえ、諦める訳にはいかない。

 

多元からの指導によればジェット戦闘機の存在は絶対だと言われていた。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

「マイラス、プロペラ機の性能限界はどれくらいか分かるか?」

 

「えっ…と……、およそ900kmです」

 

「そうだ、二重反転プロペラや、ターボプロップエンジン、その他もろもろの対策を施したとしても、その性能は音速に届くことはほぼない」

 

「はい」

 

「翻ってジェットはどうか、うちのF-15がマッハ2.5、SR-71と呼ばれる偵察用の機体ならマッハ3.3、爆撃機ですらものによっては音速を超える。パワーや、高速性能において、ジェットエンジンというのは必須だ。我々の推測にはなるが、恐らくグラ・バルカス帝国なら10年以内にジェット機の開発が可能になると思う。単に連中の主力機に勝つならうちの鎮守府に残る烈風や、紫電でいい。だが、近代国家の戦争は長ければ10年続く。そして、戦争中の技術革新は凄まじい。確実に勝つためにもマイラス君にはジェットの技術を持ち帰って欲しい」

 

「わかりました!」

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

「何としても祖国にジェット機を!」

 

 

必死になって設計を進めるマイラス。

 

果たして結果は如何に……

 

 

 

 

 

 







忙しいので結構頻度遅くなってます。他作品お待ちの皆さん申し訳ないですが、この作品については次も早めに更新されます。


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第40話 幌筵泊地の日常





「この世界著作権関係しないから助かるわ」

(著作権が絡む曲を戦車部隊の曲として採用したことについて、幌筵泊地転生者曰く)



左行ったり右行ったりします。

イデオロギーの寒暖差で風邪をひかぬよう

(ちなみに中の人は執筆時季節の変わり目恒例と化した喉痛に悩まされております)




 

 

 

1641年、1月某日

 

 

「そういえばさ、ディーニッツ本部長から、幌筵軍の軍歌について聞かれてるんだけど、どうする?」

 

 

クリスマスはミニスカサンタ、正月は晴れ着の鳳翔さんを堪能……ゲフンゲフン。なんかまぁ色々あった多元だが、とりあえず新年に入って幌筵泊地が通常業務を再開すると共に、幌筵泊地名物、転生者会議が始まった。

 

 

 

「軍歌ですか……、手っ取り早いので君が代にします?」

 

「ありゃ軍歌というより国歌だろ?、日本人であることのアイデンティティを失わないという意味で行政区としての幌筵地区の歌でいい」

 

 

幌筵泊地の扱いは、どんどん変化しており、現在は、幌筵泊地は特別行政区、幌筵地区として扱われており、幌筵地区出身者以外の民間人の立ち入りはほぼ禁止されている。

 

 

「そもそも幌筵軍の軍旗って決まってましたっけ?」

 

「ん?、旭日旗」

 

「ちゃんと自衛隊準拠してて芝」

 

「普通だろ?、思想強いのは戦車部隊だぞ?、特に重戦車連隊」

 

「あー……」

 

 

重戦車連隊の軍旗は「鎌と槌」が描かれた赤色の旗である。

 

 

「なんでそんなの許可したんですか……」

 

「重戦車って東側のイメージ強いだろ?」

 

「IS-2とか、T-10とかですね」

 

 

小玉が答える

 

 

「だからそうなった」

 

「考えたら負けな気がした」

 

「話戻すぞ?、軍歌どうする?」

 

「艦娘は軍艦行進曲なんですもんね」

 

「航空部隊は蒼空遠く」

 

「そこは空自準拠なのがまたなんとも……」

 

「いや待て、あれ確か航空自衛隊って最後言うよな??」

 

「重戦車の連中が例の赤いやつ出てくるゲームのあの曲使ってるから今更だゾ」

 

「もういっそ名前変えようか」

 

「今度申請してみる」

 

「戦術機部隊は?」

 

「暁を撃て」

 

「なぜそこだけアニソンにした……、原作準拠にしたかったのか……」

 

「ちなみに重戦車部隊以外は陸軍行進曲と抜刀隊」

 

「なんでそこは陸自準拠なんだよ……、フリーダムすぎんだろ……」

 

「ちなみに高速輸送艦隊は<錨を上げて>を希望しています」

 

「米海軍も混ざってくるのかよ……」

 

「いっそ愛国行進曲にします?」

 

「歌はそれでいいだろ、他になにか意見は?」

 

「ソ連国歌!」

 

「却下だ!、赤くするな!」

 

「あっ、弾道ミサイル部隊は<コンギョ>希望です」

 

「やめんか!!」

 

 

右行ったり左行ったり北行ったりと忙しい泊地である。

 

 

「第118戦術航空団は天使とダンスしたいそうで……」

 

「ガルーダ1がいるからだろ!、知ってるわ!」

 

 

ストレンジリアルも混ざるともはやカオスである。

 

 

「提督、大体音楽かけながら魔王討伐してたウチらなんですから音楽になったら好き放題言うに決まってるじゃないですか!」

 

「失敗だったよ!、色んな意味で!」

 

「特生自衛隊はゴジラのテーマか、怪獣大戦争、あるいは宇宙大戦争を……」

 

「負けフラグなんか立てるんじゃねぇ!」

 

「ヤシオリ作戦は勝ちましたから……」

 

「戦術機部隊の話を聞いた一部部隊がj-popはありなのかと聞いてきています」

 

「クソっ、収集がつかん!」

 

「提督、よくこんな連中率いて勝ってこれましたね?、自分本位のやつが多すぎますよ」

 

「お前が言うな!」

 

 

ソ連国歌を提唱したやつに容赦ないツッコミを入れる。

 

 

「もういっそ好きにさせればいいんじゃないんですかね?」

 

「あー」

 

 

結局、どの部隊も自分の好きな曲流したいのだ。別にこの世界は自分たち以外、曲の意味を知っている存在なんて居ないのだから。

 

 

安直かもしれないがこれで決まった

 

 

「あ、そうそう。空軍と海軍からそれぞれP-1の追加発注があった。どうも国内の工場だけじゃ足りないらしい。P-3から一刻も早く切り替えたいとの事だ」

 

「マジですか?」

 

「マジ、P-1……、本当はB/P-1だが、とりあえずこいつらの追加生産を急いで欲しいとの事だ。恐らく愚帝相手にまとまった数の用意が欲しいんだろうし、P-3Cを追い出して、MMAT新規加盟国に引き渡すことも視野に入れているんだろう」

 

 

原作グラ・バルカス帝国もかなりの数の装備を保有していたが、ロデニウス連邦共和国諜報部CIAR(Central Intelligence Agency of Rodeniusu、ロデニウス連邦共和国中央情報局)によれば、この世界におけるグラ・バルカス帝国は、相当数の軍拡を行っており、その中には日本の雑木林型や、金剛代替艦や、計画だけで終わった大型巡洋艦、軽空母なども含まれており、その数は1万を超えてさらに建造中との事である。

 

また、リーム王国との接触の可能性示唆されており、最悪の場合、2正面作戦を強いられることとなる。

 

 

「今までの連中は技術格差は200年以上あったが、これから戦うことになる敵は、最大でも70年前後。我々の今使っている技術の根本となるものはほとんどこの時代に生まれている。伸び代もあるし、素の建造能力も高い。しかも、ロデニウス連邦共和国にも幌筵泊地にも戦術が天才的に上手いやつは居ない、居てドルメ中将くらいだろ。物量と戦術でひっくり返されないためにも、警戒を強めなくちゃならん」

 

 

多元の危惧は当たってしまうのだが、今の彼らにそれを察知するすべは無い。

 

 

「護衛隊群はどうします?」

 

「今のところアレだけでいいだろ。ダブついた妖精の数が一段落した現状、増やす必要性も無いからな」

 

「地方隊……じゃなかった沿岸防衛部隊のミサイル艇の置き換えはどうします?」

 

「アレな、結局ミサイル艇がはやぶさ型ベースだからどのみち更新ってことで、平河君なんか案あるんだよね?」

 

「ええ、はやぶさ型などの置き換えのために考えていたこの案を発展させた新型艦です」

 

 

葫型コルベット

同型艦「葫」「蕣」「昼顔」「夜顔」「糸瓜」「向日葵」「蔓茘枝」「胡瓜」「隠元」「瓢箪」「風船葛」「隼人瓜」「蔓紫」「縷紅草」「紫陽花」「筏葛」「扶桑花」「紫君子蘭」「時計草」「鉄線」

 

全長 105m

全幅 13.2m

機関 COFCAH(燃料電池+水素タービン)

推進 ポンプジェット

速力 40ノット

武装 76mm速射砲(砲身はヴィスビュー級のように格納できる)、30mmRWS×2基、91式携帯地対空誘導弾艦載改良型×30発、零式極超音速滑空弾乙型VLS×4発、三連装両用魚雷発射管×2基

艦載機 中型ヘリコプター(MH-60クラス)×1機または無人ヘリコプター×2機

レーダー 固定式三次元レーダー×4面、航海用レーダー

ソナー 船底装備式

電子戦 統合電子戦システム、デコイ発射機

外観 自衛隊が計画中の1900t型哨戒艦を少し大型化したもの。マストは新型FFMのものを簡素化しているほか、武装配置はインドネシアの10514型コルベットを参考にしている。

 

幌筵泊地が拠点防衛のために開発したコルベット。

その特徴は幌筵泊地で初めて水素機関を採用したことにある。艦底部から海水を取り込んで水素を生成し、それを巡航用の燃料電池と高速用の水素タービンに振り分けることで、二酸化炭素を排出せずなおかつ原子力艦のような半永久航行が可能となる。

元が哨戒艦の発展型であるため、ミサイル兵装は簡素なものである。ただしアナライザーや饅頭など各種ロボットを用いることで原型以上に省力化されている。運用するだけなら艦長と副長、航海長だけでも可能。

 

なお初期案ではより正当な1900tの発展型(機関を上記の燃料電池と水素タービンに換装しただけ)や、より航続距離を伸ばすために潜水艦用原子炉を搭載するぶっ飛んだ案もあったが、グラ・バルカス帝国の戦艦含めた艦艇を確実に撃破(最終防衛ラインで使用する艦艇であるため)武装強化に至った(頂いたアイディアを本作登場にあたって改変しております)

 

 

 

「平河君、饅頭について説明を」

 

「はっ!、これは真多君が開発した新型ロボットで、アナライザーとの併用を見込んでいます」

 

饅頭

泊地が開発した汎用ロボット。外観はアズールレーンの饅頭そのもので、ペットロボットかと見まごうほどの非常にかわいい外観をしているが、その性能は非常に強力であり、ダメージコントロールや人間のオペレーターの代行、ビークル運用、医療活動までできる。

人間の代行をする際はネットワーク共有ハブを兼ねた専用のシート(外観はあつ森の「クルーのシート」を小さくしてシートのZ座標を饅頭が届く位置までに上げ、背もたれを饅頭の身長まで削ったもの)に座る。饅頭が取得した情報を人間のオペレーターのHMDに表示することもできる。アナライザーとの共同運用も可能。

 

 

「なんか謎に寒気がした気がするがまぁ、いい」

 

 

ナンデダロウネー()

 

 

ちなみに、先程出てきた護衛隊群とは、幌筵泊地に存在する艦娘以外の軍艦によって構成された艦隊で、中でも外洋作戦が可能な艦艇で構成された機動部隊のことを指す。

 

 

数話前の戦力紹介から、新たに新型通常動力型潜水艦「しろしお」が就役し、下記のような編成となっている。

 

 

 

 

艦隊先頭

 

小型護衛艦「鴻」

 

 

艦隊右舷側

 

対潜護衛艦「敷島」

 

 

艦隊中央兼艦隊旗艦

 

多用途任務対応型護衛艦「輝龍」

 

 

艦隊左舷側

 

大型嚮導駆逐艦「秋雨」

 

 

艦隊後方

 

多目的戦闘艦「磐城」

 

 

艦隊随伴潜水艦「しろしお」

 

 

 

しろしおに関するデータは以下の通り

 

 

全長 160m

全幅 20m

機関 ディーゼルエンジン+リチウムイオン電池

推進方式 超電磁推進

防御方式 魚雷防御装置+魚雷防御室

武装 魚雷発射管8門、VLS 24セル

 

 

人員は装備改修によって人手の減った艦娘から溢れた妖精達から構成されているため、この艦隊程度でだいたい問題ない。

 

 

「輝龍の艦載機について、現在はF-58、F/A18E、ラファール、SH60L、ES-3 AEW、MV-22、MQ-25の混載となっています」

 

「多いな……、ES-3 AEW、MV-22が2機ずつ、MQ-25とSH60Lは4機ずつ、F-58が6機、F/A18Eとラファールが12機ずつか……」

 

 

ES-3 AEWはS-3の早期警戒機仕様として制作されたものである。

 

 

「F-3Cを艦載機に出来れば良いんですが……」

 

「先ずはものを作らないとまずいだろ。設計上は余裕があるが、まだ地上試験ぐらいしか終わっていない機体だし、まずは飛ばすのが先だ」

 

「ちなみに初飛行は誰がやります?」

 

「ん?、俺だが?」

 

「デスヨネー」

 

 

多元は何とか間に合ったようで、F-3Cの初飛行……、厳密にはXF-3Cの初飛行を担当することとなる。

 

 

「提督、P-X1の開発許可を」

 

「P-X1………、P-1をさらに強化した攻撃型哨戒機計画の事だな。良いだろう、許可する」

 

「はっ!、完成後は航空群への配備を予定しています」

 

「頼むぞ」

 

 

P-X1は幌筵泊地の多目的哨戒機開発計画で開発が決定されたP-1派生型で、仮称P-1Bという名前を持つ。

 

 

幌筵泊地で開発中の機体のフィードバックや、各種航空機から得られたデータを元にエンジンの推力強化、搭載兵装の増大、電子戦能力の強化、無人機とのデータリンク、新型兵器への対応、自己防衛能力の強化など多岐に渡る。

 

 

航空群とは、平時の警戒任務と、有事の際に幌筵泊地の対戦艦キラーを担うと共に、複数の部隊による連続的な敵中枢部への打撃を行う新組織SSF(スモール・ストライク・フォーメーション、小規模打撃群)として任務を遂行する部隊であり。その特徴は、平時の監視活動にも使える汎用性と、有事の際の水上艦隊侵攻への対応、場合によっては陸上部隊にも対応する多用途性を意識した部隊である。

 

この際に使われるのが、ASM-3の力不足を懸念した転生者によって新たに開発された哨戒機用極超音速空対艦戦術巡航誘導弾、正式名称を41式極超音速空対艦戦術巡航誘導弾で、X-51のような見た目をもち、弾頭には高性能徹甲榴弾を有してマッハ8で敵艦目掛けて突っ込むというキチガイじみた対艦ミサイルであり、射程は800kmにもなる。

 

 

「いつまでもP-1と呼ぶのはアレだな、なんか気の利いた名前無いか?」

 

「銀河」

 

「飛龍」

 

「深山」

 

「連山」

 

「東海」

 

「全部双発以上の攻撃機か哨戒機じゃねぇか」

 

「4発ならやはり連山か、深山かと」

 

「いや、そこは富嶽……」

 

「試作すら出来てねぇ機体を出すな、しかもあれ六発機だろ」

 

「嵐龍」

 

「掃射機じゃねぇか、しかもそれ架空機だろ」

 

「爆龍」

 

「この機体使い捨てしねぇだろ、つーかそれも架空機だろ」

 

「富士」

 

「それも(ry」

 

「戦神」

 

「中国の爆撃機だろ、求めてる役割ほぼ一緒だが」

 

「いぬわし」

 

「P-2じゃねぇか」

 

 

まとも路線からネタ路線、思いつきまで混ざった名称決定は1人の転生者の声で決まった。

 

 

「みらいはどうでしょう?」

 

「空発型トマホーク……というより和製トマホークは積めるがみらいか……」

 

「いえ、字が違います」

 

「と言うと?」

 

「海雷です」

 

「採用」

 

 

即決である。

 

 

「よし、これにて終了。おつかれさん」

 

「お疲れ様です」

 

 

これにて転生者会議は終わった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

幌筵泊地の航空隊は転移前には幌筵島と千島列島の防空並びにA2ADを担当していた戦闘機部隊と、爆撃機や、攻撃機から構成される爆撃・攻撃機部隊、電子戦や、偵察、空中給油、輸送を担当する部隊の他にも、対潜哨戒機中心の部隊や、飛行艇などから構成される部隊がいる。

