【悲報】転生したら暗殺組織の隊員にされた件【戸籍ナシ】 (星ノ瀬 竜牙)
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番外編
Another story I "Chocolate"


ハッピーバレンタインの番外編です。
本編とは特に繋がりはありません。

なのでどの時系列にあるのかはご想像におまかせします。


甘くできているかどうかは分かりません。


 世はまさにバレンタインシーズンど真ん中。

 あちこちのデパートやお店でチョコやそれ関連の商品が売り出されている。

 

 そんな中、喫茶リコリコはといえば……

 

「なんも変わらず平常運転ですね」

 

「そりゃそうでしょ、あんなリア充限定イベントなんぞ楽しむ必要はないっつーの!」

 

「僻みすぎじゃないか、ミズキ?」

 

 グチグチ、と文句を垂れるミズキの言葉に少し呆れ気味にクルミは告げる。

 そう、喫茶リコリコはとくにいつもと変わらず通常経営であった。

 

「まあ、わざわざ限定商品を出しても売れるか分からないからな。

 それならばいつも通りが1番良いだろう。たきなに怒られてはたまらん」

 

「違いないっすね。千束は文句言いそうですけど」

 

「ははは、たしかに」

 

 ミカの言葉に、棗は全面的に同意しながらも千束は不貞腐れそうだ。と苦笑する。

 基本的に季節の催しに関しては敏感な彼女だ、節分になれば豆まきすっぞー! とやるし、こどもの日には鯉のぼりを上げたりして満喫しようとする程だ。

 今回だって何かしら考えてそうだな、と棗、ミカ、ミズキ、クルミは揃って予想していた。

 

「あれ、そういやたきなはどうしたのよ」

 

「たきななら今日は予定があるって早帰りですよ。まあ千束もですけど……なんなんですかね」

 

「はーん? かーっ! モテる男はいいわねー!!」

 

「え、なんすかいきなり」

 

 ミズキはちらり、とカレンダーの日付を見て察したのか嫌味ったらしく棗を見る。嫌味ったらしく言われた当人はなんのことかと困惑していたが。

 

「ああ、そういえば明日はバレンタインか……おい、棗」

 

「ん? なんだクルミ……っとと?」

 

 ぽい、と小包に入ったチョコ菓子を棗はクルミから投げ渡され、危なげながらもキャッチする。

 

「ボクは作ったりするのは得意じゃないしな、それにわざわざ梱包するのも面倒だ。当日は千束辺りに文句を言われそうだし、ひと足早めのバレンタインだ。勿論義理だぞ」

 

「手抜きだな……まあありがたく貰っておくが」

 

 そこら辺のスーパーや薬局で買えるチョコ菓子だったが、彼女なりのプレゼントだということも分かっているためか棗は苦笑しつつもそのチョコ菓子を受け取り、小包を破いて中のチョコ菓子を頬張る。

 

「ふむ……明日は少し忙しくなりそうだな」

 

「んぐ……ですかねぇ……チョコ関係の在庫って余裕ありましたっけ?」

 

「ああ、少なくともいつもよりは多めに一応仕入れておいたからな」

 

「なら……あのホットチョコパフェとか、一応大丈夫そうですかね」

 

 明日はその辺りのスイーツの注文が多くなるだろう、と見積もったらしい。

 在庫には余裕がある、というミカの発言に棗は安心した様子を見せる。

 

「ああ、あのう〇こパフェ」

 

「「ぶふっ……!?」」

 

「こらミズキ」

 

 ミズキがボソッと呟いた言葉で飲んでいたコーヒーを棗とクルミは同時に噴き出した。

 ミカはそれをはしたないぞ。と咎めるようにミズキに視線を向ける。

 

「だってしょーがないでしょ。アレはどっからどう見てもそうなんだから!」

 

「……まあ、そうだがな」

 

 忙しくなった要因でもあり、人気が出た要因でもあるたきな発案の問題作(パフェ)である。実際、実物を見た時はミカやクルミも絶句したほどだったし仕方ない話ではあるのだが。

 

「どの道アレも一応チョコのパフェなんで明日はたくさん作ることになりそうですね……」

 

「えー、私は嫌よ……あのパフェたくさん作るの」

 

「たきなに失礼でしょそれ……まあ前みたいに死ぬほど忙しいとかにならなきゃいいですけどね……」

 

「大丈夫だとは思うが……」

 

 唯一の不安材料である棗にミカは視線を向ける、

 

「……うん? おやっさん、なんで俺見てるんです?」

 

「いや、いつも通りなら忙しさはともかく……色々と一筋縄ではいきそうにはないと思ってな」

 

「????」

 

 毎年恒例となりつつあるとある出来事に今回も手を焼きそうだ。とミカは肩を竦めてため息を吐いた。

 当事者である棗本人は意図が掴めていないのか首を傾げていたが。

 

 ────

 

 一方その頃、千束のセーフハウスでは。

 

「と、いうわけで! 明日のバレンタインに向けて作戦会議をしまーす!」

 

「急ですね……千束が手伝って欲しいことがあると言ったので今日は早めに切り上げさせてもらいましたけど……帰ってもいいですか?」

 

「ちょーいちょいちょい! ちょっと待ってよたきなー! たきなだって花の女子高生なんだし、そのぐらい興味はあるでしょー!?」

 

 千束の急な発案に、たきなは呆れ気味に彼女を見つめて帰宅しようとする。

 当然、千束はたきなを引き留めようと腕を掴む。

 

「そもそもリコリスであって、女子高生ではないですし……別段興味もないですよ。というか、向こう(DA)にいた頃はこの時期は浮かれているリコリスが多くて鬱陶しさすら感じてましたけど」

 

「そういうことじゃないって!? たきなは季節の催しを楽しむことを考えないよね!?」

 

 思わぬ辛辣な評価に千束は心底困惑した様子でツッコミを入れていた。

 

「だって本当のことですし」

 

「うちの相棒がドライすぎる!? って、そうじゃなくて!! 

 もちろん、今じゃバレンタインってその……好きな人、に渡すのが主流だけどさ! お世話になった人とかに感謝を込めて贈る行事でもあるんだってば! たきなだってリコリコ(うち)にきて先生たちにいっぱいお世話になったでしょー? せっかくだし日頃のお礼も兼ねて一緒にチョコを作って先生や棗にプレゼントしようよ!」

 

「……まあ、確かに……店長や、棗さんにはいっぱいご迷惑おかけしたり……お世話になっていますが……」

 

 千束の言葉に一理ある、と思ったのかたきなは少しばかり考えるような素振りを見せる。

 

「でしょー? なら絶対やった方がいいって! ね! 一緒に作ろーよたきな!」

 

「………………まあ、千束がそこまで言うなら」

 

 渋々、といった様子ではあったが……たきなは千束の誘いに乗ることにしたらしい。

 

「よーし、言質とった!! じゃ! 一緒にチョコレート作って棗や先生を驚かせちゃおう作戦! スタートだ! えいえいおー!」

 

「お、おー?」

 

 そうして千束の掛け声に、たきなは困惑気味に乗っかり腕を上げるのであった。

 

 

 ───

 

「あ、これ棗くんの分ね」

 

「私もー、せっかくだしちょっといいチョコ奮発しちゃった!」

 

「わざわざすみません、こんないい物貰っちゃって……」

 

「いいのよ! せっかくのバレンタインデーだもの! 男の子はいっぱい貰って損は無いわよ!」

 

「そうそう、いっぱい貰えるうちが花だよ棗くん?」

 

「はぁ……そういうもんですか……?」

 

 翌日、バレンタインデー当日。案の定と言えば案の定であったが……棗狙いの客層がかなり多かった。チョコパフェの注文が多かったのはもちろんだが……女性客がいつも以上に多く……かつ、棗にチョコを渡す客がやたらと多かったのである。

 

 まあそんな様子を当然面白くなさそうに見つめるのは千束であった。

 モテるのはまあ分かる。棗ははっきり言って容姿が整っているし、気遣いができて料理もできる……理想の男性像だ。だからこそ、女性人気が高いのは知っているし、理解している。

 

 ……デレデレしているわけじゃない。けど、遠慮なく女性陣からチョコを受け取っている棗の姿はなんとなく面白くない。

 

「むむぅ……」

 

「千束、棗さんにチョコ渡さないんですか?」

 

「ぅっ……わ、渡したいんだけど、さぁ……」

 

 ほら、あれだし……と、視線を向ければたきなはああ……と頷く。

 

「棗さん、毎年ああなんですか?」

 

「んー……たきなが来る前はまだマシだったんだよね……基本うちってお客さんこないから常連さんぐらいしかよく通う人いなかったし……ただほら、少し前に人気出ちゃってお客さんいっぱい入ったでしょ? それで、さぁ……」

 

 ホットチョコパフェ、あれで客足が増えた結果……棗のことを知った女性層が多いのだ。そして今以上に棗のもとにチョコを渡す客が増えたというのが事の顛末である。

 

「……聞くんじゃありませんでした」

 

「あー! ごめんたきな! パフェのこと思い出させるつもりはなかったんだよ!?」

 

 そのホットチョコパフェはたきなにとってはある種のトラウマである。ふい……と視線を逸らして落ち込む様子をみせる彼女に慌てて千束はフォローを入れる。

 

「……まあ、今のは私が悪いですし気にしないでください」

 

 話題を振った自分が悪い。たきなはそう考えつつも棗がいる方向を見る。

 ……かなり笑みが引き攣り始めているがそれでもお礼を言いつつチョコを受け取っていた。

 

 あれ、もしかしてそろそろ助け舟出した方がいいのでは? とたきなはふと思った。

 

 まあ結局、そのまま助け舟を出す余裕もなく夕方辺りまで棗は女性客をたくさん捌く羽目になったのは仕方の無い話である。

 

「……死ぬ、表情筋が死ぬ」

 

「お、お疲れ様です……棗さん……」

 

「大変だったわねー、棗くん」

 

「よ、今日1番頑張った英雄に拍手!」

 

 ぱちぱち、とリコリコを閉めた後の残った常連客に拍手を送られるも死に体のまま棗は不服そうに顔を顰めた。

 

「なんで今日に限ってこんなに客を捌かなきゃいけなかったんだ……厨房が恋しい……」

 

「し、仕方ないですよ……今日は、その……バレンタイン……でしたし……」

 

「だからって俺目当てでくんなよ……注文してくれるのは嬉しいけどさ……」

 

 カウンターでぐったりと顔を乗せて棗はため息を吐いていた。

 その横でオロオロとしていたのは少し前からの常連客の中学生、(かたし) 香子(きょうこ)こと……リコリコではカナと呼ばれている少女であった。

 

「ほ、ホントにお疲れ様です……」

 

「ありがとなぁ、カナちゃん……」

 

「い、いえ……」

 

 棗の言葉に照れくさそうにするカナ。それを見ながらほかの常連客は微笑ましそうに見つめている。

 

「……青春ねぇ」

 

「禁断の恋ってやつだねありゃ」

 

 本人にその自覚があるのかは不明だが、カナは棗を見る視線が少しばかり熱い。中学生と成人した男性の禁断の恋、そういうものを傍から見るのはやはりというか少し萌えてしまうのだ。

 

「まあ、こっちは面白くなさそうだけどね?」

 

「…………むぅうう……」

 

 思いっきり頬を膨らませてご機嫌ナナメな様子をみせている千束を見て周囲の大人たちは苦笑いをする。

 分かる。分かるのだ。吊り橋効果のようなものではあったかもしれないけどカナちゃんは棗に助けられて、それで惹かれているというか……王子様のように思えてしまっているのはすごく分かるのだ。だけどやっぱり嫉妬はしちゃうし面白くないとは思ってしまう。

 

「千束、いい加減機嫌を治したらどうですか?」

 

「うー、だって棗がさー……!」

 

「そもそも私たちが手を貸せばよかったんですし、踏み込まなかった千束が悪いのでは……」

 

「ぅぐぅ……!!」

 

 たきなの正論に千束はぐうの音も出ないまでに黙らされていた。

 

「たきなちゃん、乙女心って複雑なもんなのよ」

 

「……? そういうものなんですか?」

 

「そういうものなの、ねえ伊藤さん」

 

「そうねぇ……恋する乙女にとっちゃ色々と大変なものよ?」

 

 常連客のうちの女性陣二人の言葉にはぁ……とよくわかっていない様子でたきなは首を傾げていた。

 

「あ、カナちゃんがチョコ渡してる」

 

「うわ、ほんとだわ。さりげなく気遣うように渡す辺りやるわね……」

 

「計算高い子だもんなぁ、あの子……」

 

 照れくさそうにしながらも、労うように棗にチョコを渡しているカナに、大人たちは感心した素振りを見せていた。

 

 不貞腐れている千束をあやしながら、たきなはその様子を見ていたが……

 いい加減、この不貞腐れている己の相棒をなんとか助けるべきか、と動き出す。

 

「棗さん」

 

「ん……? たきな、どうした?」

 

「いえ……その……今日は……聖ウァレンティヌスの日ですね!」

 

「お、おう……そうだな……???」

 

 しかし撃沈、いざバレンタインだと口に出そうとすると羞恥心が勝ったらしくたきなは嘘ではないが誤魔化すように別の話題を切り出してしまった。

 

「ヘタれたわね」

 

「ヘタれたね……」

 

「ヘタれちゃったなぁ……」

 

 大人組、思わず苦笑いである。

 

「で、ではなく……その……お疲れみたいですし、少し甘いモノでも作りましょうか?」

 

「んぁ……? あー、そりゃありがたいけど、いいのか……?」

 

「はい、その……ば、バレンタインですし……私からも、日頃のお礼を……と思いまして……」

 

「……そうか、うん。じゃあお言葉に甘えるよ」

 

「! なら少し待っててください、今用意しますので!」

 

「急がなくてもいいぞー?」

 

 好機とみたのか、たきなは即座に厨房に向かってパフェを作りにいく。

 その様子を横から見ていたカナは、ほわー……と口を開けて見つめていた。

 

「ん、どうしたカナちゃん?」

 

「い、いえ……やっぱり、たきなさんと仲が良いんだなーって思いまして」

 

「まあ……色々あったからなぁ……」

 

「色々、ですか……?」

 

「そう、色々ね」

 

 誤魔化されている、というのは分かってはいるが自分がそうであったように棗やたきなにも隠したいことのひとつやふたつはあるだろうと思い、深くは踏み込まないようにした。

 

「……しっかし、このチョコの山どうすっかね」

 

「ぜ、全部食べる気なんですか?」

 

「……まあ、せっかく貰ったもんだしなぁ。他の人に食べてもらう……とかは渡してくれた人に失礼だしさ」

 

「し、真摯だ……」

 

 私だったら手伝ってもらってたかも……とカナは思った。こういう大人びていて誰に対しても優しいところが魅力的な人なのだ。

 

「てか、カナちゃん。そろそろ帰らないとやばいんじゃない?」

 

「え? あっ! ほんとだ! 早く出ないと遅くなっちゃう!」

 

 時間を確認すればすっかり夕方である。かなり遠くから来ているカナにとってはこれ以上滞在してしまうと家に帰るのが凄く遅くなってしまうのだ。だからこそ、慌てて立ち上がった。

 

「夜道には気をつけてな?」

 

「は、はい! みなさんもさようなら!」

 

「ばいばーい、カナちゃん!」

 

「気をつけてねー」

 

「怪しい人には気をつけるんだぞー?」

 

 ぺこり、とお辞儀をしてお店を出るカナを見送る。

 

「さて、じゃあ我々も撤収しますか」

 

「ですねー、これ以上は千束ちゃんたちのお邪魔になりそうですし」

 

「そうね、あ、棗くん。よかったらそのチョコ今度感想ちょうだいね? 美味しかったら知り合いにもお裾分けしたいし」

 

「あ、はい。ならなるべく早めに食べておきます」

 

 カナが帰ったのを皮切りに、他の常連客も次々とリコリコを去っていく。

 遅くなるのはアレ、というのはもちろんだが……千束やたきなの邪魔をしないことが第一の理由なのは内緒である。

 

「……なんか、今日は一段とやかましかったというか……どっと疲れたなぁ」

 

 ふいー、と棗は大きく息を吐いてカウンターで身体を伸ばす。

 

「お待たせしました! ……あれ、皆さんは?」

 

「いい時間だし帰るって」

 

 厨房から出てきてキョロキョロと周囲を見渡すたきなに、棗はそう返す。

 

「なるほど……一言、声をかけてくれても良かったのに」

 

「なんか邪魔しちゃ悪いってさ」

 

「はぁ……? あ、棗さん、どうぞめしあがってください」

 

「お、サンキュ。パフェか」

 

「はい、私特製の賄いカフェです」

 

 彼女がカウンターに置いたのはチョコを使ったシンプルなパフェだった。

 決して奇抜なアレがあったりはしないチョコパフェである。

 

「……じゃあさっそく、いただきます」

 

「はい、めしあがれ」

 

「……んむ……ん、美味い。また腕を上げたな、たきな」

 

「そ、そうですか? ……普段のパフェ作りを応用して作ったんですけど」

 

「ああ、クリームとチョコ、スポンジとバランスが上手く取れてる。

 ……少し前の賄いを作ってた頃と比べると見違えたよ」

 

「ぅ……そ、それは忘れてください……」

 

 棗の言葉に、たきなは照れくさそうに……それでいて恥ずかしそうに顔を赤くする。

 まだ割と無愛想だったころの話を切り出されると、たきなとしては色々と恥ずかしいのだ。

 

「はは、悪い悪い」

 

「……もう、意地が悪いですよ。棗さん」

 

「なーつーめぇー……!」

 

「ぬぉうっ!? 千束なんだ急に!?」

 

 軽い談笑をしていた二人をしばらく見つめていたが、疎外感が限界に至ったのか……千束はだる絡みするように、棗に抱きついた。

 

「棗ばっかりずるいー! 私もたきなのパフェ食ーべーたーいー!」

 

「ふふ、そういうと思ったのでちゃんと用意してますよ?」

 

「うっそ、マジ? さっすが相棒! 気が利くねー!」

 

「分かったから離せ、パフェが食えないっての」

 

「あ、ごめん」

 

 す、と千束は棗から手を離して隣に座る。そしてたきなにお出しされたパフェに早速手を付ける。

 

「んぅ〜♪ 美味しい〜! ほんとに美味しいよこのパフェ!」

 

「そ、そうでしょうか……?」

 

「うん、めっちゃ美味しい! 普通にリコリコの商品として出せるレベル!」

 

「まあ、否定はしないな。この先もし俺がいなくなっても厨房を任せられそうで安心したよ」

 

「そこまでなんですか!?」

 

 褒めすぎでは!? とたきなは困惑した様子で二人を見つめる。冗談で言っている様子がないからこそ思わずそんなリアクションになってしまった。

 

「……こほん、まあ……素直に褒めてもらえるのは嬉しいかぎりです。ありがとうございます」

 

「ん、どういたしまして」

 

「あ、それと……」

 

「「?」」

 

「ハッピーバレンタイン、です」

 

「……ハッピーバレンタイン、たきな」

 

「うん、ハッピーバレンタイン!」

 

 たきなのその言葉に顔を見合せて、千束と棗は笑みを浮かべて返事をした。

 

 ────

 

「うー……さっむっ……」

 

「ならさっさと帰れば良かっただろ……わざわざ待ちやがって」

 

 夜遅く、セーフハウスへ帰る道中で千束は寒そうに手を擦る。棗はそれを見ながら呆れた様子でため息を吐く。

 

「……だって、こうでもしないと二人っきりになれないじゃん」

 

「……お前、最近大胆になってきたよな、色々と」

 

 千束のそんな不意をついたような言葉に思わず顔を赤くする。

 

「そりゃー、どっかの誰かさんにはこうして真正面から伝えないと分かんないみたいですからねー?」

 

「……そうかよ」

 

 誰、とは言わないがそれが誰なのかはいかに鈍感な棗でも理解できているからか……少し気まずそうに視線を逸らす。

 

「あと半月で春だってのに、まだまだ寒いねぇ……」

 

「……まあまだ雪降ったりしてるぐらいだしな。仕方ないっての」

 

「……んー、えいっ」

 

「うおっ……んだよ急に引っ付いて……」

 

「こうすれば寒くないでしょ?」

 

 棗の腕をしっかりと掴んで身体をくっつけながらにしし、と千束は笑う。

 確かにくっつけば寒くはなくなるだろうが……

 

「さすがに距離が近すぎるっての」

 

「まあまあ、私と棗の仲じゃん?」

 

「どういう仲だよ」

 

「えー? 付き合ってないのにキスした仲?」

 

「…………」

 

 否定できなかった。というか字面だけ見たら最低すぎた。昼ドラかよ。

 

 そう、棗はまだ答えを出していない。出せていない。必死に悩んではいる。

 ただそれでも、彼女の想いに応えてやるべきなのか。それは未だに彼の心の中に燻っていた。

 

「……少しずつでいいよ。ゆっくり、時間をかけて悩んでよ。で、ちゃんとした答えを出して欲しいな」

 

「……ああ、そうする。悪いな、待たせて」

 

「いいよ、気にしてないし。……あ、でも。ここに返答待ち中の女の子がいるのに他の女の子を誑かすのは良くないぞー? いつか刺されちゃうよ?」

 

 まあ、棗の場合は刺されてもピンピンしてそうだけどね? と千束はケラケラと笑った。色んな女性からチョコ貰ってる姿を見たが故の彼女の感想だった。

 

「いや知らんが……アレに関しては俺がやったわけじゃねえし……」

 

「ま、棗って結構女難だもんねぇ。私みたいな割とめんどくさい女とか、たきなとか……ミズキとか、そういう癖あるタイプとばっかり縁があるし」

 

「自分で言うなよ。あとミズキさんに失礼だなお前しれっと」

 

 だって私結構嫉妬深いし、めんどくさいぞ? と千束は返す。

 まあそこに関しては否定しないけどな。人の首に痕つけるような女だし。

 

「うぐ……アレは気の迷いだったんだってば……あの時以来してないでしょ?」

 

「でもしただろ」

 

「確かにしただけども!! 前科一犯だけど!!!」

 

 確かに前科一犯って信頼なくなるもんね!! 畜生!! と叫ぶ彼女に呆れてしまう。それはそうと……

 

「近所迷惑、夜遅いぞ」

 

「こういう時だけ常識人ぶらないでよ!? リコリコ1の人外なのに!!」

 

「一言余計だ貴様」

 

 失礼な、俺だって好きでこんなチートハイスペックなわけじゃねえよ。

 

「いやというか、それをお前が言うなよ視力バカ」

 

「なんだとこんにゃろー!」

 

「おいやめろ、スリスリしてくんな、頭を押し付けんな」

 

 ぐりぐり、と千束は棗の身体に頭を擦り付けて抗議した。いやそれは抗議なのか? 

 

「……てか、そういや今日……お前いつもより絡んでこなかったけどどうしたんだよ」

 

「え? あー、いや……それは、なんと言いますか……色々ありましてですね……」

 

「……?」

 

 そういえば、と話題を振れば急にしおらしくなった千束を見て首を傾げる。

 別段、彼が悪いわけではない。強いて言うのであればたきなが言っていたように……踏ん切りがつかなかった自分が悪いのだから。

 

「今日、バレンタイン……じゃん?」

 

「まあ、そうだな」

 

「………………そういうことだよ」

 

「…………いやわからんが」

 

 なんでそれで伝わると思った? と棗は千束を見る。それだけで1から10まで把握出来るわけがない。読心術なんてないし、第三の目があったりするわけでもないし。

 

「ぅー……ばか、にぶちん」

 

「なんでだよ……」

 

「うるさい、そこは察しろ」

 

「理不尽だろそれ」

 

 人をなんだと思ってやがる。という棗の抗議に千束はぷい、と顔を逸らす。

 ……さすがにこれは子供っぽいというか、子供すぎるかもしれない。と思い直す。

 

「……だ、だって……バレンタイン……チョコ、渡したかったんだもん……いちばん早く……」

 

「……え、それだけ?」

 

「それだけってなんだよー! 私だって色々考えてたのに! 雰囲気とか! 渡すタイミングとか! なのに、棗ったら他の女の子から貰ったチョコでデレデレしてさー!!」

 

「いやデレデレはしてないだろ」

 

「してたの! 私からすれば!!」

 

「横暴すぎる」

 

 うるせー! 女の子からすれば他の女のチョコ貰ってる時点で浮気判定みたいなもんなんだよー!! とヤケクソ気味に棗に叫ぶ。

 

「当たり判定がデカすぎるだろそれ」

 

「ふんだ! 棗はそのままチョコに溺れて血反吐吐いて倒れたらいいんだ!」

 

「ちょっと容易に想像できるからやめてくんない?」

 

 チョコの摂取過多でマジでそうなりそうだからシャレにならんのだが。と棗は顔を引き攣らせる。

 

「……………………ばか、あほ、おたんこなす、ぼくねんじん」

 

「急に語彙力をなくすな。…………ったく、まあ、俺も悪かったよ。しっかり断ればよかったのに断ってなかったしな」

 

「……ぅ……別に棗は悪くないって……私が勝手にヤキモチをやいてただけだし……棗の性格からして、断ったりしないのは分かってたもん」

 

「それでも……まあ、告白の返事待ち中のお前相手には真摯に向き合ってなかったのは事実だしさ。ごめんな、千束」

 

「…………いいよ、許してあげる。それと……私もごめん……」

 

「ん、俺も許すよ」

 

「うん……ありがと……」

 

 お互い謝って仲直り……はいいんだが、引っ付いたままだから痴話喧嘩にしか見えんよなこれ。と思わず声に漏らす。

 

「あー……そうかも?」

 

 確かに、こんなぴったりくっついてたら喧嘩は喧嘩でも痴話喧嘩にしか見えないよねぇ……と千束も思わず苦笑してしまった。

 

「…………棗」

 

「あん? どうした?」

 

「……チョコ、受け取ってくれる?」

 

「…………ああ。分かった」

 

「じゃあ、目を瞑って」

 

「……なんでだよ」

 

 渡すだけならそれいらんだろ、と棗は抗議するが千束は問答無用でゴリ押そうとする。

 

「いいから!」

 

「…………分かったよ」

 

 渋々だが、棗は立ち止まって目を閉じる。不思議となんだか顔が熱くなって鼓動が速くなった気がする。

 

「…………よし、いくぞぉ……! がんばれ私……!」

 

「千束? おい、なに────んむっ!?」

 

 不意に、柔らかい感触が……棗の唇に伝わってくる。この感触は以前も味わったし、覚えている。それがなんなのか、言わずとも分かってしまう。

 

 しかし、それだけでは終わらなかった。直後……口の中に甘いなにかが送り込まれる。……というより、これ口移しだ。と棗はすぐに気づいた。

 

「……ぷはっ」

 

「んぐ、千束っ……おまっ……なにをっ……!!?」

 

 そのまま口移しで渡されたチョコを噛み砕いて飲み込めば、ばっと目を開けて顔を赤くしたまま棗は千束を見る。当然、彼の視線の先には……蛸のように茹で上がった千束の顔があって。

 

「…………他のチョコの味なんて分からなくするためのおまじない。

 たきなには譲っちゃったけど……他のチョコには見向きもさせないから」

 

「───────」

 

 そんな千束の言葉に、棗は何も言えなく……というか、羞恥心でいっぱいいっぱいになっていた。

 

「〜〜〜ッ!! じゃ、じゃあおやすみ! 今日は、ここまででいいから!! また明日ね!!!」

 

「あ、おいっ千束!?」

 

 そんな大胆な行動を起こした千束自身も、さすがに耐えきれなかったのか、残りのハート型に梱包されたチョコを手渡して、ダッシュで棗から離れていった。

 

「……………………ばか、ホントにお前以外に見向きできなくなるだろうが」

 

 棗は唇を触りながらしゃがみ込んでそう呟くほかなかった。

 ……まさに、千束の作戦勝ち……だったのかもしれない。

 

 ───────

 

「〜〜ッッ! ばかばかばか……! 私のバカヤロー……!! なにやってんだよホントに……! 絶対ドン引きされるってあんなの……ぅー……!!」

 

 頬が熱い、今なら頬の温度だけでお湯を沸かせるんじゃないか……なんてそう錯覚してしまうほどに、頬が熱くて仕方がなかった。

 

 嫉妬はしたし、だから私以外を見れなくしてやろう。みたいな独占欲みたいなのがなかったわけじゃない。でも、だからといって……アレはほんとに大胆すぎた。

 

 枕を抱えて、のたうち回るようにベッドの上でゴロゴロと転がる。明日からどんな顔で棗に会えばいいんだ私ぃ……なにやってんだちょっと前の私ぃ……血迷いすぎだろぉ……! 首に痕つけた時と言い、血迷ったら見境なしか私ぃ……!! 

 

 聞こえないはずの心臓の鼓動がめちゃくちゃに聞こえる気がする、ドクンドクン、とドキドキ、と鳴り響いてるように錯覚してしまう。あぁ……ダメだ……これ、私やばい……

 

「ぅー……!」

 

 感触も、しっかり残っている。チョコレートに混じった……棗の、味……

 

「あーっ!! あーッ!! もーっ!!! 全部……全部棗のせいだっ……!!」

 

 バシバシ、と枕をベッドに叩きつけながらそんなことを叫ぶしかない。

 そうだ、こんなに好きになるなんて思わなかった。気付いて自覚して、こんなにも……好きが溢れるなんて予想してなかった。

 

「……………………チョコ、食べてくれるかな」

 

 たきなと一緒に……作ったチョコと私だけでひっそり作ったチョコ……どっちもある。だからどっちも食べて欲しいけど……できるなら、私が作ったチョコを美味しいって言って欲しいなぁ……なんて、そんなことを祈って……

 

 私は布団の中に籠ることにした。この熱を……忘れないために。

 

 ────このあと、結局寝付けなくて……翌日寝坊しちゃったのは内緒の話。

 バレンタインの魔力って……怖いかも。




立花 棗

あの後一睡も出来ずにいた。
チョコの味以前に彼女の唇の感触を思い出して悶絶した。
しばらく千束の顔をまともに見れなかったらしい。


錦木 千束

血迷った自分に絶賛後悔中。
チョコは先生にも一応上げた、先生へのいっつもお世話になってるお礼。
しばらくの間、棗の顔を見る度に顔を真っ赤にする日々が続いた。


井ノ上 たきな

チョコは私が渡すから〜と千束に言われたので彼女からはあげていない。
なので、賄いパフェという形で送った。ハッピーバレンタインです。
しばらくの間、二人が顔を合わせる度に赤くしあっていたことには首を傾げていたらしい。



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本編
【悲報】転生したら暗殺組織の隊員にされた件【戸籍ナシ】


リコリス・リコイルにハマったので衝動書きです。


1:名無しの彼岸花 ID:LyReBEll

スレタイトル通りなんやけど知恵を貸してクレメンス……

 

2:名無しの彼岸花 ID:/h4aQvfj6

お、釣りか?

 

3:名無しの彼岸花 ID:S/+MGy3hO

タイトル通りならイッチ明らかに詰んでるからワイら手を貸せなくない?

 

4:名無しの彼岸花 ID:ZbbNC5bSb

それな

 

5:名無しの彼岸花 ID:mcq3UDzlh

任務失敗すれば死ぬような組織でしょ、暗殺組織って。

 

6:名無しの彼岸花 ID:VfiSRhdON

そもそも何があったらそうなったんやイッチ。

 

7:名無しの彼岸花 ID:LyReBEll

分からん。気付いたらなんか戸籍のない一般ショタになってて

そのまま暗殺の技術とか銃の扱い方とか教えられてた。

 

8:名無しの彼岸花 ID:0JHg9IoE3

え、なにそれは……

 

9:名無しの彼岸花 ID:knWRAwI+5

そんな末法世界、イッチそれ何処の国なんや

 

10:名無しの彼岸花 ID:LyReBEll

日本やぞ

 

11:名無しの彼岸花 ID:LhS8FP9co

ファッ!?

 

12:名無しの彼岸花 ID:ZR8rLVJ9W

うっそだろお前wwww

 

13:名無しの彼岸花 ID:W6aXKLnZh

マ?

 

14:名無しの彼岸花 ID:nH1ah0Lh5

なんで日本に暗殺組織があるんだよ、平和憲法はどうなってんだ平和憲法は!!

 

15:名無しの彼岸花 ID:6jy314TX6

おはワッカ

 

16:名無しの彼岸花 ID:Dk+a7+mt1

ワッカさんいるじゃん

 

17:名無しの彼岸花 ID:6pHebPDuz

いや分からんぞ、イッチが日本だと思い込んでるだけかもしれん。

 

18:名無しの彼岸花 ID:vLktMm3sZ

それもそうか。

 

19:名無しの彼岸花 ID:LyReBEll

>>17【画像】

これで満足か?

 

20:名無しの彼岸花 ID:lrqHBwEEB

ファーwww

 

21:名無しの彼岸花 ID:O8YBBcahN

んーこの街並みは日本ですわ

 

22:名無しの彼岸花 ID:CDFwMTU4x

てかスカイツリーじゃねあれ

 

23:名無しの彼岸花 ID:opxUEe96h

ほんとだ、ぶっ壊れてて草

 

24:名無しの彼岸花 ID:1sdleU/SB

スカイツリーが見るも無残な姿に……

なにがあったんや……?

 

25:名無しの彼岸花 ID:LyReBEll

ちょっと前にあそこでテロがあったんや。ちな、その時ワイ制圧に出てた。

 

26:名無しの彼岸花 ID:+s9DFxBb1

隙あらば自分語り

 

27:名無しの彼岸花 ID:fPmp/rVK7

暗殺組織が動いてテロ鎮圧したんか。で、その代償があのぶっ壊れたスカイツリーと?

 

28:名無しの彼岸花 ID:LyReBEll

そそ、今じゃ平和のシンボル(笑)になってる。

裏じゃ悪い奴らアホほど動いてんのにな!嫌になっちゃうわ。

 

29:名無しの彼岸花 ID:k7OalJt9W

明らかにイッチの職場?がブラックなのとその日本が相当日本してないのだけは分かった。

 

30:名無しの彼岸花 ID:PlPCBVQGQ

てかそろそろイッチはコテハンつけてくれ。

いちいちID見るの面倒くさい。

 

31:名無しの彼岸花 ID:LyReBEll

>>30あいあい、ちょっと待っててな。

 

32:名無しの彼岸花 ID:jHD42+e2b

しかしこれどの世界だ?明らかに末法すぎる。

 

33:名無しの彼岸花 ID:bOgLrYuDW

少なくともほのぼのアニメな世界にイッチは転生してないのは確実。

 

34:名無しの彼岸花 ID:ZwMmxOrtL

転生者スレでも結構やばい世界にいるってやつは多いけど別ベクトルでイッチの世界はやばそう。

 

35:名無しの彼岸花 ID:OpY/M/Fd2

暗殺組織が当然のように存在してそこに戸籍ナシのイッチ(ショタ)が所属してる辺りねぇ……?

 

36:名無しの彼岸花 ID:PoAber59X

マジでやばそうな気配がする。

 

37:名無しの彼岸花 ID:BzYlU4iUs

イッチはこれから生き残れるのか?

 

38:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

おまたせ。勝手に他人のフラグ建築しようとしないで?

 

39:名無しの彼岸花 ID:sVSjTrwwm

お、イッチおかえり。てかコテハン物騒過ぎて草

 

40:名無しの彼岸花 ID:/qDux3sG4

暗殺鈴蘭てww

 

41:名無しの彼岸花 ID:0MjZP4UxG

毒の花と暗殺掛け合わせるのはある意味オシャレではあるけども

 

42:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

いんや、これうちの組織名からとってる。

リリベルっていう組織なんや。で、リリベルが鈴蘭の別名だからこうした。

 

43:名無しの彼岸花 ID:Q8TtQCZTj

なるほど?

 

44:名無しの彼岸花 ID:ykB0MJdUX

それでも物騒が過ぎる。

毒の花がモチーフの組織とか明らかにヤバい気配しかしないでしょ。

 

45:名無しの彼岸花 ID:rM0BoN5ep

ほんそれ。しかも戸籍ナシのショタを使う辺りやばい

 

46:名無しの彼岸花 ID:mg4wwjEX0

そういや気になってたんだけど戸籍ナシってイッチだけなんか?

 

47:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

>>46

いんや、みんなそうやで。全員戸籍ナシの天涯孤独の孤児の男しかおらん。

 

48:名無しの彼岸花 ID:Zc/oMCjr6

ファーwwww

 

49:名無しの彼岸花 ID:N5Pu9vIKH

ギルティ。

 

50:名無しの彼岸花 ID:IY/DkOIwA

これはアウトですわ

 

51:名無しの彼岸花 ID:XBPE68+yB

てか男だけなん?

 

52:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

男だけやで。

 

53:名無しの彼岸花 ID:5nANX+KHU

つまりイッチの転生した世界はBLモノ……ってコト?!

 

54:名無しの彼岸花 ID:YZyFtbs9w

わ ァ……!

 

55:名無しの彼岸花 ID:2W3+uscLg

ホモじゃん。

 

56:名無しの彼岸花 ID:tc4UHVa1f

┌(┌^o^)┐ホモォ...

 

57:名無しの彼岸花 ID:2VY0S+P4C

>>56なっつ

 

58:名無しの彼岸花 ID:b0+IK7vvq

やめろ懐かしいとかいうな死人が出るぞ

 

59:名無しの彼岸花 ID:LiGjKlLeP

ホモォってもう十年前に流行ったやつってマジ?

 

60:名無しの彼岸花 ID:fsu8aHZKE

ファッ!?うせやろ!?

 

61:名無しの彼岸花 ID:szzvQZYGU

ヤメルルォ!!

 

62:名無しの彼岸花 ID:CPVAupe9l

ファッ!?ウーン……(即死)

 

63:名無しの彼岸花 ID:awnXV24sH

ほんとに死人出てて草

 

64:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

盛り上がってるところ悪いけど、一応女版の暗殺組織も存在するで。

 

65:名無しの彼岸花 ID:m2yyjjUHp

マ?

 

66:名無しの彼岸花 ID:YrvUtvxRn

kwsk

 

67:名無しの彼岸花 ID:/pIxcI8mH

そんなん美少女確定じゃん

 

68:名無しの彼岸花 ID:4wWPDGgvl

キマシタワー

 

69:名無しの彼岸花 ID:MItFnVUSM

目の保養じゃん。

 

70:名無しの彼岸花 ID:kI7yyFaE4

でも戸籍ナシなんでしょう?

 

71:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

>>70そうだよ。

ちなみに組織名はリコリスらしい。詳しいことはワイもあんまり知らん。

 

72:名無しの彼岸花 ID:bnPxKIwTx

リコリスって?

 

73:名無しの彼岸花 ID:i74kfRI8t

ああ!

 

74:名無しの彼岸花 ID:/wfHEVgPt

リコリス、彼岸花の別名やな。

多分イッチの所属するリリベルと組織的には繋がりあるんとちゃう?

どっちも毒の花の名前だし。

 

75:名無しの彼岸花 ID:yCMclnYdK

博識ニキおるやん。たすかる。

 

76:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

博識ニキサンキュー。なんかそんな話は聞いた。

八咫烏?とかいう大きな組織の派閥に彼岸花と鈴蘭と

なんかあと一個あった気がする。

詳しくは覚えてないのはすまんやで。

 

77:名無しの彼岸花 ID:kn8Z3xbIz

はえー、つまり組織的な繋がりはあると。

 

78:名無しの彼岸花 ID:dGTaH50Pa

でもなんでイッチ事情知らんの?

 

79:名無しの彼岸花 ID:xIwlR+cTC

そういやそうやな。管轄一緒なら話とかは聞くんとちゃうん?

 

80:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

そうだとよかったのになあ……

 

81:名無しの彼岸花 ID:nX9Vs39KS

お、どうしました?

 

82:名無しの彼岸花 ID:rOODWfZVq

これは……なんかあかんやつじゃな?

 

83:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

なんか方針が食い違ったのか、今現在はリコリスとリリベルは敵対してるんやで。

 

84:名無しの彼岸花 ID:hqDnyX+M4

ファーwww

 

85:名無しの彼岸花 ID:7bPgV/TtA

おいおいおい、死ぬわあいつ。

 

86:名無しの彼岸花 ID:ZxW0UWxXb

ひょっとしてイッチの組織のトップってバカ?

 

87:名無しの彼岸花 ID:4t2qr0TX+

いやバカでしょ、上層部無能タイプじゃんこれ

 

88:名無しの彼岸花 ID:Q37rEc9gK

イッチの死亡フラグが乱立しましたね……

 

89:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

やめて?ほんとに死んじゃうから

 

90:名無しの彼岸花 ID:XpbCDdKVc

切実で草。イッチマジで転職……はできへんのか

 

91:名無しの彼岸花 ID:NpADCjMdt

できてたらスレなんて建てないでしょ

 

92:名無しの彼岸花 ID:Hvd7xSwcC

それはそう。

 

93:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

いやね、マジでリリベルって命軽いのよ。

つい先日まで隣で飯食ってたヤツとか、同じ寝室で寝てた相棒がね。

死ぬのよ。血流して死んでるんだわ。

 

94:名無しの彼岸花 ID:ya6gJKsij

うわ……

 

95:名無しの彼岸花 ID:jTDnsIJVZ

えっっっっっぐ

 

96:名無しの彼岸花 ID:T5qXKvRFf

使い捨ての駒かよ……

 

97:名無しの彼岸花 ID:zRcQquX5D

よく生き残ってたな、イッチ……

 

98:名無しの彼岸花 ID:vt853O+to

まあ戸籍ナシの子供を使ってる辺りはマジで使い捨てなんだろうし、

補充が利くってことなんだろな……

どこから補充してるのかは知らんけど

 

99:名無しの彼岸花 ID:+BAlfakzw

で、イッチはその現状を打開したくてスレ建てたって感じか?

 

100:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

いや、ちょっと違う。

 

101:名無しの彼岸花 ID:byh+MwtQt

違うって?

 

102:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

いやまあ……すっごい今も気持ち悪いよ?

人を殺すのが当たり前の日々なの。

でもさ、一応殺害対象って悪人なのよ。

例えばテロリストだったり、殺人事件起こそうとしてる人とか。

だから知らない人の日常を守るって考えたら

まだ我慢はできるのよ。

慣れてきてる自分が心底怖いけど

 

103:名無しの彼岸花 ID:0NINOnrIJ

あー……転生して、殺伐とした世界に行くと

精神病むヤツとか多いもんな。

 

104:名無しの彼岸花 ID:OMHzETCBi

まあスレ使ってる連中って基本日本人だしな。

転生後の世界で戦争とか普通にあると感覚がおかしくなるよな。

 

105:名無しの彼岸花 ID:zbNxWIcDC

平和ボケしてるワイらにはキツイ話よな

 

106:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

まあそれでも何度も生き残って、任務完遂してさ。

地位みたいなのもちょっと上がったんだわ。

その都度、仲間がたくさん犠牲になったし心折れそうだけどもね。

 

107:名無しの彼岸花 ID:X2kRjO5TI

聞いてるこっちが辛くなってくるやつだな……

 

108:名無しの彼岸花 ID:X9jbYKMes

まあその手の組織で、生き残れてしかも任務完遂してたら

評価は上がるわな。

 

109:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

で、ワイも一応実力者みたいな扱いになったんよ。

そしたら当然だけど難しい任務とかに行かされるじゃん?

 

110:名無しの彼岸花 ID:XeEraAjnk

せやな。まあ、確実に遂行できるレベルのやつを派遣するわな。

 

111:名無しの彼岸花 ID:sVLyWn8tf

トップエージェントってやつやな

 

112:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

で、その一個がさっき言った電波塔……

スカイツリーのテロ事件なんだけどさ。

そこで会ったリコリスを一人ね、殺せってのが受け持った任務なのよ。

 

113:名無しの彼岸花 ID:hmLi2E9UN

は?

 

114:名無しの彼岸花 ID:YjQNubwXQ

は?

 

115:名無しの彼岸花 ID:O6UC0zihF

は?

 

116:名無しの彼岸花 ID:1YFxq/afb

ファーwww

 

117:名無しの彼岸花 ID:63awQTB7/

うーんこれはギルティ

 

118:名無しの彼岸花 ID:0c16MesDN

クソやんけ!!

 

119:名無しの彼岸花 ID:82fspsb7x

上層部腐ってるやつじゃん!!

 

120:名無しの彼岸花 ID:ziSTX8gQc

バカじゃねえの!?

 

121:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

だから知恵を貸して欲しかったんや。

ワイも流石に女の子を痛めつける趣味も殺す趣味もない。

しかもなんも悪い事してない子を。だから助けてクレメンス……

 

122:名無しの彼岸花 ID:IrZfGEelq

しょうがねぇなぁ……

 

123:名無しの彼岸花 ID:duwxNRApb

まあワイらも鬼やないしな。

しかも女の子を殺すとか率先してやるやつおらんし

 

124:名無しの彼岸花 ID:rb7TRkG9N

ちなそのリコリスちゃん美少女?

 

125:名無しの彼岸花 ID:DBfGLX1cF

>>124欲望透けてて草。

まあちょっと気持ちは分かる。

 

126:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

ワイの記憶が弄られてなかったら美少女やったで。

金っぽい白の髪と赤目の女の子や

 

127:名無しの彼岸花 ID:TyVSuQHFn

マ????

 

128:名無しの彼岸花 ID:Y0eBeaoxE

俄然やる気でてきた

 

129:名無しの彼岸花 ID:tTgaiITQh

単純なやつしかおらんやんけ

 

130:名無しの彼岸花 ID:tzq/7W2uB

まあ貴重な金髪美少女だし

 

131:名無しの彼岸花 ID:rpkXVyGZT

いうほど貴重か……?

 

132:名無しの彼岸花 ID:/bIeHfjil

王道属性感はある

 

133:名無しの彼岸花 ID:XShHYE5Ic

まあイッチの物騒な世界じゃ貴重でしょ

 

134:名無しの彼岸花 ID:R8rxK3aYG

てかリコリスってことは相手も殺しのプロやん。どうすんのイッチ

 

135:名無しの彼岸花 ID:5W3eQGniG

そうやんけ!知恵を貸すとは言ったけど油断できる相手じゃないやろそれ

 

136:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

しょうがないにゃぁ……じゃあ安価で決めるか。

 

137:名無しの彼岸花 ID:/g3fdNTVO

ファッ!?

 

138:名無しの彼岸花 ID:/rX6pJARr

安価キター!

 

139:名無しの彼岸花 ID:TtcOTAki/

実は余裕あるやろイッチ

 

140:名無しの彼岸花 ID:4e/Eaz6U0

草、イッチ実は余裕ありまくりやんけこれ

 

141:名無しの彼岸花 ID:pRIIFaxWq

安価するのはいいけど条件はどうすんの?

 

142:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

んー、殺さない前提でそのあとどうするかって感じ。

捨て置くとか、見逃すとか、そういうの。

ああ、ワイが死ぬ方向性はナシね?

流石に死にたくないンゴ

ほい>>157

 

143:名無しの彼岸花 ID:JEKqNP0tO

まあ妥当か。

 

144:名無しの彼岸花 ID:0859+/tOM

その方向性で行くしかないもんなあ。

 

145:名無しの彼岸花 ID:IVrT46SwU

じゃあそこら辺までksk

 

146:名無しの彼岸花 ID:t4/aGcp8r

ksk

 

147:名無しの彼岸花 ID:5PWJpUVO9

 

148:名無しの彼岸花 ID:XNWvrtVg3

いけいけー

 

149:名無しの彼岸花 ID:tjz2L6Jwu

さすがに殺しのプロ相手だから手加減するって条件は難しいかな

 

150:名無しの彼岸花 ID:FTvFrvav4

まあ、そこら辺はなんでもいいんじゃない?

 

151:名無しの彼岸花 ID:6A3RleAyH

任務をバックレる

 

152:名無しの彼岸花 ID:gFwaEX0yO

リリベルから脱走

 

153:名無しの彼岸花 ID:rwYgffelk

そのリコリスに告白する

 

154:名無しの彼岸花 ID:Z3jTYFJUM

上層部を殺す

 

155:名無しの彼岸花 ID:eMmQaq8i1

情報を漏らす

 

156:名無しの彼岸花 ID:Oy3Z/GdjN

殺すふりして逃がす

 

157:名無しの彼岸花 ID:4hWwHNptE

リコリスの女の子とお友達になる

 

158:名無しの彼岸花 ID:LJTgwp2Mh

警察に助けを求める

 

159:名無しの彼岸花 ID:fZxsy4ENj

 

160:名無しの彼岸花 ID:oeck7thRa

 

161:名無しの彼岸花 ID:3aswskAaF

何個か無謀なのあったな?

 

162:名無しの彼岸花 ID:KyUuhSQ8I

結構難易度高いの引いてて草

 

163:名無しの彼岸花 ID:7nfIbWiQi

殺しに来た相手から仲良くなろうぜ!って言われるとかサイコパスかよ

 

164:名無しの彼岸花 ID:kWg+s4PhO

その上位互換が上にあるんだよなぁ

 

165:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

>>157正気か?(震え声)

前世で万年コミュ障陰キャオタクやってたワイに美少女と仲良くなれとか正気か?

 

166:名無しの彼岸花 ID:bYoZebh/m

クソ無理ゲーで草

 

167:名無しの彼岸花 ID:LoDZQFWtk

おまおれ

 

168:名無しの彼岸花 ID:7c+yRxnvM

あれ、俺いつの間にコメントした?

 

169:名無しの彼岸花 ID:oDwjngBrU

安価はー??

 

170:名無しの彼岸花 ID:q4MtgeXvo

安価は???

 

171:名無しの彼岸花 ID:WTT5jOVGc

安価だぞ???

 

172:名無しの彼岸花 ID:zXa6tPcmP

脅し三連星じゃんこわ

 

173:名無しの彼岸花 ID:ZCjE4zKOf

ああ逃れられない!

 

174:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

ッスゥー……絶対です(震え声)

 

175:名無しの彼岸花 ID:Ejpudh/xr

おう、わかってんじゃねえか。

あくしろよ。

 

176:名無しの彼岸花 ID:RxJqHlHOd

安価したイッチが悪いからね。仕方ないね。

 

177:名無しの彼岸花 ID:jcfGXwnXN

自業自得なんだよなぁ……

 

178:名無しの彼岸花 ID:mSp1zBjXk

イッチがんばえー!

 

179:名無しの彼岸花 ID:9zPp5PHqN

ぷいきゅあまけるなー!

 

180:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

じゃあ頑張ってきますぅ……

 

181:名無しの彼岸花 ID:gepj00MiO

死にに行くみたいな感じになってて草

 

182:名無しの彼岸花 ID:o8CGkkSqO

実際殺しのプロに友達になろうぜ!って言いに行くの自殺行為だし……

 

183:名無しの彼岸花 ID:r+lP1zc1V

断られたら社会的にも死ぬじゃんイッチ

 

184:名無しの彼岸花 ID:78Wm8zz4U

ダブルキル決められるのは草

 

185:名無しの彼岸花 ID:l9Fly/2/E

これは見ものやなぁ……

 

186:名無しの彼岸花 ID:2Y+I/J6H/

そういやイッチ画像は貼ってたけどライブ機能知ってるんか?

 

187:名無しの彼岸花 ID:JmEZeOhxC

あっ

 

188:名無しの彼岸花 ID:6WfTedzfC

知ってなさそう

 

189:名無しの彼岸花 ID:A3NbLUGY/

イッチー!!今からでもいいから戻ってきてライブ機能使ってー!!

 

190:名無しの彼岸花 ID:gYdNZEyhJ

俺たちに美少女見せてー!!

 

191:名無しの彼岸花 ID:Cy0ejb540

欲望に塗れた汚い大人が多すぎる

 

192:名無しの彼岸花 ID:BG8OyG03a

そりゃ転生したやつって基本大人やし

 

193:名無しの彼岸花 ID:mh6uPexfS

それは言っちゃダメでしょ

 

 

────

 

400:暗殺鈴蘭 ID:LyReBEll

【朗報】ワイ、美少女と友達になって転職先も見つけられた【もしや勝ち組】

 

401:名無しの彼岸花 ID:qeZ1dlhTw

は???

 

402:名無しの彼岸花 ID:utuIF7PxN

は????

 

 




イッチ

転生した元一般人。
目が覚めたらショタになってたし孤児院にいたし
そこで暗殺の技術とか色々教えられたリリベル。
精神面は大人のままなので、殺しが当たり前の日常に違和感を持っている。
転職先見つけてウキウキ。


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彼岸花vs鈴蘭

掲示板回じゃないです


『対象はあのマンションに入った。おそらく彼処が拠点だろう』

 

「……了解。これより任務に入る」

 

『失敗するなよ、これは我々リリベルにとって重要な任務であることを忘れるな』

 

「……分かっている」

 

 無線を切り、少年は空を見上げる。月は雲に隠れて少し不吉さを漂わせる夜空だった。

 

「誰が好きで……子供を殺す任務なんぞやるか。本当に腐ってるな」

 

 困ったようにため息を吐き、目的の部屋まで彼は歩く。

 持っていた鞄から、ほぼノーモーションで拳銃とナイフを取り出し

 扉を針金でピッキングして内部に侵入する。

 

「……やはりいない。囮……もしくは、偽装か」

 

 部屋の内部を観察すれば、もの一つない……生活感どころか、人が住んでいる気配すらない。そんな景色が広がっている。そして、この類いが偽装であることを彼はよく理解している。

 そう、この手の部屋にありがちなのは。

 

「ッ──!」

 

「やはりそこか、リコリス!」

 

 ──秘密基地(セーフティハウス)。部屋を偽装し、隠し部屋に必要なものを持ち込んでおく……裏社会ではありがちな事だ。

 その場所から息を潜めていたのだろう、仄暗い街の灯りに照らされ、白い髪が視界に過ぎったのを少年は見逃さなかった。

 遮蔽物に隠れようとする少女を狙い、拳銃の引き金を引く。

 

「あっぶな!? ちょっとー!! 普通の女の子相手に遠慮がないんじゃない!?」

 

「……リコリスが普通の女の子とは、なんの冗談だ?」

 

 無駄口を叩く少女に呆れ、少年は同じように遮蔽物に隠れて銃弾を補充しながら笑う。

 

「ああ、やっぱり君……リリベルだよ、ねっ!!」

 

「ッ……!」

 

 遮蔽物から顔を覗かせて射撃をしてくる少女。

 その射撃を避けながら、少年もまた銃口を少女に向けて撃とうとするが……

 

「……!!」

 

「ちっ……!」

 

 まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()少女に翻弄され舌を打ちながらわざと当たらないように射撃する。

 

「うっそ、今の避けた上で反撃してくる!?」

 

「お前、()()()()()()()

 

「……! やっぱり君、ただのリリベルじゃないよねぇ……」

 

 当然と言えば当然だが、単騎で乗り込んでくるようなやつが普通なわけがないのだ。

 それは勿論、少女の方にも言えるのだが。

 

「しかし驚いたな、射撃のタイミングを予想するとは……どういう洞察力をしてるんだ」

 

「君こそさぁ……今の、()()()()()()()()()()?」

 

「特殊な加工をした弾、不規則な軌道だが……狙いが単純であれば避けられる」

 

「誰が単純だ!?」

 

 むきーっと怒る様子を見せながら、少女は隙を伺う。

 

(当然だけど……リリベルの中じゃファースト級だよね、彼。

 しかも……隙がないし……どうしよっかなぁ……)

 

 狙っても避けられる。かといって遠距離からでは彼女の弾丸は当てづらい。そういう作りになってしまっている。

 であれば……

 

(やっぱり至近距離で撃つしか、ないよね……!)

 

「……!」

 

 当たる距離で直接射撃をする、それ以外に手段はない。

 そう踏み切って、彼女は少年の懐に向かって駆け込んでいく。

 

「そこッ!」

 

「────いや、外れだよ」

 

 少年が一発の弾丸を撃った瞬間を狙って彼女は踏み込む。

 しかし、それを想定していたかのように少年が動いたことに少女は目を丸くした。

 

(うそ、フェイント!? 今の一瞬で!? ダメ、これ分かっても()()()()()()!? 

 まず、これ……私、死────)

 

 死を覚悟した。間違いなくヘマをしたのは少女だったからだ。

 

「はぇ? って、ちょいちょいちょおい!?」

 

 だが、次に来るはずの銃弾には襲われず。彼女は拳銃を一瞬で分解され……

 

「動くなよ? 動けば、死ぬぞ」

 

「あははは……あれ、もしかして私、詰んでる?」

 

 拘束されてナイフを首に突き付けられる。どう見ても詰みだった。

 

(やられちゃったかぁ……多分情報吐かせにくるよね……

 さっきの私の銃を手で掴んだり、ナイフと銃を一緒に持っていた変な構えといい……

 最初から私を拘束するのが狙いだったんだなぁこれ……まずったかな)

 

「お前には聞きたいことがあった」

 

「……なに? 言っとくけど、私DAのこととか吐けないよ?」

 

 少年の尋問に少女はそう告げる。吐くほどの内容がないのは嘘ではない。

 彼女はたしかに優秀な暗殺者ではあるが、情報の多くを仕入れられる立場にはいないのだ。

 

「いや、()()()()()()()()()()()()

 

「へ??」

 

「あの電波塔の日、何故お前は非殺傷の弾を使った?」

 

「あー……もしかして、君も居たの?」

 

「リリベルとしてな」

 

 二人には1つの共通点があった。それは電波塔でのテロ事件。

 そこで鎮圧に赴いていた人間であったのだ。

 

「ずっと気になっていた、君は何故非殺傷の弾を使ってテロリストを鎮圧したのか」

 

「あー……えーっと……」

 

(うわあどうしよう! そんなことに興味を持つリリベルがいるなんて私予想してないよぉ!? 

 えーっとなんて言おう!? 誤魔化す? いやいや、目撃されてるし……素直に言った方がいいよねぇ……)

 

「えーっとね、気分が良くないからじゃあ。納得しないよねぇ~……」

 

「……!」

 

「あ、これ本気だよ!? 冗談じゃないからね!? だから怒らないで~!?」

 

「そう、か……気分が良くないから。か……」

 

「はぇ……? え、なんで拘束解くの?」

 

 驚いた様子で少女は少年を見つめる。いつでも殺せる状況だったはずなのに、彼はそれをやめたのだ。驚きもするだろう。

 

「……初めてだ、俺と同じように考えるリコリスと会ったのは」

 

「ほへ? え、じゃあ……君も、なの?」

 

「ああ、俺は……あまり、殺したくない。今更かもしれないけど、それでも」

 

「……そっか、ふーん……そう、なんだ」

 

 少女は少し笑みを浮かべる。今まで出会ってきたリリベルとは全く違う考えを持った彼を見て、彼女は嬉しいと思えたのだ。

 

「もしかして……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……わざと?」

 

「さすがに見抜くか……女の子を痛めつける趣味はないし……殺す趣味もないよ」

 

「そっか……ねえ、君ってリリベルをやめたいの?」

 

「……そうだな、やめたいってのはあるかな。けど、俺はやめられない。やめようとすれば、俺は殺されるしな。死にたくはないんだよ」

 

 だから彼は他者を殺すしかない。自分が生きるために、他人を殺すしかないのだ。それが地獄への道だと分かっていても。

 

「でも……私を撃たなかったの、危なくない?」

 

「あー……そうだな、俺死んじゃうかもな。いやだなぁ……でも、子供を殺すよりはマシか……」

 

「君も子供じゃん」

 

「……そういえばそうか」

 

 少女のツッコミにそういえば、と思い返す。彼は少なくとも異質な人生を歩んでいるがゆえに、自分が肉体的には子供だったということがすっかり抜け落ちていたのである。

 

「これからどうするの?」

 

「さて、どうしようか……このまま帰っても死にかねないしなぁ……どうしたもんか。

 死なずにどうにかする。って約束したんだよなぁ……」

 

 床に座り込み、銃を投げ捨てて困ったように笑う。

 どうやっても詰みだ。ここからの打開策、いざ彼らと決めた事とはいえ。案がないのだ。

 

「そうだ! それならさ、私のところに来ない!?」

 

「……は? お前、何言って……?」

 

「いやー私ね、リコリスの中でも問題児でさ! 事実上のさ……えー……させ……?」

 

「左遷?」

 

「そうそれ! それだから私はDAにはあんまり関わってなくてさ! だから、君の事も匿えると思うんだよね!」

 

「……いや、それだとお前にも迷惑が」

 

「お前じゃなくて、千束(ちさと)! 私の名前は錦木(にしきぎ) 千束(ちさと)! 君の名前は?」

 

「俺は……俺の名前は……(なつめ)立花(たちばな) (なつめ)だ」

 

 彼女の笑顔を見て、自然と返していた。まるで、引き込まれるかのように。

 

「棗! うん、すっごくいい名前じゃん!! よろしくね、棗!」

 

「……君は、不思議な子だな。本当に」

 

 雲が去り、月光に照らされて輝く白い髪は何処までも美しく、こちらを射抜くように見つめる紅い瞳はまるで宝石のようで。少年は、彼女に見惚れてしまったのだろう。

 そんな美しく、可愛らしい彼女の差し伸べた手を少年は握り返していた。

 

「……うん、それじゃあ……死んだフリ、しないとな」

 

「そうじゃん、どうしよっか?」

 

「あー、ならさ……こいつ、使ってド派手にやるか?」

 

「お、血糊じゃん。もしかして、棗くんってこれ最初から狙ってた?」

 

「……さて、どうだろうな」

 

 少年……立花 棗が鞄から取り出した血糊を見てクスクスと少女、錦木 千束は笑う。案外抜け目のない彼に好感を持ったらしい。

 

「それじゃあド派手に……演技してね?」

 

「……善処するよ」

 

 そうして、サイレンサーを外した拳銃を千束は手に取り……

 

 

 ──パァン! 

 

「ぐわああああああ!?」

 

 

 そんな大袈裟な銃撃音と、悲鳴がマンションの一室に鳴り響いた。

 

 

 ───

 

「というわけで! 早速なんだけど先生! この子、匿ってくれない!? お願いッ!!」

 

「……随分急だな、しかもリリベルのファーストクラスか」

 

「俺からも、お願いします……都合のいい話だとは分かってます。けど、俺は……もう、誰も殺したくないんです」

 

 頭を下げる二人の子供に、褐色の男性は頭を抱える。

 急な話だというのもあるし、自分の教え子……そして自分の所属していた組織と敵対していた組織の少年が対象なのだから無理もない話ではあるが。

 とはいえ、そこで断れるほど……彼も非情な人間ではなかった。

 

「顔を上げてくれ。確認だが……君は本当に私たちに、そして……千束に危害を加えるつもりはないんだな」

 

「はい、そのつもりです。もし、危害を加える素振りを見せたなら……その時は撃ってくれても構いません」

 

「ちょいちょーい!! 棗くん! 死にたくないんでしょ!? だったらそこで撃っていいなんて言っちゃダメだって!!」

 

「だが、こうでも言わないと安心できないし確約できないだろう?」

 

「でもさー!」

 

 棗の言葉に、千束は膨れっ面になる。

 そんな姿を見兼ねて、先生と呼ばれた男性は困ったような表情を浮かべ……

 

「……分かった、その代わりの条件として君には……私たちの経営する喫茶店で働いてもらいたい。働かざる者食うべからず、というだろう?」

 

 そんな風に笑って了承した。

 

「はい! ありがとうございます……! ……え? 喫茶店……?」

 

「ありがとう先生ー!! うひひひ! 棗くん、これからよろしくね!」

 

「店長のミカだ。従業員は他にもあと1人いるんだが……

 その辺りは追々な。よろしく頼むよ、棗くん」

 

「……うそーん」

 

 それは朗報なのか悲報なのか。一人の少年は喫茶店の従業員になる事になった。

 ……後に「喫茶LycoReco」の「イケメン店員」などと立花 棗は呼ばれることになるのだが、それは余談である。




イッチ(立花 棗)

安価通りに殺さないように立ち回ってた。
仲良くなるという安価は達成できてないのだが、
千束ちゃんの距離感が近すぎて実質的に達成してしまっている。

戦闘スタイルは
CQC(Close Quaters Combat)である。
愛銃はとくにないがMk-22が手に馴染むらしい。

錦木 千束

おなじみリコリス・リコイルの主人公。
クッソ強い女の子。
明るく元気で、やりたいこと最優先がモットーである。
物珍しいリリベルであるイッチに興味津々である。

戦闘スタイルは
C.A.RSystem(Center Axis Relock)と呼ばれる射撃スタイルが主軸。
愛銃はM1911を改造したデトニクス・コンバットマスター
銃弾は非殺傷のゴム弾を利用している。


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【朗報】ワイ、暗殺者から喫茶店従業員に転職できた模様【職場最高】

ルーキー日間上位嬉しい……評価ありがとうございます。




1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんが天使すぎて仕事辛い。

 

2:名無しの彼岸花 ID:N/E5t4cc6

しね

 

3:名無しの彼岸花 ID:3jWUTJUgA

おまえがなー!美少女をなー!!ゆるさーん!!

 

4:名無しの彼岸花 ID:5ThEoU7mQ

爆発しろ

 

5:名無しの彼岸花 ID:+aZIPgTmS

リコリスとリリベルに処理されてしまえ

 

6:名無しの彼岸花 ID:0FO2mc1FT

この前までのイッチへの同情が嘘みたいに殺意高くて草。

とりあえずイッチは死んで?

 

7:店員鈴蘭 ID:LyReBell

おまいらの嫉妬で飯が美味いわwww

ほれ。【画像】

 

8:名無しの彼岸花 ID:ppLt4+F54

ああああああああ!!

 

9:名無しの彼岸花 ID:uiI1rafrS

嫉妬で呪い殺せたらとこれほど思った日は初めてだよイッチ

 

10:名無しの彼岸花 ID:LfBvW9PXY

お前絶対呪うからな

 

11:名無しの彼岸花 ID:NfSp9+g2F

千束ちゃんの満面の笑み可愛すぎる。マジでイッチそこ変われ。

 

12:名無しの彼岸花 ID:IAFIpBwnY

団子美味そうに頬張る千束ちゃん天使でしょこれ。

 

13:名無しの彼岸花 ID:aIRadIata

そうか……これが尊いという感情か……

 

14:名無しの彼岸花 ID:eV09GGMPM

感情に芽生えた機械おるな?

 

15:名無しの彼岸花 ID:8lu4JCe1M

最初にそんな変な感情に芽生えなくていいから……

 

16:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ミカ店長の和菓子美味しすぎてパクパクしてる。

ちなワイも隣で食べてるしさっきあーんしてもらったンゴねぇw

 

17:名無しの彼岸花 ID:s/D9iUDL6

は?????

 

18:名無しの彼岸花 ID:YMZiNQ7JF

殺す

 

19:名無しの彼岸花 ID:0f7w4FHIW

いやもうそれはちょっと絶対許されへんし?

 

20:名無しの彼岸花 ID:saiukEOMe

有罪でしょ

 

21:名無しの彼岸花 ID:Eydu1Af0K

処す?処す?

 

22:名無しの彼岸花 ID:LoRAbZIS3

お前を殺す

 

23:名無しの彼岸花 ID:4v3HJoUym

デデン!

 

24:名無しの彼岸花 ID:U5FsvxArh

で、イッチ実際の所は?

 

25:店員鈴蘭 ID:LyReBell

さすがに恥ずかしすぎてあーんは断りました……

 

26:名無しの彼岸花 ID:gm+XMUE9t

 

27:名無しの彼岸花 ID:Ar1zAbmec

いや草

 

28:名無しの彼岸花 ID:GD0eQS6xC

うーんこれは童貞陰キャ

 

29:名無しの彼岸花 ID:EqZJYhr1g

鈴蘭じゃなくてさくらんぼに改名しろ

 

30:名無しの彼岸花 ID:N9DRrNbNU

イッチの超絶理解者ニキもいるの最高に草

 

31:名無しの彼岸花 ID:U5FsvxArh

だって、ワイらもイッチも似たようなもんやし……

 

32:名無しの彼岸花 ID:jVJ1rWZCY

やめろ

 

33:名無しの彼岸花 ID:ucYE1bpxA

急にマップ攻撃するな

 

34:名無しの彼岸花 ID:Poket0reN

全体技は威力分散してるはずなのになんでこんな威力高いの?

 

35:名無しの彼岸花 ID:DAl+tF6KI

ポケモンやってるニキおるな

 

36:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>29誰がチェリーや。

おまいらやって童貞やんけ

 

37:名無しの彼岸花 ID:fGhE5wLCH

は????

 

38:名無しの彼岸花 ID:w7El1wcbV

言ってはいけないことを言ってしまったねイッチ???

 

39:名無しの彼岸花 ID:nqpmetqIr

久しぶりにキレちまったよ……

 

40:名無しの彼岸花 ID:ep43cy8ZV

イッチおもて出ようや……半殺しで済ませてやるからよ……

 

41:名無しの彼岸花 ID:xa/tkpAhE

じゃあ俺、見学してるから……

 

42:名無しの彼岸花 ID:pvjAnmPwQ

おい待てェ、見学してるンじゃねェ。

 

43:名無しの彼岸花 ID:eScwVKg98

裏切り者おったな?

 

44:名無しの彼岸花 ID:nLs4Suplu

童貞じゃないニキだ、処せ!!

 

45:名無しの彼岸花 ID:tsGnBdg1j

そいつがルパンだ!ひっ捕らえろ!!

 

46:名無しの彼岸花 ID:xa/tkpAhE

おにいさんゆるして

 

47:店員鈴蘭 ID:LyReBell

賑やかやな

 

48:名無しの彼岸花 ID:jBKFeObwp

他人事で草

 

49:名無しの彼岸花 ID:PZw+bVyeQ

実際他人事だけど次はお前やでイッチ

 

50:名無しの彼岸花 ID:og364FC8A

そういや今更やけどイッチ、あの後追手とか来てないの?

 

51:名無しの彼岸花 ID:YUogW+12j

そういえばそうやな、場所特定されたりはしてないんか?

 

52:店員鈴蘭 ID:LyReBell

おん?ああ、ついてた発信機とかは全部処理したし

今はワイも基本変装しとるからな。

髪色染めて、カラーコンタクト入れて、伊達メガネもかけとるで。

 

53:名無しの彼岸花 ID:EkKf8hFJx

ばりばり変装してるの草

 

54:名無しの彼岸花 ID:7XJ8TYWL6

そいやイッチの顔見た事なくない?

 

55:名無しの彼岸花 ID:hy3sIlOAN

ほんまや

 

56:名無しの彼岸花 ID:O/jZvjasS

そういえば知らんな……千束ちゃんとか

店長のミカさんとか呑んだくれのミズキさんの画像は上げてくれるけど

 

57:名無しの彼岸花 ID:X8ggYsHAw

ショタのイッチは正直みたい

 

58:名無しの彼岸花 ID:FP4Xv6DJl

わかる。

 

59:名無しの彼岸花 ID:Y13Eod+hT

ホモかよ

 

60:名無しの彼岸花 ID:/tddiPSEJ

ショタコンでしょ

 

61:名無しの彼岸花 ID:xoTHHOQYa

ロリコンもいるしショタコンもいるとかこのスレ地獄か?

 

62:名無しの彼岸花 ID:Y0emobOJN

今更定期。千束ちゃん可愛いよhshs

 

63:名無しの彼岸花 ID:3BmkB0lRk

もしもしポリスメン?

 

64:名無しの彼岸花 ID:CJydrYmBw

そっちにリコリスとリリベルがいったぞ

 

65:名無しの彼岸花 ID:0+CzfO8V8

警察じゃなくて暗殺者が動くのは草

 

66:名無しの彼岸花 ID:BNUIAfhZy

というかリコリスとリリベルをスレのネタにしてるの笑うからやめろ

 

67:店員鈴蘭 ID:LyReBell

面白いからええで。

ワイの知り合いがおまいら殺しに行ってるって想像すると笑えるし

 

68:名無しの彼岸花 ID:OHzvGK9TV

それでええんかイッチ

 

69:名無しの彼岸花 ID:xSg3Hkkq0

イッチもしかして肝っ玉?

 

70:名無しの彼岸花 ID:Poket0reN

肝っ玉はミミカスとかゴーストタイプに攻撃当ててくるからNG

 

71:名無しの彼岸花 ID:av8mT8May

さっきからポケモンやってるニキおるな?

 

72:名無しの彼岸花 ID:j3l456aJ8

ミミカスボコボコにされてそう

 

73:名無しの彼岸花 ID:apCq/ngD5

イッチはずぶといでしょ

 

74:名無しの彼岸花 ID:Poket0reN

ずぶとい……クレセリア……スイクン……ウッ……

 

75:名無しの彼岸花 ID:GrY45PvWP

さっきからトレーナーニキにダメージいってない?

 

76:名無しの彼岸花 ID:8xXFIa/zo

流れ弾に勝手に被弾してるのが悪い

 

77:名無しの彼岸花 ID:Poket0reN

じゃあお前らもガチ勢しかいないポケモン世界に転生してみろや

 

78:名無しの彼岸花 ID:3CLQP3lqA

 

79:名無しの彼岸花 ID:DzQfKQo+3

 

80:名無しの彼岸花 ID:Z/aexa9fk

グラスフィールド生える

 

81:名無しの彼岸花 ID:mAKbCaj2L

廃人世界に転生させられてて草

 

82:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

あいつら普通にミミカスとか火ロトムとか使ってくるのほんまks

オバカスは小さくなるバトンすんな

 

83:名無しの彼岸花 ID:aw74tTTuH

めっちゃ恨みこもってて草

 

84:名無しの彼岸花 ID:+4AOaRsON

しれっとコテハンつけてるの笑う

 

85:名無しの彼岸花 ID:7qBrxQmn8

で、何話してたっけ?

 

86:名無しの彼岸花 ID:zpfByBxYZ

イッチの容姿がうんたらかんたら

 

87:名無しの彼岸花 ID:XIN8sgMvU

サンガツ

 

88:名無しの彼岸花 ID:y5hVknsYO

八月定期

 

89:名無しの彼岸花 ID:ENBfmdMmL

十月なんだよなぁ

 

90:名無しの彼岸花 ID:oUKblYd5H

お、まてい三月であってるゾ

 

91:名無しの彼岸花 ID:C+i7PRZxF

そもそも全員世界違うんだから時期が違う定期

 

92:名無しの彼岸花 ID:LUQql0/cX

そういえばそうじゃん

 

93:店員鈴蘭 ID:LyReBell

で、ワイの写真やっけ?野郎の自撮りとかいらんと思って

あげてなかったんやけどいるん?

 

94:名無しの彼岸花 ID:Rib/uzO30

いる

 

95:名無しの彼岸花 ID:tk6FUdMxY

正直ショタイッチみたい

 

96:名無しの彼岸花 ID:9MiDXEfW8

わかる。

 

97:名無しの彼岸花 ID:aZA2izVh5

需要はあるよ

 

98:名無しの彼岸花 ID:2qHIqljy8

ショタコンホモ多くない?

 

99:名無しの彼岸花 ID:Ru5k+1yB0

お姉さんかもしれないだろ!!

 

100:名無しの彼岸花 ID:Cj8U/QIMA

腐ってるから終わりなんだよなぁ……

 

101:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ほいほい、ならちょい待ち。変装前と変装後どっちもあげるわ

 

102:名無しの彼岸花 ID:F2IxyQwQg

たすかる

 

103:名無しの彼岸花 ID:mKvD/ajnJ

キター!

 

104:名無しの彼岸花 ID:TGaHUJnXl

イッチhshs

 

105:名無しの彼岸花 ID:I1W2PKAxJ

気が早い変態がおるな

 

106:名無しの彼岸花 ID:iayLGcg3/

ここ地獄じゃない?

 

107:名無しの彼岸花 ID:LFL/cbJVY

今更定期(n回目)

 

108:店員鈴蘭 ID:LyReBell

おまたせ。

こっちが変装前

【画像】

で、こっちが変装後な

【画像】

 

109:名無しの彼岸花 ID:8tZiyqWsl

ほーん、こうしてみると全然違うな

 

110:名無しの彼岸花 ID:ewkbgCZgF

イッチ容姿普通に整ってて草

 

111:名無しの彼岸花 ID:pLfe9eFVz

変装後の見た目子ギルくんに眼鏡かけたみたいになってるやんけ

 

112:名無しの彼岸花 ID:G7EcEzXM0

ほんまや草

 

113:名無しの彼岸花 ID:yDIxZxAoP

ちょ、それにしか見えなくなったんだが?

 

114:名無しの彼岸花 ID:Y7HGW0zf5

王の財宝使ってきそう感はある

 

115:名無しの彼岸花 ID:10+7rrTkS

灰色っぽい髪に蒼い目から金髪にカラコンで赤目に様変わりってすごいなあ

知ってても別人にみえる

 

116:名無しの彼岸花 ID:d18tKbBGT

髪色と目の色違うだけで他人に見えるのすごいな

 

117:名無しの彼岸花 ID:TRyhY0QVg

にしてもこうしてみると千束ちゃんと兄妹感ない?

 

118:名無しの彼岸花 ID:BAy8l2UQ8

わかる。髪色似せてるし、目の色も一緒になるから兄妹っぽく見えるんやろね

 

119:名無しの彼岸花 ID:a7m9YJB5W

イッチもしかして寄せた?

 

120:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いんや?千束ちゃんにこれ絶対に似合うから!ってガン推しされて

金髪と赤目にしたけど言われてみれば千束ちゃんそっくりやな?

 

121:名無しの彼岸花 ID:CR1HsdPQn

ほーん????

 

122:名無しの彼岸花 ID:dedAACNEs

イッチ?????

 

123:名無しの彼岸花 ID:3CYN13cld

気付いてなかったんか……

 

124:名無しの彼岸花 ID:7dfr2tS7u

おっとこれは????

 

125:名無しの彼岸花 ID:yoJCIe0hh

どうしてわざわざお揃いになるものを勧める必要があるんですか?

 

126:名無しの彼岸花 ID:KGejAlnOd

なんでやろなぁ……

 

127:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイに聞かれても困るんやが?

千束ちゃんに聞いて??

 

128:名無しの彼岸花 ID:nj1PGyntn

イッチさぁ……

 

129:名無しの彼岸花 ID:FSmyKuJtV

これは有罪ですわ。

 

130:名無しの彼岸花 ID:HlCd10ri5

はーラブコメの朴念仁主人公みんなくたばらねえかなぁ!

 

131:名無しの彼岸花 ID:Luo6fliPU

断罪するべきだと思うんですけど

 

132:名無しの彼岸花 ID:hSUjD99uO

いや待ってほしい、ただイッチを兄のように慕っているだけの可能性もあるぞ?

 

133:名無しの彼岸花 ID:0apoM871T

千束ちゃんにお兄ちゃん扱いされてるのそれはそれで有罪では?

 

134:名無しの彼岸花 ID:JFUq2d2QU

それな

 

135:名無しの彼岸花 ID:HwddRjIpM

やっぱイッチは処すべきだと思う。

 

136:店員鈴蘭 ID:LyReBell

なんでワイが処されることになっとるんや……

 

137:名無しの彼岸花 ID:tbB1hMyMT

そらイッチのせいよ。

 

138:名無しの彼岸花 ID:5mLBe3xQI

千束ちゃんと仲良くしてる時点で有罪でしょ

 

139:名無しの彼岸花 ID:A3zn1zouW

美少女とのイチャイチャよくないとおもいます!

 

140:名無しの彼岸花 ID:vZ8427Mo3

ワイトもそう思います

 

141:店員鈴蘭 ID:LyReBell

安価でそうなったんだからワイじゃなくておまいらのせいなんだよなぁ

 

142:名無しの彼岸花 ID:r/KgLOdBC

正論の暴力やめて?

 

143:名無しの彼岸花 ID:WmMgfoVOF

クッソ反論できねぇ!

 

144:名無しの彼岸花 ID:z0sGxyEA1

でも正直ロリとショタがキャッキャしてるの傍から見てる限りは微笑ましくない?

 

145:名無しの彼岸花 ID:jqejqcssc

それはそうなんだけど中身イッチでおっさんだからな……

 

146:名無しの彼岸花 ID:j0V8G2N4+

そういえば中身おっさんだったわ。

 

147:店員鈴蘭 ID:LyReBell

おっさんで悪かったな。

ワイやって気付いたらショタにされてたんだからしゃーないやん

 

148:名無しの彼岸花 ID:KphWBnWq0

まあイッチの場合転生特典もろくになさそうな感じだしな……

 

149:名無しの彼岸花 ID:kBbKOhgaC

環境もつい最近までクソだったし……

 

150:名無しの彼岸花 ID:j99pnqQFB

まあ平和な日々は満喫するに限るでイッチ

 

151:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやな、いうて劣悪だったのもう二年ぐらい前の話やけど

平和は満喫するに限るわ

 

152:名無しの彼岸花 ID:k8y7GAbdC

え、二年経ってんの?

 

153:名無しの彼岸花 ID:9ZAD2wyzv

はえー、スレの時間と現実時間が違うっていうのは知ってたけど

イッチの世界あの安価から二年経ってるんか

 

154:名無しの彼岸花 ID:mCKyFaB5h

つまり、ワイらからすればすぐにレディになった千束ちゃんが見れる……ってコト!?

 

155:名無しの彼岸花 ID:/n1srjHID

天才か?

 

156:名無しの彼岸花 ID:ZrkIjhS1F

なるほどね?

 

157:店員鈴蘭 ID:LyReBell

変態しかおらんやんけ相変わらz

 

158:名無しの彼岸花 ID:0Cxo0bJ3G

ん?

 

159:名無しの彼岸花 ID:R/HbXZNlM

お、イッチどした?

 

160:名無しの彼岸花 ID:x4wgg391P

なんか途切れたけど死んだ?

 

161:名無しの彼岸花 ID:hXa/80Bj8

死んだらスレも終わるんだよなぁ……

 

162:名無しの彼岸花 ID:6EBH8wFwd

なんか緊急事態かね

 

163:名無しの彼岸花 ID:mYSbasGE1

オーイ、イッチー?大丈夫かー??

 

164:店員鈴蘭 ID:LyReBell

すまんやで、急にミカ店長に呼ばれて動いてたんや。

軽い任務入ったからサクッとこなしてくるわ。

 

165:名無しの彼岸花 ID:TsGz8BowT

はえー任務って?

 

166:名無しの彼岸花 ID:pyjC8p0YQ

ああ!

 

167:名無しの彼岸花 ID:Rt7vM0kSb

それってミッション?

 

168:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>165>>167

合ってる。まあちょっとした護衛とか配達とか色々やね。

今回はあー……常連の人の護衛かな。

ヤのつく組織の組長さんなんだけど常連でさ、コーヒー豆届けるついでで。

 

169:名無しの彼岸花 ID:HPELAtB7t

とんでもない所の人常連で草

 

170:名無しの彼岸花 ID:S7HKwCjc9

ミカさんのコーヒー人気らしいし多少はね?

 

171:名無しの彼岸花 ID:0epylFg2h

配達ついでの護衛ってなんだよ

 

172:名無しの彼岸花 ID:IK5DbEEU3

そりゃお前文字通りよ。イッチは用心棒できるぐらいのスペックはあるしな。

 

173:名無しの彼岸花 ID:tri9NpBBp

千束ちゃんとイッチは少なくとも護衛の一つや二つはこなせるスペックしてる。

暗殺部隊の人間だし。

 

174:名無しの彼岸花 ID:DSOqtOBxT

まあ失敗しそうな気配はしないよね、二人とも

 

175:店員鈴蘭 ID:LyReBell

てなわけで行ってくるわ。

 

176:名無しの彼岸花 ID:q7/PMsEuA

あ、行くまえにイッチ、この前話したライブ機能使ってもらえるとすごく助かる

 

177:名無しの彼岸花 ID:uR95EYmT7

せやな、そういやイッチの戦闘するところはっきりとは見たことないし。

 

178:名無しの彼岸花 ID:HHRF66TxC

ワイも気になる。イッチどう戦うのか。

 

179:店員鈴蘭 ID:LyReBell

別に普通よ、普通。拳銃と近接格闘術組み合わせたスタイルでやってるだけやし。

まあ気になるっていうならライブ機能使うわ。

 

180:名無しの彼岸花 ID:kWTuT5SvU

たすかる

 

181:名無しの彼岸花 ID:ePv/a6Fu+

謝謝茄子!

 

182:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ライブ機能がONになりました

 

『じゃあ、行ってくる』

 

『いってらっしゃーい、お土産買ってきてね!』

 

『買うような任務じゃないっての』

 

これでええか?

 

183:名無しの彼岸花 ID:Rs1+Ftt+8

いけてるでイッチ。

 

184:名無しの彼岸花 ID:lVH+vBZCr

千束ちゃんこんな声なんか、可愛いな。

 

185:名無しの彼岸花 ID:/3EEYTdW7

裏でミカさんの声とかも聞こえてるけど思ったよりイケボで笑う

 

186:名無しの彼岸花 ID:euWRIh1bK

イッチ声変わりし始めてる最中か?

 

187:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやで、だから変な声なのはすまんやで。ほな、さっさと終わらせてくるわ。

 

188:名無しの彼岸花 ID:fAyWvetx0

気を付けてな、イッチ

 

189:名無しの彼岸花 ID:4xMgNj5q+

油断すんなよ?

 

190:店員鈴蘭 ID:LyReBell

油断したらこっちが死ぬような場所で油断はしないんだよなぁ……

 

191:名無しの彼岸花 ID:iDjeDooiJ

まあそれはそうやな。

 

192:名無しの彼岸花 ID:h9fOPdrRg

慢心、ダメ、絶対。

 

193:名無しの彼岸花 ID:36Gl+8ols

見た目は慢心王の子供時代っぽいのにな

 

 

 

────

 

 

500:名無しの彼岸花 ID:zLzsF0W+W

イッチ独壇場で笑うしかなかった

 

501:名無しの彼岸花 ID:16fa231Xo

流石に強すぎる。

 

502:名無しの彼岸花 ID:kdC5uCrnE

イッチの戦闘スタイルCQCやんけ!

 

503:名無しの彼岸花 ID:ZoVpThQ2l

メタルギアかよお前よぉ!!

 

504:名無しの彼岸花 ID:XJmcQNS91

お前もうスネークでいいよ

 

505:名無しの彼岸花 ID:baN+VdQdO

これと戦えた千束ちゃん何者なんや……?

 

506:名無しの彼岸花 ID:qiFgmz3iW

それな

 

507:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ああ、千束ちゃんは『アラン機関』ってところで育った(?)天才児らしいで。

弾の射線見えてるらしい

 

508:名無しの彼岸花 ID:N4oW7Zl8N

ファッ!?

 

509:名無しの彼岸花 ID:q++9PemrQ

そういう大事なことははよ言えイッチ

 

510:名無しの彼岸花 ID:Z380T11Jl

アラン機関ってなんだよ!?

 

 




イッチ

転職先は喫茶店の従業員でした。
それでも転がり込んでくる依頼次第じゃ戦うこともある。
出掛ける時は常に変装してたりする。

千束ちゃんに妙に懐かれてる。
将来百合に挟まる(確定)男。
伊達眼鏡をかけてる。


千束ちゃん

喫茶店の看板娘。
明るく元気で接客も得意。お客さんに人気。
まだロリなのでおっぱいも大きくはない。

イッチのことが好き(恋愛感情は今の所ない)
眼鏡はかけてない。


ミカさん

喫茶店の店長。
黒人男性で声もいい和服の似合うイケオジ枠。
元DAの教官で狙撃銃とか使えるらしい。
眼鏡かけてる。


ミズキさん

名前だけ出てきた女性。
出会いを求め続ける吞んだくれ美女。
元DAの情報機関所属。眼鏡かけてる。


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【畜生】銃が千丁行方不明になったわww【持ってかれた】

今日はリコリスリコイル最新話が更新される日なので初投稿かもしれないです。


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

やっべえこれどうしよwwww

 

2:名無しの彼岸花 ID:ud7kbBqjp

やばいってもんじゃねえだろイッチよぉ!!

 

3:名無しの彼岸花 ID:KGybioiT9

スレタイトル通りならとんでもねえことになってんじゃねえか!!

 

4:名無しの彼岸花 ID:2DFAPOtbq

イッチ戦犯か???

 

5:名無しの彼岸花 ID:rJEHVWhyC

これは無能

 

6:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちゃうねん……銃商人が機銃掃射で殺されてもうたから

情報吐かせられなかったんや……

そんで現場には最初から取引予定の銃がなかったんや……

 

7:名無しの彼岸花 ID:YdsJGCOBp

それマジ?

 

8:名無しの彼岸花 ID:SoEKv0rvN

機銃掃射ってなにがあったんや……

 

9:名無しの彼岸花 ID:EvOCY+X9m

なんか裏で色々動いてそうな感じになってきてないかイッチ?

 

10:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>8リコリスの女の子が人質にとられててな……

千束ちゃんが現地到着後に人質救助、制圧開始

……の予定だったんやけど、別のリコリスが機銃掃射してもうたんや

 

11:名無しの彼岸花 ID:SbAQg2rul

え、なにそれは……

 

12:名無しの彼岸花 ID:DWUQDO+6R

人質のリコリスちゃんはどうなったんや?

 

13:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>10

無事やで、機銃掃射した子とんでもない腕前やわ。

死んだの商人側の人間だけやった

 

14:名無しの彼岸花 ID:YSZVCZqWS

マ???

 

15:名無しの彼岸花 ID:IwU2qckS5

それはすげえな……

 

16:名無しの彼岸花 ID:acH4PTq93

天才の類やんけ……

 

17:名無しの彼岸花 ID:XtNSy7KSJ

その子も千束ちゃんと同じ例の『アラン機関』ってところ出身なのかね?

 

18:店員鈴蘭 ID:LyReBell

んーぱっと見アランチルドレンではなかったかな。梟の飾り持ってなかったし。

持ち前の射撃技術はアラン機関に見つけられたものではないと思う

 

19:名無しの彼岸花 ID:k290xhipo

ああ、そういやアラン機関に支援された子供は梟の飾り持ってるんだっけ。

 

20:名無しの彼岸花 ID:ti4IxI+BN

天才を育てる機関、アラン機関。

相変わらず胡散臭そうな組織よな。

 

21:名無しの彼岸花 ID:6TolDuF7J

ほんまそれ。王道的な話だと絶対悪の組織やで。

ショッカーとかそういう。

 

22:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ気持ちは分からんでもないけど、アラン機関がなかったら

ワイの世界の医療技術とか、他にも色々な分野が発展してないしなぁ。

由緒正しき昔からある組織ってのもあるし強くは疑えないんよね

 

23:名無しの彼岸花 ID:KJMHWe+io

イッチ側からするとそうか。

 

24:名無しの彼岸花 ID:jfgkdzhyJ

科学技術とかも著しく発展しとるんやっけ?

 

25:名無しの彼岸花 ID:NONGLr2LF

ピアニスト、数学者や医者……

おまけにリコリスにまでアラン機関が関わってるってのはなんというか、きな臭くはあるよなって

 

26:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあそうなんやけどね……でもアラン機関が居なかったら

ワイは多分千束ちゃんとは会えてないしな……

あの子、アラン機関に命救われとるらしいし。

詳しくは教えてくれんかったけど。

 

27:名無しの彼岸花 ID:MkCJX1oWz

紛争地域とかにいる孤児にも救済の手を……だもんな。

リアルあしながおじさんなのはいい話……

なんだけど、イッチの世界じゃその善意すら疑わしいのがね……

 

28:名無しの彼岸花 ID:mXXVgnSc+

しかも今のところ判明してるアラン機関が手を貸した子供って

何かしら突出した才能を持ってる子供、だらけなのがね……

 

29:名無しの彼岸花 ID:P4fw0MC9+

軍隊でも作る気なんか、とは思っちゃう。

 

30:名無しの彼岸花 ID:ZqjiIiLfa

話題戻すけどそういやイッチはなんでその現場のこと知っとったんや?

 

31:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>30

現地に先に潜入してたんや。

予め状況把握しておくのは暗殺の基本やで。

それでリコリスが人質にとられたから、

千束ちゃんを待ってたところに……ってことや。

 

32:名無しの彼岸花 ID:ZqjiIiLfa

サンガツ、イッチは潜入任務得意なんやな

 

33:店員鈴蘭 ID:LyReBell

これでも一応元暗殺部隊のエースやしな。

あんま誇れるものでもないけど。

 

34:名無しの彼岸花 ID:ykFWhPhWk

潜入任務が得意でCQCの使い手とかほんとにスネークなんだよなぁ……

 

35:名無しの彼岸花 ID:zW7VVAljj

声が渋くなりそう。

 

36:名無しの彼岸花 ID:4POBtuUjH

眼帯つけるのかな?

 

37:名無しの彼岸花 ID:JvFpWxRmg

バンダナかもしれん。

 

38:名無しの彼岸花 ID:pFYkCnK8J

カロリーメイトとか旨そうに食ってそう

 

39:店員鈴蘭 ID:LyReBell

さすがにガチの本職と比べられるのはNG。

BIGBOSSにもソリッドにも勝てるわけないやろ!

 

40:名無しの彼岸花 ID:lJSMK8Zd4

 

41:名無しの彼岸花 ID:7rpOaixk2

まあそれはそう。あれはガチの本職やしな。

イッチも本職といえば本職やけど。

 

42:名無しの彼岸花 ID:hwfQV0Yl2

そういや本物の殺し屋やったわイッチ

 

43:名無しの彼岸花 ID:6xhZZT/k8

ははかな?

 

44:名無しの彼岸花 ID:zesw0EHH/

ファブルかもしれん

 

45:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そっちとも比べるのはNG

ヨルさんほど超絶身体能力もしてないし

明さんほど擬態できる人間でもないから……

 

46:名無しの彼岸花 ID:UUiysooSE

おっそうだな。

 

47:名無しの彼岸花 ID:8BEA3FisN

あのヤのつく人たち相手に無双してて何言ってんだこいつ

 

48:名無しの彼岸花 ID:HAwJoHkNu

イッチもかなりのフィジカルオバケなんだよなぁ……

 

49:名無しの彼岸花 ID:ote+HZVuV

しかも喫茶店では接客と厨房こなしてる辺り擬態も完璧定期

 

50:名無しの彼岸花 ID:AkhVgOtRo

このイッチマジで何ならできないんや?

 

51:名無しの彼岸花 ID:Ag3kYbEGR

女の心の理解の仕方でしょ

 

52:名無しの彼岸花 ID:Q8McEpdrX

 

53:名無しの彼岸花 ID:+nW5llQZv

めっちゃダイレクトに言ってて草

 

54:名無しの彼岸花 ID:7SMC2hD39

これがDAちゃんですか?

 

55:名無しの彼岸花 ID:yAUZqvUBj

ダイレクトアタックではあるな

 

56:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>51

やめーや。おまいらやって童貞やろうが

 

57:名無しの彼岸花 ID:UMoCZMPtu

は?????

 

58:名無しの彼岸花 ID:ENuzEeO3W

ど、どどど童貞ちゃうわ!!

 

59:名無しの彼岸花 ID:EPq9o+7eF

イッチ???

 

60:名無しの彼岸花 ID:MxiHDitA6

やろうぶっころしてやる。

 

61:名無しの彼岸花 ID:Jypx0fwif

人は愚かなものです、とくにイッチ。

 

62:名無しの彼岸花 ID:aIRadIata

やはり人間は愚か。

 

63:名無しの彼岸花 ID:bv/ytk/YF

なんか自我に芽生えたAIがおるな??

 

64:名無しの彼岸花 ID:FGqzXHvsZ

定期的に機械湧くな?

 

65:名無しの彼岸花 ID:YJzVS/a++

まあメタルギアだったらAIぐらい湧くでしょ

 

66:名無しの彼岸花 ID:V5VZQmN90

愛国者やめろ

 

67:名無しの彼岸花 ID:P9t7n4wM7

戦争が変わりそう

 

68:店員鈴蘭 ID:LyReBell

リキッドもいないし大統領も別にスネークのそっくりさんじゃないんだよなぁ……

 

69:名無しの彼岸花 ID:Jr782Wy8q

まあメタルギア世界だったらアラン機関は

確実に賢者の遺産周りか愛国者由来のものになるやろしな

 

70:名無しの彼岸花 ID:c7PPyIx5D

リコリスとかDAとかリリベルも裏で牛耳ってそう

 

71:店員鈴蘭 ID:LyReBell

っと、撤収するからそろそろ一旦落ちるわ。

 

72:名無しの彼岸花 ID:gUNpwj8Pm

おつおつ、イッチもリコリスも無事でよかったわ

 

73:名無しの彼岸花 ID:tau9LV2aw

本当に無事でしたか……?

 

74:名無しの彼岸花 ID:PjCLuWz09

銃が千丁失踪してるんだよなぁ……

 

75:名無しの彼岸花 ID:C85/g/zvF

戦争不可避

 

76:名無しの彼岸花 ID:ZpPejYg0H

事実だとしたらとんでもないことだよこれ

 

77:名無しの彼岸花 ID:3YkT401XH

まあでもその辺はイッチの管轄外だしな

 

78:名無しの彼岸花 ID:KHTr3vafl

上手い事DAくんがやるでしょ、多分。

 

79:名無しの彼岸花 ID:+724XfGok

おっそうだな。

 

80:名無しの彼岸花 ID:7dN+aZ5hQ

少なくとも偽の情報掴まされてる可能性ある時点で

既にDAくんダメそうなんですがそれは

 

81:名無しの彼岸花 ID:bMsAXHTK+

イッチも千束ちゃんもなんかとんでもない陰謀に巻き込まれてそうやなぁ

 

82:名無しの彼岸花 ID:QefNdtJgx

千束ちゃん、露骨にイッチの世界の主人公?っぽい感じあるしな

 

83:名無しの彼岸花 ID:Y1TMxJulH

まあDAが左遷してる問題児扱いしてるのに

特別な隊員として適度に任務で呼び出されてるあたりねぇ?

 

84:名無しの彼岸花 ID:nPBaPaOu3

しかも何かしらの天才……イッチ曰く卓越した洞察力の持ち主らしいけど

それでアラン機関に支援されてる女の子なんでしょ?

 

85:名無しの彼岸花 ID:obg49yUcV

うーんこれはバトル系の作品の女主人公の匂い!

 

86:名無しの彼岸花 ID:wyT7tWiuG

少なくともほかで言えば『魔法少女』だったり

『勇者』だったりしても不思議じゃない娘よね

 

87:名無しの彼岸花 ID:Y/0CuGyVp

イッチも千束ちゃんも何事もなければいいんやけどな……

 

88:名無しの彼岸花 ID:Vo9/bBhZL

それはそう。平和が一番やしな。

 

89:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

 

90:名無しの彼岸花 ID:imPXwBsic

は???

 

91:名無しの彼岸花 ID:pNy9itVEU

ああああああああ!!

 

92:名無しの彼岸花 ID:29sBxnJlD

イッチ貴様ああああああ!!

 

93:名無しの彼岸花 ID:Y/0CuGyVp

前言撤回、やっぱイッチは滅べ

 

94:名無しの彼岸花 ID:VqZ1C5PEV

美少女とバイク二人乗りとかお前せっこ!!!

 

95:名無しの彼岸花 ID:cLRv6aH5X

千束ちゃんに後ろから掴まれるとかお前なー!!

 

96:名無しの彼岸花 ID:Yhf2r/nVZ

しかも画像だけ送ってくるのくっそ性格悪いわ!!

 

97:名無しの彼岸花 ID:SEGU3qEXb

イッチやっぱ性根腐ってるやろ!!

 

98:名無しの彼岸花 ID:ys2aKUBiJ

鬼!悪魔!殺し屋!!

 

99:名無しの彼岸花 ID:D1412NxQg

イッチはやっぱり死んでいいと思う

 

100:名無しの彼岸花 ID:vBHgHM5Ez

誰かあいつを処してくれ

 

 

 

 

 

────

 

 

 

 

500:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【悲報】ワイ、百合の間に挟まる男だったかもしれん【黒髪ロン毛美少女参戦】

 

501:名無しの彼岸花 ID:RzB7BZK+6

は??

 

502:名無しの彼岸花 ID:7exARnGMW

有罪

 

503:名無しの彼岸花 ID:SviOtpzDS

イッチお前やったな??

 

504:名無しの彼岸花 ID:iXkZdwxGf

黒髪ロン毛美少女は百合ものにおいてガチレズだからな。

イッチガチで大罪じゃん

 

505:名無しの彼岸花 ID:t4ikmBTSw

千束ちゃんのメインヒロインきちゃったな?

 

506:名無しの彼岸花 ID:6yB4gz6Jz

イッチもう帰っていいよ

 

507:名無しの彼岸花 ID:IQYFO744N

さよならイッチ

 

508:店員鈴蘭 ID:LyReBell

死にたくないでござる

 

509:名無しの彼岸花 ID:rnnc7Bd9o

百合に挟まった時点でイッチの詰みやで

 

510:名無しの彼岸花 ID:74XKaPk/w

罪を認めて自首しろ

 

511:名無しの彼岸花 ID:fraNlR5nZ

俺たちが介錯してやる。俳句を詠め

 

512:名無しの彼岸花 ID:vHBud9Xq5

ニンジャもおるな?

 

513:名無しの彼岸花 ID:ymFgv76w/

アイエエエ!?

 

514:店員鈴蘭 ID:LyReBell

それはそうと新入りちゃんめっちゃ可愛い

【画像】

 

515:名無しの彼岸花 ID:gYRGzQ8Ds

は???かっっっっっわ

 

516:名無しの彼岸花 ID:EdUB4MbiU

これはお清楚美少女ですわ。

 

517:名無しの彼岸花 ID:dDYxY3psB

ほむほむ味を感じる。

 

518:名無しの彼岸花 ID:ZR9dBbSYZ

その必要はないわ(どやあ)

 

519:名無しの彼岸花 ID:mZRNWlt1C

拳銃扱ってるし実質ほむらちゃんでしょ

 

520:名無しの彼岸花 ID:1m7QJFJP3

おっそうだな

 

521:名無しの彼岸花 ID:9uj3765ru

名前おせーてイッチ

 

522:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あいあい。井ノ上たきなちゃん。

件の機銃掃射したリコリスのセカンドちゃんです

 

523:名無しの彼岸花 ID:HGc0IX4sb

ファーwww

 

524:名無しの彼岸花 ID:LL4c7fmFm

問題児しかおらんのかイッチの部署のリコリス

 

525:名無しの彼岸花 ID:a05Ni4qH1

見た目の割にダイナミックガールすぎる

 

526:名無しの彼岸花 ID:o3U+t2e7t

割と脳筋では?

