まほ「西住まほ、5さい。なっとうにはネギをいれるタイプ」 (カーチスの野郎)
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西住いっかはおおさわぎ!! だゾ

 セミ<ミーンミミミミミミミ

 

 

まほ「・・・」ソロ~

 

 セミ<ミーンミミミミミミミ

 

まほ「・・・」グッ・・・

 

 セミ<ミ"ッ バタタタタ・・・

 

まほ「あっ・・・にげちゃった。もう少しだったのに」

 

 バサッ!

 

みほ「わーい!おねえちゃんつかまえたー!」

 

まほ「・・・みほ、むしとりアミでわたしをつかまえるんじゃなくて、セミをとるんだよ」

 

みほ「だってアミでつかまえるのむつかしいんだもん」

 

まほ「みほのばあい、アミじゃなくてちょくせつつかまえるほうがいいかもしれない」

 

みほ「わかった!えぇ~い!」ガバー

 

まほ「みほ、わたしじゃなくてセミをつかまえるんだよ」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 セミ<ミヂヂッ!ミヂヂヂッ!

 

みほ「つかまえたー」ワシワシ

 

まほ「わたしも」

 

 セミ<ジーワジーワワ

 

みほ「これはミンミンなくからミンミンゼミ?」

 

まほ「そう。わたしのはアブラゼミ。むしかごにいれておこう」ガポ

 

みほ「おとなになったらわたしたちセミとりしょくにんになれるかもね!」

 

まほ「みほ、しょくにんになるのはたいへんなんだよ。あさ5じにはおきないとダメだし、こうけいしゃもんだいもある」

 

みほ「えーっ、じゃあおねえちゃんはおとなになったらなにになるの?」

 

まほ「わたしはおおきくなったらせんしゃいっぽんでたべていくつもり」

 

みほ「しっかりしてる!」

 

まほ「あ、みてみほ。トンボがとまってる。これはオニヤンマだ」

 

みほ「オニ!?すごい!とっつかまえよう!」

 

まほ「あわてないで。トンボをつかまえるには、ゆびでめのまえをグルグルまわして・・・」グルグルグル

 

まほ「めがまわってるすきに、はねをつかむ!」バッ ビビビビビ

 

みほ「おおー!おねえちゃんすごい!さいみんじゅつしになれるよ!」

 

まほ「フッ・・・」トクイゲ!

 

 

 

 ―西住邸―

 

しほ「ふう・・・これでひとまず書類は整理がついた。師範でもこれだけ仕事があると、家元襲名したらどうなるのやら・・・」

 

 ドタバタドタバタ! ドタバタドタバタ!

 

 <ガラ!

 

みほ「おかーさん!」

 

まほ「おかーさま」

 

しほ「二人共、廊下をドタバタ走るのは危ないからやめなさい」

 

みほ「そんなことどーでもいいから!みてみて!」

 

しほ「どーでもよくないわ。もし転んでケガでもしたら――」

 

まほ「それよりもおかーさま、みて。みほとわたしでいっぱいむしをつかまえたよ」

 

 >セミ!< >トンボ!< >カブトムシ!<

 

しほ「っっっ!」ビクッ!

 

まほ「あれ?おかーさま、いまビビった?」

 

しほ「・・・ビビってないわ」

 

みほ「こっちのむしかごにもいっぱいいるよ!みてほら!」

 

 >クワガタ!< >カマキリ!< >バッタ!<

 

しほ「っっっ!」ガタッ!ガタガタッ!

 

みほ「?・・・おかーさんどしたの?」

 

しほ「・・・何も」キリッ

 

まほ「おかーさま、セミ、セミ」ミ"ミ"ミ"

 

しほ「んっ!」バッ!

 

まほ「おかーさま、ビビってる」

 

しほ「ビビってません。私がビビったら大したものよ」

 

みほ「もしかしてむしがこわいの?」

 

しほ「いいえ、ちっとも怖くなんてないですけど?」

 

みほ「じゃあ、はい!このクワガタ、おかーさんにあげるね!」スッ

 

しほ「んきっ」ビクッ

 

まほ「わたしも、おかーさまにアブラゼミあげる」スッ

 

しほ「びっ」ビククッ

 

みほ「・・・おかーさん、いらない?」

 

まほ「みほといっしょけんめいとったのに」

 

しほ「っ・・・・・・西住流に逃げるという文字は無い・・・西住流は前進あるのみ・・・西住流は逃げない!」クワ

 

まほ「おかーさまこわい」

 

しほ「今お母さん気合入れたから!虫とか全然へっちゃらだから!今の内に早く!さあ!」

 

みほ「じゃあ、はい、クワガタ」ガシガシ

 

しほ「はだだだだだだだだ!」ガジガジ

 

まほ「みほ、クワガタをおかーさまのハナにはさませたらダメだよ」

 

みほ「ついうっかり」

 

 

菊代「しほさ~ん、昼食の準備が出来ましたよ~」ガラ

 

まほ「あ、きくよさん」

 

みほ「きくよさーん!」

 

菊代「あら、まほお嬢様もみほお嬢様もここでしたか。で、しほさんはどうして鼻にクワガタ挟ませてるんです?」

 

まほ「みほがやったの」

 

みほ「わたしがやりました」

 

しほ「んー!んー!」グググ

 

菊代「はいはい、今取りますからねー」ガシ ビッ!

 

しほ「んぎぃっ!」イテェ!

 

菊代「お嬢様達、しほさんは虫が苦手なんですから、虫でイタズラしちゃダメですよ」

 

みほ「はーい」

 

まほ「やっぱり」

 

しほ「苦手じゃない。西住流に弱点などない。私は虫全然大丈夫。ハチミツとか大好きだし」

 

みほ「きくよさん、きょうのおひるはなに?」

 

菊代「イナゴの佃煮ですよ」

 

しほ「・・・」ダッ!

 

まほ「あ、おかーさまにげた」

 

 

 

 ・ ・ ・

 

 

 ―西住邸、戦車訓練場―

 

しほ「整列!」

 

 \ザッ!/

 

しほ「やすめ!」

 

 \バッ!/

 

しほ「気を付けっ!」

 

 \ビシッ!/

 

しほ「西住流門下生諸君、これより西住流戦車道稽古合宿一日目の稽古を始める」

 

 西住流門下生「・・・」 西住流門下生「・・・」 西住流門下生「・・・」

 

  ズラァ~~~ッ・・・!

 

しほ「知っての通り、二週間後に島田流との交流試合を控えている。公式試合ではないが、戦車道連盟の会員や他流派の師範らも見に来る上、一般の見学者やマスコミも集まる。不細工な試合は出来ない」

 

 門下生's「「「・・・・・・」」」

 

しほ「島田流を真正面から叩きのめし、西住流の力強さを世間に見せつけねばならない。私も西住流の師範として、この合宿で試合までの最後の調整――」

 

 みほ「おかーさーん!おか~さ~ん!」タタタ

 

しほ「!?み、みほ!・・・どうして訓練場に・・・」

 

 みほ「ボコのクッションがどっかいっちゃった。いっしょにさがしてー」

 

しほ「あ、あのね・・・これから戦車道の練習するんだから、家の中で待ってなさい。後で探してあげるから・・・」

 

 みほ「ぶー」トボトボ

 

 西住門下生's「「「・・・・・・(師範も人の親なんだなぁ)」」」

 

しほ「・・・気をとりなおして」コホン

 

しほ「まず、準備運動の後に戦車での走行練習を3セット、フォーメーションの確認を10種×3、それから砲撃訓練に移行する。搭乗車輛は――」

 

 まほ「おかーさま」ポテポテ

 