 

基本的に、作戦時はこの複数の航空団が連携するのが基本だが、全てが部隊内で完結するのが幌筵泊地洋上打撃航空艦隊である。

 

 

「「ご苦労さまです」」

 

 

部屋に入った多元に隊員たちが出迎えてくれる。

 

 

「ご苦労、楽にしていい」

 

 

休めの姿勢を取りながら、多元の話に耳を傾ける。

 

 

「君たちは、これまで接近する艦隊や、敵の主力に対して多種多様な機体を用いて戦うことを主眼に置かれてきた。それはこれからも変わらない。変わらないのだが、もう1つ、異世界に合わせて変革していく必要がある」

 

「と言うと?」

 

「君たちの様相はストライクパッケージに近い、というよりほぼそれだ。それを活かして、今後は対地攻撃を行って欲しい。プロジェクト名は<渡り鳥計画>だ」

 

 

隊員の1人の質問に、多元が答える。

 

 

つまり、渡り鳥計画の概要はこうだ

 

・目標が従来の対艦隊から、対地上目標、対要塞、対泊地へと多目的化

・攻撃目標までの長距離化とそれに対応するための戦闘機の複座化

・指揮系統を別個に分けることで柔軟な運用能力の獲得

 

これらを目的としている。

 

 

「了解」

 

「教官にはこれまで通り、第118戦術航空団に任せる。特にトリガーや、カウントは、ロングレンジ部隊での経験もあるはずだ。遠慮なく聞きたまえ」

 

「はっ!、幌筵泊地の一員として、任務を果たせるよう努力します」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

幌筵泊地飛行場

 

 

「メビウス1、世話になる」

 

「ああ、任せろ」

 

 

F-4に乗り込んだメビウス。

 

 

「俺はこっちか?」

 

「ああ、本来なら艦上練習機での練習がもっと必要だが、アンタの腕を見れば分かる。恐らく心配ない」

 

「わかった」

 

 

多元が練習しているのは陸上機としての訓練では無い。艦上機としての訓練だ。だから着艦訓練をこれまでもしてきたし、そのうえであの習熟度の早さなのだ

 

F/A18Eに乗り込む多元。

 

「これ……、鳳翔航空隊のじゃないか?」

 

「ああ、なんでか知らんが、隊長がF-35Bに乗り換えたらしい。今更S/VTOL機を使う必要なんざないのにな」

 

「まぁ、たまには慣れ親しんだS/VTOLに乗りたいんだろうよ」

 

「そうか」

 

 

エンジンを始動し、離陸する。

 

 

「今日の着艦訓練は輝龍で行う」

 

「了解」

 

 

揺れる艦を目の前に、落ち着いて着艦する。

 

 

「いい腕だ提督。しかし、ここまで急ぐ必要があったか?」

 

 

着艦した多元に駆け寄るメビウス1。

 

 

「必要なんだ、俺には」

 

「F-3の艦載機化を遅らせてもか?」

 

「ああ、必要なんだよ」

 

 

決闘のことは誰にも喋っていない。

 

だから、開発を急いでいる理由は、制作スケジュールの遅延回復が名目で、訓練を急ぐ理由は、そのスケジュールに合わせるためだということにしている。

 

 

「急いで何になる。確実に進めることも大事じゃないのか?」

 

「………、メビウス1、魔法帝国についてはどれほど知っている?」

 

「ん?、ああ、確か最低でも第三世代MBT並の装甲を持つ車両を保有している疑いありってのが幌筵泊地の公式見解だって話だろ?」

 

「ああ、第三世代MBTを保有している国が、第5世代機を持っていない可能性があると思うか?」

 

「………、なるほどな」

 

 

メビウス1はその言葉で理解した。

 

多元の本当の理由とはズレてしまうが、魔法帝国対策でステルス機の開発が進められていることは事実だ。

 

アルバトロスとF-16が配備されてまだ久しいロデニウス連邦共和国内にもステルス機の研究が始まっているのもこれが理由である。

 

故に、幌筵泊地では量産型ステルス機として、かつてF-3計画時に持ち上がった「F-22+F-35」をモデルとした戦闘機の開発を行い、F-58を開発。ロデニウス連邦共和国にも提案予定である。

 

 

「まぁ、何はともあれ、提督は一応空母艦載機乗りとして戦うことは出来る。飲み込みの速さが速いおかげだな」

 

「第118戦術航空団には世話になった」

 

「後進の育成の一環だ。気にするな」

 

 

後は戻るだけだな、といい、お互いに乗り込んでカタパルトへ機体が移動する。

 

 

「発艦する」

 

 

スロットルを押し込み、機体がカタパルトによって射出される。

 

 

<<空戦訓練を行う。全力でこい!>>

 

<<了解した、荒削りとはいえ、俺を舐めるなよ!>>

 

 

飛び上がったところでメビウス1との模擬空戦。

 

 

F-4とF/A18Eによる激しい空中戦が行われた………

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

数日後、幌筵泊地試作機格納庫

 

 

「作業ご苦労。いよいよだな」

 

「ええ、長かったですね」

 

「俺たちの戦闘機がいよいよ飛ぶぞ」

 

 

多元含め、初期転生メンバーである航空機開発チームたちは、目の前に出来上がった新型ステルス戦闘機を見つめていた。

 

 

F-3C蒼燕。その詳細なスペックが以下の通り

 

 

F-3C 蒼燕

全長 19.7m

全幅 13.5m

全高 4.5m

翼面積 78.5㎡

空虚重量 16000kg

最大離陸重量 27000kg

エンジン XF11エンジン

ドライ出力 225kN×2

アフターバーナー出力 240kN×2

最高速度 M2.5

巡航速度 M1.6

フェリー時航続距離 4500km

戦闘行動範囲 1200km

実用上昇限度 21000m

固定武装 航空機用レーザー×2

空対空兵装 長距離空対空ミサイルAAM-7改×6、近距離空対空ミサイルAAM-8×4

追加兵装(対地攻撃時) 長距離空対空ミサイルAAM-7改×2、近距離空対空ミサイルAAM-8×4、空対地ミサイルAGM-65×8またはGBU-39×10、その他長射程兵器は数発

追加兵装(対艦攻撃時) 長距離空対空ミサイルAAM-7改×2、近距離空対空ミサイルAAM-8×4、極超音速対艦ミサイルASM-4×4発

リミッター解除時 空対空ミサイル、空対地ミサイル、空対艦ミサイルなどが増加

見た目 F-3予想図と同じ

乗員 1名+支援AI

 

 

以下、前回触れられていなかった変更点。

 

従来までのバルカン砲の代替として開発された航空機用レーザーはバルカン砲のそれと同等、或いは上回る性能を持つよう開発された結果、一撃で戦闘機に対して致命的な損害を与えることができるために、雲程度の撹乱では大したことないとされているほどである。AAM-7改はAAM-4を置き換える目的で開発されており、その推定射程はPL-21を上回る500kmでありながらミサイル直径は240mm、全長5mと短く、小さい。指向性榴散弾と、改より実装された直撃前提の運動エネルギー弾頭に別れており、爆撃機ですらまともに喰らえば機体のダメージは大きい。これを複合弾頭とし、あらゆる戦場への対応策とした。AAM-8はF-3C並びに同世代機向け専用の高機動ミサイルで、自立思考を持つシーカーによって、正確に嗅ぎ分けられることにより、命中率の向上を図った新思考空対空兵装。周囲のデータリンクと、搭載AIのディープラーニングを糧に、戦いが長引けば長引くほど、ミサイルは命中しやすくなっていく。もちろんこちらも複合弾頭である。対艦ミサイルとして主に使われるASM-4は小型化した上で長射程化するという無茶ぶりを行うために、燃焼構造の見直しや、燃料の変更を行った。エンジンについては、それまで戦闘機に使われていたエンジンをはるかに上回る推力であるドライ出力220kNを実現。発電力の高さも相まって格闘戦ではレーザーを用いた近接格闘戦を展開できる。

 

 

「試験飛行は俺がやる」

 

「頼みます」

 

 

 

新型のステルス機開発完了は、幌筵泊地全体と、ロデニウス連邦共和国の首脳部に回された。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国大統領官邸

 

 

「報告します。幌筵泊地で開発されていた第6世代ジェット戦闘機F-3C「蒼燕」について、開発が完了し、まもなく試験飛行との事です」

 

「報告ご苦労さまです。幌筵泊地の皆さんにお祝いの言葉を」

 

「はっ!」

 

 

カナタ大統領は、新型ステルス機開発成功を聞き、その成功を祝福した。

 

 

「我が国でも、あの機体を運用出来れば良いのですが……」

 

「幌筵泊地の最高機密ですからね、簡単には出来ないでしょう」

 

「とはいえ、ステルス機の保有は必要だと考えています。まだ気が早いかもしれませんが、蒼燕含めたステルス機の購入打診をお願いします」

 

「はっ!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国空軍参謀本部

 

 

「幌筵泊地、自力開発のステルス機の開発完了との事です」

 

「我が国のアルバトロスと比べどれほどのものか、この目で確かめたいな」

 

「模擬空戦を打診しますか?」

 

「やってみよう」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍

 

 

「新型機は艦載機なのかね?」

 

「現時点では違います」

 

 

パンカーレの質問にブルーアイが答える。

 

 

「現時点で……とは?」

 

「現時点では、陸上機の装備しか積んでおらず、折り畳み機構や、着艦フックなどが省略されています。ただ、設計上はできるとのことで、今回開発した機体についても、今後改修によって艦載機にすることが可能です」

 

「なるほどな……、発艦方式は?」

 

「幌筵泊地は基本的にCATOBAR式です。なので基本的にはCATOBAR式に対応しているはずですが、転生者が一番最初にいた世界ではCATOBAR式前提だったF/A18が、他国に売り込む際にSTOBAR方式での発艦試験をやった事もあるので、恐らく可能でしょう」

 

「では、我が軍でも導入可能か?」

 

「これは私個人の意見ですが、私としては、彼らが技術実証機として開発していたF-58の方がいいと思います」

 

「それは何故だ?」

 

「取得費用が高すぎることが予想されます。幌筵泊地は基本的に我が国への技術供与や、民生品への技術転用などで、予算的な面で優遇措置がある他、元々の持つ技術の高さから、生産、取得へのハードルは低いです。一方で、我が軍とその生産設備では、現在運用中の第4.5世代機のアルバトロスの運用で手一杯です。第5世代機以降はステルス機となるので、ステルス機特有の保守も絡んできます。アビオニクスも高度化するため、艦上では修理不能になる場合もあります。よって、直ちに第6世代機を導入することは不可能と考えます」

 

「ふむ、優秀な部下が言うのだからその見方が良さそうだな」

 

 

ブルーアイの淡々とした意見にパンカーレは納得した。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

幌筵泊地、艦娘所属妖精寮にて

 

 

「隊長、F-3Cできたみたいですよ?」

 

「ああ、どうやら頃合だな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

提督との決闘が」

 

 

 

 

 

 







次回、「決闘」








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第41話 決闘




「決着をつけよう、命懸けの」

(鳳翔航空隊隊長の言葉)


というわけで、以前から色々あった、鳳翔航空隊隊長との空中戦が始まります。

果たして多元はどうやって戦うのか……










 

1641年 5月某日

 

 

 

 

<<XF-3C、離陸準備完了>>

 

<<随伴機、離陸準備完了>>

 

<<こちら管制塔、離陸を許可する>>

 

<<XF-3C了解!、XF11エンジン、出力良好、異常なし、離陸する!>>

 

 

轟音をあげるエンジン。量産先行機らしく、X-2のような見た目で塗装された機体は、滑走路を加速しながら進んでいく。

 

 

<<XF-3C、離陸成功!>>

 

 

うおおおおぉ!、との歓声が管制塔に詰めかけていた転生者達から上がる。

 

 

戦後のT-1以来かもしれない、射出座席、エンジン含めた完全自国開発機の初飛行は転生者一同の悲願だった。

 

 

まだ初飛行の段階だが、随伴機のF-15Ⅲに見守られながら、飛行するXF-3Cのコックピットの中には、開発責任者たる多元がその操縦桿を握っていた。

 

 

<<初飛行だが、脚を引き込むか?>>

 

<<やっちゃいましょう!>>

 

 

よし……、多元は早速行動に移す。

 

 

<<ランディングギア、引き込み>>

 

 

ランディングギアが引き込まれ、XF-3Cはその滑らかな機体下部の中に脚をしまい込む。

 

 

<<本当に操縦しやすい、まるで慣れ親しんだ自転車に乗るような感覚だ>>

 

 

AIのディープラーニングによって支援される飛行は、まだジェットに乗って日の浅い多元でも扱いやすいものだ。

 

 

 

「先輩!、どうでした?」

 

「腰堀……、これだよ!!、俺たちが作りたかったものは!!」

 

 

着陸した後、多元が語るその言葉に、開発者全員が明るくなった。

 

 

「やりましたね!!」

 

「ああ、これからぶっ通しで試験だ!!、新型ミサイルも準備しろ!」

 

「了解!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

<<こちらXF-3C、超音速巡航を実施する>>

 

<<こちら管制塔、了解した、超音速巡航を実施せよ>>

 

 

初飛行した次の日には超音速巡航を実施。国産機として初のM1.2における超音速巡航に成功した。

 

 

同日、設計最高速度であるM2.5に到達。エンジンについてはXF11からF11エンジンへと変更。和名を噴式火星発動機と命名した。

 

 

さらにその翌日……

 

 

<<戦闘機動試験を開始する>>

 

<<了解した、F-58との戦闘機動試験を開始する>>

 

 

固定武装のレーザーを使った戦闘機動試験を実施。二機のF-58を終始圧倒し続けた。

 

 

3日後には各種空対空ミサイルの発射試験を実施。

 

新兵装の試験も同時に完了した。

 

 

翌日には対艦ミサイルの発射試験を実施。

 

同日、ステルス塗料への塗り替え完了。

 

 

 

新型機は着実に、そして順調に実戦配備へと歩みを進めていた。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

数日後、幌筵泊地上空

 

 

<<提督、すっかり操縦桿握ってるのが様になって来たな>>

 

<<そうか?、あまりそうは見えんのだが……>>

 

<<いや、様になってるさ>>

 

<<だとしても空戦技術はまだまだだがな>>

 

<<その機体があれば、少なくとも並のパイロットなら圧倒できるさ>>

 

 

並ね……、多元の頭の中にはある妖精が居た。

 

鳳翔航空隊隊長。

 

彼に勝つことが鳳翔航空隊が鳳翔と多元の結婚を認める条件らしい。

 

 

<<並のパイロットってのはどこまでなんだ?>>

 

<<俺以下のやつさ>>

 

 

あっさり答えた随伴機……、カウントがそう語る。

 

 

<<……なら、俺はお前に勝てるな>>

 

 

突然入った無線。次の瞬間……!

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

<<ミサイル接近!、ブレイク!>>

 

 

チャフを撒き素早く回避する多元。

 

 

<<こちら管制塔、発射した機体はF-35B!>>

 

<<マジかよ……、しかも実弾じゃねぇか!、一体どこの機体だ!>>

 

<<なるほど……、頃合か>>

 

 

発射した機体を知って落ち着く多元と、慌てるカウント

 

 

<<提督!、大丈夫か!?>>

 

<<心配するな、カウント、お前は戻れ!>>

 

<<おい待て、一体何が…>>

 

<<いいから戻れ!、命令だ!>>

 

 

渋々と言ったところか、F-15が離れる。

 

 

<<隊長、やるんだな?、今ここで!>>

 

<<………>>

 

 

レーダーに映る表示には敵機として鳳翔航空隊で以前使われていたF-35を示している。

 

 

<<……、無言か、良いだろう>>

 

 

マスターアーム解除。レーダーで捉えた機体をロックする。

 

 

<<蒼燕……、Fox1!>>

 

 

決闘の開始に当たって機体名である蒼燕の名を呼び、初弾にあたって、この機体に搭載する際にさらに改良したAAM-7改を発射する。

 

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

「こっちもロックされたか!、AIM-120……、その程度ならチャフとステルス性、機動力で躱してみせる!」

 

 

本来は試験飛行中に補足できなくなることを危惧して取り付けられるステルスブロッカーだが、機体上から操作することで外すことが出来るようにしてある。

 

直ぐにレーダー反射面積が下がり、AMRAAMでのロックが難しくなる。

 

 

「ぐっ……、くぅ……」

 

 

どうやらチャフも使わずに躱すことが出来そうだが、激しい機動は体への負担も大きい。

 

 

(視界が……、暗くなる……!)