 

527:名無しの彼岸花 ID:vPDU7arI3

個性的な喫茶店やなあ……

 

528:店員鈴蘭 ID:LyReBell

今からたきなちゃんに色々紹介するからまた落ちるわ

 

529:名無しの彼岸花 ID:Bq2n1Z4Ww

ういー

 

530:名無しの彼岸花 ID:9pcxsJWAL

それにしてもイッチ、ほんとに何か大きな物語に巻き込まれた感でてきたな

 

531:名無しの彼岸花 ID:TDg3L4uMl

リコリス二人になった辺りコンビものの作品なんかねぇ

 

532:名無しの彼岸花 ID:ufunViMUH

イッチの束の間の平和はここまでかもしれへんな……

 

533:名無しの彼岸花 ID:RCZTHCNv7

誰も死なずに終わるとええんやけどな

 

534:名無しの彼岸花 ID:QtiSDVNfF

イッチしばらくは忙しくなりそうやなぁ

 

535:名無しの彼岸花 ID:lEQ895AwR

イッチがこの世界に転生させられた理由とかもあるんかね

 

536:名無しの彼岸花 ID:8C5Z1D6TY

なんにせよ、イッチのスレは見てて飽きなさそうやな

 

537:名無しの彼岸花 ID:qpena5l24

まあ百合の間に挟まるんですけどねイッチ

 

538:名無しの彼岸花 ID:0gv2IY1wo

マジでそこだけが大罪すぎる

 

 




イッチ

フィジカルのやべーやつ。
潜入任務はお手の物。これでも暗殺部隊の人間なので。
千束ちゃんも大きくなってスタイルも良くなったのに
未だ距離感が変わらないのでちょっとタジタジになってる童貞くん。
バイクの免許は偽装で取った。戸籍ないからね。
千束ちゃんからカブ勧められたこともあったが普通のバイクを買った。

百合の間に挟まってしまった男


千束ちゃん

射線が見えるやべーやつ。
年月もたって立派なレディになってる。
おっぱいも大きくなった。
ただ身長がイッチより低いのにはちょっと不服らしい。
帰りはイッチのバイクに乗った。

百合担当(かもしれない)


たきなちゃん

射撃の命中精度がやべーやつ。
リコリスリコイルのもう一人の主人公。
まだ不愛想。あとまだトランクスでもない。

百合担当になるかは不明


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Welcome to LycoReco!

情報量にあっぷあっぷしてるこの頃。
この小説続ける事できるかな……?


ルーキーランキング1位、日間ランキング入り
総評、お気に入り1000到達ありがとうございます。

評価、お気に入り、感想励みになっております。



『はいはーい、こちら貴方の千束でーす!』

 

「……そういうのはいい。任務の内容は聞いてるだろ」

 

 耳につけていたインカムから相も変わらずやかましい声が聞こえてくる。

 

『分かってるよー、リコリスが1人、人質になってるんでしょ?』

 

「そうだ、こっちも出方を伺ってるが決定打がない。って感じだな」

 

 壁際で息を潜めながら青年は状況を把握する。

 人質にされているリコリスが1人、そして待機してるリコリスが3人。1人はファーストのようだが、なにやら通信相手と揉めている様子だった。

 

『現場って何階だっけ?』

 

「あ? 六階だぞ」

 

『マジ? エレベーターは??』

 

「んなもんねえよ。商人が使うようなビルだぞ。非常階段でこい」

 

『棗の鬼畜~!!』

 

 ぶーぶー! と通信越しに聞こえてくる抗議の声をスルーしつつ自分は悪くない、と彼もまた文句をたれていた。

 

「俺じゃなくてミカのおやっさんに言え」

 

『……聞こえてるぞ』

 

 厳格な声が耳に入ってくる。ミカ、と呼ばれた男性の声だ。彼もまた別のポイントから狙撃銃を構えて現場の様子を伺っている。

 

「げっ……ん゛ん゛! そっちからの援護はどうですか、ミカさん」

 

『ダメだな、狙えはするが……武器商人は生かして情報を吐かせたいとの指示だ』

 

「マジかよ、上もめんどくせえ条件叩き付けやがって……とはいえ四の五の言ってられる状況でもないですね。千束が到着次第俺も動きますが構いませんか?」

 

『構わん、それぐらいの無茶は通させる。私たちを使ったんだからな』

 

『うっは先生、悪い事考えるねぇ~!』

 

「千束」

 

『分かってるってばー! ひえー、上が遠いよぉ!! なんでおぶってくれないのさー!!』

 

「現場にいるんだから仕方ねえだろ……」

 

 文句をたれながら必死に走っているのであろう千束の声を聞きため息を吐く。

 

「おら聞こえてんのかァ!! こんなに殺りやがって! 

 十秒だ! そっから出てこい!! コイツぶっ殺すぞ!!」

 

「ちっ……まずいな、相手側の堪忍袋の緒が切れそうです。どうしますか、ミカさん」

 

『……仕方ない、千束。合流次第棗くんに合わせろ』

 

『了っ解! 先生っ!!』

 

「わかりました、仕掛けま……チョイまてまてまて!?」

 

 視線を商人側へ向けようとした瞬間、立花 棗の目の前には信じられない光景が映った。

 

「ばっ!? たきなっ!!??」

 

「たきなっ!?!?」

 

 黒い長髪の少女(リコリス)が、機関銃を手に取って構えていたからだ。そして気付いたときには既に遅し。

 

 カチャリ、というリロードの音と共に────

 

 

 けたたましいまでの銃撃音が鳴り響いたのだった。

 

 

 ────

 

 

「まーじでこっちまで死ぬかと思った」

 

「あっははは、どんまいどんまーい。生きてりゃいいことあるってー!」

 

 黒いバイクに乗りながら、棗はため息を吐く。

 そんな姿を後ろから見て愉快そうに笑いながら千束は棗を励ましていた。

 

「ふつー機銃掃射なんて人質が居る状態でしようなんて考えつくかっての、

 コマンドーやランボーじゃねえんだぞ」

 

「OK! ズドーン! って?」

 

「そうそう、ってあほか。無事だったとはいえなんちゅーこと考えてんだあのリコリス……」

 

「そうかっかしないの! 商人を捕まえられなかったのは仕方ないじゃん? 

 相手も何するかわかんなかったわけだし?」

 

「……まあそうだけどな……ったく、ほらさっさと帰るぞ。

 ただでさえリコリコでの業務終わってないんだ」

 

「はいはーい。あ、安全運転でお願いね?」

 

 ヘルメットを千束に渡し、後ろに乗るように促す。

 彼女はそれに従うように、バイクに跨ると棗の腰に手をまわし……

 

「当たり前だろうが、ほらしっかり掴まってろ」

 

「はーい♪」

 

 ────むにゅん

 

「……当たってるんだが」

 

「あててんのよ~? なんつって!」

 

「走って帰らせるぞ」

 

「わー! ごめんって!! 冗談じゃーん! 

 こっからリコリコまで遠いんだからお慈悲を~! 棗お代官様~!!」

 

 からかってくる千束に少しイラッとしたのか、無慈悲にそう告げる。さすがの千束もそれだけは勘弁してほしいのか、大慌てで謝罪をした。

 

「なら無駄口叩かずさっさと掴まってろ」

 

「はーい……」

 

 バイクを出して、都会の道路を走る。

 

 こんな日々が、彼らにとっての日常であり……一般市民にとっての非日常であった。先ほど起きたビルでの一件もこの国では当たり前のように事故にすり替わるのだろう。

 それが、()()()()()()()()()

 

 全ては事故、事件などいっさい存在しないのが当たり前なのだ。

 

 

 ────そんな日々を作っているのが、リコリスと呼ばれる少女たち。

 

 そしてこれは、そんなリコリスの変わり者の少女と、

 それを支える少年や大人たちのちょっと変わった日常の物語。なのかもしれない。

 

────

 

Welcome to LycoReco! (リコリコへようこそ!)

 

────

 

 

「転属ゥ?」

 

「ああ、今日付けでうちに配属されるリコリスがいる。

 千束には少し前に伝えておいてあとは棗くんにだけだったからな」

 

 喫茶店のカウンター前でミカに急に振られた話題に棗は驚いた様子をみせる。

 当然だ、ここにリコリスが来ることは基本的にない。

 そしてなにより、ここ所属のリコリスといえば究極の問題児だ。左遷扱いされているほどの。

 そんな場所に配属されるリコリスがまともであるはずはない。と早々に予想をたてる。

 

「いえ、まあ別にそれはいいんですけど随分早急ですね?」

 

「色々とな。要はとかげのしっぽ切りではあるんだろう」

 

「しっぽ切り……ちょっと待ってください、まさかその配属されるリコリスって」

 

「そのまさかだ、私や千束より……記憶に新しいだろう?」

 

「あの黒髪少女か……」

 

 正しく記憶に新しい相手だった。

 なにせ、機銃掃射なんぞというとんでもない独断行動をしたリコリスだったのだから忘れるはずもなかった。

 

「千束だけでも大変なのに問題児追加させますか普通?」

 

「その辺りの扱いは君に一任するよ、棗くん。私よりもよっぽど千束の扱いは手馴れているだろう?」

 

「……千束だけで手一杯なんですけど? はぁ……まあいいです、分かりました。

 こっちも匿ってもらってる身ですし、やれることはしますよ」

 

「すまんな。午前中には到着するはずだ。

 私はしばらく厨房を見ているからその間に来たら色々と説明や案内をしてやってくれ」

 

「分かりました。……店長、そういえば千束は?」

 

「野暮用で外だ。まあ、少しすれば帰ってくるだろう」

 

「把握しました。それじゃあそのリコリスが来るまでの間……一応、テーブルとか拭いときます」

 

「助かるよ、棗くん」

 

 そう言い、厨房の方へと潜ったミカを尻目にしながら台拭きでカウンターや机を拭いていく。

 その時、ふとテレビの方から気になるワードが耳に入ってきた。

 

『速報です、フィギュアスケートの山田選手がアランチルドレンであるということを発表されました』

 

「ん? またアランチルドレンですか……最近多いですねこれ」

 

「そうねー……クソッここにも結婚という障害に阻まれている女がいるってのに……!」

 

「ソーッスネ……」

 

 ニュースを見ながらくたくたになるまで読み漁られたゼク〇ィらしき本を地面に叩き付け、僻む眼鏡の女性を見て、棗は面倒くさいやつだと判断しスルーを決め込む。

 僻んでいる女性の名は中原(なかはら) ミズキ。棗同様、喫茶リコリコの従業員の一人である。

 

 ここ数年、よく耳にするようになったアランチルドレン、並びにアラン機関の話。

 良い事ではあるのだろうが彼らと話したあとだとどうも裏があるように思えて仕方がない組織だ。

 

「アラン機関ってなんとなく不思議な組織ですよね」

 

「そぉ? それを言うならDAやリコリス……棗くんのいたリリベルだって謎ばかりでしょ」

 

「うーん、言えてますね。改めてここほんとに法治国家日本なんですか? めちゃくちゃ謎組織跋扈してますよ??」

 

「それは知らないわよ。まあ法治国家なんて名ばかりなのは否定しないけど」

 

 ある程度、テーブルを拭き終えてカウンターに座り込み雑談をする棗とミズキ。

 そんな中で、カランと来客を報せる鐘がなる。客かと思い振り返るが、その姿がとても見覚えがあった事で客ではないと察する。しかし棗はわざと知らないフリをして問いかけた。

 

「いらっしゃいま……ん、君は?」

 

「……本日配属になりました井ノ上(いのうえ) たきなです」

 

「ああ、君が例の……」

 

 知ってはいるが、現地に居たことを悟られるわけにはいかない棗はある程度すっとぼけながら頷き返す。

 そんな棗をまじまじと見つめてたきな、と名乗った少女は問いかける。

 

「貴方が千束さん……ですか?」

 

「いや違う違う。俺そもそも男だからリコリスじゃないし。俺は立花 棗。

 ここの従業員で……まあ、バックアップ担当ってところか? 

 あ、ついでに言っとくとそこのゼクツィ読んでる基本吞んだくれの従業員も千束じゃないぞ。ミズキさんだ」

 

「誰が吞んだくれじゃい!! ぶっとばすわよ棗!!」

 

言動どうにかすれば美人なんだけどなぁ……

 

「あの、それでは千束さんという方はいったい……」

 

「ん? ああ、ちょっと待ってろ、そこ座って寛いでていいから。

 店長ー! 例のリコリス来ましたよー!!

 

「分かった、そっちに行く少し待ってくれ」

 

 カウンター席に座るように促されたたきなはちょこんと座り棗の姿を観察する。

 

(隙がない……リコリスではない、とは言っていましたが……彼は……?)

 

 疑問符を浮かべながら観察しているところに、厨房から顔を出したミカがやってくる。

 

「来たか、たきな」

 

「貴方が千束さん……?」

 

「いやおっさんでしょーが!!」

 

 少しずれた発言をするたきなにミズキからツッコミが入る。

 まあさすがに厳格な男性がリコリスだというのはおかしいので当然だが。

 

「私はミカ、ここの管理者だ。まあ、この喫茶店の店長とでも考えておいてくれ」

 

「井ノ上たきなです、よろしくお願いします」

 

 ミカから差し伸べられた手を握り返し握手をする。

 

「二人の紹介は……」

 

「はい、一応は棗さんから」

 

「そうか、なら私の方から改めて……彼は立花 棗くん。

 訳あってリコリコで働いている従業員で……現地協力者といったところだ。

 そして、彼女は中原 ミズキ。元DAだ。所属は情報部だった」

 

「よろしくな、井ノ上さん」

 

「現地協力者と……元DA……?」

 

 ミカに紹介され改めて会釈をする棗とミズキ。そして紹介された言葉の中に引っ掛かりを覚えたのか、たきなは首を傾げる。

 

「あー……嫌気がさしたのよ。孤児を集めてあんた等リコリスみたいな殺し屋作ってる組織に」

 

「俺は、ちょいと訳ありでな。裏の事情もある程度は知ってる。

 件のリコリス……千束に救われてここで働かせてもらってるんだ」

 

「……そうですか」

 

 ミズキの言葉と棗の言葉にひとまずは納得をしたのか、頷くたきな。

 そんな中、喫茶店入口の方から少しやかましい声が聞こえてきた。

 

「ほぉらやかましいのが来たぞー?」

 

 カラン、と鐘の音が聞こえると同時に千束がビニール袋を二つ持って入ってくる。

 

「先生たいへーん! 食べモグの口コミでこの店ホールスタッフが可愛いって!!

 これ私のことだよねー?」

 

「私のことだよ!!」

 

「「冗談は顔だけにしろよ酔っ払い(してくださいミズキさん)」」

 

「棗くんまでなによぅ!!」

 

 冷静に二人にツッコミを入れられたミズキはいじけるように文句をたれる。

 

「ってあれ、リコリス? どうしたのその顔?」

 

「おい、千束。店長の話すっぽ抜けてんじゃねえよ」

 

「例のリコリスだ」

 

 ミカの言葉に千束とたきなはお互いに驚いた様子を見せる。

 片や信じられないように、片や目を輝かせながらだが。

 

「え!? この子が!!?」

 

「この人が……ですか?」

 

「今日からお互い相棒だ、仲良くしろ」

 

 ミカにそう言われ、千束は即座にたきなの手を握って自己紹介を始める。

 

「よろしく相棒! 錦木 千束でぇす!!」

 

「あ、ど、どうも……井ノ上 たきなです。よろしくおn────」

 

「たきな! 初めましてだよね!?」

 

「は、はい。去年京都から転属になったばかりで────」

 

「おおぉおお……! 転属組……! 優秀なのね、歳は!?」

 

「え、16ですけど……」

 

「私が1つお姉ちゃんかー! あ、でもさん付けはいらないからね!

 ち・さ・とでオッケーだから!!」

 

「は、はぁ……」

 

 グイグイと押し続ける千束にタジタジになっているたきなを見ながら、棗は呆れたように笑う。

 

「一気にやかましくなりましたね」

 

「あら、妬いてるの? お姉さんが慰めてあげましょっか?」

 

「あ、そういうのはいいですし妬いてないです」

 

「やだ棗くん塩対応!」

 

 そんな姿を見てからかってくるミズキを適当にあしらう。

 一方千束は興奮冷めやらぬ様子で、少し前のたきながやっていた機銃掃射の時のポーズをマネしながら質問していた。

 

「いやーこの前のアレ、すごかったねー! その頬の怪我は名誉の負傷?」

 

「あ……いえ……」

 

「お……?」

 

 気まずそうに目を逸らすたきなを見て困惑する千束。

 間違いなく地雷を踏んだのは彼女だった。

 

 ────

 

「だーかーらー!! 何も殴るこたないでしょ!?」

 

「想像と違ったか?」

 

「いえ、そんなことは……」

 

「まあ、アイツほど不思議なリコリスはいないからな。困惑するのも無理ないさ。

 俺もリコリスっていうともっと物騒なイメージ持ってたし」

 

「司令司令ってちょっとは自分で考えなさいよ!! うっせえアホ!!」

 

 千束は電話越しに知り合い……おそらくはたきなと揉めたであろうリコリスとひとしきり喧嘩したあと通話を切る。

 

「よぅし! 早速仕事に行こうたきなぁ!」

 

「はい!」

 

「あ、先生のコーヒー飲んでからでいいよ? すっごく美味しいから! 

 じゃあ、私着替えてくるからごゆっくり~」

 

 そう言い厨房から消える千束を見届け座ろうとしたところで

 千束がすっと戻ってくる。

 

「あーたきな!」

 

「はい!」

 

「リコリコへようこそぉ~! うひひひっ!」

 

 いい笑顔を浮かべながら千束はすーっと厨房から消えていく。

 困惑したような表情を浮かべるたきなを見て、棗は苦笑する。

 

「な、やかましいだろ?」

 

「それは……そうですね」

 

 否定できなかったのか、たきなは棗の言葉に頷いていた。

 千束というリコリスはまさに台風といった言葉が良く似合う人物だろう。

 

「ふ、コーヒー、飲んでいいぞ?」

 

「あ、はい。いただきます」

 

「……美味しい」

 

「だろ、先生のコーヒーは別格だからな」

 

「褒めすぎだ、棗くん」

 

「事実を述べただけですよ」

 

 棗はミカのコーヒーを飲みながら、淡々と告げる。

 事実、彼のコーヒーはとても美味しい。リコリコの看板メニューの1つなのだから当然ではあるが。

 

「あの、私はこのあとは……」

 

「ん? ああ、千束について行けばいいよ。もし必要になったら、こっちに連絡してくれ。

 まあ最初はアイツが色々サポートしてくれるとは思うけどな」

 

「分かりました。改めて……よろしくお願いします、棗さん。ミカさん」

 

「ああ、よろしく井ノ上さん。改めて……リコリコにようこそ。歓迎するよ」

 

 ぺこり、とお辞儀をするたきなに棗とミカは笑顔で出迎えるのだった。

 




立花 棗(イッチ)

喫茶リコリコの従業員、千束は言わなかったが
食べモグでは「イケメン店員」と呼ばれているらしい。
本人は知らない。


錦木 千束

リコリコの看板娘。めちゃくちゃ人気が高い。
スレでも人気の女の子。メインヒロインかもしれない。

棗が食べモグで好きとか素敵!って言われてるのは
ちょっと複雑らしい。

井ノ上 たきな

本日付けで喫茶リコリコの従業員になったリコリス。
まだ不愛想だしちょっと表情が硬い。
いわゆる黒髪枠。


中原 ミズキ

酔っ払い。残念美人。元DA情報部。
実は棗の好みの顔なのだが、言動がその魅力を失わせている。


ミカ

リコリコの店長。
スナイパーもやれる凄腕傭兵だった過去があるとかなんとか。
リコリスの教官をやっていたこともあるらしい。
脚がちょっと不自由。

ミカのコーヒーや和菓子はリコリコの看板メニューであり大人気の品。
とっても美味しい。


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【悲報】DAくん偽の取引時間を掴まされてた【知ってた】

総評2500突破ありがとうございます。

リコリス・リコイル総合評価順トップ5入りしてるのも衝撃的でした。
本当にありがとうございます。

念の為にBLタグも追加しました。
7話のあのシーンの事もありますからネ


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

案の定といえば案の定だったンゴねぇ……

 

2:名無しの彼岸花 ID:tdyOOzRK0

知ってた。

 

3:名無しの彼岸花 ID:lEGN9X8b9

でしょうね。

 

4:名無しの彼岸花 ID:uJYVyY1m/

まあ、残念でもなく当然というか……

 

5:名無しの彼岸花 ID:5S5heCayl

銃千丁消えたって時点でそう考えるのが普通よな……

 

6:名無しの彼岸花 ID:BBxDQHp1o

なんでDAはそれに気付かなかったんや……?

 

7:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ああ、それはラジアータってAIのせいやね

 

8:名無しの彼岸花 ID:OuYQUJo8k

ラジアータって?

 

9:名無しの彼岸花 ID:RVoll4KwY

ああ!それって人工知能?

 

10:名無しの彼岸花 ID:SDSP7DMTv

それもしかしてAIに依存してたとかそういう話か?

 

11:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>10その通りでございます。

インフラ関連で一番トップにあるAIでDAの心臓にして頭脳ともいえるAI。

都市部が停電してもラジアータだけは絶対機能できるように

非常電源とか全部優先されてるとんでも代物よ。

その分とっても高度な性能を持ってて情報予測もお手の物……なんだけどね。

 

12:名無しの彼岸花 ID:KZMM66B9P

その慢心が今回のやらかしにつながったってことか……

 

13:名無しの彼岸花 ID:0EXQAfK4I

正確だから、と信じた結果がこれか……

 

14:名無しの彼岸花 ID:+rMFyo6Ks

特殊部隊の姿か……これが?

 

15:名無しの彼岸花 ID:yFwk/So/2

てかなんでイッチはそれ分かったんや?

 

16:名無しの彼岸花 ID:TUT9lZavt

そういやなんで?

 

17:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ラジアータのことなら千束ちゃんから聞いたんやで。

で、取引の方は今現在千束ちゃんとたきなちゃんが動いてる依頼の方で判明した。

ちな、その画像あるから貼るわね

【画像】

 

18:名無しの彼岸花 ID:wASmkw+97

ただのリア充の自撮りやんけ!!

 

19:名無しの彼岸花 ID:eLAhv+AqG

何見せてくれとんじゃワレェ!?

 

20:名無しの彼岸花 ID:7BASseOkC

喧嘩か?イッチ、喧嘩売ってんのかおん??

 

21:名無しの彼岸花 ID:hy8JZLrox

良い値で買うぞ、イッチくん???

 

22:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちゃうわ奥のビル見ろ。取引現場写っとるやろがい

 

23:名無しの彼岸花 ID:lTFZmoMqR

……ほんまや。

 

24:名無しの彼岸花 ID:gShk/qmwa

し、ししし知ってたし?

 

25:名無しの彼岸花 ID:7xacO7tSM

は?試しただけなんだが?

 

26:名無しの彼岸花 ID:vPxWxVCxJ

わ、ワイは最初から気付いとったで???

 

27:名無しの彼岸花 ID:h9Igj/O1h

うっすらとだけどこれ写ってるの相当重要な手掛かりとちゃうんか?

 

28:名無しの彼岸花 ID:pYntgFMuY

これ撮られたのいつ頃や?

 

29:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>27

せやで、そのせいでこの写真の女の人、怪しい人物に付き纏われてるそうなんや。

ストーカーと思って警察に出したけど

痴情のもつれって言われて取り扱ってもらえなかったんやけど……

千束ちゃんやワイらが見てこれストーカーじゃねえ!ってなったんや。

>>28

ワイや千束ちゃんが任務に行ってた二、三時間前らしい。

だから銃は消えたんじゃなくて既に取引が終了してて回収済みだったってことやね

 

30:名無しの彼岸花 ID:HpUvZZkUV

はえー、サンガツ

 

31:名無しの彼岸花 ID:/Ba0fCWe2

ってことはこれ相当やばない?

 

32:名無しの彼岸花 ID:3aLJkFryb

やばいでしょ

 

33:名無しの彼岸花 ID:IzXKtTOOj

まあ既にテロリストなり犯罪者に銃千丁は渡ったってことやもんな

 

34:名無しの彼岸花 ID:XKKdq0add

まーじで戦争起きるやつでは?

 

35:店員鈴蘭 ID:LyReBell

とにもかくにも、顔を特定できん限りは主犯格の対処もできへんからな。

DAに一応この画像回しとるし、

解析終わるまでは今まで通り入ってくる依頼をこなす日々やね。

 

36:名無しの彼岸花 ID:D81Ad0OxK

おつおつ、イッチも大変なことに巻き込まれたなぁ

 

37:名無しの彼岸花 ID:CkI7HtYsX

まあ少なくともイッチの世界じゃいつかは起きることやったしな……

 

38:名無しの彼岸花 ID:pzmssMC9a

偽りの平和やもんなぁ……

 

39:名無しの彼岸花 ID:UZJ5a8DdB

マジで日本なんかってぐらい物騒

 

40:名無しの彼岸花 ID:slJ3DjEdV

ほんまそれな。

 

41:名無しの彼岸花 ID:nTYtf46JB

で、今はイッチなにしとるんや?

 

42:店員鈴蘭 ID:LyReBell

今からそのストーカー(仮)な連中を護衛兼ねてひっ捕らえにいくところや。

多分末端の連中使ってるから主犯格の事とかはそんな知らないと思うけどな

 

43:名無しの彼岸花 ID:pGztyrh7j

お、ってことは戦闘か?

 

44:名無しの彼岸花 ID:D3UXQPE3V

これは千束ちゃんやたきなちゃんの活躍も見れるのでは?

 

45:名無しの彼岸花 ID:ou/1xk27I

イッチ、ライブ機能使ってください!お願いします!なんでもしますから!

 

46:名無しの彼岸花 ID:TXh2V+qcw

ん?

 

47:名無しの彼岸花 ID:9Aoe5goOH

ん??

 

48:名無しの彼岸花 ID:olpUQrc5q

ん?今何でもって?

 

49:名無しの彼岸花 ID:ITPYpCr1T

今なんでもするって言ったよね?

 

50:名無しの彼岸花 ID:ou/1xk27I

えっそれは……

 

51:名無しの彼岸花 ID:PzL100Yn/

男に二言はないやろ?

 

52:名無しの彼岸花 ID:M/gr/1nyb

そうだよ。

 

53:名無しの彼岸花 ID:ou/1xk27I

おにいさんゆるして

 

54:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しょうがないにゃあ……代わりにワイが安価したるわ。

これで許してやってくれ

 

55:名無しの彼岸花 ID:ta+4SrCES

マ????

 

56:名無しの彼岸花 ID:WEajZFxPL

安価キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

57:名無しの彼岸花 ID:897ESajY/

イッチおまえやるやんけ!!

 

58:名無しの彼岸花 ID:my9fU4m6p

見直したわイッチ

 

59:名無しの彼岸花 ID:TvLSlAcMe

イッチの評価はガバガバ

 

60:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

イッチの評価だけドリルライナーしてる

 

61:名無しの彼岸花 ID:bXHyBMyLh

あ、トレーナーニキじゃん。オッスオッス

 

62:名無しの彼岸花 ID:iuNXaqjF1

今日は誰に負けてきたんや?

 

63:名無しの彼岸花 ID:yW7G5xaeh

負ける前提なの草

 

64:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

キバナに負けてきたわクソが。ゲームより天候の扱い方上手いのなんなん

あの夢女子製造機がよ

 

65:名無しの彼岸花 ID:HKamSo4o5

 

66:名無しの彼岸花 ID:kPwmqptKH

案の定負けてて草

 

67:名無しの彼岸花 ID:2neluYfY/

こっちも予定調和かあ

 

68:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ほな安価の内容決めるで。

まあ今回は護衛中に戦闘が起きた時

どういう感じで戦うかってシンプルなやつやな。

で、予め言っておくとナイフ、殺傷弾による殺しはなしな。

千束ちゃんが泣くし、ワイの縛りに反する行為になるから

 

69:名無しの彼岸花 ID:PwLNF1Jiy

縛りって言ってて草

 

70:名無しの彼岸花 ID:jJ70t4uLd

せめて不殺(ころさず)の誓いって言え

 

71:名無しの彼岸花 ID:nUJqzxivW

非殺傷縛りとかほんとにメタルギアやんけ

 

72:名無しの彼岸花 ID:7pK+RYJEY

まあ実際イッチがやってることってメタルギアやし……

 

73:名無しの彼岸花 ID:ZdcCrYo/Z

スネークなんだよなぁ……

 

74:名無しの彼岸花 ID:1QQIde/5J

雷電かもしれへんやろ

 

75:名無しの彼岸花 ID:Wt+h0hnMF

上院議員に殴られてるだけじゃん雷電

 

76:名無しの彼岸花 ID:Owmx09FIQ

それはBBのせいで雷電はあのあとちゃんと上院議員倒してるんだよなぁ……

 

77:名無しの彼岸花 ID:fDdJSesbF

具体的にはどんな風にすればええんやイッチ

 

78:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイの今の武装は麻酔銃とスタンロッドや。あと空のマガジン。

これらを使って動ける範囲の行動ならなんでもOKやね。

ただ殺すのはナシ。

 

79:名無しの彼岸花 ID:fDdJSesbF

オケオケ、サンガツ

 

80:名無しの彼岸花 ID:ok+hc5w38

千束ちゃん泣かせたくはないからね、仕方ないね

 

81:名無しの彼岸花 ID:7cHUbv50o

ワイらの天使を泣かせてはいけない(戒め)

 

82:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ほな安価開始や。

>>95

 

83:名無しの彼岸花 ID:rjwxOzBo+

まだちょい先か?

 

84:名無しの彼岸花 ID:POsvnIkjC

ksk

 

85:名無しの彼岸花 ID:pDISJmhsW

近くになったら頼むでおまいら

 

86:名無しの彼岸花 ID:v7AXJrTkG

任せろ

 

87:名無しの彼岸花 ID:b71+5wioa

イッチになにさせようかな

 

88:名無しの彼岸花 ID:Z4u2+XQEz

迷うわね。

 

89:名無しの彼岸花 ID:K8iKXT5HT

スタンロッドで近接戦に持ち込む

 

90:名無しの彼岸花 ID:pC6jR91/Y

銃なんて捨ててかかってこいスタイルで肉弾戦に持ち込む

 

91:名無しの彼岸花 ID:EcFhIqYUA

殴り倒す。

 

92:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

マガジン投擲で敵を気絶させまくる

 

93:名無しの彼岸花 ID:8TaYHkh2z

相手を一人、盾にして攻撃できない隙に制圧

 

94:名無しの彼岸花 ID:LxEzKnUE0

麻酔銃だけで制圧

 

95:名無しの彼岸花 ID:voD80NDLp

千束ちゃんと連携しつつ麻酔銃とスタンロッド組み合わせていつも通りCQC使って制圧

 

96:名無しの彼岸花 ID:YEatVr5cN

千束ちゃんと連携して制圧

 

97:名無しの彼岸花 ID:NMsDY76Tn

麻酔銃をあえて投擲する。

 

98:名無しの彼岸花 ID:CwVKo+ny6

お?

 

99:名無しの彼岸花 ID:1OAvkMmIi

決まったっぽいな?

 

100:名無しの彼岸花 ID:jsGSUCRlK

何個かBIG S〇RUやらせようとしてて笑う

 

101:名無しの彼岸花 ID:jTmPouXRP

儀式の人と化すイッチ

 

102:名無しの彼岸花 ID:gBfHF7sAe

HENTAIかな?

 

103:名無しの彼岸花 ID:q0GNk6+Jm

悪に堕ちる、演出のために。

 

104:名無しの彼岸花 ID:2Jq1GW/qw

ウォーホー

 

105:店員鈴蘭 ID:LyReBell

無難な所に収まって良かったわ。

冗談でマガジンって入れたけどこれやってたら

千束ちゃんとたきなちゃんに変人として見られるとこやったな……

危ない危ない……

 

106:名無しの彼岸花 ID:E6lnJ0QwQ

どうせならイッチがマガジン投げて敵を気絶させるところは見たかった

 

107:名無しの彼岸花 ID:B27nDLlDi

それはそう。リアル儀式の人は見たかった。

 

108:店員鈴蘭 ID:LyReBell

どんだけ正確な投擲させるつもりやワイに。

ワイはパワプ□世界に転生しとるわけやないんやぞ

 

109:名無しの彼岸花 ID:JF6Su1WXd

 

110:名無しの彼岸花 ID:TPQ0mNLjJ

それはそう。イッチもアランチルドレンだったらできたかもしれへんのにな

 

111:名無しの彼岸花 ID:OswX8ICCx

たしかに。何の才能になるかはわからんけど。

 

112:店員鈴蘭 ID:LyReBell

余計なお世話じゃ。ライブ機能使わんけどええんか?

 

113:名無しの彼岸花 ID:0RnJQxpSH

それはずるじゃん

 

114:名無しの彼岸花 ID:8MPujSaI/

ワイが悪かった

 

115:名無しの彼岸花 ID:HBQGjBZoe

ゆるして

 

116:名無しの彼岸花 ID:deHsy7N7z

ああ許し亭許して……

 

117:名無しの彼岸花 ID:hOuKqEn69

すまんかった

 

118:名無しの彼岸花 ID:h3dcptaN2

千束ちゃん達の活躍も見せてくださいお願いします

 

119:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しょうがねぇなぁ(悟空)

まま、今回は許したる。ワイも鬼やないしな

 

120:名無しの彼岸花 ID:djwHrkYd0

ありがとうイッチ!

 

121:名無しの彼岸花 ID:xL9lPOTxy

イッチ最高!

 

122:名無しの彼岸花 ID:VEBMQilDb

イッチは神!

 

123:名無しの彼岸花 ID:Bm/wTMfjO

イッチisGOD!

 

124:名無しの彼岸花 ID:sjNV0QWUp

やっぱイッチなんだよなぁ!

 

125:名無しの彼岸花 ID:n1ByWS24b

スレ民のイッチへの信頼はガバガバ

 

126:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

掌ドリルくちばし

 

127:店員鈴蘭 ID:LyReBell

それじゃあ、任務の方行ってくるわ。

現地で戦闘始まりそうやったらライブ機能使うから待っててなー

 

128:名無しの彼岸花 ID:Dms/3tiNf

あいよー

 

129:名無しの彼岸花 ID:94S4ymegu

いってらイッチ

 

130:名無しの彼岸花 ID:Ev5v7As2Y

道中気を付けてなー?

 

131:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あいあい、いつも通りしっかり変装してくわ。

 

132:名無しの彼岸花 ID:dRqe2G8pt

それにしても銃千丁の取引なぁ……

 

133:名無しの彼岸花 ID:d6FZEa5EG

ワイの予想やけどこれ、イッチ世界のメインの部分に関わってきてそうじゃない?

 

134:名無しの彼岸花 ID:nUpT01uBi

まあ、そうやろな

 

135:名無しの彼岸花 ID:UqLgppkHm

銃千丁は只事じゃないし、大事やからな。

 

136:名無しの彼岸花 ID:Sfd1TvpVw

黒幕側が手引きしてたと見て良さそうやけど……

 

137:名無しの彼岸花 ID:0bpJpcAvz

その黒幕が誰か、わからないよなぁ

 

138:名無しの彼岸花 ID:ooLlhjUYS

ワンチャン電波塔へし折られた事件とも関わりありそうやし……

 

139:名無しの彼岸花 ID:XbMmSqIyD

まあイッチならなんとかできるやろ。

スペック見たら雷電とスネークのハイブリッドみたいなところあるし

 

140:名無しの彼岸花 ID:R4HlYmi2B

それはそう。イッチマジでアホみたいなスペックしてるもんなぁ。

 

141:名無しの彼岸花 ID:gOwcAfkSO

ただ、千束ちゃんやたきなちゃん達が怖いよね

 

142:名無しの彼岸花 ID:aIKqKa/KN

命狙われるとかあるかもしれへんしな……

 

143:名無しの彼岸花 ID:QRZvNcT9M

イッチに全部の期待のしかかってないか?

 

144:名無しの彼岸花 ID:TrG4Wsfy7

まあ、ワイらにできるのってイッチに助言することぐらいやし……

 

145:名無しの彼岸花 ID:HEFUPAdlJ

当事者はイッチしかおらんからな……

 

146:名無しの彼岸花 ID:P+u19B3vM

そうなんだよなぁ……

 

 

 

────

 

 

423:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

そんでシンオウリーグ挑んでたら、

シロナのやつヤチェの実さめはだガブリアスとか使ってきたんや。

 

424:名無しの彼岸花 ID:EPqc4obP6

構築がガチすぎる。

 

425:名無しの彼岸花 ID:dSTvLas65

ガチ勢のガブリアスやんけ

 

426:名無しの彼岸花 ID:i1ZapiugK

恐ろしすぎない?

 

427:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

マジでうちの世界、廃人みたいな手持ちと

努力値振りしたトレーナーが跋扈してるから一回見てほしいわ

 

428:名無しの彼岸花 ID:VJxhvfYYt

イッチとは別のベクトルで苦労してんなトレーナーニキ

 

429:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ライブ機能がONになりました

 

430:名無しの彼岸花 ID:KFO/e2chX

お??

 

431:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

きたわね

 

432:名無しの彼岸花 ID:ZFrCnHhoA

イッチのライブキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

433:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『なにしてんの!?護衛対象を囮にしたの!?』

 

『彼らの目的は画像のデータの消去です。

 沙保里さんを殺す意図はないと思います!』

 

『人質になっちゃうでしょ!?』

 

『この女がどうなってもいいのか!?』

 

『うぅぅ……』

 

『あらら、人質になっちまったな』

 

というわけで取り急ぎあげたけど大丈夫か?

 

434:名無しの彼岸花 ID:qBXh78OVv

おけおけ、映っとるでー

 

435:名無しの彼岸花 ID:i86XIpiNb

なにがあったんやイッチ

 

436:店員鈴蘭 ID:LyReBell

たきなちゃんが敵をおびき出すために護衛対象囮にした。

護衛対象敵に確保された。

人質になった。今ここ。

 

437:名無しの彼岸花 ID:e5iITQpFf

サンガツ

 

438:名無しの彼岸花 ID:KT1ZCjXzf

たきなちゃんさぁ……

 

439:名無しの彼岸花 ID:bpgmu6lqd

それはいかんでしょ……

 

440:名無しの彼岸花 ID:uHnRtJA7A

戦犯かましてて草ァ!

 

441:名無しの彼岸花 ID:bsISL0NQp

護衛対象囮はあかんよたきなちゃん……

 

442:名無しの彼岸花 ID:Oq2jGviTt

ワイルドすぎるというか脳筋なんか……?

 

443:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『貴女たちが止めなければもう終わっていました』

 

『沙保里さんに当たっちゃうでしょ!?』

 

『そんなミスはしませんよ、この距離からでも射殺はできます』

 

『射殺はなしだ。俺たちの依頼はあくまで護衛。

 相手を殺すことじゃない。

 殺したら情報も吐かせられないだろうが』

 

『そうそう、命大事にだってば!

 ……ねえ、射撃に自信があるなら

 七時方向でこっち見てるドローン撃ってくれる?

 あ、サプレッサーなしで音出してね?』

 

『……わかりました』

 

『棗は私に合わせてね』

 

『分かってる。射撃の合図でいくぞ』

 

444:名無しの彼岸花 ID:mFDeD8LtN

たきなちゃん物騒というか射殺を選択してるのこわすぎ

 

445:名無しの彼岸花 ID:6bGcAwdnA

まあリコリスって暗殺部隊やしな……それが当たり前やからしゃーない……

 

446:名無しの彼岸花 ID:wC6l3JidS

イッチが嫌がってた理由がなんとなく分かったわ。

たしかにこの歳の女の子が簡単に人を殺そうとしてるのは見てて精神的にキッツイな……

 

447:名無しの彼岸花 ID:8kkD8u/mA

イッチの世界って残酷やな……

 

448:名無しの彼岸花 ID:MKA8Yn3tM

てかドローンいるのわかるとか千束ちゃんどういう目してんだ?

夜でも見えるとかヤバすぎるでしょ。

 

449:名無しの彼岸花 ID:/6fxhz/1p

洞察力は目の良さの副産物って感じかね。

あ、たきなちゃん撃った。

 

450:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『やあ、取引したいんだけど』

 

『うぉわあ!?』

 

『おぉ?』

 

『あほか、急に接近したらビビるに決まってんだろ』

 

『んのガキいつの間に!?』

 

『悪いなおっさん、ちょっと眠っててくれ。殺しはしないからさ』

 

『あがっ!?な、んだこれ……!?』

 

『てめ!このガキ!!』

 

『うぉ、あぶな。よっ!』

 

『うがっ!?』

 

『っと、動くなよ?この人死ぬぞ?』

 

『クソがッ!』

 

『って、おいおい。そこで激昂して撃とうとすんなよ。

 素人じゃないだろうが……よっ!』

 

『うぐぉ!?』『どぅわ!?』

 

『しばらく痺れてろ』

 

『『あがががが!?!?』』

 

451:名無しの彼岸花 ID:kQQK1eu/o

なんだこれ映画のワンシーンか?

 

452:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

千束ちゃんは横で最低限の動きで弾避けてるし、

イッチはとんでも身体能力で連中の銃を撃とうとしてたやつから

拳銃を手で掴んで取っ払って盾にしたと思ったら

そのまま投げ飛ばして別のやつと重なった所で

スタンロッド起動して感電させる……やばすぎ。

 

453:名無しの彼岸花 ID:o6PP50Ltt

千束ちゃんの動きどっかで見たなと思ったらこれジョン・ウィックだ

 

454:名無しの彼岸花 ID:01GJSEbFO

C.A.RSystemか

 

455:名無しの彼岸花 ID:Qs6mfkmIy

てか千束ちゃんほんとに弾避けてるな……射線見えるって話はガチなんか……

 

456:名無しの彼岸花 ID:Vn1hLpYfe

キリトくんじゃねえんだぞキリトくんじゃ

 

457:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『お前らぁ!』

 

『お?』

 

『はぁ……任せた』

 

『任された!』

 

『ぐえ!?』

 

『あぐっ!?』

 

458:名無しの彼岸花 ID:F/x0orLqF

おお、今のかっけぇ……お互いの弾避けて後ろにいた敵にヒットしとる……

 

459:名無しの彼岸花 ID:uj8kE6v4E

これ映画でよく見る味方同士で銃口突き付けて後ろのやつだけ倒すやつだ!

 

460:名無しの彼岸花 ID:dnVbl9Gw7

童心に帰っちゃうやばいやばい……

 

461:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『これ非殺傷弾……それにこっちは、麻酔針……』

 

『大丈夫?』

 

『ヒィッ!?殺さないでくれ!』

 

『大丈夫だって、アンタが一番やばいんだから。

 うっわ血出てるじゃん!止血するからじっとしてて!』

 

『沙保里さん、無事ですか?』

 

『怖かったよぉおお……!棗さぁあん!!』

 

『すみません、怖い思いをさせてしまいました。もう大丈夫ですから。

 落ち着いて、深呼吸してください。はい、吸ってー……吐いてー……』

 

『命大事にって敵もですか?』

 

『そう、敵も!』

 

『こんの……がっ!?』

 

『さすがに視えてるよ。お仲間手当してる女の子狙ってんじゃねえ。

 ダサいぞおっさん』

 

462:名無しの彼岸花 ID:0Ct+twaFy

おぉ……やばい。イッチがかっこよく見える。

 

463:名無しの彼岸花 ID:q/fCZi7Vf

護衛対象の沙保里さん?を抱き留めながら最小限の動作で拳銃撃ってるのやばい。

 

464:名無しの彼岸花 ID:r9Os0C7Z1

中身イッチじゃなかったら惚れてた。

 

465:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『あ、掃除屋(クリーナー)さんお願い。そうそう、LC2808。うん、ワンボックス。

 えーっとね、5人。いや?1人いるけど元気そうだよ。じゃあよろしくお願いしまーす!』

 

『とりあえず、これでひと段落か。たきなは沙保里さんの護衛。

 いいか、今度は絶対囮にするな。命令だ。

 千束はそのまま掃除屋を待っててくれ、

 俺はまだ仲間が潜んでないか周りを偵察する』

 

『……わかりました』

 

『おっけー、気を付けてねー?』

 

『さすがに大丈夫だとは思うけどな。

 安全が確認できたらそのまま沙保里さんを送るぞ』

 

『ラジャー!』

 

『……了解しました』

 

466:名無しの彼岸花 ID:6mlJFXEqI

イッチめっちゃテキパキ動いとる……

 

467:名無しの彼岸花 ID:Gy0nuXKf5

さすがに本職だっただけはあるな

 

468:名無しの彼岸花 ID:RN86QkJZB

イッチ割とたきなちゃんにキレてないこれ?

 

469:名無しの彼岸花 ID:MpbCdGUMC

多分キレてはいるけど隠してる感じよな

 

470:名無しの彼岸花 ID:lT+InopYW

そら、護衛対象囮にしたら怒るでしょ

 

471:名無しの彼岸花 ID:vTwiA18JS

それはそう。

 

472:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『敵影はなし……狙撃手も……いなさそうだ。よし、オールクリア。

 千束、クリアだ。掃除屋到着次第行くぞ』

 

『おっけー、たきなに伝えとくね』

 

 

『はぁ……どっと疲れた……』

 

どっと疲れたわ……

 

ライブ機能がOFFになりました

 

473:名無しの彼岸花 ID:4csA9dd9K

おつおつ

 

474:名無しの彼岸花 ID:EPiEYH+yQ

おつかれイッチ、めっちゃ頑張ってたな。

 

475:名無しの彼岸花 ID:JOYJHGlem

キレッキレやったで

 

476:名無しの彼岸花 ID:nTa/82hzc

今日はゆっくり休め、イッチ

 

477:名無しの彼岸花 ID:YZMEuzyvN

護衛対象も無事で良かった良かった

 

478:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ほんまよ……あーしばらくたきなちゃんとは任務一緒にやりたくない……

心臓に悪すぎる……

 

479:名無しの彼岸花 ID:U7M756SQ3

めちゃくちゃ苦手になってて草

 

480:名無しの彼岸花 ID:Lic4W6zLY

まあ、あんなことされたらね

 

481:名無しの彼岸花 ID:ObZxL18tV

リコリスだから仕方ないところはあるんだろうけど

イッチ的には心臓に悪いもんなぁ

 

482:名無しの彼岸花 ID:766pUhSHz

まあこれからしばらく同じ職場なんやし頑張ってな……

イッチは先輩やし……

 

483:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ頑張るわ。あとなんとかたきなちゃんにリコリコでのルール教え込む。

 

484:名無しの彼岸花 ID:G9ErveAr/

そこ優先よなやっぱ

 

485:店員鈴蘭 ID:LyReBell

殺傷弾使うなとは言わんがDAとは勝手が違うってことは

さすがに理解してもらわんと今後が大変になるわ。

 

486:名無しの彼岸花 ID:6QlZsqu7p

頑張れイッチ……

 

487:名無しの彼岸花 ID:agTFDEeAN

今日は本当に休んだ方がいいかもしれんぞイッチ

 

488:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そうする……というかなんか千束ちゃんが沙保里さんとお泊り会するって

約束取り付けたせいでワイも参加させられることになっとる。なんで???

 

489:名無しの彼岸花 ID:AJCziImZh

は?????

 

490:名無しの彼岸花 ID:CcI8X7KjS

イッチ?????

 

491:名無しの彼岸花 ID:V2oDs9ELl

また美人とフラグ建てたな貴様???

 

492:名無しの彼岸花 ID:gCu3GoDSX

お前ほんま……

 

493:名無しの彼岸花 ID:l8hwFhfCz

イッチやっぱ最低だわ

 

494:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

やっぱりイッチへの評価は掌つのドリル

 

495:名無しの彼岸花 ID:V1d4wBope

いつものことだな!

 

496:店員鈴蘭 ID:LyReBell

解せぬ……

 

 




イッチ

超人的なスペック発揮したやべーやつ。
CQCもお手の物。
やろうと思えば儀式の人みたいなことできなくはないけど
流石にしない。

麻酔銃とスタンロッドはミカさんお手製である。
いつも助かってます。

今のところたきなちゃんは苦手なタイプになったらしい。


千束ちゃん

お馴染み目の良いやべーやつ。
作戦は命大事に!敵も味方もね!
だからイッチが怪我した時は半泣きになったりする。


たきなちゃん

射撃の腕がやべーやつ。
まだ脳筋リコリス。
イッチにとってはしばらく悩みの種になる模様。
ドローンを撃ち落とした。
いったい誰がドローンで私たちを見ていたんでしょうか……?


沙保里さん

今回の被害者で依頼者。
SNSにあげた画像にたまたま銃の取引現場が映ってたのが
運の尽きである。
吊り橋効果が置きかけた。でも彼氏いるから浮気はしないし
千束ちゃんの目が恋する乙女と感じたので応援することにしたらしい。
頑張れ千束ちゃん!棗さんを振り向かせてね!


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【激ウマ】天才ハッカーの護衛依頼が入った件について【相場の3倍】

ハーメルンのリコリス・リコイル2次
総評順1位の座を手に入れたので今後も精進していこうと思います。

日間ランキングも19位まで行ってたみたいで……ありがたい限りです。

評価、お気に入り、感想、ここすきを入れてくれるととても励みになります。
どれかください(乞食)


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

めっちゃ激ウマな依頼が入ったわ

 

2:名無しの彼岸花 ID:VvRk3Nbvc

スレタイトル通りならだいぶやばいね。

 

3:名無しの彼岸花 ID:rBTLRpmtB

その分危険も多そう

 

4:名無しの彼岸花 ID:kMtyiTGub

もしくは相手が相当切羽詰まって感じか?

 

5:名無しの彼岸花 ID:Zjs26HyIk

なんにせよイッチ、この依頼受けるんか?

 

6:店員鈴蘭 ID:LyReBell

それ決めるのはミカさんとミズキさんだけど……

まあ受けるって方針にはなってるから受けると思うで。

それに、世界一ってダークウェブじゃ言われてるハッカーからの依頼や。

そのハッカーから協力してもらえたら、

例の銃千丁の在り処も分かるかもしれへんしな。

 

7:名無しの彼岸花 ID:DyFTuZCFn

なるほど……リスクとリターン考えたらリターンの方が大きいんか

 

8:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そゆこと、だから受けようってことになってる。

 

9:名無しの彼岸花 ID:nqYhwXVLn

頑張れイッチ、主にたきなちゃん周り。

 

10:名無しの彼岸花 ID:hzq/0p1LL

 

11:名無しの彼岸花 ID:y4OLW6LW5

イッチの地雷みたいな扱いされるたきなちゃんに草

 

12:名無しの彼岸花 ID:onaxGXGSc

まあ前の護衛任務のやらかしがね……

 

13:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そうなんだよなぁ……そこが唯一の懸念点なんだけど……

 

14:名無しの彼岸花 ID:vj1ZU7myH

その辺も含めてミカさんはどういう作戦建てるんやろ?

 

15:名無しの彼岸花 ID:33uHEv+io

ミカさんああ見えて傭兵としても優秀らしいしな。気になるわ

 

16:名無しの彼岸花 ID:fTtnK9G8y

イッチや千束ちゃんたちをどう動かすんかな

 

17:名無しの彼岸花 ID:OjeEZ+BoT

わかる、気になるよね

 

18:店員鈴蘭 ID:LyReBell

っと、軽く方針決まったわ。

最初は普通に護衛。

ただし、護衛対象はこちら側のメンバーとすり替える。

そしてどこかのタイミングで殺されるor爆死。

これで敵側に護衛対象は死んだと思わせる。

で、護衛対象のハッカーはリコリコで匿う。

こうすることでしばらくは安泰って感じかな

 

19:名無しの彼岸花 ID:/FDf+vb1p

ほーん。理にはかなってるな

 

20:名無しの彼岸花 ID:LLjXDhYuG

敵を騙す方向でいくんか。なるほどね

 

21:名無しの彼岸花 ID:WB/3SNG1m

千束ちゃんやたきなちゃんには伝えるんか?

 

22:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いや、伝えない予定。千束ちゃん演技下手くそだし……

敵を騙すにはまず味方からとも言うからね。

二人には騙されてもらいます。

 

23:名無しの彼岸花 ID:X35crR+BU

うーん、クズ!

 

24:名無しの彼岸花 ID:uI4P0i0I4

でもそれが割と正しいのか……

 

25:名無しの彼岸花 ID:Pw0IqtZUk

騙される側が味方にいるのはありなんよねぇ……

 

26:名無しの彼岸花 ID:W2lKBWSia

その方が信憑性がつくもんな。

 

27:名無しの彼岸花 ID:T8TlpPRQs

千束ちゃん演技下手くそなんか

 

28:店員鈴蘭 ID:LyReBell

下手くそっていうよりは嘘がつけないタイプなのよね。

だからちゃんと死んだと思わせておかないとバレかねない。

 

29:名無しの彼岸花 ID:NB5l7rD9A

あーね……

 

30:名無しの彼岸花 ID:wOwLKJ2V6

千束ちゃん良い子だもんねぇ

 

31:名無しの彼岸花 ID:4z2KVzvPv

嘘つけないってのは納得できる。

イッチの語ってる千束ちゃん像やライブ機能で見る千束ちゃんとか

写真の千束ちゃん、全部素直そうな感じだし。

 

32:名無しの彼岸花 ID:q0+lLdclo

まあ美味しいもの食べてるときあんなふにゃあって

頬が綻ぶ笑顔になる女の子が素直じゃないわけないわな

 

33:名無しの彼岸花 ID:675HBR5J9

まあなら、心苦しいけど騙す方向で行くのは仕方ないか

 

34:名無しの彼岸花 ID:UEWPiLjOJ

そういやたきなちゃんはどうするんや?

 

35:店員鈴蘭 ID:LyReBell

たきなちゃんはまだその辺分からないけど、任務にはある程度忠実

(ただし思いも寄らない手段で解決することはある)ってのが

ワイとおやっさん……ミカさんの見解だから

ちゃんと護衛任務失敗って思わせる方向で行くことになった

 

36:名無しの彼岸花 ID:vsGMnlaRc

イッチ、ミカさんのことおやっさんって呼んでるのは草

 

37:名無しの彼岸花 ID:pB//vh+TI

サンガツ、じゃあリコリス二人に護衛してもらうって感じか

 

38:名無しの彼岸花 ID:oipq0nwGN

確かに喫茶店の店長のイケオジ枠だし実質おやっさんではあるけど

 

39:名無しの彼岸花 ID:FahZhtC9v

立花藤兵衛かな?

 

40:名無しの彼岸花 ID:p91nepPY7

鳴海壮吉かもしれん

 

41:名無しの彼岸花 ID:RkQ5Jy0Zu

バカだなお前ら、リコリコに因んでポレポレの飾玉三郎でしょ

 

42:名無しの彼岸花 ID:GTHCs8iET

未確認生命体出てきそうで草

 

43:名無しの彼岸花 ID:10ugAkRsk

クウガいいよね……

 

44:名無しの彼岸花 ID:Tx53BjcRt

いい……

 

45:名無しの彼岸花 ID:M2kfIMJXn

多くは語らないオタクくんじゃん

 

46:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ミカさん擦りはその辺にしてもろて。

実際今のワイにとっては恩人で育ての親やしええやん別に

 

47:名無しの彼岸花 ID:LW8gnyVWJ

それはそう。

 

48:名無しの彼岸花 ID:9SzF2Fo9q

イッチそういえば育ての親ミカさんじゃん。

 

49:名無しの彼岸花 ID:RZyGpTPu2

忘れてたけどイッチ孤児だったわ。確かにミカさん親代わりよな……

 

50:名無しの彼岸花 ID:UvXad7M+G

忘れがちだけどイッチと千束ちゃんばちくそ過去重いからな。

多分たきなちゃんもやけど。

 

51:名無しの彼岸花 ID:39iYvawKg

イカれたリコリコのメンバーを紹介するぜ!

元傭兵の店長、ミカ!

吞んだくれ元DA情報部!ミズキ!

戸籍なし、親なし、家族なし!

イッチ、千束ちゃん、たきなちゃん!

 

52:名無しの彼岸花 ID:buWyRUB1n

>>51

おっっっっも

 

53:名無しの彼岸花 ID:P2o2XbFb+

改めてリリベルとリコリスの経歴が重すぎてゲロ吐きそう。

 

54:名無しの彼岸花 ID:ZhGvWPjh5

わかる。

 

55:名無しの彼岸花 ID:j9qr6ZW/7

そういやその任務受けるのは確定としてイッチはどう動くん?

 

56:名無しの彼岸花 ID:ezvInjKBt

そうじゃん、イッチは千束ちゃん達と行動なんか?

 

57:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いや、ワイは別働隊。

一応、千束ちゃんとたきなちゃんのバックアップ&カバー担当やけど

基本的には一緒には行動せんよ。

バイクで護衛についてくる連中を適度にあしらうのと、

遠方からの狙撃担当やね。

 

58:名無しの彼岸花 ID:ZzFLPFgER

イッチ狙撃できるの?

 

59:名無しの彼岸花 ID:+HAonN+Xu

まあ、あの映像みたら外しはしないやろうけど

狙撃銃で殺さないように立ち回るのって基本無理じゃね?

 

60:名無しの彼岸花 ID:ugwgM8H/4

それ、一般的な狙撃銃用の弾でも相当な威力出るはずだし

相手の武器だけを撃ち落とすとかは無理だと思う。

 

61:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そこは大丈夫、ミカさんお手製の狙撃麻酔銃使うし。

なんとモシン・ナガンモデル。

 

62:名無しの彼岸花 ID:/Mg1GMdBN

いよいよイッチの武装がメタルギアじみてきてて草

 

63:名無しの彼岸花 ID:21Mt3fLtj

結構前からなんだよなぁ……

 

64:名無しの彼岸花 ID:9441D7l8D

イッチのこれまでの武装、

【拳銃】M1911A1、Mk.22ハッシュパピー(麻酔型)

【近接武器】サバイバルナイフ、ナイフ偽装型スタンロッド

【携行道具】発煙弾、円盤型設置デコイ、暗視ゴーグル

【狙撃銃】モシン・ナガン(麻酔型)←NEW!

 

65:名無しの彼岸花 ID:gaXw6lOVr

これは……メタルギアじゃな?

 

66:名無しの彼岸花 ID:BU2FnrPr6

うーん、BIG BOSS

 

67:名無しの彼岸花 ID:vA7qAwVAb

このあと刀で高周波ブレードとか持ちそう。

 

68:名無しの彼岸花 ID:uf8Jd7uSc

そこまでいったらもう言い逃れできへんやろ

 

69:名無しの彼岸花 ID:XRfTP5iY2

お、待てい。段ボールを忘れてるゾ

 

70:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイも自分で言い逃れできへんところまで来たなとは思っとる。

けどしゃーないやん……

潜入任務になればメタルギア関連の武器が一番便利やもん……

 

71:名無しの彼岸花 ID:2yrZkAaSq

それはそう。

 

72:名無しの彼岸花 ID:YUzxl79sQ

デコイと発煙弾組み合わせてイッチヤクザ相手に無双してたしな

 

73:名無しの彼岸花 ID:r/BjQfzPs

発煙で見える人影(デコイ)に相手の視線と射線誘導して

その隙に相手を正確に撃って麻酔で眠らせた辺りはマジでとんでもないと思った。

 

74:名無しの彼岸花 ID:8K3QfLiQq

やっぱイッチも本職なんやなって……

 

75:名無しの彼岸花 ID:21I7kOcvb

イッチ、改めて見てもアラン機関に支援されてないだけで天才の類よな。

 

76:名無しの彼岸花 ID:YGTsKGQbu

もしかしてそれが転生特典だったりするんか?

 

77:店員鈴蘭 ID:LyReBell

わからん。そもそもワイ神様に会ってないし。

 

78:名無しの彼岸花 ID:3p+jUjBbi

そういや気付いたら転生してたタイプやったな、イッチ。

そのタイプだと転生特典とかなんも分からんし、

転生した世界もいっさい分からんから困りものよなぁ

 

79:名無しの彼岸花 ID:5FvnF6Oew

イッチの特典は天与呪縛のフィジカルギフテッドみたいなもんでしょ

 

80:名無しの彼岸花 ID:0UUpgujxl

まあだいたいあってる。

 

81:名無しの彼岸花 ID:bHa/dCpbC

1人だけ雷電みたいな動きできるもんな。

 

82:名無しの彼岸花 ID:pjJn0zA5c

その驚異的な身体能力から繰り出されるCQCのやばさよ

 

83:名無しの彼岸花 ID:xma32sjdT

たきなちゃんが射撃の腕がやばい、

千束ちゃんが目の良さがやばい、イッチは身体能力がやばい。

 

84:名無しの彼岸花 ID:jYC6QjUNE

1人だけ脳筋じゃね?

 

85:名無しの彼岸花 ID:0r4NbnR+m

枢木スザクかよ

 

86:店員鈴蘭 ID:LyReBell

さすがにそこまで人間は……やめてるかもしれへん。

弾丸避けたことはあるわ……

 

87:名無しの彼岸花 ID:bj5PnLCj3

 

88:名無しの彼岸花 ID:ghH2lH4Cw

イッチやっぱりアホスペックしてるわ

 

89:名無しの彼岸花 ID:tBPXmrecl

千束ちゃんとは別の形で弾避けてんじゃねーよ!!

 

90:名無しの彼岸花 ID:uB7t3TZ8u

もうお前1人でいいよ

 

91:店員鈴蘭 ID:LyReBell

やめて、しんじゃう。

っと……作戦内容決まったから準備してくる。

 

92:名無しの彼岸花 ID:lLvMT2NdT

切実で草

 

93:名無しの彼岸花 ID:u30GEfa0r

ほいほい、今度の任務も気を付けてなー

 

94:名無しの彼岸花 ID:+cX5I3Nt/

イッチ相変わらずハイスペックよな

 

95:名無しの彼岸花 ID:SC6lsYX1V

多分これ普通にミカさん達と会話しながら脳内のスレでも発言してただろ?

 

96:名無しの彼岸花 ID:Ic9tjyOD5

マルチタスクもできるのかよイッチ

 

97:名無しの彼岸花 ID:pyfgGm0Y4

こんなハイスペックなのに

なんでアラン機関は幼少期イッチに目を付けなかったんや……?

 

98:名無しの彼岸花 ID:pqXbZs/Qh

さぁ……

 

99:名無しの彼岸花 ID:Rv1HZpWT8

イッチの謎も多いよな。

 

100:名無しの彼岸花 ID:DJ9H6myG4

まあ本人的には気付いたらショタになってて殺し屋にされてただけなんですけどね。

 

101:名無しの彼岸花 ID:r3+eTwl7u

普通に物騒がすぎる。

 

102:名無しの彼岸花 ID:UJLORq21g

元気そうに振る舞ってるけどイッチマジで過去が重いからな

 

103:名無しの彼岸花 ID:ub8FZuAmw

いつ死ぬかもわからない世界だもんな

 

104:名無しの彼岸花 ID:uxnNSPZ3v

リコリコの誰かしらが怪我したらイッチやばそう

 

105:名無しの彼岸花 ID:xdc9a6Nte

わかる。イッチの場合とくに千束ちゃんめっちゃ気に掛けてるっぽいし

 

106:名無しの彼岸花 ID:0/6+AEZL+

ほんと何事もなく過ごしてくれイッチ……

 

107:名無しの彼岸花 ID:p/RdY10uG

尚、百合に挟まる模様

 

108:名無しの彼岸花 ID:HnJZURUWJ

うーん、大罪。

 

 

 

────

 

700:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【朗報?】天才ハッカー、ウォールナットは金髪ロリだった【年齢不詳】

 

701:名無しの彼岸花 ID:QB/G2wFgI

は??????

 

702:名無しの彼岸花 ID:tPv2EtDum

そマ?????

 

703:名無しの彼岸花 ID:iLbBP8eCD

うっそだろお前wwww

 

704:名無しの彼岸花 ID:vFlhogqsw

イッチ画像みせて

 

705:名無しの彼岸花 ID:5E6PbsHFs

あくしろよ。

 

706:名無しの彼岸花 ID:3IARYtRgr

金髪ロリキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

707:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ほれ、【画像】

 

708:名無しの彼岸花 ID:Fl1AnCG8m

ほんとに金髪ロリで草ァ!

 

709:名無しの彼岸花 ID:v/CHzwE0K

デコ広い系ロリだ!!

 

710:名無しの彼岸花 ID:DJmx9Dka6

は???かわいいんだが????

 

711:名無しの彼岸花 ID:X5MO+jrdh

えちちちち

 

712:名無しの彼岸花 ID:h6rXnxznp

イッチばっかりずるいぞ!!!!!

 

713:名無しの彼岸花 ID:HfsqFAzyb

てか押入の中でパソコン弄ってるとかwwww

ドラえもんかな?

 

714:名無しの彼岸花 ID:lRx6O+dse

ドラえもん系金髪ロリ(年齢不詳)……

 

715:名無しの彼岸花 ID:+kAaf0xYC

属性が渋滞してる……

 

716:名無しの彼岸花 ID:9j9/9oqDz

てか、年齢不詳ってマジ?

 

717:店員鈴蘭 ID:LyReBell

マジよマジ。ウォールナットといえばワイの世界じゃ

ネット黎明期から存在してるハッカー。

だいたいネット普及しはじめて30年ぐらいはこの世界経ってるから……

30代は越えてるものと思われ。

 

718:名無しの彼岸花 ID:MUUZnU4Sb

合法ロリじゃん。抜いたわ

 

719:名無しの彼岸花 ID:M9OwInOlr

はえーよ。

 

720:名無しの彼岸花 ID:K+7M/OwTR

こちらも抜かねば不作法というもの……

 

721:名無しの彼岸花 ID:lJsMjpX7F

おいたわしやあにうえ。

 

722:名無しの彼岸花 ID:AhKc1wp2L

ちなそのロリハッカーちゃんの名前なんなん?

 

723:名無しの彼岸花 ID:qVNZpJt/j

イッチはよ

 

724:名無しの彼岸花 ID:40Q4LW3DQ

kwsk

 

725:店員鈴蘭 ID:LyReBell

名前はクルミらしい。

ワイは今後クルミちゃんと呼べばいいのか、クルミさんと呼べばいいのか……

 

726:名無しの彼岸花 ID:0Qs+ynfBt

どっちでもいいんじゃない?

 

727:名無しの彼岸花 ID:XdIDjWhZE

てかウォールナットを日本語に訳しただけで草

 

728:名無しの彼岸花 ID:KDDyYYC4E

ほんまや草

 

729:名無しの彼岸花 ID:mVr9M6xKL

でもハッカーの世界じゃそのぐらいシンプルな方が個人を特定されないのかもな

 

730:名無しの彼岸花 ID:ctkSk0H4H

たしかに。下手に複雑にさせるより

シンプルな方が何かの暗号?とか勘違いして引っ掛かりやすいのかも。

 

731:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あ、そうそう。ちなみに僕っ娘やで。

 

732:名無しの彼岸花 ID:BTuuvRdrQ

マ??????

 

733:名無しの彼岸花 ID:MUUZnU4Sb

ふぅ……

 

734:名無しの彼岸花 ID:bXfhgyEB9

抜くのはえーよホセ。

 

735:名無しの彼岸花 ID:Y1pEuWTi2

僕っ娘年齢不詳金髪デコ広い系ロリ……!!

 

736:名無しの彼岸花 ID:NDbKCl8jH

だから属性が渋滞しすぎてるって

 

737:名無しの彼岸花 ID:cRO/dicIK

でもめっちゃ需要あるやん?

 

738:名無しの彼岸花 ID:4bYfBDaX+

それはそう。

 

739:店員鈴蘭 ID:LyReBell

というわけでとっても頼りになるリコリコの頭脳担当ができたから

今から銃千丁の行方追ってもらうわ。

 

740:名無しの彼岸花 ID:QtpEWreOa

そういやそれが本命やった

 

741:名無しの彼岸花 ID:bqqUluvnX

銃千丁は早く回収しないとだしな

 

742:名無しの彼岸花 ID:J/Obuswcn

イッチもまだまだ気を抜けないか……

 

743:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちなミズキさんからもらった今日の千束ちゃんの写真もあげとく

【画像】

 

744:名無しの彼岸花 ID:lEsGmzI1B

千束ちゃんガン泣きで草

 

745:名無しの彼岸花 ID:IE4Zj79rU

そういやクルミちゃん死んだと思わせたんやっけ

 

746:名無しの彼岸花 ID:0Dx9a+Hm6

それでこの顔か……

 

747:名無しの彼岸花 ID:rA8beBNWW

正直ちょっと興奮する。

 

748:名無しの彼岸花 ID:TAK1JsIWb

わかる。

 

749:名無しの彼岸花 ID:ahG47ze3+

今回は良かったけど、これ千束ちゃんイッチ死んだらやばそうよね

 

750:名無しの彼岸花 ID:Y8u5hh83J

それ。絶対心へし折られそう。

 

751:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ今回はそういう任務だったしちょっと心が痛いけど許して。

【画像】

【画像】

あとこれは拗ねた千束ちゃんとミカさんのお団子で買収された千束ちゃん。

 

752:名無しの彼岸花 ID:Oln9c6GeM

かわいい。

 

753:名無しの彼岸花 ID:JHdzElWQB

くーっそかわいい!!(デビルマン)

 

754:名無しの彼岸花 ID:FQayUZoqZ

あー!この顔スキ!

 

755:名無しの彼岸花 ID:fVPHrD8jW

わかるマーン!

 

756:名無しの彼岸花 ID:baWB9zVRg

デビルマン大量発生してて草

 

757:名無しの彼岸花 ID:+kRtkZG6H

でも気持ちは分かる。

 

758:店員鈴蘭 ID:LyReBell

っと、常連さんがお店きたからちょっと離脱するわ。

 

ヨシさんいらっしゃいませー。

 

759:名無しの彼岸花 ID:xYoQrVr8y

イッチ、台詞がスレに出とるぞ

 

760:名無しの彼岸花 ID:KRQpKpa32

ヨシさんってたまにイッチが話題に出す吉松さんか?

 

761:名無しの彼岸花 ID:auEkphbBY

めちゃくちゃ海外飛び回って仕事してるらしいね、吉松さん

 

762:名無しの彼岸花 ID:MQcN6CpFT

超エリートじゃん?

 

763:名無しの彼岸花 ID:bHsbg2iOD

わざわざなんでリコリコに脚を運んでるんやろか

 

764:名無しの彼岸花 ID:hRW+QZfjv

なんでもイッチ曰くミカさんの旧友らしい。

付き合いもそこそこ長いらしくてリコリコをSNSで見つけてから結構通ってるらしい。

 

765:名無しの彼岸花 ID:DebieQnoR

はえー、友人想いの良い人やね。

 

766:名無しの彼岸花 ID:OaelIhVkJ

脚悪いミカさん気に掛けてるらしいしね。

 

767:名無しの彼岸花 ID:DmaQ9FVhx

ただイッチ曰く、雰囲気が絶妙に胡散臭いらしい。

 

768:名無しの彼岸花 ID:cfOZkKVKb

 

769:名無しの彼岸花 ID:g+nQhCJHm

失礼すぎるでしょ

 

770:名無しの彼岸花 ID:5zTuZKVBZ

まあミカさんの旧友ってことは多少裏の社会に通じてるやろうしな……

 

771:名無しの彼岸花 ID:NErH6KDBW

何かしら抱えてそうやけど、店員と客って距離のままでいるのは

鬼も蛇も出ないようにするためかな

 

772:名無しの彼岸花 ID:intAKd08J

まあイッチその辺のリスクリターンはしっかりしてるしそうやと思う。

 

773:名無しの彼岸花 ID:6a5khPNtT

てかリコリコ、表向きは普通の喫茶店なのに裏社会の人間多くない?

 

774:名無しの彼岸花 ID:ve6tCxmm0

そういやヤクザの組長や刑事さんも常連だったわ草

 

775:名無しの彼岸花 ID:UxI8Ya38B

改めて個性豊かな喫茶店すぎる

 

776:名無しの彼岸花 ID:hb8D9B6yM

イッチは百合に挟まるし、美女と幼女も侍らせるし

 

777:名無しの彼岸花 ID:pqWxG5eBF

イッチほんま大罪

 

778:名無しの彼岸花 ID:hx0S3y7k/

そこさえなければイッチは割といい奴で終わるんやけどな……

 

779:名無しの彼岸花 ID:ddBJOJ8O1

百合に挟まるのが大罪すぎる定期

 

780:名無しの彼岸花 ID:eCH/pkncY

そうだよ

 




イッチ

別働隊で動いてた。
いよいよ武装がメタルギアになってきて言い逃れできなくなってきた。
相も変わらず人間やめてる。

ミズキさんが着てたリスの着ぐるみの血糊はイッチお手製である。
千束ちゃんに表向きの形で殺されるときに使ったやつの改良版。


千束ちゃん

イッチたちに騙された2名の片方。
なんで事前に教えてくれなかったの!?棗の意地悪!!といじけたらしい。
尚、そのあと先生のお手製のお団子を
イッチにあーんしてもらうことでチャラにした模様。


たきなちゃん

騙された2名の片方。
私には事前に教えてもらっても良かったのでは……?
それとやっぱり命大事には無理があると思います。
千束ちゃんのとんでもない動きに驚愕してた。
尚、後にイッチのとんでもない身体能力に更に驚愕することになる。
ゴム鉄砲はクルミと棗の額にヒットした。


クルミ

今回の依頼者にして今後リコリコの従業員になるハッカー
裏社会での名前はウォールナット。
天才的なハッカーであり、DAに遠隔からハッキングできるやべーやつ。
年齢不詳の僕っ娘金髪ロリである。でこが広い。


ミズキさん

ウォールナットの死の偽装に1枚噛んだ人。
ずっとリスの着ぐるみ着てた。すっごい暑かったからビールが染みるわぁ!
派手に血が出る防弾性の着ぐるみは
ミカ、イッチ、ミズキの3人で作ったお手製である。


ミカ

今回の作戦の発案者。多分一番悪い顔してた。
本人は救急隊員に変装して死んだふりしてたミズキと千束たちを回収した。

武器や銃弾の改造も結構できる。
千束ちゃんの使ってる非殺傷弾も、
イッチが使ってる麻酔銃やスタンロッドも店長お手製である。


ヨシさん

フルネームは吉松 シンジ。謎多き人。
見た目はとても胡散臭いリコリコの常連さん。
ミカの旧友らしいが……?


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Never judge by appearances

昨日放送のリコリコやばかった。(毎話恒例)
いやこれ拙作どう収集付けましょうかね……頭抱えております。
曇ってる千束ちゃんが見たいとは言ったけどそれ以上のこと起きてませんか???

今日から毎週日曜日はAbemaTVの方で
リコリコ最新話まで一挙放送があるのでそちらもお忘れなく。


「やあ、お店は空いているかな?」

 

 カランカラン、と鈴の音がなり店の玄関が開く。

 そこにはスーツ姿の男性の姿があった。

 

「あれ、吉松さん。今日は早いですね」

 

「シンジ? どうしたんだ、今日は早いじゃないか」

 

「ははは、ミカも棗君も二人揃ってそれかい? そんなに私は夜遅くに来るイメージがあるのかな?」

 

 客人の名は吉松(よしまつ) シンジ、

 身なりも整っておりそこそこ良い職に就いているのであろうことが伺える男性だ。

 

 そして特徴的なのは何よりも……そのスーツにつけられている()()()()()()()だろう。

 知る人ぞ知るアラン機関の人間の証だ。とはいえここではただの客人。それを理解しているからこそ誰もそのことには触れたりはしないのだが。

 

「いや、まあ俺がシフト入ってるときだいたい吉松さん、夜に来るイメージがありますし」

 

「……そういえばそうだったね」

 

「たまには朝早く来てやれ、千束が寂しがってるぞ。入れ違いになったー! ってな」

 

「おっと、それはいけないね。次は早めに来れるようにしよう」

 

 千束がぶー! っと膨れっ面になっている顔が容易に想像できるのか、シンジは困ったように笑っていた。

 

「棗さん、座布団を出し終わりました。……あ、いらっしゃいませ」

 

「やあ、たきなちゃん。お邪魔しているよ」

 

 そこに座布団を出し終えて、カウンターに顔を出したたきながやってくる。

 彼女にとってもシンジは顔見知りの相手だった。なにせ、リコリコに所属した当日に初めてやって来たお客様だったからだ。

 

「ご注文はありますか?」

 

「そうだね、なら……店長のお手製コーヒーを1つ」

 

「かしこまりました。店長」

 

「わざわざたきなを介さなくてもいいだろう」

 

「可愛い看板娘と喋りたいというのは男の願望だよ、ミカ」

 

 困ったように眉をひそめるミカを見て、シンジはにこやかに笑う

 

「……はぁ」

 

「そう妬くなよ、ミカ。ちょっとした冗談さ」

 

「妬いてない。お前も冗談を言うのはやめろ」

 

「ははは手厳しいね」

 

「……相変わらず仲が良いですね、あの二人」

 

「旧友って話らしいしな。積もる話もいっぱいあるんだろうさ」

 

 コーヒーを淹れながら困った顔をするミカと適度に受け流すシンジ。

 傍から見てもとても仲が良いのだ。些か距離感が近い気もするが。

 

「それにしては些か距離が近い気もしますが……」

 

「愛のカタチは様々ってことだよ。

 時代は多様性。あれも一つの愛ってわけだ」

 

「……はぁ」

 

 棗の謎めいた言葉にたきなは首を傾げる。簡潔に彼女の心情を説明すれば「何言ってんだこの人」である。

 

「そういえば、千束さんはどうしてるんです?」

 

「……遅刻だよ。一応起こしたしすぐに来るとは思うけどな」

 

「今日は護衛任務があるのにそんな調子で大丈夫なんでしょうか……」

 

「ま、よくあることだよ。どうせオススメ映画セレクションを決める段階で

 ほかの映画見始めて寝落ちしたってところだろ」

 

 やけに具体的な例え話をする棗を見て、たきなはある種感心した様子で見つめる。

 

「…………」

 

「ん? どした、井ノ上さん」

 

「いえ……千束さんのこと、よく分かっているんだなと……気に障ったならすみません」

 

「あー……まあ5年以上の腐れ縁だしな。アイツのことは割と分かるよ」

 

 たきなの言葉に困ったように笑い返しながら、ふと棗は時計を見る。

 

「……っと、時間だ、そろそろ準備しておけよ?」

 

「分かりました。……店長」

 

「ん? ああ、もうそんな時間か。分かった」

 

「おや、今日は店を閉めるのが随分と早いんだね?」

 

 シンジは着替えにいったたきなと棗を見ながら意外そうな顔をする。

 

「少し所要があってな、夜にはまた開けているから時間があるなら夜に来るといい」

 

「なるほど……それなら私も今日の仕事は早く終わらせておこう」

 

「なんだ、随分と気合が入ってるじゃないか」

 

「はは、まあ今回受け持った仕事……といっても掃除なんだが。時間がかかりそうでね。

 早く終わらせないとリコリコに来れないだろう? だから気合いを入れただけさ」

 

「ふ、そうか」

 

 ミカはシンジのそんな余裕のある笑みを見て、微笑み返していた。

 その時、ふとシンジが棗の姿を見ながらぼそり、と呟いたことにミカは気付く。

 

「しかし……彼は、似ているな」

 

「ん? 棗くんがどうかしたのか、シンジ」

 

「……いや、少しね。以前……見た事のある子にそっくりだと思っただけさ」

 

「アランチルドレンか?」

 

「……いや、その子は()()()()()()()()()()()()()

 

 思い当たる節を告げたミカに対してシンジは即座に否定した。

 シンジに限ってそんな話をするというのはミカにとっては意外だったのだろう。目を丸くしていた。

 

「なに……?」

 

「救えなかったんだ。その子に……彼は似ている気がしてね」

 

「……そうか」

 

「アラン機関はどんな天才にも手を差し伸べる。だが……神ではない。

 救えないこともある。ましてや……自ら差し伸べた手を掴まなかった子であれば……ね」

 

「……すまん、余計なことを聞いた」

 

「私が勝手に語っただけだ。気にすることはないよ、ミカ」

 

 そんな話を二人がしていると再び玄関がカランカラン、と鳴る

 

「お待たせ……! 千束が……来ましたぁ……!」

 

「やあ、千束ちゃん」

 

「おー!? ヨシさんいらっしゃい! ひと月ぶりじゃないですか?」

 

「はは、覚えていてくれたんだね?」

 

「まーお客さん少ないお店だし……なーんて嘘嘘! たきなの最初のお客さんだもん! 忘れませんよ!」

 

 千束のそんな言葉にどこか嬉しそうに微笑むシンジ。

 そんな様子をミカは微笑ましそうに見つめながら厨房に戻る。

 

「今度はどの国に行ってたの? アメリカ? ヨーロッパ? あー! 分かった! 中国でしょ!」

 

「残念。ロシアだよ? はい、これお土産」

 

「えーっ、なにこれ!?」

 

 千束はシンジから手渡された、鳥が五羽ほど掘られた木の玩具を手渡される。

 

「クローチカという工芸品さ。たまにはこういうものも悪くないだろう?」

 

「ヨシさん良いセンスしてるよねー! 

 ねえ、先生と出会ったのもロシアだったりするの?」

 

「千束、早く支度をしなさい」

 

「えー! 教えてよぉ~!!」

 

「ははは、それはまた今度ね。それでは、これで失礼するよ」

 

「……ん」

 

「っと、ヨシさん、ありがとうございました、またのお越しを!」

 

 シンジは着替え終わり表に出てきたたきなと棗を見て軽く会釈をしリコリコから去る。

 

「お土産ありがとうございました~!!」

 

 そうして、シンジの気配が完全に消えた後にミカは予め用意していた鞄を二つ置く。

 

「で、どのくらい急ぎの依頼なの?」

 

「現在武装集団に追われている」

 

「まあ、それは大変。……たきな、仕事の話はもう聞いてる?」

 

「はい、一通り」

 

 千束はマガジンに銃弾を補充し、装備の準備をしながら受けた依頼の詳細を聞く。

 

「あ、そうそう! 昨日話してた例のブツ、そこに置いてあるから帰りに持って帰ってねぇ?」

 

【たきなへ♡ オススメ映画《厳選!》~千束セレクション~】と書かれた紙を貼り付けてある紙袋を見つめるたきな。

 本当に棗さんの予想通りだったのでは? と思わず訝しんだ。

 

「あれ、ミズキは?」

 

「張り切って逃走ルート確保しに行ったよ。なにせ、報酬は相場の3倍、一括前払いだからな」

 

「なっるほど~、そりゃミズキも張り切るわけだ!」

 

「危機的状況、という事だろう。敵は5~10人程度のプロ寄りのアマだ。ライフルも確認した。気を付けろ?」

 

「りょーかい! って、あれ? 棗はどうすんの? てかなにその恰好?」

 

 ふと、千束は疑問に思ったのか棗の姿を見ながら問いかける。

 普段の仕事着とは違い、黒い革のジャケットに、長尺バッグを背負っているからこそ出た疑問だろうが。

 

「ライダースジャケットだよ。俺は二人とは別働隊。途中までは一緒に行くけど……

 道中で手配されたバイクに乗り換えて狙撃ポイントに到着次第、お前と井ノ上さんの援護だ」

 

「はー、道理でそのバッグなわけだ。って、普段のバイクは使わないんだ?」

 

「アホ、足がつくかもしれないものを仕事で乗り回すか」

 

「アホって言うな!? てか狙撃できんの棗?」

 

「狙わなくていいんだよ、攪乱用だ。敵に狙撃手がいるって思わせれば相手も下手な行動はできないだろ」

 

「あー、牽制用ってことね。りょーかい。じゃ、行こっか! たきな、棗!」

 

「ったく……じゃあ行ってきます、店長」

 

 千束とたきな、棗は揃って外に出る。

 

『ところでー、お腹空いてるんだけど~?』

 

『時間、ないですよ』

 

『遅刻したお前が悪い、俺はちゃんと起こしたからな』

 

『うぇー! 二人ともケチー!!』

 

「……やれやれ」

 

 3人のやり取りが耳に入ったのであろうミカは少し呆れた様子で笑みを浮かべるのだった。

 

 

 ────

 

 

「────逃走手順は以上です。羽田でゲートに潜ったところでミズキさんに交代……って聞いてますか?」

 

「んー、いらいぬひ……すごうでハッカーなんでひょぉ? どんなひとかなぁ?」

 

「飲み込んでから喋れよお前……」

 

「んぐ……やっぱり眼鏡で痩せて小柄な男とか? カタカタ、ッターン! って!」

 

「映画の見過ぎですね」

 

「うんうん」

 

 駅弁を食べながらしゃべる千束に、ツッコミを入れたたきなと横で頷く棗。

 そうしてすぐにたきなと棗は予め駅内のコンビニで買っておいたものを取り出す。

 

「……二人とも何それ?」

 

「ゼリー飲料です」

 

「カロリーメイトとプロテイン」

 

「いやいやいやお二人さん? 今の状況分かってるのかなあ?」

 

「依頼人に会うために特急に乗っていますが?」

 

「そう! その前にお昼食べとかないとじゃん?」

 

「だから今食べてるじゃねえか。あ、井ノ上さん。こっちいるか?」

 

「はい、いただきます」

 

「ん、はいよ」

 

 棗は2つ買っておいたうちの片方のカロリーメイトをたきなに手渡す。

 軽食で済ませるつもりなのだろう二人に千束は信じられないモノを見るような表情を浮かべる。

 

「えー? それがぁ?? 特急だよっ!? 駅弁食べようよ~! 

 あ、ちょっと食べる?」

 

「結構です」

 

「パス、要らねえ」

 

 千束の誘いに即答で返す。この場合千束が軽すぎるのが悪かったりはするのだが、そこはご愛嬌である。

 

「まあまあまあ! そう言わないで!! 煮卵とか美味しいから! ほら、あーん!!」

 

「あー……んむ……」

 

「どう? 美味しい?」

 

「……美味しい……です」

 

「はあい! 美味しい!!」

 

 グイグイと押されて根負けしたたきなは千束に渡された煮卵を一口食べて味の感想を返す。

 呆れたようにその様子を見ながら棗はカロリーメイトを頬張る。

 

「なにしてんだ……」

 

「棗も食べよ? ほら、煮卵あと2つあるからちょうどいいし!」

 

「いいっての。俺はいらねえ」

 

「いいからいいから! ほら、あーん!」

 

「い・ら・ね・え」

 

「あーん!!」

 

「ぐぐぐ……」

 

「ぐぬぬ……」

 

 お互い意地っ張りなのだろう、互いに譲らず膠着状態であった。

 そうしてしばらくして棗が諦めたようにため息を吐き……

 

「あむ……」

 

「どぉ、美味しいでしょ?」

 

 彼女から渡された煮卵を一口で平らげた。

 

「……悪くはねえよ。ただ人目のある所でこんなことするなバカ」

 

「お? …………えっ!? あ、いや! べ、別に他意はないよ!? やっだなー、意識しちゃうとかお年頃なんですかぁ!?」

 

 棗の言葉に一瞬疑問符を浮かべたが、千束は自分の行動を振り返り顔を赤くする。

 今自分がしたのは、異性に対してのあーんである。傍から見ればそれは恋人のやり取りでしかなく……

 恥ずかしくなった千束は誤魔化すように、冗談を口にする。

 

「知ってるわ……お前の場合悪意も他意もないから恥ずかしいんだよ」

 

「……いつも二人はその、こんな風に夫婦(めおと)漫才を?」

 

「「誰が夫婦(めおと)だよ!?」」

 

「……仲良いじゃないですか」

 

 息の揃ったツッコミに対してのたきなの返しはごもっともであった。

 そうこうしているうちに車内アナウンスが流れ、目的の駅に到着する報せが入る。

 

『ご乗車ありがとうございました。まもなく、北千住……北千住です』

 

「降りますよ」

 

「はぁ……はいよ」

 

「え!? もう!?」

 

「10分足らずで乗り換えだからゼリーを選んだだけです」

 

「右に同じく。だからカロリーメイトを買ったんだよ」

 

「そうなのぉ!? 早く言ってよぉ~!!」

 

「やっぱり聞いてないじゃないですか……」

 

「お前なぁ……俺はここで降りてバイクで移動するって今さっき言ったところだぞ……」

 

 千束の文句をたれる姿に呆れてたきなと棗は肩をすくめるのだった。

 

 ────

 

「さてと……」

 

 棗は高層ビルの屋上に座り込み、背負っていた長尺バッグを開けて狙撃銃を取り出す。

 ミカお手製の改造銃、非殺傷の麻酔針を利用したモシン・ナガンだ。

 

「さすがおやっさん。しっかり仕上げてくれるな」

 

 流石の腕だ、と感心しつつサイレンサーを取り付け、狙撃銃を構えて息を潜めるように地面に伏せる。

 そのタイミングでインカムから無線のコールがくる。

 

『聞こえますか、こちらβ(ベータ)です』

 

「……聞こえている、こちらΔ(デルタ)。どうした?」

 

『護衛対象との接触が完了、現在目標ポイントに向けて移動を開始しました』

 

「了解、564……15-24のホワイトで間違いないな?」

 

 狙撃銃のスコープ越しにそれらしき軽自動車を確認してβ……たきなに確認をとる。

 

『はい、問題ありません』

 

「こちらでも確認した。……後ろに、一台大型車が着いてきている。確認できるか?」

 

『……確認しました。一台、確かに着いてきています。どうしますか?』

 

「大きな通路での狙撃は騒ぎになりかねない。付近に公園が確認できるか?」

 

『はい、カーナビでも確認できます』

 

「よし、近くの十字路を使ってくれ。そこで攪乱のために狙撃する」

 

追い込み漁、というわけか?

 

 インカムに機械的な加工した声が入ってきた。聞き覚えのない声に困惑したタイミングで……

 

「その声は……」

 

ウォール

 

「ナット。把握した、その通りです。

 下手に騒ぎにはできません。だから罠にはめます」

 

了解した、ならその十字路に向かおう

 

 合言葉を返したことで声の主が護衛対象だということを棗は把握する。

 そのまま合図をして車を大通りから十字路の奥の方へと移動させていく。

 

「助かります。聞いたな、α(アルファ)、β」

 

『はいはーい、聞いてますよΔさん』

 

『分かりました、私たちはどうすれば』

 

「依然、護衛のままでいい。迎撃には向かうなよ? 下手に動くと相手に狙われるぞ」

 

『……了解しました』

 

「カウントはそちらに任せる。そちらのタイミングに合わせて射撃する」

 

『分かりました、では武装集団の車両と思わしき大型車が十字路に入って十秒でお願いします』

 

「了解。奴らが十字路を曲がり次第この回線を繋げたままカウントを開始する。ゼロで射撃するぞ、合わせろよ?」

 

承知している

 

 護衛対象と千束たちが乗った車を追いかけて大型車が十字路に入ってくる。

 

「カウント開始、10」

 

「9」

 

「8」

 

「7」

 

 狙撃銃に弾を装填しリロードしそのまま大型車に照準を向ける。

 

「6」

 

「5」

 

「4」

 

「3」

 

 深呼吸をし、手ぶれを抑える。そして……

 

「2」

 

「1」

 

 大型車から少し射線をずらし────

 

「ゼロ」

 

 棗は引き金を引いて、大型車のボンネットに銃弾をヒットさせる。

 

『ウォールナットさん!』

 

分かっている

 

 武装集団が車を止め狙撃者を警戒し始めたタイミングに合わせて、軽自動車を全速力で出し振り切っていく。

 

「……まだ動いてもらうわけにはいかないな」

 

 当然ではあるが相手もそれを逃がすまいと追跡しようとする。

 棗はそれを阻止するために被弾させない程度に狙撃をしていく。

 

「そうだ、警戒しろ。俺はここにいるぞ……!」

 

『こちらβ! 相手の姿が見えなくなりました!』

 

「了解、そこで車のナンバーを偽装しろ。しばらくは時間稼ぎができる」

 

『分かりました! α!』

 

偽装ナンバーは後ろの座席に置いてあるはずだ。頼んだぞ

 

『分かってるってば! ってこれ私がするの!?』

 

「お前しか暇なやつがいないからな」

 

『ちっくしょぉ! 私だって護衛頑張ってるのにぃ!』

 

 文句たらたらな千束に呆れてしまうが、

 実際のところ護衛側の狙撃担当であるたきなや護衛対象にやらせるわけにはいかないため千束にやってもらうのが一番最適解なのだ。

 

『α、β。聞こえているな? 以後この周波数での無線はカットする。

 相手側が盗聴している可能性もあるからな』

 

『分かりました、Δはどうしますか?』

 

「作戦通りに目標ポイントに移動する。気を付けろよ、α、β。オーバー」

 

 武装集団が警戒し続けているのを確認し、無線を切り……そのまま新たに無線をかける。

 

『こちらγ(ガンマ)、どうした?』

 

「Δ、現在作戦は想定通りに遂行中」

 

『了解した、Δはその場で待機だ』

 

「りょうか……待ってくれ、γ」

 

『……どうした?』

 

 棗はスコープで千束達の乗る車を確認する。そこには確かに想定のルートと違う移動をしている姿が確認できた。そしてその後ろにぴったりと張り付いているドローンの姿も。

 

「対象がルートを外れた。おそらくドローンによるハッキングを受けたと思われる。どうする?」

 

『分かった、プランBだ。Δはこちらに合流してくれ。合流ポイントはCを使う。

 道中のポイントAに例のブツを用意してある。それを使うように』

 

「了解、今から合流する」

 

『Δ、耐えろよ。今回はそういう任務だ』

 

「……承知してます」

 

 γと名乗った通信相手に釘を刺されて口を閉じる。そして命令通りに、棗は狙撃銃をバッグに仕舞う。

 

「しくじるなよ、千束、たきな」

 

 見届ける暇もなく、彼は高層ビルから降りて行った。

 

 ────

 

「たしか例のブツはここに……あったあった、2808……ってこれ、アイツの隊員番号じゃ……まあいいや。ここにこのバッグを入れてこっちの鞄を取り出してっと……」

 

 地下通路に設置されているコインロッカーの中からガサゴソと鞄を取り出し、中身を確認する。

 

「おおう、本格セット……おやっさんいくら何でも気合入りすぎでは?」

 

 中身を見て少し苦笑いをしながら合流ポイントCに棗は向かう。

 

「って、この上はコンビニ前……いやまあ、自然に振る舞うならここが良いのは確かだけど……やれやれ……仕方ないか」

 

 頭を抱えつつも作戦に支障がないように棗は覚悟を決める。

 そうして彼は人気のない地下街から外に出る階段の中で、鞄の中から手早く例のブツ……つまりは衣装を取り出し、即座に着替える。

 

 そうして、外に上がったところに立っていたのは……

 

「よう、こっちだ」

 

「あ、どーもっす。センパイ。お昼は何買えば良かったんでしたっけ?」

 

「適当におにぎりと飲み物買って来てくれたら良いって言っただろ?」

 

「っと、いけね。そうでした。じゃあ、そこのコンビニで軽く買ってくるので待っててください!」

 

 どこからどう見ても、勤務中の救急隊員であった。

 そのまま棗は救急隊員に変装した状態で、コンビニに駆け込む。

 

「えーっと、おにぎりと……あとは飲み物っすね。水分補給は大事ですし。

 店員さん、すみませんこれお願いしまーす!」

 

「はいはい、お勤めご苦労様です」

 

「ありがとうございます。いやー近頃事故が多いもんで結構張ってないといけないんすよね。

 なんでしばらくこういうお店に、他の隊員共々世話になると思います」

 

 いけしゃあしゃあと嘘をつきながら棗は本当の救急隊員のように演じる。

 立花 棗という青年は演技がとても上手い。なにせ自分のあれこれを偽り続けているのだから当然のことではあるが。

 そしてその演技力をこうして仕事に応用している。例えば喫茶リコリコでの従業員としての顔とか。

 

「そうねぇ、最近物騒だもの。あ、おにぎり温めたりする?」

 

「あ、大丈夫っす。最近暑いっすからね。おにぎりぐらいはひんやりしてても罰は当たらないっすよ。

 あ、袋もつけといてくださいっす。それと支払いはふつーにカードで。領収証はなしで大丈夫っすよ」

 

「はいはい、カードね。レジ袋の分も合わせて750円だよ」

 

「ざっす。ありがとうございました!」

 

「レシートはいる?」

 

「あ、じゃあお願いします!」

 

「はい、じゃレシートね。ご購入ありがとうございました。お気を付けて」

 

「うっす! ありがとうございます!」

 

 コンビニの店員に見送られて元気そうに出ていく救急隊員の好青年を

 棗はさも当たり前のように演じ切ってみせた。

 

「お疲れ様ですセンパイ! おにぎりと飲み物買ってきたっす!」

 

「すまんな。ほら、乗れ」

 

「うーっす!」

 

 先輩を名乗る救急隊員に促されて棗は救急車の助手席に乗る。

 

「いやー、暑いっすね。というか……」

 

 ドアを閉め、窓も締めて誰からも聞こえなくなったタイミングで明るく元気な好青年の仮面を外してただの、立花 棗に戻って問いかける。

 

「こんな暑い日によく着込みますね、()()

 

「変装は基本だ、それに相手を騙すならこれぐらい本格的な方が良いだろう?」

 

「まあ、一理あるのは否定しませんけど」

 

 運転席に座っていた先輩の救急隊員がマスクを外す。そう、その救急隊員の正体はミカだった。

 合流ポイントCで待ち合わせていたγとは、ミカのことだったのだ。

 

「それで、動きはどうです?」

 

「さっきたきなから連絡があった、あの付近の廃屋になったスーパーに隠れたらしい」

 

「……となると、どのみち俺は援護できなかったですね。室内を正確に撃つのは俺にも無理ですし」

 

 お手上げ、といった手振り素振りをみせて棗は背もたれにもたれかかって先ほど買ったスポーツドリンクの蓋を開けて飲み始める。

 

「そうだな」

 

「それで、ここからは?」

 

「千束たちが上手く騙されてくれることを祈って待機だ」

 

「了解です」

 

「それと、千束もたきなも護衛対象もケガはないそうだ」

 

「……! わかりました」

 

 ミカの言葉に、ピクッと棗は反応しつつほっとしたように頷いた。

 

「ふ、相変わらずわかりやすいぞ。棗くん」

 

「うぐ……だって、心配なのは心配なんですよ……」

 

 ミカの指摘に顔を赤くし恥ずかしそうにしながら、視線を逸らしていた。

 

『────こちらβ、聞こえますか! γ!!』

 

「「!」」

 

 そうしていると、β……たきなから通信が入る。

 

「どうした?」

 

『……失敗です、護衛対象が死亡しました』

 

「……分かった。すぐに緊急車両が到着する。遺体と荷物を回収して現場を離脱しろ」

 

『……了解しました』

 

 気落ちしたような声が無線と共に途切れる。

 

「……相当落ち込んでますね」

 

「仕方ないさ、あの二人には本当に死んだように思わせているからな」

 

「はぁ……怒られるのとひっぱたかれるのは俺がするので……店長は甘いモノでもあとで作ってあげてくださいね」

 

「……わかった、そうしよう」

 

 ミカと棗はマスクをつけなおし、救急隊員に変装しなおして現場に向かうのだった。

 

 

 ────

 

 

 緊急車両のなか、気まずく重い空気が流れる。

 そこには護衛対象であったウォールナットと思わしきリスの着ぐるみの遺体が運び込まれていたからだ。

 

「すみません……」

 

「たきなのせいじゃないよ」

 

(……い、居づらい!)

 

 明らかに落ち込んでいる千束とたきなを見て罪悪感を感じているのは隣に座る棗が扮する救急隊員だった。

 種明かしをするタイミングがない。というのもあるがあんな顔になっている二人に対してどう声をかければいいのか……棗にはわからなかったのである。

 

あー、こほん。もう良い頃合いじゃないか?

 

 そんな気まずい空気を破ったのは先ほどまで聞こえていたウォールナットと思わしき人物の加工された声だった。

 

「「え?」」

 

(ナイス! ナイスウォールナット!!)

 

 棗は内心でそんな風に叫びガッツポーズをする。

 そうして困惑する二人の少女の隣で死んでいたはずのリスの着ぐるみがのそり、と起き上がり……

 

「むっっはぁあ!!」

 

 スポン、と頭の部分を外すとそこからは……なんと、中原 ミズキが現れたのである。

 

「うぇえ!?」

 

「え!?」

 

「あっつぅ……棗君、ビールあるぅ?」

 

「……そこで俺に振らないでくださいよ。買ってますけど!」

 

 手でぱたぱたと扇いでいたミズキに話題を振られた救急隊員(棗)は困ったように肩をすくめながら

 ヘルメットとマスクを外し正体を明かし、クーラーボックスに入っていた缶ビールを取り出して彼女に投げ渡す。

 

「え、ちょミズキに棗!? え、あ、え、な、なんでぇ!?」

 

「落ち着け千束」

 

「う"えぇええ!? 先生っ!?」

 

「んぐんぐ……ぷっはああ! あ、これ防弾性よ? 派手に血が出るのがミソね! マジでクッソ重いけど!!」

 

「それ、千束は見覚えがあるんじゃないか?」

 

「んんん? ……あー!! これ()()()()()()!?