しほ「んなっ!?・・・ま、まほ・・・なぜここに・・・」

 

 まほ「せんしゃフレンズのビデオみてもいい?」

 

しほ「・・・まほ、そういうことは一回一回私に訊く必要はないのよ。あなたが見たいのなら見ればいいの」

 

 まほ「でも3かんだから・・・」

 

しほ「えっ、何がでもなの」

 

 まほ「ほごしゃのきょかがひつようかとおもって」

 

しほ「まほ、お母さんは西住流師範として門下生の皆の前でビシっとした強い師範として振る舞わないといけないの。なのに娘達がチョロチョロ出てきたら格好がつかないの」

 

 まほ「おかーさまかっこつけてるの?」

 

しほ「聞こえが悪いわね」

 

 まほ「もんかせいのみなさん、おかーさまはムシにビビったり、イナゴのつくだにがニガテだったりしますが、きびしいながらもかっこいい西住りゅうしはんなのでよろしくしてください」ペコリ

 

 門下生's「「「・・・(利発そうなお子さんだ)」」」

 

しほ「ま、まほ!そんな風に言ったらお母さんカッコ悪いじゃない!ほらっ、これからお母さん戦車乗るから、菊代さんに遊んでもらいなさいっ!」

 

 まほ「はーい」

 

 

 

 <ドドドドド・・・     <ドーン!・・・

 

   <ギャラギャラギャラ・・・

 

みほ「わー、せんしゃがたたかってるね。すごいおと!」

 

まほ「きくよさん、おかーさまはどのせんしゃにのってるの?」

 

菊代「あの戦車ですよ。先頭でバリバリいわしてるやつです」

 

みほ「あれはなんてなまえのせんしゃ?」

 

菊代「ティーガーⅠです。西住流を象徴する力強い戦車の一角です」

 

まほ「おかーさまのせんしゃ、ガンガンたたかってる。すごい。つよい」

 

菊代「ふふ・・・そうですね。もしかしたら、お二人が見てるから格好付けてるだけかもしれませんね。まほお嬢様もみほお嬢様も、しほさんをお手本にしてくださいね」

 

みほ「おかーさんをおてほんに・・・?」

 

まほ「しってる、はんめんきょうしってやつでしょ」

 

菊代「言葉の意味知って言ってます?」

 

 <ドドドドド・・・

 

みほ「あ!みて!おかーさまのせんしゃ、てきのせんしゃをおいかけまわしてるよ」

 

菊代「あらあら・・・ほんとに気合入ってますね。いいとこ見せたいんだろうなぁ・・・しほさーん、あんまりやりすぎると危ないですよー」オーイ

 

まほ「あっ・・・せんしゃのなかからでてきたよ。せんしゃのうえにたった。はしってるのに」

 

みほ「カッコイイ!わたしもおおきくなったらせんしゃのうえにたちたい!」

 

菊代「しほさん!!!お嬢様達が見てるんですよ!!!危ないことしたらダメでしょ!!!」

 

 

 

 ・・・

 

まほ「おはよーございます」フワァ~

 

菊代「おはようございます、まほお嬢様。顔洗ってきました?朝ご飯食べちゃってください」

 

 みほ「おはよぉ~」アクビィー

 

 しほ「おはおう・・・」アクビィ~

 

菊代「今日の一番乗りはまほお嬢様ですよ。みほお嬢様、顔洗って来てください。しほさん、子供の前ではもっとシャンとしてください」

 

まほ「おかーさまねむそう」

 

しほ「試合までの稽古が追い込みに入ってるからね・・・忙しいのよ。今日の朝ご飯は卵焼きと焼き魚と納豆ね。西住流は和食で通す」キリッ

 

みほ「かおあらってきたー」テテテ

 

菊代「しほさん、納豆にはネギ入れます?」

 

しほ「ええ」

 

みほ「?・・・なんでなっとうにネギいれるの?」

 

しほ「薬味を入れると美味しくなるのよ。みほやまほにはまだちょっと早いけど」

 

みほ「ええ~、ネギってニガイよ。ぜったいにいれないほうがイイにきまってるよ」

 

しほ「大人になればわかるわ」

 

まほ「・・・・・・きくよさん、わたしもネギちょうだい」

 

しほ「!」

 

菊代「あら・・・本当に入れるんですか?」

 

しほ「まほ、無理にネギを入れる必要は無いわ。あなたはまだ5歳の子供なのよ」

 

まほ「わたし、おねえちゃんだから」フンス

 

みほ「おー、おねえちゃんかっこいい!」

 

しほ「・・・・・・そう・・・お姉ちゃんだものね。いい?まほ、あなたはみほのお姉ちゃんなんだから、みほが困っていたら助けてあげなさい」

 

まほ「うん。・・・・・・はい、わかりましたおかーさま。わたしはおねえちゃんだから、なっとうにはネギいれてたべれる」パラパラ

 

まほ「おねえちゃんだから、おとなとおんなじようにネギもたべれるから。いただきます」グルグルグル ネバー パクリ

 

まほ「にげぇ~」ベー

 

菊代「やっぱりまだ早かったようですね」

 

 

 

 ・・・

 

しほ「ふぅーっ・・・やっと出来たわ。障子の張り替えは大変だけど、やり終えた後の達成感は試合での勝利よりも大きいわ・・・」フッ

 

しほ「さて、この後は常夫さんが整備を上げてくれた戦車の動作チェックをしないと・・・」

 

 <ガララッ!

 

みほ「わーい!」タタタタターッ

 

しほ「なっ!み、みほ!なにをいきなり――」

 

みほ「おねえちゃんとおっかくれっこしてるのー!キーン!」シュタタターッ

 

しほ「ちょ、待ちなさい!おっかけっことかくれんぼを融合させたエクストリーム競技をするなら外で――」

 

みほ「ここにかくれよーっと!」バッ バリリンチョ!

 

しほ「ああっ!せっかく張り替えた障子を・・・!」

 

みほ「いけねっ」

 

しほ「みほっ!!!」

 

 

 しほ<ガミガミガミガミ!

 

みほ「・・・」ショボン

 

しほ「まったく!こんなイタズラッ子は見たことないわ。親の顔が見てみたいものね。戦車の動作チェックをしなければならなかったのに、仕事が増えてしまったわ」

 

みほ「・・・」ションボリ

 

しほ「障子の穴を塞ぐ張り紙を買ってくるから、もう家の中でおっかくれっこしてはいけませんよ。今度また障子を破ったりしたら西住流お仕置き術ですからね」

 

みほ「はーい・・・」ショボボン

 

しほ「良い子にしてなさい」ピシャン

 

みほ「・・・おこられちった」テヘペロ

 

みほ「あーあ、もうおっかくれっこできないや。おかーさんおこってたなあ・・・」チラ

 

 戦車<・・・・・・

 

みほ「おそとにとまってるせんしゃ・・・おかーさんがどーさちぇっくするっていってたやつかな」

 

みほ「そうだ!わたしがおかーさんのかわりにちぇっくしてあげたら、おかーさんよろこぶかも!」

 

みほ「わたしってイイこ~!」ニヘ~

 

 

 ガパ ストン

 

みほ「わあ、せんしゃのなかってはじめてだ」

 

みほ「どーさちぇっくってどうやるのかな?おとーさんがなんかゆってたとおもうけど・・・たしか、せんしゃがカゼをひいてないかしらべるっていってた」

 

みほ「えーと・・・せんしゃさーん、おげんきですかー?」コンコン

 

 戦車<・・・・・・

 

みほ「へんじがない・・・おーい、おーい」ガンガン グイン

 

 ガコンッ!