 

 

急機動によるブラックアウトに耐えつつも、なんとか回避する多元。

 

幌筵泊地上空で、この世界初の現代機、しかもステルス機による空戦が始まった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

「ロックされた……、AAM-7改なら半端な回避ではダメだな」

 

 

チャフを放出し、ギリギリまで引き付けて躱す。

 

 

「コイツは鈍重だ、それにあっちの方が機動力は高い。ステルス性は……、虫にしか見えねぇ。迂闊に近づく訳にもいかないが、長距離ならアレ(AAM-7改)に狙われる。となればこの距離だ」

 

 

F135エンジンの推力を上げて、接近。距離を25kmまで詰める。

 

途中複数回空対空ミサイルが飛んできたが、難なく躱していく。

 

 

「ガンでは射程外だが、こいつなら射程圏内だ」

 

 

距離を詰めたところで、反撃に出る。選択したのはAAM-5。短距離空対空ミサイルだ。

 

蒼燕は高度有利を取ったようだ。

 

 

「Fox2」

 

 

ウェポンベイが開き、ミサイルが飛ぶ。

 

 

ステルス機が如何にレーダー反射面積が小さいとはいえ、赤外線誘導には敵わない。

 

 

「フレアを撒いて回避……、手本通りだな」

 

 

残存兵器は、翼端下部のAIM-9X2発と、AAM-5が2発。

 

格上のステルス機相手に確実に命中させるために、ここまで2発ずつの使用、いずれも回避されている。

 

向こうの格闘戦の技量を考えればこの後距離を取られる可能性があるし、そうなればまた長距離ミサイルによるアウトレンジ攻撃に晒されることとなる。

 

 

 

 

普通の戦い方なら……、との条件付きだが。

 

 

 

 

<<………、提督。格闘戦……ドッグファイトだ。アンタの実力を確かめさせてもらう。お艦を嫁にしたいのなら、この俺を倒してみろ!>>

 

 

近距離空対空ミサイルと機関砲によるドッグファイトを宣言する隊長。

 

 

<<望むところだ!、この機体と俺を舐めるなよ!>>

 

 

両者スロットルを押し込み、加速。

どちらが言うまでもなく、空戦の合図はすれ違ってから。

 

 

まるで西部劇か何かのように、決められた内容にしたがって、高速で距離を縮めていく。

 

 

お互いがお互いの機体を視認した刹那……。

 

 

ステルス機同士が最大推力ですれ違う。

 

 

 

 

戦いは第二ラウンドに持ち込まれた………

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

一方、地上では………

 

 

「一体何をしてるんですか!!」

 

「……」

 

「答えなさい!、隊長さんはなんのためにF-35を持ち出したんですか!?」

 

「隊長は、俺たちのために闘ってるんです」

 

 

副隊長が答えると、周りの妖精たちも次々に答え出す。

 

 

「お艦を提督に渡したくないんです!」

 

「良い奴だけど!、暴走したし、お艦に大変な目に遭わせたし!、何よりお艦が俺たちの元から離れちゃう気がして……」

 

「でも隊長が<お艦の相手はお艦が決めるべきで、俺たちが口出せる事じゃない>からって言ってて……」

 

「だから……、だから俺たちを代表して、隊長が提督に覚悟があるのかか知ろうとして……」

 

「………、それで試験中の提督をF-35Bで襲撃したと?」

 

 

鳳翔は何が起きたのかを知っていた。

 

管制塔が、突然始まった空戦で、周辺空域に規制を行おうと、ドタバタしているのだ。

 

管制塔での混乱した様子は、航空機を主に扱う幌筵泊地の空母艦娘には直ぐに伝わる。

 

 

「はい……」

 

「提督は知っててやっているんですね?、半年ほど前のあの時隊長が提督の元を訪れたのにはそういうわけがあったと…」

 

「隊長は、F-35Bか、F-14かF/A18Eしか乗れないから、その中で一番新しいF-35Bに乗って戦うって言ってて。でも、でも……、でもまさか<実弾>使うなんて知らなかった!」

 

 

どうやら実弾まで使うのはさすがの妖精達でも想定外だったらしい。

 

 

「どっちかが死んだらどうするつもりですか!、直ぐに止めさせますよ!」

 

「でも!」

 

「でもじゃありません!、行きますよ!」

 

 

ものすごい勢いで管制塔に向かう鳳翔。

 

 

 

一方、管制塔に詰めかけていた転生者達もまた、突然始まった空戦に右往左往していた。

 

 

「おい待て!、試作一号機がなんでガチの空中戦やってんだよ!!」

 

「試験ペース的にはいけるが不味いだろ!、というか敵機は何処のどいつだ!?」

 

「つーか、提督はパイロットになってから日が浅すぎるだろ!、被弾して死んだらどうする気だ!」

 

「ダメだ!、両方とも無線切ってやがる!」

 

「早く下ろせ!」

 

「降ろすつったって、どうすんだよ!、ドローン捕まえんのとは訳が違うんだぞ!」

 

「とにかく呼びかけろ」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「目標ロック。Fox2!」

 

 

機体性能は、やはり世代の差がある両機。蒼燕は瞬く間にF-35を補足し、それを受けて多元が、第6世代機向け短距離空対空ミサイルAAM-8を発射。

 

 

「くっ……、なんてしつこいミサイルだ!」

 

 

フレアを撒きながら必死に回避する隊長。

 

対妨害性に優れたAAM-8は、フレアでも容易に引き剥がせない。

 

それでもフレアを掻い潜りながら、迫りつつあるAAM-8をなんとか回避することに成功した。

 

 

「ぬっ……うぉっ!?」

 

 

外れたとはいえ、後ろで爆発した轟音と振動はコックピットの中まで伝わってくる。

 

接近しているとはいえ、両者の距離は人基準で言えば十分離れており、隊長は機体各部に取り付けられたセンサー類を駆使して探知する。

 

 

「……何とか捉えた。まずはこれだ!」

 

 

隊長がスイッチを押すと、翼端のAIM-9Xが発射され、蒼燕を狙う。

 

 

「フレアを吐く!!」

 

 

多元はフレアを撒き、AIM-9Xを回避する。

 

 

「掛かったな提督!、喰らえ!」

 

 

AIM-9Xを回避するために、フレアを撒いた多元操る蒼燕は、F-35Bを追うことが出来なかった。

 

その隙を突いた隊長は、残る2発のうち、1発のAAM-5を発射。

 

当然多元は回避に動く。

 

 

が、普通なら回避可能なはずのミサイルが次第に近づいてくる様子を見て、何かを察した多元。

 

 

 

「くそっ……、チャフとフレアを吐いてるのに躱せない!!、まさか母機誘導!?」

 

 

AAM-5は途中まで指令誘導を受けて誘導されるミサイルだ。それを切り替えずに狙うということは確殺を狙うということだ。

 

 

「くっ……」

 

 

なんとか回避するために、スロットルを押し込むが、マッハで迫るミサイルは離れることなく付いてくる

 

 

<<諦めろ提督。アンタにお艦は渡さない!>>

 

 

全ての周波数で聞こえるように宣言する隊長。

 

 

と、その時、無線機から声が聞こえてくる。

 

 

<<2人とも止めてください!>>

 

 

鳳翔の声だ。

 

 

<<提督、やめてください!!、せっかく作った機体をふいにする気ですか!!>>

 

<<おい!、鳳翔航空隊隊長!、てめぇ戻ったら軍法会議だぞ!>>

 

 

転生者の声も聞こえてくる。

 

 

だが、隊長は聞いていない。

 

多元はそもそも聞いてる余裕が無い。

 

 

 

<<お願いですから……、私のために争うのはやめてください……>>

 

 

鳳翔の悲痛な声が聞こえてくる。

 

 

ミサイルがみるみるうちに迫ってくる中で、多元にとって、その瞬間はまるでスローモーションのように思えた。

 

確実に迫り来る死への予感。

 

敗北、今までつぎ込んできたものの喪失。

 

 

 

 

ここに至るまでの全てが頭の中を巡っていった……。

 

 

脱出すれば、少なくとも助かる。

 

 

 

だが………

 

 

 

 

<<ここでやられてたまるか!!>>

 

 

高機動リミッターを解除し、同時に操縦桿を捻り、ペダルを踏む。

 

 

「うぉぉぉ!」

 

 

機体が大きく回転しながら飛行機では有り得ないような挙動をとる。

 

機体は回りながらも、機首がミサイルと正対した。

 

 

「これが……、新世代の……、俺たちのF-3だ!」

 

 

両翼の付け根に搭載された航空機用レーザーが放たれる。

 

機首のレーダーによってミサイルは正確に補足され、そのシーカー部、受信部に寸分違わず命中した。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

地上にて

 

 

 

「蒼燕、ミサイル撃墜!」

 

「………」

 

「………」

 

「………、どうやら、上手くいったみたいだな」

 

「ミサイルを躱すだけの時代がまもなく終わりますね」

 

「ホント…、なんつーあぶねぇことするんだあの人は」

 

 

管制塔の転生者達は、ミサイルを撃墜した瞬間、沈黙し、ついで自分たちの開発した技術は間違っていなかったと確信した。

 

かつて、FBWが開発された時、パイロットの腕だけに頼る曲芸じみた変態機動が簡単に可能となり、驚かれたのは記憶に新しい。

 

その驚きよ再び、との号令の元、転生者達は、レーダーの解析能力の向上、高い空中機動性と、加速性、レーザーの持つ火力を手にしたことで、空対空ミサイルへの新たなる手段を編み出した。

 

 

レーザーによる迎撃である。

 

 

実際に出来るかどうかは最新鋭装備を持ってしても厳しかったのだが、多元の驚異的な成長速度と、航空機用に開発された新型レーザーの持つ性能は空対空ミサイルの迎撃をも可能にした。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「クソっ!、撃墜しただと!?」

 

 

隊長は相当驚いた。

 

まさか回避では無く、撃墜というオプションを取られ、しかも成功してしまったのだから。

 

 

「もう一発!」

 

 

迎撃したとはいえ、相手は失速機動をとっている。次は必ず……

 

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

「クソっ!、回避だ!」

 

 

だが、再度の攻撃を許さない多元は、機体の立て直しとともに、AAM-8を発射。指令誘導の欠点である母機の誘導を断ち切ることにした。

 

 

殺られる前に殺る。

 

 

これはどんな世界でも共通だった。

 

 

「誘導切り替え!」

 

 

隊長はAAM-5を指令誘導から赤外線誘導に切り替えると共に即座に回避運動に入る。

 

 

「フレア放出!」

 

 

再びフレアをばら撒くF-35B。

 

AAM-8を躱すため、先程よりも多く。かつより引き付けて回避した。

 

 

 

だが……

 

 

 

「クソっ、なんでだ!、なんでこっちに来るんだ!」

 

 

確実に躱せたはずの距離で躱せない。

 

 

「フレア放出!」

 

 

再びフレアを撒き、なんとか回避しようとする。

 

と、ここで至近でバラ撒いたフレアにAAM-8が反応。近接信管が作動して金属片をばら撒く。

 

 

「ぬおっ……」

 

 

ミサイルを躱したはずだが、HUDには損傷を示す表示が出ている。

 

 

「近づいたところで喰らったか……」

 

 

ビーッ!、ビーッ!

 

 

落ち着いて分析していたところに再度響くアラート音。

 

 

<<隊長、終わりだ>>

 

<<ああ、アンタが撃てばな>>

 

 

多元もミサイルを回避していたはずだが、後ろをとったということは、やはり練度云々の前に、ミサイルと機体の性能の差がはっきり生まれている。

 

一応逃げてはいるが、ピッタリ付けられていて逃げられない。

 

 

多元<<俺に撃たせる気か>>

 

隊長<<銃を向けても撃たない。そんな覚悟でお艦を護れるのか?>>

 

多元<<上官として、部下を撃ち殺す訳にはいかない!>>

 

鳳翔<<提督!、隊長!、戻ってきてください!>>

 

隊長<<撃てよ提督!、なぜ撃たない!>>

 

多元<<鳳翔さんを悲しませたくない!>>

 

鳳翔<<隊長!>>

 

隊長<<撃墜しろ提督!、俺を撃墜して!、俺に勝って!、アンタがお艦の旦那に相応しいことを示せ!!>>

 

 

そう言うと、隊長は急機動で多元のロックを外して、多元を逆に撃墜しようとする。

 

 

「くっ……、うっ、うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 

覚悟を決めた多元は、蒼燕の持つ機動性を活かして、後ろを取ろうとする隊長機にクルビット機動を取って射撃機会を得る。

 

 

「鳳翔さんは…………俺が守る!!」

 

 

両翼付け根のレーザーが、エンジンを狙い撃つ。

 

 

エンジンを撃たれたF-35は高度を落としながら異界の海に落ちていく。

 

 

「……………」

 

 

その空には紺色の特殊ステルス迷彩を施されたステルス機、F-3C蒼燕が無言の多元を乗せて飛んでいた。

 

 

 

 

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<<こちら蒼燕、着陸する>>

 

<<こちら管制塔。了解した。着陸を許可する>>

 

 

陸上機らしい華奢な脚が機体から出てくる。

 

 

<<蒼燕、着陸する>>

 

 

管制塔に1番近い第1滑走路に着陸した蒼燕は、そのまま誘導路から格納庫に向かう。

 

 

「……、隊長……」

 

 

確かに撃墜した。自分の手で。

 

 

(<<撃墜しろ提督!、俺を撃墜して!、俺に勝って!、アンタがお艦の旦那に相応しいことを示せ!!>>)

 

 

高度はそれなりにあった。コックピットは潰してないはず。

 

 

かつて自分の父親を殺した時、自分を殺しに来たイギリス鎮守府の元提督を殺した時には感じなかった人を撃つ感覚………。

 

 

その感覚を実感しながら、ふと顔を上げると、転生者と鳳翔がやってきた。

 

 

 

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「提督!、無事で何よりです!」

 

「ああ……機体もこの通り。無傷だ」

 

「無茶苦茶な空戦機動をやったのでもしかしたら何かある気もしますんで、直ぐに確認しますね!」

 

「ああ、頼む……」

 

 

牽引車を持ってきて早速持っていく転生者。

 

 

「鳳翔さん……」

 

 

一方で、鳳翔航空隊の他の妖精達と共に歩いてくる鳳翔。

 

多元はなんと言えばいいのか分からなかった。

 

 

「鳳翔さん……、俺……」

 

「よく生きて帰ってきました……」

 

 

多元の頬に手を当て、無事を確かめる鳳翔。

 

その温もりを感じて。自然に涙が出てくる。

 

 

「でも……、隊長が……」

 

「隊長さんなら、今頃オスプレイの中ですよ」

 

 

救難機として活用されるオスプレイの単語を聞いた途端。多元の緊張の糸が緩んだ。

 

 

「そうか……、隊長……、脱出したんですね……」

 

「はい、それはそうと……、後で全員私の部屋に来てください」

 

 

柔らかな表情が一転して緊張感のあるものに切り替わった途端。お説教の気配を感じた。

 

が、多元はそれでもいいと思った。

 

 

(俺と隊長の一件がお説教で済むなら安いもんだ)

 

 

F-35については、回収船も出さなければならない。

 

F-3が最新鋭とはいえ、F-35も高度なデータリンク装備や、ステルス性を持つ機体なのだから。

 

 

 

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その夜、鳳翔航空隊詰所

 

 

膝詰めで説教を受けていた鳳翔航空隊と多元がようやく解放された。

 

 

「提督。これを受け取ってくれ」

 

 

隊長が渡したのはあるバッチ。

 

 

「これって……」

 

「鳳翔航空隊、戦闘機部隊の紀章だ。これでアンタは俺たちの提督。そしてお艦の旦那であると同時に、俺たちの仲間だ」

 

 

多元が周りを見渡す。

 

周りに座っていた妖精達は皆頷き、新たなる仲間、自らの主人たる鳳翔の旦那を温かく迎える。

 

 

「お前ら、わかっているとは思うが、お艦の旦那である提督にはもう文句は付けられねぇぞ!、なんせ、提督は空戦でこの俺に勝ったからな!」

 

「もちろんでさぁ!」

 

「さて、それはそれとして、提督に頼みがある」

 

「なんだ?」

 

「今の鳳翔航空隊は全部で20機程度だが、今後30機程度に増えるって話だ。だが、F-14もF/A18Eももう増備する話は無いんだろ?」

 