 

「That's right! 俺が作った特別製の血糊の改良版だ」

 

 千束は思い出したかのようにミズキが着込んでいる着ぐるみから出る血糊を指差して叫ぶ。

 そう、これはかつて千束が棗と初めて出会ったときに棗が使った血糊の改良版だったのである。

 派手に血が出るように見せかけられるのは彼の作った血糊の特徴だった。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!? ウォールナットさん本人はどこへ!?」

 

「そうだよ! どこいったの!?」

 

ここだ

 

「「うぇ!?」」

 

追手から逃げ切る一番の手段は死んだと思わせること。そうすればそれ以上捜索されないからな……お? おお? 真っ暗だ」

 

 スーツケースがぱかっと開き、そこから金色の髪をした少女……幼女が現れる。

 彼女が喋る言葉が全て、着ぐるみの頭の部分から加工された声として発せられていることから彼女こそがウォールナット本人だということを認識させられる。

 

「では、わざと撃たれたと?」

 

「……それ、内側から開けられたのか」

 

「ああ、彼のアイデアだ」

 

 ウォールナットの視線が運転席に座るミカに向かったことからこの作戦がミカ立案のものだということが千束とたきなの二人に伝わる。

 

「あーあ、最後はハリウッド並みの大爆発を用意したのに無駄になっちゃったわねー」

 

「ま、予算浮いたしいいんじゃないですか?」

 

「そうだな、早く終わるのはいい事だろう?」

 

「想定外の事態にキチンと対処をして見事だった」

 

 仕掛け人三人衆(ミカ・ミズキ・棗)はお気楽そうに喋り、それを聞き流しつつウォールナットは振り向いて、その水色の瞳を千束とたきなに向けて手放しで賞賛していた。

 

「ちょ、ちょーっと待って!? 色々聞きたいことはあるんだけど! つまり、その予定通りで……誰も、死んでない……ってこと……?」

 

「そうよぉ?」

 

「あ……はぁぁぁ……良かったぁ……みんな無事でぇ……!」

 

 千束の問いかけに肯定したミズキ。

 それを聞いてへにゃへにゃ、と脱力しながら千束はほっと一息つく。

 

「この娘、めっちゃ金払い良いから命賭けちゃったわ♡」

 

「俺が着ぐるみの中身になる案もあったんだけど、それだとお前らが気付くだろうってことになってミズキさんがな」

 

 さすがに身体能力でバレる、という話になって棗が入るということは没になったらしい。

 

「……たしかに硬いなこれ」

 

「もぉおう……死なせちゃったと思ったし、あぁぁもおぉう! 良かったあああ!!」

 

「うぉおう!?」

 

「良かったああ! 無事で良かったああ! ほんと……ほんとにぃ……! うぇえええん……」

 

 ウォールナットに千束は抱き着きながら号泣して喜んでいた。

 それを少し不服そうにたきなが見つめていたことに気付いたのは、棗1人だけだった。

 

 ────

 

「いててて……いい加減機嫌治せよ千束……」

 

「ふーんだ……」

 

 見事に左の頬に赤い紅葉を作った棗が、頬を擦りながらカウンターに突っ伏す千束に向かって話しかける。

 案の定といえば案の定ではあるが、棗は思いっきり千束に頬を引っ叩かれたのである。

 

「事前に教えてくれても良かったじゃんか……」

 

「だってアンタ、芝居下手くそだしぃ? 寧ろ、たきなと自然なリアクションをしてもらった方が良いじゃない? ほぉら、こういうさぁ?」

 

「ん? あ!? ああああ!? ちょ、なに撮ってんの!? いつ撮ったの!? ミーズーキー! 消ーしーてー!!」

 

 千束の大号泣した顔写真をミズキはスマホに撮影していたらしく見せびらかす。その姿は美少女というにはあまりにも不細工な顔であった。

 

「ほぉ……こりゃまたよく撮れてますね」

 

「でしょぉ?」

 

「棗は見んな!!」

 

「理不尽ッ!?」

 

 千束に蹴飛ばされてぐえっ。と床に叩き伏せられる。良い所に入ったらしく、蹲っていた。

 

「やっぱり、命大事にって方針……無理がありませんか?」

 

「「ん?」」

 

「おごごご……んぁ……?」

 

 千束とミズキ、棗は呟いたたきなの方向に視線を向ける。

 

「あの時、キチンと二人で動けば今回のような結果にはならなかったはずです」

 

「でもぉ、そうされると私が困ったのよねぇ?」

 

「目の前で人が死ぬのは放っておけないでしょ」

 

「私たちリコリスは()()()()()()()()()()()! 敵の心配なんて……!」

 

 少し剣呑な空気になりかけたところで、棗がのそりと起き上がる。

 

「あたたた……はいそこまで。言っただろう? ここではここの命の向き合い方があるって。

 今回の連中も……たまたま今日は敵だっただけだ。()()()()()()()()()()

 

「っ……どういう」

 

「まあまあ、昨日の敵は今日の友。ってことわざもあるんだ。全部が全部敵だ。って考えるのは辛いだけだぞ?」

 

「……そうだね。誰も死ななかったのは本当に良かったことだよ」

 

「そういう話じゃ……ないと思います……」

 

 やはりというべきか、たきなと千束の考え方は徹底的に違うらしい。

 棗は困ったように肩をすくめて、ミカに視線をやる。

 

「はぁ……ほら、二人とも、もうやめなさい。私たちも騙すような作戦を立てて悪かった」

 

 ミカは謝罪をしつつ、試験管に入れたお団子という映えなスイーツをカウンターに置く。

 

「あ~! さては先生、甘いモノで買収するつもりぃ~?」

 

「ははは、要らないか?」

 

「あぁ~ん、食べますぅ♡」

 

 猫撫で声で媚びるように千束は団子を貰おうとする。

 

「あ、そうだ。たきな。座敷に座布団出してきて~?」

 

「はい、わかりました」

 

「相変わらず切り替えが早いわねぇ~?」

 

 千束にそう頼まれすぐに向かう辺り、私情を滅多に挟まない優秀な店員なたきなであった。

 少しして、たきなが座布団を出し終え……襖を閉める辺りで────

 

「ん?」

 

「ん!?」

 

 千束の見間違いでなければ押入れの上に誰か……見覚えのある金髪の少女が居たように見えて……? 

 

「ねえ! ちょっと!? 何かいたよ今!? ねえ、なんか居たー!! 

 んぬぬぬ! ふんぎぃ……どっせーい!!」

 

「わぁあ!?」

 

「っ!?」

 

 力任せに襖を開ければそこには、確かに先ほど護衛したはずのウォールナットが椅子に座ってパソコンを触っていたのだ。

 

「ああ、そうだ。言い忘れてた。ソイツ、うちで匿うことになったらしい」

 

 ニョキ、と顔を座敷の方に覗かせて棗が告げる。

 ウォールナットは死んだことにするために、ここで匿うという話になったようだ。

 

「そうなの!? なに!? なんで!? 座敷童子かなんかかと思ったー!!」

 

 カランカラン、と再び入口のベルが鳴る。

 やってきた来客は早朝の時と同じ吉松 シンジであった

 

「やあ、ミカ」

 

「おお、シンジ。いらっしゃい。本当に夜に来るとはな」

 

「はは、約束は守るさ。それにしても、賑やかだね?」

 

 座敷の方から聞こえる千束や棗のわいわいがやがやとした声に耳を傾けて、くすりとシンジは笑う。

 

「まあな。しかし……最近よく来てくれるね」

 

「君のおはぎは旨いからね。前はコーヒーもまともに淹れられなかったのに」

 

「ふ、10年も経てば慣れたものさ。……忙しいんじゃないのか?」

 

「ようやく仕事がひと段落したところだよ。掃除に少しばかり手間取ってね。

()()()()()()すばしっこいやつだったよ。まったく。ああ、おはぎとコーヒーを頼むよ、ミカ」

 

「コーヒーとおはぎだな。分かった。少し待ってくれ」

 

 シンジは困ったように笑いながら、注文し……

 その裏で、ウォールナットと千束が会話する。

 

「それで君、ここに住むの?」

 

「お前らの仕事を手伝う条件でな。言っとくけど格安なんだからな?」

 

「あ、それなら……この写真の男を見つけて? あ、手前のピースしてる男の人じゃなくて奥のビルに写ってる人ね?」

 

「意外とちゃっかりしてるよな、お前」

 

 千束の行動に関心したように、棗は見つめる。

 

「千束ちゃーん」

 

「お?」

 

「ん、この声ヨシさんじゃないか? ヨシさん、いらっしゃいませー」

 

「ああ! ヨシさんいらっしゃーい! 今ちょっと忙しいからあとでねー!!」

 

 シンジの呼びかけに答えつつもウォールナットと話すのを優先したい千束は申し訳なさそうに断って、カウンターの方から座敷に戻る。

 

「うん? ……ふふ、すっかりレディじゃないか」

 

「あれが?」

 

 シンジの言葉にまさか、とミカは笑う。その姿はまさに父親そのものだった。

 

「ミカ」

 

「うん?」

 

「君は千束とここで……()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……!」

 

 シンジのその踏み込んだ発言がいったい何を指すのか。

 それに気付いたのはきっと、ミカ本人だけだったのだろう。

 

 

「ふむ……解像度は補完できたな」

 

「今日から仲間ね、名前は?」

 

「ウォールナッ────」

 

「ちょいちょいちょい! それは死んだ人の名前でしょ!? 本当の名前を教えて?」

 

「……クルミだ」

 

 ウォールナット、改めクルミはそう自己紹介をする。

 

「日本語になっただけじゃん!! そっちの方が可愛いし良く似合ってるよ! よろしく、クルミ!」

 

「よろしく、千束」

 

「……この一瞬でここまで解像度を上げられるのはすごいな。あ、俺は立花 棗。よろしくな。

 って言っても無線越しじゃデルタって名乗ってたけど」

 

「ああ、君か。よろしく棗。君の采配も見事だった」

 

「お褒めにあずかり恐悦至極。伝説のハッカーに褒められるのは悪い気はしないな」

 

 合点がいったらしくクルミは頷き、棗に挨拶をする。

 

「出といでよ、クルミ! 一緒にお団子食べよ! たきなも────」

 

 そうたきなに呼びかけ千束が振り向いた直後。

 

「いったっ!?」

 

「あいてっ!?」

 

 2HIT。たきなが飛ばしたヘアゴム弾は、棗とクルミに命中していた。

 

「え?」

 

「え?」

 

「「え?」」

 

「いや、なんで撃ったの……?」

 

 棗は赤く腫れた額を擦りながら、涙目でたきなに訴える。今日一番踏んだり蹴ったりの男である。

 

「いや……その……すみません……」

 

 さすがのたきなも申し訳なさそうに謝罪をするのだった────




立花 棗(イッチ)

狙撃手担当。Δ。
踏んだり蹴ったりだった。
変装は大の得意。何せ毎日やってるので。
おでこと頬がしばらく真っ赤だった。

くっそ痛い。


錦木 千束

護衛(遊撃)担当。α。
別に棗にあーんしたけど恥ずかしいわけじゃないから!
……なんだけどなぁ。なんかムズムズする。

みんな死んでなくて良かった。


井ノ上 たきな

護衛(狙撃)担当。β。
相変わらず夫婦漫才してますね。お二人とも。
……悪人は、悪人なんですよ。

おでこにヘアゴムを当てたのはすみませんでした。


ミカ

救急隊員変装。γ。
作戦の立案者。甘いもので買収。
まだたきなは打ち解けなさそうか……

シンジ、気付いているのか?


中原 ミズキ

着ぐるみの中の人、囮。
死んだフリ大変だったわー!あとくっそ暑いし重い!!
千束の変顔も撮れたし満足。
あとで棗くんのスマホに送っといてあげましょ。


クルミ

ウォールナット、護衛対象。
リコリス、さすがの腕前だな。
……しかし、棗はいったい何者だ?

なぜおでこに僕はヘアゴムを当てられたんだ……


吉松 シンジ

アラン機関の人。常連客。
千束のことを知っていたり棗に似た人物を知っているようだが……?
クローチカ、いいデザインの玩具だと思わないかい?

ミカ、彼女の才能をこうして活かしているのかい?


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Every man is the arvhitect of his own fortune

箸休め回兼原作3話の裏のイッチの話です。

フキちゃんとサクラちゃんの出番はありません。
イッチは立場上向こうに行けないので許して


「棗さん、レジ締め終わりました。誤差なしでズレもありません」

 

「おう、お疲れ様。今日は終わりだし帰ってもいいぞ」

 

「はい、そうさせていただきます」

 

 レジ締めを報告し、たきなは支度を始める。

 

「えー、ちょいちょい! たきなもボードゲームやろうよー! 棗もさー!!」

 

「パス、俺は今日はそういう気分じゃねえ」

 

「私も遠慮しておきます」

 

 リコリコでは恒例行事として閉店後のボードゲーム大会が行われている。

 常連客も集めてやるちょっとしたお祭り騒ぎだ。

 

 近頃はクルミも混ざってやっていたりする。

 

「というか、ふつーに考えてもメンツがおかしいでしょ。勤務中の刑事がなんで一緒にボドゲやってんすか」

 

「いやー、ははは」

 

「棗くん、それは言わないお約束だよ」

 

 刑事の阿部さんが誤魔化すように笑っているのを見てため息を吐く。

 普段はめちゃくちゃ優秀だし鼻が利くタイプの人なのになぁ……と棗は頭をぽりぽりと掻く。

 

「たきなちゃんもたまにはおいでよ~?」

 

「……結構です」

 

「おじさん多すぎなのかな?」

 

「恥ずかしいんでしょ、お年頃よ」

 

「まあ店で遊んでいる我々の方がおかしいんだけどね」

 

 表情一つ変えずに断り、更衣室に向かうたきなを見て少し残念そうにする常連客だった。

 

「お前は、混ざってきたらどうだ?」

 

「そうすれば、DAに戻れますか?」

 

「……無理だな」

 

「なら意味がありません」

 

「ああ、そう……焦るなよ、井ノ上さん」

 

「あなたになにが……!」

 

 棗のその言葉は地雷だったのだろう。たきなは激昂したように、殴りかかろうとし……そのまま棗に手を掴まれて阻止される。

 

「期待に応えようとするのは良い。けど、それで自分が苦しむのは本末転倒だぞ。俺はそれを良く知ってる」

 

「なにを……」

 

「まあ、なんだ。お前はまだ子供なんだ。少しは年長者を頼れってことだよ。井ノ上さん」

 

「っ……あなただって子供のくせに……」

 

 余裕そうな笑みを浮かべる棗に苛立ったのか、たきなはそんな事を呟く。

 

「はは、生憎一足先に成人してるんだ。タバコも吸えるし酒も飲めるぞ。

 ……悩めばいい。悩んで悩んで悩んで。最後に自分の答えを決めればいい。それからでも遅くないさ」

 

「……棗さんの言っていることはわかりません」

 

「……そうか、まあ……いつか分かるさ。お前は優しいからな」

 

 たきなの頭をぽんぽん、と撫でて棗はミカのいる厨房の方へと向かうのだった。

 

「……分かるわけ、ないじゃないですか」

 

 あの日、当てる気はなかったとはいえ機銃を使うという独断行動をした自分が……優しいと思えるはずもなかった。そうして少しモヤモヤした気分になっているところで、千束がやってくる。

 

「たきなー!」

 

「なんですか?」

 

「たきなもゲームやろ? ね?」

 

「……もう帰るので」

 

「あ、じゃあ明日は!?」

 

「明日は定休日ですよ、着替えるので閉めますね」

 

「あー、そう! だから明日も集まってゲーム会をするんだけど……」

 

 バタン、と更衣室の扉を閉められても尚誘おうとする千束を見かねて、厨房から棗と共に様子を見ていたミカが声をかける。

 

「千束」

 

「はーい?」

 

「健康診断と体力測定は済ませたのか?」

 

「え……? あー……えっと、いや……まだ、だけど……あんな山奥まで行くのだるいしー……」

 

「は? お前ライセンス更新済ませてねえの? リコリスなのに何やってんだ?」

 

「えー、だってぇ……」

 

 千束が目を逸らしながらそんなことを呟くものだから、棗は信じられないモノを見るような顔をしてミカは頭を抱えた。

 リコリスにとって、ライセンスの更新は絶対だ。それがなければ車の運転も銃の使用も全てが犯罪行為とみなされる。

 

「明日は最終日だぞ? ライセンスの更新に必要だろう。仕事を続けたいなら行ってきなさい」

 

「う"ぇええ……そこは先生の方で上手く言っといてよ~! 先生の頼みなら聞いてくれるでしょ、()()()()()()ー!」

 

 その言葉はたきなにとって聞き捨てならない言葉だったのだろう、着替え途中だというのに脇目も振らず、更衣室の扉を開けて問いかけた。

 

「司令と会うんですか!?」

 

「ぶっ────!?」

 

「うおバカ服ゥ!! ん……!!」

 

 千束が驚異的な反射神経で更衣室の扉を勢いよく閉めて、ミカと棗を睨みつける。

 

「……ん"んッ……!」

 

「ぴゅ~……♪」

 

 男二人、別に見てませんよ? という表情で視線を逸らしていた。

 

「私も連れていってください」

 

「うわ着替えるのはっや!?」

 

 そして次に更衣室の扉を開けたときにはリコリス制服に身を包んだたきなが居た。

 高速で着替えていたのである。

 

「……お願いします」

 

 深々と頭を下げるたきなを見て三人は顔を見合わせる。

 棗は肩をすくめてミカに視線をやり、ミカは千束に視線を向けて頷いた。

 二人の考えをなんとなく察したのだろう、千束は仕方なさそうに笑って……

 

「……わかったよ、たきな。一緒に行こ?」

 

「……ありがとうございます」

 

 たきなのお願いを了承するのだった。

 

 ────

 

「ふぅ……」

 

 翌日、【CLOSE】とかかれた札を下げた玄関の隣で一服、煙草を吸う青年の姿があった。

 

「銘柄はなんだ、棗くん」

 

「んぉ? ……おやっさん、別にないですよ。そういうの拘りないんで、買う時の気分で決めてます」

 

 玄関を開けてやってきたのは店長のミカだった。

 一応形的には成人を迎えている棗は時々こうして煙草を吸う。勿論、千束やたきなには気付かれないようにだが。

 それを知っているのは、ミズキとミカぐらいである。最近ではクルミも知ったが。

 

「一本、貰ってもいいか?」

 

「いいですよ、ちょっと待ってくださいね」

 

 棗は服のポケットに突っ込んでいた煙草の箱を取り出して、一本抜くとそのままミカに渡す。

 

「すまんな、わざわざ」

 

「気にしないでください。あ、火要ります?」

 

「貰おうか」

 

「うっす。……はい」

 

 ライターを取り出すと、そのまま火をつけてミカの咥えている煙草につける。

 

「……ふぅ、初めてだな。棗くんとこうして並んで吸うのは」

 

「あー……そうでしたっけ。確かに店長が吸ってるところは見かけませんもんね」

 

「さすがに店が開いてるときは吸わんからな」

 

「俺もですよ、他の人に迷惑はかけられませんから」

 

 二人揃って煙草を吸う姿はどこか絵にもなるように思えるほど様になっていた。

 

「……はぁ」

 

「たきなのことか?」

 

「……さすがおやっさん、お見通しっすね。まあ、心配だってのはあります。

 異動……事実上の厄介払いをされた場所にわざわざ行くってのは少し思う所はあるんですよ。

 それに、今の彼女はひとりぼっちだ」

 

「……そうだな」

 

 何処にも居場所がない。帰るべき巣を失った雛鳥。それが井ノ上 たきなの今の姿だった。

 リコリコにも、DAにも……きっと今の彼女は帰ることができないのだろう。

 

「居場所になってやれたら、と思うことはありますけど……そういうのは俺の柄じゃないですから」

 

「そうか?」

 

「そうっすよ。柄じゃないです」

 

 そうは思わんがな、とミカは棗を見て思う。千束にとって帰るべき場所はリコリコだ。

 それは以前から変わらないのだろう。だが……彼女が本当に居たい場所が何処なのか。それをミカは薄々と感じているからこそ、そう思っていた。

 

「……にしては、そんなに心配していなさそうだな」

 

「まあ、そこは……うちのムードメーカーなリーダーがいるので」

 

「千束か」

 

「俺よりも上手く丸め込むとは思いますよ、千束は」

 

「そうだな……千束はそういう娘だ」

 

 二人にとってその信頼は確かなものだ。千束という少女への信頼であり、理解度の高さでもあるのだろう。

 

「だから、まあ……心配はしてますけど、そこまで深刻なことにはならないとは思ってます。

 あれで、たきなも良い子ですからね」

 

「……だな」

 

 棗の言葉に嘘はなかった。彼はよく周りを見ている。それをミカは知っているからこそ、同意するように頷いていた。

 

「……雨止みますかね」

 

「二人が帰ってくる頃には晴れているさ」

 

「……そうだといいっすね」

 

 ぽつぽつ、と降り続いている曇り空を見上げながら棗は煙を吐く。

 そうして少しの間沈黙が続き……

 

「棗くん、あれから千束とはどうだ?」

 

「ぶっふぉ!? ゲホッ!? げっほっ!? い、いきなり何言ってるんですかおやっさん!?」

 

 沈黙を破ったミカの爆弾発言に、棗は驚いて咳き込み大慌てでミカの方を見る。

 

「なんだ、進展なしか?」

 

「進展もなにも……俺と千束はそういう仲じゃないでしょう!?」

 

 この人何言ってんだ、と棗はミカに困惑した表情をみせる。

 

「なんだ、たきなから聞いたぞ? 仲が良すぎないかと」

 

「はぁ!? 何言ってんだあの子も!? そんなわけないでしょうが!? 確かに信頼してますし背中を預けるぐらいには信用もしてますけど! そういう関係じゃないですよ!!」

 

「……お似合いだとは思うんだがな」

 

「お似合いって……そもそも……俺と千束じゃ釣り合いませんよ。

 ……それにあの娘はちょっと、俺には眩しすぎます」

 

「……棗くん」

 

 少し儚げに笑う棗に、ミカは何とも言えない表情をみせる。

 そう、あまりにも……錦木 千束という少女は眩しすぎる。誰にでも元気で明るい姿を見せて、他人の命を何があっても奪おうとしない少女。リコリスという立場にあるまじき精神性ではあるが、それこそが彼女の美徳であり……なによりも、眩しいのだ。

 

「俺は彼女の横に立つには汚れすぎてますから」

 

 立花 棗はあまりにも人を殺し過ぎた。

 時折夢に出るのだ、殺した人の顔が、見捨てた仲間の顔が。見殺しにしてしまった人の顔が。

 それを見る度に気持ち悪い、吐き気はする。だが……一度たりとも胃の中のものを戻したことはない。

「まあそう思われて当然だ」と、何処かで割り切ってしまっている自分がいるのだ。

 

「だから……この手で、千束の手を握ってやる事は俺には到底できませんよ」

 

 時々、真っ赤に染まったように錯覚する自分の手を見て握り締めながら棗はそう笑う。

 

 確かに立花 棗は、死や殺しに嫌悪感を覚えはする。だが、必要とあらばそれらを許容してしまえるほどには……慣れてしまったのだ。汚れること、殺すこと、命を捨てることに。

 そんな自分に、千束の手を握ってやれる資格はない。

 ……そしてなによりも。

 

死人に好かれたい人なんていないでしょうし」

 

「棗くん?」

 

「ああ、いや。こっちの話です。気にしないでください」

 

 上手く聞き取れなかったミカは聞き返すが、棗は誤魔化すように笑った。

 ……一度死んだ人間に、居場所などあるわけがない。そしてなにより……この身体(しょうねん)の居場所を奪ったのは他でもない自分なのだ。そんな人でなしが彼女の手を握ることなどできるはずがない。

 

「本当に、似合わない」

 

 折れた電波塔を見ながら青年(しょうねん)は煙を吹かせて寂しそうに笑う。

 

「棗くん」

 

「柄にもないこと、すみません。ただまあ……俺も、千束に兄みたいに慕われるのは嫌いじゃないんですよ。だから、このままでいいです。それに、千束にお似合いの素敵なヤツはいつか見つかりますよ。俺よりもっとすごいヤツが。例えばそれこそ、アイツと同じアランチルドレンとか」

 

「……私はそうは思わないがな」

 

「俺がそう思ってるんでそれでいいんですよ」

 

 棗はそう言い、普段のようならしい笑みを浮かべる。ニヒルな笑みだ。

 それは彼なりの踏み込むな。という合図でもあるのだろう。ミカはそれを知っているからこそ、これ以上は何も触れなかった。

 

 そうして二人で煙草を吸っていると、パシャリ。とシャッター音が聞こえる。

 

「リコリコイケメンズ、ダンディーな煙草ふかしっと」

 

「は!? ちょ、ミズキさんなにしてるんですか!? 消してくださいっ!!」

 

「いやよ、せっかく貴重な写真が撮れたんだもの。これをリコリコのSNSにあげて客層を増やしてイケメンを呼び込むのよ!」

 

「目的それかよ!? ちょっ! 消してください! 俺そういうキャラで売ってないんですよ! 消し……消せよっ!! なんでこういう時だけすばしっこいんですかアンタ!? 消せこの酔っ払い!!」

 

 ミズキとスマホの取り合いという攻防を繰り広げる姿を見て、ミカは呆れたように笑う。

 

「……本当にお似合いだよ。君と千束は」

 

 その姿は以前、ミズキと攻防を繰り広げていた千束とあまりにもそっくりだった。

 

 ────

 

「というわけで、定休日ボードゲーム会スタートしまーす」

 

「「「「イェーイ!!」」」」

 

 夕暮れ時、棗の一声と共にボードゲーム大会が始まり、参加者たちは大声で盛り上がる。

 

「棗くん、今日はノリノリだね?」

 

「そういう気分の日なので。今日は遊び惚けます!!」

 

「おお……清々しいわね」

 

 堂々と宣言した棗に数人から拍手が上がる。

 

「ん? そういえば漫画家、お前締切今日までじゃ……」

 

「言わないでクルミちゃん」

 

「……進捗どうですか?」

 

「棗くんまでやめてっ!?」

 

 ドッと店内で笑い声が広がる。現実逃避でゲームに参加していた漫画家の伊藤に対しての指摘が原因である。

 そこでふと、時計を見て棗はミカに問いかける。

 

「店長、そういえば千束の健康診断って」

 

「ん? ああ、そろそろ終わってるはずだ」

 

「了解。んじゃあ、千束に連絡いれときます」

 

 棗はスマホを取り出すと、

『ボドゲ大会始めてます。

 今日は長いことやる予定だから間に合いそうなら連絡よろ。

 P.S.俺も今日は参加します(`・ω・´)』

 と千束にリコリコグループSNSで送信し、

 ついでに参加メンバー数人と撮った写真を添付する。

 

 そしてすぐに、ピロリン。という着信音が入る。

 

「……いい笑顔じゃねえか、二人とも」

 

『二人で行くぜ(`・ω・´)』

 というメッセージと共に、電車の中で撮ったのであろうたきなと一緒にピースしている写真が送られてきた。

 

「えーご報告です。千束ちゃんとたきなちゃんがー?」

 

「お?」

 

「ボドゲ大会参加します!!」

 

「「「「おおおおおお!!」」」」

 

 棗がそう大声で報告すると、更に店内が盛り上がる。

 特にたきなは初めての参加だからこそみんな賑やかになり始めていた。

 

「店長、じゃあ俺全員分の和菓子作るので買い出し行ってきます」

 

「いいのか、棗くん」

 

「せっかくのたきなの初参加なんです、少しぐらい賑やかにしても文句は言われないですよ」

 

「よっ! 太っ腹!!」

 

「さすがはリコリコのイケメン店員!!」

 

「だからそれ誰が言ったんすか!!」

 

 何処からかとんできた野次に棗がツッコミを入れれば更に笑う声が店内に響く。

 

「じゃあ、そんなわけで。買い出し行ってきます!」

 

「いってらっしゃーい!」

 

「あ、伊藤さんは早くネームを終わらせといてください。終わらせるまでボドゲ大会参加禁止です」

 

「棗くんまで編集さんと同じことを!?」

 

 ガーン! とショックを受けた伊藤を見て笑い声が再び響く。

 その様子を見届けて、棗は玄関を閉める。

 

「……お、綺麗な夕日」

 

 雨が上がり、眩しくなるほど綺麗に照らされた橙色の夕焼けを棗は見つめる。

 

「っし、じゃあさっさと買い出しに行ってきますか!」

 

 ぺちん、と頬を叩いて棗は買い出しに向かうのだった。

 

 

 ────

 

「っしょっと……棗ー。ここにお皿置いといても良い?」

 

「いいぞー。洗っとくからそこ置いといてくれ」

 

「はーい」

 

 千束は皿を片付けながら棗に声をかける。ボードゲーム大会も終わり、清掃作業に入った段階だ。

 そんな中、テキパキとある程度作業を終えた段階でたきなが棗を見て声をかけるかかけまいか。と悩んだ表情をしていることに千束は気付く。

 

「あ、たきな! 私、座布団片付けとくから棗のお皿洗い手伝っといてー!」

 

「! はい、わかりました」

 

 気遣うように千束は席を外し、棗とたきなを二人きりにする時間を作ったのだった。

 

「あの、棗さん」

 

「ん? ああ、井ノ上さんか。そこに食器は置いといてくれ。洗っておくから」

 

「いえ、()()から棗さんを手伝うようにと」

 

「! ……わかった、じゃあこっち来てくれ」

 

「はい、お邪魔します」

 

 些細な変化ではあったが、たきなが千束を呼び捨てにしていたことに気付いた棗はくすりと微笑み、場所を少し開ける。

 そうして二人で食器洗いを始めるが……しばらく沈黙が続く。水の流れる音と、食器を洗い拭く音だけが厨房に響く。

 

「えっと……その、棗さん……昨日はすみませんでした」

 

「おん? あー……いいよ。俺も言い過ぎた。悪かった、井ノ上さん」

 

「いえ……」

 

 沈黙を破ってのたきなの謝罪を受け入れつつ、棗も言い過ぎたと謝罪をし返す。

 気まずい沈黙だ。思えば、たきなにとって立花 棗という青年は千束以上に謎多き人物だった。

 故に、何を話題にすればいいのか。と彼女は悩む。

 それを見かねたように、棗がたきなに話題を振る。

 

「……向こうで、良い事でもあったんだろう。井ノ上さん」

 

「え? ……ええ、良い事はありました」

 

「千束のおかげってところか?」

 

「……はい、千束のおかげです」

 

「不思議だよな、アイツ。気付いたら自然と打ち解けててさ。アイツに惹かれてる。

 なんというか……太陽みたいなやつだよ」

 

「そう……ですね。私もそう思います」

 

 棗のそんな言葉に、たきなは同意する。確かに、錦木 千束という少女はそんな人だ。

 そしてそんな風に彼女を語る棗の顔を、たきなは初めて見た。

 

「あ……」

 

 妹を見守るような、家族を自慢するような何処か慈愛にも満ちた優しい顔。

 ……そんな顔もするのか。とたきなは思わず目を丸くする。

 そしてなにより……その笑顔が、今日見た千束の笑顔にそっくりだったからか。

 たきなもまた、クスッと笑ってしまった。

 

「んだよ、俺の顔になんかついてたか?」

 

「いえ……千束と、棗さんはよく似ているな。と」

 

「えぇ……ぜってえ似てねえよ。誰があんなお気楽能天気か」

 

「ふふ、似てますよ。そういう所がそっくりです」

 

「どこがだよ……」

 

 困ったように顔を顰める癖に、口元のにやけ面は隠せてない辺りとか。助言の仕方とか、とてもそっくりだとたきなは思った。

 

「……たきな。でいいですよ、棗さん」

 

「どうした急に」

 

「いえ……私も千束と言い始めたのに、棗さんとだけ距離が遠いのもなんだか良くないと思いまして」

 

「……人をボッチの可哀想なヤツみたいな扱いするのやめない?」

 

「なんのことですか?」

 

「え、無自覚? お前切れ味鋭いな……」

 

「ナイフは持っていませんが……?」

 

 棗の言葉にきょとん、と首を傾げるたきな。彼の言い回しはどうやら通じていない様子だった。

 

「……はぁ……()()()、これからよろしくな」

 

「! はい、よろしくお願いします。棗さん」

 

 呼び捨てで彼が呼んだことに気付いたたきなは少し頬を綻ばせて改めて頭を下げていた。

 

「棗でいい。千束もそう呼んでるだろ?」

 

「いえ、そこはやはり年長者でしっかり者な棗さんには失礼な態度はとれませんから」

 

「……それ遠回しに千束のことアホの子扱いしてないお前?」

 

「……違うんですか?」

 

「違わないけど」

 

「ちょいちょいちょい! お二人さん!? 黙って聞いてたら何二人して私をアホ扱いしてんの!?」

 

 待ったをかけるようにカウンターから顔を出した千束がぎゃーぎゃーと抗議する。

 その様子を見て棗とたきなは顔を見合わせて首を傾げる。

 

「「え、違うんですか(のか)?」」

 

「違うわい!!」

 

 そうして三人で顔を再び見合わせて……誰からともなく、笑いだす。

 それは確かに、たきなが棗や千束と打ち解けた証だった。




立花 棗

中身も見た目も成人してるとはいえ思うところがある。
本当に俺はここに居ていいのかと考えたりもしばしば。
煙草は吸うけど特にお気に入りの銘柄とかはない。

あの子は俺には少し、眩しすぎる。


千束

おなじみヒロイン。
今日は検診ついでに模擬戦で知り合いを打ち負かしてきた。
スカッとしたよね、たきな!

私はアホじゃないわい!


たきな

色々あったけど千束ちゃんの言葉に
背中を押されてリコリコに居場所を見つけた。
スカッとしました。

本当に千束と棗さんは仲が良いですね。
微笑ましいです。


ミカ

リコリコ店長。最近パッパ化が著しい。
千束と棗にとっての父親みたいな人。
最近はたきなも娘っぽくなってきた。

お似合いだと思うんだがな、二人とも。


ミズキ

おなじみ残念美人。撮った写真は削除された。
俺も店長もヤニ吸ってる感じで売ってないんですよ!とは棗の談。

いいじゃない、私だって出会い欲しいのよ!


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【急募】同僚の女の子の下着がトランクスだった時の対処法【どうしよ】

記念すべき10話目です。
例のパンツ回です。

pv3弾めっちゃシリアスだし
キービジュアルはめっちゃ不穏でかっこよくなってた……

昨日、日間7位までいっててびっくりしました。
ありがとうございます。


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

マジでどうすりゃええねん

 

2:名無しの彼岸花 ID:YNP+5NU6o

イッチ????

 

3:名無しの彼岸花 ID:4TSz0RHck

お前やったな????

 

4:名無しの彼岸花 ID:fwavPBGS/

あなたをセクシャルハラスメントで訴えます!!

理由は勿論お分かりですね!?

 

5:名無しの彼岸花 ID:MrajMQaLl

ラッキースケベかよ滅べ

 

6:名無しの彼岸花 ID:RR+dzHbWd

イッチはやはり死刑にすべき

 

7:店員鈴蘭 ID:LyReBell

は?違うんだが?

急に千束ちゃんに身に覚えのない容疑で問い詰められて

詳細聞いたらたきなちゃんが

なんでかトランクスを履いてたことが判明しただけだが??

 

8:名無しの彼岸花 ID:0gyd4pg4j

えぇ……

 

9:名無しの彼岸花 ID:rhF48bAIw

どうやったらそこに飛躍すんねん

 

10:名無しの彼岸花 ID:8z/Jo23wH

もっとマシな嘘をつけイッチ

 

11:名無しの彼岸花 ID:/bZ3RuzSk

腹切り用の短刀は用意しとくぞ

 

12:店員鈴蘭 ID:LyReBell

マジでワイ無罪なんだが????

 

13:名無しの彼岸花 ID:3/C3tUhZX

とりあえず弁明聞いてからにしようや

 

14:名無しの彼岸花 ID:L942q7FTT

ほら、イッチキリキリ吐け

 

15:名無しの彼岸花 ID:kxKfGQ3gE

吐いたら楽になるぞ?

 

16:店員鈴蘭 ID:LyReBell

だからマジでなんもしとらんねんて……

店の制服は支給するから下着持参しろって言われて

たきなちゃんが指定の下着がないかってミカさんに聞いたらしくて

そんなのは勿論ないからそう返したら何故か好みを聞かれて

そのままミカさんがトランクスって答えて

……本当に何故かたきなちゃんそのまま男物のトランクスを履いたんや

 

17:名無しの彼岸花 ID:CyIldh7S/

なんて????

 

18:名無しの彼岸花 ID:4AwWQooKo

どういうことなの????

 

19:名無しの彼岸花 ID:hQgTm+ODn

話が飛躍しすぎてる……

 

20:名無しの彼岸花 ID:yfeuwLVf1

店の制服は支給、下着は持参しろ。←分かる。

指定の下着がないか聞く。←分かる。

ないからどういうものが良いか聞く。←分かる。

何故か異性の、しかもおじさんに好みを聞く。←???

トランクスと答えるミカおじさん。←どうして?

たきなちゃん、それを参考にトランクスを履く。←なんで??????

 

21:名無しの彼岸花 ID:1ZPsXLYp5

なるほどわからん

 

22:名無しの彼岸花 ID:DaGn6t6x3

ほんとにわからなくて草

 

23:名無しの彼岸花 ID:qCIpuG98S

イッチには聞いてないのか

 

24:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんに問い詰められて初めて知ったわ。

ミカさんもミカさんでなんで趣味の方の答えるんだあの人は!

今絶賛千束ちゃんと頭抱えて作戦会議中や。

 

25:名無しの彼岸花 ID:EWztUY972

まっていまイッチ聞き捨てならないこと言わんかった?

 

26:名無しの彼岸花 ID:FE5XZV7wM

ミカさんの趣味とは????

 

27:名無しの彼岸花 ID:anI9+ScQf

え、ミカさんもしかしてそっち系なん????

 

28:名無しの彼岸花 ID:9tpgxeynP

やたらと女性大所帯なのに普通にしてんなとは思ったけど

 

29:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あれ、言ってなかったっけ?ミカさんは同性愛者やで。

まあワイにはそういうのは向けてないし父親みたいに接してくれとるけど。

 

30:名無しの彼岸花 ID:OStIEzOnD

そういうことははよ言えって言ってんじゃねえかよイッチよぉ!!

 

31:名無しの彼岸花 ID:WvzA0HnA9

初耳だわ!!

 

32:名無しの彼岸花 ID:ezaoW/4kO

BLものとか冗談で言ってたら本当にBL要素あるとか予想できるか!!

 

33:名無しの彼岸花 ID:tkBTqEmj1

イッチの世界百合ものなのかBLものなのかどっちやねん!!

 

34:名無しの彼岸花 ID:Bk905iUGw

ミカさんほんとのホモだったのかよ!

 

35:名無しの彼岸花 ID:d4gjinuI9

イッチマジで大事なこと言わないじゃん……

 

36:名無しの彼岸花 ID:McBupm57e

シリウス・ブラックじゃねえんだぞお前は

 

37:名無しの彼岸花 ID:0fkYWtOsT

イッチは無能

 

38:名無しの彼岸花 ID:qSQ2gj1HK

有能だけど無能

 

39:名無しの彼岸花 ID:IWdc02wpV

どっちだよ

 

40:店員鈴蘭 ID:LyReBell

お?

 

41:名無しの彼岸花 ID:GmUQo+NUF

ん?

 

42:名無しの彼岸花 ID:fkiSpt1c5

どしたイッチ

 

43:名無しの彼岸花 ID:xQeaH96re

なにごと?

 

44:名無しの彼岸花 ID:pUB3tu2FN

なんか驚いたみたいなコメントしとるけどなんや?

 

45:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【朗報】ワイ、美少女二人と買い物デートに行く事が決定した模様【尚、荷物持ち】

 

46:名無しの彼岸花 ID:VQpLan63L

はああああ?????

 

47:名無しの彼岸花 ID:b4d9v7fJ/

は??????

 

48:名無しの彼岸花 ID:53FiVDuXp

イッチ????????

 

49:名無しの彼岸花 ID:36Au46ohp

やっぱイッチ殺そう

 

50:名無しの彼岸花 ID:y0ppEElXc

今楽にしてやる

 

51:名無しの彼岸花 ID:h9r1N0OOZ

待ってろ、そっち行ってぶっ飛ばしてやるから

 

52:名無しの彼岸花 ID:+WmjpKH25

お前がなー!千束ちゃんとたきなちゃんと買い物をなー!ゆるさーん!!

 

53:名無しの彼岸花 ID:2RdUOm67X

百合に挟まってデートとか極刑なんだよなぁ

 

54:名無しの彼岸花 ID:eqk7g7kf3

やはりイッチはその世界に存在してはならない癌なのでは?

 

55:名無しの彼岸花 ID:fASVCws4H

やはりイッチは許してはおけない

 

56:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ユルシテ……ユルシテ……

 

57:名無しの彼岸花 ID:yXB4/m2XI

許してほしければデートの様子を画像でもいいからあげろ

 

58:名無しの彼岸花 ID:B5k+SxVFp

 

59:名無しの彼岸花 ID:3xl4NRnI4

欲が透けてないか?

 

60:名無しの彼岸花 ID:PIdAmG8mp

でも正直見たさはある

 

61:名無しの彼岸花 ID:3Sy1SkPsd

わかる。千束ちゃんとたきなちゃんがいちゃいちゃしてるのを遠目からイッチに眺めてもらおう

 

62:名無しの彼岸花 ID:1fd/cUjJw

イッチの扱いで草

 

63:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイの扱いはカメラかなにか?

……まあいいけど、撮ってきたるわ。

 

64:名無しの彼岸花 ID:C7s34Ya+Q

たすかる

 

65:名無しの彼岸花 ID:kOB1lDcG5

やっぱイッチは最高やな!

 

66:名無しの彼岸花 ID:I4t7/My1Z

イッチis有能

 

67:名無しの彼岸花 ID:OFG+JPyzM

相変わらずイッチへの評価は掌ぐるぐるしてる

 

68:名無しの彼岸花 ID:MymUR4WlV

イッチはこのぐらい扱いは雑でいいよ

 

69:名無しの彼岸花 ID:SRCaAr4Kj

それな

 

70:店員鈴蘭 ID:LyReBell

なんでさ……

 

 

────

 

500:店員鈴蘭 ID:LyReBell

というわけでデートにきたやで

【画像】

【画像】

 

501:名無しの彼岸花 ID:vuO93VFOs

やったぜ。

 

502:名無しの彼岸花 ID:b144BLE8x

イッチ待ってたぞ

 

503:名無しの彼岸花 ID:0YNN74V9O

たすかる。

 

504:名無しの彼岸花 ID:90iTxBr7l

千束ちゃんの私服かっっっわ

 

505:名無しの彼岸花 ID:wZ/9PDJoC

めっちゃオシャレ。くっそかわいいやんけ。

 

506:名無しの彼岸花 ID:zSGjLgUlp

赤い上着がとてもよく似合っていらっしゃる。

 

507:名無しの彼岸花 ID:Bssq+l0Tp

おい誰かたきなちゃんのセンスにも言及してやれよ

 

508:名無しの彼岸花 ID:6LkkKCONm

……いや、うん。

 

509:名無しの彼岸花 ID:o0qtPZVsg

独創的だよな……

 

510:名無しの彼岸花 ID:F5DVTvOl4

外に出掛ける時のワイらみたいでええと思うで……うん……

 

511:名無しの彼岸花 ID:yfu2GCJEI

クソダサTシャツとジャージのズボン……

 

512:名無しの彼岸花 ID:JgJPK1s1p

たきなちゃん私服センスもしかして壊滅的……?

 

513:名無しの彼岸花 ID:guG2Wp1HU

まあ……トランクス普通に躊躇いもなく履く子やしな……

 

514:名無しの彼岸花 ID:XSc5gy1Oa

ダメみたいですね……

 

515:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しかもこの子何を思ったのかリコリス鞄担いで銃を持ってきとる……

【画像】

 

516:名無しの彼岸花 ID:sdkZzf1tz

 

517:名無しの彼岸花 ID:onUa2jfHw

えぇ……

 

518:名無しの彼岸花 ID:IA6kWBZHP

たきなちゃんポンコツ要素が溢れてる……

 

519:名無しの彼岸花 ID:71WHUIl/X

千束ちゃんめっちゃいい笑顔になってて草

 

520:名無しの彼岸花 ID:HhdVH6/eo

怒ってるときの笑顔だこれ

 

521:名無しの彼岸花 ID:7iyJhtCB4

貴様??って顔してる

 

522:店員鈴蘭 ID:LyReBell

さすがにこのまま下着買いに行くのはどうなん?って話になって

先にたきなちゃんの私服購入に急遽予定変更や

 

523:名無しの彼岸花 ID:B3nhcr0Rd

そりゃそうよ

 

524:名無しの彼岸花 ID:tPhaQ5Zrq

イッチばりばりに可愛くしてやれ。

そこそこ私服センスはいいからなんとかできるやろ。

 

525:名無しの彼岸花 ID:h3/Tw88U4

千束ちゃんも私服センスはいいし、とりあえず身だしなみは整えてくれるとは思うけど……

 

526:名無しの彼岸花 ID:L7D6hPToZ

なんか幸先悪いというか、先が思いやられるデートやな……

 

527:名無しの彼岸花 ID:7ZcbejYGY

たきなちゃんがポンコツ可愛いのが悪い

 

528:名無しの彼岸花 ID:BFa/OV7s8

そうだよ。

 

529:名無しの彼岸花 ID:GrPnJUJ2G

たきなちゃん少しずつポンコツ要素が滲み出とるな……

 

530:名無しの彼岸花 ID:84VDP4DqJ

イッチの悪い影響受けたんやろなぁ

 

531:店員鈴蘭 ID:LyReBell

なんでそこでワイやねん。はっ倒すぞ。

たきなちゃんの私服の試着画像貼らんぞ?

 

532:名無しの彼岸花 ID:84VDP4DqJ

ワイが悪かった。許してくれ(土下座)

 

533:名無しの彼岸花 ID:hSW0OEk+7

イッチは何も悪くない。復唱

 

534:名無しの彼岸花 ID:C3zOSXuJL

はい!イッチは何も悪くないです!

 

535:名無しの彼岸花 ID:sddCT95vd

だからどうかイッチ様……

たきなちゃんの試着写真見せてくださいお願いします……

 

536:名無しの彼岸花 ID:JyDT2AY1H

ここのスレ民、美少女の画像に弱すぎる

 

537:名無しの彼岸花 ID:p7PteEhu+

だって貴重な美少女の可愛い写真やし……欲しいやん?

 

538:名無しの彼岸花 ID:cya1nrSJ2

それはそう

 

539:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しょうがねえなぁ……

今回は許したる。

ほれ。

【画像】

【画像】

【画像】

【画像】

 

540:名無しの彼岸花 ID:mj8WfYMJw

は?かわいいんだが?

 

541:名無しの彼岸花 ID:a0POUC2b0

はえーすっごいオシャレになってる……

 

542:名無しの彼岸花 ID:cX33HU+kN

ワイは緑のやつがすき

 

543:名無しの彼岸花 ID:iKvdDXH/c

ノースリーブのやつがすき

 

544:名無しの彼岸花 ID:LKXoZk2k8

どれも似合うね、たきなちゃん

 

545:名無しの彼岸花 ID:/v2yYdOiY

で、最終的にどれに決まったんや?

 

546:名無しの彼岸花 ID:lvT1lVtlQ

おせーてイッチ

 

547:店員鈴蘭 ID:LyReBell

灰色のシャツと白スカートと帽子の組み合わせたやつや。

たきなちゃんのイメージカラーに合うなーって思ってワイがチョイスしたやつ

 

548:名無しの彼岸花 ID:yf+pY8g5z

はえー……イッチやるやん

 

549:名無しの彼岸花 ID:2TKKlhFlY

イッチやっぱセンスはいいんやな……

 

550:名無しの彼岸花 ID:5iIJqMRle

千束ちゃんもOK出したんか

 

551:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイの癖にやるやん。って感じのこと言われたわ。

一言余計じゃい。

 

552:名無しの彼岸花 ID:p0J/8+H4v

 

553:名無しの彼岸花 ID:tQ2hJj8Kv

千束ちゃんもワイらとイッチへの認識そっくりなん笑う

 

554:名無しの彼岸花 ID:d9/juk19b

そりゃイッチとの付き合いだけでいえばワイらと千束ちゃん、同じぐらいやしな

 

555:名無しの彼岸花 ID:59FzzbVEo

そういやそうじゃん。ワイらもイッチと腐れ縁か……

 

556:名無しの彼岸花 ID:3SFZw0lkF

なんかそう言われると妙に親近感湧くな……

 

557:名無しの彼岸花 ID:q494Y9pIz

でもスレの時間的にはそんな経ってないよな。

 

558:名無しの彼岸花 ID:/3e4hbOuM

それはそう。その点だけでいえば

千束ちゃんはリアルに7年以上もの付き合いがあるんよね

 

559:名無しの彼岸花 ID:iT+FEtPSb

もう幼馴染だろこれ

 

560:名無しの彼岸花 ID:7dHElXztW

美少女の幼馴染とか爆ぜればいいのに……

 

561:店員鈴蘭 ID:LyReBell

幼馴染ではないし少なくとも

元々は敵対組織の人間なんだよなぁ……

 

562:名無しの彼岸花 ID:zxKAN/GPm

そういえばそうだった……

 

563:名無しの彼岸花 ID:82qvvN0Wh

この二人忘れがちだけど安価のおかげで

互いに仲良くなってただけで殺し合いしてたわ

 

564:名無しの彼岸花 ID:+2SFeqd8/

よくこの関係続いてるわな……

 

565:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあワイも驚いとるけど

こうしてほのぼのした姿見れとるから満足しとるんや

というわけで忘れかけてた

下着のお店に到着したから実況はいったん終了や。

ワイはその辺で時間潰すで。

 

566:名無しの彼岸花 ID:gl3T1VeWI

おつおつ、イッチ

 

567:名無しの彼岸花 ID:yZcdGEN07

なんや、ランジェリーショップ入らんのか

 

568:名無しの彼岸花 ID:+EEd1vdNT

意気地なしめ

 

569:店員鈴蘭 ID:LyReBell

申し訳ないが万年童貞陰キャのワイに

美少女の下着を選ばせようとするのはNG

その辺はたきなちゃんの好みにもなるし

千束ちゃんのセンスに任せるわ。

 

570:名無しの彼岸花 ID:GWQVqaZxt

まあ刺激が強いと言われたらそう。

 

571:名無しの彼岸花 ID:oqOGPH7aI

だいたい彼氏連れとかだと

彼氏さん気まずそうにしてるもんな

ランジェリーショップって

 

572:名無しの彼岸花 ID:bouowaaKP

世の男性は少なくとも

ランジェリーショップに普通は入らんからな……

 

573:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そんなわけでワイはその辺で喫煙しときます

 

574:名無しの彼岸花 ID:VtdzixwE3

え、イッチ喫煙者やったん??

 

575:名無しの彼岸花 ID:WeGQ6VBDM

成人しとったん???

 

576:名無しの彼岸花 ID:yaIUftxkO

【悲報】イッチ、ヤニカスだった

 

577:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ヤニカスちゃうわい。2、3週間に1回吸うぐらいや。

>>575

一応成人しとることにはなっとる。

千束ちゃんより2、3年肉体的には歳が上らしい

 

578:名無しの彼岸花 ID:RHIZT8CCT

はえー

 

579:名無しの彼岸花 ID:JpgX/oS3v

というか煙草まで吸い始めたらいよいよイッチ、スネークやな

 

580:名無しの彼岸花 ID:qF7UwKS5M

そういやそうじゃん草

 

581:名無しの彼岸花 ID:rUhBEsBzf

もうイッチメタルギア世界行って来いよ

 

582:名無しの彼岸花 ID:yjCWfBNxG

葉巻かどうかでスネークもどれか変わる

 

583:名無しの彼岸花 ID:nqn5zeyq9

イッチはどれなんや?

 

584:店員鈴蘭 ID:LyReBell

基本コンビニで買うから紙巻のや。あととくに銘柄とかは拘ってないな。

その日の気分で買うやつは変えとる。

 

585:名無しの彼岸花 ID:qDsIKDAAk

サンガツ。てか吸ってるの千束ちゃんやたきなちゃんは知ってるんか?

 

586:名無しの彼岸花 ID:65yYGsR22

そういや、あの二人はいい顔しなさそうな気もするけど

 

587:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>585

知っとらんな。基本二人が居ない時にしか吸わへんし。

だからこうしてショッピングモールの喫煙室とかで吸ってる。

脱臭剤とかも常備しとるしな。

 

588:名無しの彼岸花 ID:I9i0LzH9h

徹底しとんな

 

589:名無しの彼岸花 ID:foUTuCDHw

その辺は線引きしっかりしてるんやなイッチ

 

590:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そらうら若き乙女な二人は勿論、

店のお客さんとかに受動喫煙させるわけにはいかんし?

そこはちゃんと考えとるわ。

 

591:名無しの彼岸花 ID:vQ+iYdcet

えらい

 

592:名無しの彼岸花 ID:S9dEpL1kd

喫煙者の鑑

 

593:名無しの彼岸花 ID:+lx8CsNY4

ヤニカスは見習え?

 

594:名無しの彼岸花 ID:bxqxgeyzm

そうだよ。

 

595:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあなんで、千束ちゃんから連絡くるまではしばらくここで暇をt

 

596:名無しの彼岸花 ID:CVFznK1mF

イッチ??

 

597:名無しの彼岸花 ID:cEl2duF54

どうした?

 

598:名無しの彼岸花 ID:zpj8Ztq7o

なんかあったんか???

 

599:名無しの彼岸花 ID:E9j2NQW3c

急にぶつ切りみたいなメッセージやけどイッチどうした?

 

600:名無しの彼岸花 ID:inpu+0aRN

おーいイッチ??

 

601:店員鈴蘭 ID:LyReBell

すまんやで、ちょっとビックリすることがあって

そっちに意識割かれてたわ。

見間違いやと思うし、多分気のせい……

というか確証も確信もないから今は忘れておくわ。

 

602:名無しの彼岸花 ID:kVb37uzV2

何見たんやイッチ

 

603:名無しの彼岸花 ID:DWvX1+4LE

それ絶対気のせいにしたらあかんやつでは??

 

604:名無しの彼岸花 ID:EcYPX6M7F

イッチ、それは疑い持った方がいいやつかもしれへんで

 

605:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そう言われたらそうなんやけどな……

下手な予測で動いて危険に晒すわけにはいかんし……

もうちょい確信持てる情報入ったら言うわ。すまんやで

 

606:名無しの彼岸花 ID:+yDJqxuWQ

しょうがねえなあ……

 

607:名無しの彼岸花 ID:/S050M4IR

まあイッチその辺見誤ることはないしな。今回は水に流そう。

 

608:名無しの彼岸花 ID:L0zVJ27Ne

せやな。イッチの言う事信じたるわ

 

609:店員鈴蘭 ID:LyReBell

おまいらありがとうやで。そんなわけでスイーツ食いに来たわ。

【画像】

【画像】

【画像】

上から千束ちゃん、たきなちゃん、ワイの頼んだやつや。

 

610:名無しの彼岸花 ID:jRei6eGuC

イッチおまえー!!

 

611:名無しの彼岸花 ID:zzPZOr9B9

せっかく許してやろうとしたところで!!

 

612:名無しの彼岸花 ID:vkPP2QO5r

飯テロは凶悪犯罪だぞ!!!

 

613:名無しの彼岸花 ID:IwG8cnjaS

くっそ美味しそう

 

614:名無しの彼岸花 ID:GW+/1fFos

わかる。腹減ってきた。

 

615:名無しの彼岸花 ID:azNs1vctI

カップ麺作ってくるわ

 

616:名無しの彼岸花 ID:cSIRlaNgX

ワイ焼きそば作ってこよ……

 

617:名無しの彼岸花 ID:FCR7PSL/9

飯テロにやられるスレ民たち。ワイもなんかパンでも食べてくるか……

 

618:店員鈴蘭 ID:LyReBell

クッソ美味い。千束ちゃんの幸せそうな笑みと

たきなちゃんの笑顔のセット置いとくわ。

【画像】

【画像】

 

619:名無しの彼岸花 ID:x9XhyDByP

はーかわいい。

 

620:名無しの彼岸花 ID:7cPLVPna5

たすかる。

 

621:名無しの彼岸花 ID:mWlz6mx2v

ほんまめっちゃ美味しそうに頬張るな千束ちゃん

 

622:名無しの彼岸花 ID:jyDZ2ovcA

料理作る側としちゃありがたいよなこういう顔してくれるの

 

623:名無しの彼岸花 ID:bCcmft0CT

ほんまな。たきなちゃんもいい顔しとる。

 

624:名無しの彼岸花 ID:ZXibztMFr

こういう時間も悪くないって顔やな……

 

625:名無しの彼岸花 ID:cOt9HpDzN

なー。こういう幸せな時間を一生過ごしてほしいわ

 

626:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【悲報】リコリスの寮の料理長、元宮内庁の総料理長だったらしい【噓でしょ】

 

627:名無しの彼岸花 ID:vBhlfeOb1

ファッ!?

 

628:名無しの彼岸花 ID:lpY+zf40D

めっちゃすごいやんけ!?

 

629:名無しの彼岸花 ID:Kv2Nw4J99

ガチの皇族に料理振る舞ってるやべー人やんけ!!

 

630:名無しの彼岸花 ID:vI0izcxoh

お国の人まで絡んでる感じ相当根が深いわねリコリス

 

631:名無しの彼岸花 ID:cH/XBf25O

イッチ驚いてるけどイッチの方は違うかったん?

 

632:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちゃうかったで。

そんなすごい人じゃなかったから今普通にビビったわ。

いいなぁ……

 

633:名無しの彼岸花 ID:VeLVyLzjN

ガチ羨望で草

 

634:名無しの彼岸花 ID:OiaPjm78K

まあそんなすごい人が作ってる料理を

タダで食べられるって考えたらすごいよな……

 

635:名無しの彼岸花 ID:z2l7lNtuy

正直ちょっと羨ましいのはわかる

 

636:名無しの彼岸花 ID:qVr9/tl6G

ワイらじゃ一生届かん世界の料理食ってるわけやしな……

 

637:名無しの彼岸花 ID:zCP9c4EYV

千束ちゃんとたきなちゃんの健康的な身体は

元宮内庁総料理長の徹底して考えられた

栄養バランスのとれた料理のおかげってことか……

 

638:名無しの彼岸花 ID:eDQBtZtSI

言い方。

 

639:名無しの彼岸花 ID:DLVzwEpJx

なんか一気に変質者っぽくなるのやめろ

 

640:店員鈴蘭 ID:LyReBell

てわけで、お昼のスイーツも食べ終えたので水族館にきたやで。

【画像】

 

641:名無しの彼岸花 ID:g4wGl7zLi

おー、ええやん

 

642:名無しの彼岸花 ID:AiXfdg3Id

はえーすっごい綺麗。

 

643:名無しの彼岸花 ID:mym5osqIx

ここもしかしてすみだ水族館か?

 

644:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>643

せやで。千束ちゃんとワイは年間パスポート持ってる。

まあワイは千束ちゃんに作らされたんやけども。

 

645:名無しの彼岸花 ID:xXayNCycl

イッチさぁ……

 

646:名無しの彼岸花 ID:QkgCel4aT

美少女に水族館デートに誘われまくってるってマジ?

 

647:名無しの彼岸花 ID:Nk4nNuTPR

うーん有罪

 

648:名無しの彼岸花 ID:8mU8RrAL9

イッチは爆発すればいいと思う

 

649:名無しの彼岸花 ID:4TZThy2KW

1人で爆死してくれ

 

650:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやあれはデートっていうより……

父親に遊園地に連れて行ってくれってねだる子供だった

 

651:名無しの彼岸花 ID:Z0upgF3C9

 

652:名無しの彼岸花 ID:5qC1sOyHI

容易に想像できるのなんなん

 

653:名無しの彼岸花 ID:JIhx91S2F

千束ちゃんはそういうことする(確信)

 

654:名無しの彼岸花 ID:R7kEGtyOb

正直ちょっと萌えるわその図

 

655:名無しの彼岸花 ID:Xsznfg0A2

イッチの腕を掴んでいこーよー!!ってねだる千束ちゃんか……

 

656:名無しの彼岸花 ID:0djd7lTkH

かわいい。めっちゃ絵面が様になってる……

 

657:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

チンアナゴの真似だそうです。

 

658:名無しの彼岸花 ID:dF6N49asB

 

659:名無しの彼岸花 ID:RP1rkv28h

かわいい

 

660:名無しの彼岸花 ID:esmH6wP0g

くねくね千束ちゃんかわいい

 

661:名無しの彼岸花 ID:xXevk/VPh

イッチ写真撮るのうまいよな

 

662:名無しの彼岸花 ID:rUx1yNiCt

写真っていうか生で見たシーンを

脳内のスレで勝手に画像に変換するシステムやけどな

 

663:名無しの彼岸花 ID:YfRQdaYpQ

そんなシステムやったんかこれ……

 

664:名無しの彼岸花 ID:KrMg+G0m7

不思議やなほんま……

 

665:名無しの彼岸花 ID:84fzBh3Sg

神様のやることやからね

 

666:店員鈴蘭 ID:LyReBell

使命……かぁ……

 

667:名無しの彼岸花 ID:M3Ojmvo1o

イッチ?

 

668:名無しの彼岸花 ID:gdnrNxmEp

どうした急に

 

669:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ああいや、千束ちゃんがたきなちゃんに

アランチルドレンってこと明かしたんやけどさ。

アランチルドレンにはそれぞれ使命があるって言われてるんよ。

その才能を活かす使命ってやつ。

千束ちゃんそれがわかんないみたいでさ。

 

670:名無しの彼岸花 ID:Lv36Ysm+W

はえー、そんなものがあるのか

 

671:名無しの彼岸花 ID:Yb4ZScjut

まあただのあしながおじさんでは終わらんよな、アラン機関

 

672:名無しの彼岸花 ID:YTLx9Xbw5

医療従事者になったなら人を救う。

科学者になったなら技術を発展させる。みたいな感じなんかね?

 

673:名無しの彼岸花 ID:SqfGSdIWh

だとすると千束ちゃんの才能ってなんや?

卓越した洞察力ととんでもない目をしてるってのは判明しとるけど

 

674:名無しの彼岸花 ID:t7sEYhxQG

さぁ……アスリートとか?

 

675:名無しの彼岸花 ID:c0CUz7Xgb

謎やな……千束ちゃんの使命

 

676:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあワイにも想像つかんけどさ。

そういう使命ってやっぱり、自分で見つけるものじゃない?

他人に強制されてるのはなんかこう……モヤモヤするわ

 

677:名無しの彼岸花 ID:bBzzPs9WS

せやな

 

678:名無しの彼岸花 ID:GodZlvLZ9

たしかに。千束ちゃんがなりたいものに

なれないかもしれへんもんなそれ

 

679:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ千束ちゃんの使命は千束ちゃん自身で見つけるとして……

いつか千束ちゃんは助けてもらった

アラン機関の人にお礼を言いたいらしい。

あなたのおかげで私は今も生きています。って

 

680:名無しの彼岸花 ID:tO4dBl51M

めっちゃいい子やんけ……

 

681:名無しの彼岸花 ID:6S9MFfjoP

おじさん泣いちゃう

 

682:名無しの彼岸花 ID:slSMGej7l

優しい子やな千束ちゃん

 

683:店員鈴蘭 ID:LyReBell

10年間探しても見つかってないってのが悲しいけど

見つかればいいなってワイも思っとるわ。

今一番怪しいのはヨシさんなんやけど

 

684:名無しの彼岸花 ID:xLpoB7s0C

そこでなんでヨシさんでてくるねん

 

685:名無しの彼岸花 ID:hNn8YnS4A

もしかしてイッチそれ……ヨシさんアラン機関の人だったりする?

 

686:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あれ、言ってなかったっけ?

ヨシさんはアラン機関の人やで。

だから世界中を渡り歩いてる。

 

687:名無しの彼岸花 ID:rCWWmCwCi

だからそれはよ言えやイッチィ!!

 

688:名無しの彼岸花 ID:J+oD8hv/v

それ普通に大事なことやんけ!!!!!

 

689:名無しの彼岸花 ID:nd2/5aWFf

それ絶対千束ちゃんの恩人やろ!!

ミカさんの旧友って時点でほぼ黒だわ!!!

 

690:名無しの彼岸花 ID:w95X625zV

お前さあ!!

 

691:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやワイやってそう思うよ?

だけどヨシさんが踏み込んでこないってところがね……

理由がなんかあるんやろうし、

それは触れたらいかんかなぁ……って。

もし千束ちゃんが知ったらもうヨシさん、

お店に来なくなるかもしれないし

それはさ、千束ちゃんが可哀そうじゃん

 

692:名無しの彼岸花 ID:X3UUdh7yw

イッチ……

 

693:名無しの彼岸花 ID:YlFYCHi+A

まあ……言いたいことは分かる。

言わないってことは相応の理由があるんやろうしな……

 

694:名無しの彼岸花 ID:zForfgK+V

言っちゃいけない決まり。とかもあるんかもしれへんしな……

今の楽しい時間を千束ちゃんから

奪いたくないってのもわからんでもない

 

695:名無しの彼岸花 ID:Yly+BOQep

そう考えるととりあえずこの件は保留でいいかもな……

 

696:名無しの彼岸花 ID:tOmp5L8il

せやな……

 

697:店員鈴蘭 ID:LyReBell

気を取り直して……

【画像】

【画像】

【画像】

我ら珍客三人衆や

 

698:名無しの彼岸花 ID:M2JhwHDXJ

 

699:名無しの彼岸花 ID:mo5u/fb2P

可愛い

 

700:名無しの彼岸花 ID:/TJoOg9/H

なにしとんねん

 

701:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんがちょっと落ち込んでたから

たきなちゃんが励まそうとお魚の真似したんや。

「さかなー!」って言ってたで。可愛かった。

千束ちゃんは「チンアナゴ~!」ってやってた。

 

702:名無しの彼岸花 ID:LXrZA2Qud

クッソ可愛いやんけ

 

703:名無しの彼岸花 ID:qk39twBil

イッチはなにしとんねん

 

704:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ペンギンじゃぼけ。クッソ恥ずかしかったわ

 

705:名無しの彼岸花 ID:sTP6KezlT

 

706:名無しの彼岸花 ID:MPHY6b34l

大草原

 

707:名無しの彼岸花 ID:kKTM6PdeV

まあイッチ成人した大人やしな……

 

708:名無しの彼岸花 ID:8f0IWC/+n

ママー!あの人何してるの?

 

709:名無しの彼岸花 ID:jc0roKjo5

しっ、見ちゃいけません!

 

710:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>708

>>709

やめーや、傷付くだろ

 

711:名無しの彼岸花 ID:fuBzEHD3+

めっちゃ効いてて草

 

712:名無しの彼岸花 ID:vrcjtNsiZ

気持ちは分かる。

 

713:名無しの彼岸花 ID:QqPQwTp5w

指差された時に見ちゃいけませんって言われるのきついよな……

 

714:名無しの彼岸花 ID:Uo0k5I7EX

まあ微笑ましいのはなにより

 

715:名無しの彼岸花 ID:pg5nwYILb

イッチも千束ちゃんもたきなちゃんも可愛いってことで

 

716:名無しの彼岸花 ID:mcnrLCOQ9

確かに可愛いのは可愛い

 

717:名無しの彼岸花 ID:OuK5n66Ze

イッチもなんだかんだ美形やしな

 

718:名無しの彼岸花 ID:r/iSJDeTW

様になると言えば様になる。

 

719:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

……違和感に気付いたやつらは挙手してくれ

 

720:名無しの彼岸花 ID:Ul7f597vN

イッチどうした?

 

721:名無しの彼岸花 ID:lKbcgFUxf

おん?

 

722:名無しの彼岸花 ID:10INplPyM

……なあこれ、リコリスの女の子多くね?

 

723:名無しの彼岸花 ID:j3xQRexgA

そういえば、千束ちゃんやたきなちゃんの制服とは色が違うけど

柄が一緒のベージュ色?っぽい制服の女の子たくさんいるな?

 

724:名無しの彼岸花 ID:7YGxzPJj3

……なんかあったんか?

 

725:名無しの彼岸花 ID:dhfzp2ykz

おいおい、この数相当やばない?

 

726:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイの予感当たったかもしれへん……

あれが予想通りならこんだけリコリスが居るのも納得できるんや

 

727:名無しの彼岸花 ID:qGaAp08rc

イッチ、それってなんや?

 

728:名無しの彼岸花 ID:0/SSenMjM

キリキリ吐いた方がええんとちゃうか?

 

729:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いや、まだ確証がないしそれに……

DA所属じゃないワイが動いても捕まるだけや。

今は千束ちゃんもたきなちゃんもリコリス制服じゃないから

銃を抜いたら普通にブタ箱行きやし動かれへん。

 

730:名無しの彼岸花 ID:SlItMo3C9

マジか。そんな罠が……分かってても動けないんはもどかしいな

 

731:名無しの彼岸花 ID:3srpdW20Z

イッチ、我慢しろよ。多分見捨てないといけない状況やこれ

 

732:店員鈴蘭 ID:LyReBell

分かっとる。たきなちゃんが動こうとしたけど止めた。

……地下鉄の駅閉鎖といい、完全になんかあったやつや。

 

733:名無しの彼岸花 ID:WPtCjArg/

……今のワイらは知らん存ぜぬが必要か。

 

734:名無しの彼岸花 ID:dKjorzGaH

なんかもどかしいな。助けにも行けないのは

 

735:名無しの彼岸花 ID:1tJ6STQla

しゃーない、下手に動いて場を混乱させるわけにもいかんしな。

 

736:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束の顔を曇らせる切っ掛け作った連中は

絶対ぶっ飛ばすから安心しといて

 

737:名無しの彼岸花 ID:f+nLiUhNi

呼び捨てになってて草

 

738:名無しの彼岸花 ID:k9iWuEV/y

イッチ割とマジギレしとる?

 

739:名無しの彼岸花 ID:9iYYEGdR0

まあ学生ぐらいの女の子が犠牲になるのはね……

 

740:名無しの彼岸花 ID:f8NVgQSZG

イッチ割と千束ちゃんガチ勢よな

 

741:名無しの彼岸花 ID:6bLMUh+z+

ガチ勢っていうよりもはや千束ちゃんに

危害を加えたやつは殺すってぐらいの逆鱗感はある

 

742:名無しの彼岸花 ID:HXUb5JjEl

イッチ、千束ちゃんのことめっちゃ大事っぽいしな……

 

743:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ今回は帰るほかないから帰るわ。

ほな……デートにしてはちょっと悲しい終わり方になったけど。

 

744:名無しの彼岸花 ID:Q1i4PbAU7

お疲れ様やでイッチ

 

745:名無しの彼岸花 ID:BAcPQ9qae

今日は休め

 

746:名無しの彼岸花 ID:V2OIRCufd

おつおつ。

 

747:名無しの彼岸花 ID:JqWu5kO9J

ゆっくり休んでイッチ

 

748:名無しの彼岸花 ID:ctmKX2Z96

今日はゆっくり休んで今後に備えるんやで

 

749:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そうするわ。ほな……

 

750:名無しの彼岸花 ID:mWlTnL1ci

おつー

 

751:名無しの彼岸花 ID:id5O46DsH

しかし、イッチも千束ちゃんも妙に不穏な空気があるな

 

752:名無しの彼岸花 ID:59ngMC/io

それな。たきなちゃんが

この三人の中じゃ一番マシ説あるのやばくない?

 

753:名無しの彼岸花 ID:5a//zbzct

ほんと、何事もなければいいんやけどな……

 

754:名無しの彼岸花 ID:LcVVR/9nV

イッチに全部頑張ってもらうしかないのがもどかしいな……

 

755:名無しの彼岸花 ID:NR8wyOuiF

せやな……

 

 

────

 

900:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【速報】千束ちゃん、何故かトランクスを履く【なにしてんの】

【画像】

 

901:名無しの彼岸花 ID:HlbkwDmxB

 

902:名無しの彼岸花 ID:cC0F/7ghQ

なにがあったし

 

903:名無しの彼岸花 ID:yBJQ0sZVF

千束ちゃんまで履いたら収集つかねえよww

 

904:名無しの彼岸花 ID:Q1kCkrICF

でも正直可愛い

 

905:名無しの彼岸花 ID:ggtYCmGdN

わからんでもない。

 

906:名無しの彼岸花 ID:TFvDLv+eK

羽交い締めにされて扇風機当てられてトランクス見せられてるの可愛い

 

907:名無しの彼岸花 ID:IIM3l8pr1

ほんと草

 

908:店員鈴蘭 ID:LyReBell

たきなちゃんがそれ見て笑ってるのクッソ可愛い

【画像】

 

909:名無しの彼岸花 ID:4JZbzW0b2

は?くそかわいいんだが??

 

910:名無しの彼岸花 ID:9W6+4G7zd

めっちゃ満面の笑みでかわいい

 

911:名無しの彼岸花 ID:xtjnel/Xa

普段見せない顔だから尚の事良い

 

912:名無しの彼岸花 ID:aX3qkBlLl

イッチばっかずりいぞ

 

913:名無しの彼岸花 ID:KXLM/dUOt

イッチほんま特等席やな。リコリコ通いてぇ……

 

914:名無しの彼岸花 ID:tltV36Bq6

わかる。ワイも通いたい。

 

915:名無しの彼岸花 ID:cTPyDuR+a

ところで今回イッチはどういう怒られ方したんや?

 

916:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんがワイの家に来たことにされて

ワイのトランクス履いてることにされました(半ギレ)

 

917:名無しの彼岸花 ID:JaUb6SO+J

 

918:名無しの彼岸花 ID:ccQuZJjCY

冤罪イッチ

 

919:名無しの彼岸花 ID:9noLUe2D+

昨日も冤罪受けてなかった?

 

920:名無しの彼岸花 ID:ExuK2q5x2

イッチは冤罪を受ける天才……ってコト?!

 

921:名無しの彼岸花 ID:f6IEF3QaA

わァ……!

 

922:店員鈴蘭 ID:LyReBell

んな才能クーリングオフしたいんだが?????

 

923:名無しの彼岸花 ID:328NfxIum

無駄な才能を得たイッチ

 

924:名無しの彼岸花 ID:O+F+FIbPy

アラン機関もこれにはお手上げ

 

925:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイを変な奴にするのやめーや。

いや、やめてくださいお願いします……

 

926:名無しの彼岸花 ID:rwauINuRL

切実で草

 

927:名無しの彼岸花 ID:m58IHubQb

イッチつよくいきて

 

928:名無しの彼岸花 ID:qXgvSlXwn

かわいそう

 

 




イッチ

冤罪かけられた男。無実である。
今日はデート(主に撮影担当)だった。
なんでトランクス……?

女子の下着選びはさすがに勘弁。


千束ちゃん

トランクス履いちゃったことで勘違いを呼んだ少女。
違うんです、あれたきなので棗のでもないんです。本当なんです。
しかし哀れなり、SNSでその姿は拡散される模様。

私の才能ってなんだろうね……?


たきなちゃん

トランクス本気で履いてた女の子
トランクスってそんなに変だったんですか……?

さかなー!って結構恥ずかしかったんですよあれ。


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Beauty is in the eye of the beholder.

リコリコの二次創作もたくさん増えてきてニコニコしてる日々です。
もっと増えろ……そしてもっとリコリコの良さを伝えるのだ……

今日はリコリコ9話の日です。
製作陣が揃いも揃ってやばいという回らしいので皆さん覚悟しましょう。

……怖いなぁ。




 パァン、と銃撃音がリコリコの地下に響く。

 千束、たきな、棗がそれぞれの銃を使い射撃訓練を行っていた。

 使用していた弾は千束が利用しているゴム製の非殺傷弾だったようで、

 その弾の欠点が露呈するように急所に一発もヒットしない有り様であった。

 

「なんですかこれ」

 

「私もぜんっぜん当たんない」

 

「……だからですか?」

 

 千束の困ったような笑みを見て、たきなはふと彼女の銃の構え方と戦闘スタイルを思い出す。

 Center(センター) Axis(アクシズ) Relock(リロック) System(システム)、通称C.A.R.Systemそう呼ばれる拳銃を斜めに構える特殊な構え方を活かした近接での射撃。それが錦木 千束の戦い方だった。

 

「そう! 近づけば、絶対当たる!!」

 

「私には無理そうですね」

 

 それもこれも、千束の驚異的な洞察力による弾避けあってこそ成立するものであり、少なくともたきなは自分には不可能だと判断した。

 

「この命中率では自分を守れませんから」

 

「右に同じく。千束の弾は当てづらくて仕方ないしな」

 

 弾を従来のものに変えるたきなと麻酔弾に変える棗。

 そしてすぐに実弾による射撃を行うたきな。

 

 結果は全弾中心へのヒット。

 

「すごいねたきな。機械みたいじゃん」

 

 千束の評価は正に言い得て妙だろう。ここまで正確に撃てる人間は珍しい。

 

「ま、実弾でそれだけ当てられたら急所以外を狙っての無力化もできるだろ。無理に俺や千束の使ってる弾を使わなくてもいいと思うぞ」

 

「急所を撃つのが仕事だったんですけど?」

 

「もう違う。でしょ、たきな?」

 

 呆れたように笑うたきなにニシシ、と笑みを返す千束であった。

 そしてふと……たきなは思い出したように棗の方を見る。

 

「そういえば」

 

「ん?」

 

「棗さんの麻酔弾(それ)も不思議ですよね」

 

「ああ、これか? 店長……おやっさんに頼んでな。

 ハッシュパピー対応用のを作ってもらったんだ」

 

「薬莢に工夫されてるんですね、それ」

 

「そ、極細の針がついた超小型の注射器を火薬でぶっ飛ばす。って感じなんだよ。

 相手からするとちょっと蚊にさされたかなぐらいの痛みしかないし……即効性があるわけじゃない。まあ、当たったら強烈な眠気に襲われる代物だけど」

 

「凄いですね……」

 

 改めて棗の使う麻酔弾が従来のモノと比較して最先端の技術を詰め込まれていることに感心を覚えてしまう。

 

「棗ってば不思議な道具いっぱい持ってるからねー、青い狸みたいに」

 

「誰が猫型ロボットだ。まあ、非殺傷で相手と戦う上で必要な代物だよ。全部な」

 

 時々不思議な道具を取り出したりする姿はまさに某猫型ロボットだろう。

 たきなはその一つなのであろう、デッキに置いてあるナイフを見る。

 

「そのナイフもですか?」

 

「そ、ナイフに偽装したスタンロッド。一見するとナイフにしか思えないようにしておかないと……相手を尋問することも、1人を盾にすることもできないだろ?」

 

「CQC、ですね」

 

「そ、近接格闘術。確実に殺せるってことを相手に理解させないと吐いてくれないしな」

 

 ただのスタンロッドであれば殺すつもりはないと相手にバレてしまい逆に不利になる。

 だからこそナイフへの偽装(カモフラージュ)なのだ。ある意味ではリコリスの制服と同じ用途であった。

 

「棗ってばたまにとんでもない動きするからねー、

 棗との近接戦になると私、()()()()()()()()()()()()()()

 

「あの時の棗さんの動きは確かに強烈でしたね……」

 

 ふと、配属されたばかりに受け持った護衛依頼の時の棗の動きをたきなは思い返す。

 驚異的な身体能力で制圧する姿は正しく無双という言葉が相応しいのだろう。

 

「人を怪物みたいに言うのやめない?」

 

「「いや、あれは怪物でしょ(いえ、あれは怪物と言っていいかと)」」

 

「えー……」

 

 二人のツッコミに少しばかりショックを受ける棗であった。

 

 

 ────

 

 

「なあああつぅうううめえええええ!!!」

 

 喫茶リコリコに、1人の少女の怒号が響き渡る。

 

「ぬぉうっ!? なんだ急にっ!?!?」

 

 千束が激昂した様子で駆け寄ってくるものだから、棗は焦って椅子から立ち上がった。

 

「ちょっと棗! あれ!! どぉいうことぉっ!!!? なぁんで、たきながトランクス履いてんのっ!? なんて誑かしたんだごらぁ!!!」

 

「はぁっ!? いやいや、待て待て待て!!! どういう事だ!? たきながトラ……はぁっ!?!?」

 

 身に覚えのないことで怒られた棗は困惑しながら千束に聞き返す。

 たきなの下着がトランクスだという衝撃的な内容なのだから当然ではあるが。

 

「すっとぼけないで!! 棗以外そんな事するヤツ居ないから言ってんの!!」

 

「いやマジで知らねえ!? どういうことだよ!? 俺なんもしてねえから!!」

 

「いーや絶対棗でしょ!! ねえ、たきな!! その下着棗に言われて履いたんだよねっ!!?」

 

「いえ……これは店長の指示で……」

 

「────え?」

 

「…………おい、千束」

 

 たきなに問いかければ、当の本人は棗ではなくミカの指示で履いたという。

 その言葉を聞いて信じられないといった顔をしながらギギギ……と棗の方を見る。

 当然彼は冷ややかな目で睨んでおり……

 

「あーえーっと……ごめんね?」

 

「よしそこ座れ」

 

「あ、ちょっ、棗さん? お顔が怖いですよ? ほら、スマイルスマイル?」

 

「ははは、俺は笑顔だぞ。何言ってんだ?」

 

「いやそれは笑顔とは言い難いというか!? 本能的な恐怖しか感じないやつだよ!!」

 

 説得を試みるも時すでに遅し。

 

「ふぎゃああああああっ!?」

 

 棗のアイアンクローが見事に頭に刺さった千束は、絶叫するのだった。

 たきなはそれを見ながら……笑顔とは本来、敵への威嚇に使うものだったと言われていることを思い出していた。

 

 ────

 

「で、どういうことだよおやっさん?」

 

「制服は支給するから下着を持参してくれとは言ったな」

 

「うん、まあそれはわかる。俺もそうだったし。自腹で買ってきたし?」

 

 たきなにもたれかかり涙目ですり寄る千束、その千束の頭をなでるたきな、

 問い詰める棗、答えるミカ。場は混沌としていた。

 

「なんで男物になってるかだよ、俺が聞きたいのは」

 

「どんな下着か分からなかったので……」

 

「「いやだからなんでそこでトランクスになってるのさ!?(トランクスになってるんだよ!?)」」

 

「いえ、店長が……」

 

「うん? ああ、好みを聞かれたからな」

 

「「やっぱ犯人先生じゃん!!(やっぱり犯人おやっさんじゃねーか!!)」」

 

 たきなの言葉に心当たりがあったらしく素直に答えるミカ。

 結論、たきなのトランクス騒動の元凶はミカだった。

 

「それが……これ履いてみると結構履き心地が良くてそれに開放的で……」

 

「お前のトランクスレビューは聞いとらんわ!?」

 

 たきなの感想に当然ツッコミをいれるのは棗だった。

 唯一の思春期男子。居心地の悪さと彼女の言葉の内容に気まずさしか感じていなかった。

 アイアンクローの痛みから復活した千束がそれを見かねて立ち上がり、ぺちん! と自分の頬をはたく。

 

「あーもう仕方ない!! たきな! 明日12時に駅に集合ね!!」

 

「仕事ですか?」

 

「違うわい!! パ、ン、ツ!! 買いに行くの!!」

 

 そう言って店から出ようとして……ふと思い出したように顔を覗かせる。

 

「あ、制服着てくるなよ? 私服ね、し、ふ、く! あとそこの棗!」

 

「そこのってなんだ」

 

「買い物ついてきて!!」

 

「………………は?」

 

 千束のその誘いに耳を疑ったのは棗だった。

 いきなり自分に振られるとは思っていなかったというのもあるが、女子の下着の買い物に付き添わされるかもしれないという現実を受け入れられなかったのである。

 

「……いや、いやいやいや!! おい待て千束!! なんで俺も付き添う必要がある!! 要らないだろ!?」

 

『荷物持ちじゃ!! どうせたきなのことだから他にも買ってないのありそうだし!!』

 

『それはいくらなんでもたきなに失礼だろうが!?』

 

 千束を追いかけて店を出ていく棗、遠ざかっていく二人の声を聞きながらたきなはミカの方を見る。

 

「指定の私服はありますか?」

 

「………………さすがにない」

 

 彼女の言葉に頭を抱えるように天井を仰ぎ見るミカであった。

 

 

 

 

 ────

 

 

 

 

 

地獄を見ている。血だらけの海を見ている。屍の山を見ている。

 

 ────ああ、いつものか。

 

 少年は、見慣れた景色をまた焼き付ける。

 その手はいつものようにに濡れている。

 

忘れるな。どうして殺した。なんで見捨てた。なんで守ってくれなかった。

 

 屍たちが、少年の身体に纏わりつく。

 そして彼の脚を掴み────

 

どうしてお前だけが生きている?

 

 ────血の沼に、引き攣り込む。

 

 そうしていつものように、少年は……立花 棗は目を覚ます。

 

「おはよ、随分魘されてたね。棗」

 

「……ちさと……か?」

 

 自室のソファの上で目を開けた先にあったのは、少女の……錦木 千束の顔だった。

 まだ寝ぼけているのか、棗は彼女が本物なのか問いかける。

 

「そうだよ~、君の千束です! すっごい酷い顔だけど大丈夫? なんか飲む?」

 

「……ああ……水くれ……のどが渇いてる」

 

「おっけ、じゃあゆっくりしててね?」

 

 そう言い、その場を離れる千束を見届けながらゆっくりと起き上がり、棗は思考をする。

 

「……いつまで魘されてた?」

 

「んー? えーっと、1時間前後かなー。それからすぐに目を覚ましたって感じ。はい、水」

 

「悪い、助かる」

 

「いいってことよ~!」

 

 千束から水の入ったコップを手渡され、ゆっくりと飲み干す。

 

()()()()()?」

 

「んぐ……まあ、な。いつものだよ。相も変わらず、変化のない悪夢だった」

 

「そっか……」

 

 そこで会話が途切れる。棗が見る夢を、千束はよく知っている。それが悲しい悪夢であることを知っている。それが棗の罪であることも知っている。

 だからこそ彼女はなにも触れない。ただ、そこで立花 棗にそっと寄り添うのだ。

 

「……買い物だろ、準備しなくていいのか?」

 

「ん~? まだちょっとだけここにいるつもり~」

 

「あっそ……」

 

 隣に座り……こてん、と頭を彼の肩に乗せる千束。それを鬱陶しそうにしながらも、棗は決して払わない。それが彼女の心遣いだと知っているから。

 

「棗、今日は休んどく?」

 

「いや……行くよ。荷物持ちはいた方がいいだろう?」

 

「でも……」

 

「問題ないよ、別に気分が悪いわけじゃないしな」

 

「ん……おっけ、じゃあ予定そのままにしとくね?」

 

 棗の言葉に渋々ではあるが、了承し千束は頷いた。

 

「千束」

 

「なに?」

 

「……そろそろ着替えるから、そっぽ向くか別の部屋行くかしてくれない?」

 

「えー、もうちょっとだけいいじゃんかよー!」

 

「よくねえわ。花も恥じらううら若き乙女の言葉じゃねえだろそれ」

 

 ぶーぶー、と訴える千束に棗は眉間に皺をよせて困った様子でため息を吐く。

 

「ちょっとだけ! ちょっとだけだから!」

 

「それはちょっとじゃすまない時のセリフだよ!!」

 

「ちぇー。棗のケチ」

 

「なにがだよ。ほら、さっさと行け」

 

「ぶー……早くしてね?」

 

「はいはい」

 

 千束の言葉を軽くあしらいながら棗は買い物の付き添いの準備に勤しむのだった。

 

 ────

 

 地下鉄の駅前でたきなを待ち青空をぼけーと見上げる棗とスマホを弄る千束。

 

「お待たせしました」

 

「お? お……おぉ……なんというか……独特なセンスだなお前」

 

「問題はないと思いますが……変でしょうか?」

 

「いやまあ……うん、かなり」

 

 棗はオブラートに包もうとしたが流石に無理だったのか目を逸らしながらそう告げる。そのぐらいたきなの衣服は変であった。まあ、普通のTシャツにジャージのズボンで来る少女ともなれば当然なのだが。

 

「まあそれはそうと……たきな、銃持ってきたな貴様?」

 

「ダメでしたか?」

 

 たきなが背負っている鞄がリコリス指定の鞄であることに気付いた千束は頭を抱えるように圧のある笑顔を浮かべる。リコリスの鞄ということはその鞄の中にあるのはマガジンと拳銃と弾丸である。

 棗もそれを察したようで頬を引き攣らせていた。

 

「抜くんじゃねえぞ?」

 

「……ところでお二人のその衣装は自分で?」

 

「衣装じゃねえ……」

 

「人の服を迷彩服みたいに言うなよお前」

 

 リコリスにとって服とは基本的に迷彩服のことだ。故にたきなからはそういう言葉が出たのだろうが少なくとも千束と棗の服は迷彩服ではないしただの私服である。

 

「一枚も持ってないの、スカート?」

 

「制服だけ、ですね。普通そうでしょう?」

 

「んーまあリコリス"は"そうだね」

 

「お前らも大変だな」

 

 千束とたきなの言葉を後ろから聞きながら棗はそんなことをボソッと呟く。

 

「棗はなかったのそういうの?」

 

「あ? あー……俺も制服だったし。私服もなかったな……なんなら着用も許されてなかった記憶がある」

 

「わぁお過酷ぅ」

 

「……棗さんは傭兵だったんですか?」

 

「……まあそんなところだ。いやまあお前らも似たようなもんだろ」

 

「それは確かにそうですね……」

 

 厳密には違うが、大雑把な括りで言えばリコリスの二人と棗に差異はなかった。

 とはいえ、棗は未だ正体をたきなにはぼかしているのだが。

 

「せっかくだしさ、たきなの服も買っていかない? 絶対似合うと思うんだよね!」

 

「まあ……素材はいいしな、お前もたきなも」

 

「素材言うな素材」

 

「……よくわかりませんが、お二人が選んでくれるなら」

 

「え、いいの!? よぉーし! テンション上がってきたーっ!」

 

「お前ほんと元気だな……」

 

 やっほー! とはしゃぐ千束を見ながら呆れた様子で棗は笑う。

 

「千束はいつもあんな感じなんです?」

 

「出かけるとあんな感じだ。子供っぽいだろ?」

 

「ですね。まあ、嫌いではありませんが」

 

「それは同意する」

 

 ────

 

「ねえ、これどう?」

 

「あー……たきな、一回着てみてくれ」

 

「分かりました」

 

 千束のチョイスを見ながらたきなに試着を頼み、試着後の印象を固めていく。

 

「おーこれも似合うね! それにさっきのも悪くないし……! ねえ、棗はいいのないの?」

 

「急に俺に振るな俺に。女性の衣装なんざ専門外だけど、

 そうだな……たきなの普段の印象と……色合いの感じから考えれば……これとかどうだ?」

 

 灰色のシャツと白いスカート、麦わら帽子をワンポイントにしたセットを手に取って棗は見せる。

 それをすぐに受け取ったたきなは即座に試着をして、くるりと一回転して披露する。

 

「どうでしょうか?」

 

「……おお、めちゃくちゃ可愛い……棗のくせにやるな」

 

「一言余計だ貴様」

 

 感心したようにたきなの姿を見つめる千束。確かによく似合っていた。

 

「……似合ってますか?」

 

「え!? あー……そうだな……」

 

 こてん、と首を傾けて棗に似合うかどうか聞いてくるたきな。

 まさかこちらに振られるとは思っていなかったのだろう、少し顔を赤くして言葉に詰まる。

 

「おや~? どうしたんですか棗さぁん? その反応、もしかしてたきなに見惚れちゃった?」

 

「はぁ!? 誰がだ!? 見惚れてねえよ!!」

 

「……やっぱり、似合ってませんか」

 

「いやそういう意味じゃねえ!! 似合ってる! めちゃくちゃ可愛いから!?」

 

 棗の照れ隠しを真に受けたたきなが少し落ち込んだために即座に否定し、彼女を褒める。

 それを聞いて帽子で目元を隠すように深くかぶりながらたきなは顔を赤くする。

 

「……ありがとう、ございます」

 

「え、なに。たきなさん? なんでそこで赤くなってるの? 棗??」

 

「いやまて俺なんもしてねえよ!?」

 

 何した貴様? といった表情で見つめてくる千束になんでだよ、と抗議する。

 

「あ、いえ……その……まじまじと男の人に見られて褒められるという経験が……ないので……すみません……」

 

「やっだたきなさんかわいい……」

 

 すごく可愛らしい理由だったことを知った千束は思わずそんなことを口に出していたのだった。その後、たきなの私服を買い終えて化粧品をチェックする千束。

 

「あ、そうだ! たきな、リップグロス持ってる?」

 

「あの千束……そろそろ本来の目的に戻りませんか?」

 

「え?」

 

 たきなにそう言われて一瞬の硬直が入り……思い出したのか、はっとした顔を浮かべる。

 

「そうだった、下着買いに来たんだった!」

 

「いや忘れんなや」

 

 棗のツッコミはごもっともである。そうしてランジェリーショップにやってきた三名。

 

「……じゃあ、俺は一旦適当に時間潰してくるわ」

 

「おっけー、じゃあ買い終わったら連絡いれるね」

 

「はいよ」

 

「? ……棗さんは来ないんですか?」

 

「行くか!? 誰が好き好んで女性用の下着の店に入らなきゃなんねえんだよ!?」

 

 きょとんと不思議そうに聞くたきなに棗は行くか!? と大声で拒否をする。

 さすがに成人済みの男性が歳の近い女子二人と下着を見にランジェリーショップに入るなど精神的な拷問に近い。それは流石に勘弁してほしいためか、棗は即座に否定しその場を去る。

 

「そんなに嫌なことなんでしょうか、ここに入るの」

 

「いやまあ……ふつーは入らないよ?」

 

 心底不思議そうな顔をするたきなに千束は困った様子で笑うのだった。

 

 そのままランジェリーショップ内の下着を見る千束とたきな。色んな色や模様があるため……千束は助け舟を出すように、たきなに問いかける。

 

「どう、好きなのあった?」

 

「好きなもの……を選ばなきゃいけないんですか?」

 

「へ?」

 

「それなら……仕事に向いているものが欲しいですね」

 

「ああ! 銃撃戦向けのランジェリーですか? ってそんなもんあるかぁ!!」

 

 たきなの言葉に乗っかりながら、そんなものはないときっぱり否定する千束。

 

「これ、悪くないんですけどね……通気性も良くて動きやすいですし……さすが店長だなと」

 

「いや先生がそんなこと考えてるわけないじゃん」

 

 どうせ自分が履いてるものか相手に履かせたいものだろ、と千束は当たりをつけてはぁ……と大きくため息を吐く。

 

「だいたいトランクスなんて人に見せられたもんじゃないでしょ?」

 

「……? パンツってみせるものじゃないのでは?」

 

「いざって時どうすんのよ」

 

「いざってどういう……?」

 

「…………」

 

 たきなの言葉に顔を赤くするのは千束であった。そのいざ、は彼女の口から言えるようなことではなかったのである。

 

 そしてなによりも。そのいざの相手に一瞬とはいえ棗の姿を思い浮かべてしまったのだから千束の心境は正常ではなかった。

 

(待って今なんで私棗の姿を連想しちゃったの!? いやいやいや、そんなわけないじゃん!! あんな生意気なヤツのどこが……ど、どこ……が……あ、あれ?)

 

 私をなんだかんだいつも気に掛けてくれる。(1HIT)

 いざって時は助けてくれる。(2HIT)

 不意にドキッとすることがある。(3HIT)

 一番歳が近くて気の合う男の子。(4HIT)

 甘えさせてくれる。(5HIT)

 たまにだけど一緒に寝たり引っ付くぐらいには心を許してる。(6HIT)

 本当に時々、彼の姿を目で追ってしまう。(7HIT)

 

(………………え、うそでしょ。私、ほんとに?)

 

 計7HIT、魔弾の射手もびっくりの的中数であった。

 

『いけない子だな、千束』

 

『だ、ダメだよ棗……』

 

 ほわんほわん、となんとなーくそんな姿を連想してしまったのか。千束は頭をぶんぶんと横に振ってその姿をかき消した。

 

「? どうかしましたか、千束?」

 

「うぅうう……! 知るかぁ!! ってちょぉ!?」

 

 悶々としている千束を見て埒が明かないと判断したのか、たきなは彼女の腕を掴んで試着室に連れ込む。

 

「え、なに……なんですかたきなさん??」

 

「千束のを見せてください」

 

「へぇ!?」

 

「見られて大丈夫なパンツか知りたいんです!」

 

「え、あ、いや、え……た、たきなさん?」

 

 しゃがみ込み、視線を千束の下半身に集中させるたきな。

 当然千束は困惑した様子で彼女を見る。

 

「早く!!」

 

「はいぃっ!!」

 

 たきなに急かされ大慌てで千束はショートパンツを脱いで下着をみせる。

 

「う……うぅ……」

 

「んー……? これが私に似合うかと言われると違いますね?」

 

 その柄と色合いを見ながら、首を傾げてたきなは千束の顔を見る。

 

「その通りだよ! なんで見せる必要があったの私!! 助けて棗!!!」

 

 ツッコミが追い付かない!! と切実な叫びをあげる千束であった。

 

 

 ────

 

ぶぇっくしょい!!? あ、すみません……」

 

 一方その頃の棗は、噂をされたせいか喫煙所で大きなくしゃみをしていた。

 

 ────

 

 

「これで、トランクスとはおさらば! 男物のパンツは全部処理するからね!」

 

「分かりました」

 

「じゃ、棗に連絡かけて……そのままおやつタイムだ!」

 

「目的は完遂したのでは?」

 

「完遂って、仕事じゃないんだからー!? 今日ぐらい付き合ってよー!! 

 あ、もしもしもしもし? 棗~? 聞こえる?」

 

『そんなもしもし言わなくても聞こえてるよ。終わったのか?』

 

 スマホで千束と棗が連絡を取り合う。

 

「そうそう、今終わったよー。店前で合流できる?」

 

『分かった、さっきの場所だな? ちょっと待って────』

 

「お? どした? ちょ、棗? もしもーし、聞こえてるー??」

 

 棗の声が急に遠ざかったことに疑問を抱いたのか、千束は何度か声をかける。

 

 ────

 

「あの緑の髪の男……どこかで……」

 

 棗は喫煙所から偶然見かけた緑のパーマをかけた髪の男性の姿に覚えがあったらしく周囲を見回す。

 しかし、その男の姿は既に人混みの中に紛れて追えなくなっていた。

 

『もしもーし、棗? 聞こえてんの~? おーい、今すぐ答えないと棗の恥ずかしい過去言っちゃうよ~?』

 

「おいまてこら。人の黒歴史を許可なく暴露しようとしてんじゃねえ」

 

『あー! でた! ちょっとー! 人が会話してるときに無視するのはどうかと思うんですけど!! レディーの扱いがなってなくない!?』

 

「うるせえな、出れなかったのは悪かったよ」

 

『……なんかあったの?』

 

「! なんでもねえよ。多分、気のせいだ」

 

 やはりというべきか、千束という少女はこういう時に鋭い。棗は彼女に気付かれないように極めて冷静に振る舞い、なんでもない。と告げる。

 

『ふーん、そっか。じゃあ店前にきてね? よろしく!』

 

「はいはい、分かりました」

 

 ピッ、と通話を切って棗は人混みの中を睨みつける。

 

(気のせいでなければ、あの男。俺は間違いなく知っている。どこだ、俺は……何処で会った?)

 

 靄がかかったように、思い出せない。

 ただ……なにか、嫌な予感がしたことだけは間違いがなかった。

 

 ────

 

「フランボワーズ&ギリシャヨーグレットリコッタダッチベイビーケーキと

 ホールグレイハニーカムバターウィズジンジャーチップスでお願いします!」

 

「いつ聞いても呪文にしか聞こえねえ……

 あ、コーヒーとフレンチトーストでお願いします」

 

「かしこまりました、少々お待ちください」

 

「名前からしてカロリーが高そうですね……」

 

 店員が注文を聞いて厨房の方に向かうのを見届けつつ、たきなは呆れたように千束を見つめる

 

「野暮なことは言わない。女子は甘いモノに貪欲で良いのだよ、たきなくん?」

 

「寮の食事も美味しいですけど?」

 

「あの料理長、元宮内庁の総料理長だったらしいよ?」

 

「は????」

 

 千束が軽く告げた言葉に棗は耳を疑うように見つめる。

 とんでもない情報だったからこその衝撃だったのだが。

 

「……それってすごいんですか?」

 

「いや凄いなんてもんじゃねえよ、マジの天皇陛下とかそういう人に料理振る舞う人だぞ」

 

「なるほど……確かにそれは凄いですね……」

 

 とんでもない名前が出てきたことにさすがのたきなも驚いていた。

 

「でもあの料理長、スイーツ作ってくれないからなぁ。永久にかりんとうだもん」

 

「私はあのかりんとう好きなんですけど……」

 

「そりゃたきなが転属組だからでしょ。10年もずっとかりんとうだと飽きるよ~?」

 

 その言葉は少しばかり実感がこもっていた。

 

「……わかる、俺も数年はずっとレーションだったからな。味が薄くてつらかった」

 

 こちらもまた実感のこもった感想であった。

 

「……今日は私が奢るからいっぱい食べよ、棗」

 

「急に優しくすんなよ、泣いちゃうだろ」

 

 食べ物の恨みは恐ろしいとは言うが、食べ物による哀れみでは人は慈悲深くなれるのだろう。そんな姿を体現した千束であった。

 

「お待たせいたしました、ご注文の三品でございます」

 

 ことん、と注文したスイーツとフレンチトースト、コーヒーが三人の机の上に置かれる。

 

「おほー!! 美味しそぉ~!!」

 

「これは間違いなく糖質の塊ですね……」

 

「たきな!!」

 

「あいたっ」

 

 ゴツン、と野暮なことを再び発言したたきなに頭突きを喰らわす千束。

 

「人間一生で食べられる回数は決まってるんだよ! 全ての食事は美味しく楽しく幸せであれ!」

 

「美味しいのは良いことですがリコリスとして余分な脂肪はデメリットになりますよ」

 

「その分走るし大丈夫! それだけの価値がこのスイーツにはあるんだよ! んむ、おいひぃ~!」

 

「脳筋かよお前」

 

 頬を綻ばせて美味しそうにケーキを頬張る千束を見ながらコーヒーを啜ってフレンチトーストを食べる棗。口では呆れるように告げつつも、フレンチトーストを頬張る姿は童心に帰った少年そのものであった。

 

「ほらほら、たきなも食べなよ~!」

 

Comment puis-je(ここで店員を呼ぶには) appeler le greffier ici? (どうすればいいんだっけ?)