 

みほ「わっ!・・・いまのなんだろう・・・おこっちゃったのかな・・・」

 

みほ「・・・やっぱりこどもにはムチャなのかな。ヘンなことになるまえにそとにでよう」グッ

 

 戦車<グオン!

 

みほ「わっ!?わわ!?わー!」

 

 戦車<ドドドドドドド!

 

 

 \グワシャア! バリバリバリバリ!/

 

 戦車<ドドド・・・ドドド・・・ッ・・・

 

 

みほ「・・・・・・」

 

 戦車<・・・・・・

 

みほ「・・・」ソロ~・・・

 

 西住邸<ボロ・・・

 

みほ「・・・・・・どうしよう・・・せんしゃでおウチひいちゃった・・・」

 

みほ「・・・・・・どうしよう・・・」

 

 <ガラ

 

まほ「こっちからおおきなおとがきこえたぞ。みほはこっちにかくれてるにちがいない。おねえちゃんにはおみとおしだ」

 

みほ「あっ」

 

まほ「やっぱり!みほみっつけ――」

 

みほ「・・・おねえちゃん」ボロ・・・

 

まほ「・・・・・・せんしゃがウチのなかにはいってる」

 

みほ「・・・・・・ほ、ほんとだぁ~・・・ぜんぜんきづかなかったや~・・・なんでウチのなかにせんしゃがあるのかな~?」シラバックレ~

 

まほ「きっとおかーさまがブっこんだんだよ。おとなのじょせいはイライラがおおいってテレビでゆってた」

 

みほ「そ、そうなんだぁ~・・・」

 

 

菊代「お嬢様達、何か騒がしいですけどどうかしましたか?」ヒョッコリ

 

みほ「あっ・・・」

 

まほ「きくよさん」

 

 西住邸<ボロッ・・・

 

菊代「」

 

みほ「・・・え、え~っと・・・」

 

菊代「・・・こ・・・あの・・・・・・えっと・・・な・・・・・・」ガクガク

 

まほ「これにはふかいわけが・・・」

 

菊代「お、お二人ともケガはありませんか!」バッ

 

みほ「だ、だいじょうぶ・・・」

 

菊代「どうして戦車がウチの中に!?」

 

まほ「カベをブチぬいてはいってきたんだよ」

 

菊代「これは整備上がりの戦車・・・ま、まさかしほさんが点検してる内に何かあったのでは!?」バッ

 

菊代「・・・中には誰もいない・・・妙な痕跡もない・・・・・・と、言うことは・・・」

 

菊代「しほさんがイライラするあまり戦車を家にブッ込んだのですね!大人の女性はイライラが多いから!いくら常夫さんが仕事ばっかりで最近相手してもらえないからってなんてことを!」

 

みほ「・・・」

 

みほ「おねえちゃん・・・きくよさん・・・あの・・・わたし・・・」

 

まほ「おかーさま、もうすぐシマダリューとのしあいだからさいきんいそがしくって、だからこのようなぼうきょにでたのかも・・・」

 

菊代「きっとそうです。そして戦車で家に突っ込み、今度は常夫さんにイライラをぶつけに行ったのでは・・・」

 

みほ「・・・ふたりとも、おききください・・・みほはたびにでます・・・」

 

まほ「えっ」

 

菊代「みほお嬢様・・・?」

 

みほ「わたしはもう・・・にしずみのおウチにはいられません・・・とおくはなれたイコクのチにゆき・・・せんしゃからはなれてくらします・・・おつかれさまでした・・・」ペコリ

 

まほ「みほ、なにをいってるの?」

 

菊代「みほお嬢様、お気持ちはわかります。ある日突然戦車が突っ込んでくるような家に嫌気がさすのは当然です。ですが今一度考え直してください」

 

みほ「ううん、そういうんじゃなくって・・・」

 

 <タダイマ~

 

まほ「あ、おかーさまのこえ」

 

みほ「!」

 

 

しほ「ふぅ~・・・今日は真夏日ね。外を歩くだけでも汗が噴き出るわ。水分補給で熱中症にならないように・・・」ムギチャ ゴクゴク

 

まほ「おかーさま」タタタ

 

しほ「まほ、ただいま」

 

まほ「おかーさま、メッ」ピシッ

 

しほ「?」

 

菊代「しほさん!」タタタ

 

しほ「ただい――」

 

菊代「ど、どこかお怪我はありませんか!?」ガシッ

 

しほ「な、何なのですか二人して・・・何もケガなんてないけど・・・」

 

菊代「じゃあ言いますけど!しほさん、メッ!」ビシッ

 

しほ「???」

 

まほ「おかーさまもトシですからイライラするのはわかります。でもモノにあたるのはよくないです」

 

しほ「ちょっとちょっと何の話をしてるの。私はただ障子の貼り紙を買いに行っていただけよ。せっかく張り替えた障子が破れちゃってね」

 

菊代「障子だけですか?」ズイ

 

しほ「あぁ~、なるほど。私がイライラして障子パンチしたと思ってるのね。フフ、そんな子供みたいなことしませんよ」ニヤニヤ

 

菊代「・・・」ジトーッ

 

まほ「おかーさま、そのめでみてください」グイ

 

しほ「そんな二人して血相を変えるほどの事でもないわ。ちょっと穴が空いただけよ。あれくらい小さな張り紙ですぐに直っちゃう――」

 

 ガラッ

 

しほ「ビックリフジツボ!!!」ガガーン!

 

みほ「・・・おかーさん・・・」

 

しほ「わ、我が家が・・・!我が家に戦車が・・・障子破ったからってここまですることないでしょ!」ワーン

 

菊代「え?・・・しほさんがやったんじゃないんですか?」

 

しほ「私がやったんなら張り紙なんて買わずにリフォーム屋さん呼んでくるわよ!どうして家の中に戦車が!?」

 

まほ「かべをブチぬいてはいってきたんですよ」

 

みほ「・・・あの・・・」モジモジ

 

しほ「動作チェックをしようと外に停めておいたのにどうしてこんなことに・・・」ヨヨヨ・・・

 

みほ「・・・えっと・・・」モジモジ

 

菊代「もしや西住に敵対する者の陰謀では・・・」

 

しほ「お、おのれ島田流!おのれちよきちぃ!試合の前に私を陥れようという狙いね!いいでしょう、ならば抗争よ!島田流家元へ全軍前進!」

 

みほ「おかーさん!!!」

 

しほ「っ!・・・」

 

みほ「・・・・・・ごめんなさい・・・わたしが・・・やりました・・・」

 

まほ「!」

 

菊代「みほお嬢様が?・・・毎日楽しそうに過ごしてらしたのに、人知れずストレスを貯め込んでいたのですね・・・」

 

みほ「うぅん・・・ちがくて・・・おかあさんがせんしゃのどーさちぇっくしなくちゃっていってたから・・・わたしがやってあげたら・・・おかあさんよろこぶかなっておもって・・・」

 

しほ「!・・・」

 

みほ「しょうじやぶっちゃったから・・・めいよばんかいしたくって・・・おかあさん、よろこばせたくって・・・」

 

しほ「・・・みほ・・・」

 

まほ「・・・おかーさま、ちがいます。ほんとはわたしがやりました」

 

みほ「おねえちゃん?・・・」

 

まほ「みほはわたしをかばってくれてるのです。ほんとはわたしがやりました。すべてのせきにんはわたしにあります。たいへんイカンであります。まことにもうしわけありませんでした」ペコ

 

みほ「おねえちゃんウソいってる!ほんとのほんとはわたしだよ!わたしがしょあくのこんげんだよ!」

 

まほ「いや、わたしだ」

 

みほ「わたしだよ!」

 

 まほ「やいの」

 