「ああ、同盟国向けにF/A18Eは続けるが、鳳翔航空隊の仕様とは違うからな」

 

 

具体的に言えば、輝龍艦載機として載せたF/A18Eが幌筵泊地向けに生産した最後の機体となる

 

 

「鳳翔航空隊向けにF-58を載せるって話は聞いている。だが、それも輝龍からの転属ってことになるから、まだ一機足りないんだろ?」

 

「そうだな」

 

「俺のF/A18Eを転属予定の妖精に渡して、代わりに俺専用機を作ってくれねぇか?」

 

「隊長、そりゃあズルいですって!」

 

 

鳳翔航空隊の妖精達が口々に文句を言う。

 

だが、その言葉を無視して多元は隊長に問う。

 

 

「どんな機体がいい?」

 

「ステルス性だ、先ずはそれ。これからの時代には必須だ。最低でもJ-20位は欲しい、後はマルチロール性だ。対艦ミサイル4発は積めないと困る。そしてデータリンク能力だ。今日はキツく怒られちまったが、俺はこれから鳳翔航空隊隊長として、作戦時の鳳翔航空隊全体指揮を任される。お艦は艦の指揮も関わってくるからな。航空隊の前線指揮は俺がやる。そのためには航空隊全機とのデータリンクをする必要がある。そうなると空中待機の時間が長引くから、航続距離も用意してくれ、F-58は航続距離だとF-35よりちょっと長い程度だろ?、それじゃキツイ。そして格闘戦能力だ。自分で選んだものとはいえ、F-35でアンタに負けちまったからな。そもそもあれはリミッターで7.5Gだからな。後は推力。パワーが無ければ困る。十分な推力を持たせた上で双発にしてくれ」

 

 

ステルス性はJ-20

兵装搭載量はF-35以上

高い格闘戦能力を持たせ

データリンク能力も持つ。

そして双発機……

 

 

「F-58じゃだめなのか?」

 

「あれは結局高機動版F-35に過ぎない。それに、ロデニウス連邦共和国に向けて配備することも視野に入れてるから今の先行機以降は量産前提に性能ダウンさせているんだろ?、もっと凄い機体をお願いしたい」

 

「隊長~、俺たちにも回るようにしてくださいよ~」

 

「お前らはそのうちF-3が回ってくるだろ」

 

「えぇ……」

 

 

まぁ、主人公機みたいなのが欲しいってところなのだろう。

 

それならいい物がある。

 

 

「わかった、引き出物代わりにでも作ってやるよ」

 

「頼む」

 

 

勝ったとはいえ、隊長に対して何かしてやりたいと思っていた多元は、その願いを承諾。早速作ることにした。

 

 

 

 

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幌筵泊地、戦闘機開発本部、書類庫

 

 

「確かここに……、あった!」

 

 

幌筵泊地は転生者によってバフのかかりまくった最強とも評される泊地だが、その各人の知識を蓄えておくために用意されたのが、各兵器開発本部にある書類庫だ。

 

ここでは、兵器の基本構造から必要資材、通常の派生型からペーパープランにすら載っていない幻のものまで、必要な情報全てを集約している。

 

紙と電子データ両方で揃えられているこの場所で多元が探していたのは幻の艦載機達を載せた書類。

 

 

「兵装搭載量はF-35越えで……ってそれもう機体が決まってるんよ……」

 

 

現時点(執筆時)で8t以上の兵装搭載量を持つ戦闘機はおおよそ以下の通り。

 

・F/A18E

・F-2

・F-35

・タイフーン

・ラファール

・F-111

・Su-35

・Su-34

・J-20

・F-15E

 

 

この中から、艦載機型、もしくはその計画があった機体は以下の通り

 

 

・F-2(厳密には原型機のF-16)

・F/A18E

・F-35C

・ラファール

・F-111B

・Su-35(厳密にはSu-33)

・F-15E(正確にはF-15N)

・J-20(詳細不明)

 

 

とはいえ、開発するのは多元であるから、別に艦載機型があろうが無かろうが関係ない。

 

書類を自室のパソコンにデータで飛ばして早速作業に取り掛かった。

 

 

 

 

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次の日……

 

 

 

「おはよう、隊長」

 

「おはよう提督。その書類は?」

 

「要望された機体、案が出来たから持ってきたぞ」

 

「どれくらいある?」

 

「ざっと12個」

 

「早くね?」

 

「兵装搭載量から絞ればざっとこんなもんよ」

 

「つまりそれ以外を考えると絞られるってことか?」

 

「ああ、これを見てくれ」

 

 

 

第1案 F/A18SG サイレントホーネット

(機体にステルス性を付与したスパホ)

 

第2案 F-2SC アカギ・ゼロ

(艦載機型に改造した上でステルス性付与)

 

第3案 F-35改 ツイン・ライトニング

(双発にした上で、空力形状の見直し)

 

第4案 ラファール・Type-Stealth

(ステルス性の付与)

 

第5案 タイフーン・blockXX

(ステルス性の向上)

 

第6案 F-111・スタンドオフ・ファイター

(遠距離での撃ち合いを想定)

 

第7案 Su-35++

(ステルス性の付与)

 

第8案 Su-34++

(ステルス性の付与、格闘性能の向上)

 

第9案 FC-20J

(推力偏向ノズルの搭載)

 

第10案 F-15NEXS

(SE、EX、N、その他もろもろの合体案)

 

第11案 F-58再生産

(先行機と同じもの)

 

第12案 F-3C艦載機型

(設計上は可能)

 

 

「とりあえず、F-111とSu-34は下ろすか」

 

「まぁ言うと思った」

 

「となると残り10案か」

 

「残る10案の中で好きなのを選べ」

 

「どれ作るにしても原型機からの改造になるのか?」

 

「まさか、基本設計からやり直すさ」

 

「そうか……、だったら俺はこれだな」

 

 

そう言って隊長が選んだのはまさかのF-15NEXS

 

 

「いいのか?、他の案もあるのに……」

 

「いや……、俺はF-15に乗りたかったんだよ」

 

 

そう言うと隊長はおもむろにタバコを取り出した。

 

 

「ふぅー………」

 

 

何かを思い出すように、遠くを見る。

 

 

「アンタらが幌筵泊地に来た頃、真っ先に開発したのがF-15だ。俺はあれを見て心底驚いたもんさ。あんな機体がこの世に存在するのかって」

 

 

それは多元達が初めて幌筵泊地にやってきた時のこと。基地航空隊の抜本的強化のために、滑走路の舗装と、F-15J改イーグルの投入を行ったのだ。

 

 

そして、その機体はすぐに実戦に投入される。

 

 

北方からやってきた深海棲艦の爆撃機に対応するために、スクランブル。レーダーによって補足された敵機をいとも容易く撃ち落とす様子は、幌筵泊地全体に漂っていた提督麾下の転生者(当時は多元除き妖精体)への不信感を完全に一掃したのだ。

 

 

(詳しくは「現代技術者の無双伝説~技術系提督とその仲間の妖精達が鎮守府に着任しました。これより幌筵泊地は最大強化されます~」の最初の方ををご覧下さい)

 

「あれに乗りたいと何度思ったことか。いや、誤解はしないで欲しい。F-35もF/A18EもF-14もいい機体だ。それは間違いない。だが、俺にとってあの時、あの機体から受けた衝撃は忘れられないものなんだ」

 

 

多元はその言葉に黙って耳を傾けた。

 

 

「………、ステルス性を意識する以上、機体形状の変更はあるぞ?」

 

「構わない。あの一空(第1航空団)のF-15に感じた衝撃は大きかった。それをもう一度味わいたいんだ」

 

「わかった。F-15イーグルⅢを超えるイーグルを約束しよう」

 

「ありがとう」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

それから数日。

 

 

「ふぅ……出来た……」

 

 

設計図が完成し、一息つく多元。

 

 

F-15NEXSの特徴は以下の通り。

 

・DSIの採用

・ステルス性を意識した形状への最適化

・ウェポンベイの設置

・ステルス素材、塗料の採用

・着艦フックの採用

・着陸脚の強化

・折りたたみ機構の搭載

・レーダーをF-3Cで使用されているものに変更

・エンジンを機体サイズの問題からF-3Cでは採用出来なかった新エンジン「噴式栄41型」を採用。超音速時の燃費などを改善

・対応可能なミサイルの増加

・ステルスミサイルポッドへの対応

・推力偏向ノズルの設置

・FBWの採用。電気と油圧の二重系統にすることで冗長性を持たせる

・機体素材に炭素繊維や、各種新素材を採用、軽量化を行う

・格納式照射装置を搭載。爆撃時のステルス性の確保を行った

・機関砲をM61からイコライザーに変更、弾数は増加させた

・コックピットのキャノピーに対するステルス性の強化

・パイロットが意識を失った際に、自動的に戦域を離脱するシステムを搭載

・通信、データリンク能力の強化

・低空飛行を想定し、かつ視認性を向上させるために強化アクリルを用いた一体成型キャノピーとした上で前述のステルス性を確保した

 

 

等々、細かい所を上げればキリがないレベルまで改造されたF-15は、<機首周り以外は何も残ってない>レベルの改造で、再設計されていることからも、事実上の新型機だった。

 

尚、多元からの評価は「速度性能と航続距離と兵装搭載量にステを振りすぎたF-3C」

 

 

「隊長、設計図出来たぞ」

 

「ありがとう。しかしまぁ……、すごい改造だな」

 

「何、お手の物さ」

 

「何がお手の物だ、顔にクマが出来てるぞ?、お艦の元にも行かずに設計してたんだろ?」

 

「バレたか……」

 

「無茶をし過ぎなんだよアンタは、お艦が1番心配してるのがそこだ。俺たち鳳翔航空隊のモットーは<お艦の為だとしても無茶はしない>だ、アンタも守れよ?」

 

「ああ、鳳翔航空隊の一員として守らせてもらう」

 

「それと……、もう1つ。こいつに名前を付けたい」

 

「名前か、どんな名前にしたいんだ?」

 

「撃震か、月虹だな」

 

「戦術機じゃねぇか」

 

「響きはカッコイイだろ?、それに不知火も陽炎も居るからな」

 

「そりゃそうだが……」

 

「で、どっちかにしたい」

 

「元ネタ考えれば月虹が近いな」

 

「でも撃震も捨て難いだろ?」

 

「それはそう」

 

「やっぱり撃震だな」

 

「わかった」

 

 

 

こうして出来上がった機体が以下の通り

 

 

名称:F-15 NEXS「撃震」

乗員: 1名

全長:19.4 m

全高:5.4m(垂直尾翼が斜めになった為、若干低下している

翼幅:13.1 m

翼面積:56.5 m^2

兵装搭載量:最大15t

エンジン:幌筵泊地製「噴式栄41型」

最高速度:M2.8

巡航速度:M1.8

航続距離:5200km

戦闘航続距離:2200km

実用上昇限度:21000m

固定武装:25ミリガトリング砲×2

ステルス性:J-20以上、正面のみF-35と同等

格闘性能:F-3には劣る(機体規模、重量上の理由)

追加武装:F-3に搭載可能ならほとんど積めるものの、ステルス性を維持するためには対艦ミサイルの複数搭載は難しい

 

 

塗装はダークブルーを基調とした洋上迷彩を施しており、まぁ、だいぶやべぇ。

 

 

噴式栄41型

最大出力250kNを誇る大型複合サイクルエンジン。低速時にはターボファンを、高速時にターボジェットを使用するこのエンジンの試作型は規定出力を満たすために大型化し、F-3には積めなかった。しかし、元が大きいF-15には積むことが可能で、これを改良したのが当エンジンである

 

 

 

機体完成後、すぐに隊長へとお披露目された機体を見て、隊長は歓喜の声を上げた。

 

 

「ありがとう提督。いい機体が出来上がった」

 

「乗ってみろ」

 

「ああ、早速そうさせてもらう」

 

 

機体に乗り込み、起動させる。

 

 

「随伴機は俺がやろう」

 

「着艦訓練はやってるか?、お艦は乗艦して待っている」

 

 

その一言で全てを察した。

 

 

「なるほどな、安心しろ、あの戦いの後にオーバーホールついでに改造しておいた。元々訓練自体もやってある」

 

「さすがは空母機動部隊の幹部候補生だ。なら俺の随伴機を頼む」

 

「わかった」

 

「忘れ物すんなよ?」

 

「ああ、胸ポケットに入れてある」

 

「よし、行こう」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

<<こちら撃震、離陸を許可されたし>>

 

<<こちら管制塔、離陸を許可する>>

 

<<こちら蒼燕、離陸を許可されたし>>

 

<<こちら管制塔、離陸を許可する>>

 

 

2機の戦闘機が、エンジンの出力を上げて離陸する。

 

 

<<離陸完了、提督、俺の後ろについてくれ>>

 

<<わかった>>

 

 

離陸を終えた2機は、編隊を組んで沖合で訓練中の鳳翔に向けて飛行する。

 

 

<<すごいな、燃費がいい>>

 

<<燃費のいいターボファンを搭載することができたからな、超音速時にはターボジェットに切り替わる>>

 

<<アンタのソレには積んで無いのか?>>

 

<<ステルス性維持のためにはデカすぎるのは良くないからな、開発しておいて積まなかったんだ>>

 

<<そうか……、それはそうと、この間の空戦を見ての感想だが、まだまだ荒削りなところは多い>>

 

<<やっぱりか>>

 

 

それは多元も知っていた。やはり準備期間の都合もあって、機体性能に頼り切りな部分は多かった。パイロットの腕は一世代分の技術差を埋めるといわれるのだから、勝てたのは奇跡としか言えない。

 

 

<<だが、そんなアンタでも、俺に勝てたんだ。それはアンタらの機体が優れていたということの証明にほかならない。いい機体を生み出したよ>>

 

 

用兵側からの兵器評価は、開発者の中では重要視されるものの一つだ。ましてや、実際に戦った者の評価は万金に値するものだ。

 

 

<<ありがとう、他のメンバーにも伝えておく>>

 

<<そうしてくれ、さぁ、見えてきたぞ>>

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

空母「鳳翔」にて

 

 

「お艦、上空の戦闘機から通信です」

 

「先程捉えた戦闘機ですか?」

 

「はい、どうやら隊長からみたいです」

 

「受けますよ」

 

 

通信妖精から無線を受け取る。

 

 

<<こちら鳳翔です>>

 

<<お艦、今から提督を連れて降りるわ>>

 

<<となると、後ろの機体は提督ですか?>>

 

<<そう、提督も着艦できるからさ、甲板空けといて>>

 

<<わかりました、せっかくの新型機壊さないでくださいね?>>

 

<<もちろんでっさ>>

 

 

無線機を置き、指示を出す。

 

 

「飛行甲板を空けてください。隊長さんと提督が降りてきます」

 

「お、急げ急げ!、お艦の王子様が降りてくるぞ!」

 

「お艦、これを!」

 

 

突然白無垢を渡した妖精。

 

 

「紅白幕もってこい!」

 

「酒あるか!」

 

「清酒があるぞ!」

 

「漆塗りの杯は?」

 

「さっきヘリで持ってきた!」

 

「カメラマンは?」

 

「そろそろ青葉が来る!」

 

 

多元達の着艦前にオスプレイが飛来し、青葉が降りてくる。

 

 

「鳳翔さん。ご結婚おめでとうございます」

 

「えっ!?、えっ!?、ちょっと青葉さん????」

 

「早く着替えてくださいね!」

 

 

それでは!、と言うと降りてくるF-15NEXSとF-3Cを撮りに甲板に向かう。

 

 

「お艦、早く着替えてくださいよ」

 

「そうでっせ、提督が降りてきますから」

 

 

困惑する鳳翔をなんとか着替えさせる妖精達であった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

<<おい隊長、甲板が賑やかになってるぞ?>>

 

<<知らんよ、それより降りるぞ?>>

 

<<先はどっちだ?>>

 

<<俺からだ。隊長直々に着艦の手順を教えてやる>>

 

<<では、しっかり勉強させてもらう>>

 

 

やり取りが終わると、ギアを出して着艦体制に入る。

 

 

<<着艦フック、並びにランディングギア確認。着艦する>>

 

 

着艦フックを掴む瞬間、スロットルを最大にして万が一に備える。

 

バウンドもない完璧な着艦だ。

 

 

<<次、提督の番だ。しっかり降りてこい>>

 

<<任せろ>>

 

 

強化されたランディングギアと着艦フックを下ろす。

 

F-35Cのように、コントロールスティックのみを動かすだけで着艦体制に入ることができる。

 

 

 

バウンドはほとんど無かった。

 

 

 

「お見事、しっかり練習していたようだな」

 

「まぁ、機械も優秀だからな」

 

「おう、それよりあっち見てみろ」

 

 

多元が振り返ると、そこには白無垢を着た鳳翔が居た。

 

 

「鳳翔さん……」

 

「て、提督……、へ、変じゃ無いですよね??」

 

「いえいえ、似合ってますよ」

 

 

あ、そうだ。と多元はパイロットスーツの中に用意しておいたある箱を取り出した。

 

 

「鳳翔さん、待たせてすみません。こちら、お渡しさせていただきます」

 

 

片膝を付き、小箱を開くと、そこには光り輝く指輪が置かれていた。

 

 

「これって……」

 

「材料の調達から加工まで、幌筵泊地でやらせていただきました、世界に一つしかない結婚指輪です」

 

 

プラチナのリングに、3つのダイヤモンド……

 

中央の大きめのダイヤモンド……3ctのダイヤモンドに、左右には1ctのブルーダイヤモンドと、レッドダイヤモンドがあしらわれたもので、<作者>試算によると、中央のダイヤモンドだけで300万、左右の希少性の高いダイヤモンドも合わせると、その希少性からもざっと生産して1億円は下らない……

 

 

(多元お前どうやってそれ手に入れたんだ???)