 

Voyons voir(えーっとたしか)……ゴチソウサマ?」

 

「……ちょっと聞いてくる」

 

「はいはーい」

 

 二人の外国人の客が困っているのに気付いた三人。誰かに言われるまでもなく棗は席を立ち、二人の外国人客に話しかける。

 

Qu'est-ce qui se passe?(どうしました?)

 

Toi,(あなた) tu comprends la langue!?(言葉がわかるの!?)

 

Oui,(ええ) peut-être un peu(少しなら)

 

Juste à temps! (ちょうどよかった!) Je ne savais pas comment commander(注文の仕方が分からなかったんだ). Pouvez-vous m'aider?(助けてくれるかな?)

 

Oui,(はい) j'ai compris(構いませんよ)

 

 後ろでフランス語で流暢に話す棗を眺めて、たきなは意外そうな顔を浮かべる。

 

「棗さんも凄いんですね」

 

「ああ見えて結構……色んな言葉喋れるっぽいよ、棗」

 

「意外ですね」

 

「でしょ~?」

 

 千束は自分のことのように、ドヤ顔をしながらそう告げていた。

 

「あむ……美味しい……」

 

「でしょぉ~!?」

 

 パクリと一口、パンケーキを食べて出たたきなの感想にもまたグイグイといきながらドヤ顔をしていた。

 

(たまには、こういう時間も……悪くないのかもしれませんね……)

 

「あ、たきな! 棗! 食べ終わったらいいところ行くから忘れないでね~!」

 

「はいよー」

 

 千束が手を振ってそう告げたのを聞きながら棗は軽く返事を返す。

 そんな仲睦まじい姿を見つめて、疑問に思ったのかフランス人の男性が棗に質問をする。

 

Ce sont vos deux petites amies?(あの二人は君のガールフレンドかい?)

 

「「!?」」

 

「ぶっ!? Non, monsieur!?(違いますよ!?)

 

 フランス語で恋人かと聞かれてさすがに動揺する千束とたきな。二人もまたフランス語が分かるため顔を赤くして棗のいる方向を向いてしまった。当然、棗も大慌てで否定していたが。

 

Non? (違うのかい?) Je pense qu'ils seraient bien assortis(お似合いだと思うんだけど)

 

Ils sont trop bien pour moi,(私には勿体ないぐらい) ils sont trop séduisants(魅力的な二人ですよ)

 

Oups,(おっと) c'était grossier(それは失礼したね). Merci de m'avoir aidé(助けてくれてありがとう)

 

De rien(どういたしまして)

 

 そうして席に戻ってきた棗であったが……

 

「……なんだよ」

 

「いえ、別に……」

 

「な、なんでもないよ!?」

 

 しばらく気まずそうに三人で顔を赤くして逸らすのだった。

 

 

 ────

 

「……いい所って、ここですか?」

 

「綺麗でしょ〜? 私好きなんだよねえ」

 

「いやふつーに水族館じゃねえか」

 

 到着したのは水族館であった。棗はだろうな、と思いながら苦笑する。

 

「ここにはよく来るんですか?」

 

「ふふーん、年パスゥ~。気に入ったらたきなもどうぞ?」

 

 どや顔で水族館の年間パスポートを見せる千束。随分と気に入っているのが伺えた。

 

「棗さんは?」

 

「……こいつに買わされたから持ってるよ」

 

「棗ってば年パス持ってるのに全然来ないじゃん? こういう時にでも来て元を取らなきゃ? ね?」

 

「俺はそんなに行かねえって言ったのに無理矢理買わせたのお前だろうが!?」

 

「てへ?」

 

「てへじゃねえ!」

 

 舌を出して可愛い子ぶる千束にうがー! と怒る棗であった。

 実際、彼は基本的に外に出かけることがほとんどないため、年間パスポートがあってもそんなに行く機会がないのだ。

 

「タツノオトシゴって魚なんですね……」

 

「マジで? ウオだったのかこいつ……」

 

「この姿になった合理的な理由があるんでしょうか……」

 

「ご、合理……え? 理由?」

 

「なにかあると思いますよ」

 

「生命の進化の謎ってやつだな……」

 

 タツノオトシゴを見て意外な知識を身に着けたり、

 

「これも魚なんですね」

 

「ああ、チンアナゴな。名前の通りアナゴの仲間みたいだけど」

 

 砂から顔を出してゆらゆらと揺れるチンアナゴの群れを眺めるたきなと棗。

 

「ところで千束はなにを?」

 

「ん? チンアナゴの真似!」

 

「人が見てますよ、目立つ行動は控えた方が……」

 

「どうして?」

 

「どうしてって……私たちはリコリスですよ?」

 

「制服を着てない時はぁ、リコリスじゃありませぇん!」

 

「……はぁ」

 

「だとしても公衆の面前でやるな公衆の面前で」

 

 千束の言葉はその通りなのだが、視線が集まるのはそれはそれで気まずいものがあるのだ。

 

「そういえば、千束はあの弾。いつから使ってるんですか?」

 

「ん~? どうしたのさ急に?」

 

「旧電波塔の時ですか?」

 

「そうだよ~、あのとき先生に作ってもらったんだ」

 

「そうだったのか」

 

 棗もそれは初耳だったらしく、驚いた様子で千束を見る。

 

「あれ、棗にも言ってなかったっけ?」

 

「いやふつーに聞いてねえな」

 

「あ~……それはごめんね?」

 

「まあ別に怒ってないしいいけども」

 

「……なにか、あの弾を作ってもらったことに理由が?」

 

「なぁに~? たきなぁ~、私に興味あるの~?」

 

 たきなと棗が座っていたソファに同じように腰かけて千束はニヤニヤとたきなを見つめる。

 

「まあ……タツノオトシゴよりは」

 

「チンアナゴよりも~?」

 

「……茶化すならもういいです」

 

「あーん、ごめんってたきなぁ~! じょーだん冗談! 

 でもまあ理由って言っても凄く簡単だよ? ただ、気分が良くないからだし。

 誰かの時間を奪うのは気分が良くないから、それだけだよ」

 

「気分……ですか?」

 

「そ、気分。悪人にそんな気持ちにされるのは

 もーっとムカつくから、死なない程度にぶっ飛ばす! 

 あれ当たるとめちゃくちゃ痛いんだよ~? 死んだ方がマシって思えるぐらい!」

 

「まあ基本当たらんけどな」

 

「そこ、うっさい!」

 

 棗の注釈にピシッと指を差してむくれる千束。実際彼は、千束の弾を全弾避けた実績があるため言い返せなかっただけである。

 

「ふふ……」

 

「なんだよぉ? 私、そんなに変なこと言ったぁ?」

 

「いえ、もっと博愛的な理由かと思っていたので。千束は謎だらけですね」

 

Mysterious(ミステリアス) girl(ガール)!? そんな魅力もあったか私~」

 

「ハッ」

 

「あ、棗! 今鼻で笑ったな~!? うちで一番謎めいてるくせに~!」

 

「……そういえば」

 

 一番リコリコで謎めいている人物といえば、隣に座る立花 棗その人だ。

 そのことを思い出したたきなはふと、棗を見た。

 

「……言っとくけど、そんな教えることないぞ? 俺も非殺傷弾に変えたの、千束と同じで嫌だったからってだけだし」

 

「……そうなんですね、意外です」

 

「悪かったな、意外で」

 

「いえ、でも……優しい棗さんらしいとも思います」

 

「う……そ、そうか……」

 

 クスリ、と微笑むたきなに不意をつかれたのかドキッとして棗は顔を逸らす。

 

「お? なに~? 棗くぅん、たきなちゃんに褒められて嬉しかったのかなぁ?」

 

「うっせえ」

 

「あいたぁ!? デコピンはすんなデコピンはぁ!?」

 

 カウンターとばかりに額を指で弾かれた千束はぶーぶー! と棗に抗議する。

 

「ま……こいつの場合は、俺以上に難しい話じゃないしな。覚えてるだろ、こいつの座右の銘」

 

「……『したい事、最優先』?」

 

「お、たきなも覚えてるねぇ?」

 

 座右の銘を覚えていてくれたことに千束は嬉しそうに笑う。

 

「DAを出たのもそれが理由ですか?」

 

「ほへ?」

 

「殺さないだけなら、DAでもできたのでは?」

 

「あー……それ、かぁ……」

 

「それも、そうしたいと思った……それだけなんですか?」

 

「えーっと、それは……」

 

 千束は顔を逸らして言いよどむ。

 

「────探したい人がいるんだよ、コイツ」

 

「あ、ちょ! 棗ぇ!」

 

「探したい人……ですか?」

 

「そ、コイツの命の恩人ってやつ。知ってるだろ、アラン機関。

 そこの人なんだよ、コイツが探したい人は」

 

「いやー……あはは……」

 

 棗に言われて少し恥ずかしそうに隠していた()()()()()を千束は見せるのだった。

 

 

「……確かに、ニュースになっているアランチルドレンの人たちがつけているモノと同じですね……千束には何の才能が?」

 

 たきなはスマホでアラン機関に関するニュースを調べながら不思議そうに首を傾げる。

 

「わからなぁい?」

 

「「それじゃねーな(それではないのは分かりますね)」」

 

 後ろの壁にあるポスターと色っぽいポーズをとる千束に対して即座に否定する二人であった。

 

「むぅ……たきなと棗は自分の才能が何か分かるの?」

 

「いえ……何かあればいいとは思いますけど」

 

「ね、ふつーはそんな感じでしょ?」

 

「……少なくとも、たきなの射撃のセンスは技術を磨いたのも含めて才能だし、千束の弾を避けるのも、誰かを笑顔にできるのも才能だと俺は思うが」

 

「お、おお……珍しいね、棗がストレートに褒めるの」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 手放しでの賞賛に思わず千束もたきなも照れくさそうに頬を赤く染める。

 

「……もう絶対褒めねえ」

 

「あーうそうそ冗談だって! 褒めてくれて嬉しかったよ~!」

 

 千束の言葉に、棗はムスッと拗ねるようにメロンソーダを飲む。

 ごめんってばー! とあやすように千束は棗に謝罪をする。

 

「それで、見つかったんですか? これをくれた人」

 

「んー、全然かな」

 

「10年も探して?」

 

「……もう、会えないかもね。ありがとう、って言いたいだけなんだけどさ」

 

 寂しそうに水槽を眺める千束を見て、複雑な顔を浮かべるたきなと棗。

 とくに棗は、千束の会いたい人にだいたいの当たりを付けているからこそ何とも言えない顔になっていた。

 

「……お、たきな? どうした?」

 

「……さかなー!」

 

 千束の悲しそうな顔を見て、励まそうと思ったのかたきなは立ち上がって不思議なポーズ……魚の真似をする。

 

「お、おぉ……! さかなか~! ふふ、チンアナゴ~!」

 

「何してんだお前ら」

 

 千束もたきなに合わせるように先ほどのチンアナゴのものまねをし始める。それを見て棗は呆れた顔をしていると……

 

「ほら、棗も!」

 

「え、まて俺はいいって」

 

「ほーら! はやくはやく!」

 

 千束に腕を引っ張られて、隣に立たされる。

 

「ほら、ほーら!」

 

「あーもう、ペンギン! クワッ!」

 

「ぶふっ……! に、にてないっ……!」

 

 絶望的に似ていなかったのか、千束はツボにハマったらしく腹を抱えて爆笑しはじめる。

 当然そうなれば棗はぷるぷると顔を赤くして震え……

 

「おまっ!? せっかくやってやったのになんだその言い方ァ!!」

 

「あいたた、ごめんってー!!」

 

 千束を裸絞にしてこめかみを拳でグリグリとする。しかし本気で怒っているわけではないようで、千束も棗もお互い笑い合いながらじゃれついているようにしか見えていなかった。

 

「ふふ……! それ、隠さない方がいいですよ?」

 

「おん?」

 

「ほえ? そう?」

 

 たきなの言葉を聞いてするりと拘束を解く棗。

 

「ええ、めっちゃ可愛いですよ?」

 

「あー! コイツゥ! ほら、棗に台無しにされたけどペンギン島に行くぞー!」

 

「ペンギンッ♪」

 

「おー。っておい、今のどういうことだ千束! こら!!」

 

 ペンギン島にウキウキしながら向かう千束とたきな。それを棗は見守るように微笑み……ふと、千束の言葉の意味を問い詰めるように走って追いかけ始めるのだった。

 

 

 ────

 

 

「いやー遊んだ遊んだ! ……って、ん?」

 

「……ん? どうした千s……たきな」

 

「はい、リコリスがこんなにいるのは……少し妙ですね」

 

 デパートでの買い物も終わり、夕日が沈みかけている黄昏時に外に出た三人。しかし、その三人にとっては紛れもない違和感を見つける。

 リコリスの数だ。一般人にとっては放課後にいる女子高生がいつもより多いなという認識程度にすぎないのだろうが、千束、たきな、棗にとってはこの数はあまりにも異常だった。

 

「……まさか……悪い、ちょっと先行ってる」

 

「あ、ちょ。棗!」

 

「追いかけましょう、千束!」

 

「うん! ってちょっと二人とも待ってよ~!!」

 

 棗が荷物を持ったまま走っていく姿を見て、千束とたきなは追いかける。

 そして走った先の駅……昼に待ち合わせに使っていた場所が封鎖されていた。

 

「……ビンゴか」

 

「はぁ……はぁ……棗さん……あし、はやいです……」

 

「ぜぇ……ぜぇ……こっちは、なつめほどあしはやくないの……わすれないでよ……」

 

 棗の全速力に追いつこうと必死だったからか、千束とたきなは息切れを起こしながら呼吸を整える。

 

「あ、すまん……それより、見ろ二人とも」

 

「……! あれ、は」

 

「ぜぇ……ぜぇ……はぇ? え、うわ。駅閉鎖されてんじゃん!?」

 

 棗の視線の先を見た二人は驚愕した様子をみせた。当然だ、駅が封鎖されていればそういうリアクションにもなるだろう。そしてなにより……

 

「あの黒服、DA管轄だな?」

 

「おそらくは……数人ですが、見覚えがあります」

 

「マジ? じゃあ……」

 

「地下にはテロリスト、ってところか」

 

「「…………」」

 

 棗の言葉はあながち間違いではないのだろう、千束とたきなも駅の方向を見て表情を硬くする。

 その直後のことだった。

 

 大きな爆発音のようなものと同時に地面が揺れ、駅入り口からは土煙が噴き出はじめた

 

「っ!?」

 

「これ、爆発ッ……!?」

 

 当然、周囲の住民はパニック状態に陥り場が混沌としていく。

 

「ッ……!」

 

 その混乱に紛れて、棗は現場に向かおうとするが千束に腕を掴まれて妨害される

 

「ダメだよ棗ッ! 今行ったら棗がこの騒動の原因の1人と勘違いされて殺されちゃう!」

 

「けど……!」

 

「わかってる……分かってるから……ね? お願い、今は……帰ろ?」

 

「! ……悪い、冷静じゃなかった」

 

 その手が震えていることに気付き、もどかしいと感じているのは自分だけでないことを棗は察する。

 

「……千束、棗さん」

 

「ごめんね、たきな。……帰ろ? ほら、制服じゃないと私たち逮捕されちゃうし……戦利品もいっぱいあるから、ね?」

 

「……はい、わかりました」

 

「すまない、千束……」

 

「ううん、大丈夫だから気にしないで、棗」

 

 それぞれがモヤモヤとしたものを抱えながら、リコリコへの帰路につくのだった。

 

 

 ────

 

「ハイ捨てます! 捨てます! これも! はい、これも!」

 

 翌日の朝、千束は宣言通りに更衣室のたきなのロッカーにあったトランクスをゴミ袋のなかに入れて処理していく。

 

「これも捨て……」

 

『これいいんですよね、通気性も良くて動きやすいですし……』

 

 ふと、千束はたきながランジェリーショップで言っていた言葉を思い出す。

 それはきっと、魔が差した。というやつだろう。

 

「お……おぉ……これは……なかなか……!」

 

 そう、トランクスを履いたのである。そうするとどうか、意外と履き心地が良くちょっと気に入りかけた千束。くるくると上機嫌に小躍りしていると────

 

「千束~? サボってないd────」

 

「あ、いや、えっとこれはその」

 

 更衣室にやってきたミズキに見られ、少しの間時が止まる。

 

いやああああああ!! ハレンチィイイイイイッ!?

 

「わああああ!! 違う違う違う誤解だってえええ!?」

 

 ミズキの勘違いによる絶叫と共に千束もまた悲鳴を上げる。

 

「棗くんのところに泊まってきたなさては!? 私への当てつけか貴様ぁ!!」

 

「違う違う違うちが! いや一昨日(おととい)は違わないけど!!」

 

「ほらやっぱり!!!」

 

「あああ! 違うってぇ!! 棗は関係ないしぃいい!!」

 

「ガキのくせに不潔よ不潔! 不純異性交遊!!」

 

 ミズキに裸絞にされて抵抗する千束。それをちょうどお店にやってきたたきなと棗が何事かと見つめる。

 

「違うこれたきなの! たきなのだから!!」

 

「ふーん!?」

 

 千束のその言葉にミズキは眼鏡を光らせて、急接近する。

 

「え、あのミズキさ────」

 

「ぶっ!!??」

 

 ぺらり、と制服のスカートを捲られ下着のチェックをされるたきな。

 

「可愛いじゃねえか」

 

「いやだからそれは昨日買ったやつでぇ……!」

 

 再び千束の方へ向かってお仕置きを再開するミズキ。

 当然捲られたたきなは思考を停止させたまま顔が少しずつ赤く染まっていく。

 

「…………た、たきなさん? おーい?」

 

 ぶんぶんとたきなの目の前で手を振る棗。その手を見てはっ、とした後に再び羞恥心に苛まれたのか、たきなは顔を赤くし棗を見る。

 

「み……みました……?」

 

「ヴェッ!? ああ、いや見てはないぞ、ウン……」

 

「白の下着……」

 

「え、いや黒の……あっ」

 

 白、と告げるたきなにあれ見た色と違う……と思わず棗はツッコミを入れてしまったことでボロを出す。

 

「やっぱり見たんじゃないですか……!」

 

「アッ、イヤ、エット……不可抗力ですすみませんでしたァ!!」

 

 顔を真っ赤にして涙目で睨むたきなにさすがにいたたまれなくなった棗は全力で土下座をかました。

 

「あ、ちょっとミズキどこに────」

 

「みなさーん! このお店に裏切り者の嘘つき野郎がいますよお!!」

 

「うああああああああ!! ひぃいい、やめろやめろやめろぉ!!」

 

 ミズキのチクりを阻止しようと大慌てで捕まえようとする千束。

 

「ひらりっと、いらっしゃいませー」

 

「うぉおおお!!? やめろぉ!!?」

 

 しかし、それを華麗に躱したミズキは逆に千束を捕まえて、スカートを捲り彼女が履いているトランクスを見せびらかす。

 

「クルミ! 扇風機持ってきて!」

 

「はいよー」

 

「はい、確保!!」

 

「ちょ、何する気ってうぉあああ!? なんじゃこれぇっ!?」

 

 ミズキに羽交い締めにされ、クルミの持ってきた扇風機で風を当てられスカートを捲られる。簡易マリリン・モン□ーの完成であった。

 

「うひぃいい!? こんな辱め受けるぐらいならいっそころしてぇ……!」

 

「ほれ、たきなの団扇ね」

 

「え、私もするんですか!!?」

 

 クルミに団扇を手渡されて困惑するたきな。

 

「ほれほれ」

 

「ちょいちょい! ちょーい!!」

 

「見ました皆さーん? 男物の下着ですよぉ?」

 

「だからたきなのだから! だいぶ前に先生の指示で────」

 

「幼いくせにやる事やったハレンチめ!」

 

 ミズキと千束、クルミのやり取りを見てじわじわとツボに入ったのか、たきなは普段はしないような満面の笑みで爆笑する。それに釣られて棗もまた腹を抱えて爆笑しはじめる。

 

「ふ……ふふふ……あははははっ!!」

 

「く、くく……はははははっ!」

 

「ややこしい人に捕まっ……だから違うんだってえ!! 

 棗もたきなも笑ってないでたーすーけーてーよぉー!!」

 

 千束は必死に助けてを求めてくるが、二人とも爆笑して聞こえていない様子だった。




立花 棗

買い物に付き合わされた冤罪男。
実は色んな言語を喋る事が出来るやべーやつ。
下着は特に拘りははない。
ブリーフでもトランクスでも構わない。

時々だが、千束とは家に泊まったり泊まられたりする関係。
しかし付き合ってはいないし恋愛感情は(多分)ない。

未だ覚めない悪夢を見ている。


錦木 千束

たきなと棗とダブルデート!
いざって時を棗くんで連想して困惑中。
……もしかして本当に私って棗のこと好き?

トランクスで冤罪をくらった。
私のじゃないんです!!本当だから!!

ただ貴方の隣で支えられたらいいな。


井ノ上 たきな

多分元凶。しかし自覚はない。
天然が入ってるんじゃないかってぐらいにはポンコツ要素が多い。
トランクス……意外と快適だったんですけど……

男の人に褒められたりする機会があまりなかったらしく
ちょっと恥ずかしかったらしい。

最近下着を見られることの羞恥心を会得した。
……棗さんに見られてしまいました。


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【護衛】相変わらず報酬うま味【ふたたび】

最新話がやばかったので初投稿です。

曇ってる千束ちゃんが見たいとは言ったけど……わりぃ……やっぱつれえわ……



拙作では千束ちゃんは助かると思うので安心してください。はい。


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

てなわけでまた護衛任務や

 

2:名無しの彼岸花 ID:BO/SoNT3O

イッチ護衛任務多くない?

 

3:名無しの彼岸花 ID:7f17iZx4B

わかる

 

4:名無しの彼岸花 ID:Qk1c3/9DC

もうSPとかボディーガードやった方が良さそう

 

5:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ殺さないで戦う任務って言ったらこうなるから許してくれ

 

6:名無しの彼岸花 ID:NqFbjqUg5

それはそう

 

7:名無しの彼岸花 ID:BNBTUJVAZ

そうでもない依頼って猫探しとかコーヒー豆宅配とか

日本語教室とか子守りとかの普通な感じやもんな

 

8:名無しの彼岸花 ID:4RGvQmk0S

シンプルだし語るようなもんも少ないしな

 

9:名無しの彼岸花 ID:kKOM9XwIo

今度の護衛任務も報酬美味いって話らしいけどどんなもんなん?

 

10:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>9

大企業の重役さんからの依頼やから報酬の羽振りもやばいって感じやね

 

11:名無しの彼岸花 ID:qThQmEfo3

はえー、そんなところからも依頼受けるんかイッチ

 

12:名無しの彼岸花 ID:gUQErJXqg

大企業の重役ってだいたい騙して悪いがしてきそうなんですがそれは

 

13:名無しの彼岸花 ID:W1hQ7lR9X

この手の世界ってそういうのザラにあるよね……イッチほんま大丈夫なんか?

 

14:店員鈴蘭 ID:LyReBell

今のところクルミちゃんからは白だろうって話は出てるけど

確実性がないから警戒しとけってワイには連絡寄こしてくれたわ。

今回、その辺は千束ちゃんとたきなちゃんは勿論、おやっさんやミズキさんにも伝えない予定。

守るべき対象を疑わせるわけにはいかへんからね

 

15:名無しの彼岸花 ID:niSL5/0RR

まあ、せやな。

 

16:名無しの彼岸花 ID:qtDlQpysU

しっかり護衛せなな。

 

17:名無しの彼岸花 ID:raun1c86s

つまりイッチとクルミちゃんだけ何かあった時に動く予定か

 

18:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやね。もし相手が黒だって分かったらワイとクルミちゃんは別行動や。

その辺の情報もしっかり精査してくれるらしいから

表向きは千束ちゃん達と護衛してくるわ。

まあ護衛って言っても観光デートなんですけどね

 

19:名無しの彼岸花 ID:PS4bhdVKx

は?????

 

20:名無しの彼岸花 ID:VJVQ3TrwS

イッチ???????

 

21:名無しの彼岸花 ID:5QQ3PXczV

貴様また百合の間に挟まるか

 

22:名無しの彼岸花 ID:sFRGzavaH

やはり処すべき

 

23:店員鈴蘭 ID:LyReBell

今回は護衛対象もいるからノーカンでーす

残念やったなおまいら。それにその護衛対象さん

難病患ってるからその辺の補助もせなあかんし

 

24:名無しの彼岸花 ID:CEgW7ZlQM

マ?

 

25:名無しの彼岸花 ID:lNH6MjTk5

大変やな……

 

26:名無しの彼岸花 ID:OJ6TTvUWm

ちなみにイッチ、その護衛対象の人の難病ってわかるんか?

 

27:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あー、えーっと確か『筋萎縮性側索硬化症』やったかな?

筋肉が瘦せていって手足は勿論、

喉や舌、呼吸に必要な筋肉が動かなくなっていく難病やで。

正確には神経障害の一種で感覚機能とか

視聴や聴力、内臓機能も健康なままなんやけど重症だと視界とかもダメになったりするらしい。

治療法も確立できとらんし、原因も解明できてないらしいな

 

28:名無しの彼岸花 ID:qEM2lyFCy

サンガツ。めちゃくちゃやばい病気やな……

 

29:名無しの彼岸花 ID:+BsXWkSfs

なんでわざわざ観光を?

 

30:名無しの彼岸花 ID:LGnNAYVqP

それ、そんな難病でしかも企業の重役とか絶対狙われるやろうに

 

31:店員鈴蘭 ID:LyReBell

余命宣告受けたらしい。

それに、家族も殺されてるってのも聞いたからもしかすると……

 

32:名無しの彼岸花 ID:giZ42BL/J

最後に復讐か……

 

33:名無しの彼岸花 ID:WgwLTO/uQ

それをイッチ達に押し付けるのはなんかなあ……

 

34:名無しの彼岸花 ID:KMgmJ6bMA

それ。千束ちゃんとたきなちゃんも巻き込むなって話よな。

 

35:名無しの彼岸花 ID:gN/VMfUpJ

でも受けた以上はこなすしかないんやろ?

それに千束ちゃんもイッチも非殺傷弾使っとるし大丈夫やろ

 

36:名無しの彼岸花 ID:ss/komSMq

せやな……

 

37:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあその時はその時や。吉と出るか凶と出るかはわからんけど

千束ちゃんやたきなちゃんに殺しはさせへんよ

 

38:名無しの彼岸花 ID:Ew7kIn9av

イッチたまに頼もしいよな

 

39:名無しの彼岸花 ID:yvgeh3B3V

それな。

 

40:名無しの彼岸花 ID:vd3NccACX

なんだかんだ頼りにはなるんだよなぁ……

 

41:名無しの彼岸花 ID:s5G/oKJr2

なまじ身体能力とか諸々人間やめてるスペックしてるせいで

有言実行はできるしな……

 

42:名無しの彼岸花 ID:MAkyUijuO

イッチが暴走したら手を付けられなさそうではあるけど

 

43:店員鈴蘭 ID:LyReBell

人の事を人外扱いすんのやめーや。

最近千束ちゃんやたきなちゃんにもそう言われ始めててショックなんだが?

 

44:名無しの彼岸花 ID:+Lyz04Ffn

 

45:名無しの彼岸花 ID:hYu1KuNT/

いや草

 

46:名無しの彼岸花 ID:ZmDCQCt+V

大草原

 

47:名無しの彼岸花 ID:MbUG3gjOG

公認とはたまげたなぁ……

 

48:名無しの彼岸花 ID:o8FkXZrb8

やはりイッチは人外

 

49:名無しの彼岸花 ID:m4ZuSwTO8

身体にナノマシン埋め込まれてるとか言われても疑わん

 

50:名無しの彼岸花 ID:97UilVpZS

あらゆる衝撃を吸収するナノマシン!?

 

51:名無しの彼岸花 ID:3IykqrN/8

お、上院議員か?

 

52:名無しの彼岸花 ID:zOPP4Mld2

そこらのひ弱な政治家とは鍛え方が違いそう

 

53:名無しの彼岸花 ID:tstvdibdi

まーた雷電を右ストレートで殴ってるよ

 

54:名無しの彼岸花 ID:r7AeCUplR

また雷電がボコられてる……

 

55:名無しの彼岸花 ID:NZoa+ZfaK

雷電をこれ以上虐めるのはやめてさしあげろ

 

56:名無しの彼岸花 ID:r4FMHa3hk

だって公式が雷虐しとるし……

 

57:名無しの彼岸花 ID:Nxf5FkcVb

それはそう。

 

58:名無しの彼岸花 ID:PvClfZoke

タイムパラドックス!!

 

59:名無しの彼岸花 ID:lMI9V2ewm

雷電また時間旅行してる……

 

60:名無しの彼岸花 ID:rfDQeRX+U

これ以上雷電くんを不憫な扱いにするのはやめてさしあげろ

 

61:店員鈴蘭 ID:LyReBell

おまいら雷電好きやな……ワイも嫌いじゃないけど

 

62:名無しの彼岸花 ID:ng6zq3D2R

そりゃなんだかんだメタルギアシリーズの主人公の1人だし……

 

63:名無しの彼岸花 ID:k/Rwclui7

メタルギア好きはスネークも雷電も好きでしょ

 

64:名無しの彼岸花 ID:oAfPsaV1D

サイボーグな忍者とか刀で銃弾を弾くやつとか

二つ名とかメカメカしいバイザーとか嫌いなやつおらんでしょ

 

65:名無しの彼岸花 ID:cgzZH9Mlo

そうだよ

 

66:名無しの彼岸花 ID:1uAztG8oq

雷電は見た目からしてロマンの塊だからな……

顔もいいし……

 

67:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ雷電談義はこの辺にしてワイは明日に備えるわ。

ほな……

 

68:名無しの彼岸花 ID:CdqJp7pmj

おつおつ

 

69:名無しの彼岸花 ID:g6pYBy2q2

イッチおつかれー

 

70:名無しの彼岸花 ID:Easqt+0hu

おやすみイッチ

 

71:名無しの彼岸花 ID:w/bexxOKM

そういえば最近安価してないなイッチ

 

72:名無しの彼岸花 ID:w5lakwfUG

それどころやなさそうやしな……

 

73:名無しの彼岸花 ID:iioXcb0iO

下手に安価してやらかすわけにはいかんからやろな

 

74:名無しの彼岸花 ID:jEUmlVgAm

まあ千束ちゃんやたきなちゃんの安全優先してたら安価は無理か

 

75:名無しの彼岸花 ID:a+oCiRHMs

しゃーない

  

 

────

 

214:店員鈴蘭 ID:LyReBell

というわけで東京観光や。

【画像】

 

215:名無しの彼岸花 ID:S8mrozT38

お?これは隅田の方の水上バスか?

 

216:名無しの彼岸花 ID:lHwaFjsJc

はえー綺麗。ワイ都心住みやないけどこういうの見ると一回は行きたいってなるわ

 

217:名無しの彼岸花 ID:L9LpW4Yci

わかる、綺麗よな

 

218:名無しの彼岸花 ID:h1Nu403h+

しっかし、相変わらず目立つな……折れてるスカイツリー

 

219:名無しの彼岸花 ID:Uhsx3yB6X

それな。

 

220:名無しの彼岸花 ID:uGzqP3IYw

派手に折れてるもんなぁ……

 

221:名無しの彼岸花 ID:VadBqzXOF

イッチと千束ちゃんがあそこにいた

テロリスト制圧したって言うんやからすごいことよな……

 

222:名無しの彼岸花 ID:YU2nNzkr6

しかも当時だとまだ小学生とかそこらでしょ?

やばいな……

 

223:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ、ワイも千束ちゃんも当時から優秀組ではあったからな。

千束ちゃんは言わずもがなだし。

 

224:名無しの彼岸花 ID:aHG/P5qn/

まあ身体能力人外と弾避けのやベーコンビだもんな……

 

225:名無しの彼岸花 ID:qIqW9JSpx

チートがすぎる

 

226:名無しの彼岸花 ID:JWfILgYa6

まあそのぐらいやばくないと二人とも死んでるような環境に置かれとるし……

 

227:名無しの彼岸花 ID:LITkfoB4a

うーん闇。

 

228:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

 

229:名無しの彼岸花 ID:YKNZhE2pL

あら^~

 

230:名無しの彼岸花 ID:CzV2NIPA1

おほ^~

 

231:名無しの彼岸花 ID:2G9k6uzoa

いいですわよ^~

 

232:名無しの彼岸花 ID:XHHrXLfmV

いやなんで千束ちゃんの胸を触ろうとしてんだたきなちゃん

 

233:名無しの彼岸花 ID:zbdxGzdHD

百合の波動にやられたんでしょ

 

234:名無しの彼岸花 ID:uJKJGdmFr

ほんまか……?

 

235:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ああ、これは千束ちゃんの心臓の鼓動を確かめようとしてるたきなちゃんやで

 

236:名無しの彼岸花 ID:WXwVaaR6A

鼓動……?

 

237:名無しの彼岸花 ID:05aR2uEq/

なんで?

 

238:名無しの彼岸花 ID:eRVZT40Ur

なにがあったん?

 

239:名無しの彼岸花 ID:dgsZWFlEr

え、千束ちゃん一回死んだ?

 

240:店員鈴蘭 ID:LyReBell

死んでないわ。千束ちゃん、人工心臓だから鼓動がないんや。

 

241:名無しの彼岸花 ID:WGBS0mzOM

は??????

 

242:名無しの彼岸花 ID:JTwKbO9//

え???????

 

243:名無しの彼岸花 ID:NVaCnP96L

マ???

 

244:名無しの彼岸花 ID:5F+PrSSfq

だからイッチそういうのは早く言えって????

 

245:名無しの彼岸花 ID:H6maEmepH

人工心臓ってやばくね??

現代日本で再現できる技術やないぞ???

 

246:名無しの彼岸花 ID:/8o9fLSCb

ペースメーカーが精一杯なのに……

 

247:名無しの彼岸花 ID:8FKairgRX

機械の心臓とかマジ???

 

248:名無しの彼岸花 ID:sijWnCPyU

マジでイッチ世界見た目以上に医療技術発展してんの!?

 

249:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやで。アラン機関のおかげって感じやな

千束ちゃん、心臓の鼓動聞こえへんな、とか感じないなーとは気付いとったけど

まさか人工的に作られた心臓やとは思ってなくて

さっき聞いては????ってワイもなったわ。

 

250:名無しの彼岸花 ID:2nXqEpRRJ

そういやアラン機関に支援されたアランチルドレンには

医療従事者や科学者とかもおるんやったな……

そりゃそれぐらいはできるか……

 

251:名無しの彼岸花 ID:G8jmlFfTT

イッチ初耳やったんか

 

252:名無しの彼岸花 ID:4rtZ4Q7G3

待ってほしい、なんでイッチは千束ちゃんの心臓の鼓動の事は知ってるんだい?

 

253:名無しの彼岸花 ID:jEhsukKt4

イッチ???

 

254:名無しの彼岸花 ID:+By2T+AJU

お前もしかしてヤることヤったんか???

 

255:名無しの彼岸花 ID:smeiE0roH

犯罪

 

256:名無しの彼岸花 ID:6TfHiVuLH

イッチを処せ

 

257:店員鈴蘭 ID:LyReBell

人をロリコンみたいに言うな。

最初の安価の時に千束ちゃんをCQCで裸絞めにしたんや。

そん時にあれ、なんか心臓の鼓動感じないなってなっただけや。

 

258:名無しの彼岸花 ID:qPh5gdc83

なに女の子裸絞めしとんねん

 

259:名無しの彼岸花 ID:o8rInVwOd

変態か?

 

260:名無しの彼岸花 ID:fUd+dHkR9

まあMGSでカエル兵にみんなホールドアップからのセクハラするし……

 

261:名無しの彼岸花 ID:BGeAy5VPL

それはそう。

 

262:名無しの彼岸花 ID:EnXre6clP

確かにするわ。ワイが間違ってたわイッチ

 

263:名無しの彼岸花 ID:WmGhbzfjn

 

264:名無しの彼岸花 ID:F7wNbLgLA

変態どもが代……

 

265:名無しの彼岸花 ID:pwFQwySRO

国辱歌にするな。

 

266:名無しの彼岸花 ID:JWJfGEC4W

だが待ってほしい、それは心臓の鼓動を感じないというだけだ。

なんで心臓の鼓動聞いたことがあるんですか???

 

267:名無しの彼岸花 ID:7xa3ZqW6N

名探偵おるな???

 

268:名無しの彼岸花 ID:sWyL+07YW

ここのスレ民たまに鋭いヤツいるのなんなん???

 

269:名無しの彼岸花 ID:pgqxVQk5b

イッチ???

 

270:名無しの彼岸花 ID:79sBodfuE

キリキリ吐け

 

271:名無しの彼岸花 ID:hTnb7CLQt

自首すれば罪は軽くなるぞ?

 

272:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ッスゥー……何度か……千束ちゃんと同じベッドやお部屋で寝た事があります……

その時に聞かせてもらった事がありました……

 

273:名無しの彼岸花 ID:EBxwCNwEb

はい死刑

 

274:名無しの彼岸花 ID:iPdU5mwHJ

絞首刑か?射殺刑か?電気椅子か?

何でも好きに選んでいいぞ?

 

275:名無しの彼岸花 ID:fUKI8xQQ7

いやそれはちょっと許されへんし???

 

276:名無しの彼岸花 ID:I2XJKwhtP

お前がなー!千束ちゃんとなー!寝床を共になー!!ゆるさーん!!

 

277:名無しの彼岸花 ID:tpR09AtQU

お前それは千束ちゃんに対して責任とって嫁に貰わなきゃあかんやろ

 

278:名無しの彼岸花 ID:LGGrXg+uY

ヤってなくても何度も夜を共に過ごしてる時点でアウトや。

罪を償って結婚して末永く爆発しろ?

 

279:名無しの彼岸花 ID:Tc8uo4OIS

イッチさぁ……

 

280:名無しの彼岸花 ID:APCYYfksf

マジで罪深いなコイツ……

 

281:店員鈴蘭 ID:LyReBell

待って待って。さすがにそういう関係やないねんって!!

しかもワイみたいな男絶対千束ちゃんとは不釣り合いやろうが!!

こちとら転生者で人殺しやぞ!?

 

282:名無しの彼岸花 ID:QT3PF6QzT

んまあ……それはそうね

 

283:名無しの彼岸花 ID:rK/UUNGi/

イッチの考えてることも分からんわけではないけどね

 

284:名無しの彼岸花 ID:S2sOtpzkb

ワイらはどうしても死生観狂っとるしなぁ。

一回死んだ弊害ってのもあるんやろうけど。

 

285:名無しの彼岸花 ID:t0YDcZYgR

それで知り合い悲しませるとかやったことワイもあるわ……

 

286:名無しの彼岸花 ID:M/SYkL8cs

千束ちゃん泣かせたくないってのは分かるけどなあなあにするのは違うでイッチ

 

287:名無しの彼岸花 ID:OfMAQiS17

せやな。どっかでちゃんと千束ちゃんと話して答え見つけなあかんと思うで

 

288:店員鈴蘭 ID:LyReBell

うぐ……まあ、そうやな……

そういうこと、もし千束ちゃんから言われたら

ちゃんと答えられるようにするわ……

でも、千束ちゃんのこれが恋心とは限らんし……

兄みたいに慕ってるだけかもしれへんからさ……

 

289:名無しの彼岸花 ID:mco0DCpT1

ヘタレイッチさぁ……

 

290:名無しの彼岸花 ID:U7Ji3gAKP

まあ勘違いやったら怖いのはそう。

 

291:名無しの彼岸花 ID:eKm+9tTyk

イッチも案外ガード硬いタイプとみたし

これは千束ちゃんが押し倒す勢いで行くのを見守るしかないな。

 

292:名無しの彼岸花 ID:0H1XkLqNT

たきなちゃんがどっちも奪っていくパターンは存在しますか?

 

293:名無しの彼岸花 ID:tJNHzb2OW

するでしょ。

 

294:名無しの彼岸花 ID:heEJXltpD

たきなちゃんハーレム……ってコト?!

 

295:名無しの彼岸花 ID:4H63h9eEP

わァ……!

 

296:名無しの彼岸花 ID:Mpt/4d9oE

それはそれであり。

 

297:名無しの彼岸花 ID:E5VuiE52u

百合には挟まってるわけではないしな、ヨシ!

 

298:名無しの彼岸花 ID:w3/bu/lI0

NTRでもない純愛なのでヨシ!

 

299:名無しの彼岸花 ID:+acb9lt4p

本当にヨシですか?

 

300:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ヨシ!ちゃうわ。

あと載せ忘れてた雷門の所で撮ったやつ

【画像】

【画像】

 

301:名無しの彼岸花 ID:E7o6tuzyO

かわいい。

 

302:名無しの彼岸花 ID:bf5sby3BD

射的全弾ヒットさせてウキウキ千束ちゃんくそかわいい。

 

303:名無しの彼岸花 ID:sSa3go2Il

護衛対象の人?がひょっとこのお面被らされてるの笑う

 

304:名無しの彼岸花 ID:0y6tNLKrl

めっちゃメカメカしいな……

 

305:名無しの彼岸花 ID:c5KW0meQz

これがないと生きていけないってことなんやろな……

 

306:名無しの彼岸花 ID:G7wmKq4lJ

このレベルなら確かに余命宣告くらってるっていうのも納得はできるな……

 

307:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちょい待ち

 

308:名無しの彼岸花 ID:+wikDEgay

イッチ?

 

309:名無しの彼岸花 ID:057vnZYjM

お、どうした?緊急事態か??

 

310:名無しの彼岸花 ID:CwNcSisUF

大丈夫か?

 

311:店員鈴蘭 ID:LyReBell

護衛対象狙ってるのベテランのガチ暗殺者っぽい。

 

312:名無しの彼岸花 ID:a/vCDhriu

マ???

 

313:名無しの彼岸花 ID:mQMDgbYb6

ちょ、それ大丈夫なんか?

 

314:名無しの彼岸花 ID:m6YChyNVf

少なくとも大丈夫やないやろそれ

 

315:名無しの彼岸花 ID:fuBXqEcUO

やばくね?

 

316:店員鈴蘭 ID:LyReBell

やばいなんてもんじゃない。おやっさんが15年前まで一緒に仕事してた本物や。

コードネームはSILENT。サイレント・ジンや

 

317:名無しの彼岸花 ID:SKKyrwrDx

ジン!?

 

318:名無しの彼岸花 ID:GL2E8VT27

ジンってあの黒ずくめの無能でお馴染みの!?

 

319:名無しの彼岸花 ID:U6I5l/yw7

お医者さんの方かもしれへんやろ!!

 

320:名無しの彼岸花 ID:/qQlRNXSL

それはタイトルがJINなだけなんだよなぁ……

 

321:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

どれでもないわ。これがジンや。

 

322:名無しの彼岸花 ID:64MATJ8/h

思ったより中華してる

 

323:名無しの彼岸花 ID:OiqfBmfxc

浪川大輔声で喋りそう。

 

324:名無しの彼岸花 ID:ZauZ11RXc

お?エルメロイか?

 

325:名無しの彼岸花 ID:f6so1ysW+

二世です(半ギレ)

 

326:名無しの彼岸花 ID:es6ECIVeY

でもベテラン傭兵だったミカさんの知り合いってのはだいぶやばいな。

イッチ大丈夫なんか?

 

327:店員鈴蘭 ID:LyReBell

大丈夫ではないからワイは一旦二人と別れてジンに接敵予定や。

逃げるまでの時間稼ぎやな

 

328:名無しの彼岸花 ID:0NjOTNuav

気を付けろよ?

 

329:名無しの彼岸花 ID:MeHbhPcU8

相手相当やばいんやろ?

 

330:店員鈴蘭 ID:LyReBell

分かっとる。おまいらの知恵も貸してくれな

 

331:名無しの彼岸花 ID:d8cesN1/5

しょうがねえなぁ

 

332:名無しの彼岸花 ID:5Es8dyuoC

貸し1つやぞイッチ

 

333:名無しの彼岸花 ID:NbqPQT+v2

まあ千束ちゃんたち危険には晒せないもんな

 

334:店員鈴蘭 ID:LyReBell

やばいミズキさんと連絡とれなくなった

 

335:名無しの彼岸花 ID:pqfUNx/I0

は???

 

336:名無しの彼岸花 ID:Lm1WiHs7F

ちょ、マジであかんやつやんけ

 

337:名無しの彼岸花 ID:MOM4/Yp/G

おいおいおいおいほんとにダメなヤツだろそれ!?

 

338:名無しの彼岸花 ID:++vBGI0lJ

イッチ!!

 

339:名無しの彼岸花 ID:mhbWfSDYn

なんとかせな!!

 

340:店員鈴蘭 ID:LyReBell

分かってる、今迎撃に向かってる。たきなちゃんもこっちに合流するらしい

 

341:名無しの彼岸花 ID:Wy0mWl1Mz

死ぬなよマジで、イッチ!

 

342:名無しの彼岸花 ID:VWHnihDxE

お前だけが頼りなんやからな!?

 

343:店員鈴蘭 ID:LyReBell

クソが!相手防弾のコート着込んでる!これじゃあ俺の銃もたきなの銃も効果がない!

 

344:名無しの彼岸花 ID:nfF/Siise

落ち着けイッチ

 

345:名無しの彼岸花 ID:0qibrycf4

こういう時こそ冷静に立ち回れ

 

346:名無しの彼岸花 ID:d4RqydO0u

焦んなよ?

 

347:店員鈴蘭 ID:LyReBell

……すまん、ちょっと落ち着いたわ。

やっぱおまいら居てくれて助かるわ。こういう時に激昂しないで済む

 

348:名無しの彼岸花 ID:EGCuKLZf2

ええんやで。

 

349:名無しの彼岸花 ID:cR5gQkhmY

気にすんなイッチ

 

350:名無しの彼岸花 ID:Dt3cFtj4K

ジンはどうなった?

 

351:店員鈴蘭 ID:LyReBell

今たきなちゃんと追ってる。

千束ちゃんと護衛対象の松下さんから引き離す作戦や。

 

352:名無しの彼岸花 ID:KEWrge9iN

まあそれが一番優先か

 

353:名無しの彼岸花 ID:zzxJvgcC3

相手から引き離すしかないわな。

 

354:名無しの彼岸花 ID:QU6koeEOx

マジで緊迫した状況やな……

 

355:店員鈴蘭 ID:LyReBell

やられたクソが。

ミズキさんがコートにつけてた発信機に気付いたっぽい。屋上で脱ぎ捨てて姿眩ましてる。

 

356:名無しの彼岸花 ID:S4CpT9af7

おいおいおいおい

 

357:名無しの彼岸花 ID:x36YYsfGo

イッチそれは急げ!!

 

358:名無しの彼岸花 ID:EqyHPfzvJ

次に狙われるのは護衛対象と護衛中の千束ちゃんやぞ!?

 

359:店員鈴蘭 ID:LyReBell

今たきなちゃんと二手に分かれて千束ちゃんの方に向かってる!

間に合ってくれ!

 

360:名無しの彼岸花 ID:KDiKnLAlX

イッチ走れ!

 

361:名無しの彼岸花 ID:OdWdbFDxv

イッチ!!

 

362:名無しの彼岸花 ID:WTX1k3Mr7

マジでやばいぞ

 

363:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まずいジンが千束ちゃん狙っt

 

364:名無しの彼岸花 ID:afu+SHa8u

イッチ??

 

365:名無しの彼岸花 ID:/KIlgdYdQ

おい、イッチ!?

 

366:名無しの彼岸花 ID:mJmTKoa1+

イッチ!そこで途切れるのはアカンて!

 

367:名無しの彼岸花 ID:rd3qJuodG

これマジでアカンやつじゃないんか!?

 

368:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ライブ機能がONになりました

『ゲホッ……いっつ……た、きな……だいじょうぶ、か……?』

 

『……な、んとか……助けてくれてありがとうございます……』

 

『それ、より……はやく、離れるぞ……ジンは多分……まだ生きてる』

 

『いっ……了解、です……』

 

369:名無しの彼岸花 ID:e6H6CvVfS

ライブ機能が急にONになっとる

 

370:名無しの彼岸花 ID:4gVXY4BHx

これあれやな、勝手になる機能?みたいなのがあったはず。

確かスレ主がやばい時とかに他のスレ民が手を貸せるように。

 

371:名無しの彼岸花 ID:XxIKKMyxR

ちょ、それマジでやばいやつやんけ。イッチ大丈夫じゃないってことやろ?

 

372:名無しの彼岸花 ID:i1c5oRSA9

見た感じ上から落ちたんか?

 

373:名無しの彼岸花 ID:cPkGxbs2l

多分そうや……ってイッチ後ろ!?

 

374:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『ッ!』

 

『棗さっ!?』

 

『走るぞ、たきな!』

 

『……はいっ!』

 

375:名無しの彼岸花 ID:9IAAiVVA4

イッチ!!

 

376:名無しの彼岸花 ID:8uRn1NMYj

今普通に銃弾掠ってなかったか!?

 

377:名無しの彼岸花 ID:Qrz9T8wx4

千束ちゃんはよ来てくれ

これ下手するとイッチかたきなちゃん死んでまうぞ

 

378:名無しの彼岸花 ID:kHP9CHGu2

なんだこの煙!?

 

379:名無しの彼岸花 ID:I+YgSmcME

多分イッチが手に持ってたスモークグレネードや。

目くらましはできるけどほんの数秒しかない

 

380:名無しの彼岸花 ID:cFoVofGSU

その間に遮蔽物に逃げ切れたらいいんやけど工事中の場所っぽいし厳しいか?

 

381:名無しの彼岸花 ID:xMlqXwFE3

平地よりは遮蔽物があるといえばあるけど場所が限られ過ぎてる

 

382:名無しの彼岸花 ID:fyJcseQvn

あ、やば。たきなちゃんが脚撃たれた!?

 

383:名無しの彼岸花 ID:CyjnFaruV

貴重な美少女の太ももになんてことを!?

 

384:名無しの彼岸花 ID:mNplLZbGJ

イッチ?

 

385:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

縺ゅ>縺、繧偵%繧阪

 

386:名無しの彼岸花 ID:KKRJ5MQjn

イッチ!?

 

387:名無しの彼岸花 ID:2VqN/k2ma

おい、イッチ!?!?

 

388:名無しの彼岸花 ID:QtGGFS9cp

どうした!?

 

389:名無しの彼岸花 ID:hJMxEIrLO

イッチ!!!

 

390:名無しの彼岸花 ID:■■■■■■■■

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立花 棗

怒りは怪物を呼び覚ます。

今の彼に他人の言葉は届かない。


錦木 千束

人工心臓だったサイボーグ系ヒロイン。
活躍はちょっとあとなんじゃ。

怪物を止められるのは彼女だけ

井ノ上 たきな

脚を撃たれたヒロイン。

棗……さん……?

あなたは本当に……人なんですか?


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Secret maneuvers

今月最後の投稿です。

少し棗くんの事が分かるかもしれません。


先日は日間ランキング5位まで行ってました。ありがとうございます。
ランキングに入るとすごくモチベになるので
評価やお気に入り登録をしていただけるととても励みになります。
勿論感想やここすきもモチベになるのでいただけると嬉しく思います(感想評価乞食男)


「あ」

 

「……あ」

 

 それは本当に偶然の事故だった。

 たまたま、棗がリコリコの店内にある風呂を上がったところでたきながそれに気付かず洗面所に座布団カバー等を持ってきた。本当にそれだけだったのだ。

 

「ご、ごめんなさいっ!!」

 

 ピシャーン! と勢いよくドアを閉めるたきな。

 事故だったとはいえ棗の裸を軽く見てしまったのは彼女としても恥ずかしかったらしい。顔が真っ赤であった。

 

「あ、あの……もう……大丈夫、ですか……?」

 

「……いいぞ、もう服は着たし」

 

「ほ、本当にすみませんでした……私の不注意で……」

 

「いいよ、俺も伝え忘れてたのが悪かったし。お相子だ、たきな」

 

「はい、あ……ありがとうございます……」

 

 ドアを開けて頭を下げたたきなだったが、棗に気にするなと言われて恐る恐る頭を上げる。

 そうして彼女はふと違和感を覚え……すぐにその正体に気付く。

 

「あれ……棗さんって、そんな髪と目でしたっけ……?」

 

「うん? ……ああ、そういえばたきなやクルミには()()言ってなかったっけ」

 

「ボクがどうかしたのか、棗? って、おや? なんかいつもと雰囲気が違うな?」

 

 名前を呼ばれてひょこ、っと顔を出したクルミもまた棗の姿を見て首を傾げる。

 そう、立花 棗の姿が普段の金の髪と赤い瞳ではなかったことに違和感を覚えたのだ。

 千束によく似た髪と目をしていたはずが、今の彼は真逆と言っていいような見た目だった。

 白い髪がくすんだような灰色に、蒼い瞳……声を知っていなければ立花 棗だとは気付けないほどの変貌だった。

 

「……これな、こっちが地毛と本当の目だよ。二人が見てたのは俺の変装だ」

 

「そうだったんですか? なんだかいつもと違うので新鮮ではありますけど……」

 

「ああ、訳アリってのは以前言っただろ? そのせいでな、俺はちょっと面倒事に巻き込まれてるんだ。

 だから表を出るには顔がバレちゃいけなくてさ。その為に変装してるんだよ」

 

 棗は鏡の前でカラーコンタクトを入れなおしながらそうぼやく。

 彼は嘘は言っていない。事実、組織を追われているし顔を見られるわけにはいかないのだ。

 

「それならそうと……言ってくれたら良かったのに……」

 

「それを知ったら、少なくとも来た当初ならお前絶対俺を撃ってただろ」

 

「……どうでしょう?」

 

「そこですっとぼけようとすんな、おい」

 

 たきなは少しばかり心当たりがあったのか軽く顔を逸らしながらすっとぼけた。

 が、その隣でうーんと首を傾げるクルミを見て彼女はきょとんとする。

 

「クルミ、どうかしたのですか?」

 

「いや……なんか、裏社会じゃ有名なヤツに……棗みたいな容姿のヤツが居たような気がしてな……」

 

「そんなヤツいるのか? だとするとよっぽど運がないな。俺も面倒事に巻き込まれてる分人の事は言えないけどさ」

 

「名前は分かっているんですか、その人物」

 

「うん? ああ、たしか……灰色の切り裂き魔とか言われてたはずだ」

 

「灰色の……? なんだか聞き覚えがあるような……」

 

 クルミの告げた人物のことをたきなは聞いた覚えがあるのか、はて……? と首を傾げる。

 

「……そうか、そんな物騒なのが居たんだな。俺は初耳だ」

 

 二人揃って首を傾げていたからか……棗の表情に少し陰りが見えたことに、気付くことはなかった。

 

 

 ────

 

 

「というわけで! 今回の依頼内容を説明しま~す!! とっても楽しいお仕事ですよ~!」

 

「ミズキさんが説明しないのですか? 私、もう把握してますけど……」

 

「今回やたらと張り切ってんのよ、コイツ」

 

「好きにさせてやれ、こうなったら止まらんの知ってるだろ、たきな」

 

「まあ、そうですけど……」

 

 二階でクルミとVRゴーグルをつけてゲームをしていた棗がたきなに話しかける。

 彼女もまた千束の人となりをある程度理解してきているからこそそこには同意していた。

 

「ちょいちょい、ちょい。そこ! 私語は慎む!! あとそこのリスと棗! ゲームしてない!?」

 

「聞いてるよ~」

 

「同じく」

 

 棗とクルミが聞いていると告げたことで満足したのか咳払いをして依頼内容を語り始める千束。

 

「んん"! 依頼人は72歳、男性で日本人。過去に妻子を何者かに殺害されて自分も命を狙われたためにアメリカに避難していて、現在は筋……き、きんい……?」

 

「筋萎縮性側索硬化症。全身の筋肉が痩せていく難病だ。今も治療方法は見つかってない病気だよ」

 

「おお……棗のくせに凄いこと知ってんな?」

 

「一言余計だ」

 

 千束の驚いた様子に睨み付けるように噛みつく。しかし、ゴーグルをつけているため睨んでいるとは気付かれてはいなかった。

 

「ということは、自分では動けないのでは?」

 

「その通り! それで、去年余命宣告を受けたことで最期に故郷の日本、それも東京を見て回りたいって!」

 

「観光……というわけですか?」

 

「そうそう、泣ける話でしょ~? 要するに、まだ命を狙われている可能性があるからBody(ボディー) guard(ガード)します!」

 

 千束はえっへんとどや顔を浮かべながら説明を終える。

 

「何故命を狙われているのかは分かっているんですか?」

 

「それがさっぱりなの。大企業の重役で敵が多すぎるのよ~……特定は無理ね。最速でも一週間は掛かっちゃうし。まあその分? 報酬はたっぷりだから安心していいわよ~?」

 

 たきなの疑問に答えたのはミズキだった。つまりは、要人警護のようなものである。

 それをこのメンツで守るというのも些か不自然ではあるかもしれないが政府公認の組織であるDAが絡んでる部署である以上できないわけではない、というのも事実であった。

 

「まあ日本に来てすぐに命を狙われるってことはないと思うけど、依頼人も念には念を、ってやつだろう」

 

「観光に行く場所はこっちで決めていいって話らしいから、私がばっちりプランを考えまーす!」

 

「それなら旅のしおりでも作ってしまえばどうだい?」

 

「それだ! Nice(ナイス) idea(アイデア)! クルミ!」

 

 クルミの鶴の一声に指を鳴らして目を輝かせる千束。

 急遽決まったその案により、東京観光のしおりがしっかりと作られることになった。

 

 

 ────

 

 翌日、依頼人の到着の連絡がついた千束とミカが代表して出迎える。

 

「お待ちしておりました~! って、あ……」

 

「……遠い所から、ようこそ」

 

『少し、早かったですかね? 楽しみだったもので』

 

 そう告げる老人の姿は痛ましいというほかになかっただろう。

 車椅子に乗り、人工呼吸器をつけて目にはおそらく視力を補うゴーグル……聞こえてくる声は機械で作られたものだった。

 難病だということが一目でわかる深刻さであった。

 

「あ、いえ! 準備ばっちりです! 旅のしおりも完璧です!」

 

「……千束、データで渡そうか、それ?」

 

「はえ? ……あっ」

 

 クルミの言葉にきょとんとしつつ、しっかりと作られたしおりを持ったまま依頼人……松下という男性の手を見てはっとする千束。

 そう、既に彼の手は使い物にならない。紙のしおりすら持つことができないのだ。

 

『助かります。……あとはこの方達にお願いするので下がってもらっても構いませんよ』

 

 松下は、道中まで警護を担当していた黒服のSPにそう告げて下がらせた。

 

『今や機械に生かされている身です、おかしいと思うでしょう?』

 

「いえいえ、そんな事ないですよ! ()()()()()()()()! ここ、に!」

 

 松下の言葉を否定しながら、千束は胸の心臓のある辺りに手を置いてハートマークを作る。

 

『ほう? ペースメーカーですか?』

 

「いえ、()()()()()()()()()()

 

「え?」「────は?」

 

 千束の口から出た言葉に困惑するのは棗とたきなであった。

 その表情から、知っていなかったことが伺えた。

 

『人工心臓……ですか』

 

「まあ、あんたのは毛でも生えてるんでしょうけど」

 

「機械に毛は生えないっての……!」

 

「え、あの……今のどういう!?」

 

「よーし、しおりのデータできたから送るぞー」

 

『おお、助かります』

 

 クルミのタブレットから転送されたデータを松下は確認したのだろう。感謝の言葉を告げる。

 

「ではでは~? 東京観光に出発いたしまーす!」

 

「…………あの、千束の今の話って」

 

「たきなー! 行くよー? ミズキも車出してー!」

 

「あ、はい!」

 

「……はぁ、あとで聞かせてもらうからな、おやっさん」

 

 千束に急かされ慌てて追いかけるたきなとため息を吐いて追いかける棗。

 その様子を見ながらミズキはミカを見て問いかける。

 

「たきなもそうだけど、棗くんにも言ってなかったの?」

 

「……千束に任せればいい」

 

「……ボクにも説明しろ、ミカ」

 

 千束の心臓が機械である、という事実を知っているのはミカとミズキ、そして当人だけだったらしい。

 クルミは眉間に皺をよせながら、ミカを問い詰めるように呟くのだった。

 

 

 ────

 

『これは予想外でしたね』

 

「ふふーん、墨田区周辺は何本も川に囲まれてますから! 都心や色んな所を水上バスですいすいー! っと移動できるんですよ! 渋滞も気にしなくて良いんですよ!」

 

 観光での移動手段に、東京の魅力の1つを利用しよう。ということで水上バスでの移動、という選択をとった千束たち。

 

「……今のところは、敵影なしですね」

 

「そうだな……このまま何事もなければいいけど」

 

 街並みを眺める千束と松下を背に、たきなと棗の二人は周囲を警戒していた。

 

『……やはり、折れてしまっていますね』

 

「折れてないのを、見た事があるんですか?」

 

『いえ、東京に来るのは初めてですが……娘と約束をしていたんですよ。

「一緒に見上げよう、首が痛くなるまで」と。あの世で土産話ができますよ』

 

「まだまだ! 始まったばっかりですよ!!」

 

 松下の言葉を遮るように食い気味で千束は笑いながらそう告げる。

 そう、観光は始まったばかりである。

 

「────当然だけど死ぬほど混むな、ここ」

 

「まあ、浅草の一番の観光スポットですからね……」

 

「っとぉ……棗、掴まってもいい? はぐれそう……!」

 

 松下の周りを囲むように動く千束、たきな、棗の三人。

 

「……まあ仕方ないか。いいぞ。すみません、松下さん。こんな人混みのなかを移動することになって」

 

『いえいえ、構いませんよ。このぐらい人が多い方が観光をしていると実感できますから』

 

 棗の謝罪を聞き入れながら松下は気にしていない、と返す。

 浅草の雷門の大通りの途中のお店が立ち並ぶ仲見世通りで人が少なければそれはそれで寂しくある、というのは事実だ。松下もそれを理解しているからこその言葉だったのだろう。

 

「ここの観光と参拝が終わったら、五重の塔に行きましょー! 奈良の五重の塔ほどじゃありませんけど、こっちも迫力ありますよ~!!」

 

 元気いっぱいに叫ぶ千束の様子を見ながら、棗は微笑むように見守っていた。

 

「……棗さんは、あれのこと……知っていたんですか?」

 

「……いや、初耳だった。アイツ、心臓の音が聞こえないな。って思ったことは何度かあったが……そういう事だったって知ったのはさっきだよ」

 

「そうだったんですか……意外です、知っているものかと」

 

「……アイツも、言いたくないことはあるってことだろ、最初から教えてくれ……ってのが本音ではあるけどさ」

 

 千束が松下と共に浅草寺の御本尊へ向かう中、後ろでそんな会話をするたきなと棗。

 少し寂しそうに告げる棗の顔を見て、たきなはクスリ、と笑う。

 

「なんだよ、たきな」

 

「いえ……本当に、千束のことが好きなんだな。と」

 

「ぶっ!? だ、誰がだよっ!?」

 

 たきなの言葉に不意をつかれたように、顔を赤くして慌てる棗。

 その様子が図星をつかれたようなものだから、たきなはやはりおかしくて笑ってしまう。

 

「おーい、二人ともー! なにしてんのー!! はぐれちゃうよー!!」

 

「はーい、今行きます!!」

 

「あ、おいちょっ! たきな! 話はまだ終わってねえぞ!!」

 

 千束の呼びかけに、答えてすぐに追いかけるたきな。遅れて、弁明をしようとしながらたきな、千束を追いかける棗であった。

 

 ────

 

「ん? ああそういえばお祭りだっけか、今日」

 

「その通り! だから、ちゃーんと予定に入れておきました!」

 

 阿波おどりをしている踊り子を見て、ふと棗はそう呟く。当然、千束はそれも予定に入れていたらしくどや顔でアピールをしていた。

 

『阿波おどり、ですか……懐かしいですね』

 

「見たことが?」

 

『ええ、何度か。テレビでの拝見の方が多かったですがね。アメリカでは見ることもできませんでしたから』

 

「なるほど、言われてみれば確かにそうですね」

 

「あ、棗! たきな! 松下さん! あそこの屋台のお面屋さん! なんか買ってこうよ!!」

 

「待て待て、観光案内中にお金を浪費しようとするな?」

 

 千束が立ち並ぶ屋台の中から見つけたお面屋を見て何かをひらめいたのか行こうとするのを棗は引き止める。

 

『ははは、構いませんよ。折角のお祭りなのですから、楽しまなければ損ですし』

 

「ほら、松下さんもこう言ってくれてるし! お言葉に甘えよ! 棗!」

 

「いや、けどなぁ……」

 

 松下がそう言うもさすがに護衛対象から離れるのはいかがなものか、と棗は腕を引っ張ろうとする千束に抵抗しながらぼやく。

 

「それなら、私が松下さんのそばにいます。だから、その間に買ってきたらどうですか?」

 

「って、おい」

 

「マジで!? たきなやっさしー! ほら、たきなもこう言ってくれてるし! 行こっ!」

 

「はあぁ……しばらく任せたぞ、たきな」

 

 それを見かねて手を貸すたきな。棗は困ったようにため息を吐きながら、二人の厚意に甘えて千束とお面を買いに行くことにした。

 

「お面屋さん! これくださーい!」

 

「お、お嬢さんひょっとこのお面とは渋いねえ! そっちのお兄さんはお嬢さんのコレかい?」

 

 話しかけた千束に、お面屋の店主は豪快な声で返す。

 そしてちらりと彼女の手を見れば、棗の腕をしっかりと握っているのが分かったのか察したように小指を立てて伺ってくる。

 

「いや、違いますよ! しご……バイトで一緒なだけです」

 

「えーなんだい、お似合いだと思うんだけどなぁ」

 

「お似合いだなんてまたまたぁ! 店主さんもいいこと言うねぇ?」

 

「誰がだよ……まったく……いくらです、それ?」

 

「うーんいつもなら1000円! って言うんだけど、せっかくのデートみたいだし特別に600円でどうだい?」

 

 そんな風にウインクをして笑う店主に頬を引き攣らせる棗と目を輝かせる千束。

 

「マジ!? 400円もまけてくれるの!? 店主さん太っ腹あ!」

 

「はは、いいってことよ! 若いもんが仲良くしてるのはこっちとしても元気を貰えるからね!」

 

「いやこれ……まあ、だいたいの相場的には妥当っちゃ妥当だけどよ……はぁ……600円です」

 

 詐欺とかで使われる常套句だろこれ、と思いながらもぼったくられてるわけじゃないし大丈夫かと考えた棗は仕方なさそうに服のポケットから財布を取り出して600円分を小銭で支払った。

 

「はい、500円玉1枚と100円玉1枚で丁度だね。毎度あり! お嬢さんもお兄さんもデート存分に楽しんできなよ!」

 

「やっほー! ありがとうございます店主さん! 楽しんできますね!!」

 

「……別にデートじゃないです」

 

 店主の言葉ににこやかに返す千束と疲れたように返す棗。正反対のリアクションではあったが波長が合っているのだろうということは店主にも伝わったらしく、再びウインクをしていた。

 それを見て余計にため息を吐いた棗が居たのは余談である。

 

「たきなー! 松下さーん! お待たせしました! じゃーん! ひょっとこお面です!」

 

『おお、ひょっとこのお面ですか。随分と可愛らしいですね』

 

「でしょ~! そんなわけで、はいこれ! 松下さんにプレゼントです!」

 

『私に、ですか? これはどうもありがとうございます』

 

 松下にひょっとこのお面を見せながら晴れやかに笑う千束。それでひょっとこのお面だったのか、と合点がいったらしく棗は肩をすくめて苦笑する。

 

「絶対似合うと思ったので! ほらお面つけて……棗も入って入って!」

 

「え? いやいいよ俺は……」

 

「いいから入る! はい、チーズ!!」

 

 パシャリ、と千束はスマホで写真をとる。

 千束がそのままスマホを確認すれば、松下がひょっとこのお面を被り、千束が笑顔、たきなが少し恥ずかしそうに、棗が困った顔を浮かべるという四人がそれぞれ全く違う様子を見せる個性的な写真になっていた。

 

「よーし、いい写真になった! あ、たきなと棗にこれあとで送っとくね?」

 

「あ、ありがとうございます……?」

 

「いや要らねえよ……」

 

 困惑するたきなと拒否をする棗。しかし、後でしっかりとこの写真を送り付けられた二人であった。

 

 

 ────

 

 再び水上バスに乗る千束たち御一行。

 たまたま水路上に、建設中の新しい電波塔の姿を見つけてそれを眺める。

 

『あれが延空木(えんくうぼく)ですね?』

 

「はい、11月には完成するそうですよ?」

 

 延空木、高さ634mの新たな電波塔。電波塔事件で折れた旧電波塔の代わりに建築中のものだ。

 新たな日本の平和の象徴として建てられることになっているからか、日本だけでなく世界でも延空木のことは話題になっている。

 

『実は、設計に知り合いが関わっているんですよ』

 

「ええ!? マジですか!? 凄いじゃないですか!?」

 

『ええ、彼は未来に凄いものを残していますよ』

 

「……じゃあ、完成したらまた見に来てくださいね? またご案内しますから!」

 

『…………ええ、またお願いします。君は素晴らしいガイドですから』

 

 少しの沈黙のあと、松下は千束の方を見てそう告げる。

 

「ええ? いやーえへへ……ありがとうございます」

 

 それは彼女にとって最高の誉め言葉だったのだろう、少し照れくさそうににへらと頬を綻ばせて笑顔を浮かべていた。

 

『今日は暑いですね、少し中で休ませてもらいます』

 

「ああ、ならそこまで俺が送ります」

 

『ありがとうございます、棗さん』

 

「いえいえ、仕事ですから」

 

 室内で涼むことにした松下を室内まで棗が送りに行く。

 そうして、室内に送ったところでふと、松下が棗に語り掛ける。

 

『君は、アラン機関を知っていますか?』

 

「え、急ですね……まあ、才能を見出す慈善団体……とは知っていますが……それが?」

 

 急な話題の振られ方に驚きつつ、棗は一度インカムの無線を切る。

 踏み込んだ話題になりそうだ、と判断してのことだろう。

 

『いえ、急にこのような話題を振ってしまい申し訳ない。

 ……君が、あまりにも見覚えのある子だったもので、つい聞いてしまったのです』

 

「どういう……?」

 

『……私は少しばかり、あの組織の事に詳しいのです。

 そして、アラン機関がその才能を手放すことになるのは惜しいと嘆いたことがあったそうで。

 ……その時の、惜しいと言われた少年に君はよく似ている』

 

 松下の言葉は、まるでその子供のことをよく知っているようだった。

 そのことを訝しんだ棗は、警戒するように松下に問いかける。

 

「……あなたはアラン機関に?」

 

『……ええ、随分と昔の話ですが』

 

「そうですか……それなら申し訳ない。俺は、()()()()()()()()()。だから、昔の事はあまり。

 お役に立てずすみません」

 

『すみません、深く踏み込んでしまいましたね……辛いことを思い出させてしまったようです。申し訳ない』

 

「いえ、お気になさらず。……この事はあの二人にはくれぐれも内密に。まだ、喋ったことがないので」

 

 棗の言葉に少し驚いたようにしつつも、申し訳なさそうに謝罪をする松下。彼も悪気はなかったのであろうことが伺えた。棗もそれを理解してか、即座に謝罪を受け取り気にしていないと告げる。

 

『そうですか。分かりました。……ではこれは、男同士の秘密ということで』

 

「ありがとうございます。松下さん」

 

『私はしばらくこちらで涼んでいます。棗さんはあちらの……彼女のお二人とお話してきたらどうでしょうか?』

 

「!? ま、松下さんまでなにを!?」

 

 またしても急に振られた内容に棗は顔を赤くして困惑する。

 

『いえいえ、水入らずで話したいこともあるでしょうから』

 

「からかうのはやめてください……」

 

『失礼、年寄りの楽しみなものでして』

 

「……心臓に悪い趣味ですね」

 

 はぁ……とため息を吐きながら彼の言葉に甘えて、無線をつけなおしながら外に出る棗。

 それを見つけた千束がベンチに座ったまま手を振る。

 

「あ、おーい棗! こっちこっち!」

 

「棗さん、松下さんは?」

 

「少し涼むから休憩してきたらどうだって言われてな。少しお言葉に甘えてきた」

 

「なるほど……何か飲みますか?」

 

「ん? あー……別にいいよ。気持ちだけ受け取っとく」

 

 千束とたきなが持つ缶コーラを見ながら、苦笑して断る棗。

 さすがに年下に奢ってもらうほど甲斐性のない人間とは思われたくなかったらしい。

 

「松下さんに喜んでもらえてるみたいですね、千束」

 

「私、いいガイドって言われた! もしかして才能あるかも!?」

 

「はいはい。依頼者の警護が最優先事項だぞ」

 

「……そうだね、そうだった」

 

 たはーという顔でくつろぐ千束を、たきなと棗はじっと見つめる。

 

「なに、なになに? 二人揃って私を見て、どした?」

 

「あの、今朝の話って本当なんですか?」

 

「ああ……胸の事? 本当だよ、鼓動なくてビックリしたけど……凄いんだよこれ?」

 

「そういうのはちゃんと言えよ、千束」

 

「……あり? 棗に言ってなかった?」

 

 おや? と千束は首を傾げて棗を見る。

 

「いや聞いてねえわ!!!」

 

「あれー!? ごめーん!! 言ったつもりになってた! 抱き着いたりしたときになんも触れてこないから先生辺りに聞いてたのかなって思ってて!」

 

「つまり伝達ミスかよ……はぁ……」

 

 棗は千束の言葉を聞いて頭を抱える。つまり、今までのスキンシップの数々も自分が知ってる前提でのモノだったという事だった。踏み込むべきか踏み込まないべきか悩んでいた自分が馬鹿らしく感じてしまっていた。

 

「いやー……ごめんね? この通りっ……!!」

 

 そんな棗の姿を見れば流石に申し訳なさが勝ったのか、手を合わせて謝罪をする千束。

 

「別に怒ってねえよ、ただ今度からは隠し事なしだぞ」

 

「……ん、ありがと」

 

 ぽす、と頭をなでられて少し気持ちよさそうに目を細める千束。

 その隙に、たきながそっと千束の胸元に手を置こうとして────

 

「ちょちょちょちょちょちょーい!!」

 

「うぉい!?」

 

「あ、すみません……確かめようと……」

 

「別に確かめようとするのはいいけど! 公衆の面前で乳を触ろうとすな!?」

 

「たきな、お前同性でもセクシャルハラスメントは通じるからな?」

 

「……ごめんなさい」

 

 千束と棗から注意をされてしょんぼりと落ち込むたきなであった。

 

『おい、棗。それに千束とたきなも聞こえるか?』

 

「ん? あれ、クルミどうしたの?」

 

『さっきからお前たちをつけてるバイクを見つけた。顔も特定した。

 ジン。暗殺者だ。その静かな仕事ぶりからサイレント・ジンって呼ばれてるベテランの殺し屋だぞ』

 

「「「!!」」」

 

 クルミからの無線で千束、たきな、棗は顔を見合わせて気を引き締める。

 

「到着次第、松下さんを私が連れてきます」

 

「了解、気を付けてね。たきな」

 

「……くれぐれも依頼者には悟られないようにしろよ」

 

「はい、心得ています」

 

 水上バスが目的地に留まる頃合いだったのは幸いだろう、たきなはすぐにベンチから立ち上がり松下を迎えに行く。

 その間に千束と棗は無線を介して、相手の情報を聞くことに専念することにしたらしい。

 

『サイレントか……』

 

『なんだ、ミカ知り合いか?』

 

『15年前まで警備会社で共に裏の仕事を担当していた。私がリコリスの訓練教官にスカウトされる前の話だ』

 

『どんなやつだ?』

 

『……本物だ。たしかに、滅多に声を聞いたことがないな』

 

 水上バスから降り、移動中もその内容を聞き、警戒を緩めない三人。

 本物の殺しのプロが相手になる、となれば油断は絶対にできないからだ。

 

『30m先に確認、こっちは顔バレしてない。発信機をつけにいくわ』

 

『上から確認できない、ミズキの方は確認できるか』

 

『柱の横で止まったって……あ。やばい、バレてる!!』

 

『ジンはまずいな……千束、たきな、棗くん。聞こえるか? 作戦を変更する』

 

『作戦Bだ、護衛対象を避難させて1人打って出す方向で行くぞ。

 予備のドローンとミズキでジンを見つけ次第攻撃に出る』

 

 ミズキの慌てた様子を聞いたミカが指示を出し、クルミが具体的な作戦を出す。

 

『そっちが美術館から出るタイミングで車を回すわ』

 

「うん、分かった」

 

「了解。……迎撃は俺が行く。千束とたきなは松下さんの護衛を最優先。いいな」

 

『分かりました』「ん……おっけー」

 

 棗の指示に、千束とたきなは頷き松下と美術館に向かおうとする

 

『どうしました?』

 

「あー、っと……すみません。ちょっと別の依頼で救援を求められて……俺はここで離脱します、最後までお付き合いできず申し訳ありません、松下さん」

 

『なるほど……そうでしたか、分かりました。くれぐれもお気を付けて』

 

 訝しんだのだろう、松下の問いに申し訳なさそうに誤魔化して棗は離れようとする。

 

「松下さんこそ、それでは!」

 

「あ、棗! これ!」

 

「おっと、これは……」

 

「先生から! 必要なものはそこに入れてるって!」

 

「了解、ありがとな!」

 

 千束に投げ渡されたのはロッカーのカギだった。

 そしてそれが何を指すのか棗も理解しているからこそ受け取って即座に離脱した。

 

「おやっさん、カギの場所は!」

 

『美術館近くのロッカーだ! そこに置いてある!』

 

「マジか結構遠いなこなくそ!!」

 

 ミカの言葉に、文句をたれつつ走るほかない棗は全速力で向かう。

 

「っと、これか……!」

 

 棗は目的のロッカーにたどり着くと即座に中の鞄を取り出して中身をチェックする。

 そこには確かに、棗が普段使っているナイフや麻酔弾、そして……

 

「マジか、これ間に合ったのかおやっさん」

 

 棗は1つのスーツを手に取り驚いた様子を見せる。

 それは「スニーキングスーツ」と言われる戦闘服だった。棗がどうせならば、と特注で依頼をした代物だ。

 特殊な防弾繊維で作られており防御力も高く、足音も抑えられる……潜入、戦闘、どちらにも特化した装備である。

 

『聞こえるか、棗くん』

 

「こちら棗、どうしました?」

 

『ミズキと連絡が取れなくなった』

 

「……! 本当ですか!?」

 

『落ち着け、おそらく仕掛けてくる。千束に松下さんを任せてたきながそちらに合流するはずだ』

 

「……了解、たきなと合流次第、ジンの迎撃に出ます」

 

 ミカになだめられ、深呼吸をして頷く棗。

 少なくとも仲間に何かあったと知って、怒れないほど人でなしではない。

 

「棗さん!」

 

「! たきなか……」

 

 一瞬警戒した様子でMk22の銃口を声のした方向に向けるが、声の正体がたきなだったことに気付き銃口を下げる。

 

「……その装備は?」

 

「これは……そうだな、戦闘特化の装備とでも考えといてくれ」

 

「は、はい」

 

 ぴっちりとした黒いスーツに身を包んだ棗をみて首を傾げるたきなに軽く説明だけをして、無線をかける。

 

「こちら棗、たきなと合流した。迎撃に入るが……ジンはどこにいる?」

 

『少し待ってろ、今美術館の屋内のカメラの映像に顔認証をかける。

 野外は予備のドローンを向かわせたから10分後に解析を始められる』

 

「ミズキさんは?」

 

『500m離れた場所で連絡が途絶えたままだ。美術館の入り口はデパートの通路側だから館内のカメラで確認する。二人は出口側で目視で見張りを……ちょっと待ってくれ』

 

「どうした?」

 

『ミズキがジンに発信機をつけてた! 死んでもこっちに情報を残したぞ!』

 

『死んだと決まってはいないだろう』

 

「冗談でもんなこと言うなよ……」

 

 クルミの言葉に頭を悩ませる棗と苦笑いをするたきなであった。

 

『……こほん、ジンのやつはもう美術館に来てる』

 

「たきな、カバー!」

 

「了解! ……クルミ、ジンは外ですか、中ですか……?」

 

 合図でたきなは棗の背後の死角のカバーに入る。

 背中合わせになり、拳銃を構えて気を張り詰める。

 

『そこまで来て……あ』

 

「たきな! しゃがめ!」

 

「!!」

 

 たきなは棗の叫び声にすぐさま反応して伏せ、棗が銃口を弾が飛んできた方向に向ける。

 既にジンが近くまで接近し、発砲していたのだ。

 

「迎撃!」

 

「了解!」

 

 棗とたきなは同時にジンに向けて発砲するが、効かなかったようでジンはそのまま遮蔽物を介して階段まで逃げ込む。

 

「コートが防弾! 多分今撃つのは難しいぞ!」

 

『ならそのまま千束たちから引き離せ、それしか方法がない』

 

「もうやってるよ! ってたきな!」

 

「!」

 

 ジンをそのまま追いかけていた二人だったが、ジンがそのままこちらに見向きもせず、拳銃の銃口をこちらに向けたことにいち早く察知した棗が叫び、慌ててたきな共々遮蔽物に入る。

 

 瞬間、壁に弾丸が擦れたあとが残った。

 

「野郎……こっちを見ずに撃ってきやがった。威嚇とはいえシャレになってねえな……」

 

「棗さん……!」

 

「分かってる、行くぞ!」

 

 壁から顔を出して、反撃するように威嚇射撃を行いながらジンを追いかける。

 

『ジンは屋上の扉を出て左に逃げたぞ』

 

「了解、たきな! 321でいくぞ! カバー頼む!」

 

「分かりました!」

 

「3……2……1……!」

 

「今!!」

 

 合図に合わせて扉を蹴飛ばして屋上に出て銃を構える二人。

 

「……右、クリアです」

 

「了解、気を付けろよ?」

 

「はい」

 

 足音を鳴らさないように慎重に動く。

 

『棗、そこから15m先の室外機の裏にジンが……待て、変だ、対象が動いてない』

 

「え?」

 

「チッ、まさか……!」

 

 クルミの言葉の意味に気付いた棗は発信機のある室外機の裏まで走るが……

 

「クソッ、やられた! 撒かれてる!!」

 

 既に発信機のつけられた防弾のコートは脱ぎ捨てられており、もぬけの殻同然だった。

 すぐさまたきながクルミに無線で連絡をいれる。

 

「クルミ!」

 

『分かってる、今ドローンで探して……見つけた、だいぶ足が速いぞ追えるか?』

 

「……たきな、二手に分かれて追うぞ」

 

「分かりました……棗さん、千束のことをお願いします」

 

「ああ、行くぞ」

 

 次に狙われるのは千束と松下の二人。たきなはそれを理解していたのだろう。

 棗もまた彼らの助言でそれを思い出したらしく頷いて屋根の上を全速力で走って追いかけはじめた。

 

 

 ────

 

 

「松下さん、どうしたんですか……? ……行きたいところがあったんですか?」

 

 東京駅の真ん中に見失っていた松下を見つけた千束は話しかけながら近寄る。

 

『ジンが来ているんだね?』

 

「え……」

 

『アイツは私の家族を殺した。確実に私を殺しに来るはずだ!』

 

 松下は、まるで状況を理解していたように話す。

 察しがいいのか、それとも別の理由か。それは分からないが、松下はサイレント・ジンが自分を殺しに来るということを分かっていたらしい。

 

『千束、たきなと棗が撒かれた。今二人がジンを追いかけているがそれよりもお前の方に行くのが速い。気を付けろ』

 

「……分かった」

 

『日本にいる限り、アイツは絶対に私を殺しに来る……!』

 

「なら、一度お店に帰りましょう? 避難してからどうするか考えましょう?」

 

『私には時間がないんだ……!』

 

 千束と松下がそうして問答を続けているところに……

 

『千束! 逃げて!!』

 

 狙いがたきなの射撃で逸れたのだろう、銃弾が松下の車椅子持ち手に当たる。

 

「上!?」

 

 弾丸が飛んできた方向には、既にジンの姿があった。

 そしてジンの二射目を阻止するためにたきなはジンのところまで走り込み────

 

「たきな────ッ!?」

 

 突き飛ばしてジンと共に、回収工事中の場所に落下していく。

 

「たきなッ!!」

 

「棗さ……!?」

 

 追いついた棗は即座に飛び降り……たきなの身体を抱き留め、自らがクッションになれるように背中を地面に向けて庇う体制に入る。

 直後、大きな落下音と鉄パイプの落ちる音と共に、土煙が上がる。

 

「ゲホッ……いっつ……た、きな……だいじょうぶ、か……?」

 

「な、なんとか……たすけてくれて、ありがとうございます……」

 

 不幸中の幸いだったのが、彼らが落ちた場所が土嚢の上だったことだろう、それがクッションとなり大きな怪我はなかったらしい。しかし、二人にとって大きな痛手になったのが拳銃を落としたことだった。

 

「なつ、めさん……メガネ、それに……銃……をっ……!」

 

「わか、ってる……! それ、より……はやく、離れるぞ……! ジンは多分……まだ、生きてる!」

 

「っ……了解、です……!」

 

 近くで蹲っているジンを見つけて棗はたきなと共に逃げようとする。

 当然、それをみすみす逃がすジンではない。手に持っていた拳銃で棗とたきなを狙う。

 

371:名無しの彼岸花 ID:XxIKKMyxR

ちょ、それマジでやばいやつやんけ。イッチ大丈夫じゃないってことやろ?

 

372:名無しの彼岸花 ID:i1c5oRSA9

見た感じ上から落ちたんか?

 

373:名無しの彼岸花 ID:cPkGxbs2l

多分そうや……ってイッチ後ろ!?

 

 

 それを棗はまるで()()()()()()()()()()()、たきなを庇いながら銃弾を避ける。

 

「ッ……!」

 

 しかし、完全には避けきれなかったのか、頬を掠めたらしくそこから血が垂れる。

 

「棗さんッ!?」

 

「走るぞ、たきなっ!!」

 

「っ……はいっ!」

 

 困惑するたきなであったが棗の指示に即座に従う判断をして、ジンから離れるように逃げ始める。

 

「ひ、ひぃい!?」

 

「逃げろ! 警察呼べ!!」

 

 たまたま近くにいたのだろう、工事現場の作業員がパニックになった様子で逃げるが

 目標ではないがゆえに、ジンは無視をして棗とたきなの二人を追いかける。

 

「クソッ! 千束!! 松下さんを連れてすぐに避難しろ!!」

 

『分かった……!』

 

 棗は無線で千束に語り掛けながらスモークグレネードのピンを抜いて投げる。

 時間稼ぎのための目くらましだった。

 とはいえ、それも数秒持つかどうかのわずかなものだ。

 それ理解しているからこそ、棗とたきなは急いで逃げる。

 

 そして、ジンの放った弾丸がたきなの脚を掠めた。

 

「ッ……!?」

 

「ぁ……」

 

 たきなの脚から血が流れ、彼女はバランスを崩したように倒れ込む。

 その瞬間、棗の中で何かがフラッシュバックする。

 

やめろ! 助けてくれ! 俺は死にたくッ────

 

なんで俺たちがこんなことを────

 

……よかった、おまえだけで、も……いきて、て……

 

……あな、たは……い、きて……くださ……

 

 

 棗にとって、それは本当の意味で……逆鱗に等しかった。

 殺し屋は、開けてはいけない箱を開けてしまったのだ。

 

「────殺す

 

 それは底冷えするほど低い声だった。その声を発した直後に────

 

「ッ、いつの間に……!?」

 

「ッ────!!」

 

 真横まで接近した棗の蹴りによって、ジンは吹き飛ばされる。

 

「ぐ……!」

 

「アンタは……俺の逆鱗に、3回触れた。だから、死ね

 

 起き上がったジンは銃を構えるがそれよりも先に棗の偽装されたナイフが彼の手に届き、拳銃を叩き落とし切り付ける。

 

「その、ナイフ捌き……! お前が……灰色(アッシュ)か……!?」

 

「……さて……なんのことか。まあいい……どうせ殺せばいいしな」

 

 棗はギロリと睨みつけそのままナイフを首元につきつける。

 

「殺せないナイフでも、過負荷電流(オーバーロード)をすれば……アンタを殺すぐらいはできる」

 

 そう、彼のナイフは偽装されたスタンロッドである。故に、気絶させるだけの電圧を超える電圧を流してしまえば、人の心臓を止めるぐらいはできてしまう代物だ。

 

「ッ……!」

 

 しかし、ジンもそれだけで終わるほど柔な殺し屋ではない。隠し持っていたナイフで棗の手を切りつけようとするが……それも見切っていたようにナイフを持っていなかった左手で刃を掴み、ジンの反撃を受け止める。

 

「な……に……!?」

 

「遅い、さっさと────」

 

 死ね、そう言いスタンロッドの電圧を上げようとした直後────

 

「なつめええええ!!」

 

「────」

 

 ────大切な少女(千束)の声が聞こえた。瞬間、我に返ったように棗はジンの腕を掴み肉盾にするようにして千束の前に蹴飛ばして突き出す。

 

「────千束!!」

 

「ま、かせ……て!! は、あッ……!!」

 

 それに合わせて千束は拳銃をジンの腹に殴り付けて、非殺傷弾を腹に連続で撃ち込む。

 

「ふふん! 棗、ナイスアシスト!」

 

 そのまま蹲って倒れ伏し、気を失ったであろうジンを見ながら、どや顔でピースをする千束。

 

「……こちらは任せて、と言ったんですけどね」

 

「ナイスアシスト、じゃねえわ! お前の任務は松下さんの護衛だろうが! 護衛対象放っておいてどうすんだ!?」

 

「うえ!? お説教!? ごめんってば!? ……って、棗! 怪我してるじゃん!?」

 

「……え? いっつ……!? あ、ああ……いつの間にしたんだこれ?」

 

 棗は本当に見覚えがないように千束の握った左手を見て、困惑した様子を見せる。

 まるで、先のことを覚えていない様子だった。

 

「棗さん……?」

 

 たきなは先ほどの棗の動きを見ていたからだろう、覚えていない様子だった彼を見て少し訝し気な表情を浮かべる。そこに松下を連れたミズキがやってくるが……

 

『殺すんだ』

 

「松下さん……?」

 

『ソイツは私の家族の命を奪った男だ、殺してくれ!』

 

「え、でも……」

 

 豹変した様子を見せる松下。たきなも棗も先ほどまでとは全く違う雰囲気の松下に驚いていた。

 

『本当なら、あの時……私の手で殺すべきだった……! 家族を殺された20年前に……!』

 

『……ジンは、その頃……()()()()()()()

 

「……なに?」

 

 松下の言葉とミカの証言が食い違ったことに、棗は耳を疑い松下を睨みつける。

 

『君の手で殺してくれ……! 君は()()()()()()()()()()()()! 何のために命を貰ったんだ!? その意味を考えるんだ!!』

 

「おい、松下さん。アンタなにを────」

 

「棗」

 

「……分かった」

 

 松下の千束の心を無視するような指示に流石に我慢の限界だったのか、棗が止めに入ろうとし……それを千束が腕を掴んで止める。

 ……自分の言葉で言いたい。そういう意味だったのだろう。棗はおとなしく引き下がる。

 

「松下さん、私はね。人の命は奪いたくないんだ」

 

『────は?』

 

「私はリコリスだけど……誰かを助ける仕事をしたい」

 

 千束はアランチルドレンの証である、梟の首飾りを手に取って笑う。

 

「これをくれた人みたいに、ね」

 

()()()()()()。そんな約束をどこかでしたような記憶がある。

 だから、錦木 千束は人を殺さない。決して。何があったとしても。その約束をした首飾りを渡してくれた人のためにも。

 

『何を言って────……()()

 

「え、今……」

 

『それではアラン機関が君を、その命を────』

 

 松下がそう口に漏らした直後に、遠くからパトカーらしきサイレンが響いてくる。

 

「あらら……面倒なことになる前に逃げましょ、ほらほら!」

 

「あ、うん! そうだね! 松下さん、とりあえず場所を変えて落ち着ける場所で────……あ、れ? 松下……さん? 松下さん!?」

 

 ミズキにそう急かされ慌てた様子で千束は松下に話しかける。

 しかし松下からの応答はなかった。その証拠を示すように、彼の車椅子の機器全てが停止していたのだ。

 

 まるで、()()()()()()()()()()()()()

 

 

 ────

 

 

掃除屋(クリーナー)から連絡があったわ、指紋から身元が判明。

 先々週に病棟から消えた薬物中毒の末期患者だって。もう自分で動いたり喋ったりはできないらしいわよ」

 

 五人で車に乗って帰る途中で、ミズキからそんな言葉を告げられる。

 それは即ち、あの車椅子に乗っていた老人は松下という大企業の重役ではないという証だった。

 

「そんな!? みんなと喋ってたじゃん!?」

 

『ネット経由で第三者が千束達と話していたんだよ、ゴーグルのカメラに車椅子はリモート操作で、音声はスピーカーだ』

 

「つまり……松下さんは、存在しない……?」

 

「……第三者が何かの目的で利用した……偽装の名前ってことか」

 

 松下という男は存在していない。まさに存在しない者だったのだ。

 

「ちょ、ちょっと待って……じゃあ、誰が? なんで、私に殺させようとしたの? なんのために……?」

 

 千束の困惑する言葉を聞いて、ミカはジンの語った依頼主のことも含めて、心当たりがあったのか、一人の人物の顔を思い浮かべる。

 

「まさ、か……!?」

 

 その相手はきっと正しいのだろう。

 彼であれば、それが可能だと()()のミカは理解しているから

 

「…………」

 

 棗もまた、その相手に心当たりがあるのか……何も言わずに黙り込んでいた。

 

 

 ────

 

 

「あの男を使う計画を進めてくれ」

 

「畏まりました」

 

 あるオフィスの一室で、パソコンに浮かび上がる写真を見ながら秘書らしき女性に指示を出す男がいる。

 

「まさにこれは運命だ。千束のそばに、本当に……彼がいるとはね。

 ああ、やはり……()()()()()()()()()()

 

 男は……()() ()()()は、パソコンの千束、たきなと共に写真に写っている棗の顔を見ながら、古くなった写真を手に取り……そこに写る、()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()を懐かしむように指で撫でて、なぞっていた。

 

 




立花 棗

謎多き記憶喪失の少年。
たきなの怪我を見て、トラウマが再発した。
ちなみに伊達メガネは東京駅から飛び降りた時に紛失したので
新しいのを自費で買うことになった。クソが。

俺は一体何をした……?


錦木 千束

アランチルドレン。
たきなと棗が落ちた時はヒヤヒヤしてた。

誰が、なんのために私を狙ったの……?


井ノ上 たきな

セカンドリコリス。
棗さんに助けて貰った。

……棗さん、あなたはいったい?


中原 ミズキ

飲んだくれの元情報部
今回の功労者その1

いやー、死ぬかと思ったわ……マジで。


クルミ

ウォールナット
今回の功労者その2
ドローンは相変わらず役に立つ。

棗のあれはいったいなんだ……?


ミカ

リコリコ店長な元傭兵。
ジンとはかつての仕事仲間。

シンジ……お前なのか……?


ジン

暗殺者 サイレント・ジン
ミカのかつての仕事仲間。めちゃくちゃ強い。

ミカの部下……3人ともいい腕だ。
しかしあの少年……まさかな……?


吉松 シンジ

──君をずっと、探していた。


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【本当に】なんかスレッド落ちてた【申し訳ない】

本編の次回予告が更新されたので初投稿です。

イッチは萌え萌えきゅんはしません。



1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

気付いたらなんか千束ちゃんがジンを倒してたしスレッドは削除されてたし……

何を言っているかわからねーと思うが以下省略

 

2:名無しの彼岸花 ID:9tyX0GEvy

イッチ!!

 

3:名無しの彼岸花 ID:e+ddC8lhA

生きとったんかワレェ!!

 

4:名無しの彼岸花 ID:uvJx2A6/T

スレッド削除されたからてっきり死んだもんかと……

 

5:名無しの彼岸花 ID:ppd7rf4fn

千束ちゃんやたきなちゃんは無事なんか!?

 

6:名無しの彼岸花 ID:d9ygCAksh

イッチ!キリキリ現状を吐け!!

 

7:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あれから数日経ったやで。心配かけたのは正直すまんかった。

ワイにも何が起きてるのか分からんかったんや……

千束ちゃんもたきなちゃんもミズキさんも無事や。

ワイとたきなちゃん負傷したけど軽傷やったし酷くはならんかった。

そんで、やっぱり護衛任務黒だったわ。

後ここ数日、リコリスが狙われる事件が起きてる。

 

8:名無しの彼岸花 ID:eq/XVzTSF

多い多い多い

 

9:名無しの彼岸花 ID:WzuUJHVWH

情報量が多すぎる

 

10:名無しの彼岸花 ID:dHPAvo3Tq

キリキリ吐けとは言ったけどもうちょい簡潔にまとめてくれ

 

11:名無しの彼岸花 ID:35/ex7x5i

三行で頼む

 

12:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイ、千束ちゃん、たきなちゃん、ミズキさん無事。

依頼、黒。ジンも騙して悪いがされてた。

後日、リコリスが何人か殺される事件が起きた。

 

13:名無しの彼岸花 ID:n6ZbJpRiy

サンガツ

 

14:名無しの彼岸花 ID:r9BcqtcXb

なんか知らん間にイッチの周りで色々起きすぎてる。

 

15:名無しの彼岸花 ID:xHC16/Oda

貴重なリコリスが……

 

16:名無しの彼岸花 ID:ODCsAujB0

リコリスって暗殺者的立場やろ?顔バレてるって考えたらやばくね?

 

17:名無しの彼岸花 ID:reAw8PXTJ

そうやんけ。千束ちゃんやたきなちゃんが

普通にリコリコで看板娘やってるから忘れてたけど

正体バレたらやばいやろそれ。

 

18:名無しの彼岸花 ID:dECgUKhFu

普通に情報量多いし笑えん状況下なのが分かった。

 

19:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやで、現在進行形でリコリスが殺されてるから全員に警戒態勢敷かれたらしい。

それで千束ちゃん達にも連絡来た。

で、この先しばらくは危ないだろう、ってことで

千束ちゃん、たきなちゃん、ワイで寝泊まりすることになった。

 

20:名無しの彼岸花 ID:Adv4oNfpd

は?????

 

21:名無しの彼岸花 ID:Aizjg7xMF

イッチ?????

 

22:名無しの彼岸花 ID:rR2QZcfZm

また罪重ねてるなこいつ

 

23:名無しの彼岸花 ID:xnKobWPHa

千束ちゃんじゃ飽き足らずたきなちゃんにまで手を出すとかお前……

 

24:名無しの彼岸花 ID:Bzlk3NxrV

クズだろこいつ

 

25:名無しの彼岸花 ID:5m1Myt3gT

うーん最低男

 

26:名無しの彼岸花 ID:5OEE6PHFk

イッチさぁ……刑務所入ろう?

 

27:店員鈴蘭 ID:LyReBell

人をヤリチンDQNみたいに言うのやめーや。

仕方ないやろ、リコリスが狙われてる以上

千束ちゃんやたきなちゃんもターゲットの可能性があるんやから

ワイが近くにいた方が確実っておやっさんに言われたんや……

 

28:名無しの彼岸花 ID:Ksk7ttLKO

まあ、それはそう

 

29:名無しの彼岸花 ID:cE/ZL+Cgv

イッチなんだかんだ頼りにはなるしな。

 

30:名無しの彼岸花 ID:uiiivUXs5

この前のなんか変な暴走した感じみたいなのさえ除けばな

 

31:名無しの彼岸花 ID:qUQItiuKU

ミカさんの指示ならまあ許したるわ

 

32:名無しの彼岸花 ID:S/tZ2O4/K

そういえば>>30が言ってる

この前のヤツ、あれ大丈夫なんかイッチ

 

33:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ああ、アレね……正直ワイもよく分かってないんや。

理性すっ飛んだわけじゃないんだけどなんかこう、ふわふわしててな……

たきなちゃんの負傷を見たのがきっかけやとは思うんやけど

色々ありすぎてワイ自身のこと調べる余裕がなかったわ

 

34:名無しの彼岸花 ID:fM4eZPWMe

まあそうか……依頼が黒だったこととかって詳しくは言えるんか?

 

35:名無しの彼岸花 ID:exeJwz7PS

上で言ってたけどやたら色々起きてたもんな。

そらイッチも自分の事に気を回す余裕はないか

 

36:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>34

言えるで。

まあ、早い話護衛対象の松下って人は最初から存在しない人やった。

あれは偽物だったんや。で、ジンも老人を殺害しろとしか言われてなかったらしい。

それで互いの情報の共有して、

整理したら千束ちゃんに殺しをさせようとしてたって感じに落ち着いたんや

 

37:名無しの彼岸花 ID:0QtCTEYxO

はえー……

 

38:名無しの彼岸花 ID:e3TpLL0bc

よくわからんけどやばいってことはわかった

 

39:名無しの彼岸花 ID:E4z+LxSpy

千束ちゃんに殺しを……なんでや?

 

40:名無しの彼岸花 ID:4lxgnLdHU

謎やな……?

 

41:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>39

ああ、それな。松下って名乗ってたヤツがアラン機関の人間だからや。

多分千束ちゃんの才能に関して見極めるとかしたかったんやと思う。

で、ここから判明した千束ちゃんの才能は……

まあ十中八九、殺しに由来するものやろなって。

 

42:名無しの彼岸花 ID:6zkbfcAdx

……だよなあ。

 

43:名無しの彼岸花 ID:mDQGyNPBn

まあ、わざわざ不殺を誓ってる千束ちゃんに殺しをさせようとしてるあたり

そうとしか考えられへんわな。

 

44:名無しの彼岸花 ID:IrRuLN/UD

つまり千束ちゃんの才能を

完璧に開花させるために裏から糸を引いたって感じか?