 みほ「やいの!」

 

 \ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ!/

 

しほ「・・・二人共、やいのやいのと言い争いはやめなさい」

 

しほ「まほ、本当にあなたがやったのですね?」

 

まほ「はい、まほウソつかない」

 

みほ「ウソだよ!」

 

しほ「では、まほには罰則を与えます。今後一ヶ月、外出禁止・・・そして、お夕飯抜きです」

 

まほ「なんですとー!?」ガガーン

 

菊代「しほさん・・・」

 

しほ「まほがやったのでしょう?悪い子には罰則を課せられるものです。本当にまほがやったのなら、仕方ないことです。反省しなさい」

 

まほ「うっ・・・」

 

みほ「おかーさん!おねえちゃんはなにもしてないよ!わたしがぜんぶやったの!」

 

しほ「・・・・・・まほ、そうなのですか?」

 

まほ「・・・むむむ」

 

しほ「・・・まほ・・・あなたはみほのことを思って自分が身代りになろうとしたのでしょう。それは素晴らしい事だけど、良い事とは限らないわ」

 

しほ「いつも助け舟を出しているばかりでは、みほは姉がいないと何もできない子になってしまうわ。みほが間違いを起こしたり壁に当たった時、一人で乗り越えられるようにならないといけないの」

 

しほ「困っている妹を助けることは大事だけど、そればかりではダメなの。みほが一人でも生きていけるように・・・みほを信じることも大事よ。わかった?」

 

まほ「・・・はい」

 

しほ「という事で、まほへの罰則は無しです」

 

みほ「やったぁ!おねえちゃんよかったね!」

 

しほ「しかしみほ、あなたはダメよ」

 

みほ「なんてこった!」

 

しほ「みほには今後一ヶ月のおやつ抜きとテレビの禁止令を与えます」

 

みほ「ぬゎー!それはキツイ!キツすぎるよおかーさん!」

 

しほ「これでも生ぬるいくらいです。あなたは自分が何をしたかわかっているのですか」

 

みほ「あぅ・・・」ショボン

 

しほ「ケガが無くて良かったけど、誰かが大怪我をしていたかもしれないのですよ!」

 

みほ「・・・ごめんなさい」ションボリ

 

しほ「・・・・・・はぁ・・・とは言うものの、すぐエンジンがかかるように戦車を停めていた私も悪いわ・・・みほに全ての積を押しつけるのはよくないわね」

 

菊代「しほさん・・・」

 

みほ「おかあさん・・・」パアッ

 

しほ「ということで、私も一ヶ月おやつを我慢します。一緒にがんばりましょう、みほ」

 

みほ「うん!がんばろー!」

 

菊代「いや二人ともお咎め無しでいいじゃないですか」

 

 

 

 ・・・

 

しほ「ここで伏兵を配置し、挟撃体制に持ちこめば・・・いや、島田流ならばわずかな隙間からでも包囲を抜けだすだろう・・・」ウーム

 

みほ「おかーさん、あそぼー」

 

しほ「ならば地形を利用して囲い込むか・・・砲撃で敵を誘導して・・・」ブツブツ

 

みほ「おかーさーん!」ガバチョ

 

しほ「っ・・・み、みほ・・・あのねぇ」

 

まほ「みほ、おかーさまのじゃましたらダメだよ。おかーさまはいそがしいんだから」

 

みほ「えー」

 

まほ「おかーさまはシマダリューをブッつぶすことにむちゅうでわたしたちにかまっているヒマはないんだ。こどもはだまってほそぼそとくらすしかない」

 

しほ「聞こえが悪いわよまほ」

 

まほ「あっちでおねえちゃんとあそぼう。おかーさまのジャマしたらダメだよ」

 

みほ「ちぇー」ブー

 

しほ「やれやれ・・・まほがしっかりしたお姉ちゃんで本当に助かるわ・・・最近は納豆にネギをいれて食べるようになったし、長女としてしっかりしようと意識してるのね」

 

しほ「西住流の未来は明るいわ」フッ

 

 

まほ「よし、みほ、なにしてあそぼうか」

 

みほ「ボコごっこ!」

 

まほ「あれはきくよさんにやっちゃダメっていわれたからダメ。こどもにはしげきがつよすぎるからって」

 

みほ「ぶー。じゃあいれかえっこごっこしよう!」

 

まほ「ほう、くわしくきこう」

 

みほ「おねえちゃんがおねえちゃんじゃなくてわたしで、わたしがわたしじゃなくておねえちゃんになるの」

 

まほ「なるほど、なにをゆっとるのかサッパリわからん」

 

みほ「だからー!おねえちゃんがいもうとで、わたしがおねえちゃんになるの!にしずみけのかくめい!」

 

まほ「おー、それはおもしろそう。よし、じゃあスタート!ピーっ!」

 

みほ「まほ、おねえちゃんにしたがえ。さからうんじゃないぞ。わかったな」

 

まほ「かいこういちばんそれか」

 

みほ「まほ、おなかすいてないか?」ン?

 

まほ「ちょっとこばらが」

 

みほ「よし、おねえちゃんがおかしをさがしてきてあげよう!おねえちゃんにまかせなさい!」フンス

 

まほ「さすが、西住のおねえちゃんはすごい」

 

 

 ダダダダダーッ

 

みほ「おかしおかしおかし・・・おっかしーなーどこにかくしてあるのかなー?」ガサゴソガサゴソ

 

みほ「あった!ポテトチップスとチョコパイ!それとーれいぞうこにはー・・・」ガパッ

 

みほ「ガリガリくんだ!やったぁ!なつはガリガリくんがいちばんだね!」

 

 

 ダダダダダーッ

 

みほ「まほ!おねえちゃんがおかしとアイスもってきてあげたよ!すごいでしょ!」フフーン

 

まほ「すごい。さすがみほおねえちゃん」

 

みほ「さっそくたべよう!」

 

 

 しほ「あれ!?私のガリガリくんがない!?」

 

 

 ガリガリ シャクシャク

 

まほ「おいしおすなぁ」ガリガリ

 

みほ「おいしおすな~」シャクシャク

 

まほ「おねえちゃんのガリガリくん、なしあじか。おいしそうだなー」ジー

 

みほ「うん!おっいし~よ!いつものソーダあじもいいけど、たまにはちがうあじもいいもんだ!」

 

まほ「ちょっとちょうだい、おねえちゃん」

 

みほ「えっ・・・それは・・・」

 

まほ「みほはおねえちゃんなんだから、ちょっとくらいくれてもいいじゃない」

 

みほ「くっ・・・うぅ・・・ぐぬぬ!・・・し、しかたない・・・わ、わたしはおねえちゃんだから、まほにあげる。でもチョットだけ!チョットだけだからね!」

 

まほ「わーい」ガブリンチョ

 

みほ「わー!いってるいってるゥー!おねえちゃんたべすぎだよー!」

 

まほ「フフフ・・・いもうとはワガママなのだ」シャックシャック

 

みほ「お、おのれ~・・・まほのガリガリくんもよこせー!これはおねえちゃんのめいれいだー!」バー

 

まほ「なにをするだー」ジタバタ

 

みほ「ええい!ていこうするなー!おねえちゃんにはむかうなー!」グイグイ

 

 ボトッ ベシャッ

 

みほ「あっ・・・」

 

まほ「・・・みほのガリガリくんが・・・おっこっちゃった」

 

みほ「・・・・・・」ジワ

 

まほ「・・・おねえちゃん、わたしのあげるから」スッ

 

みほ「・・・・・・うん・・・ありがとうまほ・・・」グスン

 

みほ「なんだかわたしがおねえちゃんのハズなのにおねえちゃんらしくない!」

 