 

 

しかも、天然物なのだから恐ろしい。

 

 

 

愛が深すぎるよこの人……

 

尚、ペアリングは0.5ctのブルーダイヤモンドによって作られています。

 

 

やっぱりコイツ頭おかしい

 

 

「白無垢に指輪を渡すのは少々ミスマッチではありますが、はめさて頂きます」

 

 

鳳翔の指に結婚指輪が通される。

 

 

<<えー、マイクチェックマイクチェック、仲人は私、鳳翔航空隊隊長が務めさせていただきます>>

 

「お前もいい加減名前を持てよ」

 

 

妖精にとって名前を持つことは大事なことだ。

 

名前を持つことで、他の雑多な妖精とは違うと明確に表すことが出来、練度の高さを示すことにも繋がる。

 

 

<<今度襲名式やらせてもらうこととして、まずは新郎新婦の写真撮影といきます。まずはパイロットスーツと白無垢で>>

 

「ダメだろ」

 

<<んなことあるか!>>

 

 

押されるままに写真撮影、その後着替えてもう1枚、三三九度や、集合写真なども含めて、甲板上は華やかだった。

 

 

 

 

「提督……、ありがとうございます。私、とっても幸せですよ」

 

 

 

 

 







(キスシーンは作者が苦手なのと、尚も妖精達が抗議したので流れました)


ベッド・インから結婚まで長すぎるんよこの夫婦(作者の都合)



~指輪制作裏話~


「腰堀、指輪って幾らくらいなんだ?」

「大体給料3ヶ月分って言われてますね」

「お前建御名方に指輪渡したんだろ?、どうやったんだ?」

「クイラ王国のダイヤモンド鉱山から掘り当てました」

「自力で?」

「ええ、給料3ヶ月分なんてケチらずに持てる人脈と使えるだけの金使ってブルーダイヤモンド用意しました」

「よし、俺もそれやるか」



後日……


「いや、やりすぎですって先輩……」
(腰堀の場合は結婚指輪のみブルーダイヤモンド、ペアリングは普通のダイヤモンド)



ダイヤモンド……、ダイヤモンドねぇ……


俺もサトノダイヤモンド(ウマ娘)のブライダル衣装見たいよぉぉぉ!


あ、大和さんごめんなさいうわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp



次回で幌筵泊地のゴタゴタは終わる見込みです。



グ帝戦の前に雑多を終わらせたいと思います。

後書きがやけに長くなりました。

ではこの辺で






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第42話 幌筵泊地艦隊編成



「なんで今までやってこなかったんだろう……」

(ビスマルクの発言)


というわけで、幌筵泊地再編となります。

後半はアルタラス王国海軍のお話となります。











 

 

空母甲板での挙式から少し経ったある日。

 

 

幌筵泊地、合同会議

 

 

転生者と、主力艦クラスと、各国の代表艦娘によって構成されるこの会議で、今回話し合われたのが、艦隊編成の話である。

 

 

というのも、これまでの出撃では

 

 

○手隙の者や、任務に応じてその都度編成

 

○一部艦娘のみ、常時編成

 

 

というどっかの同盟よろしく「高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対応」という芸当をやっていたわけなので、まぁ……、その運用とかね??が、問題になっていたのだ。

 

 

(ちょっと前までは柔軟な編成とか言ってたが、さすがに統一性が無さすぎる)

 

 

特に、今後相対することになる愚帝は、両者の距離が離れすぎていることからも、ローテーションを組むなりの何らかの対策を施さなければならない事態である。

 

 

 

そこで、ある程度の相性にも配慮しつつ、次のような艦隊編成を行うことにした。

 

 

 

○機動艦隊

正規空母2隻、戦艦2隻を主軸とし、巡洋艦4、駆逐艦8の計護衛艦12隻と随伴潜水艦による外洋作戦を前提とした部隊。艦隊決戦や、上陸支援などを担当

 

 

第一機動艦隊

 

空母「赤城」「加賀」

戦艦「金剛」「比叡」

 

巡洋艦「鳥海」「摩耶」「天龍」「龍田」

駆逐艦「第6駆逐隊(暁、響、雷、電)」「第7駆逐隊(潮、漣、曙、朧)」

 

 

第二機動艦隊

 

空母「蒼龍」「飛龍」

戦艦「榛名」「霧島」

 

巡洋艦「高雄」「愛宕」「五十鈴」「長良」

駆逐艦「第11駆逐隊(吹雪、白雪、初雪、深雪)」及び第30駆逐隊「睦月、如月、弥生、卯月」

 

 

第三機動艦隊

 

空母「雲龍」「天城」

戦艦「長門」「陸奥」

 

巡洋艦「古鷹」「衣笠」「名取」「由良」

駆逐艦「第24駆逐隊(江風、涼風、山風、海風)」及び「第22駆逐隊(文月、水無月、長月、皐月)」

 

 

第四機動艦隊

 

空母「葛城」「建御雷」

戦艦「扶桑」「山城」

 

巡洋艦「足柄」「羽黒」「球磨」「川内」

駆逐艦「第27駆逐隊(有明、夕暮、白露、時雨)」及び「第9駆逐隊(5代目、朝雲、山雲、夏雲、峯雲、他編入艦無し)」

 

 

第五機動艦隊

 

空母「翔鶴」「瑞鶴」

戦艦「建御名方」「日護」

 

巡洋艦「妙高」「那智」「那珂」「神通」

駆逐艦「第10駆逐隊(4代目、夕雲・巻雲・風雲・秋雲)」「第61駆逐隊(若月除く秋月、照月、初月、涼月)」

 

 

第六機動艦隊

 

空母「Graf Zeppelin」「Aquila」

戦艦「Bismarck」「Roma」

 

巡洋艦「Prinz Eugen」「Zara」「Gotland」「L.d.S.D.d.Abruzzi」

駆逐艦「Z1」「Z3」「Maestrale」「Grecale」「Libeccio」「Scirocco」「Ташкент」「島風」

 

第七機動艦隊

 

空母「Intrepid」「Hornet」

戦艦「Iowa」「Washington」

 

巡洋艦「Northampton」「Houston」「Atlanta」「Helena」

駆逐艦「Fletcher」「Johnston」「Heywood L. Edwards」「Samuel B.Roberts」

 

第八機動艦隊

 

空母「大鳳」「Victorious」

戦艦「Colorado」「Maryland」

 

巡洋艦「Tuscaloosa」「青葉」「矢矧」「Sheffield」

駆逐艦「第17駆逐隊(浦風、磯風、浜風、谷風、他編入艦無し)」「第21駆逐隊(初春、子日、若葉、初霜、他編入艦無し)」

 

○航空戦隊

軽空母2隻と、巡洋艦2、駆逐艦4で構成された多用途艦隊。通商路の防衛から、敵艦隊の迎撃まで、多種多様な任務をこなす。

 

 

A戦隊

 

空母「鳳翔」「龍驤」

 

巡洋艦「北上」「大井」

駆逐艦「第5駆逐隊(春風、朝風、松風、旗風)」

 

 

B戦隊

 

空母「飛鷹」「隼鷹」

 

巡洋艦「木曾」「阿賀野」

駆逐艦「第19駆逐隊(磯波、浦波、綾波、敷波)」

 

 

 

C戦隊

 

空母「千歳」「千代田」

 

巡洋艦「大淀」「多摩」

駆逐艦「第18駆逐隊(3代目、陽炎、不知火、霞、霰)」

 

 

D戦隊

 

空母「祥鳳」「瑞鳳」

 

巡洋艦「鹿島」「香取」

駆逐艦「第4駆逐隊(嵐、野分、舞風、萩風、他編入艦無し)」

 

E戦隊

 

空母「大鷹」「雲鷹」

 

巡洋艦「能代」「鬼怒」

駆逐艦「第31駆逐隊(44年時4隻編成、長波、沖波、朝霜、岸波)」

 

 

F戦隊

 

空母「神鷹」「龍鳳」

 

巡洋艦「酒匂」「阿武隈」

駆逐艦「第16駆逐隊(初風、天津風、時津風、雪風)」

 

 

G戦隊

 

空母「Gambier Bay」「Langley」

 

巡洋艦「Brooklyn」「Honolulu」

駆逐艦「Jervis」「Janus」「日月」「日波」

 

 

 

○強襲艦隊

揚陸艦と、戦艦、航空戦艦、航空巡洋艦などで構成された部隊。上陸作戦を担当

 

 

第1強襲艦隊

あきつ丸

 

戦艦「Richelieu」

航空巡洋艦「最上」「三隈」

駆逐艦「第2駆逐隊(村雨、五月雨、春雨、夕立)」

 

第2強襲艦隊

神州丸

 

戦艦「Conte di Cavour」

航空戦艦「伊勢」「日向」

駆逐艦「第43駆逐隊(松、梅、桃、竹)」

 

 

 

第3強襲艦隊

山汐丸

第百一号輸送艦

 

戦艦「Гангут」

航空巡洋艦「鈴谷」「熊野」

駆逐艦「第32駆逐隊(玉波、藤波、早波、涼波)」

 

 

 

 

第4強襲艦隊

熊野丸

 

戦艦「Nelson」

航空巡洋艦「利根」「筑摩」

駆逐艦「第8駆逐隊(大潮、朝潮、満潮、荒潮)」

 

 

○高速輸送艦隊

 

おおみや級高速輸送艦

「おおみや」「つだぬま」「いずみ」「こが」「こうのす」「ぬまづ」「しずおか」「はままつ」「なかつがわ」「たじみ」「みずなみ」「たいた」、及びのぞみ型超大型戦術機母艦、

「のぞみ」「ひかり」「こだま」「はやぶさ」「こまち」「とき」「やまびこ」「なすの」「つばめ」「さくら」

オホーツク級制圧ロケット砲艦

「オホーツク」「はつかり」「いなほ」「しらゆき」「ひたち」「ときわ」「あずさ」「かいじ」「しらさぎ」「はくと」

 

及び海防艦艦娘と残存戦艦

 

 

○水上航空艦隊(作者曰く「力尽きた」との事)

 

水上機母艦と、残存艦艇によって構成

 

○潜水艦隊

 

全潜水艦が所属、潜母もここに所属

 

○護衛隊群

非艦娘艦艇によって構成された幌筵泊地司令直轄艦隊。しろしおの他に、新たに提督座乗艦として、新型艦の建造が進行中、艦隊司令を多元が担う都合、多元の移動に合わせて移動する。

 

 

提督座乗艦(予定)DDC-XX

 

 

艦隊先頭

 

小型護衛艦「鴻」

 

 

艦隊右舷側

 

対潜護衛艦「敷島」

 

 

艦隊中央兼艦隊旗艦

 

多用途任務対応型護衛艦「輝龍」

 

 

艦隊左舷側

 

大型嚮導駆逐艦「秋雨」

 

 

艦隊後方

 

多目的戦闘艦「磐城」

 

 

艦隊随伴潜水艦「しろしお」

 

 

 

○特殊艦隊

大和と武蔵、そのほか特殊艦艇、開発コード「古事記」によって開発予定の特殊計画艦によって構成。存立危機事態に対応。

 

 

 

尚、この編成をもって、ロデニウス連邦共和国並びに幌筵泊地合計で常時6個正規空母機動部隊の展開が可能となり、中小国なら簡単に滅ぼせる軍事力を展開可能ということが示された。

 

(幌筵泊地は追加で2個軽空母戦隊を展開可能)

 

 

 

「そういえば、ムー国からの観艦式招待の1件はどうする?」

 

「どうすると言われても……、幌筵泊地からは確か機動部隊を送るようにとの事、ロデニウス連邦共和国からは第一艦隊が出撃するようです」

 

「恐らくアレだ、ゼルゲート議員絡みだ」

 

「あの人根っからの武闘派ですからね……」

 

「どっかの貴族さんと違って異民族には寛容だがな」

 

「で、どうします?私から言わせてもらえば、どの機動部隊でも大丈夫ですが?」

 

 

と、平河の言葉に何かを思いついた多元。

 

 

「例の船は出せるか?」

 

「観艦式には間に合いますね」

 

「よろしい、ではそれで行こう」

 

「護衛隊群出撃ですか……、航空群は?」

 

「載せておこう、我が泊地の技術を示すいい機会だ」

 

「先輩、F-3Cの第1次生産が開始されます」

 

「何機できる?」

 

「10機ほど」

 

「載せておいてくれ、小玉さん。陸上戦力について何か話は?」

 

「陸上兵器をいくつか持っていってほしいと」

 

「了解、5式、10式、FV、戦術機と+‪αで好きなようにお願いします」

 

「わかりました」

 

「となると護衛も必須だな……、海防艦達に任せるか」

 

「おおみや、つだぬま、いずみと、海防艦6隻を元に編成します」

 

「それでいい、人選は任せる」

 

「了解」

 

「そういえば、アルタラス王国やトーパ、ネーツなんかも艦隊を出すんじゃないのか?」

 

「ええ、アルタラス王国からは例の空母が来るみたいです」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

アルタラス王国海軍省

 

 

「ルミエス級航空母艦を出すわけですか」

 

「うむ、護衛のイージス艦や駆逐艦と、トーパ、ネーツ両国のフリゲートと艦隊を組むことになる」

 

 

海軍大将のザカツキ大将は、今回の観艦式を新生アルタラス王国海軍のお披露目として期待していた。

 

 

 

かつて、アルタラス王国海軍は、パーパルディア皇国からの侵攻を受けた際に、ロデニウス連邦共和国からの支援を受けてこれを撃退したことがある。

 

 

この時の海軍戦力はまだまだ地球における中小国の海軍程度だったが、今や複数の機動部隊を抱える立派な地域大国である。

 

ロデニウス連邦共和国に次ぐ第三文明圏No.2としての実力を世界に知らしめる必要があるとして、今回の派遣に至ったわけだ。

 

さらに、アルタラス王国は、国内の潤沢な魔石をより効果的に利用するための新技術を開発しようとしていた

 

 

[魔導電磁カタパルト]

 

 

ロデニウス連邦共和国のロデニウス級航空母艦に搭載されている電磁カタパルトを魔法で再現しようという試みで、ロデニウス連邦共和国の技術の大本たる幌筵泊地に資料提供と最高レベルの技術者の派遣を要請しているほどである。

 

 

(ちなみに幌筵泊地は派遣について難色を示している。えっ?、なんで同盟国なのに難色を示しているのかって?、電磁カタパルト含めた艤装関係の責任者と言えばこの間鬼畜すぎる残業で過労死しかけた平河くん。休養させる予定の彼を派遣する訳には行かんのだよ、軍事的な指揮能力はさほどとはいえ、一応幌筵泊地自体の副司令だし)

 

 

ちなみに、アルタラス王国が作ろうとしているのがこちらの空母である。

 

 

シルウトラス級航空母艦

 

排水量 80000t

全長 315m

全幅 76m

機関 COGAG+魔導発電磁機

推進器 スクリュープロペラ6軸+魔導電磁推進器×2

カタパルト 魔導電磁カタパルト×3

出力 22万馬力程度

速力 32ノット

兵装 20mmファランクスCIWS(ターラ級増産によって退役する艦艇より流用)×3、ESSM発射器(シースパローランチャーを改造し流用)×2、SeaRAM×4(完成品輸入)、他重機関銃

搭載機 最大80機(編成は以下の通り)

F/A-18E・A「アルタラス=ホーネット」装備の2個航空団(1個航空団32機

第002王国海上竜騎士団

第003王国海上竜騎士団

 

(001は演習部隊、現有空母航空団は、ロデニウス連邦共和国式命名法則のため名前が異なる)

 

 

第703王国母艦支援航空団

 

EA-6C「ニュー・プラウラー」×5

 

E-2Dホークアイ(完成機輸入)×2

 

SH60K×6(ロデニウス連邦共和国並びに幌筵泊地の用途廃止機を導入予定)

 

C-3×3

 

 

 

おおよその外観はまんま某東アジアの超大国が作ってる通常動力空母である。

 

 

こんなの作れるのかって?