 

45:店員鈴蘭 ID:LyReBell

多分な。そんでもう一個狙いがあって

多分ワイのこと調べに来てたと思う。

千束ちゃんだけじゃなくてワイにも

仮称松下さんはアラン機関の人間ってこと開示したからな

 

46:名無しの彼岸花 ID:Gw93NJof8

マ????

 

47:名無しの彼岸花 ID:ugpHkg21U

イッチそういうことははやく……言ってたわ今回は

 

48:名無しの彼岸花 ID:slLl4h7fq

タイミングはジャストだったけど不安を煽るな。

 

49:名無しの彼岸花 ID:UzqwF3bBq

イッチは空気が読めない

 

50:店員鈴蘭 ID:LyReBell

今回ちゃんと言ったのに解せん……なんでや、早めに言ったやろ……

 

51:名無しの彼岸花 ID:hMoWgp6U7

わざわざスレ民が心配してるときに不安を煽ったからぁ……ですかねぇ……

 

52:名無しの彼岸花 ID:JEjJcIhMR

それで、イッチはなんで調べられたんや?

 

53:名無しの彼岸花 ID:tiQ0pO8Bq

問題はそれやな、なんでイッチも標的になったのかや。

イッチ、別にアランチルドレンではないんやろ?

 

54:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あー……それなんやけど……仮称松下さんとの会話で

一個思い出したことがああってな……

めちゃくちゃ小さい頃に……なんか、梟の首飾り渡されたような

渡されなかったような……そんな記憶がおぼろげにある

 

55:名無しの彼岸花 ID:SiO1yVKvz

イッチ???

 

56:名無しの彼岸花 ID:YOohhSt9z

だからそういうのははよ言えって言ってんだろ!!

 

57:名無しの彼岸花 ID:aFdjJQ4m3

まったく成長していない……

 

58:名無しの彼岸花 ID:2lqHeoToQ

イッチさぁ……

 

59:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しゃーないやんけ!!10年以上前の事やぞ!!

松下さんの言葉でふとなんかそんな事あったようなって漸くなったんや!

それまで覚えてすらなかったわ!

 

60:名無しの彼岸花 ID:R80ny8msx

まあ仕方ないか……

 

61:名無しの彼岸花 ID:/4mkbphRr

言われて……あっ、て思い出すことは誰にもあるしな

 

62:名無しの彼岸花 ID:GgI3Wqb84

ただイッチが仮にアランチルドレンだったとして何の才能なのか

何をされたのか。ってのは気になるよな。

 

63:名無しの彼岸花 ID:v/mYV/eZb

それ。まあフィジカル周りはその反動の可能性もあるからな……

 

64:店員鈴蘭 ID:LyReBell

それなんよな……。

多分、ジンと戦ってた時とかに起きてたふわふわした感じとか

ワイのこのアホみたいな身体能力が

なんか身体に仕組まれたせいってのはあり得るからな

 

65:名無しの彼岸花 ID:Izi09ZyDR

千束ちゃんが人工心臓……ならイッチはなんだろね……

 

66:名無しの彼岸花 ID:RVBCE6dkp

謎が謎を呼ぶな……

 

67:名無しの彼岸花 ID:N0HkxMSgK

そういやその仮称松下某の正体ってわかってるんか?

って言っても、千束ちゃん狙ったアラン機関って言ったら

俺らにとっては1人しか対象浮かばんけど

 

68:名無しの彼岸花 ID:AbXOFvllT

まあ、そうよね。

 

69:名無しの彼岸花 ID:y4XrJKmgO

あの人しかおらんわな……

 

70:名無しの彼岸花 ID:b/DncIpjq

ヨシさんやろなぁ……

 

71:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあそう思ってはいる。ただ、なぁ……

普段のヨシさん見てるとモヤモヤするんよな。

千束ちゃんを狙うだけならわざわざ店に来て

お土産渡したり、千束ちゃんと話す理由はないし……

それになによりおやっさんとの仲考えると

そんなことするか?って思ってさ。

 

72:名無しの彼岸花 ID:pY3nR6DKz

あー……まあそう言われるとそうやな?

 

73:名無しの彼岸花 ID:udi/r1rBY

あのミカさんの友人が悪意を持ってするとは考えられないか……

 

74:名無しの彼岸花 ID:ja2RRbzVo

そういやイッチ匿ってくれる超良い人だもんなミカさん……

そのミカさんが信用してるヨシさんがって想定すると

なんか別の意図がありそうってのはわかる

 

75:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そうなんよね。ワイ、敵対組織の暗殺者(脱走兵)で

戸籍ないとかいう状況なのに後ろ盾になってくれてる恩人やし……

おやっさん……マジで脚向けて寝られねえわ。

 

76:名無しの彼岸花 ID:yCEr92TSA

改めてイッチの状況詰みすぎじゃね?

 

77:名無しの彼岸花 ID:0YjO9hrhL

思ったよりイッチ詰んでて草すら生えない

 

78:名無しの彼岸花 ID:hcNhTk4SX

よく10年以上表社会で今生きていられるなイッチ……マジで

 

79:名無しの彼岸花 ID:U9W5uwqym

普通もうくたばってるやろこれ

 

80:名無しの彼岸花 ID:qH5IwsdVQ

ミカさんの手腕がすごいのかイッチの組織が無能だったのか……

 

81:名無しの彼岸花 ID:HQxObeUCW

どっちもやろなぁ……

 

82:名無しの彼岸花 ID:ptU6xdWq+

イッチマジで千束ちゃんと会ってなかったらどっかで死んでる

 

83:名無しの彼岸花 ID:sq+5dVzns

本当にそう。

 

84:名無しの彼岸花 ID:F+clcVcIS

それで、イッチは自分がアランチルドレンかもしれない事って伝えたんか?

そういう大事な情報は早く伝えなあかんで

 

85:名無しの彼岸花 ID:FmWU67we9

イッチは特に大事なこと言うの後回しにするしな

 

86:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あー……まだ確証がないから動けないってのがあるんよ。

自分のおぼろげな記憶だけを信頼して混乱させるわけにもいかんし

それに、今はリコリス襲撃犯が見つかってないからさ……

リコリコ的にも警戒しなきゃいけないしで、伝えるタイミングがないんよね

 

87:名無しの彼岸花 ID:zX1M5xeG4

あー……そうか

 

88:名無しの彼岸花 ID:SqnsN3Na9

そういえば今現在進行形でリコリス襲撃されてんだっけか……

そりゃ仮にもリコリス統括のDAの支部だし

襲撃対象の可能性考えたら警戒はしなきゃダメか……

 

89:名無しの彼岸花 ID:4B3mIVN6i

確かに、このタイミングで混乱させるのはよろしくはないか……

 

90:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そうそう、それとワイのことを一番調べられるクルミちゃんが

リコリス襲撃犯の特定に時間割いてるタイミングだしね。

そのタイミングで追加で頼むのも申し訳ないし……

襲撃犯特定して色々落ち着いてから頼もうかなって感じかな

 

91:名無しの彼岸花 ID:wIbVk4bK9

まあそれがよさそうやな……

 

92:名無しの彼岸花 ID:CXhXgB5l5

襲撃犯特定が最優先か、千束ちゃんとたきなちゃんの事考えたら

 

93:名無しの彼岸花 ID:nrWPQgTBk

しゃーなしか……それで、イッチは今後しばらくは

千束ちゃんとたきなちゃんと一緒に行動する感じか?

 

94:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあせやね、標的の可能性を考えるとワイも一緒にいるべきってことで

しばらくは三人で固まって行動やな。

……てなると、今月の千束ちゃんの定期健診は

ついて行かないといかんか……てか、昨日までらしいし、検診の日

 

95:名無しの彼岸花 ID:8LULG6HB1

イッチが羨ましい

 

96:名無しの彼岸花 ID:+navzlIDa

美少女に挟まれながら行動するとかズルすぎんか?

 

97:名無しの彼岸花 ID:ufPuiHIBS

てか、千束ちゃん定期健診サボったん??

 

98:名無しの彼岸花 ID:YbpZzUBYS

千束ちゃん……まあ、人工心臓のこと考えると

あんまり行きたくないよなぁ……

 

99:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いや単純に注射が嫌いで行ってないだけやで。

だから結構な頻度でワイが無理やり連れて行ってる

 

100:名無しの彼岸花 ID:ZA5kkqAke

 

101:名無しの彼岸花 ID:KN9O80gkC

いや草

 

102:名無しの彼岸花 ID:WflqwCw4b

かわいいかよ

 

103:名無しの彼岸花 ID:KeEUBNuCV

千束ちゃんさぁ……すき

 

104:名無しの彼岸花 ID:AHXAVBY7B

イッチが無理やり連行してる絵面想像しやすいの笑うわ

 

105:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあだいたい縄で縛って担いで

そのままミズキさんに車出してもらって連れて行ってる。抵抗するし。

 

106:名無しの彼岸花 ID:6sdyM8BFF

 

107:名無しの彼岸花 ID:Say7soS/C

誘拐犯かな?

 

108:名無しの彼岸花 ID:rxCJwpPgp

絵面が誘拐犯のそれ

 

109:名無しの彼岸花 ID:Mtt7YtcZw

ハイエースされてる絵面なんだよなぁ……

 

110:名無しの彼岸花 ID:wXGsr++vW

ただやってることの理由を見ると病院に行きたがらない我儘な妹を

兄と母親で必死に連れて行こうとしてるだけなんだよな……

 

111:名無しの彼岸花 ID:BCSlTJMx0

 

112:名無しの彼岸花 ID:Sl9U7s+wA

言われるとそうとしか思えなくて草

 

113:名無しの彼岸花 ID:e5Q/sed6o

ミズキさんはママだった……?

 

114:名無しの彼岸花 ID:tTqtcsxc3

ミズキママ……

 

115:店員鈴蘭 ID:LyReBell

それ本人の前で言うなよ?絶対キレるから

 

116:名無しの彼岸花 ID:FrLTMIckj

 

117:名無しの彼岸花 ID:cav4q55AB

出会いないって言ってたね……

 

118:名無しの彼岸花 ID:jM9/AxAsk

うーん地雷だったか

 

119:店員鈴蘭 ID:LyReBell

後多分、千束ちゃんを連れて行く構図で正しく表現するなら

病院行きたがらない犬を病院まで連れて行く図よ

 

120:名無しの彼岸花 ID:juFqkxFG4

いや笑う

 

121:名無しの彼岸花 ID:zMLcWgHpw

 

122:名無しの彼岸花 ID:wwITBNRuZ

容易に想像できるの草

 

123:名無しの彼岸花 ID:VJH+adgl/

散歩行きたがらないポメラニアンな千束ちゃんと

リードを必死に引っ張るイッチの構図が見える見える……

 

124:名無しの彼岸花 ID:lccLWo+kI

イメージしやすくて草

 

125:名無しの彼岸花 ID:/rDAFm2ap

確かに千束ちゃん、犬属性だよな……

 

126:名無しの彼岸花 ID:cNulSOI1o

やんちゃで人懐っこいくせに病院は死ぬほど行きたがらない。

犬だなこれ?

 

127:名無しの彼岸花 ID:TL7Hlzasl

ペットのそれだわ千束ちゃん

 

128:名無しの彼岸花 ID:2XNRlm9LM

犬千束ちゃん……いい……

 

129:名無しの彼岸花 ID:+3rRHA5yo

変態おるな?

 

130:名無しの彼岸花 ID:cXFrmVh7M

時々変態が湧くのがイッチのスレやし

 

131:名無しの彼岸花 ID:sZeeh3Si8

そうだよ。

 

132:店員鈴蘭 ID:LyReBell

なんかワイも同類扱いされてそうで納得いかんけどまあええわ

【画像】

ちなみにこれは千束ちゃんとじゃんけんして全敗したたきなちゃんの顔

 

133:名無しの彼岸花 ID:6TzBH7hm9

 

134:名無しの彼岸花 ID:E4q1UUYla

なにがあったんですかね……

 

135:名無しの彼岸花 ID:HCoGiT4+e

全敗ってやばすぎる

 

136:名無しの彼岸花 ID:KveqC/t5p

千束ちゃんなにしたん

 

137:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんって目と洞察力がいいでしょ?そういうことです。

 

138:名無しの彼岸花 ID:CCU5lYNW3

待ってじゃんけんの手を出す瞬間の動きを見てんの?

 

139:名無しの彼岸花 ID:a1zMNAR8Y

やっば……絶対勝てないやつやんけそれ

 

140:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやで、だから確実に勝つか引き分けになるんや。

まあ最初はグーで始めたらそうなるから、千束ちゃんと戦うなら

ジャンケン、ポン!で即座に手を出すしかないんやで。

 

141:名無しの彼岸花 ID:0YqUTj9rB

八時だョ形式は通用しないのか……

 

142:名無しの彼岸花 ID:zlpRMuVMn

てかなんでじゃんけんしてたの?

 

143:店員鈴蘭 ID:LyReBell

同棲することになっての家事当番決めやね。

最初は交互だったんだけど千束ちゃんがつまらんって言って

じゃあ、じゃんけんで……になってボロ負けした感じ

 

144:名無しの彼岸花 ID:IMGT4cymR

草、千束ちゃんがせこすぎる

 

145:名無しの彼岸花 ID:Ayn2i9u2x

ずるくて草

 

146:名無しの彼岸花 ID:a5LV3xaRw

てかイッチはなんで家事当番に入ってないん?ヒモか?

 

147:名無しの彼岸花 ID:AEA+Ot557

ほんまや、イッチもイッチでずるやんけ

 

148:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちゃうわい、ジンさんとの戦いで手を負傷したから

しばらくは家事禁止って言われたんや。

 

149:名無しの彼岸花 ID:9abVnn2rY

家事禁止になるぐらいってなにしたんやイッチ……

 

150:名無しの彼岸花 ID:SXaJIjHEn

もしかして軽傷じゃない?

 

151:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやまあ、ジンさんの隠し持ってたナイフの刀身部分思いっきり掴んでたみたいで

その時手のひらをぱっくりと切ってたっぽい。

 

152:名無しの彼岸花 ID:9BP7vOvla

うわ……

 

153:名無しの彼岸花 ID:WkqdihsA+

想像しただけで痛すぎるわそれ

 

154:名無しの彼岸花 ID:NQnhR4ePc

そりゃたしかに料理とかできないし衛生面でも無理やな……

 

155:名無しの彼岸花 ID:DKVlWhWs8

めっちゃ痛そう……

 

156:店員鈴蘭 ID:LyReBell

だからリコリコでも厨房はしばらく禁止だから会計に回っとるで。

この辺はたきなちゃんの心遣いに感謝やわ。

 

157:名無しの彼岸花 ID:2jVRVOvRT

やさしい

 

158:名無しの彼岸花 ID:OLliNtZqi

たきなちゃんマジ天使

 

159:名無しの彼岸花 ID:IGzfaDscy

いい子よね、たきなちゃん

 

160:名無しの彼岸花 ID:XMfnG5rDl

基本的に善意で動いてるタイプやしな……

それで暴走してたりはしてたけど

今じゃイッチの様子見る限りすっかり丸くなった感じよね

 

161:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんのおかげやでほんま。

千束ちゃんいなかったらまだ尖ってたやろなぁって感じ

 

162:名無しの彼岸花 ID:Rv4sYqZqE

千束ちゃんの魅力やね

 

163:名無しの彼岸花 ID:VzgEcFO3p

まあ千束ちゃんあってのイッチとたきなちゃんやしな……

 

164:名無しの彼岸花 ID:J71KiVLQ2

で、イッチはこの後はどうするんや?

 

165:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ん? まあしばらくは警戒しながら普段通りの生活をって感じかな。

治療もかねて。ワイもたきなちゃんも軽傷とはいえ

完全完治ってわけじゃないからね。

 

166:名無しの彼岸花 ID:l+LH435bJ

そかそか、イッチも気を付けてな。

なにもイッチが狙われてないって確定してるわけやないしな

 

167:名無しの彼岸花 ID:YEjhtlmfh

そういえばそうやな……イッチもワンチャン標的の可能性はあるか

 

168:名無しの彼岸花 ID:CVAyYtXHA

気を付けてろよ、マジで

 

169:店員鈴蘭 ID:LyReBell

分かっとるっての。ワイも警戒しとくわ。

じゃあこの辺で一回落ちるわ、ほな……

 

170:名無しの彼岸花 ID:GdhbCGwKn

おつおつ

 

171:名無しの彼岸花 ID:JQmvGWTaz

イッチおつかれー

 

172:名無しの彼岸花 ID:nWH03m4CA

しっかし、結構色々動き出したなぁ……

 

173:名無しの彼岸花 ID:kGuKYM2mF

イッチも巻き込まれる、じゃなくて当事者の可能性でてきたの笑えん

 

174:名無しの彼岸花 ID:SwYzxnZtt

いやまあ、電波塔のテロ鎮圧に関わってる時点で

だいぶアウトだった気もするけど

 

175:名無しの彼岸花 ID:XiieOyAoF

それはそう

 

176:名無しの彼岸花 ID:Ng9pOgJTi

千束ちゃんとイッチ、それぞれなーに抱えてるんやろなぁ……

 

177:名無しの彼岸花 ID:qiS0o2f7P

たきなちゃんが一番マシな経歴なのほんとおかしいって……

 

178:名無しの彼岸花 ID:ffIKxibqe

ほんまな……

 

179:名無しの彼岸花 ID:tLMoNKb+U

全員戸籍ナシなのになぁ……

 

 

 

────

 

500:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【緊急事態】DAにハッキングしかけてたのクルミちゃんだった

 

501:名無しの彼岸花 ID:kuynLRSpD

は????

 

502:名無しの彼岸花 ID:oRwFBxuxu

ファッ!?

 

503:名無しの彼岸花 ID:ICb3yPEzF

うっそだろお前wwwww

 

504:名無しの彼岸花 ID:8PdlvB+E6

何やってんだお前ー!!

 

505:名無しの彼岸花 ID:MhUzwRzQM

クルミちゃんさぁ……

 

506:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そのせいでそのハッキングしたときに行動してたリコリスが顔バレしてた。

襲撃にあったリコリスはそのメンバー。

 

507:名無しの彼岸花 ID:Rtnfa2eYw

大丈夫なんかそれ

 

508:名無しの彼岸花 ID:KuvfpaLWE

これはクルミちゃん戦犯やな……

 

509:名無しの彼岸花 ID:5MKA4MYg1

やっちゃったね……

 

510:店員鈴蘭 ID:LyReBell

大丈夫じゃない!沙保里さんの護衛の時に飛んでたドローン、クルミちゃんのだったんや!

そのせいでワイは勿論、千束ちゃんも顔バレしてる!

だから千束ちゃんのところに全速力で向かってる!

 

511:名無しの彼岸花 ID:93PpClY1j

おいおいおいおい

 

512:名無しの彼岸花 ID:KyTSte4A1

イッチなんで千束ちゃん1人にしとんねん!

 

513:名無しの彼岸花 ID:sx/4afMud

やっちゃいけないやろそれ!!

 

514:名無しの彼岸花 ID:3zAPHKkxV

イッチさぁ……

 

515:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束が大丈夫だってめっちゃ念押ししてきたんだから仕方ないだろ!

だからバイク使ってこっちは全速力で追いかけてるんだよ!!

 

516:名無しの彼岸花 ID:hHd9I1FgJ

イッチ落ち着け、焦るな

 

517:名無しの彼岸花 ID:FA4vex5uX

キレたいのはわかるけど深呼吸しろ?

 

518:店員鈴蘭 ID:LyReBell

すまんやで……今追いかけとるのと、襲撃犯の迎撃するからしばらく落ちる

 

519:名無しの彼岸花 ID:iy0rJWSbI

マジで気を付けろよイッチ

 

520:名無しの彼岸花 ID:n3FnCqp89

死ぬなよ?

 

521:名無しの彼岸花 ID:UgB3OFgoh

千束ちゃん助けてはよ顔出せよ

 

522:名無しの彼岸花 ID:5PYo/mb8W

さっさと終わらせてこい

 

523:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ありがとやで、千束ちゃんさくっと助けて連中撃退して帰ってくるわ。

 

524:名無しの彼岸花 ID:yLe8BLEgO

……マジでこれは想定外だな。

 

525:名無しの彼岸花 ID:tcJVFCwiR

銃千丁失踪の原因がクルミちゃんだったかぁ……

 

526:名無しの彼岸花 ID:EXMl0Roqk

まあDAにハッキングできるとすれば

そのぐらい優秀なハッカーじゃないと無理だもんな

 

527:名無しの彼岸花 ID:tQgnSuX6F

よくよく考えれば状況証拠は揃ってたんか……

 

528:名無しの彼岸花 ID:gFZiSwH9w

イッチ大丈夫かね

 

529:名無しの彼岸花 ID:vEOLts4R/

わからん……ワイらはイッチを信じるしかない

 

530:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

ライブ機能がONになりました

 

『おおう、その髪……目つき、やっぱお前か!

 生きてたとは嬉しいぜ。随分と久しぶりだなぁ。灰色さんよ?』

 

『……その声、やはり生きていたか……戦争屋』

 

『おいおい、んな知らない人みたいな扱いすんなよ。なァ……兄弟?』

 

『同じにするな、俺はお前たちのような無法者じゃない』

 

531:名無しの彼岸花 ID:THKl6JOPt

って急にライブが

 

532:名無しの彼岸花 ID:BJc2LjQHo

あれ、イッチなんか表記バグってる……?

 

533:名無しの彼岸花 ID:W2VnYiZQu

これこの前と同じだけどまだコントロールできてるってことか……?

 

534:名無しの彼岸花 ID:EvT4aixUR

てか灰色ってなんや……イッチのコードネームか?

 

535:名無しの彼岸花 ID:BWyeoMuKv

戦争屋って言われた緑髪の男と知り合いなんか……?

 

536:名無しの彼岸花 ID:/qG6VLR0T

同じって言われたり兄弟って言われたりなんや急に……?

 

537:名無しの彼岸花 ID:tQpH3Zaj8

あーもう誰か情報整理してくれ!!

 

538:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『おいおい、バランス考えろよ。お前はこっちじゃなきゃ釣り合わねえ。

 だろ、灰色の切り裂き魔(アッシュ・ザ・リッパー)?』

 

棗、今のどういう……

 

……話はあとだ、たきながこっちに向かってる……アイツの援護を待って逃げるぞ

 

……わかった、あとでちゃんと聞かせてよ?

 

539:名無しの彼岸花 ID:BTR9MJ4Dx

なんかイッチ変なコードネーム持ってないか?

 

540:名無しの彼岸花 ID:oRimdTBNh

アッシュ・ザ・リッパーってなに!?

 

541:名無しの彼岸花 ID:GKje5ufaj

千束ちゃんにも教えてないのイッチさぁ!

 

542:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『こっちにこいよ、灰色。お前は俺と同類だ。自覚してんだろ?

 あの電波塔で嗤ってたもんな、お前は』

 

『……黙れ、お前が何と言おうと俺は────』

 

『ッなんだ!?』

 

『ぎゃあっ!?』

 

『あ、足がぁ!?』

 

543:名無しの彼岸花 ID:rUJ7hQzn/

この正確な射撃は!?

 

544:名無しの彼岸花 ID:05Ek5yKbQ

たきなちゃんや!

 

545:名無しの彼岸花 ID:4Sf0CEwhT

ナイスアシスト!!

 

546:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『千束!』

 

『分かってる!』

 

『チッ……!』

 

『走るぞ!』

 

547:名無しの彼岸花 ID:2L54f/p5Z

射撃で牽制してそのまま逃げるんか!

 

548:名無しの彼岸花 ID:iYNnJifbJ

お、赤い車!?

 

549:名無しの彼岸花 ID:SSr8Chjsg

リコリコって書いてるってことはあれイッチのところのか!

 

550:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『千束、棗くん乗るんだ!』

 

『と、りゃあ!』

 

『たきな!』

 

『棗さん!』

 

『せぇのっ!』

 

551:名無しの彼岸花 ID:YPWRNVMMn

ミカさん!!

 

552:名無しの彼岸花 ID:2sHgAXpYz

よし、千束ちゃんとたきなちゃん乗った!!

 

553:名無しの彼岸花 ID:F9bJhiOCd

あとはイッチ……って、イッチ!後ろ!

 

554:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『ッ!』

 

『棗っ!?』

 

『先に行け! あとで乗り捨てたバイクで追いつく!!』

 

555:名無しの彼岸花 ID:3/uVcb1mG

ちょ、なんで車閉めてんだイッチ!?

 

556:名無しの彼岸花 ID:IQZvKeZBG

自分を囮にする気か!?

 

557:名無しの彼岸花 ID:PlXiTWejJ

無茶がすぎるぞ!?

 

558:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『こっちだクソども!!』

 

『真島さんどうします!?』

 

『二手に分かれろ!! 俺はアランリコリスを追う! ハッカー!その車は俺が使う!!』

 

559:名無しの彼岸花 ID:o5Lg9yhIs

イッチに釣れたやつもいるけど……!

 

560:名無しの彼岸花 ID:r8FoqIAyC

ダメだ、本命のリーダーらしきやつは千束ちゃん狙ってる!

 

561:名無しの彼岸花 ID:zCRkNDwJK

って、おいおいおい!ロケランはまずいだろ!?

 

562:名無しの彼岸花 ID:pfxCS4IdT

千束ちゃんたちが危ない!イッチ!!

 

563:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『ッ……!!』

 

『がぁっ!?』

 

『野郎! よくも!』

 

564:名無しの彼岸花 ID:S/Qalr+Hl

ナイス阻止!

 

565:名無しの彼岸花 ID:GBZr14DiE

今手を撃ったんか!?

 

566:名無しの彼岸花 ID:+k9BEypUF

イッチもどんだけ正確な射撃してんだよ!?

 

567:名無しの彼岸花 ID:fBj1Ue+Jb

でもやばい!今のでイッチに完全に連中のヘイト向いた!

 

568:名無しの彼岸花 ID:qqjt6IirF

逃げろイッチ!!

 

569:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『逃がすな追え!』

 

『逃がすかよクソガキ!!』

 

『────ッ!?』

 

570:名無しの彼岸花 ID:/shrhqX2i

イッチ!?

 

571:名無しの彼岸花 ID:HO/Gd9cg7

待て待て、今撃たれなかったか!?

 

572:名無しの彼岸花 ID:DjtOJieVa

イッチ!!

 

573:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『あのガキ、海の中に逃げたぞ!』

 

『待て!海の中に行くなら落ちた真島さんを探すのが先だ!』

 

『チッ、わかってる!』

 

574:名無しの彼岸花 ID:jXEVZziAI

撒いたんか!?

 

575:名無しの彼岸花 ID:e5FRLa7/n

イッチ、生きてるか!?

 

576:名無しの彼岸花 ID:4PP88BN1H

夜の海の中だから視界がクソ悪い!

 

577:名無しの彼岸花 ID:IHpG6qBHX

とりあえず離れろイッチ!

 

578:名無しの彼岸花 ID:3xjDXIDOc

離れたところで陸に上がるんや!

 

579:名無しの彼岸花 ID:e3E1ONqtw

イッチ、上がったか!?

 

580:名無しの彼岸花 ID:Ls0jkGPxh

怪我は大丈夫か!?

 

581:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『そんな……さけばなくて、もわかってる……ゲホッ……』

 

582:名無しの彼岸花 ID:KA5nKI0lQ

イッチ、とりあえず止血しろ!それとゆっくり呼吸するんや!

 

583:名無しの彼岸花 ID:qe7tKHgTY

死ぬなよイッチ!ここで死んだら千束ちゃんとたきなちゃん絶対泣くからな!?

 

584:■■鈴蘭 ID:■■■■■■■■■■

『それは……た、しかに……ごめ、ん……だ……』

 

ライブ機能がOFFになりました

 

585:名無しの彼岸花 ID:moQf1iyG9

イッチ!?

 

586:名無しの彼岸花 ID:8JQSB3x51

おいおいおい、噓だろイッチ!?

 

587:名無しの彼岸花 ID:ZY0ish+Af

イッチ!しっかりしろ!!?

 

588:名無しの彼岸花 ID:nDnADC3l/

死ぬなイッチ!!

 

589:名無しの彼岸花 ID:ID:■■■■■■■■

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イッチ(立花 棗)

絶賛横腹銃で撃たれる。まだ生きてはいる。

テロリストと顔見知りのようだが……?


千束ちゃん

狙われたリコリス。
イッチに助けられたが……

お願い、棗……無事でいてっ……!


たきなちゃん

千束と棗さんとしばらく集団行動。

私を助けるために棗さんが……! どうか、無事で……!


真島さん

──まさか、お前がいるとはな?


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Seeing is believing

相も変わらず最新話がやばい。

真島さんとの対面は次回です。


「…………やっぱり、妙だな」

 

「どうした?」

 

「……この間の、サイレント・ジンと棗の戦っているところを見直してたんだ。

 ミカ、これどう考えても普通じゃないだろ」

 

 タブレット端末でドローンで撮影していた映像を何度も見直すクルミ。

 その映像は棗とジンの戦いだった。

 

「……そうだな」

 

「そうだなって……ミカはなにも知らないのか?」

 

「ああ。それに……棗くんも知らないだろう」

 

「……なに?」

 

 ミカのその言葉に訝しむクルミ。当人が理解していない、ということに対して彼女は疑問に思ったのだ。

 

「棗くんは1()0()()()()()()()()()()()()()()。彼を問い詰めてもおそらく望む回答は返ってこないだろうな」

 

「……なるほどな。それを千束とたきなは知っているのかい?」

 

「いや、棗くんに口止めされている。これを知っているのは私だけだ。ミズキも知らない」

 

「……そこにボクも加わったわけか」

 

「そういうことになるな」

 

 クルミは思わず顔を顰めるほかになかった。

 傍から見ても、立花 棗という男は異常だ。射撃、格闘そのどれもが一線級であり

 近接ともなれば錦木 千束の洞察力を超える速度で行動できる。間違いなく天才のそれだ。

 それでいながら、彼はアランチルドレンであるという形跡がない。

 

「棗は本当にアランチルドレンじゃないのか? ミカ?」

 

「────私の知る限りではな」

 

「……その口ぶりだと、知っているヤツが居るようにしか聞こえないが?」

 

「心当たりは1つある……が、彼がそれに応じるかと言われると分からん、としか言いようがないな」

 

 ミカは、とある男性の姿を思い浮かべながら眉をひそめていた。

 その様子を見て彼の言葉に嘘はないと思い至ったのだろう、クルミは困ったように笑う。

 

「なるほどな……なんにせよ、棗は自分の異常性に気付いているのかは気になるところだが」

 

「おそらく気付いてはいるだろうな。ああ見えて棗くんは聡い子だ。千束やたきなに気付かれないように振る舞っているんだろう」

 

「……まあ、あの二人からの認識は驚異的な身体能力を持っている、というだけだしな。

 上手く隠してはいるのか」

 

 まあそれも錦木 千束というアランチルドレン(天才)が戦闘に於いて無類の強さを誇っているが故なのだろうが。

 クルミはそう考えて、再びタブレットに視線を戻す。

 

「それで、ミカの依頼はなんだい?」

 

「ここ最近のうちに数件ほどだが……リコリスが襲撃される事件が起きた。主犯の特定を頼みたい」

 

「リコリスが? ……それはまた物騒な話だな。分かった、ボクの方で調べてみよう。

 ……って待て、それじゃあ千束とたきなは危険じゃないのか?」

 

「ああ、だからしばらく二人には棗くんと行動するように指示を出したさ」

 

 ミカのその言葉を聞いてクルミはなんで? という顔を浮かべた棗を想像したのだろう。

 大きなため息を吐いて、ミカをジト目で睨みつける。

 

「…………ミカ」

 

「なんだ?」

 

「お前、たまに酷なことをするよな」

 

「……そうか?」

 

 ミカのそんな言葉を聞き、再びクルミはため息を吐いた。

 棗がリコリコに来たらボクからなんか奢ってやるか。と考えたのは余談である。

 

 

 ────

 

 

「リコリスの襲撃ィ?」

 

「ああ、それでおやっさんから指示があって仕方なく! 俺もここにしばらく泊まることになった」

 

「なぁんで特定されてんだ~?」

 

「分からないんですよ、例のラジアータのハッキングと関連性があるんじゃないかとは思われているようですが……」

 

 たきなと棗が千束のセーフハウスにやってきて荷物整理をする。

 今まで起きたリコリスの襲撃は単独行動中に起きているからこそ、集団でいるべきという判断がされたのだ。

 そのため、たきなと棗は千束のいるセーフハウスに安全が確保されるまで住み込みになることになったのである。

 

「しばらくは単独行動は控えるように、それと……『今月の検診、昨日までよ』と山岸先生がおっしゃってましたが」

 

「……は? お前また行かなかったの? なにしてんだ?」

 

 たきなから担当医の伝言を伝えられた千束。それを耳にした棗は何考えてるんだって顔をする。

 当然その目を向けられた千束は気まずそうに目を逸らす。

 

「あ……あぁ……えーっと……だって……」

 

「お前なあ……いくら注s「わーっ!! わーっ!!!」モガッ!? んんん!?」

 

 棗がぽろっとこぼそうとした言葉をたきなに聞かれたくなかったのだろう、千束は慌てて棗の口を塞ぐ。

 

「……どうかしましたか?」

 

「な、なんでもないよたきな!?」

 

「はぁ……? とにかく、定期健診は行ってくださいね?」

 

「うぅ……はぁい……」

 

 たきなにそう言われてしまえば何も言えなくなったのか、千束はしょんぼりとしながら頷く。

 

「いい加減口から手を離せ!!」

 

「あ、ごめん」

 

 その間も口を塞がれていた棗はいい加減我慢の限界だったらしく、彼女の腕を掴んで引き剝がしながら息を荒くして叫んだ。

 

「そういえば、たきなは脚の怪我大丈夫? あ、棗。上の棚からコップ出しといて~」

 

「あ、はい。幸い掠めた程度の軽傷でしたからもう走れるぐらいには」

 

「はいよ、白と黒のマグカップでいいか?」

 

「ん、それでいいよ~。そっかそっか、大事にならなくてよかった」

 

 たきなに怪我の具合を聞いてる横で、千束のお願いを承諾しすぐに棚からマグカップを取り出す棗。

 慣れている、としかいえないその様を見てたきなはふと疑問を浮かべる。

 

「あの……もしかして棗さんは幾度かここに泊まったことが?」

 

「うん? あー……まあ、何度かな。月に1、2ぐらいか?」

 

「えー、5回ぐらいじゃない?」

 

「いやそれはお前が俺の拠点に泊まりに来る頻度な」

 

 千束の言葉にツッコミをいれる棗。そのやり取りから二人が同棲に近いことをしていると感じたたきなはそのまま、ぽろっと二人に問いかけてしまう。

 

「……お二人って、もしかしてそこまで仲が?」

 

「「え?」」

 

 千束と棗は揃って顔を見合わせる。何のことかとしばらく考え込み思考が追い付いたのか二人揃って顔を赤く染めて否定する。

 

「違う違う!? 別にそういう仲じゃない!?」

 

「そ、そそそうだよたきな!! べ、別にそういう一夜を……いや、共にはしたけどそういう意味ではしてないし!?」

 

「え、したんですか?」

 

「してねえよ!! 千束も誤解を生むようなこと言うのやめろ!?」

 

 たきなの困惑する声に即座に否定したのは棗である。

 確かに一緒の布団で寝た事はあるが別にそういう事をしたわけではないのだと棗は必死に誤解を解こうとする。

 

「だってほんとの事じゃん!?」

 

「真実でも言い方があるだろ言い方が!?」

 

「お二人の仲が良いのは分かりましたから、その辺りでお願いします」

 

「たきなお前絶対勘違いしてるだろおい!?」

 

「ちょ、たきな! なんか色々勘違いしてるから一回情報整理しよ!? ね!? お願いだから!!?」

 

 いつものように始まった夫婦漫才をたきなは軽くあしらいながら持ち込んだ荷物の片づけを済ませようとする。

 当然棗と千束は誤解を解こうと必死だったが見事にスルーされたのであった。

 

「というわけで、しばらくは私も泊まりますから今後は家事は分担して行いましょう」

 

「……つまんない。というか棗のないじゃん」

 

「つ、つまらな……? こほん、棗さんは手を怪我していますから、しばらくはお預けですよ。

 悪化されても困りますから」

 

「あー……悪いな、千束もたきなも」

 

 包帯を綺麗に巻かれている左手を棗は見ながら申し訳なさそうに頭を下げる。

 軽傷とはいえたきなよりも状態は悪いのだ、なにせナイフを片手で掴んでできた切り傷。

 痛みもなくなり血も止まったとはいえ、医者の許可が出るまではダメだと言われているのである。

 

「まあ、そっか……それなら仕方ないけどさぁ……やっぱりつまらないってこれ~」

 

 一日交替の家事分担のスケジュール表を見てぶーぶー、と文句を言う千束。

 彼女らしいといえばそうだがしっかり者のたきなからすれば困ったものである。

 

「……それなら、じゃんけんでどうです?」

 

「お! じゃんけん! いいねえ!」

 

「いや、じゃんけんってお前それたきなにまk「はーい口うるさい棗は黙ってようね」むごっ!?」

 

 千束はどこからともなくガムテープを取り出し、棗の口に貼りつけて黙らせる。

 余計なことを言う前に口を塞ぐに限るのである。

 

「……? それじゃあ、いきますよ千束!」

 

「おっけー! やろうやろう!」

 

 千束の行動に首を傾げるも、別に大事なことではないのだろうと判断したたきなはじゃんけんの構えをとり、千束もそれに応じる。

 

「「さいしょはグー!! じゃんけんっ────」」

 

 …………

 

「な、なぜ……」

 

「むっふー! 勝利のぶいー!」

 

「…………むぐ」

 

 結果はたきなの惨敗。家事当番はしばらくたきなだけになったのであった。

 棗はそれを見てだろうな、という顔をしながら呆れて千束の顔を見る。

 

「あ、ガムテープずっと貼っててごめんね? 棗?」

 

「いって!? 一気に剥がすのやめろ一気に!?」

 

 ベリ、と一気に口に貼られていたガムテープを剥がされ棗は口元を手で押さえる。

 

「あ、ごめん!?」

 

「こ……こんなことが……あるはず……確率……」

 

「……いってぇ……千束……お前、人の心ないのか?」

 

「失礼な」

 

 心ここにあらずとなったたきなを見つめ、口元を擦りながら棗は千束をジト目で睨んでいた。

 

 

 ────

 

 

「おはよう! 労働者諸君!」

 

「朝から失礼だろ。……おはようございます、ミズキさん」

 

「おはようございます」

 

 リコリコにやってきて早々にやかましくなる三人。

 

「ん、おはよー。聞いたわよ~、えらいことになってるわね?」

 

「ん~? ああ、私らDA所属じゃないし大丈夫でしょ~」

 

「可能性はゼロじゃないんですよ、千束」

 

「警戒するに越したことはないと思うが」

 

 ミズキの言葉を千束は軽く流そうとするが、たきなと棗に咎められる。

 更衣室に千束とたきなが入ろうとしたところでふと、ミカがスマホで誰かとやり取りしているのが目に入る。

 

「────次の被害を防ぐ為にもなるとは思うが……はあ、そうか。分かった」

 

「ん? 先生、相手は楠木さん?」

 

「司令は情報をくれそうですか?」

 

「極秘、だとさ」

 

「DA様は秘密が多いことで……」

 

「秘密主義な組織も面倒くさいな。支部ならちゃんと共有すればいいのに」

 

 通話を切ってスマホの電源を落とし困ったように肩をすくめるミカを見て、千束と棗は呆れた顔をする。

 組織が一筋縄ではないということは知っているとはいえ、そこを極秘にされるというのも困ったものである。

 

「勝手に覗いちゃうからよ~ん」

 

 クルミはそう言いながら和室をゴロゴロとパソコンの置いてある押し入れまで転がっていくのだった。

 

「今は気にしてても仕方ないか、っとそうだ。おやっさん」

 

「ん? どうした?」

 

「あとでちょっと相談したいことがあるんですけど、いいですか?」

 

「……分かった、いいぞ」

 

 ミカは棗の表情を見て何かを察したように頷く。

 彼が何を聞きたいのか、それを理解している様子だった。

 

 

 ────

 

 リコリコの地下の射撃場で、ミカは棗と落ち合う。

 

「それで、話はなんだ? 棗くん」

 

「そんな今から自首する犯人みたいな面しないでくださいって……ただ少し聞きたいことがあるだけですよ」

 

「……すまんな」

 

 それが棗なりの心遣いだと理解しているからか、ミカは申し訳なさそうに呟く。

 

「単刀直入に聞きます、()()()()()()()()()()

 

「…………長く見積もって3()()()

 

 ミカはやはり、という顔をして恐る恐るそう告げる。

 いつか知ることにはなっただろう現実、それが少し早くなっただけだとはいえミカにとってもう一人の子供ともいえる棗に黙り続けていたことは辛かったのだろう。長い沈黙のあとに出たその言葉は重かった。

 

「……そう、ですか」

 

 理解はしていた。人工心臓であるならば、そういう事もありえると。

 それでも、もしもを連想して彼に問い詰めた。恩人に。親ともいえる人が苦しむと知っていて尚、聞くしかなかった。

 

「────いつから気付いていた?」

 

「……人工心臓と言われた時に」

 

「最初から……か」

 

 ミカはデッキにもたれかかり、頭を抱える。

 できることなら、そんな事を知らないまま千束と接して、そして彼女を最期まで幸せにして欲しかった。ミカはそう考えていたのだ。

 

「……そんなとんでもない代物、そもそもからしてメンテナンスはできないでしょう。

 大型機械でもないからパーツ交換なんてことも不可能。そうなれば、人工心臓を取り換えるでもしない限り千束の心臓はいずれタイムリミットを迎える。そして、人工心臓を作れる人ともコンタクトが取れないであろうことも。まあ、それぐらいは思い至りましたよ」

 

「そう、か……すまない……棗くん。君には、知らせておくべきだった」

 

「……気にしてませんよ、千束の事を考えてそれを選んだのなら、俺は恨みません」

 

「……すまない」

 

「世の中、本当に理不尽なことだらけですね」

 

 謝罪をするミカの顔を見た後、棗は天井を仰ぎそんなことを呟く。

 ああ、本当に全くもって理不尽だ。死んだ己には第二の人生が与えられ、今を幸せに生きようとする少女は満足に生きることができない。本当に理不尽な世界だ。

 

「……棗くん」

 

「言いたいことは分かります。けど、俺には無理ですよ」

 

「何故だ? 千束は君のことを────」

 

 好いている、異性として。そう告げようとするミカの声を遮るように棗は拒絶する。

 

「だからこそですよ。人殺しの人でなしが彼女の幸せの中にいちゃいけないでしょう」

 

「…………それは私だって同じことだ」

 

 棗の言葉を聞いて、ミカはそう思う。人殺し、人でなしという面で言えば自分だって同じなのだと。

 

「違いますよ、俺とおやっさん……ミカさんは違います」

 

「棗くん……?」

 

「同じ人殺しでも、楽しんだやつと義務でやった人間、どっちがより人でなしなのかは自明の理でしょう?」

 

「君は……」

 

「どこまでいっても、俺は人殺しです。どれだけ絆されても、俺はくすんだ灰色だ」

 

 屍の山は確かに望んだものではなかった。そんなものは要らないと思ったのは本当だ。

 ────だが、それでも彼はあの日。狂った時点で、殺しを楽しんでしまったあの瞬間に。

 

 怪物(ひとでなし)になったのだ。

 

「って、まあそんなことを話すために聞いたわけじゃないんですけどね。

 すみません、暗い雰囲気にしちゃって。千束のこと教えてくれてありがとうございます」

 

「……構わんさ。いずれ話すべきことだった。棗くん、千束のことを頼む」

 

「……できる範囲なら、幾らでも」

 

 ミカの頼みを彼はすんなりとは聞き入れなかった。ただ、それでも錦木 千束の幸せを望んでいる。だからこそ、立花 棗はあいまいな答えを返していた。

 

 ────

 

「お、おかえり棗、先生。何の話してたの?」

 

「ん? ……ああ、まあちょっとした男の秘密だ」

 

「えー、なにそれ! 棗、何話してたの!?」

 

「お前が聞かん坊になることでお互い苦労するなって話だ」

 

「ちょ、なんだそれはー!!」

 

 千束は棗の心にもない言葉に、抗議するように襲い掛かる。

 しかし、ひらりと棗に躱されて転びかけていた。

 

「で、お前らはなにしてんの?」

 

「うん?」

 

 クルミと机でボードゲームをしていたのであろう痕跡を見て、棗はそう問いかける。

 休憩時間中だから別に構わないのだが、気になってしまうのは仕方ないことである。

 

「ああ、例のリコリス襲撃犯の調査のために情報をダウンロードしてるんだよ。

 あとでゆっくり調べるためにな」

 

「……DAをハッキングしてんのかよ」

 

「さすがはクルミさん、やばいねぇ」

 

 クルミの言葉に棗は頬を引き攣らせ、千束は感心したようにあくどい笑みを浮かべる。

 

「ふ、ちょろいね。あ、たきな、杏仁豆腐おかわり!!」

 

「…………むぅ」

 

 杏仁豆腐をかきこみ、たまたま廊下を通ったたきなにクルミはおかわりの要求をする。

 

「ああ、そうだ。たきな、千束。買い物、行くぞ?」

 

「お?」「……買い物、ですか?」

 

 その時ふと思い出したように声掛けする棗に千束とたきなは揃って首を傾げていた。

 

 

 ────

 

 

「いやーすまんすまん、セーフハウスの冷蔵庫調べたら思った以上に、食材なくてな」

 

「まあ、私だけだと基本そんなに要らないからねー」

 

「そういうことなら、予め言ってくださればよかったのに」

 

 スーパーで三人、一緒に歩きながら棗は笑う。

 千束一人暮らしのセーフハウスではあるが、三人でしばらく同棲するとなれば食料品周りの在庫の補充も必須なのだ。なので、こうして買い込むためにスーパーにやって来たのである。

 

「買うものは何か決まっているんですか?」

 

「うん? ああ、まあ……セール中の野菜と肉に魚……あと卵のパックだな。

 メインはその辺。他も必要そうなのはチラシにチェック入れてるよ。ほれ」

 

「確認します」

 

 チラシを渡されたたきなはチェックされている部分を確認していく。

 しっかりと必要なものを決めている辺り、棗は几帳面なところがあるのが伺えた。

 

「結構な量ですね……」

 

「いつも通りなら、俺だけでも良かったんだけどなー。流石に三人分となると量が多くなるし……あ、これ俺だけじゃ全部は持って帰れないわ。ってことで手伝ってもらいたかったんだよ」

 

「なるほど、それで私と千束を……」

 

 合点がいったようにたきなは頷く。つまり荷物持ち要員の人手が欲しかったという話で合った。

 

「なんか今度奢ってやるから、それで許してくれ」

 

「マジ? なら仕方ないなぁ。千束さんがしっかり選んでしんぜよう」

 

「いやお前は余計なもの籠の中にいれるからいい。たきなに全面的に任せる」

 

「なんでよ~!! 贔屓だー!!」

 

「お前が買わないモノ入れようとするからだろうが! 普段の信用度の差だ!! 甘んじて受け入れろ!」

 

「……子供ですか、千束」

 

 訴える千束に対して、父親のように怒鳴る棗。それを見ながらたきなはそんな感想を抱いていた。実際、やっていることが小学生低学年ぐらいの子供と同じなのでそういう感想を抱くのは普通の事である。

 

「あ、棗さん。お肉は左です」

 

「おっと、悪い悪い」

 

 話していたから通り過ぎかけていたのだろう、肉のコーナーをたきなが指差す。

 そうしてたきなと棗が二人で食材を買い込み、相談しているところを見て千束はすっと姿を消す。

 

「…………そーっと」

 

「千束」

 

「げっ……」

 

 こっそりと、どこからともなくお菓子を持ってきたのだろう千束はバレないようにお菓子を籠の中に入れようとするが、まるで後ろに目があるように棗に名前を呼ばれて再びすっと、姿を消した。

 

「……これなら」

 

「ダメですよ、千束」

 

「げっ、たきな!?」

 

 次はアイスとスイーツを入れようとして、たきなに咎められる。

 傍から見れば、子供(千束)を叱る母親(たきな)父親()であった。

 

「…………よぉし、じゃあこれを」

 

「ダメだぞ、千束」

 

「ぐえっ、なんでよー! ちょっとぐらいいいじゃんかー!」

 

「経費でおもちゃ付きのお菓子を買おうとするな子供かお前は!!」

 

「まだ未成年ですー!!」

 

「17だろうが! 歳を考えろ歳を!!」

 

 食玩を買おうとする千束の制服の襟を掴み、引きずりながら棗は怒る。

 

「ママ、あれなに?」

 

「若い子の嗜みよ、見てはいけないわ」

 

「「…………」」

 

 それを見た子供に指を差され、母親にそんな事を言われているのが耳に入ったらしく。

 棗と千束は急に静かになって顔を赤くするのだった。

 

「恥ずかしいならやらなければいいのでは……?」

 

 ごもっともな意見である。

 

 

 ────

 

 

「棗さん、調味料ってどこでしたっけ?」

 

「ん? ああ、コンロ下の引き出しの……あー、左から二つ目」

 

「左から二つ目……あ、ありました、ありがとうございます」

 

 たきなが料理を作っている間、千束と映画を見ている棗だったが

 調味料や食器の場所を聞かれる度に、しっかりと返答している。

 

「ねえ、たきな」

 

「なんですか、千束」

 

「……たきなはなんで家主の私じゃなくて棗に聞いてるわけ?」

 

「それは……千束の説明が些か抽象的すぎるので……」

 

 千束は不服そうな顔をして問いかけるが、たきなから困ったような顔でそう返されて目を丸くする。

 

「え、そんなにひどい?」

 

「ええ、その……かなり……なので、棗さんから聞いた方が早いなと……」

 

「うそー!?」

 

「ボキャブラリーのなさが災いしてんなお前」

 

 ショックを受ける千束の尻目に麦茶をストローでずずー、と啜る棗。

 実際、たきなからすればより正確に情報を伝えてくれるのは千束より棗という認識であった。

 

「……やっぱり俺も手伝おうか、たきな」

 

「いえ、これはじゃんけんで全敗した私が悪いのでお構いなく」

 

「……そうか? まあ、たきながそう言うならいいけど」

 

「……むー」

 

 やっぱり、と棗はキッチンの方に向かうがたきなにそう言われて渋々と引き下がる。

 それを見て千束は妙に面白くなさげな顔をする。

 

「なんだよ千束」

 

「べっつにー……なんかたきなと棗がいい感じだなーとか、夫婦みたいだなーとか思ってませんしー?」

 

「「…………?」」

 

 不貞腐れる千束を見て二人は顔を見合わせて首を傾げる。

 そんな気は一切なかったらしい。

 

「おい!? 無自覚で夫婦やんないで!?」

 

 無意識にお互いの距離が近かったらしい。それを見て千束は更にツッコミをいれる。

 

「いえ、まあ……千束が子供っぽくて、そう考えると棗さんが父親みたいだなーと思うことはありますけど」

 

「あー……いや、それを言われるとたきなもそうとう母親っぽいところあるぞ?」

 

「そうでしょうか?」

 

「うん、ある」

 

「…………やっぱり私もたきなと料理するー!!」

 

 たきなと棗の会話を聞き蚊帳の外……仲間はずれにされた感覚を覚えたのか、千束も立ち上がってキッチンに向かうのであった。

 

 その後痴話喧嘩をしながらも食事を済まし、食器を片付け終えた後

 たきなが食後のコーヒーを机に持ってきた段階で千束のスマホに警報が鳴る。

 

「……千束、それは?」

 

Intruder alertという文字が浮かび上がる千束のスマホを見てたきなは首を傾げる。

 

「お……チンピラがまた来たかー。なつめー」

 

「はいはい……」

 

「はい? あの……お二人とも何を……?」

 

 よっこらせ、と千束と棗が立ち上がる姿を見て更に困惑するたきな。状況が一人だけ呑み込めていなかった。

 

 拳銃を手に取りセーフハウスの隠し扉をこっそりと開け、千束と棗は上層の様子を伺う。

 

「おい、いねえぞ!」

 

「でも、確かにさっきこの部屋に入ったはずだ!」

 

「どこだ、クソッ!」

 

 侵入者と思わしき二人の男が何もない偽装されている側の部屋をうろついているのを確認した二人。

 

「おーおー、いるねー……」

 

「敵影は二人だな、どうする?」

 

「んーそれじゃあ……ジャケット着てる方をお願いね♪」

 

「はいよ」

 

 そのまま顔を見合わせてニヤリと笑うと────

 

「「うぎゃあああああ!?」」

 

「ほれほれ、逃げないと死んじゃうぞー?」

 

 チンピラ二人を拳銃を構えて撃ちながら追いかけ回していく。

 

「こいつら狂ってる!?」

 

「棗! お・ね・が・い・ね!」

 

「はい、よっと!」

 

 千束に蹴飛ばされた男をそのまま棗が掴まえ……

 

「てめ、なにをぉおお!?!?」

 

「おま、こっちくんじゃ────うげえっ!?」

 

 もう一人の男の方に投げ飛ばして、窓に勢いよく叩き付け

 その衝撃で窓が割れると同時に二人の男はベランダからそのまま下のゴミ捨て場に突き落とされる。

 

「さぁて……」

 

「どうしてやろうか?」

 

 そのままベランダに顔を出した千束と棗は悪い笑みを浮かべて、拳銃を突き落とされた二人の男に向ける。

 

「ひ、ひぃいい!! ころされるぅうう!!?」

 

「助けてくれええええ!?」

 

 それを見た男たちは必死に千束の拠点であるマンションから逃げ去っていくのだった。

 

「あー、また窓注文しなきゃ……」

 

「俺が払うよ、今回は俺が割ったみたいなもんだしな」

 

「マジ? 助かるぅ! あ、それと……ナイス連携」

 

「へいへい、お前こそな」

 

 コツン、と千束と棗はお互いの拳を重ね合わせるのだった。

 

「────このためのセーフハウスですか」

 

「ん? まあねえ……ああいうチンピラ程度なら良いんだけど、昔は()()()()も来てたからさぁ?」

 

「…………悪かったって」

 

 意味ありげに、棗をニタニタと笑いながら見つめる千束。

 棗自身も流石にあの時のことは罪悪感を覚えているらしく、気まずそうに謝罪をして視線を千束から逸らす。

 

「リリベル……?」

 

「あれ、棗言ってなかったの?」

 

「え? ……いや、お前かおやっさん辺りがたきなには説明するもんかと思ってたんだが」

 

 たきなの困惑する声に、千束は首を傾げて棗に問いただそうとする。

 しかし、棗も同じような考えだったのか千束に向けてそんな言葉を口に出していた。

 

「え?」

 

「……え?」

 

「待ってください! リリベルってなんですか!? それと棗さんはなにを知ってるんですか!?」

 

 情報に食い違いがあったらしい。が、それを聞いていたたきなは再び置いて行かれかけたのか声を荒げて二人に問い詰めようとする。

 

「あー分かった分かった! 説明するからちょっと落ち着けって!?」

 

 たきなにグイグイと押され、棗は一から順に説明する。

 リリベルという、男版のリコリスのような暗殺組織があること、そこに所属していたこと。

 そして、ここで千束に襲撃をかけたことがあったこと。それらを罪に問われる犯人のように自供するのだった。

 

「……私、聞いてないです」

 

「すまんたきな。本当に知ってると思って言ってなかったんだ……」

 

「ごめんってたきな! そういじけないでー!?」

 

 ムスーと頬を膨らませるたきなに棗は正座をして、千束は彼女によりかかりながら謝罪をする。

 

「というより……それだとリリベルって普段はなにしてるんですか? 棗さんを例にはできないと思うんですが」

 

「失礼だなたきな!?」

 

「え? あー……私も詳しいことは知らないかなー。え、なに? もしかしてたきなってば男の子に興味あるの!?」

 

「そういうことじゃないです」

 

 千束にそう聞かれて食い気味に否定するたきなであった。彼女にとって気になることといえば棗のことぐらいである。

 

「しっかし……誰の依頼で連中、つけてきたんだ?」

 

 棗は割れた窓ガラスを見ながら訝しげに外を睨む。千束とたきなを狙っての犯行だったのか、それともこちらを狙ってだったのか。

 

「棗ー! なにしてんの~? 早く降りてみんなで映画見ようよ~!」

 

「はいよ、今行く」

 

 千束に呼ばれて棗は下のセーフハウスの方に向かう。

 すぐに戻ったからだろう、棗は空中からこちらを監視していたドローンに気付くことができなかった。

 

 

 ────

 

 

「なんだこいつら……これ、見せたら真島は興味を持たないか……!?」

 

 あるマンションの一室で、ドローンで撮影した今の映像を見ながら、ロボットのような頭の被りものをした男が声に漏らす。

 

「ひぃ!?」

 

「おい、ハッカー。もう三日経ったぞ?」

 

 そこにドアを突き破り、二人のガタイの良い男と、緑のパーマの男性がやってくる。

 

「ど、どうしてここが……?」

 

「そんで?」

 

「あ、いやちょっとまっ」

 

「そ・ん・で・?」

 

「待ってくれ! リコリスが────」

 

 ガタイの良い男二人に、ロボットの被りものをした男は拘束され、

 パーマの男に拳銃を突きつけられる。

 

「リコリス、じゃねえよ」

 

「待って! 待ってくれ! 見てほしいものがあるんだよ!?」

 

「他の仲間は死んでんだよ。なあ……」

 

「ほんとにすごい映像があるんだ! だから────」

 

バランス取らなきゃなあ!?」

 

「頼む! お願いだ! ビデオ見て!! 嫌だ死にたくない! 頼────」

 

 男が叫び、引き金を引こうとした直後にロボットの男のデスクトップパソコンの画面から

 先ほどの千束と棗がチンピラと戦っていた映像がループで流れ始める。

 

「あ……? こいつは……」

 

「こ、こいつがトップのリコリスだ! 横の男の方は分からないけど……! 

 DAを襲撃前にこいつらを殺しておかないと! お前らは全滅させられるぞ!」

 

 パーマの男は拳銃を降ろすと、ロボットの男の部屋から部下の二人を引き連れて去っていく。

 

「あ、お……おい!?」

 

「…………明日、こいつらを倒しに行く。すぐに作戦を考えろ」

 

 最後に振り向き、ロボットの男にそう告げて姿を消す。

 

「────まさか、生きてたとはな。……なあ、()()?」

 

 彼はあの日出会った血濡れの怪物……立花 棗の姿を思い出してケラケラと笑った。

 

 それは……大きな騒動を引き起こす、一人の男の計画の始まりでもあった。




立花 棗

同棲させられてる現在絶賛怪我人なリリベル(元)
百合に挟まれてるので離れたい。

リリベルってことを黙ってたのはほんとごめん……


錦木 千束

たきなと棗と同棲できてウキウキしてるリコリス(1st)
楽しい!んだけど、たきなと棗が自然と距離が近くてちょっと嫉妬気味。

私も構ってよー!


井ノ上 たきな

同棲を自ら決めたリコリス(2nd)
千束って、妙に子供っぽいですよね……棗さんと話してると特に。

……リリベル……そんな組織があって、
しかも棗さんがそこ所属とは……予め言っておいてくださいよ……


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The die is cast

訳:賽は投げられた




「…………やっぱりか」

 

 目を覚ました立花 棗は自らの左手に巻かれていた包帯を外して予想していたように呟く。

 彼の視線の先には()1()()()()()()()()()()。それは普通はあり得ないことだ。

 ナイフでつけられた切り傷が一週間もしないうちに治ることなど、常人ではあり得ない。

 

「どうなっているんだろうな……俺の身体は」

 

 棗は顔を顰めて己の左手を見る。少なからず自分の身体に細工をされているのだろう、という当たりはつけているとはいえこうも人間らしくない再生能力を見せつけられたら気持ちが悪くもなる。

 

「…………今は考えても無駄、か。調べるにしても襲撃犯の特定が終わってからだな」

 

 そうぼやきながらも、棗はスマホを取り出し一人の人物に通話をかける。

 

「もしもし、棗です」

 

『山岸よ、千束ならまだ定期健診に来てないわよ』

 

「あー……すみません、あとで無理やり連れていくんで……って、そうじゃないや。

 今日って俺の怪我の具合診てもらっても大丈夫ですかね」

 

『……? ええ、構わないけどどうしたの?』

 

「少し、確認してもらいたくて」

 

『……わかったわ、ミカさんには私の方から連絡しておくから昼ぐらいに来なさい』

 

「っす、ありがとうございます」

 

 棗の言葉に何かを察した通話相手、山岸という女医は深くは触れずに予定を開ける。

 

『ついでに千束も連れてきてくれるとありがたいんだけどね』

 

「……それはーちょっと難しいかもしれないですね……絶対ついてこないんで」

 

『……でしょうね』

 

 普段はそれこそ子犬のようにべったりと引っ付いてくる千束ではあるが、棗が山岸女医の病院に行くと分かればささっと離れて隠れようとすらするのだ。それを理解しているからこそ、二人で通話越しにため息を吐く。

 

「すみません、近いうちに連れてくるので……襲撃犯騒動が落ち着いたころには必ず」

 

『頼んだわよ、棗くん』

 

「うぃっす。それじゃあお昼ごろに」

 

 棗は返事を返して通話を切ると椅子に座りこむ。

 そうして気付かれないように再び左手に包帯を巻きなおすと……

 

「────さて、起こすか」

 

 再び立ち上がると、別室で寝ている千束とたきなを起こしに行くのであった。

 

 

 ────

 

 

 そうして昼ごろ、約束通りに山岸女医の病院に訪れた棗は彼女に包帯を外され左手の様子を診察される。

 

「────本当に異常なしね、棗くん」

 

「やっぱりっすか?」

 

「ええ、傷痕も残ってないし完全完治よ。……本当に信じられないわよ」

 

「ですよねぇ……俺も正直驚いてますし……」

 

 山岸女医の言葉に棗は困ったように肩をすくめる。

 

「はっきり言って、あなたの治癒能力は異常よ。軽傷とはいえそれでもナイフを握ってできた傷。

 ……頬の銃弾のかすり傷はすぐに治るのはおかしくなかったにしても、そっちがこんな短期間で治ることはまずないわ。

 これだけ驚異的な治癒能力があるとしたら、それはあなたの身体のどこかに異常……もしくは欠陥があるとしか考えられない」

 

「だけど、それ以外の可能性もある。でしょう?」

 

 棗は付け足すようにそう告げる。あくまでそれはただの医者の山岸としての意見だからだ。

 

「……そうね。さっきまでのは普通の医者としての意見。ある程度色々知ってる私からの意見を述べれば……アンタ、なんか埋め込まれてるとしか思えないわよ?」

 

「…………結論はやっぱそうなりますか」

 

 リコリスを多く診て、そのうえで千束の担当医を務める山岸だからこそ、考えつく可能性だった。

 立花 棗もまた錦木 千束のように何か身体に埋め込まれているというその可能性。

 改めてそういう知識がある人物に言われてしまうと予想は確信へと変わっていく。

 

「千束の心臓を知ってるからこそ、言えることね。……もうあの子の心臓のことは知ってるんでしょう?」

 

「ええ、数日前に……ですけど」

 

「……ほんと、あの子。アンタには隠し事ばっかりね」

 

「お互い様なのでそこら辺は咎められませんよ」

 

 呆れた物言いになる山岸に苦笑いを浮かべる棗。お互いかなりの数の隠し事をしているのだからそこら辺で怒ることはできないのである。

 

「このことはリコリコのみんなには伝えるの?」

 

「いえ、しばらくは控えようかなと。まだ確証もないですし……リコリス襲撃犯のこともあって、無用な混乱は避けたいですから。落ち着いて調べ終えたら言うつもりです」

 

「……そう、それならこのごたごたが落ち着いたらすぐにしておきなさい。隠し続けてると辛くなるだけよ」

 

「肝に銘じておきます」

 

 先達の意見、それを蔑ろにはする気はないのだろう。棗は山岸の言葉にこくりと頷いた。

 

「まあとりあえず、見た目は大丈夫でも油断は禁物だからしばらくは包帯してなさい。

 痛み止めの塗り薬も出しておくわ。……もし出血がまた確認出来たらすぐに来ること。いいわね?」

 

「ありがとうございます」

 

 山岸に薬を処方された棗は受け取り、帰宅準備に入るのだった。

 

 ────

 

 一方その頃、喫茶リコリコではクルミが弄っているパソコンを千束が覗いていた。

 

「……地下鉄襲撃犯とリコリス襲撃犯は例の銃を使っているみたいだな」

 

「例の……?」

 

「千束たちが頼んでいた偽の時間を掴まされた取引のだよ」

 

「ああ、じゃあもしかしてあの時D()A()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「うっ……あ、ああ……それ、はドウカナ……?」

 

 クルミは心当たりがあったのだろう、ぎくりと身体を跳ねさせ視線を逸らす。

 そう、その偽の取引があった時のDAのハッキングをしたのは他でもないこのクルミ……つまりはウォールナットであった。

 

「うん……?」

 

「アー……もうちょっと調べてみる……」

 

 不思議そうに見つめてくる千束から誤魔化すようにクルミはパソコンに視線を戻す。

 

「それにしても……どうやってリコリスを連中は識別してるんだろ?」

 

「さぁな……まだ何とも言えないが、ボクと棗の見解は……その制服がバレてるんじゃないかって感じだぞ」

 

「……お? おお、なるほど。確かに、私らの制服って色はともかくデザイン共通だもんね」

 

 クルミに見られて、千束はなるほど。と合点がいったように頷く。

 

「……連鎖的に識別されたっていうのはあるとみて構わないと思う。味方だと一発で識別できるように統一するのは良くあることだが、こういう時には不便だな。リコリス」

 

「まあ、こうしないと任務じゃ混乱のもとだからねー」

 

 彼女たちリコリスが着ている制服は都会での迷彩服としての機能。つまり女子高生が銃を持っているとはだれも予想しないことの心理をついた代物だ。

 そして、共通のデザインを使うことで、敵味方の区別をつきやすくするほか、一般市民から見れば同じ学校の学年違いやクラス違いを連想させるようにもしているのだ。

 だがそれはあくまで一般市民から見ればの話。裏社会に生きる犯罪者たちからすれば、リコリスが制服を着ていることで認識できるのは同じデザインの制服は自分たちを殺しに来る敵だということ。

 なまじ今まで、リコリスに処理された犯罪者たちは誰も生き残ることがなかったために、そういう発想に至ることはなかったのだろう。

 

 だからこそ、クルミの言葉は新鮮でありそれと同時に納得がいく内容でもあったようだ。

 

 

 ────

 

 

「ただいまー」

 

「あら、おかえり棗くん。怪我どうだったのよ?」

 

「ん~? もう左手使ってもいいとは言われましたけど念のためまだ包帯はつけておくことと、塗り薬も渡されました」

 

 夜中にレジ袋を手にしながらリコリコに帰ってきた棗。

 その様子を見たミズキが棗に結果を聞いて、それを報告する。

 

「あ、これ帰りについでで買ってきたお酒のつまみです。よかったらどうぞ」

 

「お、気が利くわねぇ。ありがたく受け取っておくわ」

 

「それと店長、これ診察結果です」

 

「わかった、後で目を通しておこう」

 

 チーズ鱈をミズキに渡し、ミカに診察結果の書類を渡しながらふと、座敷で唸っているたきなが視界に入る。

 

「……お前は何唸ってんのたきな」

 

「え? あ!? お、おかえりなさい棗さん!!」

 

 棗に話しかけられ慌てて反応するたきな。

 どうやら真剣に悩んでいたらしく、棗の帰宅に気付いていなかったらしい。

 

「いや気付いてなかったんかい。……それで、なに悩んでた?」

 

「ああ、いえ……その……どうやっても勝てないんですよ、千束にじゃんけんで」

 

「「「ああ……それで……」」」

 

 たきなの悩み事を理解できたのか、ミカ、ミズキ、棗の三人は声を揃えて納得した様子を見せる。

 

「……最初はグーの某ドリフの人が編み出した形式でやってるもんな。お前」

 

「え、いやそれは無理でしょ」

 

「……だな、それでは千束には勝てん」

 

「は? どういう……?」

 

 棗の言葉に同意するように頷くミカとミズキをみてたきなは困惑したように三人を見る。

 

「千束が相手の服や筋肉の動きで、次の行動を予測しているのは知っているだろう?」

 

「グーから始めると、次の手を変えるかどうかを読まれるのよ」

 

「……変えないとわかればアイツはパーを出すし、変えるとわかったらチョキを出せばアイツは絶対に負けない」

 

「えっと……つ、つまり……?」

 

「千束と引き分けになれるのが三割、勝つ確率はゼロだ」

 

「…………マジですか?」

 

「「「マジだ(マジよ)」」」

 

 たきなは三人の説明を聞いて顔を引き攣らせながら砕けた口調で問いかけ、それに同意するように三人は頷いた。

 

「まあつまり、千束に勝ちたいなら最初はグーじゃなくて最初の勝負で勝つしかないのよ」

 

「じゃんけん、ぽん! で一気に勝負を決める、先手必勝こそが千束相手で大事なわけだ」

 

「相子になったらもう勝てないし、ましてや相子から始めたら一生勝てないわよ~?」

 

「………………大人げないですね、千束」

 

「「「そういうやつだからな(そういうやつだもの)」」」

 

 たきなは大きなため息を吐きながら呟き、三人は再び同意するように頷いた。

 

「……というか、知ってたなら教えてくださいよ、棗さん」

 

「言おうとしたらアイツその都度ガムテープで口塞いでくるし言えなかったんだよ……」

 

「……あの行為はそういう理由だったんですか」

 

 ジト目で睨むたきなに心の底から申し訳なさそうに顔を逸らす棗。

 しばらくの同棲生活の間で行われていた千束による棗の口塞ぎの理由が思わぬところで判明して苦笑いを浮かべてしまった。

 

「組長さんのところに配達行く……あ、棗おかえり! ……って、なによ、四人揃ってこっち見て?」

 

 黄色のポンチョを着た千束が従業員用のドアを開けて顔を出す。

 それを四人は呆れたような目で見つめていた。

 

「「いいえ、べつに(なんでもねえよ)」」

 

 たきなと棗は千束の不思議そうな顔に、すっと視線を逸らしてなんでもないと返す。

 多分今バラすと面倒くさいことになると判断したのだ。

 

「いいから、はよ配達行ってきなさいよ」

 

「すぐ支度します」「俺も準備するわ」

 

「ああ、大丈夫! 制服がバレてるんじゃないかーってクルミが」

 

「……リコリス制服が、ですか」

 

「まあ、確かに共通デザインが裏目に出たんじゃないかってのは俺とクルミで睨んでたからな」

 

「そうそう。そんなわけで、これなら~? ぜったーい? バレな~い!」

 

 黄色のポンチョをくるり、と一回転して見せびらかす千束。

 

「私服じゃ銃は使えないんだぞ?」

 

「警察に捕まっちまえ」

 

「んなことは分かってるわい。下にちゃんと着てますぅ~!」

 

「ぶっ……」

 

 ミカとミズキの言葉にポンチョを捲り、赤い制服を千束は見せつける。

 棗は少し顔を赤くして視線を逸らした。

 

「って、なんで棗は顔逸らすの」

 

「その捲り方はよろしくねえよダボ……」

 

「へ? …………ッ!? ば、ばか! エッチ! 変態!」

 

 棗の言葉に一瞬固まるも、どういう意味なのか察した千束は顔を赤くしてポンチョを戻して棗を睨みつける

 

「はぁ!? お前がやったんだろうが!?」

 

「別にそういう意図でやってませんー! そういう連想する脳内真っピンクな棗が悪いんでしょお~?」

 

「うっせえ! お前もその想像に至った時点で同類だわ脳内桃色お花畑娘!!」

 

「ああん? 言ったなコノヤロー!! 表出て決着つけるかあ~?」

 

「おう、上等だわ。近接戦で勝負付けたろうか」

 

「あー! 自分有利な方でやろうとしてる! せこい! 女の子相手に大人げない!!」

 

「お前だって近接以外じゃ自分有利だろうが!! 人のことで文句言ってんじゃねえよ!!」

 

「あ?」「あ"ぁ"!?」

 

 バチバチと火花を散らし、喧嘩腰になる千束と棗。

 それを見て、また始まったか……と頭を抱えるミカと見せつけやがって、ケッ! と妬ましそうに睨むミズキ。

 

「お二人とも、夫婦喧嘩はその辺りにしてください」

 

「「誰が夫婦だっ!?」」

 

「いやおめーらだよ」

 

 たきなの言葉に反抗する二人を見てミズキがジト目でツッコミをいれる。

 

「……とりあえず私も上着を着用して同行しますね」

 

「あ、それは大丈夫! モーマンタイ! たきな、今日の夕飯楽しみにしてるね♡」

 

「……なら、俺がバイクで連れて行こうか?」

 

「いいって、別に組長さんのところそんな遠くないし。徒歩でいくから! 心配し過ぎ、チンピラぐらいなら対処できるってば! 私は介護されてるおばあさんじゃないの!」

 

「わかったよ……」

 

 二人の気遣いはありがたく受け取っておくが、迷惑をかけすぎるのも千束としては申し訳ないのだろう、断りを入れたため、たきなと棗は渋々と下がる。

 

「ほんじゃ、行ってきまーす!」

 

「「「「いってらっしゃい」」」」

 

 そうして千束が外に出ていくのを見届けてしばらく……

 

「千束、遅くないでしょうか」

 

「いやいつも通りでしょ」

 

 たきなの言葉にミズキがツッコミをいれ

 

「……千束、遅くないか?」

 

「いつも通りだぞ、棗くん」

 

「……うわ、マジじゃん」

 

 棗の言葉にミカがツッコミを入れて、たきなと棗は時計を見るがそんなに時間が経っていなかったために何かあったと判断できるラインではなかった。心配性な二人である。

 そうして二人揃ってカウンターの椅子に座り落ち着こうとした直後だった。

 

「うわあああああああ!?!?」

 

 奥の押し入れから悲鳴が聞こえたかと思えば青い狸のごとく、ゴロゴロと転がり出て慌ててタブレットを持ってくるクルミ。

 

「どうした!?」

 

「あああああ!!?? み、みみミかみじゃない! 見てくれこれ!!」

 

 慌てた様子のままクルミはタブレットの画像を四人に見せる。

 

「これは銃取引の時のDAのドローン映像だ!! 殺されたリコリスはこの四人!! これが犯人に流出して顔がバレてたんだよ!?」

 

 そこには被害にあい殺された四人のサードリコリスの顔がはっきりと写っていた画像があった。

 

「はぁっ!? なんでそんなもんが流出してんのよ!?」

 

「まさか……あの時のハッカーか?」

 

「DAにハッキングしたやつか!」

 

「DAもまだそのハッカーを特定できていないようですし、まずいのでは!?」

 

 四人は焦ったように顔を見合わせて、タブレットの画像を見直す。

 

「アンタの仲間じゃないの!? さっさと調べなさいよ!」

 

「うぐ……そ、それは……」

 

 食い気味に問い詰めるミズキに思わず言葉が詰まり、クルミは目を逸らす。

 当然そんな態度を見せられたら、ミズキは訝しむ。

 

「なによ?」

 

「……あのときの、ハッキングは……ボクがやった」

 

「「はぁ!?」」

 

「どういうことだっ!?」

 

 驚愕する四人、ミカが慌ててクルミに問い詰める。

 そう、あの日の銃の取り引きのタイミングでDAのラジアータをハッキングしたのはウォールナット、つまりクルミだったのである。

 それが原因で銃千丁が失踪し、たきなはトカゲのしっぽ切りとして左遷されたのだからとんでもない話だ。

 

「い、依頼を受けてDAをハッキングしたんだ! その依頼主(クライアント)に近付くには仕方なかったんだ!!」

 

「ちょっと……じゃあ、アンタが武器をテロリストに流した張本人ってわけ!?」

 

「それは違う!! 指定の時刻にDAのセキュリティを攻撃しただけだ!!」

 

 叫ぶように問い詰めるミズキに食い気味で否定するクルミ。彼女とて悪気があったわけではない。

 真実を知りたいというその強い探求心が結果として悪い方向に向かってしまっただけなのだ。

 

「そうですかぁ! おかげで正体不明のテロリストがぁ? 山ほど銃を抱きしめてたきなはクビになりましたけどぉ!?」

 

「もういい! やめろミズキ!」

 

「映像はそれで全部なんですか!?」

 

 小言を言うミズキを制止するミカと、情報の数をクルミから聞き出そうとするたきな。

 その時クルミはふと、辺りを確認して1人……千束が居ないことに気付く。

 

「おい、千束はどこだ!?」

 

「え? 先ほど配達に行きましたが……」

 

「全部じゃ、ないんだ……!」

 

 そう言い、クルミが見せた画像は千束と棗がたきなと揉めていた……沙保里さんを護衛したときのものだった。

 それはつまり……標的には千束も含まれているということにほかならない。

 いち早くその事実にたどり着いた棗は拳銃とナイフを手にして、即座に外に出る。

 

「────クソッ!!」

 

「棗さんっ!?」

 

「俺は先に千束の所に行く! 絞田組のところならそう遠くはないはずだ! 

 たきなは準備が終わって千束と連絡がついたらすぐにこっちに来てくれ!」

 

「わかりました! 後で合流します!! お気を付けて!!」

 

 インカムを耳につけ、ヘルメットを被りながらたきなに指示を出す。

 その後エンジンをかけ、棗はすぐにバイクを出して追いかける。

 

(千束……死ぬなよ!!)

 

『もしもしもしもし~?』

 

「千束! 敵はお前を狙ってるぞ!」

 

『へ? って、ちょいちょいちょいちょいちょい!!』

 

 ミカのスマホに車の走行音とぶつかったような衝撃音が流れる。

 

「千束!? 千束!!!!」

 

「なんかすごい音したよ!?」

 

「私もすぐに組事務所に向かいます!!」

 

 たきなは制服に着替え終え、リコリス鞄を背負うと即座に外に出て棗の後を追うように走り出す。

 

「クルミはすぐに千束を探せ!!」

 

「わかった!!」

 

 クルミはミカの指示に頷き、即座に押し入れに戻り、絞田組事務所までドローンを飛ばす。

 

 

 ────

 

 

『どうだ! 今回は被害ゼロだろ! 文句はないだろ!!』

 

「わかったわかった、いい作戦だよ。ハッカー」

 

 千束を轢いた犯人の男は、インカム越しに聞こえてくる声に相槌を打ちながら

 彼女の身体を蹴って転がす。

 

「あ? こいつは……へぇ、なるほどな」

 

 男の視界に彼女がつけていた梟の首飾りが入り何かを確信したように頷く。

 その直後、轢かれた……かのように見せかけていた千束が着込んでいたポンチョを投げつけ、犯人の男の視界を遮る。

 

「お、らぁ!!」

 

「っ!?」

 

「がぁっ!?」「うげっ!?」「がふっ!?」

 

 即座に反撃するように千束は周囲の男の配下と思わしき連中に弾を撃ち込み、逃げだす。

 

「チッ!! 追え!!」

 

「あー! ちくしょう! ポンチョ盗られたぁ!!」

 

『おいおい! 目の前まで追い詰めたのに! 僕のせいじゃないぞこれは!!』

 

「…………あ? なんだこれ?」

 

 部下に指示を出した直後、インカム越しの文句をたれる声を聞きながら

 撃たれた部下の身体に付着していた赤い結晶を手に掴み、困惑したような姿を見せる。

 その赤い破片は千束の非殺傷弾が着弾したときに拡散される赤い粉の正体だった。

 

 逃走劇を繰り広げる千束と襲撃犯。

 ハッカーが襲撃犯にいる以上、千束に隠れる場所はなかった。

 

「はぁ……はぁ……って、ん?」

 

「は! また吹っ飛ばしてやる!」

 

「ああもうしつこいなぁ!!」

 

 部下の運転する車から身体を出して男が銃を構えて自分を狙っているのを理解した千束はしびれを切らして後ろを振り向き愛銃を構える。

 

「なにっ!?」

 

 男の射撃を千束はいつものように予測して避けた直後、反撃のために連射し車のガラスを割った後に主犯格と思わしき緑髪の男の頭に非殺傷弾を撃ち込む。

 

「がはっ!?」

 

 その着弾の衝撃で車から手を離した男は地面に叩きつけられて勢いよく転がっていく。

 

「アンタが一連の襲撃犯?」

 

「……ひでえ、じゃねえか」

 

 起き上がり振り向いた男の頭は地面に叩きつけられた影響か血だらけだった。

 

「うっわ……」

 

 それを見た千束はドン引きしながらホールドアップするように拳銃を突き付けて、男の後ろに回る。

 ……普通であれば、この時点で男は手を挙げて反撃はできなかっただろう。

 だが、男は先ほど知ってしまった。錦木 千束には殺意がない。殺す気がないことを。

 ならば、ホールドアップに従う必要はなく。

 

「ぺっ!」

 

「うわっ!?」

 

 千束の両腕を掴んだ男は、先ほど拾った赤い破片をかみ砕き、唾液と共に赤いインクに戻していたのだろう。

 それを千束の目に吐きかけることで、彼女の視界を奪う。

 

「ハハッ! 引っ掛かりやがった!」

 

 そのまま男は、千束の制服を右手で掴み、殴りかかる。

 

「いっ!?」

 

「いいぞー! 真島さーん!!」

 

「やっちまってください!!」

 

 少女をいたぶる姿を見つめ、配下の男たちはヤジを飛ばす。

 

「ははは! ゴム弾じゃなく!」

 

「あぐっ!?」

 

「実弾にしときゃ!!」

 

「うぐっ!?」

 

「良かったなぁ!!?」

 

「がはっ……!?」

 

 真島、と呼ばれた緑髪のパーマの男は千束を殴り飛ばし、自分の所持していた拳銃を手に取ると、千束に突き付ける。

 

「いたたた……ぁ……」

 

 それは、錦木 千束でも回避不能の距離。ましてや殴られてふらついている現状では避けることなどできない。

 つまり……死を確信できる状況だった。

 

(ああ……これ、ダメかも。ごめん……って、なんで今棗の顔が過ったんだ私……? 

 ……って、今更か。好きだからだもんね。こうなるの)

 

 千束は反撃の隙を伺いながらも死を覚悟する。その時、ふと彼の顔が過って思わず失笑してしまう。

 

 そんな彼女の心境もお構いなしに、男……真島は銃を突き付けたまま千束が首にかけている梟の首飾りについて問い詰めようとする。

 

「なあ、()()()使()()()()()()()

 

「……は?」

 

「それだよ、それ」

 

「っ……これ、は」

 

 言葉に詰まり、千束が押し黙ったその時────

 

「なんだっ!?」

 

「ッ!?」

 

 バイクのけたたましい騒音と共に、何者かが乱入する。

 

「……随分と、俺の大切な人をかわいがってくれたな。テロリスト」

 

「ぁ、なつ、め……?」

 

 バイクを乗り捨てて乱入したのは、立花 棗。その人だった。

 

 

 ────

 

 

 拳銃を真島に突き付けたまま、棗は千束のそばに近づく。

 視界が戻ったのであろう真島は棗の顔を見て、子供のように目を輝かせる。

 

「おいおいおいおい……マジかよ、マジか!」

 

「……最悪だ、お前のツラを()()、見ることになるなんてな」

 

「その髪色……目つき、やっぱりお前か。

 生きてたとは嬉しいぜ。随分と久しぶりだなぁ? 灰色さんよ?」

 

「……その声、やはり生きていたか。戦争屋」

 

「おいおい、んな知らない人みたいな扱いすんなよ……なァ、兄弟?」

 

「同じにするな、俺はお前たちのような無法者じゃない」

 

「……はい、いろ…………?」

 

 棗と真島の会話を耳にした千束はどういうことかと棗の顔を見る。

 少なくとも、錦木 千束はそれを知らない。立花 棗が灰色と呼ばれていることを彼女は一度たりとも聞いたことがない。

 

「おいおい、バランス考えろよ? お前はこっちじゃなきゃ釣り合わねえ。だろ、灰色の切り裂き魔(アッシュ・ザ・リッパー)?」

 

「ぇ……アッシュ……って……」

 

 その名前は、知っている。錦木 千束はその名前を知っている。

 かつて、アッシュと名乗った少年と……錦木 千束は幼い頃に出会っている。

 

「棗、今のどういう……」

 

「……話はあとだ、たきながこっちに向かってる……アイツの援護を待って逃げるぞ」

 

「……わかった、あとでちゃんと聞かせてよ?」

 

 小声で話す二人だったが、棗にそう言われて渋々と引き下がりたきなの援護を待つように伺う。

 

「にしても……アランのリコリスと、あの灰色が一緒に行動するとはな? バランスは取れてねえが……おもしれぇな、お前ら」

 

 真島はそう笑い、棗とお互いの頭を狙って銃を突きつける。

 

「こっちにこいよ、灰色。お前は俺と同類だ。自覚してんだろ? あの電波塔で嗤ってたもんな、お前は」

 

「黙れ、お前が何と言おうと俺は────」

 

 真島の言葉に嚙みつくように叫ぼうとした棗。

 直後真島の拳銃に銃弾がヒットする。そして金属音と共に勢いよく真島の手から拳銃が弾き飛ばされた。

 

「な、に!?」

 

「ッなんだ!?」

 

「ぎゃあっ!?」「が!? あ、足がァ!?」

 

「どっからの狙撃だ!?」

 

 急所を的確に外されたうえで無力化された連中と、辛うじて車に回避した配下の男たちはどこからともなく飛んできた銃弾に警戒する。

 

 そして、その正確な射撃が誰のものか理解していた千束と棗は一斉に走り出す。

 

「千束!」

 

「わかってる!!」

 

 その道中で、千束のストライクウォーリアーを拾った棗は彼女に投げ渡す。

 それを手に取った千束は棗と共に、射撃で牽制して時間を稼ぐ。リコリコの赤い車がやってきたのを確認したからだ

 

「チッ……!」

 

「走るぞ!!」

 

 真島は即座にどこからも弾が当たらない位置に隠れる。その隙をついて、ミズキが運転する車まで全速力で逃げる千束と棗。

 

「千束、棗くん! 乗るんだ!!」

 

「と、りゃあ!!」

 

 後部座席に乗っていたミカがドアを開けて、手を伸ばす。

 そのまま後部座席に千束が先に飛び込んだのを確認し棗は威嚇射撃を続ける。

 

「ッ、たきな!」

 

「棗さん!」

 

 威嚇射撃を終えて走り込んできたたきなを見て棗は手を伸ばす。

 そのまま彼の手を掴んだたきなは

 

「せぇのっ!」

 

 棗に引っ張られる形で後部座席に放り込まれる。

 

「むぐっ……!?」「せ、せまい……!」「詰めてくださ……!」

 

 棗が座れないからこそ慌てて席を詰めようとしたミカたちだったが

 

552:名無しの彼岸花 ID:2sHgAXpYz

よし、千束ちゃんとたきなちゃん乗った!! 

 

553:名無しの彼岸花 ID:F9bJhiOCd

あとはイッチ……って、イッチ! 後ろ! 

 

「ッ!」

 

 その隙をつくように一人の男がこちらに向けて狙い撃とうとしているのに()()()()気付くと、棗は即座に車のドアを閉めて、撃とうとした男を射撃する。

 

「棗ッ!?」

 

「先に行け! あとで乗り捨てたバイクで追いつく!!」

 

 棗は自らを囮にするつもりなのだろう、そう叫び敵に威嚇射撃を続けながら離れる。

 

「クッ……すまん、棗くん! ミズキ! 出せ!!」

 

「待って先生! 棗が────きゃあ!?」

 

 そのままミズキがアクセル全開で車を飛ばして逃げようとするが、

 それを妨害するように、無人操作の軽自動車が突っ込んでくる。

 

「やっば! みんな掴まって!!」

 

 上手く、車を掠らせたミズキはそのまま更に速度を上げて逃げようとする。

 当然、連中は追いかけようとするがそれを棗が射撃で牽制して防ぐ。

 

「こっちだクソども!」

 

「真島さん! どうしますか!?」

 

「二手に分かれろ!! 俺はアランリコリスを追う! ハッカー! その車は俺が使う!!」

 

 棗は陽動するように挑発するが、それを真島は冷静に対処して二手に分かれさせる。

 

「クソッ……! やっぱりあの男相手じゃ簡単にはいかせてくれないか!!」

 

 配下の男が数名、棗の方に向かってくるが本命の千束を狙う真島は車を使って追いかけようとする。

 

561:名無しの彼岸花 ID:zCRkNDwJK

って、おいおいおい! ロケランはまずいだろ!? 

 

562:名無しの彼岸花 ID:pfxCS4IdT

千束ちゃんたちが危ない! イッチ!! 

 

 そして、千束たちを狙うように一人の男がミサイルランチャーを構えたのを

()()()()()()()()()()()()()、棗はランチャーを構えた男の手を狙う。

 

「ッ……!! 当たれ……!」

 

「がぁっ!?」

 

 その射撃は正確に男の手を撃ち抜き、麻酔弾の効果で手元が狂った男は狙いを外してミサイルを撃ち込む。

 そのミサイル弾の軌道は千束たちの乗る車から逸れ、真島が乗ろうとしていた軽自動車に着弾する。

 

「は────?」

 

 ミサイル弾は見事に軽自動車に着弾し、近くにいた真島は爆発に巻き込まれて海の中に吹き飛ばされる。

 

「逃がすな追え!」

 

567:名無しの彼岸花 ID:fBj1Ue+Jb

でもやばい! 今のでイッチに完全に連中のヘイト向いた! 

 

568:名無しの彼岸花 ID:qqjt6IirF

逃げろイッチ!! 

 

「逃がすかよ、クソガキ!!」

 

「────ッ!?」

 

 走って逃げようとした直後に、一人の男の拳銃に横腹を撃ち抜かれる。

 

「く、そ……!」

 

 腹を押さえて必死に逃げ、そのまま棗は柵を乗り越え────ドボン、と海の中に落ちる。

 

「なつめぇえええええ!?!?」

 

「落ち着け千束!!」

 

「離して先生!! 棗が!! 棗っ!!!」

 

 それを車から目撃して、悲鳴を上げるのは千束だった。

 慌てて彼女は車から降りて助けに行こうとするが、ミカに捕まり引き留められる。

 

「今狙われているのはお前だ!! お前がここにいる限り、逃げる棗くんも狙われ続ける!!」

 

「でもっ────!」

 

 助けに行かないと、そう言おうと千束がしたところで、たきなが千束の肩を掴み顔を真っすぐに見つめる。

 

「落ち着いてください、千束!」

 

「たき……な……?」

 

「私が棗さんを助けに行きます! 予備の車は!?」

 

「あるわよ! まずはそこまで飛ばすわ! そこで降ろすけどいい!?」

 

「構いません! お願いします! 

 ……千束、必ず私が棗さんを助けます。大丈夫です、棗さんが強い人なのは……千束も知ってますよね?」

 

「……うん、ごめん……ありがとう、たきな」

 

 たきなに優しく諭され、幾分か冷静さを取り戻す千束。

 ミズキは即座に、予備の車を置いてあった駐車場まで車を走らせるとそこでたきなを降ろす。

 

「……たきな、棗をお願い」

 

「はい、必ず連れて帰ります」

 

「……頼んだぞ」

 

 ミカと千束に頼まれ、たきなは頷くと予備の車の運転席に乗り込みすぐにエンジンをかける。

 

「クルミ」

 

『見つけてる、今そっちの車のカーナビに棗のいる場所を送る。いそげよたきな。意識があるとはいえ、まずいかもしれない』

 

「わかっています……!」

 

 クルミの警告に頷き、たきなはアクセルを勢いよく踏み即座に棗のもとへ向かうのだった。

 

 

 ────

 

 

ごふッ……ああ、クソ……まずったな……」

 

 海から港に這い上がり、横腹を押さえ、そこから血を流しながら重たくなった身体をゆっくりとひきずって貨物が積まれている場所まで歩く。

 ぽた、ぽた、と海水と血を流しながら歩く姿は痛々しいというほかなかった。

 

「当たったところが……わ、るかったな……これ……」

 

 貨物コンテナでできた十字路に逃げ込んだ棗は、コンテナにもたれかかり座り込む。

 

「……そんな……さけばなくて、も……わかってる……ゲホッ……

 

 まるで誰かに耳元で叫ばれているようなことを呟きながら、棗は止血をしようとするが……

 

「あぁ……これ、かい、すいのせい……で、むり……か……?」

 

 手元がふらつくだけでなく、布が濡れていたせいか血が止まる気配が一切なかった。

 

 これ、本格的にまずい。棗はそれを確信しながらもゆっくりと呼吸をする。

 

583:名無しの彼岸花 ID:qe7tKHgTY

死ぬなよイッチ! ここで死んだら千束ちゃんとたきなちゃん絶対泣くからな!? 

 

「それは……た、しかに……ごめ、ん……だ……」

 

 そこまで口にしたところで、棗は意識を奪われるように……目を閉じた。

 

 

 ────

 

 

 夢を見ている。

 

「ねえ、どうしてぼくがえらばれたの?」

 

「それはね、君が特別だからだよ」

 

「……とく、べつ……?」

 

 それは誰かの幼い頃の記憶だろうか。……それを俺は知らない。

 

「ああ、君には神様から与えらえた才能(ギフト)がある。それを君は活かすんだ。そうすれば……()()()()()()()()()

 

 靄のかかって顔が見えないスーツの男性のノイズ混じった声を聞く。

 そんなことを、言われた記憶がある。────俺は知らない。

 

「……そっか……じゃあ、ぼくはいらない!」

 

「……なぜだい? 君は世界を救えるんだよ?」

 

「だって、ぼくはきゅうせいしゅになりたいわけじゃないもん! ぼくがまもりたいのは────」

 

「……そうか、それはとても素敵なことだね」

 

「えへへ、そうでしょ! ■■おじさん!」

 

 名前を呼んだ気がした。だけど、その声はノイズが混じって上手く聞き取れない。

 その人は、少年の頭をなでていた。知らない。だけど────

 

「────ねえ、どうして? 

 

 その火の海を。

────火の海だけは。俺は知っていた。

 

 

 ────

 

「……さ……さん……なつ……!」 

 

 声が、聞こえる。誰かが語り掛けている気がした。

 ああ、起きないと。……ゆっくりと目を開ける。

 

「なつめ……! ────棗さん!」

 

 視界の先には黒髪の少女がいた。誰なのか、知っている。

 彼女は────

 

「ぅ、ぁ……た、きな……か……?」

 

「……棗さん……! これ、わかりますか……!」

 

 たきなは指を三本立てて、その数が分かるか確認する。

 

「……さん……ゆび……」

 

「……! よかった……」

 

 正確に答えた棗に、ほっと胸を撫でおろして……たきなは安堵の表情を浮かべる。

 

「止血は済ませました。このまま車に運びます……肩を担ぎますね?」

 

「……たの、む」

 

 たきなに棗は肩を担がれ、ゆっくりと車まで運ばれる。

 

「降ろしますね……?」

 

「ああ……」

 

 車の後部座席におろされ、棗はそのまま座席の上で横になる。

 

「ちさと、は……だいじょうぶか……?」

 

「はい、無事です。千束も、ミズキさんも、店長も……私も」

 

「……そう、か……よかった」

 

「少なくとも、私の足は掴まれていないはずです。リコリコに帰るまでは安全だと思いますから……ゆっくりと休んでください」

 

「ああ……そう、するよ」

 

 たきなにそう言われて、棗はゆっくりと深呼吸しながら目を閉じる。

 

「……そう、だ……たきな」

 

「……なんですか?」

 

 シートベルトをして、車のアクセルを踏みながらたきなは棗に呼ばれて反応を返す。

 

「ありがと、う……たすかった……」

 

「……私も、たくさん棗さんには助けられています。おあいこ……いえ、まだ返せてません」

 

「そうか……な、ら……それまで……生きてないと、なぁ……」

 

「……ええ、そうですね」

 

 棗が目を閉じたまま笑みを浮かべたのをバックミラーで確認し、

 たきなはくすりと微笑み、棗と共に、リコリコへと帰還するのだった。

 

 

 ────

 

 

「ん……んん……」

 

(なんだ……? なんか、手……握られてる……のか……?)

 

 棗は、意識が戻ったのか目を開ける。

 見上げた天井は、知らない……病室のものだった。

 

「千束、か……?」

 

 ベッドの上にいると理解した棗は周囲を見渡し、足元に視線を動かす。

 そこには千束が手を握ったまま、眠っている姿があった。

 

 目元は赤く腫れており、泣いていたのであろうことが伺えた。

 

「……泣かせちゃったか」

 

 手をゆっくりと、千束から離すとそのまま彼女の白金の髪を優しく撫でる。

 

「……ん、んう……? な、つめ……?」

 

「……おはよう、起こしちゃったか?」

 

 頭を撫でられた感触で、目を覚ましたのだろう。寝ぼけまなこなまま棗の方を見る。

 ……そうしてしばらく彼の顔を見て────

 

「………………棗ッ!」

 

「うぉおうっ!?」

 

 がばっと千束は勢いよく抱き着いた。

 

「良かった……よかったよぉ……! なつめが、しんじゃうかと……おもって……それ、で……それでぇ……!」

 

「……ごめん、心配かけたな」

 

 泣きじゃくりながら、涙声で喋る千束。その手と身体は恐怖に震えていた。

 それに棗は気付くと、優しく抱きしめ返して彼女の背中をあやすようにさする。

 

「う、うぅぅ……ばかぁ……ほんとに、ほんっとに……しんぱいしたんだからぁ……!」

 

「ごめん……大丈夫、俺はここにいるから……な?」

 

「うん……」

 

 千束が落ち着くまでの間、棗はずっと彼女の背中をさすり抱きしめ続けたのだった。

 

 

 ────

 

 

「もう動いても大丈夫だとは思うけど、しばらくは安静にすること。いいわね?」

 

「っす……迷惑かけてすみません、山岸先生」

 

 まさかこんなすぐに世話になるとは棗自身思っていなかったのだろう、心底申し訳なさそうに謝罪していた。

 

「いいのよ、医者は怪我人や病人を診てなんぼなんだから。頼るべき時は頼りなさい」

 

「はい……ありがとうございます」

 

 山岸に、怪我の様子を診られている横でたきなと千束はほっと胸を撫でおろした。

 

「……お二人とも、大事には至らなくて良かったです」

 

「たきなにも世話になったな、すまん」

 

「いえ、棗さんがご無事でよかったです」

 

「ほんとだよ、もう! すっごい心配したんだよ私!」

 

「ごめんってほんと……」

 

 千束が私怒ってます! と露骨に頬を膨らませぷんすこと怒る様子を見て棗も流石に罪悪感があるのかいつもよりしおらしく謝罪していた。

 

「……千束の弱点は目、棗さんは……私たちでしょうか」

 

「いや誰だって目は弱点でしょたきな」

 

「……身内を傷つけられたら誰だって怒るだろ」

 

 たきなのそんな小さく呟いた声に千束と棗は突っ込む。

 

「ふふ、アンタらいいトリオね」

 

 そんな三人の仲のよさげな姿を見て山岸はくすっと微笑む。

 

「ええ……? そうっすかね……?」

 

「そこはそうでしょー! って自慢するところでしょ棗!」

 

「あいった!? 今そこ小突くのやめろ!?」

 

「あ、ごめん!?」

 

 横腹を小突かれ、棗は痛がって普通に手で押さえる。今現在の棗の弱点であった。

 

「ねえ、たきなも棗も! 一緒に居れば安心だって分かったし……その……しばらく同棲続けない?」

 

「……そうですね」

 

 棗の方をたきなはちらりと見る。それに気付いた棗はアイコンタクトを送って頷く。

 

「では、千束が私とのじゃんけんで勝ったら続けましょう! 棗さんもそれでいいですか?」

 

「ああ、いいぞ」

 

「お? おお? 二人とも強気だね? 全敗の記録を忘れたのかな~?」

 

「ええ、ですがそれは過去の話です」

 

 自信満々な二人を少し遠くから眺める山岸と棗。

 

「言うねぇ? にしし! いくよー! 最初はグー!」

 

 そこまで千束が言ったところで、たきなが食い気味に声を被せてくる。

 

「じゃんけんっ!」

 

「どぉうぇええ!?」

 

「ぽんっ!!」

 

 それに動揺した千束はパーを、たきなはチョキを出す。じゃんけんの結果はたきなの勝ちで千束の負けだった。

 

「あああああ!?!?」

 

「よっし! よしよしよしよっし……!」

 

「はい、たきなの勝ちー」

 

 負けたことにショックを受ける千束とガッツポーズし小躍りするたきな。

 

「棗ぇ! まさか教えたのぉ!?」

 

「ズルするお前が悪い」

 

「棗の鬼ー! 悪魔ー!」

 

 あっけらかんとそう告げた棗に、千束はしばらく文句を言い続けるのだった────




立花 棗

重傷にはならなかった元リリベル。
かつて灰色というコードネームだった。

千束ちゃんを泣かせたことで罪悪感がマッハ。


錦木 千束

棗が海に落ちて一番取り乱した。
病室でしばらく泣いてずっと手を握ってた。

棗が死んだら……私……


井ノ上 たきな

今回の功労者。棗を助けて恩を1つ返す。
でも、まだ全部は恩を返せてませんから死なないでくださいね。

じゃんけんで勝って小躍り。


クルミ

多分戦犯。以前のハッキングがここで悪い影響を及ぼした。
たきなには謝罪したがまだ棗には謝れてないので
あとでちゃんと謝罪をしようとしている。


中原 ミズキ

今回の功労者その2。車で助けた。
正直棗くんが海に落ちたときは冷や汗とまらなかったわ。


ミカ

功労者その3
棗くんが海に落ちた時気が気でなかった。
けど冷静に対処した辺りやはり大人である。


真島

電波塔以来に出会えた御同輩にうっきうき。
バランスちゃんと取ろうぜ?なあ、兄弟。


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【悪い】リコリコなくなるかもしれん【俺詰んだ】

シリアスが隠せなくなってきた。
内容的には本編7話です。いよいよ後半戦です。よろしく。


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

生きてたけど早速詰んだわwwwww

 

2:名無しの彼岸花 ID:jLbFOi/IG

イッチ!!