まほ「みほにおねえちゃんをやらせるのはまだはやかったかな」ニヤ

 

みほ「そんなことない!よーし、こうなったらおねえちゃんのマネをしておねえちゃんらしくなろう!」

 

まほ「ほう、わたしのマネか」

 

みほ「フッ・・・わたしはにしずみみほ」キリッ

 

まほ「えっ」

 

みほ「てつのこころはがねのおきて・・・にしずみみほ」キリッ

 

まほ「ちょっとまってわたしそんなのか」

 

みほ「まほ、なにかほしいものはあるか?・・・わたしはにしずみみほ」キッ

 

まほ「・・・いや、なにも・・・」

 

みほ「えんりょすることはない。わたしはおねえちゃんだから、まほのいうことなんでもきいてあげるぞ。なんたってわたしは・・・にしずみみほ」キメッ

 

まほ「もしかしてバカにしてる?」

 

みほ「まほ、おねえちゃんのそばからはなれるんじゃないぞ。まほにちかづくものはみんなかえりうちにしてやるから」キリッ

 

まほ「わたしってこんなかんじなのか・・・」

 

みほ「わかった?まほ」

 

まほ「はい、おねえさま」

 

みほ「!・・・お、おねえさま・・・わたしがおねえちゃんのおねえさま・・・でゅふへへへへ!」テレチャウ!

 

まほ「みほ、おちつけ」

 

みほ「よーし!まほ、おそとにあそびにゆくぞ!だがそとのせかいにはキケンがいっぱいだから、おねえさまがおんぶしてあげるからな!さあ!おねえさまのせなかにおぶさりーな!」フンス

 

まほ「えっ、いや、じぶんでいきますよ」

 

みほ「なにをゆう!にんげんのせかいはキケンだらけなんだ!まほはわたしのうしろにいればいいの!だいじょうぶ!わたしはまほのおねえさまだから!サイキョーだから!」

 

まほ(・・・みほからみれば、わたしはこんなにもおせっかいだったのか・・・おかあさまがいっていたように、みほにかまりっぱなしではよくないな・・・これからはきをつけよう)

 

みほ「まほがケッコンするまでわたしがぜんぶめんどうみてあげるから!」

 

まほ「しかもおせっかいだ」

 

 

 

 ミーンミンミンミンミンミン・・・

 

 ジーワジーワジーワ・・・

 

エリカ「~♪」ルンルン

 

エリカ「♪~」ルンルン

 

 石<ガッ

 

エリカ「!・・・」コケッ

 

エリカ「っ・・・」ザリッ・・・

 

エリカ「・・・っ~」ジワ

 

 

 スッ

 

エリカ「・・・?」

 

まほ「だいじょうぶ?」

 

エリカ「!!!」

 

まほ「すりむいてるね。ウチがすぐちかくだからおいで。しょうどくしてバンソーコーはろう」

 

エリカ「っ!・・・っ・・・」アタフタ

 

まほ「えんりょしないでいいから」

 

 ザッ

 

みほ「あら、まほ、そのこは?」

 

エリカ「!」

 

まほ「みほ」

 

みほ「・・・まほ、わたしのことはみほとよんじゃだめだっていったでしょう?」

 

まほ「ああ・・・そうだった・・・はい、おかあさま」

 

エリカ「・・・?」

 

みほ「はじめましておじょうちゃん、わたしがまほのははです」ペコ

 

エリカ「!?」

 

まほ「いま、おかあさんごっこしてたから」

 

みほ「まほはわたしのこ」

 

 

 

 ――西住邸

 

まほ「ここがわがや」

 

みほ「わたしのしろ」

 

エリカ「・・・」ポケ~

 

まほ「まってて。しょうどくとバンソーコーもってくるから」タタタ

 

エリカ「・・・」

 

みほ「ねーねー、あなたのおなまえなんてーの?」

 

エリカ「っ・・・」タジッ

 

みほ「わたしはにしずみみほ!ほんとはおねえちゃんはわたしのこじゃなくてわたしのおねえちゃんなんだよ!あなたのおなまえなんてーの!」

 

エリカ「・・・・・・いつみ・・・エリカ・・・」

 

みほ「いつミエリカ!」

 

まほ「おまたせー」ザッ

 

みほ「おまたされー」

 

まほ「おいしゃさんセットもってきた」スッ

 

みほ「よし!さっそくオペをかいしする!」

 

エリカ「?・・・」

 

まほ「はい、のどアーンしてー」

 

みほ「おねえちゃん、そのまえにおなかのおとをきくんだよ」

 

エリカ「・・・」

 

 

まほ「よし、しょうどくかんりょう」

 

みほ「バンソーコーをペタリペタペタペタジーニ!」ペタ

 

エリカ「・・・・・・ありがとう・・・」テレ

 

みほ「おねえちゃん、このこのおなまえはいつみえるか!」

 

エリカ「いつみエリカ」

 

まほ「いっつみー?・・・えいごのなまえなんてすごいね」

 

みほ「えっ!がいこくのひと!?」

 

エリカ「いや・・・」

 

まほ「たしかいっつみーとはアメリカごで・・・『それはわたしだ』といういみだったかな」

 

みほ「ということは・・・おれやで!エリカやで!ということだね!」

 

エリカ「・・・ちがう」

 

まほ「それがわたし、エリカだ・・・といういみでもある。なんだかカッコイイね」

 

エリカ「ちがう・・・」

 

みほ「ワイはエリカや!プロパンツァーエリカや!」

 

エリカ「ちがう!」

 

 

しほ「まほ、みほ、なにを騒いでいるの」ガラ

 

まほ「おかあさま」

 

しほ「あら、お友達?」

 

みほ「うん!」

 

エリカ「!?」

 

しほ「そう、ゆっくりしていってね」

 

エリカ「・・・」コクン

 

みほ「それはわたしのエリカさんだ、ちゃんだよ」

 

エリカ「ちがうっつってんでしょ!」

 

しほ「二人共、あんまり余所の子を困らせないようにね。あなた達は一人でも手に負えないポンコツぶりを発揮することがあるんだから、二人がかりとなると最強無敵ナンバーワンよ」

 

 まほ&みほ『はーい』

 

エリカ「っ・・・」

 

しほ(・・・この子の何にでも噛みつくワニのような目つき・・・たぶん逸見さん家の子ね・・・それにしても・・・)ジー

 

しほ(綺麗なお洋服でめかしこんでるけど、私の目はごまかせないわ。この子には戦車道の才能がある。上手く育てれば、まほとみほに並ぶかも・・・)

 

エリカ「・・・?」

 

しほ「あなた、いい身体してるわね。西住流に入らないかしら?」

 

エリカ「!?」

 

しほ「安心しなさい。多少訓練は厳しいけれど、痛みは最初の内だけ。慣れてしまえば大丈夫よ」

 

エリカ「っ・・・~っ・・・~~~っ!」ダッ!

 

まほ「あ、かえっちゃった」

 

しほ「むう・・・勧誘って難しいのね」

 

みほ「わたしたちポンコツファミリーだね!」

 

 

 

 ・ ・ ・

 

 ザッ!