 

とりあえず計画だけは進めてるらしい

 

 

出てきた艦載機については以下の通り

 

 

F/A-18E・A「アルタラス=ホーネット」

 

F/A18Eに日本製(幌筵泊地製)誘導弾へ対応させ、かつ、弾数が限られている航空部隊の秘匿兵器であるYJ-91に対応させたモデル。主敵が戦艦を有するグ帝へと切り替わったため、戦艦への有効打となりうる超音速対艦ミサイルは必須となった。

 

 

EA-6C「ニュー・プラウラー」

 

EA-6Bで計画されていた先進能力型や、A-6Fの改修内容、EA-18G並の電子戦能力を持つ電子戦/攻撃機、アルタラス王国で運用中の空発型の対地・対艦ミサイルも搭載可能。元はEA-18Gを導入予定だったが、電子戦のための長時間の空中待機は、航続距離の短いF/A18シリーズでは難しいと判断したアルタラス王国海軍は、このタイプを採用することとした。

 

 

 

C-3

 

S-3ヴァイキングベースの輸送機。空中給油も担当する。エンジンを丸ごと積めるのが特徴。ターボファンエンジン付きの艦上輸送機/空中給油機としては、ロデニウス連邦共和国のM-3オールラウンダーがあるが、超弩級空母を運用しているロデニウス連邦共和国ならいざ知らず、この大きさでは艦載機数を減らしてしまうだけだと判断した調査班が、ロデニウス連邦共和国海軍経由で幌筵泊地に相談したところ、ちょうど護衛隊群でS-3ヴァイキングの派生型を考案していたため、これを提案し採用された。

 

 

 

「大型空母に、後は戦艦さえあれば……」

 

「大将、さすがに戦艦は……」

 

「いや、わからんぞ、今後はグ帝が相手になる。空母だけでは足りぬ。戦艦を導入すべきだ……、ぜひロデニウス連邦共和国、欲を言えば幌筵泊地に直接留学生を送り込みたい……」

 

 

外圧に苦しんだ国らしく、やはり力が欲しいようである。

 

 

 

 

 

 








次回、「剣就役!、異界の観艦式!」


ではなく……、お正月企画になります

多分ちゃんと正月に出せるはず。





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新年企画
お正月企画:幌筵泊地VS怪獣たち❶





はい、というわけでお正月企画です。

今回もネタのオンパレードとなっていますので、どうぞお楽しみに。

某邦画に影響を受けまくったとは口が裂けてもいえぬ……

ちなみに今回も物語には一切関与しませんので御安心ください


今回もどっかから頼れるお友達(?)が来てます



注意:夏休み企画同様メタ発言がクソ多すぎるので苦手な方はご注意を

それと今回は、うp主が作中人物として振る舞ってます。苦手な方はご注意を


 

 

 

幌筵泊地沖、500km

 

 

 

「えっ!?、ここはどこ??」

 

「やぁ指揮官。お目覚めかい?」

 

「エンタープライズ……、ここがどこだかわかる?」

 

「分からない……、指揮官も心当たりが無いのか?」

 

「ないわね」

 

 

エンタープライズ、と呼ばれたKAN-SENが、辺りを見渡すと、そこには地球よりも遠くに広がる水平線。

 

 

「艦載機を出すかい?」

 

「お願いするわ」

 

 

そう言ってF-22を飛ばすエンタープライズ。

 

まぁ、作者の作品に慣らされた読者諸君はもう薄々察しているとは思うが、このKAN-SENと指揮官、というかこの指揮官はTS、要は女体化した我らが主人公、多元なのだ。

 

 

ついでに言うと、エンタープライズとは百合百合な関係である(というかエンタープライズが一方的に迫った結果だが)

 

 

 

そんな彼女たちは、元々、セイレーン警戒のために艦隊を出撃させていたのだが、どうにも異世界に飛ばされたらしい。

 

 

「どうしたものかしらねぇ……」

 

「指揮官、早期警戒機から報告だ、前方に空母機動部隊。既に早期警戒機に通信が入っている」

 

「わかったわ、私に回して」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

一方その頃、幌筵泊地執務室

 

 

「あー……、クソ眠い……」

 

「あれ?、先輩もですか?」

 

「うん、お前もか腰堀?、なんか変な夢見てな」

 

「どんな夢です?」

 

「いやぁ……突然女になってよく分からんイケメン女子に襲われてた」

 

「女体化ですか……僕もそんな夢を見ていましたよ……建御名方に襲われましたね」

 

「なーんか現実味があつたんだよねぇ」

 

「もしかして……、また作者ですかね?」

 

「お前も言うようになったな……、わからん……、だが恐らくろくでもないことなのは薄々感じる」

 

 

と、ここで執務室の電話が鳴る。

 

 

「はいこちら幌筵泊地。………、はい……、はい……、なるほど……、えっ?、いやっ……、ん?、ええ……、なるほど。はぁ……」

 

 

ガチャリ

 

 

「くそがぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあァぁあぁぁぁあぁぁあぁっっっ」

 

 

椅子から飛び上がり、素早く20式小銃を手に取り、着剣して戦闘態勢に入る多元。

 

 

「せ、先輩!?」

 

「大和の部屋に行ってくる。恐らく奴が来てる」

 

「武器仕舞って下さい!」

 

「うるせぇ!、今日という今日は逃がさんぞ!」

 

 

素早く部屋を出て大和の部屋に向かう。

 

 

「大和、うp主の阿呆はいるか」

 

「あ、提督……、後ろ」

 

「あー、すまんすまん。一言言っておくべきだったな」

 

「てめぇいつもいつも……」

 

「そんなことを言ってる場合じゃない」

 

「はっ!?」

 

「まず最初に言っておこう。今回の転移俺は関与していない」

 

「何!?」

 

「俺が今回呼ぶ予定だったのは、日本だ」

 

「結局呼ぶつもりだったのかよ……」

 

「まぁ、そんなのはどうでもいい、はっきり言って他の奴らが転移してきたのが異常だ」

 

「俺たちが転移してる時点で異常のへったくれもないがな」

 

「それはそうと、俺がこっちに来る時、正体不明のエネルギー波を感知した」

 

「何!?」

 

「そのデータをとりあえず渡しておく」

 

 

そう言うと、うp主はUSBを渡す。

 

 

「随分と容量がデカイな」

 

「作者権限でクソデカ容量にしておいた。スパコン以外で開くんじゃねぇぞ?」

 

「開いたらどうなる?」

 

「某ジャンプ作品中最強格の某先生の技食らったのと同じで何も出来なくなってクラッシュする」

 

「わかった」

 

 

メモリを受け取ったことを確認したうp主は颯爽と消える。

 

 

「おい待てどこへ行く?」

 

「ん?、有馬記念」

 

「一応これ正月に出すブツだろ」

 

「知ったこっちゃないねぇ、この辺の執筆時点じゃクリスマスにもなってないからな」

 

 

いい加減グダグダしてきたから一旦場面を変えよう……

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

ロデニウス連邦共和国海軍第2艦隊

 

 

旗艦「クワ・トイネ」

 

 

「司令、早期警戒管制機が機動部隊を確認しました」

 

「何!?、幌筵泊地か!?」

 

「いえ、IFFには反応ありません!」

 

「不味いな、艦載機発艦準備!」

 

 

甲板が慌ただしく動き、艦載機が風魔法の支援を受けて発艦する。

 

 

「こちらはロデニウス連邦共和国海軍第二艦隊旗艦クワ・トイネ、そちらの所属を応えろ!」

 

<<こちらはマドラス基地所属、艦隊司令の多元実です。現在漂流に近い状況になっています>>

 

<<状況は理解した。対応を協議する>>

 

 

無線を切ったクワ・トイネの中はちょっとした騒ぎになった。

 

 

「多元!?、うちの多元実司令と何か関係が!?」

 

「いやわからん。これはもうここで手に終えるレベルではない。本土に連絡だ」

 

 

そう言ってロデニウス連邦共和国海軍本部に連絡が行く。

 

 

<<幌筵泊地に連絡します、そのまま監視してください>>

 

「わかりました」

 

 

本部にいる担当者が上層部からの指示を伝える。

 

 

連絡を受けた幌筵泊地は、第5機動艦隊に出撃命令を出し、多元と腰堀を乗せて向かった。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

一方、エンタープライズ含めたKAN-SEN部隊

 

 

「よっこいしょ」

 

「あ、元帥!」

 

「あっ、うp主てめぇ!」

 

「いや待て、落ち着け、マジで今回は俺は関与していないんだ」

 

「はっ!?」

 

 

帰ると言っておきながら、実とエンタープライズの前に現れたうp主。

 

 

「恐らく例の神様補正だろう、俺が本来呼びたかったのは日本国だが、恐らく神様補正かなんかで君らが呼ばれたんだ、恐らくこの世界に別の危機が迫っていると考える。俺がその理由を探っているが、全くと言っていいほどわからん。だが、恐らくろくでもないことに決まってる。今回の編成は?」

 

「今回の編成は、エンタープライズ、ボルチモア、吾妻、ラフィー、ダンケルク……「おい待て今ダンケルクって言ったか?」

 

「えっ、アッハイ」

 

「マジか……」

 

 

つまり要するに「彼」もいる訳で……

 

 

「事態は急を要するって訳だな」

 

「そういうものなんですか?」

 

「そういうことだろう、普通ならこっちにいる装備と部隊でなんとでもなるはずだからな」

 

「で、私はこれからどうしろと?」

 

「恐らく、流れ的に幌筵泊地に向かうことになる。お前も居るが、まぁ心配は要らん、上手く話は合わせておく」

 

「わかった、指揮官、ここは元帥に任せよう」

 

「ええ、そうしましょう」

 

 

エンタープライズが元帥ことうp主に任せることを提案し、実もそれに同意する。

 

彼女たちがいる世界では、うp主が作中の人物として機能しており、元帥という立場で彼女たちを支援しているのだ。

 

 

「んじゃ行ってくる」

 

 

そう言うと、者主は消えた。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

幌筵泊地にて

 

 

「ふう……、すまん戻ってきた」

 

「有馬記念行くじゃ無かったのか?」

 

「いや、その前に1つ説明してやる必要があると思ってな」

 

「ん?、何をだ?」

 

 

あれこれ説明中………

 

 

「ろくでもないということは伝わった」

 

「よし、どう接触するかは任せた」

 

「いや、接触しない、同じようなやつがいると色々めんどくさいからな、ちょうどお前がいるから指示出せ、あ、もう1つ。何故彼女たちが呼ばれたんだ?」

 

「調べた、魔帝絡みだ」

 

「魔帝?」

 

「ああ、かつて魔法帝国も対応に苦労したとされる爆発的な繁殖力を持つ生物がこの世界に居たらしい、そいつがまもなく復活するということだから対応してくれということだ」

 

「出現場所がめんどくさいところなんだろうな」

 

「理解が早い。出現場所が10箇所に分かれている。しかも、一箇所はロデニウス大陸近辺だ」

 

「何が出てくるんだ?」

 

「2種類だ」

 

「片方は?」

 

「お前らどころか、今のロデニウスでも対応可能」

 

「もう片方は?」

 

「一体しか居ないが、その分回復するから厄介」

 

「おい……、それって……」

 

「そうだ、ほぼジラとゴジラだ」

 

「ゴジラはいつの奴の仕様だ?、アースレベルが出てきたらさすがにこの星を出るぞ?」

 

「そこまではわからんが、アースならそもそも攻撃が効かんだろ」

 

「それもそうだ」

 

「安心しろ、政府も既に把握済みだ」

 

「何故?」

 

「最近深海魚が打ち上がっていると報告が出ているらしい。そこにアルタラス王国から送られてきた資料から判断したらしい」

 

「誰かさんが手回ししたんだな、だいたいわかった、で、政府におけるお前の立場は何だ?」

 

「幌筵泊地転生者の1人、者主大佐」

 

 

と、ここで政府から通達があり、不明生物に対して幌筵泊地で対応を検討して欲しいと通達が来た。

 

 

<<幌筵泊地転生者全員集合、緊急会議を行う>>

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「全員集まったな?、転生者会議を開始する、者主大佐は説明を」

 

「了解、これまでの情報を精査したのがこちらです」

 

 

・第三文明圏各地で、民間船襲撃の報告が相次いでいるということ

・ロデニウス大陸近海で深海魚が多数打ち上げられていることが確認されていた

・アルタラス王国で見つかった資料を元にすると、これらは魔法帝国が封印したとされる生物が復活する兆候と見られる

・資料を元に推測されるのはジラとゴジラ

 

 

最後の情報で転生者全員が焦った。

 

 

「どのタイプのやつです!?、アースでは無いのは確実らしいですが、シン・ゴジラみたいなやつなら航空戦力が無力化されますよ!」

 

「いや待て、逆に対応は楽だ、ミサイルぶっぱなして息切れさせた後に血液凝固剤をぶち込めばいい、問題はGMKゴジラだ、アレは頭が切れるからこちらの作戦が読まれる、というか武器が効かん」

 

「映画と同じように口に突入するしか無いでしょ、出来るかはさておき」

 

「モンスターバースゴジラなら攻撃がそもそも通らないんですがどうします!?」

 

「反射衛星砲でも田城砲でも持ってくるしかないな」

 

「FWゴジラなんぞ来られた暁には、艦娘が軒並み狙い撃ちにされますよ」

 

「そりゃどれも一緒だろ、どの道航空戦力と戦術機ぐらいしかまともに対応出来なくないか?」

 

「奴の精度的に航空機もやられる気もするが、戦車は確実にやられるから引っ込ませよう……、量産性の高い戦術機何機か用意するしか……ってそれで高性能なやつってあるのか?」

 

「その時考えましょうよ……、って今がその時に当たりますね」

 

「真多くん、波動エンジンの開発急いで」

 

「できる限りは」

 

「時間断層は?、ついでにドレッドノートも」

 

「時間断層の前に波動エンジンが無いと何も作れません」

 

 

喧々諤々の議論が飛び交う中、遂に情勢は動き出す。

 

 

「ロデニウス連邦共和国沿岸艦隊より入電!、本土に向けて泳いでいる巨大不明生物を発見!、現在哨戒艦隊によって応戦中!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

ロデニウス連邦共和国第4ミサイル戦隊

 

 

「潜水UAVが食われました!」

 

「全艦砲戦用意!、魚雷発射管開け!、対艦ミサイル発射用意!」

 

 

127mmの主砲が旋回し、泳ぐ巨大不明生物に照準を合わせる。

 

 

「撃てぇ!」

 

 

単縦陣かつ高レートで撃ち出される砲弾が巨大不明生物の体の背中に着弾する。

 

 

「潜水UAVに攻撃指示!」

 

 

潜水UAVから魚雷と機雷が放たれ、こちらも巨大不明生物を攻撃する。

 

 

この攻撃だけで、普通の生物なら何回か死んでもおかしくない攻撃ではある。

 

 

 

しかし……

 

 

 

「クソっ効いてない!、いや効いているはずだが回復していやがる!」

 

「こんなやつどうしろって言うんだ!」

 

「マズイ、潜られるぞ!」

 

「対潜兵器に切り替えろ!」

 

 

と、巨大不明生物が潜り始めたところを見た沿岸艦隊はアスロックによる攻撃にシフトした。

 

 

「垂直発射型アスロック、攻撃始め!」

 

 

VLSからアスロックが放たれ、水面に着水。水中の巨大不明生物に攻撃を開始する。

 

 

「やったか!?」

 

 

爆発と水面に浮き上がった気泡に思わず声の出る沿岸艦隊

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

「巨大不明生物、健在、真下でs……」

 

 

 

 

と、その時、旗艦だったフリゲートが青白い光に包まれて消滅した。

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

幌筵泊地

 

 

「…………」

 

「………」

 

「………」

 

 

沿岸艦隊のヘリから映される映像を見て固まる転生者たち。

 

 

 

「間違いない、マイゴジだ」

 

「対応は作品と同じになりそうですね」

 

「だな……、物資の用意を頼む」

 

「了解」

 

 

転生者達は各々の仕事をするために出ていく。

 

 

「沿岸艦隊は必死に命を張って戦った……、次は俺たちだ。ゴジラだろうがキングギドラだろうがキングコングだろうが、俺たちが技術でねじ伏せてやる!」

 

 

沿岸艦隊旗艦の乗組員全員の訃報を確認した多元は、1人残った会議室でそう声を上げた。

 

 

 

 






ちょっと全部書くと三が日過ぎそうなので、最初だけお正月に投稿します^^;、申し訳ないです。


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お正月企画改め新年企画、幌筵泊地VS怪獣たち❷



「やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな」

「それよりアイツを何とかしないと……」

(強さの違う怪獣に対する幌筵泊地並びにKAN-SEN部隊達のボヤキ)


いやほんと遅れて申し訳ございません!、ガチでテストとレポートと追試と風邪とその他もろもろで身動きが取れませんでした!