 

3:名無しの彼岸花 ID:6DFUJANna

生きてたんかワレェ!!

 

4:名無しの彼岸花 ID:MAfFk3+WG

これ前もやったな?

 

5:名無しの彼岸花 ID:/oAl7SmK8

イッチが毎回死にかけてるのが悪い

 

6:名無しの彼岸花 ID:EVlHWJpgC

そうだよ

 

7:名無しの彼岸花 ID:/qRuE8UgL

というか詰んだってなにがあったんやイッチ

 

8:名無しの彼岸花 ID:exFJ59hRN

いやそもそもこの前のスレッド色々情報ありすぎてちゃんと整理できてないんじゃが?

 

9:名無しの彼岸花 ID:c4boN3WLU

それ、色々説明してくれやイッチ

 

10:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ざっくり説明すれば昔、灰色ってコードネームを持ってた。リリベル時代の話な?

そこで電波塔の一件に関わってたのは言ったと思うけど、

あの緑髪のパーマ……真島って言うらしいけどアレとかち合った。

その時からなんか兄弟って言われてる。

そんであの頃ナイフ一本で連中殺しまわってたから

灰色の切り裂き魔、アッシュ・ザ・リッパーって呼ばれとったって感じ。

 

11:名無しの彼岸花 ID:5yL6t1Auq

情報量が多い

 

12:名無しの彼岸花 ID:316h6kffp

また肝心なこと言ってねえなお前!!

 

13:名無しの彼岸花 ID:Tac72q34u

イッチさぁ……

 

14:名無しの彼岸花 ID:vbu1OMvcI

ちゃんとそういうことは言えよ!?

 

15:名無しの彼岸花 ID:dsPteGhc2

ガチの雷電じゃねえかお前よぉ!!

 

16:名無しの彼岸花 ID:AUh6xeE3g

切り裂きジャックとかお前ほんま!!バカ!!!

 

17:名無しの彼岸花 ID:JmYaB0+2k

千束ちゃんを容赦なく曇らせていく情報を開示するのやめろ???

 

18:名無しの彼岸花 ID:45dVdR5OU

イッチもしかして人の心ない?

 

19:名無しの彼岸花 ID:Zw6M2B9FD

てかイッチはあの後どうなったんや?

 

20:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>18

人の心ぐらいあるわ。失礼な。

>>19

たきなちゃんがあのあと助けにきてくれて

止血とか間に合ったから大事に至らんかったって感じや

しばらくベッドで寝てて

そのせいで千束ちゃん泣かせたのは反省せなあかんけどな……

 

21:名無しの彼岸花 ID:2C5b16X5d

結構やばかった感じやんけお前

 

22:名無しの彼岸花 ID:zP3d6U3Z0

あのさぁ……

 

23:名無しの彼岸花 ID:lV+pRs3Py

無理して千束ちゃん泣かせてる辺りアウトなんだよなぁ……

 

24:名無しの彼岸花 ID:WUuSyywYC

イッチは反省して千束ちゃんと結婚しろ

 

25:名無しの彼岸花 ID:89gqcGKLG

飛躍してて草

 

26:名無しの彼岸花 ID:4wKoOwZZb

お付き合いの過程すっ飛ばされてて草

 

27:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>24

なんで?????

 

28:名無しの彼岸花 ID:S5RReK7TB

残念でもなく当然

 

29:名無しの彼岸花 ID:lbuBEx23N

百合に挟まるのは大罪だけど美少女を泣かすのはもっと大罪だぞ。

無許可でから揚げにレモンやタルタルソースかけるぐらい重罪

 

30:名無しの彼岸花 ID:Fm9vKRMWB

めちゃくちゃ重罪で草

 

31:名無しの彼岸花 ID:pCmxTT5hV

これは重いですね……これは重い

 

32:名無しの彼岸花 ID:Uh9TgBXj4

ところでイッチ、スレタイはどういうことなんや?

 

33:名無しの彼岸花 ID:hkjCrVY4N

そういや……詰みってどういうことなの?

 

34:名無しの彼岸花 ID:OlJBzXOk+

キリキリ吐けやイッチ

 

35:名無しの彼岸花 ID:gBE81AQWq

なんか最近こういう事ばっかりしてない?

 

36:名無しの彼岸花 ID:OXWyy0miJ

イッチが悪い

 

37:名無しの彼岸花 ID:dzu6ffDDo

全面的に同意

 

38:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>29

クソほど重罪やんけ……反省します……でも結婚はしない。

>>33

いや、まあ早い話ね。

なんか千束ちゃんがDAに連れ戻されるかもしれないらしくて

支部ってファーストクラスのリコリス……

赤服の子が1人いないと存続できないらしいんや。

つまり、千束ちゃんがいなくなるとリコリコはなくなって

ワイの隠れ場所と後ろ盾が消える

 

39:名無しの彼岸花 ID:rnUkuD53Q

思ってたより詰んでる状況で草

 

40:名無しの彼岸花 ID:phkXWbNLa

ダメみたいですね……

 

41:名無しの彼岸花 ID:Vg0ZtbGri

うーん、詰みでは?

 

42:名無しの彼岸花 ID:peiAPzSyO

そもそもなんで千束ちゃん連れ戻されるかもしれないって話になってんの?

 

43:名無しの彼岸花 ID:e3lhCVyKF

そこよね、その例の戦争屋の真島対策か?

 

44:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そこら辺は分からん。

けど、千束ちゃんがたまたまおやっさんの携帯に

『今後の千束のことについて話したい』みたいな内容の

メッセージが届いてたの見ちゃったらしい

 

45:名無しの彼岸花 ID:dSx6cElA6

はー、それは確かになんかあると考えるのが妥当か。

 

46:名無しの彼岸花 ID:i98JDIxQf

元DA教官のミカさんと気軽に連絡取れてかつ

千束ちゃんのことで話せる人ってなってくると限られてくるもんなぁ

 

47:名無しの彼岸花 ID:0hw6fM/Ff

そうなってくるとDAの司令官とか

その辺の線で想定するのが一番いいか……

 

48:店員鈴蘭 ID:LyReBell

だから一応司令と話すのでは?って線でみんなで調査しようって話になってる。

たきなちゃんは養成所に戻される可能性あるし、

クルミちゃんはワイ同様命狙われる可能性あるから全面協力してる

 

49:名無しの彼岸花 ID:RZdc6C0cB

……ミズキさんは?

 

50:名無しの彼岸花 ID:qeIO9tEiR

1つ聞いていいかな、ミズキさんはどう言ってる?

 

51:店員鈴蘭 ID:LyReBell

君のような勘の良いスレ民は好きだよ?

男との出会いの場がなくなるからって言って全面協力態勢です

 

52:名無しの彼岸花 ID:ig4vSmwiF

 

53:名無しの彼岸花 ID:s+5FlpJq7

知ってた。

 

54:名無しの彼岸花 ID:GwiUyaLu1

平常運転すぎて安心した

 

55:名無しの彼岸花 ID:v2vafdnsX

ミズキさん……

 

56:名無しの彼岸花 ID:xM4LuLF96

誰か嫁に貰ってやれよ

 

57:名無しの彼岸花 ID:46biAD7lK

いやーキツイでしょ

 

58:名無しの彼岸花 ID:UKqAVqrMb

飲んだくれはちょっと……

 

59:名無しの彼岸花 ID:7rxxSwkwR

そうだよ

 

60:名無しの彼岸花 ID:fau0zUlc5

可哀想

 

61:店員鈴蘭 ID:LyReBell

お?

 

62:名無しの彼岸花 ID:ZjZdsasl6

お?

 

63:名無しの彼岸花 ID:I312xVV4d

どしたどした?

 

64:名無しの彼岸花 ID:HwIr79oWv

どうしたイッチ?

 

65:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやミカさんがメッセージのやり取りしてた相手が待ってる

って言ってたお店の名前をクルミちゃんに検索してもらったら

なんかめちゃくちゃ高そうな会員制バーの名前が出てきたんや

【画像】

 

66:名無しの彼岸花 ID:KeLZxZyCS

思ったよりしっかりしたバー出てきて草

 

67:名無しの彼岸花 ID:O134uq9tO

はえーすっごいオシャレ……

 

68:名無しの彼岸花 ID:UB3+JM9/v

待って会員費用クッソ高くね?

 

69:名無しの彼岸花 ID:Zw1YEIKeU

入会金20万!?うせやろ!?

 

70:名無しの彼岸花 ID:LnHz5CAtB

高すぎて草

 

71:名無しの彼岸花 ID:ZF1llAe7u

月会費も33,000円て……

 

72:名無しの彼岸花 ID:XrEkPxuD3

ガチガチの会員制バーやんけ!!

 

73:名無しの彼岸花 ID:CBf4hsybO

配偶者会員は入会金30,000で月額5,000か……

 

74:名無しの彼岸花 ID:AzXr9GKKC

にしても高いな……

 

75:名無しの彼岸花 ID:EEBw+q+3g

こんなところで仕事の話するかね?

 

76:名無しの彼岸花 ID:s6P2FikfY

たしかに。てかそもそもこんなところに司令呼ぶか?

イッチがたまに漏らしてたけど、DAの司令って女性なんやろ?

同性愛者のミカさんが女性とこんなところで話すとは思わんねんけど……

 

77:店員鈴蘭 ID:LyReBell

事情を知らないたきなちゃんとクルミちゃんは

司令とおやっさん愛人で逢引にきたのでは?って言ってる

 

78:名無しの彼岸花 ID:PBL4mp8Q3

たきなちゃんとクルミちゃんからそんな言葉が!?

 

79:名無しの彼岸花 ID:kCrNDNGf2

ふーんえっちじゃん

 

80:名無しの彼岸花 ID:Jwxex41Py

たきなちゃんの愛人になりたいけどなー俺もなー

 

81:名無しの彼岸花 ID:M0W43QhcP

は?クルミちゃんの愛人ダルルォ!?

 

82:名無しの彼岸花 ID:lvSqoWZlw

千束ちゃんなんだよなぁ……

 

83:名無しの彼岸花 ID:JJvNgwoRE

いやいやミズキさんでしょ

 

84:名無しの彼岸花 ID:Q6FfubdUB

変態しかおらんな?

 

85:名無しの彼岸花 ID:3WhqgouQk

いつもの光景でしょ

 

86:名無しの彼岸花 ID:Zm2b9tObh

そうだよ

 

87:名無しの彼岸花 ID:mgF/FO4LJ

見慣れた光景

 

88:名無しの彼岸花 ID:wCIQDFrtJ

一周回って安心感すらある

 

89:店員鈴蘭 ID:LyReBell

リコリコの店員嫁にしたかったら俺とおやっさんに勝ってからにしろよ?

 

90:名無しの彼岸花 ID:tUbRhC5p0

ヒエッ

 

91:名無しの彼岸花 ID:8WsCjpg4r

こっわ

 

92:名無しの彼岸花 ID:NzJvG9CmQ

ガチギレ寸前やんけ

 

93:名無しの彼岸花 ID:V6Q1tkPCm

オニイサンユルシテ

 

94:名無しの彼岸花 ID:vppUNPD3K

近距離最強のイッチとスナイパーできるミカさんのコンビ相手とか無理無理無理!勝てない!!

 

95:名無しの彼岸花 ID:dIPX6sjSJ

バランスとれてるねぇ!道理でねぇ!!

 

96:名無しの彼岸花 ID:o/lciUOB7

無双体制入ってるじゃん……

 

97:名無しの彼岸花 ID:cLU7uLGiE

勝てるわけがない……

 

98:名無しの彼岸花 ID:tAFhBA3p7

イッチほんと身内大切マンだな……

 

99:名無しの彼岸花 ID:Xv4vrnkhA

まあじゃなきゃキレないでしょ

 

100:名無しの彼岸花 ID:5FKOoswVx

それはそう

 

101:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあその辺の調査とかは後々するとして……

ワイはしばらく真島の調査やな。アレが何を目的に動いてるのか調べたいし

 

102:名無しの彼岸花 ID:RZc6JrfFh

ああ……そういやそれもあったっけ

 

103:名無しの彼岸花 ID:P7kNVc3Bw

イッチも大変やな……

 

104:名無しの彼岸花 ID:wb8vF1pCx

色々建て込みすぎてる

 

105:名無しの彼岸花 ID:fEWhCQptY

マジでこれ一連の事件全部関連性あるんじゃないか?

 

106:名無しの彼岸花 ID:EtcTUNnN/

絶対あるでしょ

 

107:名無しの彼岸花 ID:eD841Hh5+

電波塔から全部繋がってそう感はある

 

108:名無しの彼岸花 ID:8yb32sqpX

イッチ気を付けろよマジで

 

109:店員鈴蘭 ID:LyReBell

分かっとるよ。ワイもさすがにここまで連続して事件が起きてるのは

ちょっと今までにない経験だからその可能性は睨んでるし警戒しとる。

なんかあったらまたおまいらの知恵借りたりするかもしれんからよろしく。

 

110:名無しの彼岸花 ID:JoMqxwlcj

しょうがねぇなぁ……

 

111:名無しの彼岸花 ID:5rQRB0u/+

千束ちゃん達のためやしな。一肌脱ぐわ

 

112:名無しの彼岸花 ID:aZ943WCh/

その時は手を貸したるわ。

 

113:店員鈴蘭 ID:LyReBell

助かる……

 

────

 

324:店員鈴蘭 ID:LyReBell

珍しいお客様。

【画像】

 

325:名無しの彼岸花 ID:sln9SRjQu

お?リコリスじゃん?

 

326:名無しの彼岸花 ID:bax3YH5cx

ファーストの子とセカンドの子か?

 

327:名無しの彼岸花 ID:+RkLy+2dl

目つき悪そうな子とやたらボーイッシュな子やな……

 

328:名無しの彼岸花 ID:7VG6e6d16

もしかしてファーストの方って千束ちゃんの友人のフキちゃんって子か?

 

329:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>328

合ってる。何度かお店に任務の情報入手がてら訪れてたけど

今回は真島の件らしい。

 

330:名無しの彼岸花 ID:Uwz2EUY5V

はー、本部のファーストリコリスが動くってやっぱ厄介な相手なんやな……

 

331:名無しの彼岸花 ID:NC5uD+b8Q

千束ちゃん狙ったり他のリコリス殺した相手やしな……

DAも本気にならざるを得ないってことか。

 

332:名無しの彼岸花 ID:o8lKSanIy

てかまたイッチ女の子の知り合いやんけ。お前ーっ!!

 

333:名無しの彼岸花 ID:9UvIZ0ChP

そうじゃん、イッチまたかよ

 

334:名無しの彼岸花 ID:2XobSR90O

あのさぁ……

 

335:名無しの彼岸花 ID:fTJSIyjFU

そろそろ死刑でいいと思うレベル

 

336:名無しの彼岸花 ID:uhkMhiGcq

そうだよ

 

337:店員鈴蘭 ID:LyReBell

フキちゃんとその相方のサクラちゃんに関してはワイほぼ関係ないやんけ!!

しかもフキちゃんは興味ある異性ワイちゃうしサクラちゃんは初対面やわ!!

 

338:名無しの彼岸花 ID:/wqLJ+585

ボーイッシュな方はサクラちゃん言うんか

 

339:名無しの彼岸花 ID:bmW+S8zGe

可愛い

 

340:店員鈴蘭 ID:LyReBell

もともとフキちゃんは千束ちゃんと組んでたんだけど

支部としてリコリコ作る段階でコンビ解散して、

そのあとたきなちゃんと組んでたんや。

けど、機関銃の一件でたきなちゃん左遷されて、

サクラちゃんは後任でフキちゃんと組んでるって感じやね

 

341:名無しの彼岸花 ID:dvBcmy3r/

はえー……

 

342:名無しの彼岸花 ID:sdFbBND8z

サンガツ

 

343:名無しの彼岸花 ID:4w9eeXv+y

フキちゃんの相方個性的な子ばかりやんけ

ってことはサクラちゃんも大概……?

 

344:名無しの彼岸花 ID:lBRN64Nv3

あの千束ちゃんとたきなちゃんと組んでたってことは

ほぼほぼ性格に難ありな子相手にさせられてるんやろなぁ……

 

345:名無しの彼岸花 ID:WZyxD1PF8

フキちゃんをそんな気性難の駆け込み寺みたいに……

 

346:名無しの彼岸花 ID:S/mF8U6N2

お、ZEか?

 

347:名無しの彼岸花 ID:uAUqStFms

矯正馬具さんの話はやめろ

 

348:名無しの彼岸花 ID:lyYH2pJQp

サクラちゃんが既に気性難の方向性で扱われてるの草

 

349:名無しの彼岸花 ID:z1pMssQmZ

まあ千束ちゃんとたきなちゃんと長らく組めた人の相棒ってことはさ……

 

350:名無しの彼岸花 ID:dQpxehCHq

状況証拠がね……

 

351:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

フキちゃん顔真っ赤なう

 

352:名無しの彼岸花 ID:HAZ6s/qir

は?かわいい

 

353:名無しの彼岸花 ID:LM2iVZ5J1

くっそかわいい

 

354:名無しの彼岸花 ID:uIvASZ156

なにがあったし

 

355:名無しの彼岸花 ID:ZQdCPSrC3

ふーん……かわいいじゃん

 

356:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>354

先生……おやっさんが顔見せしたことで顔赤くしてる。

つまりそういうことなんだよね

 

357:名無しの彼岸花 ID:mMpxGW4gi

あっ……

 

358:名無しの彼岸花 ID:xW8v8sZ3x

ふ、フキちゃん……

 

359:名無しの彼岸花 ID:EWpVXr95+

おいおいおい、脈ナシだわこの子

 

360:名無しの彼岸花 ID:GVy7Src4C

ま、まだ恋愛的な情とは限らないから……

 

361:名無しの彼岸花 ID:mAAV1xPYA

千束ちゃんとかイッチみたいに親への愛情みたいな可能性もあるだろ!!

 

362:名無しの彼岸花 ID:xetEd7J/x

もし恋愛的な感情だったらフキちゃんは枯れ専……ってコト?!

 

363:名無しの彼岸花 ID:cvEY2FTi+

わァ……!

 

364:名無しの彼岸花 ID:DS7rIryFJ

ふーん……興奮してきた

 

365:名無しの彼岸花 ID:vmuj9JmeC

トランクス脱いだわ

 

366:名無しの彼岸花 ID:DRa6EA1Re

履けよ

 

367:名無しの彼岸花 ID:LhcUm/AyQ

そのしめじ仕舞えよ

 

368:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ダメだこいつら早く何とかしないと……

 

369:名無しの彼岸花 ID:99QqRf1Qj

イッチのスレは変態の巣窟

 

370:名無しの彼岸花 ID:3tGNgmvUE

す、すくつ……

 

371:名無しの彼岸花 ID:O/+11JTTw

そうくつな?

 

372:名無しの彼岸花 ID:Q2y8Q34CU

え、巣窟ってそうくつって読むんか……

 

373:名無しの彼岸花 ID:+wCp57r22

義務教育の敗北者もおるな?

 

374:名無しの彼岸花 ID:8LnfQEg7N

敗北者ァ……?

 

375:名無しの彼岸花 ID:O56NSy73i

ハァ……ハァ……

 

376:名無しの彼岸花 ID:uTfQIuKQ+

乗るなエース!

 

377:名無しの彼岸花 ID:8LnfQEg7N

いや全くもって……おっしゃる通りです……!

 

378:名無しの彼岸花 ID:rY5uJq44w

 

379:名無しの彼岸花 ID:U7Do0amnJ

そっちにいくのは草

 

380:名無しの彼岸花 ID:fijCatt8R

でも実際義務教育に負けてる

 

381:名無しの彼岸花 ID:WFDO8CBWC

悲しいなぁ……

 

382:店員鈴蘭 ID:LyReBell

なんかサクラちゃんと妙に波長あったわ。

この子意外といい子や【画像】

 

383:名無しの彼岸花 ID:Td3c8bkYG

餌付けしてて草

 

384:名無しの彼岸花 ID:wOx5rsIJ+

サクラちゃん早速イッチに懐柔されてるやんけ

 

385:名無しの彼岸花 ID:32KKvgguI

サクラちゃんってワンコ属性濃そう

 

386:名無しの彼岸花 ID:pkfq/iH1V

こっちも美味しそうにお団子食うなぁ……

 

387:名無しの彼岸花 ID:AYrp0PFV0

かわええ

 

388:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あっ、お団子食ってる最中だったのに

フキちゃんに首根っこ掴まれてドナドナされちゃった……

【画像】

 

389:名無しの彼岸花 ID:zzjJLXvvX

めっちゃ涙目で草

 

390:名無しの彼岸花 ID:PHnI5fRak

かわいそう

 

391:名無しの彼岸花 ID:0tjsC+Irn

めちゃくちゃ名残惜しそうに手を伸ばしてるの哀愁感じる

 

392:名無しの彼岸花 ID:o0mUaBRXV

まあせっかく食べられたのに途中で切り上げろって言われたらそうなる

 

393:店員鈴蘭 ID:LyReBell

次はもうちょっと手軽に食べられるやつ作ってあげるか……

あ、フキちゃん帰ってきてお代だけ払ってくれた。

一応DAの支部だから経費扱いでいいのに

 

394:名無しの彼岸花 ID:0aVbGXU/e

律儀

 

395:名無しの彼岸花 ID:cgbmncmIQ

根が良い子なのが見える見える……

 

396:名無しの彼岸花 ID:uMFSkfZCT

ちゃんとしてる……

 

397:名無しの彼岸花 ID:8azyFJMN5

千束ちゃんとは違ってしっかりものやな……

 

398:名無しの彼岸花 ID:CtTKss7Yn

それじゃあ千束ちゃんがアホの子みたいじゃないですか!!

 

399:名無しの彼岸花 ID:7HZeKcDGx

実際そうでは……?

 

400:名無しの彼岸花 ID:gf++4JyCz

シーッ!!

 

401:名無しの彼岸花 ID:Mn6bFxjs2

言っちゃダメだって!!

 

402:名無しの彼岸花 ID:ij6xnD4z9

アホの子認識なのは共通なの草

 

403:名無しの彼岸花 ID:RjQKeP4ZI

……まあ、うん

 

404:名無しの彼岸花 ID:pax5uhJZ6

それはね……

 

405:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

真島のやつ宣戦布告してきやがった

 

406:名無しの彼岸花 ID:WYsaSI5L9

うっわ

 

407:名無しの彼岸花 ID:NfcpQxUZR

勝負だリコリス……って……

 

408:名無しの彼岸花 ID:ZdGTvlWri

これインクか……?

 

409:名無しの彼岸花 ID:kbFb+4kFL

いやたぶん血や、イッチこれって……?

 

410:店員鈴蘭 ID:LyReBell

警察署が襲撃された。表向きは暴力団の暴走として処理されたけど

やったのは真島一派。何が目的かは不明や。

 

411:名無しの彼岸花 ID:xkAwkkIy6

警察署襲撃!?

 

412:名無しの彼岸花 ID:BS/4/EXYW

おいおいおいおいシャレになってないって

 

413:名無しの彼岸花 ID:oTgX0WYtt

マジでやばいな真島

 

414:名無しの彼岸花 ID:QwX0GN2HO

地下鉄と電波塔と警察署って……やばいなコイツ

 

415:名無しの彼岸花 ID:6OmZNlY8M

イカれたタイプの愉快犯だな……

 

416:名無しの彼岸花 ID:IH2SOeURO

これは相当の曲者だな……しかもリコリスを認知してるのが厄介すぎる

 

417:名無しの彼岸花 ID:/MBzhMRfJ

リリベルは認識されてないんかこれ

 

418:名無しの彼岸花 ID:J20GwH/s6

イッチしか見たことないからリリベル=イッチとは判断してない可能性はある

 

419:名無しの彼岸花 ID:qbGfcex90

そっか、そういや灰色ことイッチは知ってるけどリリベルを知ってるわけではないんやな……

 

420:名無しの彼岸花 ID:b4Llf7ABi

もしくはリリベルに関してはイッチ以外興味ないか

 

421:名無しの彼岸花 ID:rTUwB4ebe

ホモか?

 

422:名無しの彼岸花 ID:tHbu71HgS

ウホッ♂

 

423:名無しの彼岸花 ID:s5SdWtG+1

やっぱりBLモノだった……?

 

424:名無しの彼岸花 ID:WTyIugQrQ

イッチの貞操の危機

 

425:名無しの彼岸花 ID:YA9azhTsW

千束ちゃん早く貰わないとイッチの貞操、

何処の馬の骨とも知れぬ野郎にとられるぞ!

 

426:名無しの彼岸花 ID:5zln95PQf

NTRBLモノ……ってコト?!

 

427:名無しの彼岸花 ID:ndnb2IyKL

まったく……度し難いな……

 

428:名無しの彼岸花 ID:hsnjp6xTI

わァ……!

 

429:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあなんにせよ真島は要警戒なんやけど……

今日はおやっさんの後をつけるらしいので一旦準備してくるわね

 

430:名無しの彼岸花 ID:qY6de20m5

なんで???

 

431:名無しの彼岸花 ID:/AIjMhHIV

どうしてそうなった???

 

432:名無しの彼岸花 ID:r4/2EI1Yo

イッチがホモだった????

 

433:名無しの彼岸花 ID:A94Q3VWR0

なるほどね???

 

434:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちゃうわい。千束ちゃんを呼び戻すのかどうかの調査や。

てか呼び戻されるとワイ完全に詰むからなんとしても阻止せなあかんねんって

 

435:名無しの彼岸花 ID:nT6MoC1mb

そういやそうだった

 

436:名無しの彼岸花 ID:Z2APRQ0AO

イッチ今一番の危機的状況だったわ

 

437:名無しの彼岸花 ID:3+3ESIjmI

なんでこいつこんなギリギリの綱渡りで生きてこれたんだ……?

 

438:名無しの彼岸花 ID:TsA037jtw

生命力がG並みにしぶといんでしょ

 

439:名無しの彼岸花 ID:IzBq9ywG8

実際しぶとい

 

440:名無しの彼岸花 ID:aYeVRZfPF

コイツ一応横腹銃弾で射抜かれてピンピンしてるからな

 

441:名無しの彼岸花 ID:xXFDiroyh

しぶといな???

 

442:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しぶとくて悪かったな。ほなおやっさんが出かけるまでの間に色々準備してくるわ

 

443:名無しの彼岸花 ID:vMLH3KX6T

いってら

 

444:名無しの彼岸花 ID:kcrx+JnVR

気を付けてな

 

445:名無しの彼岸花 ID:4rgx21qJD

怪我すんなよ?

 

446:名無しの彼岸花 ID:i7ilQ+DsT

スレ民が過保護になりつつある件について

 

447:名無しの彼岸花 ID:X2ncUNPQy

いやそれは……ね?

 

448:名無しの彼岸花 ID:9jl7NooPT

まあイッチだいぶ自分のこと顧みないタイプだし……

 

449:名無しの彼岸花 ID:w/rdIjGHY

根っからの衛宮士郎体質というか……サバイバーズギルトっぽいよなあ

 

450:名無しの彼岸花 ID:B7fXqgH15

まあ転生者って結構そういうの多いし……

 

451:名無しの彼岸花 ID:dEfAF2VEj

まあ死んでるから死生観は狂ってるしな

 

452:名無しの彼岸花 ID:FfbqT/4IK

それで今後また千束ちゃんやたきなちゃん泣かせるだろうから言っとかないとね……

 

453:名無しの彼岸花 ID:CTOIj/ynp

そうだよ。

 

454:名無しの彼岸花 ID:LmmtDiBBq

イッチの悪癖治るといいけどなぁ

 

455:名無しの彼岸花 ID:6ZTuTuIfJ

死んでも無理そう。まあワイら一回死んでるけど

 

456:名無しの彼岸花 ID:SZuKMRDtX

だれがうまいこといえと

 

457:店員鈴蘭 ID:LyReBell

というわけで夜になったので尾行開始や

 

458:名無しの彼岸花 ID:JW3IO4py6

はっや

 

459:名無しの彼岸花 ID:bPLACy39g

やっぱスレッドしっかり共有し続けないとこんな感じになるんか……

 

460:名無しの彼岸花 ID:ImBch1vUh

数回ワイら話してるうちに夜は早いわやっぱ

 

461:名無しの彼岸花 ID:5+WJWYnzI

尾行するって言ってたけど会員制バーどうする気なん?

 

462:名無しの彼岸花 ID:YQNUWTMTQ

ほんまや、イッチどうすんの?

 

463:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

【画像】

【画像】

そこはほれ、この通り変装や。

 

464:名無しの彼岸花 ID:nFPIQ3TUI

は?千束ちゃんえっっっっっっっ

 

465:名無しの彼岸花 ID:LVPDUJ62W

おっぱいでっか……

 

466:名無しの彼岸花 ID:b5Z/giZ2K

谷間と背中丸見えなのがセクシー……エロい!

 

467:名無しの彼岸花 ID:xMik6skV0

パンツ脱いだわ

 

468:名無しの彼岸花 ID:2nvAOMZbu

うっ……ふぅ……

 

469:名無しの彼岸花 ID:mqSjrn5Q8

赤いドレスエッチすぎんか?

 

470:名無しの彼岸花 ID:buXrZdk5e

待ってほしい、スーツ姿の男装たきなちゃんもエッチではないか?

 

471:名無しの彼岸花 ID:/ILLklEp6

そうだよ

 

472:名無しの彼岸花 ID:Y9wuy2gz3

普通にえっち

 

473:名無しの彼岸花 ID:1MnBi3eEU

ポニテが良い味出してる

 

474:名無しの彼岸花 ID:zH60Ul+gX

やっぱ二人ともかわいいな。

 

475:名無しの彼岸花 ID:HbqHmcZAv

容姿整ってるからねぇ

 

476:名無しの彼岸花 ID:BcCw1Rcgz

ところでイッチはなんなのそれ?

 

477:名無しの彼岸花 ID:AO2PMf/2l

見たところたきなちゃんと同じスーツ……っていうか燕尾服かこれ?

 

478:店員鈴蘭 ID:LyReBell

合ってる。二人の執事って感じの変装やな。

変装も最小限に抑えてる。髪色は染めないでコンタクトもいれてない。

眼鏡だけかけてる。

 

479:名無しの彼岸花 ID:zmMGFIxfW

それ大丈夫なんか?

 

480:名無しの彼岸花 ID:RYwmXImIe

正体バレそう

 

481:店員鈴蘭 ID:LyReBell

少なくともリリベルは既に死んだと想定しとるやろうし

他人の空似ぐらいで終わると思うけどな。

あと、認証系の偽装を全部ワイで通したからさ……

下手に変装するわけにはいかんのよ。

容姿は秘匿してくれるけど指紋周りとかは必須だからさこのバー

 

482:名無しの彼岸花 ID:TbcTtotfU

あーなるほど。まあそれなら仕方ないか。

 

483:名無しの彼岸花 ID:OA7utfb/P

下手に変装すると逆に通らないか。

 

484:名無しの彼岸花 ID:0iMJWq+Ab

まあそれ以前に真島暴れとるからイッチに構ってる暇はなさそう感はある

 

485:名無しの彼岸花 ID:Y8BZATkqs

たしかに

 

486:名無しの彼岸花 ID:KSvsu6OR/

しかしこうして三人並ぶと絵になりそうだな

 

487:名無しの彼岸花 ID:k3Ye9f98g

わかる。イッチも容姿整ってるからだろうけど

めっちゃ絵になる美男美女の集い感があるよね

 

488:名無しの彼岸花 ID:ldRGhdCEg

多分街中歩いてたら結構な頻度でみんな振り返るよなこれ

 

489:店員鈴蘭 ID:LyReBell

それじゃあしばらくライブ機能オンにするか

 

490:名無しの彼岸花 ID:AmWGfyhve

マジ?

 

491:名無しの彼岸花 ID:c2v5I3G4P

マ?

 

492:名無しの彼岸花 ID:lyyBLXsWL

イッチ天才?

 

493:名無しの彼岸花 ID:9MKH5S89T

もしかして神か?

 

494:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやせっかく良い雰囲気のバー行くんだしそういうのって見せたいなーって。

千束ちゃんやたきなちゃんもオシャレしてるしさ

 

495:名無しの彼岸花 ID:X0qC15y6X

太っ腹やんけ……

 

496:名無しの彼岸花 ID:eHOYkux3o

一生ついてくわイッチ

 

497:名無しの彼岸花 ID:uoYxQ8RVQ

イッチ is GOD

 

498:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ライブ機能がONになりました

というわけでミッションスタートや

 

499:名無しの彼岸花 ID:QEdhcz0M6

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

500:名無しの彼岸花 ID:9Y5dmKlq5

待ってた。

 

501:名無しの彼岸花 ID:XmtPsyEiv

いいぞーこれ

 

502:名無しの彼岸花 ID:kuHr5ErK9

というかイッチの斜め前歩く千束ちゃんがえっちすぎる

 

503:名無しの彼岸花 ID:FWLNpK9+G

わかる。くそえろい

 

504:名無しの彼岸花 ID:RkLJQoHBT

背中がね……いいのよ……

 

505:名無しの彼岸花 ID:502s5HUvw

相変わらず変態しかおらん

 

506:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『おお、この辺の雰囲気やばいね!』

 

『ここ、でしょうか……?』

 

『ん、確認する』

 

507:名無しの彼岸花 ID:y6qQYN8zN

お、イッチが壁に触れた瞬間壁が開いた!?

 

508:名無しの彼岸花 ID:wa0zFhRrD

本格的なスパイ映画とかで見るやつだこれ!

 

509:名無しの彼岸花 ID:5lcd3J+l7

って、お。正解の音かな?承認されて扉空いた

 

510:名無しの彼岸花 ID:7JjjUCjiT

クルミちゃんの偽装と暗証番号特定ぱねえな

 

511:名無しの彼岸花 ID:XRNX5JzNa

わかる

 

512:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『ようこそ、いらっしゃいました。恐れ入りますがお名前をお聞かせいただけますか?』

 

『こちら、旦那様の蒲焼 太郎さま。こちらはお連れのわさび のり子さまです。

(わたくし)は、旦那様の執事のセバス・チャンと申します』

 

513:名無しの彼岸花 ID:635AEBhla

 

514:名無しの彼岸花 ID:8GJDrFiVz

いや草

 

515:名無しの彼岸花 ID:LGOohkNyV

わさびのり太郎と焼き蒲焼さん太郎じゃねえか!!

 

516:名無しの彼岸花 ID:DXP9eP09Y

まさかの駄菓子ネームで草

 

517:名無しの彼岸花 ID:A+4d0Eq7p

待ってそんなので通るの!?

 

518:名無しの彼岸花 ID:fhpUZ+yrN

無理だろこれwwwww

 

519:名無しの彼岸花 ID:Qi42Docj0

イッチもくっそ安直ネームで笑うしかない

 

520:名無しの彼岸花 ID:lsRz2qhtN

セバス・チャンて

 

521:名無しの彼岸花 ID:+WgdmHiYK

全てが面白すぎて草

 

522:名無しの彼岸花 ID:E3u0Cp7pR

これで通ったら笑うしかないんだが??

 

523:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『確認致しました。蒲焼 太郎さまご案内いたします』

通っちゃうんだなぁこれが

 

524:名無しの彼岸花 ID:08GsqQfMx

 

525:名無しの彼岸花 ID:PNtDMiSOz

えぇ……

 

526:名無しの彼岸花 ID:LIdmHZzKX

ガバガバセキュリティ

 

527:名無しの彼岸花 ID:JqpeGQGKN

うっそだろお前wwww

 

528:名無しの彼岸花 ID:QefcDJzSz

なんで????

 

529:名無しの彼岸花 ID:y7kg8mpZB

会員制バー、とは

 

530:名無しの彼岸花 ID:sPWQWAypn

お、そのまま席に案内されてる

 

531:名無しの彼岸花 ID:2Yo/a/ctx

はえー内装すっごいオシャレ……

 

532:名無しの彼岸花 ID:ZVAvS5gMk

魚泳いでるの見れるのいいねぇ

 

533:名無しの彼岸花 ID:TIwpzuC93

俺もこういう所にお誘いされたいけどなー

 

534:名無しの彼岸花 ID:wCNZS5tku

わかる。一度は行きたいよね。

 

535:名無しの彼岸花 ID:muKSdhyyh

好きな人とこういう所で飲めるようになりたい人生だった……

 

536:名無しの彼岸花 ID:2vDqJ4AxR

まあワイらはそれ叶うこと一生ないんですけどね、初見さん

 

537:名無しの彼岸花 ID:rDHFPoMi3

やめろ

 

538:名無しの彼岸花 ID:dOETYmNKT

たまにマップ攻撃するやつほんまなんなん

 

539:名無しの彼岸花 ID:Wq7v/1YDH

人の心とかないんか?

 

540:名無しの彼岸花 ID:iQKUO/x3z

スレ民はもともとないでしょ

 

541:名無しの彼岸花 ID:OhApFdD2A

それはそう

 

542:名無しの彼岸花 ID:CZdPQiASe

そうだよ

 

543:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『オシャレだねーここ』

 

『……落ち着いた雰囲気ですよね』

 

『ほら、棗もそこに立ってないで座んなよ?』

 

『いえ、今の私はお二人の執事……』

 

『貴様~、余の酒が飲めんと申すか~?』

 

『めっちゃ悪酔いしてそうな王族な感じで話しかけてくんなよ……わかったから』

 

544:名無しの彼岸花 ID:okl09IHFm

千束ちゃんかわいい

 

545:名無しの彼岸花 ID:1b+2fYwyJ

わかる

 

546:名無しの彼岸花 ID:G6k6N6DH8

イッチは酒飲めるんだっけか

 

547:名無しの彼岸花 ID:47br8yvLW

というかこの中で飲めるのイッチだけでしょ

 

548:名無しの彼岸花 ID:BgFW8u/uz

そういえば千束ちゃんとたきなちゃん未成年だったわ

 

549:名無しの彼岸花 ID:SEqpH3bVx

あ、ミカさんだ

 

550:名無しの彼岸花 ID:xhzdtX9lk

なんかめっちゃオシャレしてない?

 

551:名無しの彼岸花 ID:+Jga/Bn30

決まってるねぇ……

 

552:名無しの彼岸花 ID:VhGhVuzZn

てかこんなオシャレするのにDAの司令と会うか?

 

553:名無しの彼岸花 ID:rustzn0R4

それ、カウンターに座ってる姿もかっこいいけどイッチの話じゃ同性愛者らしいし

さすがに女性とって線は薄そうだけど……?

 

────

 

841:名無しの彼岸花 ID:wsUVRvk8Z

進展がねえ。

 

842:名無しの彼岸花 ID:m0w/JI7rA

ちょっとお相手さん時間かかってるのかね。

 

843:名無しの彼岸花 ID:pV5GG6mZw

イッチが待ってる間二人のお酒処理してるの笑う

 

844:名無しの彼岸花 ID:90ZaGbSNi

まあ二人とも飲めないからね、仕方ないね

 

845:名無しの彼岸花 ID:T9yHoKKZU

ってあ、来た。

 

846:名無しの彼岸花 ID:C3Cc3/xMg

ファッ!?お相手ヨシさんやんけ!?

 

847:名無しの彼岸花 ID:AT5ytKiO3

あーこれは逢引ですわ

 

848:名無しの彼岸花 ID:FpUtn58Qn

お邪魔しちゃったねこれ

 

849:名無しの彼岸花 ID:M73bGjfPI

逢引だわ……

 

850:名無しの彼岸花 ID:FZJ5QEOWN

うーん、逢引!

 

851:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『逢引だな……帰るぞ、二人とも』

 

『だね……行こ、たきな。邪魔しちゃ悪い』

 

『え、あ、はい?』

 

『待てお前ら、ミカはそうなのか!? 先に言えよそれ!?』

 

というわけで撤収や。邪魔しちゃ悪いからな

 

852:名無しの彼岸花 ID:GkcYjw0Jb

せやな……

 

853:名無しの彼岸花 ID:F16xt31fs

こればっかりはねぇ

 

854:名無しの彼岸花 ID:YUE+dbOgh

ちょっと気になるけど仕方ないか

 

855:名無しの彼岸花 ID:t9Eid6g6i

おじゃま虫は退散退散。

 

856:名無しの彼岸花 ID:s79vLd6nI

解散、お疲れ様でしたー

 

857:名無しの彼岸花 ID:lTPB8581x

まあ少なくとも、DAに戻されるって話じゃなさそうだしイッチ的には一安心か

 

858:名無しの彼岸花 ID:8mTasK15d

あーそういやそうか

 

859:名無しの彼岸花 ID:5zDsZW8AI

まあ大事にならなくてよかったよかった

 

860:名無しの彼岸花 ID:f7WJgH6Ij

詰み回避成功したな。

 

861:名無しの彼岸花 ID:nVly8AsWD

こいついっつも詰み回避してんな

 

862:名無しの彼岸花 ID:JyBKF6a2k

変なところで悪運が強い男

 

863:名無しの彼岸花 ID:UfnitnfJl

TRPGとかやったら面白いことになりそう

 

864:名無しの彼岸花 ID:Skf6c6wc+

わかる

 

865:店員鈴蘭 ID:LyReBell

失礼やなお前ら。まあ、ワイとしては一安心やしよかったんは事実やな。

ってちょい待ち

 

866:名無しの彼岸花 ID:QZOTON2YG

お?

 

867:名無しの彼岸花 ID:VqMPlk3PH

どした?

 

868:名無しの彼岸花 ID:f/gAmDmu1

イッチ?

 

869:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『何のために千束を救ったと思ってる? あの心臓だってアランの才能の結晶なんだぞ?』

 

『え、うそ……ヨシさん……なの?』

 

『ちょ、ちょっと千束っ……出ないんですか……!?』

 

やばい、バレちゃった

 

870:名無しの彼岸花 ID:V5m+oa08G

あっ……

 

871:名無しの彼岸花 ID:vPbp8sn7G

あーあ

 

872:名無しの彼岸花 ID:HAcyu4vnE

やっちゃったな……

 

873:名無しの彼岸花 ID:tg81KI6Tg

これは多分聞いちゃいけなかったやつ……

って、ああ千束ちゃんミカさんたちの前に……

 

874:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『ミカ……!』

 

『いや違う!?』

 

『ごめんなさい! 私が先生のメールをうっかり見ちゃって』

 

『司令と会うのかと思って……すみません……』

 

『俺からも、すみません。止めるべきでした』

 

『お前たち……』

 

……やばい、くっそ気まずい

 

875:名無しの彼岸花 ID:hoJGWvMzV

でしょうね

 

876:名無しの彼岸花 ID:YmUX+BuGl

まあ、そうなる

 

877:名無しの彼岸花 ID:E1GGSZ3pw

この場に居たくないと言われたらそう。

 

878:名無しの彼岸花 ID:6fWYhgS2u

たきなちゃん先に出る気か

 

879:名無しの彼岸花 ID:5SzbUhF72

イッチも退散したら?

 

880:名無しの彼岸花 ID:2Guc54eAz

まあこれは千束ちゃんだけが残って話すべきよね

 

881:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやな、じゃあワイも席を────

 

『……待ってくれ、棗くん』

 

『……は?』

 

え、待って。なんでワイを引き留めるのヨシさん???

 

882:名無しの彼岸花 ID:T+rQPxQHZ

イッチ???

 

883:名無しの彼岸花 ID:ZxpjS9ZQc

お前またなんかやらかしたか????

 

884:名無しの彼岸花 ID:KJiHtIBPd

イッチさぁ……

 

885:名無しの彼岸花 ID:cWIkJW5iW

やったな??

 

886:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いや待ってワイマジで心当たりが……!

 

『……君に謝っておかないといけないことがある』

 

『は?』『え、ヨシさんどういう……?』

 

『シンジ……?』

 

え、まってどゆこと???

 

887:名無しの彼岸花 ID:QMMoPgvP0

おっと???

 

888:名無しの彼岸花 ID:XKxEntmKq

なんかきな臭いぞこれ

 

889:名無しの彼岸花 ID:v8039uGMs

イッチ大丈夫かこれ

 

890:名無しの彼岸花 ID:cljLtodVV

イッチマジでなにしたんや

 

891:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『十年以上も前の話だ。君は覚えていないかもしれない。

 ────だが、あの日。君に私が関わったことで、大きな悲劇が起きた。

 そして……君に私は取り返しのつかないことをしてしまった』

 

『…………いや、いやいや待ってくれヨシさん。

 どういうことだよ、俺の何を知ってる!? なにがっ……!!』

 

『その後の君の足取りを掴めていなかった。

 だから、何処かで死んでしまったのかもしれない。私はそう思っていた。

 だが……君はこうして、千束とミカのもとで生きていた。

 ……正しく、奇跡というほかにない。本当に、驚いたよ。

 こうしてみれば……あの時と何一つ変わらない。

 ……いや、身長は伸びたかな。大きくなったね』

 

『なに……を……』 

 

『一度拒否した君に、渡すことは許されないのだろう。

 だが、私は君に与えてしまった。だから……これは、君のモノだ』

 

『────は?』『え……棗……?』

 

892:名無しの彼岸花 ID:smeHAogmK

は????

 

893:名無しの彼岸花 ID:WTfpD7ZcR

おいおいおいおい

 

894:名無しの彼岸花 ID:UT0Lobr4R

待って、待って待って?

 

895:名無しの彼岸花 ID:Vk/Fbtlxy

ヨシさんが今イッチに手渡してるの梟の首飾りやんけ!?

 

896:名無しの彼岸花 ID:x5oBRwW6G

待ってくれじゃあイッチマジでアランチルドレンなんか!?

 

897:名無しの彼岸花 ID:2ipserFnT

イッチも覚えてないとは言ってたけど噓だろ!?

 

898:名無しの彼岸花 ID:BoRwcVybv

イッチは何を与えられたんや!?

 

899:店員鈴蘭 ID:LyReBell

『シンジ!? どういうことだっ……!?』

 

『……彼は一度死にかけたんだ。ある事故で。

 そして、その時……私は彼を助けるために、アランの才能を結集させた。

 心当たりはないかな? 君の驚異的な身体能力、治癒能力。

 ……それらは、アラン機関が与えたモノによる影響なんだ』

 

『────』

 

900:名無しの彼岸花 ID:juwR9DOfl

 

901:名無しの彼岸花 ID:Hnz1qvvGM

は?

 

902:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ふざ『……けんな────』

 

『棗?』

 

『ふざけんな! アンタは俺に何をしたんだ!? なんで助けた!?

 俺は、アンタが……アンタが助けたせいで────!』

 

『棗!!』

 

『ッ!! …………すまん、頭冷やしてくる』

 

903:名無しの彼岸花 ID:QE+8FcRbr

イッチ……

 

904:名無しの彼岸花 ID:VyMnousOh

いやこれは誰でもそうなるやろ……

 

905:名無しの彼岸花 ID:G1/Wgj4KE

救われたあと、気付いたら人殺しの組織にいて……

殺し屋にされたって考えたらなぁ……

 

906:名無しの彼岸花 ID:/FdQsKK4p

ヨシさんはその場ではイッチを助けたかったのかもしれないけど……

 

907:名無しの彼岸花 ID:IDp4Msp/P

それでイッチは過酷な人生歩んだと思ったら……そうなるよな

 

908:店員鈴蘭 ID:LyReBell

すまん、ちょっと落ちる。

頭冷やしてくるわ……

 

ライブ機能がOFFになりました

 

909:名無しの彼岸花 ID:VlLxZYryl

おつかれやで……

 

910:名無しの彼岸花 ID:ZWISRO9dI

落ち着いてから戻ってこいな?

 

911:名無しの彼岸花 ID:5UI5/33ee

ゆっくり休んでこい

 

912:名無しの彼岸花 ID:I+eBRcp2x

……いやしかし、イッチ……まさか、本当にアラン機関に関わりあったとはな

 

913:名無しの彼岸花 ID:DQvxZTIuL

でもよくよく考えれば不自然でもないんよな……

 

914:名無しの彼岸花 ID:Ir9mfaIon

そっか、ワイら転生者には転生特典があるし……

イッチの世界におけるチートって考えたらアラン機関に目を付けられるほどの才能、か

 

915:名無しの彼岸花 ID:oK97/n0gc

思えば自然なことではあったんか……

 

916:名無しの彼岸花 ID:xJjZniidS

むしろその線で睨まなかったワイらも節穴やな

 

917:名無しの彼岸花 ID:d3ygioYUr

フラウロス定期

 

918:名無しの彼岸花 ID:ZggP9N+CA

……だとすると、イッチの転生特典はなんだ?

 

919:名無しの彼岸花 ID:EJ8v4ZFfV

問題はそれよなぁ……

 

920:名無しの彼岸花 ID:VcgXHD6/Q

戦いに由来するものなのか、それとも別のモノなのか

 

921:名無しの彼岸花 ID:sqIKk6joP

イッチなまじなんでもできるからなぁ

 

922:名無しの彼岸花 ID:DrgcrAdIW

判別つけられないよな

 

923:名無しの彼岸花 ID:PJ9Mh3gLq

……ちょっと待て

 

924:名無しの彼岸花 ID:CE8JZHxk3

どした?

 

925:名無しの彼岸花 ID:/UdtndzI4

お?

 

926:名無しの彼岸花 ID:Z0llMaDVd

なんかわかったんか??

 

927:名無しの彼岸花 ID:PJ9Mh3gLq

これ、仮説なんやけどさ。

なんでもできる。が特典の可能性ないか?

 

928:名無しの彼岸花 ID:pcJuKxhPl

あっ…………

 

929:名無しの彼岸花 ID:vpsZCArSP

待ってそれやばくね?

 

930:名無しの彼岸花 ID:AgkEcd9ov

いや普通にあり得るけどそれだいぶやばいだろ

 

931:名無しの彼岸花 ID:iLTsrI9tl

なんでもできるって言葉にするのは簡単だけど

できるやつやばいぞ。世界そのものひっくり返せる。

 

932:名無しの彼岸花 ID:vzEptP29g

いやでもアラン機関が目を付けてたけど

しかも一度支援断ったみたいなこと吉松さん言ってたし

断ったのに、支援してしまったって……そういうことじゃない?

 

933:名無しの彼岸花 ID:CKiw5R3BS

手放す、見殺すには惜しいほどのなにかがイッチにあったってことか……

 

934:名無しの彼岸花 ID:QopVnqZjF

うわ……もうそれ、ほぼ確実にそうでしょ

 

935:名無しの彼岸花 ID:qUnQrwv5l

なんでもできる才能……か

 

936:名無しの彼岸花 ID:SiwpAcqjX

だとすると射撃、戦闘、料理と多彩なのに納得いくんだよなぁ……

 

937:名無しの彼岸花 ID:RiTNVomCz

それがたまたま……殺し屋になったから、殺しの方面でがっつり開花したってことか……

 

938:名無しの彼岸花 ID:1mf9aDaJT

千束ちゃんの比じゃねえな……

 

939:名無しの彼岸花 ID:4DSRulNw4

イッチ、変に抱え込まなきゃいいけどな……

 

940:名無しの彼岸花 ID:Is+fy+8gC

イッチはそういうことやるんだよなぁ……

 

 




立花 棗

転生特典がやばいかもしれないやつ

どうして……俺を助けたんだ……


錦木 千束

アランチルドレンのリコリス。

ヨシさんだったんだ……それに、棗も……?


井ノ上 たきな

セカンドリコリス

千束と棗さん、吉松さんと何を話しているんでしょうか?


ミカ

色々秘密バレた人

シンジ……棗くんの何を知っている……?


吉松 シンジ

秘密バレた人その2

色々さ……ミカ。


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Truth will out

「クルミ、ちょっといいか?」

 

「ん? なんだい、棗?」

 

 千束とたきなが真島の一件で、DA本部へ赴いている頃、棗は押し入れでくつろぐクルミに話しかける。

 

「少し頼みたいことがあってな」

 

「へぇ、珍しいな。君がボクに頼みごとなんて。それで……何をすればいいんだ?」

 

「聞かないのか?」

 

 クルミが断る素振りすら見せずに了承したことに驚く。何かにつけてサボろうとすることがある彼女にしては珍しい即答だった。

 

「お前が頼みごとをするってことはそれなりに大事なことなんだろ? 深くは聞かないさ」

 

「あー、大事か……って言われるとどうだろうな。俺的には大事だけどさ」

 

「…………どういうことだ?」

 

「俺の出生……ていうか、身体に関して調べてほしい。一応俺の身体の資料データはある」

 

 棗はUSBメモリをクルミに手渡しながら、そう告げる。

 クルミはソレを受け取りながら険しい表情で棗の顔を見る。

 

「いいのか……? 知らなくていい真実を知ることになるかもしれないぞ」

 

「……そのときはそのときだ。受け入れられるか、と言われたら自信もって頷けないけど。知らないと先に進めないだろ?」

 

 覚悟を決めた顔だった。もう止めることはできないだろう。彼は自らの異常性の真実をどんな方法を使っても突き止めようとするという確信があった。クルミはそれを理解したからか、大きくため息を吐いて頷く。

 

「…………はぁ、わかった。調べておこう。時間はかかるかもしれないけど、棗が望む情報を掴んでおく」

 

「ありがとな、クルミ。報酬は俺の口座から出すよ」

 

「別に必要ないぞ。お前には借りがあるし。……命の恩人の1人から金をもらうほどボクは落ちぶれてはないさ」

 

「……そうか?」

 

 そうだ。とクルミは言い……視線をパソコンに向けると棗から受け取ったUSBメモリを使いはじめる。

 それを見届けて棗は襖を閉めて開店の準備に取り掛かる。

 

 立花 棗にとって、それは些細なことだったかもしれない。

 だが、それがもし何かを終わらせてしまう内容であったなら。

 

 彼は選択を迫られることになるのだろう。

 

 

 ────

 

 

「棗さん、会計ズレなしです」

 

「ほーい、たきなおつかれさん。今日はもう終わりでいいぞ」

 

「わかりました」

 

「くっはー!」

 

「……晩酌は家でやれよ」

 

 たきな、棗、クルミ、ミズキがそれぞれカウンター周りで作業を行っている間、千束は店の戸締りをし終えて戻ってくる。しかしその表情は険しそうで────

 

「……どうかしましたか、千束? なんか、今日はいつにも増して変ですよ?」

 

「コイツは毎日変でしょ」

 

 そんな様子が気になったたきなの言葉に、ミズキはそう突っ込む。

 

「んー……先生は?」

 

「買い出しに行ったけど……どうした?」

 

「あーいやちょっとね……」

 

 棗は曖昧な言葉で濁す千束に首を傾げる。彼女がここまで悩み込むのは珍しいからだ。

 

「もうおっさんのことが恋ちくなったのかな、千束ちゃんは?」

 

「「ミズキ(ミズキさん)酔っ払いすぎだ(酔いすぎです)」」

 

 千束をからかうように煽るミズキにたきなとクルミが咎める。

 それからしばらく千束は沈黙を貫いていたが、真剣な表情で口を開く。

 

「皆さん」

 

「……なんだ急に」

 

「リコリコ閉店の危機です」

 

「「「「え?」」」」

 

 千束のその真剣な言葉に困惑する四人であった。

 

 ──直後、更衣室にミカを除く全員を集める千束。

 昨日の昼間に、たまたまミカとすれ違ったとき彼のスマホのメッセージを見てしまったこと、そこに自分に関する話が出ていたことを説明した。

 

「────クリア。……って、なんでアンタも人のスマホを覗き見てんのよ」

 

「だって見えちゃったんだもん」

 

 ミズキの咎めるような言葉に、しょうがないでしょーと千束は不服そうに返す。

 彼女のもともとの動体視力の良さが今回に関しては災いしてしまったようだ。

 

「目が良いと余計なモノも見えてしまうんですね」

 

「パンツとかな」

 

 余計なことを口に出したクルミの頭をたきなは無言でおぼんを使って軽く叩く。

 

「あいたっ……そもそも楠木だと何故分かるんだ?」

 

「そうですよ、司令とは限らないでしょう?」

 

 叩かれた頭をさすりながらクルミは問いかけ、それに対して同意するようにたきなも告げる。

 

「いーや、先生を誑しこんで私をDAに連れ戻す計画じゃわ」

 

「ふーん……自慢ですか? 結構なことですね! 必要とされてて!」

 

「あーんそうじゃないよたきなぁ~! 違う違う……じょーだんだからぁ」

 

 ぷい、と拗ねるたきなに弁明するようにすがりつく千束。

 

「……それがなんで店の閉店と関係してくるんだよ?」

 

「小さいとはいえ一応DAの支部だからね、ファーストリコリスのコイツがいないと存続できないのよ」

 

 そう、DAの支部は基本的にファーストリコリスの誰かが所属していないと維持できないシステムである。そのため千束がいなくなれば必然的にリコリコは閉店するほかないのだ。

 

「……長くても三年か」

 

「あ、じゃあ私が戻ります」

 

「えーん! そんな寂しいこと言わないでぇ~!」

 

「たきなはお呼びじゃないんだろ?」

 

 千束がたきなに頬ずりする横で心ない言葉をぶつけるクルミ。たきなは再び無言でおぼんを……今度は彼女の額に叩きつけるのだった。

 

「ぐえっ!? し、失言だった……すまん……」

 

「いい音鳴ったなぁ……」

 

 ぐりぐりとおぼんをクルミの額に押し付けるたきなを横目に見ながら千束は訴える。

 

「み、みんなだってお店なくなったら困るでしょ!?」

 

「……まあ、私は養成所戻しですし」

 

「まだここに潜伏しておかないと、ボクは命が危ない」

 

「私は男の出会いの場がなくなる……!」

 

「でしょー!? って、そこでぶつくさ呟くしかしてない棗! 棗は困らないの!?」

 

 基本会話に口を挟んでこなかった棗を千束は指差し、そこに他の三人の視線も集まる。

 

「……いや、まあ。俺はここがなくなる時って詰みってことだしな。困ると言えば困るが」

 

「「「「え?」」」」

 

「……うん? 俺なんか変なこと言ったか?」

 

 棗のそんなカミングアウトに驚愕する千束たち。棗はそれを見て不思議そうに首を傾げるが……

 すぐに正気に戻った千束が慌てて問い詰める。

 

「ちょ、ちょいちょいちょい。詰みってどういうこと!? 聞いてないけど!?」

 

「いや聞いてないもなにも、ここに来た頃から俺ずっとそうだっただろ。

 一応言っておくけど、俺って元政府黙認の暗殺部隊の隊員で戸籍なしで脱走兵だからな? 

 おやっさんの後ろ盾がなかったら無許可で銃携帯してる戸籍なしの成人男性とか完全にアウトだわ」

 

 千束はそんな棗の言葉を聞いて連想する。

 

 Q,無許可で銃を持ち歩いていたらどうなりますか? 

 A,銃刀法違反で捕まります。(1OUT)

 

 Q,その状態で戸籍なしの成人男性だった場合どうなりますか? 

 A,釈明の余地なしで有罪です。(2OUT)

 

 Q,有罪になったその人が政府黙認の秘密組織に元々所属していたと判明したらどうなりますか? 

 A,問答無用で処刑。口封じ。秘密裏に死体も痕跡も処理されるでしょう。(3OUT)

 

 スリーアウト、チェンジである。どうやっても立花 棗の詰みであった。

 

「ダメじゃん!?」

 

「アンタ本当にやばい状況下だったのね……」

 

「ボクよりもまずい状況下にいたんだな……棗」

 

「……とりあえず棗さんのためにも動いた方がよさそうですね」

 

 さすがにそれはまずい、と四人は思ったらしくミカの調査を始めることにするのだった。

 

「BAR Forbidden……検索エンジンには出ないな……別の口から調べると……お、あったぞ」

 

 クルミはタブレット一体型PCを使って件のミカがDAの司令らしき人と落ち合おうとしている場所を調べ上げる。

 そこは会員制のバーの名前だったらしく、どこかオシャレな雰囲気のあるホームページに繋がっていた。

 

「会員制のバーね……」

 

「入れるんでしょうか?」

 

「そこはコンピューター専門の人の出番ですよ」

 

 たきなの疑問に千束はパソコンの画面をのぞき込みながらちらり、とクルミを見る。

 

「……偽造自体は大丈夫だが」

 

「おお、さすが」

 

「いや、普通に考えてこんな場所で仕事の話をするか? 逢引とかじゃないのか?」

 

 疑問に思ったことをクルミは口に出す。確かに、こんなお店で仕事の……しかも秘匿されているDAやリコリスのことに関して話すとも思えないのだ。

 

「店長と司令は愛人関係……ということですか?」

 

「愛人」

 

「アンタの口からそんな言葉が出るってなんか興奮するわね?」

 

「おいそこ二人」

 

 ニヤニヤと笑う千束とミズキを見て棗がジト目で睨む。たきなから愛人などという言葉が出るのは確かに珍しいが、それで弄るなという意図であった。

 

「……でもそういうことじゃないか?」

 

「いや……それは……」

 

「ないわね」

 

「うん、ないね」

 

 クルミの尤もな疑問に、棗、ミズキ、千束の順で否定する。

 

「なんでだ? あり得る話だろう?」

 

「「「ないないないないない」」」

 

 首を傾げるクルミに更に否定を重ねる三人であった。

 ミカの事情を知る三人だからこそそういう反応なのだろう。無論、それを知らないクルミとたきなは首を傾げていたが。

 

 ────明後日。

 

『お昼のニュースです。昨夜なんと警察署で悲惨な事件が発生しました』

 

『こちらが、暴力団による襲撃を受けた警察署です。現場付近には使用したと思われる銃器の弾丸が散らばっており────』

 

「うっわ、ものすごいな……今時珍しいわねぇ」

 

 リコリコ内のテレビに流れたそんなニュースを見て、ミズキはぼそっと漏らす。

 警察署の襲撃などという事件のニュースが流れれば当然そういう反応にもなるだろう。

 そのとき、カランカランと店に来客が訪れる鐘が鳴る。

 そちらを見れば、赤い制服と紺色の制服を着た少女……つまり、リコリスが二人立っていた。

 

「千束はいるか?」

 

「お、フキちゃんいらっしゃい」

 

 カウンターで作業をしていた棗がその見覚えのある顔に気付いたのか名前を呼ぶ。

 赤い制服……ファーストリコリスの少女の名前は春川(はるかわ) フキ。数年前にも何度か、任務の情報収集のために訪れておりその頃から面識がある相手だ。

 

「……どうもです、棗さん」

 

「千束ー、フキちゃんが来てるぞ」

 

「マジ? ちょっと待っててー!!」

 

 どたどたと厨房の方から慌てるようにやってくる千束。

 

「いらっしゃーい! フキ!」

 

「相変わらずやかましいな。……とりあえず説明する前に見せたいものがある」

 

「見んかーい!!」

 

 セカンドリコリスの少女がリモコンでテレビを消す。その間にカウンターにフキは座るのだが……

 

「あん? 見ない顔だな」

 

 クルミの顔は見覚えがないらしく、じーっと見つめる。

 当然、クルミからすればまずい状況である。なにせDAに以前ハッキングしたのは彼女だし、そのときの通信障害の被害を喰らったのはたきなが当時所属していたフキのチームであった。

 つまるところ、クルミ(ウォールナット)はDAからすれば排除すべき人間なわけで────

 

でぃ……でぃでぃ、DAの者デス……

 

「…………そうなのか?」

 

 冷や汗をかきながら震えた声で苦しい噓をつくクルミを訝しそうに見つめたあと、千束に問いかける。

 

え? え、あ、ウン。うちのこ、コンピューター担当の人ダヨ?

 

「…………それならちょっと借りるぞ」

 

 千束も嘘が下手くそなので、当然声は震えていたが……

 フキはまあいいか、と触れずにクルミのタブレットを手に持つと、持っていたUSBメモリをタブレットに差し込む。

 するとそこにはニュースで報道されている暴力団ではない者たちが銃を持って暴れている映像が映し出された。

 

「ニュースまんまじゃねーじゃん!」

 

「報道はカバーしてるに決まってるじゃないッスか!」

 

「けど、こういうやつらが行動する前に制圧するのがアンタらの仕事でしょ?」

 

「ぷんっ!」

 

 拗ねる少女を見ながら棗は苦笑して注文を聞く。

 

「二人ともなんか食べる?」

 

「あ、団子セットいいっすか! 抹茶のやつ!」

 

「あるよ、食べる?」

 

「マジッスか! いただきます!」

 

 少女の注文に、棗は既に作っていた抹茶のお団子セットをカウンターに置き、差し出す。

 

「おお……これが噂の団子セット、いただきまーす!」

 

「フキちゃんは?」

 

「任務中だからいい」

 

「あ、そう?」

 

「えーひぇんぱい、これおいひいっふよ~?」

 

「お前は早速食うんじゃねえよサクラ!?」

 

 もぐもぐ、と団子をほおばるサクラと呼ばれた少女を見て棗はくすっと微笑む。

 

「それだけ美味しそうに食べてくれると作る側としては嬉しいもんだな」

 

「んぐ、アンタ良い人っすね~。あ、自分は乙女(おとめ) サクラっす。よろしくっす!」

 

「俺は立花 棗。ここの店長の雇われ用心棒……みたいなところかな? で、リコリコの厨房で働いてる。

 千束とたまに任務に出てるから、もしかすると今後一緒になることもあるかもしれないな。よろしく、サクラちゃん」

 

「サクラでいいっすよ! ならもし任務で一緒になることがあったらお団子とか差し入れてほしいッスね!」

 

「ははは、難しいかもしれないけど作っておくよ」

 

 サクラと棗が自己紹介をして駄弁っている途中で、ミカが驚いた様子を見せながら厨房の奥からやってくる

 

「おや、珍しいお客さんだな」

 

「あ……」

 

「お、ミカさんじゃないっすか! お先にお団子いただいてまーす!」

 

「はは、ありがとう。フキはなにか頼んだのか?」

 

「い、いえ……任務中……なので……」

 

 赤くした顔をパソコンで隠しながらミカの言葉に返すフキ。

 傍から見ても、なにかしらミカに抱いているモノがあるのが丸分かりであった。

 

「ち、千束ォ! どれだ!? どいつだ!!」

 

「もーそんな大きな声で叫ばなくたってわか────」

 

 そこまで千束が口に出したところで、PCで流れていた襲撃映像の中に真島の顔が映り、映像を逆再生して真島がはっきりと監視カメラを見た瞬間で一時停止させる。

 

「あー!! コイツコイツ!! ねえ、たきな! 棗!」

 

「ですね、私たちが見た相手です!」

 

「ああ、間違いない。この顔だ」

 

「これが……か……」

 

 初めて顔を見たフキは顔を顰めて映像を見る。自分たちの仲間を殺した相手なのだから思う所はあるのだろう。

 

「これ髪型私のでしょ!」

 

「色だけじゃないですか!?」

 

「いやお前らどっちも下手だよ」

 

 テレビの横に貼っていた全く似ていない真島の似顔絵と映像を見比べて揉める千束とたきなを諌める棗。

 

「サクラ、行くぞ」

 

「んぐ?」

 

 それを聞きながら、フキはカウンターから立ち上がるとサクラの制服の襟を掴み────

 

「ま、まだ団子食ってる最中っすよ!?」

 

 抵抗しようとするサクラをズルズルと引きずって去っていく。

 

「いいからいくぞ!!」「え!? なんでですか!!?」「サクラ!」

 

「ちょっとぐらい……!」「サクラ!!」

 

「だからなんで!?」「サクラァ!!!」「ひえええっ!?」

 

「……今度はもうちょっと手軽に作れて食べられるものにしてあげるか」

 

 隣で真島の似顔絵似てる似てないで揉める千束とたきな、外で団子セットに関して揉めるフキとサクラの会話を聞きながら、棗はぼそっと呟く。サクラが気の毒に思えたらしい。

 

「まったく……ってこれは……」

 

「どうした? ……なるほどな」

 

 クルミはそっとパソコンを自分の手に戻すと、最後に映っていた画像に目を通して驚いた様子をみせる。

 それに気付いた棗はクルミのパソコンを覗きこみ、顔を顰める。

 

 その映像には『勝負だリコリス!』と血で書かれた宣戦布告のメッセージがあった。

 

 そこに再び来客を報せる鐘が鳴る。視線をそちらに向けるとフキがまた立っており……千束たちは首を傾げる。

 

「あれ、フキ? どした?」

 

「お代だ!!」

 

「ああ……どうも……?」

 

 バシン、と机の上にサクラが食べていた抹茶団子セットの分の料金を置いて再び出ていくのだった。

 別にここDAの支部だから経費で落として良かったのになぁ、と棗はお礼を言いながら考えたのは余談であった。

 

 ────

 

 

「腹減ったわねー」

 

「うどんでも湯がきますか?」

 

「いいわねえ」

 

「食べまーす!」

 

「はいよ、じゃあ準備するわ」

 

 その日の夜、うどんを食べようという(嘘の)話を持ち出したところでミカが申し訳なさそうに断る。

 

「ああ、悪いが……私は少し外出するよ」

 

「あら、そう?」

 

「戸締まり、頼むよ」

 

 ミカはそう言い、店の外に出たのを確認し……

 全員でどたどたとミカの追跡のために準備し始める。

 

「ああ、言い忘れてたがガスの元栓────」

 

 ミカは顔を覗かせて首を傾げる。

 クルミはジャンプをしていて、ミズキは体操。そして千束とたきなは鞄の中身を漁るようにして、棗はカウンターの方を覗くような体勢でいるのだから何をしてるんだという顔になるのは当然である。

 

「どうした? お前たち」

 

「いや、うどんはドコカナー……って」

 

「ココにウドンはアリマセンデシター」

 

「あ、ナイカー」

 

「うどんは納戸だぞ?」

 

「あ、じゃあ納戸探してくるワー」

 

 ミカはガスの元栓などをしっかり閉めること、うどんの場所だけ告げて今度こそ去るのだった。

 今度こそ外出し、気配が消えた事を確認して、五人はへなへなーと脱力する。

 

「はぁ……寿命縮んだわ……」

 

「冗談でも言うなよ……」

 

 全員で脱力したまま、準備を再開する。

 千束とたきなが先に更衣室でドレスとスーツに着替え、棗はそのあとから燕尾服に着替えて眼鏡をかける。

 会員制バーに入るための変装であった。

 

「おお、似合うじゃん棗~」

 

「……はい、すごくお似合いです」

 

「アンタ、様になってるわねぇ」

 

「身長もそこそこあるからだろう、しっくりくるな」

 

「……どうも?」

 

 棗は女性陣からの手放しの賞賛に照れくさそうに頬をかく。真っ直ぐに褒められるのは慣れていないらしい。

 

「それで、私たちはどうよ? 棗?」

 

「変でしょうか?」

 

 くるり、と一回転して千束は赤いドレスを、たきなは黒いスーツをお披露目する。

 

「え? ……あー…………うん、二人とも似合ってる。綺麗だよ」

 

 その姿に思わず見惚れ、照れくさそうにしながら棗は褒める。

 

「……お、おお……あ、ありがと……」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 二人もまた、素直に褒められるとは予想していなかったらしく少しばかり顔を赤くする。

 

「ケッ、爆ぜてしまえばいいのに」

 

「僻むなよ、ミズキ」

 

「僻んでないわっ!」

 

 見せつけやがって、といったリアクションをするミズキにクルミは呆れた様子をみせ、それに対して彼女は反論する。

 まあ少なくとも、目の前でイチャイチャされれば僻みたくもなるのだが。

 

「────あー、こほん」

 

 棗が一つ、咳払いをしたことで視線が集まる。

 

「それではお嬢様、パーティー会場へと参りましょうか」

 

 お辞儀をして手を差し伸べる棗。

 余所行きの、執事としての仮面をかぶった棗の演技に女性陣はドキッとする。

 なまじ容姿が整っている棗のその演技は破壊力が抜群だったらしい。

 

「は、はい……よ、よろこんで……」

 

 その手を差し伸べられた千束は恐る恐る、彼の手を取って車までエスコートされるのであった。

 

「……私もあんな風にされたい」

 

「ミズキは無理だろ」

 

「アンタほんと容赦ないわね!!」

 

 少しばかり羨望の目を向けたミズキにクルミは遠慮なく告げる。

 

「ミズキさん、車の運転を」

 

「わかってるわよこんチクショー!!」

 

 たきなに急かされ、悔し涙を浮かべながら車の運転席に座るのだった。

 

 

 ────

 

 

「偽造したカードだ、これで照会できるようにしてある。名前も教えた通りにしろよ?」

 

「分かってる、わざわざありがとな。クルミ」

 

 金色の会員証としてのカードを棗に手渡すクルミ。

 棗はそれを手袋をはめた手で受け取ると胸ポケットに入れる。

 

「ボクは一応ここからミズキとバックアップする。任せたぞ」

 

「大丈夫だって、クルミー。心配しなくていいよ!」

 

 そこまでポカはやらかさない、という自信に満ちた姿を見せる千束に呆れながら、それぞれ手渡されたインカムを装着する。

 

「さぁて……任務開始と行きますか。……こほん、お嬢様、ご主人様。こちらへ」

 

「だから、急にスイッチ切り替えないでってばー!!」

 

「棗さん……すごく様になってますね……」

 

 そのまま棗にエスコートされるままに、目的のバー手前の扉まで進む。

 

「おお……この辺の空気やばいね!」

 

「……ここ、でしょうか」

 

「……ん、確認する」

 

 行き止まりの扉部分、そこにクルミから説明された通りであれば左側に指紋認証で閉じてある隠し棚と

 暗証番号を入力できる装置が置いてあるはず、それを確かめるように棗は左側の指定された部分に手袋を外して触れる。

 

「ビンゴか」

 

 すると、棗の指紋に反応したように隠し棚が開き、そこに暗証番号を入力するための装置が置いてあるのが確認できた。

 

「本格的だ……!」

 

 棗はクルミに指定された通りの番号を入力する。すると認証したような機械音が流れ、閉じていた扉が開く。

 

「……通ったな」

 

「さすがはウォールナット……ですね」

 

「さぁて、ミッションスタート……!」

 

 千束の言葉を合図にして、受付の店員のもとまで近づく三人。

 

「ようこそ、いらっしゃいました。恐れ入りますがお名前をお聞かせいただけますか?」

 

 受付の店員の言葉を聞き、棗が代表して前に出てから会員証のカードを渡す。

 

「こちら、旦那様の蒲焼 太郎さま。こちらはお連れのわさび のり子さまです。

 私は、旦那様の執事のセバス・チャンと申します」

 

 その言葉を聞いてインカムの先からクルミの笑い声が耳に入ってくるがそれを気に留めず、確認を待つ。

 

「確認致しました。蒲焼 太郎さま。ご案内いたします」

 

「では、ご主人様、お嬢様……こちらに」

 

 棗は店員の案内について行く千束とたきなの後ろにつく形でついて行く。

 指定された席に案内され、座ると三人のもとにシャンパングラスが置かれ、シャンパンが注がれる。

 

「ごゆっくりおくつろぎくださいませ」

 

「ありがとうございます~」

 

 千束は間延びした返事を返し、それに店員は会釈をして去る。

 それからしばらく暇な時間が続くからか千束とたきなは周囲を見渡す。

 

「オシャレだねーここ」

 

「……落ち着いた雰囲気ですよね」

 

「ほら、棗もそこに立ってないで座んなよ?」

 

 後ろで立っている棗にそう告げる千束ではあるが、今の棗はあくまでわさび のり子、蒲焼 太郎の執事なのだ。やんわりと断ろうとするが……

 

「いえ、今の私はお二人の執事……」

 

「貴様~、余の酒が飲めんと申すか~?」

 

「めっちゃ悪酔いしてそうな王族な感じで話しかけてくんなよ……わかったから」

 

 だる絡みするようにシャンパンの入ったシャンパングラスを見せる千束に困った顔をしながら、対面に座るのだった。

 

「それでよし!」

 

「はあ、まったく……」

 

「……どうしましょうか、これ。私も千束の未成年なのですが」

 

 たきなは机に置かれたシャンパンを見ながら困った顔をする。戸籍がない孤児であるからこそ別段飲んだところで引っかかったりはしないし、車を運転したりしている時点で今更ではあるのだが、それでも飲んだことのないお酒を飲む……というのは些か勇気がいる話だ。

 

「俺が隙をみて飲むから置いておけ」

 

「おお、さすが成人男性。頼りになるぅ」

 

「ありがとうございます、棗さん」

 

 助け舟を出したのは当然棗だった。唯一成人している身だからこそ彼が酒を飲むことにしたのだろう。

 そうしてお酒を軽く処理しながら時間を潰していると、カウンターの席にミカがやってきたのを確認する。

 

「あ、店長が来ましたよ」

 

「え? うっわ、なにあれ先生めっちゃ決めてきてるじゃん……!?」

 

「……マジの逢引の線ないかこれ」

 

 黒いシャツと白いスーツジャケットにネックレス、明らかに気合を入れた格好のミカに驚くのは千束と棗だった。

 

『ほら、言った通りだろ? 楠木が来る前に撤退した方がいい』

 

『いやだって楠木は────』

 

「「────女性だからなあ」」

 

「え?」

 

 ミズキの言葉に続くように千束と棗がぼやき、たきなは驚いた表情を浮かべて二人を見つめる。

 

「あ、お相手さんきた!?」

 

「誰か来ましたね?」

 

「……って、あれうそヨシさん!?」

 

 ミカの隣にやってきたのは吉松 シンジであった。

 

『あー……逢引だなこりゃ』

 

『え?』

 

「え?」

 

 ミズキや千束、棗のリアクションにクルミとたきなは困惑した様子をみせる。

 

「逢引だな……帰るぞ、二人とも」

 

「だね……行こ、たきな。邪魔しちゃ悪い」

 

「え、あ、はい?」

 

『待てお前ら、ミカはそうなのか!? 先に言えよそれ!?』

 

 クルミはなんとなくミカの秘密に気付いたらしい。彼は同性愛者であった。

 無論、それを隠しているわけではないのだが……言われなければ気付かれないような人だった。

 

「愛のカタチはさまざまなんだよ、たきな」

 

「あ、それ……」

 

 以前、棗が口に出していた言葉と一字一句同じことを告げる千束を見てたきなは同じことを指していたのだということに気付く。

 

「たきな、こっちこっち……!」

 

「リコリコの常連ですし挨拶ぐらいはしても……」

 

「いいから、あとで教えてあげるから今は帰るよ……!」

 

 千束が先頭でこっそりと帰ろうとしているところで、シンジから思いも寄らぬ言葉が出て彼女の足が止まる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ミカ?」

 

「え……?」

 

「あ、やば……」

 

 その言葉の意味を千束は理解した、理解してしまったからこそ立ち止まってしまったのだろう。

 

「んむ……? ちょっと、千束? 千束、気付かれますよ……!」

 

 千束のおしりに顔をぶつけたたきなは、呆然とする彼女に声をかけるが……千束の耳にはミカとシンジの会話しか入ってきていなかった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え、うそ……ヨシさん……なの?」

 

「ちょ、ちょっと千束っ……出ないんですか……!?」

 

「ヨシさんだよ……!」

 

「バカ、千束……!」

 

 千束は興奮のあまり、即座にミカとシンジの前に出ようとして棗とたきなに慌てて止められる。

 だが二人の制止を振り切って、千束はシンジに話しかけた。……話しかけてしまった。

 

「ヨシさんなの?」

 

「!? 千束ッ!?」

 

 ミカは当然そこにいるはずのない少女がいることに驚愕し、シンジはそれを見てミカを睨む。

 

「……ミカ……!!」

 

「いや違う!?」

 

 ミカは隠し通していた。このことも本当なら知らないはずだった。

 たまたま、タイミングが悪かったのだ。

 

「ごめんなさい! 先生のメールをうっかり見ちゃって……」

 

「司令と会うのかと思って……すみません……」

 

「俺からも、すみません。止めるべきでした」

 

「お前たち……」

 

 申し訳なさそうに謝る千束たちをみて悪気はなかったのだと、ミカとシンジは悟る。

 ────補足しておくなら、シンジはそれだけではなさそうだったが。

 

「でも、今の話……ちょっとだけ、ちょっとだけでいいからヨシさんと話をさせて!」

 

「……なにかな」

 

 千束の視線を感じ、シンジは再びカウンターに視線を戻す。

 ここから先は三人の会話になるだろう、そう悟ったたきなと棗は目配せをして先に戻ろうとする。

 

「私、先に戻ってますね」

 

「うん、ごめんね。たきな、棗」

 

「失礼しま────」

 

「……待ってくれ、棗くん」

 

 軽く会釈だけして去ろうとする棗を、引き留めたのは意外にも吉松 シンジだった。

 

「……は?」

 

 棗は困惑したように、シンジの顔を見る。千束と話すんじゃないのか、何故自分を引き留めたんだ。と彼の目を見て訴える。

 それを見てシンジは深呼吸をすると、何かを自白するように声を出す。

 

「……君に謝っておかないといけないことがある」

 

「は?」

 

「え、ヨシさんどういう……?」

 

「シンジ……?」

 

 何を謝るつもりなのか、意図が読めなかった棗はより混乱した様子でシンジの顔を見る。

 当然、ミカと千束も何のことかわからないため、困惑したままシンジを見るほかない。

 

「十年以上も前の話だ。君は覚えていないかもしれない。

 ────だが、あの日。君に私が関わったことで、大きな悲劇が起きた。

 そして……君に私は取り返しのつかないことをしてしまった」

 

 シンジから出た言葉はそれこそ理解の及ばない言葉だった。

 十年以上前、つまり立花 棗としての記憶がない空白期。その時のことを知っているように語るのだから当然だ。

 

「…………いや、いやいや待ってくれヨシさん。

 どういうことだよ、俺の何を知ってる!? なにがっ……!!」

 

 棗は困惑して、シンジを制止しようとするが制止の言葉もお構いなしに彼は言葉を続ける。

 

「その後の君の足取りを掴めていなかった。

 だから、何処かで死んでしまったのかもしれない。私はそう思っていた。

 だが……君はこうして、千束とミカのもとで生きていた。

 ……正しく、奇跡というほかにない。本当に、驚いたよ。

 こうしてみれば……あの時と何一つ変わらない。

 ……いや、身長は伸びたかな。大きくなったね」

 

 彼のその言葉は、まるで家族に接するようなものだった。意味が分からない。分からない。

 なのに、その中に……彼の優しさと愛情が混じっていることを実感できる。なにより、その目が……まるで大きくなった実の息子を見るようだったから、棗はそう感じざるをえなかった。

 

「なに……を……」 

 

「一度拒否した君に、渡すことは許されないのだろう。

 だが、私は君に与えてしまった。だから……これは、君のモノだ」

 

 そう言い、シンジが取り出したのは()()()()()()()()()()だった。

 それを手渡された棗は、今度こそ……理解できなかった。

 

「────は?」

 

 彼の手にあるのは、アランチルドレンの証だ。だが、自分はアラン機関に支援された記憶がない。

 うっすらとアラン機関に出会ったような覚えはある。だが、それで支援されたとは考えていなかった。

 

 だけど、この焼け焦げた臭いは……()()()()()。夢で見た、あの火の海の臭いだ。

 

「え……棗……?」

 

 瞳を揺るがせ、困惑した表情を浮かべる棗を千束は恐る恐る覗く。

 普段の大人びた彼からは信じられない表情に彼女も不安を抱く。

 

「シンジ!? どういうことだっ……!?」

 

 ミカもそれを知らなかった。立花 棗がある少年に似ているとは聞いていた。

 だが、それが=棗だということは今の今まで聞かされていなかったのだ。だからこそ、シンジに問い詰めていた。

 

「……彼は一度死にかけたんだ。ある事故で。

 そして、その時……私は彼を助けるために、アランの才能を結集させた。

 心当たりはないかな? 君の驚異的な身体能力、治癒能力。

 ……それらは、アラン機関が与えたモノによる影響なんだ」

 

「────────」

 

 今度こそ、絶句した。そして何よりも……それが嘘ではないことを立花 棗は理解してしまった。

 この焼け焦げた梟の首飾り、そして夢に見た火の海。それらがもし吉松 シンジの言っている通りなら、全て辻褄が合ってしまうのだ。

 

「……けんな────」

 

「棗?」

 

 それはつまり、棗にとっては許せないことだった。

 あの生き地獄も、人を殺し続けた日々も、全て、全て……吉松 シンジが助けてしまったことで始まったのだというのなら。

 立花 棗にとって、吉松 シンジは恩人ではなく恨むべき相手なのだから。

 

「ふざけんな! アンタは俺に何をしたんだ!? なんで助けた!? 

 俺は、アンタが……アンタが助けたせいで────!」

 

 激昂し、勢いのままシンジを殴りかかろうとしたところで千束に腕を掴まれて止められる。

 

「棗!!」

 

「ッ!! …………すまん、頭冷やしてくる」

 

 振り返って、睨みつけた直後……千束の悲痛な表情を見てしまったからだろう。棗は少し頭が冷えたらしい。

 ……当たり前だろう、錦木 千束にとって、吉松 シンジは命の恩人だ。感謝したい人なのだ。

 それを悪く言われて……いい気にはなれないだろう。それを棗も理解してしまったからだろう。

 彼はやり場のない怒りを収めるために、席を外してこの場から去る選択をした。

 

「あ……棗……」

 

 手を伸ばして引き留めようとするが、棗の心境を考えればそれは本当にしていいのか。と千束は悩み引っ込める。

 

「……それで、千束ちゃんの話はなんだい?」

 

「あ……えっと……」

 

 気まずい、空気の悪い雰囲気のまま千束はシンジに話す。

 人工心臓を与えてくれた恩人を探していたこと、お礼を言いたかったこと。

 

「────それを認めることはできないんだよ」

 

「え……?」

 

「そういう決まりなんだ」

 

 アラン機関は、個人的な意思で支援したアランチルドレンと接触することは禁じられている。

 立花 棗が唯一の例外だったのだ、支援したことも知らされていない状態であった。

 だからこそこの場でシンジが告げたことで、それを知ることになった。

 本来は、千束のように支援してもらった人の顔も知らないのが当たり前だった。

 

「そう……なんだ、そっか……

 えっと、私も……いただいた時間で、ヨシさんみたいに誰かを────」

 

「知っているよ」

 

 そう、知っている。吉松 シンジはそれを見たからこそよく知っていた。

 だが、それはアラン機関の……吉松 シンジの望みとは異なる道だった。

 

「……しかし、()()()()()()()()()() 君の才能は本来────」

 

 そこまで、告げたところで受付の方から話し声が聞こえる。

 そちらに視線を向ければ受付のスタッフとクルミとミズキが揉めていたのであった。

 

「ちょっと二人とも────」

 

「……アランチルドレンには役割がある。ミカとよく話しなさい」

 

 シンジはソレだけを告げて席を立つ。もう話すことはない。と告げるように。

 

「……千束、しばらくここにいなさい」

 

 ミカにそう言われて、千束は茫然と立ったまま立ち去るシンジと追いかけるミカの方を見つめる。

 

「また……お店で、待ってますから……! まって……ます……!」

 

 その言葉は、彼に届いたのか。彼女にはわからないのだろう。

 

 ────

 

 シンジを追いかけ、彼と共にエレベーターに乗った先で……ミカはぼそりと呟く。

 

「……ジンは逃がしたぞ、シンジ」

 

「前はそんなに甘い男ではなかっただろう、どうしたんだい、ミカ?」

 

「千束が望む時間を与えてやれないのか!?」

 

「ミカ、才能とは神の所有物だ。人のモノではない。まして私たちのモノでもない。

 ────約束したじゃないか、そうだろう?」

 

 ミカに近づき、壁際に追い詰めシンジはそう告げる。

 動揺したように、ミカはシンジを突き飛ばし懐から拳銃を取り出して銃口を彼に突き付ける。

 

「やめろ!! 千束を……ッ! 千束を自由にしろ!! 私にはこの引き金を引く覚悟がある!!」

 

 嘘だ。そんなものはない。ミカの拳銃には安全装置(セーフティ)がかかっていた。即ち……撃つ気がないということだ。

 

「君の店を初めて訪れたあの日……本当に胸が弾んだよ。十年前のあの日のように────」

 

「ッ……シンジ……!」

 

 千束の先天性心疾患。それが二人の出会いの切っ掛けだった。

 ────切っ掛けは分からない。ただ、それでも。二人は愛し合った。愛し合ってしまった。そこに嘘はなかった偽りはなかった。

 だからこそ、心が軋むように痛い。

 

「……そういえば、ミカには言っていなかったね。棗くんのことを」

 

「なにを────」

 

 拳銃を握るミカの手が震えているのを見て、シンジは語り始める。

 一人の天才との出会いを。

 

「あれは、君と出会う前の話だ。私も若く、アラン機関の人間としても未熟だった頃────」

 

 とある孤児院で、アラン機関が見出した一人の天才と接触した。

 その子はとても優しい子供だった。いつだって、孤児院の子供たちや、職員を助けていた。

 そして誰かを助ける度に、その異常性を垣間見せていた。

 

「異常性だと……?」

 

「ああ、彼は幼いながら……天才だった。だからだろうか、常人では理解できないような手段で手助けをしていたこともあった」

 

 今でも、シンジは思い出せる。初めて会った時の少年のあり方を。

 そして、アラン機関が彼を支援したいと……そう言いだしたことにも納得がいった。ああ、確かにこれは喉から手が出るほどに欲す……素晴らしい才能だと。

 

「信じられるかい、ミカ? 僅か5歳ほどの少年が医療や科学といった技術、知識を理解していたんだ」

 

「それは────」

 

 明かな異常性。アラン機関が欲しがる天才だということをミカは理解できた。

 そして何より異質だったのが、それぞれ似て非なる二つの才能を持ち合わせているということ。

 

「それだけで済むのなら、まだよかったものさ」

 

「……どういうことだ?」

 

 シンジは、機関の指示を受けて少年の才能がどんなものなのか、あらゆる分野の試験を行い把握しようとした。

 

「結果は、全てクリア。────挙句の果てには拳銃の撃ち方すらマスターしてしまったよ」

 

「な……!?」

 

 即ち、その少年は……なんでもできてしまった。あらゆる分野で活躍できる才能を持っていることが証明されてしまったのだ。

 

「『どんな天才にもなれる天才』……それこそが彼の才能なんだよ、ミカ」

 

「バカな……そんなことは────」

 

「ありえない。私だってそう思ったさ。だが、彼はそのありえない可能性を証明してしまった。自らの存在をもって」

 

 0を1にしてしまったのだ、少年は。万能の天才。そう言える才能の持ち主。それが立花 棗だった。

 

「天才が神の与えた恩恵(ギフト)だというなら、彼は()()()()()()()()()……()()()()()()()()()

 ────彼がその才能を発揮すれば、真の意味で()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 正しく、時代を変えるもの。その才能を届けることができれば世界を変えることすら不可能ではなかった。

 偉人、英雄。そういう代物だろう。一つの歴史の渦を作り出せる者だった。

 

「だがお前は、その少年は支援を断ったと……!」

 

「ああ、その通りだ。彼は自らの異常性に気付いていた。

 そして恐らく……自分という存在が世界を揺るがすことも悟っていたんだろうね」

 

 ────救世主になれる。そう告げた。だが、彼はそうはなりたくない。と言った。

 彼が守りたいものを教えられた。それは確かにかけがえのないもので。

 素敵なことだった。だからこそ、シンジは彼への支援は諦めることにした。

 ……したはずだった。

 

「原因はわからない。だが、その孤児院にアラン機関の人間がいるという情報が漏れたんだ。

 目的はおそらく、私だ。私を捕らえて人質にして身代金を要求しようとしたのだろう」

 

 犯罪者の集団にその孤児院は襲われた。金銭目当てだったらしい。

 

「…………孤児院の火事」

 

 凄惨な事件だった。今でも時々ニュースに取り上げられる。生き残りは一切なし。

 誰一人生存することなく、犯罪者も孤児院の子供たちも職員も全員死亡したとそう語られた一つの事件。

 

「……私はその時、別の仕事で孤児院に遅れて訪れたんだ。あれほど惨い景色を……私は見たことがなかった。

 自分を憎んださ。────私があの孤児院に訪れることがなければ、こんな事件は起きなかったのではないかと」

 

 ただ、その事件には一つ間違いがあった。

 

「間違いだと?」

 

「ああ、そうだとも。……たった一人、生き残った少年がいた」

 

 奇跡だった。その男の子だけが生き残っていた。

 ただ、それでも瀕死といってよかっただろう。このままではいずれ死んでしまうと。

 

「だから私は、アラン機関の人間としての権限を使った」

 

 あらゆる分野の天才を結集させ、なんとしてもその少年を生かすと。アラン機関もこれを承諾した。

 なにせ、自らが原因であり……そして、そのまま失うには惜しい才能をもった少年だというのも認識していたからだ。

 

「そうして少年は……我々アラン機関が作った技術によって生き延びた。それでもひどく衰弱していた。

 あの地獄を生き延びてしまったんだ。身体は生き延びても、心が死んでいた」

 

 だが、ある日……ふと、彼は目が覚めた。

 

「生まれ変わったように……いや、本当の意味で生まれ変わったのかもしれない。記憶の欠如と共に」

 

「…………!」

 

 ミカは驚愕してシンジを見つめる。少年が記憶喪失になったこと。

 それがここで立花 棗の記憶が喪失している部分と合致したからだ。

 

「彼は以前の孤児院にいたことすら覚えていなかった。

 名前も当然覚えていなかった。────だから、()()()()()()()()()()()()()()

 

「な、それは────」

 

 つまり、吉松 シンジこそが彼の名付け親だった。しかし、何故名前を与えたのかその意図が分からない。

 ミカは話を続けさせるように黙り込む。

 

「────彼に与えたものは、千束の人工心臓のさらに先をいく世代の技術だ。

 未だ実現できない技術、そんなものが知られてしまえば世界は彼を手に入れようとするだろう。実験体としてね。

 それを阻止するためには偽りの身分を用意し……そして、かつての彼の……棗くんそのものの痕跡を消す必要があった。

 だから、私は接触したんだよ。リリベルの上層部の人間に」

 

「……まさか」

 

「そうだ、ミカ。リコリスとリリベルのことを知ったのはこの時だ。痕跡の一切を消去するならこうするしかなかった」

 

 立花 棗がリリベルとして育った理由。孤児院に生存者がいないとされた理由。それら全ては立花 棗を守るためだった。

 

「────そのあと、しばらくして彼は病室から姿を消した。リリベルによって回収され痕跡の全てを消されたからだ」

 

 その後の足取りは私も掴めていなかった。だからこそ、リリベルとして戦っているのか或いは既に死んでしまったのか。

 分からないままアラン機関の人間として過ごしていた。そんなある日、千束と共にいる彼によく似た少年のことを知った。

 

 棗、という名前自体は居てもおかしくはなかったし、そもそもリコリスとリリベルは敵対関係のような状態だ。

 そのことから最初は他人の空似だと思っていた。

 だが、それでももしかすれば……と、君と千束の様子を見る口実で……彼のことも見に来ていたのだ。とシンジは語る。

 

「そして、彼と会話するたびに……私の中で彼があの時の少年だという確信が大きくなっていった。だが、それでも確証がなかった。

 ────その時だよ。千束と棗くんがジンと戦った。あの時に確証を得た。

 立花 棗はあの時出会い、助けて、名前を与えた少年なのだと」

 

「これは運命だ。私たちの娘と……息子がこうして君のもとに集まっている」

 

「シンジ、なにを……!?」

 

「あの日の約束だ、ミカ」

 

「ッ……!」

 

 十年前、千束に人工心臓を与えたあの日の約束。

 必ず世界に届けてくれ。そう頼まれたあの日の誓い。一度たりとも忘れていなかったその約束を。

 シンジは果たす時だとそう告げる。

 

「君は千束を。そして私は使命に基づいて棗くんを世界に届けなければならない。

 ────いつまでも、あの場所に居させるわけにはいかないんだよ。ミカ」

 

 シンジはそう告げてエレベーターから降りる。それはまるで今生の別れのようだった。

 

「────……覚悟なんて、あるわけないだろう」

 

 去っていくシンジを見届けず、ミカは安全装置のかかった自らの手に持った拳銃を見て壁にもたれかかる。

 頭がぐちゃぐちゃだった。千束のこと、棗のこと。一度に背負うには、あまりにも大きなものだった。

 

 

 ────

 

 

 先ほどのバーの存在しているホテルのトイレで、棗は鏡を見つめる。

 酷い顔だ。迷子のような、行き場を失った顔。

 

「………………才能か」

 

 彼らの会話を覗き見て、棗はそう声に漏らす。

 何でもできる才能。そんなものがあるとするなら……確かに恐ろしい。

 

 そして、それが理由で彼は生かされた。

 

「どうして俺だったんだ。なんで俺が……そんなもののせいで、俺は────」

 

 怪物に成り果てることになった。それならばいっそ、その事故とやらで死んでしまった方が良かった。

 転生などというもので二度目の人生を与えられた末がこれだ。

 

 得体の知れない組織に身体を弄られ、得体の知れない組織の犬にされて殺しを強要させられた。

 許せるものか。許せるはずがない。立花 棗にとって、許していいはずがなかった。

 

 だが────

 

この身体(おれ)にとっては……恩人だ」

 

 自分の意識が覚醒したリリベル時代よりも前に助けられていた。だからこそ、そう呟く。

 笑えない話だ、それも考えてしまえば……棗という男は二度の死を経験していることになるのだから。

 

「本当に、俺は生きているのか────?」

 

 鏡に映る自分の姿を見ながら、そう思う。立花 棗は……死んでいるのではないかと。

 

「俺は何者なんだ────」

 

 その問いに答える者は誰も居ない。焼け焦げた梟の首飾りだけが照明に照らされ鈍く光っていた。

 立花 棗の存在意義を教えるように────



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【速報】俺氏、上院議員だった【やばい】

箸休め回。

小説の方の要素とかも今後は入れていきます。


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

マジで上院議員とは思わんやんけ……

 

2:名無しの彼岸花 ID:EXF090Stj

お、イッチ

 

3:名無しの彼岸花 ID:pYNWQSJPi

上院議員ってどうした?

 

4:名無しの彼岸花 ID:IKC8fSrh0

声がボルサリーノになったんか?

 

5:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

オーキド博士でしょ

 

6:名無しの彼岸花 ID:SlzhGowpy

トレーナーニキ!?

 

7:店員鈴蘭 ID:LyReBell

生きとったんかワレェ!!

 

8:名無しの彼岸花 ID:E2+xhxIci

トレーナーニキも久しぶりに見るな

 

9:名無しの彼岸花 ID:aZKupStxA

トレーナーニキは今なにしてんの?

 

10:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

パルデア地方探索しとるわ。テラスタルとかよくわからん。

それメガシンカでよくない?

 

11:名無しの彼岸花 ID:X4Z7x2ogu

一足先にSVの地方満喫してて草

 

12:名無しの彼岸花 ID:RusNpxuJ+

全く知らない場所行ってたから連絡なかったんか

 

13:店員鈴蘭 ID:LyReBell

>>10

それおやこあいの前で言えるんか

 

14:名無しの彼岸花 ID:HRs+q094U

ファイアロー……メガガルーラ……うっ……

 

15:名無しの彼岸花 ID:5Uu4am3xv

は  や  て  の  つ  ば  さ

  は  ね  や  す  め

ブ  レ  イ  ブ  バ  ー  ド

 

16:名無しの彼岸花 ID:V+XW4xbbr

  グ  ロ  ウ  パ  ン  チ

 

17:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

言えないです……すみませんでした……

 

18:名無しの彼岸花 ID:H0y9Q5E2p

 

19:名無しの彼岸花 ID:i2FYbpfcv

圧倒的な火力の前にトレーナーは等しく無力……!

 

20:名無しの彼岸花 ID:a9eRBLk2R

メガガルーラは一生出禁でいいよ

 

21:名無しの彼岸花 ID:jWbzj9Mgb

殴りながら剣舞してくるし やけどにもこおりにもまひにもしてくる

 

22:名無しの彼岸花 ID:xHfzv5ei0

特殊型メガガルーラとかいうの作ったやつ滅びねえかな……

 

23:名無しの彼岸花 ID:OA+U2LREb

みんなガルーラにトラウマ植え付けられてて草

 

24:名無しの彼岸花 ID:2vzEQSscx

話脱線したけどイッチ、上院議員だったってどういうことや?

 

25:名無しの彼岸花 ID:Pk9R2fHcY

そうやった、それが本題だった。

 

26:名無しの彼岸花 ID:jT8+OW+Rs

おうイッチ、キリキリ吐こうぜ

 

27:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あれからクルミちゃんに自分の身体に関して調べてもらったんやけどな。

身体の中にナノマシンが埋め込まれてたんや。

それで衝撃吸収することもできる機能がそのナノマシンについてた。

たきなちゃん庇って地面に叩きつけられた時無傷だったんはそれが原因。

 

28:名無しの彼岸花 ID:9e5801rte

ほんとに上院議員で草

 

29:名無しの彼岸花 ID:FBxi8AOpb

雷電じゃなかったのか……

 

30:名無しの彼岸花 ID:zaJZH1xuO

悲報 イッチ、右ストレートで殴られる方じゃなくて殴る方だった。

 

31:名無しの彼岸花 ID:hfRu4Y+Yc

冗談で言ってたのにあらゆる衝撃を吸収するナノマシンマジで埋め込まれてたの笑えんわ

 

32:名無しの彼岸花 ID:qJRt0b7e9

噓から出た実じゃん……

 

33:名無しの彼岸花 ID:nEjhgblBf

千束ちゃんは人工心臓でイッチはナノマシンか……

 

34:名無しの彼岸花 ID:By9mszRal

マジで何世代も先の技術使われてんな……?