 

しほ「・・・とうとうこの日が来たわ・・・今日は島田流との交流試合。訓練に訓練を重ね、鍛練に鍛練を重ねた成果を見せる日よ」

 

しほ「戦車道連盟の来賓や他流派からの来客、マスコミや大学戦車道選手達も多数観に来ている大一番」

 

しほ「なんとしてでも島田流を叩きのめして、西住流の強さを世間に見せつけるのよ!」グッ

 

みほ「おかあさ~ん、しょくごのおやつたべたいー」ポテポテ

 

しほ「っ・・・みほ・・・お母さん今日は大事な日だから、大人しくしてて」

 

まほ「そうだよみほ。きょうはとーってもだいじなひなんだから。わたしもたのしみにまってたんだよ」

 

みほ「あーそっかー。ずっとまえからゆってたやくそくのひだね」

 

しほ「そう・・・その通り!」

 

まほ「おかあさま、きょうはいちにちわたしといっしょにあそんでくれるんですよね」

 

しほ「っ」ズルッ

 

まほ「ちゃんとスケジュウルをかんがえてあるんですよ。あさはおかあさまといっしょにおかいものにいって、おひるはおかあさまとみほときくよさんといっしょにあそんで、よるはカレーをたべる」

 

みほ「おとうさんは?」

 

まほ「まちのしょうてんがいにいって、こどもようのパンツァージャケットかってもらって、せんしゃのえほんをかってもらって、おひるはみんなでなんでもアリのガンガンバトルしたい」ウキウキ

 

しほ「・・・あのね、まほ、お母さん今日は大事な日って言ったわよね?」

 

まほ「はい」

 

しほ「まほもお母さんが今日のために色々準備してたのは知ってるわね?」

 

まほ「まったくもってそのとおり」

 

しほ「今日は何の日かわかってる?」

 

まほ「あたりまえだのクラッカー」

 

しほ「・・・まほ、あなた幾つなの」

 

まほ「5さい」

 

しほ「・・・おばあちゃんの口癖を真似してるのね・・・まほ、今日はね――」

 

まほ「わかっておりますとも。きょうこのひをずっとまえからたのしみにしてました」

 

しほ「今日は大事な戦車道の試合の日なの。だからお母さん、まほと遊んであげる暇なんてないの」

 

まほ「・・・・・・えっ」

 

しほ「西住流のコケンにかけて、なんとしても今日の試合で勝たないとならないのよ。また今度遊んであげるから、今日は我慢してちょうだい。お姉ちゃんでしょ?」

 

まほ「・・・」

 

しほ「まほ、わかってくれるわね?」

 

まほ「・・・・・・はい・・・わたしは西住まほ・・・みほのお姉ちゃんで・・・なっとうにはネギをいれるタイプですから」

 

しほ「うん、子供じゃないから我慢できるってことね。わかりづらいわね」

 

みほ「でもおかあさん――」

 

しほ「みほ、お姉ちゃんはちゃんと我慢できる子よ?みほもお姉ちゃんみたいになりなさい」

 

みほ「お姉ちゃんは――」

 

まほ「みほ、おかあさまはだいじなしあいがあるんだから、ガマンしよう」

 

みほ「・・・」

 

しほ「いい子ね、まほ」ナデナデ

 

まほ「・・・」ニコッ

 

しほ「それじゃあ、お母さん試合前のミーティングと調整に行くから。いい子にしててね」

 

 

 ――・・・・・・

 

 島田バス<ブロロ~ッ キキーッ

 

 島田チーム<ザッ!

 

千代「おはようございます。島田流戦車道チーム到着しました。本日は西住流所有の土地を試合会場として提供していただき、感謝しております」

 

しほ「おはようございます。本日は良い試合をいたしましょう。どうぞこちらへ。控室にご案内いたします」

 

千代「ありがとうございます」

 

しほ「・・・」ザッ ザッ ザッ

 

千代「・・・」ザッ ザッ ザッ

 

 島田チーム<ザッ ザッ ザッ

 

千代「・・・・・・フン、控室に盗聴器が仕込んでるかもしれないけどね」

 

しほ「なんだとちよすけぇ!誰がそんなずっこい真似をするか!アンタじゃあるまいし、人の話を盗み聞きしたりしないわぃ!」

 

千代「あらぁそうかしら!?カメラで私達の着替えでも盗撮して売りさばこうってのかしらぁ!あーヤダヤダこわいこわい!コワヤコワヤ!」

 

 しほ「なにをう!」

 

 千代「なによう!」

 

 島田チーム(((また始まった・・・)))

 

しほ「このちよきちぃ!」ヤイノ!

 

千代「んのしぽりんん!」ヤイノ!

 

 \ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ!/

 

菊代「はいはい、お二人共、やいのやいのと言い合うのはそこまでにしてください。千代さん、島田流の皆さん、ようこそおいでくださいました」ペコ

 

千代「!・・・菊ちゃん」

 

まほ「シマダリューのみなさん、おはようございます」ペコリ

 

みほ「おはようございまーす!」

 

 島田チーム「「「おはようございます」」」ペコ

 

千代「・・・おはようございます」スッ

 

しほ「あなた達、どうしてここに・・・家の中でおとなしくしてなさい」

 

菊代「しほさん、島田流の皆さんのご案内は私に任せてください。しほさんは試合前の作戦会議等の準備に」

 

しほ「むう・・・」

 

千代「ぷぷぷ・・・娘達の前でたしなめられるとは、しぽりんもまだまだね」

 

しほ「っ・・・」ギリッ

 

菊代「しほさん、落ち着いて。その掴んだ石を放して。ダメですよ殴っちゃ」

 

菊代「ほらほら、早く行ってください」グイグイ

 

しほ「メラメラメラ・・・」ザッ ザッ

 

千代「フン、頑固頭め・・・まほちゃん、みほちゃん、久しぶりね。私のこと覚えてるかしら?」

 

まほ「はい、いつもおかあさまとなかよくしてくださってありがとうございます」ペコリ

 

千代「ふふ、お利口さんね」ナデナデ

 

まほ「・・・」フンス

 

千代「みほちゃんも、私のこと覚えてる?」

 

みほ「うん!ひさしぶりだねシマダババア!」

 

千代「え」

 

菊代「み、みほお嬢様っ・・・」

 

みほ「きょうはようこそおこちくだたいましたシマダババーごいっこうさま!」ペコ

 

千代「・・・」

 

まほ「みほ、シマダババアじゃなくて、シマダババアのチヨチヨマルさんだよ。おかあさまにそうおしえられたでしょ」

 

みほ「あ、そうか。まちがえちった。ようこそシマダババーのチヨチヨマルさま!」ペコ

 

千代「戻って来いしぽりんっ!!!素手でケリつけようじゃあないのっ!!!」

 

 

 ・・・

 

菊代「ここが島田流の皆さんの控室です。倉庫の整備道具は自由に使ってください。冷蔵庫の中の物もご自由に。シャワーお湯が出ます。タオル置いてありますから」

 

千代「試合まで二時間・・・荷物を置いたら作戦内容の確認会議よ」

 

 島田チーム「「「はい!」」」

 

千代「いよいよね・・・今日の試合で島田流の凄さを世間に知らしめるのよ!」グッ

 

みほ「ねーねーチヨチヨさん、せなかにおんぶしてるのはなに?」

 

まほ「ほんとだ。きづかなかったけどいままでずっとせおってたんだ」

 

千代「フフ・・・気になる?特別に見せてあげるわ」スッ

 

 ベビー愛里寿<ウー

 

まほ「わ・・・あかんぼうだ」

 

みほ「ほんとだー!できたてホヤホヤ!」

 

千代「言い方」

 

まほ「ちよちよまるさんのおこさんですか?」

 

千代「そうよ。愛里寿っていうの」

 

みほ「しごとばにまでつれてくるなんて、よっぽどのおやバカだ!」

 

千代「みほちゃんちょっとキツくない?」

 

菊代「試合中は私がお預かりしましょうか?」

 

千代「そうね。菊ちゃんなら安心だわ。それじゃあ、愛里寿をよろしくね」スッ

 

菊代「よ~しよし、良い子ですね~。西住流は強くてかっこいいですよ~。鉄の心、鋼の掟~♪」

 

千代「ウチの子を洗脳しないでくれるかしら」

 

 

 ・・・

 

 アナウンス【西住、島田流交流試合開始は一時間後に開始いたします。御来客の皆さまは御着席してお待ちください】

 

みほ「にしずみぃ~・・・」イナイイナーイ

 

みほ「みほーっ!」バァー

 

 愛里寿<キャッキャッ♪

 

みほ「にしずみぃ~・・・」イナイイナーイ

 

みほ「みぽーっ!」バァー

 

 愛里寿<キャッキャッ♪

 

まほ「みほ、わたしもやる」

 

みほ「はい、こうたーい」

 

まほ「西住ぃー・・・まほ!」パァ

 

 愛里寿<・・・

 

まほ「・・・西住ぃ~・・・・・・まぽぽんっ!」パア!