 

 

 

「スー○ーX3もってこい!」

 

「一応名前違うですけど……」

 

「うるせぇ、爆撃機ももってこい!」

 

「マイゴジに効きますか!?」

 

「動きさえ封じ込めれば後はワダツミ作戦を金剛4隻でやるだけでなんとかなるはずだ」

 

「ジラはどうします!?」

 

「例の現れた連中に提督が説得してる」

 

「ミサイル当たりますかね?」

 

「最悪手動でやるしかないだろ」

 

「手動のミサイルなんていつの世代のミサイル使わせる気ですか……」

 

「違う、砲弾を手動照準で合わせるんだ」

 

「無茶を言うな!」

 

 

本土に接近するマイゴジへの対応と、数の多すぎるジラへの対応を同時進行で行う幌筵泊地。

 

ロデニウス連邦共和国軍は良くも悪くも現代軍すぎるので、こんな怪獣に対する対応がまともに出来ない。

 

 

「マイゴジ、さらに接近!、潜水艦隊が既に交戦中との事!」

 

「誰かゴジラの音声持ってないか!?、特撮オタクなんてこの泊地にゴロゴロ居るだろ!」

 

「どこに誘導します!?」

 

「とりあえず本土から引き離せ、浅海域じゃ沈めようがない」

 

「無人ミサイル艇爆弾出撃完了!」

 

「よし、奴が熱線を出せなくなるまで徹底的にやってやれ」

 

 

 

幌筵泊地は、様々な生物の生息するこの異世界において、敵対的かつ、危険性の高い生物に対応するために特生自衛隊を編成していた。

 

特生自衛隊が仮想敵としていたのは、様々なシリーズの怪獣作品の主役級などの有名どころや、マイナー怪獣なんかも想定しており、特にゴジラは最たるものだった。

 

今回のマイゴジに対しても同様で、幌筵泊地はヤシオリ作戦とワダツミ作戦のミックス型である「ダルマ・マサムネ作戦」を発動、幌筵泊地の技術と戦力にものを言わせて確実に仕留める算段だ。

 

 

「金剛型にフロンガスと重りとその他もろもろ搭載終わりました!」

 

「よし、出撃!」

 

 

金剛型が出撃していく。

 

 

「潜水艦隊は?」

 

「魚雷をしこたま撃ち込んでるんですが、逃げられてます!、原潜以上のバケモンですよ!」

 

「バケモンにはバケモンをぶつける、つまり俺たちをぶつけるんだよ!」

 

「哨戒機部隊がゴジラを捕捉!」

 

「音響魚雷投下!、ゴジラの音源で足を止めさせろ!」

 

 

 

幌筵泊地VSゴジラの第一戦が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

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幌筵泊地対潜哨戒機、P-1

 

 

「音響魚雷投下!」

 

 

ゴジラを追尾していた対潜哨戒機部隊によって、ゴジラの音源を封入した音響魚雷を投下する。

 

投下された魚雷は、水中でゴジラの声を発し、ゴジラを誘導する。

 

 

「誘導成功!、ゴジラ、キルポイントに誘導されています!」

 

「よし、監視を続けろ!」

 

 

P-1は熱線を受けないよう注意しつつ、監視を続ける。

 

 

「キルポイントに到達、ゴジラ、直立します!」

 

「無人ミサイル艇爆弾配置につきました!」

 

 

直立したゴジラの前に立ちはだかる多数のミサイル艇。

 

 

「よし、ダルマ・マサムネ作戦を開始する!、第1段階、陽動初め!」

 

 

 

 

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無人ミサイル艇爆弾がいっせいに加速し、ミサイルを撃ちながら接近する。

 

 

「ミサイル艇、ミサイル全弾発射、なおも接近!」

 

「どうせコルベットの置き換えで余剰になった余り物だ!、接近しつつ、攻撃を回避させて弾切れにしてやれ!」

 

 

対艦ミサイルの着弾により、凄まじい爆発音と閃光がマイゴジの表面に生じる。

 

 

「やったか!?」

 

 

その言葉を嘲笑うが如く、噴煙の中から傷を修復しつつマイゴジがやってくる。

 

 

「通じてません!」

 

「クソが!、やっぱりメカゴジラでも持ってこないとダメなのかよ!」

 

「んなもんどうやって作る気ですか!」

 

 

と、マイゴジが放射能熱線でミサイル艇を破壊する。

 

 

「A12、15、27、爆沈!」

 

「A36、コントロール不能、突入します!」

 

 

コントロール出来なくなったミサイル艇は自爆のためにマイゴジに向けて突入する。

 

 

「爆撃機隊、配置につきました」

 

「ミサイルをありったけ叩き込んだら離脱しろ、有人機は下がらせるんだ。無人なら幾ら喪失しても金しか失わん」

 

「了解、B-52、B-2、B-1、B-21、Tu-160、Tu-95、H-6、Tu-22M攻撃を開始」

 

 

巡航ミサイルを満載した爆撃機が攻撃する。

 

 

「ミサイル艇、現在30隻を切りました」

 

「現在巡航ミサイル着弾中、百発超えててますが恐らく効かないでしょう」

 

 

マイゴジは潜って逃げようとするが、既に潜水艦隊によって下には機雷原が用意されているため、逃げられない。

 

 

だからと言って、放射能火炎を放つも、囮となっているミサイル艇にしか命中しておらず、その火力も次第に散発的かつ、弾切れの様相を呈してきた。

 

 

「マイゴジ、弾切れの模様」

 

「金剛以下の4隻を突入、深海に持っていくぞ」

 

「了解!」

 

 

 

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<<比叡、榛名、霧島!、着いてきてくださいネ!>>

 

<<はい、お姉様!>>

 

 

4隻がいっせいに行動を開始する。

 

 

<<ロケットチェーン、発射!>>

 

<<チェーン飛翔中!>>

 

 

艦後部に取り付けられたロケットアンカーを元に開発したロケットチェーンによってゴジラをぐるぐる巻きにする。

 

 

<<比叡お姉様、固定完了です。瞬間凝固剤をお願いします>>

 

 

霧島の言葉で比叡からこれまたロケットアンカーを元に開発したロケットホースが口元に突き刺さり、瞬間凝固剤がぶちまけられる。

 

ゴジラなどの怪獣退治において最も脅威なのはその口から発射される放射能火炎。

 

だったらそのめんどい口を塞げば良くね?、との考えから瞬間接着剤のごとくすぐに固まる凝固剤を作ろうというアイディアになったのだ。

 

ちなみにこれを開発したのは、幌筵泊地がまだ地球にあった頃の話で、これの前身のおかげで土木工事が従来の10倍の速度で進むようになった。

 

要するに瞬間凝固剤を少し弄ると素早く固まってくれるコンクリートになるというわけだ。

 

恐ろしいね。

 

尚、今回の作戦において、金剛型四隻は後部砲塔を全て外してある。

 

 

 

 

えっ?、時間あるのかだって?

 

 

 

幌筵泊地はマルチロールを大事にするからその辺弄りやすいんだよ(強引)

 

艦艇装備を多様化させて艦艇自体をプラットフォームにしようとする人たちだから……。

 

 

原作で響と雪風で抑え込まれたマイゴジが、核融合炉持ちの金剛型に引っ張られて敵うはずもなく、あっさり拘束される。

 

 

「よし、投下!」

 

 

転生者の指示で、重りが投下され、ゴジラが海底に沈んでいく。

 

 

今回は、重りとして不要になった徹甲弾や、艦娘達に見つかるとマズイエロ本、開発に失敗した時に出てくるペンギンなんかを括りつけて下ろした。

 

 

「ゴジラ、急速に降下!」

 

 

報告を受けた金剛4姉妹のうち、武闘派かつ知能派(この2つが両立することなどあるのだろうか??)の霧島が素早く分析を始める。

 

 

「作戦通り……ですが、ゴジラもゴジラ、一筋縄ではいかないでしょう。念の為に後方に待機している駆逐艦娘にアスロックの発射要請をかけますか?」

 

「要らないネ、むしろ拘束が外れてしまいマース」

 

 

金剛がそう答える。

 

 

もがき苦しむゴジラだが、やはり水圧だけでは死ぬはずがない。

 

 

「一気に上げマース!、ヘリウムガス注入!」

 

 

元ネタよりも一気に浮上させるべく、ヘリウムガスを注入。一気に投入した上で一気に浮上させる。

 

 

「気合い、入れて、行きます!」

 

「榛名、全力で参ります!」

 

 

比叡、榛名も全力で引き上げる。

 

 

スクリューが高速回転し、モーターが唸りを上げて回転する。

(幌筵泊地所属戦艦は全て核融合炉搭載であり、電力を使って行動するため電気推進である)

 

 

「まもなく海面到達!」

 

 

浮上してきたゴジラは明らかに表面が剥がれ、異常を呈している。

 

 

「冷凍光線発射用意!」

 

 

前部主砲をとっぱらい、何故用意されたのかも分からない冷凍光線を持ってきた長門が攻撃態勢に入る。

 

 

「冷凍光線発射!!」

 

 

ビームを撃たれたゴジラは完全に凍った。

 

 

<<ゴジラ、完全に氷結>>

 

<<運搬船に回収させろ、メカゴジラにすっぞ>>

 

<<おいやめろ、暴走したらどうするつもりだ>>

 

 

 

 

 

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一方、ロデニウス連邦共和国沿岸部にて

 

 

「撃てぇ!」

 

 

自走砲の効力射撃が行われ、やってくるジラの幼体がバラバラになる。

 

 

「戦車隊回れ!、1匹陸に上がったぞ!」

 

「航空隊来ました!」

 

 

上陸した個体には幌筵泊地戦車隊や、ロデニウス連邦共和国陸軍や、海兵隊の戦車隊が襲いかかる。

 

 

「動きが速いだけだな」

 

「やっぱりマグロを食っているようなのはダメだな」

 

「防衛側がそれ言っていいのか!?」

 

「愚痴らせろ、それくらい。次来るぞ!」

 

 

戦車隊の砲撃と、航空部隊の支援により、ジラは瞬く間に駆逐される。

 

 

「次弾装填!」

 

「撃てぇ!」

 

 

また一体倒される。ジラはアメリカで大暴れしたようだが、怪獣対策二流国家風情でイキっているようではロデニウス連邦共和国ももちろん、幌筵泊地は倒せない。2014年仕様で出直してこいとしか言いようがない。

 

(おいフラグだぞ)

 

 

「アルタラスに向かった奴らはどうした!?」

 

「例の機動部隊が対応しています!」

 

 

 

 

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「目標補足、レールガン発射」

 

 

76ミリのレールガンが、アルタラス王国に上陸を試みるジラをぶち抜く。

 

TS転生者がブレスト基地の指揮官、ダイワ指揮官向けに開発した特注機の威力は対異生物でも健在で、その火力で次々と屠っていく。

 

詳細なスペックは以下の通り

 

 

 

全長 17m

全幅 8m

全高 6.5m

主機 極超音速機用回転式デトネーションエンジン

速力 マッハ7(機外搭載型兵装搭載時)

   マッハ12(追加兵装なし時)

旋回半径 機体荷重的には96式並、パイロットの耐久力で考えればだいたい零戦並(マッハ5にて)

航続距離 増槽無し4500km、増槽有り(マッハ4の速度制限付き6000km)

固定武装 40mmレールガン×6門(毎分4500発)、装弾数は一門あたり65発で、バースト射撃も可能(ちなみにこの作業で1人倒れた)

搭載兵器 <誘導弾>極超音速中距離空対空ミサイル×8発と近距離用小型極超音速空対空ミサイル×8発、または極超音速対艦ミサイル×4発と近距離用小型極超音速空対空ミサイル×4発、或いは極超音速空対地ミサイル×6発と近距離用小型極超音速空対空ミサイル×6発等々をウェポンベイ内に収容可能、その他もろもろも当然搭載可能だが割愛。

<爆弾>各種爆弾を8t、と近距離用小型極超音速空対空ミサイル4発を同時に運用可能

<ガンポッド等>76mmレールガン×1基または57mmレールガン×2基を装備可能

探知能力 ステルス機を200km先から探知可能、最大探知距離は600km

ステルス性 アクティブステルスを採用しているものの、本機自体もそれなりにステルス性はあり、組み合わせることで60kmでヨナグニサン並

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

「ダンケルク、方位○○○に効力射撃」

 

<<わかったわ!>>

 

 

490mmの巨砲が卵から孵化したばかりのジラに向けて降り注ぐ。

 

 

<<脆いな……、やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな>>

 

「脆いわね……、やっぱりマグロ食べてるようなのはダメなのかしらね」

 

<<脆い、やっぱりマグロ食ってるようなのはダメね>>

 

 

ダイワ指揮官、KAN-SENのダンケルク、TS多元が全く同じことを口にする。

 

 

「指揮官、航空隊が補給を求めている」

 

「許可するわ、まだまだ数が多い。継続的な航空支援を」

 

「任せろ」

 

 

エンタープライズが艦載機を次々に発艦させ、ジラに空爆を繰り返す。

 

 

「一部が市街地に向かっています」

 

「了解、アルタラス王国軍に伝える」

 

 

エンタープライズ艦内に素早く入った情報は、アルタラス王国軍に素早く共有され、迎撃に入る。

 

 

「戦車隊、応戦せよ!」

 

「撃ち方、始め!」

 

 

アルタラス王国に配属されたばかりの新鋭、M1A2エイブラムスも全力で砲撃を開始し、上陸阻止に動く。

 

 

「海に戻ったヤツがいるぞ!」

 

「対潜兵器で始末しろ!」

 

 

護衛のKAN-SEN達がアスロックで対応する。

 

 

「意外と当たりますね」

 

「やっぱりマグロを食べてるようなのは……ダメ」

 

「もー!、さっきからそればっかり!」

 

「別にいいんじゃないの?、にーみちゃん」

 

 

いつもの4人もジラ相手にガンガン攻撃を仕掛けていく。

 

アルタラス王国の白い砂浜は、かつてのロパ戦争のように赤く染めあげられていった

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

数日後、幌筵泊地にて

 

 

「これがゴジラの心臓?」

 

「デカイな……、それでいてまだ生きているようだ」

 

「大小合わせて数万発単位と対艦ミサイルと巡航ミサイル、水圧による攻撃、オマケに冷凍光線まで喰らったのに心臓は無事、下手したら再生すら始まってる有様かよ……」

 

「なんかに使えないか?」

 

「なんとなく嫌な予感しかしないな」

 

「バラバラにした上で幌筵泊地の最深部に保管だ、気味悪すぎてロデニウス連邦共和国側も引き取り拒否してたぞ」

 

「アルタラスの方も腐敗臭が酷いらしいから焼却処分だな」

 

「ジラの方は何か特徴あったか?」

 

「なんも、恐竜と大差ないな」

 

「やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな」

 

「それでも現代兵器無しのフェンとかに行ったら不味かったな。ジラの方は今後卵も見つかる可能性があるから気をつけないとな」

 

「勘弁してくれよ……、それで?、提督は何処に?」

 

 

 

 

 

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幌筵泊地運動場

 

 

「やっぱり運動機能以外は大差ないな」

 

「ええ、開発能力も相変わらずと言った感じで……」

 

「どうする?、このまま残る?」

 

「いや、さすがにこのまま残るとあっちの世界が……」

 