 

35:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあその辺は別にいいや。思う所は色々とあるけど実害が出てるわけじゃないし……

今絶賛問題なのはリコリコの赤字や

 

36:名無しの彼岸花 ID:3Tf7QjPcA

自分の問題スルーは草

 

37:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

図太いけどそこに図太さを発揮すんな???

 

38:名無しの彼岸花 ID:i3DndTQHY

てかリコリコの赤字で草

 

39:名無しの彼岸花 ID:nuaFzXYlb

赤字は草。まあ確かに新規のお客さん滅多にきてないみたいだから

収益面大丈夫かなと思ったら案の定か

 

40:名無しの彼岸花 ID:pFNiT3Z7R

てかそんなに売り上げないの??

 

41:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやーないってわけじゃないんだけどね……千束ちゃんの非殺傷弾、費用アホほどかかるのよね。

普通のマガジン五個分は一発分で補充できるんじゃないかな。

更に掃除屋に証拠隠滅依頼してるし……

あと、最近千束ちゃんがコスパ合わないパフェ作っちゃった

 

42:名無しの彼岸花 ID:81JGUCRmR

 

43:名無しの彼岸花 ID:1LmWPvhPZ

ボロボロやんけ!!?

 

44:名無しの彼岸花 ID:6m/XwISmb

よくそれで維持できてんなリコリコ……

 

45:店員鈴蘭 ID:LyReBell

DAの支援金と僕のポケットマネーで補ってます……

 

46:名無しの彼岸花 ID:fSAb8oD0y

 

47:名無しの彼岸花 ID:RNReh+3d+

いや草

 

48:名無しの彼岸花 ID:nVS/ivZF2

店員の金とっていく店舗とか黒企業すぎる

 

49:名無しの彼岸花 ID:CcKazxrDe

職場環境は白に近いけど実態が黒なの生々しすぎない?

 

50:名無しの彼岸花 ID:d9OLgbE3P

リアルなブラック企業のそれやんけ。

 

51:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあそんなわけでたきなちゃんが経理担当してくれることになって

ワイがそのサポートに回る感じで落ち着いたわ。

 

52:名無しの彼岸花 ID:0ZQPvRAdW

たきなちゃんが健気すぎる

 

53:名無しの彼岸花 ID:8xUoJbg9w

以前の任務での暴走が嘘のように……

 

54:名無しの彼岸花 ID:2UVhT380i

知ってるか?この子最初機関銃で掃射したり護衛対象を囮にしてたんだぜ?

 

55:名無しの彼岸花 ID:tEO5yB5wh

人って変わるんだなぁ……

 

56:名無しの彼岸花 ID:uxsDENGCJ

まあ、イッチも切り裂き魔とか言われてたのに今じゃ面影ないし

 

57:名無しの彼岸花 ID:UC7sTI/Mm

千束ちゃんがいい意味でも悪い意味でも影響与えてんだろうな。

 

58:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

【画像】

【画像】

千束ちゃん怒られ画像

 

59:名無しの彼岸花 ID:a34e47Ic0

 

60:名無しの彼岸花 ID:CdoW5YTUm

ぐるぐる巻きにされてて草

 

61:名無しの彼岸花 ID:XunW9i5Q3

千束ちゃんさぁ……

 

62:名無しの彼岸花 ID:DA4KMXINk

たきなちゃんがめっちゃ冷ややかな目で見てる

 

63:名無しの彼岸花 ID:ZaMBqzPKz

可愛いけどなにしたんや千束ちゃん

 

64:店員鈴蘭 ID:LyReBell

弾の無駄使いと掃除屋呼ぶ羽目になったことぉ……ですかねぇ……

 

65:名無しの彼岸花 ID:3kUafZrir

うーん残当

 

66:名無しの彼岸花 ID:hlbhdAXXl

残念でもなく当然

 

67:名無しの彼岸花 ID:uucrOaPP5

赤字だって言ってるのにそれしたら怒られるわ

 

68:名無しの彼岸花 ID:3nphbjb6n

たきなちゃんもそりゃしかめっ面になる

 

69:名無しの彼岸花 ID:mHdlPr/NY

イッチはどうしてんの?

 

70:名無しの彼岸花 ID:BgDApv28O

そういえば、イッチの銃弾もそこそこ高いんじゃないの?

 

71:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイは一応銃弾の費用とかはおやっさんに支払ってるのと

最近は痕跡残して掃除屋呼ばなくてもいいように近接主体にしてる

CQCならそんな壊さんしな。

 

72:名無しの彼岸花 ID:DP/ezAKWT

なるほど

 

73:名無しの彼岸花 ID:X4dsgdk9f

イッチそういやポケットマネー持ってるってさっき言ってたね

 

74:名無しの彼岸花 ID:JEJmL0C/B

ちゃんと支払ってるのえらい

 

75:名無しの彼岸花 ID:zWGjTNcK9

滞納はしないようにしようね!

 

76:名無しの彼岸花 ID:TbN5zDsp1

そうだよ

 

77:名無しの彼岸花 ID:egUZ3swzS

それで、具体的な黒字に戻す案は決まってんの?

 

78:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ弾の無駄使い削減とか節電とかシンプルなモノとあとは……

新商品の開発かな。なんかこう、売れるモノをーって。

で、案がある人は持ってこいって話になってるんだけど……

 

79:名無しの彼岸花 ID:Bo8JgQAQr

けど?

 

80:名無しの彼岸花 ID:hmqstPwlC

お??

 

81:名無しの彼岸花 ID:VgfgUmFCe

お、もしかして??

 

82:名無しの彼岸花 ID:IgUbXLNCi

まさか??

 

83:名無しの彼岸花 ID:hOARo7tFO

ざわ……ざわ……

 

84:店員鈴蘭 ID:LyReBell

新商品の開発案の安価じゃ!!お前ら!!!

 

85:名無しの彼岸花 ID:V2wGgW6Rs

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

86:名無しの彼岸花 ID:WSfjeaJYk

安価待ってた

 

87:名無しの彼岸花 ID:Asy38JIRn

めちゃくちゃ久しぶりに安価やんけ!!

 

88:名無しの彼岸花 ID:NYqZK6rvF

うおおおおおお!!

 

89:名無しの彼岸花 ID:b/aboGhQz

イッチはよ!はよ!!

 

90:店員鈴蘭 ID:LyReBell

安価条件はそんな豪勢で高くならないことが前提。

奇抜なデザインのものでもいいけどほどほどに。

リコリコのイメージにあったものであればヨシ

 

91:名無しの彼岸花 ID:kVMVrutzK

まあ黒字にしたいって言ってるのに高いもの使ったらな

 

92:名無しの彼岸花 ID:DU3JUedwp

それはそう

 

93:名無しの彼岸花 ID:yv9yLFrrm

スレ民は悪ふざけで色々やるからな

 

94:名無しの彼岸花 ID:uQnCNBORB

そうだよ

 

95:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そんなわけで安価じゃい

>>118

 

96:名無しの彼岸花 ID:WULBLTpsG

お、そこか

 

97:名無しの彼岸花 ID:gfUgwOk3J

ksk

 

98:名無しの彼岸花 ID:Fkr3QC9m5

意外と遠いようで近い?

 

99:名無しの彼岸花 ID:lqYZclkcN

ksk

 

100:名無しの彼岸花 ID:BkK9zkOn4

喫茶店に向いたヤツって言われるとちょい悩むな

 

101:名無しの彼岸花 ID:unp0jssCd

まだまだksk

 

102:名無しの彼岸花 ID:RQ93vDvIu

ス〇バとかのでもいいんか?

 

103:名無しの彼岸花 ID:u2bWhnb4j

さすがにパクるのはダメでしょ

 

104:名無しの彼岸花 ID:AGA7+e32J

リコリコの雰囲気にあったものって言ってるしなぁ

 

105:名無しの彼岸花 ID:KZKXJmJJP

和洋折衷なお菓子とかだといいか

 

106:名無しの彼岸花 ID:NQmPQuQjK

和菓子とかかなぁ

 

107:名無しの彼岸花 ID:amS7gztNk

パフェもありなんじゃない?

 

108:名無しの彼岸花 ID:Q+h3UR6p2

〇メダのデカイトースト意識したやつ

 

109:名無しの彼岸花 ID:tI+MDDzxV

unk風チョコのパフェ

 

110:名無しの彼岸花 ID:dKE4Q9e+w

クレープ

 

111:名無しの彼岸花 ID:CGCDExecP

かき氷

 

112:名無しの彼岸花 ID:2LmD7GVCz

フラペチーノとか

 

113:名無しの彼岸花 ID:mQaugiLf3

フルーツの盛り合わせケーキ

 

114:名無しの彼岸花 ID:P9l+IOu2u

団子とかはあるし羊羹とか?

 

115:名無しの彼岸花 ID:3uFFAPEPe

たい焼きとかいいかもねぇ

 

116:名無しの彼岸花 ID:cYTLZq4hz

腹減ってくるわ。わらび餅とかも良さそうやな

 

117:名無しの彼岸花 ID:OGvv2WM+T

なんだかんだ飲み物増やすとかもありじゃない?

メロンソーダとかそういう

 

118:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

ここは店員の色に合わせたパフェを作るべきでしょ

 

119:名無しの彼岸花 ID:EZtUzGNQk

ココアとかそういうのだしてもいいんじゃないか?

 

120:名無しの彼岸花 ID:qIOZLcwmA

なんか奇抜なのとかコメ〇のやつパクろうとしてんな?

あえてのお酒とかどうよ

 

121:名無しの彼岸花 ID:a9KTcLRry

お?

 

122:名無しの彼岸花 ID:CLvJC2MoO

おっと?

 

123:名無しの彼岸花 ID:V6enVTbVm

トレーナーニキのが当たってて草

 

124:名無しの彼岸花 ID:jeK1adkeP

無難だけど一番良いの引いてて笑う

 

125:名無しの彼岸花 ID:Zu/pUjmv2

王道的なヤツで草

 

126:名無しの彼岸花 ID:lU+sgG40K

まあリコリコってSNSあるらしいし店員も顔知られてるなら

色とりどりの店員カラーパフェはあり

 

127:名無しの彼岸花 ID:kYLoCuSpi

ちょうど赤、青、緑、黄色、紫と揃ってるしな

 

128:名無しの彼岸花 ID:7wn8PqIM4

イッチはなんだっけ

 

129:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイは基本的に黒やな。まあ彩り考えたらワイ抜きで五色作ってみるか。

厨房担当でそんな顔出さないから

メインで顔を見るメンバーとか重点的にした方がいいだろうし

 

130:名無しの彼岸花 ID:Vs3nG6d8r

黒は確かに難しいな

 

131:名無しの彼岸花 ID:3/XF2L9SH

コーヒーソースとかそういうのになるか……?黒だと

 

132:名無しの彼岸花 ID:zBnMgWeRm

キャビアとかそういう色合いになるから、ちょっとお値段高くなりそうだしなイッチ

 

133:名無しの彼岸花 ID:e4/85H+kC

でも無難かつオシャレで人気は掴めそう

 

134:名無しの彼岸花 ID:A27YQD/fV

コンプしたい人、とか知り合いとシェア、とか結構いろんな需要に応えられそうよね

 

135:店員鈴蘭 ID:LyReBell

やっぱそう? トレーナーニキありがとやで。

試作したやつお披露目してくるわ。

 

136:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

ええんやで、役に立ったなら良かったわ。

パフェ楽しみにしとる。ここ最近カレーばっか食ってたから

甘いモノ映像でもいいから見たいんよね

 

137:名無しの彼岸花 ID:b36rcFdNk

 

138:名無しの彼岸花 ID:V+/evbz9B

ガラル旅した痕跡が見える見える……

 

139:名無しの彼岸花 ID:zR4LP1Ahq

カレーに支配された地方行ってたんやろなぁ……

 

140:名無しの彼岸花 ID:Av/pwMOcu

チャンピオンがカレー大好きらしいからね、多少はね

 

141:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

ユウリちゃん、ずっとカレー食わせてくるから勘弁してほしいわ。

ムゲンダイナとザシアンとかいう伝説引き連れたチャンピオンがカレージャンキーなの怖すぎる。

一般ピーポーなトレーナーのワイにはつらい。

 

142:名無しの彼岸花 ID:qTSXhNl+u

しれっとユウリちゃんと知り合いなの草

 

143:名無しの彼岸花 ID:uVDAhuMqA

トレーナーニキも処罰対象か?

 

144:名無しの彼岸花 ID:uU0aBhKdU

禁止伝説の中の厨ポケ二匹引き連れてカレー食う絵面こわすぎる

 

145:名無しの彼岸花 ID:IACUv/gZq

生きた心地がしないやつじゃん

 

146:名無しの彼岸花 ID:chiVg7ntX

ちなみにトレーナーニキに聞くけどユウリちゃんの御三家って……

 

147:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

リベロエースバーンやしホップくんはグラスメイカーゴリランダーじゃボケ

 

148:名無しの彼岸花 ID:uTjeDrYne

 

149:名無しの彼岸花 ID:ZkBNDgZL5

うーん厨ポケ

 

150:名無しの彼岸花 ID:S7MY7BAQB

ダンデさんのところにいったやつがインテレオンなだけまし……でもなさそう

 

151:名無しの彼岸花 ID:5VcJ9FQP4

あの人だってほかの手持ちが厨ポケやし……ガルドとか、ドラパとか……

 

152:名無しの彼岸花 ID:yEhXb+cT8

そういえばそうだった

 

153:名無しの彼岸花 ID:Mf0SWXNVb

トレーナーニキの周り強すぎる

 

154:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

転生特典の個体値見れるやつとか全く機能してないからねワイ

 

155:名無しの彼岸花 ID:HrtYm4Kxf

 

156:名無しの彼岸花 ID:zONc5sxME

まあそうなるわな。

 

157:名無しの彼岸花 ID:S57CLGD2m

可哀想

 

158:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

【画像】

【画像】

【画像】

【画像】

【画像】

とりあえずパフェできたで

 

159:名無しの彼岸花 ID:HskVdEnVy

 

160:名無しの彼岸花 ID:RsKWLkrlP

おつかれイッチ

 

161:名無しの彼岸花 ID:SQ8iKho+c

うわ、美味そう。

 

162:名無しの彼岸花 ID:2T+zv2r4W

千束ちゃんのはショートケーキ風で

たきなちゃんはブルーハワイとソーダか?

 

163:名無しの彼岸花 ID:PFTahDLj5

クルミちゃんのは柑橘系多めやな

 

164:名無しの彼岸花 ID:A8bI8vzdf

ミズキさんの?と思わしき抹茶パフェもなかなか

 

165:名無しのトレーナー ID:Poket0reN

ミカさんのやつはサツマイモのクリームか使ってんのか?

凄く美味そう……いいなぁ……マホイップ連れてこれば良かった……

 

166:名無しの彼岸花 ID:lAohvBrI/

トレーナーニキめちゃくちゃ後悔してて草

 

167:名無しの彼岸花 ID:hesQsKvnc

マホイップたしかクリーム出せるんだっけ

 

168:名無しの彼岸花 ID:/TD08q9vj

……最後のヤツってもしかしてイッチのか?

コーヒーソースかかってるやつ

 

169:店員鈴蘭 ID:LyReBell

一応ワイのや、千束ちゃん、たきなちゃん、ミズキさんから

お前のもいるわ。って言われて渋々作った。

とりあえず、一回保留にして今度常連客で若い女の子いるから

その子の感想次第で出すかどうか決める感じでいくわ。

 

170:名無しの彼岸花 ID:iDFedB0/G

まあ若い子人気は欲しいしな

 

171:名無しの彼岸花 ID:+8+r3CUNb

少なくともそこそこ人気はでそうではある。

 

172:名無しの彼岸花 ID:3kO17zZuD

わかる、美味しそう。

 

173:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

なにこれ

 

174:名無しの彼岸花 ID:8/sXhoXYb

 

175:名無しの彼岸花 ID:6RsmdGZAB

いや草

 

176:名無しの彼岸花 ID:8gp9WeX37

うんこやんけ!!

 

177:名無しの彼岸花 ID:IPjQrxhxh

クソじゃん

 

178:名無しの彼岸花 ID:oAVSk2INC

クソパフェで草

 

179:名無しの彼岸花 ID:a6OEBdN4+

おぞましいものが出てきたけどなんやこれ

 

180:店員鈴蘭 ID:LyReBell

たきなちゃん考案のホットチョコパフェ……らしいんだけど

ホットチョコの色合いと湯気のせいでアレにしか見えん

 

181:名無しの彼岸花 ID:DojwdGjlw

うーんこれはどうあがいてもうんち

 

182:名無しの彼岸花 ID:EwPhJKD+M

ウンチーコングって知ってるゥ!?

 

183:名無しの彼岸花 ID:z+33p2C26

ウ  ン  チ  ー  コ  ン  グ  だ

二度と間違えるなクソが

 

184:名無しの彼岸花 ID:zyDW3xknx

たきなちゃん私服といいセンスが独特すぎない?

 

185:名無しの彼岸花 ID:GDzVr1fuV

意識せずクソになるのたきなちゃんある意味才能だなこれ

 

186:名無しの彼岸花 ID:y0UNZhP5W

アラン機関がお手上げなタイプの才能

 

187:名無しの彼岸花 ID:qegW6XHYF

ピカソか?

 

188:名無しの彼岸花 ID:L/82umbpB

それ死後評価されるやつやんけ

 

189:名無しの彼岸花 ID:GPg++ElNt

これどうすんのイッチ

 

190:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやまあ……たきなちゃん悪気ないし

せっかく考案してくれたから却下するのも……ってなってる

 

191:名無しの彼岸花 ID:G4myWNJX4

まあそうなるわな

 

192:名無しの彼岸花 ID:OC22tnHEE

とりあえず一回試作として出してみて人気出そうなら続ける方向でいけばどうや?

 

193:名無しの彼岸花 ID:R6Sg486KA

それが無難そう。

 

194:名無しの彼岸花 ID:ZhT2fkvzZ

とはいえ見た目がアレだからな……

 

195:名無しの彼岸花 ID:uhfXvrXo/

うんこ漢字ドリルみたいに人気になる可能性はあるから……

 

196:名無しの彼岸花 ID:h0eOaQJBg

いつだって時代の最先端は下ネタや

 

197:名無しの彼岸花 ID:UuGV9d5rp

うーん過言

 

198:店員鈴蘭 ID:LyReBell

とりあえずその方向性で出すことになった。

これ作るのかぁ……

 

199:名無しの彼岸花 ID:HNn8OIkSe

イッチそういえば厨房担当だったわ

 

200:名無しの彼岸花 ID:TtEXXe8xU

うんこ作る店員とか絵面が事故りすぎてる………

 

 

 

────

 

 

400:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【悲報】うんこパフェアホみたいに流行った【下ネタ大好き】

【画像】

 

401:名無しの彼岸花 ID:Q2lhmBkJs

 

402:名無しの彼岸花 ID:FWefs5nGj

なんで??????

 

403:名無しの彼岸花 ID:D9mJADJRV

めちゃくちゃ行列だしお客さん埋まってて草

 

404:名無しの彼岸花 ID:GFmxsRhEg

やっぱみんな(下ネタ)好きなんすねぇ……

 

405:名無しの彼岸花 ID:z+pDp7y7h

そりゃ好きでしょ

 

406:名無しの彼岸花 ID:XmMImHj6g

言えたじゃねえか

 

407:名無しの彼岸花 ID:c6pyhU2AO

聞けてよかった……

 

408:店員鈴蘭 ID:LyReBell

んなもん聞きたくないわ。

おかげさまで厨房クソほどしんどいけどな!!

大盛況なのはいいけどつらい!!今スレで喋りながら並行して作ってる!!

 

409:名無しの彼岸花 ID:JVhxVMG+j

 

410:名無しの彼岸花 ID:41sI4kxFn

どうしてこんなことにマルチタスクを使うのか

 

411:名無しの彼岸花 ID:mDcZayUss

うーん才能の無駄遣い

 

412:名無しの彼岸花 ID:V0jSMIJQP

うんこ量産してる絵面とか面白すぎるでしょ

 

413:名無しの彼岸花 ID:GdSUatb3s

どうしてこんなに人気になってしまったのか……

 

414:店員鈴蘭 ID:LyReBell

【画像】

千束ちゃんがこんな風に鼻摘まんだ写真とか撮ってもらってたからですかね

 

415:名無しの彼岸花 ID:dXnsCjGma

元凶千束ちゃんで草

 

416:名無しの彼岸花 ID:8dVdw6KVP

千束ちゃんさぁ……

 

417:名無しの彼岸花 ID:SIOdLPcCB

なんてことを……

 

418:名無しの彼岸花 ID:ZDerK32FU

ひとのこころとか

 

419:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあたきなちゃん大盛況でニコニコしてるしええかなって……

【画像】

 

420:名無しの彼岸花 ID:cejDLdfjp

全て下ネタが原因だと知らない無垢な少女の顔

 

421:名無しの彼岸花 ID:er7driVAi

可哀想

 

422:名無しの彼岸花 ID:SsfUMMor+

全て知った時のショックデカそう

 

423:名無しの彼岸花 ID:t0jlikTn0

知られないことを祈る

 



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【俺じゃない】真島さんに家に侵入されてた件【千束ちゃんが】

シリアスも混ぜます。

20話目です。


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

変質者はいつの時代もいるんやなって

 

2:名無しの彼岸花 ID:e33h72fV0

ちょ、普通にとんでもないこと言うなイッチ!?

 

3:名無しの彼岸花 ID:mbTxguX2G

千束ちゃん不法侵入されてたん!?

 

4:名無しの彼岸花 ID:GFdtEsLyA

不法侵入ですよ不法侵入!!

 

5:名無しの彼岸花 ID:F+M2QXwUm

怪我とかないんか!?

 

6:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そこらへんは大丈夫、真島も殺すつもりはなかったのと

再確認したかっただけだろうしな

 

7:名無しの彼岸花 ID:WTQc5XqBc

再確認……?

 

8:名無しの彼岸花 ID:tHRHcBRPg

どういうことなの……?

 

9:店員鈴蘭 ID:LyReBell

電波塔事件の時のテロリスト側の生き残りが真島。

で、千束ちゃんやワイが当時制圧に派遣されてたからね。

千束ちゃんのこと知ってたはずだから

俺のこと覚えてないのか?みたいなこと言いに来てたらしい。

 

あとなんか映画の話題で盛り上がってたとか

 

10:名無しの彼岸花 ID:6Cnj9A6/Z

最後草

 

11:名無しの彼岸花 ID:fzX1B/vIn

いや最後

 

12:名無しの彼岸花 ID:BD274/Y7w

趣味が敵と味方で合うのは笑う

 

13:名無しの彼岸花 ID:akPPVTgs/

変なところで息を合わすな

 

14:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あとしれっと判明したんやけど真島もアランチルドレンだったわ

 

15:名無しの彼岸花 ID:q7tz+/2x4

マ???

 

16:名無しの彼岸花 ID:oSYN1NX4I

ファッ!?!?

 

17:名無しの彼岸花 ID:b9cAw8m+P

そマ?????

 

18:名無しの彼岸花 ID:8puv1IH+l

おいおいおい、悪人までとか見境なしかよアラン機関

 

19:名無しの彼岸花 ID:8PqNqAiDT

才能を発揮できる場なら、善悪関係なしってことか……?

 

20:名無しの彼岸花 ID:8wrEegusA

まあ……千束ちゃん、殺しの才能説あるしな……

そう考えると不思議な話じゃないのか……

 

21:名無しの彼岸花 ID:g4gP08B9e

真島も人生をアラン機関に狂わされた1人……?

 

22:名無しの彼岸花 ID:/SGUNuW1S

真の黒幕アラン機関説に一票

 

23:名無しの彼岸花 ID:V3ftJKND5

ありえそうというかほぼ確実にあるでしょ

 

24:名無しの彼岸花 ID:TQ/7EhXI5

うーん徐々にヨシさん周りきな臭くなってきたな?

 

25:名無しの彼岸花 ID:IbnwuZ75K

これ絶対「らりるれろ」枠でしょ

 

26:名無しの彼岸花 ID:C/46CovbF

多分そう

 

27:名無しの彼岸花 ID:EFf9nM6u8

部分的にそう

 

28:名無しの彼岸花 ID:aFfcS+nc7

アキネ〇ターやめろ

 

29:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあなんにせよ、色々と考えることも増えたって感じやね。

真島が何の才能を買われたのか、今度会ったら問い詰めてついでにぶっ飛ばすわ。

千束ちゃんの家に不法侵入した罪は償ってもらう

 

30:名無しの彼岸花 ID:nx39lIr/y

そうだよ

 

31:名無しの彼岸花 ID:Fxl5R88Z0

やったれイッチ!

 

32:名無しの彼岸花 ID:iSD4GEF0A

変質者は抹殺せよ!

 

33:名無しの彼岸花 ID:4ZIF0V2yE

それここのスレ民大半当てはまるんだよなぁ……

 

34:名無しの彼岸花 ID:h7n5PiW/W

 

35:名無しの彼岸花 ID:nx39lIr/y

そうだよ(二度目)

 

36:名無しの彼岸花 ID:JMHCvxiUg

うーん正解

 

37:名無しの彼岸花 ID:+gBJCldKv

千束ちゃんやたきなちゃん、ミズキさんやクルミちゃんに

欲情したことがないものだけが石を投げなさい

 

38:名無しの彼岸花 ID:vgKFMiG3d

ッスー……

 

39:名無しの彼岸花 ID:tBQCe9+eV

フヒヒwサーセンw

 

40:名無しの彼岸花 ID:OYh2j0qWP

誰も投げられるやつおらんな?

 

41:名無しの彼岸花 ID:jtKTkdyQD

うーん性犯罪者予備軍

 

42:名無しの彼岸花 ID:KcnsIgtbm

ワイらが罪を数えた方が良いのでは?

 

43:名無しの彼岸花 ID:b0pFkLEk4

今更数え切れるか!!

 

44:名無しの彼岸花 ID:sJp0LmIhV

エターナル克己おるな?

 

45:名無しの彼岸花 ID:13hDTHrFZ

風都探偵絶賛好評配信中!

 

46:名無しの彼岸花 ID:vA85mW8Gz

宣伝乙

 

47:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あと余談なんですけど、

【画像】

【画像】

ホットチョコパフェがUNKだと気付いてしまったたきなちゃんです

 

48:名無しの彼岸花 ID:lMonqLMqD

 

49:名無しの彼岸花 ID:rvpoV0dpl

めっちゃショック受けてて草

 

50:名無しの彼岸花 ID:R29SbhR/T

あーあ……

 

51:名無しの彼岸花 ID:h+8CrIwmJ

可哀想

 

52:名無しの彼岸花 ID:K2s2l81FO

しょんぼりしてるぅ……

 

53:名無しの彼岸花 ID:+2GzI1xj+

まあそうなるな

 

54:名無しの彼岸花 ID:ay4vjbMtp

たきなちゃんの尊い犠牲があったけど売り上げはどうなったん?

 

55:名無しの彼岸花 ID:D+eCQ/V/A

そういえば、黒字になったんか?

 

56:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ばっちり。なんなら、たきなちゃんがクルミちゃんとワイを使って投資も始めたわ。

おやっさんが欲しがってたレコードプレーヤーとか、念願の食洗機とかペ〇パーくん的なロボットの店員も買えた。

【画像】

【画像】

ちなその時のおやっさんとミズキさんの顔

 

57:名無しの彼岸花 ID:FXpycj8Ns

めっちゃ充実してて草

 

58:名無しの彼岸花 ID:+49/7zulo

ミカさんめっちゃ満面の笑みで草

 

59:名無しの彼岸花 ID:RnTPxoiW7

今までで一番爽やかな笑み浮かべてる……

 

60:名無しの彼岸花 ID:9hDviCKs3

後ろ薔薇咲いてるようにみえる

 

61:名無しの彼岸花 ID:5k/psEzVw

みえるみえる……

 

62:名無しの彼岸花 ID:yt0f3y9SQ

ミズキさんも感動のあまり泣いてて草

 

63:名無しの彼岸花 ID:b8IVIZ5VT

まあ自動でできるって素晴らしいよね。

 

64:名無しの彼岸花 ID:LSXEza3o3

わかる。IT革命最高

 

65:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ワイも洗い物で地獄見たりしなくて済むようになったので満面の笑みや。

たきなちゃんに今後脚向けて寝られないので拝み倒します。平伏します。

 

66:名無しの彼岸花 ID:DbBh4ahXy

たきな神降臨

 

67:名無しの彼岸花 ID:cTkGqG4Vf

たきなちゃん is GOD

 

68:名無しの彼岸花 ID:Yz7bpUV0P

たきなちゃんをあがめよ

 

69:名無しの彼岸花 ID:7lqETsKOW

ははーっ……!

 

70:名無しの彼岸花 ID:UTFUIBY/V

ふんぐるいふんぐるい

 

71:名無しの彼岸花 ID:c0QXoAxZ/

誰か邪神召喚しようとしてんな?

 

72:名無しの彼岸花 ID:MyI7yUmik

全力で止めろ

 

73:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あとそういえばあげてなかったから、

ハロウィンの時の保育園での依頼の時のコスプレあげとく。

【画像】

【画像】

 

74:名無しの彼岸花 ID:zK+kXxtDX

猫耳魔女!

 

75:名無しの彼岸花 ID:Etiwvp1Q7

たきなちゃんかわいい

 

76:名無しの彼岸花 ID:3aEN0uw3V

千束ちゃんのかぼちゃ小悪魔もなかなか……

 

77:名無しの彼岸花 ID:8rutOzkNP

かわええ

 

78:名無しの彼岸花 ID:Q89nxm2Xt

ちなみにイッチはしたんか?

 

79:名無しの彼岸花 ID:LRSglmttm

イッチもしてたならみせてくれ

 

80:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しょうがないにゃあ……

【画像】

死神衣装や

 

81:名無しの彼岸花 ID:Dv1G0gsyZ

 

82:名無しの彼岸花 ID:GK1Os5Xt+

いや草

 

83:名無しの彼岸花 ID:+1fZ1C3ik

さすがに切り裂き魔異名のヤツに死神はブラックジョークがすぎる

 

84:名無しの彼岸花 ID:HY8zyVZSK

自虐ネタにもほどがある

 

85:名無しの彼岸花 ID:jbQdIayWI

イッチ実は自分の異名気に入ってない??

 

86:名無しの彼岸花 ID:GvIXWGNhF

実際そういう異名は憧れるといえば憧れる。

 

87:名無しの彼岸花 ID:dUr7S/TiK

わかる。通り名いいよね。

 

88:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いやまあ慣れたといえば慣れた。何年も言われてたし。

あと千束ちゃんとワイはこの格好で外回りの任務行ってた

戦いもあったで。

【画像】

 

89:名無しの彼岸花 ID:cBDFPECT2

 

90:名無しの彼岸花 ID:WLV710aOr

その格好のまま二人でチンピラ縛り上げてるの面白すぎる

 

91:名無しの彼岸花 ID:darSbXXCk

絵面がズルい

 

92:名無しの彼岸花 ID:hExClghsR

シュールすぎるでしょ

 

93:名無しの彼岸花 ID:3SpyZ/6tZ

まあイッチも千束ちゃんも黒字にするのに頑張ったってことで……

 

94:名無しの彼岸花 ID:IJ6I2Ofau

よくがんばりました。

 

95:名無しの彼岸花 ID:Nu2jSZew5

たいへんよくできました。

 

96:名無しの彼岸花 ID:7vCSR4QSw

赤ペン先生かな?

 

97:名無しの彼岸花 ID:dVasc+1gp

扱いに草

 

 

────

 

 

423:店員鈴蘭 ID:LyReBell

やばい

 

424:名無しの彼岸花 ID:6DOYKh8vS

どうした?

 

425:名無しの彼岸花 ID:Mqv2Qhecq

イッチ???

 

426:名無しの彼岸花 ID:c7xTKo03m

ん??

 

427:名無しの彼岸花 ID:2/C7W8MUt

またなんかやったか??

 

428:店員鈴蘭 ID:LyReBell

いや、やらかしたわけじゃないんだけどやばい。

えっと、いや……いや、どうしようこれ……

 

429:名無しの彼岸花 ID:OxCjLKI2y

どした?

 

430:名無しの彼岸花 ID:lVoFKEjEL

珍しく歯切れ悪いなイッチ

 

431:名無しの彼岸花 ID:/7SeYMrrU

ほんとにどうした?

 

432:名無しの彼岸花 ID:eqrHjNuyb

なにがあったか話してみ?

 

433:名無しの彼岸花 ID:5EdUfaiHR

ゆっくりでええぞ?

 

434:店員鈴蘭 ID:LyReBell

……言っていい?

 

435:名無しの彼岸花 ID:8jBd8ECMq

ええぞ

 

436:名無しの彼岸花 ID:MYPSBh0R/

ゆるす

 

437:名無しの彼岸花 ID:f5JZQ/IeF

内容聞かないとワイらも判断できんしな。

 

438:名無しの彼岸花 ID:SX63S8Mxy

いいぞ、言え

 

439:店員鈴蘭 ID:LyReBell

えっとですね…………

千束ちゃんに告白されたうえでキスされました……

 

440:名無しの彼岸花 ID:1BOgmeNz5

は???????

 

441:名無しの彼岸花 ID:2QfgVIQiA

はあああああ????????

 

442:名無しの彼岸花 ID:alpM/wfuu

は??

 

443:名無しの彼岸花 ID:oSsgIwOMF

は????

 

444:名無しの彼岸花 ID:DTO48JoKn

おまえやったなついに?????

 

445:名無しの彼岸花 ID:5KTQYPWQR

ギルティ

 

446:名無しの彼岸花 ID:EGVZqz2ym

ゆるすな

 

447:名無しの彼岸花 ID:Y8JVF7hvO

イッチをいますぐ処せ!!!!!!!!!!

 

448:名無しの彼岸花 ID:dYmjFbMBY

おまえをころす

 

449:名無しの彼岸花 ID:eAtYkHAXH

デデン!

 

450:名無しの彼岸花 ID:BVsxNlc7z

イッチさぁ……

 

451:名無しの彼岸花 ID:9x2SaawD7

責任とりにいけ????

 

452:名無しの彼岸花 ID:L79mKEYP3

で、返事は返したんか????

 

453:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ッスゥー……してないです………

 

454:名無しの彼岸花 ID:FMLF/pkqf

はいギルティ

 

455:名無しの彼岸花 ID:I9k0ka38V

おまえさぁ……

 

456:名無しの彼岸花 ID:SHsftSE8W

あのさぁ……

 

457:名無しの彼岸花 ID:fdgjmehxg

女の子が勇気出して告ってきたのにお前なー!!!

 

458:名無しの彼岸花 ID:lgTVH4rn+

このクソヘタレ童貞陰キャ野郎がよぉ!!

 

459:名無しの彼岸花 ID:zOXJIfjAS

めちゃくちゃ罵倒されてて草。でも実際イッチがこれは悪い。

 

460:名無しの彼岸花 ID:DAt2iVnNu

馬鹿が代

 

461:名無しの彼岸花 ID:p4nEZYZ2I

君死に給え

 

462:店員鈴蘭 ID:LyReBell

だってめちゃくちゃ急に言われたし不意打ちだったし…………

千束ちゃんもすぐには答え出さなくて良いって言ってきちゃったし……

精神的な年齢で考えると千束ちゃんのことあんまり性的にはみれないし……

それに……人殺しの自分があの子幸せにできるかって言ったらできないし……

 

463:名無しの彼岸花 ID:4FghHH0mO

いやそうだけど……そうだけども……!

 

464:名無しの彼岸花 ID:pknO+r3VU

うじうじすんなよそこでぇ!!

 

465:名無しの彼岸花 ID:QZ9cuduU/

そんなだから童貞陰キャなんだよお前ーっ!!

 

466:名無しの彼岸花 ID:m5xIDzq3k

イッチさぁ……

 

467:名無しの彼岸花 ID:lVQjBu6/7

まあイッチも思う所があるのはわかるよ。

基本的にワイらって世界の異物みたいなもんやしな。

 

468:名無しの彼岸花 ID:qh2y4Ko3N

まあ、たしかに知り合い幸せにできるかって言われると難しい話やけども……

 

469:名無しの彼岸花 ID:fwsKbZG58

でもさすがにそろそろ答えださなあかんのちゃうか?

 

470:名無しの彼岸花 ID:4TLMoVaBG

以前からそういう素振り千束ちゃん見せてたわけだし。

白黒つける時やと思うで?

 

471:名無しの彼岸花 ID:nMeq7GUi9

せやな。断るにせよ受け入れるにせよ。そろそろ決めなアカンと思うでイッチ。

 

472:店員鈴蘭 ID:LyReBell

だよなぁ……うーんでもなぁ……まだ自分自身の問題解決したわけじゃないからなぁ……

リリベルの件とか、身体のこととか、アラン機関のこととか。

 

473:名無しの彼岸花 ID:E8gCbYOV5

あー……

 

474:名無しの彼岸花 ID:iyDa9pM8f

そういえばそうか……

 

475:名無しの彼岸花 ID:daMiaze8Q

まだそういやイッチも問題山積みやんけ……

 

476:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんのこと考えたらこのままってわけにもいかんのは理解してるけどさ……

真島のことといい、返答するならちゃんと解決してからにしたいんよね。

 

477:名無しの彼岸花 ID:8mqMWRgwZ

ん、まあそうやな……

 

478:名無しの彼岸花 ID:+90eViWZA

山積みの問題終わらせたいってのは確かにそう。

恋に現を抜かすことはできんか。

 

479:名無しの彼岸花 ID:6p3Pn+CaM

イッチ意外としっかり考えてる?

 

480:店員鈴蘭 ID:LyReBell

しっかりとは考えれてないわね。

……あと、千束ちゃん……長く見積もってあと3年しか生きられないから

幸せにしてあげたいのはあるよ。

 

481:名無しの彼岸花 ID:XSBDpsw5s

は????

 

482:名無しの彼岸花 ID:luNaPsBxg

え????

 

483:名無しの彼岸花 ID:MGOyJvF13

いやまって、余命宣告されてんの????

 

484:名無しの彼岸花 ID:nNQA5gVKF

聞いてないぞ???

 

485:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ああうん……これ千束ちゃんのことだし、あんま話すのもなーって黙ってた。

人工心臓だからさ、パーツ取り替えとかできないんだよね。

……耐久性考えたら、あと三年ぐらいしか保たんのよ

 

486:名無しの彼岸花 ID:dBE3U8Wfj

うっわ……

 

487:名無しの彼岸花 ID:DhLL5w4jI

えっっっっぐ

 

488:名無しの彼岸花 ID:3MzVdNfB4

女の子にやっていいことではない……

 

489:名無しの彼岸花 ID:UqxxDVL7J

あんないい子があと三年て……

 

490:名無しの彼岸花 ID:kcxx3LOdo

そんな素振りすらないのが質悪い……

 

491:名無しの彼岸花 ID:7hD1teR45

イッチはそれ何処で知ったん?

 

492:店員鈴蘭 ID:LyReBell

おやっさんに問い詰めてやな。

だからまだ千束ちゃん本人は俺が千束ちゃんの寿命のこと知ってるの気付いてない。

 

493:名無しの彼岸花 ID:IBUhj4pZg

マジか……

 

494:名無しの彼岸花 ID:F+1kjxQn8

いやそれは確かにちょっと返事詰まるよな……

 

495:名無しの彼岸花 ID:exCtbaCNW

すまんイッチ

 

496:名無しの彼岸花 ID:rNXO7X7Qp

それ考えたら普通に返事はできんよなぁ……

 

497:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ええんやで。

替えの心臓を用意することができたらいいんやけど

まあ……それ作った人物特定するか、

アラン機関に接触しないとそれは無理だからな……

 

498:名無しの彼岸花 ID:QFV7L/d69

そっか……

 

499:名無しの彼岸花 ID:QYdheuoEo

イッチもそうだけど千束ちゃんもアラン機関に人生狂わされてんな……

 

500:名無しの彼岸花 ID:8MYYuvwg6

千束ちゃん本人としては恩義感じてるみたいやけど、

周りからすると……なぁ……

 

501:名無しの彼岸花 ID:WGOvglsdJ

とくにイッチからするとアラン機関は自分の人生狂わしたやつやしな……

 

502:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ思う所はあるけどさ。千束ちゃんも自分も命を拾われた身だからね。

強くは恨めんよ。こっちで用意できたらよかったんだけどね。

さすがに知識とか設計図ないと人工心臓も作れないわ

 

503:名無しの彼岸花 ID:u3BlGTHXu

ああ、そういえばイッチは特典の都合上、

やり方さえわかれば人工心臓用意できなくはないのか……

 

504:名無しの彼岸花 ID:QLJIST7va

ただそのやり方がわからんから無理……と

 

505:名無しの彼岸花 ID:mvLqKsxFB

もどかしいなぁ……

 

506:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ話戻して、千束ちゃんからの告白。

とりあえず明日……たしか千束ちゃん定期健診あるから

それ終わってからちゃんと返す。しっかり自分の想いに整理つけて決着つけてくるわ。

 

507:名無しの彼岸花 ID:/F7N9v4Vf

おう、頑張れイッチ

 

508:名無しの彼岸花 ID:hzdxa0tbH

勇気だして行け

 

509:名無しの彼岸花 ID:PePR0+oIo

千束ちゃんをちゃんと幸せにしてやれよ

 

510:名無しの彼岸花 ID:4bnjP1pqS

百合の間に挟まってたはずなのに

いつの間にやら千束ちゃんの旦那みたいな枠で落ち着いたなイッチ

 

511:名無しの彼岸花 ID:Ay9+9u4ih

まあ普段の話的に既にそういう距離感だったし

 

512:名無しの彼岸花 ID:hoAtgPTAJ

そうじゃよ。

 

513:名無しの彼岸花 ID:KjScvhlxB

イッチも千束ちゃんも幸せになってくれマジで

 

514:名無しの彼岸花 ID:u7AIIVvkG

たきなちゃんも忘れるな。

 

515:名無しの彼岸花 ID:5FPuN0V/F

というかリコリコのみんな幸せになってマジで

 

516:名無しの彼岸花 ID:wq1BllBgL

わかる

 

517:名無しの彼岸花 ID:B1DWE6lEX

絶妙に殺伐とした世界だからな……平和に暮らしてほしいわ

 

 

────

 

 

813:店員鈴蘭 ID:LyReBell

クソが

やられた

 

814:名無しの彼岸花 ID:MGl1QOWQJ

イッチ?

 

815:名無しの彼岸花 ID:UYmXmhaca

どうした?

 

816:名無しの彼岸花 ID:WpaY3qvf+

なんかあったなこれ?

 

817:名無しの彼岸花 ID:/5vsgeoBh

どうしたイッチ

 

818:店員鈴蘭 ID:LyReBell

千束ちゃんの人工心臓壊された

 

819:名無しの彼岸花 ID:qBfgovX4e

は?

 

820:名無しの彼岸花 ID:80UZU5zLv

 

821:名無しの彼岸花 ID:hk09yLT8a

うそだろ

 

822:名無しの彼岸花 ID:52FjtaGqG

…………マジで?

 

 



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Tomorrow is another day

ちょっと詰まってきたのと
さすがに最終回まで見届けないとこの先書けなさそうなので
今後更新少し遅くなります。


 あれから一ヶ月。立花 棗のスマホにクルミからの通知が入る。

 

「…………結果か」

 

『僕1人の方がいいだろう? あとで詳しく話す』というメッセージだった。

 それは即ち、以前立花 棗が調査を依頼した自らの身体についての謎。それが明らかになったということだろう。

 

「鬼が出るか蛇が出るか……どっちにせよ、ろくな話じゃないな」

 

 生かされた、ならばこの身体も千束のように何かを弄られたのだというのは明確であった。

 立花 棗にとって……それはきっと望む内容ですらないのだろう。

 

「あ、棗。今日ボードゲーム大会あるんだけど────」

 

「……そういう気分じゃない」

 

「あー……あはは、そっか。そうだよねぇ……じゃあ、明日────」

 

「…………」

 

「ってぇ……ムリ、だよね……あははは……ごめん」

 

 話しかけてきた千束の声を無視するように、棗は厨房に戻って食器を洗い始める。

 ……少なくともここしばらく、千束と棗の周囲の空気感は最悪であった。

 

「なに、千束ちゃん? 棗くんと喧嘩したの?」

 

「あーいや、そういうわけじゃないんですけど……年頃? というか……色々ありまして────」

 

 そう、別に喧嘩をしているわけではない。話しかければ反応は返すし無視をするというわけではないのだ。

 ただ……棗から以前の明るさが抜けてどこか張り詰めたような、切れるナイフのような雰囲気が漂うようになったのだ。きっかけは、吉松 シンジに教えられたあの言葉。

 

 それを知っている千束は何も返せない。彼女にとって吉松 シンジは恩人だ。だからこそ、棗に何か声をかけたくても余計に話が拗れるのが見えている。それを理解しているからか、棗本人も千束とここ最近まともに会話をしていない。

 

「たきなちゃんは何か知ってるの?」

 

「……少しは、しかしあの二人の中で踏ん切りがつかない限りしばらくはあのままだと思います」

 

「そっかあ……棗くんも男の子ってわけね」

 

 色々と勘違いが常連客の間で起きてはいるが、こればかりはあまり明かせない事情であるためたきなは何も触れないことにした。彼女からすれば、時間が解決してくれることを祈るしかないのだ。

 

 

 ────

 

 

 店の地下の射撃場を利用し、千束やたきな……ミカやミズキの邪魔すら入らない場所でクルミと棗は話始める。

 

「それで、結果はどうだった?」

 

「……結論から言うなら、お前の予想は当たってたよ」

 

「────そうか」

 

 クルミはタブレットの画面を棗に見せる。そこに写っていた自分の身体に関するデータを見ながら彼は大きくため息を吐く。

 

「傑作だな、まさか…………()()()()()()()

 

「ああ、何世代先の技術になるか……千束の人工心臓ですら現代の技術力では未知の領域なのに、更にその数世代は先の技術だぞ。棗に埋め込まれているコレは」

 

 画像に描かれているクマムシと呼ばれている微小生物のように見える機械の群れを見ながらクルミは眉をひそめる。

 ナノマシン、総称としてはナノテクノロジーと言うべきだろう。物質における原子や分子レベルのサイズの極小の機械。それの通称がナノマシンであり、正確にはそれを利用する技術をナノテクノロジーと呼ぶ。

 そして何より、このナノマシンを利用した医療技術は現在では理論上の話であり実現不可能なものなのだ。

 しかも、棗に埋め込まれていたソレは未だ不可能とされる自己増殖機能すら持ち合わせている。

 そしてそれは今尚議論を呼ぶ技術であり、非人道的になるのではないか? と規制すべきという声すらあがっているモノだ。ソレが立花 棗の全身を巣食うように点在しているのだから恐ろしい話だろう。

 

「俺の驚異的な身体能力、治癒能力……ジンとの戦いで理性を失いかけたのはこれが理由か」

 

「だろうな。自己増殖機能を兼ね備え、肉体の治療ができるナノマシンだ。身体能力を向上させるのは勿論、防衛機能を使えば宿主の意識を奪うこともできなくはないだろ」

 

「それだけじゃないんだろ、コイツ」

 

「鋭いな。そこまで深く調べることはできなかったけど……それでもコレが治療技術、自己増殖機能以外のものも持ち合わせているのは確認できた。触れた機械へのハッキング機能、衝撃の吸収機能とかな」

 

 他にも内臓機能を一時的にあげるものや、即座に増殖して武装生成すらできるような機能性になっていた。

 まさに万能の機械、そう言って差し支えないものなのだから技術者としての視点も持っているクルミからすれば頭を抱えたくなる話である。その気になれば他者の命すら掌握できる代物だ。当然ではあるが。

 

「俺がたきなを庇って下敷きになった時、怪我をしなかったのはそれが理由か。……アームストロングかよ」

 

 棗はクルミの言葉に心当たりがあるのか思わずつぶやく。それは彼がよく知るゲームキャラの名前であったのだが、この世界にそのゲームとキャラクターは存在しない。だからこそ、クルミはいったい誰のことなのかと首を傾げた。

 

「? アームストロング……?」

 

「ああ、いやこっちの話だ。それで……コイツ、どうなんだ? 外から弄れるか?」

 

「可能ではある……けど、少なくとも僕ですら半年かかってようやく一機掌握できるか、ってところだな。しかもそれが親機でない限り乗っ取り返されるか自己防衛機能が働いて壊されると思う。なにせ原子レベルの代物だ。一機壊れた程度じゃ人体に影響はでない」

 

「クルミでそのレベルか……スパコンレベルのモノならどうだ?」

 

「どうしてそれを聞くのかは気になるが……休まず並列稼働させて一ヶ月だな」

 

「────なら、二週間か。上等だな」

 

 棗はなにかに当たりをつけるようにそう呟く。クルミの耳にも入らない程度の小さな声で。

 

「? まあいい。これほどの技術を与えられたってことはそれだけお前の才能が欲しかったんだろうな、アラン機関は」

 

「────だろうな。なんでもできるようなモノを埋め込まれてるんだ。殺しだろうが、命を救う行為だろうが連中は許容できる……ってことの証明か、イカれてる」

 

 そう言いながら棗は別の画像も確認する。

 そこには孤児院の焼けた写真と、犠牲者の写真が写っていた。

 

「これ……は……」

 

「さすがに顔までは弄れなかったみたいでな、お前の顔も照合できたよ。棗」

 

「────本名、葦花(あしばな) イチカ……ね」

 

 幼い自分、それらしき顔を見て棗はその名前を口に出す。本当の名前。

 妙にしっくりくるのはそれが原因なのか。名前すら偽りのモノだったのだから笑える話だ。

 

「火事で死んだ連中の中には、テロリストとして手配されていたのもいたらしい。

 何が理由かはわからないが、この孤児院には襲撃される価値があったんだろうな」

 

「────あの夢はそういうことか」

 

 火の海の夢、それはこの孤児院の火災の回想だったのだろう。棗はようやく合点がいったように頷いた。

 

「そこで俺は運良く生き残って、ナノマシンを埋め込まれ……戸籍の全てを消されて殺し屋になったわけだ」

 

「そうなるな……ってお前、それ」

 

 タブレットを持っていない左手が焦げたように黒くなっていることにクルミは驚愕する。

 

「あ? ああ、それぐらいはできるみたいでな。鉄より硬いぞ。これ」

 

 黒く硬化させた左手を素肌に戻す棗の姿を見てクルミは顔を顰める。これではまるで歩く兵器だ。

 もし今なおリリベルのままであったなら……ゾッとする話だろう。

 

「……まあ、戦いに使うっていうの今までは無意識的にしてたみたいだし、しっかり使いこなそうと思うと少し時間はかかりそうだがな。ああ、これありがとな。クルミ」

 

 棗は自嘲気味に笑いながら、タブレットをクルミに返す。

 その表情がどこか儚げで諦めたような顔だったからか、クルミは思わず棗に話しかける。

 

「棗!」

 

「うん? なんだよ急に」

 

「……血迷うなよ。千束やたきな、ミカやミズキも悲しむぞ」

 

「────────忠告、受け取っておく」

 

 ひらひら、と手を振り棗はそう返す。

 聞こえない程度の声量で、さすがはうちのハッカー、それぐらいはお見通しか。と呟いていたことにクルミは気付かなかった。

 

 

 ────

 

 

「はあいおまちどう! 千束スペシャルでい!!」

 

「千束ちゃん、飲み屋じゃないんだからさぁ……」

 

 店内で、千束が豪勢なパフェを出しながらそう叫ぶ。まるで飲み屋さんの店主のような掛け声だった。

 

「お? 昼から飲めるのかい?」

 

「ん? ありますよー? ミズキの飲みかけなら!!」

 

「阿部さん、勤務中ですよ」

 

 刑事がなにしようとしてるんですか、と後輩に叱られる常連客の阿部刑事。勤務中に飲む非常識な人ではないし、さすがに冗談ではある。

 

「今日のはまた一段と大きいね?」

 

「千束Special(スペシャル)だからね! あ、北村さんも食べます?」

 

「食べる!!」

 

「はーい俺もー!」「俺もいいかな?」「私も頼むよ」

 

「はーいスペシャル一丁、二丁三丁四丁ね!! 棗ー!!」

 

「んな贅沢で作るのに時間かかるものを頼ませるなァ!!!」

 

 厨房から聞こえる少年の怒りの雄叫びを聞いて常連客は苦笑いをする。

 

「しかし、仲直りしたんだね二人とも」

 

「え? ああー……まあ、はい。棗がごめんー! って。私も悪かったですし、お互い様ってことでチャラにしたんですよー」

 

 実際は色々あったが、棗が謝ってきたというのは本当のことだ。ズルズル引きずりすぎた、と。そして千束も千束で一歩踏み出せていなかったし、申し訳なさそうに謝罪し返しお互い様、ということで話を付けたのも事実である。

 

「うんうん、やっぱり二人はこうじゃないとねー。せっかくの漫画のネt……お店の明るい雰囲気に似合わないもの」

 

「おい漫画家、今ネタって言おうとしてなかったか?」

 

「サー、ナンノコトカシラー」

 

 決して主人公とヒロインのパートを棗と千束を参考にしながら描いているとかそんなことはない。と漫画家の常連客、伊藤は誤魔化す。

 

「棗さん……まずいです」

 

「あのやろ、謝るんじゃなかった! 大人しくして……あ!? なに!?」

 

 厨房でパフェを必死に用意しながらグチグチと文句をたれる棗にたきなは話しかける。

 

「このままでは────」

 

赤字です。

 

「────マジで?」

 

 たきなのその言葉に、頬を引き攣らせて固まる棗であった。

 

 

 その後、全員でたきなが弄るパソコンの画面を見る。その画面には彼女の言葉通りの内容が書かれていた。

 つまり、赤字である。

 

「見事に赤字だな……」

 

「依頼の報酬を合算してもこれですよ? 銃弾や仕事にかかる経費はどうしてるんですか?」

 

「DAからの支援金があるのよ。千束のリコリスとしての活動費って名目でね」

 

「完全に足出てるじゃないですかそれ」

 

 ミズキからの証言で発覚する。本部からの支援金のおかげであった。

 

「────何なら俺のポケットマネーでいくつか補ってるしな」

 

「………………店員のお金使うってどうなんですか」

 

「………………悪いとは思っているんだがな」

 

 更に言えば棗の持っていた所持金からも援助されていた。装備の新調ぐらいは当人のモノだから問題はないが、まさかの維持費にも出されていたとなると話が変わってくる。

 

「え、棗そんなにお金持ってんの? 私聞いてないんだけど!?」

 

「投資ぐらいしてもいいだろうが!? それで増やした金から差し引いてここに出してんの! どのみち俺はここがなくなると困るからな!」

 

 棗のポケットマネーは依頼の報酬の分から投資で増やしたものである。なにかあった時のため……というのは勿論、世話になってるリコリコへの援助のためという目的でもあったのだが……

 これのために彼の「なんでもできる」という才能が発揮されているのはなんというか目も当てられない状況であった。

 

「そもそもコイツが高い弾を乱発するからよ!!」

 

千束スペシャル(あのパフェ)もな」

 

「えっ、あのちょっと?」

 

「…………独立していると言いながら、お金はDA……それに棗さんにも頼っていた、と???」

 

「う、うぅ……楠木さんみたいなことをぉ……だってぇ……」

 

 ミカを除く全員からジト目で睨まれていじける千束。彼女の自業自得故に同情の余地はない。

 

「…………はぁ、わかりました。以後私がリコリコの経理を担当します!!!」

 

「俺も手伝うか……」

 

 たきなはそう堂々と宣言するのであった。目指せV字回復。目標は黒字である。

 

 ────

 

 その後しばらく現場で無駄撃ちさせないように千束を拘束したり弾を没収するたきなの姿を見ることになる。

 

 しかし、それでも黒字にならない。いったい何が悪いのか。その後もしらみつぶしに問題点を炙り出して解決に導こうとするたきな。with棗。

 

「…………って、おいミズキさん!! 冷蔵庫開けっぱなしじゃねえか!!!」

 

「ミズキさん!!」

 

「ひぇっ、メンゴ……」

 

 原因その1、ミズキが厨房にいる時に冷蔵庫を開けっぱなしにしていたことによる電気の無駄使いであった。

 

「えー、1……3……7……?」

 

「店長、交代します」

 

「お、おお……そうか?」

 

 ミカの会計の遅さに見ていられなくなったたきなが担当しささっと終わらせたり。

 片付けを手伝っていたクルミが皿を落としかけて……

 

「おお……ナイスキャッチ」

 

「そう思うならはやく回収してくれませんかねぇ……!!」

 

 それを足と手でキャッチしたせいで変な体勢になった棗から皿をちゃちゃっと回収するたきながいた。

 

「棗さんはそのままでいてくださいね」

 

「アッハイ」

 

 唯一の良識人。というか一番真面目でまともな棗にはそう語りかけるたきなであった。現状リコリコの従業員で唯一真面目に黒字経営を目指してくれている人物を手放したくはなかったらしい。

 

「皆さん、実は最後の二本を残してありますので、後はご自分でどうぞ?」

 

「……容赦がねえ」

 

 爆弾解除の依頼では、報酬を払う素振りをみせなかった依頼主を脅していた。

 

「分かった! 払う!! 払うから!! 解除してくれぇええ!?」

 

「どうもー! 見た! たきな! 棗! 私撃ったの一発だけだよ!!?」

 

「はいはい、よくできました」

 

「えー雑ー!! たきな、たきな!!」

 

「そうですね……合格です」

 

「いよーっし!」

 

「おい、コイツ甘やかしすぎると調子乗るぞ。たきな」

 

 褒めて褒めて、とアピールする千束を適度に褒める棗とたきなの姿があった。

 

 ────

 

「新メニューについて俺も考えてきたんだけど、どうだこれ?」

 

「おお、これって……パフェ……?」

 

「そう、とりあえず全員の色からとってみた。五種類のパフェだ」

 

 新メニュー提案の議会にて、千束とたきな、ミズキが座る中

 棗はどこかの誰かさんたちとの相談(あんか)で作ったパフェを見せてみる。

 ミカのイメージカラー紫と茶色を組み合わせたサツマイモのクリームとチョコソースを組み合わせて、ブルーベリーなどを飾り付けたものや

 千束の色を意識した、ショートケーキ風のシンプルな王道パフェ、たきなの色を意識したソーダを使ったブルーハワイなパフェ、

 クルミの黄色からはレモンやオレンジといった柑橘系多めのパフェ、ミズキの緑からは、チョコと抹茶のパフェである。

 

「って、あれ? 棗さんのは?」

 

「おん?」

 

「そうね、アンタのないじゃない」

 

「……俺いる?」

 

「「「いるでしょ(いりますよ)」」」

 

 えー、といった顔をしながらも渋々と普通のクリームパフェにコーヒーソースをかけて作った白黒パフェも用意し計六種類のパフェを机の上に置く。

 

「はいよ、これで全員分。コンプを目指すもよし、友達と一緒に何種類か頼むもよしの王道かつ、品揃えも増やせるそれなりのものができたと思うぞ」

 

「アンタ、たまにはやるのね」

 

「それ普通に失礼っすよ、ミズキさん」

 

「これは採用して良さそうですね……客足も増えそうですし」

 

「今時の若い子には人気でそうだもんねー! あ、カナちゃんとか喜びそう!!」

 

「「「あー」」」

 

 ザ・今時な中学生の常連客の少女を思い浮かべる四人。棗の提案した六色パフェは今度来た時感想を貰ってから採用するか決めることにしたらしい。

 

「あの……私も考えてみたんですけど、出してもいいですか?」

 

「お? たきなの? 見たい見たい!」

 

「わかりました、すぐ持ってきますね!」

 

 そうして持ってきたものは────

 

「「うんっ!?!?」」

 

「しーっ!!?」

 

「……うん……?」

 

 強烈な形とデザインのパフェだった。思わず千束とミズキはその形から連想させるモノを口に出しかけ、棗に慌てて口を塞がれる。

 そのリアクションにはて、とたきなは首を傾げる。

 

「あの、なにかまずかったでしょうか……これから寒くなりますし、温かいモノを食べられるようにと……たっぷりのホットチョコを乗せてみたパフェなんですが……」

 

「い、いやぜんぜん!! いいデザインだよな! 奇抜で独特なセンスが光ってて!! な!!!」

 

「そうだね!! ぜんぜん変じゃないよたきな!! むしろいろんな意味でバズりそうでいいんじゃないかな!?」

 

「そうね!! と、とってもいいと思うわ!!」

 

「! そうですか! ありがとうございます!!」

 

 三人はたきなに慌ててフォローするように褒め倒す。彼女もそれを真に受け目を輝かせる。

 早速、商品化にこぎつけられたとワクワクするたきなを尻目に三人はひそひそと小声で喋る。

 

「ちょっと、なんで誤魔化しちゃったのよ!!」

 

「だってたきなが真面目に考えてきてくれたやつ蔑ろにはできないだろ!?」

 

「そうなんだけどあれはダメでしょ棗!!」

 

 見た目的に色々とアレだったおかげなのか────その後、しばらくお店が大盛況になったのは余談である。

 

 ────

 

「ここ数日……地獄だったな……」

 

「色々買いそろえて、落ち着いたわね……」

 

 棗は数日ぶりにゆっくりとしていた。ロボット店員(通称ロボリコ)を買って人手不足を補ったり、お店にオシャレな雰囲気を出すためにミカがかねてより欲しがっていたレコードプレーヤーを購入したり、食器洗いを楽に済ませるために食洗機を買ったり。

 黒字に戻ったおかげか、リコリコもかなりの余裕ができたらしい。

 

「しかし……大丈夫なのか、アレ?」

 

ヤッホー、ご注文どうぞ

 

「まあまともに機能してるし大丈夫だとは思いますよ?」

 

 千束の店員制服を着たロボリコを眺めながらミカと棗はそんな会話をする。

 そしてしばらくして休憩し終えた棗がたきなを呼びに戻ろうとすると……

 

「っと、たきなー、そろそろ……ん、どうしたクルミ?」

 

「いやー……えっと、な……」

 

「────」

 

「…………あっ」

 

 棗はたきなの見ている方向、クルミのパソコンのデスクトップ画面を見て彼女が絶句している理由を察する。

 画面にはリコリコの客のSNS反応一覧が写っており……『ウ〇コ持ってて草』や『見た目はすごいけどおいしい』などの感想が載っていたのである。

 そう、無自覚に作ったホットチョコパフェのデザインの凄惨さに気付いてしまったたきなであった。

 

もう……パフェやめます……

 

「あー……いや、売れ筋商品になったし……な? 味も美味しいんだから気にすんな……な?」

 

 トボトボと歩くたきなを棗は慰め、フォローする。

 ちなみに棗の提案した六色パフェはそこそこの売り上げになったためそのまま続投しているため……傍から見れば追い打ちをかけているようなものであった。

 

いいですよね……棗さんのパフェ……好評ですし……カナさんもすごく喜んでましたし……

 

「あ、いや別にマウントとったわけじゃ……ごめんて……」

 

 中学生の常連客、カナと呼ばれているある依頼で知り合った少女にすごく喜んでもらっていた棗のパフェを思い出し、たきなはぷくーと頬を膨らませる。

 なんというか全面的に棗に負けていることがたきなは悔しかったらしい。

 そうして落ち込むたきなをどうフォローしたもんかとあわあわしていたところに電話が鳴る。

 

「おっと、はいはい今行きます!」

 

 棗は気まずい空気から逃げ出すために受話器をとる。

 

「はい、こちらリコリコで────」

 

『山岸よ』

 

「あ、山岸先生。どうも。千束、そっちちゃんと行きました?」

 

『それで話があんのよ。千束、そっちに居ないの?』

 

「え……? いないですし、今日行くよう言い聞かせたんですけど……」

 

 棗はん? と山岸の言葉に疑問符を浮かべる。当然だ、確かに彼女は病院を嫌がるタイプだがちゃんと約束すれば渋々でも行く少女なのだ。

 今までもそうだったし、サボるなんてありえない。棗はそう思いながら山岸の言葉を聞き、厨房にやってきたたきなに視線を送り千束に連絡するように促す。

 

『それが、来てないのよ。携帯にも出なくてよ』

 

「……わかりました、こちらからも千束を探してみます。お手数をおかけしてすみません」

 

 たきなは棗のアイコンタクトを理解して、すぐに千束の携帯に連絡をかける。

 

「…………千束? どこですか? 定期健診行ってないんですか?」

 

『あー、ごめんごめん。急用でさー……チョイ遅れるー……って、山岸先生に言っといて?』

 

「あ、ちょっと千束?」

 

 千束はすぐにそう告げて、通話を即座に切る。

 その声を聞いてたきなは思わず眉をひそめる。千束らしくない。一言で表すならそういう会話だった。

 

「……どうだった、たきな?」

 

「それが……変なんです、千束にしては通話が短くて……私、千束を探してきます」

 

「……わかった、セーフハウスはお前に頼む。俺は他の場所を探してみるよ」

 

「お願いします」

 

 たきなも棗もすぐに服を着替えて、千束の捜索に向かう。

 その後すぐに、真島が千束のセーフハウスに訪れていたことが判明し……たきなが仕留めそこなったと悔しそうに告げていた。

 

「…………あのチンピラ共が来た時点で察しておくべきだったな。俺の不注意だ、特定されたって想定してなかった。すまん」

 

「いや、いいの気にしない! それ言ったら私だって、想定が甘かったわけだし?」

 

「私もです、目の前にいたのに仕留めきれませんでしたから」

 

「それで、真島はなんて?」

 

「────アイツも、これ持ってた」

 

「「「「「は!?」」」」」

 

 千束は恐る恐る、梟の首飾りを手に持ちそう呟く。つまり、それが事実なら真島もアランチルドレンということで……

 

「いやいや、あんなやつにどんな才能があるのよ?」

 

「凶悪犯も支援されるものなんですか!?」

 

 真島がアランチルドレンであるならばアラン機関は善悪見境なく支援する組織ということになる。

 

「なあ、ミカ。お前恋人からなにか────」

 

「どせえい!」

 

「ぐえ────」

 

 不躾な質問をしたクルミにミズキから素早い首への手刀が入り、そのまま気を失う。

 

「どっかで拾ったんでしょ! ヨシさんがあんなやつ助けるわけないじゃん! ね、先生!」

 

「…………」

 

「先生?」

 

「ん? あ、ああ。そうだな」

 

 千束たちから見れば、それはあり得ないことだ。だが……ミカと棗からすればおかしな話ではないのだ。

 棗はその人生を狂わされ、人殺しとしての人生を肯定させられている。だからこそ棗は納得したように無言で目を閉じ……

 そして、千束と棗の才能のことを……アラン機関を知るミカは難しい顔を浮かべていた。

 

「……?」

 

「千束!」

 

「あっはい!?」

 

「私からの電話は3コール以内に出てください!! 出ない場合は危険と判断して次のワン切りですぐに向かう通知とします!!」

 

 ミカと棗の表情を見て首を傾げる千束に、たきなは食い気味に話しかける。

 

「え、あ、は……はい……」

 

「嫌ならすぐ出るように!!!」

 

「つまり、何処にいても来てくれるってこと!!?」

 

 千束はそう解釈して、手をパンと叩く。その目はどこか輝いているあたりポジティブ思考だ。

 

「……それと、他のセーフハウスに移ってくださいね?」

 

「えー……あそこ一番気に入ってるのにぃ……」

 

 さすがに、その指示にはむすーっとする。実際、棗を泊まらせる時も……たきなが泊まった時もあのセーフハウスを利用していた。

 一番思い入れがあって気に入っているのは事実なのである。

 

「あと、棗さんもですよ!!!」

 

「ヴェッ!? 俺もか!?!?」

 

「あなたもです!!」

 

 二人のやり取りをぼーっと見ていた棗は急に矛先が向いたことで困惑する。まさか自分まで対象に入るとは思っていなかったらしい。

 

「とくに! 棗さんは無茶を良くするんですから!! 絶対に出てくださいね!」

 

「いやさすがにそれは────」

 

「いいですね!!!?」

 

「はいよろこんで!!!」

 

 たきなの圧に耐え切れずに棗は了承してしまった。多分、というか確実に三人の中でヒエラルキーが高いのはたきなだ。

 そう確信したミズキは

 

「……コイツ、最終的には尻に敷かれるタイプだな」

 

 棗の姿を見てそうボソッと呟いたのだった。




葦花 イチカ

由来 蘆薈 花一華 → 葦花 一華

花言葉
蘆薈(アロエ)/苦痛・万能 等
花一華(アネモネ)/儚い恋・見放された・見捨てられた 等


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あなたの魅力を心に刻む

告白回です。甘くできてるかは知らない


ちなみに今日は千束ちゃんの誕生日です。
明日はフキちゃんの誕生日で最終回放送日です。お忘れなきよう。


 錦木 千束にとって立花 棗はどういった存在かと言われたら、まずは不思議な人。という印象になるだろう。

 リリベルきっての変わり者。自分と同じく人を殺すことを否とできる人。そんな不思議な青年だった。

 

 あの日、セーフハウスで出会った時の印象は面白い人。だったなとふと思い返す。

 格闘術が異様に強くて、近づいた瞬間手も足も出せずに捕まった。初めての経験だった。彼が初めて、自分を負かした相手だったのだ。興味を持たないわけがない。

 

 そこで尋問されたときの彼の質問と答えも含めて……興味を持った。殺しを否とすること。

 そんなリリベルと出会うのは初めてだったからだ。そうして、彼が死にたくないと言った時……自然と彼女は、一緒に居よう、一緒に行かないか、とそう彼に話していた。

 

 ────思えばあの日、彼に手を差し伸べて握ったときから。自分は棗に惚れ込んでしまっていたんだ。

 今ならそう自覚できる。多分、一目惚れに近かったんだとは思う。今になって思えばあの時の私大胆過ぎでは? と思えるぐらいには惚れ込んでいたんだと思う。

 

 それから十年以上、彼とは腐れ縁だった。自身の友人であるフキに並ぶぐらいの長い付き合い。

 以前飼っていた柴犬のリッキーのリードを私がうっかり手放して、棗が全速力で追いかけて捕まえたり、

 私がお店の制服お披露目したら鼻で笑われてうおー! と殴りかかったのを片手で頭を押さえられて完封されたりとか、しょうもない思い出がたくさんある。

 

 いつそれが恋心に変わったか、と言われれば私自身も分からない。

 完全に自覚したのはこの前たきなの下着を買いに行った時だけど……

 いざ自分の中で彼を異性として見始めたのはいつか、と問われたら答えられない。気付いたら好きになっていた、と言う言葉が正しいのだ。

 

 来る日も来る日もべったりだった時点で既に堕ちてたのかもしれないけど。

 

 そんな彼との初めての出会いは自分のセーフハウスへの襲撃……ではない。

 以前、たった一度だけだが……電波塔で、立花 棗と出会っているのだ。

 

 その当時、彼は灰色(アッシュ)と名乗った。だがそのアッシュという少年と棗をイコールで結びはしなかった。

 印象が違いすぎた……というのもあるし、電波塔事件の時の彼は間違いなく人殺しだった。殺しを是とした返り血に染まった切り裂き魔。あの真っ赤な返り血を浴びた制服、髪、肌……そして血濡れたナイフは印象深いモノだった。

 

 そして何より笑って人を殺す彼に恐怖した。なのに、アッシュに抱いた印象は悲しさだった。

 ひとりぼっち。そう感じてしまうほど、どこか彼の姿は悲しかった。

 

 電波塔が折れたあの日、アッシュがどうなったのか千束は知らなかった。生きていてほしいと思ったが、生きていたとしても出会うことはないのだろうと千束はそう思っていた。

 彼と自分では思想が違う。殺すことで多くを救おうとする少年と、悪人も等しく救いたいと思っていた自分ではいずれ対立するだろうし道は違えるからと。

 

 ────だからこそ、あの真島という男が棗の姿を見て灰色と呼んだ時、驚いた。

 

 生きていたという事実に驚愕し、それが自分が恋心を抱いた相手のことでもあったのだと理解したから当然なのだが。

 

 いったい何が彼を変えたのかもわからないし、それをわざわざ聞くつもりもない。

 気にならないと言えばウソになるけど。

 

 棗が好きだ、と自覚した後はなんというかいつもよりはスキンシップを取りづらかった。

 前ほどべったりとは引っ付けなかったし、一緒に寝るとかもなかなかできなくなった。

 恥ずかしかったのだ、気付かれるのが。それに……たきなのこともあったから棗1人に付きっきりというわけにもいかなかった。

 

 ……噓です。正直に言えばたきなに棗を盗られるんじゃないかって警戒してた節はありました。

 少なくともたきなは棗のことをそういう風に見てないとはわかってはいたけど、それでもいつ恋心に変わるかわからないと思っていたのはあるのだ。

 

 棗は正直、美形だ。イケメンである。それに面倒見がよくて、家事もだいたいできる理想の男性像だ。ってミズキが言っていたし、納得もできた。実際女性客からの人気は私たちより先生、先生より棗だったからだ。

 

 とある依頼……より正確に言えば、もっと前からの常連客だった女の子も、棗にある程度憧れみたいなものを持っているみたいだったし、私としては少し複雑だった。

 

 好きな人が盗られるかもしれない、って思うとやっぱり嫉妬や警戒はしてしまうのだ。私だって恋する女の子なわけなので。

 ────もちろん、自分がほかの女の子と違うことも分かってるし、この心臓のこともある。

 好きになって、一緒になって、そのあとは……? そう思うと、一歩踏み出せなかった。

 だって、私が棗を置いていくことが分かっているから。棗に寂しい思いをさせると理解してしまっているから。だから、最後の一歩だけは踏み出せなかった。

 

 そんなこんなでモヤモヤしていた時に、ヨシさんのことが分かった。

 私に心臓を与えてくれた救世主さんで、そして……棗の命も救っていた人。運命だと思った。

 ヨシさんがまるで恋のキューピットなんじゃないか、って思えてしまうほど。

 

 ……だって、ヨシさんが棗を助けていなかったら、私を救ってくれなかったら……きっと、私は棗と会うこともなかったから。

 だけど、棗はそう思ってはいなかった。……でも、よく考えれば普通のことだ。

 私は、自分の意思でこの心臓を使うと決めた。この道を選ぶと決めた。けど、棗は? 

 

 棗は違う。望まないままに生かされて、望まないままにリリベルになって、望まないままに殺しを命じられた。

 ────誰よりも、きっとアラン機関を……ヨシさんを恨むだろうと理解できた。

 

 だって、そこに棗の意思はない。強制された道だ。それしかなかったから、それしか生きる道がなかったからそうするしかなかった。棗はあのセーフハウスでの再会でそう言った。

 

 好きでこんなことをしているわけじゃない。と、失敗すれば今度は自分が死ぬのだろう。と

 

 そんな道を進むことしかできなくしたのはアラン機関だ。

 ……表向き、ヨシさんが、アラン機関が真島にアレを与えるわけがないと言ったけど、心のどこかで納得もしてしまっていた。

 だって、棗がそうだから。確かに今は人を助ける側だろう。けど、リリベル時代は殺す側だった。

 私はそれを、あの電波塔で見たから知っている。だから、真島がアランに支援されたアランチルドレンだということもどこかで納得していたのだ。

 

 だから、私は……棗の傍にいてはいけないんじゃないか、って思ってしまった。

 喧嘩したわけでもないけど、疎遠になったみたいに喋らなくなったし泊まりにいくこともなくなった。

 アラン機関を恨む棗にとって、アラン機関に救われた私は憎悪すべき対象なんじゃないか、って思ってしまったから。

 

 とはいえ、それからすぐに棗が謝ってきて……私も目を丸くしながら、それを許して仲直り(?)をしたわけなのだが。

 

 ……思えばそれが私の中で覚悟を決める理由になったのかもしれない。

 棗は、自分の中である程度踏ん切りをつけてくれたのだ。天秤にかけて、私たちを選んでくれた。

 棗がそうやって選んでくれたのに、私ばかり勇気を出さないままでいるわけにはいかないと思った。

 

 棗に告白しよう、断られるとしても。しっかりと、私の想いを伝えよう。

 そう覚悟を決める切っ掛けになった。

 

 ────

 

「────というわけで、千束が遊びに来ました」

 

「いやなにがというわけで????」

 

「そりゃー色々ですよ、色々!」

 

「……端折りすぎだろお前」

 

 むふー、と笑う私に、棗は呆れたような顔を向ける。

 まあ、何も言わずに彼のセーフハウスにやってきたのだから当然そういう反応にはなるだろうけど。

 今の私は気分が良いので、大目に見てしんぜよう。

 

「……相変わらず殺風景だよねー、棗の部屋」

 

「いいだろ別に、趣味とかあるわけでもないし……って、あ」

 

 ぐるり、と周囲を見渡していると……ふと、彼の部屋の机の上に何かの箱と皿があるのに気付く。

 見間違うはずもない、それはいわゆる紙煙草と言われる代物だ。しかも市販の。

 

「ん? ……あれ、これ……煙草?」

 

「…………そうだよ、なんだ? 吸ってたら悪いか?」

 

「別に悪いとは……いや、身体には悪いけど、そうじゃなくて……全然棗が吸ってるの知らなかったなーって」

 

 そう、私は一度たりとも棗が煙草を吸っているということを教えてもらったことはない。

 ────というよりは、吸った姿を見たことがないというのが正しいか。

 お酒は先生と一緒に飲んでる姿を見たことあるけど、煙草に関しては本当に一回も見たことがなかった。

 

「……まあ基本的にいつも人のいないところで吸ってるしな。お前らに迷惑かけたくないし」

 

「ふーん、そっかー……」

 

 気遣ってくれているのだろう。それに関しては凄く嬉しい。けど、それと同時に内緒にされていたのが少し惜しいと思ってしまう。一度でいいから彼が煙草を吸っている姿を見たい、と思ってしまうのはワガママなのだろうか。

 

「それで、わざわざ何の用だよ?」

 

「やっぱり聞いちゃう?」

 

「そりゃそうだろ。たきなやおやっさんたちからは何の連絡もないし……用件があるんじゃないのか?」

 

「いやーありますよ、そりゃありますとも」

 

 だってその用件のために訪れたんだから。でもなんというか雰囲気じゃないというか……いまではないのではなかろうか。だってほら、そういうのって場の雰囲気が大事だって言いますし。

 

「ただなー……ちょっと落ち着いてから言いたいから……少し待っててもらってもいい?」

 

「お、おう……?」

 

 私のその言葉に、棗は当然首を傾げる。じゃあ何のために来たんだよ。って顔だ。

 そうなるのも分かるし申し訳ないんだけど、やっぱりそういう事を口に出すのは勇気がいるのです。

 

「ん? 千束、そのキーホルダーどうした?」

 

「んー? あ、これの事聞いちゃう!? いやーこれにはふかーい理由がありまして!」

 

 棗が私の鞄につけられている犬のキーホルダーを不思議そうに見てくるのだから

 私は思わずドヤ顔で語り始める。

 

「待ったそれ長くなるやつか?」

 

「長くならないって! ただたきなからハロウィンのプレゼントとしてもらっただけだから!」

 

「ああ……あのときのたきなの相談はこれか」

 

 なにか納得がいった素振りをみせる棗を見て、私はなんとなく察した。たきなからプレゼント何がいいか相談されたんだなーって。

 

「どう? 可愛いでしょ、これ?」

 

「……まあ、そうだな。アクセサリーとしてはいいんじゃないか。その鞄につけるのはどうかと思うけど」

 

「えー棗ったら風情がなーい、女の子にモテないぞ~?」

 

「うるせえ、銃弾防ぐための鞄につける方がおかしいだろ」

 

 それはそうである。けど、たきなからもらったプレゼントだしせっかくだから見える場所につけておきたかったのだ。要するに私の自己満足である。だって相棒からのプレゼントですから。

 

「しっかし、プレゼントか……」

 

「なーにー? もしかしてたきなからのプレゼント羨ましいのぉ~?」

 

「そういうわけじゃねえわ。ったく……」

 

 頭をぽりぽりと掻いて、棗は何かを棚から取り出してくる。

 はて、なんだろうか。紙袋に入ってるけど……私貸したBlu-rayとかあったっけ? 

 

「……結局先月渡せなかったからな。これ、お前の誕生日に渡そうと思ってたヤツ」

 

「────え?」

 

 思わず耳を疑った。だって、今の今まで……ケーキは作ってくれたりしたけど、誕生日プレゼントを買ってくれることなんて棗は一度たりともしてこなかった。私も別にそれに関して思う所はなか……いや、ちょっとはあった。一回ぐらいプレゼント買ってくれてもいいんじゃないの? って何度か思ったことはあります。ありますとも。けど、私も特別プレゼントとか渡したこともなかったしお互い様ではある……というか私の場合、棗の誕生日をしっかりとは知らないのが理由なんだけども。

 先生に一回聞いてみたら棗自身に口止めされていたし、そのぐらい徹底して黙ってたみたいなんだけど。

 

 まあ、そんな棗が誕生日プレゼントを買ったなんて言ってくるんだから耳を疑うのは当然だった。

 そんな困惑する私を気にも留めず、棗は紙袋をポスン、と私の手の上に置く。

 

「…………開けてもいい?」

 

「いいぞ。というか、お前のだし好きにしろ」

 

 棗にそう促されて、恐る恐る紙袋の封を切り中身を確認する。

 するとそこには、赤い何かの花束を模った髪留めがあって────

 

「これ……髪留め……? え、ほんとにいいの……?」

 

「……言っただろ、お前のだって。ほんとは当日渡すつもりだったんだけど……その間に仕上がらなくてな。渡しそびれたんだよ……いらなかったか?」

 

「いやいるいる! いるよ!! ……つけても、いい?」

 

 私は思わずにやけ面になるのを抑えきれないまま、棗につけてもいいか聞く。

 というかしれっと自作みたいなこと言ってたけど棗さんちょっと手先器用すぎじゃない??? 

 

「……いいぞ」

 

 恐る恐る、私は左側の赤いリボンを解き……そこに髪留めをつけてみる。

 うぅ、いざこういう事すると恥ずかしいな……! 

 

「えっと……似合う……?」

 

「────────」

 

「ちょ、何か言って!? そこで黙られると恥ずかしいから!?」

 

 棗が絶句したようにこちらを見つめてくる。そんなに致命的に似合ってなかったのか私!? 

 いや、というかダメだやっぱ恥ずかしすぎる! 沈黙が恥ずかしすぎるってこれ!! 

 

「ああ、いや……うん、思った通りだ。よく似合ってる。……すごくかわいい、千束」

 

「うぇっ!? あ、えっと……あ、ありがとう……ございます……

 

 真っすぐそう言われると私も恥ずかしいというか……いやうんホントに恥ずかしい。棗からそんな風に言われるとは思ってもみなかったから真面目に顔見れない。うぅ……これじゃあ落ち着けないよ……

 

 でも、ここまで……お膳立てしてもらったんだ。やっぱりこのままなあなあで終わらせるわけにはいかない。改めて、私はそう考える。きっと、ここで言えなきゃ後悔するんじゃないかってそう思って。

 

「棗!」

 

「なんだ、千さ────っ!?」

 

 名前を呼ばれ、こちらを見た隙を逃すまいと……私は棗の唇を奪う。ああ、やっちゃった。私。

 ────恥ずかしい。すごく恥ずかしい。棗の鼻息が近い、声が近い、顔が近い。頬が熱くなる。驚いた姿は少し意外で、何処か愛おしくて。……その澄んだ蒼い瞳は海のように綺麗で、吸い込まれそうになって。少し名残惜しさも感じながら私は唇を離す。

 

「ぷは……」

 

「千束……おま、なにを……」

 

 困惑したように私を……私の唇を見る棗。この後に出る言葉は多分わかる。だから、私はそれを言わせないように少し食い気味に告白した。

 

「棗、大好き。私は、棗のことが大好き」

 

「────────……千束」

 

 ああ、言っちゃった。告白しちゃった。貴方が好きですって、言っちゃった。顔が熱い。鳴らないはずの心臓がドクドクと鳴っているように錯覚してしまう。ホンモノの心臓だったなら、ほんとに今バクバクしてたんだろうなって思ってしまう。

 

 棗が返答に困った素振りをみせているのは、すぐに気付いた。まあ、そうだよね。いきなり言われても困惑するよね。普通はそうだもん。

 

「俺は────」

 

「いいよ、すぐには出さなくても」

 

「千束……」

 

「えへへ、ごめんね? いきなり、こんなこと言われてもびっくりするもんね。だから、ずっと待ってるよ。棗の中で整理付けて……それから返事を聞かせてほしいな」

 

「………………わかった。時間はかけるかもしれないけど、絶対に返事するから待っててくれ」

 

「────うん、待ってる」

 

 棗のその言葉が聞けただけでも満足だった。この後振られたとしても棗が考えて出した答えなら大丈夫だと思ったから。……ウソ、少し怖い。振られたら、棗をまともに見れなくなるかもしれないから。

 

「棗」

 

「……なんだ?」

 

「もっかいだけ、してもいい?」

 

「────好きにしろ」

 

 私はそんな不安を誤魔化すように、もう一度だけキスをせがむ。棗はそれを何も言わずに受け入れてくれた。これが最後になるかもしれない。そう思うと少しだけ深く……それでいて長くしたくもなるけれど……それはできない。まだできる権利を持っていないから。

 

「んーっ……」

 

 ────ただそれでも、今この時……私は幸せだった。本当に私は恵まれた。

 いろんなところで、恵まれた。友達にも親にも……そして、好きな人にも。唯一恵まれなかったこの心臓も……ヨシさんという恩人に恵まれて救われた。その幸せを嚙み締めるように、私は棗に抱きついてキスをする。

 

 初めてのキスは煙草の味────なんて言うけれど、少なくとも私の初めてのキスはとても甘くて、幸せなものだった。

 

 

 

 

 だから、きっと……この先で起きたことが、なんであっても。私は後悔をすることはないと言えるだろう。

 たとえ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




赤い花束の髪留め


それは少年が1人の少女に渡した髪留め。
少年のお手製らしい。

模った赤い花の名前はカランコエ。
その意味を理解しているのは捧げた彼のみだ。


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I'ts no use crying over spilt milk.

長らくお待たせしました。生きております。

モチベが著しくダウンしていたのですがそろそろ書かなきゃやばいな、と書き始めた次第です。

アンソロジーコミックや、漫画版単行本も販売開始されたわけですからね!
あ、リコリス・リコイルアンソロジーコミック、漫画版単行本、どちらも好評発売中ですのでお近くの書店で是非ご購入をオススメします。

それと、なんと総評が9400超えてました。ありがたい限りです。
今後とも感想、評価、お気に入り登録を励みに頑張りとうございます。


 横たわっている千束を見た少年は、我を忘れた。必ず、この女を殺さねばならないと、そう無意識に身体を動かした。

 

「ッ────!!」

 

殺す……ッ!

 

 あと一手、確実にその女の首を切り裂く。そうナイフの刃を看護師を装った女に向けたが……

 

「待ってくださいっ! 棗さんッ!! そいつに千束に何をしたのか吐かせないと!!!!」

 

「ッ……!」

 

 たきなの制止で、棗はその手を一瞬止めてしまう。女は、その隙を逃さなかった。

 

「ガッ────お前ッ……!?」

 

「棗さんっ!?!?」

 

 なにか、注射器のようなものを棗は首筋に突き刺される。しかし、それで動けなくなるわけではない。傷としては浅すぎる。殺せるモノではない。棗は即座に女の首根っこを掴み壁に投げ飛ばす。

 

「ォ、オオオッ!!!」

 

「ッ!!?」

 

 女は壁に叩きつけられるが、まるで痛みなど感じなかったように拳銃を取り出し棗とたきなに向かって発砲する。

 棗もたきなも、銃弾を即座に防ぐ判断はできず遮蔽物に身を隠すほかなかった。それこそが、女の狙いだった。

 

「……!」

 

 その隙を逃さずに女は窓ガラスに向かって発砲し、ガラスを割る。つまるところ、女の狙いは逃走経路の確保だった。当然だが、棗とたきなもそう易々と見逃がすはずもない。棗は、女を追いかけようと窓に足をかけようとするが────

 

「逃がす────……か……?」

 

「棗さんっ……!? 棗さんっ!! 棗さんっ!!!?」

 

 ふらり、と身体が揺れる。意識が朦朧とする。そうなる理由は一つだけ。おそらく、さきほど女に打たれた注射器の中身のせいだろう。棗が追いかけようとする。それすらも女は想定済みだったということだ。バタリ、と床に倒れ伏す。

 

(……ああ、クソ……が……あの女……だけは、にがしちゃ────)

 

 ────いけないのに。身体は既にいう事を聞かなかった。

 

 ────

 

「……………………またこの天井か……」

 

 棗は意識を取り戻し、天井を見上げる。以前目が覚めた時と同じ病院の天井だ。横になっていた椅子から起き上がる。

 

「…………手が……?」

 

 鈍い、身体が全体的に重いというべきだろうか。手も些か動かない。違和感を覚える。

 

「起きたか、棗くん」

 

「おやっさん……? そうだ、千束はっ!?」

 

 最初に視界に入ったのはミカの顔だった。だからこそ、すぐに状況を把握しようとできたのだろう。ミカに慌てて状況を聞こうとする。

 

「ここにいるっての、そう慌てなさんなって~。棗クン?」

 

「ッ……千束!! 無事なのかっ!? 怪我はっ!?!?」

 

「ちょーいちょいちょいちょい!? 近いってば!!? ()()()()()()()()()()!!」

 

「……そう、か」

 

 一息ついて……胸をなでおろす。だけど、安堵で終わるほど……現実は甘くはなかった。

 

「ねえ、山岸先生……私、()()()()()()()

 

「……急激な高電圧による過充電でハードとのアクセスが不可能になったの。

 もう充電もできないわよ。……単純だけどよ、効果的すぎる最高の破壊方法よ。……あの女め」

 

「────マジかぁ……」

 

「────は?」

 

 山岸女医が告げたその言葉の意味がわからないほど、棗は何も知らないわけではなかった。

 

「待てよ……! じゃあ()()()()()()────!」

 

「……幸い、充電直後だったから……もって二ヶ月ね」

 

「────ッ!」

 

 それが意味することを否が応でも理解させられてしまう。やり場のない怒りを、棗は吐き出すように己の脚を殴りつける。

 

「あの……二ヶ月って……?」

 

「動き回らなければ、もうちょっと余裕ができるわ」

 

「だからなにが二ヶ月────」

 

「余命だ」

 

「ぇ……?」

 

「────千束の、余命だよ」

 

 理解が追い付いていなかったたきなの言葉に顔を顰めて教えるのは、ミカだった。

 そう、二ヶ月とは千束の余命だ。……錦木 千束が死ぬまでのタイムリミット。

 

「そ、そんな……! 壊れたところを交換でもして────」

 

「……できると思うか?」

 

「棗さん……?」

 

「人工心臓なんてオーパーツ……今の科学力じゃどうやっても作れるやつがいない。

 ただでさえ精密機械の塊なんだ。パーツ1つの交換もできるはずがない。……心臓の弁だけを、血管に繋がる部分だけを取り換えるなんてこと。仮にパーツ交換ができたとしても誰もできやしないよ。心臓はできて丸ごと交換だ。……けど、その丸ごと交換できる代物すら現存しないんだ。……不可能なんだよ。千束の心臓を直すのも……交換するのも」

 

 棗のその言葉は、千束を諦めろということに他ならなかった。千束を救うことはできない、と暗に告げていた。当然、たきなはそれを納得できるはずもない。

 

「じゃあ、棗さんは千束がどうなってもいいって言うんですか!?!?」

 

「そんなこと思うわけないだろうがっ!!!!!」

 

 たきなの言葉を否定するように大声で叫ぶ。棗らしからぬ、大声だった。

 

「……棗」

 

「ッ……すまん……うるさかったな……たきなも、悪い」

 

「……いえ、こちらこそ、すみませんでした」

 

 気まずい沈黙が病室で流れる。ミカも、ミズキも、クルミも……誰も声を出せる者はいなかった。

 その気まずい沈黙を打ち破ったのは、他ならぬ当事者である……錦木 千束本人だった。

 

「まあ、うん……起きちゃったことは仕方ない。元々、()()()()()()()()()()()()()

 

「もと……もと……?」

 

「……もって、あと二、三年だったんだろ」

 

「あー……棗は知ってたんだ」

 

 千束の言葉に首を傾げるたきなとは正反対に……ため息を吐いて、棗はそうぼやく。

 そう、知っていた。ミカに無理やり問い詰めて聞きだしたのだ。知っていたのだ。

 それを聞いて、たははー……と困ったように千束は笑みを浮かべる。

 

「知ってたよ……知ったから……その二年で……何とかする方法を模索してたのに……!」

 

 棗は頭を掻きむしりながら、そう呟く。彼も決してバカではない。彼なりに知識を絞って、彼女の人工心臓を、寿命をどうにか改善する方法を模索していたのだ。二年……否、一年もあれば、彼はその手段にたどり着けただろう。錦木 千束を救えただろう。だが、運命は……現実は非情だった。二ヶ月という期間はあまりにも短すぎる。

 

「そっか……うん、ありがとう棗。私を助けようとしてくれた。それだけで充分ですよ」

 

「────充分なわけないだろっ……!」

 

 千束の言葉に、誰よりも納得できないのは棗だった。顔を俯かせたまま弱々しくそう嘆くしかできなかった。

 だがどう足掻いても……既に解決策はない。打開策は何処にもない。

 

 ────結局、何事もなかったようにいつも通りの日々に戻る以外に……彼らには選択肢はなかったのだ。

 

 それから……しばらくは、特段変わったことはなかった。当然と言えば当然だ。千束の心臓を狙った意味やそのバックに潜む存在は不明。もちろん、整理し、推理すれば誰が何のためにやったのか、を予想することはできる。とはいえ、確証はないが。

 

 だから、そんなある日……雲行きが怪しくなり、雨が降り始めた日。

 

「……ほんとに、ヨシさんだったんだなぁ」

 

 とある川の橋の下で、雨宿りをしながら千束はデジタルカメラの撮影済みの写真を見る。

 ……幼い頃、まだ心臓が人工物でなく、天然のもので弱かったころに撮った一枚の写真。

 

 そこには、スーツ姿でこちらに顔を振り向かせた吉松 シンジの顔が写っていた。

 

「……なんか、不思議な感覚だなぁ」

 

 恩人の正体がようやくはっきりしたのに……晴れやかな気分にはなれなかった。彼が、間接的に殺そうとしたからか。或いは……

 

「わぷっ……!?」

 

 唐突に、千束は視界を奪われ何事かと慌てて視界を上着らしきもので覆ってきた犯人を捜す。

 ……もっとも、その仕立て人はすぐ横で立っていたわけだが。

 

「棗……?」

 

「冷えるだろ、ココアでよかったか?」

 

「あ、うん。ありがとう……」

 

 自販機で買ってきたのであろう、温かい缶のココアを棗に手渡される。

 

「隣、座ってもいいか?」

 

「……うん」

 

 千束の隣に棗はよっこらせ、と腰を掛けて座り込む。雨の降る音が聞こえる中、棗はカシュ、と自分が飲むために買っていた「おしるこ」のプルタブを開けて飲みながら……横目で千束の持っているデジカメの写真を見る。

 

「……よく撮れてるな、吉松さん」

 

「……だろ、我ながらめっちゃ綺麗に撮れてると思うんだよねー。芸術作品として出せるレベルじゃない?」

 

「アホか、んなわけねーだろ」

 

「えー、そんなことないって」

 

 ……そんな、気さくな会話だった。いつものような普通の会話。

 なのに、いつもより弾まない。そんな会話。

 

「……ねえ、棗」

 

「あ? なんだよ?」

 

「この前の告白の件だけどさ……」

 

 切り出したのは千束だった。結局、あのあと……うやむやになって返事すらできないままでいたあの話。

 

「……千束、俺は」

 

「ごめん!! やっぱアレなしで!!」

 

「────は?」

 

 意を決して、千束に返そうとしたところで遮るように彼女は前言を撤回した。

 

「いやーさ、考えたわけですよ。色々。……でもさ、色々考えたら考えただけ……このままじゃ棗に悲しい思いさせちゃうだけだなーってなってさ」

 

 そうだろう。だって、残り二ヶ月しかない命だ。そんなわずかしか生きられない人間に……愛を注ぐなんて、させたくない。そんなことに、棗の気持ちを注いでほしくない。

 

「私は大丈夫だからさ。……たきなを幸せにしてあげてよ。ほら、なんだかんだで? たきなも棗の傍にいるの悪くなさそうだし? ひと押しあったら棗にべた惚れしちゃうと思うんだよねぇ」

 

「…………千束、お前」

 

 無理をしている。それぐらいは棗にも理解できた。痛々しいほどの作り笑い。それがわからないほど棗は鈍くはない。

 

「…………うん、大丈夫。私は大丈夫だから。棗は真島をドゴーン! とやっつけて……それで────」

 

 私のことなんて忘れて、みんなとリコリコを盛り上げてよ。そう言いたかったのに。

 

「あ、れ……なんで……私……ご、ごめんね棗……! ちゃんと、ちゃんと言うから!」

 

 どうしても言いよどむ。口に出せない。簡単な言葉のはずなのに。声に出せない。

 

「私のことなんか────んんっ!?」

 

 その言葉は、紡げなかった。否、塞がれた。他ならぬ棗に。文字通り口を塞がれた。

 

「んん、ぅ……んっ……ふ、ぁ……棗……なんで……?」

 

 分からなかった、意図が掴めなかった。だって、これは私の一方的な感情で。棗はそんなこと考えてるはずもないのに。

 

「…………ぁ」

 

 何も言わず、棗はただ千束を抱きしめた。棗のトクトク、という心臓の音が聞こえる。

 この音が好きだ。自分の鼓動じゃないけれど……自分が生きているって実感をくれるから。

 

「……俺もさ、言ってなかったことがあるんだよ。千束に。だから、それを話さなきゃなってずっと思ってた」

 

「棗……?」

 

 そうだ。結局いつまでも隠していたって仕方がない。だから、隠していたことを明かさなきゃいけない。山岸先生に明かし、クルミの検査で判明したこと。────()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ────

 

「つまり……棗くんの身体は……!」

 

「ああ、一種の時限爆弾みたいな状態になったってわけだ。吉松はなにを考えたのか、千束と一緒に棗にも細工を施したってことになる。おそらく、千束に手を出せば棗が冷静さを失うのも想定の内だったんだろうな。……松下と名乗ったあの時に、企てたんだろう」

 

 リコリコ店内で、クルミはミカにそう語る。棗が今とても危うい状態であることを。

 

「……解決策はないのか」

 

「ないな。千束の心臓以上のオーパーツだ。下手に刺激すれば……」

 

「棗くんが死ぬ可能性の方が高い……か」

 

「そういうことだ。……厄介だな。()()()()()()()()()()

 

 クルミは棗に「こうなった以上は隠しきれない。お前が思ったタイミングで俺のことを明かして欲しい」と言われ、その通りに、ことの経緯をミカに説明した。立花 棗の身体はナノマシンによって生かされているような状態であることを。そしてそのナノマシンはほぼ全身を巣食っていて、棗の身体のいたるところに点在しているということ。

 

 ……そして、あの看護師に偽装し、千束の命を狙った女に打たれた注射はそのナノマシンの抑制剤……つまり、鎮静化のプログラムが入ったナノマシンを打ち込まれたということを。

 

「当然だが、今までのような動きは棗にはできないだろうな。……もっとも、それでも並外れた身体能力は健在なわけだが。それに……いつどこでそのプログラムが起動するかもわからない。試作型だってことは辛うじて判明したが……試作型だからといって稼働しないと保証はできない」

 

 なにがトリガーでナノマシンを抑制するのか、それが判明していない以上下手に調べることもできない。

 

「さっきも説明したが、一度でも抑制が開始されたらその時点で終わりだ。全身のナノマシンが機能しなくなるからな。……幸いなのは心臓や肺、脳といった重要な器官にはまだナノマシンは入っていないことだろう。……それでも、確実に身体に支障がでる。棗が死ぬ可能性だって普通にあるわけだからな」

 

「……そうだな」

 

「……どのみち、真島を捕らえなければ、吉松には接触できず、千束の心臓も……棗さんのナノマシンのことも聞き出せない、ということですね」

 

 二人の会話をカウンターの裏手で聞いていたたきなが、顔を出す。

 

「たきなっ……!? 聞いていたのか!?」

 

「はい、ミズキさんも」

 

「ちょっと!? 私までバラさなくてもいいでしょお!?」

 

 しれっと告げ口されたミズキが抗議をするが、観念したように顔を出す。

 

「……たきなの言う通りだ。吉松の足取りがつかめない以上、動きの派手な真島から辿った方が早い。たきな、DAの作戦に参加できるのはチャンスだぞ!」

 

「……本当は、断ろうと思っていました」

 

 そう、たきなは少し前にやってきたフキとサクラにDAからの指令を受け取っていた。

 真島一派の掃討作戦への参加をしろ、という指令だ。勿論、受けるかどうかは自由だ。……ただ、今回の作戦を蹴れば、二度とDAには復帰できない。二者択一、天秤のどちらかを選ぶしかなかった。

 リコリコを捨ててDAに復帰するか。DAへの復帰を諦めて、リコリコに居座るか。そのどちらかだ。

 そして、たきなは……千束や、棗……リコリコを選ぼうとしていた。ここが、居場所なのだと。そう言うように。

 

「何故だ? 望んでいた復帰だろう!?」

 

「……しょうがないでしょ。千束の最期の二ヶ月なんだから」

 

 そうだ、千束がもうすぐ死ぬ。なら、DAには行けない。そう思っていた。

 

「でも、私……DAに戻ります。千束が生きる可能性が……棗さんを助けられる可能性が少しでもあるなら、それに賭けたいんです」

 

 正直、藁にも縋る思いだということは理解している。それでも、わずかでも可能性があるならば。それに賭けたいのだ。

 

「……私から、二人には言おう」

 

「いえ、自分の口から言わせてください。……時間をください」

 

 DAに戻る前に、やりたいことがあるから。

 

 その意図を汲んでくれたのか、ミカはたきなに視線を向けてこくり、と頷いた。

 

 ────

 

「────そっか……なんだ、私と棗って意外と似た者同士だったんだな?」

 

「……ま、史上最強のリコリスと史上最強のリリベル。しかも、どっちも吉松シンジに救われたアランチルドレン。……偶然にしちゃできすぎてるが、色々と似てるところだらけだったわけだしな」

 

「そういえばそうじゃん。なーんか、運命感じちゃうなーこれ」

 

「……そういうもんか?」

 

「そういうもんでしょ、こういうのはキャー! ロマンチックー! ぐらいでいいんだって~」

 

 よくわからん……と棗は首を傾げる。

 

「まあ、うん……お互い死にかけ、みたいな状態になったのは意外だったね」

 

「……まあ、そうだな。俺の場合はそんなに影響はでてないから軽々しく同じだとは言えないけどな」

 

 純粋に余命が分かってしまっている千束と現状は不明あり、死ぬかどうかも分からない棗では大きな違いがあるだろう。

 

「ありがとね、棗」

 

「……なんだよ、急に」

 

「え、だって棗なりに考えて……私を励まそうと思ったんでしょ?」

 

「む……」

 

 筒抜けであった。何年の付き合いだと思っているんだ、と言わんばかりに。棗の考えは千束に筒抜けだった。否定できないからこそ棗はスン、と押し黙る。

 

「うん、ありがと。めっちゃ元気出た。元気百倍の千束さんですよ!」

 

「……そっか、ならまあ……良かった」

 

 普段の、底抜けに……うざったいぐらいに明るい表情を千束がみせる。それを見て、棗は少し安心したように微笑んだ。

 

「えへへ……ありがとね、棗。…………あ、そうだ。ねえ、棗。さっきのキス────」

 

「…………さて、なんのことかな」

 

 す、と振られた話題に棗は肩をすくめてすっとぼける。

 

「はー!? ちょっと、そこで誤魔化すのはなしでしょ!! あんだけ無遠慮に人の唇を奪っといてぇ!!」

 

「は? それ言ったらお前だってこの前無遠慮に奪っただろうが人のファーストキス!!」

 

「え、初めてだったの!?」

 

 棗のその暴露に千束は思わず顔を赤くする。初めてだとは思っていなかったからこそだろうか。やはり心は初心な乙女である。

 

「んだよ、初めてだったら悪いか!? ああ!?」

 

「別に悪いとは言ってないでしょうが!!」

 

「「ぐぬぬぬぬ」」

 

 お互い睨み合う。……いつものような、くだらない売り言葉に買い言葉の子供みたいな喧嘩。

 

「くっ……」

 

「ぷふっ……」

 

「「はははははっ!!」」

 

 どちらからと言わずに噴き出していた。ああ、やっぱり。この感じが自分たちらしいのだ。とそう思うように。

 

「……最期の二ヶ月、よろしく頼むぜ。"元"相棒」

 

「"元"言うな。アホ千束」

 

 コツン、と拳を重ねる。千束はやっぱり諦めている。……けれど、棗の目は諦めていなかった。必ず助ける、とそう告げるように。千束の笑みに笑い返した。

 

 

 

 もっとも……そう全てが都合よく成立するなど、ありえない。

 

「────もしもし」

 

『────久しぶりだな、立花 棗。いや……灰色、と呼んだ方がいいかね?』

 

「……ええ、随分と……お久しぶりですね、虎杖(いたどり)司令

 

 棗はスマホを手に取ったまま、連絡相手と言葉を交わす。

 ────その額に、赤いレーザーサイトを当てられながら。




立花 棗

実は現状軽く死にかけているが、死生観が転生者故にゆるゆるなのでヨシ!している。
千束を救う一心で行動していたし、今後もするつもりだったが思わぬ邪魔が入った。
実は千束ちゃんに向けている感情はクソでかい(無自覚)
愛なんて言葉で表現できないほどクソでかい(重要)

錦木 千束

なんか急にヒロイン力が高まってきたメインヒロイン。
人工心臓壊され寿命あと二ヶ月。恋も含めて全部諦めることにした。
けど棗にうやむやにされちゃった。……バカ、もっと好きになっちゃうじゃん。


井ノ上 たきな

一応サブヒロイン枠。当初の予定ではたきなちゃんもヒロイン枠に置く予定だった。幻のたきな√も実は存在する(かもしれない)
千束と棗さんを助けるために……私は覚悟を決めました。
狂犬系覚悟ガンギマリヒロインである。


虎杖

いったいどこの組織の司令なんだ……?(すっとぼけ)
実は真島が千束ちゃんを襲撃した辺りで棗の生存に気付いていたが泳がせていた。
拙作1の切れ者腹黒タヌキになるかもしれません(予定では)


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【これ】俺、デートするってよ【マジ?】

掲示板回久しぶりすぎてなんも分からん状態です。

書き方を忘れている……


クリスマスプレゼントの最新話です。


1:店員鈴蘭 ID:LyReBell

なんか気付いたらデートすることになってた。

 

2:名無しの彼岸花 ID:tlrD7YvCf

イッチ???