 

 愛里寿<グスッ・・・ ビエー!

 

まほ「わわっ、ないちゃった」

 

みほ「ほ~らほらなかないで~!はい、ボコのぬいぐるみだよー!かわいいでしょ~!」フリフリ

 

まほ「みほ、あかちゃんにはつうじないとおもうけど・・・」

 

 愛里寿<キャッキャッ!

 

まほ「まんめんのえみ」

 

みほ「すごい!このこ、ボコきにいったみたい!しょうらいがたのしみだね!」

 

まほ「うーん、こどものきもちはよくわからん」

 

 

しほ「よし・・・整備も作戦も完璧。あとは島田流をぶっ飛ばすだけよ。皆、気合を入れなさい。この試合を見ている全ての者に、西住こそ戦車道にて最強だと認めさせるのよ!」

 

 西住チーム「「「はいっ!」」」

 

しほ「これから両チームの大将が来賓の前で試合の宣誓をする。その直後、試合が始まる。それまで各自、戦車の前にて待機!」

 

 西住チーム「「「はいっ!」」」

 

 

しほ「・・・ふう・・・いよいよね」

 

菊代「がんばってくださいねしほさん。西住の力を見せつけてください」

 

しほ「ええ、見てなさい」

 

菊代「それにしても流石はしほさんですね。こんな大一番の試合でも一時間以内に決着を着ける気でいるなんて」

 

しほ「?・・・いえ、それはいくらなんでも無茶よ。三十対三十の殲滅戦・・・島田を相手に勝負を焦るとあっという間に呑みこまれるわ。電撃戦をかけつつ、急かずに攻めるのが作戦よ」

 

菊代「え?・・・でもそれで間に合うんですか?」

 

しほ「?・・・・・・何に?」

 

菊代「えっ・・・・・・まほお嬢様との約束に・・・」

 

しほ「・・・・・・ん?」

 

菊代「・・・・・・しほさん、まさか・・・」

 

しほ「えっ、ちょっとまって、待って」

 

菊代「・・・」

 

しほ「今日何日!?まさかまほの誕生日とか・・・」バッ

 

しほ「・・・八月一日・・・・・・な~んだ・・・まほの誕生日は七月一日・・・まさか誕生日をトチったかと思ったわ」アセル~

 

菊代「・・・・・・しほさん」

 

しほ「・・・・・・いや、待てよ・・・」タラ~

 

 

 

 ~~一ヶ月前~~

 

まほ「おかーさん、きょうはなんのひでしょー」フッフ~♪

 

みほ「きょうはねー、おねえちゃんのたんじょうびだよ!」

 

まほ「みほ、さきにいっちゃダメだって」

 

しほ「・・・まほ、ごめんなさい。今日は戦車道連盟と大事なお話しなくちゃならないの。家に帰ってくるのは夜の八時にはなるわ」

 

まほ「えっ・・・はちじってもうよなかだよ・・・」ショボン

 

しほ「ごめんねまほ。お母さんどうしても外せない用事なの。来月、来月ならいいわ。八月一日なら、まほの行きたい所に行って、食べたい物食べて、ほしい物を買ってあげるわ」

 

まほ「ほんと!?」

 

しほ「ええ、だから今日だけは我慢してくれる?」

 

まほ「うん!やくそくだよおかあさん!」

 

しほ「約束ね」

 

 