「それもそうだった」

 

「でもまぁ、あと数日は居るので、ダイワ指揮官から空戦の手ほどきを受けてもよろしいかと」

 

「そうさせてもらうが……、やっぱり女体化しているとはいえ自分と話すのって違和感ありありだな……」

 

 

その後、数日間有意義な技術交流を続けたTS多元と転生者であった……。

 

 

 




ダルマ・マサムネ作戦の元ネタは達磨政宗というお酒があるらしく、それを海に沈めて熟成させるものがあるので、ヤシオリ▶︎お酒、ワダツミ▶︎海に沈めるのミックスとして採用しました。


「やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな」が多すぎるのは作者が使いたかっただけです。



新年企画が伸びてしまい申し訳ないです。


今年に入って日常生活の忙しさに拍車がかかり、思うような創作時間が取れないことが多々ありました。

今後もかなり忙しくなることが予想されるので、投稿頻度が低下することが予想されますが、なんとか愚帝戦以降は投稿頻度を戻せるようにがんばります。

私の他作品についても、順次投稿頻度を回復させる所存でございますので、何卒よろしくお願いします。







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第43話 剣就役!、異界の観艦式!①




「長距離航海にもう少し時間を割くべきだったかもしれない……」


(諸問題が浮上してきてしまった今回の一件を受けて、海軍上層部)


少しずつ再開していきます。他作品もそれに追随する形になると思います。









 

 

 

「では行ってきます」

 

「よろしかったのですか?、せっかく艦隊を再編したのに……」

 

「いや、大丈夫。今回の主役はあくまでロデニウス連邦共和国海軍だ。我々がその座を食う訳にはいかないさ、それに……」

 

 

鳳翔との会話の中で多元が洋上の超弩級艦に目をやる。

 

 

「あのフネが今後我が泊地の総旗艦として動くのに値するかどうかも確認しないとな」

 

 

 

 

 

DDC-2100「剣」

 

 

その建造は、幌筵泊地の魔改造の匠である平河が仕事の合間に読んでいた漫画に登場する空母を見て閃いた艦である。

 

元ネタでは、対潜哨戒機を運用し、イージス艦のようなレーダーとアスロックを有するゲテモノ多段空母だったが、魔改造ゲテモノ属性過多大好きの平河は、見事にそれにハマり、まともに使えるような設計にすべく、徹夜で図面を引いた。

 

また、ちょうどその頃、P-1Bの開発も始まっており、何をとち狂ったのか、コイツを艦載機として運用(運用と言えるのか???)しようとしたために、元ネタよりはるかに大型化、それでいて高速機動できるように指定されたため、当然核融合炉を積むことになった。

 

まぁ、700mを誇る超超超弩級戦艦の建造もあるのでなんとかなると思っていたのだが、やはり何かがとち狂っている幌筵泊地、結果的にこうなった。

 

 

 

全長 1200m

全幅 400m

機関 核融合炉

速力 33ノット

艦載機 常用150機+任務に応じて陸上機を搭載、最大200機

艦載機内訳 F-3C蒼燕×10、F/A18J「ホーネット・ゼロ」×50、A-13「バンシー」×20、FB-22「カットラス」×40、E-201「エレクトロン・アイ」×2、KC-201「スカイ・ママ」×6、SH60L×12、MC-97「アース・シーガル」×10

陸上機 アルタラス王国との共同開発によって生まれた魔導着艦装置及び魔導発艦補助装置使用条件で、P-1B、B-21などの運用が可能

兵装 大型VLS×2(64セルずつ)、57ミリ速射砲×4、30ミリ機関砲×8、SeaRAM×12、20ミリファランクスCIWS×12、HiMAAAMランチャー×8

見た目 戦海の剣の剣と同じだが、武装が増えてる

 

 

コイツ休んでる間に紅茶を飲みすぎたな?、と思っている方のためにざっと解説していく。

 

 

F/A18J「ホーネット・ゼロ」

▶︎もし、日本がF-2のモデル機としてホーネットを採用していたら?、という考えの元、多元と腰掘という新婚ホヤホヤコンビが開発したF-2要素の高いF/A18E、大きさはほぼF/A18Eであるものの、炭素繊維の採用や、翼下ハードポイント用ステルスキャニスター(DESPAIRED様、アイディアありがとうございます!)の使用を可能とする、東西各種兵器に対応など、その実力は折り紙付き、もちろん洋上迷彩はしてある。

 

A-13「バンシー」

▶︎カナダ軍に提案されていたボンバルディアGlobal 6500ベースの哨戒機をあろうことか艦載機に改造した無茶ぶり仕様。だが、その搭載量はエンジン換装などで凄まじい結果となり、対艦ミサイル16発の搭載を可能としている他、爆撃機としても有用である。

 

FB-22「カットラス」

▶︎名前がなんとなく不名誉な気もするが、FB-22を艦上機にしたもの、スペックは以下の通り

F/B-22

全長 20m

全幅 14.5m

全高 5.08m

エンジン YF120-GE-100

最高速度 M2.0

固定武装 GAU-22×2

ミッション時兵装例

空対地ミサイル JSM×4

中距離空対空ミサイル AIM-120×4

近距離空対空ミサイル AIM-9X×4

(入るかって?、知らんな)

 

E-201、KC-201

▶︎M-3オールラウンダーの幌筵泊地採用モデル。炭素繊維の多用や、エンジン換装によって性能向上を果たしているが、攻撃機としては使わないため、早期警戒管制機兼電子戦機仕様と、輸送機兼空中給油機仕様に特化させることでさらなる性能向上を果たした。名前については完全にお巫山戯である。

 

MC-97

▶︎だいぶ放置されていた気もするが(作者主観)、宇宙戦艦ヤ○ト2199に登場するコ○モシーガルの地上モデル。見た目はほぼソレ

 

大型VLS

▶︎SM-6や、S-400、東風21Dやツィルコン、P-800。アスロックその他もろもろを運用するためのVLS、とはいえ対艦ミサイルなんぞ積むわけにもいかん(性癖的には積みたい)ので、基本は艦対空ミサイルと、対潜兵器を積んでいる

 

HiMAAAMランチャー

▶︎高機動兵器対応のために作られた推力偏向ノズル、姿勢制御スラスター付き高機動ミサイルを発射するためのランチャー。VLSから打ち上がるのすら惜しい程のタイミングで発射される都合、24連装のランチャーで、再装填装置も付いてる豪華仕様。読み方はハイマーム(High Mobility Advanced Anti Air Missile、高機動発展型対空誘導弾)、自爆ボート、ドローンにも対応。開発者は多元

 

 

 

  い つ も の

 

 

 

1200mの船体なんぞどうやって作ったんかと言えば、300mずつ結合しながら作ったらしい。一応洋上での補給や、揚陸の作戦指揮なんかも盛り込まれているため、幌筵泊地の地下司令部以上の指揮能力を持たせることを前提としているし、その気になれば燃料ガン積みで給油も可能。最早空母を超えた何かである。

 

 

ちょっと待て、こんなのムー国に停泊出来るわけないだろいい加減にしろ

 

 

そう思った貴方、何話か前の話を思い出して欲しい。

 

 

「同盟に対して反対のムー国の強硬派を黙らせる」

 

 

この目的ならデカすぎる空母で実力を見せつけるのは1種の手なのだ。

 

 

 

ただでかい船を作るだけではなく、この手の大型船はクソでかい船になればなるほど、船の前後での揺れは激しくなり、最悪の場合ポッキリ逝ってしまうことがままよくある(特に昨今のコンテナ船は大型化が進み事故も起きている)

 

ポッキリ逝くのも迷惑だが、竜骨部が曲がって支障が出るのも迷惑(材料力学的には降伏点を超えた応力がかかるって事なのか?野生の専門家が怖い)

 

その辺ちゃんと計算した上で設計出来るってことは大事なことなのだ。平河技師はイカれてるようで、実際優秀なのだ。

 

追加で、でかい船をまともに作って動かすだけでもすんごいのに、それで戦闘させるのはめちゃんこやべぇという訳で夜勤……じゃなかった冶金とかその辺すげぇとの評価も出る。

 

余談だが、幌筵泊地には夜勤学者……、また間違えた冶金学者もいるので、金属関係も何とかできる。が、魔法金属の各種数値(降伏点とかその他もろもろ)の計算のため夜勤込で奮闘中との事。

 

 

 

 

えっ?、結局停泊はどうするかって?

 

 

 

洋上で停泊することになった。

(出番食う食わないの話してたのに、出番食いそうなフネ出してる件については黙っておこう)

 

 

 

また、今回の観艦式に際してロデニウス連邦共和国も動く。

 

 

第1外洋艦隊所属の第1機動部隊と、第1打撃艦隊。それに支援艦隊が随伴する仕組みとなっている。

 

今回は、外交要素も含まれているので、外務大臣やロデニウス連邦共和国貴族院議長であるゼルゲート議員が随伴する。

 

ロデニウス連邦共和国としては、重化学工業の輸出先として極めて有力なムー国の今後のために、安全保障上の関係性を構築すること、今後の外交関係に第二文明圏の列強という立場からのサポートが欲しいという事情がある。

 

経済的にも、政治的にも、外交的にもムー国は重要であるため、この国とより深い関係を築く必要があるのだ。

 

今回、第二文明圏に至るまでの間に、MMAT参加国であるアルタラス含めた4カ国合同艦隊と共に向かうこととなっている。

 

進化した第三文明圏の実力を見せるべく、大艦隊がムー国を目指していた。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

アルタラス王国沖でMMAT連合艦隊を構成して数日後、思いもよらないトラブルが発生する。

 

 

 

「何?、燃料補給の効率が悪すぎる?」

 

「はい、補給艦の収容力を艦隊の燃料需要が上回っており、支援艦隊の増派が決定されています」

 

「そんなわけが無いだろ、ロデニウス連邦共和国の想定する戦域で活動するのに最適な……はっ!?」

 

 

そう、想定が甘かったのである。

 

 

ロデニウス連邦共和国の交戦相手は主にパ皇。空母や、戦艦、巡洋艦はちゃんと外洋活動に相応しい大きさだったが、あろうことか外洋艦隊の活動に必要な補給艦の大きさを測り損ねていたのだ。

 

これは幌筵泊地も想定外の事案で、そもそも幌筵泊地に長期間の作戦行動を前提とした作戦が初期の極わずかな南方方面の出撃であり、その時も他泊地、鎮守府からの支援を受けていた都合、幌筵泊地もまた後方支援の艦娘の魔改造をしくじっていたのだ。

 

いや、お前ら一応海自出身者とそこに納入する技術者やろがい!、とのツッコミがあるのだが、ここで問題なのは、なまじっか技術があるせいでその辺の根本的な対策を考えていなかったのだ。転生者異世界初のヤラカシである。

 

で、急遽幌筵泊地の補給艦系統の艦娘を70000tまで拡充する魔改造工事と、ロデニウス連邦共和国の補給艦を250mクラスに拡大する計画を立てたのだが、当然間に合うわけが無いので、ブラックバック作戦よろしく給油艦の大量投入を行った。

(尚護衛隊群については剣のおかげで何とかなった)

 

当然青葉率いる幌筵新聞にすっぱ抜かれ、ロデニウス連邦共和国のロデニウス産業経済新聞初めとした各種新聞にも叩かれた。

 

ロパ戦争終結後、さらなる敵、愚帝の存在があったものの、遠く離れた国の事柄であったことから、これ以上の軍拡が必要なのか?、という中で起きた事案だったからだ。

 

 

しかし、国内が騒がしくなっても、国外のことは進めなければならない。

 

 

MMAT連合艦隊は、第三文明圏から第二文明圏へとその進路を進める。

 

 

 

 

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ラドス級フリゲート艦内

 

 

「左2500、アルタラス王国海軍、ターラ級イージス艦です」

 

「上空ロデニウス連邦共和国海軍直掩機、交替時刻です」

 

「………、すごい大艦隊だな……」

 

「艦長?」

 

 

フリゲート就役時に就任した艦長が目の前の現実に驚きを隠せない。

 

空母が3隻も展開し、戦艦まで存在する数十隻の大艦隊の一部に加わるなど、少し前までは考えられなかったことだ。

 

彼も、それまで着ていた中世の格好から、現代の将校が着るような服に代わっており、一応見てくれは現代海軍そのものだ。

 

 

「艦長、空母ロデニウスより入電、艦長会議を行うので空母剣に向かって欲しいと」

 

「剣?、ロデニウスじゃなくていいのか?」

 

「規模がそちらの方が大きいようです」

 

「そうか……、ヘリを用意してくれ、すぐに向かう」

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

剣艦内、大会議室にて

 

 

 

「今回の観艦式では、各海軍による演習も含まれており……」

 

 

空母ロデニウス艦長のブルーアイが全体に向けた説明を行う。

 

 

今回、ムー国の観艦式には、ロデニウス連邦共和国、ムー国、アルタラス王国、トーパ王国、ネーツ公国の他に、マギカライヒや二グラートとといった第二文明圏も参加する。

 

観艦式なので、各艦の公開なども含まれており、MMATとしてどの船を公開するかや、演習の際の担当艦の割り振りなんかを決めている。

 

 

「………、以上です。尚、長距離航海の後なので、各艦の乗組員には、交代で陸に上がれるようにして英気を養うようにしてください」

 

 

英気を養うことは当然重要であり、上陸する際には家族へのお土産補助として、幾分かお金が出る。

 

これはロデニウス連邦共和国の出生率が未だ高いことによって、子供の数が多い家にはその分に応じて金額を増額しているのだ。

 

一度戦争が起きれば超絶ブラックになりかねない軍だが、少なくとも給与面ではかなりホワイトである。

 

もちろん犯罪なんぞ起こせば一発アウトである。略奪や強○などの犯罪を起こした場合、程度次第では人的資源が勿体無いので即銃殺刑にはしないが、士官だろうがなんだろうが閑職や前線に飛ばして冷たい目線とやっすい給料で定年まで使い潰す方針なので、それまでの苦労や努力が水の泡。民間企業への転職にもガッツリ影響が出るため、ある意味死より恐ろしい。

 

無論、反省の意思のないものや程度が重ければ即刻絞殺である。慈悲は当然ないし、士官だろうが容赦ない。

 

えっ?、こういうのは普通銃殺刑だろ?、なんで銃殺にしないのかって?

 

 

いいかね諸君

 

 

タダでさえ我が国の威厳に傷をつけた連中をあの世に送るのにわざわざ鉛弾までくれてやる義理はないのだよ!(予算的な話では無い、感情的な話だ)

 

 

紐なら再利用できるからね。実際の現場はどうしてるのかは知らないけど。

 

 

とはいえ、連帯責任等もあるためさすがに各自それぞれに行いには気をつけるようになっているので、よっぽどの社会不適合者出ない限りやらかす心配は無い。

 

それに故意ならともかく、勘違いなど情状酌量があるのなら一応救済措置だってある。

 

我が軍は実にホワイトな軍だからね!

 

 

とまぁ、第三文明圏外のロデニウス連邦共和国からムー国周辺まで大艦隊は長い時間をかけて進んでいるのだが、ここで今回の艦隊陣容を軽く紹介しよう。

 

 

 

艦隊は全部で4つの輪形陣を元に構成されており、前に打撃艦隊、左右に機動部隊と護衛隊群、後ろに3カ国合同艦隊が控える陣形となっている。

 

 

 

このうち3カ国合同艦隊の旗艦はアルタラス王国海軍の空母で、護衛艦にイージス艦とフリゲートを含む艦隊で、1番規模としては小さいものである。

 

 

とはいえ、この世界における海軍力ならどの艦隊も負けるはずがなく、幌筵泊地の予測では、後方の3カ国艦隊でも愚帝の主力機動部隊が2時間以内に全滅するとの評価されている。

 

 

ちなみに、陸上兵器を積んだ幌筵泊地の別働隊は別枠で動くことになった。

 

 

陸上兵器の展示に関するムー国との調整が終わらなかったのである。

 

 

とまぁ、若干のトラブルを挟みつつも、大艦隊はムー国を目指す。

 

 

この世界に来て2度目の軍艦派遣は平和裏に終わるのだろうか

 

 

 






「マスコミが国防省に押しかけてきた際、確か私はこう大統領に言ったはずです」

「なんてことだもう助からないゾ♡」


(今回の1件を担当した広報官)



なんとなくネタが多いのは作者が○ーデー民と化したためです。


観艦式には話数を割きたいのと、読者の皆様から頂いたアイディアを回収する都合、分けます。




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