 

3:名無しの彼岸花 ID:0+FiZuSAE

お前さぁ……

 

4:名無しの彼岸花 ID:+aoBAmf5k

ちょい待て、その前に千束ちゃんの心臓の件とかどうなったんや!

すっ飛ばしすぎやろ色々と!!

 

5:名無しの彼岸花 ID:42B8GwM6T

そうだそうだ!イッチ毎回大事なこと言わずにすっ飛ばすからな!!

 

6:店員鈴蘭 ID:LyReBell

……人工心臓の充電機器が壊されて、充電二度とできなくなったんや。

だから、千束ちゃんの余命はあと二ヶ月ぐらい。……といってももう一ヶ月は経ったんだけどね。

 

7:名無しの彼岸花 ID:3HWFAe0sy

は?

 

8:名無しの彼岸花 ID:Msw6L5mUn

マジか……

 

9:名無しの彼岸花 ID:6cv8PbtOn

千束ちゃんあと一ヶ月しか寿命ないのか……

 

10:名無しの彼岸花 ID:+Ytm1b3fX

……んなの、残酷すぎるだろ。なんで、こんないい子がそんな早く死ななあかんのや

 

11:名無しの彼岸花 ID:wQEz0rAAa

許せねえよ……

 

12:名無しの彼岸花 ID:Tt2Pdbt6P

いったい誰の仕業や

 

13:店員鈴蘭 ID:LyReBell

多分、吉松さんの手先。……心臓のこと掌握できるやつはそれぐらいしかおらんしな。

 

14:名無しの彼岸花 ID:XaUWSGR/b

は?じゃあ助けた子を自らの手で殺そうとしたんかあの胡散臭いヤツ

 

15:名無しの彼岸花 ID:B1ybUR2SD

イかれてんだろ……

 

16:名無しの彼岸花 ID:+teln7/ww

狂ってるとしか言いようがないやつやんけ

 

17:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ん、まあ……俺もそう思ったけどさ。だとしたら、心臓ぶっ壊してたと思うんよね。

それができるはずだし。……そうしなかったのは多分、なんか意図があると思う。

 

18:名無しの彼岸花 ID:n/rQSw+DA

あーそうか……掌握できてるなら、当然破壊方法も知ってるもんな。

わざわざ、二ヶ月の猶予を与えたのには理由がある可能性の方が高いんか。

 

19:名無しの彼岸花 ID:qKaFfJWqE

なるほどね、言われてみたらそうか。

 

20:名無しの彼岸花 ID:O56tFMjwc

……吉松シンジの目的はなんや?

 

21:名無しの彼岸花 ID:yZq85MM5B

わからん……謎やな……

 

22:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ、これは予想でしかないけど……

アランチルドレンとしての役割を示させるとか、そういうことかなーって……

 

23:名無しの彼岸花 ID:eREVq+hTx

あー……

 

24:名無しの彼岸花 ID:piOQL0gtl

そういえば千束ちゃん……殺しの才能持ってるであろう子なのに、やってることって……

 

25:名無しの彼岸花 ID:1XYPy2E0D

生かす方向性だもんな。不殺貫く戦い方だし。

 

26:名無しの彼岸花 ID:6w4LHFY7C

アラン機関としては、それはいただけない……ってことか。

 

27:名無しの彼岸花 ID:vXa8R04vJ

吉松シンジも上から脅されてる可能性もあるってことか……?

 

28:名無しの彼岸花 ID:Psq7mKbv9

ありそう

 

29:名無しの彼岸花 ID:mmkg+9Uso

アラン機関さぁ……

 

30:名無しの彼岸花 ID:1T9GjFkN6

アラカスを許すな

 

31:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあどのみち、その辺は問い詰めるしかないんやけどな。

……多分、吉松さんと真島が繋がってるから、真島経由で探るしかない。

 

32:名無しの彼岸花 ID:tXIxgoZks

そうやな……

 

33:名無しの彼岸花 ID:HHk5Gt7Og

ん?てか、真島の案件現状どうなってるんや?

 

34:名無しの彼岸花 ID:yezzWFvrq

そういえば

 

35:名無しの彼岸花 ID:tzKM9Je8t

イッチ、どうなん?

 

36:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あー今は、リコリス管轄で掃討作戦が行われる直前ぐらい?

なんだけどね……

 

37:名無しの彼岸花 ID:dIzWwbjYj

どうした?

 

38:名無しの彼岸花 ID:VJNGPD1tk

なんかそれだけで済みそうじゃないな?その言い方

 

39:店員鈴蘭 ID:LyReBell

……リリベルが動くかもしれん。というか、俺にも召集かかってる。

 

40:名無しの彼岸花 ID:e4GK9kkTr

は!?

 

41:名無しの彼岸花 ID:sSRX7deq8

ファッ!?

 

42:名無しの彼岸花 ID:eTumXltVN

お前ー!!リリベルに生存バレとるやんけー!!!

 

43:名無しの彼岸花 ID:5+gJ3q8HV

何処でバレたんやお前ー!!

 

44:名無しの彼岸花 ID:LXMmM8jMC

あのさぁ……

 

45:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ、バレたのは真島のヤツが千束ちゃんに襲撃しかけたときやな……

あのとき、慌ててたから変装とかしとらんかったんや。

それからずっと泳がされてたって感じ。

 

46:名無しの彼岸花 ID:5u2B8Cnhw

あー……

 

47:名無しの彼岸花 ID:72Q1q4OWg

まあ、あのときは緊急事態だったし仕方ないか……

 

48:名無しの彼岸花 ID:LjGggm2Ko

千束ちゃんの安全と自分の生存がバレるかどっちを取るかで

千束ちゃん選ぶのはまあわからんでもない

 

49:名無しの彼岸花 ID:F0wHRal6z

と、なると誰も悪くない……というか間が悪かった感じだな

 

50:名無しの彼岸花 ID:MM8ZvI7tL

しゃーないな……

 

51:名無しの彼岸花 ID:9BdvbQHhF

ん?ってことは待って?イッチ、もしかして今絶賛やばい?

 

52:名無しの彼岸花 ID:DL43k7oiR

あっ……

 

53:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ、うん。もしリコリスが真島一派掃討できなかったら

リリベルが動くことになってるんだけど……

そのときにリコリスを処理することになってる。

 

54:名無しの彼岸花 ID:mu2GkPUqV

マジか……

 

55:名無しの彼岸花 ID:c32DtjRgN

マ?

 

56:名無しの彼岸花 ID:HXkpr1lyQ

……それつまり、千束ちゃんやたきなちゃんと敵対するってことやんけ!?

 

57:店員鈴蘭 ID:LyReBell

一応、そうなってる。だからそれをどうにかするためにリリベルに戻る。

早い話、俺がリリベルに対してもリコリスに対しても一番の抑止力になってるからな。

 

58:名無しの彼岸花 ID:3wqGYb8Ef

あー、そっか……イッチってリリベルだとファーストで、

リリベル側の千束ちゃんみたいな立場だっけ

 

59:名無しの彼岸花 ID:JsA1zaZUQ

一理ある……のか?

 

60:名無しの彼岸花 ID:2cE/KV3Ou

とはいえ、動かないとダメなら動くしかないか……

 

61:名無しの彼岸花 ID:GnupfnwoA

で、なんでデートになるんやそこから

 

62:名無しの彼岸花 ID:yZRsDWWO4

そういえば本題はデートだった。

 

63:名無しの彼岸花 ID:kTUQ1RdVq

イッチ、どういうことか説明しろ???

 

64:店員鈴蘭 ID:mYl07vw2f

まあもし、人工心臓の替え……もしくはそれに連なる代替手段がなかったら

千束ちゃんの寿命は……だからさ、たきなちゃんが千束ちゃんと俺を誘ったんよ。

わざわざ旅のしおりまで作ってくれたわ。

【画像】

 

65:名無しの彼岸花 ID:whm+hJH+5

あらペンギンがかわいい

 

66:名無しの彼岸花 ID:5UTopjPYw

手作りか。かわいい。

 

67:名無しの彼岸花 ID:EGtNLygZX

そっか、よくよく考えれば

最悪の場合千束ちゃんやイッチと一緒に遊べるのってこの機会を逃せばもう……

 

68:名無しの彼岸花 ID:zU201Nmpp

ああ……そういうことか……

 

69:名無しの彼岸花 ID:YqHCB+UC3

胸糞わりぃ……

 

70:名無しの彼岸花 ID:DbJ83jRDE

三人で居られる時間はあとちょっとの可能性があるのか。

それに、千束ちゃんが救われたとしてもイッチは……

 

71:名無しの彼岸花 ID:KtYE8JEFl

リリベルに戻る以上、二度と帰ってこれない可能性が高いんやな?

 

72:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ、そういうことかな。

……だから今回だけは、百合の間に挟まるとかその辺目を瞑ってほしい。

 

73:名無しの彼岸花 ID:3N5Sm/ouY

しゃあねえなぁ……

 

74:名無しの彼岸花 ID:TxxYktSsx

まあそういうことなら今回は許したる。おもいっきり遊んでこい。

 

75:名無しの彼岸花 ID:1nRBCS2lS

悔い残さないように満喫してこい!!

 

76:名無しの彼岸花 ID:2z5NAOHa7

千束ちゃんとたきなちゃん泣かせたりつまんないって思わせたら容赦しねえぞ!!

 

77:名無しの彼岸花 ID:9mjJFEx0m

そのときはワイらがイッチを先に殺してやるから安心しろ

 

78:名無しの彼岸花 ID:P6AhN1B5e

何も安心できる要素なさそうで草

 

79:名無しの彼岸花 ID:l0T8SsCVC

どうみても四面楚歌なイッチ草

 

80:店員鈴蘭 ID:LyReBell

どのみち死にそうな気配しかしてないけどまあいいか……

じゃあ軽く遊んでくるわ。画像だけは貼ってくよ

 

81:名無しの彼岸花 ID:EQGNyn5yi

マ?

 

82:名無しの彼岸花 ID:GumITaXqO

たすかる

 

83:名無しの彼岸花 ID:BBZgQEIH/

ちさたきを摂取しなきゃ……

 

84:名無しの彼岸花 ID:2fWGMCP5x

イッチもついでに摂取していけ?

 

85:名無しの彼岸花 ID:oYAKEert9

異 物 混 入

 

86:名無しの彼岸花 ID:f0dbgts5W

微妙に失礼で草

 

87:店員鈴蘭 ID:LyReBell

普通に失礼やな?百合に挟まってる異物なのは否定せえへんけど。

 

88:名無しの彼岸花 ID:8gsYonsJ2

しないんだ……

 

89:名無しの彼岸花 ID:FgGpAAOOA

まあたしかに百合に挟まってるからなイッチ……

 

90:店員鈴蘭 ID:LyReBell

というわけでたきなちゃんの服買ったわ。

【画像】

 

91:名無しの彼岸花 ID:Fie0X1k+A

あらかわいい

 

92:名無しの彼岸花 ID:j/yejY4VX

黄土色のニットの服とオシャレな赤帽子がいい味出してんねえ

 

93:名無しの彼岸花 ID:38A8Qilkw

てかなんでいきなり服を……?

 

94:店員鈴蘭 ID:LyReBell

たきなちゃん、私服に無頓着すぎて以前千束ちゃんたちと買った夏服しかなかったんよね……

それ着て出かけようとしてたからさすがにそれは……ってなって急遽ね……

 

95:名無しの彼岸花 ID:eondqQIPw

それはイッチたちが正しい

 

96:名無しの彼岸花 ID:CgsOqRJwb

たきなちゃんさぁ……

 

97:名無しの彼岸花 ID:v97v0vtEA

無頓着にもほどがありすぎる。

 

98:名無しの彼岸花 ID:KuJLrjq7t

子供は風の子とは言うけど別に風邪をひかないわけではないんだよなぁ……

 

99:名無しの彼岸花 ID:AFQvmN+ry

そうだよ。

 

100:名無しの彼岸花 ID:N21rp6qJ3

イッチたちがこればっかりはえらい

 

101:名無しの彼岸花 ID:iog8yMGNU

たきなちゃんマジで無頓着すぎるよな……

 

102:名無しの彼岸花 ID:0qfTItAIv

合理性の塊というかなんというか……

 

103:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ゲーセンで久しぶりにマ〇カしたわ。クソ懐かしくて涙でそう

【画像】

 

104:名無しの彼岸花 ID:TLi/eGqVj

ほんとに懐かしいヤツで草

 

105:名無しの彼岸花 ID:R5fVTWDkZ

ゲーセンの〇リカ、本格的な操作感あっていいよね。

 

106:名無しの彼岸花 ID:3rMN4lqC8

わかる。

 

107:店員鈴蘭 ID:LyReBell

あ、あと一応プリクラ撮ったのとイヌのぬいぐるみクレーンゲームで取った。

【画像】

【画像】

 

108:名無しの彼岸花 ID:a2XyQzNw+

あらかわいい

 

109:名無しの彼岸花 ID:4UruGY/01

イッチプリクラ撮るときちょっと照れてるの草

 

110:名無しの彼岸花 ID:KuQoSbbPZ

なまじ顔が良いから照れ顔似合うのムカついてきたな……

 

111:名無しの彼岸花 ID:zby9H3lbi

三人とも素材は良いからな……

 

112:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そりゃこんなキャピキャピしたモノやったことないんだから、恥ずかしいわ。

……あと、たきなちゃん予定してるスケジュール徹底管理してるからめちゃくちゃキビキビ動かれる。

 

113:名無しの彼岸花 ID:/h7/wps/8

 

114:名無しの彼岸花 ID:Mr66i+opV

まあ、たきなちゃんって時間にルーズなタイプではないよな……

 

115:名無しの彼岸花 ID:aFGkQKVbI

デートとかだと一番辛いタイプの相手じゃん

 

116:名無しの彼岸花 ID:l2Q+a21Pz

やめなよ

 

117:店員鈴蘭 ID:LyReBell

これはホットケーキ食ってる最中に、時間だから行きますよ。って言われて

口の中に詰め込んでた千束ちゃんです

【画像】

 

118:名無しの彼岸花 ID:WAvgZ9ino

 

119:名無しの彼岸花 ID:84xw+5gQ4

かわいい

 

120:名無しの彼岸花 ID:dGPnPFjhJ

もごもごしてて笑う

 

121:名無しの彼岸花 ID:5XIBo+yj4

どこぞの桃色ピンク玉かな?

 

122:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ちなみに予定してた水族館は水槽の整備で臨時休業でした。

【画像】

 

123:名無しの彼岸花 ID:3Pz5RlVJf

悲しい……

 

124:名無しの彼岸花 ID:VZ0aV2rvT

まあそういうこともある

 

125:名無しの彼岸花 ID:S9T+iFCM2

仕方ないね

 

126:店員鈴蘭 ID:LyReBell

というわけで次の予定時間まで千束ちゃんの案内で釣り堀にきてお魚釣りしてます。

【画像】

 

127:名無しの彼岸花 ID:W0ZgjVVrU

なんかシュールで笑う

 

128:名無しの彼岸花 ID:Hp6W/Rxjs

イッチが微妙に様になってるのなんなん

 

129:名無しの彼岸花 ID:w5SxD+qLl

その辺のおっちゃんと並んでも違和感ないなイッチ

 

130:店員鈴蘭 ID:LyReBell

人をおっちゃん扱いしないでくれ。

精神的には否定できないけど肉体年齢は20代前半なんや……

 

131:名無しの彼岸花 ID:QhkuW2b+V

よし、この話題はやめよう!ハイヤメヤメ!

 

132:名無しの彼岸花 ID:MGUVoW9mR

年齢の話はいくつになってもタブーやねんなって……

 

133:名無しの彼岸花 ID:RZoTQGHQF

悲しくなるだけだからね……

 

134:名無しの彼岸花 ID:THVoulLbw

ジェネレーションギャップを感じた瞬間人は簡単に死ねるんだ……

 

135:名無しの彼岸花 ID:o+s9zrgHx

やめろ

 

136:名無しの彼岸花 ID:cG3GBmdGe

傷口に塩を塗りにくるな

 

137:店員鈴蘭 ID:LyReBell

電車に揺られてドンブラコ。どこに行くか内緒らしい。

ちなみにこれは電車の中でちょっとスヤスヤの二人

【画像】

 

138:名無しの彼岸花 ID:h+ihYk1Qu

あら^~

 

139:名無しの彼岸花 ID:V9gZHicq6

ちさたきたすかる

 

140:名無しの彼岸花 ID:mW6aCmcDn

てぇてぇ

 

141:名無しの彼岸花 ID:8GuluUIcg

イッチはその隣か?

 

142:店員鈴蘭 ID:LyReBell

せやね。最初はなんか間に挟んできそうだったから全力で拒否させてもらった。

 

143:名無しの彼岸花 ID:DQySHNmaB

かしこい

 

144:名無しの彼岸花 ID:nqv/A+sXH

お前は実に正しい選択をした。

 

145:名無しの彼岸花 ID:BW03iMSAM

えらい

 

146:名無しの彼岸花 ID:2wGFJVA/2

たまにはやるやんけイッチ

 

147:名無しの彼岸花 ID:RX3Lvq/7c

やっぱりイッチの評価低いの笑う

 

148:名無しの彼岸花 ID:JpvdEmHli

百合に挟まってるからね、仕方ないね

 

149:名無しの彼岸花 ID:+5QtSysjd

百合に挟まるのは大罪だからな

 

150:店員鈴蘭 ID:LyReBell

はいはい我のせい我のせい。

まあそのまま……夜の公園?にきたわ。

桜ヶ丘公園……?だったかな。

【画像】

 

151:名無しの彼岸花 ID:G2E6dyAA/

あ、桜ヶ丘か

 

152:名無しの彼岸花 ID:EEk21BCKL

ここ特撮でよくロケ地に使われてる場所じゃん

 

153:名無しの彼岸花 ID:O7W30a6Fy

あ、(ビルド最終回のあらすじ語りのシーン)ここかぁ!

 

154:名無しの彼岸花 ID:fbddh9Oid

つまりちさたきは仮面ライダービルドだった……?

 

155:名無しの彼岸花 ID:UDP8IaFWE

赤青コンビと赤紺(制服)コンビだからちさたきは実質戦万でしょ

 

156:名無しの彼岸花 ID:+fCqG2/6p

なるほどね?

 

157:名無しの彼岸花 ID:l+mDKIm+f

はえー

 

158:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ当然だけど、たきなちゃん。くしゃみし始めて冷えてきたっぽいから上着貸した。

【画像】

 

159:名無しの彼岸花 ID:cWC5XgScs

そら(その薄着じゃ)そう(なる)よ

 

160:名無しの彼岸花 ID:kkifigzH4

イッチの上着と……千束ちゃんのマフラーか。

 

161:名無しの彼岸花 ID:fNyd30PTB

なんか……(心も)あったかい……

 

162:名無しの彼岸花 ID:VJsDkjx4P

いいね、こういう……ほのぼのする感じ

 

163:名無しの彼岸花 ID:lCH6DTuO3

わかる

 

164:店員鈴蘭 ID:LyReBell

こうすれば寒くないよ!って引っ付いてくるのはさすがに色々まずいと思うけどね

 

165:名無しの彼岸花 ID:KUtxJjmva

イッチ????

 

166:名無しの彼岸花 ID:NO/4DAVj/

お、その発言まてい。

 

167:名無しの彼岸花 ID:AL6ilHPmb

イッチいまもしかして????

 

168:名無しの彼岸花 ID:khzGKRRem

やったなお前?

 

169:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ッスー……たきなちゃんと千束ちゃんにベンチでサンドイッチされてますね……

 

170:名無しの彼岸花 ID:yI+bhn/be

はい有罪

 

171:名無しの彼岸花 ID:01wsUb0PU

目を瞑るとは言ったが許すとは言ってないぞイッチ

 

172:名無しの彼岸花 ID:HqlFVGNQm

これはもうぜったい許されへんし?

 

173:店員鈴蘭 ID:LyReBell

トンチをしようとするな。

……やっぱり、たきなちゃんはDAに戻るみたいや

 

174:名無しの彼岸花 ID:LJuqDSI/Y

マ?

 

175:名無しの彼岸花 ID:Z+M4Y4NXv

まあ、そうか……千束ちゃんを助けられる可能性があるなら……

真島から吉松さんの痕跡追うのが現状最善だもんな。

 

176:名無しの彼岸花 ID:wGcAVJrLs

でもそうなるとたきなちゃんとイッチは……

 

177:名無しの彼岸花 ID:O0o9Pd1jf

最悪の場合敵同士か……

 

178:名無しの彼岸花 ID:3ZU3Qjw7g

どうしようもないんかこれ……

 

179:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ん、まあ……こればっかりは仕方ないわ。俺も、たきなちゃんも……

千束ちゃんを助けるために今できることを全力でしようとしてるだけやし

結果として、敵対してしまうなら仕方ない事よ

 

180:名無しの彼岸花 ID:monGj9kTI

……でもなぁ

 

181:名無しの彼岸花 ID:IqIh/KyQZ

なんか、やるせねえよな……これ……

 

182:名無しの彼岸花 ID:1ZjF36hrW

たきなちゃんもイッチも悪いわけやないし……

 

183:店員鈴蘭 ID:LyReBell

まあ、なるようになるしかないわ。

……そうなった時はそうなった時で考えるよ。

ちなみに、たきなちゃんの予定通り……雪は降ったで

【画像】

 

184:名無しの彼岸花 ID:7V/7QEU5G

……綺麗やな

 

185:名無しの彼岸花 ID:Kit0PgozW

ホワイトクリスマスか?

 

186:名無しの彼岸花 ID:X7Rfdzzrl

そういやちょくちょく画像に映る一般人のなかに

サンタ服の人とかも居たからその辺か、時期は

 

187:名無しの彼岸花 ID:A1plCrJHX

ロマンチックとはいっても……なんか、なぁ……

素直に喜べない複雑さよ。

 

188:名無しの彼岸花 ID:Y74bnJ/Oj

ほんそれ。

 

189:店員鈴蘭 ID:LyReBell

……ま、ここでくよくよしても仕方ない。

たきなちゃん見送ったし……そろそろ俺も行くよ。

 

190:名無しの彼岸花 ID:40FYyyVqC

……そっか。イッチも行くんやな。

 

191:名無しの彼岸花 ID:TL+wn8dM3

後悔はせえへんか?

 

192:店員鈴蘭 ID:LyReBell

そればっかりはわからん。

……けど、やらないで後悔するぐらいなら、行動して後悔したい。

 

193:名無しの彼岸花 ID:vkrbpJP4P

なら、ワイらから言う事はないな。

 

194:名無しの彼岸花 ID:I7EZLg2Lo

せやな……イッチ。後悔はしてもいいけど、死ぬなよ?

 

195:名無しの彼岸花 ID:wpSUyIm/z

せやせや、イッチが死んだら千束ちゃんやたきなちゃんたちも悲しむからな。

ワイらもスレで話せなくなったら寂しいしな。

 

196:店員鈴蘭 ID:LyReBell

ありがとう。まあそれに、千束ちゃんからクリスマスプレゼントにネックレスももらったしな。

死ねない理由が少しはできたよ。

 

197:名無しの彼岸花 ID:Nqaiv33IS

ネックレス? ネックレスを贈る意味ってたしか……

 

198:名無しの彼岸花 ID:1xlZQgr+W

あっ、ふーん……

 

199:名無しの彼岸花 ID:NldnT3ReJ

イッチお前マジで死ぬなよ???死んだら一生千束ちゃんに呪われるぞ?

 

200:店員鈴蘭 ID:LyReBell

え、こわ。なに急に……

 

201:名無しの彼岸花 ID:6awbF3Yx4

いやまあイッチが知らないならええけど……

ちゃんと生きて帰ってこいよ。

 

202:店員鈴蘭 ID:LyReBell

わかってる。しばらくスレには顔出せんけど、それは許して欲しい。

 

203:名無しの彼岸花 ID:eB0pEc5W+

そればっかりは仕方ないわ

 

204:名無しの彼岸花 ID:+Fc8/w8Kc

健闘を祈るで、イッチ。

 

205:名無しの彼岸花 ID:pLMvg2Qwo

まあ、いざとなったら知恵は貸すから頼ってくれ。

 

206:店員鈴蘭 ID:LyReBell

サンキュ。じゃあ、いってきます。

 

207:名無しの彼岸花 ID:Mg95wVh/b

…………行ったか?

 

208:名無しの彼岸花 ID:e2epr6AE0

多分?

 

209:名無しの彼岸花 ID:nzLTBUnce

……ホントに、全部が全部最終決戦って感じやな。イッチのところ

 

210:名無しの彼岸花 ID:WLoiuu+tu

せやな……誰一人欠けることなく……事が済めばいいけど……

 

211:名無しの彼岸花 ID:qUCy7haPj

無理そうな感じ、あるよなぁ……

 

212:名無しの彼岸花 ID:jWigwj06W

できることなら、イッチと千束ちゃんたちが敵対するようなことにならないといいな。

 

213:名無しの彼岸花 ID:un7fyHW2p

ほんそれ。あんなに仲が良い感じなのに……

殺し合わなきゃいけなくなったらあまりにもやるせないもん

 

214:名無しの彼岸花 ID:s8gavPB81

……ホント、何事もなく終わって欲しいな。

 

 



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The fat is in the fire

ここから先、しばらく掲示板はないです。

掲示板形式詐欺です。


今回のメインは男たちの話。


「……それで、本題はなんですか」

 

『話が早いな、それでこそ灰色というべきか』

 

 窓から外を覗けば、見知った服の少年たちがちらほらと立っている。

 なるほど、囲まれたか。棗は悪態をつくように顔を顰める。

 

「お褒めの言葉ありがとうございます。……世辞はなしにしましょう。司令」

 

『ふむ、そうだな……なら、本題に入ろうか。立花 棗。真島案件に君を使うことになった。これは決定事項だ』

 

 決定事項。つまり拒否権はないということだ。しかし、引っ掛かることがある。

 

「……真島案件は、彼岸花(リコリス)の管轄では?」

 

『ふむ、君の疑問はもっともだ。……確かに、現在"は"楠木くんたちの管轄だ』

 

「……なるほど、現在"は"……ですか」

 

『そうだ、既に彼女達は四度、真島に遅れを取った。これを上層部は重く見ているのだよ』

 

 一度目は千丁の銃取引、偽の取引時間を掴まされ、結果として千丁の銃は真島一派に渡ってしまった。二度目は地下鉄襲撃。ここでは先手をとったが、それでも彼らが用意した爆弾で被害は出た。経済的にも……リコリスにもダメージがでた。三度目は、リコリスの襲撃。リコリスの存在を知り、そのうえで襲撃という明確な挑発行為に出た。そしてなにより……DAの切り札ともいえる錦木 千束にも襲撃をかけた。

 最後の四度目、警察署襲撃。囮映像を使い、リコリスを各地に配置させることで本命の警察署襲撃を遂行した。

 

 そう、既にリコリスは四度も後手にまわされた。

 

『仏の顔も三度撫ずれば腹立てる……という、言葉を君は知っているかね?』

 

「生憎、そういった知識は養成機関で学ばなかったので」

 

『……ふむ、そうだったか。だが、これは文字通りの意味だとも。DAも上層部としてもこれ以上の損失は手痛いものになる。つまり……』

 

「────次の失敗は許されない。もし失敗すればリコリスの処分……あるいは、現状の我々のように活動規模を縮小させることになる、ということですか」

 

『理解が早いようで助かるよ。もっとも、我々のように活動自粛……縮小になるのであれば、まだ優しいだろうがね』

 

 それはつまるところ、名誉挽回のチャンスは既にリコリス側に存在しないということだった。

 ────四度の失敗とは、それほどに大きいのだ。

 

「……そして上層部は次も失態を犯す可能性があると見ている、ということですね」

 

『いかにも。僅かとはいえ『ラジアータ』を誤魔化すことができるウィザード級のハッカーが真島一派の中にいる、というのも危険視しているのだよ。『ウォールナット』には劣るが、それでもそれができるハッカーというのは少々こちらの手に余る』

 

「……情報部を攪乱できる相手、というだけで厄介極まりない、と」

 

『そういうことだ』

 

 足取りが掴めないハッカーほど厄介な相手はいない。確かにその通りだ。であれば……

 

「ラジアータに頼れない以上、現場の判断も必要になる。そこで俺……ですか」

 

『そうだ。理解が早いな。君の数多の実績を考えれば不思議ではないだろう? 

 ……ファーストとは、そして君に与えた灰色という立場は、戦闘力だけを評価して与えたモノではない。

 我々君影草(リリベル)は個人主義ではなく団体主義だ。理解しているだろう』

 

「…………しかし、俺は公には死んだことになったはずでは?」

 

『それでくたばるような者を私はファーストに昇格させたつもりはないがね。それに、君は些か暴れすぎた。錦木 千束との逢引きは楽しかったかね?』

 

「……なるほど、理解しました」

 

 タヌキめ、と悪態つく。この虎杖という男は立花 棗の生存を誰よりも疑っていなかった。そして、把握してからも泳がせていたということだ。食えない男だと舌を打ちそうになる。化かされたようなものだ。

 

『……真島案件において上層部がリコリスの処分を決定した場合。君の任務は、真島及びリコリス全ての処分となる』

 

「────」

 

 本気で言っているのか、コイツは。棗は思わず、激昂しそうになるが……大きく深呼吸をする。

 ここで冷静にならなければこの男に掌の上で転がされる。そう判断したからこそだ。

 

「…………なら、俺から1つ……戻るうえで条件をつけさせてください」

 

『ほう、条件ときたか。……それができる立場だと?』

 

「別にその条件を守ってくれなくて構いませんよ。その場合……今この周囲にいるリリベルと、あなたの首を斬るだけなので」

 

『………………』

 

 必ず殺す。明確な殺意をもって、棗はそう返す。脅しともいえぬ脅しだ。

 だが……虎杖という男は、立花 棗ならばできると知っている。

 

『ふっ……いいだろう、ならば君の条件を聞こうじゃないか』

 

「……簡単ですよ、俺が戻る条件。それは────」

 

 口にする。そして、俺にとっての逆鱗がなんなのかも差し示す。

 

『……ふむ、それでいいのかね』

 

「ええ、構いませんよ。守らなかった場合殺すだけですから」

 

『分かった、ならば君のその条件を呑むとしよう。交渉成立だ』

 

「ありがとうございます」

 

 何処がだ。と棗は心の中で舌を打つ。

 やはり食えない男だ。苦手な部類と言っていいだろう。

 お互い、ただ脅し合っただけのやり取りのどこが交渉というのだろうか。

 

「それで、決行日は?」

 

『時期は未定だ。しかし……リコリスが真島に総攻撃を仕掛ける作戦が近日中に行われる』

 

「……なるほど、その結果次第ですか」

 

『そうだ。その結果次第で我々の動きは変わる。静観か、排除か……そのどちらかでしかないがね』

 

「つまり、それまでの間……俺たちには牙を研げと」

 

『理解が早いようでなによりだよ。……集団戦を得意とするリリベルが連携もとれぬようでは評価も落ちるというものだ』

 

 顔合わせをして、しごいておけ……と遠回しに告げる虎杖。その意図を察せてしまうからこそ顔を顰めてしまう。

 

「……わかりました、では後日」

 

『期待しているよ、最強のリリベル……灰色の切り裂き魔(アッシュ・ザ・リッパー)

 

 プツ、とスマホの通話が切れる。

 

「…………はぁ」

 

 大きなため息を吐いてソファに座り込む。もとより、全てが上手くいくなどと思ったことはない。

 思ったことはない、が……

 

「参ったな。本当にタヌキに化かされた気分だ」

 

 忌々しい、と舌打ちする。虎杖という男が立花 棗は常に苦手だった。あの何食わぬ顔も、腹の底で何を考えているかわからない切れ者加減も……すべてが苦手だった。

 

「……チッ、全員撤退したか」

 

 ストレス発散にでも付き合わせようか、と窓の外を見れば……他のリリベルは既に撤退していた。

 誰か一人でも血迷ってこちらに突入してくれていれば正当防衛としてストレス発散に付き合わせられたものを……なんて考えて、頭を横に振る。

 

「ダメだな……虎杖司令と会話したからか……あの頃みたく思考が過激に寄ってる……」

 

 リリベル時代の自分に戻ったような感覚だ。気持ち悪い。

 だが、戻ると決めてしまった以上……覚悟を決めねばならないだろう。

 

「明日、誰よりも早くリコリコについて……全部持っていく準備をしないとな」

 

 ────

 

「ゲホッ……げほっ……! 埃がたまりすぎだろ地下倉庫……! これじゃあ、銃をどこに置いたかもわかったもんじゃねえ……」

 

 翌日、明朝。棗はリコリコの地下倉庫で必要なものを取り出そうと捜索していた。

 誰にも言うつもりはない、そっと去るつもりだ。……そうしないと、いけないと思ったから。

 

「……これは、違うな。さすがに大きすぎる。……こっちも、違うか……あー、マジでどこに置いたんだおやっさんは」

 

 文句をたれるが、こればっかりは自業自得でもある。その必要なものを渡したのは棗自身なのだから。

 まあ、そうして苦戦していたからこそ……

 

「……棗くん、なにをしているんだ?」

 

「っ、おやっさん……」

 

 こうして、見つかってしまったのだが。

 

「…………はあ……」

 

 ため息ばかり吐いてるな、と苦笑しながら棗は観念したようにミカに向き直る。隠していたって仕方ない。どうせバレる話だ。なら……彼にだけは話しておかねばいけないだろう。

 

「別に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「っ、それは……」

 

 その言葉の意味を理解できないミカではない。だから……それが、何を指すのか理解してしまった。

 

「まあ、いつかはこうなるかも……とは思っていたんですよ、俺も。だから、そんな顔しないでください。()()()()

 

 明確な拒絶の意。それを示すように喋りながら棗は倉庫を漁る。

 

「……おやっさん、とは呼ばないのか」

 

「呼べる資格はもうないでしょう。約束を先に破ったのはこちら側だ。むしろ……貴方には、俺を撃ち殺す権利すらある。アイツを悲しませないうちに」

 

「……そうだな」

 

 それでも、彼はこちらに銃を向けたりはしない。ああ、本当に……千束によく似ている。

 いや……この人だからこそ、千束はあんな風になったんだろうな、と思わず笑ってしまう。

 

「……そこにはない、棗くん」

 

「……え?」

 

「ついてきなさい」

 

「…………わかりました」

 

 ミカに誘導されるがまま、彼の後をつける。そうして、ミカが案内した場所には────

 

「これ、は……」

 

「覚えているだろう、君も」

 

「……ええ、まあ」

 

 わざわざ、俺の成人式を見たい……なんて、ワガママを言った千束に絆されて……買った晴れ着を入れていた箱だ。

 

「覚えていないわけがないでしょう……俺の思い出ですから」

 

「そうか……」

 

 ミカは軽く、返事をしながらその箱を取り出し……蓋を開ける。

 晴れ着をどけたその下に……立花 棗がかつて使っていた45口径の大型拳銃(Mk23)とコンバットナイフが入っていた。

 

「……ここに入れていたんですか」

 

「……君も、ここなら迂闊に手は出さないと思ってな」

 

「……食えない人だ。俺の心理……弱みに漬け込むとは」

 

「戦場とは、弱みに漬け込めた者勝ちだ。そうだろう?」

 

「まあ、違いないですね」

 

 確かに、晴れ着を買ってもらった恩、千束との思い出。それらを拳銃を捜索することと天秤にかければ……立花 棗は拳銃を探せない。それほどまでに、ミカや千束たちとの思い出は立花 棗にとって大きなものだったからだ。

 

「……うん、重い。それに……」

 

 棗は、Mk23とコンバットナイフを手に取り、構えながら実感する。

 やはり……しっかりと、メンテナンスが行き届いたままだ。十年以上、この銃もナイフも使っていなかった。多少錆ついていたり、埃をかぶっていても不思議じゃないはずだ。だというのに、錆も汚れも埃も、いっさい二つの武器からは見つからなかった。それはつまり……

 

「どうして、これのメンテを。しない方が……貴方にとっては利点だらけだったでしょう」

 

 それどころか、解体したって良かったはずだ。これがなければ少なくとも、真正面から千束を完全に殺すことはできない。そういう意味ではミカにとってこの銃はなくてよかった代物だ。だというのに、彼は……欠かさず、棗の愛銃をメンテナンスし続けていてくれた。なぜなのか、棗は理解できずに問いかけてしまう。

 

「何度か、そうは思ったさ。……だが、君といる千束の楽しそうな顔を見ていると……その気は起きなかった」

 

「…………」

 

「千束がそうだったように……君もまた、千束に心を許していた。千束は、本当に大切なものを見つけてくれたんだな。と私はそう思った。だからこそ、私は君を許した。君を千束と共に育てようと思った」

 

 そうして、立花 棗も共に面倒を見ていくうちに……ミカの中に、心境の変化があった。

 

「……気付けば、君も私の中ではかけがえのない存在になっていた。千束と同じぐらい、大きなモノにな」

 

「……ミカさん」

 

 その言葉の意図を察してしまう。ああ、どれほど苦悩したのか……考えたのか、悩んだのか。

 棗は、顔を悲痛に歪める。そんなつもりはなかったからか、或いは……

 

「君にとっては厚かましいことかもしれん。だが、それでも……私は、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「────」

 

 その結果が、この甘さだった。彼の銃を手入れして……いつでも戦場に赴けるようにしてしまった。それが、どんな不幸を呼ぶかも分かっていたのに。この銃を解体することも、捨てることもミカにはできなかった。

 

「……参ったな、やっぱり……貴方にだけは敵いそうにない」

 

「これでも、君よりは長い年月を生きているんだ。単純な人生経験の豊富さだよ」

 

「だとしても……同じ土俵に立っていたとしても、俺は貴方に口論では敵う気がしませんよ」

 

「そうか……」

 

 少し、沈黙する。何を言うべきか……お互いに測りかねていた。

 沈黙を破ったのは棗だった。彼は、己の懐にしまっていた……麻酔型拳銃(Mk22)偽造ナイフ(スタンガン)を取り出す。

 

「これは、お返しします。この先の俺には相応しくない」

 

 十年、愛用したその武器を手放す。その意図など分かりきっている。決別だ。殺さずに戦い続けた十年の日々を……ミカに作ってもらったその武器を捨てることで、立花 棗はいっさいの繋がりを捨てようとしている。

 

 だが、ミカはそれを受け取らなかった。

 

「……それは、私が君に渡したモノで、君のモノだ。……私の銃ではない。君が持っておくべき銃だ」

 

「……しかし」

 

「それに、使い方次第では……それらも人殺しの武器になる」

 

「────」

 

 そうだ、麻酔銃だろうがスタンガンだろうが……使い方次第では人を殺せたのだ。だが、棗はそれを理解していてなお、殺すために使わなかった。……使いかけたことはあったが、それも誰かを守るためだ。そこには確かな棗の想いが込められている証だった。

 

 ────ああ、本当に敵わない。棗は苦笑いを浮かべる。

 

「武器は多い方が、君にとっても利点となるはずだ。違うか?」

 

「…………わかりました。後悔、しないでくださいよ。俺に渡したままにしたこと」

 

「後悔などないさ、君の目を見ればわかる」

 

「……本当に食えない人だ。ミカさんは」

 

 全て見透かされているようで、背中がむず痒い。ただ、その感覚もなんだか悪くないと棗は思えてしまっていた。ああ、そうか。千束だけじゃない……俺はこの人にも、いや……リコリコという場所に絆されていたんだな。と理解してしまった。

 

「棗くん……?」

 

 大きな身体だ。ミカに抱きついて棗はそう思う。本当に、父のように安心する身体だ。

 

「…………俺も、貴方のことは父親のように思っています。それは、今も変わらない」

 

 そうだ、本当に父親のような人だった。千束にとっても、俺にとっても。温かかった。心地良かった。本当に、楽しかった。時に千束と一緒に怒られたり、迷惑を掛けて困った顔をさせてしまったり。……本当に、嬉しかった。

 

「ありがとう。────()()()

 

「────」

 

 ミカは、強く棗を抱きしめる。大切な子供に対するように。

 

「すまない……棗くん、私は……」

 

「……構いませんよ、貴方にとって誰よりも大切なのは千束だ。それでいいんですよ」

 

 そうじゃないと、俺は後悔なくこの場所を去れない。天秤にかけて選ぶのは俺でなくて、千束であって欲しい。俺がそうしたように。

 

「すまない……」

 

「その気持ちだけで充分です。今まで、ありがとうございました」

 

「棗くん……何があっても、ここは君の帰る場所だ。千束も、私も……ミズキやクルミ、たきなも、君が帰ってくると信じている」

 

「────ありがとうございます」

 

 独りではないんだ、そう告げるようなミカの言葉に棗は笑って返す。ああ、本当に……その気持ちだけで充分だ。

 

「…………たきなが、千束と君に……何かをしたいと言っていた」

 

「え?」

 

「……今日だけは待ってやってくれないか?」

 

「…………」

 

 棗は少し考えこむ。これ以上、ここにいると決心が鈍るかもしれない。

 ただ、それでも────

 

「……はぁ……分かりました。今日だけです……どのみち、今日は帰還の準備の予定でしたから」

 

「……すまんな」

 

「お気になさらず。俺が自分で決めたことです」

 

 たきなが何を思い、何をしようとしているのかは分からない。それでも、想いを踏みにじれるほど非道ではなかった。

 つくづく俺は千束とたきなに甘いんだな、と棗は自分に対して呆れるようにため息を吐いた。

 

 ────

 

「へいらっしゃーい! いらっしゃーい!! らっしゃっせー!! らっしゃーい!!」

 

「じゃかあしいわ!!」

 

「あ、ごめん。……はぁぁ……暇だなぁ」

 

 有り余る元気を消化するように掛け声を続ける千束。少ししてからミズキに咎められて黙り込むが……客がいない日はやはり物静かな店になるリコリコにおいては退屈な時間であった。

 

 そんなとき、カランと来客を報せる鐘が鳴り千束はそちらを見るが────

 

「あ、いらっしゃ────お、おお……おかえり?」

 

 そこには何故か、夏服……というより千束と棗が選んだ私服を着込んだたきなが立っていた。

 

「千束、棗さん。ちょっとお話が」

 

「え、あ……はい?」

 

「…………ん、わかった」

 

 カウンターに座っていた棗は腰をあげてたきなの方に向かい、千束はきょとんと首を傾げる。

 たきなに畳席に案内され、向かい合うように千束と棗は座り込み、たきなを見る。

 

「なにごっこ!?」

 

「え?」

 

「……は?」

 

「ん……?」

 

 千束の言葉に首を傾げるのはたきなと棗であった。まあ、畳席で沈黙し続けて向かい合うだけだったらなんというか、ウチの娘はやらん。みたいなままごとのように思えたのは事実だし仕方ないのだが。

 

「いえ、別にそういう遊びではなく……」

 

 ポン、と机の上に『あそびのしおり ~休暇プログラム~』と書かれたたきなが作ったであろうしおりが置かれる。

 

「これ……は?」

 

「……出かけましょう。私と、千束と、棗さんの三人で」

 

「……!!」

 

 たきなのその言葉を聞いた千束は目を輝かせて、ミカとミズキのいるカウンターの方に視線を向ける。

 

「いってきなさい」

 

 ミカは頷いてそう返す。

 なるほど……たきなが、したいこと。か……と棗は納得するように目を閉じた。

 

「ようし! そうなったら早速着替えるぞー!! 棗も、ほら! 着替えて着替えて!!」

 

「ちょ、おいこら。急かすな!?」

 

 千束に腕を引っ張られて、急かされるように連れて行かれる。一番浮かれているのは千束だろう。それを見ながら、困ったように、仕方なさそうに……棗は笑った。

 

 きっとこれが最期になるかもしれない。そう思ってしまったからだろう。




立花 棗

誰が何と言おうと、俺にとって貴方は父親でしたよ。ミカさん。


ミカ

……すまない、棗くん。


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Gather ye rosebuds while ye may.

デート回です。


千束ちゃんがちょっとしっとりします。


「ほほう、まずはここかぁ……」

 

 たきなに誘われて連れてこられた場所は以前、たきなの私服や諸々を買ったショッピングモールだった。

 

「……てか、それ寒くないたきな?」

 

「これ、お二人に買ってもらった服なので」

 

 そう、たきなが着ていた服は夏服である。当然だ、たきなの服を選んだ時期は夏に差し掛かっていた頃だ。冬服など売っているはずもない。

 

「……いや、お前夏服じゃねえか、冬服どうした」

 

「ないです、これしかありません」

 

「マジかよお前」

 

 いくら服やオシャレに無頓着と言っても限度があるだろ……と棗は頬を引き攣らせる。それ以外の私服ゼロってお前……

 

「ようし! なら千束さんがたきなの服の冬バージョンを選んじゃるよぉ!」

 

 と、千束の突拍子な言葉でそのままショッピングモール内で服を買うことになったのだが……

 

「おほー!! やっぱたきな、素材がいいからめっちゃ似合うわあ!!」

 

「…………お前も素材って言ってんじゃねえか」

 

 赤い帽子に、白い長袖の冬服、その上には黄土色のニット服、そして紺色のロングスカートを着たたきなが試着室に立っていた。

 

「……どうでしょうか」

 

「ん? あーそうだな……」

 

 その衣服を着込みくるり、と一回転したたきなは棗に感想を聞こうとする。

 ……なるほど、確かによく似合っている。可愛いな。と棗はそんな感想を抱く。

 

「似合ってるよ、すごい可愛い」

 

「……ありがとう、ございます」

 

 その言葉に少し照れたように、たきなは顔を赤くする。

 

「ちょっとー二人の世界に入らないでー?」

 

「「あっ」」

 

 千束が頬を膨らませながらそう告げたからか、二人は はっ、と我に返る。

 それと同時にたきなのスマホからアラームが鳴り響く。

 

「時間なので移動しましょう」

 

「え、まだコート買えて……」

 

「時間ないのでこれで」

 

「えー!?!?」

 

「やっぱ予定ギチギチに詰めすぎだろ……」

 

 急かすように、たきなは服を買い終えるとそのまま千束と棗を連れて行こうとする。棗は彼女が作ったしおりを改めて見直しながら苦笑いを浮かべたのだった。

 

 ところ変われば次の予定はゲームセンターである。

 

「おー! マリカじゃんマリカ!! 棗ー! たきなー! カートで競おうぜ!!」

 

「また懐かしいモノを……俺はやらんぞ」

 

「……いいですね、棗さんも一緒にやりましょう」

 

「えっ」

 

 問答無用で付き合わされた。

 

「くらえ棗ぇっ!!」

 

「ばっ!? おまそこで青甲羅はやめろ!!!? あーっ!!!」

 

「あ、スターがでました」

 

「なあ! 俺だけキノコしか出ないんだけどバグってんだろ!!?」

 

 ちなみに、棗はアイテム運でボロ負けしたようである。

 

「うーん……」

 

「千束、どうしました?」

 

 クレーンゲームの前で睨めっこをする千束に不思議そうにたきなは顔を覗かせる。

 

「あーいや……このイッヌ、たきなに貰ったキーホルダーと同じヤツでさー」

 

「……そういえば」

 

 筐体の中にある犬のぬいぐるみを見てたきなは、なるほど……と頷く。

 たしかに、彼女が以前千束に渡したキーホルダーの犬と種類は一緒だろう。いわゆる「怖可愛い」というタイプのぬいぐるみだ。

 

「これ、欲しいんですか?」

 

「あ、いやー……ちょっと気になるけどぉ……さすがにここでお金落とすのはなぁ……」

 

 こういうのって、基本的に沼ってお金解けちゃうじゃん? と千束は苦笑する。この手のゲームといえば当然、深追いしすぎると破産しがちである。店員に頼んで事なきを得る方法もあるにはあるが、そこまでして欲しいというわけでもない。

 いいな、とは思ったがそれだけだ。千束にとって深追いする必要性はない。

 

「……はぁ……ちょっとそこ変われ」

 

「え? あ、うん」

 

 見兼ねた棗がため息を吐くと仕方なさそうに、筐体の前に立ちプレイに必要なコインを投入する。

 

「で、どの色が欲しいんだお前は」

 

「うーん、と……じゃあこの赤いスカーフの子で!!」

 

「……わかった、ちょっと待ってろ」

 

 千束のオーダーに棗は頷くと、ボタンを押してキャッチャーのアームを操作する。

 この手のゲームはシンプルな操作だが、わざと別の場所に引っ掛けたり、アームをぶつけたりして動かす。というテクニックがいくつかある……のだが。

 

「……このアームの強度なら……いけるな。よし」

 

「マジか棗」

 

 なんと棗は一発でそのぬいぐるみをゲットしてみせた。とんでも技術である。千束はもちろん、たきなも驚いた様子で棗を見た。

 

「……ん、ほらよ」

 

「え、いいの? これ一応棗が取ったのに……」

 

「……俺が持ってても仕方ないだろ。それに、そもそもお前に渡すために取ったんだから遠慮すんな」

 

「っ……あ、ありがとう……」

 

 棗にぬいぐるみを手渡され、少し恥ずかしそうにしながら千束は受け取ってそのぬいぐるみを抱きしめる。

 

「ねえ、棗」

 

「……ん?」

 

「これ、めっっちゃ大事にするねっ!!」

 

「っ、お……おう、そうか」

 

 にへら、と笑いながら千束はそう告げる。そんな彼女の笑みに見惚れたのか、棗は顔を赤くしドキッとしながら頬を掻いて視線を逸らす。

 

「……ふふ」

 

「……んだよ、たきな。その顔は」

 

 くす、と微笑んだたきなに棗はジト目で睨む。

 

「いえ……なんでもありませんよ。ただ……」

 

 棗さんは、千束のことが本当に大切なんですね。とたきなは笑った。彼女の言葉に思わず、棗は声を詰まらせてしまう。図星、というのはもちろん……否定できないからだ。

 

「……うっせ、余計なこと言うなっての」

 

「えーなになにー? 棗さんってばそんなに私のこと好きなのぉ~?」

 

「うるせえ!! 次行くんだろ次!!」

 

 それを隙とみた千束はからかうように棗に問い詰める。羞恥心に苛まれた棗は顔を赤くしたまま誤魔化すように、次に急かすのだが……

 

「いえ、まだ時間が余って……」

 

「お? そ、れ、な、らぁ……? 三人でプリクラ! 撮っちゃおうぜ!!」

 

「……ぷりくら……? なんですかそれ……?」

 

「………………絶対嫌なんだが」

 

 千束のそんな提案に首を傾げるたきなと、頬を引き攣らせる棗。たきなはそもそもとしてプリクラを知らなかったのに対し、棗は分かっているからこそ柄でもないからと断ろうとしていた。

 

「いいからいいから! 思い出作りに一枚だけでもー!」

 

「ちょ、やめろ! 押すな!! 入れ込もうとするなお前っ!?」

 

「ち、千束!? この箱みたいなのに入る必要があるんですか!?」

 

「あ、たきな。もしかしてプリクラを知らない? プリクラって言うのはね────」

 

「その前に俺は撮らんって言っただろうが!?」

 

 困惑するたきなにプリクラがなんなのか説明をしながら逃れようとする棗を止める千束。プリクラの筐体の中で混沌とした状況が作られようとしていた。

 

「────なるほど……写真を色々とデコレーションするものなんですね?」

 

「そうそう! ね! たきなも一緒にやろ!!」

 

「……そうですね、せっかくですから一緒に撮りましょうか」

 

「よっし! ほら、棗も……!」

 

「やらねえっての!?」

 

「なんでよーっ!」

 

 ぶーぶー、と抗議する千束に二人で撮ればいいだろ!? と抵抗する棗。やいのやいのと揉めている状態を見たたきなは、すっと棗の服の裾を摘まみ……

 

「あの、棗さん……ダメ、ですか……?」

 

「うぐっ…………」

 

 上目遣いで、そんな風に訴えてきた。さすがにそこまでされてしまうと、棗もやらない、と首は横に振れず────

 

「だああ! わかったよ!! 一枚だけだぞ!!」

 

「おぉ……たきなってばやるぅ」

 

 見事に口説き落とされたのであった。

 

 そうして、(約一名)渋々撮らされたプリクラ写真を、千束は目を輝かせながら手に取る。

 

「はー、いいわぁ……」

 

「ですね。……かわいい」

 

「………………二度と撮らねえ」

 

 千束とたきなは、もちろんなのだが……棗も何故か、かわいくデコレーションされたために顔を赤くしてしゃがみ込んでいた。さすがに恥ずかしさが勝ったらしい。

 満足そうな千束とたきなに対して、棗は割と不服そうであった。

 

「あ、時間なので次に行きますよ」

 

「はーい!」

 

「お前ら俺のことを少しは気遣えよっ!?!?」

 

 尚、アラームが無慈悲に鳴り響き……棗のことなど知ったことかと言わんばかりに、たきなに連れて行かれるのであった。憐れ。

 

「お待たせしました、こちらパンケーキです。ごゆっくりどうぞ~」

 

「ありがとうございまーすっ! たきな、棗ほら見て!! すっごく美味しそうだよっ!」

 

「ええ、美味しそうですね……」

 

「糖質大丈夫かよこれ」

 

「そういう無粋なことは言わんでよろしい!!」

 

 喫茶店でパンケーキを注文して、それを美味しそうに頬張る千束。

 

「……よく見つけたな、この店」

 

「……以前、千束がパンケーキを美味しそうに食べていたのを思い出しまして……それで調べていたら、ここのクチコミがとても評判が良かったので……」

 

「なるほどな……」

 

 幸せそうな顔をしている千束を見ながら棗は合点がいったように頷いた。

 たきなは、どちらかというとこういうお店には興味を持つようなタイプではない、故に少し疑問だったが……『千束のために』探して、見つけたのだ。そう理解できれば納得もできる。

 

「……ところで、棗さんは食べないんですか?」

 

「うん? あー……いいよ俺は、二人で食べなって」

 

「しかし……」

 

 たきなは、困ったように顔を顰める。このデートモドキは千束はもちろん、棗も楽しませたくて組んだモノだ。そこで彼に遠慮されてしまうと、計画としては成功とはならないからだろう。

 

 そこで、ふと……たきなは以前、自分がされた……正確にはしてもらったことを思い出す。

 

「あの、棗さん」

 

「ん? どうし……」

 

「あ、あーん……」

 

 呼ばれて再びたきなの方を見た棗は固まる。当然だ、珍しくたきなが自分の注文したパンケーキを切り、フォークに刺したモノをそのまま、こちらに向けて差し出しているのだから。

 

「い、いや待てたきな。さすがにそれは……」

 

「ダメ、ですか……?」

 

「ぐぬぅ……!!」

 

 いただけない。と断ろうとしたら、すごく切なそうにしょんぼりとした様子をたきなが見せたために良心が痛む。

 

「……好きにしてくれ」

 

「! はい、好きにします」

 

 結局、根負けして棗はされるがままにたきなからパンケーキをもらうのだった。

 

「むむぅ…………」

 

 当然、それを千束は面白くなさそうに見つめる。

 

「棗っ!」

 

「んぐっ!? な、なんだ急に!?」

 

「あーんっ!!」

 

「は? いやまてまてお前まで別にやらなくてもっ!?」

 

「あーんっ!!!」

 

「わかった! わかったから押し付けようとすんなっ!?」

 

 千束も負けじとパンケーキを棗に差し出しはじめてしまい…………

 

「おえ……口の中が、甘さで気持ち悪い……」

 

「「ごめんなさい……」」

 

 食わされ過ぎた棗が机の上に突っ伏すはめになったのであった。

 

「……時間なので行きますよ」

 

「えー!?!? もう!? 早くないっ!? というかまだ残ってるのにっ!!」

 

「…………人の心とかないのかお前ら……ぅっぷ……」

 

 またしても鳴ったアラームに合わせるように動く。デートにしては、随分と忙しいものである。

 

ほひふは(というか)はんへほんはひ(なんでこんなに)ひほいへふほ?(急いでるの?)

 

「秘密です」

 

「口の中のモノを飲み込んでから喋れよ……」

 

 口の中に、残っていたパンケーキを詰め込んだまま不思議そうにたきなに問いかける千束。

 それに対して、徹底してたきなは急いでいる理由を明かさない。それは最後までのお楽しみにしておきたいからだ。

 

「あっ……」

 

 そうして、予定にいれていた水族館の前に到着した一行であったが……

 

「そんな……」

 

「……臨時休館とは、タイミングが悪いな」

 

「んぐっ、人生そんなに計画通りにはいかないもんだよ~」

 

 水族館は水槽整備のため『臨時休館』をしていたのである。これでは予定が台無しになってしまう。

 そういう焦燥感をみせるたきなを見て、千束はある提案をする。

 

「よし! たきな、棗! 私についてきんさい!」

 

「……え?」

 

「あそこか……」

 

 そうして、千束に連れてこられたのは都内のとある釣り堀だった。

 

「トラブルも楽しむのが千束流だよ~」

 

「……そのトラブルで苦労したことも数知れずだけどな」

 

「それはそれ、これはこれってことでー」

 

「それで解決するかアホたれ」

 

 千束の言葉に文句をたれながら、棗は釣り糸を水の上に垂らす。

 魚が食いつくかどうかは時の運、魚の気分次第。故に、のんびりと食いつくまで待つしかない。

 

「……釣れませんね」

 

「釣れないねぇ……」

 

「ま……気長に待つのが釣りだからな……んな、五分十分でぽんぽん釣れたらそれはそれで困るっての」

 

 たきなの言葉に、ぼーっと水面を見ながら千束と棗は返す。釣れたら嬉しい。

 釣れなくてもそれを待つことに楽しみを見出すものだ。

 

「……楽しいですか?」

 

「もっちろん! 楽しいよ? 二人と行けるならどこでも!」

 

「はいはい」

 

「ちょいちょーい、そこはもっとしっかり受け取ってよ棗ー!」

 

 これでも本音なんだぞう! と軽くあしらう棗に千束は抗議する。千束の言葉は文字通りの意味なのだ。裏などない。彼女は本気でそう思っている。たきなや棗と何処かに出かけること。それ自体が本当に楽しいのだと、本気で思っているのだ。

 

「お、時間ですな?」

 

「成果ゼロか」

 

「ま、そういうこともあるって。釣りだもん」

 

「……だな。じゃあ、最後の場所……案内してくれるか、たきな?」

 

「……はいっ」

 

 立ち上がってそう告げる棗に、たきなはこくり、と頷いたのだった。

 

「ったく、何処で降りるか分かってんのたきなだけなのに……揃って寝るか普通……」

 

 その道中、電車の中ですやすやと千束とたきなはお互いの頭を預けるように寝てしまったことは余談である。

 

 ……そして、日も沈み冬の肌寒い夜に公園に到着した三人。

 

「────へっくしゅんっ!」

 

「だからコート買えばよかったのにー」

 

「ったく……仕方ねえな、ほら」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 当然、冬服とはいえそれなりに冷える格好だったたきなは寒そうにくしゃみをしてしまう。

 棗は仕方なさそうに、上のジャンパーを脱いでたきなに羽織らせる。

 

「……ところで、棗」

 

「あ? なんだよ?」

 

「……なんでそこで立ってるのさ」

 

「……いいだろ別に」

 

 千束とたきなが座っている公園のベンチから少し離れた電灯の傍に立って二人から距離を離しているのだから千束は当然気になった様子で指摘する。

 

「さすがに寒くない?」

 

「いいんだよ、俺はそう簡単に体調崩したりしないし」

 

「棗さんが迷惑でなければ、こちらに……」

 

「そうだよ、ほら。こっちきてみ?」

 

「いいっての。別に俺は……」

 

「い、い、か、ら!」

 

「あ、おいっ!?」

 

 往生際が悪い棗にしびれを切らした千束は腕を掴んで引っ張り、棗をベンチに座らせる。

 当然、たきなの千束自身の間……つまり真ん中にだ。

 

「……なんで俺が真ん中なんだよ」

 

「えー、だってそりゃあ……」

 

 千束はたきなに合図を送るように手を招く。なんとなく、たきなは意図を察したのか……棗に渡された上着を使って全員が包まれるようにする。

 

「ほら、こうすれば……みんな寒くないじゃん?」

 

「……お前らな」

 

 恥じらいってもんはねえのかお前ら……と呆れたように棗はため息を吐く。

 

「ばっかだなー、棗だからしてるんだよ。棗以外にはこんな事する気はないよ? ね、たきな?」

 

「そう、ですね……私も、棗さんになら構いませんから……」

 

「君らもうちょっと年頃の女の子だって自覚もたない?」

 

 俺に対して無防備すぎるでしょ。と困った顔を浮かべる。俺だって男だ、何をするかわかったもんじゃないというのに。棗はそう思わずにはいられなかった。

 

 ……錦木 千束も、井ノ上 たきなも魅力的な……否、魅力的すぎる女の子だ。

 正直こうして、隣にいて……しかも抱きついていて……ドキドキしないという方が無理がある。

 

 おそらく、柔軟剤やリンスのいい匂いはするし……なにより二人の呼吸がこんなにも耳元で聞こえてくる。情けない話だが、立花 棗という男はこの状況下におかれて緊張していた。

 

「ねえ、たきな。何か待ってる?」

 

「……雪を、21時(くじ)から」

 

「ぶふっ……それで……」

 

 あんなに急いでスケジュールカツカツにしてたのか、と千束は納得がいったように笑う。

 

「完璧なスケジュール……のはずだったんですが……」

 

「そりゃおまえ……自然が予定通りにいくとは限らんだろうが」

 

 それは完璧(笑)(かっこわらい)ってやつだぞ、と棗は思わず苦笑する。

 

「そうそう、神様も自然も気まぐれだからね~」

 

「それでも……今日だけは、やめてほしかったですね」

 

 夜空を見ながら、たきなは呟いた。

 ああ、本当に……今日だけは完璧で終えたかった。文句のつけようがないぐらいに完璧に。それで……千束や、棗さんに楽しかったと言ってもらいたかった。

 

「なんで?」

 

「……それは」

 

 言って、いいのだろうか。たきなは少し言い淀む。もしここで言うことで何かが変わってしまったら? ……それが怖いから、勇気が出なかった。

 

「ははーん……DAに戻れるのかな?」

 

「ぁ……」

 

 バレていた。いや、正確には多分……気付かれたんだろう。

 

「やっぱり! やったじゃん! いつ!?」

 

「おい、ぐいぐいすんなっ」

 

「あ、ごめん」

 

 千束は我が事のように目を輝かせて嬉しそうに、たきなにいつ復帰するのか、と聞こうとする。

 間にいる棗からすると、そのいつものグイグイとくる癖は迷惑極まりない状態だったが。

 

「…………明日です」

 

「……嬉しくないの?」

 

 念願のDA復帰、だというのにあまり表情が晴れやかでも、声が弾んでもいないたきなに千束は首を傾げる。

 

「……わかりません」

 

 わからない。嬉しいのか、嬉しくないのか。あれだけ望んでいた……願っていたDAへの復帰だというのに。今のたきなには分からなかった。

 

「そっか……たしかに、降った方が良かったかもねー」

 

 ロマンチックだしさ、そういうの。なんて千束は言いながら夜の空を見渡す。街の灯りのせいで星は殆ど見えないけれど……それでも、こんな景色が好きだった。

 

「はい……本当に……」

 

 降ってほしかった。綺麗な雪を見て……それで、二人に満足気に笑ってほしかった。

 

「理不尽なことばかりです。そうは思いませんか」

 

「……世の中そんなもんだ、理不尽でどうしようもないぐらいにクソッタレ。それが普通だよ。

 まあ、だからこそ……より良い明日にしたいために全力でいろんなことにぶつかるんだ。そういうもんだよ。生きるってことはさ」

 

「かもねぇ……まあ、これは私の持論だけどさ。『自分でどうにもならないことで悩んでもしょうがない! だから、受け入れて全力で!』そしたら大体、いいことが起きるんだよ!」

 

「相変わらずお気楽だなお前は……」

 

「そのぐらいの方が人生楽しいもんだよ~? 棗は色々考えすぎだっての」

 

「……かもな」

 

 否定はできなかった。時々、千束の明るさが羨ましいと思えてしまうからこそか。

 

「まあ、それに……たきなの計画は大成功してるよ、ね。棗?」

 

「ん……そうだな。すごく楽しかったよ。たきな」

 

「あ……」

 

 初めて、そんな顔を見た気がする。本当に、心の底から楽しかったと嬉しそうに笑う彼の顔を。

 だからだろうか、たきなは少しドキッとして見惚れてしまった。

 

「あ~、たきなってば棗の笑顔に見惚れたな~?」

 

「……え?」

 

「え、あ、いやっ……べ、べつにそんなことはっ!?」

 

 千束がニヤニヤと笑いながらそう指摘してくるからか、たきなは大慌てで否定する。

 別に、普通に否定すればよかっただけなのに……なぜ慌ててしまったのか、今の彼女にはきっと理由は分からないだろうが。

 

「私も、めっちゃ楽しかったよ。たきな。……ほら、棗も」

 

「はいはい……」

 

 千束と棗は拳をぐ、とたきなの前に突き出す。

 

「ふふ……はいっ」

 

 コツン、と三人で拳を付き合わせた。

 

「あ、今日中にDAに連絡しないと……!」

 

「ん、じゃあ行かないとね!」

 

 たきなはベンチから立ち上がって、連絡を送るために帰ろうとし……

 

「はい……って、あのこれっ」

 

「餞別。持って行っていいよ」

 

 羽織っていた上着を棗に返そうとしたところで棗にそう言われる。

 どうせ、もう着ることもできないだろうしな。と続く言葉があったのは当人以外に知りえないが。

 

「……ありがとうございます」

 

 ぺこり、とたきなは棗と千束に向けてお辞儀をして……

 

「いってきます」

 

「うん、「「いってらっしゃい」」

 

 千束と棗に見送られる。そうしてすぐのこと……

 

「お……?」

 

「雪、降ったな」

 

 そんなたきなを祝福するように……白い雪が降り始めたのだ。

 たきなは笑顔で二人を見つめ……それに返すように、千束と棗はサムズアップを送るのだった。

 

 ────

 

 そうしてたきなが見えなくなるまで見送ったあと……二人きりになった千束と棗。

 

「ねえ、棗」

 

「……なんだよ?」

 

「棗も、行くんでしょ?」

 

「…………気付いてたか」

 

 千束の言葉に、棗は隠すつもりもなく……観念したようにため息を吐く。

 

「そりゃそうですよ。何年の付き合いだと思ってんのさ」

 

 にしし、と千束は笑いながらそう告げる。

 

「…………リリベルの司令に色々とバレてな。……真島一派の案件に関わることになった」

 

「……そっか……寂しくなるね」

 

「クルミやミズキさん、()()()()がいるだろうに」

 

「……それでもですよ……棗がいない日なんてなかったからさ」

 

 いつだって、傍にいてくれた。私が体調不良で倒れたときも、リッキーがいなくなってたくさん泣いて塞ぎこんだときも、どんなときだって私の傍で支えてくれた大切な人だったから。

 

「……多分。次会うときは……あの日と同じように、敵同士だ」

 

「……うん」

 

 殺し合うだけの関係、彼岸花(リコリス)君影草(リリベル)。それだけの関係に戻る。

 それだけの話だ。それでも、嫌だった。棗と……殺し合うのだけは、嫌だった。

 

「棗」

 

「……んだよ、急に」

 

 棗の身体をぎゅっと抱きしめながら千束は彼の目を見る。この澄んだ蒼い目が……千束はなによりも好きだった。

 

「わがまま、一個だけ言ってもいい?」

 

「……条件次第だな」

 

「もう、そこはなんでもいいぞ。って言って欲しかったんだけど?」

 

「それこそ無理だろ」

 

 お前の場合、どんな無理難題引っ提げてくるかわからんし。と付け足す。

 

「なんだよそれーっ!」

 

 当然その言葉に納得がいかないように、千束はぶー! と膨れっ面になる。

 

「……それで、どんなわがままだよ?」

 

「……痕、つけてもいい?」

 

「────」

 

 棗は絶句した。そんなことを言うやつだっけお前。というのはもちろんだが、その言葉の意図がわからないほど鈍いわけでもなかったからだ。

 

「って、ごめん。さすがにそりゃドン引きするよね! やっぱなし! 別のことで────」

 

「……いいよ」

 

「ぇ……?」

 

「お前になら別に、いい」

 

「────」

 

 そう告げる棗の頬が、少し赤く染まっていたことに彼女は気付いたのだろうか。

 

 どのみち、この先死ぬかもしれない死地に身を投じるのなら。そんな想いを込めて棗はネックウォーマーで隠れていた首の肌を露出させる。

 

「っ……」

 

 ごくり、と彼女が喉を鳴らすのがわかる。

 恐る恐る……千束は顔を近づけ、棗の首元で口を開き……

 

「…………ッ」

 

「…………フーッ……」

 

 牙を突き立てるように、彼の首筋に嚙みつく。血を吸うわけではないし、肉を食うわけでもない。そんな、御伽話(ファンタジー)みたいな生態をしているわけではない。これはただの独占欲だ。醜くてみっともない独占欲。私のモノだという証。それを刻み込むだけの無意味な行為。

 

 ……この先、なにがあっても……この疵で私を思い出せるようにという、それだけのモノ。

 

 つつ……と軽く、血が首筋から垂れる。棗の顔が少し痛みで歪む。それすらも、少し愛おしく思えてしまっている。

 本当なら、こんな感情(モノ)……しまっておくべきだったんだろうな。なんて、少し後悔した。

 

「ぷは……ごちそうさま……でいい、のかな……?」

 

「ッ……俺に聞くなっての……」

 

 赤く腫れあがり、赤い血を垂れ流す彼の首を見て……少し女としての何かが疼いたのは内緒にしておこうと千束は思った。

 

「ごめんね、こんな変なわがままで……」

 

「……別に、気にすんなっての」

 

 ……なんだか気まずい。まあ当然と言えば当然だ。傷つけた側と傷ついた側という関係性でもあるんだから。気まずさも出てくるというものである。

 

「って、そうだ……棗に渡すものがあるんだった!」

 

「渡すもの?」

 

 うっかりしていた、と千束は我に返って慌ててポーチから小包を出す。

 

「はいこれ、一足早くのクリスマスプレゼント!」

 

「……クリスマスプレゼントって……俺もう成人してるけど」

 

「あのねー……クリスマスプレゼントは成人してても成立するの! それに、ほら! この髪飾りの分のお返ししてなかったし!」

 

 千束は自分がつけている赤い花を模った宝石の髪飾りを見せながら告げる。

 その髪飾りは、棗が送ってくれたモノだ。千束にとってなにより大切なプレゼントだ。

 

 だからこそ、お返ししたいと思ったのだ。棗にとってなにより大切にしてほしいモノを上げたいと思って。

 

「……わかった、開けていいか?」

 

「うん! ほら、開けて開けて!」

 

「急かすなっての……」

 

 小包を解き、中に入っていたモノを取り出す。

 

「……これは、ネックレス……か?」

 

「正解ー! 色々考えたんだけど……棗に渡すならネックレスの方がいいかなーって思って」

 

「どういう理屈だよそれ」

 

 白い花が模られたネックレスを見ながら、棗は思わず呆れた顔をする。

 

「……どう、かな?」

 

「……つけてもいいか?」

 

「っ、うん」

 

 棗はその場で白い首飾りをつける。黒っぽい私服だからこそだろうか、その白いネックレスはとても際立っていた。本当にそれだけ、たった一つ、アクセサリーを身につけただけだというのに。千束はそんな彼の姿に見惚れていた。

 

「……どうだ? 変じゃないか……?」

 

「……っ、すっごく似合ってるよっ」

 

「っ……そ、そうか……」

 

 恥ずかしさからか、二人揃って雪が降りしきるなか押し黙る。

 

「あー! これなんかめっちゃ恥ずかしいやっ! ごめんね! 引き留めちゃって!」

 

「ああいや、別にいいけども……」

 

 顔を赤くした千束の謝罪を同じく恥ずかしそうにしながら棗は受け入れる。

 

「……じゃあ、俺も行くな?」

 

「うん……ってちょっと待って!」

 

「んだよっ、まだなんかあるのか!?」

 

 行こうとしたところを再び引き留める千束に、棗は少し怒ったように問い詰める。

 

「これだけ!! これだけ持って行って!!」

 

「あ? ……これ、お前の弾倉(マガジン)じゃないか」

 

 そう、それは千束が普段使っているゴム弾が詰め込まれた弾倉(マガジン)だった。

 

「なんかあったときにあったら便利でしょ? だからさ!」

 

「……麻酔弾あるのにこれ要らないと思うんだが」

 

「い、い、か、ら! もしものためにとっといて! それに、棗の銃も私と同じ45口径サイズなんだから、それ使えるでしょ!」

 

「いやまあそうだけど…………わかった。これだけ、持っていく」

 

「うん、大事にしてね」

 

「いや消耗品を大事にしろって言われても困る……」

 

「あーそれもそっか。じゃあ使えるときに使っちゃってね!」

 

「…………」

 

 どっちだよお前。と呆れた顔をしながら棗はため息を吐く。

 

「千束」

 

「……なあに?」

 

「今までありがとな」

 

「っ……うん」

 

 棗の言葉に隠された意図がわからないわけではなかった。だからこそ、千束は一瞬言葉に詰まった。

 

「……この十年間、お前と一緒に過ごせて……まあ、色々面倒なこともあったけど、楽しかったよ」

 

「ちょいちょい、そこは嘘でもずっと幸せだったー! とか言ってほしいんだけど!?」

 

「だって面倒くさかったのは事実だし」

 

「なんだとこのーっ!!」

 

 ぽこすか、と痛くならない程度の勢いで、千束は棗の身体を叩く。

 分かっている……こんなふざけたやり取りもこれで最期になるかもしれないことぐらい。

 

「千束」

 

「…………」

 

「……()()()()

 

「……()()()、棗」

 

 お互い、違う別れの言葉を告げる。片や、決別のために。片や、もう一度……会えるようにと祈るために。

 それでも、今日ぐらいは笑って別れよう。その思いだけは同じようで。

 

 千束と棗は互いに笑って……それぞれ、別の道へと分かれていった。

 

 

 

 錦木 千束は錦木 千束の道を行く。

 井ノ上 たきなは井ノ上 たきなの道を行く。

 立花 棗は立花 棗の道を行く。

 

 それぞれの道が再び混ざることがあるのか。

 

 ────それはきっと、誰にも分からないだろう。

 




白い花のネックレス

模られた花の名はアザレア。
その言葉の意味を知るのは、送った彼女だけである。



立花 棗

覚悟実はガンギマリしてる主人公。
大切だからこそ、ここで手放さなければと思った。
けどなんか首に痕はつけられるわ首飾り渡されるわされた。
……これ千束のヤツ、俺を手放す気はないな?と察した。


井ノ上 たきな

ちょっとヒロイン要素がでてきた。
二人を楽しませられたのでガッツポーズ。
あとはDAに戻って真島から吉松の情報を吐かせれば完璧。

……どうして、棗さんの顔を見て少し顔が熱くなったんでしょうか。


錦木 千束

たきなも棗も居なくなるから寂しくなるな、と考えている。
精一杯最後まで生きよう。私自身のためにも……たきなや棗のためにも。


たきなにだって渡したくない。だって、棗は……私のモノなんだから。だから、私が死んでも……本当は引きずって欲しい。


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怪物と君影草

リコリス・リコイル 新作アニメーション決定おめでとうございます。

まさかこんなに早く続編が決定するとは思わなかったのでびっくりしてます。
……拙作もいい加減完結に向けて投稿せねばということで投稿です。


「なるほど……心臓とナノマシンね。

 ……兄弟のあの身体能力は、アンタの仕掛けのおかげってワケだ」

 

 真島は己の拠点に拘束した吉松シンジと対面しながらそう笑う。

 

「あのアランリコリスや、兄弟との関係性は大体は分かった。

 とんだ悲しいすれ違いだな。アンタの言葉や行動で、結局アイツらは望んだ形とは違う方向に成長したんだからな」

 

 罪なヤツだな。と真島はシンジを睨みつけながら皮肉交じりに嘲笑する。

 

「ま、アンタのおかげで俺は命拾いしたわけだが……同情するぜ、兄弟にも、あのアランリコリスにもな。こんなヤツが命の恩人だなんて、俺は死んでもごめんだしな」

 

 狂った思想はごめんだ。真島は己が持つ梟のチャームをぷらぷら、と揺らしながらそういえば、と思い出したように吉松 シンジを見つめながら問いただそうとする。

 

「思い通りにならなかったからって、手を出すのはルール違反じゃなかったか?」

 

 才能ある者に支援はする。だが、その才ある者に意図して接触するのはアラン機関の決まりにおいては違反行為なのだ。

 吉松 シンジはその点において幾度となく破っている。立花 棗、錦木 千束への接触、そして錦木 千束の心臓の破壊。事が知られれば吉松 シンジは間違いなくアラン機関から追放されるだろう。

 

「ふむ、君の言うことは最もだ。だが……錦木 千束(かのじょ)が道を違えたのは私の失態だ。その責務を果たすだけだとも」

 

「へェ……じゃあ、俺も殺すのか?」

 

「まさか、君は優秀なアランの寵児(チルドレン)さ。真島くん。

 ……戦争における才能、実に素晴らしいじゃないか。銃は千丁で足りたかな?」

 

「恩着せがましいんだよ」

 

 吉松の言葉が癪に障ったのか、机に置いていた酒の空き缶を薙ぎ払って拳銃を真島は突きつける。

 

「俺もアイツらと同じだぜ? 思うがまま、自由に生きてる。だから気分次第でアンタをぶっ殺すかもしれねえ。いいのか、それでも?」

 

「構わないとも、アランの理想を果たせるのなら……その命すら惜しくはないさ」

 

「ハッ、気持ち悪いな。アラン機関(お前ら)は。……やっぱDAと同じだよ、お前らは。コソコソ裏から我が物顔で手前勝手なお正義サマで世界を支配してやがる。DAを潰したあとはお前らだ……アラン機関」

 

 心底気に食わなさそうな顔で、真島は吉松を睨みつける。次はお前だ。と直接的に告げた。

 

「本丸は……どうせ語らねえだろ。こっちで好き勝手に探らせてもらう。

 ──うちには優秀なマイハッカーがいるしな」

 

 真島はDAを、そしてアラン機関を潰すために動くだろう。その流れは決して変わらない。

 

「君か、千束か、あるいは棗くんか……」

 

「あ? 何が言いてえ?」

 

「なに、誰が生き残るか……という話だよ。アラン機関(私たち)は誰でも構わないんだ。殺しの才能を持つ者が、世に出てくるのであればね」

 

「イカれてんな。お前」

 

 ……そのためのコイツか。と嫌悪感を滲ませながら真島は吉松が持っていたブツのひとつ……注射器を見つめる。

 その注射器は、立花 棗が以前刺されたモノと同じ形状のものだった。

 

 ────

 

 注目を浴びている。というのは、一発で分かる。

 ……当然と言えば当然だ。俺はどうしようもないぐらいにこの組織において目立つ存在だ。

 

「……しかし、何処に行っても視線を浴びるというのは些か落ち着かないな」

 

「そう思うのなら、その格好をどうにかすればいいだけだろう」

 

「……どのみちだろう。この髪と目のヤツは俺しかいないしな」

 

 赤服の少年が指摘するようにこちらを見る。コイツは君影草(リリベル)のファーストの1人であり……そして、かつて俺と共に任務に当たっていた1人だった。十年前はセカンドだったはずだが……

 

「……いつの話をしている、十年も経てば俺とて昇格ぐらいはする」

 

「それもそうか、それでもまあ……相変わらず……不愛想だな、お前は」

 

「……ふん、余計なお世話だ」

 

 かつかつ、と歩きながら司令室の前にやってくる。……まあつまり、コイツは案内だったのである。

 

「くれぐれも司令に手は出すなよ。その時飛ぶのはお前の首だと思え」

 

「────まさか、手を出すときはお前たちも道連れだとも」

 

 いっさいの慈悲なく鏖殺だ。それ以外のやり方を知らないとも言えるが。

 

「チッ……司令、ヤツを連れてきました」

 

『入りたまえ』

 

 言われるがまま、司令室に入る。そこにはやはりというべきか、虎杖司令が立っていた。

 

「こうして実際に対面するのは久しぶりだな、棗くん。……壮健そうでなによりだとも」

 

「御託や談笑は不要です。現在の状況は」

 

「ふ、任務には忠実か。それでこそだが。……現在、リコリスが真島一派の拠点を制圧。しかし拠点はもぬけの殻だった」

 

「また、後れを取った……ということですか」

 

「結果だけを見ればそうなる。だが、ヤツの目的は判明した」

 

 目的、つまり真島のやろうとしていることだろう。ヤツの性格だ。大方、意気揚々とリコリスにやろうとしていることを一部は開示したといったところか。

 

「目的は?」

 

「延空木の破壊だよ」

 

「なるほど……」

 

 因果なものだ、それはつまり十年前の再演を行おうとしていることになる。

 なによりまだ、あの塔はオープンしていない。狙いはオープンセレモニー当日か。634mの塔を爆弾でへし折る。……オープンセレモニーにきている住民は勿論、重鎮への被害も相当になるか。

 

「過去の再演だけは阻止せねばならん。そして、上層部はリコリスだけでは不安視もしている」

 

「……そのためにリリベルを動かす可能性がある、ということですね」

 

「そうなるな。ゆえに、君に課す役目は一つ。リリベルの全ての指揮を担え」

 

「…………それはまた」

 

 大きく出たものだ。ある種の裏切り者である俺に、リリベル全ての指揮をしろと。

 

「どうした、不服かね?」

 

「……いえ、ただ裏切り者でもある俺に指揮権を担わせるのは如何なものかと」

 

「たしかに、普通であれば正気の沙汰ではないだろうな。

 だが……君と私は既に交渉済みだ。であれば疑うことはないとも。それに、君ほど優秀なリリベルも存在はしないからな」

 

 どの口が、それは交渉ではなく脅迫だろうに。

 俺が裏切れば……千束達を殺す気の癖に。やはり殺すべきか、と俺の思考によぎるが……ふと、千束の顔が過ぎり、その思考をかき消した。

 

「……理解しました。では、任務に当たるにつき……今回対応するリリベルの経歴を全ていただいても?」

 

「構わんよ、既にこちらに揃えてある」

 

 虎杖司令は、タブレットをこちらに手渡す。なるほど、ここにあると。

 実際に拝見すれば、そこには確かに他の隊員たちの経歴や実績……スペックすら載っていた。これだけあればある程度の作戦は練られる……が……

 

「虎杖司令」

 

「任務に参加するリリベルたちとの模擬戦の場、だろう? 君が欲しているのは」

 

「……その様子では既に整えているといったところですか」

 

 さすがにお見通しか、と肩をすくめる。

 俺が欲しいのは実際の戦闘でのデータだ。そのうえで作戦を練りたい。そのためには他のリリベルと実際に交戦するのが手っ取り早いのだ。

 

「無論だとも、君の今の実力を拝見するうえでもこれ以上ない機会だ。

 既に準備は終わっている。……あとは、君が参加の意思を示せばいいだけだ」

 

「……分かりました、ではそのようにお願いします」

 

 俺は、虎杖司令の言葉に頷き返し……模擬戦を行うことに決めた。

 

 ────

 

「さて、この場に呼ばれたお前たちは既に知っているだろうが……俺は立花 棗。コードネームは灰色(アッシュ)。周知の通り、裏切り者だったヤツだ。わけあって原隊したがな」

 

「「「…………」」」

 

 沈黙。まあ、当然だろうな。裏切り者の俺が何故というのもあるだろうし……どうしてここにいるのか、という疑問もあるだろうな。

 

「……まあ、お前たちの疑問は最もだろう。なぜここにいるのか、なぜ呼ばれたのか。それは簡単なことだ。俺がお前たちの隊長になって、お前たちを指示することになった。それだけだ。……で、なにか質問があるやつはいるか?」

 

 俺の説明に、1人のリリベルがこちらに視線を交わす。先程虎杖司令のもとまで案内していたファーストリリベルだった。

 

「特にはない、お前が優秀だということは俺たちは理解しているからな。

 ただ、この集まりが何なのかだけは聞きたいところだ。大方予想はつくがな」

 

「……ふむ、それもそうだな。ここにお前たちを呼んだのは単純な話だ。

 今のお前たちの実力を知りたい。だから、これから俺とお前たちで模擬戦をする」

 

 その言葉に複数人……セカンドとサードのリリベル達がザワつく様子を見せる。動じていないのはやはりファーストの連中か。……見知った奴らもいるし、まあおかしくはないが。

 

「1人でか?」

 

「1人でだ。少なくともお前たちに遅れをとるほど俺は弱くはない」

 

「「「─────」」」

 

 それはある種の挑発だ。お前たちが群れを成した程度で負けるほど俺は弱くないという挑発。

 ……ここで煽った上で完膚なきまでに叩きのめす。そうすることで俺の実力は理解できるだろうし、アイツらの本気も多少は把握できる。その意図を汲んだファーストリリベルがその喧嘩を買うように言葉を交わす。

 

「いいだろう、後悔しないことだな。灰色の切り裂き魔(アッシュ・ザ・リッパー)。後で泣きを見ても俺は責任をとらんぞ」

 

「するつもりはないとも、少なくとも俺が勝つからな」

 

「言っていろ。……あの時のリベンジ果たさせてもらうぞ」

 

「ハッ、吠えるじゃないか。いいぞ、遠慮せずに来るといい」

 

 そこからの言葉は不要だろう。かつてと同じように、虎杖司令が提示するルールに則り……俺は真島案件に派遣される予定のあるリリベル全員を相手取った。

 

 結果は……まあ言うまでもなく、余裕の全勝だったが。

 

 連携は少なくとも俺が所属していた頃よりは遥かに洗練されていたし、実力も間違いなくある。それが分かっただけ収穫だろう。

 

「……さて、これで俺の強さも理解して貰えたと思うが……先にお前たちには言っておこう、最悪のケースの場合でしかないが……その場合俺たちリリベルは真島案件で動くことになる。そのために、お前たちの今の実力とどれだけ連携ができているのかを把握しておきたかったんだ」

 

「……はぁ……はっ……それ、で……結果はどうなん、だ……!」

 

 息も絶え絶えのまま、ファーストのヤツが睨みつけながらコチラを見つめる。

 ……まあ、俺だけ涼しい顔して立っていたら恨みがましい目で睨んでくるのも仕方ないか。

 

「まあ合格だよ。お前たちの強さも分かった。これなら真島案件での作戦立案も容易くなる。お前たちが相手取るのは真島一派だけじゃない、派遣されることになる時は……確実にリコリスを相手取るということにもなる。

 ……彼女たちは個人主義だ。俺たちが団体主義であるようにな。個人個人の実力で言えばおそらくリコリスの方が上になることもあるだろう。だからこそ、連携の強みをお前たちは活かさないといけなくなる。その強みも俺を相手取ることで理解できただろう?」

 

「……ぼろ負けだったし強みも何もなくない?」

 

「確かに……ほとんど手も足も出なかったし……」

 

 なるほど、確かに最もだろう。セカンドやサードのリリベルの言葉に少し頷く。

 だが……やはりと言うべきか、ファーストの連中はそうは思っていないようだな。

 

「……少なくとも1発は被弾させられた、それだけで充分な強みだ。コイツ相手なら尚更な」

 

「……その通りだよ。俺自身謙遜するつもりはない。俺なら一個小隊程度、軽く殲滅できるしな」

 

「嫌味でもないし事実なのがムカつくな、お前」

 

「ちょっとした意趣返しだよ。化け物扱いするならそれぐらいの事実は受け入れることだ」

 

「チッ……」

 

 舌打ちをするファーストリリベルに対して、ケラケラと笑ってやる。

 そう、余裕の勝利ではあったが……それでも脇腹に俺は確かに被弾させられたのだ。それができるヤツは基本的にいない。千束でもできるかと言われたら……『最初から全力の棗に被弾させる? そんなの絶対無理に決まってるでしょうが!?』とでも言われそうだ。

 

「さて……今後の方針だが、基本的にはいつも通りだ。連携を中心とした訓練を行う。

 リコリスが未然に真島達の企みを防ぎ切り、任務が来なければ御の字だが……個人的な見解としてはおそらく俺たちは動くことになるだろう。

 だからこそ、お前たちにはこう言っておこう。励めよ。俺たち君影草の本懐を成すためにも訓練には決して手を抜くな。いいな?」

 

「「「了解ッ!」」」

 

「いい返事だ。……さて、長話は俺も好きじゃないし今日はこのぐらいにしておこう。なに、困ったことがあれば聞きにぐらいは来るといい、俺も訓練以外じゃそこら辺で暇を持て余してぶらついているだろうしな。ファーストだから、とか……序列とか、灰色だとか、そういうのは気にせずに接してくれると助かるよ」

 

 ───────

 

 立花 棗がそうして模擬戦用のシミュレーションルームから出ていった後、1人のリリベルがぼそりと呟く。

 

「……あれが最強のリリベルか……なんというか……次元が違ったな」

 

 文字通り、次元が違った。たった1人だけ。戦闘能力は何もかも規格外だ。勝てるイメージが浮かびすらしない。そういう存在だった。

 

「……当然だろう、アレは文字通り怪物だ。他のリリベルやリコリスと比較できるようなもんじゃない」

 

「そういえば、先輩は……あの人と知り合いなんでしたっけ」

 

「……一時期、チームを組んでいただけだ。ああ、いや……お前はその頃は東京支部(ここ)にはいなかったんだったな」

 

「はい、なので……イマイチ、あの人がどういう存在なのか感覚で掴めないというか……強いのは理解したんですけどね」

 

 そう、次元が違うと呟いたリリベルは彼が活躍していた当時、東京支部には所属していなかった。彼が活躍していた時期を知っているのは今いるリリベルの中でも半数居るかどうか、といったところだろう。何せ10年以上も前の話だ、真実かどうかも怪しいと思っているリリベルも少なからずいるはずだ。

 

「100%」

 

「え、なんですか急に確率の話をしだして」

 

「……あの男の、灰色の任務の完遂率だよ」

 

「──マジですか?」

 

「ああ、嘘じゃない。しかもここにひとつ言葉が加わる。……単独での任務が大半だ」

 

「それはまた……」

 

 レベルが違う話で……とセカンドであったそのリリベルはファーストリリベルの少年の説明に苦笑いを浮かべていた。

 任務の完遂率が100%、つまりどの任務であれ成功してきた存在ということだ。リリベルはリコリスでは対処しづらい武装組織を相手取ることが多い。それらを単独で制圧を済ませたこともある、ということが立花 棗の規格外さを窺い知ることができる何よりもの実績だろう。

 

「最も、アイツの場合……それを誇ったりはせんだろうが」

 

「え、そうなんですか?」

 

 電波塔でも活躍した英雄の1人らしいですし、勿体ない。と口に出すとファーストの少年は少し眉を顰める。

 

「……アイツが単独で派遣される任務は、達成困難なものが大半だ。

 ラジアータが計算した任務成功率が最も低い事案に派遣される。それを完遂させることは確かに凄いことだがな。……ラジアータが任務成功率を低く見積もる時はだいたい……」

 

 ──その前にリコリスかリリベルが派遣されて失敗したパターンなんだよ。

 

 その言葉に、セカンドの少年はなるほど……と理解した。

 

「──人質が増えたことによるリスクですか」

 

「そうだ。当然、俺たちもリコリスも……犠牲は厭わない。死ぬことは当然だし、足でまとい、情報漏洩の可能性になるようなら自決もするだろう。だがそれらの手段を奪われ、完全に人質として取られることもある。

 ……そういう事案で、アイツは武装組織はもちろん……リコリスやリリベルの処分にも当たっていたんだよ」

 

「……仲間殺しですか。あの噂はある意味では真実だったってことですね」

 

 根も葉もない噂だと思ってたんですけど。とセカンドの少年は口に出す。

 彼もまた東京支部に憧れを持っていたし、灰色と呼ばれた最強のリリベルのもとで活躍したいという思いも抱いていたのだ。もちろん、仲間殺し程度でその尊敬の念が消えることはない。それどころか確かにそれは誇れないな。と納得すらしてしまった。

 

「人質になった時点で、俺たちはもちろんDAの存在が明るみになることは防がないといけない。そういう事例の時、当然アイツは動いていた。時には……既に尋問の後で息絶えていたこともあるらしい」

 

「うへぇ……多少はこたえますねそれ……仲間の死体を見るのはやっぱ勘弁ですよ……」

 

「……まあ、俺たちならその程度で済んだだろうな」

 

「……? あの人は違ったんですか?」

 

 ファーストのあからさまに自分たちと立花 棗は違う、といったような言い回しに首を傾げる。

 

「ああ、根っこの部分がアイツはどこまでも……一般人(ふつう)だったんだよ。人を殺すことを嫌悪し、恐怖し、躊躇する。そういう何も知らない一般人と同じ感性だったんだよ、あの男は」

 

 だからこそ、壊れてしまったんだろう。と、ファーストの少年は嘆くようにため息を吐く。

 

「そんな感性のヤツが、任務とはいえ人殺しを許容し続け……そのうえで、何も知らない大勢の無辜の人々を守るためとはいえ、仲間を切り捨てる選択を何度もさせられたんだ。破綻するのは時間の問題だった」

 

 その破綻してしまったであろう瞬間を、彼は目撃してしまった。

 立花 棗が他者を殺す時に確かに笑みを浮かべた瞬間を、少年は見てしまったのだ。

 

「……英雄ってのは、綺麗なもんじゃないんすね」

 

「当然だろう、明るい話には必ず黒い裏はある。日本の犯罪率がいい例だろう。俺たちという黒い裏があって成り立っているんだからな」

 

「確かに……」

 

 リリベルである以上、殺すという選択肢からは逃れられない。だからこそ仕方ないという部分はあるんだろう。だが、こうして事実を知れば憐れみすら抱いてしまう。

 

「ただ、まあ……良い出会いがあったんだろうな、アイツ」

 

「……出会い、ですか?」

 

「……ああ、前のアイツからは想像できないほどに手を抜いている。

 ……模擬戦であっても、以前なら殺意全開で襲ってきてただろう。こちらが死ぬと実感できるほどの強烈なモノをな」

 

「え、今回ですら死ぬかと思ったのにそれ超えるんですか」

 

「超えるぞ、アイツは模擬戦であれ基本的に容赦はしない質だったからな」

 

 うへー……と嫌な顔をするセカンドを見ながら笑ってしまう。ある意味ではこいつらは運が良かったな、と。

 

 そして……おそらく、あの男を変えたのは……

 

「錦木 千束か……ここでもその名前が出てくる羽目になるとはな」

 

 あのころ、彼は惨敗した。非殺傷の弾を撃つリコリスに。立花 棗がその後に続き、そして失踪した。……更にその後のことは知っての通りだ。立花 棗は良い意味で錦木 千束に変えられたのだろう。

 

「先輩、なんだかあの人に嫌味ったらしい視線とか口振りみせてますけど……なんだかんだ甘いですよね」

 

「……否定はしない。少なくとも俺は幾度かアイツに命を救われていて感謝しているし、尊敬の念もあるからな」

 

 最も、アイツはそんなことを気にしてもいないのだろうが。

 

「ただ……それでも、俺にとってはアイツは超えるべき相手だよ。

 アイツは……」

 

 ──きっと誰よりも、リリベルに向いていない。

 

 だからこそ、最強と謳われていることが気に食わないし……今の現状を受け入れているアイツが気に入らない。

 

「惚気ですか?」

 

「……次余計なことを口に出したら殺す」

 

「え、こわ、なんですか急に」

 

 別に立花 棗に対してそんな変な感情は向けていない。ただ、超えるべき壁として認識しているだけだ。

 

「先輩もやっぱお人好しじゃないですか。噂に聞く錦木千束と一緒なんじゃないですか?」

 

「──よし、殺す」

 

「え、ちょ、先輩。あ、ちょっ……首を掴まないで、あっ、ヘッドロックは──」

 

 うぎゃああああああ!! という少年の断末魔がシミュレーションルームに響き渡ったのは余談であった。




立花 棗

その本質は何処までも善人でお人好しの普通の少年であった。
だが、彼の生きた環境がそれを許さなかった。故に、彼は人殺しの怪物になったのだ。

模擬戦は常に余裕で勝っているらしい。
口調は意図して変えている。
ほら、威厳とか色々誇示しときたいじゃん?とは本人の談。

ファーストリリベル

名前はない(というか考えてない)
原作ででてきたあの顰めっ面リリベルくん。

棗には何度も救われ、恩義は感じている。
ただ、それでも俺はヤツを超えるためにひたむきに努力するだけだ。

言ってしまえば、リリベル側の春川フキみたいな存在である。


虎杖司令

食えないたぬきジジイ。立花 棗の才を理解し育て上げた者。
模擬戦中の彼を見て「少し鈍っているのではないか?」とは思っている。
それが外的要因だということも大方予想はついている。


真島さん

吉松シンジとその部下、姫蒲を捕まえた。
DAとアラン機関絶対ぶっ潰すマン。

兄弟とアランリコリスには心底同情するぜ。
……ま、殺し合うだけだけどな。


吉松 シンジ

誰よりもアランの思想に殉ずれる者。
愛した者たちすらも、その理想の為ならば躊躇なく切り捨てるだろう。

彼は期待する。立花 棗に、錦木 千束に、真島に。
アランチルドレンとしての可能性を信じているが故に。


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