 

 ~~~・・・・・・

 

しほ「・・・」

 

菊代「・・・」

 

しほ「・・・・・・私・・・最低の母親だわ・・・」

 

菊代「いやほんと」

 

しほ「・・・・・・まほの誕生日を我慢させて・・・代わりの約束の日まで・・・」

 

菊代「神経を疑いますね」

 

しほ「・・・・・・それなのにあの子は・・・我慢して・・・お姉ちゃんだからって・・・大人ぶって・・・」

 

菊代「トンビが鷹を生むとはよく言ったものです」

 

しほ「・・・」

 

 

 【スタート十分前~!スタート十分前~!】

 

西住流戦車乗り「師範、そろそろ時間ですよ。宣誓に行かないと」タタッ

 

しほ「・・・」

 

菊代「・・・」

 

しほ「・・・」

 

 

 

蝶野「これより、西住流対島田流の交流試合を始めます。特別審判を務めますわ私、蝶野亜美です」

 

蝶野「戦車道連盟の来賓の方々、他流派からの来客の皆さん、他会場にお集まりの皆さん、どうぞ蝶野亜美、蝶野亜美の名を覚えておいてください」

 

蝶野「自分はまだまだ未熟者ですが、ゆくゆくは陸上自衛隊に入隊し、戦車教導隊に入るつもりであります!ビッグになってみせますので、どうぞごひいきに!」

 

 客「能書きはいいー!さっさとはじめろー!」

 

 客「ひっこめー!演説を聞きに来たんじゃないぞー!」

 

蝶野「・・・・・・~っ!」イラッ

 

蝶野「うるさーい!ぐずぐず言う奴は戦車でひいちゃうわよー!」

 

 90式戦車<ギャラギャラギャラ! ドワ! \ドーン!/ \ワー!アブネー!/

 

蝶野「私は陸自に入って戦車道教官になって、将来には陸軍大将になる野望があるの!今日は集まったお偉いさん達にアピールする絶好の機会なの!うじゃうじゃ言わせないわよ!」

 

蝶野「わかった!?わかったら拍手しなさい!はーくしゅ!」

 

 \オ、オー・・・/ \パチパチパチ/

 

千代「間違いなく印象には残ったわね」

 

蝶野「――では、両チーム隊長は前へ」

 

千代「ふふん」ザッ

 

しほ「・・・」

 

蝶野「・・・しほさん、前へ」

 

しほ「・・・・・・ああ」ザッ

 

蝶野「えーでは、本日の試合ではお互いに――」ペラペラ

 

千代「・・・どうかしたのかしらしぽぽん?ずいぶん大人しいわね。まさか、試合直前になって怖気づいたのかしら?」

 

しほ「・・・」

 

千代「・・・え、どうしたの?大丈夫?どこか具合悪いの?」

 

しほ「・・・」

 

蝶野「――ということで、両者握手を」

 

千代「・・・正々堂々と勝負しましょう」スッ

 

しほ「・・・」グッ

 

蝶野「では両者、各陣営にお戻りください。試合は三分後に始まります」

 

しほ「っ」ダッ!

 

千代「!・・・急に走って行っちゃって・・・お腹痛かったのかしら・・・」

 

 

みほ「それでー、こっちがスペースボコだよ!うちゅうのパワーをてにいれたボコなの!こっちがビクトリーボコだいしょうぐん。ななにんのボコのパワーをけっしゅうさせたボコだよ!」

 

 愛里寿<キャッキャッ♪

 

まほ「このこ、みほになついたね」

 

みほ「うん!わたし、おおきくなったらこのこのおねえちゃんになる!」

 

まほ「そう」

 

みほ「あー・・・でもわたしにはおねえちゃんになるなんてむずかしいかな。おねえちゃんみたいにおとなにはなれないや」

 

まほ「・・・」

 

みほ「おかあさん、やくそくやぶってざんねんだったね」

 

まほ「・・・しかたないよ。おかあさまは西住りゅうのしはんだもん。わたしがワガママいったらおかあさまがこまっちゃうから」

 

みほ「おねえちゃんはおとなだなぁ」

 

まほ「みほのおねえちゃんだから」

 

 

しほ「まほ!!!」

 

まほ「!」

 

みほ「お、おかあさん!もうしあいがはじまるのにどうしてこっちに?」

 

しほ「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」ゼーゼー

 

みほ「はやくいかないとしあいがはじまっちゃうよ。どうしたのおかあさん」

 

しほ「・・・まほ」ガシッ

 

まほ「っ・・・」

 

しほ「ごめんなさい・・・ごめんなさいまほ・・・あなたとの大事な約束を忘れちゃってて・・・お母さん、目の前のことばかりで、一番大事な事を忘れちゃってたわ・・・」

 

まほ「・・・だいじょうぶですおかあさま。きょうはおかあさまにとってだいじなしあいだから、わたしはガマンできます」

 

しほ「・・・まほ」

 

まほ「はやくせんしゃにのらないと、だいじなしあいにまにあわなくなりますよ」

 

しほ「・・・戦車道よりもまほの方が大事よ。あなたは私の娘だもの・・・まほとみほが、私にとって一番大事なものよ・・・」

 

まほ「!」

 

しほ「ごめんねまほ・・・ごめん・・・」ダキ・・・

 

まほ「・・・」

 

まほ「・・・わたしは西住まほです。西住のむすめで、みほのおねえちゃんです・・・おかあさまが西住りゅうとしてのだいじなたちばがあるのはわかっています」

 

しほ「・・・」

 

まほ「わたしも西住りゅうがすきだから・・・おかあさまがすきだから・・・わたしのことよりも、しあいにかってほしい。西住りゅうのすごさをみせてほしい」

 

しほ「・・・まほ・・・あなたはまだ5歳・・・そんなに無理して、我慢する必要はないのよ。子供らしくわがまま言ってもいいの。もっと子供らしくしていいのよ」

 

まほ「ほんとう?」

 

しほ「ええ・・・」

 

まほ「だったら、かって」

 

しほ「!」

 

まほ「おかあさま、がんばって!」

 

しほ「っ・・・・・・ええ」ギュ

 

 

 

 【試合開始!】

 

 

 戦車<ギャラギャラギャラ・・・

 

千代「しぽりんったら、試合開始ギリギリに戦車に戻ったそうだけど、体調は大丈夫なのかしら・・・」

 

千代「・・・いえ、そうやって手を抜くわけにはいかないわ。この試合はなんとしても勝たないと」グッ

 

 通信手「三時方向より敵襲!」

 

千代「!・・・来たわね。まずは小手調べといったところかし――」

 

 

 ティーガー軍団<ドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

千代「!?・・・ま、まさか・・・全車で一気に――」

 

 

  しほ「ブッ潰す!!!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

・・

 

みほ「すごかったねおかあさん!はじまってスグにみんなでバーってせめて、ガーってやっつけて、うおーってかっちゃうんだもん!」

 

菊代「試合開始15分で全滅させるとは、恐れ入りました」

 

みほ「はやくおわったから、おねえちゃんとおかいものにもいったし、そのあとはおねえちゃんとおかあさんときくよさんとわたしでいっぱいあそべたし、よかったねおねえちゃん!」

 

まほ「うん。やっぱりおかあさまはすごい」

 

みほ「おかーさんすごい!」

 

しほ「・・・別にすごくはないわ。まほとの約束のためだもの。ねっ、まほ」

 

まほ「はい」ニコッ

 

菊代「ふふふ・・・」

 

しほ「さあ、約束通り夕ご飯はまほの好きなものにしましょうか。カレーがいいのよね?」

 

菊代「待っててください。すぐに作りますから」

 

まほ「きくよさん、きょうはおかあさまのカレーがいいです」

 

しほ「!」

 

菊代「あらあら、私の作るカレーはお嫌いですか?」フフフ・・・

 

まほ「ううん、そうじゃないけど・・・きょうはおかあさまのつくったカレーがたべたいんです。いいですか?おかあさま。わがままいっても」

 

しほ「・・・ふふ、もちろんよ。よーし!お母さんに任せなさい!まほのためにとびっきり美味しいカレーを作ってあげるわね!」

 

 まほ&みほ『ワーイ!』

 

しほ「野菜を切って~」トントントントンワシントーン!

 

しほ「ルーを入れて~」ボチャリボチャボチャオボッチャマ!

 

しほ「ねるねるねるねは・・・ヒッヒッヒ」カキマゼ~

 

しほ「できた!」テッテレー!

 

しほ「さあ、まほ!みほ!西住流特製最強カレーをめしあがれ!」

 

 まほ&みほ『おおー!ヤッター!』

 

 まほ&みほ『いっただっきま~~~す!』

 

 パクッ

 

 まほ&みほ『まじぃ~』

 

しほ「えっ」

 

 

 

 

まほ「おはようございます」

 

菊代「まほお嬢様、おはようございます。すぐ朝ご飯にしますから座っててくださいね」

 

 みほ「おはお~・・・」フワァ~ しほ「おはぉう・・・」フワァ~

 

菊代「お寝坊さん達、早く顔を洗ってきてください。まほお嬢様はもう食べる準備万端ですよ」

 

みほ「おねえちゃんいつもはやおきだね。さすがおねえちゃん」

 

まほ「おねえちゃんだからね」フンス

 

しほ「・・・ふふ」

 

菊代「さ、朝食が出来ましたよ。今日もモリモリ食べてビシバシ遊びましょう」

 

みほ「あっ、なっとうだ。このネバネバがおもしろいんだよね~」グルグル

 

菊代「はい、しほさん。納豆のおネギ」スッ

 

しほ「ありがとう」パラパラ

 

まほ「・・・」ジー

 

しほ「・・・まほ、納豆にはネギを入れる?」

 

まほ「んー・・・」

 

 

まほ「いや、なっとうにはネギをいれません。わたしはまだこどもですから」

 

 

 

 ~おしまい~

 

 

 

 

 

 ~おまけ~

 

千代「ほーら愛里寿ちゃ~ん、ガラガラですよ~。たのしいね~」ガラガラ

 

 愛里寿<プイッ

 

千代「・・・どうしてなの・・・前はこれでキャッキャ遊んでたのに・・・まほちゃんとみほちゃんに預けて以降、いつの間にか持ってた包帯グルグル巻きのぬいぐるみを手放さないし・・・」

 

 愛里寿<ボコ~♪ スリスリ

 

千代「・・・試合ではボコボコにされるし、愛里寿ちゃんは妙なシュミに走っちゃうし・・・ちくしょー!このボコボコのぬいぐるみも鼻につくわ!」バッ

 

 愛里寿<アッ・・・ ビエー!

 

千代「ああっ!ごめんなさい愛里寿!はい、返すから!返すから!」ササッ

 

 愛里寿<グスン・・・ キッ・・・

 

千代「・・・めちゃ睨まれてる・・・ご、ごめんね愛里寿ちゃん」

 

 愛里寿<プイッ

 

千代「おのれぇ~!西住流~!今度は劇場版で仕返ししてやる~!」メラメラメラ

 

 ~おしまい~



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